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1979/04/22 第91回国会 参議院 参議院会議録情報 第091回国会 内閣委員会 第9号
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1979/04/22 第91回国会 参議院

参議院会議録情報 第091回国会 内閣委員会 第9号

#1
第091回国会 内閣委員会 第9号
昭和五十五年四月二十二日(火曜日)
   午前十一時八分開会
    ―――――――――――――
  委員の異動
 四月十七日
    辞任         補欠選任
     向井 長年君     井上  計君
 四月二十二日
    辞任         補欠選任
     井上  計君     柄谷 道一君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         古賀雷四郎君
    理 事
                岡田  広君
                林  寛子君
                林  ゆう君
                村田 秀三君
    委 員
                原 文兵衛君
                桧垣徳太郎君
                堀江 正夫君
                穐山  篤君
                山崎  昇君
                和泉 照雄君
                市川 正一君
                井上  計君
                森田 重郎君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)       小渕 恵三君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  細田 吉藏君
   政府委員
       内閣官房内閣審
       議室長兼内閣総
       理大臣官房審議
       室長       清水  汪君
       内閣法制局第一
       部長       味村  治君
       人事院総裁    藤井 貞夫君
       人事院事務総局
       給与局長     長橋  進君
       人事院事務総局
       職員局長     金井 八郎君
       内閣総理大臣官
       房管理室長    関  通彰君
       内閣総理大臣官
       房総務審議官   和田 善一君
       総理府人事局長  亀谷れい次君
       総理府恩給局長  小熊 鐵雄君
       防衛庁参事官   岡崎 久彦君
       防衛庁参事官   佐々 淳行君
       防衛庁長官官房
       長        塩田  章君
       防衛庁長官官房
       防衛審議官    友藤 一隆君
       防衛庁防衛局長  原   徹君
       防衛庁経理局長  渡邊 伊助君
       防衛施設庁総務
       部長       菊池  久君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鈴木 源三君
   説明員
       行政管理庁行政
       監察局行政相談
       課長       真田 弘二君
       厚生省援護局援
       護課長      楠本 欣史君
       厚生省援護局業
       務第一課長    森山喜久雄君
   参考人
       日本赤十字社社
       会部長      片岡 経一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○国の防衛に関する調査
 (国の防衛問題に関する件)
○恩給法等の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(古賀雷四郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十七日、向井長年君が委員を辞任され、その補欠として井上計君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(古賀雷四郎君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 恩給法等の一部を改正する法律案の審査のために、本日、日本赤十字社社会部長片岡経一君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(古賀雷四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(古賀雷四郎君) 国の防衛に関する調査を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言をお願いします。
#6
○井上計君 長官並びに防衛局長にお伺いいたしますけれども、現行の自衛隊法では、有事の際十分に対応できないであろうという感じを私は持っております。
 それらについてお伺いしたいと思いますけれども、自衛隊法が昭和二十九年制定されました。以来、編成等については若干の改正が行われておりますけれども、行動の部分についての改正はほとんど行われていないというふうに思います。したがって、制定当時、二十九年ごろと現在との国際情勢の大変な変化の中で、現行の自衛隊法のままで、要するに有事即応体制が十分とお考えかどうか、まず最初にお伺いいたします。
#7
○政府委員(原徹君) 自衛隊法、二十九年にできたわけでございます。中身につきましては、防衛出動の規定あるいは待機命令とか、政府関係機関との協力とか、いろいろな規定がございます。で、私どもは、一応その骨格はできていると、そういうふうに思っておりますが、自衛隊ができましてから、やはり防衛力の整備ということに非常に重点が確かにこの二十年ぐらい置かれてきたと。したがって、その運用ということについての研究というのがいろいろの面で必ずしも十分でないところがあったということがございまして、いろんな運用面に関する研究をいまやっておるわけでございます。この自衛隊法につきましても、そういう見地で、現実の運用と絡めてどういうことになるのかということについては、やはり研究しなければならないものでございますので、骨格はでき上がっていると思いますけれども、なお不備な点がないかどうか、そういう点も含めて研究を行っているというのが現在の段階でございます。
#8
○井上計君 運用面で十分でないというふうな面等についていろいろと検討をされておるようでありますが、実はことしの二月の衆議院の予算委員会で、わが党の小沢貞孝委員が、領空侵犯の場合、一機、二機でなくて、百機、二百機というふうな多数の侵犯があった場合の点についていろいろと長官にもお伺いしているようであります。その中で長官が、最終的な結論までまだ到達しておらないけれども、鋭意検討いたしておると、こういうふうな御答弁があったように議事録で承知をいたしておりますが、その後これらの御検討等につきましてどういうふうな進展状況にありますか、お伺いをいたします。
#9
○政府委員(佐々淳行君) お答え申し上げます。
 ただいまの八十四条の領空侵犯措置についての検討状況でございますが、御指摘のように、予算委員会におきまする答弁で、領空侵犯措置は、複数機が領空侵犯をしてきた場合、それが領空侵犯なのか武力攻撃の始まりなのか、まだわからない段階においては八十四条が機能をするであろうと、領空侵犯措置として対処することができるであろうと、このように御答弁申し上げた次第でございますが、百機、二百機という規模の攻撃については、やはりこれは条理上、七十六条防衛出動の対象となる事態であろうかと、武力攻撃と見るべきであろうかというふうに判断をいたしておりまして、これに対しては、七十六条の防衛出動下令を待って八十八条の武力の行使をもって対処すべきであろうと、かように考えております。
 なお、百機、二百機と複数機との間にいろいろな条件の違いがあろうと思いますけれども、どこまでそれがやれるか、これについてはまだ現在検討中でございまして、結論を得ておりません。
#10
○井上計君 百機、二百機というふうな場合、これはどう考えても八十四条ではなくて、これは当然武力攻撃というふうな――これもわかるんです。ところが、一機でも八十四条であるかどうか、大変微妙な点があると思うんですね。そういうことについて、八十四条では十分的確に対応できないんではないかと、このように私ども実は考えておるわけです。
 この問題さておきまして、そこで八十四条に関連をして大変細かいような質問になりますが、これまた考えておくべきだと思いますが、この場合に、幾ら警告しても領空侵犯機がどうしても退去しない場合あるいは着陸しない場合にはどういう処置をとるのかということですが、これちょっとお伺いいたします。
#11
○政府委員(佐々淳行君) ただいまの御指摘にございましたような事態につきましては、国際慣例は必ずしも統一されておりません。その国の力関係あるいは政策によりまして、たとえば伝えられております昔のアメリカのU2型機のソ連上空偵察行動に対するソ連の措置は撃墜ということだったわけでございますし、また、大韓航空の領空侵犯に際してソ連がとった措置も、これもやはり警告を繰り返した上領空侵犯機を目標として射撃をし、そのために不時着をしたと、このような事態があったようでございます。
 どこの国もそれではそういう措置をとっておるかと申しますと、必ずしもそうではなくて、中国の場合なんかは外交的措置で、朝鮮戦争あるいはその当時領空侵犯、領海侵犯をしたアメリカ軍用機または艦艇に対して外交上の抗議を繰り返しておったというような事情もあるようでございまして、必ずしも国際法上、直ちに武器の使用をしてこれを撃墜するということで固まっておるわけではないようでございます。
 防衛庁の措置といたしましては、領空侵犯機に対しては警告を繰り返して退去をさせ、もしくは着陸をさせる努力を続けるという段階でございまして、相手方が武器を使用せずに指示に従わないという場合は微妙な問題でございます。政策判断も入ろうかと存じますけれども、この点なお十分研究してまいりたいと考えております。
#12
○井上計君 いまのお答え、現状では私はやむを得ないと、そういうふうなお答えになること、また解釈やむを得ないと思いますが、しかし今後こういうふうなことがないという保証ないわけですね。幾ら警告しても退去しない、幾ら警告しても着陸しない、その場合、いまお話しのように各国によって若干の相違があるようでありますけれども、これはただ単にいわば偵察程度でとどまればいいですけれども、しかし偵察だと思っておったらば実は最終的にそうではなかったと、そうではないであろうというふうなこともあり得るわけですから、その場合のこと等についても明確にしておくべきだと思います。
 そこで、法制局お越しいただいておりますのでお伺いいたしますが、法制局としてはいまのこの問題等についてはどのように解釈をされますか。
#13
○政府委員(味村治君) 自衛隊法八十四条に基づきます領空侵犯に対します対処措置、これは領空侵犯機を「着陸させ、又はわが国の領域の上空から退去させるため必要な措置を講じさせることができる。」ということが犬十四条に書いてあるわけでございます。
 そこで、御質問は、このような領空侵犯機に対しまして通常でございますれば警告をして、領空から退去せよということを警告するとかいうことをするわけですが、それに対して何ら従おうとしないという場合にどういう措置をとることができるのかと、こういう御質問でございます。
 仮に、領空侵犯機がこちらの方の自衛隊機に対しまして実力をもって抵抗してくるというようなことがございました場合には、これはこの自衛隊法の八十四条の「必要な措置」の一環として武器を使用することができるというふうに従来から御答弁を申し上げているわけでございますが、そのようなことはないと、単に警告に従わないというだけでは、やはり相変らず警告を続けるとか、そういう場合にいかにして効果的な措置を講ずるかということは、これは防衛庁の方で御検討になっているというふうに聞いております。
#14
○井上計君 防衛庁の方で検討されておるということですけれども、法制局としても、これらの問題等についてやはりさらに詰めた検討をされる必要があるんじゃないでしょうか。領空侵犯、現在のところはいわば始終あるようですけれども、しかし、それほど陸地内深くということは余りないようですが、仮に東京上空にどこかの国籍不明機が侵入をしてきたと、東京上空で旋回をしておると、幾ら退去命令を出しても出ない、着陸の勧告をしても応じない。その場合に、そのままいまのような御答弁から言うと、できるだけ退去を要請するという程度で、それで国民感情としてあるいは国の防衛として済むのかどうか。私はそれらの万が一あるであろう、あるいはなくてもそういうこと等については考えていくべきではなかろうかというふうに思います。これもまだ十分検討されていないわけですし、また明確ないろいろと解釈が出ておりませんから、これ以上お尋ねしませんけれども、私は有事即応体制としては、八十四条はもっともっとこの際見直しをしていかなくてはいけないであろうというふうに思います。
 それから、この八十四条にやはり関連をしますけれども、いまの場合に、着陸をしたと、ところが着陸をした航空機から突如搭乗員が発砲するということもあり得るわけです、着陸をして。その場合の実は対応策何もないわけですね。こちらの警告に基づいて着陸をした。ところが着陸した飛行機から、着陸してさあ安心だと思っているところに突然発砲してくるということもあり得るわけですね。これは着陸をしての発砲でありますから武力侵攻ではないわけです、何かの事情で搭乗員が発砲することはあり得るわけですから。その場合の対応策を八十四条ではとれないということになろうと思いますから、これらについて至急やはり対応策を検討していただく必要があるのではなかろかうというふうに思います。
 そこで八十四条の問題、これはかなりもっと時間をかけていろいろと論議をしたいと思います。きょうは時間がありませんから一応若干の問題提起ということにしておきますけれども、さらに御検討を続けていただきたいというふうに思いますが、ひとつ長官お考えを。
#15
○国務大臣(細田吉藏君) ただいま御指摘の点は大変大切な問題でございますので、もう起こり得るであろうと思われるようないろいろな事態を想定をいたしまして、それぞれの場合にいかがすべきかということについてなるべく早く検討し、必要があれば法制局とも相談をしなければならぬ点はあるかと思いますが、さようにいたしたいと考えております。
#16
○井上計君 ちょっと角度をかえてお尋ねするんですが、仮に午前一時でもいいですが、二時でもいいですが、夜中に北海道のある地点、仮に根室半島といたしましょうか、そこに奇襲上陸が行われた場合、その場合に防衛庁長官への伝達、報告はどういうふうな方法手段でなされるのか、どの程度の時間を要するのか。その場合、長官は東京におられなくてたまたま御用事があって選挙区にお帰りになっておったと、このように仮定をした場合、どの程度の所要時間で、どういうふうな通信経路で報告をされるんですか、お伺いいたします。
#17
○政府委員(原徹君) そのような場合、ミグのときの前例等もあるわけでございますが、レーダーサイト、航空自衛隊の場合でございますと、非常に早く十分程度でとにかく内局までは来ます。
   〔委員長退席、理事林道君着席〕
それから陸上自衛隊の場合でございますと、これは要するに事態が起こったことについて確認をするということに、部隊に直接来るわけではございませんから、そういうのにどのくらい時間かかるかという問題はございますが、確認ができますれば恐らく三十分程度で内局までは来ると思います。それから先いまの――でございますから、長官が防衛庁におればそういうことでございますが、長官不在の場合どういうことになるのかと、こういうことで、ミグの事件以後、たとえば長官車に電話機をいまつけておりますが、そういうことをいたしておりますし、それから長官がたとえば選挙区へ、自宅へお帰りになるというような場合には、その都度いまの電話を、特別の電話を敷設することもやっておるわけでございますから、内局に上がって長官が固定の場所におればそれは電話かければそれでよし。問題は結局、たとえば新幹線に乗っているというような場合にどうなるかということでございますが、それは新幹線でございますれば新幹線に電話かければよろしいわけでございますが、そうじゃないところで移動中という場合が結局一番むずかしい問題になるのではないかと思います。
   〔理事林道君退席、委員長着席〕
それにつきましては、来年から私どもは例の中央指揮所というのを考えておるわけでございますが、結局そういうような場合には、平時いきなりという必要があるかどうかは別にいたしまして、たとえば緊張時にあるというような場合には、やはり長官の行き先行き先を部隊でテークケアしなきやしようがない。移動の無線装置を持った、何といいますか、ジープみたいなものをたとえば長官車につけるとか、そういうようなことをやれば、長官がいまの役所にいる場合とほぼ時間かからずに連絡がとれるのではないか、そういうふうな考え方でただいま研究を続けておるというふうに御理解いただきたいと思います。
#18
○井上計君 そうすると、いまの研究の中で、私がいまお伺いしたかったのは、長官が地方へ行っておられる場合、その場合のホットラインの設備が十分でなかろうという懸念からお伺いしたわけですが、そうすると、今度の中央指揮所等の計画からして、そのようなことにも十分対応できるようなそういう移動車等を考えておられると、こういうことですか。
#19
○政府委員(原徹君) 防衛マイクロ回線はいまつくっておるわけでございますが、その防衛マイクロ回線のカバーしている分野におきましては、その防衛マイクロ回線の中継地点と連絡をとるというような形のものはいままだスタートを始めたばかりで全部いっておりませんですけれども、そういうことは一つ可能であります。しかし、そうじゃないところということになれば、結局これは、たとえばアメリカの大統領あるいはブラウン長官が日本に参りますと、やはり特別の通信器材を持ってきまして、鹿児島に行きましてもそういうホットラインができるような、部隊というと大げさですが、係がちゃん参りましてついて回ることをしております。でございますから、結局は私は、そういう設備を持った車を大臣車につけるというようなことが最終的な方法だろうと、そういうふうに考えております。で、中央指揮所ができるとすれば、それとの連絡ということでそういう手段も考えたい、そういうふうに思っておるわけでございます。
#20
○井上計君 参考に伺うのですが、前回、何年前になりますか、例の函館にミグが不時着した場合、あのときには内局まで、さらに長官までの報告の所要時間は幾らかかったのですか。およそで結構です。
#21
○政府委員(原徹君) 領空侵犯をいたしましたのがわかりましたのは十三時二十五分ごろでございますが、函館に着陸をいたしましたのは十三時五十分ごろでございますが、函館の空港から北部方面総監の方に連絡があり、内局がこれを知ったのが十四時ごろでございます。余り時間それはかかっておらぬ。ところが、長官が新幹線に乗っておりましたので、それに連絡がつきましたのが十四時五十分ごろであったということでございます。
#22
○井上計君 ミグのときには十三時五十分に着陸して長官に連絡ついたのが十四時五十分、要するに一時間かかっておるわけでありますから、まあ現在はもちろんさっきのお話で短縮はされておるかと思う。しかし、新幹線等の車中におられるときには、やはり現在でもこの程度の時間はかかるであろう。そうすると、この一時間の問、先ほど申し上げたように、着陸した飛行機からもしいきなり発砲してきた場合、大変この一時間という時間がどのような事態を巻き起こすかということを考えますと、これはもう大変なことだというふうに思います。いろいろと御検討されておるようでありますが、カーター大統領やあるいはブラウン長官が海外に出る場合のあのような体制、組織ということはなかなかそう日本では簡単にまいらぬかと思いますけれども、少なくとも絶対にそういうようなことはあり得ないという従来の前提に基づいての考え方でなくして、あり得るんだというふうなことから、そういう面の整備、体制づくりもひとつ考えておく必要がある、このようにこれは大いに希望いたしておきます。
 時間がありませんので、もう一つこれは法制局もお越しいただいておりますのでお伺いしたいんですが、八十三条の二、災害出動ですが、災害出動の場合に出動する部隊は、武器の携行はできるんですか、どうなんですか。八十三条の二で災害派遣の場合、武器の携行は全く明記をしてありませんけれども、この場合部隊の出動、派遣のときに武器の携行はどのようになるんですか、お伺いします。
#23
○政府委員(原徹君) 普通は武器を携行――災害でございますから武器は携行いたしませんけれども、特別に必要がある場合には、私どもは武器を携行することができるものと考えておるわけでございます。
#24
○井上計君 法制局、それでよろしいんですか。
#25
○政府委員(味村治君) 災害派遣の場合及び大規模地震の場合には、自衛隊法の九十四条に災害派遣の場合につきましての権限が規定してあるわけでございます。
 これによりますと、警察官職務執行法の規定が準用になっております。そしてこの職務執行法の規定によりますと、たとえば避難等の措置でございますとか、あるいは海上自衛隊につきましては海上保安庁法の十六条で、一般の人に対する協力要請とか、そういうものが準用になっているわけでございます。ほかは、災害の、何といいますか、復旧とかあるいは救助、そういったものに必要なことをするということは、もうこれは言ってみれば当然のことでございますが、そういったいろいろな職務を行うにつきまして、必要がある場合に武器を使用するということができるかと申しますと、警察官職務執行法の準用におきましては特段の規定はございません。警察官職務執行法の七条で武器の使用についての規定がございますが、これは災害派遣あるいは大規模地震におきます派遣につきましては準用がございませんから、特にこういった目的のために武器を使用するということは認められていないわけでございます。
 しかしながら、自衛隊は自衛隊として参加するわけでございますから、いろいろな、何と申しますか、災害派遣に必要な装備、車両あるいは爆薬、液体燃料といったようなものも持っていく場合もあるかと思います。そういったものを護護するために必要があるという場合には、これは自衛隊法の九十五条によりまして、場合によりましては武器の使用の必要性が生ずるどいうことも考えられますので、そういう場合に備えまして武器を持ってまいるということもあり得る――法律論としてあり得ることであろうかと思います。
#26
○井上計君 時間があれば、この問題についてもっと私は八十三条と、いま部長おっしゃった九十四条とさらに九十五条と、みんな関連をしてくるんですね。これらをもっとお伺いをしたいが、もう時間がありませんからまた次の機会に譲りますけれども、いま部長の御答弁からいっても、ちょっと私自身、私も実は十分理解できないような、何かわかったようなわからぬような、こういうふうな感じがするわけなんですよ。
 で、仮に、これではもう全く災害派遣、災害出動というのはあくまでも災害に遭った人たちの人命救助であるとか、あるいは家屋の倒壊だとか、そういうふうな復旧作業というふうなものに限定されたような、そういうふうな文面に受け取れるわけです。ところが、実際にはそういうふうな災害のときに暴徒によっての何かが起きるかもしれませんし、あるいはまた集団の、何といいますか、強奪その他のやはり治安維持ということに必要なことも当然起き得るわけですね、非常災害のときには。それらについて、これでいくと自衛隊は全く無抵抗、無防備であると、部隊の出動が。そういうことになろうかと思いますので、これらもやはり外敵の侵入ということでなくして、中にありますそういう問題等についても、現在の自衛隊法は私は不備だらけではなかろうか、こんなふうにも感じておりますので、十分ひとつ御検討をされてしかるべきだと、また至急に検討をすべきであろうというふうに思います。これについて、長官、もしお考えがありますればお聞かせをいただければと思います。
#27
○国務大臣(細田吉藏君) 御質問の御趣旨はよく私ども了解できるわけでございまして、その辺が必ずしも明確でない。先ほど防衛局長からは御答弁を申し上げましたけれども、そういうものの法的な関係については、さらに十分検討する必要があろうかと思っております。そういう点で、御趣旨に沿うように、先ほども申し上げましたが、それと同じように、いろんな場合を考えまして検討したいと、かように存じております。
#28
○井上計君 時間がもうなくなったんですが、最後に一つ防衛局長、お伺いしたいんです。
 この前、分科会で抗たん性の問題についてお伺いをした。時間がありませんので、さらっとお伺いして、さらっとお答えいただいただけなんですが、きょうもまた時間がなくなったので、一言だけお尋ねしたい。五十五年度防衛予算の中に抗たん性に関連するものの予算措置というのはどれぐらいになっていますか。
#29
○政府委員(原徹君) 五十五年度予算では、中期業務見積もりに従いまして、私ども航空機用掩体、いままで固定型というのは一つもございませんでしたが、それを二基づくることにいたしております。これはキャッシュの予算はわずかに千四百万円でございますが、後年度負担額が六億六千八百万でございますから、一つつくるのに約三億円かかるわけでございます。これが二つ。それから、移動警戒隊というのを新編することにいたしておりますが、これが約十億。それから、防衛マイクロ回線は引き続きこれも抗たん化ということで伊丹、福岡あるいは旭川、帯広等のものでございますが、これがキャッシュが約三十一億。それから、後年度負担が二十三億ございます。それから、あとは細かいもので、災害復旧用のマットとか、そういうものが予算に計上されているわけでございます。
#30
○井上計君 ちょっと伺っても、総計でざっと計算しても七十億ぐらいしかならぬわけですね。まことに微々たるものだという感じもいたします。
 もう時間なくなりましたから、あとは要望だけしておきますけれども、特に中期業務見積もりの中でも、恐らく抗たん性の予算は余り多く見られていないんではなかろうかというふうなことも感じます。もちろん、いろんな論議もありますし、またこれをいまどうとか、多いとか少ないとかということを私言うのを差し控えますけれども、やはり抗たん性の早急な確保といいますか、確立といいますか、体制づくりといいますか、これまたゆるがせにできない問題であろうと思いますので、それらについても十分今後の中業の見積もりの中でもひとつ配慮されるように、これは格段に要望しておきます。お答えもしあればお伺いいたします。
#31
○国務大臣(細田吉藏君) 抗たん性の問題につきましては、五十六年度以降の予算につきまして特段に私たち考えていく必要があると、かように存じておる次第でございます。御趣旨を十分体して善処したいと思っております。
#32
○井上計君 終わります。
#33
○森田重郎君 ただいま同僚委員の井上先生からもちょっと中業見積もりについての御発言がございましたが、どうも私、よく中業見積もりというのがはっきりわからない点がいろいろございますけれども、この二十一日の朝日新聞を拝見いたしますと、防衛関係費の推計というようなことで、当初計画とそれから今回の修正計画、この計画が出ておるようでございますけれども、この対GNP比一%と今回の修正計画とにつきまして、言うなれば手直しということでございましょうけれども、この辺の関係を一度御説明をちょうだいしたいと、こう思います。
