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1979/03/27 第91回国会 参議院 参議院会議録情報 第091回国会 建設委員会 第6号
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1979/03/27 第91回国会 参議院

参議院会議録情報 第091回国会 建設委員会 第6号

#1
第091回国会 建設委員会 第6号
昭和五十五年三月二十七日(木曜日)
   午前十時二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十七日
    辞任         補欠選任
     寺下 岩蔵君     坂元 親男君
     最上  進君     降矢 敬雄君
  出席者は左のとおり。
    委員長         大塚  喬君
    理 事
                降矢 敬義君
                増岡 康治君
               茜ケ久保重光君
    委 員
                植木 光教君
                遠藤  要君
                上條 勝久君
                坂元 親男君
                中村 禎二君
                降矢 敬雄君
                内田 善利君
                二宮 文造君
                上田耕一郎君
                栗林 卓司君
   国務大臣
       建 設 大 臣  渡辺 栄一君
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  園田 清充君
   政府委員
       国土庁長官官房
       長        谷村 昭一君
       国土庁計画・調
       整局長      福島 量一君
       国土庁土地局長  山岡 一男君
       国土庁水資源局
       長        北野  章君
       国土庁地方振興
       局長       四柳  修君
       建設大臣官房長  丸山 良仁君
       建設省計画局長  宮繁  護君
       建設省都市局長  升本 達夫君
       建設省河川局長  稲田  裕君
       建設省住宅局長  関口  洋君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        森  一衞君
   説明員
       防衛庁防衛局防
       衛課長      池田 久克君
       防衛施設庁総務
       部施設調査官   大迫 公克君
       法務省民事局第
       三課長      清水  湛君
       農林水産省構造
       改善局農政部農
       政課長      若林 正俊君
       自治省税務局固
       定資産税課長   渡辺  功君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○宅地建物取引業法及び積立式宅地建物販売業法
 の一部を改正する法律案(内閣提出)
○国土調査促進特別措置法の一部を改正する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
○都市開発資金の貸付けに関する法律の一部を改
 正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○尾瀬分水反対に関する請願(第二四号)
○尾瀬の水の広域的運用に関する請願(第二五
 号)
○幹線自動車道建設促進に関する請願(第二三五
 号)
○中国縦貫自動車道の早期完成に関する請願(第
 二九二号)
○琵琶湖総合開発計画等に関する請願(第二九四
 号)
○硫黄列島疎開島民の帰郷実現に関する請願(第
 三二二号外五件)
○一般国道十九号の整備促進に関する請願(第五
 四〇号外一件)
○中央自動車道長野線関連公共事業の促進に関す
 る請願(第五四二号外一件)
○海の中道海浜公園に連なる公園道路並びに三苫
 駅に通ずる自動車道建設反対に関する請願(第
 六九〇号)
○不動産経営管理士の業務資格認定制度に関する
 請願(第八七九号外一件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(大塚喬君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、寺下岩蔵君が委員を辞任され、その補欠として坂元親男君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(大塚喬君) 宅地建物取引業法及び積立式宅地建物販売業法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○増岡康治君 一昨日の質疑応答で、相当この宅建業法の一部改正については焦点が相当出たと思うんでございますけれども、さらに二、三お聞きしたいと思っております。
 最近の宅建業者の数が増加しているというお話をよくお聞きしておりますし、その実態はどうなっておるのかということと、また、年々新しく免許を取得する方も相当あるんじゃなかろうか、反面、また廃業していく数も相当ある、こういうようなことがございまして、いわゆる宅建業界というのは非常に変動の激しい一つの業界のように思われております。そういう意味で、宅建業全体の実態はどうかということで計画局長にひとつ御説明願いたいと思います。
#5
○政府委員(宮繁護君) 過去五年間の免許業者の数の推移について最初に御答弁いたしたいと思いますが、昭和四十九年度末におきまして業者の数は八万八千二百六十二でございまして、前年度に比べまして三百八十四ふえました。昭和五十年度末におきましては八万八千百二十二で、この年は前年度に比べまして百四十減となっております。昭和五十一年度末におきましては九万六百四十七業者数でございまして、二千五百二十五ふえております。昭和五十二年度末におきましては九万四千二十四でございまして、前年度に比べまして三千三百七十七ふえております。昭和五十三年度末におきましては十万を突破いたしまして、十万百四十三業者数になっておりまして、前年度に比べまして六千百十九業者がふえております。
 また、お話のございました新規の免許取得業者数につきましては、昭和四十九年度には九千七百六十六、昭和五十年度には九千七百二十九、昭和五十一年度には一万一千百五十五、昭和五十二年度では一万一千四百三十二、昭和五十三年度では一万二千八百十九というふうに、毎年、増加してまいっております。
 なお、廃業者の数につきましては、昭和四十九年度が七千七百四十、昭和五十年度が八千五百十二、昭和五十一年度が七千八百五十、昭和五十二年度が六千七百四十一、昭和五十三年度が七千二十四。大体、七千前後の数字で横ばいの傾向でございます。
#6
○増岡康治君 十万を突破する業界であり、また、年々廃業する方も七、八千に及ぶというようなことでございますが、前回の審議で苦情紛争の件数も増加しているんだというようなことのお話があったわけでございますが、実際問題としても宅建業法違反等の不正、不当行為で処分を行った件数の動向はどうなっておるんでしょうか。また、その処分理由といいますか、事由といいますか、こういうのはどんなものが多いだろうか、この実態をもう一度また計画局長からお願いします。
   〔委員長退席、理事茜ケ久保重光君着席〕
#7
○政府委員(宮繁護君) 宅地建物取引業法違反で建設大臣及び都道府県知事が行いました行政処分の件数は、昭和五十一年度で三百六十件、五十二年度で三百七十二件、五十三年度で四百五十二件となっております。昭和五十三年度分につきまして処分の内容を見てみますと、免許の取り消しの件数が百九十二件で、全体に対する構成比は四二%、業務停止は百二十六件でございまして、構成比が二八%、指示が百三十四件でございまして三〇%というふうになっております。
 また、処分理由につきましては、同じく五十三年度の処分について見てみますと、重要事項の説明違反が七十八件、全体に対します構成比が一七%と、最も多いようでございます。続いて不当に高額な報酬を請求したとか、手付金の貸し付けとか、重要な事項について故意に事実を告げなかったというふうに業務に関する違反件数が四十四件で、構成比が一〇%、誇大広告が二十四件で、構成比が五%、大体こういうふうになっております。
#8
○増岡康治君 いわゆる行政指導といいますか、そこまでの監督処分までいかないものが相当あるように聞いておりますが、この点いかがでしょうか。
#9
○政府委員(宮繁護君) 処分に至らないもので、いろいろ行政指導したものは、大体、この数の三倍程度ございます。
#10
○増岡康治君 そのような処分を受けるような行為をする業者の方々というのは、先からの御議論や参考人の御意見にもあったわけでございますけれども、アウトサイダーという言葉が非常に出てまいりました。いわゆる業協会に入ってない方々、そういうのが多いんではないかと私どもも推定をしております。
 結局、宅建業というのは二十七年に法律ができまして、今日まで来たわけですけれども、十万に及ぶ業者数になった。違反になった方々というのは、私の想像ですけれども、免許を取ってまだ経歴もないし、歴史の浅い方々が多いんではないかというような私の感じでございますけれども、いかがでしょうか、計画局長。
#11
○政府委員(宮繁護君) ただいま仰せのとおりでございまして、たとえば昭和五十二年、五十三年両年度におきまして、東京都が知事免許の業者につきまして行った業務違反にかかわる行政処分についてみますと、その処分件数に占める業者の中で団体に加入していない業者の割合というものは、昭和五十二年度につきましては、五十八件の中で四十四件、約七五%でありますし、昭和五十三年度については、八十一件の中で四十九件、約六〇%ということになっておりまして、御指摘のように、協会に加入していないいわゆるアウトサイダーが非常に大きな率を占めております。
 これらをさらに団体加入業者、加入してない業者別に、処分を受けた者の全体に対する割合を推計いたしますと、加入業者では、昭和五十二年度は加入業者全体の〇・一三%程度、昭和五十三年度では〇・二九%程度になっておりますけれども、非加入業者につきましては、この率は昭和五十二年度が〇・五一%、五十三年度では〇・六七%と、数倍多いというような傾向でございます。
 また、もう一点、御指摘のございました、業務経歴の浅い業者がこういった違反等を行う傾向が高いのではないかという御指摘でございましたが、これは昭和五十三年度の数字で見ますと、免許取り消し処分を受けた業者につきまして、免許期間別にその割合を見てみますと、処分を受けました三十業者の中で、免許を取得いたしまして三年未満の業者が二十一業者ございまして全体の七〇%を占めておりますし、また、三年以上六年未満の業者が六業者でございまして、これを加えますと、大体九割程度というようなことでございまして、免許取り消し業者のうちでは業歴の浅い業者が非常に多いということを物語っているわけでございます。
#12
○増岡康治君 それで建設大臣にお聞きしたいんでございますけれども、いま計画局長から、宅建業界といいますか、こういう一つの内容についていろいろ答弁があったわけでございますが、総括いたしますと、この宅建業界というのは非常に変動が大きい業界だなあということと、新しく入ってきた加入者の人たちが不正不当な行為をやりやすいというような実態がありまして、
   〔理事茜ケ久保重光君退席、委員長着席〕
ひっくるめて言いますと、この業界というのは他の業種に比べて安定性がない、あるいはまた浮き沈みの大きい業界だなあと、こういうような私ども感じがします。
 しかしながら、この宅建業が今日まで果たした社会的な役割りというのは非常に大きかったと思うんです。そういう面を考えまして、新しく入ってこられる業者の人に対して何か対応が欲しいなという感じがするわけでございまして、これらのいままでの実態に合わせまして、この違反その他監督処分を受けた数、いろんなものを総合いたしまして、建設省として、この宅建業界の実態に対して、どう今後対応していくかということについて大臣の御所見を伺いたいと思います。
#13
○国務大臣(渡辺栄一君) お答えを申し上げます。
 ただいま局長がいろいろ御説明いたしましたような経過でございますので、ただいまの増岡委員の御意見につきましては、私も、全く同じような気持ちを持っております。
 新規参入者が多いのは、やはり私は宅地建物取引業が比較的小資本で開業ができるというようなところにもあるのではないかと思います。また、廃業する者が多いという点につきましては、不動産取引業務がかなり高度の専門的な知識を必要といたしますし、また、非常に競争が激しく経営の安定が得られにくいということもあるのではないかと思います。いずれにいたしましても、このような傾向は業界全体として見ますと専門的な知識経験の蓄積ができにくいということでございまして、決して好ましいことではないと思います。
 したがいまして、建設省としましては、今後、免許要件の強化等について検討してまいりたいと思っております。また、免許の審査をできる限り今後厳しく行ってまいりたい。そして悪質な業者や安易な気持ちで新規参入をしようとする者は極力抑制をしてまいりたい。また、一面、まじめに努力する中小業者等の経営の安定が確保できまして、また消費者に対しましても質のよいサービスが提供できまするように努めねばならぬと思います。そういう意味で、中小業者の業務改善の指導、また協業化によりまする経営基盤の強化、こういうことに努力をしてまいりたいと考えております。そういう意味で、不動産流通近代化センターを今回設立いたしたいと思いますのも、そういうような観点からやろうとしておるわけでございます。
 次に、新規に免許を取得した者に比較的業法違反が多いということへの対策としましては、いろいろございますけれども、これらの者の業界団体への加入をぜひ勧奨してまいりたいということが第一点でございます。なお、業界団体に対しましても新規加入者のための特別な研修を極力実施をするように指導いたしまして、今後、万全を期してまいりたい、かように考えております。
#14
○増岡康治君 いまおっしゃったように、よろしく御指導、御監督をお願いいたしたいと思います。
 それから、次の問題といたしまして、今回の一部改正の中で、私が一つの柱ではないかと思うのが、法第三十四条の二に、新たに媒介契約についての規制を加えるということでございまして、これは規制を加えると同時に、新しくまた制度が新設されたというように私は解釈をしております。この宅地建物の売買の媒介の契約はいままではどうなっておったのであろうか、また、いままでのやり方でどういうところに弊害があったのかということの実態について、計画局長から御説明願いたいと思います。
#15
○政府委員(宮繁護君) これまで宅地建物の売買の媒介を依頼する契約につきましては、一部の大手の企業では契約書を用いておりましたけれども、ほとんどが口頭で行われておるのが実情でございます。したがいまして、その内容はもちろんのこと、媒介契約が結ばれたのかどうかというような点につきましても不明確な点が多かったわけでございます。したがいまして、このため、たとえば業者の紹介によりまして取引の相手方を見つけたわけですけれども、そこで業者を抜きにして直接取引が行われたというようなことにつきまして、報酬の請求をめぐりまして裁判で争われるというようなトラブルが多発しておるような実情もございます。また、業者の方では、依頼を受けるに当たりまして白紙委任状を取っているような者もございまして、この場合には、取引の態様が不明確であるというような点から取引の公正が保たれないというような場合も多かったわけでございます。
 さらに、依頼者が他の業者の媒介で売買契約が成立しましても、先に依頼した業者に対して連絡をする必要がないというようなことになっておりまして、業者といたしましては、依頼されましても、いつ他の業者に移るかわからないというようなことで、費用がむだにならないようにというような考えから積極的に取引の相手方を見つける努力もしないような場合もある。あるいはまた、情報を公開いたしますと、他の業者が取引を横取りする――業界では、抜いた抜かれたというような言い方をしておりますけれども、そういったような問題もございまして、不動産情報の閉鎖性を招き、非常に狭隘な市場で取引が行われるというような点。あるいはまた、この依頼の関係が、先ほど申し上げましたように、文書でとり行われておりませんので、不明確なことから、不動産流通の近代化を阻害しているというような現状でございます。
#16
○増岡康治君 いままでの状況はわかったのでございますけれども、そういたしますと、今回、法規制といいますか、を加えることになったわけでございますが、今回のようなやり方、法律による施行をやりますと、それによりまして消費者側とそれから業者側のそれぞれにとって、どのような点が実際に変わってきたかということで、もうちょっと御説明願いたいと思います。
#17
○政府委員(宮繁護君) ただいまお話ししましたように、これまでの媒介契約に伴う弊害を除去するために、今回の改正によりまして、業者は、宅地建物の売買等の媒介の契約を締結しましたときは、その内容を記載した書面を作成して依頼者に交付しなければならないというふうに、契約関係の明確化を図っております。それとともに、依頼者が他の宅地建物取引業者に重ねて媒介等を依頼することを禁ずるような専任媒介契約について定めておりますが、この場合には、一定の期間、依頼者を拘束することになりますので、その有効期間を「三月を超えることができない」ものというふうに定めております。また、業者は、この依頼者に対しまして「業務の処理状況を二週間に一回以上報告しなければならない」というふうにいたしております。
 こういったことでございまして、媒介契約の規定の新設によりまして、消費者及び業者にとりまして、次のような点が変わってまいります。
 すなわち、消費者にとりましては、第一番目に、これまで依頼者は依頼した業者に断りなく他の業者に重ねてこの媒介の依頼を行うことができたわけでございますけれども、他の業者へ重ねて依頼することにつきましては、依頼した業者に名前の明示義務等、一定の制約が生ずることになりました。また、二番目といたしまして、媒介契約書を必ずつくりまして、これに押印するということになります。
 業者にとりましては、第一番目に、媒介契約について契約書あるいは書面の作成を必ずしなければならないことになります。また、二番目といたしまして、売買の価額について業者が意見を述べるときには、その根拠を明らかにしなければならなくなります。三番目に、専任の媒介契約を締結した場合には、二週間に一回以上この業務の処理状況を依頼者に報告しなければならなくなります。
 以上が従前と異なる点でございます。
#18
○増岡康治君 ただいまの計画局長の説明にも出ましたとおり、媒介契約というのが、いわゆる専任契約というやり方と、それから一般契約という言葉が出たように思いますが、お互いのこういうやり方についてのメリット、デメリット、こういうものがあったら、ちょっと教えてもらいたいんですが。
#19
○政府委員(宮繁護君) この媒介契約につきまして、いま仰せのとおり、専任契約と一般契約というふうに分かれるわけでございますけれども、専任契約につきましては、そのメリットといたしましては、依頼を受けました業者は他の業者に取引を横取りされるおそれがなくなりますし、費用もむだになるようなおそれが少ないわけでございますから、物件の情報を物件情報センター等に登録するといったような手続もやりまして、取引の相手方を見つけるために情報を公開すると同時に、積極的に努力することが期待できます。これによりまして、依頼者は、成約までに要する期間等も短くなる、こういったようなメリットがあろうかと思います。
 なお、若干、デメリットもございます。それは、ほかに有利な取引条件を持つ業者がおりましても、専任媒介契約の有効期間の三カ月内は他の業者には依頼できないことにもなりまして、若干、これはデメリットといえばデメリットかと思います。
 次に、一般契約でございますけれども、一般契約のメリットといたしましては、依頼者にとりましては、複数の業者に依頼することができるわけで、その中で最も有利な条件で取引できるような選択が可能となるメリットはございます。しかしながら、依頼された業者にとりましては、先ほどもお話ししましたように、他の業者の媒介によりまして売買契約が成立すれば自分がいままで努力した費用分がむだになってしまいますので、取引の相手方を見つけるための努力に欠けるような点もあろうかと思いますし、そういう意味でややデメリットもある、こういうふうに考えられます。
 いずれを選択いたしますかは、依頼者が、そのときの物件の状況、経済状況等を判断いたしまして選択することになるわけでございます。
#20
○増岡康治君 いわゆる媒介契約の規定の第二項で、先ほども局長の説明がありましたが、業者が売買する価額について意見を述べるとともに、その根拠を明らかにしなければならないと、こういう「根拠を明らかにしなければならない」というのは何を意味するものかということでございますが、これは一昨日の議論にも出ましたときにお話があった価格査定マニュアルと関連するものかどうか、この辺についてもお伺いしておきたいと思います。
#21
○政府委員(宮繁護君) 宅地または建物の売買等の媒介の依頼が行われる場合におきまして、依頼者が建物取引を行うというのは一生のうちでもわずかの数でございますし、特に、この価格の面におきます情報、知識はきわめて乏しいわけでございますので、実際には、業者がこの物件の価格の査定、すなわち値づけを行うケースが多いわけでございます。このような実情から考えまして、今回、その根拠を明らかにするように義務づけたわけでありまして、査定した価格について合理的な説明をつける必要があると考えております。たとえば近傍類地の取引事例等における取引価格等もこれに当たるかと考えられます。
 なお、このことに関連いたしまして、価格査定マニュアルによります値づけもその根拠として有効なものでありますので、現在、中古住宅の価格査定基準をつくり統一的に処理する必要がありますので、手引書、マニュアルの作成を急いでおります。必要な検討、調査を加えた上で、これは業界団体等にもお示しして行政指導を行ってまいりたいと考えております。
#22
○増岡康治君 それから、もう一つ、局長にお聞きしたいんですが、専任媒介契約について第三項に有効期間を三カ月と限定してありますが、これはどういうことなのか。あるいはまた第五項では、業務の処理状況を二週間に一度以上報告すべき義務を設けておる、この趣旨とそれから実際の報告の方法についてもお聞きしておきたいと思います。
#23
○政府委員(宮繁護君) 専任の媒介契約のデメリットについては、先ほど御説明いたしましたように、この専任の媒介契約は他の業者に重ねて媒介を依頼することを禁ずるものでございます。そのために、依頼者は、専任の媒介契約が有効である限りは、その業者に不信を抱くような場合でも他の業者に依頼することができないという不都合が生じます。そこで、専任の媒介契約の有効期間を一応三月に限ったものでありまして、また、さらに更新する場合も、依頼者が積極的に更新の申し出をしたときに限り更新することができるといたしまして、依頼者の保護を図っておるものでございます。
 また、この二週間に一度の報告を義務づけましたのは、専任の媒介契約が業者に対して独占的に媒介を行い得る地位を与える反面、依頼者はその有効期間内は他に媒介を依頼できないというような立場にも置かれますし、果たして業者が本当に積極的に成約に向けて努力しているかどうか判明しないような場合が多いわけでございますので、依頼者保護のために、この報告義務を設けたわけでございます。
 報告の方法につきましては、法律上は口頭で行っても有効ではございますけれども、後日の紛争を避け明確にこの処理状況を報告するためには文書によるものが望ましいと考えまして、そういうふうに業界を指導していきたいと考えております。
#24
○増岡康治君 最後に、建設大臣の御意見を伺って終わりたいと思いますが、いま議論の中で見ますと、媒介契約に関する規制によって従来の慣行でやっていたものががらっと変わるわけでございまして、これは業者側から言えばもう商売でございますので、業界団体等を通じて指導をしていけばなじむだろうと、そう対応はむずかしくないとは思うんでございますけれども、消費者側といいますか、一般国民側から見ますと、今度は印鑑を持参して契約書を交わすというようなことで、若干、違和感がここにあるように、というより抵抗感といいますか、まあこういうようなことがございます。こういう媒介契約を上手に運用していくという点について、このやり方を周知徹底していかにゃいけないんじゃないかと思いますので、これについての大臣の御所見を伺いたいと思います。
#25
○国務大臣(渡辺栄一君) お説のように、私は、今回の媒介契約は取引の近代化に非常に役立つというふうに考えておりますけれども、一面におきまして、この規定が施行されることになりますと、お説のように、従来の慣行に相当な変更が加えられることになるわけでありますから、やはり、私は、当初におきましては相当な戸惑いが生ずるということも予想されるというふうに考えております。
 したがいまして、一般国民に対しては、媒介契約の明確化というものが業者とのトラブルを未然に防止するためのものであるということをよく徹底させる必要があると思いますし、また、これによりまして物件情報の市場への公開性というものも確保されまして、売りやすく買いやすい市場整備が進むのでございますから、そうすれば依頼者でありまする一般の国民にとりましては非常に大きなメリットになるんだ、こういうことをひとつ十分理解をいただくようにいたしまして、また、媒介の依頼に当たりましても、別に指導することにしております標準媒介契約約款、こういうことを考えておりますが、これによりまして契約を締結するように、あらゆる機会を通じましてPRを行うようにいたしてまいりたいと思っております。
 こういうようなことをやってまいりますためには相当な日時を必要とするのではないかと思っておりますので、この規定の施行に当たりましては、お願いしておりまするように、公布の日から二年後というふうにさしていただきたい、こういうことによりまして、ただいま御心配のようなことに対しまして万全の措置を講じてまいりたい、かように考えております。
#26
○増岡康治君 ありがとうございました。以上です。
#27
○栗林卓司君 今回の法案の提案理由説明を拝見しますと、一部改正するに至った背景としまして「住宅の需要構造の変化が進行し、中古住宅を含む不動産の流通量が増大しつつあります。」とありますが、「住宅の需要構造の変化」それから「中古住宅を含む不動産の流通量」この点について具体的にまず伺いたいと思います。
#28
○政府委員(関口洋君) 中古住宅の流通の問題でございますけれども、これにつきまして量的に統一してきちっと把握しておるというわけではございませんで、私どもは、法務省なりあるいは業界、金融機関、こういうところのいろんな各種資料を推計いたしまして推定をいたしておるわけでございます。したがいまして精密さの点で限界がありますけれども、そういう前提で申し上げますと、現状におきまして中古住宅の総流通量は約三十万戸程度に及ぶものと、かように考えております。
 これだけの中古住宅の流通量がふえました背景でございますけれども、これはやはり一面で非常に国民の根強い持ち家需要を物語るものと、かように考えておりまして、これらの中古住宅とそれからいわゆる分譲住宅――新築の住宅でございますけれども、これの購入される方の層を調べてみますと、著しく差があるというわけではございませんけれども、中古住宅を購入される方は分譲住宅に比較いたしまして年齢層が比較的若い層に多く、また、収入も、分譲住宅を購入される方に比べますと年収が若干低いという特徴があらわれております。たとえば分譲住宅を購入される方は三百万から五百万の収入層が一番多いのに対しまして、中古住宅を購入される方は二百五十万から四百万ぐらいの層が一番多い、こういうことがいろんな統計資料で把握できますので、私どもは、やはりそういう意味で中古住宅の流通につきましては、今後、ますます条件整備を行っていかなければならない、かように考えております。
#29
○栗林卓司君 私の質問は、提案理由説明の中で「住宅の需要構造の変化が進行し、」と、こうあります。この「住宅の需要構造の変化」というのは何を言っているんですか。それから「中古住宅を含む不動産の流通量が増大」これはいま御説明がありましたけど、前段の部分はどういうことなんでしょう。
#30
○政府委員(関口洋君) ただいま申し上げましたことと関連いたしまして、いわゆる買いかえ需要が増大をしておる、住宅需要の特徴といたしまして買いかえ需要が増大しておるということを踏まえまして、提案理由にそういう表現をとらしていただいたわけでございますが、この買いかえ需要というのはいわゆる住みかえの問題と非常に密接に関連をいたしておりまして、たとえて申しますと、賃貸住宅にお住まいの方が持ち家を取得される場合に、先ほど申しましたように、新築の住宅を取得される方とそれから中古住宅を取得される方、こういうふうに分かれていきますが、いずれにいたしましても、そういうことで今後国民の住みかえ需要が活発になる、こういうことを物語っておるわけでございます。
#31
○栗林卓司君 不動産流通問題研究会のまとめた報告書がありますが、その序文のところで「不動産流通業界は、現在、大きな転換期に直面している。」と。で提案理由説明で書かれた意味も、意識すると。いま御説明のものはなるほど中身ではあるんだけど、大きな転換期に直面をしたという意調をまずお持ちになることだろうと思いますし、そういう意識があってこの二つの言葉が入っているんだろうと。私がまず伺いたかったのは、この大きな転換期にもかかわらず、その流通業界の業務形態が前近代的で大変立ちおくれておるということが、実は、この法案改正にもつながる問題意識だと思うんですが、重ねてお尋ねします。
