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1979/04/24 第91回国会 参議院 参議院会議録情報 第091回国会 内閣委員会 第10号
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1979/04/24 第91回国会 参議院

参議院会議録情報 第091回国会 内閣委員会 第10号

#1
第091回国会 内閣委員会 第10号
昭和五十五年四月二十四日(木曜日)
   午前十時三十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十三日
    辞任         補欠選任
     柄谷 道一君     井上  計君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         古賀雷四郎君
    理 事
                岡田  広君
                林  寛子君
                林  ゆう君
                村田 秀三君
    委 員
                中西 一郎君
                桧垣徳太郎君
                堀江 正夫君
                穐山  篤君
                山崎  昇君
                和泉 照雄君
                市川 正一君
                井上  計君
   国務大臣
       農林水産大臣   武藤 嘉文君
       郵 政 大 臣  大西 正男君
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)       小渕 恵三君
   政府委員
       内閣官房内閣審
       議室長兼内閣総
       理大臣官房審議
       室長       清水  汪君
       内閣総理大臣官
       房管理室長    関  通彰君
       総理府恩給局長  小熊 鐵雄君
       農林水産大臣官
       房長       渡邊 五郎君
       農林水産省農蚕
       園芸局長     二瓶  博君
       農林水産省食品
       流通局長     森実 孝郎君
       郵政大臣官房長  小山 森也君
       郵政大臣官房電
       気通信監理官   寺島 角夫君
       郵政大臣官房電
       気通信監理官   神保 健二君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鈴木 源三君
   説明員
       外務大臣官房領
       事移住部領事第
       二課長      野口 雅昭君
       大蔵省主計局共
       済課長      野尻 栄典君
       大蔵省主税局国
       際租税課長    源氏田重義君
       厚生省援護局業
       務第一課長    森山喜久雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○恩給法等の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○郵政省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○農林水産省設置法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(古賀雷四郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 前回に引き続き、恩給法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○市川正一君 私は、法案とも関連いたしまして、若干の問題について質問いたします。
 まず、旧陸海軍従軍看護婦への年金問題であります。昭和五十五年度に調査費がつけられたわけでありますが、陸海軍従軍看護婦さんたちのいま一番切実な願いは、一刻も早く実現してほしいということに尽きると思います。私、ここに資料を持ってまいりましたが、元陸海軍従軍看護婦の会、この調査によりますと、会員が千六名おられますけれども、そのうち八十歳台が三人、そして七十歳台が三十八人、こうなっております。こうした人たちは何とか生きている間に早く年金を支給してほしい、こう願っておられるわけでありますが、政府としては支給のめどをいつと考えておられるのか、まずお伺いしたい。
#4
○政府委員(関通彰君) 旧陸海軍従軍看護婦の処遇につきましては、ただいま先生のお話にもございましたように、本年度厚生省において実態調査を実施されると。私ども承知いたしておりますのでは、厚生省でもできるだけ速やかに結果をまとめるという御方針のように伺っておりますので、この調査の結果がまとまり次第、速やかに関係省庁で協議いたしまして対策を検討いたしたい、かように考えておる次第でございます。
#5
○市川正一君 いま、大阪の堺市にある耳原病院で婦長さんをなすっておられる橋本ナツミさんという方、五十七歳の方ですが、この方も元陸軍の従軍看護婦さんでした。同じく同僚であった方が不治の病で寝たきりの病床にある、生きている間に年金をぜひ支給してほしい、こういう血の出るような思いで訴えられたというお話を伺ったんでありますが、旧陸海軍病院の看護婦さんたちは、あの戦火のさなかに従軍し、また戦後は抑留されるなどの中で多くの方が亡くなられております。生きて帰っても婚期を失っていまなお一人暮らしの方が多いことは、さきに申しましたこの資料の千六人の中でも二百二十八人、二二・七%の方が旧姓のままであることにもうかがえるのであります。こうした方が旧日赤従軍看護婦並みに慰労金が支給されるようになったとしても、本人が死亡すれば遺族には年金は支給されません。まして、政府が慰労金支給措置をとる前に御本人が亡くなってしまえば、結局だれにも一銭も支給されないことになってしまいます。
 政府はこうした実情も踏まえて早急に実現を図るべきだと考えますが、いま厚生省の調査というお話がございましたが、これはいつごろに完了なさる予定なんでしょうか。
#6
○説明員(森山喜久雄君) 旧陸海軍看護婦の実態調査でございますけれども、ただいま成案を急いでおりまして、もう最終的な詰めの段階に来ております。これが成案ができますと、各省、それから都道府県とも打ち合わせをいたしまして直ちに実施に移したいと思っております。
#7
○市川正一君 そうしますと、いま行っていらっしゃる調査の内容ですね、これはどういう内容なんでしょうか。
#8
○説明員(森山喜久雄君) これはやはり看護婦さんの、陸海軍看護婦として就職されたときから退職されるまでの履歴を年代順に記載していただくということと、それにそういう事実を何か証拠立てる資料をお持ちでございましたら、そういう資料があるかどうかというようなことが中心になると思います。
#9
○市川正一君 そうしますと、該当する本人が年金などを支給される資格があるかどうか、また資格がある場合に金額はどうなるか、そういうことについての調査というふうに理解してよろしゅうございますね。
#10
○説明員(森山喜久雄君) 要するに何といいますか、勤務年限、それから勤務地でございますが、これは内地、外地、いろいろございますけれども、そういうものを記憶に基づいて詳細に書いていただきまして、それをいろんな角度から集計して資料として出すわけでございます。
#11
○市川正一君 つまり、個々の資格に関する問題について調査をしていらっしゃる。そういう調査はもちろん必要であり、特に予算要求の上でも当然必要なことでありますが、そこでお聞きしたいんですが、だれだれに幾ら支給するということはこれは別として、元陸海軍の従軍看護婦に対して旧日赤看護婦並みに慰労金を支給するのかどうか、このことは、厚生省の調査結果を待たなくても結論というか、見解は明らかにできるはずだと思うんです。
 長官にお伺いしたいんですが、なぜなら、すでに厚生省では約五千七百名分については戦地勤務の履歴がわかっているわけです。私はここにその一部を持ってまいりましたけれども、ここには陸海軍病院への編入年月日だとか、あるいは戦地勤務の年月日、復員の年月日、すべて明らかになっております。繰り返しますが、個々の調査はこれは当然必要だということを前提の上で、したがって私は、まず元陸海軍看護婦の皆さんにもそういう調査の上に立って支給するんだ、そういう制度をつくるんだ、そのためにいま調査をやっているんだ、そういういわば朗報ですね、元陸海軍看護婦の方々に政府としてお知らせいただくのが非常に喜ばれるんじゃないかと思うんですが、長官の御見解を伺いたい。
#12
○国務大臣(小渕恵三君) 旧陸海軍従軍看護婦に対する処遇につきましては、政府としては、五十五年度予算で厚生省をして一千七百万の調査費を計上しておるということの事実は、何らかの措置を講じなければならないという意思のあらわれとおとりいただいても誤りではないと思うんです。それは、国会における御決議等もちょうだいをしておりますし、すでに旧日赤従軍看護婦に対する処遇も行われておるわけでございます。ただ、旧日赤看護婦の皆さんは、言うまでもありませんが、赤紙召集でございまして、この旧陸海軍の従軍看護婦の場合、当時陸海軍の病院の雇員としての立場であったということ等いろいろ差異もあるわけでございまして、したがいまして、一体どのような処置を講ずべきか等につきましては現時点におきましては定かになっておりませんで、そのことも含めて、実は厚生省の調査結果を待って処置いたしたいというのが政府のただいまの考え方であります。ありますが、しかし、調査費を予算計上しておるということの事実は政府の意思のあらわれ、こう御理解願って、いかような具体的な措置を講ずるかについては、厚生省の十分な調査結果を待って政府として各省庁連絡をとって研究したいと、こう考えておる次第でございます。