#34
○政府委員(原徹君) 中期業務見積もりは、五十一年度に防衛計画の大綱ができましたときに、これからは単年度ごとに予算を計上するやり方に一応切りかえたわけでございますが、現実問題として、それでは防衛庁の中のコンセンサスが必ずしも十分得られないということから、主要な事業について五十五年から五十九年度までの間においてどういうことをしようかということのコンセンサスづくりのためにつくったものでございます。
 そこで、正面装備を私どもは積み上げ計算をいたしますと、二兆七千ないし二兆八千億になるわけでございます。で、その他の経費――人件費とかあるいは基地対策の経費とかいろいろございますけれども、それは見積もりをいたしておらないわけでございますが、二兆七千ないし二兆八千億円を実現するためには、GNPが相当伸びると仮定をいたしましても現在の〇・九%ではできないのではないかと。だんだんと一%に近づいていくであろうと、そういう感覚を持っているということを申し上げているわけでございます。
 ところで現在、いろいろの国際情勢非常に厳しくなっているということから見ますれば、私どもといたしましてはできるだけ早期に防衛計画の大綱の水準までは早くいたしたいと、そういう気持ちであるわけでございますが、中期業務見積もりはそういう性格のものでございますので、防衛庁が予算を要求――業務計画をつくって、それに基づいて肉づけをしてお金を計上して概算要求をするわけでございますが、その業務計画をつくり、概算要求をするための参考資料という性格のものでございますので、概算要求いたしましてもこれ全部つくわけでもございませんから、これは毎年必ず見直しするということになっておるわけでございます。で、先ほど申し上げましたような国際情勢の変化等も考えて私どもいま見直し作業をやっていると、その見直しの結果を来年度の概算要求に反映させたいと、そういうことでただいま見直し作業をやっておるというのが現状でございます。
#35
○森田重郎君 ただいまの御説明ですと、国際情勢の変化に対応するというような中での見直しというふうに伺ったわけでございますが、国際情勢の変化といいますと、具体的にはどんなお考えなのでしょうか。
#36
○政府委員(原徹君) アフガニスタンの事件に象徴されますように、ソ連が過去十五年ないし二十年の間、非常に防衛力の増強を図ってきたということがまずありまして、そして、それはいわゆるデタントと言われた七〇年代の前半、そういうときにおいてもずっと行われておったわけでございます。それが七五年、例のアンゴラの事件がございましたが、それ以後いろいろなことが続いた。そして、今度のアフガニスタンの事件ということになっておりますから、そういうことを少し長い目で見ますると、八〇年代というものは非常に何と申しますか、アメリカの国防報告によればいわゆる同時多発型の紛争が起こる可能性があるというような見方になっておるわけでございまして、そういうのが私ども国際情勢の現在の認識、日本の周辺におきましても、たとえばわが国の北方領土に対する兵力の増強あるいは極東ソ連軍の増強、そういったものは全体のやはりグローバルなソ連軍の増強の一環としてとらえるべき筋合いのものであると考えておりますが、そういうこととの関連、そういうものを私どもは国際情勢が非常に厳しくなっているというふうに認識をしておるわけでございますが、そういう点でございます。
#37
○森田重郎君 アフガン問題とかイラン制裁の問題とか、その辺の問題はこれはもう私どももよく承知をしておりますけれども、長官いかがでございましょうか、やはりこれは何か米国からの防衛費の増額要求というような意味合いのことが最近非常に強く言われておる。その辺との関係、関連はいかがなものでございましょうか、長官から御答弁いただきたいと思います。
#38
○国務大臣(細田吉藏君) おっしゃるように、アメリカの方からは日本の防衛費について要請があります。これは一月の半ばにブラウン国防長官が見えて私どもの方の久保田長官――前の久保田長官がお会いしたときには、やや抽象的でございましたけれども、一般論としての日本の防衛費の増強の要請があり、先般、大来外務大臣が出かけましたときにややこれが具体的に、いわゆる中業前倒しというようなことも含めまして要請があったということでございます。
 しかし、総理もしばしば申し上げておりますが、これは表裏をなすとは思いまするけれども、日本の防衛力を増強するということの一番基本は、日本の置かれている状態において日本がどう考えるかということでございます。したがいまして、国際情勢とか、その中における特に極東ソ連軍の配備、あるいは北方領土の問題等そういったような問題に関連しまして、日本のいわゆる専守防衛の立場からどういうふうにあるべきかということが一番基本にあるはずであります。しかし、そういう一般の国際情勢を反映してアメリカからも――アメリカ自身が増強をかなりするという計画を持っているわけでございますので、日本においても防衛力の増強に努めてもらいたいと、これはある意味では表裏をなすとは思いますが、やはり基本的には日本自身がどのような防衛力を持つ、へきかということによって決定されるべきである。かように私どもは考えておるわけでございます。
#39
○森田重郎君 ちょっと話題を変えさせていただきます。が、昭和五十二、三、四と、この三年間にいわゆるスクランブルが何回ぐらいあったのか、その辺をひとつ数字をお聞かせ願いたいと思います。
#40
○政府委員(原徹君) スクランブルを実施した件数でございますが、五十二年度が四百九十六回、五十三年度が七百九十八回、それから五十四年度は六百三十六回でございます。
#41
○森田重郎君 五十三年度が八百回近いわけですね。そうしますと一日平均にしますと二回以上飛び立っておるわけですね、二回以上。その辺の態勢というのは現実にどんなふうな形で仕組まれておるものでございましょうか。要するにスクランブルするその辺の自衛隊の態勢というものですね、現実に。
#42
○政府委員(原徹君) これは領空侵犯に対処するための態勢が自衛隊はとられておりますから、まず第一に、レーダーでアンノーン、アンノーンという国籍不明の飛行機をキャッチいたしますと、その航跡からわが国に近づいてくる、ひょっとして領空侵犯のおそれがあるという場合に緊急発進をする態勢をとっておりますから、その態勢に従って、領空侵犯のおそれありと認められる場合に随時緊急発進をし、その飛行機を確認すると、そういうことでございます。
#43
○森田重郎君 ちょっとお伺いしたいんですけれども、とにかく一日に平均して二回以上も緊急発進をするということは、ある意味では大変な言うなれば危険にさらされておるような感じがするんですが、これはどうなんでございましょうか、世界各国で一日に二回以上も発進をしておるようなそういう危険というか、にさらされた国というのはほかにあるんでしょうかどうでしょうか、その辺は。いかがでしょう。
#44
○政府委員(原徹君) どうも諸外国で緊急発進をやったという、たまには新聞その他であるわけでございますけれども、継続的にそれが何件というようなそういうデータは公表されておりません。したがって、毎日どのくらいというようなことはちょっとわからないというの、が実情でございます。
#45
○森田重郎君 私は端的に個人的な気持ちから申し上げますと、恐らくこういう国ないと思うんですね、どこへ行きましても。一日に二回以上も緊急発進をしているような国はないような気持ちなんでございますが、いまデータがないというふうなお話でございますが、それは裏を返せば非常に危機感にさらされておると、そういう意味では、わが国日本ほど言うなれば外からの攻撃といいましょうか、それらに最も現実的に直面をしている国はない、そんな感じがしてならないわけでございますけれども、長官いかがでございましょうか、率直にお伺いして宗谷、津軽、対馬、この三海峡の封鎖問題というふうなものが将来起こり得るかどうか、多少仮定の話になろうかと思いますけれども、長官の御意見をちょうだいしたいと、こう思います。
#46
○政府委員(細田吉藏君) アメリカの国防白書の三海峡封鎖というような問題がちょっと出ておるわけでありますし、いろいろ今国会におきましても予算委員会等で御議論がございました。非常に重大な問題でございますので、これはよほど注意をしてお答えもしなけりゃならぬと思います。ということは、もう申し上げるまでもございませんけれども、わが国が海峡封鎖を――封鎖にもいろんな対応があるわけでございますし、程度もあると思いますし、方法もいろいろあると思いますが、何らかの形で要するに海峡の通航が不自由になるというか、いまよりは狭くなるというか、あるいは通れなくなるというか、そういう何らかの形でいわゆる封鎖というものをいたすということは、これはわが国の場合には、日本がそれこそ攻撃を受けてその必要性がある、あるいはもう攻撃のはっきりおそれがある、そういうことでなければ、これをあらかじめ何もないのにやっておくとかというようなわけにはまいるものではございません。かようなことをいたせば、これはむしろ非常な挑発的な行為であるということになると思うわけでございまして、私どもはその点ではきわめて慎重になってなければならないと、かように思っておるわけでございまして、その場合に、それではどういう対応があり、どういう能力が整備されておるかというような点につきましては、これはもう国会でも答弁を申し上げておるんですが、十分な能力が必ずしもない。したがって、そのようなものについてはどういうふうにいたすかということは、今後の問題として私どもが考えていかなけりゃならぬと、このように存じておるわけでございます。
 お答えにあるいはなっておらないかもしれませんが、非常に重大な問題でございまして、大変な大きな影響もあることでございますので、私たちとしてはそのようにいま考えておるわけでございます。
#47
○森田重郎君 今月末ですか、総理が訪米される、そういう折にやはりアメリカサイドからかなりないろいろ注文が出るんじゃないかと思うんですが、そういうようなただいまの海上封鎖の問題等も含めまして、防衛費増額というような問題について総理と長官、じっくりいろいろと御相談なさったようなことが最近においてございましょうか。
#48
○国務大臣(細田吉藏君) ちょっと防衛費の増額と、それから後続けておっしゃったこととは少し別にお願いしたいんです、三海峡問題とは。
 私どもは、三海峡の問題などについて首脳会談で話が出るというふうには実は想像いたしておりません。そのようなことはないものと考えておるわけでございます。
 防衛費の増額の問題につきましては、これは首脳会談であるいはお話が出るのではなかろうか、かように、どのような形で出るかは別といたしまして、出るのではなかろうかというふうに私どもとしては見ておりますし、外務省もそのように考えておるのではないかと思っております。
 そういう点につきましては、実は防衛費全般の問題でございますので、総理も予算委員会等を通じましてももう各方面からの御質疑等もございますし、これはもういろいろお考えになっておる、困難な環境にもありますのでいろいろお考えになっておることでありまして、実は私どももいろんな機会に総理とは意思の疎通を図っておるつもりでございます。お出かけになる前にさらに何らかのお話があるかどうか、恐らくどういう形かで、あるいはあるかどうかちょっとわかりませんけれども、私は、総理には防衛庁の考え方というものはいろんな機会に申し上げてございますので、総理は、一応防衛庁の立場というものは、防衛費に対する立場というものはおわかりいただいている、かように承知しているわけでございます。
#49
○森田重郎君 またちょっと話が前へ戻るようなことになりますけれども、先ほどちょっと申し上げました防衛関係費の推計というような問題について、いまの長官の御答弁をかりますと、その辺は総理もよくわかってくれておるというようなニュアンスの御発言がございましたけれども、これらにつきましては財政当局等とかなり詰めをされたものであるのか、あるいはまた防衛庁単独で考えられた数字であるのか、その辺はいかがでございましようか。
#50
○政府委員(原徹君) 新聞に最近出ていたお話は、私どもの推計とは直接関係はございませんのでございますが、私ども申しておりますのは、中期業務見積もりを見直しをして、そしてそれに基づいて来年度の概算要求をいたしたいということでございますから、大蔵省との折衝というのは概算要求をしてから当然なるわけでございまするので、中期業務見積もりはそういう性格のもので、防衛庁限りの資料ということでございますから、大蔵省には概算要求をしてからいろいろその単年度の予算案について折衝をするという考えでございます。
#51
○森田重郎君 最後に、ちょっとこれ参考までにお伺いしたいんでございますけれども、対GNP比のNATO方式の計算方法というのは、あれはどういうことなんでございましょうかね。恩給とか年金とか、そういうふうなものが入っておると聞くんですが、その辺はどんな形で計算されておるものか、ちょっとお伺いしたい、参考までに。
#52
○政府委員(渡邊伊助君) 先生もう御存じだと思いますが、一応御質問でございますのでお答えいたしますと、実は国によって予算の仕組みがそれぞれ変わっておりますし、したがいまして、また防衛費というものの中にどういう項目を盛り込むかということも国によってまちまちでございます。したがいまして、予算書に載っております数字をそのまま比較いたしますと必ずしも適当でないということから、NATO加盟国の問で一応ある程度共通の地盤に乗るものは乗せようということで、各国別にそれぞれ項目を取捨選択いたしまして、各国別にどういうものを防衛費とするかということを認定いたしまして、その認定した数字によって各国の防衛費というものを比較して、それでそれぞれの国の防衛努力というものを評価するということをしようというのがNATO方式と言われております。
 ただ、どういう項目をその中に入れるかということにつきましては、それぞれ公表されておりませんで、各国とも一応マル秘というような扱いになっておりますので、厳密な意味では私どもはわかっておりません。ただ、巷間よく言われておりますように、恩給費の問題がよく言われておりますが、これも入れてない国もあるようでございますけれども、定かではございませんが、まあ大体の諸国は入れているというように承知をいたしております。
#53
○森田重郎君 よく〇・九%に〇・六%をプラスされて、一・何%になりましょうか、スイスの防衛費に及ばぬというようなことが言われておりますが、いまのようなお話でいきますと、やはりあれでございますか、日本の防衛費というのはNATO方式で計算すると大体どのぐらいになるんでございましょうか。
#54
○政府委員(渡邊伊助君) 実は恩給費というものも、中身がそれぞれさまざまでございますので、厳密なことで正確な数字を申し上げるわけにはまいりませんが、一応機械的に総理府の方に計上されております旧軍人遺族等恩給費、これを防衛関係費に加えて本年度のGNPに割り込みますと、数字的には一・四四という数字が出てまいります。一応、これが巷間言われておりますように、NATO方式で計算するとという数字になろうかと思いますけれども、この旧軍人遺族等恩給費というその中身がそのまま各国で言われるいわゆる恩給費に相当するものかどうかということは若干問題があろうかと思います。
#55
○森田重郎君 一・四四、まあその数字を特に私どうこう申し上げるわけじゃございませんけれども、仮に一・四四といたしますと、加盟国の中で、十何カ国かございましょうが、日本の防衛費というのは順位づけをしたらどの程度になるんでしょうか。
#56
○政府委員(渡邊伊助君) 実はよるべき資料は、イギリスの戦略研究所で発行いたしております「ミリタリー・バランス」、これが一応いまのところ世界的に用いられているものでございますので、これによりまして申し上げますと、各国ではGNPの当初見通しというのは出しておりませんで、実績しか出しておりません。したがいまして、ちょっと古うございますけれども、一九七八年度分しかいまわかっておりませんが、それで申し上げますと、アメリカが五%でございます。それからイギリスが四・七、西ドイツ三・四、フランス三・三、イタリア二・四、ベルギー三・五というように、おおむね三%前後ということになっております。若干低いところで、カナダが一・八%というようなところがございますが、大体そういうところでございますので、日本の場合は、先ほど申しましたように、NATO方式ということで比較いたしますと一・四四ということになろうかと思います。ただ、先ほど申しましたように、それぞれに盛るべき項目というのが違っておりますので、厳密な意味ではこれは比較はちょっとむずかしいかと思いますが、まあ大体の傾向としては知ることができるかと思います。
#57
○森田重郎君 そうすると、いま申し上げたように、何位ぐらいになるんでしょうかな、その順位づけを仮にした場合には、NATO加盟諸国の中でですね。仮にベルギーが三・五であるとか、カナダが一・八であるとか、いろいろございますわね。
#58
○政府委員(渡邊伊助君) これは一番下でございますので、順位と申しましても、最下位でございますから。
#59
○森田重郎君 終わります。
#60
○委員長(古賀雷四郎君) 本件に関する本日の調査はこの程度といたします。
 午後は一時十分から再開することとし、休憩いたします。
   午後零時五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十分開会
#61
○委員長(古賀雷四郎君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 恩給法等の一部を改正する法律案を議題とい汚します。
 本法律案につきましては、前回趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#62
○山崎昇君 恩給法そのものにつきましては、後ほど衆議院と余りダブらぬようにきわめて数字的な点で二、三お聞きをしたいと思うんですが、その前に、御存じのとおり、春闘という賃金関係の折衡等がほぼ終わっているんではないかと私は思っております。この公務員賃金の行方というものが大変影響するところが大きいと私ども考えますので、まず総務長官に、今度のこの春闘におきまして公務員関係組合との間にしばしば交渉が持たれたと聞いております。そして、政府として一定の内容が回答されたとも聞いておりますが、それらの内容についてまず御説明を願いたいと思います。
#63
○国務大臣(小渕恵三君) お答えいたします。
 今次春闘に当たりましては、去る三月の六日に公務員共闘の要求をちょうだいをいたしまして以来、給与の改定、労働基本権等の各項目につきまして部内で十分検討を行いまして、公務員共闘におきましても、各レベル間で話し合いを継続をいたしてきたところでございます。特に、御指摘の給与改定につきましては、大変重要な問題だということはもとよりでありますが、しかし一方、逼迫した財政事情その他現下の厳しい状況につきましてお互い認識を深めつつ、基本的には言うまでもありませんが、人事院勧告尊重という従来からのたてまえに立って努力をするという考え方をもちまして話し合いを行ってきたところでございます。
 その他の問題につきましても、十分時間をかけまして論議をいたしまして、最終的に私から、要求の各項目に対する政府の所信を誠意を持って回答いたしたところでございます。
 中身につきまして先生……
#64
○山崎昇君 政府委員でもいいですが、説明を。
#65
○国務大臣(小渕恵三君) それでは私から御報告申し上げたいと思いますが、第一に、給与改定につきましては以下申し上げるような回答を申し上げたわけでありまして、本年度は逼迫した財政を初め、きわめて厳しい情勢のもとに置かれているが、人事院勧告を尊重するという従来からのたてまえを守り、給与改定について民間、三公五現と同程度の改定を求める組合の立場を理解し、今後も引き続き努力をするということで、組合に対して御回答申し上げた次第でございます。
#66
○山崎昇君 そのほかにも、早期支給でありますとか、あるいは地方公務員に関連する部分でありますとか、あるいは労働基本権に関連する部分でありますとか、週休二日制に関連する部分でありますとか、お答えになっていると思うんですが、これは内容的に総務長官が答弁されているわけですが、細かな点でありましたら政府委員からでもあわせてひとつ御説明願いたい。
#67
○政府委員(亀谷れい次君) ただいま給与に係る問題につきましては長官から御答弁ございましたとおりでございますが、その他の案件と申しますか、御指摘がございました早期支給につきましては、総務長官から、人事院の勧告後、諸条件を考慮してできるだけ早い時期に給与法を改正するよう努力をする、なお早期支給の制度上の問題についてもさらに検討をいたしたい、こういう御回答をいたしました。
 それから、地方公務員の給与改定でございますが、国家公務員について給与改定が行われた場合、地方公務員についてもこれに準じて配慮されるべきであると思うので自治大臣に伝える、こういう回答を大臣からしたところでございます。
 さらに、労働基本権等についてでございますが、公制審答申で残された三課題につきまして、公務員問題連絡会議で検討を進める、こういうことの答弁がございました。
 さらに、週休二日制についてでございますが、人事院勧告に沿って関係法案の準備を進め、できるだけ速やかに実現できるよう努力をしたい。以上が御指摘のございました公務員共闘に対する大臣からの回答でございます。
#68
○山崎昇君 あわせまして、人事院総裁から、人事院におきましてもこれら一連の問題につきましてはかなり組合側と折衝しておるようでございまして、また一定の回答が行われているようでありますから、その内容についてあわせてひとつ御説明を願いたいと思います。
#69
○政府委員(藤井貞夫君) お話にございますように、例年のことでございますが、公務員共闘その他の組合側とわれわれ人事院当局との折衝というものは非常に頻繁に行われてまいっております。この問の大詰めの場面におきましても一つの御提案がございまして、これに対しまして人事院としての見解を申し述べたことは、そのとおりでございます。細かい点につきましては、もしお尋ねがございましたら他の政府委員が参っておりますので御答弁申し上げますが、私が直接に組合の幹部の方と会って申し上げました主要な点というのは、これは申すまでもなく、いまの時期が時期でございますので、給与の問題でございます。
 この給与の問題については、これはいろいろな情勢をよく勘案をしてまいりますけれども、人事院の勧告制度というものは従来の積み上げでもって一つの方式ができ上がっております。この方式は堅持をして、同じようなやり方でやっていくということは毫も変更するつもりは持っておりません。したがって、予算の計上額その他というような問題もございますけれども、それとこれとは切り離しまして、あくまで官民給与の較差というものを主眼といたしまして、これに対応する措置をとってまいるという従来の方針を堅持するということでやってまいりたいというふうに思っております。
 また、週休二日制の問題につきましては、昨年、国会並びに内閣に対して勧告を出しました。いろんな情勢もあるかと思いますが、今日いままでのところでは、なお国会に対して法案の提出がなされておらないということは、私の立場としては大変遺憾なことであるというふうに思っております。機会のあるごとに、それの実現、早期措置というものについては御要望を申し上げておる次第でございますけれども、これは国会と内閣に対して正式に出した勧告でございますので、この勧告はあくまで尊重していただかなければならないという態度でもって、今後ともその推進方について極力努力をしてまいるというふうにやってまいりたいということを申し述べさしていただきたいと思います。
#70
○山崎昇君 いま人事院総裁からも答弁ございまして、私も組合側からは一応の資料はもらっております。しかし、組合と当局側の交渉でありますから、われわれがとやかく言うわけでありませんが、少なくとも国会でそれらの情勢をやはり詳細に把握をしておきませんというと、今後のこの種の問題解決に私どもとしてはいかないんじゃないんだろうかと、こう考えますので、少し細かくなりますけれども、給与局長でも結構でありますが、もう少し内容的に説明願うと同時に、それから口頭確認というのもあるようでありますが、それらの点についてもあわせて説明を願っておきたいと思います。
#71
○政府委員(長橋進君) 組合との関係におきますお尋ねでございますが、組合の意見、要望等は、給与を初めといたしまして、定年制、週休二日制等につきましていろいろ要求、がございます。
 給与について限ってみましても、まず基礎作業であります民間給与実態調査につきましてのいろいろな要求等、それからベース改定、その後配分をどうするかということにつきましていろいろ要求がございました。先ほど総裁からも答弁ございましたように、人事院としましては機会あるごとに組合の意見というものを十分聞いてまいっておりますし、今回、ことしについて見ましても、総裁を初めとしまして、事務総長それから関係局長以下の段階で何十回となく会見をやっております。
 概要につきまして御説明申し上げますと、春闘時期におきます組合等の会見の経緯ということで限って申し上げますと、勧告の基礎作業につきましては一月の三十一日に要求書の提出が総裁あてにございました。それから、二月に入りましては公務員共闘から要求書の提出が、これは給与局長あてでございましたけれどもございました。人事院は、こういった要求書を受理するとともに、いろいろと事務的な問題について組合と話を進めるということになっております。
 それから、賃金要求についてでございますが、これは三月から四月にかけまして、公務員共闘を初めとしまして、各組合から総裁あてあるいは事務総長あてに要求書の提出がございまして、それに基づきまして給与局長の段階でいろいろ詳しい内容について説明をお聞きしております。通じて申しますと、結論的には御要求の趣旨は十分承知したと、以後事務的に詰めたいということで終わっております。
 なお、給与関係とは別途に、定年制とかあるいは週休二日制の問題につきましても、二月から四月までの間におきまして総裁、関係局長との会見が数次にわたって持たれております。
 それから、先ほど口頭了解等のお尋ねございましたが、いわゆる公開質問状というものが出されておりまして、これは三月二十六日に総裁あてに質問状がございまして、四月十一日に質問状に対しまして事務総長が口頭で回答をしております。それから、四月十四日には総裁が基本的態度を表明しております。
 なお、翌四月十五日に、給与局長、事務総長の段階でいろいろ意見の交換を行った結果に基づきまして、これは組合との関係でいろいろ意見交換を行ったわけでございますが、それに基づきまして深夜総裁が見解を表明しております。
 いろいろやりとりがございましたが、まとめまして最終段階におきます総裁のいわゆる組合との会見における確認事項というものについて御報告申し上げますと、給与改定問題につきましては、公務員の給与改定については、公務員共闘の要求と八〇年国民春闘における民間の給与改定の実態を正確にとらえ、それに基づいて改善を図ると、それから給与勧告については、従来の姿勢を堅持して財源にはこだわらないという趣旨の確認をしております。
 それから、早期支給の問題に関連いたしますが、本年の勧告はできる限り早い時期に行うよう努力すると。それから、早期支払いについては、現行法制の中で可能な方法についていろいろ検討するという趣旨の確認をしております。
 それから、昇給制度につきましては、これは重要な事項でありますので、これは人事院の勧告に係る事項であるという旨の確認をしております。
 それから、週休二日制につきましては、先ほども答弁ございましたけれども、その法案の提出と成立について最善を尽くすというようなことを言っております。
