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1949/03/29 第7回国会 参議院 参議院会議録情報 第007回国会 本会議 第34号
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1949/03/29 第7回国会 参議院

参議院会議録情報 第007回国会 本会議 第34号

#1
第007回国会 本会議 第34号
昭和二十五年三月二十九日(水曜日)
   午前十時五十分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第三十二号
  昭和二十五年三月二十九日
   午前十時開議
 第一 常任委員長辞任の件
 第二 国家公安委員会委員の任命に関する件
 第三 地方自治委員の任命に関する件
 第四 外国為替管理委員会委員の任命に関する件
 第五 造幣庁特別会計法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第六 日本勧銀行法等を廃止する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第七 銀行等の債券発行等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第八 退職職員に支給する退職手当支給の財源に充てるための特別会計等からする一般会計への繰入及び納付に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第九 薪炭需給調節特別会計法の廃止等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第一〇 夏時刻法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第一一 労働組合法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第一二 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第一三 大阪市高速鉄道建設工事に見返資金融資の請願(委員長報告)
 第一四 中小企業設備資金に見返資金放出の請願(委員長報告)
 第一五 中小企業等協同組合法による信用協同組合設立の請願(委員長報告)
 第一六 旧海軍共済組合年金受給者の年金増額に関する請願(二件)(委員長報告)
 第一七 国家公務員共済組合法中一部改正に関する請願(委員長報告)
 第一八 日本製鉄八幡共済組合年金受給者の年金増額に関する請願(二件)(委員長報告)
 第一九 中小企業金庫設置に関する請願(委員長報告)
 第二〇 東北地方の税制改革に関する請願(委員長報告)
 第二一 沿岸漁業の設備資金融資に関する請願(委員長報告)
 第二二 帝纖航空機株式会社所有登録公債に関する請願(委員長報告)
 第二三 雪害地方の税軽減および課税方法改善に関する請願(委員長報告)
 第二四 綿業復元業者の復金融資返済開始期延長等に関する請願(委員長報告)
 第二五 生活協同組合住宅事業に融資の請願(委員長報告)
 第二六 株式讓渡の名義書換期間制限反対に関する陳情(委員長報告)
 第二七 株式讓渡の名議書換期間制限に関する陳情(二件)(委員長報告)
 第二八 観光事業に見返り資金融資の陳情(委員長報告)
 第二九 金融危機対策に関する陳情(委員長報告)
 第三〇 政府支拂促進等に関する陳情(委員長報告)
 第三一 中小企業に大蔵省預金部資金特別融資の陳情(委員長報告)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。
 この際、御報告いたしたいことがございます。一昨二十七日午後三時、議長は衆議院議長と共に、対日理事会カナダ代表部にドクター・ノーマン公使を訪問して、去る十七日、本院で決議した日本国会議員団に寄せられたカナダの厚意に対する感謝決議文を手交いたし、カナダ政府及び同国議会に対し同決議文の伝達方を依頼いたしましたところ、同公使より議員諸君によろしく伝えられたいとのことでございました。
 右御報告いたします。(拍手)
     ―――――・―――――
#4
○議長(佐藤尚武君) 日程第一、常任委員長辞任の件。大蔵委員長櫻内辰郎君から委員長を辞任いたしたい旨の申出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて本件は許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#6
○議長(佐藤尚武君) この際、日程に追加して、只今欠員となりました大蔵委員長の選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。
#8
○中村正雄君 本員は、只今議題となりました大蔵委員長の選挙は、成規の手続を省略して、議長において指名せられんことの動議を提出いたします。
#9
○石原幹市郎君 本員は只今の中村君の動議に賛成いたします。
#10
○議長(佐藤尚武君) 中村君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて議長は大蔵委員長に木内四郎君を指名いたします。(拍手)
     ―――――・―――――
#12
○議長(佐藤尚武君) 日程第二、国家公安委員会委員の任命に関する件を議題といたします。去る十八日内閣総理大臣から、警察法第五條第二項の規定により青木均一君を国家公安委員に任命することについて本院の同意を求めて参りました。本件に関し同意を與えることに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
#13
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本件は同意を與えることに決しました。
     ―――――・―――――
#14
○議長(佐藤尚武君) 日程第三、地方自治委員の任命に関する件を議題といたします。去る二十二日内閣総理大臣から、地方自治庁設置法第四條第三項の規定により、金刺不二太郎君及び小澤二郎君を地方自治委員に任命することについて本院の同意を求めて参りました。本件に関し同意を與えることに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
#15
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本件は同意を與えることに決しました。
     ―――――・―――――
#16
○議長(佐藤尚武君) 日程第四、外国為替管理委員会委員の任命に関する件を議題といたします。去る二十五日内閣総理大臣から、外国為替管理委員会設置法第五條第二項の規定により、大久保太三郎君を外国為替管理委員会委員に任命することについて本院の同意を求めて参りました。本件に関し同意を與えることに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
#17
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本件は同意を與えることに決しました。
     ―――――・―――――
   〔板野勝次君発言の許可を求む〕
#18
○議長(佐藤尚武君) 板野君。
#19
○板野勝次君 本員はこの際、産業危機に関して緊急質問をするの動議を提出いたします。
#20
○中村正雄君 只今の板君野の動議に賛成いたします。
#21
○議長(佐藤尚武君) 板野君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#22
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。板野勝次君。
   〔板野勝次君登壇、拍手〕
#23
○板野勝次君 私は日本共産党を代表して、総理大臣並びに関係閣僚諸君に我が国の産業危機に関する緊急質問を試みるものであります。
 世に言われました三月危機は、今や政府の徴税攻勢によりまして、企業の倒産続出、自殺者の累増、失業者の激増、農村の窮乏も又その極点に達し、この深刻な危機は、單に労働者、農民、中小企業の窮迫だけではなく、貿易にも、滯貨処理にも、金融にも恐るべき事態を現出しているのであります。これらの政府の手による産業の破壞と人民生活の窮乏に伴う各層の反撃は、翕然として政府の政策に対決を迫つているのであります。この危機を評するに、政府はデイス・インフレと言い、或る者はデフレ金詰りと言い、或いは安定恐慌と呼んで、この現実の事態を糊塗しようとしているのでありますが、この現実の深刻な事態は、そのような生やさしいものではなく、これこそ正しく本格的な恐慌の局面であります。これに加えて世界恐慌の直接的影響によつて、更にこの危機は一層激成されようとしているのであります。この状態の中に、内外独占資本により、戰争への準備と軍事下請政策が強行されようとしているのであります。このような政策が恐慌を更に深め、日本産業経済の危機を救い難いものにしているのであります。それ故、現在のこの危機は、單に経済危機であるばかりでなく、正しく日本民族の危機と言うべきであります。従つてこのような危機を解決するには、小手先による片々たる一連の金融対策、失業対策、中小企業対策、貿易対策、証券対策で切拔け得るような生やさしい事態でないことは、池田蔵相をして五人や十人の自殺者は出ても構わぬと放言せしめるに至つた背景によつても、実に明らかではありませんか。政府は一体このような危機の本質或いは実体を、日本の自主復興の立場からじまめに本当に考えているのかどうか、日本民族の立場からこの危機の打開を真劍に考えているのか、又この危機を現内閣と自由党とだけで乘り切り得ると考えておるのかどうか、総理大臣並びに関係閣僚諸君の明快なる答弁を求めたいのであります。
 次に、経済危機突破の唯一の政策としまして政府が宣伝これ努めたローガン構想による貿易でさえも、その結果はどうでありましよう。日英協定一つ取つて見ても、輸入するだけ輸入したが、輸出は閉め出されまして、曾て一千五十万ポンドの貸越を持つていた我が国が、逆に一千六百万ポンドの入超となり、極度のポンド資金の不足を来たし、その打開のためにドルでポンドを買うという世界に類例のない我が国独特のいわゆる迷案を考えている実情ではありませんか。このためスターリング地域に対する輸入を極力削減し、立案されたばかりの貿易計画を日ならずして改訂を余儀なくしておるていたらくであります。一方輸入された過剩物資は殆んどが滯貨となり、莫大な赤字と業者への圧迫となつて現われておるのであります。すでに我が国が輸出に努力していると言われている硫安でさえ十五万トンも輸入し、又昨年一万トン輸入された際ソーダ業者が挙げて反対したマガジ・ソーダ灰が五万トン新たに輸入されようとしており、更に日刊東洋経済紙は米軍の軍靴四億足が輸入されると報道し、桁を間違えてはいけないと註をさえ附加えているのであります。又輸入食糧のごときは、関税の永久撤廃の問題をめぐつて、外国の過剩食糧は奔流のような勢いを以て日本農業を呑み盡そうとさえしておるのであります。このような外国の過剩商品の輸入は、單に現在だけの問題ではなく、今後契約が積み重ねられて陸続として輸入され、現在ですら、厖大な過剩滯貨を抱えている我が国産業を更に圧迫し、人民生活の破綻をもたらすこの滯貨の累積こそが、唯一の望みをかけたローガン構想による貿易の結果であります。このローガン構想によるみじめな結果を一体政府は何と見ているか。これをしも政府は日本にとつて有利だと言い、日本経済の再建復興に役立つたと強弁せんとするのかどうか。更に政府はこのローガン構想貿易をこの上強行し、而も軍事的目的に従属させようとするならば、かくては日本の落ち込む運命はすでに誰の目にも明らかではありませんか。過剩商品の輸入にいたしましても、ただ單なる過剩商品としてではなくして、如何に政府が軍事的備え、蓄え、即ち備蓄するためのものではないと否定しようといたしましても、国民が一抹の疑惑を抱くのも当然ではないか。政府はこの際進んでこの国民の疑惑を一掃すべき根本政策の転換を講ずべきであると思いますが、総理大臣並びに関係閣僚諸君の御所見を伺いたいのであります。
 次に電力問題に対する政府の政策でありますが、この電力の問題は、産業経済と国民生活に如何なる影響を及ぼし、日本をどのような方向に持つて行こうとしているのか。先ず電気料金について言えば、中小企業は申すに及ばず、農村でさへもこの大幅な値上りのために甚大な影響を受け、死活問題となつている。電気料金すらが死活問題となつているところに現実の危機の深刻な姿が現われて来ておるのであります。この不当な料金値上げに対する反対の声が各階層、全国至る所に起つておりますことは、すでに閣僚諸君もよく承知のところであります。これでは明かに日本の平和産業の発展とは義理にも言えないのでありまして、その上に政府は何ら理由のない電力分断を強行せんとしているのであります。電力分断を通じて日本産業は重大危機に立たされているのであります。電力を握るものは日本の全産業を支配することができるのであります。すでに電力割当において、中小企業や農業用電力に対してはその割当を削減し、一方、火薬工業、鉄鋼業、ビニール工業等の軍事的性格を持つ下請部門に対する割当は必要以上に割当てられまして、日本産業の構造替えをしようとしておるのでありますが、更に日本の電力が分断されますれば、それによつて日本産業の利益は何ら増大しないばかりでなく、逆に日本の力は弱まり、国際独占資本が日本産業を容易に隷属化せしめる結果を招き、現在行われている不均等な電力割当が一層強化され、日本産業構造そのものを完全に軍事的に再編成することになるのであります。このような産業構造の下においては、当然一層の低賃金、低米価が押し付けられ、日本の恐慌が更に深刻化することは必然でありまして、而も電力部門に対しては、現在すでに見返資金は私企業投資のうち四〇%が投入され、むしろ現在の恐慌を利用して日本産業の全的把握、日本産業支配の基礎を急速に作り出しつつあります。このような背景の下に行われる電力分断は産業危機に拍車をかけるものとしか受取れないのであります。この分断を強行して果して何の利益を得ようとしているのか。国民は大いなる疑惑と不満を持つておるのでありますが、総理大臣並びに関係閣僚諸君の所信はどうでありますか、率直明快に答弁をして頂きたいと思うのであります。
 次に現在直面しております恐慌の中で、この危機の最大の救済主とした見返資金が登場して来ておりますことは周知のところであります。このことは、言葉を換えて言えば、吉田内閣の恐慌促進のための全政策が見返資金の比重を高め、その支配力を強化せんがための地ならしであることを証明しております。而もかかる見返資金が、商法改正、国鉄、国有林野への出資、銀行等の増資への投入等によつて最大限に運用されんとしていることは、日本産業の危機を見返資金が救うものではなくて、むしろ危機を利用して暴威を振うことに外ならない。かかる意味で、日本産業の危機にとつて見返資金問題こそは最も注目すべき指標である。然るに今般衆院を通過した見返資金特別会計法の一部改正法案に修正條項が盛られようとしている。政府はそのような要請を受けたかどうか。この良については小澤郵政相は、政府は何もこのような新請を受けていない、国会が直接要請されたと語つたが、この点、曖昧ならざる答弁を求める。小澤君の言が本当だとすれば、吉田内閣は完全なロボツト内閣で、かかる最も重大な問題を関知しないということになるがどうか、この点、確答を求める。これは昨年同法が成立当時、我が党の反対により削除された條項の復活であり、見返資金運用の自主性放棄の合法化である。このような企図は現内閣の手による見返資金の統轄的運用のための中央銀行設置の地ならしとなり、かくして殖民地的戰時金融金庫版としての任務に道を切り開くものとしか考えられない。かくすることによつて、数千億の資金を運用するこの見返資金銀行は、日本の企業はおろか日銀までもその統制下に置く危險性すら潜められている。更に問題はそれだけに盡きるのではなくして、見返資金による円クレジツト設定問題との関連において、日本の貿易を東南アジアの軍事的紛争と結び付け、見返資金によつて日本が戰争の過中に引き込まれんとする危險さえある。(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)これはデーリー・テレグラフ紙がジエサツプ大使の東南アジア視察の結論として伝えている絶望的な東南アジアの諸地域に対して、現内閣がみずから進んで戰略物資輸送を行うための資金を国民の蓄積資金である見返資金から各国に與えようとするものであります。見返資金は向うまでもなくその大部分は人民大衆の負担において蓄積されたものであります。このような国民の資金を他国の人民大衆の彈圧に使うことは、政治的にも穩かならぬことであり、経済的に見ても、それによつて日本産業が一層危機に追い込まれ、失業が増大するという点で、決して喜ぶべきことではありません。吉田総理はかかる修正條項に賛成であるのか反対であるのか。又円建レート、円建クレジツト設定と修正條項との関連は具体的に如何なるものであるか。現在未定であるとしても将来において結び付くと思うが、どういうふうに考えておるのか。以上の諸点に対して総理大臣並びに大蔵、通産、安本の大臣諸君の明快なる御答弁を求めたいのであります。(拍手)
   〔国務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。
 産業危機について縷々御演説でありましたが、日本の産業危機と称せられて、今日現在において各方面において相当苦境に立つておることは、政府としても甚だ心配に堪えないこととして考えております。併しながら、今日先ず私として申述べたいと思いますことは、産業危機と称せられるものの主たる原因は、結局対外貿易が予想通りに参らない、種々支障を来たして期待するがごとく発展しないというところにありますが、併しこれもお考えを願わなければならぬことは、日本貿易の従来の情勢として、上半期においては輸入が盛んであり、下半期において輸出が盛んになる、現に昨年のごときも上半期においては、大体八、九月頃までは日本の輸出の状況において甚だ懸念すべきものがあつたのでありまするが、併しながら十月以降において相当取返して、予想以上、殆んど予定の二倍に近い輸出を見るに至つたのであります。即ち上半期においては輸入が盛んになり、下半期においては輸出が盛んになつて、貿易の均衡を取返すということが日本の従来の現状であるのであります。故に今日において輸出において相当予期の通り参らぬとしましても、下半期において相当の活況を呈することを私は確信して疑わないのであります。又貿易状態は結局外国の経済状況にもよるのであります。大戰を二度受けた世界の経済、貿易が、現状において世界の貿易の不況を生ずるということはむしろ当然であると言わなければならぬのでありますが、併しながら御承知のごとくヨーロツパの復興についても、又殊に近来東南アジアの復興については米国政府が特に関心を持つてこの援助に相当の盡力をいたさんといたしております。現にヨーロツパにおいてはいわゆるマーシヤル・プランの実績が挙りつつあるのであります。故に世界的の復興と共に日本の経済状態或いは貿易状態が必ず復興するものと私は確信して疑わないのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)又いわゆる中小企業その他の危機と称せられるものについては、殊に政府としては関心を持つておるのでありますが、これも各国との間において各種の貿易協定がすでにでき上り、又将来と雖も、近き将来において現に問題になつておる所もありますから、国別的に協定は漸次でき上るものと私は信じて疑わないのであります。この各国別の貿易協定ができ上りましたならば、これ又日本の貿易を促進するゆえんであると思うのであります。私はこの各国別の貿易協定に相当の期待を持ち、又その結果として現にいろいろな引合いがなされておるのでありまするから、下半期において相当の成績を得ることは私は確信して疑わないのであります。
