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1979/03/21 第91回国会 参議院 参議院会議録情報 第091回国会 農林水産委員会 第5号
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1979/03/21 第91回国会 参議院

参議院会議録情報 第091回国会 農林水産委員会 第5号

#1
第091回国会 農林水産委員会 第5号
昭和五十五年三月二十一日(金曜日)
   午前十時十一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十八日
    辞任         補欠選任
     北  修二君     岩動 道行君
 三月十九日
    辞任         補欠選任
     岩動 道行君     北  修二君
     坂元 親男君     中村 禎二君
 三月二十一日
    辞任         補欠選任
    久次米健太郎君     鈴木 正一君
     熊谷太三郎君     岩崎 純三君
     鈴木 省吾君     嶋崎  均君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         青井 政美君
    理 事
                岩上 二郎君
                片山 正英君
                北  修二君
                川村 清一君
                相沢 武彦君
    委 員
                岩崎 純三君
                小林 国司君
                嶋崎  均君
                鈴木 正一君
                田原 武雄君
                中村 禎二君
                初村滝一郎君
                降矢 敬雄君
                栗原 俊夫君
                村沢  牧君
                山崎  昇君
                原田  立君
                河田 賢治君
                下田 京子君
                藤井 恒男君
                喜屋武眞榮君
   国務大臣
       農林水産大臣   武藤 嘉文君
   政府委員
       農林水産省構造
       改善局長     杉山 克己君
       農林水産省農蚕
       園芸局長     二瓶  博君
       水産庁長官    今村 宣夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        竹中  譲君
   説明員
       農林水産省経済
       局統計情報部長  柳井 昭司君
       労働省労働基準
       局補償課長    原  敏治君
   参考人
       農業者年金基金
       理事長      内村 良英君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○参考人の出席要求に関する件
○農業者年金基金法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
#2
○委員長(青井政美君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る三月十九日、坂元親男君が委員を辞任され、その補欠として中村禎二君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(青井政美君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事の補欠選任を行います。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(青井政美君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に北修二君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(青井政美君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 農業者年金基金法の一部を改正する法律案の審査のため、本日、農業者年金基金理事長内村良英君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(青井政美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#7
○委員長(青井政美君) 農業者年金基金法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 法案の趣旨説明は先般聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#8
○村沢牧君 農業者年金法をつくろうとした最初の精神は、農民にも恩給をという考え方であったというふうに思いますけれども、法律制定の段階で、また五回にわたる修正で、当初の精神は次第に薄れてまいって、政策年金としての性格が強まってきております。そして、政府はいつの間にか農業者年金を農業構造改善政策に寄与する目的を持った国民年金の付加年金であるという位置づけをするようになったわけでありますけれども、法律ができてから十年たった今日、私はこの年金法を農業者の老後保障年金という立場から見直して、福祉と、それから構造政策を加えた公的な年金として位置づけ、さらにそれに伴う内容と体制を整備すべきではないかというふうに思うのですけれども、大臣の見解をひとつ伺うものであります。
#9
○国務大臣(武藤嘉文君) いま御指摘のございましたように、確かに最初は、農民にも恩給をというような佐藤元総理の御発言から、こういう問題がいろいろ検討されまして、結果、十年前にこの農業者年金ができ上がって、そのときには相当それとは思想の違ったもので発足いたしたことは御指摘のとおりでございます。その後におきましても、私どもはいま御指摘のように、やはり農業の経営規模拡大と、こういう一つの構造政策的な意味合いを持った政策年金であると、こう位置づけてきておるわけでございまして、そしてこの構造政策は、今後より高めていかなければならない。日本の農業のこれからのあり方といたしましては、やはり生産性を高めていくということが国民の理解を深められるわけでございますし、生産性を高めてまいるとなりますと、どうしても経営規模の拡大を考えていかなきゃならないわけでございまして、従来以上にそういう考え方を強めていかなければならないというときに、この年金もそういう政策年金のやはり色合いを強めていかなきゃならないと考えておるわけでございまして、そういう方向を転換してひとつ福祉年金的な考え方を持てと、こういう御指摘でございますけれども、私どもとしては、もちろん農民の皆様方の福祉を充実をしていくということについては十分考えていかなきゃならないことは当然でございますが、それは国民年金の方でできるだけ考えていくべきことであって、まあいまの政策年金的なこのものでそれを考えていくということは、なかなか私どもとしては今後とも、大変御意見が違って恐縮でございますけれども、なかなかそれはむずかしいと、こう考えておるわけでございます。
#10
○村沢牧君 大臣の答弁を聞いておりますと、農業者年金は農業構造政策を重点として福祉を加味したものである、そういうふうに受けとめられるわけでありますけれども、そういう解釈であるのか、あるいは福祉を重点として構造政策を加えたものであるか、どちらにひとつウエートを置くのですか。
#11
○国務大臣(武藤嘉文君) 私どもとして、やはり従来の経緯からいたしまして、また今後の日本の農業政策の方向からいたしましても、やはり構造政策的なと申しますか、政策年金の方にウエートを置いて考えていきたいと思っておるわけでございます。
#12
○村沢牧君 そのような大臣の考え方が、先日大臣から説明のありました提案理由の説明にもはっきりあらわれておるわけであります。すなわち、この説明書の五ページ、四行の中段以下を見てまいりますと、「農業経営の近代化及び農地保有の合理化に寄与するとともに、国民年金の給付とあわせて農業者の老後の生活の安定と福祉の向上に資することを目的とする」と、こういうふうに大臣は説明されております。いままでの答弁と同じであります。
 そこで、私はこの農業者年金基金法を見ると、その第一条後段の方にこういうふうに書いてあるんですね。「農業者の老後の生活の安定及び福祉の向上に資するとともに、農業経営の近代化及び農地保有の合理化に寄与することを目的とする」、つまり、法律では、老後の生活の安定、福祉の向上、そして構造政策だというふうに言っているわけですね。これは言い方は中身は同じようでありますけれども、私はこの法と照らし合わせてみて、大臣のいまの答弁、それから提案理由の説明はいささか順序を逆にしていると思うんですよ。同じような文章であるけれども、どちらを先に書くかということは、読む者にとってみれば、提案者がやっぱり先に書いた方を重点に置くと、こういうふうに受けとめるのは当然のことだというふうに思うんですね。なぜ法律に書かれているような形に提案理由の説明なり大臣の答弁はできないのか。これは法の精神を素直に受けとめていない。皆さん方がだんだん期日が経るに従って、そういう解釈に変わってきてしまった、そのように指摘せざるを得ないんですけれども、この提案理由を起案をしたのは大臣じゃなくて、構造改善局長が起案したか、官房長が起案したか知りませんけれども、まず起案者の法律とあわしての見解を聞くとともに、大臣の見解を改めて求めるものです。
#13
○政府委員(杉山克己君) 年金制度につきましては、従来、一般的ないろいろの議論がございますが、農業者年金は、大臣からも御説明申し上げましたように、これだけで老後の生活保障というようなことではなくて、社会政策以上にむしろ農業政策の立場を押し出して、特殊な年金、国民年金の付加年金としての性格を持つというふうに私ども考えております。先に出した方が重点になるんじゃないか、あるいは後に書くとそれは重点でなくなるというような御趣旨にお聞きいたしましたが、別段、私どもそういうことではなくて、法の書き方にいたしましても、この提案理由説明の書き方にいたしましても、全体として双方の機能、つまり、「老後の生活の安定及び福祉の向上」ということと同時に、「農業経営の近代化及び農地保有の合理化に寄与する」ということを考えているわけでございます。
 ただ、提案理由説明でなぜ農業政策的な視点を書いたかといいますと、今回の法改正は離農給付金に関する改正を内容とするものでございます。そういう点もございまして、書き方としては先に農業政策の視点を出しておりますが、総合的な効果をねらうというか、期待しているという点においては従来と変わりないわけでございます。
#14
○村沢牧君 局長の答弁は非常に弁解がましいんですけれども、皆さん方がいろいろ大臣の提案説明をする場合には、法律に関係することは、法律の条文そのものを素直に受けとめて提案理由の説明をいままでやってきたと思うんですね。ですから、法律に書いてあることを、後段に書いてあることを先に持ってきて全体のことを後に回してきたということが、そもそもこの法律を曲げて解釈をしていく、そのように感ぜざるを得ないのですけれども、提案理由を説明した大臣はどういうふうに思いますか。
#15
○国務大臣(武藤嘉文君) 私はこの法律の目的を読んでおりましても、この法律を読んでおりますと、「農業者年金基金は、農業者の経営移譲及び老齢について必要な年金等の給付の事業を行ない、」と書いてあって、こっちは逆なんでございますね。「経営移譲」の方が先に書いてあるわけでございます。ですから、これはどちらが先とか後というより、やっぱりこれは並列に書いてあるのではなかろうかと思っておりますし、「目的」には「国民年金の給付と相まって」と、こう書いてあるわけでございますから、当然関連をして福祉のこともやり経営移譲もやると、こういうふうに解釈すべきではなかろうか。
 それから、私もこの間この法律を全部読んでみましたけれども、この法律を読みますと、大体この経営移譲の方が、事業としては主体を書いてあるものでございますから、そういう点は必ずしも法律の趣旨には反していないのではないかと、こういうふうに私は解釈をさせていただいたわけでございます。
#16
○村沢牧君 法律の趣旨に反しているか、あるいはまた法律の趣旨が充実されているかということはこれから論議を深めてまいりますから、次に進んでまいりますが、年金支給開始年齢について確認をしておきたいんですけれども、農林年金は、昨年の法改正によって五十五歳支給開始年齢が六十歳に変更されたわけですね。厚生省は、厚生年金の支給開始年齢を六十五歳にするという法律改正をこの国会に提案しようとしたわけでありますけれども、わが党初め国民の総反撃に遭って今国会提出を見合わせたようでありますけれども、しかし、これは将来にわたって断念したものではないというふうに思うのです。こうした年金をめぐる一連の動きの中にあって、経営移譲年金の支給開始年齢の六十歳が将来引き上げられるのではないかという心配を持っている向きもあるわけなんです。しかし、農業者年金は、いま大臣の答弁にもありますように、政策年金である、あるいは政策的に経営の若返りを図ろうとするものである。またそれにふさわしい保険料を出しているんです。したがって、経営移譲年金の支給開始年齢は将来にわたって六十歳、このことをはっきり堅持すべきだというように思うんですけれども、大臣の方はどのように考えますか。
#17
○国務大臣(武藤嘉文君) 経営移譲年金は、これはもう今後とも六十歳を堅持するということは、私ども全く変えないつもりでおります。
#18
○村沢牧君 そのことを一つ確認をしておきます。
 次は、農業者年金制度の発展にとって加入を促進するということが一番大きな課題であるんですね。年金の発足当時は二百万人を見込んでおったわけでありますけれども、その後、そうした状況にはまいらなくて、昭和四十九年の再計算時においては百六十五万人に目標を変えたわけなんです。そして事後、加入を促進してまいりましたけれども、五十四年十二月までには農業者年金加入者の数は百九万九千人、五十一年以降は特にこの加入者が減りつつあるけれども、その原因は一体何であるか。それから、現在加入資格を持っておるけれども加入をしておらない、こういう人は何人くらいおるんですか。
#19
○政府委員(杉山克己君) ただいま御指摘のように、現在の農業者年金加入者数は約百十万ちょっと切ったような水準にございます。なぜこれが目標よりも減ったかということでございますが、これはやはり一番加入者として考えられるのは、中核農家層でございます。この中核農家層が、法制定当時の経済状況とその後の変化が著しいためにそれ自身大幅に減ってまいっております。数で申し上げますというと、たとえば昭和五十年、中核農家数は百二十五万ほどございましたが、五十四年現在では百万を切って九十九万台になっております。そういうようなことから、一つはその目標に比べて加入者の実績が下回っているということ。それからもう一つは、加入者として当然資格は持っておるのですが、なかなか制度の趣旨が徹底しない、あるいは加入者自身のお考えがあって入らないというような方もありまして目標を下回ったというようなことになったのかと考えます。
 そこで第二点の、加入資格を有しながらまだ入っていない者がどのくらいあるかということでございますが、私ども加入資格者数は五十四年現在では百三十数万人というふうに見ております。ただ、これが今後どうなるかということになりますというと、先ほど申し上げました中核農家層の数は今後ともなおかなり減っていくのじゃないか。その総体の見通しは、農政審議会にもお諮りして、農産物に対する需要と生産の長期見通し、これらとともに数字的な検討をしているところでございますが、とにかく中核農家層は今後とも減っていくのじゃないかと考えられます。加入資格者もそれに伴って減少するのではないかと考えますが、現在の時点では、五十四年の数字でございますが百三十数万人資格者があるというふうに見ております。
#20
○村沢牧君 現在加入者数は百九万九千人、加入資格者数は百三十数万人。これは局長、念のために聞いておきますけれども、百三十数万人というのは、加入資格を持っているけれども現在加入しておらない数、そのように理解していいわけですね。
#21
○政府委員(杉山克己君) いま申し上げましたのは入っている者も含めてでございます。百三十数万人、まあ端数まで出した算定もございますが、これは推計が加わっておりますので、正確な数字はよくわかりませんので百三十数万人と申し上げたわけでございますが、それと百九万九千人との差が、資格を有しながら入っていない者ということになります。ですから、資格を有しながら入っていない者の実数は二十数万人というふうに考えられます。
#22
○村沢牧君 加入資格を失っている者はどのくらいなんですか。
#23
○政府委員(杉山克己君) 加入資格は、一遍持ちますというと、その後条件によって、つまりほかの厚生年金等に加入するというようなことによって資格を失うということがございますが、その数はそれほど多くないと思います。御質問の趣旨が、あるいは総農業者、そういったものでまだ考え方によっては加入の対象として考えられるものがどうかということでありますれば、総農家数は四百七十万戸程度あるわけでございます。
#24
○村沢牧君 局長の答弁を聞いていてもちょっと納得しないんですがね。と申し上げることは、私いまここに会議録を持っていないんですけれども、去年の衆議院の農林水産委員会のこの種の質問に対して、前の構造改善局長は、加入資格を持っているが加入していない人は約五十一万五千人だと、それから加入資格を失っている者が六十八万五千人あると、こういう答弁をしているんですね。このことについては、後ほど会議録を見て正確にひとつ答えてください。いいですか。ずいぶん違っていますから、あなたの答弁は。委員長そのことを求めますが。
#25
○委員長(青井政美君) はい。
#26
○村沢牧君 しかし、いずれにしても、加入資格を持っている人、あるいは加入資格は喪失したけれども、やっぱり農業者年金に加入をしてそして農業の近代化を図っていくというような人に比べて、加入者数は少ない。このことは皆さんがお認めになるというふうに思うんですけれども、加入を勧める場合において、加入の対象になる人に全部入ってもらうことはこれは理想だ。しかし、強制もできないわけでありますから、一歩譲って、それではどのぐらい入ったらいいだろう、加入率は一体どのくらいが農業者年金として健全な経営ができていくのか、その辺についてはどういうふうに考えますか。
#27
○政府委員(杉山克己君) 昨年の大場前局長の答弁では、確かに差は五十二万人というようなことで申し上げております。その点は、実は昨年の段階では、加入資格者の数をこれは一番当初は二百万人と見ておったのでございますが、昨年の段階では、そのものを若干以前に想定いたしました百六十五万人ということを見込んでおるわけでございます。これは四十九年の財政再計算のときの目標数でございます百六十五万人と見ておったわけでございます。それに対して、五十三年時点での被保険者、加入している者が百十二万四千人であったということで、その差をとって申し上げたわけでございます。
 ところが、今日になりますというと、来年は財政再計算を行うということで、さらに加入資格者等についてのいま予備的な調査等を行っているわけでございますが、どうも実態は中核農家層の減少が大きく反映して加入資格者はもっと少ないのじゃないか。そこで昨年とは数字が御答弁申し上げたのと異なるわけでございますが、ここは実際を申し上げる必要があるということで、私百三十数万人ということを申し上げたわけでございます。
 一方加入者の方も昨年のその時点の百十二万四千人、まあ端数がさらに六百人あるわけでございますが、それよりも減りまして百九万九千人というようなことでございますので、差は二十数万人になるということを申し上げたわけでございます。
 それから、どのくらい加入したら安定的な運営ができるのかということでございますが、まあ保険財政の問題は加入率だけの話ではないと思います。ただ、全体としてその加入者が多い方が、制度の趣旨からしてこれは当然望ましいわけでございまして、私どもは財政という観点とは別に、この運営のあり方として一〇〇%加入を目指すべきであるというふうに考えております。
#28
○村沢牧君 いま局長の答弁を聞いておりますと、百三十万人加入してもらいたい人がある中で百十万入っているんだと。あとは二十数万人が入ってもらえばいいんだというような御答弁なんですが、そうすると、きわめて楽観的な見方ですね。いま末端では農業者年金基金等の要請もあって、何とかして加入をしなければならないということで、農協にしても農業委員会にしても、積極的に取り組んでいるんですよ。この程度だったらそんなに血眼になって取り組まなくてもいいということになるんですけれども、基金の理事長おるようですけれども、一体どういうふうに考えますか。
#29
○参考人(内村良英君) まず最初に、私どもといたしましても加入資格を有する者がどれぐらいあるかという点は、これは加入促進のときに非常に大事なポイントでございまして、一生懸命その辺のことを研究しているわけでございますけれども、御承知のとおり、被保険者の資格につきまして、特に当然加入者の場合には五十アール以上の農業経営主ということではっきりしておりますが、当然加入者の数字は比較的把握しやすいわけでございますけれども、任意加入者になりますと、面積が三十アール以上五十アール未満の農業経営主で、一定の方法により算定された年間労働時間が七百時間以上農業に従事している者、あるいは農業生産法人の構成員、さらに後継者、こういう人たちが任意加入者になるわけでございます。農年統計上もこの任意加入者の把握というのは非常にむずかしい問題でございまして、御指摘のように当初二百万、それから百七十五万、百六十五万、ただいま構造改善局長の御答弁がありましたように百三十五万というふうに、数字がだんだん減ってきておるわけでございます。
 さらに、私どもの年金の場合には、国民年金に加入していないと被保険者になり得ないわけでございます。ところが、兼業化に伴いまして厚生年金に入る農家の人がずいぶんふえている。経営主でありながら厚生年金に入ってしまうというようなことで、一体どれぐらいの資格者があるかという点は実は非常にむずかしい問題があることは事実でございます。
 そこで、私どもがどういうことをやっておりますかというと、まず、その現実の村なら村で、加入資格のある人を現実的に追求してもらう。そこで未加入者の名簿というものをつくってもらっているわけでございます。それから、その未加入者の名簿をつくりまして未加入者を把握して、その人たちに今度は加入を促進してもらうためにいろいろ勧誘するというようなことを努力しているところでございます。それにつきましては、まず未加入者の名簿をはっきり村なり町でつくりまして、それに基づいて加入促進をやっておるという形になっております。
#30
○村沢牧君 基金の方では、この「のうねん」なんという雑誌を毎月出して、各県別の加入の状況なり、ひとつ加入促進をしてくださいということでPRしているんですね。
 そこで、いま理事長の方では未加盟者名簿をつくっておるというお話があったんですけれども、その未加盟者名簿を集計すると、未加盟者は幾らになるんですか。
#31
○参考人(内村良英君) まだ私どもの方で下から全部未加入者のリストと申しますか、人数を上まで上げてもらって集計はまだしておりません。非常に古い数字が一つございますが、それは四十六年に加入予定者数百七十四万という数字があったわけでございますけれども、これはその後非常に減少しているというのが現実ではないかと思います。
#32
○村沢牧君 基金の方では、いま構造改善局長が言われた百三十数万人だと、それから百十万入っているから二十数万人が未加盟だと、このように判断してあなたの方では加入促進運動をしているんですか。
#33
○参考人(内村良英君) 繰り返して申し上げましたように、私どもといたしましては、市町村段階で具体的に未加入者名簿をつくって、その未加入者名簿に基づいて加入の勧誘をしているわけでございます。ところが、たとえばきょうの未加入者名簿に載っていると、あした出かせぎに出て、あるいは他産業に就職して、厚生年金あるいはほかの共済の組合員になりますと私どもの方の資格を失ってしまうわけでございますから、未加入者といっても非常に流動的なわけでございます。
 そこで、常に現実的な未加入者を前提にして加入促進をやるということをやっておりまして、目標が何人だからということは、これはなかなかそういう形では加入促進運動はできがたい性質の問題でございます。
#34
○村沢牧君 重ねてお聞きをしますが、未加盟者名簿というのはいつから作成にかかり、現在のところ集計をしていないようですけれども、いつをめどとして集計されるんですか。
#35
○参考人(内村良英君) たとえば……
#36
○村沢牧君 いや、質問だけに答えてください、時間がありませんから。
#37
○参考人(内村良英君) ですから、五十五年度の事業方針を現在これから末端に示すわけでございますけれども、そのときになるべく早く未加入者名簿を作成してもらいたいと、年度の初めに。そういうことで指導しているわけでございます。
#38
○村沢牧君 私の聞いていることは、未加盟者名簿をつくってくださいというのは、いつからそのことを始めたんですか。と同時に、いつごろを目標として全国的な集計ができるんですかと伺っているんです。
#39
○参考人(内村良英君) 五十五年度から実施するわけでございます。
#40
