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1979/03/18 第91回国会 参議院 参議院会議録情報 第091回国会 大蔵委員会 第5号
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1979/03/18 第91回国会 参議院

参議院会議録情報 第091回国会 大蔵委員会 第5号

#1
第091回国会 大蔵委員会 第5号
昭和五十五年三月十八日(火曜日)
   午前十時八分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月六日
    辞任         補欠選任
     佐藤 昭夫君     宮本 顕治君
 三月七日
    辞任         補欠選任
     宮本 顕治君     佐藤 昭夫君
 三月十一日
    辞任         補欠選任
     藤川 一秋君     塚田十一郎君
 三月十八日
    辞任         補欠選任
     岩動 道行君     北  修二君
     鈴木 一弘君     小平 芳平君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    理 事
                中村 太郎君
                細川 護煕君
                矢追 秀彦君
                中村 利次君
    委 員
                浅野  拡君
                梶木 又三君
                河本嘉久蔵君
                北  修二君
                坂野 重信君
                嶋崎  均君
                塚田十一郎君
                藤井 裕久君
                藤田 正明君
                片岡 勝治君
                丸谷 金保君
                小平 芳平君
                佐藤 昭夫君
                渡辺  武君
                野末 陳平君
   国務大臣
       内閣総理大臣   大平 正芳君
       大 蔵 大 臣  竹下  登君
   政府委員
       経済企画庁物価
       局審議官     坂井 清志君
       外務省経済局次
       長        羽澄 光彦君
       大蔵政務次官   遠藤  要君
       大蔵大臣官房長  松下 康雄君
       大蔵大臣官房日
       本専売公社監理
       官        名本 公洲君
       大蔵大臣官房審
       議官       水野  繁君
       大蔵大臣官房審
       議官       福田 幸弘君
       大蔵省主計局次
       長        吉野 良彦君
       大蔵省理財局長  渡辺 喜一君
       大蔵省銀行局長  米里  恕君
       大蔵省国際金融
       局長       加藤 隆司君
       国税庁次長    伊豫田敏雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊藤  保君
   説明員
       厚生省公衆衛生
       局結核成人病課
       長        大池 真澄君
       労働省労働基準
       局補償課長    原  敏治君
       日本専売公社総
       裁        泉 美之松君
       日本専売公社総
       務理事      小幡 琢也君
       日本専売公社理
       事        立川 武雄君
       日本専売公社理
       事        後藤  正君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○日本専売公社法等の一部を改正する法律案(第
 九十回国会内閣提出、第九十一回国会衆議院送
 付)
○参考人の出席要求に関する件
○租税及び金融等に関する調査
 (金融政策に関する件)
    ―――――――――――――
   〔理事細川護熙君委員長席に着く〕
#2
○理事(細川護熙君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 本日は、世耕委員長が都合により出席できませんので、私が会議の主宰をいたしますので、よろしくお願いいたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る十一日、藤川一秋君が委員を辞任され、その補欠として塚田十一郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○理事(細川護熙君) 日本専売公社法等の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○中村利次君 この法律の改正案につきましては、その改正の理由等については、実にこれはわかりやすく丁寧に説明書等もいただいておりますし、累次の委員会において政府の御答弁もございましたけれども、しかし、これはいかにも環境がさま変わりをしておると思うのです。
 このたばこにかかわるそのものは、これはもう環境のさま変わりとは直接は関係はないと思いますけれども、物価問題あるいは内外の金利問題、円相場の問題、そこへまた、アメリカの総合インフレ対策というようなものもできて、国の財政再建にかかわるいろいろな新しい課題が出てきておるわけであります。
 そういう中で、十分に御説明を承っておりますけれども、私はここで質疑をするに当たりまして、改めて、こういう環境がさま変わりをした中でいかにあるべきかという点について、まず大蔵大臣の御見解を承りたいと思います。
#5
○国務大臣(竹下登君) 確かに、この法案を御審議いただいております間に、いま御指摘のような、国際的にも国内的にも大変な変化とでも申しましょうか、そういうものが起きてきたという事実認識は、私もひとしくするところであります。したがって、そういう環境の推移の中で、なお国民生活に対して〇・三三%の影響を与える法案を審議するということは、審議していただいておる委員各位の心境も、私は複雑じゃないかと実際思います。御審議いただいている私どもも、確かに複雑な心境がいたすわけであります。ただ、本法案につきましては、すでに五十四年度補正予算の財源としても計上しておるものでございますので、そこに幾らか私どもとしては、エクスキューズを自分自身に感じておるというような心境でございます。
 したがいまして、米国における総合インフレ対策で私は一番印象を持っておりますのは、カーター演説の中で、「今日、われわれが直面するインフレは根が深い。その多くの原因は過去十年以上の間に生み出された。これらのなかで最も重要な原因は世界石油価格上昇、生産性の伸びの低下」とあって、ここのその最後のところの「米国の政府、個人、社会が収入の範囲内で暮らさなかったことである。」と、こういうくだりが私にも一番強烈に響いたわけでございます。
 したがって、政府といたしましては、明日総合物価対策というものが、これは経済企画庁中心でございますけれども、打ち出されるという環境でございます。そして、公定歩合につきましては、日本銀行の所管事項でございますが、連絡を受けました。受けましたが、これは正式な手続を経ておりませんので、内容を申し上げることは御容赦いただくといたしまして、正式な手続がおよそきょうじゅうになされるであろうというふうに推察をいたしております。
 そういう各般の中で本法律案を審議していただいておるということにつきましては、それなりの私も複雑な心境を持ちつつも、先ほど申しましたように、すでに五十四年度予算の財源として見込んだものの継続性の中において本法案の取り扱いが行われておるということが、私にとっては一つの自分自身に、環境の変化に対応する中における救いであるというふうな認識をいたしておるものであります。
#6
○中村利次君 わかりました。大蔵大臣の立場としては、当然五十五年度の予算の中に計上されたものでございますし、したがって、これは何としても速やかに議了をしてほしいというお立場をおとりになるのは当然かと思います。
 しかしながら、私はやっぱり問題意識を持つといいますか、あえて冒頭に大臣の御所見をお伺いをしたいと思いましたのは、物価問題が大変であるという認識はもうこれは国民すべてが共通に持っておるのですけれども、たばこの今度の値上げが消費者物価に〇・三三%ということ、そのことを私は大変に問題にするというよりも、むしろいままでは専売益金として国庫に専売納付金をやってきた。したがって、製造原価が高騰をすれば、その分だけ専売納付金が少なくなった。それを政府としては、特に今度あたりは財政再建の意味もかなり含めて、一定率はもうこれから先は確保したいと。これは確かに外国たばこの問題を含めて、私はそのすべてを否定するつもりはありません。また、そんなのは全然間違いだと言うつもりはありませんけれども、しかし、内外の諸環境が余りにも急変しまして、果たしてそういう制度の改正をおやりになって政府、大蔵大臣がお考えになるようなそういうものに合致するであろうか。
 たとえば、五十年の十二月にたばこの値上げをされてから三年余りの間に、説明書にもございますように、約三〇%の原価の高騰を来しておるというわけでありますから、これからはそれが即赤字になるわけですね。そうすると、制度の改正によって、大蔵大臣の認可によって製造原価が値上がりをすればたばこの値段も改定をするということになるのです。しなければ、これは国鉄みたいなことになってしまうわけですね。そうなりますと、これは大体いまの国際的なインフレ傾向の中では、これから各国はどういう対応をしそれがどうなっていくかということにも通じますけれども、毎年値上げをしなければならぬという事態が当然私は想定されると思います。
 その場合、現行制度のもとでしたら、物価問題だとか、あるいは財政問題だとか国民生活だとか、そういうものを総合的に判断しながら専売納付金をコントロールしようと思えばできるわけです。ところが、この制度の改正をやりますと、そういう機能が全く果たせなくなるわけでありまして、かえってどうも政府としてお困りになるようなことになりかねないという心配があるのではないかと思うのですが、いかがですか、そういうことはございませんか。
#7
○政府委員(名本公洲君) 先生ただいま御指摘のように、今回の制度の改正によりまして、従来のように、言うならば融通無碍と申しますか、そういう点がなくなるではないかという御指摘でございますが、そういう面が確かにないわけではございません。
 しかし、国家企業と申しますか、要するに政府が一〇〇%出資しておるこういう公社のような企業が、一方におきまして、消費者のために国民の負託にこたえて効率よく経営をやっていかなければならないというのも、こういう時勢の中におきまして、また最も求められるゆえんでもあるわけでございます。
 今回の制度改正は、一方におきまして財政収入の確保、あるいは価格形成方式の明確化ということと同時に、公社の経営努力というものを求めていく、経営効率を高めていくということを一つの大きなねらいにいたしておるわけでございまして、そういう点におきましては、これはまさに現代的な、今日的な国民各層からの政府に対する要望というものを具現するための一つの方策でもあるわけでございます。また一方、物価その他の面におきまして、従来の非常に大きな利益部分から少ない利益部分になることによる価格へのはね返り、価格改定ということにつきましては、その折その折の物価に対する政府の姿勢というものもございます。
 定価改定を行うに当たりましては、企画庁の物価当局とも十分相談をし詰めをしながら、改定を行わなければならないときの政府としての物価政策というものとそごを来すことのないように、そのように運営をしてまいるのは当然のことでございまして、そちらの面におきましては、十分慎重に今後とも対処をしてまいらなければならないというふうに考えております。制度の持っております趣旨が、きわめて今日的な要請を満たすものであるという点につきまして御理解をいただきたい、かように思います。
#8
○説明員(泉美之松君) ちょっと補足して御説明申し上げたいと存じます。
 先ほど中村委員から、五十年定改後今日まで原価が三割も上がっているではないかというお話がございました。確かにそのとおりでございます。また、今後の物価動向は、御心配のとおり私どもといたしましても予測がなかなかつかなくて困っておるわけでございますが、やはりオイルショックの後の物価高騰というものが今後だんだんと実現してくるということは私どもも予想して、それに応じて製造たばこの原価も上がっていくものといべふうには覚悟いたしておるのでございますが、しかし、政府の物価対策もありますし、私どもとしても今後原価の上昇に対しまして厳しい管理をやっていくつもりでございますので、お話しのように、毎年値上げをしなきゃならぬというような事態はとうてい考えられません。
 私どもといたしましては、今回、小売価格の改定を行いましたならば、五十五年、五十六年、五十七年の三年間は値上げをしなくても済むものと思っております。恐らくは五十八年度に赤字になる。したがって、五十八年の終わりごろか、あるいは五十九年になって定価改定をすればいい。それからまた、一たん定価改定をしますれば三年ぐらいはもつものと、このように思っておる次第でございます。
#9
○中村利次君 ただいまの総裁の御答弁、私はもう大いに歓迎をいたします。これはもうぜひそういうことであってほしいと思いますね。しかし、私はやっぱりかなりな憂いを持ちますのは、昭和五十二年をピークにして製造数量というのはどうもやっぱり、必ずしも需要は落ちてはいないようですけれども、四十九年、五十年というのは、これは値上げの関係等もあったのでございましょうが、これは買いだめがあったかどうか、数字というものは正直なものでございまして、こういうところに出ておるようですけれども、しかし、とにかく需要がだんだん減少傾向にあるということは、どうもこれはやっぱり否定できないようですね。
 専売公社の調査によりましても、たとえば昭和五十四年度の喫煙者率は、男子の場合七三%、女子の場合が一五%になっておるようでありまして、ずいぶんこれは十年間ぐらいの間にかなりやっぱり減っておるということが言えると思うんですね。たまたま最近問題にされておりますWHOの報告、あるいは一九八〇年度の活動方針としては、とにかくたばこの量を制約するんだと、加盟国に対してそういう運動の提唱をやっていくんだという国際的な広がりもあるようですし、それから嫌煙運動というのも、これはこの前から私は申し上げておるんですけれども、かなりはでな運動を展開をしておるようでありますし、禁煙席というのが飛行機だけではなくって、新幹線にもあれは十六号車両ですか定着をしたようですし、むしろこれは広がる傾向にある。加えて最近は、もうどこの駅に行きましても、禁煙タイムというのがラッシュアワーには例外なく設けられておるんですね。
 そうなりますと、私は専売公社の経営努力、これはもう懸命になって国民の期待にこたえておやりになったとしても、こういういろんな要因からくる需要の減退傾向というものは、なかなかどうも防ぐことはできないのではないか。低ニコチン、低タールの開発をどうしていくかという経営努力に絡むいろんな問題も絡んでくるのでしょうけれども、そういう私は可能性を否定することはなかなかむずかしかろうと思うんですね。
 そこへもってきて、先ほど私が大蔵大臣に御所見を求めましたように、経済環境というものはまさにさま変わりになりつつある。そういうものを総合的に考えますと、私はむしろここで二〇%程度の値上げをするということよりも、制度の改正というものは果たして今日以降の課題として適当であろうかどうかということは、これは大いに議論のあるところではないかと思うんですよ。これは大臣ひとつ、もうこういう同じことでいつまでも議論をしようとは思いませんので、決着の意味を含めて、大臣の御所見を承りたいと思います。
#10
○国務大臣(竹下登君) 日本の国内のみならず国際的に、まさに国際的課題としてインフレ征伐というものがいまやられておる。それが一方におきましては、言葉は適当でございませんが、金利競争のような状態すらもたらしておる。そういう厳しい中にあって、もとより景気、物価両にらみながら、当面、卸売物価の急上昇がじわじわと消費者物価に影響してくるであろうということは、私も認識としては同じ認識を持っております。
 したがって、こういうときにこそ勇断を持って、値上げなどはやめてしまえというような意見も確かにございます。が、私の心の救いとして申し上げておりますのは、すでに五十四年度予算のときから財源として見込まれておったものであるということが、せめてもの私の心の救いになっておりますし、そうして今日財政再建というものが、あるいは財政再建第一歩と、初年度というような意味の取り組み方をしてまいりますだけに、この値上げをお願いするということに対しては、私どもも大いに肩を怒らして、これは当然のことであると、こういうような歯切れのいい答弁をする心境にないぐらい、私も厳しく受けとめておるわけであります。
 しかし、私ども物価政策、相対的に受益と負担いろいろございますが、その中で総裁からも申されましたように、ある種の中期展望に立ちながらも、それなりの計画というものが、年々改定しなきゃならぬじゃないかというような御意見に対するお答えとしてありましただけに、そういうものも、やはり私は中期的展望に立った場合救いの一つではあるというふうに認識をいたしておるものであります。
 ただ、本当に中村さんがいろいろお尋ねになる背景というものは、ここで確かにたばこ値上げの議論をしておるが、それよりも世界の動きはもう全く大きな変動、さま変わりという言葉をお使いになりましたが、そういう認識は私も一緒であります。
 ちょうど一昨日も西ドイツの大蔵大臣がお見えになりまして、私ども絶えず総合的な経済運営をやっていく中で幾つかの指標、たとえば消費者物価でございますとか、あるいは失業率でございますとか、成長率はもとよりのこと、それらを非常に関心を持ってながめておりますときに、これは私のいささか私見になりますが、いつでも西ドイツは優等生だなあと、こういう感じがするのであります。
 で、十一月までの消費者物価を見ますと、上昇率が西ドイツよりもちょっと日本の方がまだ低かった。しかし、十二月からは消費者物価におきましても、もう西ドイツの上昇率が世界でやっぱり一番低くなっております。
 その西ドイツも、やはり当面はインフレ対策が最重要であると、こういう認識の上に立っておりまして、非常に消費者物価とか失業率とか、あるいは成長率とかいうと、日本と西ドイツが安定基調の中でプラス成長であります。アメリカとか、あるいはイギリスはマイナス成長を五十五年度見込んでいるわけでございますが、その西ドイツも、本当に日本、われわれが認識していると同じような形でのこの当面インフレ対策、物価政策というものに重点を置いてそういう認識をしておりますと、本当にそういう環境に対してこの法案の位置づけというものが、周囲はさま変わりして法案は同じものが続いていると、こういう印象が私もないわけじゃございません。しかし、これそのものは、この物価対策も、先ほど総裁からも述べられましたように、中期展望をも踏まえておりますし、また、すでに五十四年度予算からの財源として見込んできたものでありますだけに、可及的速やかに議了していただくことを心から期待しておると。
 しかし、答弁しながら、あるいは中村さんの質問を聞きながら、取り巻く環境のさま変わりというものは、私も認識は全く同じ認識をいたしております。
#11
○中村利次君 どうも私の表現の仕方がまずかったようでありまして、本当は私も、この法案を審議する前提としてのさま変わりをした環境の問題をまず十分に伺って、その上でと思ったんですが、たばこに少しこだわり過ぎていたのですけれども、いまの大臣の御答弁は、まさにこれは私の表現がまずくて質問とはかみ合わなかった感じがありますが、私が伺いたいところを御答弁いただいたわけです。
 これからひとつ、法案審議の前提として、むしろかみ合う質疑をしてみたいと思うんですけれども、先ほど大臣は日銀からの相談もあって、きょう日銀として公定歩合の問題を決めるようだ、その具体的な数字については大蔵大臣としてここで言及をすべきでないと、こういうようなお話でございました。大体、解散権だとか公定歩合の改定なんというのは、この間の大臣の大蔵委員会での御答弁を聞いていても、本当にこれは、何というんですか、解散権は総理の専決権であり、公定歩合というのは日銀の専決権であって、やはり大蔵大臣は当然これは無縁ではないわけでありますけれども、そんなのをその瞬間まで何%上げるとか下げるとか言うべきものではない、解散をするとかしないとか、もう次の瞬間解散をする場合でも、その一秒前には、そんなことはわからないと言うのが当たりまえかもしれません。
 しかし、私が本当にナンセンスだと思いますのは、当然のことではありましょうけれども、そういう議論を国会でやっているわけですよね。大臣は、やはり何%かということは言うことは適当ではない。恐らく私がこれは追っかけていっても、大臣は最後までおっしゃらないかもしれない。ところが、もう新聞なんかには、けさだけじゃなくて、きのうあたりから、おとといあたりから、もう数日前から一・七五%で九%になるということはもう断定的で、日銀から大蔵大臣に相談があって、大蔵大臣と日銀総裁が合意に達したなんということが、これはもう断定的に書いてあるわけでありまして、全くばかみたいなことを言い合っているのは国会だけだという、まことにどうも奇妙きてれつなそういうことを私どもはやっているわけですよね。
 ばかげたと思えば、こんなことはやめればいいと思うんだけれども、やはりそうもいきませんので、そこで大臣から、きょうの日銀の政策委員会で九%に公定歩合が決められて、あしたからこれを実施するということで、会議録に載っかるような御答弁をいただこうと思いません。しかし、私は果たしてその九%でとどまるのであろうかと。確かに、十五日に発表されましたアメリカの総合インフレ対策は公定歩合には手をつけなかった。しかしながら、そうであっても、専門家の間では確かにこれは好感を持って迎えられてはおるけれども、しかし、いま一八・五%のアメリカのプライムレートが、早晩そう遠くない時期に二〇%ぐらいになることは間違いなかろうと、こういうことがすでに専門家の間でほとんど断定的に言われておるわけである。
 同じように、この円相場の問題だとか、あるいは経常収支の問題だとか、いろいろなものを総合的に判断をして、あるいは国債相場、これなんかでも大蔵省が今月の中旬あたりからかなり強烈な介入をされて、今週あたりもうはっきりした介入をされて確かに持ち直しましたけれども、この対応策というものを含めて、果たして内外の金利差がこれでとどまるのかどうかということが大変な課題になっておるんですね。それから、国債関係のシ団なんかの見方にしても、何というんですか、公定歩合の天井感というものはまだこれは出ないというんですよね。こういう問題に対して大蔵大臣、これはどういうぐあいにお考えになり、あるいはどう対処をされるのか。
 恐らくきょう決まる公定歩合と同じように――きょう決まると言うよりも、すでにもう決定しておる公定歩合と同じように、大臣は、いやもうこの第五次公定歩合の引き上げで六次、七次はないと言わなければ大蔵大臣としての役割りは務まらないかもしれませんけれども、余り国会の議論をむなしいものにしないぐらいの御答弁はぜひやってくれませんか。
#12
○国務大臣(竹下登君) まず最初の、一般論としての、ここで公定歩合論議をすることが非常にむなしい状態になっておる、これは私も、いろいろなそれについての感想はそれなりに持っております。すなわち、中村さんの時代や私どもの時代で教わったのは、どちらかといえば、まあ財閥が金融機関を支配しておる時代でありまして、したがって公定歩合の操作などというのは直ちに投機につながる。したがって、その瞬間までまあうそを言っておってもとがめられないという性格のものであるというような教育体系の中に育ったわけです。今日も、本筋としては私もそのとおりだと思うのであります。
 ただ、何としても、いわゆるマスコミの発達とでも申しましょうか、そういうある種の、これは取材は自由でございますけれども、取材競争の激化とでも申しましょうか、そういうものの中に、政府なり日銀なりの施策がそれによってリードされておるという感じを私も持たないわけではありません。しかし、原則的に、公定歩合というものは日銀の専権事項としてやはり認識だけは持っていなきゃならぬ。そこに、ちぐはぐなある種のむなしさというものがあると思います。
 したがって、明瞭な数字というものは恐らくきょうの午後だろうと思うのでございますけれども、政策委員会において決定されました段階において、今度は日銀法の第二十一条によって公告をして官報掲載されるということになりますので、このような報告がただいま参りましたというのは、少なくとも私がここにおる限りにおいては、委員長には申し入れなきゃいかぬことではなかろうかと思っておるところであります。恐らくこの委員会における本法案審議中の出来事として、そういうことが予測されるのじゃないかというふうにまず一つは考えます。
 それから、これまた、したがって数字の出る前に申し上げる言葉ではございませんにしても、一般論として、恐らく通貨当局は天井感というものをお考えの上で決定されるであろうと思うわけであります。それが天井感になるかならぬかという数字を前提にしないままの議論はおかしな議論でございますけれども、私どももカーターさんのおとりになったインフレ対策というものは、ドルがやっぱり基軸通貨でございますから、ドルが安定してアメリカのインフレがおさまって、そうして日本との経済秩序というものも、インフレがおさまれば自然な形において経済摩擦も少なくなっていくというような意味で心から期待をいたしておりますものの、私は一方、アメリカの例のサーチャージみたいな――まあ三%でございます、いま公定歩合は御案内のように一三%でございますが、このプラスサーチャージみたいな三%というものについて私なりにいろいろ研究していますが、実は私も、はっきりこれはかくかくしかじかなるものだという説明ができない一つの背景を申し上げますと、アメリカのいわゆるバンカーとでも申しましょうか、一万五千ぐらい銀行がありまして、そのうちの六千ぐらいが連銀に加盟しておる。そうして、アメリカのバンカーというものの伝統的風潮というものは、連銀に金を借りに行った者はバンカーとしての資格がマイナスに問われるという、ある種の伝統みたいなものがあるようでございます。
 したがって、貸出残高等を見ますと、日銀などに比べればはるかに少ないものしか貸し出さない。どっちかと言えば、緊急避難のときに短期間借りるというような性格になっておりますので、確かに量そのものは大変少ないものであります。
 それといま一つ、アメリカの場合は、プライムレートが先行してその後公定歩合が追っかけていくという、日本とはまるきり逆な仕組みになっております。で、今度三%のサーチャージを考えられたことも、あるいは私は、ウォール街の心境として、連銀へ金を借りに行くことはバンカーとしての資格はいかにマイナス要件に働こうとも、やはりこれだけ開きがありますと、一時的に借りて貸せば大変な利ざやをかせぐことができる。したがって、本当のその一時的な緊急避難的なもの以外は、少し長目に借りるようなのは三%のペナルティーみたいなものを取りますよというような性格のものではないかなあというふうに見ておるわけであります。
 そこで今度は、それから来ますところのいわゆる金利関係の問題でございますが、先ほども適当な言葉ではないとは申しつつ、いわゆる金利競争のような感じすらすると。まあ先般も連銀あるいは中央銀行の総裁の会合がありまして、そのときもやはり共通の課題として、お互い金利競争みたいなものは避けたい、しかし、国内のインフレは抑えなきゃいかぬというところに、相矛盾した共通の認識というものができたというような報告も受けておるわけであります。ところが一方を見ますと、いわゆるオイルダラーとでも申しましょうか、そういう産油国のドルが必ずしも高金利のところへだけ流入していない。すなわち、非常にだんだん勉強されて、ドイツでありますとか日本でありますとか、そういうようなところへむしろ選択して流入していっておる。これはいい意味における傾向だと思うのであります。
 また、そういうことも、ございますので、私は金利競争そのものが、日本の金融に対して大変な悪い影響を与えるというふうには思わなくてもいいのじゃないかという感じを一つ持っておるところであります。
 それから、今度は国債問題をお尋ねになりましたが、国債管理政策というものは、一口に言って、これは国債が多過ぎることがいけないということに尽きると思います。そうして、国債整理基金で三千億円だけは買いオペをするということを発表いたしまして、すでに二千億円というものをオペをしたわけでございますけれども、これは機動的な配慮によって一時的な効果は私はないとは思いません。
 ただ、一つ見てみますと、この三月期は決算期であるということもございましょうが、商いはまたこれは大変に薄い商いです。東京証券取引所では一日にたった一件、二億円というような日もあるわけです。したがって、これが必ずしも実勢を表示しておるものではないなという印象も受けながら、毎日私どもは、為替レートが落ちつくと国債が今度は下がっていく、国債が上がると為替レートが今度は少し下がっていくというような状態を見ながら、本当に予算委員会に出ておりましても、その数字だけは絶えず総理の方へ回さなきゃいかぬようなぐらい絶えず変動しておるわけであります。
 しかし、国債につきましては、とにかくそれは何としても多過ぎるということが何よりもの理由でございますので、これを減らしていく努力というものはこれはたゆまざる努力としてやっていかなきゃならぬわけでございますけれども、恐らく中村委員御指摘のように、きのうちょっと落ちついておりますですね。そういう意味におきましては、私もシ団に対して今度五十五年度お願いするものにつきましてもきわめて濃密な打ち合わせをしまして、そして引き受けていただく額を、もとよりいわゆる資金運用部資金で余り大きなものを引き受けるというのもいかがかと思いますものの、やはりシ団引き受けのある種の限界というようなものも相談しながら感じますので、したがって、どうやら私は消化し得るのではないかというふうに思っておるところであります。
 いずれにいたしましても、そういう複雑な環境の中にあって、まさに機動的に弾力的に運営していかなきゃならぬ数々の問題に、もう刻一刻と対面しておるというのが今日の姿ではなかろうかというふうに、御理解をいただければ幸いであります。
#13
○中村利次君 大変大事な課題について議論が立ち至ったわけでございまして、これはもう私は十分の時間をかけて、いま大臣から御答弁をいただきました諸課題についていま一段と突っ込んで質疑をしたいと思いますし、また大臣の御所見も伺いたい、私のかくあるべきではないかといういろんなことを申し上げたい、御判断を得たいと思いますが、私の質問の持ち時間がもうきわめてわずかでございまして、一々そういうことをやっている暇がございません。
