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1979/04/24 第91回国会 参議院 参議院会議録情報 第091回国会 逓信委員会 第5号
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1979/04/24 第91回国会 参議院

参議院会議録情報 第091回国会 逓信委員会 第5号

#1
第091回国会 逓信委員会 第5号
昭和五十五年四月二十四日(木曜日)
   午前十時三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十三日
    辞任         補欠選任
     小谷  守君     竹田 四郎君
 四月二十四日
    辞任         補欠選任
     竹田 四郎君     小谷  守君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         矢田部 理君
    理 事
                小澤 太郎君
                熊谷  弘君
                成相 善十君
                大木 正吾君
    委 員
                郡  祐一君
                志村 愛子君
                新谷寅三郎君
                高橋 圭三君
                西村 尚治君
                小谷  守君
                坂倉 藤吾君
                中野  明君
                沓脱タケ子君
                木島 則夫君
                青島 幸男君
   国務大臣
       郵 政 大 臣  大西 正男君
   政府委員
       郵政大臣官房長  小山 森也君
       郵政省電波監理
       局長       平野 正雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        栗生澤喜典君
   説明員
       公正取引委員会
       事務局取引部景
       品表示指導課長  矢部丈太郎君
       行政管理庁行政
       監察局監察官   重富吉之助君
   参考人
       日本放送協会会
       長        坂本 朝一君
       日本放送協会副
       会長       中塚 昌胤君
       日本放送協会専
       務理事      沢村 吉克君
       日本放送協会専
       務理事      山本  博君
       日本放送協会専
       務理事      反町 正喜君
       日本放送協会専
       務理事      武富  明君
       日本放送協会理
       事        坂倉 孝一君
       日本放送協会理
       事        田中 武志君
       日本放送協会理
       事        海林澣一郎君
       日本放送協会理
       事        渡辺 伸一君
       日本放送協会総
       務室長      片岡 俊夫君
       日本放送協会経
       理局長      青柳 保夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認
 を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○長野地方貯金局の存置に関する請願(第一七六
 一号)
○身体障害者に対する郵政行政改善に関する請願
 (第一八七五号外一〇件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(矢田部理君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨二十三日、小谷守君が委員を辞任され、その補欠として竹田四郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(矢田部理君) 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。
 前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○新谷寅三郎君 議題になりました問題について、若干の質疑をいたしたいと思います。
 収支予算の問題についてはいろいろ論議されたのでありますが、私は受信料の値上げの問題につきましては、原則としてこれは原価主義によるのが適当であると思います。したがいまして、物価の値上がりでありますとか、あるいは職員の処遇改善でありますとか、そういう問題で、原価が上がってくればそれに伴ってある程度の受信料の引き上げをせざるを得ないと考えております。この詳細につきましては、郵政当局においても十分審議をせられたことでもありましょうし、この委員会でもそれについて同僚の方からいろいろ御質問がありましたから、これは私はここでは省略いたします。
 ただ一つ、NHKについて申し上げておきたいことは、かねて私は公の場でも申し上げたことでもありますけれども、こういう公共料金の改定に当たっては、もちろんあらゆる方法で収入の増加を図るとともに、一方では経費の節約をしなきゃならぬことは当然のことであります。その経費の節約の一つの問題でありますけれども、かねてから私は現在のNHKの機構が余りにこれは複雑で膨大ではないかということを指摘しておるのであります。
 NHKの方は、私から言うまでもなく御承知だと思いますけれども、このあなたの方の組織表というものを見ましても、これ何のことかわからないですよ。どの部局で、ある問題についての責任を負わなきゃならぬか。どれが主になってやっておられるのかわからない。ここに書いてあるこういう表ですね、これあなたの方からいただいたんです。部長の下にまた部長があったり、とにかくNHKの組織というのは国民には全然わからない。中には職員の方でも、どの部局がどんな責任を持ってやっているのか、責任の帰趨がわからないとさえ言っておられるのであります。
 これをこの数年間私は言い続けてきたんですが、なぜもっと簡素にして責任体制を明らかにするという方法をおとりになれないのか。これは坂本会長が御就任前にもそのことはさんざん私から御注意をしたはずなんです。やりますやりますと言っておられるんだけれども一向に実現されてない、なぜでしょうか。この点だけひとつお答え願いたい。
#5
○参考人(坂本朝一君) 先生の御指摘の点につきましては、私もやはりそういう方向で物事を進めなければならないということで努力をいたしておりまして、たしか、たとえば放送を受け持ちます放送総局の問題でも、そういう点についていわゆる局制を廃止して、できるだけセクショナリズムを排したいと、そして報道とか教育とか教養とかということのジャンルの中だけで番組を考えるんではなしに、いまの国民の多様化したニーズにこたえるためには、そういうセクショナリズムを排して番組を生き生きとしたものにしたいという片方の気持ちから、放送総局の中の簡素化を図ったわけでございますけれども、しかし一方、先生の御指摘のような点も十分配慮しなきゃいかぬということで、御承知のように放送総局の中に報道局、それから番組制作局ということで、従来のとってまいりました点をもう少しはっきりするということの努力もいたしておるわけでございます。
 しかし、何分にもまだそこら辺のところの問題点も御指摘のとおりかと思いますので、今後この効率化等との兼ね合いも考えまして、できるだけ簡素化しながら、なおかつ責任の所在等が外部の方からもおわかりいただけるような、そういうことを本年度以降において実現していきたいということで努力いたしておる次第でございます。
#6
○新谷寅三郎君 一応趣旨は了承せられておるようですから今後に期待しますけれども、ただ職員の数を何千人ふやすんだとかいうことのほかに、その基本になるのは、政府においても行政改革というのを一つの大きな柱にしておりますね。あなたの方もそうだと思うんです。非常にふくれ上がったときにでき上がってきた機構ですからね。これを今日の状態に直すともっと簡素になって責任体制がはっきりすると思うんですね。これは速やかにぜひ実現されるように要望しておきます。
 それから、時間がありませんので、私は政策上の問題について、きょうは事務当局は要りませんが、郵政大臣にひとつ質疑の形でもって御意見を伺い、私の意見も申し述べたいと思います。
 それは、このNHKの予算の中に入っております放送衛星を中心として、郵政省でおとりになった政策についてであります。時間を短縮するために、私から大体この問題はこういうことですねというので、私の質問のもとになっております幾つかの問題について申し上げますから、もしこれが間違っておれば、その点は間違いですということを御指摘をいただきたい。
 第一には、NHKは、今度の予算の中の建設費の中で、この放送衛星の製作費といいますか、その製作する費用として大体八億五千万の予算を計上しておられるようであります。この内容は、製作費の六〇%をNHKが負担するという内容であるようでありますが、この点はそうでしょうか。
 それから次は、放送衛星を上げるについて一個三百億かかるそうですね、三百億。で、必ず放送衛星――この衛星問題は予備の衛星が要りますから、二個ずつ上げなきゃなりません。したがって、放送衛星については予備機を合わせて衛星だけで六百億の費用がかかるはずでありますが、そのほかに若干の地上設備が要ります。これも数十億かかると思います。この点は間違いないでしょうね、ということです。
 それから今度の実用衛星について、中型の衛星でありますから、テレビのチャンネルに対しては二チャンネルしかとれないということは事実でありましようか。
 それから、これ難視の対象にするんだと、難視解消のためにやるんだということが一つの大きな柱になっておるようですが、難視対象の世帯数というのは、NHKの発表でも大体四十二万世帯と言っておりますが、それでよろしいんでしょうか。
 それから、従来NHKが難視救済のために支出しておられる費用を調べてみますと、前は一世帯当たり大体一万円から二万円の時代が続きました。それから少しずつ難視解消のための経費が一世帯当たり上がってきたことは事実であります。この五十五年度の予算を詳細に検討いたしましたが、サテライト局によるものを見ますと、一世帯当たり四万六千円、それから共聴施設でやろうとした場合は六万八千円かかるというように私は計算しておるのですが、それでよいでしょうか。
 それから、衛星からの受像施設ですね、国民がやらなきゃならぬ受像施設、それの価格を一応検討しましたが、これは電監局長が前に、これは衆議院でしたか委員会で述べておられるように、現在はもうとても高くて手に負えない。しかし、これが相当普及をして量産段階に入った場合に、個別の受信をするとすれば大体一世帯当たり六万円から八万円かかるであろう。それから共同受信した場合には四万円から六万円ぐらいかかるであろうと、こういうことを述べておられるのですが、今日もそれと同じような数字が出ておるんでしょうか。
 それからNHKは、これはNHKの技師長がお述べになった言葉でありますが、今後の難視解消には大体四十二万世帯を対象にして千億ぐらいかかるだろうと、こういうことを主張しておられる。一世帯当たり先ほど申し上げたような費用であります。いままではそういうふうでありましたが、今後一世帯当たり平均二十五万円もかかるということはどうも私は腑に落ちないんです。
 この点は後日問題にいたしますが、千億かかる。それはどういう方面にどのくらいかかって、したがって一世帯当たり平均二十五万円もかかるということはやむを得ないんだということであれば、その算出の具体的な根拠をこの委員会に御提出をしていただきたい。これはきょうの三十分や一時間では片づきません。ですから、委員会に資料として提出をしていただきたいと思うのです。
 以上申し上げましたような幾つかの点について、私の申し述べた質問の基礎になるような材料ですね、これについて、何かそれは間違っておるよという点があればまず御指摘をいただきたいと思います。
#7
○国務大臣(大西正男君) 具体的な問題でございますから、政府委員からまずお答えをさせます。
#8
○政府委員(平野正雄君) お答え申し上げます。
 NHKの方からお答えした方がいいという部分を除きまして、大体先生おっしゃるとおりでございまして、NHKはこれは二発一緒に製作をし、打ち上げの準備をするということで、約六百億で二発準備ができるということでございます。
 それからその製作、打ち上げ費の六〇%分をNHKが、残りの四〇%分を国が負担をする。これは国の財政面と、国が開発をしNHKが実用に供するという意味で六対四という比率になったわけでございます。現在打ち上がっております実験甲衛星、これがスペースプルーブンと申しますか、すでにもう二年間……
#9
○新谷寅三郎君 時間がないんですからね、イエスかノーかで答えてもらえばいいんです。
#10
○委員長(矢田部理君) 答弁は簡潔にお願いします。
#11
○政府委員(平野正雄君) はい。
 いまの衛星では二チャンネル分しか放送ができないという状況でございます。
 それから受信機の価格につきましては、受信の形態によって異なるわけでございますけれども、個別受信で直径約一メートルのパラボラアンテナとアダプターを考えました場合には、実用の初期段階で……。
#12
○新谷寅三郎君 電監局長ね、私が質問したことに対して、違う点があればノーとおっしゃればいいし、それからそうであればイエスとおっしゃればいいんで、いまここで説明してもらうと、時間が四十分しかないそうですから、私はそれであなたの速記録を読んでこれ質問しているんですからね、そのつもりで、よけいな答弁はもうしないでくださいよ。
#13
○政府委員(平野正雄君) 普及段階におけるコストは、先生がおっしゃるとおりでございます。
#14
○参考人(沢村吉克君) 先生御質問の件、私どもの資料に関連いたします点はおっしゃるとおりでございます。
 なお、地上でやります場合の残りました四十二万世帯を解消するのに千億かかると申し上げました点も、いずれ資料で提出いたします。
#15
○新谷寅三郎君 大体いまお答えになったとおりで、私の申し上げた点は間違いがないようでございますから、そういったものをもとにしてこれから政策方面の御質疑を申し上げたいと思います。
 郵政大臣、私座って質問いたしますから、どうぞ座ったままで御答弁願って結構でございます。
 放送衛星に応じましてこういうような予算を出しておられるんですが、私はこの放送衛星というものは、これはNHKのためにだけやるんじゃないですね。これは放送でやらなきゃならぬ部分がもっとたくさんあります。第一に、目の前にあるのがやっぱり民放、それからいま法律案を出しておりますが放送大学、そういったものも、これはあわせて放送衛星をどう活用するか考えなきゃならぬと思うんですけれども、そういった問題について、これは政府間で予算折衝され、また方針をお決めになる場合に、どういうふうに審議されたんでしょう。
#16
○国務大臣(大西正男君) わが国におきまして、今日テレビジョン放送が国民の日常生活に必要不可欠なものとなっておりまして、その難視聴解消につきましての国民の要望というものもきわめて強いものがあると存じます。したがいまして、その対策というものは、政策上急を要する重要な事項だというふうに私どもは受けとめておるところでございます。そのため、従来から地上放送網で解消の努力が続けられてきたところでございまするけれども、全国的な解消を図るためには、今後巨額の経費と長年月を要するというふうに考えられているところでございます。
 一方、放送衛星を用いますと、日本全土を一挙にカバーすることができますので、テレビジョン放送の難視聴解消にはきわめて有効だということでございます。したがいまして、これまでに多額の国費を投入をいたしまして開発してまいりました衛星放送技術を早期に国民に還元する必要がある、そういうことと、それから従来からの衆参両院の逓信委員会におきます審議の状況や、それから通信・放送衛星機構法案の審議の際の附帯決議等に従いまして、放送衛星の実用化を推進してきたことなどから、実用第一世代の放送衛星につきましては、当面NHKのテレビジョン放送の難視聴解消のために利用すること、こういうことにしたわけでございます。
 なお、八チャンネル全体の利用計画につきましては、今後における放送衛星の需要動向、それから衛星放送技術の開発動向、これらを踏まえるなどいたしまして慎重に検討してまいりたい、このように考えております。
#17
○新谷寅三郎君 八チャンネルとおっしゃいますけれども、これは国際会議でテレビジョンの八チャンネルの周波数を割り当てられたというだけで、いまのようなことになりますと、放送衛星を幾つも上げなきゃならぬでしょう。そういうことが果たして国益に合致するかどうかということについて私はいま申し上げておるんですが、そういう基本的な方針が決まらないうちに、先にNHKの放送だけをもとにしてお考えになっているとすれば、それは非常に早計じゃないか。私は、そういう観点から御質問を申し上げているわけでございます。これはまだ後へ続きますから後で申し上げます。
 放送衛星によって総合、教育の二系統のNHKの放送を実現した場合に、これはいろいろなことをNHKも言われるし、郵政省も言っておられるんですが、従来の地上施設によるネットワークをやめるのかやめないのか。これは併用していくということになりますと、衛星から電波を出すんですから、日本国じゆうだけじゃない、むしろ近隣の外国まで行くでしょうね、電波は。ですから、その点は間違いないんですけれども、これはやり方によりまして、NHK自身にとっては二重投資になるでしょう。地上施設はやめるんですか、やめないんですか。――いや、大臣に聞いているんです。どういう方針でこういった政策をお立てになったのかを聞いているんです。
#18
○国務大臣(大西正男君) 放送衛星の利用につきましては、NHKのテレビジョンの難視聴解消が、先ほども申し上げましたように喫緊の政策的重要課題である。現在そのために具体的に放送衛星を利用する計画をNHKが有しておりますことと、それから放送衛星によるNHKのテレビジョン難視聴解消が既存の放送秩序に全く影響を及ぼさないものだというふうに考えられますので、そういう点等を勘案をいたしまして、さしむきNHKによる使用を認める、こういうことにしたわけでございます。
 郵政省としましては、放送大学の放送の利用につきましても、これがきわめて有効であると考えております。八チャンネル全体についての総合的利用決定につきましては、そのあり方いかんによりまして既存の放送秩序に大きな影響を及ぼすことも考えられないわけではございませんが、こういった点につきましては、学識経験者等から成る調査検討会を設置をいたすなどいたしまして検討を重ねていきたい、このように考えております。
#19
○新谷寅三郎君 大臣、失礼ですけれども、わかったようなわからぬような御答弁なんですが、もっと端的な例を出して申しましょう。
 放送衛星で、これを全国ネットでカバーしていこうということになりますと、ローカル放送が入らないんですね。入る余地がないんです、二チャンネルしかないんですから。いま各府県でも県域放送をやっていますね。これはまた別の問題があるんですけれども。そうすると、ローカル放送が入らないということになりますと、NHKの放送というのは、総合、教育の二系統でおやりになる。それから全国ネットでやるのだ。しかし、ローカルの方は、別のチャンネルをとらないと入らないんですから、これはよほど技術がまた別の意味で改善されないと入りようがない。そういったものはいまはできない。
 となると、民放の方は、もう当然ローカル放送が非常に大きな部分を占めますからね。これはいまのNHKと同じような放送の方式はとれないでしょうね。そうすると、NHKは全国ネットのものをやり、民放は主としてローカル放送をやるのだというような分け方にしていかれるんでしょうか。何かそういったことについて、基本的な放送政策の姿勢というものが明らかでないんです。だから本末転倒しているんじゃないか。そういった基本的な方針をまず決めて、その上でNHKはこうするのだ、民放はこうするのだというふうになさらないと、放送政策の大道を私は誤るんじゃないかという懸念があるんです。
 それで、郵政大臣にいろんな観点から、これはぜひ考え直してもらわなきゃ困るし、まず基本的な方針を先にお決めなさいということを申し上げたいためにきょうはこういう質問をしているんですが、郵政大臣、いかがですか。
#20
○国務大臣(大西正男君) 新谷先生は、宇宙開発等につきましても、今日までその原動力になって推進をしてこられた大先達というふうに私は伺っておるわけでございますが、その先生の御発言でありますから、私にとってもきわめて重い御発言でございますが、ただ、行政を現実的に行っていく上におきましては、そういうことを念頭に置きつつも、やはり当面するいろいろの行政需要に対応していくということも、行政としては一つの重要な役目ではないかと思うわけでありまして、そういう観点に立って先ほど来申しておりますこともそういうことでございます。その点についてはひとつ十分御理解をいただきたいと、こう思います。
#21
○新谷寅三郎君 大臣がこの予算を編成されたわけじゃなしに、大蔵省との最終折衝はあなたがなさったんですから、これはあなたの全責任とは思いませんけれども、私はさっき申し上げましたように、これはそんなに単純な問題じゃないんですね。日本の放送行政の上で、これは右にするか左にするかという非常に大事な問題を含んでおるわけなんです。ですから、行政上行政上とおっしゃるけれども、これは恐らく予算の編成の際に財務当局から、それは利用者が負担したらどうだと簡単に言われて、これはまずNHKが一番利用するだろうからというんで、NHKに六〇%というものをかぶせていったというような経過じゃないかと私は想像するんです。
 利用者が負担するのは結構なんですよ。当然だと思います。それならば、利用者に負担させる方法はいろいろあるわけです。実用衛星が打ち上がって、それをどの程度利用するかによりまして、料金で取ればいいんですよ、料金で。電話なんかでもそうでしょう。施設は貸して料金取ってるんです。利用者が料金で払えばいいんです。何も出資までしなくても私はいいと思っているんです。方法はあったと思うんです。だから、基本的な政策の問題が後回しになって、事務レベルの行政的な考慮だけが先に走ってしまうから、将来これで行きますと、私は、NHKも困るだろうし、日本の放送行政が非常にゆがんだ形にしかならないだろうと思うものですからこういう御注意をしているわけなんです。
 もっと言いますと、まだ十分ぐらいありますから言いますと、NHKは、どっかで言われたようですけれども、放送衛星を使いますと、だんだんにいまの共聴施設その他の地上設備をやめていくんだと。これは耐用命数が十五年ぐらいですからどんどん変えなきやならない。もうリプレースしないんだというようなことを言っておられるようですが、そうなると、非常に私は、さっき言ったようなローカル放送の問題も出ますし、それから、いま現実は、これは実は私は十年余り前に前田会長にやかましく言いまして、むしろNHKのやっている辺地の難視解消のためにお建てになるいろんな施設は民放にも共用さしたらどうかとここでも申し上げました。いままでNHKはそれを拒否しておったんですけど、民放を見せるために必要とする特別の経費は民放に負担さしたらいいじゃないかということで、とうとうNHKもそれ承諾されて現在のような制度になっているわけです。末端になると、いまは民放と共同使用しているでしょう。そういったのをやめたら一体これ民放がどうなるんでしょう。民放もこれ自分でまた施設をし直さなきゃならぬということにしかならないでしょう。
 そういった問題をなぜ私はこんなに先走って、いま大臣のおっしゃったような、行政だけが先走って基本的な方針をお忘れになったのかと不思議でならないのですよ。これは、いまここで言いましても大臣もお困りでしょうから、私はこれは、この予算案には反対はしませんが、しかし、だんだん本格化しますから、来年の予算編成までに、むしろ基本になる方針を、関係各省で集って閣議でお決めになって、その上に立ってこういった衛星に関するいろいろの具体的な施策を講じられるようにしてもらいたいと思うんです。
 で、ついで申し上げますが、宇宙開発についてはまだ日本では基本法ができていません。ですから、これは私、実は科学技術庁長官ともいろいろ打ち合わしておるんです。科学技術庁長官も基本的には私と同意見なんです。たとえばこれは衛星をだれでも打ち上げてもいいのか。それから衛星はこれは物体ですからね、所有権は一体どうなるんだ。今度おやりになるように、共有でもいいのかどうか。民間資本がどんどん入っていってもいいのか、所有権の所在の問題。したがって、衛星によってもし何か事が起きた場合の賠償責任の問題、これはいま条約なんかがありますね、そういった問題がまだ日本では決まってない。それからどんな目的で上げてもいいのか、衛星の目的、そういったものについて政府はこれはもう何ら関与しないのかというようないろんな問題があるわけなんですね。もっと極端に言えば、日本の宇宙開発事業団がロケットで打ち上げてくれないんなら、たとえばNASAに頼んで打ち上げたらどうなるんだ、そういう問題もあるわけです。
 そういう基本的な衛星についての方針が全然決まってないんですよ。だから、まずそういった問題について、少なくとも閣議で何かの基本方針を決めて、その上に立って放送衛星もどうしたらいいか、しかも放送行政の上でどうやるのが国民のためになるかというようなことをお考え願いたい。これはいまのままで行かれますと、NHKの放送を見ようと思いますと、いまのパラボラアンテナを何万円か出してつくる。それから民放を見るために現在の受像機をそのまま置いておかなければならぬ。国民の負担も私はこれはばかにできないと思うんですよ。いろんな問題があります。
 時間がありませんから、これ以上は私は具体的に申しませんけれども、大体私の心配をして大臣に御注意を申し上げているというのはおわかりくださると思いますから、さっき申し上げたように、ひとつ来年度の予算編成に当たりましては、ただことしはこうやったから今度は惰性で来年こうやるんだというようなことになさらずに、放送の基本をまずお考えになって、その上にこの予算の編成をされるように、これは強く要望して私の質問を終わります。
#22
○国務大臣(大西正男君) 先生が御指摘になられました宇宙開発基本法の問題とか、それから衛星の所有権をどこへ最終的に持っていくかという問題とか、それから三条約の当事国にはまだこちらはなっておりませんけれども、それの解決の問題とか、いろいろ本当に基本的な問題について御指摘がございました。その御指摘は、いずれもごもっともな御指摘であると考えます。閣議によって決定すべき問題等につきましても、それなりの非常に根拠の深い御意見だと思います。
 そういうことを踏まえまして、来年度の予算編成期におきましては、そういったことを念頭に置きながら対処してまいりたいと思いますが、いずれにいたしましても、衛星による通信あるいは放送、こういった問題は、私の乏しい経験による感覚では、まだ何といっても星雲状態だと思います。ですから、その基本に対処するということについても、おっしゃるように、今後経験に即しつつその問題を深く掘り下げていかなきゃならぬのではないかと思うわけでございます。
 基本法一つ取り上げましても、そういった問題をどういうふうにつかまえて、そうして大方の方々の合意を得るかといったような問題についても相当むずかしい問題があるんではないかと思います。それらを一々こなしていかなければなりませんから、そういうことを踏まえておりますと、一方においては、衛星による宇宙開発等の問題におきましても、世界的な国際的な分野でおくれをとらざるを得ないということになることもあり得ないではないと思います。
 ですから、論理的に申しますなら、もちろん一つの体系をつくっておいて、それに個々のものを当てはめていく、そういう考え方が一番合理的であり本来的であると思いますが、ただ寄せ木細工のように組み立てていくといったような、きわめてプラグマチックといいますか、そういう考え方も一方においてはこういった星雲情勢の中での問題に対処していくためには必要なこともあるのではないか。言うならドイツ的な考え方とイギリス的な考え方というもの、そういうことを行政の需要の中で十分念頭に置きながら対処していくことも行政としては必要ではないかと思いますが、先生の御意見は本当にこの問題の根本に触れる問題でございまして、私も十分御意見を貴重な御意見として拝聴いたしました。そういうことを念頭に置きながら対処してまいりたいと思います。
#23
○大木正吾君 いまの新谷委員の質問と関連して、私、二つだけ、時間も少ししかございませんから申し上げておきたいんでございますけれども、新谷委員の御発言と関係いたしまして、長田科学技術庁長官に申し上げたんでございますけれども、「あやめ」の問題の事故のときにこの責任が、実験衛星ですから、科技庁あるいは宇宙事業団の方にあると、こういった話もあったんですが、とにかくドイツの方がいいとかあるいはどちらがいいとか、いま話がありましたけれども、現在大臣、きょう宇野さんおられませんけれども、たとえば審議会一つつくるについても、非常に行政管理庁は神経使っておられまして、行政関係の諸費用を節約しようということになっているわけです。
 私は、衛星機構をつくったときにも若干の疑問点を最初に申し上げたんですけれども、とにかく事業団があり、衛星機構があり、東大の研究所がありまして、ばらばらという感じは否めませんから、ですから、私は一元化問題等については、これはやっぱり法律のこともございましょうし、同時にその関係の仕事をしているいわばセクションといいましょうか、関係官庁、そういったところがもう少し連係動作から統合なり一元化に向けてやっていただきたいと思う。
 同時にそれに絡んで、私がこの前の委員会で申し上げたんですが、大臣から御答弁がありましたけれども、やっぱりNHKの経営問題が三年間程度はこれでもって今度の値上げ問題いけるということであろうと思うんですけれども、三年後の見通しはまたこれないわけですね。同じ議論を毎回毎回繰り返している、こういう感じが強いわけなんですよ。ですから長期ビジョンというものについても言葉が出てきているわけでございますけれども、長期ビジョンということの中の、じゃあプロセスの中心は何かということを伺いますと、なかなか明快な答えが返ってこないという状態です。
 ただ感じますことは、三年間の問題としてとらえ、その後について見通しがない。しかし、その見通しのない中にも幾つか問題が、解明すべきものが残っていると思うんですね。それは結局、結果的にはいまの放送衛星の問題に関する諸事項のことであろうと思うし、同時に他の一つは、いま政府が取り組もうとしておりますが、情報公開法とプライバシーの保護の問題、これは裏表の関係なんですけれども、そういったことがある程度制度化され、法制化が進みますと、大都市における未契約者の開拓等についても相当な解決方向が見出せる、こういう感じがしておるんですね。
 同時に物価のスライド等が、物価がいずれにしても五、六%程度の上昇はどうしても続くでしょうから、そういったことに見合った料金制度、こういったものが一体どういう角度から議論されていいのかどうか、そういったこと考えてきますと、やっぱり今度のこの答申なりあるいは改正等を見ていましても、ずっと五、六年間の附帯決議もここに持ってきて見ているんですが、同じところをぐるぐる回っている感じがするんですね。
 結果的にやっぱり突き当たります問題は、長期ビジョンというものについてのプロセスをどう立てるかということで、この前大臣に伺って、大臣、異論がなかったんですけれども、この委員会の中に各党の――メンバーが若干かわる場合もありましょうけれども、やっぱり限られた時間内の議論ではなしに、またNHKなり郵政大臣とのやりとりということでなしに、ある意味では私は今後の放送体制、体系、そういったことを含めた、言えば懇談会でも何でもいいですけれども、そこには経営委員会の会長も来ていただくこともあるでしょうし、宇宙事業団の理事長においでいただくこともあっていいでしょうし、そういう点を考えて、もう少しフランクな議論をしてみて、そしていわば政府がやることに対して助言をする場をつくることについて、もう一遍ここでもって大臣の  これは附帯決議、この委員会で恐らくつけると思いますけれども、そのことと関係いたしますから、そういった場を、いま新谷委員おっしゃったこととも関係いたしまして、ぜひ私は放送の長期ビジョンといいましょうか、そういったことに対して、ずっとこう二、三回の経営委員会の資料等も拝見しているんですけれども、従来の枠からどうしても出れないわけですね。