○村沢牧君 だから、五十五年度から実施をするのなら、未加盟者名簿をつくってやっているんだったら、そんな答弁には当てはまらないんですね。これからやるということなんでしょう。
 それから、まあせっかくの政策年金であっても、私から見れば未加盟者はまだ多いと思うんですよ。特に加入者の構成比を見ると、三十九歳以下の加入者は全体の一二・一%、二十歳、三十歳の加入者が極端に低いわけですね。特に若年層の加入が促進をしない理由は何であるかということですね。
 それからもう一つは、加入を促進するために、一昨年、昨年と法律改正をして、当然加入者の救済措置あるいは任意加入者の後継者の救済措置などをやってきたわけなんですけれども、その成果はどのように上がっているんですか。
#41
○政府委員(杉山克己君) 若い層で加入が低率であるということは御指摘のとおりでございます。
 なぜ若齢者の加入が少ないかといいますと、まあアンケート調査をやったこともございますが、若いうちはやはり年金を身近に感じていない、自分が元気なものですから、老後の問題についてそれほど関心を払わないというようなことがあるものかと存じます。
 それからもう一つは、これは農業の問題でございますが、本人自身が、年金の問題というか、将来の問題について関心はあるにしても、将来農業経営をどうやっていくか、目標をどういうふうに設定するかということについて十分に方針が確立されていないというようなこともあろうかと思います。
 それからいま一つは、それだから現在加入運動を熱心にやっているわけでございますが、農業者年金制度が必ずしも十分に知られていない。そのために、制度がわかっていれば加入するものであるにかかわらず、加入が現実行われてないというものも一部あろうかと思います。
 それから、昨年までの救済措置によって新規加入がどの程度ふえたかということでございますが、時効の救済措置、これによります加入は五十四年十二月末でもって五万三千二百二十八人ということになっております。それから、後継者の加入についての救済措置、これによります新規加入が同じく五十四年十二月末まででございますが、七千六百十二人とということになっております。
#42
○村沢牧君 大臣、この年金を問わず、やっぱり年金制度は加入者が多くなることがこの法律の目的も達成するし、年金の運営にも大きな寄与をするわけですね。それで先ほど来質問しておりますが、どうも加入者の資格の数と現在の加入者と比べた場合、私は非常に率が低いと思うんですよ。ですから、農林省でも基金の方でも積極的な加入促進運動をしている。したがって、加入促進についてはもっとやっぱり前向きに取り組まなきゃいけないというふうに思うんですが、どうでしょうか。
#43
○国務大臣(武藤嘉文君) まあ加入促進に積極的に取り組むということが、この農業者年金を今後健全に運営していく上においては大変大切な問題ではなかろうかと思います。それはいま御指摘のとおり、年齢構成が大変高いところが率が高いわけでございまして、そうなると、経営移譲年金がもらえる人が、どんどんどんどんこれからは給付を受ける人が非常にふえていくと思うのでございます。そういうときに、今度は給付を受けないいわゆる保険料を払う方の方は非常に減っていくとなれば、この年金が健全に運営されないことは当然でございまして、そういう面から言っても、できる限り特に若い人を中心としてより入っていただける方に入っていただくように努力をしていくというのは、私は大変大切なことではなかろうかと考えております。
#44
○村沢牧君 次は、主婦の加入措置について伺います。
 わが国の農業構造はここ数年来大きく変わって、主婦が実質的な農業の担い手となっている場合が多くなったわけであります。五十三年の就業人口は七百五万五千人のうち、男が二百六十七万四千人、女が四百三十八万一千人で婦人が六二・九%を占めておると。また基幹男子農業専従者のいる農家数は総農家数の二三%にすぎない。これも年々減少しております。こうした現状の中から、婦人の農業者年金加入を認めるべきだという要望が非常に強くなっていることは御承知のとおりであります。したがって、特に私は次のような婦人は農年の対象者にすべきだということで、三点ほどひとつ具体的にお聞きをしますけれども、一つは、夫が被用者年金に加入している兼業農家で、妻が実質的農業経営を担当しておるけれども、農地の権利、義務がない婦人でも加入さすべきだ。二つ目には、専業農家でも婦人の権利の増大している傾向の中から妻を加入さすべきだ。三つ目には、後継者が加入している妻でも、農業に従事している場合は対象にすべきだ、以上三点についての見解を求めます。
#45
○政府委員(杉山克己君) これは、一番初めの御質問にございました、農業者年金の性格をどう理解するかということとの絡みもあるのかと存じますが、私ども老後の生活安定ということにつきましては、あくまで基本は国民年金によって図っていくべきだというふうに考えております。したがいまして、経営移譲による経営の若返り、農地の細分化防止、経営規模の拡大といった農政上の目的のもとに考えます場合、夫は兼業でもって被用者年金に入っている、妻が土地の権利がなくてこの農業者年金に加入できないかということになりますというと、いまの経営移譲という観点からいたしますというと、権利名義を有しない者が入っても、経営移譲という事態は、望ましいといいますか、農業政策上要請している事態は期待できないというようなこともございますし、まあ第二、第三の点についても、その点は同趣旨のことが考えられるわけでございます。そういう意味では、大変御質問に反するようなお答えになりますけれども、やはり経営主、地権者としての資格を有する妻ならともかく、そうでない者を加入者として認めていくということはこれはなかなかむずかしい、できないのではないかというふうに考えております。
#46
○村沢牧君 婦人が農業者年金に加入をすることのできないあるいはむずかしいという問題の一番中心になるのが、この経営移譲の問題だという答弁があったわけですけれども、そこで大臣にお聞きしますけれども、最近、政府が進めている構造政策というのは、所有権の移転を伴わずして、一つの農地流動化をして規模拡大をしていこうと、こういう方向になっているというふうに思われますね。そこで、お尋ねしますけれども、政府はこの国会に農地法の一部改正あるいは農用地利用増進法案等も提出しようとしているんですけれども、この二つの法案のねらいは、農地の貸し借りを容易にして流動化を図る、そして中核農家を育成していく、こういうことだと思うんですね。農業者年金法では、経営移譲の促進を目的とするこれは政策年金である。そしてまた経営移譲はそれなりの成果は上げているというふうに思うんです。また、その経営移譲の中身を見ると、九三%が後継者移譲であるわけなんです。ところが、所有権の移転をしなくて農地流動化促進を図ろうとする今度の農地法の改正、その法律と、所有権を移転をさして経営移譲をしていくんだというこの農業者年金との整合性をどういうふうに求めていくんですか。また、農業者年金を、いま皆さん方が考えている構造政策の中でどういうふうに位置づけをしていこうとされるんですか。大臣です。
#47
○国務大臣(武藤嘉文君) 私ども今後の日本の農業政策としては、どうしてもできる限り農業生産をやろうという方々に農地を集約をいたしまして、そして生産性を高め、そして需要の動向を見ながら農業の生産の再編成を図っていく、こういう方向にあるわけでございまして、今度の農地関係の三法案もそういう考え方でやっておるわけでございます。
 そこで、その中でできるだけ貸し借りをなるべく促進をしながら――地価が上がってきたものでございますから所有権の移転ということはなかなかむずかしかろうということで、できるだけ貸し借りでもいいから農用地が流動化していくように何とかひとつ考えていきたいということから、三法案を提案をしたいと思っておりますが、こちらはそれじゃどうかということでございますけれども、私は、こちらも同じことでございまして、決して所有権の移転をしていただかなくても、賃借関係をはっきりしていただければそれでいいわけでございますので、賃借関係をはっきりしていただければ、借りる権利を得た方は、今度は経営主としていわゆる地権者になるわけでございますから、そういう方々は当然経営移譲年金を受ける資格ができるわけでございますので、私は必ずしもそういう点においては矛盾はしていない、こう考えているわけでございます。
#48
○村沢牧君 いま大臣はきわめて重要な発言をなさったわけでありますけれども、というのは、いままでの解釈よりかなり前進的な解釈であって、私は賛成するのですけれども、いま大臣は、賃借関係をはっきりしておれば、必ずしもその所有権を移転しなくても農業者年金を見るべきだというような答弁だった。いままでの農水省の言ってきた答弁とは違うんですけれども、この点ははっきり確認しておきますが、構造改善局長、よろしいですね。
#49
○政府委員(杉山克己君) 私が申し上げた意味も、経営主としての地権者の資格を有する妻ならばということを申し上げたんですが、これは所有権だけを内容とするものではございません。使用収益権でも結構でございます。ただ、短期の一年とか二年というのでは困るということで、きちんとした十年以上の使用収益権というものを対象に考えております。その点では、大臣の答弁と食い違いございません。
#50
○村沢牧君 十年以上の使用収益権を持っておるとすれば、それでは専業農家の婦人でも農業者年金にいいですよと、後継者の奥さんでもいいですよということなんですね。
#51
○政府委員(杉山克己君) そのとおりでございます。
#52
○村沢牧君 それじゃ、私が質問した、いままで附帯決議なんかで要求しておったことに余りこだわる必要はないんじゃないですか。じゃ、なぜそんなにこだわるんですか、婦人の加入について。所有権は移転しなくてもいいんでしょう、権利は奥さんに移転しなくてもいいんでしょう、それでも入れるということなんでしょう。
#53
○政府委員(杉山克己君) 私どもの方は、もともといま申し上げたように考えておりますし、あるいは説明不十分だったかもしれませんが、そのように外に対しても説明してまいっておるわけでございます。ただ、附帯決議等で御要望される場合、いろいろのお立場の方もおありかと存じますが、私ども、むしろ所有権だけでなく、使用収益権も設定できない、そういう本当に何らの権利を有しない妻、これをも加入させろということでの御要請かというふうに承っておりました。その点は、できないということで従来否定的な答弁をしてまいったわけでございます。
#54
○村沢牧君 何らの、農業に関係もないような妻が農業者年金を受けたいなんというようなことを申し入れしているんじゃないんですよ。現実に妻が農業を経営しているんだから農業者年金の対象にしてくださいということで、附帯決議の解釈だってそんな曲げて解釈するのはおかしいんですよ。もし皆さんわからなかったら、附帯決議を提案したわれわれに意見を求めるべきだと思うんですよ。そんなおかしな、曲解した解釈は私は認めることはできない。
 そこで、大臣、いずれにしても、いままでのなかなかかたくなな農水省の態度等では、ともかく所有権を移転しなきゃだめですよということだった。しかし、先ほど来申し上げておりますように、大臣も答弁しておりますように、今日の構造政策というのは、所有権を移転しなくても、ひとつ貸し借りでもって規模拡大をしていこうと、そういうことに変わってきておるんですよ。ですから、農業者年金に対する考え方もやっぱり変えなければいけない、統一した見解を出さなければいけない、そのように思いますけれども、どうでしょうか。
#55
○国務大臣(武藤嘉文君) 私先ほどから申し上げておりますし、局長からも答弁申し上げておりますように、私どもは、法律にもたしか書いてありますけれども、所有権だけじゃなくて、使用収益権もよろしいとこう書いてあるわけであります。
 使用収益権のその解釈といたしましては、いまの十年賃借権というものが十年確立すればいいわけでございまして、御主人が奥さんに対して貸していただく、奥さんがその賃借権をはっきりした上で耕作をおやりになっている、こういう方は当然私はその年金を受給する権利がある、こういうふうに解釈をしておるわけでございまして、ただ問題は、御主人があくまでもおられて、奥さんもおられて、それでその間にそういう賃借権という権利のものがはっきりしていない、何かを確かに耕作しておるのは奥さんであるけれども、権利関係がはっきりしていないときはあくまで御主人の方にやはり年金受給資格が残っているものでございますから、こういう点は非常にむずかしいのでありまして、その点、権利関係さえはっきりしていただければ、所有権が移転しなくてもこれはもう十分対象になると、こういうふうに考えておるわけでございます。
#56
○村沢牧君 構造改善局長、大臣の答弁どおりで局長ももちろんいいというふうに思うんですが、解釈すると思うんですが、そうだったとするならば、皆さんの指導方針の中で、通達なんかの中において、所有権は移転をしなくても、賃借権だけ夫と妻の間に確立すればいいのだと、そのことを指導されますか。
#57
○政府委員(杉山克己君) 従来もそういう趣旨で指導してまいったつもりでございますが、十分徹底していない向きがあるとすれば、改めてはっきり今後ともさらにそういう指導をいたします。
#58
○村沢牧君 それでは遺族年金についてお聞きをするのですけれども、遺族年金は、社会保険制度審議会の答申などに見られるように、各年金ともひとつ前向きに検討していく、そして、制度改正も検討をしておるところなんですね。ところが、農業者年金にあっては遺族年金がない。私はこれもぜひ導入すべきだと思うんです。特に、本法の現行制度の死亡一時金は、一度でも年金を受けると支給されないという不合理もある。これらも含めて遺族年金についてはどのようにお考えになっておりますか。これも大臣にです。
#59
○国務大臣(武藤嘉文君) やはりこの経営移譲年金という考え方からまいりますと、なかなか通常言われる遺族年金というのは私はむずかしい、こう考えているわけです。通常言われるのは、やはり厚生年金にいたしましてもそうでございますけれども、厚生年金を掛けている方が亡くなった場合、厚生年金を掛けていた方の遺族が、いま七割か、八割、たしか受けるはずでございますけれども、これはやっぱり福祉年金の性格でございます。国民年金の中にも、同じように寡婦年金なり母子年金というものがあるわけでございまして、これもやはりそういう福祉年金でございます。ところがこちらは、先ほどから申し上げているように、福祉の面もありますけれども、あくまで政策年金にウエートをかけているわけでございまして、そういう面において、福祉年金的な、いわゆる御主人が亡くなられたときにその遺族がもらい得るという考え方での年金の支給というのは大変むずかしい、私はこう考えているわけでございまして、ただ、たまたま衆議院のこの間の委員会の審議におきましても、たしか社会党の芳賀先生からではなかったかと思いますが、それはわかったけれども、いわゆる経営移譲年金をもらえる六十歳から六十四歳までに死んだときに、本人がもらっておったのが死んじゃったと、途端にそれがなくなっちゃ困るじゃないかという御質問がございましたので、いわゆる経営移譲年金をもらえる権利についてそこで消滅するという問題はちょっと私もお気の毒な感じがいたしますので、これについてはひとつ今後検討をさしていただきますと、こういうお約束をいたしたわけでございます。だから、そういう意味合いにおいてはひとつ検討してみたいと思いますけれども、いわゆる福祉年金的な遺族年金というものは、やはりこの年金の性格から言ってこれは少しむずかしいと、こう思うわけでございます。
#60
○村沢牧君 御承知のように、来年、再計算期を迎えておるわけでありますけれども、それまでに、いま私が申し上げた主婦の年金加入の問題、遺族年金もすべての年金と同じようにせよというのは困難な問題があるという答弁だったですけれども、そのことは理解できるとしても、何かやっぱり農業者年金の制度として取り入れていく、ひとつ来年までに積極的に前向きに検討し、一定の方向を出してもらいたいというふうに思うんですが、どうでしょうか。
#61
○国務大臣(武藤嘉文君) 私のいま申し上げたように、経営移譲年金をもらえる六十から六十四歳の間に、万が一お亡くなりになったときに、その残った分の権利をどうこうしてくれという話については、一遍検討してみたいということをお約束をいたしておりますので、検討さしていただきます。なるべく結論を来年の財政再計算期までに出せるように努力をさしていただきます。
#62
○村沢牧君 主婦年金についてもですね。
#63
○国務大臣(武藤嘉文君) 主婦年金は、先ほど申し上げておりますように、これはもう大変むずかしい、制度的にもむずかしいのでございまして、先ほど申し上げたように、権利関係をはっきりしていただければ、私ども、その奥さんだっていいと、こう申し上げておるわけでございますので、そういう点でありまして、権利関係は御主人の方に残ったままで奥さんに出せというのは、これはもう正直申し上げてむずかしい問題でございますので、これは検討しても、結果的にはノーという答えが――いまの政策年金の、この年金制度そのものの目的と申しますか、制度そのものを変えないことには、私はそれはもう困難であると、こう思っております。
#64
○村沢牧君 その問題ばかりやっておると時間がかかりますから、次に進みますが、次は、老齢年金ですね。先ほど来指摘をしておりますように、本法は、その第一条において、「農業者の老後の生活の安定及び福祉の向上に資するとともに、」というふうに規定をしておるわけです、しかし大臣、現在の制度によって算定される農業者老齢年金は、この目的を達成するにほど遠い水準だと言わなければならないと思いますが、大臣はどういう見解を持っていますか。
#65
○国務大臣(武藤嘉文君) やはりどうも同じ答弁になりますけれども、経営移譲年金という政策年金の方にウエートを置いておりますので、農業者老齢年金はある程度福祉的な性格を持っておると思うのでございますけれども、これについては、思い切ってこれを増額をするということはこの中では大変むずかしいのではないか。やはりそういう点は、国民年金と合わせた中でひとつ福祉関係はお考えをいただかなきゃならないのではないか、こう考えておるわけでございます。
#66
○村沢牧君 農業者年金の老齢年金は国民年金の付加年金であるから、なかなかむずかしい、低くともやむを得ないというような答弁ですけれども、しかし、老齢年金の上積みに要する財源というのは保険者の積み立てたものですね。すなわち、六百五十円掛ける保険料納付月数掛ける改定率、こういう支給率の仕組みは、掛金とそれに運用利息をプラスした額を取り崩して受給者に交付するという、こういう仕組みであって、国庫がほとんどめんどうを見ておらない。
 そこで伺いますけれども、第一点は、やむを得ず経営移譲ができなかった者の六十五歳以降に受給をする老齢年金の額が、保険料に比べて必ずしもメリットがないではないか。
 第二点として、同じ額の保険料の納付をしておるにもかかわらず、経営移譲した者としなかった者との年金受給額の格差が余りに大き過ぎるではないか。
 第三点としては、農業者年金という同じ年金法の中にあって、経営移譲に要する額の三分の一がこの法律によって国庫負担だと。しかし老齢年金の給付に要する額については国庫負担がない。この矛盾はどういうふうに考えますか。
#67
○政府委員(杉山克己君) 保険料が支払われる、それに対して老齢年金はメリットがないのではないかという御趣旨でございますが、これは老齢年金、何歳まで生きて、その受給期間がどのくらいになるかというようなことでもってずいぶん前提の計算が違ってまいります。しかしながら、一般的には、平均余命が六十歳以後大体十五、六年から二十年くらいはあるというふうに考えられるわけでございます。そこで、一応十六年間、六十五歳以降老齢年金が受けられるというふうに考えますというと、保険料は、掛金の期間が五年間であるとしますと、六万三千円でございます。これに対して、その十六年間受給される老齢年金の額は六十三万七千円と、大体十倍くらいにはなるわけでございます。受給期間がごく短くて亡くなるというような方はそうはいかないわけでございますが、一般的にはかなりメリットがある金額ではないか。これが保険料を掛けた期間が長くなりますと、保険料の負担も大きくなりますが、年金の額も大きくなる。保険料を十年納められたとしますというと、その期間中の保険料総額は二十七万四千円、それに対して六十五歳以降の老齢年金の十六年間の受給総額は八十三万六千円というようなことになるわけでございます。
 それから格差の問題でございますが、これはやはり経営移譲という事柄に対して経営移譲年金が交付されるのだということでございますので、その格差が生ずるのは、これは性格上やむを得ないのではないかと私ども思うわけでございます。
 それから国庫負担の問題でございますが、これは一般に、老齢年金支給については国庫負担は行わないということになっておるわけでございます。ただ、私どもその農業者年金の仕組みの中におきましては、これはどの掛金というふうに、どの保険料というふうに特定してはおりませんが、総体的に一般的な保険料を納める時点、徴収時点での国庫負担をほかの年金とは別な形で三分の一負担しておるということがあるわけでございます。
#68
○村沢牧君 年金法という国の法律の中にあっても国庫負担がない、これは民間の保険会社の保険と同じことになるわけですね。
 老齢年金は五十六年の二月、来年から支給が開始されるわけなんです。農業者年金制度が始まってから、十年掛けて、来年二月、老齢年金受給者の第一回の年金額は幾らになりますか、数字だけで結構です。
#69
○政府委員(杉山克己君) 初めに、先ほど私の答弁の中で、国庫負担の点若干不十分でございましたので、もう少し補足して申し上げさしていただきますというと、国民年金の方では老齢年金に対する国庫負担がある、それに対して農業者年金でなぜないのか、この格差の問題はどうかということでございますが、これは老齢年金の場合、国民年金の場合、自営業者一般については、農業者も同様に国庫負担が行われるということでバランスが保たれておるわけでございます。これを農業者年金の老齢年金についてさらに国庫負担を行うということになりますというと、これはそういうバランスが崩れるという問題もございます。
 それから先ほど申し上げたことになるわけでございますが……
#70
○村沢牧君 局長、答弁中ですがね、質問に答えてください、大臣の時間もあるようですから。
#71
○政府委員(杉山克己君) わかりました。
 そういうことで、給付については、バランス上国庫負担がないということを申し上げたわけでございます。
 それから五十六年に初めて支給される老齢年金の額は らになるかということでございますが、老齢年金は五十六年二月から支給が開始されます。二月に受給するのは大正五年一月二日から二月一日生まれまでの者で、その老齢年金の月額は四千百八円となる見込みでございます。
#72
○村沢牧君 来年二月から老齢年金を支給されるけれども、十年掛けて四千百八円。大臣、いまの経済情勢でもってこれが年金と言える額でしょうかね。
#73
○国務大臣(武藤嘉文君) 五年だけでございますから四千百八円ですが、十年になれば八千二百十七円、十五年になれば一万二千三百二十五円ということで、これはやっぱり保険だものでございますから、保険というのは、やはりある程度掛けていけば結果的により多くもらえるし、掛けるのが少なければなかなかもらえないと、こういう仕組みになっておるものでございますから、金額的にはそういうことになっておると思います。しかも、先ほど局長から補足的に答弁がございましたように、拠出時に、いわゆる保険を掛けるときに国庫補助があるわけでございまして、当然その国庫補助というものは、そういう意味からいけばこの農業者老齢年金の分も含めてと、こう考えるべきだと私は思うわけでございまして、不十分ではあろうかと思いますけれども、そういう年金で、拠出時に、保険を掛けるときに国庫補助をしているのはたしかこの年金だけだと私は承知いたしておりますので、そういう点では、十分ではないかもしれませんけれども、ある程度の手当てはさせていただいておるのではないかと、こう考えておるわけでございます。
#74
○村沢牧君 私ども社会党は、この老齢年金の額がきわめて低い、それから必要な財源はやっぱり国庫負担をすべきだということを毎回主張し、修正案も出してきておるわけなんですけれども、同時にこの国会の委員会においても、衆参両院を通じて農林水産委員会で、農業者の老後の安定的な生活が維持できるように、年金給付の開始時までに速やかに給付額の引き上げに努めるべきだと、こういう付帯決議をずっと続けてきておるのですね。これに対して、一体農林水産省当局はどのように検討しておるのか。来年の再計算時において何らかの措置を講ずるのか。ともかく衆参両院とも与野党一致で指摘している問題でありますから、これはひとつ前向きな答弁をお願いしたいんですね。
#75
○政府委員(杉山克己君) 附帯決議は、老齢年金の問題だけでなく、幾つかちょうだいしておるわけでございます。これらの問題については、それぞれ部内におきましても検討もいたしておりますし、それから、農業者保険の制度研究会におきまして研究も続けておるわけでございますが、なかなか制度の根幹にかかわる重要な問題であるというようなことで、まだはっきりした結論は得ておりません。ただ、困難な問題であるということでのたくさんの議論をちょうだいいたしている段階でございます。
#76
○村沢牧君 大臣の時間があるようですから、大臣に聞きたいことだけ最初に質問しておきますけれども、まず保険料ですね。後ほどお聞きしますけれども、農業者年金基金の財政状況も決して容易なものではないというふうに思うんです。したがって、五十六年度の財政再計算期においてはかなりの保険料を上げなければならないのではないかという憂慮される面もあるわけです。しかし、保険の加入者の状況等を見るならば、保険料はそんな急激に上げるべきではない。保険料を余り上げないとするならば、大臣も先ほど言われたように、この年金は、出口も入り口も国庫補助に誘導されておるわけですね。一体この国庫補助を今後どういうふうにつけていくか、このことが一番大きな問題でありますけれども、その点について、今後における大臣の見解を聞いておきたいと思います。
