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1979/02/21 第91回国会 参議院 参議院会議録情報 第091回国会 大蔵委員会 第3号
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1979/02/21 第91回国会 参議院

参議院会議録情報 第091回国会 大蔵委員会 第3号

#1
第091回国会 大蔵委員会 第3号
昭和五十五年二月二十一日(木曜日)
   午後五時五十九分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月十五日
    辞任         補欠選任
     三浦 八水君     藤川 一秋君
     小巻 敏雄君     佐藤 昭夫君
 二月二十日
    辞任         補欠選任
     和泉 照雄君     鈴木 一弘君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         世耕 政隆君
    理 事
                中村 太郎君
                細川 護煕君
                矢追 秀彦君
                中村 利次君
    委 員
                浅野  拡君
                岩動 道行君
                梶木 又三君
                河本嘉久蔵君
                坂野 重信君
                嶋崎  均君
                藤井 裕久君
                片岡 勝治君
                丸谷 金保君
                多田 省吾君
                佐藤 昭夫君
                市川 房枝君
                野末 陳平君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  竹下  登君
   政府委員
       公正取引委員会
       事務局取引部長  劒持 浩裕君
       経済企画庁物価
       局審議官     坂井 清志君
       大蔵政務次官   遠藤  要君
       大蔵大臣官房審
       議官       水野  繁君
       大蔵大臣官房審
       議官       福田 幸弘君
       大蔵大臣官房審
       議官       梅澤 節男君
       大蔵省主計局次
       長        禿河 徹映君
       大蔵省理財局長  渡辺 喜一君
       大蔵省銀行局長  米里  恕君
       大蔵省国際金融
       局長       加藤 隆司君
       国税庁次長    伊豫田敏雄君
       国税庁間税部長  小泉 忠之君
       国税庁調査査察
       部長       矢崎 新二君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊藤  保君
   説明員
       科学技術庁計画
       局資源課長    石田 寛人君
       法務省訟務局租
       税訟務課長    藤浦 照生君
       資源エネルギー
       庁長官官房鉱業
       課長       山梨 晃一君
       日本専売公社副
       総裁       原  秀三君
       日本専売公社理
       事        飯田 頼之君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○租税及び金融等に関する調査
 (財政及び金融等の基本施策に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(世耕政隆君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る十五日、三浦八水君及び小巻敏雄君が委員を辞任され、その補欠として藤川一秋君及び佐藤昭夫君が選任されました。
 また、昨二十日、和泉照雄君が委員を辞任され、その補欠として鈴木一弘君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(世耕政隆君) 租税及び金融等に関する調査を議題といたします。
 去る十四日の委員会におきまして、財政及び金融等の基本施策について竹下大蔵大臣から所信を聴取いたしておりますので、これより大臣の所信に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○丸谷金保君 先日の所信表明で大臣は、財政金融の課題及び当面の財政金融政策について御説明がございました。この所信表明をお聞きしておりまして、一貫して流れているのは、何とない太平ムードといいますか、非常に楽観的な見通しをお持ちになっているのではないかと思われる節が非常にございます。それらの点について、ひとつお聞きをいたしたいと思います。
 まず第一に、最近の経済情勢の中で、消費者物価は現在のところ総じて順調に推移している、しかし卸売物価が上がってきているので警戒を要する状態だという程度でございます。しかし、そういう状態ではないのでなかろうか。そのことは、日銀が公定歩合を上げたというふうなことにおいても、非常に緊迫している物価の状態だということを私たちは察知するんですけれど、大臣の所信表明の中に見られる限り、まず順調にいっているというふうなことでございます。
 そうでなくて、むしろ私は、大臣が、しかも卸売物価がこれだけ上がっているんだから消費者物価にもはね返って、きわめて厳しい状況に先行きなるというふうにお話しになるかと思ったところが、そうでもなかった。一体どういう根拠でこういう太平楽が並べられるのか、ひとつ改めてもう一度お伺いいたします。
#5
○国務大臣(竹下登君) 確かに、私は「安定した消費者物価を維持しており、現在のところ総じて順調に推移していると申してよい状況にあります。」と、こういうことを申し上げました。
 確かに、消費者物価で見ますと、今年度の実績見込み四・七%というものは、それは達成できるという状態にあろうかと思われます。したがって、総じて、言葉の上ではそうなっております。確かに、OECD等の発表を見ましても、十二月だけ見ましても、アメリカが一三・三、ドイツが五・四、フランス一一・八、イギリス一七・二、イタリア一九・八、日本が五・八でございますので、十二月になってからドイツよりも前年同月比が少し高くなりましたが、十一月までは世界で最低と言うと表現がオーバーでございますが、まあやや安定しておったと言えると思うのであります。
 したがいまして、そういうことから見れば、消費者物価が実績見込みの四・七というのは、これは総じて達成できるという考え方を申し述べたわけでございますけれども、いま丸谷委員御指摘のとおりでございまして、一番今度は最近の分でまいりますと、二月上旬には前旬比〇・七%、これは卸売物価でございますけれども、前年同月比は実に二〇・二%と上昇テンポを速めております。その上に消費者物価は一月の東京都区部での速報で前年同月比で六・二%、そういう状態になっておりますが、この原因を見ますと、一部野菜価格の高騰というものが、一月の東京都区部の速報では大変影響しておる。しかし、いまはこれでございますけれども、将来にわたっては、委員御指摘のとおり、この卸売物価が消費者物価に大きな影響を与えてくるということは、これは否定できない事実であろうと思うのであります。
 したがって、そこでやはり、もとより優等生答弁としましては、絶えず景気、物価両にらみの中に適時適切なる政策を弾力的に運用すると申しますものの、当面、物価というものにやはり重点を志向せざるを得ないという認識に立っておるところでございます。
 したがって、物価閣僚会議を行いました後、いわゆる公共事業費の留保という措置もその一つのあらわれでございますし、そして、日銀がこの十九日から公定歩合の引き上げを行われたと、それについての連動しますもろもろの金利につきましては、いま各段階でそれぞれ詰めておるところでございますけれども、これらが影響をいたしまして何とか少しでも落ちついてくれるようなことを期待しながら、厳しい姿勢で物価対策には臨んでいかなければならぬというふうに考えておるわけでありまして、基本的には、丸谷委員の認識と一致しておると申してもよかろうかと思うのであります。
#6
○丸谷金保君 どうも基本的にはそういう点で心配しているとおっしゃるんですけれど、所信表明の流れを見ている限り、それほど厳しく受けとめていないように思えたので、あえて御質問申し上げた次第でございます。
 それで、いま大臣は、野菜等が上がってきたということで六・二%という数字が出ているけれど、総体として四・七%で抑え込めるというふうなお話でございます。しかし、たとえばこれは野菜だけでなくて、東京都の調査によりますと、ことし入学する新入児童の学用品類、これらが全体で五・八%、そのうち机などは七%、ランドセルに至っては一三%も上がっているというふうに、決して私は、いま大臣が言われたように、野菜がちょっと値が高過ぎるから六・二%になったんだというような、なまやさしいものでないというふうに思われるんです。これは、三十九品目のトータルしたものでも五・八%という数字が学用品で出てきております。これらからいっても、大臣の認識のようなそういう程度のものではないと思うんですが、いかがでございましょうね。
