くにさくロゴ
1979/04/04 第91回国会 参議院 参議院会議録情報 第091回国会 予算委員会 第21号
姉妹サイト
 
1979/04/04 第91回国会 参議院

参議院会議録情報 第091回国会 予算委員会 第21号

#1
第091回国会 予算委員会 第21号
昭和五十五年四月四日(金曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月三日
    辞任         補欠選任
     秦野  章君     宮田  輝君
 四月四日
    辞任         補欠選任
     鈴木 正一君     降矢 敬雄君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         山内 一郎君
    理 事
                亀長 友義君
                下条進一郎君
                桧垣徳太郎君
                安田 隆明君
                栗原 俊夫君
                山崎  昇君
                原田  立君
                沓脱タケ子君
                栗林 卓司君
    委 員
                浅野  拡君
                井上 吉夫君
                岩動 道行君
                石本  茂君
                小澤 太郎君
                金丸 三郎君
                上條 勝久君
                北  修二君
                熊谷  弘君
                鈴木 正一君
                玉置 和郎君
                成相 善十君
                林  ゆう君
                真鍋 賢二君
                町村 金五君
                宮田  輝君
                八木 一郎君
                山本 富雄君
                穐山  篤君
                大木 正吾君
                勝又 武一君
                坂倉 藤吾君
                松前 達郎君
                村沢  牧君
                安恒 良一君
                吉田 正雄君
                中尾 辰義君
                馬場  富君
                宮崎 正義君
                渡部 通子君
                下田 京子君
                橋本  敦君
                井上  計君
                秦   豊君
                市川 房枝君
   国務大臣
       内閣総理大臣   大平 正芳君
       法 務 大 臣  倉石 忠雄君
       外 務 大 臣  大来佐武郎君
       大 蔵 大 臣  竹下  登君
       文 部 大 臣  谷垣 專一君
       厚 生 大 臣  野呂 恭一君
       農林水産大臣   武藤 嘉文君
       通商産業大臣   佐々木義武君
       運 輸 大 臣  地崎宇三郎君
       郵 政 大 臣  大西 正男君
       労 働 大 臣  藤波 孝生君
       建 設 大 臣  渡辺 栄一君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)
       (北海道開発庁
       長官)      後藤田正晴君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 伊東 正義君
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)
       (沖繩開発庁長
       官)       小渕 恵三君
       国 務 大 臣
       (行政管理庁長
       官)       宇野 宗佑君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  細田 吉藏君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       正示啓次郎君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       長田 裕二君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  土屋 義彦君
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  園田 清充君
   政府委員
       内閣官房内閣審
       議室長
       兼内閣総理大臣
       官房審議室長   清水  汪君
       内閣法制局長官  角田禮次郎君
       内閣法制局第一
       部長       味村  治君
       防衛庁参事官   番匠 敦彦君
       防衛庁長官官房
       長        塩田  章君
       防衛庁防衛局長  原   徹君
       防衛庁経理局長  渡邊 伊助君
       防衛施設庁長官  玉木 清司君
       防衛施設庁総務
       部長       菊池  久君
       法務省刑事局長  前田  宏君
       外務省北米局長  淺尾新一郎君
       外務省条約局長  伊達 宗起君
       労働大臣官房長  谷口 隆志君
       労働省婦人少年
       局長       高橋 久子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        道正  友君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和五十五年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十五年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十五年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山内一郎君) 予算委員会を開会いたします。
 昭和五十五年度一般会計予算、昭和五十五年度特別会計予算、昭和五十五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
 これより秦豊君の締めくくり総括質疑を行います。秦君。
#3
○秦豊君 最初に、きのう自民党が要綱をまとめられたスパイ防止法案、いわゆるですけれども、これについてまず法務省側の見解を伺っておきたい。
#4
○政府委員(前田宏君) 昨日の新聞に自民党のスパイ防止法案要綱というものが載っておりましたことは私も承知しておりますけれども、まだ確定したようなものではないように理解しておるわけでございます。それからけさの新聞にやや大きな見出しで、「憲法上問題も」というような記事が載ってございましたけれども、この記事の趣旨も一見いたしまして必ずしもはっきりしていないようでございまして、現在の段階で私どもといたしまして何とも言えないわけでございます。ただ、一般論といたしまして、この種の問題につきましては、憲法との関係におきまして慎重に検討すべき問題があると存じております。
#5
○秦豊君 法制局長官、突然ですが、やっぱり法案としての完熟度、成熟度、憲法上の問題、現在の日本の法体系になじむか、なじまないか、この問題を含めて専門家としてのあなたの見解を。
#6
○政府委員(角田禮次郎君) 大変申しわけありませんが、私もいまここで資料を初めて見たような次第で、何とも申し上げられません。
#7
○秦豊君 そういう答弁が一番一〇〇%正解なんだね、あなた。けれども、こういう問題は職掌柄怠慢でいらっしゃるということを申し上げねばならぬ。
 総理にちょっと伺っておきたいのですが、私自身は、あの自民党の案がそのまま通れば、第一防衛上の秘密の範囲がきわめてあいまい、秘密度が高くなればなるほど裁判公開の原則に照らして起訴がむずかしい、報道の自由を侵すおそれと結びつきやすい、多々問題があると思う。総理はかねがね機密保護法的な動向については慎重であられた、少なくとも私の理解の中では。しかし、党が、あなたの与党があれほどの案を、要綱をまとめられた段階でどうお考えになっていらっしゃいますか。
#8