 電力問題その他については主管大臣からお答えいたします。(拍手)
   〔国務大臣青木孝義君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(青木孝義君) 板野議員の御質問にお答えいたします。大蔵大臣は只今司令部に参つておりますので、大蔵大臣に対する御質問も私からお答えいたします。
 第一に、産業危機という面からの特に税とか中小企業関係を中心としての御質問でございますと思いますが、日本経済の真の復興と安定ということは刻下の急務でありますることは言うまでもございません。このために政府は一連の安定施策をとつたのでありますけれども、最近物価とか或いは賃金、生産、貿易、これらにつきまして紆余曲折はございましたけれども、逐次安定の方向に向いつつあることは御承知の通りであります。ただこの施策の結果、中小企業であるとか或いは農業等にいろいろの不利益な結果を及ぼしつつある向きもあるかと存じまするけれども、政府といたしましては、これが対策として金融その他の面について種々な措置を講じておる次第であります。
 それから第二点は、ローガン構想によつて貿易或いはそれに関連する産業の危機があると思うがどうか。こういう御質問だと思いますが、ローガン構想は御承知の通り昨年の十二月から輸出の自由ということを原則といたしまして、本年一月から更に輸入の自由、つまり民間輸入に関しましてとられた方策でございます。併しこれは相当の効果を挙げつつありまするし、更に今後におきましても貿易振興上の成果を挙げるものと期待をいたしております。特に御質問の日英通商協定は、昨年末までのところでは相当入超額がございましたけれども、本年一月の中間検討以後、その結果といたしまして、相手側も日本品に対して積極的にこの輸入のライセンスを下すことが約されておりまするし、本年の上半期においても御承知の通り大幅の出超となる見込でありますし、スターリング地域向の輸出実績も本年に入りまして、殊に一月は不振でありましたけれども、二月から三月、時日の経過いたしまするに従つて累増をいたしております。それから又現在輸入滯貨が相当額ありますが、これは併しながら民間輸入実施前の買付けに属しておりますので、これは民間輸入方式の罪というわけではございません。民間輸入の狙いはむしろ有効需要と輸入とを相互に交合させて行くということにあるのでありまして、輸入滯貨の問題が今後新らしく大きい問題として起ることはないものと信じております。かように御承知を願いたい。
 それから電力の問題でありますが、電力問題は産業経済、それから国民生活に至大の関係のございますことは、これ又止むを得ない点でありまして、現状では相当電力が不足しておりますので、供給量の増大を図るということが急務でございます。併しこのためには電力事業がペイするというようにする必要がありまして、昨年十二月実施いたしました三割二分二厘の料金というものは最小限度でございます。この料金改訂はたまたま渇水期に行われた。第四・四半期は年々渇水期ということになつておりますので、そのために標準料金は割当量が低くて幾分料金も高いという結果になりましたけれども、幸いに豊水に惠まれまして、料金も可なり低くなつて行くという見通しであります。年間を通じて見ますれば必ずしもそんなに高いものではないという見通しでございまするが、従つて中小事業につきましても必ずしも高い料金とはならない。尚、農業に対する料金は特に高くかからないような措置を講じて参りたいと存じております。(拍手)
   〔国務大臣小澤佐重喜君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(小澤佐重喜君) 板野君は直接私に答弁を求めておられるのではないと思いますが、一応私を指摘しまして衆議院の答弁に関して発言がありましたから、この点明らかにして置きたいと思います。
 一昨日共産党の林君から、見返資金を電気通信事業の建設資金に使うということは、この日本の電信電話事業を奴隷化或いは植民地化するのではないかという御質問がありました。併しながら板野君も御承知のように、昭和二十四年度におきましては、この百二十億というものは公債発行資金に充てたけれども、二十五年度におきましては自己資金に編入することになつております。この自己資金に入れるということは、結論において、今申上げましたような日本の電信電話を植民地化或いは奴隷化するのではないかという御質問でありました。これは全然そういうことはない。という理由は、現に電気通信事業の資産再評価をいたしております。大体一千六百億の再評価をいたしております。千六百億の資金の下に百二十億程度のものを入れましても、決してこれは奴隷でも植民地化するのでもないということが一つと、見返資金勘定は板野君も御承知の通り、これは日本の会計でありまして、決して外国の会計ではございませんから、従つて奴隷化、植民地化ということは全然御心配ありませんから、御安心願います。(拍手)
   〔板野勝次君発言の許可を求む〕
#27
○議長(佐藤尚武君) 板野勝次君の再質問は四分間の範囲でお思いいたします。板野勝次君。
   〔板野勝次君登壇〕
#28
○板野勝次君 只今の総理大臣並びに安本長官の答弁は、極めて不満足であるばかりでなく、不親切であります。私の聞かんとしておる点は、今の国内が極めて困難な事態の中にある、この困難な状態を如何にして打開して行こうとしておるのかどうか、この点の総理大臣の明快なる答弁を求めているのが一つ。第二には、ローガン構想による貿易の破綻、飢餓輸出の中から、国内の購買力はますます狹まつて来て、税金攻勢やその他と相待つてますます困難な状態になつて来ておる。そのまま現在の貿易構想を押し進めて行くなら、ますます危機が押し迫つて来る、これの打開策について聞いておるのです。第三番目は、電力の分断計画というものが、果してどのような利益が国民生活にもたらされるかどうか。この点には安本長官は何ら触れられていないのであります。更に見返資金の運用につきましても、小澤郵政相は只今いろいろなことを言われました。併し果して見返資金の運用が吉田内閣の自主性において本当に行われておるのかどうかということを、小澤郵政大臣の口からでなくして、総理大臣から明快なる答弁を求めたいのであります。それは見返資金特別会計法の一部改正の中に、曾て衆議院におきまして、この特別会計法の第五條の部分が、我が党の反対によつて削除された修正條項が、再び参議院において今すでに問題となつて来ておる。そうしてこれを法律の條文の中から、我が国の政府の運用でできないような状態に変えようとしておる。こういう要請が連合国軍から、関係方面からなされたのかどうであるか、こういうような要請は果して吉田内閣が御存じのことであるかどうか、こういう点についても聞いておるのでありまして、真に見返資金が我が国の内閣によつて自主的に運営され、将来も運営されるものであるかどうか、又特別会計法の改正をめぐつて、円レート、円建クレジツト、これらの改正問題が結び付いて行くものかどうかということに対して、国全体が多くの危惧を持つておるのでありまするから、この危惧について、この機会に総理大臣の明確なる所信を天下に披瀝して頂きたいのであります。これが私の再び総理大臣並びに関係閣僚諸君に質問を申上げるゆえんであります。(拍手)
   〔国務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたしますが、私に対する御質問の多くは、すでに私から答えた通りであり、又詳細については主管大臣からお答えをいたします。
   〔国務大臣青木孝義君登壇〕
#30
○国務大臣(青木孝義君) 板野議員から再び御質問でございますが、ローガン構想に基いて行われておりまする貿易政策は日本の現状から見まして適当であると考えておりまするし、この方策を順次実行して行くことによりまして御承知の通り日本の貿易が順調に進行する過程にあるということを先程申上げたので、その点から申しても、お答えにはつきりなつておると思いまするし、又それが常に危機であるというふうにお考えになるイデオロギー的な(「国民生活の悲惨な状態をどうする」と呼ぶ者あり)傾向が非常に強いように私思いましたが、それは現状を申述べて置いたのであります。(「生活の実際について言つている」と呼ぶ者あり)生活の実際について申しましても、御承知の通り現実の状態がよく物語つておるということを私も申しておるのであります。(「失業者が、自殺者が出ておるのを何とする」と呼ぶ者あり)
 更に見返資金の問題でありますが、これは御承知の通り我が国の財政関融政策上極めて重要な資金でありまして、これは日本政府がこれを自主的に決定いたしておるのであります。殊に通貨金融の調節という点にこれが重点が置かれておりまするので、その線に沿いまして現実に実行いたしておる次第でございます。それから又円建クレジットでありますか、或いは円建の問題について御質問がございましたが、これは只今御承知かと思いまするが韓国貿易使節が参つております。昨日から会議に入つておると思いますが、日韓の間におきましては従来ドルで計算をいたしております。併しながら、これは重要な物資についてこれをやつておりまするが、尚、円で以て、円資金の或る範囲においては、その他の諸雑品について取引をしてもいいのではないかという考えは持つておりまするが、まだはつきりした提案の要旨は分つておりませんので、そういうことが明白になり次第、我々としても申上げることは吝かではございません。尚、十分政府としても検討いたしまして善処いたしたいと思います。
   〔「分断々々」「分断問題はどんな利益があるか言えないのか」「もういいよ」「分断々々」「言えないのだよ」と呼ぶ者あり〕
     ―――――・―――――
   〔吉川末次郎君発言の許可を求む〕
#31
○議長(佐藤尚武君) 吉川末次郎君。
#32
○吉川末次郎君 本員はこの際、吉田自由党用閣の近時の行政態度と参議院の政治職能につきまして緊急質問をすることの動議を提出いたします。
#33
○兼岩傳一君 本員は吉川末次郎君の動議に賛成いたします。
#34
○議長(佐藤尚武君) 吉川末次郎君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#35
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。吉川末次郎君。
   〔吉川末次郎君登壇、拍手〕
#36
○吉川末次郎君 私はここに現下吉田自由党内閣がとつておりまする政治態度と参議院の政治的職能との関係につきまして、首相その他の閣僚諸君の御見解を承わろうと思うものであります。先ず全般を通ずる質問の主旨を申上げまして、そうしてその後に質問の事項を列挙いたしまして、その一つ一つについての御答弁を願うように進めたいと思つておるものであります。
 思いまするのに、世界におきまして議会制度を採用いたしておりまするところの、そのうちの約三分の二の多数の国がそれぞれ二院制度を採択いたしまして、我が日本国憲法も又衆議院と相並んで参議院を設置いたしておりまするところのゆえんのものは、直接国民の輿論を敏感に代表する立場に置かれておりまする第一院の議決の行過ぎや或いは誤謬がありました場合に、これを批判修正いたしまして、互いに唇歯輔車の関係において国会の議決を、相待つて、より一層正しいものにして行く、そうして国家のために誤まりなからしめんとするというのが目的であることは、もとより言うまでもないことであると思われるのであります。この第二院の持つておりまする政治的職能は、特に第一院即ち下院が一大政党によつてその議席の絶対過半数を占められまして、その有する圧倒的な政治勢力によつて支配されております場合におきまして、第二院即ち上院の有する政治的責任は、その場合更に一層重大となつて来ると思うのであります。即ち第一院におけるその絶対過半数を占めておりまする政党の勢力は、行政部の勢力し相結合いたしましてオール・マイテイの威力を発揮し、その欲するがままの政治を行うことができますがために、時としては党利党略のためにいわゆる国利民福を犠牲に供するという專制的な決定を間々なすところの憂いをより多く生ずるからであると思うのであります。現在の日本の衆議院は、私は正にその憂慮すべき危機に立つておるということをば痛感せざるを得ないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)今期国会における政府及びその與党でありますところの自由党の行動を見ますると、先ず予算に関する法律が未だ制定せられておらぬのに先んじまして、與党の多数の勢力を通じて衆議院はすでに予算案を通過せしめておるのであります。即ち本年度の予算はシヤウプ税制改革勧告に基きまして、国税、地方税を通ずる価期的な制度上の大変革を先ず行いまして、それを基礎といたしまして編成されるべき手筈になつておるのでありますが、その地方税制についての改正法律案が国会に提出せられざる以前に、二十五年度の予算はすでに衆議院において議決され終つておるという有樣なのでございます。そうして地方税改正法案は数日前に漸くにして政府から国会に提出せらるることになつたのでありますが、尚未だそれに関連しておりまする法案である地方財政平衡交付金法案は国会に提出さるるに至つておらぬのであります。地方税と国税とは実質上不可分のものでありまするから、地方税制の改正が行われるということと睨み合せて行くのでなければ、国の予算も決定することはできないのであります。併し地方税法案というものは地方公共団体の財政に関する法律であるからして、直接国の予算とは無関係であるというような形式的な議論も一応は或いは成り立ち得るかも知れません。併しながら国から地方公共団体に交付せらるべき平衡交付金に関する法律は、国の支出予算についての法律でございます。凡そ議会政治というものは、人民に租税を賦課するということに対しての人民の協賛を得るということのための会議から歴史的に発達いたしたものでありまするが、その骨格をなしまする法律の裏付けなくして予算のみそれ以前に成立せしめることがありといたしましたならば、そのこと自体は議会政治の本旨に戻り、立憲政治を否認し、又法治主義を破壊するところの暴挙であると私は断ぜざるを得ないと思うのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)
 又衆議院における與党の昨今の横暴振りに至りましては、実に国民の立場より許し難いものが多いのであります。五井産業事件の調査要求を衆議院の委員会が否決いたしまして、臭いものに蓋をするというような態度に出ましたごときは、たまたまそれは一つの例に過ぎないのでありますけれども、衆議院が與党の多数の勢力をかりまして、昨今その與党の自由党の議員の提出法案として議決後、参議院に回付して参りまする多くの議案というものを見ますというと、その内容が極めて杜撰でありまして、何らかの地方的な利害と結び付いておるような臭いが非常に高く感ぜられまするようなもの、明らかにそれが国家のためには不必要であると思われまするような議案、或いは地方的ないわゆるおみやげ案というようなものが頻々として多いということをば看取せざるを得ないのであります。私が直接加わつておりまする常任委員会におきましても、私の直接関係いたしておりまする委員会で目下審議されておる二三の法案等を見ましても、例えば旧軍港市転換法案であるとか、或いは首都建設法案であるとか、又別府国際観光温泉文化都市建設法案というがごとき、主として自由党の衆議院議員諸君の提出せられておる法案にそうしたものを見受けざるを得ないのであります。私はこうした場合におきまして、同僚の参議院議員の諸君が、二院制の本旨に鑑みて、公正な上院議員でなければならないという見地において、我が日本国家をして誤まりなからしめるがために相共に自重善処せられんことを切望いたしますると共に、首相であり自由党の総裁である吉田さんが特にこの際国家のために自党の粛正を期せられまして、愼重なる御考慮をお拂い下さらんことをば切にお願いするものであります。
 とかく吉田内閣は、参議院において衆議院におけると同様なオール・マイテイの独裁力を振うことができないということについて聊か御苦労があるように見受けられるのであります。私は、これこそはむしろ参議院が二院制度の建前において、正しい参議院としての機能を今日発揮しておるということを示しておるところの証拠それ自体であると考えるのでありまして、(拍手)国家のためには、むしろそのこと自体は喜ぶべきことでなければならぬと考えておるのであります。以上説き来たりましたところの論旨に基きまして、ここに先ず吉田総理大臣から四つの項目につきましての御答弁を得たいと思うのであります。
 即ち第一は、吉田さんは参議院の政治職能というものについてそもそもどのような御見解を全般的にお持ちになつておるかということを、一つ御扱瀝を願いたいと思うのであります。第二番目には、総理大臣は、予算に関するところの法律が制定されておらない前に予算を議定してしまうということは、法治主義、立憲主義に反し、法治主義、立憲主義を破壞するものであるというところの私の見解と同調されるかどうかということを御答弁を願いたいと思うのであります。第三番目には、又総理大臣は、参議院において、政府の地方税法改正案或いは地方財政平衡交付金法案が政府からの提出が遅れておりまするために、予算が衆議院の議決後三十日以内に審議を終了することができないで、それを議決することが不可能になりました場合におきまして、衆議院の一方的議決を以て国会の議決とみなすところの憲法第六十條第二項の自然的な発動をするというような意味のことを政府側から放送されておるのでありますが、私はそのような場合を生じましたときにおいては、これに関するところの法案の提出がなく、又法案の提出が政府側より遅延したということがその原因なんでありますから、かかる場合におけるところの政治的責任というものは明らかに政府それ自体が負わなければならないものであると考えるのでありますが、政府の御見解はそれに対して如何であるかということを承わりたいのであります。(拍手)