#7
○国務大臣(竹下登君) 数字の上では、確かに野菜の高騰というのが非常に響いてきておることは事実でございます。しかし、それのみであるとはもとより申しませんが、それがかなり異常なものであったと。したがって、その野菜の問題はいろんな施策をいま展開しておりますが、今度春野菜はかなり下落するのではないかという見通しも立っておりますが、その下落というのはまた生産者との問題も起こってまいりますので、容易なことでないなあと思いつつ、やはり日銀が行われた公定歩合の引き上げがどういうふうに響いてくるかということを冷静に見守りながら、さらに監視していかなきゃならぬ状態にあることは事実であるというふうに、私も理解しております。
#8
○丸谷金保君 次に、国際収支の関係でございます。
 国際収支が大変悪くなってきているというのは、石油の値上がりというふうなことが大きく響いてきておると思いますが、公定歩合の引き上げというふうなことによって国内の景気がいささかでも後退するようなことがあると、一方では、赤字基調の国際収支というふうなものとあわせまして、消費者物価の全体を引き上げる要因になりかねない大変重要な問題を持っておると思います。この点につきましても、大臣は、国際収支は赤字が非常に大幅にふえてきて財政収支の不均衡にもなってきているというふうなことをおっしゃっておりますけれど、しかし、その反面、世界貿易拡大のための東京ラウンドの交渉が、これから大きく成果を上げていくことになるだろうというふうなことを申しております。
 石油の関係がいろんな形で大きな影を投げてくる中で、一体、この東京ラウンドの交渉でまとめてきたものが、果たしてそのような自由貿易の形の中でうまく進んでいくと大臣お考えですか。いくと思っているからそういうふうにうたい上げているんでしょうけれど、どうも大変心配な点がたくさんございますので、この点、もう一度お聞かせ願いたいと思います。
#9
○国務大臣(竹下登君) この国際収支の点につきましても、これは非常に兼ね合いのむずかしいところでございますけれども、きのう、きょうの段階――きょうまだ終わり値を聞いておりませんが、大体やや円安傾向でございます。それはいろんな理由がございますけれども、そうして一方、輸出の契約が若干また伸びてきておる。そうすると、これがまた、ある意味においては貿易摩擦の問題にもつながる。まあ非常に複雑な中でありますが、やはり傾向として見ますと、国際収支の問題は、五十五年度を見てみますと、やはり逐次いわゆる赤字幅が減っていくという傾向にはあろうかと思うのであります。
 しかし、全体的に、これは先進国全体の問題として見ればそれまででございますけれども、いわゆる産油国へ富が移転したとでも申しましょうか、そういうことからして確かに大きな影響がございますので、これも注意しておりませんと、どういう形で物価にはね返ってくるかわからない。非常にこれは慎重に対応していかなきゃならぬ問題でございますので、それについても現在国際経常収支が赤字だからといって、いわゆる日常の貿易そのものに困るという状態ではもちろんございませんものの、物価に対する影響というものは、それも大きな要因の一つになるという観点で、これに対応していくということにも変わりございません。
#10
○丸谷金保君 実は、国際収支の問題については私は大変心配しておるんでございます。一方では、国内公定歩合を上げて、消費者物価、卸売物価等を過熱させないために緊急の措置をとらなければならないほど、国内の経済の先行きというものは大変な状況でございます。これは各新聞の論調を見ましても、形を破った公定歩合の引き上げであるとか、初めて予算審議の最中に公定歩合を上げるという、いわゆる聖域を一つ突破したんだというふうな表現を使うくらい、これは異常な状態なわけでございます。しかし、国際収支の問題とあわせて考えますときに、こういう金融措置、そういうことだけでやっていくことはとてもそれはできるものじゃないんじゃないかというようなのが、それぞれ各新聞のこの問題に対する論調でございます。
 したがって、それに続くインフレ防止策、こういうものをやっていかなければならないんですが、実際には、ああいう引き続いて公定料金が上がるというふうなことがメジロ押ししておりますので、金融の抑制というふうなことだけでインフレを抑えていける、そういうことにはとてもつながらないんじゃないかと、こう思うわけです。
 特に、八〇年代は東京ラウンドの幕あけだというふうな、非常に大蔵の皆さん方が御苦労なさった本がつい二、三日前に出ました。高らかにうたい上げておるし、なかなか大変だったと思うんです。しかし、一方では、すでに新聞等でも盛んに問題になっておりますアメリカとの自動車の問題等が起きてきております。これは一体、東京ラウンドというふうな自由貿易主義を高らかに八〇年代の初頭うたい上げているやさきにこういう問題が起きてくると、一体東京ラウンドというふうなものはそのまま八〇年代を走ることができるのだろうかという危倶を持つんです。
 自動車の問題は、具体的なことになると、これは通産大臣の所管なので大蔵大臣にそういう質問をしてもらっては困るのだと、再三私のところに話があったんです。ですから、これは具体的な問題というよりも総体的にとらえて、その一つの事例として申し上げたいと思うんですが、国際収支の赤字の問題にしましても、アメリカの赤字と日本の赤字では本質的な違いがございます。
 たとえば、アメリカの赤字の一番大きな問題は、多国籍企業といいますか、どんどん資本が外国へ出ていって、あちこちでたくさん仕事をやっております。結局、このことは、仕事はそれぞれの国に分けてやってもらうけれど、もうけだけはアメリカへ持ってきますよと、こういう形になっておりますわね。そのために赤字が起こってくるわけです。そしてまた、アメリカの国内で失業者もふえてくる、こういう結果をもたらすのは当然だと思うんです。その穴埋めを今度は、日本の自動車産業を自分の国へ持っていって雇用の促進をしてくれと――ちょっと筋が違うんじゃないかという気が、実は非常にするわけでございます。
 そのことについては、フレーザーさんが来て相当強い圧力をかけたようですが、なかなかまだ大手の自動車メーカーが色よい返事をしない、政府もこれについてはできるだけ協力するというふうなことを言っておりますが、こういうことをやっていったら、先ほどの物価を抑制し国際収支を直していくというふうなことは、一体できるのでしょうか。
 たとえば、アメリカから日本に、昔はコカ・コーラなんかもノーハウがあるからということであれでしたし、IBM以下こちらへ来て仕事をやっております。これらが全部またアメリカへ引き揚げるというふうなことになれば、国際収支の面ではアメリカの赤字というものはぐっと減っていくわけです。そういう余裕を持っています、アメリカの場合は。まして、自分のところの通貨で決済をしていくんですから。しかし、日本の場合、全くそれと違うわけですね。
 なぜ、アメリカの多国籍企業が原因で起きてくる失業者に対して、日本の自動車の労働者全体を、押せ押せで日本の労働者の首切りにつながるようなめんどうをアメリカに見なきゃならぬのか、東京ラウンドの精神からいって、ちょっと違うんじゃないかと思います。このことをなぜアメリカに強く言えないのかということについて、ひとつお答え願います。
#11
○国務大臣(竹下登君) これは、丸谷さんの感覚と私の感覚と違っておるわけではございません。確かに、いまこれからまた御審議いただくことになろうかと思うのでありますが、関税というもの自体は、生産者保護ということが、国内産業保護ということが大きな目標に設定されたものでありますが、一方、東京ラウンドというのは御指摘のとおりで、貿易の自由化の原則に従って、およそ地球上に生存する人類が安価にして良質な物をどこからでも享受できるという精神がそこにあるわけですね。そういうことに何年もかかって合意を見たと。そこでまた、別の意味においていま自動車を例に取り上げられましたが、二国間にある種の摩擦というものが懸念されておるというのが実態であろうと思うのであります。
 それに対して、対米交渉の際、政府は弱腰じゃないかと、こういう御意見も一つあろうと思うのであります。確かに従来の、これは大蔵省サイドから見ますと、開発銀行などの窓口から見てみますと、かつては輸出競争力をいかにしてつけるかというので、自動車産業に対して低利な資金の供給をして、一方、エンジン等に至るまでを自由化しないで、そうしてある時間、日本の自動車産業に力をつけてきたわけでございます。もうそれもつい十五年ほど前の話になります。
 それが今日力がついてきて、そうしてアメリカの自動車産業――とにかく省エネの車でございますから、これは大蔵大臣としてというよりも、私の友人が申しておった言葉として申しますならば、いまアメリカで選挙をやるには、日本の車の輸入を禁止しますと言うよりも、日本の車の輸入をもっとふやしますと言った方が票がふえるという話があるぐらい、いわゆるニーズそのものが、安価にして良質で省エネだから売れるのはあたりまえじゃないかと。したがって、この間フレーザーさんがお見えになったときも、某閣僚の方が、あなた方の自己努力の欠如を日本にしりぬぐいさすということはいかがなものですかと。これは私はきわめてタイムリーと申しますか、適切な発言だと思うのでございます。
 しかし、いずれにしても、これは二国間の問題でございますので、したがって、向こうでは輸入禁止しようという動きがある。法律を出すという人もおる。しかし、これが現実問題になり得るかどうかということになりますと、私はきわめて疑問に思いますけれども、そこで新たなる問題としてトヨタさんや日産さんにアメリカに出てくれんかと、こういう要請が来ておる。これも総体的にはいいことでございますけれども、日本の下請の問題がどうなるか。労働条件も違いますので、また日本の労働者の雇用の問題にどう影響するかということで、企業としてもにわかにそれに踏み切るという状態にはない。