○国務大臣(大平正芳君) かねがね申し上げておるように、現行体制、法制のもとで機密の保護につきまして遺憾な点が、手を尽くしていない点があるかどうかという点につきましていま鋭意検討をいたしておるわけでございまして、現体制のもとにおきまして足らないところがございましたならば、それを十分補っていかなけりゃならぬというのがいま政府がやっておることでございますことはお答え申し上げておるとおりでございます。自民党の方で伝えられるような研究がなされておるということは私も伺ったわけでございますけれども、どういう案がどのようにでき上がっておるかについては、まだ連絡を受けていないわけでございます。そういう検討をいたすことは結構だと思うわけでございますけれども、いま政府の立場といたしましては、先ほど申しましたように、現法制のもとで尽くすべき手を尽くさなけりゃならぬが、そこで欠くるところありやなしやという点の検討をいま急いでおるということでございます。
#9
○秦豊君 総理、重ねて伺いますが、この種の問題はよく練らなきゃいけない、熟さなきゃいけない、私は拙速であると思う。私見ではムードへの悪乗りであると思う。
 では、重ねて答弁を伺いますが、自民党の一部でそういう研究をされることは結構だが、総理として、総裁として、たとえば国会への提出等については慎重の上にも慎重であってほしいと私は思うが、総理としてはいかがですか。
#10
○国務大臣(大平正芳君) まだ私は拝見していないので、意見を申し上げるような段階に来ておりません。
#11
○秦豊君 これは予算審議がきょうで終わろうとも、これからの国会の大きな争点となって当然浮かび上がってくるし、われわれは強く反対をしていかなきゃならない。内容をよく御検討の上、歩度を緩めていただきたい、こういう要望をしておきたいと思います。
 防衛庁長官、最近拝見していますと、あなたは中業の格上げに余り熱心でないみたいですね。
#12
○国務大臣(細田吉藏君) どうも御質問の趣旨がよくわかりませんのですけれども、格上げという意味なんですけれども、これはたとえば何か新聞には五次防なんて名前が出たりしましたが、五カ年計画とか四カ年計画とかなんとかというものにしてこれを固めて政府の全体の方針にするということは、望ましいかどうかという問題は別としまして、ただいまの時点ですぐそういうことにかかっても、これは非常にむずかしいんじゃないだろうかというふうに考えておりますので、中業の中身の実現につきましては非常な熱意を持って熱心でございますけれども、そういった意味では非常に実際問題としてむずかしいということを申し上げているつもりでございます。そういう意味でございます。
#13
○秦豊君 もうちょっとわかりやすいように言いましょうか。言いかえますと、中業をそのまま認知してくれてもありがたくはないと、第一あれを一〇〇%達成しても情勢の変化に対応ができないからだと、こういう受けとめ方ですか。
#14
○国務大臣(細田吉藏君) ちょっと違うんでございますが……。
#15
○秦豊君 違うところを言ってください。
#16
○国務大臣(細田吉藏君) あのまま認めてもらってもというお話がございますけれども、私たちは、中業の中身については、この事柄としてはこれを政府全体の計画で認めてもらって、そしてそれが少しでも早く実現をできることについては、これはもう強く希望しておるわけですよ。しかし、そのほかに何か新しいつけ加えるものがそれぞれ――あれをつくりましてから、あれは三年で見直すということにしておるわけですが、年々大体見直すたてまえでございますので、そっくりそのままがこれだけでフルであると、これだけがよろしいと、こういう意味ではないと、こういうことを言っているわけでございますから、その辺がちょっとニュアンスが違いますけれども、あの中身そのものをオーソライズしてやっていただくということは、これは私たちはなるべく早くやっていただきたいと、こう言っておるわけでございます。
#17
○秦豊君 長官ね、こういうことにもなりますね。中業自体の見直し、つまり強化という線で、これはあなたにとっては歓迎すべきことじゃないですか。
#18
○国務大臣(細田吉藏君) これをさらに見直して強化していただくということは、これは防衛の責任者としては大変望ましいことであることはもう申すまでもございません。
#19
○秦豊君 防衛庁内部には、大綱とその水準自体をこの際見直してはどうかという有力な意見が台頭しつつある。あなたの意見も、じゃそれに近いわけですね。
#20
○国務大臣(細田吉藏君) そうではございません。防衛庁の中にそういう意見の者がいるかどうかは私は存じておりませんが、個人的な意見は別といたしまして、防衛庁といたしましては、はっきり申し上げますが、防衛計画の大綱の書き直しをいましてもらいたいというふうには考えておりません。
#21
○秦豊君 こういうことですか、この中業の見直しがたとえできないとしましても、防衛庁の意向を来年度予算の中に盛り込んで実質を取ればそれでいいんだと、こういう考え方ですか。
#22
○国務大臣(細田吉藏君) どうもおっしゃっていることがそのままかどうかわかりませんが、とにかく実質的な防衛力の強化をするということがこれは一番中心であると。それから当面は、やはり五十五年度予算が本日がまあ最終日になっておるわけですが、五十六年度予算でございますので、日本の場合は単年度予算でございますから、五十六年度予算に向かってこれから新しい出発が始まるわけでございますから、実質的にこれが防衛力が増強できる線をわれわれとしては期待をしておる、希望をしておるということでございます。
#23
○秦豊君 防衛庁、あなた職掌柄、前倒し、つまりでき得べくんば一年早める、この検討は部内的にはもう終わりましたか。
#24
○政府委員(原徹君) ただいまも長官から御答弁申し上げましたように、五十六年度予算に向かってこれから作業をしようという段階でございまして、まだ当分の間その作業は終わらないと思います。
#25
○秦豊君 これは長官に聞きましょう。
 防衛力の大綱、これは閣議・国防会議マターなんですよね、オーソライズされている。それを踏まえたいわゆる中業がなぜ部内資料どまりであり、長官の承認でよしとするのか。
#26
○政府委員(原徹君) 五十一年度に防衛計画の大綱が決まりました。で、部隊の規模等の水準が決まりました。でございますから、あとは単年度ごとにやっておくという方針に切りかえたわけでございまして、それについては変えておらないわけでございます。そういう前提に立ちまして中期業務見積もりをつくってあるわけでございますから、その中期業務見積もりは防衛庁としての努力目標でございますので、それを実現するのは単年度ごとにやっておくということでございますので、その単年度は毎年の予算案でございますから、そういうことでやっていこうということでございます。
#27
○秦豊君 いまは原さんが出てくる出番じゃないんで、長官の判断を聞きたかった。
#28
○国務大臣(細田吉藏君) お答えいたします。
 防衛計画の大綱、これは閣議決定しておるわけですから、これはもう申し上げるまでもございません。これが政府の方針でございます。それと前後して例のGNP一%程度を超えないというのが方針として決まっておる、こういうことになっております。したがいまして、中期業務見積もりというものがこの大綱よりもはみ出る、はみ出ておるということになりますと、これは大問題でございます。しかし、大綱というものの決め方というものは、もう先生御承知のとおりの大きな枠組みでの決め方をしておりますから、ですから、これはたとえばもう少し細かく決める方法だってあるじゃないか――ところが大綱の大綱たるゆえんでございますので。で、その中において中期業務見積もりというものを立てて、その中でやっていこう。そして、それは情勢が変わってきますから三年ごとに見直していく。もっとあれすれば、各年度ごとの予算のときに大綱の範囲で見直していこうと、そういう仕組みでございまするので、これはなかなか実情に合ったやり方をしたものだなというふうに私は率直に考えておりますが。
#29
○秦豊君 大蔵大臣にちょっと伺っておきたいんですが、大蔵大臣の認識の中では、この中業二兆八千億円、五カ年。これ自体についての評価、認識、理解、どんなものなんでしょう。
#30
○国務大臣(竹下登君) これはいま防衛庁長官からも、五十一年十月二十九日国防会議決定、同日閣議決定、そして十一月五日国防会議決定、同日閣議決定についての防衛計画の大綱及び当面の防衛力整備についてということを基本としてお述べになったわけでございますが、私どもといたしまして、それは予算調整権の立場にある者として無関心であるわけではございません。しかしながら、中期業務見積もりは防衛庁の内部資料であるという位置づけ、したがって、大蔵省としては公式にはこれに対して関知しておるという立場にはありません。ただ、防衛庁内において逐年の防衛力整備の基礎とする業務計画及びこれに基づく予算概算要求案等を作成する際の参考にしていらっしゃるということは十分承知をいたしておるところであります。
#31
○秦豊君 各省庁間の交渉じゃなくて、仮に総理から、やはりワシントンの要請もだしがたしと、大蔵大臣苦労してみてくれと言って一年間の前倒しを公式に求められた場合にどういう対応が可能ですか。
#32
○国務大臣(竹下登君) 恐らくはそうした場合において、国防会議等でいろいろな御議論があった上のことになるではなかろうかと思いますが、とにかく勉強してみろと言われれば、これは何に限らず一生懸命で勉強するということは当然の二とであると思っております。
#33
○秦豊君 大蔵大臣、それはそのとおりでしょう。それで私、〇・九、一%以内、これ絶妙な知恵だと思いますよ、歯どめ、チェックポイント。大体五十六年度予算案の編成でいまから言うのは早いとしましても、今年度ぐらいが絶対額、伸び率とも上限じゃないですか、防衛予算。
#34
○国務大臣(竹下登君) これも御案内のとおり、まさに国の他の諸施策との調和を図りつつ予算編成に臨むわけでございますので、あらかじめこれが限界であるとかいうお答えをする立場にはない、こういうふうに思います。
