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1979/03/27 第91回国会 参議院 参議院会議録情報 第091回国会 地方行政委員会 第5号
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1979/03/27 第91回国会 参議院

参議院会議録情報 第091回国会 地方行政委員会 第5号

#1
第091回国会 地方行政委員会 第5号
昭和五十五年三月二十七日(木曜日)
   午前十時三十八分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十六日
    辞任         補欠選任
     北  修二君     夏目 忠雄君
     三浦 八水君     加藤 武徳君
     衛藤征士郎君     坂野 重信君
     村沢  牧君     小山 一平君
 三月二十七日
    辞任         補欠選任
     坂野 重信君     衛藤征士郎君
     夏目 忠雄君     高平 公友君
     戸塚 進也君     降矢 敬義君
     野口 忠夫君     吉田 正雄君
     小山 一平君     広田 幸一君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         後藤 正夫君
    理 事
                衛藤征士郎君
                金丸 三郎君
                佐藤 三吾君
                神谷信之助君
    委 員
                加藤 武徳君
                金井 元彦君
                鈴木 正一君
                高平 公友君
                鍋島 直紹君
                降矢 敬義君
                山内 一郎君
                志苫  裕君
                広田 幸一君
                吉田 正雄君
                阿部 憲一君
                上林繁次郎君
                江田 五月君
   衆議院議員
       地方行政委員長  塩谷 一夫君
   国務大臣
       自 治 大 臣  後藤田正晴君
   政府委員
       国土庁地方振興
       局長       四柳  修君
       自治大臣官房審
       議官       矢野浩一郎君
       自治省財政局長  土屋 佳照君
       自治省税務局長  石原 信雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        高池 忠和君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○過疎地域振興特別措置法案(衆議院提出)
○地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(後藤正夫君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨二十六日、村沢牧君、三浦八水君、北修二君及び衛藤征士郎君が委員を辞任され、その補欠として小山一平君、加藤武徳君、夏目忠雄君及び坂野重信君が選任されました。
 また本日、坂野重信君が委員を辞任され、その補欠として衛藤征士郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(後藤正夫君) 理事の補欠選任に関する件についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(後藤正夫君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に衛藤征士郎君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(後藤正夫君) 過疎地振興特別措置法案を議題といたします。
 まず、提出者から趣旨説明を聴取いたします。衆議院地方行政委員長塩谷一夫君。
#6
○衆議院議員(塩谷一夫君) ただいま議題となりました過疎地域振興特別措置法案につきまして、提案の理由及びその内容の概要を御説明申し上げます。
 御承知のように、現行の過疎地域対策緊急措置法は、人口の過度の減少を防止するとともに地域社会の基盤を強化し、住民福祉の向上と地域格差の是正に寄与することを目的として、昭和四十五年に超党派で提案し、制定されたものでありますが、この三月三十一日をもって有効期限が経過しようとしております。
 これまでの間、本法に基づく施策の積極的な推進の結果、過疎地域においては、生活環境等については、逐次改善され、人口の減少もようやく鈍化の傾向を示してきておりますが、他の地域と比較して公共施設等の整備水準は依然低位にあり、住民の医療や雇用の確保など過疎地域に残された課題は少なくなく、また、長期間にわたる人口の著しい流出の結果、地域社会の基盤が弱まり、その機能が低下するとともに、人口の老齢化という新たな課題も生じております。
 このような実情にかんがみ、今後とも引き続き過疎地域について生活環境、産業基盤等の整備に関する総合的かつ計画的な対策を実施するために必要な特別措置を講ずることにより、これらの地域の振興を図り、もって住民福祉の向上、雇用の増大及び地域格差の是正に寄与しようとするものであります。
 以上がこの法案を提案いたしました理由であります。
 次に、その内容について御説明いたします。
 第一に、過疎地域の範囲についてでありますが、国勢調査の結果による昭和五十年人口の同三十五年人口に対する人口減少率が二〇%以上で、かつ、昭和五十一年度から同五十三年度までの平均財政力指数が〇・三七以下の市町村の区域としております。
 なお、本法案では沖繩県の市町村をも新たに対象とするほか、今後国勢調査が実施され、同様の要件に該当することとなる市町村も追加することとしております。
 第二は、過疎地域振興計画についてでありますが、過疎対策を総合的かつ計画的に推進するため、過疎地域振興方針に基づき、市町村及び都道府県は、それぞれ過疎地域振興計画を策定し、相互に協力して過疎対策事業を実施していくこととしております。
 第三は、過疎地域振興のための特別措置でありますが、国の負担または補助の割合の特例や過疎債の発行等の財政上の特別措置を講ずることとするほか、新たに老人福祉事業及び地域の実情に即応する医療の確保のための施設に対する助成措置、地場産業の振興のための財政措置、中小企業者に対する資金の確保、小規模小中学校における教育の充実について適切な配慮等を行うこととしております。
 第四は、本法案の施行についてでありますが、本法案は、昭和五十五年四月一日から施行し、十年後の昭和六十五年三月三十一日限りでその効力を失うこととしております。また、現行の過疎地域の市町村のうち、本法案で対象とならないものに対しては、四年間過疎債の発行を認める等激変緩和のための経過措置を講ずることとしております。
 以上が過疎地域振興特別措置法案の提案理由及びその内容の概要であります。
 なお、この法案は、衆議院地方行政委員会におきまして、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党・革新共同、民社党・国民連合及び新自由クラブの六党により全会一致をもって地方行政委員会提出の法案として提出され、衆議院で可決されたものであります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
#7
○委員長(後藤正夫君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、夏目忠雄君が委員を辞任され、その補欠として高平公友君が選任されました。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(後藤正夫君) これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#9
○神谷信之助君 提案者にお尋ねをいたします。
 衆議院の地方行政委員会で本法案の取りまとめに御努力いただきました労苦に、まず敬意を表したいと思います。
 そこで、衆議院における法案取りまとめの経過につきましてお聞きをしたいと思うんですが、わが党が、現行の過疎市町村のうち非過疎市町村となるものに対しては、経過措置期限を切ることなく当分の間本法案を全面的に適用すべきであると、そういう主張をしておりまし夫けれども、結局、提案者の御努力によっていま提出されているような法案にまとまったというのが経過であろうかと思いますが、いかがでしょうか。
#10
○衆議院議員(塩谷一夫君) そのとおりでございます。
#11
○神谷信之助君 それでは、あともう一周自治省の方にお尋ねをいたしますが、本法案によりまして、成立をいたしますと、過疎指定が外れる市町村、これが出てくるわけですが、それに対しての措置をお尋ねしたいと思います。
 今回指定が外れる市町村は、財政力指数では〇・三七以下でありながら人口減少率が二〇%未満のために適用外となったものが非常に多いというように聞いております。そこで、この財政力の弱いこれらの市町村に対して、救済措置として、継続事業の完成及び過疎債の一定の適用等の激変緩和の措置がとられているわけでありますが、次の二つの点について自治省の見解を聞いておきたいと思うんです。
 その一つは、たとえば京都府で二つの町村が適用外になりますが、その一つ、南山城村は財政力指数は〇・三一ですね。他の、今後も引き続いて新過疎法の適用になる団体と同じように、公共施設その他の事業で非常に大きな立ちおくれが存在をしております。あるいは青森県では八団体が適用外になりますが、同様の状況であります。そこで、現行法でもそういうすれすれのところといいますか、ボーダーラインの地域、あるいはそういうものについて、準過疎団体といいますか、そういうことで特交その他で一定の配慮がなされておったと思いますが、基本的に、今度外されたそういう地域についても一層そういう点の配慮といいますか、援助の措置といいますか、可能な限りの援助措置を考えるべきだと思いますが、その点どうかという点が第一点です。
 第二点は、たとえば辺地債の枠を拡大をして代替措置をとるとか、まあこれは非常に技術的にはなかなかむずかしい点はありますが、そういう方法も研究をしてもらうとか、あるいは継続事業の校舎の新改築及び屋内体育館の新築事業に対する補助の特例措置を研究してもらうとか、あるいは現に配置されている駐在保健婦制度ですね、これを山村振興法あるいは僻地医療特別対策事業などでカバーをするというような方法を検討してもらうとか、具体的にそれぞれでいろいろ問題はあろうかと思いますが、そういった点で大きな変化といいますか、激変が起こらないように、具体的な問題についてはケース・バイ・ケースでしかるべく措置を検討をしていただき、研究をしていただいて、その事業が断絶することなしに継続してできるように考えてもらいたい。
 この二点について、自治省の見解をお聞きしておきたいと思います。
#12
○政府委員(土屋佳照君) 新過疎法の適用に関連いたしまして、二つの点でお尋ねがございましたが、御指摘のように、新しい過疎法が適用されますと、そのために落ちる市町村が出てまいります。それについては激変緩和をする意味でいろいろな方策を検討したわけでございますが、たとえば、人口減少率が二〇%以上の要件を実質一九・四五%以上で運用するといったようなことで、いわゆる基本的なところでボーダーライン対策を初め各般の対策について各党間で大変きめ細かい配慮がされているということを私ども承知しておるわけでございます。
 そういったことを踏まえた上で、なおかつ第一点の準過疎市町村に対する問題でございますが、これについては、従来御承知のように特別交付税による財政措置を講じてきたわけでございますが、新法制定後においてもそのような市町村をまあどういったところまで拾うか、そういったいろいろな問題ございますが、そういった市町村に対しましては必要に応じて特交措置を含めて適切な措置を検討してまいりたいと考えております。
 それからまた、旧法の過疎市町村が新法の過疎市町村でなくなる場合にも、激変緩和の見地から、新法案の附則第七項にございますが、その規定によって、経過措置として四年間過疎債を措置できるということにされておりますが、辺地対策事業債の配分についても実態に即して配慮してまいりたいと思っております。
 なお、国庫補助等の特例についても規定がございますが、その点は所管省の方からお答えをさせていただきたいと思います。
#13
○政府委員(四柳修君) 後段の、国庫補助の特例のお尋ねでございますけれども、二つお尋ねがございました。
 一つは、学校統合のいわば残事業としての配配という問題でございますが、これは法律にも書いてございますけれども、いわゆる卒業なさいます団体が五十四年度中に債務負担行為をなさっている場合には、従来どおりの補助率が可能でございますが、いま例にお挙げになりました場合で申し上げますと、学校統合の場合、本校舎につきましては継続で債務負担行為の文部省の方の認定がございますけれども、残念ながら屋体の方は単年度主義でございまして、ちょっとその手が及ばない点がございます。
 それから後段の、保健婦の配置に対します補助金の問題でございますけれども、これは過疎の団体で、卒業いたしましても山村振興に該当するところはいけると思います。しかしその場合でも、大変恐縮でございますけれども、そもそもがいわば無医地区に対します配置保健婦でございますものですから、そこら辺が運用上必ずしもその条件に該当しない場合には、残念ながらいかない場合がございまして、この点私どもの方も、とりわけ青森県の方からそういう事情を伺いまして、厚生省の方にもよく伝えてありまして、県の方と、何とかしてその運用上の可能な範囲まで対応できるように配慮をしていただきたいということをお願いしているところでございます。
#14
○神谷信之助君 終わります。
#15
○委員長(後藤正夫君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○委員長(後藤正夫君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようでありますから、これより直ちに採決に入ります。
 過疎地域振興持別措置法案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#17
○委員長(後藤正夫君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○委員長(後藤正夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#19
○委員長(後藤正夫君) 地方税法等の一部を改正する法律案及び地方税法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。
 両案の趣旨説明はすでに聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#20
○佐藤三吾君 まず、地方税法の審議に入るに当たって、税法の審議の時間というのが参議院で非常に少ないというか、とれ日切れ法案ですからね。衆議院から送ってくるのが遅くて、十分な審議をする時間がない。これはどこに言ったらいいのかわからぬけれども、ひとつぜひ改善してもらわないと、実の入った審議はできないと思うんですね。その点冒頭に、これは委員長にお願いしておきたいと思います。
 そこで、まずお聞きしたいと思いますが、昨年の税法の改正案の審議の際に、衆議院はございませんが、参議院では九点にわたる附帯決議をつけておるわけでございますが、大臣もその際に、院の附帯決議については十分尊重して最大の努力をすると、こういう約束をなさっておるわけでありますけれども、一体どのように尊重し実施してきたのか、それをまず聞きたいと思います。
#21
○国務大臣(後藤田正晴君) 昨年の当委員会での附帯決議の実現につきましては、政府としてはできるだけ努力をいたしたつもりでございます。御満足のいけるようなだけの十分な成果が上がったかどうかということにつきましてはいろいろ御批判もあろうと思いますけれども、可能な限りの努力をいたしたつもりでございまするので、九項目につきまして事務方の方からその後の処置についての御説明を申し上げたいと思います。
#22
○政府委員(石原信雄君) 昨年、本委員会におきまして地方税法の改正法案の議決をいただきました際に附帯決議がなされまして、その九項目のそれぞれにつきまして、政府としてどのような対応をしたかの結果について御報告申し上げます。
 まず第一の、「国、地方自治体間の税源配分を抜本的に再検討し、地方自治体の財源の強化、充実を図ること。」、これはいわば地方税源充実強化の基本的な方向についての御決議であります。政府といたしましては、この線に沿いまして五十五年度の税制改正の問題に取り組んだわけでございます。今回御審議いただいております法案にその内容を織り込んでおりますが、基本的には現行税制のもとでできる限り税源を確保するという方針で具体的な改正案の検討を行ったわけであります。しかし、昨年のこの附帯決議をいただいた時点におきましては、御案内のように、政府としては五十五年度からいわゆる一般消費税を導入するということを念頭に置きましてそのために諸般の準備を進めると、そして、その一環として仮称地方消費税を設けるということが検討されておりまして、そのことを中心に、国、地方間の税源配分の抜本的な改正が取り上げられるのではないかということで準備をしてまいったわけですが、この一般消費税の問題につきましては、御案内のように、昨年来の経緯から、政府はこの五十五年度からの導入を行わないことに決めました。そういった非常に大きな検討事項がこの段階で取り上げられないことになりましたので、率直に申しまして、五十五年度の税制改正ではいわゆる抜本改正には至らず、現行税制の中でできるだけの財源確保に努力するという形になった次第であります。したがいまして、この決議の御趣旨にあります国、地方間の税源配分の根本的な見直しの問題は、引き続き今後の重要な検討課題と、こういうふうに私ども考えております。
 それから二番目の、個人住民税につきまして、「引き続き負担の軽減に努めること。」と、この件につきましては、今回御審議をいただいております改正案の中でも、住民税の課税最低限の引き上げを予定いたしているわけであります。地方財政の現況等からいたしますとなかなか苦しい実情にありますけれども、最近における住民生活水準の推移等を勘案いたしまして、基礎控除、配偶者控除、扶養控除へ各控除をそれぞれ一万ないし二万円引き上げることによって、課税最低限を、標準世帯で百四十九万円から百五十八万四千円まで引き上げようということでございます。
 それから三番目の問題は、「法人事業税の外形課税については、速やかに導入に努めること。」と、こういうくだりであります。この点につきましては、外形標準課税の導入は、地方税源の安定という見地から地方団体が長くその実現を期待しておった問題であります。しかし、この点につきましては、先ほども触れましたけれども、政府の税制調査会におきましてこの外形標準課税の導入問題と一般消費税の問題が課税の面で非常に相関連する面が多いということから、この両者はいわば同時に解決すべきではないかという議論が行われ、その一つの解決策として地方消費税の導入ということが具体的に俎上に上ったわけでありますけれども、その根本となります一般消費税の導入問題が当面実現できなくなりましたので、いわばこの外形標準課税の問題は振り出しに戻った形になっております。したがいまして、五十五年度の税制改正では、そういった経緯から外形標準課税の導入問題はその緒につくことができなかったんですけれども、これは五十六年度以降の税制改正の中で当然大きな課題として取り組んでいかなきゃならないものであると、このように考えております。
 それから次の問題は、「法人所得課税の地方への配分割合の強化」と、それから、「事業所税の課税団体の範囲の拡大等都市税源の充実」の問題であります。この点につきましては、都市税源の充実を図る見地から、今回御提案申し上げております改正案では事業所税の税率の引き上げを予定しているところであります。なお、事業所税の課税団体の拡大の問題につきましては、税制調査会におきましてもいろいろ論議がありまして、この段階では結論が出ておりません。今後の課題であると考えております。それから、法人所得課税の地方への配分強化の問題につきましては、そのもとになります法人所得課税そのものをどうするかということが現在論議されておりまして、その問題と同時にこの配分の問題についても具体的な案を固めるということではないかと考えております。したがいまして、五十五年度の改正案では、法人所得課税の配分割合変更は提案に至っておりません。今後の課題であろうと、このように考えております。
 それからその次は、「家庭用電気税の軽減に努める一方、産業用電気税の非課税措置の改廃等」の問題であります。そのほか、「国税の租税持別措置による地方税への影響を遮断」と、こういったことが第五番目の決議でございます。この点につきましては、まず、家庭用電気税の軽減の問題は、今回追加提案で――追加というか、いま二本立てで御提案申し上げております一方の地方税法の改正法案の中で、免税点の引き上げを御提案申し上げておるわけであります。これは、この四月から予定されております電気料金の引き上げに伴いまして、現在免税世帯になっている世帯が課税世帯にならないように必要な調整措置を講ずるという意味で免税点の引き上げによる負担軽減を予定しているものでございます。それから、産業用電気税の非課税措置の問題につきましては、従来から機会あるごとになるべく整理縮小に努めるということで、五十五年度におきましても二項目の整理縮小を予定しております。
 それから、国税の租税特別措置による影響遮断でありますが、これも機会あるごとにその方向で努めてきているところでありますが、なお五十五年度におきましては、御案内のように、法人税の方で退職給与引当金の繰り入れ限度額の引き下げが行われるというようなこともありまして、この関係では一千億近い増収をもたらす改正が行われております。
 それから六番目の、利子配当所得に対する総合課税への移行の問題でありますが、これも長い間の議論があったわけでありますけれども、所得税におきまして五十九年一月一日から利子配当所得の総合課税への移行が行われるという前提で、現在所得税法の改正案を御審議をいただいております。これに対応いたしまして、住民税におきましても六十年度から総合課税へ移行するという前提で、今回改正法案の御審議をお願いいたしております。
 それから七番目の、「一定規模以下の住宅用資産にかかわる固定資産税については、さらに軽減するよう検討」すべきであると、このくだりでありますが、御案内のように、現在住宅用の宅地につきましては、二百平米までは四分の一の課税標準の軽減を行っております。私どもとしては、当面この措置によって御趣旨に沿い得ているのではないかと、このように考えております。
 それから八番目の、「地方道路の整備の状況にかんがみ、特に市町村道の道路目的財源の充実を図るとともに、昭和五十五年度から有料高速道路に対する固定資産税の課税、又はこれにかわる措置を講ずること。」と、この件につきまして、まず、市町村の道路目的財源の充実の問題につきましては、今回御提案申し上げております中で自動車取得税の暫定税率の延長をお願いしております。御案内のように、自動車取得税の収入額の七割は市町村の道路目的財源になるわけでありまして、この暫定税率の延長によりまして引き続き市町村の道路財源の強化が図り得るのではないかと、このように考えております。
 それから、有料高速道路に対する固定資産税等の課税問題につきましては、種々論議があったところでありますが、第三者の学識経験者等の御意見もちょうだいしながら、最終的に直接課税対象にするとか、あるいは市町村交納付金の対象にするという点については、現段階ではこれは適当でない。しかし、有料高速道路の通過する市町村における各般の財政需要に対して適切な配慮を行う必要があるということで、いわゆるメニュー助成金を交付するということになりまして、五十五年度の予算において四十五億円余りの予算措置を講じ、これを定率に配分することといたしております。
 それから九番目でありますが、「一般農地並びに市街化区域農地に対する固定資産税の負担」の問題でありますが、この件につきましては、五十五年度、五十六年度は、当面、軽減措置を含めて現在の課税方法を継続することにしております。そして五十七年度から課税の適正化措置を行うと、このような答申を税制調査会からもいただいておりまして、その方向に沿って今後鋭意この問題の検討に入ってまいりたいと、このように考えております。
 以上、概略でございますが、昨年度いただいた附帯決議に対する政府としての対応の概況について報告さしていただきます。
#23
○佐藤三吾君 いま九点について努力の実態をお聞きしたんですが、一番問題なのは、大臣、やっぱり第一点の税源の配分の問題ですね。これとか、たとえば、いまお聞きしますと、外形課税の問題は一般消費税が壊れたのでできなかったと、こういう御説明なんですけれども、これは、むしろ法人の外形課税というのは一般消費税の前に出ておったわけですからね。あのときはなかなか当時の森岡税務局長も非常に積極的で、これはやらなきゃならぬと、こう言っておったのが一般消費税が出たものだから、ちょっとやっぱり客体が同じ状況もあるので無理だということになって、一般消費税との絡みが出てきたわけですけれども、絡みがなくなったわけだから、逆に言うなら今年度は抜本改正のまさにそのチャンスじゃないかと思うんですがね、いかがですか。
#24
○国務大臣(後藤田正晴君) この一般消費税と事業税の関係ですけれども、はっきり割り切ってしまえばこれは関係ない。だから事業税だけやってもいいんじゃないかという議論もあろうかと思います。というのは、一般消費税というのは消費者に対する課税であって、当然各段階での事業者に課税せられますけれども、これはダブらないような形で最終五%は消費者が負担するという文字どおり消費税ですから、事業税とは違うということで割り切っていってもいいんじゃなかろうかと思いますけれども、ただ、一般消費税の論議の過程で、御案内のように、そうはいいながら一番強い抵抗があったのは、やはり消費税といいながら、それぞれの事業者が転嫁が完全にできない。したがって、利益のない事業者にとってはこれは大変だといったようなことが大きな私は反対の中心であったと思います。もちろん転嫁せられる消費者についてもたまらぬと、こういうことであったと思うのですが、そこらにあの税についての性格上に私は一つの問題が多少あったのじゃないか。これは私の見解でございますけれども。そういったようなことで、事業税の外形課税も、これまた利益の上がらぬ事業についても納税者になるんだといったようなことで、いろいろな絡みがあってこういうような過程になったわけでございまするので、やはりこの問題については、国会決議にございますように、財政再建を別の観点でやるだけやりなさいということでございますので、この税が一応見送られるということになったわけでございますので、やはり何といいましても、この二つの税、理論的には私は関連ないと思いますけれども、現実の面においては関連があるということで、ああいった結果になった以上は、事業税についてもやはり先行きの本当の税制の根本的な見直しといったような際にこういうものは事業税についても考えなきゃならぬと、かように考えるわけでございます。
 税源配分の問題につきましても、これまた財政再建の第一歩を踏み出しており、今日また行政並びに財政の根本的な立て直しという段階に入っておりまするので、その前の段階として行政改革と冗費の節約、こういうものをできるだけ先にやると、やったあげく最終的にそこで収支決算をしてみて、どうにもならぬといったときに初めて、国民の皆さん方にどのような形で御理解を願うことになるかはわかりませんけれども、時期的にはその際に考えるということでしょうから、やはりそういった際に事務の再配分の問題なり、それに伴う裏としての税源の配分なり、あるいはまた税源といいましても地方団体それぞれ経済の実態が違いますから、ならば、やはり一般財源である、共通財源である交付税、こういった問題との絡み、こういうような基本的な問題が出てこようかと思いますが、そういった際にやる以外今日直ちに手をつけるというわけにはまいらないというようなことで、先ほど税務局長が御説明を申し上げたような結果に相なった次第であると、かように御理解を賜るようにお願い申し上げたいと思います。
#25
○佐藤三吾君 まあ話が二つ交差しますとややこしくなりますから、一般消費税と外形課税の問題はまた後ほど質問しますが、いま大臣が出しました税源配分の問題ですね。これは率直に言って、歳入に占める地方税の割合を見ますと、四十五年度が三七%、四十八年度が三六%、五十一年度が三二%、五十三年度が三一%と、年々低下してきていますね。さらにまた普通交付税の交付団体の状況を見ると、これはもう皆さん御存じのとおりに、もう都道府県で四十六ですか、指定都市で九。それから都市で九六%、町村で九九%、平均しますと九八%が交付団体ですね。これはまさに異常だと私は思うんですね。さらに、それではお金はどう使われておるかと見ると、これは言われておりますように、国が七割で地方が三割の財源でありながら、実際は逆になっておる。まさにこういう異常な状態という私は認識を持っているわけですね。