 そういうような複雑な絡み合ったいろいろの問題を、まさに総合的に勘案していかなきゃならぬ状態でございます。その中に、いま御指摘のいわゆる国際収支というものの持ってくる物価に対する影響というものも配慮していかなきゃならぬ。そういう非常に複雑な中で、私は最終的には日本人の今日までたゆまざるバイタリティーというものを評価しつつ、それのしかしかじ取りといいますか、お手伝いの方向が誤っちゃならぬということで、まさに適時適切なる弾力的運営によって対処していかなきゃならぬと、結果としてはそういうお答えにならざるを得ないではないかというふうに考えております。
#12
○丸谷金保君 そこで次は、大臣は財政の再建の問題に言及しておるんです。ここへくると、きわめて財政の安定を図らなければインフレ要因を持ち越すことになる、一兆円を圧縮することで一歩を踏み出す、こういうような言い方をしておるわけでございます。しかし、公定歩合を上げて、それから円が安くなってきて、公共料金を上げる。それから、もちろん税収の増加も見込んでおるわけです、インフレを抑え込むためにですね。そうすると、結局、市中の金融状態というものは非常に悪くなります。果たして、十四兆というような国債の消化がいままでのように全体をながめた上でできるんだろうかという懸念を、非常に実は持ってくるわけなんです。
 で、私は昔銀行にいたことがございますので、日銀券の流れというものは大変興味を持って見ております。五十年から五十五年の最近までの日銀券の発券高の状況を見ておりますと、これは確実に一〇%前後ずつふえている。これは、経済の成長率がこれについていっておる限りにおいて悪性インフレの要因になるほどのものではないわけですけれども、長期の展望で考えますと、このことは、一つは赤字国債をなし崩した価値を下げていく効果を非常に持ってくるわけです。
 政府は、インフレを抑えるんだ抑えるんだと言いながら、きわめて巧妙に日銀券を増高させながら国債政策をとって、その支払いの段階では非常に楽になる。十兆円のものは、やがて支払いをするときの貨幣価値は一兆円程度の価値しかなくなって、全体としての財政規模と経済は大きく見えるけれど、中身は、現在の金融政策のツケをそうした形で徐々に物価高、インフレを行いながら処理していこうとしているのじゃないかという感を強くするんです。本当に抑え込んでいくのなら、経済成長率に合わした程度に、これはマネーサプライも含めてもう少し考えていかないと、ここら辺からも実は非常に心配する面が出てくるんですが、いかがでございましょうか。
#13
○国務大臣(竹下登君) いわゆる銀行券の平均発行高あるいはマネーサプライの問題についての言及でございますが、いまのところ、マネーサプライも十二月で一一・〇でございます。一月も恐らく大体同じ程度ではなかろうか。これには日銀当局も、この問題が大きくインフレを押し上げる要素になるとはいまのところ思っていないわけでございますが、いま丸谷委員の御心配なのは、極端に言いますと、戦時国債などが貨幣価値の低落によっていわゆる紙切れ同様になってしまったと同じような形で、インフレの高進の中で、いま発行されておるこの国債がかつてのそのような姿をとった場合は政策的に全く過ちであって、それこそ迷惑をこうむるのは国民だけだと、こういう御指摘は、そういうことになってはまさにそのとおりだと思うのであります。
 したがって、それがないようにするために、政府といたしましても実際問題、もとよりこの日銀引き受けということはこれはもう禁じられておるわけでございますけれども、これが消化についても、そしてまたその発行条件についても、まさに適時適切なる対応をしなければいかぬ。特に公定歩合が上がった今日でございますから、たまたま、それこそ三月発行のものに対しても、どういう条件にするかということも取り急ぎ決めなきゃいかぬ状態の今日でございます。
 で、それらも適当に決めながら、しかも今度はこれもまた適切な、御質問の中にお話のございましたこれが国債消化という問題をどうしていくかと。結局私は、ことしが補正で一兆二千二百億減さしていただいた、あれが引き受けがどうやらできることになったと、こう思うのでございます。
 したがって、来年度は初めから一兆の減額をして、そうしてその上に結局シ団引き受けと公募というものを、資金運用部原資事情が厳しい中で資金運用部引き受けを二兆五千億としたことによりまして、シ団引き受け及び公募が十一兆七千七百億円と、五十四年度当初に比べて二兆円圧縮するという形で、これは補正後で比較した場合におきましてもシ団引き受け分が六千億円弱の減額をこの結果としてなりますので、私はこういう状態の中でも消化することは可能であるという目安の上に立っておるわけでございますけれども、一つ一つが複雑に絡んだ経済運営でございますので、事実、日銀のまさに専管事項でございますところの公定歩合の引き上げにいたしましても、今度は経済政策運営全体の立場から言えば、大蔵大臣にもそれなりの責任ございますし、全く知らされないままにやる筋のものではございませんけれども、これらもあえて勘案して、私はそういう心配のない形で運営していかなきゃならぬ。本当に曲乗りみたいな感じがしておることは事実でございます。
#14
○丸谷金保君 大臣、大変自信のある御答弁をいただいて安心するわけですが、ただ気になるのは、戦時国債のときといまの国債の引き受ける相手が全く違うんです。いいですか。
 ですから、戦時国債でこりていますから、個人は余り抱いてないんです、国債を。抱いているのはほとんど金融機関なんですよ。金融機関は、現金の流れを見ておりますと、年末その他で非常に貯金が大きく出ていくというふうな時期になると、日銀券がどうしてもよけい必要ですから、買いオペで日銀の方へ戻ってくるということが起きているわけです。そして、そういう点で、日銀の資産残高の中で国債の占める割合がだんだんふえてきているんです。それから一方、市中銀行のマネーサプライの方で見ますと、個人の預金は余り変わりないんですが、法人預金が驚くほど小さくなっております、これは一々数字を挙げなくても御存じだと思いますけれど。
 このことが、これからの景気、それからいわゆる税収、国債の不消化、そこへもってきて、従来と全く違うパターンとして石油の圧力というものが従来にない大きな要素を持ってくると思うんです。たとえばエネ調では、今後十年間の経済成長率を五・七%ぐらいに見ておるんです。しかし、これを五・七%に見ておって、六十年の予測を立てておる中で、やはり圧倒的に石油に依存する度合いが大きい。それから、新エネルギーの開発にも相当の数字を挙げております、エネ調では。挙げておりますけれど、実際にはこんな数字の新エネルギーといいますか、代替エネルギーができるはずがないんです。それを見込んでなおかつ五・七%の経済成長率を見込むということは、私たちはとてもこれだけの経済成長率を見込んでいくことは不可能ではないかと思う。
 ただし、この点につきましては、経済成長率に合わしてのエネルギーが一体幾ら要るんだというふうな計算がなかなかできませんので確たることは言えませんけれど、こういった一連の数値を調べていきますと、どうしてもまだ当分石油に依存しなきゃならない。そして、石油依存度によるところのいわゆる産油国機構に対する赤字というものは、もう五十五年度以降四百億ドルを超えるのじゃないかと言われております。そうすると、四百億ドルを超えるということは、その分どこかで黒字にしていかなきゃならないということです。アメリカあるいはその他の国に対して、大きな黒字要因をいつも抱えておかなければならない。そういうことがそう簡単にいくでしょうか。そうすると、これらが国内の経済にはね返らないはずはないんです。
 大臣のいまおっしゃるような、そういう楽観的なというか、まあ楽観はしておらないんでしょうけれど、何とか現在のパターンをそのままにして日本人の英知で乗り切れるだろうと――思い切ったここらで財政の見直しもしなければならないでしょうし、経済全体、国民生活の全体を見直さない限り、何かこう奈落の底がかいま見れるというふうなことを言っている人がおりますけれど、そういう感じがつくづくするんですが、いかがでございましょう。大丈夫でしょうか。おれに任しておけと、こう親分のように胸をたたけますか。
#15
○国務大臣(竹下登君) いや、とてもおれに任せておけというほど私もうぬぼれも自信も持っておりませんが、いまおっしゃいますように、あのエネ調の計画あるいは今度新経済社会七カ年計画のフォローアップで実質成長五・五で計算するかとか、いろいろその計算の方法は別といたしまして、いま基本的にお話のございましたところの、大変に産油国へ富が移転して、その分をどのようにして穴埋めをするかというふうなことになりますと、それは私どもとて容易ならざることであるということは十分感じます。したがって、まさに総合的にエネルギーの節約とか、代替エネルギーの開発とか、そういうものを一方で進めていかなければならぬと同時に、やはりそれにかわるべきいわゆる貿易の点も当然考慮に入れなきゃならぬ。
 ただ、そこでむずかしいのは、貿易問題ということになりますと、すぐ日本の貿易というのは、あるいは特定の地域とか特定の国に対して集中的にこれを行うではないかという、経済摩擦を起こしかねないような国際的環境がすぐできあがる危険性もある。それをきわめてなだらかにやっていくところに、大変むずかしい問題がある。