#35
○秦豊君 外務大臣、総理訪米の期日は確定しましたか。
#36
○国務大臣(大来佐武郎君) 確定いたしまして、本日十時に公表いたしたはずでございます。官房長官から公表されたはずでございます。
#37
○秦豊君 いつですか。
#38
○国務大臣(大来佐武郎君) 本日の十時、出発は四月三十日で帰国が五月八日でございます。
#39
○秦豊君 では、カーター大統領との会談はいつですか。
#40
○国務大臣(大来佐武郎君) 五月一日に予定されております。
#41
○秦豊君 どれぐらい時間とれそうですか。
#42
○政府委員(淺尾新一郎君) まだ、五月一日の大体の時間は決まっておりますけれども、何時間というところまで詰めておりませんのでちょっとここでお答えできませんけれども、まあ大体常識の範囲ということです。
#43
○秦豊君 常識の判断というと、一時間か二時間……。
#44
○政府委員(淺尾新一郎君) 前回行かれましたときにもあれでございますので、一時間ということはなくてもっと長い時間がとれると思います。まだこれは向こう側と交渉中でございますので、決まりましてからお答えします。
#45
○秦豊君 外務大臣、中業を基礎にあなたは話してこられたわけですよね、前倒しは明らかに要請があった、認められた。量的増強をも同時に求められたんですか。
#46
○国務大臣(大来佐武郎君) 中期業務見積もりは先方が言い出したことでございますが、その量的な増強という話はございませんでした、前倒しということはございましたけれども。
#47
○秦豊君 大来さんを迎えるワシントンと総理を迎えるワシントン、当然違ってあたりまえなんですよ。イコールパートナー、パートナーシップの誠意を見せ合うだけでしのげるのかな、数字抜きで、そういう気がするんです。相当厳しいんじゃないでしょうかね、外務大臣。
#48
○国務大臣(大来佐武郎君) 先方も日本の国内事情その他全般の状況についてはよく承知をしておりますので、その限度を超えてということは、これは一般の言論とか、それから議会での発言とかいろいろございますけれども、責任ある当局者としてのアメリカ側の発言としては一定の限度を持って話が出てきておると考えております。
#49
○秦豊君 これからの対日要求はより具体的かつ現実的になってくると思う。
 そこで外務大臣、これは一例ですよ。在日米軍の駐留経費分担をふやしてもらいたい、地位協定のいわゆる枠内で。こういう要求はますますシャープになるんじゃないですか。総理からその点についての検討も命ぜられたはずだが、どういう作業を煮詰めましたか。
#50
○国務大臣(大来佐武郎君) この点につきましては、先方からの要請が、希望がございまして、ただ、私の方からは地位協定を日本政府としては変える意思がない、給与については限界に来ておる、施設についてさらに検討の余地があるかどうか、これは私の所管ではございませんので、帰ってから防衛庁当局に伝えて検討してもらいたいと思う、ということで帰ってまいったわけでございます。
#51
○秦豊君 改めて聞きますけれども、地位協定、あなた方の解釈をそのまま牢固として守って変えないで、これ以上にふやせる余地と部門なんて一体あるんですか。
#52
○政府委員(淺尾新一郎君) ただいま大臣から答弁したとおりでございまして、労務費についてはいま限度いっぱい、施設費については目下防衛庁に依頼いたしまして、防衛庁の中で検討していただくということでございますけれども、何がしかの余裕はあるのじゃないかというふうに考えております。
#53
○秦豊君 何がしかの余裕というのはどういうことですか、わからね。
#54
○政府委員(淺尾新一郎君) 現在検討中だと私は承知しておりますので、どういうふうにふえていくかということをちょっとここで私自身としてお答えできる立場にはございません。
#55
○秦豊君 総理ね、きのうも防衛費の増額問題、こっちからは出さぬと答えられましたね。それはあなたの態度なんで、向こうはそうじゃない。向こうは主眼、主なテーマとして手ぐすね引いているんですよ。ワシントンの空気というのは相当厳しいんじゃないですかね、仮借ないのじゃないですかね、どうでしょう。
#56
○国務大臣(大平正芳君) まだ向こうとどういうことを議題にするかというような打ち合わせもいたしておりませんけれども、こちらから防衛力の問題というようなものを取り出すつもりはございません。しかし、先方からお話があるかもしれません。
#57
○秦豊君 日本の財政難というのは、総理、百も向こうは承知なんですよ。なおかつというのが向こうの基本線で、要は同盟国としてNATOもやっている、じゃ日本は何をいつごろまでにどれぐらいやってくれるのかをまさに求めているんじゃないでしょうか。
#58
○国務大臣(大平正芳君) いろいろな御要請がアメリカからあり得ると思いますが、きのう申し上げましたように、それをよく吟味いたしまして主体的に対応してまいるのが日本政府と心得ています。
#59
○秦豊君 まあカーター氏との会談が一時間半か二時間半かわかりません。いまあなたがこういう時期にワシントンを訪問される、首脳、トップとして。特に防衛問題、安全保障問題についてはカーター大統領にあえて何を最も強調したいですか。
#60
○国務大臣(大平正芳君) 日米間には絶えざる意思の疎通が図られておりまするけれども、機会があれば直接会って首脳間で両国共通の関心事につきまして話し合いをして理解を深めてまいるということは当然の道行きと心得ております。今度の訪米もその一環でございます。
#61
○秦豊君 一本調子、財政難を理由にしては防ぎ切れませんよ。
#62
○国務大臣(大平正芳君) 先ほど申しましたように、どういう要求がまいりますか、それはわかりませんけれども、それを受けて対応していくのがわれわれの仕事でございます。いろいろな角度から検討していかなければいかぬことはもう申すまでもございませんで、御指摘をまつまでもありません。
#63
○秦豊君 あえて、だから指摘しておきたいんですがね、総理。パートナーとしてなすべき協力の分野は多々あると、一本調子ではないと、防衛だけじゃないと、経済協力、南北問題への貢献、難民対策、多岐にわたるから、その分野では日本が応分に果たす。防衛はこれが限度、できること、できないこと、イエスとノー、今度はこれを明確にする絶好のチャンスじゃありませんか。
#64
○国務大臣(大平正芳君) 今度ばかりじゃございませんで、過去においてそうでございましたし、今後も日本はいろいろな角度からやってまいらねばいかぬことでございまして、外交上やってまいらねばいかぬこともございましょうし、経済協力の上でいろいろやらねばいかぬこともございましょうし、ひとり防衛の問題ばかりでないことはあなたがおっしゃるとおりでございまして、同盟国としての信頼にこたえてわれわれとしては精いっぱいやらなければならぬと思いますが、しかし、それはあくまでも日本の主体的な立場において日本がこれに責任を持って対応していくという態度で終始しなければいかぬと思っています。
#65
○秦豊君 総理ね、これはいつも疑問に思っているんですが、中業というのは、なるほど防衛庁の内部限り、部内資料になっているんですよ。そう言って傍観をすることは、回避することは、国防の最高責任者としてのあなたにとっては一種の責任回避になりませんか。
#66
○国務大臣(大平正芳君) 防衛庁の方からこれを検討してくれという注文もございません。これは防衛庁の方の財政当局に対する折衝過程におきまして腹づもりとして持っておるものと承知いたしておるわけでございまして、私が責任逃れをするとか、しないとかというようなレベルの問題じゃありません。
#67
○秦豊君 それは総理大変おかしいですよ。本来的には中業というのは明らかにある時期の防衛力整備計画なんですよ。防衛力整備計画は国防会議マターなんですよ。最高責任者はあなたなんですよ。その論理はおかしい。
#68
○国務大臣(大平正芳君) しかし、それは年々の歳々の予算をもってこたえるということになっておるわけでございまして、予算は国防会議、それから閣議を経て政府の責任でやっておるわけでございまして、政府の責任はそこで決まるわけでございます。
#69
○秦豊君 やはりおかしいですね。防衛計画の大綱を読んでみましても、各年度の防衛力の整備重要事項は国防会議所管の範囲である。それから中業はユニホームがつくった。これは四次防に続いて五次防と言うと抵抗が大きいから、悪知恵を働かした一つのすり抜け、回避策なんですよ。あくまであなたが責任を持たなければいけない。アメリカは第一それを基準にしている。だからオーソライズというのはそういう意味なんですよ。重ねて見解を聞きたい。
#70
○国務大臣(大平正芳君) 政府がオーソライズする対象はあくまでもその年度の予算でございます。
#71
○秦豊君 それはおかしい。しかも今回は前倒しが日米間の交渉の焦点になっている以上、明らかに少なくとも閣議がチェックしなければいけない、違いますか。
#72
○国務大臣(大平正芳君) 何年も先にかかる財政負担を軽々にコミットすることはできません。年年歳々の予算案を通じましてこれをオーソライズしていくという手順を決めてあるわけでございまして、それによってやってまいるのが正当な手順だと考えております。
#73
○秦豊君 この訪米を控えたいまこそ、イコールパートナーとしてなし得ること、なし得ざること、これを峻別するためにも、部内資料ではなくて最高責任者であるあなたが責任を裏づけたプランを堂々と提示し、交渉の原点にすべきじゃないですか。
#74