 まことに私はそういう点は残念だと思うんですけれども、私はやっぱり国債と財政の問題はもうこれは重大なかかわり合いを持つものでございますから、いま大臣が最後に御答弁いただきました国債の問題につきましても、特に六・一国債なんか、あれは底では七十三円ぐらいだったですか、こういう状態が続いたのでは国債の発行そのものすらおかしくなるという状態のもとで、それなりの私は大蔵省としてのいろんな手をお打ちになるというのはある意味では当然である、発行条件によっては財政にかなりのかかわりが出てくるわけでありますから。
 しかし、私がやっぱり心配であり、大臣の御所見を承ると同時に、ぜひ何とか効果的な手を打ってもらわなければ困ると思いますのは、相場の天井感というものがなくて、公定歩合を引き上げれば何か国債相場の下落にそれが通じて、そしてもう次の今度は公定歩合の引き上げを織り込んでいくという、株式相場にしても証券相場にしても、あるいは商品相場にしても、相場そのものというのがきわめてこれはもう奇怪なものであるようでございますけれども、現在ただいま、四十八年の十二月ですか、から五十年の三月まで続いたいわゆる九%という最高の公定歩合に今度はされるということになるというが、そうであってもまだ天井感がないというのは、私はこれは異常なことだと思うのです。
 ところが、日銀にしても大蔵省にしても一・七五%の大幅な引き上げをされるというのは、何というのですか、そういう公定歩合はまだ上がるんだというのに対して、ここでそいつを断ち切ろうということだろうと思うのです。そういうのをみんな関係者が百も承知の上で、なぜまだ天井感が生まれないのか。この異常状態に対して、果たしてどういう対応をすれば効果的な対応ができるのであろうか。
 これはもう本当に私は大変なことだと思いますから、大蔵大臣の御所見と決意をお伺いをしたいと思いますし、あるいは円相場の問題にしましても、やっぱりこれは何といっても内外の金利差の問題、大臣のお答えとして、私はそのとおりに受け取りますけれども、その上に立っても、なおかつ内外の金利差がやっぱり円安不安を取り除くことはできないと思いますし、また、国際収支の問題にしてもこれは容易ではない。
 二月の通関統計、大蔵省から発表された通関統計によりますと、貿易収支の赤字幅は約十四億ドルぐらいになって、確かにこれは幅が非常に縮小されたようでありますけれども、しかし、中身を見ますと、やっぱり円安による輸出がかなりふえておる。中でも自動車は四〇%もふえておる。鉄鋼が一五%ぐらいでしたか、ふえているということでありまして、日米の経済摩擦の種になっておるような、そういうものの増加によって赤字幅が減少しておる。
 そうなりますと、これは日米の経済摩擦を解消しながら経常収支を改善していくにはどうすればいいか、こういういろんな問題がどうも次々と出てくるわけでありまして、時間がございませんから、ひとつ大臣の簡明な御答弁をお願いをしたいと思います。
#14
○国務大臣(竹下登君) なかなか簡明な答弁を堂々と述べるほどの自信も能力もございませんけれども、確かにいま御指摘のとおりでございます。
 公定歩合一つとってみましても、日本はいま現在七・二五でございますが、アメリカは一三であり、ドイツがやっぱり七・〇でございます。それからフランスが九・五、イギリスが一七・〇、イタリーが一二・〇、こういうような状態でございますので、当然プライムレート等について各国金利差ができておる。しかし、いまのところ幸いなことには、貿易収支の問題は別といたしまして、全体に見ました場合に、いわゆる産油国へ移転した富が、また信用のある国へ国債の消化とか、あるいは自由円の預金とかによって流入しておるという傾向は、私はこれは日本経済にとって苦しいながらも好ましい状態ではないかというふうに思うのであります。
 したがって、これらについても大変な努力をしていかなければならないことでございますが、先ほど御指摘の国債の問題につきまして私自身も感じましたのは、確かに買いオペを仮に三千億やったといたします。ところが、これは、ある一面において国債管理エゴイズムみたいなものではないかとも思われるわけであります。他の公社債市場と一緒に何かしておるものを、政府の出しておるものに限って買い支えをやっていくというような、だから全体的には私もそこにおのずからの限界があるなという認識をひとしくしておるわけであります。
 そこで、全体の基調というものを取り戻すということが何よりも先決ではないか。したがって、いわゆるファンダメンタルズということがよく言われるわけでございますが、そうした基礎的な基調のものを逐次そろえていくというたゆまざる努力が必要ではないか。恐らく、明日経済企画庁中心でお出しになります緊急物価対策あるいはきょう日銀から連絡をいただいております金融操作、そういう問題が、全体の姿の中でいわゆる基礎的諸条件が整っていく先導的な役割りをするのじゃなかろうか。したがって、私どもは何らかの形で国民の皆様全体に理解と協力を求めていく姿勢をとっていかなければならぬではないか。
 われわれといたしましても、今年度、五十四年度補正予算に自然増収が見込まれました。そうして五十五年度予算も自然増収が見込まれておる。これはどこから来たのだろうか。もちろん、政府が積極的な公共投資をしたこともございます、借金しながら。しかし、私は明瞭に最近申し上げておるのは、いわゆる今度の春闘の模様、これをながめておりましても、あるいは昨年、一昨年の春闘の状態なんかをながめてみますと、まさに慣熟したまでの労使の話し合いというものが日本経済を支えてきたのじゃないかというような感じすら、私は最近持っておるのであります。
 したがって、使に対してはもとよりのこと、労側とも絶えず接触を持っていくということが、大きな意味における基礎的諸条件いわゆるファンダメンタルズというものを整えていく基本的な姿勢になっていかなければいかぬというような形で、積極的に国民の理解を得ていく努力を私もしなければならぬと心に決めておりますので、それが決意ということに当たるとすれば、御理解をいただければ幸いなことであるというふうに考えます。
#15
○中村利次君 残念ながらどうも時間がなくなりましたが、決意のほどは承りました。しかし、十五日のアメリカの緊急総合インフレ対策が出て、円がどうだろうという心配もあったと思いますけれども、確かに二百五十円直前まで円安が出たのですが、きょう九%まで公定歩合が改定をされるということが発表されて、これを織り込んで二百四十八円台でとどまっておるようであります。
 しかし、やはりこれから果たして円相場がどうなるのかという心配は全く尽きない。そういうときに日本国政府は、大蔵大臣、何か電気、ガスの料金改定の条件として通産省は二百四十二円、経済企画庁は二百三十七円で、きょうですか、調整をとったようです。これは経済に関心を持っておる者から言えば、政府が円レートに対してどういう効果的な手を打って、円がどういうところにおさまるのかという大変決定的な大事な課題が大平内閣の課題である。だのに、そこで、やれ二百四十二円だ、二百三十七円だという、同じ政府の中で円レートについてまことにどうも理解しがたいあれが行われておるというのは奇妙きてれつですが、時間がもうなくなってしまいましたからそれはもう伺いません。
 最後に、一つ専売公社にお伺いをして私の質問を終わりますけれども、冒頭に、たばこは嗜好品として日本だけでなくて国際的に需要がだんだん低下するという傾向にあるのではなかろうかということを申し上げましたが、そういうものにもこたえて専売公社としては、ちょっと触れました低ニコチン、低タールの開発について、かなりこれは進んだ実績をお持ちだということを聞いておりますけれども、いまはやめておりますが、ヘビースモーカーとしての私の体験からしますと、どうも低ニコチン、低タールというたばこは、なれるまでは非常にまずい、吸う側の立場からのそういう感じがあるのですが、そういうものを含めて、それを乗り越えて低ニコチン、低タールというものの開発というのが可能なのかどうか、あるいはそういうものを手がけておられてかなりの実績をすでにお持ちなのかどうか、最後にお伺いをして、私の質問を終わります。
#16
○説明員(泉美之松君) 中村委員のおっしゃるとおり、世界的な傾向として、たばこの消費は伸び悩んでおります。もちろん、いまの発展途上国におきましては消費が伸びておる面はございますけれども、先進国としましては、ほとんど消費が伸び悩んでおると言って差し支えないかと思います。わが国の場合にも、先ほどお話しのように消費が伸び悩んでおるわけでございますが、先生お話しのように、喫煙者率なりあるいは喫煙本数が減っておりますけれども、成人人口の伸びが毎年一%ぐらいございます。私どもとしては、たばこの消費はその程度は期待できるものというふうに考えておるわけでございます。
 なお、低ニコ、低タールのたばこを出しますと、どうもこれは消費者の方からは、専売公社は本数をかせぐために低ニコ、低タールのたばこを出しているのじゃないかというふうなことを言われるわけでございますが、これは世界的傾向としましても、健康のためには低ニコ、低タールのたばこがいいわけでございまして、世界的な傾向として低ニコ、低タールの製品が最近多くなってまいっておるわけでございまして、私どもといたしましても、過去にはたとえばニコチンで申し上げますと一・八ミリグラムぐらいが平均であったのが、ここ一、二年は一・一ミリグラムまで減ってきておる。それだけ低ニコ、低タールの製品を出しておるわけでございまして、今後さらに低ニコ、低タールの技術開発をいたしまして、一・〇ミリをいまのところ目指しておりますけれども、将来は一・〇ミリを割ってもっと〇・九ぐらいの平均になる、平均がそうでございますから、中にはいまのジャストのニコチンが〇・二から〇・三ぐらいのもの、あるいはいまはパートナーが〇・七でございますが、ニコチンが〇・五、六というものを今後開発していきたいと思っておるわけでございまして、何といいましても、低ニコ、低タールの製品をつくっていく必要があろうかと思っております。
 なお、そういう低ニコ、低タールにするにつきましては、葉っぱの加工技術のほかに、いろいろなフィルターであるとか、現在の材料にさらに改善を加えるほかに、新素材としてニコチン、タールのほとんどないという新素材もいま開発すべく一生懸命努力いたしております。それができますと、将来そういったものを他の葉っぱの中にまぜまして、一層低ニコ、低タールのたばこがつくられていくというふうに努力したいと思っておる次第でございます。
#17
○片岡勝治君 前回に引き続きまして、もう若干質問をしたいと思います。
 前回にも申し上げましたが、今回のたばこの値上げにつきましては二つの要素がありまして、一つは、たばこそのもののいわばコスト、これが赤字になった場合に値上げをする、同時に、それが納付金という形で税金部分にも波及をする、こういう点についてただしたわけであります。
 そこで、さらにこの問題についてもう若干質問をしたいと思うわけでありますが、まず第一に、今度の値上げ法案の内容を見ますと、幾つかの歯どめといいますか条件が備わって、初めて大臣の認可ということが行われるわけであります。赤字が生じた場合、あるいはその最高価格は物価変動率を乗じた限度だと、さらに審議会の議を経ること、それから基準最高価格の一・三倍を超えることができない、四つの条件があるわけでありますが、この条件のもとで仮に赤字が出た場合に、公社の経営をしさいに分析をして値上げが妥当かどうか、こういうことになると思うんですね。その場合に、だれが認可をするかといえば、審議会の議を経ることにはなっておりますけれども、大蔵大臣のいわば承認があれば値上げをすることができる。前回も申し上げましたように、それがそのまま納付金の増額に連動するわけであります。
 大蔵大臣といえば、国の財政の台所をつかさどる、いわば当面の最高責任者です。公社の赤字を解消するための値上げは即納付金の増額に通ずるという要素が入っておれば、大蔵大臣はいわば二重人格のもとにこの認可という作業が行われるということになるわけですね、率直に言って。つまり、値上げをすれば、この前も言ったように、国家財政の増ということが通常あり得るわけでありますから、大蔵大臣としてみれば、特に財政危機の今日、一万円でも百万円でも国家財政が増額になる、豊かになる、そういうことをこいねがっている立場であります。
 そういう立場の人がこのたばこ値上げの認可に当たるということについて、若干私は疑義を持つんです。いやおれはそうじゃない、国家財政のことはもう頭にない、公社の経営そのものを分析した上で、やっぱりこれは値上げをしなきゃならぬと口では言うかもしらぬけれども、しかしそうはならぬと思いますね。やっぱり大蔵大臣としてみれば、むしろ国の財政再建という方が重くあなたの肩にのしかかってきていると思う、財政再建という大きな課題が。したがって、このたばこの値上げ問題の認可に当たっては、そのことが私は多かれ少なかれ影響するのではないか。
 まず初めに、認可をするに当たって、大蔵大臣はいわば二つの矛盾した要素を持った認可行為でありますから、これについてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#18
○国務大臣(竹下登君) 確かに、前回から片岡委員御指摘のように、財政再建の折、とにかく一銭でも収入の増加を期待する大蔵大臣が、これに対する何と申しますか、妥当でないと申しますか、その決定権を持つのは相矛盾する二つの性格を持っておるのじゃないかという御指摘でございました。
 私も、その御質問の趣旨はよく理解できるところでございますけれども、これにはやっぱり審議会でございますとか、あるいは物価の会議でございますとか、閣僚会議でございますとか、そういういろんな歯どめも客観的にはついておるわけであります。しかし、もとより大蔵大臣が二つの性格の一方に重点を置いて物をはかっていくという姿勢であっては私自身もならないと思いますけれども、客観的ないろんなチェック機関とでも申しましょうか、そういうものがございますということも、一つは、そういう心配がないようにということではなかろうかと思うのであります。
 したがって、やっぱり専売公社を管理、監督する行政大臣としての大蔵大臣でございますので、その価格を決定するという手続は、やはり専売公社自身を管理、監督する立場にある大蔵大臣がやるのが妥当ではないか。しかし、経済企画庁が主宰される閣僚会議でございますとか、そういうものの客観性が整っておる中で、妥当な決定はやはり行政所管の大臣がすべきものではないかというふうに、御理解をいただきたいというふうに思います。
#19
○片岡勝治君 おっしゃることも法制的に、あるいは行政的な観点から私もわからないわけじゃありません。いわば所管大臣でありますから、その責任上認可する、そういう立場にあるということもわからないわけではありませんけれども、大蔵大臣の頭の中も一つのいわば脳細胞、認可をするときにはこっちの右の方の頭脳を使って、財政再建はこっちの頭脳の方を使うというわけにはいかぬと思うんですね。
 ですから、特に今日のような経済再建という課題がないときならば私は理解するんですが、こういう時期にはむしろ大蔵大臣という立場からすれば、財政再建というそういう問題意識の方が強く持っている、これは当然だと思うんです。そういう情勢下にあって、この認可行為というものが大蔵大臣にあるということについて、果たして客観的に判断ができるかどうか、若干私は疑問を感ずるんです。これは私だけじゃなくて、消費者あるいは国民の側もそういうふうに感ずると思うんですね。
 もし本当に経営そのものを分析して、これは必要だと、そういう判断を下すとするならば、もちろんここの場合でも審議会というのがありますけれども、それ専門の人あるいは部署にいる人が判断をした方がより客観的になるのではないか。私は、竹下大蔵大臣を信用しないということじゃないんです。制度そのものにそういう矛盾点を持っておりますから、そういう矛盾を分離した方が、より客観的な認可ということができるのではないか。
 これは全く仮定の話でありますけれども、企業の分析ということであれば、通産大臣とか経済企画庁長官とか、もちろんこういった人だって閣僚の一人ですから、国の財政再建ということを忘れているとは思いません。大蔵大臣同様考えていると思うのでありますけれども、何か他の企業そのものの経営という角度からこの認可をするということであるならば、そういうところに持っていった方が客観性があるのではないか。国民の側からすれば理解の得られる措置ではないかと、こういうことを私は感ずるわけなんです。まあ大蔵大臣を越えて直接総理大臣の認可にしたらばいいではないかというようなことも考えられますけれども、これとて同じだろうと思うんです。
 このことは、いますぐこれをどうこうということにはなり得ないと思います。しかし、これをやはり念頭に置いて認可、承認という行政行為をやっていただきたい。そういたしませんと、大蔵大臣は国の財政のことを考えてくれば、もうちょっと値上げしたらいいじゃないかというようなことを言っているんじゃないかとさえ感ぜられるわけでありますので、ひとつ大蔵大臣としてはそういう点は混同しないで、ぜひ客観的な、もちろん幾つかの歯どめはあるという大臣の答弁でありますが、それをも踏まえ、客観的な認可行為に移行するよう、ひとつ今後ともそういう何といいますか慣習といいますか、われわれはもちろんこれに反対でありますけれども、仮に法案が成立した場合には、初めてのことでありますので、ぜひ慎重な配慮をお願いしたいと思うわけであります。
 それから、赤字になった場合値上げの一つの要素になるわけでありますけれども、これにはいろいろ理由があるわけでありますね。先ほど中村委員の方から質問がありましたとおり、たばこの将来展望を考えたときに、私もやっぱりこれが大きく伸びる、あるいは喫煙人口が大きく拡大をするということはちょっと考えられない。そういたしますと、特に今回の値上げによって、前回も言いましたけれども、私は相当喫煙人口というものが減るのではないか、そういうことが想像されるわけです。
 たとえば、そういうふうに喫煙人口が急激に減った、そのために企業が赤字になるということもあり得るわけですね。そうすると、大蔵大臣の値上げの認可が行われる、それに連動してたばこを吸う人は納付金の負担額がふえると、こういうことになる。つまり、これをずっと考えてみますと、喫煙人口がどんどん減っていく、公社の経営が苦しくなる、どんどん値上げをする、それに比例して納付金がどんどんたばこを吸っている消費者に過重にかかってくるという悪循環が、私は将来出てくると思うんですね。
 つまり、こういう場合でも、公社の経営の赤字ということになるわけでありますか。あるいはこういう場合でも、大蔵大臣はこれを認可してたばこの値上げを行う、それに比例して納付金の増加を期待する、こういうことになるわけでありますか。こういう事態に対する大蔵大臣や公社の考え方は、どういうふうに受けとめたらよろしいでしょうか。
#20
○国務大臣(竹下登君) もとより、やはり原価の上昇等によりまして専売公社のたばこ事業の経営が圧迫されるおそれが生ずることに伴いまして、その健全な経営を維持するという観点から最高価格の特例を設けたものでございますので、いろいろな私は、この間片岡委員が、ヘビースモーカーであったが期するところあってやめたと、こうおっしゃいましてから、私と片岡委員とは年が一緒でございますから、これはおれもやめなきゃいかぬかなと思いました。しかし、やめていないのでございますけれども、幾らか私の節煙に対して警鐘を乱打していただいたような感じがしたわけでございます。
 そういういろいろな変化というものが、経営自体に全く影響を及ぼさないものであるとは私も思っておりませんが、いまの場合やはり経営そのものが圧迫されるおそれが生ずるという場合に、お願いしておるような法文が生きていくという立場に立って、厳正にこれに対応していくべきものではなかろうかというふうに理解をいたしております。
#21
○片岡勝治君 私は、他の企業の場合ならば、経営努力によってそうした赤字を回避するということが比較的可能だと。もちろん、これはそのときの経済情勢によって、どんなに努力しても赤字になる場合もありますね。しかし、一般論として、たばこの場合には、他の企業と同様な考えでこれを見るわけに私はいかないと思うんですよ。つまり、専売公社としてみれば、前回言ったように、大いに宣伝をする、うまいたばこをつくって、どんどんのみなさい、こういうわけにはいろいろな客観的条件からいかないわけです。むしろ厚生省あたりの立場からすれば、たばこは余りのまない方がいいじゃないか、そういう一つの政策をとらざるを得ない。そういう商品なわけですね。
 そういうつまり専売公社の特殊性から考えてみると、たばこをのむ人がだんだん減ってくる、そういうときにそれをカバーするのにどんどん値上げをする、喫煙者が減れば納付金も減る、それをたばこの値上げによってカバーする、こういう喫煙者が減った場合に同じような考え方で値上げをするということについて、私はこれも一つ疑問を感ずるんです。つまり、たばこということからすれば、喫煙者が減った場合の赤字、こういうものについては別途考えざるを得ないのじゃないかと思うんですがね。どんなに努力をしても赤字になるということが、私は近い将来出てくると思うんですよ、喫煙者ががっくり減るということが。
 いまの日本では成年男子の喫煙者が七〇%ですか、すでにアメリカでは四〇%、この数字にだんだん私は近くなっていくと。しかし、アメリカでは女性の喫煙者が三〇%、日本は一六%、だから日本の女性はまだまだぐんと上がるだろう、こういう期待も持っておるかもしれませんが、しかし、時あたかもたばこと健康問題が大きくクローズアップされている時代ですからね、アメリカの女性が三〇%に達した時代と非常に客観的な条件が違う。そうすると、日本の女性の喫煙率がアメリカに近づくということはこれまた考えられない。
 そういうことをいろいろ考えてみると、喫煙者が急減をする、その事態になってもこの法定緩和条項を適用してたばこを上げる、そして納付金の確保に当たる、こういう手法がそのまま継続されていいのかどうか、もう一度大臣、この点についてお考えをお答えいただきたいと思うんです。
#22
○説明員(泉美之松君) 片岡委員のおっしゃるとおり、世界的な傾向としても先進国ではたばこの消費が伸び悩んでおります。日本の場合も、五十年の定価改定の後、伸び悩んでおる状況にあるわけでございます。
 したがって、今後定価改定して消費が落ち込むではないか、それはおっしゃるとおりでございまして、私どもも五十五年度におきましては定価改定によって百億本の消費減というものを見込んで予算を立てておるような次第でございます。しかし、過去の事例がそのまま参考になるわけではございませんけれども、五十年の定価改定をいたしました後、一年半たって需要が回復いたしております。四十三年の値上げのときには半年で回復したのでありまして、それが五十年のときには一年半と延びておるわけでございますけれども、これはしかし、五十年の定価改定が四八%というかなり大幅な値上げであったことも影響しておると思うのでございまして、今回のように二一%程度でございますとそれほど大きな影響はないのではないか。したがって、今度の定価改定後やはり一年半ぐらいすれば需要は回復していくものと、このように見ておるわけでございます。
 したがって、喫煙者率が落ち、喫煙本数が若干ずつ減ってはおりますけれども、他方に成人人口の伸びもございますので、そんなにたばこの消費ががくんと落ちるということは私どもとしては予測しないのであります。もちろん、先生のおっしゃるような心配は私どもとしましても十分持っていまして、そのためには需要の回復に向けて、先ほども申し上げましたように低ニコ、低タールのたばこを開発するとか新製品を投入することによって新規の需要を開拓しまして、そのようながくんと消費が落ちるということは防いでいきたいし、また防ぎ得るものと思っております。
 ただ、定価改定を行いますと、先ほども申し上げましたように、その定価改定の前に仮需要が出まして売れました後、その需要が急激に停滞して、その停滞が一年半ぐらいは続くのではないかという予測はいたしておりますが、しかしその次に定価改定をするころまでにはもう相当回復しておって、そこで定価改定を行いまして消費がまた一時的に停滞するということを繰り返すようなことになりますけれども、消費の絶対量が非常に落ちてしまうということは予測しておらないのでございます。
#23
○国務大臣(竹下登君) まあ、責任者であります泉総裁のお答えが、現状の認識の中においては私もそうではなかろうかというふうな印象を持ってお答えをお聞きしておったわけでございますが、片岡委員おっしゃるように、客観情勢が将来大きく変わっていくと。その場合、そういうことを現実の事態としてそれが将来何年後とかそういうようなものではなくして、非常に漠然とした印象で申し上げますならば、大変に事態が変わって現行制度が維持できないようになるというような仮にもし状態があるとすれば、それはやっぱり私は当然のこととして、制度自身が見直される時期というものが予測の中で全くないとは私も思いません。
 したがって、本当にそういう事態になった場合には、制度自体を見直さなければならないというような認識は持っていなきゃならぬと。これは私は、三年後であるとか五年後であるとかそういう意味でなく、委員のいろいろな角度からの分析に対するまさに客観情勢の変化というものを予測――正確な予測でなくして、何と申しましょうか、仮にそういう事態を描いてみた場合に、それはやっぱり制度そのものを見直すときというふうに認識をすべきではなかろうかというふうに思います。
#24
○片岡勝治君 喫煙者の将来予測というのは大変むずかしいわけでありますけれども、少なくともいままでのような拡大ということはちょっと考えられない。私が申し上げたいのは、喫煙者が減る、値上げをする、同時に納付金が個人にかかってくるわけですからね。つまり、喫煙者が減るという客観的な条件がだんだんふえればふえるほど、ミクロの立場で考えれば、喫煙者個人の立場になってみると、だんだん納付金がふえてくるわけですよ。
 ですから、そういう点は、つまり喫煙者が減ったという条件の場合の赤字解消のための措置というのは、やっぱり別途考える必要があるのではないか。つまり、企業努力ということだけでは、これは克服できない課題ではないかと私は思うんですね。ですから、そういう点については、やっぱり将来考える必要があると私は思うわけでありますが、この点についてはこの辺で終わりたいと思います。
 なお、この審議会につきましては、先ほどお答えがあったように、一つの歯どめという形でここで審議をするわけでありますが、これについても衆参委員会を通じていろいろこの組織について意見が出されておりますね。現在どういう構想でこの審議会を考えているのか、あるいは審議会の審議の経過あるいはその結論というものは、ぜひわれわれ国会――本来、国会でやりたいと思っていたんですが、これを取り上げられちゃったものですから、審議会のその審議の経過あるいはその結果というものは、われわれ国会の方にも報告してもらえるのかどうか、この点についてお願いをしたいと思います。
#25
○政府委員(名本公洲君) 専売事業審議会におきまして御審議をいただくわけでございますが、その審議会におきましては現在法律で定めております人数が九人でございまして、専売事業に関連のある方、それから専売公社の職員を含めまして、その他学識経験の豊かな方々に御参加いただいておるわけでございますが、定価改定にかかわる問題でありますだけに、暫定最高価格につきまして御審議いただきますときには、さらに関係業界の方々あるいは消費者の方々も特別委員という形で御参加をいただき、各方面から慎重に御審議をいただくということにいたしたいというふうに考えておるところでございます。
 なお、その審議会におきましていろんな角度からの御検討がいただけるわけでございますが、その御検討いただきました経過あるいはどういうような御議論があったかというようなことにつきましては、もちろん当委員会の方におきまして御要請があるならば、当然のことながら御報告をいたすべきものであるというふうに考えております。
#26
○片岡勝治君 ちょっと奇抜なことをお聞きいたしますけれども、これは黒字になった場合に値下げをするということが将来私は全くないとは言えないと思うんですが、この法律で、どういう条項でどういう手続で値下げをするのか。読んだけれどもよく私にはわからないわけで、第何条で、どういうことでどういう手続で値下げをするのか。
#27
○説明員(後藤正君) お答え申し上げます。
 先生、いま大変な黒字になったらどうするかという仮定の御質問でございましたが、私ども今回の定改をお願いをしておりますのは、五十年の定改で約六〇%まで益金率を回復させていただいたわけでございますが、このままほうっておきますと、五五を割るような益金率まで落ち込むということで、実は今回も定改をお願いをいたしたわけでございます。
 したがいまして、御提案申し上げております法案がお認めいただきますと、約六〇まで益金率が回復いたしまして、五十五年公社が予定をしております資産増が約千四百五十億ぐらいございますが、これに対して今回は税金としてすべてを仕込んでおりますので、国税それから地方税相当分、関税を納めました残りの利益が約九百十八億というふうに予定をいたしております。これは資産増に対する内部留保率としては約六〇%強でございますが、これは全部固定資産、たな卸し資産の形で化しておりますので、公社が自由に扱えるというものではございません。これはあくまでも公社の資本の充実に当たるものだというふうに私どもは考えておりますが、この黒字幅は、いまの政府見通し等の卸売物価等から見ますと、経年とともにどんどん縮小してまいりまして、何年か先には赤字に転落するというのが、通常のいわゆる形であろうと私どもは考えております。
 ただ、大変逆の現象と申しますか、物価が政府の御努力なり各国のいろんな協力によりまして非常に鎮静化し、逆に下がってまいるというようなことになりますと、私どものコストもある意味においては逆に下がってまいるというような、先生のおっしゃるような逆の大変望ましい現象の中で公社の黒字が非常に大幅になるというような事態も、これも仮定の問題としては全く考えられないわけではございませんが、そういう場合でしたら、先ほど先生も御質問がございましたように、現在のやはり喫煙者率、市場動向等を考えまして、私どもは法一条に掲げてある、ここで御提案申し上げております価格はこれは最高価格でございますので、その範囲内で原価を償い、品質、規格その他妥当なものであって、専売事業に健全で能率的で適正な収益をもたらすような形のいわゆる価格ということで、個別価格の定価改正と申しますか、逆に定価引き下げについて大蔵大臣に認可申請をして、大蔵大臣からいわば下げた価格を認可していただいて消費者の皆さんにお届けするというようなことも、大変大胆な仮定を置いた場合は想定できるわけでございます。
 法制上は、何らそこは矛盾なく行われるわけでございます。
#28
○片岡勝治君 そうすると、これは値上げの場合、暫定最高価格の一・三倍という、こういう網がかかっていますが、当面、私も値下げの条件が出てくるというふうには考えられませんけれども、しかし、やっぱり法律というのは未来永劫、改正がない限りこの法律はずっと続いていくわけですから、物価が上がったときには値上げをする、これは大臣の認可、物価がどんどん下降したり、あるいはコストが下がってきたという場合には、当然値下げということが考えられるわけでありますが、そうすると、これは最高価格でありますから、この最高価格を下げる場合にはどうなんですか。
#29
○説明員(後藤正君) 御提案申し上げております法案がお認め願えますと、先生がおっしゃるように、今後物価が仮に上がりませんということになりますと、私どもそう大きな赤字というものが生ずる事態はまず想定されないわけでございます。
