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1949/03/31 第7回国会 参議院 参議院会議録情報 第007回国会 本会議 第35号
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1949/03/31 第7回国会 参議院

参議院会議録情報 第007回国会 本会議 第35号

#1
第007回国会 本会議 第35号
昭和二十五年三月三十一日(金曜日)
   午前十時五十四分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第三十三号
  昭和二十五年三月三十一日
   午前十時開議
 第一 千八百九十年七月五日ブラツセルで署名された関税表刊行のための国際連合の設立に関する條約、関税表刊行のための国際事務局を設立する條約の実施規則及び署名調書を修正する議定書を承認することについて承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第二 政府職員の新給與実施に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第三 社会保險審議会、社会保險医療協議会、社会保險審査官及び社会保險審査会の設置に関する法律案(内閣提出)(委員長報告)
 第四 有価証券移転税法を廃止する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第五 米国対日援助物資等処理特別会計法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第六 解散団体財産收入金特別会計法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第七 国庫出納金等端数計算法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第八 肥料配給公団令の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第九 油糧配給公団法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第一〇 食糧管理法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第一一 松くい虫等その他の森林病害虫の駆除予防に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第一二 学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出)(委員長報告)
 第一三 国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第一四 図書館法案(内閣提出)(委員長報告)
 第一五 中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第一六 新聞出版用紙の割当に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第一七 運輸省設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第一八 特別調達庁設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第一九 連合国軍人等住宅公社法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第二〇 地方税法の一部を改正する等の法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第二一 昭和二十二年度一般会計歳入歳出決算、昭和二十二年度特別会計歳入歳出決算(委員長報告)
 第二二 宮城県湯ノ原・二井宿両局間に單独電話線架設の請願(委員長報告)
 第二三 郡山電報局独立に関する請願(委員長報告)
 第二四 東京、郡山両局間直通電話回線の設置復活に関する請願(委員長報告)
 第二五 郡山、福島両市間の電話即時通話制度実施に関する請願(委員長報告)
 第二六 福島県須賀川局、岩瀬郡西部町村間直通電話架設に関する請願(委員長報告)
 第二七 有田局の電話交換方式変更に関する請願(委員長報告)
 第二八 郡山電気通信管理所建物新築促進に関する請願
 第二九 白河電信電話局の電話交換方式変更に関する請願(委員長報告)
 第三〇 大阪の電信従業員宿舎改善および増設に関する請願(委員長報告)
 第三一 郡山電話局独立に関する請願(委員長報告)
 第三二 宮崎、都城両市間に電話地下ケーブル線敷設の請願(委員長報告)
 第三三 豪積雪地方に電話施設普及拡充の請願(委員長報告)
 第三四 郡山、猪苗代両局間直通電話回線設置に関する請願(委員長報告)
 第三五 郡山放送局の放送設置拡張に関する請願(委員長報告)
 第三六 岩手県衣川村に電話架設の請願(委員長報告)
 第三七 出雲、掛合両局間に電話回線架設の請願(委員長報告)
 第三八 靜岡県芳川局電話を浜松局電話に変更の請願(委員長報告)
 第三九 鹿兒島県伊崎田地区に電話架設の請願(委員長報告)
 第四〇 富山県滑川町電報電話局の電話交換方式変更に関する請願(委員長報告)
 第四一 日本電話設備株式会社の業務接收による従業員引継條件の請願(委員長報告)
 第四二 尾鷲漁業無線電話局に無線電信周波数増設の請願(委員長報告)
 第四三 札幌、帶広両市間の電話回線増設に関する陳情(委員長報告)
 第四四 函館電報局庁舎建設促進に関する陳情(委員長報告)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。
 この際お諮りいたしたいことがございます。本日、副議長が欠席しており、議長のみでは何どき議事に支障を来たすやも計られませんので、予め仮議長の選挙を行いたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。
#5
○中村正雄君 只今議題となりました仮議長の選挙につきましては、国会法第二十二條第二項の規定によりまして、その選任を議長に一任するの動議を提出いたします。
#6
○門屋盛一君 中村君の動議に賛成いたします。
#7
○議長(佐藤尚武君) 中村君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて議長は黒田英雄君を仮議長に指名いたします。(拍手)
     ―――――・―――――
#9
○議長(佐藤尚武君) 日程第一、千八百九十年七月五日ブラツセルで署名された関税表刊行のための国際連合の設立に関する條約、関税表刊行のための国際事務局を設立する條約の実施規則及び署名調書を修正する議定書を承認することについて承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。外務委員長野田俊作君。
    ―――――――――――――
   〔野田俊作君登壇、拍手〕
#10
○野田俊作君 只今議題となりました本件の外務委員会の審議の経過並びに結果について御報告いたします。
 先ず本件の内容を簡單に申上げますと、一八九〇年即ち明治二十三年の七月五日に、関税表刊行のための国際連合の設立に関する條約とその実施規則がベルギー国ブラツセルで署名されまして、参加国はその事務局が刊行する関税表の配付を受けて、貿易上互いに便益を得ることになつておりました。我が国もその翌年一八九一年即ち明治二十四年の二月以来これに参加いたしており、ただ実際上は過般の戰争のためにその機能が停止されて今日に至つておるのであります。然るに一九四九年十二月即ち昨年末にこの條約及び何係文書が修正せられました。その要点は、関税表国際事務脇の資金が各国貨幣価値の変動等によつて欠乏するに至つたので、各国の醵出する分担金を増額したことであります。ベルギー国ブラツセルで行われましたこの会議に、我が国代表も総司令部の承認を得て出席して修正議定書に署名いたしておるのであります。そうして同修正議定書によつて本年三月三十一日までに我が国の承認書をベルギー国外務省の送付するのが適当と思われるので、至急国会の承認を得たいというのが本件の趣旨であります。本件が承認されますれば、我が国は現在占領下にあるに拘わらず、関税表刊行のための国際連合に復帰することが認められるのでありまして。今後は各国の関税表に関する最新の情報を定期的に入手できることになつて、貿易促進上極めて有利なことになると認められる次第であります。尚一言附加えますれば、この條約への復帰の性格は極めて技術的でありまして、先に国会の承認を得て加入いたしました国際電気通信條約並びに郵便に関する四つの約定と全く同じ行き方でありまして、講和條約締結前におきましても、今後もこの種技術的な手続による国際條約への復帰は予想され得るのであります。
 外務委員会は三月十七日に予備審査を行い、次いで衆議院送付を待つて同三十日更にこれを愼重審議いたしました結果、全会一致を以て本件は承認を與うべきものと決定いたした次第であります。以上御報告申上げます。(拍手)
#11
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本件の採決をいたします。本件全部を問題に供します。委員長報告の通り本件に承認を與えることに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔総員起立〕
#12
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本件は全会一致を以て承認を與えることに決定いたしました。
     ―――――・―――――
#13
○議長(佐藤尚武君) 日程第二、政府職員の新給與実施に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。人事委員長中井光次君。
    ―――――――――――――
   〔中井光次君登壇、拍手〕
#14
○中井光次君 只今議題となりました政府職員の新給與実施に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、人事委員会における審議の経過並びにその結果を御報告申上げます。
 先ず本改正案の内容を御説明申上げますると、現在の政府職員の新給與実施に関する法律は、その第一條第二項の規定により、昭和二十五年三月三十一日限り効力を失うことになつておりまするので、その期限を一年間延長して、昭和二十六年三月三十一日まで効力を存続せしめようとする、形は極めて簡單なものでありまするが、内容は極めて重大なる意義を包蔵するものであります。
 本法案は去る三月八日予備審査のため付託せられ、又昨三十日衆議院より送付せられて人事委員会に本付託せられたものでありまするが、本法律案に関する論議の要点は、本法の存続期限を一ケ年延長するの適不適は勿論でありまするが、同時に人事院勧告と睨合せての、この法律の内容とする国家公務員の給與ベース改訂の問題にかかつていたのであります。政府職員の新給與実施に関する法律による国家公務員の現行給與六千三百七円ベースは一昨年七月を基準として定められたものでありまして、その後の物価並びに民間給與の騰貴と比較いたしまして、これが改訂を必要とする旨の意見は夙に本委員会の委員の中に見られたところであります。第七国会の初頭より、本委員会におきましては、給與問題の重要性に鑑み、特に国家公務員の給與に関する調査を行なつて来たのでありまするが、たまたま昨年十二月四日人事院より国家公務員の給與を七千八百七十七円水準に改訂すべき旨の勧告が提出せられ、本委員会においては爾来十数回に亘つて政府当局の説明を聽取し、必要なる資料の提出を求め、調査審議を重ねて来たのでありまするが、その質疑の主なるものは、国家公務員法の精神より見ても、又国家公務員の生活の現状より見ても、人事院の勧告を尊重すべき旨を主張し、政府がベース改訂を行わない理由を質すにあつたのでありまするが、これに対する政府の答弁は、財政上の理由により六千三百七円の現行ベースを変更しないということに盡きておりました。本問題については本委員会は尚調査を続行中であります。ただ遺憾な点は政府の資料二途に出で、実態の把握に頗る困難を来たしておる点であります。次に本改正の趣旨たる本法存続期限を一ケ年間延長するの可否であります。本年三月三十一日限り政府職員の新給與実施に関する法律がその効力を失いまするならば、すべての国家公務員の給與の支給に決定的な障害を来たすことであり、これが延期を図ることは今日においては止むを得ざるところと何人も異議のないところでありましたが、一面この法律の内容とする六千三百七円ベースをそのまま向う一ケ年間実施することについては賛成し得ないとする意見が圧倒的でありました。而して深き考慮と愼重なる討議の結果、政府、国会共々、真に国家公務員の生活現況に鑑み、速かにこれが解決を図るべきである。その時期をいつにすべきか。現在尚国会は開会中であつて、約一ケ月の会期はありまするが、現下の事情においてはこの間における問題の解決は困難であろう。さりとて便々一年を過ごすことは固陋に過ぎる。義務と責任とを感じ、可能にして最も適当なる期限はいつか。修正の趣旨はこれに応うるものであります。
 かようにして宇都宮委員より、本法案の期限延長を止むを得ざる最小限度に止め、更にこの問題に関する検討を加えると共に、その間において政府にも人事院の勧告を尊重する十分の準備を期待する趣旨の下に、原案の昭和二十六年三月三十一日限り効力を失うとありまするのを、昭和二十五年七月三十一日限り効力を失うとする修正案が提出せられたのであります。次いで千葉委員より賛成討論があり、討論を打切り、修正案についての採決に入りましたところ、修正案は全会一致を以て可決せられ、かくして本案は修正議決すべきものと決定いたした次第であります。
 以上御報告を申上げます。(拍手)
#15
○議長(佐藤尚武君) 本案に対し討論の通告がございます。これより発言を許します。千葉信君。
   〔千葉信君登壇、拍手〕
#16
○千葉信君 私は只今上程になりました修正案に対しまして、労農党を代表して賛成意見を表明するものでございます。
 そもそも本修正案の提案趣旨は、委員会における宇都宮登君の説明にもありまする通り、原案は理不盡だとは思うが、時間的にも、又客観情勢の展望からも、俄かに否決し去ることが必ずしも最善の方途ではなく、むしろ多少時日を藉しても最も適当な解決を望むというためのものでございまして、かかる意味における修正動議の趣旨には全く敬服すべき筋合があり、遅疑逡巡すべき如何なる理由もないところでございまして、ここに私は、はつきりと賛成の意思を表明するゆえんがあるのでございます。ただ併し、押して私が今日明らかにする必要を痛感いたしまするのは、この修正案は決して、單に新給與実施に関する法律の実施を原案の二十六年三月三十一日を短縮して二十五年七月三十一日までと修正した点にあるのではなく、むしろその実施期間内にありましても、努めて速かに賃金ベースを改訂すべきであるという前提の上に立つてこの修正がなされたということでございます。そして又この結論は、政府提出の原案をめぐつて、人事委員会における審議或いは質疑の過程からも、当然の結果として出たものであることを、私はこの際確認すべきだと考えるのでございます。
 御承知のごとく公務員の賃金ベースを改訂すべきであるという人事院の今次勧告に対して、政府は頑迷な態度を以てこれを拒否し、受諾し難いという理由を、いわゆる給與白書という形において二月三日天下に公表したのでございますが、この度の新給與法期限延長についての政府原案は、この給與白書による政府当局の見解の具体的な現われであるという理由から、以下私はこの際白書に対して一応の批判を要すると断定せざるを得ないのでございます。先ず給與白書を点検いたしまして第一に指摘いたしたいことは、政府は六千三百七円ベースの完全に実施されたのが二十四年の三月であるから、その月以降における物価水準の推移を見るべきであるというのでございますが、白晝公然とこのような愚劣な理窟が天下に通用するということを考えているところが、如何にも吉田内閣らしい低能さを暴露するものでございますが、たとえ実施が二十四年の三月でありましようとも、その基礎となつておりまする消費者実効物価指数が二十三年の七月であるということは、人事院の主張に待つまでもなく、吉田内閣自身がいわゆる六千三百七円ベースを第四国会に提案いたしましたときにも、その提案理由に明らかに説明しておりまするように、本提案は二十三年七月におけるCPIを基礎としてこれが二十三年十一月までに五%上昇したものと仮定し、更に八%上昇を見越して、この賃金水準が妥当なものであるという考えに立つておるということを説明しておるのでございます。尤もCPIはそれは二十四年一月において、すでに二十三年七月に比して二〇・三%の上昇を見たのでございますが、とにかく政府はこの提案理由で明らかに説明いたしておりまするように、二十三年七月のCPIを基礎としたと説明したことは、よもやお忘れではないと思うのでございます。それとも覚えていて殊更にこういう今次の給與白書にあるような説明をいたしておるとすれば、これは最も甚だしい欺瞞と言わなければならないと思います。
 第二の点は、人事院勧告を実施するためには全体として年間六百億を必要とするから財源に問題があると言うのでございますが、一体今まで税込みでしか給與を與えたことのない政府が、この六百億から税で吸い上げる二百億があるということを何故隠そうとしておるのか。更に又政府はこの六百億の財源を賄うためには、平衡交付金の増額、地方税の引上げ、鉄道運賃一八%、郵便料金一〇%、電報電話料の四%引上げを仄めかしたのは、物価水準への悪影響を印象付けて低い国民輿論の動員を狙いとした悪辣な底意が見か透いておりまするし、或いは又一般会計、特別会計職員で一六%から二二%の首切り、国鉄、專売にありましては一八%の首切りをやらなければ、この財源は出ないなどということを言つて、直接公務員諸君を脅迫しながら、一方においては、未だ行政整理の悪夢から醒め切つておらない公務員諸君の労働攻勢を弱体化させ、若しくは分裂的な傾向を策したものであることは、これは全く反動者流の常套手段なのでございまして、私は誠にかかる態度に対しては不満を表明せざるを得ないものでございます。(拍手)
 第三は、物価と賃金の悪循環を依然として一つ覚えで繰返しておりまするが、このことは我が党の木村議員の識見に待つまでもなく、本年二月十日附日本経済新聞に発表されました物価庁の見解に見ましても、物価庁ははつきりと次の通り言つております。賃金ベースを現在のままで維持した場合、二十五年度末には、消費財は一〇%、生産財は二・三%下落する。賃金ベースを官公吏七千八百七十七円、民間労働賃金を九千百円として計算いたしましても、これ又消費財において七%、生産財において〇・五%下ると推定して発表しているのでございます。一体、政府機関であるところの物価庁が、その掌る專門の問題に対して権威ある機関であるのか、そうではないのか、私は折があつたらこの点を聞いてみたいと思つているのでございます。尤も政府自身も、この給與白書の第一項で、昨年三月から物価は横這いである、現実の需給関係に基いて消費者実効価格は更に漸落することが見込まれると言つているのでございます。更に財源の問題では、公務員や労働者には物価は横這いだとか物価は下るから我慢しろと言つている吉田内閣が、本国会に出しておりまする二十五年度予算を見ますると、財源はこの中にあり余る程入つている。政府は一般会計の物件費を一千五百八十五億、特別会計におきましては四千四百四十二億、その他の政府機関には八千四百七十六億、合計一兆四千五百三億というこの物件費を、昨年十月予算作成当時の物価指数を一五四と押えて、本年三月一六四、本年十月は一六八として計上しているのでございます。物価庁の見解を拔きにいたしましても、物価は横這いだというこの政府の見解に従えば、この指数一四、約一割に当るつまり一千四百五十億の物件費は、少くとも現在の予算は水増しで以て組まれていることは、
   〔議長退席、仮議長着席〕
明らかな事実でございます。(拍手)これでも財源がないと言えるでございましようか。
 最後に、最も奇怪至極なことは資料第二でございます。政府は給與白書を二月三日に発表した後で、四日前の一月三十一日附でいわゆる追加資料を出しておるのでございます。ところがこの追加資料と前の白書を比べて点検いたしますると、一枚の資料の中に二十ケ所以上も金額が食い違つておる。甚だしきは特殊勤務手当の項におきまして二百九十一円も前の資料と違つておる。それを追加と言つて出しておる。而もです、増田官房長官は、前労働大臣である増田官房長官は、新給與法第一條に明示された賃金ベースの枠内に入るものと枠外のものとを勘違いして覚えておつた。(「でたらめだ」と呼ぶ者あり)こういうことが委員会の質疑において明らかになつたのでございます。更に私の最も不快だと思いまするのは、賃金ベースの要素以外のものを故意にこの給與白書の資料の中に算入して計算し、一般工業賃金と比較すれば、官公吏の実質給與は二十四年度におきましては七千三百円、二十五年度には七千四百円などという数字を発表しておりまするが、この比較できない要素を挿入して、殊更に比較検討が專門家でなければ分らないような形にでつち上げて、こういう不可解な資料を作成して、国民大衆を愚弄し、更に国会議員の国会における正しい判断を遮るがごとき資料を出したということについては、到底容赦し難い態度であると言わざるを得ないのでございます。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)このことは人事委員会におきましても激しい論議の焦点となつたところでございまして、更に内閣の作つたこの給與白書と言われる資料と人事院が国会に出しました資料とでは、その実際の給與額が二百七円も開きを持つている。どこからこういう食い違いが出るか。かくのごとき不見識極まるところの資料を提出して今次勧告を抹殺し去らんとした政府の態度は、この被害の及ぶところ、国家公務員九十万のみではなく、公共企業体従業員或いは地方公務員を加えて二百数十万に及び、その被害の甚大さを考えますると、かくのごとき態度こそ、正しくこれ市井の、街の詐欺漢も三舍を避ける態度であると言わざるを得ないのでございます。(拍手)
 以上を以て私の賛成討論といたす次第であります。
#17
○仮議長(黒田英雄君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長の報告は修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔総員起立〕
#18
○仮議長(黒田英雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て委員会修正通り議決せられました。
     ―――――・―――――
#19
○仮議長(黒田英雄君) 日程第三、社会保險審議会、社会保險医療協議会、社会保險審査官及び社会保險審査会の設置に関する法律案(内閣提出)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。厚生委員長 君。
    ―――――――――――――
   〔塚本重藏君登壇、拍手〕
#20
○塚本重藏君 只今上程せられました社会保險審議会、社会保險医療協議会、社会保險審査官及び社会保險審査会の設置に関する法律案につきまして、厚生委員会における審議の経過並びにその結果を御報告申上げます。
 本案は本院が先議でありまして、先ず本案の提出理由及び内容について簡單に御説明申上げます。行政機構の整備簡素化について、厚生省におきましても、その附属機関の整理のため、先に提出いたしました審議会等の整理に伴う厚生省設置法等の一部を改正する法律案と同様の趣旨につきまして、同法と一体をなすものとして、厚生省所管の社会保險関係の各種審議会等を統合しようとするものであります。次に内容について申上げますと、第一は、従来健康保險、船員保險及び厚生年金保險の運営に関する事項を審議するため、健康保險審議会、船員保險審議会、厚生年金保險審議会が置かれておつたのを統合して、社会保險審議会を設置したこと、第二は、従来健康保險、船員保險及び国民健康保險の療養を担当する者の指定、指定の取消及び保險診療の指導に関する事項並びに適正な診療報酬額又は診療報酬の標準額を審議するため、それぞれ中央社会保險診療協議会、地方社会保險診療協議会及び社会保險診療報酬算定協議会が置かれておつたのでありますが、これを統合いたしまして、中央社会保險医療協議会及び地方社会保險医療協議会を設置いたしたのであります。第三は、従来健康保險、船員保險及び厚生年金保險の保險給付についての不服を審査するための第二次審査機関として、又保險料その他の徴收金等についての不服を審査するための第一審機関として、それぞれ健康保險審査会、船員保險審査会及び厚生年金保險審査会が置かれておりましたものを統合いたしまして、社会保險審査会を設置し、同時に保險保付に関する不服を審査する第一審機関として置かれていた各種保險の保險審査官を統合して社会保險審査官としたことであります。以上の改正によりまして、各機関の構成員をして、各種保險に関する審査又は審議に当つて、総合的な判断により各保險行政に一貫性を持つことを期しているのであります。
 以上のごとく本法案の内容は極めて簡單なものでありますが、社会保險全般に関連するものでありまするので、去る二十七日本付託以来、二十八日及び三十日の両日に亘つて愼重に審議を重ねたのであります。ここに委員会におきましての政府委員との質疑応答のうち、主なるもの二三を御紹介申上げます。審議会等の整理に伴う厚生省設置法等の一部を改正する法律案には社会保險審議会、協議会等を入れないで、新たに本法案を提出する理由はどこにあるかとの質問に対しまして、厚生省設置法の中に細部に亘る組織は勅令に規定されておつたので、審議会等の整理に伴う厚生省設置法等の一部を改正する法律案においてそれらの條文を入れると、内容が非常に複雑になつて分りにくくなるために、新たに本法案に規定したのであるとの答弁がありました。又本案において、「中央社会保險診療協議会の意見を聽くべし」を「中央社会保險医療協議会に諮問するものとす」と改めたことは、協議会の権限を弱めるものではないかとの質問に対しまして、今回の改正によつても権限は従来通り全く同一であり、民主的な運営を図る意味もあり、かように書換えたのである、又全般の審議会と表現を統一したとの答弁がありました。更に中央社会保險医療協議会の委員の構成でありますが、それは医師、歯科医師側から六人、被保險者、事業主側から六人、公益代表者側が六人、保險者、即ち政府側が六人、以上二十四人で構成せられるのでありますが、この構成によりますると、えてして公益代表者側の意見と保險者側との意見が大体同一であり、そのために医師、歯科医師側の意見、並びに被保險者、事業主側の意見が非常に弱まつて来る傾向が従来見られる。こんな点についてはむしろ公益代表の数を減らすなど、その構成を考慮すべきではないかとの質問がありました。これに対しまして政府から、おのおの自分の立場に応じた意見を発表するので、保險者の代表の意見が公益代表の意見とたまたま同じうする場合もあるにはあるけれども、全部が御用委員のごときものにはなつていないと思う、勿論今後人選については十分検討を加えるつもりであるとの答弁がありました。以上のような質疑応答があつた後、多数を以て質疑を打切り、討論を省略いたしまして採決に入りましたところ、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