 尚、四番目に総理大臣から直接承わりたいと思いますることは、六月行われまするところの参議院議員の選挙におきまして若し自由党が敗北するならば、それに伴つて衆議院をば解散するというところの流説が自由党あたりから放送せられておるのであります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)このような議論は二院制度におけるところの両院の独立性を認めないで、二院制度を否定するところの立場に立つところの私は誤まれる見解であると考えるのであります。極めて愚劣なるところの議論であると考えるのでありますが、吉田内閣総理大臣はそうした流説についてどのようにお考えになつておるか。又その場合において衆議院を解散するというような意思を持つておいでになるかどうかということを明らかにして頂きたいと思うのであります。
 尚この機会に関係大臣であるところの本多国務大臣より御答弁を願いたいことが二つあります。
 その一つは、政府は先に述べました地方財政平衡交付金法案をば今期国会に提出するのかしないのか、又提出するとするならば、いつ提出せられるのであるかということをこの際明白にこの本会議場においてして頂きたいと思うのであります。
 尚、先に私が挙げました三つの衆議院の提出法案に対するところの地方行政に関する法案につきまして、この機会に本多国務大臣の見解を併せて御披瀝を願いたいと思うのであります。簡單に申述べますが、即ち第一には旧軍港市転換法案、即ち呉、舞鶴、佐世保、横須賀等の軍港都市におけるところの軍用の土地、施設その他の財産を時価の五割以内の価格において地元に拂下げるということを骨子といたしまするところのこの法案につきましてであります。即ち軍港の施設を適当の方法によりまして平和施設に利用転換するというところの趣旨につきましては誰も反対する者はないと思うのでありますが、地元の利権屋にそうしたことが利用せられるような憂いがないかどうか。そういうことには飽くまでこれを防止しなければならぬと思うのでありますが、この法案全般についての本多国務相の見解を承わりたい。又首都の建設法案は、東京都の都市計画をば、現行都市計画法規以外に特別の法律を制定いたしまして、特別の国からの保護をば東京都が得ようとするところの法案でありますが、私はこの法案につきましては論ずべき多くのものを持つておりまするが、すべて省略いたしますが、特にこの法案は地方自治法の基本的な精神であるところの地方分権主義に背反して、屋上屋を重ぬるところの機構を作るところの無用の法律であると思われるのでありまするが、本多国務相のこの法案に対するところの見解をこの機会に承わりたいと思うのであります。又別府国際観光温泉文化都市建設法案は、これ又御承知のごとく別府市にばかり観光温泉都市としての特別の国の援助を受けようとするところの、主としてこれ又地元の自由党の議員を中心として提案されているところの法案でありまして、典型的なおみやげ的な愚案であると考えるのであります。而もこのような得手勝手な地方自治制度の体系を紊乱するところの法案が、自由党議員の多数を通じまして、衆議院の当然にこれを審議すべきところの常任委員会にも付議することを省略いたしまして直ちに本会議において議定可決されておりまするということに至りましては、誠に私は国会の運営上許し難きことであると考えるのであります。(「同感」「その通り」と呼ぶ者あり)本多国務相はかくのごとき愚劣なる法案に対してどのように考えていらつしやるのであるか。又そうした議事の運営方法等についても併せて見解があるならば述べて頂いても結構だと思います。尚、今日御欠席になつておるのであるけれども、池田大蔵大臣から、以上述べましたことに関連いたしまして、その関係事項について意見を承わりたいと思う。即ち予算に関するところの憲法第六十條第二項の適用の問題、予算案と予算に関する法律との関係であるとか、或いは旧軍港市転換法案の軍用財産の讓渡に関する規定等に関するところの大蔵省の見解を承わりたいのであります。
 以上で以て私の質問を一先ず終りたいと思うのであります。(拍手)
   〔国務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
#37
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。
 第一の御質問は、参議院の政治的職能は何であるかというお尋ねでありますが、これは申すまでもなく二院制度を採用して国政の審議を愼重にするということにあると政府は考えておるのであります。
 又地方税の問題についてお話がありましたが、今日占領下において各法案は、又その他の政策、措置についても、占領下にある日本としては関係司令部と協力し協調して行くことになつておるのであります。故に互いに協調もし、互いに愼重に審議をする結果、多少法案が遅れるということは止むを得ないところであります。併しながらすでに地方税の法案については議会に提出いたしております。平衡交付金の法案について遅れておりますが、これは近日提出いたすことになつております。
 又参議院の選挙に自由党関係者が負けたらば衆議院を解散するかというお尋ねでありますが、解散する考えは毛頭ございません。
 その他の問題については所管大臣からお答えいたします。
   〔国務大臣本多市郎君登壇、拍手〕
#38
○国務大臣(本多市郎君) 必ず私に対する御質問の要点ともいうべきものは、この予算案と地方税法案、平衡交付金法案、これらは一体審議すべきものであるに拘わらず、これが遅れているために審議が困難であるという御見解についてでありますが、この予算案と地方税法改正法案と平衡交付金法案とが審議上可分なりや不可分なりやという両院の御見解に対しましては、これは批判を差控えたいと存じますが、衆議院の方では何分であるということで審議を了せられたものと存じます。これらの法案の関係を申述べますると、地方税法の変更によつて、今日の提案いたしておりまする予算案の中のいずれかの個所に変更を加えなければならぬ点があるかと申しますと、これはないと考えております。又平衡交付金法の如何によつて、予算案に変更を加えなければならぬ点が生じて来るかということを考えてみますと、この点もないと考えております。今回の地方税法は、約四百億の財源を市町村に專ら付與するということが目的でありますが、勿論この税法全体の根本的な改正でありまするから、個々の納税者にはそれぞれ負担の変更はありますけれども、枠としては四百億の税源の拡張であります。これも寄附という無理な手段を以て四百億からのものが補充されておつたというシヤウプ氏の調査に基く勧告もありまして、そうした法律上の手続によらない無理な財源でありますから、寄附というような方法を成るべくなくするという趣旨から枠を拡張するだけでありまして、この枠の拡張によりまして、そうしたことがこれで大部分是正されるであろう、ここを狙つておるのでありまして、四百億の増税というのも実は標準税率を以て計算した場合の見通しであります。これも地方自治団体におきましてそれぞれ経費の節約を図ります場合には、標準税率以下を徴しても財源が賄えるということになるのでありますから、実質的に幾ら増税になるかということは、税法の上からは計算できないという、こういう関係になつております。この地方税法が変更になる場合、予算に変更を来たすか、予算が修正される場合、地方税に何か修正を加えなければならぬかという関係は、私共としてはないと考えております。
 又平衡交付金は、それぞれ財政力に応じまして財政需要額と財政收入額を計算いたしまして、その標準額を一応標準税率と需要額で算定いたしまして、不足分を平衡交付金で補填するということになつておりますが、これは実はその計算通りに補填するのではないのでありまして、交付すべき標準額を各市町村ごとに全部算定いたしまして、御決定願います予算の千五十億をその標準交付額に按分する建前になつておりますので、この平衡交付金法の結果、これに基いて平衡交付金の全額が定まつて来るものではないのであります。こういう関係から、予算とこの平衡交付金の間に相互に、一方が修正されれば一方に影響を及ぼし、修正しなければならないという関係は生じて来ないと考えております。こうした点を考えまして、衆議院の方でこの可分審議を認めて頂いたということは決して不当な点があるとは考えておらないのでございます。更に平衡交付金の提出の時期でありますが、これは関係方面の承認を待つておる状態でございまして、承認あり次第今日にも明日にも提出したいと存じております。
 その外、旧軍港市転換法その他いろいろと政府に対しまして特定の法律が衆議院で提案されて審議中のようでありますが、只今御指摘の法律案は盡く国会提出でありまして、私共これが成立いたしました曉は、その実施の面においては最前のような利権屋の食い物になるとか不公正なことのないように十分注意して実施したいと存じておりますが、今の段階におきましては愼重御審議をお願いする外ないと思つております。
#39
○議長(佐藤尚武君) 池田大蔵大臣は関係方面に赴いておりますので、後日出席の際答弁される趣きでございます。
     ―――――・―――――
#40
○議長(佐藤尚武君) この際、日程第五、造幣庁特別会計法案、日程第六、日本勧業銀行法等を廃止する法律案、日程第七、銀行等の債券発行等に関する法律案、日程第八、退職職員に支給する退職手当支給の財源に充てるための特別会計等からする一般会計への繰入及び納付に関する法律案、日程第九、薪炭需給調節特別会計法の廃止等に関する法律案、(いずれも内閣提出、衆議院送付)、以上五案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#41
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないものと認めます。先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事黒田英雄君。
   〔黒田英雄君登壇、拍手〕
#42
○黒田英雄君 只今上程されました五つの法律案につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びに結果について御報告をいたします。
 先ず造幣庁特別会計法案に件につきまして御報告をいたします。従来の造幣庁特別会計の経理方法は造幣庁の事業の企業的運営に副わない点がありましたので、従前の特別会計を廃止し、次の趣旨によりまして新たに特別会計を設けんとするものであります。即ち従来の特別会計におきましては、補助貨幣の製造に必要なる経費は歳出を以て整理し、又補助貨幣の発行高に相当する金額は歳入として整理しておつたのでありますが、今回これを改めて、補助貨幣の製造に必要なる経費は予算の定むるところによりまして一般会計から繰入れ、又補助貨幣の発行高に相当する金額は将来の回收に備えまして準備金として積立てる外、利益及び損失の処理、資金の運用方法、予算及び決算の手続等に関しまして、特別会計として必要なる諸規定の整備をいたさんとするものであります。委員会におきましては種々熱心なる質疑応答が交されましたが、その詳細は速記録によつて御承知を願いたいと思います。かくして質疑を終了いたしまして、討論に入り、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものなりと決定いたしたのであります。
 次に日本勧業銀行法等を廃止する法律案について御報告をいたします。現在我が国におきましていわゆる特別銀行と称せられるものには、日本銀行の外に日本勧業銀行、北海道拓殖銀行、日本興業銀行等がありますが、終戰後諸般の情勢の変化に伴いまして、日本勧業銀行法、北海道拓殖銀行法及び日本興業銀行法の改廃を必要とするに至つたのであります。その理由といたしましては、これら三特別銀行につきまして、第一に政府との特別の関係等特殊の色彩の排除、第二に金融機関再建整備等によります業務内容の変化であります。これら三特別銀行法を廃止しますることは金融制度全般と密接に関連する問題でありますが、今回銀行等の債券発行等に関する法律案によつて銀行一般に金融債の発行が認められることになりましたので、この際、本廃止法案を提出することになつたのであります。
 本案は本年四月一日を以て日本勧業銀行法、北海道拓殖銀行法及び日本興業銀行法の廃止を主たる目的としておるのでありますが、これに関連いたしまして旧農工銀行関係の法律及び興業債券の発行限度の特例に関する法律をも併せ廃止することといたしております。その他の規定は三特別銀行の普通銀行化に伴う必要な経過的措置を規定しておるのであります。即ち第一に、従来各特別銀行法に基いて設立されました日本勧業銀行、北海道拓殖銀行及び日本興業銀行は、この法律施行後におきましてはそれぞれ普通銀行を律する銀行法に基いて営業の免許を受けた銀行とみなすことにいたしておるのであります。更にこれら三銀行は、四月一日以後におきまして遅滯なく株主総会を招集し、必要な定款の変更を行うべきものとしております。又従来政府の任命でありました日本勧業銀行及び日本興業銀行の正副総裁及び理事等は、この株主総会終結の時にその任期を終了することになつておるのであります。第二に、従来これらの三銀行が発行いたしました債券及び日本勧業銀行又は北海道拓殖銀行がいたしました特殊の貸付に関しては、尚、旧法によるものといたしておるのであります。第三に、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の規定によりますれば、銀行は競争関係にある同種の金融業を営む他の会社の株式を所有することを禁止されておるのでありますが、この法律が施行せられますと、現在他の銀行がこれら三特別銀行の株式を所有していること、及びこれらの三特別銀行が他の銀行の株式を所有していることがこの規定に違反する結果となりますので、一年間を限つてこれら株式の所有を認めることによりまして制度の円滑なる切換えを期しておるのであります。本案審議に当りましては種々熱心な応答が交されたのでありますが、その詳細は速記録によつて御覧を願いたいと思います。かくて質疑を終了いたし、討論採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたしたのであります。
 次に銀行等の債券発行等に関する法律案について御報告をいたします。政府は終戰以来、金融面におきまして経済の安定復興のため諸施策を実行して来たのでありますが、昨年初頭における復興金融金庫の機能停止後におきまする長期資金の供給のために努力を行なつて参りましたが、莫大なる長期資金の需要を賄うのに必ずしも十分ではないのであります。そこで銀行等による長期資金調達の手段といたしまして、銀行並びに農林及び商工組合の両中央金庫に対し債券発行についと特例を定め、長期金融難の打開に積極的、根本的な施策をとらんとするものであります。本案において対象としておる金融機関は、日本興業銀行、日本勧業銀行、北海道拓殖銀行、農林中央金庫及び商工組合中央金庫並びに銀行法に基いて営業の免許を受けておる銀行であります。これらの金融機関に対し本案におきまして規定しておる主な点を申上げますと、第一に銀行等による金融債の発行であります。銀行等は自己資本の金額の二十倍相当額から預金の総額と既発行の債券の総額との合計金額を控除した残額に相当する金額を限つて債券を発行することができることとし、これに関連しまして商法の特例その他金融債の発行について必要な規定を設けたことであります。第二はこの債券の発行に資するための米国対日援助見返資金による銀行等の優先株の引受であります。銀行等はこの法律による債券の発行に資するため国が米国対日援助見返資金を以て引受ける場合に限つて、この法律による特殊の優先株式又は優先出資を発行することができるものといたしております。その法律的性格は、一つには利益又は資本の増加によつて得た資金を以て償却できるものであること、二は議決権のない株式であること、三は配当及び残余財産の分配について優先的内容が約束されておることの三つであります。第三は、銀行等の自己資本の充実のため必要な規定を設けたことであります。同時に普通株式に対する配当については別段の法律的制約を加えないこととしたのであります。本案審議に当りましては種々熱心なる質疑が交されたのでありますが、その詳細は速記録によつて御承知を願いたいと思います。かくして質疑を終了いたしまして、討論に入り、油井委員、平沼委員より賛成、板野委員より反対の意見がそれぞれ述べられまして、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 次に退職職員に支給する退職手当支給の財源に充てるための特別会計等からする一般会計への繰入及び納付に関する法律案について御報告をいたします。退職職員に支給する退職手当支給の財源に充てるための特別会計等からする一般会計への繰入及び納付に関する法律案は、政府又は公団等の退職職員で失業している者に対する退職手当を、このたび公共職業安定所において支給することとなるのに伴いまして、その支給財源に充てるため、各特別会計又は公団等の負担額を予算の定めるところによりまして一般会計へ繰入れ又は納付する措置を講じようとするものであります。次に一般会計の受入金の過不足額を調整する措置としまして、受入額が各特別会計及び公団等の負担額を超過した場合には翌年度の負担額に充当し、尚余りがあるときには翌々年度までに各特別会計及び公団等に返還し、不足した場合には翌々年度までに各特別会計及び公団等から補填しようとするものであります。委員会におきましては種々熱心なる質疑応答が交されたのでありますが、その詳細は速記録によつて御承知を願いたいと思います。かくして質疑を終了いたしまして、討論に入り、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定した次第であります。
 次に薪炭需給調節特別会計法の廃止等に関する法律案について御報告いたします。政府は薪炭の需給の統制と薪炭需給調節特別会計を廃止することを前提といたしまして、昭和二十四年七月三十一日以降新たな買入れを停止して、残務の整理に努め、又その整理を促進させる必要上、今国会におきまして、この会計の債務の支拂財源に充てるために五十四億七千万円を一般会計からの繰入金をする等の措置を講じたのでありまして、今回昭和二十五年四月一日を以てこの会計を廃止することにいたしたのであります。尚この会計の昨年十二月当時におきましては、年度内におきまして一切の薪炭証券及び大部分の債務の償還が可能であるごとく予想されたのでありますが、その後諸般の情勢から清算事務が進捗せず、現在の見通しといたしましては、年度末におきまして尚若干の收入未済債権、年度内償還不能の薪炭証券その他の支拂未済債務が残ることが予想されるのであります。よつて止むを得ず昭和二十四年度におきましてこの会計の借換証券の償還財源に充てるための証券を発行することができることとし、この会計に属しまする資金及び負債の一切を一般会計に引継ぐことにいたしたのであります。又この特別会計法廃止後の昭和二十四年度の歳入歳出決算の作成及びこの特別会計法の規定を準用しておりました国営競馬特別会計法を併せて改正する等、この会計の廃止に伴う経過措置を規定しようとするものであります。本案審議に当りましては種々熱心な質疑応答が交されたのでありますが、その詳細は速記録によつて御承知を願いたいと思います。かくて質疑を終了いたしまして、討論に入り、木内委員、森下委員、平沼委員からそれぞれ賛成の意見が述べられ、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしたのでございます。