 そうしますと、赤字に転落した場合にしかこの暫定最高価格をひとつお決め願いたいということを大蔵大臣に私ども事実上お願いするわけにまいりませんので、あくまでも改正法案として提出をしております法第一条の法定最高価格、ここで先生方に御審議をいただいております、それぞれの一級品、二級品、三級品の法定最高価格の範囲内において、先ほど申し上げましたように、いまの価格よりまだ下げても公社が税金を納めて、しかも十分な健全な能率的な経営ができるというような見通しがつきましたならば、いまの法定最高価格の範囲内におきまして、個々の銘柄ごとに市場のシェアなり動向なり品質なり規格なり、いろいろなものを考えながら私ども値下げを決定をして、大蔵大臣に値下げについての認可申請をするという段取りになろう、そのように考えております。
#30
○片岡勝治君 しかし、値上げをする場合には、この最高価格というものが大蔵大臣の認可によって決まる。その範囲内で個々のたばこの値段を決めるわけですよね。ですから、私が聞いているのは、最高価格というものを引き下げるという措置だって考えられるのじゃないですか。大枠として、やっぱりそういう措置をとる必要があるのじゃないですか、この法の趣旨からすれば。値上げするときにはいろんな網があって最高価格の丁三倍、そういう基準をつくっておるから、値下げをする場合だって、最高というものをまず大蔵大臣が下げる、その範囲内でということになるんじゃないですか。
#31
○説明員(後藤正君) 先生の御質問、ちょっと私取り違えて大変申しわけない御答弁をしたわけですが、これをお認め願いまして、今後何年かたって公社が赤字になった、その場合には先生おっしゃるように、この法律の要件に従いまして、私どもは公社が事実上赤字になりましたのでこの程度の暫定最高価格をお決め願いたいということを私ども大蔵大臣にお願いをして、大蔵大臣はいろんな資料の提出を求め、それを専売事業審議会なり物価政策安定会議の意見も聞きながら暫定最高価格をお決め願って、それで私どもその範囲内においての個々の銘柄の定価の認可申請をするわけでございますが、一たんそれを決めた後に、今度は物価が大変逆に下がってきて、それでその暫定最高価格が高過ぎた、あるいはその暫定最高価格の範囲内であっても、さらに低い価格の範囲内で定価を決めても、いま申し上げました諸条件が満たされるというような見通しが仮に出てきたような場合には、当然暫定最高価格の三割という限界はございますが、上乗せの暫定最高価格の改定ということでなくて、先生のおっしゃるように、逆に下げるような暫定最高価格の決定ということもあり得ないことではないと思います。
#32
○片岡勝治君 しかし、私は専門家でありませんけれども、この法文を読んでいる限り引き下げというようなことについての、つまり引き上げをする場合の網というのは幾つかありますよね。これを逆に見ればいいんですか。しかし、そういうふうには、法律を読むとちょっと解釈できませんよ。だったら、たとえば物価の上昇率じゃなくて下降率に合わせる範囲内で値下げしなさいと、あるいは一・三倍の範囲で上げるわけですから、その逆の数字を使いなさいということを書いておかなければ、これはあなたの言うとおり引き下げることはできませんよ、それは。そうでしょう。これは法文を読めば、この法の趣旨からすれば、みんな値上げをすることの網をかけているわけですからね。値下げの網というのはないわけですよ。
 だから、今度の法定緩和の措置は、言ってみれば、値上げのことしか適用できないのでしょう。私は素人ではありますけれども、そう解釈します。値下げができるのだということにはなりませんね、これは。
#33
○説明員(泉美之松君) 私からお答え申し上げたいと存じますが、お話しのように、将来大変物価が安くなって、専売公社の製造たばこのコストが大変低くなったということの場合におきましては、まず一つは、最高価格なり、あるいは暫定最高価格の範囲内で個別の銘柄の価格の値下げを大蔵大臣に申請してそれを値下げする、これは先ほど後藤理事からお答えしたとおりでございます。
 しかし、それ以上に公社の黒字が大幅になったという場合、他方、国の財政なり地方の財政としてどの程度消費税なり、あるいは専売納付金の額が必要とされるかという事情もありますので、公社が黒字になったからすぐ値下げするというふうには私はなかなか簡単にはいかないと思いますけれども、国の財政なり地方の財政を考えてもなお値下げすることができるということになりますと、それは国会に法案を提出いたしまして最高価格の改定をお願いするということになるのが、この法律の書き方からすればあたりまえであって、暫定最高価格を決めて、その暫定最高価格をもう一遍下げる暫定最高価格というふうなものを決めるような法文の構成にはなっておりません。
 したがって、先生のおっしゃるような意味で値下げを一斉にするという必要が起きた場合には、国会に法案を提出して改定をお願いするほかはなかろう、このように思っております。
#34
○片岡勝治君 私もそういうふうに理解したのですが、あたかもこの法案の逆に計算をしていけば値下げも可能だというようにとれた答弁がありましたので、その答弁は間違っていたと思うわけです。
 こういう法律については、当面値下げなんという条件はないからという理由かもしれませんけれども、国民の側からすれば、赤字になった、そうか、値上げをする、それじゃ黒字になったらどうやって下げてくれるのか、しかし法文には何にもないということになれば、これは片手落ちじゃなくて両手落ちですよ。
 ですから、こういった問題について、たとえば制度も何もかも専売とは全く違うかもしれませんけれども、国鉄だって場合によっては新幹線を、あれは冬ですか、二月、三月、何か京都行きは半額にしたとか、あるいは今度は電報、電話ですか、値下げをするというようなことが出てきているわけですから、やはり法律というのは、赤字になったらば上げますよ、しかし黒字になれば、こういうことで値下げをすることもあるのだということでなければ、これはもう一方的で、しかもわれわれ国会の側からすれば、今度は国会の審議権は取られてしまう、値上げだけしか決めてない法律だということになれば、一体国会議員さん何やっているの、値下げをするときの条件もついてないじゃないかということになれば、全くわれわれは国民に対して、大げさに言えば責任が負えないと思うのです。
 ですから、この法律案については、そういう点についても私は大変大きな不満があるわけであります。せめて、値下げをする場合にはこういう措置があるのだというようなことでも書いてあればこれは大変結構なのですが、これはもう値上げ一方通行の法律案だ、そういうふうに考えざるを得ないのですが、これは私の意見でありますので。
 次に、これも前回に触れましたけれども、専売公社はいろいろサービス面で最近は意を用いているようでありますが、私はもっとサービス精神を発揮する必要があるのではないかと思うわけです。吸い方の教育というか啓発というか、そういうものについては公社はなかなかやりにくい立場があると思います。先ほどもちょっと言ったように、低タール、低ニコチンのたばこをつくれば、なるべくたくさん売ろうと思っているというふうに誤解される、こういうようなことが言われております。しかし私は、この前も言ったように、もう少し開かれた公社になった方が国民の信頼を得ると思うのですよ。低タール、低ニコチンのたばこを研究する、あるいはでき上がったら、それはこういう点でいままでのたばこよりよろしいのだと言う、そういう点は私は開かれた公社として当然やっていいと思う。むしろやる必要があるのではないかと思う。
 それから、吸い方の問題についても、衆議院の答弁を見ましても、半分ぐらい吸ってあとは捨てた方がいいというようなことをお答えしているわけでありますけれども、なかなかこういうことも専売公社としては言いにくい。言いにくいけれども、健康的なたばこの吸い方について開かれた公社として私はやるべきだろう、そういうふうに考えるわけであります。あるいはまた、最近方々へ行ってもクリーン運動を展開しておりまして、この点は大変結構だと思いますが、ただああいうことを呼びかけるだけじゃなくて、これはお金のかかる問題ですけれども、専売公社が率先して、公園等には吸いがらを捨てるような、そんなりっぱなものでなくていいと思うのですけれども、そういうものを据えつけていく、そういうサービス精神というものはいままではやや欠けていたような気がするわけでありますが、この問題について現在公社はどういうふうにお考えですか。
#35
○説明員(泉美之松君) お話しのように、公社は消費者のためにもっとサービスをすべきではないかという点につきまして、私どもとしましてもそういう感じを持っておりまして、御承知だと思いますけれども、たとえば全国の主要都市にたばこサービスセンターというのを設けておりまして、そこにおきましては、国内のあらゆる銘柄をそろえるとともに、輸入銘柄につきましても相当多量に取りそろえておきますし、また、消費者のたばこに関する意思を聴取する、あるいは公社のたばこに関する情報をお伝えするというようなことをいたしております。
 また、たばこの吸い方についても、お話しのように、余りせかせかと吸わないでゆっくり吸っていただくように、あるいは煙を余り深く吸い込まない方が健康のためにいいです、あるいは余り短くなるまで、くちびるが焦げるほど短くなるまで吸わない方が健康のためにいいですといったようなことをいろいろお知らせいたしておるのでございますが、あるいはまだ十分でないかと思いますので、それらの点につきましては今後PRを徹底いたしまして、吸い方についてもそういう指導をいたしたいと思います。
 ただ、どうもそういうふうな指導をいたしますと、短くなるまで吸わないと本数がふえるじゃないか、専売公社は売らんがためにそういう指導をするのかといったような反発もございますので、その辺のことは、相手にどういうふうな受け取られ方をするかということを考慮しながらやっていかなければならないと思っております。
 それから、公園等に大型の灰ざらを備えつけることもやっております。たとえば、五十四年度におきますと八千個備えつけたわけでありますが、全国大変広うございますので一挙になかなかすべての公園にというわけにまいりませんけれども、逐次そういう努力によりまして、公園等の場合に灰ざらの近くにベンチもあって吸いやすい環境にするといったようなことに、今後とも十分配慮いたしてまいりたいというふうに思っております。
 それから、御承知のとおり、吸いがらを投げ捨てますと、街路であるとか、あるいは駅の構内、線路等の美観を害することになりますので、喫煙者の自粛をお願いしておるわけでございますが、これはやはりモラルの問題でございますので、結局喫煙者の公徳心の向上にお願いするよりほかはなかろうかと思っております。
 それから、もう一つPRをいたしておりますのは、喫煙者が非喫煙者に対する思いやりを持っていただきたい。世の中にはたばこを吸う人だけじゃなくて、たばこを吸わない人、中にはたばこに対して大変嫌悪感を持っておる人もおられるわけでありますので、そういう点から、喫煙するときには非喫煙者のことに配慮しながら喫煙していただくようにということも訴えておるところでございます。
 これらの点につきまして、私どもの努力がまだ足りないという委員のおしかりかと思いますが、今後お言葉を体しまして一層努力してまいりたい、このように思います。
#36
○片岡勝治君 次に、外国たばこの問題でありますけれども、日本の場合には、非常に外国たばこの販売というのはまだ比率にいたしますと二%ですか、大変低いわけでありますが、それはそのまま外国たばこにしてみれば、魅力ある一つの市場と見られているわけです。しかも、これから経済的な領域で諸外国とつき合いをしなければならぬ、いろいろむずかしい問題を抱えている時代でありますから、率直に言って、いつまでも閉鎖的な態度でいるわけにはまいらぬと思いますね。大変むずかしい問題でありますけれども、この外国たばこに対する公社の態度、あるいは大蔵省の態度について御説明いただきたいと思います。
#37
○説明員(泉美之松君) 現在、輸入たばこは全消費量の約一・二%でございます。これは、しかし諸外国の場合に比べますとかなり低いものでございまして、外国では輸入たばこが六%なり、あるいは国によっては一二、三%に達しておる国もあるわけでございます。それだけに、外国のたばこ企業から、日本はもっと外国たばこを輸入せよということで非常に強い主張をされておるわけでありまして、私どもとしましては、この外国たばこのウエートが今後徐々にではありましょうけれども、若干ずつ上がっていくことは、国際関係からいたしましてやむを得ないことだというふうに思っておる次第でございまして、したがって、現在アメリカなり、あるいはEC諸国との間で、今後そういう点について交渉をしまして、日本国内におけるそういう外国たばこの販売なり、あるいは広告なんかについて、いまガットに提訴されておりますけれども、そういったことの交渉を通じて、そういう点を解決してまいらなければならないと思っております。
 それでは、日本ではそういった輸入たばこのウエートがどの程度になるか、これは全くいまのところ予測することは困難でございますけれども、いまの一・二というのが最近の月で見ますと、この二月では一・三%になっている。年度では一・二%でありますけれども、その月としましては、一・三%になった月もあるわけであります。今後これが若干ずつふえていくことかと思います。しかし、これには一つは、日本人が輸入品に対して輸入品はいいものだという先入感がある面もあるわけでございまして、公社の製品も輸入たばこと比較して決して劣るものではございませんで、私どもとしましては、そういう外国たばこに匹敵するような銘柄のものを売り出しまして、それによって消費者に訴えていきたいというふうに思っております。
 現在のところ、輸入たばこと公社製品との間にはかなりの価格差がございます。日本の葉たばこの値段がどんどん上がってまいっておりますので、将来はその価格差がだんだん縮まっていく心配がございますので、その点を考えますと、消費者に国産たばこのいいものを提供して、余り外国たばこに走ってしまわないようにお願いしなきゃなるまいかと、このように思っているわけでございます。
#38
○片岡勝治君 今度の改正案につきましては、法定緩和の問題につきましてのそもそもの出発は、公共企業体等基本問題会議の意見書が下敷きになり、専売事業審議会の答申を経てこの改正案がつくり上げられた、こういうことになっているわけであります。
 しかし、公企体等閣僚会議ですかの意見というのは、専売公社の経営のあり方、当事者能力の強化、こういう立場で報告書が出されているわけでありまして、その結論は、ずばり申し上げれば民営にしなさい、こういう結論づけといいますか、将来展望といいますか、そういうものになっているわけですね。この関係閣僚会議の報告を受けて専売事業審議会が答申をしたわけでありますけれども、これを受けてこの審議会がこの意見書を出した、答申を出した。こういう一連の過程を考えてみますと、今度の法律はそのまま閣僚会議の下敷き、報告、それから審議会の答申、それをほぼ全面的に受け入れて法定緩和というものをつくり上げていると、私たちは政府から出された資料から判断をすることができるわけであります。
 そういたしますと、これは将来たばこというものは、それもきわめて近い将来、民営になるんだ、民営にするんだ、政府がそういう方向で今回法律を出されている、こういうふうにもとれるわけでありますね。これに対して一体政府はそういう考えなのか。いや、やっぱりたばこは専売がいいのだ、そういう考えなのか、そうした基本的なひとつお考えなり方針なりを、この際、明らかにしていただきたいと思います。
#39
○政府委員(名本公洲君) 御指摘のように、公共企業体等基本問題会議におきまして、たばこ専売につきましてはこれを民営化するのがよろしかろうという意見が出されておるわけでございます。この意見書は、それだけでなくて多くの意見を含んでおるわけでございまして、政府といたしましては、各界の方々の御意見を取りまとめた非常に貴重な御意見が盛り込まれた意見書といたしまして、これを尊重して対処していくということになっておるわけでございます。
 私ども、専売公社につきまして種々検討をいたし、その検討の一つを今回の法律改正案として御提案申し上げておるわけでございますが、今回御提案申し上げておりますものは、意見書にも言われておりますが、いわゆる公共企業体というものが持つ効率性というものに対する疑問に答える、国民の負託にこたえて効率性のよい自主性のある公社というものでなければならないという考え方のもとに今回の御提案を申し上げておるわけでございまして、今回の納付金率の法定制、それと、それにかかわります定価法定制の緩和というものは、直接に専売公社の民営化、専売制度の廃止というものとかかわるものではない、その枠の外のものとして御提案を申し上げておるわけでございます。
 別途、この基本問題会議におきまして民営化、専売制度の廃止というものが提案されておりまして、これにつきましては、現在私どもの方におきまして、各界の御意見を伺いながら、どのように考えていくべきであるか検討を進めておるところでございまして、大蔵大臣の私的な諮問機関といたしまして懇談会を持ちまして、現在までに関係各界の方々の御意見を拝聴し、その懇談会に参加していただいています方々の間で自由に討論もしていただいておるというような状況でございます。しかし、何分にもこの専売制度は七十数年に及ぶ非常に長い歴史を持つものでございまして、言うならば、一つの産業秩序というものができておるものでございます。
 したがいまして、これはもう意見書の中にもあるわけでございますけれども、直ちに民営化ということは、非常に大きな問題を含む問題でございます。直ちにでなくても、民営化にするといたしますと、非常に大きな各方面に及ぼす問題でもございます。今後とも各界の意見を聴取しながら、いかにあるべきかという点について慎重に検討を進めてまいらなければならないというふうに考えておるところでございまして、今回の御提案申し上げています制度改正は、この専売制をどうするかという問題のほかの問題であるというような考え方を持っております。
#40
○片岡勝治君 ちょっと言い回しが大分むずかしそうに答弁しておりますけれども、今回の改正は、そういたしますと民営志向というそういうこととは全く関係ないと、こういう判断をしてよろしゅうございますね。
#41
○政府委員(名本公洲君) 御指摘のとおりでございます。別個の問題として別に検討をしなければならない問題と、こういうふうに考えております。
#42
○片岡勝治君 いまお答えがありましたように、そうするとこれとは別に民営化についていま検討しているんですか、大蔵大臣の私的諮問機関として。もし検討しているなら、どういうメンバーで、どういう審議が続けられているのか。中間報告ができるのなら、あわせてこの際、発表していただきたいと思います。
#43
○政府委員(名本公洲君) 基本問題会議の意見書を受けまして、関係各省におきましてこの意見書につきまして検討を進めるということになっておりますので、私どもの方におきましても検討を進めておるということでございまして、一昨年になりますが、五十三年の十月に、たばこと塩の専売事業問題懇談会というのをつくりまして、自来、すでにかなりの回数にわたりまして検討を重ねております。
 現在まで専売関係の各業界の代表の方々から御意見をこの懇談会でお伺いをいたしまして、それと同時に、懇談会に参加をいただいております方々の間で自由に意見を交換をしていただくというような機会もつくりまして、検討を進めてきておるわけでございます。
 御参加いただいております方々は一橋大学の経営学の担当の教授、それから新聞社の論説委員の方、それから町にあって経済について評論をなさっておるいわゆる経済評論家の方、あるいは実際に民間で会社の経営をなさっておる方、そういうふうな方々七人をこの懇談会に御参加をいただきまして、種々御議論を現在ちょうだいいたしておるところでございます。
#44
○片岡勝治君 その懇談会は、さっきあなたが言った大蔵大臣の私的諮問機関ということですか。
#45
○政府委員(名本公洲君) たばこと塩の専売事業問題懇談会という名前で、大蔵大臣の私的な諮問機関でございます。
#46
○片岡勝治君 そのひとつメンバー、そしてこれまでいつ会議を開いてきたか、あるいはいま現状どういう審議が続けられているのか。これはきょうでなくて結構ですが、適当な日に御報告をしていただきたいと思います。
 最後に、いろいろこのたばこの問題につきまして質疑を続けてまいりましたが、冒頭申し上げましたように、軒並み公共料金値上げ、こういうことに対して国民は大変心配をしているわけであります。そういう点から、政府みずからがこの公共料金をどんどん上げていくということについて私たちは賛成しかねるわけでありまして、この点、政府において再考をぜひしていただきたい。
 それから第二番目として、国鉄も法定緩和、われわれの立場からすれば、国会の審議権をとられた。もし今回のたばこ値上げ法案が通れば、これまた、われわれ国会議員としてはたばこの値上げについての審議権を奪われる、あるいは今度は郵便もそうだと、こういうことになってまいりますと、いわゆる公共料金と言われるものはどんどんどんどん行政権に移されてしまうのではないか。現実に今日までの政府の方針、態度がこれを実証しているわけです。私は、こういう点について大変大きな憤りを感じます。
 たとえば、専売審議会でいろいろ審議をするということになっておりますが、なぜ国会で審議をしてはいけないのか、なぜ国会で専売審議会にかわり得るそういう機能が果たし得ないのか。国会の立場からすれば、私は政府の態度というものはいわば国会軽視、国会無視、そういう政治姿勢が一貫して流れてきておると思うんですが、これらの点について大変深く憂慮するわけであります。この法定緩和についてもぜひ考え直していただきたい、このことを強く訴えるわけです。
 最後に、専売公社につきましては、特に国民に開かれた専売公社になってもらいたい。私は、この点については、たばこと健康の問題について相当厳しく質問をいたしましたが、専売公社も二、三の点については、これまでの態度を変えて開かれた専売公社になろうとするそういう答弁も得た、この点について私は敬意を表するわけであります。そういう専売公社が、率直に言って、ますますむずかしいこれから情勢になってくると思うわけでありますが、それだけに、ますます国民に開かれた専売公社にならなければならぬと思うわけです。このことを最後に申し上げまして――これは答弁は必要ありません。わかった、それじゃ法案を撤回しましょうと言うのならお答えをいただきたいと思うんですけれども、そうでなければこれはしようがないから、以上をもって私の質問を終わりたいと思います。
#47
○国務大臣(竹下登君) せっかくの最後の御提言でございますので、期待されるような答弁を申し上げる考えではございませんけれども、私の感想を申し述べさしていただきます。
 私も、委員の然心な御審議を通じながら、いま感じましたことの一つといたしまして、値下げの場合というようなお話がございました。また、委員の議論の中で、たばこと健康の問題等がだんだんだんだん普及した場合、値下げによる奨励というような事態というものが将来来ることがあるだろうかなと、こういうような印象も受けましたが、これは法律問題とは別に、感想として聞かしていただいたわけであります。
 それからいま一つは、審議権の問題についての御意見でございますが、私とて議席を有する者でございますので、御意見というものがわからないわけではもちろんございません。しかし、結局私どもの体験で見た場合には、いわゆる料金法定制というものの持つ何と申しますか、財政民主主義的な物の考え方と、それから行政権にゆだねられた場合の機動的な対応、それらのものの調和点をどこに求めるかというようなことが、結局、お互いがこういう場で問答しながら結論を出していく問題ではないかなあということをかねて感じておりますことを、率直に私の意見として申し上げさしていただきまして、御審議のことに対しまして、衷心から敬意を表します。
#48
○理事(細川護熙君) 午前中の質疑はこの程度とし、午後一時二十分まで休憩いたします。
   午後零時二十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二十四分開会
   〔理事中村太郎君委員長席に着く〕
#49
○理事(中村太郎君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、日本専売公社法等の一部を改正する法律案について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#50
○矢追秀彦君 初めに大蔵大臣にお伺いをいたしますが、これは予算委員会や、または当委員会でもいろいろ問題になっております物価の問題ですが、あす物価対策の政府としての方針をお出しになると聞いておりますが、いろんなやらなければならないことがたくさんあることは承知しておりますが、一番政府が力を入れようとされておる最重点は何をお考えになっておりますか。
 いままで公定歩合の引き上げということがずっと言われてきておりますが、これもアメリカと比べればまだ日本もできないことはありませんが、日本としてはかなり限界まで来ているのではないかと思います。そうすると、次に打つ手の一番重要な施策というのは那辺にあるのか、その点をお伺いしたいと思います。
#51
○国務大臣(竹下登君) かねていろいろ指摘していただいたり、御鞭撻いただいておりますが、いま聞きますと明日の夕方六時からだそうでございますが、物価緊急総合対策の閣僚会議でもってその方向を決定しようということであります。
 したがいまして、いわゆる金融面での問題につきましては、本日すでに連絡を受けておりますので、本日の午後四時半になりましょうか、あるいは五時になりましょうか、本委員会に結果だけは御報告できるような形になると思います。それがカーターの緊急インフレ対策が評価されておりますのは、従来の金融面だけでなく、財政そのものにカーターさんとしては初めて歳出削減ということをうたっておるわけであります。わが国の今日の状態から見まして、私どもは歳出削減というようなことが言える状態ではないと思うのであります。あるいはそこまで行ってはいないというふうな考え方でございますので、どういう表現になりますか、恐らく総需要の適切なる管理というようなことが、たとえば公共事業の執行等の時宜に適した弾力的執行とかいうようなものを含むものが、総需要の適切な管理という表現になりはしないだろうかというふうに思っております。これが一つのポイントであります。
 それから、恐らく便乗値上げの監視のためのモニタリングと申しましょうか、適時適切な、それこそ監視体制の恐らく拡充強化というようなものが、いま一つの柱として当然のこととして出るであろう。それから考えられますことが、総合的にはエネルギーのより節約というようなことではなかろうか。私に関係のありますのは、もとよりいわゆる財政の総需要の適切なる管理という点が一番関係のある面であろうかと思うのでありますが、その他は便乗値上げの監視とか、あるいは節約とかいう問題がうたわれるであろうというふうに考えております。
#52
○矢追秀彦君 いま総需要の適正な管理というふうに言われましたが、それはいままで言われてきた総需要抑制とはどう違うわけですか。もっと機動的なことができるという意味ですか。
#53
○国務大臣(竹下登君) これは私は、一つは心理的な問題も、実は私ども内々で事前の相談しておりますときに、総需要抑制という表現が、いわゆるいままで行ってまいりましたときには国民に与えた心理的影響というのは、まさに何と申しましょうか、不況感を非常に印象づけ過ぎたと。したがって私は、総需要という言葉そのものにもある種の抵抗を感じましたものの、言ってみれば総需要でございますので、それの適切な管理というような表現の方が、いま御指摘のとおり、なお弾力的な運営ができるという面におきましても、その方が今日の時点ではよいではないかというふうに考えたわけであります。
#54
○矢追秀彦君 ある程度いま大臣言われたこともやらなければならない点はよくわかるんですが、いままでのような財政と違って、最近はその財政がいろんなことを動かせる、そういう点が非常にむずかしくなってきているのではないか。かつては景気が悪ければ公共事業をうんと事業費をふやしてやっていけば、それですぐ景気はよくなると、こういうふうなことがかつてはやられてきましたが、最近はどうもそう簡単にいかない。いままでの尺度でははかれないような要素が余りにもふえ過ぎている。その財政が機動的、弾力的に果たしてうまくいけるのかどうか、これは私は大変心配をしておるわけです。したがいまして、いまインフレであるからある程度のいままで言われてきた抑制、適正な管理をやらなければならないと思いますが、その次に来るべき不況というのが必ず襲ってくることは、もう過去の例でも間違いないわけですから、そのときになってから果たしていわゆる弾力性というのがいけるのかどうか、それを大変心配をしておるわけですけれど、その点重ねてお伺いしたいと思います。
#55
○国務大臣(竹下登君) おっしゃいますとおり、これだけの国債を抱えますと、いま矢追委員御指摘の、財政がときどきに応じて対応していく力がなくなっております。もうこれ以上公債を発行しようと思っても、現実そのことは消化が非常に困難なことでございますので、したがって、そこに非常なむずかしさがあるわけでございます。
 一つの例として申し上げますならば、五十四年度の公共事業費の五%というものを今日留保いたしておる。もうこの段階になりますと、それはどう言ってみたところで、各先生方これは留保分は結局繰り越しになるのだな、こういう時期に来ておると思うのであります。それを、あえて不用額に立てて予算減額をして公債発行を減らすというようなところまで踏み込まないで、そのまま五十五年度の予算現額、いわゆる減す額じゃなく現在の現の額でございますが、その中へ繰り入れていくということは、結局いま常識的に見れば、総需要の適切な管理と言えば、どちらかというと公共事業執行の後ろ倒しというようなことが考えられがちなときでありますが、そうした留保分が五十五年度の予算現額に加わることによって、それがまた、時に弾力的に対応できる一つの下支えとしての効果を期待することもできるではないかという意味において、あえて不用額に立てて国債を減額するという措置でなく、自然の形の中で繰り越していくという問題。その五%にいたしましても、苦しい中でも財政がそれなりの対応力を持っておるための一つの措置であるというふうに、御理解をいただければ幸いであります。
#56
○矢追秀彦君 まあ便乗値上げの監視等は、これは経企庁の問題になろうかと思いますのでやめますが、次にたばこの値上げに関連いたしまして、同じ嗜好品であるビールの値上げが言われておるわけですけれども、実際いままでビールの値上げについてはいろんな議論もございましたが、酒税というものが将来また上がるというのを先に見越してやられておるのか。前の値上げは、たしか酒税が先に上がって、それからビールが後ということになっておりましたが、今回は逆になっているのかどうか、その点はどうお考えですか。
#57
○国務大臣(竹下登君) これは過去の値上げは、いま矢追委員御指摘のとおり、酒税の値上げ分をカバーするという感じでありました。したがいまして、実質コストアップによりますものの値上げというものは、今日までがんばってこられたというふうに申しましょうか、やらないでこられた。したがって、今度の分は、言ってみれば将来酒税の値上げがあるであろうということとは関係なく、いわゆるコストアップの要因をカバーして経営を健全化するための値上げであるというふうに、私どもは理解しておるところであります。
#58
○矢追秀彦君 ビール会社は現実に赤字なのか黒字なのか、その辺は大臣はどう見ておられますか。赤字と言われているのもあれば黒字もあるし、私もよくわからないんですけれども、いかがですか。
#59
○国務大臣(竹下登君) これは私も専門でありませんが、要するにビールは、御案内のようにキリン、サッポロ、アサヒ、サントリーでございますか、そうして経営内容からして、またシェアからして、キリンビールが圧倒的であるわけであります。したがって、アサヒビールが幾らでございましたか、だからアサヒとサッポロは赤字であるということは事実でございます。