#32
○政府委員(宮繁護君) 現在の宅地建物取引業界の当面しておる問題は多々ございますけれども、一つは、この宅地建物取引の態様が多様化してまいっております。それは、昭和三十年以来、宅建業者の中ではいわゆるデベロッパーと称するものが非常に大団地、分譲住宅を販売するというような業界の大きな変動もございます。それから、先ほど来話が出ております中古住宅の流通がライフサイクルに合わせまして住宅を取得する、あるいは住宅を売って新しい家をつくるというような、いままでと違った対応の仕方で住宅の需要が出てまいっております。これに対応いたします業界の実態を見てみますと、必ずしもその需要に適確に対応できるような実態にはなっていない。
 一つは、この業界ほど分業、協業が行われていない業界は他の業界に比べてございません。そういうような意味で、一つは、この最近の実態に即しまして大企業が縦の系列化でそういった流通に対応しておりますし、また、一つは、最近やっと芽生えてまいりました中小零細業者が横に連結しながら協業化を進めていく、こういうふうな対応の仕方で一番望まれております近代化あるいは経営体質の改善、こういうふうな兆しも見えておりますので、そういった状況をとらえまして適確な行政措置を今後もやってまいりたい、こんなふうに考えておるわけでございます。
#33
○栗林卓司君 では、中古住宅にまず重点をしぼりながら以下お尋ねをしたいんですが、現在、流通量は推定三十万戸だろうといまお答えがございましたけれども、今後の見通し、と言っても、これは的確には読めないでしょうけれども、アメリカの例を申し上げますと、一九六八年、新築のものと中古のものがほぼ同数流通をしておりました。これが一九七八年になりますと、新築に対して中古は約倍、それぐらい、今後の日本の住宅ストックの動向等を考え合わせますと、中古住宅の流通というのは建設行政にとって従来とは比較にならない比重を占めてくると思うんですが、その点の御認識をまず念のために伺っておきます。
#34
○政府委員(関口洋君) 中古住宅の流通量の把握というのは、先ほど申しましたように、なかなか統計的には困難でございますけれども、各種の金融機関あるいは民間団体等でいろいろと推計をいたしておりまして、そのうちの一例を御紹介さしていただきますと、ある民間金融機関では、これは価格で表示しておりますけれども、五十四年に大体七・五兆円、これが六十年には二十一兆円に成長をしていく、こういう見通しを立てておる金融機関もございます。この辺につきまして、私どもも、今後の非常に大きな検討課題だという認識でただいま取り組んでおるような次第でございます。
#35
○栗林卓司君 今後の検討課題というお話ですけれどもね、中古住宅流通が活発になるためには空き家率が五%ぐらいないといかぬのだと、こう言われているそうでありますけれども、現在、アメリカの空き家率というのは、先ほど申し上げました中古住宅の流通を背景にしながら六・五%。活発化するためには空き家率が五%程度必要だと言っているその日本で空き家率はどうかと言いますと、四十八年で五・五%。したがって、今後慎重に検討していきますではなくて、本当は今度の法改正にしても遅きに失したのかもしれない。よほどこれから急いで体制整備をしていかないと、この中古住宅の流通の拡大、これには対応ができない。それぐらいちょっとこれ急いでお考えになる必要が私はあると思うんです。
 そこで、それは私の意見にとどめまして、住みかえとなりますとね、まあ若いうちに仮に一軒買ったとしても、また住みかえて、中年になられれば別な住宅になり、さらにまた住みかえて別な住宅を取得していく。この姿というのは、いわば不動産の流動資産化のようなものでありまして、したがって国民生活審議会ではこれは商品化しつつある傾向だという表現も使っているようですが、この状況のもとで、お尋ねしたいのは、住みかえによって不動産がずっと流通をしていく、中古住宅を考えながら、しかもそれは全世帯にかかわりがあるような形で進んでいく。そこで、何が一番重要かということを私なりに考えてみると、住宅の市場価格の安定的維持ではないか。というのは、住宅を取得する、やがてそれを売却し換金化しながら次のにまた住みかえていく。そういう期待感を持ちながらそれぞれが生活設計しているわけでありまして、そうすると、社会の平和ということを考えると、当然、中古住宅に限って言えば、中古住宅の市場価格の安定的維持――安定的ということは、古くなれば安くなるのは当然ですから、そのことを言っているんではなくて、全体が安定的な一つの価格体系として維持されていく、これが実は非常に重要になってこないか。この点についてのお考えを伺いたいと思います。
#36
○政府委員(宮繁護君) 中古住宅の流通がますます盛んになりまして、これが国民経済にとりましても、また一般消費者にとりましても、大変重要な問題であることはお説のとおりでございます。
 特に、その場合に、いま御指摘のこの価格の問題が一番重要だと考えますが、現在の取引におきまして値づけがどういうふうに行われているかという実態でございますけれども、一つは、依頼者が依頼価格を申し述べまして、業者がそれではそれで販売いたしましょうというこの依頼者の値づけがあろうかと思います。また、二つには、依頼者が価格を申し出まして、これに対して専門的な知識を有する業者がその価格は妥当じゃないんで、こういった値づけが妥当じゃないでしょうかというようなことで、それを依頼者も了承いたしまして値づけが決まる方法もあろうかと思います。また、依頼者は専門的な知識を持っておりませんので、全く業者に頼りまして、業者が独自の判断で値づけを行うという、いろんな状況下で値づけが行われているわけでございまして、仰せのように、これを統一した基準、査定の方法というのは必ずしも確立されておらない点は大変問題でございます。
 それで遅いではないかというおしかりを受けますけれども、現在、価格査定の手法がまちまちでございますので、中古住宅の価格査定をする場合には、どこに着目し、どういうふうな方式で個別に査定し、また総合的にその物件の価格を打ち出していけばいいかというような方法につきまして、価格査定のマニュアルの作成を現在急いでおります。これを、でき次第、業界団体等にも提示いたしまして行政指導を十分に行っていきまして、価格の妥当性を確保してまいりたい、このように考えていま努力をいたしておる最中でございます。
#37
○栗林卓司君 価格体系――体系という言葉が正確かどうかは別にしまして、そういうものが安定的に維持をされる。これは、従前ですと、宅地を何とか確保しながら新築を建てていくということが建築行政の特に住宅に関しては最大重点だった。これからは、中古住宅の価格体系の安定的な維持、これが建設省の重要任務になるということについてはどうなんでしょうか。
#38
○政府委員(宮繁護君) 仰せのとおり、そういった安定した価格体系が整備され、でき上がりまして、そのもとで取引が行われていくことはきわめて重要なことだと考えます。
#39
○栗林卓司君 きわめて重要なではなくて、それが建設省の住宅関係として考えなければいけない一番重要な要素になってきたとお考えになりますか、くどいようですが。
#40
○政府委員(宮繁護君) そのように考えます。
#41
○栗林卓司君 そこで、先ほど来御議論がありました媒介契約、三十四条の二、一項の二号の問題になるんですけれども、「当該宅地又は建物を売買すべき価額又はその評価額」これを示しなさいよということをこの改正案では新たに決めたわけです。その根拠も示してもらいたい、こう書いてあるんだけれども、この価格、それは先ほど来申し上げているように、個々にはそれぞれの相対取引で決まるものですよ、それは。しかし、その価格というのは、具体的には言えないにしても、ある安定的な中古住宅の流通価格制度なり体系の中で正当に位置づけられている。そうしたものがないと、これ価格を書きなさいと言ったって何の役にも立たないわけですね。そのためにわれわれはマニュアルを一生懸命検討しておりますと。マニュアルをつくって価格が一体どうなるのか。そう考えていくと、この安定的な維持ということが建設省のこれからの重要な仕事なんですとおっしゃったんだけど、それに本当に取り組むのには今回の改正案ではやっぱりまだ足りないということになるんじゃないですか。
#42
○政府委員(宮繁護君) 先ほど来お話がございましたように、この中古住宅はそれぞれの立地条件も違っておりますし、それぞれの建物、個別具体の特性を持っております。そういう場合の値づけというのは大変むずかしいわけでございまして、しかも、まずもって業者と依頼者の間でどういうふうな値づけが行われるか、しからば、その値づけでそれを売ろうとした場合に買い手が出てくるかどうかという問題もございますし、当然、その価格は相対の市場の中で決まってくるわけでございます。そういう意味合いでございまして、きわめて個別的な要素を持っておるものでございます。
 しかしながら、それをそのままに放置することはできませんので、先ほど少しお話ししましたように、たとえば中古住宅でございますと、使用の年数に応じまして価格の軽減も出てまいりますし、それから躯体の構造あるいはまた内装その他もろもろの個所を点検いたしまして、これの評価方法をとるとか、そういった方法で個別具体の物件を的確に査定し得るような手法の統一的なものがまだございませんので、まずもって、そういうものをつくり上げていきたい。そこで、お話しのように、この法律だけではそういうものはでき上がりませんので、別途、先ほど来申し上げておりますマニュアルをつくり上げていくとか、あるいはこれを普及していくとか、あるいはまた消費者の方々にもそういった点につきましての御理解を得る、こういうような方向を総合的に進めてまいりたいと考えております。
#43
○栗林卓司君 じゃ別な角度からお尋ねをしますけれども、瑕疵担保責任、いろいろと御議論があったと思います。中古住宅を売買した場合の瑕疵担保責任あるいは瑕疵補修請求権の問題、これについてはマニュアルを仮につくるとしてどうお考えになりますか。
 というのは、民法五百七十条で言えば、中古だろうと新築だろうと、瑕疵担保責任はそれぞれ持つということになっているわけでありまして、中古住宅の場合の瑕疵担保責任というのは、一体、何なのか。住んでみたら、あそこが悪かったので直せやという、いわゆるアフターサービス問題、瑕疵補修請求権問題というのは中古住宅でも出てくる。それをマニュアルで一体どうやって扱うのですか。
#44
○政府委員(宮繁護君) ただいまの瑕疵担保責任につきましては、価格査定のマニュアルとは直接関係はございませんで、これは依頼をいたしました人の売り主、それからそれを買い受けました買い手の間の責任関係でございまして、一般的には民法の規定の適用を受けるわけでございますけれども、特約がありました場合には、その特約条項に基づきまして売り主の責任が生ずる、こういうふうに理解いたしております。
#45
○栗林卓司君 私が申し上げていますのは、中古住宅の流通というのは非常にこれから比重が高くなってくるということを前もって申し上げました。したがって、中古住宅の流通について、瑕疵担保責任は相対でございますので、どうぞ御自由にということを言っていられるのか。民法上はそれを含めて考えてあるわけですから、そうなったら、その問題について、少なくも建設省としてはこういう見解でございますということをやはり示さないと。というのは、それもこれもひっくるめて価格になっているわけでしょう、本当は。もう一遍伺います。
#46
○政府委員(宮繁護君) 瑕疵担保責任につきましては、これは御承知のように隠れた瑕疵についての売り主の責任の規定の問題でございますので、やはり現在のところでは、民法の規定あるいはまた相対で両当事者がどういう特約をするかということにお任せする、こういうことになろうかと思います。
#47
○栗林卓司君 いや、現実はそうなんですよ。そうなんだけど、中古住宅は、再々申し上げるようですが、これから建設省の住宅政策とすると重大な関心を持っていかなきゃいかぬ。そのときに、住んでみて、いやあすこはまずかったと、必ず出てくるんですよ、これは。そのときに、それは相対でございますから関知をしませんということは、これからだんだん言えなくなる。
 なぜかといいますと、中古品が流通している商品というのはそんなにないんです。たとえばカメラの場合、流通していますよ。自動車の場合、流通しています。このカメラについても自動車についても、中古品でありながら品質保証期間がついているんですよ。中古品だから新品じゃないんで、買った翌日に壊れても仕方がないんだという流通はさせてないんです。そうすると、中古品の流通市場についていかなる規制を加えていったらいいかということは、当然、考えなきゃいかぬ。したがって、それを相対でほうっておいて本当にいいんですか。
#48
○政府委員(宮繁護君) 住宅は、いまお示しのカメラとか自動車のような製造品と異なりまして、個別、個別につくられるものでございますし、材質、それからその工法、その他非常に画一性のとれておらないものでございます。したがいまして、こういうものにつきまして、いまお示しのような瑕疵担保責任についての制度をどう設けていくかという点につきましては、大変むずかしい問題があろうかと考えます。しかし、御指摘もございますので、なお今後におきまして、この点につきましては十分な検討を加え、取り組んでまいりたいと考えております。
#49
○栗林卓司君 カメラや自動車と住宅が一番違うのは、最も高いということ、そう何遍も買うわけにいかない。したがって本当はカメラ、自動車よりももっと厳格に見ていかなきゃいけないんだけれども、お話しのように、個別性が非常に強い、そうですね。個別性が非常に強いものに評価のマニュアルをどうやってつくるんですか、私が聞いているのは。
 恐らく書かれたものは全部抽象的な言葉が並んで、文章としては結構だけれども、それを全部読みかえていくわけでしょう。しかも、業者はどうかと言いますと、昭和五十二年で言いますと、最近はもっとふえているかもしれませんが、従業員五人以下の業者が八三%。ところが、それはけしからぬじゃないかと言えるか。不動産業者というのはどうしても地縁的なつながりの中で仕事をせざるを得ない、ということは、零細にならざるを得ないんですよ。大企業にして、ではかゆいところに手の届くような不動産流通ができるかというと、とってもできない。では五人以下のまことに零細な不動産業者、こう言っては失礼だけれども、能力においてやっぱり限界がある。それが非常に個別性が強い。しかも、いまの商慣習に従うと、実は瑕疵担保責任等々と言いましても、それもこれも含めて安く買ったじゃないかと、全部価格がしょって物事を解決しているわけです。その価格査定、それを全体として安定的に維持していくべき責任があるとおっしゃったでしょう。これが実態でしょう。したがってマニュアルをつくっただけではやはりだめだとお考えになりませんか。
#50
○政府委員(宮繁護君) いまお話しのように、業界も非常に零細中小の方が多いわけでございます。しかし、また、いまお示しのように、建物そのものはきわめて土地に密着し地域性の強いものでございますので、そういった地元に密着した業界の方々が媒介、仲介をやられるというのもまた実情でございますし、そういうことがまた顧客との非常なつながりもありまして、そういう意味のメリットもあろうかと思います。ただ、そういう場合には、市場が非常に閉鎖的になってまいりますので、私どもは、こういった零細中小業者の方が横に連結をしていただきまして協業化を進めていただく、こういうことで体質の改善、それから業務の処理の近代化、合理化を図っていこうと思っております。
 お話しの価格査定の点につきましては、たとえばマニュアルにおきましては、中古住宅につきましては百から二百ぐらい点検を要する個所があるというふうに言われておりますし、そういう場合に、どの個所に重点を置き、どういう評価方法をとるかというような点につきまして統一的な基準をつくっていく、まず、こういうところから手がけてまいりまして、協業化を進めると同時に、そういう統一基準に基づきます査定、評価というようなものを普及していけばかなり前進をしていくのではなかろうかと考えております。
#51
○栗林卓司君 それではやっぱりだめなんではなかろうか。
 また繰り返しになりますけれども、中古住宅の売却価格というのは、御存じでしょうけれども、売り主にとっても買い手にとっても不満が残るんです。買い手の方は高く買っちまったと思うし、売り主の方は安く売っちまったと思うし、両方に不信感が残る。これが不動産の流通の中で中古住宅の比重が小さいときにはまあまあすみっこの問題だったけど、これから本当にふえてきて、仮にアメリカ並みになってくると、新築住宅の供給の倍が流通する。そのときに売り主と買い手と両方に不満が残るようないまのあり方をほうっておいていいのか。
 そこで時間がありませんから、御注文を兼ねて一つ申し上げるのですけれども、これは先ほど引用した不動産流通問題研究会、そこの中で触れている問題なんだけど、もうしようがないから、鑑定評価制度に基づく第三者による客観的な評価の積極的活用をこの際図るしかないんじゃないか。いわば相対ではなくて、その間に権威のあの第三者が介在をする、そういう制度をもう織り込むしか仕方がないんじゃないか。私もそう思うのだけれども、この点についてはどうお考えですか。
#52
○政府委員(宮繁護君) いま御指摘のように、一番いい方法は、第三者であり、しかも専門家でございます鑑定士に依頼をお願いして、そこで価格査定が行われることが最も望ましいわけでございますけれども、すべての流通にこういうふうに鑑定士にお願いし得るような方法がとれるかどうか、大変むずかしい問題でございますけれども、私どもも、鑑定士協会の方々ともいろいろお話し合いを進めておりまして、今後とも、そういう消費者の方々にも第三者であり専門的な機関の利用ということについては、十分そういう点につきましても配意してまいりたいと考えております。
#53
○栗林卓司君 いまの不動産鑑定士ですけれどもね、数から言ってとてもだめなんですよ。やるんだったら、ふやすしかない。ですから、御相談してというんじゃなくて、そこに問題性があるなと、しなきゃいかぬなと思ったら、いま恐らく数千人の規模でしょうけれども、あんなもので一体足りるのか、もっとふやしながら、しかも、私は、不動産流通業というのは末端において零細にならざるを得ないと思いますよ、地縁的な結びつきがどうしてもできるんだから。それを協業化と言いましても、横に並べるだけですから、質の高さは協業化によって自動的につかないんですよ。それを、じゃ五人未満の不動産業者に向かって、おまえがんばれと言ったって、それは流通コストをいたずらに高めるだけです。
 しかも、建設省とすると、先ほど来申し上げているように、中古住宅の流通というのはもう無視できないどころか、そこまできているんですからね、問題とするのが。そうなると、第三者による客観的な――と言っても、なかなか言葉だけかもしらぬけれども、素直に客観的と言い得る信憑性を持った制度で裏打ちをしていく、これが先ほど来申し上げている全体の価格体系を安定的に維持する。これはいままではずっと値上がりで来ましたから、おさまっているんですよ。土地と建物が値下がりをしたら事ですよ。逆に言うと、だから投機は絶対にだめなんです。もう土地と建物を上げるということは、これは本当に反国民的行為でしてね、一遍やっちゃったからしようがないんだが、この上は大幅に暴落させるわけにいかぬのですよ。だったら、上げないで、安定的に維持をしながらということは、相対の契約でまあおやりなさいと任せておけるもんですか。当然、それは積極的にお取り組みいただかなければいけないと思いますし、その意味で、もう一遍お答えを求めます。
#54
○政府委員(宮繁護君) 先ほど来御指摘のように、相対だけの契約で、そういった個別の閉鎖的な価格形成では、御指摘のように、これは安定的な価格形成あるいは安定した価格体系は形成が困難であろうと思います。
 そういう意味合いでは、私は規模が小だから質が悪いとは考えませんで、たとえ規模が小でも質のいい業者に、業者の自主努力でもなっていただけますし、また、私どもが考えております近代化センターを通じまして、繰り返すようでございますけれども、横の協業化を進めていただいて、閉鎖的な市場を開放的な市場にする、そういうような意味合いで、一つのこれが出発点になり得るのではなかろうかと考えますし、それから、仰せのとおり、鑑定士の数もそんなに多くはございませんけれども、その点十分気をつけながら、また、一般消費者の方々もそういった専門家の知識をかりるという点、われわれ日本人はやや不得手かとも思いますけれども、そういう点も重ねてPR等にも努めまして、安定した、また適正な価格体系が形成されるように、一層の努力を続けてまいりたいと思います。
#55
○栗林卓司君 関連して、最後に一つお尋ねをしますけれども、苦情処理機関ですけれどもね、これも先ほど来と同じような発送から、準司法的な苦情処理機関を常置すべきだという意見答申が出ていたと思うんですが、この点についての御意見はいかがですか。
#56
○政府委員(宮繁護君) 苦情の紛争事件というのは年を追ってふえてまいりまして、都道府県とか私どもで対応いたしております件数は、年間三万件程度にも及んでおります。そういう意味で、この紛争処理をどういうふうにうまくやっていくかというのは、消費者保護行政とも関連いたしまして、大変重要な問題でございます。現状におきましては、都道府県、建設省の窓口で処理いたしておりまして、必ずしも十分な相談員が配置もされておりません。しかし、各県におきましては、常設の相談所あるいは相談員の設置、巡回相談、あるいはまた東京都の場合は、デパート等にもこういう相談所を開設いたしておりますけれども、しかし、これはあくまでも強制力のない行政指導でございます。
 そこで、お話しのような準司法的な機関が必要でないかという点につきまして、私どもも全く同じように考えております。ただ、これを行政の組織の中につくるか、あるいは準司法的な権能を持った公益法人を設立して、そこで処理するかという点につきましては、現在のところ、私どもは、後者の方式でどうであろうかというようなことで、これに関します調査、研究を現在進めておるところでございまして、こういう機関につきましては、何としても私どもも設置していきたいと考えております。
#57
○栗林卓司君 マンションのことを伺おうと思って、たまたまマンションのことを調べただけなんですが、これまでに起きた紛争事例を見ますと、マンションの新築で千三百三十六件、こうあるんだけれども、そのうちの約五百件、これが瑕疵に基づくもの、これは売買です。それから仲介にかかわるもので見ると、約四百十七件のうちで三百四十九ですから、ほとんどですね、ほとんどがその他として分類されている。
 で、いま言いたかったのは、瑕疵とか、原因別がその他、どちらにしても非常にさまざまにあって、判定が困難だというものが多いということですね。明らかに売り主がだめ、明らかに買い主がだめというのは、これは起こったとしても紛争の解決は容易なんです。そうじゃないもの、これがいま非常に長期化しているのがある面の悩みの種なんです。両方に言い分がある。場合によっては住民運動まで巻き添えにして持ってくる。一体、これをどうやって裁くか、ということを考えますと、いま御検討中のようですから結構なんですが、鋭意急いで、やはりこれ国民生活に基本的にかかわり合いがある部分で、弁護士じゃ手が出ない特殊領域でしょう。したがって準司法的な苦情処理機関の早期設立をぜひお願いしておきたいと思います。
 それまでのつなぎなんですけれども、媒介契約のときに、いろいろこれ書け、あれ書けと書いてありますね。契約のときに、苦情処理についてはどこどこへと、その一項も必ず入れさせたらどうですか。その点はどうお考えになりますか。
#58
○政府委員(宮繁護君) 現在、いまお話しのように、苦情処理体制の整備につきましていろいろ考えておりますけれども、マンションの売買契約につきましては、契約書でその点を明確にするように通牒等で指導いたしております。
#59
○栗林卓司君 いまのはマンションに限らず、すべての契約について、特に媒介契約になると、いまだに相対であるわけですから、そのときに、この件に関する苦情処理は、瑕疵担保責任問題を含めて、そこが最終的に扱いますということを書き込ませるだけで、売り主と買い主双方に不信感がある、しかも相対にそれが任せられている、それがある程度心理的にもせよ問題がなごむといいますか、解決をする道ではないかと思いますので、申し上げておきます。
#60
○政府委員(宮繁護君) 業者が売り手になる場合におきます場合は、そういう点につきましても明示させるように指導いたしております。
#61
○委員長(大塚喬君) 他に発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 宅地建物取引業法及び積立式宅地建物販売業法の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#62
○委員長(大塚喬君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
 この際、茜ケ久保君から発言を求められておりますので、これを許します。茜ケ久保君。
#63
○茜ケ久保重光君 私は、ただいま可決されました宅地建物取引業法及び積立式宅地建物販売業法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党、日本共産党及び民社党の各派共同提案に係る附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    国土調査促進特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行にあたり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
 一、国土調査の実施にあたっては、国土の全域にわたり均衡のとれた進捗が図られるよう留意するとともに、事業の一層の促進に努めること。
 二、土地の位置及び筆界が正確に表示されている地図が未整備の地区にあっては、早急に地籍調査を推進し、的確な土地行政が図られるよう、地方公共団体等を指導すること。
 三、地方公共団体における国土調査の実施体制及び管理体制を拡充するとともに、所要の経費の確保に努めること。
  右決議する。
 以上でございます。
#64
○委員長(大塚喬君) ただいま茜ケ久保君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#65
○委員長(大塚喬君) 全会一致と認めます。よって、茜ケ久保君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定をいたしました。
 ただいまの決議に対し、渡辺建設大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。渡辺建設大臣。
#66
○国務大臣(渡辺栄一君) 宅地建物取引業法及び積立式宅地建物販売業法の一部を改正する法律案の御審議をお願いして以来、本委員会におかれましては熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致で議決されましたことを深く感謝申し上げます。
 審議中における委員各位の御高見につきましては、今後、その趣旨を生かすよう努めてまいりますとともに、ただいま議決になりました附帯決議につきましても、その趣旨を十分に体して努力する所存でございます。
 ここにこの法案の審議を終わるに際し、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。ありがとうございました。
#67
○委員長(大塚喬君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#68
○委員長(大塚喬君) 異議ないものと認め、さよう決定いたします。
 午後一時まで休憩をいたします。
   午前十一時十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二分開会
#69
○委員長(大塚喬君) ただいまから建設委員会を再開いたします。
 国土調査促進特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきましては、すでに趣旨説明を聴取しておりますので、これから質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#70
○茜ケ久保重光君 昭和三十七年、基礎法であります国土調査法のもとでの調査事業がなかなか遅々として進まないということで、議員立法による時限法としての促進措置法が制定されたわけであります。しかし、この措置法のもとで十年計画を二回にわたって繰り返してきた現在、特別措置法の改正でなくて、基礎法たる国土調査法の改正の中で国土調査事業の拡充を図ることが本来の姿ではないかと思うんであります。この点について、ひとつ長官の見解を最初に承りたいと思います。
#71
○国務大臣(園田清充君) いま先生から御指摘がございましたとおり、戦後の荒廃した国土の保全と復興ということから、特に議員立法として国土調査に関する法律ができまして、自来、政府提案として改正を重ねてまいりましたが、いま御指摘のとおり、実は、これは国土法でやってもいいんではないかということでございますが、全国的に見てみますと、やはり私どもはその中で緊急性の高いところというもの、それから地域性についてというようなことから、一定期間内の緊急性のものを同時に計画的にこれを実施するということをねらいとして本法律案を提案して皆さん方にお願いをいたしておるわけでございますが、他に、御承知のとおり、似たような立法例がたくさんございますけれども、国の国土保全上から必要性、緊急性の高いところからやっていこうということが基本的な考えであるということをひとつ御了解賜りたいと思います。