#13
○市川正一君 わかりました。
 そうすると、最終的にはいろいろ調査結果に基づいて、どういう形でいかほどというふうなことは別として、いまおっしゃった何らかのそういう支給を前提にしていま準備を進めていると、こういうふうに理解さしていただいてよろしいわけですね。
#14
○国務大臣(小渕恵三君) いわゆる調査費なるものの厳密な性格は、調査した結果でなければいかようの対応もできないことでございますが、しかし、従来調査費なるものは将来にわたっての何らかの措置を念頭に置きながら政府としては予算計上してきたという経緯も万般にわたってあるわけでございますので、よろしく御理解をいただきたいと存じます。
#15
○市川正一君 積極的に理解いたします。
 次に私、引き続いて旧日赤従軍看護婦への慰労金の問題でありますが、五十四年度から支給されるようになって、これはまことに結構なことだと存じます。しかし問題は、本委員会でも先日取り上げられましたが、余りにも金額が少な過ぎるということなんです。東大阪市の蛇草という病院がございますが、そこにいらっしゃる旧日赤従軍看護婦の田中アヤさんという方からも、私じかに切々と訴えられたのでありますが、戦時中は兵に準ずるということで戦地勤務をさせられたこれらの方々と軍人恩給との間に余りにも極端な格差があるということは、私決して妥当とは思えないんです。
 具体的には、たとえば第一に恩給は、今回の改正案にも提案されておりますように、毎年総じて改善、アップされますが、この慰労金はアップいたしません。二番目に、恩給は六十五歳から最低保障が適用され、支給額はかなり引き上げられますが、こうした措置もございません。第三に、恩給は六十歳からは加算年が金額計算の基礎にされるのに対して、こうした措置もございません。
 こうした格差、開きが現に存在しているという事実については、長官もお認めでございますか。
#16
○政府委員(関通彰君) 旧日本赤十字社の看護婦さんに対します慰労金は五十四年度から支給をしているわけでございますが、この支給額の積算は、兵の普通恩給額の積算根拠に準じた計算をいたしております。具体的に申しますれば、兵に準じた形で加算年の計算をいたしまして、また実勤務年数別に金額を十万円から三十万円までと決めているわけでございます。
 この基本計算は兵に準じてされているわけでございますが、先生御指摘のように、具体的な支給額でかなり差があるというのは二つに起因すると思います。一つは、恩給の場合最低保障をしているということと、もう一つは高齢者の加算をしているということでございます。日赤の看護婦さんの慰労金の場合、最低保障と高齢者加算をいしたておりませんので差があるわけでございますが、これは実は慰労金の性格が過去の御苦労に対します慰労金であると。実は恩給の場合は所得保障的ないわゆる年金でございまして、そのために最低保障等の保障があるわけでございますが、慰労金は、従軍看護婦さん方の非常な特殊事情を考慮いたしまして慰労金として考えているという基本的な性格から来るものと御理解いただきたいわけでございます。
#17
○市川正一君 私が三点、いわば違いといいますか、格差を申し上げましたが、いまの御答弁はそれをお認めになったと、その根拠や動機は違いとして、そういうものが存在しているということは事実なんですね。
#18
○政府委員(関通彰君) 事実でございます。
#19
○市川正一君 そうしますと、おとといの本委員会においても、同僚委員の質問に対して、総理府は慰労金のアップの問題について、将来著しい経済変動があった場合は考えざるを得ないと、こういうふうにお答えなすったんでありますが、たとえば昨今電力、ガス、石油、たばこ、国鉄運賃等々軒並みに公共料金が引き上げられる。そして国民生活に重大ないわばそれこそ著しい打撃を与えておるんでありますが、さらにまたイランの対日石油禁輸問題など、国民生活の立場から言うと、まさに著しい経済変動が起こっているんでありますが、私はいまこそまさに慰労金のアップを検討する時期でないのか、こう考えるのでありますが、この点いかがでございましょう。
#20
○政府委員(関通彰君) 支給額のアップのお話でございますが、先ほども触れましたように、この慰労金の基本的な性格からいたしまして、過去の御苦労に対する慰労という趣旨で定額支給の方針をとっておるわけでございます。何分にも、五十四年度初めて予算を計上いたしまして、昨年十二月に最初の支給をしたわけでございます。措置といたしましては、毎年予算を計上いたしまして、予算措置で支給するという形をとっておるわけでございますが、基本的な性格からいわゆるスライド制の方式はとり得ないということ。今後の問題といたしましては、実際に支給をいたしております日本赤十字社の意向、あるいは今後の運用状況も考慮いたしまして対処してまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
#21
○市川正一君 それではあなた方が言われる著しい経済変動というのはどういう事態なのか、それをお伺いしたいんですが、時間がありませんからそれはさておいて、それでは長官、こう理解していいんでしょうか、政府の立場というものは絶対に現行の金額をもうくぎづけしてしまうんだということじゃないんだと、小渕長官は鬼でもジャでもないんだと、要するに情勢あ推移の中では要望にこたえてアップすること、それは検討するんだということは含まれているんだと理解してよろしゅうございますか。
#22
○国務大臣(小渕恵三君) お答えする前に、先ほど管理室長から恩給との格差の問題に触れまして、著しい格差があるということを御答弁したようですが、その前提は、私は金額としての格差はさっき申し上げたような条件によってあらわれてきている点があるかと思います、最低保障とか高齢者の問題とか。しかし、しばしば申し上げておりますように、恩給法に基づく処置として行うことでありませんで、やはりいろいろ過去の経過を踏まえて、諸先生方からも再々にわたる御陳情等も受け、御本人たちのお立場、特に御婦人であるというようなことを考えてこの処置を検討の上つくり上げたことでございますので、もともとべースが違っておるので、私は比較対照して格差があるという議論にはなかなかなりにくいんじゃないかと思うんです。
 そこで、いま御指摘の点でございますが、もちろん私とて鬼でもジャでもないんで、できる限りの処置は申し上げなければならぬという気持ちはやまやまでございますが、しかし、もともとこの性格づけがそういうふうに多年にわたる御労苦に対するお報いとして措置をしたお金でございますので、この際将来にわたってスライド制というようなものをしくようなものでないことはかねて御答弁しておるところでございます。
 ともかく始めたばかりでございます。したがって、将来にわたってここでお約束することはできませんが、先般も御答弁いたしましたように、経済の変動というものは予測しがたきこともございまして、将来にわたってすべて固定して一定の金額しかということでは、将来見通してますます物価が下がる傾向にあるとも予測できない状況の中で、いかにして処するかということは政府としても真剣にひとつ考慮していかなけりゃならぬかと思いますが、この辺にどう対応するかということは、やはり政府、議会に代表される国民的な一致されるお考えが、余りにも金額が不公平といいますか、他に比べて差があるという判断が出てまいった時点において考慮すべきものだと、こういうふうに申し述べさしていただきたいと存じます。
#23
○市川正一君 そうすると、論理の帰着するところとして、私がお伺いしているのは、いますぐスライド制をどうしろこうしろということじゃなしに、一般論というか、論理的に言って絶対に現行の金額でいわばくぎづけしているわけじゃなしに、今後のそういうおっしゃったような変動の中で、要するに改定していくということも当然考慮、念頭の中にあるんだということとして理解していいんですねというふうに私お伺いしているんです。そういうわけですね。
#24
○国務大臣(小渕恵三君) 結構でございます。
#25
○市川正一君 もう一件お伺いしたいのでありますが、シベリアの抑留者の問題であります。
 わが党は、去年の十二月のソ連共産党との会談におきまして、シベリアで亡くなった抑留者の遺骨収集やあるいは墓参の問題などについて前向き解決のめどをつけたのでありますが、現在、かつてのシベリア抑留者たちの間で日本政府に対する補償要求の運動が取り組まれていることは御承知のとおりだと思う。第二次世界大戦における日本軍が軍国主義による侵略軍隊であったことにも伴う必要措置があったとしても、長期の抑留は国際法上重大な問題を含んでおりました。それはハーグ陸戦法規やあるいは捕虜の待遇に関するジュネーブ条約、さらにはポツダム宣言などに照らしても明らかであります。したがって、長期にシベリア抑留を余儀なくされた人々が補償を要求することには根拠がある、こう考えます。しかしながら、日本政府はサンフランシスコ平和条約第十九条と日ソ共同宣言第六項によってソ連に対する請求権を放棄しております。以上のような諸点から見て、これら抑留者の方々が日本政府に対して補償要求を行っているのは根拠と道理を持つものと考えるのであります。
 ところで、抑留された人々が何項目かの要求を出しておりますが、本日は恩給法の審議とのかかわり合いにおいて、その要求の一つとなっておる抑留加算を三年に引き上げる問題について伺いたいのでありますが、ソ連での抑留者約五十九万人のうち、死亡者は五万五千人という状況、これは戦争中の激戦地並みの加算三年ということにしても私は妥当性を持つと、こう思います。抑留期間の加算を三年にすることによって、抑留者のうち恩給対象年限に達しない人かなりが対象になって、そして実質的な救済が図れると思うんであります。
 私、ここに資料を持ってまいりましたが、たとえば昭和二十三年以降に帰国した抑留者が約二十七万人でありますが、この人が、たとえば終戦の昭和二十年一月以前に召集された人であるならば、全員恩給対象者にすることができますし、また、すでに恩給対象者である人は恩給金額も実質的に引き上げられることになります。政府も資料は御承知と思いますが、こういう見地からも私、抑留加算年の引き上げを真剣に検討すべきでないかと、こう考えるのでありますが、この点いかがでございましょう。