 これの正確なことにつきましては私も定かでございませんけれども、いずれにいたしましても、先ほど申しましたように、ビールは五十一年の一月に十五円、それから昭和五十三年五月に二十円、これは酒税の増税による値上げがあったものであります。実質的には、したがって五十年の三月から夏にかけての二十円のコストアップ値上げ以来約五年間、その価格を据え置いたということに結論から言うとなるわけであります。
 したがって、いま赤字が出た。その赤字の要因は、コストアップの中には円安等による輸入麥芽の高騰でございますとか、そして米作転換、いわゆる麥作振興といいますか、変を奨励しようということからきます割り高な国産変芽、これは輸入麥芽の価格の三・三倍もするわけでございますから、そういうようなやはりコストアップ要因によって行われたのが今度の値上げであるというふうに、理解をいたしております。
#60
○矢追秀彦君 ちょっと腑に落ちないのは、もちろん赤字だから上げるというのもこれはわからぬではありませんが、しかし、いま言われたように、アサヒとサッポロが赤字ということは、キリンが黒ということになるわけです。確かにキリンビールは売れているから、もうかっていると思うんです。不思議にキリンビールというのは、日本では大変好まれているわけです。そうすると、赤字のところは企業努力が足りないと、こういうことになるんじゃないか。にもかかわらず、ビールというのは、一つ上がるとあと全部上がるのがもういままでの例でわかるわけですから、その点、私も非常に理解に苦しむわけなんですけれども、その点はいかがですか。
#61
○国務大臣(竹下登君) 確かにアサヒ、サッポロ、サントリー、そうしてキリンと四社しかないものでございますから、いわゆる寡占体制にある企業ということが言えると思うのであります。そうして、年度の決算を見ますと、サントリーの場合は恐らくウイスキーでございますとか、あるいはジュースでございますとか、そういうようなことでございますので、ビール部門だけでどれだけになるか私も理解ができませんけれども、キリンの場合はその中ではとにかく赤字を出さないで今日まで来ておるということであります。
 ただ、同じことが言えることは、いま赤字が仮に二社――サントリーを別といたしまして二社として、そしてキリンが仮にまだ赤字でなくいったにいたしましても、そこにはやはり輸入麥芽の値段が上がったり国産麥芽をよけい使うようになったり、あるいは途中の配送でございますとか、そういうコストアップ要因は一緒でございますよね。したがって、いつごろになるか、まだいまたしかアサヒが出ただけと記憶しておりますが、いずれはそういうことになるであろうと。
 これも国会の御論議でございますけれども、非常に平ったくお互い議論しながら考えますのは、とにかくそういう弱小という表現はおかしいのですが、キリンよりも弱いところが値上げしますと、また国民の需要は全部キリンの方へ行っちゃうという、これはまさに競争原理を壊滅していくような結果になってもいけませんし、その辺の兼ね合いが非常にむずかしいところであろうと思いますけれども、別に政府の管理価格という意味でもございませんし、実態としてはそのような形で私は認識をして、これを見守っておるという状況でございます。
#62
○矢追秀彦君 それじゃ、本論に入ります。
 最初に、外国たばこについてお伺いをいたします。
   〔理事中村太郎君退席、理事細川護熙君着
   席〕
 この数年来米国から、日本での外国たばこの取り扱いにつきましていろんなことを言ってきておりますが、この問題、どういうことを言ってきて、それに対してどういう対策を講じておるか、これを伺いたいと思います。
#63
○政府委員(名本公洲君) 米国及びECから、たばこの日本における輸入につきまして、概括的に申しますと、日本の外国のたばこに対する取り扱いが差別的ではないかということが言われておるわけでございます。
 それを具体的に中身で申し上げてみますと、まず第一点が価格の問題でございまして、今回の法案でお願いいたしておるわけでございますが、従来の価格のつけ方が、言うならば方程式がはっきりいたしていない、非常にあいまいであるということを申しまして、したがって、政府及び公社におきまして、外国たばこにつきまして故意に高くつり上げて売れないようにしておるのではないかということが言われておるわけでございます。これに対しましては、現在の法案でお願いいたしておりますように、輸入たばこにつきましても関税、納付金率を法定いたしますことによりまして、明確な価格決定方式を確立するということをいたしたいということでございます。
 それから、価格以外の問題につきましては、いろいろなことが言われておりますけれども、一つは、外国のたばこにつきましては宣伝広告が非常にシビアに制限されておって、外国語の新聞だけでなければ広告が出せないようになっておる、これは大変差別的であるということが言われております。
 それから、小売の手数料でございますが、これは国内の国産の手数料につきましては一〇%を差し上げておるわけでございますけれども、外国たばこにつきましては七%になっておる。これも大変差別的であるというふうに言われております。これは、外国たばこは価格が高いものでございますので、平均いたしますと、国産たばこに対する手数料一〇%の金銭的にはじきました実額と、外国たばこを七%にしました場合の実額とを比較いたしますと、決して低いわけではないわけでございますけれども、割合的に見ますと確かに低くなっておるというようなこと。
 それから、たとえば販売のために国内で売れるかどうかのテストをするわけでございますが、そのテストについても大変差別的で厳しいというような、いろいろな問題を投げかけてきておるわけでございます。
 これらの問題につきましては、昨年来アメリカ側と私どもの方及び公社におきまして、その実態、事情につきまして説明をし、いろいろ議論も重ねてきておるわけでございますけれども、御承知のように、アメリカ政府はこれらの問題をひっくるめましてガットの理事会に提訴をいたしまして、その審理が最近始まる見通しになっておるというのが実情でございます。
#64
○矢追秀彦君 いま言われた価格の問題について、価格決定方式、これが決められておるわけですが、この方程式を説明していただけませんか。
#65
○政府委員(名本公洲君) 外国たばこと国内たばこも含めまして、今回かなり明確な価格決定方式をお願いしておるわけでございますが、外国たばこについて申しますと、外国から輸入して入ってまいりますいわゆるCIFによる価格、これに関税率を乗じたものが、国産で言いますとちょうど原価になるわけでございます。それを原価といたしまして、これにもちろん輸入のための諸費用、それから配送費用、公社のいわゆる販売のための諸費用がかかるわけでございますが、そういうものを加えまして、さらに輸入品について申しますと、定価の五六・五%が地方税及び納付金でございますので、それらのものが定価の五六・五%になるように定価を定めまして、これは方程式にしますと、一次方程式になりまして解けるわけでございますが、それによりまして価格を決定するということに相なるわけでございます。
#66
○矢追秀彦君 それで計算いたしますと、三百三十円になるわけです。これは一ドル二百四十五円と計算をいたしまして、輸入原価が五十三円ということにした場合です。これは五十四年の五月十日に一ドル二百二十一円で四十八円という計算がございましたので、仮に五十三円と輸入原価をいたしました。そういたしますと、三百三十円になるわけです。
 で、こういう価格決定方式を幾ら明らかにしたからと言って、こういうことにすればするほど高くなってしまう。要するにアメリカが安くしろ安くしろと言ったって、これを実際見ますと、あと安くするためには、たばこの輸入原価を下げることと、それから関税の九〇%を下げる、これ以外できないのじゃないかと思うわけです。そうしない限りは、今度は仮にいまのような形をとっておりましてもしこれを安くいたしますと、専売公社自身が赤字で外国たばこを売り出すと、こういうことになってしまって、何のために国内たばこを上げたのかわからなくなってしまう。
 ただ、外国たばこのシェアというのは大変少ないですから、そういう赤字は大したことないと言われるかもしれませんが、これからアメリカがいろいろなことを突いてくる場合、やはり一番問題になるのは関税にある。また、たばこの輸入原価を彼らが指摘してきた場合は、どう対応するかという問題もあるかと思いますが、これは大臣にお伺いしたいのですが、日本というのは、私はもう基本的には輸出立国でいかざるを得ない。やはり輸出をきちんと確保していくというのが、私は日本の経済運営の基本になくちゃならぬと、こう思うわけです。製品の輸出、技術の輸出、あるいはノーハウといいますか、知恵といいますか、こういったものの輸出、これ以外に日本は生きていけないわけですから、やはり輸出がスムーズにいかなければならない。
 ところが、現在日米経済摩擦で御承知のように自動車で問題が起こっておる、こういうときには少しぐらいは日本に仮に少々の問題が出てきたとしても、少しはできるもので譲歩をできるだけはしていかなきゃならぬのじゃないかと、こう私は思うわけです。となると、この関税九〇%というものについても、やはり検討しなくちゃならぬのじゃないか。だからといって、国内の葉たばこ生産者をつぶしてしまえということを私は申し上げませんが、やはりこれは一つ問題点になるだろうと。また、安い葉たばこが入ってくれば、それはもう結構なことで、これはもうやらなくちゃしようがないと。
 それから、いまの次の問題である広告の規制についても、そんな英語でなきゃだめだなんて言わないで、日本語でも出さしてあげる。だからといって、日本のたばこが売れなくなるほど外国たばこが、果たして日本の本来の専売が売っている日本のものが売れなくなるほどの脅威になるのかどうか、その辺は日本人の好みと合わせて私はそう心配ないと見ておるんですが、大臣いかがですか。
#67
○国務大臣(竹下登君) 表現が輸出立国とでも申しましょうか、あるいは貿易立国とでも申しましょうか、基本的にはまさに技術それからそれこそノーハウ、そういう知識集約型のものがやはり輸出されていくという傾向で日本経済が運営されていくということは、私も意見の一致しておるところであります。
 ただ、非常にむずかしい問題というのは、いま現在起きておりますこの経常収支一つ見ましても、輸出関係が徐々ではありますが増加基調にございます。そして、それは五十五年度の経済見通しの中にも、そういう傾向をあらわしておるわけでございますので、それが時に貿易摩擦、経済摩擦というものをまた起こしかねない要因になると、非常にその点は私ども言葉をも大変注意するように使っておるわけであります。現在まだ、外国のお客さんがよくお見えになりますが、日本の為替対策というのは意図的に円安に持っていっているのじゃないか、それによって輸出を刺激しようとしているのじゃないかというような、思いもかけない批判を受けるという状態でございますので、確かに日米のみならず経済摩擦の問題というのは非常に経済運営の中で重かつそのときどきに応じてはむずかしい問題としても、しかし、それを解決していかなきゃならぬ立場にあるのが、わが国の基本的な経済運営のあり方であると思うのであります。
 したがいまして、この関税率の問題等を、場合によっては弾力的に下げることによって経済摩擦を少なくしていく一助ともしたらどうだというのも、私は意見として承ることにやぶさかではございませんけれども、今日の関税率というものは、これはECとも一緒でございますし、これが高きに過ぎるというような批判は、ガット等の問題におきましていま議論されつつあるようでございますが、むしろ今度の法改正の中で、価格形成から、そして一本のたばこが負担するいわば税部分とでも申しましょうか、そういうものが非常に明確化することによって、かえって誤解を避けることができるのじゃないか、そういうような感じも持っておりますが、内容的には私決して詳しくございませんので、足らざるは当局からお答えをいたさせたいと思います。
#68
○説明員(泉美之松君) いま矢追委員のおっしゃったように、今後輸入たばこの価格を国内の国産のたばこの価格決定とあわせてどのようにやっていくかということは、大変重要な問題でございます。
 先生のおっしゃるように、いまの円レート二百四十円余りですと、輸入たばこの一箱当たりは三百三十円になるのではないかというお話でございます。しかし、これはアメリカ側が要望しておる現在の価格差を開かせないという点から言いますと問題があるわけであります。
 その手段としては、お話しのように、向こう側がオファー価格のCIFを下げてくれればこれはまあ楽でありますが、向こうもインフレのためにコストを上がってきておる状況にありますから、CIF価格を下げることはなかなかむずかしいだろうと思います。そうなりますと、残る手段は、関税率の問題と、それからもう一つは為替レートの問題、それからいま一つは、公社が輸入たばこについて社内留保をある程度とるような形にしておるわけでありますが、こういうこの三つの関連におきまして、もちろん円レートが非常に基本的なものになることはおっしゃるとおりでございますけれども、円レートについてはいまの上百四十数円というのはやや円安に過ぎるのではないか。私どもとしては、日本がオイルに弱いということから円レートが安くなっておりますけれども、将来はもう少し円高になる。もちろん、前のように百七十何円とかいうような数字にはとうていならぬと思いますけれども、二百二十円とか二百十円とかいう数字にはなる可能性はあるだろうというのが一つ。
 それから、そういう状態のときに、公社が輸入たばこについて社内留保をとるというのも現状からいうとちょっと気の毒な点もありますので、価格を下げるために一時的には公社が社内留保がマイナスになっても仕方がないじゃないかというような考え方もあろうかと思います。
 いずれにしても、将来の円レートの予測はなかなか容易でございませんので、将来ややいまよりは円高になるということを考えながら、そういった問題を考えていく必要があろうかと思います。
 ただ、関税率につきましては、仮に本法案が通過いたしました場合、シガレットについての九〇%の関税率は、ECの税率も同じでございますので、にわかにそれを引き下げるわけにもまいりませんけれども、ガット協定税率としてどのようにするか、それらの点は今後の研究課題であろう、このように思っておるわけでございます。
 いずれにしても、向こうの現在の価格差を開かないようにという点については、よほど努力をしないと開く可能性の方が強いというふうに思っているわけでありまして、開かせないようにするにはかなりの努力を要するものと考えております。
#69
○矢追秀彦君 広告はどうされますか。
#70
○説明員(泉美之松君) 広告の点につきましては、現在はかなり厳しく輸入たばこについて規制をしておりまして、英字新聞に限るとか、あるいは新製品を輸入するときとか、あるいは値段を変えたときというふうにだけ限っておりますが、これらの点につきましては、従来から厳し過ぎるではないかというような指摘を受けておりますが、いま関係業界と話し合っておるところでございます。
 さりとて、たばこという嗜好品の性格からいたしまして、むやみに広告を認めるというわけにもまいりません。健康と喫煙の関係からいたしましても、各国ともたばこについての広告は自粛しておる段階でございますので、輸人たばこについての広告はいまよりは緩和していくべきものと思っておりますけれども、何らか業界同士で総数量についての取り決めをするなり一定の広告の基準を話し合いまして、その基準の範囲内でいまよりは緩やかにしていくという方向で話し合っていきたいものと、このように考えております。
#71
○矢追秀彦君 いまより緩やかにするということですから、私は何も広告をふやせと言っているんじゃなくて、外国のたばこを規制するなら日本も同じように規制をするということでございますので、その差別に対する文句を言っているわけですからそれは差別がないようにする、これでいいのではないか。
 むしろ私は、次の問題になりますけれども、外国たばこの方が、危険という点では表示の面では厳しいわけですから、そういうふうな外国たばこの宣伝は、日本のたばこのラベルにある「健康のため吸いすぎに注意しましょう」じゃなくて、危険という言葉を出している国の方が多いわけですから、むしろそういう言葉を必ず出してくるでしょうから、私は別に日本語で書いて問題はないと、こう思うんですけれども、それは別として、いま総裁、そういう方向だと言われますので、次のいま申し上げたラベリングの問題に移ります。
 これは健康とも関係ありますが、WHOの方でかなり健康と喫煙に対するいろんなデータ等も出され、また最近、けさのニュースでちょっと聞いたんですが、かなり厳しい線が出てきておるわけです。これは時間もありませんので、大臣、基本的なことでお伺いしたいんですが、日本政府というのはたばこというものは危険である、害があるという立場をおとりになっておるのか、それよりも、たばこはある程度害はあるけれども、みんなが好きで吸っているんだから吸わしておいて、いわゆる財政のために欲しいんだ、こういう立場なのか。この基本がはっきりしないから、この表示の問題も外国と違いが出てくると私は思うんですが、これはいかがですか。
#72
○国務大臣(竹下登君) お答えになるかならぬか私も自信がございませんが、近時いわゆるたばこと健康という問題がだんだんかまびすしく議論されておるという認識は私にもございます。しかしながら、一方、嗜好品としてのたばこというものを、私どももたばこは吸うわけでございますだけに、それが嗜好品としての心のオアシスであるかどうかは別としまして、占めておる一つの分野というものもある。
 しかし、嗜好品であるだけに、またこれを税源として認めるという考え方もあるわけでございますので、たばことは百害あって一利なしであるという断定をする立場にもないし、大いにこれを奨励をして、できるだけ国家財政に寄与することが多いために宣伝これ努めるという姿勢でもない。私専門家でございませんので、非常に素朴な印象だけを申し上げましたから、初めからお答えにならないかもしらぬと申し上げたわけでありますが、専門家の意見をひとつ聞いてやってくださいませ。
#73
○政府委員(名本公洲君) 私も医学的に専門家であるわけではございませんのであれでございますが、WHO、それから厚生省の意見、そういうもの、それから公社におきまして従来から種々勉強をしてきておるもの、そういうものを総合して考えまするところは、疫学的に見ますとかなりはっきりしておる線が出ておる、こういうのが事実ではなかろうかと思います。
 現実にアメリカあたりで政府の文書として公表されておりますものにおきましても、そういう点からの指摘があるわけでございますが、しかし、これは厚生省も同様なお考えだというふうに思いますが、なおかなり研究を要する点が残っておるということも事実でございます。病理学的になおかつはっきりしない、要するにがんをつくることが現実の問題としてできていないというような専門家のお話も伺っております。そういうことでございますので、疫学的にはかなりはっきりしてきておる、そういう面から種々の対策も講じていかなければならない。
 したがいまして、箱への表示の問題でありますとか、そしてまた、この問題がニコチン、タールというものを中心に種々議論をされ、それが多いほどそういう危険度、がんその他の発生度合いも高いというようなことから、ニコチン、タールの低いものへの移行、そのための製品の開発というようなこともやっていく、そういうことが現在まで行われておりますし、その方向で今後も進めていく必要があるのだろうというように、私どもの方としては考えておるわけでございます。
#74
○矢追秀彦君 大臣、私はやはり日本政府としては、たばこというのははっきり害がある、こういう基本的な認識の上に立って、その上で嗜好品であるから発売禁止はしない、吸いたい人はどうぞお吸いください、こういう立場に立たないといかぬと思うんです。そうでないと、私は片手落ちと言いたいんです。たとえばAF2、これは発がん性があるということで製造禁止になっていま使われていない。最近は過酸化水素水が問題になっている。これはまだはっきりしていない。じゃ豆腐の中に入っているAF2の量と、大臣が一日吸われるたばこの量と発がん性を比較したら、これはどっちなのか。私、比較データというのは実際知りませんけれども、たばこの方が総トータルしますと、もうタールというのは確かに発がん性なんですから、これは私は問題になると思う。片方ではその全部――私は禁止する方に賛成ですよ。どんどんどんどん発がん性物質だから、ちょっとした微量でも発がん性があればすぱっとやめている。それでもたばこだけは依然としてずるずるしている。
 しかし、諸外国は、まあ西ドイツなんかは書いておりませんけれども、大体アメリカとかイギリスあたり、ほかの外国のを見ますとやっぱり危険という言葉を使っている。デインジャラスという言葉を使っている。ただ日本は、依然として「吸いすぎに注意しましょう」で逃げている。だから、ここで私はやはり危検という言葉は入れるべきだと。その上で吸われる分は、これはやむを得ないんです。特に最近問題になっておりますのは、女性の喫煙者がふえております。特に私は、妊産婦は禁煙してもらいたい気持ちです。どうしても子供に害があっても構わぬという人ならこれは別ですけれども、私は次の世紀を考えますと、やはり妊娠と同時に、といって妊娠というのはかなりわかるのに時がたちますから、私は結婚と同時に女性は禁煙を勧めるんですけれども、かなりふえてきておる。しかし、胎児に対する影響等は大分言われておるわけですから、この辺も、たばこの表示の中にまで特に妊産婦は吸っちゃいけませんよということを入れてもらえばいいですけれども、なかなかむずかしいかもわかりません。少なくも店頭あたりには、そのかわりに出せるようなことも私は考えてもらいたい。
 結局、そういうことができないのは、基本的にさっき大臣の言われた、まああいまいと断られましたけれども、そういうあいまいさに問題がある。やはり私は、たばこというのは有害なんだという基本認識の上に立って施策を進めるべきだと、これを強く申し上げたいわけです。そうすれば、このたばこの「吸いすぎに注意しましょう」が、あなたの健康にとっては危検と、こういうことになるわけです。
 これに関連して伺いますが、日本のたばこが外国へ輸出されている、そのたばこの表示はどうなっておりますか。それからまた、外国のたばこが日本へ来ている場合は、向こうの言葉がそのまま翻訳されているのか、「吸いすぎに注意しましょう」という日本のラベルにしてあるのか、この辺はいかがですか。
#75
○説明員(立川武雄君) 私どもの製品を外国に輸出します事例は、大変少のうございます。主として東南アジア、シンガポール、香港等でございますけれども、その国々の状況によりまして、必要な指示があればその土地の表示をするということでございますけれど、現在のところは輸出する場合やっておりません。輸入する場合におきましては、日本と同じように外国側のメーカーに依頼いたしまして、日本と同じ表示「吸いすぎに注意しましょう」というものを入れまして輸入してやっております。
#76
○矢追秀彦君 私は、やっぱり日本は専売制度があるからそういうふうにしなきゃならぬのかと思いますが、やっぱりそのままの翻訳にしておくべきだと思うんです。そうした方が、先ほどの値段の問題も絡みまして、仮に値段を安くしたって外国のたばこは危険だとなれば余り吸わぬわけでそう売れないわけですから、アメリカに何も文句を言われる筋合いはなくなってくるかもわかりません。それは別といたしまして、私はその国のそのままを翻訳して出す、あるいはもう日本人だってかなり英語のわかってきている人も多いわけですから、英語そのまま書いておくのも一つの方法かと思うんですけれども、その点はいかがですか。
#77
○説明員(立川武雄君) 外国の場合に、いろんな表示があることは伺っておりますけれども、私どもといたしましては外国の場合も、輸出する場合には例外でございまして、繰り返し御説明申し上げておりますように、専売事業議会におきまして現在程度の表示が適当だという御答申をいただきまして表示しております文言を、輸入たばこにおいても採用しているということでございます。
 先生御指摘のように、外国のデインジャラスというのなり、あるいは各国によって違いますけれども、そのままのものを入れてもいいじゃないかという御意見はあるかと思いますけれども、現在のところは、そういう考えで外国のメーカーに頼みまして、日本と同じ文言を入れたものを輸入してやっているということでございます。
#78
○矢追秀彦君 だから、日本のを厳しくすればいいんですよ。問題ないんですよ。それはできないのですか。危険としたら何で悪いんですか。売れなくなるからですか。その点、いかがですか。
#79
○説明員(小幡琢也君) お答え申し上げます。
 先ほど来、たばこの有害性についていろいろ御議論ございますけれども、私どもの立場と申しますと、一概に害があると断定する段階には至ってないというのが結論でございます。なぜならば、こういうことを申しますとお言葉を返すようでございますけれども、実は疫学的な調査と申しますか、統計的手法を用いまして喫煙者と非喫煙者を比べましてどちらが肺がんとか心臓病で死亡する率が高いか、こういった何か大数観察した調査によりますと、確かに非常にそういった病気に関連がある、こういう指摘があることは事実でございます。
 ただ内外、特に世界各国の医学の専門家の見解、あるいは日本におきましても、私ども専門家でございませんので委託研究を昭和三十二年から医学の専門家にお願いしてやっておりますが、その結果によりますと、やはり医学の専門家の方々はこれは疫学的な調査だけでは論じられない。といいますのは、喫煙者と非喫煙者だけを比べまして、ほかにいろんな要因があるわけでございますが、それだけを比較して大数観察したということだけでは科学的な証拠にならぬ。じゃ、どうすればいいかと申しますと、喫煙というものが原因になって心臓病なり肺がんなり、そういった疾病が発生するという因果関係の解明をしなきゃいかぬ。そういうことで、人間について実験するわけにはまいりませんので動物実験をいろいろやっておりますけれども、そういった病理実験の結果では、まだ喫煙から肺がんとかそういった病気を発生するということで成功しておりません。
 なぜかといいますと、病気というものはいろんな要因が複雑に絡み合って発生するわけでございまして、たとえば非常に大きいのはやっぱり体質の問題とか、あるいはその人の年のとりぐあいとか、あるいは過去に病気をした経歴とか遺伝とか、いろいろございますし、また外的な要因にしましても、その人がどういった生活環境にあるかとか、特に職業上の有害物質に接触する機会が多いとか、大気汚染とか、いろいろあることは事実でございまして、そういったいろいろな要因が複雑に絡み合っておりますのでどうもまだわからない、それが事実でございまして、やはり医学者たちは、まだこれはもう有害だと断定するわけにいかない、こういうわけでございます。
 それじゃ、諸外国はなぜそういう危険だと言っているか、これは科学的な証拠があるからやっているのじゃございませんで、やはり予防的な見地からその国々のいろんな事情でやっているのだと思います。アメリカにいたしましてもデインジャラスというああいう表示ですね、公衆衛生総監が喫煙はあなたの健康に危険があると決定しております、こういう表示にしておりますけれども、あの法律をよく読んでみますと、法律は前と変わっておりませんで……
#80
○矢追秀彦君 簡単にしてちょうだい、時間がないから。
#81
○説明員(小幡琢也君) 危険があるかもしれないということを周知する必要がある、それをああいうふうに強調して表示するということが一つの政府としての効果だと思うわけでございますが、簡単に申しますと、こういった嗜好品につきまして日本は日本の事情がございますので、余りこれを危険だといういわばおどかすようなことはどうかという御意見が、実はこの注意表示を決めましたときに実際にあったわけでございまして、いろいろ国会の審議を踏まえたり、あるいは専売事業審議会の答申を踏まえまして、これが一番適当ではないかということで決めた、そういったいきさつでございます。
#82
○矢追秀彦君 時間がなくなったんですが、ちょっといまの答弁は相当問題があるわけです。まずその疫学的に比べて少し悪いから、だから構わないんだとなれば、さっき私が言っている食品添加物との比較はどうなんですか。公害はどうなんですか。公害なんか完全に疫学で、たとえばイタイイタイ病などのカドミウム、これだって厳しい規制になりました。これは因果関係より、疫学的なものが先です。あの裁判記録をよくお読みになったらわかりますよ。そうでしょう。片方においてはそういうことでも禁止されている。豆腐のAF2だって、過酸化水素水がいま問題になっている、いろんな問題が全部、量の問題なんですよ、実験の。
 あなた、タールでがんは起こらないというようなこと言ったら、私怒りますよ。私実験してつくりましょうか、たばこで動物実験をやって。実験室さえ教えてもらって、動物さえもらったら私つくりますよ、あしたからがんばって。毎日たばこ吹きかけたり、あるいはタールを毎日ネズミの耳に塗ってごらん、絶対がんはできますよ。できないですか、それでも。そういうことを言われると、私怒りますよ。
 だから、そこまで議論したくないから、政府はほかのものはそれだけ食品添加物でいろんな規制をされているんですから、たばこぐらいは害であるという基本認識に立ちなさい。その上に立って、じゃ表示についてはいろんなことがあるから、じゃ、たばこ屋さんでタールを出すのはこう、そのかわり私はきょう大臣、一つだけこれは約束してもらいたいんですよ。そうでないと、もう審議ストップしてもいいんですよ、この問題は。妊産婦ぐらいには禁止しなさいぐらいの表示をしてくださいよ。たばこでなくてもいいです。たばこ屋さんで結構です。たばこを売るところで全部やってください、外国では禁止されている国もあるんですから。何か一つ前進しなさいよ。これから値上げをして国民に負担をかけるんですから、政府は健康を守るためにサービスしたらどうですか、健康を守るために。いかがですか。
#83
○説明員(泉美之松君) お話のように、健康な人がたばこを吸った場合、すぐに害があるかどうかはいろいろ問題ございますが、委員のおっしゃるように、妊産婦の場合あるいは心臓に疾患のある人がたばこを吸う場合、これは健康上よくないということは明確になっております。私どもとしましても、今後たばこの個装に表示することはちょっとできないと思いますけれども、サービスセンターを通じて消費者の方に、妊産婦の方はたばこをお吸いにならない方がいいですよ、あるいは心臓に疾患のある方はたばこを吸わない方がいいですよという宣伝はいたしたい、このように思っております。
#84
○矢追秀彦君 最後に二点だけ。
 じゃ、自動販売機にも張ってくれますか、それを。タールの量、ニコチン量も含めて。
 それからもう一つは、これは私前からやっている問題ですが、製造年月日、大臣、どこに書いてあるかわかりますか。
#85
○国務大臣(竹下登君) わかりません。
#86
○矢追秀彦君 これもひとつはっきりしてほしいです。大臣、勉強してください、これは時間がないからやめますが。大蔵大臣は、歴代の大蔵大臣全然知らないんですよ。
#87
○説明員(泉美之松君) 製造年月日の問題は昨年の国会で矢追委員からお話がございまして、私どもその点につきましていろいろな調査を、遅くなりましたが、昨年の暮れから調査をやっておりまして、その結果がいま少しずつ集まりつつある状態でございます。したがって、その調査に基づきまして、今後調査がまとまった段階で考えていきたいと思っておるわけでございまして、御承知のように、いまのたばこにつきましては、製造年月日は、段ボール箱に入っているものにつきましては、一般の人が見ただけではわかりませんけれども、その中に略字でわかるようになっております。それからまた、十個入りのような場合には外から見えるようになっております。