 交付税というのは、本来、何というんですか、富裕な団体とそうでない、財源の不足する団体というものがあるので、そこら辺をバランスをとって行政の落ち度がないような仕組みになっておるわけですけれども、九八%が交付団体ということになると、これは何をか言わんや。しかも地方の自主というか、独立財源である地方税がまさに三一%に転落しておるという、そういう実態になっておるというときに、八〇年代は地方の時代と言われているその八〇年代の冒頭のスタートを切る地方税制で、いまの大臣のような弁解で通りますか。逆に言えば、通らないからこそあなたは予算要求のときには交付税率を三二%を五%引き上げようとやったんじゃないんですか。結果的にそれがどういうふうになってまた元に戻ったのかわかりませんけれども、もっとそこら辺の問題について、この附帯決議もさることながら、深刻にとらえて決意をしなきゃならぬ時期に来ておるんじゃないかと私は思うんです。いかがですか。
#26
○国務大臣(後藤田正晴君) 地方自治のたてまえからいけば、税源の配分というものを適正化して、そしてそれぞれの団体は住民の需要に応ずるだけの行政経費というものをこれを自己の税源でやるというのがこれが理想であろうと思います。ただ、日本の社会を考えてみますと、住民の行政需要というのは経済の富裕団体であろうと、経済力のない貧困な団体であろうと、最近は同じような需要が出てきているわけですね。そうすると、それに応じようとするならば、いまのような税源をいかに配分してみたところでとても応ぜられない。税が非常に経済力の弱い団体では負担が重くなってしまうといったような基本的な経済構造が私は背景にあると思います。したがって、それを埋め合わすのがこれはやはり交付税だと、こう考えざるを得ないわけでございます。したがって、私どもとしては、やはり地方自治を考える場合には、税源の配分もさることながら、同時に、交付税というものの大きな役割り、これは戦前からずっと同じような私は考え方あると思いますが、最近のように特に過密過疎が激しくなればなるほど、税というものよりもむしろ比重が交付税の方にかかってこざるを得ないのが現状ではなかろうかなと、かように私は考えるわけでございます。
 ただ、そこで問題は、しからば交付税をどのように考えるんだということになれば、いまの三二%では足りないということだけはこれははっきりしておるわけでございます。そこで私どもとしては、地方団体の多年の念願でもありますし、またわれわれもその地方団体の念願を踏まえながら交付税率の引き上げということの要求をいたしておりますが、さて今日の国の財政、この中身を見てみますと、今日国税三税に対する三二%を四〇%にしてもらいたいという主張は当然われわれとしても引き下げるわけにはいきませんけれども、さて実現できるかということになると、これは私はなかなか困難であろう。したがって、やはりこういう問題は国、地方を通ずる財政あるいは税制全般の大きな改革の中でやらなきゃならないのではないのか。そこで、たまたま一般消費税という問題が上がったときに、この消費税については国税として全部徴収するというのではなくて、地方消費税というものも起こしてもらいたいと。そうなれば、いわば国税三税に対する三二%という物の考え方が、国税四税に対する地方の受けるべき配分と、こういうことになるということで自治省としてはお考えになっておったと思いますが、その構想がついえた以上は、次の機会での抜本改革の際にこういう問題については配意せざるを得ないのではないのかと、かように考えているわけでございます。しかし、さればといって地方も三二%で足りないわけですから、そこでどうするんだということで――応急の措置だと思います、これは。御案内のような借入金の二分の一を国が負担をするんだといったようなことで、これを制度であると、こういう理解のもとに応急の制度としての措置を考えて今日やっているわけでございます。
 いずれにいたしましても、地方の財政需要というものを賄うだけの経費がない以上は、ともかく収支のアンバランスを埋め合わすだけの処置は国としても構じてもらいたいということで、自治省としては強く国側に対して要求もし、そしてここ数年のような措置で処置をし、五十五年度は御案内のような二兆五百五十億の財源措置ということを構じておるわけでございます。いずれにいたしましても、私の考えによるならばこれは当面の処置であって、根本的な対策とは考えてはいない。根本的対策については、基本的な国、地方を通ずる行政の改革、税財源の配分といった際に持ち出して抜本的な改正をやるべきものと、かように考えておるような次第でございます。
#27
○佐藤三吾君 大臣のいまの答弁の中で、地方の税を取るというのはなかなか取りにくいから、したがって交付税の方に重きがなしてくるんだと、こういう言い方があったのが一つと、気にかかるのは。しかし、交付税の方は五%要求をやったが、結果的には特会という当面の措置で、借金で切り抜ける以外にないと、こういう言い方なんですけれども、まさに交付税というものになってきますと、結果的には国の判断理由によってさじかげんが出てくる。ですから、本来私どもは地方の自治の本旨というものは、それを達成していくためには、やっぱり地方独自の財源を拡大していくというのが基本じゃないかという立場で、ぼくは自治省もそういう観点できたと思ったんですけれどもね。一体大臣、この憲法で言う「地方自治の本旨」というのはどういうふうに理解なさっているんですか。
#28
○国務大臣(後藤田正晴君) 先ほど申し上げますように、地方自治の本義というのは、それぞれの団体の住民のニーズにこたえるために、自分の財源で、つまり自分の力で処理をすると、これが一番いいんだと、こういうことでございます。
 ただ、私が言っているのは、税が取りにくいということではないんです、これは。日本の経済構造が背景にあるじゃありませんかと。つまり、団体ごとに経済力に差がある以上、同じような負担ということを考えるならば、貧困な団体にはいまのような交付税というものの処置でやらなければ、行政に対するニーズが、貧困な団体であると富裕団体であると同じじゃありませんか、それを満たすために地方の税だけでやれと言ってみたところで、とてもじゃないがそれはできないんだと。そこで、地方の税ももちろん必要ですけれども、やはり一般の共通の財源ですね、これを地方の独自の財源として取り上げる。これは私交付税だと思っているんです。だから、交付税というのは地方の財源だと私は考えているんですから。それを配分する以外にないじゃありませんかと。かようなことを申し上げておるわけでございます。
#29
○佐藤三吾君 そうしますと、憲法で言う財政自主権ですね。九十二条なり九十四条ですか。この問題については大臣はどういう理解をしておるんですか。
#30
○国務大臣(後藤田正晴君) 九十二条は、「地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める。」と、組織及び運営はと、こういうことでございますので、いわば「地方自治の本旨」ということですべてをやりなさいと、こういうことでしょうから、私の先ほど申し上げておるのは、まさにそういう趣旨で申し上げておるわけでございます。
 ただ、私、外国と多少違うと思いますよ。日本の国民というものは、それぞれの町なりあるいは市なりに住んでおって、自分の団体の力でできる限度しか行政に対する需要はそう均一的には出さないんだというのであるならばある程度のことは考えられますけれども、日本の場合には、私はいかなる地域に住んでおろうとも同じような行政需要が出てくる。私はそれも当然だと思いますし、それに対応できるような処置をするのがこれは政治の理想であろうと思います。東京で住もうとあるいはまた田舎に住もうと、同じような文化の恵みのもとで生活できるようにするのが政治の理想なんですから。だから、そういう意味合いにおいて、それを満たすためには経済というものが背景にあるんだ、経済力というものが。ならばそれにふさわしいような処置を考えざるを得ない。それは一つは税であり、もう一つは地方団体共通の一般の財源としての交付税じゃないでしょうか。したがって、それを確保することによって、各地域の均等化しつつある行政需要に対応をしていくようにしなきゃならぬと、かように考えているわけでございますから、これはやはり私は地方自治の本旨に沿った私どもの主張であろう。すべてを地方税だけで賄おうとするのはいささか困難なのではないのか。かようなことをお答えをいたしておると、かような次第でございます。
#31
○佐藤三吾君 私が言っておるのは、何もすべての需要を地方税で賄えと、そういう言い方は言ってませんよ。ただしかし、四十五年からどんどん毎年下がって、もう三一%まで地方税が落ち込んできておる。そうして結果的には交付団体が九八%と、こういう実態にある。あなたの話を延長しますと、オール交付税団体になってもそれはいいんだと、端的に言うならですよ。そういう感じに聞こえるんですよ。そういう意味ですか、あなたが言っているのは。
#32
○国務大臣(後藤田正晴君) それは、自分のところだけで、交付税をもらわなくてもできる団体があること、これは望ましいと思います。しかしながら、それだけで一体できるかと言えば、できないと。私はあくまでも各地の経済力というものが違うという前提、しかも住民の行政に対するニーズはほとんどみんな同じですよという前提のもとに考えているわけでございまして、私は交付税というものは地方の一般の財源であるという物の考え方でございまするので、一向にそれで差し支えないのではないのかと、かように考えておるわけです。
#33
○佐藤三吾君 これは交付税のところで議論しますけれども、これは財政局長ちょうど来ておるから聞きますが、交付税というのは、そういうものですか。全団体に全部交付税を交付するのが所期の目的でやっておるわけですか。
#34
○政府委員(土屋佳照君) 地方自治の本旨といったような基本的な点から考えまして、先ほどから大臣もお答え申し上げておりますように、住民が自分たちの税金で自分たちの団体を維持していく、基本的にはそこにあるだろうと思うのでございます。したがいまして、一般財源としての地方税の増強ということはこれは当然のことだと思っております。ただ、地方交付税がございますのは、るる大臣からもお答え申し上げましたように、一つは財源調整的な意味合いと、それから標準的な行政ができるような財源保障的な意味があるわけでございまして、したがって、個々の団体がきわめて独立的に他の団体と無関係に、自分たちの取った税で、そして必要な行政に応じた税を取って必要な事業をやっていくと、こういうかっこうができればよろしいわけでございますが、いまのような非常に人口稠密な日本の国土において、もう隣の団体同士が密接に関連しておる中では、ナショナルミニマムもあればいろいろなニーズもほとんど共通しておる、そういう中で、地方税だけでは賄えない、これはできるだけ増強するのが本旨である、ではあるけれども、地方交付税の存在というものは、いま申しました二つの点においてやはり意味があるものであると、こういうふうに考えております。
#35
○佐藤三吾君 あなた、大臣が答弁したものだからなかなか本来の答弁がやりにくかろうと思うけれども、しかし、これは私はやっぱり承服できません。やっぱりこの「地方自治の本旨」という憲法の言うところの意味というものは、何ものにも拘束されない地方の独立財源としての地方税、これがやはり基礎で、しかし、それだけではいまの産業の実態なり租税能力から見て非常にアンバラが大きいだろう、それを調整するために自主財源として交付税制度を配置をしておると、ぼくはそういうふうに理解しておるわけですね。むしろいままでの自治大臣もそういう立場を堅持しておったと思うんですよ。だから、いまの状態というのは、そういう意味で私は異常だと思う。あなたはそれは異常じゃないと、こう言っておるわけです。あなたの話を延長しますと、全部交付団体になるのが理想的みたいな言い方をしておる。むしろそれの方が――取りにくい取りやすいは別にして、将来そういう方向に行くような姿勢を見せているような感じがしておるんだけれども、そうでないのかあるのか、そこのところだけちょっと聞いて、あとはまた交付税のときに議論しましょう。
#36
○国務大臣(後藤田正晴君) これはもう理想は、それは地方税の充実強化ができるならばそれが理想である。それで間に合わぬところは交付税で調整をしていくと、これはたてまえでございます。ただ私は、いま言っているのは、最近の日本の経済の実態というものがそれとはまるで逆に行っておるんですよということを申し上げておるわけでございます。
#37
○佐藤三吾君 さあそこで、私はさっきの話に移るわけですが一その前はもう一つ聞いておきたいのは、私も地方制度調査会の委員で、地方制度調査会の中でずいぶん議論をしてきましたが、十七次調査会の答申が九月十日に出されて、さらに、いわゆる予算編成期のときには、これは答申というかいわゆる会長意見というか、こういうことで申し述べてきておりますが、これが率直に言ってまたこの法案の中に生かされてないんですね。大臣も委員会の中では、ひとつ答申を受けて八〇年代地方の時代にふさわしいそういったものをつくり上げていきたいということを再々言っているけれども、言うことと結果というものが大分違う。いかがですか。
#38
○国務大臣(後藤田正晴君) 十七次の地方制度調査会は、基本的な問題に触れて、私は非常な御検討の成果だと思います。それだけに、この課題に取り組んでまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
#39
○佐藤三吾君 しかし、実際はやられてないですね。私は交付税の審議のときにもこれはひとつ議論をしたいと思っていますけれども、やはりこの中でも強調しておるのは、地方の独立財源を充実して、同時にいわゆる補助金行政というものを地方の中に移して、そうして自主的な、自治にふさわしい税財源対策を確立しなければならぬということが基調だと思うんですけれどもね。これが少しも進んでいない。時間がございませんから、これはまた交付税のときに議論します。
 そこで、まず具体的な問題として聞きたいと思うんですが、一般消費税が結果的に選挙で否定された。したがって外形課税もだめになった、こういう論理というのは、ぼくはもうどうしても理解できない。むしろ逆に、これは私の推測ですけれども、ぼくらは、一般消費税が否定されたという――そういうふうに政府が言ってますから、五十五年度はとりあえず見送りと、こう言っていますわね。しかしまだ根に持っておって、そして、だから外形課税についても今度は手をつけなかったんだと、そういうのが真意じゃないんですか。どうなんですか。
#40
○政府委員(石原信雄君) ただいまの点につきましては、五十五年度の税制改正についての答申を見るとある程度一定の方向を示していると思うんですが、五十五年度の税制改正に関する答申では、一般消費税のくだりについてこう言っております。「五十四年度の税制改正に関する答申において、国民の理解を求める努力を重ねつつ、一般消費税を実施すべきである旨の提言を行ったところである。しかしながら、」――以下ですが、「同視について国民の十分な理解を得るに至っていないと考えられるところから、昭和五十五年度においては、同税によらない財政再建の手だてを講ずることとする。」というのが税調の答申であり、また政府の考え方もこれで一致しておるわけです。そこで、しからば五十五年度につきましては、いずれにしても一般消費税によらない財政再建の手だてを講ずるということで、具体的には既存の税制の中でできるだけの財源、税源確保に努めたということであります。しからば、五十六年度以降どうするのかということについては、税制調査会では具体的な方向は何も述べておりません。これについては従来の議論の経緯を踏まえて今後検討をすべきものであるという考え方が基本に流れておるわけです。したがいまして、この事業税の外形標準課税の問題につきましても、私どもは、五十六年度以降基本的な税制改正の論議が行われる際に、当然これが非常に大きな要素としてその一つの検討テーマになるべきものであると、このように考えております。
 私どもが五十五年度の改正において外形標準課税の導入を行わなかったのは、この一般消費税導入問題がまだくすぶっているからと、これがまだ伏線として残っているからだということではございません。要するに、先ほど申し上げましたように、外形標準課税の導入問題というのは、私どもはずいぶん長く前から事業税の性格あるいは地方税源の安定という意味からそれが望ましいという考え方をとってきたんですが、しかし、税制調査会の中ではこれに対する反対意見も非常に強かったわけです。具体的に言いますと、赤字企業にも税負担を求めるというのがこのポイントになるわけですけれども、そこのところがまさに最も論議のあるところであったわけです。で、そうこうするうちに一般消費税の議論が出てまいりまして、まあその税の性格がまた違うんですけれども、課税の実態からすると非常に共通する面があるというところで、両者一緒にして解決したらということで五十五年度まできてしまった。その話がだめになって五十六年度以降は新しい議論がこれから行われる、そういう過程で、この外形標準課税の問題だけ切り離して解決するということが現実問題としてできなかったということであります。一般消費税問題との含みがあってこれを見送ったのでなしに、現実問題として、それだけ切り離した解決が残念ながらできなかったということでございます。五十六年度以降は基本的な税制改正が当然論議されると思いますが、その中でこれは非常に大きな眼目として取り上げられるべきものと私どもは考えております。
#41
○佐藤三吾君 これは税調という隠れみので、税調はこうだったからこうなってやむを得なかったという意見で終始しておるようですが、大臣はさっきの答弁の中で、これはやっぱり別々のものだと、一般消費税と外形課税というのはね。それは非常に思い切った姿勢が出ておるんですけれども。石原説明は、また一方では同じと。どうなんですかね、これは。私は、やっぱり本来地方財源というのは安定性を持たなきゃならぬという観点で、この外形課税というのは、都道府県知事会を含めで非常に強い要求となって出てきておるわけですし、一度はこれは自治省もそれについてそうだと、やっぱりこの際ひとつ地方税源の拡充のためにもやろうという決意をした経緯もあるわけですね。それが一般消費税が巻き込まれてやられてきたわけですから、ある意味では私はチャンスじゃないかと思うんです、いまの時期が。だから、今年度は別にしまして、来年度についてはひとつそういう立場からぜひ実現する、こういうふうに受け取ってよろしいですか。
#42
○国務大臣(後藤田正晴君) まあ一般消費税が出て以来の経緯は経緯としまして、事業税についての外形標準課税を採用しろというのは、これはずっと前からの地方団体の主張でございますから、私は、これは五十六年度以降当然税制調査会にも持ち出して御検討願わなければならぬと、かように考えております。
#43
○佐藤三吾君 その場合は、仮に国の方で一般消費税の問題がまた形を変えて――何か竹下大蔵大臣の本会議の説明聞くと、九月に出したいわゆるこの一般消費税はこれは取りやめましたけれども、しかし全然それに類するものをやめるということは言いませんということを、端的に言うならそういう言い方しておるんですね。そういういろいろな問題が今後起こってくると思いますけれども、これは去年の地方税法の審議の際にも澁谷自治大臣が全力を挙げて努力しますということを言っておる性格のものですね。ですからそう意味合いでことしは、五十六年度についてはこれはひとつ実現するんだと、この決意をやっぱり自治省自体が固めてもらわないと実現できないんじゃないかと思うんですよ。しかもこれは、あなたのさっきの考えにちょっと私は疑義を持ちますけれども、地方の安定財源の拡充というのですかね、これがやっぱり地方自治の基礎になりますからね、その観点で進めていくとすれば、まさに当面の情勢というのは私はチャンスだと思うので、そこの辺をひとつ再確認しておきたいと思いますが、いかがですか。
#44
○国務大臣(後藤田正晴君) 外形標準採用の問題については、五十六年度の税制調査会等にも自治省から持ち出しまして、多年の主張であるので、御検討を願って実現の方向に努力をしてみたいと、かように考えます。
#45
○佐藤三吾君 それから次に、個人住民税の軽減の問題ですが、さっきお話しのように、大体二万円の基礎控除の引き上げであるとか所要の措置はとられておるわけですが、しかし、これをしさいに調べてみますと、所得税との対比を見ても、今回上がって百五十八万四千円になりますね。ところが、所得税の場合二百一万五千円ですか。そこにまだ四十三万近い開きが出てきます。さらに、生活保護基準の一級地の事例ですけれども、三十五歳の男性、三十歳の女性、九歳の男の子、四歳の女の子ということでこう基準でやってみますと、これは百四十九万ですけれども、教育、住宅などの扶助を含めますと百六十一万四千七百五十六円になる、私の数字で見ると。そうなると、確かにこの百五十八万四千に上げたけれどもなお問題が残っておると、こう言わざるを得ないと思うので、どうですか、これは税額控除方式に切りかえるというような抜本的な改正を決意する時期に来ておるんじゃないですか。いかがですか。
#46
○政府委員(石原信雄君) ただいま住民税の課税最低限と特に生活保護基準との関連などを指摘いただいたわけですけれども、私どもは、かねてから申し上げておりますように、住民税は前年所得課税である、したがいまして生活保護基準を初めいろんな指標との対比は前年の所得との関連においてこれを見ていく必要がある、このように理解しております。生活保護基準の場合で申しますと、一級地の標準世帯では五十四年所得が今回住民税の課税対象になるわけですから、五十四年の生活保護基準で申しますと百五十万五千円でありまして、今回の課税最低限が百五十八万四千円との関係では一応バランスはとれている。確かに五十五年度になりますと、五十五年度の生活保護基準は百六十二万円前後だと承知しておりますから、このままもし課税最低限を五十六年度も据え貫くということになると、ただいま先生御指摘のような問題が出てくることは事実であります。
 そこで、こういった事態を避ける方法として税額控除方式をとったらどうだと、こういう御提案でございます。確かに税額控除方式ですと相対的に高額所得老よりも低所得者に有利に働くといいましょうか、減税効果の及び方が違うということで議論があるんですけれども、ただ、現在、所得課税で所得控除方式でなしにすべてについて税額控除方式を採用しているという国は、私の知る限りではないと思うのであります。部分的に特定の事情に基づいて減税を行う場合に税額控除方式を採用するということはあるようですけれども、税制として根っこから所得控除でなしに税額控除方式をとっているという国はないようですし、また、そういう方式をとるということになりますと、所得税と住民税との関係で、所得税は所得控除方式、住民税は税額控除方式でいいのかどうか。同じ所得に対する課税でそういう違った体系というのはどうなんだと。あるいは、そもそも所得課税について現在の所得控除方式を基本とするこの考え方が根っこから変わるわけですから、これはいわば所得課税における大改正になります。そういった意味で、一つの貴重な御提言だと思いますけれども、その採用につきましては関連するいろんな問題についてもあわせて検討をする必要があるのではないかと、このように思います。
 いずれにいたしましても、現状は住民税の課税最低限が生活保護基準とすれすれのところにきております。一方、また所得税の方は、御案内のようにもう三年以上据え置いておりまして、だんだん住民税の方が近づいてきているわけですが、この所得税の課税最低限と住民税の課税最低限、さらには生活保護基準その他社会保障の体系との関連をどのように生かしていったらいいか、どのように位置づけていったらいいのかというような問題が提起されております。この点につきましては、私ども五十五年度の税調における重要な審議事項として少し掘り下げた研究をしてみたいと、このように考えております。
#47
○佐藤三吾君 大臣が五十分には衆議院の方に行かれるそうですから、また休憩後に質問しますけれども、いまの問題、これはひとつ大臣も十分頭に置いてもらって、所得税が所得方式なのに住民税が税額控除方式じゃ云々とかいう議論は、余り意味のないことだし、逆に言えば外国がそうやってないのに云々とかいうことも、日本だってそんなことはたくさんあるわけだしね。自分の都合のいいところは外国はやってなくてもやっている。だからそんな発想じゃなくて、やっぱりいま一番税額控除方式というのが税金の正しい姿の一つのあらわれだと私は思っておるわけですから、これはひとつぜひ税調も含めて十分検討してもらって実現するような努力をしてもらいたいと思います。
 午前はこれで終わります。
#48
○委員長(後藤正夫君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十二分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十一分開会
#49
○委員長(後藤正夫君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方税法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#50
○佐藤三吾君 午前中の質疑の中で、交付税万能論じゃないけれども、言うなら、地方財源が充実しなきゃならぬということについては、ちゃんと「地方税」の一月号に石原大先生が論文を書いてますよ、私の言うような主張を含めて。これは大臣、後でゆっくり読んでいただいて、ぜひひとつそういう立場を堅持をしていただきたいと思うんです。
 それから、午前中に引き続きまして、ちょっと細かい点も含めて質問を続けますが、法人所得税の配分割合の強化の問題ですけれども、これはかねてから要求が強いわけですけれども、どうしてこれができないのか。この点についてまず一つ聞いておきたいと思うのです。
 それから、事業所税の税率改正がやられておるわけですが、その中で、従業者割に係る事業税の税率が据え置かれたままになっておる、これは一体なぜなのか。この点についてまずお聞きしておきたいと思います。
#51
○政府委員(石原信雄君) 法人所得課税の国、地方間の配分割合につきましては、御案内のように、法人税、法人住民税、それから法人事業税、これらを合わせますと、国税対地方税の割合はおおむね二対一でありますけれども、法人税が交付税のリンク対象税目となっておりますので、交付税まで含めて考えますとおおむねフィフティー・フィフティーという割台になっております。しかし、私どもは現状に決して満足しているわけでなくて、さらに地方の配分割合が高められるべきであると、このように考えておるわけですが、では、なぜそれがなかなか実現しないのかと言いますと、先ほど大臣からもお話があったことに関連するんですけれども、法人課税は地域偏在が非常に大きいということで反対論者は反対している面が強いわけでございます。しかし、この点につきましても、先ほど来御指摘がありますように、指定都市の全部を含めまして都道府県四十七団体中四十六団体が交付税の交付団体になっているという現状では、この地域偏在だけで法人課税の割合を変更すべきでないという反対意見も説得力がそれだけ弱まっているわけです。私どもは今後とも法人課税の地方への配分割合の強化というものは努力をしていかなきゃならないと、このように考えております。
 それから、第二点のお尋ねの事業所税につきまして、従業者割の税率をなぜ変えなかったのかという御指摘でありますが、今回税率引き上げをお願いしておりますのは、資産割とそれから新規の取得、新増設割でございますけれども、これらはいずれも面積当たり一定の単価、三百円とか五千円という単価で税率が決まっておりますけれども、昭和五十年度創設以来据え置かれている。そこで、その後における実質的な都市財政需要の増加というものを勘案して税率の見直しをお願いしているわけですが、従業者割の方は御案内のように支払い給与総額に対して〇・二五%という税率になっておりますので、こちらの方は給与総額がふえれば税額もふえるという仕組み、まあいわば事業活動の増大あるいは物価上昇というものとスライドするようになっておりますので、今回は税率の見直しは行わなかったと、このような考え方に立っております。
#52
○佐藤三吾君 事業所税の課税団体が、確か一番スタートが五十万以上の都市、それがその翌年に三十万以上の都市というふうに拡大されてきたですね。しかし、それがある意味じゃまた逆な不公平を生むことになるんです、自治体間で。私は、せめて県都まではこの際広げるべきではないかと思うんですが、そういう議論が税調を通じてあったのかないのか。それから、自治省自体としてはそういう考え方を持っているのか持ってないのか、どうなのか。ひとつお聞きしたいと思います。
#53