○国務大臣(大平正芳君) 過去におきましても現在におきましても、将来におきましてもわれわれの責任においてやってまいりますから御心配なく。
#75
○秦豊君 心配は消えませんよ、あなた。あなたは防衛問題を参議院選挙の争点にはなさらないと言っている。こういう時期にむしろ積極的にあるべき防衛の姿を与野党ともに論じ合って判断を有権者に求める、当然じゃありませんか。争点にしなさい。
#76
○国務大臣(大平正芳君) この予算委員会でもいつもあなたが取り上げて論議しておるじゃありませんか。これで結構じゃありませんか。
#77
○秦豊君 足りない。参議院選挙の大きなアイテムにしなければいけないと私は思いますが、総理、違いますか。
#78
○国務大臣(大平正芳君) 私が申し上げている意味は、安保体制を変えるつもりはない、防衛計画の大綱を変えるつもりはないという姿勢をとっておるわけで、こちらからとりわけ争点として持ち出すつもりはないが、野党の方からお取り上げになりますならば、これに応戦いたしたいと思います。
#79
○秦豊君 いや、それは大いに論じたいと思います。争点にしていただきたいと思います。
 防衛庁、矢田海上幕僚長が、三海峡防備はアメリカに対してなし得る数少ないギブ作戦の一つであるという答弁をしておるようだが、いままでの防衛庁の見解、答弁を乗り越えているとはお考えにならぬか。
#80
○政府委員(原徹君) 矢田幕僚長の論文、私も拝見をいたしましたが、三海峡の防衛が非常に重要だという点が書かれておりますが、そういう認識において私どもと海幕と意見が違うということはございませんので、いままでの答弁と私は変わらないと思っております。
#81
○秦豊君 結局、リムパックから帰ったユニホームの談話が少し報道をされておるが、一体、防衛庁としては、リムパックは結局何にどう役立ったのか、どう評価、総括をしているのか。次のリムパックは一体いつごろと予定されているのか。当然参加するのであろうと思うが、そういう観点を含めて、この時間帯ではもうすでにランプがついているから、国会にあれほど論議を呼んだリムパックだから、だからこそ詳細な報告書を国会に提出をする用意があるかどうか、その点を改めて確認して私の質問を終わりたいと思う。
#82
○国務大臣(細田吉藏君) リムパックに参加いたした者が帰ってまいりまして、きのうあいさつだけ聞きましたが、まだ報告等につきましてはこれから整理をして成果その他については私ども聞くことにいだしております。ちょっとその程度以上のことはいま私ども何とも申し上げかねます。
#83
○秦豊君 委員長、一言いいですか。
#84
○委員長(山内一郎君) ではあと簡単に。
#85
○秦豊君 はい。
 総理、最後に要望を申し上げますが、防衛庁には、これほど論議を呼んで、国民的論議の焦点になったリムパックについては積極的にあなた方が冷静に評価、解析をして、その全体を国会にぜひとも報告をしてもらいたいということ、これは防衛庁としては最低の私は義務だということを再言します。
 それから総理には、重ねて申し上げますけれども、あなたの見解と私の見解なじまないようですけれども、やはり私はこれからアメリカの日本に対する防衛分担の増強要請、これは同盟国との対比において横並びで、一過性ではなくて、繰り返し巻き返し展開される日米間の大きなこれはまさに争点です。課題です。したがって、この際、中業はユニホームどまりなんていう在来の手法を繰り返さないで……
#86
○委員長(山内一郎君) 簡単に願います。
#87
○秦豊君 政治が明らかに責任を持てる体制を裏づけて、そして参議院選挙でも訴えるべきは訴えると、こういう積極的な取り組みを、むしろ真摯な取り組みをあなたに強く要望し、特にいわゆるスパイ防止法案等については慎重の上にも慎重であってほしいということを要望して終わりたいと思います。
#88
○委員長(山内一郎君) 以上で秦君の締めくくり総括質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#89
○委員長(山内一郎君) 次に、市川房枝君の締めくくり総括質疑を行います。市川君。
#90
○市川房枝君 最初に、政治の倫理化について大平総理に伺いたいと思います。
 ここ数日来、三木、福田、中曽根三氏から浜田幸一議員問題についてはっきりとしろという申し入れがあったようです。それから自民党の有志の方たちで党刷新連盟というのが結成されたということを伝えられております。ますますひどくなってまいりますこの政治のといいますか、政治家の腐敗に愛想を尽かしている国民はこの傾向を喜んでおられます。もっともこれらは反主流派の何かの思惑もあるらしいですけれども、それは別として、私は、国民は喜んでおると思いますが、これに対しての総理の御感想あるいはそれにどう対処なさるか、伺いたい。
#91
○国務大臣(大平正芳君) 御指摘をまつまでもなく、政治倫理を確立してまいらなければいかぬと、政治不信を取り除いてまいらなきゃならぬということは一番政治の基本だと考えております。私もそれが一番大事な私の責任であると考えております。
 第二に、いわゆる浜田幸一君に絡む事件が報道されております。それの処理を早くして政治不信を増幅することがないようにしなければいかぬじゃないかという点につきましては、与党内部よりも、また野党からも強く要請されて、世論もそういう方向で私どもに要請をしておりますことはよく承知いたしております。
 そこで、私といたしましては、いわゆる浜田幸一君の事件というのは一体どういう事件なのかということを一応承知いたした上で、それを踏まえた上で処理さしていただきたいと思っておるのでございますが、まだつまびらかでない点もございますので、私どもといたしましては、そういう点につきましてはもう少し事実関係を明らかにしようといま努力をいたしておるところでございます。この問題を別にこれから回避しようとか、遷延しようとか、あるいはふたしようとか、そんなさもしい気持ちは全然持っていません。それはあなた方よりは私の方が切実に、この問題について痛いほど感じておるのでございますから、そんなはずはないんですよ。
 そこで問題は、党内におきましても、こういう問題についてひとつ処理をしようじゃないかということで党内にそういう御意見がありまするし、党内にも一部の方々が刷新連盟というものをつくったということを聞きましたけれども、それも自民党の中に自浄機能が働いておるとすれば、それは私は結構だと思っておるのでございますが、問題は私を頂点とする党執行部が処理せないかぬことでございますので、事情をもっと明らかにした上で、私どもといたしましてはできるだけ早くこれを処理して、御要請をまつまでもなく、われわれは処理を急がなければならぬと考えております。
#92
○市川房枝君 総理が政治倫理の確立のことをいまおっしゃいましたし、前にもしばしばおっしゃっておるのですが、私は政治家といいますか、議員というのは国民の代表ですから、一般の人たちよりももっと厳しくあっていいはずだと、こう思うんです。まだ罪が決まっていないとか、あるいは本人が否定しているからとか何とかいうので党としてはっきりなさらないというのは、かえって国民から言えば、やっぱりその事実があるからそれで隠しているんだと、こういう印象をむしろ受けていると、こう言っていいと思います。総理は、選挙違反として一般の国民に広く知られておりました議員の方を選挙及び警察を担当する大臣に御任命になったり、また政務次官に御任命になっているんですが、これは、総理のおっしゃることから言えば、どうも少し納得ができないんですけれども、これはどういうふうなお考え方からでしょうか。
#93
○国務大臣(大平正芳君) まあ人間に過ちがないことは保しがたいわけでございますけれども、その過ちは過ちとして自覚した上で、その能力を国政の上に十分発揮していただくということは私は許されていいことだと考えておるわけでございます。
#94
○市川房枝君 総理のお手元に、この間の衆議院の総選挙の際に民間の政党に中立の市民団体、青年団体、婦人団体なんか十七団体が行いましたるトップ・ザ・汚職議員の運動、それの記録を本にしましたものを実はお届けをしたんですけれども、お忙しいから、もちろんまだごらんいただいていないかと思いますけれども、あの選挙で自民党の有力な議員の方が、これは汚職として示された議員が落選された、あるいは政界の非常に有力な方が票がかなり減ったという具体的な事実は、有権者たちのそういう運動がある程度私は功を奏したんではないかと、こういうふうに申していいかと思うんですが、自民党がそういう人たちに権力の地位を与えたりといいますか、あるいは除名もなさらないで、そうしてそういう方が盛んに政治界に活躍しておいでになるということに対して、有権者の間で結局自分たちがそういう人たちを議員に出てほしくないと、こういうふうな自覚が有権者の間からも出てきた結果だと私は言ってもいいと思うんですが、自民党総裁である大平総理はそれをどういうふうにお考えになりますか、伺いたいと思います。
#95
○国務大臣(大平正芳君) 国民が政治を厳しく監視し、するどく批判していただく、その監視や批判を浴びながら政治、行政をやるというこの状況の中で日本の政治は救われておると思うのでございまして、そういう真剣な国民的な運動、監視というものは、私はえりを正して聞かなければならぬことと考えておるわけでございます。
 それから第二の問題といたしまして、したがって、自由民主党といたしましても、わが党に所属する者であろうと、それが有力であろうとどうであろうと、そういう者も皆法の前に平等であるという姿において選挙を行い、国民の審判も受けておるわけでございまして、日本の民主主義はそういう意味におきまして正しく機能しておると思うのでございます。