 私が絶えず申しておりますのは、今日、事実一九六〇年代を見ますと、それこそ三ドルぐらいから一ドル七十セントぐらいまでに下がってきた油を、まさにじゃぶじゃぶ買い込んで高度経済成長の道をひた走りに走ってきた。そうして、七〇年代になりまして、七一年のドルの兌換停止からまさに国際経済社会の中へもみにもまれてしまって、しかし、そのときに、国民に新しい負担を求めないで、いわゆる政府が借金して今日の経済運営をやってきたというのも、それなりの私は国民の選択は正しかったのではないか。政府が肩を怒らしていばれる問題ではないと思うのでございます、そういうことを国民が選んだわけでございますから。したがって、それが限界に達して、そして不確実性の時代とか不透明な時代とか言われる八〇年代に到達してきた。そうすると、容易ならざる事態だとは思います。
 ただ、いつでも申しますのは、どんな時代でも結局、日本の労使――私は日本の企業の自助努力という言葉の上に、まさに労使の慣熟した自助努力とあえて言っていいと思うのです。まあ官公労等多少別の問題がございますけれども、そういうものが、私はこれからもいわゆる総合した言葉で言うバイタリティーとして、それに適時適切なる運営のよろしきを得ればこの難局は乗り切れる、また乗り切らなきゃならぬ課題であるというふうに考えております。
#16
○丸谷金保君 大臣から、初めて難局という非常に緊張した表現の御答弁があったので、実は大臣はいろいろなことを前段で言っていますけれど、相当厳しいということを御認識しているんじゃなかろうか。
 と言うのは、先日のこの方針の中で非常にデリケートな発言をなさっておるわけです。これはずっと最後の方でございますけれど、「財政投融資計画につきましては、厳しい原資事情に顧み、事業規模、貸付規模を抑制しつつ、住宅、中小企業金融、エネルギー対策等緊要な施策について資金の重点的配分を行い、国民生活の安定」と福祉の充実にと、こう言っておるわけです。ところが、この配られました原稿によりますと、ここに「国民生活の安定、向上と福祉」と書いてあるんですよ。ほとんどこの原稿そのままお読みになったのに、ここのところだけ「向上」という言葉を大臣はお取りになっているんです。
 これは実は私は大変なことだと。大臣は、もう国民生活の向上というふうなことは、これはいまのこういう厳しい難局で願うべくもないんだという考え方を持っておられるので、ずっとそのとおり読んできた原稿のここだけ外したんだな、そういう角度でもう一回読み返してみますと、きわめて国際収支、石油の重圧、日本における代替エネルギーの開発のおくれ、公共料金の値上げ、国債を引き受ける銀行の内部の預金の中身の固定化、これらが相乗的な効果の中で、インフレに持っていくか、国民生活を抑え込むかしなければならないんだというふうなところにいく、こうお考えになっていたものですから、ここでうっと詰まって「向上」だけ、あのとき一瞬大臣は考えました、そして抜かしたんです。実に含みのある抜かし方をされたので、ここらに本当の腹が出てきたのだなと、それで実はいま長々と全体についての御質問をしたわけで、いかがなんですか、なぜここのところでこれだけ抜いたんですか。
#17
○国務大臣(竹下登君) いや、私は正確に読み上げたつもりでございますが、この間からあるいは思いますのは、国会で御答弁申し上げておる段階において、現在の水準を守ることが精いっぱいでありますという表現をよく使っておるわけでございます。現在の水準をさらに向上さすということを控え目に使っておりますので、そういう癖があるいは出たかと思うのでございますけれども、本来、私はやっぱり福祉にしましても何にしましても、いまの水準を守るだけでも大変でございますよということは言っておりますけれども、向上という言葉を意識して抜かそうとは必ずしも思わないのであります。
 元来、向上がなかったら、やはり人間しょせん限りなき欲求を追求する動物であり、政治、また無限の理想への挑戦であるとするならば、やはり向上というものはなくちゃいかぬと思いますが、厳しさの余り最近の答弁の中で、維持していくだけが大変ですよというトーンでいろいろなところでお答えしておることは事実でございますので、そういう認識があるいは飛ばしたかもしれません。
#18
○丸谷金保君 いや、私はこれは飛ばしたので、さすがに大臣は大物で、役人の書いた原稿をすらすらっと読んでいる中でも、一瞬飛ばすところは飛ばすのだなと思ったんですが、そうじゃなかったわけですね。
#19
○国務大臣(竹下登君) 癖が出たのか、その辺は御判断にゆだねます。
#20
○丸谷金保君 実はそれで、エネルギーの問題なのでこれはあしたのエネ特で詳しくやりたいと思うんですが、特に一つだけ、これは大臣でもどなたでも結構でございます。
 新しいエネルギー開発に、非常に国の予算が少な過ぎるんです。私は昨年の五月三十日の本会議で、決算の代表質問でこの問題を取り上げました。五十二年度の決算ではわずかに四十八億なんです。ところが、そのときの通産大臣は、いやいや五十四年度は、それはいまは百二十億ぐらいにふえましたと言っているんです。私のそのとき申し上げたのは、四国に三つも橋をかけるぐらいなら、あれ一本削れば少なくとも一千億から一兆円程度の膨大な代替エネルギーの研究計画が立つんではないかというふうに質問したのですが、何かけた違いで、何%かふえたというふうな程度に、実は通産大臣はそういうふうに答弁しておるんです。
 本会議ですから、それは再質問ができませんでしたのでその場はやむを得なかったんですが、そういう角度で見ておりましたところ、その代替エネルギーの研究の焦眉の急として特定重要総合研究推進費制度というのを通産がことし要求したやつが全額削られた。そして、これらはいわゆる調整の中でやっていけるから大丈夫だということで、十五億あるので研究をしていくには差し支えないと、通産の事務当局の方たちは言っているんです。ですから、これは制度としては削られたけれども研究としてはできると、こういう言い方をしておるんです。ところが、これはエネ調のこの計画その他から必ずしもこれが確実なものとは言えませんでも、五年、十年先の一つの指針を出しております。そういう中で考えておる代替エネルギーなどには、とてもこんな程度のことをやったのでは追いつきやしない。もう最初から、できない数字が出ていると言ってもいいくらいな状況になってしまうんです。
 大臣、ひとつ思い切った、代替エネルギーの研究には、いや十五億あるから大丈夫なんだというふうなことでなく、本当にもう思い切った捨て金を捨ててもいいつもりで、実際には研究というものはそういうものです。まだ予算をやっている最中ですから、これからでも遅くないんですから、エネルギーの研究開発に思い切った大蔵大臣として財政投資をする考えがあるんだということを一言いただけないか。そのことによって、あしたのエネルギーの委員会におけるわれわれのまた論議の仕方が違ってきますので、いただけないと言うなら、ちょっとあとこれからまた出てきますので。
#21
○説明員(石田寛人君) 補足的にお答え申し上げます。
 先生御指摘のエネルギー研究開発関連経費でございますが、御指摘の特別研究促進調整費十五億円を十分活用いたしましてこれに当たることは当然でございまして、おっしゃいましたように、私ども全力を挙げて努力さしていただきたいと考えております。
 なお、私どもエネルギー研究開発全体――原子力あるいはそれ以外のもの全体を含めまして、現在お願いしております政府原案では約三千億円ぐらいになっておりまして、これは特別会計、一般会計合わせてでございますが、昭和五十四年度に比べまして五〇%近い増でお願いいたしておりますので、もし予算がお認めいただけますれば、この予算によりまして、私ども全力を挙げてエネルギー研究開発に努力してまいりたいと、かように考えておる次第でございますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
#22
○国務大臣(竹下登君) 私は、実は丸谷委員の思想は私なりによくわかりますけれども、どういう研究にどれだけ金のかかるものかということは、不敏にして知識がありません。
 まあ、研究開発というのは、それこそ顕微鏡の中をのぞきまして科学技術の研究をしていくという研究開発もありますし、また一方、地震の研究なんというのは、大変な舞台装置をしてがけ崩れ等々の研究開発もございますし、そして学問研究は、まさに長期にわたるものもあります。しかし、代替エネルギー対策というものに対して、少なくとも今年度対応していった財政当局の姿勢というものは、これだけ乏しい財源の中でこれだけの伸び率というものを見ましたときに――それにはまた、特別会計等をおつくりいただくことに対しての御協力もいただきながら、私はそういう姿勢はこれからも貫いていかなきゃならぬ課題であるというふうに考えております。
#23
○丸谷金保君 研究する方はこれだけあれば十分だと言っているんですから、それでいいということになるかしらぬですが、これは大臣、予算要求する方は、来年のこともありますし大丈夫だと言わなきゃならないんですよ、もっと欲しいと思っても。いいですか。
 それと、そんなにやってないんです。やってないから、私たちこんなことで一体五・七%というふうな経済成長率を維持して八〇年代いけるのかと、とても心配なんです。たとえば先ほどの代替エネルギー、ほとんど昭和六十年くらいまでの、五年くらい後でも石炭液化が中心なんですよ。いいですか。ところが、石炭液化なんというのは、これは大臣に詳しいこと申し上げませんけれど、石炭液化なんというのは設備をしてから実際に動き出すまでに相当年数かかるわけです。そうすると、エネ調の計画の五分の一も、実際には昭和六十年には動かないと私たちは思うんです。そんなことわかり切っているんですよ。ただ、五・七%から逆算していくと、どうしてもその程度見込まなきゃならないから見込んでいるような数字が出てきております。だから、急ぐんです。
 たとえば、いま海流のあれをやっております。ただ、もっといろんなことを民間でもやっておるんです。そういうことがちっとも吸い上げられていないんですよ、金を出さないから。