○政府委員(石原信雄君) 事業所税は、いわゆる大都市税といいましょうか、比較的規模の大きな都市における特殊な財政需要に対処するという趣旨でこれが設けられた経緯がありますので、どの辺の団体から課税権を付与するのが妥当かという点で当初から議論があったわけでございます。御案内のように、制度スタートのときは五十万以上の都市と、まあ通常言われる大都市といいましょうか、比較的大きな都市が対象になった。しかし、その翌年にこの団体の範囲が三十万以上のランクまで広げられたわけですが、その際、三十万以上の都市の実態が五十万以上と余り変わらないと、いわゆる過密都市といいましょうか、巨大都市としての各般の都市施設の整備の必要性というものが非常に高まっているということで、課税団体の範囲を拡大を行ったわけですが、実はそのときに政府税調では、事業所税の創設の経緯からして課税団体の範囲を広げたのは早過ぎるんじゃないかという議論がありました。いわゆる過密税制といいましょうか、大都市税制といいましょうか、そういった趣旨からすると、五十万から実施一年でいきなり三十万まで広げたということについては、かなり税調の内部でも議論がありました。そこで、それ以上に広げるということは、この税の性格から慎重であるべきだという答申が当時出されております。
 しからば、その後五年近くたっておるわけですから、もう実態が変わってきたじゃないかという議論もあります。率直に申しまして、市町村の、特に比較的規模の大きな市町村の意見としては、課税団体を広げてほしいという声がかなりあります。私どもも、基本的には都市財政需要の推移に応じて課税団体を広げていくべきではないだろうかと、こういう気持ちを持っております。ただ、この点については、五十五年度の税制改正の論議の過程では、残念ながらまだ全体のコンセンサスを得られるまでに至らなかったわけであります。税率の引き上げにつきましては税調の御理解をいただいたわけですけれども、課税団体の範囲の拡大については御理解を得るまでに至らなかったという経緯がございますけれども、この税の性格あるいは関係地方自治体の最近の動きなどを勘案するならば、私どもとしてはなるべく早くこの課税団体の見直しというものが実現してほしいと、こういう気持ちを持っております。
#54
○佐藤三吾君 税の性格からいって余り広げるのがよくないと、こういう税調の御意見だということなんですがね、むしろ私は、そういうことを勘案して、せめて県都は含めるべきじゃないかとこう言っておるわけです。これについてどういうような税調の意見があったのか。また、自治省自体はどう考えておるのかお伺いします。
#55
○政府委員(石原信雄君) 課税団体の範囲の拡大の議論が出ます際には、現在は三十万以上でございますから、その次の段階として二十万以上の団体には認めたらどうだと、こういう意見と、それから、そういう人口要件に余りこだわらずに、ただいま佐藤先生御指摘のように、少なくとも県都――県庁所在都市には課税権を認めたらどうだと、こういう御意見とあります。ただ、この県庁所在都市についてはいいじゃないかという意見に対しましては、これも御案内のように、三十万未満の県庁所在都市の中にも、三十万ぎりぎりの都市もありますし、人口十万そこそこの、およそ巨大都市と言えない、むしろ田園都市的なところもありますので、どうも県庁所在地という要件だけで課税範囲を考えるのがいいのか、もう少し都市の実態に着目してこの問題を検討すべきなのか、この辺はいろいろ意見がございます。いずれにしても一つの考え方として論議されていることは事実でございます。
#56
○佐藤三吾君 大臣いかがですか。
#57
○国務大臣(後藤田正晴君) 私は、最近町村合併等が行われて人口だけはなるほど三十万以上になっているけれども、一体これは都市的形態を備えているのかどうか疑問の市がなきにしもあらずでございます。ところが、御質問の県都ということになりますと、なるほど人口は三十万以下であっても、都市的形態を備えてそして都市的ないろんな財政需要があるところがあるということでございますから、まあ内輪の話で大変恐縮ですけれども、私はこれは少し検討したらどうだということをかねがね言っておるわけでございます。したがいまして、事務当局としてはただいま言ったような御回答以外お答えの方法ないと思いますけれども、いずれにしましても検討の課題にいたしたいと、かように考えます。
#58
○佐藤三吾君 ひとつぜひ、いま大臣がそういう主張をなさったのですが、早急に実現できるように検討していただきたいと思います。
 そこで、次に地方税の非課税措置の問題ですが、さっき説明を聞きますと、租税特別措置についてもずいぶん整理縮減したと、地方税の非課税措置についても行ったと、こういう印象の御発言がございましたけれども、しかし、依然収入の見通しというのですか、もしこれが廃止されれば地方税に入ってくる税収を見ますと三千六百五十六億と、こういう大きな非課税措置が残っておるわけですね。これは、私はさっき大臣とのやりとりの中でも言いましたように、国が政策的に産業を育成するなり、また必要な手当てを加えていくということについてはわからないわけじゃないんですけれども、だからと言って、地方自治体について断わりなしに一方的にそれがやられていくということは、それは私はやっぱり承服できがたい。恐らく自治体としてもそういう強い気持ちを持っていると思うんです。むしろやはりこういった議論の際には地方自治体の代表も加えてそうして、もっと言えば、地方制度調査会の中でも政府に対して答申しておりますように、地方の問題については、一般的にもそうでありますけれども、やはり特別に税源の問題ですからね、地方自治の根幹にかかわる問題ですから、当然これはひとつ相談をしてその上で処理さるべき性格のものじゃないかと私は思うんですけれども、しかし依然として、要望が強いわりにはこれがなかなか遅々として進まない。これが現状であり、しかもそれが不公平税制の最たるものになっていると思うんですが、これはひとつ基本的な考え方について、まず大臣の考え方をお聞きしてみたいと思います。
#59
○国務大臣(後藤田正晴君) 御案内のように、非課税措置は、これは税の公正という面から見て、絶えざる見直しをやりながら、本来的な非課税措置、租税特別措置の政策的な役割りを果たさしていくと、見直しをやるということが肝心であろう。したがって、これは既得権化するおそれがありますから、漸次整理の方向でいくべきものだとかように考えます。
 ただ、御承知のように、地方税の中では恐らく固定資産税とそれから多いのは電気税、ガス税ですか、そんなところが非常に多いだろうと思いますが、これらはやはり税の性格、それから見ていろいろな点が非課税措置として御要望に応じなきゃならぬという面がありはしないかと、かように考えます。したがって、非課税措置の整理の問題は、そういった二つの要素をかみ合わせながら、同時にまた、これは地方の税源の問題でございますから、当然地方団体のお考えも、六団体あるいは直接地方公共団体の意見も伺いながら自治省としては対処していかなければならない。御案内のように、大体税制改正の際は、この非課税措置の問題については自治省はいつも抵抗の歴史だと思います。非課税措置をふやせという主張に対しては。その点だけはひとつ御理解をしておいていただきたい、かように考えます。
#60
○佐藤三吾君 いまお答えの中で、まずお聞きしておきたいと思うんですが、医師の事業税ですね。これが、国が今度若干手直しをしましたね、私どもとしては大変不満なんだけれども。若干の手直しはしましたが、しかし一貫して医師の事業税については、まさに聖域というか、全然手をつけていない。これは昨年も私取り上げたんですが、各県の確定申告後の所得のベストテンを見ると、ほとんどもう医師集団が上位を占めております。医師優遇税制というのがいま非常に問題になっていますけれども、当時の実態とは全然違うと思うんですよ。それをいつまでも放置しておく――今回も合わせますと九百十八億、約一千億ですね。これをどうしてしなければならないのか、これがどうしてもわからない。この問題を言いますと、恐らくまた石原さんは、それが今度は診療費の方に加わってめぐりめぐってくるから云々とかいうことを必ず言うに相違ないと思うんだけれどもね、物事というのは全部めぐりめぐってきよるわけなんだ、逆に言えば。だから、その論理というのは医師だけの特別の論理ではない。やはり不公平の最たるもので、これだけ悪評を受けながら、なおかつ地方税の中では全然手つかずで非課税でいくことについてはどうしても納得できない。いかがですか。
#61
○政府委員(石原信雄君) 医師の社会保険診療報酬等所得に対する課税上の特例につきましては、地方税関係でも所得税と連動する部分におきまして住民税の所得割の面では一部前進があったわけであります。所得税と同じ意味で前進があったわけですが、問題の事業税につきましては、確かに五十五年度の税制改正では改正が加えられておりません。この経緯といいましょうか、考え方につきましては、ただいま先生からもお話しがあったような考え方、論理というものがありまして、およそ事業税は、すべてこれは経費として算入されると、所得計算上は経費として還付されるというものでありますけれども、特に社会保険診療報酬の場合には、それがそのまま患者負担になっていくという意味で、他の事業とはやはり違った面があることは否定できないと思うのであります。そういったこともありまして、今回の改正法案ではこれは取り上げられていないわけです。
 しかし、私どもは、確かにそういう理屈は理屈として、同じ事業税の中で社会保険診療報酬の所得計算だけがやや異なった扱いを受けるということについては、公平という意味では確かに問題があるという意識は十分持っております。この点についてはこれからも引き続き検討をしてまいりたいと考えております。
#62
○佐藤三吾君 その意思があっても、引き続き検討すると言っても、毎年毎年この問題は指摘されて、そしていつまでたっても答えを出さない。これは国の場合も、やっぱりもとをただせば――きょうここにいらっしゃるかどうかしりませんけれども、医師会がこわかったんでしょう。だから結果的に、いろいろな理屈をこねて逃げ回ったんだけれども、余りにも世論の高まりが激しくなってどうにもならぬから形を整えたと、そういうのが真意ですね、国の場合でも。石原さんの方で不公平税制を正すという意味で、この問題を何とかしなきゃならぬという気持ちがあるなら、何か別に具体的な案でも持っておるのですか。そうでなきゃ、引き続き検討すると言ったって、また一年。来年になればまた同じことを言う。こういうことになりかねぬと思うので、そこら辺をひとつ聞かしてくださいよ。
#63
○政府委員(石原信雄君) 具体案という、たとえば所得税における経費の算入率について、ああいった部分的な是正というようなことを私ども案を持っておるわけではございません。こういった制度が引き続き存置されることがいいか悪いかという意味での問題意識を持ち、また問題の論議はしております。そういう意味で問題意識は今後とも持ち続けながらこの問題の解決に努力していきたい、そういう意味で申し上げておるわけで、やや技術的な、具体的な改善案というものを持っているわけではございません。
#64
○佐藤三吾君 だから何もないわけでしょう。何もないということは――あなたぐらいの知恵者だから、やろうと思えばちゃんとあるはずだ。ただ、やるサインがおりない、横から。サインがおりぬのにうっかり手をつけたらこれは大変なことになると。それが私は真意だと思うのですよ。
 そこで、そのサインを持っておる大臣がこの問題についてどういう理解をしておるのか。どう決意しておるのか。この点をひとつ、もうつくろいじゃなくて、さっきあなたが言った、内輪で議論しておるという問題を含めて真意を聞かせてください。
#65
○国務大臣(後藤田正晴君) 確かに社会保険診療報酬の事業税非課税、これは問題意識を持って検討しなきゃならぬ大きな課題だと思います。この事業税についての非課税で昔から問題になっているのは、医師の非課税と、もう一つはマスコミの関係の非課税、この二つでございます。いずれもすぐれて政治の課題でもございまするので、いろいろな状況を踏まえながら自治省としては問題意識を持って検討をしてまいりたいと、かように思います。
#66
○佐藤三吾君 これは石原さん、自治大臣が決意をすればできる問題ですね、課税は。そうでしょう。
#67
○政府委員(石原信雄君) 御案内のように、現在、重要な税制上の改正につきましては、税制調査会にお諮りして、その御答申をいただいてやっております。特に、この所得税の方で例の社会保険診療報酬の特例措置の手直しを行った際にも、かなり長い間政府税調で激しい議論が行われ、何年かの議論の末ああいった結論に到達した次第でございます。したがって、この事業税の方でも、自治省として、役所として一つの案を持てばそれがすぐ実現につながるということではないと思うのです。これは非常に歴史もあり、経緯もある制度でございまして、税調の場で相当議論をしないとなかなか具体の結論は出ないんじゃないか。自治省で決めればすぐ決まるという、そういう経緯のものではないと私どもは理解しております。
#68
○佐藤三吾君 まあ時間があればこの問題で大臣と――すぐれた政治問題だから、やりたいと思うんだけれども、まあいずれにしても医師会こわさ。不公平税制はわかりながら手をつけないと。大臣の言ったすぐれた政治的というのはそこにあるんじゃないかと思うのです。しかし、国民の皆さんも非常にきつい、もうここ三年程度前例がない実質的な大変な負担増になっておる、その中でのきつい実態があるだけに、こういう目に余る行為については、どうして決断しないのかという焦りを私は持っていると思うのですね。ですから、やっぱりこれは政治家としてぜひこたえていかなきゃならぬし、政府自体が対処していくというのが何といっても政治に対する不信を取り除く最たるものだと思うのですよ。そういう意味でひとつ来年の税制改正、地方税法の審議の際には、こういう議論が完全に、百はいかなくても一歩前進したような形の議論のできるように、ぜひひとつ大臣に決意を持って臨んでいただきたい。これは私はそこら辺の決意ができさえすれば、そうむずかしい問題ではないと思うのですよ。その点をひとつつけ加えておきたいと思います。
 それから、電気税の問題が次に出てくるのですけれども、これもまた大きいですね。今度は二品目を外したと言っておりますけれども、これがまた大企業に対する企業優先の最たるものだと思うのですが、これも大牟田の訴訟であるとかいろいろ各地で訴訟事件にまで発展しておる内容等も兼ね合わせてみると、きわめて国民の目から見て許しがたいものがあると思うのです。これについては一体税調ではどういう議論をし、自治省内部ではどういう議論をして二品目を外したのか。もっと措置できなかったのか。大胆な処理ができなかったのか。そういった点についてもあわせてただしていきたいと思います。
#69
○政府委員(石原信雄君) 電気税の非課税品目につきましては、御案内のように、現在の電気税は消費税としての性格を持った税でありますが、消費税なるがゆえに原料課税は避けるという考え方から、その製造原価に占める電気料金の割合がおおむね五%を超えるような製品については、これを非課税品目にするという考え方がかねてからとられております。この考え方自身につきましては税調でも二つの議論があります。すなわち、地方税源の確保という意味、あるいは税制の公平性という意味からするならば、電気税という制度を設ける以上はすべての製品に一律課税すべきであって、非課税品目というものは設けるべきでないという極端な意見がある一方、また、電気税は消費税ですから原料課税は避けるべきだと、そういう意味で、現在設けられております非課税品目については、たとえばよく例に出されるアルミなどは電気のかん詰めだと言われるほど製品コストに占める電気料金の比重が非常に高いものでありますから、こういったものに電気税を課税するとなると、そもそもアルミ産業そのものが成り立たなくなるじゃないかと、こういうような議論もあります。税調でもこの点は意見が分かれておりまして、結局現状でいかざるを得ぬという結論に落ちついているわけであります。
 しかし私どもは、そうは言ってもこの非課税品目が一種の既得権化するということはよろしくないわけでありまして、その生産の状況あるいは非課税品目から外した場合の影響などいろんな見地から考えて、外せるものは外すべきだという考え方で臨んでおります。五十五年度の場合には硫化鉱と二硫化炭素を非課税品目から外すということについて関係省庁とも合意に達したわけでありますが、率直に申しまして非常に少ないじゃないかという御指摘もあるかと思いますけれども、それぞれの製品の置かれているいまの企業環境その他からいたしまして、二品目を落とすということをいまようやく合意に達したということでありまして、これを根本から外すということは現状ではなかなかむずかしいと思います。
 それからまた、電気税そのものの性格論にもこれは及んでくる内容を含んでいるのではないかと、このように思います。
#70
○佐藤三吾君 あなたの一月号の石原論文はなかなか意欲的であり、国民の皆さんが見ると期待感を持てるような、今度はやるぞと――いままでの税務局長はやらぬというんじゃないですよ。やらぬと言うんじゃないけれども、今度はやるんじゃないかと、こういう期待感を持って私は読んだと思うんですね。それがこういうことでしゃがまざるを得ぬということは、まことは私は期待を裏切るような、石原さん自身もそういう意味じゃ何ともうっせきするものがあるんじゃないかと思うんですよ。しかし、それいま聞いてみますと、既得権化することは許すべきじゃなくて、今度も追及してやるんだと言うから、本気でやってくださいよ。そうして、やっぱりこういう問題は、これは私は案外政治の信頼を取り戻す大きな一つのファクターになると思うんで、こういう点はだれが見たって明らかなんだから、遠慮することはないと思うんです。そういう点は一月論文のように、この姿勢を崩さぬでひとつやっていただきたいと私は思うんです。
 時間がございませんから次に移りますが、利子配当所得の総合課税が五十九年の一月をめどになったんですが、地方税の非課税の措置は六十年という説明がございましたが、それまでの補完措置というのは一体どういうふうにお考えなんですか。
#71
○政府委員(石原信雄君) 総合課税移行までの間は、まあいわば住民税の取り分まで含めて所得税の方で源泉分離課税がなされていると、こういう理解のもとに、住民税相当分は別途地方に財源として返していただくべきだと、こういう考え方を持っております。具体的には、現在は交付税特別会計に繰り入れられております臨時地方特例交付金、五十五年度の場合には千三百億円でございますが、この一つの大きな要素として、この利子配当所得に対して住民税が課税できないことの対応措置という考え方がとられているわけです。これは六十年度住民税の総合課税が実現するまでの間、継続さるべきものと、このように考えております。
#72
○佐藤三吾君 これもやっぱり医師、電気に次ぐ大きな親玉ですよ。ですからやっぱり自治体にとっては、これは正直言って、何とかここら辺の措置を急いでおると思うんですが、結果的には五十九年ということなんですから、その間の措置についてはひとつ万全な体制をつくるというぐらいな決意でひとつ対処してほしいと思います。
 それから、今度、不動産の取得税の課税が、新築に新たに中古を加えて控除の特例措置がなされたんですが、問題になるのは、中古まで広げていただいたということは大変な前進だと思うんですけれども、しかし私は、むしろ新築をするだけの資金のない人が中古を買うと思うんですね、逆に言えば。だから、ここの方がもっと苦しいと思うんですよ。これがようやく今回認められた。新築は四十七年だったですかね。今回ようやく認められたということ自体が遅きに失したと思っておるんです。しかもそれにはかなりの制肘を加えられてきておる。その改正とあわせて、いわゆる六十日以内に申告をしなければせっかくの特例措置が、特別な配慮が無効になる。こういうことがつけ加えられた。これは私実態を、都道府県段階、市町村の税務担当の皆さんの意見をいろいろ聞いてみましても、これはとても事実上六十日以内なんということはできない。一部の新聞でも取り上げられておりますが、一生に一度の買い物というんですか、サラリーマンにとっては。その特典措置がかえって事実上この改正案によって受けられなくなる。何とかこれだけはひとつ阻止をしてくれぬだろうか、現状どおりしてくれぬだろうかと、こういう要求が非常に強いわけですね。
 だんだん実態を調べてみますと、現行法でも申告の仕組みになっていますけれども、実際問題としては、申告したから減免をしたというんじゃないんですね、実務的に見ると。ほとんど、登記所から三カ月に一遍か四カ月に一遍送ってくるというわけですね。それをもとにして自動的に落としておる、これが実務の実態ですよ。そうすると、これは六十日ということになると、全部アウトになってしまう。こういうようなことで非常に深刻にとらえておるわけですけれども、これについて一体どういうお考え、どういう措置なのか。これは衆議院でも議論があったと思うんですけれども、あわせてひとつ聞いておきたいと思うんです。
#73
○政府委員(石原信雄君) 今回中古住宅に対する課税上の特例措置を創設することと関連いたしまして、新築住宅につきましても百六十五平方メートル以下のものに限るなどの一定の要件を設けたわけでありますが、そのことと関連いたしまして、課税実務上、中古住宅につきましてはどうしても申告していただかないと、特例措置の対象がどの程度なのかなかなか把握できない。こういう実情から、中古住宅につきまして申告を前提とする改正をお願いしているわけですが、それとの関連で、新築につきましても一定の要件を設定する以上は、その資格のある納税者に申告していただくということが課税実務上どうしても必要であるということで申告制度を設けたわけであります。この点については、ただいま佐藤先生からもお話しがありましたように、現在でも不動産を取得した場合には都道府県の条例で定めるところによりまして一定の期間内に届け出をしていただくようになっております。それが実際上守られているか守られていないかという議論もありますけれども、たてまえとしては、ともかく不動産を取得された方はどなたも市町村を通じて都道府県に届け出ていただくというシステムになっておりますので、それに加えて課税上の特例のある方は申告をしていただくということでありますから、全く何にもなかったところに新しい制度を設けたというようには私ども考えていないわけであります。それからまた、この申告につきましては、いろいろ書類その他の面ではなるべく納税者の負担が軽く済むように便法を考慮しております。
 それから、こういった制度をつくったらみんな忘れてしまって、六十日という期間内に間に合わずに特例が受けられないんじゃないかというような御指摘でございます。私どもは、新しい制度をつくる場合には、確かにこの周知徹底を図るため相当の努力が要ることは事実だと思います。そこで、今回の新しい制度につきましては、三カ月間の余裕期間を置いております。そしてその間この制度の周知徹底に全力を尽くしてまいりたい。課税当局だけでなしに関係の業界、あるいは関係の省庁の御協力もいただいて、最大限の周知徹底の努力をしてまいりたいと、このように考えております。
#74
○佐藤三吾君 私も一応こういう経験があるんですよ。何というんですか、難病であるとか心臓病とかいうような場合に、国、県の補助が出ますね、大手術の場合に。その制度を県で保健所を通じて、医者を通じて徹底を図った。ところが、心臓病というのはぽっと起こってからすぐ手術するというしろものじゃありませんから、大体予算の関係あるものですから、年に一遍何月何日までに届け出た者について今年度の手術補助を出すと、こういう仕組みになっておるわけですね。その徹底を図っておるということなんですけれども、一般の住民から見るとなかなか徹底が図ってなくて、結果的にそういう申告をしていなかった。しかし医者は、早く切らなきゃ、処置しなければどうにもならない、もう救いようがないと、こういう診断が出たものですから、じゃ、何とか手術したい、しかし補助金は取れない、こういうことで、県会まで問題が持ち上がって、結果的に知事が政治的な判断をして、そういう申告制度があったとしても、人命にはかえられないということで救済したことがございます。
 私はやっぱりいま、徹底して徹底してということで、三カ月間の中ですると言うけれども、恐らく不動産業者とか宅建業者を通じてやるんじゃないかと思うんですけれども、いまはテレビ、マスコミ時代と言いますけれども、それで一カ月ぐらい大新聞を買い切ってばんばんやっても、これはその時期だけ起こる問題ではないわけだから、それから何年か後もずっと続く問題ですからね。なかなか私は徹底しない。だから、現行制度もあなたおっしゃったとおりに申告制度になっておるんだという前提に立つなら、現行で、これは六十日と区切ることはないんじゃないですか。なぜ無理に六十日と区切らなきゃならぬのか。こういう非常に厄介なものですね。現状でも申告制度になっておるけれども実務的には全然やられていない。したがって、登記所から三カ月か四カ月で来たものを処理するという仕組みにしかとれないからそれでやっているわけですね、現実的に。その問題を何で今度六十日を入れなきゃならぬのか。ここはひとつ六十日をなくして現状どおりにすると、こういう方向にできないものなのかどうなのか。いかがですか。
#75
○政府委員(石原信雄君) 申告期限の六十日が短過ぎるのかどうかという点でございますが、家を建てて登記その他のいろんな手続をされる方は、建てた当座はそういったことに非常に関心が強いものですから、いろんな手続も正直言ってなかなか厄介ですけれども、その時期には手続をされる方が多いと思います。そこで、この申告期限につきましても、新築後できるだけ早い機会にそういった手続をしていただくということの方が、むしろ忘れたりなんかすることが少なくて済むんじゃないか。家を建てた当座は、登記の関係、税の関係、すべてそちらに関心が強くなっておりますから、かえってその方がやっていただけるんじゃないか。これを非常に長くしてしまいますと勢い失念してしまうというようなことも考えられるんじゃないかということで、ほかの立法例なども考えながら六十日という期限を設けたわけであります。
 もちろん、このような期限を設けました以上は、その期間内に納税義務者の方が申告していただくように、先ほど申し上げておりますようないろんな面を通じて周知徹底を図ってまいりたいと、このように考えておりますが、この点、六十日の長短の問題については、繰り返すようですけれども、内部でもいろいろ議論をいたしました。もっと長い方がいいのか短い方がいいのかという議論をしたんですけれども、結局、していただく以上は六十日ぐらいが最も妥当な期間ではないかというふうに考えた次第でございます。
#76
○佐藤三吾君 これは石原さんのような切れる人が――いまの答弁聞いておると、率直に言ってやっぱり私の主張に大体共感するところあるんじゃないですか。そうだなと思いながら、いや、それは立場が許さぬということで四苦八苦しているような感じしか受け取れぬですがね。私が言うのは、現状が申告制度であって、それであるけれども実際には使われていないと、こういうような実態にあるということからいって、六十日が短いか長いかじゃないんですよ。あえて六十日入れぬでもいいじゃないですか、現行どおりでいいじゃないですかと、ここは。こう言っているわけです。
 これは、いまあなたは、家を新築した、もしくは中古を買ったという場合に、新しい方が記憶が新たじゃないかと言うけれども、あなたはやっぱり買ったり建てたことがないんじゃないですか、実際問題。公舎の中におって実際やったことないんじゃないかと思うのはね、あれは本人がしないんですよ。あれはもう業者が全部やってくれるんですよ。だから本人は、そんなことは一切知らないんだよ。新築とか中古を買うときには。登記から一切合財全部やってくれる。だから本人は何にも知らない。ただ、こう権利書を見てね、ああこれで間違いなかろうかなというぐらいのものです。だから皆しないんですよ、申告は。申告しなきゃならぬという現行法がありながらしないんです。府県の税務課に来るのは全部登記所から来るんです。こういう仕組みになっている。
 だから私は、そういうことだから六十日が短い、長いじゃない、これはやっぱり実態に即してやることがいいんじゃないかということを言っておるわけです。だから、もし万が一この六十日がひっかかって――いまあなたがおっしゃるように、徹底してそういうことのないようにすると言うけれども、問題は、現実にこれが起こって、やっぱり六十日以内に申告しなきゃ減税措置がとれませんと、こう明確になっておるわけですから、それでやられることになりますとこれは大変なことになる。その保障をあなたが、いや実際運用面ではそういうことないようにしますということを言えるのかどうなのか、この六十日を残しておって。そこのところをひとつきちっとしてもらいたいと、こう言っておるわけです。実際問題として。私は実務的に言っておるわけだからね。
#77
○政府委員(石原信雄君) 確かに、制度上のたてまえと実態とが違った動きをしているというケースがしばしばあることは私も承知しております。先ほど来申し上げておりますように、六十日と設定したのは、これを御提案のように全く取っ払ってしまうということにしますと、この特例措置の課税関係がいつまでも確定しないという状態が続くことになりまして、課税当局としては非常に困った事態もまた予想されるわけです。まあそれはそれとして、一番問題は、やはりただいま先生御指摘のように、この六十日の期限が過ぎてしまって、課税標準の特例あるいは減額特例を受けられなくなってしまう納税者がたくさん出るような事態が起こったら困るじゃないかと、その点は私どもも最も心配しているところでございます。あらゆる努力を重ねましてこの周知徹底を図りたいと思っております。