 出なければならぬ問題にぶつかっている時期だと、こう考えますものですから、そういった、名前はどっちでも結構ですけれども、同時に私たちが提唱しているわけですから、自分たちは出る責任がありますが、そういった形でもって、与野党を問わない立場でもって今後の長期ビジョン、放送体制、そういったものにつきまして意見を聞いていく、あるいは合議をしていく、懇談をしていく、こういったいわば一種の懇談会でもいいですが、委員会でいいですけれども、小委員会でもいいですが、そういった会合を持つことについて、大臣の方では異論がございませんでしょうか。
#24
○国務大臣(大西正男君) いま先生のお話が、当委員会の中に小委員会といったようなものを設置をされまして、そしていろいろの問題をフランクに話し合っていこうと、こういう御趣旨でありますならば、これは当委員会の御判断なさることでございますから、そのことに私どもからとやかく申し上げる筋合いは一つもございません。ただしかし、そういうことはまことに結構なことだというふうには私は考えております。
 したがいまして、そういう場面がおつくりになられましたならば、主管大臣といたしましても、そういった場面におけるもろもろの御意見を十分に拝聴をし、行政の面にそれを踏まえて反映をしていくということはきわめて適切なことではないかというふうに、意見を求められますならばそのように考えます。
#25
○大木正吾君 前に一遍、四、五年前にそういったことがありまして、一回だけ会合があったそうでございますけれども、これは一回だけの会合でもって後流れたといいましょうか、会合持たれなかったんですね。そういった経過も伺った上で私申し上げていますから、このことを申し上げる立場からいたしますと、これは提唱する側にいたしましても責任がある。要するに出席し、アプローチをし、あるいは物を言う責任がございますから、そういう点、重々考えながら御提議しておりますからぜひ。
 名称は私は問わないと思いますね。要するに、経営委員会等でやっている問題の資料を拝見いたしますと、もうちょっと枠を広げてみていろんな検討をしておかないと、NHK自身の将来の経営について問題を残す、こう考えるものですから、ぜひそのことは大臣の方でお含みいただきまして、これは附帯決議の中にどういうふうにうたい込むか別でございますけれども、実行に移して私たちもいきたいし、大臣の方で受けとめてもらいたい、こう考えておるわけです。
 それから、二つ目のことでございます。前に伺って、時間がなかったものですから、これは坂本会長にお伺いしたいんでございますけれども、今度の放送法改正につきまして私の方では二、三点問題があるし、同時にその中にわりあいに放送のあり方といいましょうか、そういったものについての根本的な認識の違いといいましょうか、そういったことが含まれている、こういうふうに感じているわけなんです。
 一つは、やっぱり何といっても料金の契約という立場でもってやっていたものを、今度は受信料を支払わなきゃならないという形における義務づけの問題がございますし、同時に、従来罰則的なものは、受信契約の方で処理しておったものが法制化されてくるわけですが、この持つ意味合いのことについて最近のマスコミ等も相当取り上げているわけですけれども、私はやっぱり、平面的にいろんな答申というものを受けとめて法律的に整理したというだけじゃなしに、もうちょっと深い意味合いを持った放送法の改正問題ではないか、こう考えているんですけれども、賛否のことはこれは放送法の審議の際に申し上げることにいたしますが、その辺の御認識について、放送のあり方に関する部分を含むんだ、要するに国民が受信料を出しているわけでございますから、その受け取り方、聴視の仕方に対する問題ということは、私は相当根本的な、基本的なものにかかわる問題じゃないか、こう考えておるんですが、その辺の御認識をもう一遍きょう伺わしていただきたいんですが。
#26
○参考人(坂本朝一君) 大木先生御指摘のその点につきまして、今回の放送法改正の問題が明らかにされましてから、NHKと視聴者との在来の基本的な関係が変わるんではないか、あるいはそういう点について協会がどう考えているんだろうかというようなことの御指摘や御論議があるということについては私も十分承知しておりまして、そういう点に関して私どもも十分御納得いく御理解を得る努力をいたさなければならない、その上で慎重に対処をしていかなければならないというふうに考えておる次第でございます。
 受信料制度は、先生に申し上げるまでもなく、個々の視聴者にNHKの維持、運営のための経費を直接負担していただくということを基本理念にしておるわけでございますから、あくまでもこの制度が視聴者の理解と協力のもとに維持されていかなければならないということは当然のことだろうと思う次第でございます。そういう意味から、この今度の改正が受信料制度の趣旨を一層明確にするということに力点を置いたつもりでございまして、現在契約義務制となっているために、一部の方から契約するかしないかは自由である、あるいは契約しても支払わなくてもよいというような誤解がございますのはあるいは先生も御承知かと思いますけれども、そういう点についての誤解を解消いたしまして受信料制度というものの性格を一層明らかにしたいということでございます。
 ただ、罰則等の御指摘につきましても、これは罰則ということではございませんで、あくまでも民事上の問題でございますので、そこら辺のところの御説明なり御理解もいただく努力を私どもといたしましてはしなければならないということかと思いますので、基本的な考え方といたしまして、視聴者との信頼関係を損なうというような、そういう意思は毛頭ございませんので、あくまでも御理解いただくことを大前提にしているという、その点だけはぜひ先生にも御理解賜りたいと思う次第でございます。
#27
○大木正吾君 今度のこの放送法改正、きょうはこれは主題ではありませんが、料金値上げ問題にも絡んで裏表の関係でございますので伺うんですが、私ども社会党は、二十五年に日本放送協会ができましてから、値上げ問題については、調べてみましたら反対という態度をとったことはないわけなんです。反対という態度をとったことはなかったということは、やっぱり受信料を税金的に取り立ててはいけない。ということは、NHKの経営基盤ということをしっかり国民のものにしておきたい、同時に放送というものが戦争中の苦い経験がございますから、やっぱりもっと開かれたものとか、放送の独立性とか、そういったことを守ってもらいたい、こういったところに非常に根幹的な気持ちを置きまして、相当中身は、もっと上げ幅を下げろとかあるいは上げた幅をもっと延期して長く使え、こういった話はしましたけれども、しかし反対ということを言ったことはなかった。
 今度の場合でも、実は社会党逓信部会でもずいぶんとこれ議論がございまして、国鉄運賃も上がるし、郵便料金も将来上がるだろう、そういうこと等で公共料金全体絡んできますから、だからこの問題をむしろ反対した方が――極端にどろ臭く申し上げますと、反対の方が選挙のために都合いいぞ、こういう話もずいぶんあったんですよ。しかし、私はそのときに、もし社会党が反対したならば、いまの八二%が七五に落ちるかもしれない、同時に、社会党が反対したら他の野党がどういう態度をとられるだろう、こういったことも考えた。
 そしてその代償としまして、もしもNHK自身の経営の基盤が揺らぎ、そのことでもってさらに国民の放送が、いえば管理された国家放送になってしまうということを恐れますから、だから私たちは、非常に問題のある他の公共料金とは若干違うんだ、この問題については。そういう意味でもって説得をして、先ほど新谷先生おっしゃったんですが、私どもとしては反対しない方がよかろう、こういう心境で討論に参加しているわけなんですよ。
 ですから、私はこの放送法改正問題の扱い方につきまして、会長の立場がございましょうから、重要な問題、こういう御認識だということだけ伺えば結構なんですが、もしも放送法改正に野党が全部反対に回ったら、私自身は、皆が期待するように恐らく九〇%の受信契約に上昇しないだろう、逆に下がるだろう、七〇にいくかもしれない、そうなったら完全に基盤は揺らいできますから、そういったことを恐れるもんですからあえて申し上げておくということも考えてもらいたいんです。
 ですから、そういった伝統というものとユニークさというものと、BBC放送とか日本におけるやっぱりコミッティーの形成ですよ、何だかんだと言いましても。そういったことを考えまして、少し会長の御認識が、それはお気持ちとしてはわからぬわけじゃありませんけれども、平面的と言うていいか、失礼に当たりますけれども形式的に過ぎないか。むしろこの法案の改正等はNHKの放送体制全体に影響を持つ相当重いもんだ、こういったお答えがちょうだいできませんでしょうか。
#28
○参考人(坂本朝一君) 先ほど御答弁申し上げましたように、私といたしましては、この問題は本当に先生の御指摘のように、NHKの存立にもかかわりかねないテーマを含んでいるという認識は十分持っているつもりでございます。そのために非常に心を痛めておるということも正直に申し上げて申し上げられるかと思いますけれども、その反面、やはり御理解をいただく努力を怠ってはいけないということもございますので、そこら辺のところをこの際先生にも御理解いただきたいというふうに思う次第でございます。
#29
○大木正吾君 時間ですから終わります。
#30
○中野明君 最初に、この今回のNHKの五十五年度の予算審議なんですが、先日も大木委員がお話しになりましたように、暫定の一カ月が組まれたということについて大臣は、私の不徳のいたすところ、こういうことで頭を下げられたわけですが、私自身も閣議決定後の経緯ということは非常に異例なことで憂慮しておる一人でございます。
 こういう点、今後の動きを十分見ていかなければならないと思っておりますが、いずれにいたしましても、その問題はさておきまして、このNHKに対して以前から批判的な人というんですか、批判があることは私も承知をしておりますけれども、今回ほど批判が各方面、非常に幅広い面で批判が出てきているというような風潮を感じたときはないと私も思っております。NHKに対してどうしてこのように批判がだんだん高まってくるのか、こういう点について、言いかえればNHKとして何を問われているのか、この点について会長からどう受けとめておられるか、最初にお聞きをしたいと思います。
#31
○参考人(坂本朝一君) その点は、私といたしましても責任者として非常に心を痛めておる問題の一つでございますけれども、御承知のように、最近の視聴者の方々の御要望あるいは価値観の多様化等々に対しまして、私ども世論調査その他を中心にいろいろな形で視聴者の御意向を吸収して、そして御満足のいくように番組の中身の充実ということを努力いたしておるつもりでございますけれども、まだその点必ずしも十分でないという御指摘もあろうかと思いまして、私も会長就任以来、NHKが視聴者に対する第一の責任は番組であると、番組の充実を何としても図らなければいけないということでそれなりの努力をしてきたつもりでございますけれども、まだまだその点についての御批判が、世界情勢その他から見て非常に多様な御意見が豊富になっているというようなことも反映して厳しい御指摘をいただいているんではないかというふうに認識しておる次第でございます。
#32
○中野明君 いま会長は、番組ということをおっしゃっておりますが、それだけでしょうか。番組だけでこんなに批判がある――私は、NHKの体質も問われている、あるいはまた、受信料の徴収といいますか、収納に当たって不公平感、こういうこともやはりNHKに対する批判の一つじゃないだろうか。この点はどうお感じになっておりますか。
#33
○参考人(坂本朝一君) 確かに滞納数の上昇等々につきましては、やはりいま先生の御指摘の不公平と申しますか、隣が払わないのにうちが払う必要はないんじゃないか、あるいは見てないから払わないということでそれがまかり通っているならば払う必要ないんじゃないかというようなことで、かなりこの問題が御批判の中心の一つであるという認識はしておるつもりでございます。
#34
○中野明君 大臣にもお聞きしておきたいんですが、現状のそういう認識が、冷静で的確でないと対応も間違ってくると思います。結局、国民のNHKとしての信頼をかち取っていくためには、やはり現状の認識の的確さということが問題になってくると思うんですが、大臣はいまのNHKに対する批判についてどのようにお感じになっておりますか。
#35
○国務大臣(大西正男君) 先ほど会長もおっしゃいましたように、国民のニーズといいますか、そういうものは年とともに、日とともに非常に多様化していくいまの社会の現状でございまして、そういった多様化したニーズに応じていくためには、NHKとしてもそれなりに対応の努力をしてまいらなければならぬところだと思います。そういった番組の編成等をめぐっても、新聞の読者欄等を見ましても、いろいろ不満なことを述べておられる方もあるわけですが、一方においては、その不満と言っておられることに対して、片一方ではそれを歓迎しているという、そういう意見の方もおありのようでありまして、その辺の調和をどのようにしていくかということが、これまたNHKが公共放送としての立場を基盤としつつ、これにどのように対応していくかといったようなこともNHK自身がよく考え努力をしていく問題ではないかと思います。
 受信料についてのいろいろの御意見にいたしましても、これまた会長がおっしゃったように、現行の受信料に対する何といいますか、契約義務化によって受信料支払いを裏づけられておる、そういう法の書き方自体が、受信料というものの性格に対する十分な理解を国民の方々の中には誤解をされておるといったような問題等もいろいろあるんではないかと思います。
 ですから、そういう点からいいますと、やはり今回御審議をお願いをいたしております放送法の改正につきましてもそういった誤解を払拭をして、単刀直入にその性格を御理解をいただいて、その上に立って受信料というものに対する支払いをお願いをする。もちろんこの放送法の改正は受信料の性格を変えるものでもございませんし、またNHK自体の性格を変えるものでももちろんございませんので、国の何といいますか、税金的なものでないことも明白であると私は思いますが、しかし、それに対してNHK自身が、受信料の徴収については十分いままでのやってこられた御努力をさらに一層努力を重ねられまして、十分国民の理解を得ていくような努力をしなければならぬことは当然ではないかと思っております。
#36
○中野明君 基本問題調査会の報告でも述べられておりますように、NHKに対する理解がまだ十分であるとは言えないと明確にこれにも述べられております。しかし、言論の最先端をいく放送、それで二十五年から現在の形で放送法が施行されてやっておるんですから、二十五年といいますともうすでに三十年ですか、期間がたっているわけです。三十年もたっておってまだNHKに対する理解が不十分だと、このように調査会から指摘をされるという点、こういうことを考えますと、NHKが国民に理解をしてもらうための努力というものが非常に、三十年間何をしておったんかと、こういうことにも通じてくると思うわけです。
 これ見せてもらいますと、四五%、半数近くの人が理解してない。あるいはイメージで言えば公団や公社と同じく半官半民と、こう考えている人が四七%で半数ですね。財源は国が負担していると考えている人が四二%。だから、日ごろおっしゃっているように、国民の放送であり、受信料で成り立っておりますという、こういうNHKの経営のあり方というものがこの程度しか理解されてない。この点について会長としてどうお考えになりますか。
#37
○参考人(坂本朝一君) 私も、先生御指摘の、NHK自身が調査いたしました世論調査の結果のこの十年間の経過の中で、もうはなはだじくじたるところでございまして、まことに申しわけないと思っておる次第でございます。ただ、正直に申し上げまして、受信者側の年層と申しますか、それも年々若い人、戦後の方が中心になるというような、そういう受信者側の対応の変化、それに即応して私どものPRなり手の打ち方なりというのが不十分であったという点についてはこの席をおかりしておわびいたしますけれども、今後は何としてもそういう言いわけは通らないんじゃないかということで、お許しいただければ、NHK自身が持っている電波を使わせていただいてもNHKの性格を御理解いただくということが、結局は受信者の皆様方のおためにもなるのではないかという観点から、かなりそういう意味で積極的に「NHKの窓」その他の番組を通じまして、その趣旨を受信者の皆様方の御理解を得る努力を続けていきたい。
 なお、電波のみならず、いろいろな視聴者会議であるとかあるいは懇談会であるとか、そういう直接受信者の皆様方と、はだとはだを突き合わせる形においても、各地方放送局長みずから街頭に出てでも、NHKの性格等の御理解をいただく努力をすべきであろうというふうに考えまして指示しておる次第でございます。
#38
○中野明君 結局現在は、御案内のとおり、非常に政治に対する不信あるいはこの綱紀粛正というようなことが叫ばれているときでありますので、国民の半数近くの人がこういうイメージを持っているというところから無理解層もふえてきているんじゃないかというふうに私も心配をしているわけです。ですから、その点をいま会長がおっしゃったように、あらゆる機会に努力をなさって、NHKというもののありのままの姿というものを国民の皆さんに知っていただくということが経営基盤の安定に通じる、このように私は考えております。
 そこで、受信料の改定の回りになっておるわけですが、このこういう改定を言われる以上は、現状を見ますと、未収の欠損償却はふえる一方だし、拒否層はふえるばかり、滞納者も増加している。こういう状況というものを処置してから初めて受信料の値上げというものが理解されるんじゃないかと、こういうようにも考えております。
 そこで申し上げたいことは、先日、大木委員の御質問にお答えになっておりましたが、テレビの受信台数ですね、国民の持っているテレビの台数、それに対しての受信契約数。その前提となるのはやはりテレビの設置世帯数、これの掌握といいますか、認識というのがNHKのおっしゃっているのは非常に甘いということをかねがね私指摘をして、いまなお私自身は、中塚副会長が営業担当の重役をなさっているときにも議論しましたが、まだ納得はいたしておりません。
 それで、先日の御答弁にちょっと一部出ておりましたが、まずNHKとしては総世帯をいろいろ御説明を聞きますと、全国の総世帯の三千六百方というのは、いろいろの調査を調べてみましても大同小異、大体そうだろうと思いますが、テレビを実際に持っている世帯数、この三千六百万世帯の中でテレビが一体どの程度設置されているか、こういうことについてNHKはどう見ておられますか。
#39
○参考人(海林澣一郎君) お答え申し上げます。
 いま先生御指摘のまず世帯数が三千六百万世帯、これは御承知の国勢調査、それから厚生省の調査の補正でできているものでございますけれども、御質問の、テレビを所有するということでちょっと前提がございまして、私どもとしては、まずテレビの無料契約、生活保護その他の方でございますけれども、その方をまず引かなければなりません。したがいまして、五十五年の予算値で申し上げますと、百二十六万というのがまず契約の対象にならない無料の対象でございます。そういたしますと、三千六百万世帯のうちのいまの数字を引きまして三千四百七十四万世帯、これがテレビの契約をするいわゆる母体と申しますか、になります。
 次に、その三千四百七十四万世帯のうちで、実は世論調査から申しますと、普通の御家庭ではもう一〇〇%持っておるんではないか。NHKの世論調査所の資料によりましても二人以上の一般世帯につきましては九八%というような所有でございますけれども、実は単身世帯が最近ますますふえておりまして、五十五年の統計で申しますと単身世帯が一八%あるわけでございまして、で、この単身世帯の方のテレビの所有率が実は五〇%、若干数字がややこしくなりましたけれども、そういうことを前提に考えてまいりますと、テレビの所有世帯というのは三千百二万世帯と、これがいま申し上げたような数字を差し引きしました数字ということになるわけでございます。テレビの所有世帯三千百二万が五十五年の数字でございます。
#40
○中野明君 いま三千百二万とおっしゃいましたが、このお答えの中にもありましたように、普通世帯でテレビのない家はないだろうと、一〇〇%だろうとこうおっしゃっているけれども、おたくの方では九八%ということですから、すでにそこで二%のずれがあります。
 それから、単身世帯でも半分しか持ってないだろうというようなことは恐らく考えられない。このように私どもははだ身で感じるわけです。その辺の庶民感覚とのずれ、あっさりもう単身世帯は半分しかテレビ持ってませんというような、そういう計算の仕方、その辺に非常に甘さがあるんじゃないかと思います。
 また、生活保護世帯百二十六万世帯。しかし、実際NHKが免除しているのは七十万九千です。きょう今日では、生活保護世帯の方々はテレビを持ってもよろしいということになっております。ですから恐らく全部あるでしょう、テレビを持っておられると思います。それで、七十万九千ですから、百二十六万ですからあと五十五万世帯というのは、これはお金もらっているんですか。
#41
○参考人(海林澣一郎君) お答えいたします。
 先生の御指摘の、いわゆる生活保護関係の百二十六万でございますけれども、これは施設その他でございますとかなりその辺の掌握ができておりますけれども、一般に住民としていらっしゃる方の生活保護の対象の方、この方たちにつきましては、届け出をしてくださらないというような方がわりあいに多うございまして、その辺のところが先生の御指摘の誤差にあらわれているということでございます。
#42
○中野明君 この生活保護世帯は全面無料ということになっておるんですから、いまのあっさりずばっと引いておられるわけですけれども、差の五十五万世帯のうちではかなりの人が受信料を納めておられるということにもなるんではないか。こういうふうに私思うんですが、その点はもっと親切に、もしそういうふうに免除されるというならば、免除されますよということをやはり教えてあげる必要があるんじゃないだろうか。この点どうですか。
#43
○参考人(海林澣一郎君) お答えいたします。
 その点につきましては、たとえばケースワーカーの方にお願いするとか、厚生省との連絡も密にいたしまして指導は行っているということでございます。
#44
○中野明君 そういう点もちゃんとしてあげていただきたいと思いますが、いま申し上げているように、まず私、自分で自分なりの計算をしてみますと、やはり三千百二万世帯ですか、それだけが有料契約対象の世帯数だろうというふうに推定をされておるのは、これは非常に甘いということ、甘さが一つあるということです。
 それからもう一つは、大木委員の質問にありましたように、非世帯のテレビの設置状況、これがまたもうべらぼうに甘いんじゃないか。で、非世帯の全体といいますか、これ、どれぐらいあると見ておられますか。
#45
○参考人(海林澣一郎君) 非世帯の推計は、総理府の統計で五十四年度六百三十万ということでございます。
#46
○中野明君 六百三十万。そうすると、単純計算しても六百万。非世帯一戸当たりに一台テレビがあるとして六百万、こういうことは言えるわけです。ところが、非世帯の契約というのは八十万ですから、そうしますと契約率は一六%と、こういう計算になってくるわけなんです。
 この間大木委員の質問のときに、私やりとりを聞いておりますと、お答えになっておったのは旅館、ホテルの客室が百九万で、それで半分は小さな旅館でテレビはもう部屋にないだろうと。それで、その残りの五十万でテレビを持っているのが、あれ、この間の答えでは八割、要するに四十万だろうと。そのうち三十五万契約しておりますから大したもんですというような自画自賛のお答えであったように思うんですが、それは変わりませんか。
#47
○参考人(海林澣一郎君) 変わりございません。
#48
○中野明君 ちょっとそれが理解できぬのですがね。私はいま高知県に住んでおりますが、高知県と言えば大体日本では僻地の方です。この僻地の方に参りましても、民宿に行ったってテレビのない部屋というのは私は見たことがありません。いまあなたが、この前答弁なさった百九万というこの旅館の客室の中には、ユースホステルあるいは国民宿舎、簡易保険保養センター、中小企業レクリエーションセンター、国民年金保養センター、民宿、簡易宿所、全然入っておりませんよ、この百九万の中には。百九万室の中にはこういうのは除外されているわけです。これがかなりの数に上ります。こういうのを計算に入れるとまだまだ率が変わってくるわけなんです。どうですか。
#49
○参考人(海林澣一郎君) 私の方の積算の統計は、旅館業法による営業許可数――旅館のです。先生御指摘の件につきましては、この中にトータルされている数字でございます。
#50
○中野明君 私がいままで調べた中では、これは衛生業務報告、この中では旅館、ホテル以外の宿泊施設ということで別に取り扱われているように理解をしておりますが、その辺がちょっとあなたと意見が合いません。一応調べていただきたいと思います。これは入っておらないはずです。
 そうなりますと、これまた大変な、どういうんですか、設置台数の状況把握というものが違ってくるわけです。そういうふうにずっとこう見ていきますと、簡単に大変な契約率のようにおっしゃっておりますけれども、客室の百九万のうちで半分しかないということ自体がもうすでに考え方が甘い。きょうこのごろね、テレビを置かないような旅館、そういうところにお客さんは参りません。だから、もう自分の営業政策の上からもテレビを置くようにもうそれは当然なっていると思いますし、また私どもが僻地へ参りましても、テレビのない部屋というのはありません。
 そういうことを考えますと、余りにも大ざっぱな甘い計算で、そして、そのおっしゃっておりますが、あなた方が机の上で計算されているのと、実際に庶民がはだで感じているのとは大きなずれがあるわけです。そこからまた不公平感というものがやはり助長されてきているんではないだろうか。
 特に、後ほど触れますけれども、僻地に行きますとNHKのテレビを、あるいは民間放送も含めますけれども、テレビを見たいがために自分で負担金を出して共聴施設をつくって――つくってもらったりつくったり、負担金を五万も十万も出して、その上に毎月毎月この組合に維持費を出して、それでNHKに受信料を払っている、こういう人たちが非常にたくさんおるわけですよ。片方では気に入らぬから払わぬと、この不公平感というのはどうしようもないんですよ。だから、NHKにとってはまことにありがたい話ですね、自分たちで見たいからというんで一生懸命施設までして、そして自分で毎月の維持費まで払って、その上に受信料を支払ってくれているんですから、こんなありがたい人はおりません。
 その反面で、もう全然気に食わぬから払わぬというような人が毎年ふえているという、こういうそのずれ、そういうことを考えていきましたときに、もっともっと真剣に、非世帯なら非世帯もいただくことになっているわけですから、だからこの官公庁にしましても、これ、それぞれ一つの、たとえて言えば大蔵省なら大蔵省という役所の中にテレビ一台ということはないと思います。こういうことを計算していきますと、あなたがおっしゃっているように百九万室があるという中で五十万しかないとか、こういうような説明では私たちはとうてい納得できません。
 いろいろこう推定をして計算をしてみますと、大体六百六万の事業所で私たちが甘く見ましても八百二十五万台ぐらいテレビあるだろう、こういう計算をしてみました。そうすると、これもういよいよこの契約率というのは九・六%、十台に一台しかよう契約していない、こういうことにもなるのです。で、あなたがおっしゃったこの客室の半分という計算でしましても五百万台ぐらいはあるだろうと、全部で、事業所を含めまして。だから、五百万のうちで契約が八十万ですから、一六%ぐらいしかなりません。こんな状態で果たしてよろしいんでしょうかと、こういうことであります。もう一度御答弁いただきたい。
#51
○参考人(海林澣一郎君) 先生の貴重な調査に基づきます御指摘を受けたわけでございますけれども、私どもといたしましても精緻な実情調査と申しますか、たとえば確かに先生のおっしゃいますように、六百三十万の事業所があって、その中の契約が非常に少ないということでございますけれども、たとえば昭和四十七年の十二月から四十八年にかけまして、新宿でビルに積極的にお伺いして調査をしたという数字がございます。新宿駅の周辺のビル二十六むねでございますけれども、その中に入居する民営の事業所の調査結果で四百二社に伺ったわけでございます。で、四百二社に伺いまして、そのうちテレビを設置していらっしゃった事業所が八十四社、二一%で、設置台数が九十一台、平均一・一台でございます。
 実はこの同一種類のものを三カ所、四カ所でやっておりますけれども、この二一%という数字は、プラスマイナスはほとんど〇・一ぐらいなところで、こういった中小と申しますか事業所で、日常事務をとりますのにテレビをごらんになっているということはほとんどないと。私たちも調べる前にはそんなことないというような感じを持ちましたけれども、意外でございましたがこういう状況がございます。
 余り長くなるといけませんけれども、われわれとしてはこういうものを積算いたしまして、先ほど申し上げたような資料で仕事を進めているということでございます。
#52
○中野明君 これは事業所も病院もその他年々増加しております、旅館も。ですから、そういう古い時点で見たけれども少なかったと、意外だったと。それをいいことにして、それを積算根拠にして全国に波及して見るという考え方、それもまた余りにも早急じゃないかと思います。私が申し上げているのは、一般の国民の実感といいますか、直感というのは、これ恐ろしいです。これに余りにもかけ離れている。そこに問題があると思うのです。
 ですから、これは本当に大切なこの経営安定の基盤になる問題ですから、たとえば千台あるにかかわらず、NHKとしては五百台しかありませんと思っているということになるとこれは大変なことですから、この辺は本当に本気でひとつ考えていただきたい。もちろん立入検査もできないし、いろいろ隘路はあります。ありますけれども、私たちが実感しているあれでいきますと、非常にNHKのおっしゃっているのが甘い、甘いももう何かごまかしているんじゃないかというような気がしていかぬのです。ですから申し上げているわけですので、この辺をひとつ今後とも大いに努力をしていただきたい、このようにお願いをしておきます。
 それで、きょうは時間が途中でまた休憩になったりするんで限られておりますので先に進ませていただきますが、けさほど新谷委員の方から放送衛星のことについてお話がありました。私も同感であります。心配をしておることをずばりおっしゃっております。
 そこでまず、大臣のお答えにもありましたように、放送衛星で難視解消ということを非常に大臣は力を入れてお考えになって打ち出しておられますが、まず難視を解消するということになりますと、辺地難視の実情、これを知らなければなりませんが、これからNHKとそれから郵政と両方にお尋ねをしますが、NHKでは自分たちが本線をつくってやっている、助成している共聴施設が幾らぐらいあって、幾らの世帯が救済されているか。それから、NHKにはかかわりなく、民間自力建設といいますか、自分たちで建設をした、そういう共同受信施設が幾らあって、それはどれだけ救済されているか、最初にそれを。
#53
○政府委員(平野正雄君) 五十四年三月現在で申し上げたいと思いますが、NHKの辺地共同受信施設でなくて、民間において自立して設置をしたものの施設数が約五千八百でございます。世帯数は約五十三万五千世帯でございます。
#54
○中野明君 これはおたくで出していただいた資料なんですが、それは累計ですか、いまおっしゃったのは。
#55
○政府委員(平野正雄君) ただいま申しましたものに、NHKの辺地共同受信施設を、NHKからと思いましたが、申し上げてみますと、施設数が約八千八百でございまして、世帯数が約六十四万二千でございます。合計いたしますと、施設数が約一万四千六百、世帯数にいたしまして約百十七万七千世帯でございます。
#56
○中野明君 これはおたくで出していただいた資料なんですが、有線テレビジョン放送施設で、NHK及び地方公共団体の助成に係る辺地共同受信施設を除く年度別の設置状況で、五十三年度末でこの施設数の累計が一万一千九百七十四、これによって受信をしておる世帯数の累計が百六十四万四千、こうなっておるんですが、いま電監局長がおっしゃっているのとずいぶん数字が違うんですが、どっちが本当なんですか。
