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1979/03/28 第91回国会 参議院 参議院会議録情報 第091回国会 大蔵委員会 第9号
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1979/03/28 第91回国会 参議院

参議院会議録情報 第091回国会 大蔵委員会 第9号

#1
第091回国会 大蔵委員会 第9号
昭和五十五年三月二十八日(金曜日)
   午後一時三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十八日
    辞任         補欠選任
     福間 知之君     川村 清一君
     多田 省吾君     中野  明君
     鈴木 一弘君     和泉 照雄君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         世耕 政隆君
    理 事
                中村 太郎君
                細川 護煕君
                片岡 勝治君
                矢追 秀彦君
                中村 利次君
    委 員
                浅野  拡君
                岩動 道行君
                梶木 又三君
                河本嘉久蔵君
                坂野 重信君
                嶋崎  均君
                塚田十一郎君
                藤井 裕久君
                藤田 正明君
                小野  明君
                川村 清一君
                小谷  守君
                丸谷 金保君
                和泉 照雄君
                中野  明君
                佐藤 昭夫君
                渡辺  武君
                市川 房枝君
                野末 陳平君
   国務大臣
       内閣総理大臣   大平 正芳君
       大 蔵 大 臣  竹下  登君
   政府委員
       防衛庁防衛局長  原   徹君
       防衛施設庁労務
       部長       伊藤 参午君
       大蔵政務次官   遠藤  要君
       大蔵大臣官房審
       議官       水野  繁君
       大蔵大臣官房審
       議官       福田 幸弘君
       大蔵大臣官房審
       議官       梅澤 節男君
       大蔵大臣官房審
       議官       垂水 公正君
       大蔵大臣官房審
       議官       宮本 保孝君
       大蔵省主計局次
       長        禿河 徹映君
       大蔵省主計局次
       長        吉野 良彦君
       大蔵省主税局長  高橋  元君
       大蔵省関税局長  米山 武政君
       大蔵省国際金融
       局長       加藤 隆司君
       国税庁次長    伊豫田敏雄君
       国税庁直税部長  矢島錦一郎君
       国税庁調査査察
       部長       矢崎 新二君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊藤  保君
   説明員
       行政管理庁行政
       監察局監察官   重富吉之助君
       農林水産省畜産
       局審議官     井上 喜一君
       郵政省貯金局奨
       励課長      神谷 和郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○税理士法の一部を改正する法律案(第九十回国
 会内閣提出、第九十一回国会衆議院送付)
○関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(世耕政隆君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 税理士法の一部を改正する法律案、関税定率法等の一部を改正する法律案、所得税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案、右四案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○丸谷金保君 今回の所得税法の改正、大変御苦労なさっておりますし、少額貯蓄者の利用者カードの導入というふうな問題につきましては、これは実際にはやってみなければいろんな問題点がまたわからないわけですけれど、一応前向きに取り組んだということは、私も実は評価しているんです。しかし、評価はしているけれど、じゃこれで全くいいかということになると、他に方法がなかったのかということについては、さらにこれは論議を深めておく必要がある問題でなかろうか、かように考えておる次第でございます。
 これは、一つは、こういうカード式によって番号を打つのと、申告納税制度という大前提に立った場合に、少額貯蓄者の税額控除というふうな方法もあり得たんじゃなかろうかと。なぜそういう方法を採用しなかったのか、それらの、現在の略して言うグリーンカード方式と税額控除方式とのそれぞれについて大蔵当局としては検討しておったと思いますので、その点をひとつ御説明いただきたいと思います。
#4
○政府委員(高橋元君) 利子・配当課税でございますが、これは四十五年に基本的に総合課税に移行することが望ましいという方向を出しまして、それをそのときから十年間、源泉選択、分離選択課税の制度を残しておりました。五十五年の末をもって源泉選択課税の期間が切れますので、今後は所得税法の大原則に戻りまして、利子・配当所得について総合課税を行うという時期であります。
 ところで、現在預金というのは、個人預金でございますと、二百数十兆という大きさになるわけでございますが、それが郵便貯金で三億口を超え、それから民間の金融機関の預金で一億数千万口を超えております。こういう非常に大量の預貯金について、また株式につきましても同様でございますが、配当につきまして、その支払いの際に、どうやって所得を把握するかということが一番基本でございます。
 そこで、いまもお話のございましたように、いろいろな方法につきまして税制調査会なり私どもの部内で検討いたしたわけでございます。いまお話のございました税額控除方式というのは、恐らく非課税貯蓄制度を一切やめる、郵便貯金なりマル優についても全部制度を廃止をいたしまして、すべての預金について課税をいたします。そのかわり、マル優でもって比較的低額の所得者が受けておられる税制上の優遇に相当する部分をそれぞれの所得税から控除してもらう、こういう御提案だと思うのであります。それは私どもも十分検討いたしておったわけでございますが、基本的に、いま申し上げた数億口という預金の口座、それから公社債の枚数、それから株式の株数、ぞれそれにつきまして、実は日本の長い間の慣行がそうなってきたわけでございますけれども、それが本当にだれの名義のものであるかということが把握できないわけでございます。
 したがいまして、全部について課税をすると、現在二〇%普通であれば源泉徴収いたしておりますが、二〇%の源泉徴収でその方のを総合した場合の税率に足りるのか足りないのかわからないわけでございます。ですから、マル優制度のもとに、また郵便貯金の非課税制度のもとに、少額貯蓄について優遇をしておるそれだけの税額控除を考えることはできますけれども、しかしながら、その基礎になります課税の公平、これはそれぞれの預金の名義を正確に把握して、御自分の預金についての利子、また御自分の株式についての配当、それらを他の所得に総合して課税をしていくということは理想でございますから、どうしても本人の名義を確認する方法、それから確認された名義について名寄せをする方法と、それを考えませんと実を上げることはとうていできない、形を変えたまた分離課税制度に戻ってしまうということが考えられます。
 そこで、税制調査会でも、それ以外にも、たとえば納税者番号というものをつくりまして、すべての人、それからすべての法人につきまして強制的に付番をいたすわけであります。その番号がなければ預貯金に関する取引、利子・配当に関する取引ができないわけでございます。取引をする際にはその付番された番号を全部通知をすると、こういう制度を考えたこともございますけれども、これもすべての国民にいわば一斉に事前に付番をするという制度でありますから、これにつきましても国民のプライバシーと申しますか、そういうこともございまして、一般の御理解が行き届かない面がまだまだある。
 もう一つ考えました制度は、先ほど申し上げました、丸谷先生からお話ありました制度をちょっと変えた形になりますけれども、すべての預貯金について、たとえばいま所得税の最高税率が七五%でありますから、七五%で源泉徴収してしまう。それで後は御本人が、自分のどういう名義になっておるものであれ、自分の金融資産を自分で名寄せをして税務署に申告していただく。そうしますと、その分は還付になるわけです。七五%以上の税率の方はないわけでございますから、すべての場合に還付が起こってまいります。
 そういう制度も考えてみたわけでございますが、冒頭おっしゃいます税額控除方式とこの最高率源泉徴収方式とには、物すごい数の還付が伴うという問題が起こってまいります。現在、三月十五日に確定申告をしてくださる方が約四百万ぐらいおります。還付を受けにおいでになる方も、同じ数おいでになるわけでございます。もとより正当な還付は国民の権利でありますから、税務署の窓口でも極力優先してやっておるつもりでございますけれども、短期間のことでございますから非常に事務が錯綜いたします。四百万ですらそうでございますから、仮に最高率源泉徴収いたしますと、一億の方が全部還付を請求されるということになってしまって、これはもう窓口の混乱ははかり知れない。それはひいては国民に非常に御不便をおかけするということになりますので、実際的にはできない制度であろうという結論に達しております。
 で、いろいろ申し上げましたけれども、いろいろな方式を検討いたしました結果、現在御提案いたしております所得税法によるグリーンカード制度を採用して、五十九年一月一日から全体の利子・配当所得について総合課税に移行するという結論に達したというのが、私どもの検討の結果であります。
#5
○丸谷金保君 いまの銀行法の現行のままではやっぱり問題があると思うんですが、六月、十二月というふうな利息計算をすれば、還付にしないで所得申告をするときに一緒にして税額控除の方式をとることができるんじゃないですか。十二月ですと銀行の方が未払い利息の勘定を立てますから、きちっともうぎりぎりその日のうちくらいに全員のあれができている、税額控除ができるわけですね、利息の課税の金額は。ですから、十二月にできれば、二月の申告のときには還付をするんでなくて、もうその時点で総合課税の中に入れて申告をすると一遍で済む、こういうことが起きるし、それから同じように、今度は歳入の方について、三月以前に収納しておけば支払い財源に還付の財源が困るというようなことにもならないんじゃないですか。
#6
○政府委員(高橋元君) 現在利子・配当につきましては、支払いの都度源泉徴収をいたしております。源泉分離を選択しておられれば三五%でございますし、それからそれ以外のものであれば二〇%源泉徴収をいたします。ただし、マル優郵便貯金につきましては利子を取っておりません、こういう制度でございますから。金融機関または証券会社なり配当の支払い代行会社から配当を受け取られる場合には、すでに源泉徴収は済んでおるわけであります。
 先ほど還付と申し上げましたのは、実は源泉徴収税率を、いま二〇でやっておりますのを七五という個人の所得税の最高税率まで上げてしまえば、架名のものも御自分で名寄せなさるでしょうし、納税者が還付の権利を行使するために自分の預金を全部自分で名寄せなさる。そういう意味では、一番完全な制度に観念的にはなり得る。したがって、七五%の源泉徴収ということを仮に考えてみますということを申し上げたわけでございます。したがって、その場合には七五%と、御本人のそれぞれの方の現実に適用される所得税の税率、四六とか三八とかさまざまございますけれども、その税率の差額が必ず戻ることになるわけです。それは税務上戻るわけです。そういうふうに申し上げたつもりだったわけでございます。
#7
○丸谷金保君 通知預金や定期預金はそういうことになりますけれど、普通預金の場合、現在やっぱり分離課税をやっておりますね。その関係が非常にむずかしくなる分については、それほどのことじゃなくできるじゃないですか。
#8
○政府委員(高橋元君) 普通預金につきましても、現在源泉徴収はさせていただいております。その源泉徴収税率は二〇%または源泉分離であれば三五%、これは定期と同様であります。
#9
○丸谷金保君 そうめんどうにはならないような気がするんですがね。一番確実な把握ができて、四百万あるから四百万全部還付請求ということなくて、申告のときで、ほとんど多少の所得税を払う人はその税との差額も出てきますし、預金利子等の分もですね。だから、むしろ現在所得税の前年度に申告になっていました、十月か九月ごろに一遍予定申告ですか、ああいうので税額取っていますね。そういうのと同じように十二月末で切って、それらが税の財源になって、三月に還付するとなったらもう三月直ちにできる。
 必ずしも四百万が四百万全部還付になるというわけじゃない。何かもっと別な理由、たとえばそのことが政策的に貯金を奨励するということに大きな支障になるという角度での、私はこれは採用できない原因じゃなかったのかなと思って聞いたんですが、そこら辺いかがですか。
#10
○政府委員(高橋元君) 利子・配当につきましても、総合課税方式に移行すると申し上げました。その総合課税と申しますのは、利子を受け取られる方のそれぞれの全体の所得がどうなっているかということによって、適用される最終的な税率がみんな違っておるということでございます。したがって、源泉徴収をどんなに精密にいたしましても、その方が現実に申告なさる税率と利子について、すでに源泉でいただいている税率との差額というものが出てくるわけでございます。それが申告で納めていただくか申告で還付をするか、いずれかという形になります。ほとんどの場合になります。それが一つの問題でございます。
 もう一つの問題は、まあこれは国税庁おりまして申し上げにくいのですが、かなり大口の所得の脱漏がある場合に、調査をしてみますと、そういう方々の脱漏した所得は架名の預金になっておる、架空名義預金になっている場合がずいぶんございます。架空名義の預金につきましては、マル優でない限りは源泉徴収をかけておるわけでございますけれども、しかしながら、それが正しく申告されるという保証もこれまたないわけでございます。したがって、その二つの問題を解決しようといたしますと、どうしてもグリーンカードのようにカードをもって御本人であることを金融機関に示して知らせていただいて、金融機関も確かにカードを持っておられる御本人の名義の口座に受け入れるということを確認をいたしまして、その上そこからその方々の預金を、さまざまの口数の預金を名寄せをしていくということが必要になってくるわけであります。
 そういたしませんと、預金に関する課税の公正ということは、税法の法律の条文としてはともかく、実際の制度の執行においてはとうてい期せられない。それが今回のグリーンカード制度を御提案申し上げた一番根本の考え方、根本の必要性でございます。
#11
○丸谷金保君 この場合たとえば住民票、必ずそういうことが必要になってきますね。そうすると、あれですか、普通預金等においても、そういう住民票等を持参しない場合には通帳はもう一切つくらないと。郵便貯金の場合はどうなります、この場合。
#12
○政府委員(高橋元君) そういうことにお聞き取りいただいたとすると、私の御説明が悪かったわけでおわびをいたしますが、現在は普通預金につきましては確定申告をなさる必要がございませんで、これは比較的利子も安いわけでございますから、二〇%源泉徴収をいただけば、あとの支払い利息につきましては申告が不要であります。このことは、国税庁の実務の面もございまして、五十九年一月一日以降も恐らく変わらないだろうと思います。
 問題は、預金の大半を占めております、利子所得につきましての大半を占めております定期の預貯金でございますから、これにつきましてはすべてグリーンカード制度の対象といたします。対象といたしますのは、その方がマル優なり郵便貯金なり非課税の制度を適用しようとするときには、グリーンカードで御本人の名前と番号を告知していただいて、金融機関が確認をいたしまして、それを預金証書なり預金通帳なりに書くわけでございます。そういう形で、確かにグリーンカードをお持ちの御本人の預金ですということで、それを三百万なら三百万というマル優の限度の中に抑えていくようにする。
 グリーンカードをお持ちでない方で、普通預金をなさろう、また定期預金をなさろうという方は、住民票なりそれから会社の登記簿の抄本なりというものを金融機関にお示しいただいて、これは何丁目何番地におる実在の人物でありますということを金融機関が確認をいたしまして、それでお預かりをして利子の支払いをすると、こういうことでございます。
 したがいまして、グリーンカードというのは、原則としてマル優の、または郵便貯金の非課税を受ける場合の要件でございまして、あわせていま住民票または会社登記簿の抄本と申し上げましたけれども、マル優で預金を持っておって、また課税貯蓄を持たれる方が大部分でございましょうから、そういう方は住民票のようなめんどうなものでなくて、郵便局にお持ちになるグリーンカードを、課税貯蓄を預け入れる場合にも課税貯蓄の利子を受け取る場合にもお示しいただければ、それでよろしいということに考えておるということであります。
#13
○丸谷金保君 実は、現行のマル優の制度のような三百万というふうなことについての免税の措置ですわね。市役所へ行って住民票をもらうということも、これ実はなかなか一大決心の要ることなんです。われわれはいとも簡単に住民票と言いますけれど、一般の大衆はあそこをまたいで中へ入るだけでもえらい抵抗を感じるし、やっぱりにこにこして応対をしていても、非常に入りにくいという感じを残念ながら持っておるわけです。で、それが全部こういう貯金をする場合にそういうものを持ってこなけりゃだめだということになると、もうそういうのならやめちゃおうというのが大分出てくるのじゃないでしょうか。
 それともう一つ心配なのは、実際に現行のあれからいっても、財形の五百万とマル優の三百万で八百万ですわね。四人家族でそれぞれの名前にすれば三百万のマル優だけでも千二百万、こういう余裕のある国民というのは一体どれだけいるだろうかと考えますと、そんなに大きな数じゃないですね、実際問題として。しかし、きのうも話がありましたように、わずかの者であっても、それらが多額の要するに架空名義預金でもって非常な脱税をしているというふうなものをなくしていくというために、全部の善良な国民がグリーンカードを持たなきゃならなくなる。何かもう一知恵なかったものでしょうか。
#14
○政府委員(高橋元君) 現在でもマル優をお預けになる場合には、非課税貯蓄申告書というものを最初に出していただくわけであります。どの金融機関のどこどこの店に預金の形で二百万預けます、それはマル優にしてくださいということを金融機関の支店長を通して税務署長に申告をしていただく、これは多種類、多店舗でございますなら、三百万の枠は幾つの店に分けてもよろしいわけでございます。それをまずやった上で、一回一回預金をするときに、また非課税貯蓄申込書というのを出していただくわけでございます。そういう手続はいまお願いをいたしております。
 その非課税貯蓄申告書をお出しになるときに金融機関の支店長さんが、この人はどうも本当の名前じゃないらしい、大石内蔵助というのはおかしいじゃないかということであれば、住民票でもよろしいわけですし、運転免許証でもよろしいわけですが、その方が大石内蔵助であるということを見せてくださいということをお願いをすることになっております。やはり本人確認というのは、金融機関の責任でやることになっております。
 しかしながら、それをずいぶん長い問やってきたわけでございますが、やってもやはり架名の預金というものが非常に多いわけでございますし後を絶たないわけでございます。事柄の性質上幾らあるかということは、私どもちょっと把握しかねますけれども、個別の被疑事例から調べてみますと、相当数あると残念ながら推定せざるを得ない。
 そこで、最初に一回だけ住民票を税務署の窓口に出してグリーンカードの申請をしていただくということは、確かに御不便のようでありますけれども、貯金の利子または公社債の利子について非課税という特典を得られるためにどうしても出していただく、一回だけはごしんぼう願いたいと思います。以後はそのカードをお持ちになれば、非課税貯蓄申告書というのを一々お出しいただかなくてもいいわけで、カードに、どこどこの銀行に私は百万の枠をつくりますと書いていただけばよろしい。それは全国的に引っ越しをなさっても、同じものがずっと使えるという制度にしようというのが今回のあれでございまして、総合課税移行のために必要最低限の措置として、私どもはこういうことを国民の皆様方にお願いをしたいというふうに思います。
 もう一つのいまのお示しは、一人で三百万ですから、制度が三つございまして、マル優と国債別枠と郵便貯金と使えば一人九百万円である、九百万円とそれからもう一つ財形の五百万の枠と合わせれば千四百万でございます。そういうものをフルに使えるだけの所得ないし資産のある人がそういないだろうから、この際マル優はやめてしまったらどうかという御提案だと思います。
 これにつきましても、税制調査会で、いま貯蓄優遇と貯蓄奨励ということを考えるような政策的な目的というのは、昭和二十何年時代から考えますと相当薄れてきてしまっておりますから、見直してはどうかというかなりの御意見がございましたけれども、いろいろ議論をいたしまして、少額の貯蓄者に対する制度でもあるし、金融取引の基礎的な要件にもなっておるわけで、いまにわかにそこを変えるわけにいかないのではないかという御結論になったわけでございます。
 ちょっとその部分を読ましていただきますと、これらを合わせると一人千四百万円までの貯蓄が「非課税となるので、これが果して少額貯蓄の保護優遇という趣旨からみて妥当かどうか疑問であるとする指摘もあるが、国民生活の実態等を考慮し、非課税限度額は現状どおり維持してよい」というのが、税制調査会での二年にわたる御検討の御結論であったわけでございます。
#15
○丸谷金保君 税制調査会のそうした見解もよくわかるんですが、その前に一つ、税務署が要するにマル優関係のいま申しました大石内蔵助はおかしいんじゃないかということで、金融機関に立ち入り検査に入りますわね。そうしていろいろ大分おかしいそういう脱税の実態を発見しますでしょう。これは全部やるというわけにいかないんですが、そういう場合にはランダムでやるんですか、どうなんでしょうか。
#16
○政府委員(伊豫田敏雄君) 銀行調査のお話でございますけれども、われわれの方は、いわゆる俗にフィッシングと言っておりますけれども、ともかく帳簿を全部見せなさい、そこから課税すべきものを拾い出しましょう、こういうことは金融機関調査の場合には通常行っておりません。それで、ある程度の資料がございまして、あるいはその他いろいろの情報がございまして、税務署長が銀行調査の必要ありと認めた場合について、当該件名あるいは人名あるいは関係者名を明記いたしました上で調査に入っているのが現在の実情でございます。したがいまして、ランダムでというふうなことを考えているわけではございません。
#17
○丸谷金保君 そうしますと、今度は追徴金ということになりますね、そういう脱税の事実がわかると。発見しますと、追徴金ということになるでしょう。しかし、架空名義の相手方をつかまえられない場合には、いま銀行が代理して支払いしておりますわね。これは一体どういう科目のどういう勘定からああいう支出ができるんでしょうか。
#18
○政府委員(伊豫田敏雄君) ランダムのお話にちょっと戻らしていただきますけれども、おっしゃいますとおり、限度を超したか、あるいは非課税貯蓄申告書が正しく出されているかどうかということについては、何しろ非課税貯蓄申告書の数というのは三十八年以来大体二億枚以上ございます。こういう状態でございますので、それの調査につきましてはある一定の署を拾いまして、しかもその署におけるある地区を拾いまして、その間に、その範囲内において調査を行い、それによってその波及効果を求めるというふうなのが、現在のこの問題に対する税務の実情でございます。
 それから、いま先生のおっしゃいました、実際に架名であった場合にという問題でございますが、払いますのは銀行でございます。銀行から徴収しておりますのは、それなりの規定がございまして、虚偽記述をしたということで、現在銀行から三五%の税率で徴収しているという状況でございます。
#19
○丸谷金保君 ちょっと何か二つの方法を上手にこうダブらせて、この上と下との御答弁をなさっているような気がするんです。
 もう一回問題を明らかにしますと、銀行等の金融機関に立ち入って、これらのものはおかしいということでもって調査する場合がありますわね。主としてこれは強制調査になりますか。そのほかにもう一つあるわけですね、銀行に入って調査するのは。それで、前段の私の質問に対しては、先のお話をしましたね。それから、後段の質問に対しては後の、そうでなくて一定の地域なり一定の金融機関なりを、まあ銀行とはあえて言いませんが、金融機関等の中からこうずっといろんな形で抜き取りをして調査すると、こういうこともやっていますね。二つやっているんでしょう、一つでなくて。
#20
○政府委員(伊豫田敏雄君) お答えいたします。
 話が若干混乱いたしました。私は分けて申し上げたつもりで、片一方をもって片一方の答弁にかえるつもりはございませんでした。
 現実には、税務署の方に預金の利子の支払いについて支払い調書というのが参ります。それからそれと同時にもう一つ、税務署の方には、先ほどから何遍も申し上げておりますように、非課税貯蓄申告書というのが参ります。それで、この二つにつきまして、それぞれ私の方で、税務署の方で、たとえば――たとえばでございますが、葉書を出す等によりその本人確認を行うわけでございまして、その結果、その本人の確認ができないものについて、それを明らかにした上で、その点を銀行の方にお尋ねをしている。それによって、事実架名であることが判明するというのが手順でございまして、私はその点につきましては、ランダムという感じとちょっとまた違いますものですから、申し上げておきたいと思います。
#21
○丸谷金保君 一応、金融機関からの報告によって税務署が名寄せしますわね。名寄せで発見できるのもあるし、わからないのもあると。申告書は出ていない、名義だけあると。この事実は余り国民は知らないんですよね、実際は。そして金融機関も、そういうことをしているということを国民に、要するに預金者に知らせません、なるたけ。預金の吸収に非常に障害があると。
 ここで、今度は郵便貯金が出てくるんです。郵便貯金の方はそれはやりませんね。三百万円が限度なんですから、やっていませんね。どうですか。
#22
○政府委員(伊豫田敏雄君) 郵便貯金の問題は郵政省の問題でございますが、私が承知しております範囲におきましては、郵政省におきましては三百万の限度を超過しているかどうかについてやはり同じように名寄せをやっておられると。その名寄せの程度については、私、部外の者で承知いたしませんが、その努力を行っていると聞いております。
#23
○丸谷金保君 結果は、税務署の方に報告は受けていませんね。
#24
○政府委員(高橋元君) 郵便貯金は、総額制限ということが郵便貯金法に決まっておりまして、全国のどこの店から受け入れてもいいわけでございますが、一人について三百万円を超えて預金をしてはいけないことになっております。
 さっきもちょっと申し上げたのでございますが、郵便貯金の口数は全部で三億三千百万、これは去年の三月の数字でございますが、口数があります。それは非常に小口の、恐らく大部分は小口だと思いますが、定額貯金証書という紙になっておるわけでございます。通帳になっておりませんで、定額貯金証書という紙を、まあ東京で預けたこともあれば網走で預けることもあるわけでございましょうから、何のたれべえさんが、同じ人が郵政大臣に預けたということを本当は名寄せをしなきゃいけないわけでございますね。三億三千万の名寄せをどこでやるかといえば、これは地方の貯金局でやるわけでございますけれども、通帳があればもちろん残高が出ますからわかりますが、通帳のないものにつきましては、これは郵政省はかなり厳格にやっておるのでございましょうけれども、まだ十分やり切れているわけでもない。年に二万口、二万件、金目にして二百億ぐらいは三百万の総額制限を超えまして、減額請求と申しますか、払い戻しをしてくださいという通知を預金者にしておることが現状のようであります。
 それが二万口であるのか、もっと多くのものの一部であるのか、そこは郵政省もいろいろ努力をしておると思いますけれども、全国の名寄せということを手でやるとすると、大変な手間がかかるわけでございます。現在郵政省は、私の承知しております限りではオンラインのコンピューター組織というのを全国的に導入の準備を進めておりまして、五十七年度ぐらいになりますと、東京、大阪、名古屋の三地区、三大ブロックにつきましては、コンピューターでオンラインでつながるようになる予定でございます。
 したがって、そこまでいきますと、かなり名寄せの仕事も進むと思いますが、現在全部手作業でやっております段階では、必ずしも完璧を期せられないのが現状かと思います。それはやはり郵便貯金法ということの総額制限という別個の体系でやっておりますから、したがいまして、三百万円を故意または重大な過失によって超えた場合には国は課税権を持つというのが現在の考え方でありますけれども、三百万円の中のものについては、一切所得税は非課税というのがいままでのたてまえでございます。
 したがいまして、それにつきまして税務署長に通知を受けるというような当然の制度になっておりません。銀行でございますと、支払い調書が出てまいりますが、郵便貯金についてはすべて三百万の下で、非課税の貯蓄であるというのが現在の郵便貯金法の制度でございます。したがって課税権が及ばない。税務署長についても当然のこと、通知がない。故意または重大な過失がある場合には税務署が照会をいたしまして、郵便局からその者の貯蓄がこうなっておるということを知らせてもらう、こういうふうになっておるのが現状であります。
#25
○丸谷金保君 それで、大体いま郵貯は五十兆と言っていますわね。そのほとんどがマル優でしょう。人口で割り算してごらんなさい、どういうことになります。どなたか計算してください。オギャッと生まれた赤ん坊からおじいさんまで入れても、五十兆を一億で割ってごらんなさい。
#26
○政府委員(高橋元君) 五十四年三月末、手元にあります計数で申し上げますと、通常貯金、通帳のあるものが六千三百二万口あります。それから定額貯金、これは証書でございます。一枚一枚の紙であります。二億二千八百五十四万枚あります。そのほか積み立て等が千八百三十七万口ございます。合わせて三億九百九十三万口。これで預けておられますのが四十四兆九千九百二十億円預けておられますから、一口平均は十四万五千円であります。ただし、三億でございますから、一億に縮小いたしますと、一人四十万というのが郵便貯金の利用実績、昨年の三月の数字であります。
#27
○丸谷金保君 それは一億で割るからそういうことになるんです。常識的に考えて、これは相当なマル優の架空名義の脱税がここで行われているということは明らかでしょう。これは大蔵省、国税庁の方について見ると、郵貯は、これは聖域なんですね、手が出せない。そうなんですね。手が出せないですね。
#28
○政府委員(高橋元君) 聖域と心得ておるわけではございませんが、法のたてまえが違っておりまして、郵便貯金につきましては所得税法の九条の、いままでのあれでいきますと一号というのがございまして、郵便貯金の利子は非課税ということになっておるわけでございます。
 ただし、故意または重大な過失で三百万円を超えたものを除くと、こうなっておりますから、三百万円の総額制限を故意、重大な過失で突破した場合だけしか課税権がないということになっておりますので、したがって課税当局が調査に入れないというのがいままでのしきたりであったわけでございます。
 今度はその点を、御提案申し上げた案では変えまして、郵便貯金について非課税の取り扱いを受けようとするときにはグリーンカードを郵便局の窓口に示してください、郵便局はそれをその方の通帳なり証書に書きます。そこで初めて課税になりまして、通知のないものについては税務署長にお知らせをいただくという制度に改めるわけであります。
 したがいまして、いま御懸念のありましたこと、いままで往々言われてまいりましたことは、今回のグリーンカード制度で非常な前進を見るであろうというふうに私どもは期待をしておりますし、そういうふうに郵政当局と相談をいたしております。これからも相談してまいりたいというふうに考えております。
#29
○丸谷金保君 ようやく核心に触れた問題点が出てきたんです。というのは、今度のグリーンカード、こういうことをやらなくても金融機関の方は、税務署が名寄せをやっていますし、相当程度の把握はいままでもできているわけです。だから、グリーンカードの焦点というのは、郵貯等が一番大きな焦点だということがどこかで本音として出てくるかと思って、いままでずっと聞いていたんですけれど、どこからも出てこないんですよ。それであえてこの問題のメカニズムを明らかにしたんです。今度は郵貯については、そういう点で非常にきちっとするということになりますね、このグリーンカードで。どうなんですか。
#30
○政府委員(高橋元君) さような期待をしておるわけであります。
#31
○丸谷金保君 それで、もう一つこれに関連して、銀行から追徴金を取る、一体それは銀行はどういう支払いをするのかということが、まだお答えをいただいていないんですけれども。
#32
○政府委員(伊豫田敏雄君) 先ほどお答えいたしましたように、徴収できるという規定は両方にあることは御承知おき願いたいと思います。
 銀行で一体どういう経理をして、それをどういう処理をしているだろうという問題でございますが、恐らくそれは立てかえ払いのかっこうで一時処理して、もしそれが最終的に回収不能になった場合に、雑損の方へ振りかえるというふうな経理処理を行っているのではないだろうか、このように考えております。
#33
○丸谷金保君 そうなんですよ。大体、立てかえ払いという雑損で落としているようなんです。それで、いわゆる架空名義の人のところへ、改めて全部立てかえ払いした分を徴収しているというふうな形跡が余り見られないんです、これはどうも。それをやれば、もっとこういうふうに税務署が名寄せをして、銀行を調べているんだということが世間に広がるはずなんです。これがいままでほとんど広がっていなかったのは、そういう問題があるので、金融機関としてはそういうことはもうひた隠しにしておきたかった。それでないと郵貯の方にさらに逃げてしまう、こういう問題があったのでなかろうかと思うんですよ。
 特にその点で私は、この追徴金、大体名寄せで調べたらこれくらいあったと。そうすると、それだけで済まないんですよ。大体税務署長の裁量権で、これだけ調べてこれだけあったんだから、全体としてはこれだけ追徴金をかけるぞというふうなことをやっていますね。やってないと言うんですか。
#34
○政府委員(伊豫田敏雄君) 税務署長の裁量権で大体推定をして、その分を銀行に課税をしているというふうなことは、私は全く聞いておりません。
#35
○丸谷金保君 聞いていないということは、絶対ないというふうに信じているということですか。そこのところ大変大事なので。
#36
○政府委員(伊豫田敏雄君) 全くないと信じております。
#37
○丸谷金保君 実は、そこら辺に一つの大変問題があるんです。問題があるけれども、そういう意味ではグリーンカードの制度にいろいろ問題があるけれども、まあやってみることについて私も必ずしも反対でないんです。一歩前進だと。その点では、これでもってうまくいかないかもしれない。いかないときには速やかに、いかないところをあっちおっぺし、こっちおっぺしして、いやいいんだいいんだと言わないで、ここはまずかったと、素直にそういうときには制度的な問題もわれわれのところにも報告をしていただいて、一緒に相談しながら、よりいいものにしていくという謙虚なひとつ執行機関としての態度をお願いいたしたいんですが、次官いかがでしょう。
#38
○政府委員(伊豫田敏雄君) 次官の前に、ちょっとお許しを願って……。
 いろいろと実行上は問題があると思います。問題があるのを、一つ一つ解決してつぶしていかなくてはならぬ。もちろん執行上の問題もございまして、たとえば情報の劣化をどうやって防ぐとか、あるいは窓口でのトラブルをどうするとか、あるいはいままで必ずしも適当と言えなかった預金がどういう形で動いてくるのか、いろんな問題があると思います。しかし、ただいまの先生のおっしゃった趣旨は私はそのとおりだと思いますので、問題があったときには、それを納税者に押しつけるというふうな態度をとるべきでなくて、われわれとしてその解決に努力すべきものと、このように考えております。
#39
○丸谷金保君 往々にして、法律というのは一本つくりますとなかなか直したがらないで、それだけにまた逆に言うと、法律をつくる、新しい改正をしていくということにも非常に憶病になる。そういうことでなく、多少の難点はあっても前進であるということは取り組んでいく。特に、総合課税というのはわが党も年来主張してきたことです。一歩前進としてのこの面については評価をしたいと思いながら、なおかついろんな問題点を実は申し上げた次第で、しかし、所得税法全体として見ますと、そんなにちっとも評価できるものでないんです。ここの部分でなく、所得税法全体として見ますと、非常に私はこの程度の改正ではうまくない。
 まず、われわれが強く主張しております控除額の引き上げ、二十九万から三十二万という要求、これが見送られましたね、今回も。これは一体どういうことなんでしょうか。当然、控除額の引き上げが行われないと、非常に矛盾が出てきているんです。
#40
○政府委員(遠藤要君) 先生よく御案内のように、財政の体質の改善をやっていかなければならぬというような状況でございますけれども、当面われわれの任務というのは、どうしても財政の再建を遂げるということが国民の幸せになる前提だ、そういうふうな点を考えますると、この財政再建期間中、所得税の減税ということについてはいま手を染めるという状況ではない、こういうふうに判断をいたしておるわけであります。
#41
○丸谷金保君 ちょっと時間がなくて資料をここには持ち合わせていないので、記憶をたどりながら、多少の数字の違いはあるかと思いますが、現在の四人家族の非課税限度額、これは幾らになりましたか。
#42
○政府委員(高橋元君) いわゆる課税最低限の御指摘だと思います。現在は夫婦子二人の給与所得者の場合には二百一万五千円と相なります。
#43
○丸谷金保君 夫婦と家族二名の一級地、非常に級地の高い生活保護世帯の給付額はこれよりも高いですね。多分二百十万ぐらいだったと思います、ちょっといま数字を持たないで来ましたんですが、私の記憶では。これでいいでしょうか。ちょっと矛盾しているんじゃないですか。
#44
○政府委員(高橋元君) 正確な計数はいま取り調べておりますが、五十五年度に適用される一級地の生活保護、これは教育と住宅の扶助を含めまして百六十八万円であったかと思います。
#45
○丸谷金保君 いや、そんなことないですよ。
#46
○政府委員(高橋元君) これは百五十一万円が百六十八万円になったかと思います。
 地方税のいわゆる課税最低限はたしか百六十三万円でございますけれども――これは百五十八万四千円でございましたのが百六十八万になったわけでございますが……
#47
○丸谷金保君 それに特別あれが入ると……
#48
○政府委員(高橋元君) それは全部入れて、住宅、それから教育の扶助を加えまして、いま申し上げた金額になって百六十八万円というふうに思いますが、詳細はいますぐ調べます。
#49
○丸谷金保君 そこで、所得税と、それから今度は地方税の問題なんですが、それらの課税最低限と生活保護というのはほとんど違わなくなってきていると、そういう面からいっても現在のこの控除額というのは非常に低過ぎるんじゃないか。これは生活保護のあれには燃料手当や何か入っていないんじゃないですか、おたくの、寒冷地の中身。
#50
○政府委員(高橋元君) 生活扶助基準の中の基準生活費、それからこれは一類、二類と分かれておりまして、一類が被服費、飲食費と個人単位に支出される生活費、二類が光熱、水道費等、世帯単位に支出される生活費、それに十一月から三月の冬季加算額を加え、期末一時扶助を加え、それに母子、老齢、多子養育、障害者の加算をいたしました上で教育扶助と住宅扶助の基準額を加えた金額というのが定義でございますから、しかもそれを一級地の場合に算出をして百六十八万円であります。
#51
○丸谷金保君 燃料費は、燃料手当は……
#52
○政府委員(高橋元君) これは二類、光熱、水道等の世帯単位で支出される生活費と冬季加算額、その中に入っておるというふうに承知しております。
#53
○丸谷金保君 ちょっと私もきょうは資料を持たないでなので、記憶の中で申し上げましたが、ちょっと低過ぎるんじゃないかと思う。
 それからもう一つは、昨日ちょっとお話し申し上げました立川市の砂川町の一八五七番地の二、ここの贈与だとか相続に至る場合の倍率によるところの評価、これが固定資産税の評価と非常に食い違ってめんどうな状態なので、ひとつそれを御説明いただきたいと思います。なかなか計算のできない部分がある。
#54
○政府委員(矢島錦一郎君) 昨日の御質問でございますが、早速私調べてみました。あるいはまだ違っているかもしれませんが、立川市の砂川町の問題でございますが、これは非常に特殊な事例でございまして、ごく最近におきまして、前に畑であった非常に広い土地を分筆いたしまして、同時にそれを宅地に一部転換したと、それを贈与したというケースでございます。したがいまして、私どもといたしましては贈与があったということで申告案内を納税者の方に発送したというケースでございます。
 ちょっと時間を拝借して恐縮でございますが、一般的に申し上げますと、昨日申し上げましたように、固定資産税評価額に相続税の評価倍率を掛けて評価をすることになった土地につきましては、納税者の方が評価の御相談においでになったときにはよく事情を御説明申し上げまして、評価の仕方とか評価額について御説明するということと、それから評価基準書というのをつくっておりまして、税務署では納税者が閲覧できるように市町村も含めまして備えつけておるというようなことで、普通の場合にはわかるということが前提でございますが、本件の場合には非常に特殊なケース、まれにあるケースでございますが、それともう一つの問題といたしましては、評価倍率が砂川町の場合には一・八倍から二・五倍というふうに地目ごとに非常に細かく細分されておるという、御指摘があったとおりのようでございます。
 以上でございます。
#55
○丸谷金保君 それで、大変むずかしいというのは、路線価方式と倍率方式とがミックスしちゃっているところでしょう。
#56
○政府委員(矢島錦一郎君) 本件の場合は、この土地につきましては、現況はやはり固定資産税の評価額の倍率方式によっておるわけでございます。ただ、証明書を納税者が持ってきていただいた段階におきましては、農地と宅地が混在したままで証明書を持っておいでになりまして、したがいまして、倍率方式で計算の仕方が若干税務署側の行ったものと違っておったというケースでございます。
#57
○丸谷金保君 そこで、これは税理士法にも関連してくるんですが、こういう問題は、非常にむずかしいといま直税部長さんからお話があったように、大変むずかしいんです。そうすると、これは普通なかなか税理士でも間違いかねない事案ですわね。税務署の中だって、これの計算なり個々の評価のあれをきちっと出せる方というのは、立川税務署にそういないでしょう。一人か二人覚えていれば手いっぱい。
   〔委員長退席、理事細川護熙君着席〕
#58
○政府委員(矢島錦一郎君) 立川署の場合も専門家はそれなりにそろえておるつもりでございますが、非常に細かい区分がされているということで、ややもすれば間違いやすいところであろうかと思います。
#59
○丸谷金保君 それで結局、市の固定資産税の評価というようなものを頼って一応金額を出して、それが後で間違っているということになりますわね。それで、修正を多少するということで、これは一件落着したわけなんです。この場合、本人が間違っていると思わないでやったんだから、助言義務違反にはならないわけですよね。もうそれしか方法がない。どんなに調べてもどうもよくわからないから、市の固定資産税の評価の倍率というふうなもので出したというから、これは悪意もなければ、間違ったということについては助言義務違反にはなりませんでしょう。どうですか。