#26
○政府委員(小熊鐵雄君) 抑留加算でございますが、これは先生御承知のように、昭和四十年の法改正で新たに設けられたものでございます。この四十年に新たに設けられました当時、その当時として一体こういう抑留加算を設けることはどうなんだろうという議論がずいぶんあったわけでございます。しかし、抑留中の期間といいますか、これが公務員としての期間そのものではないとしても、それに連続する期間であるというようなことから、一応抑留加算というのを認めようということになったわけでございまして、その期間につきましても、当時といいますか、戦争中辺陬地加算とかあるいは不健康地加算というようなものがありまして、これらが大体一カ月について十日とか、あるいは一カ月について二十日、要するに二分の一とか三分の一という加算がついておるわけでございまして、そういったものとの横並びの関係からいろいろ検討されて一カ月と、要するに倍に計算するという処置をとったわけでございます。
 もちろん、抑留地の地域、あるいは何といいますか、管理した国の事情、そういったものによっていろいろ実態の差はあったんじゃないかとは思います。しかし、話によりますと、やはり中国で抑留された人でも相当苦労されておられる方もありますし、南方でも相当ひどい病気になったとか苦労したという方もおられるようでございますし、そういったものをどこでどういう苦労をしたからというようなことになりますと、これはもう一人一人がその苦労の度合いも違ってくると思いますし、非常に実際上もむずかしいし、またいろいろ外交的な問題もあるかとも思いますし、そういったことで、これをソ連抑留者について特段のかさ上げをするということは非常にむずかしい問題だと思います。
 それから、先ほど先生、二十三年以降二十七万人ぐらいの引揚者があって、これに全部加算をつければというような話があったんですが、加算制度というのは恩給制度の一つでございまして、抑留された軍人とかあるいは公務員、こういう方には加算がつきますけれども、一般の人には、恩給の対象になっておりませんので、そういう加算がつくというようなことはございませんので、その点御理解いただきたいと思います。
#27
○市川正一君 最後におっしゃった問題については、私、区分して申し上げているつもりですし、そして、それに関連して後で若干御質問もいたしたいんです。
 いま、横並びでいろいろそういう調整をしたというふうにおっしゃったんですが、一種のバランス論でありますが、このバランスについて、現実にシベリア抑留者の人たちの要求、そして先ほど申し上げたその救済の現実的措置として、加算年をいわば激戦地並みにすることが決してそれは妥当性を欠くとは言えないという形で問題を私申し上げたんです。
 ことしの三月に全抑協の請願が寄せられておりますが、それを拝見しますと、いみじくもいまの点についてこういうふうに言っております。「昭和二十年八月十五日、太平洋戦争終結に際し、陸海軍将兵は「ポツダム」宣言の定めるところにより、武装解除を受け陸続として復員の途につき平和な家庭の人となった。ひとりソ連軍の支配下に移った私共は、遠く中央アジアから極北に至る辺土に連行され、以後数年の間強制労働を余儀なくされてきた。」、こういうふうに述べている。ですから、終戦後起こった事態としての特殊性、要するに戦争中の問題というよりも、戦後起こったこういう問題の特別の性格から見て、これを解決していくことが、決してそれは公正を欠くということにならないと私は思うんでありますが、そういう立場から、私はその他の地域でどうこうということを申し上げているんじゃなしに、具体的に要求があり、具体的に運動が起こっているこの問題について、いまの恩給年の加算の問題について、再度そういう立場からどうなのかということをお伺いしたい。
#28
○政府委員(小熊鐵雄君) 先ほど申し上げましたように、この加算制度をつくりますとき、十分いろいろ検討いたしまして、それ以前にあった、いわゆる戦争状態の中での加算制度、こういったものとの均衡といいますか、それを考えながら決めてまいったわけでございますので、これを、いまの段階でこの加算年全体を動かすというようなことは、まあなかなか実態も踏まえにくいという面もありますし、非常にむずかしい問題だというように考えております。
#29
○市川正一君 実態論の云々は別として、しかし論理的にはそういう考え方というか、発想はあり得るということですね、局長のいまのお答えは。実態がつかみにくいということじゃなしに。
#30
○政府委員(小熊鐵雄君) これも先ほど申し上げましたように、この抑留加算というのが非常に特例的な、恩給法としては全く特例的な措置としてとられておるわけでございます。
#31
○市川正一君 起こった事態がまたこれ特例的なんですよ。だから、それ特例的にやはりわれわれこの問題に対処する必要があると思うんです。
 時間が迫ってまいりましたので、私もう一点、先ほど局長がお答えになったことと関連しますが、この恩給対象者になっていない民間人に対しても、たとえば先ほど触れました旧日赤陸海軍の看護婦のような年金あるいは慰労金、これは検討さるべきでないかと思うんですが、この点いかがでしょう。
#32
○政府委員(小熊鐵雄君) 恩給というのが、御承知のように百年ぐらい続いておるわけでございますが、しかも大体昭和三十四年あるいは三十七年ですでになくなった制度であるわけでございますが、その対象として軍人とそれから官吏、これを対象としてでき上がった制度でございますので、それ以外の方に恩給法上の措置をするというのは、これはもう前にもちょっと申し上げたかと思うんですが、すべての人に広がりを持っていくということにもなりかねないわけでございますので、恩給法上はそういう処遇は考えられないというように申し上げるしかないと思います。
#33
○市川正一君 私、申し上げているのは、旧日赤陸海軍看護婦に対して適用されたというような、兵に準じてという、この戦後シベリアで起こった事態というのは、旧軍人だけじゃなしに、民間人もやはりそういう点でいわば同様の条件にあったわけですから、そういう事態の特殊性、これに対応するものとしてそういう発想、そういうようないわば政府の考え方をやはり適用すべきであるということを私申し上げたいし、先ほど来のやりとりの中で、いろいろ実態が把握しにくいということならば、実態については大いに私どももまた関係者も協力して明らかにいたしましょう、必要な調査もいたしましょう。こういう上に立って、ひとつこの点は御検討願いたいんであります。
 時間が参りましたので、最後に一問お聞きしたいんですが、私は、結論的に冒頭に申し上げたように、抑留者の方々のこの要求というのは道理と根拠を持っていると。で、さらにもう一点それにつけ加えますと、これらの人たちが抑留後帰国して支給されたのは、恩給対象外の方について申しますと、御承知のように昭和三十二年にできた引揚者給付金、そして昭和四十二年の引揚者等に対する特別交付金だけであります。そしてまた、恩給関係者の方も先ほどのような切実な要求を持っておられるということになりますと、私、こういう実態を踏まえた、政府として、ソ連抑留者に対する補償問題についてこの際前向きに決着をつけるというそういう立場から、一つは具体的な検討を、先ほど申し上げたようなことに関してひとつ取り組んでいただきたい。
 二つは、少なくとも来年度予算において実態調査ということもございましたし、そういう調査費をつけていただきたい。
 この二点について私、特に長官の積極的御答弁を要望して、最後の質問にさしていただいて終わりたいと思います。
#34
○政府委員(清水汪君) 私、内閣審議室長でございますが、その立場からお答え申し上げたいんでございますが、政府といたしまして統一的に御答弁を申し上げてきておるわけでございまして、ただいま御指摘のシベリア抑留問題につきましては、それだけとは限りませんけれども、その他の場合も含めまして、要するに、特別の措置を要する、たとえば亡くなった方の遺族に対する措置、あるいは傷病等にかかられた方のその援護の措置というようなぐあい、あるいは引揚者として生活の基盤を失った方に対する特別の援護措置というようなものに対して、それぞれとるべき措置をとってまいったというのが政府としての全体の立場でございまして、したがいまして、ただいまもたまたま御指摘のございました、昭和四十二年の引揚者に対する措置をもって戦後処理の関連の問題は終わったということで参っておるわけでございます。したがいまして、今日の時点におきまして、改めて一つの問題を取り上げてどうこうするというわけにはまいらないということを繰り返して申し上げているわけでございます。
 ただいまの御指摘の中には、恩給ということについての御指摘もあったわけでございますが、それについては恩給局長から御答弁があったとおりでございます。
 全体については、ただいま総括的に申し上げたのが政府としての一貫した立場であるということを申し上げさせていただきたいと思います。
#35
○市川正一君 要望、一分。
#36
○委員長(古賀雷四郎君) 市川君、簡単にお願いします。
#37
○市川正一君 私、決まりきったことをお答えになるというんじゃなしに、問題のやはり新しいアプローチも出ているわけですから、そういう点でぜひ、鬼でもジャでもないと、こうおっしゃったんだから、長官、ひとつ前向きにこの問題に御検討くださることを重ねて強く要望して、ありがとうございました。終わります。
#38
○井上計君 今回の恩給法の改正に関連をして二、三お尋ねをし、また要望いたしたいというふうに思います。
 一昨年でありますけれども、当委員会でやはり恩給法の改正についての質疑が行われました。そのときに私は、恩給並びに公務員共済年金等について、現在のように、まあ言えば毎年上げていく、特にいろんな要望等によってこれを増額をすることを検討することばかり進めておると、当時大蔵省からも資料をいただきましたけれども、七、八年後、あるいは十年後ぐらいには、国の財政から言って、年金財政、また恩給等によって財政のパンク状態が来るんではなかろうかと、大変ゆゆしき問題が起きるということを憂慮して、それらの点についてのお尋ねをし、また御見解も承ったわけでありますけれども、繰り返すようになりますけれども、再びその問題について提言をしたいというふうに思います。