#57
○政府委員(平野正雄君) 先生のお手元にお出しいたしました数字は、都市の受信障害解消を目的としたものが入っておる数字でございまして、そちらの方を申し上げますと、五十二年度末におきまして施設設置数が千七百六十九、受信世帯数が三十万六千世帯、それから施設数を累計いたしますと一万一千九百七十四、受信世帯数の累計が百六十四万四千世帯でございます。
 それの内訳といたしまして、先ほど申しました辺地難視聴解消を目的としたものの施設数が五千七百九十六、世帯数が約五十三万五千、それから都市受信障害解消を目的としたものにつきましては、施設数が七千六百二十五、世帯数が百十三万七千、それの合計が一万三千四百二十一施設ございまして、世帯数が百六十七万二千世帯ということに相なっております。さらにその内訳といたしまして、地方自治体助成のものが千四百四十七施設、二万八千世帯でございます。
#58
○中野明君 わかりました。
 NHKは。
#59
○参考人(沢村吉克君) いま郵政省の方から御答弁ございましたが、NHKのつくりましたいわゆるNHK共聴と申しますものの数でございますけれども、辺地の共聴でございますが、五十三年度来に約八千八百施設でございます。八千八百二十四施設でございまして、これに加入しております世帯数が六十四万二千でございます。
#60
○中野明君 そこで、問題になってまいりますのは、この共聴施設の寿命ですか、耐用年数が十年と言われておりましたが、先ほど新谷先生のやりとりの中で、十五年ぐらいはもつんじゃないかということも出ておりましたが、そうなりますと、もうずいぶん古くから出てきておるのが大改修をしなきゃならぬというのが、これがこれからのNHKとしては一番大きな課題と私はかねがね申し上げておるわけであります。で、これから先は、辺地の共聴に金を使うどころか、もう大改修にほとんど予算を食われちゃって、NHKとしては大変なことになるというのが私ども地方におる者の感じです。
 それからもう一つ心配をいたしますのは、いま電監局長がお答えになりましたように、辺地の自力の建設、これによって約五十三万五千世帯の人が救われているわけですが、救われているというのは自分で救うているわけですね。この人たちが今度は大改修の時期が来たときに、NHKにお願いしたいと言うてきたらどうしますか。
#61
○参考人(沢村吉克君) NHKの持っております共同受信施設、先ほどお話し申し上げましたように八千八百が五十三年度末でございますが、このNHKの施設につきましては昭和四十四年からスタートをいたしておりまして、いま最初のものが十年をちょっと越したところでございます。場所によりまして非常に老朽化の早いところもあればあるいは長持ちをするところもございまして、先生御指摘のように、これから更新対象施設が大幅にふえていく時期になろうかとは思っております。
 いま御指摘のNHKが直接携わっていない、これ以前の時期あるいはその後におきましてもNHKの直接の責任でなしに一般の聴視者が自力でおやりになっているものにつきましては、原則的には従来どおりその受信者の方でこれの維持運営を図っていただくという考えでございます。
#62
○中野明君 だけれども、NHKがそういう考えをお持ちになっておっても、向こうがお願いをしますと言って申請してきたらどうしますかと言っているんです。
#63
○参考人(沢村吉克君) 従来のわれわれのやり方で申しますと、原則はいま申し上げたとおりでございますけれども、その地域地域の実情に応じまして、私どもが技術的に御協力できるところは御協力を申し上げて御理解をいただくということでございまして、これをすぐに右から左へNHKの共聴施設に置きかえるというようなことはいたしておらない次第でございます。
#64
○中野明君 そうすると、どういうのですかね、言い方がむずかしいんですが、NHKに頼んでもなかなか予算がないからといってやってくれぬから自分たちで努力して、自分たちの金で共同受信施設をつくったところはもうそれに甘えて、どうぞそれで続いてやってくれと、NHKとしてそこまで手が回りませんと、こうなりますと、NHKでやってもらったところと全然やってもらわぬところに差が出てきますわね。そういう不満が出てくると思うんです。ですから、その辺を私心配しているわけです。
 そうなってまいりますと、これはこれから大変だなと、おたくにいただいた資料では五十五年の計画で大規模な改修を二百二十カ所やっただけで八億からの金が要るんです。これが続々これから大改修が出てきたらとてもじゃないがべらぼうな金がかかって、もう新規の難視解消なんてとうていおぼつかないだろうと、こういうふうに私は心配をしております。
 そこで、結局大臣が先ほど述べられたように、いわゆるこの放送衛星ということで難視解消を図っていこうという考えが出てきているんだと思うんですけれども、ところが、新谷委員も心配なさっておりますように、この衛星で受けたら、これまた今度は電監局長前にもお答えになっている、先ほども答えられたように、受ける方がまた金が要りますわね。この特殊なアンテナをつけにゃいかぬわ、それから何ですか、アダプターですか、何かそんなもんも要るというんでしょう。
 こういうことになってくると、いよいよ、衛星は上がってくれたのはいいけれども、これ約何ぼですか、世帯数で言えば、NHKで救済しているのが七十一万三千、民間で五十三万五千、そうすると、両方あわせて百二十五万ですね、ざっと。それからまだ残っている――残っているのはこれからのことでしょうけれども、百三十万ほどの人たち、これまた金を出さにゃいかぬ、大変なことになってくるんですね。大臣おわかりだと思います。その上に、今度は放送衛星が上がったからといってローカルは見えない、金を出してするけれども、いままでの共聴だったらローカルも見えよったに、衛星に切り変えられたらローカルも見えなくなる、大きな問題が起こってくるわけです。
 それで電監局長に聞きますけれども、この放送衛星の――八チャンネルあると承知しておりますけれども、このチャンネルの使用計画、これははっきり決まったんですか、国の方針として。どういう計画をお決めになっているんですか。
#65
○政府委員(平野正雄君) 衛星放送につきましては御案内のように、同一ビームで高角度から全国カバーができるという特質を持っておるわけでございまして、当面はこの特質を生かしてNHKのテレビジョン放送難視聴解消に利用してまいることが適当であろうと思っております。で、そのほか放送大学の放送の利用につきましてもきわめて有効であろうというふうに考えておるところでございますが、お示しの八チャンネル全体の利用計画につきましては、そのあり方いかんによりましては、地上で現在やっております既存の放送秩序に大きな影響を及ぼすことが考えられますので、学識経験者から成る調査検討会を設置するなどいたしまして検討を重ねてまいりたいというふうに存じております。
#66
○中野明君 ここで、私専門的にわかりませんが、放送衛星のこの八チャンネル、だからNHKで二チャンネルですか、放送大学で一ですか、あと五つですね。これを活用してローカル放送を送るということは可能なんですか。
#67
○政府委員(平野正雄君) 現在の衛星の技術によりますと、先ほども申しましたように、高角度から日本全体をカバーするという技術しかないわけでございまして、現在直ちに衛星を利用いたしましてローカル放送というわけにはまいらぬわけでございます。しかしながら、たとえば地上で現在郵政大臣の諮問機関でございます電波技術審議会等で検討中でございますような、たとえば静止画像を利用していくあるいは文字放送を利用していくというようなことによりまして、そういったローカル番組にアプリカブルな技術開発ということが今後進ませ得るんではないか、そういうふうにも考えております。
 また、いずれこれは欧米、特にアメリカで検討にすでに着手をいたしておりますけれども、衛星を利用いたしまして、できるだけ日本で申します何々地方と申しますか、近畿は近畿あるいは九州は九州をカバーできるような技術の研究開発、そういったものにも今後日本としては取り組んでいく必要があるんではないか、そういうふうに考えておるわけでございます。
 しかし、いまの衛星の技術からいたしまして、直ちに先生御指摘のローカルにアプライというわけにはまいらぬ。そういたしますと、これはNHKも民放もそうでございますけれども、日本全体をカバーする手段の中でいわゆるローカル番組に適したような編成ができないかどうか、そういった方法もあり得るんではないか、そういうふうには郵政省としては思いをいたしておるわけでございますけれども、これは放送事業者の方のやはり見解が優先すべきものというふうに考えておるわけでございます。
#68
○中野明君 いまのお答えでは、ローカルというのは当分これちょっと無理のような感じを受けておるんですが、ローカル放送をやるというような研究が進んで実際にローカルが放送されるとしたら大体何年ぐらいかかると見ておられますか。
#69
○政府委員(平野正雄君) 日本におきましても、すでに電波研究所におきましてそのようなアンテナの研究に着手をしておるわけでございますし、先ほど申しましたアメリカ等におきましては、アメリカは先生御承知のように非常に地域が広いわけでございます。また、国の中に非常に大きな時間差を持っておるというようなことからいたしまして、ビームをしぼっていくような衛星の技術が相当進歩しておるように承知しておるわけでございます。
 そのような状況からまた一方、非常に技術の進歩発達のテンポが早いというようなことを考えますと、これは要員あるいは経費の関係もございますけれども、相当集中的に研究開発を行えば、八〇年代の比較的近い時期にはある程度のところまではいくんではなかろうかというふうに考えております。
#70
○中野明君 非常にどういうんですかね、アメリカで進んでいるから日本も進むだろうというようなお考えのようですが、心配しておりますのは、NHKも御一緒だと思いますが、先ほど新谷委員もおっしゃったように、衛星が上がって、そしてそれで受信できるようになればもう共聴はやめる、共聴の大改修はやらないで、命数が来たのは次々衛星に切りかえてもらいたい、こういう考えなんですか。郵政省とNHKと両方にお聞きします。
#71
○政府委員(平野正雄君) 第一世代の実用衛星の場合は、NHKのテレビジョン難視聴の解消を図ることを当面主たる目的としておりますが、現存の地上における辺地共聴施設でございますが、これはNHKの共聴施設でございましても、NHKの受信を目的とすると同時に民放の受信を目的としておる、いわゆる共建されておるというのがほとんどでございます。したがいまして、放送衛星が上がったからといって直ちにこれを廃止することは困難ではないかというふうに考えておりまして、これは、放送衛星の受信アンテナの普及状況あるいは民放の難視聴の解消状況あるいはまた地元の要望等を十分に勘案しながら進めていくべきものではないかというふうに考えております。
#72
○参考人(沢村吉克君) 放送衛星が上がったときに現在の辺地の共聴をどう処置をするかという御質問かと思います。これは機械的に、衛星が上がったから電波は届くから共聴はやめればいいじゃないかと、そう簡単に割り切れるものではないと思っております。御指摘のように、ローカル放送ということを考えますと、いまの地上のネットワークでやっておりますようなきめの細かいローカル放送は、いま電波監理局長からお話しのように衛星ではすぐにはできないわけでございまして、ただわれわれが初期の段階で考え得ることといたしますと、現在の地上でやっておりますようなきめ細かいことはできませんけれども、地方別に順次日にちを変えるとか時間を変えるとかということで、順繰りにローカル情報を送るというようなことはいまのシステムでできようかと思います。
 さらに電波の使い方が、いま電波監理局長からお話しのような、新しい技術の発展に至りますまでの間におきましても、多重放送の技術というものがよほどそれより早く開発できょうかと思います。静止画でございますとか文字放送でございますとか、そういう多重放送の技術を使いますと、もう少しきめの細かいローカル情報というものも衛星を使って送信はできようかと思っております。
 ただ、そういうことではございますけれども、いまのお話のような民間放送との関係もございます。そういうことからいたしまして、簡単にこれを、衛星が上がったから地上のいままでNHKがやっておりました共聴というものをすっぱりとやめるというわけにはまいらない。やはり地元の方の御理解も得ながら、でき得ればこういうものをNHKの共同受信施設というジャンルから、先生の御指摘のそれぞれの地元でおつくりになった自主共聴と申しますか、そういうような形に切りかえていけないかというようなことはわれわれ期待はいたしておりますけれども、これとても聴視者の御理解が得られなければできないことでございまして、今後の発展を見ながら御理解を得てそういう方向に進めてまいりたいというふうには考えております。
#73
○中野明君 そうしますと、簡単に申し上げれば、NHKも国も投資をして衛星を上げるんですが、これは当面、NHKが現在掌握しておられる残存の難視四十二万世帯を対象に考えておられるんですか。その辺、両方から。
#74
○参考人(沢村吉克君) 一義的には、地上でやると非常に効率が悪くなる残された四十二万世帯というものをできるだけ効率的に解消しようということで上げる衛星でございまして、いままでの良視地域のサービスの形態を右から左へ衛星に切りかえようということを目的としておるものではございません。そういう意味では、先生のおっしゃるような難視解消四十二万を直接の第一義的な目標、対象として考えてのものでございます。しかし、何といいましても非常に高価なものでございます。地上の施策に比べれば安くいくといいましても、いまの政府の試算金額をベースに考えますと、受信料額と比較しますと受信料額の三倍くらいの経費を要することになろうかと思います。国鉄の赤字路線の原価率二〇〇とか三〇〇とか言われているものと同じような言い方をしますと三〇〇に相当するようなものになろうかと思います。
 ですから、そういう意味ではこれをより有効に使うということも考えなければならない。二重投資もできるだけ避けたいということからいたしますと、現在の共聴もできればこちらの方に切りかえていきたいという願望は持っておりますし、またより積極的に難視解消に使う目的を果たしながらさらに良視地域の受信者の方々にもより有効なサービスに使えないか、たとえば多少の時間差放送というようなことも考えられましょうし、何らかのより有効な使い方ということも現在検討は進めておる次第でございます。
#75
○政府委員(平野正雄君) 第一世代の実用放送衛星は、まず一義的にはNHKの難視対策、これを考えております。それで、ただいまNHKの方からお話がございましたことに若干つけ加えて申し上げますと、先ほど四十二万世帯というふうにおっしゃいましたけれども、これは五十八年度打ち上げ時点において四十二万世帯の難視世帯があるであろう、こういうことでございまして、これを一年で全部やってしまうためには、新谷先生からもお話がございましたように約一千億かかる、こういうふうに言われております。これは、御承知のように毎年NHKは難視対策としまして五十億程度支出をしておると思いますが、割りますと約二十年かかるわけでございます。その間におきましては、先ほどお話がございましたように、地上の難視施設は十年か十五年すれば更改しなくてはいかぬ、そうするとそれだけ値上がりをするわけでございまして、二十年かけてやっておりますとどうしても一千億では済まないわけでございます。二千億あるいは二千五百億かかることになるかもしれません。
 また、その中に入ってくる難視地域といたしましては離島があるわけでございます。毎々問題になります大東島でございますとかあるいは小笠原島でございますとか、これは海底ケーブルだけ張るにいたしましても大変なお金がかかるわけでございます。日もかかるわけでございます。第一世代の放送衛星といたしましては一つ、高い角度から日本全体がカバーできるという特色を生かしながら、両院でかねがね言われております難視対策の促進と、あわせてNHKの要するに経営事情を考えましてひとつどうだろうかということがNHKの方からも出てまいりまして、郵政省としてもそれは適当だ、こういうふうに考えたわけでございます。
 難視対策がまず第一義的には重要だと思っておりますけれども、そのほかに最近問題になっておりますのが非常災害対策でございます。御承知のように衛星はスマトラ上空三万六千キロメーターに中継局が一つ上がっているだけでございますので、これはどのような地点でどのような災害がございましても、そこに移動する地球局さえ持ちごみ得ればその場所の実態等は放送できるわけでございます。したがいまして、必要な非常災害対策には非常に重要な役割りを果たすのではないか、こういうふうに考えております。先ほどNHKからおっしゃいましたようないろいろな使い方がこれから出てくると思います。
 以上でございます。
#76
○中野明君 当面難視解消のこの共聴を切りかえるということは、これはやはりよほど地元と話し合わなきゃならぬで、当面は現在五十八年時点で四十二万世帯を救済ということで考えておられるということのようですが、それにしては余りにも金がかかり過ぎる、国の方がもっと出すべきじゃないか。NHKがこれほど経営が苦しいときに、そういうことじゃなしに、これは八チャンネルあってやるわけですから、国がもっと金を出さぬとおかしいじゃないかという考えを私持っております。
 それからもう一つはローカル、この問題は非常に大切な問題になってまいりまして、NHKの今回の計画でもローカル放送に力を入れる、今後ますますローカルを充実さしていくという基本方針のもとに進んでおられるときに、ローカルが見えないようなことをしたらこれはもう全然自語相違であります。そういうことを考えますと、これはなかなか放送衛星が上がったからといって、いま御答弁になったようにそう簡単にいくものじゃない。二重投資にもなってくる。さあ共聴の人だってそれを放送衛星を受けるためにも金がかかる。そういうことになってくると、星は上がったけれどもなかなかこれ、その星を利用して見てくれる人が、どの程度皆さんの期待のとおりに進むかどうかということも非常に私疑問に思います。
 こういう点について、今後の課題としてローカル、これが完全に見え、そしてまた、いまの国民のニーズとしては民放も一緒に見たいということは、もう先刻来ずっと皆さんの質問にもありましたとおり、民放とNHKと一緒に最末端では見ているわけです。それを衛星が上がって、そして共聴の人に何ぼ説明をしたって、NHKだけで、民放が見えないことになると、説得したって全然受けつけないんじゃないか、こういう心配をするわけです。
 ですから、その辺を考えていくと、これから先の国の考え方として、衛星をどのように使って、そしてどういうふうにしていくのか、こういう基本的な方針というものをはっきり打ち出して進めていかないと、これは星は上がったけれども、ただ金をかけて上げてみただけ。四十二万の人が何とか、ローカルはないにしてもNHKの放送が見えるようになったと、これだけに終わってしまったとしたらこれは大変なことだと思うんですが、その辺も含めてひとつ今後の課題として、大臣も先ほど御答弁になっておりましたように、もう一度放送行政というもの、これを見直していただかなきゃならぬと思います。これ、後ほど触れますけれども、放送大学の問題にしましても、大臣の御答弁は非常に納得できません。現在の放送体制にそんなに大した影響ありませんというようにあっさり大臣はこの間お答えになっておりましたが、そんなもんじゃありません。これは後ほど、午後にでも放送大学のことについてはお尋ねをしようと思っておりますが、そういうふうに考えていきましたときに、一体これから日本の放送、衛星を含めてどういうふうにやっていくのかということを一日も早く明確に打ち出していただきたい。このことを要望しておきます。
 なお時間も、大臣の御予定もあるようですから、もう一点だけ大臣のおられるときにお聞きをしますが、NHKには受信料の免除、割引の制度があります。公共放送として受信料の免除のあり方といいますか、公共放送として受信料を免除するというのはどういうことが望ましいのか、いわゆるNHKとしての受信料の免除のあり方というものについて大臣はどのようにお考えになっておりますか。
#77
○国務大臣(大西正男君) NHKは、発足以来放送の普及、社会福祉、それから教育への貢献などの見地から受信料の免除を実施してまいっておるわけでありますが、今日のNHKの財政状況等を踏まえまして、その見直しを積極的に行っておるところであります。昭和五十三年度に職業訓練所、刑務所など六項目を廃止したことに続きまして、五十五年度から新たに大学、高等専門学校の免除措置を廃止することといたしております。
 受信料免除措置については、NHKの財政状況などから見まして、今後の経営の長期ビジョンの検討を進める中でこれを見直していく必要があるのではないかというふうに考えておりますが、免除実施以来の長年の経緯もありますので、NHKに対し関係方面と十分打ち合わせをするよう指導しているところであります。郵政省としましても、引き続きNHKと連絡をとりつつ、この問題に対処していきたいと考えております。
#78
○中野明君 大臣ね、基準といえばおかしいんですが、この公共放送、NHKは国民の受信料で成り立っている。これはもう御承知のとおりであります。そのNHKがこの受信料を免除する、いままでは財政的に許された時代もあったんでしょうけれども、これほど厳しい財政状態になってきたときに、公共放送として何か基準をつくって――、要するにこの免除のあれを見せていただきますと、いわゆる大別すれば公共施設、そういうところと、それからいわゆる生活困窮、貧困な身体障害者あるいは視覚、聴覚の障害者、そういう個人的なお気の毒な方あるいは個人的に受信障害で見えない、こういう方々は、これは一応私は当然のことだろうというふうに思うんですが、公共施設、こういうのは国民の受信料で成り立っている以上、こういうところまで免除をする必要が果たして公共放送としてあるんだろうかということなんです。
 この点、大臣としてどういうお考えをお持ちになるのかお聞きをしているわけです。もう一度御答弁をお願いします。
#79
○国務大臣(大西正男君) 先ほども申し上げたとおりでございますけれども、なおそういった点につきましては、引き続き十分関係各方面と連絡しながら検討、対処してまいりたいと思います。
#80
○中野明君 それで、NHKにお尋ねしますが、こういう問題について、公共放送の受信料免除のあり方等について経営委員会あるいは調査会ですか、そういう中でどういうような議論がなされておるか、おわかりでしたら。
#81
○参考人(坂本朝一君) いま大臣からも御説明がございましたように、公共放送の使命ということで、この受信料免除の発足はNHKが自主的にそういうことを申請するという、そういう歴史的な展開があるわけでございますけれども、これも先生御指摘の、現状の中で見直ししてしかるべきではないか、これは当委員会の附帯決議等においても御指摘いただきまして、それを踏まえて経営委員会等におきましても真剣に御討議いただきまして、現在までの受信料免除を差しとめると申しますか、やめるという措置を講じてきたわけでございますが、今後といえどもやはりもう一度根本的に見直して、そして国にその点についての御理解をいただけるならばいただきたいということで検討すべきじゃないかという結論で、私の名前をもって関係方面にいろいろとお願いしておるという実情でございます。
#82
○中野明君 経営委員会等では、そういう点についてどの程度、いま私が申し上げたように個人ですね、気の毒な人とか、目が見えないとか、耳が聞こえないとかあるいは飛行機の騒音でぶれて見えないとか、そういう方々は、これは免除の対象にしてしかるべきだと思います。しかし、先ほど申し上げましたように公共施設、その辺のこの基準といいますか、その辺を明確にしろとか、すべきだとか、あるいはいまのままでいいんだとか、そういう議論はどうなんでしょう。
#83
○参考人(坂本朝一君) そういう具体的な議論の原案は当然執行部がつくりまして、そして経営委員会にお諮りして、いま先生の御指摘のように、一挙にやるということは現実問題としてなかなかむずかしいだろうということで、段階的にやるということで現在に至っておりまして、先生御指摘の点につきましても、ぜひ関係方面の御理解をいただいて免除を廃止するという方向にならないものだろうかという考え方でございます。
 ただ、公共施設等につきましても、NHKの番組の普及というようなことについての総合的な御協力もいただいておるわけでございますから、なかなかそこら辺のところが一方的に通知してやめるというわけにもいきかねるかと思いますので、現在地方自治団体等にも働きかけるというふうなこともあわせてやっていかなきゃならないんではないかというふうに考えておるわけでございます。
#84
○中野明君 何かやはり、基準と言えば語弊があるかもしれませんが、そういうことをお決めになって進めて、一遍にはいかぬことはわかりますけれども、その方ですっきりするんじゃないか、そういうふうに私考えておりましたので申し上げたわけであります。
 それから、じゃその次の問題に参りますが、音声多重なんですが、NHKとしてはこの音声多重にいままでどの程度経費がかかったですか。
#85
○参考人(沢村吉克君) お答え申し上げます。
 五十三年度におきまして三億一千八百万の建設費を使っております。五十四年度、建設費といたしまして八千四百万、いま御審議いただいております五十五年度の予算におきまして、同じく八千四百万の建設費を計上いたしてございます。また、これを運営いたします事業経費といたしましては、五十三年度が二千四百万、五十四年度、五十五年度、同じく五千七百万でございます。
#86
○中野明君 これを当然NHKは全国にカバーしょうとなさるんでしょうが、この計画はどうなっておりますか。何年で大体全国に多重が送れるようにという計画をお持ちになっていますか。
#87
○参考人(沢村吉克君) テレビジョン音声多重の全国普及、全国拡充の計画につきましては、現在まだ検討中でございます。と申し上げますのは、ここ二年ばかりの実績を踏まえまして、一般聴視者の反応を調べておるわけでございますが、私ども当初予期いたしましたよりは、残念ながら反響というものがそれほど大きく進んでまいりません。私どもの番組のあり方ということも、施策を進めましていろいろな分野についての開発を進めているわけでございます。
 そういうものの試験的な送信を続けまして、どういうものが一番有効に御期待に沿えるかというものを踏まえながら逐次着実に進めてまいりたい。今後の施策といたしましては、そういう反応を見ながら弾力的にやってまいろうということで、現在明確に何年度にどこまでやるというようなところまで固めてはおりません。それだけの資料がまだ得られないというのが正直のところでございます。
#88
○中野明君 大体現在東京、大阪ですか、それからことしは名古屋、京都、神戸にいま拡大されるというふうに予算書では承知をいたしておりますが、現在のところ東京、大阪でどの程度の人が多重を――これは郵政省でしょうかね、どの程度の人が多重放送を受信しているというのか、聞ているというんですか、推定されていますか。
#89
○参考人(沢村吉克君) いままで電波を出しておりますのは東京、大阪、名古屋とおっしゃいますけれども、実は東京と言いましても東京都ではございませんで関東一円でございます。大阪もほぼ近畿一円とお考えいただいた方がより実情に近いかと思います。
 普通のいままでのテレビジョンの全国普及のときに、東京の局をつくって次に前橋をつくるというような都市から次第に田舎へというやり方をしてまいりましたけれども、いまの音声多重ですと、テレビジョンのネットワークとしましては、東京から電波を出しますと東京のを受けておりますサテライト局、中継局を全部同時にできますので、そういうことで、東京、大阪、名古屋あるいは京都、神戸と、これがいままで電波の出ている基幹局でございまして、これにつながる僻地までの中継局はすべて音声多重の電波を出しているわけでございます。今年度前橋と和歌山にこれを拡充する予定にいたしております。
 実際にどの程度普及しているかということになりますと、私どものサンプル調査からいたしますと、これらの地域におきまして三%か四%という程度の普及率でございます。
#90
○中野明君 これはいまお答えにありましたように、私もいまの多重では魅力はないと思いますね。やはり文字でも入ってこないと、いまの状態で音声だけの多重というのは魅力はないと、こういう感じでおります。しかしながら、NHKとしてもだんだん逐次これを広げていく、受信料の中から投資をして広げていくというお考えなんですが、将来どんどんこういうものが発達もし発展もしてくると思うんですが、全国的にこの多重がカバーされたその時点で、NHKとしては、これは会長さんにお尋ねした方がよろしいんでしょうかね、多重放送の受信者に対して新たな付加料というものをお考えになる、そういう意思はおありですか。
#91
○参考人(坂本朝一君) 音声多重のみならず、いろいろ技術革新等による付加価値による受信料の対策というのは当然経営として考えなきゃならないポイントの一つかと思いますけれども、現在の音声多重のあり方の中では、やはり現行の受信料の月額の中でサービスするということが至当であろうというふうに考えておりますけれども、これも先般来の長期経営ビジョンその他の中で、他の技術革新その他との兼ね合いの中で当然また検討されるテーマの一つであろうとは思いますけれども、必ず将来にわたって付加価値によってこの問題についての受信料の増額をお願いするというようなことをこの席で申し上げるのはいささか早計ではないかというふうに判断しております。
#92
○中野明君 確かにいま会長がおっしゃったように、先のことですし、とてもいまお答えになるのはむずかしいかと思いますが、物の考え方として、私、こういう新しい投資をして、そして多重が聞きたいという方には、当然その時点で付加料というんですかね、それをお出しいただくという考え方が前提になければ投資をしていくこと自体がおかしいんではないか、そういう気もするものですからお尋ねをしているわけですが、それは現状ではいまのお答えよりしようがないと私は思いますけれども、そういう点も含めてお考えをこれからも進めていただきたいし、いずれはこれも全国普及という形になってくると思いますが、そういう点を申し上げておきます。
 では、その次にお尋ねいたしますが、振替口座のことで大木委員からもお話がありましたが、NHKの経営だけを考えてまいりますと振替口座をやはり推進していくべきじゃないか。特に半年、一年じゃなしに、二カ月の振替口座についても何にも恩典がないと、こういうことでありますが、その点は集金の手数料も違うんでしょうし、振替の方には恩典を少しでもして差し上げるというお考えはあるんですか。
#93
○参考人(海林澣一郎君) 振替口座はまさにこれから経営、財政の安定のためには非常に重要なテーマでございますけれども、いま先生のおっしゃいますこれについて、恩典ということにつきましては、慎重に議論はしておりますけれども、現在考え方としてはまだ消極的でございます。
#94
○中野明君 結局、振替をしてくれればそれだけNHKは助かるんでしょう。だからそれに対して、やはり経営基盤を安定させようという上から考えればどんどん普及していきたい、こういう気持ちはお持ちになっていると思います。そうすると、やはりそこに何か利点がなかったら振替口座に切りかえようという人は少ないんじゃないか、これ以上ふえぬのじゃないかというような気がするんですが、これは割引をするという考え方は全然ないですか。
#95
○参考人(海林澣一郎君) 先ほど議論していると申し上げましたけれども、やはり難点が幾つかございます。
 おおむね四つぐらいに分けますと、つまり訪問をするしないということで、現在のカラー七百十円が安くなる高くなるということですと、均一料金でございますので、その辺の疑問がございます。
 それから、口座振替の誘引になるには当然その割引の額を決めなければなりません。ただいま前納の方で、簡易保険などにならいまして八・三%という割引をしておりますけれども、その率で一応計算しますと七十億、仮に先生のおっしゃいます口座の方の恩典をつけますと、大ざっぱにそういう数字が出てまいりまして、この辺は逆にコスト節減効果がなくなるというようなことがございます。
 それからもう一つ重要なのは、現在二千五百の郵便局にお願いしている郵政委託地区の、これが三百二十一万世帯あるわけでございますけれども、この方たちはまだ郵便の方がオンライン化されておりませんので、仮に恩典をつけるという場合でも、この方たちは漏れてしまうというかなり大きなことがございます。
