くにさくロゴ
1979/03/05 第91回国会 参議院 参議院会議録情報 第091回国会 本会議 第6号
姉妹サイト
 
1979/03/05 第91回国会 参議院

参議院会議録情報 第091回国会 本会議 第6号

#1
第091回国会 本会議 第6号
昭和五十五年三月五日(水曜日)
   午後一時三分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第六号
  昭和五十五年三月五日
   午後一時開議
 第一 日本国とポーランド人民共和国との間の
  通商及び航海に関する条約の締結について承
  認を求めるの件
 第二 日本国政府とフィンランド共和国政府と
  の間の文化協定の締結について承認を求める
  の件
 第三 所得に対する租税及びある種の他の租税
  に関する二重課税の回避のための日本国とド
  イツ連邦共和国との間の協定を修正補足する
  議定書の締結について承認を求めるの件
 第四 千九百七十四年の海上における人命の安
  全のための国際条約の締結について承認を求
  めるの件
 第五 千九百七十四年の海上における人命の安
  全のための国際条約に関する千九百七十八年
  の議定書の締結について承認を求めるの件
 第六 特に水鳥の生息地として国際的に重要な
  湿地に関する条約の締結について承認を求め
  るの件
 第七 南極のあざらしの保存に関する条約の締
  結について承認を求めるの件
 第八 地方交付税法の一部を改正する法律の一
  部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
  付)
 第九 預貯金の利子引上げに関する請願
 第一〇 地方財政危機打開に関する請願(三
  件)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 一、裁判官訴追委員辞任の件
 一、裁判官訴追委員の選挙
 一、日程第一より第一〇まで
 一、所得税法の一部を改正する法律案及び租税
  特別措置法の一部を改正する法律案(閣法第
  一二号)(趣旨説明)
     ―――――・―――――
#3
○議長(安井謙君) これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 加瀬完君から病気のため二十日間請暇の申し出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(安井謙君) 御異議ないと認めます。よって、許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#5
○議長(安井謙君) この際、お諮りいたします。
 安孫子藤吉君から裁判官訴追委員を辞任いたしたいとの申し出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(安井謙君) 御異議ないと認めます。よって、許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#7
○議長(安井謙君) つきましては、この際、裁判官訴追委員一名の選挙を行います。
#8
○野呂田芳成君 裁判官訴追委員の選挙は、その手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。
#9
○片岡勝治君 私は、ただいまの野呂田君の動議に賛成いたします。
#10
○議長(安井謙君) 野呂田君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○議長(安井謙君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、裁判官訴追委員に片山正英君を指名いたします。
     ―――――・―――――
#12
○議長(安井謙君) 日程第一 日本国とポーランド人民共和国との間の通商及び航海に関する条約の締結について承認を求めるの件
 日程第二 日本国政府とフィンランド共和国政府との間の文化協定の締結について承認を求めるの件
 日程第三 所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税の回避のための日本国とドイツ連邦共和国との間の協定を修正補足する議定書の締結について承認を求めるの件
 日程第四 千九百七十四年の海上における人命の安全のための国際条約の締結について承認を求めるの件
 日程第五 千九百七十四年の海上における人命の安全のための国際条約に関する千九百七十八年の議定書の締結について承認を求めるの件
 日程第六 特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約の締結について承認を求めるの件
 日程第七 南極のあざらしの保存に関する条約の締結について承認を求めるの件
 以上七件を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。外務委員長石破二朗君。
   〔石破二朗君登壇、拍手〕
#13
○石破二朗君 ただいま議題となりました条約七件につきまして、外務委員会における審議の経過と結果を御報告いたします。
 まず、ポーランドとの通商航海条約は、わが国とポーランドとの間で、通商及び航海に関する広範な事項について相互に内国民待遇、最恵国待遇を供与すること、両国間の貿易の発展及び経済関係の強化のために協力すること等を規定したものであります。
 次に、フィンランドとの文化協定は、戦後わが国が諸外国と締結した文化協定とほぼ同様の内容のものでありまして、わが国とフィンランドとの間で文化及び教育の各分野における交流を奨励すること等を定めたものであります。
 次に、西独との租税協定の修正補足議定書は、近年西独が行った税制改正に伴い、一定の場合の配当に対する制限税率を引き下げる等、現行協定に所要の修正を加えるものであります。
 次に、一九七四年の海上人命安全条約は、現行の一九六〇年の海上人命安全条約にかわるべきものでありまして、現行条約作成以来の技術進歩を考慮し、船舶の構造、設備、積み荷等に関する安全措置の規制を強化したものであります。
 次に、海上人命安全条約に関する一九七八年の議定書は、一九七四年に新条約が採択された後の技術進歩を考慮に入れ、船舶の検査の強化、タンカーの安全性の強化等、一九七四年の条約に対する修正、追加の規定を定めたものであります。
 次に、特に水鳥の生息地として重要な湿地に関する条約は、各締約国が、その領域内にある湿地を指定するとともに、その保全及び適正利用を図り、湿地に生息する動植物、特に水鳥の保護を促進すること等を定めたものであります。
 最後に、南極のあざらしの保存に関する条約は、締約国の国民または船舶が、この条約の規制措置に従う場合を除くほか、南極のアザラシを殺さず、または捕獲しないこと等を定めたものであります。