 それから、実損回復問題につきましては、諸情勢を勘案しながら検討したいという趣旨の回答をしております。
 それから、その他付随事項といたしましては、給与の配分等についても組合の意見も十分聞いて検討を進める等の回答をいたしております。
 以上でございます。
#72
○山崎昇君 人事院がいま民間給与の調査中でありますから、私は内容的なことをここで聞くつもりもありませんし、またその時期でもないと思っていますから、そう立ち入ったことをお聞きしませんが、きょう私がこの問題を聞いておりますのは、人事院勧告というのが大変影響力が大きい。もし私の数字が間違っていれば別でありますが、そうでなければ、ざっと国家公務員が、影響を受ける者が、特別会計も入れますが、約百十九万人ぐらいになる。地方公務員が二百六十九万人ぐらいになる。特殊法人の職員が十四万五千人ぐらいになる。さらにこれに加えまして恩給の受給者、これが文官十六万三千九百人、旧の軍人二百三十六万。このほか、公務員の給与関係が決まりますというと、農協関係でありますとか、あるいはその他公務員に準じていろんなことやっているところがたくさんございます。言うならば、ざっと計算いたしまして、いま申し上げました数字だけでも七百七十五万ぐらいにこれはなりますが、そのほか、扶養手当のあり方等によりましては厚生年金の受給者にも影響していく、あるいは諸種の加算額等にも影響していく。こう考えますというと、この人事院勧告のあり方というのは、きわめて私は重要な内容を含んでいると思っているわけです。したがって、まあ財政の問題もありますけれども、総務長官としても、公務員給与を扱う責任者としては、これだけ重大な影響があるんだということを頭に置いてこの問題を処理していただきませんと、ただ財政財政と言っても、財政論だけでは片づかない内容を持っているんだということを申し上げておきたいと思うんです。
 そういう意味で、きょう、内容的に詰めることでもありませんから申し上げませんが、ただこの中で主として三点ほどお聞きをしておきたいと思いますのは、一点は早期支給という問題でありますが、これも今日までずいぶん議論をされ、なかなかこれが実現できないでおります。そこで、国会としても、私は国家公務員法の二十八条の一項というものをやはり国会自身としても考える必要があるんじゃないかと思っている一人なんです。で、これは御存じのとおり、情勢適応の原則でありますから、国会はいろんなことをやってもいいわけでありますが、その際でも人事院の意見や人事院の勧告を聞けということになっております。したがって、この早期支給の制度を国会みずからがどうしようと考えても、やはり人事院の見解というものが大きな要素になってくる。そういう意味では、人事院が早期支給の制度も含めましてどう検討されていくのか、この点がきわめて私は第一の点として大きいんじゃないだろうか。それからまた、総理府におきましても、単に人事院だけで制度を検討すればいいというものでありませんで、総理府自体で法案を準備するわけでありますから、当然総理府みずからもこの制度については真剣な討議というものが必要ではないんだろうか、そう考えます。そういう意味で、この早期支給というものについて、制度も含めましてどういうふうにこれからやられていくのか、人事院並びに総理府にお聞きをしておきたいのが第一点です。
 それから第二点は、いまも人事院の総裁から話ありましたように、この週休二日制につきましては、昨年の勧告で出されたものであるから、ぜひ実現をしてもらいたいという強い要望だといういま発言がございました。私どももそうだと思うんです。国でつくった機関の勧告というものが軽々に扱われていいものではないと思う。そこで総務長官、一体この四週五休制という名前の公務員の週休二日制はどうされるのでしょうか。国会はもう余り日にちがありません。また、ことしは参議院選挙でありますから、多少会期延長等があるのかもしれませんが、それにいたしましてもいまだに一体政府はこの週休二日制について態度が明確でない。これは一体どういうことなんだろうか。人事院の勧告にもないような定年制でありますとか、あるいはその他のことについてはずいぶん早くあなた方決断された。しかし、肝心の勧告の中心でありますこの週休二日制については何にも意思表示がない。一体これはどういうことなのか、この点は総務長官からきちんとした態度を答弁願いたいと思うんです。
 もう一点重要なことが言われておりましたが、昇給制度については、これは公務員の給与制度の根幹をなすものだ、慎重にやりたいという答弁が人事院からございました。私もそうだと思う。これは、いずれその時期になりましたら私もまた質問さしてもらいますが、いずれにいたしましても、これは人事院の勧告権にかかわることであって、総理府が軽々にこれらの問題をただ財政論がけで私は片づける問題ではないと思う。いま人事院に何か意見を聞いているようでありますが、したがって、これら給与制度の根幹をなすような問題については慎重な態度が必要だと思っているんです。そういう意味で、これについての再度人事院の総裁と重ねて総理府長官の見解を聞いておきたいと思います。
#73
○政府委員(藤井貞夫君) お答えをいたします。
 いまの三点の問題についての御質問でございますが、お話のありました二点について私から御答弁を申し上げたいと思います。
 第一の点は、給与改善その他の措置の早期実施の問題でございます。これは長年にわたって本委員会でもいろいろ御論議をいただいておることであります。政府といたしましても、いろいろの角度から検討を続けてまいっておられるようでございまするし、人事院といたしましても、勧告を出した限りはこれはできるだけ速やかに措置がしていただけるということが一番望ましい事柄でありますからして、その点からやはり制度的に考慮すればどういうような名案があるだろうかというような点につきましては、重大な関心を持ってわれわれもわれわれなりに検討はずっと続けてきておるのでございます。ただ、給与というものが、これは公務員の場合は申し上げるまでもなく法律制定事項ということになっておるわけであります。国会の御審議をいただかないでこれを独自に決めるということは、これはやはり避けなければならぬと思います。また、われわれの立場から直接に申し上げることではございませんが、財政問題その他もございますからして、当然これは国会で御審議いただかなきゃならぬ事柄であろうということでいままでも来ているわけです。
 ただ、そのために、いろいろわれわれは口出しをしてとやかく言うべきことではないのかもしれませんが、場合によっては大変この取り扱いがおくれていくというような事態が間々起こります。昨年についても諸般の情勢というものはございまして、それなりのいろいろ理由もあるわけでありますけれども、勧告が出てから実際に成立したのはもう年末差し迫ったというような取り扱いがなされておるわけであります。これを何とかしていただきたいということは従来から申し上げておりますし、いま申し上げましたように、政府としてもいろいろ真剣に御検討いただいておるわけでございますけれども、なおいろんな絡み合いもあってはっきりした結論が出ておらないということでいままで来ておるわけでございます。
 私が意見として申し述べさしていただきますならば、国会の動きに対してとやかく注文らしいことを言うのは大変失礼千万でありまして、その点は御容赦願いたいと思うんですけれども、やはり給与勧告という事柄の性格から申しまして、国会で法案の取り扱いをいたしていただくときの何かやはり各党の申し合わせというようなことで、この案件はやはり勧告に基づく措置なんだからしてあらゆる議事に優先してやっていただくとかなんとか、そういう申し合わせをしていただくことがいろいろ制度的な改善ということよりも一番手っ取り早い、しかも実現可能性の多い問題ではあるまいか。大変口幅ったいことで、私自身もじくじたるものがございますけれども、そういうお願いができないものであろうかということは、従来からも私自身の考え方として持っておるということだけを申し上げさしていただきたいと思います。
 それから、第二の問題といたしましては、昇給制度の問題、昇給停止の問題でございますが、これはいまお話がございましたように、われわれもやはり給与制度の一環として位置づけております。当然給与の官民較差が出てまいりますれば、これの配分という問題に全部絡んでくるわけでございます。また、この問題について閣議でもって取り上げられましたのは、それなりのやはり背景がございまして、よくよくのことがあろうという事情はお察しを申し上げます。この点は私の立場としても申し上げるにやぶさかではございませんが、しかしやはり給与制度というものは、財政問題の見地からどうこうという筋合いのものではないと、これはやはり人事院制度というものがあり、人事院の給与勧告制度がある限りは、官民の較差というものに重点を置いて、そこにはっきりとした差が出てくればそれを埋め合わせするということでございます。その点について人事院としては物を申し上げる、その間においてやはりできるだけ勧告はその実現のために御努力をいただくということでございまして、制度がいまのようである限りは、これはやはりその立場は堅持すべきであるという考え方を持っております。
 したがって、昇給制度につきましても、そういう閣議決定もございましたし、われわれといたしましても、従来からも給与の制度の一環といたしまして関心を持って調べてきております。また、今回の場合でも、民間給与の実態調査をやります際にこういう点も調べて、実際の定期昇給制度という運用がどうなっているかというようなことは関心を持って見守ってまいりたいと思っておりますけれども、事柄はやはり給与制度の一環であるということから、これは厳密に勧告の中に入るべきものであるという立場は堅持をしてまいりたいと、かように考えております。
#74
○国務大臣(小渕恵三君) お答えいたします。
 第一点の早期支給の問題につきましては、総理府といたしましては、この制度上の問題についていろいろとむずかしい点もあり、また現行制度の変更は一朝一夕にいかないというむずかしい点もありますが、しかし、かねてからの強い要望であることは十分承知をいたしておりますし、今般の組合と私との会見におきましても、私もその現状については深く理解をしておる旨を申し上げておるわけでありまして、私の役所でも、ベアがありましてもいただく時期が違うというふうな形にもなっておるということは好ましい状態でないとも思っておるわけです。しかしながら、いま申し上げたように、なかなか人事院勧告制度の根幹に触れる重大な問題でありますだけに、簡単に処理できない重要な問題である。いま、人事院総裁からもお答えありましたが、人事院といたしましても真剣に御検討されておられるということでございますし、また総理府といたしましても、現在この問題について鋭意検討を進めておるところでございますので、今後とも人事院とも相談をしながら取り組んでまいりたいというふうに考えております。
 第二の定昇延伸の問題につきましては、申すまでもありませんが、人事院勧告につきましては、従来からこれを尊重するという基本的たてまえでございまして、この問題について、人事院の勧告が出されますればそれを尊重するというたてまえで処理いたしていくことは当然のことだと思っております。この件につきましては、先年の、給与に関する人事院勧告を受けまして給与改定いたしましたとき、政府の基本的考え方として、現在人事院にお願いしておることでございますので、それを待ちたいというふうに思っております。
 それから、いわゆる週休二日でございますが、私ども、この用語がやや国民に十分理解をされておられないということで、先般閣僚協を開きましたときに、四週一回交代半休制と、こういうちょっと長い名前で恐縮ですが、こういう形で国民の理解を得ようということで、現在、政府の最終的な法案として閣議決定をいたすべく最後の準備をいたしておるところでございますが、山崎委員御指摘のように、政府は何ら態度を明確にしてないかと、こういう御指摘でございました。この点につきましては、去る三月の二十六日に週休二日制関係閣僚懇談会におきまして、いま申し上げましたようなこの四週一回交代半休制として実施をする、すなわち人事院の勧告を尊重いたしまして、それを実施をいたすべく、その基本的な考え方につきまして閣僚懇談会で決定をいたし、かつ、そのことは閣議におきまして報告をいたしておるところでございます。現在、法律案を法制局で詰めまして、できたら今週中に政府与党との調整を図りたい、こう思っておりますので、政府与党の自民党との交渉が、審議がクリアできますればきわめて早い時期に国会に御提出を申し上げて早々御審議をいただけるものだと、こういうふうに御理解をお願いをいたす次第でございます。
#75
○山崎昇君 長官、この週休二日制、中身は四週五休制ですよね、いまあなたが言われたように。これは人事院の意思表示がなされてから二年間試行をやりまして、その間、政府の各省において山それぞれ実施をされて、いまころになってまだ何か政府部内でもたもたしているというのは、どう考えても私ども納得できないんですよ、これね。そして、人事院の意見の書簡というかっこうでありましたが、返事があったことは事実でありますけれども、定年制でありますとか退職手当の問題で、昭和五十二年ぐらいのデータで、こういう公務員を、何といいますか、抑えつけるといいますか、給与を下げるといいますか、そういうことについてはもうあなた方きわめて敏速なんだよね。そして、多少でも公務員の皆さんの休暇問題となってくるというと、三年越し何にもしない。これからまた与党と連絡とって、まあできればという話です。しかし、できればと言ったって、今月も終わりに近づいてきているわけですね。御案内のとおり、連休明けたらもうそれどころの話じゃないんじゃないでしょうか。私はそういう意味で、きわめて政府の態度というのは納得できない。総務長官は一体何しているんだろうか。まあ口の悪い人は、あなたにまつわるいろんなことあるものだから、そればっかり走っているんじゃないかと言う人もいますが、あえてそんなことは言わぬにいたしましても、少し私は政府のやり方が片手落ちではないんだろうかという気がします。そういう意味では、努力されているそうではありますけれども、もっとひとつ真剣に私は考えてもらいたいということを申し上げておきたいと思うんです。
 さらに、最近公務員の問題をめぐりまして各種の実は不祥事件等が相次いだものですから、何か公務員全般が問題があるようにも宣伝もされているし、国民の皆さんの一部にはそう考えている人もいるかもしれません。しかし私は、そういうときは、やはり公務員を管理している総務長官が、そうではないんだと、多少一部におかしい者もおったけれども、公務員全体としてはそうではないんだということをきちっと私はしませんと、公務員全体が意気消沈しちゃって、職場が沈滞して、逆に公務の能率なんか上がりゃせぬですよ。そこへ持ってきて、追い打ちかけるように公務員を何か抑えるような法案ばかりいっぱい先に出てくる。こういうやり方は、やはり政治的に考えても私はとるべき手段ではない、こう考えておりますので、その点はぜひひとつ総務長官も前向きでもっともっと検討願いたい。
 先ほど申し上げましたように、この人事院勧告あるいは公務員給与というのはきわめて影響するところが大きい問題でありますだけに、私どもも真剣に考えているつもりです。どうかその点だけ、最後にこの問題申し上げて、この公務員の給与問題等めぐります問題点については、一応、きょう本筋でありませんから、終えておきたいと思います。
 それでは、引き続きまして恩給について二、三お聞きをしておきたいと思います。
 衆議院の内閣委員会の論議もかなり私は読ましてもらいましたし、また関係者から話も聞きまして、余りこれとダブってもいかぬであろうという気もいたしますので、あえて衆議院でやりました問題点等についてはそう質問するつもりもございません。多少まあダブる点ありますが、それは御了承願っておきたいと思うんです。
 きょうは主として技術的な点でお聞きをしておきたいと思うんです。
 第一は、私が今日まで主張している一つの問題点として、仮定俸給のあり方について前回も私は議論してまいりました。今度も御案内のとおり、去年の人事院勧告が土台になりまして、三・四%プラス三千二百円というのが基準になって兵の二十一号俸が三・八%ぐらい上がるという筋道になっています。ところが、どう考えてみましても、この仮定号俸の最低の十八号俸を見ますというと、これは公務員の行(二)の最低月額よりも低い、月額に直しますというと。一体この仮定号俸というものと、それから、これは兵でありますから、恐らく平均年齢は満二十、数えで言うならば二十一か二十二になろうかと思います。そういう意味で言うと、この公務員のいわば行口の最低賃金よりもっと低いものが仮定俸給だということにどうしても私は納得できないんです。したがって、この仮定号俸のあり方についてもう一度ひとつ聞いておきたいと思います。
#76
○政府委員(小熊鐵雄君) 恩給の仮定俸給でございますが、これは先生御案内のように、いわゆる現職の公務員で通し号俸制がなくなりました三十五年十月、これ以降におきましては、恩給独自の改善方式といいますか、退職当時の俸給の実質価値の維持というふうなことから、いろんな方式をとってまいったわけでございますが、その指標といたしましては、物価をとったこともございますし、あるいは物価と給与をあわせとったこともございます。ただ、四十八年以降は、公務員の給与の改善率、これを使ってまいっておるわけでございます。
 先生のおっしゃるような、現職の公務員と恩給の仮定俸給、これの違いというのは一つの原因は、現職の俸給改善というものの中には、単なるベースアップのほかに、いろんなそのときの労働需給の関係とか、そういったことでかさ上げされるとか、あるいは特別昇給の制度があるとか、そういったいわゆるベースアップ以外の要素も加味されたアップになっておるわけでございます。恩給の方は、いま申し上げましたように、退職当時の実質価値を維持するというところに重点を置きまして改善を行ってきておる、こういう点が一つあるのではないかと思います。
 先生おっしゃいましたように、確かに十八号俸というのはこれはもう給与表には行(一)、行。ともにございませんし、いま一番低いのは兵の二十一号俸でございますが、仮にこれをとりましても非常に低くなっておるということは先生御指摘のとおりでございますが、ただ、兵の仮定俸給というのは、これはまた恩給独自といいますか、御承知のように兵というのはかつては月給七円ぐらいの時代で、特段の仮定俸給というのを設けて文官とはまた違った仮定俸給を使っておったわけでございます。そういった関係から、確かに兵の階級の相当する二十一号俸というのは非常に低い仮定俸給になっておるかと思います。
 まあ、そうは申しましても、やはり恩給が生活の支えの一つになるということもございますし、この仮定俸給という面ではずっといま申し上げたような経過がございますので、なかなかこれを補正するというか、いじっていくのがむずかしいという面もございますので、いろいろ給与面の改善を考えておるわけでございまして、今回も最低保障というような制度、これを大幅に引き上げるというようなことで、たとえば今回六十四万七千円から七十万円に上げるわけでございますが、これをもとの俸給に引き直しますと、五等級の十号俸とかあるいは四等級の五号俸という程度のところまで上がるわけで、それが最低保障として保障されておるわけでございます。まあ、確かに仮定俸給というのが恩給計算の基礎でございますから、これが余り低いのはおかしいじゃないかとおっしゃる意味もよくわかるのでございますけれども、いま申し上げましたように、下から上までずっと一連の動きと考えますと、非常に下だけ上げるというのがまたむずかしい問題もございますし、そういった意味で、給与面で改善を図っていくということで御了解いただきたいと思うわけでございます。
#77
○山崎昇君 給与面で改善を図るのは当然であって、それはそれでいいと思う。しかし、基本はやはり仮定号俸が基本になるわけでしょう。その仮定号俸が、いまあなたがるる説明されているように、きわめて合わないんですね。というのは、あなたいま昇給の話出ましたけれども、私の申し上げているのはこれは本俸で言っているわけでありますから、本俸に定期昇給入っているわけじゃありませんよ。どう考えてみたって、これは何回も私は言っておるけれども、十八号俸で言うと、これ月額に直して六万五百二十五円です。行政口の最低であります五等級の初号でも六万九千円です。やはり余りにも低い。一番上と一番下と比較しますと、通し号俸でありますが、比較するとざっと六対一ぐらいですね、一番上の将官クラスと下の者と比べますというと。こういうあり方というものは、やはりできるだけ直すべきじゃないでしょうか。仮定号俸を直して、その上でなおかつ最低保障をどうするかという意味であなた方がいろいろ工天をされて改善をすることにぼくらとやかく言うわけじゃありません。しかし、仮定号俸そのものがこれだけ差があって低くて、公務員の最低であります職員よりもっと低いもので結構でありますということに私はならないと思うんですよ。その点で、たびたび私はこの委員会で指摘をしているわけ。
 それから、いまあなたが兵の中心が二十一号俸だと、こういう話であります。この二十一号俸をとってみましても、恐らくこれはあれじゃないでしょうか、昔で言いますから、私ども兵隊検査やったのが満二十ですね。ですから、兵ということになれば当然満二十か数えで言えば二十一か二十二、人によりますけれども。それぐらいになりますというと、いまの公務員の初任給からいきましてもかなりの低さになりますよ、これ。ですから、私は一番基礎になりますこの仮定号俸というのをやはり合理的にきちんとすべきではないか、その上で各種の対策なら対策を講じて改善をすべきものではないんだろうか、そういう意味で何回かここであなた方に質問をしておるわけなんで、ぜひこの点は、仮に来年すぐ一遍にいかぬまでもひとつ直してほしい。
 特に給与の改善は、多少ことしの場合も昨年のように、三・四プラス三千二百円といいますから、率だけでいっておりませんことも承知いたします。承知いたしますが、率だけでいったとしたら、やはり上厚下薄は歴然たるものになってきます。そういう意味で、あなた方は苦心してプラス一律方式をとっているのだと思うんですが、そういう意味でも、この仮定号俸のあり方についてもう一遍ひとつあなたの見解を聞いておきたい。
#78
○政府委員(小熊鐵雄君) 仮定俸給のあり方、私も先ほど申し上げましたように、確かに恩給計算の基礎になっておるわけでございますので、いま先生の御指摘の点もありますので、時間はかかるかと思いますが、またいろいろ検討、研究してみたいと思います。
#79
○山崎昇君 これは本当に真剣に考えてください。何回も申し上げておりますように、二十一号だって月額にしまして六万八千七百五十円にしかならない。公務員の高校卒で八の三で七万八千九百円ですから、仮にこの公務員が二十になったと仮定するというと、八の四ぐらいですが、八万一千四百円です。考えてみれば、ざっと一万二千円ぐらいの差になってくる。私は仮定号俸でこれだけ差が出たら大変なことだと思うんです、これ月額に直して申し上げているわけですが。ぜひひとつこれは真剣に再度考えてもらいたいということを申し上げておきたいと思います。
 それから、次にお聞きをしておきたいのは、これはなかなか計算はむずかしいと思うんですが、一遍聞いてみたいと思うのは、三・四プラス三千二百円、しかし兵の場合には三・八%という基準をとって、上に行くに従って多少パーセントを低めておりますが、公務員の場合は、昨年の人事院勧告で言うと行(一)と行(二)と平均して三・七ぐらいになるわけです。したがって、この兵の場合、最低保障もいろいろ改善しておりますからなかなか出しにくいと思うのだが、平均したらどれぐらいの改善率になりますか、計算したことがあればひとつ説明願いたい。
#80
○政府委員(小熊鐵雄君) 兵の場合だけという計算はちょっとございませんけれども、全体として仮定俸給のアップ率、これは各号俸の人員でウエートいたしまして平均しますと三・七五%になります。それから、これは御承知のように、いま議論があったわけですが、下の方の兵の号俸で計算して恩給を支給するというのはほとんどございませんで、ほとんどが最低保障に裏打ちしているわけでございますが、その給与面で最低保障をも入れまして計算いたしますと五・一九%、これが軍人の場合だけとりますと五・四二%という数字になります。
#81
○山崎昇君 いまの三・七五%というのは全部平均して……。
#82
○政府委員(小熊鐵雄君) そうです。
#83
○山崎昇君 それから五・一九というのは、最低保障を含めれば五・一九……。
#84
○政府委員(小熊鐵雄君) 支給面で計算したわけです。
#85
○山崎昇君 支給面だけですか、改善率ではないんですね。
#86
○政府委員(小熊鐵雄君) じゃなくて。
#87
○山崎昇君 それから旧軍人だけで言えば五・四二の支給率になる、こういうことですね。
#88
○政府委員(小熊鐵雄君) はい、そういうことでございます。
#89
○山崎昇君 そうすると、改善率と支給率に乖離がありますか。ほぼ同じと見ていいですか。
#90
○政府委員(小熊鐵雄君) いま申し上げましたように、支給の方は、最低保障を受けている人は最低保障のウエートでやっていますので、これはぐっと高くなっていると思います。
#91
○山崎昇君 それは承っておきます。
 それから次に、これも一般論でありますけれども、退職の年次によりましては多少プラス一律方式等とっておったり、あるいは昭和四十八年に七十歳以上の場合に四号俸、仮定号俸を改めたりしておりますから、一概に言えませんが、それでも私はやはり上厚下薄という形、あるいは退職年次によりましては較差というものがかなり離れていっているのではないんだろうか。これは厳密に私は計算しておりませんから申し上げられないと思うんですが、もし恩給局の方でそういう点がないのならない、それはこういう理由なんだという点がありましたらお聞きをしておきたいと思うんですが、特に公務員の給与ベースによって改善をするというこの率でいくものですから、どうしても古い者は改善の仕方というものがだんだんおくれていく、新しい者ほど有利に展開していくという形のものが私は出ていくんじゃないんだろうかという気がしてしようがありません。そういう意味で、その辺の実情がどんなになっているのか、もしわかりましたら説明を願いたい。
#92
○政府委員(小熊鐵雄君) 恩給年額は退職年次が後の者ほどよくなっているんじゃないかという御指摘かと思いますが、この年次別格差の中で、一つはまず恩給制度そのものが三十四年にもう共済に切りかわっております。それで、それ以前にやめたいわゆる恩給受給者の間の差、これは、先生いま御指摘のように、昭和二十三年の俸給切りかえから数回にわたってその改善を図っておりまして、したがいまして、恩給受給者の中の年次別格差、これはもうないものと考えております。ただ、三十四年に今度共済に移行しましてから以降の、いわゆる現職公務員といいますか、これとすでに三十四年以前にやめられた方、この間には、先ほどもちょっと申し上げましたようにいろんな要素が入ってきておりますので、この間には若干あるいは格差があるかとも思いますが、これも四十八年あるいは五十二年に改善いたしておりますので、まずほとんどないんではないかというように考えておりますが。
#93
○山崎昇君 その点はあれですか、厳密に検討されたことありませんか。いまあなたから、くしくも三十四年に国家公務員の場合は共済組合に移行、三十七年から地方公務員が移行していますね、したがって、その後は恩給法の計算と共済組合法の計算で合算でありますから、当然法体系の違いは私も承知しているつもりです。しかし、それでもなおかつ、それ以前に恩給だけもらっている者は、多少途中でいま話がありましたように手直しはしておりますけれども、それでもなおかつ私はかなりな格差があるんじゃないかという、これは自分でもまだ厳密な計算しておりませんから言えませんが、ひとつ恩給局でも検討願いまして、もしそういう格差があるならば当然早くにやめられた方々に対して、ただ恩給法で一般的に軍人恩給と一緒になりまして直すというだけでなしに、私は措置を願いたいというように思っているんですが、その点どうですか。