 以上御報告を終ります。
#21
○仮議長(黒田英雄君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔総員起立〕
#22
○仮議長(黒田英雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
     ―――――・―――――
#23
○仮議長(黒田英雄君) この際、日程第四、有価証券移転税法を廃止する法律案、日程第五、米国対日援助物資等処理特別会計法案、日程第六、解散団体財産收入金特別会計法案、日程第七、国庫出納金等端数計算法案(いずれも内閣提出、衆議院送付)、以上四案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#24
○仮議長(黒田英雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事九鬼紋十郎君。
    ―――――――――――――
   〔九鬼紋十郎君登壇、拍手〕
#25
○九鬼紋十郎君 只今上程せられました有価証券移転税法を廃止する法律案の審議の経過並びに結果を御報告いたします。
 有価証券移転税については、従来有価証券の流通を阻害するとの非難が多かつたのでありますが、所得税の讓渡所得を補完する目的を以て今日まで存置せられて来たのであります。取引高税、富動産取得税が廃止せられました事情等を考慮し、有価証券の流通を円滑にするため、今回これを廃止しようとするものであります。さて、本案は愼重審議の後、討論に入り、採決の結果、全会一致を以て公案通り可決すべきものと決定した次第であります。
 次に米国対日援助物資等処理特別会計法案について大蔵委員会の審議の経過並びに結果を御報告いたします。
 従来援助物資に関する経理は、貿易特別会計の援助物資勘定で整理していたのでありますが、今回新たに独立の会計を設置し、米国対日援助物資の売拂代金、輸入物資価格補給金の一般会計からの繰入金等を以て歳入とし、又、米国対日援助見返資金特別会計への繰入金、事務取扱費等を以て歳出として整理いたし、これらに関する経理を一層明確にすると共に、予算及び決算の手続等、特別会計に必要な諸規定を設けんとするものであります。委員会の審議におきましては、種々熱心な質疑応答がなされたのでありますが、その詳細は速記録によつて御承知を願いたいと存じます。かくして質疑を終了し、討論に入り、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定した次第であります。
 次に、解散団体財産收入金特別会計法案の審議の経過並びに結果の御報告をいたします。
 解散団体の財産の管理及び処分等に関する政令に基いて、国庫に帰属した財産に関する收入金については、従来債務の支拂に充てた残額は貿易特別会計に繰入れて、貿易のために使用することとしておつたのでありますが、今回これを一般会計の繰入れることとした関係上、現行の外国貿易特別円資金特別会計を廃止し、新たに解散団体財産收入金特別会計を設置しようとするものであります。本案は愼重審議の後、討論に入り、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定した次第であります。
 次に国庫出納金等端数計算法案の大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。
 本案は、最近の経済情勢に鑑み、国庫金等の出納及び国税、地方税の課税標準額の計算の事務を簡素にし、経理事務の能率の増進を図ろうとするものであります。その要点といたしますところは、国及び公団等の收入金又は支拂金は、原則として、その金額に五十銭未満の端数があるときはその端数を切捨て、五十銭以上一円未満の端数があるときはその端数を一円として計算し、その金額の全額が一円未満の場合は、收入金はこれを切捨て、支払金は一心として計算し、又、国又は公団等の相互間の支拂は、その金額の全額が一円未満の場合はこれを切捨てることとした点であります。その他、国税、地方税の課税標準を算定する場合、国税、地方税を收納する場合の計算方法その他についてもそれぞれの規定を設けた次第であります。さて、本案は愼重審議の後、討論に入り、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
 右御報告いたします。(拍手)
#26
○仮議長(黒田英雄君) 別に御発言もなければ、これより四案の採決をいたします。四案全部を問題に供します。四案に条成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
#27
○仮議長(黒田英雄君) 過半数と認めます。よつて四案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#28
○仮議長(黒田英雄君) この際、日程第八、肥料配給公団令の一部を改正する法律案、日程第九、油糧配給公団法の一部を改正する法律案、日程第十、食糧管理法の一部を改正する法律案、日程第十一、松くい虫等その他の森林病害虫の駆除予防に関する法律案(いずれも内閣提出、衆議院送付)、以上四案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#29
○仮議長(黒田英雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。農林委員長楠見義男君。
    ―――――――――――――
   〔楠見義男君登壇、拍手〕
#30
○楠見義男君 只今議題となりました四つの案件につきまして、農林委員会における審議の経過並びに結果を順次御報告申上げます。
 最初に肥料配給公団令の一部を改正する法律案について御報告申上げます。
 先ず改正点の内容及びその理由を政府の説明によりまして簡單に申上げます。改正点は二つございまして、第一の点は、肥料配給公団令の有効期間の延長であります。即ち肥料配給公団は本年三月三十一日を以て解消することになつておりますが、肥料の需要供給の現況に鑑み、且つ現在進行中の春肥の配給途上における機構を改革することは影響するところ少なからずと考えられまするので、一応本公団令の有効期限を一年延長し、現在の春肥配給終了後、そのときの需給状況その他を勘案の上、できるだけ早い機会に公団の廃止をなさんとするものであります。改正の第二の点は基本金の増額であります。即ち同公団に必要な什器、備品は、基本金により購入することになつておりますが、すでにこれが損耗甚だしく、義務上甚だしき支障を来たすに至つておりますので、五百万円を増加して最小限の補充をいたすこととしておるのであります。
 委員会は本案の審議に入るに先立ち、肥料の需給状況の現況につき、経済安定、農林省及び通産省より説明を聽取いたしましたが、それによりますと、昨年八月より本年七月に至る昭和二十四肥料年度の需給状況は、窒素質肥料については当初の硫安換算百九十七万トンの配給計画に対し、その後の国内生産事情において、渇水期電力事情の緩和等に伴う好転により約十三万トン余の生産増加の見込であり、輸入における約十万トン前後の増加見込を合せ、需給状況は著しく好転し、本年春肥は目下追加配当も考慮中とのことであります。即ち窒素質肥料に関する限り、来肥料年度におきましては、硝安の輸入計画もなく、一方国内生産も本年より三十万トン程度増加して、約百八十五万トンの生産が見込まれる状況でありますが、他方補給金撤廃に伴う価格の値上りや、農村不況による有効需要減退の徴著しき見通しに鑑み、今後における需給状況の変貌は、食糧の生産事情にもこの面から相当大きな変化の起り得ることが今日より予想せられるところであります。燐酸肥料及び加里質肥料につきましては依然供給不足でありまして、特に良質の燐鉱石輸入の必要と加里肥料の輸入促進が強く要望されておる実情であります。
 次に、質疑のうち、二、三の点を御披露いたしますと、先ず第一に、我が国が要請しておる以上に硝安等外国肥料が輸入せられておるかどうかの問題に対しての政府答弁の要旨は、要請の時期と現実に輸入せられる時期との時期的な間隔に伴つて、すでに外国において買付手当済のものが輸入せられたり、或いは前年度分の輸入ズレ等によつて変動はあるが、当方の要請以上のものの輸入はないとのことでありました。次に、例の食糧の輸入か、肥料の輸入かの問題に対しましては、政府側の大体の意向は、国内における雇用の問題或いは国際收支の問題等から言つて、食糧と肥料とのうち、仮にいずれか一を選ぶとすれば、肥料を、特に製品よりは、その原料を選ぶとのことでありました。その他の質疑は省略いたします。
 質疑終了後、討論に入りましたるところ、羽生委員から、肥料の統制制度改廃の問題は單に需給状況の変化に応じてのみ考慮すべきではなく、例えば農産物価決定方式との関連において、或いはその他の農業施策との関連において、即ち農政の重要なる一環として考慮することを必要とし、この意味から言つて肥料については強力なる統制が必要であるとの希望を付して、本案に賛成の意見を述べられ、岡村、藤野、赤澤各委員からも、それぞれ肥料価格の高騰によつて農家はその生産上必要なる肥料も買い得ず、そのために生産上にも重要なる悪影響を来たすことが目前明らかに予想せられるところであり、統制改廃の措置は従来常に生産農民の負担増加において行われている実情に鑑み、将来特に留意すべきこと、肥料資金の確保について努力を必要とすること、生産配給機構の合理化により価格の低下を図るべきこと、実効需要減退防止対策の必要なること、公団廃止に伴う退職職員に対する処遇について公正且つ適切なるべきこと等々の希望意見を付して、本案に賛成の意見を開陳せられました。討論終結後、直ちに採決に付しましたるところ、本案は全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 次に油糧配給公団法の一部を改正する法律案について御報告申上げます。
 御承知のように、食料品配給公団法及び油糧配給公団法は、他の公団法令と同様、その成立以来毎年有効期限を一年延長する措置をとりつつ今日に及んでおるのでありまして、現行法では、いずれも本年四月一日失効することとなるのでありますが、政府は食糧品配給公団が現に取扱つておりまする味噌、醤油及び乳製品につきましては、漸次需給状況が好転し、もはや公団方式による強力を統制を必要としないと認め、今回は食料品配給公団法の有効期間の延長の措置をとらず、従つて食料品配給公団を解散せしむることとし、ただ従来同公団が取扱つておりました砂糖だけは、尚、公団方式による統制を必要といたしまするので、同様に尚引続き統制を必要といたしまするところの油脂、油脂原料を取扱つておりまする油糧配給公団において併せ取扱わしめ、油糧配給公団の名称を油糧砂糖配給公団と改めますると共に、その存続期限を一年延長せんとする措置を本法案においてとらんとしておるのであります。本法案提案理由の骨子といたしまするところは右の通りでございますが、かねて農林委員会におきましては本院の承認を得まして農林関係配給公団制度に関する調査をいたしておりましたので、以下本法案に関連する部分についての調査報告も兼ね、委員会の審議の状況を御報告いたしたいと存じます。
 先ず食料品配給公団関係でございますが、食料品配給公団取扱物資たる味噌、醤油、乳製品、砂糖、罐詰のうち、罐詰は国内需給のバランスも大体とれ、公団統制方式の必要がなくなつたので、昨年四月から除外いたしましたことは御承知の通りであります。味噌、醤油につきましては、昭和二十五年消費配給計画は大体本年通りといたしまして、一人一年味噌二貫七十刄、醤油五升二合でございますが、これは戰前の味噌三貫三百刄、醤油八升に比べますると尚不十分ではございますが、政府の方針といたしましては、最近漸次売手市場から買手市場へと移行し、従つて価格もマル公と闇価格とが余り差がなくなつたこと、将来も大体現状より悪くならない状況が期待せられること、もはや一手買取販売の統制方式を必要とせず、若し必要とすれば切符制度等でやつて行けること、財政節約面からの要請、民間企業促進等の観点から、公団統制方式を排除せんとする考えであります。乳製品につきましては、統計上における需要関係ではまだ不足でございますが、ものによつては戰前の生産に復帰したものもあり、事実、全体としての需給状況は、有効需要減退の最近の実情からすれば過剩状態とも言えるのでありまするので、もはや公団方式による統制はその必要なきのみならず、他の統制方式も、生産地方の偏在等の事情から消費地に対する極く簡單な出荷指図の必要があるかどうかというような程度であります。砂糖につきましては、戰前の需要量約千八百万ピクルに対し、終戰後飛躍的に増加したと思われまする昨昭和二十四年度においてすら尚且つ三分の一にも満たぬ五百万ピクル程度の供給で、国内産では北海道の甜菜糖が極く少量あるのみで、大部分の供給は外国よりの輸入にこれを仰ぐ実情であり、輸入関係からいたしましても一手買取販売により公団統制方式は尚今後も継続を必要とするという政府の説明でありました。
 委員会といたしましては以上の需給状況、政府の方針についての検討に当り、特に味噌、醤油について政府の方針通り認めることが可能かどうかという点を具体的数字について検討いたしたのであります。即ち第一に、昨年秋、政府がこの方針を立てた当時の大豆の輸入計画と申しますか、希望輸入数量は約二十万トンでありまして、その大部分は中共地区からの輸入に期待をしておつたようでありますが、この期待は今日では全く空に終つたことが明らかになつたので、従つて他の地区からの輸入が確実に実現するまで尚当分現行方式を継続してはどうかという点、第二に、公団統制方式をやめて、それよりも緩和した統制方式でありまするところの例えば切符制による需給調整をやるにいたしましても、それを可能にするためには最低九万八千トンの輸入を必要といたしまするが、それが現在までの実績に徴して可能かどうか、以上の二応が検討の中心でありましたが、先日安本長官が本議場で答弁せられましたごとく、又事務当局の説明に徴しましても、関係方面とのその後の折衝の結果、本年一月から六月までの間に、ガリオア・フアンドによる約十六万トンの輸入を含め、大体当初計画通りの輸入可能の見通しがはつきり付いたとのことでありますから、委員会といたしましては、爾後の需給調整方策の巧拙は政府の責任に委ね、ここに公団統制方式をやることを可と認める結論に達した次第であります。乳製品の統制廃止、砂糖の統制継続に関する政府の方針は、委員会における調査の結果に基く意見ともほぼ一致いたしまするので、政府の方針をそのまま認めることといたしました。
 次に油糧配給公団関係でありますが、油脂需給状況は御承知のように戰時中より連年窮屈の度を増加いたしまして、供給面では、内地産動植物油脂の漸減、外地よりの移入減によつて、昭和十二年乃至十五年平均の三十三万八千トンに対し、終戰後の二十一年度は最悪の状況で七千トン、二%にまで低落いたしたのでありますが、二十二年度より外国産油脂の輸入により漸次上昇傾向を辿り、昨二十四年度は十六万六千トンとなりましたが、尚戰前の四五%程度であります。尚、消費事情につきましては、供給減に伴い極めて窮屈でありますことは当然で、戰前の状況に比し、食用、工業用を合し、昭和二十一年度の九%を最低とし、その後漸次よくなつて参りましたが、昭和二十四年度において尚戰前の五三%に過ぎず、而して配給面におきましては、先ず食用充当に考慮が拂われていることと、他面、工業用需要が工業自体の回復度合にも応じて実効需要が戰前に比し依然低いという事情もあり、食用に関する限り大分明朗にはなりましたが、それでも油脂全体の需給状況は国外に多くを期待せざるを得ない関係上、前に申述べましたごとく、未だ甚だしく窮屈であります。従つて現在の公団方式による統制は尚継続する必要があるわけでありますが、昭和二十五年度計画について政府の説明によりますと、大豆を主とし、コプラ、棉実、亜麻仁、菎麻子等の外国産原料から得る油脂約十六万六千トン、国産油脂の最高利用による約五万五千トン、合計二十二万一千トンの油脂が確保できれば、需給状況は戰前に比すれば尚七割程度ではあるが、大体公団方式による統制を不必要とするに至るのではないかとの観測であります。併し右の計画は輸入に大半の成否がかかつており、外貨資金七千七百万ドルの獲得が重点でありますから、その推移を見るまでは前に申述べましたごとく現公団は尚暫定的に存置を必要とするという結論であります。但し油糧統制はできるだけ効率的に行わねばならぬことは勿論でありまして、この意味におきましては、品目の整理等は最も必要でありますが、国内産のものについては従来のこまごまいたしましたものは一切廃止し、今後は大豆及び菜種関係のものに止め、この二種類と輸入油脂原料及び油脂並びに南氷洋鯨油のみを公団統制方式の対象とすることになつております。委員会の調査の結論も例ね右と同様でございます。調査の結果は以上の結論通り、各物資ごとに公団統制方式の撤廃或いは存続が決定せられたのでありますが、次に公団の統合に関する政府の方針は、今回の提案のごとく食料品配給公団はこれを廃止し、その現に取扱つておる砂糖は油糧配給公団に取扱わせることとし、油糧公団の名称も油糧砂糖配給公団と改め、実質上二つの公団を統合せんとしておるのでありますが、これに対し委員会の意向は昨年の場合と全く同様の態度でありまして、即ち單なる統合のための統合は、公団そのものが暫定的に臨時的存在であるだけに全く無意味であるばかりでなく、却つて短期間的存在の中で統合に伴う事務機能の澁滯や人事問題のいざこざによるロスが大き過ぎ、従つて公団の整理に関する取扱い方は、原則としてその取扱物資ごとに、需給状況の変化を十分に検討し、その必要がなくなつたものから漸次脱落せしめ、又それに伴う機構の縮小を図り、やがて全物資の消滅と共に公団そのものも解消せしめることが最も妥当なやり方と考えたのでありまして、勿論右の方針は原則論ではありますが、今回の砂糖、油糧については右の原則論を適用すべき場合に該当するものと認め、政府の方針に則らず、別途各派共同提案の議員提出の形を以ちまして、実質上本法律案を修正すべき立法を試みたのでありましたが、この試みは遺憾ながら関係方面の了解を遂に取付けることができなかつたのであります。
 以上の経過を経ましたる後、昨三十日、委員会は衆議院より送付せられました政府原案について討論採決に付しましたる結果、本案は右に申述べました経緯に鑑み、この際止む得ざるものと認め、公団統合に際してのロスを最小限度に止めること、公団廃止に伴う職員の処遇に適正を期することの希望を付し、全会一致を以て可決すべきものと決定いたした次第であります。
 次に食糧管理法の一部を改正する法律案について御報告申上げます。
 改正法律案の骨子は、第一に「いも」類についての政府の取扱方式の改正、第二に食糧配給公団関係の改正の二点でありますが、先ずこれらの改正点の内容及びその趣旨について御説明申上げます。
 第一の「いも」の取扱方式の問題でありますが、統制存続論及び統制撤廃論がかねて相鬪わされましたことは御承知の通りでありまして、統制存続論の根拠は、国内における食糧自給度の向上という見地から、過去においてあれだけ食糧の危機の突破に役立ち、そうして又今後においても大きな力を期待し得る「いも」は食糧管理上重要視すべきであり、同時に従来閑却せられていた加工、貯蔵及び利用の面において、政府は今後更に一段の研究と努力をなすべきであるということに存しております。統制撤廃論の根拠は、食糧事情の安定を見て来た今日、消費者の立場から、従来とかくの批判があり、特に政府その他の機関の配給操作の拙劣乃至困難性もあり、昨秋以来一部配給辞退の起つた事例に徴しても、更に又別の観点から、即ち国家財政の点から見て速急に統制を廃止すべきであるとし、この主張を強調し来たつたことは御承知の通りであります。政府は従来から後者の主張に立ち来たり、すでに旧臘一日より供出完了後の自由販売を認めたことは御承知の通りでありますが、統制撤廃による「いも」作農家への急激且つ甚大なる影響を顧慮し、同時に又作付転換その他に関する十分なる対策の整備や、更に又輸入食糧の確実な見通し難等の事情に鑑み、今回提出した改正案におきましては、従来のごとく食糧確保臨時措置法に基く事前割当、供米制度等のごとき高度の統制の廃止は勿論、食糧管理法における米麦等に対する管理方式もとらず、別途の取扱方式、即ち予算の範囲内において一定の政府買上数量を定め、その数量の範囲内においては農家からの売渡申込に応じてこれを買上げるという方式をとつているのでありまして、右の方式によつて本年産の甘藷及び馬鈴薯につきましては合して四億貫の買入れを予定し、過去の生産実績、今後の生産見込その他を勘案して、道府県別買入予定数量を割当指示し、その指示数量の範囲内で申込に応じ買入れることとし、価格は米麦等の政府買入価格並びに「いも」類の需給事情を参酌し、適切なる価格を定むることといたしているのであります。尚、右の買上げを行う「いも」類は総合配給用の生「いも」のみとし、品質の上級なるものに限定し、農家の出荷時期についても或る程度の調整を行うことといたしておるのであります。
 次に改正第二点の食糧配給公団関係でありますが、政府は明年三月までに食糧配給公団を廃止するという方針の下に、その間において末端配給機構及び中間卸売機構等の民営移管乃至その確立、消費者の利便の増大を目途とする登録制度の実施等の措置を漸次行い、以て公団の整理解体を円滑に遂行せんと企図いたしているのでありまして、整理完了後は食糧需給特別会計から卸機関、小売を通じ、購入券制度により消費者に主要食糧が配給せられる構想であります。今回の改正法案は、右構想実現のため、差当り公団の存続期限を本年四月一日より明年三月三十一日まで一ケ年延長し、且つその期間延長に伴う業務運営に必要な什器、備品、運搬具等の取得に必要な九千万円の基本金増額を行うと共に、新たに小売及び卸売の販売業者の存在並びにこれに対する都道府県知事の監督権その他に関する規定を設けんとしているのであります。委員会における本法案の審議に際しましては、事柄が我が国食糧政策に関する重要問題であり、又現に食糧供出制度の改変が種々論議せられ、中には無責任な放言もあり、徒らに生産者及び消費者を不安昏迷に陷れつつある際でもあり、更に又農政の転換期に処しての今後の農政確立上の基本にも触れる極めて緊要なる問題でありますので、各委員より真劍な質疑が数多く重ねられたのでありまして、即ち農家経済窮迫の現状に対する具体的対策如何、食糧に関する国内自給度向上についての目標及びその実現のための具体的対策如何、食糧共出制度改変に関する基本的構想如何、新農政確立に関する基本的構想如何、外国食糧に関する将来の輸入対策、「いも」に関しての将来の生産指導対策、供出報奬物資の値下り及び滯貨処理対策等等で、いずれも極めて重要な論題でありますが、これらの問題はかねて本議場におきましても多くの同僚議員諸君から質疑のあつた点でありますから、重複を避け、詳細は速記録に讓ることといたします。ただこれらの質疑に対する政府の答弁は遺憾ながら必ずしも委員各位をして十分に納得せしむるに至らなかつたことだけを申上げて置きます。
 かくて昨三十日質疑を終了し、討論に付しましたるところ、先ず社会党を代表して羽生委員より、現段階においては食糧事情全般を考慮の上確定せらるべき食糧管理法が、その全般の事情が未確定のとき、特に食糧確保臨時措置法の改廃方針も定まらず、又食糧輸入の見通しも確としていない現在の状況の下において、法律の一部の改正を行うことは不可であり、又ポツダム政令まで出して強行せんとした食確法から「いも」を外すことを本法案において行うことも同意いたし難い、その他一二の理由を挙げて本法案に反対の意見を述べられ、次に緑風会の藤野委員から、速かに新事態に即応した食糧政策を確立し、日本農業を安定せしめ、農民をして安んじてその生産に従事することができるようにすること、食糧政策は国内生産による自給度の向上、輸入食糧をできるだけ少くして、よつて生じた補給金はこれを農村施策、農業保護に振向けること、公団廃止の場合、退職者に対する処遇に万全を期すること等、十項目の希望を付して本法案に賛成せられ、又民主党の鈴木委員からも、同様、政府の農村不況対策において十全を期すべきであるとの希望を付して賛成、新政クラブの小川委員からも、国内食糧自給体制の確立、農産物価の適正を期すとの希望を付して賛成意見が開陳せられました。以上の討論を終り、採決に付しましたるところ、本法律案は多数を以て原案通り可決することに決定いたした次第であります。
 最後に松くい虫等その他の森林病害虫の駆除予防に関する法律案について御報告申上げます。
 先ず本法案提出の趣旨について申上げます。普通に松くい虫という名で総称されております穿孔虫類に属する森林害虫で近畿、九州の一角に発生を見ましたのは、すでに二十年も前のことでありますが、これが戰時から戰後にかけて急速な勢いで蔓延いたしまして、今や北海道を除く殆んど全国の松林、名勝旧蹟の松、海辺の防風林など、至る所の松を非常な繁殖力を以て喰い荒しておりますことは御承知の通りでありますが、この松くい虫は戰時、戰後における濫伐により森林環境が激変いたしましたのに伴つて俄かに大量発生を見たのであります。而して従来相当熱心に実施されておりました駆除事業が十分の効果を挙げ得なかつたのは、第一に、害虫発生の早期発見、被害状況の調査、それに基く防除計画の樹立、その実施のための措置等の一連の組織がはつきりいたしておらなかつたこと、第二に、森林法に基く害虫駆除法規自体にも不備欠陷があつたため行政庁が有効適切な処分をなし得なかつたこと等の事情に基くものでありまして、これらの点に鑑み、今回政府は防除の実施を促進するための制度及び組織を確立することの急務たることを認め、新たに本法律案を立案したとこのとであります。
 次に本法の内容を簡單に御説明申上げますと、第一は本法の適用範囲であります。従来森林害虫の防除は森林法第八十條及び第八十一條に基いて行われておつたのでありまして、駆除の対象が森林に限られておつたのでありますが、松くい虫等の防除に徹底を期するためには、森林のみならず街路樹、公園の樹木及び土地から分離した伐採木等に対しても適用する必要がありますので、対象を森林、樹木及び伐採木等に拡げますると共に、伐倒、剥皮、燒却等、それぞれに対する駆除措置の内容を明確にいたしておるのであります。第二は、政府の行う防除措置であります。従来森林害虫の防除は都道府県知事がそれぞれ実情に応じて適当な方法を講じておつたのでありますが、森林害虫の種類により、或いはその害虫の発生状況によつては、国みずからも必要な防除措置を講じ得るようにいたしておるのであります。第三は、農林大臣又は都道府県知事の行う防除措置に対する森林所有者等の救済制度であります。即ち防除のため必要な命令を受けた者のために、その命令に対する不服を申立てる機会を與えますると共に、防除のため必要な命令又は処分により損失を受けたる者に対し、一定の基準による補償金を交付することといたしておるのであります。以上が本法案の主なる内容でありますが、委員会は去る二十九日及び昨三十日の両日に亘り愼重審議をいたしましたる結果、本案は全会一致を以て衆議院送付原案通りこれを可決すべきものと決定いたした次第であります。尚、審議の状況の詳細につきましては、速記録によつて御覽頂きとう存じます。