 それから第三の問題は、そういう中で批判を受けておる者につきまして、どのように自由民主党並びに政府として処理していくかという問題は、われわれの任務だと思うのでございます。われわれといたしましては、検察当局じゃございませんので、同志の集団といたしまして、できるだけ、そういった問題が起きた場合に、第一の原則は、やっぱり政治家として本人がどのように判断し、どのように去就を決められるかというようなことが第一のことでなければならぬ。党が強要したりするというようなことは余り方法としてはほめたことではないと思っておるのでございますが、しかし、判断の問題といたしまして、党とあるいは個人との間に若干のニュアンスの違いが出てくるかもしれませんので、そういった場合におきましては私が総裁として判断しなければならぬというようなケースも出てこないとは限らぬと思っております。その場合におきましては、できるだけ事実を踏まえた上で公正な処理をいたさなければならぬと考えておるわけでございますが、この処理は必ずしも市川さんのお気に召さないかもしれませんけれども、私といたしましては、そういうことでできるだけ国民の批判の声にこたえなければならぬと努めておるわけでございます。国民の方におかれましても、自由民主党に対しましては、他の政党と同様に厳しい批判もあれば強い支持もあるということをいろいろな事情を踏まえて考えておられることと思うのでございまして、総じて、私は日本の民主主義というものはそんなにお粗末なものではないと考えております。
#96
○市川房枝君 総理は、この二日の政府と党との連絡会で、参議院の全国区の制度に比例代表制を導入する、そして国会にその改正案を提案するということを指示なすったようでございますが、全国区を比例代表制にするということは自民党は前から御主張になっておったところで、そうすれば自民党の議員が何名かふえると、こういう――言葉はちょっと悪いですけれども、党利党略から出た私は案だと、こう前から考えているわけですが、いまは参議院も衆議院と同じように政党化してまいっておりまするけれども、二院制度本来のたてまえからいえば参議院は政党化しない方がいいと考え、私自身はずっと、無所属でいることは不利でありまするけれども、それを貫いてきておるわけでありますが、総理の参議院に対する考え方、あるいは全国区の比例代表制は今度の選挙から実行したいとお考えになっているかどうか、伺いたい。
#97
○国務大臣(大平正芳君) まず第一に市川先生にお願いしたいのは、正確な事実を踏まえて御質問いただかないと、私が拘束比例代表制を指示したというような、そんな私は独裁者じゃないんです。自由民主党の中で、野党と御相談して、参議院がどうあるべきかというような御相談をしておるようだと――従来から全国区制度というのをどうするかということが問題になっておったじゃありませんか。いま選挙制度調査会におきまして、今国会で、選挙制度についてあるいは選挙運動の方法についてどういう改正をお願いするかという点の御相談をしておるときに、たまたま野党の一部にこの全国区の拘束比例代表制ですか、というような問題も検討しようじゃないかというような御意見が出ておるということでございますから、それは検討に値しないじゃないかと言うて自民党がつれない態度をとる必要はないじゃないか、その問題については各野党と御相談をすればいいじゃないかということを申し上げたのでございまして、私は何も指示した覚えはないのであります。選挙制度というようなものの問題は、各政党、政治勢力の間の共通の土俵でございますから、自民党がどうする、こうするなんという勝手なことは言えるはずではないのでございまして、各政党との間でいままでもお話し合いをして、なかなか煮詰まりませんけれども、話し合いを続けてきておるわけで、その話し合いは切れたということは聞いていないわけでございますが、できたらそういった話し合いの場を実のあるものにしていただいて、一つでもまとまりがついていく案ができたらと私は念願いたしておるということで、非常に謙虚に考えておるつもりですがね。自民党というのはその名のごとく非常に自由で民主的なんですよ。だから決して抑えつけるようなことはいたさないつもりでございますので、どうぞひとつ誤解のないようにお願いしたいと思います。
#98
○市川房枝君 もう一つ。いま総理に伺ったのですが、現在の参議院が衆議院と同じように政党化しているということについてはどうお考えになるのですか。
#99
○国務大臣(大平正芳君) 参議院制度がどうあるべきか、政党政派を離れて第三勢力として行った方がいいじゃないかという議論があることは承知いたしておりますが、しかし現実は、緑風会が消えてだんだんと党の色彩が濃厚になってきたことも現実の歴史として認めざるを得ないと思うのでございまして、こういう参議院の方々も直接選挙で議席を確保されておるわけでございますから、選挙を通じまして政党が関与するというようなことを全然排除するというようなこともなかなか事実問題としてむずかしいのかなという感じはいたしておりますけれども、私は、どういうことが正しいかという点につきましてはまだ自信のある答案は持っておりませんけれども、問題はまず参議院の各派の間で御相談を通じまして、参議院としてはこういう行き方が望ましいというようなところから問題の糸口を解きほぐすことができないものかという念願は持っております。
#100
○市川房枝君 今度の予算委員会では、いままでになく各委員の方々から防衛問題が取り上げられました。アメリカから日本の防衛の増強の申し入れがあったり、あるいは財界からは徴兵制度の創設とかあるいは武器の海外輸出等が提案をされておりまして、何となくきな臭いようなにおいが少ししてきたように国民は受け取っております。三十数年たった現在でも、あの戦争の後遺症に悩んでいる多くの、特に婦人たちの間では、保守革新の区別なく戦争が起こっては困ると心配しております。総理はこの情勢をどういうふうにお考えになっておりますか。また、戦争に引っ張り込まれるようなことがないようにといいますか、総理に努力を願いたいと思うんですが、それについてお考えを伺いたい。
#101
○国務大臣(大平正芳君) まあこの間も本委員会で問題になりましたように、戦後も幾つかの事変、動乱等がございまして、日本の近くにおきましても朝鮮事変でございますとか、ベトナム戦争とかいろいろありましたわけでございますが、幸いにいたしましてわが国は安全を保障できたことはありがたいことと思っております。これはわれわれの実践してまいりました防衛、外交の基本政策に誤りがなかったことの実証ではないかと思っておりますが、しかし、最近になりましてきな臭いと申しますか、若干の憂慮すべき事態が起こってまいりまして、ソ連のアフガニスタン侵攻その他が起こってまいりまして、防衛について国民が非常に心配をし始めたということは無理からぬことと考えております。防衛について関心を持ち研究もしてまいるのは当然の道行きだと考えるわけでございますが、かといって、防衛問題につきまして、それじゃそういう時代に対しまして有効適切に対処する新たな手法があるかというと、私どもといたしましては、従来の防衛、外交の構えというものを丹念に点検いたしまして、その時代に有効に対応する道を考えていけばいいわけでございまして、こういうときには非常に冷静に対処をする必要があるのではなかろうかと考えておるわけでございまして、先ほど秦さんの御質問にも申し上げましたように、防衛の問題につきましても、安保体制というものを変えるつもりではございませんと、防衛計画の大綱というものを変えるつもりはないのでございますと、そういうすでにわれわれの先輩が苦心してつくり上げたものをベースにいたしまして、できるだけのことをやって対応していきたいということでございます。そういうことで対応いたしておるわけでございまして、冷静に慎重に対応せなならぬことは申すまでもないと思っております。
#102
○市川房枝君 次は、婦人問題について、婦人問題企画推進本部長でおいでになる総理に二、三伺いたいと思います。
 去る二十八日にはこの予算委員会で集中審議が行われ、婦人問題もテーマとして各党の代表の方からいろいろ論議をされましたが、そのとき総理は御欠席で、官房長官が代理に御出席になりました。そのときに官房長官が、総理はフェミニストだと、こうおっしゃったんですが、そうですか。これを確認をしたいと思います。それから、フェミニストというのは一体どういう意味とお考えになっておりますか、伺いたい。
#103
○国務大臣(大平正芳君) 伊東君に聞いてみましたら、伊東さんより私の方がフェミニストだと申し上げたそうですけれども、私はフェミニストというのはいろんな語義があろうと思うのでございます。つまり女に甘い男とか、鼻の下が長い男とか、そういうような意味で私はフェミニストでないと思います。それから、しかし男と女は同権でなけりゃならぬという論者であるかどうかという点につきましては、私はフェミニストだと思います。しかし、これにつきまして具体的に実践活動に非常に積極的に身命を賭して挺身しておる者というような評価を受けるような行動はまだいたしておりませんので、それはいまから努力せないかぬことだと思っております。
#104
○市川房枝君 総理、御男子でいらっしゃいますから、このために一生懸命やっていただくということは期待は無理だと思っております。