#72
○茜ケ久保重光君 いろいろと答弁に対して質問をしたいんでありますが、時間もありませんので、一応、一わたりさっとお尋ねをいたします。
 国土調査法の目的を見ますと、「国土の開発及び保全並びにその利用の高度化に資する」ということになっております。ところが、促進特別措置法の目的は「国土の開発及びその利用の高度化に資する」こうなっておるわけです。緊急に実施する調査事業とはいえ、近ごろ国土保全には欠くことのできない国民的要請であるわけであります。基礎法である国土調査法には国土保全という目的があるのに、この特別措置法には国土保全という大事な言葉が盛られていない。これは幾ら仕事を促進するとしても、国土調査法による大きな目的である国土保全ということが抜けている。これは議員立法でありますから、われわれにも責任があると言えばあるわけでありますが、しかし、これはもう事実であります。したがって、これはこれとして、国土保全という目的を抜いたことに対して、長官としては、どういうふうに理解をされているか、ひとつお聞きしたい。
#73
○国務大臣(園田清充君) 国土調査促進特別措置法は、土地分類調査、地籍調査及びこのための基本調査の緊急かつ計画的な実施の促進を図るということを目的といたしておるわけでございます。これらの調査は、特に保全を直接の目的とするものでなく、また、本法と異なりまして特別措置法では水調査を対象としていないことから、法の目的に国土の保全が想定されていないと考えております。
 しかし、国土保全は今日の国土行政の主要な課題となっておりまして、これに沿って実施される国土調査、中でも土地分類調査については国土保全にも資するという観点から特にこの点に留意してまいるところでございまして、今後とも、十分念頭に入れて実施をしてまいりたいと考えております。
#74
○茜ケ久保重光君 とにかく国土保全ということは大事なことでありまして、これはぜひ実施するに当たっては心していただきたいと思うわけであります。
 次に、国土調査事業は、促進特別措置法によりまして昭和三十八年以降第一次計画、これが三八年から四十四年、第二次計画が四十五年から五十四年と続いております。二回にわたって国土調査事業十カ年計画が実施されたわけでありますが、その実施された実績はどういうふうになっているのか、具体的に御説明を願いたい。
#75
○政府委員(山岡一男君) 当初の十カ年計画は、昭和三十八年度から昭和四十七年度までの期間を対象とする計画でございましたが、昭和四十四年度に新全総の策定を機に、昭和四十五年度以降この十カ年計画に切りかえられております。
 当初の十カ年計画の達成状況につきましては、国の行う土地分類調査につきましては計画の六〇%、市町村等が行う土地分類調査につきましては一四%、また地籍調査につきましては四五%の達成状況でございました。現行の十カ年計画は、昭和四十五年度から五十四年度までということでございまして、ことしで終わるわけでございますが、その達成状況につきましては、国の行う土地分類基本調査はすでに一〇〇%の達成を見ております。都道府県の行う土地分類基本調査につきましては、これは新たに現行計画に加ええたところでございますが、一〇〇%達成となる予定でございます。しかしながら、土地分類調査及び地籍調査につきましては、それぞれ四〇%、四五%程度の達成率にとどまる見込みでございます。
#76
○茜ケ久保重光君 国土調査以外の測量や調査を行った者がその調査の結果作成された地図などによって認証を受け、国土調査と同一の効果を与えられるものが、国土調査法第十九条五項でありますが、あります。これらの実態あるいは実績について、いわゆる国土調査以外の測量、調査をしたものの結果について御説明を願いたい。
#77
○政府委員(山岡一男君) 国土調査法におきましては、国土調査以外の調査、測量の成果が国土調査の成果と同等以上の精度、正確さを有すると認められました場合には、これを国土調査と同一の効果があるものとして指定することができることになっております。いま先生のお話しになりました十九条五項でございます。
 ただ、この指定をいたしますためには、地球上の位置が明確でなきゃならぬということがございまして、基準点を設置いたしておく必要がございます。国土庁といたしましては、昭和五十二年度からこの指定に必要な基準点の設置につきまして所要の予算措置を講じてまいったわけでございまして、関係省庁に対して、これら確定測量について基準点に基づいたところの国土調査と同様の基準による実施とその成果の国土調査指定の推進を要請してまいりました。最近、いろいろと実績も上がってまいっておりまして、昭和五十三年度末まででは指定面積が約八百平方キロという実績になっておるわけでございます。
#78
○茜ケ久保重光君 今日まで二回にわたる国土調査事業計画を策定された際、国土調査の必要事業量、計画事業量でございますか、どのような判断あるいは基準の中で決定されたのか。また、二回にわたる計画の全実績と、国土調査法第十九条五項事業の実績は国土全体の国土調査の必要量の何%程度を消化したことになるのか。さらに、国土全体の調査必要量をどういうふうに想定しているのか。四点は、そのうち緊急に十カ年計画で対処するもの、一般法である国土調査法で対処するものとどうなっているのか。さらに、あと何年かかったら、いわゆる国土調査法が意図する調査が終了すると考えているか。この五つの点について順次御説明をお願いします。
#79
○政府委員(山岡一男君) 最初に、国土調査十カ年計画の策定の考え方でございますけれども、これまでに策定されました二次にわたる国土調査事業の考え方でございますが、地籍調査につきましては、第一次計画では、現に地籍調査の実施中の地域、農業構造改善事業指定地域などのうちで緊急に調査を実施すべき地域の面積約四万二千平方キロというのを積み上げ、計画量といたしました。第二次計画では、全国の民有主要地目、それに付帯する林地の調査を完了することを目的としまして、総面積八万五千平方キロを計画量といたしました。
 それから、国が行う土地分類基本調査につきましては、第一次計画では、地質、気象等により全国の代表的地区を選定いたしました。その面積一万六千平方キロメートルを計画量といたしました。第二次計画では、第一次計画の調査残量六千四百平方キロメートルを一応の計画量といたしました。都道府県が行う土地分類基本調査につきましては、新全総計画に対処するために第二次計画で新設されました調査でございますけれども、全国の各種開発プロジェクトの実施対象となる平地と、その周辺林地を含む地域のうちで、すでに国によって調査したものを除く面積、十二万平方キロを計画量といたしております。
 それから、土地分類調査につきましては、第一次計画では、土地改良事業及び土地に関する各種事業の行われる地域を加えた面積、二千五百平方キロメートルを計画量といたしました。第二次計画では、新全総計画による開発プロジェクト地域のうちで中核となるものの面積、二千五百平方キロメートルを計画量といたしました。
 以上が計画をした場合の考え方でございますが、それに対します実績といたしましては、地籍調査につきましては、全国土のうち国有林及び水面、湖沼等を除いた地域、面積約二十八万平方キロメートルを要調査面積と考えたわけでございますが、第一次計画で約一万九千平方キロメートル、第二次で三万八千平方キロメートルという実績でございまして、それに先ほど先生の御質問のございました十九条五項の指定分を加えまして、約六万七千平方キロメートルが実施済みでございます。これは要調査面積の約二四%の進捗状況に当たるわけでございます。
 それから、土地分類調査につきましては、開発利用の可能な地域、面積約二十八万平方キロを調査対象と最終的には考えるべきだと思っておりますが、第一次計画では国が九千六百平方キロメートル、第二次計画では国が六千四百平方キロメートル、都道府県が十二万平方キロメートル、合わせて十二万六千四百平方キロメートルを実施いたしております。で第一次計画以前に国が実施したものと合わせますと、昭和五十四年度までで約十四万平方キロメートルが実施済みでございまして、要調査面積の約五〇%の進捗ということになります。
 土地分類の細目調査につきましては、各種の計画に対応した地域を調査対象と考えておりますので、全国的な視野での要調査面積をこれぐらいといまのところ念頭に置いておるわけではございませんで、第一次計画では約四百平方キロメートル、第二次計画では約一千平方キロメートルの実施を行ったわけでございます。
 で全体の計画でございますが、いま申し上げましたとおり、地籍調査につきましては、平地十万九千平方キロ、それから林地二十五万二千平方キロ、それから水面、湖沼を加えまして国土面積三十七万七千平方キロあるわけでございますが、そのうちの林地の中から国有林を除きましたものと平地とそれに接続する林地を足しますと、おおむね二十八万五千平方キロ、ほぼ等しい二十八万平方キロということになります。これがやはり開発可能性の一番多いところでございまして、そういうところを対象にまず地籍調査の対象といたし、それから土地分類等につきましても、全体としては、そういうものを対象にいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
#80
○茜ケ久保重光君 あと何年ぐらいかかったら、一応それは終わるか。
#81
○政府委員(山岡一男君) 土地分類調査等につきましては、初期のものを第三次の間でほとんど目的が完了すると思いますが、地籍調査につきましては、第三次の調査が終わりましても相当量が残ります。その相当量残ったものを、この第三次の中で相当進捗率が上がりますので基礎がどの程度になって将来消化できるかという点について、いま定かではございませんけれども、大体第三次の延長線でまいりますと、普通でいけば二十五年ぐらいかかってしまうわけでございます。ただ、この第三次の間に、大都市における調査の方法の新規の確立、それから林地に対します新しい調査方法の確立等も勉強いたしたいと考えておりまして、できるだけ早期に終わるような第四次計画を予定いたしたいと考えておるわけでございます。
#82
○茜ケ久保重光君 国土調査事業十カ年計画は、内閣総理大臣が閣議決定を経て決定する権威ある計画となっているわけであります。また、その案作成の過程では、関係行政機関の長と協議、関係都道府県の意見聴取も行っているのであります。
 こうした権威ある計画にもかかわらず、地籍調査等の実績を聞きますと、第一次、第二次とも進捗率は四五%と非常に低いのであります。特に、後で触れますが、極端に低いところがありますね。こういう地籍調査の実績が非常に悪いということの根源はどこにあるのでしょうか。何か地籍調査に対していわゆる関係者の中で忌避するような状態があるんじゃないかということも考えられるんですが、地籍調査の実績がいいところもあります。ありますが、平均して悪い、また極端に悪いところもある。こういった傾向はどういうことだと見られているのか、ひとつ御説明を願います。
#83
○政府委員(山岡一男君) 地籍調査の実績につきましては、第二次計画も四五%に終わる見込みでございまして、まことに申しわけないと思っております。
 地籍調査の進捗がおくれました主な原因として考えておりますのは、行政需要が最近大変多様化してまいりました中にございまして、一つには、仕事がじみな仕事であるということのために本調査の必要性に対しまして市町村の認識が十分でない面がありまして、また、これに対する国及び都道府県の指導も必ずしも十分であったとは言えない面があったのではないかと反省いたしております。一筆ごとの土地についての境界の確認に関する土地所有者等の協力を得るということがこの調査を進めるための最大の前提でございますけれども、そのために多くの時間と労力を費やしているという点が第二点でございます。それから昭和四十八年後半の物価、人件費の高騰等に伴いまして事務費単価が非常に上がりましたために、予算額の伸びは相当予定された事業量を上回って伸びておるわけでございますが、単価が増加したということでそういうものが食われてしまったという面があった点も一つの原因だろうと思います。
 地籍調査の実施に当たりましては、毎年、実施計画の打ち合わせ、あるいは都道府県等を通じた指導等を行ってまいっておりますけれども、さらに、今後におきましても、これらの要因の改善につきまして十分関係機関とも相談をしながら進捗を図ってまいりたいと考えておる次第でございます。
#84
○茜ケ久保重光君 「地籍調査の都道府県別実績状況」という表がありますが、これを見ますと、いいところは五〇%以上、宮城県などは九八%ですか、やっています。ところが、ひどいのになると滋賀県で一%なんです。これは何としてもひど過ぎる。こういうのはやってもやらぬでも同じだということになるんじゃないのかな、一%というと。三重県の五%。これは地域によって大分差がありますね、東北地方は非常にいい、それから九州もややいいようですね。特に悪いのは東海、近畿、さらに県としては滋賀、大阪、和歌山、岐阜。一%なんていうのは、いま局長が説明したけれども、一%や五%では話にならぬと思うんだな、完全にこの法律は無視をされている、この地籍調査に対してね。
 いま局長の説明したいろいろな理由は一般的には言えるかもしれぬけれども、こういう特殊な地域におけるこういうのは、またさらに、いま局長が指摘した理由のほかに、何か原因があるんじゃないか、この点を把握しておるか、ひとつ説明してください。
#85
○政府委員(山岡一男君) 先生のお話しのとおり、北海道、東北、九州等はおおむね順調でございまして、反面、東海、近畿等が相当おくれております。
 地籍調査の実施が、先ほど申し上げました市町村等における行政需要の多様化の中で、調査実施の必要性、緊急性の認識、地域住民の調査に対する理解と協力、調査実施の難易等に大きく左右されているというふうに思っておりますが、これらの事情はそれぞれの都道府県ごとにいろいろと差がございまして、市町村の進捗のアンバランスに反映をしたんだと見ております。特に都市的地域が多いところにつきましては土地の細分化が進んでおります、それで移動等も著しく動きます。関係住民の土地に関する権利意識が非常に高いこともございます。境界確認等に多くの労力と時間を必要とするということで、その他地域と比べると相当むずかしい調査になっているという点も否めないと思います。
 それから、いま御指摘のございました一番最低の滋賀県等におきましては、実は、調べてまいりますと、土地改良事業等の確定測量が相当大幅に実施をされております。それによりまして地籍調査と同様の効果が生じていると考えられる地域の面積を含めますと、かなりの地域で事実上の地籍の明確化が図られてまいっておるというふうなことも考えられるわけでございます。しかし、これは言いわけでございまして、計画量に対して進捗が足らないということにつきましては、やはりわれわれの宣伝、指導、啓蒙が足らなかったという点が最大の原因でございまして、今後におきましても、さらにそういう点につきまして十分配慮した上で進捗を図ってまいりたいと思っておる次第でございます。
#86
○茜ケ久保重光君 長官、いまお聞きのとおり、幾ら何でもこれはひどい。せっかくこうしたりっぱな法律をつくって――必要だからつくったわけだね、やっているのに、まじめなところは九八%もやっているのに、一%や四%ではこれは話にならぬと思うんですよ。これはおざなりとは言わぬけれども、局長の説明だけでこれはあんたそうですかとは引き下がれないね、国会も。今度また十年延ばすんだから、十年間ではこれは何としても五〇%ぐらいまでは引き上げなければ、ここで審議して決めて、さらに十年後にやるときには、また二%や三%ではどうしようもないと思うんです。これは長官ひとつ、いろいろとあろうけれども、この際、やっぱりこういう地域に対しては何か特別な配慮というか指示というかをやって、十年後、再びこの特別措置法をもし延ばすようなことがあった場合には、ある程度の実績が上がって御報告できるような状態にしてもらいたいと思うんです。ひとつ長官の御決意のほどをお伺いしたいと思う。
#87
○国務大臣(園田清充君) 全く先生の御指摘のとおりで、まことに申しわけないと思っておりますが、私ども、局長から申し上げましたとおり、国自体の努力の足りなかった点、指導の足りなかった点も率直に認めざるを得ないと思います。同時に、県あるいは市町村のこの地籍調査に対する必要性といいますか、こういう点に対する私どもの指導の欠如、市町村自体の必要性に対する認識というものの欠如もあったかと思いますが、そういうことがいま御指摘の点になっているように私は受けとめておりますし、十分ひとつ関係都道府県市町村に対して啓蒙を行いつつ、御指摘のようなことがないようなことで、十年たってまた同じじゃないかという御指摘が再度ないようなことで、ひとつ私ども決意を新たにして取り組みたいと思いますので、どうぞひとつ御指導をよろしくお願い申し上げたいと思います。
#88
○茜ケ久保重光君 なかなかこちらも指導はできませんが、しかし、これはせっかくのものですから、何とかひとつめどがつくようにお願いをします。
 次に、この法改正の後、新たに第三次計画を策定するのでありますが、第三次計画では、いま申しました地籍調査の計画事業量については、ひとついま長官も決意を述べられましたが、大体、それでどのぐらいのところまで持っていけるか。私は五〇%と言ったんだが、最初。国としても何らかの一つの目標がおつきになると思うんですが、どれくらい国土庁としては想定しておられるか。国土庁は、そういう点で定住圏構想等を進めているようでありますが、それらとの実際の絡みでいまの事業量を決めていくのか。また第一次、第二次の実績に照らしておくれている地域の促進等、事業量の地域的配分にも配慮する必要があると思うんだが、これは先ほどの答弁にも関連してきますが、改めていま言った点についてひとつ御説明を願います。
#89
○政府委員(山岡一男君) 国土調査事業の十カ年計画につきましては、本特別措置法案を御可決いただきました後、都道府県及び国土利用計画審議会の意見を聞きますなどの手続を経ました上で策定することになります。しかし、やはり予算の計上等もございますし、国土庁といたしましては、本法案の策定に当たりまして、大まかな計画策定の方針を決めております。
 計画策定に当たりましての基本的な考え方といたしましては、従来の実績と合わせまして、地籍調査につきましては、全国の緊急に調査の実施が必要な平地のほとんど、それからこれと一体的に調査を行う必要のあるその周辺の林地、これはおおむね完了するということが一つの目途でございます。それから都道府県が行う土地分類基本調査につきましては、全国の要調査面積の全部について完了するということが一つの目的でございます。市町村等が行う土地分類調査につきましては、市町村等における地域振興計画策定等に対応しまして、必要な面積を実施したいと考えております。
 これらのことを念頭に置きまして、過去の経緯等も踏まえまして考えますと、新十カ年計画におきます地籍調査の面積でございますが、現行十カ年計画の実績が約四万平方キロでございますが、それの五割増、六万平方キロ程度としたいと考えております。現在までの調査済み面積と合わせますと、新十カ年計画が六十四年度に予定どおり終了したといたしますと、国有林等を除きます全国の要調査面積のおおむね半分を終了するということになります。残りは林地と国有林が残るということになる次第でございます。
 それから定住構想等との関連でございますけれども、定住構想等の実施のためには、国土の自然的特質とか土地の所有・利用の状況等を把握することが必要でございます。そういう意味で、この調査は定住構想等に即して実施されますことも必要でございますし、大いに役に立つというふうに考えております。特に地籍調査に当たりましては、全国の特に緊急に調査の実施が必要な平地のほとんどと、それからこれと一体的に調査を行う必要のあるその周辺の林地をおおむね終了することを目的といたしておりますので、定住構想の推進にも大いにあずかって力があるというふうに考えております。
 それから第一次、第二次計画の実施に照らしまして、おくれている地域につきまして、先ほど長官からも御答弁がございましたけれども、調査実施についての必要性、緊急性への認識、地域住民の調査に対する理解と協力、調査実施の難易等が原因でそういうアンバランスが生じたわけでございますので第三次計画の実施に当たりましては、地籍調査成果を全国土に基礎資料として使えるようにしたいという意味から、特段にこれらの地域につきましては、県市町村、関係住民等への啓蒙宣伝等に努めまして、さらに特におくれております大都市周辺等につきましては、調査精度の高い大縮尺地図の作成、現地に対応する数値地積測量の普及などに努めまして、大いにその促進を図ってまいりたいと思っております。計画事業量の地域配分に当たりましても、従来までの実績を踏まえまして、十分地方公共団体とも打ち合わせをいたしまして、アンバランスの生じないように努力してまいりたいと思っております。
#90
○茜ケ久保重光君 これはやっぱりかなり金がかかりますわね、この事業を遂行するには。地籍調査のための経費についてちょっとお尋ねをいたしますが、昭和五十五年度予算の地籍調査、一平方キロ当たりの経費、標準単価と言うんですか、これはどうなっているんですか。それから、また市町村事業、都道府県事業への国庫補助、都道府県負担、市町村負担、交付税交付額などについてもお聞きしたいと思います。
 地籍調査の非常におくれているということについては、いま局長もいろいろ説明をされましたが、一つにはそういった地方の団体の経費負担が増加する、こういうことが特に大きな原因ではないかとも思うんですが、これは財政の問題ですから、そう簡単に必要量だけを全部出せということも困難ではあろうかと思うけれども、先ほど指摘しましたように、かなりおくれているところというのは、これは事業をしなければもちろん金はいかぬだろうし、金がない間は事業をしないとなると、また事業がおくれるし、いわゆる地籍調査の一つの目標を決めて、この都道府県、この町村はこの十年間に幾らやれというその目標ができるんならば、それに対する経費の分担もできるんだろうが、これは恐らく実績主義でその仕事をしたものに対して補助等はあるんだと私は思うんだが、この点もひとつ含めて、もしAの町村が何ヘクタールをやるということになって、それに対する補助なり交付金がいったのにもかかわらず、しないというのは大変だが、しかし、実際はその調査した分に対して国から何らかの補助なり交付金がいくようになっているのか、こういう点も含めて答弁を願いたい。
#91
○政府委員(山岡一男君) まず最初に、昭和五十五年度の地籍調査の一平方キロメートル当たりの単価でございますが、三百万円、ちょっと端数がございますが、を計上いたしております。
 五十五年度の予算におきます市町村事業と都道府県事業等によります費用の負担の関係でございますが、都道府県事業で見ますと、国庫補助が三分の二出ます、都道府県負担分が三分の一でございます。都道府県の負担分のうちで十分の八につきましては特別交付税が交付されます。このために都道府県の純負担分は十五分の一になります。
 それから市町村事業でございますと、国庫補助事業は三分の二出ます。残りは都道府県、市町村がそれぞれ六分の一ずつ負担をすることになっております。都道府県及び市町村の負担分についてはそれぞれの十分の八は特別交付税で交付されます。このために都道府県または市町村の純負担分は市町村事業の場合には三十分の一ということになっております。
 で単価も、決めたころには七十万円でございましたけれども、いまではもう約四倍強にふえたということでございます。
 それから、地籍調査のおくれの中に地方負担の増大等の原因があったんじゃないかというお話でございましたけれども、先ほど申し上げましたように、負担につきましてはずいぶん暦年改善をしてまいっておりますし、単価につきましても、本年度につきましては三百万円を超えるというところまでまいりまして、おおむねそういう点についての御不満はないというふうにいま思っております。
 それから、経費でございますけれども、この十カ年間の計画中を通じまして、毎年、年平均で一八%の予算の伸びを示してまいりました。昭和四十五年当初に予定した事業量で全体の事業量をやったといたしますと、計画事業費で申しますと、国費が約四百六億と想定されました。それに対して実績では四百三十一億円使っております。それから事業費では六百九億円というふうに想定されましたが、実績は六百四十七億円の事業をやっております。したがいまして相当中身の充実には努力をしたということでございますけれども、先ほども申し上げましたとおり、各種の値上がり等に吸収されてしまったという点があったことは否めないと思います。
 それから、いま先生が最後におっしゃいました予定の計画というのはございます。それについては市町村もしくは都道府県とよく打ち合わせまして、大体十年間にこれぐらいというめどについては十分打ち合わせをするわけでございます。そういう計画事業量をつくりますが、また、それにふさわしい予算の準備もいたすことになっておりますけれども、実際の事業の場合には、やはり予算といたしましては、補助金でございまして申請主義でございますので、でき上がったところを中心に予算を配賦するということにならざるを得ない。むしろ計画面のおくれているところにつきましては、われわれの方から申し上げて、促進なり、いろいろな啓蒙なりに努めるということであろうかと思っております。
#92
○茜ケ久保重光君 地方公共団体はそう大した大きな負担はないわけだな、いま聞いてみると。そうすると、われわれが心配した、金がかかるのでちゅうちょしているのじゃないかという危惧は、これは余り必要ないような気がするんですね。
 そうなると、これは何というか、金はそう負担をしないというのならば、地方公共団体の当事者の熱意というか、そういうことに問題があると思うのだけれども、あるいは、これはまた後で税金の問題にも触れますが、一部にいわゆる山林とかその他かなり延びが出るという、厳格な測量をすると帳簿面積よりも延びが出てくる。それが出てくると、今度は税金との関係もあって、これは地権者が困る。面積のふえるのは結構だけれども、それに従って税金がふえてくるのじゃこれは大変だということなどもこの地籍調査が思うように進まぬという原因になるのじゃないかという気がするんですね。一つは、地方公共団体の関係者の熱意の欠如、一つは、いま言った地権者のいわゆる地積の増加による税金等の関係で何か阻害をするんじゃないか、こういう二つのことがあるのですが、その点はいかがですか。
#93
○政府委員(山岡一男君) まず、最初の熱意の問題でございますけれども、確かに先生のお話しのとおり、東北とか九州とか進んでいるところでは非常に熱心な市町村長さんがおられます。みずから全体をリードしながら地籍調査を促進なさっておるというのがございまして、確かにそういう意味の市町村における熱意というものは進捗状況に相当反映をする。別な言葉でいいますと、特に進んでいるところには土地、地価調査の気違いと言われるような人がいるというようなことでございます。そういう意味で熱意の有無が相当事業の進捗に反映をしておると思っております。そういう点につきましては、今後も、啓蒙に努めたいと思います。
 それから固定資産税の問題でございますけれども、実施主体は、これはやっぱり市町村でございまして、固定資産税は市町村に入るものでございます。したがいまして個人の方々にとってはやはり適正な地籍代を納めるという義務がございましょうし、市町村としても適正な固定資産税を納めてもらうということは正しいことだと思います。そういう意味から言いまして、地積が明確になって固定資産税がふえるから云々ということでは、余りそういうようなことについての障害はないんじゃないかと実は私どもは考えております。
#94
○茜ケ久保重光君 何か、長官、いま聞くと、進んでいるところは当事者がやっぱり熱心なんですね。だから、これは国土庁の方で、担当をせられる市町村長あたりが熱意を持って仕事に当たるというようなことをぜひ督励をしていただきたい、こう思います。これは要望です。
 次に、第三次計画の内容案を見ますと、地籍調査は第二次の実績約四万平方キロのおおむね五〇%程度増、土地分類基本調査は要調査地域の全域を完了するというふうになっております。増大する事業量を消化する調査執行体制の実情はどうなっているのか。府県市町村の技術職員の体制、調査事業を請け負うところの測量士、土地家屋調査士などの実情はどうなっているのか。結局、いま指摘しましたように、幾ら当事者が熱意を持ってやろうとしても測量士とか土地家屋調査士、そういった実際にこの調査に従事する体制ができていませんと、これは容易じゃありません。したがいまして、こういう実際に調査に当たるいま言った測量士とか家屋調査士などの実態はどうなっているかお伺いいたします。
#95
○政府委員(山岡一男君) 先生のお話のとおり、執行体制の充実が事業進捗のための一つのかなめでございます。地籍調査の実施に当たりましては、測量や不動産登記に関します専門的知識を持っている者、その調査内容に精通した者等の従事職員の確保が必要でございます。このため、従来から都道府県、市町村等に対しましてこれらの職員の確保を強く指導するとともに、その育成を図りますために、専任、兼任を問わず定期的な研修を行ってまいっております。今後も、さらに努めたいと思っております。
 昭和五十四年度におきまして地籍調査を実施している市町村が九百八市町村あったわけでございますが、従事職員数につきまして調査いたしますと、一市町村当たりで五人程度、専任が三・三人、兼任が一・三人となっておりまして、兼任者につきましても五十五年度は五十四年度の約四倍の経費を計上して、さらにこういう人たちをふやすように努力したいと考えておるわけでございます。