 これらの条約は、いずれも第八十七回国会において本院で承認されましたが、衆議院で審査未了となり、さらに第八十八回国会においても審査未了となったものであります。
 昨四日、質疑、討論を行うことなく直ちに採決の結果、ポーランドとの通商航海条約、フィンランドとの文化協定、一九七四年の海上人命安全条約、海上人命安全条約に関する一九七八年の議定書、特に水鳥の生息地として重要な湿地に関する条約、及び、南極のあざらしの保存に関する条約の六件はいずれも全会一致をもって、また、西独との租税協定の修正補足議定書は多数をもって、それぞれ承認すべきものと決定いたしました。
 以上御報告いたします。(拍手)
#14
○議長(安井謙君) これより採決をいたします。
 まず、日本国とポーランド人民共和国との間の通商及び航海に関する条約の締結について承認を求めるの件、日本国政府とフィンランド共和国政府との間の文化協定の締結について承認を求めるの件、千九百七十四年の海上における人命の安全のための国際条約の締結について承認を求めるの件、千九百七十四年の海上における人命の安全のための国際条約に関する千九百七十八年の議定書の締結について承認を求めるの件、特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約の締結について承認を求めるの件並びに南極のあざらしの保存に関する条約の締結について承認を求めるの件を一括して採決いたします。
 六件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#15
○議長(安井謙君) 総員起立と認めます。よって、六件は全会一致をもって承認することに決しました。
     ─────・─────
#16
○議長(安井謙君) 次に、所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税の回避のための日本国とドイツ連邦共和国との間の協定を修正補足する議定書の締結について承認を求めるの件の採決をいたします。
 本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#17
○議長(安井謙君) 過半数と認めます。よって、本件は承認することに決しました。
     ─────・─────
#18
○議長(安井謙君) 日程第八 地方交付税法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長後藤正夫君。
   〔後藤正夫君登壇、拍手〕
#19
○後藤正夫君 ただいま議題となりました法律案について、委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。
 本法律案は、昭和五十四年度補正予算において、所得税、法人税、酒税の増収に伴う地方交付税の増額及び過年度地方交付税の精算額の繰り入れにより、昭和五十四年度地方交付税の総額が六千三百九十二億円追加されたことに対する措置として、同年度の普通交付税の調整額の復活に要する額を控除した六千百九十七億円の額を限度に、追加額を翌年度に繰り越し、昭和五十五年度分の地方交付税の総額に加算して交付することができるようにしようとするものであります。
 委員会におきましては、地方財政の健全化対策、交付税繰り越し措置の妥当性、地方財政収支試算をめぐる問題等について熱心な質疑が行われましたが、その詳細は会議録により御承知願います。
 質疑を終わり、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して佐藤委員より反対、自由民主党・自由国民会議を代表して金丸委員より賛成、公明党を代表して阿部委員より反対、日本共産党を代表して神谷委員より反対の意見がそれぞれ述べられ、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告いたします。(拍手)
#20
○議長(安井謙君) これより採決をいたします。
 表決は記名投票をもって行います。本案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#21
○議長(安井謙君) 投票漏れはございませんか。――投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#22
○議長(安井謙君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#23
○議長(安井謙君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百票
  白色票           百十票
  青色票           九十票
 よって、本案は可決されました。(拍手)
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名      百十名
      青井 政美君    浅野  拡君
      伊江 朝雄君    岩動 道行君
      石破 二朗君    石本  茂君
      糸山英太郎君    稲嶺 一郎君
      岩上 二郎君    岩崎 純三君
      上田  稔君    上原 正吉君
      植木 光教君    衛藤征士郎君
      遠藤  要君    遠藤 政夫君
      小澤 太郎君    大石 武一君
      大島 友治君    大鷹 淑子君
      大谷藤之助君    岡田  広君
      長田 裕二君    加藤 武徳君
      梶木 又三君    片山 正英君
      金井 元彦君    金丸 三郎君
      上條 勝久君    亀長 友義君
      河本嘉久蔵君    木村 睦男君
      北  修二君    久次米健太郎君
      楠  正俊君    熊谷太三郎君
      熊谷  弘君    源田  実君
      小林 国司君    古賀雷四郎君
      後藤 正夫君    郡  祐一君
      佐々木 満君    斎藤栄三郎君
      坂元 親男君    山東 昭子君
      志村 愛子君    嶋崎  均君
      下条進一郎君    新谷寅三郎君
      鈴木 正一君    世耕 政隆君
      田代由紀男君    田原 武雄君
      高橋 圭三君    高橋 誉冨君
      高平 公友君    竹内  潔君
      玉置 和郎君    塚田十一郎君
      土屋 義彦君    寺下 岩蔵君
      戸塚 進也君    徳永 正利君
      内藤誉三郎君    中西 一郎君
      中村 啓一君    中村 太郎君
      中村 禎二君    中山 太郎君
      永野 嚴雄君    夏目 忠雄君
      鍋島 直紹君    成相 善十君