 ただ、やはりこういった新しい制度がスタートして定着するまでの間は、それでもやっぱり忘れてしまった人がいる。だから、これを一日でもおくれたからだめというのではせっかくの制度が生きません。そこで、それらにつきましては、現在の地方税法の規定あるいは各都道府県の条例の総則の規定によりまして、申告期限等が設けられている場合に、その期限に間に合わなかったということについて本人の責めに帰せられないような事情があった場合にはこれを救済できるという規定がございます。今回のような新しい制度の導入に当たりましては、私は、こういった面の救済も幅広く採用していく必要があるんじゃないか。そういった点につきましては近く都道府県の税務担当課長を会議に招集しておりますので、そういった場を通じ、それ以外の場も利用して、課税第一線の皆さんの意見もよく聞きながら、結論的には納税者に不測の不利益が及ばないような適切な指導をしてまいりたいと、このように考えております。
#78
○佐藤三吾君 いや、せっかく今度は新築だけから中古まで拡大して軽減控除措置をとって、政策的にはその幅を広げたわけですからね。広げた途端に今度は六十日で縛っちゃって、そうしてこっちの新築の方も含めてがっぽり税を吸い上げるという、そういうたくらみじゃないんですか。それならもうまさにこれはペテンというか、そうしか考えられぬじゃないですか。だから、もしそうじゃなくて、言うなら六十日というのは単なる一つの、申告をしてもらって税務職員の過重労働を防ぐ意味で、そういう意味で六十日ということでつくったんだということなら、これはやっぱり直接税の実務に当たっておる皆さんから見ても現行法で何ら差し支えないと言っておるんだから、そうすれば何も固執することないじゃないですか。そうすると、やっぱりこれは、せっかく中古まで広げたんだからどんどんこれ利用してくださいと、こういう立場に立つべきじゃないですか。そこら辺が私はどうしてもこの問題、せっかくあなたに何遍も立って説明もらっているんだけれども、まだ腑に落ちないんです。時間は来るし、いらいらしているんだけれどもね。いかがですか。
#79
○政府委員(石原信雄君) 今回申告制度を導入した趣旨は、先ほど来申し上げておりますように、中古住宅に対する特例措置の導入と関連いたしまして申告にかかわらしめると、いわば制度間のバランスあるいは課税関係の適正化という意味でこういった制度を導入したわけでありまして、決して増収を期待してこういったものを考えたわけでございません。その点は決してそういう考え方は全くございませんので、申し上げておきたいと思います。
 それから、せっかくこういった制度ができたわけですから、納税者の方に広くこれを御利用いただくと、その努力は私どももあらゆる機会を通じてしていきたいと思います。
 それから、この六十日間の申告期限が今回導入されたということに関連して、納税者の方に非常な不利益が当面起こるというようなことは避けるように、救済の道も先ほど申し上げたような方向で指導していきたいと、このように考えております。
#80
○佐藤三吾君 そうすると、これはむしろ納税者の皆さんに広く中古を含めて拡大したのであって、これを通じてがっぽり税金を吸い上げるんだという意図はないということも明確になった。そこで六十日は、もうそういうことの救済措置も講じていくと、こういうことになれば、あえて六十日を固執することは私はないと思う。だから、そういう観点から見て、私が一番心配するのは、この六十日がひっかかって、この中に明記されておりますように、六十日のうちに申告しなければ一切の減税の権利を失うということになりますとこれは大変なことになると思って言っておるわけだから、それについて救済措置まで含めて一切問題を起こさないと、この問題について。その確信があるのかないのか。これはひとつ大臣から聞いておきたいと思うんです。
#81
○国務大臣(後藤田正晴君) 税務実務上の問題でございますから、局長から答えさせたいと思います。
#82
○政府委員(石原信雄君) 先ほど来申し上げておりますように、私どもは課税関係を明確化するという意味でこの制度はぜひ必要であると、このように考えて御提案申し上げておるわけでありますが、その周知徹底についてはあらゆる努力を続けたいと思います。
 そして、ただ、その結果にかかわらず、やはり新しい制度というものが定着するまでの間はどうしても期限を過ぎてしまうという人が出てくることもまたこれは否定できないと思っております。それらについては所要の救済措置を、対応措置を講ずるように指導していきたい。私はそれでとにかく大きな支障が起こらないようにできるのじゃないかと、またそのための努力をしなきゃならないと、このように考えております。
#83
○佐藤三吾君 大臣、さっきあなた話を聞いてなかったんで、上のそらで聞いておったから答弁できなかったと想うけれども、これは非常に重大なことなんですよ、一歩誤まると。いま救済措置をつくる。そしてこのことによって現行法の中で差し支えないいろんな状態を保障する。六十日をもって権利がなくなるようなことはしない。そのための周知徹底を図ると、こういうお話がございましたけれども、これはひとつ大臣も、この問題重大な問題であるだけに、厳に守っていただかなきゃならぬと思うんですが、いかがですか。
#84
○国務大臣(後藤田正晴君) 税務の実務上の問題でございますが、せっかくの制度でございますから、この制度が十分活用せられるように、申告等も十分やっていただけるように周知徹底も図る。なおかつ、それに漏れるといったような事態には何らかの措置も講じる。そうすることによって、せっかくのこういういわば恩典の制度ですから、これが十分に活用せられるように指導を徹底してまいりたいと、かように思います。
#85
○佐藤三吾君 時間がございませんから、もう一つだけつけ加えて、御意見をいただいて終わりたいと思います。
 市町村民税の場合には、所得割が十三段階ということになっておるんですが、県民税は依然として二段階ですか、これはもう変えてないですね。これはやっぱり実際から見ると不公平というか、余り妥当なものではないんじゃないかと思うのです。われわれかねてからせめて五段階制ぐらいまでに段階にした方がいいんじゃないかと、その方がより適正じゃないかということを主張しておるんですが、今回も見送られているような感じですが、これはひとつ次の税調などでも検討していただいて実現するようにお考えになっているのかどうなのか。それ、一言聞いて質問を終わりたいと思います。
#86
○政府委員(石原信雄君) 御指摘のように、道府県民税は昭和三十七年に二段階税率になって以来そのままでございます。所得に対する課税のあり方としてどういった累進構造が適当なのかという点についてはいろいろ議論があります。地方税についてはどちらかというと比較的フラットな方が望ましいんだという説もあります。道府県民税につきましては、三十七年に所得税の一部を道府県税に移譲する際の経緯で、所得税と道府県民税あわせて税率の全体の形を考え、その中で道府県民税の方は二段階にしたという経緯がございます。しかし、その当時からむしろ税率区分から言えば道府県税の方が多段階の税率にして、市町村税の方はもっと段階区分が少なくていいんじゃないかという、逆じゃないかという議論もあったわけであります。しかし、この税率の刻みを変えるというのは、これまた所得課税の大きな変更でございます。この点について私どもは、いずれ五十六年度以降税制の抜本的な見直しというのは避けられないと思います。その際に、所得課税についても大きな改正が論議される時期が来ると思います。そういった際には道府県民税の性格、市町村民税の性格、それぞれの性格を勘案しながらこの税率の区分についても検討してまいりたい。その場合、ただいまの御指摘のような考え方も踏まえながら検討してまいりたいと、このように考えております。
#87
○阿部憲一君 まず初めに、五十五年度の地方財政の歳入歳出規模の増加率を見ますると、伸び率が七・三%で、五十四年度の伸び率一三・〇%、それから国の一般会計予算案の一〇・三%と比べて大きく下回って、戦後三番目というような低い伸びにとどまっておりますが、これについてお考えをまず承りたいと思います。
#88
○政府委員(土屋佳照君) お示しのございましたように、昭和五十五年度の地方財政計画は、規模としては対前年度増加率が七・三%でございますから、国の伸び率よりも低いし、また、最近ではきわめて低い伸び率になっておるわけでございます。これは先生もよく御承知のように、膨大な累積赤字を抱えております厳しい財政状況のもとで、私どもとしてもできるだけ地方財政の健全化ということへ一歩を進める、そういった意味で歳出全般にわたって国と同じような抑制的な基調に立って作成をした結果でございます。その結果、全体としては規模が縮まったわけでございますけれども、そのかわりに逆にいろいろな面では健全化が進められたと思っております。
 ただ、このように経費全般について徹底した節減合理化を行うことを基本とはしておりますけれども、一方でたとえば国の公共事業が前年度と比べてほぼ横ばいであるのに対しまして、住民生活に非常に身近な社会資本の計画的な整備を推進するため、地方単独事業につきましては七・五%の伸びを確保するといったようなことなどもいたしておるわけでございまして、財源の重点的配分にも十分配意をしてこういったことになったわけでございます。
#89
○阿部憲一君 五十四年度の地方財政計画は、景気浮揚が至上命令ということで、地方財政もそれに伴って借金を上積みしてまでも公共本業を消化してきた、こういうわけですけれども、それが今度は逆に緊縮となりますると、徹底した抑制型を余儀なくされております。私はこれが、全く国に従属された、またさせられている今日の地方財政の実態ではないか、姿じゃないかと、こう思いまするけれども、これに関して大臣の御所見を承りたいと思います。
#90
○国務大臣(後藤田正晴君) 阿部先生仰せのように、国に従属しておるのではないかとこういう御意見でございますが、見方によればそういう見方もあろうかと思いますが、私どもとしては、やはり国全体の今日の経済の実態を背景とした財政状況、これは国も地方も乏しいわけでございますから、お互いに財政再建に向かって努力をしていかなきゃならぬ。したがって、国も財政再建の第一歩を踏み出す、地方も財政再建の第一歩を踏み出す。ならば、やはり地方もできる限り歳出等については思い切った縮減合理化を図っていかなければならないのではないか。同時にまた、そうは言いながらも、地方財政はいろんな住民の要望をまともに受けてやらなきゃならぬ仕事があるわけでございますから、それにこたえるためにそれなりに、たとえば単独事業等についてはそれなりの財源を確保しなきゃならぬ。したがって、その努力は当然私どもとしては払ったつもりでございます。
 そういうようなことで、全体として厳しい地方財政の計画になっておることは最近の状況から見てやむを得ないのではないか。その厳しい財源の中でやはり、何といいますか、経費の重点的な効率的な使い方をやって住民の需要にこたえていきたいと、かように考えております。
#91
○阿部憲一君 昭和四十五年以来約十年間地方財政の規模はずっと政府の予算を上回ってきておりますけれども、それが五十五年度になりましては一兆円も下回っている。こういうことについてはどのように考えておられますか。
#92
○政府委員(土屋佳照君) 地方財政計画の規模が国の一般会計予算を下回っておるのは事実でございますが、その原因は、主として、国の予算におきましては、国債費と地方交付税交付金が五十五年度きわめて高い伸びとなったためでございます。
 若干説明申し上げますと、国の場合、国債費が五十四年度に比べて一兆二千三百億余り三〇・二%ふえております。それから、地方交付税交付金が一兆二千五百七十億程度、二三・八%伸びておりまして、この二つを合わせただけで二兆五千億ぐらい伸びておるわけでございまして、この点はやや地方の場合と違うわけでございます。そういうことでございますから、地方財政計画から公債費を除き、国の一般会計予算からも国債費を除いた規模で見ますと、地方財政計画の方が一兆二千八百七十六億円逆に上回っておるわけでございます。また、地方財政計画から公債費を除いて、国の一般会計予算からは国債費とそれから地方へ渡します地方交付税交付金を除いたいわゆる一般歳出の伸びで見ますと、国の五・一%に対して、地方財政計画では六・六%ということになっておりまして、地方の方が高い伸びを示しておるわけでございます。
 まあ抑制基調のもとで組んだものでございますから、全体として伸びは低いわけでありますが、実質的な面ではただいま申し上げたようなことでございまして、国の場合二つの点で、非常に国債費、地方交付税交付金が伸びた、そういったことが影響しておるというふうに御理解を賜りたいと思うのでございます。
#93
○阿部憲一君 いろいろとお考えを述べていただきましたけれども、私は、この五十五年度に見られまする地方財政規模が低い伸び率に抑えられていること、これは政府の今後の地方財政に臨む姿勢を象徴的にと申しましょうか、示しているんじゃないかと、そんな気がいたしますが、これについてどういうふうにお考えですか。
#94
○政府委員(土屋佳照君) 御承知のように、この高度成長期に行政のレベルというものがかなり伸びてまいりましたが、不況期に税収がかなり急激に落ちてきた。そういったことで、国も地方も歳入歳出の均衡というものが大きく崩れてまいりました。五十年度以降大幅な赤字を抱えてきたわけでございます。しかしながら、やはり国民のニーズにこたえる必要性と、もう一つは、何とかこの景気の浮揚を図るという意味で、借金をしながらも積極的な財政運営をしてきた。それが今日膨大な借金となっておりまして、いまのままでは財政は硬直化をするし、いろいろな問題が起こってもこれに対応する力を失う、このままで放置しておけないといった状況に相なったわけでございます。そのために、何としてでも膨大な国債費あるいは公債の発行を縮めようということになってきました。その結果、御承知のような抑制基調に立って、まず歳出の節減、合理化というとこから始めようということになってきたわけでございます。
 そういうことで、全般としては財政の対応力というものを深める意味で、ただいま申し上げましたような歳出規模を抑制する、そして借金をなるべく減らしていく。そういうところを健全化の一歩にしようということで踏み出したわけでございますから、今後経済情勢がどういうふうに変化していくのか、経済がどういう形で動いて、どういったかっこうで自然増収が出るのか。それでまたその場合に、一体国民の要請に伴う歳出規模というのはどの程度に維持していったらいいのか。それはいまのいろいろな要素を踏まえて全般的に考えていかなければならないことでございますから、今後とも歳出規模をどんどん減らしていくんだということを一概に申し上げるわけにはまいりませんけれども、ただ、全般的にいまの財政の置かれておる状況から見ますと、やはりまず歳出の節減、合理化ということは頭に置いておかなければならぬということでございますから、思い切った公共事業の増発というようなことは今後はない。そういった意味ではある程度は抑制基調は続くのではなかろうかと私どもとしては考えておる次第でございます。
#95
○阿部憲一君 行政監理委員会から、「地方財政全般については、地方交付税の率又は額の見直し及び起債の抑制などを行うなどにより、地方財政の膨張に歯止めをかけ、不足分は地方財政支出の削減、合理化等の自助努力によって賄わしめる等の施策を検討すべきである」という提言も出ておりまするけれども、これについて大臣はどんなふうにお考えになっていますか。
 それから、この提言と政府の五十五年度の地方財政対策を考え合わせますると、今後は地方財政に対する政府の姿勢というものはますます厳しいものになりはしないかと、そのように危惧されまするが、この点についてもあわせてお考えをお述べください。
#96
○国務大臣(後藤田正晴君) まず最初に、先ほど来御質問の中に、国の方としては地方に対してだんだん財政上厳しいやり方をしてくるんじゃないかと、こういう五十五年度の国の予算と地方財政計画の逆転現象をとらえての御意見ですね。そういった物の考え方が、背景に私はないとは言えないと思います。しかし、これは私どもとしては断じて承服するわけにはまいりません。これはやはりそれぞれの地方の財政の必要額を積み重ねていってやるべきものであって、そういう考え方がないとは――これは私推測でございますよ――言えませんから、その点は十分警戒してまいりたいと、かように思います。
 それから、行政監理委員会の御提言ですが、これはそれぞれの専門家の方がそれなりの御勉強をなさって御提言をしたわけでございますから、それなりの受けとめ方はいたしたいと思います。しかし、御質疑の中にございましたように、交付税は減らせ、起債も減らせ、まず自助努力でやっていくんだという思想は、私は残念ながら、この御提言をさようでございますかと言うわけにはまいりません、これは。この考え方は、勉強なさったであろうけれども、それは今日の国全体の統治機構、これがどのような仕組みで全体の仕事が行われておるのかという点についての認識についていささか勉強が足らぬと、率直に言いまして。私はさように考えております。
 ただ、自助努力をしろと、これはよくわかりますから、それは経費の節減、合理化、地方にはそれなりに十分やってもらうように御要請をしたいと、こう思いますが、交付税なんていうのは、先ほど来申しましたように、本来税が基本でございます。しかしながら、それで間に合わないものはやはり交付税をふやしていく。今日のように、大府県あるいは大都市なんかで不交付団体がだんだん減ってきて交付団体に転落をしていっているという現象、これは正常な姿とは言えません。そういうような意味合いを考えましても、交付税を減らすなんていうことはいささかも考えておりません。
 それから、起債を減らせと、なるほど起債は、見方によりますとアヘンですよこれは。これはもう国も地方も同じです。この公債財源というものをいわゆる財源みたいな物の考え方になったんじゃこれはどうにもならぬわけですから、そういう意味合いにおいて地方債も同じ。ことに地方債の場合は地方財政計画なりそれを通じての交付税なり、いろんな計算で後々処理ができますから、そうしますとこれに頼り切るという弊害が漸次出てくるおそれがございます。これは私は厳しく自治省の事務当局はもちろんのこと地方団体にもその点はお考え直しを願いたい。したがって、この起債を減らしていくということはあたりまえの御提言だろうと思いますが、ならば、それは自助努力は当然だけれども、そんななまやさしいことで今日の地方財政が賄えるはずがありません。したがって、それを減らす以上はそれなりの財源というものをこれは適当に配分をすべきものだと、その前提でなければこれは承るわけにはいけないと、かように考えております。
#97
○阿部憲一君 具体的に次に伺ってみたいと思いますが、五十五年度の地方財源の不足額が二兆五百五十億円となっておりますが、この手当てはどのように行われているのか、伺いたいと思います。
#98
○政府委員(土屋佳照君) お示しのように、五十五年度の財源不足額は、いろいろと大蔵当局とも詰めていった結果、二兆五百五十億円となったわけでございますが、これについては私どもとしても、たとえば交付税率の引き上げ等も含めていろいろ穴埋め措置について検討をいたしました。しかし結果的には、御承知のように、一兆二百五十億は交付税において増額をするということと、それから一兆三百億は財源対策債の発行ということで措置をするということに昨年末決まった次第でございます。
#99
○阿部憲一君 いま御説明のように、この五十五年度の地方財政の財源の不足対策は、地方債の増発それから交付税特別会計の借り入れというような、これまでと同じようないわゆる借金政策で終わっているわけですけれども、このような一歩の前進も見られない、はっきり言いますと。そのような措置に対して大臣はどのようにお考えでございますか。これをもう一度伺いたいと思います。
#100
○政府委員(土屋佳照君) ちょっと大臣の答弁の前に一言申し上げたいと存じます。
 二兆五百五十億ということで、五十四年度の四兆一千億に比べますとかなりこの財源不足額は減ってきたわけでございますが、それでも二兆を超える大幅な赤字でございます。その点については、私どもとしては、基本的にはこれはやはり交付税法六条の三の第二項にも該当する状況であるというようなこともございまして、まず地方交付税率の引き上げを含む交付税の所要額の確保について国の財政当局とかなり激しい論争をいたしたわけでございます。しかしながら、国の場合も御承知のように大幅な財源不足でございまして、かなりな額の特例公債を発行しておるというような状況でございました。そういった中で、地方と国との恒久的な財源配分の方策でございますこの交付税率の変更を直ちに行うということはなかなか容易ではないということに相なりまして、私どもも残念ではございましたけれども、今回交付税率の引き上げは実現できなかったわけでございます。その結果、一つのパターンとして決まってまいりましたような交付税特別会計の借り入れ、財源対策債の発行といったようなことに相なったわけで、その意味ではお示しのとおりでございます。
 しかしながら、交付税率の引き上げ等による、あるいはまた他の新税の創設等によって穴埋めができない限りは、何らかの方法で穴埋めをしなければならない。そういった際に、御承知のように、五十三年度に決められました借入純増加額について二分の一は国が負担をするといった方式によって交付税特会で借り入れをするということ、それによって交付税の所要総額を確保するということに力点を置いた。同時に、いわゆる財源対策債は極力これを縮減する。それが地方財政の体質改善につながるということで、その二点に問題をしぼっていろいろと詰めを行いました結果、先ほど申し上げましたように、交付税特別会計における借り入れが一兆二百五十億、それから財源対策債は六千百億減らして一兆三百億にしたわけでございまして、その意味では同じパターンではございますけれども、かなりその中身については、地方財政負担を将来軽減する方向へ向かっておるというふうに私どもとしては考えておるわけでございます。その結果、地方債の依存度は五十四年度の一二・六%から一〇・六%に減っておりますし、また、一般財源の比重も五十四年度の五四・三%から五十五年度は五六・七%というふうにむしろ高まっておるわけでございまして、形の上では残念ながら御指摘のように十分なものとは申せませんけれども、その中においては私どもとしてはできるだけの改善の努力をしたつもりでございます。
#101
○国務大臣(後藤田正晴君) いまお答えいたしましたように、五十五年度の措置は、当面の財源不足を補う現実的な処置であって、私どもとしてはこれがいつまでも続いていっていいものというふうには考えておりません。これはやはりできる限りあらゆるチャンスをとらえてもう少し恒久的な制度に切りかえなきゃならぬということは重々わかっているつもりでございますので、御理解を賜りたいと思います。
#102
○阿部憲一君 それでは大臣にお伺いしますけれども、今回の地方税法の改正案の性格は端的に言ってどういうものか、お聞かせ願いたいと思います。
#103
○国務大臣(後藤田正晴君) 御承知のような経緯で、いわゆる一般消費税の構想が実施不可能であるということになったのに伴いまして、現行の税制の中でできる限り、従来から当委員会でのいろいろな御意見等もございますし、またわれわれも考えておったいろんなことがございまするので、そういった点をできる限り改善、改革をして、そして地方の税源を少しでも潤沢にいたしたいと、かような意味での、これまた当面の私は税法改正であったと、かように理解をいたしております。
#104
○阿部憲一君 いまの問題ですけれども、地方財政にとっても、五十五年度を財政再建元年とすることが至上命題であったと、こう思うわけでございますが、また政府自体もそのつもりで取り組まれたと思いまするが、今回の改正案によってこの命題が達せられたと、こういうふうにお考えかどうか。もう一度大臣に御所見をお伺いしたいと思います。
#105
○国務大臣(後藤田正晴君) 私は、少なくとも財政の再建に第一歩は踏み出したのではなかろうかと、こう思います。それは、今回の財源不足に対する対処の仕方、つまりは財源対策債等はできるだけ減らそうと。何よりも地方の歳出の節減、合理化といいますか、こういう点についてもできる限りの対応策――もちろんそれで地方が困るようなことをしてはいけませんけれども、そこらを十分考えながら第一歩の着手をしたというぐらいに私どもとしても評価をしていただきたいと、かように考えておるわけでございます。
#106
○阿部憲一君 さきに発表されました地方財政収支試算によりますると、地方税収は六十年度までで二兆七千億円の増税が必要である、こういうことですけれども、この数字の根拠を御説明願いたいと思います。
#107
○政府委員(矢野浩一郎君) 地方財政収支試算における二兆七千億の数字の根拠ということでございますが、今回提出いたしました地方財政収支試算は、御承知のように、その中に積算しております税収につきましては、一月に公表されました経済審議会の企画委員会における六十年度の経済の暫定試算、この中に示されておりますところの昭和六十年度の租税負担率二十六カニ分の一%程度をもとにいたしまして、現在の国、地方の財源配分にはこれは変更がないと、こういう前提で、まず六十年度の税収を想定をいたしまして、これと五十五年度の税収とを機械的に結びつけて試算をしたものでございます。したがいまして、その数字の中には、いま申し上げました六十年度の租税負担率、これは現在の租税負担率に比べて上昇しているわけでございますが、その上昇分がもちろん含まれておるわけでございます
 そこで、この収支試算に積算いたしました税収と、一方、この収支試算の中における前年度の税収額が名目のGNPに対しまして弾性値一・一、まあ自然増収一という考え方でございますが、弾性値一・一で伸びるものとして計算をいたしました各年度の税収額との差額、これを四年間累計いたしますとお示しの二兆七千億と、こういう数字になるわけでございまして、これはいわば各年度における新たな租税負担の上昇分の合計額と、こういうような意味を持つものと考えております。
#108
○阿部憲一君 それにつきましては、この二兆七千億円ですか、増税を実施することを考えますると、具体的な方法はお持ちですか。これに対して。
#109
○政府委員(矢野浩一郎君) 御承知のとおり、地方財政収支試算の数値、特にその中に掲げました税収の見積もりにつきましては、現在の国、地方の税源配分に変更がないと、つまり現行制度のままで推移をするという、一応これは仮の前提を置いて計算をしたものでございます。したがいまして、この試算において計算されておりますところの税収の数字というものは、各年度の具体的な税収の予定額を示すものではございませんし、もちろん増税の具体的な計画というものを示したものではないのでございます。今後の租税政策のあり方につきましては、税制調査会におきましても昨年末御答申がございます。今後税制調査会としては、いままでの検討の方向、その後の経緯を踏まえながら、財政再建の進め方とその中における税制のあり方についてさらに検討を続けることとすると、こういう御答申がございます。政府としても、広くこの点について各階各層の御意見を伺いながら幅広く検討していきたいと、こういう考え方でございます。
#110
○阿部憲一君 そうすると、結局具体的な方法というのはいまのところないと、そういうふうに了解していいわけですね。
 さて、今回の改正案について伺いますけれども、まず、個人住民税の改正、これについて御説明を願いたいと思います。
#111
○政府委員(石原信雄君) 今回の改正案の個人住民税関係について申しますと、一つは、所得割につきまして基礎控除、配偶者控除、扶養控除などの各種控除の引き上げによる課税最低限の引き上げを行う、これが一つでございます。
 それから第二は、課税最低限の引き上げに伴う減収に対処する趣旨もありまして、市町村民税の所得割の税率適用区分に所要の調整を行うという点、これが第二でございます。
 それから第三は、個人の均等割の税率の見直しを行うという、以上三点でございます。
#112
○阿部憲一君 課税最低限は百五十八万四千円に引き上げられていますけれども、なお所得税の課税最低限とは四十三万一千円の差がありますが、低所得者層の税負担がそれだけ重いということから考えますると、住民税の課税最低限も所得税にそろえるべきじゃないかと、このようにも思いますが、どうでしょう。
#113
○政府委員(石原信雄君) 住民税は、地域社会の費用をその住民の方に能力に応じてなるべく広く負担していただこうという、いわば負担分任の精神といいましょうか、そういった考え方に基づいて課税されているものと私どもは理解しております。一方、所得税は、国全体を通じまして国民各層の所得再分配を実現する、こういった性格の税と、このように理解しております。したがいまして、同じく所得に対する税でありますけれども、両者の違いから課税最低限は必ずしも一致させる必要はない、ある程度差があるのは税の性格上やむを得ないじゃないかと、このように考えております。もちろん住民税におきましても、各時点時点における生計費等を勘案して、いわゆる最低生計費には課税しないと、こういう考え方のもとに課税最低限の具体的な額は決められなければなりませんけれども、その額はおのずから所得税の課税最低限とは違ってしかるべきじゃないか。こういう考え方を持っております。
#114
○阿部憲一君 個人住民税の課税最低限のいまのあり方ですけれども、何か抜本的な検討を加えられる予定だということを聞いておりますが、これは何か本当に検討されておるんですか。
#115