 以上五法律案についての御報告を終ります。(拍手)
#43
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより五案の採決をいたします。五案全部を問題に供します。五案に賛成の諸君の起立を求めます。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
   〔起立者多数〕
#44
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて五案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#45
○議長(佐藤尚武君) この際、日程第十、夏時刻法の一部を改正する法律案、日程第十一、労働組合法の一部を改正する法律案、(いずれも内閣提出、衆議院送付)、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#46
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。労働委員会理事平野善治郎君。
     ―――――・―――――
   〔平野善治郎君登壇、拍手〕
#47
○平野善治郎君 只今議題となりました夏時刻法の一部を改正する法律案につきまして、委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。政府の提案理由によりますると、現行夏時刻法は四月の第一土曜日より開始されるのでありますが、現行法通り実施いたしますときは、早朝又は寒冷時に起床を余儀なくされる等、実生活面において種々の不都合な点が四月においては特に顯著であります。又本法律の主なる目的の一つである電力の節約につきましても、四月は一般に雪解けのため水力電気も増加して電力の需給関係は年間を通じ最も緩和される時期でありますから、開始の時期を一ケ月延長いたしましても、さしたる悪影響はないものと考えられるのでありますから、夏時刻法の現行開始時期を一ケ月延期し、五月の第一土曜日に改めんとするものであります。委員会においては、三月八日政府より提案理由の説明を聞き、次いで同十七日公聽会を開き、学識経験者事業主、労働者、農業者、主婦等十一名より意見を聽取いたしましたところ、夏時刻法を現行法通り実施すれば、労働者には睡眠不足、過労等のため事故が多くない、又北海、道方面においては未明の寒冷時に起床するため煖房費の増大を来たす等、実生活に不都合が多いから、実施の時期を一ケ月延期せんとする改正案に賛成する意見が圧倒的でありましたが、他方、農業方面では、未明と共に起床し農耕に従事するものであるから、むしろ現行法を可とする意見の開陳もありました。次いで三月二十七日、二十八日の両日、慎重に審議いたしまして、質疑応答の後、討論を省略して採決に入りましたところ、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。右御報告申上げます。
 次に、只今議題となりました労働組合法の一部を改正する法律案につきまして、労働委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。先ず本案の提案理由及び内容について申上げます。現行労働組合法におきましては、地方労働委員会の定数は五人となつておりまして、例外として東京都地方労働委員会のみは、その事務が多量なため七人となつておるのであります。現行法施行の実績に鑑みまするに、北海道、大阪府及び福岡県の地方労働委員会につきましては、労働組合の数、事業場の数、又事業場労働者の数、府県人口数及び争議発生件数、争議参加人員数、不当労働行為件数等々を勘名いたしまして、その事務は他の府県の地方労働委員会の事務に比して相当繁忙でありまして、その事務の処理を迅速にし、労働組合法及び労働関係調整法の施行を円滑にいたしまするには、これら三つの地方労働委員会の定数を七名に増加する必要が認められるのであります。本案につき委員会におきましては、三月二十七、二十八の両日に亘りまして審議をいたしました結果、質疑の後、討論を省略し、直ちに採決に入りましたるところ、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。右御報告水上げます。
#48
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたしましす。
 先ず夏時刻法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
#49
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#50
○議長(佐藤尚武君) 次に労働組合法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
#51
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#52
○議長(佐藤尚武君) 日程第十二、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。運輸委員長中山壽彦君。
    ―――――――――――――
   〔中山壽彦君登壇、拍手〕
#53
○中山壽彦君 只今上程になりました国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案について、委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。
 本法律案の要旨は、只今国会に提出されております通行税法の一部を改正する法律案によつて、来たる四月一日から三等の運賃及び急行料金は無税、一、二等の運賃、料金には二〇%の課税がなされることになつておりますので、この際、国有鉄道の旅客運賃の一部を改正し、以て国民負担の軽減を図ろうとするものであります。その方法としましては、先ず第一に遠距離逓減制の強化であります。即ち現行の二段階制に、新たに五百一キロメートル以上千キロメートルまでと、千一キロメートル以上の二地帶を追加いたしまして四段階制とし、遠距離旅客の負担を大幅に軽減せんとするものであります。次に一、二等旅客運賃の倍率の引下げ、即ち一等については従来の三等の六倍を四倍に、二等については三等の三倍を二倍に引下げんとするものであります。第三は長期定期旅客運賃の割引率の増加であります。即ち現在三ケ月、六ケ月の定期旅客運賃の割引率は一ケ月定期旅客運賃と同様でありまするが、今回の改正におきましては、三ケ月定期は一ケ月定期運賃を三倍したものに対し一割引、六ケ月定期は六倍したものに対し一割五分引せんとするものであります。尚この機会に、普通急行及び準急行について近距離利用者の負担の軽減を図り、三百キロメートルまでの料金が新たに設定され、又特に收支の均衡を得ない航路運賃が改正されておるのであります。以上が国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案の大要であります。
 委員会におきましては、当局から詳細なる説明を聽取し、審議しましたが、その詳細は委員会速記録を御覧願うことといたしまして、主なる質疑事項につき一二申上げますると、高田委員より、国有鉄道の運賃改正に関連し私鉄の運賃について質したところ、当局としては、私鉄の現状より見て私鉄の運賃も四月一日より一部改正の予定であつたが、尚検討の余地があり、未決定のままとなつているので、四月一日からの実施は不可能である旨の答弁があり、又小泉委員より、鉄道の一、二等運賃の倍率引下げにより民間航路運賃と調整を図る要はないかとの質問については、当局より、現行の汽車の一、二等運賃は戰時中の特殊な情勢の下において半ば禁止的意味を以て定めたものであるので、今回一、二等の倍率引下げを行い、運賃形態を整えたのである、鉄道運送と海上運送とは、所要時間なり、旅行の快適性なり、本質的に異るな点があるので、交通量の転嫁が運賃の点みので起るものとは限らず、従つて倍率の引下げにより必ずしも海上運送を不当に圧迫するものとは考えられないとの答弁がありました。続いて討論に入りましたところ、丹羽委員より、運賃価下げは国民負担の軽減となるので本案に賛成の意を表明せられ、同時にこれによりサービスの低下を来たさざるよう要望され、又前之園委員よりは、遠距離逓減等サービスの向上を内容とする本案につき賛意を表し、更に、鉄道は公共機関であるから、都市中心のみにサービスを集中することなく、地方のことをも考慮し、地方交通、殊に遠距離交通の確立とサービスの向上をこの上とも図られたい旨を強く希望し、本案に賛成の旨の意見の開陳がありました。続いて採決に入りましたところ、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告をいたします。(拍手)
#54
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔総員起立〕
#55
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
 議事の都合により午後一時半まで休憩いたします。
   午後零時二十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時二十七分開議
#56
○議長(佐藤尚武君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。
 参事をして報告いたさせます。
   〔佐藤参事朗読〕
本日委員長から左の報告書を提出した。
 米国対日援助見返資金特別会計法の一部を改正する法律案修正議決報告書
本日議員木内四郎君外三名から、委員会審査省略の要求書を附して左の議案を提出した。
 米国対日援助見返資金の特定教育事業に対する使用に関する決議案
     ―――――・―――――
#57
○議長(佐藤尚武君) この際、日程に追加して、米国対日援助見返資金特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#58
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員長木内四郎君。
    ―――――――――――――
   〔木内四郎君登壇、拍手〕
#59
○木内四郎君 只今上程されました米国対日援助見返資金特別会計法の一部を改正する法律案の大蔵委員会における審議の経過並びに結果について御報告いたします。
 先ず本案の要点を申上げますと、その第一点は、総司令部民間情報教育部の指導によつて行われる、国又は地方公共団体の民間情報教育事業に見返資金を使用する途を開こうとするものであります。第二点は、見返資金の歳出予算残額を順次翌年度に繰越して使用することができるようにしようとするものであります。又第三点は、従来日本銀行のみが援助資金の運用事務を行なつておつたのでありますが、事務の円滑を図るために、大蔵大臣の指定する金融機関にもこれを取扱わせようとするものであります。
 本案の審議に当りました各委員より熱心なる御質疑があつたのでありまするが、詳細は速記録によつて御承知を願いたいと思います。かくて質疑を終了いたしまして、討論に入りましたところ、一委員より次の修正案が提出せられました。即ち衆議院送付の原案によりますと、第四條に新たに第二項を加え、援助資金を教育事業に使用する場合につき、やや詳細な規定を設けることになつておつたのでありますが、諸般の事情によりまして、むしろ、第四條中に特定の教育事業に使用できる旨を簡單に規定する方が適当であるという修正意見であります。右修正案は採決の結果、全会一致を以て可決せられました。次いで修正個所を除く原案について採決をいたしましたところ、これ又全会一致を以て可決すべきものと決定し、本案を修正議決いたした次第であります。
 右御報告いたします。(拍手)
#60
○議長(佐藤尚武君) 本案に対し討論の通告がございます。これより発言を許します。板野勝次君。
   〔板野勝次君登壇、拍手〕
#61
○板野勝次君 日本共産党は、只今上程されました原案並びに修正案に対して断乎として反対するものであります。
 すでに見返資金運用の自主性放棄について、本日午前中の本会議において私が党を代表して緊急質問をしたのでありますが、これに対しまして政府は一言の答弁もなし得なかつたのでありまして、而も私が本会議でこの緊急質問をしておる際に、大蔵委員会におきましては、本会議開会中の討論採決は中止して貰いたいと私から嚴重に申入れて置いたのにも拘わりませず、予め仕組まれた計画なのか、定足数にも達しない僅か少数の人を以ちまして二分間程度を以てこの修正案を審議、通過させてしまつたのであります。これは單なる手続上の問題ではなく、全く国会が自主性をみずから進んで放棄したという点で重大な問題であります。(拍手)国会が何ら日本国民のためのものでないことを、完全に暴露したものであると言われても仕方がない次第であります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)衆議院から回付して来た改正案について、何故更に歪曲変更し、適用範囲を拡大したのか。この意図こそは見返資金運用の自主性をいよいよ放棄せんとするものに外ならぬ。すでに今まで見返資金制度は日本産業の軍事的植民地化のために運用されて来たが、(「ノーノー」と呼ぶ者あり)この度は更に、現在行われておるところの一連の愚民政策を決定的ならしめるために、教育、文化の植民地化の挺子として運用されるという点で、今回の改正は特に重大であります。この点に殊更に目を蔽い、国会法を守らず、ろくろく審議も許さず委員会に通過させたということは、日本の国会として誠に無責任至極であります。奴隷と雖も魂までは売らない。然るに我が日本の国会は、日本の魂である教育までも売ろうとしているのであります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり、拍手)このことは常識ある人民大衆の一大痛恨事でなければなりません。この次に来たるものは何か。我々が愛国者と共に考えるとき、誠に慄然とせざるを得ないのであります。嘲声を発する者こそ、真に日本を思わないからであります。心ある同僚議員諸君が本改悪案の否決に協力されんことをひとえに希望いたしまして、本改正原案並びに修正案に反対するものであります。(拍手)
#62
○議長(佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長の報告は修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することは賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
#63
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めま過す。よつて本案は委員会修正通り議決せられました。
     ―――――・―――――
#64
○議長(佐藤尚武君) この際、日程に追加して、米国対日援助見返資金の特定教育事業の対する使用に関する決議案(木内四郎君外三名発議)(委員会審査省略要求事件)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#65
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。(「異議あり」と呼ぶ者あり)本決議案につきましては、木内四郎君外三名より委員会審査省略の要求書が提出されております。発議者要求の通り委員会審査を省略し、直ちに本決議案の審議に入ることの御異議ございませんか。
   〔「異議なし」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#66
○議長(佐藤尚武君) 異議ありという声がありましから起立に問います。委員会審査省略の要求に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
#67
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は委員会の審査を省略することに決しました。よつてこれより発議者の対し趣旨説明の発言を許します。木内四郎君。
    ―――――――――――――
   〔木内四郎君登壇、拍手〕
#68
○木内四郎君 只今議題となりました米国対日援助見返資金の特定教育事業に対する使用に関する決議案の趣旨を御説明申上げます。
 先ず決議案の朗読をいたします。お手許に配付して置きましたが、決議案の朗読をいたします。
  米国対日援助見返資金の特定教育事業に対する使用に関する決議案
  米国対日援助見返資金特別会計法は、資金を特定の教育事業のために使用することを規定しているが、その特定の教育事業に伴う経費については、予め連合国最高司令官の指示を受けなければならない。
  右決議する。
 先程御報告いたしまして可決された法律によりまして、今回見返資金を民間情報教育事業に使用できることになるのでありますが、これが使用方法の詳細を国内法に規定することは却つていろいろな支障を来たす虞れがありまするので。簡單な字句に修正されたのであります。併しながら見返資金の本質に鑑みまして、政府が実際に支出する場合におきましては連合国最高司令官の指示を受けるべきものと考えられまするので、大蔵委員会に属する多数委員の共同提案として、この決議案を提出いたした次第であります。
 何とぞこの趣旨に御賛同下され、満場一致御賛成あらんことを切望する次第であります。(拍手)
#69
○議長(佐藤尚武君) 本決議案に対し討論の通告がございます。これより発言を許します。板野勝次君。
   〔板野勝次君登壇、拍手〕
#70