      西村 尚治君    野呂田芳成君
      長谷 川信君    秦野  章君
      初村滝一郎君    鳩山威一郎君
      林  寛子君    林  ゆう君
      原 文兵衛君    桧垣徳太郎君
      福岡日出麿君    福島 茂夫君
      藤井 裕久君    藤田 正明君
      降矢 敬義君    降矢 敬雄君
      細川 護煕君    堀内 俊夫君
      堀江 正夫君    真鍋 賢二君
      増岡 康治君    町村 金五君
      丸茂 重貞君    三浦 八水君
      宮田  輝君    最上  進君
      望月 邦夫君    森下  泰君
      八木 一郎君    安田 隆明君
      山崎 竜男君    山内 一郎君
      山本 富雄君    吉田  実君
      柿澤 弘治君    森田 重郎君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名      九十名
      阿具根 登君    青木 薪次君
      赤桐  操君    茜ケ久保重光君
      穐山  篤君    小野  明君
      大木 正吾君    大塚  喬君
      大森  昭君    片岡 勝治君
      勝又 武一君    川村 清一君
      栗原 俊夫君    小谷  守君
      小柳  勇君    小山 一平君
      佐藤 三吾君    坂倉 藤吾君
      志苫  裕君    瀬谷 英行君
      高杉 廸忠君    竹田 四郎君
      寺田 熊雄君    戸叶  武君
      野口 忠夫君    浜本 万三君
      広田 幸一君    福間 知之君
      藤田  進君    松前 達郎君
      丸谷 金保君    宮之原貞光君
      村沢  牧君    村田 秀三君
      山崎  昇君    吉田忠三郎君
      吉田 正雄君    阿部 憲一君
      和泉 照雄君    内田 善利君
      柏原 ヤス君    上林繁次郎君
      黒柳  明君    桑名 義治君
      小平 芳平君    塩出 啓典君
      渋谷 邦彦君    白木義一郎君
      田代富士男君    多田 省吾君
      中尾 辰義君    中野  明君
      二宮 文造君    馬場  富君
      原田  立君    三木 忠雄君
      峯山 昭範君    矢追 秀彦君
      矢原 秀男君    渡部 通子君
      市川 正一君    上田耕一郎君
      小笠原貞子君    河田 賢治君
      沓脱タケ子君    小巻 敏雄君
      佐藤 昭夫君    下田 京子君
      立木  洋君    内藤  功君
      橋本  敦君    宮本 顕治君
      山中 郁子君    渡辺  武君
      井上  計君    木島 則夫君
      栗林 卓司君    三治 重信君
      中村 利次君    藤井 恒男君
      有田 一寿君    江田 五月君
      秦   豊君    前島英三郎君
      円山 雅也君    青島 幸男君
      市川 房枝君    下村  泰君
      山田  勇君    秋山 長造君
     ―――――・―――――

#24
○議長(安井謙君) 大蔵委員長及び地方行政委員長から報告書が提出されました日程第九及び第一〇の請願を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
#25
○議長(安井謙君) これらの請願は、両委員長の報告を省略して、両委員会決定のとおり採択することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○議長(安井謙君) 御異議ないと認めます。
     ―――――・―――――
#27
○議長(安井謙君) この際、日程に追加して、
 所得税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案(閣法第一二号)について、発議者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#28
○議長(安井謙君) 御異議ないと認めます。竹下大蔵大臣。
   〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(竹下登君) 所得税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 初めに、所得税法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。
 所得税につきましては、税負担の公平確保の見地から、利子配当所得等について総合課税へ移行するための所要の措置を講ずるとともに、現下の財政事情、所得税負担の実情等にかんがみ、高額な収入部分に適用される給与所得控除の控除率を引き下げるほか、所要の改正を行うことといたしております。
 まず第一に、利子配当所得等につきましては、昭和五十九年から総合課税へ移行することとし、そのための措置として少額貯蓄等利用者カード制度を設けることといたしております。
 すなわち、郵便貯金、少額預金の利子所得等の非課税制度の公正な運営と利子所得、配当所得等の適正な課税の確保等に資するため、少額貯蓄等利用者カードによる少額預金の利子所得等の非課税限度額の確認制度を設ける等所要の措置を講じております。少額貯蓄等利用者カードは、郵便貯金、少額預金の利子所得等の非課税制度を利用しようとする者の申請に基づいて交付することといたしております。
 なお、少額貯蓄等利用者カード制度については、国民の理解と慣熟を得る必要があること、また、国税当局、金融機関等の対応体制を整えるための準備期間を要すること等にかんがみ、本法律案において所要の措置を講ずることといたしております。
 第二に、給与所得控除について、給与収入一千万円超の部分に適用される控除率を現行の一〇%から五%に引き下げることとするほか、所要の改正を行うことといたしております。
    ―――――――――――――
 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。
 租税特別措置につきましては、最近における社会経済情勢と現下の厳しい財政事情に顧み、税負担の公平確保の見地から企業関係租税特別措置等について大幅な整理合理化を行うほか、土地税制について、主として大都市における住宅地の供給等の実情に顧み、その基本的枠組みを維持しつつ所要の改正を行うことといたしております。