#77
○国務大臣(武藤嘉文君) 確かにいまの状況を見ておりますと、ある程度保険料を、財政再計算を来年やって五十七年一月からと、こういうことになっておりますが、どうも保険料を上げざるを得ないのではないかということは十分予測されるわけでございます。
 そこで、それに対して国庫補助の問題はどうかと、こういうことでございますが、先ほど来申し上げておりますように、そういう保険料を掛けるという拠出時に国庫補助がなされておるというのはこの年金だけでございまして、そういう点においては、金額的と言うよりは、制度的には手厚い制度だと私は思うのでございます。そこで、特にいまのような国の財政状況からいたしまして、なかなか国庫から、国庫負担をもっとより多くしろということは、議論は当然しなきゃならぬかと思っておりますけれども、大変むずかしい問題ではないかと、こう私は受けとめておるわけでございます。
#78
○委員長(青井政美君) 武藤農林水産大臣は、予算委員会御出席でございますので、御退席いただいて結構でございます。
#79
○村沢牧君 大臣は二十五分までいいというわけじゃなかったですか。
#80
○委員長(青井政美君) 十五分。
#81
○村沢牧君 十五分ですか。
#82
○委員長(青井政美君) 何か向こうが早くなったので……。
#83
○村沢牧君 理事会の決定は二十五分だったように聞いたんですが、委員長。
#84
○委員長(青井政美君) 後から委員会からの要求がございまして、十分早く予算委員会から御出席を……
#85
○村沢牧君 ああそうですか。わかりました。
#86
○委員長(青井政美君) いや、そこへ、あなたのところにメモを持っていったんです。
#87
○村沢牧君 私、見ていませんよ。
 委員長、お伺いしますが、常任委員会――予算委員会も大事ですが、担当大臣としてはどちらを優先すべきだというふうに、委員長はどのようにお考えになりますか。
#88
○委員長(青井政美君) 私は、やはり予算委員会が国会の場合においては優先すべきものじゃないかという考え方を持っております。したがって、予算委員会からの出席要求が二十五分という御要請でございまして、二十五分にしておった。ただ、十分間早く、向こうの審議の経過があるので、大臣の出席要求があるということで……。
 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#89
○委員長(青井政美君) 速記を起こして。
#90
○村沢牧君 次は物価スライドについてでありますが、農業者年金の年金給付の改定率は、昭和五十四年度の全国消費者物価指数の平均上昇率に見合ったものとされているわけであります。現在のところ、年度の途中でありますから、五十四年度の物価上昇率がどの程度になるかということは明らかでないわけでありますけれども、この法律の提出時においてはほぼ四・七%程度になるのではないかというふうに見込まれていたというふうに聞いております。しかし、三月におけるかなりの激しい消費者物価の上昇によって、当初の見込みを上回ることは必至の情勢にあるというふうに思うんですけれども、現段階における予想はどうなんですか。
#91
○政府委員(杉山克己君) 確かに最近の物価の上昇は、ある程度従来予想しておったより大きく出てきておるのではないかというような観測もございますが、これにつきましてはまだ正式な経済企画庁の数字が出されておりません。私、この席で具体的な数字を申し上げるのは、大変権限を越えるような話でございますので、そこは控えさしていただきますが、ただスライドの考え方は、私ども年間の実際に出たところの上昇率をとるということで、確かにこの法案を出した時点での見通しは上昇率四・七%でございましたが、実績がそれより年間を通じて上がりますならば、その改まった数字を採用するという考え方でおるわけでございます。
   〔委員長退席、理事片山正英君着席〕
#92
○村沢牧君 五十五年度の消費者物価の上昇率は、政府の見通しの六・四%を上回ることは私は避けられない情勢だというふうに思うんですね。ところが、農業者年金は年金給付額が低いということ、あわせて物価スライドが一年後追いである、こういう中から、今度の法改正による物価スライドはきわめて厳しいものがある、こういうふうに断定せざるを得ないと思うんです。ほかの年金と比較することは無理としても、国民年金は再計算によって七月から七%スライドされるんです。こういう現実の中から、国民年金の額が改定をされた月分以後、すなわち七月からスライドさせるんではなくて、もっとさかのぼって本年度に限っては給付額を引き上げていく、こういう提案をすべきだというふうに思うんです。あるいは、国民年金に支給開始月を合わせるならばアップ率も国民年金に合わしたらどうか、こういう意見も出てくるんですけれども、その辺はどういうふうに考えますか。
#93
○政府委員(杉山克己君) 支給時期の問題はまさに横並びの問題でございまして、年金一般が七月ということならば、農業者年金も七月ということで考えざるを得ない、それに合わすということでございます。
 ただ、その年金の上昇率について何を基準にとるべきかということになりますというと、御承知のように国民年金は五十四年度に財政再計算を行い、いま五十五年度の給付額をそれに基づいて引き上げるということをいたすことになっておりますが、農業者年金の場合は財政再計算は五十五年度に行うということにいたしておりまして、まだそれを行っておりません。しかし、行っていないからといって引き上げないというわけにはいかないということで、私ども、むしろ物価スライドということから言えば、五%を物価上昇率が下回る場合は引き上げる必要があるのかないのかという議論があったところでございますが、バランスを考えて引き上げるべきである。ただ、その場合の上昇率は、ほかの年金のように財政再計算というような明確な算定の根拠があるわけではございませんので、物価上昇率をそのままとるということにいたしたわけでございます。事情はそういうことでございますので、今年については確かに国民年金の上昇率と差を生じますが、これはやむを得ないことということで御理解いただきたいと存じます。
#94
○村沢牧君 今回の法律改正について、「国民年金の老齢年金の額が改定をされる月分以後、特別に年金給付の額の引き上げを行う」、こういうふうに提案をしていますね。ここで「特別に」と言っていることは、国民年金が財政再計算に当たっているために国民年金法に準じて農業者年金のスライドをすることができないから特別にやるという意味なのか。それとも、五%に満たない改定であるから「特別に」というふうに言っているんですか、どういう解釈なんですか。
#95
○政府委員(杉山克己君) 財政再計算を行っていませんので、それに基づく引き上げは行い得ない。したがいまして、国民年金に自動的にスライドさせるということには、スライドといいますか、横並びさせるというわけにはいかない。しかし、上げないわけにはいかない、バランスを考えたらやはり上げるべきではないか。しかしその場合、従来のルールからいたしますというと、物価上昇率年度間五%を下回る場合は一般なら上げられない。しかし、今回はその点は特別に農業者年金についても上げることをいたしたいということで、物価上昇率五%を下回っているというように見込まれるけれども、ということを「特別に」ということで表現したわけでございます。
#96
○村沢牧君 国民年金に準ずることができないから特別に措置をしたということです。それはわかりますけれども、それでは今後とも、物価指数が基準年度の百分の百を超えた場合には、たとえそのことが五%に満たなくても特別に今後とも上げていくのか、その点はどうなんですか。
#97
○政府委員(杉山克己君) この五%の論議の問題は、これは年金制度一般の中で取り扱いが決められるべきだと存じます。その意味では、今回の私どもの提案いたしております法律はまさに今年度の特例と、今回限りということで考えております。ただ、一般的に、今後五%を下回った場合どうするかということは、これは厚生省とも御相談してそのバランスの中で取り扱っていくべきだというふうに考えております。
#98
○村沢牧君 次は、離農給付金について聞きますけれども、離農給付金はこの制度が発足してから五十四年度末までに合計して二万二千八百六十四件、約百五十億円の給付金が支給されておるわけです。基金にお聞きをしますけれども、農林年金基金は、この支給効果について、昨年ですか一昨年ですか、実態調査を行ったというふうに聞いておるんですけれども、その結果どのようなことが明らかになったのか、成果と改善をすべきと思われる点について説明をしてください。簡単で結構です。
#99
○参考人(内村良英君) 離農交付金の交付に伴いまして、離農が一経営全体の農地について行われたということで規模拡大に非常に貢献したということがはっきりしているわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、その調査書の中で、十年たった後におきましても何らかの形でこれは延長すべきだという結論を出しておるわけでございますが、それに基づいて今度の法改正がなされたものかどうかわかりませんが、私どもといたしましてはそういうふうに評価したわけでございます。
#100
○村沢牧君 この実態調査の中において、すべてがいいわけではなかった、すべてが成果を上げているわけではない、その中で今後やはり改善をすべきだ、あるいはもっと内容を改めるべきだと、そういう点についても調査をしたんですから、ある程度のものが出ておるというふうに思うんですが、それはどういうふうに考えますか。
#101
○参考人(内村良英君) 一部の地方におきまして、その地方における慣習から、直系卑属に対して経営移譲して離農給付金が出ているというケースがございます。それはちょっとこの離農交付金の性質から見て問題ではないかというふうな指摘がございました。
#102
○村沢牧君 いずれこの実態調査の結果は、理事長さん、きょうは時間がありませんけれども、もう少し詳しくお聞きをしたり、あるいは皆さんの調査結果表等も見せてもらいたいというふうに思います。
 そこで、今回離農給付金の実施期間を十カ年間延長しようとする具体的な理由は何ですか。
   〔理事片山正英君退席、委員長着席〕
#103
○政府委員(杉山克己君) やはり今後とも離農を促進して、経営の若返りなり、同時に経営の規模の拡大ということを図っていくことは一層必要であるというふうに考えたわけでございます。それと、いま基金の方からもお話ございましたように、現在までの離農給付金の実績を見ますというと、実績の件数にしましても金額にしても、金額で百五十億というようなかなりのものが出て、その成果もかなり上がったというふうに見受けられるわけでございます。そこで私どもやはり現在の状況から、法を改正して引き続き行うということを考えたわけでございます。
#104
○村沢牧君 農業調査結果の報告書によりますと、五十三年一月現在、世帯主の年齢が五十歳以上で、生計をともにする後継ぎのない農家は、総農家数の二一%に当たる百一万戸あります。このうち、六十歳以上の高齢世帯が四十六万戸ある。今回、十年間延長するとして、この期間にどの程度の成果を期待をしているんですか。
#105
○政府委員(杉山克己君) 従来程度のぺースでの離農は出てくるというふうに考えられますが、私どもこの十年間ではおおむね二万五千から三万件程度は出てくるのではないかというふうに推定をいたしております。
#106
○村沢牧君 今回の延長によってこの離農給付金制度の対象になる人は、主として被用者年金の加入者、こういうことになろうというふうに思うんですけれども、これらの者に対する過去十年間の実績あるいは今後の見通し、これはどうでしょうか。
#107
○政府委員(杉山克己君) これは件数で言いまして、七千八百九十五件というのがいままでの実績でございます。ちょっと金額的にはここへ出ておりませんので、後ほど申し上げますが、今後は、いままでの十年間でもって七千八百九十五、そして年間は六、七百といったような水準でございましたが、これを下回ることはない。むしろこれを若干上回るようなペースで出てくるのではないかというふうに、きわめて大ざっぱでございますが、そういう観測をいたしております。
#108
○村沢牧君 それでは、離農給付金の支給要件なんです。離農給付金の額については、改正前は、改めて申すまでもありませんが、年金に加入できない者は百三十八万円、その他の者は五十九万円、こういう二本立てになっておったわけであります。今回の改正で一律六十二万円にしておるわけですけれども、六十二万円という額を算出をした根拠は何ですか。
#109
○政府委員(杉山克己君) これは、現行の給付額が五十九万円である、そのことも参考にしながら、同時に、離農した場合、農業資本が固定化されたものがこれがむだになってしまう、これを処分するというと損が発生する、その額はどのくらいか、平均的に一応算出してみましたところ、おおむね六十二万円の水準になっておりますので、そういうものを、補償というわけではございませんが、配慮してこの六十二万円という単価を決めたわけでございます。
#110
○村沢牧君 この六十二万円は固定的なものではないわけですね。それで、再計算期においてはさらに上がる可能性がありますか。それはどうなんですか。
#111
○政府委員(杉山克己君) 将来の単価につきましては、いまここでなかなかお約束するようなわけにはまいらないかと思いますが、経済の著しい変動あるいは再計算の結果、全体としての取り扱いをどうするか、その中でこの単価をどうするかということはやはり検討される問題であるというふうに考えております。
#112
○村沢牧君 そこで、次は離農給付金の中身ですけれども、農地の出し手、この範囲は今回の改正でどのようになってくるのか、いままでとどういうふうに違ってくるのかということですね。同時に、農地の今度は受け手ですね、受け手についてこれは改正前よりも限定をしたんですね。なぜ限定をしたのか。
#113
○政府委員(杉山克己君) まず離農給付金の対象者、これは従来とどう変えたかと。これは今後政令等によって詳細規定していくわけでございますので、いま私どもの予定しているところでございますが、どう変えるのかということでござい一まず。これにつきましては、従来の支給対象から除外されておりました、被保険者期間三年以上あった者で脱退した者、こういった人たちについても、特定のケース、面積がごく小規模で本人の意思でもってやめてしまったというような者は除きまして、支給対象に加えるということにしております。これはやはり三年以上保険料を掛けておった人で、そして厚生年金等に加入したため加入資格を失って脱退するというような場合は、これはやはり離農給付金の対象として考えていいのではないかということで、従来より広げたわけでございます。
 それから、老齢年金のみの受給者、六十五歳以上になりまして、経営移譲を行わなかったために老齢年金だけしか受けられないという方がいらっしゃる。こういう人が後継者がない場合、まあ第三者に経営移譲を行う、これは従来は交付の対象、支給の対象とされておりませんでしたけれども、こういう方も、特に理由のある者については対象としていいのではないかということで考えておりますが、ただこれは、年金制度全般との関連の議論もございますので、まあそういう方向でやりたいという考え方のもとに、関係方面とも打ち合わせをしながら検討を進めているところでございます。
 それから、経営移譲の相手方をなぜしぼったのかということでございますが、これは安定兼業農家等の保有する農地を専業的な農家に集積するという従来の方向、これをさらに一層強める、誘導するということで、経営移譲の相手方を農業者年金の加入者等ということにいたしたわけでございます。
#114
○村沢牧君 それらの考え方が、先ほど私が指摘をしたように、最近の構造政策のあり方の、農地を流動化さしていくんだ、そしてこれは所有権を伴わず貸し借りでやっていくんだと、こういう法律を出すわけですね。それらと関連をして、いままでのような解釈でいいのかどうか、あるいはこういうように制限をしていいのかどうか、その辺を局長はどういうふうに考えますか。
#115
○政府委員(杉山克己君) 先ほどもお答えいたしましたように、所有権だけでなくて、十年以上の賃貸借という形のものも認めることにしておるわけでございます。私ども、ただ経営移譲の相手方、できるだけ集中して、そして専業農家の規模拡大に資するように持っていきたいということを考えておるわけでございまして、その意味では相手方はしぼっておりますが、運用上、特段の支障はないだろうと考えておりますし、まあそういうことで、農家の方にも御協力願いたいというふうに考えておるわけでございます。
#116
○村沢牧君 受け手をしぼるということと、局長はいまの農業の構造をどういうふうに見ているかということですね。専業農家も減少をしてくる、いわゆる皆さん方が期待をしている中核農家も全農家数の二三%程度、これも年々減少してくるわけですね。こういう中からこの離農給付金をどういうふうに誘導していこうとするのか、この辺はどうなんですか。
#117
○政府委員(杉山克己君) 日本の農業経営は、申し上げるまでもなく零細小規模なものが多いわけでございます。この規模の拡大ということを考えていきます場合、やはり後を経営する担い手、これは数がある程度減っていくということは、むしろある意味で合理化といいますか、農業経営の安定を図る上で、生産性を上げる上で意味ある望ましい方向というふうにも考えられるわけでございます。その意味で、これは社会的経済的な一般条件の推移に伴ってでございますが、専業農家あるいは中核農家の数が減っていくことは、これは私は一概に否定すべきことではないというふうに考えるわけでございます。そういうえり抜かれたといいますか、残る選ばれた農家に対してできるだけ農業を雑れていく人たちの農地を集積していく、そういう意味でこの年金はほかの政策とも相まって規模拡大、農地流動化に貢献し得るものと考えております。
#118
○村沢牧君 局長は、農地法改正等についても局長のところで取り扱うのだというふうに思いますけれども、農地法を改正しよう、流動化を促進しようとする一面の考え方といまおっしゃることと非常に矛盾があるんですね。農家が減っていくのはやむを得ない、あるいは中核農家も減るのもこれも近代化に役立っていくんだというようなことですけれども、中核農家が減っていくのはやむを得ない、そういう見方でおるんですか。じゃだれが農業を担当していくんですか、あなた。基本的な問題ですからもっとはっきり答弁してください。
#119
○政府委員(杉山克己君) おっしゃられるように、優良な中核農家を本当に必要な数だけ確保しなければならないという、これは当然考えなければならない問題でございます。ただ、どの程度の水準がいいのか、いまより減っては絶対まずいのかということになりますと、これは一つは社会的経済的な条件で減るという事態もございますが、農業経営の立場から見ても、いまより減ったら絶対困ると、絶対それが悪いことだというわけでは私はないと思います。ただ、はっきり言えというふうに言われましたが、いまその意味では農産物の需要と生産の長期見通し、そのほかのビジョンの設定を農林水産省といたしましては農政審議会にもお諮りして急いでいるところでございますが、そういう将来の中核農家のあり方、またその規模――規模といいますのは、経営規模というよりはむしろ人数等も含めて全体の規模、それはどの水準に設定すべきかということについてはなお検討を続ける必要があろうかと考えております。
#120
○村沢牧君 中核農家がどの程度の水準なら妥当だということについては、局長の認識と私はかみ合わないんですが、これは後日また別な法案が出たときにじっくり討論をしたいというふうに思うんです。
 そこで、離農給付金を延長するからにはその内容の充実改善が図られてこなければならないわけでありますし、同時に、先ほど来指摘をしておりますように、中核農家を育成をしていくという政策目的にも合ったものでなくてはならないと思うんです。
 そこで、私は具体的にお伺いしますけれども、たとえば農地法等の改正に伴って農地流動化に対応したことによって結果的に離農した、あるいはまた集団的に農地流動化に結びついた離農、さらには現行法律では除外をされている農業者年金の被保険者が離農された場合、これらもやはり、もちろん離農資金の支給対象になっている面もありますけれども、これらをもっと内容を充実をする、あるいは格段の措置をとる、こうしたことが求められておるのではないかというふうに思いますけれども、この辺はどうでしょうか。
#121
○政府委員(杉山克己君) 農地制度の改正を今回改めてお願いするということにいたしております。そのねらいといいますか、考え方と農業者年金の意図しておりますところ、これはもちろん密接に関連いたしております。ただ、制度そのものとしてこれが直接関係づけられているわけではございません。その意味では、先生のおっしゃられたような趣旨を実現していくのは、現行制度なり、現行の予算なり、行政の体系の中でそういう趣旨にかなうような運営を図っていくということであろうかと存じます。その意味では、農用地利用増進法ということで計画に基づいて農地の提供が図られる場合、そういったその事業を推進するために、出し手と受け手を結びつけるような活動を市町村等にお願いする。さらに、そういったものが実現した場合には、実現したケースに対して奨励金を交付するといったような形で、市町村や当の権利の移動のあった方たちに予算的な助成をするというようなことで側面的な対策はとっているわけでございます。そのほか、農林水産省のあらゆる行政、やはりそういう大きな農地流動化に資するというようなことに向けて効果あるように、総合性をもってこれが運営されていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。
#122
○村沢牧君 構造改善局長、何回か指摘をしておりますが、農水省の中における一つの構造政策の考え方も従来と変わってきた面がある。したがって、農業者年金といわず、その他の農業に関係をする法律なんかについても、現行制度の中で合わせていこうというその無理な努力をするのじゃなくて、思い切ってやっぱり現行制度の改定をしていくんだと、そういう一つ前向きな取り組みを私はこれは要請しておきます。
 それから、先ほど保険料について大臣に聞いたわけでありますけれども、今回の物価スライドと保険料との関係についてでありますけれども、まず一つは、五十五年の一月以降の保険料は幾らになり、前年と比べて幾ら上がっているのかということ。二つ目には、今回の改正によって五十六年一月以降の保険料はどのくらいになるのか。それから第三点として、これらの保険料の値上げあるいは給付額の物価スライド等々と関連をして、財政収支の現状と今後の見通しについて、これもひとつ財政問題については基金の方からも答弁をお願いします。
#123
○政府委員(杉山克己君) まず前段の御質問でございますが、年金額の改定が行われた場合には、保険料につきましても法の規定によって所要の調整を行うこととされております。具体的には、年金額の引き上げ率に見合った率、この際は四・七%を見込んでいるわけでございますが、これを昭和五十六年一月以降引き上げるということになります。額は、一般保険料につきましては三千九百七十円が四千百五十円、それから特定保険料が二千八百三十円が二千九百六十円というふうに見込まれるわけでございます。
#124
○村沢牧君 五十五年一月の保険料は答弁ありませんね。
#125
○政府委員(杉山克己君) 五十五年一月までは、いま申し上げました三千九百七十円が保険料ということになるわけでございます。
 それから、年金財政の現状でございますが、足りないところはまた基金の方から補足して御説明申し上げるかと存じますが、御存じのように、年金制度全般の問題でございますが、遠い将来にわたりまして必要となる年金の給付が確実に行えるように、必要な収入を確保するいわゆる完全積立方式というものを現在この農業者年金はとっているわけでございます。こういう観点から収支を、財政的な問題を検討して見ますというと、従来年金の物価スライド引き上げを行いましたけれども、五十二年度からこれは三回にわたって行ったのでございますが、これに見合っての保険料の引き上げが時期的におくれたと、タイムラグがございます。そういうことによって積立不足が生じた、またさらに、経営移譲年金の受給者が当初の予想を上回って多く出た、こういう関係からやはり積立不足が出たということがございます。
 そういう積立不足をカバーするためには、これは五十四年に料金改定で一部カバーし得たのでございますが、なおさらに相当の保険料の引き上げが必要となるのではないかというふうに見られます。金額的に申し上げますというと、五十三年決算でもって約二千億の積立不足がございましたが、これはその後七百億ほど解消されまして、現在千三百億程度のなお積立不足があるというような収支の状況でございます。
#126
○参考人(内村良英君) 年金財政の問題につきましては、ただいま構造改善局長から御答弁があったわけでございますが、なお詳細ちょっと申し上げますと、現在の年金財政は完全積立方式でやっております。それで五年ごとに再計算することになっておりまして、次期の計算は五十七年一月までにやらなければならないと、こういうかっこうになっております。
 で、五十二年に再計算したわけでございますが、今後のいろんな問題を申し上げますと、第一には、当初見込んだ被保険者の数の増加が見られない。この点につきましては、先生から御指摘がございましたように、われわれといたしましては、一層加入努力をしてやらなきゃならぬわけでございまして、努力しておるわけでございますが、そういう問題が一つございます。それから、経営移譲の要件緩和に伴いまして、経営移譲年金の受給権者が当初の見込みを大幅に上回っている。これは、御案内のように、五十一年改正によりまして使用収益権による経営移譲を認めたわけでございます。その結果、見込んでおりました経営移譲率よりもかなり大幅に経営移譲がふえているということ、すなわち受給者がふえているというファクターがございます。それから、五十年度以降年金給付に物価スライド制がとられたということがございまして、これらの点から、現在、今後の年金収支というのは非常に財政上いろんな問題があるわけでございます。