 以上を以て御報告を終ります。(拍手)
#31
○仮議長(黒田英雄君) 別の御発言もなければ、これより採決をいたします。
 先ず肥料配給公団令の一部を改正する法律案及び油糧配給公団法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
#32
○仮議長(黒田英雄君) 過半数と認めます。よつて両案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#33
○仮議長(黒田英雄君) 次に食糧管理法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
#34
○仮議長(黒田英雄君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#35
○仮議長(黒田英雄君) 次に松くい虫等その他の森林病害虫の駆除予防に関する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔総員起立〕
#36
○仮議長(黒田英雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
     ―――――・―――――
#37
○仮議長(黒田英雄君) この際、日程第十二、学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出)、日程第十三、国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)、日程第十四、図書館法案(内閣提出)、以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#38
○仮議長(黒田英雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。文部委員会理事藤田芳雄君。
    ―――――――――――――
   〔藤田英雄君登壇、拍手〕
#39
○藤田芳雄君 只今議題となりました三案につきまして、文部委員会の審議の経過並びに結果について御報告申上げます。
 先ず学校教育法の一部を改正する法律案について御報告申上げます。
 本案は現在の学校教育法を部分的に改正いたすことを目的として政府より提案されたものでありまして、改正の主要点は凡そ三点であります。第一点は大学の名誉教授に関する規定を新たに設けたこと、第二点は高等学校の定時制課程に関する規定を整理したこと、第三点は各種学校に関する規定を整理したこと等であります。そのうち、先ず名誉教授につきましては、従来旧制の官公立大学高等專門学校等につき、勅令で規定されておつたわけで、今回学校制度の改革に伴い、又新憲法の下におきましては、新たに何らかの法的措置を必要とするに至つた次第でありま島て、本案は名挙教授の称号を、今後広く国立、公立、私立の新制大学において、一定の要件を該当する者に対しまして、当該大学の定めるところに従つて授與できるように規定いたしております。次に高等学校につきましては、従来夜間において授業を行ういわゆる夜間の課程と、特別の時期及び時間において授業を行ういわゆる定時制の課程とを、それぞれ区別いたしておりましたが、その後実際には、時期によつて或いは晝間に授業を行い或いは夜間に授業を行い、殆んど両者の区別が困難な状態となりましたので、今後両者を一本に統一いたし、すべて定時制の課程と呼ぶことにいたそうとしております。又このような定時制の課程は、将来すべて修業年限を四年以上といたしまして、無理なく高等学校の教育内容を履修させようとしております。その他の本案は高等学校の職員に関する規定の改正をも行なつております。最後に、各種学校即ち洋裁学院のように、小学校、中学校等の通常正規の学校以外の学校につきましては、この各種学校として設置の認可を受けないで事実上そのような学校の経営をいたしておるもの等についての処置の方法を新たに規定しております。
 委員会におきましては数回に亘つて愼重審議をいたし、河野、鈴木、左藤、河崎の各委員から、定時制高等学校に対する政府の援助方針、養護教諭の育成、名誉教授制度の基準、各種学校の概念、その認定の基準等につきまして、熱心な質問がありましたが、その詳細並びに政府のこれに対する説明につきましては議事録について御参照をお願いいたしたいと思います。質疑を終了いたし、討論に入りましたが、河野、梅原、鈴木、左藤の各委員から、学校教育法の全般的大改正を早急に行うべきこと、その際には養護教諭、職員会議等について十分規定を整備すべき旨の要望の下に賛成の討論があり、又木内、三島両委員から本案の施行期について修正案の提出がありました。かくて採決の結果、全員一致を以て本案を修正可決することと相成りました。右御報告申上げます。
 次に国立学校設置法の一部を改正する法律案につきまして御報告申上げます。
 昨年国立学校設置法が公布施行されましてから約一年を経過いたしましたが、その間各国立大学はその組織の整備と内容の充実に鋭意努力いたしました結果、新学年度に当りましてこの整備充実の結果を法文化するため、国立学校設置法の一部を改正する必要を生じました。これがこの法律案を提出した政府の理由とするところでございます。次に本法律案の内容を簡單に申上げますと、北海道大学、名古屋大学等国立学校の一部について、大学学部の分割によつて新学部の創設を図り、大学附置研究所の新設合併を行い、又旧制の学校におきましては、本年三月を以て廃止となるために、その教職員、学生生徒の定員がなくなるものを削除する等、その組織を整備すると共に、国立学校に置かれる教職員の定員を、学部の設置、学年の進行、旧制の学校の募集停止等に基く増減に応じて改正することをその骨子といたしております。
 委員会におきましては愼重審議の結果、これらの措置はいずれも妥当なものと認めましたが、公立の高等学校、專門学校等が国立大学への合併移管に伴い、新定員法によつて職員の縮減を受けることのないよう、且つ教育職員の職務内容に鑑み、機械的な定員の増減や配置によつて学問の破壞を来たさないように、政府に対し十分な考慮をめぐらすことを強く要請いたしましたところ、これに対し高瀬文相並びに本多国務相から、学年進行及び移管による教員の増員は当然のことであるから十分善処する、国立学校については、一般各省の行政簡素化その他の理由による定員削減とは一応切り離して考えるとの言明がありました。かくて討論を省略いたしまして採決の結果、全員一致を以て衆議院送付案を可決いたしました。右御報告申上げます。
 次に図書館法案につきまして御報告申上げます。
 国民の教養の向上を図るため、学校教育と相並んで社会教育が極めて重要性を持つことは、今更申上げる必要もございません。さて社会教育を振興いたしますためには、これを担当いたしまする公民館、図書館等が、確実な法的、経済的の基礎に立つて十分な活動をいたさねばなりません。すでに制定されました社会教育法は、公民館につきまして、その助成方法等について種々の法的措置を講じておりまするに拘わらず、図書館については具体的な規定を設けなかつたため、直接の関係者はもとより、一般世論も又急速に何らかの法的措置がとられることを要望いたして参りました。今回政府が図書館法案を提出いたしましたのは主としてこのような理由によるものであります。さて本案の内容を見ますると、その主要点は、新らしい時代においての公立図書館及び私立図書館のあり方を明かにしたこと、図書館の職員制度の確立を図つたこと、公立図書館の基準及びこれに対する国庫補助について規定を設けたこと、私立図書館について規定を設けたこと等であります。
 本案につきましては、委員会は数回に亘つて審議を重ねましたが、本案には図書館に関連する最も重要な点即ち公立図書館に対する国家の積極的助成策について規定が不十分であります。そのため地方公共団体におけるその設置義務、公立図書館の設備乃至規模の基準等については必然に甚だ緩やかな規定の仕方をいたしておりまして、いわば勧告的なものに止まつております。現在図書館の社会教育上の重要性に鑑みまして、この点は審議に際し委員会が最も遺憾としたところであります。尚、若木、藤田、河野、梅原の諸委員から、図書館奉仕、私立図書館の司書及び司書補、図書館資料には国家的社会的一般資料を含むや否や、公民館と図書館との調和方法等について、こもごも質問がありました。かくて質疑を終了いたし、討論に入りまして、三島委員から、第二十條の「国は、図書館を設置する地方公共団体に対し、予算の定めるところに従い(中略)援助を行うことができる」とありましたのを、「援助を行う」と改め、又十七條が公立図書館は入館料等を徴收してはならないと規定していますのを、昭和二十六年四月一日までその施行を延期する等の趣旨の修正案が提出されました。又梅原委員は、政府において図書館事業の発達のため十分の予算的措置を講じ、補助金の確保に努力すべき旨を要望せられ、更に河野委員から、同じく補助金の強化、司書及び司書補の講習、国立大学における図書館講座の拡充、公立図書館の認定基準等について希望意見の開陳があり、かくして採決に入りまして、全員一致を以て本案を修正可決すべきものと決定いたしました。
 右御報告申上げます。(拍手)
#40
○仮議長(黒田英雄君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 先ず学校教育法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。委員長の報告は修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
#41
○仮議長(黒田英雄君) 過半数と認めます。よつて本案は委員会修正通り、議決せられました。
     ―――――・―――――
#42
○仮議長(黒田英雄君) 次に国立学校設置法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
#43
○仮議長(黒田英雄君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#44
○仮議長(黒田英雄君) 次に図書館法案全部を問題に供します。委員長の報告は修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
#45
○仮議長(黒田英雄君) 過半数と認めます。よつて本案は委員会修正通り議決せられました。
     ―――――・―――――
#46
○仮議長(黒田英雄君) 日程第十五、中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。通商産業委員長高橋啓君。
    ―――――――――――――
   〔高橋啓君登壇、拍手〕
#47
○高橋啓君 只今議題となりました中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案について、通商産業委員会における審議の経過並びに結果の御報告を申上げます。
 本案の提案の理由並びに内容を御説明いたしますと、昨年七月施行されました中小企業等協同組合法により、旧商工協同組合は本法の事業協同組合に、又旧市街地信用組合は本年八月末日までの本法の信用連同組合に組織を変更することになつているのでありますが、市街地信用組合のごときは組合員数の千人以上のものが可なり多く、中には一万人を超えている組合もあります。これらの組合においては現行法の総代会に関する規定の下では円滑なる組合運営は勿論のこと、信用協同組合への移行さえも不可能であります。よつて今回次の諸点につき改正しようとするものであります。その改正の要点は、第一に、現行法によると総代の選挙は総会において行うことになつておりますが、総代会を設けねばならぬような組合は組合員数も多く、地区も広汎に亘つておりますので、総会において総代を選挙することは非常に困難を伴いますので、これを全組合員の意思が公平且つ容易に反映されるよう地区別に選挙区を設けて選挙を行うとか、その他定款の自由に定める方法に任すことによつて総代の選挙を総会以外でも行い得るようにするものであります。第二は、現行法によると総代の定数について常時組合員総数の十分の一を下つてはならないという規定がありますが、協同組合は自由加入、自由脱退を原則としているため組合員数は常に変動しますので、総代の定数に関して一定の基準時点を明確にする要がある。そこで総代の定数は選挙時ごとに法定数を下らなければ差支ないようにするというのであります。第三に、現行法によりと総代の任期には制限がありませんが、組合民主化の見地から総代の任期を三年以内において定款の定めに従うことに改めた点であります。以上ごとく、総代の選挙方法、総代の任期等が本改正案の内容の大要であります。本委員会におきましては、本案の審議に際しましては、これは関連して中小企業の金融の問題、信用協同組合の認可基準等に関し種々熱心な質疑応答がなされました、本改正案については適切なる改正であるとして、質疑終了後、討論を省略して、採決の結果、会会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
 以上簡單に御報告申上げます。(拍手)
#48
○仮議長(黒田英雄君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
#49
○仮議長(黒田英雄君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
 これにて午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時四十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時五十一分開議
#50
○仮議長(黒田英雄君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。
 この際、日程第十六を後に廻し、日程第十七、運輸省設置法等の一部を改正する法律案、日程第十八、特別調達庁設置法の一部を改正する法律案、(いずれも内閣提出、衆議院送付)、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#51
○仮議長(黒田英雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。内閣委員長河井彌八君。
    ―――――――――――――
   〔河井彌八君登壇、拍手〕
#52
○河井彌八君 只今上程になりました運輸省設置法等の一部を改正する法律案及び特別調達庁設置法の一部を改正する法律案につきまして、順次内閣委員会の審査の経過並びに結果を御報告申上げます。
 運輸省設置法等の一部を改正する法律案は、委員会を開くこと予備審査と共に三回、昨日全会一致を以て可決すべきものと議決いたしました。
 提案の理由及び法律の内容について詳しく御説明を申上げることを省きますが、改正点につきまして主なるものは三つあります。その第一点は、運輸関係の試験研究を国家的の見地から総合的に実施するために運輸技術研究所を設ける、そうして船舶、鉄道、軌道、港湾等に関する試験研究を行うこと、これが一つであります。第二は、行政整理の方針に従いまして、特別地区船員職業安定審議会を廃止すること及び運輸省参與の制度を廃止すること、これが第二点であります。第三点は、国家行政組織法別表の第二の運輸省関係の部として列挙しておるものは、運輸省設置法第十九條に列挙するところと相違する点がありまするので、この法律を以て国家行政組織法を修正しようというのであります。これは第五国会におきまして、最後に衆議院における修正の食い違いを整理せられずして、そのままに残つておつたものをここに整理しようとするのであります。この三点。そうして施行期日は、来る四月一日より施行するということであります。
 この案につきまして、政府の説明によりまして明らかになつた点を申上げます。先ず運輸技術研究所の設置につきましては、船舶の試験研究には船舶試験所があり、鉄道軌道には鉄道技術研究所があつたのでありますが、その鉄道技術研究所は国有鉄道が公共企業体となるに伴いまして国鉄のために必要な試験研究のみをその方で行うことになりました。そこで国といたしましては、この国有の鉄道の外に民有の鉄道軌道についても併せてこれを取扱う機関が必要であると、こういうことになつたのであります。そうして元の中央航空研究所の施設を利用いたしまして、船舶、鉄道、軌道、港湾等に関して、運輸機関に共通する各種の問題の基礎的研究と、これが総合的試験をするために、この研究所を置くということになつたのであります。それからこれの運営は、所長の下に各種の研究室を作りまして、そうして次長が研究の連絡調整をとる、そうしてその人員は三百七十三名、そうして現在する関係試験所、研究所、技術課の職員を以てこれに充てるのであります。そうしてその経費は八千四百四十八万余円ということになつておるのであります。それの機構の細別は御報告を省かせて頂きます。又日本国有鉄道に移つた技術研究所の規模は、これに伴いまして縮小いたしまして、その人員は千二百人を五百余人にするということ、その研究所の場所等についても説明があつたのであります。次に特別地区船員職業安定審議会、これにつきましては、船員職業安定法の規定によりましてこれを設置する予定であつたところが、中央及び地方各船員職業安定審議会がありまするので、只今のところこれを設置する必要はないから、これを廃止するのであります。又運輸省参與の制度も今日の実情からその必要なしと認めたのであります。こういう点が明らかになつたのであります。委員側におきましては試験研究ということに最も主力を置いて質疑応答を重ねたのであります。そこで結局今日の政府の提案の状況においては、各種の鉄道事故が起つたり、又いろいろな点において不備なことが沢山ある実情に鑑みまして、この試験研究をばもつと強力に進める必要があるという考えを以ちまして、種々の質疑応答がありましたが、大体において政府の今日の提案で以て一応はこれを了解するという程度に達したのであります。最後に討論に入りまして、梅津、三好両委員から、政府は将来この運輸技術研究所のごときかような研究機関を十分に充実するように取計らうことを努力しろという意味を以ちまして、強い希望を付けまして本案に賛成いたしたのであります。
 これに対しまして委員会は本案について採決いたしましたところが、全会一致を以て可決すべきものと議決いたした次第でございます。
 次に特別調達庁設置法の一部改正法律案について御報告申上げます。
 委員会は予備審査と共に二回審査を行いまして、昨日全会一致を以て可決すべきものと議決いたしたのであります。提出案の趣意は、特別調達の仕事は法律といたしまして昨年の六月一日から施行せられたのでありますが、連合国の需要に対する調達事務、これは極めて重大なものでありまするので、今回その事務の能率を一層高めて運営をしようという考えから、終戰処理費の経理をば大蔵省所管から特別調達庁に移すことといたした、その点と、尚、新たに東京特別調達局を設ける必要があるということから、この提案をしたのであります。そうして、その改正の要点は五つありますが、第一は、本庁組織をば長官官房及び五つの部とあるのを長官官房及び四つの部といたしまして、九名の次長をば四人となしまして、本庁において次長五名を減じたというのであります。そうして終戰処理費をば総理府所管に移しまして、これが経理に必要な規定をそれぞれの部の所掌事務の中に加えたということが一つ。第二には、審議会に関する規定を設けまして、これを附属機関といたし、それぞれの組織及び任務を明らかにしたのであります。従来審議会は五つあつたのでありますが、これはいずれも閣議決定等によつてできたものでありまして、法律上の根拠がなかつたのであります。ところが今後ここに設けますのは、審議会を三つといたしまして、それぞれ法律上の根拠を持たせたという点であります。第三は、東京の特別調達庁をば本庁と地方局たる東京調達局とに分離いたしまして、本庁におきましては調達に関する企画立案及び地方局の指導監督等に專念することといたし、そうして地方の調達局は占領軍の管轄区域によつてこれを置きまして、すべて現業を行わせるということにしたのであります。次に地方の特別調達壁の組織を、四部とありますのを局長官房及び五部と改めたのでありまして、附属機関として地方不動産審議会を設けたのであります。それから更に、旧法による職員であつて特別調達庁設置法による新機構に引継いだ職員の勤務年月をば恩給年限に加算すること、逆に厚生年金保險の利益を除斥するという点であります。これらの改正点でありまして、その施行期日をば今年の四月一日よりとすることであります。
 委員会においての質疑応答及び論議せられた事項の大略を申上げます。終戰処理費の経理をば大蔵省から総理府、即ち特別調達庁に移す理由はどこにあるか、又これを移管することによつて定員をどういうふうに増減するかという点であります。これは終戰直後には、この終戰処理費の経費の見積りは大体非常に大まかなものであつて、一種の予備費のごとき性質を持つておつたが、今日においてはこれが段々はつきりして来たのであるから、大蔵省所管からこれを移しても差支ないのだということであります。又占領軍の態度につきましても極めて明確となつたので、この方が便利であるということであります。それから移管に関する定員の異動、これは二十五名を移すという説明でありました。それから次には、終戰処理費の経理を移管するの利害について相当詳しい質疑があつたのであります。それから、これにつきましては、予算の編成方と、それから経費の支出方についての説明がありましたが、これは省略いたして置きます。それから次には審議会の設置につきまして、行政組織法の解釈に違うて、法律によらずしてこれを置いている例があることは遺憾であるという意味の質疑が出たのであります。それから更に審議会の内部組織の問題も出たのでありますが、これは省略いたして置きます。そこで本案につきまして討論をいたしましたところ、終戰処理費というものは極めて巨額であることは御承知の通りである。即ち昭和二十五年度の予算を見ましても、一般会計六千六百十四億に対しまして終戰処理費は一千九十億の巨額を占めておる。こういう事実を考えて見まして、これの支出取扱の適否は、全国民の最も深い関心を寄せておるとことである。而して毎年度の会計検査におきまして、会計検査院から、不当である、不正であるとして摘発せられておる件数が極めて多いのである。昭和二十三年度の決算につきましても、会計検査院から摘発せられておる件数は終戰処理費だけで八十五件の多きに上つており、而してその金額も容易ならぬ額であるという事実でありまして、このことは、占領軍に対しても早当迷惑をかけてはいけないことであるのみならず、又占領軍としましてもこの経理について深甚な注意を拂つておる事実があるのであります。そこで、このたび終戰処理費を特別調達庁の所管に移す、大蔵省から離して総理府に移すというこの移管は、事務の取扱上から申しますれば、これは都合よくなるという点もありまするけれども、同時に又粗漏に流れるということを心配せざるを得ないのであります。特に官紀の紊乱ということは今日最も嚴正にこれを防止し矯正しなければならぬという必要を認めるのでありまするから、この経理の移管に際しましては、当局者は格段の注意を以て苟くも過まちのないことを期すべしという強い意見の発表がありまして、この案に賛成せられたのであります。而してこれは出席委員全体の意見と御承知を願いたいのであります。かような次第を以ちまして全会一致を以て可決すべきものと議決いたした次第であります。
 右御報告を申上げます。(拍手)
#53
○仮議長(黒田英雄君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔総員起立〕
#54
○仮議長(黒田英雄君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以て可決せられました。
     ―――――・―――――
#55
○仮議長(黒田英雄君) 日程第十九、連合国軍人等住宅公社法案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。建設委員長中川幸平君。
    ―――――――――――――
   〔中川幸平君登壇、拍手〕
#56
○中川幸平君 只今議題となりました連合国軍人等住宅公社法案について、建設委員会における審議の経過並びに結果について御報告申上げます。
 本法案は、連合国軍用住宅が未だ十分でない現状に鑑み、連合国軍人等住宅公社を設立し、米国対日援助見返資金を運用して住宅を建設賃後せしめて、連合国軍の需要に応ぜんとするものであります。法案の大綱は、公法上の法人たる連合国軍人等住宅公社を設立すること、公社の役職員は特別調達庁の職員を以て兼ねしめること、公社の業務は住宅の建設及び賃貸と賃貸料の徴收であること、住宅の建設費は援助資金からの借入金を以てこれに充て、維持費は終戰処理費で支弁し、公社の事務費は特別調達庁の庁費として支出すること、賃貸料の收入を以て借入金の返済に充てること等であります。
 本委員会は当局の提案理由の説明を聽取し、又衆議院の修正点につきましても説明を聞きまして、各委員と当局との間に熱心なる質疑応答を重ね、愼重なる審議をいたしたのであります。質疑応答の一二を述べますれば、特に公社を設立する理由如何ということに対しては、賃貸料は連合国軍将兵の住宅手当から支拂われるのであるが、国の施設では将兵の現物給與となり、支拂の途がないため、国とは別個の人格の施設とする必要がある、又公社の役職員を特別調達庁の職員を以て兼ねしめることは、今回の建設が従来特別調達庁がなし来たつた建設と同じ性質のものであること、並びに急速な建設を必要とするため同庁と表裏一体たらしめたとの説明でありました。今回の建設費の一戸当りの価格及び将来国費を以てする維持費を併せ考慮するときは、建築は鉄筋コンクリート造りとすることが適当である、資材の緩和、我が国の建設能力から見ても耐久的構造とすることが適当であるとの点については、今回は最も急速なる完成を必要としたために木造に決定した次第であるとの答弁でありました。又二千戸建設の計画は今後増加することはないかとの質問に対しましては、増加の計画はないとの答弁があつたのであります。かくて質疑を終り討論に入りましたところ、本案は特殊の要請に基くもので、これに賛成するとの発言があり、又建物将来の維持、資材の緩和、災害等の関係から、耐久的構造とすることを強く希望する、尚、既設建物の現状を見ても一層痛切に感ずるものであるから更に再考されたいとの希望を付して、賛成意見の陳述があつたのであります。かくて討論を終局し、採決に入りましたところ、全員一致を以ちまして衆議院送付の通り可決すべきものと決定した次第であります。右御報告申上げます。
#57
○仮議長(黒田英雄君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔総員起立〕
#58