 本来、恩給とか年金というものは、それによらなければ生活ができない人あるいはまたそれが収入の大部分を占めておって本当に必要とする人については、できるだけ多く支給すべきだというふうに、これは私も考えます。特に旧軍人の傷病恩給等について、特に項症等の不具、廃疾の人についての傷病恩給は、やはり私は現行はまだ少ないという感じをこれは持っております。しかし、実態をずっと見ますと、本当に必要としていない、まあ語弊がありますけれども、表現どうかと思いますけれども、なくてもいい人にまで毎年同じようなベースで上げていく必要はないんではなかろうか、大変技術的にはむずかしい問題がありますけれども、そのようなことをひとつ考える時期に到達をしておる、こういうふうに一昨年も申し上げました。現在でもその気持ちは変わりません。
 したがって、そういう面についてこの際、特に国の財政状態から見て、ことしは財政再建元年と言われておりますけれども、私は年金あるいは恩給等についても特に必要としない人、なくても十分生活が営める人等については、私はもう一律に増額をするというふうな考え方、従来の固定した考え方をこの際改めるべきであろうというふうに今回もまた強く提言をしておきます。
 この問題について、むずかしい問題でありますから、特にきょうどうするこうするということを長官や政府から御答弁はいただかなくても結構でありますが、そこで具体的に私は、簡単に法律改正をすれば当面すぐ実行できるような問題もあるんではなかろうかと思います。
 そこで、具体的な提言、またお尋ねでありますけれども、特に公社公団、特殊法人あるいは認可法人等の役職員で恩給だとかあるいは年金を受給しておる方、相当数あるわけであります。国会議員にも地方議員にも相当数あるわけであります。そこで、私は先般、二月でありましたけれども本院の予算委員会で大平総理にこの問題、提言をいたしました。まず、政治は先憂後楽であるべきだし、その意味では総理率先垂範をしていただいて、総理がこの恩給を辞退されたらどうかということを実は提言をしたわけです。その考え方は、国及び国に準ずるところから給与を受けておる間は恩給や年金の当然停止をしてもよかろうという考え方に基づいて提言をいたしました。総理は、それについて前向きに検討するというふうな意味の御答弁をいただきまして、そうしてさらに三月二十六日の予算委員会で総理に、検討された結果いかがでしたか、このようにお尋ねをしましたら、総理がお答えとして、検討した結果、一度辞退をすると復活できない、将来路頭に迷った場合それでは困るので、まあ総理にしては大変みみっちい御答弁であったわけですけれども、そこでその辞退をすることをやめたかわりに五十四年度の恩給受給額を社会福祉法人母子何とかと言われましたが、そこに寄付をした、こういうお答えがありました。やや一歩前進だということで私は評価をしておりますけれども、そこで、現行法では確かにいろいろ見ますと辞退という項目がないんですね。だから、こういうふうな辞退をしてもまた再び本人が希望によって復活をしたいというときには復活できるような、そういうようなふうに法律を改正をすべきではなかろうかと思いますが、この点、局長どうお考えでしょうか。
#39
○政府委員(小熊鐵雄君) 恩給制度について、いま辞退の問題でございますが、現在の考え方といたしましては、恩給が他人の権利の目的になっておるといいますか、たとえば金融公庫に担保に入っておるといったようなことがない限りは、一応辞退し得るものとして考えておるわけですが、これについてはしかし、先生ただいまおっしゃいましたように一度辞退しますともう絶対的に消滅してしまうわけでございます。したがって、御本人が亡くなられた後の扶助料、こういったものも全く出てこないということで、従来もいろいろそういう問題もあったわけでございまして、したがいまして、この辞退の申し出に対する取り扱いとしては、私ども非常に神経使うというか、慎重にやっておるわけでございます。
 で、いまの一度辞退してもまた復活できるような法制度にしたらどうかという御意見でございますが、これは恩給は五年間行使しませんとそのまま時効で消滅してしまうわけでございますので、特段にそういう規定を設けなくとも、もしこれを取ることが非常に何というか自分としていやだとおっしゃる方はこの権利を行使しないということで済むんじゃなかろうかと、特段にそういう規定をいま必要かということについては私としても疑問を持っておりますし、むずかしい問題じゃないかと思います。
#40
○井上計君 局長ね、現在の法律からいっていまのお答えよくわかっておるんです。実は私も、余りこんなことを申し上げることもどうかと思いますが、私自身は傷病恩給も軍人恩給も最初から辞退しておりますから、したがってあえて申し上げるわけですけれども、その辞退することは、いまおっしゃるように受け取らなければそれは五年間で消滅ですからいいんですけれども、善意で辞退した人が復活することができるように、いま問題は、将来妻子が路頭に迷った場合、総理もそう言われましたけれども、これが復活することができない、妻子のことを考えるといま辞退することはできないので、したがって自分がこの職にある間、あるいはいつまでか知りませんが寄付をすると、こういうことなんですね。だから、善意による辞退の場合に復活することができれば私は総理も辞退されるであろう、総理が辞退されますれば、その率先垂範、右へならえで、現在国会議員の中に私は恩給、年金等受給しておられる方が約百七十名おられる、こう思います。地方議員加えれば相当な数です。さらに公社公団、特殊法人の役員等考えれば相当な人数に上ると思います。もちろんその全体の金額はそれほど多くありませんけれども、しかし国民に対する政治不信を解消するための一つの役割りを果たすんではなかろうかと、こういう考え方を持っております。
 そこで、私は再度要望というか提案でありますけれども、善意の辞退をした人が必要に迫られたときには復活できるような、そのように法改正ゆすることはできませんか。意思はどうでしょうか。まあ意思と言うと、いま局長そう簡単にお答えできぬと思いますが、現行法からいって復活することができるかどうか、この辺をひとつ事務的な点で結構ですからお聞かせを願いたいと思います。
#41
○政府委員(小熊鐵雄君) これも先ほど申し上げましたように、いま現行法ではもう辞退したら復活しないというたてまえになっておりまして、しかも先ほど申し上げたような時効というようなこともございまして、これを直ちに、辞退したり、また復活したり、また辞退したりというようなことは、いまの恩給制度そのもののたてまえからも非常にむずかしいんじゃないかというふうに考えております。
#42
○井上計君 まあ、むずかしいということはよくわかっております。
 そこで長官ね、いま私の考え方を申し上げたわけですけれども、確かに技術的にむずかしい面もあります。それから、現行法としてはそう簡単にそれらのものを技術的に解決できるようなことでの法改正容易ではありませんけれども、考え方としては長官どのようにお考えでしょうか、御所見があれば……。
#43
○国務大臣(小渕恵三君) 今国会において予算委員会での先生の御質疑、私も拝聴いたしておりました。ごく素朴な国民感情から言って、言葉は適切でないかもしれませんけれども、国民の一部から見たら二重にというような受けるものを受けているんじゃないかという印象もあるかと思いますが、しかしいま恩給局長申し上げましたように、政府の基本的な立場は再々申し上げているとおりでございまして、この問題私も深く勉強しておりませんが、行き着くところ、恩給とは何ぞやというような問題にまでさかのぼってまいる重要な問題ではなかろうかという気もいたしますので、私自身ここで定かにいずれをよしとするかということについての判断はなかなか申し上げにくいことをお許しいただきたいと思います。
#44
○井上計君 お立場上定かにされないこともよくわかります。こういう考え方も一つの考え方としてやはり今後検討をするに値するというふうに、私はそう自負しておりますので、どうかひとつ長官も局長もこれは十分ひとつ御検討いただきたいと思います。要望しておきます。
 そこで、大蔵省お見えいただいておりますけれども、大蔵省にお尋ねをいたしますが、いま申し上げたようなことと関連をいたしますと、公務員共済組合法七十七条とやはりこれは関連をするかと思うんですけれども、大蔵省としては、いま申し上げたような考え方で国家公務員共済組合法の改正についてはどうお考えでしょうか。改正して、いま申し上げたようにそういう場合一時停止をするということについてどうお考えでしょうか。
#45
○説明員(野尻栄典君) お答え申し上げます。
 共済年金の場合は、昭和三十四年から発足して現在に至っているわけでございますけれども、この現在の共済年金には幾つかの異なった性格が付与されておると言われておりますが、何といっても一番中心的な性格は、公的年金としてのやはり役割りだろうというふうに考えておるわけでございまして、つまり公的年金としての役割りと申しますのは、民間における厚生年金保険と全く同じように、その財源の調達を社会保険の方式によって行っていくと、したがってその加入についても強制をされているわけでございますし、給付についても一定の法律の要件で決めていくと、こういった社会保険としての性格が一番基本の共済年金の性格だというふうに考えているわけでございます。
 そういう性格から見ました場合に、いまお話がございましたような給付の辞退あるいはその復活といったようなことが、この強制加入というような社会保険の性格から言って果たしてなじむかどうかというのは非常にむずかしい問題ではないかというふうに考えているわけでございまして、厚生年金、船員保険その他わが国に施行されております公的年金制度一般の問題とあわせてその辺の検討をしなければならないものであろうと考えております。