○板野勝次君 只今私は米国対日援助見返資金特別会計法の一部改正原案並びに修正案に対して反対して参つたのでありますが、遺憾ながら通過成立いたしました。併しこの決議案に対しましては少くとも大蔵委員会において慎重審議をしなければならないものであります。何故なら、飽くまでも我が国の国会は我が日本の国民のための国会であります。更に日本の政府も又日本の自主権を回復して行く、日本の政府は自主的に運営されなければならないものであります。すでに見返資金の性格については、今朝における私の緊急質問において、更に又先程の反対討論において明らかにして参つたところでありますから、重ねて申上げることは差控えますけれども、このような決議案を何故に出されなければならないのか、何故に必要であるのかということは、只今の趣旨弁明の中には、一かけら程も見出すことができなかつたのであります。私達国会議員が、このような状態、このような屈辱的な決議案を何故進んで行わなければならないか、毫も積極的な理由がないのであります。この理由のないものをここで決議案として上程して行くことに、国会外における誰がこの決議に喜んで賛成する者がありましようか。この理由によりまして我が党はこの決議案に断乎反対を表明するものであります。(「理由はないじやないか」と呼ぶ者あり)理由がないから反対するのだ。こういうものを作らなくてもよいから反対するのだ。
#71
○議長(佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。別に御発言もなければ、これより本決議案の採決をいたします。本決議案に賛成の諸君の起立を求めます。
  (起立者多数)
#72
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本決議案は可決せられました。
     ―――――・―――――
   〔門屋盛一君発言の許可を求む〕
#73
○議長(佐藤尚武君) 門屋盛一君。
#74
○門屋盛一君 本員は一昨二十七日在外同胞引揚問題に関する特別委員会から、在外同胞引揚問題に関する調査の中間報告として、いわゆる徳田要請事件の調査報告書で提出せられましたので、本員はこの際、事の重要性に鑑み、本件に関しまして委員会の報告を求めることの動議を提出いたします。
#75
○鈴木直人君 本員は只今の門屋君の動議に賛成いたします。
#76
○議長(佐藤尚武君) 門屋君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
#77
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつてこれより在外同胞引揚問題に関する特別委員長の報告を求めます。在外同胞引揚問題に関する特別委員長岡元義人君。
   〔岡元義人君登壇、拍手〕
#78
○岡元義人君 只今議題となりました在外同胞引揚問題に関する件につきまして、特にソ連関係地域でいわゆる反動分子と認められた者の引揚が著しく遅らされておること、及びこれに関連するいわゆる徳田要請の問題の審議の経過並びに結果について御報告申上げます。
 在外同胞引揚問題に関する特別委員会におきまして、昨年四月吉村隊事件として伝聞されましたところの残留同胞間の不祥事件について調査を行いましたる際、四月十四日たまたま証人として喚問された津村謙二君の口から、いわゆる反動分子を引揚港より奥地に逆送し、その帰還を遅らせた事実があるとの証言を得て以来、その後引揚が引続き実施せられたのに伴う調査の進展から、同樣の事実が次第に明らかとなつたのであります。然るに本年二月九日舞鶴に入港したる高砂丸による引揚者三百七十四名の連署を以て、参議院議長宛提訴せられましたいわゆる徳田要請の問題が、新たに調査の目標に加えられるに至つたのであります。
 改めて申すまでもなく、いわゆる徳は要請なるものは、去る二月二十三日久保田善藏証人が、「日本共産党書記長徳田球一氏より、その党の名において、思想教育を徹底し、共産主義者にあらざれば帰国せしめざるごとく要請あり、よつて反動思想を有する者は絶対に帰国せしめぬであろうとソ連側に言われた。」と証言しておるところからも明らかであります通り、いわゆる反動分子の帰還遅延という問題と密接なる繋がりを持つておるのであります。先に申上げましたるごとく当委員会といたしましては、昨年四月以降この問題の調査究明を行い、委員会を重ねること前後十回、召喚したる証人の数も四十九名の多きに達したのでありまして、今日漸くその中間報告をなす運びと相成つた次第であります。
 以下逐次重要なる証言を辿つて真相を明らかにいたしたいと存ずるのであります。
 先ず昨年四月十四日津村謙二君は本委員会におきまして、帰還者等によつて伝えられるところのナホトカにおける兵士大会は、ソ連側の軍令によるものでなく、兵士大衆の意思によるこのような大会をやりたい旨を申出で、許可を受けてやつておつたものであり、三百人のうち五十名を残した事実を明らかにいたしておるのであります。続いて五月十一日増淵俊一君は、その犠牲者の一人として、ナホトカにおいて民主グループの熊木なる者より、「ここでは一歩たりとも敵に妥協はしない。断乎闘争をするのだ。今晩から君達と元将校の諸君六百名と断乎闘争を開始しよう。そうして若しも我々の運動に飽くまでも反対するのであれば、自分達は身命を賭して君達の帰国を阻止する」と言い、又その際、日本新聞の宗像吉良という人が来て、履歴その他について尋ねられ、「君は反動である」と申渡され尚、「君は終戰当時の満州国内における同胞の悲惨な状況だとか、ソ連に入つてからの捕虜の状況がどうだとか、非常に泣きごとを言うが、我々にとつて日本の敗北は大いに祝賀すべきことなのである。何故ならば、今まで米英その他の相手国に向けていた武器を国内の階級闘争に言けることができる。敗戰ということ状態を活用して一挙に革命を遂行することができる。我々にとつては敵か味方かその二色しかないのだ。君達は同胞であるとか。日本人同志であるとかいうようなことを言うが、そんな甘い言葉には騙されない。味方でない者は皆敵なのだ、中間はないのだ」と言われ、遂に他の十七名と共にスーチヤンに後送されたことを明らかにしており、更に五月十二日の委員会において小針延次郎君は、各收容所の輿論調査によつて各政党支援者の調査をなし、共産党支持者の殖えた收容所を優先的に帰還させた事実を述べておるのであります。又反動的な者は民主グループの人達によつて早速人事係の方に連絡して帰還者名簿から脱落せしめた事実も、細川龍法君の証言によつて明らかにされております。
 続いて十二月二十四日証人増崎依正君によつて、シベリアの民主主義運動が決して捕虜の自発的な或いは自分の意思に基く運動ではなく、日本新聞は、その指導主権を利用して強制と圧迫のうちに各地において吊し上げ或いは追撃カンパをかけ、事実、二十四年九月ライチハ收容所において磯部某は五六十名のカンパに会い、殴る蹴るの暴行を受け、負傷した例があり、又同樣に岡本良藏君は、満身の勇気を以て日本の全国民に訴えると申しまして、今尚抑留されておる者は、精神的、肉体的に想像以上の苦悩を嘗めており、下士官、兵は労働の義務を負わされ、将校も又強要され、ソ同盟強化のため働け、ソ同盟の追化なくして平和なし、民族の独立を守るのは日本共産党だけである旨強調して思想教育が徹底して行われたことを証言いたしておるのであります。その他、本年二月の六日、種村佐孝、高橋善雄、尾ノ上正男、長命稔の四君によつて、共産主義を信奉せざる者が反動として帰国の途が如何に阻害されたかをつぶさに証言されておるのでありますが、詳細は会議録に讓り、時間の都合上割愛いたします。
 以上述べて参りました多くの事例は、すべていわゆる徳田要請と密接不可分の関係にあるのでありますが、実際、反動分子があらゆる方法を以てその帰還が遅延せしめられて来たことは、以上の証言によつて誠に明確なるところでありまして、この事実を証言し得る者は、單に以上の証人のみに止まらず、当委員会に寄せられた多くの資料によつて一層明らかなるところであります。
 次に、このいわゆる徳田要請に直接関連して明らかにされました点を申上げますれば、一九四八年五月一日頃、万国赤十字社スタンプ附往復葉書をウオロシロフ地区第五百六十三労働大隊附エルセノフ下士官が亀澤富男君の許へ持つて来て、その葉書を掲示板に貼つて呉れと依頼し、約一週間に亘つて掲示され、その内容は民主グループ宛日本共産党徳田書記長よりの返信で、「お手紙有難う。御元気にてソ同盟強化のため邁進され、立派な闘士として帰国され、反動に対して共に闘う日の来るのをお待ちいたしております」旨が書かれていたことの証言があり、これに対して徳田球一証人は、「それは秘書が出したものであり、その政治的責任は負う」と証言いたしたのでありますが、この手紙の内容は十分に共産主義信奉者にならない者の帰国を欲しないとの意味に外ならないことを示唆しておるものであります。
 更に当委員会は二月二十三日、久保田善藏、山森勇太郎の両君の証言を聽取し、三月十六日に徳田球一君の証言を求めたのでありますが、その際、徳田証人より、昨年五月五日引揚要請の書簡を航空便で出したる外、何らの要請をなしたことはないとの証言があつたのであります。併しながら三月十八日の喚問におきましては、カラカンダ九十九地区第九分所において、一九四九年九月十五日、約三百名程度の抑留者を倶楽部に集合せしめ、政治部将校エルマーラエフ中尉は植松君の質問に答えて、「いつ諸君が帰れるか、それは諸君自身にかかつておる。諸君がここで良心的に労働し、真正の民主主義者となる時、諸君は帰れるのである。日本共産党書記長徳田は、諸君が反動分子としてではなく、よく準備された民主主義者として帰国するように期待しておる」と通訳した旨の証言を得ており、又これと同様のことが日本新聞に掲載されていたと証言いたしておるのであります。又一方、亀澤富男証人の証言によると、一九四八年五月四日、ウオロシロフ地区レエチホフカにおいてキイシイローフ大尉より明らかに徳田書記長と記名してある文書を示されたが、それには「貴国の好意によつて優先的に送還された身体虚弱者、素行不良者の言動著しく反民主的にして、党活動に大なる支障を来たすものである。故に願わくば貴国の好意によつて、思想的、身体的に健全なる者を送還されんことを希望する」旨の内容が記されてあつたとの証言を行なつておるのであります。尚、亀澤富男君は曾て抑留中、民主グループの一人として活躍した者でありますが、帰還と同時に、祖国を破壞と混乱に陷れようとしておる日本共産党の姿を見て入党の決意を飜し、過去三年間の罪悪を思うとき、一命を賭しても当事件の生きた証人となり、最後の一人が帰つて来るまで鬪うと述べておるのであります。(拍手)又小俣忠男証人よりは、ウラジオストツク第十四分所ウゴールナヤ收容所において、昭和二十三年十月中旬、チーベル大尉より、ソ連側通訳及び日本側通訳立会の下に、日本共産党より、反動者、前職者は人民政府が樹立されるまで帰して呉れるなと依頼されたと、彼の口からはつきりと聞いた旨の証言があつたのであります。次に上村宗平証人より、一九四九年九月上旬、イズベストコーバヤ、ウルガル第四百二十七分所において、所長、政治部将校立会の下に、反フアシスト委員会を通じて、日本共産党書記長徳田球一氏よりの手紙に、立派な民主主義者にならざる者、作業を怠慢してソ同盟強化に邁進せぬ者は、懲罰に付してソ同盟に長く留め置くようにとの一節があつた旨の証言がなされたのであります。
 以上のごとく、單にカラカンダ地区のみではなく、各地区においても、ほぼ同様の趣旨のいわゆる反動を帰さざるようにとの伝達がなされておることが考えられるのであります。
 次にこれらの要請から、日本共産党とソ連地域との間には常に何らかの連絡がとられておると判断できるという点であります。これは次の事実によつて立証できるのであります。即ち先の三月十六日、徳田証人は、昨年四月二日附日本共産党中央委員会事務局より極秘指令として各府県地方委員会宛の第三百四十七号について証言を求めたところ、「‥‥事務局が出したものと思う。その細部は知らぬが政治的責任は負う」旨証言があつたのであります。この指令は、当時委員会といたしましても、その出所等について鋭意調査を進めて参つたのでありますが、その内容を申しますれば、「ソ同盟帰還者の受入態勢を強化せよ」との標題を付し、「ソ同盟地区からの引揚輸送が近く再開される。新らしく帰還する者は昨年度の帰還者より更に積極化しており、その大部分は直ちに党組織に参加して鬪うことを決意して帰つて来るのである。」「政府並びに反動諸団体は現にこれの切崩し工作の準備に躍起となつているが、我々は二十数万と予想されるこの新帰還者を敵の謀略と懷柔から守り、全員を我が党の組織に吸收するために、積極的な受入態勢を講じなければならない。党各級機関は、全員にこれを徹底すると共に、緊急に具体策を講じ、労組その他の民主的団体とも広く提携して、大衆的な歓迎鬪争並びに生活擁護の鬪争を積極的に展開されたい」と記され、更に入党の取扱に関しましては、「帰還者の家族の殆んどが反ソ、反共的であり、而も帰還者の生活が逼迫するために、定着後の組織への吸收は困難である故、本年度は帰郷するまでに組織に吸收するよう努めなくてはならない。イ、仮入党申込はできるだけ上陸地で受付けること、併し上陸地では困難なる場合も起り得るので、到着駅で必ず獲得するよう仮入党申込書その他を準備すること、ロ、駅頭において入党手続が困難な場合は家庭訪問を行い組織に吸收すること、ハ、上陸地点並びに駅で受付けた仮入党申込書は直ちに当該機関に送付すること、ニ、仮入党申込書の送付を受けた機関は、直ちに本人に連絡し、正式に入党せしめること」等、その他詳細に亘つて指令しているのでありますが、この三百四十七号の指令で最も注意せねばならないことは、昨年度帰還の第一船は六月二十四日であり、配給指令を受取つた総司令部並びに日本政府、換言すれば、それまで如何なる公式機関と雖も引揚再開の時期を知ることができなかつた以前の四月二日に、この指令が出されており、而も内容の中に明らかに、本年度帰還者はいわゆる反動分子ではなく、共産教育の徹底した者が帰還して来ることを断定していることであります。即ち、この事実によつて、何人と雖も日本共産党との間に連絡のあることを明白に肯定するであろうと思うのであります。この指令につきましては、かかる意味合におきまして当委員会は重要視し、この指令に基き地区細胞に至るまでリレーされている事実の資料を得ることができ、更に明瞭となつたのであります。又実施面においてもこの指令の通り行われ、みずからの祖国に、天皇のいる島に敵前上陸だと叫び、又舞鶴に引揚船入港後も日本共産党よりの指令が来ぬ限り上陸せぬと放言するに至り、留守家族は勿論、全国民をして唖然たらしめたことは、未だ記憶に新たなるところであります。更にこの指令の中で看過し得ない事実は、正しくその構想の根本が革命準備への指令であるということであります。昨年七月七日午後八時二十分京都駅休憩所において、新潟、四国方面乘換待機中の帰還者二百四十一名に対して、日本共産党谷口善太郎衆議院議員は、その挨拶演説の中で明らかに、今年一九四九年こそ意義ある革命の歴史の時間であることを確信する旨述べているのであります。
 以上申述べて参りましたような調査経過を経て、その結果、幾多の事実が明らかにされたのでありますが、これらの調査より当委員会が到達いたしましたところの結論につきまして、以下簡略に御報告いたします。
 先程来縷々申上げて参りましたごとく、ソ連関係地域残留者の中にいわゆる民主主義グループと称する日本人指導者層が作られ、反動と銘打たれた人々の帰還を遅らせたという事実があつたことは確実であり、その中心をなすものがハバロフスク発行の日本新聞であつたこと、更には一昨年頃からシベリア各地の收容所にいわゆる徳田要請なるものが次第に広く伝えられ、又同様に日本新聞にも掲載され、いわゆる反動分子帰還遅延の口実にせられていたことが順次明白にされたのであります。このことたるや国内に対し重大なる関係があるのみならず、事、引揚問題に直結し、而もその現状が実に機微の間にありまする今日、特に重大なる関心を拂わざるを得ないのであります。かような情勢の下、当委員会の証人として立つた徳田球一書記長からは、自身の名を以てソ連地域内收容所に宛て出された書簡及び引揚者受入に関する共産党指令第三百四十七号について、これを肯定すると共に、これに関する政治的責任を負うとの証言がなされたわけであり、而もその書簡の内容を端的に表現すれば、いわゆる反動は帰すなとの意味であり、且つこの書簡の外にも、先に帰還した病弱者等の反民主的傾向を非難し、思想身体共に健全なる分子をソ連側の好意によつて帰還せしめられよとの希望を表明した書簡が別にありまして、現地ではこれが日本人俘虜に対し示され、逐次各地收容所に広く伝えられた実情にありますので、それが及ぼした影響も察するに難からざるものがあるのでありますが、以上の証言及び調査等によつて、要請の現実にあつたやの疑は濃厚なるものがあるのであります。この上は、同君が先の証言通りに、進んで政治上又は道義上の責任を明らかにするため適切なる行動に出でられんことを、国民と共に強く期待いたすものであります。(「独断だよ」と呼ぶ者あり)
 これと同時に、先の四月二日附指令第三百四十七号によつて、憲法に定められた思想、言論の自由を無視し、逐次帰還する引揚者を、予め計画的にその弱点に乘じ強制的に入党せしめんと図りましたことは、公党としての存在を疑わしむるに十分なるものがある点を指摘いたしたいのであります。(拍手、「独断だ」と呼ぶ者あり)尚いわゆる反動の帰還遅延に関し重大なる役割を演じた者は、日本新聞に日本人幹部としてその地位を占めていた相川春喜、宗像肇、吉良金之助及び淺原正基の四君、及び各地区收容所におけるいわゆる反動分子に対して実際にとつた手段は、自己の背景を利用し、且つ帰国切望という弱点に乘ずる半ば脅迫、恫喝であり、殊に実際に帰還の遅延を図るがごときに至つては正に非人道的と言わざるを得ない。かくのごとき人間性を無視した行為は、吉村隊事件に匹敵し、その実害の広きに及んだことは数百倍すると断ぜざるを得ないのであります。言うまでもなく、このいわゆる反動の帰還遅延ということが幾多の人々の心身に與えたところの害悪は非常に大きく、且つ被害者が極めて広範囲に亘つている点等、これが單に国内問題に止まらず、延いては国際的にも大なる影響を與えるという問題の重大性に鑑み、委員会はこの際政府当局に対し、速かに本件の調査に著手し、あらゆる努力を拂つて真相を究明し、これが処置についても断乎たる方針を以て臨むよう強く勧告することが最も適切なりとの判断に到達いたしたのであります。(「タス通信が報じたのはどうした」と呼ぶ者あり)
 更にこの際附加えて御報告いたしたいことがあります。それはいわゆる徳田要請をめぐる報道に関連することでありますが、去る三月十二日附アカハタ紙上における札幌在住小島清君に関する報道記事であります。御承知のごとく過般来、対日理事会議長より、四十四名の引揚者の宣誓口述によれば、徳田要請なるものは事実上あつたということになると発表されたのでありますが、右の四十四名中の一人である小島清君が徳田事件は事実無根の作り事である旨述べたと、アカハタ紙は報道しておるのであります。(「インチキだ」と呼ぶ者あり)然るに本委員会が徳田要請に関する調査のため当の小島清君を証人として喚問した際、たまたま小島証人の証言により、アカハタ紙の報道のごとく四十四名中の一人でもなく、又同君陳述の内容と記事とは全然相違しておることが明らかにされたのであります。この事実から、アカハタの報道記事が報道の本然の姿に背き、事実を歪曲し、いわゆる徳田要請を隠蔽せんとする一連の策謀の現われと判断せられてもいたし方ないのでありまして、(「独断だ」「ノーノー」と呼ぶ者あり)この報道は單なるデマとして看過し得ざるところであり、内外に及ぼす影響からしても正に重大なるプレスコード違反としての疑いが十分にあると言うべきであります。