○仮議長(黒田英雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
     ―――――・―――――
#59
○仮議長(黒田英雄君) 日程第二十、地方税法の一部を改正する等の法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。地方行政委員長岡本愛祐君。
    ―――――――――――――
   〔岡本愛祐君登壇、拍手〕
#60
○岡本愛祐君 只今上程に相成りました地方税法の一部を改正する等の法律案について、委員会の審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
 先ず政府の提案理由について御報告申上げます。すでに政府はシヤウプ勧告書の趣旨に基き、地方財政を確立するため、地方税財政制度の根本的改革を意図して、地方税法案を本国会に提出したのでありますが、何分にもこの法律案は多くの重要な改革案を包含し、且つその関連する部面も広汎多岐に及び、国民生活に及ぼす影響も又甚大なるものがありますので、政府は、地方財政の確立という要請と、国民生活乃至国民経済の激変緩和という要請との調整を図ろうとして、でき得る限りの愼重な態度を以て臨んだため、意外に提案が遅延し、その結果、改正法律案の制定実施は昭和二十五年四月一日以後となるべきことが必至と見られるに至りました。そこでその間の応急措置を講ずる必要上この法律案を提出したいというのであります。
 次に本法律案の内容について御説明申上げます。先ず第一條は地方税法の一部を改正するものでありまして、酒消費税及び同附加税を昭和二十五年四月一日以降廃止するのであります。これは御存じのごとく、シヤウプ勧告書において酒消費税及び同附加税の廃止が勧告され、これを予定して国税たる酒税の改正が昭和二十五年四月一日以降実施される運びになつておりますので、この改正と歩調を合せ負担の過重を来たさないようにしようとするものであります。第二條は新税制との切換の関係上経過的措置でありまして、昭和二十五年度分の道府県民税並びに地租、家屋税、事業税、特別所得税、鉱区税、船舶税、自動車税、軌道税、電話税、電柱税、漁業権税、狩猟者税及びこれらの附加税、並びに市町村民税、舟税、自転車税、荷車税、金庫税、都市計画税、余裕住宅税及び内閣総理大臣が指定する法定外普通税は、新税法の制定施行の日まではこれを徴收することができないものとするのであります。従つて現行税法によつて取敢えず徴收を継続せんとするものは、入場税の外、鉱産税、電気ガス税、木材引取税、遊興飲食税、入湯税及びこれらの附加税並びに屠畜税、広告税及び接客人税等でありまして、これらの税の徴收による各都道府県と各市町村との税收の凸凹調整は、新地方税法と地方財政平衡交付金法の制定施行の後、右交付金の交付の際し按配せんとするものであります。
 次に地方行政委員会における資疑応答の主なるものを御報告申上げますと、第一に、本法案によつて徴收を禁ぜられた地方税の中には、すでに都道府県市町村において二十五年度の予算に計上し議会の議決を経たものもあると思うが、この分に対しては政府はどう措置するかという質問に対しましては、政府委員から、本法案は新法が施行されるまで徴收を禁止したのに過ぎない、現行制度により予算に計上したものは單なる收入見積りであつて、別に支障はないという答弁がありました。第二に、本法案により徴收を禁ぜられる税目があり、一方、新地方税法案の成立が遅れる結果、新税が徴收されないから、地方自治体は年度初に税收入が減少し現金支出に困ることはないかという質問に対しましては、政府委員より、新法案の成立が遅れる結果、時期的に地方自治体が收入支出の均衡を失い、金繰りに困難を生ずる場合の生ずることは予想されるから、地方財政平衡交付金法の成立を待つて、その概算拂い等の方法を講じて、地方財政経理上支障なきよう措置したいという趣旨の答弁がありました。地方行政委員会におきましては、すでに地方税法案の予備審査中において、応急的法律措置の必要を認め、政府に善処方を要望していたのでありますが、一昨日、本法案が提出されましたので、愼重審議の後、討論採決の結果、全会一致を以て本案を可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申上げます。(拍手)
#61
○仮議長(黒田英雄君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔総員起立〕
#62
○仮議長(黒田英雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
     ―――――・―――――
#63
○仮議長(黒田英雄君) 日程第二十一、昭和二十二年度一般会計歳入歳出決算、昭和二十二年度特別会計歳入歳て決算を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。決算委員長谷口弥三郎君。
    ―――――――――――――
   〔谷口弥三郎君登壇、拍手〕
#64
○谷口弥三郎君 只今議題に上りました昭和二十二年度の一般会計及び特別会計の歳入歳出決算につきまして、決算委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。
 右の決算は第五国会に提出されまして、決算委員会におきまして審議を進めたのでありますが、審議半ばで会期が終了しましたために審議未了に終りました。又第六国会におきましても引続き審議をいたしましたが、会期が短かかつたために終了するに至りませんで、今回に至つてその全部の審議を終つた次第でございます。尚、会計検査院の昭和二十二年度決算検査報告に記載されております既往年度の検査未確認額の検査確認、既往年度並びに昭和二十三年度に関する批難事項及び昭和二十一年度の決算検査報告に記載されました昭和二十二年度に関する批難事項についても、併せて審議をいたしたいのでございます。先ず歳入の部につきまして御報告いたしますと、一般会計におきましては、歳入決算額は二千百四十四億余円でありまして、歳入予算額と比較いたしますと二億余円を増加しております。歳出の部につきましては、一般会計におきましては歳出予算額は二千百四十二億余円で、これに前年度からの繰越額十九億余円を加えますと二千百六十二億余円となりますが、このうちから支出額二千五十八億余円と翌年度への繰越額十七億余円を差引きますと、結局八十六億余円の不用額を生じております。又昭和二十二年度における特別会計の数は二十六でありますが、おのおのの特別会計の決算額の合計額は、歳入決算額が四千百九十一億余円、歳出決算額が三千七百二十五億余円となつております。これら決算に関する詳細は決算書類について御覽を願いたいと存じます。
 次に決算に関する議決を御報告いたします。先ず会計検査院が検査報告中に指摘しております事項につきましては、いずれもその検査報告と見解を同じくいたしたような次第でございます。但し第三百十七号の事項につきましては会計検査院の見解が聊か妥当でないと認めた次第でございます。尚、不当事項の詳細につきましては会計検査院の決算検査報告で御覽願いたいと存じます。次に決算のうち、その他の事項につきましては別に異議はないのでございます。
 次に左の二十項目については、内閣に対しまして将来の注意を促すため特に意見を付したいと存じます。
 その一は、元臨時軍事費特別会計に属する歳入歳出は、昭和二十一年勅令第百十号の規定によつて昭和二十二年度一般会計の歳入歳出に繰入れて整理すべきものでありますが、政府はこれを一般会計に決算に附記して報告しております。この方法は勅令違反でありますから、内閣は十分注意して、かかることのないようにせんければなりませず、又若し勅令の規定が実地運用に適しないとしたならば、先ず勅令を改正するのが至当でありまして、故意に勅令違反行為を繰返すということはよろしくないと存じます。尚この決算に関しましては二百億円以上の收入不足がそのままとなつているのでありますが、これは速かに整理を要するものと認めます。
 その二は、一般会計の歳入につきまして、收納未済額は五百三十三億円以上に達しまして、徴收決定額に対する割合は二〇%に当り、年々増加いたしておるような次第でございます。特別会計におきましても、收納未済額は二百三十四億余円に達しまして、同様に徴收成績は不良であります。この外にまだ徴收決定さえもしていない金額を考慮に入れますと、事実上の收納未済額は更に巨額に上るかと存じます。租税に関しましては別に申上げますが、その他の歳入につきましても事務の怠慢がその主なる原因であると認める次第でございます。内閣は国の財政困難の現状に鑑みまして、徴收成績の改善につき格段の努力をなすべきであると存じます。
 第三は租税收入についてでありますが、源泉徴收所得税の未拂込に対する徴收当を得ないものとして会計検査院の注意を受けて是正したものは一億円以上に上つております。これは税務署において源泉徴收整理薄の整理不十分のために生じた結果でありますので、やはり事務怠慢が主な原因となつております。又取扱の過誤により租税の徴收不足を来たしたものとして会計検査院の注意を受けて是正したものは八百万余円に達しております。これは課税資料の取扱の過誤、所得調査の不十分、各税相互間の連絡調査の不備、法規適用上の過誤等によるものであります。事務手続の改善とか、事務能率の増進につき考慮を要するものと認めます。これらの不当事項中には事務担当者の軽い過失に基きものもあると思われますが、その事務怠慢に起因するものと認められる場合にも何らの行政処分がとられていないのであります。税務官吏の行動につきましては世上とかくの風評がある今日、内閣は綱紀の粛正、事務能率の増進につきまして深甚の注意を拂うべきであると存じます。
 その四は、国有財産その他の国有物件の管理並びに経理につきまして措置当を得ないものが少くありません。社寺国有境内地の立木竹で、関係者により無許可で伐採されたもの、或いは附近住民等により盗伐されたものも幾多あります。又官有物の貸付料及び拂下代の收納未済額も多く、徴收未決定のものが相当多額に上つておる等、管理よろしきを得ないものが可なり多数に上つております。物品の経理は、前年度の決算審査報告にも指摘しました通り、とかく軽視される傾向があり、出納保管上の措置当を欠くものが少くありません。殊に終戰処理関係のものにつきましては、木材その他の保管方法が不適当であつて、整理を促進すべき事項が多いと認めます。又食糧管理特別会計におきまして、終戰後三年を経過して尚帳簿上の数量と在庫数量との差異を的確に究めなかつた件、及び薪炭需給調節特別会計において巨額の欠損金を生ずるに至つた事実など、いずれも物品の経理及び管理がよろしきを得ない結果でございます。国有物件の経理並びに管理につきましては、内閣は更に一段の注意を拂うべきであります。
 その五は、予備費についてでありますが、過大の予備費使用の決定を受けたり、又予備費使用決定額の大半を大蔵大臣の承認を経ないで他の費目に流用したものなど、予備費の支出当を得ないものがございます。予備費使用の決定が内閣に委されていることに乘じまして、このような非違を犯すことのないよう、内閣はその決定並びに使用に当つては細心の注意を拂うべきであります。
 その六は、支出官に対する予算支拂計画の示達が遅れましたり、甚だしきは年度経過後に示達されたものさえあるために、工事の施行又は物品の購入などにつき年度区分を乱る結果を生じたり、或いは補助金交付につき時期を失するという事態を生じましたり、その他好ましからざる事例が少からず生じておるのであります。支拂計画の示達は国庫金の状況に制約されることもありますから、内閣は、一方には国庫收入の促進を図ると共に、他方においては示達手続を促進して予算の執行を円滑ならしめるよう、十分の注意を拂うべきであります。
 その七は、工事の施行又は物品の購入に当りまして、事実を作為し、年度内に完成又は納入されたものとして経費を支出しているものがあります。かくのごとき経費の年度区分を乱る会計法規違反事件は毎年その跡を絶たずして、却つて増加の傾向にあることは誠に遺憾に存じます。その原因の主なものは、予算示達が遅れたり、繰越手続が煩雑に失するがためであります。すでに前年度の決算審査報告にも指摘しました通り、予算配賦の促進並びに予算繰越の手続を早期に且つ敏速に行うため、内閣は適当な改善方策を講ずることが肝要であると認めます。
 その八は、公共事業費の使用については、従来認証手続が複雑に過ぎましたために予算の配賦が著しく遅延した事情に鑑みまして、二十二年度第四・四半期から仮認証の便法が講ぜられましたが、仮認証後における主務庁の処理が遅いために、予算実行の促進には大した効果がなく、依然として年度内に完成が不可能なものにつき、年度末に差迫つて予算の示達を行なつた事例が少くありません。内閣においては公共事業費の予算実行の促進を図るため更に一段の考慮を拂うべきであります。
 その九は、終戰処理費については愼重な考慮を要するものが多いて認めます。工事の施行及び物件の調達などで、予算を無視して契約したため多額の予算超過の債務を負担し、又国庫債務負担行為について国会の議決を経ていないなどは失当な措置であるのみならず、概算拂の精算未了のため会計検査院の検査未確認額が巨額に達していること、及び工事の施行又は物件の調達に当りまして、計画のよろしくないもの、過大の概算拂をしたもの、帳簿や書類の不整理なもの、不急の物品を多量に購入しまして、その管理の不備なもの、その他一般に経理の適正を欠くものが多いのでございます。終戰処理費の経理につきましては、特殊の事情はありましようが、このような失当の措置を生ぜしめないよう内閣は特に愼重な注意を拂うべきであります。
 その十は、補助費の支出額は一般会計、特別会計を合せて七百十六億余円に上つておりますが、補助金の交付につき注意を欠いたもの、或いは補助金交付後の措置適切でないものが多いのは遺憾とするところであります。補助金につきましては、内閣はその目的達成のため効果的に支出するよう十分の注意を拂うべきであります。
 その十一は、予算の目的外に経費を使用し、又は予算を流用して職員の官舍などを新築し、或いは職員の厚生施設を行なつたもの等があります。これらのものの中には、当時の事情に照らして、その情状を諒とすべきものがありますが、会計法を乱ることは絶対に許されないところでありますから、内閣はよろしく予算上の措置をとつて、合法的にこれを行うよう注意すべきであります。
 その十二は、特殊物件は昭和二十二年度までに、その大部分の処分を終つておりますが、收納未済額が多額に上つているのみならば、或いは徴收決定を怠り、收納を怠り、或いは又特殊物件をほしいままに処分する等、その処分に関し措置当を得ないものが少くありません。内閣は特殊物件に関する処分、徴收決定及びその收納につき、更に一段の効力を拂うべきであります。
 その十三は、寄附金によつて庁舍を新築したり、又は寄附金で新築させた建物を受取ることによつて、庁舍の整備を行なつたものがあります。国の機関の庁舍は国会の議決を経た予算の範囲内で設備すべきものでありまして、寄附により設備することは妥当でないのみならず、形式的には自発的な寄附金であつても、実際には半ば強制的になるものが多く、国民に対して法律以外の負担を課することとなり、又は歳入歳出の外に経理を行う結果を来たしますので、内閣は、このような寄附を受けることを嚴格に愼むべきであり、又寄附を受ける場合には、これを歳入に受入れ、所要経費は予算に計上して支出するという処置をとることを励行すべきであります。
 その十四は、登録税について、課税標準価格は適正な時価によるべきであるのに、その決定が著しく低きに過ぎ、登録税の賦課当を得ないものがあります。内閣は将来この処理の適正を期するため、課税標準価格を経済事情の変動に応じて適当に改正し、又登録官吏がその判定を誤まらぬよう最善の措置を講ずべきであります。
 その十五は、現金又は物品を亡失毀損した事件は極めて多数に上り、その金額は少くありませんが、その大部分は盗難及び火災事故によるものであります。内閣はこれら被害に対する防止方法などに関し的確な措置を講ずべきであります。
 その十六は、職員の犯罪により国に損害を與えたもの、及び職員の業務上その他の犯罪が増加の傾向にありますことは、誠に遺憾に存じます。元来公務員は職務に忠実公正であり、世人の模範となるべきものであります。然るに近時我が国道徳の程度が一般に低下し、自然その影響が官界に及んでおることは歎息すべきことでありますから、公務員の綱紀粛正に関して内閣の嚴重な注意を望む次第であります。
 その十七は、官庁が死退蔵品或いは廃品などを官庁の外廓団体に対して著しく低い価格で売却するなど、措置当を得ないものがあります。財団法人鉄道弘済会或いは印刷庁の朝陽会は、それぞれの官庁の外廓団体であつて、その団体員の福利厚生を目的とするものである関係上、その官庁がこれに対して特別の関心を有することは、その精神は諒とするところでありますが、保護の程度が厚きに失し、国庫に不当の損失を與えておるものがあると認めますから、内閣はこの種の問題について特別の考慮を拂うべきであります。
 その十八は、不当事項に関する責任者の処分がその内容に照らして軽きに失していたり、或いは全然処分を行なつていなかつたり、或いは又單に直接の責任者のみを処分して、処分することが妥当と思われる上級者に対する処分が行われていないなど、処分の適正を欠くものがあります。責任者に対する処分の適正化につきましては前年度の決算審査報告において強く要望したところでありますが、終戰後社会秩序急変の影響を受けて、公務員の責任感の弛緩に基く不当事項の発生も少くないと思われますから、内閣はこれらの不当事項の発生を未然に防止するために、責任者に対する処分の適正を期するよう、特別の考慮を拂うべきことを重ねて要望する次第であります。
 その十九は、昭和二十一年度の決算に関する会計検査院の指摘事項につきまして、内閣は概ね適切な善後処置をとつておりますが、尚若干の事項につき十分適当な手続がとられてないなものがあることは遺憾に存じます。特に大蔵省專売局が自給製塩設備に対して交付した補助金に関する多くの不当事項につき適当な善後処置をとつていないのは、專売局から專売公社に機構が変更された等の混雑に紛れたという事情に基くものと思われますが、参議院の決議を軽視するものと言わざるを得ないのでございます。内閣は国会の決議を尊重し、不当事項に関する善後処分については迅速且つ適切な手続をとるよう将来十分の注意を促す次第であります。
 第二十、復興金融金庫の融資に関しまして、昭和電工問題その他につき多くの非難の声を耳にいたしますことは遺憾に存じます。内閣はその資金の運用並びに回收の適正を期するために一層嚴重且つ適正な監督を行うよう要望いたします。
 最後に申上げたいことは、会計法規に関する違反事項が近年著しく増加しております。敗戰後の我が国再建のため、国民は少なからぬ重税に堪え忍んでおりますことに鑑み、国費が予算その他会計法規に照らして適正に支出されておるか否かについての国民の関心は大であると言わなければなりません。然るにかくのごとき不当事項が著しく多いことは誠に寒心に堪えないところであります。内閣はこのことに深く思いを寄せて、国家財政の執行につき遺憾の点のないよう最大の努力をするよう切望いたします。
 決算委員会は愼重に審議いたしました結果、全会一致を以ちまして以上述べました通り議決いたした次第であります。尚詳細につきましては委員会の会議録で御覽を願いたいと存じます。
 右御報告いたします。
#65
○仮議長(黒田英雄君) 別に御発言もなければ、これより本件の採決をいたします。本件全部を問題に供します。本件を委員長報告の通り決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
#66
○仮議長(黒田英雄君) 過半数と認めます。よつて本件は委員長の報告通り決せられました。
     ―――――・―――――
   〔三好治君発言の許可を求む〕
#67
○仮議長(黒田英雄君) 三好始君。
#68
○三好始君 本員はこの際、食糧問題について緊急質問をすることの動議を提出いたします。
#69
○兼岩傳一君 本員は三好君の動議に賛成いたします。
#70
○仮議長(黒田英雄君) 三好君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#71
○仮議長(黒田英雄君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。三好始君。
   〔三好始君登壇、拍手〕
#72
○三好始君 輸入食糧の増大による最近の食糧需給情勢の変化は我が国食糧策政並びに農業政策に画期的な変更を招来せしめつつあることは、農民並びに一般国民のひとしく注目しているところであります。かかる時期に、湯河原で行われた自由党と、農林、安本両当局の第四回連絡会の結果に関する新聞報道は、重大なる内容を含んでおり、その影響するところ極めて重大であることは否定できない事実であります。私はこれらに関連して、この際、政府の食糧並びに農業政策に関して改めてその所信を質さんとするものであります。
 先ず最初に、いわゆる湯河原会談の性格並びにその妥当性について総理大臣の所見を承わつて置きたいと思うのであります。安本長官官邸に始まり湯河原会談を以て四回を数えたとこめの自由党と行政機関の事務当局による政策の審議は、政治の秩序の上から問題なしとしないのであります。当日の出席者は、自由党の食糧対策樹立に関する担当者と認められる五人の代議士と、食糧庁長官、農政局長、物価庁第二部長、安本生活物資局長等を含む関係事務当局の首脳部でありました。その会談結果に基いて政府の方針が決定されると否とに拘わらず、政党乃至立法機関の構成者と行政機関の事務当局の深入りした共同審議は、政治の秩序を乱するものであり、多くの弊害が予想されるのであります。このような場合、行政事務当局に求むべきものは、事務的な資料の提供乃至説明に限界を画すべきものであり、共同審議のごときは断じて排斥すべきものと考えるのであります。若しかかる傾向が一般化すれば、それは私有民営のお好きな自由党による行政機関私有化の現象であつて、断じて許すべからざるものと考えるのでありますが、首相の見解を明らかにされたいのであります。
 湯河原会談の妥当性が問題であると同時に、その結果についての各新聞一致の報道内容は、看過することのできない性質のものであることは万人の認めるところであります。殊に本年産米の供出完了後の自由販売を含む秘密了解事項があると伝えられるなど、意外の反響を呼んでいるのであります。経済的苦境に直面し、その打開の途を求めて焦慮しつつある農民に対して、湯河原会談の報道が不安と混乱を與えていることに徴し、私は政府が速かにその方針を明示して農民に目標を與える責任のあることを強調いたしたいのであります。
 そこでこの際お伺いいたしたいのは、去る三月上旬、司令部が政府に対し、食糧の供出配給制度の根本的検討並びに雑穀統制の廃止方につき、至急具体案を提出するよう意思表示があつて以来、政府は如何なる措置を講じつつあるのか、具体題にその経過並びに見通しを示されたいのであります。尚、先にお尋ねした自由党と、農林、安本事務両当局との連絡会がこの措置の一部であるかどうかについても明らかにされたいのであります。次にこのような問題が生じて来た背景として、昭和二十五年度の食糧需給計画樹立以後、食糧に関する客観情勢が著しく変化したのかどうか、著しい変化が見られたとすればそれは具体的にどうなつているのか、示されたいのであります。又商業資金による食糧輸入の増大が伝えられているのでありますが。その現状と見通しについても御説明を頂きたい。
 最近の食糧をめぐる論議の傾向は、食糧統制の撤廃のみが先行して、それに直接関連する農民経済安定対策は何ら具体的に進行している形跡が認められないのであります。それでは政府の農業政策は消費者本位の性格が濃厚であつて、生産農民の立場は第二義的にしか考えられておらないことを端的に示すものであります。(拍手)食糧統制の撤廃は食糧需給関係が農民経済を不安定にする程度にまで発展して来たことを意味するのに外ならないのでありまして、統制撤廃の具体案が作られつつあるならばそれに併行乃至先行して農民経済安定の方策が立てられねばならない。若しこれらに関して政策の方向すら定まつていないとすれば、現政府の農業政策は片輪の農業政策の誹りを免れることができないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)農民経済安定対策は、租税を中心とする負担適正化の問題と農民所得安定の問題に大別されるのでありますが、世界的に見て、窮乏に直面する農家の所得安定対策には二つの行き方があると思われるのであります。一つはアメリカでとられている農産物価格支持方式であり、もう一つは生産資材等に対する補給金支給の方式であります。農林大臣は農家所得安定対策として、このいずれの方針をとるお考えなのであるか、お尋ねしたいのであります。従来の経過を見ると、価格調整費廃止の方針がとられ、肥料のごときはすでに七割値上げが予想されているところから、政府の考え方が一応窺われるのでありますが、念のためはつきりさして置きたいのであります。而して主として物価政策の立場から考えられた価格調整費は廃止されるとしても、新たな構想の上に立つて、農家経済安定のためにこの種の方式の必要なきやを質したいのであります。尚、肥料価格の高騰によつて肥料の有効需要が減退し、食糧の減産が起ることも考えられるのでありますが、政府はこの問題をどのように考えているのか承わりたい。これに関しては農林、安本の両大臣から答弁を頂きたいのであります。生産資材に関連して、報奬物資の滯貨問題が重要化しているので一言触れて置きたいのでありますが、供出に対する報奬物資は、名前の示す通り報奬の意味を持つている筈のものであります。ところが今日では、供出をした償いに市価より高い商品を売つて頂くという逆な現象が起つております。滯貨問題はここから起つて来たわけでありますが、政府はこれに対して如何なる措置をとる方針であるか、明らかにされたい。而して報奬制度を今後継続するか否かはともかくとして、今まで公約して来た報奬物資が実質的に報奬の趣旨に反し、却つて農民や荷受機関に損失を與えるがごとき事態に対しては、報奬の趣旨に合致するような措置がとらるべきだと考えるのでありますが、これに関する方針を示されたいのであります。
 次に私は湯河原会談の中心問題になつた供出制度に関して一言お伺いいたしたいと思います。差当つてとられることが予想されている供出完了後の自由販売が支障なく行い得るや否やについて政府の所信を質して置きたいと思います。問題は供出価格と自由価格に相当の開きのある場合、供出完了後の自由販売が供出制度に悪影響を及ぼさずして円滑に行われ得るや否やであります。農林大臣は自由党多年の主張であり宿願であつた供出完了後の米の自由販売が断行されてもよい時期になつておると考えておられるかどうか。考えられているとすれば、それは具体的に如何なる方法によつて行わるべきものと思つておられるのか、承わりたいと思います。食糧統制撤廃の可能性が一応考えられるようになつたといたしましても、それは四百万トンに近い輸入食糧を待つて初めて考えられる事実は、我々の軽々しく見逃すことのできない点であります。輸入食糧の持つ食糧需給上並びに価格上の支配力を考えますとき、輸入食糧は国家管理によつて需給を操作し、これによつて食糧の数量、価格の調整を図ると共に、農民経済の安定をも実現すべきことが必要と考えられるのでありますが、農林大臣のこの問題に関する方針をお聞きいたしたいのであります。