 その一つの例として塩があるんです。これ、塩は大臣の方に関連しますので申し上げたいと思うんですが、大島でつい最近、波の力で無重力ポンプを使って潮を上げまして、それをタワー式製塩法というんですが、上から海水を落として風の力で塩水をつくるというやり方で、全くエネルギーを使わない製塩法が始まっているんです。これは専売公社が研究をすることは認めたんです。なぜなら、海水から塩をつくるということは法律で禁じられておって、お伊勢さんとか、ごくわずかしかやっているところはないんです。これを認めてくれたことは大変いいんです。しかし、今度はそれを頒布しちゃいけないということなので、研究できないんですよ、無重力でやっているのがね。それはやっていますよ、あちこちから浄財を集めて。一口千円ずつでカンパしてくれなんて回ってくるんです。こういうところへ思い切って、そういう代替エネルギーなんですからやればいいのに、なかなかそういう方はそういうことで詰まっています。
 一方では、いまの製塩法というのは、もう本当に石油エネルギーを消費する製法なんです。その方に大蔵省はみんな統一しちゃいまして、これはその方がコストが安くなると。ところが、石油がこれだけ上がってくると、決してコストが最初の計画ほど安くならないから、専売の事業の中でも塩の方は赤字なんです。一方では、そういう形のものをちっとも頒布することを許可しないから、研究は伸びられないんです。こういう点について、ひとつお考えをぜひいただきたい。これについては専売公社の方からも来ていると思いますので、ひとつ、どうしてその頒布する方を許可しないのですか。
#24
○説明員(飯田頼之君) いま先生御指摘の伊豆大島の製塩試験のことでございますが、概要を申し上げますと、塩の専売法では生産された塩は専売公社が全量買い上げる、これを収納と言っております。そういうことが原則になっております。専売公社としましては、需給上専売公社が必要としない塩あるいは非常に経済性のない塩、そういうものは収納しないというたてまえになっております。したがって、そういう塩については製造を許可しないということです。しかし、そういうことになりますと、試験研究の道を一般の人に対して全部封ずるということにもなりかねませんということから、特に試験製造というものにつきまして許可するという別の道を講じております。
 御指摘の伊豆大島の製塩もこれに該当するわけでございまして、昨年そういう申請が出てまいりました。これは天然エネルギーを利用した塩の製造試験だと、こういう申請でございます。で、つくられるものも非常に少量でございますし、まあ試験でございますから販売を目的としないという申請者の確認をとりまして、昨年の十一月十六日に許可をいたしております。ところが、その十一月に許可いたしましたその後、大島に台風が参りまして、実際には十一月にも十二月にも製塩がいたされておりません。今年になりまして、やっとまあ一月に若干稼働しておるというふうに聞いております。一月の製造量は、申請者からの報告によりますと、〇・三トン余りというふうに聞いております。
 で、まことに天然エネルギーを利用して、石油エネルギーを使わないで塩をつくるということは結構でございますが、何分まだ始まったばかりでございます。それから、申請者の申請内容によりますと、三、四人の人が従事いたしまして、年間の生産量は三トン足らずというふうな申請になっております。そういたしますと、確かに天然エネルギーというものは結構でございますけれども、申請者の計算によりまして、一人当たりの年間生産量は一トンということになります。ところが、わが国でいまつくっております塩は、七工場でつくっておりますけれども、一人当たりの労働生産性というのは年間千トンになっております。ということから考えますと、いかに天然エネルギーを有効に利用するとは申されましても、労働生産性、効率という点から言いまして大変な開きがございます。
 まあ、そういうのが実態でございますけれども、そうは言いましても、わずか三トン程度の生産だとは申しましても、先生御指摘のように、これは廃棄を前提に許可をいたしておりますけれども、常識的に考えれば御指摘のような問題、もったいないという感じはいたします。
 そこで、何分いま稼働が始まったばかりでございますが、申請者が言いますように、本当にその程度のものができるものかどうかという、もうしばらく時間をかけて試験操業の結果を見まして、安定生産になるかどうか、なった時点で、もちろん食品衛生上の問題もございますが、そういう品質などをチェックいたしまして、その時点で流通の問題なども検討さしていただきたいと、こういうふうに考えております。
#25
○丸谷金保君 大臣、実はいまもう聞いていて私は腹が立ってくるんです。たとえば、原則として販売を許可しないと言いましたね。例外はあるんです。ありますね。例外で認められないことはないでしょう。例外があるということを言わないんですよ。いいですか。そうすると、黙って聞いていたら、全部塩は専売制だから国家が売るので、ほかはだめなんだなというふうにしかいまの答弁聞けないんですよ、いまの答弁を聞いていると。いいですか。しかし、実際には例外規定があるんですから、例外で認められないわけがない。例外で認める方法はある。ただし、労働の生産性の立場から認めないというのならわかるんですよ。しかし、前段はそうは言ってないんです。だめなんだと、こういうことを先におっしゃっているんです。
 それからもう一つ、非常においしい塩なんです。私は現場へ行って見てきました、つくっているところを。彼らは使命感を持って、日本の将来のためにということで、きょうで二日、飯を食ってないけれど、三日や四日は飯食わないでも仕事ができるというような非常に厳しい経済状態の中で研究しているんです。国は何もそういうことについて、これだけ新エネルギー、エネルギー開発、私たち波の問題もずいぶん言っています。現実にやっているんですよ、二トンでも三トンでも。これはもっときちんとした形であれば、そういう波のエネルギーを開発するという立場で国が応援できないことはないんです。
 だから私は通産の方で、いま科学技術庁ですか、おっしゃったように、十分間に合っています――何を言うんだということです。そういう使命感を持って、われわれのこういう研究は国のためになるんだと思っていろいろ苦労して民間でやっている人たちを、ちっともめんどうを見てないんですよ。しかも一方では、大臣の直轄の専売局はいまのようなことで、つくる許可はしたけれど、研究だから、労働の生産性もないし合わないから、それはまだ頒布することは認めてない。いまのままだと投げなきゃならぬです、また。
 それから、わずか三トンと言いますけれど、それでも少しずつ、たとえば専売公社の塩の何倍ででも売れるんです。あるいは十倍の値段でも売れます。すばらしいいい塩なんですよ。甘みもありますし、にがり分もあるし、沃度ももちろん含んでいますし、非常にいい塩なんです。つけものなんかにしてもとてもおいしいです。頒布できないことになっているから、私たちはもらってこれないことになっていますけれど、大臣、その塩でそこでつけてもらったやつはどうなんです。いいでしょう。置いておいたらつけものになったというくらいだったら、きっといいと思うんです。ですから、非常に値段も高く売れるんです。
 そういう形でそれがだんだん企業化して――省エネルギーでやっているというけれども、助長しなければならない政府機関がいまのような答弁をなさっている。しかし、これは私も十勝ワイン、最初二キロリッターの試験醸造免許です。わずかから始めたんです。農家の豆腐を製造する万力、これをヨイショヨイショと――これは労働の生産性なんかありゃしなかったです。で、新しい開発をしていったんです、ヤマブドウでワインをつくるときにね。それだけに人ごとでなく感じられて、現場へも行ってきたんです。
 そういう立場で見ますと、いまのような官僚答弁されると、本当に腹が立つんです。幸い私は、当時の大蔵の皆さんの大変何というか理解で、それを売る許可をもらいました。そして、いまは十五億売るような大きな企業になってきたんです、町営の企業として。初めは、これもいまの風力でやっている――ちょっとこの新聞を大臣のところへ持っていてもらいたい。こういうのがやがて大きくなる可能性、ならないかもしれないですよ。しかし、そういう可能性を持っている芽をいまのうちに摘んでしまう、こういうばかなことが私は許されてはいけないと思うんです。わずかずつでも売らせて、なるほどいい塩だということになって、それもいま自分たちでエンヤコラと積んだようなタワー式製塩法ですから、これはコストから何からいってもなかなか簡単にいかぬでしょう。
 しかし、もっとこれらを大きな研究のテーマとして取り上げれば、何も塩をつくることだけでなくて、波の力を利用した新しい代替エネルギーという角度での研究にならないわけないんです。それにはやっぱり予算が少ないんです。大丈夫間に合っていますなんというようなことを言っていますけれど、そんなはずないんです。もっともっとふんだんに代替エネルギーの方に思い切った予算づけをしなければ、国家百年の大計の上に立って大変だということについての大臣の御認識を承りたいと思います。
#26
○説明員(原秀三君) ただいま先生御指摘ございました大島の試験製塩の件でございますが、申請がございました場合に公社といたしましては、やはり企業規模あるいは採算性がどうかという点は検討しなければなりません。そういった点を検討いたしました結果、先ほど飯田理事が申しましたような、その両者の点に問題点ありということで、残念ではございますが、通常の製造許可ということはできなかったのでございますが、ただ、先生御指摘のように、省エネルギーのもとで製塩業をやろうという御趣旨は、私どもとしても大変ありがたいことかと思っております。それで、約一週間前なのでございますが、試験製塩の結果、三百キロぐらいの塩ができたという御報告をいただいております。