 それから、地籍調査の測量の部門につきましては、先生のお話のとおり、測量業者に請け負わせて実施をしてまいっております。全国測量業団体連合会に加入しております主要な業者、現在約二千三百社ということでございまして、最近、十カ年間でその間に三倍強にふえております。今後の地籍調査事業の増大を見込みましても十分受注はできるというふうに見込んでおります。
 なお、土地家屋調査士につきましては、市町村等におきまして不動産の表示に関する登記の申請手続にかかわる事務等を行っているわけでございますが、地籍調査の一部に携わっていることも考えられます。これらのものを活用した地籍調査の実施につきましては、今後とも、さらに検討の上、現地の実情に即しまして調査の協力を求めてまいりたい、そして内容の充実を図りたいというふうに考えておる次第でございます。
#96
○茜ケ久保重光君 局長、調査に当たる測量士や土地家屋調査士などが仕事をするについて、この法律による調査の場合には一般の調査よりも単価が安いとか、あるいはその費用がよけいかかるとか、そういった意味でそういう諸君がこの調査に当たることを忌避するような実態はないのか、その辺はいかがですか。
#97
○政府委員(山岡一男君) そのあたり地方によって実情が違うと思います。しかしながら、私ども、現在の単価、たとえば五十五年度単価の中には十分な手がかりを見込んでおりますので、調査の実績から照らしまして、そのような点はなかろうというふうに確信いたしております。
#98
○茜ケ久保重光君 土地分類調査の中には、地形分類図、表層地質図、土壌図等がありますが、これらは科学技術の高度な専門性が要請されております。これらの調査はどのような体制で進めているのか。また、通産省の地質調査所等種々の地殻調査を実施しているが、これとの調整はどうか。こういうことについて簡単なひとつ御説明をお願いします。
#99
○政府委員(山岡一男君) 土地分類調査にあたりましては、先生のお話のとおり、地理学、地質学及び土壌学等の専門知識を必要といたします。したがいまして、これらの実施に当たりましては国の関係研究機関、たとえば国土地理院、通産省の工業技術院・地質調査所、農林水産省の農業技術研究所、同林業試験場というふうなところの御指導のもとに、都道府県の研究調査機関及び地元大学等にも直接協力を依頼して実施をしてまいっております。また、これらの専門技術の向上のために、例年、計画的に技術検討に関する研修等も実施してまいっております。そういうふうな体制で現在進めておるわけでございます。
 それから、通産省の地質調査所の行っておられます地殻調査、これにつきましては地殻を構成しております岩石、地層を対象として、その種類、地質構造及び形成過程等を明らかにされますもので、広く地下資源開発、学術研究というのがその主な研究目的でございます。これに対しまして、土地分類調査は、広く各種の土地開発、利用保全等に資するための土地に関します地形、それから表層地質、それから表層の土壌、傾斜区分、水系ごとの谷の密度等の諸調査を同時に実施するものでございまして、いわば私の方の調査は利用を中心とし、向こうは土地資源といいますか、地下資源の開発を主とするということでございまして、そういう意味では地殻調査とともに目的、利活用について差がございますが、その調査が重複しないよう十分調整をしながら調査を進めておるという次第でございます。
#100
○茜ケ久保重光君 長官、この地質調査所、これは国土庁長官に聞くんじゃなくて、宇野管理庁長官に聞いた方がいいかもしらぬけれども、これは昔は、いま局長が言ったように、地下資源の調査が非常に大きなウエートを持っていたわけですね。ところが、現在、日本の地下資源というものはほとんどもう無に近いんですね。昔は金、銀、銅、鉛やいろんなものが出たり硫黄が出たりしました。最近は、もうほとんど国内では地下資源の実体は無に等しいですね。そこで、これはいまさら通産省に置いてもしようがないと思うんだな、この地質調査所は。むしろ国土庁に移して、いま国土庁がこれを責任を持ってやった方が私はいいと思うんだ。これはさっき言ったように、国土庁長官に質問することでないかもしれぬけれども、あなたがこの国土のいろんなことをやっていらっしゃるんだから、むしろ、この際、私の意見としては、通産省の地質調査所はこれをひとつ国土庁に移管して、もっと有効に総合的な調査をされた方がいいと思っておりますが、国土庁長官はそれに対してどのような意見を持っているか、ひとつお伺いしたいと思います。
#101
○国務大臣(園田清充君) 非常に御理解あるありがたいお言葉ではございますけれども、通産省が、いま御指摘のとおり、地下資源の探求ということを目的として調査をいたしております関係上、私どものやっている目的とは目的を異にしております。ただ、言われることは、いまおっしゃったとおり、日本の地下資源というものがこれ以上いろいろ探求、調査しても期待するようなものが出てくるかということでございますが、いろいろ日進月歩というこうした科学の発展する社会の中でございますので、一概に私どもの方から通産省に対して、われわれの方で一律にひとつ調査をするからわれわれの方に所管を移せということも言いにくいことではございますが、しかし、せっかくの御発言でございますので、通産大臣ともよく話し合いをしてみたい、こう考えますので、ひとつお許しをいただきたいと思います。
#102
○茜ケ久保重光君 機会があったら、私どもも通産大臣や行政管理庁長官にひとつ進言をしていく。これはやっぱりなわ張りで持っておることはないですよ。やっぱりいま私が当面いいと思うのは、国土庁に移管して、いろんな意味でやっていただくことが一番いい。これはいまおっしゃったようにあなたから余りそう言えぬでしょうから、われわれもひとつ側面からそういったことの促進に対して御協力を申し上げたいと思います。
 あと幾つか質問の予定があるんだが、時間もないから、あとはひとつ質問通告によって答弁だけしてもらいたい。
 ただ一つ、自治省に来てもらっているのだが、先ほどちょっと指摘した、地籍調査をして延びると、実際に。そうすると、すぐ固定資産税がかかる、こういうことになるんだが、今日まで地籍調査をした結果、かなり延びが出て、それに対してすぐに固定資産税をかけたという実例があるか、あるいは今後そういうことが出た場合に、やはりあなたの方ではすぐに固定資産税をこうかけていくということをやるのか、その点をあなたに聞きたい。
#103
○説明員(渡辺功君) ただいま御質問のありましたことは、国土調査が行われまして、地積にいわゆるなわ延びが出る、そうすると、これは土地登記簿に記載されますので、固定資産税のいまのやり方からいきますというと、評価に当たりまして土地の面積――地積でございますけれども、これが登記簿に載っている場合には、その登記簿に載っている面積ということを基本にしておりますから、先生おっしゃるように、普通のルールでいきますというと、すぐそれが登記簿に載った時点におきまして今度は固定資産税の課税標準の基礎となってくる、こういうふうになります。これは固定資産税といたしましては、資産の大小に応じて御負担をいただくものですから、実態がわかればそれに基づいていくということがある意味では公正であるということも基本として御理解をいただいておかなきゃなりません。
 しかしながら、ただいまずっと御論議のありますこの国土調査という仕事は非常に重要な仕事であり、かつ市町村も入りまして非常に手間暇のかかる仕事でありますから、その進行中におきまして、一つの市町村内で仕事が進んでいる最中に大変な不均衡が出るということもこれは否めない、御指摘のとおりだと思います。そこで、私ども、評価基準におきましては、そういう仕事が進行中である、そのために不均衡が生ずる、不公平であるというようなことが生ずるというふうに市町村が認定した場合には、地籍調査前の登記簿に記載されております地積によることができるという規定を設けまして、これによって指導しております。したがいまして、現在までのところでも、市町村は大体この方針でもってやるのを通例といたしておりますし、今後、この法律がさらに運用されていく場合におきましては、私どもも、この方針を堅持しまして指導に当たってまいりたい、こういうふうに考えております。
#104
○茜ケ久保重光君 あと三点ぐらいあるのだが、いま言ったように、それをまとめてひとつ答弁していただきたい。
#105
○政府委員(山岡一男君) あらかじめ通告をいただきました問題の中で、残っておるものが五、六問ございますけれども、そのうちで、いまの関係でございますが、地籍調査の結果といたしましては、登記薄との関係がどうなっているのかという点でございますが、これは地籍調査が終わりますと、登記薄を法務省に移しまして、職権登記ということで登記が変わるということになっております。その後、固定資産税等についてどう取り扱われるかは、いま固定資産税課長からの御報告のとおりでございます。
 それから、地籍調査の実施前後を比較して、なわ延びがどうなんだというのが一つございましたけれども、厳密に申しますと、なわ延びというのは一筆ごとの土地のなわ延びの話でございますが、そういうものを現在のところ集計したものはちょっと手元にございません。しかしながら、地籍調査前後の地目別の土地の面積につきましては、調査成果が認証される段階で取りまとめられております。これによりまして登記簿上の面積と実測面積との違いと地目転換に伴う地目別面積の変動を含めた調査前後の面積変動率というので見ることができると思います。
 これによりますと、全体的には里道、水路等の長いもの、長物を除きまして、調査前の面積に対しましてなわ延び約二八%というような数字になっております。それから主要地目別に見ますと、山林が五七%ぐらいふえ、それから宅地が三六%ぐらいふえ、一方、原野は半分以下の四三%に減少しているというようなのがいままでの統計でございます。これは、現在の公図は課税目的から作成されたものでございますけれども、その後時間もたっておりますし、ある程度こういうような状況になることは予想されたところであろうと思います。権利を確定した上の青写真を写した結果はそのようになっておるというのが現状でございます。
 それから、もう一点、残った点でございますけれども、地籍調査におきまして、地目の調査に当たりまして、たとえば公図上は農地となっているけれども、行ってみたら農地ではなかったとか、それから都市計画法により開発許可がなされていないのに、そういうところが宅地化されたとかいうような場合にはどうするんだというふうなきわめて地に足のついた御質問が一つあったわけでございますが、その場合でも、いわゆる地籍調査の立場で申しますと、調査対象となっている土地の地目が完全に他の地目に変更しておると現状で認められます場合には、新たに現在の地目によって調査せざるを得ないというふうに考えております。ただし、これらの法律におきましていろんな制限があるというようなものにつきましては、調査の途中におきましてトラブルを起こさないように、農業委員会にあらかじめ通知するとか、関係の市町村にも協議するとか、意見を求めながら調査を進めていき、しかし、あくまで地籍調査の地目の判定につきましては現状地目でやるというのが現在の立場でございます。
 それから現在進められております水調査の内容でございますけれども、国土調査法に基づきまして地下水資料調査それから主要水系調査という二つを実施いたしております。
 地下水資料調査につきましては、地下水に関する調査の基礎資料ということでございまして、深井戸について柱状図、長いボーリングをした結果のものでございますが、をつくりまして、各種資料を全国規模にわたって地域単位に調査、整理をして全国地下水深井戸資料台帳というのを整備するものでございます。過去におきまして全国調査を二回実施いたしておりまして、現在は、第三回目に入っているところでございます。
 それから主要水系調査につきましては、一級河川が百九水系あるわけでございますが、その周辺の地域におきます水文、利水等の実態を把握するための流域内の気象、水文及び地下水を含む利水現況等に対する調査でございまして、これを利水現況図等の地図、それから調査書に取りまとめておるものでございますが、現在、四十三水系について調査を完了しているところでございます。
 で、水問題が地域整備の基本的かつ緊急の課題であるので、十カ年計画の中に水調査も盛り込むべきではないかという御質問もあらかじめ予告をいただいておりました。国土調査で実施いたします水調査は、関係各省が実施をしております水に関する各種の調査に対しまして、治水あるいは利水等にかかわる基礎的資料を提供するということを任務とするものでございます。具体的調査に当たりましては、これら各種の調査と相互補完的に行うというのがその趣旨でございます。したがいまして、水調査につきましては、国みずからが各種調査との関連等を考慮しながら恒常的に実施をしてまいるというのがやはり一番、水が相手であるということから申しましても、正しい方向であるまいかと考えておりまして、特別措置法により一定期間内に緊急に対象地域を限定してやるというような性質にはなじまないと考えておりまして、十カ年計画の対象からは外しておるものだと承知いたしております。
#106
○茜ケ久保重光君 最後に、長官からいままでの質問、答弁の総括的な決意を承って、質問を終わります。
#107
○国務大臣(園田清充君) 非常に御熱意あふれる、また御理解ある御質疑をいただいたことは、私ども、半ば激励的な意味も込めての御質疑だというふうに受け取っておるわけでございます。
 局長からの答弁の中でも率直に申し上げましたとおり、国自体がやはり都道府県、市町村に対する指導の強化で反省しなければならない点もたくさんございます。そういう点を含めまして、ひとつ十分法の本旨が全うできるように、従前にも増した努力を重ねてまいりたい、かように決意をいたしておりますので、どうぞ今後の御鞭撻、御叱正を賜りますようお願いを申し上げまして、決意にかえさせていただきたいと思います。
#108
○二宮文造君 私は、国土調査促進特別措置法の一部を改正する法律案について質問を続けてまいるわけでありますが、ただいま同僚委員から法案の中身につきましては非常に広範な、また全般的な問題についての質問がございましたので、むしろその重複を避けて、後で申し上げますように、具体的な個別的問題について、それを重点にお伺いをしたい、こう思っております。
 まず最初に、国土調査を行う国の機関を事業別にお伺いをしたい。
#109
○政府委員(山岡一男君) 国土調査を行うことができます国の機関を、国土調査法施行令第三条で定めております。
 基準点の測量につきましては建設省国土地理院。補助基準点の測量及び基準点の改算につきましては農林水産省、林野庁、通商産業省、運輸省及び建設省。それから土地分類調査及び土地分類調査の基準の設定のための調査につきましては国土庁、厚生省、農林水産省、林野庁、運輸省、通商産業省及び建設省。それから水調査及び水調査の基準の設定のための調査につきましては国土庁、厚生省、農林水産省、林野庁、水産庁、通商産業省、運輸省及び建設省が行うことができるということに規定されております。
#110
○二宮文造君 いま答弁がありましたように、日本の行政がやっておりますいわゆる縦割り行政といいますか、そういうことが原因をして、それぞれの調査について各省が絡み合ってきている。これがうまくいけばいいんですけれども、あるいは各省ばらばらということもあって、むしろわれわれの方から言うと、こういうやり方で総合的な国土行政が行えるかどうかというような問題もちょっと心配になってきます。先ほど地殻調査について茜ケ久保委員からの話もありましたが、各省庁間の連絡とか調整とか、これは現在の段階で十分間に合っている、当を得ている、こうお考えでしょうか、どうでしょうか。
#111
○政府委員(山岡一男君) 先生お話のございましたとおり、各省庁でいろんな調査ができるようになっております。しかし、各省庁で実施をしております調査の中身を見ますと、それぞれ所管の行政目的に従って独自の観点から実施をされているものも多うございます。しかも、特定の事業計画と結びついた計画調査である場合が多いわけでございます。これに対しまして、国土調査は、国土に関します各種施策の基礎とするために行われます基礎的な調査でございます。きわめて汎用性も高いし応用範囲も広いというふうに考えておりまして、各省庁にその成果をあらかじめ配付いたしまして、各種施策のために御活用いただくというふうにお願いしているところでございます。
 で国土調査と関係省庁が実施されます各種調査との関係につきましては、関係省庁が各種調査の実施に当たられまして、それぞれの調査結果の中に直接国土調査の成果を織り込まれる場合、または、これを補完される場合、それから各種の調査計画の企画立案実施に当たりまして予備的資料として国土調査を活用していただく場合等がございますが、結果的には、両者はそれぞれにそれなりの調査の役目を果たしておるというふうに思っておるわけでございます。御質問がございましたが、足らざる点もあろうかと思います。今後は連絡協議等につきましてもさらに励行してまいりたいと思っておるわけでございます。
#112
○二宮文造君 先ほども御報告がございましたけれども、地籍調査の実績につきましては、第一次国土調査事業十カ年計画では計画事業量に対して四五%の実績、それから同じく引き続いての第二次国土調査事業十カ年計画でも計画事業量に対して進捗率は四五%、こういうふうにいわば進捗率が非常に悪い。ならば、この第三次十カ年計画の策定によって地籍調査は要調査面積の何割程度を完了する、こういう予定を持っておられるのかどうか、これを伺いたい。
#113
○政府委員(山岡一男君) 現在までに終わりましたのが約六万六千、これにつきまして新しくつけ加えますのが約六万五千ぐらいと考えております。したがいまして、全体といたしまして二十八万平方キロぐらいを対象にいたしておりますので、第三次が全体うまくいきますと、要調査面積のおおむね半分程度を終了することになろうかと思います。
#114
○二宮文造君 水の問題、それから都道府県別の不均衡の問題は、先ほど委員からも指摘をされましたので、重複を避けて割愛をいたします。
 あと具体的な個別的な問題についてお伺いをしたいわけですが、埼玉県比企郡鳩山村大字赤沼字逆川に所在します鳩山団地にかかわる問題について、以下質問をいたしたいと思うわけです。
 まず、お伺いしたいんですが、当該地域の地籍調査実施の時期、これを確認しておきたいと思います。
#115
○政府委員(山岡一男君) いまお話しのございました鳩山村所在の鳩山団地でございますが、それを含む区域につきまして地籍調査が行われております。昭和五十一年度及び五十二年度の二カ年にわたって実施をされておりますが、そのうち村役場の職員によります現地調査、これは昭和五十一年十一月二十九日から五十二年一月二十日までの間、約二カ月にわたって行われたと承知いたしております。
#116
○二宮文造君 地籍調査が実施されたことによりまして、地目、これはどうなりました。
#117
○政府委員(山岡一男君) 土地の地目につきましては、市町村の職員が現地調査を行いまして、各筆の土地ごとにその土地の現況及び利用目的を中心に土地全体としての状況を観察いたしまして、その主たる用途によりまして不動産登記法の施行令に定める区分に従いまして調査することになっております。で当該区域の土地の地目につきましても、このような基準に基づきまして当時の状況により認定されたものと考えております。
 当時は、工事が完了されておりましたので、地籍調査では、当該団地にかかわる各筆の土地の地目に登記簿上は山林ということでございましたけれども、現地調査時点ではすでに宅地として開発されていたということでございまして、宅地ということで調査ができておるというふうに聞いております。
#118
○二宮文造君 自治省にお伺いしますが、その宅地というふうに地目が変更になった固定資産税の課税の件については、どうなっていますかお伺いしたい。
   〔委員長退席、理事茜ケ久保重光君着席〕
#119
○説明員(渡辺功君) ただいまお尋ねの鳩山団地の件でございますけれども、固定資産税の課税関係は二つに分かれると思います。
 一つは、住宅が建築されている部分がございます。これは宅地として評価が行われておりまして、固定資産税の課税対象でございます。ただ、現状を私ども聞き取ったところによりますというと、小規模のものが多いものですから、個別に見ますというと、例の小規模住宅用地に対する課税標準特例というのがございますが、その特例の適用を受けているものがほとんどといいますか、それが通例というふうに承っております。
 それから住宅が建築されていない土地でございますけれども、五十三年度までは一般山林といたしまして評価しておりまして、これは一般山林としては評価が低かったと思いますが、免税点未満で課税されないという状態であったようでございます。
 それから、先ほどのお話のように、国土調査法に基づく地籍調査の結果、土地登記簿に宅地として登記されたということがありまして、五十四年度からは固定資産税におきましても、そういった事情、及び道路があり、電気、上水道の供給可能というような状態になったということも含めまして、地目を宅地として認定しまして評価を行い、固定資産税を課税している、こういう現状になってございます。
#120
○二宮文造君 要するに、地籍調査によって五十四年度から宅地として固定資産税の課税を受けている、こういうふうに了解をいたします。そうですね。
 ところで、この団地の総面積、それから区画数、建築の状況、これをそれぞれお伺いしたい。
#121
○政府委員(宮繁護君) 県からの報告によりますと、この団地の総面積は約六万平方メートルでございます。区画数につきましては、二百十二区画と承知をいたしております。
#122
○政府委員(関口洋君) 当該団地で建築確認を終えて現在までに建築を完了した件数は二十六件という報告を受けております。
#123
○二宮文造君 ひとつこの状況をよく御承知いただきたいんです。六ヘクタール、区画数二百十二、現在建築されているのが二十六戸、こういう状況の中で、以下質問を続行するわけですが、この団地は、私の承知しているところでは、四十三年の六月ごろにある不動産業者が山林を買収して造成に着手をした、四十四年の七月に、同年十月三十一日に竣工する、これを条件にしていわゆる青田売りをやったところでありますけれども、その当時、ここは都市計画法上はどういう地域指定がなされていたかお伺いしたい。
#124
○政府委員(升本達夫君) おただしのその当時におきましては、当該地域につきましては都市計画区域は指定されておりませんで、したがいまして都市計画法上の地域指定も行われておりませんでした。
#125
○二宮文造君 いわゆる無指定地。
#126
○政府委員(升本達夫君) さようでございます。
#127
○二宮文造君 その後の都市計画区域の変遷ですね、これをお伺いしたい。
#128
○政府委員(升本達夫君) 鳩山村につきましては、毛呂山・越生都市計画区域という名称のもとに昭和四十四年の十二月二十二日に都市計画区域の指定がなされました。その後、昭和四十五年の八月二十五日に、市街化区域及び市街化調整区域の区分に関する都市計画、いわゆる線引きが行われたわけでございます。したがいまして、この区域区分によりまして当該団地及びその周辺地域につきましては、以後、市街化調整区域とされたわけでございます。
#129
○二宮文造君 この団地はいつ竣工したことになっておりますか。
#130
○政府委員(宮繁護君) 団地につきましては、県の報告によりますと、昭和四十八年十月に工事は一応完了いたしましたけれども、その後、県及び村の指導によりまして擁壁の補強工事等を行いまして、こういった補修工事が終わりましたのは昭和五十年十一月と承知いたしております。
#131
○二宮文造君 これは都市局長からお伺いする予定でしたけれども、私の方から私の知り得た範囲内で時間的な経過とともに、この内容をちょっと申し上げてみたいと思うんですが、先ほどたしか市街化区域の指定が四十四年の十二月二十二日と、あと市街化調整区域の編入の答弁はなかったですね、ありましたか。
#132
○政府委員(升本達夫君) 四十四年十二月二十二日と申し上げましたのは都市計画区域の指定が行われた時期でございまして、その以後、四十五年の八月二十五日に至りまして、その時点で線引きが行われた。したがいまして、その時点から調整区域ということでございます。
#133
○二宮文造君 それで経過を申し上げてみますと、先ほど言いましたように、四十四年の七月に造成に着手、九月に造成の請負業者が倒産をしまして工事が中断をした。そのときに造成に着手して青田売りをやっているわけですね。四十四年七月に同年の十月三十一日竣工を条件として青田売りをやっている。その青田売りをすると同時に造成に着手をした。ところが、九月に造成請負業者が倒産をして工事が中断をした。四十五年の四月に別の造成請負業者に引き継いで工事を再開した。ところが、四十六年の秋に、この業者も倒産をし、工事が中断をした。しかし、もうすでに土地は売られているわけです。ですから、土地の購入者はその時点ではらはらはらはらしているわけです。しかも、その間に、四十五年の八月二十五日に市街化調整区域、これに編入になってしまった、一層心配が深まってきた。四十七年に、さらに別の造成業者に引き継ぎをして工事を再開した。先ほどお話があったように、四十八年の十月に造成工事が一応完了した。しかし、擁壁補強工事が十分じゃないとかという指摘を受けて、五十年の五月に村並びに県の指導によって造成業者とは別の建設会社が擁壁補強工事に着手をした。そして八月に擁壁補強工事が完了をし、十一月に完成検査を受けた。これで竣工ということになったわけですね。
 そういう状況の中で、都市計画法第三十四条第九号のいわゆる調整区域についての建築の既存権の届け出はなされておりましたか、また、その受理件数はどうであったか、また、その有効期限はどのようにいつまでと決められていたか、この点をまとめてお願いしたい。
#134
○政府委員(宮繁護君) 県からの報告によりますと、この地域は、先ほどもお話が出ましたように、昭和四十五年の八月二十五日に市街化区域・市街化調整区域のいわゆる線引きが行われまして、当該地域は市街化調整区域に定められたわけでございます。建築の既存権の届け出につきましては、六カ月の期間がございますが、その期間内に百七十八件の届け出の受理件数がございます。また、その届け出に基づきまして既存権利の行使は市街化調整区域の決定の日から起算いたしまして五年以内ということでございまして、有効期限は昭和五十年の八月の二十四日ということに相なります。
#135
○二宮文造君 ところが、その有効期限の五十年の八月二十四日までには工事が完成検査を受けてない、どうにもならない。このように相次ぐ造成請負会社の倒産や、あるいは工事をそのまま中断をして放置をする、また造成地が崩壊をする、再造成に着手する、擁壁補強個所の調査とか、あるいは補強方法の検討とか補強工事の実施とか、そして完成検査というような、こういう先ほど申し上げた時間的な経過の中で六年もの歳月が費やされまして、不動産業者から購入者に正式に引き渡されたのは、建築既存権、いわゆる既得権ですね、この有効期限がもうあと十カ月後に迫るという四十九年の十月でございます。まだしかし、その時点では竣工検査は終わっていない。
 こうした状況の中で、当時、埼玉県は土地の購入者に対してどのような指導をなされたと報告がありましたか。
#136
○政府委員(宮繁護君) ただいま御指摘ございましたように、業者が相次いで倒産をし、あるいはまた工事が必ずしも完全でなかったというようなことで、購入されました方は大変御迷惑を受けたようでございます。
 埼玉県及び鳩山村におきましては、昭和四十七年ごろから、これらの造成工事の補強等の指導を事業者に対して行ってきたわけでございますが、都市計画法に基づきます既存権利の有効期限も切迫してきましたので、昭和四十九年の十月ごろから購入者の方々で組織をされております自治会と埼玉県、鳩山村、また当該事業者の四者が再三にわたりまして善後策を協議いたしまして、昭和五十年に入りましてから、団地の自治会長さんを通じまして購入者の方々へ都市計画第第四十三条の建築許可申請書、また同添付書面等の整備につきましていろいろ御相談申し上げ、その不備なものは差しかえるというようなこともやっていただきました。なお、また建築確認の申請書を提出されるようにお話を進めまして、現在に至っておると承知いたしております。
#137
○二宮文造君 時期が悪かったですね、当時は。四十九年の十月といいますと、いわゆるオイルショック、その影響をまともに受けまして住宅の建設諸資材が高騰をする、そういうときでありました。これはもういま思い出せばぞっとするような、また当委員会でもずいぶんそのことで論議が重ねられた思い出があります。で購入者の多くは住宅建設の意思は持っているわけです、だから買ったわけです。竣工をもう待ち望んでいたわけです。ところが、十カ月の短期間のうちに建築を完了しようと、しかもその資材はどんどんどんどん上がっている。資金の調達の面からも、これはもう想像してもすぐわかるように、きわめて困難な、十カ月というタイムリミットは非常に困難な期間であったわけです。
 そこで、購入者としては、何とかしてその建築をしたい、だから指導されたように、おっしゃるような既得権の行使をしたい、こうは思いながら、しかし、また内心では資金をどうしようか、建つだろうか、また建たなかったらどうなるんだろうかという不安に駆られながらも、百十五人の方が東松山土木事務所に対して建築許可申請を行った、このように私ども聞いております。しかし、その中には、かちっとしたものもあったでしょうし、それから内心そういう資金調達の面で非常に不安に駆られながら書類を申請をしたという方もあったんですが、この百十五人の方が建築許可申請を出した結果はどうなりましたか。
#138
○政府委員(宮繁護君) 県からの報告によりますと、既存権の行使の有効期限の前に、都市計画法第四十三条の規定に基づきます建築許可申請が出されました件数は、いまお話がございましたように、百十五件でございました。書類の不備等がございましたために、この不備の訂正とか、あるいはまた建築確認申請の提出等につきましてそれぞれ御指導をし、また御相談をいろいろ申し上げてきたわけでございますが、その結果、建築許可申請は四十件が出てまいりました。これにつきましては開発審査会の同意を得まして建築の許可を行った、こういうふうに承知いたしております。