 総理は、婦人問題推進本部の本部長でおいでになるんですが、もう五年たちましたが、まあ本部員は全部男の方ばかり十二名おいでになるんですが、それは本部長初め、本部員というのは事務次官になっているようですが、皆さんお忙しいからでしょうけれども、五十四年度中には本部の会議は一度も開かれなかったと聞いておるんですが、福田総理のときに決定されました政策決定の場に婦人を加えるということも余り進んでいないみたいに思えるんです。御承知のとおりに、この七月にはコペンハーゲンで婦人の十年の中間の婦人大会が開かれ、日本政府からも代表をお出しになり、そして過去五年間に日本はどれだけ婦人の地位が向上したかということの報告をなさるべきだと思っておりますが、それはどんな報告をなさいますか。この前メキシコの会議のときに日本の代表も参りましたんですが、出席した各国の代表から日本は経済大国ではあるけれども婦人の地位は発展途上国よりも下だという批判を受けたということを耳にしておるんですけれども、それは私どもとしては大変残念なんですが……
#105
○委員長(山内一郎君) 市川君、時間が来ましたから簡単にお願いします。
#106
○市川房枝君 今度の大会で、どういうふうにお考えになっておりますか、そのことをちょっと伺いたいと思います。
#107
○国務大臣(大平正芳君) 本年七月開催予定の世界会議は、国連婦人の十年の中間年に当たりまして、前半期の見直し、評価とあわせまして後半期における諸活動の強化を図るため開催されるものと承知いたしております。
 わが国といたしましては、婦人問題推進本部を設置して、十年間のわが国の婦人施策の基本方向である国内行動計画を策定し、その推進に努めてきたところでございます。たとえば、初めて女性大使を任命する、政策決定の場への婦人の参加の促進、配偶者の相続分などに関する民法の一部改正法律案の提出、雇用における男女平等を実現するための条件整備など各分野において徐々に成果が見られること、さらに国際婦人年以降婦人問題に対する各分野における取り組みが活発に行われている状況などを報告いたしたいと考えております。
 本部を設置以来総会が、本部の会議が開かれていないではないかという御指摘でございますけれども、何回も幹事会を開きまして鋭意進めておりますこともあわせて御報告を申し上げたいと思います。
#108
○市川房枝君 ちょっと総理いま……
#109
○委員長(山内一郎君) 待ってください、時間超過しておりますが、あと一問ですか。簡単にお願いします。
#110
○市川房枝君 はい。
 総理はいま婦人大使を任命したということをおっしゃいまして、それは私ども感謝しています。ただ、それに続いてちょっと注文したいことは、婦人の大臣をなぜ御任命くださらなかったか。自民党の婦人議員の中にはりっぱな方がたくさんおいでになりますよ。そして、これはちっとも金が要るわけじゃありませんね。総理の御決意だけでできますから、ひとつそれをできるだけ早い機会に実現していただくことをお願いして私の質問を終わります。
#111
○委員長(山内一郎君) ちょっと速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#112
○委員長(山内一郎君) 速記をつけてください。
#113
○市川房枝君 理事会の方からちょっと私に御注意がありまして、私の質問中に不適当な言葉がありましたならば、委員長において訂正してくださるようお願いいたします。結構です。
#114
○委員長(山内一郎君) ただいまの市川君の申し出につきましては、速記録を調査の上、不適当な個所があれば委員長において処理することといたします。
 以上で市川君の締めくくり総括質疑は終了いたしました。(拍手)
 これにて質疑通告者の発言はすべて終了いたしました。総予算三案に対する質疑は終局したものと認めます。
    ―――――――――――――
#115
○委員長(山内一郎君) それでは、これより総予算三案に対する討論に入ります。
 討論の通告がございますので、順次これを許します。なお、発言者は賛否を明らかにしてお述べを願います。大木正吾君。
#116
○大木正吾君 私は、日本社会党を代表し、昭和五十五年度予算三案に反対の討論を行います。
 反対の第一の理由は、物価値上げを促進する予算であるからであります。
 現下の最大の政治課題は、政府自身も認めておりますように、物価の安定を図ることであります。卸売物価は一昨年末より次第に急騰し、昭和五十四年の一年間で実に一七・五%と、石油ショック以来の大幅な上昇を記録したのであります。本年に入ってもその騰勢は衰えぬばかりか逆に加速し、二月には年率三六・一%と驚くべき高騰を示しているのであります。
 かかる状況にもかかわらず、政府は卸売物価上昇の原因をすべて海外からの石油価格の高騰といういわゆる外圧の責に帰するとともに、この値上がり分を国民が負担するのは当然であるとして、インフレを放置し、一部に見える便乗値上げや買い占め売り惜しみにさえ何らの有効適切な手段を講じていないのであります。幸いにして、このような第二次石油ショックという異常事態の中で、また政府の無策にもかかわらず、国民の切り詰めた消費態度と労働者の賃金抑制に救われるという、世界に例を見ない姿で推移してまいりました。しかし、国民の忍耐と犠牲によって支えられていた消費者物価も、最近は次第に卸売物価高騰の影響が浸透するところとなり、二月にはついに八・〇%の上昇を記録するに至りました。これはひとえに今日まで国民生活関連二法の発動など、インフレ防止の具体的政策手段を活用せず、総合物価対策などという単なる机上のプランに終始してきた政策が、まさしく空念仏に終わったということを物語るものと言えましょう。
 物価情勢は、いまや危険水域に突入し、狂乱物価の再現のおそれなしといたしません。物価安定を現段階の政策のバックボーンとするのであれば、政府はまずみずから所管する公共料金を凍結するとともに、認可公共料金についてもその査定を厳しく圧縮するのが当然であります。しかるに、本予算には国立大学、たばこ、健保などなど、国民生活を直撃する数多くの公共料金の大幅引き上げがメジロ押しに盛り込まれているのであります。また、公共料金の王様とも言うべき電力料金も、ほぼ企業のサイドの要求をうのみにし、四月一日より五〇%を上回る値上げが認可されました。これら公共料金の引き上げのみで二・六%も消費者物価を押し上げることとなり、政府みずからが物価政策を放棄し、公共料金主導の物価上昇を招来していると批判されてもやむを得ないと考えています。
 反対の第二の理由は、財政再建が全く手つかずになっていることでございます。
 五十年度以来の大量発行による国債残高は、ついに五十四年度末に五十七兆円に達しており、これを背景に、国債価格は暴落の一途をたどっております。国債市場の代表的銘柄であるいわゆる六・一国債は、額面百円に対し二十円以上も値下がりし、政府、日銀一体となった買い支えで辛うじて八十円に回復しているにすぎません。国債市場は、いまや年々発行される大量の国債に資金が追いつかず、政府の押しつける新規の国債を消化するため既発債を売却し、これに充てているのが実態であります。かかる悪循環は永続せず、早晩行き詰まることは火を見るより明らかでございます。かかる原因は、政府の放漫財政による金融市場の資金量を無視した国債の大量発行にあるのでありまして、五十五年度予算では何といたしましても国債の発行を縮減し、財政の再建の第一歩が踏み出されなければならなかったのであります。しかるに本予算は、五十四年度より二千二百億円も多い十四兆二千七百億円の国債を発行しているのであります。特に五十九年度の赤字国債脱却には、毎年二兆円ずつ減額が必要でありますのに、五十五年度はわずかに五千七百億円の減少にとどめており、政府の取り組みはきわめて弱いと言わなければなりません。このような節度のない態度では、永久に財政再建は不可能と言わなければなりません。
 反対の第三の理由は、不公平税制が温存、拡大されていることであります。
 われわれは、かねがね現行の不公平税制の解消を強く主張してまいりました。しかし、五十五年度でもその解消がなされないばかりか、土地税制の緩和など、逆に不公平税制が促進されているのであります。これでは国民が納得するはずがありません。われわれは、現在政府が進めている租税特別措置に限定した不公平税制の解消はもちろんのこと、受取配当の不算入や各種の引当金や準備金など、合法的利益隠しについても抜本的な改善を求めるものであります。これらの是正によって巨額な法人税が確保されることは明らかであります。
 なお、今回の税制改正について強く批判されなければならないのは、法人税の引き上げが財界の横やりによりまして中止されたことであります。法人税は政府自身が諸外国に比べ低いと認め、しかも現在、石油危機以降最高の収益を上げており、法人税率を国際水準まで引き上げる最もふさわしい環境下であったにもかかわらず、引き上げを見送ったことは、まことに遺憾と言うほかはありません。
 反対の第四の理由は、防衛費増額の危険性が高まっていることであります。
 GNP比一%を目標にしている中期業務見積もりは、今後五年間の防衛費支出の漸増計画であり、世界第九位の防衛費を質量ともに軍備の強化に充てようとしているのであります。しかも、財界から徴兵制、武器輸出論が出てきていることと相まちまして、政府は平和に逆行する軍備増強路線を進めているのであります。
 最後に、政治姿勢、綱紀の粛正問題で国民の信頼を得る対応が全く見られないことを指摘しなければなりません。
 金権政治は、KDD事件、浜田議員のばくち問題、早大不正入学事件などなど枚挙にいとまがなく、あらゆる分野で腐敗現象があらわれているにもかかわらず、政府の対応は全く不徹底であります。隗より始められんことを政府に強く要求してやみません。