 それから、先生がおっしゃいますように、これからほかの公共的な機関におきましても、口座利用ということがどんどん進んでまいろうかと思いますけれども、それらを見ましても、その公的機関の中で口座についての割引を行っている機関というのがございません。むしろこれから口座を主軸にして、足で料金を取りに行くということが後退していくわけでございましょうから、その点のところが一つございます。
 それから、先生御指摘でございますけれども、どのくらいの恩典をつけたら口座にしてくださるかということも、かって「グラフNHK」というようなものを差し上げたらどうかというようなことをいろいろ議論しましたけれども、いろいろな方策を考えましても、ちょっと積極的に口座を利用してくださるというお気持を喚起するには至らないのではなかろうか。
 おおむねそのような四つにつきまして議論いたしまして、現在では消極的であるということでございます。
#96
○中野明君 これは、口座のことはいろいろ隘路はあることは私も承知はいたしておるつもりでございますが、もう一つ気になるのは、これは短期払いでも、半年、一年、全部含めまして、口座振り込みをしている家庭にはNHKの集金人とか、そういう人たちは全然行かないわけですね、寄りつかぬわけです。そういう点では、やはりNHKに対する理解を深めてしてもらうという上では非常に疎遠になっているということは事実でございます。
 それとともに、この振替をなさっている方は、たとえば白黒で契約をなさったら、もう全然行かぬのですから、そのままずっと白黒で、途中でカラーに変わられても、もう振り込みですからそのままになっているんじゃないだろうかという心配もあるわけですが、この点は実態はどうなっておりますか。振り込みのカラーと白黒の、どういうんですかパーセンテージ。それから集金のパーセンテージ。それを教えてください。
#97
○参考人(海林澣一郎君) 集金の取扱者が集金の巡回をしておりますけれども、視聴者リストというメモを持っておりまして、それをもとにいたしまして、未契約者のお宅だけでなくて口座振替を利用している普通契約者のお宅も逐次訪問をするということを教育しております。
 で、特にカラーテレビの設置の有無を点検するということがその中の重点になっております。都市部ではさらに私どもで契約の取り次ぎの専門要員というような者も置きまして、先生まさに御指摘の、いつの間にか白黒がカラーに変わっているということのないようにチェックをしてございます。
 数字でございますけれども、五十四年度の末で申しますと、普通契約が二百五十二万六千件でございます。で、口座にしております白黒でございますけれども、これが七十四万三千でございまして、口座の母数が千百六十五万でございますから六%ということがいま白黒の口座でございます。一方現金が百七十八万件ということで、さらに先生の御指摘の、白黒からカラーにということがどうかということで、昭和五十二年にいま申し上げました普通契約者の全部に対しまして郵便を出しまして調査をしました。八十三万件当時ございました。八十三万件に郵送いたしまして、五万件が白黒からカラーに変更してくださったというようなデータもございまして、先生御指摘の点でございますけれども、でき得る限りの力でその辺のところの調査、契約変更をしている次第でございます。
#98
○中野明君 午前中の時間が参ったようでございますが、この振り込みをなさるような方は、どっちかといいますと余裕のある人じゃないかと、このように私どもは考えますが、その人たちが白黒でいまだにおられるということもちょっと理解しにくい点もあるわけで、その辺はなかなかむずかしいところでしょうけれども、今後こういう点についても注意を払っていただいて、なるたけ公平になるようにしていただきたい。そのことを強く要望しておきます。
 以上です。
#99
○委員長(矢田部理君) 質疑の途中でございますが、午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時二十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時五分開会
#100
○委員長(矢田部理君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、竹田四郎君が委員を辞任され、その補欠として小谷守君が選任されました。
    ―――――――――――――
#101
○委員長(矢田部理君) 休憩前に引き続き、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。
#102
○中野明君 NHKの本題に入ります前に、公取の方、見えてますね。最近、テレビのCMで、消費者団体等からもかなりの批判が出ているようであります。特に、子供向けの番組におけるCMのあり方、あるいは洗剤等が誇大広告じゃないかというようなことで、公取にも申告が出ているように私も承知をしておるわけでありますが、一部の新聞報道では、
   〔委員長退席、理事大木正吾君着席〕
公取がCMの基準を設けるのではないか、そういうような説も流れておるんですが、これはなかなかむずかしい問題だろうと思いますが、こういう点に関しまして、公取の取り組みといいますか、申告が出ておるんですから、どういうふうに処置なさろうとしておるのか、それをちょっとお尋ねをしておきたいんです。
#103
○説明員(矢部丈太郎君) お答えいたします。
 テレビのコマーシャルは、景品表示法に規定いたします表示に含まれますので、その内容に虚偽ですとかあるいは誇大のような不当表示がございますれば、当然規制の対象となるわけでございます。ただし、従来どちらかといいますと、景品表示の取り組みが活字媒体を中心としてきたきらいがございます。しかしながら、テレビコマーシャルの持つ影響力、特に消費者の購買判断に与える影響というものは大変大きいということ、それからまた、最近テレビコマーシャルの不当表示についての申告が散見されるというようなことにかんがみまして、テレビコマーシャル全般を通じまして、その問題点を把握する必要があるんじゃないかということを考えているわけでございます。
 そこで、本年度におきましては、まず、テレビコマーシャルの実態調査を行いまして、その結果、問題があるということが判明すれば、さらに基準の検討を含めましてその対応について慎重に検討したい、こういうふうに考えております。
 それから、ただいま先生から御指摘になりました洗剤につきましては、本物を使わないで不当表示じゃなかというような申告を受けておりまして、ただいま調査しております。
#104
○中野明君 これは子供向けの番組のこともさっき言いましたが、非常にCMの影響力が大きいものですから、かなり社会的にも問題になってくるんじゃないかと思いますので、この点は公取としてもなかなかむずかしい面もあると思いますが、慎重に取り組んでいただきたい。このことを要望しておきます。
 それでは、午前の難視解消に続いて、主に辺地の難視のことについてお尋ねをしたいわけですが、都市難視の解消、これも大変な大きな問題でありまして、なかなか適切などう言いますか、難視の基準というのですか、一時は建設省で建築基準法に規定をしようというような動きもあったように思いますが、その後全然これは立ち消えになったように私も感じておりますが、この都市難視の解消について、郵政省としてどう取り組んでいっているのか、その点をお答えいただきたい。
#105
○政府委員(平野正雄君) ただいま先生からお話のございました建築基準法につきまして、現在も郵政省と建設省の間で話は続いておるわけでございますが、私どもといたしましても、都市難視の問題は郵政省の施策の重要課題の一つでございまして、従来から各種の調査検討を続けてまいったわけでございます。一昨年夏に、外部の先生方にお願いをいたしました調査研究会議の答申を踏まえまして、制度化に持ち込みたいということで現在鋭意努力をしておるところでございます。
 問題点は、先ほど先生から御指摘のございました基準でございまして、単純な高層建築物によります障害、それに対する判定基準はすでにでき上がったわけでございますけれども、複合反射と申しますか、特に遠距離に及ぶ意味での複合反射についての基準づくり、これがなかなか難解な点が従来あったわけでございますけれども、これも、関係方面の方々の御協力を得まして、昨年度中にはある程度の見通しがついてきたというところまで参っております。今年度におきましても予算をいただきまして、できることならば今年度中には具体化の見通しをつけたいというふうに考えております。
 したがいまして、単純な場合の判定基準、それから複合反射の場合の判定基準、両方そろいましたならばひとつ制度化への歩みを一歩前進させたい、そういうことで現在鋭意取り組んでおる最中でございます。
#106
○中野明君 高層建築物はまだこれからもふえる一方でしょうし、都市難視、これがNHKの受信料の収納に大変な阻害になっているということも事実でありますので、いまの局長の答弁のように、これはもう可及的速やかに抜本策と方針を立てていただかないとどうしようもない、このように思いますので、これは強く要望いたしておきます。
 それから、大臣もおいでになりましたが、NHKの国際放送に対する交付金、これは毎回問題点として挙げられているわけですが、五十五年度は、NHKの予算によりますと三十五億四千七百万ですか、それに対して九億四千三百万円というのが交付金としておりるようになっております。命令権者である郵政大臣は、この金額、九億四千三百万円、これは妥当とお考えになっておるのかどうか、御返事をいただきたい。
#107
○国務大臣(大西正男君) 国際放送につきましては、その重要性にかんがみまして、従来から交付金の増額に努めてきたところでございます。五十五年度におきましては、きわめて厳しい財政事情ではありますが、国際放送交付金は九億四千三百万円、前年度に比較をいたしまして一三・二%増となっております。国際放送の充実強化には努力をいたしておるところでございまして、今後ともその努力を傾注してまいりたいと存じます。この一三・二%と申しますのは、御承知のとおり、一般会計の歳出の伸びが五・一%でありますが、これと比較をいたしましてもきわめて高いものであると考えております。
#108
○中野明君 確かに国の予算の伸びから言えばおっしゃるとおりだと思いますが、もともとが少ないわけですから。放送法によりますと、郵政大臣が命令をする、そして協会が行う国際放送の業務に要する費用というのは国の負担とすると、こういうことになっております。もちろん、協会が自主的に国際放送をなさっているのと、大臣が命令をしたのと線引きをして、ここからここまでが命令だということはなかなかむずかしいだろうということはわかります。わかりますけれども、ただいまの大臣のお答えではちょっと私も納得できないんですが、この九億四千三百万円はNHKが国際放送に使っているお金の約二六・六%ですか、これが妥当であると思っておられるかどうかということなんです。
 そしてまた、妥当でないとおっしゃるんならばどの程度が妥当なのか、一応それを目標というのか、数値を決めて、それに向かって大臣としても努力をなさっていかないと、命令をしている以上は少しおかしいんではないか、このように思ってお尋ねをしているわけですので、いま一度お答えをいただきたいと思います。
#109
○政府委員(平野正雄君) 先生から前々から、ただいま御指摘のように国として何%が妥当であるのかというお話を承っておるわけでございまして、郵政大臣の命令する放送とNHKが自主的に行います放送との間に、ここからここまでという確かに分別はなかなかつきにくい、かえって一体にいたしまして番組の編集なりあるいはその他の業務を実行していくこと一方が、経費的にもあるいは要員的にも効率的であろうという観点から、郵政省といたしましてもNHKといたしましても、そのような方向で従来から進めておるわけでございます。
 そこで、もし国とNHKの経費分担と申しますか、その辺を明確にしてまいりますためには、これはやはりその根拠と申しますか、現在NHKが国際放送以外の分野との関連もあるやに聞いておりますけれども、その辺を含めまして根拠的にどういうふうに積み上げることによってこれだけの経費が必要であるのかというようなことをやはり郵政省の方にもお出しをいただきまして、そしてより効率的な、あるいは郵政大臣の命令の反面としての経費はどの程度必要であるかというようなことが出てくることが望ましいわけでございまして、NHKといたしましてもいまいろいろと検討中というふうに伺っておるわけでございます。
 郵政省といたしましては、先ほど大臣からお答えをいたしましたように、今後ともこれで万全とは思っておりませんので、ますます国際放送はその重要の度合いを加えることは目に見えておりますので、ますます予算獲得のために努力を傾注したいと、そういうことで現在努力中でございます。
#110
○中野明君 いま局長から万全とは思っていないということをおっしゃっておりますので、ことしは先ほど大臣が言われたように、確かに国家予算の伸び率よりもたくさんついているということ、その努力というんですか、それは多といたしておるわけですが、これをもって事足れりというんでは困るんでありまして、せめて、どういうんですか、命令を出して国際放送をやれということになって、その業務に要する費というのは国の負担とするというふうに法律でも書かれておるわけですので、もちろんそれには予算の許す範囲という条件はついておりましょうが、余りにも二六・六%というのは低過ぎると、このように思います。
 ですから、今後鋭意努力されてこのパーセントをどんどん上げていただいて、せめて半分ぐらいは出してあたりまえじゃないだろうかという感じがするんです。と申しますのは、NHKは、先ほどから各委員の議論にありますように、国民の受信料で成り立っておるわけですから、そこに国が命令をして国際放送をしろと、こういうことなんですので、その費用は国の方で出す、こういう考え方に沿って今後努力をしていただきたい、このように思います。大臣、よろしいでしょうか。
#111
○国務大臣(大西正男君) 今後とも努力をさしていただきます。
#112
○中野明君 じゃ次に、ローカル番組の充実はことしのNHKの予算の一つの力点に置かれておりますが、私が心配しておりますのは、ローカル番組を充実しようとすれば、現状の人員配置でできるのかということが一つです。
 それから放送機器、これが民放のそれと比べて非常に見劣りがする。現場の第一線でやっておる人たちは非常にその点は嘆いているようであります。民放は最新鋭のハンドカメラというのですか、あれなんかも非常に小さく軽いので取材をしている、NHKはかなり古いので苦労してやっている、そういう面もあります。
 その反面で今度は私が一番多く批判を聞くのは、NHKはそういう面で機材その他はおくれているかもしらぬけれども、取材のときに非常に車の使い方がぜいたくだ、これはあちらこちらで耳にいたします。取材に当たっての車の使い方というのはまことにぜいたくだというそういう批判はいまなお根強いものがあるように私は感じております。こういう点を含めまして一括してお答えをいただきたいと思います。
 この現状の人員配置でローカル番組の充実が可能かどうか。それから、放送機器をこれから先さらに充実をしていく必要があると思っておりますが、その点のお考え。いまの車の使用の問題。この三点お答えいただきたい。
#113
○参考人(田中武志君) お答えいたします。
 私どもローカル放送につきましては、近年、地方の時代、そういったようなことも言われておりますので、地域社会における放送の役割りということを考えまして力を入れているところでございます。特に、五十一年以降、御存じのように、夕方のところにローカルニュースを二十分間やるローカルアワーをつくりまして大変好評をいただいております。また、特集番組なども積極的にローカルのところでやっておりまして、これも近年、ここ一、二年大変ふえております。
 こういった中で、いま先生御指摘の、地方の放送局では、限られた人員ではありますけれども、フルに機動いたしまして、放送の充実、内容の充実という面に努力をしてきているわけでございまして、決してこういった厳しい状況の中で考えますと、必ずしも民放に比べて劣っているということではありませんけれども、こういう状況の中では簡単にふやすというわけにもいきません。したがいまして、われわれはその取材の濃度によりまして重点的な人員の配置をしておりまして、なおかつ、それぞれの地方本部あるいは隣接しております放送局、そういったところとの支援体制ということにつきましても日ごろから十分考えあわせまして、直ちに緊急時あるいは災害時のそういったときには支援体制ができるように整備をしております。
 それから、続いて機材の点でありますけれども、これは長年私たちも努力をしてまいりまして、スタジオの機能だとかあるいは中継の機能といったものにつきましては、かなり向上してきているというふうに思いまして、この点につきましては、民放とそれほど格別劣るというふうには考えておりませんけれども、先生御指摘の小型ビデオ機器につきましては、地域によりましては劣っているところもございますので、これにつきましては現在鋭意地方の放送局の配備計画を詰めまして、できるだけ早い機会にそういったところについては充実をしていきたいということで、これについてはできるだけ力を入れていくつもりでございます。
 それから、最後に御指摘の車の使用につきましては、こういう厳しい経営環境の中でございますので、私ども日ごろから取材の記者、取材の現場の方につきましては、できるだけ最小限度の車の使用をするようにということをここ一、二年厳しく指導してまいっておりますので、最近は先生が御指摘のようなことも大変少なくなっているというふうに思っております。
#114
○中野明君 その方向で努力をお願いしたいと思います。
 時間が制約を受けておりますので、たくさん言いたいことあるんですが、先日の大木委員とのやりとりの中で、大臣が放送大学のことについてお答えになりましたが、大した影響はないんだと、これは大した変革でもないというふうなニュアンスでお答えになりましたので、私は郵政大臣がそのような認識では困るという考えを持つ一人であります。
 現在の放送法でいわゆる受信料で成り立っているNHKと、コマーシャルで運営している民放と二本立てであるというのが、これがもう放送法の基本であります。それが今度全額国費で賄って、いわば国営放送とも言えるような放送大学がここに一つできるという三本立てになるわけです。二本が三本になるということを、大したことないというようなお考えで郵政大臣がおられるというところは非常に私は問題だと思いますし、それが、この放送大学が他の放送に及ぼす影響というものは、これは大変大きなものがあろうと思っております。
 根本的に私は、放送大学をつくることを、何が何でも反対だというような考えで申し上げているんじゃございませんで、せっかく国費を投じて放送大学をつくるんならばつくるように、後の大学の運営といいますか、それが大手を振って胸を張って円滑にいけるようにするためには、やはりこの基本をはっきりしておかないと、要するに放送法の根幹を変えるような出現でありますので、少なくとも放送法を真っ正面から改正をされて、逓信委員会で議論をして煮詰めたそこから出てくるものであれば、恐らくそこから生まれた放送大学というのは正式にといいますか、認知された堂々としたもんだろうと思うんです。
 それを大学法案の附則でちょろっと改正をするようなことをして出発をさすということになりますと、恐らくや、こんなことを申し上げたら失礼かもしれませんが、文部省関係の皆さん方はこの放送、特にテレビ放送の厳しさ、こわさ、こういうものについては意外にのんきにお考えになっているんじゃないだろうか。テレビの放送の影響というものは、もう今日、国民生活と切り離して考えることができないほど大変な影響を持っております。これがどういうんですか、ブラウン管からもうそのまま飛び出してくるわけですので、ちょっとでもおかしな放送があったら、恐らくNHKにしても民放さんにしても抗議の電話が殺到するんじゃないかと私は想像しております。
 そういうようなことで、しかも二本立てのところが三本立てになるということになりますと、テレビの台数は限られている。国民は目が二つあってもテレビは一つしか見えぬのです。片方ずつで両方のテレビを見るというわけにまいりませんから、そうすると新しい放送ができるということは、それだけNHKにしても民放にしても、この放送大学の放送を見ている人がふえればふえるほど、今度はNHKを見る人、民放を見る人が減るということになります。
 こういうことをいろいろ考えていきますと、これ影響が全然ない、軽微なものです、大したことありませんというような、そういうお考えでこの放送大学をとらえておられるとしたらこれは大問題だと思う。
 で、今回は、きょう衆議院で趣旨説明があったんですか、放送法の改正ということで法案を提案されております。ならば、今回の放送法の改正の中に、どうして放送大学をつくるこの改正を一緒に盛り込んで一つの法律として、正々堂々と国会の論議を経て、そして放送大学をつくろうとなさらないのか、その辺が私はどうも釈然とせぬわけです。この点について、いま一度大臣から放送大学−これは主務大臣として大臣も名前を連ねておられることになります、あの法律を読みますと。この放送大学ができることによって放送界にどういう影響、どういう秩序の上であるいはまた放送の影響が出てくるかということについての認識をもう一度お尋ねしておきたいと思います。
#115
○国務大臣(大西正男君) この学園の放送ということにつきましては、これは学校教育法に基づく正規の大学教育のための放送ということに限定をされておるわけでございます。したがいまして、おっしゃいますように、NHKでもなく、それから一般の放送業者でもないもののほかに、もう一つ放送に関与する特殊法人というものができるという意味では三本立てだというふうに言っても、それはそういう意味合いで見るならばそう言えるわけでございます。しかし、そのことによって既存の、放送法によって定められておる放送秩序、そういうものに及ぼす影響というものはほとんどない、こう申しておるわけでございます。したがいまして、学園の放送を認めましたとしても、これによって放送法制の抜本的な改正になるというふうには私どもは考えておりません。
 また、学園の放送を認めることに伴う放送法の改正につきましては、国会におきましても種々御論議をいただきましたし、またいただいておるところでありますけれども、郵政省としましても、これらの御意見について関係省庁とも十分協議をしながら慎重に検討いたしてまいりました結果をやはり学園の目的なり業務と密接不可分の関係にあるということからいたしまして、従来と同様に学園の業務の実施に必要な点に限って学園法案の附則によって放送法を改正する、こういうことにした次第でございます。
 なお、先般、放送法の一部を改正する法律案、つまりNHKの受信料にかかわる問題でございますが、これも先ほど衆議院では趣旨説明をさせていただいたわけでありますが、これは日本放送協会の受信料の徴収の円滑化に資するため、受信料の支払いについてその義務を明確にする等、受信料の支払いに関する規定の整備を図ろう、こういう目的のものでございまして、学園の目的なり業務とはもちろん関連を有しないわけでありまして、したがいまして、これは別個の法案として提案を申し上げておる、こういう関係でございます。
#116
○中野明君 きょう大学学園法案の審議ではありませんので、余り議論を進めるつもりはありませんが、大臣の御答弁を静かに聞いていますと、文部大臣が答弁しているんじゃないかというような感じがします。郵政大臣ならばもう少し答弁の仕方が違うんじゃないかというような感じがしてなりません。二本立てを三本立てにするということは、これは日本の放送の行政の大転換じゃないだろうか、私たちはそのように受けとめております。
 また、放送大学の問題につきましては、これはまたそのときにいろいろ議論させていただきたいと思いますが、大体日本全国を一律にカバーして、そして同一の放送内容を流す必要があるんだろうか。たとえて言えば放送を受信して、そして資格をとろうという人が四十万とか五十万とかというふうに出てきたと仮定して、それをそんな大ぜいの人に一律にやる必要が果たしてあるんだろうかという点も私なりに疑義は持っております。
 しかし、それはまた後日に譲ることといたしまして、大臣がそういう認識を持っておられるということは私たちは大変不満でありまして、これは私個人の意見でもありましょうし、逓信委員会の方々はおおむね私と同じような気持ちを持っておられるんではないか、このように私は推察をいたしております。どうかこの問題については今後も、大臣も恐らくこの国会では、この放送法もそれからいまの放送大学もとうてい通るような見通しはありませんのでのんきなことをおっしゃっておるのかもしれませんが、真剣にこの問題は郵政大臣として検討もし、そして対処をしていただきたい、このように強く要望をいたしておきます。
 きょうは時間がありません、あと何点か申し上げたかったですが、大体の時間が参りましたので、以上で終わらせていただきます。
#117
○沓脱タケ子君 それでは、NHKは、今後三カ年の収支の均衡を図るためだとして、三年間に千六百二十億の増収を図るために受信料の引き上げを提案されております。で、普通契約を四百二十円から五百二十円、カラー契約を七百十円から八百八十円に。この料金改定、料金の引き上げというのは、今日国民生活の上では電気、ガス、国鉄、たばこなどなど、公共料金のメジロ押しの値上げラッシュの中で重圧を受けている中ではきわめて慎重に対処する必要がある問題だと思うわけでございます。
 値上げの提案に当たって、特に私ども、NHKにも申し上げておきたいと思いますことは、少なくともみずからの努力というのがどのようになされ、十分成果を上げてきたかということ、それを踏まえて視聴者国民に負担をお願いをするということにならないと、なかなか国民の理解を得ていく上で十分に理解を得られないと思うわけでございます。
 少なくとも、もう同僚委員からいろいろといろいろな角度でその点については御質疑が出ておりますが、たとえば冗費の節約の問題あるいは視聴者に対するサービスの改善の問題として、特に各種の難視の解消の問題あるいは受信料の収納率を上げていく上でのもっとあらゆる角度での御努力、そういった点が問題になろうと思うわけでございますが、そういった努力を踏まえての料金の値上げ改定の提案というふうに受けとれるかどうかというところがきわめて微妙な問題があろうと思うわけですが、その点についてはNHKとしてはどのようなお考えで御提案になられたのか、その点について簡潔にお伺いをしておきたいと思います。
   〔理事大木正吾君退席、委員長着席〕
#118
○参考人(坂本朝一君) 私といたしましても、先生の御指摘の点、一番苦慮して決断をしたところでございますが、御承知のように五十一年度に受信料の改定をお願いいたしまして三年の収支ということで御承認をいただいたわけでございますけれども、その後のいろいろな状況、ことに五十一年度の冒頭における百十二億ほどの収入欠陥等もございましたけれども、私ども鋭意そういうことについての解消の努力をいたしまして、そして五十四年度、本年度を迎えるに当たってNHKの経営問題委員会等でこの点についてのいろいろな御議論をいただきまして、そして五十四年度は何としても値上げをせずに努力せい、こういう御答申でございましたので、それを踏まえまして当委員会におきましてもその御趣旨を説明して御承認いただいて五十五年度の計画に入ったようなわけで、その間、一年間についての努力はしたつもりでございますが、しかし、まだまだ御指摘いただく点が多いかと思いますけれども、そういうことを踏まえた上で、心ならずも今回の受信料値上げをお願いせざるを得なかった。
 これは第二次基本問題調査会におきましてもいろいろと御検討いただきまして、この際、受信料値上げをお願いするのもやむを得ないんではないかという御答申をいただいたものでございますから、それを踏まえていま御提出いたしましたような計画を提出いたした次第で、まだまだ御指摘の点があろうかと思いますけれども、そういう趣旨でございますので御理解賜りたいと思う次第でございます。
#119
○沓脱タケ子君 それで、NHKの運営というのが受信料によって賄わなければならない、赤字が出たら親方日の丸でどっかから財源を流入したらいいというものではないわけですから、これは今日の経済情勢から見まして、どんどんインフレの高騰していっている中では、NHKの努力だけではどうにもならないという要因もあるわけです。そういう点はわれわれ十分に理解をしておりますけれども、そういう中であっても、できるだけ国民には負担をかけないでやっていけるためのみずからの努力というのがどのようになされているかということ、そのことがやはり国民に理解と協力を求めていく一番大きな保証であるというふうにかねがねも申しておりましたし、私は受信料の引き上げを提案する際には、その点が国民の理解の得られるようにNHKとしては開陳のできるような毅然とした態度というのは何よりも大事だと、そう考えているわけでございます。
 細かい点はきょうはもう同僚委員も触れておられますので細かくは触れようと思ってないんですが、特に私は、そういった基本点に立ちまして考えてまいりますと、今回の受信料の引き上げと放送法の改正というのがセットになって提案されてきているというのは、きわめて無神経なやり方だと思うわけでございます。国民が強い反発をしておるというのも、受信料の値上げと同時に放送法の改正が一緒に、当委員会でセットで審議をしていないわけですけれども、本国会に同時に提案をされてきているという点で、きわめて無神経なやり方だということで国民の強い反発を買っているというのが現状でございます。そういう点についてNHKの会長はどういうふうにお考えになっておられるのか、その点の所見をお伺いしておきたいと思います。
#120
○参考人(坂本朝一君) この御指摘につきましては、先ほども私の所感の一端を申し述べた次第でございますけれども、NHKを支えております受信料制度というのは、これはあくまでも負担の公平ということでございまして、いわゆる会社等の貸し倒れ等がある程度あるのはやむを得ないじゃないかというような、そういう考え方でこれに対応ずるわけにはいかないんじゃないか。
 受信料の滞納あるいは不払い等につきまして努力せいということにつきましては、当国会等においてもいろいろ附帯決議で御指示もいただいておりますし、そういう努力を重ねてきたわけでございますけれども、残念ながら必ずしもその実態の解消の方向に向きかねているという状況で、その一つの原因は、三十二条の条文が「契約をしなければならない」ということになっているために、契約は自由だから契約しない、あるいは契約はしても支払いの規定がないから支払わないというようなことでなかなか応じていただけないという、一部の方の御主張のために負担の公平ということが図りかねているというこの現実の問題に対応いたしまして、これは多少さかのぼりますけれども、昭和三十八年ないしは四十年の臨時放送関係法制調査会の御答申の中にも、そこら辺のところで、支払わなければならないというふうにむしろ明確化する方がはっきりするんではないかということでございますので、そういう考え方に基づいて改正をしていただいたらどうだろうかということでございます。
 しかし、現実の問題として、先生御指摘のように、非常にいろいろな意味での御批判があるということも十分承知いたしておりますので、そういうことについて私どもが積極的に理解を求める姿勢と申しますか、努力と申しますか、そういうことは今後やっていかなきゃならないと思いますが、反面、慎重に対応したいというふうに考えております。
#121
○沓脱タケ子君 郵政大臣はどうですか、この点については。いま申し上げた点について。
#122
○国務大臣(大西正男君) 今回の改正は、受信料の収納の円滑化に資するということが目的でございまして、そのために受信料制度の趣旨を直截簡明にあらわそうと、こういうことのために改正をお願いをしておるわけでございます。このことによって受信料の性格といいますか、そういうものについては私どもとしては何らの変更を加えるものでないという認識でございます。と同時に、そのことはひいてまたNHKの性格というもの、これを変更するものでもないと、このように考えておるわけでございます。
 しかし、いずれにいたしましても、徴収権者はNHKでございまして、法の改正が行われましても、依然として従来どおり、受信料を払う方とNHKとは権力関係ではございませんで対等の関係でございますから、NHKとしてはその収入の基盤としている受信料の徴収について一層国民の理解と信頼を得るための努力をなさるということは、もとより肝要なことだと考えております。
#123