#139
○二宮文造君 整理しますと、売られた土地が二百十二区画、そしてその建築許可申請を出した方々が百十五件、しかし、書類不備等々の関係で手続がとれなくて開発審査会の同意を得て建築許可を受けたのが四十件。したがって二百十二件のうち百七十二件、もう大多数の、ほとんど全体と言ってもいいぐらいですが、いまの問題にぶつかって非常に困っている。こういう状況をひとつ御承知をいただきたい。
 で建築許可申請に至らなかった人、この百七十二件、いま申し上げた方々を今後行政としてどう措置していくかというのが非常に大事な問題になってくるし、そこで、すでに購入後十年以上も経過して、そして今日なお本当にもう汗とあぶらで購入をしたその自分の土地に家が建てられない、この百七十二件の方は家が建てられない。にもかかわらず、固定資産税は宅地として課税をされる。まさに、申しわけないんですが、弱り目にたたり目といいますか、もうどういうふうに手をつけていいかわからない。恐らく土地を購入された方々の家族の悩みというのは、明けても暮れても、この一点に集中しているだろう、こう思います。
 すでに建築を完了してそこに住んでいる方もいるわけですね。ところが、その居住している方も、周辺が虫食いになっているわけです、これはもうとにかく防犯上戦々恐々とするわけです。これもまた建てている人も困っているわけですね、周囲がそういう状況ですから。衛生上にも防犯上にもまことに好ましくない。
 こういう一連の経過をいま私時間をいただいてずっと申し上げたわけで、これは土地を買って転売をしてもうけようとか、そういう議論をもう通り越した年月、土地の造成がとにかくできなかったわけですから、自分の手に入らなかったわけですから、その間に行政が先行しまして、いや線引きでございますの、建築の既得権でございますの、申請でございますの、建築許可期限でございますのと、行政が先行してしまった。本当に被害者と言えばこれ以上の被害者は私はないと思う。したがって、そういう本人の責任でない、全く私は不可抗力と、こう申し上げてもいい、そういうことで困っていらっしゃるこの百七十二件の方々の今後のあり方について、建築をしたい、そこに住みたいというその方々に対して、やはり行政は特段の配慮をすべきではないか、このように私は考えるんですが、ぜひこれは要望もしたいし、ひとつそのことについて格段の答弁をお願いしたい。
#140
○政府委員(宮繁護君) 本件の処理につきましては、すでに先生からもいろいろ前にも御指摘もございましたし、建設省といたしましても、その対策につき努力をしてきたところでございますけれども、また、地元の埼玉県あるいは鳩山村の行政当局におきましても、土地購入者の方々の救済措置のために種々努力もしてきたところでございます。
 今後のこの御指摘の方々の対処の仕方につきましては、それぞれ具体の事情もいろいろ異なるものと思われますけれども、今後とも、県と十分に協議を進めてまいり、対処していきたいと考えております。
#141
○二宮文造君 官房長、わざわざお忙しい中御出席をいただいたわけですが、いま計画局長が本件の処理について、御指摘の方々の対処の仕方についてはそれぞれいろいろ事情もありましょう、事情も異なると考えられるので、具と協議を進めていきたいという答弁をいただきましたが、確認の意味で、計画局長を無視して申しわけないんですが、せっかくおいでいただいたわけですから、ひとつその姿勢をもう一遍お願いをしたい。
#142
○政府委員(丸山良仁君) ただいま計画局長から御答弁申し上げたとおりでございますが、私も、この件は前任者といたしまして関係があるわけでございまして、関係の皆様方には大変お気の毒だと思っておるわけでございますが、何分にも法律上の制約もございまして、先生の御趣旨のように沿えないことを残念に思っております。しかしながら、われわれといたしましては、できるだけ地元と協議をいたしまして、前向きで処置をいたしたいと考えております。
#143
○二宮文造君 ぜひ進めて解決に至るように、御努力をお願いしたいと思います。官房長、その一言が聞きたくて来てもらったわけです。
 次に、硫黄島の地籍をめぐる問題についてお伺いをしたいと思うわけです。
 この硫黄島の問題につきましては 去る二月二十一日の本委員会において、私は、いわゆる硫黄島問題について質問をし、総合調査団、小笠原諸島振興審議会あるいは同硫黄島問題小委員会等への疎開島民の参加問題、あるいは疎開島民が帰島でき得なかったためにこうむった生活居住権とかあるいは財産権の損失の補償についての検討を行うための委員会の設置、こういうものを要望いたしまして、それぞれ長官から前向きの答弁を得ましたわけです。
 さて、きょうは、地籍をめぐる問題にしぼって順次質問をさしていただきたいと思うんですが、国土地理院の全国都道府県市区町村面積調で硫黄島の面積はどうなっておりますか。
#144
○政府委員(丸山良仁君) 国土地理院の全国都道府県市区町村別面積調の付属資料によりますと、北硫黄島、硫黄島、南硫黄島及びそれらの属島を含む火山列島、いわゆる硫黄列島の面積は全体といたしまして三十一・八三平方キロメートルでございます。そのうち硫黄島の面積は二十二・二六平方キロメートルでございます。
#145
○二宮文造君 その土地の所有区分はどうなっておりましょうか。
#146
○説明員(清水湛君) 硫黄島の土地の登記簿による筆数でございますが、合計六十六筆が民有地ということでございます。それから三十二筆が国有地ということでございます。それから北硫黄島につきましては、民有地が百三十一筆、それから国公有地が一筆という形で登記されております。
#147
○二宮文造君 そうしますと、所有区分の合計とそれから国土地理院が把握している面積との間には差がありますが、これはどう理解したらいいんでしょう。
#148
○説明員(清水湛君) 先ほど申し落としましたけれども、登記簿上の面積を集計いたしますと、硫黄島は七百八十六万三千百五十二平方メートルということになっておりまして、先ほどの国土地理院の面積と比較をいたしますと、相当数の差があるわけでございます。
 この原因につきましては、私ども断定をすることがちょっとできませんけれども、現在、東京法務局で保管しております防衛施設庁が作成いたしました地図等から見ますと、未登記の国有地が相当量存するのではないかというふうに思われます。したがいまして、この未登記の国有地がその差のすべてであるということはちょっとわかりかねますけれども、そういうものが相当大きな原因になっておるのではないかというふうに現在推測いたしております。
#149
○二宮文造君 で、その民有地の所有権者、これはどうでしょう。
#150
○説明員(清水湛君) 登記簿の滅失回復の登記をした時点でございますと、法人を含めまして硫黄島が所有権者が八名、それから北硫黄島が一名というふうに承知いたしております。なお、硫黄島の一名につきましては、相続による共同相続の登記が行われておりまして、現在、六名の共有でございますか、そういう状態になっているわけでございます。
#151
○二宮文造君 これはどなたに答弁いただいたらいいんでしょうか、硫黄島の民有地の所有権者を見ますと八人ですね。いわゆる不在地主というのは、その数はどうなっていましょうか、これはわかりますか、関係のわかるところでお願いしたいんですけれども。
#152
○説明員(清水湛君) 不在地主ということでは私ども把握することができないわけでございますけれども、ただ、滅失回復の登記をしたときの登記簿上の調書と申しますか、滅失回復というのは、要するに昭和十九年の六月に登記簿がなくなりました。そのときの状態で登記簿を回復するということになっております。したがいまして回復された登記の記載の方から見ますと、硫黄島に住所を持っていた方は法人が一つ、個人が一人、その他の者につきましては硫黄島以外に住所があったのではないかというふうに一応推計できるような気がいたすわけでございますけれども、登記簿上の住所と現実の住所というのは間々合わないということがあるわけでございますので、確かなことはちょっと申し上げかねるというところでございます。
#153
○二宮文造君 私の承知しているところでは、ほとんど不在地主であったと、いま法人の住所があったけれども、住所があれば法人がいたということにもなりましょうけれども、実質的にはほとんどいわゆる不在地主として掌握される状況であった、このように私は承知しているわけです。
 ところで、硫黄島におきます強制疎開以前の農地の賃借り権について現在どのような措置がなされておりますか、農林省。
#154
○説明員(若林正俊君) 御説明いたします。
 小笠原諸島の復帰に伴う法令の適用の暫定措置等に関する法律という法律がございます。この法律によりまして、かつての農地の耕作権、賃借権につきましては、その一度消滅をしておりますものについて申し出によりこれを復活する特別の賃借権制度を設けておりまして、これら特別の賃借権は第三者に対する対抗力の付与、解約等につきます制限などの保護を加えております。
#155
○二宮文造君 その特別賃借り権者の数はどうでしょうか。
#156
○説明員(若林正俊君) 東京都の調査によりますと、昭和五十三年十一月八日現在でございますが、この賃借権等の申し出によりまして特別賃借権を得ております人たちは百名というふうに聞いております。
#157
○二宮文造君 硫黄島に限ってですね。
#158
○説明員(若林正俊君) はい。
#159
○二宮文造君 一般的にお伺いしたいんですが、農地改革の当時、一般的に不在地主が所有する小作地についてはどのような措置が講ぜられましたか。よくわかっていることですから、簡単にお願いします。
#160
○説明員(若林正俊君) 旧自作農創設特別措置法第三条の規定に基づきまして、政府は、原則としてそのすべてを買収し、当該小作地を小作農に売り渡すということにいたしました。
#161
○二宮文造君 現行の農地法においては、不在地主が所有する小作地に対する措置はどのようになっておりましょう。
#162
○説明員(若林正俊君) 現行農地法第六条によりまして、不在地主は小作地を所有することができないということになっております。これら小作地につきましては、同法七条に例外措置の場合が設けられておりますが、その場合を除き、一定期間内に小作農に譲渡しない場合には国がこれを買収して、これらの農地を当該小作農等で今後自作農として農業に精進する見込みがある者に売り渡すことになっております。
#163
○二宮文造君 硫黄島の強制疎開された島民の方は、東部落あるいは玉名山部落、南部落、これを第一次開墾予定地とし、西部落、千鳥ケ原部落、摺鉢山部落、これを第二次開墾予定地とするような、いわば帰島してからの開墾計画をすでに作成をしております。したがって疎開島民が特別賃借り権の対象となっている土地を島へ帰って開墾し、農地として回復させたときにおいて、この所有権者が不在の場合、現行農地法上はどう取り扱われますか。
#164
○説明員(若林正俊君) 農地法が施行されました場合には、先ほど御説明いたしましたように、原則として第六条に規定します不在地主の所有制限に該当すると考えられますので、一定期間内にこれら開墾をし耕作をしております特別賃借り権者に譲渡しないときには、国がこれを買収し、農地法三十六条の規定に基づいて適格の小作農の方に売り渡すということに相なると思います。
#165
○二宮文造君 要するに、理解できるところは、疎開島民の方々の小作権はいわゆる特別賃借り権としていま確保されている。そしてその方々の従来の小作権は確保されていて、そしてその方が開墾をし自作農として自立をしていきたいというときには、また、いける状況のときには、それが可能であるという道が開かれている。だから、強制的に疎開された島民の方々の耕作権というのはこのようにいまも生きている、こう理解してよろしいわけですね。生きているという言い方がその答弁から出てくるかどうかわかりませんけれども。
#166
○説明員(若林正俊君) この特別賃借権制度は、耕作することができなくなりました特殊な事情を考慮いたしまして特別に保護をするために設けられました権利でございます。その意味で、御質問がございましたような状況に至りますれば、耕作権として保護が加えられるように、その間も特別の賃借権として保護をしていくという趣旨でございます。
#167
○二宮文造君 現在の硫黄島に係る登記簿は滅失回復されたと、先ほど滅失回復された登記簿によればという御説明がございましたけれども、どのような手続で回復をしたのか。また、その登記簿と本来なら表裏一体であるべきはずの不動産登記法第十七条に規定するいわゆる十七条地図、これはどうなっておりましょうか。
 あわせて、いま申し上げました略して十七条地図と申しますが、普通これを公図、公図と言われていると思うんですけれども、十七条地図の要件、これを概略御説明いただきたい。
#168
○説明員(清水湛君) 戦前、硫黄島を含む小笠原諸島の土地登記というのは、父島に登記所がございまして、そこで管轄をしていたわけでございますが、昭和十九年の六月十五日の戦災によりすべて滅失したわけでございます。そこで、小笠原諸島の施政権が返還されたということに伴いまして、これらの登記簿を至急に調製する必要が生じたということから、不動産登記法の二十三条の規定に基づきまして、昭和四十三年六月二十六日、法務省告示第一千三十三号をもちまして滅失回復登記の告示をしたわけでございます。この告示によりまして、滅失した登記簿に登記を受けていた者等は、従前の登記簿における順位を保全するため、昭和四十三年六月二十六日から同年十二月二十五日までの間に登記の回復の申請をするということになったわけでございます。そういうような手続が踏まれまして、小笠原諸島、硫黄島も含めまして登記の回復手続が行われました。現在、硫黄島、北硫黄島でこの回復登記後若干の分筆もございますけれども、登記されておるものは合計二百三十一筆であるということになるわけでございます。
 次に、この法十七条の地図ということでございますが、仰せのとおり、不動産登記法の十七条の規定によりますと、「登記所ニ地図及ビ建物所在図ヲ備フ」ということになっているわけでございます。この地図としてどういうものを考えるかということは、それ自体一つの問題でございますけれども、御承知のように、現在、登記所には明治の初期に作成されました土地台帳附属地図と言われているものがございます。しかし、この土地台帳附属地図というものが、非常に当時の測量技術とかあるいは測量体制等が不備であるということもありまして、現地と合わないものが多々あるというのが実態でございます。そういうものを公図と俗に私どもは呼んでいるわけでございますが、そういう公図に基づきまして、現在、不動産登記事務は実質的に行われておるという実情にございます。しかしながら、そういう公図は精度が一般的には低いということから、厳格な意味での不動産登記法十七条の地図であるというふうには考えていないわけでございます。
 そこで、十七条の地図としてはどういう要件を満たすものでなければならないかということが問題になるわけでございますが、私どもといたしましては、一応十七条の地図と言われるためには、測量法等の規定に基づくいわば基本測量の成果であるところの国家三角点、国家基準点というものとの関連づけがされた一筆ごとの位置が明らかにされているもの、そういうものを十七条の地図と考えているわけでございます。そういう意味で、現在、登記所に保管されています多くのいわゆる公図というのは十七条の地図としての扱いを受けていないという結果になっております。
 ところで、その硫黄島地域における地図がどうなっているかということでございますけれども、この点につきましては、小笠原諸島復帰後間もなく問題になったわけでございますけれども、防衛施設庁の方でこの地図をおつくりになるということでございましたので、法務省もこれに積極的に協力いたしまして、防衛施設庁の方でおつくりになった地図が昭和四十九年三月に東京法務局の方に送付されておりますので、それに基づいて不動産登記事務を取り扱っておるという実情に現在ございます。
#169
○二宮文造君 ちょっといま耳に立つようなことが一つあったんですが、防衛施設庁が地図をつくるときに、法務省が積極的に協力をして防衛施設庁がおつくりになったと、こういういかにも法務省の了解のもとに、言ってみるならば、十七条地図とは言いませんけれども、それに準ずるというような序列を与えるかのような御発言がありましたが、法務省が積極的に協力をしたというのはどういう協力をなすったのか。
#170
○説明員(清水湛君) 積極的にというちょっと主観が入る言葉が入ってちょっと誤解を招いたかと思いますが、その点申しわけございませんけれども、硫黄島地域における土地登記簿は回復されましても、具体的にその土地がどこにあるかということはかいもく見当がつかないという客観的な状況であったわけでございます。そこで、私どもの方でもいろいろ苦慮していたわけでございますけれども、防衛施設庁の方から、いろいろの土地を買収する等の必要があるいはあったのだろうと私思うのでありますけれども、昭和四十七年ごろ、私どもの方にいろいろな御相談がございまして、地図をつくる場合にどういう点に気をつけたらよろしいかというような趣旨の御相談であったというふうに考えておりますが、そういうようなお話がございまして、それに応じまして、私どもの方でも、いろんなアドバイスと申しますか意見を申し上げたという趣旨でございます。それからまた地図を作成する過程におきましても、前後二回にわたりまして、東京法務局の職員が現地に臨みましていろんな実情を調査するとともに、御意見を申し上げるというようなこともあったと、そういう意味で協力を申し上げたということでございます。
#171
○二宮文造君 では、いわゆる東京防衛施設局でおつくりになった地図、これは公開ですか、非公開ですか。
#172
○説明員(清水湛君) 地図の作成経緯等に若干の問題がないわけではございませんけれども、私ども、地図の閲覧の請求がございますれば、これに応じたいというふうに考えております。
#173
○二宮文造君 いままで相談があれば公開にするんですか、応ずるんですか、もう一度確認します。
#174
○説明員(清水湛君) 東京法務局の方にいろいろ問い合わせたわけでございますけれども、正確な意味での閲覧請求というのはいままでないというようなお話でございましたが、あるいはいろいろの関係で地図を見せてほしいというような相談的な申し出はあったかもしれません。しかし、私どもといたしましては、この地域における唯一の図面でございますので、請求があれば、これに応ずるという考えでおります。
#175
○二宮文造君 強制疎開された島民の方が何度もこれを要求をしたんです。ところが非公開だった。私は非公開の措置をとってきた法務省の態度は正しかったと思うのです。いま施設局がつくったこの地図を要請に応じて公開をしますと、いわゆる公に開くわけですから権威を持たします。権威を持たしますと、実情と違いますから、これは今度は法の権威を疑われることになりますからね。これは要請に応じて公開をするというような姿勢ではなくて、これは不十分なものであるという理解のもとに、やはり非公開の措置をおとりになることが正しいやり方ではないか、こう思いますが、重ねて答弁いただきたい。
#176
○説明員(清水湛君) 私どもも、この地図でもう絶対正確に現地が反映されておるという意味での自信があるかと問われますと、それはないというふうに言わざるを得ない面があるわけでございますけども、そういう意味で、もし閲覧させるというような場合には、地図の性格とか作成の経緯とか、そういうものを十分よく理解いただいた上で、閲覧させるとすればするというようなことを実は考えているわけでございます。先生御指摘のようないろいろな問題もあろうかと思いますので、その辺は十分留意いたしたいと考えております。
#177
○二宮文造君 私の趣旨が十分おわかりいただいていないんじゃないかと思うのですが、いわゆるいま施設局がおつくりになった地図、これは、後聞いていただけばわかると思いますが、非常に不十分である。したがって、これを公開しますと、幾ら前段に条件をつけて説明をしても、公開すると、公開したものそのものが権威づけられてしまう。そうしますと、後でどうせ公図はつくらなきゃならないわけです。私、公図公図と言いますが、十七条地図、これはいずれつくらなきゃならぬ。これともう大変な食い違いになってくる。そうすると誤ったものが先行する。それで後で手直しをするということになると、きわめてまずい結果になるので、要請に応じてそういう説明をして公開をするという態度ではなくて、従来どおり、非公開、不十分なものであるという理解をお持ちになる方が正しいんではないか、こう申し上げているわけです。便宜的に関係者に見せるというのは、地図と名前がつく以上は、便宜的な取り扱いはなさらない方がいい、こう思うんです。これは押し問答になりますから、十分にそのことを御了解いただきたいと思うんです。これは私の一方的な発言にとめておきます。せっかく言ってきたことですから、違ったことも言えないでしょうから。
 実は、あなたの前任者になるわけでありますけれども、前々任者になるかもわかりませんが、当時、その東京防衛施設局から疎開島民に対して説明がされているわけです。法務省で公図を作成するようになり、公図ができ上がるのは四十八年九月末から十月初旬ごろになる、こういうふうに施設局は島民の皆さんに説明をして、いわば権威のある法務省をバックにした地図を施設局がつくろうとしているかのような発言があったわけですが、いまおっしゃったような法務省の何といいますか、お手伝い式な御協力によって施設局の地図はできたんですが、これは、そういうふうに公図の作成をする、で法務省をバックにしてやる、こういうふうに説明をされたものと同じ程度に法務省は理解しておりますか、先ほどの要件とは大分外れておりますが。
#178
○説明員(清水湛君) お尋ねの中に、法務省で公図を作成するというお言葉があったわけでございますけれども、法務省が独自に公図を作成するというようなことを法務省が対外的に明らかにしたということはないと思います。先ほどもちょっと申し上げましたけれども、防衛施設局の方からいろいろ御相談がございまして、地図の要件あるいはその他につきましていろいろな御意見を申し上げたという事実はございます。また、現場に立ち会って調査をしてみたこともあるというようなこともございます。そういう事実を申し上げたわけでございます。
#179
○二宮文造君 で、この地図の作成の当時にさかのぼってひとつ質問を続けていきたいと思うんです。
 東京防衛施設局は地図の作成に当たって、どういう作成の仕方をされたのか、今度は施設庁の方からお伺いをしたい。
#180
○説明員(大迫公克君) お答えいたします。
 硫黄島に所在いたしまする提供施設区域と自衛隊の施設用地の賃貸借契約及び売買契約のために民有地の各筆の土地の位置境界を正確に把握する必要がございまして調べたのでございますが、硫黄島につきましては、土地の位置関係を示すものは東京都がお持ちになっておりました名寄せ帳の付図しかございませんでした。このために私どもといたしましては、正確な地図をつくる必要から、ただいま法務省の方からお話がございましたように、法務省の方と御相談申し上げまして、当庁が法務省の御協力を得て登記事務の処理に役立つ地図を作成することになりました。
 昭和四十八年の六月一日から測量工事を実施いたしまして、四十八年の七月九日から十一日の間、土地所有者の現地立ち会いを受けまして、四十九年の一月十六日に測量工事の完成品ができ上がりました。こういう経過でございます。
#181
○二宮文造君 そこで、その土地の所有者の立ち会いのもとにとおっしゃいましたね。ところが、先ほどのいわゆる滅失登記簿によりますと、個人、法人を合わせて八名の土地所有者がいるけれども、不在地主であった。よろしいか、不在地主であった。ということは、地形は全く変わっております、変わっておりますが、摺鉢山だとかあるいは島のあらゆるところにまだ面影はありますから、それを点と線を結んで、特別賃借り権者であればここがという推測はつきましょうが、不在地主で全くかつての原形も御存じのない方が立ち会われて、どれだけの正確な、いわゆるその土地の所有権を決定するようなそういう地図ができるとお考えになりますか。とてもじゃないけれども、土地の様子を全く知らぬ人が、施設局やあるいは法務省の方も手伝ったと言っておりますが、立ち会ってどんな地図ができるのですか。
#182
○説明員(大迫公克君) 私ども、硫黄島に所在しております防衛施設の用地を賃借するに当たりまして、土地登記簿によりまして特別賃借権者を確認することができませんでございましたために、関係の土地の所有者の方々から特別賃借権者の有無を確かめざるを得ないという状況でございました。こういう事情から、私どもは、土地所有者のお立ち会いを求めて測量工事に入り、現地の立ち会いもお願いしたという状況でございます。
#183
○二宮文造君 あのね、先ほど農林省の農政課長の御説明をお聞きになっていただいたと思うんですが、特別賃借り権者については、四十四年の六月二十六日から四十五年の六月二十五日間に土地の所有者に対して耕作目的での賃借りの申し出をすることができて、そしてそれを六十日以内に土地の所有者が拒絶をしない限りは申し入れを承諾したものと認める、そういうふうな法の手続を経て、特別賃借り権者は五十三年現在百名の者が明確に権利を保有されている。いまおっしゃった、四十八年の六月に現地で調査をするに当たって特別賃借り権者がわからなかったというのは、これは私はわからなかったのではなくて、こういう方々を参加させるつもりがなかった、こう――まあこれは悪い考え方です、悪い考え方ですが、引っ張ってみれば、そういうふうな見方もできる。
 要するに、施設局は、当時、土地の状況を一番御存じなその当時の小作者、いまで言う特別賃借り権者、これを全く無視したんじゃないですか、そうとしか言えないじゃありませんか。そういう状況でできた地図には信憑性がない、こういう結果になってくるわけです。いかがでしょう。
#184
○説明員(大迫公克君) 各筆の土地の位置境界が測量のために必要でございますが、土地の所有権の及ぶ場所と範囲をそれによって定められるということで、土地の所有者の最もかかわり合いのある事柄でございますので、そういった観点から土地の所有者の確認を得て立ち会いをしていただいたということでございます。
   〔理事茜ケ久保重光君退席、委員長着席〕
#185
○二宮文造君 先ほどおっしゃった特別権者がわからなかったという御説明が全くない。わからなかったので土地の所有者に来てもらったという先ほどの御答弁との関連性においての答弁がない。
#186
○説明員(大迫公克君) 先ほどの答弁は多少行き過ぎた点がございましたと思いますが、土地の特別賃借権者の有無、おいでになる方以外に、むしろ私どもでは、実際の土地の所有者のお立ち会いを求めるのが一番よろしいんではないかということで、測量に際しまして現地においで願って確認をしたということでございます。
#187
○二宮文造君 再三私が指摘したように、土地の所有者は現地の事情を全く御存じない。そういう方々を立ち会いとして作成をした地図は、ちょっと手続に不備があったと、こういうお感じをいま持ちませんか、るるその事情は説明したんですから。
#188
○説明員(大迫公克君) 硫黄島は非常に先生御承知のように激しい戦火にさらされたところで、以前位置境界を今日再現するというのは非常にむずかしいところではないかと考えております。当庁としては、そういった状態のもとで現地測量をいたしたものでございますが、そのときの立ち会いにつきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、土地の所有者の方のお立ち会いを求めるのが一番よろしいんではないかと考えて……
#189
○二宮文造君 当時はそれでよろしい、いま振り返って。
#190
○説明員(大迫公克君) 現在は、土地所有者の方といわゆる旧小作人の方々との間でいろいろお話し合いがあるものとは思いますが、先ほど法務省さんがお話しになりました私どもでつくりました地図自体について、どのくらい御認識があるかわかりませんので、どういうお考えをしているか現在のところ私どもではちょっと判断をしかねる問題ではございますが、必要ならば、私どもでも、法務省さんの先ほどの御答弁のように、現在写しがございます図面を見ていただこうかという考え方もいたしてはおったところでございます。
#191
○二宮文造君 私が質問したのは、端的に、現地の事情のわからない土地の所有者が立ち会っておつくりになった局の地図ですね、これは当時はそれでやむを得なかった、こうお考えであったと、これはもう一歩譲ってそう認めます。私は、本来なら、先ほど指摘したように、特別賃借り権者というのはもうちゃんといたわけですから、本当に施設局が努力をしようと思えば可能であった、しかし、その手続をされなかった、やむを得なかったとしましょう。しかし、今日、いまこのように私の方で指摘をして、ああそう言えばあの当時に特別賃借り権者を参加させて、より信憑性のあるものをつくっておけばよかったなと、こういうお考えにはなりませんか、現在の時点で。
#192
○説明員(大迫公克君) 御指摘のとおりだろうと思います。
#193
○二宮文造君 それで、実は、特別賃借り権者の方には再三施設局が説明しているんです、その当時から説明しているんです。今度は土地の所有者だけだと、別の日程で現地測量に参加させるという約束を施設庁はされたんです。今日までその約束を履行されてない。ですから、これはどうも不在地主に有利なように施設庁がそれに手をかしたんじゃないか、こういう憶測さえも出てくる。ない腹を探られるということにもなりましょうけれども、そういう見方も一方では出てくるわけです。