 最後に、去る三月十六日の委員会に徳田書記長を証人として喚問した際、傍聽中の衆議院議員の一部が意識的に議事を妨害するの挙に出で、ために一時議事は混乱に陷るの止むなきに立ち至りましたが、(「委員長が無能だからだ」と呼ぶ者あり)このことは、参議院の委員会運営に対し、参議院を無視したる暴挙であつて、誠に遺憾に存ずる次第であります。委員長といたしましては早速報告書を本院議長宛に提出し、更に議長を通じ本件につき衆議院議長に対し正式に申入れを行なつた旨の通告があつたことを申添えて、(「侵略主義の弁明だ」と呼ぶ者あり)以上で御報告を終りたいと存じますが、目下ナホトカに待機中と伝えられる千数百の引揚者を先頭として、速かに引揚が続行されんことを切に念願するものであります。(「当選確実だ」と呼ぶ者あり、笑声、拍手)
#79
○議長(佐藤尚武君) 只今の在外同胞引揚問題に関する特別委員会の中間報告に対して少数意見の報告書が提出されており、少数意見者からこの際報告することを求められました。中野重治君。
   〔中野重治君登壇、拍手〕
#80
○中野重治君 今岡元君からなされた中間報告に対して、日本共産党のこの問題に関する意見を報告として発表します。
 岡元君は多数意見者の報告というふうなことを言つておるけれども、委員の数は二十九名であつて、多数意見署名者は九人だから、この多数意見というものは非常に疑わしい多数であり、曰く付きの多数だと思います。常に曰く付きの多数を排して真実を語るということは我が日本共産党の一貫した方針でありますから、それを私はここで語る。(「その通り」と呼ぶ者あり)
 それで、去年の五月から今年の三月末までに四十九人の証人を呼んで、十回の委員会を開いた結果、何が明らかになつたか。ああいう嘘や作り事ではなく、明らかになつた事実は何かというと、第一は、いわゆる或る種の人々が一生懸命作り上げようと努力したところの徳田要請なるものはなかつたということが明らかになりました。次に日本共産党は書記長徳田球一の名において、ソ同盟共産党中央委員会宛、引揚‥‥戰犯は別ですよ、これは日本人引引揚者の年内、つまり去年、年内引揚完了を願うという手紙を出したということが明らかになつた。(「共産党だけじやないか、明らかになつたのは」と呼ぶ者あり)これは世界的に明らかになつておる。盲以外は‥‥。盲でも知つておる。(笑声)それからソ連地区からの引揚の問題は米ソ協定に基いて行われて来た。このことについてはマツカーサー総司令官が、ソ同盟からの日本俘虜の引揚は好調に行われておると、こう言明した。(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)このことが明らかになつた。そうして、この引揚が終つた。この事実を否定しておる者は誰もない。明らかになつた事実はこれだけである。
 尚この際、この種の問題に関して、日本共産党徳田球一書記長のなした発言の性格について私は一言して置く。丁度この問題が大詰めに近付きつつあつた三月二十二日に、徳田要請なるものを作り上げようとして見る目も気の毒な程奔走して来た淺岡委員は、(笑声)徳田要請が真実あつたことを物語るための物的証拠は遂に手に入れることができなかつたと泣きごとを言つて、これを印刷して配つておる。(笑声)こういうことは身から出た錆で、我々の責任ではないのだが、(「その通り」と呼ぶ者あり)或る忌わしい男が国会において書記長個人とか何とかいうことを言つたことがあるが、日本共産党書記長の発言はかかるものとは性質が違う。これは平和と諸民族の独立とを望んで闘つておるところの全世界十億の民主的人民の連帯の上に立つての発言である。そこで事実は明瞭になつたのであるが、ここに一つの仮定の問題が残つておる。それはカラカンダ地区における通訳者の言葉として、日本共産党徳田書記長が、日本人の人々がよく準備された民主主義者として帰国するよう期待するということを言つておると、言つておつたと、ソ同盟の将校が語つたと伝えられた問題である。(「ややこしいな」と呼ぶ者あり)分らなければもう一度言つてもよろしい。もう一度言おう。(「聞こう」と呼ぶ者あり)日本共産党徳田書記長がソヴイエトの共産党中央委員会宛に出した手紙の内容はすでに紹介済みである。それとは別に、或る日或るソヴイエトの将校が、日本の共産党の徳田書記長は、向うにおる日本人俘虜に向つて、諸君がよく準備された民主主義者として帰るよう期待する、こう言つておると語つた、こういう事柄である。そこで、この言葉は、当時通訳したところのロシア語の堪能な証人によつて、ロシヤ語で国会に発表されたのであるが、この仮定が仮に事実であつたとしよう。どこが不思議か。平和と民主主義とのために闘つているソヴイエトの人民及び兵士が、(「共産党とは違う」と呼ぶ者あり)捕虜てなつた日本人に対して、諸君が民主主義者となることを日本共産党は求めていると言つたとすれば、それは当然である。我々はそれをすべて求めている。又、そうなるのが、この中でいろいろな妄動をやつている諸君にとつてもその諸君の基本的任務である。今日、(「おべつか言うな」と呼ぶ者あり)これについて何を四の五の言うのか。これはソヴイエトの人民ばかりではない。又日本の人民ばかりではない。平和と諸民族の独立を求めるすべての世界の人民の当然の観念であり、義務である。それで我々はここで、あの侵略戰争のことを諸君の中には忘れたがつている者もあるかも知れない。自分の犯罪と共に。(怪しからんことを言うな」と呼ぶ者あり)併しこれをよく考えて見なければならぬ。我々はここである侵略戰争をやつた日本の責任を日本人としてどうとるかということを真劔に考えなくちやならぬ。又多くの、これは当然引揚者をも含むものであるが、多くの戰争犠牲者を救う途を日本人として真劍に考えなければならぬ。(「共産党こそ考えろ」と呼ぶ者あり)共産党は最も強く考えておる。(「なぜ実行せんのか」呼ぶ者あり)そこで共産党の回答は何か。改めて諸君に言つて置こう。それは(「赤化することにある」と呼ぶ者あり)我々がすべて真の民主主義者となることである。そうして平和日本を作り上げるための、独立日本を作り上げるための戰士となることである。これが真の日本人としての責任のとり方である。それだから現にソヴイエトその他の地域から、侵略戰争のために曾て駆り立てられて行つた多くの人々が、元の兵士も含めて、平和日本、独立日本のための戰士として続々帰つて来ておる。これは全く正しい人間としての進むべき道を彼らが進んでいることを実証している。(「その通り」と呼ぶ者あり)ところが、こういうことを何か犯罪である、これは惡いことだというふうなことを言おうとしている諸君は、一体それならば、曾て侵略戰争のために駆り立られた元の日本の兵士が、相も変らず侵略主義者、軍国主義者、真の帝国主義反動として帰るということを望むものだということになるじやないか。それならば、そういうことを望む本人こそ全く(「詭弁だ」と呼ぶ者あり)軍国主義者であり、侵略主義者であるということを告白しているのだ。(「トリツクじやないか」「その通り」と呼ぶ者あり)一体ここで、このでつち上げにしくじつた徳田要請に関して、我々はソ同盟とその人民とはそもそも何であるかということを考えて見る必要がある。又このことを正確に知る必要がある。これは多くの材料にも拘わらず、従来長く日本の軍国主義者がその真の姿を日本の人民の眼から隠して来ておつた。それだから、今も一部の妄想者流が相も変らず、今日に至つてもまだ日本の人民からソヴイエト同盟の真の姿を隠し得はしなかろうかと、こう焦つておる。併しそんなものじやない、(「結論を言え」と呼ぶ者あり)ソヴイエイ同盟というものは、元のロシアの勤労人民が圧制者と帝国主議者との非常に長い、我慢強い、又剛胆な鬪争によつて、人間による人間の搾取を廃止した国である。民族的圧迫を完全に排除した国である。真理のためには何物をも恐れず進んでおる国である。(「独裁の国だ」と呼ぶ者あり)それだから、今の、門屋議員でなかつたら誰でもいいが、今の発言者のような人々を含むところの、この度の日本をも含むフアシスト侵略国を打倒した。そうしてフアシスト達によつて大きな破壞をもたらされたにも拘わらず、猛烈な勢いで国の生産を回復して、そうして今や恒久平和と社会主義とのために世界人民の先頭に立つて鬪つておる国である。帝国主義者と徹底的に鬪つておる国である。(「提燈持ちは止めろ」呼ぶ者あり)或いは被圧迫諸民族の独立のために鬪つておる国である。これは淺岡君は提燈持ちと言おうが言うまいが、事実とは少しも変らない、それだから、このことは、ソヴイエトから帰つた人々が、一二の諸君のように帝国主義者とその手先とがあらゆる反ソデマを振り撒いておるに拘わらず、我が共産党に続々入党していることによつて明らかに証拠立てられておる。(「その通り」「宣伝するな」と呼ぶ者あり)そういう国であるから、このソヴイエト同盟は、日本に関しては、ポツダム宣言の嚴正実行に基いて日本の非武装化を徹底する、日本の平和産業の無制限拡大をやる、この線に沿つて対日講和を早くやらなくちやならん、この対日講和を妨げる帝国主義勢力とは精力的に鬪うということを言明し、且つ実行しておる。これが日本とソヴイエイ同盟との関係のうち、今我々にとつて今の時期に特に大事な眼目の点である。日本人にとつて、国内の侵略的軍国主義勢力を一掃する、それからその裏返しであるところの売国的勢力を一掃する、そうして人民のための平和産業の無制限拡大による国の民主的独立を図る、(「それより外ないじやないか」と呼ぶ者あり」それより以外に日本及び日本人の進む道があるか。それならば即ちソヴイエト同盟のこの点に関する意見と実行とは、日本と日本人との進む――外に取替えるもののないただ一つの道を示しておるということに外ならない。それならば、日本共産党がこのソヴイエイ同盟に絶大な信頼を置いて、ソヴイエト同盟と同一の線で鬪つておることは、日本共産党が全日本人民の進むべきただ一つの道を進んでおるということである。(「それが共産党の独断だ」と呼ぶ者あり)何か岡元君あたりは、二十名中九名の多数者の意見として、日本共産党とソヴイエト同盟との間に連絡があるだろうとか何とか、戯言を言つておる。何事を言つておるか。そういうことを言う日本における帝国主義の手先が日本で何をしておるか。引揚者に対して、日本政府と、この日本政府に協力する人々と活、引揚者に棍棒を與えて家を與えない。飢を與えて仕事を與えない。そうして多くの戰争犠牲者に、その中には多くの婦人を含んでおるのですが、非常に浅ましい生活へ突落しておるという事実を、一部の諸君が世界に隠そうとしたときには、それより一足先に全世界はこれを知つておる。(「そうだそうだ」「何を言つておるのか」「まじめにやれ」と呼ぶ者あり)我々の祖先が、日本橋の水はロンドンに続いておるということを今から百七十年程前に言つておることかを諸君は知らないのか。(「余計なことを言うな」と呼ぶ者あり)明らかに我が日本共産党は、我が保和と独立を求めて鬪う全日本人民を代表して、社会主義国、人民民主主義国、資本主義国、隷属国及び植民地を貫く平和と独立とのために国際的反帝国主義戰線に立つて、この戰線に結集する十億の人民と共に鬪つておるのである。(「簡單々々」呼ぶ者あり)多数意見とか何とかということで報告されたあの問題は、明らかに帝国主義者とその手先としての帝国的勢力とが、最初は船の問題、配船の問題でしくじり、次に取り付いた引揚者の生活破壞の問題でしくじり、次に取り付いた在外同胞の幽霊数字の問題でしくじり、せめてもの締め括りとして最後に取り付いた徳田要請でつち上げの問題において締め括り的に破綻したことを意味しておる。この醜態は、平和と独立と社会主義とのための全世界十億の人民戰線によつて、帝国主義者とその売国的勢力とが歴史の審判台にさらされて身悶えして垂らした水洟である。(「そうだそうだ」「拭え拭え」と呼ぶ者あり、笑声)何故この手合がこういう醜態を性懲りもなく続けるのか。このことは私が今まで述べたことですでに基本てには明らかである。併しながらこれに更に最近の新らしい條件が加わつておる。彼らがうろたえざるを得ない新らしい情勢が現実に生れておる。その一つは、恒久平和、諸民族の独立、社会主義のための全世界十億の人民戰線を決定的に強めるものとして、中ソ同盟條約ができ上つたことである。これによつて世界及びアジアの平和勢力は確平不動のものとなつた。(中国じや飢饉だよ」と呼ぶ者あり)ソ同盟と中華人民共和国とこそ、速かに対日講和と日本の独立とを望んでいる、又これを助けようと言つていることが、決定的に、世界にも日本人民の目にも明らかになつて来たことである。これでは、帝国主義者と、その手先。売国勢力はうろたえざるを得ない。第二には、窮乏と日本の軍事基地化とに反対して日本人民が起ち上つて来たことである。すでに百八十万の労働者が起ち上つておる。すでに多くの農民、中小業者その他が、軍事的性格を持つた悪税に反抗して税務署を取巻いておる。ここに共産主義者と非共産主義者との、国の独立と生活の向上、平和のための強大な戰線が現実にでき上りつつある。そうしてこの人人は、その鬪いを通して、我々は平和と独立とを手に入れるためには、今言つた右の国際的人民戰線、特にその中心の砦としてのソ同盟並びに中華人民共和国と結ばねばならぬということを、日に日に明らかに自覚しつつある。(「その通り」と呼ぶ者あり)こういう條件が新らしく生れて来たために、帝国主義者とその手元、裏返しとしての売国奴的勢力とはうろたえておるのである。それだから彼らはますます歴史のさらし台にさらされて水洟を垂らさなければならない。(「それは共産党じやないか」「コミンフオルムだ」と呼ぶ者あり)
 先にも明らかになつた問題ですが、岡元君の報告の中には「いわゆる反動」というような言葉が使われておる。「いわゆる」という曖昧な限定を付けた言葉が注意深く使われておる。こういうことはすでに委員会において私によつて徹底的に暴露されて、詳しくは速記録を見て頂きたいものでありますが、この場合、こういう言葉を使つて言われておるところの事実、即ちただ一般的に在外同胞とか或いは抑留者一般、こういう名を使つて、その名で、その中へ戰犯を含めて、その戰犯の引揚を煽動している一味の真の目的は、実は国内における戰犯的人物の活動を擁護しようための煙幕を張ろうということである。これは許すべからざる犯罪である。(「詭弁だ詭弁だ」「そんなことは信じない」と呼ぶ者あり)
 更にあの中間報告の結論として引出されておるところの問題、即ち日本共産党を政府はよく調べて彈圧しろというふうな意味のことを言つておるのでありますが、これは何を意味するか。引揚者を含む日本の人民を窮乏に突落し、国の主権を売渡そうとするがごとき政府に対して、この政府のこの政策に対して、積極的に協力している党派の人々が、かかる売国的政策と徹底的に鬪つて来たところの日本共産党を彈圧しろと要求することは滑稽ではないか。泥棒が追剥に向つて、泥棒に対する最も頑強な抵抗者を彈圧しろと要求するのと全く同じである。即ちこれは予め完全に種明かし済みの猿芝居である。彼らは恐らく今後とも、この種の絶望的な陰謀を企らむでしよう。いわゆる徳田要請のごとき、いわゆる三鷹事件のごとき、又いわゆるナチスの国会放火事件のごとき、こういう陰惨な陰謀を企らむでありましようが、併しそのことはその都度必ず我々によつて暴露されるであろう。そうしてかかる売国履的勢力の(「売国奴的勢力は默つている」と呼ぶ者あり)陰謀は次々に暴露され、彼らの勢力は叩き出される。そうしてどうしてもやはり日本の人民の生活の向上、平和、この日本の独立は必ず達成されるに違いない。
 日本共産党並びに徳田書記長の政治的責任を云々した者があるけれども、このことを暴露して、かかる勢力を日本から駆逐して、そうして真の日本の独立へ持つて行くということを実行することが、我が日本共産党の政治的責任のとり方である。我々は今日までこれをやつて来た。これからはもつて十二分にやるだろう。あらゆる陰謀も日本共産党と全日本人民との結び付きを破壞することはできない。又平和と独立とを求める全日本人民と中ソ両国を中心とする全世界十億の人民戰線との結び付きを破ることも全く不可能である。このことこそ、今度のこの問題の国内的、国際的重要性ということである。このことこそ、去年の五月から今年の三月末までの十回の委員会の活動の結果、引出された真の中間報告である。
 最後に岡元君その他に一言して置くが、日本共産党は革命をやる党である、或いは日本は今や革命の敷居口に立つていると、衆議院の谷口善太郎君が言つたというようなことを、何か非難の意味で持ち出しているが、これは岡本君自身ももう一遍家へ帰つて考え直すがいい。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)日本共産党は革命のための党である。日本共産党は平和と独立のための日本の革命の党である。我々は売国奴的勢力、帝国主力勢力の手から国の権力を人民の手に取戻そう、こういう明らかな目的を持つてそのために行動しておる革命の党である。(拍手)このことは岡元君らが帝国主義勢力の手先であることと同様、或いは恐らくそれ以上に確かであることを附け加えて置く。(拍手)
     ―――――・―――――
   〔草葉隆圓君発言の許可を求め〕
#81
○議長(佐藤尚武君) 草葉隆圓君。
#82
○草葉隆圓君 本員はこの際、在外同胞引揚問題に関する特別委員長の報告に基きまして、政府に対し本件に関する真相を究明し、適切なる処置をとるべきことを勧告することの動議を提出いたします。(「賛成」「反対」と呼ぶ者あり、その発言する者多し)
#83
○議長(佐藤尚武君) 御靜肅に願います。
#84
○門屋盛一君 本員は草葉隆圓君の動議に賛成いたします。(「反対」「賛成」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
#85
○議長(佐藤尚武君) 草葉君の動議は賛成者)ありましたので成立いたしました。よつて動議を議題に供します。動議の趣旨説明のため発言を許します。草葉隆圓君。
   〔草葉隆圓君登壇、拍手〕
#86