 すなわち、第一に、企業関係の租税特別措置につきましては、適用期限にかかわらず全面的な見直しを行うこととし、まず政策目的の意義の薄れたものや政策効果の期待できなくなったもの等を重点として、十項目を廃止することといたしております。
 また、存続する項目につきましては、中小企業対策、農林漁業対策、資源エネルギー対策及び科学技術の振興等に配慮しつつ一律に縮減することを基本とし、技術等海外取引に係る所得の特別控除制度については収入金額に係る控除率及び所得金額に係る控除限度額を二割引き下げ、特定設備等の特別償却制度については償却割合を二割から五割引き下げるとともに、証券取引責任準備金等については積立率を五割引き下げるなど、所得控除制度、特別償却制度及び準備金制度の大半にわたりその大幅な縮減合理化を行うことといたしております。
 さらに、登録免許税の税率軽減措置等について、企業関係の租税特別措置の場合と同様大幅な縮減合理化を行うことといたしております。
 第二に、土地、住宅対策に資するための措置であります。
 まず、短期譲渡所得の課税の特例について、その適用期限の定めを廃止することといたしております。次に、長期譲渡所得の課税の特例について、円滑な宅地の供給と土地の有効利用を推進する等のため、昭和五十五年一月一日から、譲渡益のうち現行二千万円まで二〇%となっている比例税率部分を四千万円まで引き上げるとともに、四千万円を超え八千万円までの部分については二分の一総合課税とすることとし、八千万円を超える部分については現行の四分の三総合課税方式を維持することとした上、その適用期限の定めを廃止することといたしております。
 また、優良宅地等のための長期譲渡所得の課税の特例について、実情に即しその適用対象の要件を緩和するほか、既成市街地等内に中高層耐火共同住宅を建設するための買いかえ等の場合の譲渡の課税の特例を創設する等の措置を講ずることといたしております。
 さらに、住宅取得控除について、良質な住宅への住みかえによる居住水準の向上に資するために、その適用対象に一定の既存住宅を取得した場合を加える等所要の措置を講ずることといたしております。
 第三に、少額公債の利子の非課税制度、試験研究費の額が増加した場合の特別税額控除等期限の到来する特別措置について、実情に応じ適用期限を延長する等所要の改正を行うことといたしております。
 以上、所得税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第でございます。(拍手)
#30
○議長(安井謙君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。丸谷金保君。
   〔丸谷金保君登壇、拍手〕
#31
○丸谷金保君 ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、日本社会党を代表し、総理並びに関係大臣に対し質問をいたします。
 九日間に及ぶ予算修正をめぐっての国会の審議中断は、政府・自民党が小出しの修正金額をちらつかせ、積極的な事態解決への熱意に欠けていたことと、大平総理が打開策について何らのリーダーシップをとらなかったことによるものであり、はなはだ遺憾に存ずる次第であります。
 幸いに、わが党並びに公明、民社両党の結束によって、老人福祉を初め、雇用、物価、文教、中小企業等にいささか修正の実が上がりましたが、本日提案された所得及び租税特別措置両法案については、わが党が年来主張してきた三千七百億の調整減税が行われず、あるいは不公平税制の是正においてもきわめて不十分と言わねばなりません。
 加えて、昨日、NHKテレビニュースは、五百億の物価対策費について、たとえば野菜の値上がり対策としてすでに予算で三十億を措置しているごとく関係省庁で物価対策についてはそれぞれ予算措置をしているのであるから、何に使ったらよいか、その取り扱いに困っていると報道をしております。しかも、その報道が行政をつかさどる側からの見解として流されていることはまことに言語道断であり、その責任を厳しく追及するものであります。
 農林水産大臣、あなたは、安いと定評のある農林水産省地下売店での大根や白菜の高い値段、北海道の農民が値崩れを防ぐために泣きの涙で畑に捨てているタマネギさえもそこでは百円に小玉三個という実態を知っておりますか。五百億ぐらい各省庁が消化できないというなら、全部農林水産省が引き受けて、安い野菜や魚、肉を提供願いたい。農林水産大臣、いかがですか、引き受けなさい。
 それにしても、行政庁がいまからNHKニュースのような考え方をしているとすれば、せっかくの共同修正要求に対する自民党の回答が誠意をもって実行されるかどうか、はなはだ疑問であります。
 大蔵大臣、あなたは、回答どおり金融機関の週休二日制に責任を持ちますか。
 労働大臣、あなたは、昨年五月本院において私が取り上げた中高年齢者雇用開発給付金の不用額を消化し、さらに各種雇用対策事業を積極的に推進する自信がおありですか。
 環境庁長官、環境アセスメント法案を、財界の圧力によって骨抜きされることなく、しっかりしたものを今国会に提案するお覚悟がございますか。
 そして、大平総理、あなたは、行財政改革について、昨年二月五日の衆議院予算委員会での答弁のごとく、「役人の方が強い」というようなことは間違っても言わないと言明できますか。
 それぞれ総理並びに各大臣の所信を伺いたい。
 昨年も政府はサマーレビューなどと耳新しい言葉を弄し、外見的にはさも既定経費の精査、節減に向けて真剣に取り組んでいるような体裁をとりつつも、結果として編成された本年度予算は、総理の政治理念である「安価な政府」という言葉にはほど遠いものがあります。もっとも、総理の言う安上がりの政府とは、たとえば約十一兆円にも上る薬づけ、検査づけの医療費を洗い直すことでなく、約一兆円の老人医療無料化制度の見直しという福祉切り捨てであるならば、お年寄りは困るのであります。総理の見解を承りたい。
 次に、利子配当課税について大蔵大臣にお伺いいたします。
 今回、少額貯蓄等利用者カード、いわゆるグリーンカードの導入により、五十九年から利子配当所得の総合課税化の方針が示され、その間の三年は、利子、配当、割引債の源泉分離や各種利子課税制度などが単純延長されるということであります。しかし、現行制度をそのまま延長することには問題があり、少なくとも現在の三五%の利子配当源泉分離の課税率を四〇%に引き上げることや、各種利子非課税の枠を貯蓄実態に合わせて見直すべきであります。また、この制度は、国民向けには総合課税化の姿勢を示しつつ、実態的、具体的事象を政令にゆだね、すべて行政ベースで進めようとしておることは、国民背番号制度にまでつながりかねない危険性を含んでおります。かかる制度を採用するよりは、特別措置を廃止して総合課税を行い、少額貯蓄非課税制度を見直していくことがむしろ実態に即していると思われるが、いかがですか。
 次に、土地税制。