 で問題なのは、そういうふうな経過の中で作成された地図をもとにして――私はもう地図とは言いたくない、そういう図面をもとにして、現在、防衛施設庁は海上自衛隊、ロラン基地もありますが、等の基地の賃借り料を支払っているわけなんです。もとが明確でない、もとが不十分なものを根拠にして国民の血税である基地のいわゆる賃借料を支払っている。そこで、その支払い方法はどうなっていますか、また、支払いの相手先はどうなっておりますか。
#194
○説明員(大迫公克君) 昭和五十四年度の賃借料の支払いについてお話し申し上げますが、支払い件数、支払い額につきましては、駐留軍関係の硫黄島通信所は八件でございまして約三千百万円。自衛隊関連の硫黄島航空基地につきましては四件の約二千八百万円。
 支払いの方法でございますが、特別賃借権が設定されていない土地につきましては、その土地の所有者と賃貸借契約を締結の上、土地所有者に支払っております。また、特別賃借権の設定されている土地につきましては、当該特別賃借権者の承諾を得た土地所有者と賃貸借契約を締結の上に土地所有者に支払っているという状況でございます。
#195
○二宮文造君 その特別賃借り権者の承諾書が問題なんです。よろしいか、承諾書を取っているから、その特別賃借り権者のいわゆる基地使用の了解を得ているという言い分なんですが、確かに承諾書は取っております。承諾書は取っておりますが、その書き込まれている面積は施設庁が押しつけているんですよ。賃借り権者の方は、自分たちは現地を見てないんです、どこをどういうふうに使われているかわからない。ただ、あなたの方で作成をされた地図について――地図じゃない、図面について、それから割り出して、あなたのところは何ヘクタール、これだけですからというんで判を押させている。見てないんです、現地はわからないんです。それはどうでしょうか、それが承諾書になりましょうか。まるで天下りの押しつけのようなやり方じゃないんでしょうか。
 先ほどの図面の作成が賃借り権者が入っての作成ならば私はこういう論法は出てこない。だけれども、オミットされているわけですから、しかも数字は施設庁が示したとおりの数字、これを押しつけられているんですが、この辺はどう理解されますか。しかも、その図面というのはいままで非公開であった。見せてくれと言ったって見せられなかった。こういう取り扱いでいいんでしょうか。しかも、その財源は国民の血税です。
#196
○説明員(大迫公克君) 私どもの作成しました図面、地図……
#197
○二宮文造君 図面と言ってください。
#198
○説明員(大迫公克君) 図面につきましては、いろいろ御指摘がございますが、私どもでは現状で一番信頼できる図面ではないかというふうに考えておりまして、それに基づいて土地所有者の方と特別賃借権者の方とお話をされて、承諾書を土地所有者がお取りになり、土地所有者から私どもに契約締結の申し出があるというかっこうでいまのところ特に大きな問題はないというふうに考えてまいったものでございます。
#199
○二宮文造君 非常に苦しいんで申しわけないんですけれどもね、あなたがやったわけじゃないんでね、本当に申しわけないんですけれども。
 この基地の使用料が改定になったときに、これだけ改定になりましたということを、施設庁の方から、承諾書の出ている特別賃借り権者のところにも通知はなされていますか。
#200
○説明員(大迫公克君) 私どもで御通知申し上げておりますのは、土地所有者の方だけでございます。
#201
○二宮文造君 ならば、どうして賃借り権者の承諾書をお取りになるんですか。
#202
○説明員(大迫公克君) 賃借権者からお申し出があれば、どの程度の面積とそれからその平米当たりの単価等はお教えしようというふうには考えておりますが、現在、私どもでとっております措置は土地所有者の方に通知するという手段だけでございます。
#203
○二宮文造君 お申し出しなくたって本人は知っていますよ。だって自分で平米を書いたやつに判を押しているんですから。自分の権利はこれだけというのは知っていますよ。ただ、施設庁が何のために承諾書をお取りになったんですか。承諾書を取ったなら、その賃借り料が改定になったときはやはりその関係者に通知をするのがより親切な行政じゃないんでしょうか、これは手落ちじゃありませんか。
#204
○説明員(大迫公克君) 私どもでは、土地所有者の方に御通知申し上げておりますので、土地所有者の方から承諾書を取られた方々にいろんなお話が当然あるものというふうに考えておりました。
#205
○二宮文造君 じゃ、その所有者が特別賃借り権者にそういう連絡をしたという確認はされましたか。当然あるものだと考えていた、なら確認はされましたか、所有者に対して。
#206
○説明員(大迫公克君) 土地所有者の方が特別賃借権者にお話しになっているということの確認ですね、それは局の方が聞いているというふうに承知しております。
#207
○二宮文造君 とにかく、ずっと経過を考えてみますと、いわゆる従来の小作の方、一番土地に愛着を持ち、一番苦労をし、一番いま島へ帰れなくて困っている人があらゆる状態の中でつんぼさじきに追い込まれていたというような状況になるんではないかと思うんです。
 そこで、この賃借り料、これは先ほどは地主、所有者に支払われて、所有者から特別賃借り権者との間で話し合いをして配分をしているというふうに恐らく御理解されているんだろうと思うんですが、どういう割合で配分されているか、これはどうでしょう。
#208
○説明員(大迫公克君) 配分の率につきましては、土地所有者の方と特別賃借権者との間で決められるべき問題というふうに考えておりまして、私どもは、これには関与する立場にはないというふうに考えております。
#209
○二宮文造君 これはもう施設庁のやっていることは、いわゆる自作農創設のための戦後の農地改革あるいは現在の農地法上のいわゆる小作権者の保護という問題と全く関係なしに作業が進められている。農地の権利関係というのは、おっしゃるようなそんな簡単な、地主の権利だけのものじゃありませんよ。私どもの子供のころにも小作争議というのは本当に各地に続発をしておりましたけれども、農地にかかわる権利というのはおっしゃるようなものではない。そんな単純なものではない。
 それは弱い者いじめにつながるような施設庁のやり方ですから、これは地主に支払ってそして間接に特別権者の方に渡っていく現在の方式を改めて、やっぱり施設庁の方から賃借り権者の方にまで直接渡っていくように支払い方式を改めるべきだ、これが農地法の精神にのっとったやり方だと私は思いますが、この点いかがですか、改める意思はありませんか。
#210
○説明員(大迫公克君) ただいま先生がおっしゃいました直接契約の方法でございますが、私どもでは、特別賃借権者が小笠原諸島の復帰に伴う法令の適用の暫定措置等に関する法律の第十四条の規定に基づきまして、その土地を転貸するということで東京都知事の許可を受け、かつ土地所有者の同意がございますれば、特別賃借権者と転貸借契約を締結することができるというふうに考えております。
#211
○二宮文造君 できるではなくて、土地所有権者を説得して、そういう方式に改められるべきだと思うんです。
 なぜかといいますと、この配分比率が五対五なんです。不在地主が五、汗みずたらして一生懸命小作をしてきた人が五。ところが、私の聞いたところによりますと、島にいた当時、いわゆる小作契約を結びました。その小作料というのはサトウキビの場合は二割、コカの場合が三割、こういう小作料で小作契約を締結して営々辛苦して耕作をされておった。そういう経過があるにもかかわらず、あの例の三十七年ですか、米軍の六百万ドルの支払いのときに、その配分をめぐって地主と疎開島民の方々とが意見が対立をした。地主は生活に困らない、疎開島民の方は何で生活していいかわからないからお金が欲しい。その弱みにつけ込んで五対五という泣く泣くのあれができた。それが今日基地の使用料にもずっと響いてきて、この小作契約を無視したようなやり方で使用料が配分されている。
 こういう状況を私は申し上げて、ぜひともこの配分方式についても施設庁は指導すべきであるし、また、不在地主にとっては硫黄島はふるさとじゃないんです、自分の持っている土地の一部なんです。疎開島民にとってはこの土地、この硫黄島は自分のふるさとなんです。そのふるさとを持ちながら国の事情によって帰れない。伝えられるところによると、永久に帰れないんじゃないか、自衛隊の基地になってしまうんじゃないか、基地にするために帰さないんじゃないか、こういうふうなことが先行しているわけです。もう弱い者いじめもいいかげんにして、こういうときにこそ行政がリードをすべきだと私は思うんですが、この点はいかがでしょうか。
#212
○説明員(大迫公克君) 特別賃借権者との直接契約と申しましょうか、それにつきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、条件を整えていただければ契約できる、契約可能であるというふうに考えております。ひとつよろしくお願いいたします。
#213
○二宮文造君 いや、そんなことじゃいけません、関係者は利害が対立しますもの。利害が対立するのにどうして地主の了解がとれますか。それは支払いをする行政の方でやっぱりそういう指導をしなきゃいけないでしょう。
 私は、小作契約の問題とか、それからまた土地に対する熱意の問題とか愛着の問題とか、従来の経過をるる申し上げたわけです、いまの配分方式は間違いであると。じゃ一歩譲って、話し合いができるように施設庁が努力をされますかどうか、これをお願いしたい。
#214
○説明員(大迫公克君) 先生のいまのお話の御趣旨を踏まえて、一応、鋭意前向きで検討さしていただきます。
#215
○二宮文造君 この前向きは、答弁用語の前向きとは私は受け取りません。これはぜひ実現をする、名実ともに前向きの姿勢を持って取り組んでいただきたいと思うわけです。
 これは、長官、大変申しわけないんですが、いまのことについても、直接のあれじゃございませんけれども、やっぱり防衛庁長官とも、こんな話があったぞと、ひとつ閣議の後ででもお話をしていただいて、これは姿勢を改めるべきではないだろうかという助言をお願いしたい。
 同時に、基地に係る賃借り料の支払いに関連してちょっと申し上げたいんですが、この支払いに該当しない疎開島民に対する措置について、東京都議会で、五十四年の七月十四日付で意見書が提出されております。やはり基地の賃借料をもらっていない疎開島民についても何らかの配慮をすべきではないかという、そういうものが出ておりますが、これは内閣総理大臣、大蔵大臣、自治大臣、国土庁長官とそれぞれにあてて出ておりますが、この点をひとつどう理解されるか、これは方向性だけで結構でございます。
#216
○国務大臣(園田清充君) いま先生の御指摘を聞きながら、硫黄島自体が持つ戦後の処理が完全に終わっていないということを私もしみじみと感じておるわけでございますが、国土庁といたしましても、これは前回御答弁申し上げたとおり、五十五年度いまお願いをしておる予算の中で、四千六百万調査費をつけまして、硫黄島の自然的な条件、それからいま指摘があったように、帰ろうという方が定住可能かどうかという問題等にひとつ立ち入って調査、検討を進めてまいりたい、こう考えております。
 あわせまして、防衛庁長官にはいまの御質疑のあった点については、私から十二分に伝えて、ひとつ防衛施設庁自体の努力もまた促してまいりたいと思いますし、かつ、私どもの調査の結果を踏まえまして、そしてこの島民の方々にどう対応したらいいのかということ、いまの定住問題を含めて、検討さしていただきたい、こう思っております。
#217
○二宮文造君 硫黄島問題を離れますが、関連しまして、二点、質疑の時間があと二分に足りませんが、わが国の領土の中で、先ほど言いました十七条地図、通称公図と言われているものですが、整備されていない面積はどのぐらいあるのか、また未整備の分布並びに未整備の理由です。これはおおむねどうなっているのかということを法務省の方から伺いたいし、また、いま指摘をしました十七条地図の未整備地域の地籍調査を急ぐべきだ、こう考えますが、この二点について、それぞれ御答弁いただきたい。いただいて終わりにしたいと思います。
#218
○説明員(清水湛君) お答え申し上げます。
 先ほど法十七条の地図としてどういうものを考えておるかという御質問がございまして御答弁申し上げたところでございますが、私ども、やはり地図と言う以上、現況が変わりましても、その地図に基づいてある程度現地を復元することができるというような精度の高い地図でなければならない……
#219
○二宮文造君 そんなことを聞いていないじゃないですか、いま。
#220
○説明員(清水湛君) というふうに考えております。
#221
○二宮文造君 質問に答えてください。余分なことを言うと、また私はあなたに質問しなければならない。
#222
○説明員(清水湛君) そういうような意味での法十七条の地図というのは、私どもといたしましては、現在、国調の成果として送られてくる地籍図がまさに法十七条の地図に該当するというふうに考えております。
 そういう意味で、これまで登記所の方に送付されております国土調査の地籍図は約百万枚でございまして、その面積が五万一千平方キロ程度に達しております。また、そのほかに、土地改良、土地区画整理等の図面があるわけでございますが、これは面積的にはごくわずかという状況でございます。したがいまして国調の地籍図が送られてきた地域以外のほとんどの地域はまだ法十七条の地図が整備されていない。そのかわりに、明治初期につくられました土地台帳附属地図がそれに準ずるものとして取り扱われているという状況にあるというふうに申し上げて差し支えないのではないかと思います。
 したがいまして、今後、厳格な意味での法十七条地図をどうやって整備していくかということになるわけでございますが、この点につきましては、国土調査法に基づく地籍調査事業が推進されまして、その地籍図が送られてくるということを、私どもは、現在、期待しておるという状況でございます。
#223
○政府委員(山岡一男君) 法十七条の地図の未整備地域、さらには公図のない地域等につきまして地籍調査を実施する必要性は非常に高いと考えております。しかし、大変うらはらの話でございますけれども、実は、国土調査法に基づきます地籍調査につきましては、いわゆる形成権をもって所有権を確定するというものではございませんで、定められた所有権等につきまして決まったものを確認的に青写真にしていくというものでございますので、大変むずかしい面がそういうところにはあるわけでございます。しかしながら、そういうような問題につきまして必要性は十分あるわけでございますので、いろんな工夫をしながら、そういう面については急ぐべきであろうというふうに考えて努力をしたいと思っております。
#224
○国務大臣(園田清充君) いま恐らく先生の御趣旨の中には、硫黄島の問題も速やかに調査をやれということの御趣旨ではないかと、こう思います。そこで、いま局長から御答弁申し上げましたとおり、ひとつなるだけ御期待に沿うように、私どもは、調査をしながら、可能な段階においてひとついまの地籍調査の問題にも立ち入って取り組んでまいりたいと考えておりますので、ひとつよろしくお願いいたします。
#225
○二宮文造君 法務省の課長さん、あなたの御意見、大変施設庁をバックアップする意味でお話しになった、いまの答弁の前段のところは、私は、ない方がいいんじゃないかと思うのです。それですれ違いになりますから、答弁は要りません。
 ただ、当面の施設庁の方で、私が図面と言うと、あえて図面というふうに説明されるのは、やはり、経過を私が申し上げて、やり方の手続は施設庁がよく知っているわけですから、私が申し上げたことと施設庁がやったこととの間で確かに手落ちがあるということをお認めになった上で図面とおっしゃっているわけですから、この辺のことはよくわかってやってください。
#226
○説明員(清水湛君) 私、若干誤解をしまして一般的な法十七条の地図の要件を申し上げたのでございますが、硫黄島地域の地籍図がいわゆる法十七条の地図であるということを申し上げておるわけでございませんので、ちょっと……。
#227
○二宮文造君 了解しました。
#228
○上田耕一郎君 私は、国土調査促進特別措置法の改正案の問題と硫黄島問題と二つの問題について質問をしたいと思います。
 まず、国土調査促進特別措置法の改正問題について、共産党の態度について申し上げておきたいと思いますが、これは議員立法ですけれども、わが党は、立法時には反対したんです。それは昭和二十六年に親法である国土調査法ができて、昭和三十七年にこの促進特別措置法が議員立法で提案されたわけですね。当時、私どもは、親法の国土調査法の第一条の「(目的」)には「この法律は、国土の開発及び保全並びにその利用の高度化に資するとともに、」という目的があったにもかかわらず、促進特別措置法の方からは「保全」という言葉が抜けたわけです。で、これは非常にわれわれは重大な問題だと。昭和三十七年に新産都市法が成立するわけですけれども、新産都市法その他を初めとする大企業本位の乱開発のための国土調査に使われる危険があるということで、この保全の問題が抜かれた問題、そういう危険があると、実際に新産都市その他の開発計画がその後前面に出たわけですけれども、そういう面で、私どもは、調査そのものには全く反対じゃないんだけれども、反対の立場をとりました。
 しかし、その後、日本全体でこの国土の乱開発問題、環境問題が大きな問題になってくると同時に、国民の環境を守る運動なども発展していくということで、しかも調査の実態の点では、国並びに都道府県、市町村、土地改良区などが公共事業などの必要に応じて進めていっているという状況も生まれてきて、調査が一方的に大企業の乱開発、こういうものに利用されている危険というのは、その後、ある程度抑制されてきているという状況がありました。そこで、前回、昭和四十五年に期間延長としての法改正が出たときには、共産党としては、賛成するという態度をとったわけです。しかし、その後の実施状況を見ますと、やはりまだまだ問題はあると考えているんです。
 きょう、午後、同僚委員からさまざまな問題についての質問がありました。調査の目的及び進捗状況についてもお答えがありましたが、二十万分の一については、もう一〇〇%完了というふうになっておりますが、実際にこの調査を利用し活用に供するということになると、五万分の一とか五千分の一、あるいは二千五百分の一が必要になってくるということですので、まず、五万分の一とそれから二千五百分の一、五千分の一、市町村が実施しているものですね、これらについてだけの進捗状況、今後の見通し、これをお伺いしておきたいと思います。
#229
○政府委員(山岡一男君) 土地分類基本調査でございますけれども、国が行います縮尺五万分の一の土地分類基本調査と、先生おっしゃいました都道府県が行います土地分類基本調査がございます。
 国が行います縮尺五万分の一の土地分類基本調査は、同調査の基準設定を目標といたしまして、国の機関が直接に実施するということでやったものでございまして、昭和二十九年度から全国の代表的地域につきまして昭和五十三年度まで計画を立てまして、調査を実施し、予定地域の全域を完了いたしております。
 全体で五十三地域であったと思います。
 それから都道府県が行います土地分類基本調査につきましては、新全国総合開発計画等の各種開発保全計画の策定の基礎とするということをねらいといたしまして、昭和四十五年度から第二次の国土調査十カ年計画の中において、新たに国土調査として実施をするということになったものでございます。同計画におきまして、計画事業量といたしましては、都道府県における主要な開発地域を対象といたしまして、全国十二万平方キロとしたわけでございます。昭和五十四年度までには、計画期間中に、その全量を実施する予定でございます。
 第三次の十カ年計画におきましては、全国の土地利用が可能な地域、言葉をかえて申しますと、人工林の植栽が可能な地域というようなものにつきまして、大体二十八万平方キロというのが当面のわれわれの対象面積というふうに考えたわけでございますが、現在までの実績と合わせまして、残りをすべてこの第三次の間に終了いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
#230
○上田耕一郎君 市町村の二千五百分の一、五千分の一ですね、これについての現状と今後の見通しですね。先ほど、今後の計画というのは、はっきり具体的には第三次にも立ててないと言われましたけれども、その点を含めてお答え願います。
#231
○政府委員(山岡一男君) 土地分類調査の中の細部調査、いわゆる市町村が行うものでございますが、第一次国土調査事業十カ年計画によりまして、昭和三十九年度から実施をいたしました。計画量二千五百平方キロメートルに対しまして、実績は三百六十平方キロにとどまりました。昭和四十五年度を初年度といたします現行十カ年計画では、計画量二千五百平方キロメートルといたしましたけれども、達成率は約四〇%、約一千平方キロにとどまる見込みでございます。現在までのところ、トータルいたしまして、千三百六十平方キロメートルが実施済みということになっております。第三次国土調査事業十カ年計画におきましても、今回は、定住構想等の実現のために、熟度の高いものから逐次実施をしていくべきじゃないかと考えておりますけれども、その計画量につきましては、今後、法律施行後、国土利用審議会等に相談するわけでございますが、現在、私ども念頭に置いておりますのは、いままでよりも相当ふやしまして、五千平方キロメートルぐらいというのが一応のめどというふうに考えております。先ほど申し上げましたとおり、全体でどれだけやるのか、十年間で言えば、そういうようなめどをつくりましたけれども、どういう地域を優先してやるかということにつきましては、今後の熟度によってやるしかないだろうというふうに考えておるわけでございます。
#232
○上田耕一郎君 進捗度の地図を見ますと、五万分の一のこれは色でいただいたものに出ていますけれども、先ほど私が指摘しましたように、そういう全国総合開発計画の計画に従ってやっている、たとえば新産都市十五都市を見ますと、富山、松本を除いて、新産都市のところは全部済んでいるということで、そういう開発計画そのものに沿って行われた面があったということは、事実、この進捗度の地図を見ても明らかだと思う。
 ところで、開発、公共事業その他に利用するという点になりますと、この地図を見ると、いわゆる地方ですね、農村地域なんかもかなりやっているところがあるのですけれども、肝心の三大都市圏については意外に進んでいないという面があるのですね。五万分の一については今後十年間で進めると言われるけれども、市町村の細部調査については五千平方キロと、大体それがめどだと言われるのだが、三大都市圏のこの細部調査ですね、これはこの地図を見てもおくれているので、今後、計画の中で、もう少し比重を置いた計画を立てるべきではないかと考えますが、いかがでしょう。
#233
○政府委員(山岡一男君) 先ほど定住圏と申しましたので地方中心のように聞こえたかもわかりませんが、そういうように三大都市圏におきまして、先生おっしゃいますように、大切だと思います。大都市におきましては、むずかしい点がございますけれども、そういう点につきまして、十分配慮しながら計画の中で進めてまいりたいと思っております。
#234
○上田耕一郎君 ところで、細部調査がこれまでに千三百六十平方キロ、今後十年間で五千平方キロと言いますと、三十年近くかかって六千五百平方キロくらいになるわけですな。全国では二十八万平方キロやろうとおっしゃるわけで、そうしますと、この法のあれでいきますと、何百年かかる、細部調査全体をやるのにはね、ということになるんじゃないかと思いますけれども、その点についてはいかがですか。
#235
○政府委員(山岡一男君) 細部調査につきましては、相当具体的な縮尺によりましてやるものでございます。したがいまして、他の事業にも行われるものも相当にございますけれども、そういうふうなものにつきまして二十八万平方キロ全部を一遍にやるということでは当然ないわけでございまして、やはり熟度の高いところから順次実施をしていくのが経済的でもあり、効果的でもあろうというふうに考えておるわけでございます。
#236
○上田耕一郎君 この調査に参加している機関ですね、どういう機関が参加して行っているんですか。土地分類調査だけでいいです。
#237
○政府委員(山岡一男君) 土地分類調査のための機関といたしましては、国土庁、厚生省、農林水産省、林野庁、運輸省、通商産業省及び建設省が行うことができるというふうに規定上決めております。
#238
○上田耕一郎君 そうやってつくり上げられたものが広く利用される必要があると思いますけれども、今後地図とそれから簿冊につくり上げると言いますけれども、そうやってつくり上げたものはどのぐらい部数をつくっているんですか。
#239
○政府委員(山岡一男君) 三百でございます。
#240
○上田耕一郎君 公開が原則ということになっておりますけれども、どういうところに一体備えているのか、三百部を。それからまた実際の利用状況、活用状況ですね。それから民間の団体だとか個人がそれを利用するのにはどうすればいいのか、そこら辺の問題についてお伺いします。
#241
○政府委員(山岡一男君) 先ほど名前が出ましたような省庁、それからそういうところの出先、それからもちろん国土庁本庁などにも全部備えておりまして、お出かけになった場合には閲覧をしていただくようにいたしておるわけでございます。
#242
○上田耕一郎君 一般の人は閲覧で見るだけということになりますな。実際につくられたこの土地分類図というのは色分けですわね。(図を示す)こういうものに色分けになっているわけだから、そう簡単に色刷りのコピーというのはできないわけで、この利用の仕方ということについては、民間の利用というのはいろいろ問題があるかもしれませんけれども、これまでつくってこられたものの実際の利用状況について統計その他ございますか。
#243
○政府委員(山岡一男君) 先生おっしゃいましたような統計的な数字はございませんで、どういうところで使われたかということにつきましては、いろいろと各方面の御使用状況等については聞いておりますけれども、統計的にどなたがどれぐらい、頻度はどれぐらいということにつきましては実は手持ちの資料がございません。
#244
○上田耕一郎君 五万分の一については今後十年間でほぼ終わるというんですけれども、先ほど申しましたように、市町村の細部調査というのはまだまだ始まったばかりという状況で、これから市町村がこれを行うという本格的な段階に入るだろうと思うんです。それで事業費の単価ですね、市町村が行う場合の事業費の問題、それから市町村における調査を行う体制の問題、それから市町村の熱意ですね、ここらあたりはどういうふうな判断を持っておられますか。
#245
○政府委員(山岡一男君) 土地分類調査の費用の点でございますけれども、先ほども申し上げましたように、都道府県が行います土地分類基本調査でございますが、四十五年度以降に実施されたものでございますが、事業主体でございます都道府県に対しては三分の二の国庫補助をいたしております。それから市町村等が実施する土地分類調査にかかわる費用負担につきましては、都道府県と同じく国が全体の三分の二を補助いたしております。残り六分の一ずつを都道府県及び事業主体である市町村が負担をしておるというのが費用の負担の関係でございます。なお、補助事業に要する経費のうちで地方公共団体負担分の五分の四につきまして地方特別交付税が交付されておりますので、実質的な負担につきましては都道府県土地分類基本調査では十五分の一、土地分類調査では都道府県及び市町村等は三十分の一ということになるわけでございます。こういうふうな点の単価の獲得につきましても、今後、さらに努力をしてまいりたいと思っております。
 それから都道府県の熱意でございますけれども、第二次におきましても土地分類調査につきましてはおおむね予定どおり終わるということでございまして、やはり宣伝啓蒙が相当徹底をしておるわけでございまして、そういう点についての熱意は私はあると思っております。
 それから、さらにそういうものを実施する場合には、先ほどもお答えいたしましたけれども、国土地理院なりその他いろんな国の研究機関、その他学校等の協力も得ましてやっておるわけでございまして、測量に当たる測量業者もたくさんおりますので、その点についても異論の点はないというふうに思っております。後はやはり計画を着実に進めまして、事業者をうまくつけていくということに尽きると思っております。
#246
○上田耕一郎君 この調査はやはり国の根幹事業として非常に重要なものなので、ぜひ適切な指導と、それからやっぱり予算ですね、特に市町村には温かな熱意の出るようなそういう予算上の配慮を要望したいと思います。
 それから、土地分類調査の中では地形分類図とか傾斜区分図、水系・谷密度図、表層地質図、土壌図、土壌生産力区分図などがあるようですけれども、土地利用の現況とか生産力の調査ということになりますと、たとえば十年たつとかなり変わりますね。で何年かたつとそういうものについてはまた見直しをしなきゃならぬ、調査のし直しが必要になるということもあるのではないかと思いますが、全部見直しは要らないでしょうけれども、どのぐらいの期間でどの部分が必要になってくるのかお伺いします。
#247
○政府委員(山岡一男君) 土地分類基本調査の主要項目は、いま先生お話のございましたように、地形、地質、土壌等の自然的要素でございますけれども、そういうものの実態は基本的には余り変わらないということでございます。その調査成果はほとんど恒久的なものと考えております。ただ、土地分類細部調査になりますと、これは自然的条件につきましての調査のほかに、土地利用現況及び土地生産力について調査するわけでございまして、自然的条件のほかは、調査後、その一部につきましていろいろとおっしゃるとおり変化が出るわけでございます。
 その点につきましては、最近では、いろいろとそういうものにつきましての状況を勘案しながら必要に応じて見直しを行うという態度でおりまして、その必要の度合いが何年というふうにはなかなか限定的に申し上げられないというような状況であろうかと思います。土地分類細部調査につきましては、したがいまして、原則として、調査地域におきます土地利用現況等一部の変動要因につきましては事業主体たる市町村等におきまして補完調査を実施してくださいというような指導をいたしておりますけれども、一律にその期間について論ずることはできないという状況でございます。