○沓脱タケ子君 国民は公共料金値上げラッシュで重圧を受けているときに、料金も引き上げる、しかも義務制にするということで放送法の改正も一緒に出してくるという、こういう無神経さということについて非常に強い反発を示しているんですよね。大臣のいまおっしゃったように、たとえばそれでいわゆるNHKの性格を左右するものではないと、あるいは従来の契約と変わるものではないというふうな御説明だけでは済まない。やはり非常に、私、無神経さという言葉を使いましたけれども、国民の生の声をそのまま申し上げたわけですけれども、きわめて無神経だというふうに受け取っているということなんです。
 電波は国民全体の財産だというのはNHK御自身がおっしゃっている言葉なんですね。まさに国民共有の財産である電波の活用、特に公共放送について国民の認識は――私は特にNHKの努力もあってと思いますけれども、ようやく国民の認識というのは深まりつつある段階だと思うわけでございます。
 これは先ほど同僚委員からNHKの状況についての国民の理解が非常に低いという点で御指摘がありましたけれども、私はよくあの数字が出たなとむしろ逆に思っているわけです。それは認識が深まりつつあるという段階だと思う。というのは、NHKが今日では非常に努力を進められておるというのを私どももそれなりに認識をしておりますけれども、それじゃ過去三十年の間に一貫して同じようなテンポで今日のような度合いの努力をしてきたか。そうではなかったであろうと思うんですよね。そういう点では、短い期間だと思いますけれども、急速に皆さんの努力と相まって国民の理解も進みつつあって深まり出してきているという段階だと思うんですね。
 で、現在の受信契約の制度、これは視聴者である国民の理解と支持によって成り立つ制度だと、こういう姿だから、公共放送としてのあり方の基本として、これが基本問題調査会等でもその点をきちんと御指摘になって、NHKの財政の自主性あるいは番組の自主性を確保するために適切な制度だという点の御報告も出ているわけだと思うわけでございます。で、国家財政の投入を抑えているというのは、金も出すけれども口も出すというようなことになってはならぬというのがNHKの今日の基本的なたてまえではなかろうかと思うわけです。
 しかし、そういう状況だからといいましても、今日の厳しい経済情勢の中、特に今日の自民党政府の経済政策のもとでは、非常に厳しいインフレの進行する中では、これはNHKが手をこまぬいていては、今日の状況を国民の理解と協力を得た上で乗り切っていくというのはなかなか困難だと思うんです。懸命の努力をやらなければならないということは、これは私もかねがね主張を申し上げてまいりましたし、会長もこれをお認めになってこられたと思うんですね。そういう中で、一定の努力をなされて改善もされているという点は私ども十分多とするわけですけれども、それじゃ国民の十分な理解や協力の得られる水準まで努力が実っているかというと、また具体的に踏み出しておるかというと、必ずしも十分ではないという側面もあるわけですね。
 これももう本委員会で同僚委員からすでに御指摘があっておるとおりですけれども、たとえば経営委員会の公開の問題というのは、もうずうっと一貫して主張をされてきておりますし、われわれも要求をしてまいっておりますが、これは実現していない。あるいは視聴者会議の公開などについても、どうして公開できないのか知りませんけれども、いまだにこれが実現していない。公開をされますと、構成メンバーがそういう中でどういう役割りを果たしているかということが国民の前に明らかになり、したがって、構成メンバーはどうしなければならないかということも、広く国民的な御意見として、これはもっと大きな視野で問題が出てくるであろうと思うわけですが、そういう点では国民に開かれたNHKになっていないという側面がやはり根元のところであると思うですよね。
 で、この段階で放送法改正にNHKが御賛成をなさったということになりますと、私は、今日までNHKが大変御努力を進めてこられて、国民の要求にこたえるために、あるいは国民の理解と協力を得るための御努力を進めてこられたんだけれども、ここまで来た段階で放送法改正にNHKが御賛成になるということになりますと、いままでの努力を投げ捨ててしまうのかという感じさえもするわけですが、その点では真意はいかがでしょう。
#124
○参考人(坂本朝一君) たびたび申し上げておりますように、先生の御指摘のNHKの性格、その他の国民の皆様方への理解の努力が足らないという点につきましては私も率直に認めて、そういう意味の努力を今後も具体的にしていきたいというふうに申し上げて御答弁しているわけでございまして、その努力の不足に対する御指摘については深くおわびいたしますけれども、反面、この放送法の改正そのものがNHKを権力的にするんであるとか、あるいはNHKの本質が変わるんだとかというふうに御理解いただくことにつきましては、しばしば申し上げますように、そうではなしに、やはり負担の公平ということで、むしろNHKに積極的に御支持いただいている方々に対しても現状の状況では申しわけないという、そういう姿勢がもとにあるということの御理解を賜る、そういう努力がむしろわれわれに欠けていたという点についての反省をしているわけでございますので、その点はぜひひとつ御理解賜りたいと思う次第でございます。
#125
○沓脱タケ子君 国民の側から言いますと、値上げをしたらこれはまた滞納がふえる、あるいは末収がふえる、努力をしてもそう上がらないから、もう国民は信頼できないという立場で放送法改正に踏み切ったのかというふうにしか受け取れない。そういう関係をつくるということは、いままで御努力をなさってこられたNHKにとりまして、今後の運営をしていく上できわめて心配するんですね。国民との関係を改善するという努力をなさっていこうとする上では非常に大きな隘路になる。そういう点で私は、単に負担の公平などということだけで論じておられますけれども、それ以上に大きな損失をこうむるのではないかと、その点を申し上げているんですけれども、その点いかがですか。私、率直な御意見をお伺いしておきたいと思うんです。
#126
○参考人(坂本朝一君) ですから、そういうことの御批判のあるということについての私自身の受けとめ方は、十分尊重しなきゃならないというふうに考えておるわけでございますけれども、反面、私が申し上げていることの御理解を得る努力を、私としてはやはり片方においては当然するべきであろうということでございますので、慎重に対応したいというふうに考えておるわけでございます。
#127
○沓脱タケ子君 NHKは公共放送なんですが、公共放送というのはどういう放送かということなんですね。これは端的に申し上げてどうなのか、NHKと郵政省から、両方ちょっとお聞かせをしてください。
#128
○参考人(坂本朝一君) まあ法的なテクニカルタームとして公共放送という言葉があるのかどうか、それはつまびらかにいたしませんけれども、要するに受信料、受信者のお一人お一人の拠出によって賄われる事業体の放送、それがNHK、それが公共放送というふうに理解されている。片方はCM、コマーシャルによって経営されている民間放送という、そういう二つのシステムが日本の放送の制度であるというふうに理解されているのではないかと思います。公共性というようなことになれば、これは当然電波を扱う民放さんといえども公共性というものを考えないわけはないとは思いますけれども、公共放送、片や民間放送という場合の使われ方といえばそういうような位置づけになるんではないかというふうに思います。
#129
○政府委員(平野正雄君) NHKの公共性についての認識でございますが、NHKは公共の福祉のためにあまねく日本全国において受信できるように放送を行うことを目的といたしまして、全国の受信者が負担をする受信料をその財政基盤とする放送機関として放送法によって設立されたものと思っております。したがいまして、NHKは放送の全国普及に努めるとともに、言論、報道機関として放送の不偏不党を堅持する、言論の自由を確保するよう不断の努力を傾けることは当然でございますし、放送法は番組編集の自由を保障しておりまして、政府の監督をきわめて限定的に規定をし、その業務の運営につきましては最大限の自主性が確保されるよう保障されておる。NHKは真実の報道を行うとともに、豊かでかつよい放送を行うことによって国民の文化水準の向上に努めるなど、公共の福祉の増進に寄与すべきものというふうに認識をいたしております。
#130
○沓脱タケ子君 非常に明確にお答えをいただいたわけですが、放送法に定められている不偏不党、中立的なというんですかね、そういう放送を意味するという点で非常に放送法の内容に触れて明確にされたわけですが、その公共放送というのは国営放送ということではないという点でこれは明確にしておきたいと思うんですが、そういうことですね。
#131
○政府委員(平野正雄君) NHKの性格及び受信料制度の性格からいたしまして、先生御指摘のように、国営放送とは考えておりません。
#132
○沓脱タケ子君 私はそういう点で、公共放送であるNHKが国営放送ではないという基本をいま明確にしておくことが、あたりまえのことなんですけれどもきわめて大事だと思うわけです。というのは、時の政府・与党から不当な干渉や介入、こういうものがある場合には毅然として臨むということが何よりも求められている。今日では与党は自民党でございますが、将来何党が与党になったときでもこの基本の確立というのはきわめて大事だというふうに考えているんですが、その点について念のためにNHKと郵政省の御見解を伺っておきたい。
#133
○参考人(坂本朝一君) 先生おっしゃるとおりだと思います。
#134
○国務大臣(大西正男君) その点は全く同感でございます。
 NHKはいわゆる公共放送を担当しておるわけでありまして国営ではございません、御指摘のとおり。でございますから、国といえどもこの放送法に規定をされた範囲内において監督等は行いますけれども、それ以外の点について介入するということは許されておりません。ただ、NHKの存在ということについて、自民党に限らず、あるいは野党の各党におきましてそれぞれいろいろの批判なり、こうあるべきではないかということについてのあり方に関するお考え等もあろうかと存じます。そのこともそれは当然であると思います。
 でございますから、そういう意味で国民の各界各層からNHKの存立、性格等についていろいろと御意見のあるということについては、これは主管大臣である私としても耳を傾けるべきことだと思います。でありますけれども、冒頭に申し上げましたように、NHKは不偏不党のものとして、ことに言論機関としてその運営については法によって自由を保障されておるわけでございますから、それらの意見を郵政省として耳にする場合においても、その基本的な問題を十分踏まえつつ、NHKの自主性を害するような問題については慎重に対処していかなければならぬと、こう考えておるわけでございます。
#135
○沓脱タケ子君 大臣のお話は若干私も引っかかるところがあるんですがね。まあ時間の都合もありますから。私がいま論議をしておりますのは、国民が一番心配をしておるという点に深く関係をするからなんです。というのは、値上げと放送法の改正ですね、これをてこにして時の政府・自民党のNHKへの介入が強まって、さらにこれが御用放送化しようとするような危険をさえ国民は感じているということなんです。
 たとえばこういう報道があるでしょう。自民党はNHK調査委員会をつくってニュースや番組を監視して注文をつけるんだということが伝えられている。一方では、三月の十一日でしたか、自民党の総務会で、税金とも言える受信料支払いを義務づける以上、NHKは事実上の国営放送であるとするなら、国の管理権や意向に反した行動などとんでもない、こういう議論が出ているということが報道されています。こういうことになってまいりますと、放送法の改正というのは、主観的意図いかんにかかわらずNHKの変質に道を開くものだということの心配を国民はしている。
 で、非常に国民の皆さん方は放送の重大性、特に今日国民生活の中における放送の大きな影響、こういう中で放送については実は身につまされて痛感をしているわけです。何を痛感しているかというと、あの戦前のNHKが、政府これを召喚すということのもとで完全に国家統制のもとに置かれて、あの大本営発表大本営発表という放送のもとで、あの悲惨な侵略戦争に駆り立てられてきた決定的な役割りをやはり放送が果たしてきているというこの歴史を二度と繰り返してはならないということを国民は心配をしている。
 郵政大臣ね、歴史の教訓を踏まえて成立をいたしました今日の放送法の基本を守っていくために、公正な放送をNHKが確保していくために、国営放送に道を開くおそれのある放送法の一部改正案ですね、これ撤回するべきだと思うんですけれども、いかがですか。
#136
○国務大臣(大西正男君) まず、自民党内にどういう調査会ができたのか私ども存じません、できていないんじゃないかと思いますけれども。
 それから過去の、戦前の日本の社会体制、政治のあり方というものは、おっしゃるようなものであったことはこれは万人が認めるところでございましょう。かるがゆえに、いまは民主主義の日本の体制になっておるわけでございます。この体制を本当の意味でだれも壊そうとは思っていないんじゃないかと思います。私どもはこの民主主義的な体制というものをあくまでも守り通していかなければならないと考えておるところでございます。
 それから、放送法の改正をめぐって自民党内でどういう議論があったかも、私もその場には出ておりませんから存じません。おっしゃいますように、新聞その他でいろいろ報道なされておりますが、もしこの今回の放送法の改正、つまり料金をめぐる問題について、これが国営と同じじゃないかという考えがありとすればそれは明確に間違っております。そういうものではないわけでございまして、先ほど申し上げましたように、この法改正によって受信者とNHKの関係が権力関係になるものでは断じてございません。
 ただ、私もいろいろ新聞その他に出る、このNHKの問題をめぐっての読者の声というのを読んでみますと、もちろん多種多様でありますが、中にはそう言っては失礼でありますけれども、全く今日の、現行法におけるNHKの受信料というものを御理解をなさっておらない、そういう基盤の上に立っての議論の御展開というものが多々見られるわけでございます。そのことがこれまでのNHKの受信料に対する不払いの原因、不払いが増してきておる一つの大きな原因だと私は理解をいたします。
 そういう意味においては、この際、この受信料というものの性格がそういう方々の御理解しておられるところとは違んだと、これを正確に把握を願って、その上でNHKに対する受信料というものの支払いについて御理解をいただくのがいまやその時期ではないかと、これは緊急性を持っておるのではないかということで御提案を申し上げておるわけでございます。
#137
○沓脱タケ子君 これは大臣の御見解は御見解としてですが、国営放送になるというのは違うんだというふうにおっしゃったんですがね、間違っているんだと。私も言葉の上で国営放送に変わるんだとは申し上げてないんです。道を開くおそれがあるということを国民が心配をしているんだというふうに申し上げておりますので、その点は、大臣とは見解の違いを留保しておきたい。
 次に、行管庁おいでになっていますか。――行政管理庁設置法の一部改正案がいま衆議院で論議をされているようでございますが、NHKも、改正をされますと行政監察の対象になるんですね。
#138
○説明員(重富吉之助君) そのとおりでございます。
#139
○沓脱タケ子君 そうしますと、一般論で言いまして、行政監察の対象というのは何かということなんですが、これは行政管理庁設置法の二条で、「各行政機関の業務の実施状況を監察」する。それから「業務」とは、対象機関のあらゆる業務であり、それから調査を受ける者は、その調査を拒んではならない。監察上必要により、公私の団体その他の関係者に対し、必要な資料の提出に関し協力を求めることができる等々が対象になるんですね。一般論で言いますとそういうことになるんですか。
#140
○説明員(重富吉之助君) お答え申し上げます。
 先生の御発言、若干正確性を欠くところがあったんではないかというふうに理解いたします。行政管理庁設置法の十一号では、御承知のとおり、「各行政機関の業務の実施状況を監察し、必要な勧告を行うこと」というのは先生のおっしゃるとおりでございますが、続く十二号で、「前号の監察に関連して」調査対象の法人の「業務の実施状況に関し必要な調査を行うこと」、こういうふうにございますので、私どもは、調査対象になった法人のあらゆる業務について調査することはできるというふうには理解しておりませんで、所管大臣の監督権限の範囲内にある業務について調査ができる、このように理解しております。
#141
○沓脱タケ子君 私は、一般論で、というふうに申し上げたんですが、なぜこれを申し上げたかと言いますと、報道されているのでは、「宇野行管庁長官は二十二日の衆院内閣委員会で、行政管理庁設置法の一部改正に伴う日本放送協会(NHK)に対する行政監察問題に触れ、「行政監察は、主管官庁である郵政省の権限内で行われ、言論、報道の自由を侵すものでないことを断言する。番組編成やニュースの内容に介入するつもりは、全くない」と述べた。」という報道があるわけですね。
 それで、一般論で、行政監察をやるということになりますと、これは、宇野長官がわざわざこの発言をなさったということは、それらの業務も監察の対象になるということにならざるを得ないのではないかと思うので、わざわざ長官がこの発言をなさったんではないかと思うんですが、その点はどうなんです。
#142
○説明員(重富吉之助君) 私どもは、先ほど申し上げたとおり、すべての業務について、調査対象法人の業務について調査することはできないというふうに理解しておりますので、長官の御発言はあくまでも、行政管理庁設置法の範囲内において行われているというふうに理解しております。
#143
○沓脱タケ子君 これは、私は非常に心配をしているんですけれども、宇野長官がああ言っておられますね。主管官庁である郵政省の権限内で行われ、言論、報道の自由を侵すものでないんだということを言っておられるんですが、この行管庁設置法の改正案で、長官がおっしゃっておられるけれども、法的にそれに歯どめをかけられる論拠はありますか。
#144
○説明員(重富吉之助君) 私どもが行います調査の範囲というのは、あくまでも所管大臣の行います、所管大臣が監督なさいます権限の範囲内に係る調査対象法人の業務でございますので、これはあくまでも、郵政大臣がNHKに対して指導監督なさる権限の範囲の業務についてわれわれは調査対象になるというふうに理解しておるのでございまして、先生の御心配は当たらないのではないかというふうに理解しております。
#145
○沓脱タケ子君 「郵政省の権限内で」ということだから心配は当たらないという御意見なんですがね、それじゃ郵政省の権限というのは、権限内というのは一体何かということなんですが、これは郵政省、どうですか。
#146
○政府委員(平野正雄君) NHKに対する郵政大臣の権限でございますけれども、放送受信用機器の修理に関する放送法九条七項、放送法に列挙されたもの以外で、「放送及びその受信の進歩発達に関し特に必要と認められる業務」、これは放送法九条二項十号でございます。宇宙開発事業団等への出資、これは認可事項でございますけれども、放送法九条の三。国際放送、これは郵政大臣の命令に関する放送法三十三条、三十五条二項。放送に関する研究、これは命令事項でございますが、放送法三十四条、三十五条二項。定款の変更、認可事項といたしまして、放送法十一条二項。業務報告書、放送法三十八条。資料の提出、放送法四十九条の二、放送法施行令四条。経営委員会の委員の関連でございますけれども、これは内閣の権限でございまして、郵政大臣は特にございませんが、放送法十六条、十九条、二十条の関係。その他収支予算、事業計画、資金計画等に付する意見の関係、放送法三十七条。臨時の予算の認可の関係、放送法三十七条の二の関係。受信料につきまして、放送契約の条項、認可事項でございますが、放送法三十二条の三項。受信料免除の基準、これも認可事項でございますが、放送法三十二条二項。
 以上、放送法に定められた各種の権限を郵政大臣が保有をしておる、こういうことでございます。
#147
○沓脱タケ子君 そうしますと、この段階で郵政省の権限内を行政監察をするということになりますと、たとえば受信料の免除、これはやり過ぎているということで指摘をされて打ち切っていくというふうな問題が出てくるかもわからないし、あるいはNHKの付属業務であるこれらの問題は、むだではないかということの指摘も出てくるかもしれないというようなことも考えられるわけですがね、私は今度の行管庁設置法の改正が、百十一のすべての特殊法人をカバーするということにしたという点で賛成をするものなんですがね、本来。事NHKに関しては、ちょっとこれは話が違うなあというふうに思うのですが、NHKにお聞きしたいのですが、こういうことでいいですか。よろしいですか。
#148
○参考人(坂本朝一君) NHKといたしましては、NHKの業務に対する公的の規制という点では、表現の自由に深くかかわる公共放送の事業体としてのNHKの特殊な性格から、放送法上、予算の国会における承認、貸借対照表の国会への提出、あるいは国民の代表である国会の場を中心に行われ、また他に例を見ない経営委員会制度によって、行政府による規制を最小限度にとどめるように配慮されておりますしいたしますので、今回の行政管理庁設置法の改正案におきましては、特殊法人の一つとして一括されて行政機関の業務の実施状況の監査の対象とされるということにつきましてはかなりわれわれといたしましても関心を持ちまして、そして一番問題の放送法の基本理念、特に放送番組編集の自由の原則にいささかも損なわれることのないように考えて、このことにつきましては強く郵政省にもお願いした次第でございます。
 したがいまして、今後同法案による行政管理庁の調査が行われるということにつきましても、同様趣旨についての御配慮を特に主務官庁である郵政省にお願いしておると、こういう実態でございます。
#149
○沓脱タケ子君 郵政大臣ね、NHKの方ではこの行管庁設置法の改正でNHKも一緒に含められるということで深い関心を持っていた、お願いもしたと言うておられるんですが、郵政大臣はどうですか。
#150
○国務大臣(大西正男君) ただいま行管の政府委員からお話のありましたように、今度の行管の設置法の改正という問題は、これは郵政省に限りませんけれども、関係の各特殊法人に対して、それに対して主管をする大臣の、つまり主務大臣の持っておる権限以上にはわたらない、こういうことが骨子だと聞いております。先ほどNHKの会長が、郵政省の方へ御要望を述べられたわけでありますが、私はそのことを踏まえまして、実は閣議等の折に行管長官に会いましたときには、NHKについては特に番組の編集権とか、あるいはまたその他言論、放送機関としての自主性を強く保障されておる面があるから、特にその点については御留意を願いたいということを、申し入れと言ったらおかしいですが、申し入れはしたところでございます。
 このことは私が申し上げるまでもなく、行管長官においても十分御承知のところでございまして、そういう気持ちはもちろんない、NHKのその点に関する自主性というものについては十分これを守っていかなければならない。そういう観点に立って、それを侵すようなことはもちろんしないし、それから行管庁が考えておるいまの設置法の改正についてもそういうところへははいれない、そういう意味において郵政大臣の持っておる権限の範囲内だけにとどめると、こういうことでございまして、よく理解なさっているわけでございます。
#151
○沓脱タケ子君 現在の、宇野行政管理庁長官と大西郵政大臣とは話し合われて理解が深まっておる、そういう心配のないように運営をしていきたいということのお話ですが、時がたって人が変わっていくということになりますと、この保障がやはり問題だと思うんですよ。といいますのは、現在の放送法では、番組の編集権と放送の自由に関する部分には、これは郵政省の監督権についても介入をしないことになっていますよね。だから郵政省の権限内でという限りでは、これは行管庁もおっしゃっておられるように、NHKの行政監察をやる場合にもそこまでは踏み込まないということは確かだというふうに思うんですね。しかし、放送法がもし変更になって、その部分に触れられるということに放送法が改正をされた場合にはその保証の限りにあらずということになるわけですよね。
 その点で、これは今日ただいまの段階では、大西郵政大臣のお言葉もよくわかりますし、宇野長官の御理解をなさったお立場も十分理解できるのですけれども、今後将来にわたってその保証があるかどうかという点ではきわめて私は疑問を残すわけです。その点で、この問題については本院でも一部改正の法案については論議をされる経過になろうと思いますのでこれ以上は私申し上げませんけれども、その点については十分な配慮が要ると思いますし、同時にNHKの主張を郵政大臣としてもこれは十分聞き入れて、これは一部改正の中の法律で、人が変わってもその保証が裏づけられるようなやはり何かの歯どめが要るのではないかと思うのですけれども、郵政大臣、いかがなものでしょう。
#152
○国務大臣(大西正男君) 行政管理庁設置法というのは、郵政大臣のNHKに対する監督権以外には及ばない、そしてその郵政大臣の監督権の範囲は放送法によって定められておるところでございます。したがいまして、将来、論理的なことを申し上げれば、放送法の改正によって郵政大臣の権限がどこかで改められることになれば、その改められた点が縮小ということになれば、縮小した範囲内においてしか行管庁は権限がないでしょうし、また拡大をされたとしたならば――仮にですよ、行管庁も郵政大臣の権限の拡大された範囲にまで及ぶということは、それは法の解釈上そうなることは当然だと思います。
 ですけれども、このNHKがいま与えられておる番組編集の自主性とか、あるいはその他言論、放送機関としての中立性を守るための自主性とか、そういったものについて私たちがこれを侵すような法案をいま念頭に描いておるということは全くないことでございます。
#153
○沓脱タケ子君 大臣ね、私、現在大臣がそんなことを念頭にお考えになっていたら大変だと思いますので、なくてあたりまえだと思うんですが、ただ、大臣もおっしゃったように、NHKの放送の中立性、自主性を確保していくという意味では、これは行政監察をやる場合でも、KDDや鉄建公団と同じ水準でやれるということになってしまうのは問題ではないか。むしろ行管庁の設置法の一部改正の中で、これは法律の文言で歯どめのかけられるような措置が必要ではないんだろうかということを申し上げておりますので、その点はどうでしょう。簡潔で結構です。
#154
○国務大臣(大西正男君) 現在の放送法によって決められておることがそれが歯どめでございますから、その歯どめを国会を通じて変えなければならぬとおっしゃるなら変えられるでしょうし、そうでない限りは変えられることはないはずでございます。
#155
○沓脱タケ子君 どうも押し問答になりそうだからあれなんですけれども、郵政大臣ね、放送法の範囲内、郵政省の権限内という点は私、十分理解しているつもりなんですよ。しかし、行管庁の行政監察が、KDDや鉄建公団と同じようにNHKもやるという体制というのが果たして妥当なんなろうかという点については、私はこれはぐあいが悪いじゃないかというふうに思うんですけれども、その点はどうなんですかと言っているんですよ。
#156
○国務大臣(大西正男君) でございますから、NHKの、先ほど来申し上げております自主性を守っていかなければならぬということと、KDDや鉄建公団等の問題とはまるきり性質の違う問題じゃないでしょうか。
#157
○沓脱タケ子君 大臣の御答弁、私了解いたしかねるんですがね。私は、鉄建公団やKDDと同じように、NHKが行政監察を受けなきゃならぬというふうな改正というのは非常に心配が残ると思うんですね。
 そういう点で、この問題はまた別の機会でも論議のする時期があるんだろうと思いますのでこの点はおきますけれども、少なくともこれは郵政大臣、そういうことにうかうかしているとなってしまいそうだという点があるんですからね。これはNHKの特殊性、特に中立性、自主性を守っていくというために、十分な配慮というんですか、大臣自身の基本的な姿勢というものを確立していただくということが非常に大事だということを特に申し上げておいて、この問題をやめたいと思います。
 次に、時間の都合がありますので、いろいろと申し上げたいことがありますが、先ほどから料金値上げの問題に絡んでいろいろとNHKで御努力をいただかなければならない点の幾つかの問題を触れましたが、これ、同僚委員からもいろんな角度でやられておりますので、私詳しく申し上げないつもりでいたんですが、特に受信料の未払い、不払いというふうな問題の中で、受信障害、電波障害ですね、これが非常に大きな要因になっているわけですが、この電波障害、各種の電波障害がありますし、かねがねいろんな角度で質問もしてまいったわけですけれども、なかなか思うように解決がつかないというのが今日の段階ですね。
 先ほどもお話がありましたが、都市難視の問題にいたしましても、これは将来放送衛星が上がったらNHKだけは受信障害は片づくだろうというふうなことですが、依然としてこの都市難視というのは片がつかないわけですね。法制化もするやに数年前から言われておりますが、いまだに片がつかないという状況なので、このいろんな電波障害ですね、各種の電波障害に対する対策というのはきわめて重要な問題の一つだと思うんですね。
 私はきょうちょっと一、二申し上げておきたいのは、送電線によるテレビの受信障害ですね、これが最近問題になっておりますが、埼玉県の本庄市では、東京電力と協定を結んで、新しい送電線による障害対策を東電が責任を持って実施することとしたというふうに聞いておりますが、その内容と、NHKのお取り組みはどうなのかですね。これは五十三年の七月ごろに締結をされたように聞いておりますが、いかがになっていますか。
#158
○参考人(沢村吉克君) 電力線、送電線によります受信障害につきましては、おかげさまで、各種の受信障害の中で非常に円滑に解決が進んでおる一つの例かと思います。ほとんどすべて各電力会社の負担によりまして自主的に対策が進められておりまして、NHKはこれに対しましての障害地域の調査でございますとか、あるいはそれの対策の技術的な御協力でございますとかいう意味で御一緒になってこれを取り進めておる次第でございます。
 いま、一つの例としてお挙げになりました本庄市の場合でございますが、五十三年の七月に本庄市と東京電力の間で協定を結ばれております。これは新秩父−栃木間の新秩父−栃木線という送電線が本庄市を通過するということでございまして、その工事に先立ちまして、電波障害が発生する可能性があるというような地域に対しまして、事前に対策をしようということで、前もって準備が進められました。
 NHKが事前に概略の調査をいたしまして、東電がさらに個別調査をいたしまして、明確に障害のあるものに対しての個別のゴースト防止用のアンテナを支給するとか、あるいは場所によりましては共同受信施設をつくるとかということをすべて東電の負担で実施をされております。維持管理も東電が負担をしてやるというようなことで取り決めができて、しかも工事もほぼ終わったようでございまして、対策のできました世帯数が一万六百世帯だというふうに伺っております。
#159
○沓脱タケ子君 確かにこれは私、埼玉県の例を幾つか調査をしてみましたが、幾つか解決をしていっているんですね。それで、この送電線の電波障害についての問題点が幾つかあると思うんですね。解決はしているんですけれども、障害の範囲というのは比較的範囲が広いんですね。ところが、実際には対策が全部をカバーできなくて一部になっているという問題が残っているわけです。
 たとえば、上尾市とか桶川市というような南埼玉線ですね。そういうところでは対策をされたのは二千八百戸で、影響を受けているのが四千戸になっているというような問題も出てきておりまして、どうしても手だては、対策は範囲を拡大することが必要だと思うんですが、こういう送電線の電波障害に対して、NHKとしても、また郵政省としてもこういう点ははっきりしているのかどうか。電力会社ですから全部相手が、たまたま私、東電の部分のところを申し上げておりますけれども、その辺は基本姿勢というのはどうなっているのか、ちょっとその点をNHKのお立場と、それから郵政省ではどうお考えなのか、それをちょっと聞かしておいていただきたいと思います。
#160