 三大都市圏の宅地供給促進という立場からも、現行の土地等に係る長期譲渡所得課税を緩和することとしておりますが、このような税制の緩和化が土地供給を促進するか否かについては、建設、大蔵両省で見解が大きく食い違ったと聞いております。われわれも、今回の改正は、税の不公平を拡大するだけで、宅地の供給そのことにはつながらないと思いますが、いかがですか。
 次に、給与所得控除率の手直しを予定しておりますが、依然として控除の頭打ちが実現しておりません。大企業の社長の平均給料が月百五十万円と報道されると、翌日直ちに、飲み食いは交際費、給料は家へ届ける風刺漫画が新聞に掲載されているように、高い給料の人ほど会社の交際費が自由に使え、逆に必要経費の支出が少なくて済むということは、世間周知の常識でもあります。給与所得控除の頭打ち制度を復活し、交際費課税を強化すべきだと考えるが、いかがですか。
 次に、法人税。
 政府は財政再建のため法人税の税率アップを計画いたしましたが、財界の圧力で見送らざるを得なかったと聞いております。しかも、表の理由は、法人税の自然増収とあわせ、税に占める法人税額が諸外国に比べて多いということが言われています。しかし、とれには、欧米諸国に比べ会社の数が非常に多いという見落としがあります。零細な個人企業までが、だんなさんが社長、奥さんが専務、息子さんが常務、息子の嫁さんが重役というような家族会社に衣がえをしている実態は、会社組織にすれば税金が安くなるところより来る現行税制に対するささやかな庶民の抵抗であります。それくらいですから、大企業になればなるほど個人の所得税に比べきわめて有利な立場にあることは明らかであります。法人税に緩やかな累進課税制度を導入することを考えてはいかがでしょうか。
 また、今回、政府は、現存する企業関係の特別措置八十二項目中、十項目を廃止し、四十六項目を縮減しているので、一応の見直しは終わったと評しているようでありますが、経過措置で救済したり、政策目標からいって存続意義のない特別措置が残っており、特に私どもが再三要求してきた支払い配当軽減制度、受取配当益金不算入制度等の廃止については、法人の基本的仕組みにかかわるという理由でその廃止要請を拒絶しております。改めて納得のできるような具体的根拠を明らかにされたい。
 また、法人税法施行令の改正で退職給与引当金制度の縮減が図られることとなっておりますが、企業の従業員に対する社会的責任を求めるという立場から、企業内で簡単に資金流用のできる退職給与の積み立てについては、外部拠出することを企業に義務づけ、外部拠出分のみを非課税とするように法の整備をする必要があると考えますが、いかがですか。
 最後に、さきの衆議院予算委員会で、大蔵大臣は、「一般消費税を五十六年度に導入する環境にない」と明言したと聞いております。それが事実であれば、その場合の一般消費税とは、税調の提示した試案だけのものを指すのか、福祉財源として広く消費一般に負担を求めるという、財政当局が新たな角度から検討しているいわゆる消費税を含めてのことか、明らかにされたい。
 そして、財政再建について、単に国債依存度の低下による収支改善でなく、約三兆円と試算されるわが党の五十五年度税制改正に向けての提言のごとく、増収効果をもとにして高度成長型の財政体質を改め、新しい社会経済環境に即応した制度と構造をつくっていくことこそが肝要であると考えるが、総理並びに大蔵大臣に御見解を承り、以上私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(大平正芳君) 最初の御質問は、社公民三党による昭和五十五年度予算案の修正をどのように受けとめ、これに対してどう対応するつもりかという御質問でございました。
 政府としては、現に御審議をいただいておる五十五年度予算が最善のものと考えております。野党各党の御意見を初め各方面の御意見を参酌して苦心編成した予算案でございますので、各党の御理解をいただけるよう念願いたしておるところでございます。
 しかしながら、御指摘のように、社公民三党から修正の要求がございました。これに対して自民党の回答を文書で三党にお示しした経緯は、政府としても十分承知いたしております。
 このような経緯を踏まえまして、政府としても、福祉政策、雇用政策、金融機関の週休二日制、環境アセスメント、行政改革、補助金の整理合理化等、自民党の回答内容につきまして、今後、誠意をもって検討を進め、適切に対処してまいりたいと考えております。
 なお、物価対策につきましては、五十五年度予算におきまして十分配慮をいたしておるところでございますが、今回の経緯にかんがみ、物価対策にさらに万全を期するため、物価の動向等に十分注意しながら、必要に応じて適切に対処していく所存であります。
 第二の御質問は、来年度の予算は依然として増分主義で、放漫かつ非効率な財政運営になるのではないか、安価な政府という観点から五十五年度予算案をどう評価しておるかという意味の御質問でありました。
 御案内のように、五十五年度予算案の編成に当たりましては、公債の発行額を一兆円減額することとし、経費の節減を図りまして、予算規模を最近二十年間で最低の伸び率に抑えたわけでございます。
 また、行政の簡素効率化を進めるために、特殊法人の統廃合、補助金等の整理合理化等を含む行政改革計画を策定いたしまして、これを年次的に実行いたしてまいることにいたしておるわけでございます。
 その中におきましても、社会経済情勢の推移に応じまして緊急と思われる施策につきましては重点的、効率的に予算の配分に努めたわけでございまして、増分主義に堕して放漫非効率に終わっておるという御批判は当たらないと考えております。
 医療費のむだを見直すことなしに、老人医療費の切り捨てにつながるのではないかという御質問でございました。
 仰せのように、増高しつつありまする医療費の効率化を図ることは、今後の医療制度の運営にとりまして最も重要な課題であることは申すまでもございません。これは、行政機関、診療側、受診側がそれぞれの努力を積み重ねまして改善を図っていかなければならない課題であると考えておりますが、老人保健医療制度につきましては、それだけにとどまりませんで、本格的な高齢化社会の到来に備えまして、健康な老後を保障し、老人医療費の負担の公平を図る等の見地から制度の基本が見直されなければならないのではないかと考えておりますが、これは老人医療費の切り捨てを意味するものではなくて、むしろその充実を図る見地から必要であると考えておりますることは、御理解を賜りたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(竹下登君) 私に対するお尋ねは十問ございます。
 まず、予算修正の物価対策費の使途の問題であります。
 物価対策につきまして、社公民三党から修正要求がありまして、これに対して、自民党が、今後の物価動向に細心の注意を払い、事態の進展に即応して適切な対策を講ずる旨の回答を示した経過については、御承知のとおりであります。