 最後に、前国会以来引続き問題にして来た食糧自給度の問題に関して政府の見解を質して置きたいと存じます。将来の見通しとして、輸入食糧は日本の農業を強く圧迫する程度に割安になることが一般の常識になつているのでありますが、私も又それが一般的傾向となることを認めるのにやぶさかではないのであります。併しながら自然的條件の支配を受けることの多い農業では、戰争等を予想しなくとも年によつて農凶の差と価格変動の多いことを考えて置かねばならないのも又確かな事実なのであります。若し輸入食糧依存度が強くなつているところへ輸入の減少乃至輸入食糧の割高等が起つた場合、国民経済は果して混乱を免れ得るや否やは問わぬでも極めて明白であります。国民はこの輸入食糧に安定感を求める單純な考え方に陷つてはならないのでありまして、国内農業の健全な発展助長に努めねばならないのは言うまでもありません。ところが食糧の自給度は、完全なる自由経済機構の下では価格によつて左右されるのであります。輸入食糧が割安であるという状態の下では自給度の向上は不可能なのであります。ここにいわゆる農業保護政策の必要が考えられるのでありますが、農林大臣が従来しばしば口にして来られました食糧自給度の向上は、我我にとつては單なるお題目のような感じがいたしてならないのであります。果して自給度向上の経済的背景を十分把握しておるのかどうか疑わしいのであります。最近自由党が主張しつつある農業保護政策とは具体的に如何なるものを指しておるか、政府はこれをどのように考えられておるのかを承わりたいのであります。
 以上を以て私の質問を終ります。(拍手)
   〔国務大臣森幸太郎君登壇〕
#73
○国務大臣(森幸太郎君) お答えいたします。
 食糧事情の上におきましていろいろ御質問があつたわけでありますが、商業資金による輸入をどういうふうに考えておるかという御質問がありましたが、これは委員会等においても詳しく申上げてあるのでありまするが、二十五会計年度の計画といたしましては三百四十万トンが到着計画でありますが、買付計画といたしましては三百十六万三千トンとなつておるのであります。その中にガリオアで買えますのが百五十万トン、その他今御質問のありました商業資金によつて輸入いたしますのが百六十六万三千トンと、こういう輸入計画をいたしておるのであります。この食糧政策と農民政策と、この問題についてどういう考え方を持つて進んでおるかという御質問でありましたが、今、日本の食糧事情は、幾度か申しました通り、日本の増加いたしまする人口をみずからの力によつては養い得ないのでありまして、どうしてもその不足分を海外に依存しなければならぬ状態であります。併し今日食糧事情がよくなりましたと申しましても、さつきお述べの通りこれは国内の食糧がぐんぐん増産されたがために安易になつて来たのではないのであります。従つてますます我が国といたしましては、この日本における生産力を高めて行くということを主目的として農業政策を持つて行かなければなりません。その場合において農業の経営が合理的に行われるということでなければならんのでありまして、政府はこの食糧増産の協力し得る農業経営をなし得るような政策を以て進みたい、いわゆる農業経済の安定ということに力を入れまして、そうして日本の食糧政策に協力して貰うということに進んで参りたいと思うのであります。従つて今日の農業政策は価格政策で行くか或いは補給金等の政策によつて行くかという御質問でありましたが、補給金は自由経済に戻す立場といたしまして漸次これは外されて行かなければならないと存ずるのであります。然らば将来においては価格政策によつて農業を保護して行くということでなければならんと思うのであります。さつきお述べになりました通り、外国より輸入いたしまする食糧は勿論、国内生産の食糧の大部分も国家がこれを管理いたしまして、そうして価格の維持によつて食糧政策を持つて行く、将来におきましてはこういうふうな政策を持つべきであると、かように考えておるのであります。肥料の価格はこの七月になりますと、合計で約七割五分程上るのであります。現在三割上つておるのでありまするが、七月、八月になりますと、更に三割前後の値上りが生じて来るのであります。これは昭和二十五年度の生産の米の価格に関係いたして参りまして、今日まで一月―三月に上げました肥料の値上りは、バツクペイとして今日の農村に返すということになつておるのであります。今後この肥新が高くなつたら、その肥料の売れ行きが、いわゆる農家がこれを使用することが少くなるのではないかという御意見もあつたのでありますが、それは生産価格がそれだけパリテイ指数によつて上つて行く、こういう考え方から、この肥料の価格は消費者に大した影響をなさしめない政策によつて又生産者の価格に織り込んで行くという方法を定めて行く考えであります。
 次に問題にせられました場河原の話でありますが、これは予算委員会、農林委員会、経済安定委員会等において質問が繰返されましたので、たびたびお答えいたしておるわけでありますが、重ねての御質問でありますので、概略申上げたいと存じます。これは司令部の或る一部から、全くの非公式であります、これは非公式であつて、決してこれを外へ発表することは向うとしては快く思わないと、欲しないとまで言われた問題であります。併し農林大臣に対しまして、食糧政策の今後の行き方について一部の個人の意見として述べられたのであります。御承知の通り明年の三月の三十一日を以ちまして現在の食糧政策の基本法が一応役を終るわけでありますので、何とか新らしき政策をここに作らなければならぬ段階に入つて来ておるのであります。今日までこの法律によりまして、本年の生産いたしまする米は生産計画が立つておるのであります。本年の十一月に播きつける麦はまだ生産計画に入つておらないのであります。丁度ここがこの政策の切換えの時期になつておるのであります。それでありまするから、政府は今日の供出制度を決して完全なものと思つておりませんから、何とか適当な方法に変えて行きたいと、こういう気持は常に持つておるのでありますが、たまたま司令部の或る一部からさような示唆をされたのであります。と申しますことは、日本は今二合七勺の責任を持つて一般消費者に配給しておるのであります。この二合七勺の配給を責任を持つてやろうと思えば、それだけのものを確保しなければならないということは申上げるまでもないのであります。昨年、本年も米において三千二三百万石の供出割当をし、麦、雑穀等を寄せまして、そうして二合七勺の配給の責任を果すような計画を立てておるのであります。ところが、三好議員も御承知の通り、これだけの量がスムースに供出されることはなかなか困難な事情があるのであります。昨年のごときは二百四十五万石の補正をいたしましても尚いけない、まだもつと減らさなければいけない、遂に免責制度というようなものを拵えまして、当初の計画よりぐつと下つて供出をいたしたのであります。かように需要及び供給の面において不安定な状況にあります。こういうように、配給の方ははつきりしているし、その元の供出して貰う点において非常に不安定である、そういうことでは非常に日本政府も迷惑をする、又司令部として日本の食糧を責任を持つている立場としても、なかなかこれは困つた問題だ、それだから、そういう補正をするとか免責するとかいうことが要らない程度に供出を少くして、そうして配給の基準も又考えて、そうして輸入食糧を或るはつきりした数字を掴んで、少々風が吹こうが、雨が降ろうが、これだけのものははつきり確保できると、こういうふうな供出制度にしたらどうだ、こういう示唆があつたのであります。これは書面に書いてあるものでもなければ何でもないので、ただ一個人の意見として、而もこれは余り多くに話さぬ方がいいだろうという注意まで附け加えられたのであります。これは私としましては、この供出制度を改正する段階に入つて来る重大なことでありますから、事務当局の責任者を呼びまして、こういう話があつたから、十分事務当局として研究をすべきであると、こういうことを私は命令したのであります。ところが、この話が自由党の政務調査会の方に分りまして、政務調査会の方から、どういう話があつたのか、どういうことがあつたのか、一応内容を説明しろと、こういうのでありましたから、私の立場からは、あらまし今申上げましたようなことを話したのであります。それについて、政調会として大いに研究を進めるから、農林省なり物価庁の責任者に来て貰つていろいろ材料を提供し、又意見も聞かして貰いたいと、これが経済安定本部長官の官舎において会議が起つたのであります。これは政調会の一小委員会であります。それであります。それでありますから、要求に応じまして、農林省からは事務的に、この点はこうだ、輸入価格はこうだ、輸出入の現状はこうだという内容を説明し、審議したに止まります。それが第三回でありましたか、四回でありましたか、湯河原に土曜日から日曜にかけてこの委員が参つて更に検討されたのが、新聞で大きく取上げられたのであります。これは総理に対していろいろ御質問があつたようでありまするが、政党の調査会が事務当局の意見を聞いてそうしていろいろと研究をすることは、これはいずれの政党もおやりになることであり、これは当然のことであります。決して行政と立法とを紛更するような問題ではないと考えておるのであります。そういう状況で、あの新聞に出ましたいろいろの條項につきましては、私はこの際意見は差狭まないのであります。ただ、これは政調会といたしまして、私は意見を申して置きましたが、正式な決定を見ておりません。又自由党の役員会にもかかつておりませんから、はつきりした結論等は私は聞いておりません。党といたしましてそういう政策を決定いたしましたならば、正式の手続を経て決定した上は内閣に申入れがあると存じますが、まだその段階に入つておりません。ただ小委員会が試案として発表されたのであろうと思うております。で、あの問題について私はいろいろ釈明する立場ではないのでありますが、いろいろと今三好さんのお話のように、あの記事によりまして一般の農民諸君が非常に心配されると存じますから、一応私の今日の食糧政策についての考え方を申上げたいと存じます。
 二十五年度の生産計画は、御承知の通り本年の米の生産まですつかり計画が立つております。この計画は二分七勺の配給をするというこの方針の下に三千余万石の供出を予定しておるのであります。で、この割当いたしておりまする事前割当の数量が確保できますると、今年の麦も今の分ではそう被害がないようであります、順調な発育をいたしておりますようでありますので、この麦、米、雑穀等によつて、この二十五年度の計画いたしておりまする配給は完全に輝けるものであろうと、かように考えております。勿論輸入食糧の関係もありますが、輸入食糧の輸入状態も予定通り進んでおるようでありますので、先ず二十五年度の食糧政策は途中これを根本的に変える必要はないと存じております。そこで、あの新聞記事に出ておりました供出後の自由販売という記事についてでありますが、これは誰が考えましても、国家が或る一部を管理し、或る一部を自由になすということについては、相当の事前措置が要るのであります。この国会におきまして皆さんの御審議を得ました商品取引所法案におきまして、将来日本は農林省関係におきましては、乾繭、米、絹糸、こういうものの取引所が設置し得られる段階に入つております。ところが絹糸等におきまして或いは生糸、乾繭等におきましては相当に倉庫ができておりますが、米の倉庫は戰争以来荒廃に帰しまして、鼠があばれ、雨が漏るというような倉庫が多いのであります。今後、米の商品取引所というものを置く場合におきましては、第一に問題になるのが倉庫であります。この倉庫が完備して初めて米というものが商品価値を持つということになることは申上げるまでもないのであります。そういうふうな先ず倉庫というものを完備することが必要であります。又食糧公団も漸次来年の三月までにはこれを民間企業体に移して参るのであります。そういう組織ができて、農家は自分に或る一部制当てられたものだけは供出するが、残つたものは自由に植るといたしましても、はつきる売る場所ができていなければならない。初めにこういうふうな素地を作つて出発しなければ、簡單に統制を全部撤廃いたしてしますということはでき得ないと考えております。併し日本の今日はどうでもこうでも二合七勺というものは責任を持たされておるのでありますから、この二合七勺だけの配給は政府の責任において確保しなければならないのであります。若しも自由の立場を持つことが許されるならば、これを二合二勺にする、或いは二合を米麦によつて配給して、あとは自由市場ができるならば自由市場で消費者が自由に買い得るような組織も考えられると思います。それでありますから、今簡單に今日の統制を根本的に廃止するというなことは容易ならざる問題であつて、さようなことは生産者も迷惑し、又消費者も不安の状態に道くのではないか、これは漸次行われなければならぬ問題と、かように考えております。「いも」類にしても一時にこれを外してしまうというような示唆もあつたわけでありますけれども、これは農業政策の面から申しましても必ず日本の農業政策の上においてとるべきことではないというので、段階的ではありましたが、主食用に当嵌める分だけを四億万貫だけ買入れまして、そのあと自由に処置さすというような方針をとつたのでありますが、俄かに変更するということは農業経営の上から申しましても危險であり、又消費者市場との結びを考えましても危險でありますので、こういう問題は漸次進めて行くべきものと、かように考えているのであります。従つて二十五年の生産米に対しましては、従来通りの方針によりまして供出を受入れて、そうして二合七勺の配給をいたしたい、かように考えているわけであります。
 輸入食糧の管理についてのお話でありましたが、これは先程も申しました通り、ただ單に輸入いたします食糧だけでなしに、国内において生産する食糧の或る部分も、これは共に管理しなければ食糧管理の目的を達することができない、価格操作もでき得ないと、かように考えております。
 自給度を高めることについてどういうことを考えているか、これはたびたび申上げました通り、計画性がないというお話で時々お叱りを蒙つているのでありますが、政治は生きものでありまして、五ケ年計画、十ケ年計画という先々の計画を立てましても、その計画に縛られて却つて動きがとれないということになるものであります。現に蚕糸業五ケ年計画というものをいつか立てました。その蚕糸業五ケ年計画の一環である製糸機業は直ちに計画通り推捗いたしました。ところが桑園と繭の生産ができませんために、折角計画通り進んだ製糸機業が今は非常な窮境な場面に向つているのであります。こういうようなもので、なかなかこの経済界のものは生きものでありまするから、そういう算盤、机の上で決めるようには参りませんが、日本の食糧生産につきましては、幾たびも申しました通り、消極的の面から或いは積極的の面から、直接に間接にこの日本のあらゆる農産物の生産度を高めて行くという施策を以て行くということであつて、決して外米に依存する、外国食糧に依存するというようなことは毛頭考えておらないのであります。
 それから報奬物資についてお尋ねでありましたが、これも又皆様非常に御心配を頂いておりまして、これも農林委員会、予算委員会でも嚴しい御質問もあり、肚を打ち割つての説明も申上げて置いたのでありますが、本年は物価の値下りのために報奬物資が段々と下つて来た、これは非常に農村に対して報ゆべき途と違うではないかというお叱りでありますが、過去におきまして、この報奬物資は、戰争中、手に入らない、入らないが農民としてどうしても欲しいという品物を特別な価格で農村に配給いたしておりましたのが報奬物資の性質でありまして、たまたま取引高税活廃止になり、そうして織物消費税が一部減額されましたがために、今回非常な問題が起つて来まして、農民諸君からお叱りを蒙むつておるのでありますが、この問題解決は三好君も御承知の通り、先ず第一に金融の問題を解決しなければならない。これがえらい問題になつておりまするので、政府は速かに金融の問題を何とか措置いたしたいと存じております。そうして農村にそういう市価よりも高いという品物を押付けるわけにも行きませんから、お気に入らないものはお返しを願い、そうして返されたものについて適当な処置をする、こういう方針によりまして、今すでに農村の人の手に入つておりますものに対しましても、今直ちにというわけには行かんかも知れませんが、これに対して適当に措置をとつて行きたい、かように考えておるわけであります。農林委員会等でも御要求等がありましたが、その御要求に応ずるように処置いたしたいと考えておることを御了承願いたいと存じます。この問題は一日も忽せにできない問題でありますので、至急に解決いたしたいと存じております。
 大分広範囲な御質問でありましたが、以上を以てお答えといたしたいと存じます。
#74
○仮議長(黒田英雄君) 吉田内閣総理大臣及び青木国務大臣は、後日出席の際、答弁の趣きでございます。
#75
○三好始君 一二の点について再質問をしたいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
#76
○仮議長(黒田英雄君) 三好君のお時間は四分余つておるのでありますが、その範囲内で再質問をお許しいたします。(「賛成」「ゆつくりやれ」と呼ぶ者あり)
   〔二好始君登壇、拍手〕
#77
○三好始君 只今農林大臣から殆んど例のないような詳細な御答弁があつたのでありますが、一、二漏れておる点もありますので、重ねてお伺いいたしたいのであります。一つは、自由党並びに政府が考え、且つ従来発表されて来たいわゆる農業保護政策というのは、具体的にどういう内容を持つておるのか、このことを最後にお伺いいたしたのでありますが、これについての十分なる御答弁は聞くことができなかつたのであります。この点について重ねてお考えを承わりたいのであります。もう一つは、報奬物資の問題については相当含みのある御答弁がありましたが、一点はつきりさして置きたいのは、報奬物資の趣旨に副うような措置が講ぜられる用意があると考えていいのかどうか、このことをもう一度念のために明確にして置きたいのであります。もう一つは、昭和二十五年度食糧需給計画樹立以後、食糧情勢に変化があつたかどうかについてお伺いいたしたのでありますが、これについても御答弁がなかつたように思いますので、重ねてお答えを頂きたいと思います。
 簡單でありますが以上再質問をいたします。(拍手、「もう一遍聞くぞ」「まだ二分ある」と呼ぶ者あり)
   〔国務大臣森幸太郎君登壇〕
#78
○国務大臣(森幸太郎君) お答えいたします。食糧計画につきましては異同はありません。「いも」の買入について御意見があろうかとも存じますが、これは食糧特別会計の予算の範囲内において四億万貫を買うということが承認されておりますので、二十五年度の食糧計画につきましては、途中において異同はありません。この報奬物資に対しましては、大体皆様の御要求になつておる程度の措置をなし得ると、かように御了承願いたいと存じます。
 それから農業政策について話せというお話でありましたが、御承知の今日までの日本のやつて来ました農業政策は、戰争に勝たなきやならんという点においては農村も商工業者もなかつたのでありますが、戰後食糧事情が悪いために、農業経営ということを無視して、そうして食糧生産に一図に進まして来たのであります。或いは果樹栽培をやつた方が利益である、或いは蔬菜園をやつた方がいい、温室を持つた方がいいという農業経営でありましても、さようなことをやつてはいけない、主要食糧を作れ、養蚕よりも桑を掘り起して「いも」を作れ、麦を播けというこの食糧生産のために、農業経営を犠牲にして来たのであります。これは食糧事情がさような状態でありましたから止むを得なかつたのでありますが、輸入食糧が入つて幾らか緩和されたときにおいては、先ず以て農業経営の合理的な方針を以て進まさなければならんと思うのであります。それにはこの御承知の日本の農業が地区的に非常に格段な差を持つておるわけであります。或いは近郊農業、山間農業、或いは湖辺農業、海辺農業、或いは東北單作地帶、或いは温暖地方の畑作地帶と、いろいろ環境が違つておるのでありますが、その環境の違つた農業に対しまして、その地方に適当な農業経営を行わしめる、こういうふうに先ず指導して参りまして、そうして外国の食糧は、今日本として割高になつております、割高になつておりますが、将来五年、或いは五年待つか待たんか知りませんが、若し更に日本の食糧の価格よりも安い物が入つて来る……日本の農産物の価格を決めるについては再生産をなし得るように価格を決めて行かなければならん、而もそれよりも尚且つ安い、そういう場合に、日本の食糧よりも安い食糧が入つて来るとすれば、日本の農産物を上げようと思つても上げられぬから、この輸入食糧に対して関税政策等を以ちまして、そうして日本の農業の経営を維持できるような方法を以て日本の農業を維持するという方法で行かなければならぬ。又おのおの適地適作の副業を起さして、そうして国家のために長い間犠牲になつておつた農業を、その農業自体を創意工夫によつて合理的な経営をみずからの工夫によつて行うということに、農業協同組合等をして指導せしむる、こういうふうにして農業者を保護して行くべきである、かように考えているわけであります。
#79
○三好始君 簡單でありますから、自席からの発言をお許しを願います。(「やれやれ」と呼ぶ者あり)
#80
○仮議長(黒田英雄君) 三好始君。
#81
○三好始君 私が再質問でお尋ねいたしましたうち、昭和二十五年度食糧需給計画は、計画そのものに変更があつたかどうかをお尋ねいたしたのではありません。計画樹立以後、食糧情勢に顯著な変化があつたかどうか、こういう情勢の変化を承つておるのであります。重ねて御答弁を願います。
   〔国務大臣森幸太郎君登壇〕
#82
○国務大臣(森幸太郎君) お答えいたします。(「簡單」と呼ぶ者とあり)二十五年度の食糧事情については、その後変化はありません。
   〔小川久義君発言の許可を求む〕
#83
○仮議長(黒田英雄君) 小川久義君。
#84
○小川久義君 議事進行について、議員の数が余りにも少いように見受けるのでありまして、休憩されんことの動議を提出いたします。(「定足数が足らん」「賛成」と呼ぶ者あり)
#85
○仮議長(黒田英雄君) 暫時休憩をいたします。
   午後三時三十七分休憩
     ―――――・―――――
   午後七時十四分開議
#86
○議長(佐藤尚武君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、国家公務員法の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#87
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。人事委員長中井光次君。
    ―――――――――――――
   〔中井光次君登壇、拍手〕
#88
○中井光次君 只今議題となりました国家公務員法の一部を改正する法律案につきまして、委員会の審議の経過並びにその結果を御報告申上げます。
 先ず本案の内容を御説明申上げますると、国家公務員法第二條第三項第十四号といたしまして、人事院の指定する公団の職員を特別職とする規定を設けており、人事院は人事院規則を以て食糧配給公団を指定して今日に至つておるのであります。ところで、この第十四号の規定には、食糧配給公団の存続期限と合致させる趣旨で、二十五年四月一日から効力を失うとの期限を付しておりましたが、このたび食糧管理法の一部を改正する法律案の通過に伴い、食糧配給公団もその存続期限が一年間延長されることになりまするので、これに伴い本号の有効期間も一年間延長して、「昭和二十五年四月一日から」とあるのを「昭和二十六年四月一日から」に改めるものであります。本改正案につきましては衆議院人事委員会理事藤枝議員の提案理由の説明を求め、討論を省略して採決に入り、全会一致を以て原案通り可決した次第であります。以上御報告申上げます。(拍手)
#89
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
#90
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#91
○議長(佐藤尚武君) 参事をして報告いたさせます。
   〔海保参事朗読〕
本日委員長から左の報告書を提出した。
 臨時物資需給調整法等の一部を改正する法律案可決報告書
 外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案可決報告書
 不正競争防止法の一部を改正する法律案可決報告書
 輸出信用保險法案可決報告書
 酒税法の一部を改正する法律案可決報告書
 通行税法の一部を改正する法律案可決報告書
 所得税法の一部を改正する法律案可決報告書
 相続税法案可決報告書
 法人税法の一部を改正する法律案可決報告書
 所得税法等の改正に伴う関係法令の整理に関する法律案可決報告書
 災害被害者に対する租税の減免、徴收猶予等に関する法律の一部を改正する法律案可決報告書
 国税徴收法の一部を改正する法律案可決報告書
 国税犯則取締法の一部を改正する法律案可決報告書
 国税の延滯金等の特例に関する法律案可決報告書
 輸出信用保險特別会計法案可決報告書
     ―――――・―――――
#92
○議長(佐藤尚武君) この際、日程に追加して、臨時物資需給調整法等の一部を改正する法律案、外国為替及び君国貿易管理法の一部を改正する法律案、(いずれも内閣提出、衆議院送付)、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#93
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。経済安定委員長佐々木良作君。
    ―――――――――――――
   〔佐々木良作君登壇、拍手〕
#94
○佐々木良作君 只今議題となりました臨時物資需給調整法等の一部を改正する法律案並びに外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案の経済安定委員会における審議の経過並びに結果について御報告申上げます。
 先ず最初に臨時物資需給調整法等の一部を改正する法律案でありますが、同法の有効期限を昭和二十六年四月一日まで一ケ年延長することと、又昭和二十二年同法改正の際に、その附則第二項に特定の産業団体に臨時に統制事務を行わしめる規定を追加したものを、その後の統制整理の結果この規定が不用となつたためこの規定を削除しようとするものでありまして、政府の提案理由の説明によりますと、最近の経済事情からして、すでに大部分の物資については統制を必要としない状態であるが、尚若干のものは当分統制を継続する必要があるため経済統制の根拠法規たる臨時物資調整法の有効期限を当分延長することは止むを得ない措置であるが、政府としては経済統制は成るべく早急に廃止したい意向であるから、本法の有効期限到達前でも実際上具体的な統制を行うための省令などを逐次廃止することによつて本法の機能を停止して、法律の廃止と同様の効果をもたらすようにしよう、こういうことであります。