#60
○政府委員(福田幸弘君) おっしゃるとおりでございます。
#61
○丸谷金保君 それで、これはここで話していると仰せのとおりになるんです。ただしかし、助言義務の問題はこういう場合に時効がございませんでしょう。何年かたった場合に、お前あのとき間違っちゃった、間違ったというよりも、計算が税理士でできないはずがあるかということで、何年かたってから、この問題でお前がそんなに納税者のためにがんばるんなら、前のあれ挙げるぞとなった場合に、どっかでもって救済措置ありますか。どうです。
#62
○政府委員(福田幸弘君) 除斥期間がございますので、その確定する税自体の除斥期間が過ぎましたら、普通三年でございますけれども、それを過ぎてからはその問題は生じません。
 それからさかのぼってという、その範囲内での問題でございましょうけれども、そこで、これは良識の問題でございますが、いずれにしろ、客観的な事実で故意が証明されるという仮装、隠蔽がはっきりしておる場合の問題でございますが、これはきのうも御答弁いたしましたけれども、引き続き税理士業務を続けられた結果の税額という、こういうことになっていますと、その問題はむしろ助言義務よりも脱税相談、特に不真正申告書の作成の方の問題になりますので、これは従来からもその問題は同じでございまして、助言義務だけを取り上げて問題にするというよりも、それは不真正申告書を出しておるという種の問題で、これは従来と同じでございまして、助言義務違反だけが問題になるというよりも、そっちの方に吸収されておるということでございます。
#63
○丸谷金保君 先ほども銀行関係で裁量権の問題、そういうことはないということですが、間々あるんです。金融機関のことですから、いまのように損金で落としてでも預金者には気分を悪くさせないというふうなことと同じように、いまの場合は、それはもうそのときには脱税相談と、これはまあ相談はしていないんですから、わからないんだからわかるやつでやった。これはもう脱税相談とか何とかということじゃないと思うんです、税務上。税理士さんがちょっと調べたくらいでは、ちょっとやそっとではなかなかわからないと。私はこれ、脱税相談の領域になんか全然入らないと思うんですが、どうなんですか。
#64
○政府委員(福田幸弘君) 御指摘の、その判断が、解釈が食い違うとか、事実が両者で見方が違うとかいうのは、これは故意の問題でございませんので、いまのような事例は悪質な故意に基づくものじゃございませんので、こういう助言義務はもちろんでございますし、そういう問題にはなり得ない。それは徹底する必要はございますが、この条文自体が故意にということを重点にしておりますので、仮装、隠蔽というところに重点があると、こう非常に厳格に書いてございますので、いまのような解釈の違い、評価の違いというのは、これは問題にならないというふうに厳格に適用すべきものであります。
#65
○丸谷金保君 それで、これは現行法では脱税相談なんというような仕組みに入る範疇じゃないんです、どんなにしたって。しかし、今度新しい法律ができて、助言義務というのができると話は変わってくるんでないか。なぜもっと調べなかったというふうなことが、この問題、助言義務違反というふうな範疇にも具体的な例なんですよ、いま私が申し上げているのは、これは入らないと、福田裁判官、そういうふうに判定しますか。
#66
○政府委員(福田幸弘君) これはもう断定いたします。これは構成要件に当たりませんのでこの条文にはまりませんので、この助言義務の問題でございません。明確にいたしますし、徹底いたします。
#67
○丸谷金保君 こういう税法上の非常にむずかしい、微妙な問題のたくさんある事例がいろいろありますけれども、これはまあ助言義務のところで、きょうは所得税をやっておりますので、ただ関連してちょっと助言義務の問題に触れたんですが、大変税法はむずかしいというふうな問題が非常にあるうちの一つだという具体的な例として申し上げた次第でございます。
 それから、租税特別措置法の中の退職給与引当金、これは現在は一般の会社のどんぶり勘定の中で行われておるわけです。このために、会社が倒産したときに非常に困ることが多いんです。退職給与引当金は帳簿上にはあるけれど、お金はないと。そのために、会社倒産のときに、当てにしていた退職金は全く労働者はもらえないと、こういう実例が間々あります。今回の改正は、こういう問題にちっとも触れてないわけですね。これはやはりもう少し働いている人たちの利益を、権利を擁護できるような退職給与引当金の制度にしなきゃならないんじゃないかと思うんですが、いかがでしょう。
#68
○政府委員(高橋元君) 退職給与引当金が租税特別措置という仰せがございましたが、これは法人税法の施行令の改正で手当ていたす予定にしております。これが私ども、なぜ租税特別措置に当たらないということを長年申し上げておるかと申しますと、すべての法人の所得を計算する場合の通則だという考え方であります。
 ちょっと話がくどくなってお許しをいただきたいのでございますが、給料を払いますとそれが損金で所得税の、法人税の計算に入らないのは当然だと思います。で、九月期で終わって十二月にボーナスを払うときに、九月期まで働いた人のボーナスを引当金にして十二月に払った場合には、九月期の損金にして十二月の次の期に払うまで債務に立てると。まあいわば引当金として立てる。これも当然御理解いただけると思うのです。
 退職給与は、その期に働きまして、いまの日本の退職給与の制度ですと、支給倍率が上がっていくわけでございます。したがって、勤続年数が延びた分、支給倍率が上がった分、それだけ将来その人がやめた場合に支払うべき退職金の額がふえます。ふえてしまったものはやはり賞与なり、まして当期損金におきます給与というものと性格的には同じものである。これはいろいろ議論がございますけれども、昭和四十二年に、企業会計審議会というのが大蔵省にございますが、そこで議論をしてもらいまして、これはやはり負債性の引当金相当であるという考え方であります。金を貸しまして貸し倒れの危険というのは常にあるわけでございますから、貸し倒れ引当金を立てると同じように、やはり会社の所得を計算する場合には、それはむしろ引かねばならないというのが企業会計上の考え方であります。そういうことで昭和四十年の改正の際に、これを所得税の、法人税法の所得計算の通則として法人税法の中に入れたわけでございます。
 したがって、いま仰せのように、法人が引き当てます退職給与引当金は一般の負債勘定に立てておるだけで、その見合いの資産は特定さしておりません。昭和二十八年に制度を設けましてからたしか三十九年までは、その四分の一を特定預金にしておけという制度がございました。しかし、いま先ほど御説明を申し上げましたように、退職給与引当金はいま働いておる従業員が将来やめた場合に、退職給与規程なり労働協約に基づいて支払われるべき退職金の中でその期の勤務に起因している部分、それを引き当てるわけでございますから、したがって、これについて特定預金を要求する必要はないという考えでおったわけであります。
 別途、いまもお示しのございますように、昭和五十年、五十一年の構造不況時代に大変政策的な問題になりましたわけでございますが、当時、支払い賃金確保法というのが国会で御可決をいただいたわけでございますけれども、その時代に、会社がつぶれてしまって退職給与が払ってもらえない、給料も未払いがある。こういうものについて給与と、退職給与の支払い原資を確保させるべきだというような法律であります。
 その法律を労働省で立案いたします際に、退職給与の支払い原資を特定預金にしたらどうだろう、昔のように四分の一を特定預金にしておいたらどうだろう。少なくとも会社がつぶれても、特定預金見合いのものについては質権なり抵当権なりくっついているわけですから、または保証がくっついているわけですから、その分は取り立てられる、こういう提案がありまして、いろいろ労働省で苦労をしたわけでございますけれども、当時の法案の作成の経過で私ども労働省から勉強いたしましたところでは、左前の会社は退職給与の支払い原資を会社の外に出してしまう。または特定の形の預金にして、その預金を営業資金から切り離してしまうということになりますと、そういう運転資金がまた足りなくなりまして、その分をまた借りてこなきゃならないわけで、支払い利子がふえてしまう。そういうことがあるために、退職給与の額をふやすことを会社もいやがり、組合の方も要求しにくくなる。そういうことであるよりは、やはり会社が健全に経営される場合にはいまのままの制度でいいではないかということで、たしか退職給与の支払い原資の確保という制度は、ねばならないという義務規定という形で終わったわけでございます。
 私どもも、たびたび国会で、退職給与の支払い原資の引き当てと、退職給与引当金と名前が似ておりますので、ときどき御一緒のような御質問をいただくわけでございますが、支払い原資を積み立てるという必要があるではないかというお話がありまして、昨年もやりましたし、その後も労働省といろいろやりとりをしておるわけでございますけれども、いまのところ、そういう支払い原資の準備資産というようなものを引当金制度と一緒のものとして構成することは非常にむずかしいという現状でございます。
#69
○丸谷金保君 これは非常にむずかしいことだとは思います。しかし、退職給与引当金、これが損金として認められているのは、会社の資金繰りのため必要だから認めているわけじゃないんですね。あくまでそこに働いている人たちの退職金を確保するためです。そうでしょう。だから、損金として認められているんですね。そうでないですか。
#70
○政府委員(高橋元君) 繰り返すようで恐縮でございますが、今期働いたために、その人に将来払うべき退職金がたとえば十万円ふえたといたしますと、その十万円は今期の――まあその人は十年先にやめるかもしれませんが、今期の利益から引いておくというのがこの引当金の基本の思想でございます。つまり従業員を働かせてもうけが上がったと、利益が出たと、その利益を全部配当してしまわないで、十年先に払うべき退職金の中のこの期の分というのは利益から引いておきなさいというのがその引当金の思想であります。
 その思想と、会社がつぶれた場合に円滑に従業員に退職金を払えるような資金の手当てをしてやるということは別個のことでございます。別個のことではございますが、この引当金の制度と関連をさせて、退職金の支払いを円滑にしてやれるような制度を工夫する余地はないかということ、これは先ほども、いまの状況では大変むずかしいと私ども思っておりますと率直に申し上げましたけれども、労働省とも引き続いて長期的に勉強はしてみたいと思ってはおりますが、まあ制度としては引当金ではございませんで、これは恐らく支払い備金というような形になろうと思いまして、別個の制度になるというふうに思います。
 それから、お許しをいただいて、先ほどお答えをしました生活保護基準でございますが、一級地の生活保護基準は、五十四年度百五十万四千円、五十五年度百六十二万三千円でございます。
#71
○丸谷金保君 退職給与引当金とは別個の制度といいますけれど、本来その金はそういう準備金的な性格で損金として認めているんじゃないんですか。どうなんです、違いますか。
#72
○政府委員(高橋元君) 将来払うというよりも、当期の利益に計上してはいけない。当期の利益を計算するときには、十年先に払う退職金の今回ふえたその十万円、先ほどの例で申し上げましたけれども、それは負債として利益から引いてしまいなさいという制度でございますから、その負債として利益から引いたものをどういう形の資産として持っておるかということは、その次の問題でございます。つまり、負債に立てるためには利益をそれだけ減らさなければいけませんから、減らして引き当てました引当金を見合いにどういう資産形態を要求するかということでございます。
 昭和二十八年から三十九年までは、その四分の一を信託なり預金なり生命保険なりという形で持っていなさいという制度がございました。そういう制度を復活すべきかどうかということも検討の中の一環ではございますけれども、直ちにそれが退職給与引当金のそのものと結びつくというふうにも私どもは思っておらないわけでありますが、なおいままで繰り返し申し上げましたように、そういう退職給与支払いの原資をどうやって確保するかという制度上の工夫というものは、勉強を続けたいと思っております。
#73
○丸谷金保君 これは実際の問題として、私たちも非常にそういう相談をよく受けたんです、いままでにね。間々あるんですよ。帳簿上は退職給与引当金がきちんと何千万あるから安心だと思っていたら、会社が倒れてみたらお金は何にもなかったと。退職金もらえなかったと。退職時にもらえると思って働いているし、また支払いをするために損金として認められているものだと思うんですよ。そうでないんですか。どうも話を聞いてみるとそれは別なものだと言われるんですが、わからないんだ、私。別なものでいいはずがないんだ。
#74
○政府委員(高橋元君) 現在、中小企業退職金共済事業団がございまして、日本じゅうで百数十万あります企業の中で三十万ぐらいはそれに加入しておられるわけです。その掛金を掛けておきますと、これはもう外へ出してしまうわけでございますから、これは損金でございますが、将来会社がつぶれて退職金の支払いが起こった場合――つぶれなくても起こりますが、そういう場合には退職金共済で払ってもらえるわけでございます。そういう制度は、外部拠出で退職金の支払い原資を確保するという非常に有効な方法でございますから、そういう方法につきましてさらに検討していくということもあると思います。
 退職給与引当金は損益の計算上のルールでありますから、物を売りまして、百万円売ったけれども五千円はどうも貸し倒れの危険が起こりそうだというので、五千円は損金に立てて引当金にしてしまう。同じような意味で、所得計算上のルールというふうに思っておりますが、いまもだんだんお示しのありますように、こういうものと退職金の支払い原資をいかに確保するかという制度と、リンクさせると言うと少し言葉があれになるかもしれませんけれども、そういうものと並行して検討していく、いわばこれは労働基準行政の問題でございます。検討してみる必要はあろう、そういうことで長期的に勉強しておると申し上げた次第であります。
#75
○丸谷金保君 長期的と言わないで、急いでください。現状では本当にそのために泣いている労働者がたくさんいるんですよ。私たちもそれでもういろんなそういう相談を受けるんです。社長がいなくなっちゃった、みんな集まってわいわい言うけれど、退職金の分けようもないと、帳簿にはこんなにあるんだと、こういう例はたくさんある。そして、しかもそれは損金で税をかけない方にちゃんと大蔵省は認めているわけだから、大蔵省が認めて引いているから安心しているんですよ、みんな大丈夫だと思って。いや、首かしげるけれど、本当にこれはそんなこと関係ないんだったら関係ないで、損金に認めるというのはおかしいことになるんですよ。
 ですから、労働行政の中で、いま言ったような事業団に入りなさいという指導をうんとやるということも必要ですけれど、何かそういうところに繰り出す損金の歩合いと、いわゆる中でどんぶり勘定で企業の運転資金として自由に回せるような損金と、これをもう少し区別をきっちりつけて、たとえばこれは税額で差をつけるというわけにもいかないけれど、何か方法ないですか。私たちこれは実際に、こんなばかなことと思いつつ来たんです。
#76
○政府委員(高橋元君) ただいまの仰せ、いままでもいろいろ御質問をいただいておりますので、労働省にも早速伝えまして、労働行政としての取り組みと、私どもの方の対応というものについて検討してみたいと、かように思います。
#77
○丸谷金保君 これは労働省だけに任せないで、大蔵省としてもひとつ十分積極的に取り組んでいただきたい。お願いします。
 それから次に、今度は土地税制の問題です。二千万から四千万に非課税限度額を上げましたですね。これは倍にした、一番基本的な二千万を四千万にしたという根拠は何なんですか。
#78
○政府委員(高橋元君) 今回、土地税制について改正の御提案をいたしておりますが、その一番主な考え方は、いまの土地問題というのは宅地の供給をいかに確保するか、それによって地価の高騰にブレーキをかけていくということであろうと思います。
 そこで、宅地の供給が非常に払底をしております地域というものは、何といっても三大都市圏であろうと思います。三大都市圏、特に首都圏と申してもよろしいかもしれません。そういうところの土地の取引の現状というのを、私ども毎年夏になりますと、全国の土地の譲渡所得について悉皆または抽出の調査をいたします。
 そういう結果をいろいろ見ておりますと、どうも現在の税制が、私は税制は――ごたごたしますけれども、補完的な手段だと思うわけでございますけれども、現在の税制が二千万円まで二〇%の比例課税である、二千万円以上は四分の三の総合課税になるということが意識され過ぎておりまして、譲渡所得が二千万円になるところまでで土地を切り売りをするという傾向があるようでございます。残念ながら事実のようであります。全体の土地の取引の中で九三%ぐらいは譲渡所得が二千万円以下というところで切られているわけでございます。
 東京近辺の地価は、よく御案内のように通勤圏内であれば普通百万で、安くても五十万でございますから、そうなりますと、二千万の土地が売られてきたということは、二十坪から四十坪ぐらいの土地が売られているということであります。それでは、宅地の供給として将来のことも考えますと、大変何といいますか、寒くなるような気持ちがいたします。そういうことを避けてこれを四千万まで上げていけば、小口のものでなくてもう少しさらに大きな土地が出てくる、それによって宅地の供給が促進されるというようなことをいろいろなケースについて調べてみました。
 そうしますと、大体五十万から百万といま申し上げたぐらいの土地でございますと、四千万まで上げていきますと、いま九三%と申し上げましたが、それが七割ぐらいの取引になろうかと思います。それ以上の大きなものにつきましては、やはり比例課税というわけにいきません。その辺になりますと、かなり税率も高くなるわけでございますから、比例課税でございませんで二分の一の総合課税にしよう、それで八千万円まで行きまして、八千万円以上は、土地の譲渡所得というのはキャピタルゲインの最たるものでありますし、社会開発の利益を受けておるという意味では、他のキャピタルゲインとはまた違った意味を持っておりますから、したがって、それは現在の長期譲渡所得の課税の大枠である四分の三の総合ということを緩和しない。
 そういう考え方に立ちまして、大体首都圏なり三大都市圏の地価の実情とか、切り売り、ないし毎年毎年売り惜しみということの状況を見合わせまして、二千万円の比例課税分を四千万円に引き上げる、それから八千万円までは二分の一という制度をお認め願いたいという案をつくりまして、御審議を願っておる次第でございます。
#79
○丸谷金保君 グリーンカードのところで、やってみてうまくなければできるだけまたどんどん修正するということで前向きに、余り慎重にならないでというふうに私申しましたが、土地税制についてはそれと実は逆だと思うのです。ちょいちょい変わりますと、いまお話のありましたようなことになかなかならないのですよ。いままで二千万で売ろうと思っていたのが、今度四千万までが税金が安くなるということになると、二千万の土地が四千万に値上がりするということの方が経済の原則から言うと多いのです。そして、さらにまたそれ以上の人は、いずれまたこれは変わるだろうからそれまで持っていようということで、宅地供給が減る方に回ると。現に私、そういう話を聞いています。いや、また変わるかもしらぬからなかなか売れない。
 だから、私は、土地の問題については、もっと地方公共団体その他に対する免税の措置をふやして、そういうところが土地を抱えていく。公共団体へ売る場合は免税だというふうな土地税制を抜本的にやらないで、こういうちょぼちょぼとやることは逆に私は反対なのです。うまく効果が上がりません。これで効果が上がると思いますか。
#80
○政府委員(高橋元君) 土地税制は誘導的、補完的な手段でございますから、これだけで土地の問題が一切解決するという過大な期待感というのがあってはならないと思うわけでございます。しかし、いま先ほど仰せのありましたことは、まことに私どもそのとおりに思っております。
 つまり、土地税制で現行の租税特別措置法は、所得税の本則の二分の一総合課税に対しましていわば重課しておるわけでございます。今回緩和したと申しましても、本則よりは加重されております。そういう意味で、昭和五十年から五十五年までという時限規定であったわけでございますが、五十五年になれば租税特別措置法が自然に切れてしまって二分の一課税に戻ってしまうのだから、それまで売らないでいいではないか、こういう期待を持たせますと、売り控えということが広範に起こってまいります。
 そういうこともありますので、今回御提案いたしております規定は一切適用期限を定めておらないわけです。租税特別措置法の各般の特別措置につきましては、サンセット方式と申しますか、すべて期限をつける、または政策効果の上がらなくなったものを廃止する、そういう態度で臨んでおりますけれども、これだけは逆に期限を取りまして、当分の問という規定に直してしまっておるわけです。それは、連続して毎年毎年土地税制が緩和されるという期待から、逆にいまお示しのように売り控えが起こるということがあってはならない、期限をつけないことがまた政策的な意味を持つであろうというふうに私は思います。
 そういう意味で、今回の御提案も、無期限という形で五十五年一月以降の土地取引については、長期譲渡については、すべてそういう制度が今後相当期間にわたって適用されるという前提で、御審議を願いたいというふうに思うわけであります。
#81
○丸谷金保君 少なくとも今後十年くらいはいじらないというふうに理解してよろしいのですか。
#82
○政府委員(高橋元君) いま、いつ改正するとか、いままでのように五年たったら改正しますということではない、そういう形の条文として御審議いただきたいと思います。
#83
○丸谷金保君 どうもいまの答弁を聞いていますと、先の答弁は大変かちっとしていたのですが、後の答弁は早いこともあるし遅いこともある、こういうふうな答弁です。それはわからない。少なくとも、相当程度直さないのが正しいので期限をつけなかったという先ほどの答弁と今度の答弁とちょっと違うのですよ。どっちなのですか。
#84
○政府委員(遠藤要君) 今度の改正案は、土地の潤沢な供給ということを考えてのことであって、先生のおっしゃるように期待感を持たせるということになればその改正案の意味をなさず、そういうふうな点でわれわれとしては堅持していきたいということで、御理解を願いたいと思うわけであります。
#85
○丸谷金保君 答弁の前段で、土地の問題は税制だけではどうにもならぬということを前置詞に置いて答弁されているので、これでもって宅地供給が円滑にならなくてもそれはこの税制の責任じゃないと。こういうことを言いながら、それでも供給に期待している、こういうことなので、何か非常に自信のない御説明のような気がするのです。本当は、やってもうまくいくかどうかわからぬけれども、まあいろいろあるからちょっと手直ししてみようということじゃないのですか。どうなんです。
   〔理事細川護熙君退席、委員長着席〕
#86
○政府委員(高橋元君) 私が、土地はあくまで税制は補完的な手段であるということを申し上げましたのは、いままで長い間の土地税制の歴史から見まして、土地税制に過大な期待が持たれてきたということを受けてのことでございます。
 昭和四十五年に分離軽課にいたしまして一〇%、一五%、二〇%ということをやったこともございます。五十年になりますと、それを改正しまして四分の三総合課税という制度にいたしました。それによって、本来オールマイティーでない税制がそれだけに頼られてしまって、土地の供給をあるいは促進し、あるいは抑制するというふうになるのは大変問題ではないか。それよりももっと、たとえばゾーニングでございますとか地域の利用規制でございますとか建築法規の改正でございますとか、いろいろなことがあって、そういうことと相まって効果を上げていきたいというつもりで申し上げたわけでございまして、効果のほどもわからぬけれどもとにかくやってみるという気持ちは毛頭持っておりません。
 たとえば、今回御提案しております中に、居住用の資産を売りましてその売ったところに四階以上の共同の中高層のアパートを建てる、その場合には買いかえにする、買いかえと申しますか、課税しないでおいて取得価格引き継ぎでいきますという条文を一つ御審議をお願いしておるわけでございますけれども、これあたりも、現在、第一種住居専用地域と申しますか、いわゆる一種住専ではたしか高さが十メートル以上の家を建ててはいけないわけでございます。そうなりますと、四階建ての家が建たないわけでございます。そういうことになりますと、せっかく居住用の中高層買いかえを認めてもその効果が上がってこない、二種住専以下の地域でないとそれがかかってきませんから。そういう場合には、建築基準法規なり都市計画法規なり、そういうものと連動することによって効果を上げていきたいと、そういうつもりで申し上げたわけでございますので、御理解をいただきたいと思います。
#87
○丸谷金保君 これ、どうですか。地方公共団体等が買う場合には、全部無税にするというくらいの思い切った措置はとれないものですか。
#88
○政府委員(高橋元君) 現在、収用事業または収用事業に当たりますような公共的な事業によって土地が買い取られる場合には、三千万円の特別控除をいたしております。これによって、そういう関係の土地の譲渡の相当多くのものが非課税になっておると思います。
 それから、五十四年度の税利改正でお願いいたしましたが、国または地方公共団体、そういう公的主体が土地を買う場合、その売った人につきましては四千万円まで二〇%、四千万円以上二分の一比例課税という制度を入れております。いわゆる優良住宅地の譲渡の特例でございます。そういう形で、公的に売られる場合、課税上も非常に優遇をいたすということにいたしておりますが、一方で公的な機関に土地を売りましても、やはり昭和四十三年十二月から前持っておる土地でございますから、したがいまして、譲渡益の発生することは事実でございます。譲渡益が発生して、しかも譲渡益というのは長年持っておりまして一時に実現するというキャピタルゲイン以外、社会開発、公共の開発利益を受けておったものでございます。個人について起こった所得を全部まけてしまうという必要は私は、ないと思いますし、また、それは課税の公平上非常な問題である。
 公的な主体が公的な利用に供すべく計画を持って土地を買いたいというときに、それを売りやすくしていく、そういうインセンティブをつけるための制度として、いま申し上げた優良住宅地の課税の特例とか、それから公共事業の収用事業の三千万控除とか、そういった特別控除の制度があるわけでありまして、これによって効果は相当発揮されておると思います。
#89
○丸谷金保君 効果が発揮されていれば、公共事業によるところの土地インフレなんというのは起こらないんです。効果が発揮されていないんですよ、これは。効果が発揮されていないから、公共事業投資によって土地インフレが起こっているんでしょう。私たちは事実から言っているんです。あなたは法制の理論から言っているから、両方でどっかで合わなきゃならぬのだけれども、おたくは事実認識がないものだからそういうことで効果が上がっていると言う。三千万の、公共事業なんかの場合にはそういう控除はあります。結果、どうなると思います。それに見合うだけしか売ってくれないから、まとめて買うということができなくなるんです。開発が進んで開発利益で付近が次の年になるとまた上がる、と、また高く買わなきやならない。
 こういうふうなことで、一括してと申しますのは、私は三年間くらいの間に、坪で言った方がわかると思いますが、千六百万坪池田町長として買ったんです。千六百万坪ですよ。一番困ったのはこの税の問題なんです。しかし、思い切って買って、ですから土地は値上げさせない、宅地は町が全部提供する、いろいろなことをやっております。そういう実際にやってみた形の中から、自治体ががちっと土地を持てば土地の値上がりを抑えたり、公共事業に代替地でもすぐできるんですよ。そういう柔軟な措置がとれるんだけれど、やはり自治体が土地を持っていないと、そういうことが、いま言ったように効果が上がる上がるといって、上がってないんです。私は上げてきたんです。私自身は上げてきましたよ、それだけのものを持ったから。持たなきゃ上がらないですよ、絶対に。
 公共事業でもって用地を買う場合でも、固定資産税の二・五倍以上には絶対買っていません。固定資産の評価を安くしておいて、税金を払うときに安くて売るときに高い、そんなばかなことは絶対にさせないということでやってきました。実務をやってきて、うまくやっている私が言っているんですよ。その例はたくさんあります。あなたの言うようないまのそういう小手先では、土地問題というのは税制の面からだけでは解決しないですよ。本当に歯がゆいんです、ここへ出てきて見ていますと。
 たとえば公共事業をやる、われわれはまとめて三年分でも五年分でも一遍に買います、開発利益というようなものを得させないために。しかし、これを一遍に買っても一遍に払えない。そうすると、国なり県なりとの間に契約して、分割して毎年納入してもらう。本人には一遍で払います。本人が銀行から借りたのに、これは多少財政支出になるけれど、町が金利負担だけするんです。その金利負担の分だけ、毎年国の方に公共投資として払う金を上げてもらう。そうすると、公共事業によるところの土地のインフレは起こらないんです、そういうふうなやり方であれば。少なくとも自治体が持つ場合には、それでは役場に売るなら少しは安くてもいいということになるんですよ。そっちの方に行くんですよ。
 ここいら辺のことが、どうも東京におるとピントが狂っちゃって、実際の実態と合わないような税制なり、制度というふうなものが進んでいっているんじゃないか。だから、土地税制についてはこんな小手先でなくて、もっと抜本的に、徹底的な検討の中でやっていただきたいと思います。
 ひとつ次官、大蔵省の税制の担当官を池田町へ行って勉強させてください、いかにうまくいっているか。
#90
○政府委員(高橋元君) いまの市町村が公有化をして土地をたくさん持っておって、公共事業の対象としてそれを利用する、そういう公有化政策というのは、私どもは非常に効果があると思っているわけであります。
 委員のいまお挙げになりました池田町の話は私ども承知しておりましたが、昨年これも税制調査会で土地の御審議を願うときに、関西の方のさる大都市で相当大きな公有化をやっておられるところがあるのです。名前をあえて申し上げれば神戸でありますが、神戸の方に来ていただきまして、土地税制の改正について現状についてどう思いますか、それから計画法規なり、それからそういう公有化政策の進め方と税制とのあり方をどう考えますかということをずいぶん詳しく伺いました。
 そういうことで、いま仰せのような公有化政策を助成するという意味で私がさっき二つの制度があると申し上げたわけですが、そういうものの持っている意味というものについての御意見もちょうだいしたわけであります。
 ですから、私どもは決して――まあ、私どもは東京におりまして地方の実情を全部知っておるなどととうてい申し上げる気持ちはありませんけれども、できるだけ広くそういう政策の持っている効果というものについて、また政策税制としての土地税制をどう運用するかというようなことにつきまして勉強しているつもりではございますけれども、何分にも土地の譲渡所得というのはかなり大口の所得であります。市町村に売られる、または県に売られるという場合に、その所得について一切課税をしないということになりますと、これは課税の公平ということをどう考えるかという大きな問題も出てまいります。
 一方で、これはこういう公の席で申し上げていいかどうか私は若干自信がないわけでございますけれども、市町村がお買いになる、県がお買いになるに比べて、そうじゃない国の機関が買う場合の方の買い値が高いというような問題もあるようでございます。これは、歳出でもって土地を取得していく場合の便宜の問題とか、いろいろな問題があると思います。ですから、公共事業の執行によって土地が値上がりしていくということは確かにあるのでありますが、それは買い手はいろいろ高い値段をつける、高い値段をのまされてしまうということもありますから、そういうことの執行の面でも十分御留意をいただきたいというふうに私どもは主計局にも話をいたしておりますし、主計局の予算の査定でも、そういうことがないように配意をしてもらっているわけです。
 しかし、何分にも全国で四千五百万人の地主がおいでになるわけでございますから、そういう方について一律に適用する税制を考えていきます場合には、やはり課税の公平の枠の中で誘導的な効果を発揮し得る限度というものが現在の優良住宅税制なり、公共事業等の特別控除ということが限度ではあるまいかという考え方を申し上げておるわけでございますが、もちろん土地税制によって宅地の供給を円滑にしていくということのためには、私どもは先ほども政務次官からお答えがありましたように、現在御提案しておりますものがお認めいただけますならば、しばらく減税期待というものをなくして、民間の宅地供給というものを促進していきたいと思いますが、別途法的な土地取得の位置づけなり、それに対応する政策手段としての土地税制というものをどういうふうに持っていったらいいかということの勉強は、これは怠らないつもりでおります。
#91
○丸谷金保君 二千万を四千万にするというふうなことで、あくまで民間に土地供給、宅地供給というふうなものを任せていくという、そういう考え方の基本が間違っているから、こういう税法改正になってくるんですよね。これは土地問題は民間に任せるべき問題じゃない、本来は国の責任でやることです。ですから、それは国の責任であると同時に、その地域社会の地方公共団体にももっと幅を持たせた政策が行えるようにしてほしい。課税の公平から言うと問題があると言いますけれども、その分だけ逆に言うと自治体に提供する場合安くなるんです。ここのところの考え方が基本的に違うわけですよ。
 土地を持っている人は、売る場合にはいわゆる価格が幾らというんじゃなくて、手取りが幾らかということなんです、税引き後の。だから、公共団体に対するそれは、現実に使っている分については大きな控除あります。そうじゃなくて、それじゃだめなんです、土地税制、私たちの体験から言っても。思い切って地域社会の計画があったらまとめて地方公共団体自体が持ってしまわないと、うまくいかないんですよね。ですから、民間主導型の考え方でなくいかなきゃならぬ。
 それから、そういう税の問題でも、それはその分だけ安くなるんですから、手取りは同じだったらじゃ役場に売ろうかと、市役所に売ろうかと。そういう税制の仕組みに変えていただかないと、これは何も北海道だけのことを言っているんでなくて、全国的に、それから現在の東京周辺にしても、もうちょっと何というか、公共団体がそういうことの体制のとれるような、ひとつそういう点で次官、土地税制はこういう小手先をいじっても決して予定したような期待するようなものは上がらぬと思います。ですから、私たちは反対です、いまこんなことをするの。もっと基本的に所得税法の全体として、こういう土地の譲渡の税制も抜本的に考えるというふうな態度をひとつおとりいただけませんか、どうでしょう。
#92
○政府委員(遠藤要君) この改正案によって、でき得る限り宅地の供給を円滑にさせたいと、それには税制の手直しが間近にあるのだということになると、またせっかくの改正案の効果が薄らいでくると、そういうふうな心配も私どもは持って、ぜひこの改正案を基礎として堅持していきたいと、こういうふうなことを先ほども申し上げたわけですが、ただいま先生の御発言は、特に公共団体と、そういうふうな点での土地の問題、これからの役割りはやはり国なり地方公共団体がもっとその役割りを果たすべきだと、そういうふうな御発言のようでございますので、この点、十分われわれとしても検討してまいりたいと思いますので、よろしく御理解願いたいと思います。
#93
○丸谷金保君 重ねて次官に申し上げたいと思うんですが、いまの大蔵御答弁のようなやはり民間デベロッパーに任していくことが、国の基本政策として、これは決して大蔵だけの考えでないと思います。いまの自民党政府の土地政策の失敗の基本は、そこにあったと思うんです。政策は失敗してきていますわね。そして、それのつけは国民に来ているわけです。ですから、私は思い切った手を打たなければ、とても小先手の税制の改革だけで、しかも税制だけにこれは責任を転嫁するわけにもいきませんから、ひとつその点、十分お考えをいただきたいと思います。
 それから、所得税の関係の国会のしばしば答弁の中で、日本は外国に比べて法人税は高いんだと、非常に多いんだと、こういうふうなことがよく言われておりますね。何回か答弁の中で、そういうあれが出ております。私もなるほどなと思った。だから、法人税の増税ということはできないので、財政再建のためには個人所得者もがまんしてもらわなきゃならぬという、一つの理論的な構成が行われてきました。これは数字の上では、確かに法人税収というのは日本が多いんです。しかし、なぜかと言うと、法人の数がヨーロッパ諸国等に比べても非常に多いということを私、最近気がついたんです。
 たとえば、EC諸国、西ドイツと比べてもいいですが、一体課税対象になっている法人の数はどれくらいの開きがありますか。
#94
○政府委員(高橋元君) 法人の数ということだけで申し上げますと、日本は百六十万七千九百八十五であります。その中で協同組合、公益法人を除きました普通法人、会社でございますが、これが百五十三万八千八百二十三あります。昭和五十三年度であります。それに対してアメリカは、昭和五十年度に二百二万四千法人あるようでありますが、中身はわかりません。それからECといま仰せでございますが、イギリスしかわかりませんが、イギリスは三十八万四千三百のようであります。ドイツはもっとたしか私の記憶では少なくて、十万台であったと思います。
 ただ、先ほどのお話の中で、私一つお断り申し上げておきたいのは、日本の法人税が税収の中に占めるウエートが高いから、したがって法人税をふやす余地がないのだということを申し上げたことは一度もないわけであります。日本の税制の中で法人税は三割という地位を持っておりまして、非常に大きい割合を占めておりますが、日本の法人の実効税率は諸外国に比べると若干低い。したがって、適当な機会をとらえて、それの引き上げを検討すべきであるという五十二年の税制調査会の中期答申の線で検討いたしておりますということを申し上げておるわけでありまして、法人税収の割合が高いから法人税をふやすつもりはないということは、私の知っている限り、政府ではどなたもお話しになっていないと思います。
#95
○丸谷金保君 私の申し上げるのは、政府答弁で、税収の中に占める法人税額は非常に多いんだと、こういうことをしばしば言っているので、実効税率とか税率がどうだこうだという答弁をされないで、いつも法人税の税額はこんなに諸外国に比べて多いんですよと。これは巧みにすりかえている。いかにもそのことは、税率も高いんだからそうなかなか上げられないのだという、そういう認識をさせるような答弁がされているんです。これは、この一年くらいの間にも私は聞いております。
 しかし、実際は税額は諸外国に比べて――よく日本の場合に西ドイツを例に出しまして比べます。しかし、ただいま御報告いただいたように、西ドイツの法人の数というのは十五分の一ぐらいですわね、日本の。こういうのを比べて、税額だけですぐ言うんです。これは税理士法でも同じなんですよ。西ドイツも無試験ですよなんて言いましたね。全然違うんです、中身が。いかにも、だからわが国の無試験もいいんですよということにすりかえて言っているのと同じように、法人税の問題についても、法人税をもっと高くせいというわが党要求に対しては、税率の細かい説明より、いや、なかなかわが国の税額は非常に法人税も諸外国に比べて多いんだと、こういうような形で上手なすりかえの答弁が行われてきている。ですから、そういう点でこれだけ違うんですから、税額多いのはあたりまえなんです。
 ここで、もう一つの所得税との関連で問題は、なぜ日本はこんなに会社が多くなったか、本会議でも私指摘しておきましたが、個人の所得税を納めるよりも、親子でやっているような商店でも、会社にした方が税が安くなるからなんですよ。言うなれば、所得税が高いということなんです。この点について、ひとつ御見解をお願いしたい。
#96
○政府委員(高橋元君) ちょっと戻りまして恐縮でございますが、さっき法人の数を挙げてお話がございましたけれども、法人の所得というのが国民所得で出てまいるわけでございますが、法人所得が国民所得の中で何割を占めておるかということを比べてみますと、日本は九%であります。アメリカは九・七%であります。イギリスが七・一、これは、会社の数が少ないわりには法人の企業活動が大きいわけでございまして、七・一。ドイツが三・七。国際比較するとそうなります。大体、多少のでこぼこはあるものの、五割前後が法人の税金でありますから、したがって、法人税収というものはこの割合で、この法人所得の大きさで国際的に比べていただければいいのだろうと思います。
 そこで、もう一つの御質問は法人成りの話でございますが、最近ずっと会社の統計を見ておりますと、一年間に七万から五万ぐらい法人が新しく数がふえていきます。これは一つは、休業した法人をなかなか抹消いたしませんで、実体がなくて、ただ登記簿だけで残っておる法人というのがあるものですから、どんどんふえてくるように見えて、実際に動いているものは百三十五万ぐらいかなと私どもは思います。思いますが、やはり若干ふえる傾向にございます。
 法人でございますと、中小法人の場合には留保に二八%の税金がかかるわけでございますが、二八%の個人の実効税率というのはかなり高いところでありますから、税率だけの比較からいたしますと、法人と個人の間の税負担のバランスというものは、むしろ法人の方が、たしか所得七、八百万円よりも大きくありませんと法人の方が高いのだろうと思います。
 そういう意味で、法人・個人間の税負担のバランスは、いままでもずっと議論をしてまいりまして、検討もしてまいりまして十分考えてきておりますし、四十八年度に、個人のままで租税特別措置のみなし法人という課税を採用されれば事業主報酬がとれるという形で、そこで法人と個人の税負担のバランスというものを一つ図る方策を入れたわけであります。
 それであるにかかわらず、なぜ五万も七万も会社が毎年ふえるのだろうということでございますけれども、これを、会社設立をしたその理由というのを、非常に大きな調査はございませんけれども、折に触れて企業の精通者なり、それからちょっとした世論調査なりというものをやってみますと、税負担の問題というよりも、銀行から金が借りられやすい、株式会社の方が。何のたれべえという個人商店よりは資金調達が有利であるということとか、社長さんというのは日本じゅうに百何十万人かおいでになるわけですが、何々さんよりも社長さんの方がかっこうがいいというふうに社会的な地位の向上ということとか、そういうことがむしろ指摘されておるようでございまして、私どもは今後とも個人と法人の税負担のバランスというものを考えていかなきゃならないと思いますし、こういうふうに、これから先、歳出の面の考慮はありますにしても、税負担というものについて御理解を得ながら、この辺考慮していただかなきゃならない世の中でございますから、そういう企業活動について、法人形態と個人形態をとった場合に税負担のバランスというものは十分考えなきゃならないと思います。
 今度、税制調査会に企業課税小委員会というのをつくっていただきましたのも一つはそこにございまして、そういう点についても御検討を願いたいなという考えで、いまこれから審議に入るところでございます。
#97
○丸谷金保君 こういう問題について、いまも西ドイツとの法人の数、これが巧みに税額に変わると同じように、いまもちょっと、外国の方が所得税高いよと不規則発言がありましたけれど、私はデンマークだとか北欧三国も税制度を調査して歩きまして、それはわかっています。しかし、それはそこのところだけ言うんですよね。歳出構造からも合わせないと、税負担の問題は論ぜられないんです。
 ところが、一方で言うときには、ただ所得でもって、デンマークは幾らで日本は幾らだから日本は安いんだとか、じゃ福祉の構造はどうなっているんだと、こういうふうなことを全体としてとらえた場合に、われわれやっぱり日本という地域社会にいるんですから、余り外国の例というのは都合のいいところだけとって答弁されると困る。盾の半面だけを必ず答弁されて、なるほどないというふうなことにならないように実はしなければならないので、やはり日本の税制をやっているんですから、私はだからドイツがどうでもいいです。それよりも日本の国内における税負担のバランス感覚から言って、個人所得税を払うよりも法人税の方にした方が得だ。
 ところが、それをまた法人とのバランス感覚で言うと、数字だけで言いますと、大企業も入りますから、それは確かにいまの御説明のような数字は出てきます。しかし、個人にしても法人にしても、同じくらいの企業、夫婦とおじいちゃん、おばあちゃんくらいで会社にしているところ、こういうところでのバランスをとってみれば、銀行から借りやすいとか何とかということよりも、税負担の問題の方がはるかに大きなウエートを占めている、これはもう間違いないんです。そこに、所得税が諸外国より安くても何となく重税感というものもありますし、これは一方では歳出構造が違うから、そういう面から来る問題もあります。出すのは出すけれど、さっぱり具体的な問題としては返ってこないといって、どこかとんでもないところへすっと行ってしまうというふうな問題も重税感につながりますけれども、それと同時に、そういうバランスで言うと、どうも所得税というのは何となく高いという感じを与えるのは、法人とのあれなんです。
 これは農業だって、農業法人にすれば途端にもう無税になっちゃうんです。そういう例はたくさんあるんです。ただ、記帳や何かめんどうくさくてとてもやれない、あのまねできないから。個人にはない法人にはいろんな特典があります。わが党がそういう点で、租税特別措置法をもっと全面的に見直さなきゃいかぬと言っているのも、そこにあるわけです。そうですわね。そういう点で、単なる数字の比較でなくて、実態の上に立った比較をしていただきたい。
 時間がありませんので一緒に言ってしまいますが、それがどうもなかなかその実態に合った議論とかみ合わないのは、主税局と国税庁、現場で苦労をしている税務署の職員や税務官署の人たち、これらの意見が、要するに税法を企画し立法化する主税との問の人事交流がきわめて少ないという面があるんじゃないか。だから、現場の地についた苦労だとか実態だとかということは、意外と大蔵省の方に吸い上がってこない。実態のわからないうちに税法だけは走っていくと、こういうきらいが非常に多いのじゃないかと思うんですが、これは大臣に聞く話かもしらないんであれですけれど、どうなんですか、そこら辺の人事交流。
#98
○政府委員(高橋元君) 政務次官からお答えのある前に、私からお答えさしていただきます。
 現在の制度を前提として個人と法人の税金を比べてみますと、たとえば大体五百万という事業所得の場合に、個人が地方税、国税合わせまして払われる税金は三〇%でありますけれども、法人企業で五百万という所得を上げられた場合には、五三・一九%の税金がかかるわけです。したがって、税負担のバランスということだけでなくて、所得計算のやり方なり、さっき申し上げた信用調達上の便宜というものが入っておるということは、私はあながち間違ったことを申し上げたつもりもないわけでございます。
 それから、国際的に比べて日本の所得税が低いと、これは歴然たる事実でございまして、総理も大蔵大臣もたびたび本会議でも委員会でも申し上げておるとおりで、いま御説明は省略いたしますが、ただ、私が最初にお答えしたことと関連して、どうもおまえらは地方の実情を知らぬではないかと、こういう仰せであります。
 そういう点は十分勉強せねばならぬわけでございますが、現在私の隣におります伊豫田国税庁次長は、去年まで私のところで主税局におきまして審議官をしておりまして、その前は国税局長もやっておりまして、いろいろそういう意味では、執行とその制度を預かっております主税局との間の人事交流というのはこれは非常に激しく行われております。そういう意味で、また国税局長だけじゃよくわからぬじゃないかというお話でございますが、それはまた地方の部長もやったり、それから税務署長もやったりいろいろ勉強はいたしておりますわけでございまして、そういう点でそういう人事の交流だけでなくて、税制改正いたしますときには必ず国税庁が全国の国税局から意見を集め、国税局はまた税務署の一線から意見を集めて、そういうものを持ってこられて、執行上の立場で私どもの方と国税局の方とずいぶん熱心な討議をするわけであります。そうやって税制改正に織り込むものもございます。私どもの方で、制度の問題よりは実行でやってくれというお願いをいたすこともございます。
 人事の配置は私が云々すべきことでございませんけれども、私どもはそれなりに少ない人数で、五万の職員が地方でつかんできておられる税務の一線の実情というものを把握することに日夜努力をしておるということは、御理解いただきたいというふうに思います。
#99
○委員長(世耕政隆君) 丸谷君、時間が参りましたので、結論にお入りください。
#100
○丸谷金保君 実は、これでもって、答弁でやめようと思ったんです。しかし、いまの答弁を聞いたらどうしてももう一回言わなきゃならない。いいですか、いまの個人所得の場合五百万円で三〇%で法人なら五十何%と言いましたね、そういう比べ方をするんですよ、あなたたちはすぐ。ところが、法人の場合の四人の重役さん、みんな課税にならないくらいの給料をもらうんです、別に。だから、こちらの五百万円の所得の三〇%と法人の五百万円の五十何%とは、比較すべきところでないところであなたたちはすぐ比較をして、こうだ、ああだと言うんですよ。そうことにはだまされませんからね。それは給料四人もらって、残りでそれで五百万円の利益が上がったら、あたりまえの話でしょう。全然違うんです、あんたらの言うことは。
 まあこれでやめておきます。
#101
○矢追秀彦君 初めに、これは政務次官にお伺いをいたしますが、政府は五十五年度を財政再建元年として財政再建に取り組む、こういうように言われております。
 五十五年度予算は、景気の回復もあり国債の発行を多少抑えることが可能になりましたが、これは政府の政策努力というよりも、私は税収の伸びがかなり当初よりも上回ったと、これは私も予算委員会で指摘をしたとおりでございますが、政府の見通しを上回ったわけです。そういうことがあってできたことでございまして、むしろ政府の政策努力とは余り言えないように思います。
 また、行政改革についても、前宣伝はかなりやられておりましたが、現実にはまだまだ十分なものとは言えないと、こういうふうに考えるわけです。財政的に見ますと、剰余金の額は五十四年度に対して増加をしておったり、あるいは特殊法人の整理統合にしましても、財政再建という見地から見ると、目をみはるようなそういう効果のある施策というのはまだできてないわけです。そういう意味で、この財政再建に取り組む決意というのは再三大蔵大臣も言われておりますし、また、総理もしばしば予算委員会でも、あるいは当委員会でも宣言をされてきておりますが、現実問題としてこれから最も効果ある方法、いろいろあります、やり方は。しかし、これからやらなきゃならぬ一番大事な第一点は何なのか個人的な意見も含めていただいて結構ですから、ひとつお伺いしたいと思います。
#102
○政府委員(遠藤要君) 財政再建に取り組む姿勢について矢追先生からお尋ねでございますけれども、現在わが国財政はすでに御承知のような巨額の公債発行によって賄ってきた。そういうふうな点で、いま財政再建をやることが何よりの急務だと。これは私どももそのような気持ちでいま努力をいたしているつもりでございますが、そのような点で、このたびの予算編成に当たっても、行政経費の削減であるとかいろいろ事細やかにきめの細かい削減も図り、かつまた、矢追先生からは手ぬるいと言われておるかもしれませんけれども、行政改革についてもとにかく何が何でも行政改革が一番のねらいでないかと、こういうふうな感じで、いま総理も行政管理庁も、また大蔵大臣も一体になって行政改革を推進している、そういうふうな点がございますが、さらにまた、歳入歳出面においてももっとやはり狭めていかなければならぬ。特に矢追先生にもこれは評価していただいて結構だと思いますけれども、そのような気持ちで五十五年度は国債も当初に一兆円減額と、そういうふうな点の姿勢もひとつ御理解を願っておきたいと思います。
 さような点で、先ほど丸谷先生からも御指摘のあった所得税の減税問題等もございましたけれども、いま国民の幸せを求めるには何としても財政再建が急務だと、そういうふうな点で御理解を願っていると、さような点をひとつ御理解願っておきたいと思います。
#103
○矢追秀彦君 もちろん行政改革を含めた歳出を抑える、これは大事なことでありますし当然やらなきゃなりませんが、やはりこの歳入をふやすということ、これが何といっても私は非常に力を入れなければならぬと思うわけです。確かにいま世界経済は大変厳しい状況にあります。アメリカのインフレ、これは私も前に総理に対しても申し上げたことでございますけれども、アメリカの経済、大変インフレで、そのために日本があおりを食らって円安になっておる。そして、日本も、アメリカの公定歩合の引き上げが大変サラ金並みの高い金利です、それに追随をしなきゃならぬ。いままで最高の九%になってしまった。
 しかし、これはやはり私は、アメリカのインフレの原因が決して油ではないと。もちろん油もございますけれども、アメリカ自身の持つ現在の経済の体質というものが大変影響をしておる。そういうことで、カーター大統領があれだけインフレ政策をやりながらも、一向にまだインフレがそうおさまっていない。そういうことで、私は日本の政府としてぜひ、これは総理にもこの前もお願いをしましたし、またきょう改めて政務次官、なかなか答弁にお立ちにならないので改めて政務次官にも申し上げますけれども、私はもっとアメリカの責任を責める必要がある。というのは、鉄なんかはもうアメリカが明らかに技術革新が遅れた、だから日本の鉄が伸びるのはあたりまえでして、自動車だってそうです。日本の製品が安くていいから、ガソリンの消費も少ないから飛ぶようにアメリカで売れる、これはあたりまえのことでして、それを何だかんだ、もちろん摩擦はある程度やむを得ないと思いますけれども、何か日本にばかりそれをしわ寄せしてきて、そして最後は円安になってしまう。
 もう少しで私はある程度円高基調も出てくるかと思いますが、そういう点で、私はもう少し輸出というものが伸びるように、また、摩擦をできるだけ少なくする努力はこれはもう外交努力でやりながら、やはり輸出を中心とした日本の景気を本当に伸ばすことがこれはまず第一だ、それによって歳入は伸びてくるんですから。といって、インフレを招けという意味じゃありません。インフレも抑えなくちゃ、幾ら歳入が伸びてもインフレで伸びたんではこれは何にもならないわけでして、そういう点を私は強く要望したいわけですが、財政再建と絡めましていかにして、高度経済成長は望めないと思いますが、やはり安定した経済成長また日本の経済基盤が崩れないような施策というものは本気になってやっていかなくちゃならぬと、こう思うわけですが、その点いかがですか。
#104
○政府委員(遠藤要君) ただいま歳入面についての御心配をちょうだいいたしておるのですが、アメリカの問題についていろいろお話がございましたが、弁解するわけではございませんけれども、アメリカ自体も、自分の国を走っている車の半分が日本製だということになると、国民感情としていろいろやはり問題も出てくると。そうなれば日本にも、アメリカ自体としても何とかこれを考えてほしいというような声が出てくることもこれまたやむを得ないことではないかなという、これは私の感じでございます。
 そういうふうな感じを持っておりますけれども、いま矢追先生のおっしゃるとおり、それならば日本の財政がこのとおりであり、冷却してしまってはどうかというような懸念も私どもも十分持っておるわけでありまして、五十五年度予算の中においても自然増収も見込んでおるのでございますので、どうしてもやはり物価は抑えインフレは抑えながらも、景気の上昇を図って国民所得の向上を期していかなくてはならぬ。そういうふうな点で、政府として先生の御意見を十分取り入れて善処していきたい、こう思いますので、よろしく御理解願いたいと思います。
#105
○矢追秀彦君 きょうは税に関する議論ですから、財政論議はこの程度にいたしまして、五十六年度以降の税収の増というものはどういう方法で実現をしようとされておるのか。一般消費税、大変昨年議論になりまして、総選挙で国民の批判が集まったのも消費税であるというふうなことも言われておるぐらいですが、やはり五十六年以降、相当税の増収は考えなくちゃいけないわけですが、その点についてはどうお考えですか。
#106
○政府委員(高橋元君) ことし税制調査会から五十五年度改正の御答申をいただいたときに、五十五年度の税制改正は、基本的には歳出削減、それによる予算規模の圧縮、それを財政再建の第一歩とすべきだという認識の上に立って、自然増収をもって国債の減額に優先的に充てる。それから、税制の面で申し上げますと、税制の面では租税特別措置の整理縮減を行うということで進むべきであって、何らかの増収措置を講ずるとしても必要最小限のものにしようということが、ことしの税制改正の非常に基本的なお考えであったわけであります。
 そこで、具体案をつくりまして、いま御審議をいただいておるわけでございますが、五十五年度こういう形で財政再建のための予算編成に取り組むことができました理由というものは、五十三年度後半以降の経済の予想以上の伸びであったことは、いまもお示しのあったとおりに税制調査会としても判断をしております。そこで、こういう税収の伸びを五十六年度以降引き続いて期待することはとてもできないという認識に立ちますと、五十六年度以降においては、自然増収だけで国債費なり交付税を初めとする当然増経費をも賄い得ない事態すら予想されることに十分留意する必要があるというふうに、税制調査会から御指摘をいただいたわけであります。
 そこで、そうなってまいりますと、どうしていくかということでございますが、財政健全化のために自然増収を優先的に公債減額に充てるという要請はあります。それから、歳入事情に応じて歳出の節減と効率化に最大限の努力を注ぐべきだという要請もございます。しかし、そういうことをやるといたしまして、今後一定の行政サービス水準を確保するためには、歳入面においてもその構造の健全化に努めるという必要がある、これは申し上げるまでもないわけでございまして、今後税制調査会でも従来の検討の方向、これは中期答申以来の検討の方向があるわけでございます。その後の経緯を踏まえて、財政再建の進め方とその中における税制のあり方について、さらに検討を続けるという御答申であります。
 こういう御答申に至ります過程で、いろいろお話を申し上げれば、お答え申し上げれば非常に長くなってしまうので、御答申だけにしぼったわけでございますが、私どももいま税制調査会の御意見にありますとおり考えておりまして、歳出の削減、特例公債の減額ということを進めていく上で、国民の御理解を得て、どれだけを税制に求めるべきかということについて具体案を得ていきたいと思うわけであります。
   〔委員長退席、理事中村太郎君着席〕
 現在、五十五年度の予算を御審議をいただいておるわけでございますし、五十六年の経済の具体的な状況というものもいまだ明らかでないので、しからばどういう方向で具体的にどの税目をいじるかということになりますと、五十六年度の予算編成に具体的に取りかかりますそれと軌を一にしまして、その中で税制の具体的な進め方を検討をしてまいるということでございますが、いずれにしても、歳入歳出の両面にわたってあらゆる手段を幅広く検討していく。その中で、冷静に国民の御理解を得ながら、どういうふうに具体的に歳入構造の健全化を進めていくかということは、非常に大きな課題であるというふうに承知しております。
#107
○矢追秀彦君 きょうはひとつ主税局長、大臣、政務次官いらしゃいますけれども、何か私が追及して、答弁どうだったか、どうのじゃなくて、フランクにお答えいただきたいのですけれども、いまのお話から伺うと、五十五年度というのは自然増収というのは余りない、こういうふうな感じを受けるんですけれども、私は前半はかなり伸びて後半は景気は非常に厳しくなる、インフレの影響で。倒産件数もいまかなりふえていますから、ちょっと後半は心配な気もいたしますが、かなりのインフレであるだけに、税収としてはかなり上がるんじゃないか、こういう気持ちをトータルしますと持つんですけれども、その点はいかがですか。これは予想ですからわかりませんけれども。
#108
○政府委員(高橋元君) お答えを最初に申し上げれば、わかりませんということになると思います。
 ただ、五十五年度の税収につきましては、予算をもって御審議いただております二十六兆四千百十億ということに、私どもはいままでの五十四年度の税収の推移、それから五十五年度の経済の見通しという二つの面を踏まえて申し上げれば、二十六兆四千百十億というもの以外に、それを変える根拠というものは全くいま持ち合わせてはおりません。現実の経済の推移によって五十五年度、その年度の税収がどう動くかということは、また別の問題だと思います。
 これはちょっと話がくどくなりますが、五十三年度に国税収納金整理資金法を直しまして、三月分の税収を前年度の歳入にとるという改正をお願いいたしました。そうなりますと、三月に入ってまいります税収というのは、五十四年度の分でございますから、五十五年度はもう一つ先の五十六年三月の税金で税収が決まってくるということになります。非常に大きな税収は十二月のボーナス、三月の確定申告、三月の法人税の申告でございますが、その大きなものがいずれも一年半先までたたないと本当のことはわかってこないという意味では、歳入の見積もりについて、五十三年度の改正以来、私どもはその年度の経済運営から非常にそれに多く依存するということになったのは事実でございます。
 しかしながら、五十四年度の補正後予算額は二十三兆三千九百六十億でございますから、補正予算をもって御審議をお願いした税収見積もりに次第次第に収斂しつつあるというふうに思っておりますが、これを下回ることはないというふうに思っていますけれども、どのくらいになるかわかりませんが、それに近い数字であろうと思います。
 そうなりますと、五十五年度の経済の運営によってどれだけ動いてくるかは、経済見通しをどれだけ改定する必要が起こってくるかということを待ちませんと、私いま確言できないわけでございますが、公のお答えとしては、私どもは二十六兆四千百十億という現在の御審議をいただいております予算の中の税収というものをもって五十五年度の税収というふうに考えておるということにしか申し上げられないわけでございます。
#109
○矢追秀彦君 予想ですからだれもわからないわけですけれども、五十六年度から一般消費税をねらっているのを本音を出させようと、私は何もこういう意味で言っているのではなくて、次に申し上げたいのは、要するに、税収をふやさなくちゃならないということになると、すぐ新税、こういうのが大体常であるわけです。そういうことで、一般消費税ということはもう昭和四十七年ぐらいから大蔵省では考えられ、一生懸命これの実現のために苦慮されておるわけです。
 現実は国民の反対に遭っていまだ実現をしておりませんが、すぐ新税を考える、そうではなくて、それ以外に方法はないのか、これをひとつお聞きしたいんですが、一つは不公平の是正、もう一つは、徴税のあり方、努力この二面にあると思いますが、その点はいかがですか。
#110
○政府委員(高橋元君) 税制とその執行と、両面を通じて負担の公平を図るということは、税務に携わる者の変わらざる目標だと思います。そういう意味で、税制の各面にわたって不公平ありとすれば、それは改善を図っていかなければなりませんし、現実の税の徴収に当たって不公平であるという点があれば、それは徴税上いろいろ国税庁においても御工夫があるということは当然だと思います。
 五十五年度のいまお願いをいたしております税制改正でも、租税特別措置の整理をいたします。それから、これは租税特別措置というわけではございませんけれども、引当金への繰り入れ率が過大にわたっておった退職給与引当金の整備を、繰り入れ限度額の改定をいたしました。それから、給与所得控除の中で年収千万を超える方の給与所得控除を実現をしたというような措置をとりましたのもそのあらわれでございますし、今後とも既存税制の中で見直しをして、必要に応じて増収措置を図るということは当然のことだというふうに考えております。
#111
○政府委員(伊豫田敏雄君) 執行の立場から国税庁として申し上げます。
 われわれといたしましては、税法を適正に執行して適正公平な課税を行うと、公平な課税を行うことはわれわれの最も重要な務めだと思っております。
 この点につきまして、まず大企業、大所得者の件でございますが、こういうものにつきましては、先般来新聞紙上、誤解のないように申し上げておきますが、われわれの方から決して申し上げたものではございませんが、いろいろ脱税事件等が出ております。こういう問題が、かえって不公平であるという感じを強められる原因かとも思いますが、この点につきましては、むしろわれわれとしてはその一部、一端があそこに出ている、不公平ではあるけれども、同時に、われわれはそれをなくすために一生懸命努力しているという、徴税当局の努力というものも御理解願えればと考えております。
 いずれにいたしましても、申告納税制度のもとにおきましては、やはり納税者、個々の納税者、個人であり法人であり、こういうものの自覚というものがまず基本になるべきものでございまして、その点についての十分の指導、広報というものに努めておりますとともに、他方におきまして資料の収集、調査体制の強化あるいは内勤の合理化等によって人手を浮かすというふうな努力を常々重ねているところでございまして、そういう中において徴税の不公平というものを次第に解消していくというのが、われわれの務めかと考えております。
#112
○矢追秀彦君 次に、税務署が行う税務調査の九割が修正申告の提出をさせられておると聞いておるわけですが、これは納税者と税務署の見解の違いもあるし、あるいはまた、納税者の方が少しでも税金を少なくしたいと、そういうことで一生懸命節税をしたいと思う余り、これが
   〔理事中村太郎君退席、委員長着席〕
脱税にまでなってしまうと、こういうのもあるかと思いますが、データをちょっとお示しいただきたいんですが、年度は五十三年度でも結構ですし、五十四年度があれば一番いい。これは無理だと思いますが、申告納税の人数と税務調査を行った件数、それからそのうちにおける修正の件数、パーセントでも結構です。
#113
○政府委員(矢島錦一郎君) 細かい区分別のデータは持ち合わせがないので、手元にある資料でお許しいただきたいと思いますが、個人の場合は、五十二年分でございますが、申告納税者が五百五十三万八千人、うち営庶業者が二百九十六万五千人、法人が五十三事務年度でございますが、百六十四万九千件、そのうち実地調査を行った件数でございますが、個人の合計につきましては十三万九千人、それからうち営庶業については十二万六千名、法人については十五万六千件、それからこれは申告税以外でございまして修正申告の更正決定、期限後申告というものを含めた数字でございますが、合計におきましては十二万三千人、個人でございます。それから営庶業がうち十一万二千名、法人は十二万二千名ということになります。
 したがいまして、これを割りまして、実調割合と申しますが、申告納税者のうち実地調査を行った者は個人の場合については合計で二・五%、営庶業については四・二%、法人については九・五%ということでございます。それから、先ほど申し上げました修正申告以外のものと申告納税者とを対比いたしましたものは、個人の合計で二・二%、うち営庶業で三・八%、法人については七・四%、実地調査を行ったうちいろんな非違が出てきたというその割合を申し上げますと、個人で五十二年分でございますが、合計でいきますと八八・九%、うち営庶業が八九・〇%、法人については七七・九%、このような数字になろうかと思います。
#114
○矢追秀彦君 こういういま言われたデータが出てくる理由ですね、いろいろあると思いますが、徴税の技術あるいは職員の質あるいは量、そういった点の問題点、これはどのように考えられるのか、これが一つ。
 もう一つは、これは政務次官にも率直にお伺いしたいですけれども、やっぱりわれわれは税金を取られるという考えの方が強いわけですね。税金を納めるというより、取られると。これはやっぱり長い封建制度の名残りがまだ残っているような気がして、お上が年貢米を取り立てると、税金を取り立てると。そうなると、ついつい節税の名のもとに脱税もしたくなる、こういうようなことになってきて、昨日も野末先生大分聞いておられましたけれども、そういうふうなできるだけうまくごまかすと言っちゃ悪いですけれども、きちんと理屈に合った節税をしてくれる、税金を少なくしてくれる税理士さんが大変評価をされておると、こういうことになってくるわけです。
 やっぱり国民の納税の義務感覚といいますか、これはお上がしっかりすれば、やはり自分たちのために道路もつくるんだ、あるいは公立学校もつくるんだ、あるいは保育所、幼稚園、そういったものもつくられるんだ、また老人ホームもつくるんだ、だから自分たちは国家にもお世話になっているのだから税金をある程度納めなくなゃいかぬという気持ちが出てくる。しかし、余り政府が悪いと、やっぱり取られるという気持ちが強くなってこういうことになると、こう思うわけですけれども、後段の方については政務次官から答弁をいただきたいし、前段の方は当局で結構ですからお願いします。
#115
○政府委員(矢島錦一郎君) お答え申し上げます。
 私どもちょっとくどくなって恐縮でございますが、税務行政の現状も先生御高説のとおりであろうかと思いますが、職員の数はこの十年間に全く横ばいに近いような数字でございます。一方におきまして納税者の数は、申告所得税の納税者については一・四倍ふえておる。それから法人数については一・七倍。しかも、中身を見ますと高額所得者が八・三倍、所得税の場合でございますが、法人の場合には大法人で二・五倍、こういうような急激な上昇を描いておるわけでございます。
 この中にありまして、私どもはマンパワーをいかに有益に配分していくか、しかも職員がいかに能力をフルに発揮できるようにするかということについて研修ももちろん行っておりますし、人員配置も行っておりますし、できるだけその内部の人員を抑えまして調査に向けていくというような努力もあわせて行っているわけでございますが、何にしても与えられた人員によりまして、与えられたマンパワーをどういうふうに配分するかということの中でやらざるか得ないというのが現状でございます。適正公平な作業を行うというのが私どもの仕事でございまして、その点につきましては全力を挙げて取り組んでおるわけでございますが、先ほどもお話し申し上げましたように、基本的にはやはり納税者のモラル、納税道義が前提となっているということが基本にあろうかと思います。申告納税制度であります以上は、やはり納税者の一人一人の方が正しい申告を出すという、そういう納税道義というものがない限りは、やはり百年河清といったような問題がないでもないというふうに思うわけでございます。
 いずれにいたしましても、私どもはそういう中におきましてできるだけの努力をいたしまして、少しでも不公平のないように、適正な課税が行われるようにという努力をしておるわけでございます。
 それから、いまおっしゃっておられました取られるというお話でございますが、これはよく巷間では取られるという言葉でとられがちでございますが、申告所得税にしても法人税にいたしましても、申告納税というのが基本でございます。あくまでも基本は、納税者の方が自分の所得を計算し、課税標準を計算し、税額を計算し申告する、私たちは第一義的に納税者によって決められた申告所得額とか、あるいは税額を間違っておるものについてそれを二次的に補正していく、そういう役割りを演じておるわけでございます。したがいまして、もちろん悪質、高額な不正なものについては全力を挙げて適正な課税に努めていくつもりでございけれども、決して取られるというような立場でいかないように、私どもも今後さらにそういうようなPRとかいろいろな指導とか、あるいは広報ということも通じまして、その申告納税制度の定着を図ってまいりたいと思うわけでございます。
#116
○政府委員(遠藤要君) ただいま矢追先生の御指摘、納税者の心境と申しましょうか、いま国税庁からお答え申し上げたのでございますけれども、やはり取られるという心理が大部分じゃないかなと私自身感じております。そういうふうな点でやはり納税思想といいましょうか、これをもっとわれわれが考え直さなければならぬと。たとえば修正申告にあっても、ほとんど過少申告が修正申告になっている。一つの例を申し上げますと、たとえば寄付金の場合は隣の人よりも多く出しても少しも不思議さを感じてないと。
 そういうふうな点から考えると、国を支えている、自治体を支えているのは自分たちなんだと、そういうふうな納税思想というのを高揚せしめないとなかなか問題があると。そういうふうな点で、いま国税庁が御答弁されたように、われわれとしても十分配慮して、そして修正申告もむしろ過大申告であると言われるような点で手直しができるような、やはり国民の方々の思想をもっと改善していくような方途をとるのが政府としての責任である、こういうふうに感じております。
#117
○矢追秀彦君 この問題は、また改めてほかの場で議論したいと思います、時間がありませんので。
 先ほど、定員はなかなかふえていないということですが、当委員会でもしばしば附帯決議でこの定員増の問題についてはやってきておるわけですが、今後はやはり定員の増加――行政改革と大変矛盾するわけですけれども、これは政府全体の中でやはり一人当たりの職員の方の仕事量、そういった面、あるいはその仕事の持つ非常な高度さ、重要性、そういったことからもう少し公平な配分をしていくならば、もう少し税務署員をふやせる可能性もあるのではないかと思いますが、特に最近ますます申告がふえておる、このままでいくと、実際にやっておられる職場の方たちの声を聞きますと、大変オーバーワークといいますか、あるいはオーバーワークというよりも、なかなか脱税を摘発するのもむずかしくなると。しかも、現在の社会はますます複雑になり、技術も高度になっておりますので、いままでと同じようにはいかない。そういう点がありますので、今後定員増の問題についてはどうお考えなのか。
 またもう一つは、じゃ定員をふえせば不公平な徴税というのはなくなっていくのか、その点はいかがですか。
#118
○政府委員(伊豫田敏雄君) 当委員会においてたびたび附帯決議もいただき、税務職員の現在行っております職務の専門性あるいは困難性その他につきまして、あるいは現在の調査の実情等について十分の御理解をいただいたものと思って感謝しておる次第でございますが、われわれといたしましては、やはり内部努力のみによっては現在の調査の実情その他につきまして改善にも限界がございます。そういう意味において、従来から行っていたところでございますが、国税職員の増員問題につきましては、国民並びに関係方面のさらに深い理解が得られるように努力を続けてまいりたいと、このように考えております。
 それから、こういう税務職員につきましてどのように報いていったらいいか。定員面以外の面におきましても、たとえばポストの新増設に努力する、あるいは税務職俸給表と等級別定数を改善していくというふうな具体的な措置にも非常に努力を重ねておりまして、たとえばその結果、五十四年度の人事院勧告におきまして、税務職俸給表の行政職俸給表(一)に対する、いわゆる水準差率でございますが、これは五十三年度の一〇・三四%から、わずかではございますが一〇・三六%に上昇しておりまして、またポストの新増設、等級別定数におきましても、著しい改善が図られているところでございます。
 それからもう一点、そういうふうにしてもし人員の増加が認められるならば、不公平あるいはその他の問題は一切解消するかというお尋ねでございますが、私はそれですべてだとは思いません。内部的な努力もまだまだ尽くさなきゃならぬところもあると思いますが、それがわれわれがただいま望んでおります一つの大きな問題であり、また改善についての一つの大きな要素である、このように考えております。
#119
○矢追秀彦君 ある大学の先生で脱税問題を研究しておられる先生の推計によりますと、脱税は税収総額の三%程度ではないかと、こういうふうに言っておられます。もう少し多いような気もいたしますが、仮に三%とした場合、五十五年度の場合、税収見込み二十六兆四千百億ですから、約七千九百億というかなり大きな数字になってくるわけです。申告制のためでありますから一〇〇%全部調べるというのはなかなかむずかしいと思いますが、財政再建と言われている折から、こういった脱税がゼロというのはむずかしいとしても、仮にこの中で三分の二取れたとしてもかなりの財源になる、こう考えるわけですが、大蔵省としては、あるいは国税当局としては三%ぐらいと見ておられるのか、その点はいかがですか。
#120
○政府委員(矢島錦一郎君) お尋ねの点については、そういういろんな試算があるということは存じ上げておるわけでございますが、私どもの調査のやり方といたしまして、現在の調査の方法は高額、悪質重点ということでございます、その結果、たとえば申し上げますと、営庶業所得者に対する所得税の調査成績を見てみますと、調査対象者の約九〇%の者に申告の漏れた所得があるとか、あるいは申告漏れ所得金額は調査所得金額の約三〇%になっているといったような数字が出ております。
 しかし、先生せっかくのお言葉ではございますけれども、こういうものは私どもが調査対象を非常に綿密に実調率の少ない中において選定いたしまして、不正の見込まれる事案について調査をする。その結果の数字、重点的に調査した結果でございまして、したがいまして、これをもちまして直ちに全体に引き伸ばしてこのぐらいの脱税額があるということにはならないのではないかというふうに考えておるわけでございます。推計は一つの推計としてあることは存じておるわけでございますが、いま申し上げたようなことで、直ちにその額が幾らかということについては、お答えは残念ですがちょっとわからないというのが実態でございます。
#121
○矢追秀彦君 いま、高額者から重点的に調査するという方法をとっていると言われましたが、最近はどっちかというと、かなり一律に調査する方法の方へも移行しつつある。先ほど申し上げたように、数が足りませんから、なかなかそうはいかぬと思いますが、何か広く浅くなりつつあるような気がしてならぬわけです。だけれども、私は、もちろんそれも一面においては必要でしょうが、やはり高額所得者に狭く深く、これは公平の上からもやっぱり必要である、こう思うわけでして、最近かなりショッキングな脱税が、きのうも当委員会でも出ておりましたけれども、話題になっておりますような状態ですので、やはり相当私はこの辺にサーチライトを当てていくならば、仮に全部の脱税が摘発できなくても、税収の伸びに少しは貢献をしていく、しかも、国民の中からの不公平感を少し緩和する意味においても、これはもう少しやるべきだと思いますが、その点はいかがですか。
#122
○政府委員(矢島錦一郎君) 先生おっしゃることは、全くもっともでございます。私ども税務調査のうちの、先ほど来申し上げておりますが、所得が高額なものとか、大企業あるいは多額の脱漏があると見込まれるものから優先的に行っていくということは申し上げたとおりでございます。いろいろな有名人の方とか、あるいは高額所得者、大企業といったものにつきましては、一般に所得が高額であるといったような場合も多い、あるいは情報もいろいろ多いということで、重点的に私どもは調査をしておるわけでございまして、決して調査を甘くしているということはございません。申告納税制度のもとにおきまして、やっぱり自主的な申告を前提といたしまして税務行政が運営されておるわけでございます。
 それぞれのやはり納税者の方が適正に申告をしていただく、私どもは税務調査によりまして重点的に調査をすると同時に、やはり多くの納税者の方に対しましては、指導とか広報というものを充実して、申告水準を全体として高めていくというところにねらいがあるわけでございます。
 確かに先生のおっしゃるように、調査の結果を見ますと、一部に過少申告を行うものもございます。それから、いろいろ悪質なものもあります。しかし、現状を見ますと、大部分の方はやはり適正な申告をしているということでございます。決して私どもが少額のものを中心にしてやっていることはございません。ただ、実調率が非常に低いものでございますから、それをいいことにして、少額の中にも潜在的な高額の方が申告をしてないというケースはないわけではございません。とそういうものを同時に見過ごしてはいけないというのが、私どもの立場でございます。
 いずれにいたしましても、高額重点主義というような、悪質重点主義、高額かつ悪質なものを重点的に調査するという態勢のもとに、今後も引き続き資料の収集とか、あるいは調査体制の整備を図っていくということによりまして、適正な課税を行っていきたいというふうに思っておるわけでございます。
#123
○矢追秀彦君 これは質問通告をちょっとしていなかった問題ですけれども、いま徴収の問題が出ましたので、法人税の申告について、法人企業の実態を把握するために法人の事業概況説明書、これを法人に提出さしておりますね。この資料について、国税当局は最近この収集を徹底するように催促をされておる。これは課税に当たって、確かにその企業の実態を知る上では有効な資料でありますが、脱税するような企業には、これは公平税制の執行上、確かに当然だと思うんですが、今度はまた、まじめにやっておる人たちから見れば、大変これはプライバシーの問題まで絡む問題でありますから、これは非常にむずかしい問題だと私は思うんです。
 どうしてもこれが必要だとするならば、私はある程度法律にもきちんと定めるような方法をとるべきだし、そうでないならば、やっぱり私はこういうのは中小企業の立場なんかから言うと、法的根拠もないものが強制されてくるのは、ちょっと反発も感じる、こういうふうに思っておるんですが、法人の事業概況説明書、これについて一言お伺いしたい。
#124
○政府委員(矢島錦一郎君) あるいは先生の御質問の趣旨にお答えが間違っておりましたら訂正さしていただきますが、恐らく事業概況書のことであろうかと思います。これは別に法的な根拠があるというものではございませんが、あくまでも私どもが調査をする、あるいは申告書の検算をするといったような場合に、どういうような概況になっておるかというようなことを、納税者の御協力を得まして提出していただいておるわけでございます。これは一つの準備調査あるいは調査に臨むに当たっての参考として私どもは使わせていただいておるわけでございまして、長い目で見まして、やはり納税者のためにもなるといいますか、むだな調査をしなくても済むという意味では、その納税者の利便にも供するものでありますと同時に、悪質なものに対しては、私どもとしては適正な課税にも役立つものというふうに考えておる次第でございます。
#125
○矢追秀彦君 かなりこれは半強制みたいになっておるわけですか、この提出は。いかがですか。
#126
○政府委員(矢島錦一郎君) ただいま申し上げましたように、これは法的根拠があるわけではございませんけれども、私どもいま申し上げましたような理由で、納税者のためにもなるし、同時に私どもの調査対象をなるべく重点的に行う、あるいは適正な課税を行うというためにも必要な資料だということでとっておるわけでございます。決して強制しているわけではございませんが、お願いをしておるわけでございます。
#127
○矢追秀彦君 もし本当にやった方がいいと言うなら、法律にしたらいいわけですよ。そうでないと言うならば、こういうことをやった方が実際申告が伸びてくると、こういうお考えでやられたと思うんですが、何となく中小零細の方はなかなか書類をつくるのもぐあいの悪い人も多いし、まあちょっと負担みたいになっている向きもあるわけです。だからその点は、私、これをじゃおまえどう考えるんだと言われると、なかなかむずかしい問題なんですけれども、私自身も。
 ただ、いま言ったように、お願いをしておるということですが、税務署のお願いというのはお願いじゃなくて、やはりさっきの取り立てるじゃなくて、来るわけですから、この辺ひとつ、もう少し本気になってこれをやられるならやられるで、納税者のためにもなるといま言われているのであれば、そういう立場の方の納得もいただいた上で、もうちょっときちんとした、オーソライズしたものにした方がいいのではないか。もし、そうでなきゃ、むしろあっさりやめてしまうと、私はどっちかの方がいいのじゃないかなという気がするんです。これは私、結論はまだ勉強不足でできておりませんけれども、その点、いかがお考えでしょうか。
#128
○政府委員(矢島錦一郎君) 先生の御批判はあるということは承知しておるわけでございますが、これは相当古い時代から行われております。もう毎年といいますか、事業年度のたびに出していただくわけでございまして、従業員の数とか事業所がどこにあるかとか、それほど非常に複雑な様式によって定められているという様式のものではございません。まあその御批判はありますが、ひとつ先般来、先ほど来申し上げておりますような趣旨を御理解いただきまして、御協力をお願いできればありがたいというふうに思うわけでございます。
#129
○矢追秀彦君 次に、サラリーマンの税金について、これは有名な大島訴訟があるわけですが、特にサラリーマンの給与のうちの適正な職業費、この問題ですが、これも前から長い長い議論が行われてきておるわけです。いまだにまだサラリーマンの方の大体の意見であるこの職業費、これは給与所得控除の中で十分だと、こういうことだと思うんですけれども、現実、実際、本来としてこれでいいのかというのはこれはどうお考えですか。
 特に、主税局長自身だって、自分の給与の所得控除の中で、あなた自身の現在の局長としてお仕事をいろいろおやりになる。いろんな経費も要るわけです。やっぱり少しは見た方がいいんじゃないですかね。まさか局長が国会答弁にポロシャツ着てくるわけにいかぬわけで、やっぱり背広、ネクタイ、くつを履いて来なくちゃいかぬわけですから、それは職業人として、そうでない職業とは違うんです。それは千差万別ですからなかなかむずかしい、だから控除でいくんだということだと思いますけれども、これはサラリーマンの方からは相当前々から言われて、私も何回か質問してそのままになっている問題です。
 一遍にこれはできないと思いますよ。一遍にできないと思いますが、やっぱり何らかの形で、現実はもうほとんどサラリーマンなんですからね。いわゆる事業をやっていらっしゃる方もいらっしゃいますが、大企業だって社長さんもサラリーマンであれば、重役さんもサラリーマンです。そういう時代ですから、よけいに何らかの、半歩でも一歩でも前進しておる、サラリーマンのことはこれだけ考えておるんだと、こういうのがあってもいいと思うんですが、なかなかこれはうまくいっていない。だから、ついついいろんなことを考え出すわけです。お金をしっかりため込んで不動産を取得した。それをアパートにして他人に貸すと。そうすると、不動産の必要経費が出てきますので、確定申告をしたら還付金として金が戻ってくると、こういうことが現実にはあるわけでしょう、御承知と思いますが。
 そうすると、資産がふえることによって、源泉徴収された税金分ぐらいまた返ってくるというようなケースもあるわけでして、こうなると、ちょっとやっぱり会社の側として見たらサラリーマンのアルバイトというのはなかなかおもしろくないことですよ、内職やられてしまうのはね。そういうことで、やはりいまのサラリーマン全体を覆っておるいわゆる職業費、必要経費、こういうものを、もう少し段階的で結構ですからやってもらいたいと思うんですが、いまのアパート経営の問題も含めてお伺いしたいと思います。
#130
○政府委員(高橋元君) 給与所得控除は、実額経費を認めるべきかどうかということでずいぶん長い間検討を続けてきた問題でございますけれども、この委員会でも私前にお答え申し上げたことがあると思いますが、いろいろ議論した結果が、給与所得者にとって何が費用であるか、具体的な基準がわからないというのが一つであります。それから、そういうことであるのに、あえて実額経費の選択制をやりますと、口のうまい人がもうけてしまうと、そういう不公平が起こってくるということがあります。その二つの理由、それから現在の給与所得控除の水準がすでに相当高いと思っております。この三つの理由で、現在の給与所得控除にして法定制ということにいたしておるわけであります。
 これも御案内のことでございますけれども、アメリカ、これは選択制を認めておりますけれども、その場合に実額控除の範囲というのは非常に辛いわけであります。職務上の旅費で自分が負担した場合には経費に見る。それから消防服とか警察官の制服のように、よそへ行って着られないという場合には、これは被服費は経費に見ます。それから雇用主の要求または法令の要件を満たすため、または、技能の維持向上を目的とする研修費用は経費として見ます。職業上必要な雑誌類の購読費は経費として見ます。転勤費用とか外勤セールスマンの経費のようなものも費用として見ますというのが、アメリカの例でございます。イギリスの方がもっと辛くなっているようであります。
 各国の例を一々申し上げると煩瑣にたえませんが、日本の場合、しからば現行の給与所得控除の水準がどうなっておるかということでございますけれども、「家計調査年報」に勤労者世帯の五分位別の支出状況というのが出ております。この中で、これは毎年やっておることでございますけれども、たとえば衣料品費であればレインコート、オーバー、背広、ずぼん、ワイシャツ、開衿シャツといったようなもの、身の回り品であればくつ下、くつ、レインシューズ、ケミカルぐつ、こうもりがさ、ネクタイ、手下げかばんといったようなもの、散髪代、かみそりの替え刃代、洗たく代、万年筆、ボールペン、新聞、教科書、参考書、辞書、その他の本、それから小遣い、こういったものをずっと書き出してみまして、それがどれほどになっておりますか、それは非常に広く外国の立法例からしますと、広く給与所得者の必要経費というものを拾ってみたつもりでありますが、そういたしますと、収入の多寡に余り関係なく大体一〇%から一一%というところになるわけであります。
 したがいまして、現在四〇%、三〇%、二〇%、一〇%、今度御提案いたしております改正案では五%というのがさらにくっつくわけでありますが、現在の給与所得控除の概算経費控除の中へ、そういう実額で拾いました場合の必要経費として非常に緩く見ても全部はまっているのではないか、そういうふうに考えておるわけであります。
 過般の大島判決の判旨の中でも、サラリーマンが支出する金額の中で立てかえ金的な支出と、それから将来にわたり労働を有利に提供できるための自己啓発費と、労働環境を快適にするための社内交際費というような職業費というものと二つに分けられまして、立てかえ金支出は事業主によって弁償されるから必要経費として考える必要はない。職業費となりますと、サラリーマン特有の支出であり、本質的には一種の生活費であるが、そのうち適正な職業費相当は給与収入から控除していく必要がある。その場合に給与所得控除というものは、給与所得に特有の一種の所得控除に当たるという考えで、その水準としては現在の給与所得控除は適正職業費を下回らないという認定をしておられます。
 そういうことをいろいろ私ども考えあわせまして、立法政策としても現在の給与所得控除というもので、給与に伴う実額経費というものは、実態としてもきわめてまれな例外を除きましてカバーされておりますし、これを実額選択制に移した場合には、言葉は悪いですが、口のうまい人は立証がうまくてそれで引き続き引かれるけれども、そうでない人は引き足りないという問題が起こってくるようにも思いますし、私どもいまの制度でいいという税制調査会の御結論に従って考えておるのでございまして、御理解をいただきたいと思います。
#131
○矢追秀彦君 長々御説明いただきましたが、実際サラリーマンの正直な感情から言いますと、やっぱり商売をやっている人は得だと。奥さんも勤めておることにして経費で落とす。自動車はデラックスな乗用車に乗って、これは仕事に使うんだと、まあ使ってはいるでしょうけれども、使っていると。自分の家もこれは商売の事業所と、実際仕事はもちろんどこかでやっている。そうやって実に何だかんだこうやってうまく税金を、いい言葉で言うと節税、悪く言えば脱税、そういうのが実際は所得が多い。サラリーマンというのは絶えず厳しい中で、しかもさらけ出された中でやらなくちゃいかぬ、こういうのが率直に言ってあるわけです。
 だから、控除の中におさまっているんだというだけでは、ちょっとまだサラリーマンの人は納得しがたい。そう思うので、私は先ほど来、何かひとつ前進はできないものなのかと、こう言ってお伺いを申したわけでございますが、そういった感情はお認めになりますか。政務次官、どうですか。
#132
○政府委員(遠藤要君) 矢追先生のおっしゃること、わからぬわけじゃないのですが、給与所得者はそのままガラス張りで出てくる、そういうふうな点に給与所得者としての、やはり先ほど取られるという感じが出てくるのではないかと、こう思いますけれども、いろいろお話もございますけれども、いまの現況から見て、給与所得者が他の所得者と比較をして不公平だと、こういうふうな見方は私どもとしてはしておらない。そういうふうな点で、ひとつ御理解をちょうだいいたしておきたいと思います。
#133
○矢追秀彦君 次に、所得税の税負担について伺います。
 先ほども議論が出ておったようでございますが、諸外国に比べて税負担が少ない、これは私は否定はいたしません。ただ、私が問題にしたいのは、税負担額というものをずっと比べてみますと、昭和四十年と五十三年度、これを比較をいたしますと、四十年は一人当たり三万三千三百九十八円であったのが、五十三年では二十万百八十二円、六倍になっているわけです。外国に比較をいたしますと、米国は二・六、英国は四・八、西独は二・八、フランスは四・二と、日本が一番税負担額の伸び率が高い。
 これは高度成長だったからと、こういう答えが返ってくると思うんです。確かに私はそれは否定しません。否定しませんが、これは日本の方が確かに米国なんかよりは率としては高かったかと思いますけれども、そうも思いませんし、西ドイツだってかなり高度成長してきているわけですから、そういった点で、私は非常に日本の場合はちょっと成長率の上から考えても、この負担増の倍率、これは大ざっぱな計算ですけれども、ちょっと高過ぎやせぬかと。そういうことで、やはり所得税の負担増が国民に対して影響を及ぼしている。
 そこで私が問題にしたいのは、課税最低限が全然四年間変わっていないこと。これは五十三年のデータですから、その後のことは入っておりませんので、あるいはその後はそう伸びてないからこれでいいんだという議論が出てくるかもわかりませんけれども、やはり何らかのこの課税最低限の方は考えるべきであると思うんです。いま申し上げたように、この倍率は他の国と比べて経済成長というものを引いても私はちょっと高いと思うんですが、政府はどうお考えになりますか。
#134
○政府委員(高橋元君) いまお話のございました所得税の一人当たりの国税の負担額というものの倍率は、お話のとおりであります。日本で四十年から五十三年まで十三年間に六倍にふえておって、これはイギリスの四・九倍を除けば、ほかの国の倍以上高いじゃないかというお話でございますが、この間の一人当たりの国民所得の伸びというものを出して御説明をさしていただきますと、日本は五・四倍であります。それからアメリカが二・七倍、イギリスが四・二倍、ドイツが二・七倍であります。一人当たりの国税負担の伸びは、日本が六倍、アメリカが二・六倍、イギリスが四・九倍、ドイツが二・八倍であります。各国に比べて非常に日本の一人当たり国税の増加が高いというのは、一人当たりの国民所得の伸びが日本において飛び抜けて高いということが一番大きな原因かというふうに考えます。
 その証拠と申すのでもございませんけれども、国民所得に対する国税負担の割合、いわゆる国税負担率で比べてみますと、昭和四十年、日本は一二・五でございましたが、五十三年に一二・六となります。これは十二カ月ベースに直した数字でございます。アメリカが一七・四が一七・〇と下がっております。イギリスは二七・八が三二・三と上がっております。ドイツは二五・八が二七・六と若干上がっております。したがって、日米二つの国では税負担率が横ばいというふうになっておりますので、その点からも国民所得の一人当たりの伸びが日本が一番高かったために税の伸びが高くなっておるので、決して税負担率が上がったということではないというふうに思います。
#135
○矢追秀彦君 しかし、これはデータの取り方でいろいろできると思うんですよね。そのほかにもインフレということもございますし、ただ機械的なデータだけでは私は言えないと思いますけれども、現実問題としては、やはり私は税負担は重くなっておるというふうに考えるわけでございます。
 それから、いま先ほども途中まで申し上げましたが、課税最低限の問題、この課税最低限というのは何を意味しておるのか。いろいろ言われておりますけれども、突き詰めますと何なのか。それの積算根拠といいますか、計算というのはどういう方程式が一番妥当なのか、この点がきちんとしておりますと、これはいろいろな議論が出ておるわけですけれども、まだまだ低過ぎるという議論が多いわけで、われわれももうちょっと上げろと言っておるわけですけれども、この点はいかがですか。
#136
○政府委員(高橋元君) 課税最低限、これは御案内のとおり、夫婦子二人の給与所得者につきましては、日本は二百一万五千円でございます。アメリカが百六十六万五千円、イギリスが八十九万一千円、ドイツが百五十五万九千円、フランスが二百十一万二千円で、これは換算率が五十五年上期の基準及び裁定外国為替相場でやっておりますから、現在は若干外国の方が高くなるかもしれません。
 それで、この課税最低限と申しますものの計算のルールは、夫婦子二人でございますから、二十九万円の人的控除の四倍、それと給与所得控除、これは二百一万五千円に見合います給与所得控除、それから社会保険料控除、それを積算したものでございます。したがって、夫婦子二人のサラリーマンが二百一万五千円までの給与収入を得ても税金は払わなくてもいい、そのことをもって課税最低限と申し上げておりまして、外国につきましてもほぼ同じ概念でございます。
#137
○矢追秀彦君 四年続いて据え置かれたんですが、来年からは上げる考えというのはございますか。というのは、ことしインフレが進むことは十分予想されるわけで、そういった場合は、もしたとえば政府の見通しを大幅に上回った場合は考える、検討するに値する、あるいはまだこれからの検討課題で、いまは答えはちゃんと出ないと思いますが、方向性ですよね、どうなった場合これを上げるのか。
 外国と比べて、いま言われたように全部高いからこれはもう当分しんぼうしてもらう、それよりも納税者といいますか、課税最低限で税金を納めなくてもいい人がだんだん減るわけですよね、これを放っておきますと。インフレになると、どうしても所得は上がってくるわけですし、その場合にどういうふうなときに上げて、いままで上げてこられた根拠ですね、それから言うと、これからどういうふうな状況になれば上がるのか、来年度はどうなのか、そういう点をお答えいただきたい。
#138
○政府委員(遠藤要君) 先ほども申し上げたのでございますけれども、国の財政再建ということが何よりも急務である、こういうふうな観点からいまその財政再建途上にあって、これを引き上げる、減税をするというようなことまで手を染めるということは、私の判断としてはなかなか困難であるということを、御理解願っておきたいと思います。
#139
○矢追秀彦君 時間ですから、最後に簡単に一問だけ伺いますが、住宅取得控除でございますけれども、今回改正をしていただいたことについては評価をいたします。しかし、最高限度額現行三万円を一万七千円と、こういうふうにしたのはどういうことなのか。
 それから、大変いま国民はたくさんローンを組んでおります。しかも、これからまたローンの利率も上がってきますし、土地の高騰と相まって大変厳しい状況になってくるわけですけれども、実際、今回の改正で本当に国民が少しでも楽になったという感じはどうもないような気がするわけです。そういった点で今回の改正は評価するとはしても、三万円というのはまだ少ないんじゃないか、せめて五万円ぐらいまでいくべきじゃないかと、こう思うわけですが、その点いかがですか。
 これで終わります。
#140
○政府委員(高橋元君) 住宅取得控除でございますけれども、良識な住宅の取得という側面に着目をいたしまして、今回の改正では、いわゆる中古住宅、既存住宅の取得の場合にも住宅取得控除の適用を広げるということで御審議をお願いいたしておるわけでございます。
 もう一つ、住宅取得控除についての今度の改正案の考え方は、高額の所得者というものについて住宅取得控除の適用を停止するという考え方があります。年課税所得八百万円以上の方については、これは住宅取得控除の適用をやめていただくという改正をお願いしております。それと同じ考え方でございますけれども、大きな家を建てる方が大きく所得から引かれるということはやはりいかがなものかということで、一万七千円と申しますのは、第三期住宅建設五カ年計画の標準世帯の居住規模目標というものを考えまして、大体それにはまるぐらいの金額をもって一律に一万七千円といたしました。つまり一万七千円、十七坪よりも小さい家をつくられても、それは四十平米以上であれば住宅取得控除の適用はあるわけでございます。十七坪を上回る三十坪までの部分は、御遠慮いただくという考え方でございます。
 ローン控除については今回手をつけておりませんのですが、これを引き上げよという仰せももちろん理解できないわけではないわけでございますけれども、現在のローン控除は、元本の返済分まで計算上含められるという幅の広いものでございます。したがいまして、いまのような租税特別措置、非常に広く住宅取得者全体を対象とするものではございますけれども、租税特別措置についての私どもの取り組み方、また現在の財政の置かれております環境ということから考えまして、拡大については御勘弁いただければありがたいと思いまして、ぜひ御理解をお願いいたしたいと思います。
#141
○委員長(世耕政隆君) 時間がちょっと超過しておりますので、今後質問、御答弁はひとつ簡潔に効率をよくしていきたいと思いますので、御協力をお願いいたします。
#142
○渡辺武君 最初に、内職の主婦の場合の問題を伺いたいと思うんですが、最近御承知のように、家庭の主婦の内職やパートが非常にふえております。これはだんなさんの賃金が非常に抑えられている、物価も高いというようなことが一つ大きな原因だと思います。ところが、その内職をしている主婦の中から、同じ内職をしている人で給与所得控除を受けることのできている人とそうでない人がある。私の場合は給与所得控除を受けることができないんだが、どういうわけなんだと、こういう質問を受ける場合が非常に多いんですよ。
 そこでまず伺いたいんですが、給与所得控除を受けられる内職の主婦というのはどういう場合なのか、これをまず伺いたい。
#143
○政府委員(矢島錦一郎君) お答えいたします。
 その給与所得控除の受けられる場合につきましては、内職が雇用契約に基づくということが中心になろうかと思います。一方で請負契約に基づく場合においては事業所得ということになろうかと思いますが、一口にそう言えばそれで終わりということじゃございませんで、実際には雇用契約に基づくかどうかという場合には、実体面におきましては、たとえば特定の委託者との間に継続的な契約に基づく関係にあること、あるいは純然たる労務の提供によって対価を受けるものであること、あるいは他人を使用することなく原則として自分一人で従事している、あるいは危険負担がないといったようなことで、事業に必要な自主性がないといったような実体面を備えておるということが必要だろうと思います。
 それから形式面からいきましても、一つは当事者間で定めるべきことでございますが、雇用の形式を整えるということにおきまして、その対価を給与として源泉徴収の手続に乗せるという実態があるという点あるいは報酬のシステムが基本給とか出来高給といったような形になっているといったようなこういう実体面、形式面において雇用契約に基づくかどうかというような形式、実体がないと、区分ができないということになろうかと思います。
#144
○渡辺武君 こういう場合があるんですね。たとえば、山口県の萩で萩焼というのができています。ところが、その萩焼にボール箱を納入する業者がいるわけです。それで、純然たる萩焼のいわば下請なんですね。下請で、しかも家内労働で、箱の材料は自分のところで仕入れてつくっているけれども、しかし事実上萩焼の業者との間では、まあ直接の雇用関係ということではないにしても、下請関係で、そこにだけ納入しているという関係があるんですね。そういう場合は、これは給与所得控除には該当しないんですか。
#145
○政府委員(矢島錦一郎君) ちょっと具体的なケースで、もうちょっと調べさしていただきませんと、直ちにお答えできないと思いますが、一般的に申し上げれば、先ほど申し上げたような、雇用契約であるのか、請負契約であるのかということにつきまして、実体面、形式面においてそれぞれその問題を備えておる、問題と申しますか、その要件を備えておるという場合においては、あるいは雇用契約ということで給与所得控除の対象になる場合もありましょうし、あるいは事業所得ということになることもあろうかと思うわけでございます。
#146
○渡辺武君 家内労働法ですね、あれを見てみますと、取引先の会社が材料も機械も貸与して、そして製造した品物も取引先の会社一社に納入している場合、そういう場合であって、かつ両者の合意で工賃の支払いも給与の形をとってその会社で源泉徴収業務をすることになっているという場合には、税務署では給与所得控除の対象にするというふうに聞いていますけれども、そういうことなんですか。
#147
○政府委員(矢島錦一郎君) その具体的なお話について、私ども承っておりません。
#148
○渡辺武君 そうすると、取引先の会社が一社でなくても、数社でもいいということも考えられるわけですね。
#149
○政府委員(矢島錦一郎君) ちょっと具体的な事柄についてケース・バイ・ケースで判断しないといけないと思いますが、通常の場合は、私は一カ所から受けている場合であろうかと思います。
#150
○渡辺武君 給与所得控除の額はその場合幾らですか、内職の場合。
#151
○政府委員(矢島錦一郎君) 給与所得である場合につきましては、その年収が七十万円以下であれば夫の所得から配偶者控除が受けられます。それから七十九万円以下であれば、所得税が奥さんの方に課せられないということになります。
 それから、ちょっと蛇足でございますが、事業所得の場合でありますと、収入金額から必要経費を控除した所得金額が二十万円以下であれば、夫の所得から配偶者控除が受けられます。それから二十九万円以下であれば、所得税が課せられないということでございます。事業所得につきましては、その収入に対する所得の割合を七〇%と仮定いたしますですね。そういたしますと、年収で約二十八万円以下であれば夫の所得から配偶者控除が受けられる、それから約四十一万円以下であれば所得税が課せられない、こういうような数字になろうかと思います。
#152
○渡辺武君 どうも、せっかくお答えいただいたんだが、よく頭に入らないんですよ。つまり、内職をやっている奥さんで、それで給与所得控除を受けられる場合、どのくらいの給与所得控除が受けられるのかと、その点に限ってちょっとお答えいただきたい。
#153
○政府委員(伊豫田敏雄君) 百二十五万までは五十万円の給与所得控除となっております、現在法定されております数字は。
#154
○渡辺武君 それから、パートで稼ぎに行っている場合はどうですか。給与所得控除は受けられるわけですか。
#155
○政府委員(矢島錦一郎君) パートの場合に、それが給与所得であれば、給与所得控除が受けられるかと思います。
#156
○渡辺武君 そうしますと、給与所得控除の適用が認められないという内職ですね、これはどういう内職になりますか。
#157
○政府委員(矢島錦一郎君) 先ほども申し上げましたように、請負契約の実体、形式を備えておる、したがって奥様の内職収入が事業所得であるという場合については給与所得の適用は受けられない、したがって給与所得控除の適用も受けられない、かようなことになるかと存ずるわけでございます。
#158
○渡辺武君 そうすると、たとえば労働者の奥さんで、収入が足りないのでミシンを一台持って、そして反物、布は自分が買ったり、あるいはまた注文先の人が持ってきたり、とにかく近所の人に頼まれて内職で洋服をつくったり洋服の修理をしたりしているという場合、これはいまあなたのおっしゃった事業収入に該当するわけですか。
#159
○政府委員(矢島錦一郎君) 先生のおっしゃったところは非常にむずかしいところだと思いますが、先ほど来申し上げております実体面で、純然たる労務の提供によりまして対価を得るものであるかどうかということも一つのメルクマールになろうかと思うのでございますが、たとえば店舗とか作業所とか機械とかいったような特別な設備を持ってやる場合には、やはり事業所得ではないかというふうに考えます。
 ミシン一台がどうかということになりますと、その場合、ケース・バイ・ケースということになろうかと思いますが、一般的に申し上げれば、いま申し上げたようなことに相なろうかと存ずるわけでございます。
#160
○渡辺武君 当然そういう場合、店舗でも構えて何々衣料店というようなことで手広くやっているというような場合でなくて、細々と内職をやっているというような場合を想定していただいて、そういう場合はやはりケース・バイ・ケースで考えてくださるということですね。
#161
○政府委員(矢島錦一郎君) 繰り返しになってあるいはおしかりを受けるかもしれませんが、実体面、形式面においてそれぞれ雇用契約であるというふうな要件を備えているということが、あくまでも条件でございます。
 私ども、大変口幅ったいことを申し上げるようでございますが、所得税法上どちらの所得区分に属するかということは、やはり税制の基本に関する問題でございます。執行の問題につきまして、税法の定めるところに従ってやるわけでございますが、くどいようでございますけれども、やはり私どもは、たとえば親会社なら親会社、それから内職者との間に実体についての完全な認識がない、あるいはそういうような実体がないというものまでも給与所得として取り扱うことにつきましてやはり問題がある。くどいようでございますが、やはり執行は法律の範囲内において、所得税法の基本に触れない範囲において、パートを給与所得と判定するか事業所得と判定するかというようなことに相なろうかと思うわけでございます。
 したがいまして、実体、認識ともやはりパートといいますか、給与所得としての仕事であることを前提として初めてできる、こういうふうに考えるわけでございます。
#162
○渡辺武君 だから、ぼくはそこに実態と大蔵省の考え方との大きなギャップがあると思うのですね。たとえば、給与所得控除が認められる場合に、先ほどおっしゃったように最低限は五十万円だということですな。その場合に、夫が給与所得者の場合に妻の配偶者控除、これは認定要件である二十万円以下と、こういうことになりますね。そうすると、合計七十万円の収入金額以上になるまではこれは配偶者控除を受けることができる、こういうことでしょう。ところが、奥さんが内職していて、そして事業所得としてみなされる。
 たとえば、いま申しましたように、雇用契約があるかないかということになりますと、ちょっと内職している近所の奥さんに洋服を頼むなんという場合は、雇用契約なんか結んで頼むばかないんですよ。そういうような場合には、これは事業所得として扱われてしまう。ですから、給与所得控除がないんで、二十万円の所得を超すと早速のところ配偶者控除も受けられなくなる、こういう矛盾が出てくるんです。ですから、この点、実態に合わせて、特に生活に困っている人たちの場合に税の負担をできるだけ軽くするという趣旨を考えていただいて、何らかの対策を講じていただきたいというふうに思いますが、どうですか。
#163
○政府委員(高橋元君) よく御存じであろうと思いますけれども、いま配偶者控除が適用されるためには配偶者の所得が二十万円より下でなくちゃいけないということでございます。それから、給与所得控除は五十万円、つまり四割でございます。最低保障五十万円でございます。そういうことから、いま御質問のようなことがあるわけでございますが、前にもこの委員会で御質問も出ておりましたように、パートタイマーの課税の問題というものは、雇用形態のいかんを問わずあるわけでございます。ここでの御意見を正確に税制調査会にお伝えをして、税制調査会で御審議していただくように対応したいというのが私どもの考えであります。
#164
○渡辺武君 ぜひひとつ、検討していただきたいと思うのですね。
 それから次に、若干法案とは離れますけれども、入場税の問題について一言だけ伺いたいのです。
 昭和五十年の税制改正でいわゆるなまものですね、これの入場税の免税点が三千円になりました。それで、映画も千五百円になったわけですけれども、もうすでにそれから五年たっているわけですね。その間、人件費も上がるし物件費も上がるというような状況がありまして、いまなまものの入場料金、これは免税点より上がってきているというのが通常の姿になってきております。それで、これらのなまものの入場料の動向、これについては把握していらっしゃいますか。
#165
○政府委員(高橋元君) 私の手元にありますのはごく一部でございますが、たとえば三越劇場の演劇、これは五十年の改正前は三千円でございまして、現在も三千円のようでございます。それから宝塚の少女歌劇、これは五十年の改正前、二千円、千二百円、七百円というような各階一等、二等、三等とあったわけでございますが、これは上がっておりまして、二千八百円、千八百円、千円、こういうようなことでございます。N響の定期公演、これは暮れにやります第九のをとりますと、これは著しく上がっておりますが、Cのところで二千四百円が三千円でございますが、免税点を上回っておりますA、一番いいやつでございますが、これは二千八百円が五千円と、こんなようなことのようでございます。
#166
○渡辺武君 比較的低い方をおっしゃったような感じですね。たとえば歌舞伎の場合、昭和五十年三千円の免税点が設定された当時、中くらいのところが三千円で、それからわりあいに高い方が四千三百円。これが昭和五十五年になりますと、一番低いところが千五百円、中位が五千五百円、それから一番いい席が七千五百円、相当高くなっているのですね。それからオペラ、これは二期会で東京文化会館でやる場合ですが、昭和五十年は二千円から三千五百円、それが現在は二千五百円から六千五百円と、こういうことになって、それで入場税の対象に当然なるわけでしょうね。それからバレーでも、東京バレエ団の場合ですと、昭和五十年の場合は五百円から二千八百円の間だった。それが昭和五十五年になりますと、三千円から七千円という状況なんですね。
 ですから、これらの人たちは日本の文化活動という点で大きな役割りをしている人たちであって、国が文化上の予算をたくさん組んでそうしていろんな助成措置をしてくれるならこれはまた別ですけれども、そういうことがもともと最も乏しいと言われるわが国の場合、この入場税が、この五年の間少しも免税点が上がらないということで、免税点の大幅な引き上げをしてほしいという要望が、なまものを中心としていらっしゃる舞台入場税対策連絡会議、これには有名な芸能人が全部入っておりますけれども、強い要望書が出ているんですね。これについてどう対応されますか。
#167
○政府委員(高橋元君) 文化政策上の配慮それからそういう団体の御要望、私ども、いま渡辺委員のおっしゃることはそういう形で御理解は申し上げておるつもりではございますけれども、五十年度の税制改正で、映画の場合百円から千五百円と、なまものが百円から三千円というふうに免税点を大幅に引き上げましたその趣旨は、高いクラスの入場料金は課税対象とするが、一般大衆向けの入場料金は課税対象としないと、こういうことに尽きるわけであります。現在でも、いまいろいろお示しもございましたけれども、私が先ほどお答えしましたのはその一端でございますが、三千円または千五百円という免税点を超えて課税されるものは、おおむね高いクラスのものであるというふうに考えます。
 消費税であるという入場税の本質から考えまして、免税点を超えるような入場料金の支出について、相応の負担をお願いする必要があると思っております。現在の財政状況をお考えいただきますと、いま私どもが免税点の引き上げができないという気持ちについて、ぜひ御理解をいただきたいというふうに考えます。
#168
○渡辺武君 昭和五十五年度予算案で、入場税の収入はどのくらいを予定していますか。
#169
○政府委員(高橋元君) 五十億円でございます。
#170
○渡辺武君 こういうことは余り言いたくはないんだけれども、たとえばP3C一機で百億円ということでしょう。その半分ですよ、五十億円と言えば。だから、国の税収税収と言うけれども、しかし五十億円くらいのものをやめていまの日本の文化の振興に役立たせると、これはそうむずかしいことじゃないというふうに私思いますね。
 それで、一般消費税の問題がいろいろ議論になっていたころに、一般消費税を制定した場合、段階的にこういう入場税などについても解消していくんだという趣旨のことを、私、直接御答弁でいただいたことがあるんですけれども、もう一般消費税の導入も五十五年度は一応取りやめになっていますが、そういう点からしましても入場税の免税点、これは実際は撤廃すべきだと思います。しかし、少なくとも免税点の引き上げ、これは映画も含めてですが、検討をしていただきたいと思いますが、どうですか。
#171
○政府委員(高橋元君) 税収としては非常に小さいものじゃないかというおしかりをいただいたのですが、私ども、税体系上、サービスに対する消費課税というものが非常に重要であるという考え方を持っておりまして、そういう意味では、入場税の税体系上の地位というものは、物品税、酒税、揮発油税というものと並んで非常に重要な地位を占めておる。そういうことから、私は財政の現状を考えて、これの免税点を引き上げることは相当でないという私どもの考えを申し上げて御理解をお願いしたわけであります。
 一般消費税について、私が昨年この委員会で申し上げた入場税、つまり個別消費サービス課税である入場税と一般的な消費税との関係についての考え方は、変わっておりません。
#172
○渡辺武君 税を取る立場からだけ考えないで、やはり入場税の免税点引き上げを要請している諸団体、日本の文化という点でどれほど大きな貢献をしているか、その点をよく考えてほしいんですよ。私ども聞いてみますと、音楽、演劇、オペラ、バレーなんかはほとんどいま赤字だと、その上に入場税が今度かかり始めてきているわけですね。もうとても苦しいというのが、異口同音に言われる言葉なんです。これでは、日本の文化の振興という点から言っても、非常に大きなマイナスだと思うんです。あなたのおっしゃる原則論は原則論、それはそれとして、やはり入場税の免税点の引き上げということについて、どうですか政務次官、ぜひひとつ検討していただきたいと思うんです。
#173
○政府委員(遠藤要君) 入場税については、御承知のとおり、大衆向けについては課税対象外にしておりますけれども、やはり一つの線を引かないと、高いクラスのものとの比較、それからいま一つは、やはりある程度の負担も高いクラスのものについてはやむを得ないのじゃないかというような点が一つは考えられておるわけです。
 ただ、先生のおっしゃるように、文化の振興という点から考えると、われわれとしても十分これは検討していかなければならぬと。しかし、御承知のとおり、厳しい財政事情でもあるという点もございますけれども、十分これから検討していくべきだと、こう考えております。
#174
○渡辺武君 検討してくださるということで、ひとつぜひお願いしたいと思います。
 それで、重ねて申しますけれども、いまとにかく卸売物価は年率三〇%を超えるというような物すごい上昇率ですよね。それで、消費者物価にこれははね上ってくるのは避けられないですね、公共料金だって物すごく上がっていますからね。だから、それらのことを考えれば、いま一般大衆向けは免税点以下だという趣旨の御答弁なんですが、一般大衆向けだって当然これはひっかかってきますよ。免税点以上になってくるんですね。そういうこともあるので、ひとつ至急に本気になって検討してほしいということを重ねて要望申します。どうですか。
#175
○政府委員(遠藤要君) 渡辺先生のお気持ちは、十分了解いたしておきます。
#176
○渡辺武君 それでは、法人税について次に伺いたいと思います。
 今年度の税制改正、五十五年度の税制改正に組み入れられなかった問題で一番大きい問題は、私は法人税率の引き上げだろうというふうに思っております。これはあなた方の方がよく知っていますが、税制調査会の答申でも、外国に比べても日本の法人税は低いんだということを言って、引き上げる方向を出しているわけですから、いまのように大企業がいわば史上空前の高利潤を上げているという時期でこそ引き上げるべきじゃないかと思います。その点、どうでしょう。
#177
○政府委員(遠藤要君) 当委員会でも何度かお答え申し上げているように、五十五年度の予算編成に当たっては、まず歳出規模の抑制ということでいったと、歳入面については法人税率の引き上げを含めて本格的な増収措置の検討は来年度に回したいと、そういうふうな気持ちで予算編成をやったということをひとつ御理解願っておいて、五十五年度は従来にも増して税負担の公平を図っていかなければいかぬと、そういうふうな点で租税の特別措置の大幅な整理統合を図る、そして退職給与引当金の見直し等の増収措置を講ずる等で、増収措置は最小限度にとどめたということで御理解を願っておきたいと思います。
#178
○渡辺武君 そうしますと、五十六年度には法人税率の引き上げについては検討するおつもりなんですね。
#179
○政府委員(遠藤要君) 五十六年度は、御承知のとおり、財源事情も相当厳しくなってくるというような点もございますので、法人税率の引き上げ等については当然五十六年度の予算編成の際の検討課題としているということを、御理解願いたいと思います。
#180
○渡辺武君 そこで、私一つ提案があるんです。われわれは法人税率を大企業については二%ぐらい引き上げた方がいいというふうに思っておりますけれども、しかし、これは一つの検討課題として申し上げたいんですが、いまわが国の法人税率は、これは配当を除いて留保分に対しは税率が四〇%、資本金一億円以下の企業で所得が七百万円以下の場合、これは留保分に対して二八%という、いわば二段階方式をとっているわけですね。私、聞くところによると、アメリカではわりあいに段階の刻みが日本より細かいということを聞いておりますが、その実情はどうですか。
#181
○政府委員(高橋元君) アメリカの法人税でございますが、これは税率が五段階に分かれておりまして、十万ドル以上の場合には四六というトップレートでございますが、七万五千ドルから十万ドルの間は四〇、五万ドルから七万五千ドルの間が三〇、二万五千ドルから五万ドルの間が二〇、二万五千ドル以下は一七という税率が適用になっております。逓減税率であります。
#182
○渡辺武君 イギリスの場合は三段階になっているというふうに聞いておりますけれども、やはりこういう刻みを細かくして、そしていわば小さな企業については比較的税率は低く、そしてまた大企業については税率を高くと、いまのように二段階で、一遍にがっくり、言ってみれば税率が大企業も中企業もほぼ同じくらいの税率で法人税を取られるというような形は、私、不合理だと思うんですね。私ども計算してみますと、資本金五十億円以上あるいは百億円以上、こういう企業では租税特別措置などの優遇措置が集中しているという点もありまして、比較的中小企業より税の負担率が低いという実態があらわれているんですね。
 ですから、いま申しましたような段階の刻みをもう少し細かくして、そして大企業に応分に負担を求めるということを含めて、五十六年度ぜひひとつ御検討いただきたい。政務次官いかがですか、この点。
#183
○政府委員(高橋元君) すでに国会に御提出しておる資料でございますが、五十三年度の法人企業実態から算出をいたしまして、資本金一億円以下の会社の実効税負担率は三七・四、それから一億から百億の間が四二・二、百億円超が四〇・八と、こうなっておりまして、いま仰せのような中小企業の税率の方が高いという実態にはないというふうに私どもは承知をしております。
 多段階税率を設けたらという御提案でございますけれども、多段階税率、これは累進税率ということでございましょうが、そもそも自然人の所得再分配とか、その基礎になっております所得の効用逓減ということが基本にある考えであります。法人の所得が効用逓減するというような考え方、所得の再分配を図るべきだという考え方は、法人については取り得ないというふうに、従前から税制調査会でもたびたび御審議の上そういう結論を持っております。したがって、法人税について多段階税率を導入するということにはなじまない面が非常に大きいということで御理解をいただきたいと思いますし、仮に、資本金基準ないしその他の外形基準で多段階税率にいたしますと、税負担軽減のために販売部門を分けてしまう、地域ごとに会社を分轄するというような、そういう撹乱作用があって税収上、また税の負担公平上望ましくない結果にもなろうというふうにも考えるわけであります。
#184
○渡辺武君 まるで原則的にできないみたいなことを言っているんだけれども、もうすでにアメリカで、あなた自身がいま報告があったように、五段階でやっているというような実態でしょう。それで、いまの日本の法人税の税率のかけ方を見てみますと、たとえば所得八百万円の法人と、それからトヨタのように所得千億円、二千億円というようなべらぼうな法人と同じ四〇%の税率で税金を納めている、これではちょっと余り不公平だと思いますよ。税の公平、税の公平とよく言われるけれども、やっぱりそういうような点は十分に正していって税収も上げるし、そしてまた、税の公平も期すということがいいんじゃないですか。どうです、政務次官。
#185
○政府委員(高橋元君) 法人税の性格論でございます。この点につきましては、私ども実在説、擬制説いろいろあるわけでございますが、法人税の基本的性格をまず議論をいたしませんと、いま仰せのように、中小法人の軽減税率についてはすでに従前から二八という税率を講じておりますが、多段階税率を導入してきたらいいかどうかという答えがなかなか出てまいりません。
 その点につきましては、税制調査会の企業課税小委員会で法人税の基本的な組み立てというものをいま一回おさらいをいたしております。いまお尋ねのありましたこともそこに報告をいたすつもりでおりますが、私どもはいずれにしても、いまの段階で考えを申せということであれば、先ほどのお答えの繰り返しになるということに考えております。
#186
○渡辺武君 次に、退職給与引当金などの引当金の問題について若干伺いたいと思うんです。
 退職給与引当金の繰り入れ率が五〇%から四〇%に下げられたと、これは一つの改善だと思うんですね。しかし、改善ではあるけれども、実態からするとまだまだちょっと大企業優遇措置に過ぎているというふうにしか私考えられないんです。たとえば、ここに新日本製鉄とKDDと東電の退職の実情について、これは昭和五十四年度末のものですけれども、調べてみましたところが、退職給与引当金の期末残高に比べて実際の退職者に対して支払われた金額、この比率をとってみますと、新日鉄の場合は一三・八%、KDDの場合はわずかに二・三%、東電の場合は一〇・三%と、こういうことになっているんです。
 そうしますと、繰り入れ率四〇%というのがいかに大きいかということがよくわかると思うんですね。ですから、実際いまの三社の場合で計算してみますと、事実上二千三百七十億円がこれが課税を逃れて、そしていわば事実上の内部留保として蓄積されているという状況ですね。だから、こういう引当金はこれは実態に近いものにする。私、外国でもそういうようにやっている例の方が多いのじゃないかという感じがするんですけれども、もっと繰り入れ率を実態に近づける、近いものにするというおつもりがあるかどうか、これを伺いたい。
#187
○政府委員(高橋元君) 引当金が法人の所得計算上持っております合理的な仕組みであるということはたびたびお答えもしてきておりますし、いま時間もないことでございますから繰り返して申し上げませんが、そういう基本的な原則の中で退職給与引当金を考えます場合に、引当金への繰り入れ率が現実必要とせられるよりも高くなっておるという点には問題がございます。それは実態に合わせて常に見直しをしていかなければならないわけでございまして、そのために私どもは、三十五年当時と五十三年当時との従業員の在職者の今後の平均予定在職年数というものをはじき直してみますと、かつて九年であったものが十二年に伸びておる。したがって、割引率で私ども五〇%と申し上げておったわけですが、割引率からいたしますと五〇%が四〇%という積み立て限度になる、こういうことで改正を御提案しておるわけでございます。
 引当金の繰り入れ率が常に実態に合ったものでなければならないということは、私どもの変わらない考え方でございますので、今後も雇用の情勢の推移に応じて考えてまいりたいというふうに思います。
#188
○渡辺武君 それは多少実態に合って、平均在職予定年数九年が十二年になったから、それに応じて五〇%を四〇%に引き下げた、だからこれは一定の改善だとぼくは言っているんです。言っているんだが、さっきも申しましたように、実際退職している人の受け取った退職金とそして退職給与引当金の期末残高を比べてみたら、一〇%前後というのが実情でしょう。それをいまだに四〇%も繰り入れを認める。これは税金逃れを大企業に許しているという以外の何物でもないですよ。だから、実態にできるだけ近づけたいというなら結構なこと、こんな平均在職予定年数というようなことだけを実態として見ないで、実際退職しているという実態を十分につかみながらやっていただきたいんです。
 これは貸し倒れ引当金などについても同じことだろうと思うんですよ。皆さんの方が御存じだと思いますが、日本租税研究協会、これは相当権威のあるもので、第二十八回研究大会、これの記録によりますと、引当金についてはこういうことを言っているんです。
 引当金については、各国ともその経験率とか合理的な見積額によるとか個別にそれを算定するという方式などによるのであって、わが国のように期末有高に対して一定率を乗ずることによって限度額を定めるという方式はまずないのである。つまり、画一的基準によって限度額を定めるという方式が適当かどうか、貸倒れの多い企業と少ない企業とが同じ業種に属しているというそれだけの理由によって、画一的に貸倒引当金を設定することができるということは問題ではないか、むしろ企業の実績基準を考えることの方が適当なのではないか、そういう面を考慮する必要がある。
 こう言っているんです。この点大蔵省も、やっぱりこういう権威のあるところで、これは共産党の団体じゃないんだから、十分あなた方もやっぱり真剣になって検討して、そうしてそういう方向に努力すると、ぜひやってほしいと思うんです。これは政務次官どうですか、当然のことだと思うけれども。
#189
○政府委員(高橋元君) 退職給与引当金は、将来、つまり平均して十二年先にやめる人のために、当期ふえた退職金の支払い所要額の半分を引当金に繰り入れるという制度でございますから、現在の退職状況とは必ずしもリンクしなくて、十二年先の話だと思うのです。したがって、職員構成が比較的老齢化しておる会社では、退職給与引当金の取り崩しは高くなっております。そういう状況は今後だんだんと進んでくるというふうに私ども思うのですが、さらに引当金への繰り入れ率については、実績を考えながら検討していきたいということは先ほど申し上げたとおりであります。
 貸し倒れ引当金は、引当金の繰り入れ率が過大にならないように随時改正をしてきておりまして、五十四年度、金融保険業以外について二割を切ったわけでございますが、その際に、実績率との選択という制度を導入しております。すべてを選択にするかどうか、会計上の慣行はまだ熟しておりませんので、引当金の実績率をどうやってはじくかということ、また、企業が実績率ではじき直すということ、その辺の進みぐあいを待ってのことでございますけれども、御提案の点は今後の一つの研究課題であろうと思います。
#190
○渡辺武君 私どもは、もう長いことこの問題についてはあなた方に申し上げて、ぼちぼちそういう方向に重い腰を上げられて結構なことだと思います。しかし、実態からすると、依然として大企業優遇になっている、この点は私どもははっきりと申します。ですから、ゆっくりやらないで急いでやってほしいと思うんですよ。財政難、財政難と言うなら、まずこういうところから本気になって手をつけるということでやってほしいと思う。どうですか、政務次官。がんばってくださいよ。
#191
○政府委員(遠藤要君) いま渡辺先生の御提言を心に十分持って、検討していきたいと思います。
#192
○渡辺武君 時間がないので端的に申しますけれども、例の法人の受取配当ですね、これは基本的には非課税になっている。ところが、法人が支払う方、これはいま議論されましたけれども、留保所得への普通の法人税率は四〇%なのに、この支払い配当については三〇%の税率しか掛けられていないということになっているわけですね。それで、受け取る方は税金ただで、出す方は三〇%、こういうことで、もし仮に、これが一定の企業集団の間でもってやられているという場合を考えてみますと、非常に有利な制度になっているのですね。企業集団で仕事をやっていると言えば、大企業ですよ。これまた、大企業優遇措置だというふうに見ざるを得ないと思うんですが、この点の是正、これはどう考えておられるか。
#193
○政府委員(高橋元君) お言葉でございますけれども、私どもは、これは法人税の基本的仕組みであるというふうに認識しておりまして、大企業優遇のための措置という考え方は持っておらないわけでございますが、この受取配当を益金に算入しないという制度は、これはいわゆる実在説であろうが擬制説であろうが、どこの国の税制においてもとられておるわけであります。配当が会社間を転々としております間になくなってしまうということについての不合理は申し上げるまでもないわけで、したがって、法人税が支払われて法人によって受け取られます場合に、その間の調整が必要である。そのあり方がどうあるべきかということは、大体どこの国も受取配当益金の不算入ということで対応しているようであります。
 この問題も、企業課税小委員会で、税制調査会で御検討を願う項目の一つに入っていることを、つけ加えさせていただきます。
#194
○渡辺武君 いま、転々としているうちにと、やがて個人の株主に入っていくだろうという趣旨だろうと思いますけれども、実態はそうでないんですよ。いま、とにかく法人の持株比率、これは年々上昇して、五十三年度では六八・九%、これが法人によって所有されているという実態ですね。特に、その中でも、私申しました同系列内での相互持ち株、これが最近非常にふえてきている。六大企業集団の場合ですと二三・三%、これが同企業内の相互の持ち株、こういうことになっている。ですから、やはり何と言ったって、これはそういう大企業集団にとっては非常にうまみのある制度なんですよ。配当をもらっても、これは税金がかからない。配当を出しても、普通の法人税率より以下の税率で税金を納めればいい。こんないいことはないですよ。
 ですから、あなた方が大企業優遇だというふうに考えろということを私申し上げているわけじゃない。もし仮に考えたら、こんなものはとっくに是正されていると思う。だけれども、やはりこれも国民はとうてい納得できない不公平税制のいわば尤たるものだというふうに言っても差し支えないものですから、したがって法人税のあり方、その他の基本問題云々をおっしゃいましたけれども、それはしばらくおくとしても、この是正のために、もっと大蔵省本気になって努力してほしいというふうに思います。これは、ひとつ政務次官、やっぱりかなり英断を要することだろうと思いますので、お答えいただきたいと思います。
#195
○委員長(世耕政隆君) 時間がそろそろ来ますので、簡潔にお願いいたします。
#196
○政府委員(遠藤要君) 渡辺先生のせっかくの御発言でございますが、これは、大分役所内でもいつも議論になっている問題でございまして、われわれはあくまでも大企業擁護というようなたてまえじゃなく、やはり税の公正ということを期して進んでいる、その点はひとつ御理解願って、ただいまの御提言は御提言として拝聴しておきたいと思います。
#197
○渡辺武君 最後にほんの一言。
 税調の長期答申で、法人税の基本的仕組みについては、法人の性格論に固執することなく法人税制を法人の社会的、経済的実態に適合させるという方向で引き続き検討していくべきであるということを言っておりますね。そういう方向でやりますか。
#198
○政府委員(高橋元君) そのとおり考えております。
   〔委員長退席、理事細川護熙君着席〕
#199
○中村利次君 円レートの問題だとか、あるいは内外の金利差の問題だとか、経済金融政策については、大変むずかしい状態の中にわが国はあるわけであります。その中で、財政の再建が重大な政治課題になっているわけでありますけれども、だからこそ、所得税あるいは租税特別措置の問題も、その一環として、どう公正なものにしていくかということが議論をされてきておるわけでありますけれども、その一環として利子や配当の所得を総合課税にしよう、六十年からこれを実施をしようというのは一つの前進であって、それなりの評価をすべきだと思います。
 私は、そういう立場に立って、実は先般の本会議でも、しかし五十九年の十二月まではいまの税率をそのまま据え置くということでありますから、したがって総合課税に移行をするのに事務的にいろいろ時間がかかるんでしたら、その間、税率の問題を何とかお考えになりませんでしたかと、やっぱりせっかく総合課税に踏み切って、まあ政府が悪名高いとお考えになったかどうかわかりませんが、一般国民の立場からすると分離課税というのは評判がよくなかったと思いますが、五十九年の十二月まで据え置くということは、まあ今度踏み切るんだから、最後の優遇措置としてお考えになったかどうかという質問をしたんですが、これは総理のつまびらかな答弁を得ることができませんでした。
 ですから、しつこいようですけれども、この間、税調会長が参考人としてお見えになりましたときにも同じ質問をしてみたんですけれども、小倉会長は、三五%という税率は高額であって、これをまたいじるというのはまるっきりそれは議論の対象にならなかったというお答えであったように思うんです。しかし、画竜点睛を欠くというようなことでは、やっぱりこれは公正を追求するというそういう姿勢の問題からいっていかがかと思うんですけれども、当局として何かこういう点の御議論があったかどうかを承りたい。
#200
○政府委員(高橋元君) 源泉選択制度を五十八年の十二月三十一日まで延長をする、いまそういうお願いをしておるわけですが、その場合に、源泉分離選択課税の税率三五をもっと上げるべきだと思うが、そういう検討をしたかというお尋ねだと思います。
 実は、昭和五十二年度の改正であったかと思いますが、利子の一般の源泉徴収税率を一五から二〇に上げましたときに、源泉分離選択課税の税率を三〇から三五に上げさしていただいたわけでございます。それでまあつり合いはとれたわけでございますが、そのときに起こりましたのは、源泉分離を選択される預金が非課税預金に逃げ込んじゃったということでございます。つまり、郵便貯金なりマル優なりというものの管理が残念ながら徹底しておりませんことを受けてのことだと思いますけれども、三五%新しく払うならば、それはゼロのところへ行ってしまうということが相当広範に起こったように思います。
 したがいまして、源泉分離選択課税の税率を上げただけで、非課税貯蓄の方の把握の体制を変えないとしますと、かえって不公平が大きくなるというふうに思います。その辺はずいぶん金融機関の実情も調べ、徴税当局と申しますか、執行当局との意見も交換をいたし、部内でも慎重に検討をしたわけでございますけれども、源泉分離選択課税の税率を上げないで、五十九年に全部を総合課税の中に入れてしまう、そういう体制をつくりますためには、かえって三五%の税率を維持した方がいいという結論に達したということを御報告申し上げて、御理解をいただきたいと思います。
#201
○中村利次君 なるほどこれはお伺いをすると、マル優に逃げ込んだなんてことは、全くこれはどうも容易ならざることでして、総合課税をする場合のグリーンカードの採用、これもどうなんですか。グリーンカードにも抜け穴はございましょうし、いま一歩踏み込んで納税番号制度というのも、私はこれもこの間の参考人の御意見を承りまして、あれは一河参考人でございましたか、グリーンカードも一つの方向性であろうけれども、やっぱり番号制の導入というものも、確かにこれはプライバシーの問題等でいろいろ反対意見も強いと、しかし正しい課税をする、公正な課税をするという立場からすると、あながち全面的にこれを否定するということはどうであろうかというような御意見を承りまして、私も全くこれは貴重な御意見だと、こう思ったんです。
 特に、いま局長の御答弁で、税率三五%に上げたときにマル優に逃げ込んだのが本当に実績としてあらわれたということになりますと、これは容易でないことでありまして、私どもがここで気楽に不公正の是正だとか何だとか言ってみても、とにかくまあ口頭禅は幾らでも言うけれども、その裏からぞろぞろぞろぞろ抜け穴ができておるというようなことではどうにもならぬわけでありますけれども、そういう問題に絡んでグリーンカードあるいは納税番号制の功罪なり比較、それからそのほか、完全な総合課税にするための、まあ表現は悪いかもしれませんが捕捉について万遺漏なきを期するという、そういう立場からのいろいろの検討についてお伺いをしたいと思います。
#202
○政府委員(高橋元君) 私ども、グリーンカード制度を結論として御審議を願っておるわけでございますが、また、これをもってその執行に十分協力を得まして、先ほども私お答え申した中で言葉が適切でなかったかもしれませんが、非課税貯蓄の中に課税貯蓄が逃げ込むというようなことが一切ないことになるというふうに期待しておるわけでございますけれども、こういう制度に到達します前に、納税者番号制度というものを設けまして、これによって税務当局が自然人と法人のすべてに強制付番をいたします。で、金融取引は一切納税番号の提示をして、番号を税務当局及び金融機関に御通知になっていただいて、それで本人確認と名寄せを一斉にやりますという制度を考えたことがございます。
   〔理事細川護熙君退席、委員長着席〕
 しかし、これは非常に完璧な制度ではございますけれども、どうも国民の方々の御理解をまだ十分に得られるに至っていないと、あるいはプライバシーの問題でございますとか、手間暇の問題でございますとか、国民の間に納税者番号制度を導入するためには十分な環境整備が行われているとは言いがたいように思われるということになりました。
 その次に、非常に完全な制度としてもう一つありますのは、さっきもお答え申して重複いたしますが、全部の預金について七五%、所得税の最高税率で課税をしてしまうわけであります。そうしますとまあ九九・九%の方は、もっと多くなるかもしれませんが、還付を申請されます。名義がどうであろうと自分の預金で七五%取られちゃったのですが、私の所得税率は三〇%だから四五%還付してくださいと、こういうことを申告なさるでありましょう。そうしますと、名寄せの問題も本人確認の問題も、一気に各納税者が個人で御処理になるわけでありますから片づくわけであります。そういう制度も考えてみて、税制調査会で御検討願ったわけですが、これは言うべくして実行できないということになります。つまり、一億一千万人おられる中で、一億九百何十万人という方が税務署に還付においでになるわけでございますから、これはもう、その税務の第一線の混乱たるや、想像するに余りあるものがあると思います。
 したがって、その制度も理論倒れであるということになりまして、あといろいろ検討いたしました中に、現在非課税貯蓄申込書というのを出していただいておるわけですが、その非課税貯蓄申込書を出す、それからその利子・配当の受領の告知をなさる際、二つの場合に全部住民票をいただこうではないか、また、会社の登記簿の謄本をいただこうではないか、それを金融機関が全部備えておきまして、チェックしたその証拠に持っておくということを考えたらどうだというようなことも検討してみたのですが、これは利子の支払い者、配当の支払い者の負担が余りにも大きい。利子や配当の所得者についても手間が大変であります。これも実際的でないし、果たして効果が上がるかどうかも、いままでそういう制度を下敷きにしてやってきたことでございますから、いままでやってきてうまくいかなかったものがそういうことでうまくいくかどうかという点も効果のほどもやや疑問があるということで、グリーンカード制度を御提案申し上げている形に落ちついて、これの執行について万全を期して利子・配当所得の総合課税の実を上げたいというふうに考えておる次第であります。
#203
○中村利次君 冒頭申し上げましたように、財政の再建の前提は、やっぱり不公正の是正をどう達成できるかということにかなり私はウエートがかかると思うんですね。そういう意味では、税制上の不公正の是正もさることながら、やっぱり総合所得の体制に入っても正しい所得の捕捉ができるのかどうかにかかっていると思うんですよ。ところが、こいつはどうも税理士法の改正の中でもいろいろ議論がございましたように、高額所得者があえて脱税をしておる。たとえば医師あるいは高額所得の芸能人等が新聞をにぎわしているわけでありますけれども、こういうのをやっぱりどう正しく捕捉をするか。
 きのうも申し上げましたが、わが国の所得税というのは欧米に比べて確かに税率は高くはない。しかし、税率が高くないのに何ともこれは重税感があるというのはなぜかと言えば、やっぱりそういう何かこうやるせないような不公正を感じておるから、何か重税感みたいなものがあって、できれば脱税でも何でもいいから税金を逃れたい、そういうところに、まあこれはきわめて少数ではございましょうけれども、悪徳者のはびこる余地もあって、ますます税の公正を損ねておると思いますけれども、もう時間がだんだんなくなりましたから、ひとつそういう点につきましてはいまの局長の御答弁、かなりまあ努力をされておるようでありますから、六十年の一月一日からいよいよ新しい総合課税体制に入るわけでありますから、なおひとつその努力を続けられまして、本当に不公正をなくするような、そういう決め手をひとつ御検討の上、結論をお出しになるよう要望をいたします。
 次に、これも参考人の御意見の中で私は大変に参考になりましたのは、土地税制の問題ですね。私は今度の土地税制の改正につきましても、これもやっぱり税制のみで土地対策にはなり得ないということをふだんから言っておるわけですけれども、私はそういう意味では、今度の土地税制なんかにつきましても本当にこれは土地対策には、供給をふやすようなそういうものにはもうはっきり言ってなり得ないと思うんですね。
 そこで、非常に参考になりそうなのは、これは私どもが行政府にもどうですかということを申し上げ、私どもも勉強しなきゃならないと思いますのは、なぜ土地の供給が潤沢にいかないんだろう。これは幾ら税制上ひねくってみても、いま売った土地がどんどん値上がりをするということになれば、いま売れば損だという、これは私はぬぐい切れないと思いますよ。これは国の政策に根幹は行くんでしょうけれども、しかし、そんなことを言ったってしようがないんだから、たとえば売却の土地代金に対して土地の値上がり率に応じた補償をするような土地債の発行だとか、そういう何か検討というのは考えられませんか。いかがですか、これは研究課題として。
#204
○政府委員(高橋元君) 土地政策を総合的に進めてまいらなければならないわけでございますし、そのための手段も、税制は補助的なもので、もっと本来的な土地の利用規制なり利用の促進なり再開発の政策があってしかるべきだと思うわけであります。
 いま土地債という仰せでありまして、ちょっと私ども直接所掌しておりませんので、どういうお答えを申し上げたらよろしいか、頭の中に思い浮かばないわけで恐縮に存じますけれども、御意見のありました点は十分建設省、国土庁及び、債券でございますと私どもの関係の理財なり証券局というところと相談をして、総合的な土地政策を講じて、それによって宅地の供給の円滑な促進に資するということで検討を進めたいと思います。
#205
○中村利次君 まあ突拍子もないような質問でございましたから、その御答弁でこれは満足しなければならないと思うんです。しかし、私はもう何といっても狭い国土の再開発、正しい利用、それから土地対策、そういうことを真剣に考えますと、たとえば住宅公団なんかでは予算を余らして大事な住宅政策に対応しなければならないというふうな実情もありますし、ところがそういう中で防災上問題のあるようなミニ開発はどんどん進んでいく。そうしてこのミニ開発あたりが、大変なこれは土地の値上がりを誘発をしておるわけですね。
 もっとひどくて露骨なのは、地の利を得たようなところヘマンションができますと、もうそこへ何というんですかね、仮需要の先行投資をやって、そしてでき上がったときには、竣工したときには二〇%か三〇%か上乗せをして、全くこれは火事場どろぼうというのか全くの不当利得ですな、そういうことすら行われるような実態にある。それに対する手は打てない、対応ができない。そういう中で、庶民のマイホームはどんどんこれは遠ざかっちゃって手が届かないようなことになりつつあるわけでありますから、土地対策は何とかならないかということを考えてみますと、有効な手がなかなかどう考えてみてもない。
 そうなりますと、私権を制限をするのか、あるいはそうではなくて何か有効な対策はないのかということだから立法措置が必要なら立法措置、あるいはいま言うようなたとえば政府主導型の、土地の買収については、まずはそういう土地債みたいなものを考えてみる、こういうのを、何といいますか、民間も含めた土地対策に広げていくというようなことをぜひひとつ、この場の御答弁のみではなくて、唐突な質問でございましたが、いまの御答弁で私は満足いたしますから検討してください。
 ひとつ、検討していただけるかどうかお答えをいただいて、これでもうやめます。
#206
○政府委員(遠藤要君) ただいまの御意見、非常にわれわれも胸を打たれる点がたくさんございます。特に、これは税制のみで宅地の緩和ということはなかなか問題であると。やはり行政面においてももっと考えていかなければならぬ、そういうふうな点で、われわれとしては建設省なり国土庁と連携をとって検討、善処してまいりたい、こういうふうにお答え申し上げておきます。
#207
○中村利次君 ありがとうございました。
    ―――――――――――――
#208
○委員長(世耕政隆君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、福間知之君、多田省吾君、鈴木一弘君が委員を辞任され、その補欠として川村清一君、中野明君、和泉照雄君が選任されました。
#209
○野末陳平君 グリーンカードの問題点の一つに、郵便貯金があると思います。
 そこで、当局としては、郵便貯金とグリーンカードでもってこの両者に起こり得るいろいろな心配事がある。一番大きな心配点はどこだというふうに判断をされていますか。
#210
○政府委員(高橋元君) 五十九年の一月一日以降は、グリーンカードの御提示がなければ郵便貯金についても非課税の取り扱いが受けられないことになります。そういう意味では、五十九年一月一日以降は民間金融機関に対する預金であろうと郵便貯金であろうと無差別の取り扱いになる、これはもう制度としてまさにそのとおりでありますし、そういうところに持っていくように、金融機関と具体的な手続をこれから検討してまいるわけであります。
 しばしば言われておりますのは、五十八年十二月三十一日以前は郵便貯金は三百万円の預入制限の範囲内で現在と同じように受け入れができるわけであります。そうなりますと、定額貯金の期限は十年でありますから、十年間は総額をオーバーしたもの、または架名のものであっても受け入れができる。それに対して民間の金融機関の非課税貯蓄は、五十九年の十二月三十一日までに全部新しいグリーンカードに店ごとの限度額を書いてそれを集中管理されるということになる、そこが不公平ではないかという御指摘があります。
#211
○野末陳平君 そうしますと、よく民間の金融機関が言うには、五十八年度は郵便貯金に駆け込みがふえまして、郵便局にますます圧迫されると。逃げていく金についてちゃんとしておかなければ不公平でこの制度はよくないと、こう言うのですね。具体的に何か手がありますか。
#212
○政府委員(高橋元君) これは現在でも郵便貯金法は三百万円の預入制限、総額制限を持っておられまして、郵政省御当局も、二万だったと承知しますが、二万の郵便局のそれぞれの窓口で貯金を受け入れる場合に、本人の確認の必要があればお呼びになるし、全体として、これは手作業であるというふうに伝っておりますが、名寄せをできる限り手作業の範囲でおやりになって、総額制限を超過した場合には減額措置をおとりになっておられるというふうに承知しております。
 私が先ほど、民間にそういう意見がある、懸念があるということをお答えをしたわけですが、そういう懸念のないようにこれから五十八年末にかけて郵政省も従前よりも増して御努力をいただく、相互の間で抜け穴のないように、一緒になって新制度に円滑に移行できる道を考えていきたいということを郵政省に申し上げておりまして、恐らく郵政省も同じ御意見であろうかというふうに承知しておるわけであります。
#213
○野末陳平君 まさしく郵政省の協力がなければ、いま言ったような不公平な問題が起こるとすれば、それはもうほかのいい解決法はないだろうと思います。ですから、なお衆議院の附帯決議も参考にしますと、新制度移行前においても預金者の本人確認と名寄せを厳正に励行しとある、ここの部分だと思うのです。さて、しからば、郵政省のやっている名寄せが完全なものかどうかといいますと、これはほぼ完全であるという説明が郵政当局からはありますが、しかし、ほぼと言うけれども、どの程度といったって、ほぼで、一〇〇%完全でなければ、これはまた、そこには問題が起きているわけですからね。この辺の水かけ論は全く意味がないとは思いますが、これからなお一層郵政省に努力をしてもらうためにも少し現実の名寄せ、本人確認などについての二、三の疑問をここで出しておきたいと思うのです。
 郵政省が減額措置を講じているのは承知しておりますが、五十三年度においてはどの程度のいわゆる三百万円の枠オーバーの件数があってそれに減額措置をどう講じたか、金額の面で。五十三年度でいいですから、その辺をちょっとデータで教えてください。
#214
○説明員(神谷和郎君) いまお尋ねの減額措置、制限額を超過いたしましてお客様に対して減額を慫慂したものにつきまして、五十三年度は件数にいたしまして約二万件、金額にいたしまして約二百二十一億円と承知をいたしております。
#215
○野末陳平君 そうしますと、いまの二万件の中で、いわゆる外務員と言っていいのかどうかわかりませんが、募集して歩く、郵便貯金を集めて歩く係ですね、が集金してくるやつ、これは大体どのくらいこの件数の中に入っているのか。
#216
○説明員(神谷和郎君) 貯金の奨励につきましては、御存じのとおり窓口その他いろいろございますが、貯金の外務で取り扱っておりますものにつきまして個別にこれをどの程度というふうに調べたものはございません。しかしながら、私どもといたしまして、こういったものにつきましては、先ほど来大蔵御当局からも申されておりますように、鋭意厳正な措置をとってまいりたい、このように考えております。
#217
○野末陳平君 そういうたてまえを聞いているのじゃなくて、貯蓄奨励手当が出ている、その貯蓄奨励手当は減額措置を講じられたことによって当然返却を求めているわけですね。ですから、その返却を求めた奨励手当の額がわかれば、いま言った全体の五十三年度の減額措置のいわゆる制限超過件数の中のどの部分が外務員の集めてきた金であるか、それは逆算でわかると思うので、それを聞いたのです。
#218
○説明員(神谷和郎君) 貯蓄奨励手当の五十三年度におきますところの返納額は約五千四百万円、件数にいたしまして一万三千件となっております。
#219
○野末陳平君 そうしますと、いま制限超過件数、減額措置を講じたんだが、その二万件のうちの一万三千件は外務員が集めてきたと、こういうことになるので、残りが預金者が窓口に行ってやったと、こうなる。となれば、この減額措置の状況が果たして完全なる名寄せ作業によってこれしがなかったというのか、あるいはさらにもっと多くなるであろうというのか。これは判断の分かれるところですが、少なくも郵政省が正式におとりになったこの減額措置の状況から推して、その半分以上、強いて言うならば六五%ぐらいは外務員が集めてきた金だと、こういうふうになる。こう見ていいですわね、当然。
#220
○説明員(神谷和郎君) ほぼ数字といたしまして出たものは、お説のとおりでございます。
#221
○野末陳平君 そうしますと、郵政当局には気に入らないだろうと思いますが、名寄せがほぼ完全というよりも、名寄せもなかなか大変であろうと、一生懸命やってもやはりいろいろな点で限界があるんではないかなと思ったりすると、努力の末、毎年何万件かの減額措置を講じても現実にはわからない部分がもっとあるであろうと想像もされる。しかし、それはわからない。少なくもわかった範囲で、数字の上だけではそう言えるというが、外務員が集めてくる金の中に結果的には減額措置をしなきゃならないようなケースが半分以上あるというのはやや問題だ。
 ということは、故意にかそれとも全くわからずにやったか知らぬが、三百万枠以上集めてきているわけですね。まあ一人が集めているんじゃない。結果的にそうなるんでしょうが、やっぱりこの集め方にこの限度枠超過という厳しい線を守る、そういう感覚がないからこういう結果になったんじゃないかと、そう思うんですが、どう判断されますか、奨励課として。
#222
○説明員(神谷和郎君) 私どもといたしまして、従前ともこの総額制限額の厳正な履行ということにつきましては、各種の方策で指導をいたしておるところでございますけれども、お説のように、現実にはそういった減額措置を講ずるものがございますので、なお一層厳正な措置をとってまいりたいと、このように考えております。
#223
○野末陳平君 名寄せも大事だけれども、集めてくるときにすでにその辺があいまいであれば、これは名寄せが非常になお何というか手間を食うだけで、集める段階の問題というのは大きいと思うんですよ。
 参考までに聞きますが、五十三年度で結構ですから、一体定額貯金はどのくらい集まりまして、その中でいわゆる外務員が奨励手当をもらいながら集めてきた分は一体どのくらいあるんだと、その数字は出るでしょう、手当を逆算すれば出るんだから。
#224
○説明員(神谷和郎君) 定額貯金の新規募集額につきましては、昭和五十三年度におきまして九兆九千四百八十五億円となっております。募集手当につきましては、支給総額が約三百億円となっております。
#225
○野末陳平君 そこで、どのくらいじゃあ集めたことになるんですか、これで。
#226
○説明員(神谷和郎君) これは支給の総額でございまして、募集手当につきましては、定額貯金のみならず積立貯金並びに定期貯金についても支給いたしておりますので、具体的にこの部分については不分明でございます。
#227
○野末陳平君 少なくも、支給された手当から逆算しますと、かなりこの外務員がお金を集めてくるということはわかるので、それゆえにこの外務員の教育というのは非常に大変であると、あるいはなお一層ここの部分にも、郵政省は名寄せや本人確認と言わずに、この集め方にもっと深刻な検討を加えてほしいと思うんですね。
 で、郵便貯金を集めてきたことに対して手当を出すというここが、まあ手当の額や何かはともかくとして、手当を果たして出すべきものかどうかと。手当を出す、もらえるとなれば、やはり三百万の枠があってもなくても、そんなことは口ぬぐって少しでも集めたいと、こういうのが人情だから、ぼくは手当を出すのはどうかなと、まあ簡易保険の問題なんかはかなり額が多いようですが、この貯蓄奨励手当と称するものも疑問に思うんですよ。大体一人当たり年間幾らぐらい、平均支給額でいいですが、手当が出ておって、その手当だけで全部で年間幾らになっているか、五十三年度だけでいいですからね。
#228
○説明員(神谷和郎君) 五十三年度におきまして、先ほど御答弁申し上げましたとおり支給総額が三百億円でございまして、この支給を受けた職員全体で割りますと、年間一人二十七万円平均となっております。
#229
○野末陳平君 簡易保険の方の手当から比べればそんなに大きくないとはいうものの、しかし集めれば金がもらえるという心理は、やはり限度枠をオバーさせる動機になるとも思いますから、ここは厳重に注意してほしいと思います。
 そこで、こうやって集められた金が、結果的に名寄せ作業の量をふやしたりするんですが、この名寄せそのものですね、郵政省に前からいろいろお聞きしていますと、非常に一生懸命やられておるようですが、何分にもどうもむずかしいと思うので、ここで名寄せが果たしてちゃんとほぼ完全に行われているかどうか。
 それから同時に、本人確認というものが、グリーンカードになればともかくとして、それ以前まだ四年もあるわけですから、この本人確認というものが果たして適切に行われているかどうか、この辺にぼくは第三者の目が要るだろうと思うんですよ。郵政省に聞いたら、よろしい、やっていますと言われると、一々毎日ぼくらも行って名寄せは本当に完全かなんて言えない。でも結果的には、減額措置の半分以上は外務員の集めた金だということを考えると、やはり相当な問題がある。名寄せが悪いんじゃなくて、それ以前の問題。だから、この名寄せと本人確認に第三者の目が必要で、郵政省だけに任せておくのはどうも無理ではないかというふうに考える。
 そこで、行政管理庁に聞きますが、やはりこの名寄せと本人確認というのは、非常に法律上の問題として余りにずさんであり、いけないわけですから、郵政省のこの作業に対しても、行管としては監察の対象にする必要があるんじゃないか、時に応じてそれはやるべきではないかと、こういう考えを持つんですが、どんな御態度でしょうか。
#230
○説明員(重富吉之助君) お答えを申し上げます。
 郵便貯金の運営についていろいろ問題があることは、私どもも承知しております、しかし、先生御承知のとおり、郵便貯金について名寄せを的確に実施いたしますためには、全国に約二万ほどございます郵便局の貯金取扱業務をオンライン化することによって初めて可能になるかというふうに考えております。しかしながら、郵便局の貯金取扱事務のオンライン化は最近始まりましたばかりでございまして、その完成は、先生も御承知のとおり五十八年度末になると聞いております。したがいまして、私どもは当面、郵政省で適当な措置がとられると期待して、その郵政省の措置状況を見守っておるところでございます。しかし、郵政省の措置が適当でないというようなことでございましたら、私どもは郵便貯金業務の運営の状況について監察することの是非についても検討したいと、こういうふうに考えております。
#231
○野末陳平君 そうすると、適切でなかったりしたらば対象にするかどうかを検討するということで、いまでもやはりやる必要性を認めているというところまで積極的な態度ではないのかな。
#232
○説明員(重富吉之助君) まだオンライン化のサービスがほんの一部しか行われておりませんので、もうしばらく時期を見守りたい、こういうふうに考えております。
#233
○野末陳平君 そうすると、いずれにせよ、これも監察の対象になり得るという判断をお持ちのことはわかりました。
 ですから、そうなればなおのこと、いますぐに行監の対象として第三者の目を光らしてくれということを言うわけじゃないけれども、郵政省としても鋭意この問題に取り組んでほしいと思うんですよ。
 いまオンラインの話が出ましたが、オンラインになるについて郵政省はどうなんですか、いまのところは住所、氏名だけで打ち込んでいるんですか。
#234
○説明員(神谷和郎君) 現在、おっしゃってみえるとおり、私どもといたしましては、オンラインによって取り扱うものについては記号番号、住所、氏名、こういうことに相なっております。
#235
○野末陳平君 そうしますと、五十九年以降においてグリーンカードになりますと、そのグリーンカードを当然郵便局でも控えるわけですが、この番号ができたらば、郵便局の全国オンラインというものは、住所、氏名に加えて、この番号が当然使われなきゃおかしいと思うし、その方が便利だと思うんですが、どうでしょう。というのは、住所、氏名というが、氏名は本人確認ができても、住所が確認できない場合もあったり、少なくも外務員の集め方によっては。だから、ぼくはやはりオンラインには新規に発行されるグリーンカードの番号を使うということが絶対条件だと思うんですが、どうでしょうか。
#236
○説明員(神谷和郎君) 名寄せの問題につきましては、いまオンラインによる手続等につきまして、郵政省貯金局として慎重に検討をいたしておりますので、これについて具体的な方策を、いまにわかにこうなるものであるというふうなことについては、ちょっと不分明でございます。
#237
○野末陳平君 まあ、あなたの答えられる範囲じゃないのかもしれませんが、じゃ、要望しておきますね。やはり名寄せについては住所、氏名でいまはオンラインに乗せているようですが、このグリーンカード実施と同時に、やはりこの番号を使うべきであって、これをやらなければ本当の完全なる名寄せはできないだろうと、こう思うんですよ。ましてや、このグリーンカード実施前に駆け込みの内緒の金などがかなりあったとすれば、予想はされる。でも、どのぐらいあるか、これはわかりませんよ。しかし、ないしょの金を持っている連中、あるいは利息逃れをやりたい連中は必ずその辺にいくであろうと思うので、その後において名寄せがきちっと行われて、そういう駆け込みの金が表に出るということが望ましい。ならば、やはりオンラインには番号をどうしても使ってほしいし使うべきである、こう考えるんで、それを持ち帰って、よく言っておいてくれませんか。大丈夫でしょう。だって、できないわけないんだもの。番号を使わないという理由の方がおかしいものね。
#238
○説明員(神谷和郎君) お説のように、私どもとしてオンライン完成の暁にはどのような方策でやるかというシステムそのことについて万全を期すように検討をしてまいりたい、こう考えております。
#239
○野末陳平君 この名寄せと本人確認がきちっと行われれば、郵便貯金の問題というのはほぼ不公平を防ぐことになるであろうと考えるわけなんですね。
 そこで、いまの郵政省の答えを聞いて、大蔵省の方に改めて聞きますが、どうでしょう、そのくらいのことで大蔵当局としてはもうこれは郵政省にすべてお任せで、こちらに期待するしかなくて、仮にこれが完全でなくて、何かおかしな例があっても、これはもうしようがないと。それこそ駆け込みで預金して十年間非課税のままで、ないしょの金か何か知らないが、郵便局に眠っていても、これはもうあきらめようということなんですかね、最後は。もちろんこちら側もそんなことがないように頼んだから、まずまず大丈夫だと思うけれども、念には念を押して聞きますがね。
#240
○政府委員(高橋元君) 制度的にその問題に対処するとしますと、民間の貯蓄と同じように、制度実施後しかるべき時期までに全部グリーンカードで確認をし直すということになるわけでございますけれども、現在郵便貯金法の総額制限で、郵政省でなさっておられる本人確認制度及び名寄せの対象として認められて貯蓄されてしまったものに、追っかけて義務を課するというのは大変むずかしいように思います。民間の非課税貯蓄は申告書によって開設されておるわけですから、申告書を入れかえるということですけれども、このような制度をとっていない郵便貯金について、改めてさかのぼって洗い替えの義務を課するというのは法律上の問題があろうと思います。
 そこで、いまも郵政当局からお話もございましたが、オンライン化も進むことでございますし、相互に金融機関としてのと言ったらしかられるかもしれませんが、政府金融機関としての郵便貯金、それから民間の金融機関の貯蓄、そういうものとバランスをとりながらよくよく御相談をして、制度的に、また実際上も対処してまいりたい、かように協議を続けてまいりたいと思います。
#241
○委員長(世耕政隆君) 暫時休憩いたします。
 午後六時に再開いたします。
   午後五時四十六分休憩
     ―――――・―――――
   午後六時五分開会
#242
○委員長(世耕政隆君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#243
○丸谷金保君 大臣に質問申し上げる前に、先ほどの質問の関連で、私さっき資料をちょっと持っていなかったので、生活保護基準の関係については大体二百十万ぐらいと記憶していると、こういうふうに申し上げましたところが、おたくの方は書いたものを持ってきて読み上げて、そんなにないという話でしたね。しかし、実際にはそうでないんですよ。おたくのは普通のあれを出したので、特別基準というのがあるんです。たとえば、住宅扶助も九千円ですけれども、特別基準ですと、一級地、二級地ともに三万四千六百円までつくんです。だから、一級地の最高の生活保護の基準の具体例で言うと、四人家族で二百十六万二千四百三十六円、こういう数字になるんです、これ。一体何を見てさっき答弁なさったんですか。
#244
○政府委員(高橋元君) よく厚生省に、もう一度調査を続け、調査をいたしてみますが、私が申し上げましたのは、たとえば予算の場合に一級地の生活保護基準が幾らであるか、その金額であります。したがって、標準化した場合の一級地の生活扶助と、それから住宅扶助、それから教育扶助、住宅扶助につきましては基準額、教育扶助の額それを合算した金額であります。
#245
○丸谷金保君 私は、ですから、その基準の中で特別基準というのは、地域によってあるんです。いいですか、特別基準で出ているんですから、住宅扶助なんかも。九千円でなくて三万四千六百円と出ているんです。そういうのを計算したら、やっぱり二百十六万になるんですよ。だから、現に四人家族で、その地域はみんな二百十六万もらっているんです。ここと所得税の問題をあれすると、この生活扶助基準の人の方が高くなるのじゃないかと、こう申し上げたんです。実際にもらっているんですよ、これ、たくさんの人が。
#246
○政府委員(高橋元君) 生活扶助基準と課税最低限の関係は、国税の場合は、先ほどもお答えしましたように、まだかなり離れておる。毎年住民税の課税最低限について検討いたします際に、私どもは、先ほど私からお答えを申し上げましたそういう基準額を用いましてつくりました、五十五年度で申しますと百六十三万二千円でございますか、それと住民税の課税最低限とを比べております。そういうことでお答えを申し上げた次第でございます。
#247
○丸谷金保君 だから、そうでないのがあるということはわかりましたですね。
 そこで、この問題は、実は、燃料手当の免税と関連してくるんです。現在、所得の中に燃料手当は加算されるんです。燃料手当は所得控除になっていないんです。そうすると、それらも合算して、先ほどお答えありましたように、二百万ちょっと超えれば課税対象になりますわね。それらも合算してなんです。片一方の方は、そういう特別基準で、家賃や何か寒い地帯のこれは公営住宅などの建築年次によるところの家賃の価格が出ます。それらが高いところは九千円では入れないんですから、そういうところはちゃんと三万四千六百円もらえる。そうすると二百十六万になるわけです、二百十六万に。そうしますと、燃料手当までも入れて二百万で課税対象になるということは、やっぱり矛盾しませんかと、先ほどはそういうことをお聞きしようと思ったのが、百六十万だと言うものですから、私も資料を持ってきていなかったが、いま持ってきておる。間違いないんです。一級地の特別基準のところではこれだけ出るんですよ。
#248
○政府委員(高橋元君) 私、お答えをしておりますのは、生活保護の基準額という、これは全国的に生活保護の高さを比較いたします際の基準額です。つまり基準の扶助を加算しておるわけでありまして、そういうものと制度としての課税最低限とを比較して検討いたしておりますというお答えをしておるわけですが、住民税の場合には、御案内のように、地方税法の中に、生活保護を受ければその人の住民税は非課税になるという規定がございますね。ですから、いま丸谷委員御指摘のような場合には、住民税は非課税になりますが、住民税の課税最低限をどういう要素をもって構成するかということを検討いたします際には、生活保護基準額をもって比較をいたすと。それが私どものやり方であるということを御説明いたしておりまして……
#249
○丸谷金保君 そうそう、それでいいんです。
 それで、そういうふうに基準でもって比較するんですから、北海道のような、そういう点で特別基準なんです。特別な人にだけじゃないんです、やっぱり基準でその地域全部に三万四千六百円加算されるんですから、そうすると、ここも基準が上がるんだから、やはり課税最低基準も上げて、燃料手当その他が加わった分は、燃料手当その他を引かないと著しい不公平が出てくるということになるんじゃないですか、いまのお答えから言ってそうですね。
#250
○政府委員(高橋元君) 先ほどもお答えしたわけでございますが、生活保護基準額の中には冬季加算というものを通常の基準で入れております。したがいまして、通常の四季の生活に応じた生活保護基準というのは、私がお答えをしました百六十二万三千円というもので全国的に表示されるわけであります。で、風土、それから気候条件、自然環境――台風常襲ということもございましょうし、暑熱の地であるということもございましょうし、寒冷の地、積雪の地、いま御指摘のありましたように、いろいろあるわけでございますが、法施行地の中にある一億一千万人の人の所得税をどうするかという場合には、やはり保護基準というものを全国統一の基準額でやったものと、制度としての人的控除額というものをもって比較すべきが相当であろうかというふうに考えるわけであります。
#251
○丸谷金保君 特別基準もやっぱり基準なんです、加算じゃないんです、一つの。しかし、この問題で論争していても先がありますので、その点については改めてまた燃料手当の減免措置と、そういうふうな減免というか、課税対象から外すというふうなことにつきましても、あわせてまたの機会に譲って、大臣に御質問申し上げたいと思います。
 昨日も大臣に申し上げたので、これは確認の意味なんですが、EC等において財政援助をして、下がって日本の国内に入ってくるそういうものについての措置は、ある意味でダンピングじゃないかと。まあ事実を調査してというふうなことで、前向きの御答弁をいただきました。これはもう明らかに大蔵省の資料なんです。大蔵省の「日本貿易統計」という、大蔵省の資料が一番いいだろうと思いまして、私も改めて探してきました。生乳に換算して二百二十五万四千トン入っているんです。これは五十三年です。それから五十四年になると、二百五十八万二千トンとだんだんふえていっています。その中で、約百万トンくらいは輸入割り当て品目でないんです。そして、現在北海道で一万トン、全国で約十万トンくらいの生乳の調整を始めております、生牛乳の。そのうち六万トンは、昨日も申し上げましたように、えさとして農家に還元されるわけです。
 その結果、これは北海道の北農中央会が出して、運動中なんですが、どんどん財政投資をして牛をうんとふやして牛乳はたくさんとれという政府の方針で進めてきた結果、今度は余ったということで、根釧地帯――釧路、根室のこの地域、地帯だけでも、計画では六十年までの第三次酪近が達成するまでに、現在の二十二万三千トンから五十六万六千トンにふやすということで財政投資が行われてどんどん進んでいる。ここをいまストップかけちゃって、牛の頭数ふやすな、牛乳の量もふやすな、それ以上ふえたやつは実際の価格よりもずっと安い価格で農家に還元するんです。
 たとえば、普通は生乳が百二十五円くらいで農家から一キロリットル当たり売られております。原料乳にしても八十八円八十七銭、ところがこの全乳哺育ということで農家へ戻すものについては、三十一円しかお金が戻ってこないんです。非常に困っているんです、借金はしているし。そこに一方では、二百五十万トンの牛乳が入る。そのうちの百万トンほどは昨日関税局長さんがお話になったように輸入割り当てでないもの、そのほかさらにまた擬装乳製品、お菓子類だとかいろんな形になってこれ以外にもどんどん入ってきております。
 それについて、十分御配慮願いたいということで、前向きのお話をいただきましたが、改めてひとつこういう実態であるということについて御理解をいただきたいと思うんですが、いかがでございましょうか。これは大臣ひとつ。
#252
○国務大臣(竹下登君) きのう認識の点におきましては、私自身も丸谷委員の実態についての御指摘をそのまま自分の認識として、そうして受けとめたことは事実であります。
 そこで、相殺関税の適用ということになりますと、これは事情調査をしなきゃいかぬと思います。なかなかこれは実際問題として、その前にいろいろ調査すべきことがあろうと思います。したがって、これは慎重に検討いたしますが、昨晩帰りましてから――私は肉牛地帯でございます。したがって、酪農のことに詳しいわけじゃございませんが、一生懸命勉強してみました。
 確かに北海道の国会議員の方等がいろいろ努力されて、とにかく頭数をふやせということから、今度は規模の拡大をしろ、そしてまさにEC諸国の水準にまさるとも劣らないところまで来た。したがって、五十三年度で三十頭以上の農家になりますと一千万の所得があるというところまでは来たと。それにはまさに日夜の努力のたまもの、そしてやはり政策的にも補助やら融資やら、あるいは不足払い制度とか価格支持等の政策効果もそれなりにはそこまではあったと。
 ところが、いわゆる高度成長が過剰生産ということに帰結をしたと。したがって、いまは今度は需要に見合った生産ということを基本として、それがいま先生のおっしゃった赤い色のついたあれになったり、いろいろなことをしておると。もう一つは、やっぱり乳製品自体の拡大も一層考えなきゃならぬと。
 そういうずっと流れを見てみまして、私どもがこれを関税という立場から今日まで全く無関心であったわけではない。しかし、擬装乳製品等についてはある種の関心を持ちながらも、具体的に染めてはいないという経過になると思うのです。したがって、そういう認識のもとに、もとより関係省とよく相談しなきゃいけませんが、諸般の措置を慎重に検討していくべきだと、こういう認識です。
#253
○丸谷金保君 大臣、念のために申し上げておきたいんですが、消費よりも生産が伸びたと言いますけれど、それは現在三十万トンぐらいの生乳が余るといって大騒ぎして、いろんなところへ回すということをやっておるんですが、二百五十万トンも輸入しているから頭打ちになっているんです。そうして、特にECからも相当来ております。ニュージーランドその他からも来ておりますけれど、そして、たとえば日本もいろいろな補助政策をやったというけれど、なおかつ生産牛乳一キログラム当たり政策費用の価格は円に直してECの支出金は九円十八銭、わが国における生産一キロ当たりの政策費は八円三銭と、まだECの方がキログラム当たり高いんです。私は、だから問題があると言うんです。
 そういう日本をはるかに上回る補助政策の地域から、輸入割り当て品目でない形で百万トンの生乳換算の物資が、ナチュラルチーズなんか非常に多いんです。そうすると、日本でチーズをつくっても、向こうの方はたくさん金を出して安いんですから、これは太刀打ちできないことになるんです。そういう問題についてこういう状態もあると、日本だけが補助金出しているんじゃなくて、ECはもっと出しているんだという認識も含めて、ひとつこの点についての御配慮をお願いいたしたい。
#254
○国務大臣(竹下登君) その認識で検討に当たります。
#255
○丸谷金保君 次に、大蔵省、国税庁等から出す通達の問題なんですが、実は昨年支払い利息逆転訴訟というふうなことで、借入金利子の所得算入の問題が、東京高裁で納税者の主張が認められて逆転判決が行われたということがあるんです。この問題は、それぞれ事務当局といろいろ今後また詰めて論議しなきゃならぬことなんですが、特にここで大臣に御注意を願いたいことは、通達が出て、その通達に従って末端の税務署が処理をしていたんです、間違いないといって。ところが、その通達がきわめて法的にあいまいなところがあって、それは受けた方の現地の税務署の判断で行ったわけですわね、この通達を読んで。だから、その限りにおいては税務署の方としては間違いなくやったと。しかし、裁判で一審は勝ったけれど、二審で負けたと。控訴してないから恐らくこれはもう確定したんだと思います。
 こういうことが起こったときに税理士法の関係がまた出てくるんです、同じように。これは絶対に間違いないということで、ところが税理士さんの助言義務なんかで罰則規定がつきますと、びびってこういう主張をしなくなりますよ。もし負けたら、何だおまえは、ちゃんと助言しないでということになりますので、そういういろんな問題を含んでおる。そして今度は新たな通達が出た。それで今度は直りますわな。で、こういうふうな通達が出た場合にも一般的に知らないんですよ。もう少しこういう国税庁から出る通達が、税理士なり何なりすべての人たちに十分知れ渡るように、御配慮を行政当局としてはお願いしなければならぬのではないか。
 で、そこに私たちが情報公開法というものを主張するゆえんの一つがあるんです。こういうものは本当に秘密にされて、一般にわからないわけです。それで、わからないうちに、いまのこの通達はやめたから次の通達が出るということで変わってきますね。通達は法律でないんですけれど、末端へ行くと通達が法律と同じように動くわけです。ここいら辺もう少し、何でもかんでもマル秘にしないような、税理士の人に対する大臣としてひとつできるだけ知らせるような措置をとるような通達を出していただきたい。
#256
○政府委員(矢島錦一郎君) 先生いま御質問になられました譲渡所得の借入金利子の取り扱いでございますが、従来の取り扱いでは、借入金によりまして取得した資産を何らかの用途に供さないまま譲渡した場合には、その借入金の利子は資産の取得に算入しないものというふうにしておったのでございますが、今後こういうような場合には借入金利子は資産の取得に算入するという通達を出しましたことは、仰せのとおりでございます。
 ただ、これは私ども従来の取り扱いが全く間違っておったということではございませんで、一方の理論としては成り立ち得るものであるということで、実際に勝訴の判決も幾つかございます。そういうことで判例でも支持されておったわけでございますが、高裁のこの判例が出ましたのを機会といたしまして取り扱いを変えたわけでございます。通達につきましては、そういうようないろいろばらばらな取り扱いになってはいけないものでございますから、現地の判断に任せることなく、今後もなるべく公開の通達ということで趣旨の徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。
#257
○国務大臣(竹下登君) 私もちょっといま調べましたら、その通達はいわゆる公開通達であったようでございます。
 で、それはそれといたしまして、いま国民の知る権利というような問題について情報公開法の問題が議論されておりますし、総理からもかなり前向きの答弁がなされておる。一方、OECDから今度勧告をして、プライバシー保護の法律を各国がやっておる、日本はまだかと、こういうようなことになるようです、最近。
 これは全くうらはらの問題でございますが、それをどういうふうに調和するかということを、この間初めて行政管理庁長官と総理府長官と私とで議論をしたばかりでございますので、御意思はよくわかりますが、どういう法になるかというところまではまだ詰めていないという現状であります。
#258
○丸谷金保君 これは大臣、隗より始めよで、まず役所の出す通達の中のマル秘通達というのをやめて全部知らせる、これは余りプライバシーに関係なくできるんですよ。そういうのが余りにも多いんです。たとえば、われわれが資料要求した場合でも、わかり切っているようなものでもなかなか出てこない、こういう状態も非常に多いんです。ですから、まずそれは余り範囲を広げないで、グリーンカードの問題のように、とにかくやってみるという姿勢、先ほど大臣いないうちに、私は、これはまあある程度評価できると、所得税法改正全体としてはちょっとわれわれとしても承知しかねるところはたくさんあるけれど、これは問題があるけれど、それなりに努力をしてとにかくやってみようという踏み出しは評価できると、こう申し上げておいたんです。
 そういう積極的な姿勢、情報公開法の問題にいたしましても、まず役所側の方の姿勢の方を先にして、プライバシーに属する方の問題は後からにしようじゃないかというような姿勢が必要なんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
#259
○国務大臣(竹下登君) そのOECDの勧告としていま検討されておるようなものも、いわば政府はできるだけ公開しろと、個人のプライバシーはできるだけ守れと、いま御主張のような筋のようでございます、内容を聞いてみますと。
 だから、私もそのことは同感でございますが、ただ、いわゆる俗に言う守秘の義務が課せられた税務上の秘密、外交上の秘密、あるいは人事上の秘密というのも一応あるわけでございますが、そのようなものについてのおのずからの私は限界というものはこれはあるだろうというふうに感じておりますが、いろいろ御指摘いただいておる、たとえば予算編成の過程についても情報公開法に基づいてどんどん知らしむべしというような議論もございます。いろいろな角度から検討してみる課題であると思いますが、大筋としていまOECDあたりの勧告の内容を聞いてみても、パブリックの方は公開してプライバシーの方は守れと、こういうような感じでございますので、大体委員の御指摘の方向ではなかろうかなと、私どももそういうふうな認識をしておるところであります。
#260
○丸谷金保君 そこで大臣、ちょっと話は飛ぶんですが、いまKDDの問題が非常に世間を騒がしております。これらが明らかに贈賄ということがわかりますと、これは一方では税法上の贈与にかかわってくると思うんですが。
#261
○政府委員(矢島錦一郎君) まあ課税上の処理がどうなるかということでございますが、個々の事案の具体的な事実関係に基づきまして定められておるわけでございますが、いまお尋ねのようなケースになりますと、一般論として申し上げますと、法人から受けた経済的利益でございので、所得税法上の一時所得の収入金額となる場合が多いのではないかと思われます。
#262
○丸谷金保君 それは贈与所得でなくて一時所得ということですか。そうすると、個人から受けた場合はどうなりますか。
#263
○政府委員(矢島錦一郎君) 個人から受けた場合には、贈与になるケースが多いように思います。
#264
○丸谷金保君 一時所得の場合もあれですか、時効は五年ですか。
#265
○政府委員(矢島錦一郎君) 一時所得でありましても贈与でございましても、除斥期間は法定申告期限から三年でございます。無申告または偽りその他、不正の行為によって税法を曲げられた場合は五年ということになっておるわけでございます。
#266
○丸谷金保君 これらは早くしないと時効になってしまうと困るんですが、大臣、この種問題について、やはり大臣の方から国税当局に対しては積極的にそれらの税収を確保するための対応を御指示なさったことございますか。これは大臣に伺いたい。
#267
○政府委員(矢島錦一郎君) 大臣からお答えいたす前にちょっと御説明申し上げたいと思いますが、お尋ねの件につきましては税務当局としても関心を持っておりまして、いずれにいたしましても、事実関係が明らかにされまして税務上処置すべき事項が生ずれば、適正に処置するというふうに考えておるわけでございます。
 または、先ほどおっしゃいましたような除斥期間の問題でございますが、直ちにその課税処理を行わなければその課税の時期を逸するというものでもないというふうに考えておるわけでございます。
#268
○国務大臣(竹下登君) 私から、早いことやらぬと除斥期間になるぞというようなことは言ったことがございませんが、先ほど一般論として直税部長からお答えいたしましたように、当局としても十分関心を持っておるようでございますので、それを信じていきたいと思っております。
#269
○丸谷金保君 往々にしてこの種問題は、一生懸命に現場はやろうと思うと、上の方から何となくかぶせられて戦意を喪失するということが多いものですから、かりそめにもそういうことのないように、大臣から一言ちょっと声をかけてくださると、現場は大変張り切って、要するに税の公正な執行のために努力するのではなかろうかと、こう考えますが、いかがでございますか。
#270
○政府委員(矢島錦一郎君) 先生のお言葉でございますが、私どもは税務行政の責務といたしまして適正公正な課税をやるということを徹底してやっておりますので、御懸念のようなことはないと考えております。
#271
○国務大臣(竹下登君) 手控えろなどということは、絶対に言うつもりはございません。
#272
○丸谷金保君 大変微妙な表現なんですが、手控えろと言わないということと、しっかりやれということとじゃ大分違うんですよ。どうなんですか、それ。やっぱり大臣は手控えろと言わないという程度ですか。
#273
○国務大臣(竹下登君) 私がいまそういう言葉を使いましたのは、これは直接は国税庁長官だと思うのですよ。私は、直接のいわば指揮権というようなものはないと思うのです。したがって、おっしゃるお気持ちはよくわかりますけれども、直接指揮をする立場に大蔵大臣はないのではないかと思ったものですから、それでそういう慎重な表現になりました。
#274
○丸谷金保君 これは田中さんのときも、当時の大平大蔵大臣が同様な表現の答弁をしておりましたね。要するに、大臣が独立した国税庁というのは余り干渉しないことの方がいいんでないかというふうなことを、終始当時の大平大蔵大臣も言っておりました。これは外局ではあるけれど、大蔵大臣の私は指揮下にあると思うのですが、ここら辺はどなたでも結構ですが、たてまえとしてどうなんですか。
#275
○政府委員(矢島錦一郎君) 繰り返しになって恐縮でございますが、私ども税務行政を分担するものといたしまして、所得なり課税すべき問題があれば適正に課税するという立場で従来からもやってまいりましたし、これからもそういう立場でやっていきたいというふうに考えておる次第でございます。
#276
○国務大臣(竹下登君) 国家公安委員長と警察庁長官との立場ほどではございませんが、結局、個々の問題ではなくして、長官に対して監督の立場にあるということでございますから、個々のケースというのはやはり第一線の税務署長があり、そして、それらが通達を出すのは国税庁長官が最高である、こういう立場ではないかというふうに私もそういう認識をしておりまして、いま大体相談してみましたが、国家公安委員長の場合とは若干違いますが、ややそれに似た立場にあるのじゃないかと思います。
#277
○丸谷金保君 それで、大体時間が来ましたので、多少いまの御答弁に対してはちょっと疑義もありますけれど、きょうはここまでにいたしておきます。
 どうもありがとうございました。
#278
○矢追秀彦君 先ほど来も政務次官あるいは局長にお伺いをしてまいった問題を、整理をいたしまして大臣に申し上げます。
 一つは、徴税面でまだまだ十分できていない面があります。その原因等についても伺いましたので、大臣にお伺いしたいのは、一つは、今後この税務署の徴税技術、職員の質、量についての改善を前向きにやると言いながらいままで余りできておりません。したがいまして、これを積極的にやるべきである。これが一つ。
 それからもう一つは、やはり高額所得者から重点的に調査する方法、広く浅くというのはできればそれは理想ですけれども、なかなかむずかしい現状でありますから、やはり高額所得者に狭く深く、これをさらに徹底をすることによって不公平感もなくなってくると思います。その問題。
 それから、やはりこの不公平をなくすためにも、いま申し上げた税金のいわゆる何といいますか、徴税というものばかりをこれは強調すると何か税務署の権限ばかり強くなり、また税務署が強くなって、恐怖感といいますか、そういうのもありますので、むしろ今度は国民の納税に対する義務感、これを高めなければいけないわけです。
   〔委員長退席、理事中村太郎君着席〕
そのためには、やはり私は政府が姿勢を正すべきである。国家に対して、また、結局は最後は自分たちの福祉であるとか、あるいは生活面でプラスになることであるから、国家に対して自分たちが仕事をした報酬あるいは商売をやったもうけについての納税は当然である。こういった意欲が出ることが不公平感を一方においてなくし、一方においては税収を伸ばしていく。それに対応して、いま申し上げた税務署の徴税の技術面、量、質面を強化すること、あるいはまた、脱税がかなりの数になっておりますので、脱税を減らすことはそれだけ税収の伸びにつながるわけですから、こういった点についてひとつ大臣の御見解をまずお伺いしたいと思います。
#279
○国務大臣(竹下登君) それじゃ、いまの基本的認識に基づいて人員とか調査とかいう御意見に付言してみたいと思います。
 おっしゃるように、いわゆる国民が納税とは義務であるという意識をいかに持っていただけるかということ、それに対しては政府がみずから姿勢を正して、たとえば公費のむだ遣いとか、いろいろな不快感を与えるようなものがない政治姿勢があって、初めてその納税意欲というものが出てくるという基本的な認識は私も一緒でございます。
 これはこの間、議論がございまして、アメリカの税制の中で言葉の問題でございますけれども、納税者はタックスペイヤーと、こう言うのだそうであります。だからまさに税を支払うという。それから、自主申告をセルフアセスメント――自己評価、何か非常に納税者の側に立った言葉になっておるわけですね。徴税なんというのがないわけです。したがって、私は、そういうふうな認識に国民の皆さん方になっていただくことが必要である。それにはやはり政府のまず姿勢そのものが問題であると、それが大平内閣において綱紀の粛正と行財政の改革というものが大きな柱として打ち出された基本の考え方であろうと思うのであります。
 したがって、そういう基本の上に立って不公平感と不快感というものができるだけないような形の中で、さて具体的な問題といたしまして、いま税務職員の人員の問題がございました。確かにいつでも増員が必要じゃないかというようなことを指摘されながら、十年間何をやったかと言えば、一生懸命で研修をやって、そして研修で能力の高まりに期待をして、数はふやさないでこれだけ多様化した税目の中で徴税業務に携わっていただいたと、私は本当に心から感謝を申し上げるわけでありますが、したがって、それだけの労働条件というものがさらに悪化するようなことのないようなことは十分気をつけて、私も一方で行財政改革を唱えて人減らしなどという立場を貫きながら、本当に税務行政についての人員の問題には矛盾を感じつつ、しかし、やはりそういう姿勢の中で可能なるべくはふやしていかなきゃいかぬという考え方は基本的に持っておるものであります。
 調査の問題でございますが、具体的には私は余り存じませんので、恐らく委員の御指摘なさいました、国会の問答等において御指摘なさいましたことについては、税務当局もそういうふうなことを念頭に置きつつ業務に当たるであろうというふうに、私も確信をいたしております。
#280
○矢追秀彦君 それから、サラリーマンの問題ですけれども、これもずうっと議論をされてきておりますし、大臣はどういうふうな感触をお持ちなのかお聞きをしたいんですが、いわゆる必要経費といいますか職業費、給与所得控除があるからその範囲内におさまっているからいまのままでいいと、これが従来の政府の答弁であり、きょうもそういうことでございました。しかし、どうしても企業をやっている方、特に大企業の場合にはほとんどがもう給与所得者ですから問題がないんですが、中小企業、零細企業になりますと、これは給与所得ではなくて商売の上でやっておられる。そうすると、サラリーマンの方から見ると大変何かこううまいことやっておる、われわれはもうガラス張りで全部やられてしまうと、しかも言われておる職業費というのはなかなか見てもらえなかった。これはもうサラリーマンの人はみんな異口同音に言っているわけです。
 そういう意味で、大臣は、この問題はもう長い長い議論ですけれども、依然としていまのままでいいと、こういうお立場をとられるのか、その点はいかがですか。
#281
○国務大臣(竹下登君) そのいわゆる必要経費、職業費とは何かというのは、まさに古くて新しい問題といいますか、長い長い問題でございます。それで、かつてみんなが終戦直後軍服を着ておりましたのが、だんだん背広を着てネクタイをするようになって、少なくとも銀行マンはネクタイと背広でなくてはいかぬと、それじゃそれはそのまま経費そのものではないかとかいろんな議論がなされたことがございました。したがって、私は、そういう職業費というようなものは結局給与所得控除の中で見られるべきものであって、そうして現時点においての給与所得控除というものは職業費というものをカバーしておるではないかというふうに認識をいたしております。そうしてこれをどうこうするという、いわゆる今度は財政再建の今日、それに手を染めるだけの余裕はないと、こういう感じでございます。
#282
○矢追秀彦君 いつも政府は、最後になるとお金がないからと。財政再建というのは言葉はいいんですが、金がないということなんです、結局は。それで逃げてしまわれるんですが、じゃ逆に反問しますと、財政再建が軌道に乗ればやれるのかと、こういうことになると、高度成長で大変税収が多かったときも、減税はやったけれども、そういう意味での形ではされなかったわけですから、結局逃げておられるとしか私は言いようがない。これはひとつ大蔵大臣、実力者であるあなたがなられたんですから、これはしっかり検討をしてもらいたい、こう思います。
 それからその次に、これも先ほど質問をいたしまして局長からの答弁は出ておりますが、わが国の税負担は少ないと、これは言われてきておるわけです。しかし、私が指摘しましたのは、高度成長もあったにせよ、とにかく昭和四十年と五十三年を比べますと、六倍にもなっておるわけです、一人当たりの税負担額の比較がですね。それはいろんな理屈を先ほど主税局長言われまして、そうでないと言われましたが、それは計算方法いろいろございますから、いろんなデータは出てくると思いますが、現実に私はこれを言っておるのは、結局課税最低限の問題になるわけですけれども、これも年々上がってきたことも事実ですし、各国と比べますと高い点にあることも認めます。しかし、この四年間全然やられていない、こういう現状であることは大臣も御承知と思います。
 ことしはかなりインフレがやってくると、こういうことで、ベースアップがどれぐらいになるかわかりませんけれども、これをそのまま置いておきますと大変な負担増が出てくる。特に所得の低い人に出てくるわけですから、これについて大臣、この課税最低限、これは四年も続きましたので、ひとつ来年ぐらいからは見直しをするときに来ているんじゃないかと、こう思うんですが、それに対する見解はいかがですか。
#283
○国務大臣(竹下登君) これもまことに否定的な答弁をするようでございますが、課税最低限というものは確かに先進諸国と比べても高い水準にあります。確かにここのところ、いわゆる物価調整減税でございますとか、そういうこともやってきておりませんが、いまの財政状態から見ますと、それに手を染めるような環境にはないではなかろうかと。
 インフレの問題についての御指摘もございました。確かにきょうの発表でございます、あるいは夕刊に出ておると思うのでございますが、消費者物価が前年同月比に比べて二月は八%ということになりました。そういう厳しい情勢でございますものの、まだそれでもドイツには及びませんが、他の先進国はすべて二けたの上昇の中にあえいでおりますので、私は先進国からいわゆるOPEC諸国に富が移転した、その移転した富というのは、やはりみんなで公平にそれを負担していくという意味において、いま減税に手を染めると――実質上減税になるわけでございますから、そうした環境にはないと、まことに残念ながらそういう状態ではなかろうかという認識の上に立っておるわけであります。
#284
○矢追秀彦君 減税はできない、といってもこれどんどん上がってくると負担増になるんで、ずっとしておけば増税みたいな形になってくるわけですよ。だから、ある程度考えてもらいたいと言うんですが、否定的な答弁ですからやむを得ません。
 次に、住宅ローンでお伺いをいたしますけれども、今回ある程度改正をされまして、これは評価をいたします。全然だめとは言いません。ただ、特に住宅ローンの場合、住宅ローン減税、家を購入した場合、それが借家あるいは貸し間のようなアパート、マンションなどの事業収入の対象となる場合には、その金利は全額必要経費となる。ところが、自宅の場合は年返済額のうち三十万円を超える部分の五%で、最高限度額三万円となっている。これはちょっと少ないんじゃないかと、こう思うわけです。お金持ちでないとマンションは建てられないんですから、金のある人がマンションを建てた場合、その金利はすべて必要経費で認められる。ところが、庶民が大変な思いをして住宅ローンを組んだ場合は三万円しか認められぬと。ちょっと庶民感覚として大変不公平だと、こう思いますので、これはもう少し引き上げるべきだと思うんですが、これはいかがですか。
#285
○国務大臣(竹下登君) これもいま、このいわゆる住宅政策は、住宅ローンのいわゆる金融面と、そしてそれに対する税制面だけから住宅問題というのを解決することは、これは御理解いただけるように困難な状態であると思うのであります。厳しい財政事情のもとで住宅取得控除、その適用対象の拡大とか仕組みの合理化等を図るというような配慮を今度したわけでございますので、これ以上の拡大というものは現状においては困難であるとお答えせざるを得ません。
#286
○矢追秀彦君 次に、これはちょっと質問通告してなかったので恐縮ですが、主税局長でも結構ですけれども、現在、民法及び家事審判法の一部を改正する法律案が提案されておりまして、今国会では成立が確実と言われております。まあ例の相続税の、妻の相続税非課税部分が三分の一から二分の一になる、施行期日が五十六年の一月一日になるということになっておりますが、そうすると、ことし亡くなった人は三分の一、それから来年御主人を亡くした人は二分の一と、これは知らないとやむを得ないのですけれども、もし、わかっていると、これは困ると思うんですよね。
 それで、土地の場合は売らないでしんぼうしていればいいわけでして、去年、もし、ことし二千万が四千万に上がるのを知っている人がおれば売っていないでしょうし、そんな改正は無理だろうと思っている人はもう売っている人もある。まあできるわけです。御主人の亡くなる、亡くならぬというのは、幾ら医学が発達した今日でも、そう延ばせぬ場合がありますし、交通事故なんというようなものもありますし、これは大変な不公平感みたいなものが、死ぬことだからやむを得ないということになろうかと思いますけれども、これは何かいい知恵はないものなのか、この法律が通過していないとだめですけれども、その点、いかがですか。
#287
○国務大臣(竹下登君) 御案内のように、民法改正が出ております。そうして、したがって今度は大蔵省といたしましては税制調査会へ口頭で報告し、了解を得て、そこで民法の附則で、いま矢追委員御指摘のような形になるわけでございますが、そもそも民法の本法そのものが五十六年一月一日ということになっておりますし、それから現実問題として、遡及適用というのは私はそれは不可能であろう。
 きょうたまたま衆議院からこちらへ送ってきた法律の中で、例の不時の災害によってというものも、あれも適用期限が決まっておりまして、いや、もう少し遡及さしたがいいじゃないかというような議論がいろいろ国会の議論としてはあったようでございますけれども、結論的にやっぱりむずかしいということで、全会一致でございますか、送られたというふうに聞いておりますので、やはり法体系上からこれはやむを得ないことではなかろうかというふうに思います。
#288
○矢追秀彦君 あと二分ですから最後に一言。
 財政再建をかなり大臣も一生懸命おやりになっている点はわかりますが、歳出の方についてはかなり行政改革とかなんとか言われております。不十分だと私は指摘をしますが、歳入増について、私もこの前も総理おられるところで輸出ももっとがんばらねばいかぬと、ある程度の景気といいますか、安定成長はやらなくちゃ、特に私は後半を心配しておるわけです、秋口を。そういった点で、さっきの脱税等の問題もチェックをして、ふやす一方において、経済全体の活力というものも与えていくことがやっぱり私は大変大事であると。
 そのために、いろんな問題はあると思いますよ。インフレのこともあります。しかし、インフレは抑えていかなければなりませんけれども、やはりいまの次に来ることをいまから考えていかなきゃいけない。公共事業の繰り延べも必要だと思いますし、公定歩合の引き上げも必要とは思いますが、その次に来るべきデフレというものをどう防ぐか。政府のやることはいつもワンテンポおくれている感じがしてならぬのです。狂乱物価になった、それは消さなくちゃいかぬ。ちょっと行き過ぎて長い不況になってしまう。いまむしろ私は次のことを考えていかなきゃいかぬのじゃないかと、こう思うんですが、一言で結構ですから、いかがですか。
#289
○国務大臣(竹下登君) それはおっしゃるとおり、いま確かにまだいわゆる鉱工業生産指数なんかはいまはいいのです。だから、したがって底がたい景気の基調というものがある程度私は期待できる状態にあります。しかし、素原料の値上がりから中間製品、そして完成品と波及してまいりますね、どうしても。その段階においてどのような状態が出てくるかということについて、まさに弾力的な経済運営をやっていかなきゃならぬ。本当に確かに総理が申されますように、いま物価の正念場だと、こう申しております。それが若干いろいろな意味において影響するわけでございますので、そういう場合をも念頭に置きながら、弾力的運営は図っていかなきゃならぬ。
 最近は、日銀の方はよく前々とやったと、政府は後々だと、こう言われるだけに、タイムリーにこれから弾力的な施策は行うつもりでございますので、御協力をお願いいたします。
#290
○佐藤昭夫君 非常に限られた時間ですので、私は所得税減税の問題を中心に、いまも矢追委員質問をされておりますが、私も質問いたしたいと思います。
 昭和五十二年度の税制改正以来もうこの三年間、例の戻し税の問題も含めまして、全く所得税減税が行われていない。理由は、深刻な財政危機にあるんだ、財源難だ、だからことしもできなかったんだというふうに言われているわけでありますけれども、まず大臣に基本的認識をお尋ねをいたしますが、減税を見送ってきたこのことによって、実は減税ゼロイコール実質増税を来していると、しかも特にその被害が低所得層に著しくあらわれてくるんだというこの基本認識、当然認められると思いますけれども、どうですか。
#291
○国務大臣(竹下登君) これは、わが国の税制は、要するに課税最低限はいわゆる先進主要国の中でフランスと並んで低いという情勢、そうして所得税の負担水準は国際的に見て相当低い、一方高いのは累進税率が非常に高いという意味において、私はいわゆる減税見送りが直接低所得階層だけに来るという問題ではない。やはり国民全体が、日本の国を中心にして言えば五兆円の富が産油国へ移転したと、それを公平に負担するというような認識であるべきではないかというふうに思っております。
#292
○佐藤昭夫君 ただいまのような大臣の御答弁ですから、私あえてまず冒頭に基本的認識をお尋ねをしたんです。そういう一般論で済まされるような問題なのか。
 質問通告の段階でデータをそろえておいていただきたいということでお願いをしてまいりましたけれども、たとえば昭和五十二年以降ずっと推移をたどってみて、五十二年以降この物価の伸びと同率で所得が上がっていったといたしまして、夫婦子供二人の標準世帯で五十二年の年収二百五十万円の世帯、これは五十二年で一万六千八百円の税額、戻し税を計算に入れなければ三万一千八百円の税額、これが三年後の五十五年には、いまの物価上昇率とスライドでの年収が上がるとして二百八十九万円。そうしますと、収入は一・一六倍上がる。ところが、税額の方は五万七千四百円になる。そうしますと、五十二年と比べると税額は三・四二倍にふえる、こういう結果になっている。一方、五十二年で年収二千万円の人、この人の税額というのは一・三五倍だ。この数字間違いございませんか。
   〔理事中村太郎君退席、委員長着席〕
#293
○政府委員(高橋元君) 予算委員会で上田委員から資料の配付がありました、その資料に載っております数字であると思います。五十二年、五十五年、その所定の年収アップ率を前提といたしますと、そういう計算に相なります。
#294
○佐藤昭夫君 そうしますと、数字は雄弁に語るということだと思いますけれども、二百五十万、これは三年後に上がっていますよ、しかし単純化して言うために二百五十万円収入世帯。ここは三年後には税金は三・四二倍に実は所得税はふえてきている。ところが、年収二千万円世帯というのは一・三五倍だ、ですから明らかに税額もふえております。減税見送りですからね、当然ふえているわけです。しかし、それと同時に、もう一つ重大な問題は、あなたも言われる日本の所得税の累進構造そのものが傾斜がゆがんできている、傾斜がかわってきているということも明らかに指摘できるわけですね、どうですか。
#295
○国務大臣(竹下登君) これは、私は、いわゆるいまの数字はそのような数値を示すであろうというのは、これは累進構造の中においては当然そうなるのじゃないか。問題は、それよりも実質手取りがどうなるかということが、やはり一番大事な問題ではなかろうかというふうに理解をいたしております。
#296
○佐藤昭夫君 手取りは、しかしそれは高額所得者はますます手取りがふえていっておるということは、これも言うまでもない問題でしょう。まず、大臣、事実をしっかり認識をしてくださいよ。とにかく所得税の税額もこの三年間の間にふえてきているけれども、同時に税の負担率というか、累進構造がゆがんできておるということは否めない事実でしょう。これを認めたら、あなたすぐ減税やらなくちゃならぬというふうに頭の中で思っておられるから、なかなか答弁がすかっといかぬと思うのでございますけれども、そのことはさておいて、やはり今日、注目をすべき大変な事態が起こっているということはお認めになるでしょう。
#297
○政府委員(高橋元君) ちょっとお許しをいただいて数字の話をさせていただきますと、毎年の給与所得にかかります所得税額の増収額というのが出てまいります。本年で申せば、七千七百三十三億というのが給与所得にかかる増収額なのでございますが、それの伸びを見ておりますと、五百万以上の部分で大体七五%負担をしておられるわけであります。それが五十三年には大体五百万以下で四〇%負担しておられたのが、現在はそれが二五%足らずになりまして、五百万以上で七五%を負担していただく、これが実情であります。これは、先ほど大臣からお答えのありました累進構造ということであろうというふうに承知しております。
#298
○佐藤昭夫君 いろいろ収入と比較してと、こう言われますけれども、私もさっき数字で申し上げたように、たとえば二百五十万円世帯、三年後には収入が一・一六倍にしかふえないと、ところが税金は三・四二倍にふえるというこういう厳然たる事実になっているんですから、どうしてもひとつこの点に大蔵大臣として、政府として大きく目を向けて、ここの部分をどうするかということを考えてもらう必要があると思うんです。
 片一方、法人税率引き上げの問題、ずいぶん昨年の秋から暮れの段階にかけては言われておった。ところが、財界からの意見が出ると、途端に影をひそめるという形になっている。私はいま提案をされております今回のこの法案、それと深い関係がある所得税減税のこの問題について、余りにも国民には思いやりがなく、大企業には思いやりの深い政府のやり方じゃないかというふうに思わざるを得ないんです。そうした点で、税金の額もふえておる、累進構造もゆがんできておる、このことに注目をして、減税の問題をぜひともひとつ重点課題として、今後の検討課題として政府として取り上げてもらう必要がある。
 同時に、法人税率引き上げの問題について、もちろん中小企業、ここには配慮を加えつつ法人税率引き上げの問題については、先日の答弁で大臣も五十六年度に向けては検討の課題にしているんだと言われておりますけれども、鋭意この問題のひとつ検討をスピードを速めてもらう、この点に
 ついて重ねてお尋ねをいたしたいと思います。
#299
○国務大臣(竹下登君) 重ねて申し上げるようですが、いまいわゆる所得減税をやるという環境にはないというふうに言わざるを得ません。
 一方、されば法人税の問題、これは私は法人税という税目を特定してこれを目がけてという表現はいたしませんが、少なくとも財政再建の決議にありましたように、広く歳入歳出両面にわたり各方面の意見を聞いて財政再建の手だてを行い、その方針にのっとって私どもは当然例外としておくというような考えは全くそれはありません。各界各層の意見を聞きながら結論を出していかなければならない課題であるというふうに、これは認識をいたしております。
#300
○佐藤昭夫君 法人税率のことですか。
#301
○国務大臣(竹下登君) そうでございます。法人税も例外ではないと、当然のこととして各界各方面の意見を聞きながら、それらは検討すべき課題であると、こういうふうに考えております。
#302
○佐藤昭夫君 とにかく大臣の答弁は、真理を認めないというか科学を否定するというか、実際の税額、税負担率がこの三年間にどうなってきておるかというここから出発をしない、とにかくできませんのだという答えだけを絶えず堅持している。こういうやり方は、本当に国民の信頼に値する政治家とは言えないと思うんですよ。御注意申し上げるけれども、事実に即して、参議院選挙もあるわけだし、本当に国民の負託にこたえ得る政府の施策をどうつくり上げるか考えてもらう必要がある。
 もう時間ありませんので、法人税率引き上げの問題を鋭意検討していただくその問題とあわせて、これも前委員会で尋ねましたが、税の自然増収、これがことしの当初見積もりに比べて、いまの景気の動向から多少の伸びが予想されるという状況にあろうかと思いますけれども、そういう問題については、まず一つは国債の縮減に充てる。同時に、いま言いました減税の問題も含めて、税のそういう自然増収があった場合には、何かの形で国民に還元をする、そういう方策をひとつ多面的に研究をしてもらうということをぜひ要望しておきたいと思いますけれども、どうでしょう。
#303
○国務大臣(竹下登君) いま、当初予算を御審議いただいておりますときに、もし自然増収ありせばということについては、まさに一般論としてのお答えしかできないと思うのであります。これは一般論として、そういう際はその際で考えるということであろうと思います。
 ただ、いまの国債減額等に充てるべきだというような意見は、私は貴重な意見として承っておきます。それに、それ以上仮定の事実でいま一般論以外ではお答えするわけにはまいりませんよね。
#304
○佐藤昭夫君 余り有能な政治家ではありませんな。
 終わります。
#305
○中村利次君 もう全く時間がありませんが、財政の再建をやるために不公正の是正ということはよく言われますけれども、私はこれは不公正の是正について、たとえばいま議題になっております租税特別措置法の一部改正あるいは所得税法の一部改正等もその一環として行政がおやりになっていると思うんです。
 立法も立法府の立場からやはり不公正の是正をやらなきゃ、努力をしなきゃならないと思うんですが、そういう中にも、たとえば高額所得者の脱税というのが新聞をにぎわす。それから、少額貯蓄の優遇制度というのが非常に不当に利用されておる。財産隠しの対象になっておる。こういうのはやっぱり庶民感情を逆なでするようなものですけれども、そこで私は、この一部改正をやって、昭和六十年の一月から利子・配当所得の総合課税をやっていこうということが決まっておるわけでありますけれども、やっぱりこれは一つの前進として評価をすべきだと思うんですが、そこで端的に言いますけれども、プライバシーにかかわる問題と、それから所得をいいかげんではなくて、ぴしっととらえるという、プライバシーを守りながら所得を正しくとらえるということは至難のわざですけれども、これをやらなければ、私はどんなりっぱなことを言っても、やっぱり国民の信頼を得る道にはつながらないと思う。
 そこら辺の御所見というか、決意を伺って、もうこれでやめます。
#306
○国務大臣(竹下登君) これはいま六十年とおっしゃいましたが、五十九年の一月一日からでございます。
#307
○中村利次君 一年早めたんですか。
#308
○国務大臣(竹下登君) いや、そのような法案になっております。
 したがいまして、いま委員おっしゃいましたのは、当時六十年じゃないとようやれぬじゃないか、早くやれと言われたのにこたえて一年縮まったというふうに理解していただければありがたいことであります。
 したがって、これがことにつきましては、何としても申し出によって交付するという精神を貫きますので、そのプライバシーの問題につきましてはこれはきちんとやります。いまでも政府部内でも、たとえば厚生年金に関する問題もコンピューターにインプットしたいろんな名簿があったりしておりますけれども、それもそれなりに管理されておりますので、なおのこと、今度は財産全体を捕捉するではなかろうかというようなある種の危惧もございますので、そのプライバシーと税務上の執行につきましては、本当に十分気をつけましてきちんとやりますから、御激励をお願いします。
 以上で、私の決意表明を終わります。
#309
○丸谷金保君 きょうは、所得税あるいは関税の関係を中心にお伺いをいたすことになるんですが、そういう点で関税と直接的に関係のある問題で、実はきょう北海道の道民の方が多数私のところに見えまして、直接に来た用件というのは、現在本委員会にかかっております税理士法の助言義務等は困るということの陳情に来たわけです。ところが、きょう総理に質問する時間があると話しますと、これは関税と非常に関係があるからこれだけはどうしても言っておいてほしいという問題が出てまいりました。これは私も年来主張してきておることなので、農業とそれから輸入関税に関する問題からまず申し上げたいと思います。
 総理は昨年の五月三十日、本会議における私の質問にお答えいただいて、私も農業は非常に大事だし、輸入品目、こういうものの規制はできるだけ守っていくと、東京サミットにおいてもそういう点についてはいろいろ各国から話があっても、断固として日本の農業を守るためにがんばる、こういうふうな御答弁がございましたね。もうお忘れかと思いますが、ひとつそういう御答弁があったということをまず御記憶いただきたいんです。
 それで、確かにその点ではそのような状態で、ことしの関税定率法の中でも乳製品その他農業製品についての関税率引き下げというふうなものも余りよけいないんです。ただ、輸入品目を規制しても規制対象外の乳製品、これらが約百万トン入ってきております。ナチュラルチーズだとか油脂だとか、それから特にお菓子類というふうな、われわれこれを擬装乳製品と言っておりますが、そういう形でどんどん入ってきている。生乳に換算しますと約百万トン。ところが一方、国内はいまもう大変牛乳がだぶついているんです。これはお米のだぶつきと違いまして、全体で二百五十万トンもの乳製品が入ってきていることによって国内の酪農を圧迫して、だぶついてきたのです。
 この実情はこういうことなんです。北海道では、いま工場に出すのに余った牛乳については牛に飲ましているのです。牛に飲ませるなら何もわざわざ人間がしぼらなくても直接飲ませればいいわけなんですが、そうもいきません、いまはミルカーで全部一遍にしぼっちゃいますから。それを一遍集乳所に持ち込むのです。持ち込んで、それから今度はそこで――普通は牛乳ですと百二十五円、原料乳にしても八十八円八十七銭という金額なのにかかわらず、三十一円もらいまして、紅を入れた牛乳を持って帰るのです。紅を入れて色をつけませんと、そのまま持って帰って、また次の日出されたら困る、こういうことがあるものですから、赤い色をつけて返すのです。それを子牛に飲ませる。これは三十一円にしかならないのです。こういうことで、酪農民が非常に困っております。
 ところが、北海道はそれでもまだ生産費が安いから、生乳地帯の本州の方へどっと出せば相当はけるのですが、そうすると本州方面の酪農家、牛を飼っている人たちが非常に困る。ここで、南北戦争といま言われているのが国内で行われているのです。称して南北戦争と言うのですが、北海道で減らせと、おまえらは生乳を売っているのだからわれわれも少し割り込ませろと、こういう形で南北戦争が行われている。
 しかし、よく考えますと、原因は外国から入る乳製品による圧迫なんです。農民を守り、できるだけそういう点で輸入規制品目をふやさないという当時の総理の答弁、それがなかなかうまくいってないという実情についてひとつ認識をしていただきたいし、そういう御認識の上に立っての御答弁をお願いをいたしたいのですが、いかがでございましょうか、農業を守るという立場で。
#310
○国務大臣(大平正芳君) 開かれた国際市場のもとにおきまして、日本の農業をどのようにして守りながら国際的な要請にもこたえていくかという問題は、私どもにとりまして大きな課題でございます。
 先ほども御指摘がございましたように、政府としては日本の農業に対する周到な配慮を加えながら国際的な協力もいたしていかなければならぬと、そういう基本の方針を堅持いたしております。また、今後もこの方針でいかなければならぬと考えております。
 第二に、乳製品がもたれてまいりまして市場が混迷いたしておると。しかし、これは考えてみると、輸入乳製品とのかかわりが一番大きな原因でないかという御指摘でございますが、その点につきましては私も同様な認識を持っておるわけでございまして、輸入乳製品に対する措置、それは政府として日本の農業を守る上から言って相当慎重に配慮しなきゃならぬ問題だと考えております。
 具体的にどのように対応してまいるかは、所管の大臣の方からお答えいたします。
#311
○丸谷金保君 先ほども大蔵大臣から、十分検討しようという言葉をいただいておりますので、総理に農業の問題として、いま一番これが緊急の課題になってきているという御認識をいただきたい。それからその上で、税関係は総理ベテランですからおわかりいただけると思うんですが、実は日本から南方諸国に余り米を送ろうとしたのに対して、アメリカからダンピングでないかと、国内で補助金を出して安くなったものを売るのはけしからぬというようなクレームがついた問題がございます。
 いまこの関税関係の法案の審議をいたしておりまして、実はいま申し上げました生乳換算二百五十万トンの多くのものが、EC諸国から入っております。そして、そのEC諸国は、非常に農業に対する補助金の支出が多いんです。スミソニアン協定の状況等見ましても、そうしたときの会合、価格の決め方等見ましても農業の補助をどうする、価格維持をどうするというようなことがほとんど大半だと、こういうふうにも聞いております。
 なお、これは大蔵省の貿易統計でございますが、それで見ましても、ナチュラルチーズだとかプロセスチーズ、乳糖、カゼインというのは、総理ができるだけ規制品目は外さないというふうに私に昨年五月答弁いただいたこととはうらはらに、外れているものに化けていろんな形でどんどん入ってきている。これはもう関税で縛るよりないわけです、規制品目でないんですから。ECの方の状況を見ますと、牛乳だけをとって見ても、おおよそ生産牛乳一キロ当たりの政策費用価九円十八銭。日本でもずいぶん農業、酪農、そういうものに対する補助はやっていると言いながら、八円三銭というふうに、まだまだECの方がよけいに財政支出をしております。これは関税相殺協定によりまして、相手国の国内産業を圧迫した場合には、そういう財政支出をした分については関税で上積みできるという協定ができておるわけなんです。この協定にできるだけぶつけて国内の農業を守っていただきたい、こう考えておりますが、その点についてもひとつ総理の御認識をしていただきたい。大蔵大臣から具体的に答弁はいただいておりますので、よくわかったと言ってくだされば結構なんですから。
#312
○国務大臣(大平正芳君) 大蔵大臣が御答弁申し上げてございますことを、私も裏書きいたすつもりでございます。
#313
○丸谷金保君 それから、北海道の農協中央会でこう言っているのです。実は農業のうちでも、総理、草しかつくれない農業地帯が北海道にございます。御存じだと思うのですが、根釧原野とか天北というもっと北の方、東の方、そこでは牛しか飼えないんです。こういうところの人たちが、いまのように牛に飲ませるための牛乳をつくっていたら死んでしまうのです。
 こういうことで、ぜひお願いしなきゃならぬという陳情が来ております。なかなか名文なんですが、春まだ遠い北海道、すなわち農業立地の限界地帯において酪農、牛飼い以外に何もできない人々に死刑の宣告をすることのないよう特段の配慮を願いたい。まさにいまのような状態で牛乳の生産をとめていくというふうなことをしますと、根釧原野なんかいまの二十三万トンくらいの生産を五十六万トン、倍以上の生産に六十年までにする計画で大きなサイロがどんどんできまして、一本二千万円もするようなサイロがどんどんできて、近代化農業が進んできて借金もうんとふえた途端に、待ったがかかっちゃったんですから、このままでいくと死んでしまいそうなんです。だから、そういう擬装乳製品を抑えてもらわないと、輸入割り当てでもって向こうから入ってきている乳製品を抑えているから大丈夫なんだということになっていない、こういうことについて御認識をいただきたい。
 実は、このことについて関税局長は、国内産業を圧迫するような事態であれば十分考慮しなきゃならないと、一昨日答弁しておる。そうですね。最初にそう言っていましたね。大蔵の方々、この程度の認識なんです。片方ではもう死ぬかもしらないと言っているときに、大蔵省というのはやはり農業担当でないから、それで、きょうは農林省からも来てもらっているのですが、私のいま言ったような状態にあって農林省は頭を抱えていると。つくれつくれと言って、牛乳をつくらして借金をふやした。しかし、外国からどんどん乳製品が入ってくるから、国内の牛乳がだぶついてきた、困ったと、そういうことですね。間違いございませんね。農林省の方としてひとつお答え願いたい。
#314
○説明員(井上喜一君) 答弁いたします。
 現在酪農品につきましては、国内で酪農を保護育成するという見地から、畜産振興事業団の一元輸入なり、あるいは輸入割り当てを、IQ品目にしているのが多うございます。ただ、現在、畜産振興事業団の操作をしておりますバターとか脱脂粉乳については輸入はいたしておりませんけれども、輸入割り当てをいたしております家畜の飼料用の脱脂粉乳でありますとか、学校給食用の脱脂粉乳については輸入をいたしているわけでございます。
 これらにつきましては、安い価格でないとそれぞれの用途に適さないという事情がございまして、そういった特定の政策目的を持ったものでございます。
 また、カゼイン、乳糖のように国内で生産のないものについては自由化されているわけでございますし、ナチュラルチーズのようなものについては、国内で生産はありますけれども、なかなか国内の需要を国内生産では満たせないものについても自由化をしているわけでございます。そういうことでございまして、なかなか国内製品をもっては代替できないようなものが外国から入ってきているのが実態でございます。
 ただ、先生御指摘のように、最近の乳製品の需給事情といいますのは、畜産振興事業団の在庫あるいは民間の在庫、非常に多く抱えておりまして、市況が低迷しているところでございます。それが酪農家の売ります牛乳の販売価格にも影響しているような現状でございまして、われわれといたしましては、できるだけ国内産の乳製品を使ってもらうように、関係業界に要請をしている状況でございます。
 また、先ほど御指摘がありましたココア調製品とか食用油脂等につきましても同様のことをやっているわけでございますが、これらの品目につきましては、主要な乳製品が畜産振興事業団の一元輸入なり、あるいは輸入制限の対象になっているというような趣旨から見まして、それらに含まれます……
#315
○丸谷金保君 ちょっと、そこはわかっているんだから、簡単に言ってちょうだい。
#316
○説明員(井上喜一君) 乳成分を極力低めるように、大蔵省の方と従来から話してまいりましたし、今後ともそういう点につきまして大蔵省と協議をしていく考えでございます。
#317
○丸谷金保君 いまの審議官の答弁だと、何を言っているのかわからないんだよ、いまのような調子で言うものだから。困っているのか困っていないのか、国内の牛乳いま余っていて。どっちなんです、農林省として。困っているなら困っている、困っていない、心配ない。後ろに農村の人もみんな聞いていますから、胸をたたいて、心配ない、困ってないんだと言ってください。言えますか、あなた。そんな長々と言うほどぼくは質問していないんだよ。困っているのか困っていないのか聞いているんだから、農林省としてあなたたち、どうなんです。
#318
○説明員(井上喜一君) 答弁いたします。
 国内産の牛乳につきましては確かに生産が過剰でございまして、乳製品在庫が非常に多くなっていっているわけでございまして、この点、非常に困っておるわけでございます。
#319
○丸谷金保君 よし、それでいいんだよ、それだけで。きょうは、せっかく総理においでいただいているのだから、あなたたちの答弁はなるたけ簡単でなきゃ困るんだよ。
 総理、いま困っているんです、本当に農林省。そして、長々と言いましたけれども、確かに飼料用の脱粉、生乳換算で八十万トン、これは大蔵省の統計資料ですからまず間違いないと思うんです、ほかと違いますからね。しかし、問題はそんなところでないんですよ、いろいろ言っていましたけれど。ナチュラルチーズ生乳換算で九十四万五千トン、これは五十三年です。五十四年はもっとふえています。それから、乳糖とかカゼイン、これらを合わせますと百十万トン以上、五十三年で。それから五十四年はチーズだけでも約百万トン近く、それからそのほかにカゼインとかココア調製品とか、いろいろなものです。国内で余って困っているという数字というのは、そんな大したものでないんですよ、まだ。これからだんだんふえてきそうです。
 それで、一方では牛を減らせということで、北海道だけで一万頭殺せと、全国でも十万頭くらいは減らせというふうなことを言い出しているんです。しかも一方では、膨大な予算で開発パイロット事業というふうなことで、農用地開発で千六百億も支出しているんです。あるいはまた、牛乳を飲みましょうという運動に、そういう消費拡大に百七十七億農林省は支出しているんです。こんなのは、輸入乳製品を、擬装乳製品を、国内の産業を守るために、向こうが財政支出をしているんですから、関税を高くすれば守れるんです。
 で、私は日本の関税が高いと思っていたんですよ。ところが、今度の提案されたのを見てびっくりしたのは、日本の実行関税というのは、東京ラウンドの各国のあれに比べると低いんです。ですから、八年後にみんながここまで下げましょうというところに到達するためには、先進諸外国よりはずっと低いところにあるから、下げ率を少なくしていっても八年後に一緒になるというくらい、よその方が高いんですから、遠慮しないでこういうときは国内の産業を守るという手を発動していただかないと、農林省なんか、本当にもう片っ方ではつくれつくれといって、まだ予算をどんどん進めていて、片っ方では牛を殺せと言っているんですからね。で、それは農林省が悪いんでないのです。大蔵省が悪いんですよ。そういうときに、素早く農林省の困っているのを見て助け舟を出さないからなんです。こういう点についてひとつ総理、大蔵大臣も先ほどよくわかったということで、大変親切な御答弁をいただいて感激をしておるところでございますが、せっかく総理おいでになるんですから、特にこの問題について総理もひとつこういう矛盾のあるということを十分認識をしておいていただきたい。よろしくお願いします。
#320
○国務大臣(大平正芳君) 大変深刻な状況に乳製品がございますこと、いま御指摘をいただきましたので、これにつきましては政府としても十分事情を調査いたしまして、関係省の間で十分協議を遂げまして適切に対処していきます。
#321
○丸谷金保君 総理の御答弁を聞いて、大変関係者は安心をすると思います。一国の総理から、こういう農業に対する非常に理解のある御答弁、本当にありがとうございました。
 それはありがたいことで大変よかったんですが、実はこれは今度はことしの三月五日に私が本法案の提案に係る本会議での代表質問で、予算の増分主義がことしの予算においても行われているんじゃないか、総理は、いやそんなことはない、適宜適切なりっぱな予算を組んだんだと、こういう御答弁がなされております。しかし、先日来の所得税その他の法案の審議をいたしておりますと、どうも帳じり合わせのために減税ができないと。一兆円の国債の減額はわかります。しかし、それにしても歳入だけ、それから歳出だけという帳じり合わせであって、私が当時指摘しました、たとえば薬づけ、十一兆円の医療費について取り組むと、こういう面での姿勢が国会の論議を通じてどうも余り出てきませんし、総理にもそういう姿勢がうかがえないんですが、この点について、これだけかかるんだからこれだけ要るんだという形の税制度の考え方でなくて、もっと歳出の面で配慮していただく余地が十分あると思うんですが、いかがでしょうか。
#322
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおりでございまして、財政は歳出歳入から成っておるわけでございまして、ひとり歳入の立場からだけ論議するわけにはまいりません。どうしても必要な歳出を賄うために歳入があるものと思うわけでございます。
 したがって、歳出につきまして、十分彫りの深い検討を加えていくことは第一前提でなければならぬと思うのでございまして、いま医療費につきまして御指摘をいただきましたが、大変この面に切り込む余地があるのではないかという御指摘でございますし、私も実はそういうように感じておりまするけれども、去年もサマーレビュー以来ずっとこの問題の検討を関係省の間で加えてまいりまして、去年の暮れまでに到達したところで予算は組ましていただきましたけれども、なおこの問題につきましては、検討が十分こなれておると私は脅えていないわけでございまして、今後一層厳しい見直しをしてまいる必要は、丸谷さんと同様私も痛感いたしております。
 したがって、ひとり医療費だけじゃなくて、歳出全体につきまして厳しい査定を加えた上で歳入の計画を立ててまいるということが、財政処理の基本の方針でなければならぬと存じておりますので、この点につきましては、あなたの御指摘のとおりだと思います。
#323
○丸谷金保君 それで、そういう見直しの一つでいかにももったいないと思うのは、前にもちょっと申し上げたことがあるんですが、四国に三本も橋をつくるということです。どうしてあそこにあれだけの財政投資をして三本もやるのか。あれ、橋でなくて地下をくぐらせれば、いまの日本の技術で、私たちの聞いている限りでは三分の一ぐらいで済むそうですね。青函トンネルをいまやっています。青函から見れば、四国と本土をつなぐトンネルなんというのはずっと楽だそうです、技術的には。そしてしかも、あらしのようなときには橋は使えませんわね。暴風雨が来たなんというときには、恐らくあれだけ高い橋ですと自動車なんか走らせることはできないというふうなことがきっと起きますよ。
 いまからでもひとつ、三本大体私要らないと思うんだけれども、地下にくぐらせることを考えるというふうな、そういう積極的な意味での政策の向、転回、こういうことは総理いかがなものでしょう。総理のところの一本だけでも外せば、やったと国民は喜びますよ。
#324
○国務大臣(大平正芳君) 北海道につきましては、いま青函トンネルが開削中でございます。九州につきましては、すでに海の底も陸の上も、橋もトンネルも整備いたして、道路であろうと鉄道であろうと、アクセスが整備されているわけでございまして、私は四国出身であるから言うわけじゃございませんが、四国だけがかやの外でおっていいはずはないと思います。
 したがって、四国にも、もし事情が許せば本土とのあらしや霧に阻まれることのない交通機関というようなものを考えてしかるべきだと思いますが、これは橋によるかトンネルによるかという問題は、私ども素人でございましてどちらがいいかの判断はつけかねまして、土木建築の専門家の判断にゆだねなければならぬと思いますが、四国に三本あるという意味は誤解でございまして、本州−四国架橋は一つでございまして、あとは尾道−今治間というのは、離島の連絡橋は逐次必要に応じてつくっておるわけでございますし、淡路島と四国の間には橋をかけておるというにすぎないわけでございまして、四国が欲ばって三本も引いてきたというようなものでないことは、御理解をいただきたいと思います。
#325
○丸谷金保君 結局、しかしそうおっしゃいますけれど、国民はそんないまおっしゃったようなことを言ったってわからないんですよ。先ほどのサマーレビューなんという言葉も実際には何のことだか、まあ総理は英語に御堪能ですから、それはもうそういう言葉ですぐ何のあれもなく出てくるんだと思いますけれども、われわれもサマーレビューとは何だろうかとしばらく考えました。調べてみなきゃわからないんです、あの言葉は。で、安上がりの政府でわかりやすい政策という総理のキャッチフレーズからいうと、国会答弁でもサマーレビューなんて言わないで、もう少し、あれを日本語に訳してもう一遍御説明いただけませんか、総理の口から。
#326
○国務大臣(大平正芳君) 英語が日本語になった例はたくさんございます。ランプとかペンとかいうものは日本語に十分熟しておると思うのでございまして、外国の便利な言葉は、無理がなければ日本語に吸収して差し支えないと思うのでございます。
 サマーレビューといいましても、夏季総点検作業というようなことを、サマーレビューと言うというようなことで理解できるのじゃないかというようなことで、あれはああいう呼称ができたのでないかと思いますが、しかし、仰せのように、できるだけ政策というのはわかりやすいものでなければなりませんし、またわかりやすい表現でなければなりませんし、私の場合はどうもわかりにくいということでいろいろおしかりを受けているわけでございまして、丸谷さんのおっしゃるように、わかりやすい表現を使って、国民に御理解がいきやすいような努力は、この上とも重ねてまいらなけりゃならぬと思います。
#327
○丸谷金保君 実は、総理の話しているときには大変わかりにくいことがあるんですけれど、後で記録を読むと、実にきちっと起承転結のりっぱな文章になっているのに私はかねがね感心していたんです。本当に記録にして読むと一番わかりやすい御答弁だというふうに思っておるんですが、サマーレビューというふうなことはこれはいけないので、それで、端的に聞きますけれど、ことし夏時間をやりますか、どうですか。こういうことの方がよくわかるんです、国民は。
#328
○国務大臣(大平正芳君) これはことしからやるわけにまいらないわけで、私もよく詳しいことはわかりませんけれども、ことし立法しておかないとできないわけでございますのですけれども、国民の夏時間についてのいろんな受けとめ方というようなものは、政府も十分掌握しておかなければならぬと考えておりますけれども、それがいいとしても、ことしからすぐ始めるという法制にはなっていないようでございます。
#329
○丸谷金保君 ちょっと今度角度を変えて、先ほど大蔵大臣にKDDのことについてお尋ねしましたんで、今度浜田問題について総理にお聞きしたいと思います。
 実は先ほど直税部長の答弁で、法人からの贈与を受けて贈収賄というふうなことになった場合には、それは一時所得としての課税対象になるだろうと、個人から受けた場合には贈与税の対象になる、こういうことなんです。早く取らないと時効が完成します。浜田問題について、これは贈与所得になるというので、贈与の計算をしてみますと、こういう計算になるんです。こういうところを見逃さないようにしていただかないと歳入欠陥につながってくると困ると思うので、参考までに。
 新聞等の報道によると四億六千万、本人が否定しているからそういうことはないんだろう――これはどなたも否定します、最初は。だから喚問要求が出ているんだと思うんです。本人が否定しているけれど、本当にそうなのか、これだけ何かこう事実だというふうな国民が印象を持っている問題ですから、計算してみました。
 そうすると、これはまず最初に六十万贈与の基礎控除がある。すると四億五千九百四十万円です。税額が、これは先ほどからの論議のあれですが、利子課税の問題などでも最高利子課税を使わないで行うと、税額が最高の七五%取らなければならぬというふうな話がありましたが、同時にこれも大体税額七五%、三億四千四百五十五万円で、これから累進分を八百十九万五千円を引きますと三億三千六百三十五万五千円になります。これに重加算税――五年たつと時効になりますんで、五年間で計算しますと、これは四年分になるんです、最初の一年は重加算税はかかりませんから。重加算税で計算いたしますと、一億九十万六千五百円、それから延滞しておりますから延滞税、合わせますと六億三千三百六十九万二千八百円、これはまあちょっと――私はこれはちっとも気の毒だと思いませんが、これはちょっと気の毒でないかという感じを持つ人がいるとして計算し直してみて、無申告加算税を加えましても、五億四千五十七万千五百円になるんです、事実とすればですよ。
 これらに対して、国税が動いているという形跡がないんです。大蔵大臣は、国税庁というのは外局で、余り大蔵大臣ががんがんやってはいかぬ、そういう点で指示をするのは多少控え目にしなければならぬ、こういうことなんです。これは田中事件のときに、当時の大平大蔵大臣も同じような答弁をしておるんです、記録を調べてみますと、これでいいんでしょうか。一方では強制捜査でもって、本当に後の商売ができなくて大変だというふうな問題があるんです。そういう中で、こういうことに対して国税当局が時効完成するのを待って動かないというふうなことが許されると思いますか、どうです、この種の捜査を。総理大臣どうですか。大蔵大臣の意見はさきに聞いておきました。
#330
○国務大臣(大平正芳君) あなたが申されましたように、事実とすればという前提がございますが、私どもまだその事実をはっきりと掌握をいたしておりませんので、この問題につきまして税法上の問題はもとよりでございますが、その他の問題につきましてもどのように処理いたしますか、いま確たる結論をまだ出すに至っていないわけでございます。
 事実として明からになってまいりましたならば、それをもとにいたしましていろんなことを考えていかなければならぬのではないか。すべての措置の初めに事実がなければならぬと思いますが、その事実が今日でもまだ判然といたしておりませんので、それ以上のお答えはいまの段階ではいたしかねます。
#331
○丸谷金保君 私が事実とすればと申し上げたのは、いま総理の御答弁のようなこととは逆なんです。いいですか、なぜなら国税庁は捜査権を持っているんです。強制捜査もできるんです。時効が完成しないうちに、そういう疑いのある場合に捜査をするのが当然じゃないですか。ほかはやっているんですよ。事実がわからないでもどんどん入っていって、捜査権をもって金庫をあけて、天井裏まで捜すような強制捜査をやっているんです。なぜこれができないんです。事実とすれば、事実がわかったらこれは当然のことなんです。ちゃんと私でもやれます、計算して。事実とすればということの事実がはっきりしなくても、疑いがある場合には国税庁は強制捜査権でもってやっているんです。たくさんやっています。
 太平洋テレビ事件などというふうな、何年もかかって大変いい事業をやっている人に、生涯浮かび上がれないようなダメージを与えるような強制捜査をやり、告発もし、しかも最後、最高裁で負けて、三十四億円といういま国家賠償の請求が民事訴訟で行われております。こういうものにさえ、どんどんやっていっているんですよ。そうすれば、これだけ新聞で騒がれているこういう問題で、事実がわかるまで動き出さないというふうな国税庁であったなら、ほかの強制捜査なんかできますか。総理は税の関係ではベテランなんでして、どうかひとつ、そういう点もっとはっきりとこういう点についての答弁をいただきたい。いまの答弁じゃ納得できません。
#332
○国務大臣(大平正芳君) あなたの御質問が、事実とすればその事実を踏まえて課税処理をするという、すべきではないかという御質問のように私は受け取りましたので、事実が明らかになってまいりますればそれを踏まえていろいろな処理をしていくのは当然のことだということを申し上げたわけでございまして、事実が明らかにならなければなりませんということを、その前提として申し上げたにすぎないわけでございますが、あなたのいまの御質問では、その問題ではなくて、捜査の問題を取り上げられたようでございます。国税当局といたしましては、あらゆる直接、間接の資料、情報を通じまして所得の動きということにつきましては最大限の神経をとがらしておるものと私は拝察します。
 したがって、どの事件をどういう手順でどのように捜査していくかというようなことにつきましては、それぞれ国税当局の責任において処理いたしておることとして私は信頼をいたしております。
#333
○丸谷金保君 総理、私の方から事実とすればといった場合に、税のベテランである総理は、いや事実関係を確かめるためにも時効完成しないうちに、こういう問題はこんな大きな税額が出てくるのであれば、国税当局にしっかりやれと私の方から指示します、こういうことがあってこそ、初めて現在審議されている所得税その他について国民が税の不公平感をなくすることになるんだと思うのです、そういう積極的な立場が。どうも寡聞にして私どもはそういう点――だから、やはり国民というのはどうも何だかわれわれだけが取られている、こういう感じになっていろいろな問題が出てくるんではないか。いち早くこういうものに手をつけていく、こういう姿勢が私はいま政府並びに大蔵当局に求められている国民の願いでないかと思います。
 国税庁に聞きますが、この件について内偵等を行っておりますか。
#334
○政府委員(伊豫田敏雄君) 個別の事案でございますので、お答えは差し控えさしていただきたいと考えておりますが、いわゆるK・ハマダという件につきましては、資料としての関心を有しております。
#335
○丸谷金保君 関心を持っているという程度ですか。個別の問題で、守秘義務もあるかと思います。
 そこで、総理、非常に私たち国会論議をやっておりまして、いろんな資料を要求します。なかなか出てこないのです。いや、それは出せない、あれは出せない。はなはだしいのは、新聞や何かに出ているやつでさえ出せないと言うのです。情報公開法を早く制定していただきたいというわが党の要求、いまのような問題等についてできるだけ国民に知らせていくという姿勢、こういうものの制定について、そういうものをちゃんとやっていきますと、国民もこの所得税とかそういうのも喜んで納めるような、ああ、こうやっているのかとなるんです。
 大蔵大臣は先ほどこの問題について、プライバシーに関することもあるので、各省間で詰めているけれど、大変めんどうな問題もあると、こうおっしゃいました。だから私は、大蔵のこれは裁判で負けたので通達を直したやつを資料要求したら出してきたんです、国税庁はなかなかりっぱだなと思って、出していただいて私はその点では感激しているのです。こういうものが、まず隗より始めよ、マル秘の通達が多過ぎますんで、国及び各省の下部に流す通達類、これらはもうできるだけ公開するという基本方針から情報公開法への道をあけていくというふうなお考えはございませんか。
#336
○国務大臣(大平正芳君) 丸谷さんも御承知のように、いま政府といたしましては、できるだけ政府の持っておる情報知識を国民に知っていただくために努力をいたしておりまして、白書を所管ごとに編さんして出してみたり、いろいろな資料の閲覧を国民に提供いたしたりいろいろなことをやっておるわけでございますが、さらに情報公開法というようなものをつくって、知る権利に対してこたえるべきであるという議論が国会の内外においてあることを私も承知いたしております。また逆に、防衛庁スパイ事件等でごらんになりますように、情報機密と情報の機密性を保護すべきじゃないかと、秘密保護立法を考えるべきではないかという議論も、国会の内外にあるわけでございます。
 これはうらはらでございまして、情報を公開する以上は、公開できない情報はどこかという限界を決めなければいかぬわけでございますので、いずれにいたしましても、これは一体の問題だと思うのでございます。この問題につきましては、大蔵大臣からもお答えしたと思いますけれども、それはプライバシーの問題、いろんな企業秘密の問題、あるいは公務員の守秘義務の問題、その他行政の手続に関連する問題がいろいろ出てまいりますので、非常に広範な問題になってくると思うのでございます。
 したがって、政府としては、内閣に担当の部屋を置きまして、この問題についてのいま検討を始めておるところでございまして、いま、これを制定するかしないか、制定するとすればどういう骨組みのものにするかというようなことをお答えできるまだ段階ではございませんけれども、そういう検討に入ったという段階でありますことを御報告申し上げて、御了解を得たいと思います。
#337
○矢追秀彦君 初めに、これからの経済運営を含めまして全般的な問題をお伺いしたいと思いますが、本日、為替相場二百五十円台に円が値下がりをしておるわけですが、この事態を総理はどうお受けとめになっておりますか。
#338
○国務大臣(大平正芳君) きょうの終わり値が二百四十九円八十銭ですか、というようなことで、一応対ドル円の為替は大きな変動はないようでございますが、ヨーロッパ通貨の対ドル相場は弱含みのようでございます。
 需給関係からはもとよりでございますけれども、将来に対するいろいろな思惑が絡んで相場が立っておるのであろうと思いますけれども、感想を求められますと、私といたしましては、できるだけ安定さしてまいりたい。そのためには、先般、アメリカ、ヨーロッパ方面の通貨当局とも協議いたしまして、一緒になって為替秩序の安定を図ろうじゃないか、円について特に気をつけようじゃないかということになっておりますので、この構えでできるだけ相場の安定を図ってまいりたいということ、それが可能になるような財政経済政策の運営でいかなければならぬと存じておるということを申し上げたいと思います。
#339
○矢追秀彦君 この前、当委員会に総理がお見えになったときにも、私この問題を少し強調しておきましたので御記憶にあると思いますが、いま終わり値は四十九円台でしたが、一時は二百五十円を突破したわけでして、私は大変厳しい状況にあると思います。この円安はまだ続く可能性がある。一つの理由は、やはり現在は、四月から六月というのは大体輸入のふえる時期ですから、どうしてもドルが不足しがちである。これが一つの理由。もう一つは、アメリカのやはりプライムレートがまだ上がる可能性すら言われておる。こういったことから、結果として二百五十円台まで行くような気配が出てきた。
 だからと言いまして、わが国が輸入を抑えるというのもなかなか大変なことですし、日本の経済が成り立たなくなる。だから、やはり私は、日本のせいよりも、これは、この前も総理にも申し上げましたけれども、こういう打ち続くアメリカのインフレ、これが大きな原因で向こうのプライムレートが上がる、これに対してカーター大統領のインフレ政策も効き目がないという現状ですね。このままほうっておきますと、私は非常に危険性を感ずる。
 いま総理は、何とか何とかとおっしゃっていますけれども、やはり具体的に措置をとらなくちゃいけないと思う。その一つとして、やはりスワップの発動などは、これはまず第一段階、検討できるものであろうと、こう思うわけですけれども、この点はいまは発動されないのか、将来、じゃどれぐらいまで来たらそれは発動の用意をしていくのか、その点はいかがですか。
#340
○国務大臣(大平正芳君) スワップの発動も含めまして、日米協力で為替市場の安定を図っていこうということを打ち出しておるわけでございまして、それは適時適切にやってまいらなきゃならぬ政策でございます。日銀当局を信頼して、政府としては任してあるわけでございます。日銀当局は、私は懸命に適時適切な対処をしてくれるものと期待いたしております。
#341
○矢追秀彦君 そうやって、総理はいつも自然体でお逃げになる。もちろん日銀に任せるというのは、それはある程度金融政策の面ではわかりますけれども、いま大変円安が一つは日本の物価上昇につながっているだけに、総理、そうのんびりしたことを言っておれないんじゃないですか。実際、もうきょうの夕刊でも七%という消費者物価が出てきておりますよね。現実に五十四年度の政府見通しは、これはひょっとするとだめな可能性も出てきている。こういう状況下にあって、総理、インフレ対策、この間物価対策もやられましたよね、発表されましただけに、これはやっぱり円安問題を放置しておくわけにはいかぬと私は思うんですよ。
 いま総論的にはおっしゃいますけれども、現実問題として、やはり相当積極的に、日銀に任せてある、信頼しているから大丈夫だと、それだけじゃなくて、総理はこうしろという指示はできなくても、やっぱり総理の大きな方針というのはあるでしょう。これはやっぱりたとえば二百五十五円まで来たらやるとか、二百五十円突破したらやるとか、そういうのは、それは余り言うと相手のあることですから、まあぶっちゃけた話はできないにしても、私はちょっと、この間のときもそうだったし、きょうもこれじゃ、総理がこの円安問題に対して本気になって取り組んでいるのかどうかという疑いも持たざるを得ないわけでして、申し上げる次第です。これを重ねてお伺いしたいのが一つ。
 もう一つは、私はこの前も申し上げましたように、まあ経済摩擦もありますし、なかなか困難とは思いますが、こういったときにこそ、輸出を振興させる何らかの手だてをとって円高へ持ってくると。これは一遍にはなかなか効果は出ないと思います。私は、この円安はずうっとは続かないような気がしておるんですよ。後半になれば円高基調になる可能性を、私はまあ楽観論者かもしれませんが持っておりますが、そこまで行くまでのいまの日本が大変なんですから、その辺で私はいま緊急な発動をしなきゃならぬと。
 もちろん、物価を抑えるいろんな手だてもあるでしょうが、その一つとして一日も早くこの円安傾向を何とか脱却していく、これは積極的にお願いしたいと思うんです。実際、いまのインフレは油を含めてやむを得ない面もかなりあるわけですから、あと人為的にできるのは、私はこの円レートだと思うんですね。それだけに、これは非常に私、関心を持っているわけです。そういう点で申し上げるので、総理重ねてお願いします。
#342
○国務大臣(大平正芳君) まあ、重ねてのお尋ねでございますけれども、重ねてお答えいたしますけれども、やっぱり通貨金融当局を信頼しておりますと言う以外にお答えようがないと存じます。通貨金融当局、私は必ず矢追さんの期待にこたえて、りっぱにやっていくものと確信をいたしております。
 それから輸出の問題でございますが、最近の輸出は比較的順調に伸びておると聞いておるわけでございまして、一般の見方もそのようでございますが、したがって、あなたが御心配の国際収支の点につきまして、輸出面からは漸次改善の方向に向かっておると思いますが、何さま大きな油の代金による赤字でございますので、これを埋めてかかるということはとうていむずかしいことだと思うのでございまして、経常収支のマイナスをどこまでで食いとめられるかということがことしの勝負でないかと考えておりまして、いろんな要素、いろいろな政策を組み合わせて、できるだけそれを少なくするように努力していきたいと考えておりますが、根本は、やっぱりあなたが仰せられておるように物価だと思うのでございます。物価につきましては、一連の総合政策を立てまして、いまそれを周到に実施いたしておるところでございます。
 先ほど乳製品の価格問題もございましたように、農産物にいたしましても、魚にいたしましても、乳製品、酪農製品、みんな弱含みでございます。ただ、野菜の一部だけが警戒を要するというような状況になっておりまするし、工業製品におきましても、電力料金のはね返りを受けましてコストが上がってまいるというものも一%あるいは二%、多いので三%程度のコストアップが計算上出てまいるわけでございますけれども、しかし、これはわれわれの努力によってできるだけ吸収いたしまして、御心配の物価に転嫁しないように、いまいろいろな配慮をいたしておるところでございまして、私は申し上げておりまするように、四月、五月という期間、この乱気流は切り抜けて、六月には総体的な安定期を迎えることができるのではないかと、またそうしなけりゃならぬと、いま全力を挙げておるところでございます。
#343
○矢追秀彦君 いま言われた、四月、五月乱気流、六月安定期と、こうなんですけれども、かつて狂乱物価のときもいろいろ言われて、あのときは大蔵大臣、総理じゃありませんでしたが、福田大蔵大臣は、新価格体系ということを言われましたですね。それが個人の考えではなくて、やはり政府の考えだったと思うんですが、その新価格体系というのが何かはっきりしないままずるずる来て、一時、円高基調で物がある程度安定した時期もある。また今度大変上がると、これまた急な狂乱価物になる。
 いま総理言われたように、四月、五月乱気流、六月で落ちつくだろうと、ここでまた新価格体系ということに、前の言葉をそのまま使うとなるわけなんですが、やっぱり総理はそういうふうなことを描いていま言われたんですか、その点いかがですか。
#344
○国務大臣(大平正芳君) たびたび申し上げておりますように、第一次の石油危機といまの場合と違いますのは、あらゆる、生産財であろうと、資本財であろうと、消費財であろうと、一挙に上がってしまうと。卸売物価も上がるが、消費者物価も上がるというのがこの前のパターンでございましたけれども、今日の場合はそうでなくて、物資にいたしますと生産財の値上がりが顕著でございまして、ほかの製品にはそう及んでいないわけでございます。
 卸売物価の上げ足は速くなっておりますけれども、消費者物価は比較的安定した足取りをたどっておるわけでございまして、今度の場合は私は状況が違うということでございまして、われわれの生産性への努力、経営努力によりましてできるだけ吸収いたしまして、物価に影響ないように持っていけないはずはないと存ずるわけでございまして、大仰に新価格体系などというような、大またで歩いていくというようなことはすべきでないし、地道にこの事態に対処してまいりますならば、そんなに、われわれが見込んでおりまする六・四%台に何とか抑え込みたいという願望は実現できないはずはないと私は考えております。
#345
○矢追秀彦君 いまそういうふうなことにしたくない、抑えたい、これはもう当然ですが、いま六月以降のことになりますと、これは予測も含まれますし、何ともまた世界の動きでわかりませんけれども、いま総理言われた、六月以降の安定期から政府のとられる政策、いま公共事業をちょっと繰り延べをされておりますが、その時点で、ある程度安定したその辺で、物価の動向等を含めた上で、やはり景気刺激策という形をおとりになるのか、あるいは――私、秋口を大変心配しております、実はこの後デフレになりゃせぬかと。前回も狂乱物価の後、いまは違うと言われますけれども、私は今度の方がちょっと陰湿のような気がしてならぬのですけれども、いまでも倒産が大変多い、秋口以降は非常に心配がある。
 そこで、六月からと、総理はある程度施策を考えておられるようなニュアンスを感じるわけですけれども、それはあくまでも公共事業というものでいかれるのか、その点はいかがですか。
#346
○国務大臣(大平正芳君) けさの閣議で、今日の経済状況の報告が各関係閣僚からございまして、物価の状況、雇用の状況、失業の状況等が報告に相なりましたけれども、総じて景気は強含み、雇用は逐次改善の方向をまだとっておるわけでございまして、いま私は矢追さんのような心配をいたしておりませんで、当面物価政策に総力を挙げて取り組むという段階ではないかと考えておりまして、物価が安定しないと景気安定の基盤ができないわけでございまするし、いま一番大事なことは、物価政策と真剣に取り組むことが即健全な経済の成長、雇用の充実への基盤になるのだと心得ておるわけでございまして、万一御心配になるようなことが出てきた場合には、また機動的な対応をしなければなりませんけれども、いま私はそういうことを近い将来あり得るものとは考えておりません。
#347
○矢追秀彦君 そこで、もちろん目の前の物価を抑えることをやることはあたりまえであり、しなきゃいかぬのですけれども、いままでの過去の政府の経済政策を見ておりますと、何か後追いといいますか、後手に回っておる。まあ今回もここまで来ることはわかっていたわけですからね。それは去年のいまごろ予想しろといったら、これはちょっと無理だったかもしりません、OPECがどう動くか。少なくも総理が中心になってやられた東京サミット、あの辺あたりから後の動きを見ていけば、やはり私は昨年度の予算編成時においてもっと強力な、これからのインフレという問題について必ず起こるであろうと、これは先にやっておくべきであった。もちろん、いまやらなきゃだめですよ。この前の狂乱物価のときもそうじゃないですか、とにかく火の手が上がってから大あわてで法律をつくったり、まあこれは国会もそういう意味では対応がおくれている面は私自身も責任を感じていますよ。やっぱり後なんですよ。それで今度はやり過ぎて、今度は冷やし過ぎたと。
 だから私は、いまもちろん物価政策に政府は全力を挙げる、これはもう当然です。だけれど、やっぱりそのときに出てくる――秋口を私は心配する。総理は楽観論で、これは議論の分かれるところですが、それに対する対応策というものは、物価さえ抑えりゃそれでいいというものじゃないと、だから私はさっきから輸出ということを言っとるわけなんですけれどね。それはやっぱりやっていかなきゃいかぬのじゃないかと、こう感じておるので、私は政府というのは一歩――余り先へ行き過ぎるとまた国民の不安というのは、インフレなんかの場合でも、次上がるからいまからやっちゃうと、トイレットペーパー買いに走るということが起こる可能性もありますから、それはできないかもわかりませんが、半歩、少なくとも半歩ぐらいは最小限度やっていかなくちゃいかぬのじゃないか、こう思うので申し上げているわけなんです。その点いかがですか。
#348
○国務大臣(大平正芳君) 後追いでないかということでございますけれども、私は経済というのはまあ先の状況を想定して今日決断することであろうと思うのでございまして、先を見ない経済政策なんかないと思うのでございまして、先を見てきょうびどう身構えするかということが経済だと心得ておりますので、政府としてもそういう考え方でやって対応をしてきておりまして、世界のどの国に比べましても、そんなにふできな対応だと考えていないわけでございます。
 しかし、仰せのように、これから先につきましては厳しい警戒心を持ちまして、適時適切な施策を機動的にやっていくという用意がなければならぬと、硬直化しておってはいけないという矢追さんの御指摘はごもっともでございまして、そういう構えで政府としても気をつけてまいりたいと思います。
#349
○矢追秀彦君 そのいま言われた機動的な対策ですが、総理も大蔵大臣もおやりになったし、昔は大蔵省にもいらっしゃったのでよくおわかりと思いますが、私は、昔ほど財政というものが機動力を発揮できないような状況になっておる。これは私も前々から何回も言っておることですが、今回も公共事業をおくらせるということが出ております。そういったことが本当に弾力性を持っていけるのかどうか、その足を引っ張っているのが、一つは大量国債にあるわけでして、これを減らさなきゃならぬ努力は政府もされており、ことしも減額された点については私は評価をいたしますけれども、これをどうしてこれから弾力性を取り戻すか、また現在そういう弾力性がなくなっている場合何で補うか、この辺が大変むずかしい問題だと思うんですけれども、これも総理いかがですか。
#350
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのように、従来、財政が経済の調節をやるだけの力量を持っておったわけでございますけれども、いまの財政は大変体質が悪化しておりまして、そういう対応力を十分持っておりません。したがって、ことしの予算は景気に中立性な予算になっております。したがって、財政的に対応の弾力というのがあるとは言えません。金融的に申しましても、今日日銀がとっておりまする九分の公定歩合というのは過去の最高を記録しておるわけでございまして、これ以上むやみに上へ上げる弾力もないと思います。
 金融的にも財政的にも御指摘のように弾力が非常に狭いというか、だから狭い山の尾根の道を非常に薄氷を踏む思いでやっておるというのが、いまの経済政策だと思うのでございます。弾力は私はそんなにあろうとは考えておりませんだけに、一つ一つの政策を真剣に周到に、取りこぼしのないようにやらなきゃいかぬという点に気をつけまして、いませっかく努力をいたしておるところでございます。ようやくそういう物価におきましても鎮静の見当がだんだんつきかけてきておるわけでございますので、もう一息だと考えております。
#351
○矢追秀彦君 時間も大分なくなりましたので税問題に移りますが、先ほどのインフレとも絡みますが、わが党も法人税については二%の増税を主張してきたわけですけれども、これについては現在見送られたままになっておりますが、こういう大変なインフレのときにこそ、法人税を上げることによって一つは鎮静という形もとれる一つの手だてになるのではないかと思うんですが、総理はどうお考えですか。
#352
○国務大臣(大平正芳君) それも一つのお考えだと思うのでございまして、けれども、ことしの場合ほかの引当金等の整理でもって法人からの増収が期待できるし、それをカウントいたしますと、何とかことしの予算が組めるという見当がついてまいりましたので、法人税増徴問題は後年度の問題に残したわけでございまして、私はそのことはよくやったとほめてくれるかと思ったら、何で増税しないんだいとおしかりを受けるのが、どうも私には理解いたしかねます。
#353
○矢追秀彦君 私が言っているのは、いま言ったインフレ対策ということを含めての話でございますので、その点ちょっと、ただ、総理、財政の帳じり合わせの上でということ、もちろんありますよ。ありますけれども、それだけではないということは、ひとつ御承知おきをいただきたいと思います。
 次に、なかなか政府は減税ということについては財政難ということでやっていただけない。課税最低限も四年間据え置き、それから物価調整減税についてもわれわれは強く主張しておりますが、依然として財政ということを主体にしてなかなかうんと言ってもらえない。まあ非常にそういった点で残念に思うわけですが、これは仮に一〇%まで行くと大変なことなんですが、仮に二けた台まで――行かないことを私も期待しますし、またそうするような努力をしたいと思いますけれども、政府のしりをたたきだいと思いますが、仮に相当のインフレが来た場合、ある程度の調整減税は、もちろん税収との見合いの上ありますが、私はかなり税収も伸びてきていると踏んでおりますけれども、年度末、ことしの補正予算を組まれる上においてそういったことは検討課題にされますか、いかがですか。
#354
○国務大臣(大平正芳君) 検討課題にいたしたくないのです。インフレを招来するということは、どんなことをやりましても避けにゃならぬ課題であると、私真剣に取り組んでおるわけでございますから、もしこれが失敗したらこういたしたいというようなことでは話にならぬと思うのでございまして、もし政府がそんなことに答弁をするような政府でありましたら、矢追さん、大いに怒っていただかなければならぬのではないかと思います。
#355
○矢追秀彦君 そこまで総理決意を持っておられるなら伺いますけれども、もし仮に、いま言った二けた台まで行くようなことになったら、総理、これは政治責任おとりになりますか。
#356
○国務大臣(大平正芳君) もう毎日、政治責任等を痛切に念頭に置いてやっておるところでございます。
#357
○矢追秀彦君 これは総理に失礼な質問になるかもわかりませんけれども、総理自身、先ほどもこれは大蔵大臣、あるいはまたその前は政務次官にもお伺いしたんですが、税金ですね。これは取られておるという感覚なのか、納めているという感覚なのか。こう言ったら、いや私は納めているという感覚だと言われると思いますけれども、実際どうですか。
#358
○国務大臣(大平正芳君) 御質問の意味が私よくわからないのですが、課税につきましては、ついこの間も申告したばかりでございますが、相当納めさしていただいたと思います。
#359
○矢追秀彦君 総理は、総理大臣ですから、私よりも所得は高いわけですが、そういう意味じゃなくて、私が言っているのは、いま大変脱税というのは、大きな脱税が出て問題になっているわけです。やっぱり日本の国民の中には、長い封建制度からそのまま一挙に近代国家になって、戦後このように民主国家になりましたけれども、まだまだ年貢米を取り立てられているという何か被害者意識のようなそういうのが強い。税金というのは何か取られているのだと、こういう気持ちが強いので、ついいかにして脱税をうまくやるか、節税というのはいい言葉なんですけれども、悪い言葉で言えば脱税をうまくやる、いかにごまかすかと、そんなことばかり一生懸命やっているのが特にいわゆる事業者に多いわけですね。
 サラリーマンはもう全然オープンですから、その点でサラリーマンはまたそういうのを見るとよけい不公平感の上に立って、おれは全部ばっさり取られていると、こっちは何やかんや言うてごまかしておると、こういうのが現実の国民の感覚の中にあるので、ちょっと愚問というような質問をしたわけですが、そこでそういった不公平感というものをなくすためには、やはりサラリーママンに対する税のあり方、要するに所得控除ということで十分だという政府の答弁ですけれども、私は総理、やはりサラリーマンの立場というものをもう一回考えていただく、もう一つは国民が気持ちよくお金を納められるような、いま総理が納めておるとおっしゃった、そういう言葉に全国民がなれるようにするためには、やっぱり私は政府も責任を持たなければいかぬと思うんです。
 やっぱり政治が悪ければ、公費天国だとか、やれ汚職政治とか、こういうことになっておったのでは、やっぱり税金を取られた、こういうことになってしまうわけです。まず政治自身がえりを正し、お役所もきちんとしてそういったことがないようにして、国民の納税意識というのを上げていかなければいかぬ、こういう意味でお伺いをしたわけですので、一つはサラリーマンの問題そういう国民の納税に対する考え方、それから先ほどもちょっと私も質問でつい徴税という言葉を使ってしまいましたが、そう言うのがあたりまえになっておるような状況であるわけで、決して税を取り立てるんじゃなくて、積極的に国民が自分たちの社会全体をよくするために納めるんだと、こういうふうにならなければいけませんので、そういった二つの質問をお伺いをして、終わりたいと思います。
#360
○委員長(世耕政隆君) 持ち時間が参っておりますので、簡略にお答えいただきたい。
#361
○国務大臣(大平正芳君) 政府としては、納税者にこたえるために適切なサービスが量、質ともにできているかどうかという反省がなければならぬと思いますし、また、行政が公正で清潔に行われているかどうかということがなければいけないということは、御指摘のとおりでございます。三番目に、納税者相互に不公平にならぬように、制度の上におきましても運用の上におきましても十分配慮していかなければならぬことは、御指摘のとおり、納税の問題に絡んで通切に感じております。
#362
○佐藤昭夫君 今日の深刻な財政危機を打開をするためにわが国の税財政政策をどうするのか、こういう問題をめぐって当大蔵委員会でもるる議論がやられているわけでありますが、こうした中で見逃すことのできない問題として、最近のアメリカの不当な対日要求とそれに追随をする政府の問題、いわゆる防衛費増額問題これが一つの大きな焦点になってきていると思います。限られた時間ですので、この問題を中心に幾つか総理にお尋ねをいたしたいと思います。
 まず、大来外務大臣がアメリカのブラウン国防長官との間で、わが国の防衛力の着実な増強、これを約束をしてきたのを受けて総理が二十四日、アメリカ側の要請に積極的にこたえるべく在日米軍の基地の日本側の分担金の増、それとともに、防衛庁の中期業務見積もりの早期達成を目指して予算のはじき出しを指示をされました。これは言ってみれば、何ら予算の裏づけもない防衛庁の内部資料、内部計画とも言うべきこの業務見積もり、これを政府計画として格上げをすることになるのではないか。一体、総理としてはどういう内容的指示をされたのか、どういうつもりで指示をされたのか、まずお伺いをしたい。
#363
○国務大臣(大平正芳君) アメリカが、日本の防衛力の増強につきまして関心も持ち希望も持っておることは承知いたしております。そのことは理解できないわけじゃございません。しかし、断っておきますけれども、この問題をどう処理するかは日本政府がやることでございます。日本が自主的に決めるということでございます。
 そこで、先般、大来君が帰りましたので、そういうお話もあったということでございます。したがって、対米軍に対する、米軍の基地に対する支出というような面につきまして地位協定上いまどういうことになっておるのか、言うところの中期見積もりというようなものは、いろいろうわさされておるけれども、どの程度のものなのか、そういうようなことを知らしてくれぬかということを申し上げたまでの話でございまして、佐藤さんは少し性急過ぎますね。
 政府の政策を決めるというのは容易ならぬことでございまして、まあ一応そういう見当をつけてみて教えてくれないかということにすぎないわけでございまして、政府の政策なんというのは、来年度の予算編成までにいろんな過程を経て、手順を踏んで、練りに練って決めて、そして国会に提案いたしましたものは政府が責任を持っている案でございますので、それについて十分の御討議をいただかなければならぬものと考えております。
#364
○佐藤昭夫君 そうしますと、念を押すようですけれども、もちろん国防会議に諮って総理としての一定の指示をされたということでないのはもうもちろんでありますけれども、いまもたまたま総理の御答弁の中に、いろいろうわさをされておる見積もりなるもののその内容について、ひとついろいろ調べてみてくれぬかという程度の言ったことにすぎないんだ、そんなに先回りして判断をされなくても結構でございますと、こう言われておるわけでありますけれども、本当にそのようなもので――片や、これまた報道されています、五月には総理として訪米をされる予定になっておる模様でありますけれども、この訪米に臨むに当って、いま私が問題にいたしました業務見積もりの内容、これを、もし実施をするとすれば、どれぐらいの防衛費の額になるのか、アメリカの要請との関係でそれをどういうふうに判断をするか。どういう考え方で総理が訪米に臨むかということを決断をするための作業としてこのことを外務省に命じたということではないんだというふうに、理解をしてよろしいですか。
#365
○国務大臣(大平正芳君) 近く訪米を予定しておりますけれども、大統領との間に二時間ばかりの時間で会談をする予定でございますが、個々の、国際情勢全体についての会談をするつもりでございますし、それだけの時間しかないと思います。
 で、防衛費の問題というのは、先ほど申しましたように、日本政府の問題でございまするし、いろいろな手順を経て、国民のコンセンサスも練った上で、財政の状況、経済の状況もはかった上でやってまいらにゃいかぬ計画でございますので、ここ早急に考えを固めてなんというようなことは考えていないわけでありますことを、御了承いただきたいと思います。
#366
○佐藤昭夫君 そこで、いま触れております中期業務見積もりですね、これに沿って実施をしていくとして、一方、問題にされております昭和五十九年度までに防衛予算を対GNP比一%に持っていくというふうにすると、大変な防衛費増になるんではないかというふうに私は強く思うわけです。
 実は、大蔵省にも数字を資料としてはじき出していただいたわけでありますけれども、五十九年度にGNP比一%の防衛費に持っていくということにいたしました場合、もちろんいろんな仮定を置いておりますが、GNP伸び率は各年度一一・四%だと、防衛関係費は各年度等しい比率で伸びていく、それから一般会計の伸び率、これは財政収支試算に基づくものだという、これは大蔵省がおつくりになった資料です。これでいきますと、防衛費の伸び率が来年の五十六年、五十七年、五十八年、五十九年、ここでGNP一%にいくんですが、伸び率は毎年一四・四%で伸びる。ところが、一般会計伸び率は、五十六年一二・一%、五十七年一一・五%、五十八年一一・一%、五十九年一〇・五%。国債を除く実際に使えるお金、ここからいけばさらに比率は落ちまして、五十六年一〇・二%、五十七年一〇・一%、五十八年一〇・二%、五十九年一〇・二%。もう時間節約上私がこう読み上げましたけれども、この数字が明らかに示しますように、防衛費の伸び率がかなり大きなテンポでぐいぐい伸びていくということにならざるを得ないという、このことを数字が歴然と示すと思うんです。
 そこで、この結果、わが国の財政に、あるいは経済に、もしこんな方向で進むとすればどういう結果をもたらすのか。一つは、当然のこと防衛費は膨大な継続費あるいは債務負担行為を含んでおるわけでありますから、言うならば政策的な選択の余地が非常に狭まる、財政硬直化が激しくなるということは明らかであろうと思います。それからもう一つ、これだけ防衛費をどんどんふやしていけば、勢い国民に負担をお願いをしなくちゃならぬ、国民に負担を押しつける、こういう結果にならざるを得ない、理論上はそういうものが出てこざるを得ないというふうに思うわけでありますけれども、そのとおりでしょうね。
#367
○国務大臣(大平正芳君) 論理的には、仰せになりましたような筋道になると思います。
#368
○佐藤昭夫君 防衛費増大の問題は、言うまでもなく、わが国国民の平和と安全にとっても非常に重大な問題しかし同時に、日本の財政、国民の生活にとっても非常にこういったいま言いました、総理も論理上御確認になりました、そういうゆゆしい影響が出てくるんだということでありますけれども、こうした点から言って、私はGNP比一%への防衛費の増大を目指すというこのことについては、絶対に軽々しくそういう方向を決めてもらってはいけないというふうに思いますし、同時にまた、先日の当委員会でも、総理来られて、一般消費税問題では大変失敗しましたというふうにみずからそこで語っておられましたけれども、今日、国民の増税に対する批判というのは本当に強いものがあると思うのです。同時にまた、福祉や教育など、そういう国民生活の充実の諸要求、国に対する期待、これも年々増大をしてきておる。
 総理、御存じでしょうか。昨年の十一月の二十四日、読売新聞が世論調査をやりまして、一つは、まあいろいろの調査内容あるわけですけれども、こういう世論、いま政府も言っておられます財政再建をしていくためにむだを省く、どこを削るのが一番いいと思いますか、こういう項目があるのですけれども、この中で第一位の比重を占めておるのが防衛費ですね。回答数に対する比率でいきますと、この防衛費を削るのがいいというのが四四・五%、やっぱりこういう国民の声に総理としてはよく耳を傾けて、一つは、さっき言いました一%への防衛費増強を目指すという、こういう無謀な計画はかりそめにも立ててはいかぬ。同時に、いまの防衛費についてもよく見直しをして、本当に必要なものかどうか、やっぱり削るべきものは削るという大胆な方針をぜひ検討していただきたいというふうに思うんですが、どうでしょう。
#369
○国務大臣(大平正芳君) 御指摘を待つまでもなく、防衛費はわが国の政府が自主的に決めることであるということ、そしてそれは、国の財政経済事情を勘案しながらやらなければならぬこと、同時に御指摘のように、国民の納得を得られるものでなければならぬと、そういう中で財政当局と防衛当局が真剣な検討を加えて積み重ねてまいりまして、毎年度の予算をつくって、これにこたえていくということであろうと思うのでございます。
 それから第二に、防衛費といえども聖域ではないわけでございまして、削るべきものは削り、遠慮をしてもらうべきものは遠慮をしてもらわなければならぬわけでございまして、その点につきましては、政府としても厳しく対処してまいるのは当然の責任だと考えております。
#370
○佐藤昭夫君 さらにもう一つお尋ねいたしますが、最近、防衛費増強の動きと関連をして、日商の総会で永野日商会頭が――この会合には大平総理も出席をなさったという新聞報道になっていますけれども、そこでこの永野さんが、防衛論議を経済の面からも大いに起こしていく必要があるんだということを前段強調をされながら、これからの日本の生きる道は高度な先端技術の開発にかかっている、この分野で積極的に発展を図り、国際需要に応じた製品の輸出が必要だということを発言をされているわけであります。
 この高度の先端技術とは、結局、前段で言われておること、結論で言われておることと結びつけていけば、意味されておるのは兵器産業、これを念頭に置いて国際需要に応じた製品の輸出、いわゆる武器輸出、これも必要なんだということを発言をされておるというものにほかならないと思うわけでありますけれども、こうした発言について、かねてより武器禁輸三原則というものを日本の政府が今日まで打ち立ててきているわけでありますけれども、今日時点でこの永野会頭の発言をどう見られるのか、政府の所信をお尋ねをいたしたいと思います。
#371
○国務大臣(大平正芳君) 逆に、どういう御発言でございましても、政府の武器輸出三原則というのは堅持していくつもりでございまして、永野さんの御発言もこれを侵してまでという考えでないと思いますけれども、政府といたしましては、いま堅持いたしておりまする輸出三原則は厳しく尊重してまいるつもりであります。
#372
○佐藤昭夫君 最後に、この問題と関連をしてもう一点お尋ねをしておきますが、こうした議論といいますか、論調といいますか、これが単に日商の総会等々民間団体の場において行われておるということにとどまらず、私が憂慮しておりますのは、実は最近通産省のもとにつくられております産業構造審議会、ここが「80年代の通商産業政策」と題する答申を三月の十七日付で発表しているわけですけれども、この内容をいろいろと読んでみました。そうしますと、この日商総会における永野さんらを初めとする人たちの発言と非常によくトーンが似ているんですね。そして総理、これをお読みになったでしょうか。
#373
○国務大臣(大平正芳君) まだ拝見していません。
#374
○佐藤昭夫君 ぜひ注意をして読んでいただく必要があると思いますけれども、実はこの中で、いわばこの八〇年代の通商産業政策の重点課題として、一つは経済大国としての国際的貢献をしていく、もう一つは資源小国の制約の克服、この二つの課題を据えて、そしてそのために経済安全保障の確立がきわめて必要だということを強調しているわけですけれども、言葉は抽象的のようですけれども、日本は経済大国になった、だからアメリカのいろんな防衛力の要望に対してこれにこたえていかなくちゃならぬという筋道。それからもう一つは、資源小国だ、片やエネルギー危機と言われておる、こういうことの中ではアメリカと組んで、すわというときには海外進出できるような力をつけなくちゃならぬという、こうした実は考え方がこの中に秘められておるんではないかということを私は大変心配をするわけです。
 さらに、言うならば、ここ二、三年来出版刊行されております防衛白書、この中でも技術、教育の分野も含めて安全保障体制の確立、整備をどう図るかという、このことが最近ずっと強調されているという傾向を私は大変憂慮をしているわけですけれども、少なくとも政府、通産省も一枚加わったそのもとにおける審議会でこういったような報告が出ているということについて、ぜひ先ほど来確認をされております、あくまで国民的合意の上で防衛政策も含めて日本の政策を進めていくんだと、武器禁輸三原則は今後とも絶対に堅持をするんだというこの基本理念の上に立って、こうしたものに対しても鋭意必要な検討、メスを入れていただくということを最後に要望、お尋ねをして、私の質問を終わります。
#375
○国務大臣(大平正芳君) 防衛政策ももとより、産業政策ももとより、国民の納得を基としてやらなければならぬことは当然でございまして、政府の既定の基本政策を変えるというつもりは持っておりません。
#376
○中村利次君 租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案を審議している間にも、先ほど矢追委員から指摘がございましたように円相場は全くさえない。わが国を取り巻く経済環境は、決して好転をしてこないわけであります。
 私が心配をしますのは、これは余り性急にどうだ、どうだと言って対応できるものではないということは、もうこれは百も承知ですけれども、やっぱり円相場の維持には政府としても手を打たなければならないというので緊急対策をおやりになった。日銀としては、これはもう金利の天井感をつくり出すために一・七五%という思い切った公定歩合の引き上げをおやりになった。また、政府は総合インフレ政策等もおやりになった。こういう中で円の下落がとどまらないというところに、私どもは大変危惧を感ずるわけですね。きょうの終わり値は二百四十九円台の、四十九円何十銭かはちょっと聞こえませんでしたけれども、しかし、午前の終わり値は二百五十円九銭であったと夕刊には書いてあります。この二百五十円九銭というのは、日銀が積極的に介入をして、午前の出来高の六〇%以上は日銀の介入であるということが夕刊に書いてあるわけなんです。
 恐らく二百四十九円台の終わり値も、日銀の積極的な介入が功を奏した結果ではないかと思うんですけれども、一面、片方では、先ほどの電気、ガス料金の査定に当たりまして経済企画庁は、これはもうインフレだとか経済政策のかなめに経済企画庁があると思いますけれども、円レートを二百三十七円で通産省と交渉をしたんだということが報道をされているわけであります。二百三十七円というのはこれは電気、ガス料金の査定用の数字だよと、こういう根拠であるならば、まるっきりこれは議論の対象にはなりませんよ。しかし経済企画庁が、少なくとも当面の円相場、五十五年度の円相場というのは二百三十円台であるという、こういう立場に立っておるとするなら、これは重大な問題ですね。すでにもう現在で十二、三円ぐらいの差損が出るわけでありますから、原油の輸入を二億八千万キロリッターと大ざっぱに見ても、これを円にするともう七千何百億、七、八千億ぐらいの損失が出るわけであります。
 ですから、こういうことを考えますと、一体政府はどういう、円相場に対して、あるいはインフレに対して――それで私はなおつけ加えますと、インフレ対策について重点を置いて、短期決戦型でもう懸命の努力をする、賛成です、国民の期待もそこに集まっているんですから。しかし、短期決戦に失敗をしますと、やっぱり政府がかなり強気で、景気の回復基調はかなり根強いと言われておる、その景気に影響を与えることは間違いないわけであります。
 国際収支からいろんな経済問題に、そこにひずみが起きてくるわけでありますけれども、こういう問題に対して、もう時間がなさそうですから、最後までまとめて質問しちゃいますが、仮に、昭和五十五年度、原油の輸入をどれくらいすることになりますか、これは景気の度合いによっても幾らか違うでしょうけれども、二億八千万キロリッター前後と仮定をしまして、目先どうも石油の需給バランスは、需給の上ではそんなに心配するほどのことはないようでございますから、OPECの値上げ要因になるようなものはまず五十五年度はそれほど見当たりませんが、しかし、円安がこのままとどまらないということになりますと、これは大変な問題になるわけでありまして、ドルにしてでも仮に二億八千万キロリッターあるいはそれちょっとということになると、六百億ドルくらいで、まさにこれは二ドル何十セントのオイルショック以前あるいはほんのこの間までの十ドル、あるいは十二、三ドルというあれとはもうさま変わりになっているわけでありまして、産油国との貿易収支の赤字なんというものは大変なものですな、これは。もう数カ月前あるいは六、七年前とはさま変わりになっておる。
 そいつを日本はどこで経常収支のバランスをとっていくかといったら、貿易によってとっていく以外にはない。ですから、円安になると貿易ドライブがかかっちゃって、アメリカとの摩擦が起きるとか、ヨーロッパとの摩擦が起きておるとかいう心配をいままでやっている、いまもある。しかし、私に言わせると、それも心配しなきゃならぬけれども、とにかく何が何でも経常収支が何とかなるような貿易をやっていかなければ日本はこれまさに沈没するわけでありますから、そういう欧米あたりとの貿易摩擦の問題とやっぱり国際収支をバランスさせていかなきゃならないという、両面のきわめて困難な課題にどう対応されるのか。
 これでもう時間がなくなっちゃいましたから、以上で質問を終わりたいと思います。
#377
○国務大臣(大平正芳君) 円相場について大変御心配のようでございますけれども、円は、為替市場は自由為替市場にわれわれ移しているわけでございますので、相場を的確に左右するような立場に政府はございません。
 賀茂川の水と比叡山の法主は手に負えないということでございますが、為替相場なんというものは手に負えません。手に負えないからいいのでございまして、権力がこういうものを勝手にできるようなことではいけないと私は考えておりまして、ただ、これは安定させるために、あらゆる努力を傾注していかなきゃいかぬということは、先ほど矢追さんの御質問に対しても答えたとおりでございまして、いまの総合物価対策も、またアメリカ、ヨーロッパ各国との為替市場支持政策も、皆それを安定する方向にいま運用いたしておるところでございますので、政府と日銀当局を御信頼をいただきたいと思います。
 それから第二に、エネルギーの需給でございますが、中村さんおっしゃるとおり、エネルギーは当面需給はゆったりしておるようでございますけれども、長期的に見ると非常にタイトであるというのが一般の見方のようでございまして、ことしも仰せのとおり、二億八千万キロリッターぐらいの輸入を確保せねばなるまいということ、そうして七%の節約を実行いたしまして、所期の経済成長を可能にせにゃならぬということを軸にいたしまして、経済運営をいたしておるところでございまして、供給先の多角化、輸入政策につきまして、これまでも期待にこたえてきたわけでございますけれども、ことしもそれだけの確保はやらなきゃならぬと存じております。
 ただ、価格でございますが、価格につきましては、ここ二、三カ月間もじりじり上がってまいりましたことは御案内のとおりでございますが、ことしは需給が比較的安定しておるというような事情で大幅な値上げがあるものとは考えませんけれども、微調整は覚悟しておかなければならぬのではないかと考えております。
 第三の問題は、経常収支の問題でございます。これを改善していく道は、まず為替相場を安定の方向に持っていかなければいかぬということ、輸出を伸ばしてまいらなければならぬこと、仰せのとおりでございまして、輸出はこのところ大変順調な伸びを示しておるという報告を受けております。輸入は大変自重したカーブをとっておるようでございまして、御心配のような経常収支の乱調からインフレに拍車をかけるというようなこと、経済運営に全くかじを失うというようなことのないように、万全の備えをしてまいりたいと考えております。
#378
○野末陳平君 今回の所得、租持の改正案は、まずまず前向きだと評価しますけれども、問題は来年ですね、来年はかなりの増税をせざるを得ないと思います。
 そこで、法人税もあるだろうし、あるいは政府としては一般消費税を言うかもしれないし、ほかの考えが出てくるかもしれませんが、この間、この委員会で参考人を呼んで意見を聞きましたところ、一般消費税と所得増税、これはもう高額所得者だけじゃなくて、低、中にも及ぶこともあり得るというような、そういう学者の意見がありまして、つまり二本立てで行かないと財政再建はむずかしいと言うんですね。ぼくも学者であったら、やはりこのぐらいのことは言うだろうなあと。しかし、政治は現実にとてもこんなことはできないだろうしという考えを持ったのですが、総理はどういう感じを持ちますか。消費税だけじゃないと、所得増税もやらなきゃ、財政再建を本気で考えるならとてもこの二つを避けては通れない、こういう意見があったんですがね、学者の意見が。
#379
○国務大臣(大平正芳君) 財政再建の方途につきましては、両院の決議もございますし、ここに示されておるとおり、歳入歳出の両面にわたりまして幅広く検討して、各方面の意見を十分聞いた上で慎重に対処せよと、こういう御指示を受けておるわけでございます。私ももっともだと考えております。
 したがって、歳入政策を考える前に、先ほど丸谷さんからもお話がございましたように、歳入政策、歳出政策というものについて思い切った見直しをせにゃなりませんし、歳出について国民の理解と協力のもとで、できるだけこれを抑えていくという手だてを講じなければならぬと考えております。
 で、どうしてもこれだけは必要だというものにつきまして、現行の歳入の手だてでやっていけるか。やっていけないとすればどういう手だてを考えるかということは、そのときの段階の問題だと思うのでございまして、いまあらかじめこれはこうするつもりだなんて言いますと、大平は増税男であるというような烙印を押されかねませんので、参議院選挙を前にして大変不利でございますので、そういうことを私は申さないつもりでいるのでございます。
#380
○野末陳平君 かなり不まじめな答えだと思いますね。参議院選挙に不利だから、増税男と言われたくないからというのはちょっとどうかと思いますが、しかし、短い時間であれこれ聞きたいものでちょっとこのままにしておきます。ただし、歳出の面に関してはことしは十分でないので、来年さらにこれをもっと厳しく見直さなきゃならぬというふうに考えています。
 それから浜田問題ですが、自民党が証人喚問を拒否したということを聞きましたが、ぼくはこれをむしろ拒否しないで、証人喚問に応じた方が自民党にとってもプラスであるという判断を持っているんですが、総理としての見解はどうですか。
#381
○国務大臣(大平正芳君) 自民党はまだ喚問を拒否いたしていないのでございます。問題は、浜田君の問題が航特で取り扱うべき問題であるかどうかのことが国会対策のレベルで御相談中と聞いているわけでございまして、航特委にかけることに決まったと、決まるということでございますならば、それに対しましてどう対応するかはその段階で考えなければならぬと存じておりまして、いまこの問題をどのように取り上げるかということについて、各党間でお話し合いが行われておるというように聞いております。
#382
○野末陳平君 人任せみたいな答えを期待しているわけじゃなくて、じゃ証人喚問するのがいいんじゃないかという意見だっていいわけで、総理がどう考えるか、これをお聞きしたいのですよ。だって、これはやはり政治の本質が問われている問題ですね。しかも、国民が非常な関心を持っていることですから、やはり党の総裁として、あるいは総理大臣としてこの問題をどう考えているのかということを総理の口から聞かないと、何か不まじめなような、あるいはまるで本気でないようなそういう印象を持ちますよ。だから、各党でやるならそれはそれでいい。総理は浜田さんが、証人喚問に彼が応じてもいいじゃないか、あるいはそうやった方がいろんな点でプラスではないか、どう思っているのか、それを聞きたいのですよ。
#383
○国務大臣(大平正芳君) それを初めから聞いてくれたらそういう答えをしますけれども、あなたの御質問は、喚問に応じるか応じないかという話でございましたから、まだそういう段階に至っていないということを申し上げたのです。
 いまの御質問は、それでは浜田問題をどう取り扱うかということでございますが、先ほどもいろいろやりとりが丸谷さんとの間でもありましたように、この問題はどういう事実関係があるのかということを踏まえないと、なかなか判断が出てこないということでございまして、いま自由民主党におきましても、この問題、どういう事実関係があるのかという点につきまして、いろいろ浜田君からもお話をお聞きしておる段階だと思うのでございまして、それをよく伺った上におきまして、その問題を党としてどのように措置するかということを考えにゃいかぬと思っております。
 しかし、浜田君も政治家でございまするし、だれよりも彼自身がこの問題については真剣に考えられておることと思うのでございまして、私は本人の判断というものは尊重していかにゃいかぬと考えております。
#384
○野末陳平君 本人の判断以前に、総理は事実関係が判然としていないということをさっき丸谷先生の質問にもお答えになっていたようですが、この事実関係を判然とさせる努力がどれだけ行われているのかというのが、むしろ疑問だと思うんですよ。で、そちらの党ではそれなりにおやりになっているのかもしれませんが、ここで一つ提案しますがね、やはりこの問題に関しては、もう時間も少したち過ぎている、一向に何ら手が打たれてないけれども、なぞとか疑問とか余りにも多いので、総理みずからが、同じ党の人なんですから、直接一度お会いになるというのはどうなんですか。電話だってそれはいいと思いますよ。どうなっているんだと、総理だって、事実関係が判然としないということは、いろいろなことでわからないところがいっぱいあるわけでしょう。これだけ大きな話題になりながら、関心を呼びながら、わからないところがあり過ぎるので、総理が国民にかわって、あるいは党にかわって、直接一度会って話を聞いて、ある程度確かめたらどうです。
 どっちみち本当のこと言わないかもしれない、あるいはごまかすかもしれないが、少なくもそういう場を持って、直接こう聞いたということを報告するというのも、やはり国民に対する総理の責任ではないかと、そうぼくは思うんですよ。どんなものでしょう。できないわけないでしょう、別に遠慮も要らないんだから。しょっちゅう会って話していたんでしょう、いままではいろいろなことがあるたびに。ですから、この問題でもって何か人にげたを預けるようなのはぼくはよくないと、印象が悪いと思うのです。直接今夜でも電話をかけて話してください。それでその結果を国民にこうだったととりあえず報告なさって、あとは国会に任せるなり、党に任せると、こうおっしゃるのが筋じゃないかと思うんですが、どうですか。
#385
○国務大臣(大平正芳君) 野末さんの御指摘、御注意をまつまでもなく、私は自由民主党を預かっておる立場でございまするし、この問題につきましては、この問題があらわになりまして以来大変苦慮いたしておるわけでございまして、浜田君からの事情の聴取も引き続きずっとやっておるわけでございまして、いずれこの問題は、可能な限り明らかにせにゃならぬ問題だとは心得ておるわけでございます。
 いま、まだそういうことを完了いたしておりませんので、ここで申し上げるまでに至っておりませんけれども、あなたの御指摘をまつまでもなく、われわれは逃げ隠れしておるわけじゃございませんので、もう少し時間をかしていただきたいと思います。
#386
○委員長(世耕政隆君) 時間がありませんので、そろそろ結論にお入りいただきたいと思います。
#387
○野末陳平君 ぼくがお聞きしたことと総理は違うことを言っているようですが、まあいいでしょう。参議院選挙で六十三議席取りたければ、こういうわかりやすい問題に対して総理が機敏に動くこと、積極的に動くことがいいと思いますよ。それをやったからこの問題は解明されるわけじゃありません。解明の方は別でしょうが、総理が手をこまねいて何もしていないように見える、現実に直接何も事実関係その他確かめてない、こういうことがいけない、そう言っているんです。
 重ねて聞きますが、直接何らかの事情を聞く、事実関係を判然とさせるようなことは総理はなさらないわけですね。
#388
○国務大臣(大平正芳君) 先ほど申しましたように、この問題が明らかになりました日からその努力は続けております。
#389
○委員長(世耕政隆君) 税理士法の一部を改正する法律案につきましては、本日の質疑はこの程度にとどめ、関税定率法等の一部を改正する法律案、所得税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案、右三案につきましては、以上をもちまして質疑を終局することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#390
○委員長(世耕政隆君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより関税定率法等の一部を改正する法律案について討論に入ります。
 御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、討論はないものと認め、これより直ちに採決に入ります。
 関税定率法等の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#391
○委員長(世耕政隆君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 片岡勝治君から発言を求められておりますので、これを許します。片岡君。
#392
○片岡勝治君 私は、ただいま可決されました関税定率法等の一部を改正する法律案につきまして、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党、民社党、第二院クラブ及び新自由クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    関税定率法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法施行に当たり、次の事項について留意すべきである。
 一、関税率の改正に伴う国内産業、とりわけ農林水産及び中小企業への影響を十分考慮し、その対策に万全を期すること。
 一、関税率引下げの効果が、消費者に十分反映されるよう流通の合理化に努めること。
 一、政府調達に関する交渉に当たつては、国益を踏まえ、慎重に対処すること。
 一、発展途上国との経済、外交関係の重要性にかんがみ、これら諸国への経済協力に特段の配慮をすること。
 右決議する。
 以上でございます。
#393
○委員長(世耕政隆君) ただいま片岡君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#394
○委員長(世耕政隆君) 全会一致と認めます。よって、片岡君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、竹下大蔵大臣から発言を求められておりますので、これを許します。竹下大蔵大臣。
#395
○国務大臣(竹下登君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って配慮してまいりたいと存じます。
#396
○委員長(世耕政隆君) 所得税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案について、一括して討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#397
○片岡勝治君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題になりました所得税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案について反対の意思を表明し、討論を行います。
 わが国の財政赤字は平時の財政としてはかってない深刻な状況にあり、すでに特例法による国債発行は六年も続くこととなり、その上、政府の財政収支試算でも、巨額の新規増税を図らないと特例国債の償還期を迎える五年後までに特例国債依存財政から脱却できない事態に陥っています。すでに大量の国債発行は財政の硬直化を深め、金融市場にも大きな影響を及ぼしており、財政インフレの危険性が高まっています。したがって、この財政赤字の克服が焦眉の課題ですが、そのためには抜本的な税制改革による財源の確保が必要であります。
 そのためには、まず現行の各種不公平税制を是正しなければ、国民の理解、協力は得られないでありましょう。
 しかしながら政府の姿勢は、税調答申に見られるように、一般消費税の導入のような大衆課税強化路線をとっております。今回の政府の税制改正案でも、法人税率の引き上げを財界の圧力で見送る一方で、物価の上昇と名目所得の上昇に伴う所得税の実質増税を防止するための調整措置には一顧だにしていないのであります。
 政府も高額所得者の給与所得控除率については一部引き下げていますが、一歩進めて給与所得控除の頭打ち制度を復活することが公平な税制となるのであります。このほか、配当控除制度の廃止、キャピタルゲイン課税としての有価証券譲渡所得課税を強化すべきです。また、それ自体公平に反する租税特別措置の改廃、整理はきわめて不十分であるだけでなく、逆に不公平を拡大する措置さえ見受けます。利子・配当所得の源泉分離選択制度及び確定申告不要制度等は、長年にわたる資産所得者優遇の措置でありました。そのため、総合課税化は一刻の猶予も許されませんが、今回もグリーンカード制導入を理由に、現行制度を三年延長しております。しかし、支払い調書提出義務の強化等を行えば、総合課税化に向かって前進できるはずであります。
 さらに、土地税制の緩和は三年連続行われておりますが、政策目的があいまいな税制の緩和がかえって地価を引き上げ、宅地問題の解決を遅らせることになりかねません。
 以上、今回の税法改正案の主な問題点を指摘いたしました。確かに一歩前進した点は評価しながらも、不公平税制の温存、大衆には厳しい税制である今日の税制構造に抜本的な改革が見られないなど、きわめて遺憾です。
 よって、この二法案につきましては、強く反対し、討論を終わります。
#398
○細川護熙君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案並びに租税特別措置法の一部を改正する法律案に対しまして、賛成の討論を行うものであります。
 まず、所得税法の改正案は、現下の厳しい財政事情に顧み、高額所得者に係る給与所得控除率を引き下げるとともに、昭和五十九年より利子・配当所得の総合課税を実現するため、プライバシー保護に配慮しつつ、少額貯蓄等利用者カード制度の創設を図っており、これらはいずれも税負担の公平、所得再配分に寄与する時宜を得たものと考えます。
 租税特別措置法の改正案は、企業関係特別措置について中小企業対策及び資源エネルギー対策に配慮しつつ、トラックターミナル等の割り増し償却等十項目を廃止し、特定設備等の特別償却等四十六項目を縮減するなど、かなり大幅な見直しを行ったものであります。これは税負担の公平化に資するものとして適切な措置であります。
 最後に、土地税制については、基本的な仕組みは維持しつつ長期譲渡所得に対する課税を緩和し、優良宅地等の範囲を拡大する等の改正は都市圏における宅地供給の促進、地価の安定、土地の効率的利用等に貢献するものであると考えます。
 以上、今回の改正案の主要点についての賛成意見を簡単に申し述べ、両案に対する私の賛成討論といたします。
#399
○矢追秀彦君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の両案に対して、反対の討論を行います。
 政府は、五十五年度を財政再建元年と言っておりますが、両案の改正案を見る限り、どこまで本気で行おうとしているのか、疑問を抱かざるを得ないのであります。
 わが党は、財政再建のために税収をふやす具体的内容として、法人税を二%引き上げる、給与所得控除の適用所得限度額を八百五十万円とする、利子・配当所得の総合課税を昭和五十七年一月一日より実施する、有価証券取引税の税率を二倍にするなどを強く主張してまいりました。ところが、政府の提出した改正案では、給与所得控除など若干の手直しがされた程度で、ほとんど前進が認められないのであります。
 財政再建には、国民的合意が欠かせられないことはいまさら申すまでもないのであります。しかし、本年度のように不公正税制の改革に本気で取り組まないようでは、国民的合意などできようはずがないのであります。
 また、本年は政府主導の公共料金の値上げを初め電気、ガス料金の値上げなど物価が急騰することは明らかであり、国民は生活の不安にかられているのであります。特に所得の低い人たちの生活は、名目所得が増加するため実質増税となり、ますます厳しくなっているのであります。このようなときこそ、政府はきめ細かい施策を実施すべきであります。特に、再三主張しておりますいわゆるパートで働いている主婦たちの非課税限度額を、現行七十万円を当面九十万円に引き上げるべく所得税の給与所得控除の最低保障額を七十万円に改正する。さらに、年金受給者の課税軽減を図るため、老齢者年金特別控除額の引き上げと、対象年齢を六十五歳から六十歳に引き下げるなどの改正をすべきであります。
 ところが、両案を見る限り、所得の低い人、社会的立場の弱い人への配慮はほとんど皆無なのであります。
 以上の理由から、私は簡単に両改正案に反対を表明いたしまして、討論を終わります。
#400
○佐藤昭夫君 私は、日本共産党を代表して、所得税法及び租税特別措置法の両改正案について、反対の討論を行います。
 反対する第一の理由は、徹底的に是正されるべき大企業、大資産家優遇税制の改廃が全く不十分な点であります。
 政府は、今改正で不公平是正は一段落したと言いますが、とてもそんなものではありません。大企業にとって重要なものはほとんどそのまま、または、若干の縮減で延長存続されているのであります。引当金の縮減も、実態から見てもまだまだ不十分であります。
 所得税では、金持ち優遇の最たるものとして問題の利子・配当課税で、現行の低率課税を三年間も据え置いたことは納得できません。また、事実上しり抜けになっている株式等有価証券譲渡益課税の本格課税に向けて何の検討もされないでは、税の不公平は全く温存されていると言わなければなりません。
 第二の理由は、主として大企業や大資産家に恩典を与える土地税制の緩和を、今回も提案していることであります。
 宅地供給の促進を口実にした今改正は、政府すらその効果に確信を持っていないものであります。現在の異常な地価高騰を野放しにする一方で進める本措置は、結局、大手不動産企業や大土地保有者救済の不公平税制の拡大以外の何物でもありません。
 理由の第三は、いわゆるグリーンカード制度が重大かつ危険な問題を含んでいるからであります。
 わが党は、利子・配当課税の総合課税化はもとより賛成であります。しかるに、提案のグリーンカード制度は、本来取り締まるべき利子・配当所得については体制上も考えられてないなど不十分な反面、二義的である庶民の非課税貯蓄、金融資産のみを集中管理し、国税に関する事務に流用する道を開くなど、国による庶民の資産管理を進め、やがては国民のプライバシー侵害に結びつく事実上の国民総背番号制への突破口にもなる可能性を持つからであります。
 第四に、改正されない税制として重大なのは、所得税減税をことしも見送り、国民に大増税を強制している点であります。その一方で、史上最高の収益を上げる大企業に対する法人税率の引き上げを、財界の圧力に屈し、参議院選挙目当てにあっさり見送ってしまったことは、断じて許すことはできません。
 最後に、私ども日本共産党は、今日の財政危機をもたらした大企業、大資産家優遇の不公平税制の抜本的是正を中心に政府・自民党の税財政政策全般の転換を要求し、五十六年度以降政府がねらういかなる一般消費税の導入も断じて許さないことを表明するとともに、本法案が日切れとはいえ、時間的にきわめて不十分な審議しかできなかったことに深く遺憾の意を表して、両改正案に対する反対の討論といたします。
#401
○中村利次君 ただいま討論の対象となっております両法案に対するわが党の賛否の態度において、その理由はすでに明らかにしておるところであります。
 そこで、私は民社党を代表して、その理由を省略し、両法案に対して反対の意見を申し上げて、反対の討論にかえます。
#402
○委員長(世耕政隆君) 他に御意見もなければ、両案に対する討論は終局したものと認め、これより順次採決に入ります。
 まず、所得税法の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#403
○委員長(世耕政隆君) 可否同数と認めます。よって、国会法第五十条後段の規定に基づき、委員長において本案に対する可否を決します。
 本案については、委員長はこれを可決すべきものと決定いたします。
 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#404
○委員長(世耕政隆君) 可否同数と認めます。よって、国会法第五十条後段の規定に基づき、委員長において本案に対する可否を決します。
 本案については、委員長はこれを可決すべきものと決定いたします。
 中村太郎君から発言を求められておりますので、これを許します。中村君。
#405
○中村太郎君 私は、ただいま可決されました所得税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党、民社党、第二院クラブ及び新自由クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文はお手元に配付のとおりでございますので、朗読は省略いたします。
 以上です。
#406
○委員長(世耕政隆君) ただいま中村君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#407
○委員長(世耕政隆君) 全会一致と認めます。よって、中村君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、竹下大蔵大臣から発言を求められておりますので、これを許します。竹下大蔵大臣。
#408
○国務大臣(竹下登君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って配意いたしたいと存じます。ありがとうございました。
#409
○委員長(世耕政隆君) なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#410
○委員長(世耕政隆君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後九時四十一分散会
     ―――――・―――――
  〔参照〕
  所得税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議
 政府は、次の事項の推進に努めるべきである。
一、所得・物価水準の推移等に即応し、中小所得者を中心とする所得税負担の軽減合理化(配偶者控除の適用要件である配偶者の所得限度の引上げ、白色申告者の専従者控除の引上げ等を含む)を図ること。
一、利子・配当所得等の総合課税への移行と少額貯蓄等利用者カード制度の創設に当たつては、各種金融資産の取扱いに公平を期するとともに、プライバシー保護の観点から預金者等に無用の不安を与えることのないよう、その取扱いに十分留意し、適正な執行を行うこと。
一、郵便貯金については.その利子の支払が最長で十年にわたるという特殊性にかんがみ、新制度移行前においても、預金者の本人確認及び名寄せに厳正を期し、他の貯蓄との問に不公平が生ずることのないよう適正な運営を行うこと。
一、鰥夫控除については、昭和五十六年度の税制改正において、その実現を検討すること。
一、社会福祉充実の見地から、年金に関する課税の合理化を検討すること。
一、医療費控除、雑損控除について、実情に即し適切な配慮をすること。
一、深夜労働に伴う割増賃金、寒冷地手当及び宿日直手当については.税の軽減について検討すること。
一、財政再建の緊急性にかんがみ、昭和五十六年度においては、中小法人の税負担を考慮しつつ、法人税率の引上げを検討すること。なお、法人税の基本的仕組みについては、早急に検討を加えその結論を得るよう努めること。
一、各種準備金、特別償却等の租税特別措置については、その政策目的.政策効果等の実態に即して整理合理化する二と。
一、退職給与引当金については、累積限度額が実情に即するよう今後さらに検討するとともに、貸倒引当金等については、繰入率等につき引き続き見直しを行うこと。
一、宅地の円滑な供給の確保と地価の安定に資するため.今回の土地税制の改正と併行して用途地城の見直しを含む土地政策の適正な運営を図ること。
一、世論の動向にかえりみ、悪質な脱税に対する除斥期間の延長を検討することを含み.今後とも税務執行面における負担の公平の確保に努めること。
一、変動する納税環境の下において、複雑、困難で、かつ高度の専門的知識を要する職務に従事している国税職員について、職員構成の特殊性等従来の経緯及び今後の財源確保の緊急かつ重要性にかんがみ、一層配慮すること。
 右決議する。
ソース: 国立国会図書館
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