○参考人(沢村吉克君) KHNと電力会社の間に基本的なお約束をいたしておりまして、受信障害の地域に対しましては、電力会社が負担をしてこれが解決をする。電力線でございますのでかなり僻地も通ります。その中には本来難視世帯であった部分を通ることもございます。その場合には、これは本来的に難視であるという意味で、NHKもその各世帯につきましての対策は負担をするということでやっておりまして、基本的に、いわゆる前々から御指摘を受けております原因者負担の原則という線に沿いまして御相談をし、私どもも技術的に御協力を申し上げているということでございます。
#161
○政府委員(平野正雄君) 郵政省といたしましては、電力会社及び国鉄に対しましては、ただいまNHKが申されましたように、原因者主義をもって指導をしておるところでございます。電力会社、国鉄ともに、御案内のように、土地の使用等につきまして、地域住民との問題を非常に重視しておるわけでございます。したがいまして、特に電力会社につきましては、地方電波監理局等に連絡をするなど、できるだけ早く調査もし、そうしてその対策を講じていきたいということのようでございまして、もちろんその段階におきましてはNHKに協力を求めるというようなことがほとんどでございますけれども、相当早く手をつけるということになっております。
#162
○沓脱タケ子君 郵政省は電力会社にきちんと要望等はしておられますか。
#163
○政府委員(平野正雄君) 電力会社には十分に要望しておりますほかに、電波障害防止協議会にも電力会社が参加をいたしておりまして、これも障害関係につきましては常時打ち合わせを行っておるところでございます。
#164
○沓脱タケ子君 それで、私はこの問題は、新しい送電線の場合は案外比較的手が打たれていっているが、古い送電線で、電波障害がそれは何で起こりているのかわからぬという、住民の中で起こっているような問題というのがかなりあると思うんです。
 これは埼玉県の調査ですけれども、新設線のところは協議の対象になるので、少々範囲が小さいとか大きいとかという問題はありますけれどもては打たれている。ところが、既設線のものは放置されているんです。ですから、埼玉県下では全戸の一五%ぐらい、約二十万戸ぐらいが障害を受けているというように見られている。二十万戸ぐらいが障害を受けて、そのうち早急な対策を要するものが六万戸ぐらいあると言われているんです。こういうものの調査とか、早急な対策のための基準というか、そういうものがないんです。実態調査と、それからどうしたらいいかというような技術基準、そういうものを確立する必要があるんじやないかと思いますが、その点はどうなんでしょうか。これはNHKはどう考えておられますか。
#165
○参考人(沢村吉克君) 先生がおっしゃるように、新しくできます場合の方は非常に解決が楽だと思いますが、相当古くからありますものについて、その原因がわからないうちにテレビをごらんになっていたと。ところが、よく技術が進歩してわかってみると、送電線が原因らしいというようなものについての対策、おっしゃるように非常にむずかしい問題をはらんでおろうかと思います。具体的な経験を私直接は聞いておりませんけれども、今後そういうものに対しましても十分調査をいたしまして、それなりの御相談を取り進めていくべきだろうというように考えます。いますぐに右から左へどうするんだというところまで私どもも実態を把握いたしておりませんで、今後努力してまいりたいと思います。
#166
○政府委員(平野正雄君) 先生おっしゃいますように、送配電線が、特に送電線が山の中であるとかにございまして、その後で新しく住宅ができてきたというようなケースもあるようでございます。
 なお、テレビの画像評価の点につきましては、かねて申し上げておりますように、現在五段階評価という形で、基本的な受像機を持っていきまして、人が主観的にどれぐらいの評価であるかということをやっておったわけでございまして、現在、先ほども申し上げましたように、特に高層建築物等による妨害に対しましては、ひとつ客観的な評価基準をつくろうということで努力中でございますが、現在でもすでに五段階評価の方法は一般に通用するわけでございます。したがって、そのような場合には郵政省でもよろしゅうございますし、NHKあるいは電力会社でもいいわけでございますので、ひとつ積極的にお申し出をいただいたらいかがかと、こういうように考えております。
 従来は、電力会社はほとんどが、被害を受けております地元住民の団体等といろいろ協定を結んでおったようでございますけれども、ただいま先生御指摘の本庄市等につきましては、地元がなかなかうまくまとまらないと申しますか、そこで地方公共団体が乗り出すような一つの事例が出てきたというふうに存じておりまして、そのような方法等につきましても今後の事態を見守りながら、場合によればまた郵政省といたしましても全国的にお願いをせにゃいかぬのかなあというふうに考えておるところでございます。
#167
○沓脱タケ子君 これは先ほどNHKでおっしゃったように、比較的原因がはっきりすれば原因者負担で解決が明確にやりやすいむしろ実例だとおっしゃっておられたということもありますし、やはり視聴者の要求にこたえていくためにも、これは特に埼玉なんかのようにすでに言われているところですね、一遍全体としての実態調査と、それに対する対応等の検討というのはぜひやっていただきたい。埼玉だけじゃありませんけれども、全国的にそういう問題というのは課題になろうと思いますが、たとえば埼玉なら埼玉一カ所でそれをやってみて、効果を確かめて、全国的にどう波及していくかというふうなこともあろうと思いますから、そういう点で御調査なりあるいは対策なりを検討して取りかかっていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
#168
○参考人(沢村吉克君) 先生の御説ごもっともでございます。
 埼玉が一番適当かどうかわかりませんけれども、どこかでサンプル調査のようなことでもいたしまして、それで全国的な状況を把握する、それをもとにしてその対策をまた検討するというようなことを取り進めるべきだろうと思います。そういうことにできるだけ早い時期に着手してみたいと思います。
#169
○沓脱タケ子君 それから、受信障害の中で最近もまた問題になっておりますが、違法なCBラジオによる受信障害ですね。非常にいろいろ言われてきておりますが、これは最近の実態はどうなんですかね。
#170
○参考人(沢村吉克君) CBラジオによります受信障害の実態、私どもNHKに苦情を御連絡いただいた件数は把握をいたしておりますが、五十一年以来最近かなり多くなっております。数字で申し上げますと、五十一年度に二千三百件、五十二年度に三千件、五十三年度は五千五百件というふうに年々増加いたしておりまして、五十四年度上半期で二千八百件でございますから、まず横ばいになりつつあるのかなというふうな感じはいたしますが、この数年間非常に大幅に伸びてきた、障害がふえてきたというふうに把握をいたしておりますが、その大部分が移動するCBのようでございまして、固定をいたしておりませんので、私ども御連絡受けまして調査に行ったらもうその障害原因はその場にいないというようなことが多うございますので、なかなか実態が、本当に御連絡いただいたのはこういう件数であるということしか把握しかねる状態でございます。
#171
○沓脱タケ子君 通産省では昨年の十月十七日に販売規制の通達を出して規制に乗り出したようですけれども、郵政省として実効の上がる取り締まりをやるべきだと思いますが、今後の方針を簡潔にお伺いしたいと思います。
#172
○政府委員(平野正雄君) ただいま御指摘の販売の規制に関する法律案、これは現在まだ検討中でございまして、機器の販売についての法的規制を関係省庁と相談しつつ検討しておるわけでございますけれども、実は営業の自由等の個人の権利と絡む非常にむずかしい問題がございますので、まだ実効のある成案を得るに至っていないわけでございます。
 しかし、その不法市民ラジオによる電波障害の解消が喫緊の問題であることは十分に考えておるわけでございまして、郵政省といたしまして全国十三カ所の電波監視施設におきまして一般的な監視を実施しておるところでございます。すでに昭和五十二年度には六千六百四件ばかりを捕捉いたしておりまして、必要な措置なり告発なり、あるいは行政指導ということをやっておるわけでございます。五十三年につきましても九千五百七十四件、あるいは五十四年度、第三・四半期末でございますけれども一万七千六百六件対策を講じておるわけでございます。
 もちろん捕捉した不法無線局だけではございませんで、申告のありましたものにつきましてはその所在を確認するための移動監視、移動探査が必要になるわけでして、関係機関と密接な連携をとりながらいわゆる取り締まりを行っておるという実情でございます。なお、こういった不法案件に対する対策をさらに一段と強化する必要があるわけでございまして、高性能の電波監視用の機器の導入を図り、さらに機動力を強化することも、遅々とではございますけれどもいたしておるわけでございます。
 また一方、国内で販売しないように、先ほど先生御指摘になりましたように、通産省と協力をいたしまして、製造業者、販売店あるいはその団体に対しまして行政指導を行っておりまして、国民一般に対しましても、電波法令の周知と電波法令違反の未然防止に関する広報活動、これを行っておるわけでございます。
#173
○沓脱タケ子君 これはなかなか移動したりせんならぬので、取り締まりのためには人間もたくさん要るんでしょうね。そういう点で、取り締まりができるような体制の強化、これをぜひ望んでおきたいと思うわけです。
 最後に、これはひとつ念のためにお聞きをしておきたいんですが、KDD事件の究明の中で明らかになってまいりましたのは、服部元郵政大臣と村本建設のコンビでいろいろと仕事が進んでいるわけです。KDDでは、私どもの調査をした範囲でも、たとえば軽井沢の保養所の建設だとか、宝塚女子寮の建設だとか、その他あります。それから郵政省でも奈良の河合町研修所を初め郵便局の建設など、それから電電公社では電話局等の建設と、当時の郵政大臣の権限の及ぶところで、大分この服部さんと村本建設のコンビで手がけられてきておりました。私どもの調査でも六十億以上にもなっていた。
 ところで、このNHKも郵政大臣の権限の及ぶところなんですが、NHKにはどうなんでしょうか。
#174
○参考人(渡辺伸一君) お答えいたします。
 その前に、NHKの建築工事の契約方法をちょっと申し述べさしていただきたいと思いますけれども、原則といたしましては、複数の業者による競争契約をもって業者を決定いたしております。それから金額につきましては、あらかじめ客観的な資料に基づきます契約予定価格というものを算定いたしまして、その範囲内で適切に行っているということをまず申し上げます。
 いま村本建設のお話でございますが、村本は私どもで言います地方局の工事にかかわっている業者でございますが、地方局における競争に参加いたします業者といたしましては、私どもやはり大手の業者のほかに、地域事情もございますので、地域の信用ある業者を数社選んで競争参加業者といたしておるわけでございますが、そのプロセスを経まして、いま御指摘の村本建設もうちとかかわりを持ったわけでございますが、最近の三カ年間におきます工事を申し上げますと、一千万円以上の工事でございますが、五十二年に奈良の世帯寮の増築工事を請け負っております。五十四年度には大阪の世帯寮の建設にかかわって工事を実施いたしました。以上三カ年間におきまして二件の契約をやっていることを申し上げます。
#175
○沓脱タケ子君 村本建設というのはいつから指定業者になっておられますか。
#176
○参考人(渡辺伸一君) お答えいたします。
 村本建設とのかかわりは、三十九年に奈良県にテレビの中継局、栃原サテライト局を建設いたしますときに初めてでございまして、その際は土地の実績もございませんものですから、奈良県の土木部に照会をいたしまして、業者五社の紹介を得たわけでございますが、その中に村本が入っておりまして、その競争入札の結果、村本が初めてNHKの仕事をしたという次第でございます。
#177
○沓脱タケ子君 三十九年というと、これは服部さんの政務次官のころなんですね、時期がちょうどね。私はやっぱりNHKも目こぼしをされなかったんだなあというふうに思うんですがね。NHKの場合には世帯寮ということで、五十二年の奈良の分は五千三百万円余りだし、五十四年の大阪での世帯寮の建設も三千八百万ぐらいのものですが、これはNHKがどうこうと言うんじゃなくて、私が冒頭に申し上げたように、服部元郵政大臣というのは、大臣の権限の及ぶ範囲全部やっているから、NHKもあるんじゃないかと思って実は御調査をお願い申し上げたんですが、これはやっぱりNHKも被害者ですか。
#178
○参考人(渡辺伸一君) 御指摘のような事実はございません。
#179
○沓脱タケ子君 いや、何も不正や何かがあったということを申し上げているんじゃないんですけれどもね。建設会社との関係はきちんとやってきておったということですね。そういうことの意味ですね。
#180
○参考人(渡辺伸一君) おっしゃるとおりでございます。
#181
○沓脱タケ子君 だから、そういうことであるとすれば、KDDやあるいは電電公社や郵政省関係で全部やっているから、私はNHKはどうかなと思ったんだけれども、やっぱりNHKも目こぼしされなかったんだなあという感が深いわけですが、そういう限りではNHKも被害者なんだなあと思うわけです。特に、冒頭からの論議の中で明らかなように、特殊性を持っておるNHKの形態でございますから、少なくともそういった疑惑にさらされないという自戒というのが非常に大事だと思いますが、そういう点、ひとつ御見解を承っておきたいと思います。
#182
○参考人(渡辺伸一君) 工事の契約につきましては、いま申し上げましたように厳正を期してやりたいと思っております。
#183
○沓脱タケ子君 結構です。
#184
○木島則夫君 具体的な質問に入ります前に、私の基本的な立場を申し上げておきたいと思います。
 私は、NHKが日本の放送文化を支え、発展をさせてきたその努力というものを高く御評価を申し上げているものであります。それだけに、NHKの現状や将来展望を直観をいたしますと、気がかりな問題がたくさんございまして、勢いこれが深刻な不安につながっていきかねない、こういう実感でございます。不安の中心は、何と申しましても、NHKの収支のバランスが崩れてからもう数年、相当の年月がたっているのに、いまだに単純に赤字と値上げを繰り返すパターンから抜け切っていないということです。つまり、財政安定の将来展望を示していないという点でございます。NHKが確かに運営をされていくためには財政的な基盤の確立がどうしても必要です。私はきょうの質問で、どうしたらNHKの財政を安定をさしていくことができるかどうか、私自身模索をしながら質問を試みてみたいと思います。
 冒頭申し上げましたように、私はNHKの存在理由というものをきちっと認める立場で御質問をしていくわけであります。この点についてNHKの見解を求めておきたいと思いますが、坂本会長、NHKはなぜ必要かという質問に対してどのようにお答えになりますか。NHKはなぜ必要ですか、こういう質問であります。
#185
○参考人(坂本朝一君) まあ言いかえてみれば、NHKの存在意義というようなことになるのかとも思いますけれども、先生御承知のように、NHKと民間放送の二本立てによりますわが国の放送の基本体制が確立されてことしの六月一日がちょうど満三十年を迎えるわけでございます。民間放送はその間飛躍的に発展いたしまして、NHKは、NHKと民間放送という二本立ての体制の中で、視聴者の直接の御負担による受信料をもって経営の基盤として自主、自立の国民的放送機関、そして公正、的確な報道と豊かですぐれた放送番組を全国あまねく提供する、こういうことでこのことの社会的な役割りが視聴者のために今後とも万全な形で継続されていくということ、それがNHKの存在理由でもございますし、視聴者の御期待に沿うところであろうというふうに考えておるわけでございます。
 ただ、御承知のように、非常に視聴者の価値観の多様化、御要望の多様化等々がございまして、それにこたえるためのわれわれの努力というものは並み大抵のものでないという認識に立っておりますけれども、しかし、やはり日本の国民の皆様のためにはNHKの存在というものは欠かせないものであるべきだというふうに考えて努力したいと思っている次第でございます。
#186
○木島則夫君 私も制度の面――片やNHKという柱、片や民放という柱、制度の面での必要性、番組の面での競争、補完という面での必要性、私もはっきりとこれは認めております。現在のNHKの番組は、一部不満はあるといたしましても、全体としてはかなり充実したものであるというふうに思います。私は、NHKがすぐれた番組を放送して国民の要望にこたえていくためには、先ほどから強調をしておりますように、経営基盤が安定をしていかなければならない、こういうふうに考えておりますけれど、再度これは、御質問があった問題でありますけれど、NHKが置かれている財政的な環境基盤をどう把握をされておりますか、お尋ねをいたします。
#187
○参考人(坂本朝一君) この問題は先生方からしばしば御指摘いただいているわけでございますけれども、御承知のように、受信料制度によってのみ運営されるという、そういうことから言いますと、テレビジョンの受像機の普及というのがほぼ限界に達している、したがいまして、唯一の財源である受信料の収入が年率二%台にとどまっておりまして、将来においては一%台に低下することが必至の状況で、財政的には非常に困難な状況であるというごとは私としても避けられないんではないかと思います。
 しかし、そういう状況を認識して、なおかつわれわれといたしましては効率的な運営をし、そしてできるだけ視聴者の皆様方に御負担をかけない努力をすべきであろうという認識に立っておりますが、冒頭申し上げましたように、受信料のみによって支えられている協会ということであれば、そういう状況の御理解の上で受信料の改定をお願いせざるを得ないという場合も当然出てくるわけで、今回の場合はそういうことで御無理をお願いしているわけでございます。
 しかし、将来にわたって、いわゆる赤字と値上げの繰り返しというようなことがなかなか世の中を通すのは困難であるという、そういう事情についても経営の責任者としては認識しなければならないというふうに思っておるわけでございますので、これもしばしば申し上げますように、この予算が御承認いただけますれば、早速長期経営ビジョン等を検討いたしまして、そういう問題の展開を図りたいというふうに考えておる次第でございます。
#188
○木島則夫君 会長のお話を伺いますと、NHKが財政の現状に強い危機意識を持っていることがよくわかったわけです。
 本論に入ります。
 まず、よく言われている当面の打開策について、これが財政安定につながるかどうかという角度からお尋ねをしてまいります。で、私の挙げる数字はNHKの御用意をされた数字でございます。数字の問題については、それが絶対的なものであるというふうには私思っておりませんけれど、一応御提示の数字によって算定をいたします。
 私の手元の、いただいた資料では、五十四年九月末で九十六万一千件の滞納、九万九千件の契約拒否があるということでありますけれど、仮にこれを全部収納できたとして、その額は幾らになりますか。
#189
○参考人(海林澣一郎君) お答え申し上げます。
 先生のおっしゃいますように、仮に収納したということで、滞納につきましては約五十六億でございます。それから九万九千と言われております契約拒否については約八億でございます。合わせて六十四億、これが仮に収納した場合の額でございます。
#190
○木島則夫君 次に、国際放送を全額国庫が賄った場合のNHKの負担の軽減は幾らになりますか、仮にであります。
#191
○参考人(渡辺伸一君) お答えいたします。
 国際放送の実施につきましては、先生御存じのように、命令によりますものと自主放送によりますものと一体として行っておるわけでございまして、五十四年度にはその総額が三十三億二千八百万に及ぶわけでございます。これを全部仮に国で負担したらという御質問でございますが、それを全部いただいたとしますと、現在すでに交付金が八億三千四百万でございますので二十四億九千万、約二十五億収入がふえるという計算になるわけでございます。
#192
○木島則夫君 これも仮にであります。福祉施設などへの受信料免除を撤廃するとして、これは幾らの軽減になるかお答えいただきたい。
#193
○参考人(海林澣一郎君) 五十四年度におきます数値で申し上げますと、五十二億でございます。
#194
○木島則夫君 これは私の方でいまとっさに計算をすれば済むことでございますけれど、不払いの全額収納、国際放送の全額国庫負担、受信料免除の撤廃、この三つを合計をいたしますと、本当はこちらで計算すればよろしいんですけれど、ちょっと計算をしていただきたいと思います、合計金額。
#195
○参考人(渡辺伸一君) お答えいたします。
 いまの三つを合計いたしますと百三十五億二千二百万でございます。
#196
○木島則夫君 この分が一〇〇%増収になったといたしまして、いまの収支のアンバランス、先ほど坂本会長がおっしゃいました。増収が年率二%弱、将来はこれが一%台に落ちるやもしれないということであります。支出の増が七%台。増収二%弱、支出増七%台のアンバランスは是正できるでしょうか。
#197
○参考人(山本博君) 御質問の趣旨に合うかどうかちょっと判断しかねるのでございますが、いまお話がございました七%あるいは二%というものを現在持っております三カ年間の収支の状況の方から御説明さしていただきたいと思います。
 これは七%ではなくて支出が七・四%になっております。収入は、いまお話がありました二%から一%に下がって、三カ年間平均一・九という見込みになっております。それで御説明さしていただきますと、三カ年間でいまこちらから説明を申し上げました数字をまとめますと、増収額として四百六十一億になります。
 これは三カ年間の、ただいまお出しをしております経営計画ですと、三カ年間で千六百十億の収入不足ということで受信料改定のお願いをいたしておりますが、その数字に対しまして約二八%これが補充できるということになりますし、具体的な金額で申し上げますと、百七十円に対しまして約四十九円にその分が当たりますが、三カ年間の収支の均衡あるいはNHKの経営の安定、こういうものにどの程度貢献するかと言いますと、いま申し上げた程度の数字になりまして、これだけではNHKの収支の均衡というものは相当距離があるのではないかというふうに考えております。
#198
○木島則夫君 不払いの増加を食いとめることは、単にお金の問題だけではなくて、これは公平負担を貫いて受信料制度の崩壊に歯どめをかけるという意味でも重要なことは私もわかっております。しかし、いま御提示をいただいた三つの増収措置が仮に一〇〇%達成をされたとしても、構造的な赤字体質というものは続いていくんだという御説明を受けたわけでございます。
 それでは、別の観点からお尋ねをしたいと思います。NHKにとりまして、経営の効率化は絶えざる課題である、これははっきり私も申し上げておきたいと思います。このことは、最優先的に行っていただかなければならない問題でございますが、このNHKの自己努力によりまして収支の均衡を図る見通しがおありになるかどうか、この辺は率直に聞かしていただきたい。せっかくの委員会で、それこそざっくばらんな、フランクな議論を私要求をしているわけでございますから、ひとつ、一体自己努力によって収支の均衡を図る見通しがおありになるかどうか、率直に聞かしていただきたい。
#199
○参考人(山本博君) 率直にお答えを申し上げたいと思います。
 ぞれそれ五十五年度から五十七年度まで事業運営に要する経費、それから財務費あるいは減価償却費、さらに借入金の返還のための費用、そういうものを総合的に、物価の伸びを六%ぐらいとして計算をいたしましても、五十五年度でございますと年間約三百億を超える経費が必要になってまいります。あるいは年次が先に延びれば延びるほどその率は上がってまいりますが、一方、そういうものに対しまして、NHK自身の効率化をどの程度やればこの金額にはまるかというと、これは一年間に三百億ないし四百億、こういう数字を上げるには、これは率直に申しまして困難であるというふうに申し上げざるを得ません。
 この三カ年間の効率化の計画は、前の五十一年度から五十三年度、さらに引き続きまして五十四年度、この期間におきまして、当初の効率化の予定というのは五十億ということで立てまして御理解を得たのでございますが、結果としまして約八十億の効果を上げるごとができました。今後の三カ年間におきましても、現在立てております計画でいきますと、人的な費用、物的な費用合わせまして約七十億を達成いたしたいということでこの中に計画を盛り込んでございます。あるいはそのほかに物件費なども、物価の上昇を見ませんで現状のままでやりくりをしていこうというような内容も含めまして、約七十億ばかりの成果を上げたいといたしております。
 三カ年間で七十億でございますから、単純に平均いたしますと、一年間に三十億までも満たないのでございますが、それにいたしましても、NHKとしましては過去の四年間にそれ相応の効率化のための努力をいたしてきておりますので、さらに飛躍的に効率化の題材があるのかといいますと、そうまだまだたくさん豊富にあるというような状態ではもうなくなっております。しかし、これは反面、受信料をお払いくださる方から見ますと、やはりできるだけ受信料の負担は大きくならない方がいいということもNHKとしても努力しなければならない課題でございますので、私たちは七十億で事が済むとは思っておりません。
 なおこの期間中にもろもろの努力を重ねて、さらに大きな成果を上げたいと思っておりますけれども、ただいまお話がございましたように、このことによって現在NHKの収支のバランスというのが非常に大きいギャップがございます。いまお話がございましたように、収入の方は五十七年度末までいきますと一・五%ぐらいの収入しか見込まれません。収入はそうですが、支出の方は、やはり国民の皆様方のためにもいい放送を出さなければなりません。安かろう悪かろうの放送をいたしますと、これは逆に受信料というものに対しまして国民の皆様方から受信料のありようについてまた大きな御批判が出てくると思いますので、番組そのものにつきましては、やはり私たちは重点的に充実さしてまいりたい。しかし、他の間接的な費用とか、こういうものについてはできるだけ削減をしていきたい。
 こういう総合的な手をいろいろ今後打っていくつもりでございますけれども、そこで出てくる効率化の費用そのものが、いま申し上げたような収入と支出のバランスのだんだん大きくなっていく傾向に対しまして、それのみによってこれを打開するということは全く困難であるというふうに申し上げなければならないと思います。
#200
○木島則夫君 大変率直なお答えをいただいて結構です。
 いろいろ取りざたをされている改善策を積み重ねていきましても財政安定の根本的な政策にはなり得ない。もちろんやってもらわなきゃ困るんですよ、効率化努力というものは。で、いまのお話を極端なところに持ってまいりますと、それじゃNHKを半分に縮小しちまえというのも暴論であります。これは現実的ではもちろんないわけでございます。とすれば何か新しい手段、方法が模索をされなければならないというふうに考えるんです。誤解をしてもらっては困るので、もう一度強調をいたしますけれど、内部の経営効率化と努力の徹底は絶えざる課題である。これはもう徹底的に続けていただきたい、このことは強調をいたします。
 新しい手段、方法の一つとして、支払い義務制を目指す放送法の改正が提案をされているわけでございますが、私はこの効果については大変疑問に思っておりますし、これは立入調査権、こういう担保措置というものが伴わなければとてもできるものではないという意味で、議論は後ほどに譲りますけれど、財政安定の根本策にはなり得ない。むしろ、不公平感をなくす字面の上での効果しかない、私ははっきりこういうふうに考えております。これは私の考えです。
 そこで、私はNHKの財政の立て直しについて幾つかの考え方をこれから紹介します。間違っていただきたくないことは、だからといってこれをやりなさいという先走った提案でも紹介でも何でもないわけであります。NHK基本問題調査会の中で恐らくこういった問題も話されてはいるだろうと思うし、また、関係者、専門家の間の中では非公式に議論をされている問題ばかりであろうと思いますが、ひとつ率直にきょうはお答えをいただきたいと思います。
 いまの一世帯一料金制から、二台以上のテレビを持つ世帯から割り増し料金をいただいたらどうかという議論が確かにございます。いわゆる複数台数制にしたらどうかという考え方がございます。これについてはどういう議論が交わされておりますか。
#201
○参考人(海林澣一郎君) お答え申し上げます。
 先生の御指摘のとおり、財政の安定と財源確保ということでかなりの議論がされております。その内容を御紹介申し上げます。
 まず、複数台数制でございますが、現行法制のもとでは、先生先ほど立入調査権のことをおっしゃいましたけれども、やはりこのテーマにつきましても、二台持っているか三台持っているかということの把握ということはきわめてむずかしかろうと。現在、先生御案内の委託集金者が現場に参りましても、テレビはございますかと、次にそれがカラーでありますか白黒でありますかというところあたりからかなり厳しい折衝があるわけでございます。
 しかしながら、先生のおっしゃいますように、二台目のテレビというのは、去年の十一月のNHK世論調査所の調査で五〇%を超えました。明らかに複数が多くなっているということでございます。しかしながら、やはり長年一世帯一契約ということでまいっております慣行、これがどういうふうに御理解がいただけるかということ、その辺のところがまず大きな問題だろうというふうに思います。
 しかしながら、先生がおっしゃいますように、本当に今後の財政安定ということで考えた場合に、それでは二台、三台ということでなくて、一台かもしくは複数かということで、二台以上を複数制ということでいただくというようなことはいかがであろうかということがございます。しかしながら、二台という場合に、実情は御承知のいままで白黒を見ていたけれどもカラーにかえましたというお宅が非常に多うございます。その場合に、複数になったからすぐその二台目をいただくということはどうか。
 普通考えられますのは、財政的にかなり豊かなお宅で複数を持っていらっしゃるだろうと思いますけれども、実際に調べますと、モノクロからカラーに移った方、大体月収八万円前後という方たちが二〇%ぐらいいるというようなデータもございますので、この辺も直線的に進むことはどうかということでございます。必ずしもその豊かである、支払い能力とイコールでないというようなこと、その辺の議論で現在これをいかにすべきかということでわれわれとしては検討を進めておるというのが現状でございます。
#202
○木島則夫君 大変厳しい財政状況の中で複数台数制というものが選択のオプションに上っているといういまの御提示は、これは大変参考になりました。しかし、それを行うためには法律の担保措置を必要とするのではないかという条件との兼ね合いで大変困難であるという御議論も私はよくわかります。
 で、私はこういう事例を一つ一つこれから挙げてまいります。だからといって私がこれをやれと言っているようにとられては困るんであって、これから将来展望、中期展望を立てる上においていろんなものをたたき台として議論をする一つの材料として伺っていきたい、材料としたいという意味でありますから、これは誤解のないようにお願いをしたいと思います。
 次に、新しいメディア、たとえば放送衛星とか文字放送を利用するものについて付加料金的なものを課することによって増収を図っていったらどうかということであります。この点についてはどんな議論が進められておりますか。
#203
○参考人(沢村吉克君) 新しいメディアを使いました新しいサービスをする場合に、それに対するそれ相応の料金を課すべきではないかあるいはそういうことを研究しておるかという御指摘でございます。ごもっともでございまして、私どもがこの長い歴史の中でラジオの時代からテレビの時代に移り、テレビも白黒からカラーに移る、技術の進歩とともに放送界も発展をしてまいり、それに見合った料金体系をとってまいったわけでございます。
 今後も、いままでのサービスだけにこだわらないで、新しいサービスはないのかという意味での開発研究は、先生の御指摘のような放送衛星でございますとか、文字放送でございますとか、幾つか検討を進めておるわけでございまして、当面いま放送衛星につきましては、先ほど来御議論がございましたように、難視解消のために使っている限りにおきましては、付加料金というか、そういうことは考えられないわけでございます。ですけれども、これの使い方いかんによってはさらに付加的な価値、付加価値がかなり高いものに使えないであろうかということは検討いたしております。