 このほか 本予算には、福祉の切り捨て行政改革の不徹底など、数多くの問題を含んでおり、とうてい賛成することはできません。強く反対の態度を表明いたしまして私の討論といたします。(拍手)
#117
○委員長(山内一郎君) 次に、桧垣徳太郎君。
#118
○桧垣徳太郎君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、ただいま議題となっております昭和五十五年度一般会計予算外二件について、賛成の討論を行います。
 わが国経済は、原油価格の大幅値上げ、円安等の厳しい国際環境のもとにかかわらず、過去数年度にわたる公共投資の大幅拡大、国民各位の堅実な消費態度、企業の経営努力等を背景として、景気はこれまでのところ着実な拡大を続け、雇用情勢も改善の兆しが出ております。しかしながら、最近の物価動向を見ますと、卸売物価は原油を初めとする海外原材料価格の高騰等により、大幅な上昇を続けており、これまでおおむね落ちついた動きをしていた消費者物価についてもこの影響が出始め、物価の先行きは一層警戒を要する状況となっております。この厳しい物価情勢に対処するため、政府では、昨年十一月に引き続き去る三月にも総合物価対策を決定し、物価安定のための措置を講じておりますことは適切なる対応であると考えます。
 一方、世界経済も、第二次石油ショックによる影響を受けて、西独を除く主要国においては、景気後退とインフレが同時に進行するいわゆるスタグフレーションの様相を呈しており、先行き不透明な世界情勢の推移いかんによってはわが国経済にも予断を許さないものがあります。
 昭和五十五年度予算は、このような内外の経済情勢を十分考慮して、国民生活の安定と着実な経済発展に配慮するとともに、財政再建に取り組んでおられることは評価できるものであると思います。
 以下、本予算に賛成する理由を申し述べます。
 第一は、五十年度以降連年増加を続けてきた公債発行額を圧縮し、財政再建の第一歩を踏み出したことであります。
 財政再建は、わが国経済の安定的な発展と国民生活の安定を期するためにもいまや緊急に解決すべき国民的課題であります。今日の財政収支の構造的なギャップは税の自然増収のみではとうてい解消することはできないものであり、基本的には、歳出歳入の見直しが必要であります。とりわけ歳出内容の合理化、効率化にまず最大限の努力を払うべきは論をまたないところであります。このような決意のもとに編成された五十五年度予算は、一般会計の伸び率対前年度比一〇・三%、一般歳出五・一%と、いずれも最近二十年間で最低のものであり、特に公債発行額を前年度当初発行額より一兆円減額し、この結果、公債依存度は三九・六%から三三・五%へと大幅に低下しております。また、財政投融資においても八・〇%の伸びにとどめ、一般会計、財政投融資を通じ緊縮財政を貫いたことは十分評価できるものであります。
 第二は、簡素にして効率的な政府を目指して行政改革を断行したことであります。
 今回策定された行政改革計画は戦後最大の規模でありまして、特殊法人の統廃合、地方支分部局等の整理縮小、許認可、報告事項あるいは補助金等の整理合理化を行うとともに、第五次定員削減計画として、三万七千六百人を五年間で削減することとなっております。政府は国民的要請の強いこの行政改革には勇断をもって早期実施されることを期待いたしたいのであります。
 第三は、全体としての歳出規模を抑制した中で、社会経済情勢の推移に即応した緊要な経費については重点的に確保が図られていることであります。
 すなわち、エネルギー対策費、経済協力費、社会保障関係費等に重点を置くとともに、一般公共事業関係費については総額として前年同額にとどめながらも、内容的には住宅、下水道等の生活関連施設の拡充に力点を置く等、各経費についてきめ細かな配慮が払われております。
 以上申し述べましたとおり、本年度予算は、社会的経済的に見て緊要な施策については重点的に配意しつつ、全体として経費の節減合理化に努め、歳出の伸びを極力抑制しております。特に、公債発行額の減額は、その増加傾向に明確な歯どめをかけ財政再建の足がかりを確立したものであります。また、本年度予算は景気の自律的拡大傾向の足を引っ張らない、いわば景気中立型となっており、その実質成長率四・八%は諸外国に比し最も高目のものでありまして、わが国経済の安定成長を維持することができる適切な規模のものであります。
 政府においては、今後とも財政金融の両面にわたる施策を機動的に行い、日銀、公取などとの連携のもとに、物価の安定を最大の目標としつつ、経済の安定的成長の維持に十分留意されんことを要望して、予算三案に対する賛成討論を終わります。(拍手)
#119
○委員長(山内一郎君) 次に、原田立君。
#120
○原田立君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となっております昭和五十五年度予算三案に対し反対の討論を行うものであります。
 現下のわが国をめぐる情勢はまことに厳しいものがあり内外にわたり難問が山積いたしております。このような諸問題を解決することこそ政府の責務であり、また五十五年度予算でなければなりません。
 わが党は、五十五年度予算案に対し社会、民社両党とともに衆議院段階で実質的予算修正を実現し若干の改善を見たことは周知のとおりでありますが、本年度予算案はなお多くの面で不十分な点があり反対であります。
 以下その理由を述べたいと存じます。
 反対の第一は、物価対策がまことに不十分な点であります。
 消費者物価が四月一日からの電力・ガス料金の平均五〇%前後に及ぶ引き上げを契機に大幅急騰が懸念されているほか、さらに、国鉄、たばこ、郵便料金等各種公共料金の引き上げがメジロ押しとなっております。政府は公共料金の引き上げ中止や個別品目の法的強制力の発動による価格政策しか物価安定の決め手がないのにのんきな従来どおりの対応策を繰り返してやまないのであります。このことは便乗値上げを公認して企業の収益を上げさすという国民不在の政策と言っても過言ではありません。政府は、国民一致協力してインフレの難局を乗り切ろうと被害者である国民まで巻き込んだ考え方を主張しております。私はこうした国民生活破壊による物価対策に強く反対するものであります。
 反対の第二は、国民福祉の切り捨てと不公平増幅の予算となっている点であります。
 五十五年度予算案の社会保障関係費の伸びが七・七%増と一般会計の伸び一〇・三%増に比べ大幅に圧縮され、このうちインフレ不可避の中で直接的打撃を受ける被保護世帯への経費、生活保護費はわずか三・六%増にとどまり、これを見るだけで弱者切り捨ての予算は明白と言わねばなりません。財政再建を社会福祉経費の切り捨て圧縮で実現しようとする政府の考え方は許せないのであります。かかる国民不在の政策は政府自民党内の児童手当の廃止や老人医療無料化の見直し、教科書無償制度の廃止などにいずれつながり、社会保障の後退をもくろむおそれが長期的かつ具体的に強まっているのであります。私は、かかる社会的弱者の生活を根底から切り崩す五十五年度予算案に反対であります。
 反対の第三は、財政再建に何らの前進も見られないことであります。
 大平内閣は五十五年度を財政再建元年として位置づけております。五十五年度予算案はサマーレビューにより例年になく早く予算査定作業に入りながら、しかも四兆六千億円もの税の自然増収が見込まれる中にあって依然として国債依存危機ライン三〇%を大幅に上回る国債依存財政となっているのであります。歳入面、なかんずく税収面では、法人税率の引き上げを財界の圧力でつぶされ、結局、不公平税制の是正等に伴う増税額は五十四年度より下回る三千二百六十億円にとどまってしまったのであります。これでは大平内閣が真に財政再建に取り組んでいるとはとうてい言えません。自民党内閣の口先だけの財政再建に強く反対するものであります。
 反対の第四は、八方ふさがりの国債管理の問題であります。
 都市銀行は引き受けた国債の暴落により巨額の評価損を生じており、その消化は予断を許さぬ厳しいものがあります。加えて五十四年度に消化難打開の切り札として登場した二兆七千億円の中期国債は、補正予算で一兆五千億も減額されながら、年度末において千六百億円がなお消化難に陥り、結局これらは資金運用部が引き受けて帳尻りを合わせることとなっているのであります。政府は、中期政策が行き詰まったことから、最近は買い支えで市中国債価格の維持に狂奔しておりますが、これとて十分な国債管理政策となり得ていないことは、市況悪化の定着で証明されております。政府の場当たり的な国債発行並びに管理政策が金融市場を混乱に陥れ、身動きできぬところへ追い込んでいることに強く警告を発し反対するものであります。
 このほか、地方行財政対策の不備、中小企業対策への配慮の欠落など、本予算案は混迷するわが国経済社会の要請に十分こたえておらず、きわめて不十分であることを指摘し、私の反対討論を終わるものであります。(拍手)
#121
○委員長(山内一郎君) 次に、沓脱タケ子君。
#122
○沓脱タケ子君 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となっております昭和五十五年度の一般会計予算、特別会計予算及び政府関係機関予算三案について反対の討論を行います。
 本来、五十五年度予算は、国民生活擁護と財政再建が求められているのであります。ところが、本予算案はアメリカの圧力と財界の要求にこたえて負担と犠牲を国民にだけ転嫁した反国民的予算案になっております。
 以下、反対の理由の主要点を申し上げます。
 その第一は、本予算案が財政再建の第一歩を踏み出すことを口実にして、国民に対して三重の苦しみを押しつけていることであります。