 なお、そうした年金受給者の中で本当に年金を生活の頼りにしていない方々といいますか、そういう方々に対しては多少年金の支給を遠慮させていただくといいますか、受給を遠慮していただくというような趣旨から、実は昨年の改正法案で共済年金についてだけは、これは厚生年金等もやっておらない制度でございますけれども、年金外の所得が六百万を超えた場合には年金の一部を支給停止するという制度も導入したところでございまして、このような観点から、今後なお検討は進めさせていただきたいというように考えております。
#46
○井上計君 大体私の予想したお答えでありますから、特にそれについてどうとかということは言いませんけれども、しかし、いま性格が全く違う、これはよくわかります。厚生年金等とのいろんな関連もあります、他の保険との関連もあります。しかし、この共済年金の中には旧恩給に該当する部分もあるわけでしょう。だから全部を停止をするというふうなことが仮に不可能であっても、旧恩給に該当する部分については停止をするということ、これは法律改正等技術的ないろんな問題、これはあります。これはさておいて、考え方としてはそれは可能ではないんですか、どうなんですか。仮に恩給法でそういうふうなことを考える、実施をするという場合に、年金の場合旧恩給に該当する部分についてはそれを停止するとかということは、これは可能なんでしょうかどうなんでしょうか。
#47
○説明員(野尻栄典君) 確かに、先生がいまおっしゃられましたとおり、現在の共済年金はほとんどが経過的年金でございまして、その基礎期間の中には恩給期間を持っておる方々がほとんどでございます。その恩給期間にかかわる年金額の計算の仕方、支給の仕方、たとえば所得制限等につきましても、すべて恩給時代の制度をならったかっこうで支給をし、あるいは停止をするという仕組みになっておりますので、先ほど先生が恩給についてもしそういうことがなされるならばということを前提といたしますと、その部分については、やはり恩給法で行われる措置を全くならって措置することが、やはり全体の現在の年金の中からそういう結果になるだろうというふうには思っております。
#48
○井上計君 それからもう一つ、いま先ほど昨年改正をして必要としない人たち、要するに他の所得が高額の方についての一部停止、これは私たちも承知をしております。しかし、この率からいっても、よく読むとまことに上手にできておりまして、事実上大した減額になっていないわけですよね。したがって、これらのことについてこれだけやったんだから、そういうふうな意図を多分にくみ入れたと言われると、ちょっとどうかなという、こういう感じがいたしますので、これらもさらに今後検討する必要があるというふうに思います。
 そこで、もう一つ大蔵省に伺いますが、あなたばかり責めるわけじゃないんですけれども、恩給法には五十一条に受給資格の喪失というのがありますね。ところが、共済年金法にはこのような喪失はないわけですね。これは先ほどお答えになりましたような考え方で、そういうふうなものは設けるべきでない、あるいは設けてはいけないと、こういう考え方ですか。
#49
○説明員(野尻栄典君) 恩給の場合は確かに、たとえば懲戒処分等で退職するような方々には受給権を発生させないという厳しい制限の規定がございます。共済年金の場合は、先ほどもちょっと申し上げましたように、主とした性格は社会保険としての公的年金でございますので、全体を支給停止させるというようなことはこの制度の中では好ましくないという判断から、一部の支給停止というかっこうのものを設けているわけでございます。
#50
○井上計君 共済組合法の九十七条に若干この一部の停止がありますね。私はこれはやはり十分でないと思いますのは、性格が違うあるいは強制加入である等々、また本人の掛金が云々というふうなこともありますけれども、しかし相当部分といいますか、支給の相当部分はやはり国の負担があるわけですね。そういう面からいって、私はもっと言えば九十七条の「組合員若しくは組合員であった者が禁錮以上の刑に処せられた」云々、以下は省略しますけれども、そのような場合の支給の制限あるいは停止ということはもっと厳しくすべきであろうという、これはもうこれまた一昨年も要望いたしましたが、重ねてひとつ要望をしておきます。
 そこで最後に、五十年の八月に今井国家公務員共済組合審議会会長が提言をされておりますね。共済組合法の改正、いま私が申し上げたような停止あるいは制限の拡大、それらについて提言をされておりますが、これらの問題等についてはその後検討された結果、かなりもう五年たっておるわけでありますけれども、その中でどのようなものが改正をされたんですか、お伺いをいたします。
#51
○説明員(野尻栄典君) 五十年の八月に、国家公務員共済組合審議会の会長である今井先生からいわゆる「今井メモ」というのが提出されまして、その中で共済年金のかなり基本的な部分についての改革を御提案されているわけでございます。その中でどれとどれが取り上げられて現在まで処理されたかという御質問でございますが、まず一番大きいのは、支給開始年齢を六十歳に引き上げるべきだという部分でございまして、これは昨年十二月に改正法が成立し、ことしの七月を起点として共済年金も支給開始年齢は六十歳になっていくということがスタートすることになりました。そのほか、たとえば年金の計算の仕組みを変えていったらいかがかというようなこと、それから遺族年金の給付率を見直したらいかがかというようなこと、かなり基本的な部分についての御提言があったわけでございますが、何分それらの問題につきましては、他の公的年金制度あるいは恩給制度等との関連が非常に深うございまして、その辺の取り扱いにつきましては、これも再々予算委員会等で御答弁させていただいていると思いますが、これから共済年金問題の基本的なテーマについて検討する、研究する研究会をつくらせていただきまして、この研究会でそういった基本的な問題について御議論いただいて、その結果を待って処理をさせていただきたいと、このように考えている次第でございます。
#52
○井上計君 時間もありませんし、また非常に考え方によって、また立場の相違によっていろいろと見解が異なるというふうに思います。
 あえてこれ以上申し上げませんが、ただ年金等の官民格差、あるいはまた現在のような情勢、将来の非常に不安定な状況等からまいりますと、国民の間に何といってもやはり公務員はいいんだと、特に生涯給与等の面から考えますと大変いいと、こういう不満がますます増大をしておると思うんです。そういうふうな点を解消するために、また国民の期待、希望にこたえるために、私は公務員の方、また退職された公務員の方々には気の毒ではありますけれども、将来の国の財政状態を考え、また国民の協力をあらゆる面で得るためには、私は、改正できるものは改正をしていく、それで少しでも官民格差の是正というふうなものの成果を上げるように努力すべきであろうと、このように考えます。
 もちろん、それについてはただ単に恩給あるいは公務員の共済年金ということだけでなくして、先般来やはり当院でも問題になっておりますけれども、国会議員の互助年金の問題、さらには地方議員の互助年金の問題いろいろあろうと思いますが、そういうようなものすべて総括して私はもっとお互いが真剣に見直しをする、論議をする非常に時期が来ておる、また必要であろう、このように考えますので、あえてこれを要望といいますか、私の考えておりますことを率直に申し上げまして、質問を終わります。
#53
○岡田広君 私は質問に入る前に、せっかく与えられた機会でございますので、一言意見として述べさせていただきたいと存じます。
 それは、昭和五十五年度の恩給法等の一部改正法律案については、二十二日と二十四日――本日の当委員会における各委員の御質疑においてその問題点が幾多浮き彫りにされて、当局におかれても今後の資といたされることと拝察いたしますが、私は、この改正案が、特に財政再建の第一年度という非常に厳しい財政事情の中にあって、昨年要請申し上げた概算要求のほとんどの事項が今年度の改正案に盛り込まれた。こういう点に対して高く評価するものでございます。
   〔委員長退席、理事林ゆう君着席〕
同時に、多くの恩給受給者に成りかわりまして、小渕総理府総務長官並びに関係当局に対し、心から深甚なる敬意と感謝を表させていただきたいと思います。
 それにつけて、私も六年間恩給問題一筋に努めてまいりましたので、概観して、前の植木総理府総務長官が恩給は国家保障だと、他の年金を社会保障というならば恩給は国家保障である。こういう定義づけをいたされたことによって多くの恩給受給者は誇りと思っております。しかしながら、まだ戦前の恩給法の旧法に対比して見る場合、年齢制限とかあるいは仮定俸給の格づけの問題等、私が議員に当選した当時の予算総額は五千億円に満たない総額でございましたが、今日は一兆四千八百余億円にも上る高額の恩給総額を支給していただいておる。こういう点については国家保障としての実も兼ね備えられておると、かように思って敬意を表しておりますが、しからば二百五十万人の恩給受給者、それぞれその内容においては異なりますが、公務扶助料につきましては最低でも百十三万四千円、傷病恩給平均すれば百五万円、普通恩給の旧文官にあっては約九十万円、旧軍人に対しては三十五万円、それなりの額に引き上げていただいてはおりますが、恩給法自体、やはり旧法に対比されたるときに、その恩給法の構造においてたとえば年齢制限とか、あるいは仮定俸給の格づけとか、そういう点について私は長官に対して恩給法というものが永久立法でないんだ、時限立法であるんだと、こういう観点にひとつ重点を置かれて速やかに恩給法の構造、骨格というものをこの際改めていただきたい。また、恩給受給者においても、一兆四千八百余億円というものがこれひとしく国民の血税で賄われておることを十分自覚いたして、甘えることも許されないと私ども承知いたしております。そういう観点から、政府におかれては時限立法であるという点をこの際ひとつ財政当局にも力強く御主張あられて次年度からの恩給改善の一つの参考にしていただければと、かように申し上げたいのでございますが、長官の御所見をまずお伺いいたしたいと存じます。
#54
○国務大臣(小渕恵三君) 十分承らせていただきます。