 五十五年度予算につきましては物価対策関係経費四兆三千億円余を計上しているところでございますが、今回の経緯にかんがみ、物価対策にさらに万全を期するため、物価動向等に十分注意を払いながら、必要に応じ適切にこれに対処していくという考え方であります。
 それから次は金融機関の週休二日制の問題であります。
 金融機関の週休二日制につきましては、昨年六月二十日に出されました金融制度調査会の答申、あるいは六月一日の衆議院大蔵委員会の決議におきまして、十分な国民的コンセンサスの成立、郵便局、農協等との関連、関係法令の整備等の諸条件の整備が必要であるとされておるところでありますので、その努力を進めてきているところであります。
 今回の予算修正の経緯を踏まえまして、政府としても回答内容について今後誠意をもって検討を進めてまいりたいと考えております。
 次が補助金の整理合理化、いわゆるサマーレビュー等の問題であります。
 補助金等の整理合理化につきましては、昨年十二月二十九日、昭和五十五年度を初年度とする整理合理化計画を閣議決定いたしております。この計画にのっとり積極的に推進していきつつあるところであります。
 なお、過日の自民党の社公民三党への回答の中で、補助金等の整理合理化についてサマーレビューを行うこととするとされておることは、十分承知いたしております。その趣旨を踏まえて、さらに整理合理化の成果が上がるよう真剣な努力をいたす所存であります。
 次が利子配当課税について総合課税への移行問題についてであります。
 源泉分離選択税率を引き上げる場合には、現行の体制のもとにおきましては、課税貯蓄が非課税貯蓄に逃避いたしましたり、また仮名取引の増加を招来する結果となるなど、かえって不公平を生ずるおそれが強いという指摘もございますので、少額貯蓄等利用者カード制度による本人確認と名寄せの体制の整備が可能となる昭和五十八年十二月末までは現行制度を維持するということが適当であるというふうに考えております。
 次がいわゆるグリーンカードに対する御批判であります。
 利子配当所得等につきまして公平かつ実効的な総合課税を行うためには、非課税貯蓄及び課税貯蓄の双方を通じた統一的かつ簡易に本人確認が行えるような、また、的確かつ効率的な名寄せが可能となるような方策として少額貯蓄等利用者カード制度の採用を提案しているところであります。
 同制度は、このように利子所得、配当所得等の適正な課税の確保等に資するために設けるものでありまして、少額貯蓄の非課税制度の利用者の申請に基づいてこれは交付するものでございます。したがって、国民総背番号制度とは根本的に異なっておると御理解をいただきたいと思うわけであります。
 次が土地税制の問題であります。
 今回の土地税制の改正案は、現行制度の基本的な枠組みは維持しながら、そして三大都市圏、なかんずく首都圏における市街地の地価の水準、宅地供給の実態を考慮して、円滑な宅地の供給と土地の有効利用を推進するため、土地の長期譲渡所得課税について所要の見直しを行うこととしたものでございますので、大都市圏における宅地供給に望ましい効果が出ることを期待しておると、こういうお答えをいたします。
 次が給与所得制度等の問題であります。
 現行の給与所得控除は、給与収入の増加に応じて逓減的に控除額が増加する仕組みがとられておるところでありますが、これは勤務に伴う費用が収入の増加に応じて何がしか増加するという事実及び給与所得とその他の所得との負担の調整を図ることを考慮して設けたものでありまして、税制調査会の答申でも指摘されておりますとおり、このような仕組みは今後とも維持すべきものと考えております。
 したがって、今回の所得税法の改正案におきましては、控除率の頭打ちを復活するという考え方をとることなくして、控除率が逓減する上記の仕組みの考え方をさらに徹底するため、給与収入千万円超の控除率を現行一〇%から五%に引き下げることといたしたわけであります。
 次が交際費課税の問題であります。
 交際費課税につきましては、五十四年度において一層の課税の強化を行ったところであります。したがって、交際費課税をさらに強化すべきであるとの御意見につきましては、今後、交際費の支出状況等を見ながら課税のあり方について検討いたしたいと考えております。
 次が法人税に緩やかな累進税率を導入せよという御指摘であります。
 自然人については所得再配分や所得の効用逓減の見地から累進課税を行うことが妥当とされておりますが、法人についてはこのような考え方をとることはできませんので、法人税について累進税率を導入することはなじまないと御理解願いたいと思います。また、法人税について仮に累進税率を採用した場合には、税負担軽減のための会社分割などを招くおそれもあるというふうに考えます。
 支払い配当軽課、受取配当益金不算入の問題であります。
 配当軽課制度及び受取配当の益金不算入制度は、二重課税調整のための仕組みでありまして、諸外国においても、方式や程度の相違はございますが、何らかの調整措置が講ぜられておるところであります。したがって、これらの制度を大企業優遇税制と考えることは適当ではないではなかろうかということは、税制調査会の答申にも指摘されておるとおりであります。
 なお、これらの制度を含めた法人税の基本的仕組みのあり方につきましては、税制調査会としても昨年秋以来審議を行っておるところでありますが、この問題については、企業の資金調達の形態、個人投資家の金融資産選択、企業間の税負担のバランス等に及ぼす影響や効果、諸外国の動向を含めて検討することが必要でありますので、今後さらに掘り下げて検討を行ってまいりたいと考えております。
 次が退職給与引当制度の問題であります。
 退職給与引当金を含む引当金制度は、法人の課税所得を合理的に計算するために設けられておるものでありまして、いわゆる政策税制というものとは異なるものであります。税制上もこれを存置すべき事由があるものと考えております。
 退職給与引当金については、最近における企業の雇用の実態等を反映して、勤労者の平均予定在職年数が長期化していること等を勘案いたしまして、五十五年度において累積限度額を期末退職給与の要支給額の五〇%から四〇%に引き下げることとしたところであります。
 次がいわゆる一般消費税(仮称)の問題であります。
 昭和五十六年度におきましては、歳出歳入両面を通じ幅広い角度から財政再建の具体的方策を検討する必要がありますことは、言うまでもありません。
 その場合、政府が昭和五十五年度に導入するための具体的方策として検討し準備をしてきたいわゆる一般消費税(仮称)につきましては、昨年十二月二十一日の本院における財政再建に関する決議が行われており、あのままの形での新税を提案できる環境ではないというふうに考えております。
 しかし、いわゆる一般消費税(仮称)というような特定の仕組みに限定するのではなく、先ほども御意見としてございましたが、消費支出一般に着目するという意味での一般的な消費税を今後一切否定するということは、税体系上もきわめて問題が大きいと考えられます。財政再建のための歳入構造の健全化の必要性について国民の御理解が得られるよう今後とも十分努力をいたしてまいりたいと思います。