 その場合には、それが一般の受信者に喜ばれるものであれば、そういう使い方をすることによってそれなりの料金をちょうだいできるんではないかということは当然われわれは考えておりまして、どういう番組が御期待に沿うだろうか、またその沿うとしてもどの程度の料金が妥当と判断されるであろうかというようなことも、まだ非常に不確定な段階ではございますけれども検討を進あております。文字放送につきましても同様な観点から検討をしているわけでございます。
 いずれにしましても、まだどういうふうなサービスができるのか、どういうサービスが一番国民に期待されるのか、喜ばれるのかということが具体的に把握しにくい非常に複雑な、予測困難な状況がございますのと、それから番組を制作いたしますコストにつきましても、その内容との関連におきまして非常に変動いたします。
 受信設備の方もある程度のハードの価格の見当はついてまいります。これもサービスの内容と受信設備の負担額と受信設備のコストというものとの関連で普及度というもののめどを立てなければならない。
 そういういろいろなファクターがございまして、私どもとしましては個々具体的な問題として検討は進めて、今後とも少しでも次の時代に向かっての収入増に結びつくような体制をとってまいりたいというふうには考えておりますが、これ、下手をいたしますと、非常に個々の新しいサービス――いままでのカラーでありますとか、テレビができたときのように大幅な新しいサービスということではございませんので、先生のおっしゃるような、付加料金とおっしゃる程度のプラスアルファのメリットに相当するものでございます。
 そうしますと、これを個々に一つ一つ付加料金だと言うと、料金制度はえらく複雑になりまして、とても実行は不可能になろう、そういう意味で、こういうものを本当に原価に相当するものはちょうだいしなければ新しいサービスができないのは当然でございますが、それをどういうふうにマクロ的に把握をして、実行可能な料金体系にしていくかというようなことまで含めて今後検討を進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
#204
○木島則夫君 先ほど来私は申し上げますように、NHKは効率経営を中心にやっていかなければならない、これはもう論をまたないわけでございますし、国民の負担は小さければ小さいほどいいということも当然でございます。と同時に、これからはサービスというものが非常に多様化する、そして科学技術の進歩というものが極度に広がっていく、深まっていく、それが現実の生活の中で実現をされていく時代もそう遠い将来ではないという立場に立ちますと、やはり利益を受けた者が負担をする受益者負担の方向でこれは志向されなければならないだろう、こんなふうにも考えているわけで、複数台数制あるいはいまお話がございましたような新しいサービスヘの付加料金的な考え方というものは、検討をされるべき一つの分野にあるという事実ははっきりと受けとめたわけでございます。
 次に、やや間口を広げて議論を展開してみたいと思います。長期にわたる財政安定につながる方策について考えてみたいと思います。
 料金制度を参考にする場合に、よく引き合いに出されますのがイギリスのBBC放送の形態でございます。NHKではっとにBBCを、ある意味で、番組の面でしょうね、お手本としてきたということもございます関係で、このBBCについての研究も十分に行われていると思いますが、イギリスの場合、テレビの受信機の設置に許可制をとっている点が注目をされております。この辺をどう考えるか、時間の関係で長い御説明は結構でございます。これはNHKと郵政省、双方から伺います。
#205
○参考人(坂本朝一君) BBCのあり方は、いわゆる交付金という形になるわけでございますので、これはイギリスの伝統の中で一つの定着を見ておりますけれども、私どもの立場から言わさせていただきますれば、やはりこれは相当、現在の協会の受信料制度と比較して問題なしとしないんではないだろうかというふうに認識しております。
#206
○政府委員(平野正雄君) 御案内のように、わが国におきましては、放送の受信を自由とするという法制が電波・放送法施行以来三十年間にわたってすでに定着しておるわけでございまして、今日の時点でこれを改変いたしまして受信許可制を採用することは、にわかには国民の理解が得られないであろうというふうに存じております。
#207
○木島則夫君 いま両者からのお答えでこれは十分でございます。で、私もこの点については知らないわけではございません。BBCの場合には、イギリスの郵政公社が受信機設置につながる許可料を取りまして、これを坂本会長がおっしゃっるように交付金という形で与えて運営をしている、こういうふうな問題を提示をいたしますと、すぐさま政府の権力が、という問題に短絡をしそうでございますけれど、イギリスの場合にはやはり成熟をした政治環境、政治制度、それからマスコミの伝統というものが大きく物を言ってBBCは世界に冠たる言論の自由、表現、自主性というものを保っている、これはやっぱりうらやましい限りだと私は思います。しかし、日本とすぐさま同一視してこれを論ずることはできないという御両者のお話は至極ごもっともだろうと思います。
 日本私学振興財団法という法律がございます。これはもう皆様方よく御承知であろうと思います。私立学校の教育の充実、向上を目指す事業団に関するものでございまして、政府の出資金をプールとして、いわゆる基金として運用をする方式をとっております。この基金方式、つまり国が合理的な財源を確保し、それを一たん基金に入れてフィルターにかける、きちっとろ過した上で放送事業者に与える方式というようなものが御議論をされておりましょうか。
 これを採用する場合には、政府の介入を排除をするために、その対象がたとえばNHKといたしますならば、NHKのパブリックコントロールを一段と強化をする措置として、NHKの独立性を制度的に保障する必要があるのは当然の話でございます。最も効果的な方法は、経営委員会を公選制にしてNHKを独立した機関にすることが必要であろうと思います。
 で、この構想は必ずしも私の意見を反映したものではありませんけれど、将来展望の中で研究してみてはどうかという意味で私が御提示を申し上げたわけでございますので、これも郵政省、NHK、双方から、いま私のたたき台と申しますか、紹介に対する率直な見解を聞かしていただきたいと思います。
#208
○参考人(坂本朝一君) 木島先生から大変ユニークな御提言をいただきまして大変恐縮する次第でございますけれども、ただ私どもといたしましては、そのNHKの財源して基金方式をとる一方、経営委員会を公選制をとってNHKの独立性を高あるというお考えに対しまして、現在のNHKの責任者としてお答えいたしますと、まずその基金方式の点につきましては、そのNHKの放送番組の編集の自由、ひいては経営の自主、自立の堅持を前提として検討すべきではないかと、また、視聴者とNHKを直接結びつけている現在の受信料制階との関連も含めてやはり検討する必要があるというふうに考えておるわけでございます。
 日本私学振興財団が、国の補助金の交付を受けまして、私立大学への補助金の交付をすることを目的とするものというふうに聞いておるわけでございますけれども、わが国の現在までのいろいろな制度の実情から見て、この方式を公共放送事業に適用して経営の自主、自立性が堅持できるかどうかということにつきましては、やはり慎重に検討すべき問題があるんではなかろうかと私としては考える次第でございます。
 また、以上の問題との関連を含めまして経営委員会について、その委員の公選制ということ、これは国民の意思を直接反映するための一つの方法ではございますけれども、この方法によると、選挙の手続に要する費用とか事務量とか、そういうものの膨大になることや、政治的な主義、主張が持ち込まれるということにならないか等、やはりこの点につきましても種々検討すべき点があるというふうに、いまの木島先生の御提言に対しましては現時点においてはお答えさせていただきたいと思う次第でございます。
#209
○政府委員(平野正雄君) 先生御提案の趣旨は、国が一定の財源を補助金として、第三者機関を設けて、それを通じて間接的に交付してはどうかという御趣旨であろうと存ずるわけでございますが、このような方式になりますと、第三者機関のあるなしにかかわりませず、交付した資金の運用についての多かれ少なかれ政府による監督が問題になろうと思います。したがいまして、言論、報道機関として高度の経営の自主性を必要とするNHKの基本的性格に影響を及ぼすおそれがございますので、きわめて慎重に検討する必要があろうと存じております。
#210
○木島則夫君 電波監理局長のお話を聞いておりますと、いろんな方法はあるにしても、現在の受信料制度というものがいままで行われてきたNHKの放送を支え、そして国民のものとしてきた広場的存在を強固ならしめるために、現在まで続いてきたこの受信料制度というものがやはり一番いいんだというふうにお考えになるか。それとも価値の多様化、そして通信技術の多様化の中で、それはそれとして基本にしながら、基幹にしながら、何か私がきょうここで非常に模索も模索もいいところですね、いま御提示を申し上げたようなことをプラスアルファしながら、それでは何かの補完をしていく、補足をしていくというような御議論はあったんでしょうか、これは坂本会長にも伺います。
#211
○参考人(坂本朝一君) NHKといたしましては、現在までそういう長期ビジョンのもとになるようないろいろな模索、これは当然局内においても勉強もし、検討もしておる次第でございます。
 ただ、しばしば申し上げますように、責任者の一人としての私としては、直接受信者の御負担によって運営されるという受信料制度を守りつつ、なおかつ、たとえば御提言のような新しい技術革新による付加価値の問題とか、その他いろいろなことを踏まえて財政の安定を図るという方策が求められないだろうかということが、現時点における責任者の一人である私の考え方でございまして、ただ、たまたまいま木島先生から御提言いただいたようなものが、それはもう一顧にも値しないんだというようなそんな不遜な考えはございませんが、御提言をいただいた瞬間にお答えする考え方としては、やはり問題なしとしないんではなかろうかということを申し上げた次第でございます。
#212
○政府委員(平野正雄君) 郵政省といたしましては、放送法で示されておりますNHKの基本的性格はこれは守るべきであろう、ひいては受信料制度の趣旨というものはあくまで生かされるべきであろう。こういう二点を踏まえまして、やはり経営ビジョンの中で鋭意今後のNHKのあり方を検討すべきであろう。
 で、その内容といたしましては、まず公共放送としての持ち味を生かす番組のあり方、あるいは抜本的な経営の合理化方策、受信料体系の改善策、副次的な関連業務収入の拡大策、あるいは受信料の収入体制の強化策、こういったことをやはり抜本的に考えるべきではないか。その上でございませんと、先ほど先生がおっしゃいました日本の政治、経済、文化の未熟という言い方は私はよく理解できないわけでございますけれども、抜本的に現在の放送体制をどうするかというところにはいきにくいのではないかと、そういうふうに存じております。
#213
○木島則夫君 私が提起をした議論、これは必ずしも私の意見を反映をしたものではないというお断りをしてあるとおりでございまして、幾つかのたたき台としてこういうものをお示しをしたことは、困った困ったと言いながら、そこに何らと言っては失礼です、内部ではいろいろ御検討が行われているであろうと思いますけれど、中期ビジョン、将来展望に絡まる具体的な、ではどうしたらいいのかという御議論の展開がないものですから、あえてこういう模索中も模索の、生煮えの問題提起をさしていただいて、それに対するNHK、郵政省のお考えを伺いたかったからであります。
 本来だったらむしろそちらの方から、こういう考えがあるんだけれどこれはどうでしょうかと、本当は御提示をしてくださるのが現在の環境の中では至当であろうと私は思います。そのくらいの積極性、勇気があっていいと思う余り、生煮えも生煮えも、大変中途半端な問題提起であったかもしれないけれど、こういうことをいま申し上げたわけでございます。
 今日の社会で、放送というものが文化、教育、そして人々の人生観に至るまで強烈な影響を与えている事実を考えますときに、放送文化の健全な発展というものは国民的な課題といっても言い過ぎじゃないと思います。特に放送文化の担い手であるNHKが、公正中立の独立した機関としてすぐれた番組を制作、放送をしていけるような財政と制度を確立することは、これは緊急の課題であろうと思います。財政不安定のところに、職員のやる気をなくさせ、政治権力の介入のすき間を与えることにもなりかねませんから、この辺を心配をする余り、私は余りいい手、アイデアではなかったかもしれないけれど、種々の問題の御提起を申し上げたわけでございます。
 たとえば、NHKの国際放送に対する全額国庫負担、交付金が入ると、ニュースあるいは報道の編集権はどこかへすっ飛んでしまうんではないかという短絡があるようであります。私に言わせると、全額取って、金は出しても口は出させないというくらいのしぶとさというんでしょうか、そういうものがNHKの中にあってほしい。
 われわれは、NHKのできるだけ負担を、ぜい肉を落とすべく御議論、御提起を申し上げている中で、たとえば国際放送を全額国庫交付金で賄ったらどうかという御議論に対して、仄聞をするところによりますと、これが余り多くなるとひもつきになっちゃって、どうにもこうにもしようがないという御議論が中にあるようであります。わからないわけじゃない。ないんだけれど、もうひとつ大きな立場、強い立場に立って、金はいただいても口は出させませんよというNHKのしぶとさがなければ、私はこれからうねりの非常に激しいこの激流の中で、NHKはそれこそ右往左往するだけであるという、事例の示し方はあるいは極端かもしれませんけれど、そんな考えを持ったんです。
 そこで私は、政治も一党支配の時代を終えつつあるという客観情勢から、一体これからの放送体制というものをどういうふうにしていったらいいのかという長期ビジョンに絡まる――具体策はお示しいただかないで結構ですよ、これはいま。だからこれは、この次の値上げというものは、先ほど会長のお口からも漏らされたとおり、ちょっとやそっとではこれはできませんね。ちょっとやそっとではできない。国会だってそう簡単にこれは通るものじゃない、私はこう思っています。そういう中で、どうでしょうか、会長、長期ビジョンというものをこの三年間なり二年間なりの間にお考えをいただいて、それをわれわれの議論の対象にさしていただくような具体策を、ある期限を切ってお出しいただけますでしょうかね。このことをまず一つは坂本会長にお尋ねをいたしたい。それから、郵政大臣には、これも当委員会で二日間にわたっていろいろ議論をされた中に、いままでの放送という概念ではとてもとても律し切れないくらいの技術革新、その幅、価値の多様化、むずかしさというものが出てきた。とてもとても昭和二十五、六年代につくった法律で全部をかぶせること、これを律することは無理だという意味で、放送法の全面的改正を中心とした放送政策の根本的な見直しをお約束をしていただけるかどうか、これは大変大事なことだと思いますよ。
 対症療法で、放送大学ができるから一部手直しをするんだ、あっちを継ぎはぎこっちを継ぎはぎ、こんなことで一体どうなんですか。新谷先生もきょうおっしゃっていましたよね。行政が先走り過ぎちゃって、それから後、衛星が打ち上がってから一体基本のルールをどうしたらいいかというんじゃ、とてもとてもこれからのむずかしい時代を、情報化時代を律していくこともコントロールしていくこともできないという意味で、これはひとつ率直なるお答えをいただきたいと思うわけであります。
 NHKの会長には、長期ビジョンをある年限を限った中で御提示いただきたいということ、郵政大臣には、多様化した非常にむずかしいこの情報化時代の中で、いま私が申し上げた放送法の全面的改正を中心とした放送政策の見直しにつながるお約束をしていただけるかどうかということであります。率直なお答えをちょうだいをいたします。
#214
○参考人(坂本朝一君) 私も昭和十四年にNHKに入りまして、当時はラジオだけの時代でございましたけれども、今日に至るまでの間のこのラジオ、テレビの技術革新の激しさ、スピードの速さ、そういうものにむしろ恐れるくらいの気持ちでございまして、そして、それに対する社会的な責任並びに国民の皆様方の要望の多様化、そういうものは本当にただ便々としておったんでは全く皆様方の御期待に沿い得ないということを最近特に痛感しておる次第でございますので、いま木島先生のおっしゃるように、長期ビジョンの作成というのは、責任を持ってある時限を限って作成しなきゃいかぬというふうに決意しておる次第でございますので、いまここで何月何日ということを申し上げるのはいささか軽率のそしりを免れませんので、しばらく時間をおかしいただきたいとは思いますけれども、先生の御指摘の点についてはおこたえしたいというふうに思っております。
#215
○国務大臣(大西正男君) 御指摘の放送法の抜本改正ということにつきましては、その必要性と申しますか、いずれはそういうことをしなきゃならぬと私も思います。ただ、これまでの経過におきましても、昭和二十五年にこの法律ができましてから、四十一年、二年ごろですか、一度そういう改正を試みようとした、こういうことでありますが、日の目を見なかった、こういう経過もあるようでございます。
 最近におきましては、いまも御指摘がございましたように、放送衛星等の問題が起こってきておるわけでございますが、これをめぐる問題といたしましても、午前中でございましたか、お答えを申し上げましたように、率直に申しまして、これをめぐる問題自体が、私は星雲状態だと思います。抜本改正をするとなれば、これはその法体系の中でいろいろの個別の問題を、総体の体系の中でそれを位置づけていくということになろうと思いますが、それをやりますには、なるほど論理的にはそういう体系をきちんとして、個々の問題をその体系の中でどういうふうに位置づけるかということを明確にしなければならぬし、そうするのが本来の正しい姿だと思います。
 しかし、いまの衛星等をめぐる問題につきましても、ただいま申し上げましたような状況でございまして、国際的な、何といいますか規制とか、それからこれをめぐるいろいろの具体的な体験とかいった面におきましても、いま直ちに根本的なものをここで確立するということは、私は郵政大臣になってきわめて期間短いんですけれども、そういう感じがしてなりません。先生方は古くからこの問題にタッチをしておられるわけですから、その御体験なり御知識なりは十分尊重しなければならぬし、尊重したいと思いますが、私ども率直に感じておるところはそういうことでございます。そういうことであるとするならば、これは論理的にそうでなくてはならぬけれども、そういうものがいま成熟をしない時期ではないかというふうに感じます。
 そこで、やはりしかし事実問題としては、そういう基本的な、根本的な背景なり実態なりが解明をされ尽くさない現状においても、そういった技術の進歩というものは日進月歩でございまして、これに対応する行政としてはやはりそれなりの対応をしていかなきゃならないと思います。そういう意味で、午前中にもちょっと申し上げましたけれども、放送法というものを抜本的に改正をして、そうしてそれをまた次の瞬間に変えるようなことではなくて、変えなくてもよろしい基本的なものをつくるということについては、そのことの必要性ということは十分考えられますけれども、技術の進歩とこれに対応していく行政としては、やはり積み木細工をしていくということもこれはやむを得ないところじゃないかと思う、その点がやっぱり実際的ではないか。これは午前中も申し上げましたが、ドイツ人的な考え方とイギリス人的な考え方とがあろうかと思います。
 しかし、体系的なものに基づいて個々の問題をそれと結び合わせて位置づけていくということは、これはもう非常に重要なことだと思います。それをすべきであると思います。しかし、それをするためには確固とした背景なり実態なりをつかまなければならないと思います。ということと同時に、繰り返しになりますけれども、その反面においては、常にその時代の流れに対応していかなきゃいけませんから、おっしゃるように対症的になるかもわかりませんけれども、対症的な方策も場合によってはとらざるを得ない、こう思うわけでありまして、もちろん根本的な改正について十分検討を続けていくということは私どもも考えておるところでございます。
#216
○木島則夫君 ドイツやイギリスももちろん結構です。私はイギリスのBBCの例を出しましたから、とやかく申し上げたくはございませんけれど、ドイツ流とかイギリス流というような考え方ではなく、現に世界が、日本がそういう立場に置かれているという現状から、やはり抜本的な見直しというものが必要だというふうに申し上げたわけでございます。
 NHKの坂本会長にもう一点伺います。
 長期ビジョンをお出しになる、ある時期をというふうにおっしゃいましたけれど、もうこの次の料金改定というのはそうすんなりいかないと私は思うし、それがすんなりいくようなNHKを取り囲む環境、状況ではないという意味で、これはある意味で次の料金改定までの問のできるだけ近い時点においてそういうものをお示しをするぐらいの積極的な御発言を期待をしたいんでありますけれど、いかがでしょうか。
#217
○参考人(坂本朝一君) 私の言い方があるいは手ぬるい、なまぬるいという御批判かもしれませんけれども、私の気持ちの中身は先生のおっしゃるとおりでございます。
#218
○木島則夫君 結構です。
#219
○青島幸男君 ただいまNHKの経営委員の公選制のお話が出ましたので、その辺からお話を続けて伺いたいと思うんですけれども、私はかつて、NHKと一般の視聴者ががっちり信頼関係で結びついていないとNHKの基盤は成り立たないというところから、NHKに深い信頼と関心を常に抱いておられるようにするためには、どうも非常に不明朗な経営委員会のメンバーの選び方あるいはあり方、それがもうちょっと明朗化しなきゃならないんじゃないかということで、NHKに受信料を支払ったその領収書をもって投票券として、NHKの経営委員を公選制にしたらどうだろうかということを、もう七、八年前に提案したことがあるんですが、そのときにはもう法律のたてまえからも、制度のたてまえからも、どうもこの公選制というのはなじまないんではなかろうかという御答弁を郵政省から受けているわけです。
 その後、年月の経過とともに、経営委員会がもう少し開かれたものに、国民の方々が親しく感じられるようなものにしていかないと、不払いにもつながっていくんだという認識が非常に広まってまいりまして、幾つかのマスコミの中にも経営委員会の不明瞭化がこの際不払いの一つの原因になっているということさえ挙げられておるようでございまして、そのなじまないとか適さないとかいう考えでなしに、これはもう郵政省にお尋ねするよりしようがないんですけれども、何か公選制でなければ、もう少し一般の視聴者の方々が、実際にわれわれがNHKの経営に参与しているんだ、関与しているんだという実感を得られるような方策がないもんでしょうか。その辺御検討になったかどうか、お伺いしたいと思います。
#220
○政府委員(平野正雄君) NHKの経営委員の選出方法といたしまして、現行制度は内閣総理大臣の任命に先立ち、国民を代表する両議院の同意を得ることによって国民の総意が反映できるようになっておるわけでございますが、先生がかねて申されました公選制とする場合につきましてもいろいろ検討をしてみたわけでございますけれども、公正な投票を確保するための手段あるいはこれに要する費用、その他解決しなければならない非常に困難な問題が多いわけでございまして、いまだに成案を得るということができない状況になっておるわけでございます。
   〔委員長退席、理事大木正吾君着席〕
#221
○青島幸男君 従来の経過ですと、時に触れ不偏不党、簡潔な精神と学識を持った方を常日ごろ気をつけて見ておいて、その方に御出馬願うように要請をする、そうして衆参両院で認めていただく。しかし、学識経験が豊かで、不偏不党で、人格高潔な方ばかりおいでになるとは限らないわけですね。そういう神様みたいな方がおいでになれば一切お任せした方がいいわけでして、しかもそのわれわれのNHKが漠としたことで、国民の一人としてはそういう手続を踏まれているのは確かだろうけれども、実際にわれわれがNHKに関与しているとか、われわれのNHKなんだという実際の認識は持ってないわけですよ。少なくともそういう候補の方が選ばれましたということを何らかの形で公示するなり、もう少し国民、受信者の方々に親しまれるような状況で事前にチェックを受けるとか、了解を求めるというような手段は考えられないものでしょうか。
#222
○政府委員(平野正雄君) NHKの経営委員を受信者が何らかの形で選ぶという道を通ろうといたしますと、それが直接選挙でございましても間接選挙でございましても、先ほど申し上げましたように、その公正を確保するための体制整備と申しますか、あるいはそれに要する経費の問題がすぐに問題になるわけでございまして、にわかには成案が得られないということでございます。
#223
○青島幸男君 どれだけお金がかかっても、NHKの将来展望からすると、この不明朗さのために受信者からの信頼を失うということになりますとそれはものすごく高いものにつくわけです。それで、少しぐらい金がかかっても、手続が繁雑でも、本当に視聴者の方の信頼を置かれるような経営委員会が確立することの方が、私は長期の、長い目で見ればずっと有利なことに違いないというふうに確信するんで、この辺のことで不毛な議論を続けているつもりはないんですが、私も検討を続けたいと思いますけれども、省もひとつどういう手だてで、本当に国民の方々の納得のいかれるような経営委員会の確立に寄与できるだろうかという方途をお考えいただきたいと思うんです。前回もお約束しているんですし、きょう改めてお願いしますので検討をお約束していただきたいと思いますが、いかがですか。
#224
○政府委員(平野正雄君) 今後とも検討してまいりたいと存じます。
#225
○青島幸男君 それから、これも私、長年腹に据えかねたことがあったんですが、具体的な数字でお尋ねをいたしますけれども、郵政省はかつてUHFに全面転換をしたいということを閣議で決めまして、このことをNHK並びに民放に通達をするというようなかっこうで検討を迫ったわけです。NHKはこれを受けまして実験局をつくるというようなことがあって、Uによる大出力の発信機などというものに対する研究が進められたと聞いておりますが、そのために使われた費用というのはどうなっていたんですか。その辺からお尋ねしたいと思います。
   〔理事大木正吾君退席、委員長着席〕
#226
○参考人(沢村吉克君) お尋ねのUの実験局の建設経費でございますが、昭和四十四年、四十五年、二カ年間にわたりまして東京と大阪にUHFの実験局の開設のための施設をつくりました。その二カ年間にわたりまして支出をいたしました建設経費としますと、東京、大阪合わせまして放送所分、演奏所分、全部のトータルが九億三千万円でございます。そのうちの約半分、四億六千四百万円が放送所――電波を出す施設でございます。四億六千六百万円がスタジオサイドの設備でございます。使いました経費はそんなところでございます。
#227
○青島幸男君 経営状態の厳しい折ですけれども、この九億、郵政省はNHKに対してむだな出費を強いたということになるわけですけれども、この補償は郵政省はどういうふうにおつけになったわけですか。
#228
○政府委員(平野正雄君) 昭和四十三年に明らかにいたしましたテレビジョン放送用周波数に係るいわゆるV−U移行問題でございますけれども、これは近年における電波技術の目覚ましい進歩発展によりましてUの電波の重要無線通信等への利用可能分野が開けまして、今後は重要無線通信等についてUの利用でおおむね支障なしということで、すでに昭和五十三年二月にこのV−U移行を行わないことにしたことは先生御承知のとおりでございます。
 この間、NHKには移行に伴う諸問題について検討を煩わしたわけでございますけれども、V―U移行の方針によりまして、NHK等放送事業者に直接財政負担をもたらしたことはないというふうにあの当時も申し上げたわけでございまして、ただいまNHKの方から申されましたNHKの東京及び大阪における実験局及び放送試験局につきましては、十億近くの経費が投入されておるわけでございますけれども、これらの局の設置目的は、Uのテレビ放送の普及のための調査研究といったことのほか、大都市及びその周辺部における受信障害対策あるいは放送大学の実験番組の放送等に関する調査研究といったものでございまして、この件につきましては有益な研究結果が得られておるわけでございます。
 しかしながら、あの当時にもお話がございましたように、一度立てた政策が転換されたということにつきましては、郵政省としてはまことに遺憾でございますということを申し上げたつもりでございます。
#229
○青島幸男君 ほかに有益な結果をもたらしたんだから、十億ぐらいの金のことはけちけち言うなというようなお話に受け取りましたけれども、しかし、そのお話のありようは、私やっぱりちょっと腹に据えかねますよ。
 大臣、この辺の経過のことは御存じないかもしれないので、簡単に御説明申し上げますが、全面的にVを廃止してUに変えちまおうという無暴な策をお立てになったわけですよ、四十三年に、小林郵政大臣のときに。このことははなはだ無理ではなかろうかという世論の反発もあったわけです。私どももさんざん試算をしたり、検討をしたりしたんですが、民放にも設備その他の面で多大な負担をかけますし、それから視聴者の方々にも当時アダプターをつけたり、Uを聞くために、見るためにはかなりの出費を強要しなければならないという事実もあったわけです。ましてやNHKにおいては万民に見せなきゃならないという使命もありますから、NHKが当時保有しておりましたカバレージをそのままにしてUに転換するということになりますと莫大な費用がかかるということは明白だったわけです。
 ですから、これは当然無理なんではなかろうかということを申し上げて、再三これを撤回なさることを進言したわけです。ところが、いっかな聞こうとなさらないわけです。それで、何だかんだ言っているうち五年ぐらいたってしまったわけです。最初四十三年に、郵政省がそういう方針を打ち出されたときに、十年を目途としてということだったわけです。ところが、五年経過して全くその間何にもこれはできなかったわけです。
 それで五年経過して改めてその折に、あれから五年たってあと五年しかないけれどもどうなんだということをお尋ねしたんですね。当時また石油ショックなどで世界的にも経済情勢に多少状態が変わったこともありましたけれども、その五年たったときにもお尋ねした際に、全く前と方針は変わっておらぬ、あと五年で完遂するんだということをおっしゃられているわけです。
 それから便々と時がたちまして、そのたびに私、機会あるごとに省に問いただしますと、やるんだやるんだとおっしゃっているわけですよ。これは悪強情としか言いようがない、メンツはお捨てなさいということを再三申し上げたんですけれども、その件と経過に関しては平野さん十分御存じのはずだと思うのですけれども、やっと八年目になりまして、これはとても無理だろうということで、やっとこさっとこ渋々看板をおろされたという経緯があるのです。
 こういう経緯を考えてみますと、これから放送大学をおつくりになるというふうな大臣はわりに安易に、新しく一局、三本立てになったとしても、現在ある既存の放送事業者に与える影響は徴々たるものだというふうなお考えで推し進められますと、このでんでまたとんでもない結果を招きやしないかと思って私大変不安なんですけれども、UHF移行のこの問題を踏まえまして、どういうふうに現大臣はお考えになりますか、御見解を承りたいと思いますが。
#230
○国務大臣(大西正男君) 大学法案のことですか。
#231
○青島幸男君 大学法案の行き先も含めまして。
#232
○国務大臣(大西正男君) 私もそのV−U移行の問題については、もちろん当時それに関与しておりませんから実際上はよくわかりませんが、経過としては部内において聞いておるところでございます。何と申しましても、今日の科学技術の最先端をおしなべていっているような問題でございますから、行政がそういう考えでその時点で移行を考えた後におきまして、いろいろ科学の進歩によって、移行しなくてもいけるんだというふうな事態も生じ得るのではないかと思います。この移行問題については、そういったことから最初考えた時点ではそうであったけれども、その後において移行する必要がなくなったということで移行をやめたというふうに私聞いておるんでございます。