#55
○岡田広君 ひとつぜひ前向きの姿勢でお取り組みを御要望申し上げておきます。
 私に与えられた時間が非常に僅少でございますので、私は二点にしぼってお伺いをいたしたいと存じます。
 一つは、先ほど申しました恩給法の骨格の大きな地位を占める仮定俸給の問題と、もう一つは、在外において恩給を受給する方が――皆様のお手元にいまお配りをしていただきますが、読売新聞の記事をひとつ参考にして、何とか緩和の措置をとっていただけないか、この二点にしぼって質問をいたしたいと思います。
   〔理事林ゆう君退席、委員長着席〕
 まず、仮定俸給に関してでございますが、恩給改善における重要項目として、恩給年額の調整は恩給の仮定俸給の増額として措置されておる観点から、仮定俸給の立て方いかんはすべての恩給扶助料に共通する根本的な事項であると考えております。
 以下、仮定俸給の号俸格差の問題について若干具体的に政府の見解をお尋ねしたいと思います。
 まず、昭和二十一年から数年間というものは、旧軍人に関してはこれをストップさせられて、昭和二十八年に旧軍人の恩給が復元をいたしました。そのときの仮定俸給は、戦前、軍人仮定俸給と同額の俸給を受けて退職した旧文官の恩給の昭和二十八年当時における仮定俸給を基準として号俸の格づけがなされたと思っておりますが、その経過について簡単にひとつ御説明を願いたいと思います。
#56
○政府委員(小熊鐵雄君) いま先生おっしゃいましたように、軍人恩給は二十八年に復活したわけでございますが、その際、二十七年の六月に設置されております恩給法特例審議会、この審議会から旧軍人の仮定俸給につきましては、旧軍人と同額の俸給を受けて退職した他の公務員の昭和二十八年当時の仮定俸給額の程度に増額して定めた年額とするような建議がなされたわけでございます。しかし、当時いろいろ財政上の問題もあったかと思いますし、あるいは当時の軍人というものに対するいろんな社会的なコンセンサスというものもあったかと思いますが、そういった文官の俸給よりも四号俸格下げして格づけされたということに相なっております。
#57
○岡田広君 それでは、その後法律によって設置された恩給審議会の答申を見ますと、その中に、「本来恩給の仮定俸給は、同時期に同じ俸給をもって退職した公務員については文武官を問わず同額であるのが相当と考えられる」云々ということが申されております。昭和二十八年以後における旧文官の仮定俸給の号俸是正があれば、直ちに旧軍人の仮定俸給の是正も行われてしかるべきでなかったかと思うのでございますが、その点の御見解はいかがでございましょう。
#58
○政府委員(小熊鐵雄君) 先生いま御指摘のように、昭和二十三年、公務員の俸給の格づけというか、これが行われた際に、それ以前にやめた人等についていわゆる年次別格差といいますか、これを是正するために文官についての格づけ是正が数回行われておるわけでございます。これは、そうは申しましても、文官独自のいろんな年次別格差、不均衡の是正ということでやっておるわけでございまして、その結果、確かに先生おっしゃるような軍人恩給との間に格差は生じておるわけでございます。そもそも文官恩給というのは実俸給に基づいて恩給計算がなされておった。しかし、軍人恩給においては各階級ごとにもう一定の実俸給よりはるかに高い仮定俸給で恩給計算がなされておったと、こういったような事情もございますし、なお軍人恩給についてもその後いろいろ仮定俸給の是正というか、改善を行ってきておるわけでございます。そういったような事情を踏まえて、確かに先生おっしゃるような文官恩給と軍人恩給との格差、これは四号俸からあるいは十三号俸ぐらいまでの格差があるかと思いますが、そういった経緯等を踏まえますと、直ちに文官恩給と同一のものでなければならないということが必要かどうかという問題もあるかと思います。
 ただ、戦前と比べて余りにも文官と軍人との格差が大きいということもこれまたいろいろ問題があるかと思いますので、先ほども申し上げましたように、ずっとここ数年、また格づけ是正というのをやっておるわけでございまして、今後ともいろいろ検討してまいりたいと、このように考えておるわけでございます。
#59
○岡田広君 それでは、さらに具体的に私の調べた範囲で申し上げたいと存じます。
 旧文官については、昭和三十一年度から昭和五十二年度にわたって六回行われておると思います。特に、昭和四十八年度においては、長期在職七十歳以上には一律四号俸の引き上げも行われておりますが、旧軍人については、基本的な是正は昭和四十四年度における准士官以下三号俸、尉官二号俸、佐官以上一号俸の引き上げが三カ年の実施計画でなされただけでございまして、階級による違いがございますが、長期在職七十歳以上の例を中尉の階級の仮定俸給にとってみれば、同じクラスの旧文官の仮定俸給に比べたときに十二号俸の差があると思うのでございますが、実態はいかがでございましょう。
#60
○政府委員(小熊鐵雄君) いま先生御指摘のような差があるわけでございます。
#61
○岡田広君 結論として、号俸の格差は主として長期在職者に限るものでございまして、概括して、短期服務者に対しては別途御高配によりまして最低保障制度を恩給法に取り入れていただいたということにおいて大幅の改善がなされておりますのでこれは論外といたしまして、一応長期在職者に関するものとして、そう改善の所要額というものは多額には上らないだろうと思うんですが、長期在職者に関して特別の御高配をいただけるかどうか、ひとつ政府の所見をお伺いして、仮定俸給に関する質問は終わりたいと思います。
#62
○政府委員(小熊鐵雄君) 長期在職の軍人というのは、いま先生御指摘のように非常に少ない、全体の中の約四%ぐらいしかおられないわけでございますから、確かにおっしゃるように、金額そのものとしては大した金額ではないと思うわけでございますが、ただ、この仮定俸給をいじるということになりますと、特に長期在職だけの軍人に限って行うというようなことになりますと、やはり軍人恩給全体のバランスという問題も出てきますし、仮にまた仮定俸給をいじりましても、先ほどこれも先生おっしゃったように、最短年限で計算しましても、中尉以下の方ですと全部最低保障に埋没してしまう。あるいは大尉の方でも、普通扶助料なんかで申しますと、大尉以下でも埋没してしまう。こういったようなことで、私どもとしては、もちろん仮定俸給、先生のおっしゃるように恩給の基本でございますから、この改善というのが重要であるというように考えるわけですが、やはり最低保障とか、要するに弱い立場におられるような方、これにまずやっていきたいというのが従来の考え方であったかと思うわけでございます。
 ただ、いま先生おっしゃいましたように、仮定俸給全体の均衡をにらみながら今後ともまた検討してまいりたい、このように考えるわけでございます。
#63
○岡田広君 よくわかりました。
 最後に、仮定俸給に関して二十二日、同僚委員の山崎委員が、特に仮定俸給に関してうんちくを傾けられての問題提起は非常に示唆に富むものとして私も傾聴しておったわけでございますが、この点ひとつ政府におかれても十分参考の資に供されんことを望んで、仮定俸給に関する質疑は終わります。
 次に、恩給局にお尋ねいたしますが、恩給を受けている海外居住者は現在どのくらいおられるのか。ブラジルを主として、受給者の概数を国別にひとつわかったらお示し願いたいと思います。
#64
○政府委員(小熊鐵雄君) 現在海外に居住しておられる恩給受給者は千九百十一名ということに相なっております。
 この中で、ブラジルに居住しておられる方、これが千二百二十五名、それからアメリカ合衆国、これが二百四十七名、それからアルゼンチン、これが百五十名、ペルーが八十四名、パラグアイ六十六名、ボリビア四十五名、カナダ十八名、タイが十一名、その他六十五名、こういう内訳になっております。
#65
○岡田広君 きょうは、その中で主としてブラジルに居住する海外居住者の恩給の問題について質問を集中したいと思います。
 そこで、海外居住者の現在受けている恩給はどのような送金の仕方であるのか。私が聞き及ぶところによりますと、国内の親類、知人を頼って代理受領人に委任し、その代理受領人が国内の指定郵便局から支給を受けて送金しておるというふうに承知いたすのでございますが、この方法では、国内に頼りとする人がいなかったり、そういう人がいても他を煩わすことに非常に支障が多い。そこで直接海外居住者が、あるいは日本政府の在外公館というものを通じて直接恩給を受給するような方途が講ぜられぬものかと、こう思うのでございますが、これは恩給局ではなくて、大蔵省から見えておりますか。
#66
○政府委員(小熊鐵雄君) 現在、海外居住者に対する恩給の支給でございますが、恩給の支給そのものがこれは郵政省で所管しておりまして、予算額等も全部郵政省の方に移管してそこで支払うというようなかっこうになっております。したがいまして、郵政省では郵便局の窓口を通じて支払っておるわけでございます。
 それで、先生おっしゃいましたように、従来は親戚の方等が代理で受領されておったようでございますが、ただ、特にブラジル移民の方なんか、もう相当年月が経ておりまして、国内に親戚の方も余りおらないとか、あるいは非常に疎遠になってしまっておるというような事情がございまして、現在非常に多いケースでは、日本海外移住家族会連合会というのがございまして、そこで委任を受けて送金事務をやっておる、これは手数料も何も取らずにやっておるというように聞いておりますので、いまのところそういうことで支障はないんじゃないかと思います。
 いま先生のおっしゃったような直接送金ということになりますと、これはいろいろ為替差損とか、場合によっては差益もあるかとは思いますが、いろんな問題がございまして、あるいはまた、海外の領事館等にお願いするというようなことになりますと、そっちのまた人員とか、領事館のあるところだけに人が住んでおれば別ですけれども、非常に遠くに開拓農民として働いておられるというような方もおられるやに聞いておりますので、非常な手数もかかるというようなことで、私どもとしては、いま申し上げた日本海外移住家族会連合会といったようなところを窓口にしてやっていって差しさわりはないんじゃないかというように考えておるわけでございます。