 で、きわめて端的に申し上げますと、現在私どもは三千数百億の積立金を持っております。そこで、現在のまま保険料を上げないということでいきましても、大体大ざっぱに申しまして、昭和五十年代はそう困ることはないと。給付に困ることはない。大体五十九年ぐらいに積立金が最高になりまして五百億くらいになるような計算になっております。それが急速に下がりまして、全然保険料を上げなければ六十四年ぐらいで積立金がゼロになるというおそれがあるということになっておりまして、いずれにいたしましても、保険料を今後上げなければならないという問題がございます。
 ただ、私どもとして考慮しなければなりませんのは、現在農家は国民年金の保険料を払い、さらに私どもの年金の保険料を払っていただいておるわけでございます。国民年金の保険料も今後上がる見通しになっておりますし、さらに私どもの保険料が相当大幅に上がっていくということでございますと、農家負担の限界、まあこの種の社会保障的な経費についてどの程度の負担が合理的であるかということはまだはっきりした結論が出ておりませんし、私どもその辺に関心を持ちまして熱心に検討しておりますけれどもわかりません。しかし、いずれにしても限度がございます。
 そこで、そういった事態をどういうふうにして救済していくか。要するに年金制度でございますから、この制度は永久に続けなければいけない性質の仕事であることは当然でございます。したがいまして、そういった事態について対処する方式といたしましては、まだ役所の方でも御検討中だと思いますけれども、まず財政の計算方式をどうするかという問題が一つございます。それから国庫負担をどうするか、それからその他の制度的な手直しをするかどうかというようなやり方があるわけでございますが、この辺のところにつきましては、農林水産省、厚生省の方でいろいろ御検討になると思います。私どもといたしましても、現実に年金を運営している経験からいろんな御意見は出そうとは思ったんですけれども、一番心配しておりますのは、やはり農家負担の限界がどこにあるかということについて明確なる結論をなるべく早く出していただいて問題を考えるべきではないかというふうに思っております。
#127
○村沢牧君 いま基金の理事長から答弁があったように、年金財政も将来大変憂慮すべき事態が来ることはこれは必至だというふうに思うんです。そこで、私は先ほど大臣に指摘をしたんですがね、国庫負担をさらに上げなければならないということは大臣に指摘をいたしました。
 そこで、積立方式なんですけれども、先ほど完全積立方式だということを主張されておるんですけれども、農業者年金の場合において修正積立方式はとることはできないのかどうか。あくまで完全積立方式をずっと踏襲していかれようとする気持ちなのか。
#128
○政府委員(杉山克己君) 先ほど来御議論ありますように、一面で給付の改善を図りたい。それから保険料は上がるにしても農家負担には限界がある。国庫負担も、ほかの年金とのバランス等を考え国の財政事情を考えると、なかなかこれも増額しがたい。そういう中で完全積立方式を貫くことができるかどうかということになると、正直に申し上げまして大変むずかしい問題がございます。ただ、私どもといたしまして、農業者年金は加入者の年齢構成がほかの年金に比べて高うございます。それから将来加入者が減少するというような見通しが現在残念ながらあるわけでございます。そういうことをいろいろ考えて年金財政を健全に運営していくということでありますと、何とか完全積立の原則を堅持したいというふうにも考えるわけでございます。いま申し上げましたようなその各種の問題そのまま連立方程式をどう解くかということで、まさにこれから財政再計算の中で検討さしていただくということかと考えております。
#129
○村沢牧君 基金の業務内容について二、三伺っておきます。
 基金は農地の買い入れ、売り渡し事業を行っているわけでありますけれども、しかし、いままでの実績を見ると、四十六年から五十三年度まで買い入れ実績はわずか四千八十五ヘクタール、売り渡し実績は三千九百三十三ヘクタールですね。これは八年間に一年度平均五百十一ヘクタールですね。それからその売り渡し実績は四百九十二ヘクタール、こういう数字ですね。こういう実績の中から、これは目標に照らしてこの程度でいいのかどうかということが一点。
 それから、基金は農地受得資金の貸付業務を行っているわけでありますけれども、これは年利三%ということで、償還期限は三十年、大変魅力のある資金ですね。しかし、昭和五十三年度の貸し付けの対象になった農地等の面積ですね、これは前年度よりかなり下回ってきておる。従来は千ヘクタール以上が対象になっていたわけですけれども、だんだん減ってきたんですね。この減ってきたのは、一体その資金量が不足になったから減ってきたのか、それとも希望者が減少したから減ったのか、このことですね。
 それから関連をして、御承知のように最近の金融政策はインフレ回避と為替レートの維持のために高金利政策がずっと採用されており、公定歩合も間もなく一〇%にも達するんではないかと言われているんですけれども、このような背景のもとで三%というこの資金、これは維持できるのかどうか。私は維持すべきだというふうに思うんですけれども、その三点について基金の見解をお聞きをしたいというふうに思います。
#130
○参考人(内村良英君) ただいまの御質問に御答弁申し上げます前に、さっきの私の答弁でちょっと数字が間違っておりましたので訂正させていただきます。五十九年度に積立金が私が五百億と言ったそうでございますが、五千億の間違いでございますので、そこは訂正させていただきます。
 それからまず第一に、買い入れ、売り渡しが非常に少ないんじゃないかということでございます。この点につきましては、先生御案内のように、この買い入れ、売り渡し業務は大部分北海道で行われておりまして、今日まで内地でございましたのは山形、福島、福井、愛媛、熊本の五県のみでございます。なぜそんなに少ないのかということでございますが、何と申しましてもやはり売る人がいない。要するに北海道だと挙家離村というようなことがございまして、比較的農地が動いているわけでございますが、内地では御案内のようにもうほとんど農地は動かない……
#131
○川村清一君 内地とは何だ、内地とは、北海道は外地か。
#132
○参考人(内村良英君) いや、ちょっと北海道とその他という意味で申し上げたわけでございまして、別に他意はございません。
 ということで、非常に農地の動きがないというところから、私どもの買い入れ、売り渡しが少ないわけでございます。
 それから次に、資金がなくて融資ができないのかということでございますが、資金はございます。去年の実績でも、大体予定いたしました資金枠に対しまして六五%ぐらいの実績でございますから、金がないわけではございません。これもやはり農地に対するそういった需要がないというところから起こっていると思います。
 それから、現在の三分という金利でございますが、私どもとしては、これはどうしても維持していきたい、こう思っております。
#133
○村沢牧君 最後に、理事長、資金の問題について。これは農家にとっては利用すればいい資金だと思うんですね。そういう面で皆さん方の上部あるいは末端における取扱団体においてもPR不足、このことも否定できないと思うんですね。やっぱり宣伝も必要だと思うんですよ。そのことは一つ要請をしておきます。
 それから、農林省に要請しておきますけれども、三%のやっぱり金利は維持すべきだと、もしいろいろな形でもって維持できないとするならば、政府でもっていわゆる金利負担ですか、利子補給と申しますか、これらについても積極的に考えるべきだ、これは一つ要請です。
 それで、最後に基金の業務委託事業についてお聞きをしますけれども、農林年金の末端業務は、農業委員会や農協に委託をされておるわけでありますけれども、最近、加入促進だとか、あるいはいろいろな形で事業量がふえてきているわけです。今後さらに老齢年金等も支給開始になってくればふえるわけです。ところが、これに比べて農協あるいは農業委員会の担当する職員が大変なんですね。忙しい仕事であるけれども、それに見合う委託料が少ないということ。したがって、これが超過負担になっており、あるいは委託団体に大変に迷惑をかけているだけでなくて、事業の促進にも支障を来しておる。したがって、こうした現状の中から、やはり専任職員を設置するなり委託費をもっと大幅にふやすべきだと、これは基金に要求しても政府がそれをやらなければなかなかできないことですけれども、そのように考えますけれども、五十五年度はどういうふうに対処しようとするのか。そのことを一点お聞きをしたいし、五十五年度の皆さんの対処の仕方によって、一農業委員会あるいは農協当たりはどのくらいの委託費がふえてくるのか。そのことですね。こうした委託費の問題も含めて、今後の基金の業務推進体制をどのように改善をして体制整備を図っていかなければならないとお考えになっていますか。
#134
○参考人(内村良英君) 農業者年金基金といたしましたは、ことしの十月で十年になるわけでございます。この十年間ここまで年金業務が伸びてきました背景には、実際に業務を担当していただいている農業委員会あるいは農協の職員の方々の努力に負うところが非常に多いわけでございます。そこで、私どもといたしましては、できるだけ委託費をたくさん出したいということで主務省にお願いしているわけでございます。この点につきましては、主務省の方もよくわかっていただきまして、かなり努力していただいております。そこで、五十五年度につきましては、この種の経費の中では私は農業者年金の委託費が一番伸びているのではないか。ほかの分野については必ずしも詳細承知しておりませんけれども、大体七%ぐらい、国の予算の伸び率に比べまして非常に伸びているということで、なお今後一層委託費の増額には努めなければならないというふうに思っております。
 それから、将来どうするのか、いまのままの体制でいくのかということでございますけれども、この種の事業の性質として農業委員会と農協でやっていただくのが一番いいと思っております。したがいまして、この体制を続けていくのがいいと思いますけれども、非常に大きな市町村になりますと、かなり事務量がふえているというところがございます。そういうところにつきましては、将来の問題として、やはりできれば専任職員を置くというようなところまでやっていただきたいと思いますけれども、これも国の財政が絡んでくる問題でございまして、なかなかむずかしい問題があることは私どもよく承知しております。その中で極力業務体制を整備するように一層努力したいというふうに思っているわけでございます。
#135
○村沢牧君 答弁漏れ一つ。理事長、委託費が七%伸びているという答弁があったわけですけれども、私が質問した一つは、伸びた委託費が一農協なり一農業委員会当たりにするとどのぐらい前年と比べて伸びており、そして今年度はどうかということです。わかっておったら答弁願いたい。
#136
○参考人(内村良英君) 五十五年度の計画でございますけれども、農協に対する委託費は大体六・七%の伸び、農業委員会に対する委託費は九%の伸びと、こういうふうに予定しております。
#137
○村沢牧君 時間ですから、終わります。
#138
○委員長(青井政美君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時開会することといたしまして、休憩いたします。
   午後零時六分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三分開会
#139
○委員長(青井政美君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、農業者年金基金法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#140
○初村滝一郎君 私は、質問に入る前に、先般長崎県壱岐郡の勝本町でイルカ騒動事件がありましたね、御存じと思いますが。これは、長崎地方裁判所で、悪質事件だということで米国人のハワイ州環境保護運動家でデクスター・ロンドン・ケートという三十六歳の壮年を起訴したわけですが、これに関係して、政府としてはどのような見解を持ち処置をされたのか、御答弁をお願いしたいと思います。
#141
○政府委員(今村宣夫君) 長崎県の漁民の方々が漁場に来遊しますイルカのために、ブリだとかイカ等の漁業に被害をこうむるために、イルカを捕獲いたしまして処理をいたしたわけでございますが、漁場の維持保全という観点からそういう措置をとる事情にあることは私たちとして十分承知をいたしておるところでございます。しかし、まあ外国の一部の環境団体の方々の考え方からしますと、イルカのそういう捕獲処分ということについては非常に残酷であるということで反対をいたしておるわけでございますが、私たちはそういう漁業者の方々が被害を受けることによるイルカの捕獲処分ということはこれは十分理解をされるところでございますので、そういう反対の向きにつきましては、水産庁としては、外務省、在日大使館等を通じまして、イルカの捕獲に関しますわが国の立場を説明をしまして理解を深める努力をいたしておるところでございます。
 世界には物の考え方をいろいろする人がございますが、たとえば豚肉を食べない民族、国民もおるわけでございまして、その人たちから見ると豚肉を食べるのは残酷であるということになるかもしれませんけれども、世界にはいろいろな物の考え方をする人がおるのであるということと、したがって、自分たちがそういうことをやらないからそれが残酷であるということを考えてもらっては困るのであると、同時にまた、わが国の漁民というのはこういう形態で操業をしておるわけでありますから、そういうイルカの処分というのは必要なのであると、これは大使館その他を通じまして十分理解を深める努力をいたしておるところでございます。また同時に、政府としては、イルカによります被害防止のために、捕獲以外の手段を開発するということを目的にいたしまして、昭和五十三年から予算措置を講じまして、音波等を利用したイルカの行動制御技術に関する特別研究も行っているところでございます。
#142
○初村滝一郎君 答弁は少し簡単でいいです、時間の制約がありますからね。
 次に、農畜産物の価格の決定時期に来ておるわけでございますが、農畜産物の輸入数量に大きく影響されますので、輸入数量については、国内生産農家に悪影響を及ぼさない程度で輸入してもらわなければならぬと思いますが、その点。
 もう一つは、最近水産物が価格が低迷をしている。これはやっぱり外国からの輸入数量が漸次多くなっておるような資料をいまもらっておるわけですが、この点も生産者という立場を考慮しながら輸入をやってもらいたい。これに対して統一見解をひとつだれかやってもらいたいと思います。
#143
○国務大臣(武藤嘉文君) 農畜産物の輸入の問題でございますけれども、私は所信表明の中でも申し上げておったと思うのでございますが、やはり、日本の今後農業を考えますと、また一方、日本の安全保障という観点から食糧を考えていかなければならないという点から考えますと、できる限り国内で自給のできる、国内で生産のできるものについては極力国内で生産をし、どうしても需給の関係からいって足りない分については外国から輸入をすると、こういう一つの原則をやっぱり打ち立てていかなきゃならないと思っております。それで、その間にあって輸入をするときにおいても、当然日本の国内の農畜産業との調和と申しますか、そういうことを十分念頭に置いていかなければならないと思っておるわけでございまして、今後もそういう形で輸入には対処していきたい。
 ただ、そうは申しますものの、また制度上からまいりますと相当自由化されている面が多いわけでございますので、なかなか制度上からいくと――精神はそういう精神でございますが、制度上からいくとなかなかその精神がどう生かされていくかという点において実際の運営においてはいろいろ苦慮しなければならない点もあるかと思いますが、そういう考え方で、制度はそうあっても、その制度の中でできるだけそういう考え方が生かされていくように私は努力をしてまいりたいと、こう考えておるわけでございます。
#144
○初村滝一郎君 いよいよ質問に入るわけでございますが、私は漁業における後継者確保対策、これと漁民の老後保障の問題についてお尋ねしてみいたと思います。
 後継者対策についてお尋ねしてみますが、昭和五十三年の十一月の第六次漁業センサスの結果を見てみますると、漁業の就業者数はこの五年間に六・四%減少しております。前回のセンサスのときに比べれば減少率は鈍化しておるという形になっておりますが、男子就業者について年齢別に見てみますると、十歳代が三七・二%、二十歳代が八・七%減少しておりますね。その減少率はまだきわめて大きいものがあると考えます。そこで、漁業労働力はいまや中高年層、それとあわせて女子を主力とするように今日なっておるようであります。これは何も沿岸漁業だけではございません。若い労働力を必要とする沖合い漁業、あるいはまた遠洋漁業ですら着実に老齢化の方向に進んでおるわけでございますが、このままで十年もたちますと、漁業労働力の質はひどいものになるというふうに私は憂えざるを得ない。そこで、政府はこの点についてどのような見解を持っておられますのか、お伺いをいたします。
#145
○政府委員(今村宣夫君) 御高承のとおり、漁業従事者数は五十三年で約四十七万八千人でございまして、四十八年の約五十一万一千人に比べますと六・四%、年率にしまして一・三%くらい減少をいたしております。四十三年から四十八年の減少率が一四%であったことから見ますと、減少率は鈍化をしているのは事実でございますが、一部地域でUターン現象が見受けられますものの、新規学卒者の漁業就業者数も徐々に減って少なくなっておりまして、御指摘のように、全体として高齢化が進み、労働力の質的に低下していることは否めないところでございます。
 今後の漁業労働力についてどうであるかということでございますが、これは一つには、経済情勢がどういうふうな形で推移していくかということにもかかわるところでございまして、大きく的確に見通すことはむずかしゅうございますけれども、労働力の減少傾向は、減少率は低下するでございましょうけれどもなお当分進んでいくと、御指摘のような労働就業者の減少と老齢化、質的な低下ということは御指摘のとおりであろうと思っております。
#146
○初村滝一郎君 いま長官も、時にはUターン現象もあるんだということを言われたようでありますが、やっぱりこのUターンというものはこれはとるに足らない数字なんですよね。
 そこで、大体後継者難の原因はいろいろ考えられると私は思います。そこで、大体漁業者自身の努力だけではもうどうにも解決のできない問題ばかりであるということを正しく認識してもらわねばいけない、こういうふうに考えます。
 そこで、現在政府が後継者確保対策としてとっている対策らしい対策というものは、従来からありました水産業改良普及員による指導と、昨年つくりました沿岸漁業改善資金助成法の後継者等養成資金ぐらいのものじゃないか、こういうふうに考えます。そこで私は、この資金の飛躍的な拡充を図ることから始めなければならない、こういうふうに考えます。そこで、沿岸漁業改善資金の融資枠は、昨年は年度後半の十月から行ったわけでしょう、そうして二十五億円にとどまったわけです。これは平年度ベースに計算をしてみますと五十億円になるわけですね。しかるに、五十五年度の予算ではわずかに三十五億円しか見積っておらない、計上しておらない。私は、政府が漁業の実態と後継者難の深刻さを正しく認識しておらないのではなかろうかというような考えすら浮かぶわけなんです。この事例を見ただけでも非常に私も心配なんです。どうしてこのような小さい枠にとどまったのか。概算要求のときには四十二億五千万円であった。これは、聞くところによると各県の要求を積み上げたものだと聞いております。だからして、これじゃもう困るわけですから、どうしても来年度、ことしは言いませんから、五十六年度以降の増額は絶対考えてもらいたいと思いますので、その点の考え方、措置の仕方、これを御答弁願いたいと思います。
#147
○政府委員(今村宣夫君) 御指摘のとおり、今後の水産業を考えますときに、後継者の確保ということは何よりも重要なことでございます。御指摘の沿岸漁業改善資金は、五十四年度は二十五億でございましたのを、五十五年度融資枠を三十五億といたしたわけでございます。私たちとしてはできるだけの努力をいたしたつもりでございますが、伸び率として四〇%程度にとどまったということでございますが、来年はしっかり枠をとれというお話でございますから、来年度におきましては十分この点御指摘の点を心にとめまして、この資金枠の拡大につきましては最善の努力を払いたいと思っております。
#148
○初村滝一郎君 昭和五十三年に行われました水産業に関する意識調査によると、雇われて漁業に従事している人、すなわち漁業従事者の国の施策に対する要望の中で、ずば抜けて大きな比率を示しておるのが社会保障の充実であることを政府は御存じと思うんです。これは、国の施策に対する要望を七項目ほどあらかじめ設定して、その中から漁業者に柱を三つほど選んでもらった結果が、沿岸漁業層で実に八五・八%という者が社会保障の充実を挙げておるわけですね。また、沖合い・遠洋漁業層ですらも八〇・一%を挙げておるわけです。そうしますると、ほとんどの漁業者が社会保障を充実してくれと国に望んでおるわけですから、そういうことは十分おわかりと思う。それから、沿岸漁業経営体や中小漁業経営体を対象とした設問には社会保障の項目がありませんので、その希望の有無はこの調査だけからはわかりませんが、私が漁村を回ってはだで感じた限りでは、これらの人たちも漁業従事者と全く同じであると言い切れます。同じ設問を、どうして沿岸漁業経営体あるいは中小漁業経営体に対してしなかったのかと不思議に思うわけですね。また、社会保障の内容としてはどのようなものを念頭に置いて設問をされたのか、明らかにしていただきたいと思います。
#149
○説明員(柳井昭司君) ただいまの意識調査でございますが、五十三年の八月一日現在で、沿岸漁業経営体あるいは中小・大規模漁業経営体、沿岸漁業従事者、水産加工経営体等、約一万三千を対象にいたしまして調査を実施したわけでございますが、それぞれ調査の項目の設定に当たりましては、それぞれの経営体なりあるいは漁業従事者が最も関心が高いというふうに思われる事項に重点を置きまして調査をしたわけでございます。したがいまして、沿岸漁業経営体なり中小及び大規模の漁業経営体の経営主あるいはその家族にとりまして、国民年金の給付内容の改善等、社会保障の充実につきましては関心が高いというふうに思ったわけでございますが、それ以上に、二百海里時代を迎えまして、漁場の整備、開発とか、あるいは水産物の価格安定対策とか、あるいは漁業経営を安定させるための諸施策とか、そういうような面により関心が高いのではないかというふうに考えまして、そういう設問をした次第でございます。
 なお、漁業従事者につきまして社会保障の充実という点で設問したわけでございますが、これにつきましては、船員保険制度とかあるいは国民年金制度、労働者災害補償制度とか、健康保険制度等の充実ということを念頭に置きまして設問した次第でございます。
#150
○初村滝一郎君 板子一枚下は地獄という言葉が漁業の危険な労働の実態をよく私は言いあらわしておると思うのです。海上保安白書によりますと、五十三年にわが国の周辺海域において、救助を必要とする海難に遭遇した船舶が二千三百五十七隻おるわけですね。その中で漁船が千百九十一隻、ずば抜けて多いわけです。これで総数の半分以上に達しておるわけですね。このように危険の大きい割りには、逆に所得というものは低くて不安定なんですね。老後に備えて蓄えるゆとりのある者は少ない、雇われている人たちも退職金はほとんどない、あってもとるに足らない、こういうことが多いわけですね。そうして迎えられる老齢期は、一部の船員保険加入などを除いてはせいぜい国民年金しか頼れないというのが実情なんです。ところが、それだけではとても食っていけない、やむを得ず漁に出ざるを得ない、これが現状のようであります。
 よくマスコミが、七十歳、八十歳のお年寄りが一人で漁に出るのを見て、漁村のお年寄りは働き者だというふうにほめたたえておるのでございますが、あれは全く一面からしか見ておらないことで、確かに漁村のお年寄りは働くことは働くんです。しかし、だれでも真冬の寒空の海あるいは真夏の炎天下の海、ここに七十、八十のお年寄りが一人で漁に出るということは、やっぱり食えないからなんです。漁に出ざるを得ないからだと私は思う。日本の水産物、すなわち動物性たん白質は、このような人たちによって生産されているということを認識してもらいたい。こうした親やおじいさんの姿を見ているというと、若い人たちは漁業を継ごうとしない、そういう気を起こさせてしまっておる。それどころか、親の方から息子を漁師にしない、したくない、また、娘を漁師の嫁にしようなどという考え方がない、これが漁業と漁村の実態でございます。逆に言えば、せめて老後の保障が充実しているならば、若い優秀な人たちももう少し漁業を継ぐ気性が私は出てくると思う。
 老後保障の充実は、現在中高年層が多数を占めるようになっていることからも緊急に必要になっていると同時に、私は後継者確保の観点からも急ぐ必要がある。そうしないと、日本の漁業は早晩労働力の面から行き詰まってしまうと思うわけですが、これに対する政府の見解を伺います。
#151
○国務大臣(武藤嘉文君) 日本の将来の水産業を考えた場合には、いま御指摘のような後継者がだんだんだんだん少なくなってくるという点については非常に心配をいたしております。
 そこで、老後の保障の問題を考えるべきではないかということはよく理解ができるわけでございますが、問題はそれとこの年金との関係となりまして、いわゆる漁業者年金を同じように考えていけということになりますとなかなかむずかしい問題が出てくるわけでございまして、前段のところは私も全く同じ考え方でございますが、後段になって新しい年金を考えていくかというとなかなかむずかしいということでございます。それは、私ども聞いておりますと、漁業者の中でまだ国民年金にもお入りを願っていない方も相当いらっしゃるようでございますし、私は老後の保障という点からいけば、やはりまず国民年金に入っていただくということが大変大切ではなかろうかという感じがいたします。