 しかし、いずれにいたしましても、一般の人がすぐにわかりにくいという点は、矢追委員に昨年から御指摘をいただいているところでございますので、私どもとしてもその問題について今後取り組んでいきたい、このように思っておるわけでございます。
#88
○矢追秀彦君 最後に大臣、どれくらい消費者向けにやってもらえますか。製造年月日だけじゃなくて、さっき言っている表示の問題も含めまして、消費者に対する……。
#89
○国務大臣(竹下登君) 実際問題として、私はまあ素人もいいところでございます。したがって、そういう問題について私も素人なりに貴重な意見として勉強さしていただきましたので、引き続き勉強さしてください。お願いします。
#90
○佐藤昭夫君 前回私は、たばこ定価の法定制緩和の要件についていろいろ質問をいたしました。たばこ定価法の今回の改正案第二条一項、二項及び四項に書かれている「健全にして能率的な経営」の維持という抽象的な規定では法定制の除外要件とはならないんではないか。逆に、政府の恣意的な裁量に任されるおそれがあるというふうに質問をして、その具体的な基準の提出を求めたわけでありますが、その後資料をいただいていますが、大蔵省の方からその内容の要点をまず御説明をお願いしたいと思います。
#91
○政府委員(名本公洲君) 公社の「健全にして能率的な経営」の維持という点につきましては、包括的に申しますと、財務諸表を分析いたしまして、公社経営の収支が相償うかどうかということを判断することに相なるわけでございますが、具体的に申しますと、公社の事業は、葉たばこの収納、たばこの製造販売、それからそのために必要な設備及び在庫の投資というようなことによって運営されておりますので、これらが円滑に行われるかどうかということを、そういう財務諸表等を分析しながら判断していくということになるわけでございまして、さらに、それを判断してまいります前には、たとえば資金繰りがうまくいくかどうか、自他資本の割合から見て公社の資産内容が健全であるかどうか、あるいは設備投資、在庫投資が適切であるかどうか、製造販売のコストが適切であるかどうか等々、その他のもろもろの諸情勢を市場の動向等を予測しながら勘案して検討判断するということでございまして、これらの判断をいたしますに当たりまして、諸種の各事項、いろいろな判断事項につきましてその実際の割合というものがいかにあるべきかということは、そのときどきにおきます社会情勢、公社の経営の状況、そういうものによって変化をしてまいるものでございまして、一概に客観的な数字として、これこれしかじかというふうに御提示申し上げられるようなものではないというふうに考えておるところでございます。
#92
○佐藤昭夫君 ただいまの御説明でも依然としてはっきりしないわけでありますが、四つの指標を挙げられて、いただいております文書による資料によると、何々というようなことと。いまのあなたの御説明ですと、その他もろもろと、こういう表現を使われましたけれども、その他もろもろといえば、あとたくさんいろんな指標がありますという意味にとらざるを得ませんね。果たしてそういうあいまいな「健全にして能率的な経営」とは、どう判断をするのか。その指標がその他もろもろございますと、こういう言い方でいままでの法定制を、ひとつ後は、もちろん一・三倍の範囲内においてということですけれども、大臣判断に任せてくださいという、こういう提案の仕方というのは、これはもう非常に横着な提案じゃありませんか。どうですか。
#93
○政府委員(名本公洲君) 四つほど具体的なものを申し上げました。その他もあるわけでございますが、大体四つで包括的にはほぼ尽きると思いますけれども、たとえば営業外損益がどうなるとか、将来の問題としまして、専売公社におきまして関連事業が行われるというようなことになりました場合にそういうものはどう考えるのかとか、そういうような現在におきましては特段問題にならないようなものでございましても、将来の公社の経営あるいは社会経済一般の情勢から見まして十分検討をしなければならないというような問題は、現在におきまして判断しておりますわれわれといたしましては予想できないようなもの、そういうようなものが発生することは当然予想されるわけでございますので、そういうものもすべて列挙いたしまして、列記以外のものは何もございませんというふうに申し上げることはとても不可能でございます。
 また、専売事業審議会におきましても慎重に御審議をいただくわけでございまして、その事業審議会における各委員の方々が、こういう点についてはどうなっておるのかというようなことも御質疑もございますでしょう。われわれが考え及ばなかったような点について、審議会で御指摘あるということは大変ありがたいことでございますが、そういうようなこともございますでしょうし、これこれしかじかのものだけでやりますということにはなかなかまいらないということでございます。したがいまして、その他ということをつけ加えさしていただいておるわけでございます。
#94
○佐藤昭夫君 その場限りでいいかげんな答弁をなさらないように、長い答弁だけが親切な答弁だということではないんですよ。
 そのあなた流の説明ですと、ほぼ四項目で尽きるでしょうという言い方をされている。ところが、先ほどの私の質問に対する冒頭回答は、その他もろもろございますということ。この二つの言葉の使い方というのは、大変な違いがあるでしょう。そういう形で、依然として一体何を指標にして「健全にして能率的な経営」なのかということを判断をするのかという、そこがはっきりしないんです。
 それともう一つ、具体的には四つを挙げられていますけれども、この四つのあれが定量的にどういう指標で判断をするのかということが、依然としてはっきりしていない。たとえば、自己資本と他人資本の割合が健全であるかという場合に、どの程度の割合であったら健全と考えるのか、どういう割合だったら不健全と考えるのかというここを示さなければ、説明になりませんね。同じように、設備投資、在庫投資が適切であるかどうか、これもどれぐらいであったら適切であり、どれぐらいであったら不適切かというその数量的指標はない。製造販売のコストが適切であるかどうかということを挙げられておりますが、そのコストが数量的にどの程度が適切であり、どの程度が不適切なのかということを提示しなければ説明にならないじゃないですか。大臣、聞いておってどう思われますか。
#95
○国務大臣(竹下登君) 前回以来の議論でございますが、私は本来御説明申し上げておりましたあの四項目というもので、おおむね基礎的にはその四つのものが条件ではないかというふうに考えております。
 したがって、これからずいぶんいわゆる資金繰りの見込み、自他資本との割合、設備投資、製造コスト、販売コスト、これがおおむねこれでもって言い尽くせておるのではないかなあと思っておるわけでございますけれども、この能率的経営維持の判断というものは、まさに経済情勢が絶えず変化していきますと同じように、諸般の情勢の変化がございますので、それらを総合的に勘案して結論を出すべきものである。だから、数値でこれは示せる性格のものではないじゃないか、こういう感じを持って実は私も御議論も聞いておりましたし、前回以来、そのような印象を強くしながらお答えをいたしておったわけであります。
#96
○佐藤昭夫君 どうして数値であらわせないんですか。もちろん、数値の指数の表現の仕方については、一定の幅がある場合もあるでしょう。しかし、本当に健全な経営だという場合に、自己資本、他人資本のおおよその比率がこの程度だったら健全だということが出されてしかるべきじゃないですか。あるいはコストの問題についても、コスト率がおおよそこの程度のこれが健全だと、これを超えたら不健全だと、そういう上限、下限を含んだ数量的、定量的な指標というのが出てしかるべきじゃないでしょうか。なぜ出せないのですか。
#97
○政府委員(名本公洲君) ただいま大臣もお答え申し上げましたように、社会情勢、経済情勢、それに企業としての公社の企業内容というものもそのときそのときによりまして変動し、あるいは発展をし、成長をするものでございます。したがいまして、そういう変動するものの中におきまして、これこれしかじかの数字が基準として今後も適用されるものであるというようなものは、なかなかこれはお出しできるような性格のものではないということでございます。
 たとえば、自他資本の点につきまして先生御指摘でございましたが、自他資本につきましてながめてみますと、公社発足以来おおむね大体五〇%程度を自己資本で賄っておるわけでございますけれども、平均いたしますと、その程度になりますが、しかしながら、たとえば在庫が過剰である、あるいは余分な設備投資を仮に抱えておるというようなことがありました場合に、なおかつ自己資本を半分持っていなければ健全でないと言えるのかどうか、将来の予測も含めまして考えてまいらなければならない問題であろうかと思います。
 また、製造コスト、販売コストにいたしましても、種々の技術革新、そういうふうなものによりまして製造コストの中の人件費割合が何%、たとえば一〇%というものが下がってくるということもございますでしょうし、あるいはその結果、葉たばこのいわゆる材料コスト、原料コストというものが割合的には上がってくるかもわかりません。原料コストが割合が上がったら不健全であるというわけのものでもないわけでございます。
 したがいまして、そのときそのときの事情によりまして判断をいたし、適正であるかどうかというのを、その判断すべき時期における諸情勢を勘案して判断をしてまいらなければならないと、かように考えるものでございます。
#98
○佐藤昭夫君 私は、数量的指標の上限、下限の幅を持つことを何も否定しているものではありませんよ。しかし、それさえも示すことができない。たとえば、これはちょっと投資の過剰だ、そこに金を使い過ぎていると、もっと健全な運営をやれば資金の効果的な活用ができるはずだということを判断する場合に、どこで一体その判断をするのか、こういう問題として出しておるのに、具体的に四つの基準、おおむね四つの基準でいきますと言いながら、その四つの基準の中身は何かとこう聞けば、いやそれはわからぬことですと、情勢によって変わるんですという、こういう言い方で通る道理でしょうかね。専売公社当局も同じ考えですか。
#99
○説明員(後藤正君) 確定的な数字は、先生御指摘でございますが、なかなか私どもとしましても申し上げにくいと思うのですが、ただ御提案申し上げている法案の暫定最高価格の場合ですとか、たばこ事業がいつの年度において赤字になったとき、これは先生この間御質問で、これははっきりしているとおっしゃいました。それから、法定最高価格を上回る暫定最高価格を定める場合でなければ、公社の健全にして能率的な運営ができないということが二番目の条件ということで、いまの健全にして能率的な運営という意味が先生の御質問のポイントになっておるわけですが、こう私どもは拝聴しておるわけでございます。
 で、この御提案申し上げております法案をお認めいただきますと、五十五年度で、午前中のほかの先生の質問にも私はお答え申し上げたわけですが、来年度五十五年の資産増見込みが大体千四百五、六十から八十億の増、それに対しまして税金等納めました内部留保というものが大体九百十七、八億ぐらいが一応予想できます。
#100
○佐藤昭夫君 余り時間がありませんから、私の質問に端的に答えていただいたらいいです。
#101
○説明員(後藤正君) それで、結局内部留保率というのが売り上げに対して大体四%ぐらい、五十五年度の場合ですね、それが赤字になるということは、どんどん減っていって赤字になるということでございます。で、益金が約六〇に回復するわけでございますから、逆にそういうことでいきますと、赤字になったときはこの五五・五という内国税水準とそれに〇・五六の関税が乗るわけですから、五六の税金部分と一〇%の小売人手数料というものはこれは引かれますので、あとの原価がこれでもうどうにもならない状態、原価が償えない状態ということになるわけでございます。
 したがって、私どもとしましては、最小限は、赤字をまず消してもらわなきゃならない……
#102
○佐藤昭夫君 ちょっと私の質問に答えてくださいよ。解説をるるやるのじゃなくて、限られた時間ですから。
#103
○説明員(後藤正君) ですから、まず赤字を消してもらうようなもの、それからもう一つは、それまでにはなぜ赤字になったかとか、財務諸表いろいろ出すわけでございますから、それに対して公社がいろんな資産増に対する今後の公社の資金繰りは一体どうなるんだと、どのぐらいの暫定最高価格を決めなければ公社の資金繰りはできないのかと、現在このお認め願っておりますような法案が成立しました場合……
#104
○佐藤昭夫君 何回も私、御注意申し上げておるんですけれども、私のお尋ねをしたことに結論だけでいいです。答えてください。
#105
○説明員(後藤正君) 結論は、私は大蔵省が先ほどから答弁しているようなことに尽きると思います。
#106
○佐藤昭夫君 監理官も公社の当局も、とにかく私はこの上限、下限を含めてのこの指標を示すというそのことを何ら否定しているものではないけれども、そのことについても提示をするわけにはまいりませんというこういう答弁をきょうも繰り返されておる。しかし、こういうことで実際問題、大臣、あなたいよいよ定価改定をやるという場合に、何を一体基準にして判断をするのか。上限、下限、これを超えた場合、またはこれよりも以下の場合、おおよそ一定の幅を持って、果たしてこれで健全か不健全かという判断が一体できるだろうかというふうに私思うんですよ。
 私、今回政府がこういう「健全にして能率的な経営」云々という表現を法案の中に持ち込まれたということが、一つはこの法技術上の大変な失策をされたのだと思うんです。しかし、そのことはいまは問いません。しかし、少なくともこのことについて、当大蔵委員会として審議をやって、ひとつ最終的に結論を下してくださいということについて、私は結論を下すわけにはまいらぬ、こういう無責任な答弁では。そういうことで、重ねて当局のこの問題についての、私の繰り返し指摘しておりますその問題に沿っての資料なり答弁なり、そういうものをよく研究してください。それまで質問を留保いたします。
 これだけやっているわけにまいりませんので次の問題に移りますが、今回のこの改正案によりまして、たばこの収納金が、納付金率を法定化をするということで、従来以上に税としての性格を強めたことになっていると思うわけでありますが、そこで大臣は、しばしばいろんな場で、間接税による増税をしきりに口にされておる。間接税の拡大というのは、あるいはこの税率の引き上げというのは、言うまでもありませんが、税の仕組みから当然のこと、低所得者層に重い負担割合を課することになるというのは自明の問題でありますけれども、こうした点で、今回のこのたばこ値上げ法案、この提案というのは、今日の時期に非常に適切さを欠く提案じゃないかというふうに指摘をせざるを得ないわけですけれども、いま予算委員会に大蔵省から提出をされております資料によりますと、五十一年度数字によって所得階級別の税負担表、これが出されておりますが、間接税の負担割合は、最低の所得層で一・五六%、最高の所得層では〇・九%ということで、この数字にも明らかなように、間接税を増大をしていく傾向というのは、所得の低い層にますます負担が重くのしかかっていくということにならざるを得ないという問題だというふうに思うんです。
 こうした点で、今回の五五・五%というこの納付金率という名前を持つ事実上の間接税的なものですけれども、こうした問題について、もちろん現時点、政府としてもう一遍見直しをするということになれば一番結構だけれども、将来こういう問題について、もっと国民の全体の暮らしをどう守るかという見地から、絶えずこの見直しを行っていく気持ちはありますか。
#107
○国務大臣(竹下登君) まあ税というものは、その持つ性格からして、絶えず注意をし、必要あらば見直していくというべき性格のものであると、そもそも思っておるわけであります。
 ただ、私ども申し上げておりますのは、確かに御指摘のように、専売納付金、地方税におきましては、すでにたばこ消費税という名称が付されておりますが、いわばまさにこの個別消費税と同じ性格を持つというふうに私も理解をいたしております。したがって、日本の税制体系全般を見た場合に、私は直間比率がいかにあるべきかというようなことを国会の場所等々を通じながら問答を繰り返す中に、国民の理解と協力を得て、初めてそういうものが実行に移せるということを言っておるのでありまして、直ちにもって特定の税目を意識して、そのようなお答えをしておるということではありません。
 ただ、間接税の持つ性格というのは、委員の御指摘の点も確かにございますけれども、世界全体の姿を見、そうして日本の国の税制体系そのものを見たときに、やはり議論していく、問答を繰り返していく一つのテーマには、私は大いになる問題ではなかろうかというふうに考えております。
#108
○佐藤昭夫君 同様の見地から、間接税の一種でありますいわゆる一般消費税問題、これについては強い国民の批判を浴びたわけでありますけれども、いわゆる税制調査会が五十四年度の税制改正答申で提起をいたしました一般消費税大綱、あれに基づく新税については、いわゆる間接税という問題をどういうふうに見るかという、この見地から十二分にも慎重に扱っていかなくちゃならぬということについては、御確認いただけますね。
#109
○国務大臣(竹下登君) 繰り返し繰り返し申し上げておりますように、政府が五十五年度からこれを導入するという閣議決定に基づきまして、もろもろの準備を進めてきた。しかしながら諸般の情勢、すなわち選挙そのものもその中に含まれる一つの大きなエレメントであると思いますが、そういうことで今年度の財政再建の手法として、それをいわゆる一般消費税(仮称)をとることはしなかったと。したがって、これからの問題につきましては、まさに国会の御決議にもございますように、五十五年は、言ってみれば、入るをはかって出るを制するのを、入るをはかる前に出るを制するという方針で貫いてきたわけでございますけれども、国会決議等の精神から見ましても、今後は財政再建の歳入歳出にわたり、幅広い観点から財政再建策の検討を進めるべきであるという御決議の趣旨に従って、これからいろいろ国民の理解と協力を得ながら勉強をしようという今日の段階でございます。
#110
○佐藤昭夫君 同様の立場からお尋ねをいたしますが、さっき矢追委員も御指摘になりましたけれども、いわゆる酒税の問題、清酒の醸造業界が今日大変な状況にあるというのは、当委員会でも何回か議論に上ってきた問題でありますけれども、単にこれは、政府の税収入をどう増大を図るかということだけでは判断をしてはならない。いわばこの民族の酒と言うべきものをどう守るかという、この見地が非常に行政的に重要だということは、もう論を待たないと思うわけですけれども、そういう点で、この清酒の醸造業をどう守るか。
 同時に、結局は低所得層に負担が大きく加重をしていく間接税をできるだけ下げるべきであるという、この両面から、この問題は慎重に扱っていただく必要があろうと思うのですけれども、そうした点で、今後酒税の問題について一体どういう見解でこれから臨まれるのか、その点重ねてお尋ねをしておきます。
#111
○政府委員(福田幸弘君) 酒税は間接税の中で重要な地位を占めておりますので、間接税全体の中で、どういうふうな方向をとるか。酒、たばこが特殊の税目であります。あとガソリン系統、それからあとは個別物品税と、こういうふうな体系をとっています。したがって、その中でどういうふうに酒税の負担を求めるか、それからおっしゃるように負担の階層別問題もございます。また、酒の中で清酒の問題、ほかの酒類の問題がございます。
 おっしゃるように、民族酒と申しますか、清酒の問題はやはり企業の問題として、また日本の古来の酒をどう育成するかというやはり産業政策、さらに文化的な伝統ということも踏まえた対策を同時に考えながら、ほかのウイスキー、ビール、その他の伸びのいい酒との関連をどう考えるかで、やはり細かく対策を考えていく必要があると思います。しかし、やはり間接税の中でその種の酒税に負担を求めるということは、今後とも検討を続けざるを得ないと思っております。
#112
○佐藤昭夫君 もう一つ入場税の問題についてお尋ねをいたしますが、これは去る五十年に免税点の引き上げが行われて以来手直しがされないまま今日に至っておる。ところが、その間物価は年々上昇し、五十年から対比しますと約三割ぐらい値上げをしているという状況かと思うんですけれども、そうした中で、今日の入場税の免税点の引き上げをやってもらいたいということが、文化人、芸術家の多数の今日の意見になってきているんじゃないか。そのことは当局もよく承知をしておられる問題だろうというふうに思うわけですけれども、そうした点で、私どもは入場税というのはすべて非課税にすべきだというのが基本的見解でありますけれども、当面一万円程度に免税点を引き上げる手直しをすべきだということを思うわけですけれども、その点について免税点引き上げの努力方向をとられるかどうか、どうでしょうか。
#113
○政府委員(福田幸弘君) 御承知のとおり、入場税はサービス課税でございまして、先ほどの物品税、酒、たばことまた違った今後重要なサービス課税の一環をなすものであろうと思います。
 御指摘のような文化的な面もございますが、やはりアミューズメントと申しますか、それを享受する観客に負担を求めるということは、今後の一つのやはり税制としては大事な柱であろうと思いますが、免税点につきましては、これは昭和五十年度の改正で三十円のものを非常に大幅に――三十円を百円に上げたのはその以前でございますが、百円を五十年度に御承知のとおりに十五倍の千五百円、演劇を含みますなまものを百円から三十倍の三千円と非常に飛躍的に上げております。その考え方で、一般大衆がエンジョイしますものについては課税されない。しかし、高クラスの座席で三千円もしくは千五百円を超える値段を払ったエンジョイというものは、一般大衆との区分において税負担を求めるというのが正しい方向であろうと思います。
 ただ、おっしゃっている物価の問題でどういう状況にあるか、これはいま千三百円というのが一流のロードショーのところの値段で、「地獄の黙示録」が千五百円、それから「1941」という映画、これが千五百円という特別料金でいまやっておりますが、ロードショーの一流館で千三百円です。地方に行きますともっと余裕がある。それから、あとの三千円のなまものになりますと、これはやはり上等の席というものは依然として三千円の上の方で高い値段で取っております。また、下の方と言っては悪いのですが、大衆の見る席というのは低い値段で維持されております。
 したがって、その実態を見まして千五百円ないし三千円を引き上げるということは、これはまた財政の問題としても余裕はございませんし、また、税制としてもその必要は現時点ではないとわれわれは考えております。
#114
○佐藤昭夫君 しかし大臣、どうでしょうか、大平総理もたとえば施政方針演説で、二十一世紀に向けて文化の時代をつくるということなんかをいろんな場で折に触れてやられておるわけですけれども、日本の国民全体の文化的教養、文化的水準をどう高めていくかということは、いわば国家的課題の一つだとも言えるこういう時期に、しかもこの入場税による税収入というのは財政全体を左右をするようなそれほどの莫大な財政収入が入るという問題ではないわけですね。
 で、現在、なまもののほとんどは結局これが税がかかる、こういう現状にあるわけですし、そちらからこういう答弁ありますけれども、大臣としては、いずれにしてももう五年たっているわけですから見直しをやらなくちゃならぬ時期、こういう時期にも来ている。こういう点で、入場税問題についてはひとつ、そういう文化の時代をどうつくるか、この立場からもよく検討するということで臨んでもらいたいと思うんですが、大臣どうでしょうか。
#115
○国務大臣(竹下登君) これはやっぱり入場税というものの位置づけの問題は、それなりに重要な位置づけがあろうかと思います。それが財政再建に果たす役割りとしては、著しくこれが巨大なものであるとは私も思いませんけれども、ちりも積もれば山となるということもございまして、やはり一つ一つを大切にしなければならない問題であろう。
 そうしていま一つは、文化の時代ということに対する問題でございますが、この文化の時代ということは、あながち入場税の免税点引き上げというもので文化の時代を象徴するということよりも、政治全般に対する姿勢でございますとか、あるいはわれわれ個人個人のマナーでございますとか、物の考え方でございますとか、そういうものが文化そのものを象徴するものではなかろうかなと、こういう感じは私もかねがね持っておるところでございます。
#116
○佐藤昭夫君 時間の関係がありますので次の問題に進みますが、専売公社職員の労働条件の問題について二点ほど最初に労働省にお尋ねをいたしたいと思います。
 さきの二月十四日の本会議でわが党の渡辺議員が公社職員の職業病問題を取り上げまして、政府に実情を調査し、公社の態度を改めてもらう必要がある、そういう指導をやってもらう必要があるということを指摘をしたのに対し、藤波労働大臣は、御指摘の点についてはよく調査をしてみたいというふうに答弁をされたわけであります。労働省はその後どのように調査し、対処をしてきておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
#117
○説明員(原敏治君) お答えをいたします。
 労働大臣が本会議の席でお答えをいたしましたのに基づきまして、二月の十九日に浜松工場と鳥栖工場を管轄する監督署の職員が職業病の補償の問題を中心に監督調査をいたしております。実情を把握をし、同時に、予防と補償の適正化につきまして口頭で指導をいたしてきております。
#118
○佐藤昭夫君 ぜひ具体的な前進が実るように、一層の指導を強めていただきたいというふうに思います。
 もう一つの質問は、昨年十二月の通常国会の冒頭で、例の専売職員を含めましての公務員共済年金の支給年齢を延長する法改悪が、わが党の反対にもかかわらず可決をされたという事態になっておりますが、ところで、厚生年金の支給年齢延長問題、いろいろありましたけれども、当分さたやみだということになって、まあこれはこれ自体として結構だというふうに思っているんでありますが、ところで、年金の支給年齢についての男女差、これが厚生年金では五歳の差がある、公務員年金ではないという、こういう状況のもとで、法体系として見た場合の新たなる矛盾がいま職員の中でもいろいろ議論になっておることは、専売当局もよく御存じのことだと思うんです。
 それから同時に、専売は公営企業の中でもわりあい若年者の多い年齢構成、平均年齢が低いですね。そういう層が、たとえば婦人の労働者が半分を占めておるということじゃありませんか。いずれにしましても、年金制度の延長に伴う改正に伴って厚生年金が当分法改正がさたやみになった、こういう現状のもとで、これは専売の労働組合も、あるいは職場の職員の皆さん方も公務員の年金、昨年十二月の通常国会冒頭におけるあの支給年齢延長問題については、いま一度見直しをやってもらいたいという意見が出ているんですが、この問題は他省庁にもまたがる全体的問題ではありますけれども、専売当局、大蔵省としては、ひとつそういう見直し方向に向けての検討をやるべきじゃないかというふうに私思うんですが、どうでしょう。
#119
○説明員(泉美之松君) 専売公社の職員は、実は大変老齢化いたしておりまして、現在のままいきますと年金財政があと六年ほどで赤字――もういま御承知だと思いますが、国鉄は赤字になっておりますが、専売公社と電電公社はまだ黒字なのでありますが、専売公社は老齢化が進みますので、あと六年ほどで赤字に転落するおそれがあるわけでございます。したがって、共済年金の支給年齢を六十歳に引き上げるということは、共済の財政の健全化のためには大変結構なことであるというふうに考えておりまして、また六十歳ということは厚生年金のいまの六十歳と照合いたしておるものでございますので、いまそれを見直すということはちょっとできにくいものと思っております。
 将来、年金支給開始年齢を厚生年金の場合は六十五歳にするかどうかという問題がありますけれども、それがいまさたやみになっておる段階においては、いまこの点を見直すということは、せっかく改正ができたばかりでございますので、適当ではなかろうかと思っております。
#120
○佐藤昭夫君 若干時間が残っておりますので、私も最後に喫煙と健康の問題について一、二お尋ねをしておきたいと思います。
 先ほど来、先回もいろいろ議論のあったところでありますが、ともかくたばこの有害性について国際的にはもちろん、日本の国内でもさまざまな研究が行われている。ところが大蔵、専売当局は、とかく売らんがかなのために有害性の研究発表を隠す傾向が強いということで、先回もその一例として、片岡委員が朝日新聞の書物に引用されておる研究結果、この問題を指摘をされておりましたけれども、当局も渋々ながら資料として提出し、公表することを認められたわけでありますけれども、そこで、さらに進んで私もお尋ねをするわけですが、せめてこの国立の研究機関において行っている研究あるいは国が委託をしている研究機関で行われた研究結果、まずこういうものはすべて公表をする、公開をする、このことははっきりすべきだというふうに考えますが、この点どうですか。
#121
○政府委員(吉野良彦君) 一般論としてのお尋ねでございますので、私からお答えさせていただきたいと存じますが、先生も御承知のとおりかと存じますが、いろいろな調査費あるいは委託費、それの結果を公表すべきかどうかは、やはりこれはその調査の趣旨なり目的なりがそれぞれあるわけでございますから、一概におよそ国立の研究所あるいは試験研究機関で調査を委託をしたものであるという理由だけで、すべて公開をすべきだということにはならないのではないかというふうに考えます。
#122
○佐藤昭夫君 私がお尋ねしておるのは、たばこの有害性をめぐる研究についてということで、国立の研究機関ないしは国が委託をした研究機関においてやられた研究結果、これは公開をすべきではないかということでお尋ねをしておる。それについて秘匿をしなくちゃならぬものがあり得るのか、ないだろうというふうに思うんですけれども、そういうことで、こういうものはすべて公開をすべきじゃないかということで尋ねておる。
#123
○説明員(泉美之松君) 私ども健康と喫煙の関係で昭和三十二年以来委託研究いたしていることは御承知のとおりであろうと思いますが、その研究はかねてから申し上げておりますように相当広範囲にわたっておりまして、また、研究途中のものが多うございまして、結論を得てないものが多いわけでございます。しかしながら、先般来いろいろ御意見がございましたので、私ども、いまその研究を委託しておる先生方でおつくりになっておられる研究協議会というものがございます。その研究協議会にお諮りしながら、研究成果についてできるだけわかりやすい形で発表したらどうだということで、今度それを発表していくことを考えておるわけでございます。
 ただ、研究をしておられる先生方には、結論のまだ出ない問題については勘弁してほしい、ある段階だけのものとしてほしいというようなお話がございます。私どもは、委託研究した結果について秘匿したいという意味で発表しておらないのではないのであります。ただ、研究の成果が大変専門的でございまして、そのままでは一般の方におわかりにくいということと、それからまた、まだ研究が実っておらないというものが多いというようなことで今日まで発表してこなかったわけでありますが、先般来のお話の趣旨をくみまして今後はできるだけ発表していくようにしていきたい。しかも、研究のなまのままでは大変わかりにくいので、それをわかりやすい姿にして発表していきたい、こう考えております。