○政府委員(石原信雄君) ただいまもお話がありましたように、この課税最低限について所得税と住民税との関係がいかにあるべきやと、こういった議論が昔からあるわけですが、最近ではさらに生活保護基準が急速に上がってまいりまして、住民税の課税最低限との開きがほとんどなくなってまいりました。で、具体的に、このまま五十五年度の住民税の課税最低限を据え置きますと、五十六年度になると、生活保護基準の方が上回ってしまうという事態にもなりかねない。そういうようなこともありまして、住民税のあり方、特に課税最低限のあり方を、社会保障の体系あるいは国税との関連等、いろんな面で基本的な検討を行う必要があるのじゃないか。そういうことで、今後税制調査会の場などを通じまして少し掘り下げた研究をしてみたいと、このように考えております。
#116
○阿部憲一君 次に、道府県民税の所得割について伺いますが、この税率は、年収百五十万円を区切りとして、これ以上の場合は百分の四、それからこれ以下は百分の二と、こういうふうな二段階に決められておるわけですけれども、この百五十万円の区切りは昭和三十七年度からずっと据え賢きになっておりまするけれども、三十七年度当時と最近のそれぞれの納税者数はどのようになっていますか、お伺いします。
#117
○政府委員(矢野浩一郎君) 御指摘のように、昭和三十七年度に現行の二段階の税率になったわけでございます。
 そこで、三十七年度と最近のものとの納税義務者の比較をと、こういう御質問でございますが、実は、住民税全体といたしまして、例の市町村民税におけるところの課税方式の統一の問題、これが昭和三十九年度までかかっておりまして、私どもの方として、それ以前に係る、いまの御質問に見合うような納税義務者の課税資料を実は把握しておりません。まことに恐縮でございますが、それに最も近いと申しますか、最も古い数字として、昭和四十年度における百五十万以下と百五十万超の納税義務者の数字がございますので、これと最近の昭和五十四年度を比較して申し上げますと、昭和四十年度時点におきましては、所得百五十万円以下の者が二千百四十八万七千人、それから百五十万円を超える者が三十六万二千人。比率にいたしますと、百五十万円以下の者が九八・三%、百五十万円超の者が一・七%でございます。さらに、昭和五十四年度の時点で見てまいりますと、百五十万円以下の納税義務者が二千九百七十六万五千人、百五十万円超の納税義務者が八百七十六万九千人。構成比で申しますと、百五十万円以下の者が七七・二%、百五十万円超の者が二二・八%。かような数字に相なっております。
#118
○阿部憲一君 いまお伺いして非常に気がつくことは、いまおっしゃった統計が三十七年はなくて四十年度だと言われますので、私はいまの数字の変化というのはもっといわゆる開きがあるんじゃないかと思われまするけれども、この百五十万円以上の分というのは、四十年度にはわずか三十六万。ところが現在は八百七十六万。このようにすごい増加をしたということは、これはどういうことでしょうか。御説明願いたいと思います。
#119
○政府委員(矢野浩一郎君) 百五十万円というラインを昭和三十七年度以来据え置いております。その間に名目の所得が伸びてまいったということからこのような数字になったわけでございます。もとより全体の納税義務者数もただいま申し上げましたようにふえておるわけでございますが、構成比としては、百五十万を超える者というものが割合がふえてまいったわけでございます。
 ただ、つけ加えて申し上げますが、この百五十万円はこれは課税所得でございまして収入金額ではございません。したがいまして、実際には、課税最低限等の規定によりまして、この百五十万円という数字が実質的にそのまま今日までずっと推移をしたということではございません。百五十万円という課税所得は、いわば大ざっぱに申し上げますと課税最低限の上にさらにいわゆる課税対象として出てくる金額でございますので、そういう点の違いはもちろん考慮に入れるべきではなかろうかと、こう考えております。
#120
○阿部憲一君 ただ、私がちょっと素人考えでおかしいと思うのは、当時この百五十万と線を引いたわけですね。それはそれ相応の理由があったと思うんです。ところが、それが四十年とあれしますと、十五年間たった現在と、余りにも何か変化があり過ぎる。ということは、結局百五十万円と設定したこと自体が間違いなのか。それとも、現在このような大きな変化を来したことがほかに大きな理由があったのか。たとえば物価騰貴その他等、そういうことがあったのかどうか。その辺はどういうふうにお考えですか。
#121
○政府委員(矢野浩一郎君) 確かに御指摘のように、具体的な金額で据え置いてまいりますと、所得の変化によりまして、これを超えるものと以下との間の、実質的な課税の実態というものがこれは変わってくることはもうおっしゃるとおりでございます。ただ、端的に私ども、先ほどちょっと申し上げましたけれども、百五十万円という数字が実質的にずっと据え置かれたと実は考えるべきではないのでございまして、ちょっと説明がややこしゅうございますけれども、百五十万円というのは、先ほど申し上げましたように課税対象となる額、いわゆる課税標準額でございます。各種の控除等を引いてしまった課税の対象になる所得でございます。これを昭和四十年度と仮に比較いたしてみますと、昭和四十年度の際にはおおむね課税最低限が、大体これはサラリーマン標準世帯の場合でございますけれども、三十万円程度でございました。したがいまして、いまの課税標準額百五十万というのをこの収入のベースに直してまいりますと、約百八十九万七千円ぐらいという数字が実質的に、そういう収入の階層がボーダーライン、百五十万円のところにあったわけでございます。ところが、これを昭和五十四年度で見てまいりますと、その後におきまして各種控除の引き上げが相当にやっぱり行われております。したがいまして、五十四年度の場合には、百五十万円の課税標準額に見合うところの収入の金額というのは三百六十五万三千円程度、したがって大方倍、収入ベースで申しますと約倍になっておるわけでございます。もとよりこの間におけるたとえば消費者物価指数等の上昇を見ますと倍を超えておりますので、そういう意味では当時に比べると均衡がとれてないのではないかと、こういうような御指摘はあろうかと思いますが、単純にこれを据え置いたというとらえ方だけで見るべきものではないんじゃないかと、こう考えておるところでございます。
#122
○阿部憲一君 いろいろ御説明承りましたけれども、結局この百五十万円という区切りについては固執するのはおかしいんで、むしろやはりこれをある程度引き上げるべきじゃないかと思いますが、その辺はどうですか。
#123
○政府委員(石原信雄君) 先ほどもこの問題の議論があったわけでございますが、そもそも道府県民税の税率適用区分が二段階制でいいのかどうか、もっと段階区分をふやしたらどうだという御議論がございます。ただこの点は、いまの二段階をつくるときも所得税の方の段階区分と見合ってこれはできておりますから、これを変えるということになりますと、所得税ないしは市町村民税の税率適用区分と相互の関連を見ながら所得全体としてどういう課税方式でもっていくのか、どういう負担を求めるのがいいのかという検討が必要になってまいります。私どもはそういった所得課税全体についての検討の時期に来ているんじゃないだろうか。そういう意味で、この所得課税全体を見直される際に道府県民税の税率区分についてもひとつ検討をしたらどうだろう。このように思っております。
#124
○阿部憲一君 そうすると、道府県民税ですか、これも多段階にしようというお考えも若干おありになるわけですね。
#125
○政府委員(石原信雄君) この点につきましては、二段階でなきゃならないということはないのでありまして、他の所得税や市町村民税との関連を考えながら税率適用区分を考えたらいいんじゃないか、そういう意味で申し上げているわけで、私どもは税率適用区分についても十分、この改正する必要性という意味では問題意識を持っております。
#126
○阿部憲一君 次に、地方税における非課税措置の整理合理化についてお伺いしたいと思いますが、この五十五年度の整理合理化はどのようになっておりますか。それから、それによる増収はどの程度になっておるか、お伺いしたいと思います。
#127
○政府委員(矢野浩一郎君) 非課税措置の整理合理化の内容及びこれによる増収額についてのお尋ねでございますが、明年度の税制改正におきましては、不動産取得税の課税標準の特例措置の縮減など、廃止十二項目、縮減十六項目、合計二十八項目にわたりまして非課税措置の整理を行いますほか、電気税、産業用電気に係る電気税の非課税品目につきまして二品目を廃止するということにいたしております。
 また、こういった非課税措置の整理合理化によるところの増収額は、ただいま申し上げましたものにつきましては、初年度六十億円、平年度七十五億円の見込みでございます。
 なおこのほかに、国税における租税特別措置の整理合理化等による地方税への影響分というのがございます。これは初年度九百九十五億円、平年度千七百十八億円の増収が見込まれておるところでございます。
#128
○阿部憲一君 次に、電気税の免税措置ですけれども、今回免税点を二千四百円から三千六百円に引き上げられておりまするが、この基本的な考え方はどうかと思いますが、御説明願いたいと思います。
#129
○政府委員(石原信雄君) 今回の電気料金の引き上げに関連いたしまして、従来免税世帯に属したものが料金引き上げの結果課税世帯にならないように、従来免税世帯だったものは引き続き料金引き上げ後も免税世帯になるように所要の調整を加えるという考え方に立っております。
#130
○阿部憲一君 産業用電気の電気税の非課税措置についてですけれども、今回の改正で非課税品目が二品目減少して八十二品目となっておりますけれども、この非課税による減収額はどのぐらいになるか。
 さらに、電気税の自治体財政における位置づけをどのようにお考えになっておられまするか。お伺いいたします。
#131
○政府委員(矢野浩一郎君) 電気税の非課税措置による増収の金額でございますが、これは一億円未満でございますので、計算上は入れておりません。二品目、二硫化炭素と硫化鉱でございますけれども、金額にいたしますと一億円未満の数字でございます。なお、全体の産業用電気の非課税の額でございますが、約九百億円でございます。
#132
○政府委員(石原信雄君) 電気税の地方税における位置づけといいましょうか、考え方でございますが、電気税は、電気の消費に対して課税するという、いわゆる典型的な消費税でありまして、これは所得課税を補完する税である。地方財政における地位としましては、非常に普遍性もあり安定性もあり、かつまた伸長性もあるという意味で、市町村税としては非常にすぐれた税であると、このように理解しております。
#133
○阿部憲一君 次に、事業所税の課税団体の範囲の拡大についてお伺いしますが、事業所税は、大都市における都市環境の整備に必要な財源を確保するための目的税として五十年に創設されて、翌年には課税団体が人口五十万以上の都市から三十万人以上の都市へと拡大されて現在に至っているわけですけれども、現在二十一市ある人口三十万以下の県庁の所在市では、この範囲拡大を望む声が非常に高いと、このように聞いておりまするけれども、これについて当局のお考えはいかがですか。
#134
○政府委員(石原信雄君) 事業所税の課税団体の範囲を拡大する問題につきましては、五十年度にこの制度ができまして、五十一年度に、それまでの五十万から三十万までの団体に範囲を広げたわけですが、その際、税制調査会でいろいろ議論がありまして、ちょっと読んでみますと、「なお、この税の性格にかんがみ、課税団体の範囲を今後さらに拡大することについては、慎重に対処すべきであると考える。」と、このような答申が出されております。その税制調査会の答申の考え方というのは、事業所税というのがいわゆる大都市税制といいましょうか、比較的規模の大きな都市における特殊な都市財政需要に対処するための税だと、こういう考え方から、余り小さなところまで課税範囲を広げるべきでないという考え方があります。この考え方は税調の中には現在でもかなり根強く残っております。
 しかし一方、この税ができましてもうすでに五年以上経過し、ただいま先生の御指摘のように、中には課税を望んでいる団体もたくさんあります。少なくとも人口二十万以上、あるいは県庁所在都市については課税団体として認めるべきじゃないかという御意見があることも十分承知しております。私どもとしては、そういった意見も踏まえながら、また一方、この税の性格に基づく消極意見というものも税調の中にありますので、あれこれ十分議論しながら、基本的には課税団体の範囲の拡大に向けて努力していきたいと、このように考えております。
#135
○阿部憲一君 次に、有料高速道路に対する固定資産税の課税についてお伺いいたしますが、この問題についてはどのように措置されておりまするか。
#136
○政府委員(矢野浩一郎君) 有料高速道路に対する負担問題につきましては、かねがね種々の御議論がございます。また、昨年度の地方税制改正におきまして、当委員会におきまして附帯決議もいただいたところございます。私どもといたしましては、早急に解決しなければならないという考え方のもとに取り組んでまいったわけでございます。そのために、五十三年の六月に有料道路負担問題検討委員会、これは学識経験者あるいは有料道路が通過する地方団体の代表者、こういった方方をメンバーといたしますところの検討委員会を設け、一年余にわたりまして種々御論議をいただきました結果、五十四年の七月に御報告をいただいたわけでございます。
 この報告におきましては、結論的に、高速自動車国道等に対しまして固定資産税を課税する、あるいはいわゆる交納付金措置を課するというようなことは、高速自動車国道等の公共性なりあるいはまた整備の現状といったようなことを考えてみて、これは問題があると考えるけれども、しかし一面、そういった有料道路に関連をいたしまして、通過市町村に特別な財政需要が生じておるということもこれも事実でございますので、したがって、こうした状況に対応するために、これらの通過市町村に対して現在行われておりますところの施策を拡充強化するとともに、現在の施策では措置できないというような財政需要に対処いたしますために、新たに通過市町村の自主性を尊重したメニュー助成金制度をつくるべきであると、こういう報告をいただいたわけでございます。
 私どもといたしましては、こういった御報告を受けまして、五十五年度の予算編成過程を通じましてこういった市町村の自主性を尊重したメニュー助成金を、おおむね今後の有料道路の整備期間約十年ぐらいをめどにいたしまして、その第一年度として日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団、これらの三公団から五十五年度分としては四十五億三千万円のメニュー助成金の予算措置を行い、目下御審議をいただいておると、こういう状況にあるわけでございまして、なお、これとあわせまして既存の施策――救急業務あるいは関連公共施設の整備等の施策につきましても同時に充実が図られるようになってきておると、こういういきさつでございます。
#137
○阿部憲一君 そうすると、この地方の配分というのは結局公団がするわけですか。どういうようになるんですか。
#138
○政府委員(矢野浩一郎君) 先ほど申し上げましたように、日本道路公団と首都高速道路公団、それから阪神高速道路公団、この三公団からそれぞれ通過市町村に対して配分をされる。ただ、配分のやり方につきましては、これは私どもも、従来の経緯もございます、また、先ほど申し上げました検討委員会の報告の中にもそういった骨子も述べられております。十分所管省でございます建設省等に私どもの方の意見も申し、また関係市町村の意見も聞いた上で、そういった公団からの補助要綱という形になると思いますが、そういうものを決めまして適切な配分を実現をしていきたいと、こういうぐあいに考えておるところでございます。
#139
○阿部憲一君 先ほども御質問なされた方があったようですけれども、新築住宅に対する不動産取得税の特別措置、この整理が行われていますけれども、この内容と、この基本的な考え方はどのようなものか。もう一度御説明願いたいと思います。
#140
○政府委員(石原信雄君) 今回、中古住宅の取得についても課税標準の特例等の優遇措置を設けるということにいたしたわけでありますが、それとのバランス論といいましょうか、兼ね合いで、従来全く制限がなかった新築住宅に対する不動産取得税の課税標準の特例などにつきましても、百六十五平米以下の住宅に限るなどの一定の制限を設けることをいたしました。このことと関連いたしまして、課税事務の的確を期する趣旨で、これらの特例措置の対象の資格のある納税者から申告をしていただくという制度を今回導入することとした次第でございます。
#141
○阿部憲一君 この特例措置につきましては、先ほどもお話が出ました、今回の改正によって、当該土地等の取得の日から六十日以内に申告しなければならない、そうしなければこの特例が受けられないということになっていますが、この措置によって取得時点の確認をどのようにしたらいいのかということ。それからまた、こうした混乱が各都道府県の事務上に生ずるのではないかということを心配されますが、この点はどういうふうにお考えでしょうか。
#142
○政府委員(石原信雄君) 不動産取得税の取得の日をどのようにして認定をするかという問題は、今回の申告制度の導入以前から存在する問題でありまして、住宅を取得した日というのは現実に住宅を居住の用に供したときというふうに認定しているのが一般であります。今回の申告制度の運用に当たりましても、この取得の日の認定については従来からの扱いと特に変えるということはないと思います。
 ただ、こういった新しい制度を導入いたしますと、一般納税者の方がこの制度になじんでいただく、これを知っていただくまでにいろいろ課税当局としても努力しなければならないと思います。その点につきましては、私ども三カ月間の余裕期間を置きまして、課税団体あるいは関係の業界あるいは関係の省庁と緊密な連携をとりながら、この制度の周知徹底についてあらゆる努力をつぎ込んでまいりたいと、このように考えております。
 そうして、この六十日間という申告期限の問題でございますが、これも先ほど来申し上げておりますように、他の類似の制度とのバランスからこういった期限を設けたわけですが、これを設けませんとこの不動産取得税の課税関係がいつまでも確定しないという問題もありますので、こういった制度を導入したわけであります。しかし、この制度の導入に当たって納税者の方に不測の不利益が起こらないように、私どもは必要な措置を講ずるように課税団体を指導していきたいと、このように考えております。
#143
○阿部憲一君 なお、この特例についてお伺いしたいことは、申告漏れなどでもって権利を失う人も出てくるのではないかということを心配されますけれども、この辺はいかがでしょうか。
#144
○政府委員(石原信雄君) 私ども、そういったことのないようにあらゆる努力をつぎ込んでまいりたいと思っておりますが、不幸にしてそういう事態が起こるということも当然制度の当初においてはあり得ると思います。そこで、これらにつきましては、現行制度のもとでも真にやむを得ない理由によって申告期限までに申告ができなかったというような事態が起こった場合には、課税団体の判断で救済する道が開かれております。これは、現在の地方税法あるいはこれを受けての各都道府県の条例の中でそういった道が開かれておりますので、その適切な運用を図ることによって、納税者の方がこの制度が利用できないような事態が起こらないように必要な救済措置を考えていきたいと、このように思っております。
#145
○阿部憲一君 自動車取得税の画定税率が、現行の第八次道路整備五カ年計画の終期に合わせて三年間単純延長になっていますが、この措置による地方の税収額はどのくらいになるか。また、その再延長ということも考えられますかどうか。その点をお伺いしたいと思います。
#146
○政府委員(石原信雄君) 今回の暫定税率の延長は、自家用自動車の取得に対する本則の三%の税率を五%に引き上げている、この特例措置をさらに三年間延長しようというわけでありますが、もしこの延長が実現しませんと、五十五年度で八百億円を越える減収になってしまうのじゃないかと、このように見ております。八百六十六億円の減収を生じてしまうということになります。現在の道路整備五カ年計画との対応で三年間の延長をお願いしているわけでありますが、その後どうするかということになりますと、これは道路整備五カ年計画との関連でその取り扱いを決めていかなきゃならないと思いますが、市町村道の整備の現状などからいたしますと、これを引き下げられるような状態にはないと私どもは思っております。
#147
○阿部憲一君 次に、今度は都市財政についてお伺いしたいと思います。
 まず、大臣にお考えをお伺いしたいと思いますが、東京、大阪等を初めとする指定都市等の大都市は税収入が総体的に伸び悩んでいる。その反面、各種の都市問題を解決するための財政需要は御案内のように非常に増大しております。まだ、さらには義務的な経費の増加によっての財政硬直化等、きわめて深刻な状況に置かれているわけですけれども、これについて大都市財政の現状をどのように認識されておりますか、伺いたいと思います。
#148
○国務大臣(後藤田正晴君) 御案内のように、高度成長期に大都市に人口、産業が集中したわけでございます。そういった集積の利益というものはそれなりにあったわけでございますけれども、しかし、他方、大都市特有の財政需要、つまりは学校であるとか、あるいは都市の再開発であるとか、あるいは下水道の整備であるとか、こういったもろもろの都市環境整備のための財源が非常にふえてきたわけです。本来、東京とか大阪といえば日本の富の集まっているところですから、少々財政需要がふえたところで、こういった団体は十分賄えるだけの財源があってしかるべきなんですけれども、それができてない。ということは、やはり今日の国と地方の税源配分、これにやはり問題があるという認識を私は持っております。したがいまして、今後とも大都市の財政が円滑に行われるように財源配分等については大きな今後の課題としてとらえて、あらゆるチャンスを逃さないように解決をしていく。そうすることによって今日大都市の抱えておる財政上の困難の打開に向かって全力を挙げてまいりたい、かように考えております。
#149
○阿部憲一君 大都市財政の健全化のためには、根本的に自主財源を拡充強化していくと、これは御所見のとおりでございまするが、たとえてみますと、法人所得課税は都市的な税目の性格が強いというわけですけれども、この配分割合を見ますと市町村が約八%という非常に低い現状ですけれども、市町村への配分を拡充強化することが必要じゃないかと、このように思いまするが、この辺についてはお考えはどうでしょうか。
#150
○政府委員(石原信雄君) 法人所得課税の国、都道府県、市町村間の配分の問題につきましては、確かに現在は都市への配分割合が全体の八・一%、非常に低くなっております。先ほど御指摘のように、都市、特に大都市等における税源の構成割合の低下傾向などにもかんがみまして、都市への法人課税の配分割合の強化をもっと図るべきだという考え方を私どもいたしております。これまでも、法人住民税の税率の引き上げ等のチャンスがある場合には、道府県に遠慮していただいて都市分を引き上げるというようなこともこれまで行ってきておりますが、今後とも法人課税全体の中に占める市町村の配分割合というものはもっと引き上げられるべきだ、その方向で努力していきたいと、このように考えております。
#151
○阿部憲一君 同じように都市的税目でありまする消費流通課税の市町村への配分割合が、新たに九%ときわめて低くなっておりまするけれども、都市における人口の流動激化、それから物流消費の実態、財政需要との関連等を考えますと、この拡充強化を図るべきじゃないか、こうも思いまするが、この点はいかがでしょうか。
#152
○政府委員(石原信雄君) かねてから都市、特に指定都市からは消費流通課税の強化を望む御意見があることは承知しております。ただ、一般的に申しまして消費税、流通税という系統の税は、ある程度の広域的な団体の方が望ましいんだというような別の意見もございます。問題は、市町村のような一般的には狭域、地域の狭い自治体になじむ消費税、流通税があるかどうか、こういうことになってくると思います。先ほど申し上げましたように、私どもはその一番理想的な税はいまの電気税あるいはたばこ消費税、こういったものであると思います。それ以外に、現在道府県税になっております料飲税とか娯楽施設利用税などもありますけれども、こういったものが市町村へ課税権を移すということについてはどうか、これはいろいろ議論もあります。いずれにいたしましても、市町村、特に大都市の消費流通課税の強化の必要性というものは私どもも十分認識しておりますが、問題は、これにうまくなじむ税目が現実に探し出せるかどうかというようなことではないかと思います。いずれにしても私どもは、現在ある税目の強化も含めまして今後の検討課題であろうと、このように考えております。
#153
○阿部憲一君 市町村道の整備のための目的財源ですけれども、市町村道の整備状況は、舗装率にしても一般国道で九三・九%、それから道府県道の七四・七%に比べまして三二・八%と非常に立ちおくれておりまするけれども、この市町村道路目的財源の配分割合を引き上げていくべきと思いまするけれども、この点についてはどうお考えでしょうか。
#154
○政府委員(石原信雄君) 確かに現在の道路整備状況から申しますと、国道、府県道、市町村道と並べた場合に、市町村道が最もおくれております。また、道路整備財源の面から見ましても、国道や府県道に比べて市町村道は非常に立ちおくれております。そういった意味で、市町村道の整備を進めるためには市町村の道路目的財源の強化が必要であろうと思います。
 実は、五十四年度の地方道路譲与税の引き上げの際にも配分割合を市町村道に傾斜させたわけでありますけれども、今後とも道路財源の全体の強化を図ると同時に、その過程で市町村の道路目的財源の強化に努めていきたいと、このように考えます。
#155
○阿部憲一君 大都市におきましては、国それから道府県の県道、国道ですか、この管理やその他事務配分の特例が設けられて、道府県にかわってこれらの事務を行っておりまするけれども、これに伴う税制上の措置、不足額が指定都市側の言い分では八百五億円という数字が言われていまするけれども、こうした措置不足に対して何らかの配慮をしていくべきだと思いますが、この辺いかがでしょうか。
#156
○政府委員(石原信雄君) 指定都市は、お示しのように国道や府県道の管理を行う、あるいは定時制高校の費用の負担を行う、その他十数項目にわたりまして事務配分上の特例が認められております。これに対応して、いまの税制上の措置が十分でないんじゃないかという指摘があることは承知しております。ただ、現在でも、たとえば軽油引き取り税交付金でありますとか、あるいは地方道路譲与税、石油ガス譲与税、こういったものの配分に当たりましては、指定都市の道路管理をする特例というものを十分念頭に置いて配分上の特例措置を講じております。
 それから、大都市税制として先ほど来御議論いただいております事業所税、これなども、言うなれば大都市の特殊性に着目して創設された税制であると、このように言っていいと思います。このように、これまでも道路目的財源やあるいは都市税制の観点から、大都市の持つ財政需要の特殊性に着目した配慮というものはなされてきておりますけれども、今後とも制度面あるいは予算面の努力を続けていくべきものと、このように考えております。
#157
○阿部憲一君 地方側の要求としまして、日銀の国庫納付金に対して特例措置の廃止、さらには特別とん税の税率が三十九年以来据え置かれている、これを引き上げてくれと、このような要求がありまするけれども、これは地方税収の安定性を確保するためにはまだ必要じゃないか、もっともな要求じゃないかと思われまするが、これに対する自治省の御見解を承りたいと思います。
#158
○政府委員(石原信雄君) まず、日本銀行に対する課税の問題でありますが、日本銀行は中央銀行として、発券銀行としての特殊な地位にあります。そこで、こういったものについての課税をどうするかということについてはいろいろ御議論があります。いずれにしても、現在は日銀の業務運用上必要な支出、あるいは内部留保、あるいは配当、こういったものを除いた残りは国庫に納付させる、いわゆる日銀納付金という制度が設けられておりまして、この日銀納付金は、日本銀行法の規定によりまして税制上は損金に算入するとこういうことになっておりますので、結果的に法人税が、法人住民税あるいは法人事業税が課税されない扱いになっております。そのために、最近は国庫納付金が非常にふえているにもかかわらず、地方税は全く課税できないという状況にあって、関係の地方団体としては何か割り切れない気持ちを持っていることは事実であります。ただこの点については、日本銀行という特殊な法人に対する税制上の扱いという意味で国庫当局と私どもとなかなか意見が合わない面もあります。日本銀行を通常の銀行と同じに考えるのか、全く別個に考えるのかという基本の問題もありますけれども、私どもは、気持ちとしてはやはり関係自治体の気持ちも踏まえて、地方税源の強化の立場から今後ともこの日銀納付金の取り扱い、あり方については関係省庁とも協議してまいりたいとこのように考えております。