 この農業者年金も、あくまで経営移譲年金を主体とした、どちらかといえば農業の経営をより拡大をしていく、また後継者を確保していく、こういういわゆる農業の細分化を防ぐというのが目的でやっておる政策年金でございまして、そういう点において、福祉関係はもちろん考えておりますけれども、けさほどから議論をいたしておりますように、それはどちらかというとウエートは経営移譲年金にあるわけでございまして、農業者老齢年金の方はどちらかといえば従の方に入っておるわけでございます。
 そういう点からまいりまして、やはり国民年金の付加年金としての性格、福祉の面ではあくまで国民年金の付加的な要素を持っておると、こう考えていただきたいわけでございまして、そうなってくると、漁業者の年金についても今後考えていかなきゃならないことは当然かと思いますけれども、どうも漁業者の国民年金に入っていただいている加入の状況なり、また、農業の経営移譲の場合と比べますと農業の経営移譲はどういうそれじゃ形でやっていくのかというようなことなど、いろいろ検討すべき問題もまだまだたくさんあるわけでございますので、決して私ども今後検討しないということではございませんけれども、検討は続けてまいりますが、なかなかむずかしい問題をはらんでいるということだけは御理解をいただきたいと思っておるわけでございます。
#152
○初村滝一郎君 まあ、大臣の考え方を聞いたんですが、この漁業での社会保障で最近とられた前向きの処置として、船員保険の漁業従事者に対する雇用拡大を図ったわけですね。しかし、これは五トン以上の比較的遠くまで出かけていく漁船で、しかも被用者に限られておる。漁業にはこの保険の適用されない膨大な数の人たちがいるわけでございますが、この数字がちょっとわかりますかな。
#153
○政府委員(今村宣夫君) 五十三年の漁業就業者数は四十七万八千人でございます。このうちで漁業経営者に使用される雇用者は十六万三千人でございまして、これ以外の三十一万五千人は漁業経営者かあるいはその家族であるということでございます。そこで、雇用者に適用されます船員保険法の適用者数は十万九千人でございます。したがいまして、十六万三千人のうち、船員保険の資格者というものは、先生先ほどお話がありましたように五トン以上であるというふうなことがありますから、その十六万三千人のうち資格者を拾いますと大体十二万人でございますから、加入者十万九千人との差を考えてみますと、約一万人ぐらいの未加入者がおるという形になっています。それから、厚生年金保険法の適用者数は約八千人でございますから、これらを除きました三十六万一千人は国民保険の対象になるということでございますが、国民年金保険の加入者数の推定は大体六九%でございまして、その残りは国民年金にも入っていないという状況でございます。
#154
○初村滝一郎君 今日上程されております農業者年金制度が、昭和四十六年から発足しました。この年金は農業者と大部分の林業者にも適用されるんだということを言われております。これによって、農業者は六十歳から六十四歳までは厚生年金並みの経営移譲年金がもらえることになりますね。そうすると、六十五歳以上は国民年金にプラス老齢年金と経営移譲年金が上積みされるということになります。
 ところが私は、やっぱり同じ第一次産業でありながら、漁業者はこの恩典に浴することができない、これでいいのだろうかと自分ながら苦しめられるわけですね、その判断に。その必要性がきわめて大きいにもかかわらず、漁業者は農業者年金制度に取り込んでもらいたいという気持ち、その希望、これを持っておるわけであります。もし経営移譲中心の農業者年金制度に漁業者を取り込むことが困難であるということであるならば、私はやはり可能な別の体系の制度を早急に創設してもらいたいと思うわけですね。いま大臣も、なかなかむずかしいのだ、考えないことはないんだというふうに言われましたけれども、やっぱりこういう声が前から幾つもあったわけですからね、それに取り組むだけのひとつ準備というか、何かをしてもらう必要があると、かように私は考えます。
 現在そういうことを政府に申し入れてもなかなからちが明かぬものですから、しびれを切らしまして、漁業者は数年前から各地の漁協、漁連を中心に、年金貯金制度等の自主的な制度を続々とつくっておるわけですね。その数は、昨年の十二月現在で一道十県、相当数の組合にいまこれは上っておるわけですよ。これはいずれも公的制度の早期実現を期した自主運動であり、大きな盛り上がりを私は見せていると思います。これほどまでに漁業者の老後保障に対する要望は強いということを政府もしっかりと認識してもらいたい。
 そこで、政府はこのような実態をつかんでおるのかどうか、お伺いしてみたいと思います。
#155
○政府委員(今村宣夫君) 各県からの報告等によりまして水産庁で把握いたしております預金年金等の実施状況でございますが、県単位で特別な組織をつくりまして実施しているものは一県、これは長崎県でございますが、一県でございます。それから信漁連で特別な老齢貯金を行っているものは北海道と山口、宮崎、静岡の一道三県で、そのほか現在検討中のものも数県あると承知をいたしております。また、御指摘のように漁協単位で実施しているケースも相当数あるということを承知をいたしております。内容はまあいろいろでございますが、年金方式をとっておるものもございますし、また、組合脱退時または一定年齢に達したときに一時金として支給する仕組みもございます。
#156
○初村滝一郎君 やっぱり私は、いま長官が答弁になったように、各県の数をあらましつかんでおるということでありますが、これは早く国家的な立場から漁民の心情を十分つかんでやってもらわなければいけない、かように考えるものであります。
 そこで、いま長崎県の話が出ましたが、参考までに私の地元の長崎県の例を見てみますと、まず昭和四十九年に社団法人長崎県漁民年金貯金共済会をつくったわけですね。現在、県が一億五千万、信漁連が一億五千万、県漁連が七千五百万、漁協が一億二千五百万、合計五億の金を出資して、これが基金の総額になっておるわけですね。加入資格は、漁協組合員及びその家族、この方々が毎月三千円ずつ積み立てをして、二十歳から六十五歳まで掛け続けた場合に、掛金が百六十二万円、それに利息と共済金を合わせますと、合計して八百九十三万円になるそうであります。また、病気、災害等で漁業ができなくなったときや、漁業後継者に経営を移譲したときも給付を受けることができることになっているそうであります。現在加入者は二万人を超えておる、これは対象組合員の実に七〇%にも及んでおると県では言うておりますね。
 このように、長崎県の例で見ましても、漁民の老後保障に対する要望はきわめて強い。だからこそ、県も、厳しい財政事情にあるにかかわらず、多大の犠牲を払ってこれだけの出資をしておるわけですね。また、全漁連は、現在、漁業における福祉のあり方について検討会を設けておる、それで検討を続けており、近く結論が出るようになっておると聞いております。そうなりますと、統一された全国漁協系統を挙げた運動としてこれはもう取り組むことは間違いない。
 長崎県の例を見てでも、自主的な運動としての制度は、漁業者や漁協、あるいは県の大きな犠牲と負担の上にようやく成り立っておるわけですね。漁業者の老後を保障することの緊急性と、それが後継者の確保にもつながり、ひいては国民の食生活の安全にもなることを考えて、政府は強力な助成をすべきだと、こういうふうに私は思いますが、大臣の責任ある御答弁を求めて私の質問を終わります。
#157
○国務大臣(武藤嘉文君) 先ほどもお答えをいたしましたように、漁業者の後継者確保という点からも、漁業者の福祉政策を充実をしていかなければならないことは当然であると思います。
 ただ問題は、先ほども申し上げましたように、船員保険に入っておられるのは相当遠くへお出かけになる方だと思うのでございます。いま御指摘の方々は、どちらかというと沿岸漁業を中心とした方々ではなかろうかと思うのでございますが、そういう方々の場合は、国民年金にさえお入りになっていない方が相当いらっしゃるわけでございまして、福祉政策を考えていく上においては、あくまでまず第一義的に国民年金にお入りをいただくということを私どもはもっと進めていかなければならないんではなかろうかと考えております。それから、それに続いて、いま御指摘のように、いろいろ研究会でも御検討願ってきておるわけでございますので、十分そういう検討の結果を踏まえて対処してまいりたいと思っております。
 ただ、もう一つだけ、先ほども私申上げなかった一つの点で御留意願わなければなりませんのは、農業者の場合と比べると非常に数が少ないわけでございます。そうすると、これはやはりある程度数が少ないと、特に保険的な部分につきまして、確かに保険料はいま国でも助成をいたしておりますけれども、全部が全部国で助成するわけではございませんので、ある程度数が少ないとそれだけ保険料が高くなるという問題もこれはあるわけでございまして、その辺もどういうふうに考えていくかということは十分検討しなきゃならない点ではあろうと思います。
 でございますので、とにかく後継者を確保するという点からも、福祉により力を入れていかなきゃならないということは私よくわかるのでございますけれども、現実の新しい制度をつくっていくということになると、いま申し上げましたようないろいろの点があって、なかなかいますぐおいそれとはいかないんではないかと思うのでございますが、いずれにしても、先ほど申し上げましたように、せっかく研究会をお開きいただき、いろいろ検討を進めていただき、また、長崎県の例を初め各地でいろいろとやっていただいておる例もございますので、そういう実情も十分踏まえてひとつ真剣にこの問題については取り組んでみたいと、こう考えておるわけでございます。
#158
○原田立君 政府は、提案理由の説明の中で、離農給付金制度の改正措置の中で、「今後は、農業者年金に加入できない安定兼業農家等の保有する農地等の専業的な農家への移譲を誘導するため、経営移譲の要件を手直しした上、さらに十年間実施すること」にしておると、こういうふうに言っているわけでありますが、これを見ると、構造政策的見地が大きくクローズアップされてきておるように思うんです。で、改正前の一方の柱であった、老齢のため制度加入できなかった者に対する保障という面が薄められているような感じを持つわけでありますが、この今回のような改正案を出すことの根拠は一体どういうところにあるのか、まずそれをお聞きしたい。
#159
○政府委員(杉山克己君) 農業者年金基金法、これは御承知のように国民年金の給付と相まってということで、単独ではなく、国民年金と一緒になりまして農業者の老後の生活の安定と福祉の向上に資するとともに、農業経営の近代化、農地保有の合理化に寄与するということをたてまえとしているものでございます。どちらを先に書くかというような問題はございますが、別段特段にというようなことではなくて、本来的に農業政策上の要請をこれは備えた年金制度であるというふうに考えておるわけでございます。
 それから、今回提案いたします実質的な理由は、離農給付金、これを十年間実施してまいったわけでございますが、本来のといいますか、当初の立場からいたしますと十年たって打ち切りということになるわけでございます。しかし、この実績を見ますと、それからまた今後の日本の農業経営の動向というものを考えますと、やはりいまより一層農地の集積を中核農家あるいは専業農家に集めていく必要があるんじゃないかということもございますし、そういう観点から、今回離農給付金をさらに十年続けて交付する、そのことによって農地の流動化、規模拡大に貢献させたいと、こう考えたわけでございます。
#160
○原田立君 離農給付金の支給効果については、昭和五十三年八月に行った農業者年金基金の実態調査結果から種々の効果が指摘され、また市町村の大部分が制度の延長を望んでいることが判明しておりますが、この延長措置を講ずると通算は二十年になるわけですね。
 ここでお聞きしたいしまた提案もしたいと思うのでありますけれども、一つの法案を二十年臨時的にやるのを、そういうようなことでなしに、もっと恒久的制度にしたらばどうなのかと、こう思うのですが、いかがですか。
#161
○政府委員(杉山克己君) 年金制度は、やはり年金の交付というのが本来の制度の内容でございます。そういった場合、離農して何にももらえないという立場の人に対する政策的な配慮、それと、先ほど申し上げましたような、離農を促進して、経営移譲といいますか、規模拡大に貢献することを意図するということから今回の措置をとることとしているわけでございます。そういうことからいたしますというと、やや本来の年金制度の立場からすれば枝であるということになるわけでございます。そういうことで、臨時の特例でございますが、しかし、現実の安定兼業農家の経営主の分布を考えますというと、年齢構成が大体四十歳から五十九歳あたりのところに相当集中いたしております。あと十年くらいの間は相当離農者がこういう構成からしても出てくるんじゃないか、こういう方の離農適期を引き受けて離農給付金ということで対応するのがさらに十年くらいは必要であろうということで、今回十年ということにいたしたわけでございます。
 恒久的な制度にするかどうかということについてはいま申し上げましたような事情があるわけでございますが、十年先になったらどうなるかというようなことは、またそれはそのときの事情でもって、別途新しい事情なり問題も出てくるかと思いますが、私どもはいま申し上げましたような理由で、十年やれば一応の成果を達し得るのではないかというふうに考えたわけでございます。
#162
○原田立君 局長の説明だけれども、二十年もの法案の定着ということになれば、そういう理屈もあるだろうけれども、理論もあるだろうけれども、また推移もあるだろうけれども、やはりもう少し恒久的なものにしていくという、そういう基本にした方が農家の人たちは安心して農事にいそしむことができるんじゃないだろうか。これは局長の答弁と大臣の所感もお伺いしておきたい。
#163
○国務大臣(武藤嘉文君) まあ安心してというお話でございますが、私どもは逆でございまして、なるべく早く安定兼業農家にせいぜい農地を御提供願いたいという方向に私ども構造政策を持っておるわけでございますので、恒久化しちゃって、もういつでもいいからというようなことになりますと、かえってこれはマイナスになるわけでございまして、私どもはせいぜいひとつ出していただきたいと、こういうことをお願いをしているわけでございますので、そういう点では十年とりあえず延ばすことを予定をいたしておるわけでございますけれども、できるだけ早く出していただける方がありがたいと、こう思っておるわけでございます。
 それから、やはりこれは、まずこの離農給付金の方は全額国庫負担でございますので、こういうものを恒久化するということは、やはり政策効果を見ながらやっていくべきことでございますので、そういう点で私どもはいかがかと思っているわけでございます。
 それからいま一つは、先ほど答弁の中にもありましたように、年齢構成が、十年を見ていくと離農される適齢期の方が相当いらっしゃるということもございますので、そういうような観点から見れば、まあ十年これで延ばすと相当効果は出てくるんではなかろうかというように私は判断をいたしておるわけでございます。
#164
○原田立君 離農給付金支給件数を過去十年の累計で見ると二万二千八百六十四人と、こうなっているわけでありますが、この実績をどうごらんになりますか。
#165
○政府委員(杉山克己君) いま先生おっしゃられたように、実績は合計で二万二千八百六十四人、これは五十四年の十二月末でございます。その内訳を見てみますというと、大正五年一月一日以前生まれの者、年齢制限があって新しい年金制度に加入できなかった者が一万四千九百六十九人、それから大正五年一月二日以降生まれの者、これはほかの年金制度、厚生年金等に加入しているために農業者年金に加入資格のない者、この方が七千八百九十五人と、こういうようになっているわけでございます。そして、こういった方々に、単価は差がありますが、総額でもって支給された金額は百四十九億九千八百万円、約百五十億でございます。このことによりまして、私どもかなり流動化は促進された、経営移譲の目的は、第三者に対する移譲の目的はかなり果たされたというように考えております。そういうような実績にもかんがみまして、今回改めて十年の延長をお願いするということにしたわけでございます。
#166
○原田立君 昭和五十三年度の農業白書によると、世帯主の年齢が五十歳以上で、世帯主と住居及び生計をともにする後継ぎのいない農家は総農家数の二一%を占める百一五尺うち六十歳以上の高齢世帯主農家が四十六万戸存在すると、こういうふうにあるわけでありますが、この法案の対象としてこういう方々を考えていると思うのでありますが、向こう十年間でどの程度の離農が進み、このうち離農給付金の受給者はどの程度と見込んでおられますか。
#167
○政府委員(杉山克己君) いろんな前提を使って計算する考え方があるわけでございますが、私ども結論だけ申し上げますと、この十年間に二万五千人から三万人程度この対象者となる離農給付金を受ける方が出てくるのではないかというふうに見ております。
#168
○原田立君 離農給付金の額については、大正五年一月一日以前生まれの者が百三十八万円、同年以後生まれた者は五十九万円の二本立てであったのでありますが、法改正後はどういうふうになるんですか。
#169
○政府委員(杉山克己君) 今回は、年齢的な制約から当初農業者年金に加入できなかった者に対する特例措置はほぼその趣旨を達成したということで、この方はなくなりまして一本だけにいたしております。その単価は六十二万円ということでございます。
#170
○原田立君 いま局長の説明だと、一律六十二万円ということでありますけれども、いままで五十九万円もらっていた方々にとっては三万円のアップ、百三十八万円もらっていた方々は七十六万円の大幅な減額、全体的に見てかなりの後退であるというふうに思うのであります。このようにすることについては、私はもうとんでもないことじゃないかと、こういうふうに非常なふんまんの気持ちが強いのであります。御見解いかがですか。
#171
○政府委員(杉山克己君) 百三十八万円の単価の方は、これは先ほども申し上げましたとおり、年齢的に加入制限がありまして加入できない方、この年齢の方は今日になってみますと十年たっているわけでございます。それらのうちの最年少の方でも間もなく六十五歳に達することになります。一方、年金の本来の支給の方を考えてみますと、年金加入者の経営移譲は六十五歳までにするということになっております。そういうことからいたしますと、年齢的な問題につきましては、バランス上これはこの際趣旨は達成し得たものというふうに考えられるのが一つと、それから実際問題といたしまして、百三十八万円単価に該当する比較的時年齢の方々は、すでに今日までに、先ほどの件数のところでも申し上げましたが、受給資格のある方は大体は申し出られたんじゃないか。まあ制度が今後変わって一本立てになるというようなことで、残っておられる方々がいまさらに集中的に申し出があるというふうに聞いておりますけれども、実際的にもそういうことで対象者もきわめて少なくなるということから、ほぼ趣旨は達成し得たものと考えており、一本にして私どもは特段の支障はないのではないかというふうに考えております。
#172
○原田立君 だんだんと年をとってきて、六十五歳になれば年金がもらえる、だからいいじゃないかというような趣旨の答弁でありますけれども、数が少なければもう切り捨てにしちゃうと、こういうようなことは余り、どうも血も涙もない、情け容赦もなしに理論的にばさっと切ったというふうな感じがしてならない。いかがですか。
#173
○政府委員(杉山克己君) 年金の方も、六十五歳までに経営移譲をしなければ満度の移譲年金の支給は受けられないことになっております。それとのバランスからいたしますと、六十五歳を超える者に対して特別優遇しなければならないというようなことはなかなか理論的にも立てがたいのではないかと思うわけでございます。それと、ただいま申し上げましたように、十年の年限であるということが周知徹底されておりましたこともありまして、おおむねの方は、移譲できる方は移譲するということでこの百三十八万円単価の離農給付金を受け取っておられるんじゃないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。
#174
○原田立君 年齢で見ると、百三十八万円支給の対象者は現在六十五歳以上の人となるのでありますけれども、この数は一体どのぐらいと把握していますか。
#175
○政府委員(杉山克己君) 絶対数はちょっとわかりかねるのですが、私ども現場でもっていろいろ仕事をしている人たちの手ごたえといいますか、感触を聞いた限りでは、きわめて少ないというように承知いたしております。
#176
○原田立君 きわめて少ないって、抽象的な答えだけれども、具体的に掌握していないんですか。もう一遍それは答えてもらいたい。
 次に、離農給付金支給件数の実績を見ると、過去十年間で、高齢のため年金に加入し得ない者の件数は一万四千九百六十九件で、その他の者は七千八百九十五件と、これに比べて約二倍でありますが、今後双方の受給件数の推移をどのように見ておりますか。あわせて答弁願いたい。
#177
○政府委員(杉山克己君) 申しわけありませんが、先ほども申し上げましたように、実数としては把握できておりません。それで、今後一本単価になります場合、高年齢の方もそうでない方も一緒になって出てまいるわけでございますが、その区分は、いま申し上げましたように、現在の実数が把握できておりませんので区分できませんが、十年間を通して私どもいろんな計算の仕方がありますが、二万五千人から三万人程度になるのではないかというふうに見込んでおります。
#178
○原田立君 先ほど話したこととダブりますけれども、仮に六十五歳以上の者の受給件数が減少方向にあるとしても、こういう方々こそ優遇すべきではないか、こう思うんですが、重ねてお伺いしたい。
#179
○政府委員(杉山克己君) 同じような答弁を重ねて私ども大変恐縮でございますが、これは本来の年金、移譲年金の条件等とのバランスからいたしますと、移譲年金の方は六十五歳までに後継者に対する移譲が行われなければ満度支給は行わないということになっておりますことからしても、やはり百三十八万円単価であったそういう特別優遇を今後も残すということは、これは困難であると考えております。
#180
○原田立君 農業者年金基金法の附則第十一条の改正で、現行の「第四十二条第一項第二号口に掲げる者」を、「その者の直系卑属その他政令で定める者」云々、こういうふうに改正しているわけでありますが、その内容は一体どういうことなのか、具体的に説明願いたい。
#181
○政府委員(杉山克己君) 改正法案附則第十一条第一項第一号の「その他政令で定める者」というので、これは農業者年金の被保険者ではありませんが、その面積規模が被保険者と同等の兼業農家、これを考えております。
#182
○原田立君 経営移譲の相手方が改正前よりも限定されるようになるが、その点はどうですか。
#183
○政府委員(杉山克己君) これは先ほど申し上げておりますように、構造政策的な観点で、経営移譲、その場合の相手方が、俗な表現になりますが、十分に満足な形で農業経営を行っていないものでは困る。できるだけやはり専業中核農家といった階層にこれをお願いしたいという考え方もありまして、はっきりした年金加入者、そういう要件を備えている者を条件ということにいたしたわけでございます。
#184
○原田立君 現在の年金の財政事情を見ると、年金給付額が大幅にスライドアップしてきております。経営移譲年金受給者数が当初予定の二倍程度に達すること等が原因で財源がきわめて窮屈になっていることが予想されるわけでありますが、そこで政府は、本年金についても五十五年中に新たなる財政再計算を実施し、五十七年一月以降の保険料を抜本的に改定することを予定している、こんなふうに聞いているわけでありますけれども、保険料の設定については現在の年金の財政事情をどのように反映させるつもりなのか、その点はいかがですか。
#185
○政府委員(杉山克己君) 初めに、現在の年金基金の財政事情でございますが、これは五十三年度の基金の決算でございますが、責任準備金が四千八百五十四億、その他の負債が三百一億あるのに対しまして、資産は三千百五億円ということになっております。差し引きこの時点で二千四十九億円の積立不足が生じております。御指摘のとおり、財政事情はきわめて厳しいわけでございます。ただ、その後五十四年度に保険料の引き上げを行いました結果、この積立不足額は前年度より七百億円減少をいたしております。したがいまして、約千三百億円程度の積立不足ということになるわけでございます。
 それから財政再計算の問題でございますが、これは御指摘のとおり五十七年一月一日までに行うということになっておりまして、私どもこの法案の御審議をお願いいたし、成立した暁においては、早速その再計算の方の作業に取りかからなければなりません。まあすでにその準備的な作業はいたしておるわけでございます。
 そして、そういう再計算の結果を待ちまして、給付の問題にいたしましても、保険料の問題にいたしましても、そのほか実質的な内容の検討が行われるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、保険料につきましては、これはいま申し上げましたような財政事情等からすれば値上げせざるを得ないという状況にあるわけでございます。どの程度値上げするかということは、まさに給付の内容との相関、国庫負担の問題、いま申し上げました積立不足の問題、これらを総合的に検討いたしまして最終的に決める問題でございますが、一面、農家の負担の限度という問題もございます。それらを見合わせながら最終的に決めたいと考えております。