#248
○上田耕一郎君 私は、冒頭、この法律が成立したときに目的から「保全」が抜けているという問題を指摘いたしましたけれども、その後、環境問題が一層重要になるとともに、この保全の問題というのはますます重要性を加えているわけです。
 国土庁としては、土地保全基本調査というのを親法に基づいておやりになっている。ところが「保全」が抜けているので、この土地保全の基本調査については促進法からまた抜けているという奇妙な問題になっているのですが、この土地保全基本調査について進捗状況と、それから今後の計画を承りたいと思います。
#249
○政府委員(山岡一男君) 先生のおっしゃいましたとおり、最近におきまして保全の問題が非常に重要になってまいっております。国土調査といたしましては、地形、表層地質、土壌等の調査を行う土地分類調査におきまして災害が発生しやすい土地がわかるような調査を行っているつもりでございまして、それでも十分いろんな意味の役に立つわけでございますけれども、特に、私ども、昭和五十二年度から国土保全のための調査を目的といたしまして予算措置ということで新しく土地保全基本調査というのを始めたわけでございます。これは土地分類調査、いわゆる基本調査でございますが、の結果を踏まえまして、人為的な災害、自然的災害及び保全すべき自然や文化財について調査をするというものでございまして、これによりまして各種の災害の状況、土壌の浸食の状況等を調査し、国土保全のための基礎的資料を作成したいというものでございます。
 主要の調査内容といたしましては、保全すべき自然作用というのを一つ挙げておりまして、地下水障害、地盤沈下、水質汚濁等を挙げております。危険な自然作用ということに対しまして、気象災害、水害常襲地帯の状況、山崩れの状況、地震の状況等の把握。それから破壊されやすい自然作用といたしまして、自然の景観、歴史的記念物等も掲記するようにいたしております。
 土地保全基本調査につきましては、先ほど申し上げましたとおり、五十二年に始めましたものでございまして、五十二年には、まず予算措置ということでモデル調査を一カ所実施いたしております。それから五十二年度から五十四年度までにかけまして新しく三県について実施をいたしております。五十五年度はさらに三県につきまして予算を計上いたしておりまして、今後、具体的な都府県を決めていきたいと考えておるわけでございます。
#250
○上田耕一郎君 本法が昭和三十七年に成立して基本調査が進んできたんですけれども、いま答弁がありましたように、土地保全の基本調査については、非常に重要な課題であるにもかかわらず、昭和五十二年度からようやく始まったばかりで、約四県が行われたということで、また、本法の対象事業にも入ってはいませんけれども、この問題の重要性にかんがみて、今後、この土地保全の基本調査についてもひとつ力を入れて取り組んでいただきたい。この点、大臣にもお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
#251
○国務大臣(園田清充君) 御指摘のとおりでございまして、私どもは、国土の保全ということについては十分配慮しながら御指摘の点しっかりがんばってひとつやってまいりたいと思っておりますので、御激励をお願いいたします。
#252
○上田耕一郎君 次に、水調査についてお伺いします。
 これも本促進特別措置法には入っていないんですけれども、その入っていない理由と、それから進捗状況、これについて答弁いただきたいと思います。
#253
○政府委員(山岡一男君) 水調査が促進特別措置法に入っていない理由につきましては、やはり水についての調査はそれぞれの具体的な行政目的に応じまして各所にいろんな調査が行われておる。それに対しまして基本的な水系調査もしくは深井戸調査というようなものが国土調査でやっておる調査でございまして、そういうものの前提となり、もしくは基礎となるというようなものでございます。特に、河川の状況等については相当逐次変わってまいるものでございますので、恒常的に把握をする必要がある、いついつまでにどの地域を決めてというふうなねらい撃ちをするようなものではないという意味で外されておるというふうに承知いたしております。
 しかし、非常に大切な問題でございますので、現在、深井戸調査につきましては全国で二回終わりまして、第三回目に入っておる。それから水系で申しますと、基本調査の方は、百九水系のうちで四十五水系について現在までに調査を終わっておるという状況でございます。
#254
○上田耕一郎君 衆議院の建設委員会の議事録を拝見しても問題になったようですけれども、海洋調査ですね、これはいままでの計画に入っておりませんけれども、二百海里時代を迎えて、海洋資源の開発というのは国際的にも非常に大きな問題になっている。それから日本の場合には、海に取り囲まれた国であり、近海の水産資源あるいは海底資源の開発というのは非常に重要な問題になっておりますけれども、この海洋調査については、これも本法にはもちろん入っておりませんけれども、今後、国土庁としては、どういう方針でおやりになるおつもりか、お答えいただきたいと思います。
#255
○政府委員(山岡一男君) 現在、大陸だな等の調査につきましては、いろんな関係機関でそれぞれの目的に応じた調査が行われているように聞いております。さらに国土調査としても重要ではないかということにつきまして、私どもも、そういう面があろうかと非常に考えるわけでございますけれども、先ほど来申し上げておりますとおり、基本となります土地分類調査もしくは地籍調査等につきまして、まだああいうふうな何年河清を待つような状況でございまして、まず、そういうものに対する実施を重点として行いながら、海洋調査についても別途いろんな意味で各省の調査結果等も聞きながら勉強してまいりたい、このように衆議院の方でもお答えしたということでございます。
#256
○上田耕一郎君 意欲は持っているということだと思うんですけれども、やはりこれは少し本格的な体制が必要なんじゃないかと思うんですけれども、各省庁とも連絡をとりながら政府として海洋資源、大陸だなを含めて、体制並びに方針を明確にする必要もあるだろうと、長官、いかがでしょう。
#257
○国務大臣(園田清充君) いま上田議員から御指摘がございましたとおり、実は衆議院の方でも海洋調査問題で政府の一元的な取り組みということの御指摘をいただいたわけでございます。
 いま御質問の前段にございました水の問題もでございますけれども、実は地下水を含めて水の調査の一元化というふうなことでございますが、各省庁間、これは衆議院でもお断りしたように、じゃひとつ官房長官のところで水の問題についても調査をしてほしいということで調整が官房長官の手元にゆだねられた形になって各省庁協議をいたしております。同時に、海洋問題についても、どこか一元的に、いまおっしゃったようなことでひとつ調整に取り組むべきではないか、各省庁ばらばらではかえって非能率だという御指摘もいただいておりますので、いま御指摘があったようなことをできるだけ話し合いながら前向きで一元的な調査に取り組めるような体制にひとつ入るようなことで努力をしてまいりたい、こう思っております。
#258
○上田耕一郎君 地籍調査につきましては、同僚委員からも幾つかの御質問がありました。私は一点だけ、新しい十カ年計画を拝見すると、基準点測量というのが入っていないんですね。これまでの十カ年計画には基準点測量が入っていたのですけれども、第三次の十カ年計画には、いただいた資料には入ってないのですけれども、その理由をお伺いします。
#259
○政府委員(山岡一男君) 差し上げました資料の中に抜けておったとすれば、まことに申しわけないと思います。いまの土地分類基本調査、それから地籍調査のほかに、基準点測量といたしまして、われわれはそれらのものの基準となるものといたしまして、数はまだはっきりいたしませんが、二万五千五百地点ぐらい、これを実は計画いたしておるわけでございます。
#260
○上田耕一郎君 これは私どものところにも訴えがあったり、いろいろそのほかにも例があったと思うのですけれども、やはり地籍調査については、それぞれ大事な土地の権利にもかかわるもので幾つかの問題点も過去にも生まれておりますし、ぜひ、今後、地権者の権利をよく守るように配慮して進めていただきたい、こう思います。
 次に、硫黄島問題について質問したいと思います。
 私も、この硫黄島問題については昨年の五月十一日付で質問主意書を政府に提出いたしました。それから本委員会でも二月の十九日には派遣委員の報告もありまして、その中で帰島問題についても触れられており、それから二宮委員が二月二十一日の委員会で、また本日の委員会で詳しい御質問をなさっております。私は、この問題はやっぱり憲法に基づく居住並びに移転の自由という国民の基本的人権にかかわる問題だと思うのです。まず、だから問題の性質をよく防衛施設庁の方にも国土庁の方にも御認識をいただきたいと思うんです。
 東京都が出しております「硫黄島問題の基本的方向について」「その課題と提言」という五十四年三月の文書には「硫黄島問題ほど、今日残されている戦後処理問題として顕著な例は、他にその比を見ない。」ということを述べ、比べものにならぬ戦後処理問題だと。いわゆる戦後処理、戦争犠牲に対する国家のとるべき措置が済んでいないんだという、そういう問題意識からこの「課題と提言」が書かれているわけですね。
 きょうも硫黄島帰島促進協議会の浅沼会長を初め、きょうの建設委員会にずっと傍聴にお見えになっておりますが、朝日新聞の去年の八月六日付に浅沼会長の非常に詳しい一ページのインタビューが載っております。その中で浅沼会長は「帰れる条件が整えば帰りたい」という切実な気持ちをずっと述べられて、「死んでもいいから自力で帰島する」という、そういう計画を練った島民がおられるという実例に触れておられる。これは浅沼さんも一緒に父島まで行かれたそうですが、父島で足どめをくって、小笠原支庁や警察が無謀だと、で警察にいじめられましたと、もし硫黄島に戻って国有地に入ったら検束するとか、成田闘争の過激派活動家を連れてきただろうと疑われたということまで述べられていますね。
 これは防衛施設庁と国土庁にそれぞれお伺いしたいんですが、もし自力で島民が帰島された場合、何か罪に問われますか。
#261
○政府委員(四柳修君) 通告がなかったので正確に法的なことは調べておりませんけれども、私どもの承知しておる範囲では、自力でお帰りになりましても特別に罪に問われるような事情ではないと思います。
#262
○上田耕一郎君 防衛庁、いかがですか。
#263
○説明員(池田久克君) 私は、防衛施設庁ではなくて、防衛庁から本日参りましたが、その件につきましては私の方の専門ではございませんので、御指摘にはどうもお答えできかねますが、国土庁が言われたところに異論はなかろうと思います。
#264
○上田耕一郎君 東京都その他で私も調べたんですけれども、自力で帰られても何ら罪にならない、ただ行政上の問題がある。それは島にお帰りになったけれども、水をどうするかとか、住宅をどうするだとか、国として行政上責任を負えるかどうかということになりますと、問題が残るんだということです。憲法第二十二条に「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」ということで、憲法上は、この帰りたいと言われる島民の方々が帰る権利を完全に持っているんですよ。ただ、帰られたときに、本当に安全に国として日本国民に保障するだけの施設その他、国としての責任を負える現状にあるかというと負えないというのが現状でね。だから、もう問題は、本当に島民の方々に責任があるんじゃなくて、戦後三十五年たって国が責任を果たしていない、だから東京都のこの提言に全く例を見ない異常な例だと、問題だということを指摘しておりますけれども、そういう問題なんですね。だから本当に島民の方々は帰っていいんですよ、帰っていいんだけれども、さあそこで生きていけるかということになると、国が責任を果たしていない。
 現場へは、私、去年はモスクワへ行っていて残念ながら行けなかったんですけれども、現地に行かれた派遣委員の報告が先日ここでありました。派遣委員の報告には島の総面積の約五〇%を日米両国軍が基地として使用している。それから島全体を戦後米軍が航空機で散布したギンネムが生い茂っているという報告。それで基地が、正確に面積で言うと四二%だそうですけれども、派遣委員の報告では五〇%と、基地の島と言われている沖繩でも基地の面積は一二%なんですから。で五〇%基地をとっているというと、これはもう要塞みたいなもんですよ。ここに地図がありますが、村の中心部分だったのが全部基地になっているんですね。自衛隊の基地、それから北部が米軍のロランの基地。だから、文字どおり基地の要塞みたいに現在なっているということが、私は、この硫黄島の帰島問題を阻んでいる、また国が責任を果たさない最大の問題であろう、そう思うんです。
 これまで政府その他は、火山活動の問題とか、それから不発弾、遺骨の処理の問題だとかいうことをいろいろ言われておりますけれども、東京都のこの、「課題と提言」でも、不発弾、遺骨というのは絶対的障害とは言えないということを討議に基づいてはっきり言っている。で東京都は、基地問題について、この「基地の存在は、硫黄島問題の対応を更に複雑なものとしている。」ということを言っておりまして、いろいろ言われているんだけれども、結局、基地問題が、三十五年間、政府が明確な責任をとらないという異常な事態を生み出している――返還後、特にそうなんですが、やっぱり最大の問題であろうと私は思うんです。
 で、園田長官は、この問題について、二宮委員の質問に対しても前回から積極的な姿勢を示しておられるんですけれども、今後、この基地問題が帰島の障害になっているということを解決するために、国土庁としてどういう努力をされるか。それからまた、もし伝えられるように基地が大拡張されるというようなことになったら、ますますこれは障害になりますので、国土庁長官として、この基地問題あるいはその拡張問題について、帰島を妨げる最大の問題にどういうお考えをお持ちなのか、この点まずお伺いしたい。
#265
○国務大臣(園田清充君) さっき二宮委員にもお答えいたしましたとおり、私どもは、四千六百万ですけれども、ことしから初めて硫黄島の調査に取り組もうということで予算をお願いいたしておるわけでございますが、私も現地に行ってまいりまして、ちょうどこの建設委員の皆さんがおいでになってから一カ月後に参ったんです。だから、いまおっしゃったことは、私どもはやはり憲法に保障された、どこにでも帰って住まわれる権利がある、これは十分わかっていますが、ただ、危険が伴う場合に、それにお勧めして、さあお帰りくださいという立場にあるかどうかということには若干疑問を持つわけでございます。
 ちょうど一カ月後に私は参りましたけれども、私が行く四、五日前、実はアメリカさんのロラン基地で、日本人の弾をぶっつぶしたと言っておったけれども、地下ごうに入ったアメリカ人の女性が、慰問か何かに来て、そしてばんとやって亡くなったということを私は聞いてきているので、だから、やはり不発弾の問題もまだ若干問題の一つである。そこで、やはり速やかに調査をやって、そしてお帰りになっても居住環境が整うような調査を早くやりおおせることが先ではないかというふうに考えて、調査費をお願いしているわけでございます。
 おっしゃったように、行ってみるとギンネムがいっぱい空中から散布されて、そして私どもあそこは桜島みたいなことを想像して行ったんですけれども、緑という点では、上から見た限りでは緑に見えます。しかし、これを耕地にして従来のように農業を中心としなければ考えられない島だけれども、農業をおやりになる場合に、いまお話があったように、水の問題が第一問題だという考え方。それから、これを耕したりしていろいろするよりも、むしろ放牧的なものに使ったらどうかという意見があったんですが、牛飲馬食と言うように、やっぱり水がなくてはこれもうまくいかない、では水をどうするかというような問題をいろいろ素人なりに考えて、これは専門的に調査をお願いして、とにかく帰島なさるにしても安心して帰れるような島に早くすることが先決だということで実は五千万の予算をお願いをしているわけでございます。
 さようなことで、防衛庁がいろいろ基地の拡張だとかなんとかということを考えておるかどうかということは私はつまびらかじゃございません。しかし、恐らく防衛庁が使用するにしても、現在の使用状況からはみ出るようなことは、いまのような帰島の願いやかれこれの問題が出ているときでございますので、現在の施設を使った範囲内での演習なり、あるいは防衛なりということは考えられるでしょうけれども、あれ自体を完全に防衛の島として島民の帰島も認めないぞというふうなところには運んでいかないのではないかというふうに、私は善意な理解の仕方でございますけれども、そういうことで期待をして、調査をお願いするということにいたしております。
#266
○上田耕一郎君 二月二十一日の本委員会で、二宮委員の質問に対して、防衛審議官の友藤審議官は、この基地問題について、近年整備したいんだということで、幾つかの問題、飛行場の維持管理、関連する航空輸送、対潜哨戒機の飛行訓練等の支援という点を本委員会で述べられたんですね。
 防衛庁にお伺いしますが、五十五年度予算ですね、予算要求の大要、防衛庁のは予算要求としてありますけれども、硫黄島の関係の調査を中心とした費用ですね、これはどういうふうになっておりますか。
#267
○説明員(池田久克君) 昭和五十五年度の予算でお願いいたしておりますのは、歳出で一億五千八百万お願いをしております。
#268
○上田耕一郎君 目的は何ですか。
#269
○説明員(池田久克君) 目的は、これは先ほど国土庁の方からもお話がございましたけれども、われわれが硫黄島を整備して使おうというのは、これは拡張ということではございませんで、いま持っている施設を使いまして、何せ本土における飛行が非常に制限されておりまして、このままではやはりわれわれの練度は維持できないという点があります。これは海上自衛隊、航空自衛隊両方でございます。そのために、五十五年度からいま持っている施設を整備しまして訓練をできるようにしたいと思いまして、五十五年度はまず滑走路の調査をしたいと思います。建設された後、これはいつできたかわからない点もありますが、約三十年近くたっておりまして、滑走路自身も老朽しておりますし、また、一部ガスの噴出等もございまして、どういう状況になっているか、あるいは下に地下ごうがあるかどうか、そういうことも調査したいと思います。それが一つであります。
 第二は、現在も、ため池を持っておりますけれども、どうしてもいまのため池では小さいわけでございまして、給水施設を整備しようと思っております。
 それから、第三は、昭和五十年以降、硫黄島及び南鳥島周辺における航空救難につきましては、国際民間航空の問題ですけれども、日本政府の責任になっておりまして、当然、能力から言ってわれわれがお手伝いする立場にありますので、硫黄島を中心にした救難飛行機を運用するための格納庫を整備したい、それが主な内容であります。ただし、一年でできません。
#270
○上田耕一郎君 防衛庁の予算には、五十六年度として後年度負担で十二億円というのが計上されているというんですけれども、この点の中身、これをお伺いします。
   〔委員長退席、理事茜ケ久保重光君着席〕
#271
○説明員(池田久克君) それは、ただいま申し上げました歳出の一億五千八百万と後年度負担の十二億を足した経費で、いま申し上げた点を実施したい。一年でできませんので、五十六年度に、一部後年度に負担になる、そういう意味でございます。
#272
○上田耕一郎君 そうすると、五十五年度、五十六年度で十三億五千八百万円、これをあそこの滑走路の調査と、それから給水施設と格納庫、この三つを十三億五千八百万円でおやりになるんですね。
#273
○説明員(池田久克君) 大体、そのように考えております。
#274
○上田耕一郎君 これは、二宮委員の質問のときには、一億数千万という数字しか出ませんでしたけれども、防衛庁の予算の防衛施設の整備事業費関連施設二百二十四億の中に実際には後年度負担――これも防衛庁予算にいつも出てくるんですけれどもね、今年度頭出たのが一億五千八百万円だが、実は来年度十二億円という、これは私はやっぱり基地拡張の問題だと思うんです。
 前回の委員会で、友藤審議官は「現在、自衛隊の使用いたしております地積の範囲内でいまのところ考えておりまして、これを拡大するとか全島を基地化するとか、そういうようなことは考えておりません。」と言うんだが、必ず「現在」とか「いまのところ」という条件がついているんですね。それから、その後でも「当面、基地の維持、支援、訓練には支障はないのではないか」と「現在」とか「いまのところ」とか「当面」とかいうことになっている。
 これまで防衛庁の計画立案者の談話として、毎日新聞の去年の九月九日付、読売新聞の十一月十九日夕刊、日経新聞の去年の十一月二十八日、三つの新聞に硫黄島の基地大拡張計画というのが非常に大きく報道された。この中身は、この三つの新聞を総合しますと、なかなか大変なもので、海上自衛隊、これは航空基地分遣隊を五十名新たに派遣する、P3C、問題の飛行機ですね、一機百億円する、これを五機から六機常駐させて常に対潜訓練を行う。航空自衛隊F4ファントム、これは要撃戦闘部隊の夜間飛行として大体六機組でいくというんです。それで対電子戦下の要撃、低高度の要撃、高速度の要撃をやる。日本の本土では午後八時以降は訓練ができないので、禁止されておるので、硫黄島で航空自衛隊がF4ファントムをやる。陸上自衛隊は対空射撃の訓練をここでやりたい。だから、陸海空三軍が硫黄島でこういうことをやろうとしているという記事が三つの新聞に載っている。特に日本経済新聞によりますと、六十年、一九八五年をめどにして総費用百億円で百四十人の自衛官の住む隊舎、給水施設、燃料タンクの拡充、格納庫の新設、揚陸施設の改善、着陸用安全装置、通信機械、気象レーダー、これを整備するということが報道されております。
 ことしと来年で十三億五千八百万円だと言われるんだけれども、どうなんですか、今後、こういう計画は全くないということを断言できますか。
#275
○説明員(池田久克君) ただいまのお話で、新聞を引用されましての御説明でございますけれども、その新聞の記事についてわれわれ責任を負う立場にはありません。
 たとえば、その中で陸上自衛隊がそこで射撃をするとか、そういうことは考えておりません。遺骨の問題もありますし、考えておりません。P3Cを置くという点についても、まだP3Cは御承知のように昭和五十六年から細々と入ってまいりまして、四十五機入るのは昭和六十三年の話でありますから、その間にどういうふうに配置するかはまだ決まっておりません。したがいまして、そのようなことは、現在、言える立場にはわれわれはありません。
 いずれにしましても、そういうことをやるために、いまの施設を改善していきたいということなんです。昭和四十三年に硫黄島が返還になりまして、その後、実はわれわれ年々の予算でお願いして施設を整備してきております。もうすでに二十億以上のものを投入してあそこに隊員が住めるようにしてきました。問題は、これから百億という話がございましたけれども、われわれそういう構想を持っていないわけじゃありません。しかし、それはわれわれが考えたからといってできるわけじゃありませんで、年々の予算をいただいて整備していくという意味の構想でございますが、ただし、飛行場の滑走路は、先ほど申しましたように、非常に傷んでおりますし、本土でも飛行訓練ができません。どうしても練度を維持するためにはそこを活用したいとわれわれは考えておるわけでございまして、そのためには滑走路の整備等が必要なんであります。これは硫黄島が返還になりましたときに、滑走路の整備をするというのはわれわれの義務だとわれわれ考えておりますし、どっちみち三十年たちますと、いまの滑走路ではできません。これを整備しようとすれば相当金がかかります。仮に百億という計画が認められるとしましても、何年かかかって、そのうちの六割以上のものは、いまの施設をそのまま維持するだけでかかる金なんであります。したがいまして、御了承を得て、何とかわれわれの訓練の練度がこれ以上下がらないように御協力を得たいところであります。
#276
○上田耕一郎君 政府の予算に入って国会を通らなければもちろん国の方針にはならないけれども、防衛庁としては、いまの百億円の計画を持っていないわけではないということをお認めになりました。P3Cについては、まだ配備はどうかということを言われているけれども、いまP2Jでしょう。それがP3Cが配備されれば、当然、交代になるというわけで、海上自衛隊が四十五機持つと、アメリカがいま西太平洋に配備している三十四機より日本の方が多くなるのですから、そういう計画になると、当然なるだろう。そうすると、海上自衛隊のそういう対潜訓練、これはお認めになっておる。
 航空自衛隊の夜間飛行計画、訓練、それから陸上自衛隊の射爆計画、対空実弾射撃、こういう計画は、まだ計画構想としてであっても、やはり防衛庁としてはお持ちなんですね。
#277
○説明員(池田久克君) 現在、われわれが考えておりますのは、再三申し上げましたように、本土においていろいろな制約がございます。夜八時以降飛行機が飛べないということも一つでございます。われわれの希望では、薄暮から夜間にかけて飛ぶということがどうしても全体の訓練計画の何割かを占めてまいります。それがいま全然できません。それから海上に訓練空域を持っているわけでございますけれども、何せ遠いわけでございますから、実際の飛行時間の一割から四割くらいしか訓練に使えない。しかも、その訓練空域に行くために特別にコリドーをつくっておりますから、俊敏に反応する要撃訓練ができない、そういうために練度が下がってくる、これを何とかしたいという希望が非常に強いわけです。
   〔理事茜ケ久保重光君退席、委員長着席〕
これを解消しようというのが硫黄島のわれわれの考えている構想なのでありまして、陸上自衛隊の射爆撃をやるというような計画は持っておりません。
#278
○上田耕一郎君 陸上自衛隊はいまのところ持っていなくても、先ほどあなた自身おっしゃったけれども、航空自衛隊の夜間訓練をお持ちなわけですな。
 先ほど、あなたは、答弁の中で、この予算の中には海上自衛隊と航空自衛隊があると言われた。今年度と来年度の十三億五千八百万円のうち、航空自衛隊の分は幾らですか。
#279
○説明員(池田久克君) 航空自衛隊の分は、滑走路の調査工事でございますから、これは約二千五百万くらい今年度、歳出分だけ申し上げますが、投入いたします。それから海上自衛隊と航空自律隊と両方に関与するもの、これは給水能力ですね、ため池をつくるという問題です、それが六千四百万円ですから、残りが海上自衛隊の格納庫の整備等で六千九百万になります。
#280
○上田耕一郎君 来年の十二億については、航空自衛隊の分は幾らですか。
#281
○説明員(池田久克君) 航空自衛隊につきましては、滑走路の調査工事は何とか五十五年度で完了したいと思っておりますから、その分の後年度負担はございませんが、給水施設につきまして五億七千六百万、海上自衛隊の格納庫の整備で後年度に入る分が六億二千四百万。
#282
○上田耕一郎君 今年度二千五百万、来年度五億七千六百万円で航空自衛隊について約六億円あそこにかけるということで、海上自衛隊としてのいまの基地に航空自衛隊がやはり入ってくる。恐らくF4ファントムということになるのでしょうけれども、これらの事実がほぼ明らかになったと思うんです。
 あなたは、先ほど、陸上自衛隊の実弾射撃場は考えていないと言われたけれども、航空自衛隊あるいは海上自衛隊の実弾射撃訓練、これは考えているんですか。
#283
○説明員(池田久克君) われわれが、現在、再三申し上げましたように、この地域における訓練で期待しておりますのは、夜間の飛行訓練、要撃訓練等でございまして、現在のところ、射撃ということについては考えておりません。
#284
○上田耕一郎君 現在のところと言われた。将来は、絶対やりませんか。
#285
○説明員(池田久克君) 現在のところ、考えておりません。
#286
○上田耕一郎君 あなたは言われないけれども、アメリカの在日米軍司令官のギン将軍がそのことはもうすでに明らかにしている。これは私は予算委員会の質問の中でもギン将軍のほかの問題の証言を読み上げましたが、この硫黄島のところは読み上げませんでした。これは「エビエーション・ウイーク・アンド・スペース・テクノロジー」と言って、こういう軍事関係では非常に有名な雑誌です。今度、エジプトに行ったあのパーレビ国王なんというのはいつも夜この雑誌を読んでいたというほど有名な技術雑誌です。
 この中で、在日米軍司令官・第五空軍司令官のウイリアム・H・ギン将軍は、硫黄島について次のように述べております。「日本はいまP3Cの対潜作戦訓練基地を硫黄島に開設することを計画している。このことによりきわめて重要な海上補給路上にこの資産を配置することになり、硫黄島周辺でのプレゼンス」――つまり米軍の存在のことですね。「プレゼンスを維持することになる。日本はまた、この島に近接航空支援訓練のための実弾空対地射爆場を開設することを予期している。」ギン将軍はこういうことを言っている。あなた方は、まああなた自身は言わなくても、最近、日米が制服間でこういう問題をいろいろやっているわけですな。ギン将軍はこの日本の自衛隊の硫黄島のこういう射爆場計画、これをすでに聞いているんですね。
#287
○説明員(池田久克君) この記事につきましては、ロビンソンという編集者が書いた記事でございまして、果たしてギンさんがこういうことを本当に言われたかどうかそれ自身私は確かめる筋合いではありませんし、仮に言われたとしても、硫黄島の整備についてはわれわれが考えていることでございまして、ギンさんの言われることによって左右されるものではありません。