 本改正案に対する質疑といたしましては、現行法では本法の有効期限を「昭和二十五年四月一日又は経済安定本部の廃止の時の何れか早い時」、こういうふうになつておりますものを、本改正案では、今国会に提出予定の経済安定本部設置法の一部を改正する法律案において経済安定本部の廃止予定の時期を削除する予定となつておる関係がありまして、それに対応して本法でも「又は経済安定本部廃止の時」云々という字句を削つたことになつておるわけでありますが、まだ安定本部設置法改正法案が提出されておらない関係上、万一若し設置法が不成立に終つた場合にはこの調整法を扱う役所がなくなるわけで、これはどうなるのか、こういう質問については、政府委員の説明によりますと、その場合は経済安定本部長官が実際に存在しなくなるから物調法自体は事実上施行不能となるわけであるから、設置法を早く出したいと思つたのだけれども、いろいろな事情でまだ遅れておるわけでありますけれども、その間の調整を適当に図りたいというようなことでありました。この質問に関しましては、本来この法案は設置法と同時に審議すべき性質のものでありますけれども、今日がこの有効期限の満了日になつておりますために、至急に上げざるを得なくなつて、その法案の提出を待つことができずに委員会が決定したということを先ず御了承願いたいと思います。更に又物調法が物資不足に対応して制定されたものであるが、現在においては情勢が激変して物資の相対的過剰を来たしておる実情であるから、今後の不況対策として過剰物資の需給調整について十分な準備と検討が必要であり、又業者のこれに対する自主的対策としての生産制限の申合せ等は、独占禁止法或いは事業者団体法等に触れる虞れがあるが、このような点についての対策をどう考えておるかという帆足委員からの強い指摘と質問があつたわけでありますが、これに対しましては政府委員から、過剰物資の需給調整については、全般的なことは有効需要の喚起によつて対処して、個々の物資については適当な措置を考慮するより外がないのである。又独禁法等の関係は十分に研究して善処したいということでありました。尚その他各委員から質疑がございましたけれども省略したいと思います。これで質疑を終つて討論に入つたのでありますけれども、別に発言もありませんで、採決に入りましたところ、全会一致を以て可決した次第であります。
 次に外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案、これは政府の提案理由の説明によりますと、昨年十二月一日附で公布された同法の各規定は、同法の附則第一項によりまして昭和二十五年三月三十一日までに施行しなければならないということになつておるのでありますが、そのうちで外国為替の集中それから対外債権債務の統制、証券、不動産及及びサービス等の取引及び契約の統制、それから通貨等の輸出入の統制に関する部分、これらの部分につきましては現在まだ未施行になつておる部分でありますけれども、外国人の本邦内事業活動、外国為替銀行の為替業務、それから外資導入等に関する事項については、まだ愼重に考慮を要する点があるので、まだ未決定になつておる部分があるために、前に申上げました附則第一項を改正して、そうして施行期限をもう三ケ月延ばして六月の三十日まで延長しよう、こういうわけであります。
 この法案に対しましては特に和田委員から、先程申上げましたその愼重考慮と言われておるが愼重考慮の内容はどうか、現在の準備過程はどの辺まで行つておるのかという質問が行われましたが、これに対しまして現在の準備段階の具体的な説明が政府委員からなされ、更に又帆足委員からは、同法に基く輸出貿易管理令第四條において、中国人、それから朝鮮人、台湾人等に対して、職業用具の持出しに関して一般外国人と差別待遇を與えるかのごとき印象を受ける字句があるけれども、その点非常に遺憾であるから明確ならしめるようにして呉れという要望があつたわけでありますが、この発言に対しましては政府委員から、字句の不備のために誤解を生んでおるから、通牒等によつて運用の公正を期し、又適当な機会に條文の改正を行いたいという答弁がありました。その他、各委員から質疑応答が行われましたが、省略を許さして頂きたいと思います。質疑を終りまして討論に入りましたところ、特別に御発言もなくて、そのまま採決に入りまして、全会一致を以て可決すべきものと決定したわけであります。以上報告いたします。(拍手)
#95
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。
 先ず臨時物資需給調整法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
#96
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#97
○議長(佐藤尚武君) 次に外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
#98
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#99
○議長(佐藤尚武君) 日程第十六、新聞出版用紙の割当に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。内閣委員長河井彌八君。
    ―――――――――――――
   〔河井彌八君登壇、拍手〕
#100
○河井彌八君 新聞出版用紙の割当に関する法律の一部を改正する法律案の内閣委員会における審議の経過及び結果を御報告申上げます。
 委員会は予備審査と共に二回開きまして、昨日全会一致を以て可決すべきものと議決いたしました。この法律の内容は、新聞出版用紙割当法の附則に施行期日に関する規定をはつきりと決めたのであります。即ち昭和二十六年四月一日にこの法律は効力を失うということを主として定めたものであります。で、極めて簡單な改正でありますが、これは臨時物資需給調整法の存続期限と関連をしてかように定めたのであります。即ちこの新聞出版用紙の割当に関する法律は、その基本法とも申すべきものは臨時物資需給調整法から出ておりまして、その調整法に基くところの指定生産資材割当規則によつて決つておるものであります。そこで只今御報告がありまして本院で可決せられました通り、臨時物資需給調整法の施行期限は明年の四月一日に効力を失うという決定を見たのでありまするから、その母法とこの法律とを合せまして、それに合致するような修正であります。従いまして、この修正によりまして、用紙割当継続の必要の有無並びに割当制度の可否に関して毎通常国会の議決を求めるという手続があつたのでありますが、それを廃止することになつたのであります。そこで、本案の審議に当りまして明らかになりましたことは、第一、割当制度は用紙が不足でありまするから、これを置かざるを得なかつたというのでありまするが、これはできるだけ早く撤廃をするということ、又言論の自由の精神から申しましても、どうしてもさような趣意を貫くということが必要であるのであります。そこで問題でありますところの用紙の生産及び需要の状況を調べてみますると、近来非常によくなつておるという事実が明かになりました。そこで、できるだけ早く且つ適当な時期においてこの用紙の統制を撤廃とようということが本案の目的とするところであります。そうしてその撤廃の時期につきましては、政府において今はつきりとこれを言うことはできないけれども、愼重にこれを取扱いまして、関係方面の承認を得まして断行しよう、こういう趣意であるのであります。
 委員会においていろいろな点について愼重な審議を遂げたのでありまするけれども、先ず用紙の統制の撤廃の時期をどうするか。これについては最も適正であるべしという考えから政府に所信を質しましたところが、用紙の生産が増加して需給が最もよく適合しておるときにこれを実行しようと考えるということでありました。更に撤廃によつて各方面に悪い影響を與えないようにすることが必要であるという趣意において、熱心な質疑があつたのであります。この点につきましては、価格問題からも、或いは今日の用紙を使つております各方面の実情、即ち新聞業界においてはどう、出版業界においてはどう、或いは生産業界においてはどうである、読者はどう考えるというような、あらゆる方面からこれに対して賛否の実情等も明かになつたのであります。かような次第で、討論に入りましたところが、委員会は臨時物資需給調整法の有効期限を明年三月三十一日まで延長する限りは、この割当法の附則を改正して存続期限をこれに合せるということが適当であると認めたのであります。併しこの改正の主たる目的、即ち用紙の統制撤廃の時期を決定するためには、政府において最も愼重な考慮をめぐらして、苟くも新聞界、出版界、用紙生産界、或いは読者界並びに一般社会に対して不当な影響を及ぼさないようにすることが必要であるという、そういう措置をとるようにという熱心な希望が開陳せられまして、この法律案は全会一致を以て可決すべきものと議決した次第であります。これを以て報告を終ります。(拍手)
#101
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
#102
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#103
○議長(佐藤尚武君) この際、日程に追加して、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、相続税法案、酒税法の一部を改正する法律案、通行税法の一部を改正する法律案、所得税法等の改正に伴う関係法令の整理に関する法律案、国税徴收法の一部を改正する法律案、国税犯則取締法の一部を改正する法律案、国税の延滯金等の特例に関する法律案、災害被害者に対する租税の減免、徴收猶予等に関する法律の一部を改正する法律案、輸出信用保險特別会計法案、(いずれも内閣提出、衆議院送付)、以上十一案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#104
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員長木内四郎君。
    ―――――――――――――
   〔木内四郎君登壇、拍手〕
#105
○木内四郎君 只今議題になりました十一の法案につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びに結果について御報告いたします。
 先ず所得税法の一部を改正する法律案について申上げます。
 政府は昭和二十五年を期して、国税、地方税を通ずる税制の根本的改正を行うことになりまして、本年一月から所得税の暫定的軽減、取引高税及び織物消費税の廃止、物品税の改正等を行なつたのでありますが、今回更にその一環といたしまして所得税法を改正し、所得税制度を能う限り合理化し、又納税者間の負担の適正化をできるだけ図ろうとしてこの法律案を提出したようであります。
 本案の要点について申上げますと、その第一点は、負担をできる限り適正化しようという点であります。即ち基礎控除を二万五千円に引上げ、扶養控除を一万二千円の所得控除とすると同時に、扶養家族の範囲を拡張いたしまして、又一面におきましては、更に勤労控除を收入金額の十分の一・五とし、その最高を三万円といたしまして、又税率の適用区分もそれぞれ改めまして、税率の最高を百分の五十五といたしたことであります。その第二点は、所得税制度を能う限り合理化しようとする点であります。即ち不具者につきましては一万二千円の特別控除を認めた外、災害又は盜難による損失、医療費についてもそれぞれ特別控除の途を開き、所得合算範囲の縮少、損益通算及び損失の繰越し又は繰戻し、変動所得の平均課税等の制度を設け、申告及び納付の時期を変更したことであります。その第三点は所得税の執行面に関する制度の改正を図ろうとする点であります。即ち青色申告の制度を採用し、異議処理の方法を改めると共に、新たに協同団を設置し、又加算税を利子税額に改め、罰則に関する規定を整備したことであります。本案につきましては、公聽会を開きます等、愼重に審議し、種々質疑応答が交されたのでありますが、その詳細は時間の関係上省略いたしまして速記録によつて御承知願いたいと思います。かくて質疑を終了いたしまして、討論に入りましたところ、木村委員、油井委員、川上委員、板野委員及び天田委員よりそれぞれ反対の意見の開陳がありました。又藤井委員及び平沼委員よりそれぞれ賛成の意見が述べられまして、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
 更に法人税法の一部を改正する法律案について申上げます。
 従来の法人税制度は、法人を個人から独立した課税主体といたしまして、個人と別個の課税することになつておりましたが、法人は株主たる個人の集団である点を重視いたしまして、法人と個人とが実質的に二重課税とならないように調整すると共に、法人の租税負担を軽減し、資本の蓄積と促進することを根本方針として改正を行わんとするもののようであります。その概要は次の通りであります。従来の超過所得税及び清算所得税を廃止いたしまして、税率については一律に百分の三十五の税率を適用することになつております。従つて従来の百分の二十五の税率が適用されておつたところの農業協同組合等の特別法人だけが税率の引上げを受けることとなるのであります。次に新たに積立金に対して課税することとなりまして、原則として百分の二、同族会社の一定額を超える積立金に対しましては百分の七の税率が適用されることになつておるのであります。又公益法人の收益事業から生じた所得に対しましては、一定額を除き新たに課税されることになつておるのであります。その他、減価償却及び棚卸資産の評価方法の改善、損失の繰越又は繰戻制度の拡張、額面超過金、減資益金及び貸倒れ準備金の非課税等、租税の軽減又は合理化をできるだけ図ろうとすると共に、申告及び納付、異議の処理等に関する制度についても所要の改正を行わんとするものであります。本案審議に当りましては各委員より熱心なる質疑がありましたが、これ又詳細は速記録に讓りまして省略いたしたいと思います。かくて質疑を終了いたしまして、討論に入りましたところ、油井賢太郎委員より反対意見が述べられ、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 次に相続税法案について申上げます。
 本案の要点の第一は、相続税の納付義務者は、原則として相続、遺贈又は贈與によつて財産を取得した個人といたしまして、相続税の課税価額は、相続、遺贈又は贈與によつて取得した財産価額の合計額となつておるのであります。第二点は非課税財産の範囲を拡張いたしまして、又新たに少額控除、配偶者控除、未成年者控除等を認めることになつております。第三点は二十万円以下の金額に対する二五%から五千万円を超える金額に対する九〇%に至る超過累進税率を適用することになつておるのであります。又第四点は相続税の申告及び納税、延納等の諸規定を整備した点であります。本案審議の詳細は速記録に讓りたいと思います。かくて質疑を終りまして討論に入り、採決を結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 次に酒税法の一部を改正する法律案について申上げます。
 酒税はシヤウプ勧告に示されておりまするように、相当の増收を期待しておるのでありますけれども、酒類の現行価格は或る程度限界に達していると思われますし、又密造対策等の見地からしましても、この際余り大幅な価格の引上げは当を得ないものと考えられましたので、今回地方税でありますところの酒消費税を廃止し酒税に統合すると共に、各種酒類間の権衡を考えて若干の税率の調整を図ろうとするもののようであります。本案の審議の詳細はこれ又速記録に讓りたいと思います。質疑を終りまして討論に入りましたとこれ、油井委員、木村委員よりそれぞれ反対の意見が述べられ、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 次に通行税法の一部を改正する法律案について御報告いたします。
 現行法によりますと旅客運賃には百分の五の通行税が課せられおりますが、今回これを改正して、主に一般大衆が利用する三等の乘客に対する課税は、寢台料金を除きこれを全廃すると共に、他方、一等及び二等の乘客に対しましては、急行料金、寢台料金に課すると同様、百分の二十の税率を以て課税しようとするものであります。委員会の審議の経過はこれ又時間の関係上速記録に讓りたいと思います。質疑を終了いたしまして討論に入りましたところ、油井委員より反対意見が述べられ、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 更に所得税法等の改正に伴う関係法令の整理に関する法律案について申上げます。
 従来特別の法令で所得税及び法人税の非課税規定を設けておるものが相当あるのでありますが、改正所得税法及び法人税法では、これを統合いたして規定することとなつておりますので、特別の法令の非課税規定を整理したしますと共に、有価証券移転税が廃止せられますので、これに関する非課税規定をも併せて整理しようとするものであります。本案につきましても詳細は速記録によつて御承知願いたいと思います。質疑を打切りまして討論に入り、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 更に国税徴收法の一部を改正する法律案について申上げます。
 本案は最近における国税の滯納処分の執行の実情に鑑みまして、延滯金は日歩四銭、その最高を滯納税額の百分の五とし、又給與所得については百分の七十五の差押禁止の限度を設けました。尚、地方税の重要性が著しく増大いたしましたので、国税と地方税とは原則として同順位で徴收することとする等、国税徴收法に所要の改正を加えようとするものであります。本案につきましても熱心に質疑応答が交されましたが、詳細は速記録によつて御覽を願いたいと思います。かくて質疑を終了し討論に入りましたところ、天田委員より反対の意見の陳述がありまして、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 更に国税犯則取締法の一部を改正する法律案について申上げます。
 国税犯則取締法につきましては、国税に関する犯則者の取締の強化に伴い、一層その執行の適正を期すると共に、納税者の正当な権利利益を保護する必要がありますので、これに若干の改正を加えようとするものであります。即ち通告処分の履行期限が現行法では七日となつておるのでありますが、これを二十日に延長すると共に、刑事訴訟法の改正に対応いたしまして、税務官吏が物件を領置した場合の処理手続及びその効果を差押えの場合と同様にいたしました。又女子の身体を捜索する場合には成年の女子の立会を要することとする等の改正を加えようとするものであります。本案につきましても審議の詳細は速記録によつて御承知を願いたいと存じます。かくて質疑を終局し、討論に入り、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 更に国税の延滯金等の特例に関する法律案について申上げます。
 今回の税制改正によりまして、本年四月からは従来の国税に対する延滯金及び加算税に関する日歩を軽減することになるのでありますが、最近の経済情勢に鑑み、従来の延滯金及び加算税の日歩を本年一月一日から三月三十一日までの期間に対応するものについても軽減しようとするものであります。その主なるものを申上げますと、第一は延滯金の特例を規定でありまして、従来の日歩二十銭を八銭に改正することとなつております。第二は加算税の特例の規定であります。即ち所得税、法人税、相続税及び通行税等の同期間に対応するものについては日歩十銭を四銭に、又非戰災者特別税、有価証券移転税及び取引高税等については、本年一月一日以降のものは日歩四銭に、それぞれ改正することになつております。第三は還付加算金の特例の規定であります。即ち三月三十一日以前にすでに延滯金又は加算税を従来通りの日歩で納付し又は徴收しておりますときは、その過納分を他の未納の国税等に充当するか、又は請求に基いて還付することになつております。本案につきましても、審議の経過の詳細は速記録によつて御承知を願いたいと思います。かくて質疑を終了し、討論に入り、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定した次第であります。
 次に災害被害者に対する租税の減免、徴收猶予等に関する法律の一部を改正する法律案について申上げます。
 今回の所得税法の改正等に伴いまして、震災、風水害、火災等の災害により、甚大な損害を受けた場合における租税減免の規定を整備せんとするものであります。即ち災害により住宅又は家財に甚大な被害を受けた者で、その所得金額が十五万円以下の場合は、所得税の全額を免除し、又その所得金額が三十万円以下の場合には所得税の半額を軽減する等、租税負担の軽減を図ろうとするものであります。本案の審議の経過につきましても詳細は速記録によつて御承知を願います。かくして質疑を終了いたしまして、討論に入り、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 更に輸出信用保險特別会計法案について申上げます。
 今国会に提出されました輸出信用保險法の実施に伴い、新たに輸出信用保險特別会計を創設し、一般会計からの繰入金、保險料を以てその歳入とし、保險金、事務取扱費等を以てその歳出とし、輸出信用保險に関する経理の全体を明確にすると共に、予算及び決算の手続等、特別会計に必要な諸規定の整備をなさんとするものであります。本案審議の経過の詳細につきましても速記録を御覧願いたいと思います。かくして質疑を終了し、討論、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告を終ります。(拍手)
#106
○議長(佐藤尚武君) 討論の通告がございます。順次発言を許します。川上嘉君。
   〔議長退席、仮議長着席〕
   〔川上嘉君登壇、拍手〕
#107
○川上嘉君 私は只今上程されております所得税法一部改正法律案に次の諸点から反対するものであります。
 第一点は減税は宣伝だけであります。第二点は、税率が余りにも不公平であり、控除が余りにも低額であります。第三点は青色申告制度の実施は時期尚早であります。第四点は公平適正な課税は殆んど不可能に近いのであります。第五点は運用面の合理化に誠意がないのであります。
 本案はシヤウプ勧告に基いて作られたものでありますが、このシヤウプ勧告案さえも公平に取入れていないのであります。即ち大口所得者、資本家に都合のいい面は嚴格に実行している。都合の悪い面は修正削除しておるのであります。勧告は本質上、技師の研究報告のようなもので、詳細の点が採用されなければ、一般的な勧告だけでは余り効果がないことを、特にシヤウプ氏自身が注意しておるのであります。シヤウプ使節団が特に細かく指摘しておる脱税を擁護するような政府の諸措置、例えば無記名定期預金や銀行調査の問題等に対する対策が、何ら積極的に講じられていないのであります。尚、今回の税制改革案は、農漁民や勤労者や、中小事業者に対する減税は全く名目だけで、法人税の軽減、資産再評価超過所得の廃止、地方税の増額等によりまして、国民大衆の負担と犠牲を強要し、むしろ農漁民や勤労者や中小事業者の所得額は却つて大幅に増額されております。地方税と差引すれば却つて増加する可能性が多いのであります。
 次に第二点でありまするが、現在所得税は、一方に脱税、他方に独断的な更正決定の危機にさらされているのであります。加うるに高い税率と、高度の脱税は、相待つて課税の不合理、不適正、不公平を止むなくさせているのであります。これを合理化するため税率の引下げを行い、或いは控除の引上げを行おうとする政府の狙いは正しくとも、出て来た税率や控除額は余りにも不十分であり、むしろ微力であるのであります。税率は五十万を超えるものは、百万以上でも二百万以上でも五百万以上でも全部同率になつておりまするが、これは不公平も甚だしいのであります。この不公平を是正するために、富裕税の創設をやつたと、かように宣伝しているのでありますが、これは極めて根拠のないところであります。従いまして余りにも恩典が高額所得者の厚く、低額所得者に薄いのであります。尚、基礎控除は、戰前の免税所得千二百円を今日の価値に換算いたしますというと、二十一万六千円と相成ります。更に各国の免税点を邦貨に換算いたしますというと、アメリカが八十六万円、イギリスが四十三万円、西ドイツでさえも二十二万円でありまして、改革案の二万五千円は苛酷な程低額であると断ぜざるを得ないのであります。尚、扶養控除の問題、勤労控除の問題も同じように低額であります。
 第三点は、青色申告制度は、その実施が時期尚早でありと断ぜざるを得ないのであります。税法上から見ましても、或いは納税者の立場、或いは税務官庁の立場、いずれの立場から見ましても、日本の実情に即していないのであります。その理由は極めて明白であります。理由の第一点は、記帳方法が余りにも複雑難解で、納税者には到底これを消化することができないのであります。第二点は、税務官庁もこれを消化することができない。納税者の理解が行くように具体的に記載方法、記載例、その範囲等を明確に指示して懇切に指導できるだけの能力、余裕がないのであります。第三点は、職場を混乱に陷れる危險が十二分にあるのであります。政府は本年度において、大体納税者の三割を目標として実地調査を行う目標を立て、これを実行したのでありますが、結果は東京、大阪のごとき大都市では漸くにして一割程度、地方の成績の良好の所で一割五分程度に過ぎないのであります。このことは現在の税務官庁の実地調査をなし得る能力の限界を立証しておるのであります。従いまして納税者の二割税度以上の者が若し青色申告を提出するとしたならば、もはや現在の税務官庁ではこれを年度内に消化処理することは不可能であるのであります。この結果、所得税におきましてさえも過年度の未決定分が蓄積しなければならないという結果になります。尚、現在においてさえも過年度未決定分が二割程度も残つておる法人税は、一層の過重事務が予想できるのであります。このために納税者と税務官庁との対立、軋轢は却つて激しさを増して、職場を全く混乱に陷れる危險があるのであります。
 次に第四点は、公正適正な課税は不可能に近いという点でありまするが、シヤウプ勧告は、再々私は本会議におきましても委員会におきましても申上げておるのでありまするが、いわゆる割当目標額課税なくしてその機能を発揮できなければ現在の所得税は撤廃した方がいいと、かようにきめ付けております。更に目標額を作るといつたような技術が他の国で採用されていることを聞いたことがないと皮肉つております。池田大蔵大臣が言明したところによりますと、本年度以降は決して目標額なるものはない筈でありまするが、名目は別として、依然として実質的には目標、割当なるものの圧力に苦しめられておるのであります。目下確定申告、確定決定をめぐつて物凄く危險な情勢がすでに発生しておることは、新聞紙上やラジオ放送で御承知の通りであります。目下各地におきまして市民大会が、数百名、数千名を動員いたしまして開かれ、デモ隊が税務署に押しかけて、課税が実情に即していない、更正決定を白紙に返せという運動、令書の一括返上、更に異議申立に対する調査が済むまでは、滯納整理、差押、公売反対等の運動が起きております。誠に遺憾ながら税金の負担故に自殺したとか一家心中したとかの数々の悲劇が起きておるのであります。尚、差押物件を購入してはいけないというような不買運動、税務職員に物を売つてはいけないといつたような運動、更に税務職員と口をきいてはいけないといつたような、実に世にも稀なる運動等が目下激しさを加えておるのであります。こうした表面に現われた悲惨な運動の背後にある全国民大衆の苦痛は、よく分つているとの單なる見せかけだけのゼスチユアだけでは済まされないのであります。吉田総理は今国会の施政方針演説の中で、税制改革は国民多年の要望であり又政治の源であると述べ、更に第五通常国会におきましても、重税に国民は未だ曾て見ざる苦痛を感じつつある、誠に憂慮に堪えないと、かように述べております。併し今回の税制改革案は、右に述べた税金問題をめぐつて起きているこの大衆の苦痛を軽減し、更に課税の合理化、課税の公平適正を期するには余りにも微力であり無力であると断定せざるを得ないのであります。