#94
○政府委員(小熊鐵雄君) いまもまだ確実にどれだけの格差があるというようなお答えはできかねるわけでございますが、いずれにしましても、同じ公務員の年金制度でございますし、余り共済年金と恩給との間に大きな格差があるということは必ずしも好ましいことじゃもちろんないわけでございますので、私どもの方もいろいろ検討いたしてみたいと思います。
#95
○山崎昇君 次にお聞きをしておきたいのは、公務扶助料の最低保障についてお聞きをしたいんですが、まず、今回の改正案で公務扶助料が四月からと六月から変わってまいりますが、どういうふうに変わるのか、簡単にひとつ説明を聞いてから問題点を指摘したいと思うんですが、御説明を願いたい。
#96
○政府委員(小熊鐵雄君) 公務扶助料の最低保障額でございますが、五十四年度における最低保障額は九十一万八千円、これに遺族加算を含めまして九十九万円、月額にして八万二千五百円になるわけでございます。
   〔委員長退席、理事林道君着席〕
今回改善いたしますのが、まず四月には兵のアップ率三・八%アップしまして、さらに六月に特段の上乗せをいたしまして、遺族加算を含む額が百十三万四千円、月額にいたしまして九万四千五百円ということに相なっております。
#97
○山崎昇君 そこで、あなたにお聞きしたいのは、この公務扶助料と性格は違いますが、今度の国会に政府から国家公務員の災害補償法の改正案が出されております。この遺族補償年金を見るとかなり差があります。したがって、公務扶助料と、こっちは現職でありますけれども、国家公務員災害補償法に言う遺族年金との間に私は相当差があると思うんですが、どういうふうにお考えになっているんだろうか。あなた方も差があるとお考えだと思うんですが、その点についてひとつ見解を聞いておきたい。
#98
○政府委員(小熊鐵雄君) 国家公務員の災害補償法でございますが、これは御承知のように非常に複雑な仕組みになっておりまして、なかなか簡単にこう比較するというのがむずかしいと思うんでございますけれども、ただ、いま公務扶助料の最低保障額ということとの並びで仮に例を一つとりまして、いまの自衛官が高等学校を卒業して一年勤めてその間に公務死したというような場合を一つ例にとってみますと、普通公務の場合でございますとこれが五十一万円、さらに特別給付金二割を加えまして六十二万円、これが特別公務でございますと約七十七万円、特別給付金を加えまして九十二万円というような金額になるわけでございます。これはもちろんもっと高いところをとればもっと高くなりますし、どの辺をとるかによっても変わってくると思いますが、現在の公務扶助料の百十三万四千円でございますが、大体災害補償だけをとりますと、まあわりあいにいい線にいっているんじゃないかというような感じでおります。
#99
○山崎昇君 やはりあなた認識大分違うんだね。私は人事院で計算したものをいまここに持っておりますがね。これは一つの改善具体例として人事院がつくっているものですが、これによりますというと、行政職の六の十というのを一応平均だというのでとっています。日額を六千円と仮定をしていろいろ計算をされております。この計算を見るというと、途中の計算を省きますが、月額にして現行で十万九千五百円、これが改正されると十一万五千八百円になる。
   〔理事林道君退席、委員長着席〕
あなたの方の公務扶助料が改正されて、先ほど御説明のように九万四千五百円だと言う。ざっと月額で二万一千三百円の差があります。だから、同じ公務で恩給法で扶助料としてもらうと月このぐらい、これは平均ですから人によって違う、これぐらいの差がある。現職の公務員が公務員災害補償法に基づいて遺族年金をもらうとこういう計算になる。さらにその上に公務員の場合には一時金で五百万までもらうことができるようになっている。私は、こういうことはやはり同じ公務で、恩給法は長い歴史のある法律でありますから、そう簡単に変えられないことも承知いたしておりますが、それにしても同じ公務で亡くなられている。片やその恩給法の扶助料をもらう者と片や国家公務員災害補償法の遺族年金をもらう者との間に、月額にしてこれだけ現行で差があるということは、やはり問題点として考え直さざるを得ないんじゃないでしょうか。あるいはまた、従前は共済組合法の例で計算されたりあるいは厚生年金の関係で計算されたり、いろいろやられておりますけれども、いずれにいたしましても私はやはり不合理だと思うんです。いい線いっているなんということにはならぬのじゃないでしょうか、どうですか。
#100
○政府委員(小熊鐵雄君) 公務扶助料につきましては、いま先生御指摘のようにずっと従来のいろんな経過ございます。各種の恩給があるわけでございますが、その中でも非常に特段に従来ともかさ上げを考えてきておったわけでございます。したがいまして、ほかの種類の恩給との並びもあるかと思いますが、先生おっしゃいましたような事実もこれ踏まえまして、今後とも改善に向かって検討してまいりたいと、このように考えております。
#101
○山崎昇君 今後ともと言っても、あなた来年度直しますか。
 私は、やはりこういう問題点というのは、あなた方は専門家なんだから、数字的にそれから根拠を明確にして、現状がどうで、しかし過去の歴史もありますから一遍にいかぬまでも、あなた方みずからやはり直すという態度がなけりゃおかしいじゃないでしょうかね。そういう意味で、これは宿題として出しておきますが、来年度予算編成の際には、半分でも三分の二でも結構でありますが、少なくともこういう差のないようにきちんとしてもらいたい。このことだけ重ねてあなたに申し上げておきたいと思うんです。
 それから、次にあなたにお聞きをしておきたいのは、傷病恩給とそれからまた国家公務員の災害補償法との関係についてもあわせて一点お聞きをしておきたいと思うんです。
 今度出されております公務員の災害補償法を私ども見ておりますというと、「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの」あるいは「胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの」等について改善が図られようとしておるわけです。そこで、恩給法に言う傷病恩給の中で、今日まで多少改善はされてきておりますが、しかしそれでも御存じのように、障害の程度が十二の段階に分かれている。これは御存じのとおり、特別項症、第一から第六項症、それから第一から第五の款症に分かれているわけですが、この症状等差というものについて、かつて傷病恩給症状等差調査委員会があってその答申が出されておるわけで、一部あなたの方でも手直しをされているわけでありますけれども、私はまだ不十分ではないんだろうかというふうに考えます。
 特に、今回の国家公務員の災害補償法を見ますというと、肺結核、精神障害あるいは外傷性てんかん等の三病については症状等差査定方針が示されて、これらの問題については改善をするという方向へ行っていると私ども聞いておるわけなんですが、一体これらと関連しまして傷病恩給におきましてこれらの点どうされようというのか。あるいは、さっき指摘いたしましたように、症状等差の答申を受けましてまだ未解決の点があると思うんですが、それらの点は一体どういう改善方法をとるのか、あわせてひとつお聞きをしておきたい。
#102
○政府委員(小熊鐵雄君) 傷病恩給の査定基準でございますが、これにつきましては、戦後におきましては昭和三十三年に肺結核それから精神障害等の査定基準を見直しを行っております。それから先生御指摘のような四十一年に症状等差調査会、これが設けられまして、この答申を受けまして昭和四十四年に――これもいろいろな答申が上に上がるもの、下に下がるもの、そのままのものといろいろあったわけでございますが、下に下がるものを除きまして全部改善を加えておりまして、いま先生御指摘の精神障害についてもこの際改善されております。したがいまして、今度の災害補償法で改善が二項目ばかり入っているようでございますが、これは織り込み済みだというふうに考えております。
#103
○山崎昇君 そうすると、傷病恩給の関係と国家公務員災害補償法でいうこれらの関係との間には格差がない。こういうふうに理解していいですか。
#104
○政府委員(小熊鐵雄君) 症状等差の方は一級からずうっと通しであるわけです。それから恩給の切り方としまして、いま先生おっしゃいましたような特別項症から七項症まで、それから一款症から四款症まで、こういうことになっておりまして、どことどこを比べてどうというあれはなかなかむずかしい問題かと思いますが、考え方としてはまず変わっていないというようにお考えいただいて結構かと思います。
#105
○山崎昇君 次にお聞きをしておきたいのは、六十五歳以上の長期在職者の普通恩給についてお聞きをしておきたいと思うんです。
 これも六月分から加算されまして、御存じのように七十万という形に最低保障なるわけなんですが、一体この七十万というのはどういう根拠でどういう計算で出てきたものか、まずその点から説明願いたい。
#106
○政府委員(小熊鐵雄君) この最低保障七十万の計算でございますが、まず計算式の中に三つございまして、一つは公的年金といいますか、これの水準になるかと思いますが、厚生年金の定額部分というのがございます。これをまずそのまま基礎に置きまして、これが四十九万二千円であります。それから厚生年金の計算でもそうでございますが、報酬比例部分というのがございまして、これを恩給がらみといいますか、恩給並みの報酬比例部分の計算をいたしまして、それにさらに加給分、これを加えましていま申し上げたような七十万といいますか、詳しくは六十九万九千七百五十円になるわけでございますが、これを切り上げて七十万とするという計算になっております。
#107
○山崎昇君 そこで、まずお聞きをしたいのは、あなた方が予算要求するときには、従来の共済組合方式で計算をして七十二万四千円という要求をしたんじゃないでしょうか。だから、それは査定されて七十万という、後から理屈をつければ、この厚生年金のやり方で定額部分が四十九万二千円、報酬比例部分で十二万三千七百五十円、それに扶養加給分が、私どもの計算ではほぼ〇・七人分ぐらい見て八万四千円ぐらい足して、さっき総トータルとして六十九万九千七百五十円と、こういう計算、だから七十万だと、こういうのですね。ところが、従来とっておりました厚生年金方式で私ども計算をしていくというと、この数字より上になるんじゃないでしょうか。私の計算では八十一万ぐらいになるんじゃないだろうかというふうに計算をするんですが、それは間違いでしょうか、どうでしょうか。
#108
○政府委員(小熊鐵雄君) 従来方式でやりますと、先生いまおっしゃったような八十一万円になるわけでございます。
#109
○山崎昇君 どうして従来方式がとられなくて、七十万という形にして、逆算をしていまのような計算になったんじゃないかと私は思うんだが、その理屈がどうも私にはわからない。もう一遍説明願いたい。
#110
○政府委員(小熊鐵雄君) 厚生年金につきましては、先生御承知のように、何年かに一回ずつ見直しをやりましてその問は余り上がらない。あるときがくっと上がるというような方式になっておるわけでございます。で、今度厚生年金の改善というのがそういった年に当たりまして、がくっと上がるような時期になっておるわけでございます。恩給としましては、やはり恩給独自の恩給的な改善を今後とも続けていくという意味では、この際恩給独自の方式に踏み切った方がいいんではないかと、先ほど先生数字七十万に合わせてこういうものをつくったというお話ですが、必ずしもそうではございませんで、やはり当時これ概算要求つくるころはまだ厚生年金どうなるかというようなことも全然わからない時期でございまして、ただ、今度はがっくりと上がってくるというようなうわさといいますか、そういう話がありまして、いつまでもそういう追随方式よりは恩給独自の考え方を取り入れるべきではないかという意見が出まして、それでいま申し上げたような恩給独自に、物価なりあるいは給与改善といいますか、ベースアップなりあるいは扶養加給の改善というようなものが毎年織り込めるような方式で考えるべきではないかということでこの方式をとったわけでございます。
#111
○山崎昇君 しかし、いまあなたの説明によると、やはり厚生年金の定額部分二千五十円に二百四十カ月掛けて計算される。それから、報酬比例部分、これも同じことですね。それから、扶養加給分についてもそうです。そうすると、たとえば厚生年金の最低報酬が上がった場合一体どうなる。計算ががらっと変わりますよ。それはじゃことしは見ないのですか。だから、従来の方式であなた方やっておったものを、今度七十万にするためにわざわざやめたのじゃないでしょうか。私どもそう意地悪くとりたくないと思っているのですが、予算査定で抑えられたからどうしてもその逆算でこういう計算をあなた方はとっているのじゃないだろうか、そう思われてならないのですよ。どうでしょうかね、そうは思い過ぎですか。少し私が意地悪過ぎますか。
#112
○政府委員(小熊鐵雄君) 必ずしも先生が意地悪と思いませんけれども、いま申し上げましたように、毎年何らかの改善、今後これはひとつ先生にもごらんになっていただきたいと思うのでございますが、これは恩給独自のといいますか、恩給方式の改善というものを今後とも考えてまいりたいと思いますので、もうしばらくこれをごらんになっていただきたいというように思うわけでございます。
#113
○山崎昇君 もうしばらくごらんになれって――ぼくらはもらうのでないから幾らでも見ていますよ。もらう人はそんな悠長なことを言っておられませんよ。物価はどんどん上がるし、厚生年金の最低報酬額が上がれば、自分で計算すればすぐ出てくるわけですから。ですから、そんなのんきなことを言っている場合じゃないんじゃないかと思うので、この点はやはり私の方がきちんと申し上げておきますから、ひとつ再検討願っておきたいと思うのです。
 それから、次にお聞きをしておきたいのは、普通扶助料についてお聞きをしておきます。
 昨年、私が多少質問して、年齢制限が撤廃になって、これは一つの前進だと思っているわけなんですが、しかしこの最低保障額がこれまた上がっていくわけなんですけれども、その基本的な考え方をまずお聞きをしておきたいと思います。
#114
○政府委員(小熊鐵雄君) 最低保障につきましては、国会でもしばしば御議論いただいておりまして、毎年この普通恩給に対する給付率といいますか、この改善を図ってきておるわけでございます。それで、昨年になって普通恩給の六五%という線になったわけでございます。今回もいまお託の出ておりました普通恩給の最低保障のアップ、これを見まして同じような率でアップするということでございます。
 ただ、今回は厚生年金の寡婦加算が非常に上がっておりまして、四万八千円から十二万円に上がるというような非常な上がり方でございまして、これを加えますと、従来にないわけでございますが、八二%の給付率になるということでございます。
#115
○山崎昇君 この普通扶助料の計算が、いまあなたが百分の六十五という――七十万に百分の六十五を掛けると四十五万五千円ですね。ところが、大蔵省にあなた方が要求したのは五十万四千円じゃないですか。この五十万四千円というと、どういう計算になりますか。まずその点が私はわかりません。
 それから、先ほどちょっと質問いたしました兵の仮定俸給を大体三・八%上げているわけなんですが、それで計算すると六月分から四十五万五千円ぐらいになる。これと実は普通扶助料と合わせたんじゃないんですか。数字でいくと似たようなものになるんじゃないんだろうかと思うのですが、第一に、大蔵省に要求した五十万四千円というのはどういう根拠でやって、今度四十五万五千円というのは、昨年も百分の六十五という数字は使っていますが、それはそれなりに私も理解をしておきたいと思うのですが、いずれにいたしましても、四十五万五千円の根拠が私はやはり不明確ではないんだろうかと、余りはっきりしていないんじゃないだろうかと、これも数字合わせではないんだろうかという気がしますが、どうですか。
#116
○政府委員(小熊鐵雄君) 先生先ほどおっしゃられた五十万四千円でございますが、これはまさに厚生年金の定額部分になるわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、この際厚生年金と離れて恩給独自の考え方ということもございますし、特に寡婦加算が非常に、特段に増額になるというようなことから、アップ率としましては普通恩給の最低保障、これのアップ率をそのまま用いたと、こういうことでございます。
#117
○山崎昇君 先ほど来からあなたは厚生年金方式を改めて恩給独自独自と言っているけれども、六十五歳以上の長期在職者の普通恩給の計算は厚生年金の例をとっているわけでしょう、さっきあなた説明したとおり。そして、予算要求やったときには従来の方式でやっておって、今度は査定されて減ってきたから独自の方式とあなた方言っているんじゃないでしょうか。しかし、恩給だけ独自の方式とれますか、あなた。どうしてもやはり基礎にありますのは、厚生年金なり共済年金なりそういうものとのバランスをとったり、あるいはその方式を度外視して恩給法独自の方式なんかとれないと思うのですよ。そうすると、出た結果について逆算をしてあなた方は独自だ独自だと主張しているだけにすぎなくて、実際は独自なものなんか私はできないと思っているんです。その点どうですか、これも意地悪いですか。
#118
○政府委員(小熊鐵雄君) 意地悪ですとは申し上げませんが、もちろん先生おっしゃったように、恩給だけ先走ることもおくれることもできませんで、やはり厚生年金とかあるいは共済年金、これを横にらみしながらいろんな改善を考えていかなければならないというように考えておるわけでございます。ただ、その方式としまして、先ほども申し上げましたように、普通概算要求の時期ではまだ厚生年金の改善その他も出ていませんし、どうしても何らかの恩給独自の考え方というのを入れてまいりたいというのが私どもの考え方であったわけでございます。
#119
○山崎昇君 次に、寡婦加算についてお聞きをしておきたいのですが、私は寡婦加算というのは本当にことしの改善の場合にはぐっと上げましたから、その意味ではあなた方の努力を認めるにやぶさかではないわけです。したがって、扶助料等は公務もそうでありますし、普通の場合もそうでありますが、最低保障が大変いままでに比べたらよくなったということも私そうだと思うのです。
 ただ、これと関連しまして、扶助料が一般的に、年金もそうでありますが、支給率が半分になるわけですね。ただ、寡婦加算とかそういうものがぐっと上がりましたから、先ほども説明ありましたように、八二%ぐらいになると、こうあなたおっしゃっているわけですが、それはそのとおりだと思うのです。ただ一般論としまして、寡婦加算もさることながら、やはり遺族年金とか普通扶助料とか公務扶助料も含めまして、扶助料関係というものが一般論として在職者の半分しかならない。これがILOでも、年金等の場合の遺族年金は少なくとも百分の六十、できれば百分の八十ぐらいにせよと、こういうわけなんですが、そういうものと関連をしてあなた方の見解をひとつ聞いておきたいと思うのです。
 それから、寡婦加算をこれだけ上げなければ最低保障が保てないものだから上げたんだと思うのですが、今後この寡婦加算について引き続いてどんな見解を持っていかれるのか、あわせてこれも聞いておきたいと思う。
#120
○政府委員(小熊鐵雄君) 扶助料がいま原則は普通恩給の五〇%になっておるわけでございますが、この五〇%を引き上げるべきだというお話かと思いますが、扶助料の改善方法としてそういった給付割合を上げるという方法ももちろん考えられるわけでございますが、これをやりますと、先ほどもちょっと話の出ましたむしろ上厚下薄になるような改善になってしまうということで、この寡婦加算というのを入れましてずっと定額の積み込みというかっこうでやってきたわけでございます。
 この寡婦加算の今後の改善ということにつきましては、これまたほかのいろんな年金制度の並びもあるかと思いますが、やはり改善を考えてまいりたいというふうに考えております。
#121
○山崎昇君 次に、厚生省も来ておられるようですからお聞きをしておきたいんです。
 日赤の看護婦の問題については、ようやく五十四年の四月から、十万から三十万の間でありますが、慰労給付金として支給されることになっているわけなんですが、そこで、これはまあ恩給ではありませんで、過去の苦労といいますか、そういうものに対する慰労という形で慰労給付金になっていることは私も承知しておりますが、しかし一般的に、やはり恩給も多少スライドする、あるいは年金もそれなりに上げていく、こういう中で、これは過去の苦労に対する慰労金だからもうこの固定された十万から三十万でいいんだという理論には私はやはりならないんじゃないだろうかと。この点についても、多少でありましてもやはりスライドして、いまの物価問題等のめんどうを見るというのが私は筋道じゃないんだろうか、こう考えるんですが、この日赤看護婦にいま支給しております慰労給付金のスライド制の問題について、衆議院でも議論しているようでありますが、これは厚生省にも聞きたいし、それから扱いました総理府にもお聞きをしたいと思います。
#122
○政府委員(関通彰君) 日赤の従軍看護婦に対します慰労金は、先生ただいまお触れになりましたように、五十四年度から実施し、昨年の十二月に最初の交付をいたしておりまして、五十五年度もその経費を総理府の予算に計上しているわけでございますが、いわゆるスライドの計算をしてないわけでございます。これは、やはり慰労金の本質的な性格からくるものでございまして、本委員会でも御審議の際明らかにされておりますが、なかなか従軍看護婦の問題は既存の恩給あるいは年金制度に乗せがたいと。年金制度でございますと、所得保障的な性格を持っておりますのでスライド制を採用いたしておりますが、そういう年金制度には乗せにくいと。しかし、過去の苦労には何とかして報いる方法がないかということでとられたのがこの慰労金の措置でございます。
 慰労金の形で出します場合、あるいは一時金の形あるいは十年償還の国債等の方法もあろうかと思います。こういう方法でございますとスライドの道は閉ざされるわけでございますが、そうではなくて、年々予算措置をして支給するという形態はとっておりますが、ただ基本的に、ただいま申しましたような過去の労苦に対する慰労ということでございますのでスライド制を採用してない、かように御理解いただきたいと思います。
#123
○山崎昇君 ですから、性格は私もそれは承知した上であなたに聞いているわけです。しかし、これを決めるまでの間にいろんなことがありましたけれども、やはり決め方は恩給同様に年限でやっているわけですね。実在職の年限で金額決めているわけでしょう、実際問題としては。そうだとすれば、当然やはり恩給に準じた考え方をとっても私はいいのではないかと。ただ、スライドという言葉がいけないのであれば、二年に一遍でも改定をするとか、あるいは三年がいいという意味ではありませんが、例として言えば、三年に一遍金額を改定するとか、そういうことがやはりあってもいいんではないでしょうか。それは恩給法によらないことは承知しています。過去の苦労に対する慰労だということも承知しています。しかし半面、それに対して、いま生活が大変だから、多少それに報いるために補助的な意味もありまして支給しているんだと思うんですよ。そういう意味で言えば、一般の世の中が全部毎年毎年これだけ議論されて、恩給にしろ年金にしろあるいは公務員の災害補償にしろ改定されていく。これだけ、決めたが最後一遍も変えないという考え方は私はとるべきじゃないと思うんです。どうですか、スライドをまず考えて、どうしても理屈の上でスライドが困難だというなら、まあ、毎年毎年改定ということも何なら、せめて二年に一遍程度はやはりそれ相応に変える、そういう考え方があっていいんじゃないんだろうかと思うんですが、どうですか。これは総理府にも聞いておきます。
#124
○政府委員(関通彰君) 慰労金の基本的な性格からスライド制というのはとりがたいわけでございますが、年々予算を計上している措置でございます。昨年初めて支給したばかりでございまして、五十五年度は二年目ということでございますが、年々予算を計上する措置でございますので、将来の問題といたしましては、予期せないような経済変動等ございましたらそれなりに検討はして対応しなければならない、かように考えております。
#125
○山崎昇君 厚生省どうですか。
#126
○説明員(森山喜久雄君) 日赤の従軍看護婦さんの件に関しましては、厚生省の方では扱っておりませんので。
#127
○山崎昇君 最初はそうじゃないじゃないですか、あなた。物の考え方をいま聞いているわけですから。
 そうすると、いま、ことしで二年目だから、経済の変動という言葉をあなた使ったが、少なくとも来年度ぐらいは多少改定をするという考え方はありますか。そういう方向を考えるということに理解していいですか。それは、どうするということはいますぐぱっと言えないかもしれませんが、少なくとも総理府の中には、やはりこれ多少変えなきゃいかぬなあという程度でもお考えがあるのかどうか、これは総務長官の政治要素も入ってきますから、あなたの決断も聞いておきます。
#128
○政府委員(関通彰君) 将来の問題として、著しい経済変動がございましたら検討しなければならないかと存じておりますが、ただいま先生おっしゃいましたような、具体的に五十六年度というようなことは総理府といたしましてもまだ考えておりません。
#129
○山崎昇君 どうですか、長官、来年度考えてよ、これ。
#130
○国務大臣(小渕恵三君) 本件につきましては、私も実はたしか衆議院での審議の過程でもお伺いしたかと思いますし、特に、ただいまは山崎委員から御熱心な検討を命ずるようにと、こういうことの御要請でございますが、先ほど御答弁申し上げましたように、ようやくにして懸案の事項について政府として取り組んだ問題でございまして、先ほどの答弁申し上げましたような趣旨をもちまして、慰労給付金という性格のたてまえから予算を執行しているわけでございますので、ここ何年のうちにこれを改定するということを明言することはできませんが、しかし、想像できないような物価変動というものが、これは想像したくないことでありますけれども起こる事情もこれまたあることでございますので、そうしたことも十分勘案しなければならないと理解はいたしておりますが、明年のことにつきましては、現在まだ五十五年度予算を執行し始めたばかりでございますのでまだ十分検討する段階でございませんが、しかし、本院でのせっかくのお考えでございますので、部内で十分これひとつ勉強してみたいと、このように考えております。
#131
○山崎昇君 長官ね、なるほど制度そのものは、基金制度をつくって、そして国が三年度で二十五億ぐらいの出資をして、年六分の利回りでやって、一億五千万ぐらいの金を回しながら支給するわけですね。しかし、ここまで来るのにやはりこの委員会でもずいぶん議論があって、皆さんも苦労もされたと思うんです。しかし私は、恩給法の適用はなかったけれども、兵並みの仮定俸給をつくって、そしてその動続年数によって金額を決めて、いうならば恩給に準ずるようなかっこうでこれやっているわけでしょう。そういう意味で言うと、とにかくあなたの努力で、一つぐらいあなたが総務長官中にいいことをやって去るのもいいんじゃないかと思うんだが、そういう意味では、来年度ひとつ考えてみるというところぐらいまで答弁してほしいんですが、どうですか。――できるできないは結果としてあるかもしれません。あるかもしれませんが、少なくとも総務長官として、それぐらいの努力をするということぐらいこの委員会で約束してくださいよ。