#67
○岡田広君 大蔵省見えておりますか。
 それでは次に、ブラジルの海外居住者が受ける普通恩給については、年額の多少にかかわらず一律に二〇%の所得税の源泉徴収が行われておりますが、所得税法にそう定められておるのでございますが、どうしても税率二〇%という高い率を定めておるのは同情やる方なく、私としても何か一つ納得いかない点がございますので、その理由について御説明を願いたいと思います。
#68
○説明員(源氏田重義君) お答えいたします。
 ただいま先生から御指摘ありましたとおり、ブラジルに居住しておられる恩給受給者につきましては二〇%で源泉徴収しているわけですが、これはわが国の非居住者、つまり海外居住者に対する源泉徴収税率といいますものは、恩給とか年金のみならず、給与とか利子、配当すべてにわたりまして二〇%で源泉徴収しているわけでございます。
 この二〇%の源泉徴収といいますものは国際的な問題でございますので、国際間における課税がどうなっているかということを配慮し、それからわが国の居住者に対する税率であるとか、そういったものを配慮して決めているものでございます。この税率といいますものは、戦後ずっと一貫してこれをとっておりまして、それなりに税の世界において定着しているものだと思っております。
 それで、もっと個別の事情をしんしゃくして決めたらいいではないかという御意見が確かにあると思うんですけれども、これは居住者の場合には全体的な所得というものはわかりますので、それに応じた税率というのが適用できるわけでございますけれども、海外に居住しておられる方の場合には、その方が稼得される所得全部がわかりませんので、どこの国におきましてもこういうふうな一律の税率で課税するというような制度になっているわけなんでございます。それで、その全体の所得に応じた課税といいますものは、その居住地国で調整を行うというのが制度でございます。
#69
○岡田広君 それでは、昨年租税特別措置法において、国内における普通恩給受給者六十万までは一応七%の源泉徴収を行わない、で、六十五歳以上の者は九十万まで源泉徴収を行わないと、国内の普通恩給受給者はそういう恩典が特別措置法において一応実施されたわけでございます。で、少なくもこの国内普通恩給受給者と同じように、海外居住者にあっても、当然七%の源泉徴収額の減額はこれは免除してしかるべきじゃないかと。ついては、所得税法を改正する用意があるのかどうかと、こういう点でひとつお尋ねをいたします。
#70
○説明員(源氏田重義君) 昨年行いました租税特別措置法の改正は、実は租税を免除するというものではございませんので、先生御指摘のとおり少額の恩給受給者については源泉徴収をしないということになっているわけでございます。ところが、海外受給者の場合には、源泉徴収をしませんと、これは完全にわが国においては免除になってしまうという問題がございます。したがいまして、同じような制度をとるということはちょっとできませんので、国内の場合には源泉徴収はしませんが、ほかに所得がたくさんあって申告しなければならない人は、その申告で納税していただくということになっております。
#71
○岡田広君 時間も来たようなので、さらに質問を継続したいのでございますが、この読売新聞の記事をひとつ参考にごらんになられて、外務省にもお願いして、これは二国間の一つの条約ということも聞いておりますので、今後ひとつ関係省庁と協議の上、海外居住者の低額の恩給受給者に対してこのような二〇%一律カットというようなことは、これは残酷物語じゃないかと、このようにもロマンとして受けとめておるわけでございますが、私も近くブラジルに参ることになっております。で、ブラジル在住の恩給受給者は、きょうの私の質問を非常に心待ちに期待しているというようなこともございますので、今後ひとつ各省庁間で、また二国間条約でありますならば、ひとつ外務省を通じて二国間において、いわゆる低額恩給受給者の救済措置をひとつ前向きの姿勢で検討していただきたいと要望を申し上げて私の質問を終わりますが、もしお答えがいただけるならひとつお答えをいただきたいと思います。
 以上で私の質問を終わります。
#72
○説明員(源氏田重義君) 国際条約におきましても、こういう政府が支払います恩給に対する課税というものは、その支払い地国が課税権を持つというのが国際的な原則になっておるわけでございます。それで、御指摘の点につきましても、また今後条約改正交渉等をやる場合に一つの問題点として十分検討してみたいとは思いますが、これは何しろ相手があることでございますので、相互にそういう課税権を交換するかということが、果たして向こうがどう言うかという問題もございます。また、われわれとしてもそういうふうに譲り渡すことが適正かどうかということについて検討しなければならないと思っております。
 なお、先生から御指摘のございました国内法の問題につきましては、御質問の趣旨はよくわかりましたので、税制調査会に正確に報告いたしたいと思います。
#73
○説明員(野口雅昭君) わが方のサンパウロ等の在外公館におきましても、本件につきましてはずいぶん陳情がございまして、これまでも各省に検討方をお願いしてきた問題でございます。したがいまして、いまのような問題で各省の方からそういう話がございますれば一緒になって考えたいと、このように思っております。
#74
○村田秀三君 恩給法、二日間にわたって審議をしてまいりました。私が最後の質問者になろうかと思いますが、二日間の審議の状態を聞いておりますと、すべての党とまでは申し上げませんが、各党強い関心を示しておりましたものは、旧陸海軍病院に勤務いたしました看護婦さんの処遇の問題であったと思います。一昨日は私の方の山崎委員あるいは穐山委員また和泉委員、そしてきょうは市川委員の質問にもかなりの部分を割いて質問が続けられたと思います。このやりとりを聞いておりまして、質疑者と政府、総理府、厚生省もそうでございますが、やらねばならない、やらせるべきであるという、そういう雰囲気というものはかなり明瞭に理解できるわけであります。
 しかしただ一つ、ぴんとこないといいますか、欠いているといいますか、これは実施の時期の問題だろうと思いますね。そこで、いろいろと総理府あるいは厚生省の答弁をつぶさに伺ったわけでありますが、総理府の方は、当然厚生省が担当いたしておりますところの調査完了を待ってと、こういうふうに言うわけであります。それから、厚生省の答弁を聞いておりますると、まあおおよそ三つに分類できると、こう私は理解するわけでありますが、一つは五十五年度中に調査を完了したい。あるいはまた、五十六年度予算編成時期に間に合わせるように完了したい。あるいはもう一つ、積極的な意味で私は受け取っておるわけでありますが、とにかく調査は詰めの段階である、完了次第関係各省と連絡をし合って速やかに実施をするようしたい、こういうふうに三つに分かれるわけですね。
 でありますから、私はそこで確認をしたいのでありますけれども、調査完了いたしました、各省と連絡いたしました――五十五年度にも実施可能であると理解してよろしいのかどうか、この点が一点であります。厚生省の責任、かなりここでは重要であるわけでありますから、その三つの分類された答弁のうちで一番確信の持てる前進的な考え方、ここで明らかにしていただきたい、こう思います。
#75
○説明員(森山喜久雄君) 実態調査の結果でございますが、これは予算編成に間に合うような時期にまとめるように努力してまいりたいと思います。
#76
○村田秀三君 厚生省は、これいまじゃ主でありますから、必ずひとつ仕上げていただきたい。そして、山崎委員やその他の委員からもいろいろと議論があったようでありますが、とにかく聞けば一番最高年齢者は八十三歳とも言われております。毎年二、三人の方が他界をしておるとも聞いておるわけであります。そうして、すでに日赤は去年から実施しておるわけでありますから、健康を考えてみても本年度中に仮に着手いたしましたといたしましても早きに失したなどということにはならない私は課題だろうと、こう思うわけであります。早ければ早いほどよい、こういうふうに私は思うのでありますが、その点、予算編成期に間に合うということは、五十六年度には実施をすると、予算編成期に間に合った、だとすれば五十六年度にはもう実施できるように年度内から準備が進められる、こう理解してよろしいかどうか。まあ私のこれは意見ということでありますけれども、とにかく遅くとも五十六年度実施をすると、こういう考え方を総務長官は示していただきたい、こう思いますが、いかがでございますか。
#77
○国務大臣(小渕恵三君) 御質疑の趣旨は十分理解いたしますが、いまほど厚生省から御答弁申し上げましたように、その調査結果がまとまります時期の問題もあるわけでございます。私どもといたしましては、その結果を受けまして、それが明らかになった時点で速やかに関係各省庁と十分協議をいたしまして結論を得たいと、こういうふうに御答弁さしていただく次第でございます。
#78
○村田秀三君 いや、ただいまの答弁だと、厚生省は予算編成時期に間に合わせて調査を完了したいと、そう努力をすると、こう言っておるわけですから、完了次第実施するということであれば、五十五年度中にも実施可能であると理解できるわけですよ、これは。だから、そういうあいまいなことを言わないで、その調査調査と言ってみても、いろいろと質疑の中ではもう詰めの段階であると、こうも言っております。そうして該当者の数、そのすべてを調査しなくては結論が出ないという種の問題ではない。これはもうそういうものだという方便はいままで一度も答弁としてはないわけでありますから、もうすでに詰めの段階であるという考え方を示しておるわけでありますから、だとすれば、これはもうことし中に、少なくとも予算編成時期、八月、九月ごろまでには完了すると、こう限定して考えてよろしいと私は思うんですね。したがいまして、そうだといたしますならば、これはお金などは大した額じゃないわけでありますから、少なくとも法律をもって施行しなきゃならぬという種の問題でもないわけでありますから、これはもう本年度中でも実施しようと思えばできるはずであります。だから、まあまあ話としては努力をする云々という言葉がついても私はいたし方あるまいと思いますけれども、少なくともこれだけの与党といえども、各党ともそういう考え方に立っておるわけでありますから、私が冒頭申し上げましたように、少なくとも雰囲気としてはでき上がっている。だとすれば、これはもう遅くとも五十六年度中には実施しますと、こう言って差し支えない課題であろうと、こう思いますが、長官の再度の答弁を求めます。あいまいではだめです。