 それで、試験製塩でございますと、これは廃棄処分をしなければならない。これは先生御指摘のとおり、大変わずかな量でございましても、そういった省エネルギーというもとでできました塩を廃棄するということは、私どもとしてもいかにも常識から見てもったいないことかと考えております。で、一週間前に申請が出たばかりでございますので、私どもといたしましては早い機会に現地を調査いたしまして、品質の点、あるいは今後も継続的に生産ができるかどうかという点をチェックさせていただきまして、そういった点が十分クリアできますならば、何とかこれを廃棄しないというような方法を考えてまいりたいと思っておりますので、御了承いただきたいと思います。
#27
○丸谷金保君 そうすると、公社の方としては前向きに、まあ販売ということにいきなりいかなくても、頒布くらいはさせてやろうという気はあるわけでございますか。無料で頒布と言いましたか、何と言いましたか……。
#28
○説明員(原秀三君) いずれにいたしましても、廃棄ということでなしに、流通に乗せるということを検討したいと思います。
#29
○丸谷金保君 流通に乗せるといいましても、公社が買い上げて売るなんというようなことで、ただみたいな値段で買われたのじゃとても大変なんで、相当の価値があるんですから、これはおいしい塩ということで、市場価値としたら公社の塩のもう十倍も三十倍も高くても飛びつく人がたくさんいるんですよ。そういう形をとっていただけますか、自由にひとつ。衛生上の問題あると思いますが、私が生きているから大丈夫です、そのことは。
#30
○説明員(原秀三君) いまの幾らでどうするかという点、なかなかむずかしい問題だと思います。ただ、先生の御趣旨は私どもも頭に入れまして検討させていただきたいと思います。
#31
○丸谷金保君 それでは、次にアルコールの問題なんですが、五十三年の四月二十五日の参議院の大蔵委員会で、附帯決議で、アルコール添加をする場合の表示については、清酒と同様に他の酒においても表示が行われるよう指導するという決議が行われておる。二年たったんですが、まだ実はこれができていない。
 大臣、これは日本酒にだけは、小っちゃくて虫めがねかなんかで見なきゃわからぬくらいでも醸造用アルコール添加と書いてある、三倍醸酒とわれわれは言っておりますけれど。しかし、ほかのウイスキー類だとかブランデー類だとか、そういうふうなものについては全然表示しなくてアルコールをどんどん使っているんですよ。まず不公平ではないかということについて、こういう決議を当委員会が行っているんです。できるだけそれに善処するということなんですが、公取の方ではこれはどうなっていますか。
#32
○政府委員(劒持浩裕君) 公正取引委員会におきましては、御指摘の大蔵委員会の附帯決議に即しまして、酒類につきまして表示に関します公正競争規約を設定いたしまして、適正な表示が行われるように指導してまいったところでございます。
 そこで、現在までのところ、ビールにつきまして、昨年十二月に表示規約を認定いたしまして、ことしの七月からこれが実施に移ることになっております。それからウイスキーにつきましては、実は国産と輸入との問題がございまして、国産のウイスキーにつきましては、すでに業界から、先生御指摘の分も含めました申請が出ておりまして、現在輸入ウイスキーにつきましても同じ内容の規約を設定するように指導しておりまして、両者がそろいました段階で、公正取引委員会として認定の運びにいたしたいというふうに考えております。
 それから、先生の御指摘になりました清酒についてでございますが、これは自主的な基準でございまして、規約でございまして、これも景表法に基づきます公正競争規約といたしまして設定いたしますように、業界を現在指導しているところでございます。
 以上でございます。
#33
○丸谷金保君 ビールにもアルコールが入っているんですか。
#34
○政府委員(劒持浩裕君) ビールにつきまして、原材料、それからアルコール分という趣旨でございます。
#35
○丸谷金保君 最後に大臣に、太平洋テレビ事件というのがございまして、この件について昭和五十年の六月十八日の衆議院の決算委員会で塚田庄平議員が質問をし、当時の大平大蔵大臣が「先般、太平洋テレビ事件につきまして塚田委員から御質問を受けまして、この長い係争事件によりまして清水氏初め関係者が大変悲惨な運命に泣かれたこと、御同情申し上げるに余りあるものがございます。また、国税当局が結果として敗訴になったということ、国税当局として面目もないことであると私は思っております。
 この事件は、いろいろ国税当局にとりましても反省すべき事件であった」という答弁がなされておるんです。そして、これについては、国に対して被告であった清水氏から損害賠償の民事訴訟が起きております。しかし、それからもう四年もたったんですが裁判が全然進展していないというふうに聞いておるんですが、法務省の方、いかがですか。
#36
○説明員(藤浦照生君) お答えいたします。
 御質問の民事事件につきましては、現在、東京地方裁判所において準備手続という形で審理が行われております。この事件につきましては、昭和四十九年四月の刑事裁判無罪判決の確定以来、準備手続係属中でございますが、以降、大体二カ月に一遍の割合で期日が開かれておる、こういう状況でございます。
#37
○丸谷金保君 二カ月に一回何が行われているのか、もう一回ちょっと大きな声で。
#38
○説明員(藤浦照生君) 双方の主張の整理、それから証拠の整理という手続が準備手続の中で行われているわけでございます。
#39
○丸谷金保君 事務手続の中で行われているということですか。
#40
○説明員(藤浦照生君) 民事訴訟法、それから民事訴訟規則の中で、民事事件の複雑な事案につきましては、裁判所の裁量によりまして、準備手続といって口頭弁論の集中的な審理や効率的な審理を遂げるための準備、そういう形の手続が制度的にございまして、もちろんこれは裁判所のお考えによることでありまするが、裁判所の方で準備手続に付するのが相当とお考えの上で付されて、現在その手続進行中でございます。
#41
○丸谷金保君 大臣もう時間ですから。
 実はこの問題、非常に複雑な問題ですが、また大平さんの言われたように悲惨な状態にあるんです。私はこの関係の問題を調べてみまして、もう本にもなって出ているんです。国会図書館から借りてきたんですが、本も出ているんです。こういうことが行われておると、税理士法の審議がこれから始まるんですが、大変だな、これにもしも税理士がかかわっていたら、新しい改正法の中で大変なことが起こるということに気がついたんです。
 もう大臣も時間がございませんからきょうはそこまでにしておきますが、そういうことも含んでいるということの御認識をきょうは大臣にしておいていただきたい。どうぞそういうことでございますので……。
#42
○国務大臣(竹下登君) 私も丸谷委員からの質問要項を受けとめましてから、いままでの会議録等をざっと読ませていただきました。認識は大変に深いとは決して申しません。が、大平総理が当時大蔵大臣として、五十年の六月、五十一年の七月、決算委員会でございますか、お答えになっておる考え方と私も一緒の考え方でございます。
#43
○丸谷金保君 それじゃ、これで終わります。
#44
○委員長(世耕政隆君) 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#45
○委員長(世耕政隆君) 速記を起こしてください。
 この際、十五分間休憩いたします。
   午後七時二十分休憩
     ―――――・―――――
   午後七時四十六分開会
#46
○委員長(世耕政隆君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、質疑を行います。
#47
○多田省吾君 大蔵大臣にお尋ねいたします。
 今回、日銀は公定歩合を一%引き上げまして、預金準備率も引き上げたわけでございます。これは大変危機的な状況に立っている物価高騰に対する措置である、このように言われております。私どもは金融対策のみならず、財政対策も連動して機動的に運用をされていかなければ物価対策というものは思うとおりにならない、このように考えております。したがって、五十五年度予算も英断を持って修正いたしまして、インフレ圧力になっております赤字国債を大幅に減額する、あるいは公共料金の値上げを中心とする物価対策を根本的に見直す、また、物価対策費を予算措置に盛り込む等のことを考えて財政対策をとっていかなければ物価の高騰は防げない、このように思うわけでございます。
 大臣の所信表明にもかかわらず、最近の消費者物価の押し上げ傾向は大変なものがございます。灯油やプロパン、あるいはガソリン等の高騰、それも便乗的値上げも相当あるようでございます。また、建設資材の大幅な値上がり等々考えますと、これは大変な物価高騰が今後考えられると思います。政府の五十五年度六・四多の消費者物価の値上がり予想とは相反しまして、民間の研究機関等も九%あるいは十数%消費者物価が上がるのではないかと懸念しているわけでございます。
 幸い今度、社公民三党共同の予算修正大綱も、政府また自民党にぴしっと提示されたわけでございます。あした返答ということで要求しているわけでございますが、この三党共同の予算修正大綱を見ましても、いろいろな物価対策を考えたほかに、やはり赤字国債の減額三千八百八十五億円とか、あるいは物価対策にしましても、たばこの据え置きを初め国鉄運賃や郵便料金や、あるいは国立学校の授業料、あるいは電源開発促進税の引き上げ、こういったものを全部やめて、またそのほかに生鮮食料品の流通安定対策費も計上するというようなことで、四千二百七十億円を予定しているわけでございます。私は、物価安定のためには大変これは効果も大きいと考えます。