 それから、特別とん譲与税でございますが、この特別とん譲与税は、昭和三十二年度に外国貿易船に対する固定資産税の軽減措置の拡大といわば引きかえのような形でこの制度が設けられたわけでありまして、そのころから見ますというと、税率が当初は一トン当たり十円だったものが昭和三十九年に二十円に引き上げられて今日に至っております。で、その制度ができた当時の外航船舶に対する固定資産税の軽減措置との関連で申しますと、その後、外航船舶については一部課税強化が行われておりまして、現状ではその当時の外航船舶に対する特例による減収額と特別とん譲与税との関連で申しますと、特別とん譲与税の方がかなり多くなってきております。たとえば五十三年度ですと、軽減額が五十一億円に対して、とん譲与税の方は九十八億円という数字になっておりますので、その制度創設のときの議論からすると、これでもいいではないかという議論もあるのでしょうけれども、しかし、これは開港所在市町村における各般の財政事情に着目して譲与されているという考え方も私どもとっておりますので、その後の財政需要の増大とも関連してこの特別とん税の税率を見直すべきじゃないかという気持ちを持っております。今後の検討課題としてまいりたいと思います。
#159
○神谷信之助君 御承知のように、好況に転化をしたとはいえ、地方では中小企業の倒産がいまなお相次いでおりますし、それから労働者の賃金の上昇率も最近ずっと抑えられてきています。そういう中で、電気代、ガス代の値上げを初め一斉に公共料金は上がるし、自治体の方も学校の授業料から使用料、手数料、一斉に上げると、こうなってきていますね。
   〔委員長退席、理事金丸三郎君着席〕
そういう事態のもとでこの地方税法の改正案が出されておりますから、したがって、国民生活を擁護するという点から言いますと、非常に多くの問題をはらんでいます。しかし時間の制限もありますから、その主要な点について、私はきょう議論をしてみたいと思うんです。
 まず最初は、五十五年度の個人住民税の所得割の問題、これの最低課税基準の問題ですね。若干引き上げられましたが、しかし、これは国民の生活水準と比較をしてみてどういう関係になっているというように自治省の方は御理解になっているか、お伺いしたいと思います。
#160
○政府委員(石原信雄君) 五十五年度の税制改正に当たりましては、住民税の減税問題につきまして、住民一般の生計費の上昇等を勘案するならば、当然課税最低限の引き上げを行うべきだという考え方がある一方におきまして、地方財政の現況は非常な窮迫状態にある。そういう意味では、減税を行う以上はそれに対する十分な補てん措置が期待できなきゃならない。しかし、いまの国、地方を通ずる財政状況の中ではなかなかこれはむずかしいというようなことで、この減税問題をどうするか、いろいろ議論をしたわけですが、結局、現在御提案申し上げているような内容の、課税最低限の引き上げを行うという結論に到達したわけです。今回の引き上げは基礎控除、配偶者控除それぞれ一万円、それから扶養控除二万円という引き上げであります。昨年度の場合は、御案内のように各控除ともそれぞれ一万円づつであったのですが、今回は扶養控除については二万円の引き上げを行うということで、この結果課税最低限が昨年度の百四十九万円から百五十八万四千円に引き上げられます。この引き上げ率は最近の消費者物価の上昇率などを上回るものであり、地方財政の現況を考えれば可能な最高限であったのではないかと、このように理解しております。
#161
○神谷信之助君 いまの答弁は、国民の生活水準から言うなれば、さらに控除額をふやすなりあるいは課税最低限を引き上げる必要があるけれども、地方財政の現状とのかかわりでこの程度に抑えたと、こうせざるを得なかったというように理解していいわけですか。
#162
○政府委員(石原信雄君) 住民生活の現状とそれから地方財政の現況と、まあ両にらみで決めたわけでございます。これにとどめざるを得なかったというよりも、いろいろなそういった要素を彼此勘案して今回の引き上げ案を決めたということでございます。
#163
○神谷信之助君 この問題は、先ほども同僚議員からも指摘がありましたし、衆議院の地方行政委員会でわが党の議員も指摘をしておりますから深くはやりませんが、私は、いわゆる憲法二十五条の理念に基づくいわゆる最低生活費ですね、つまり生活保護費の措置がやられていますが、少なくともその基準に照らしてこの課税最低限はどういう関係にあるのかという点は、きわめて私は重要だというように思うんです。これは、京都は一級地ですが、京都市内の標準四人構成で、三十五歳の男子――日雇い労働者ですね、それから三十歳の奥さん、九歳の男の小学生、四歳の女の子という標準四人の構成の五十五年の生活保護額を年額で見てみますと、生活保護基準に基づくものが百四十九万七十六円、教育扶助が一万六千六百八十円、住宅扶助が三十二万四百円、基礎控除分が二十三万六千八百八十円、それから期末の一時扶助の扶助料が三万八千円、これを合わせますと二百十万二千三十六円になるんです。先ほど石原さんは、前年度所得に対する課税だからとおっしゃっていましたから、それで五十四年度を同じ人について調べますと、同じように生活扶助基準に基づくのが百三十七万二千八十円、教育扶助は一万五千九百六十円、住宅扶助は二十九万四千円、基礎控除が二十一万九千九百六十円、期末の一時扶助は三万五千二百八十円、ですから合計しますと、百九十三万七千二百八十円になります。同様のやつで東京の何をいたしますと、住宅扶助の上限が――古い二種の住宅に入っている人は家賃安いですよね、新しいのは高いですから、ですからそれでいきますと、東京の場合ですと五十四年度は住宅扶助が月額三万一千七百円ということです。そういう状況ですから、年にいたしますと合計で二百二万三千六百八十円ということですね、東京の場合で同じようなケース。こういう計算になるんですよね。そうすると、いま百五十八万円何がしですかの最低基準からいったら、生活保護をもらっている人の年収の方が多いわけですよ。生活保護を受けている人は御承知のようにこれは所得割は要らぬわけですからね。それが、生活保護を受けないでとにかく一生懸命働きながら苦労して四人家族で住んでおる人の方は、収入は少なくても住民税の所得割は払わなけりゃならぬ、こういう矛盾が起こってくるわね。この点は一体どういうようにお考えですか。
#164
○政府委員(石原信雄君) 私どもは、厚生省の方から承ったところによりますと、五十四年度の一級地の標準世帯、夫婦子二人の標準世帯の生活保護基準、すなわち生活扶助、住宅扶助及び教育扶助を合算した金額は、百五十万五千円と、こう聞いております。ただいまお示しの数字がどういう前提で計算されたものか、お話だけではよく理解できなかったのでありますが、私どもは、住民税の課税最低限の計算をする場合と同じような意味での、いわば標準的な世帯構成の世帯で一級地の場合に百五十万五千円と、このように聞いております。それとの関連では、百五十八万四千円の今回の課税最低限は十分説明がつくといいましょうか、いわゆる生活保護基準に該当するような最低生活費には課税しないという住民税の立場といいましょうか、考え方は維持できていると、このように理解しております。
#165
○神谷信之助君 標準でやってもいかぬわけですね、実際に生活保護費をもらっているのは具体的事実なんだから。だから厚生省の標準の中で、いまおっしゃるところで言いますと、保護基準、生活扶助、教育扶助と住宅扶助とおっしゃっておりますが、そのほか基礎控除もあれば期末の一時扶助料もありますわね。それから住宅扶助にしましても、先ほどもちょっと言いましたが、これも人数によって違うでしょう。六人以内ですと最高限が三万一千七百円ですか、東京都の場合で。京都の場合ですと二万六千七百円というように、それぞれで違いますからね。だから、少なくとも生活保護費をもらっている、それから憲法二十五条の理念に基づく最低生活の保障といえば、少なくともその基準ぐらいまでは住民税の所得割は払わなくてもいいようにしないと、片一方は、生活保護を受けている人はそれ以上にもらっていても住民税を払わなくていいけれども、こっちは出さないかぬと、こうなっているんですからね。この辺ひとつ大臣、これはしばしば議論になっているわけですが、少なくとも国の所得税の課税最低限、少なくともそれとリンクさせると。あれはいま二百一万でしたかな、二百一万五千円ぐらいでしょう。少なくともそこまでいくと、まあ若干の人はそれ以上の生活保護費をもらっている人が出るかもしれぬけれども、大体釣り合うようになってくるのですね。
 だから、この辺のところをやっぱり改善しないと、一つは所得税は納めないのだけれども住民税を納めなきゃならぬ。あるいは生活保護をようけもらっている人、自分よりようけもらっている人は納めなくて、それより少ない収入しかないのに所得割は払わなきゃならぬと、こういう不合理が出ているんですね。この点の改善は、大臣、これからもひとつ大蔵省その他と折衝してもらって、もう少し合理性の通るように努力をしてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
#166
○国務大臣(後藤田正晴君) いずれにしましても、生活費の最低限ですか、それに食い込まないようにするということはこれは当然じゃなかろうかと、かように思います。そこで私どもとしては、前年課税であるというようなことを踏まえながら、五十四年度の生活保護基準とあわせまして、それを頭に置きながら今回百五十八万四千円に引き上げたわけです。ただ、いま神谷さんお読みになった京都の例、あるいは東京の例から見ておかしいじゃないかと、こういう御議論も出ようかと思います。私ども制度をつくるときには、どうしても厚生省のお決めになっている基準というものを参考にしてやらざるを得ないというようなことでございますので、その点は御理解を願いたいと思います。
 それからもう一つは、所得税の課税最低限と合わせろと、こういう御主張があるんですね。これは一つの考え方なんです。ただこれは長いいろいろな経緯がございまして、私の記憶に間違いがなければ、住民税の課税のやり方にたしか第一方式、第二方式という方式がございましたね。第一方式のときにはたしか所得税と同じだったわけです。それでその当時は、皆さん方の御主張はいまとは全く逆で、それはおかしいじゃないかということだったんです。地方税は負担分任の精神が強いのではないのかと。所得税というものは所得唇配分の機能を重視しているというようなことで、やはり地方税の住民税と国税の所得税というものは分離した物の考え方でやるべしといったようなことがございまして、同時にまた、当時は地方財政が大変窮迫をしておったといったようなこともあって、所得税の中から地方の住民税の方によこせという強い要求をいたしまして、ようやくのことに三十七年に府県民税が今日のような制度になった。そのときも段階税率について、市町村民税と府県税とそれから所得税とこう三つ合わせまして、それは納税する人は同じなんですからという理屈でしょう、そこでいまのような税率になったわけですね。そして三十九年にたしか現行税制のようになったと、まあいろいろこういった経緯があるわけでございます。
 そういうようなことで、いま私どもが基本的に考えているのは、なるほど所得税と課税最低限を一緒にするというのは確かに一つなんですね。しかし他面、いままでのそういった長い変遷を考えまして今日のような制度になっておる。私はやはり住民税というものは、物の考え方、制度としては、いまの制度の方がいいんじゃなかろうか。ただ、その際に課税最低限を幾らに押さえたらいいんだといったようなことにつきましては、これはやはり生活の水準の問題であるとか、あるいは住民税の納税義務者の数がどうなる、あるいは市町村なり府県の財政状況がどうだといったような、少し幅広い観点を踏まえながら、しかし基本は生活費の最低水準には食い込んじゃぐあいが悪いというようなことを踏まえながら、毎年毎年こういうものは検討をすべき筋合いのものであろうと、かように考えておりまするので、その点御理解を賜りたいと思います。
#167
○神谷信之助君 所得割の方は、私は負担分任論ではないと思うのですよ。応能主義にいかないかぬ。だから片っ方は均等割があるんですからね。ですから、その点では負担分任論はこれは成り立たない、そういう点が一つと、それから、やっぱり所得に応じて所得割の住民負担をするわけですから、この点では国税の所得税が免除されている者について住民税を賦課するというのは、これも行き過ぎになると思います。この辺のやはり統一性が私は必要だというように思うのです。いずれにしてもこれは時間がありませんから、そういう意見だけ申し上げておきますが、この辺の改善をひとつ努力してもらいたいと思います。
 次の問題に移りますが、不動産取得税の問題です。これも先ほどからしばしば議論になっていますが、石原局長、この六十日以内の申告者に限定をした理由ですね。これはもう長々とは要りません。一つはこの点、二つはこの点というように、簡明に言ってもらえませんか。
#168
○政府委員(石原信雄君) 課税関係の適正化を期するという意味で、今回新築住宅について一定の要件を設定したことと関連して、申告制度を導入したわけであります。これは一定の要件に該当する者が特例措置を受けられるということとの関連で、その特例措置の資格のある方から申告していただくということがどうしても必要だと、こういうことで制度を設けたわけでございます。
 それから、その場合に六十日とした理由は、これを余り長くすればかえって課税関係が不確定な状態が長く続くという点で好ましくない。申告していただく以上はなるべく早くしていただくということの方が、課税当局の立場だけでなしに、納税者の方にとってもその方がいいんではないかと、こういうことで六十日としたわけであります。
 なお、六十日という日をそのようにしたのは、もちろんこういった申告制度における他の事例なども勘案して決めた次第でございます。
#169
○神谷信之助君 それでは現行の申告制度の法律上のたてまえは一体どうなっているかという点ですが、これはもう御承知のように、七十三条の十八の一項ですか、「条例の定めるところによって」、「申告し、又は報告しなければならない。」、それから七十三条の二十では、「正当な事由がなくて申告又は報告をしなかった場合においては、その者に対し、当該道府県の条例で三万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる。」と。ですから、現行ではちゃんと申告を義務づけて、もし申告をしなかった場合、もちろん正当な理由なしにですよ、申告または報告をしなかった場合には過料を科すと、そういう罰則規定までつけている。現実に、実態はどうなんですか。実行されているんですか。
#170
○政府委員(石原信雄君) ただいまお示しの、不動産を取得した場合に条例で定める期限内に申告していただくという制度、これについては、率直に申しまして、その励行の状況というのは必ずしも十分でないと、このように聞いております。
#171
○神谷信之助君 実態はどうですか。たとえば不動産を取得して後、実際にそこの当該府県がそのことをキャッチをして、そして申告をするように指導して、そして税額を決定して納税義務者に通知をするというのにどのぐらいかかってますか。
#172
○政府委員(矢野浩一郎君) 先ほど御指摘のように、七十三条の十八によりまして、不動産の取得の事実を申告しなきゃならぬということになっているわけでございますが、局長がお答え申し上げましたようにこれについては必ずしも励行の状況は十分ではございません。
 で、現実の課税がどの程度かかっておるかということは、これは地域、府県によってかなり違うようでございますが、大都市を含むような府県におきましては相当やっぱり長くかかっておる。これは結局申告がございませんので、やはり登記所等によりましてその実態を把握をしないと課税ができないという点がございますので、かなり長くかかっております。
#173
○神谷信之助君 かなりって、どのぐらいですか。
#174
○政府委員(矢野浩一郎君) これはいろいろございますが、非常に長いものになりますと一年近くかかるというようなものもあると聞いております。すべてであるかどうかは存じませんけれども。
#175
○神谷信之助君 私は、京都府でずっと聞いてみましたら、こういうことになっているんですね。不動産を取得した者は登記所へ登記する。そうすると、それについては税法の三百八十二条で、「十日以内に、」「市町村長に通知しなければならない。」と、こうなっているんです。ところが現実には、御承知のように登記所はどんどん人を減らされていますからね。登記あったやつを十日以内に通知なんかできやせぬ。だから、これが物すごくおくれてきます。そうして、市町村の長はそれを受けたらどうするかというと、「自ら不動産の取得の事実を発見した場合」――だから通知をもらって発見するわけですね、市町村長は。「発見した場合においては、その日から十日以内に当該申告書若しくは報告書を道府県知事に送付し、又は当該取得の事実を通知するものとする。」、これは七十三条の十八の第三項です。そういうふうになっているでしょう。だから、この法律の規定どおりいけば、法務局でキャッチをしてから市町村長から府県に入るのには大体二十日以内にわかると、こうなっています。ところが実際はどうかといいますと、まあ半年ぐらいおくれているんです。法務局に登記をして、そして京都府に入ってくるのが約半年ぐらいかかる。それでは余りにもかかり過ぎますから、実際はどうしているかというと、府の税務職員が登記所に行って閲覧をして、そこからピックアップしているわけですよ。ところが、登記所は、登記したらすぐ閲覧できるんじゃなしに、大体早くて一カ月、通常一カ月半から二カ月たたないととじ込みが終わらない。それまでは見せない、散逸しますから。だから、申告があって少なくとも一カ月、遅ければ二カ月ぐらいかからないと、府県は不動産を取得をしたという事実をつかむことができない。これがいまの仕事の実態ですよ。それ、どうやって早くできるか、六十日以内に。私は、そういう事実をあなた方は実際に実態調査されたのか疑問に思うんですよ。まさに机上の空論で、現行法でも二十日あったらできるんだからと、二十日以内に。ずっと回れば。だから六十日あれば十分できるだろうというようにお考えになってもそうはいかぬ。不動産を取得をする者は、そんな登記なんか自分でやりませんからね。まあ中にやる人があっても、実際ほとんど業者が代行してやっていますよ。
 こうなってきますと、この六十日以内に申告した者に限って減額の適用がされるということは、もうほとんど多数の者は減額の対象にしないと、事実上はそうなっておる。これは先ほど石原局長は、そんなつもりは毛頭ありませんと言うが、結果としてそうなっている。事実はそういうことなんです、現状は。この点についてどういうようにお考えですか。
#176
○政府委員(石原信雄君) 確かに御指摘のように、現在登記所が非常に込んでおりまして、登記関係の事務が相当おくれぎみであるということは私ども聞いております。ただ、申告の期限六十日というのは、これは登記所に関係なしに、不動産を取得した本人が市町村を継由して都道府県に申告していただけばいいわけですから、登記所の方が込んでいてもこちらは別途にやっていただくわけですから、登記所が込んでいるがゆえにこちらの方がとても六十日以内でできないということはないのではないかと思います。こちらの都道府県の方の事務については、なるべく納税者の便宜を図って簡単に手続が済むように、これからよく指導してまいりたいと、このように思います。
#177
○神谷信之助君 実態を知っているんですか。不動産を取得した者をどうやって府県はキャッチするんですか。取得した人は、これは毎年やったり毎月やったりする行為と違いますから、一生に一回あるかないかの人が圧倒的に多いですよ。だから、あなたの方がいかにいろいろなところの新聞に広告したりいろいろPRしようが、自分はいま不動産を取得する気がない、あるいはできそうもないという人は全然関係ないですからね。関心も示さない。そして、いざ自分が取得をするというときには、もうそんなことは頭にないです。だれが教えてくれるんですか。六十日以内に申告しないと損しますよとだれが言ってくれるんですか。しようがないじゃないですか。
#178
○政府委員(石原信雄君) 従来は、本人からの申告が励行されていなかったということもありまして、先ほど先生からも御指摘がありましたように、実際に不動産の取得を把握しているのは登記所の登記簿によってその事実を発見して捕捉しているということであります。今回は、特例措置を受けられる本人から、市町村を継由して都道府県に対して申告していただくわけですから、従来よりも捕捉が早く確実になるのではないか、このように思うわけであります。
#179
○神谷信之助君 そしたら、市町村の方は、不動産の取得を、土地を取得したか家を建てたか、しょっちゅうずっと見て回るわけですか。本人が申告しなかったらだめだといっても、申告したらもうかるということがわかればそれは申告しますよ。わからぬのだから。そしたらこっちは探さないかぬじゃないですか。
#180
○政府委員(石原信雄君) したがいまして、先ほど来申し上げておりますように、今回こういうような制度になり、申告していただけば不動産取得税が軽減されるということ、これ本人にとっては大変な特典でありますから、こういった優遇措置があるということを十分PRして、家を建てる方には知っていただくように努力したいというように申し上げている次第でございます。
#181
○神谷信之助君 どうやって知らせるんですか。不特定でしょう、特定できないでしょう、PRする対象が。どうやって特定するんですか。
#182
○政府委員(石原信雄君) もちろん一般的な都道府県や市町村の広報手段を通じて徹底するほかに、多くの場合、これは家屋の新築をされる方は業者に頼むわけですから、不動産業者等に対して、建築主にこれを徹底していただくようなお願いをするということが中心になると思います。
#183
○神谷信之助君 そうでしょう。業者を通じて建築主に言ってもらうんです。あるいは土地の取得者に言ってもらうと、こうなるんですね。しかし、これは業者には義務がないんです。知らさなかったらどうするんです。業者が、ああそれ言うのを忘れてましたといって教えなかった。どうしますか。責任持てますか。
#184
○政府委員(石原信雄君) まあ課税関係全般がそうでございますが、本人のためにこのような優遇措置がありますということを、私どもとしてはあらゆる手段を通じて本人に知っていただくように努力をする。それにもかかわらず本人が知らなかった場合どうするかと言われても、これはそこまで――別に罰するわけにいきませんし、これはその努力をあらゆる手段を通じてするという以外に方法はないと思います。業者の方にもちろんこれはあくまで協力を依頼するということでございますから、漏れがあった場合に業者に対してペナルティーを課するというわけにいかないと思います。これは実際の広報手段をできるだけ実態に沿うように工夫していくしかないんじゃないかと、このように思います。
#185
○神谷信之助君 だからね、現行でも申告の義務があり、申告を怠れば罰則まである。しかし現実には、条例で定められた――五日から三十日ぐらいの期限で申告しなければならないことになっていますね、条例は。大体全体として。それを三十日、一番長い三十日以内に申告をされてきたものはほとんどない。だから、すぐ罰則か、そうはいかないだろう。ですから国民の権利を守るということで、府県の方は、たとえばそういう登記所へ行って調べてきて、そうして取得した人があればその人に通知をして、そして申告をしなさいよという指導をするわけ。それで、それを受けて、わかりましたというて申告してくれるのは大体七割から八割です。それでも申告しない人もあります。その葉書の通知をもらって、家族の人がああせんならぬなあと思いながら忘れてしまうということもあります。それで、出ないものですから今度は納税通知書が行く。それを見て、ああこれはえらいこっちゃ、何でこんなに要るのやというような相談があって、それは申告制度がありますということですぐ申告する。そこで解決する場合もあるし、納期を過ぎていてもう納めている場合は後から還付をする。京都の場合、大体一万件のうち約千件近く還付をする人がいる。だから一割近くの人が、一たんは税金を納めていて、後からその制度を知って、教えてもらって還付をするというようにして、そういう納税者に不利益にならないような措置を現実にやっておるんですよ。こういう減額措置が適用できるように、納税者を保護する立場から、いま各県でやっております。
 それを、六十日以内と今度限定をして、その限定したものだけ適用するということになってきますと、これは猶予期間三カ月置きますとか、いろいろ周知徹底しますとかおっしゃるけれども、現に法律がもう確定をすれば、そういう規定があるのに半年たってから言うてきたって、ちょっと余りおくれていますねということになってしまう。そこで、窓口ではどういうことになるのか。いや法律でそう決まっているんですから、あなたはだめですと言わんならぬでしょう。それに対する苦情に対応せないかぬのです、現場は。大変な労働過重ですよ。それを周知徹底をする。これにも金出してやらなならぬ、行政が。宅建業者を集めてやらなならぬ。だからこれがまた大変でしょう。この業者はそれこそたくさんおるんですからね、いま。公認された業者もあればやみの業者もいますよ。どうやるんですか。
 それで、もしそうやってもおくれた場合は、結局は総則の二十条を使って、「やむを得ない理由」という場合で、これできるだけ適用をするようにしますと、こうおっしゃる。全部に適用するのなら何も六十日以内と限定する必要はない、現行のままで何がいかぬのか。いままでよかったじゃないか。わざわざ何で限定せないかぬのか。その理屈はちっともないじゃないですか。私は、あなた方が実際に、それぞれの県税事務所や府税事務所でこの仕事をどういうようにやっているのか、そういう実態を本当につかんでこんなことをお考えになったのか。何ぼ少なく見ましても半年ぐらいを見ないと、登記所から知らせてもらって、落ちこぼれのないように、受益権を放棄することのないような、そういう努力をしようとすればそれぐらい見なきゃいけない。
   〔理事金丸三郎君退席、委員長着席〕
六十日以内なんてどうやってやるんですか。いま現場ではみんなもう大変だと言っているんですよ。大変だけれども、これどうやってこたえたらいいのか。あなたもう期限切れていますよと。忘れたんやったら、それじゃこれ理由書を書いてくださいと。そうして、もう一遍この理由書をつけて申請をしてくださいと、こういろいろとやらなならぬ。そんな要らぬ事務が何ぼでもふえてくるんですよ、現場は。
 大臣、これはだからこの六十日以内の申告者に限定をするというのは、私はどうしてもやめてもらいたい。現場がそうなんだから。大臣自身聞いてごらんなさい、税務職員の実際の話を。それを押し切って六十日以内に限定をなさるとするならば、まさにそれはこの利益を受けない者をつくり出す、受益者を制限をする、そのための改悪だと言わざるを得ぬと思う。いまお聞きになってどうお考えですか。
#186
○国務大臣(後藤田正晴君) やはり課税額がいつまでも確定しないというのもいかがなものかと、かように私も思います。ただ、神谷さんのおっしゃることわからぬわけでもないんですが、しかし、よく考えてみれば、これは恩典なんですね。同時に、一生に一遍かせめて二回ぐらいでしょう。だからかえって忘れるということもあるのかもしれませんけれども。しかし、不動産を取得をする、あるいは新築をするといったときには、御承知のようにいろんな手続が要りますね。したがって私は、これだけの恩典ということであるならば、そう申告しないということも、そうは想定せられぬのではないのか。やはり有利な条件を与えてくれるわけなんですから、それなりの私は申告はするであろう。
 ただ、税務当局としては、やはり住民に対して、今回の改正でこのように特典が与えられることになったんだということは、各種のいま広報手段が非常に県にしろすべて発達しておりますから、町内会ごとにいろんなもの来ますね、そういったようなことでやるなり、あるいは不動産の業者にも趣旨を徹底をしていただいて協力を願うといったようなことをやれば、なるほど私も組合の方がこの点についていろんな意見があるということは承知しておりますけれども、まずまずこの程度の――三カ月の余裕を置き、同時にまた若干のゆとりもつくった上で実施をするということであれば、六十日ということで申告期限を決めても、納税額を確定するという意味合いにおいて実施がよくいくのではなかろうかと、私はさように考えておるのです。ただ、いろいろ御意見はよく承って、今後ともそういう点についての、何といいますか、第一線での間違い、混乱、こういったことのないように注意をしてまいりたいと、かように考えます。
#187
○神谷信之助君 恩典があるんですから――それは恩典があるということがわかればだれでも喜んでしますよ。問題は、わからぬのです、恩典があることを。一般の国民は。きょう宣伝を幾らしても、自分がいま当分家を買うつもりはないし土地を買うつもりがなかったら、全然そんなもの気にもとめないでしょう。そうすると、この宣伝というのは、もう日常不断にというか、もうしょっちゅうやらないかぬ、周知徹底を。取得者というのは三年先、五年先ずっと出てくるんですよ。それはたびたびの経験者というのはきわめて少ない。普通の、まあわれわれがそうだけれども、一生かけて一回、あるいは親子三代の家というぐらいのもありますからね、いま。それぐらいになってきているんですからね。不動産を取得する機会というのはそんなにあるものでない。だから恩典をそのとき逃したらそれこそもうアウトですわね。それを知らせる方法はないじゃないですか。