#132
○国務大臣(小渕恵三君) 質疑者のお述べになっておる趣旨については十分理解するところではありますが、長い経過の中で、ようやくにして、苦労の末つくり上げたこの未処理問題の解決方法としてこうしたものが取り上げられておるわけでございますので、御趣旨につきましては総理府部内で十分検討はいたしたいと思いますが、ひとつ、確約すると言うわけには、これ大変申しわけありませんが、できかねることでありますが、真剣に取り組んでみたいと思います。
#133
○山崎昇君 真剣に取り組むということでありますから、私の方は前進するものと理解をしてこの質問を終えておきたいと思います。
 最後に、衆議院でもずいぶんこれ議論になったことでありますけれども、陸海軍の従軍看護婦の問題で一言聞いておきたいと思います。厚生省、調査予算が千七百万ばかりついたようでありますが、一体どういうふうに調査して、大体どれぐらいをめどにしてこの問題について結論を出していこうとしているのか、まず、現状とそれから今後の方針について厚生省からまず聞いておきたい。
#134
○説明員(森山喜久雄君) 旧陸海軍看護婦さんの件でございますけれども、実は厚生省にこれらの方々の資料が残されておりませんので、本年度実態調査を行うということになったわけでございます。対象でございますけれども、いろんなデータを研究いたしました結果、約二万三千人ぐらいいらっしゃるんじゃないかということで、一応予算の積算は二万三千人ということで千七百万調査費がついたわけでございます。
 この方法でございますけれども、これはいま鋭意検討中でございまして、近いうちに成案を得ると思いますけれども、実態調査票を作成いたしまして、これを都道府県を通じまして調査の対象となる方々にお配りをする。それで、調査の内容でございますけれども、これは、各個人の陸海軍看護婦になられてからの履歴を年代順にずっとお書きいただき、特に重点になるのは戦地勤務の関係でございますけれども、そういう履歴を書いていただきまして、その履歴を裏づける何か資料をお持ちかどうか、持ってない方が大部分だと思いますけれども、そういう資料があるかどうかということもあわせてお聞きしたいというふうに考えております。で、記入していただいた調査票は逆の経路をたどりまして、都道府県を通じまして厚生省に集める、厚生省で必要な集計を行うということでございます。
 実施の時期でございますけれども、できるだけ早い機会に実施したいということでいま作業中でございます。
#135
○山崎昇君 この問題は、あなたの方も内容的に十分承知していることでありますから、余り言うこともないと思うんですが、同じ軍隊にいて勤務しながら女子職員だというので、これ乙種の組合員でありましたから、当時の共済組合の対象から外されて、恩給が給付されていないわけなんですが、しかしやっていることは御存じのとおりですね。私どももこの会の方々と接触しておりますが、何といっても、やはり年齢が年齢だけに、調査も早急にやって、それからいまあなたの説明では二五三千人ぐらいおられるようだというのですが、二万三千人全部調査を終わらなければできないということにもならぬじゃないんだろうか。行政の面から言えば完全なものにしてから当然制度をつくって支給するものはするというのがたてまえだということは私も承知します。しかし問題が問題だけに、ある程度の方向が出たらやはりその面から一部でありましても実施をしていくんだという態度ぐらいあっていいんじゃないだろうかという気もします。その点はどうですか。まだ、ここで、いま調査中だから調査を終わってからのことまで言えぬということもあるかもしれませんが、物の考え方として、少なくとも早い機会に調査をして、来年度ぐらいは実施の予算要求をしながらこういう方々に対して苦労に報いる、こういう形のものになることが一番いいんじゃないかと思うし、当然ではないかと思うんですが、それについてのあなたの見解はどうでしょうか。
#136
○説明員(森山喜久雄君) これは、厚生省の担任する部分は現在のところその調査でございますので、将来の話はちょっと私からは申し上げられませんけれども、調査はもちろん予算に間に合うような時期までに結論を得るような形で実施したいというふうに考えております。
#137
○山崎昇君 そうすると、総理府に聞きますが、これ調査を終わったら担当はあなたの方ですか、これは。
#138
○政府委員(関通彰君) 調査が終わりましたら総理府を含めまして関係省庁と協議いたしたいと、かように考えております。
#139
○山崎昇君 含めましてじゃなく、中心になって実施するのはあなたのところですか。実施する方針についてどうするということとか、金額はどうだとか、そういうことについては関係するところと相談をするかもしれませんよ。するかもしれませんが、この事務を扱って、実施は総理府と考えていいんですか。いいんですね。
#140
○政府委員(関通彰君) それも含めまして関係省庁と相談しなければならないと考えておりますが、一点申し上げさせていただきますと、日赤の場合は日赤本社がございまして、本社から支給事務が行われたわけでございますが、陸海軍の看護婦の場合は若干事情が違うものでございますから、関係省庁で協議して決める、かように考えております。
#141
○山崎昇君 日赤でやっていますが、最初は総理府でやったわけでしょう、第一回目のときは。だから私は、いずれにしても、いま厚生省で調査をやって、できれば来年度予算に間に合うように調査を行いたいという答弁でありますから、それを期待をしておきたいと思う。
 それから、この陸海軍の問題は日赤の問題と密接に関連するわけですから、いま支給そのものは日赤でやっているにしても、扱いは総理府でやったわけですから、当然私は総理府で扱ってこの問題の処理がなされるものだと思うんですが、重ねてこの点だけは聞いておきます。
#142
○政府委員(関通彰君) 調査結果の検討及びその後の措置の検討につきましては、総理府も積極的に参加いたしまして検討いたすつもりでございます。
#143
○山崎昇君 それでは総務長官、いままで私は主として技術論できょうはお聞きしております。本来なら衆議院でやっております論題のほかにも恩給めぐりましてたくさんありますが、また共済組合のときに関連します点もありますから、きょうはこの程度で終えておきたいと思うんですが、いずれにしてもお聞きしましたようにかなりまだ矛盾点があるし、それから均衡とらなきゃならぬ点もあります。さらには、いま最終場面で議論になりましたような陸海軍看護婦の問題もありまして、やはり総理府の動き方いかんによりましてはきわめて重要な場面を持ってくると思うんで、ぜひ私どもの強い要望として、来年度予算でこれが実現できますように心から期待をしておきたいと思うんですが、それに対するあなたの決意を聞いて、私の質問を終えておきたいと思います。
#144
○国務大臣(小渕恵三君) 先刻来の山崎委員並びに恩給局長との間のやりとり、十分拝聴いたしました。恩給は政治なりという言葉も私承知をいたしておるつもりでございます。十分心得まして、明年度予算編成に当たりましては、恩給受給者を初めといたしまして関連する方々のお立場も理解をいたしまして、その担当の責任者として十分努力をいたしてまいりたいと存じます。
#145
○穐山篤君 参考人の方に最初に、ただいま山崎委員からも質問のありました日赤看護婦さんの取り扱いについてお伺いをします。
 昨年秋に恩給法が議論をされまして、昨年十二月、第一回の慰労金の支給が行われたわけです。その際に、各委員からいろんな質問がなされましたが、最終的に政府側が取りまとめをいたしましたお答えというのは、「日本赤十字社におきましてはこの措置の運用の推移を見ながら慎重に検討してまいりたい」というふうに、まあ総理府自身の研究もありますが、一つには日赤当局自身の検討というものが約束をされているわけですね。
 そこで、日赤当局としては研究、検討はされていると思いますが、どういう問題点が現実に起きているのか、あるいはその問題点を解決するためにはどういう方策がいいのか、そういう点について洗いざらい、問題があろうと思いますので、まず、参考人の方からその点についての見解を伺います。
#146
○参考人(片岡経一君) 日赤の社会部長の片岡でございます。
 日赤従軍看護婦につきましては、昭和五十四年度から慰労給付金が支給されることになりまして、本件につきましては、各党の先生方の非常な御尽力をいただきましたことに対しまして厚く御礼を申し上げておきたいと思います。
 戦地、事変地等に派遣されました日赤の救護看護婦につきましては、救護看護婦を派遣いたしました当時の事情がございます。それから、その勤務の状況等から、恩給制度を準用いたしまして、戦地加算というものも考慮していただいて、兵に準ずる処遇をしていただきたいということでいろいろやってまいったわけでございます。まあ諸般いろいろな事情もございまして、最終的に現行の制度のようなふうに決定いたしたわけでございます。
 そこで、いま御指摘の、支給対象者その他につきまして日赤の考え方を申し述べてみたいと思います。
 まず、支給対象者を限定いたしました件についてでございますけれども、軍属等が今次大戦に出まして、公務上傷病にかかった、あるいはこれらの者の遺族に対する補償とか、そういうものにつきましては戦傷病者戦没者遺族等援護法という法律がございます。この法律によりますと、対象となりますのは昭和十二年の七月七日以降の者であるということを日赤としては勘案いたしまして、このたびの慰労給付金の対象者につきましては、昭和十二年七月以降戦地において旧陸海軍の戦時衛生勤務に服した者及び当該勤務に引き続きまして抑留または留用された者……
#147
○穐山篤君 ちょっと途中で済みません、現行の制度よくわかっていますから、問題点のところだけ言ってください。
#148
○参考人(片岡経一君) そういうふうな者を対象といたしたわけでございます。
 支給額につきましては、先ほどからも御意見がございましたように、慰労金ということで、兵に準ずるということでございましたけれども、五十五歳から支給対象になりますので、この五十五歳に見合う兵の恩給というものを参考にいたしまして実際の実務期間の長短に応じて決定したわけでございます。
 それから、一時金につきましては、あくまでもこれが慰労金であるということから、しかも長期間に対する慰労金という考え方から、恩給の受給資格年数等を考慮いたしまして、それから加算を加えて十二年以上の勤務期間のある者に支給をするということにいたしまして、この勤務期間に達しない者につきましてはそういった趣旨から対象外にいたしました。
 それから、遺族の問題でございますけれども、これは慰労給付金の性格から、生活保障ということじゃございませんで、あくまでも御苦労なさった慰労であるということから、遺族には及ぼさないということにいたしたわけでございます。
 それから、先ほど来こちらへ出ておりました物価スライド制についてでございますが、現行制度では物価スライド制はとっておりません。ただ、著しい経済変動、そういうようなものがありました場合には、これは関係省庁と協議をいたしたい、そういうふうに考えております。
 以上でございます。
#149
○穐山篤君 支給をされた人は、長年の懸案事項がとりあえず解決をしたわけですから、そういう意味では感謝をされていると思うんですね。
 ところが、ざっくばらんに、一たん支給をいたしますと、金額の問題につきましてもあるいは兵と同じ扱いになるわけですが、看護婦さんの中には、今流に言うならば婦長なり総婦長という立場の人もあったであろうし、そういう点を考えてみますと、もっともっと枠を拡大をする、あるいは加算をする、あるいは適用について追加をするというふうに問題が出ているのではないかと私どもは思うわけです。現在の制度は制度にいたしましても、支給をされた方々の意見や、あるいはこの期間を切ったり、あるいは満五十五歳というふうに年齢の制限をしましたために該当しない人があるわけですね。そういう人の意見を聞いた結果、日赤当局としてはどういうふうな検討を行っているのか、どういう問題点がいま関係者から上がっているのかということを私は聞いているわけです。いかがです。
#150
○参考人(片岡経一君) 本制度が施行されまして、昨年の十二月に慰労給付金の支給があったわけでございますが、それ以後は、本社に参っております手紙あるいは電話等によりますと、今回、国からこういった過去のいろいろな苦労をお認めいただいたということで看護婦さんたちは非常に感謝をしておりまして、先ほど来問題となっております一時金の問題あるいは対象者の問題等につきまして、いま直ちにどうこうしてくれというような問題は私余り聞いておりません。
#151
○穐山篤君 そうすると、日赤当局としてはもうこの措置で十分だというお話ですか。何も問題ないんですか。
#152
○参考人(片岡経一君) 強いて問題と申し上げれば、これから物価が非常に上がってくるというようなことがありました場合に、それが著しい物価変動でありますれば、これは関係当局と御相談を申し上げたいと思っておるわけでございます。
#153
○穐山篤君 結論はきょう出さなくて結構だと思いますが、先ほども指摘をされておりますように、ベアといいますか、増額の問題をこれから一つは研究をしてほしい。
 それから、適用地の問題ですが、「事変地又は戦地において」というふうに限定をしてあります。当然のことだとは思いますが、しかし台湾なり朝鮮は除外をされているわけですね。これも厳密な意味でいきますと、恩給法の方では朝鮮の場合には加算をしているわけですね。そういうことを考えてみますと、適用地域についての拡大も関係者から当然出ているわけです。私どものところにも陳情、請願が現にあるわけですね。そういう現実は十分に認識してもらわないとまずいんじゃないだろうか。
 それから、これは御苦労された方についての慰労金という意味で支給がされておりますが、亡くなった方について全く何にもしなくていいのかと、気持ちの上ではじくじたるものをお互いに持つと思うんです。その点についても引き続き研究の要ありというふうに私どもは考えます。
 きょうは結論を急ぎませんけれども、それらの問題を含めて、なお日赤当局としても関係者の意見を十分にひとつ聞いてほしいということを注文をしておきたいと思います。いいですか。――研究してくださいね。
#154
○参考人(片岡経一君) はい。
#155
○穐山篤君 それでは恩給法の方に戻ります。
 いま出されております恩給法に必要な予算の要求というのは昨年の夏でありました。ところが、五十四年度の恩給が決まりましたのは去年の九月、多少時期のずれがあります。
 そこで、昨年九月七日の参議院内閣委員会で、これを採択するに当たりまして附帯決議をつけました。それから、同じく一昨年、五十三年四月二十五日の日に、内閣委員会は法律を採択すると同時に附帯決議を各派満場一致で決めたわけであります。この両方を見比べてみますと、一昨年が日赤看護婦さんのことが載っていましたが、昨年はそれが決まった後ですから、附帯決議には載らなかった。昨年は七項目の附帯決議が行われたわけですが、さてそこでお伺いしますのは、この七項目の附帯決議を今回の恩給法の改正にどういう視野で改善の方向を出されたのか。あるいはこの中には今回改善措置がされていない問題もあるわけです。なぜそれは今回法律改正に間に合わなかったのか。そういう根拠を一つ一つお伺いします。
#156
○政府委員(小熊鐵雄君) ただいまの先生御指摘の、昨年の当院における附帯決議、七項目あるわけでございますが、このうち恩給に直接関係しますのが五項目でございまして、陸海軍看護婦であるとかあるいは老齢福祉年金の併給問題、これは恩給局とは関係ない話でございますが、その関係いたします五つの項目のうちで、まず、この資料によりますと二番目になるわけですが、恩給の最低保障額について引き続き引き上げを図れと、こういう点でございますが、これにつきましては、今般もいわゆる給与改善のベースアップのほかにさらに格段の上積みをいたしまして、五十四年度六十四万七千円を七十万円に、八・二%のアップということで格段の格上げをいたしたところでございます。
 また、扶助料の給付水準でございますが、これにつきましても、先ほど来御議論いただきましたように、特に寡婦加算を格段に上げまして給付率八二%というところまで引き上げてまいっておるわけでございます。
 それから、一番目の実施時期について現職公務員と同じような実施時期をとるべきではないかと、こういう御質問でございますが、これにつきましてはいろいろ他の公的年金との絡みもございますし、それと恩給の場合、公務員の前年の改善率を指標に使うという方式でやっておるわけでございまして、恩給金額の水準そのものが果たして一年おくれかどうか。というのは、先ほど来申し上げておりますように、恩給にはいろんな恩給の種類ございまして、それぞれについていろいろ格段のかさ上げ、ベースアップ以外のかさ上げをやっておるわけでございますので、そういった意味から給付水準そのものが一年おくれかどうかという点についてもいろいろ議論をされる方もあるわけでございまして、ただ、私どもといたしましては、この附帯決議に基づきまして少しでもこれから早めるように努力しておるわけでございますが、御承知のように四十八年に十月実施だったものを逐次引き上げてまいりまして、現在四月というのがやや定着したかに考えておるわけでございますが、こういった点、他の、先ほども申し上げましたように公的年金との絡みもございますが、さらに検討を加えてまいりたいと、このように考えておるわけでございます。
 それからもう一つ、加算年の事務処理についての措置でございますが、これにつきましても、いろいろ本属庁である厚生省あるいは都道府県、これと十分連絡をとりながら、とにかく一日も早くそういう措置をするということで懸命の努力をいたしておるわけでございます。
 それから、文武官格差のことがございますが、これは軍人の恩給、これの仮定俸給の決め方というのは文官の場合と非常に違いまして、ずっと戦前から兵の各階級、一階級ごとに一仮定俸給という形で、本当の給料よりははるかに高い仮定俸給を決めてやってまいったような経過がございまして、文武官格差というのをどういう次元でとら身るかといういろいろ問題があるかと思いますが、これも戦前と余り隔絶したような差が出ては適当ではないというふうに考えまして、これも今後とも検討を続けてまいりたいと、このように考えておるわけでございます。
#157
○委員長(古賀雷四郎君) この際、片岡参考人には、大変お忙しいところを本法律案の審査のため御出席いただき、貴重な御意見を賜りありがとうございました。どうぞ御退席いただきます。ありがとうございました。
#158
○穐山篤君 それから、いまは直接関係のあるところからの御説明ですが、残り二つですね、旧陸海軍看護婦さんの問題と支給制限を撤廃する問題、これはどちらが担当しておりますか。総理府ですか。
#159
○政府委員(関通彰君) 旧陸海軍の看護婦さんの処遇の問題でございますが、旧陸海軍の看護婦さんにつきましては、日赤の従軍看護婦さんの場合と異なりまして実は資料が著しく不備な状況にございます。日赤看護婦さんの場合は、日赤の本社に個々の看護婦さんの勤務記録があったわけでございまして、それによりまして慰労金の支給ができたわけでございますが、陸海軍の看護婦さんの場合はそういう資料が全くないということで、本委員会等でも御審議がありました後、関係省庁相談いたしまして、五十五年度に厚生省で調査をしていただくということに相なっております。厚生省で今年度調査費を計上されまして調査をされますので、その調査結果を待ちまして措置について検討いたしたい、かように考えておるわけでございます。
#160
○政府委員(小熊鐵雄君) 最後の、恩給受給者に対する老齢福祉年金の支給制限を撤廃することでございますが、これは恩給の問題ではございませんで、恩給の方は別に制限を加えておるわけじゃございませんで、福祉年金の方で制限を加えているわけでございます。
 それで、厚生省の年金局の方がもし見えておればその方のお答えの方がいいかと思いますが、ちょっとお見えになっておられないようなので、ただ、私ども聞いておりますのは、制限額を四十一万円から今度四十五万円に引き上げたということを聞いておりますので、その旨だけお答え申し上げておきます。
#161
○穐山篤君 それで附帯決議がどう今回の改正案に盛られたか、反映をされたかということについて、私はこの席では議論を差し控えますが、先ほど山崎委員との問の議論を通しても問題ありというふうに確認をせざるを得ないと思います。
 それから次に、直接恩給法に関係をして各種団体からいろいろな請願、陳情がございます。それから国民の中には、これは恩給に該当するのか援護法に該当するのか、そういう区分けがよくわからないけれども、戦後処理として何らかの措置をしてほしいという請願、陳情もたくさんあるわけですね。私、請願文書表を見ましたところ、かなり膨大なものがあるわけですが、そこで担当がどこになるかはよくわかりませんが、総理府とそれから厚生省にその点をお伺いします。
 まず、恩給に直接関係ある、あるいは直接関係あるかどうか知りませんが、関連のあるというふうな請願、陳情というものを整理をしていただきまして、大体こんなものがあるというのは種類別に言うとどういう種類でしょうか。その点最初にお伺いします。
#162
○政府委員(小熊鐵雄君) 恩給に関連しまして、私どもいろいろ陳情あるいは請願を受けておるわけでございますが、いま先生、終戦処理とおっしゃられたわけでございますけれども、終戦処理の中で特に恩給局としてあるいは恩給に関連あるものとして考えられますものを大きく分けますと、一つは、外国にありました特殊法人あるいは特殊機関といったものに類似のいろいろな国策会社のようなものがあったわけでございますが、そういったところに勤めた年限を通算してもらいたいというのが一つかと思います。
 それからもう一つは、非常に軍人なんかと似たような生命の危険を感じながら仕事をしてきた、こういったものを恩給期間そのものとして考えてもらいたい、こういったものがあるわけでございます。
 大体、大きく申しますとその二つになるかと思いますが、第一点の通算問題につきましては、戦争中と申しますか、特に満州、シナといったところにいろいろな国策会社的なもの、こういったものが百を超えるようなそういった法人あるいは機関があったわけでございまして、そのうちいろいろ人事交流の点であるとか、あるいは業務の内容の点であるとか、あるいはその法人の性格であるとか、こういったものからどうしてもやはり恩給――特に人妻流の点があったわけですが、公務員からそちらに行く、あるいはそちらから公務員に帰ってくるというような点で、どうしてもやらなきやならないというような機関あるいは法人が二十二ございまして、これについてはすべて措置済みでございます。その他のものにつきましては、非常に類似の会社、法人といったようなものがあるわけでございますが、いろいろな点から考えて、いま申し上げた二十二とは若干性格も違うし人事交流の点も違うということで措置していないわけでございます。そういった点が一つあるかと思います。
 それから第二点の、非常に苦労したので恩給期間そのものとして考えてもらいたいというのが、いわゆる特務機関であるとかあるいは上海工部局の警官であるとか、こういった方があるわけでございます。しかし、これも恩給というのは約百年続いておるわけでございますが、官吏とかあるいは軍人といったような身分を一つの枠決めにしておりまして、これを動かすというのは非常に大きな問題になるわけでございますので、こういったことについても恩給としては考えがたい、こういうことでございます。
#163
○穐山篤君 厚生省。
#164
○説明員(楠本欣史君) 厚生省関係、すなわち援護法関係あるいは関連でございますけれども、御承知のとおり、援護法は死亡した方々あるいは障害を負った方々、こういった方々の身分あるいは死亡、障害の態様あるいは遺族の身分関係、こういった要素によって構成されておりますので、そういった態様別に申し上げますと、やはり最初に申し上げました身分、この身分の拡大を求めるような陳情あるいは要望というものが多いようでございます。それは実は先般も御指摘のありました中でも青年義勇隊開拓団の問題、これがございます。また、満州国そのもの、満州国の軍人の問題、こういったものもございます。さらには、終戦後引き揚げ援護業務がございますけれども、そういった終戦後の引き揚げ援護業務関連で死亡された日赤救護員の方々の処遇の問題、あるいはこれはむしろ制度の仕組みを改める、こういう問題ではございませんけれども、援護法の運用の問題といたしまして、援護法上「戦闘参加者」という概念がございますけれども、この「戦闘参加者」という概念の中に沖繩の六歳未満の方々を処遇できるかどうかという援護法の運用上の問題等々がございます。
#165
○穐山篤君 分類をしてみますと、恩給法で言うならば、まず現行法律の内容を充実をしてもらいたい。これは、たとえば最低保障額を上げてくれとか、文武官格差をもっと圧縮をしろとか、そういう意味の現行法の中の問題が一つありますね。
 それから二つ目は、いまもお話がありましたが、直接適用することについてなかなか理由づけが非常に困難だ。にもかかわらず、長年要求をして、できる限り恩給法の適用にしてほしい、こういう追加拡大というものが見受けられるわけですね。
 その他の要求を私も調べてみますと、ある意味で言うならば、戦後処理をしてほしいという一般的な要求、こういう三つになるわけですね。それから、援護法についても同様な分類をすることができるわけです。
 そこで、現行の恩給法の中のそれぞれのものについて充実強化を図るというのは、これはまあいいと思いますが、その他の問題について、要求する方はこれからさらに何年、何十年かかって要求運動が続くと思うんですが、その要求を受けられないと言って頭からだめだというのもなかなかむずかしいし、それでは近いうちに何とかするように努力いたしますとも言い切れない。なかなか非常にむずかしい問題だと思うんですね。そこで、しかしそうは言ってみても、いつかはけじめなり節度をつけなきやならぬと思いますが、その処理の方向といいますか、考え方、これはどんなふうにお持ちですか。
#166
○政府委員(小熊鐵雄君) 恩給問題について申し上げますと、先ほど申し上げましたように、一つは通算の問題といいますか、外国の特殊法人あるいは特殊の株式会社といったようなところに勤めた期間を通算しろと、こういうものについては、先ほど申し上げましたように、私ども二十二というものについて十分検討した結果この通算を行っておるわけでございまして、残りのものについてやりますと、いろいろ他への影響その他、当時、先生御存じのように、重工業にしても何にしてもほとんど国策会社と言えるような、ほとんど軍の管理下にあったような状態でございまして、こういったものをすべてそういった公務員期間に通算するかというような問題にまで波及するわけでございますので、私どもとしては、通算問題については一応けりがついたと、このように考えておるわけでございます。
 また、公務員期間そのものとして見るということにつきましても、先ほど申し上げましたように、恩給制度というものが百年来もう、すでになくなった制度でもございますし、ここ百年来、軍人あるいは公務員といったような身分で限定してきた制度でございますので、これを根本からひっくり返すというふうな大きな問題に発展することにもなるわけでございますので、これにつきましても私どももうけじめがついたと、このように考えておるわけでございます。
#167
○穐山篤君 その点、援護法関係についてはいかがですか。
#168