 またその上に、今回は衆議院の予算審議中に公定歩合の引き上げがなされたわけでございます。去年の三月でございましたか、参議院の予算審議中に国債の利率を改定いたしまして、私も参議院軽視だと言って怒ったわけでございますけれども、今回は衆議院の予算審議中に公定歩合の一%引き上げが図られたわけでございます。本来ならば、やはり五十五年度の国債費等の変更等を考えますと、修正するのが筋でございます。そういったことを考えますと、私は今回の三党共同の予算修正大綱には、そのほかに福祉の充実等の措置もとられて、国民的要求も非常に多く含まれていることでございますから、私は大蔵大臣が英断を持って、この際、予算修正を図るべきであると、このように思いますが、いかがでございますか。
#48
○国務大臣(竹下登君) 政府といたしましては、この苦しい財政事情の中に各方面の意見も聞きながら編成して、今日、国会へ提出し御審議をいただいておるものが、現状においてはベストだと考えておりますので、どうかそのような御理解を賜りまして、一刻も早くこれが成立いたしますことを心から期待をしておるという姿勢であります。
 しかし、総理も申しておりますごとく、昨夜、野党三党共同の修正大綱が衆議院予算委員会理事会を通じ党の機関に示されたところでございますので、これに対しましては真剣に対応して検討させていただくと、こういうことを総理も申しておりますので、私も同じことを申させていただきます。
#49
○多田省吾君 私は、先ほど申しましたように、やはりあすじゅうに前向きの答弁をなされることを心から要求し、また期待するものでございます。
 次に私は、今回の公定歩合の改定で、大臣がおっしゃるように、金利調整審議会に諮問した上で諸種の金利の調整が図られるわけでございますが、一般に言われていることは、定額貯金は一%、普通預金などの流動性預金などは〇・七五%引き上げられる見通しであると聞いておりますけれども、第三次公定歩合の前回の改定の際には預貯金金利というものは据え置かれたわけでございまして、物価高騰で実質的に預貯金というものは大変目減りしているわけでございます。今回は預貯金金利が引き上げられるといたしましても、この引き上げ幅では私はまだ足りない、適当でないと思いますが、その点どう考えられるか。
 それからもう一点は、消費者ローンというものが庶民生活を非常に圧迫しているわけでございます。この際、引き上げはなるべく見送るべきである、このように思いますし、あわせて最近の住宅ローンでございますけれども、四月一日より新規契約分から〇・三%程度引き上げられるような話を聞いておりますが、これは長期にわたるローンでもありますし、私はなるべく引き上げ幅を少なくする、あるいは引き上げない、そういう方向が望ましいと思います。
 特に、住宅ローンに関しましては、最近は賃金の上げ幅も毎年非常に低くなっておりますし、高利の住宅ローンのためにさまざまな生活破綻あるいは犯罪というものも全国的に数多く起こっているわけでございます。そういったことを考えますと、この辺は大いに留意すべきではないか。特に、すでに契約した分の住宅ローン等は当然引き上げはなすべきではない、このように考えておりますが、大臣としてはこの点どう考えておりますか。
#50
○国務大臣(竹下登君) 今回の公定歩合引き上げに当たりまして、同時に、私の方から日銀政策委員会に対して、預貯金金利の最高限度の変更につき検討するよう発議をいたしました。その発議に基づきまして、この預貯金金利の引き上げ幅につきましては金利調整審議会で検討されることとなっておりまして、まだ決定されておりませんので、その内容はやはりその趣旨に基づいてこの際申し上げるわけにはまいらないということを、御了解をいただきたいと思います。具体的に申し上げられる段階じゃございませんけれども、およそ現在の預貯金金利の水準も含めた金利全般のバランス等を総合的に考慮して、決定されるということに相なるであろうというふうに考えております。
 特に、御指摘いただきました住宅ローンの金利につきましては、金融機関におきましても、国民大衆が長期にわたり負担する金利であることにかんがみまして、極力低位にとどめるよう努めているところでありますが、現在その水準は八・二二%と、貸付期間が二十年に及ぶ長期の貸し付けとしてはきわめて低い水準となっております。
 ただ、住宅ローン金利も基本的には市場金利であります以上は、資金需要、資金コストの変化に応じてある程度変動することはやむを得ないところでございまして、住宅ローン金利の変更は、四十八年の十二月の金融制度調査会の答申の趣旨に従いまして、長期プライムレートや定期預貯金金利が改定された場合に行うものとされておると、こういうことになっておるわけでございますので、今回の公定歩合の引き上げに伴う預貯金金利の引き上げの方向で考えられているところでありまして、さらに長期金利全般の帰趨等も考慮に入れた上で、住宅ローン金利につきまして関係者の間で検討がなされることとなりましょうが、当局といたしましても御趣旨の点を踏まえまして、一方資金コスト、金利体系に即した適切なものになるようにこれを指導してまいりたい。
 なお、住宅金融公庫、これはまさに直接の関係になりますが、個人向け一般住宅金利は五・五%に据え置くことにいたしたいというふうに考えております。住宅金融公庫のその他の金利につきましては、運用部預託金利の改定に伴ってこれは改定してまいりたいと、このように考えております。
#51
○多田省吾君 次に、私は、今度の長短の金利全般の改定が行われることを機会にいたしまして、従来から言われておりますように、金利体系に市場原理を導入するいわゆる金利の自由化という方向をやはり模索すべきであると、このように考えております。その点はどうお考えか、ひとつ明快にお答えいただきたいと思います。
 もう一点は、いわゆる零細預金者の利益重視という立場から考えまして、民間の金融機関にも複利預金構想を早く実現すべきではないかと、こういう声が強いわけでございますが、その点はどう考えておられるか、この二点をお尋ねします。
#52
○政府委員(米里恕君) 金利の自由化のお話でございますが、金利の自由化の方向というものにつきましては、私どももいわゆるプライスメカニズムを通じました資金の効率配分という観点から見ましても、あるいはまた金融政策、景気調整政策の有効性という観点から見ましても、長期的には望ましい方向であるというように考えております。ただ、御承知のように、余りドラスチックにこれを行うということになりますと、いろいろな面に弊害が出てくるというような点もございますので、できるだけ弾力化、自由化を図る方向で一歩一歩進めてまいるという方針をとっておるわけでございます。
 最近、かなりいろいろな面で自由化が進んでおりますが、たとえばコールあるいは手形市場の建て値制廃止というようなこともございますし、あるいは民間金融機関によりまして自由金利であるCDが発行されたというようなこともございまして、一歩一歩全体の金利自由化の方向に向かって進みつつあるというように考えておりますが、まあ今後ともに弾力化、自由化ということを、余り大きな弊害が生じないように、十分周辺の問題も検討しながら進めてまいりたいという考え方でございます。
 それから、二番目に御質問の複利預金構想でございますが、これは金融制度調査会でもこの問題を検討いたしまして、各方面の意見を聞きました。これもいろいろな面からの議論がございます。新しい貯蓄手段でございますので、他の貯蓄手段にどういう影響を与えるか、あるいはまた、国民のニーズが那辺にあるかというようなことを踏まえながら、その導入につき検討し、各業界の意見を徴しておるという段階でございます。
#53
○多田省吾君 五十四年度の財投計画の進捗状況についてお尋ねしたいんですが、五十四年度財投計画十六兆八千三百二十七億円のうち、新聞発表によりますと、八カ月を経過した昨年十一月末までの消化額は三二・八%の五兆五千二百十五億円で、四カ月を残して七割近くが未消化というような発表がございました。大蔵省では年度末までには消化すると言っておりますけれども、無理に消化しようとすると大変問題が起こると思います。五十三年度も財投計画の約四分の一を使い残しているわけでございますが、ここ一、二年来、民間金融機関から出ている苦情は、政府金融機関の貸し急ぎとか、あるいは民間金融機関の融資分野に政府金融機関が殴り込みをかけていると、こういうような共通の声がございます。
 私は、この財投計画が今後どのように推移し、また、どういうお考えでやろうとしているか。また私は、この財投計画というものはやはりもっと中小企業等の需要に即した改善策を講ずるべきである。また、もっと有効に使うべき分野があるんだということを考えておりますが、その点はどう考えますか。
#54
○政府委員(渡辺喜一君) 五十四年度の財投計画の実行状況につきましては、ただいま先生の御指摘のとおり十一月末で三二・八%ということになっております。これは例年のペースと比較してみますと、むしろかなりいい進捗状況である。たとえば五十二年度は同じ十一月末の時点で三〇・五、五十三年度は二七・〇というふうなことに相なっておるわけでございまして、私どもといたしましては、五十四年度は進捗状況が非常に悪いというふうには考えておらないわけでございます。
 財政投融資の実行がどうしても後半の方に集中してくるという御指摘は、全くそのとおりでございます。当然のことながら、各財投機関は、まず自己資金を使っていく。これは金利がかからない金でございますから、まず自己資金を使っていく。そうして自己資金等を使い切った後で財投資金に及んでいく、こういうことになるわけでございます。特に地方債関係、これは通常、年度を越しまして出納整理期間に集中して実行すると、こういうふうなことになっておりますために、どうしても全体が年度の後半の方にずれてくると、こういうことになるわけでございます。