 次に運用面の合理化に積極的な熱意がないのであります。税務職員の大幅増員、素質の向上、更に待遇の改善、諸手当、福利厚生等一切を含む徴税費の増額は、公平適正な民主的な課税をなす上におきまして急務中の急務であります。シヤウプ勧告も十分な数の税務職員を拒むのは一文惜しみの百失いであると、これは現在の政府の定員法を根本から覆しているのであります。尚、徴税費の増額は不十分な歳出予算によつて妨害さるべきものではないと、かようにきめ付けております。更に、俸給表は有能者を誘引し、引止めるに十分な程高くすべきである、医療や住居など被傭者の厚生施設の充実に注意を拂うべきであると述べ、更に、現在問題を悪化させている特殊な要因として、税務官吏の大多数が若井で無経験且つ薄給であること、税率が高過ぎることを等を指摘し、そうしてこうした問題の解決策の一つは、よりよき給與と訓練である、かように勧告しております。然るに政府は依然としてこうした点に積極的な熱意を示していないのであります。むしろ徴税費は前年度よりか却つて減額されているのであります。
 以上の五点から私は只今上程されている法案に反対するのであります。(拍手)
#108
○仮議長(黒田英雄君) 平和彌太郎君。
   〔平沼彌太郎君登壇、拍手〕
#109
○平沼彌太郎君 私は自由党を代表しまして本案に賛成の意見を申述べます。
 御承知のごとく戰後の経済界の変動によりまして、国民の納税層はいろいろと変化としておるのでありまして、現在行われておりまするところの税法ではこの新時代に適合しないような面が見受けられるのであります。世間至る所におきまして税金の問題が頻頻として起つておりまするが、これは税金が苛酷であるという面もありまするが、又現在の税法が適当でないという面も窺われるのであります。今回改正せられましたところの、提案せられておりまするところの本法案を見ますると、委員長が説明せられましたごとく、所得税を組税收入の根幹とした点、所得税の負担の軽減に重きを置いた良、国民の負担の公平と税法に合理化を図つた点等々に重点が置かれたことは結構なことでありまして、これを富裕税法や相続税法その他の諸税法案と総合して検討して見ますると、勿論只今の反対意見にもありましたごとく、完全無欠とは言い得ませんが、併し先ず新時代に適したる画期的な改正であるということができると思います。(拍手、「同感」と呼ぶ者あり)併しこの改革税法を実施して見ますると、必ず一部にも思わぬ不公平が起り易いものであると思います。そのため却つて一部の国民を苦しめたり、又一部の産業を萎縮せしめるような虞れなしとしないのであります。よつて政府におかれましては、本法案の実施に当りまして常にその推移をよく調査して、万一不合理のような点を見出しました場合には直ちにこれを是正しまして、国民が納得し得るような完全公平なる法律に速かにするよう希望いたしまして、本案に賛成するものでございます。(拍手)
#110
○仮議長(黒田英雄君) 木村禧八郎君。
   〔木村禧八郎君登壇、拍手〕
#111
○木村禧八郎君 私は労働者農民党を代表いたしまして、目下審議中の二十五年度のデフレ、不景気、失業、倒産、自殺強化の予算の有力な裏付けをなしておりますこれら諸法案に対しまして反対するものであります。反対論拠を要約いたしますと三つであります。
 第一は、これらの諸法案と重要且つ密接な関係にある地方財政平衡交付金法案が未だに国会に提出されていないことでございます。このため予算審議に重大な支障を生じましたことは極めて遺憾と存ずる次第であります。言うまでもなくシヤウプ勧告案に基く今回の税制改革案は、中央、地方税制を通ずる総合的な画期的大改革であります。平衡交付金制度はその有力な一環を形成しているのであります。にも拘わらず、この法案が未提出のまま税制改革等を承認することは、私は変則であると思うのであります。衆議院は多数の力を以て不合理にも、この平衡交付金法案が未提出のままこれら諸法案を通過さしてしまつた。参議院はこうした不合理を是正することがその任務であると思うのであります。そこでこそ参議院存在の意義があると思うのであります。いわゆるチエツク・エンド・バランスの使命がそこにあると思うのであります。これが私の反対理由の第一であります。(「然り」と呼ぶ者あり)
 第二は、税制改革案の目的は委員長も述べられましたように、先ず第一に減税、第二に租税負担の公平化、民主化、この点にあると思うのであります。ところが中央地方のこの税制改革を通じて見ますと、政府が宣伝しているように、これは川上君も述べられましたが、減税にはならないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)つまり中央において七百億減税する、地方においては四百億増税する、差引三百億円の減税といいますが、勤労大衆とか中小業者或いは農民、こうした人達には決して減税にはならないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)依然として税金地獄はやはり続くのであります。その理由の第一は、今回の税制改革は減税といつておりますが、これは税法上の減税であつて実質上の減税ではない。(「そう」と呼ぶ者あり)これは何回も我々委員会において大蔵大臣にお伺いしたのでありますが、実質上の減税ではない。税法上の減税である。第二の理由は、租税の転嫁が行われておる。例えば附加価値税四百何十億取りますが、これは皆転嫁するのであります。従つてただ金額だけで三百億の減税になると言つても、一体それは誰が負担するのか。四百何十億の附加価値税は、これは労働者や或いは消費者に転嫁されるのであります。そうすれば転嫁される人は減税にはならない。誰に転嫁されるか。結局まじめに働く人達に、まあそれ以上に転嫁できない人に転嫁される。こういう性格を持つておるのであります。このために、実際計算して見ますと、大都市においては五万円以上の勤労所得所は却つて増税になる。政府は資料において住民税の平均をとつて、中央の減税と地方の増税を比較して、結局減税になると言いますが、大都市においては却つて増税になる、そういう実情になつておるのであります。実際は私はもつと今の日本の現状においては思い切つて減税をして、そうして国民生活の水準を向上できる状態にあると思うのです。政府から配付された国民所得に関する数字を見ますと、二十五年度においては、国民所得は戰前の九九%に増加することになつておるのであります。従つて我々の生活水準はもつと引き上つていい筈なんです。それだのに、どうして減税をして我々の生活水準を引上げないのかと言えば、政府は二重の意味において、二重の資本の蓄積を強行しておるわけです。労働者、農民、中小事業者、そういう人達の犠牲において二重に資本の蓄積をしておる。例えば二十四年度においては千五百億の債務償還、政府の旧債務を償還するためにそれだけの税を取つて強制的に資本の蓄積をしておる。二十五年度においても千二百億円の国債を償還をする。これは強制的な資本の蓄積である。そればかりでなく、今度はこの税制改革を通じて資本の蓄積を行なつておる。で、即ち有産者とか或いは資本家、法人の方に思い切つて減税をして、そうしてそういう方面から資本の蓄積をする。従つて勤労者の方に税が皺寄せして来ると、こういう税制改革になつているのであります。従つて債務償還を止めて、その債務償還する分を減税に充てれば、私はそれだけ働く人達の、勤労者の購買力は殖え、生活水準は上る。そういうことをやらないのです。そのために現在現われておるように不景気、デフレ、失業、自殺、そういうものが起つているわけであります。このように中央地方を通じて見ますと減税にならないのです。減税になるのは一部の有産者或いは大資本、そういう方面が減税になるだけであつて、勤労者は減税になりない。これが反対論の第二であります。
 第三の反対の根拠は、この税制改革のもう一つの狙いである税負担の公平化、これが実現されていない。むしろ私は不公平になると思う。先程民自党の方が非常にこれは結構な税制改革であると言いましたが、結構どころではないのであります。実情を検討すれば、内容を検討すれば結構どころではないと思うのであります。何故ならば、その第一の理由は、今度の税制改革は、インフレのひどかつた昭和二十三年度のあの所得階層別国民所得、あれを元にしてこの税制改革をやつておる。従つて二十三年度のあのインフレ期における国民所得の中には非常に沢山のインフレ所得が含まれておつて、そうしてそのインフレ所得は、税で取ろうと思つても、これは捕捉できなかつたので、当時においては従つて税負担がまるで紊乱して、全く税務機構は破綻に瀕したと言われたくらいなんです。そうして今度の税制改革の基礎になつたその二十三年度の階層別国民所得は、あの当時において取つた税から逆算したものである。つまり非常に多くのインフレ闇所得が除かれておる。そういう国民所得を元にして今度の税制改革の基礎にしておる。このために今回の税制改革が負担の均衡という上から言つて非常に不公平になつておる。多くの脱税が結果から見て容認されておる。更に第二には、そういう捕捉できない所得ばかりでなく、今回の税制改革は合法的に脱税を認めておるのであります。合法的に脱税を許しておる。シヤウプ勧告においては合法的な脱税として強く指摘されたのは讓渡所得であります。そのためにシヤウプ勧告においては、無記名預金或いは架空の預金とか、そういうものを禁止する、又公社債の登録をすべきである、株式の名義書換をすべきである、こういう勧告を行なつたのであります。政府は今国会にそういう禁止の法律案を出そうとしたのでありますが、途中においてこれを中止してしまつた。これは合法的な脱税を容認しておるのであります。これが今回の税制改革の一つの有力な特徴をなしておるのであります。更に第三には、青色申告制度、或いは地方及び国税の犯則取締規則、こういうものを強化して、弱い方面からは所得を嚴重に捕捉して税を苛斂誅求する、そういうことになる。ところが地方においては合法的に脱税を認めておるのです。合法的に脱税を認めておるばかりでなく、更に二十三年度のインフレ時代の国民所得を基礎にして作り上げたこの税制は、それ以外に非合法的脱税を認めておる。こういう税制改革である。更に第四には、法人には資本蓄積の建前からあらゆる優遇措置をとつておる。配当所得の源泉課税の二割を止めてしまう。又超過所得税も止めてしまう。清算所得税も止めてしまう。法人の所得税は累進税でなくなつてしまうのです。こういうふうな不公平な税制改革になつておる。更に政府は、中央において七百億減税し、地方において四百億増税し、差引三百億の減税になると言いますが、国税において七百億減税される今と地方において四百億増税される人は、人が違うのであります。従つて地方において増税される人、必ずしも中央において、国税において減税されるのではないのであります。従つて今度の税制改革は、こういう不公平を私は含んでおると思います。
 従つて労働者農民党の立場としては、第一の各種の基礎調査に基きまして、基礎控除とか或いは勤労控除を含めて少くとも十万円の控除を認めて欲しい。第二には、これは生計費から計算しまして扶養控除二万四千円を認めるべきである。第三に青色申告、これについてはその精神は賛成でありますが、川上議員の述べましたように実情に副わない、今これを実施したら却つて不公平になる。従つて青色申告には反対であります。又更に農業所得税に対してはいろいろ改革すべき点があるのであるが、今度のシヤウプ勧告に何ら反映されておらない。従つてもつと合理的な農業所得税の課税ということを考えべきである。第五には、消費組合とか協同組合、こういうものに対して減免措置を講ずべきである。第六には、法人税に対して累進課税を設けるべきである。これと関連しまして、目下提案されております諸税と関係のある、現在提案されておる地方税法中の住民税、或いは附加価値税、或いは固定資産税についても、我々は今提案されておるような形の改革ではいけない。それに対して私は更に今の国税の改正と照合してもつとこれを合理的に改正すべきである。こういうふうに我々は主張するものであります。シヤウプ勧告案のうち、川上議員も述べられましたように、高額所得者とか或いは大資本の方に都合のよい面は嚴格に取入れられておりますが、そういう方面に都合の悪い面は、例えば讓渡所得の捕捉のごときに明らかに現われております。そういうものは実行されておらない。むしろこれをオミツトしてしまつておる。こういうような税制改革であります。吉田首相はこのシヤウプ勧告案が発案されましたときに、これは大朗報であると言つたわけです。成る程有産者、富裕者、高額所得者、大資本擁護の民自党にとつては、或いは吉田内閣にとつては一大朗報でありましようけれども、働く人達にとつては決して朗報的な税制改革ではないのであります。従つて我々は、先程民自党の方が賛成演説の中に言われましたように、この法案は結構な、又近代的な、画期的な進歩的税制改革ではなく、(「分つた」と呼ぶ者あり)凡そそれと正反対のむしろ改悪的な税制改革であると言わざるを得ないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)従つて労働者農民党はこれら諸法案に対して絶対に反対するものであります。(拍手)
#112
○仮議長(黒田英雄君) 油井賢太郎君。
   〔油井賢太郎君登壇、拍手〕
#113
○油井賢太郎君 民主党は只今提案になりました諸税の改正のうち、特に所得税、酒税並びに法人税については強く反対の意を表するものであります。
 大体昭和二十四年度の予算を吉田内閣が組みますときに当りまして、この予算に対しましては課税の修正ということは行わない、シヤウプ博士がやつて参りましたので、その博士の研究によりまして、大幅に税制がやがて改正されるであろうから、それまでは国民は辛抱して貰いたいということを言つたのでありまして、その後約一年半に亘りまして吉田内閣はシヤウプ博士の研究を元として税制の改革を行うことに努力し、今般我々の眼の前に差出された改正案となつて参つたのであります。併しながら自由党の方々はこれを以て非常に満足とされておりまするが、国民全体はこの修正案を見まして唖然として驚いたのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)昭和二十四年度の予算におきましても、今般改正された税制を当嵌めますならば一千百億の差額が生ずるであろうということを政府から発表されておる。即ち言葉を逆にして申しますならば、一千百億という、厖大なる税を昭和二十四年度においては国民に課したというようなことになつておるのであります。そのために国民全般の税に対する重圧は、実に過大なものである。このため新聞紙上で御覽になるように、或いは自殺者を出したり、倒産者を出したり、更に又中小企業者は、商品の手持に堪えかねてダイピングを行なつたりいたしまして、今日経済界に各方面に亘る混乱状況を現出せんとしつつある状況なのであります。かような状況に対しまして、今度の税制が果して妥当であるかどうかということは、答えはもうはつきりしておるのであります。こういう点に関しまして、民主党といたしましては絶対に賛成できない理由なのであります。而も国税におきましては、先程木村議員から御指摘がありましたように、成る程政府が言うように、七百億或いはそれ以上の減税であるというふうに見かるかも知れない。併しながら今度の税制改革は、国税と地方税全般を通じて見なければ解決のできない点が多々あるのでありまして、国税の面においては減税をしておるのだということを国民の前に発表しながら、地方税は大幅の引上げをやつておる。その大幅引上げをやつておる地方民或いは地方自治体に対しては、今度の税制改革によつて地方財政の強化を我々は図つておるのだというようなことを以て糊塗せんとしておるのであります。これは如何にも、いわゆる見えすいてテクニツクでありまして、こういうことで何で国民が満足されるものでありましようか。こういう点についても現内閣は今後一大反省をすべき点であると思うのであります。而も、我が党が常に主張しておりますところの債務償還という点におきましても、国民の血税を以て集めたところのうち、七百七十何億というものをこれに充てておる。せめてこれだけでも国税或いは地方税を通じて政府は減税の責任を持つていると私は思うのであります。而も所得税法の改正を見ますというと、五十万円までは急ピツチで以て五%ずつ累進課程を図つておる。併しながら五十万円を越したいわゆる高額所得者に対しましては五五%で釘付けしておる。これは如何にも日本国民の経済から見まして、大資本、大事業或いは高額所得者擁護にのみ汲々としているということを、はつきりと現わしているのであります。こういう点は、政府においては即刻修正案なり、改正案なりを出すべき点であると思うのであります。又基礎控除や或いは勤労控除を大変理窟をうまく付けて、国民大衆のためになるようなことを言つておりますが、基礎控除二万五千円と、又その上に勤労控除を若干受けて、その残りを課税の標準にされる基礎はどんなものであるか。大体年收三万円見当の人々から課税の対象になるのであります。年收三万円、即ち月收二千五百円ばかり、これは戰前の昭和十年見当の、あの当時から見まするというと、物価は約二百倍になつておる。結果月收十二、三円のものから課税をしておるというような結果になつております。(「その通り」と呼ぶ者あり)課税の対象であるところの八百万人という昨年度対象とされた人々に対して、今度少しも減つていない。結局は課税対象の人々、いわゆる国民大衆は何ら減じておらないということを現わしておるのであります。こういう点が、今般の改正に当つて自由党内閣の性格をすつかり現わしておるのであり、いわゆる馬脚を現わしているのであります。尚、細かい点は木村議員或いは川上議員より申述べましたから、時間の関係上割愛しますが、法人税におきましても、中小企業者や農民の階層や或いは漁民の人々が作つておるところの協同組合、この協同組合によつて、大資本、大企業家と対立できるような施策をするのが、現在の日本経済界においては最も適当な施策であります。それに対しましても今般は三五%の法人税を一律にかける。而も課税の方針といたしましては、事務的に、差別を付けないというのが方針であると言つております。併しながら課税の標準を決めますときに、国民の階層に適当なる特別を付けるという、これが即ち政治ではないでしようか。(「そうだ」と呼ぶ者あり)政治のない政府というものは、これは全く国民から見まして何ら価値のないものということになつて参るのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)そのような見地よりいたしまして、我々民主党といたしましては、法人税、又所得税の今般の改正に対し反対の意を表するものであります。
 尚、最後に酒税の点でありますが、煙草は一面において相当の定価の引下げを行い、一方におきまして、やはり国民大衆の嗜好の的であるところの酒に対しましては、これはあべこべに増税し、二百三十億もの税金をこれによつて賄うということを今回の改正で行なつております。これなども大変な矛盾でありまして、やはり大衆のためには或る程度の減税こそ必要であると思われるのであります。
 以上の点によりまして、我々民主党といたしましては反対の意を表するものであります。(拍手)
#114
○仮議長(黒田英雄君) 板野勝次君。
   〔板野勝次君登壇、拍手〕
#115
○板野勝次君 只今上程されておる各種の法案に対しまして共産党は反対であります。
 政府は口を開けば恰かも大道商人のごとく減税々々と宣伝これ努めておりますが、この語るに落ちたる減税宣伝こそ、この狙いは明らかであります。真の減税でありますならば、二言目には減税々々と、鼻に付くように言う必要はないのであります。
   〔仮議長退席、議長着席〕
 何故ならば、真の減税であるならば、声をからして叫ばなくても、默つておつても減税の事実を何人も認めるに違いないからであります。然るに聞きもしないのに、大蔵大臣も政府委員も減税の宣伝をしておるのであります。これは正しく羊頭を掲げて狗肉を売らんとする詐欺師のような根性を持つておるからでありまして、現内閣に(「詐欺師だ」と呼ぶ者あり)ふさわしいものであるからこそ頻りに減税を叫ぶのであります。只今上程されました諸法案につきましては、全面的に反対された論点、若しくは部分的に反対された論点によつて明らかにされましたごとく、又我が党は衆議院におきまして詳細に亘つてこれらの点について反対の論点を明らかにいたしておりますので、その重複しております部分は一切省きまして、反対の意思を表明して参りたいと思うのであります。
 これらの法案は、先程木村君も申しましたごとく、未だ審議中の多数の税関係法案と互いに関連し合つておるのであります。これは、かがり毬のごとき複雑な税体系を持つておりまして、これを切離して論議するわけには参らないのでありますが、このかがり毬のごときその複雑な税体系の中に何が潜められているか。現在よりも一層巧妙に、一層残酷に日本の人民大衆から收奪するのは勿論のこと、日本のまじめな民族資本家からさえも苛斂誅求できるように租税体系を整備し、これを強化して、植民地化を完成するように仕組まれているものであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)恰かお精巧な「くも」の巣のごときものであります。それは露骨な徳川專制の粗雑な網の目ではなくして、帝国主義的に近代化された巧妙なる網の目であります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)減税ならぬ減税とブルジヨア・ジヤーナリズムでさえ盛んに報道していることにおいても明らかであります。このような今回のいわゆる税制改革においては、一方におきまして、特定国の外国人の所得に対しましては五〇%の控除を実施しようとしております。このような差別待遇こそ正しく植民地的な特徴ではありませんか。なぜならば、外国人の所得は、帝石の例をとつて見ますと、外国人は四十万円、この四十万円は昨年九月のアメリカの工業労働者の平均給與の四倍であります。この帝石における日本人の所得は一万一千円、このような賃金における差別待遇に加えて、今又更に税金における差別待遇が実現しようとしているのであります。即ち日本の勤労者の一ケ月の基礎控除は僅か二千八十円、家族控除一千円でありまして、免税点以下の労働者が百五十万世帶もある。このように生きて行けない植民地的な低い賃金と相待ちまして、この重税が單なる重税ではなくして生死の瀬戸際における重税であることを示しております。疲れた「らくだ」は一本の藁によつても倒れると言う。支も日本の勤労者に対する所得税は、この勤労所得税に止まらず、国税たる勤労所得税に加えまして、地方税として世界に類例を見ない附加価値税、人頭税的な住民税が徴收されまして、三重に勤労者を搾り上げるのが今回のいわゆる税制改革の第一の特徴であります。
 第二の特徴は、農民、中小企業者にとつて、現在、税が重いか軽いかの問題ではなく、全く税金が納められず、政府が無慈悲に強行する差押、公売が全国的な現象となつておる。この強盗的略奪政策に対する人民の反抗は死の抗議となり、税務署の取巻く蓆旗となつて、全国的な現象となりつつあるにも拘わらず、又相当な大企業でありましても。たとえ法人税、有価証券移転税で税の負担を軽減されましても、固定資産税、附加価値税で全く身動きのとれないものになつているにも拘わりませず、税率を操作して、軽減するかのごとく見せかけて、実質的には増税せんとしている点であります。これは池田蔵相が言つたといわれる、お客の選り好みをする芸者は一流の芸者にはなれないという、無制限、無差別の外資導入の準備をし、芸者の置屋から遺り手の婆さんが勳章でも貰えるような言葉と併せ考えてみますと、日本の企業は、外国人の名義でも借り入れなければ、否応なしに倒産の憂き目を見なければならないことは必至であります。外国人の名義貸しという商売が成立する国とは、正に独立を失つた哀れな植民地の姿ではありませんか。中小企業にはこのような器用なことは当然できなければこそ、中小企業倒産お構いなしという一躍天下に有名となつたいわゆる池田放言が出て来たのであり、この放言こそは池田蔵相の口に借りた吉田内閣の売国奴根性にふさわしい放言ではありませんか(「その通り」と呼ぶ者あり)
 第三の特徴は、このような植民地的税制を押し進め、植民地を完成するために、国税犯則取締法を改善するかに見せかけて、これを改悪整備せんとしておることであります。この改悪は、例えば搜索、差押のときには錠前を壞すことはお構いなし、女子の身体搜査を特に明記することによつて改善と見せかけて、却つて婦人さえも丸裸かにして税金を巻き上げることを合法化し、野獣にも等しいフアツシヨ的な脅迫を加えようとしておるのであります。これはネロの残虐以上のことをやつたナチス・ドイツが、ポーランドのマイダネツク收容所にポーランド人の捕虜を入れて、そうして毒ガスをそれに入れて、死体の服を剥いで戰線に送つた残忍性にもひとしいのであります。算盤を彈いた残忍性は、今池田大蔵大臣は税金で死ぬ程困ることがあつたら俺の所に会いに来いと言いましたが、算盤勘定を彈く残忍性を合法化する国税犯則取締法改悪を用意しておる現内閣の捨て台詞にしか過ぎなかつたのであります。
 第四の特徴は、固定資産再評価を通じて独占物価の引上げ、賃金の圧迫、外国資本の進出が促進される点であります。企業の固定資産再評価を曾てのインフレ当時やらないで、深刻な恐慌の最中にこれを敢えてやるのは、これによつて恐慌を促進し、企業間の不均衡を拡大することによつて、ますます中小企業の倒壞を押し進め、外資の進出を促進する結果となることは必然であります。
 第五の特徴は、平衡交付金を通じて地方自治が骨抜きにされておる点であります。今回の税制改革によりますれば、いわゆる地方財政の確立により地方自治が強化されるがごとく装おいつつ、実は地方財政委員会が平衡交付金を利用しまして地方財政を握つておるが故に、地方自治は骨抜きにされておるのであります。この地方財政委員会に対する圧迫こそは、植民地的分割統治として展開される。このことは他の各種行政委員会の前例によりましても明らかであります。
 第六の特徴は、滔々たる恐慌輸入に対してこれを防止すべき関税が準備されていないことであります。これは関税自主権の喪失問題として、植民地状態の明確なる指標であります。