 いずれにしても、今後各方面の御意見を伺いながら、歳出歳入を通じ幅広い観点から財政再建の進め方について検討してまいりたいと、このように考えております。
 そうして、今度は、高度成長型経済構造、経済政策、そういうものを改めろという認識でございます。
 これは私どもも共通する認識も確かにございます。が、中長期にわたってエネルギー制約への対応、高齢化社会への移行というような大きな課題を抱えておりまして、財政についても今後このような経済社会の要請に的確にこたえていくことが期待されております。
 しかしながら、財政が大量の公債に依存するという異常な状況におきましては、財政に期待されてもその役割りを果たし得ないばかりでなく、さらに経済にインフレ要因を持ち込むということもあります。経済そのものの安定を阻害するという意味からも、いわゆる公債依存度を減すという一つの方法、そうしたわが国経済の安定的な発展を達成するための財政の再建、これは緊急の課題であるというふうに認識いたしておるところであります。
 以上でお答えを終わります。(拍手)
   〔国務大臣武藤嘉文君登壇、拍手〕
#34
○国務大臣(武藤嘉文君) 丸谷先生にお答えをいたします。
 先生も御承知いただいていると思いますが、昨年末来の白菜、あるいはキャベツ、大根、こういった野菜の高騰は、昨年の十月に台風が二回も来るというような二十四年ぶりの台風の襲来、あるいは三十四年ぶりの長雨、こういうものが原因で、とにかく品物が大体六割ぐらいしかないというところに大きな原因があったと思います。しかし、私どもは、それでは天候だけにその理由を転嫁しておってはいけないということで、この間うち、野菜の緊急対策ということで約五億二千万円の予算をかけて、現在、春物の早取り、あるいは契約キャベツの放出、こういったようなことにいま全力を挙げておるわけでございます。おかげさまで最近は少しずつ値段が下がりつつあるわけでございます。
 私どもは、しかし、いま御激励をいただいたと思いまして、五十五年度の予算には総理からも御答弁がございましたように十分手当てをしておるつもりでございますけれども、なお一層いまのお言葉を御激励として受けとめさせていただいて、今後生鮮食料品を初め食料品全般の価格安定のために一生懸命努力をさしていただきます。(拍手)
   〔国務大臣藤波孝生君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(藤波孝生君) 昨年の五月に、当参議院の本会議におきまして、丸谷議員から、中高年齢者の雇用対策につきまして種々御指摘をいただきました。中高年齢者関係の給付金といたしましては、御高承のように、中高年齢者雇用開発給付金、定年延長奨励金、継続雇用奨励金などがありますが、このうち、中高年齢者雇用開発給付金と継続雇用奨励金につきましては、五十三年度などでもいずれも実績が予算をかなり上回っているという実績をおさめたのでありますが、定年延長奨励金の方は、五十三年度の予算で見る限りは、思うように利用はされずにきておったのでございます。
 定年延長奨励金の利用が進まなかった理由はいろいろありますけれども、特に厳しい雇用情勢のもとで定年延長を実施することが非常に困難であったということが大きな理由であったと思います。このために、この奨励金につきましては五十四年度において支給対象となる労働者の範囲の拡大、支給額の大幅な引き上げを行い、さらに五十五年度におきましても支給額の引き上げを予定いたしておりまして、また、来るべき高齢化社会に備えて、鉄鋼とか私鉄とかの非常に大きな業界におきまして定年延長が進んでいるというような実態にございますので、さらに制度の活用が進むものと考えておるところでございます。
 また、中高年齢者の雇用開発給付金につきましても、五十四年六月に制度の大幅な拡充を行うなど制度の改善に努めておるところでございまして、その実績も順調に上がってきております。
 今後とも、中高年齢者関係の給付金につきましては、制度の改善とあわせましてさらに周知徹底も努力をして図りまして、さらに積極的な運用を進めるように懸命の努力を進めてまいりたいと考えております。
 なお、今般、与野党間のいろいろな話し合いの中で、さらに一層雇用対策に力を入れるようにというふうな御指摘がございました。その御趣旨を踏まえまして、誠意をもって今後とも対処してまいりたいと、このように決意をいたしておるところでございます。(拍手)
   〔国務大臣土屋義彦君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(土屋義彦君) お答え申し上げます。
 環境影響評価法の制定は時代の要請でございまして、昨年の四月十日に中央公害対策審議会からも答申をいただいております。その答申の趣旨に沿って法制度化いたすべく、現在、自由民主党の政務調査会等、政府部内におきまして鋭意検討がなされております。私といたしましては、一日も早く国会に提出いたすべく最大限の努力をいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#37
○議長(安井謙君) 白木義一郎君。
   〔白木義一郎君登壇、拍手〕
#38
○白木義一郎君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案について、総理大臣並びに関係大臣に若干の質問をいたします。
   〔議長退席、副議長着席〕
 まず第一に、総理は、施政方針演説におきまして、「公債に対する過剰依存の体質を改め、八〇年代に向けてその対応力を回復するため、昭和五十五年度の予算編成において、公債発行額を前年度に比べ一兆円減額し、歳入面においては、新規の増税を避け、企業関係の租税特別措置の整理などにより必要な財源を確保することとし、財政再建の第一歩を踏み出したところであります。」と言われました。
 それを受けて大蔵省が提出した六十年度に特別公債依存度をゼロにするという財政収支試算では、五十五年度の税収二十六兆四千百億円が、六十年度では五十八兆七百億円と見込まれております。国民所得は、五十四年度から六十年度までの年平均名目伸び率は二%程度と見込まれてはおりますが、国民所得に対する地方税を含む租税負担率は、五十五年の二一・八%より六十年二六・五%程度に増加すると見込まれております。
 この税収負担の増加を政府は八〇年代に向けて何をもって満たそうとする考えなのか、まず最初にお伺いをしておきます。
 一方では、総理みずから、今年は財政再建の第一歩として新規の増税を避けたと言っており、一方では増税を前提とした財政収支試算を提出するという矛盾を犯しており、国民は納得できないのであります。国会における財政再建に関する決議、政府の閣議決定、たびたびの国会における発言、これらはすべて一般消費税を否定しておりますが、本当に白紙還元したのか、その穴埋めは一体何によろうとしているのか、今後も増税の場合の重要な選択肢として残しているのか、大蔵大臣にお伺いをいたしたい。