○草葉隆圓君 (「肩張つてやれ」「気取つている、少し」「默つて聞け」と呼ぶ者あり)私が只今この問題について動議の説明をいたしておりまする只今の時間も、ソヴイエトにおきましては我が幾万の同胞が(笑声)ノルマの下に汗を流して働いております。(「その通り」と呼ぶ者あり)而もその留守家族は、終戰以来すでに五年、血涙を呑んで同胞の帰還を待ち佗びているのであります。(「本論」「默つて聞け」呼ぶ者あり、拍手)而もポツダム宣言におきましては帰還の保障をされ、万国俘虜條約においてはそのあらゆる点からの抑留の保障をされておるに拘わらず、只今在外同胞引揚問題に関する特別委員長の報告の内容によりまして、誠に悲痛なる生活をし、而もこれらに対しては思想教育を施し、或いは帰還を遅らしておるような事実は、(「特別委員長なんというものはないぞ」と呼ぶ者あり)悲痛に堪えないところであります。この点に対しては恐らく共産党諸君におきましても、現在只今の時間において、我々の同胞が泣き、その留守家族が一日千秋の思いを以て待ち焦れておる心情は、国民全体が十分了解されることであろうと思う。(「そり通りだ」と呼ぶ者あり)然るにそのときに当りまして、只今岡元委員長の報告にありましたように、徳田要請の問題があり、数々の要請によつて帰還を遅らしておるという事実は、これが真実であるなら、(「疑う余地はない」「真実だ」と呼ぶ者あり)留守家族は勿論、国民が血涙を呑んで堪え得ざる点であります。(拍手、「その通りだ」と呼ぶ者あり)日本共産党徳田書記長は、只今報告にありましたように、昨年の三百四十七号の指令、又俘虜に対する通信及び昨年の五月五日の要請の書簡に対しましては、政治上の責任を負う旨を明言いたしております。(「当り前の話だ」と呼ぶ者あり)徳田要請はなかつたと否定する根拠は、タス通信がソ連政府を代表して、かような馬鹿馬鹿しい事件はないということを言つたではないかと証言をいたしたのであります。(「そんなことは信用されん」「阿呆なことを言うな」「タス通信の公式声明が信用されんか」と呼ぶ者あり)葉書において徳田書記長が申しておりますように、(「頭は確かか」と呼ぶ者あり)ソ同盟強化のため邁進され、立派な鬪士として帰還され、(「論旨不明」と呼ぶ者あり)反動に対し共に鬪う日の来るのをお待ちしておりますということは、これも私は一つの要請であろうと存じます。(「その通り」「何が要請だ」と呼ぶ者あり)この意味におきまして、本件の真相を十分究明いたしまするため、速かに万般の努力を拂い、その処置について断乎たる方針を以て臨むよう、本院は院議を以て決議し、政府に勧告されたいと存ずる次第であります。(拍手、「内容をもうちよつと言つて呉れ、分らん」と呼ぶ者あり)
#87
○議長(佐藤尚武君) 右動議に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。細川嘉六君。
   〔「動議の内容が分らん」と呼ぶ者あり〕
   〔細川嘉六君登壇、拍手〕
#88
○細川嘉六君 参議院において徳田要請なるものを取上げたということは、大体これは初めから間違つております。(笑声)どうか冷靜に、道理に訴えてお考え下さい。中野議員は先程縷々申しました。私は更にこれに附け加えて何を申す必要があるでしよう。私も特別委員会に出ておりまして、長い間痛感させられたことは、外地において、軍隊の将校のために、軍事制度のために、沢山の兵隊が難儀し、人間としての権利も認められなかつた。それで終戰と共に各自は目覚めて、この権利を奪還しようと努めた。これがいわゆる民主運動じやありませんか。これには多少の行き過ぎもありましたが、本質はそれである。このことを長い間特別委員会の委員諸君は蔽い隠すために、即ち侵略主義の根を国内に植え付けるために、あらゆることをやつて来たじやありませんか。(「嘘を言うな」「ノーノー」と呼ぶ者あり)そうして今日にまで及んで来た。徳田要請なるものを以て、先程中野議員が言つた通りこれは失敗の締め括りである。私は今日更に草葉君からこの動議が出されたことは非常に遺憾とします。参議院にとつて誠に遺憾である。(「そんなことはない」「全くだ」と呼ぶ者あり)こういうように先程から明らかになつておるに拘わらず、これを何をせいと言うのか。(「明らかになつておらんじやないか」と呼ぶ者あり)無から有を生じさせようと言うのか。無いものをあると言つてこれを作り事にしようと言うのか。参議院は今日国民に国民の名というようなことは何とかかんとか使えることではない。国民は策動でなく正義を欲しておる。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)正義を欲しておるが故に、こんなものは止めなくちやならん。(「そうじやないのだ」と呼ぶ者あり)飛んでもないことだ。(「しつかりやれ、コミンフオルムに叱られるぞ」と呼ぶ者あり)諸君どうぞ冷靜に、一つ冷靜に、道理に訴えてお考え下さい。引揚問題というのは單なる国内問題ではありません。内部においてはすでに政治的陰謀である種に使つておる。国会において、すでに草葉君も言われた通り、共産党は暴力革命を企んでおると言つて、(「その通りじやないか」と呼ぶ者あり)そういうことを事実として練り上げるために一生懸命になつて来たじやありませんか。イデオロギーとか何とか言つて好い加減にごまかしちやいけません。諸君もイデオロギーを持つておる。共産党もイデオロギーを持つておる。どつちが正しいことを国民のために主張し、やろうとしておるのか。(「嘘ばかりついているじやないか」と呼ぶ者あり)責任ある政党として共産党は、朝にも板野議員が申しました通り、経済上の非常な苦しみを国民は受けて来ておる、それと同時に與えられた筈の人権が段々と蹂躪されて来ておる、この事態に対して責任ある政党は何とすべきだろうか、これを守るということこそ責任ある政党のなすべきことである。共産党は今日これをなしておるに過ぎません。(「そうだ」と呼ぶ者あり)どこが悪い。こういう大事に途をとる政党を、これを敵とし、国民一般から隠そうとする、ここに終戰前も終戰後も変りのない日本政界であるということをはつきりしておるじやありませんか。(「そうだ」と呼ぶ者あり)並大抵でない時代に我々生きておる。(「分つた分つた」と呼ぶ者あり)これから本当の道を立てなければならん。お互いこれは政治家の義務である。これなくしては参議院の議員も何もあつたものじやないじやありませんか。今日引揚の問題は單なる国内問題ではない。重大なる国際問題である。この国際の問題に対する関係については、議長の佐藤君も苦労されたからお分りのことであろうと思います。大体終戰前から今日にかけて、日本の対外政策というものは、すべて事情がよく分らないために常に誤まつて来た。今次の戰争をやらしたのもそれだ。その結果をもたらしたのもそれだ。今日、中国に対し、ソ連に対して、どんな見解を皆さんは持つておられるか。(「早く帰して貰いたいのだ」と呼ぶ者あり)ここに正しい見解なしには日本の今後はやつて行けません。終戰前にやつた我々の失敗を又繰返すということは国民は堪え得ません。ソ連について、中国について、何が理解されておるか。專制政治である、或いは重労働である、警察国である、それで一体国が立つておると思いますか。如何なる世界の国と雖もやつて行けない。それが今日ソ連の国が隆々として世界の舞台に立つておる。これは何がためであるか。人民の本当の民主主義であればこそ、徹底しておればこそ、これができる。(「支離滅裂だ」と呼ぶ者あり)アチソン長官は最近の演説で、大きな演説で、二つの世界は共存し得ると述べたことは、アメリカ外交政策にとつて初めてのことである。あの演説は対外的の考慮よりも、むしろ国内的に、即ち戰争に反対し平和を擁護しようとする国民大衆の声に動かされたために行われた演説である。その中にこれだけのことを言つておる。これは一つの進歩である。イギリスはすでに中国を承認しておる。アメリカもそのうちに承認するでしよう。他国は承認しておるではないか。民主主義の力を認めてこそ、これはできる。総理大臣吉田君は今国会の施政方針演説の中に、中国は乱れておる、これはアジアの危險であると申しました。飛んでもないことを申しておる。どこに目が付いておるか。(「当り前だ」「その通りじやないか」と呼ぶ者あり)こういうていたらくでは日本の国民は難儀する一方である。(「もうやめろ」と呼ぶ者あり)私はその際において、こんな考え方、この政策は、過去のアングロサクソンの施政のやり方、考え方について、それに膠着してしまつて、時代の動きを少しも理解していない。これが日本の国民を世界政治の袋小路に叩き込むものである。現に叩き込んでおる。世界十億の民衆が起ち上つて人民が主人公となる国を作つたことは事実である。三十二年来の世界の動きを見て御覽なさい。それでありますから、今日こんな問題を、徳田要請だとか、特別引揚委員会だとか、こういうことで終始しておるようでは何にもなりません。世界平和擁護は人民民主主義の徹底、これが世界の大勢である。これに順応して我々の政策を決め、国内、国際政治を決めて行く、ここに我々は国内において、国際間において堂々と立ち上ることができる。(「どういうふうにして立つか」「やめろ」と呼ぶ者あり)今日このような草葉君の動議が成立するようでは、誠に私は参議院として情ないことだと思います。(「その通り」と呼ぶ者あり)これが採用されるとすれば誠に参議院の大失態である。(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)正義と道理、これは地に落ちるのか。本当にこの日本内のことがよく治まり、それから国際的に立つて行ける途を塞いでいるのだ。特別委員会のこの決定だとか、中間報告だとか、或いは今の動議だとか、これは皆さんどうか一つ葬つて欲しい。これだけの決議はこれだけで止まりません。この後が重大なる結果を我々国民の上にもたらすものであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)單なる思い付きで、この場の空気でこれを決めて頂きては誠に遺憾千万であります。どうぞ冷靜に正当の判断に従つてこの問題の処理をなさることを皆さんに切にお願いいたします、(拍手)
#89
○議長(佐藤尚武君) 淺岡信夫君。
   〔淺岡信夫君登壇、拍手〕
   〔「選挙運動」「読み違えるな」と呼ぶ者あり〕
#90
○淺岡信夫君 私は草葉君の動議に賛成するものであります。
 ソ連に抑留されている我が同胞の運命は、国民の最大の関心事の一つであるのみならず、今日では由々しき人道の問題として世界の話題とさえなつておるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)これが帰還を促進する問題は漸く急迫の度を高めておる。この際我々の最と憂慮することは、日本国内に合法政党として存在する日本共産党のこの問題に対する態度であり、言動であります。凡そ抑留同胞の問題に関心を注ぐ者にとつて、日本共産党の態度は初めから理解し難いものであります。たまたま最近に至つて帰還者の中から、日本共産党はソ連当局者に対して、思想訓練が実を結ばず共産主義に感染せざる捕虜は帰さぬように要望したとの事実が報告されるや、数百名の帰還者がこの報告を支持して裏書きせんとする声を挙げ、俄然重大なる問題となつたのであります。いわゆる徳田書記長の要請事件であつて、反動は帰すなという要請が徳田氏から発せられ、ソ連当局者はこれを根拠として抑留者の思想訓練を強化しつつあると推定せらるることは、残留者の運命に心を注ぎつつある者にとつて一大衝撃であります。参議院在外同胞特別委員会は、昨年四月、いわゆる吉村隊事件の証人の喚問の当時より今日までの審査経過は、今日の委員長の中間報告によつてはつきりいたしたのでありまするが、私はこの審議に参加いたしました者の一人として、(「陰謀の失敗歴史だ」と呼ぶ者あり)日本共産党が引揚問題に対して示して来た態度の本質を更に究明して置きたいと思うのであります。徳田要請事件は徳田氏一人の個人的行為としてでなく、次の諸点において判定すべきものであると思うのであります。一、日本共産党の性格より見て、彼らはソ連に抑留せらるる同胞捕虜のことを如何に考えておるか。二、日本共産党とソ連当局者との間に通信交流が行われているかどうか。三、従つて捕虜に関して日本共産党はソ連当局者に対して任意に意思を伝え得るか。即ち要請、依頼、具申、報告等を随時行い得るかどうか。四、ソ連当局の日本捕虜に対する処置方針の根本はいずれにあるか。五、日本共産党はソ連当局の処置方針に対して、その條件に同調するか、或いは独自の見解を持しておるか。こういう問題でありまして、その喚問の席上で要請の事実を肯定しても否定しても、それは決して問題の本質を左右するものではないのであります。(「そんならやらなければいいじやないか」と呼ぶ者あり)
 私らは委員会の審査の経過から、右の各項につきまして次のような判定をすることができた。即ち一、日本共産党は多数の同胞がソ連の捕虜となつたことを非常に喜んでいる。何となれば、これによつて(「阿呆だよ、そんなことを言うのは」と呼ぶ者あり)第一に多数の日本国民が共産主義思想の猛訓練を受ける機会を得たからであります。二、日本共産党とソ連当局との通信は、極めて敏速に正確に自由に行われている。それを証明する事実は(「何を言うか」と呼ぶ者あり)何十何百と数えられるか、例えば一昨年九州に起つた徳田氏襲撃事件は、翌日の午後四時頃早くも各地の捕虜收容所に報ぜられ、抗議の大会が強制的に(「恥を知れ」と呼ぶ者あり)各所で開かれた。又日本のアカハタの記事が、早いときは一週間後シベリアの日本新聞に転載せられている。三、従つて捕虜に関する日本共産党の希望や要求は、毎日でも、或いは午前午後二回ずつも、ソ連当局に通達することができる。一枚の葉書をどこの郵便局から出したというがごとき彼らの証言は、大海の中から汲み上げたコツプの水を語るの類であります。四、ソ連当局の日本捕虜に対する方針の大綱に、少くとも二つの重点を見出すことができる。第一は日本捕虜に共産主義思想を促成栽培的に注入することである。第二は労働力と技術力とを主として経済建設のために利用することである。この二つの方針が結合した処置であると推定せらるることは、捕虜の中でいわゆる反動と目せられた者は五年計画建設地帶の重心に集められる様子が窺われることであります。即ち思想訓練が効を奏しないと見られる者は労働力利用の対象として取扱われるのではないかと思われるのであります。五、日本共産党は、ただに捕虜のことだけではなく、共産主義の宗家の前には徹頭徹尾の盲従者である。それは本年一月に起つたいわゆるコミンフオルムの批判事件にも如実に現われているが、それよりも世界を一つとして階級的に組織し闘争することは共産主義理念の最大の眼目である。共産主義者は、同志にあらざる者は不倶戴天の敵として取扱つている。(「面白いな」と呼ぶ者あり、笑声)以上が在外同胞特別委員会の審査した成果の核心であるのであります。
 最後に、(「先ず水を一杯飲んで」「もつとはつきり」「よく聞け、分るぞ」「何を言うか」「曖昧模糊としているぞ」「はつきりしているよ」「本人もはつきりせん」「しつかりやれ」と呼ぶ者あり)最後に徳田氏個人について二三の所見を述べたいのであります。証言の経過は委員会会議録第十五号に登載せられた通りでありますが、私はこの日の徳田氏の態度言動を通して、実は日本共産党の弱体性をはつきりと見てとつたのであります。(「あれでかね」と呼ぶ者あり)第一は、徳田氏の委員会における暴慢と粗笨とを極めた言葉と動作は社会の顰蹙を買つておるのであります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり、笑声)これは国会議員の徳田氏がみずから国会を侮辱した姿であつたのであります。(「委員会が侮辱したのだ」と呼ぶ者あり)こうしてこれは徳田氏個人の性格上の弱点だけでなくして、実は日本共産党そのものの本質の露呈であります。徳田氏は先ず証人としての宣誓を拒んだ。これは常識ある者の所為ではない。(「その通り」と呼ぶ者あり)思うに徳田氏は常識なき者を仮裝して、(「それは委員長報告みたいだ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)鬼面人を脅かさんとしたものであろう。だから一通り見栄を切つた後では、醉漢が酒気を失つたときのように自然に落着いて従順に署名した。万事がそれであります。相当に細かい神経を用いつつ、粗暴なる言動によつて相手を恫喝しようとする、これは真実に力あり自信ある者から示される形ではないのであります。(「何を言うか」と呼ぶ者あり)第二に、徳田氏はみずから進んでタス通信の名を持ち出すこと十数度に及だ。「要請事件などすでにタス通信が否定している。タス通信の発表はソ連政府の意思であり見解である。これ程確かな反証はないであろう。今更自分は証言する必要もない。」これが徳田氏の言い方であります。第三に、徳田氏の言動の中には終始して一つも真実性が認められなかつた。問題が問題である。如何に言葉の闘争であるとはいえ、問題の本質に対する真実の心が滲み出ていなければならないのであります。
 今や抑留同胞の問題は、すでに單独にこの問題としてのみ処理し得ないことが明らかになつた。外には国際的繋がりを持つ問題であり、内には思想性を内含した高度の政治問題であります。院外に……(「時間だ、時間が来たぞ」と呼ぶ者あり)
#91
○議長(佐藤尚武君) 淺岡君、時間が来ましたから……(「議長、構わんからやらせて置け」と呼ぶ者あり)
#92
○淺岡信夫君(続) 院外においても、今や引揚促進の一大国民運動が展開されんとしている現状であります。これに鑑に、参議院としては、院議を以て本件の真相……(「議長は公平だから大丈夫だ」と呼ぶ者あり)究明につき緊急万般の努力を拂い、且つその処置について断乎たる方針を以て臨むよう強く政府に勧告するの要を切に痛感し、賛成するものであります。(拍手、「紙芝居だ」「もつとやりなさい」「何のために政府に頼む、頼む必要はないではないか」と呼ぶ者あり)
#93
○議長(佐藤尚武君) 中村正雄君。
   〔中村正雄君登壇、拍手〕
#94
○中村正雄君 私は日本社会党を代表いたしまして、只今草葉君の提案になつておりまする政府に対する勧告に対しまして反対の立場をとるものであります。
 日本社会党が反対の立場をとります理由の第一は、国会の国政調査権の関係から反対いたしたいと存じます。日本社会党は、現在抑留されておりまする在留邦人の一日も速から帰国されることにつきましては絶大なる努力と希望を持つているものでありますが、只今提案されましたこの政府に対する真相究明に対する勧告に対しましては、淺岡君からそれに対する賛成討論がありましたが、その討論の内容を聞いておりますると、委員長報告の詳細説明をやられたようなものでありまして、(笑声)何ら真相究明に対する勧告の賛成討論とは受け取れなかつたわけであります。我々が何故反対するかと申しまする第一点は、御承知のように引揚特別委員会におきまして、引揚促進に関する国政調査権に基く調査をやつているわけであります。従いまして、只今委員長の中間報告にありましたように、あの内容があれで終局的な結果でなければ、引揚委員会におきまして尚更真相究明のための調査をやるべきであろうと考えております。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)にも拘わらず、特別委員会まで設置いたしまして引揚促進に関する問題を処理いたしているその委員会が、その目的を達成せざりしために、その残余のことを政府に対しまして勧告という形式を以て、みずから委員会の権限を放擲するがごときことは、我々参議院といたしまして、とりたくない態度であると考えているわれであります。(拍手、「その通り」と呼ぶ者あり)これが反対いたします第一点であります。第二点といたしましては、これは巷間伝えられておりますように、現在の特別委員会の徳田要請その他に関しまする議題の調査というものが、党利党略或いは選挙運動のためという懸念を以て見受けられております。そういう関係から日本社会党はこの勧告に対しましては反対いたします。(「ノーノー」「まだやるんだ」「中間報告だ」と呼ぶ者あり、拍手)
#95
○議長(佐藤尚武君) 門屋盛一君。