 しかも、いま行政経費の冗費を節約せよというときに、わざわざこれの宣伝をしょっちゅうやらなならぬ。むだなPR費を使わなならぬ。あるいは業者を集めて、そして、いろいろまた資料を持っていって配らなきゃいかぬ、まさに冗費ですよ。現行でどうでもないじゃないですか、どんな不便が起こるのか。税の確定を早くしたいと。それならば早くできるようにしたらいい。登記所の人手をどんどん減らすようなことをしないで、どんどん家が建つようなところについてはちゃんと必要な人員を置いて、そして登記簿の閲覧が早くできるようにすれば早くキャッチできます。そして、その当該恩恵を受ける人に、こういう恩典がありますよということを知らす。そうすればすぐやってくれるでしょう。そういうように私はしたらいいと思う。片一方で登記所の方の職員はどんどん減らして、そして仕事はたまってきて、そしていま二カ月ぐらい待たぬととじ込みができぬ、閲覧ができぬという状態。そして六十日以内にせいと。取得をする人は特定できない、取得してから初めて特定できる。しかも先ほどの話のように、取得した日というのは、家が建って、そこへ移って住むという状態になったときからやと。それはもう買ったとき、契約したときは住んでますわ。家移ったらもういろいろ忙しいですからね。だからいろいろなこと話を聞いていても何かわからぬ、あるいは教えてもらえなかったらもうさっぱりわからぬと、こうなっちゃう。だから、私はもう明らかにこれは改悪だという点を強く指摘をしておきます。
 それで、もし仮にこれを実施して、一人でもこういうことが起こったらどうするんですか。局長、どういう措置をとるんですか。六十日を超えて気がついて、一年たとうが一年半たとうが気がついて申告してきたら、ちゃんとそういう減額の措置ができるようにしますか。
#188
○政府委員(石原信雄君) 先ほど来申し上げておりますように、新築住宅につきまして、一定の要件に合致するものについて軽減の特例を認めると、こういう制度にしたことと関連して、どうしても申告していただくということが課税関係の確定の上で必要だと考えて今回の改正を提案しているわけでありますが、このような事項が納税者の方々に広く徹底するようにあらゆる努力をしていかなければならないと思っております。もちろんこれにつきましては、不動産の取得というのは今後ともずっとあるわけでありますから、不動産取得税が、この制度が存在する以上はそのような周知徹底の努力は今後とも続けていかなければいけないと思います。そのためには、単に自治体自身の広報手段だけじゃなしに、関係業界などの協力もいただかなければいけないと思います。
 それで、不幸にして忘れてしまったと、申告期限を過ぎてしまったという方が出た場合には、私は、この制度が定着するまでの間は、先ほど申し上げておりますように、現在の地方税法の規定、あるいは各都道府県の条例の規定によりまして、この制度の実施等に伴う制度が定着するまでの間の扱いとしては、本人に寛恕をすべき事由があるということで救済していただくように、課税団体を適切に指導していきたい。そのことによって混乱を回避するように指導をしてまいりたいと、このように考えております。
#189
○神谷信之助君 私は、これがせっかく提案をされているけれども、大臣、一遍検討してね、この六十日以内に限定をしている部分については削除をするようなことを検討してもらいたいというように、しかしどうしてももうこれは削れぬとおっしゃるならば、来年にはもう改正してもらうということを考えざるを得ないだろうし、また自治体が考えざるを得ない状況になるだろうと思う。
 もう一つ同時に改善をする点で指摘をしておきたいのは、控除額の問題です。この税ができて、昭和二十九年に控除額が百万円から出発して、三十九年が百五十万円、四十八年に二百三十万円、五十一年になって三百五十万円。これは新築、家の方ですね。これは控除額が五十一年に三百五十万円にやっとなったんですよ。御承知のように、家屋はいま非常に、高くなっているでしょう。それに比べると控除額がべらぼうに低いんですよ。ところが、一方では、住民税の長期譲渡所得ですね、あれによる分離課税分についての軽減措置がありますわね。去年あれは二千万円から四千万円に上げたでしょう。だから、大企業なんかが土地買い占めして、そして調整地域に入ってじっと売るに売れぬで持っておるやつについての、そういう土地を何とか他に渡す。公共用地に渡すとかいろいろやった場合に税の恩典を受けるというのは二千万円から四千万円にボーンと去年でも倍に引き上げた。それから庶民の自分の住む家の建築費ですが、これは五十一年三百五十万円控除することになってから動いてない。だから、大企業優遇で金持ちを大事にするけれども、勤労国民はほったらかしやというのが、これ一つの例です。
 ですから、この点もひとつ検討してもらって、来年度には先ほど言った問題、六十日の問題と控除額の改善措置、これを含めて検討していただきたいと思いますが、いかがですか。
#190
○政府委員(石原信雄君) 控除額三百五十万円の件でございますが、前回五十一年度に三百五十万円に引き上げ、今回三百五十万円を変えなかったのは、固定資産の家屋の評価基準の上昇率が前回よりも低かったという半信もあります。もちろんまた、地方財源の確保という問題意識が働いたことも事実でございますが、前々回から前回に二百三十万から三百五十万に引き上げたときに比べますと、この固定資産の評価基準における家屋の評価水準の上昇幅が比較的今回は少なかったということで据え置いたわけであります。最近になって非常に実際の建築単価が上がってきているということがありますけれども、あくまでこれは不動産取得税の場合は固定資産の評価基準でもって計算をいたしますので、その評価基準のアップ率がそう高くなかったということで今回は引き上げなかった次第でございます。この金額が今後ともこれでいくかと、この点はもちろん家屋の全体的な評価水準の推移を見て、また、地方財政の状況もにらんで今後検討していくべきものと、このように考えております。
#191
○神谷信之助君 出発点の百万円が少な過ぎるんですよ、もともと。だから後、いまの固定資産税のあれは建築費ですか、固定資産税率の対象のなにがそうふえてないからとかどうとかいう理屈になってしまう。もともとが低過ぎるんですよ。ですから、固定資産税三年ごとに見直しやっているんですからね。片一方は見直しされて上がってくるわけですから、だから、その点を含めてこの控除について検討してもらいたいという点を申し上げておきます。
 時間がありませんからその次に行きますが、次は、農業所得標準に関する問題です。これは四十年の七月ですか、の自治省の通達で、農業所得に対する住民税所得割の課税について課税標準方式をとるような通達を出されて、それに基づいていま県、市町村はこの農業所得の捕捉、またそれに対する課税、これをやっているわけですね。この点ですが、所得標準方式、所得標準に基づいて課税をするというのは法律上はどこに根拠があるんですか。
#192
○政府委員(石原信雄君) 地方税法第三百十五条の規定によりまして、住民税の課税標準である所得につきましては、まず所得税の課税対象者については所得税の方の課税総所得金額等を使うということになっております。それからそれ以外の、所得税の課税対象にならない人の所得につきましては、第三百十五条の第二号で、市町村がそれぞれ所得の把握をするということになっております。
 その場合に、どのようにして所得の把握をするか、所得の計算をするかということでありますが、もちろん……
#193
○神谷信之助君 いやいや、もう法律だけでいい。根拠法はどれですか。
#194
○政府委員(石原信雄君) 根拠は、この三百十五条第二号でございます。
#195
○神谷信之助君 それは、「その者が前号の申告書を提出せず、かつ、政府が同号の決定をしない場合においては、自ら調査し、」という部分ですか。
#196
○政府委員(石原信雄君) さようでございます。
#197
○神谷信之助君 ところが実際にはどうなんですか。三月十五日が申告の期限なんです。それじゃ、この調査は三月十五日以後にやられているかというと、違うでしょう。所得標準の融資はもうそれまでにやって、それに基づいて各農業所得者に役場から通知を出して、そして、あんたこれに基づいて、たとえば一アール当たり米なら幾らとか、そしてその収入は幾らです。経費を引いた所得はこれです。それにあんたの面積を掛けて、そして申告をしなさいという通知が出ているじゃないですか。ですから、申告をする前に所得標準をつくって、後、自分がそれに基づいて計算をして申告する、こういうことが事実行われておるのと違いますか。
#198
○政府委員(石原信雄君) 所得税の申告義務があるかないかというのは、やってみなきゃわからぬ。それから、してから後で所得税の申告義務がないということになってから市町村の方で計算するというのでは間に合いませんので、実際上は、所得税の対象にならないような人については、いわば並行してこの農業所得標準による計算をしていただいているというのが実態でございます。
#199
○神谷信之助君 そういう実態は、ご存じとすれば、それはいいんですか。そういうやり方でいいんですか。
#200
○政府委員(石原信雄君) 課税の申告の実態からしますと、所得税関係が全部済んでからでないと地方税関係が全然できないというのでは非常に課税事務がおくれてしまいますから、ある程度見込みを立てて、所得税の方の課税対象にならない人については住民税独自の立場で並行してやっていただくというのは、これはやむを得ないことだと思います。
#201
○神谷信之助君 たとえば、いまここに、福知山市の市民部税務課から、「農業所得者殿」ということで、「五十四年分農業所得ならびに副業所得の申告について」という文書があります。これによりますと、たとえば、普通畑自家用野菜、これは一アール当たり六千七百円。そしてあとは、自分ところの基本のアール、何アールと書いて、そしてそれを掛け算をして所得金額を書いてというように、全部書いてあるんですよ。だから納税者は、この示された金額に基づいて自分で計算をして、そして自分が申告したことになる。こういうようになっています、全部。京都府下ずっといろいろ調べてみますと、ある町では、自分で計算をして役場へ持っていった。そしたらこれはあきませんと受け取られない。それで、役場の言うこの数字で計算してくださいと突っ返されています。あるいはある町では、日雇いに行った賃金、これはその賃金収入に対して掛ける六五%、それで申告しなさいと。これなんかひどいでしょう。これは勤労所得で、これは控除されるべきでしょう。これを農業所得の中に、ある町では入れていますよ。それで、これはおかしいじゃないかと役場に言いますと、それは京都府からそうせいという話ですと、こう言う。京都府に行って、なんでそんなことをするのやと、これはいまは自主申告がたてまえでしょう。戦前とは違うんだから。だから自主申告がたてまえじゃないかと、こう言いますと、それは自治省からの指導でこうしてますと言う。だから、自治省の指導でそういうように、みずから計算をさせない。自分らで決めた所得標準を押しつけて、そしてそれで申告をさせる。こんなのは自主申告じゃないですよ。強制申告だ。まさに昔の、戦前の納税方式、賦課方式です。賦課課税方式でしょう。そういう実態になっておるのを御存じですか。
#202
○政府委員(石原信雄君) いまの、そういった実態はいま承ったわけでありますが、もともとこの農業所得標準による所得の計算というのは、あくまでこれは便宜の手段であります。本来所得の計算は、個人個人につきまして、その支出と収入とをそれぞれ積み上げてどれだけの所得があるかという計算をして本人が申告をしていただくというのがたてまえであります。ただ、農家の場合には、一つの標準計算方式によって行うことが、納税者の方にも、また課税当局にも便利だということで、いわば両者の合意のもとにこの標準計算方式をやっていただいておるわけです。したがいまして、納税者の方が、自分は違うと、こういった支出の根拠があるんだと、こういった収入だということで、それぞれ立証する別のものをもって申告されるならば、それは断れないと思います。農業所得標準というのはあくまで便法でございますから、本人の申告があれば、それはそちらを中心にその当否を検討していただくということになると思います。
#203
○神谷信之助君 だから本来便宜上の措置ですわね。ところが、便宜上の措置が実際には、その農業所得者に対して、あなたのところはこれだけ、あと面積掛けなさいと、そういうシステム。あるいは収入に対する何%の金額を掛けなさいと、こうなっています。あるひどい町では、一月十九日までに提出せいという形で、いわゆる農業経営規模調査ですね、これを出さして、それでそれに基づいて、まず町の方から一片の紙切れが来ましてね、二月二十日に。そうして、あなたのところの五十四年度分農業所得金額は幾ら幾らですよという、非常に親切に――一面から言ったら親切かしらぬけれども、通知が行く。それに基づいて税金を納めると、こうなっているんですね。
 確かに農業所得者はいろいろ経費や収入を全部記帳するとか、そういう慣習がない。したがって、そういうことで便宜的にそういう方法をとろうとする、その点ではわかりますけれども、しかし、本来は納税者に対して納税意識を普及し、そしてみずからの権限に基づいて自主申告をすると、そういう方向に指導をして、初めて戦後のこの自主申告制度というのが貫徹するわけでしょう。そういう努力はやらないで、便宜的にやるこのやり方で、しかもそれが単に目安の問題ではなしにもう農業所得者その人を強制をしてしまう。これはまさに税法上の重大な逸脱行為だと思うんですよ。まあ京都府も初めは四の五の言っていましたけれども、最終的には、なるほどそう言えばやっぱり間違いです、正さないかぬということを言っていましたが、これは農民の中に自主申告をする権利があるということが自覚されない限りはどうにも問題にならない。それがあたりまえやと。役場から言うてきはった、ああそうですかと、こうなる。これは重大な問題だというように思うんです。
 それからもう一つ申し上げますが、この農業所得を計算をする基礎に、御承知のように各府県でそれぞれ抽出して、それぞれの産地の収入と支出を見て抽出した転記をつくって、それを基準にして出しますわね、農業所得の標準所得を。そうしますと、たとえば大豆なら大豆、これでやりますと、大豆の生産地、そこのところを十軒なら十軒抽出して上下抜いて真ん中の八軒を平均して大体計算するらしいですけれども、これでこの所得標準が出る。ところが、転作で大豆をやり出したと。産地のところはその土地に適した大豆がもうできていますから、ちゃんと生産ができますよ。ところが、福地山でも六人部あたりでやっているのは、これ伝作大豆でやりましたら、もう圧倒的多数、八割まで規格外ですよね。だから農業標準の収入とはもう比較にならぬ。十アール当たり実際は八千四十九円しかならぬのに、所得標準で見ますと三万二千七十一円と、こういう不合理ができてくるんですよ。だから、転作地なんかの条件を見ないで、もうすっときていますからね、計算が。こういうような、実際の所得を把握することにもならない、そういう問題が、私、京都で調査をしてみると出てきます。
 幸い農民の中に、そういう自主申告権というものを知って、そうしてみずからいろいろ調べる人があったからそういうことが明らかになってきた。そういう権利に目覚めていないところでは、全国的にはもうあたりまえになってきているでしょう。私は、自治省はこの点をやっぱり、農業所得者に自主申告の権利、特に戦前の賦課課税方式から自主申告方式に変わってきたこの民主的な税制の方向に向けて、一面では指導しながら、それは一面では援助せないかぬでしょう。しかし、援助は目安であって、相談があれば相談に応じてあげるということであって、それを送りつけて、強制してそれで計算しなさいと、それに基づいて課税するというのはもってのほかです。この点いかがですか。
#204
○政府委員(石原信雄君) 農業所得標準は、先ほど来申し上げておりますように、農業所得の計算上の一つの便法としてこういった方法をとっているわけです。その背景には、農家は一般に記帳の慣行がない。いろんな収入や支出についての記帳をしておられない農家が多いというようなことから、課税団体と農業団体とが話し合って、両方の理解の上に農業所得標準というものをつくってやっているわけであります。したがいまして、先ほども申し上げましたように、もしきちっと記帳してはっきり経費その他立証できる方は、それに基づいて申告されるならばそれは否認できない。それが本来の姿でありますから。あくまでそういうものであるというふうに私どもも理解しております。
 これからのこの課税の指導に当たりましても、当然この農業所得標準というものが各地域の実情に合ったものでなきゃならない。農業団体等の十分な理解のもとに内容が決められなきゃならない。そうしない限りはこれによる課税が円滑にいかないわけですから、そういった指導は今後とも一層徹底してまいりたいと思います。
#205
○神谷信之助君 ちょっともう一つはっきりせぬのですがね。農業所得標準というのはあくまでも目安でしょう。ですから、それをもとに各農業所得者に対して市役所なり町役場から、あんたのところはこれに掛ける面積ですよというような指導をするというのは、それ自身がいいんですかというんですよ。やっぱり相談に来てもらう。だが、記帳がない。どうやと言うたら、この地域の大体の目安はこうなんやと。あんたのところはどうなんやと聞いて、そうして、それやったらこういう点を考えてやりなさいと言うて、いろいろ援助することは必要ですよ。しかし、それをやらないで、標準はこうだから、あんたのところは掛けるその面積を書きなさい、それに基づいて税金掛けますよと。これでは自主申告じゃないというんですよ。目安というのは自分が持っているんです。相談に来たら、あるいは申告が出てきて、その申告と自分の目安とでえらい違いがあるという場合には、一体どうなっているんだといろいろ調査をして、更正したり決定したりするわけでしょう。そのための資料です。これはもう最高裁の判例にもちゃんと出ている、そうやと言うて。その点はっきりしてくださいよ。
#206
○政府委員(石原信雄君) 農業所得標準というのは、あくまで申告していただく場合の所得計算の一つのスタンダードでございますから、それによって申告してきた場合には課税当局はそれで受け取っていく。しかし特定の方が、先ほど例を挙げられたように、別途ちゃんと記帳をして立証するものを持っておられる方がそれに基づいて申告してこられればそれは否認できない。そちらの方が原則なのでありますからそちらでいくと、そういう性格のものだと思います。
#207
○神谷信之助君 違うでしょう。まず申告が原則ですよ。申告をしてもらうための――記帳をしてない、そういう慣行があるから、一体どう見たらええのやという相談があればそこでお話しをする。役場で計算した標準所得はこうやから、だからこれに基づいて書きなさい、そのとおり書いてきたらよろしい。違うものを持ってきたときは、立証するものを持ってこいと、そんなことと違うでしょう、自主申告というのは。自主申告というのは自分で計算をして出すんですよ。それに対して税務署の方がおかしいなと思ったら目安に基づいて比べたりして、調査をしたりなんかして、事情聴取したりして、そうしてその上で更正決定するわけでしょう。だから申告するのがあたりまえなんです。ただ、申告をする人が援助を求めてきた場合に、その目安に基づいていろいろ援助するということはある。その目安をもうそのまま送りつけて、これに掛ける面積を書きなさいというのは強制だと言っているんですよ。これは自主じゃない。違いますか。そんなことしてええというのは法律のどこに書いてありますか。
#208
○政府委員(石原信雄君) 申告制度の本質からすれば、確かに先生の御指摘のようなことだと思います。ただ課税の実際は、課税側、納税者側、両方の便宜から、農業所得標準によって大体こうなりますということで申告していただいている、そのスタンダードを示して、それによって申告していただいているというのが実態だと思います。初めから市町村当局が何も示さずに、申告しなさいと。で、相談に来た人だけ農業所得標準を示してやるというのでは、かえってこれは実態に合わないだろうと思うんです。一般の農家の方は記帳もされない方が多いわけですし、むしろ課税当局の方から、まあ便法としてのこの農業所得標準による額を、あなたのところはこうなりますよと言ってやった。大部分の農家はその方が便利だと感じていると思うものですから、その農業所得標準によって申告していただいているといういまの実態が、課税の第一線の便宜といいましょうか、これは課税当局だけでなしに、申告者の側からもそれが最も便宜なものとして受け入れられていると思うのであります。しかし、それはあくまで便宜の手段でございますから、本来の申告をされる方はもちろんそれに応じていかなきゃいけないと、そういうものじゃないかと思います。
#209
○神谷信之助君 だから、申告するのが本来でしょう。本来の姿でしょう。だとすれば、申告をするように援助していくのが行政の立場じゃないですか。申告する必要ありませんよ、役場の言うとおりに書いたらそれでいいんですよと。ああそれは便利なことですなと。こういうところへ置いているんですよ、あなた方は。本来申告するのがたてまえやと言うのやったら、農業所得者に対して本来の申告をするように――それは不便かもしれませんよ、初めは。しかし、そのことについてはっきりさしていく、それを援助しながらやっていくということが必要なんでしょう。いかがですか。これは、法律にはそんなこと書いてないもの、あんた。役場が課税標準決めて、そしてそれを所得者に送りつけて、それであとは面積なり何なりを掛けてやったらよろしいと。これは自主じゃない、強制申告だ。強制申告をしてよろしいとどこにありますか。
 私は、その点をはっきり指導してもらわないと、国民の財産権に対する侵害について、これは最高裁の判例にも引用していますけれども、ヨーロッパで長い間闘争の結果、それに対する侵害について担保するために租税法律主義ができているわけでしょう。そして戦後われわれの日本もそういうことになってきている。自主申告制度が確立された。だから、この最高裁の判例でもそうですよ。その点で国家公務員の大阪の国税庁のなにが無罪になっているでしょう。だから、最高裁で確立した法理からいっても、それに基づいて掛けて――先ほど言ったある町では、役場の方で親切にしてあげて、それでその上であんた何ぼですと。余り変わらぬですよ、自分で計算さすか役場で計算するだけの話や。それで形式的に自主申告の形だけとっておる。こんなインチキはないでしょう。この点ひとつ指導をちゃんと改善をしてもらいたいと思いますが、いかがですか、あきませんか。
#210
○政府委員(石原信雄君) 先ほど来申し上げておりますように、この農業所得標準による申告というのは、一般の農家が、率直に申しまして税制に余りなれておられない。したがって、申告制度のたてまえ論、筋論からいくと、先生のおっしゃるとおりすべての人がまず申告する。そうして困った人に、農業所得標準によってやる方法がありますよと言って教えてやるというのがまあ一つの理想論かもしれませんけれども、農村地帯における実態は、各農家とも全然記帳もしておりませんし、そう言われてもようわからぬというので、この長い間の経験から、農業所得標準によって申告していただいているという、慣行といいましょうか、そういうやり方が定着しているんだと思います。したがいまして、この段階でそのやり方をひっくり返してしまって、すべてもう自主申告と、申告が先です、役場の方は何も教えません、相談があったら教えますというのでは、私は逆に大混乱が起こってしまうだろうと思うんです。したがいまして、本質的に税法上のたてまえはあくまで自主申告でございますから、はっきり記帳能力もあり、そういった意識もあり、主張される方はそれはもちろんそれを拒んではいけない。それは税法上拒むわけにはいきません。当然それは親切に受けていかなきゃいけませんけれども、そういう主張をされない方、――大部分の農家の方は、いままで農業団体と市町村当局がこういうことでいこうじゃないかということで話し合って、それでずっと税制が動いているわけですから、その定着した慣行というものをひっくり返すような指導というのは、私はできないと思うんです。現在それで第一線の課税というのは行われているわけですから。ただ、それが本来の自主申告を否定してはいけないと、その点は確かに先生の御指摘のとおりだと思います。
#211
○神谷信之助君 だから、過渡的なやり方というのはいろいろ工夫せないかぬですよ。だからそういう、印刷した文書に書きなさいという通知をするだけでなしに、そういう方法ではなしに、部落ごとに集まってもらって説明をし、本来は自主申告がたてまえです、だがしかし、いま言うていま急に一年前にさかのぼって記帳をするというわけにはいかぬですからね。だからこういう方法がありますから、これはまあ参考にひとつしてくださいと。もしちゃんと記帳をされているとしたら、できるだけこれから記帳をやるようにして、いろいろ方法を考えてくださいと、やっぱり自主申告がたてまえやから、援助してそっちへいく方法は過渡的にはやらないかぬ。一遍にそれをやったら大混乱を起こすと、そのことはわかります。
 だから、いずれにしても、そういう自主申告制度の本来のたてまえに農業所得の問題についても改善をしていくという方向でやっぱり努力してもらわぬと、そういうあなたがいま言ったようなやり方は、税法上どこにも規定ないんだから。そんなことやってよろしいということはない。先ほどおっしゃった三百十五条の二号は、これは申告をした後ですからね。だから、そういう点ではもう明らかに法律上にもないことを現に慣行だと言っておやりになっている。慣行だといっても法律上ないやつはできないはずです。この点、もう時間がありませんから次に移りますから、ひとつ検討していただきたいと思うんです。
 それじゃ、その次の問題に行きます。減反政策に基づく転作に対する水田課税の問題です。これは稲作から畑作に転換をすると、転作されると、こうなりますね。そうすると、これは五十四年度見込みで四十七万二千ヘクタールあるようですが、これに対して固定資産税の評価の問題です。自治省に聞きますと、水田と畑地とでは、大体水田の約二分の一が畑地になるだろうと、こうおっしゃっている。そうして、これについて、固定資産の評価については、自治省の立場は、御承知のように、土地評価上の地目は土地登記簿上の地目にかかわりなく現況の地目によるものであるというように指導されております。そうすると、地目は水田になっているんだけれども現実に転換をして畑作になっているという場合には、これでいけば水田の約半分の固定資産税が課税されると、そういうことに私はなると思うんです。
 ところが現実には、大曲市ですが、水田の場合十アール当たり八百円の税額が、畑の場合ですと約四百円。五十四年度の場合三百六十ヘクタールが転作になっているんですが、これを畑として評価していないために約百万円よけい課税されているという事実があります。この点は、自治省の指導のいままでの立場から言うと、そういう点、実態に即して評価をすべきであるというようにひとつ指導をすべきではないかと思いますが、いかがですか。
#212
○政府委員(矢野浩一郎君) 固定資産評価基準によりますと、地目の認定、これはいまお示しのように土地の現況によると、登記簿上の地目にかかわりなく現況によると、こういうことになっているわけでございます。ただ、この現況という意味は、単にその利用の形態だけを言うわけではございませんで、その耕地の形態、まあ水田でございますと水田に必要な用水の設備等全部してあるわけでございますが、そういった土地の形状と、それから土地の現実の利用の形態と、その辺を総合的に考慮して田であるかあるいは畑であるかという認定を行うわけでございます。いまお示しのように、水田利用再編対策に伴いまして水田から畑への転作がいろいろ行われておるわけでございますけれども、そういった転作を行う耕地の形態、どういう作物を転作で栽培をするのか、あるいはまあ田畑輪換の場合などもございます。いろいろ異なっておると思いますので、現況により地目を判断するに当たりましては、個別の土地の具体的な状況を把握するということだろうと思います。秋田県の大曲市の場合、どのようなやり方であるのかよくわかりませんが、基本的にはそのように考えております。
#213
○神谷信之助君 だから、水田なら農耕地で用水を利用して耕作する土地、それから畑の場合は農耕地で用水を利用しないで耕作する土地、これ、はっきりしてますわね、自治省の指導では。だから、畑で畑作をしておるのに、用水の設備はそのまま残っておるとしても用水は利用していない、そういう耕作ですからね。これは一遍ちょっと実情を調べてもらいたい。もし誤りがあれば改善をしてもらいたいという点を指摘をしておきます。
 最後に、電気税の問題に参ります。
 今度の電気税について、減免措置を、何というか、税の負担の軽減措置をとったというように評価をしておられる方がありますが、しかし、今回の措置は、いわゆる電気代の値上げに伴っていわゆる免税者ですか、免税対象者が減ることのないように、現在までの免税者が、値上げになってもそのまま免税者でおれるようにというための引き上げでしょう、控除額の。そういう提案ではないですか。
#214
○政府委員(石原信雄君) そのとおりでございます。
#215
○神谷信之助君 したがって、電気代の値上げに伴って今回改正をされた措置というのは、電気税の軽減措置では一つもない。逆に電気税は増税措置を行われておる。というのは、納税者の方は五%という税率は変わってないんですから。今度は電気代上がりますからね、ごほっと。それにまた電気税は実質上よけい出さないかぬ。税率は動いていませんけれども電気代自身は上がっていますから。これ、家庭用電気税の納税者はダブルパンチを受けるわけです。私はこれは決して減税ではないというように思うんです。
 納税者が現在の電気税の納税の水準を維持しようとすれば、この五%をどの程度まで下げる必要があるわけですか。
#216