 なお、ギンさんには、われわれ日ごろ連携をとっておりまして、再三申し上げたような内容で硫黄島を訓練基地として使いたいということは説明がしてあります。しかし、いまお話がありましたような形でギンさんが理解しているとはわれわれ考えておりません。
#288
○上田耕一郎君 私も何もギンさんに確かめたわけではないけれども、この記事は、ロビンソン記者の東京発なんです、東京でギンさんにインタビューしての日本の自衛隊の特集記事なんです。ロビンソン記者がゲラをギン将軍に見せたかどうかわかりませんけれども、かなり長いインタビュー記事の中に入っているんです。あなた方がギン将軍の言明に責任を持たないでも、こういう計画が日米間に、アフガニスタン問題だとかイラン問題のいまの国際緊張の非常に激化を通じて、具体化されつつあるということは私はほぼ事実だと思う。
 私は、予算委員会でも、ギン将軍の言明だとか、その他の報道などを明らかにしながら、また、私たち自身が得た確実と思われる根拠に基づいて、たとえば中東、ペルシャ湾に米軍が沖繩の第三海兵師団だとか第七艦隊を派遣していくと穴があくので、日本に対してグアム島までの海上補給路、いま読み上げたギン将軍も硫黄島は「きわめて重要な海上補給路上に」というふうに言っていますけれども、一昨年のいわゆる日米防衛協力指針、ガイドラインに基づいて、日本に周辺海域の防衛と海上補給路の保護、これをどんどんやってほしいという要求がうんと来ているということを私指摘しました。グアム島までと、さらにはシンガポールのあの海峡、ロンボク海峡、それからトレス海峡、そういうアメリカの西海岸から中東へ行く太平洋上の有名なシーレーン、そこに日本からのシーレーンを直結するところ、ここを海上自衛隊にやってほしいという要望が次々に来ているということを私指摘した。
 私が先ほど指摘しました読売新聞の記事には、硫黄島の基地拡張計画の防衛庁の計画立案者、名前は挙げてありませんけれども、太平洋の海上交通路の防衛という観点では、硫黄島の訓練基地化とリムパックの参加は同一の戦略観点に立脚したものだ、そういう言い方をして、太平洋横断の海上交通路と直結するためのそういう作戦基地に硫黄島の基地を転換させるんだ、そして硫黄島の自衛隊基地とサイパン、グアム、ハワイの米軍基地、これらの日米協力を緊密にする計画が進んでいるのだということを公然と読売新聞紙上で述べている。これは昨年の十一月です。その後、イラン問題、さらにアフガニスタン問題と非常に国際情勢が変わってきていますから、いよいよこういう計画が私は進みつつあるだろう、そういうふうに考える。防衛庁としては、当然、こういう疑惑については、現在のところございませんというふうにお答えになると思いますので、もう私は聞きません。
 国土庁長官に、最後に御質問させていただきたいんですけれども、こういう私がいま明らかにしたような、防衛庁の方はある部分を認められた。今後絶対そういうことをやらぬかという私の追及に対しては、現在ということで限定詞をつけて、絶対やらぬとは言われないわけです。そういう点で、私は、いまでも本当に自衛隊の要塞のようになっている硫黄島の現状がさらに今後日米協力の大変な基地として、また、いよいよ大きな問題になっているシーレーンの一つの作戦のかなめとして強化されていく疑惑、危険、これはいよいよ大きくなっていくように思うんです。
 国土庁長官として先ほどお答えになった観点から、国土庁長官としてはそういう計画はもちろん責任を持ってお持ちでないけれども、国土庁長官の職責として、憲法上硫黄島にお帰りになることのできる権利をお持ちになっている旧硫黄島島民の方々の生活権の問題をも考えて、国土庁長官としては、こういう自衛隊の大規模が基地拡張が行われることについて私はぜひ反対をしていただきたいと、国土庁長官としての見解を防衛庁長官にも申し述べていただきたいし、政府としても責任を持って問題にする、そういう決意でこの仕事に当たっていただきたいと思うんですが、最後に長官の決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
#289
○国務大臣(園田清充君) たびたび申し上げますとおり、私どもは、五十五年度の予算でお願いをいたしておりますとおり、硫黄島の問題について調査をしていく。前回の委員会でも申し上げましたとおり、私どもは、私自体は、こういうふうに使う言葉が適切であるかどうかわかりませんけれども、民主的に考えて、同時に自然保護団体あたりからもいろいろなことで調査に参加さしてほしいということがあるので、それでそういういわゆる国民各階層の声が硫黄島に帰島したいと希望される方々に適切な判断が下されるように、ひとつ委員等の選考の中で結論を得たいと思っておりますし、現においでになってどうお感じになるかわかりませんが、私が行った範囲内では、私は、いまおっしゃったように、もう飛行場も、着いて、でこぼこのあるようなところで、これは自衛隊自体も危険を感じてやっておるなというくらいの実は感じを持って帰っております。同時に、あれをいまのように大きく拡張して軍事基地にするんだというところで、どこかに余裕があるかという実は気もしているわけです。というのは、行ってみると、あっちこっちで煙が吐いておる。それでそういうところで、安全な基地というような姿の中で問題を求められるとすれば、やはり自衛隊としては現状の中であれ以上のものを求められてもなかなかあの島ではむずかしいのではないかというふうに私は見てまいっております。
 しかし、いずれにいたしましても、専門的な視野から調査をお願いして、どうして硫黄島の再生を図っていくかということが私ども国土庁の仕事でございますので、調査の結果を踏まえながら、そういう上田さんから御指摘があった、御要望があったということは私なりに私的に防衛庁長官に伝えたいと思いますが、ただ、国土の防衛ということも、考え方の一つからすれば、この島自体にテレビも映らない、ラジオも聞こえないというような島、それに現在帰島された方々が果たして文化的な生活に浴するような生活ができるのかと。同時に、農業以外にできない島で、たとえば甘蔗を見てみますと、あそこの甘蔗の収量をすると、私は百姓ですから、九州で私どもがとる一町で一反分しか収穫がございません。そうすると、サトウキビを持っていかれても、あそこでつくってもどこかの島に持っていかなければ、製糖工場はあそこでは水がなくてできないというふうな特異な島であるだけに、いかに島を平和であり、かつまた日本の防衛上からもいろいろな考え方もございましょうから、その点はひとつ硫黄島の調査の結果を待ちながら、私どもとしては、国土庁としての考え方を出してまいりたいと思いますが、ただ、きょうの御質疑の中で強いそういう御要望があったということは私なりに防衛庁長官に伝えたいと思います。
#290
○上田耕一郎君 冒頭申しましたように、島民の方々は帰島する権利があるわけですから、いろいろなことを調査して、帰れるかどうかどうかと言っているうちに基地がだんだん拡張されてしまうと、ますます帰れなくなる。浅沼会長は、私の指摘した朝日新聞のインタビューの最後に、私どもはまず島に帰って自分が開拓した土地に住まなければ権利を主張できません、農地解放も進みません、帰らなければ何も始まらないんですと、こう言われているんですね。島民は帰る権利があるのだから帰す。あの方々が生きられるように、じゃ国がどうするか、基地はどうするか、ここから考えないといかぬと思う。そのことを最後に指摘いたしまして、質問を終わりたいと思います。
    ―――――――――――――
#291
○委員長(大塚喬君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、最上進君が委員を辞任され、その補欠として降矢敬雄君が選任をされました。
    ―――――――――――――
#292
○委員長(大塚喬君) 質疑を継続いたします。
#293
○栗林卓司君 二、三お尋ねをしたいと思います。
 地籍調査の都道府県別進捗状況を見ておりますと、府県によって進捗率が大変まちまちなんです。一つ一つこれはどういうわけですかと聞くのもどうかと思いますが、このまちまちというのはどうしてできたのか、特に目立つのは東海、近畿。近畿ですと要調査面積と調査済み面積を比べると、まことに惨たんたる数字が並んでいるのですが、この辺の事情というのは特に何があったんでしょうか。
#294
○政府委員(山岡一男君) 地籍調査は、国土に関します各種施策の基礎として重要な役割りを担っているわけでございますが、その調査が大変じみな仕事であるというようなこともございまして、その必要性に対する市町村等の認識が必ずしも十分でなかったという点が一つございます。さらに、これに対しまして国、都道府県の指導も必ずしも十分でなかった、これは反省いたしておりますけれども、否めない事実であったと思います。これらの認識の程度につきましては、市町村等におきます行政需要の多様化の中にございまして、それぞれ市町村ごとに異なっております。それがまた地域住民の調査に対する理解と協力の程度、あるいは調査実施の難易等も地域によって異なるということもありまして、その結果が積もり積もって都道府県の進捗のアンバランスが生じたというふうに実は見ております。
 また、別の要因で申しますと、特に大都市地域におきましては国民の皆さんの権利の移動が激しい、もしくは権利の意識が強い。それから所有権が細分化されている等の問題もございます。それらのものが重なり合いましていまのようなアンバランスを生じておるというのが結果でございまして、特に近畿とか、あのあたりが非常におくれておるわけでございますけれども、これはまた別途の面で申しますと、土地改良事業等によります同じような効果のある事業が相当進んでおる地域もございます。しかし、それはそれといたしまして、国土調査で計画をいたしましたものの進捗が悪いといいますのはまことに申しわけないところでございまして、先ほどのような理由であろうというふうに考えておりまして、それらを一々除去いたしますために指導の強化、宣伝啓蒙等に今後努力してまいりたいと思っております。
#295
○栗林卓司君 市町村の理解不足ということが一番大きな理由ではないかというお答えなんですが、では、今回、さらに十カ年計画を進めるに当たってその理解を深め啓蒙するために特段の方策を考えておられるわけですか。
#296
○政府委員(山岡一男君) 第三次の計画をつくります際には、現在までに九百八町村実施中でございます、残る町村も大分あるわけでございますけれども、そういうところにも会合を何回も持ちまして、ブロック会議等によりましていろいろPRもいたしました。少なくともいままで未着手のところの半分ぐらいは必ず手を挙げていただくというところまで実は部内の調整を進めておりまして、そういう意味では前回のようなことはないようにいたしたいと考えておるわけでございます。
#297
○栗林卓司君 ここに「地籍調査」という国土庁土地局国土調査課がつくられたパンフレットがあるのですが、最後のページに「活用例」として土地改良事業計画等、ずっと九項目にわたって並んでいるわけです。これを見ますと、地籍調査が進捗しないと市町村としていかにも損だなという印象があるのだけど、これは活用例として挙げただけであって、地籍調査を進めたからたとえば土地改良事業計画が一段とうまくいくとか、農村総合整備事業がプラスになるとか、そういう直結したメリットというものがそうそう出るものではないという性格ですか。
#298
○政府委員(山岡一男君) 国土調査の成果におきましては、ここにいろいろと挙げておりますけれども、これはいずれも定性的に挙げておるものでございまして、これがどの程度活用されたかという点について先ほども実は御質問を受けたわけでございますが、定量的なものについてなかなか申し上げられません。しかし、私どもが聞いておりますところ、やはりここに書いてございますようなものにつきましては十二分に役に立っておる。したがって、やはり私どもは調査をおやりになった方が得だというふうにかたく信じております。
#299
○栗林卓司君 ここに挙げておいでの中で、間違いなく結びつくと思われるのが「課税台帳の作成」ですね。これは新たに見直して、おまえのところはこれだけの土地が実は広かったんだ、ということは固定資産税の課税に直結をするということに相なる、それは間違いありませんね。
#300
○政府委員(山岡一男君) 地籍調査の結果につきましては、登記所の方へ送付いたします。登記所の方はそれに基づきまして登記を変えるわけでございます。したがいまして登記台帳が面積等が変わるわけでございますから、そういうものが固定資産税の課税等におきまして活用されることは事実でございます。
#301
○栗林卓司君 地籍調査実施前後における全国主要地目面積の変動率というのがございます。拝見しますと、調べた後の面積というのが調べる前に比べて田で一八%増、宅地で三六%増、山林で五七%増。これは増といま言っておりますけれども、実は前が小さ過ぎたんだと、調べ直したらこれが正しかったんだという数字なんだけど、この変動率というのは、たとえば山林だったら五七%も実は多かったんだと、こういう変化というのはなぜ起こったんでしょうか。
#302
○政府委員(山岡一男君) 地籍調査を実施いたしますと、一筆ごとの地積が明確になります。これを通常ふえた場合、なわ延びと称しておるわけでございますが、土地の登記簿上の面積と実測面積の相違のことでございます。これを一筆ごとに集計したものはないわけでございますが、いま先生がおっしゃいましたように、地籍調査前後の地目別の土地の面積というもので一覧をつくっております。
 それによりますと、トータルで、先生いまおっしゃいましたように、いろんな増減がございますが、調査前の面積に対しましてなわ延びが一六%ということになっております。それを地目別に分けたものが先ほどの先生のおっしゃいましたものでございまして、山林が五七%増、宅地の三六%増がある一方、原野では減っておるわけでございます。これは他地目への転換によるものでございまして、地籍調査を実施いたしましたときの現状地目について地目を正しく把握をするという結果でございます。したがいまして公図がつくられました当時と最近の状況との差がその地目別のところに出てくるということでございます。
#303
○栗林卓司君 そうすると、地目別の内訳は別として、全体の一六%増、これがなわ延びの実態であると。なぜなわ延びしたのか。
 いま登記所にありますいまの登記簿ですか、あれは明治初頭の地租改正のときの字限図が原点なんだ、こういう御説明なんですが、例の大問題を起こしたときですね、振り返ってみると。地租改正のときに調べた、調べたけれども、できることなら小さく申告しちゃえということが当時あったからこのなわ延びになったんでしょうか、それは思い過ごしでしょうか。
#304
○政府委員(山岡一男君) 必ずなわ延びがあるというものでもないようでございます。トータルの結果がなわ延びになっているということでございまして、これは恐らく現在の公図が当時の課税目的からつくられましたときの状況から見ましても、測量技術等もまだ未熟な時代につくられた経緯からいたしますと、相当の差があってもやむを得ないのではないか。最近におきましては、地球上の位置ということで厳しくやるわけでございまして、その辺の差が出たものであろうかと思っております。
#305
○栗林卓司君 そうすると、原因ははっきり定かにつかめないとしても、地籍調査をすると、地図は正確になるけど、同時に、大体なわ延びする傾向がある。それが固定資産税の課税台帳に当然直結してしかるべきですから、直結をするということだけをとらえて言いますと、地籍調査に協力をした市町村としない市町村というのは、税負担の公平という観点から見ると、まことにぐあいが悪い。したがって、たとえば近畿地方――これ全県そうです、というのは、固定資産税の負担という面で見ると、いささか課税の公平を失している結果になる、そう言って間違いないわけですか。
#306
○政府委員(山岡一男君) 現実の固定資産税の課税の状況等については自治省の方から御答弁があると思いますが、実際の地籍が変更になりますと、たとえば保有税といたします固定資産税が確かに実額ふえるという点もございますけれども、同時に、売買その他におきまして面積のふえた方がいい場合も当然あるわけでございまして、やはり土地に関する使用収益、いろんな面から見ますと、正しい地籍で物事が進むということが天下のためにはよいことだと思います。さらに、固定資産税等につきましても、やはり御本人にとっての問題があろうかと思いますけれども、正しい固定資産税を納入していただくというのは公平の原則から見てもよいことではないのかと私ども思っておる次第でございます。
#307
○栗林卓司君 私も、そう思います。
 このばらばらの進捗状況、これを自治省としてながめて、これを直さなきゃいかぬとお考えになると思いますけれども、どうでしょうか。
#308
○説明員(渡辺功君) 国土調査によるこの地籍調査というのは、けさからいろいろ御論議いただいている過程を承りましても、非常にむずかしい手間暇のかかる、それだけまた時間もかかる仕事だと思います。したがいまして課税の問題からだけこれをすぐ直すとかどうとかということを申し上げるには、非常にむずかしい仕事だなというふうに感じる次第でございます。
 ただ、これが順調に進捗いたしますならば、固定資産税にとりましては、ただいまお話がありましたように、非常に公平な課税ができるようになる、これは確かでございますので、この事業がやりやすいように固定資産税としてもできるだけ従来も考えてまいりましたけれども、そういう運用でまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
#309
○栗林卓司君 そうしますと、繰り返すようですけど、いま進んでいるところは五五%を超えておるところもあるし、一番だめなところは〇・六%というのもあるし、違い過ぎるんですよ。これはいろんな経緯があってこうなったとは思うんだけど、第三次十カ年計画を進めるに当たりまして、全市町村とも同じようにやろうじゃないかと。固定資産税を私が持ち出したのは、大体、土地、田畑山林は売るよりも持っている方が多いわけですから、そうすると、これ協力しない方がまるで得だみたいなことになったのではどうだろうかと思いますし、したがって、同じように協力をしろ、同じようにがんばれということを積極的に自治省としても指導をしなきゃいかぬ、また指導をするおつもりである、こう理解してよろしいですか。
#310
○説明員(渡辺功君) 固定資産税は、もう申すまでもなく、市町村の税金でございますので、私どもは、基本的に市町村内の均衡ということがまず基本だろうと思います。したがいまして、この事業が全般的に円滑に進むといいますことは私どもにとりまして非常に有益でもありますし、固定資産税の課税上も重要でありますので、先生のおっしゃることはよく理解できますし、私ども、そういう気持ちであります。しかしながら、直接にこの事業につきまして、税の面からどうこうということでは、これはやはりこの事業の円滑な実施というものにかえって問題がある場合もあるかもしれない。いろいろそこは配慮しなきゃならない問題点があると思います。したがいまして、私どもは、基本的に、前段申し上げましたように、市町村内の均衡ということで、まずどういう段階でその均衡ある課税ができるか、こういうことを基本に固定資産税としては考えてまいりたい、こういうふうに考えております。
#311
○栗林卓司君 私が固定資産税を例にとって地籍の話をしたのは、一番わかりやすい損得勘定だからなんですよ。で、そういうのはやっぱりおかしいんで、市町村の中の公平関係が重要なんですとおっしゃるんだったら、それこそ大上段に振りかぶって、このじみなしかも国家としてやらなければいけない仕事、これに対して市町村は協力すべきだよ。この惨たんたるありさまは一体何ですか、これは。進捗率がまるでばらばら、ひどいのは〇・六ですよ、パーセントでいくと。私は、これを実は最初から言いたかったんだけど、そうは言っても観念的議論に受け取られるので、固定資産税という損得勘定から話を持ってきたんです。したがって、これは国土庁がやっている仕事ではなくて、こんなじみでしかもやらなければいけない仕事というのは、全市町村がその気になってやってくれなければしようがないんです。
 したがって、重ねて伺いますけれども、この進捗率についてきわめて遺憾であるとお考えになりますかということと、第三次十カ年計画について、そうならないように――だって、自治省は何のためにあるんだと言いたくなる、御努力をいただけるかどうかお尋ねをして、質問を終わりたいと思います。
#312
○説明員(渡辺功君) 地籍調査につきましての自治省の態度ということでいきますならば、固定資産税課長としてちょっとお答えしにくいと思います。しかし、先生のおっしゃっておることは私どもよくわかりますので、そういった方向で固定資産税の分野でもよく考えてまいりたいと思います。
 なお、自治省という立場ということで強調されますと所管が若干違いますけれども、私も市役所の職員を長くやってきた経験から言いまして、自治省としてもこういうことについてそれなりに力を入れてきたと思いますし、市町村がなかなか協力しないという御指摘もありました、そういう市町村もあると思います。しかし、逆に東北、北海道等の市町村が相当協力してやってきているという事実もありますので、一概に市町村をひっくるめて協力が悪いということにはならないことは、先生御指摘のとおりでございますので、御了承賜りたいと思います。
#313
○国務大臣(園田清充君) いま御指摘があったとおり、非常にじみな仕事だけに、私どもの努力も足りなかった点も率直に認めます。そこで関係県市町村等に対して十分ひとつ認識を持っていただくような努力を今後していかなければならないと思いますし、そのためには、関係者の研修だとか、あるいはいろいろなことを繰り返して認識の徹底を図って、そしてバランスのとれた姿の中で今後とも進めてまいりたいと思います。きょうまで私どもの、率直に申し上げて、努力の足りなかったこともこうしたアンバランスを生んだ原因ではないかという反省もございますので、今後の御指導をひとつお願いを申し上げまして、御了承を賜りたいと思います。
#314
○委員長(大塚喬君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 国土調査促進特別措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#315
○委員長(大塚喬君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、茜ケ久保君から発言を求められておりますので、これを許します。茜ケ久保君。
#316
○茜ケ久保重光君 私は、ただいま可決されました国土調査促進特別措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党、日本共産党及び民社党の条派共同提案に係る附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
   宅地建物取引業法及び積立式宅地建物販売業法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行にあたり、改正事項の周知徹底と厳正な運用を図り、宅地建物の取引の公正の確保に遺憾なきを期するとともに、次の事項に適切な措置を講ずべきである。
 一、宅地建物取引業の実態にかんがみ、中小業者の保護、育成に今後とも十分配慮するとともに、事業分野の確保に努めること。
 二、不動産流通近代化センター(仮称)の組織、運営については、消費者、中小業者等全体の利便の増進に結びつくよう十分な指導を行うこと。
 三、クーリング・オフ制度については、周知徹底を図るとともに、悪質業者等の脱法行為を規制するよう法の厳正な運用について指導すること。
 四、媒介契約については標準約款を作成するとともに、業者、依頼者双方に十分周知徹底を図ること。
 五、宅地建物の取引に関する苦情、紛争について、迅速かつ適切な解決を図るため処理体制の整備、強化を図ること。
 六、宅地建物、特に分譲マンションの取引については、重要事項の説明の遵守、設計図、仕様書の閲覧等購入者の権利を十分保護するよう指導するとともに、標準規約の早期策定をはじめマンションの管理体制等について対策の確立に努めること。
 七、宅地建物に係る瑕疵担保期間の特約制限の実情に即した延長及び住宅保険制度について検討すること。
 八、宅地建物に関する広告、表示の適正化を進めるため、末加入者の不動産公正取引協議会への参加を指導すること。
  右決議する。
 以上でございます。
#317
○委員長(大塚喬君) ただいま茜ケ久保君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#318
○委員長(大塚喬君) 全会一致と認めます。よって、茜ケ久保君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、園田国土庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。園田国土庁長官。
#319
○国務大臣(園田清充君) 本委員会におかれましては、本法案につきまして熱心な御支援をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝を申し上げます。
 審議中における委員各位の御高見につきましては、今後とも、その趣旨を生かすよう努力をしてまいりたいと考えます。ただいま議決になりました附帯決議につきましても、その趣旨を十分に体して努力する所存でございます。
 ここに本法案の審議を終わるに際し、委員長を初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。どうもありがとうございました。
#320
○委員長(大塚喬君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#321
○委員長(大塚喬君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#322
○委員長(大塚喬君) 次に、都市開発資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。渡辺建設大臣。
#323
○国務大臣(渡辺栄一君) ただいま議題となりました都市開発資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。
 大都市の健全な発展と秩序ある整備を図ることが緊急の要請であることにかんがみ、大都市の機能を維持し、及び増進するため、市街地を計画的に整備し、改善する事業を広範に推進していくことが重要でありますが、そのためには、これらの事業に要する土地を地方公共団体が先行的に取得しておくことがきわめて有効であります。
 都市開発資金については、現在、国が、地方公共団体に対し、首都圏の工業等制限区域または近畿圏の工場等制限区域内の工場等の敷地及び大都市の秩序ある発展を図るために整備されるべき主要な道路、公園等公共施設の用地の買い取りに必要な資金を貸し付けることができることとなっておりますが、都市を計画的に整備し、改善する事業をさらに推進するため、都市開発資金の貸し付けの対象となる土地の範囲を拡大する必要があります。
 また、都市開発資金の貸付金の利率につきましては、都市開発資金の原資である資金運用部資金の利率の動向にかんがみて所要の改正を行う必要があります。
 以上がこの法律案を提案する理由でありますが、次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一に、首都圏及び近畿圏並びに政令で指定する大都市の一定の既成市街地の区域内にある土地で高度利用地区の区域内にあることその他の条件に該当し、その計画的な整備改善を促進するために有効に活用できるものの買い取りを、都市開発資金の貸し付けの対象に加えることとしております。
 第二は、貸付金の利率を、都市開発資金融通特別会計における借入金の利率を超えず、かつ、工場等敷地の買い取りに係る貸付金にあっては、特にその買い取りが促進されるよう配慮して、政令で定めることとしております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決いただきまするようお願い申し上げます。よろしくお願い申し上げます。
#324
○委員長(大塚喬君) 以上で趣旨説明は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
    ―――――――――――――
#325
○委員長(大塚喬君) これより請願の審査を行います。
 第二四号尾瀬分水反対に関する請願外十七件を議題といたします。
 これらの請願は、三月二十一日までに本委員会に付託されたもので、お手元に配付いたしましたとおりでございます。
 これらの請願につきましては、理事会において協議をいたしました結果、第二三五号幹線自動車道建設促進に関する請願は議院の会議に付するを要するものにして内閣に送付するを要するものとし、第二四号尾瀬分水反対に関する請願外十六件は引き続き審査を行うことに意見が一致をいたしました。
 つきましては、理事会協議のとおり決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#326
○委員長(大塚喬君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#327
○委員長(大塚喬君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会をいたします。
   午後五時十分散会
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ソース: 国立国会図書館
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