   〔門屋盛一君登壇、拍手〕
   〔「余り有能振りを発揮しても詰らないよ」と呼ぶ者あり〕
#96
○門屋盛一君 私は民主党を代表して動議に賛成するものであります。(「これも選挙運動の一つか」と呼ぶ者あり)
 中野君の少数意見によりますと、在外同胞特別委員会の九人の少数意見のように聞えるのでありますが、特別委員会は二十名の定員でありまして、これらの審議を続けるには十三四名が出ておる。採決をする折は十一名、委員長は加わつておりません。中野委員が反対です。だから、もう絶対多数の意見でありから、(「その通り」と呼ぶ者あり)誤解のないようにお願いいたします。
 それから賛成理由の第一点といたしましては、今中村君から反対理由に挙げられました正反対、我々の方の特別委員会に任されました権能の範囲におきましては、これ以上の調査が困難になつております。(「その通り」と呼ぶ者あり)私は制限されました時間内において、どことどこが困難だということは申上げる時間がありませんが、(「明らかにしなければ駄目じやないか」と呼ぶ者あり)困難になつております。(「その通り」「間違いない」と呼ぶ者あり)例えばこれが進みますと、もう証人喚問の形式でなくして、或いは司直の手を煩わさなければならないような問題も起つて来ます。(「そうだ」と呼ぶ者あり)この問題は、我々特別委員会は立法府であり、司法権まで持つておりません。(「そうだ」と呼ぶ者あり)こういう重要問題が疑惑を持つたまま葬り去られるということは甚だ遺憾でありますから、草葉委員の動議の通り、これは政府に勧告して十分に真相を究明して、適当な措置をとるべきものであると考えます。(拍手)
 時間がちよつと余りましたが、得てしてこういうことに対しまして非常な賢明な頭を持つておる中野委員あたりから妙なことを言われるのでありますが、民主主義者になつて帰らなければ帰さぬというようなことを言つておりますが、そこらはちよつと共産党独自の考え方で、非常に間違つておる点もあるのですが、私はそれ以上のことは申上げません。私がこの動議に賛成するのは、これ以上この特別委員会でやることは無理である。(「その通り」「解散したらいいのじやないか」と呼ぶ者あり)どうしても政府に勧告して徹底的に究明する必要があると信ずるが故であります。(拍手)
   〔佐々木良作君発言の許可を求む〕
#97
○議長(佐藤尚武君) 佐々木君何ですか。
#98
○佐々木良作君 今討論をなされておるのですが、この動議の内容がよく分らぬのです。つまりこれを決めようとする場合、採決の対象になるものがよく分らぬのですが、(「勉強して来い」と呼ぶ者あり)これを議長において適当に諮られるため、議事進行についてちよつと発言を許されたいのです。(「賛成」、「無用」と呼ぶ者あり)
#99
○議長(佐藤尚武君) 佐々木君の発言を許します。(「無用々々」まだ喋らんうちから言うのではない」「分らないことについて決議させようというのが無理だよ」と呼ぶ者あり)
   〔佐々木良作君登壇、拍手〕
#100
○佐々木良作君 妙な恰好で議事進行の発言を得ましたわけなのですが、先程からの討論の内容で話を聞いておりますと、中村君の討論、それから門屋君の討論、おのおの賛成討論と反対討論の内容から聞きまして、やつと少し動議の内容が分りかけて来た。併しながら私はその前に、どうしても議長からもう少しはつきりと、この動議の内容、そうしてそれから出て来る措置その他を、提案者なり或いは委員長からはつきりと聞かれた上で、この議事進行をせられたいと思いますから、議事進行の発言を得まして、次の二三の点につきまして、提案者並びにその他の関係者に議長から明確に議決の対象が何であるかということを聞いて、議事進行をして貰いたいと思います。
 第一は、動議と言われますけれども、淺岡君の討論を聞いておりますと決議らしい。決議ですか。動議ですか。決議であるならば当然に決議文を作つてやらなければいかん。動議の場合には一応今見たいなことでいいことになつておるけれども、その場合に決議と動議と院内で決めるならばいいけれども、政府に対して勧告なり何なりという措置のときに、決議と動議とどういう相違があつて、そうして又その作文の暇があつたのか、或いはその暇がないからこういう形をとつたのか、その辺の事情が分らない。これが一点。それからその次には、少し内容に入りますが、委員長の報告を聞いておりますと、今中間報告だということでした。そうして一応の結論は付いておるから政府に云々ということをちよつと終いに言われたと思います。それを捉えて草葉君は、真相を究明し、且つ適当な措置を政府がとるようにということを勧告しろと言われた、これは中村君の討論によりますと、私の質問なり疑点が、中村君の場合には幾らか明らかになつておつて、反対討論になつておるらしい。併しながら初めてここに出て来た私には分らなかつた。中間報告で委員長の報告があつた場合に、而も草葉君も当然に動議提出者として、その辺は趣旨弁明にあつた通りだと思つておつたら、その内容の問題、つまり引揚げた方がいいか悪いかというような内容に触れたのか、その辺が分らなかつた。つまり委員会はこの問題に対してはつきり結論を出したのか出さなかつたのか。つまり結論が出て、結論が出たのだが、その先の措置…真相は分つたが、これを適当に始末するなり、或いは今後こういうことが起らぬように取締るなり、こういうことを政府にせいという動議であるのか。或いは又結論が未だ…門屋君の話によるというと、まだそこまで行つておらぬらしい。これから先委員会で尚調べようとすれば、実際は委員会ではできないから政府でやれというのか。それであるならば、前者の場合は委員会は当然にこの問題はもう今後は審議しないことになるわけで、後の場合には委員会はまだやるのかやらぬのか、私には分らぬ。それであるから、この中間報告ということ自身が私には分らない。つまり委員長報告は中間報告であつたのに対して、動議者は真相を究明しろという一点。二点は、この真相に基いて適当なる措置をとれということらしい。これは委員会でこれからまだやるのかやらぬのか。どこからどこを政府にやれという内容を持つのか。二番目に申上げましたことは、動議の二つの点に対する内容が私には分らない。委員会のする仕事と政府に勧告する仕事、これが分らない。この動議の性格の問題と動議の内容の問題と、この二つを議長の方で、提案者その他に十分聞いて頂きまして、我々素人にもよく分るようにして、一つ院の意意表示ができるようにお取計らいを願いたいと思います。(拍手)
#101
○議長(佐藤尚武君) 佐々木君の議事進行に関する発言を伺いますと、動議者の趣旨説明が一部の議員諸君によく徹底していないようでありまするから、重ねて草葉君より動議提出の趣旨説明を求めます。
   〔草葉隆圓君登壇、拍手〕
   〔「簡單明僚に」「分り易く話して呉れ」「質疑に対する答弁だぞ」と呼ぶ者あり〕
#102
○草葉隆圓君 在外同胞引揚問題に関する特別委員長の報告は中間報告であります。(「特別委員長というのはないんだよ」「それは架空の人物だよ」「嘘をついちや駄目だよ」「何度言つたら分るのか」と呼ぶ者あり)併しこの徳田要請の問題は、その委員会のずつとやつておる引揚問題の中の一つの問題として、この問題だけは一応これで結論を付けた。これを中間報告で御報告を申上げたのが、これがお手許にも差上げておりまする在外同胞引揚問題に関する特別委員会報告書であります。(「どこにある、どこに」「そんなものはないよ」「一部の方にばかりやるのか」「駄目だ」と呼ぶ者あり)
#103
○議長(佐藤尚武君) 靜粛に願います。
#104
○草葉隆圓君(続) 報告書は書棚に入つております。(「ないよ」と呼ぶ者あり)第二の問題は、これは動議か決議か、この問題につきましては、先の委員長の報告に、本件に関する真相究明につき、これが究明方を政府に勧告するの要を痛感するという報告でありまするので、その勧告するの要を痛感した委員会の勧告を本院で取り上げて政府に勧告をするという動議を提出いたした次第であります。(拍手)
 もう一点は、今後引揚問題についての問題を進めるかということでありまするが、これは先程申上げましたように、引揚問題についての調査は今後ずつと継続すべきであるが、徳田要請だけはこれで結論を付け得ると、こういう点であります。(「了解々々」と呼ぶ者あり、拍手)
#105
○議長(佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。(「議長終つたのか」と呼ぶ者あり)これより本動議の採決をいたします。本動議の表決は記名投票を以て行います。表決の問題を宣告いたします。草葉君の動議は、在外同胞引揚問題に関する特別委員長の報告に基き、政府に対し、いわゆる徳田要請事件に関する真相を究明し、適当なる処置をとるべきことを勧告することの動議であります。(「それは駄目だ」と呼ぶ者あり)これより本動議の採決をいたします。本動議の表決は記名投票を以て行います。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上御投票を願います。氏名点呼を行います。議場の閉鎖を命じます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#106
○議長(佐藤尚武君) 投票漏れはございませんか……投票漏れないと認めます。これより開票いたします。投票を計算いたさせます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#107
○議長(佐藤尚武君) 投票の結果を報告いたします。投票総数百十五票、白色票即ち本動議を可とするもの八十九票、(拍手)青色票即ち本動議を否とするもの二十六票、(拍手)よつて草葉隆圓君提出のいわゆる徳田要請事件に対して政府に勧告することの動議は可決せられました。(拍手)
 議長は、只今可決せられました動議に基き、政府に対し勧告方取計らいます。
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名      八十九名
      阿竹齋次郎君    飯田精太郎君
      梅原 眞隆君    岡部  常君
      岡本 愛祐君    河井 彌八君
      來馬 琢道君    宿谷 榮一君
      高橋龍太郎君    伊達源一郎君
      田村 文吉君    玉置吉之丞君
      寺尾  博君    徳川 宗敬君
      藤野 繁雄君    穗積眞六郎君
      堀越 儀郎君    町村 敬貴君
      結城 安次君    伊藤 保平君
      宇都宮 登君    岡元 義人君
      小杉 イ子君    中山 壽彦君
      鈴木 直人君    竹下 豐次君
      高瀬荘太郎君    川村 松助君
      小林 英三君    野田 俊作君
      早川 愼一君    水久保甚作君
      徳川 頼貞君    三島 通陽君
      岡田喜久治君    小野 光洋君
      團  伊能君    島津 忠彦君
      池田宇右衞門君    横尾  龍君
      中川 以良君    寺尾  豊君
      大野木秀次郎君    西川 昌夫君
      城  義臣君    淺岡 信夫君
      小林米三郎君    堀末  治君
      岡崎 真一君    西川甚五郎君
      大島 定吉君    鈴木 安孝君
      黒田 英雄君    平沼彌太郎君
      草葉 隆圓君    石坂 豊一君
      小杉 繁安君    柴田 政次君
      石原幹市郎君    今泉 政喜君
      黒川 武雄君    藤井 新一君
      深水 六郎君    北村 一男君
      中川 幸平君    左藤 義詮君
      小林 勝馬君    平野善治郎君
      中井 光次君    重宗 雄三君
      廣瀬與兵衞君    小串 清一君
      山田 佐一君    大隈 憲二君
      林屋亀次郎君    門屋 盛一君
      大隈 信幸君    油井賢太郎君
      深川榮左エ門君    木内キヤウ君
      深川タマヱ君    仲子  隆君
      高橋  啓君    櫻内 辰郎君
      安達 良助君    木内 四郎君
      谷口弥三郎君    境野 清雄君
      淺井 一郎君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名      二十六名
      岡田 宗司君    吉川末次郎君
      羽生 三七君    内村 清次君
      栗山 良夫君    河野 正夫君
      和田 博雄君    山下 義信君
      板野 勝次君    細川 嘉六君
      中野 重治君    岩間 正男君
      兼岩 傳一君    鈴木 清一君
      水橋 藤作君    千葉  信君
      木村禧八郎君    堀  眞琴君
      姫井 伊介君    森下 政一君
      中村 正雄君    梅津 錦一君
      三木 治朗君    木下 源吾君
      門田 定藏君    河崎 ナツ君
     ―――――・―――――
#108
○議長(佐藤尚武君) この際、日程第十六より第二十五までの請願及び日程第二十六より第三十一までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#109
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事伊藤保平君。
    ―――――――――――――
   〔伊藤保平君登壇、拍手〕
#110
○伊藤保平君 只今議題となりました請願及び陳情について、大蔵委員会における審査の経過並びに結果を御報告いたします。
 先ずそれぞれの内容を御説明申上げます。請願第五百七十三号、同じく第八百五十号の二件は、いずれも雪害の多い東北、北陸地方の実情に応じて税額を査定するように課税方法を改善されたいという趣旨であります。
 次に共済組合に関するもの二件について申上げます。即ち請願第三百三十四号、同じく第八百二十七号の二件は、旧海軍共済組合からの年金受給者に対する支給基準の引上げ、請願第五百九号、同じく第七百十一号の二件は、日本製鉄八幡共済組合は官業共済組合と同様に取扱われて来たのでありますが、昨年国家公務員共済組合法の適用を除外されたので、適当な措置をとること、請願第四百八号は、国家公務員共済組合法中、国庫負担金の増大、官吏、雇用員の区別の撤廃等を改正されたいということを願意として、それぞれ要請をいたしておるのであります。
 次に陳情第二百五号は、政府支拂を促進させるため概算拂の範囲を拡張する等の適当な措置をとられたいという陳情であります。
 次に見返資金に関するものについての四件を一括して御報告いたします。即ち請願第五十七号は大阪市高速鉄道建設工事、請願第三百三十一号は中小企業の設備資金、請願第七百二十九号は沿岸漁業の設備資金、陳情第百二十八号は観光事業に対して、それぞれ見返資金を融資されたいという趣旨であります。
 次に請願第七百七十八号は、閉鎖に決定して目下清算中である帝織航空機株式会社は処分をすることのできない登録公債を所有させられているため清算を終了することができないので、登録公債を速かに償還するか、処分禁止の制限を解除するか、適当な方法をとられたいという請願であります。
 次に株式讓渡の名義書換期間に関するもの三件でありますが、それらはいずれも長期資金の調達を容易にする等の理由によつて、名義書換の期間を自由にするか、或いはその期間を決算期ごとに改正されたいという趣旨であります。
 次は中小企業金融の逼迫を解決する措置を要請してるものについて申上げますると、請願第三百二十二号は、信用協同組合の設立認可の促進、請願第五百三十九号は中小企業金庫の設立、請願第八百八十九号は綿業復元業者に対する復金融資返済條件の緩和、陳情第二百二十二号は中小企業に対して預金部資金の活用につきまして、それぞれ要請しておるのであります。
 次に請願第千百八十二号は生活協同組合の使命を達成するために住宅事業資金を融資されたいという請願であります。陳情第百八十四号は、年度末の金融危機を緩和するために、見返資金の活用、預金部資金の産業資金化、徴税の緩和等の措置をとられたいという趣旨であります。
 以上二十二件については愼重に審議いたしました結果、中小企業金庫設置に関する請願については、金庫そのものの設置が急速に行われ難たいとするも、中小企業の育成のためには、政府においても特に十分研究の上、適切の措置を講ずる必要があると認め、その他については願意の趣旨は大体において妥当であると認め、採択の上、これを会議に付し、内閣へ送付すべきものと決定いたした次第であります。
 以上御報告申上げます。
#111
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔総員起立〕
#112
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。
 本日の議事日程は、これにて終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十八分散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した事件
 一、カナダ代表部ノーマン公使に対し日本国会議員団に寄せられたカナダの厚意に対する感謝決議文の伝達方依頼に関する報告
 一、日程第一 常任委員長辞任の件
 一、常任委員長の選挙
 一、日程第二 国家公安委員会委員の任命に関する件
 一、日程第三 地方自治委員の任命に関する件
 一、日程第四 外国為替管理委員会委員の任命に関する件
 一、産業危機に関する緊急質問
 一、吉田自由党内閣の近時の行政態度と参議院の政治職能に関する緊急質問
 一、日程第五 造幣庁特別会計法案
 一、日程第六 日本勧業銀行法等を廃止する法律案
 一、日程第七 銀行等の債券発行等に関する法律案
 一、日程第八 退職職員に支給する退職手当支給の財源に充てるための特別会計等からする一般会計への繰入及び納付に関する法律案
 一、日程第九 薪炭需給調節特別会計法の廃止等に関する法律案
 一、日程第十 夏時刻法の一部を改正する法律案
 一、日程第十一 労働組合法の一部を改正する法律案
 一、日程第十二 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案
 一、米国対日援助見返資金特別会計法の一部を改正する法律案
 一、米国対日援助見返資金の特定教育事業に対する使用に関する決議案
 一、在外同胞引揚問題に関する中間報告
 一、「所謂徳田要請事件」に関して政府に勧告することの動議
 一、日程第十三乃至第二十五の請願
 一、日程第二十六乃至第三十一の陳情
ソース: 国立国会図書館
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