○政府委員(石原信雄君) 私は、電気税のような消費税、定率による消費税の場合は、もとの消費物資の価格が上がった場合にそれにスライドして税負担が上がるというのは、消費税の本質上はこれは増税とは言えないと思うんです。いわゆる自然増だと思うんです。
 それで、まあそれはそれとして、仮に、今回の値上げ率、五〇%ちょっと超えておりますが、これを基礎にしてこのもとの水準といいましょうか、値上げ分を全部吐き出すという、まあ逆算しますと、三・五%ということになります。
#217
○神谷信之助君 自然増であって増税ではないというのはお役人の考えですよ。国民の方は千円払うてたのが二千円になったと、よけい税金がふえた。税金がふえるというのは増税なんですよ。これは実感ですよ、理屈の問題じゃない。だから私は、これはけしからぬと思うんですよ。それで逆に、そういうように一般国民の方は、電気代は値上げになるし、それで電気税もようけ払わないかぬようになる。
 ところが、当委員会でもしばしば議論になっている、そして自治省としても廃止の方向である産業用電気税の非課税の方向、これについてはわずか二品目減らしただけだ。私は、国民の方には物すごく厳しい、一般国民には。しかし、大企業に対してのこの電気税非課税措置というのはなかなか削ろうとしない。自治省の皆さんも非常に努力して通産省といろいろ打々発止やり合うんだけれども、何せあと残っておるのは石油化学関係とか鉄関係とか、そういう巨大企業でしょう。だから通産省もがんばるし、そして税調の中にもそういう財界や大企業の代表が出ていますからなかなか切れない。そうして当該市町村はそのために非常に大きな財政圧迫を受けている。こういう事態がいまだに続いているんですよ。私は、そういう意味では、まさにこの地方税制の面でも大企業優遇の、大企業べったりの税制だ、国民には本当に冷たい税制だと。私はここへ来てからもう六年、いよいよ夏に終わるわけですけれども、来たときからこの問題議論になって、そうして廃止の方向で行きたいと言いながら、一生懸命努力して一番ようけ減ったときは十三品目ぐらい減ったときぐらいでしょう。それも、いわゆる製造費コスト中に占める五%以上の電気代というやつを七%以上、あるいは八%ぐらいまで上げればもうほとんど排除できるにもかかわらず、そこのところが石油化学工業とか鉄とかその他の大企業関係のところがネックになっている。そうしてなかなかこれが解決しないという事態であるわけですね。
 ですから、これ大臣、本当に自治体が住民自身の暮らしを守る、自治体として地方自治の本旨を全うしていく、そういう仕事をやっていく上でも、税制の面でのこのような不公平は早く是正をすると、速やかに。この点でのひとつ決意をお聞かせいただきたいと思います。
#218
○国務大臣(後藤田正晴君) 私は、電気税というのは、所得課税を補完をする税、しかも支出に着目をしてこの負担が所得階層ごとに見てみればわりあい公平にいっているように思います。しかも、これは普遍性があるといったようなことで、私はこれは地方の消費税としては非常にいい税だと思うんです、この税は。私はかつてそう言って、悪代官といってずいぶん自民党の方に怒られたことがあるんです。しかし、私は昔からこれはいい税だと、こう考えております。
 ただ、この税で一つ問題なのは、まあ神谷さんは大資本優遇の税だと、こうおっしゃるんですが……
#219
○神谷信之助君 産業用電気税の非課税措置ですよ。
#220
○国務大臣(後藤田正晴君) つまり、産業用の税については、これは私は、この税の性格から見た場合に、これはまだ自治省の事務方と私の意見は違います。それは、これはやはり消費税ですからね、原料課税という点についてだけはよほどこれは考えないといけないと思っておるんです。しかし、自治省としては、従来から非課税の品目を、通産省が幾らおっしゃっても、そうはいかぬぞということで争いになっていることは事実ですよ。しかし、私は、いずれにせよ原料課税というところに税制として見た場合に理論的に一つの弱点があるなと、かように私自身は考えております。しかし、さればといって、私は今日の神谷さんのおっしゃるような御議論、あるいはまた地方財政の現状から見て、そう通産省がいろいろおっしゃるからといって、この非課税品目をふやしてくれなんということには賛同するわけにまいりません。やはりできる限りこれは非課税品目というのものは整理をしていく方向に、この税制というものがいまのままの姿である以上は、これはそれを守っていかざるを得ないのが地方の財政の現状だというふうに私は考えております。別段この税について、したがって大企業優遇であるとかなんとかということは私全然考えておりません。税制のたてまえ上ですね。さように考えておりまするので、その点はお含みおきを願いたいと、かように思います。
#221
○神谷信之助君 いまの問題は、事務当局の方はがんばっておるけれども大臣は見解を異にするということでは、これはなかなか、縮減そして廃止の方向に向かうには、大臣が大臣である限りはこれはなかなかむずかしいなという印象を強くしたんですがね。原料課税であろうと電力の消費に対する課税ですからね。だから、それが問題になってコストに大きな部分を占める場合に、それが製品にはね返ったりするからということで一定の配慮というのがなされてきた。それが現実に残っているのは、原料課税だからどうのこうのという問題よりもそっちの方が強かった。しかし、実際にはそんなことお構いなしに大企業製品というやつはどんどん値上げしているんですからね。その分は電力消費税として吸収をして、そして国民全体に均てんをするという方がより国民生活を擁護する上では大事だ、私はそういう意見を持っておるんです。
 最後に、有料高速道路の問題ですね、先ほど同僚議員の質問に対して御答弁がありました。しかし、私はあの結論には納得するわけにいかぬと思います。自治省自身もそうじゃないかと思いますね。これ一番初め取り上げたとき、福田一さんが大臣のときですね。そして一時間余り話をして、そういう事実ならひとつ建設省と話を始めようじゃないかということで、建設省、道路公団との三者協議が始まった。そのときは、自治省の側は、あれが有期限の有料道路であるならばそれは非課税対象にしてもいいけれども、いま現状はもう無期限に有料道路ということになってくれば、特定の利用者だけに提供する道路である。したがって、固定資産税の対象もしくはそれにかわるべきもの、これはどうしても必要だという立場で主張をされておったと思うんですね。ところが、懇談会か協議会か知りませんが、そこでは結局それが敗れて、そして実際には防音装置その他の事業に対して若干道路公団から補助をするということで、先ほどあったように、四十五億でしたか、五十五年度に計上されて、結局十年間ですか、十年間で全体として四百億ぐらいの枠だと。これもういままで自治体が要求し、自治省もそれを認めてやってきたものとは似ても似つかぬものになって、しかもちょびっとですね。事業がなかったらあかんのですからね。それしかもう補助が出ないというのではこれはもう本末転倒なんでね。それは防音装置その他要りますから、それはそれとして、別に当然固定資産税――税収が入らないかぬのをシャットしているんですから。これは税の問題ですからね。国鉄のような納付金制度もあるでしょうし、いろんな問題があるでしょう。これはひとつ引き続いて関係省庁と協議をし続けてもらいたいというように思うんですが、その結論だけお伺いしたいと思います。
#222
○政府委員(石原信雄君) 私どもは、この有料道路の問題につきましては、先ほど審議官からも御答弁申し上げたような方向で、一応当面の結論が出たものと考えております。
 で、道路に対する固定資産税の課税問題につきましては、確かに一時自治省、市町村のそういう御意見を踏まえて、そういう方法も一つの方向かという感じの考え方をしたこともあったようでありますが、第三者も入れて論議をした結果として、やはりいまの地方税法の解釈としては、有料道路に対する課税はむずかしいという結論に立ちまして、現実的な解決を図るという趣旨で、五十五年度から十年間、関係公団から四百五十三億円のメニュー補助金を交付していただくという結論に到達したわけでありまして、私どもとしては一応これは当面の解決ではないかと、このように受けとめております。
#223
○神谷信之助君 いまの結論には私は異論がありますから、きょうはもう時間がありませんから、いずれまた改めて適当な時期に議論をしたいというふうに思います。
 きょうはこれで終わります。
#224
○委員長(後藤正夫君) 他に御発言もなければ、両案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#225
○委員長(後藤正夫君) 御異議ないと認めます。
    ―――――――――――――
#226
○委員長(後藤正夫君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、野口忠夫君及び小山一平君が委員を辞任され、その補欠として吉田正雄君及び広田幸一君が選任されました。
    ―――――――――――――
#227
○委員長(後藤正夫君) ただいま議題となっております両案に対し、神谷君から委員長の手元にそれぞれ修正案が提出されております。修正案の内容はお手元に配付のとおりでございます。
 この際、両修正案を議題といたします。
 神谷君から両修正案の趣旨説明を願います。神谷君。
#228
○神谷信之助君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案並びに地方税法の一部を改正する法律案に対する修正案の提案理由を申し上げます。
 まず、地方税法等の一部を改正する法律案についてであります。
 修正点の第一は、不動産取得税の減額の適用対象者を取得の日から六十日以内に申告した者とする点の削除であります。
 政府提出の法案は、不動産取得税の課税標準の特例、並びに住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額の適用対象者を、取得の日から六十日以内に申告した者のみに限定し、きわめて狭く制限しています。しかしこの限定は、現在の実情からしてほとんどが減額適用を受けることができないことは、私の指摘したとおりであります。
 政府は、地方税法上のやむを得ざる事由を援用して、定着するまでの間緩和措置をとると答えていますが、土地、家屋の取得は、一般的には一生に一回あるかないかのことであり、取得した者に周知し定着させるなどということは論外と言わねばなりません。すなわち、本改正は机上の空論であり、結果的に減額適用措置を実効なきものとするものと言わねばなりません。
 また、不動産取得の日の確認や、続出する苦情に対する対応等で、自治体職員に対して従来に倍する仕事量の増加を生むことは明らかであります。
 わが党の修正案は、この申告期間六十日を政府改正案より削除するため、所要の改正を加えようとするものであります。
 修正点の第二は、産業用電気税についての非課税措置の廃止についてであります。
 本改正案において、わずか二品目のみの廃止がなされるものの、なお、八十二品目に及ぶ非課税措置が温存されており、これらは主として大企業の生産する工業原料に対する特別措置となっています。大企業優遇税制の一つであることは明らかであります。
 これらの措置による多額の減収額が関係市町村の財政を大きく圧迫しており、直ちにすべての非課税措置を廃止するよう修正することとしているものであります。
 次に、地方税法の一部を改正する法律案に対する修正案の提案理由を申し上げます。
 政府の免税点引き上げは、電気料金の大幅引き上げに対する電気税の負担を一部回避する上で一定の改善措置であることは間違いのないところでありますが、この免税点の引き上げ措置は、電気料金引き上げで自動的に電気税の負担増となる一般消費者の一部の負担を減ずるにすぎないものであります。
 先ほどの政府答弁でも確認できますように、免税点三千六百円以上の世帯については電気税の負担増は避けられず、約三百六十億円の新たな負担となっており、これに該当する世帯は、料金値上げ及び電気税引き上げのダブルパンチとなるわけであります。
 この新たな負担増の回避というものは、単に低所得者層は言うに及ばず、すべての勤労世帯に対して行う必要があると考え、わが党はそのための措置として、現行五%の電気税の税率を当面三%に引き下げることといたしたいのであります。
 以上の提案につきまして、各位の御賛同をお願い申し上げる次第であります。
#229
○委員長(後藤正夫君) それでは、ただいまの両修正案に対し、質疑のある方は順次御発言願います。――別に御発言もないようですから、これより地方税法等の一部を改正する法律案原案並びに修正案及び地方税法の一部を改正する法律案原案並びに修正案について一括して討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#230
○志苫裕君 私は、日本社会党を代表し、ただいま議題となりました地方税法の一部改正及び地方税法等の一部を改正する法律案につきまして、反対の討論を行うものであります。
 昭和五十年度以来の地方財政の構造的な危機を打開し、真に地方の時代にふさわしい地方税制を確立することは、本年の地方税制改正に課せられた緊急な課題であります。しかしながら、政府は、税源再配分による自主財源の充実、企業課税の強化、不公平税制の是正という三つの基本改革を怠り、ひたすら借金依存と国民負担増を基軸とする税財政対策に終始し、本改正案では名ばかりの住民税減税を行っているにすぎません。このような立場から、具体的な反対理由を申し上げます。
 第一は、今後の国民の税負担にかかわる中期税制の問題であります。
 政府の中期税制は一般消費税の創設を基本としており、この考えは昨年の総選挙における国民の審判を経たいまも依然として捨て去っていないのであります。一般消費税が強い批判を浴びた以上、地方消費税の創設を含みとする税財政対策を政府は放棄することをまず明らかにすべきであります。そして、地方消費税構想とリンクして法人事業税の外形標準課税への転換を速やかに行うべきであります。
 第二は、住民税のあり方の問題であります。
 住民税に対し、古典的な応益原則を強調することは、低所得者の税負担を強めることになりかねません。事実、本改正案では道府県民税所得割の改正は何ら手をつけられず、個人住民税の六百五十三万円以下の所得者への減税との間に理論的に矛盾を来しております。少なくとも道府県民税の二段階税率制を改めるべきであり、今後の減税政策としては、生活費非課税の原則に立って現行の控除制を税額控除制に改め、低所得者への減税の恩恵を高めるべきであります。
 第三は、不公平税制の是正の問題であります。
 一体、地方税のみが医師に対して常に聖域を提供しなければならない根拠がどこにあるでしょうか。国税でさえ若干の改善を行った今日、社会保険診療報酬課税の一〇〇%非課税措置をまず改めるべきであります。
 このほか、今回の予算修正過程での地方税制の扱いなどきわめて不満足な点があり、また、自治大臣のとった態度にも地方税制の責任者としてはきわめて遺憾な点があることを指摘し、私の反対討論を終わります。
    ―――――――――――――
#231
○委員長(後藤正夫君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、戸塚進也君が委員を辞任され、その補欠として降矢敬義君が選任されました。
    ―――――――――――――
#232
○金丸三郎君 自由民主党・自由国民会議を代表して、二法案に対し、政府原案に賛成の意を表するものであります。
 政府原案は、きわめて厳しい地方財政の状況及び住民の負担の現状とに配慮しつつ、個人住民税の所得控除額の引き上げ、ガス税の免税点の引き上げ、電気料金の引き上げに伴う電気税の免税点の引き上げ等、大衆負担の軽減を図るとともに、住民税の所得割の税率適用区分の変更、事業所税の税率の引き上げ等により税収の確保に努め、あわせて個人住民税の均等割、不動産取得税の非課税規定等について所要の合理化を行おうとすることを主な内容とするものであります。
 地方財政は、長期にわたり、しかも著しい額の財源不足が見込まれる状況にありますけれども、一方におきましては、地方における財政需要は拡大の傾向にあります。
 わが国の経済情勢は、先進国の中においては比較的に好調に推移しておるものの、物価の高騰等に対応し、景気引き締めのための諸策が講ぜられ、なお不安定な情勢にあります。地方財政がきわめて厳しい状況にあり、地方税制の改革等による一般財源の強化の必要性は十分理解しておるところでありますが、国の財政も大幅な赤字に悩み、かつ、現在のような経済環境のもとにおきましては、地方税制の抜本的な改革を早急に行うこともなかなか困難な事情にあると思います。
 このように考えますと、政府の今回とられた措置は、地方税収の確保に努めつつ住民の大衆負担の軽減にも配慮したものでありまして、施策として適切であり、その努力は多とすべきであると考えます。
 以上の理由により、私は日本共産党提出の修正案に反対し、政府提出の二法案に賛成の意を表するものであります。
#233
○阿部憲一君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となっておりまする二法律案に対し、反対の討論を行います。
 以下、主な理由を申し述べます。
 まず初めに、地方税源の充実についてであります。
 地方財政収入に占める地方税は、三六%と依然として三〇%台を脱することができません。しかも、高度経済成長期に形づくられた行財政の中央集中が極限に達しており、補助金を主体とした地方財政構造は地方税、交付税の一般財源さえも補助事業の裏負担に充てられているために、地方自治体の自主的財政運営は大きく阻害されているのが実情であります。これまでの中央集権的機構による画一的行政は、多様化した住民の要求には対応できなくなっております。地方の時代と言われる八〇年代こそ、こうした国主導による行政のひずみを是正し、住民主体の行政を確立しなければなりません。
 今日、地方行政にとって最も重要なことは、補助金制度を抜本的に整理合理化して、補助金を削り、自主財源である地方税の拡充を図るべきでありますが、今回の政府案はこうした地方税の充実強化の措置がとられておりません。
 また、昨年秋に地方制度調査会から答申が出されて以来、すでに半年を経過しようとしておりますが、これについても何ら具体的な取り組みがなされておりません。これが反対理由の第一であります。
 次に、住民税についてであります。
 住民税の課税最低限は、今回基礎控除などの諸控除の引き上げで、夫婦子供二人の給与所得者で百五十八万四千円に改正されることになっております。しかし、一級地における生活保護費が五十五年度百六十二万円となっていることから見ても、政府の案の課税最低限は余りにも低いものであります。せめて百六十二万円以上にすべきであります。
 さらに、障害者、老年者、寡婦等の社会的弱者に対しては、税制面からも特別な福祉的配慮を払うべきであり、これらの方々に対する税負担のあり方については、社会的観点に立って根本的に検討すべきでありますが、こうした点についての検討も何らなされておりません。これが反対の第二の理由であります。
 次に、租税特別措置等の整理合理化についてであります。
 これまでも国の租税特別措置等による地方税への影響の遮断及び地方税の減免措置の整理合理化について強く主張してきましたが、政府は一向に改善に努力した跡が見受けられません。また、このような租税特別措置等による地方税の減免と地方税自体の減免措置は、地方自治体の課税自主権を制約する結果となっていますが、こうした点に対する改革がなされておりません。これが反対の第三点であります。
 次に事業所税についてでありますが、現行の事業所税の課税団体は人口三十万人以上の都市とされておりますが、課税自主権の見地からも、事業所税の課税はそれぞれの地域の実情により地方自治体の選択に任せるべきであると考えますが、この措置がとられておりません。
 以上、主な理由を述べ、私の討論を終わります。
#234
○神谷信之助君 私は、日本共産党を代表して、地方税法等の一部を改正する法律案並びに地方税法の一部を改正する法律案に対して反対、及び、わが党提出の修正案に賛成の討論を行います。
 まず、地方税法等の一部を改正する法律案の基本的な性格について述べます。
 この改正案は、大幅な財源不足を抱え、さらに厳しい国民の審判のもとで一般消費税も見送らざるを得ないという状況のもとで、最も重要な財政再建の方策として提起されている不公平税制の是正にほとんど手をつけず、大企業、大資産家に対する課税の強化を見送っています。特別措置の手直しはごく一部にすぎません。逆に、財界の要望にこたえて、土地税制における長期譲渡所得の大幅緩和、株式配当の分離課税の三年延長、原油備蓄施設に対する課税軽減の二年延長など、優遇措置を強化しています。
 ところが、一般住民に対しては、きわめて不十分な住民税の課税最低限の引き上げと引きかえに均等割の引き上げを押しつけ、所得税減税の見送りに伴う住民税の実質的な増税をも招こうとしています。
 また、住民が生涯の収入をかけて取得する自分が住むための土地、家屋に対する不動産取得税の減額は、申請することを条件にしてその利益を受けにくくするなど、国民に対しては課税を強化するものとなっています。これは、国民の利益に反して不公平を拡大するものであり、わが党は断じて反対せざるを得ないものであります。
 以下、主な点についてのみ具体的に反対理由を述べます。
 第一に、住民税の課税最低限の引き上げの問題であります。
 この改正案は、生活保護基準の引き上げに伴い、やむを得ずとられたきわめて不十分な措置であり、教育扶助、住宅扶助などの加算を考慮すれば、むしろ私が指摘したごとく、生活保護世帯より低い水準にまで課税されることになります。これでは現在すでに格差のある所得税との差をますます大きくするものであり、大幅な引き上げこそが必要であります。また、この程度の引き上げでは、所得税減税の見送りと相まって、大部分の勤労者はベースアップがあれば増税とならざるを得ないものであります。
 第二に、住民税の均等割の引き上げであります。
 これは文字どおり大衆課税の強化であるとともに、課税最低限引き上げに伴う計算上の減収のツケを住民に回すタコの足食いとも言うべき不当な措置であり、決して容認することのできないものであります。
 第三に、長期譲渡所得に対する大幅な緩和措置であります。
 五十四年度に優良宅地に限定して緩和した措置を、今回はこの条件も外し、さらに、緩和の期間も、五十六年度までを当分の間に置きかえ、実質的には無期限に近い拡大を行っています。土地税制の緩和によって宅地の供給が促進されるという何らの科学的根拠もありません。事実は、五十三年度以来の緩和が今次の地価値上がりの引き金になってきているということであります。この改正案による土地税制の緩和は、さらに大企業などの土地投機を助長し、地価の高騰に拍車をかけるものとなることは明白であります。
 第四に、個人用住宅の家屋、土地の取得に係る不動産取得税の減額措置の変更であります。
 これは、従来申告のいかんにかかわらず減額されてきたものを、取得後六十日以内に申請したものに限定することで、事実上多くの人が適用を受けられない事態も起こるという改悪にほかなりません。
 第五に、自動車取得税における自家用自動車の税率を三%から五%に引き上げる特別措置の三年間の再延長であります。
 わが国では、すでに自動車の所有者は四千万人を超えると言われる現状から見れば、大衆課税の強化と言わざるを得ないのであります。
 以上が政府原案に対する主な反対理由であり、同時に、わが党修正案は、さきに御説明申し上げましたように、国民に著しく不利益となる不動産取得税の減免適用制限を削除するとともに、従来から当委員会でも附帯決議で指摘していた産業用電気税に対する特例措置を廃止するという積極的な内容を含むもので、最小限必要な修正を行うものであります。
 次に、地方税法の一部を改正する法律案についての反対討論に移ります。
 これは、今回の電気料金値上げに伴う電気税の負担増を、免税世帯についてのみ回避するために、免税点の引き上げを行おうとするものであります。
 しかし、この負担増は、月二千四百円以下の電気料金を払ってきた免税点以下の世帯に限定されるものではありません。広く全世帯に及ぶものであります。したがって、改正案の措置は電気料金の大幅値上げに悩む大部分の国民に電気税の増税という二重の負担を強いるものとなることは明らかであります。
 わが党は、このような不十分な措置に反対するとともに、電気税の税率の引き下げによって電気料金値上げの影響を全勤労世帯にわたって遮断し、また、産業用電気税の非課税措置こそ廃止すべきであると考えるものであります。
 以上、政府案に反対、わが党修正案に賛成の討論を終わります。
#235
○委員長(後藤正夫君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#236
○委員長(後藤正夫君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより地方税法等の一部を改正する法律案について採決に入ります。
 まず、神谷君提出の修正案を問題に供します。
 神谷君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#237
○委員長(後藤正夫君) 少数と認めます。よって、神谷君提出の修正案は否決されました。
 それでは次に、原案全部を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#238
○委員長(後藤正夫君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、地方税法の一部を改正する法律案について採決に入ります。
 まず、神谷君提出の修正案を問題に供します。
 神谷君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#239
○委員長(後藤正夫君) 少数と認めます。よって、神谷君提出の修正案は否決されました。
 それでは次に、原案全部を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#240
○委員長(後藤正夫君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 金丸君から発言を求められておりますので、これを許します。金丸君。
#241
○金丸三郎君 私は、ただいま可決されました地方税法等の一部を改正する法律案及び地方税法の一部を改正する法律案の両案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党及び参議院クラブの各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
   地方税法等の一部を改正する法律案及び地方税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、著しい財源不足が長期にわたり継続している地方財政の現状にかんがみ、左記の事項について速かに検討し、善処すべきである。
 一 国、地方間における租税配分を抜本的に再検討し、補助金の整理等による地方自治体の一般財源の強化を図ること。
 二 個人住民税については、税率のあり方等を含め、引き続き低所得者層の負担の軽減を図ること。
 三 地方税における非課税措置、課税標準の特例及び国税の租税特別措置の整理は、不十分であるので、不公平税制の是正のため抜本的合理化を図ること。
 四 法人事業税の外形標準課税については、速かな実現に努めること。
 五 新築住宅及び既存住宅の取得の際適用される不動産取得税の課税標準の特例措置に係る申告の運用に当たっては、納税者の不利益とならないよう適切な措置を講ずること。
 六 土地、建築値格の高騰に伴い、将来、固定資産税負担の増高が予想されるので、小規模居住用資産に係る固定資産税については、さらに軽減を強化する等の措置を検討すること。
 七 家庭用電気税、ガス税については、今後もなお軽減等に努めること。
 八 生活環境施設を整備するため、地方道、特に市町村道の財源の充実を図ること。
 九 事業所税の課税団体の範囲の拡大等都市税源の充実に努めること。
 十 利子、配当所得の分離課税による地方税の減収については、総合課税に移行する間、明確な措置による補填措置を講ずること。
  右決議する。
 以上でございます。
#242
○委員長(後藤正夫君) ただいま金丸君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#243
○委員長(後藤正夫君) 全会一致と認めます。よって、金丸君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、後藤田自治大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。後藤田自治大臣。
#244
○国務大臣(後藤田正晴君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして善処してまいりたいと存じます。
#245
○委員長(後藤正夫君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#246
○委員長(後藤正夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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