#124
○佐藤昭夫君 そのなまの形ではわかりにくいからわかりやすい形にそしゃくをして、そこをめぐってはこの間片岡さんもいろいろ議論をされてきておった点なんです。まだこの研究の中途の段階の問題だから、研究、それを発表の時期でないと判断するかどうかというのは、そこらは研究者の問題である、そんなことを問うているわけではない。私は研究結果、こう言っているわけです。研究結果については発表すべきだということは、あたりまえの問題じゃないですか。
#125
○説明員(小幡琢也君) 基本的にはただいま総裁が御答弁申し上げたとおりでございますが、なまのものといいますと、各委託研究をお願いした方が、毎年年度末に、終わりましてから、その年度の研究結果の報告概要という冊子を出してまいります。従来はそれを、先生方の中にはやはりまだ発表できないという御意見の方もおりましたので従来出しておりませんでしたけれども、先般来いろいろ御指摘がございましたので、実は研究運営協議会関係の先生方にお諮りいたしまして、これからは原則として毎年度の研究結果の報告概要、これは発表するようにしようと、そういう方向でいま検討しております。
#126
○佐藤昭夫君 もう一つお尋ねをいたしますが、国民の健康を守るために政府のとるべき行政措置なり施策なり、こういう点もさまざま同僚委員からの議論がございましたけれども、いわゆるWHOの専門委員会勧告、このパンフレット、「専門委員会報告」というこれに出てまいりますけれども、ここで一つは、「政府はタバコ喫煙の制圧と予防のための具体的な諸事業を統合し監督するような、中央委員会ないしその他の適当な機構を設定することを考えるべきである。この機関には充分な職員が備えられ、その機能には独立性の要件を伴って運営されるべきである。」云々と、こういう勧告が出ているわけですけれども、ここで書いております十分な職員を備えた中央委員会ないしはその他の適当な国民の健康を守っていくための機関をつくると、こういう問題についてどういう検討を行われておるのか。
 同様に、こういう勧告が出ております。「立法者の協力を得るための特別な努力を拡わなければならず、」――この「立法者」というのは、国会等でのそういう立法、ですから国会議員を初めとしてというような意味になろうかと思いますが、「立法者の協力を得るための特別な努力を払わなければならず、彼らに喫煙が健康に与える影響、それについての各国の経験、喫煙に対してとられる措置の有効性に関する情報を提供せねばならない。立法措置は次の目的に基づいて考えるべきである。」ということで、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)の七項目、そして「非喫煙者の権利を保障するために、以下の追加措置を考えるべきである。」ということで、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)の五項目、これらの七項目及び五項目のこういう目的に基づいた立法措置を考えるべきであるという勧告をしておるんですけれども、以上の二つの勧告をどういうふうに具体化をするかということで、どういう具体的作業をやっていますか。
#127
○説明員(大池真澄君) 御説明申し上げます。
 ただいま先生御設問の点は、一九七四年のWHO専門委員会の勧告を中心としておっしゃったのかと思いますが、御指摘のとおり、WHOにおきましては専門委員会の報告あるいは総会の決議等におきまして各種の提案をたくさんしておるわけでございます。そういったことで、加盟国として国際的にもそれぞれの国が国情に照らしてその国の実情に応じた適切な措置をそれぞれ講じておるわけでございますが、わが国におきましてはそういった勧告を尊重する一環としまして、私ども健康を預かる厚生省としては、衛生教育の一環として全般的な衛生教育の趣旨徹底を図っておるところでございます。
 なお、御指摘の機構の問題の提案でございますけれども、現在のところ、そういったような専門的な機関というようなことは考えられておらない現状かと、私どもは理解しております。
 なお、喫煙は国民の嗜好、習慣にかかわる問題でもございますし、広く非常に多面的な分野にまたがっておりまして、私ども厚生省の立場としましても、関係の深い省庁あるいは関係団体ともよく連携をとりながら、こういった問題に取り組んでおるところでございます。
 それからまた、国会の諸先生へのいろいろな資料提供の問題でございますが、随時お求めに応じていろいろな資料提供はこれまでもやってきておるところでございますが、包括的には厚生省の年次報告書でございますいわゆる厚生白書におきまして、逐次WHOの勧告があった旨記載をいたしましたり、あるいはその内容等の紹介、あるいは成人病対策の一環としての喫煙問題というようなことを、年次報告書には記載しておるところでございます。そのほか、今回WHOにおきまして世界保健デーというようなことを提唱しておりまして、その一環として、WHOの専門委員会報告書も含めましたWHO側の提供しております内外の情報を集大成したものを、私どもの手で調査研究をお願いしましていろいろ翻訳紹介をするというようなことで、資料も作成して関係方面に配布しておるわけでございます。そういった一環として、衆参両院の厚生省の関係の委員会の調査室にもお届けしておるところでございます。
#128
○佐藤昭夫君 大蔵省は何か答弁ないんですか。
#129
○政府委員(名本公洲君) ただいま厚生省の方から御答弁がございましたように、健康の問題の主管といたしましては厚生省でございまして、専門家の方々もそちらにいらっしゃるわけでございます。私どもの方としましては、厚生省の方と十分連携をとりつつ現在までもやってきておりますけれども、今後もその方向で仕事を進めてまいりたいというふうに考えております。
#130
○佐藤昭夫君 大蔵省としては、何にもないということですな。
#131
○理事(細川護熙君) よろしいですか。
#132
○佐藤昭夫君 満足したわけじゃありません。
#133
○理事(細川護熙君) 午後四時三十分まで休憩いたします。
   午後三時十七分休憩
     ―――――・―――――
   午後四時三十七分開会
   〔理事細川護熙君委員長席に着く〕
#134
○理事(細川護熙君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 所得税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#135
○理事(細川護熙君) 御異議ないと認めます。
 なお、日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#136
○理事(細川護熙君) 御異議ないと認め、決定いたします。
    ―――――――――――――
#137
○理事(細川護熙君) この際、大蔵大臣から発言を求められておりますので、これを許します。大蔵大臣。
#138
○国務大臣(竹下登君) この際、お許しを得て、公定歩合の引き上げ及びそれに関連して一、二申し上げたいと存じます。
 日本銀行は、本日午後の日銀政策委員会において、公定歩合の一・七五%の引き上げを決定し、明三月十九日から実施する旨を午後四時三十分に発表いたしました。この結果、公定歩合は九%となります。これに伴いまして、大蔵省としては、預貯金金利についても引き上げる方向で考えており、本日、日銀政策委員会に対しまして発議を行いました。
 なお、預金準備率の引き上げも同時に日銀政策委員会で決定されており、大蔵大臣の認可を受けた後実施されることになっております。
 以上、とりあえず御報告申し上げます。
#139
○理事(細川護熙君) 休憩前に引き続き、日本専売公社法等の一部を改正する法律案について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#140
○片岡勝治君 ただいま大蔵大臣から、公定歩合の引き上げが本日行われた、こういう御報告がありましたので、これに関連して一、二お伺いをしたいと思います。
 現行プラス一・七五%という大変大幅な、しかも九%になったわけでありますから、第一次石油ショックの直後、すなわち昭和四十八年十二月から五十年四月のいわば狂乱物価時代の公定歩合になったわけであります。つまり、これまでの最高の率になったということでありまして、率直に言って、日本経済は容易ならざる事態に直面しつつあるということの一つの証左だろうと、このように考えるわけであります。
 政府がこれまで日本の物価の状態、昨年末から引き締めをやってきたけれども依然として物価高騰が続いている、あるいは今月初めから円防衛政策をやってきましたけれども、なおかつ円安の危機に迫られていると、こういうことだろうと思います。こういうことからすると、日本経済に対する政府の見方が大変甘いと、そういうふうに私たち国民としては率直に認めざるを得ないわけであります。つまり、物価高騰という問題について甘い見方があるのではないか、経済全体の見方について大変甘い見方をしているのではないかと思うわけであります。これに対する政府の見解をお伺いをしたいと思います。
#141
○国務大臣(竹下登君) 本日、ただいま御報告申し上げましたように、日銀で公定歩合の引き上げが決定されたわけであります。これは、いまの御意見も御意見として私どもは十分承るところでございますけれども、確かに消費者物価問題につきましては、当初見込みを中途で下方修正いたしました四・七%以内におさまり得ると思いますものの、まさに卸売物価につきましては、当初の見込みからすれば大変な見通しが違ってきたわけであります。その要因は、主として原油の値上げ等に伴うところの外的要因でございますけれども、これがこれから国内の消費者物価に影響してくることは当然のこととして考えられますので、そこでこのような措置がとられたものであると考えておるわけであります。
 したがって、今後におきましては、明日は経済企画庁を中心としての総合物価対策が立てられるというような計画になっておりますので、まさに財政、金融各般にわたって機動的な対応をすることによって物価の鎮静に努めていきたいと、このように考えております。
 しかし、いまの批判は批判として、やはり謙虚に耳を傾けるところでありますが、九%という最高の公定歩合ということになったことは、これがすなわち天井感を心理的に与えるであろうことも期待のうちに入っておるのではなかろうかと、このように考えております。
#142
○片岡勝治君 けさの日経新聞にもありましたけれども、経済研究センターが十八カ月の予測を記事として掲載をしているわけでありますが、これを見ましても、卸売物価は政府見通し九・三%に対してこれは四%高く一三・三%ぐらいになるのではないか、あるいは消費者物価につきましては、政府見通し六・四がプラス二・三の八・七、こういうふうに民間の研究機関も政府見通しは大変甘い、もっと厳しいものになるのではないかという予測をしているわけであります。私たちも率直に、予算審議等衆参を通じて審議をしてまいりましたけれども、政府見通しというものが大変甘い。もっと深刻な事態に向かっているということを、私たちは今回の公定歩合の引き上げによって改めて感ずるわけであります。
 明日、政府の物価対策の基本政策ですか、そういうものが発表されるようでありますけれども、こうした事態に対して改めて政府として何か考えがあるのか、対策があるのか。つまり、きょうのこの事態に直面して、何か新たな角度でこういう点を考えているとかというものがあれば、この際お話をいただきたいと思います。
#143
○国務大臣(竹下登君) 明日決定されるわけでございますが、私どもの立場からいたしますならば、カーター大統領のインフレ対策というものが、金融面のみでなく財政面等についてもこれが行われておるという事態をも顧みますならば、恐らく財政面からも総需要の適切な管理を図るべきであると、そういう方向、そしていま一つは、便乗値上げ等に対する監視体制というようなことが大きな柱として打ち出されるのではなかろうか、このように考えております。
#144
○片岡勝治君 いずれにしましても、いわば狂乱物価時代の最高率になったということでありまして、これは国民としても重大な関心を示していると思うわけであります。すでに国民の側では、狂乱物価時代に近い時代がきわめて近い時期に来るのではないかということを大変心配しているわけであります。したがって、この問題につきましては、まあ明日の政策を見なければ具体的に政府の政策を批判することはできませんけれども、これまでのわれわれから見ると大変甘い経済見通しについて、厳しくもう一度見直しをして、物価対策、経済対策というものをぜひつくっていただきたい、このことを強く希望をいたしまして、きょうはたばこ値上げ法案の問題でありますので、冒頭それだけ申し上げまして、この件については終わりたいと思います。
 そこで、いまもお話がありましたように、これから総需要の抑制、管理あるいは便乗値上げ等に対する対策ということ、それらを含めた総合的な施策を実施する、こういうお話でありました。たまたま、このたばこ法案につきましては二一%の値上げ、あるいは二、三年後には今度は政府の行政権の行使によって三割の値上げが可能になる、こういう法律であるわけであります。私たちは、やっぱり公共料金というのはもう絶対に上げてはいかぬとは私も申し上げません。ただ、いまお話のありましたとおり、今日の経済情勢というものは大変重大な時期に直面をしている。この時期に、たばこを初めとして国鉄、電気、ガスあるいは郵便、月謝というのですか、学校の授業料値上げ、こういうものが軒並みに続々と値上げをされる、こういうことが現実に物価を引き上げると同時に、心理的にもこれは大変なことになるぞ、こういう作用を及ぼすと思うわけであります。
 まず総理に、この公共料金の軒並み値上げ、こういう政策については、これまた、今日のこの事態に関連をいたしまして見直す必要があるのではないかと思うわけでありますけれども、この一連の公共料金の値上げについて、この際、総理大臣の見解を承っておきたいと思います。
#145
○国務大臣(大平正芳君) 片岡さんも御承知のように、自由民主党と政府は、公共料金政策といたしましては、原則として受益者負担によるべきであるという態度をとってきたわけでございます。同時に、申すまでもなく、公共料金にかかわりのある企業には徹底的な合理化を要求いたしまして、必要最小限度の値上げにとどめるということもあわせて実行してまいったわけでございます。
 仰せのように、この問題は、国民の経済生活には大変甚大な影響がございますので、その時期につきましても十分考えなけりゃならぬことは当然でございますが、そういう方針で今日まで公共料金政策の運営に当たってまいりまして、いま、過ぎ去ろうとする五十四年度の物価を回顧していただいてもおわかりになりますとおり、政府は、この年度、公共料金をそういう方針に従いまして、ぎりぎり、限度いっぱいを超えたところまでしんぼういたしまして、時期的にも調整をいたしまして、電気、ガス料金にいたしましても、五十四年度中はどんな苦しくても改定しないということでがんばってきたわけでございます。したがって、五十四年度の物価は、政府が当初予想いたしておりました四・九%をさらに割りまして、四・七%で越年ができるという確信を持っておるわけでございます。
 そうように努力をしてまいりましたけれども、無際限に関係企業が採算を無視した料金でがまんできるはずはございません。電気にいたしましても、ガスにいたしましても、すでに大幅な出血をいま見ておるところでございます。これ以上しんぼうさせておくことは、もはやこれまでとってまいりました方針に背馳するばかりでございませんで、電気とかガスとかを供給する大きな責任を持っている企業体の崩壊につながることになり、ひいては国民の経済、生活に甚大な悪影響を及ぼすおそれをはらんできておるわけでございます。
 したがって、政府としては、この際、いまメジロ押しにいろいろ公共料金を上げることはいかがかという御疑問でございますが、そこまでがまんしてきておったということを、まず評価していただきたいと思うのでございまして、これ以上延ばすことができないとならば、これを断行していくということが政府にとって大事な決断ではなかろうかというように考えておるわけでございます。
 結論といたしまして、いままで精いっぱい仰せのような趣旨に従いまして改定を延ばしてきたと。しかし、もうこれ以上延ばすということは、かえって有害な結果をもたらしかねないおそれを感じてまいりましたので、ここで改定を御承認いただくというようにしたいものだと感じまして、原価主義にのっとりまして厳重な査定を加えておるところでございます。その他の公共料金につきましても、その幅、その時期等につきましては周到な配慮を加えまして、ぎりぎりがまんしてまいりましたけれども、この機会にこの程度の改定をお願いすることは、決して無理ではなかろうということを感じておるわけでございます。
 もう一つつけ加えさせていただきたいのは、今日の物価情勢というのは、平時におけるいわば需給のアンバランスから起こる物価高騰というようなものではなくて、本来、海外の戦略商品である石油の顕著な値上がりということから起きておるものでございまして、それを契機といたしまして、わが国といたしましては、大きな所得が産油国に移転するということを甘受せざるを得ない立場にあるわけでございます。この犠牲を、この負担を、どのような姿で国民が負担してまいるかということは、あるいは物価の形で、あるいは料金の形で、あるいは人件費の形で、いろいろな形でこれを負担していかなければ、日本の経済はバランスがとれないということになっておるわけでございまして、これは日本ばかりでございませんで、世界のどの国にとりましても、重要な資源がこのようなべらぼうな戦略的な値上げがやられますと、そういう羽目に陥るわけでございます。そういう側面もございますわけでございます。われわれといたしましては、そういった点で十分な理解を、野党の皆さんはもとより、国民の皆様にお願いをいたしまして、この危機を乗り切っていきたい。
 もう一つつけ加えて申し上げさせていただきたいのは、しかし幸いにいたしまして、わが国はそういった打撃を過去において受けましたけれども、われわれの技術、革新的な努力、あるいは労使を通じての経営努力によりまして最小限度にその影響を食いとめることに成功いたしまして、世界のいずれの国よりもみごとな対応ができたわけでございます。今日の物価高という形、料金の改定という形でその負担がわれわれの目前にあるわけでございますけれども、これはわれわれの努力によりましてできるだけその影響の幅を縮めまして、国民の最終的な負担は最小限度にとどめるようにしていかなければならぬし、それはまた、われわれの力でできることであろうと思うのでございまして、政府は公共料金の改定に当たりまして、そういうその改定に絡まる直接間接の施策といたしまして、そのようなことを念頭に置いていま努力をしておることにつきまして、御理解を得たいと存じます。
#146
○片岡勝治君 総理大臣は、たとえば石油の価格、製品価格については余り行政が介入しない方がいいということを、ここ一、二年非常に強く国会等で答弁をしておりますね。こういうことを国民の側から見ますと、政府は一体何をやっているんだ、結局は、物価問題については全く手をつけないのではないかということを大変心配をするわけです。
 いま公共料金の取り扱いにつきましての政府の見解はお伺いいたしましたけれども、公共料金は、これはそう無理な抑制はできないということで軒並み値上げをする、石油製品、石油価格についても、余り行政が介入することはよくない、いわば行くがままにしておいた方がいいのではないかという総理の答弁がある。それから、石油ショックのときにいろいろ物価抑制の法律なり施策なりを決めたわけでありますが、今回の第二次石油ショックといいますか、こういう事態に対しても、これを発動するという姿勢が見られない。率直に言って、私たちは大変心配するわけなんです。
 こうした問題について、われわれは、もっと積極的に国民にわかりやすい政策をぜひ打ち出していく、そういうことをしないで、便乗値上げをやめるとか、国民の物価に対する値上げムードというものを鎮静させるということは、私は不可能なような気がするわけであります。そういう点から、ひとつ、ぜひ政府でも真剣にこの問題について取り組んでいただきたい、このことを強く希望するわけです。
 それから、公共料金の値上げにかかわる今度のたばこ値上げ法案の取り扱いにつきましても、法定緩和ということがたばこに関しては初めて出てきたわけであります。いろいろ網がかけられて、その条件が満たされて初めて大蔵大臣の認可によって値上げをすることができるということにはなっておりますが、いずれにしても、国会の審議を経ずして、最高基準価格の一・三倍ですか、これは今度は大蔵大臣の認可で値上げすることができるという、こういうシステムになっているわけですね。
 これはすでに国鉄でも行われた、今度はたばこでもそうなった、郵便料金の値上げも今度は法定を外す、行政権の行使によって値上げができる、一体あと何が残るのだろうか、ことごとく公共料金と言われるものがすべて国会審議から外されて行政権の行使によってできる、こういう措置がずっと続いてきたわけですね。これについても私たちは大変遺憾に思うわけであります。これは大蔵大臣に対して、これまでのたばこ審議を通じて、私だけではありません、各党それぞれ大変大きな不満を開陳したわけでありますけれども、これに対する基本的な政府の考え方、これで終わるのかどうか、これからみんなやってしまうのかどうか、この点について、私は率直に総理大臣の見解を承りたいと思います。
#147
○国務大臣(大平正芳君) 前段の政府の物価政策に対する姿勢でございますが、大変心配だという片岡さんの憂慮でございますが、政府の基本政策はたびたび本院におきましても御説明申し上げましたとおり、石油という重要な資源の供給を確保して需給のバランスをとるということだと思うのでございます。供給が確保されて手当てに心配がないという状況をつくらないと、物価政策もあったものじゃないと思うのでございまして、政府はその限りにおきまして予定どおりの入荷を確保いたしまして、しかも備蓄は従来より多く備蓄をいたしておるわけでございまして、ストックの状況を見ましても、各原油それから石油製品全般にわたりまして、去年よりも多くのストックを持っておるわけでございますので、私は、物価政策の基本的な条件はそれでできておると思うのでございまして、そういう状況のときに、売り惜しみとか買いだめとかいうようなことが起こっていないのに、石油三法の発動なんということは、私は有害だと考えておるわけでございます。
 そういう供給が不足をいたしまして、明日の手当てに非常な不安を感じておるというようなときでありますならば、政府はまず率先して介入いたしまして、人為的に需給のバランスをとっていかなきゃならぬわけでございますけれども、今日までそういった事態に幸いになっていない、そういう基礎条件を営々として築くことに成功したわけでございますので、その点は、むしろ私は評価していただきたいとさえ考えておるわけでございます。もちろん、事態が非常に緊急事態を迎えまして、行政措置を講じなければいけないというようなことになれば、もちろん政府が与えられている権能は行使しなければなりませんけれども、下手にこれを行使するというようなことをやりますと、かえって立法の趣旨に反するのではないかというように考えておるわけでございます。
 それから第二の、たばこ並びに鉄道料金なんかの制度の最高料金を国会でお決めいただくか、それから大蔵大臣に一定の条件のもとにおいて値段を決めることを認めていただくか、これは財政民主主義の行き方としてどちらの行き方もあろうかと考えるのでございます。
 いまお願いしているような制度をいたしましても、財政民主主義にもとるものとは考えていないわけでございまして、問題はこれの運用であろうと思うのでございまして、運用に誤りなければ、片岡さんが御心配になるようなことは私はないと確信いたしまするし、むしろ行政にそれだけの弾力性を与えていただく方が円滑な仕事が――事態に行政が対応できるのではないかと私は考えておるわけでございまして、一定の厳しい条件をつけまして、それから天井も抑えて、幅も抑えてあるわけでございますから、御懸念のようなことは万々ないと思うのでございまするし、常時国会は政府のやっていることについて御指導も監視も怠っておられないわけでございますので、こういった制度をおとりいただきましても、国会との間が疎遠になるわけじゃ決してございませんで、私どもとしては誠心誠意状況は国会に御報告申し上げて、御指導を仰ぎながらやっていきたいと思いますけれども、制度自体といたしまして、このようにお願いする方が適切ではなかろうかという考えを、鉄道の場合と今度の場合と変わっていないことを御理解賜りたいと思います。
#148
○片岡勝治君 公共料金のうち、国鉄あるいは郵便料金と違って、このたばこの場合には財政専売といいますか、一個のたばこ、仮に百円といたしますと、約半分は納付金で国に納めるわけですね。半分が自分の物ということになりますが、このたばこそのものの料金ということになるわけであります。いわゆるコストの問題という立場だけでは、このたばこの場合には律し切れない要素があると思うんです。
 この点についても、私は大蔵大臣にしつこいほど質問をいたしました。ずばり申し上げますと、専売公社が赤字になる、それ値上げをする、大蔵大臣が認可をすれば、自動的に政府納付金がふえてくるわけであります。つまり、専売公社の赤字というのは、逆に政府にとってみれば納付金が増大する、そういう行政措置がこの大蔵大臣の認可によって出てくるわけですね。つまり、税金部分が約半分でありますから、そういう大きな負担をたばこを吸っている方に負担をかけるわけであります。
 ですから、こういう問題については少なくとも私は国会の審議に付すべきではないか、たばこそのもののコストの部分については百歩譲って行政権にゆだねたといたしましても、一兆円を超す財政をたばこをのんでいる人に負担をかける、そういうことでありますから、私はたばこの場合には別途考えるべきではないか、こういうふうなことを大蔵大臣に執拗に迫ったわけであります。その答弁は、恐らく総理大臣も同じような答弁をすると思うのであえてここで繰り返しませんけれども、この認可を大蔵大臣がやるということについても、私は大変疑問だということもきょう質問したんです。
 なぜならば、大蔵大臣の頭の中には絶えず財政再建ということで頭がいっぱいだろう、当面の責任者ですからね。そして、この専売の方から値上げの申請が出てきた、いろいろ検討する段階に、やっぱり財政再建に寄与する道は何かということが優先して、このたばこの値上げの判断を下すのではないかということを、私は大変心配するわけなんですよ。
 ですから、ずばり申し上げて、たばこ値上げの認可というのは大蔵大臣というのは適当ではないと私は思うんです。むしろ他の部署でやった方がいいのではないか、あるいは最高責任者である大平さんがおやりになった方がまだ客観性があると言いたいところだけれども、大平さんもやっぱり財政再建で頭がいっぱいだということになれば、一円でも高く認可するというそういう何といいますか、意思が先に働くのではないか。
 こういうことで、きょうも大蔵大臣を追求したわけでありますが、これは総理大臣どういうふうにお感じになりますかね。たばこの値上げをすれば財政の方も豊かになるという連動式ですから、なるべくたばこの値段を低く抑えようというそういう意思は働かないんじゃないですか、判こをつくときに。この点を私は心配するのです。
#149
○国務大臣(大平正芳君) 前段の御質問は、本委員会でずいぶん御検討いただいたことと思うのでございますが、その点につきましては、本委員会でいろいろ御論議いただいたことと思いますから繰り返しませんが、後段の点で、大蔵大臣よりは一般のほかの閣僚、ほかの機関がこれに当たるのがよろしいでないかということでございますが、大蔵大臣がこれは専管でおやりになるわけじゃございませんで、まず国会で一定の条件がつけ加えられておるということ、それから政府部内におきましては関係閣僚会議、閣議を通じまして十分の意見調整を行いまして政府としてこれを決めるわけでございますので、いま御心配になるような大蔵大臣が――いつも大蔵大臣はりっぱな人がなられますから心配はございませんけれども、多少身びいきに考えておられましても、そういう手順を踏んで決めていきますので、そういう御懸念はないように運営されるものと思いまするし、またされなければならぬと考えます。
#150
○片岡勝治君 やっぱり制度全体を見ますと、率直に言ってそういう心配があるわけです。私、りっぱな大蔵大臣ですからそう悪意を持ってやるとは思いませんけれども、しかし、この制度、システムそのものを見れば、おかしいじゃないかというふうに感ずるんです。ですから、そういう心配はありませんよと政府が言いたいのならば、やっぱりこういうシステム、制度というものを明確にして、ああそうかと国民が見てわかるような、そういう私は行政機構といいますか、機能というものをつくるべきだろうと思うんです。やっぱり人間ですから、人間の頭脳の回転の仕方によってはそういう疑惑を持たれるような結果が絶対に出ないとは考えられないわけであります。特に、大蔵大臣も大平総理も、当面は財政再建というのが最大の課題でしょう、もちろん物価とかなんとかありますけれども。そういう時期なものですから、よけい私たちはその点を心配するわけなんです。
 今度のこのたばこ値上げ法案につきましても、相当部分、財政再建という意識が先行して法案がつくられているなという感じを率直に持つわけであります、私は。さっき申し上げました法定緩和の問題においてもしかりでありますが、いま言ったような納付金の部分、公共料金の部分、公共料金の部分はまあ大臣が認定しても、納付金にかかわる領域については少なくとも国会の審議を得たらどうか。あるいは大臣の認可につきましても、大蔵大臣が認可をするというのは必ずしも適当ではないと私は感ずるわけであります。そういたしますと、やっぱりこれは財政再建ということが先行し、それを優先して今度の法律改正というものも考えられている、こういうことを端的に申し上げることができるような気がするわけです。
 政府は、財政再建元年ということを言っておりますが、大体ときどきこの元年制度を使いますが、余り成功したことはありませんね。福祉元年で二年はなくなっちゃいましたし、あるいは盛んに大平さん、地方の時代ということを言っていますけれども、そういう意味では地方元年ということが言えるかもしれませんが、これもそう長続きしそうもない。財政再建につきましてももっと別な角度から、こういう国民の負担、そういうものを増大するということではなくて考えるべきではないか。今度のたばこ法案につきましても、財政再建ということが先に出て法案が出されたような気がするわけであります。
 それから、今度のたばこの法案の審議を通じて、特に私はたばこと健康問題につきまして相当しつこく質問をいたしました。政府もこれまでの姿勢を改めてと言っちゃ語弊がありますけれども、ある点では、二、三の点ではこれまでの姿勢を改めていきたいという答弁があったわけであります。これにつきましても、私は内閣総理大臣に認識を深めていただいて、ぜひ専売公社のそうした姿勢というものをバックアップしてもらいたい、国民の期待にこたえるようなそういうものをつくるような専売公社の経営をぜひお願いをしたいと思うわけであります。