○説明員(楠本欣史君) 援護法は、国との間に一定の身分関係があった方々の戦争に関する死亡または障害、これを処遇の対象にする法律でございますので、いま先ほど私が申し上げましたいろんな例示された問題、こういったものにつきましては、この法律の対象とする場合に非常に困難だというものも多くございます。まあ、残された問題と申しましょうか、そういった問題だけにむずかしい問題を抱えておるというのは事実でございます。しかしながら、私どもこういった援護法の接点部分に当たる問題、あるいはそのレアケースに係るような問題、こういった問題について、なお残る問題点につきましてぜひ研究、検討いたしたいということで現在プロジェクトチームを設けておりまして、ここで研究、検討しておるという状況でございます。
#169
○穐山篤君 いまそれぞれからお答えがありましたように、恩給関係につきましては、ざっくばらんに言って壁が固い、援護法関係につきましては多少弾力性があるというふうに私は理解をしているわけです。
 さて、そこで総務長官にお伺いをするんですが、私も内閣委員会とか社労とか決算、いろいろな場面で恩給法とあるいは援護法と接点になるようなお話というものを何回となくただしてきたわけです。まあ一言で言うならば、ありとあらゆる問題がたくさんあるわけですが、いわゆる戦後処理の問題がたくさんあるわけですが、三原長官のときにもあるいは橋本厚生大臣、野呂厚生大臣の答弁でも、現行法で始末をしろと言われてみてもそれはむずかしいと、しかし何らかの政治的な配慮をしなければならないのかなという答弁はしばしばされているわけです。これは、私も昭和生まれですから、ある意味では戦中戦後両方を体験をしておりまして、理屈にはならないけれども何とか方法を措置しなければならぬじゃないかと思われるような問題が数たくさんあると見るわけです。これから十年、二十年たちますと、戦後処理という話は話の上にも出なくなります。
 そこで、私は長官にお伺いするわけですが、いろいろたくさんあります戦後処理関係の問題をいつかは節度をつけなきゃならぬだろうというふうに思いますが、その点はいかがですか。
#170
○国務大臣(小渕恵三君) これは私が政府を代表して戦後の処理問題について答弁し切れるかどうか危惧するところでございますが、政府としては、今国会でもたしか伊東官房長官が以下申し上げるような答弁をもって政府の基本的な考え方といたしておりますので、御理解願いたいと思いますが、今次大戦はわが国にとりまして未曾有の経験であり、国民のすべてが戦争により何らかの痛手をこうむっているという様相から見て、国民のすべてについて完全にその痛手を補うことは実際上公平の観点から不可能であるので、戦後政府としては、たとえば戦没者の遺族や戦傷病者あるいは海外からの引き揚げによって生活の基盤を失った方など、特別の施策を必要とする方々に対し重点的に施策を実施してきたところであり、やるべきことはやってまいったと考えており、その他の戦争による被害については、国民のすべてがそれぞれの立場で受けとめていただかざるを得ないのではないかと考えている。戦後三十五年を経過した現時点において、改めて戦争による被害について見直しを行い、特別の措置を講ずるということは、国民の間にむずかしい問題を惹起するということもあり、慎重に対処する必要があると考えていると、以上が今国会でも政府の基本的考え方として官房長官から申し述べられた政府の立場でございます。
 が、しかし、同時に先生が御指摘ありましたように、戦後処理問題につきましては、さらに多くの国民的な要請といいますか、問題提起というものもあることも私自身政治家の一人として承知をいたしておる次第でございます。したがいまして、こうした原則としての政府の立場は御理解願えると思いますが、この問題についてはもっぱらに国民を代表してつくり上げられた政府の考え方と同時に、また国民的なコンセンサスを得た国会のお考えもあろかうと思いますので、こうしたものをどう受けとめていくかということもこれまた大切な問題ではないかというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、ここでも申し述べたように、いろいろな問題が起こってくるということになりまして、それぞれに対処いたしてまいるということになりますと、先生おっしゃるように、どこで線を画すべきかというような問題に相なってまいりますとまことに重大問題でございますので、大変答弁として歯切れが悪いかもしれませんが、政府の基本的な考え方ということで御理解をいただきたいと思う次第でございます。
#171
○穐山篤君 せっかくのお話ですが、たとえばいま原爆二法というのが手当金という性格であるわけですね。ところが戦後三十四、五年たちましてこの原爆被災者につきましては、物の見方、考え方を変えなきゃいけない、国家補償の立場から当たるべきではないかというふうな風潮に変わってきて、例の七人委員会で専門的にいま研究をしているように世の中が変わってきたわけです。人間、物の考え方が変わってきているわけですね。官房長官がもうこの辺で適当に終えたいという気持ちもわからぬわけではありませんが、やはり高度成長を遂げてきた日本としては、もう一遍三十何年前の古傷にさわってみて、きちっと戦後処理をして再生日本の発展を期すということも当然あると思うんですね。その意味では、原爆二法を国家補償に変えようというこの考え方は大いに参考にしなきゃならぬと思うんです。
 一億何千万人かの人口の八五%ぐらいが昭和生まれですね。私どもの代なんですよ。この昭和生まれの仲間が、やはりきちっとすべきものはきちっとした方がいいじゃないかと、こういう考え方を持ち始めていることも間違いない事実なんですね。ですから、官房長官の言明があったといいましても、やはりこの辺で戦後処理を政治的な取り扱いとして行った方がいいというふうに私は考えるわけです。
 せっかく官房の方でおいでになっているわけでありますので、ありとあらゆる委員会でいろんな方々から質問がされ、あるいは現実に戦時災害援護法というふうな議員立法も出ているわけですね。そういうものを勘案をして、官房としてはどんなふうにお考えですか。
#172
○政府委員(清水汪君) ただいま総務長官からすでにお答えがございましたとおりでございますので、同じことを繰り返すことは避けさしていただきたいと思いますが、政府としての一貫した考え方は、ただいまの御答弁にもありましたとおり、特定の者について必要な施策を講じてきて、やるべきものはやってきたという立場をとっているというわけでございますので、大変恐縮でございますが御理解を賜りたいと思います。
#173
○穐山篤君 私がいま申し上げましたたとえば原爆二法を国家補償に切りかえるというような問題は、皆さん方三年前なり五年前は想像もしておらなかった問題ではなかったんでしょうか。それが現実に政治問題の土俵の上に乗っかってきているわけですね。こういうふうに物の考え方、見方が変わってきているという現実には、総務長官といえども目を覆うわけにはいかないと思いますが、その点いかがですか。
#174
○国務大臣(小渕恵三君) 政府の基本的立場は、再々申し上げますように御理解願えるかと思います。しかし、政府といえども国民世論の大きなうねりというものについて、これを無視して政治行政も行えないことは十分承知をして政府をつくり上げているということだと思います。したがって、政府といたしましても、いま御指摘の問題も提起をされておりますけれども、その他の問題につきましても、国会が指し示した方向につきまして、それに対して正しく適応してきたこともこれまた御理解を願えるところだろうと思います。よって、委員御指摘のように、まさにこれは昭和生まれが大宗をなすと、こう言われまして、直接戦争を引き起こしかつ戦争に従事されなかった後代の者が、十分戦後の処理についてその負担に対してたえ得るという認識があり、コンセンサスが形成されるか否かという問題にも帰着することではなかろうかと思いますので、政府としてはいままでの戦後の処理問題については、これはすべて落着をしておるという観点ではありますが、同時に、過去におきましても現在におきましても、国民のコンセンサスというものに対する考え方には十分配慮を行ってきたという実績も御理解願って、この問題に対する御理解を賜りたいと思う次第でございます。
#175
○穐山篤君 どうもすとんといかないんですがね。しかし政治情勢が変わってくると、やはり勢いには勝てないわけでして、何らかの政治的な配慮をやりますというふうにいまは言えないと思いますよ。思いますが、やはりそういうことを常に念頭に置きながら、政治的な配慮というものをやっていかなければならぬということを繰り返し私はきょうは強調をしておきます。
 そこで、援護法の接点部分についての一つの問題点ですが、先ほどもお話がありましたように、旧満蒙開拓青年義勇隊の問題につきましては、過般の社労委員会で可決決定をし、その際に附帯決議がついたわけです。その附帯決議といいますのは、今後引き続いて十分実態の把握に務めるべきであると。これは今回もあるいは昨年も一昨年も同じ附帯決議がついたわけですが、なかなか実態調査が進まないわけですね。過去のことは私は申し上げませんが、ことしどういう角度からこの実態調査を具体的に進められるのか、その計画なり手法がありましたならばお聞かせをいただきたいと思うんです。
#176
○説明員(楠本欣史君) 御指摘の満州開拓青年義勇隊開拓団の問題につきましては、先生から四月七日、先般参議院決算委員会で御指摘を同時にまた受けたところでございますけれども、私どもといたしましては、私ども援護局で各種の文献なり各種の資料をこれは持っております。満州開拓青年義勇隊渡満名簿あるいは戦後の行動などを調査した実態調査表等々、こういったものもございます。したがいまして、具体的にという御質問でございますけれども、そういった既存の局の資料、こういったものをもう一度再点検、分析するとともに、あるいは先般も私自身拓友会の方にお会いしましたけれども、そういった方々と連絡をとって情報の提供を受ける、あるいは先般先生のお手元にも資料があるというお話がございましたけれども、そういった外部との接触、こういったものを十分とりながら、この問題について具体的に内容について、中身について詰めてまいりたいと考えております。
#177
○穐山篤君 総務長官も聞いておいていただきたいんですが、いずれ総務長官の方にもかかわってくるわけですが、いまの義勇隊の問題は、だれがどれだけ旧満州にいたかという、そういうものの調べも当然あるわけですが、一番の問題はその当時――その当時といいますのは昭和十三年以降のことでありますが、日本国と義勇隊とどういう使用関係になっていたか、あるいは関東軍と義勇隊とどういう上下関係があったのか、それから、治外法権を撤廃してからは満州国と義勇隊とどういう上下関係があったのかというその事実関係を十分に調べ、明らかにした上で対策というのは講ぜられるわけです。ですから、何万人行っているかという個々の名称も大切でありますが、その上下関係、構造上の問題を十分掌握することが中心になるわけですね。そうなりますと、やはり関係資料、関係者の証言というものが中心になるわけです。ですから、私といたしましては厚生省が音頭をとって関係者を集めて調査――調査といいますか、事情聴取をすることも一つの方法だろうと思うんです。あるいは、その証拠能力を高めるという意味も含めて考えてみるならば、社会労働委員会で当時の事情について十分に証言のできる日本国政府役人あるいは満州国政府役人、さらには関東軍の代表というものを参考人で呼んで証言能力をきちっとさせるというふうないろいろな方法があると思うんです。
   〔委員長退席、理事林迫君着席〕
ですから、これからどういう作業を進めるかということをきちっとしていただきませんと、依然として実態の把握ができないままに日を追ってしまうということが考えられそうでありますので、私の個人的な提案も含めて十分厚生省で研究をしてもらいたいと思いますが、いかがですか。
#178
○説明員(楠本欣史君) 申し上げたとおりでございますのでぜひ実態把握に努めたいと、再度申し上げますけれども、考えております。
#179
○穐山篤君 先ほど山崎委員からも質問の出ておりました陸海軍の従軍看護婦さんの問題について少し補足をして聞いておきたいと思うんですが、皆さんの方の調査では二万数千人というふうに言われております。それから金子はるさんの方の調べでは、まだまだ調査能力がありませんのでそこまで確認をしていないという状況にあります。
 そこで、方法として、よく政府広報というのがありますよね。各省庁が、まああれはどのくらいのお値段か知りませんが、新聞に政府広報を出すわけです。そうやって周知徹底を図るというふうな方法があるわけでありますので、政府なりあるいは地方公共団体に確認をする、調査をするということを補強する意味で政府広報なぞを使って大いにひとつ啓蒙しながら実態の把握をするという方法も一つあろうと思うんですが、いかがですか。
#180
○説明員(森山喜久雄君) 実態調査の広報でございますけれども、先生のいまおっしゃいましたような方法もございますし、それから県の広報もございます。それから、市町村の広報もありますので、そういういろんな面を使いまして、十分に広報いたしたいと思っています。
#181
○穐山篤君 それから、先ほど山崎さんの質問に対するお答えとして、できる限り早く調査を進めたいというお話ですが、調査の完了の目標ですね。たとえば、今年度中とか今年中とかというふうな目標がないと作業は進まないと思いますが、その点いかがですか。
#182
○政府委員(森山喜久雄君) もちろん今年度中には結論を出すということでございます。
#183
○穐山篤君 それから、陸海軍の従軍看護婦というのは身分的に言えば陸軍の職員、海軍の職員、こういう関係になるわけですね。ただ、かつて共済組合規則を適用していた者、していない者というものがありますので、均衡を失しないような待遇改善のあり方というのは知恵が要るだろうというふうに思いますが、大体の方向はどんなふうにお考えですか。
#184
○政府委員(関通彰君) 当委員会の附帯決議等でも、旧陸海軍従軍看護婦については、日赤看護婦にとった措置に準じたような方法を講ずるようにという御指摘もございます。現在厚生省で行われております調査も、日赤看護婦にとりました措置を念頭に置いて調査されるわけでございます。どのような措置をとるかにつきましては、調査の結果が明らかになりました時点で検討いたすことにいたしておりますが、やはり日赤看護婦にとりました措置を念頭に置いて検討することになろうかと考えております。
#185
○穐山篤君 附帯決議が、いまお話があるように、準じて均衡を失しないようにということでありますので、改善措置は大体そんなような方向だというふうに印象的にはよくわかるわけです。しかし、よくよく考えてみますと、陸海軍の看護婦さんの中には総婦長だとか、婦長だとか、それから看護婦だとか、いまの自衛隊の病院なんかの職名をずっと調べてみましても、旧判任官あるいは旧高等官に属するような職位の人もいるわけですね。また、その当時戦時中に看護婦長なり総婦長なり看護婦、それぞれ一応職位があったわけですね。そうしますと、単純に附帯決議に沿った取り扱いだけでいいかどうかというのは、少し研究を要するのではないだろうかというふうに考えます。それと同時に、事変地であったにいたしましても、片方の恩給法でいきますと加算年というのがあるわけですね。あるものにつきましては一カ月を三カ月以内に見直すものもありますし、二カ月のものもあるわけですが、そういうものについての多少の参酌というものも現実的には考えざるを得なくなるだろう。ですから、附帯決議は附帯決議でいいと思いますが、なおそれに付加をして、そういう私が指摘をしたような問題について研究をするおつもりはあるでしょうか、ちょっとお伺いしておきます。
#186
○政府委員(関通彰君) 陸海軍看護婦さんの場合は、先生も御指摘ございましたように、その制度上も基本的な性格も日赤の看護婦と同様ではないと理解いたしております。基本的な職務からいたしましても、日赤の看護婦は本来戦地の勤務が本務でございますが、陸海軍の看護婦はむしろ内地にある陸海軍病院に勤務するのが本務でございます。しかしながら、戦争末期におきましては、実態上、日赤看護婦と同様に戦地の陸軍病院あるいは野戦病院等の勤務をされたと。勤務形態は、たてまえは日赤看護婦とは違っているけれども、実態はかなり日赤看護婦と同じであったというような御指摘もあるわけでございます。
 残念ながら、陸海軍看護婦に関します資料は、私ども、厚生省からお伺いてしおりますのでも、終戦前後の名簿――留守家族名簿あるいは帰還時の名簿だけが頼りでございまして、勤務の実態の資料がないわけでございます。いま申しましたような基本的な性格の違い、しかし実態上の勤務の類似性その他も十分検討して、先生御指摘のような問題も含めまして検討しなければいけないと、かように考えております。
#187
○穐山篤君 人事院の方――この恩給法も仮定俸給表というものをつくって、それで引き直しをするわけです。
 少しいやな質問で恐縮なんですけれども、公務員法なり給与法を見ますと、給与という言葉が使われている。それから俸給、俸給表ですね。それから給料、それから支給というふうに、かつて昭和二十年以前の天皇の官吏であったときの用語がそのまま公務員法に羅列してあるわけですね。そして、いやおうなしに仮定俸給表というものを恩給法では使っているわけです。この基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
#188
○政府委員(長橋進君) いま給与関係の用語につきましてお尋ねございました。
 確かに御指摘のとおり、公務員法、給与関係法におきましては、給与あるいは俸給、支給という用語が使われております。言葉自体としましては、給与という言葉は賃金という言葉より広いのかなどいう感じはいたしますけれども、私どもとしましては、給与という言葉を使いましてもこれは勤務に対する対価であるという基本的な考え方でございまして、特に特別な意味を持たせるというふうには考えておりません。
 それからなお、支給というような言葉、あるいは俸給という言葉、そういう言葉から旧来の考え方の名残がある危険が残っておりはせぬかというお尋ねでございますけれども、確かに、先生なかなかそういう面に御造詣が深いというお話もお伺いしておりますし、沿革的には言葉としてはそういう意味合いを持っているという言葉かと思いますけれども、私どもは特別そういう意味合いを持って言葉を使っているわけではございませんで、一般的に、他の法令を見ましてもそういう言葉が使われておりますので、したがって、特に現在までのところ、別に不自然な感じも持たないで使っておるというようなことでございます。
 なお、せっかくの御教示もございましたので、今後勉強さしていただきたいというふうに考えております。
#189
○穐山篤君 かつての太政官布告だとか勅令だとか、そういうものの中は全部俸給、給料という名称にしてあった。別に私、造詣深いわけでありませんが、かつて公労協、国鉄の賃金を担当しておりまして、公労法の適用になりました後は給与、俸給、給料、支給という言葉を全部なくしました。これは御案内のとおり、憲法と労働基準法に照らしてこの固有名詞を全部変えたわけです。その方が適切だというふうに思ったわけですが、人事院ではこれを直ちに変えるというおつもりはまだないですね。
#190
○政府委員(長橋進君) この用語につきましたは、旧来の内容を持たせたような特別の意味合いのもとに使っているわけではございませんので、したがいまして、言葉自体の内容といたしましては、先生御指摘のとおり現在の感覚を持って使っているわけでございますから、特にこの言葉を直さなければならない、いま直さなければ不都合を来すというような具体的な支障はないように考えておりますけれども、なお今後の問題として勉強さしていただきたい、このように考えております。
#191
○穐山篤君 余りくどくは言うつもりはありませんけれども、衆議院で、それぞれ民法にしましても商法にしましてもかなりふぞろいの法律になっている、したがって、この際研究をして法律体系上もふさわしいようなものに直していこうじゃないかと。これは国会自身の問題でもありますし、政府も検討を約束されているわけですが、少し長い目で検討をしていただきたいと思うんです。やはり公務員労働者の立場に立ちまして、俸給を支給をしましたというのは感じが悪いですね。ぜひひとつ御研究をいただきたい。
 そういう意味で、総務長官、恩給法という言葉に余り抵抗はないんでしょうか。いかがですか。
#192
○国務大臣(小渕恵三君) 特段に抵抗を感じておりません。
#193
○穐山篤君 恩給というのは、かつての文官なり軍人ですからなかなか言いようがない、率直に言いましてね。軍人もある意味で言えば旧公務員ですけれども、軍人を指して旧公務員と言うのもちょっとなじみが薄いと思いますけれども。
 実は、私いろんなところを歩いてみまして、恩給の話をしますといまの若い人たちはわからないんです。年輩の人たちは、軍人恩給と言えば、ああ、ああいうものかということがすぐわかりますよ。ところが昭和年代の、まあ二十、二十五、三十ぐらいの方々と話をするときに恩給の話をすると、それはどんなものですかと。これは戦争を体験をしていないからわからないということもあるでしょうけれども、そこで話をしていきますと、もらう人の感じはいいけれども、実際にこれから長く年寄りも若い人もなじんでこの制度を維持するためにはどうも抵抗を感ずる。これは率直に青年の御意見なんです。
 われわれは恩給法というように使いなれているからそれほど抵抗は感じないわけですが、やはり恩を給するという言葉にみんな抵抗を感じているわけです、いまの権利意識の高い青年の立場から言いますと。これを直ちに変えるというのはなかなか適当な用語もないと思いますけれども、やはり多くの青年の意見も意見として十分にひとつ聞いておいていただきたいというふうに、これは要望だけにしておきたいと思います。
 それから最後に、資料もいただいております。いままで支払いました実績ですね、五十一、五十二、五十三年度幾ら幾らぐらい支払ったと、支払い済みの総金額というものは一兆何千億というのもよくわかりましたが、これからの傾向の問題です。過去の実績が、これから改善もありますからそう単純に比較はできないと思いますけれども、これからの恩給法の行方ですね、生存者と遺族に分けてみて、将来こういうふうな形になりそうだと、こういう傾向になるかもしらぬ、こんな問題についてはどういうふうに推計をされているんでしょうか、その点をお伺いします。
#194
○政府委員(小熊鐵雄君) 過去の恩給予算ごらんになっていただいて先生おわかりと思うんですが、受給人員はどんどんどんどん減っているわけでございます。先ほどもちょっとお話がありましたが、恩給制度というのは昭和三十四年に、もういまから二十何年前になくなった制度でございまして、どんどん受給者は減っておるわけでございます。それに反しまして予算額はどんどんどんどんふえておるわけでございます。したがいましてこの逆比例関係といいますか、これがどういうかっこうに今後なっていくのか、まさに先生御指摘のように、これからどういう改善を考えていくべきかということにかかわる問題かと思いますので、非常にむずかしいんじゃないかと思いますが、ただ、先ほど申し上げましたように、受給人員はどんどん減っておりまして、この減り方はまあ大体年間四万ないし五万ぐらい減っていくというようにお考えいただいていいんじゃないかと思いますけれども、ただこれにしても片や減る一方で、たとえば恩給受給者が、普通恩給の受給者が亡くなれば普通扶助料に変わるとか、それから戦後もう三十五年、あるいは実施をしてからもう四十年にもなっておるんですけれども、その傷がいま出てきたんで傷病恩給を請求するとか、どんどん新規の請求というものもふえておりますので、その辺の推計も非常にむずかしい問題があるかと思いますけれども、大体四、五万ずつ減っていくんだというようにお考えいただけば、現在二百四十五万でございますから、しかしこれもまたある時期に達すると、皆さんお年を召してくるんでがっくり減ってくるんじゃないかという推計もあるわけでございまして、非常にむずかしいとは思いますが、大体後二十年くらいすれば半減するんじゃないかというふうな感じでおります。
#195
○穐山篤君 いまのお話しのような傾向になるものと思います。
 そこで、この恩給法の改善というのは、単純なことを言うならば、公務員賃金の引き上げに準拠して引き上げていって最低保障額を可能な限り引き上げていく、で、部分的に間差なり格差というものをなくしていくという作業になろうと思うんですが、しかしこれから少し考えなきゃなりませんのは、適用者が減っていくにもかかわらず支給額総枠はふえるわけですね。よもやそういう話はないと思いますが、これは恩給法の、たとえば一兆何千万円という金は、そもそもこれは恩給法の財源だというふうに物を考えてきますと問題が生じてくる。意味はおわかりですか。私が前段指摘をしたように、改善の方向というのは一定のルールがあるわけですよね。そのルールはルールにいたしましても、一兆何千億円というのは、これは恩給法に関する財源だから適用者が減っていけば思い切って引き上げをしたらいいじゃないかという説も現に出ているわけです。そういうことも時と場合によってはあり得ると思いますけれども、物の考え方として整理を一応しておく必要があるだろうというふうに思いましたので申し上げたわけですが、その点いかがですか。
#196
○政府委員(小熊鐵雄君) いま先生のお話、どんどん受給者が減っていくんだから恩給予算額も減っていってもいいんだというように理解してよろしいんでございましょうか。ふやす必要はないんだというような……
#197
○穐山篤君 私の言っているのは、ルールがあって改善をしていくわけですよね。だから、それは当然やっていかなきゃならぬし、先ほど山崎委員からも指摘をしましたように、矛盾点というのは解消していく、これが一定のルールなんですよ。ところが、この恩給関係の予算というのは一兆円以上あるんだから、その財源を使って適用者が少なくなったら思い切って増額、それぞれのところを思い切って増額したらいいじゃないか、こういう説がすでに出ておって、われわれのところにもそういう相談があるわけです。そのことについて慎重な返事を私どもはやっているつもりなんですけれども、やはりきちっとした方向を出す必要があるだろうという意味で私は前段のルールのことを強調をしたわけなんです。その点はいかがですか。
#198
○政府委員(小熊鐵雄君) まあ、どんどん人は減ってまいりますけれども、現在でも二百四十五万といいますと、一人何らかの形で一万円支給すれば二百四十五億必要だというようなことでございますので、なかなかそう一兆円があるからもろにふやしていいんだという話にはなりにくいと思いますし、また恩給制度も一つの年金制度でございまして、ほかの公的年金との並びというようなこともございますし、そう恩給だけべらぼうにどんどんどんどんふやしていいということにはならないんじゃないかというように考えておるわけでございます。
#199
○和泉照雄君 恩給局の方にお尋ねをいたしますが、昭和五十五年度の恩給改善措置法の基本的な考え方とその内容について、説明をまずお聞かせ願いたいと思います。
#200
○政府委員(小熊鐵雄君) 五十五年度の改善措置でございますが、まず大きく三本の柱をお考えいただいたらいいんじゃないかと思います。
 その一本は、公務員の給与改善、これに伴います恩給年額の改善、いわゆるベースアップでございます。それからもう一つは、公務関係扶助料とかあるいは傷病恩給とか、いわゆる社会的に非常に弱い立場におられるような方々、こういった方方に対する改善、それから第三の柱が最低保障額の改善、これは経済的に弱いといいますか、そういう方々に対するかなり社会保障的な意味を持った改善、こういった大体大きく三本の柱があろうかと思いますが、改善項目としては九項目ございます。
#201
○和泉照雄君 そこで、九項目にわたっていろいろ改善をされておりますけれども、この実施時期というのがはっきりしておらないようでございますが、九項目の対象人員と実施時期ということについてお聞かせ願いたいと思います。
#202