#186
○原田立君 この保険料のアップについては、農業者の生活を守るためにも最小限に抑えるべきであると思うのでありますが、それらの見通しに対してはいかがですか。
#187
○政府委員(杉山克己君) ただいま申し上げましたような財政事情にありますし、それから今後ともこの年金の経営移譲率、当初見込んでおりましたより大幅に上回っておるわけでございますが、当初の見込み四〇%に対し実績は七〇%以上になっております。今後ともそういう高い経営移譲率は続くと考えられます。
 それから加入者の年齢構成も、見込みよりかなり高年齢に偏っているというようなこともありますので、やはりこういった内容を考えますというと、相当程度かなり大幅な引き上げというふうに予想されるわけでございます。その点につきましては、いま先生のおっしゃられるように、計算だけでいくものかどうか、農家の経営全体から見てどこまで負担できるかということでの限度の検討がきわめて重要な問題になると思います。どの程度になるかというようなことはまさに財政再計算の結果出てくる話でございまして、この段階で申し上げることは困難でございます。
#188
○原田立君 本年金制度は制度発足の背景として、一面は被用者年金との均衡に留意した農業者の老後保障制度というものの意味も十分加味されてあったと思うのであります。したがって、他の年金が普通十分の三の国庫補助に比べて、本年金は給付、拠出の加重平均で約五〇%になっておる。政府は国庫補助の改善方針も意図しているようでありますが、農業者の恩給とも言われている効率のよい補助システムを守るのは当然でありますけれども、必要に応じて国庫助成の増額を検討すべきであると思うのでありますが、その点はいかがですか。
#189
○政府委員(杉山克己君) 財政問題を検討いたしますというと給付の内容、水準をどうするかということ、それから給付の内容を維持するためには保険料を上げなくてはいけない、保険料を上げるといっても限界がある、それなら国庫負担はどうできるかという順序になってくるわけでございますが、農業者年金につきましては、非常に政策的な年金制度であるということから、従来からほかの年金制度よりもきわめて高率の国庫助成を行っております。こういう情勢の中で、むしろ財政当局はほかの年金とのバランスを考えるべきだというような主張もかなり強いわけでございまして、さらに国庫負担をふやすということは、これもきわめて困難であると考えております。
#190
○原田立君 年齢別被保険者数を昭和五十四年三月末現在で見ますと、五十歳以上五一・六%、四十五歳以上が七三・九%、また四十歳以上とこうなりますと八七・九%になるわけでありますが、これを見てもわかるように、今後の成熟度は加速度的に高まることが想定されるわけであります。年金制度の健全な発展、運営を図るためには、若年層に対し加入の一層の促進を図ることが大きな課題であろうと思うのです。政府は法律改正の都度加入の促進を図ることを言明しているが、現在まで余り大した効果は上がっていない。一体その原因はどういうところにあるととらえているのか、その点はいかがですか。
#191
○政府委員(杉山克己君) 加入者の増加を図ると、この問題につきましては、そもそも加入資格者がどのくらいあるだろうか、そして加入資格者の中で未加入の者がどのくらいあるだろうかという推定、これを立てることがきわめて重要でございます。ところが、残念でございますが、この見通しはこの制度発足の当時に比べて大幅に下回るような状況になってまいっております。
 なぜこういう加入資格者が減ってきているかということでございますが、これは中核農家の数が大幅に減っている、ここ五年だけを見ましても、五十年に百二十五万戸の中核農家があったものが五十四年には百万戸を下回る九十九万台の数字となっております。こういったことから、対象者の数も全体として百三十万台に落ち込んでいるというような状況にあるわけでございます。それに対しまして加入者は百九万九千、百十万をやや下回ったような状況にあるわけでございます。全体としての加入資格者が減っておりますけれども、まだ未加入者もかなりおる。
 こういった方たちがなぜ入ってこないのかというのは原因はいろいろあろうかと思います。加入率が低いのは、先生も御指摘のように、年齢の若い層でございます。若い方は端的に申し上げて余り先々のことを心配なさらない。若いうちから年金を積み立てておくというような分別臭いことにはなかなかなじまないというような心理もございましょう。それから、農業経営について将来の見通しが十分立ちがたい。自分が六十なり六十五に達するまで農業をやっていて、そして後継者に譲るというようなはっきりした見通しを持っているのかどうかということになりますと、その辺定かでないというようなところもございます。それから、そういったことははっきりしておりましても、農業者年金制度についての十分な理解がないということのために加入されていないという方もあろうかと思います。特に、最後に申し上げたそういうような方たちを一番重点にし、さらに、農業経営全体についての、これは農林水産省全体の政策の責任であろうかと思いますが、見通しも、安心を持って営めるように、安心を持った見通しが立てられるようにしながら加入者の増加を図っていく必要があろうというふうに考えております。
#192
○原田立君 加入促進を図るために、これまで出かせぎ者等に対する加入要件の緩和、時効完成者等に対する救済措置、特定後継者に対する保険料の軽減措置等が講ぜられてきておりますが、今後新たな方策を講ずる用意はないのか、その点はどうですか。
#193
○政府委員(杉山克己君) いま先生の言われましたような従来からの加入促進のための制度的な措置、これがそれなりの効果を上げてまいっているわけでございます。今後そういう制度的な点での特段のことを何か考えているかということでございますと、私どもはいままでの制度、いままでこういった仕組みをこれを徹底させる、そのことを最重点に考えておりまして、いまの段階で特別何か制度的な助成措置等を講じて加入者の加入を大幅に引き上げるというようなことは考えておらないのでございます。
#194
○原田立君 特に、後継者に対する軽減措置として国庫補助をふやす考えはないかどうか。また、現在保険料軽減の対象となっている特定後継者の要件緩和を行うべきだと思いますが、見解はいかがですか。
#195
○政府委員(杉山克己君) 国庫補助につきましては、この年金制度自体、すでに五十五年度で約五百億というような高額な国費負担になっております。何も特定後継者だけの問題だけではございませんが、国庫負担を増額するということについてはかなり厳しい事情にあると考えざるを得ないわけでございます。そういうような観点から、特定後継者の要件についても特別緩和するというようなことはなかなかむずかしかろう、むしろ、金を使うことはそれなりに効果は期待できるかもしれませんが、金を使わなくても趣旨を十分理解していただく、普及徹底を図るということを重点にして加入者の増加を図ってまいりたいというふうに考えております。
#196
○原田立君 五十五年一月二十六日の社会保障制度審議会への諮問に対する答申が出されて、その中で、「明年度の再計算にあたっては保険財政の確立を図られたい」と、こういうふうに書いてありますが、具体的にどういうことを求められているのですか。
#197
○国務大臣(武藤嘉文君) この保険財政の確立というのは、私どもは現在農業者年金は完全積立方式でやっているわけでございます。ところが、今後急激に受給者が増加する一方、被保険者数はどうも減少してくるのじゃないかと、まあ、いまふやせというお話、御議論をいただいておるわけでございますが、どうも減少する可能性の方が強い、長期にわたって財政の収支バランスを健全に維持していくためには何とか今後もひとつ完全積立方式を堅持しろよと、こういうお話ではなかろうかと私どもはこれは解釈をいたしておるわけでございます。
#198
○原田立君 経営移譲の実績は、経営移譲年金受給者が、昭和五十三年十二月の八万二千百五十人から、五十四年十二月の十二万六千百十人とこう順調に伸びていることを見ても明らかでありますが、移譲の中身を見ると、後継者移譲が九三%を占めております。第三者移譲はわずかに七・一%にすぎないのであります。最近、農地流動化促進のための法改正が行われることになっておりますが、本制度の経営移譲の現状をどのように評価するか。また、構造政策の中にどう位置づけていくのか、この二面について見解をお伺いしたい。
#199
○政府委員(杉山克己君) 農地関係法制の整備を考えておりまして、今国会に私どもも三法案を提案するということにいたしておるわけでございます。その制度改正におきましても、意図しておるところは農地の流動化の促進、それによる経営規模の拡大、生産性の向上というようなことであります。その点におきましてはこの年金も、もちろん農業者の老後の生活安定ということを意図はしておりますが、それと同時に、農業政策的な農地流動化の促進ということ、あるいは若返りということを意図いたしておるわけでございます。その点では相補って流動化の実現に貢献していくものというふうに考えるわけでございます。それだけでなく、そのほか農林水産省のいろいろな施策がそういった方向に向けて運用されるというふうに考えておるわけでございます。
 そこで、後継者移譲が第三者移譲に比べて非常に多い、数字的に見て九三%の実績であるということ、これをどう評価するかということでございますが、この後継者移譲は、御承知のように一括して後継者に農地を移譲するということになっております。一括して移譲する結果、これはさらに分散零細化するということが防がれております。だんだん混住化してくる、そして都市化してくるというようなことになってまいりますと、相続等におきましても分散する可能性というか、危険がかなりあるわけでございますが、こういった年金制度によってその点はかなり防止できているのではないかというふうに考えるわけでございます。そういう分散零細化を防止するということが、やはり規模拡大のむしろベースにもなる。そういうことを通じて、そういう前提のもとに規模拡大も図り得るのだというふうに考えて、私どもは積極的な評価をいたしておるわけでございます。
#200
○原田立君 本年金制度は、現行では完全積立方式をとっているわけでありますが、今後財政事情の関係によっては修正積立方式なども考えられるのかどうか、その点はどうですか。
#201
○政府委員(杉山克己君) 先ほど申し上げましたように、この年金の財政事情というのはきわめて厳しい情勢にあるわけでございます。ただ、この農業者年金の財政方式につきましては、ほかと違いまして、加入者の年齢構成がきわめて高齢者に偏っているという事情が一つございます。それから将来、加入資格者または入ってくる者をどれだけ加入の促進をいたしましても、被保険者となる者は増加は見込まれない、むしろ減少するというふうに考えられます。これらのことを考えますと、年金を健全に運営していくためには、私どもやはり、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたが、完全積立の原則を維持してまいりたいというふうに考えるわけでございます。ただ、全体の給付内容の決め方あるいは保険料の水準、農家負担の限界、国庫補助のあり方、いろいろ検討いたしてまいりますというと、この問題はきわめて苦しい、むずかしい問題であるというふうには承知いたしております。
#202
○原田立君 今回の改正案では、国民年金等の自動的改定措置とは無関係に、五%以内の物価上昇率でも同率で給付の額を引き上げようとするものでありますが、昭和五十四年の法改正において導入されたこの特例的改定措置は今後とも継続するつもりなのかどうか、その点はどうですか。
#203
○政府委員(杉山克己君) 私ども農林水産省の立場とすれば、農業者にできるだけ不利をもたらさない、できるだけいいようにということで考えてまいりたいと思っております。ただ、こういう横並びといいますか、年金制度を通じての話になりますというと、これはなかなかこの農業者年金だけでは決めがたいという問題がございます。確かに前年、各年金を通じて物価上昇率五%未満でございましたが、年金額のスライドしての引き上げが行われました。ことしはそういう物価スライド引き上げということではなくて、御承知のように、国民年金等の財政再計算に基づく年金の引き上げが行われております。それらとのバランスを考慮いたしまして、まさに特例的な扱いとしてこの農業者年金についても引き上げを行うこととしたわけでございます。その引き上げは、ほかによるべき率もないということで、これは物価上昇率をたまたま用いているわけでございます。したがって、今後恒久的に、五%を下回った場合でも当然にスライド引き上げを行うというものではございませんけれども、これは年金制度全体の中で、厚生省とも相談しながら今後の扱いを決めてまいりたいというふうに考えております。
#204
○原田立君 そうすると局長、厚生省と相談して、厚生省がじゃだめだとこう言ったら、いままで特例的に行われてきたこともつぶれるという可能性はあるんですか。
#205
○政府委員(杉山克己君) これは実は厚生省と申し上げましたが、もちろん年金問題全般を所管しているのは厚生省でございますけれども、社会保障制度審議会等におきましてかなり厳格な議論がございまして、これにつきましては慎重な検討を行うべきであるというような事情になっております。それらの経緯も踏まえて、政府全体としての年金のあり方を考えながら今後決めていく問題であろうというふうに考えております。
#206
○原田立君 本年金基金の積立金の運用状況、これはどうなっておりますか。農村への還元が具体的にどうなされているか。
#207
○政府委員(杉山克己君) 年金勘定の積立金は、これは昭和五十四年三月末現在の数字でございますが、二千九百五十九億円、約三千億円に近い大きな額になっております。この運用は、農地の売買、それから融資、そういった中での勘定がございます。その売買融資勘定への貸付金、これが二百四十四億円、それから農林債券等の有価証券、これが二千四百六十二億円、貸付信託等が二百五十二億円となっております。それから、積立金のうち保険料に見合う積立額は千八百億円ということになります。
 これに対しまして農村への還元はどうなっているかといいますと、農地の売買勘定への貸し付け、これが五十三億円、それから農地の融資勘定への貸し付け、これが百九十億円ということになっております。それから、直接還元という形ではございませんが、農林債券の購入ということで広い意味で農林関係の原資に回っているという分が、これが千八十四億円ございます。総額で千三百二十八億円ということになり、相当部分が農村に還元に充てられているというふうに見ております。
 いま億円以下の単位は省略して申し上げましたが、御了承いただきます。
#208
○原田立君 来年度から農業者老齢年金が支給開始になるわけでありますが、本院においても附帯決議で、老後生活の安定と後継者の確保に資するため、他の年金制度をも考慮して、給付額の引き上げを進めるように希望しておるわけでありますが、これはぜひ引き上げるべきだと思うのですが、最後に大臣、これいかがですか。
#209
○国務大臣(武藤嘉文君) これはけさほどの議論にもたしかあったかと思うのでございますけれども、経営移譲年金と比べて、農業者老齢年金の方は国民年金の付加年金的な性格で、福祉的な性格を持っておると思います。そういう意味合いにおいて、十分な農業者の老後の福祉を考えた場合には、できるだけ多いにこしたことはないことは私もよくわかるのでございますけれども、現実問題といたしましては、やはりこれを相当上げますと今度は保険料にもこれは大きく影響してくるわけでございまして、その辺がなかなかむずかしい問題があるわけでございます。もう一つは、やはり他の年金との横並びという観点からも見ていかなきゃならないわけでございましょうから、私どもとしては、いま現時点でこの農業者の老齢年金の方を大幅にふやしていくということについてはなかなかむずかしいと、こういう立場をとっておるわけでございます。
#210
○原田立君 大臣、そんな冷たいことを言わぬで、あなたを頼りにしている農民はたくさんいるんですから、そんな財政面のことばっかり言って、しようがありませんだなんて形でなしに、任しておけと、頼りにしろと、そのぐらいのことを言ってもらえないものですか。
#211
○国務大臣(武藤嘉文君) 決して冷たい気持ちを持っておるとは思っていないわけでございまして、受給される方からいけば大変それはあれでございますが、いま申し上げたように、今度は保険料にどうはね返っていくかというところもやはり計算をしなきゃなりませんので、同じ農民も、保険料を払う方と受給する方と両方あるわけでございまして、その辺のやはり理解が得られないとなかなかむずかしいと、こういう判断で申し上げておるわけでございまして、農民全体という立場から考えて、できるだけこういう制度の充実をしていくというのは当然かと思っておりますけれども、その辺の仕組みからいってなかなかむずかしいと、こういうふうに判断をいたしておりますので、決して冷たくしておるということではなくて、努力はしてまいりますけれども、仕組みからいってなかなかそういう点がむずかしい問題があるという点をひとつ御理解をいただきたいと、こう思っておるわけでございます。
#212
○原田立君 じゃ、最後の大いに努力していくというその一言を受け取って、私は了解して質問を終わります。
#213
○下田京子君 大臣、今回の法改正の主なものの柱は、離農給付制度の十年延長ということだと思うのですね。それで、私たちは決して離農者が多いことを望みません。しかし、いろいろな理由でもってやむを得ず離農していく方がおるわけです。農林水産省は、離農した人たちがどういう生活になっているかというその後追い実態調査等を恐らくされていないんじゃないかと思うんですが、非常に悲惨なものですね、私たち聞くと、中には。そういう事例が多いんです。それだけに、この離農給付金制度というものはある意味では離農した人に対しての退職金的な性格にもなるだろうし、あるいはまた離農後の生活の安定という面にもなると思います。そしてまた、事業転換資金としての性格も持っていると思うんですね。
 ですから、こういう人たちがどういう形で受けられているかということを知るのが非常に大事かと思うので、お聞きしたい点の第一は、全国の農家数が、四十六年、この制度ができた当初五百二十六万戸あったわけです。それが五十三年の一月段階で四百七十九万戸。ですから、八年間に四十七万戸減っております。つまり、これだけ離農しているわけですね。ところが、実際に離農給付金をいただいた受給者数は、先ほどからお話がございますが、去年の暮れ、十二月末で二万二千八百六十四件、約二万三千件ですね。そうしますと、これは離農者に対して離農給付金をいただいている方の比率は何とわずかに五%ということになります。
   〔委員長退席、理事片山正英君着席〕
 これは福島県の場合も調べてみたのですけれども、四十五年当時で福島県で農家戸数が十六万九百五十六戸ありました。それが五十四年の一月段階で十四万九千二百戸に減りました。つまり、十年間に一万二千戸離農しているわけです。しかし、受給されている方、離農給付金をいただいている方は四百三件なんです。どうしてこのように離農家に比べて離農給付金受給者が少ないのでしょうか。その御認識といいますか、理由をお聞かせいただきたいと思います。
#214
○政府委員(杉山克己君) 離農給付金につきましては、これはどんな小さな、ほんの十アール経営でも、離農さえすれば離農給付金を交付するということにはなっておらず、要件をしぼっておるわけでございます。そういった要件に満たない、面積で言えば三十アールに満たない形での離農がかなりあるということ。
 それから、本来的な面積は三十アールあるのかもしれませんけれども、農地として移譲する分は一部であって、その離農にあわせて農地の転用も行われるというような場合がある。そうなりますというと、面積要件を欠く、あるいは転用でもってその要件を欠くというようなことが出てくる。
 それから、従来は、本人に農林者年金の加入期間が三年以上あった場合は、これはできるだけ年金制度の中にとどまっていただきたいというような意味も込めまして、離農給付金の対象にしないというようなことにもしておったわけでございます。これは今回の制度改正に際しまして改正することにいたしておりますが、そういうこともある。
 それから移譲の相手方が六十歳以上の高齢の場合もあったというようなことで、各種の離農給付金の支給要件を満たさないケースがかなりあったんだというふうに考えられます。
 そういうことが大部分でございましょうが、同時に、資格を有しながらも御本人の考えなり、あるいは制度が十分御理解いただけない、あるいはPRが不十分であるというようなことで加入いただけなかったために離農給付金の対象にならなかったという者も若干あろうかと考えております。
#215
○下田京子君 要件が厳し過ぎるとかいろいろむずかしいということもあるでしょうが、私はやっぱりPRが大変不足している、知られていないということが一つの大きな原因じゃないかと思うんですね。
 これはやはり福島県の実績なんです。ずっと見ましたら、四十五年−四十六年、この一年間で十四件、四十七年二十七件、四十八年三十四件、四十九年十三件、五十年に三十三件、五十一年三十六件、五十二年に五十六件、こういう状況なんです。で、福島県農業会議の方のお話ですと、ここまでは、五十二年までは、離農給付金については申請のあった人についてだけ要件に合致しているかどうかということでチェックしたと言うんですね。ところが、五十二年以降、つまり五十三年度からはいろいろとPRもやったと言うんです。その結果、五十三年には百三件になりました。で、五十四年の場合には現在八十七件、あと五月十五日の期限切れまでに五十件ぐらい追加される見込みじゃないかと言われているんです。その中には、いままでも再三、たとえばいろいろ「農業委員会だより」なんかにも出してきましたけれども、ちょっと大臣ごらんいただきたいんです、こういうのを出したんですね、「ご存じですか!!」ということで。(資料を示す)で、ぱっぱっぱっと見るとすぐわかるんです。「急いで家族で考えて下さい!!」、こういうチラシの効果が非常に大きいということをはっきり示したのが、私がいま住んでおります地元石川町というところで、いままでも十年以上もあったのに一件もなかったんですよ、申請者ゼロ。そういう中でこのチラシを出しましたら四件出てきました。いま手続中なんです。このことでもって、私はやっぱりこういうチラシや何かでもってこの制度そのものをもうとPRしていく、徹底していくということが非常に大事ではないかと思うんですが、そういう点で具体的な方策も含めて大臣に御答弁をいただきたいと思います。
#216
○国務大臣(武藤嘉文君) いま局長からも答弁を申し上げましたように、PRの不足も確かにあったと思います。そういう面において、今後はやはりできる限り末端のそれぞれ農協なり農業委員会などを通じましても、PRの徹底には私ども努力をしていかなきゃならない、こう考えております。
#217
○下田京子君 そのPRの徹底をということなんですが、それは言葉ではなくて、具体的な方策を通じてひとつお考えいただきたいということ。
 それからあわせまして、先ほど局長からも答弁がございましたけれども、この離農給付金を受けるに当たってのいろいろ要件がむずかしいんですね。で、具体的に農地の処分の仕方について御確認をいただきたいんですけれども、経営移譲する一年前、いわゆる離農給付金の基準日ということになると思うんですが、その基準日のときに自作地三十アールあればいいということが一つの要件だと思います。まあ厳しく言えば、市街化区域内あるいは都市施設区域内以外の農地であることということがございますけれども、そういう中で耕作または養畜の事業のために第三者に移譲するというときに支給されるわけですね。ですから、逆に言えば、基準日以前三十アール以外の農地、仮に二町歩、二ヘクタール持っていた農家があったとします。そうすると、その二ヘクタールのうち一・七ヘクタールは後継者移譲してもいいし、あるいはまた言ってみれば転用目的で売っても私はいいと思うんですね。つまり、基準日のときに三十アールかどうかということと、あわせてその他の要件が合致していれば、これは離農給付金の受給対象になるかと思うんですが、御確認ください。
   〔理事片山正英君退席、委員長着席〕
#218
○政府委員(杉山克己君) 必要な面積をいつ確保しているかということの確認でございますが、基準日現在ということに置いております。それ以前におきまして後継者に移譲するとかあるいは他用途に転用するというようなことで面積が減っておりましても、基準日現在三十アールが確保し得ていれば、私どもはその点については要件は満たしているというふうに考えております。
#219
○下田京子君 そうだと思うんです。ところが実際、いまのようなことまで相談に乗ったり、あるいは熟知してそして末端で指導されているかといいますと、必ずしもそうでないという事実がいろいろとわかりました。これは何も担当者の方々が勉強していないとか何かじゃないんです。私が言いたいことは、こういうふうに非常にむずかしいんですね。そのことを担当者が非常に専門的にいろいろと熟知して指導あるいは相談に乗る、そういう業務体制になっているかという点を私は申し上げたいんですが、実際そうなっていないんですよね、残念ながら。
 で、これは先ほど基金の理事長さんが、今後の体制として専従職員ということも考えて要望を、というお話もございましたけれども、私はやっぱり、これはいままで何度も言われてきましたけれども、早い時期に専従職員、これを配置すべきではないかと、こう思うんです。これは農業者年金基金で五十三年度に調査した結果にもあるんですけれども、離農給付金受給者等に関する調査結果、その中で、離農農家の中で、実際に条件が合っても四七・八%の人が給付金をもらっていない。もらっていない中でいろいろと事情を調べてみたら――ちょっと失礼、いまのところ要件ではなくて、離農した中で離農給付金をもらっていない人が四七・八%あった。ところが、実際に要件を満たしていても、相談や申請がないためにもらえなかったというのが三割もあったというのが報告されているんです。