 その一つは、これまでたばこと健康につきましていろいろ研究しておりました。ここ十年間九億余の金を投じて、たばこと健康という問題について専売公社が取り組んできたわけです。この点は私も評価するわけなんですが、しかし、その研究結果というものは一切秘密である、これは公表しないんだと、これがたてまえです。しかし、研究者が学会で発表したことはありますけれども、一切発表しないのだと、こういうことですからね。それは間違いだろう。やっぱりそれは国民の前に明らかにした方がいい。それが親切な専売行政だろうと思う。しかし、専売の方では、研究結果を出すと、専売公社の言い分は、つまり健康に余り害がないよという結果が出てそれを発表すると、専売はたばこをよけい売りたいからああいう発表をしたのだという誤解を受ける。いやたばこは多少健康に害があるという研究結果が出た、これを発表すれば、これはたばこの売れ行きが悪くなる、これは専売としては私はあたりまえだと思う、専売に携っている人たちは。そこで、しかしだからと言って、国民と健康の問題は発表しないということはこれはだめだ。これは発表しなさい。これは今後発表しますということを言ったのです。これはぜひ大平総理大臣も、その専売の姿勢についてバックアップしていただきたいと思うのですが、これに対する見解を伺いたい。
 それからもう一つは、この研究機関を専売公社が受け持つというのは私は残酷だろう。これはちょっと専売の立場からすれば無理な話だ。したがって、研究機関は専売から外した方がいい。たとえば厚生省なり何なりへ移すことによって自由な研究ができる、国民サイドに立った研究ができる、その研究発表も自由にできる、余り専売公社の立場というものを考慮しないで発表できる、これが国民の期待にこたえることになるだろう。ですから、研究機関は専売公社と切り離しなさい、こういうことを強く主張いたしました。大蔵大臣も大変ヘビースモーカーでありまして、審議の途中経過の中で大変たばこを吸っておりましたが、私のいまの意見についてほぼ賛成したような答弁があった。これはひとつ検討してみましょう、勉強してみましょう。つまり健康とたばこにかかわる研究というものは、専売公社ではなくて他の機関に切り離して移す。この点も、大平総理のひとつ見解をこの際お伺いしておきたいと思います。
#151
○国務大臣(大平正芳君) 財政再建との関連でございますが、この点につきましては、大蔵大臣も私も財政再建で頭がいっぱいであることは御指摘のとおりでございます。けれども、たばこの値段の問題を考えるに当たりまして財政再建本位で考えておるわけじゃございませんで、他の先進国のたばこの値段、それからその他の嗜好品とたばことの値段のバランスなどを考えまして、この程度の値段の設定は決して過当なお願いではなかろうということで、財政の収入がこれだけ期待しなければならぬからこうするということよりは、むしろそういうバランスの中で確保できる財源を政府としてはお願いをしたいという趣旨のものと御理解をいただきたいと思います。
 それから第二に、喫煙と健康問題でございますが、これは仰せのように、非常に国民生活にとりまして重要な課題であると考えておりまして、今後この研究が何らかの形で公表できるよう、研究者の協力も得ながら検討していかなければならぬと考えております。
 この研究機能というものを専売公社からほかに、第三者に移した方がいいじゃないかという、一つの御見識だと思うのでございますが、たばこを一番知っているのは専売関係の方々だと思うのでございますが、御提言の点につきましては、政府部内で検討さしていただきたいと思います。
    ―――――――――――――
#152
○委員長(細川護熙君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、岩動道行君及び鈴木一弘君が委員を辞任され、その補欠として北修二君及び小平芳平君が選任されました。
    ―――――――――――――
#153
○坂野重信君 時間の制約がありますので、簡潔にお答え願いたいと思います。
 まず、総理にお尋ねします。
 五十三年六月に提出されました公共企業体等基本問題会議の意見書で民営論が提言されております。これにつきましては、たばこの小売業界等関連産業、七十有余年の歴史を持つ専売制度と歩みをともにしてきたものでございまして、皆さんが重大な関心を持っておるわけでございますが、この意味におきまして、専売事業の経営形態のあり方について政府はどのようなお考えであるのか。また、今回の法律改正がたばこの民営化のワンステップではないかというような意見もございますが、その辺を踏まえて、人々の不安にこたえるために、総理のまず明快なお考えをお伺いしたいと思います。
#154
○国務大臣(大平正芳君) 五十三年六月に提出されました公共企業体等基本問題会議の意見書におきまして、たばこ専売制度の廃止、日本専売公社の分割、民営化が提言されておりますことは御指摘のとおりでございます。同意見書におきましても、しかしながら専売公社を現時点で直ちに民営化することにつきましては、喫煙と健康問題、外国たばこ資本との競争問題等から検討しなけりゃならない問題とされており、さらに、たばこ事業の民営化には現在専売制度のもとにある関連産業、とりわけ国産の葉たばこの取り扱いをどうするか等、深刻な問題があることは、坂野さん御承知のとおりでございます。
 したがって、政府といたしましては、関係各方面の意見を聴取しながら、慎重に対処していく必要があると考えております。大蔵大臣の私的懇談会、たばこ及び塩専売事業問題懇談会において、たばこ専売事業に関連する利害関係者から意見を聴取する等、鋭意検討を行っておるところでございまして、この検討は、引き続き進めてまいらなければならぬと考えております。
#155
○坂野重信君 たばこ専売事業のあり方についてはいろいろ従来から議論がございますし、また、先ほど申し上げましたように影響するところは非常に大きいと。まさか政府としては、今度の法律改正というものが民営化のワンステップというようなことは考えてないと思いますが、この辺はひとつ十分に慎重に検討して対処をしていただきたいと思いますが、もう一度重ねてお伺いします。
#156
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのように、今回の改正、民営化の第一歩などとは毛頭考えておりません。
#157
○坂野重信君 わかりました。
 現在、本委員会で審議中の法案が成立しますというと、わが国のたばこ専売事業というのは、いわば新しい時代を迎えるということにもなるかと思います。わが国のたばこ産業は、長年の専売制度のもとではぐくまれてきたものであり、わが国たばこ産業の維持発展は、単に専売公社の努力だけではないと思いまして、たばこの小売店あるいはたばこ耕作等の関連業界の人々の協力によって成り立ったものと思いますが、このような意味におきまして、今後のたばこ事業の運営をどのようにされるのか、総理の基本的な考え方をお伺いいたしたい。
#158
○国務大臣(大平正芳君) 成年人口の伸び悩み、喫煙と健康問題等の影響によりまして、たばこ消費が伸び悩んでおることは御承知のとおりであります。また、諸外国がたばこ市場の一層の開放をわが国に迫っておりますこともございまして、わが国のたばこ産業をめぐる環境は大変厳しさを増しておると考えております。
 このような事態に対処いたしまして、わが国たばこ産業を維持発展させますためには、専売公社はもちろんでございますが、たばこの販売店、葉たばこ生産者を含め、広くたばこ事業に関連ある方々の力を合わせて、消費者の嗜好にマッチしたすぐれた品質のたばこを、しかも安く国民に供給できるように考えていく必要があると思います。
 このようなたばこ産業に従事する人々の一致協力した努力によりまして、四十年代のような大幅なたばこの消費の拡大は望めないにいたしましても、外国製品との競争下にありましても、安定的な事業経営を行うことが可能であると考えます。
 政府としては専売公社及び関連産業に対して、このような姿勢で指導してまいりたいと思います。
#159
○坂野重信君 次に、大蔵大臣にお伺いしたいと思いますが、いま総理がおっしゃいましたように、最近のたばこの売れ行きが伸び悩んでいると、しかも諸物価の高騰の兆しもありまして、たばこの小売店の経営というものもなかなか苦しくなっております。そこへもってきて、新しく小売店を開設したいという希望も多いようでございます。
 なかなかむずかしい問題でございますが、たばこの小売店というものは長い問国家財政の財源確保という立場からいいますと、私は非常な功績があると思うわけでございますが、そういう財源確保に協力してきた功労者とも言えるようなたばこの小売店の立場というものは政府としても十分理解し、また援助すべきだと思うわけでございますが、このような立場に立ちまして、たばこ小売業界の現状を十分考慮しまして、また一方、消費需要というものも勘案して、いたずらに、みだりに、無制限に小売店を増加するということもどうかと思いますし、また、店舗の配置の問題もあるかと思います。地域によって余りたくさんつくりますというと、非常に過当競争という問題も出てくるわけでございます。
 その辺を勘案しながら、適切な店舗配置というような問題も、政府としてやはり適切な措置を講じなければならぬと思うわけでございますが、この辺の問題につきまして、政府のお考えをお聞きしたいと思うわけです。
#160
○国務大臣(竹下登君) 単純に申しましても、たばこ販売店が消費者の購買の便宜という観点だけからしますならば、これは多く配置されることが望ましいという、これは単純な理屈でございます。しかし他方、行き過ぎた店舗の指定を行いますと、販売店の健全な経営を危うくいたしますし、また、商品の配送コストもかさむといった問題が生ずることになるわけであります。したがって、このため専売公社におかれましては、従来から一定の基準を設けて消費者利便等も考慮しながら販売店の指定を行ってこられたところであります。今後ともこうした方針のもとに、消費者の利便、そして健全な販売店経営等の調和を図りながら、適切な店舗配置に努めるよう、専売公社の考え方を指示、指導していくという立場をとりたいと考えております。
#161
○坂野重信君 時間の関係がありますので、最後に大蔵大臣と総理に一点づつお伺いいたしたいと思います。
 大蔵大臣にまずお伺いしたいんですが、たばこの値上げの二一%、二〇%というのは一見高率に見えるわけでございますが、まあ、高率に見えて、一部には他の公共料金の引き上げと重なって国民生活を圧迫するのではないかというような意見も出ております。たばこの値上げは何年に一度という、もうすでに四年以上たっておるわけでございますが、実施しなかった。その結果、結果的には納付金というものが低下しておりますし、また、小売店にとってはいわゆるベースアップというものが四年以上もなかったということもありますので、国家財政の財源の確保という立場から言っても、この際、この程度の値上げというものはまことにやむを得ないんじゃないかという感じがするわけでございますが、その辺についての大蔵大臣の見解、それが第一点。
 それから、総理大臣に最後にお伺いしますが、たばこ値上げについては、この問題は急にいま思いついたことじゃなくて、昨年から本委員会において継続審議の段階であるわけでございます。本来ならば、もう少しこの法案は早く通っておってしかるべきだと思うわけでございますが、現在、鋭意検討の段階でございますが、いずれにいたしましても、諸物価高騰のおそれの多い時期でもあるし、伝えられる各般の公共料金の引き上げ等については先ほども話がありましたが、極力最小限度にとどめるべきである、段階的な問題もありましょうが。これはぜひひとつ、総理のこれについての基本的な考えを、非常に努力され苦労されておると思いますけれども、そのお考えをもう一度改めてお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
#162
○国務大臣(竹下登君) 御指摘のように、二〇%程度という、たばこの定価が五十年以来据え置かれておる、これがやはり大きな理由であると思います。そうしてその場合、小売店の販売手数料等は、表現をかりるならば、ベースアップがその間なされなかったということと同じ結果になるわけであります。したがって、葉たばこを初めといたします原材料費等の原価の上昇等を考慮いたしました場合、この程度というものは私はぜひ御理解をいただきたいものである、このように考えておるわけであります。しかも、これが先ほど来御指摘のように、五十四年度予算の財源としても当時から考えられ、継続されてきたものでありますので、可及的速やかに議了していただきますことを心から期待をいたしておるということを表明いたしまして、お答えにかえさしていただきます。
#163
○国務大臣(大平正芳君) 公共料金の改定でございますが、これまでも先ほど片岡委員に御説明申し上げましたように、極力、時期、幅等につきましてぎりぎりのところまで抑える努力をしてきたわけでございます。今後も坂野さんが仰せになりまするように、政府としては真にやむを得ない場合、時期、幅等を十分周到に配慮をいたしまして、この公共料金の設定には当たりたいと考えておりまして、国民生活に及ぼす影響を十分念頭に置いて、御趣旨に沿うように努力してまいるつもりでございます。
#164
○矢追秀彦君 いまたばこの値上げについて私たちも反対でございますし、この委員会、これから総理を迎えて質疑をやるからには、もうあと幾ばくもないわけでございますが、あと残された実施時期につきましては、私は政府に対して、現在のこの物価の大変な高騰の中で十分な御配慮をいただきたいと思うわけでございます。
 たばこの問題に入る前に、先ほど来もいろいろ、出ておりましたが、アメリカのカーター大統領のインフレ対策、この結果、大変本日は通貨あるいはまた株式に大きな変動が起こっております。すなわち、欧州におきましてもドル買いが殺到いたしまして、通貨の下落、あるいはまたニューヨークにおける株式八百ドルが割れておる、こういう大変な、パニックとまではいきませんが、かなり波乱が起きております。円につきましてはそう大きな変動はございませんが、今後十分また円安の進むことも考えられるわけで、この一両日見守らなくちゃいけないわけでございますが、現在のこの状況を総理はどの程度深刻にこれは把握をされておるのか。まず総理のお考え、状況分析ですね、お伺いしたいと思います。
#165
○国務大臣(大平正芳君) 今日の物価高は、申すまでもなく、海外要因、為替要因というようなものが大変圧倒的に比重を持っておるわけでございますけれども、これがこれからどのように国内物価に影響してまいるかということはこれからの課題でございまして、これに対して精いっぱいの努力で有効に対応していかなければならぬのが、われわれの課題であろうと心得ております。
 そこで、石油並びにその他の資源の価格でございますけれども、国際的にようやく大きな激動期は過ぎまして、国際商品市況も高水準で鎮静に向いておるようでございますが、問題なのは為替でございまして、いま仰せのように、世界的に大変不安定な状況にあるわけでございまして、何としても可能な限りの努力をいたしまして、為替市場の安定を図っていかなければならぬと考えておるわけでございまして、そういうことに全力を挙げて対処いたしますならば、この春が一番しんどいピークじゃなかろうかと、それを乗り越えてまいりますれば、やや愁眉を開くことができる段階を迎えることができるのではないかと考えておるわけでございまして、明日政府としては財政、金融政策全般にわたりまして慎重な運営を目指した方策、便乗値上げ防止のための調査監視機能を強めてまいる方策等を基本といたしました総合物価政策を発表いたしまして、その誠実な実行に当たる決意を固めておるわけでございまして、国民の理解を得てこれが奏功いたしますならば、総体的な物価の安定に大きく寄与するのではないかと期待をいたしております。
#166
○矢追秀彦君 物価対策の問題はまた後にしまして、いま私が総理にお伺いしているのは、現在の特にアメリカのインフレですね、この米国のインフレに対してどれぐらいの認識をされておるのか。私は、現在のアメリカは大変な超インフレと言いたいんですが、これが日本に波及すると大変だと思っております。スパイラルインフレと言いたいんですけれどもね。これはもちろん原油の値上げはございますけれども、それ以上に私はアメリカの生産性に問題があると。いわゆる需給のバランスがとれていない。しかも、アメリカの政府はかなりいままで紙幣をたくさん発行してきた、こういったところにあると思います。かつて、アメリカがベトナム戦争等やっておりましたときは、あるいはまた、その他のオーバーコミットメントでドルがうんと安くなった時代もございましたけれども、現在はこのアメリカのいわゆる高金利、そして大変なインフレは生産性の問題にあると思います。
 これから外務大臣も訪米されますし、総理もいずれ訪米をされると思いますが、このアメリカのインフレのやはりこういった根本的な問題についでは、日本の総理としてはかなり私は強い意見を言ってもらいたい。アメリカのインフレがおさまらなければ、世界の経済は大変なことになる。何か油、油というふうに目が向いていますが、もちろん、油もありますよ。しかし、現在、アメリカのガソリンというのは日本と比べればそんなに高くはないわけですし、そういう意味で、私はアメリカがこういうようなインフレになった原因というのは、いろいろございますが、一番大きいのは生産性の問題にある、こう私は理解をしておるわけですが、総理はいかが理解をされておるのか。これについてアメリカに対してどういう要請をされているのか、この点をお伺いしたいと思います。
#167
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのように、アメリカのインフレはゆゆしい段階だと思います。この最大の原因は、申すまでもなく、アメリカの生産性がふるわないというところに起因しておることは、矢追さんがおっしゃるとおりだと思うのでございます。しかし、仰せのように、アメリカは世界の期待を背負って、世界の安定、秩序を支える大きな抑止力を持っておる国でございまするし、ドルは依然として世界の基軸通貨の地位を持っておるわけでございます。したがって、仰せのように、アメリカがインフレから脱却して立ち直らない限り世界経済は立ち直れませんし、また、アメリカがインフレから立ち上がってその健全性を取り戻さない限り、アメリカに期待するところの世界秩序に対する抑止力は有効に働かないということも明らかでございます。
 したがって、われわれは、ひとり座視してアメリカの善処を求めておるというわけにはいかぬと思うわけでありまして、アメリカを激励いたしまして、アメリカのインフレ対策を中心として当面のアメリカの政策が成功するように強くアメリカに求めなければなりませんし、また、国際的な場面を通じまして、アメリカの政策に経済的にも外交的にもいろいろ協力をして差し上げるということが、いまわれわれの大きな任務であろうと思うのでございます。
 アメリカを非難することはやさしいのでございますけれども、アメリカにしっかりしていただかなければならぬという要請は、一層切なるものがあると思うのでございまして、そういうところでわれわれといたしましては、同盟国としてのコミットメントはもとよりでございますけれども、それをさらに強めて、今日の危機打開のためにアメリカが成功するように協力をしていかなければならぬ、激励を続けてまいらなきゃならぬ、そう考えております。
#168
○矢追秀彦君 まあ激励は大いにしていただきたいのですが、余りにもアメリカが理屈の通らないことを日本に強く要求してくる場合には、ただ同盟国だからという理由で余り軟弱外交、極端な言い方をすると、アメリカに絶えず頭を下げるような外交だけはこれはやめていただきたい。これは強く要望する次第です。
 円安につきましていま申し上げましたように、きょうはそう動いてないにしても、これから動いてくる可能性が出てまいります。これは今回公定歩合を日本も上げた場合、かなりおさまるというふうな見通しだと先ほど大蔵大臣のお話だと思いますが、ただ私がきょう申し上げたように、いま欧州でドル売りが殺到しておる、そういったことを思いますと、今回の九%だけでまだおさまらぬのじゃないか。また次の段階に追い込まれるのではないかと。だからといって、いつまでも日銀がこれに介入をして円高をつくり上げることもなかなかむずかしいと思いますが、この円安傾向をとめるいわゆる介入は、どこまでが限界と考えておられますか。これは大蔵大臣で結構です。
#169
○国務大臣(竹下登君) いわゆる円安の限界とでも申しましょうか、そういう問題につきましては、これはされば好ましい姿はどこにあるかということを予測をお示しすることに結果としてなるわけであります。したがって、私ども通貨当局者としては、その限界がどこまでであるという表現をすることは差し控えさしていただきたい。
 ただ、現在の、きょうは二百四十八円八十銭で終わっておりますから、ヨーロッパのマルク、スイスフラン等に比べたら比較的落ちついてはおるのでございますけれども、がしかし、いまの為替そのものがやはり安過ぎるではないかという一般論としての認識は持っております。もっと実力があるではないかという一般論としての認識は持っておりますものの、さればどこまでならば介入すべきだとか、あるいはどこまでがあるべき姿だとかということは、通貨当局者として、矢追さんと私の問答の中でいろいろ御判断をいただくことは結構でございますけれども、明確にお答えすることは差し控えさしていただきたいということであります。
#170
○矢追秀彦君 そこで総理にお伺いしますが、これは一昨年ぐらいだったですかね、かなりいろいろ議論されましたいわゆるローザ構想というやつ、緩やかな変動相場制。こういうこともまたこれは考えていかないと、こういう大変な変動が出てくる。比較的いままで安定していたと言われておったスイスフランあるいはマルクまでが不安定になってくると、何か新たな対応を講じなければいかぬのじゃないか。先ほど総理は、米ドルが依然として基軸通貨であると。こういうことになれば、よけいまた、そういった点も考える必要が出てくるのではないかと私は思うわけですが、総理はいかがお考えですか。
#171
○国務大臣(大平正芳君) 大変めんどうな問題でございまして、私も自信がある答弁はできませんが、ECはECとしてその連帯性の上に立ちまして、どのように為替市場に取り組んでいくかということについて、ある種のコンサーテッドアクションと申しますか、そういうものが取り得る立場にあるわけでございますが、日本の場合は極東の地に孤立した国でございまして、相場が立つのも裏と表になっておるようなところでございますばかりでなく、日本は完全にドル圏でございまして、日本がドル圏であるばかりでなく、日本の周辺も韓国、台湾その他ずっとドルとの連関を持った通貨地域でございます。
 したがって、日本の場合、通貨を論ずる場合には、どうしてもあなたの言われるドルとの間の安定した値段というものを目指さざるを得ない、と思うのでございます。そこで連銀と日銀の間にはスワップ協定がございましたが、これまで発動していなかったけれども、これから遠慮なくこれも発動しようじゃないか。また、アメリカのリスクにおいて円維持のためには介入しようというようなことが、この間の日米で合意をいたしたことから、一歩そういう方向に進んだと思うのでございます。
 私は、こういう体制で、双方の通貨当局の非常に周到な協力体制で、何とか円・ドルの相場というものが、あなたがおっしゃるように、そう大きな変動がない状況に持っていくべくあらゆる努力を傾注していかなければならない。現在のところ、そういうことが、いまヨーロッパの市場は荒れておるようでございますけれども、円・ドルの間は比較的平穏であるということにもその協力の成果は出ておるように思うのでございまして、この協力体制を実のあるものにしていくというように努力をしていくべきじゃないかと思います。
#172
○矢追秀彦君 いま日本と円についてはそう荒れていないのは、そういったスワップ等のことがあるからだというお話ですが、私はちょっと悲観論者であるかもしれませんが、まだもう少しちょっと厳しいんじゃないかと思います。したがって、今後ともいわゆる変動の少ないような施策、これは早急にやっていただきたいと思います。
 総理にお伺いしますが、日米経済摩擦にも絡みますが、私はきょう午後の質問でも大蔵大臣にも申し上げたんですが、結局、日本というのは、どうあろうとやっぱり輸出というものを基本に置かざるを得ない。輸出立国といいますか、これで生きていかざるを得ないという、製品あるいは技術あるいはノーハウ、これでいかざるを得ないと思うんです。当然、その経済摩擦というのは起こらざるを得ない。したがって先ほど、同盟国であり協力をすると言われています。だから、アメリカにもその点の理解を求めながら、やはり日本もある程度譲ることは譲りながらも、やっぱり私は輸出というものは、いまも伸びている面もございますけれども、自動車等は大変厳しくなっております。これは何とか考えていかなくちゃいけない。ノーハウについてもまだまだアメリカの方がうんと多いし、日本が売っているノーハウは少ない、こういう状況です。
 これについては政府としても本気になってやっていただきたいと思うのですが、いわゆる摩擦の解消、これは外交努力でやりながら、やっぱり私は日本が輸出を伸ばしていく。前回のオイルショックの後も、一時は大変なデフレになり厳しい状況でしたが、後、やはり輸出が持ち直して円高というのが出てきた。円高が出てくれば原油だって安く入るわけですから、電力料金等についてもいま大変な議論をされておりまして、あしたから決まるとか何とか言われておりますけれども、こういった問題もある程度は解決をしていく。そうなれば、やはり私は日本というのは、ある程度輸出が生命線であるというこの基本は据えた上で、そしてそれの障害をどう取り除いていくか、いろいろな問題を解決していくか、ここにあると思うのです。その点、総理はどういう御決意ですか。
#173
○国務大臣(大平正芳君) 非常に幸いに東京ラウンドが、いろいろな曲折はありましたけれども、まとまりまして、いま衆議院で関連協定の御審議をいただいておることは御案内のとおりでございます。これは世界の貿易が保護主義に傾斜し転落することなく、自由な貿易拡大の方向をとるのだということを基本にいたしましてでき上がったものでございまして、私は世界経済のために非常に大きなこれはメリットであったと思うのでございます。
 したがって、こういう基本が確立しておりますので、日本とアメリカその他、日本がこれから生ずるであろう貿易上の摩擦、投資その他の摩擦は、大きな軌道はできておるわけでございますので、そんなにこの軌道から外れたようなことはできないことでございます。したがって、非常に混沌たるところにほうり込まれているわけじゃないということであります。
 それから、しかしながら多くの貿易をやっておりますと、また多くの投資がございますならば、そこには必ず一応の摩擦みたいな現象が起こるわけでございまして、日米間にはもうしょっ中摩擦が起こって、それを処理したと思えばまた新しい摩擦が起こってまいるわけです。私は、ある程度これはやむを得ないと思っておるのです。往復四百億ドルもの貿易をやるのですから、その間に摩擦がないなんというのはおかしい話なので、あったからといって別に驚いちゃいかぬわけで、それはそれとしてほぐす原則はあるのですから、丹念にもつれをほぐしていくと、そういうことでやっていけば解決できないことはないと思っております。
 それから第三には、しかし、世界の貿易の形態がだんだん変わってまいりまして、単品貿易からだんだんプラント物になってきましたが、そういうことを越えまして相当の加工品の貿易になってみたり、ついでに工場立地そのものをこっちへ移したらどうだというようなことが日本と豪州の間におきましても、日本とヨーロッパ各国との間にも起こっておるし、アメリカとの間にも起こっておるように、非常に重層的に摩擦が起こる分野が広くなってきておりますが、同時に、摩擦を解消する手だても多くなっておるとも言えるわけでございますので、私はいま矢追さんが提起された問題につきましては楽観も悲観もしてないわけでございまして、これに対しまして冷静に対処していけば道はあるのじゃないかと考えております。
 具体的にはアメリカといま問題が若干出ておりますけれども、これとてもいろいろな手だてを講じまして、政治の問題に転嫁しないように、経済は経済の問題として処理いたすように、最善を尽くして御期待にこたえなけりゃならぬと考えております。
#174
○矢追秀彦君 楽観も悲観もしていない、まさしく総理の得意の自然体だと思いますけれども、その問題はもう時間がありませんのであれとしまして、もう一つは、あす発表される物価対策の中で、先ほど大蔵大臣は総需要管理という言葉を使われました。新たに出てきた言葉でございまして、これは総理が名づけ親ですか。
#175
○国務大臣(大平正芳君) いや、政府でみんなで考えたわけでございます。
#176
○矢追秀彦君 悪く言うと、大変ずるい言葉だと私は思います。しかし、いい意味でとりますと、私は善人ですからいい意味でとりたいと思いますが、いままで総需要抑制、こういうようなことで来ましたが、管理という言葉は私はかなり弾力的に発動をして、そして対処していく、こう判断をしたいわけですが、ただ、最近の財政というのが果たしてそれだけの弾力的機能を持ち得ておるのかどうか、これを大変私は問題にしたいわけです。
 かつては不景気になれば公共事業をどんどんふやして、すぐそれが景気刺激になって景気が回復した。最近は全然そういうのはなかなか働きにくくなっている。そういったときに、総需要管理ということで果たして機動的なことができるのかどうか大変私は心配しておるんですが、総理はどうお考えですか。
#177
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのように、これまで財政がしっかりしておりまして、財政が出動して総需要を喚起して景気を支え雇用を支えるというようなことは、一つの景気政策のパターンとしてとられて、それなりの成果を上げてこられたわけでございますけれども、財政自体が疲労いたしまして、いまそんなに経済に介入するほどの弾力を持っておりません。ことしの予算でごらんになりますように、財政は全く中立的でございまして、景気にプラス、マイナス作用を及ぼさない程度の予算になっておるわけでございますが、公共事業費というものを前に倒すとか後ろに倒すとかいうような操作は、ごくわずかの影響力しか持っていないことは御指摘のとおりでございます。それだけにいまの物価政策、景気政策というのはむずかしいわけでございます。
 しかし、そういう財政が再建されて対応力を回復するまでは、われわれはそれを確保してかからにゃいかぬわけでございまして、厳しい環境でございますけれども、そういう制限された中で総需要の管理というようなことを考えますと、財政に大きく期待できないという前提で考えていくということでございますので、ごく当然のこととして金融にロードがかかってくるわけでございます。
 ところが、あなたがいま言われましたように、それから先ほど片岡さんからも御指摘がございましたけれども、九分ということになりますと、いま最高のところへ来ておるわけでございまして、これ以上なかなか日銀当局もむずかしい選択になってくるのじゃないかと思うのでございまして、財政、金融とも相当険しい限界の中で物価政策をやらなけりゃならぬという状況にありますことは、あなたの御指摘のとおりでございます。だといって、それでは大変むずかしゅうございますと言うておれませんので、精いっぱいの知恵を出してあした発表して御協力を得るように、いませっかく成文中でございます。
#178
○矢追秀彦君 時間がありませんので、まとめてたばこの問題を伺います。
 専売のあり方、三公社五現業を含めまして、国鉄は御承知のように大変赤字を抱えて困っております。専売公社、その専売事業というのはやはり将来いろいろ問題が出てくるかと思います。
 国鉄を長い間放置しておいた大きな責任が、今回こうなりました。五人家族にいたしまして、一世帯当たり二十七万円の累積赤字です。こういう大変な状況に落ち込んでしまいました。だから、この専売事業としてこのままでいいとは私は思いません。将来は総理はどういう見通しで、どういうことをお考えになっておるのか。これが一つ。