 以上要するに、いわゆる今回の税制改革は、これを通じて日本の恐慌が促進され、外国資本が救世主のごとく登場するための手段として形成されておるのであります。そうしてこれが二十五年度予算と結び付きますときに、日本の軍事的植民地化の挺子となるのであります。只今上程されております各種の法案はこの鎖の一部を構成するものでありまして、共産党は断乎反対するものであります。(拍手)
#116
○議長(佐藤尚武君) 天田勝正君。
   〔天田勝正君登壇、拍手〕
#117
○天田勝正君 日本社会党は本法律案に反対するものであります。すでにその根本的な理由につきましては、油井君或いは本村君等によりまして明らかにされておりますので、私はそれらの点には触れずして、極く簡單に申上げたいと存じます。
 先ず本所得税法の改正につきましては、少額所得者に極めて不利なる改正が行われ、高額所得者が優遇されるという点であります。それは五万円以上、或いは十二万円までにおきましては、極めて細かく区別ができまして、二十万円以上ということになりますれば、五十万円までは同様なる課税がされる。こういうことに相成つております。若しこれを二十万円以上の所得者に対しまして、十万円ずつの開きにいたすといたしますならば、百五十億円の減ということに相成るのであります。そこでこの一応の計算というものは、今回の改正でありまする百分の五十五という上の押えからいたしましての計算でありまして、若しこの改正が行われないという仮定に立ちまして、八六%まで課税できるという計算をいたしますならば、この百五十億は十分埋め合せできるのであります。従つて換言いたしますならば、この百五十億円というものは、いわゆる少額所得者の負担に帰するということに相成ると思うのであります。
 第二点は、退職所得の不合理の問題であります。現行法によりましても、退職所につきましては、その半額に課税するということになつております。にも拘わらず、本改正案におきましては十分の一・五の控除しか認めないという点でございます。この点につきましても我が党は到底同調し得ないのであります。
 第三点は、最後的に裁判になりました場合の挙証の責任でございます。これを具体的に申上げますならば、仮に申告者が十万円の所得ありと申告した場合に、税務官庁におきましては十五万円の所得あり、こう主張して、ここに争いができたといたしまして、その場合におきまして、その証拠が挙げる責任が納税者側にのみあると規定されているのであります。若し十万円の申告をした場合に、十五万円の所得があると官庁側で申しますならば、その十五万円でなければならないという理由を官側において挙げなければならないにも拘わらず、十五万円にあらざるという反対の理由を一方的に納税者に押し付けるという点に対して反対せざるを得ないのであります。
 第四点は、民主的法律と銘打ちながら、官庁側の不当に対しては何らの罰則を活することなしに、納税者に一方的に罰則を課しているという点であります。
 第五点は、青色申告によりまして、この改正は青色申告をいたしますれば極めて庇護されるという形をとつておりまするが、このことの如何に実際に当て嵌らないかということは各議員によつて指摘された点であります。即ち現在の農民の知識水準からいたしますならば到底この青色申告をなし得ないのでありまして、結果的に見ますならば、全人口の四割を占むる農民はこの青色申告の庇護を受くることができないという結果に相成るのであります。
 以上五点によりまして私は本案に反対の意を表するものであります。(拍手)
#118
○議長(佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。これより採決をいたします。
 先ず所得税法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案の表決は記名投票を以て行います。本案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上御投票を願います。氏名点呼を行います。議場の閉鎖を命じます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#119
○議長(佐藤尚武君) 投票漏れはございませんか……投票漏れないと認めます。これより開票いたします。投票を計算いたさせます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#120
○議長(佐藤尚武君) 投票の結果を御報告いたします。投票総数百五十六票、白色票即ち本案を可とするもの八十九票、(拍手)青色票即ち本案を否とするもの六十七票、よつて本案は可決せられました。(拍手)
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名      八十九名
      赤木 正雄君    阿竹齋次郎君
      飯田精太郎君    江熊 哲翁君
      河井 彌八君    木下 辰雄君
      來馬 琢道君    佐伯卯四郎君
      島村 軍次君    宿谷 榮一君
      新谷寅三郎君    高橋龍太郎君
      伊達源一郎君    田村 文吉君
      寺尾  博君    徳川 宗敬君
      西田 天香君    藤井 丙午君
      藤野 繁雄君    帆足  計君
      穗積眞六郎君    堀越 儀郎君
      町村 敬貴君    矢野 酉雄君
      山内 卓郎君    小川 友三君
      井上なつゑ君    宇都宮 登君
      岡元 義人君    小野  哲君
      小杉 イ子君    小宮山常吉君
      植竹 春彦君    中山 壽彦君
      鈴木 直人君    竹下 豐次君
      高瀬荘太郎君    高田  寛君
      川村 松助君    小林 英三君
      野田 俊作君    波多野林一君
      早川 愼一君    玉屋 喜章君
      水久保甚作君    一松 政二君
      松村眞一郎君    村上 義一君
      小野 光洋君    團  伊能君
      島津 忠彦君    池田宇右衞門君
      横尾  龍君    中川 以良君
      寺尾  豊君    大野木秀次郎君
      遠山 丙市君    加藤常太郎君
      城  義臣君    淺岡 信夫君
      堀末  治君    岡崎 真一君
      西川甚五郎君    大島 定吉君
      鈴木 安孝君    黒田 英雄君
      平沼彌太郎君    石坂 豊一君
      柴田 政次君    小杉 繁安君
      石原幹市郎君    今泉 政喜君
      松野 喜内君    黒川 武雄君
      佐々木鹿藏君    尾形六郎兵衞君
      藤井 新一君    深水 六郎君
      平岡 市三君    北村 一男君
      中川 幸平君    左藤 義詮君
      西山 龜七君    橋本萬右衞門君
      重宗 雄三君    廣瀬與兵衞君
      小串 清一君    山田 佐一君
      大隈 憲二君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名      六十七名
      小林 勝馬君    池田七郎兵衛君
      竹中 七郎君    油井賢太郎君
      深川榮左エ門君    木内キヤウ君
      深川タマヱ君    櫻内 辰郎君
      安達 良助君    小畑 哲夫君
      島田 千壽君    木内 四郎君
      國井 淳一君    田中 利勝君
      村尾 重雄君    塚本 重藏君
      岩木 哲夫君    大畠農夫雄君
      岩崎正三郎君    島   清君
      山田 節男君    淺井 一郎君
      岡田 宗司君    天田 勝正君
      吉川末次郎君    羽生 三七君
      内村 清次君    下條 恭兵君
      河野 正夫君    和田 博雄君
      山下 義信君    板野 勝次君
      細川 嘉六君    中野 重治君
      岩間 正男君    兼岩 傳一君
      鈴木 清一君    水橋 藤作君
      千葉  信君    木村禧八郎君
      堀  眞琴君    姫井 伊介君
      太田 敏兄君    金子 洋文君
      小泉 秀吉君    大野 幸一君
      千田  正君    藤田 芳雄君
      羽仁 五郎君    森下 政一君
      中平常太郎君    丹羽 五郎君
      川上  嘉君    佐々木良作君
      中村 正雄君    原  虎一君
      梅津 錦一君    若木 勝藏君
      三好  始君    三木 治朗君
      波多野 鼎君    木下 源吾君
      門田 定藏君    河崎 ナツ君
      駒井 藤平君    小川 久義君
      岩男 仁藏君
     ―――――・―――――
#121
○議長(佐藤尚武君) 次の法人税法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
#122
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。(拍手)
     ―――――・―――――
#123
○議長(佐藤尚武君) 次に相続税法案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
#124
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。(拍手)
     ―――――・―――――
#125
○議長(佐藤尚武君) 次の酒税法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
#126
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。(拍手)
     ―――――・―――――
#127
○議長(佐藤尚武君) 次の通行税法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
#128
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。(拍手)
     ―――――・―――――
#129
○議長(佐藤尚武君) 次の所得税法等の改正に伴う関係法令の整理に関する法律案、国税徴收法の一部を改正する法律案、国税犯則取締法の一部を改正する法律案、国税の延滯金等の特例に関する法律案、以上四案全部を問題に供します。四案に賛成の諸君の起立を求めます。(「議長、採決に異議あり」と呼ぶ者あり)
   〔起立者多数〕
#130
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。(拍手)
     ―――――・―――――
#131
○議長(佐藤尚武君) 次に災害被害者に対する租税の減免、徴收猶予等に関する法律の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。(「賛成」「反対」と呼ぶ者あり)
   〔起立者多数〕
#132
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。(拍手)
     ―――――・―――――
#133
○議長(佐藤尚武君) 次に輸出信用保險特別会計法案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
#134
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。(拍手)
     ―――――・―――――
#135
○議長(佐藤尚武君) この際、日程に追加して、不正競争防止法の一部を改正する法律案、輸出信用保險法案、(いずれも内閣提出、衆議院送付)、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#136
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。通商産業委員会理事廣瀬與兵衞君。
    ―――――――――――――
   〔廣瀬與兵衞君登壇、拍手〕
#137
○廣瀬與兵衞君 只今議題となりました不正競争防止法の一部を改正する法律案について、通商産業委員会における審議の経過並びに結果の御報告を申上げます。
 本案の提案の趣旨及び内容について申上げますと、もともと現行不正競争防止法は工業所有権保護同盟條約のヘーグ改正條約に加入する準備として昭和九年に制定せられたものでありまして、條約の規定する最小限度の義務を規定したのみで、必ずしも万全のものとは称し難いものがありました。そのため我が国の事業者中には、個人的利益を追求する余り、ややもすれば法の不備に乘じて不公正な方法に敢えて訴える者が二三に止まらず、そのために国内的にも国際的には数多の問題を起し、我が国全般の信用を損なつたことも少くなかつたのであります。その最も常套的な手段は、他人の氏名、商標等を類似したものを殊更に使つて、商品の誤認、混同を狙つたり、原産地表示を詐称したり、或いは他人の信用を毀損したりする点にありました。今日貿易の振興を図る上には、事業者の公正健全な活動を保証し、国際的信用を高めることが何よりも必要となつている際、この弊風を改めるために今回現状に即した改正を実施しようとするものであります。
 改正の要点を申上げますと、本案第一條に列挙しております他人の氏名、商号等の詐称、他人の営業上の施設又は活動と混同を生ぜしむる行為、虚僞の原産地の表示並びに他人の信用を毀損する行為等、これらの不正競争行為に対して、第一に、被害者はその行為の差止請求ができること、第二に、故意又は過失によつてなされたとき、被害者は損害賠償を請求することができること、第三に、不正競争行為に対して罰則規定を広汎に設けたこと等が主要な点でありますが、特に原産地等について虚僞の印象を與えるような表示を重視し、且つ海外市場における信用を確保するために輸出の面をも加えましたことが重要な改正であります。併しながら結論的に申せば、本案は單に一部改正でなく、むしろ全面的に新らしくなつたと言えるのであります。本委員会におきましては、本案につき愼重に審議を重ね、各委員から種々熱心なる質疑がありましたが、その多くは法文の解釈如何にかかるものでありますから、ここに一々申述べることは省略させて頂きまして、詳細は速記録に讓りたいと存じます。かくて質疑を終了いたし、討論採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。以上御報告申上げます。(拍手)
 次に輸出信用保險法案につきまして本委員会の審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
 本法案は先に第六臨時国会で審議未了となりましたが、新たな構想により修正を加えまして、再提出となつたものであります。御承知の通り海外取引は国際情勢の変化に従つて大きな危險を伴うものでありまして、例えば相手国の為替や輸入の制限及び禁止、相手国の戰争や内乱などという、單に信用状などでは担保できない各種のいわゆる非常危險があります。よつてかかる不安、特に貿易金融などの不安を除去して輸出を活溌にするために、現在において極めて必要な措置として本法案の再提出となつたわけであります。而して新法案におきましては、特に輸出契約の成立後は船積み前でも直ちに保險に加入して危險に対する救済を受け得ることといたしまして、旧法案よりもカバーする範囲を拡大するものでございます。
 さて本法案は、通常の保險では救済できない危險を保險会社が保險し、それを政府が再保險する制度でありまして、今その骨子を申上げますと、即ち一、輸出業者が蒙むる特定の損失を各保險会社が損害保險の形で補填する。二、この場合、輸出貨物の代金を保險価額とするが、その保險金額は右価額の八割を限度とする。三、一方において政府は会計年度ごとに各保險会社が引受ける輸出信用保險をそのまま再保險する。四、独立採算制をとつたこと。即ち保險会社の支拂う再保險の料率は、政府の支拂う再保險金及び政府の事務費を併せ償うように政令で定める。五、政府は取引上の危險が大きいとき及びその他の理由で保險金額を制限し又は再保險の引受をしないことがある。六、政府の支拂う再保險金の総額は国会で議決した金額の範囲である。七、損失を填補すべき事由即ち危險の範囲を五項目に亘つて規定している。八、保險会社よりの不服の申立について規定している。九、本法案に関する政令案の立案その他の重要事項に関する諮問機関として、通産省内に同大臣を会長とし、九名の委員による輸出信用保險審議会を設置する。尚、本法案の実施に関して別途審議中の通り特に輸出信用保險特別会計を設置し、その回転基金として昭和二十四年度において一般会計より五億円、次年度においては前年度剰余金の外に新たに五億円をそれぞれ繰入れます。又必要に応じて更に五億円を限度として一時借入が可能であります。以上が本法案の骨子でございます。
 本委員会におきましては、政府提出の資料その他に基きまして愼重審議いたしましたが、詳細は速記録に讓ることといたしまして、質疑の主なるものは次の通りであります。一、貿易趨勢より見たる本制度の有効性の再検討、二、危險率及び料率を初め、独立採算制についての計数的な質問、三、危險の範囲について特にバイヤーの破産やその長期に亘る支拂遅延などが除去される理由、四、航路変更その他による危險の規定を要せぬ理由、五、保險の対象物を手形から輸出契約に変更した理由、六、審議会の構成メンバーの予想、七、本制度の将来の強化発展の方途というような質問がございまして、政府側からそれぞれ答弁がありました。以上によつて質疑を終り、討論採決の結果、全会一致を以て可決すべきものと決定いたしました。以上御報告申上げます。(拍手)
#138
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。
 先ず不正競争防止法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
#139
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#140
○議長(佐藤尚武君) 次に輸出信用保險法案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
#141
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
 議事の都合により暫時休憩いたします。
   午後九時二十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後十時三十一分開議
#142
○議長(佐藤尚武君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。
 この際、日程第二十二より第四十二までの請願及び日程第四十三及び第四十四の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#143
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。電気通信委員会理事小林勝馬君。
    ―――――――――――――
   〔小林勝馬君登壇、拍手〕
   〔「簡單々々」と呼ぶ者あり〕
#144
○小林勝馬君 只今議題となりました請願及び陳情について、電気通信委員会の審査経過並びに結果について御報告申上げます。
 先ず宮城県湯ノ原、二井宿両局間に單独電話線架設の請願、福島県須賀川局、岩瀬郡西部町村直通電話架設に関する請願、岩手県衣川村に電話架設の請願、出雲掛合両局間に電話回線架設の請願及び鹿兒島県伊崎田地区に電話架設の請願の願意としますところは、いずれも近距離でありながら設備が不十分であつたり、線路が迂回しているため、通信の円滑を欠き不便であるから、速かに適当な措置を講ぜられたいとの趣旨であります。
 次に郡山電報局独立に関する請願及び郡山電話局独立に関する請願の願意としますところは、先般の機構改革により電報電話局と一局にされたが、電信回線も拡充され、電話業務も相当の量を有しているから、従前通りこれを電報局と電話局とにされたいとの趣旨であります。
 次に、東京、郡山両局間直通電話回線の設置復活に関する請願の願意としますところは、所要時間が戰前の三、四倍を要するため利便を欠いているから、速かに東京郡山直通回線を復活せられたいとの趣旨であります。
 次に、郡山福島両市間の電話即時通話制度実施に関する請願の願意としますところは、両市は極めて近距離にあるに拘わらず、その待合せ時間が非常に長く、常に不便を感じているから、この間に即時通話制度を実施せられたいとの趣旨であります。
 次に、有田局の電話交換方式変更に関する請願、白河電信電話局の電話交換方式変更に関する請願及び富山県滑川町電報電話局の電話交換方式変更に関する請願の願意としますところは、いずれも電話利用に支障を来たしているから、地方文化の発達と産業興隆のため、この方式を変更されたいとの趣旨であります。
 次に郡山電気通信管理所建物新築促進に関する請願の願意としますところは、現在使用中の庁舎は持主から明渡しを迫られているから、速かに新庁舎の建築に着手せられたいとの趣旨であります。
 次に大阪の電信従業員宿舎改善及び増設に関する請願の願意としますところは、従業員の多くは地方出身者であつて寮又は住宅を必要とするが、現在の施設は全く住むに堪え難い状態であるから、速かにこれが改善及び増設を図られたいとの趣旨であります。
 次に、宮崎、都城両市間に電話地下ケーブル線敷設の請願の願意としますところは、本県は毎年来襲する台風の通路に当るので、架空線の現状では被害が甚だしいから、速かにケーブルを地下に敷設せられたいとの趣旨であります。
 次に豪積雪地方に電話施設普及拡充の請願の願意としますところは、豪雪地方における一本の電話は部落の交通及び遭難防止に益することが多い。然るに現状は寒心に堪えないから、豪雪地方に対する施設の拡充について適当な処置をとられたいとの趣旨であります。
 次に郡山、猪苗代両局間直通電話回線設置に関する請願の願意としますところは、現在は会津若松を中継するため不便甚だしいから、両地間の直接回線を新設せられたいとの趣旨であります。
 次に郡山放送局の放送設備拡張に関する請願の願意としますところは、現状では全県下に聽取せしめることができないから、その設備を十キロ以上に拡張せられたいとの趣旨であります。
 次に靜岡県芳川局電話を浜松局電話に変更の請願の願意としますところは、浜松局加入の者若干名あるが、それでは不十分であるから、全部を浜松局電話に変更せられたいとの趣旨であります。
 次に日本電話設備株式会社の業務接收による従業員引継條件の請願の願意としますところは、今回その業務が政府へ移管されることになつたが、身分その他の引継條件が明確でないから、速かに明示されたいとの趣旨であります。
 次に尾鷲漁業無線電話局に無線電信周波数増設の請願の願意としますところは、現在許可されている無線電話では通信連絡上支障が大であるから、周波数の割当を増されたいとの趣旨であります。
 次に、札幌、帶広両市間の電話回線増設に関する陳情は、現状では不便甚だしいから、現在の倍以上に回線を増設せられたいとの趣旨であります。
 次に函館電報局庁舎建設促進に関する陳情は、郵便局と同居のため支障を来たしているから、新庁舎の建設計画の実現を図られたいとの趣旨であります。
 委員会は以上の請願及び陳情につきまして愼重審議の結果、いずれも願意を妥当なものと認めて、これを採択し、議院の会議に付し、且つ内閣に送付すべきものと全会一致を以て決定した次第であります。
 以上御報告申上げます。
#145
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔総員起立〕
#146
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。
 本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後十時三十八分散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した事件
 一、仮議長の選挙
 一、日程第一 千八百九十年七月五日ブラツセルで署名された関税表刊行のための国際連合の設立に関する條約、関税表刊行のための国際事務局を設立する條約の実施規則及び署名調書を修正する議定書を承認することについて承認を求めるの件
 一、日程第二 政府職員の新給與実施に関する法律の一部を改正する法律案
 一、日程第三 社会保險審議会、社会保險医療協議会、社会保險審査官及び社会保險審査会の設置に関する法律案
 一、日程第四 有価証券移転税法を廃止する法律案
 一、日程第五 米国対日援助物資等処理特別会計法案
 一、日程第六 解散団体財産收入金特別会計法案
 一、日程第七 国庫出納金等端数計算法案
 一、日程第八 肥料配給公団令の一部を改正する法律案
 一、日程第九 油糧配給公団法の一部を改正する法律案
 一、日程第十 食糧管理法の一部を改正する法律案
 一、日程第十一 松くい虫等その他の森林病害虫の駆除予防に関する法律案
 一、日程第十二 学校教育法の一部を改正する法律案
 一、日程第十三 国立学校設置法の一部を改正する法律案
 一、日程第十四 図書館法案
 一、日程第十五 中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案
 一、日程第十七 運輸省設置法等の一部を改正する法律案
 一、日程第十八 特別調達庁設置法の一部を改正する法律案
 一、日程第十九 連合国軍人等住宅公社法案
 一、日程第二十 地方税法の一部を改正する等の法律案
 一、日程第二十一 昭和二十二年度一般会計歳入歳出決算、昭和二十二年度特別会計歳入歳出決算
 一、食糧問題に関する緊急質問
 一、国家公務員法の一部を改正する法律案
 一、臨時物資需給調整法等の一部を改正する法律案
 一、外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案
 一、日程第十六 新聞出版用紙の割当に関する法律の一部を改正する法律案
 一、所得税法の一部を改正する法律案
 一、法人税法の一部を改正する法律案
 一、相続税法案
 一、酒税法の一部を改正する法律案
 一、通行税法の一部を改正する法律案
 一、所得税法等の改正に伴う関係法令の整理に関する法律案
 一、国税徴收法の一部を改正する法律案
 一、国税犯則取締法の一部を改正する法律案
 一、国税の延滯金等の特例に関する法律案
 一、災害被害者に対する租税の減免、徴收猶予等に関する法律の一部を改正する法律案
 一、輸出信用保險特別会計法案
 一、不正競争防止法の一部を改正する法律案
 一、輸出信用保險法案
 一、日程第二十二乃至第四十二の請願
 一、日程第四十三及び第四十四の陳情
ソース: 国立国会図書館
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