○政府委員(小熊鐵雄君) 実施時期でございますが、ことしは御存じのような非常に財政情勢の厳しい中にありまして、なるべく中身を手厚くしたいということから実施時期も五本建てというような非常に細かい区分をいたしまして、項目ごとに申し上げますと、まずベースアップにつきましては四月実施。それから、先ほど申し上げましたような公務扶助料とかあるいは傷病恩給とかあるいは恩給扶助料の最低保障額とか、こういったものについては六月実施。それから、特に寡婦加算の大幅な引き上げをやっておるんですが、これにつきましては、厚生年金との横並びの関係もございまして八月実施ということにいたしております。それから、全く新規の改善があるわけですが、一つは旧国際電気通信の通算関係の問題ですが、これは十月実施。それから、軍人恩給関係で加算減算を取り上げるというのがあるわけでございますが、これは十二月実施と、こういったように五本建てで分けておるわけでございます。
#203
○和泉照雄君 対象人員は。
#204
○政府委員(小熊鐵雄君) 対象人員、なかなかいろいろな改善がダブっておりますのでちょっとあれなんですけれども、年額の調整といいますか、ベースアップでいきますと百七十一万六千人とか、それから主だったところで申し上げますと、普通恩給あるいは寡婦加算の最低保障額、これが約七百万人おります。それから公務関係扶助料、これが六十三万七千。それから傷病恩給、これが約十三万。主だったところではそんなところかと思いますが、合わせて、とにかくいま申し上げた中でいろいろダブる関係もございますけれども、大体二百四十五万の受給者がいると、こういうことでございます。
#205
○和泉照雄君 いま七百万とおっしゃいましたけれども、普通恩給のは単位がちょっと七十万じゃないですかね。
#206
○政府委員(小熊鐵雄君) あ、そうでございます。
#207
○和泉照雄君 次は、恩給年額の増額についてお尋ねをいたしますが、恩給年額の増額は、昭和五十一年度から、公務員給与改善の水準だけではなくて、その改善傾向をも反映させる方向をおとりになっておるようでございますが、今回も昨年度の人事院勧告によるベースアップで、行(一)についてその改善傾向を分析した結果に基づいて実施しておられるようでございますが、改善傾向を分析した結果を明らかにしていただきたいのと、それがどのように仮定俸給の引き上げに反映をされたか、お述べ願いたいと思います。
#208
○政府委員(小熊鐵雄君) 先生御指摘のように、昭和五十二年から――四十八年から公務員のアップ率を使っておったんですが、五十二年からは公務員給与の改善傾向といいますか、これを使ってやっておるわけでございます。で、公務員給与の各等級別の給与をドットしまして、これを最小自乗法で回帰直線――一次直線でございますが、これを理論的に求めまして、これに基づく当てはめをやっておるわけでございます。この回帰方程式の係数部分といいますか、これが三・四%になっております。それから常数部分と申しますか、これが三千二百円になっておりまして、したがいまして、三・四%プラス三千二百円ということでやっております。
 その結果といたしまして、兵の階級で三・八%のアップと、逐次上にいくほどだんだん逓減していくと。それで、一等級の十一号から十五号の辺が、十四万四百円が一番アップの上限になっておりますので、これも十四万四百円でアップの上限として、それからさらに調整を加えて逓減しておるわけでございます。
#209
○和泉照雄君 公務関係の扶助料の最低保障額の改善を見ますと、まず四月から五月の間に兵の仮定俸給の引き上げに準じて三・八%、さらに六月から戦没者遺族の置かれている特別な事情が考慮されて、政策的な配慮から特別の上積みを行うこととしておられるようでございますが、最近の改善傾向を見ると、このように二段階方式をとっておられるけれども、これを四月の時点に実施時期を一本化するという方向には持っていけないものでしょうか。
#210
○政府委員(小熊鐵雄君) これも最初に申し上げましたように、非常に財源、特にこの公務扶助料関係、先ほど人数申し上げましたが、約六十四万ぐらいいるわけでございますが、非常に金がかかると申しますか、それで内容についてはなるべく手厚くしたいと、こういうようなことから、こういった公務扶助料を受給しておられる団体の方々の希望から言いましても、まあ若干おくれても内容をうんと手厚くしてもらいたいという希望も強く出ておりますので、そういう意味で、若干おくれても手厚くしようということで、特段のかさ上げについては六月ということにいたしたわけでございますが、これによりまして、仮に四月に全部そろえた場合と比べますと、公務扶助料だけで百十四億という金になります。
 それから、公務扶助料を動かしますと同時に傷病恩給、これはやはり戦争で傷つかれたというようなことから、このかさ上げ等については同じように考えておるわけでございますが、これを含めますと百二十八億という財源が必要になるということに相なっておりますので、私どもとしても望むらくはなるべく一本化したい、これは事務的にもその方が非常にいいわけでございますが、いろいろ財政的な問題も絡みまして六月という実施時期を決めたわけでございます。
#211
○和泉照雄君 去年の九月に恩給法案を審査した場合に、本委員会では附帯決議がつけられております。
 その中の一項目として、扶助料については、さらに給付水準の実質的向上を図ることと、このような項目があるはずでございますが、政府は、この附帯決議の趣旨を尊重をして、公務関係の扶助料の改善の跡が見られ、今回の法案の中で目玉となっているようでございます。つまり公務扶助料の現行最低保障額は、遺族年金を加えて九十九万円、月額にして八万二千五百円でありますが、今回これを月額一万二千円増額をして九万四千五百円、すなわち、年額に直して百十三万四千円にしようとしているのでございます。
 そこで、お尋ねをいたしますけれども、遺族年金を加えた公務扶助料は本年六月から百十三万四千円となる予定でございますけれども、この金額は、現職の一般職の公務員の警察官、自衛官などの公務災害による遺族補償年金の給付水準と比較してどのようになっているか、説明をしていただきたいと思います。
#212
○政府委員(小熊鐵雄君) 現在の公務員が公務死した場合の遺族補償年金、これとの比較、先ほども実は山崎先生からも御質問あったんですが、国家公務員の災害補償法の中身といいますか、この遺族補償年金が非常に複雑にできておりまして、どういった比較をしたのが一番いいのかという問題もあるかと思いますし、非常に高い給与の方と比較しますと公務扶助料の方はずっと低くなりますし、勤めて一年とか二年の方と比較しますと公務扶助料の方がよくなっていくしということで、まあちょっと一概に申し上げられないということはあるかと思います。
 ただ私どもも、公務扶助料を改善していくというのの一つの目安としましては、いま先生のおっしゃったような国家公務員災害補償法等で補償される金額、こういったものをも横にらみしながら考えていくべきじゃないかというように思っておりますので、直接どれとどれ、何等級何号俸で比較すればどうなるかということであれば、また後ほど計算して先生の方にお出ししてもよろしいかと思いますが、いまどういう基準で、たとえばさっきちょっと例を申し上げました、最低保障ですから、高等学校を出てすぐに自衛官になって一年ぐらいで公務死したというような方と比べますと、これは公務扶助料の方がはるかに高くなっておるわけでございます。そういったことで、もしどの辺のところと比較したらいいかということであれば、また後ほどこの御質疑の終わるころまでにでもあるいは計算いたしまして御報告申し上げるというようなことにいたしたいと思います。
#213
○和泉照雄君 私の方の手元にある資料によりますと、人事院の昭和五十三年度の国家公務員の災害補償の統計というのによりますと、五十三年度は遺族補償の年金が百十二万三千二百八十六円、それから福祉施設の関係で、特別給付金の年金が二十五万一千八百三十七円という大体の平均が出ておるようでございまして、ですから、比べてみますと、国家公務員の遺族補償の年金の方が公務扶助料よりも大体二十四万三千円ぐらい高いようであります。ですから、この差を縮めるよう努力をするお考えがあるかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
#214
○政府委員(小熊鐵雄君) いま先生のおっしゃった平均というのがどういう意味の、ある階層ある階級の人をとって計算したものなのか、あるいは全体を平均したものか、ちょっとわかりかねますが、恩給の場合も、いまお話し申し上げているのは最低保障額でお話し申し上げているんで、もちろん仮定俸給の高い方はこれ以上とっている方もあられるわけでございます。そういったことで、そのいまの先生御指摘の差額というのがどういった性格のものか、ちょっとわかりかねるわけでございますが、いずれにしましても先ほど申し上げましたように、公務扶助料の改善につきましては、やはり現職の公務員との比較といったようなことも絶えず考えながら考えていきたい、このように考えておるわけでございます。
#215
○和泉照雄君 次も同じく附帯決議のことに関連をしてお尋ねをいたしますが、さきの附帯決議の第一項目には、「恩給の実施時期については、現職公務員の給与より一年の遅れがあるので、遅れをなくすよう特段の配慮をするとともに各種改善を同時期に一本化して実施するよう努めること。」というのがございます。さきにも若干触れましたけれども、今回の改正案ではこの附帯決議の趣旨が生かされていないのは納得できないわけでございますが、政府のこの決議に対する御見解を伺わしていただきたいと思います。
#216
○政府委員(小熊鐵雄君) 国会の附帯決議につきましては、私どもも国権の最高機関である国会の御決議でございますし、私ども改善の大きな指標として今後とも考えてまいるわけでございますが、ただ、御指摘の一年おくれの問題につきましては、確かに私どもが恩給改善の指標として使っておりますのは前年の公務員の改善率、これを指標として使っておるわけでございます。したがいまして、古い指標を使っているのじゃないかというようなあれもあるかもしれませんが、ただ、そのことが即給与額そのものの水準が一年おくれているというように言えるかどうかというふうな議論ももちろんあるわけでございまして、ただ、私どもはもう幾らかでもこれは早く支給した方が、受給者みんなお年を召しておられますし、この改善については今後とも検討してまいりたいというふうに考えておりますが、ただ、ほかの公的年金とも並びもございますので、その辺も考えながら今後とも検討してまいりたい、このように考えておるわけでございます。
#217
○和泉照雄君 次に、傷病者の遺族特別年金、このことについてお尋ねをいたしますが、この特別年金の年額を二段階に分けて今回は増額しようとしているわけでございますが、六月分以降、傷病年金及び第一款症以上の特別傷病恩給受給者の遺族に十八万二千九百円、第二款症以下の特別傷病恩給受給者の遺族には十三万七千二百円にそれぞれ増額しようとしておるようでございますが、この程度の、年額でございますが、年金額を年金と言うのには余りにも少額過ぎるんじゃないかと、こういうような気がするんですが、今後もこの年金制度を改善する意向があるのかどうか、伺わしていただきたいと思います。
#218
○政府委員(小熊鐵雄君) 傷病者遺族特別年金と申しますのは、先生御承知のように、傷病恩給そのものに非常に重い方と軽い方、私どもこれを重い方の方は項症と呼んでいまして、これは特別項症から七項症まであるわけでございます。それから軽い方は款症と呼んでいまして、一款症から四款症まであるわけでございますが、こういった軽い方の款症の方々、この款症の方々について申しますと、大体日常生活もそう御苦労はないような状態の方が多いかと思いますが、こういった方々については、戦前ももちろん、その後もずうっとその方が平病死した――公務死されたら別ですが、平病死された場合は、扶助料というか年金は出なかったわけでございます。それを昭和五十一年になりまして、いままでいろいろ年金を受けておられた方が全く無年金になってしまうというのはちょっと適当ではないんじゃないかというような議論も出まして、五十一年当初それでは十万円という額で出発したわけでございます。
 それで、現在、ただいま御指摘のように十八万二千九百円でございますかに上げるわけでございますが、これは、そのほかの公務扶助料とかあるいは増加非公死扶助料のアップ率を見ましてどんどん上げておるわけでございまして、そういう意味では今後ともこの額を上げていくという方針でおるわけでございます。
 ただ、増加非公死扶助料というのは、これはまさに増加恩給受給者が平病死された場合受けるわけでございますが、増加恩給というのはそもそも普通恩給と併給されておりまして、そういう意味で、これはずっと戦前からその方が亡くなった場合扶助料が出るという仕組みになっておったわけでございます。款症についてはいま申し上げましたように、五十一年になってようやくそういう制度を発足させまして、十万円ということから始めたわけでございますので、ここ数年で十八万何がしまで上げたわけでございますので、私どもとしてもこういう制度をつくった以上は今後とも他の恩給との並びを見ながらどんどん上げていきたいと、このように考えております。
#219
○和泉照雄君 恩給局の方がいろいろ各年度ごとに改善をしておられるというその努力はよくわかるわけでございますが、たとえば項症関係の方々が、公務死でない場合、増加非公死扶助料というのになりますと、今回の改善で六月からは九十万支給されるということで、軽い款症の方々はいまおっしゃった十八万と十三万の二段階でということになりますが、余り、だんだん格差を少し縮めてあげないとならないのじゃないかと、ですから最低保障の制度とかあるいは寡婦加算とか、そういうものをだんだん導入をしてその差を縮めてあげるというそういうことを考えてはどうだろうか、こういうように問題提起するわけですが、いかがですか。
#220
○政府委員(小熊鐵雄君) いま申し上げましたように款症の方、私ども款症妻とこう呼んでおるんですが、
   〔理事林道君退席、委員長着席〕
この款症の方々の症状といいますか、日常生活といいますか、これと項症の方とちょっと比較にならないぐらい、項症の方になりますと腕がなくなったとかあるいは失明したとか、全聾であるとか、こういった方々でございまして、先ほど申し上げましたように、こういう方には普通恩給も出ておるわけでございます。年限のいかんにかかわらず普通恩給が出るわけでございます。そういった状況で、これは生前の看護の仕方と申しますか、これも全く恐らく質が違うぐらい違うんじゃないかというふうに考えるわけです。指のない方と腕が一本ない方と――項症の方はもっとひどい方がたくさんおられるわけで、そういった点もいろいろ考えまして、それから他のいろんな年金制度といったようなこともいろいろ勘案しましてこの制度をつくり、また改善を図ってきたわけでございますので、そういう意味では今後とも改善は続けてまいりますが、先生御指摘のような寡婦加算をつけるとかあるいは最低保障制度を導入するといったような性格であるかどうかということについては、ちょっと私自身としてはまだ疑問があるわけでございます。
#221
○和泉照雄君 今回、普通恩給の最低保障額ということが六十五歳以上の長期在職者については六月から七十万ということになりますが、この七十万に上げる根拠ですね、説明していただきたいと思います。
#222
○政府委員(小熊鐵雄君) いま先生御指摘の七十万という最低保障額は、長期の方で、六十五歳以上の方でございますが、こういった方について七十万という算出を行った根拠としましては、まず公的年金の基本的な水準になります厚生年金の定額部分というのがございます。これは二千五十円に二百四十カ月掛けたものでございますが、これが四十九万二千円になります。それから、さらに厚生年金でも同じ手法を使っておるんですが、報酬比例部分というのをこれに加えております。これが恩給の場合ですと二十一号俸の八十二万五千円というのを最低限度額にしまして、これに百五十分の五十、これが厚生年金の報酬比例部分と考えたならばそうであろうという率が〇・四五ということで、これを加えまして報酬比例部分を算出しております。さらに加給部分というのがございまして、これは今度の公務員の給与改善の家族手当に当たるものでございますが、これが年額十二万円、月額にして一方円、これの十二カ月分。それから、こういった長期・老齢者の家族構成を見ますと、大体そういった奥さんがある、有妻率と申しますか、これが約〇・七、七〇%になっておりますので、これを掛けて平均値として、それらを足し合わせた金額が六十九万九千七百五十円、これを七十万円に切り上げるという算式をとっているわけでございます。
#223
○和泉照雄君 次は、現在普通扶助料の低い給与水準を高めるために寡婦加算制度が昭和五十一年度から導入されておりますが、今回の改正案によりますと、この給付水準の一層の改善を図るために、本年の八月から、家族構成の実態に即応して六十歳以上の妻と扶養遺族の子供一人を持つ妻にそれぞれ十二万円、扶養遺族の子供を二人以上持つ妻に二十一万円が支給されることになっておるようでございますが、しかし反面、一方では寡婦加算の調整措置が設けられておるのも事実でございますが、つまり昭和五十五年八月以降新たに扶助料を受けることになる妻は、自分の老齢、退職または廃疾等を支給事由とする他の公的年金の受給者となったときはその問の寡婦加算については所要の調整を行うこと、このようになっておるようでございますが、どのような所要の調整を行うのか、具体的に説明願いたいと思います。
#224
○政府委員(小熊鐵雄君) これは、一応今度の厚生年金において寡婦加算を大幅に引き上げまして、それに伴う調整の規定を設けたわけでございまして、これに横並びとして恩給においてもこの調整規定を設けるということにいたしたわけでございます。
 それで、いま先生のおっしゃった施行日以降、つまりことしの八月一日以降新たに扶助料を受けるというような方に対して、それ以前に受け取った方についてはもう全然やりません、それ以降に新たに扶助料を受けるという方について、この方方が寡婦加算を含めた扶助料の年額が一定額、これはいま五十一万円を予定しておりますが、五十一万円を限度としてこの調整を行うというようなことにいたしておるわけでございます。
#225
○和泉照雄君 次は、問題変えまして、旧日赤救護看護婦の慰労金制度の運用という問題についてお尋ねをいたします。
 この慰労金制度は、昭和五十四年度の総額は八千七百万円でございましたが、今回五十五年度予算では一億三千万円が増額計上されております。しかしながら、慰労金給付ということは昭和五十四年度と同じようなレベルのものである、このように聞きますが、そのとおりであるのかどうか。もしそうだとするならば、慰労給付金制度というのをどういう性格のものだというふうにとらえていいのか、そこらあたりを説明をしていただきたいと思います。
#226
○政府委員(関通彰君) 日赤の従軍看護婦に対します慰労金につきましては、予算総額はただいま先生おっしゃいましたとおり五十四年度八千七百万円、五十五年度一億三千万円でございます。ただ、金額がふえておりますのは、五十四年度が初年度で八カ月分を計上しておりますのに五十五年度は十二カ月分を計上しているということの差でございまして、給与の内容は五十五年度も前年度と同じでございます。
 この性格でございますが、一口に申しますと、日本赤十字社の従軍看護婦の過去の御苦労に対しまして、それを慰労する意味で慰労金として支給するというものでございます。
 議論の経緯といたしましては、現行の恩給法あるいは援護法の年金等の対象にならないかという御議論がございましたが、日赤看護婦は日赤の職員でございましてこれらの年金の対象にはならない。しかしながら、女性の身でありながら陸海軍大臣の命令によりましていわゆる赤紙召集を受けておりまして、しかも戦地で戦時衛生勤務という大変な御苦労をされて、しかもかなりの方が戦後相当期間現地に抑留されると、かような大変な御苦労をされたことにかんがみまして、年金としてではないが過去の御苦労に対する慰労金として支給することになったものでございます。
 支給の形態といたしましては、総理府に必要予算を計上いたしまして、日赤本社に補助金として交付し、日赤本社が各看護婦さんに支給する、かような支給方法をとっております。
#227
○和泉照雄君 いま再三、過去の慰労について、御苦労であったという慰労金だと、生活とか所得とかそういうような年金的な色彩は全然ないんだと、こういうふうに御答弁になりましたけれども、また衆議院の内閣委員会でもそういうような御答弁があったようでございますが、また、この慰労金制度ができるときに、恩給制度に準ずるという問題を取り上げて創設をされておるわけでございますけれども、そういうことからすると、ただ過去のそういう御苦労さんでございましたという慰労金ということであれば、なぜ恩給制度に準ずると、そういうような文句をうたったのか、そこらあたりがどうも納得いかないと思うんですが。
#228
○政府委員(関通彰君) 私ども理解いたしておりますのは、日赤の従軍看護婦さん方に対して何とか措置がとれないだろうかということで、やはり先生おっしゃいますように年金的な処遇ができないかということで議論がされていたわけでございますが、何分にも日赤看護婦は、いわゆる恩給法の対象になるためには公務員経歴が必要でございますが、日赤の職員でございまして、こういう現行の恩給制度あるいは援護法の年金の対象にはなりがたい。しかし、それにしても何とか措置する方法はないだろうかということで措置されましたのが、法的な根拠その他何もございませんが、いわゆる政府の予算措置ということで予算計上して慰労金を差し上げるということにしたわけでございます。したがいまして、やはり基本的には恩給あるいは年金とは異なる性格のものとして何とか措置しようということでこの制度を始めたというぐあいに理解しているわけでございます。
 ただ、恩給に準じてと申しますのは、具体的に慰労金の年額を計算いたしますとき、恩給で出しております兵の普通恩給、なるべくこれに準ずるような形で算出して差し上げたらということでございまして、現実に支給の対象範囲は兵に準じた加算方法で加算いたしまして、十二年以上の方々につきまして実在勤年数別に兵の五十五歳の普通恩給年額を勘案いたしまして、支給額を十万円から三十万円までというぐあいに決めているわけでございます。したがいまして、そういう算出方法は兵に準じた形にいたしておりますが、やはり基本的な性格は、法律に基づかない予算措置での慰労金であるというぐあいに私ども理解いたしております。
#229
○和泉照雄君 算出の基準だけを恩給法に準ずるということでは、支給される方はやはりこの恩給法に準じて適用されるのだという、そういうような希望的観測を持つのは当然じゃないかと、私はそういうように思うわけです。しかもまた年額十万から三十万という、恩給法に準じていきますとやはり物価の上昇ということになるとそれにスライドして額が増額になるのが当然だと思うんですが、それのスライド分もそういうことは全然保証されてないと。こういうことになりますと、最近の政府の主導型の公共料金の値上げによりますと、いよいよ十万から三十万が相当目減りをするということはもう当然だと思うんですが、これに対する手当ての仕方をどのようにお考えでしょうか。
#230
○政府委員(関通彰君) 慰労金の基本的な性格からいたしまして、いわゆるスライド制をとっていないわけでございます。しかし、先ほども御答弁さしていただいたんでございますが、このような慰労金を出しますとき、形といたしましては一時金でお出しするという形、あるいは十年償還の国債でお出しするというような形態もあるわけでございます。もしそのような方法をとったといたしますと、その後の対処ということは道を閉ざされるわけでございますが、政府がとりました方法は、毎年予算措置をして慰労金をお出しするという形をとっているわけでございます。したがいまして、将来予期しないような経済変動がございましたら、それには対処する方法を検討しなければいけないと、かように考えております。
#231
○和泉照雄君 過去のことで御苦労でございましたと、去年とことしと来年と違わないような何らかの措置をすると、考えてみようと、こういうようなことなんですか。
#232
○政府委員(関通彰君) 仮に慰労金として一時金でお出しいたしますと、もうそれっきりで、その後どんな経済変動等ございましても対処ができないわけでございますが、毎年予算措置で出しているということは、対処する可能性のある方法を政府がとっていると、その意のあるところをおくみ取りいただきたいと、かように考えております。
#233
○和泉照雄君 あなたは、一時金一時金と、そういう冷たいことを言ってはいけませんよ。
 いま、慰労金という制度でちゃんと毎年皆さんに御苦労でしたということで支給されるんですから、それには目減りのない手を、やはり改善の措置をおとりになった方がいいんじゃないかと、こういうふうに申し上げるんですから、適確なことをお答えを願いたいんですが。
#234
○政府委員(関通彰君) 繰り返して御答弁することになりますが、慰労金の基本的な性格から申しまして、所得保障的な年金でございませんのでスライド制がとれないと。したがいまして、毎年定額でお出しするということを基本に考えているわけでございます。
#235
○和泉照雄君 総務長官にお尋ねをしますが、いま質疑のやりとりの中で、だんだん電気、ガス、あらゆるものが上がって慰労金も目減りをするということに対して、政府は何らかの温情ある措置をするのが、過去のそういう御苦労に対して毎年支給をされるということの意味が私は生きてくるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
#236
○国務大臣(小渕恵三君) 御質問の趣旨は理解できますが、いまほど室長が御答弁申し上げましたように、この給付金の性格からいたしまして、直ちに年々歳々スライド制をとるということはこれはむずかしいことだろうと、こういうふうに考えております。と同時に、実はいろんな経過を踏まえてようやくこうした旧日赤看護婦の皆さんにお気持ちを差し上げられることに相なった次第でございますので、したがいまして、スタートした段階でございますので、今後にわたりましてどういう処置をとることがいいかということをここで申し述べることは大変むずかしいことだろうと思います。しかし、先ほども御答弁申し上げましたように、経済には予測しがたき変化ということも予想されるわけでございますので、そうした段階においてなおかつ定額であるかということについては、これは大方の皆さんの御意見が、余りにもその変化に対して政府の行うことに対して無理があろうという御判断をいただくように相なりますれば、政府としても十分研究しなきゃならない課題だというふうに理解いたします。
#237
○和泉照雄君 次は、ことしの一月の二十一日、元日赤の従軍看護婦会の代表の方々が総理府を訪れまして、小渕長官に慰労金給付制度の改善について陳情を行ったことは長官も御存じのことと思いますが、その際に、七十歳以上の受給者への増額、現在受給条件から除外されている外地である台湾、朝鮮で勤務した者や昭和十二年七月以前に中国に勤務した人も対象とするように枠の拡大を図っていただきたい、こういうことを要望いたしましたが、これに対して、小渕長官は制度改善の方向で検討することを確約をされた経緯がございます。
 その後これらの要望についてどのようなことが検討されたのか、さらに五十六年度の予算要求にどのように反映をされようとするのか、説明をしていただきたいと思います。
#238
○国務大臣(小渕恵三君) 本年の一月二十一日、先生を初めとして国会議員各位並びに元日赤従軍看護婦の会の役員の皆さんがお出かけをいただきまして、私あてに陳情書提出を願い、御要請のあったことをしかと承知をいたしております。