 それからもう一つは、先ほどたばこと健康の問題についても申し上げました。また、表示の問題についても申し上げました。政府は値上げをしたいという気持ちでございますから、仮に値上げが成立をいたしましたといたしましても、先ほど実施時期の問題についても申し上げましたが、消費者に対するサービス、また特に私は妊産婦の喫煙については厳禁をしたいと思っておりますので、その点も表示の上できちんとしてもらいたい。たばこの箱につけられなくても、たばこ屋さん、あるいは自動販売機には表示ができるわけでございますから、そういった点の消費者の健康あるいは消費者の立場、こういつたことを考えた上の十分な施策は、これは総理にひとつイニシアチブをとっていただいてやっていただきたいと思いますが、それをお伺いして、質問を終わりたいと思います。
#179
○国務大臣(大平正芳君) 国鉄、専売等公社の将来の経営問題でございますが、これにつきましては、五十三年の六月に提出された基本問題会議の意見書がございまして、これは政府も去年の暮れ追認いたしまして、こういう方針を踏まえて検討を進めようということにいたしております。けれども、問題は、国鉄のように今日そういう悠長なことを――悠長と言ったら悪いのですけれども、そういう問題に取りかかる前に、再建自体についてもっとドラスチックなことを考えなきゃいかぬ公社がございますので、これは別途とりあえずの再建のいろいろな方途を立法化いたしまして、立法の力を背景にいたしまして、とりあえず国鉄再建を図ろうという姿で国会にいま御審議を願っておるところでございます。
 専売公社の場合におきましては、そういう心配はいまのところございませんけれども、これも決して安心しておってはいけないわけでございまして、経営の合理化、刷新ということにつきましては、総裁以下不断の努力を傾けていただかなければならぬわけでございまして、その点は十分公社当局においても、大蔵当局においてもお考えいただいておることと思うのでございます。一層経営の合理化、刷新には格段の努力を続けていかなければならぬ、厳しく対処していかにゃいかぬと私も考えております。
 それから、健康と喫煙の問題につきましては、先ほど片岡さんにもお答えいたしましたとおり、いま公社で鋭意研究しておるようでございますが、その成果はできるだけ公表いたしまして、国民の期待にこたえなければならぬと考えておりまするし、こういった研究をさらに改善する方途につきましては一層また研究を進めてまいる、検討を進めてまいるようにいたしたいと考えておりまして、御指摘の点につきましては、政府といたしましても公社といたしましても、格段の努力を傾けてまいることをお約束いたします。
#180
○渡辺武君 まず総理に伺いますが、総理、昨年年の総選挙の投票日の直前に、一般消費税五十五年度導入を断念されるという趣旨のことを言明されたわけですが、これは十二月の二十一日の両院の本会議決議で事実上とどめを刺されたわけです。そして、今回のたばこ定価の値上げなど公共料金の一斉引き上げ、これはこうした事態のもとでの増収対策の一つというふうにわれわれは考えているわけですが、しかし、大蔵省の発表しました財政収支試算を見ますと、やはり歳入不足は依然として非常に大きいわけです。それに加えて大蔵大臣が、この間五日の日の参議院本会議の御答弁の中で、一般消費税について提案できる環境にはない。ただ、消費支出一般に着目した税を一切否定することは税体系上もむずかしいということで、一般消費税についての含みをなお残されているような御答弁があったわけですが、大蔵大臣の御見解はそれはそれとして、総理はどう考えていらっしゃるのか。
 つまり、五十六年度以降の歳入増加対策をどうしようと考えているのか、一般消費税についてなおやはり導入を何らかの形で考えておられるのじゃないのか、その点をまず伺いたいと思います。
#181
○国務大臣(大平正芳君) 財政は、渡辺さんには釈迦に説法ですけれども、歳入と歳出があるわけでございます。したがって、歳入の一税目をやるとかやらぬとかいうようなことを議論するのがおかしいので、歳入と歳出を両面から攻めていって、適正なバランスのもとで財政は考えにゃいかぬと思うのでございます。
 そこで、二つほどお答えしたいと思います。
 そういうことを考える場合に、いわゆる大蔵省は将来の一定の数字を仮定いたしまして、財政収支の試算をつくってあります。あれも歳入と歳出と両方あるわけでございまして、あれは何も歳出を約束したものでもなければ、歳入をあそこでコミットしたものでもないわけでございまして、こういう仮定で計算するとこういう数字になりますと、これはえらい数字じゃないか、これはやっぱり歳出もひとつ注意せにゃいかぬが歳入も注意せにゃいかぬ。そして、適正なバランスをとった財政計画というようなものを、財政の再建の方途を探さにゃいかんという意味の参考の資料とお受け取りいただいて、あそこで何兆円の増収の数字、増収を込めたような数字があるから、あれは必ず増税に踏み切っておるのだということを前提にして、その金はどこから引っ張ってくるのだというようなことになるわけでございまして、あの前提といたしまして、ああいう計算で歳入歳出を見るとああいう姿になるので、これを見て歳出をどうするか歳入をどうするか、ひとつ御吟味をいただきたいと。政府もまた、それで吟味しておるのだということが一点です。
 それから、したがって第二に答えといたしましては、一般消費税をどうするのだ、こうするのだというものの答えといたしましては、国会の御決議も非常に賢明な方々が書いたあれは文章だと思うので、うまいことできていますわな。歳入歳出両面からよく検討せにゃならぬ。もうきわめて当然なことでございますので、渡辺さんに対する答えは、歳入歳出から広く検討をいたしまして、各方面の意見も、共産党の意見も聞きますよ、伺いながらやっていかにゃいかぬわけでございますので、各方面の意見を聞きながら妥当な結論を出したいというのが、私の心境でございます。
#182
○渡辺武君 おっしゃるとおり、歳入歳出両面から見ることはこれは当然です。ただ、きょうは時間がないから、だから歳入の問題にしぼって伺っているんだから、そういう見地からひとつお答えいただきたいと思うんですよ。この財政収支試算は、これは確かに仮定のことなんですが、しかし一つの議論の材料になることは、これは明らかなんです。そのつもりで出されたと思うんですね。
 それで、私、この財政収支試算を一つの基礎としてみますと、現在の税制ですね、これでGNPの伸び、それから税の弾性値、これらで計算した税収と、そしてこの財政収支試算で五十九年度赤字公債ゼロということを前提とした場合の歳入必要額ですね、税収必要額、これと比べてみますと、そうすると五十六年度では一兆一千二百億、五十七年度では二兆五千九百億、それから五十八年度では四兆五千億、五十九年度では六兆九千四百億円。新しい税制を何か採用して税収を図るか、あるいはまた現在の税目、これの税率引き上げ等々によってやるか、いずれかの手段をとらなきゃならないようになっているわけですね。これは、ただ単に一つの参考資料というだけでなくて、やはりその点ははっきりどういう方向で行くのか、その辺も確かめたいというのは、これはだれもが考えることだと思うんです。
 ですから、その点で、どういう方向でやろうとなさるのか。つまり、新しい何か新税を創設してやろうと考えていらっしゃるのか、現在の税の種目の税率引き上げ等々でやろうとするのか、その辺はどうですか。
#183
○国務大臣(大平正芳君) その前提としてやっぱり歳出があるわけでございまして、これだけの歳出はどうしても確保せにゃならぬということであれば、それについての歳入を考えにゃいかぬわけでございますが、こんな歳入を考えるというと、とてもこんな歳入は無理じゃないかということであれば、もう一遍歳出に返りまして、歳出を御遠慮いただくような工夫をせにゃいかぬわけでございますから、それに対する答えも歳入歳出両面からお答えせにゃいかぬことになるので、だから、こう両方を見ながら落ち着くところへ落ち着けていかにゃいかぬというのが私の答えになります。
#184
○渡辺武君 それじゃ大臣、答弁にならぬのですよ。それは歳出はもちろん考えなきゃならぬが、歳入について特に伺っているんだということを申し上げているわけだから、歳入についてやっぱりはっきりしたことをおっしゃっていただきたいと思うんです。
 それで、なお続けて申しますと、五十二年の十月、若干古いんですが、税調の中間答申、これを見てみますと、今回のたばこ、これも含めて、それから個別物品またはサービス課税、いわゆる間接税、これの増税を検討すべきだということをはっきり言っているわけですね。そういう線に沿ってこの法案も出てきたんだろうというふうに私考えているんですが、その税調が、最後の方をずっと見てみますと、こういう個別間接税の見直しでは財政収入に限界があるということを言っているんです。それで、やはり何らかの新しい税制を考えざるを得ないのじゃないかというふうに思うんですが、その点どうですか。
#185
○国務大臣(大平正芳君) また同じ答弁になるのですが、やっぱり歳出の方でどうしても必要だということにならぬと、みんなにきらわれながら歳入を考える人はいないですよ、それは。でも、私なんかは正直なものだから、一般消費税を入れるか入れないかいろいろ議論しておる間に、あなた方に、これはもう入れるに違いないのだなんていって宣伝されて、えらい迷惑をしています。だから、もう今度はこんりんざいそんなことは言わぬ。だから、これだけは必要だという歳出を出していただかないと、それをどう調達するかなんというようなことをいまごろから議論するのは、財政当局として不謹慎ですね。そういうことはしちゃいかぬです。
 だから、まず何が必要かと、福祉なら福祉、教育なら教育、防衛なら防衛、いろんな議論をしていただきまして、どうしてもこれだけ必要だがというようなものを各党は出していただいて、それに対してやっぱり歳入はこうすべきじゃないかというようなことを見ないと、もう歳入の税制のところだけでどうするのだというようなことを聞かれても、それは全くむちゃな御質問になりますよ。そういうことは私は答えられません。
#186
○渡辺武君 それは大臣、ちょっとむちゃな――本当ですよ、むちゃな答弁ですよ。財政収支試算だって、歳入と歳出の両面にわたって試算しているわけですね。そうして歳出についてもある程度の、そうめちゃくちゃに歳出を削るなんというわけにいかぬことは、これは明らかなことですよ。だから、歳出の方についても一定の試算を出しながら、同時にまた、歳入についても一定の数字を出しているわけでしょう。だから、私聞いているんですよ。そうでしょう。そのくらいのことおわかりでしょうが。だから、もし仮に、こういうふうにたばこの定価の値上げなど個別消費税の値上げによって、税調が言っているように限界があるとすれば、新しいやっぱり何か税制を考えざるを得ないんじゃないのかと。これは当然の質問でしょう。どうなんですか。
 それから、もう一点ついでにお答えいただきたいと思うんですが、一ころもう一般消費税はこれは国民に不評判で、総理大臣はえらい迷惑を受けたとおっしゃったけれども、われわれは非常に痛快ですよ、五十五年度導入断念で。しかし、一般消費税という名前ではどうも不評だから、何か目的税的なもので、たとえば福祉税というような名前をつけてやったらどうだというような議論があるんですが、その点についてはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
#187
○国務大臣(大平正芳君) 議論を進める意味におきまして、これはむちゃな議論でないので、あなたは将来の歳入計画というものに何を考えているのだということを私にお尋ねになるのなら、将来歳出としてはこの程度はどうしても必要だと思うがというあなたの考えがなければいかぬわけです。それを前提といたしまして、自分はこれだけの歳出がどうしても必要だと思うと。そうすると、どうしてもここでこれだけの歳入計画を立てないと、これはつじつまが合わぬじゃないか。その場合に大平、おまえはどうするのだと、こう聞いてくれなけりゃいかぬので、また無前提で、今度そういう前提抜きにして税金の議論なんかしよると、もう自民党は税金を上げることばかり考えておるというようにあなた方宣伝するに違いないのです。非常に迷惑なんです。
 だから、まず歳出についてこれだけ必要とすると思うが、自分たちもそれはやむを得ないと思うけれども、そうすると、いまの歳入計画ではこういう工夫が要るじゃないかと思うが、おまえはどう考えるのだというように聞いてくれなけりゃいかぬ。長いつきあいじゃないですか。(笑声)
#188
○渡辺武君 つき合いは長いですがね。(笑声)
 しかし、つまり私はこう言っているんですよ。この財政収支試算でも、支出はこのくらいになると、だから歳入もこのくらいにしなきゃいかぬのだという一定の数字を出しているわけですね。これを基礎にして議論しているわけですから、私、改めて、おれは歳出をこのくらいにしなきゃならぬと思うと言う必要はいささかもないんです。これを基礎にして議論してほしいんですよ、大臣。そう、あつものにこりてなますを吹くような答弁では答弁にならぬです。一国の総理大臣が、もう少しやはり見解のある答弁をはっきり示していただきたいですね。どうします。
#189
○国務大臣(大平正芳君) だから、先ほど申しましたように、われわれといたしましては、いろいろ御議論をいただく意味において、こういう前提でやるとこういう歳入歳出の計算になりますと。これに対して、これじゃ歳出が多過ぎるじゃないか、これじゃ歳入は多過ぎるじゃないかというような、この財政収支試算からいろいろなアイデアが出てまいりまして、これに対しまして御質問がいろいろ出てきてしかるべきだと私は思うのでございまして、歳出とかかわりのない歳入なんかないわけでありますから、だからそういうことを私は申し上げておるので、むちゃでも何でもないので、財政というものはそういうものだということは、あなたも万々御承知のことだと思いますけれども、私といたしましては、したがって、今後の歳入計画を議論する場合には、あわせて歳出についての見当も伺いながらやらないと間違いを起こす。うかうか乗っておっちゃいかぬと考えておるのです。
#190
○渡辺武君 逃げに逃げている。そこに非常に臭いものを感ずるということだけは一言申し上げておきます。
 それで、時間がないので次へ移りますけれども、きのう私ども「物価対策に関する緊急申し入れ」というのを、官房長官を通じて総理大臣に差し上げました。もう御検討いただいたと思いますが、この共産党の申し入れに対して総理の御見解を承りたい。
#191
○国務大臣(大平正芳君) 第一の「電力・ガス値上げ凍結と再査定」でございますが、これは先ほど片岡さんにもお答えいたしたわけでございますが、これまで、五十四年度は値上げしないということで、大幅の赤字を出しておりながらしんぼうしてきておるわけでございますが、もはやもう限度に来たということでございますので、値上げを凍結するわけにはまいりません。
 それから再査定。六四%程度の値上げ、ガスにつきましては何ぼでしたか、それぞれ申請がございましたけれども、私どもの方で厳重に査定をいたしておる最中でございまして、近くこれを決定いたしたいと思います。ぎりぎり最小必要限度のレベルに査定をいたしたいと考えております。
 それから「電話料金の引き下げ」につきましては、目下検討をいたしておるところでございます。
 それから「石油・鋼材など独占価格の不当つりあげの規制」、これにつきましては、石油、鋼材とも自由商品でございまして、本来政府が値段を決めるたてまえにはなっていないわけでございます。石油につきまして石油三法を採用せよという議論もありますけれども、政府はそういう状況だとは判断いたしておりません。鋼材につきましては、いまメーカーと使用者の間で価格の協議が行われておるようでございまして、その状況をいま政府として見ておるわけでございまして、規制を加えるというようなことはいま考えておりません。
 それから、「農産物価格保障制度の充実」でございます。現在の価格保障制度につきましては、適正な運用を図ってまいりたいと考えております。
 「国民本位の財政金融政策」、これはもとより国民本位の財政、金融政策をわれわれは志向して努力をいたしておるわけでございますが、見解のベースが御党とは相当開きがありますことは、あなたが御承知のとおりでございます。
#192
○中村利次君 日本専売公社法等の一部を改正しようとする理由の中に、財政の再建にも寄与しようというものがあるわけでありますけれど、本法案を審議しているうちにも経済環境は激変しておるわけであります。
 私は、やっぱりこの問題をたな上げにして議論をすることは、私としては無意味であろうと思いますから、この問題を中心として総理にお伺いをいたしますけれども、そういう中で三月の二日に円防衛の緊急策をおとりになったわけであります。私は、それなりにこれは無効果ではなかったと思うんですね。やっぱり緊急策としてはそれなりの効果があったと思いますけれども、しかし、やっぱりこれは抜本的なものじゃございませんから、もうすぐに、たとえばアメリカの総合インフレ対策なんかでもう全くあおり上げられて、円安傾向というのはとどまるところを知らない。そこにいろんな要因が絡んで、先ほどすでに指摘をされましたように、ポンドあるいはマルクあるいはフラン、こういうものに対してドルがこれは大変にどうも高くなっている。
 円は、きょう日銀で九%と、これは大変な、一・七五%一挙に上げて天井感をはっきりここでさせようという目的を持って恐らくおやりになったと思いますけれども、こういうのがありますし、あしたは総合物価対策をお決めになると言う。ところが、やっぱり相場というのは先取りをするのが相場の常のようでございますから、やっぱり九%の公定歩合はもうすでに先取りをされて、あるいはあしたの総合物価対策というのも先取りをされて、先ほど大蔵大臣がおっしゃったように、東京外為のきょうの終わり値で二百四十八円八十銭、これは私は、こういうものに対する御祝儀相場みたいなものじゃないかと思うんですね。
 そうなりますとまことにこれは深刻でございまして、思い切って天井感をはっきりさせるために九%の公定歩合にした、総合物価対策もあした発表すると、決めると。そういう中で、円安がとどまらないということになりますと、これはきわめて深刻な事態と受け取らざるを得ないと思うんですね。
 そういういろんな要因としては、アメリカのプライムレートが二〇%になるのは必至であるとか、あるかはユーロダラーの金利がもうすでに二〇%になったと。いろんなものがあるようでありますけれども、これはこういう深刻な事態で、確かに公定歩合九%というのは思い切った措置でございましょうけれども、条件次第ではそれだけでは済まないんじゃないかという、それから、やっぱり外為市場なんかでも九%では済まないんではないかという見方がもう定着をしておるようでありますけれども、そういうものに対してどうお考えになり、どう対処されるか。加えて、本当にそういう深刻な事態になった場合やっぱり九%を固執しておられないんではないかと思うんですが、総理いかがでしょう。
#193
○国務大臣(大平正芳君) われわれは、今日の事態におきまして、最善の政策を選択して実行しなければならぬ責任があるわけでございます。金融当局は金融当局として最善を尽くす、財政当局は財政当局として最善を尽くす、物資経済当局はそれとして最善を尽くすということであらねばならぬと思うのでございます。
 それが、中村さんがおっしゃるように奏功いたしまして鎮静な結果をもたらすか、それともそれは十分な効果をあらわさないか、それは第二の問題であろうと思うのでございますが、政府といたしましては、いまそういう意味で総合的な、つまり総力を挙げてこの事態に日本としてベストな施策を講じようということをいたしておるわけでございます。
 それから第二といたしまして、この間、為替市場対策をアメリカその他の国と協力してやりまして、また今度このような政策をやったわけでございますが、対ドルの為替レートはヨーロッパでこそ激動いたしておるようでございますけれども、わが国の場合は二、三円の幅の中で比較的落ちついた動きを示しておるように思うのでございまして、私どもといたしましては、いままで構えておる政策的な手段を駆使いたしまして、できるだけ安定帯に持っていかなければならぬ、それはできない相談ではないのではないかと考えておるわけでございます。
 第三に、日本の今日の状況は、国内にのっぴきならぬインフレ要因があるというよりは、外的な要因が多いわけでございます。つまり、在来の対策では金利を上げるというようなこと、公定歩合を上げて需要を管理していくという方向にとることが最大の政策の軸しんであるわけでございますけれども、いま日本の場合は、そういうことよりは、むしろ生産性を上げてこれに適切に対応するというポジティブな対応の方が大事な国だと思うのでございます。
 ただ、日本も孤立しておるわけじゃございませんので、国際経済の中におる日本でございますから、外国の金利高、金利政策というものを無視できません。可能な限り、日本としてもそれとの調節は考えにゃならぬわけでございますけれども、日本のいまの置かれた立場といたしましては、極力われわれは生産性を高めて技術力を強めて、経営力を強めて対応していくということが政策の本筋、つまり金利政策よりはその方が本体なのだというように私は見ておるわけでございまして、そういう状況の中で、いまとっておる政策はベストな選択であると、私は確信をいたしております。
#194
○中村利次君 それは私は何も否定してないんです。確かに総理おっしゃるとおりですね。円は対ドル相場で、わりといまのところわずかの範囲で安定しているように見えます。しかし、これは政府が無為無策じゃなくて、打つべき手を打ち尽くして、もう公定歩合も上げた、それから総合物価対策もあした決めるということになれば、そういうものをすべて織り込んだ相場観なんというものが、このいまの二、三円程度の少差にとどまっておると私は思うんですよ。
 だからこそ、むしろ心配は強いのでございまして、根本的には、やっぱり日本が石油に弱いというのがもう決定的なこれは根本原因でございますから、エネルギー資源大国のアメリカと無資源国の日本とで同一の議論はできないわけでして、アメリカはインフレが高進してもうドル防衛では大変なことであった。しかし、実力なんというものは、やっぱりエネルギー資源大国として、エネルギー価格がどんどんどんどん上がっていけば、またそれなりのアメリカの対応というのはあると思うんですけれども、日本もアメリカみたいな考えでやられたら、一発でこれはオーライになってしまうわけでありますから、したがって、やっぱりいろんな内外の要因があれば、その要因に合わせた対応というものをやっていかなければならないだろう。
 こういう立場に立ちますと、政府が責任を持ったやっぱり施策をとらなければならないから、あるいは金利の問題なんかは日銀の所管であるにしても、いまの情勢では九%に固執をしていたのでは、これはやっぱり円安傾向にドライブがかかって、インフレはもう政府が何とおっしゃろうとも大変な悪性インフレに陥る危険がある。こういうことを考えますと、やっぱりこれは政府はそのときそのときの情勢に応じた対応をせざるを得ないのではないかと思うんです。
 だから、そういうものをはっきりひとつ御答弁くださいと言っているのではなくて、適時適切な対応をお考えになっておるのかどうか、せざるを得ないのじゃないんですかということを質問しているわけです。
#195
○国務大臣(大平正芳君) 私は、事態をさように悲観的に見ていません。そうあなたのように心配はいたしておりませんけれども、しかし、警戒の上にも警戒をしてまいらなけりゃならぬ。適時適切な対応をいつも講ずるだけの用意をしておらなければならないぞというあなたのアドバイスは謹んで承っておきます。
#196
○野末陳平君 先ほど来片岡委員や矢追委員から、たばこと健康のことの質問が出ておりましたけれども、それに対する総理のお答えがちょっとはっきりしないところがありましたので、私も先にそれを続けてお聞きしたいと思うんです。
 このたばこ有害論というのは、いまや国際的にも、それから国内のいろいろな調査を見ましてもかなり強くなってきているわけですが、政府としてたばこは健康に害があると思っているのかどうか、まずその政府の基本見解を総理にお聞きしたいんですがね。
#197
○国務大臣(大平正芳君) 私、医学に素養はございませんで、たばこがどのような害があるのかというようなことについて的確に答えるだけの用意はございませんけれども、しかし、政治といたしまして、健康とたばこの問題というものを看過してはいけないと思うのでございまして、これは政府並びに公社におきまして十分検討をいたしまして、必要と思うPRは国民に絶えずやっておく責任はあるのではないかと考えておりまして、そういう有害かどうか、どの程度、どういう器官にどのように影響があるのかというようなことにつきましては、専門家にお聞きをいただきたいと思います。
#198
○野末陳平君 私も吸わないので、どの点で有害とか言えないんです。少なくもしかし、たばこの箱には「吸いすぎに注意」というような表示も出ておりますから無害とは思っているわけないので、吸い過ぎたらやはり有害なんでしょう、いろんな面で。そこで、総理のお答えは非常にいいと思うんですよ。やはり政府が、国民の喫煙をいい方向へリードするということは当然しなきゃいけない。
 そこで、たとえばいまたばこの箱に書いてあるあの表示ですね、「吸いすぎに注意しましょう」とあるのですが、あれはなまぬるいと思うんですよ。総理どうですか、あれを個人的に、もちろん個人的な見解で結構なんですよ。「吸いすぎに注意しましょう」なんて書いてあること自体、ぼくはもう少しきつくすべきだと思うんですが。
#199
○国務大臣(大平正芳君) PRの技術につきましては、これまた、いろいろ工夫を加えてベストなことを考えるべきだと思うのでございまして、「吸いすぎに注意しましょう」という点がなまぬるいのか、もっと別な選択が望ましいのか、そのあたりは、これまさにたばこと健康の問題を問題にいたしておる諸君が十分究明いたしまして、妥当なひとつ答案を出していただかなければならぬと考えます。
 ただ、漠然とそれはどうだと私に聞かれた場合、もう少し気のきいた宣伝のセンテンスがあればいいなという感じはしないわけではございません。
#200
○野末陳平君 いずれにしてもこの基本見解が、政府がたばこと健康の問題をどう考えるか、これがはっきりしてないと、いまの表示が果たして妥当であるかどうかわからないと思うのですね。その物差しの一つとして、先進国におけるアメリカやイギリスのような、あるいはフランスがどういうふうにこの表示をしているかというのは、これは参考に当然なると思うのです。そうすると、やはりこれらの国はもうはっきり危険というふうに書いてありますね、表示が。吸い過ぎに注意どころじゃない、危険ですよ。極端に言えば、それを承知で吸いなさいということなんでしょうね。危険あるいは健康を損なうというふうにも書いてあるんですね。
 だから、そういうのと比較しますと、やはりこの基本見解がないから、いますぐに直せと言うのは無理かもしれませんが、やはりなまぬるいと思うのがあたりまえで、少なくもぼくは、「吸い過ぎに注意」じゃなくて、吸い過ぎは害になるとか、吸い過ぎは健康によくないと、このぐらいまで踏み込んだ表示をしなければ、さっき言った上うに、政府としても責任があるからというようなお答えにマッチしないと思うんです。ですから、どうなんでしょうかね、いま幾つか例を挙げましたけれども、総理はどうお考えになります。
#201
○国務大臣(大平正芳君) そうですね。駐留軍が日本におった当時、交通の安全の表示が町に立ったことがございますね。それで、アメリカの表示は「ロング・リブ・ツー・エンジョイ」と書いてあるのです。つまり、生き長らえて楽しみましょうと、そういうことが書いてある。それから警視庁の方のは「危険」といって、血が散っているところが書いてあるのです。
 私は、アメリカ人の表示の仕方というのもなかなか味のある仕方だなと思って、たまたまその両方が書いてあるので、いいコントラストだと思って、アメリカ人のやり方と日本のやり方とこんなに違うのかと思ったら、いま野末さんのお話を聞くと逆で、今度はアメリカの方はこれは「危険」だと書いてある、日本の方は「吸い過ぎに」云々というのでいささかなまぬるいというわけで、ちょっと私も判断に苦しみますけれども、これは先ほど申しましたように、PR専門の諸君、もっと私よりすぐれた感覚を持った諸君が十分検討しまして、効果的な、つまり健康と喫煙について的確な判断を得るに値するだけのものをやって考えていただくべきじゃないかと思います。
#202
○野末陳平君 それは、基本見解としてたばこは害であると出たらやはり危険と断言すべきだと思うんですよ。だけれども、いまいろんな専門家の調査を公社もおやりになっているそうですが、その辺でそれほど有害でないとおっしゃるならば、そうしたら表現をもう少ししゃれて、吸い過ぎると天国が近くなるとか、いろいろありますよ。それはもうしゃれでいいと思うんですが、やはりその辺が、すべて基本見解がどうなっているかということによって解釈が分かれるんですね、感じ方が。それを、一体害なのかどうか、どう思っているのかということを聞きたい。公社は害だとはなかなか言えないから、ですから総理にこの際だからお聞きしたわけなんですよ。
 で、たばこの表示、箱の表示だけじゃありませんで、先ほども矢追さんからも話ありましたけれども、やはりどうなんでしょう。ポスターとかそういうことで、もうちょっと積極的に宣伝したらいいんじゃないですか。ずいぶん政府はお金を使っているでしょう、いろんな宣伝に。その場合に、健康を第一と考えるならば、やはりどうでしょう、いろんなポスターがたくさん出ていますが、この吸い過ぎ注意のポスターも当然あって、そのためにやや売り上げが落ちても、これはもうやむを得ないわけですよ。それだったら、たばこの値段をもっと高くして、そうして選択に任すということだって、当然、検討に値すると思うんですよ。やはり健康を第一に考えるかどうか。この辺あわせて大蔵大臣と専売公社の方にお答えいただいて、健康問題から見た表示、その他、真剣に検討してほしいと思うんです。どうですか、最後に。
#203
○国務大臣(竹下登君) これは、野末さんと私とたまたま同じ大学を卒業しておりますが、やっぱり文学部で哲学ですから、そういうセンスが私よりはるかにいいと思います。したがって、矢追さんにもきょう答えましたように、本気に勉強させてください。いまのプアーな私の知識で正確にお答えするだけの自信もございませんので、きょう矢追さんにも約束をしましたので、妊産婦の場合とか、いろんな例も聞きました。もう少し私にも勉強の時間を与えていただきたいと思います。
#204
○理事(細川護熙君) 以上をもって、本案の質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議あり」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#205
○理事(細川護熙君) 御異議があるようでございますので、挙手により採決をいたします。
 本案の質疑を終局することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#206
○理事(細川護熙君) 多数と認めます。よって、質疑は終局することに決定いたしました。
 本案に対する以後の審査は後日に譲ります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時四十八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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