 こういうところを見ますと、まさに業務体制が充実していたらこれらの問題を解決できたんではないか、資格がありながらもらえなかったということをはっきりとこの調査も裏づけているんじゃないかと思うんですね。そういう点からしても、どうしても専任の職員の配置ということは、つまり、人件費に対するきちんとした補助金をつけるということになると思うんです。いよいよ来年財政再計算期という中にあっては、これは本格的に考えていただきたい問題の一つと思うので、どうかこの点については大臣の方から御答弁いただきたいと思います。
#220
○国務大臣(武藤嘉文君) なかなかこれはむずかしい問題だと思いますが、検討はさしていただきます。
#221
○下田京子君 まあ、検討というのにもいろいろありますので、実際にその資格がありながらその資格に該当できなかったというか、そういう、全く行政上といいますか、業務上の問題ですから、先ほどから繰り返されておりますように、これはこの制度の目的から言っても、あるいは農家の皆さんの利益から言っても必要な問題だと思うんで、よろしく前向きに検討いただきたいと思います。
 それで、次にお尋ねしたい点は、今回、離農給付金の対象者の問題でいろいろ拡大されておりますが、一つは、いままでですと農業者年金の加入期間が三年未満というわけでしたが、三年以上の方も該当させる、これは私は前進面だと思うんですね。となりますと、私は当然、先ほどからもちょっと議論になっておりますけれども、老齢年金の方にも該当させるべき問題ではないかと思うんです。つまり、脱退一時金にあっても、あるいは老齢年金にあっても、自分の掛け分だけを最低確保できるという問題ですから、バランス論から言っても当然だということが一つですね。
 それから実態論から言いましても、これも福島市の例なんですけれど、五十四年の十二月三十一日現在で六十歳以上の加入者が四百五十五人おります。で、経営移譲終了者が三百三十八人。ですから経営移譲率は七四・三%、これでも全国より低いんですね。いまなお経営移譲できない人が百十七人ほどおります。その理由を聞いてみましたら、子供がいない、あるいは息子はいるけれども遠隔地におってもう戻ってくるものやらどうかもわからない、あるいは娘だけで後継ぎ問題というのは非常にもうはっきりしているんですね。このままいきますと、こういう人たちというのはいずれとにかく第三者移譲、つまり離農せざるを得なくなるわけなんですね。売ってしまうか、あるいは十年の賃貸借を結ぶとか、そういうことですから、当然、これは確認ですけれども、老齢年金加入者にも、そういう離農給付金をいただけるような対象者に加えていくということはあってしかるべきではないかと思いますんで、この点については大臣の御答弁をいただきたいと思います。
#222
○国務大臣(武藤嘉文君) いろいろ要件を整えて考えていかなきゃならぬと思いますが、そういう要件をいろいろ具備した場合については資格を与えるという方向で検討してまいりたいと思います。
#223
○下田京子君 これは検討してまいりたいじゃなくて、先ほどちょっと検討しているやにお聞きした点なんですよ。ですから、はっきりしたところをお答えいただきたいと思います。
#224
○政府委員(杉山克己君) この制度全体は、この法律が制定された後におきまして、政令あるいはその後の省令、通達等でもって補充されて完全な実施に至るわけでございます。その意味で、現在予定していることはすべて検討してまいりたいということになるわけでございまして、大臣はまさにそういう意味で申し上げたわけでございます。
 私ども事務方の検討の事情を若干申し上げますと、いま先生の御指摘になりましたような、老齢年金だけを受け取っているような受給者も離農年金の対象者にしてしかるべきではないかという問題のあることを承知しております。そこで、これにつきましては、できるだけこの支給対象として拾うような方向で検討しているわけでございますますが、ただ、全く無条件というわけにはいかない。特に農業者年金との有機的な関連をば考慮をしなければいけませんし、後継者がいないというようなことについても確認しなければいけないというようなこともいろいろあるわけでございます。大臣が申し上げましたのは、そういう具体的な要件をきちんと決めて、そういう要件に該当するものは拾っていけるようにしたいということで検討を行ってと、こう申し上げたわけでございます。
#225
○下田京子君 大臣に再度確認なんですけれども、いま局長からお話ございました。この件は政令事項になるかという点でいろいろ他のこととも関係して検討中ということなんですが、そうしますと、いずれとにかく対象者として考えているというふうに受け取ってよろしいですね。確認のために。
#226
○国務大臣(武藤嘉文君) 私、先ほど申し上げますように、資格要件をいろいろこれから具備しないと、何でもいいというわけにはまいらないわけでありますから、そういう点で検討して、もちろん前向きで検討と、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
#227
○下田京子君 わかりました。
 で、次なんですが、離農給付金受給の際の土地移譲の相手方の問題でお尋ねしたいと思います。
 これは今回制限されてきましたね。この制限の中身に大きく問題になっているのは、まず農業者年金の被保険者でなければならないということだと思うんです、大きく言うと。これでいきますと、先ほども他の委員から御質問がございましたけれども、問題ないかという点で、これはいろいろ運用上支障がないようにしていきたいという局長答弁がありました。
 しかし、果たしてそうなんだろうかという点で、具体的な点を幾つかお尋ねしたいわけなんですが、その第一は、たとえば農地保有合理化という面で、反対――何といいますか、逆行するような例が生まれるんではないか。つまり、たとえば何人かの方々に農地を売ろうとしますね、あるいは十年間貸すと。そういうときに、Aさん、Bさん、Cさんとおります。で、Aさん、Bさんは確かに被保険者であった、しかしCさんが農業者年金の被保険者でないという場合もあると思うんですね。そういったときに、これは年金受給ができないというかっこうも生まれると思うんです。となれば、まさにその土地集積という点で、隣り合わせているCさんのところに売らないでわざわざ遠いBさんのところに売るなんというかっこうになると、いままで皆さんお話しになってまいりましたように、いわゆる集団化あるいは団地化という点に矛盾する例になるんじゃないか、こう思うわけなんですけれども、いかがでしょうか。
#228
○政府委員(杉山克己君) いろんなケースが考えられます。確かに、農地の集団化を図っていく場合どういう経営をその核として考えるかというようなことかと思いますが、お尋ねのような、Cさんが年金に加入していないというようなことになりますというと、多分そういう場合は、兼業であるとかあるいはごく零細規模であるというようなことで、集団化の核とするには必ずしも適当でないような場合が多いんではないかと思います。そういう意味で、私どもやはりきちんとした規模なり経営能力を持っている年金加入者がそういう一応最低要件は満たしているという前提をとっているわけでございますが、そういう加入資格を有している者にやはり集中して移譲をしてもらいたいというふうに考えているわけでございます。
 ただ、個別ケースで本当にどうにもならない、近所をどう探してもそういうような適格者がいないというようなことになりますと、それは確かにお気の毒でございますので、私どもとしては、そういう場合は県単位でもって農地保有合理化法人というものも設けられております。それから、農業者年金基金自身が農地の売買等も行い得ることになっております。こういった公的機関が譲り受けるということについても指導してまいりたいと、そういうことでカバーできないかというふうに考えております。
#229
○下田京子君 それは一つの理屈ですよね。理屈だと思うんです。基金が買ってくれないとか、いろいろそういう理由も逆に成り立つんです。それからCさんが、いまおっしゃるように、単に被保険者でないというだけでもってあるいは他の要件は満たしているという例だってあるんですよ。それは一つのやっぱり問題点だと思う。
 それから続いてお聞きしたい点なんですけれども、中核的農家育成ということをしきりに言っておるわけですね。ところが、お父さんが実際に被保険者でないと、しかし後継者は専従的に農業をやっている、こういう場合にも、その人に農地を売ったらばだめだということになっちゃうわけですね。こういう専従後継者と言われるような方が五十三年一月段階で十二万七千九百三十人もいるわけなんですよ。この人たちがすべて言ってみれば後継者加入していればいいんですけれども、そうでない場合、もうはっきりしているわけですね。とすると、これもやっぱり政策的な矛盾じゃありませんか。
#230
○政府委員(杉山克己君) 申し上げておりますように、確かに中核農家の育成、そういったところに農地の集積を意図しているということは事実でございます。ただ、お尋ねのようなケースにつきまして、親が兼業農家であっても専業的に農業に従事する後継者ということになりますと、これはむしろ親との関係というよりは、まさに農業に従事する者として、農業者年金に――もちろん要件はあるわけでございますが、加入するということで、この人に対して物を、物といいますか、農地を移譲した場合は、その移譲した人は離農給付金の交付対象となると。そして後継者といいますか、その専従的に農業に従事している者は経営移譲の相手方となり得るというふうに考えております。
#231
○下田京子君 相手方の問題ですよね。いま土地を売ろうとしているのに、その相手方がたまたま専従的に農業をやっている、お父さんは学校の先生かもしれないし農協の職員かもしれません。しかし、その後継者が本当にやっていきたいというときに、逆に言えば、後継者を育てるとかなんかで、たまたま後継者加入していないだけで、そういう事例はあるんですよ、そういう事例あるんです。その人に売るがために、片一方は全部要件が満たされているのに給付金をもらえない。はっきりした矛盾でしょう。
#232
○政府委員(杉山克己君) そういう後継者であっても、農業に専従している、そして加入の資格を有する、つまり取得後の農地の面積が五十アールなり三十アール以上に達するということであれば、これは本来的に加入資格を有するわけでございます。そういう人に対して譲渡した場合は、移譲した人は離農給付金を受けることができることになっております。
#233
○下田京子君 いまの問題とちょっと関係するんですけれども、農家の主婦の問題についてもこれは出てくるんじゃないかと思うんです。さっきもちょっと意見がございましたけれども、農家の主婦が専従者という数がどのくらいあるかというと、全国で五十五万戸現にあると言われておりますね。しかし年金に加入している人は四万人そこそこ。で、加入していない女子専従者の農家に農地を売った場合に、やっぱりもらえないというところが出てくるんじゃないですか。これはどうなります。
#234
○政府委員(杉山克己君) 御婦人でありましても、後継者でありましても、それは農業者という意味では、自分自身が名義を持って経営しているという限りは農業者としての扱いが受けられるわけでございます。御主人の畑やたんぼでもって御主人の名義のもとにいま耕作しているというような場合には、確かにこれは一人前の農業者としての資格を持っておりませんけれども、先ほど後継者の場合で申し上げたと同じように、その場合の御婦人自身が取得後の要件を満たすというようなことで、本来的な加入者としての資格を有する御主人のお立場とは全く別に、それ自身が加入者としてのお立場にあるというときならば、それはこういう方に経営移譲した人は離農給付金が受けられるということになるわけでございます。
#235
○下田京子君 局長、ちょっと御説明いただきたいんですけれども、つまり、年金に入っていないけれども、被保険者としての資格があればいいんだということを言っていらっしゃるわけですか。
#236
○政府委員(杉山克己君) わかりやすい言葉で言えばそういうことになります。奥さんの場合は名義が要る。それは現在なくても、取得する場合、その取得によって要件を満たすということで同時に名義を満たし得ればそれでいいということになりますし、後継者については、名義は直接要りませんけれども、取得後の要件が加入資格の要件を満たしておればそれでいいということになるわけでございます。
#237
○下田京子君 だから、後継者と主婦の農家の場合とは違うんですよ、局長。いまごっちゃに御答弁あったようなんです。主婦の場合には、御主人ときちっと土地の賃貸やなんかを結ぶとかしてなかったら成り立たないでしょう。その点どうですか。
#238
○政府委員(杉山克己君) それはそのとおりでございます。
#239
○下田京子君 私はそこを問題にしているわけですね。つまり、これは他の委員からも御指摘がありましたけれども、農家の主婦がいわゆる専従者であるという点でいろいろ農業に貢献してきたけれども、いま実際には資格があって加入している人もありますけれども、実際に御主人が名義を持っていて渡さなければ加入できなくなるわけですから。御主人が名義も持っていて、で、奥さんの名義云々だけじゃなくて、本当に農業をやっているという実体論から考えなきゃならないんではないかという問題を私は今後検討していただきたいと思うんです。
 その関係とあわせてお聞きしたい点なんですけれども、先ほど大臣は、いともむげに、農家の主婦の加入というのは、もう検討しても、その結果ノーということをはっきり申し上げなければなりませんなんというような御答弁があったと思うんです。私これは大変問題だと思うんです。なぜ問題かといいますと、この農業者年金の制度が発足した四十六年当時もいろいろ議論になりました。政策的な意味合いと同時に、農民に恩給をというところから一つは出発してきているわけですね。それからまたその基本になるのは、現在ある国民年金制度そのものが非常に貧弱である。これを改善してということを農林水産大臣おっしゃっておりますけれども、農家の主婦にかかわる問題はこれは農林水産大臣の私は所管であると思うんです。専従的に農業をやってきたその主婦に対して、いわゆる一番最初に申し上げましたけれども、もう農業をやめられたといったときに、その退職金にも匹敵するようなこの離農給付金にも該当しない、あるいは入りたいというのにも入っちゃいかぬよと言ってまさに政策的なことだけから詰めていくというやり方、妻の年金権という重大なことにもかかわっていると思うんです。それだけに、これは大臣の御認識を伺いたいと思います。
#240
○国務大臣(武藤嘉文君) いわゆる福祉年金的な性格と、いわゆる私どもがいま考えている農業の経営移譲を促進をして農地の集積化を図るという意味においての政策年金的な性格と、これは両方持っているわけでありまして、どちらかというと、けさから御答弁いたしておりますように、ウエートは政策年金の方に私どもウエートを置いているわけであります。その政策年金を進めていこうといたしますと、やはり経営移譲というのが一つの大きなこれは基本的なものになってくるわけでありまして、その経営移譲というものについては、御主人が経営権をあくまで持っておられて、実態としては奥さんがそれは耕作をしておられるのだろうと思うのでございますけれども、一切そこには、使用においても、あるいは賃貸借においても、いわゆる貸し借りの権利が全く表に出ていないという場合には、やはりこれは御主人の方に権利があると言わざるを得ないわけでありまして、それじゃ今度経営移譲が実際行われたときに、御主人の方には権利があり、実態はしかし奥さんがやっていたと。じゃ奥さんがかわいそうじゃないかということになりますけれども、じゃ御主人の方はそのときに要らないと、経営移譲年金おれは要らないからおまえもらえよというわけにはなかなかこれはいかないと思うのでございます。ですから、これはやっぱりせっかく奥さんがそういうような形で実態としては耕作を専業的におやりをいただいておるならば、やはりそこに使用権というものを御主人から奥さんにひとつ渡していただきまして、そういう形でやっていくというようにしなければ、これはやっぱりこの制度の仕組みから言ってむずかしいと、こういうふうに私は申し上げておるわけであります。
#241
○下田京子君 専業農家の場合には、御主人も奥さんも後継者もみんなで農業をやっているという形態になるわけですよ。いま大臣が言ったのは、そうではなくて、言ってみれば御主人は被用者年金で、いわゆる農業者年金の被保険者でない。しかし、経営主であるという点のお話をされている。
 私は、専業農家の主婦もそれ以外の主婦も含めて、とにかく農家の主婦が実態的に営農に大きな責任を持ってやってきている。現実いまそのウエートが大きくなってきているわけです。そもそも国民年金が低いというところからこの農民にも恩給をという、いわゆる二階建てではないけれども、農業者年金が生まれてきた。それで政策的な意味合いが出ているわけですけれども、そういう基本的な老後の主婦の生活保障という点から言って、大臣、これは所管の大臣として農村婦人の老後安定という点を考えるべきではないか。そういう点でもう優秀だと言われる皆さん方がいろいろと検討したら、決してこれはむずかしいということにもならぬと思うのです。検討するという点でのいろいろ御苦労をいただきたいと思うのです。
 そこで、私は具体的な機構の問題でお尋ねしたいのですが、いま年金問題、老後の問題ということはもう大きな社会問題になってきておりますね。そんな中で、年金制度基本構想懇談会というのがあります。これには十六人のメンバーがおりまして、そこにわずかですけれども一人女性がいらっしゃいます。ところが、農業者年金制度研究会の方にはどんな状況になっているかという点をまず聞きないわけなんですけれども、メンバー、それから女性がいるかいないか、お聞かせください。
#242
○政府委員(杉山克己君) 農業者年金制度研究会の委員は総数十二名でございます。そして農業団体の役員、それから学者、それから町村会とかそういう機関の代表者、それからかって農林水産省等役所に勤務した経験者等、農業者年金問題についての学識経験者と思われる方にお願いをいたしております。女性は一人も入っておりません。
#243
○下田京子君 大臣いかがでしょうか。いまの農業者年金制度研究会十二名のメンバー中、女性は一人もおらないということなんですが、これは年金制度全体の言ってみれば局長の諮問機関でありますけれども、そういう点から、今後女性を含めて制度の研究、検討をするという点でひとつよろしくお願いしたいと思うんですが。
#244
○国務大臣(武藤嘉文君) 先ほどの社会保障でございましたか、御指摘のあった女性が入っておられるというのもあれはたしか学識経験者というお立場で私は女性の方がお入りになっているのではないかと、こう解釈をいたしておるわけでございまして、こちらの方の研究会においても、そういう学識経験者の中で婦人の方が、もし適当な方がいらっしゃればそういう方がお入りいただくのは結構なことではないかと思っております。
#245
○下田京子君 ぜひ制度研究そのものですから、そういう点から、また女性だからといって特別視するのではなくて、女性も含めて全体的に総合的に検討するということが非常に大事だという点でぜひ実現をいただきたいと思います。
 それから遺族年金の問題なんですけれども、これもいろいろ検討されているというお話ですが、私は特にこれは東北・北海道農業者年金対策協議会の皆さん方から毎回要望をいただいているわけなんですけれども、特にその中で、年金加入期間の継承措置のことが出されております。つまり、農業者年金に加入していた経営者が亡くなられた、それで実際に新経営主になった配偶者がもう四十歳過ぎているというときには、それから積んでは間に合わないわけですね。そういう点での遺族年金創設とあわせたこういう継承問題といいますか、これについての具体的な改善の見通しをお尋ねしたいと思います。
#246
○国務大臣(武藤嘉文君) 奥さんの場合も国民年金にお入りをいただいておるわけでございまして、そういう点で、老後の保障というものはある程度国民年金でという考え方を私どもは持っておるわけでございます。そういう点においては、遺族年金というものの創設についてはこの年金の中で考えろということについては非常にむずかしいと、福祉年金の性格が、やはり福祉年金という立場からいけば国民年金を中心として考えていくべきではないかと、こう考えておるわけでございます。
 ただ、けさも私、村沢先生にもお答えをしておったんでございますが、衆議院の農水委の質疑の中で、いわゆる経営移譲年金を実際もらっておった人が、六十歳になってもらっておった人が六十二歳とか六十三歳でたまたまお亡くなりになった、お亡くなりになったときにそれでそれが消えちゃうということはいかにも気の毒ではないか。しかももう六十四までなんだから、そこで終わるのだから、財政的に見ても何もそう大きな問題ではないのではないかというような御指摘がございまして、これに対しては、ひとつ研究をさしていただきたい、検討さしていただきますと、こういうお約束を私、いたしておるわけでございまして、それについては今後もひとつ検討を続けていきたいと思っておるわけでございます。
#247
○下田京子君 もう一つは、遺族年金あるいは主婦の加入なんかとあわせまして、特定保険料の納付者の問題でもいろいろと御要望がある点だと思うんですね。五十四年十二月末現在でもって後継者任意加入者数が全体で二十二万七千三百九十一人おります。ところが、この中で保険料の軽減措置を受けている人はわずかに二万四千九十七人で約一割なんですね。これはいろいろと運用面でカバーできると、こうおっしゃっておりますけれども、実際にこの面積要件であるとか、あるいはまたペア要件だとかという問題は削除して、三十五歳というよりも、むしろ二十年間の納付期間があればよろしいんですから、四十歳なら四十歳で切って、それでもうお入りいただいた人たちには、こういうことでの、言ってみれば軽減措置を大いに講じていくべきではないかというこの御要望についてはいかがでしょう。
#248
○政府委員(杉山克己君) これは年齢さえ若ければ――その若いという水準をどこにとるかという問題がございますが、一律何でもその保険料について減額できるという性格のものではないと理解いたしております。やはり将来とも本当に後継者として日本の農業をしょっていく、そういう有望な人という意味で、期待を持てるそういう要件を備えた人に限定すべきだということで考えておるわけでございます。年齢的にもそういうことで三十五歳未満ということ、それから経営規模が県平均以上あるということ、あるいは農業経営者と後継者が一緒に加入していることというような、そのほか幾つかの要件をあわせ課しているわけでございます。
 それと、確かに若い人の加入しておられる中で、この特定保険料が適用になっている方の数は少のうございますけれども、これについては必ずしも十分に、まさに先生も先ほど御指摘のように、趣旨が理解されていないということで申請が行われていないような向きもあろうかと思いますので、むしろ私ども、いまのこの要件、その要件さえ満たせば特定保険料の対象者となり得るんだということを十分徹底させて、この面での加入の増加を図っていきたいというふうに考えております。
#249
○下田京子君 申請漏れという点、かなりやっぱり見られますよね。同時に、本当に後継者に希望を持ってやっていただくという点から見ても、これは私は、はいそうですかということで納得するんではなくて、今後ともいろいろと検討いただきたいということを要望しておきたいと思うんです。特に次は財政再計算期になりますが、財政問題については次回に譲ることにいたしまして、農業者年金の方の質問は終わりたいと思います。
 農業者年金の問題とあわせて、農民の言ってみれば災害補償、この社会福祉問題ということがやっぱり社会的になっていると思うんです。そこでお尋ねしたいのが、労働者災害補償保険制度への農民の特別加入制度、これについてお聞きしたいと思います。これは四十年に発足しているわけですけれども、現在まででどのような状況になっておりますでしょうか。
#250
○説明員(原敏治君) 農業に関係しますところの労災保険の特別加入は、御指摘ございましたように昭和四十年から発足いたしておりますが、その後次第にこの任意加入の適用労働者がふえてきておりまして、加入者数は五十三年末で五万八千人ほどになっております。
#251
○下田京子君 大変少ないと思うんですけれども、これはどうしてこういう状況だとお考えでしょうか。
#252
○説明員(原敏治君) 現行のこの農業者に関係しますところの労災保険の特別加入の制度は任意加入方式でございまして、保険料もみずから納めて加入をするという形をとっておりますので、保険料の負担等との兼ね合いなどからこのような対象者数になっているのかとも存じておりますが、まだ周知が不十分な面もあるいはあるのかと思っております。
#253
○下田京子君 農林水産省の方ですけれども、せっかくできたこの制度ですね。どうして、こんなに少ないというふうな点では五十二年で調査されていると思うんですけれども、その未加入の理由なんかをお聞かせください。主なもので結構ですが。
#254
○政府委員(二瓶博君) 五十二年度に労災保険未加入農家に対するアンケート調査をやりまして、未加入の理由を農家の方に伺ったわけでございます。そういたしますと、未加入農家約二万一千戸に対する聞き取り調査でございますが、この制度を知らなかった、あるいは制度の内容がわからないと答えた方が六七%。他の保険で十分でありますと答えた方々が一三%。危険な作業には従事しないという方が七%。その辺が主なところでございます。
#255
○下田京子君 せっかくつくられた制度がですね。大臣、労災保険の特別加入制度ができてもう十五年なんですよね。ところが、まだその制度を知らないとか、よく中身がわからないという人が、いまの担当局長のお話で六七%もいたと。一定にしぼった調査の結果ですけれども、こういう状況なんです。で、二月の二十六日だったかと思うんですけれども、これは全国農業協同組合中央会の皆さん方から、農林水産大臣のところにも御要請があったと思うんですよね。私、まとめて聞きたいんですが、一つは、大臣、制度があるのに知らないなんていう人が七割近くもいるというのじゃ困りました。ですから、これはたとえば農業新聞であるとか、一般紙も含めて、あるいはいろいろ地方の自治体等も含めて、制度を周知させるという点での広告なんかもお出しいただくことも含めて検討いただきたいと。