 三重苦の一つは、三年連続の所得税減税見送りによる実質的大増税です。質疑の中で政府もしぶしぶ認めざるを得なかったのですが、年収の伸びを物価上昇と同じ程度と前提をし、たとえば、昭和五十一年に年収二百五十万円だったサラリーマン家庭の場合、三年間の減税見送りにより税額は実に三・四倍という増額になるのであります。さらに重大なことは、大平総理の答弁どおり、五十九年度までの七年間減税を行わないとすれば、年収二百五十万円の人は七年間で六・七倍という重税となり、これと比べて年収二千万円クラスの場合は一・九倍程度にしかならず、減税見送りによる実質増税が低所得層ほど重い負担になるのであります。この実質大増税に加えて、公共料金の大幅引き上げと社会保障、社会福祉の制度的改悪であります。予算案に関連した国民の負担増だけでも、健保、年金保険料など福祉関係で約一兆三千億円、国鉄運賃、消費者米価、郵便料金など公共料金で約一兆円、合計二兆三千億円にも上るのであります。このほか、電気、ガスの値上げにより、それはさらに倍加されるでありましょう。政治の基本は民生の安定にあるのであって、このように国民生活の破壊をもたらす予算案は断じて許すことはできません。
 第二に、日米軍事同盟の侵略的強化と軍事大国への道につながる軍事予算は、アメリカと財界の圧力のもとで大きく増額をされています。
 事実上の五次防である中期業務見積もりの初年度として、武器車両購入費、航空機購入費、艦船建造費など装備関係費は、第四次防最後の年の五十一年度に比べて七〇%もふやしております。しかも、公聴会でも指摘されましたように、軍事費は景気に対しても雇用効果の点でも有効ではないのであります。
 わが党は、軍事費を約六千億円削減し国民生活防衛の対策に回すことを主張してまいりましたが、世論調査におきましても、軍事費よりも福祉の充実をということは国民の多くが求めているところであります。
 第三には、本予算案で具体化される行政改革は国民の求めるものにはなっておりません。
 国民は、汚職、腐敗の根源である政・財・官癒着の構造に徹底的にメスを入れること、また、自衛隊、公安警察など不要部門の人員を削減し、国民生活に役立つ部門に厚く人員を配置するということを行政改革に求めています。ところが、政府は自衛隊などを聖域として、もっぱら国民サービス部門の圧縮、そして汚職、腐敗の疑獄隠しを図っているのであります。今日、国民の中にはロッキード以後の航空機疑獄を初め、鉄建公団、KDD、賄賂による買収法案と言われている税理士法案の強行、浜田幸一氏にかかわる賭博旅行などなど、政治の不正、腐敗に対する怒りと不信が高まっております。しかし、政府は、これら一連の疑惑解明についてはきわめて消極的姿勢をとり続けておられるのであります。
 また、本予算委員会におきましても、国民の疑惑解明のためにと主張した証人喚問は一切拒否をされ、集中審議には参考人の出席さえも拒否されるということで、国民の期待にこたえ得る十分な審議ができなかったことはまことに遺憾であります。この状態で推移するならば、国民は生活破壊とこれに加える政治腐敗によって、政治に対する不信はますます強まることは当然であります。わが党は、清潔な政治を求める国民の期待にこたえて、引き続き闘うことを強調するものであります。
 以上、本予算案に強く反対することを表明いたしまして反対討論を終わります。(拍手)
#123
○委員長(山内一郎君) 次に、井上計君。
#124
○井上計君 私は、民社党を代表して、ただいま議題となっております昭和五十五年度一般会計予算並びに外二件について、一括して反対の討論を行います。
 国民が新予算に最も期待していたことは、不透明な八〇年代の幕明けの年を迎えた現在、前途に山積している多くの不安を解消し、明るい二十一世紀が展望できるよう、すなわち今後の政治経済と国民生活のあり方に対し明確な指針を示してほしいということでありました。そうしてそのためには、自由と民主主議を守り、国の安全保障体制を確立し、行財政の徹底的な改革による財政の再建、日本型福祉社会建設の促進、さらにエネルギー及び食糧の長期安定確保、この三点の具体的政策を特に強く望んでいたのであります。
 大平総理は就任後間もなく、小さな政府、効率のよい政治の実現を目指すと標榜し、財政の再建を最重要課題に掲げ、行政改革の速やかな断行を約束されました。また、大蔵省は昭和五十五年度予算の編成に当たっては、異例の試みとしてサマーレビューを各省に要請し、これを財政再建の中核とすると言明しておりました。ところがその結果は、五十五年度予算においては公債発行は五十四年度当初予算より一兆円減額はしているとはいえ、補正後の予算と比べると逆に二千二百億円の増加となっており、加えてこれまでの大量発行のとがめが国債市場を混乱に陥れて大きく暴落し、五十五年度十四兆二千七百億円の発行が可能かどうかと危ぶまれているのであります。
 結局のところ、財政再建元年と銘打った五十五年度予算は、単に前年度予算を前提にして、その膨張の度合いを辛うじて抑制したというだけであって、再建の第一歩を踏み出したとはとうてい言えないのであります。わが国の財政の現状は、その再建の方策として、ただ単に増税かしからずんば歳出の削減かと検討するだけでなく、財政の構造そのものが石油問題を契機として大きく様変わりしているわが国の経済社会の構造に対応しているのかどうかを根本的に見直しすべきであるにもかかわらず、これらの点が全く顧慮されていないのであります。したがって、どうしても行財政改革の不徹底を指摘せざるを得ないのであります。
 いまや民間においては、企業も一般家庭も、現在の苦境を乗り切るために経費の節減と徹底的な合理化に血のにじむような努力をいたしております。しかるに政府は、財政構造の変化に対応し、国民の期待にこたえるような行財政の整理を行おうといたしておりません。行政改革のかけ声が大きく聞こえてはおりますが、その実、見せかけだけであって、中身は一向に変わらず、真の整理統合にはほど遠く、かえって国民の政治不信を助長させることにさえなっております。
 次に、国民生活の問題であります。言うまでもなく、現下の最大の急務は物価の安定であります。原油価格の相次ぐ値上がりと最近の円相場の急落によって、卸売物価はますます上昇し、消費者物価にもすでに赤信号がともり、二、三カ月後には最大の危機を迎えることは必至と言われております。しかるに、政府の物価対策は依然として観念論の羅列のみであって、具体性に乏しく、国民の協力を得る姿勢が示されておりません。特に民間企業に対しては、物価の抑制と同時に「生産性の向上が物価安定に欠くことのできない要件であることにかんがみ、各界が一層の生産性向上に努めることを期待する。」と、このようにありますけれども、公共企業体に対しては合理化、生産性の向上を強力に進める具体的な方針が一向になされておりません。コスト上昇という理由から、たばこ、郵便料金、国鉄運賃等々の公共料金の値上げを安易に行うということは、政府の物価安定政策をみずから破るものと言わざるを得ないのであります。
 次に、エネルギー危機の克服と将来への対策については旧態依然たる政策の延長であって、最近の国際情勢の変化に即応し、長期的な安定確保を図るためには、いまこそ発想の転換が必要でありますのに、依然として消極的な態度であることはまことに残念であります。また、代替エネルギーの開発促進につきましても、もっと積極的に取り組むべきでありますのに、これまた十分とは言えないのであります。
 さらに、原材料の大幅な値上がりを合理化努力によって吸収しようと必死に努力をいたしている民間企業、特に中小企業に対しては一層温かい配慮をなすべきときであります。ところが五十五年度予算の中に占める中小企業関係予算は、依然として千分の六弱であり、全国三百七十万事業所、三千五百万人の中小企業の従業員を相変わらず置き去りにしたままの冷たい政治、まことに残念であります。
 さて、財政再建は急務であります。しかし、まず政府みずからが反省し、努力すべきでありますのに、それを後回しにして、国民に対し危機意識をあおるのみで、増税と負担増を押しつけることを前提とした今予算案は、国民の政治不信がますます増大する結果となるであろうことを警告し、反対の態度を明らかにするものであります。
 以上、討論を終わります。(拍手)
#125
○委員長(山内一郎君) 以上で討論通告者の発言はすべて終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 昭和五十五年度一般会計予算、昭和五十五年度特別会計予算、昭和五十五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して問題に供します。
 三案に賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
#126
○委員長(山内一郎君) 可否同数と認めます。よって、国会法第五十条後段の規定に基づき、委員長において三案に対する可否を決します。
 三案について、委員長はこれを可と決します。よって、三案は原案どおり可決すべきものと決定いたしました。(拍手)
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#127
○委員長(山内一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 これにて散会いたします。
   午前十一時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト