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1979/12/21 第91回国会 参議院 参議院会議録情報 第091回国会 外務委員会 第1号
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1979/12/21 第91回国会 参議院

参議院会議録情報 第091回国会 外務委員会 第1号

#1
第091回国会 外務委員会 第1号
昭和五十四年十二月二十一日(金曜日)
   午後二時三十五分開会
    ―――――――――――――
   委員氏名
    委員長         石破 二朗君
    理 事         稲嶺 一郎君
    理 事         鳩山威一郎君
    理 事         田中寿美子君
    理 事         渋谷 邦彦君
                安孫子藤吉君
                大鷹 淑子君
                亀長 友義君
                菅野 儀作君
                秦野  章君
                二木 謙吾君
                町村 金五君
                小野  明君
                戸叶  武君
                塩出 啓典君
                立木  洋君
                藤井 恒男君
                田  英夫君
                河野 謙三君
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十二月二十一日
    辞任         補欠選任
                対馬 孝且君
     立木  洋君     橋本  敦君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         石破 二朗君
    理 事
                稲嶺 一郎君
                鳩山威一郎君
                田中寿美子君
                渋谷 邦彦君
    委 員
                安孫子藤吉君
                亀長 友義君
                二木 謙吾君
                町村 金五君
                小野  明君
                戸叶  武君
                塩出 啓典君
                橋本  敦君
                藤井 恒男君
                田  英夫君
   国務大臣
       外 務 大 臣  大来佐武郎君
       農林水産大臣   武藤 嘉文君
   政府委員
       外務省欧亜局長  武藤 利昭君
       外務省条約局長  伊達 宗起君
       水産庁長官    今村 宣夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山本 義彰君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○調査承認要求に関する件
○北西太平洋のソヴィエト社会主義共和国連邦の
 地先沖合における千九百七十七年の漁業に関す
 る日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦
 政府との間の協定の有効期間の延長に関する議
 定書の締結について承認を求めるの件(内閣提
 出、衆議院送付)
○日本国の地先沖合における千九百七十七年の漁
 業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共
 和国連邦政府との間の協定の有効期間の延長に
 関する議定書の締結について承認を求めるの件
 (内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(石破二朗君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十八日、木島則夫君が委員を辞任され、その補欠として藤井恒男君が選任されました。
 次いで、一昨十九日、浅野拡君及び秦豊君が委員を辞任され、その補欠として菅野儀作君及び田英夫君が選任されました。
 また、本日、一名欠員の補充として対馬孝且君が委員に選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(石破二朗君) 調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 本委員会は、今期国会におきましても、国際情勢等に関する調査を行うこととし、その旨の調査承認要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(石破二朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(石破二朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(石破二朗君) 次に、北西太平洋のソヴィエト社会主義共和国連邦の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件、日本国の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件、以上両件を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。大来外務大臣。
#7
○国務大臣(大来佐武郎君) ただいま議題となりました北西太平洋のソヴィエト社会主義共和国連邦の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件及び日本国の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件の二件につきまして、提案理由を御説明いたします。この二件は、それぞれ別個の案件ではありますが、経緯上も内容的にも互いに密接な関係にありますので、一括して御説明いたします。
 政府は、昭和五十二年五月二十七日にモスクワで署名された北西太平洋のソヴィエト社会主義共和国連邦の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定及び昭和五十二年八月四日に東京で署名された日本国の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の有効期間は、昭和五十二年十二月十六日にモスクワで署名された二つの議定書及び昭和五十三年十二月十五日に東京で署名された二つの議定書によりそれぞれ延長されました。この有効期間は、ともに本年十二月三十一日に満了することになっておりますので、政府は、ソビエト社会主義共和国連邦政府との間にこの二つの協定の有効期間をさらに延長する目的でそれぞれの議定書を締結するため、本年十一月二十日以来モスクワにおいて交渉を行いました結果、本年十二月十五日にモスクワにおいて、わが方魚本駐ソ大使と先方カーメンツェフ漁業大臣との間でこの二つの議定書の署名を行った次第であります。
 この二つの議定書は、いずれも二カ条から成っており、それぞれ右に述べました協定の有効期間を明年十二月三十一日まで延長すること、両政府の代表者は明後年以降の漁獲の問題に関して明年十一月二十四日までに会合し協議すること等を定めております。
 この二つの議定書の締結により、一方では、わが国漁船がソビエト社会主義共和国連邦の沖合水域において引き続き明年末まで操業することが確保されることとなり、他方では、わが国は、ソビエト社会主義共和国連邦の漁船が明年においてもわが国の漁業水域においてわが国の法令に従って操業することを認めることとなります。なお、漁獲割り当て等の実体的事項につきましては、ソビエト社会主義共和国連邦の沖合水域におけるわが方の漁獲についての沿岸国として先方の立場にはきわめて厳しいものがありましたが、政府は先方と鋭意折衝を行いました結果、明年のわが方漁獲割り当て量として本年と同じく七十五万トンが定められました。他方、ソビエト社会主義共和国連邦に対する明年の漁獲割り当て量としても、本年と同じく六十五万トンを定めた次第であります。
 この二つの議定書の締結は、互いに相まって、両国の二百海里水域における漁業に関する両国の間の円滑な秩序を確保するものであると考えております。
 よって、ここに、これらの議定書の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。
#8
○委員長(石破二朗君) 以上で説明は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#9
○戸叶武君 来年の漁業割り当て問題が日本とソ連とにおいて決まったということでありますが、この日本とソ連との間に問題になっている最大の課題は、北方領土の返還、漁業問題の調整及びシベリア開発への協力等の問題がありますけれども、いま日ソ間で窓が開かれているのは漁業問題だけになっているのではないかと思いますが、それは日中平和友好条約を日本が締結したことに対してソ連側では非常な警戒心を持って、日本に対して不信感を抱き、すべての問題に対してソ連側の要求は出すが日本側の要望に対しては耳を傾けないという傾向になっておりますが、この漁業関係の交渉においてもそういう問題が節々にあらわれたと思いますが、一番そこで問題になったのは何でしょうか。
#10
○国務大臣(大来佐武郎君) 私の聞いておりますところでは、この漁業問題の交渉はきわめて事務的な意見交換であったと聞いておりますが、なお内容については政府委員から申し上げたいと思います。
#11
○政府委員(武藤利昭君) 代表団からの報告によりますと、ただいま戸叶先生が御心配になりましたような、日本と中国との関係というようなものが今度の漁業交渉に反映されたという徴候は見られなかったわけでございまして、先方との間にきわめて実務的に交渉が取り進められたということでございます。
#12
○戸叶武君 それは、その後における日本の大平さんが北京を訪れての言動その他を見守って、ソ連が誤解するような、警戒するような点が見当たらないという私は推定のもとに、急激に日ソ関係においてソ連が余りな無理はできないというのがこの漁業関係の交渉においてもあらわれたものだと思います。それだけに日ソ関係というのは、アメリカとの関係も中国との関係もそうですが、日本が毅然とした自主的な外交路線というものを堅持しないと、相手になめられてしまうととんでもないことになると思いますので、まあ今度の漁業交渉においてはそういうことはなかったということは、日本外交を半分理解したことと、ソ連自身が余り神経質になって孤立化して日本の感情をいら立たせてもいけないという反省の一歩手前までの反省がソ連側にも出たのではないかと思いますので、その点では私はそういう意味の、ある成果は上げられると思います。
 去る十一月二十日から開始されて、十二月十五日に同協定を一年延期する議定書と漁獲割り当て量等を決めた交換書簡に署名の運びとなったのですが、この三週間にわたっての漁業交渉の中で、内容的に果たして前年と同量だからという形でそのまま安心できるかどうか、その内容を若干私たちは危惧の念もありますので検討していきたいと思います。
 来年の漁獲割り当て量は、対日七十五万トン、対ソ六十五万トン、総量ではいかにもことしと同量でありますが、しかし魚種別内訳によると、日本側が最も多く要求したスケトウダラが二十九万トン、ことしは三十万トンでありましたが、ソ連側に押されている。その反面において、ソ連が最大の関心を寄せていたマイワシ、サバは、ことしは五万トンを上回る五十万トンに急増した。こういうところを見ると、ソ連側の要求は大体内容的には通り、日本側の要求は形の上においては昨年と同じような状態だと言っているけれども、内容的にはソ連側に押しまくられたという印象がありますが、その受けとめ方は間違っているでしょうか。
#13
○政府委員(今村宣夫君) ソビエトは、中間の段階におきまして数量を示しましたときの案が、スケトウダラを十万トン減して二十万トンにする、イワシ、サバを十万トンふやしまして五十五万トンにしてもらいたいという要求でございました。それの根拠は、スケトウは非常に資源状態が悪い、ソ連も相当の減船をしなければいけない状態であるから日本もその一部を負担をしてもらいたい、片や御存じのとおりイワシ、サバにつきましてはソ連が非常な関心を持っておりますので、これを十万トンふやしてもらいたいという要請であったわけであります。
 私たちといたしましては、スケトウを十万トン減らすという資源上の根拠はないということを強く主張をいたしたわけでありまするし、また、スケトウを十万トン減すということになりますれば、減船というきわめて困難な事態に当面をするわけでございます。片やイワシ、サバにつきましても、ソ連の言うふうな、資源に楽観は許されない。産卵量、魚堆その他を見ましても、イワシ、サバにつきましてはソ連の言うふうな資源状態にはないということを強く反発をいたしたわけでございます。
 そこで、数次にわたります交渉の結果、スケトウダラ一万トンの減ということになったわけでございますが、この点は、三十万トン確保できればこれにこしたことはなかったわけでございますが、一万トンの減。それから、イワシ、サバにつきましては六十五万トンの中で五万トン増加させるということの決着を見たわけでございまして、わが方としましてもできるだけの努力をいたしたつもりでございますけれども、結果的には御指摘のようなことに相なっておるわけでございまして、私たちとしましては、スケトウの一万トン減、イワシ、サバの五万トンの増ということはきわめて残念であったと思っております。
#14
○戸叶武君 ソ連側は前々からマイワシにねらいをしぼっての作戦を立てておるのでありまして、ことしのマイワシ、サバの対ソ漁獲割り当て量は四十五万トンで、当初、まき網で二十二万三千トン、トロールで二十二万七千トンを漁獲することが決まっていたのです。このスケトウダラの対日割り当て量を三万五千五百トン上積みすると、見返しにトロール網からまき網への割り当て量、六万ないし十万トンに振りかえてほしいとの申し込みはいま言われたようにあったと思います。
 問題は、このスケトウダラとイワシの問題ですが、イワシは去年からことしにかけて日本は豊漁だから、イワシにおいてのソ連側の要求に応じてもよいという下心があったのか、それともイワシは、ソ連において食糧問題の危機をわれわれ以上に神経質に考えているので、今後冷害その他で二、三年間飢饉がくるかもしれないという、食糧問題に対してソ連は非常に神経質になっております。そういうところでだんだんイワシを食べるようになり、NATOのある大西洋沿岸を刺激してはならない、日本の方ならば、押せば日本というのはしまいには応ずる、多少無理がきくという意味でソ連側は押してきたのか。それともいまの、挙げられましたように船の問題、この問題で、やはりスケトウダラの問題でも減船ということになると失業者も出るし、いろんな点が大変だというので、大企業の漁業会社を中心に、船の問題中心に農水省では問題を配慮したのか、そこいらの関係に対しては巷間いろいろなことが伝えられておりますが、もう少し明快にひとつお答え願いたいと思います。
#15
○政府委員(今村宣夫君) ソ連の主張は、いま私が申し上げましたように、スケトウの資源の状態がきわめて悪化しておる、そこでソ連は大体三十万トン分を減船をしなければならない、したがって日本においても十万トンを受け持ってもらいたいという主張でございました。したがいまして、私たちとしましては、そういう主張をする以上はソ連としてもどれだけスケトウをとっておって、そうして全体の量はこうであり、あるいはまた地域別といいますか、どれだけアメリカの海域でとっているか、そういうことをはっきりしてもらわないとそれを了承するわけにはいかぬと反発をいたしたのでございますが、とにかくスケトウにつきましての資源状態を非常に強く、それに伴います減船問題を非常に強く言っておりました。これは、ソ連の二百海里内における操業の状況というのは私たちつまびらかにしないのですけれども、一つの足がかりとして見られますのは、ソ連がアメリカの海域でどれだけスケトウの割り当てを受けておるかということを見まするに、だんだんにスケトウの割り当て量が減ってきております。そういうことも一つの要素ではないかというふうに推測ができるわけでございます。
 片や、イワシ、サバにつきましては、大体スケトウとの比率でいきますと、価格関係で、かん詰めで見ますと大体スケトウの三倍ぐらいな値段がいたしておるわけでございますから、ソビエトはイワシ、サバにつきましてきわめて重大な関心を持っておるわけでございます。これは先生御指摘のように、食糧問題等もございまして、ソビエトにおきます魚の消費ということについての関心が非常に高まっておることもその要素であろうかと思っておる次第でございます。
#16
○戸叶武君 ソ連側はまき網でマイワシを獲得しつつある。それで二千トン以上の大型船を含むソ連の大船団が、日本の沿岸にあらわれてくる結果になっておるのでありますが、ソ連のまき網漁船はことしは前年を十六隻も上回って百四十五隻が操業している状態であります。大西洋水域からまき網漁船を日本の沿岸に回航しようとする企てがあるというふうに専門家は見ております。現に二千トン級最新鋭の十隻の大型船の製造をポーランドに発注しているとのことで、そのうち二隻は完成しております。スウェーデンにおける造船技術は非常に伸びておりまして、その対岸のポーランドにおいてもそれに刺激され、デンマークにおいてもその下請業がドイツからの技術とスウェーデンからの技術を受け入れて進んでおります。ヨーロッパにおけるNATOの防衛体制は強力であり、各国を刺激してはまずい、日本の方ならば日本だけのことで料理はやすいというふうに見られているのが一つと、もう一つは、日本の漁業関係の企業がやたらに買いあさりをやる。かまぼこの製造技術なんかというものはソ連においては発達しておりませんが、結局、アメリカでもカナダでも日本の過当競争によって、かずのこにおいてその典型が見られるように、日本がばか値で買っていく、これを握っておればという形がそこに逆に出てきているんではないかと思いますので、日本の漁業問題に対する構えというものは、もう少し――農林省は米のことばっかり追っかけていて、海洋資源のことに対して、専門的な見地から、また一国の食糧政策の観点からメスを入れてなかった。そういう意味において、流通部門において、日本の要するに自動車の競争、あるいはその他のいまの過当競争を見ればわかりまするが、日本には一個の国策がなくて、ばらばらになって、そういう世界じゅうからエコノミックアニマルの不信感を受けている。そのすきをうかがって、私はソ連にもアメリカにもカナダにもばかにされているんじゃないかと思いますが、今後日本の漁業政策に対してどのような対策を練るか、これは大来さんが、「よしきた」と言って取っ組めば「おうきた」と言って答えは出てくるんだから、(笑声)そこらはやはり新規な一つの発想が必要だと思いますが、大来さん、銭の方ばかりを勘定しないで、やっぱりそういう方面も、エネルギー資源とともに食糧資源というものは重大ですが、特に漁業の問題はいままでおろそかにされていたんですけれども、あなたはどういうふうにこれに対する、転換の発想の名人ですから、転換の発想はどういうものか見本を示してもらいたいと思います。
#17
○国務大臣(大来佐武郎君) いまの戸叶委員の御質問はやはり水産庁でお答え願った方がいいと思いますので、私の専門分野ではございませんが、食糧問題、特に漁業資源の問題は、二百海里時代という新しい時代を迎えまして、その情勢に応じて考えなければならない。以前、私もある勉強会で、ソ連が水産物の需要を非常に高めていると、それは国内の食糧で特にたん白質の食糧として、畜産物ですと穀物、人間の穀物と競争すると、水産資源であれば海からとってこれるというようなこともあって、近年ソ連側が魚を重視するようになってきておるというようなことも聞いておりますが、やはりこの二百海里の時代におきます日本の水産業なり食糧資源のあり方、国内及び国際を通じていろいろ考えてみるべき問題があるように存じます。
 これ以上はやはり水産庁の方からお答えを願った方がよろしいと思いますが。
#18
○政府委員(今村宣夫君) 御指摘のように、魚は動物性たん白質の半分を供給をしておるわけでございますから、水産資源の保存あるいは確保という問題は、御指摘のとおり、きわめて重要な問題であると認識をいたしております。同時にまた、二百海里時代におきます水産のあり方ということにつきましても、これは十分今後検討をしてまいらなければならない問題であるというふうに思っております。
 従来、魚はただでどこへ行ってもとれるというふうな認識ではいけないわけでございまして、やはり相手国の二百海里内において秩序正しく操業をすると、同時に、相手方との交渉によりまして海外におきます割り当ての確保と申しますか、そういうことについて特に努力を要する状態に相なっております。と同時に、いままでのようなとる漁業からつくる漁業へと申しますか、そういう栽培という観点からの水産業の振興ということは、これはきわめて重要になってまいっておりますので、私たちといたしましては、そういう二百海里時代に即応する水産のあり方ということにつきまして、基本的に勉強をいたしますために、現在そういう研究会を開いて検討をいたしておるところでございます。
#19
○戸叶武君 水産庁長官にもう一つ承ります。
 マイワシ、サバの対ソ割り当て量は、一九七七年以降、二十万トンから三十一万トン、四十五万トン、来年は五十万トン、三年間に二倍半も激増しているのであります。この状態が続けば、日本はいつでも土俵を割って、ずるずると押しに任せて、どうも私のくにの相撲取りの玉ノ富士みたいに、突っ込みが足りないでどうも大関や横綱になれない、力があっても気合いがかかってないところに欠点があるようですが、今後、このような押され、受けの相撲だけで――ぱっと飛び込んだ瞬間に相手を圧倒させるような気合いのこもった漁業対策はできませんか。
#20
○政府委員(今村宣夫君) 私たちも気合いのこもった漁政を推進をしたいし、またしなければいけないと思っておるわけでございます。
 そこで、先生御指摘のように、この数年間にソ連のイワシ、サバの漁獲量がふえてきたことは事実でございます。ただ、まあ六十五万トンのうちで五十万トンという形に相なっておりまするから、これソ連としても、イワシ、サバばかりとるというわけにはまいらないわけでございますから、六十五万トンという枠の中で考えればもう土俵の後ろは余りないかっこうでございますので、押されましても余り後ろがございませんから、そういう意味合いにおきましては、十分に先生の御指摘の点を配慮して対処していかなければならないというつもりでございます。
#21
○戸叶武君 農水大臣がお見えになった模様でありますから、ひとつ一点だけお伺いします。
 やはり日本の食糧問題で重要なのは米だけじゃないんです。それから魚も重要視しなければならないけれど――大体農林省でいままで偉くなるのは、米いじくっていた連中と、山林関係で、選挙費は大体国有林の間伐や何かで、秋田と北海道で償ってくれるというような農林官僚がおおむね参議院議員に当選したんです。これはもうみんな選挙違反の名人でした。そういう組織と金とこたえられない宝庫を持っていたが、その間に居眠りしてたのかどうか、農政というものはおろそかにされて、あなたはしりぬぐいの段階にきているんで本当に気の毒と思いますが、今後は、やはり水産庁なんかにも人材がいるんですから、それを活用して、グローバルな時代ですから、海外にもう日本が海賊のようなまねもしているのですから、やはりそういうところに通暁して、いやがられないでうまくやっていけるような方法を講じて、日本から学ばなければならないという恩恵を施す、徳を施すほど得なことはないのです。権謀術策と権力を使ったやつは必ず滅びるのです。
 ところが、総理大臣をやった人たちの人相見てごらんなさい、みんな悪い人相、昔の方がいい人相だったのに気の毒だと思うような人相になってしまいますから、せめて魚ぐらい安心して食べられるような、やはりサンマの頭でも頭は頭なんだから、そういう点で重要問題は海のやつばかりじゃなく、それから養殖技術は日本が一番ですから、アムールあたりでもソ連と一緒に開発やってごらんなさい、かずのこなんか余って捨てるほどとれますよ。
 遠慮しているからいけないので、先手を打って、領土問題は領土問題として別個ですが、アムール開発に対して日本の水産業者はこういう増産計画を持っているぐらいにぶっつけて、向こうで断られたってそれまでですから、どぎも抜いて、先手必勝の術をいじけていないでやってもらいたいこと。
 もう一つは米もそうです。良質米をつくるというけれども、米を主体としたいろいろな変化ある食べ物を世界じゅうに、――すしも一つですが、一番原始的な食べ方ですよ。チンパンジーの食べ方、あれと同じですよ。こうやってやって、こう入れて、こうやる。原始的な食べ方だけれども、あの日本のすしが世界じゅうを席巻しているじゃないですか。
 そういう意味において、もう少し、山林地主のごきげんとったり、米の技術者も品種改良といって、ろくなおいしい米もできない北海道まで行って――大体米さえつくっていれば、農業共済によって、ほかの作物をつくるよりは七割程度の金をもらえるんだから、一粒もとれなくてもこの方が金になるというような思想を普及させた農林省の責任ですよ。これはそういう点において、あなた思い切って、いままでの悪因縁が余りないんだから、やっぱり中川君や渡辺君のは鈍刀で、気合いだけはかかっているけれども本格的な農政との取り組みはないが、あなたは生まじめのようだし、ひとつやってくださいよ。大臣からの御答弁、決意をお願いします。
#22
○国務大臣(武藤嘉文君) 戸叶先生から大変御激励もいただき、また御高説をいただきまして本当に恐縮に存じております。
 私どもたまたま、御承知のとおり、一九八〇年代の新しい農政をつくり上げるということで、いま農政審議会にもいろいろ御相談をいたしておるわけでございまして、いま御指摘のように、どうもいままでは少し後ろ向きの政策に忙殺されておるような感じでございます。ひとつ思い切って来年からは前向きで農政に取り組んで、本当に農民も希望を持ってやってくれる、また消費者も農業に対して非常に理解してもらえる、こういうようなものをつくり上げていきたいと思っております。
 水産業についても同じことでございまして、いま御指摘のように日本の養殖技術は大変すばらしいものでございまして、私は積極的に、これからの水産業は確かに遠洋漁業で新しい漁場を確保するということも一つの大変大切なことでございますが、何にしても二百海里時代に入ったわけでございますし、これからはとる漁業よりはどちらかと言えば育てていく漁業という考え方で思い切って進めていかなければならないし、でき得ればそれを世界の国々にも及ぼしていくべきではなかろうか。
 いま現実に、インドネシアあるいはタイその他ASEAN諸国におきましては、相当日本の水産技術によって養殖栽培がなされておるわけでございますし、でき得ればいまのアムールの問題も、それはどぎもを抜くということでございまして、こちらが強引にいけというお話かもしれませんが、やはりこれは、ここも外務委員会でございますが、外交というのはやはり相手もあることでございますから、相手がよく御理解をいただける上においては私はどこの国とでも積極的に取り組んで、そして日本の水産技術をより外国にも協力をさせていただいて、そして世界の国々が栽培漁業と申しますか、いままでのようにただとってしまうだけではなくて、育てていって、そして将来のそれぞれの国民のいわゆる食生活における動物性たん白質の一端を占めておる魚を確保すると、こういう形に努力をしていかなければならぬと考えておるわけでございまして、いまの御高見を十分これから尊重いたしましてやらせていただきたいと思います。
#23
○戸叶武君 最後に外務大臣に、ソ連との漁業の問題だけに埋没をしていないで、一番基本的なのは漁業の問題から具体的には手探りをしていくのがいいですが、漁業問題に対する交渉でもソ連がずいぶん素直に明るさを取り戻すことができたというのが交渉に当たった人のこれは見解ですから、私もECに行ったついでにモスクワへ来てくれということを幾たびか頼まれておりますけれども、私はウサギ小屋に住んでいる日本人だから、このウサギのような耳にソ連人がなって謙虚にわれわれの言うことを聞いてくれる段階が来るまでは、また一九六四年に行ってミコヤンとスースロフ相手に固有の北方領土を返せと言ってクレムリンでけんかしたようなことをやると、年じゅうけんかしに来るんだろうなんて鼻つまみにされるから行かないと言っていましたけれども、一番最悪の事態が一番私はチャンスだと思うんです。これは石油の問題だって、なかなかソ連だって内部に痛しかゆしの面があるし、それから食糧問題でもアメリカのきげんをとっていたり、日本と仲よくしていなければ今度は自分の心臓部のヨーロッパが大変ですよ。東方に出てきて、あの田舎の人をおどかすようなデモンストレーションをやっている段階じゃなくて、自分の本拠に火がついたらソ連はヨーロッパから崩壊しますよ。そういう意味において、ソ連でもアメリカでも思い上がった一つの大国主義を振り回して力の外交を押し通せないということが――一流の政治家は、私は、ソ連だってアメリカだってつまらぬやつもいるけれども、やっぱり中にはスースロフでもブレジネフでも会ってみてやはり相当なやつですよ。ただ、革命を成就してスターリン批判までフルシチョフなんかでやらせたレーニン研究所の所長であり、レーニン大学の学長であったスースロフなんかというのは、守りの姿勢だから固くなって、一応は自由化に行き、そしてまた、この貝のふたを閉じたり、ソ連の持っている内部的弱点を知っているからしているけれども、戦争ができない、大戦争は米ソ間においてもできない。しかし、どこにでも戦争に類似した、イランを中心とした戦争と同じような石油戦争を起こしたり、食糧戦争を起こしたりした日には世界は破滅ですよ。
 そういう意味において、どうも農林大臣の答弁も前向きだったが、前向きではやっぱり大来さんが専門家だから、やっぱり見通しの上に立って日本は確固たる、いま外務省でもやっておられる平和共存路線を押していく以外に、世界の世論を背景として動く以外にやはり日本の活路はないというところまで私は来ていると思いますが、あとは政治家の任務ですよ。やっぱりいまの大平内閣――どうも大平さんの目を見ていると、あいた目もあるし、あかない目もありで、安部磯雄さんもああいう目つきをしていましたが、安部さんのより少しさえてないな。やはりわれわれもそうだけれども、眠たいときは眠らないで目をつぶっているのも一つの方法かもしれないが、物を言わなければやはり対話はできないですよ。失敗したら、失敗したと言ってあやまるんです。そういう意味において、やはり私はいまの大平内閣において、大平さんというのは受身のわかりのいい人だから、大来さんでも農林大臣でもやっぱり筋を立てていこうという構えだけは持っているんだからあとは勇気ですよ。敢然としてやはり日本はよその人たちが耳を傾けてくれるような正論をはいて、別に盾突くわけじゃないけれども、あとで危いときに日本に救われたわいと言ってソ連もアメリカもほっとするような、日本がこれで変な出兵をしたり軍事的に加担をしたら発言力がなくなってしまいますから、どうぞそういう意味で、大平内閣の中にも、未来をかち取ろうという政治家があるんだという証拠を具体的に国会においても示すような言動をしてもらいたい。それを外務大臣からお答え願いますが、ここの外務委員会に来ているがゆえに、共産党の立木君なんかも――ただ立木じゃない、あれは生きています。やはり宮本君を連れて行って領土問題でスースロフと一歩も譲らないだけの発言を共産党すらやれるような共産党になりつつあるんだから、あと共産党のまねをしている連中が祖国を愛し、祖国に責任を持たなければどうして世界平和を具体的に達成することができるか。もっと、主権者は国民なんだから、ロシアのようなプロレタリア革命という形での共産党の独裁じゃないんだから、そういう意味において、私は日本の政治というものはもっと大人にならなくちゃいけない、もっと具体的な事実を突きつけていかなくちゃならぬと思いますが、立木さん、共産党すら変わるような世の中に、自民党さんでも――社会党とは遠慮して言いませんけれども、中にはいろんな考え方をまちまち持っている人もあるようですけれども、もう少しやはり日本の国民に合意を得られるような外交なり政治がなされなけりゃ日本は本当に危ないと思います。ひとつ外務大臣。
#24
○国務大臣(大来佐武郎君) 大変含蓄の深いお話を承ったんですが、私もかねがね感じておりますことは、やはり日本人というのは世界の数多くあるいろいろな国民の中で、やはり一番生産的な国民の一つじゃないか。事実三十何年前の敗戦の焦土の中からこれだけの経済力をつくり上げた。資源もない国でございますが、非常にそういう生産的な能力のあることをいままでの実績が示しておりますので、これはまあこれからは単に国内で生産を上げるということだけでなくって、世界じゅうの生産を上げることに日本人が役立つ、破壊ではなくて生産に役立つ国民だということが世界に広く認められてくれば、これはやはり日本の外交も非常に積極的な面を持ち得るんじゃないかと。そういう意味で、先ほどのアムール川の養殖問題、非常におもしろい御発想だと思いますし、世界のいろいろな地域で生産をふやすことに日本人が寄与する、そういう面がこれからの外交の一つの行き方にもなるかと考えますので、いろいろ激励をいただきましたが、どの程度のことができるかこれはわかりませんが、各方面の御賛同があればそういうことでできるだけ前向きに努力してまいりたいと考えるわけでございます。
#25
○渋谷邦彦君 今回の漁業交渉も、毎回そうであったわけでありますけれども、実にはらはらさせられた、きわめて忍耐と努力を要求されるような場面の繰り返しではなかったろうかというふうに思うわけであります。こうした経過の中で、日本がかねがね提唱してまいりました長期締結、これが今回もむなしくソ連側の反対に遭って実を結ばなかった。これが一つ。
 それから、交渉それ自体の中でも、幸い減船は避けられたものの、果たしてそれが将来においても保障し得るようなことが考えられるのかどうか。あるいは来年、再来年と年がかわるごとに、あるいは漁種ごとの割り当て量の削減であるとか、さまざまなこれからの事態の変化というものが想定されるように思うわけであります。今回、そうしたようないろんな貴重な経験の上に立って、従来の漁業交渉を通じ、長期締結への展望が望めないかどうなのか。そしてまた、七十五万トンという総量においては維持でき得るものなのかどうなのか、そうした点について、実際にその衝に当たられた水産庁長官ですか、所信のほどをまず伺ってから問題点に入っていきたいと思います。
#26
○政府委員(今村宣夫君) 協定の長期化ということは操業の安定化の重要な要素でございますから、私たちとしましては、協定の長期化につきまして外務省を中心にしてずいぶんこれを主張をいたしたのでございますけれども、残念ながらソビエトの受け入れるところとならないわけでございまして、片や日本としましては、協定を締結をいたしまして国会の御審議をいただかなければならないという時間的な制約もございまして、今年やむを得ず一年の延長ということに相なったわけでございますが、お話の協定の長期化ということにつきましては、今後とも外務省を中心にしまして、私たちはそれについての努力を傾注をしたいと思っているわけでございます。
 第二番目の七十五万トンは将来とも確保できるのかと、スケトウの減船になるような事態はないのかということでございますが、これはことしの交渉を踏まえて考えますと、七十五万トンは昨年の数字を、総枠を確保し得た――中身はいろいろお立場によって御批判があると思いますけれども、確保し得たということから考えまして、われわれとしては七十五万トンを将来とも確保をしていきたいし、また確保するという最大の努力をいたすつもりでございます。
#27
○渋谷邦彦君 いまお答えをいただきました中で長期協定、これは何とか妥協案が出せないか。たとえば日本政府側としては従来五年ぐらいの長期協定ということを想定しておったようでありますけれども、なかなかソビエト側のいろんな理由があるんだろうと思いますが、その理由もお聞かせをいただきたいわけでありますけれども、五年が無理ならばあるいは三年ぐらいでもいい、段階的に長期化への方向の糸口は見出せないものかどうなのか。これはもう今回に始まったことではございませんね。もう何年も繰り返しこのことを提唱をしながらその都度拒否されている。もちろんこの暫定協定を結ぶときに交渉するのではなくして、先ほども長官御自身から、外務省とも十分に連携をとりながら常時長期化へのコミュニケーションというものを十分取りつけていきたい、それが果たして具体的に推進された経過があるのかどうなのか。それはもう国会の承認も得なければならないという物理的なそういう面を考えますと、それはもう中途半端なそういう申し入れ程度のことで終わってしまうと、これは毎回繰り返しなんですよ。そういうことは多年の苦い経験を踏んでこられておりますだけに、もうそろそろこの辺で突破口が開いてもいいのではないだろうかという素朴な疑問がやはりぬぐい切れないわけですね。で、いま申し上げたように、段階的でも一年を二年にする、二年を三年にするというくらいのところからなし崩しに長期化への方向へ持っていけないのかということが一つ。そしてまた、ソビエト側として、そうした日本側の提唱を断らなければならないという背景は一体どこにあるのか。この二つを重ねてきょう確認しておきたいと思うんです。
#28
○政府委員(武藤利昭君) 最初の御指摘がございました、協定を長期化するためにいろいろ工夫の余地があるのではなかろうかという点につきましては、まさにそのような観点からいろいろ工夫をいたしまして、たとえば三年ぐらいの期間ではどうかという提案もまずしたわけでございます。それで、それにもかかわらずソ連側ががんとして応じませんでしたので、またその次の工夫といたしまして、それでは一応一年の延長にするけれども、それに自動延長条項を入れて、それでどちらか一方が異議を申し立てない限り延長すると、つまりどちらかが異議を申し立てればそれは延長できないのであるから、ソ連側の言う心配はそれで解消されるのではないかというような、そういうようなフォーミュラも提案してみまして、手をかえ品をかえ交渉をしたのでございますが、残念ながら従来どおりの一年ぽっきりの延長ということしかソ連側はがんとして応じなかったわけでございます。
 それで、その理由といたしましてソ連が挙げておりましたことは、現在結んでおります協定――暫定協定でございますが、それはソ連側におきましては、ソ連側の二百海里法でございます最高会議幹部会令に基づいて締結していると。ところがその幹部会令自身が海洋法ができるまでの暫定措置である、海洋法の結末がどういうことになるか、その帰趨が明らかでない現時点なおいては協定の長期化ということは基本的にできないのである、というのがソ連側の言い分でございます。
 そこで先ほど、今後の見通しについてはどうかという御質問があったわけでございますが、ソ連側の言い分がこういうことでございますので、もちろん今後とも毎年、長期化については鋭意折衝を続ける所存ではございますけれども、近く海洋法の方も結論が出るということになってきておりますし、海洋法が成立すればソ連側が申している理由ということは消滅することになるわけでございますので、少なくともその時点におきましては協定の長期化ができるということになるのではなかろうかというのが現在の私どもの判断でございます。
#29
○渋谷邦彦君 海洋法の成立ということも、これは当然いまお話しのとおり急がなければならない問題でございましょうけれども、これは前国会でも幹部会令というものは問題になりましたね。これはあくまでも原則であって、ソビエト側としても弾力的な運用ということを考えていただいてもよろしいんではないかという――日本流に考えれば、法律があって、その法律はやはり弾力的な運用ということも考えられるわけでございますので、そういったことは一概に、相手の国のことでございますから、われわれが考えているようなぐあいにはまいらないかと思いますけれども、いずれにしても、海洋法の成立というものがいつ行われるかということの見通しもまだ立たない、定かでない、こういう状況でありますと、まごまごしておりますと、また一年過ぎてしまうんですよね、これは去年の場合もそうでございました。そういったことは、私があえていまここで申し上げなくっても、十分当局としてはそれを受けとめていらっしゃるわけでございますので、やはり漁民の安全操業ということを考えますと、そうしたことがやはり焦眉の急ではなかろうかということが言えるわけでございます。ぜひともそういう方向へ立って不断の努力をしていただきたい。
 この暫定協定が出ますとこれに関連して、前回も私申し上げたんですが、どうしても気がかりな問題がまた起こるんです。これはソ連水域――漁業水域における日本漁船の拿捕という問題です。これは残念ながら五十二年以降ずっと見てみましても、日本漁船が拿捕された件数といい、それから払った罰金額といい、もう逐次増加の一途をたどってふえつつある。それに引きかえてソビエト側は、もう非常に少ない。この余りの大きな隔たり、いろいろ未解決の問題が介在しているのではなかろうかというふうに思えてならないわけであります。こうした問題、漁民の暮らしを脅かすことは言うまでもありませんし、それがひいては消費者生活に対してもいろんな意味で影響を与えずにはおかない。これは言うまでもないことであります。
 さてそこで、ソ連のいわゆる二百海里水域の中における現在の日本漁船の拿捕状況ですね、実際また起こっているトラブル、未解決のトラブル、そういうものがどういう状況になっているのか、この機会にお聞かせをいただきたいというふうに思います。
#30
○政府委員(武藤利昭君) 北方水域におきますわが方漁船の拿捕件数及び抑留者数でございますが、昨年は十四隻、七十五名であったわけでございますけれども、本年は現在までのところ十六隻、七十二名ということになっております。ただ、この抑留された方たちも逐次釈放されてまいりまして、現時点では七名の漁船員が未帰還となっているわけでございますけれども、そのうち近く三名が釈放されるという通告を受けておりまして、残るのは四名、この残られる四名の方というのはいずれも船長さんたちでございますけれども、その四名の方がいま、目下のところ釈放の見込みが立っていないという状況でございます。
 それで、日本政府といたしましては、このような北方水域における拿捕につきましては、起きますたびにソ連側に対して、それが不当な拿捕であるとしてしかるべく抗議を行いますと同時に、乗組員の早期釈放を申し入れている次第でございます。
 片や罰金につきましては、本年十一月末まで違反指摘件数が百四十六件、それから罰金支払い総額が三億六百万円となっております。参考までに従来、二、三年の実績を申し上げますと、五十二年が――半年でございますけれども、百五十二件、一億五千八百万円。それから五十三年が百一件、二億千二百万円。その後ことしに入りましてから罰金を課せられるケースがふえましたので、九月に函館におきまして取り締まり専門家の会議をやっていただきまして、ソ連側と話し合いまして改善措置がとられたということもございまして、その後は若干減少しているという傾向が見られます。
 今般、モスコーにおいて行われました交渉におきましても、取り締まり専門家グループを設置いたしまして、両方の専門家間で鋭意協議を行いまして、できるだけ今後そのような罰金を徴収されるケースが、少なくとも不当に罰金を徴収されるようなケースが起こらないように、できるだけその手続を両者間できっちり決めるということについて話し合いをしていただいたわけでございます。
#31
○渋谷邦彦君 いまの御報告がありましたとおり、依然として減ってはいないわけですね。全くないという状況じゃないわけです。いろんなことが想定されるんですね。われわれ素人が考えましても、恐らく操業している日本漁船の方々は大分もう手なれてきたと思うんですね。この二百海里水域内における操業については罰則規定だとか、やってはいけないということ等において相当配慮をしながら操業をしているんではないだろうかと。当初はずいぶんその辺が理解されないために、決して悪意に満ちたことではなくして、もう善意の中でも大分拿捕されていやな思いをしたというような事例がたくさんあるわけです。しかし、そういったことが大分解消されたとはいうものの、極端な例なんかも伝えられておるようであります。たとえばヒトデが網にかかって、それを海中にほうり投げようとしたところ、たまたまソ連の警備艇に見つかって、それは大陸だな資源を侵害するものであるといって罰せられると、これは本当に極端な例だろうと思うんです。網をかけていれば、それは禁止されているものまで引っかかってくるおそれがありますよ。まさか区分けをして網にかかるわけじゃないわけですから、それがいけないと思ってそれを海中にほうり投げるところを見つかった、それは違反ではないかと、罰金を取られる、あるいはその罰金が払えない、拘留されてしまう、こういったところが話し合いが十分でないために拿捕されている傾向が依然として繰り返し行われているのか、事実違反を犯して抑留されているのか、こういったところはどうもわれわれが見ても定かでないという気がしてならないわけです。しかも、不当な罰金をかけられて、それが裁判でもって争った際に半分ぐらいに引き下げられたというような例も伝えられているわけです。こういったことを考えますと、ずいぶんやっていることがめちゃくちゃだなと、これでは確かに安心して漁民は操業できない。こういったことは日本側とソビエト側においてもっと整理ができないのか。いま欧亜局長が答弁されましたように、逐次話し合いでもって解決されているとはいうものの、しかし現実的には依然としてわれわれの目を疑うような、これでいいんだろうかという解決の方法がとられている。この点についてはどうですか。まあ、いま私は一つの極端な例を申し上げましたけれども。
#32
○政府委員(今村宣夫君) 御指摘の違反でございますが、五十四年の違反の指摘事項を件別に見ますと、操業日誌関係が九十一件、それから区域外操業が十六件、それから大陸だなの生物資源の混獲が十一件、停船命令無視が九件ということになっています。
 一番多いのが操業日誌関係なんですが、操業日誌の記入に際しまして、故意でなくなされた、それから生物資源に直接、間接に影響をもたらさない形式的または技術的誤りというふうなものが発見された場合には、双方の意見交換の結果を考慮して警告にとどめる、罰金刑を科さないということが日ソ漁業取り締まり専門家会議で決まったわけでございます。したがいまして、その操業日誌関係の違反というのは、私たちとしましては今後相当減少をすることを期待をいたしておるわけでございまして、現に十月以降は違反件数は七件であるという形に相なっております。
 それからもう一つの混獲問題でございますが、混獲をいたしましても意味のないヒトデ、ヤドカリ、それから若干の非有用性水産物が偶然にまた故意でなく混獲される場合がございますので、これらが漁船の中に、または漁具に少量存在したからといって、当該漁船の船長に対し罰金刑を科さないということも取り決めてございます。
 その他、停船命令のやり方でございますとか、いろいろなことにつきまして、専門家の間でこの問題を一つ一つ詰めていっておるわけで、今後もさらに努力を重ねていきたいと思っておるわけでございます。
#33
○渋谷邦彦君 われわれとしては願わくばこうした不幸な事態は一件もないことを望みたいわけですね。故意であるかどうかということは、なかなかその判定というものは、主観的な立場をとっての判断というものが先行するだろうと思うんですね。件数が減ったとはいうものの依然としてあることは事実です。その点について、操業する日本の漁民がソ連の二百海里水域内におけるやってはならないということの内容について、周知徹底というものが依然としてなされていないのかどうなのか。もう大分年数がたっておりますので、何をしてはいけないということについてはもう十分熟知している段階ではないかと思うんですけれども、それにもかかわらずこういう問題が不幸にして起こるということは、どんな理由によって起こっているかということなんですがね。
#34
○政府委員(今村宣夫君) 私たちもそういう漁民の方々に対する周知徹底はずいぶんいたしておるつもりでございます。また、先ほど申し上げましたような操業日誌の軽微な、故意によらない違反でありますとか、ヒトデ問題というのは一つ一つ片づけていくつもりでございますが、区域外操業とか停船命令違反というふうな案件は、これはなかなかちょっと処理に因る案件でございまして、まあ、漁家の方々はつい魚を目の前にして追いかけていっている間に操業区域をはみ出したというふうなケースもやはりある。で、そこはひとつ十分心得て操業をしていただくように今後とも私の方でよく周知徹底方を図りたいと思っておるわけでございます。
#35
○渋谷邦彦君 かつて私、ここで問題にしました問題の中で、要するに言葉がよく通じないというような問題がありまして、まあ海上保安庁の警備艇にはソビエト語の達者な人を乗せるとか、直ちにその現場に急行して話が十分できるというような措置をとることも一つの方法ではないかということを申し上げたことがございました。しかしまあ現実にはなかなかそういう方々、専門家というものを乗っけるということは大変だろうとは思うんですけれども、その辺の整備状況によってはもっと減少への方向というものが――やはり意思が十分疎通いたしませんとこちらの言い分が向こうで納得できないという、これは当然のことだと思うんですね。こういったことがあるかどうかという問題が一つ。
 それからもう一つは、これは大変むずかしい問題になってきたんですけれども、これは外務省にちょっと関連がありますが、前園田大臣がおやめになる前に、九月の初めごろだったでしょうか、北方領土の視察に行かれたときに、道庁かあるいは根室支庁かどこかにおいて、地元の陳情者を前にいたしまして、今後操業においていろいろな不測の事態があったときに機敏な対応ができるためのやはり働きをする必要があるだろうと、そのためには外務省の出張所を道庁あたりに設けることの検討をしたいと、――しかし昨今、各役所の縮小ということがしきりに言われている、また緊縮財政の中で大変むずかしい問題ではあろうかと思いますけれども、そうしたことを頭の中に入れながらもこういった問題の解決を図る方途として、外務省はどう考えておるか。いま問題二つ提起しておりますので、これをどちらからでも結構ですからおっしゃっていただきたい。
#36
○政府委員(武藤利昭君) それではまず北海道に外務省の職員を派遣するという件につきまして、私の方から御報告させていただきます。
 前園田外務大臣が北方領土視察のため北海道に行かれましたときに、北海道に外務省員を派遣するということを検討しようとおっしゃいましたことは、ただいま御指摘のとおりでございまして、その後、事務当局におきまして鋭意検討中でございます。鋭意検討中と申しますのは、まさにいま先生から御指摘がございましたとおり、行政簡素化ということが要請されている現在でございますし、財政難の問題もございますし、それから外務省の定員の問題、外務省自身大変いま人手不足に悩んでおりまして非常に定員難であるというようなこと、そのような状況のもとにおきまして、どのような対処ができるかということについていろいろ工夫しているというのが現段階でございますが、地元の方の強い要望もございますし、外務省といたしましても北海道に外務省員を置くということの意義は認められますので、何とかうまい知恵を出したいと目下工夫しているというのが現状でございます。
#37
○政府委員(今村宣夫君) 取り締まり船に通訳を乗せたらどうかというお話でございますが、水産庁の取り締まり船で北方に行きますものにつきましては、ことしから予算をとりまして通訳を乗せております。海上保安庁におきましても所要の措置をとっておると思いますが、御存じのように、海上保安大学校ではロシア語の講座がございます。まあどの程度かはちょっと私もあれですけれども、そういう措置を講じております。
#38
○渋谷邦彦君 最後に一点だけ、これも確認しておきたいわけでありますが、この北洋漁業の問題が出ますと必ずといっていいくらい問題視されるのは、韓国漁船の北海道水域における乱獲に近いような現在の操業です。二、三日前だったですか、武藤農林水産大臣の談話が出ておりまして、来年一月早々に水産庁長官を韓国に派遣をして、韓国側の自主規制というものを十分守らせるような話し合いを強力に行いたいと。最近まあ頻繁として言われております中では、申し上げるまでもなく、カレイだとか何かの刺し網が韓国漁船によってずたずたに引きちぎられて、非常に困惑をしていると、この問題を二百海里法に当てはめてやってしまうといろいろな問題が出てくることはわれわれも十分承知をしているわけです。これを強行すれば、今度竹島を中心とした韓国水域における西部方面の日本漁民の問題がまた火を噴いてくる。非常に痛しかゆしの問題は両面に持っているわけです。しかし、最近統計的に見ると、年間に二百数十万トンの漁獲を韓国漁船がやっておる。こういったことも何らかの方法で調整をとる必要が出てきているんではないだろうか。これはもうしょっちゅう問題になりながら絶えず交渉しなければならない。交渉したかと思うとまた同じ問題の繰り返しということでは、これはもう北海道水域はもとより、東北の沿岸あたりにかけても同様のことがやはり言えるのではないだろうか。専門省である農林水産省あたりは十分その辺は、長年のいままでの経過から考えて、どうすれば一番いい方法が、最善の策がとられるかということについては日々頭を悩ませていらっしゃると思うけれども、何とかやはり具体的な方向というものを見出しませんとどうにもならぬだろうということをまとめて、これは外交折衝もあるだろうと思いますので、これを最後に締めくくりの質問といたしまして、御答弁をいただいて私の質問を終わりたいと思います。
#39
○国務大臣(武藤嘉文君) いま御指摘の点につきましては、北海道におきましても、あるいは山陰沖におきましても、北陸沖におきましてもいま大きな問題になっており、それぞれの地域の漁民が非常にお困りになっていることはよく承知をいたしております。そしてなかなか解決をするといいながら今日まで長引いておることについても大変遺憾に存じておりまして、私といたしましてはこの問題に積極的に取り組んで、そしてどこにどういう問題があるのか――この間韓国からは、幸い、多少いままでよりは一歩前進した自主規制の案も出してまいりましたけれども、これで決して十分なものではございませんので、今度水産庁長官を一月に派遣をいたしましたときには、その辺すべてを過去のことから現在のことから、あるいは向こうのどういう考え方でいるのかという点についても十分ひとつ向こうの考え方を聞きまして、それを分析をしながら外交ルートでこれをお願いすべきものはお願いし、また私どもの方でやるべきことについては私どもの方でひとつしっかりした考え方のもとにやっていきたいと、こう考えておるわけでございます。
#40
○国務大臣(大来佐武郎君) 外務省といたしましても、この問題につきましては水産庁と密接な連絡をとりながら、先方との交渉を進めてまいりたいと思います。まあできるだけ両方の水産関係当局の間での話し合いがつくことが望ましいわけでございますが、必要でございましたら、将来やはりもう少し幅の広い日韓関係の中でこの問題もある程度交渉するという必要もあるかと思いますが、まず来年の一月の水産庁の交渉の模様を承って、外務省としてもその後の対策を考えたいと思っております。
#41
○委員長(石破二朗君) 他に御発言もないようでありますから、質疑は終了したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 まず、北西太平洋のソヴィエト社会主義共和国連邦の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件を問題に供します。
 本件に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#42
○委員長(石破二朗君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、日本国の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件を問題に供します。
 本件に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#43
○委員長(石破二朗君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、両件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#44
○委員長(石破二朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十六分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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