 まあ、年度最後のときに駆け込みで無理して消化を図るのではないかという御指摘でございますが、必ずしもそういうことではございません。私どもといたしましては、大体五十四年度につきましては、去年五十三年度のような異常な事態を脱しまして、かなりいいペースで実行されておる、こういうふうに考えておるわけでございます。
#55
○多田省吾君 そういうお答えには大変異論がありますけれども、次に私は、金の問題で一、二質問しておきたいと思います。
 最近、金が高騰しまして、昨年の一月と本年の一月を比べますと三倍高になっております。昨年の十二月上旬で一オンス四百ドル台であったのが、下旬には五百ドル台、本年の一月中旬には八百ドル台、そして一月二十一日のニューヨーク商品取引所では先物相場が千ドルの大台に乗せた。しかし、これをピークにして反落に転じまして、二月初めの直物相場では六百七十ドル前後となっておりますが、やはり昨年一月と比べますと三倍高の大変な高値になっているわけでございます。それについて、大変犯罪も起こっております。また、被害を受けている人も多いわけでございまして、大変な社会問題になっておりますが、昨年末に通産省の指導で業界は日本金地金流通協会ですか、これを設立いたしまして啓蒙を始めたわけでございますが、現在の金取引におけるトラブルの発生状況はどうなのか。
 また、日本純金取引協会及び和光通商が去る十九日、金の先物取引で五億円の詐欺で捜査され、逮捕者が出たと言われておりますが、こういった事件が跡を絶たないというのはどういうところに原因があるのか、今後の対策をどうするのか。
 また、最近では、公設の金取引所を設置してほしいというような声もありますけれども、それにどう対処するのか、通産省に二、三この点をお尋ねしておきます。
#56
○説明員(山梨晃一君) まず、金のいわゆるブラックマーケットにおきます被害の実態を正確に把握することは非常にむずかしい状況にございますけれども、現在、通産本省及び各通産局に寄せられました金取引に関しまする消費者相談件数及びそれに係る金額というものが一応出ておりますが、昭和五十四年度の四月から十二月までの件数で二百九十九件を数えております。それから、それにかかわる金額は八億円を超えているというのが実情でございます。なお、この数字は、一般的な取引相談も入っている模様でございますので、この数字が通産省に寄せられました被害総件数というわけではございません。なお、このほか、当省以外にも、警察当局や地方自治体に出ている被害届等があると考えております。
 次に、現状のいわゆるブラックマーケット問題というものをどう考えているのかということでございますが、この問題の起きている原因と申しますのは、わが国におきます金の民間保有というものが、昭和四十八年に金の輸入が自由化されたわけでございますが、まだ数年を経たばかりであるということで、このために一般消費者の金に対しまする関心が若干高まってきているにもかかわらず、一方で、金に対しまする知識がきわめて不足しているということにあると考えております。
 したがいまして、通産省といたしましては、被害防止のためには、まず一般消費者に対しまする啓蒙普及及びPR活動というものが非常に重要と考えておりまして、このような観点に立ちまして業界を指導し、あるいは経済企画庁とか警察庁等とも連絡をとりつつ、PR活動に努めてまいったわけでございます。
 また、金の悪質取引を根絶するためには、国民が安全に金の現物を売り買いできる現物市場というものの育成が重要であるという観点から、通産省といたしましても、先生先ほどお話ございましように、昨年末に社団法人日本金地金流通協会というものを設立許可したところでございます。この協会は、金の現物売買取引の推進を図ることによりまして、金の販売業及び一般消費者の金の健全な取引の促進というものに資するとともに、わが国におきまする金の安定的な生産、流通、消費に寄与することを目的といたしまして、金の現物売買を行う信用のおける店舗の登録を目的としているものでございます。
 この登録に当たりましては登録審査委員会というものを置いておりまして、この審査を通じましていわゆる悪徳業者は厳しく排除していくとともに、問題のない業者はできるだけ登録を行うように指導してまいっておるわけでございます。この登録によりまして、一般消費者が安全な金の売買を行うための店舗の選択の一つの目安になるようにしたいと考えている次第でございます。
#57
○委員長(世耕政隆君) 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#58
○委員長(世耕政隆君) 速記を始めてください。
#59
○多田省吾君 時間もないようですから、最後に大臣にお尋ねします。
 大臣も御存じのように、わが国の金準備というのは過去から非常に少ないわけです。新IMF体制になりまして中央銀行では金をふやすことができないというようなことで、相変わらず金は少ないわけでございますが、この結果、一オンス四百ドルの試算によりましても、従来のSDR評価の場合と比べまして、金準備の多い国では外貨準備総額は非常に増大をしているわけでございまて、特にアメリカ、西ドイツ、イタリア等は外貨準備総額の順位では非常に上位になる。日本は六位ほどにも転落をしてくる。現在の一オンス七百ドルということですと、この格差はますます開くわけでございます。現在の日本では、金・外貨準備小国というような感じを持っておるわけでございますが、現在わが国はどの程度金を保有して、世界でどのくらいの順位になるのか。また、このような状況をどう考え、どのように対処していくのか。
 それから、最近は御存じのように、ECとか、あるいはフランス等におきましては、SDR本位から金復位ということを考えているような節が見られるわけでございます。特に七九年三月にスタートした欧州通貨制度――EMSでは、御存じのように加盟各国が保有する金ドル準備の一部を供出するというようなことで、金にリンクするような傾向がございます。また、フランスが、ことしベニスで開かれるサミットではやはり金の復位を提案するような動き、このようなことも伝えられているわけでございますが、そういった動きに対してどのように考えておられるのか、最後にお尋ねいたします。
#60
○国務大臣(竹下登君) 多田委員、いろいろ御心配の向きあろうかと思うのであります。
 まず、現在の保有量の問題について申し上げますと、五十五年一月末現在の外貨準備高は約二百十億ドルでありまして、そのうち金は約十一億ドルになっております。で、国際通貨制度におきます金の中心的準備資産としての役割りを縮小するという考え方は国際的コンセンサスとなっておりまして、現行のIMF第二次改正協定にもこの考え方が盛り込まれております。しかしながら、わが国は、一部欧米諸国に比べますと金保有額が少ないことは事実でありまして、また、金が通貨当局の資産として価値を持っている事態は、そう急に変化するものではないと思われます。いずれにしましても、現在のような国際通貨情勢の不安定な状況下においては、今後の金の取り扱いについてはわが国としても慎重に対処しなければならないと考えております。
 そこで、わが国が今後金に対してどのように対応するかは将来の重要な検討問題でありますが、現在のように国際通貨情勢の不安定な状況下におきまして、わが国が金を購入する意図があるかのような発言をいたしますことは、国際的な、また為替相場等に大きな影響を及ぼすおそれがございますので、この点になおさらのこと慎重であらねばならぬ。
 私も振り返って考えてみますと、事実ちょうど私が官房長官をしておりました一九七一年がドルの兌換停止が行われた年でございます。あの当時、もっと金をなぜ買っておかなかったのだというような批判を受けましたが、一方、あれは日本が金を買い出すからあの措置をとったのだというような風評も生んだ当時のことを考えますと、その前長い間、恐らく大蔵省の国際金融局当局では、そういうことを幾たびとなく考えたのであろうと思うのでございますが、当時はアメリカ自身が売らなかったというのが大きな理由で今日に至ったのではないかと思うのでございます。
 ただそこで、金復位の可能性をどう考えるか、極言すればそういう御質問になるわけでございますが、まず価値基準としての金の役割りは完全に廃止された、これはIMF協定のもとででございますが、そうしてまた、増資払い込みその他、IMFとの取引において加盟国が金による支払いを義務づけられることもなくなりました。反面、SDRを国際通貨制度における中心的な準備資産にするという方向がうたわれ、ディクレアされておるということ、したがって金の国際通貨としての役割りは徐々に低下させていくという考え方が貫かれておりますので、わが国としてもその方向を支持して今日まで参りました。
 したがって、最近の金価格の急上昇等に伴って御指摘のような可能性が強まったではないかという意見もございます。しかし、金の生産が量的にまず限られておるということと、それから地域的に著しく地球上でも偏った地域にあるということ、それから次には通貨当局の金保有が欧米の一部の国に偏っているということ、それから先ほど来の御質問のごとく、まさに投機的にこの価格が著しく不安定であること、その理由によって、金の国際通貨としての適格性に、これはまあどこから見ても大きな疑問がございますので、金復位の方向についてサミット等も、このまま私が失敗しなければ私が行くわけでございますけれども、恐らく国際的合意が金復位という方向でなされるというような可能性は、全くと言っていいほど乏しいではなかろうかというふうに理解をいたしております。
#61
○委員長(世耕政隆君) 本件の質疑は本日はこの程度にとどめ、散会いたします。
   午後八時二十分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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