#79
○国務大臣(小渕恵三君) この委員会での各委員からの本問題に対するお考えは十分承っておるところでございます。しかし、先ほども御答弁申し上げましたが、あくまでもたてまえ調査費ということで計上いたしまして、現在責任ある立場で厚生省が調査いたしております段階でございます。その結果の得られる時期につきましては、いま厚生省から御答弁申し上げましたように、予算編成時期までにかなり確実な調査結果がまとまるという御答弁は私もいま拝聴いたしたところでございます。しかし、本問題につきましては、予算を伴うことでもございますので、この問題につきましては政府全体で十分協議をしなければならない問題だろうと私は思うわけでございます。したがいまして、先刻来御答弁申し上げましておるように、調査費を予算計上いたしたということは、一般的にはその後における処置もかなり含みとしてはあるということについては私も承知をいたしておるわけでございますが、やはり厳密に申し上げれば、その調査の十分結果を踏まえて万般にわたって政府全体としての意思統一をしなければならないことも御理解をいただけるだろうと思いますので、先日来御答弁申し上げております総務長官としての気持ちを御理解をいただきまして、本問題、厚生省の調査結果が出ました段階に前向きで取り組むという答弁をもって御理解をいただきたいと思う次第でございます。
#80
○村田秀三君 まあ、そこまで言ったら五十六年度実施することについて努力するということと同じ意味じゃございませんか、これは。だから、そうはっきりなぜ言えないんですかね。まあ、同じ意味だとすればそちらの理解勝手にしてくれと、こういうふうな言い方もできなくはなかろうと思いますが、いま法律案をこれから採決するわけですからね、きちっとそこをひとつ言ってくださいよ。
#81
○国務大臣(小渕恵三君) 本問題につきまして、旧陸海軍の従軍看護婦の皆さんの御期待に沿い得るように、結論を待って最善の努力をしてみたいと思います。いまほどの御要請につきましては、五十六年度中に措置のできますように最善の努力をいたしてまいりたいと存じます。
#82
○委員長(古賀雷四郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#83
○委員長(古賀雷四郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 恩給法等の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#84
○委員長(古賀雷四郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、岡田君から発言を求められておりますので、これを許します。岡田君。
#85
○岡田広君 私は、ただいま可決されました恩給法等の一部を改正する法律案に対しまして、各派共同提案に係る附帯決議案を提出いたします。
 まず、附帯決議案を朗読いたします。
    恩給法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、速やかに検討の上善処すべきである。
 一、恩給の改定実施時期については、現職公務員の給与改定時期を考慮し、均衡を失しないよう配慮すること。
 一、恩給の最低保障額については、引き続きその引上げ等その改善を図ること。
 一、扶助料の給付水準については、さらにその改善を図ること。
 一、旧軍人と一般文官との間の仮定俸給年額の格付是正を行うこと。
 一、傷病者死没後の遺族に対する補償については、その改善を図ること。
 一、加算年の事務処理については、速やかに措置できるよう特段の配慮を行うこと。
 一、戦地勤務に服した旧陸海軍看護婦については、旧日赤救護看護婦に準じ、速やかに適切な処遇措置を講ずるとともに旧日赤救護看護婦に対する慰労給付金の増額を検討すること。
 一、恩給受給者に対する老齢福祉年金の支給制限を撤廃すること。
  右決議する。
 以上でございます。
#86
○委員長(古賀雷四郎君) ただいま岡田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#87
○委員長(古賀雷四郎君) 全会一致と認めます。よって、岡田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、小渕総理府総務長官から発言を求められておりますので、この際これを許します。小渕総理府総務長官。
#88
○国務大臣(小渕恵三君) ただいまは、恩給法等の一部を改正する法律案について慎重御審議の結果御可決をいただきまして、まことにありがとうございました。
 ただいま御決議になりました事項につきましては、御趣旨を体し、十分検討いたしてまいりたいと存じます。
#89
○委員長(古賀雷四郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#90
○委員長(古賀雷四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#91
○委員長(古賀雷四郎君) 郵政省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。大西郵政大臣。
#92
○国務大臣(大西正男君) 郵政省設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、郵政省の電気通信行政の充実を図るために、郵政省の内部部局等の組織について所要の改正を行おうとするものであります。
 まず、改正の第一点は、大臣官房に特別な職として置かれております電気通信監理官(二人)を廃止して、電気通信政策局及び同局次長を設置しようとするものであります。
 電気通信監理官は、昭和二十七年電気通信省が廃止され、電気通信に関する行政事務が郵政省に引き継がれた際に、日本電信電話公社及び国際電信電話株式会社の監督を主たる任務として設置されたものでありますが、最近における電気通信行政は、目覚ましい科学技術の進歩発展に支えられて監理官制度発足当時には予想もされなかった新しい行政分野が発生してきていると同時に、従来の事務も複雑化の度を増すなど、電気通信監理官の所掌事務は、著しく増大、かつ高度化してきております。
 このような情勢に対処して、電気通信行政の責任と権限を内外に対して明らかにし、その一層の充実を期するため、電気通信監理官制度を廃止して電気通信政策局を設置しようとするものであります。
 第二点は、経理局を廃止して大臣官房に経理部を設置しようとするものであります。
 現下の厳しい行財政事情のもとにおいては、行政需要の変化に伴う機構の改編は、真にやむを得ない場合であっても、既存機構の合理的再編成によることとされておりますので、このたびの電気通信政策局の設置に伴い、行政機構の改革として、経理局を廃止し、大臣官房経理部へ改めることとしたものであります。
 その他、所要の規定の整備を行うこととしております。
 なお、この法律の施行期日は、昭和五十五年七月一日といたしております。
 以上がこの法律案を提出いたしました理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
#93
○委員長(古賀雷四郎君) 次に、農林水産省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。武藤農林水産大臣。
#94
○国務大臣(武藤嘉文君) ただいま議題となりました農林水産省設置法の一部を改正する法律案の提案の理由と改正の内容を御説明申し上げます。
 第一は、生糸検査所を整理し、その業務を農林規格検査所に吸収することであります。
 生糸検査所は、明治二十九年に設立され、以来、生糸検査を行う中核的な機関として、戦前におきましてはわが国の経済発展の礎となった生糸輸出の円滑化に寄与するとともに、戦後におきましては輸出のみならず国内流通の面でも生糸の公正な取引の確保及び品質の向上に大きな役割りを果たし、わが国蚕糸絹業の健全な発展に多大の貢献をしてきたところであります。
 しかしながら、近年、生糸の需給構造は大きく変化し、生糸の輸出が昭和四十九年を境になくなる一方、国内の生糸需要も伸び悩み、また、国産の繭及び生糸の生産も減少傾向にあるため、生糸検査所の業務量は減少してきているのが実情であります。
 農林水産省におきましては、これまで定員の縮減等その合理化に努めてきたところでありますが、現下の重要課題である行政改革の一環として、生糸検査所を整理し、その業務を農林規格検査所に吸収することとしたものであります。
 第二は、農林規格検査所の所掌事務を整備することであります。
 農林規格検査所は、日本農林規格による格づけの表示を付された農林物資の検査を行うこと等を通じ、農林物資に関する消費者保護対策等の実施に大きな役割りを果たしておりますが、その所掌事務について、生糸検査関係業務を加えるとともに、近年における消費者、食品企業等からの要望を踏まえ、飲食料品等に関する依頼検査の対象を輸入されたものに限定しないこととしたものであります。
 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いをいたします。
#95
○委員長(古賀雷四郎君) 以上で政府側の説明の聴取は終わりました。
 両法律案に対する質疑は後日に譲ることにいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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