 一月の段階でございますので、すでに五十五年度予算につきましては昨年末に予算の大綱は政府として定めておりましたので、五十五年度予算につきましてはこれを盛ることは不可能でございましたが、私といたしましては、いま御指摘のありました点につきまして、誠心誠意検討さしていただきたいというお答えをしたと記憶いたしておりますが、一の点につきましては、先ほど来もスライド制の問題ということで取り上げられておられましたが、要は、このスライド問題については先ほど来の御答弁のようになかなかむずかしいと。ただし、そのときに、しからば大変お年を召された方については何かできないかということでございましたが、これも基本的にはスライド問題に係ることでございますのでなかなかむずかしいことと、現在事務的にも話を進めておりますが、現在の段階そういうことに相なっております。
 それから、二番目の受給資格の問題につきましての、いわゆる台湾、朝鮮勤務の問題でございますが、これはその後いろいろ調べてみますると、いわゆるこの地区を日赤におきましても戦地として規定をいたしておらないというようなことでございまして、この点もなかなか政府としての考え方だけで処理できない問題である。
 それから昭和十二年七月以前の戦時勤務につきましてでございますが、これは援護法との横並びの関係もございまして、これまた直ちに明快な御答弁ができかねるむずかしい問題でございます。
 おいでをいただきましたことをしかと承知をいたしておりますし、われわれといたしましても、せっかくこれだけ喜んでいただいた制度が進捗いたしておりますことに関しまして、気持ちとしてはさらにということでの御要請でございますと思いますので、総理府としても勉強いたしておるところではございますが、現時点までに全くそのとおりの要請におこたえできるということの答弁のできないことをまことに申しわけないと存じておる次第でございます。
#239
○和泉照雄君 さらに、給付金制度の残された問題点として、そのときにすでに死亡された方の遺族に対する処遇、それから実在職年三年未満の者への処遇が挙げられたわけでございますが、これらの問題点を解決するために総務長官にもそのときに要望したわけでございます。特に死亡された遺族に対する処遇については、恩給制度に準ずる、恩給制度を準用するということからしますと、当然これは善処しなければならないと私たちは主張したいわけでございますが、これについて長官はどのようにお考えでしょうか。
#240
○政府委員(関通彰君) 遺族に対します慰労金の給付でございますが、慰労金の性格が、これも先ほど申し上げましたとおり、看護婦さんの非常に特殊な状況を考慮いたしまして、その御本人の御苦労に対する慰労という趣旨でございますので、この慰労金は御本人限りというぐあいな取り扱いにいたしておる次第でございます。
#241
○和泉照雄君 次に、五十五年度予算に旧陸海軍従軍看護婦に対する救済措置を図るための調査費が一千七百万円計上されておるようでございます。そこで、厚生省は実態調査をさきの御答弁では本年度中に完了するということでございますが、総理府はそれを受けて本格的な旧陸海軍従軍看護婦に対する救済措置をいつから実行するつもりなのか、五十六年度予算に計上される、そういう決意で作業を進めておられるのかどうか、その辺のところを御答弁願います。
#242
○政府委員(関通彰君) 厚生省で本年度旧陸海軍の看護婦さんの実態調査を実施される計画でございますので、総理府といたしましては、調査の結果が出次第、できるだけ早急にその後の措置につきまして関係省庁と協議いたしたいと、かように考えておる次第でございます。
#243
○和泉照雄君 次は、終戦に伴う引き揚げ援護業務に従事して公務に起因して死亡した日赤救護員の補償についてお尋ねをいたします。
 私は、日本赤十字社が終戦直後に国の引き揚げ援護等に際し傷病者救護のために派遣した救護員の業務は、その実態から見て戦時衛生勤務に服した救護員の場合と全く同等の公務とみなされてしかるべきだと思うのでございますが、まず政府の見解をお伺いいたしたいと思います。
#244
○説明員(楠本欣史君) 日本赤十字社救護員が終戦後引き揚げ援護業務中死亡した者についての処遇に対する御質問でございますけれども、援護法上の処遇につきましては、この法律が戦争遂行に際して国と一定の使用関係にあった者またはこれに準ずる方々に対して国が使用者としての立場から戦争公務による死亡、障害、これに対して補償しようと、こういう趣旨でございますので、御指摘の方々は戦後の非戦争業務従事者ということで援護法の対象とすることはやはり困難であろうかと思います。
#245
○和泉照雄君 では、具体的な事例でお尋ねをいたしますが、昭和二十一年の六月の二十八日、佐世保沖で病院船に乗船をしていた救護看護婦が連絡船に添乗して十三人が転覆して遭難死した事件がございますが、その事実関係について厚生省から説明を受けたいと思います。
#246
○説明員(楠本欣史君) 事実関係でございますけれども、私どもこういった日赤の職員の方々に関する問題でございますので、この事実関係については日本赤十字社から事情を聞いております。で、事実関係につきましては、まさに先生もいまお話しされたとおり、佐世保沖で昭和二十一年六月二十八日、病院船、これに乗船勤務していた救護員が佐世保桟橋に向けて航行中風波のため突然転覆沈没し十三名の方が亡くなられた、こういう事実関係につきましては承知しております。
#247
○和泉照雄君 日赤では、この十三人の遭難死亡者に対しては戦時救護による殉職救護員と全く同一の扱いをしておるようでございます。日本赤十字社救護員戦時扶助及び弔慰規則を適用をして当時の遺族に対しては弔慰料及び遺族扶助料を支給したと、このように言われておりますが、この日赤の処置によって国の補償が全く免除されているということに私はならないと思います。国は全然この遭難者に対しては弔慰のそういうようなこともしておらないわけでございますが、そこで、これらの犠牲者を、事情はいろいろありますけれども、援護法の適用をして遺族の人たちを救済するという温かいそういうお気持ちはありませんか。
#248
○説明員(楠本欣史君) 申し上げましたとおりの先ほどの事情、あるいは日赤自体がその業務といたしまして戦争あるいは災害に際しまして救護班を派遣して救護活動をする、こういうこと自体をその主要な事業としておるという基本的な事柄、あるいは日赤から当時そういった方々に対しまして給与が出され、あるいはまさにいま御指摘にもございましたように、日赤の弔慰規則によりまして遺族扶助料等が支給されておる、こういう事柄を考えますとき、直接国がこれに対して何らかの処遇をとるということについてはやはり非常に困難ではないかというふうに考えております。
 なお、そういった意味で、非常に気の毒な御事情にあるわけでございますけれども、こういった問題も含めてなお検討の余地はないか、私ども先ほど申し上げましたような若干の援護法の接点部分の問題というものもございますので、プロジェクトチームにおいて研究していきたいというふうに考えておる次第でございます。
#249
○和泉照雄君 昭和四十二年で、かなり以前のことでございますが、滋賀県の行政監察局はこの転覆事故をした遺族の訴えによって行政管理庁を通じて厚生省へ照会をしたわけでございますが、厚生省からは、先ほどお話があったとおり援護法の適用はできないとの回答があったということでございますが、これに対して同監察局では、終戦処理中に国のために働いて死んだ犠牲者の遺族にも遺族年金が支払われるよう援護法の拡大解釈か改正を国に要望するという意見が出されたということでございますが、これは事実であるかどうか。
#250
○説明員(真田弘二君) 昭和四十二年当時、滋賀行政監察局に対しまして日赤看護婦につきまして遺族等看護婦の適用方をお願いしたいというような要望があったことは事実でございます。
#251
○和泉照雄君 あなたの方で厚生省の方に要請をされた要請の原文をちょっとお持ちであったら読んでいただきたいと思います。
#252
○説明員(真田弘二君) 十二、三年前のことでございまして、私どもの方にその当時の詳細な記録はございません。ただ、いま申しましたような滋賀行政監察局に対して申し出があったということで、その要旨は残ってございます。読み上げてみたいと思います。「昭和二十一年六月三十八日日赤救護看護婦として佐世保港外において、復員船の患者輸送業務に従事中、上司の命令により、風雨の中を治療品受領のため、航行中、連絡船が転覆(溺死)した。厚生省では、本ケースは軍属たるの在職期間外の事故であるとして遺族援護法の適用より除外しているが、実情は、軍務に服していたと同様の状況下にあり、この点、援護法適用範囲を拡充してほしい。」、そのような記録が残ってございます。
#253
○和泉照雄君 いま管理庁の方で読んでいただいたわけでございますが、厚生省はこの要請書を受理をしておられるのは事実なんですね。
#254
○説明員(楠本欣史君) 実は四十二年という年月でございますので、早速調べてみましたけれども、的確な文書、文書の形でははっきりしたものは残っておりませんでした。ただ、いま行政監察局からの指摘ということでお話がございましたとおり、そういう内容の要旨の問い合わせがあり、それに対して口頭でか文書でか、これはむずかしいんだという答えをしたということはそのとおりであろうかと思われます。
#255
○和泉照雄君 この行管への要請書によりましても「上司の命令により、」と、医療品の受領のために航行中ということになると、明らかに軍属でなくても公務中にこういうような事故に遭ったということでございますので、やはりその当時、拡大して救済をされてしかるべきじゃなかったか、このように思うんですが、しかしそれはさておきましても、日赤の従軍看護婦の人たちの慰労金制度ができた時点でも、こういうことを救済をされるべきではなかったかと私は思うんですが、そういうようなことは気がつかなかったのかどうか。
#256
○説明員(楠本欣史君) 日赤のいまのような慰労金というものができた、このときにどう考えたのであろうかという御指摘だと思いますけれども、少なくとも私ども援護局におきましては、御承知のとおり遺族援護法、これを所管しておるわけでございますけれども、私どもとしては援護法の適用いかんということでございます。したがいまして、遺族援護法上こういった方々が戦争公務遂行中に死亡した、あるいは障害を受けたというふうに評価できるかどうか、あるいはその身分というものについて、軍人、軍属こういった既存の既処遇の方々と同一視できるかどうか、こういう援護法適否の観点から検討するわけでございます。そういたしますときには、繰り返しになってまことに恐縮でございますけれども、やはり援護法の適用は困難だとお答えする以外にはないわけでございます。
#257
○和泉照雄君 もう少しひとつそういうあれであっても当時の事情をよく勘案をされて温情ある計らいを、いまからでも遅くありませんから、ひとつ前向きで処置をしていただきたい。強く要請をしておきます。
 次は、恩給審査会についてお尋ねいたしますが、昭和五十四年度において申請の件数及びそれらのうちの裁定件数と却下件数についてお知らせ願います。
#258
○政府委員(小熊鐵雄君) 五十四年度の傷病恩給の申請件数でございますが、五十四年度と言いますと五十五年の三月まであるわけですけれども、ちょっと三月までのやつはとれませんので五十五年一月末現在の数字で申し上げますと、申請の件数が七千三百四十五件でございます。それから処理件数が九千七百九十一件でございます。そのうち傷病恩給給与と裁定されたものが七千二百九十九件でございます。
 それから棄却、これはいろいろ公務に当たらないとかあるいは公務に当たるんだが年金を給する程度の障害ではないというような棄却がございますが、これが二千三百六十七件でございます。率にしまして二四・二%ということになっております。
 そのほか書類が不備でもう一度出し直してもらいたいという返戻というのがございまして、それが百二十五件ございます。
#259
○和泉照雄君 特に傷病恩給の審査に当たっては、他の恩給審査事務と違いまして相当慎重を要するし、また、もう長いことでございますので長期間を要しておるのはよくわかるわけでございますけれども、請求者からすればもう少し短縮をしてもらいたいというような要望があるんですが、その短縮を図るためにどういうようなふうにお考えでしょう。
#260
○政府委員(小熊鐵雄君) いま先生おっしゃいましたように、傷病者の方はいろいろ傷ついておられるわけですし、一日も早くということでお待ちになっておる気持ちよくわかるわけでございますが、ただ、戦争が終わってからでもすでに三十五年たっておりますし、受傷後もう四十年以上たっておるというのが非常にたくさんございます。その間、途中で恩給の申請を出しておられればまだ非常に早く片づくのですが、もう全然その間ブランクで四十年たって初めてお出しになるというような場合ですと、まず、その傷病恩給を出すにつきましては、そういった傷を受けたかどうかという判断が一つ要ります。それから、そういった傷を受けたにしても現在の障害というか、傷病がそういった傷に起因しておるのかどうかという判断がまた一つございます。
 これもいま申し上げましたように、もう非常に、大体六十歳を超えて七十歳近い方が大部分でございますので、いろいろな老化といいますか、加齢現象が出ておるわけでございますし、その辺の判断が非常にむずかしいという点が一つございます。
 それから今度その症度について、これが年金に該当するような症度かどうか、こういう判断があるわけでございます。
 いずれにしましても、そういった受傷の事実その他を裏づけるようないろいろな資料が必要なわけでございまして、これがなかなか受傷者の方個人ではそろわない。そうしますと、こちらがいろいろまたお手伝いをするとか、あるいは診断書等につきましても不備なものはかなり多いわけでございまして、こういったものをまた検診に出してあげるとか、いろいろ手がかかるわけでございまして、御指摘のように、かなりの月数かかっておるのもあるわけでございます。ただ、私どもとしましては、最初に申し上げましたように、傷病者の方あるいは非常にもう老齢化されておられますので、一日も早く裁定を出したいということでいろいろ基準等を設けまして、とにかくもう早くやるという方式をいろいろ考えておるわけでございます。
 あと、ただ、私どもの方へ参りましてからはいま申し上げましたように、もう精いっぱい早くやろうということでやっておるわけでございますが、御承知のように、傷病恩給の請求につきましては、それぞれ本籍地の都道府県、ここにいろんな軍歴簿やなんかあるわけでございまして、そこを経由して厚生省の援護局の方に参りまして、それから私どもの方に上がってくるわけでございます。その間の資料の整理といったことにもこれはかなり時日を要しておるということもまたあるわけでございます。いずれにしましても、私どもも私どものところに来てからはもうとにかく一日も早くということでがんばっておるわけでございます。
#261
○和泉照雄君 戦傷病者戦没者遺族等援護法というものに基づいて援護審査会というのがございますが、この裁定までの審査の時間が大変長いようでございますが、具体的例を一つ挙げてお尋ねをいたしますが、鹿児島県の阿久根市に住んでおられる垣本勇さんという方ですが、障害年金の請求を本人が県に申請をしたのが昭和五十一年四月の二十八日で、県が厚生省に進達したのが昭和五十一年の十二月二十三日でございます。半年ぐらいして進達をしておりますが、それから本人の照会に対して、厚生省援護局からは昭和五十四年の九月の二十七日にお答えがありましたが、結論としては、いつ裁定されるかわかりませんということでございます。もう御本人も非常に高齢でございますし、時間も余りかかり過ぎておるんじゃないかと、もう約四年間ですね、こういうように思われますが、この点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
#262
○説明員(楠本欣史君) 援護審査会につきましても、先ほど恩給局長から御答弁がございましたとおりの事情がございまして、いずれにせよ三十数年前の戦時中の特殊な事実関係を判断すると、そのための客観的な立証資料、こういったものを収集整理しなくてはいけないという事情にございまして、そのような事情から、やはりこれを受けましてから最終的に援護審査会で決定されるまでに相当長期間を要する事案もございますことは御指摘のとおりであります。平均的には、市町村受け付けから最終の援護審査会の決定まで一年六カ月程度平均的にはかかるという実情になっておりますけれども、ぜひ私ども遺族の方々の高齢化という事情も踏まえ、御指摘の趣旨を体しまして早期処理に努めてまいりたいと思います。
 ただ、いま具体的な事案として鹿児島の案件を御指摘になったわけでございますけれども、正直言いまして、いま初めてこれを承ったわけでございましたけれども、こういった事例について特殊の事情があったかどうか、早速調べまして、この案件につきましても早期処理に努めたいと思っております。
#263
○和泉照雄君 これは援護局の援護課からの回答がちゃんと出ておるんですよ、もう四年ですからね、具体的に言いましたから善処してください。
#264
○説明員(楠本欣史君) わかりました。
#265
○和泉照雄君 次は、改善事項の第九項目でございますが、旧国際電気通信株式会社の社員期間の通算条件の緩和を図ることを示しておられますが、私のところには華満棉友会の方から旧満州棉花協会、旧華中棉産改進会、旧華北棉産改進会、あるいはまた旧満州航空株式会社従業員という方々から、恩給法令に言う外国特殊機関職員の指定をしてほしいというこのような陳情が来ておりますが、この件について政府はどのような姿勢で対処していくおつもりか、お聞かせ願いたいと思います。
#266
○政府委員(小熊鐵雄君) 外国にあった特殊機関とかあるいは特殊法人、こういったものについて通算を認めてもらいたいという要望、要請あるいは陳情につきましては私どものところへも非常にたくさん参っております。ただ、そういった外国にあった特殊機関とか特殊法人とかあるいは国策会社とか、こういったものは私ども承っているだけでも百以上ございまして、これらについては、そのうちいろいろ人事交流の特殊性とかあるいは業務の内容とかそういったものをいろいろ検討した結果、二十二についてはすでに通算を行っておるわけでございまして、その余のものについてはこれは一つやればもう、先生御承知と思いますが、戦時中はもうほとんど重工業の会社その他も国策会社といいますか、軍が管理した会社でございまして、そういった業務が非常に軍と密着しておるとかあるいは政府と密着しておると、これはもうほとんどの会社がそうだったんじゃないかと思いますが、そういったところに広がるという問題もございますし、先ほど申し上げましたように二十二の通算を認めた法人等につきましては、もう十分検討した結果やったところでございまして、その余のものにつきましてはもう私どもは一応通算問題としては終わっているんじゃないかと、このように考えておるわけでございます。
 なお、最初御指摘になられました今度の国際電気通信でございますが、これはすでに通算措置がとられておりまして、それは国際電気通信が政府に移管になりました後においてずっと通算しておるわけでございます。ただ、その間終戦後から政府に移管になるまでの間抜けておる部分がありましたので、これを手直しするということでございます。決して新たにこれを加えて通算措置をするということではございませんので、御了承をいただきたいと思います。
#267
○和泉照雄君 次に、ソ連抑留者の問題についてお尋ねをいたしますが、わが党の二宮議員が政府に対して、「戦後ソ連強制抑留者の処遇改善に関する質問主意書」、これを提出いたしましたところが、去る十五日政府の答弁書が送付されてきておりますが、その内容はソ連抑留者の声を全然無視をしている。抑留者の切なる処遇改善、実態調査の要望を拒否した態度でございまして、私は許しがたいものであると思います。この三項目は最小限の要望であると思います。「総理府に審議会を設置をし、特別立法措置の要否について検討を開始すべきであると思うがどうか」とか、あるいは「政府は戦後ソ連強制抑留者とその遺族の実態調査、抑留にかかる後遺症患者の実態調査、ソ連における埋葬地点に関する実態調査を行うための調査費並びに遺骨送還のための費用を早急に予算計上すべきであると考えるがどうか。」、それから三番目が「抑留者の労苦の実態に比し、現行恩給法上の抑留加算は低きに失すると思われるので、早急に、その見直し措置を採るべきであると思うがどうか。」ということに対して答弁があったわけでございますが、ほとんどノーでございますが、これは再考するお考えはないかどうか、御答弁願います。
#268
○政府委員(清水汪君) ただいまの御指摘の、特に最初の第一項につきましての御答弁をあるいは特にお指しになっておるかとも思いますが、このシベリア抑留の問題につきましてはつい先ほども御答弁を申し上げたところでございますが、政府といたしましては、昭和四十二年に引揚者の交付金の措置をいたしました時点をもちまして、終戦に伴う措置といたしまして、未処理の問題は措置が終わったというふうに受けとめてきておるわけでございます。もちろん、その意味はすでに御案内のとおり、たとえば特定の援護措置を要するような方々に対する援護措置というようなものは、幾つかの法律に基づきましてそれぞれの実態に応じた措置をとってきているわけでございますが、そうしたいわばとるべき措置をとったという立場でございます。しかるところ、もちろんただいま御指摘のように、最近におきましてシベリア抑留問題等につきましての推進の動きが高まっておるということはよく承知をしているわけでございますけれども、それに対しまして、これをいまこの段階になって改めて取り上げるということは、これはきわめてむずかしい問題であろうというふうに思うわけでございます。御苦労をなさったということに対しましては深く推察申し上げるわけでございますが、それに対してどういう措置をとるかという御質問に対しましては、どうも大変繰り返すようで恐縮でございますが、新たな措置をとるわけにはまいらないということを申し上げさせていただきたいわけでございます。
#269
○和泉照雄君 もう最後になりますが、あと三、四問。
 恩給行政に欠かせない資料の保管ということについてお尋ねをしますが、軍人軍属の軍歴証明というこういう書類の保管は、戦前戦後、どういうふうに全国的にしておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。
#270
○説明員(森山喜久雄君) 軍人軍属の履歴でございますが、これは陸軍につきましては、戦前は兵籍簿というのがございまして、現在もあるわけでございますけれども、これは連隊区司令部が保管をしておりまして、戦後都道府県に移管しております。それから旧海軍関係の軍歴は、すべて厚生省で保管しております。
#271
○和泉照雄君 私が全国各地を回ってみますと、恩給の受給権がありながら、請求しても確認をする書類がなくて却下された事例が非常に多く見受けられるわけでございますが、その主な原因をよくよく聞いてみますと、重要なそういう書類が空襲等で焼失してなくなっておると、こういうようなことでございますけれども、厚生省の方では全国的なそういう書類の焼失状況の把握というのはどのようにしておられますか。
#272
○説明員(森山喜久雄君) 先生御指摘のように、いま申し上げました兵籍簿等も、戦災でございますとか終戦後の混乱で若干散逸しておりまして、現在平均いたしますと全国で七二%が残っておるわけでございまして、ですから二八%はなくなっておるということでございます。
 で、これは恩給でございますとかその他共済年金、厚生年金等でその履歴の証明が必要なんでございますけれども、この補備する資料といたしまして、厚生省に留守名簿というのがございます。これは、昭和二十年の一月一日現在、外地にあった部隊に所属しておられた人の名簿でございます。こういう名簿でございますとか、それから個人が持っておられる軍隊手帳、それから軍人時代の写真でございますとか、それから外地から出された軍事郵便、そういう個人が若干資料を持っておられる方もございます。それから、そういうものもなければ、戦友でございますとか上官の証明、こういうものも採用しております。それから官公署とか会社に所属して応召されたというふうな方につきましては、その官公署なり会社の人事記録、こういうものを深しまして、こういうものを総合いたしまして、これもその人の全軍人間の履歴というものを全部出すわけにはまいりませんけれども、ある時点ある時点の資料が出てまいりますれば、私の方にその部隊の行動表というのがございますので、そういうような資料とも照らし合わせまして、その人の履歴を解明していくというふうな方法で対処しておるわけでございます。
#273
○和泉照雄君 具体的な事例についてお尋ねいたしますが、私の郷里の鹿児島県では、約二十三万人の人が陸軍に応召したと、このように言われておりますが、戦時名簿は六万九千人、差し引き十六万一千人の分が焼失をしたと、このように言われております。ですから、恩給を申請しても確認をする資料がないという、こういう状況でございます。現実に、普通恩給とか扶助料、一時恩給、一時金――原簿がないために照合ができないというのが二千六百件もたまっております。こういうような実情について厚生省の方では実態調査されたことがございますか。
#274
○説明員(森山喜久雄君) 実は、私の方もいろいろ保険請求の処理でいっぱい手を追われておるものでございますから、そのような実態調査をしたことはございませんけれども、鹿児島県は戦災でかなりの資料がなくなっておると、資料の保有率が五割以下であるということは承知いたしております。
#275
○和泉照雄君 やはりこういうようなことは、戦災で焼けておるということであれば、国の責任において実態調査ぐらいするのが当然だと思うんですが、それをあなたの方ではやってないと言うんでしょう。
#276
○説明員(森山喜久雄君) 県でどのぐらいの請求書を保有しておるかというようなのは毎月統計をとっておりますけれども、その資料のない方がどのぐらい出てきているかという具体的な細かい調査はしておりません。
#277
○和泉照雄君 これはもう明らかに私は国の方の責任ではないかと思います。やはりそういうふうなことをPRさしたり、そしてまた救済方法を何らか樹立をするということを考えなけりゃならないと思うんですが、不平等ですよ。そういうものを持っている人はいいけれども、持たない人はどうしても照合の書類がないということで却下になるわけでありますから。これを打開するとか、何か具体的にお考えありますか。
#278
○説明員(森山喜久雄君) 先ほど申し上げましたような、その方に関するたとえば戦友の証明とか、そういうものもとれないということになりますと、これは私どもといたしましてもちょっと手の打ちようがないんでございますけれども、まあそういう、そこまで究明しているかどうかという疑問もございますので、鹿児島県のみならず、各県につきましては、来月、全国の課長会議もございますので、そういう席でそういう方法につきまして改めて指示をいたしまして、実態をつかんでみたいと思っています。
#279
○和泉照雄君 最後に、そういうふうな課長会議のときでも、よく事前に成案を持って、しかももう書類がないんですから、やはり生存の戦友あたりの、終戦後もう三十何年になりますけれども、やはり一つの信憑性のあるものは採用する等のことをやって救済していくということをぜひやってもらいたい。これ確約していただけますか。
#280
○説明員(森山喜久雄君) 十分に検討してまいりたいと思います。
#281
○委員長(古賀雷四郎君) 本案に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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