 それからもう一つは、この制度は一つは労働大臣の指定する農業機械ということになって限定されているわけですね。この機種の拡大ということが大きな皆さんの御要望になっていると思うんです。この点について当然、たとえば機種拡大という中身を言いますと、「チェーンソー、樹園モノレール、農用さい断機、精米機、もみすり機、それから製縄機、乾燥機、定置式動力防除機、背負式動力防除機、動力整枝機、定置式運搬機械、こういうものを具体的に挙げられております。こういう機種の拡大といいますか、強力な御要請があったと思うんですが、担当大臣として、これを受けて労働省に対してどういうふうにこれから折衝されていくのか、お聞かせください。
#256
○国務大臣(武藤嘉文君) 労災制度を農民の皆様方が十分熟知をしていただいていない点については、今後いろいろの機会をとらえて私どもの農林水産省としてのPRもやりますし、また各団体を通じてのひとつ周知徹底も努力をしていきたいと考えます。
 それから、いま御指摘の全国農協中央会の方から御要望のありましたことは承知をいたしておりまして、早速機種の拡大その他について労働省の方と事務的に詰めるように指示をいたしまして、もう現時点では相当その間においては詰まってきたと私は承知をいたしておるわけでございまして、そろそろ決められるところまできているんじゃなかろうかと、こう思っております。
#257
○下田京子君 そろそろ詰められるということなんですが、そうしますと、どの機種がどうこうということは別としても、いま私が具体的に皆さんの御要望の機種を挙げて申し上げましたけれども、大部分機種の方では拾われると判断していいかどうか。
 それからもう一つ要望で、農作業の言ってみれば範囲を広げてもらいたいという要望もあったと思うんです。養畜なども含めて、農業という労働の実態に合わせてひとつ検討してほしいというのが大きな希望の一つになっていると思うのですけれども、この点も含めて最後に御答弁いただきたいと思うんです。
#258
○政府委員(二瓶博君) ただいま大臣からもお話ございましたように、事務当局といたしましては、労働省の方と精力的に、現在指定機械の追加の問題、それから作業範囲の拡大の問題、これを詰めておるところでございます。いずれ近々結論は出ようかと思いますが、まだ折衝中でございまして、最後的にどれどれの機種ということをここで申し上げかねるわけでございまして、その点遺憾でございますけれども……。
 ただ、全中さんの要請しているもの、これ全部が入るかということになりますと、必ずしも全部ではないと思います。むしろ落ちるものをちょっと一、二例で申し上げますと、たとえば製縄機というのが載っておりますけれども、これはなわをなう機械でございます。最近どうも農家の方は、昔は農村副業でなわを相当なっていたわけでございますが、最近はほとんどなわをなっておりませんし、機械もございませんし、事故も余りないようでございますので、こういうのはむずかしいんじゃなかろうかという感触を抱いております。
 それから、農作業の範囲でございますけれども、これにつきましては、まあ農業における土地の耕作及び開墾並びに植物の栽培及び採取の作業というようなことで規定がされておるわけでございますけれども、実は養畜なり養蚕でございます。この際には、こういういわゆる耕種的な作業がありますほかに、家畜なり蚕の飼育管理というのがあるわけでございます。したがいまして、この機械に指定されました際に、そういう耕作的な作業だけでなしに、使用管理の面にも広げられないかということで、これもいま労働省と話し合いをしておるわけでございます。まだ最後的に結論が出ておりませんけれども、何とか実現の方向で実ることを期待してまだ交渉を続行中でございます。
#259
○下田京子君 最後に一言。まあ製縄機等、これはちょっとむずかしいがというお話ですが、かなり機種拡大という点で詰められているというふうに理解いたします。
 それから、いわゆる農作業の範囲についても、実際に牧草を圃場で刈ってそこでカッターすればそれが採取の範囲になって、そしてまた庭先に戻ってきたら養畜になってカットされるなんというような矛盾についても、ないようにいま検討しているということですので期待したいと思います。
 ただ、最後に一言申し上げたいのは、新しい農業労働災害補償制度の動きが全国的に非常に活発でございます。そういう点も含めまして、今後またいろいろお尋ねも申し上げますけれども、どうか農家あるいは農村地域におけるこの補償のあり方という点でもこれから努力いただきたいと思います。
#260
○喜屋武眞榮君 最初に大臣にお尋ねいたしたいと思います。
 沖繩は戦後三十五年、復帰八年、そして復帰の目標は本土並みという合い言葉でありました。ところが現実は、沖繩の開発はどうしても第一次産業を重視しなければいかぬ、こういうことで苦悩してきているわけですが、ところが五三%を占める基地、最も農業開発に、第一次産業開発に関連の大きいこの沖繩の土地が狭い上にさらに基地で占められておると、こういう現状の中で、三十五年の空白を一日も早く埋めて、追いつけ追い越せということがありますけれども、追いつくどころか、だんだん新しい面での問題が発生しまして、そうしてその本土並みに持っていく特別措置ももう来年で期限切れになるわけであります。そういう状況の中で、その特別措置法の見直しという、こういうことがいま真剣に論ぜられておるわけでありまして、まあ、あらゆる面で本土に追いつくと、こういうことでいま一生懸命になっておるわけでありますが、特に大臣の関係される面からの沖繩問題を本土並みに持っていくと、こういう姿勢、どのように姿勢を持っておられるか、まずそれを最初にお尋ねしたい。
#261
○国務大臣(武藤嘉文君) 沖繩県におきます実情につきましては、いま御指摘のとおり、大変膨大な面積を基地が占めておりまして、ああいう島の中で、ある程度限られた農地をより有効に活用して農業を振興していかなきゃいけないという、大変制約された条件があるということは私もよく承知をいたしております。そういう点を踏まえて、私どもはできる限りこういう年金制度に当たりましても、その沖繩の実情を十分尊重しながら、この活用を図っていっていただきたいと考えておるわけでございまして、従来でも、たとえば下限面積なども三十アールを二十アールにするとか、いろいろまあ考慮しておるわけでございまして、今後もそういう方向についてはできるだけ努力をしてまいりたい、こう考えております。
#262
○喜屋武眞榮君 それじゃ内容について。
 まあ、本日の朝から交わされております問題の中で、特に沖繩の関連する立場からお尋ねしたいんですが、最初にこの沖繩における農業年金の加入状況ですね。これももう立ちおくれておるということが一応考えられるわけでありますが、本土との差が、ずれがあるということは考えられるわけですが、その状況の実態はどなっておるでありましょうか。
#263
○政府委員(杉山克己君) 沖繩におきます農業者年金の加入状況は、最近時点五十四年十二月末だけで申し上げますと、実数八千五十六人ということになっております。沖繩は他の都道府県と異なりまして、四十七年五月から受け付けを開始して、若干期間も短かったということも一つございます。加入率は、沖繩県は五一・五%、全国は七八・七%ということでございますから、全国平均よりかなり低いという実情にございます。
#264
○喜屋武眞榮君 いま承りますと、本土に比べて加入率が低いんですね。もっと加入促進を図るべきであると思うんですが、いかがでしょうか。また、それに対してどういう具体的な案を持っておられるか、それを承りたい。
#265
○政府委員(杉山克己君) 沖繩県の立ちおくれている実情にかんがみまして、私どもといたしましては、一般の県でありますと農協中央会、農業会議、こういったところが現地指導を行う、農協だとか農業委員会の現地へ出かけて指導を行うということになっておるわけでございますけれども、沖繩の場合は農業者年金基金からも出かけるということなどいたしておりまして、ほかの都道府県に比べてはかなり手厚く指導を実施いたしております。
 それから、いろいろ加入要件につきまして、大臣も一つ申し上げましたが、たとえば下限面積、他の都府県では三十アールということになっておりますのを二十アールに引き下げるとか、それから通常の期間短縮措置、これは二十年原則のところを最低五年ということで緩和しておりますが、これをさらに短く、最低三年八カ月ということにするなど、年金受給に結びつけやすくするということで各種措置が講じられております。
 こういった点も含めまして、制度全体の普及、啓蒙に努めているところでございまして、今後とも引き続き加入の促進を図ってまいりたいと考えております。
#266
○喜屋武眞榮君 いまの点、大体承りましたが、次にお尋ねしたいことは、五十三年度の時効救済措置、五十四年度の後継者の加入の救済措置の状況が、沖繩においてはどうなっておるのであるか、これをまずお聞きしたい。
#267
○政府委員(杉山克己君) 沖繩県におきましては、時効救済措置による新規加入者は、これは五十四年十二月末で四百七十二人ということになっております。全国では五万三千二百二十八人、その〇・八%程度ということでございます。
 それから後継者の加入救済措置による新規加入者は六人、きわめてわずかでございます。全国が七千六百十二人でございますから、千数百分の一というような状況で、きわめてこの点は少ない。この後継者の加入救済措置の対象人員が少ないのは、すでに皆加入しているために漏れたのが少ないということならよろしいのでございますが、先ほど来申し上げておりますように、一般的な加入率が低いということを考えますと、この数字は若干問題があるのではないか、こういった点の反省、検討も含めまして、一層加入の促進に努力しなければいけない状況にあるというふうに考えております。
#268
○喜屋武眞榮君 特に、他県に比較して、いまおっしゃるのだったらなんですが、後継者の加入が非常に悪いようでありますね。その理由はどのように受けとめておられますか。
#269
○政府委員(杉山克己君) 後継者の加入状況は、他の都道府県もこれはそれなりに悪いのでございますが、沖繩県も御同様悪いわけでございます。なぜ加入が低いのかということにつきましては、若いうちはなかなか年金を切実に身近には感じないというようなこと、それから、若いうちに農業経営についての将来展望がなかなか確立できないというようなことなどがあると思います。それから、この農業者年金制度について必ずしも十分に徹底が図られていないという点も影響しているのではないかと考えられるわけでございます。全体としての農業経営の将来展望を持っていただくように、農政全体の中で努力するというようなことも必要でございますが、この制度自体といたしましても、十分普及徹底を図って、加入の増加を図ってまいりたいと考えております。
#270
○喜屋武眞榮君 特に沖繩の場合、戦後の長い間の空白も加わって、いろんな悪条件もありますために、他県以上に沖繩への指導、PRが必要である、このように思うわけです。そうでありませんと、ますます空白状態がそのまま置きざりにされてまいるのでありますので、他県、本土ももちろん指導、PRが大事でありますが、沖繩に対しては、特におくれておる現状をPRしてもらう特別の措置を講じてもらわなければ、ますます他県並みに追いつくということがむずかしくなってまいりますので、その点、特別の御配慮をいただきたいんですが、大臣、いかがでしょうか。
#271
○国務大臣(武藤嘉文君) 先ほども申し上げましたように、やはり沖繩において、もっと後継者の方々もお入りをいただき、そうしてこの年金制度を活用していただいて、スムーズな形で経営移譲もなされていくようにしたいと私どもも願っておるわけでございまして、そういう面で今後とも農協あるいは農業委員会などを通じてのPRだけでなく、沖繩県においても、できる限りそういう点について、よく農民の理解を得られるように努力をしていただくように私どもも配慮していきたいと考えております。
#272
○喜屋武眞榮君 その点、ひとつ特別に御配慮をお願いします。
 次に、沖繩県における経営移譲年金ですね、経営移譲年金の受給の状況はどのように実情はなっておるのでしょうか、そのことをひとつ承りたい。
#273
○政府委員(杉山克己君) 五十一年から五十四年までの四年間におきまして、年々新規の裁定者が出ているわけでございまして、五十四年十二月、最後の時期の累計では九百三十人ということになっております。金額にいたしますと、年間三億五千四百万円ということになります。
 それから、種類別に受給権者の内訳を見てみますと、後継者移譲が、これは比率が高くて、ちょうど三分の二くらい、六六・五%の六百十八人、それから第三者移譲が三三・五%の三百十二人、こういうことになっております。
#274
○喜屋武眞榮君 それと関連いたしますが、他県に比べて、いまの経営移譲年金の受給をめぐってどのような特別な現象が、特徴があらわれておるか、こういった点、何か著しい変わりがあるんじゃないか、こう思われるのですが、どうですか。
#275
○政府委員(杉山克己君) ただいまも答弁の中で触れましたが、沖繩の経営移譲につきましては、他府県の場合に比べて後継者移譲が少ない、第三者移譲がきわめて多いという状況にあります。全体のほぼ三分の一が第三者移譲ということになっております。これに対しまして、それ以外の他府県はどうかといいますと、第三者移譲はきわめて少なく六・九%、後継者移譲が大部分で九三・〇%ということになっております。これはやはり沖繩県における農業経営のあり方、それから適格な後継者が少ない、一般的な労務事情といったようなことが反映していると思いますが、こういう第三者移譲の経営移譲は、経営規模拡大の上では大きく貢献しているものと考えられます。
#276
○喜屋武眞榮君 いまのお話によりますと、全般的に移譲率が低いと、そうして六十五歳以降の農業者老齢年金の受給者が多い傾向にあると承っておりますが、そういたしますと、どうしてもこの額を引き上げる、魅力あるものにしていくということが最も大事じゃないかと思いますが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
#277
○政府委員(杉山克己君) 農業者老齢年金の引き上げについては、これは各般からの要請も承ってはおるのですが、この年金制度自身の基本的な性格、つまり国民年金の付加年金である、それから農業政策上の政策年金であるということからいたしますと、これは大変御質問に逆らうようでございますが、困難であるというように考えております。
#278
○喜屋武眞榮君 沖繩のさらに特徴としまして、第三者移譲が多いようにありますね。もし受給者が死亡した場合、遺族の生活が非常に不安定になることが考えられますが、経営者移譲年金に遺族年金を設けるべきではないかと、こういうことも思うわけですが、どうでしょうか。
#279
○政府委員(杉山克己君) この問題につきましても、やはり農業者年金の基本的な性格からいたしますと、一般的に遺族年金をということは、これはきわめてむずかしい問題であると考えております。
 ただ、大臣がたびたび御答弁申し上げておりますように、六十歳から六十四歳までの間に死亡したために、経営移譲年金、これが受けられないことに伴って、それでは気の毒ではないかということで、それを受給権の承継ができるかできないか、そういう問題を検討してみたいということでございますので、私ども事務当局もその御意向を受けまして今後検討をしてみたいと考えております。きわめてむずかしい条件にあるわけでございますが、十分検討してまいりたいと考えております。
#280
○喜屋武眞榮君 いまの御答弁のようにひとつぜひ前向きに検討してもらうことを希望いたします。
 次に、沖繩における離農給付金の状況ですね、この状況はどのようになっておるでしょうか。
#281
○政府委員(杉山克己君) 沖繩県におきます離農給付金は、五十四年十二月末までで四百五十七件の支給が行われております。総支給の金額は五億四千七百八十万円ということになっております。
#282
○喜屋武眞榮君 この点からしましても、私はまだまだ政府のPRが足りないのではないかと、このように理解いたしておりますが、どうでしょうか。
#283
○政府委員(杉山克己君) 離農給付金につきましては、制度発足後すでに十年を経過しようとしているところでございます。支給件数は年々着実に出てまいっておりまして、五十四年十二月末では二万二千八百七十八件、これは全国でございますが、なっております。PRはそれなりに努力してまいりましたし、それなりの効果は出てきているとは思いますが、しかし、この五月で期限切れになるということでまた最近いろいろPR等に努めておりますところ、最近に至ってかなり離農給付金についての申請者も出てきているような状況でございます。そういう意味では完全にPRが徹底しておったと言い切れない面もございます。今後とも、制度の内容が十分周知されるよう関係機関等を督励して指導してまいりたいというふうに考えております。
#284
○喜屋武眞榮君 時間が参りましたのでもう一点お尋ねいたします。
 これは沖繩も含めてでありますが、全体に、末端における業務体制を整備するためにどうしても委託費の増額措置を講ずべきではないだろうか、こういうことを痛切に感じておりますが、その点に対して御答弁を願い、そして締めくくりとして大臣のそれに対する御見解を承って私の質問を終わります。
#285
○政府委員(杉山克己君) 委託費につきましては、これは農業会議あるいは農業団体等にお願いいたしまして事務を行っていただいているわけでございます。五十五年度予算厳しい中ではございますが、約七%の全体としての増額を図っておるところでございます。事務体制の充実は、PRの促進、加入の促進を図る上でもきわめて重要な問題でございます。今後とも事務費の増強には努めてまいりたいと考えております。
#286
○国務大臣(武藤嘉文君) 先ほど来御議論がございますように、この制度がより農民の皆様方に浸透して理解をされていくためにも、またいろいろの業務が円滑にいくためにも、業務を委託しております農協また農業委員会のお仕事というのは大変なことだろうと思っておりまして、私ども十分その点は、今後ともその委託費については確保のために一段の努力をしてまいりたいと思っております。
    ―――――――――――――
#287
○委員長(青井政美君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、久次米健太郎君、熊谷太三郎君及び鈴木省吾君が委員を辞任せられ、その補欠として鈴木正一君、岩崎純三君及び嶋崎均君が選任せられました。
    ―――――――――――――
#288
○委員長(青井政美君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 村沢君から委員長の手元に修正案が提出されております。修正案の内容はお手元に配付のとおりでございます。
 この際、本修正案を議題といたします。
 村沢君から修正案の趣旨説明を聴取いたします。村沢君。
#289
○村沢牧君 私は、日本社会党を代表して、農業者年金基金法の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨を御説明申し上げます。
 修正案はお手元に配布したとおりであります。
 その内容は、農業者老齢年金の給付額を二倍に引き上げようとするものであり、具体的には、現行法において、その年金額が「六百五十円に保険料納付済月数を乗じて得た額」となっているのを、「千三百円に保険料納付済月数を乗じて得た額」に修正しようとするものであります。
 以下、修正案を提出した理由を簡単に申し上げます。
 本年金制度に対しましては、制度発足以来、改善を要する各種の問題が指摘をされておりますが、中でも、昭和五十六年二月から給付が開始される農業者老齢年金の大幅な引き上げは強い要請となっております。かかる要請の背景は、第一に、やむを得ず経営移譲ができなかった者が六十五歳以降に受給をする農業者老齢年金の額が、保険料に比して必ずしもメリットがないということ、第二に、同じ額の保険料の納付にもかかわらず、経営移譲した者としなかった者の年金受給額の格差が余りにも大き過ぎるといったことなどであります。また、こうした制度の欠陥が、本年金への加入率を著しく低くしている要因ともなっているのであります。
 このため、日本社会党においては、昭和四十五年の現行法の制定に際し、純粋に農民の老後の保障を図ることを目的とした農民年金法案を対案として提出し、以後、今日に至るまで、農業者老齢年金の引き上げを強く主張してまいりました。また、本問題はひとりわが党のみならず、当農林水産委員会においても重点的に取り上げられ、過去における法律改正に際しても、農業者老齢年金については速やかにその引き上げを図ることを旨とした全会一致の附帯決議を付してまいりましたことは各位の御承知のとおりであります。
 しかるに、その後政府は、この農業者老齢年金の引き上げに対し、何らの特別な措置を講じていないのが実情でありまして、このことは善良な農民の期待を裏切るばかりでなく、立法府の意思をも無視したものと言わざるを得ません。
 今回、日本社会党があえて修正を提出したゆえんは、国会が農民の切なる要望を体し、立法府としての責任を果たし、これにより真の年金制度の確立を図ろうとするものであります。何とぞ全委員の御賛同を賜りますようにお願いを申し上げます。
 以上であります。
#290
○委員長(青井政美君) ただいまの村沢君提出の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。武藤農林水産大臣。
#291
○国務大臣(武藤嘉文君) ただいま御提案のありました修正案につきましては、政府といたしましては反対であります。
#292
○委員長(青井政美君) それでは、本修正案に対し、質疑のある方は順次御発言を願います。――別に御発言もないようですから、これより原案並びに修正案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御意見もないようですから、これより農業者年金基金法の一部を改正する法律案について採決を行います。
 まず、村沢君提出の修正案を問題に供します。
 村沢君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#293
○委員長(青井政美君) 少数と認めます。よって、村沢君提出の修正案は否決されました。
 それでは、次に原案全部を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#294
○委員長(青井政美君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、片山君から発言を求められておりますので、これを許します。片山正英君。
#295
○片山正英君 私は、ただいま可決されました農業者年金基金法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党、民社党及び第二院クラブ共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
   農業者年金基金法の一部を改正する法律案
   に対する附帯決議(案)
  政府は、本制度が農業者の老後生活の安定、農業経営の近代化及び食糧自給力の向上に果す役割の重要性にかんがみ、政策年金として一層の整備充実が図られるよう次の事項の実現に努めるべきである。
  一、農業者老齢年金については、他の年金制度をも考慮しつつ給付額の引上げに努め、農業者の老後生活の安定を期すること。
  二、次期財政再計算期において設定されるべき保険料については、本制度が政策年金であること及び農家の負担能力の実情等を十分配慮して定め、必要に応じて、国庫助成の引上げに努めるとともに、現行の完全積立方式についても、他の公的年金の動向を参酌して検討を加えること。
  三、本制度への加入促進対策とくに若年者の加入を一層促進するとともに、保険料軽減の対象たる特定後継者についてその要件の緩和に努めること。
  四、離農給付金制度については、その給付額を適宜実情に応じて見直すとともに専業的農家の規模拡大に資するようその運用に十分配慮すること。
  五、農業経営に占める主婦の地位の重要性、農家の家族経営の一体性及び保険料の掛捨て防止等の観点から、遺族年金制度を創設すること及び農業に専従的に従事する主婦等に対し年金加入への途をひらくことについて検討すること。
  六、本制度の円滑な運営が図られるよう末端における業務体制の整備充実に努めること。
  右決議する。
 以上でございます。
 委員各位の御賛同をお願いいたします。
#296
○委員長(青井政美君) ただいま片山君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#297
○委員長(青井政美君) 全会一致と認めます。よって、片山君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。武藤農林水産大臣。
#298
○国務大臣(武藤嘉文君) ただいまの附帯決議につきましては、農業を取り巻く諸情勢の変化を踏まえ、十分検討いたしたいと思います。
#299
○委員長(青井政美君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#300
○委員長(青井政美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十六分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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