 それに絡んで、いまの大学法案について、それならまた将来方向転換をするときがあるんじゃないかというふうなお尋ねのように伺いますけれども、移行問題は移行問題といたしまして、この問題については放送という手段を大学教育の教育手段としてきわめて限られた限度において使うということでありますとともに、その背景においては、一般にある大学とは違って、そういう一般大学に行けない人たちやら、あるいはまた大学は済んでおるけれども生涯教育といいますか、そういう点で学問に対する意欲に燃えておる方々もあるわけでありまして、しかし、もう年齢上からいっても再び大学へ行って新しい学問を聞くというようなことはできがたいといったような人たちの中、あるいは若い人でも一般大学へは行けないという環境にある方々、しかし、向学心には燃えておられるという人たちのニーズに応じていくということは、これは国家として大いにそのニーズに対して対応していかなきゃならぬ問題ではないかと思います。
 そういう意味におきまして、放送手段といった、在宅をしながら学問を学んで、そうしてある一定のところあるいは時期において、センターにおいて直接教官によって教育も受けて、そして大学を済んだという資格を得るということは、教育の機会均等といった面から考えましても、これ非常に必要ではないかと私は思うんです。それとの絡みにおいて、放送が手段として使われるわけでございまして、ですから、放送手段を大学教育の限られた手段に使うという意味で非常にしぼっておりますので、なるほど他の議員さんからも御質問がございましたように、現在の放送法がNHKとそれから民間放送と二つのたてまえになっておるわけでございますけれども、そして、この大学放送ができることによって、もう一つの特殊法人といいますか、それが大学教育の手段として放送をする、こういうことでありますから、その限られた意味では三本立てということでありまして、いままでの二本立てとは違うということは率直に申しましてそのとおりだと思います。
 ですけれども、それが私は放送法における本質的な問題ではないのではないか。いわゆる放送秩序に対して、これに対する影響というものはきわめて少ない、ほとんどない、こういうことでございますから、放送法自体の基本的な性格の変更とかいったものにはならないのじゃないかと思います。そういう観点に立ちまして、今回の放送大学学園法案には私どもも別にこれに対して郵政省の側からして反対すべきものではないと、こう考えておるわけでございます。
#233
○青島幸男君 私、きょうは大学法案には触れまいと思っていたんですが、お話があるので――その前にちょっとお断りしておきますけれども、四十三年当時にUに移行しようとしたときのお話ですけれども、その後目覚ましい科学的な変化、革新的なアイデアが出た、あるいは技術革新があったのでその必要がなくなったという御認識のようですが、それは違うんです。その四十二年のころからU、V両方あったわけですね。ですから、その後新たな技術革新のためにU、Vを全面的に変換しなきゃならなくなったという事実はなくなったので看板を下げたんだというんではないんです。その辺をもう少しお調べいただいて、認識を改めていただきたいと思いますけれども。
 もう一つ、触れるつもりはなかったんですが、いま大臣のお話ですと、大変に有意義なしかも教育の機会均等ということの高邁な理想でこれから放送大学学園をお始めになられようとすることについて異論がございますので、せんだっても機会がありましたときに、いま時間がないからこの次には十分にやるはずだという予告を申し上げておきましたので、また大臣の御発言で私も発言せざるを得ないんですけれども、大学教育のあり方というのを大臣はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
#234
○国務大臣(大西正男君) 大学教育というのは私の方で主管ではないわけでありまして、文部省の所管するところでございますが、私の理解をいたしておる範囲で申し上げますと、大学というものは、基本的には学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的あるいは道徳的及び応用的な能力を展開させることを目的と、これは学校教育法に書いてありますが、そういうことでありまして、この大学教育の過程において、学生同士あるいは教授などとの接触等を通じて人格の陶冶が行われることが好ましいわけでございます。私ども戦前に大学で学びましたときは、人格の陶冶というものは入ってましたよ。だけれども、いまはそんなものは削られておりますね。
 ですから、大学教育といってもいろいろ時代の進展に応じて変わっていくと思いますけれども、いま申しましたように学校教育法ですかに書いてある大学の使命といいますか、そういうものはいまこういうふうに規定をされておる、こういうことだと思います。そうではありますけれども、大学教育のあり方も次第に変容をしていくということもあり得ることだと、このように考えております。
#235
○青島幸男君 大学で一番大事にしていることはやっぱり学問の自由だと思うんですけれども、そのことと放送法にうたっておりますところの不偏不党とは、もともと相入れないものだと私、考えるわけですよ。というのは、大学教育というのは、いままでの一般教養というような問題とは違いまして、独断と偏見にぶつかる、あるいはそういうものとのかかわり合いの中で、協調とか妥協とかあるいは反論とかということで身につけていくべき高度な学問的な情熱だと思うんですね。それを放送でやろうとするのはどだい無理だと思うんですよ。
 ということは、放送で不偏不党と言っておりますことを、たとえば独断と偏見があるからこそそれに触発されて起こる、知的な欲求というのは出るわけだと思うんですけど、それをやっちゃいけないわけですね、放送大学では。不偏不党にもとるんですよ、それは。そういうことでは、そのいままでの自然科学のような問題の基礎的な部分で高校程度でしたら、ただ一方的に知識を流すというあり方だったらテレビで十分だと思うんです。
 大臣お話しになりましたように、学校に行くことのできない、向学心をお持ちになっている方々がたくさんおいでになることも事実です。黙ってうちで放送を聞いてて、きちっと勉強をしさえすれば大学卒業資格もUもらえるんだという放送ができたらこれは理想的だとだれもが考えそうですが、そこで行われる放送は、実に何枚ものフィルターを通したような、無色透明みたいなものしかできないわけですね。それは大学の学問には値しないだろうと考えるわけですよ。
 この大学の人事権、任免権も文部省が持っているわけでしょう。そうすると、御用学者に卓説なしと申しますか、時の権力におもねた方々だけの特別な放送が教育という場でなされるというふうな状況がもし現出したら、これは大変重大なことになるわけですね。これに対する歯どめはないわけですよ。こういうものをお始めになられるということは大変に危険だと思いますね。子供のうちはかわいいけれども、やがて大きく怪獣に育つということもあり得るわけでしてね、手に負えないような。その辺に対する御配慮がちょっと足らないんじゃないかという気がしますが、いかがなものでしょう。
#236
○国務大臣(大西正男君) 御指摘のように、大学は学問の自由を保障されておるところでありますし、されなければ大学の意義がないということも承知をいたしております。しかし、これと放送法の絡みにおきましては、文部省におきましても十分両者の調和ということについては遺憾なきを期していく、こういうわけでございますから、その点も考慮の外に置いてこの問題をわれわれが提案しているわけではございません。
#237
○青島幸男君 そういう危険性を持っているということに思いをいたしていただきたいということを私申し上げているわけでしてね。じゃあもっと実際的な問題としてお尋ねしますけれども、一般の向学心に燃えた方がもしこの大学で受講しようと思うと、時間表みたいなものができるわけですね、当然。そうすると、その時間表にのっとって聞くわけですね。
 伺うところによりますと、午前中放送して、なおかつ足りない部分は昼、夜も再放送が行われるかもしれない。その時間帯に合った人がそれを受講しなさい、こういうお話のようですけれども、受講する側はそのタイムテーブルにのっとって、自分のあいている時間をきちっと定めて、その時間にきちっと聞かなきゃならないわけですね。これは大変過酷なことを強いるような結果になりゃしませんか。しかも、この受講した方々に、ほかの大学と遜色のないような内容のものを教授しなきゃならないわけですから、そうしますとかなり過酷なことを強いるような結果になります。
 初め発足の当時はようございますけれども、四年制に当然なる、あるいは五年になるかもしれませんね。そうすると、その一年から四年までのタイムテーブルが非常に錯綜したものになりますね。そうすると、自分でつくったタイムテーブルにのっとって、急いで飛んで帰るか、夜中に起きるかして見なきゃならないわけですね。しかも、スクーリングに出かけていって直接教授に会ったりしなきゃならないわけですね。
 しかも、郵政省あるいは文部省で御認可になられる大学ですから、他の大学と比べて遜色のあるものであってはならないわけですから、そうすると、ただうちでのんべんだらりと聞いているだけで卒業証書ももらえるという話とはまるで違って、実に過酷なことを受講者に強いるような結果になりゃしませんか。果たしてそれでも受講したい、大学卒業資格が欲しいという方おいでになると思われますか。
#238
○国務大臣(大西正男君) 私は郵政省の電波関係、放送関係のことですから、そこまで立ち入って私が答弁を申し上げるのが適切であるかどうかはきわめて疑問がございますが、しかし、現在の私見だけを申し上げますけれども、現在の大学教育におきましては、特定の場所へ出かけて、そしてそのキャンパス内で限られた時間にそれぞれの教授の講義を聞く、これはもう避けられないことだと思います。まあサボる人があればそれは別ですが。
 しかし、それに比べまして、この放送による大学教育というものは、経費の面においても、それからいま申しましたような特定の限られた場所にあるキャンパスでそういうことをやるということと比べますと雲泥の相違があるのではないかと思います。ですから、やはり教育を受けたいという人はそれだけの向学心に燃えておるのでございますから、広げられた機会を利用しようと。寝転んでおって漫然と聞こうというのでは、これは放送大学の大学生といえどもそれに値する大学生とは言えないのじゃないか、こういうことではないかと思います。
#239
○青島幸男君 それには、わが国には通信教育制度というのがあるわけですね。ですから、放送が補完的に行われるというのは私も認めるわけですけれども、それでもって大学卒業資格を与えることの内容を放送で行うということはもともと無理なんじゃないかということを申し上げたいわけです。基礎的な自然科学の分野ですとか、語学の問題だとかというとこれは問題が起きないかもしれませんが、少なくとも国体の問題だの防衛の問題だのについて論じられるようになりますと、これだけで戦争中のことを考えても身の毛もよだつような思いをするわけですよ、私どもは。その点について、全く何の保証もないという気がするんですが、これはまあ郵政大臣にいまお伺いするのはちょっと無理かもしれませんね。
 しかし、こういう内容を含んでおる大学学園法案を、あちらの方では、文教委員会では、附則でちょこっと放送法を変えてもらえばそれでいいんだみたいなところで持ってくるわけでしょう。そういう大きな危険をはらんだものを、郵政大臣の所管の電波行政の中でそういう論議もなしに許可されてしまうみたいなことがあると、重大な欠陥を見過ごしてしまうことになりはしませんか。大西さんのときだよ、あの法案ができたのは、というようなことで、汚名を後世に残しはしないかと思って私は大変危惧しているものですけれども。
 ですから、これ以上この問題について御議論申し上げようと思いませんけれども、本当に子犬のころ、かわいいかわいいでもらってきて育てると、こんな大きく育つちゃって、飯は食うわ、小屋にはおさまらないわ、人はかみつくわということでえらいことになるということもありますので、いま簡単に、これはほかの、現存の放送事業者に与える影響は微細であろうと私考えますなんというような程度で通過させてしまうと、後でこれが怪獣に育ったときに重大な問題を招くということもありますので御配慮いただきたいということを重ねて申し上げたいと思うんですけれども。
#240
○国務大臣(大西正男君) いま御心配の、防衛問題とかその他について何か偏った放送がなされ得る場合があるのではないというふうな御懸念ではないかと思いますが、もしそうだといたしますと、これは放送法の規定によって、私どもの方においてそれを免許するについては十分チェック機能を持っておりますから、それは十分チェックをしたいと思います。
 それから、この附則でやったということについていろいろ御議論がございますことも私は承知をいたしております。しかし、これはいまの大学教育の手段として放送を使うという意味において、限られた範囲においての放送法の改正になるわけですが、そのことはやはりそれを行おうとする主たる学園の目的とか、あるいは規律とか、そういったものを規定する同じ法律でそれに関連する部分について規定をするということは、私どもは、いろいろの法律を見てみましても、それはおかしなことでは一つもないと思うんです。その附則で改正をいたしますが、そのことはすなわち放送法の改正に組み込まれるわけでございまして、これは一つの立法上の技術と言ってもいいのではないかと思います。
 そういうことでございますから、ただ附則でやられることについて、放送法は重視してないのかということのお考えであるならば、それはそうではございません。放送法というものがまことに重要な法律であるということは十分心得ておりますが、それを改正する手段はどういうふうにやるかということは、これはいろいろの背景、事情によってそのやり方は変わるということはあり得ると思います。ですから、この際これを附則でつくることにつきましても、それなりの必要性からこうなっておるのでございまして、そのことについて私どもは別に異論はないわけでございます。
#241
○青島幸男君 確かにそのとおりで、手だてはどうあれ、放送法の根幹にかかわる問題になってくるわけですから御留意をいただきたいということを申し上げておるわけでして。
 それから、いまいみじくも大臣言われましたが、そういう偏った考え方が放送として流れるようなことは放送法のたてまえからないということをいみじくもおっしゃられましたけれども、ないからこそ大学教育に値するような学問はできないということを私申し上げているわけです。独断と偏見というものが出るからこそ学問に対する情熱がわくんであろうから、そんなにフィルターを通り越したようなものが出てくるのは大学教育に値しないんじゃないかということを申し上げておるわけですよ。
#242
○国務大臣(大西正男君) そのことは、先ほど来申し上げておりますように、本来文部省の所管、主管に属することでございますから、私がとやかく申し上げる筋合いのものではないと思いますが、ただ、その点の調和については、文部省としては十分考えると、こういうことでございますから、私なりにそう理解をしておるわけでございます。
#243
○青島幸男君 これ以上は文教委員会と連合審査をするなり何かしないと、大西郵政大臣と幾ら議論を闘わしても、その辺の問題は文部省とやってくれと、こういうお話になってしまいますんでやめますけれども、少なくともその辺の議論が十分煮詰まった上でなければどなたもお認めにならないんではなかろうか、どなたも疑念をお持ちのうちに事が進んでしまうというようなことがありますと禍根をお残しになることになるんで、文部省とも十分詰めて御検討いただきたい、こういうふうに考えるわけです。よろしくどうぞ深く検討なすって誤りなきを期していただきたいということを要望申し上げまして、この議論はここで打ちやめにいたしますけれども。
 さて、本題のNHKに戻りますけれども、NHKが合理化をしなきゃならないというのはよくわかるんですけれども、そのために制作部門を外部に下請に出すというようなこともあるんではなかろうかという懸念が一部ありますが、その点についてはいかがでございましょうか。
#244
○参考人(武富明君) お答えを申し上げます。
 いま協会はぜひとも効率化というのをやっていかなきゃいかぬ状況にあることは先生のおっしゃったとおりでございますけれども、そういう面から申しまして、番組制作業務につきましてもいまのままでいいかどうかということについて、もう一遍、なお一層効率的な業務の運び方はないかと、こういう検討はいたしております。しかし、いま先生がおっしゃいましたように、いわゆる民間放送が行っておりますような制作分離というようなことをやる考えは全くございません。われわれといたしましては、放送法上豊かでかつよい放送番組をつくっていくという任務を負っているわけでございますから、そのためにはやはりすぐれた人材を継続的に育成をいたしまして、確保して、そして自主的に番組をつくっていく、こういう考え方がぜひとも必要なんじゃないかと、こういう考え方に立っております。
#245
○青島幸男君 事務処理とかその他の問題で経費節減は十分結構でございますけれども、番組の制作費なんかについてあんまりけちけちしたことをなさるということは、むしろNHKの基本が危ぶまれるというようなことになりゃしないかという大変懸念をしているわけです。と申しますのは、家を建てたり、かん詰めをつくったりするのと違いましてね、番組をつくるのは。材木が幾らで、かわらが幾らで、手間が幾らだから幾らの物ができたという筋合いのものじゃないはずですね。それで五百万の番組だから、一千万の番組だからといって、途端に見てる側の人にとってはっきり明確にわかるもんじゃないんですね。
 しかし、そういうことで金額を値切ってまいりますと、それは過酷な条件の中でつくるから、新たな意欲も新たな工夫も出るというケースもございますが、それも程度問題でして、もう制作の意欲を失うほど切り詰めてまいりますと、絶対に芸術的あるいは人に感動を与えるような番組はできないと思いますし、それが結果、NHKの基盤を危うくさせると思うんですね。ですから、あんまりけちなことをなさらない方がいいという認識を私持っていますし、それで、民放も含めてですけれども、どの番組の制作の担当者も十分な満足をして番組を流しているとは思えませんね。
 そこにはやっぱり予算と時間とに縛られて泣く泣く妥協して流している。だれもが黒沢明なわけじゃないわけですから。それでなくとも、この程度で仕方がないという不満を残しながら、それでも目いっぱい一生懸命つくっておられて、NHKの番組は私は大変評価しておりますし、大変好もしく思っている番組も非常に多うございますので、大変頼もしく思ってはいるんですが、だからこそあんまりけちけちして制作費の面で詰めていくようなことをなさって本末転倒なようなことにならないようにお願いしたいと、会長にもこれお願いしたいと思うんですけれども。
 それからもう一つ、制作費の問題などで時折ジャーナリズムの中でずさんな資料に基づいてNHKとの比較なんかをなさっているところがあるんですよ。たとえば総資産に占める固定資産の割合だとか、あるいは収入に占める減価償却費の割合とか、収入に占める人件費の割合などを単純に比較いたしまして、いかにもNHKが冗漫なことをしておるというようなかっこうで発表なさっておる雑誌も新聞もあるわけですね。
 私ね、一々勝手にそういうことをなさっているところへ出かけていって、おまえのところの資料は間違っているだの、ずさんだのというのも大変な話だと思うんですね、一々文句言いに行くのも。しかし、このまま受け取られてしまうようなことになりますと、いたずらな誤解を助長させまして、不払い運動の方々に利を与えてしまうようなことにもなりかねないので、機会あるごとにNHKはそういうずさんな、あるいは的確でない対比のあり方で被害をこうむっているようなことがあれば、何らかの折に明確にした方がいいんじゃないかという気がします。
 資料でここにいただいたのもあるんですが、一々読み上げている時間ありませんけれども、かなりずさんな資料に基づいていいかげんな対比をしているものもあります。ですから、そういうものには何かの折に明確にそのことに対する反論を胸を張ってなさるという機会があってもいいんじゃないかと思いますが、その辺はどうお考えでしょうか。
#246
○参考人(反町正喜君) その点は、先生御指摘のとおりでございまして、最近新聞、週刊誌、あるいは民放さんも一部そのような放送もなさいますこともございますんですけれども、できるだけ民放さんの場合には反論の場を提供していただくようにしておりますし、週刊誌その他については、その都度いろいろケース・バイ・ケースでございますけれども、できるだけ私どもといたしましては、申し入れあるいは抗議ということを積み重ねている次第でございます。
#247
○青島幸男君 出かけていって反論なさることは必要だと思います。
 それからこのごろ非常に皆様のNHKということを番組を通じてなさっておられるのを拝見します。幾つかの例を挙げるまでもないんですが、いろいろな苦情が来ている、この苦情の処理のあり方であるとか、NHKが皆さん方の要望にどういうふうにこたえているかというようなことをPRなさっているのは大変結構だと思うんですけれども、値上げの時期になって急にふえたというのはかえって反感買うんですね。
 その辺のところをどういうふうにお考えになっているかお伺いしたいのと、理解を求めるための放送は恒常的に行っていただいて結構なんじゃないかと思うんですよ。値上げの前だもんだからあんなことばっかりやっているというようなことになりますと、かえって反感買いやしないかという懸念がありますが、その点も十分の御配慮もあるんだと思いますけれども、正しく理解してもらうための手だてとして十分お考えのはずですけれども、その辺御見解をお聞かせいただきたいと思います。
#248
○参考人(反町正喜君) NHKのことを理解していただくために、いろいろ新聞広告あるいは週刊誌の広告でありますとか、あるいはその他視聴者会議でありますとか、懇談会でありますとか、いろんな方法でやっておりますが、特に最近はいろいろ放送を通じて直接PRしろということをこの数年間徐々にふやしてまいりました。ただいま毎日「NHKガイド」、わずか三分程度でございますけれども、連日やっておりますし、日曜日には十分程度の「NHKの窓」というようなものも数年前から新設をいたしましていまやっている次第でございまして、先ほどのいろんな誤解等々のことにつきましても、放送を通じて今後とも質問あるいは御疑念に答えてというような形で分量をふやしてまいってきておりますんで、この努力は今後とも続けたいと思っておる次第でございます。
#249
○青島幸男君 余り値上げの前だからといって目立たないように、しかも正しく理解をしていただくようにやるということはむずかしいことだと思いますけれども、十分配慮なすって、逆効果にならないようにおやりいただくことは正当だと思いますんでお続けいただきたいと思いますけれども。
 時間も参ったようですけれども、受信料の法制化の問題についても私ちょっと所見、感じていることをお話しいたしますけれども、こういう席で言っていいかどうかわかりませんが、国税でも脱税する方はかなり多いんですよね。しかもこの間の発表によりますと、ワースト15のうちお医者さんの関係の方が五つも入っているんですね。お医者さんと言われれば社会的な信頼も十分積み重ねていらっしゃるわけでしょうし、当然免許も持っておいでで、インテリの代表みたいな方でも意図してお払いにならない方もおいでになるわけですね。
 それから考えますと、NHKの受信料収納というのはむしろ歩どまりがすごくいかんじゃないかと思っているわけですね、ほかの業種から考えてもかなり集まっている方だなと。いままでのあり方でこれだけ集まっているのに何も法制化して反感を買うようなことしない方がむしろいいんじゃないかという気さえしているんですけれどもね。その辺のところは実際にはNHKさんは、ある程度そういうことも内々お感じになっているんじゃないかという気も常々しているんですが、いやとんでもない話だと、これは公平も欠くんだし、いただくものはどんどんいただいていかなきゃならないというお考えでいるのか。
 まあわが国の国情にもよるんですけれども、こんなに従順に、こういうこのままの現状の制度でこれだけお支払いいただけるという国はほかにもないんじゃないかという気がしているんですけれども、せっかくこういう美風が続いているんですからね、むしろ年々値上げを、毎回値上げを繰り返していかなきゃならないというような状態の中にあることの方がむしろ民主的ではないのかとさえ思うほどなんです。ということは、受信料を払わないということでみずからを主張なさるというような方が何人かおいでになるという自由もこの国にはあっていいんじゃないかという気はしないでもないんですけれどもね、
 ちょっと暴論かもしれませんが。ですから、何も法制化に突っ走ってしまうというようなことは、むしろ私としては望ましくないことだと思ってはいるんですが、時間も来たようでこのまま議論を続けていくつもりはございません。ちょっと暴論のようなことも最後に吐きましたが、ふだん考えていることの一端を述べさしていただいたわけでして、以上で終わります。
#250
○委員長(矢田部理君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#251
○委員長(矢田部理君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#252
○委員長(矢田部理君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を問題に供します。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#253
○委員長(矢田部理君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 大木君から発言を求められておりますので、これを許します。大木君。
#254
○大木正吾君 私は、ただいま承認すべきものと決定いたしました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党、日本共産党、民社党及び第二院クラブの各派共同提案によります附帯決議案を提出いたします。
 まず、案文を朗読いたします。
    放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)
  政府並びに日本放送協会は、次の各項の実施に努むべきである。
 一、放送の不偏不党を堅持し、放送による表現の自由を確保すること。
 一、協会は、協会の基本的使命について国民の理解と支持を深める施策を強化するとともに、厳しい経営環境にかんがみ、いつそう事業運営の効率化に努めるほか、大都市圏における世帯移動の早期把握に努めるなど営業活動を積極的に推進し、今後における受信料額の改定を極力抑制すること。
 一、テレビ難視聴対策については、技術開発の進展をふまえ、さらに、効率的施策を推進するほか、高層建築物等による受信障害については、速やかに抜本的対策の確立を図ること。
 一、協会は、放送番組の編成にあたつては、視聴者の多様なニーズに応えるとともに、ローカル放送を強化するなどその充実刷新に特段の意をもちいること。
 一、政府は、放送衛星利用の重要性にかんがみ、その実用化にあたつては、放送行政上の諸問題について早急に検討をすすめること。
 一、協会は、著しい変動過程にある放送界の将来を展望し、公共放送機関としての社会的責務を全うし得るよう、本委員会における審議の趣旨をふまえ、また関連分野における有識者の協力を得て、今後の長期構想の策定について検討すること。
  右決議する。
 以上でありますが、この決議案は、先日来の本委員会における審議の経過を踏まえて作成したものであります。したがいまして、その趣旨につきましては、改めて説明するまでもないと存じますので、省略させていただきます。
 何とぞ御賛同いただきますようお願いいたします。
 以上です。
#255
○委員長(矢田部理君) ただいま大木君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#256
○委員長(矢田部理君) 全会一致と認めます。よって、大木君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、大西郵政大臣並びに坂本日本放送協会会長から発言を求められておりますので、この際、これを許します。大西郵政大臣。
#257
○国務大臣(大西正男君) 日本放送協会昭和五十五年度収支予算等につきましては、慎重なる御審議の上、ただいま御承認をいただきましたことを厚く御礼申し上げます。
 これまでの御審議に当たりまして、各委員の提起されました御意見並びにただいまの附帯決議につきまして、今後の放送行政を進めるに当たりまして、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
#258
○委員長(矢田部理君) 坂本日本放送協会会長。
#259
○参考人(坂本朝一君) 日本放送協会昭和五十五年度収支予算、事業計画、資金計画につきまして、ただいま御承認いただきましてまことにありがたく、厚く御礼申し上げます。
 なお、この予算を執行するに当たりましては、郵政大臣の意見書並びに御審議の過程でいろいろ御開陳いただきました御意見を十分生かしていきたいと考えております。
 また、ただいまの附帯決議につきましては、協会経営の根幹をなすものでございますので、十分に遵守いたしまして、執行の万全を期したいと考えておる次第でございます。
 まことにありがとうございました。
#260
○委員長(矢田部理君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#261
○委員長(矢田部理君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#262
○委員長(矢田部理君) 次に、請願の審査を行います。本日までに本委員会に付託されております請願は、第一二七号郵便料金大幅値上げに関する請願外十九件でございます。
 第一七六一号長野地方貯金局の存置に関する請願外十一件を議題といたします。
 これらの請願につきましては、便宜理事会において慎重に検討いたしました結果、第一七六一号長野地方貯金局の存置に関する請願は議院の会議に付するを要するものにして内閣に送付するを要するものとし、第一八七五号身体障害者に対する郵政行政改善に関する請願外十件につきましては、
 一、重度歩行不能等の障害者が使用している一
  般家庭電話の「基本料金」とこれに関連する
  「付加料金」は全額負担するが、これに加算
  される「ダイヤル通話料金」を全額免除する
  こと。
 二、一般道路の歩道に設置されているポール式
  やボックス式の公衆電話は、車椅子障害者が
  使用するには高さが高すぎて使用不可能か誠
  に不都合なので、電話器を二十センチメート
  ル以上低くすること。
 三、すべての郵便局と電話局の入口に十分の一
  以下の勾配のスロープを設置すること。の三つの事項から成っております。
 以上の願意のうち、一の「「ダイヤル通話料金」を全額免除すること」はなお検討を要するので、同項を除く旨の意見書案を審査報告書に付することとし、本請願は議院の会議に付するを要するものにして内閣に送付するを要するものと決定することに意見が一致いたしました。
 以上、理事会の申し合わせのとおり決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#263
○委員長(矢田部理君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたします。
 なお、審査報告書並びに意見書案の作成は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#264
○委員長(矢田部理君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、第三十七号郵便料金大幅値上げに関する請願外七件につきましては、後日改めて審査することといたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時五十四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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