 第二に、総理は、いまアメリカで問題になっておりますいわゆる税金革命なるものを御承知でしょうか。
 一九七八年六月、カリフォルニア州の住民は、財産税の大幅削減と今後の増税を制限するプロポジション十三号という提案に圧倒的多数で賛成票を投じました。これによりましてカリフォルニア州政府は平均五七%の財産税の減税を余儀なくされたものでありまして、全世界のニュースとなった事件であります。これはもともと財産税の減税に端を発したものでありますが、低所得層に対する社会保障の拡充などの陰で税の重荷に押しつぶされた中産階級の反乱だと言われております。中流意識階層が九割以上を占めているわが国の場合も、国民の多数は、歳出減と負担の減か、歳出増と負担の増か、どちらを望んでいるのか、国民の声を真剣に聞くよう耳を傾けるべきであります。
 総理並びに大蔵大臣は、この事件に対する感想と、わが国国民はどれを選択すると感じているか、お伺いをしておきたい。
 また、総理府ではいろいろな世論調査を行っておりますが、このような角度から改めて世論調査を行う考えはおありかどうか、お伺いをしたいのであります。
 第三に、財政再建の前提となる不公平税制の是正についてであります。
 総理は、五十五年度を財政再建元年と言われておりますが、本年度の税制改正を見てみますと、どこまで本気で行おうとしているのか、疑問を抱かざるを得ないのであります。
 わが党は、財政再建のため、不公平是正の具体的な内容として、大企業の法人税を二%引き上げる、給与所得控除の適用所得限度額を八百五十万円とする、利子配当所得の総合課税を昭和五十七年一月一日より実施する、有価証券取引税の税率を二倍にするなどを強く主張してまいりました。
 ところが、政府の税制改正案では、給与所得控除など若干の手直しがされた程度で、ほとんど前進が認められないのであります。財政再建については国民的合意が必要なことはいまさら言うまでもなく、総理もよく御承知のことと思います。しかし、本年度のように不公平税制の改革に本気で取り組まない政府では、国民は全く信頼できず、国民的合意などできようはずがありません。財政再建を真に実施する決意があるのなら、まず不公平税制を根本的に改革すべきであると思いますが、総理の所信を伺いたい。
 第四に、国民生活を守るための減税について伺いたい。
 いま、国民は、物価急騰の中であすへの不安に駆られております。米、麦、郵便、国鉄運賃など、政府予算関連の値上げだけでも国民一世帯の負担増は年間二万二千円となり、電気、ガス料金を加えると七万数千円の負担増となるのであります。さらに、昨年よりの卸売物価の高騰が一月には年率換算二八・三%と続騰しており、これが消費者物価へはね返るのは時間の問題であり、国民生活はますます苦しくなるばかりであります。さらに、二月における東京二十三区部の消費者物価上昇率は昨年に比してついに七・六%となり、三月十日より七%となる一年定期預金利息よりも上回る物価値上がりとなっております。
 これからの物価動向から考えると、今後の物価見通しは非常に厳しく、政府目標の消費者物価上昇率六・四%の達成などは全くおぼつかないのではないかと思われます。
 また、三年越しでの所得税減税がないため、物価上昇による名目所得の上昇などによる納税人口の増加が給与所得者で二百万人も増加しているのであります。本年も減税がなければ、物価動向からして所得の低い人たちへの負担がますます厳しくなることは明らかであります。インフレ、物価高から国民生活を守るため、物価の動向を勘案しながら、少なくとも本年度中に物価調整減税をすべきだと思いますが、総理の考えをお伺いしたい。
 次に、いわゆるパートで働いている主婦たちの非課税限度額は現行七十万円であります。ところが、物価上昇による名目所得額がふえ、パート収入も年間では七十万円を超えるケースがほとんどになっております。年収七十万円を超えると、御主人の扶養家族の対象から除外されるなど、不都合なことが多くなるために、年収七十万円近くになるとパートに行かなくなる主婦がふえているようであります。ここ数年の物価上昇による名目所得の増加から見ても、また、貴重な婦人労働力を確保するためにも、所得税の給与所得控除の最低保障額を七十万円にし、パート収入者等の非課税額を九十万円にすべきだと思いますが、総理大臣の所見を伺いたいのであります。
 さらに、年金受給者の課税軽減を図るために、老年者年金特別控除額の引き上げと、対象年齢を六十五歳から六十歳に引き下げるべきだと思いますが、大蔵大臣の考えをお聞きしたい。
 いずれにしろ、インフレ、物価高は低所得者の生活に対してより厳しく影響いたします。いまこそ、政府は、物価の安定に全力を尽くすとともに、所得の低い人々に対しきめ細かい施策を施すことを強く要望して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#39
○国務大臣(大平正芳君) 白木さんの最初の御質問は、財政収支試算で予測される税収増は何によって満たすつもりかという御質問でございます。
 今回、政府が国会に提出いたしまして吟味をいただいておりまする財政収支試算というのは、いろいろな前提を置いた文字どおりの試算でございます。租税負担率は確かに昭和六十年度二六・五%という数字を一応前提にいたしましてはじいた試算でございまして、この試算というのは、この中から財政再建のやり方、税制の進め方等の参考になるもの、思想をくみ上げたいという考え方をもってつくった参考資料にすぎません。各年度の税収の見込み額をここで示すとか、歳出各項目にわたりましてこれをお約束するとか、そういう性質のものでないことは、白木さんも御承知願っていることと思うのでございます。われわれはこういうものを参考にしながら年々の財政運営を考えていかなければならぬわけでございまして、今後の経済の推移を総合的に見ながら、税制のあり方、財政再建の進め方等につきまして、従来の検討を踏まえた上で鋭意検討を進めながら年々歳々の予算を編成してまいりたいと考えておるわけでございまして、結論として申しますけれども、収支試算はあくまでも試算でございまして、税収の見込みを示したものでもなければ支出の見込みを示したものでもないというように御理解をいただきたいと思います。
 それから第二は、カリフォルニア州におけるプロポジション十三号についてどう考えるか、あるいはこれに関連して、高負担高福祉でいくのか、低負担低福祉でいくのか、政府はどう考えるのかという意味の御質問でございました。
 プロポジション十三号につきましては、あらましは承知いたしておりまして、これは政府の国民に対するサービス、それから国民の政府に対する納税というものとの関連について考えなければならぬ問題をたくさん含んでおる事件であると考えております。しかしながら、政府は、高福祉は高負担でなければならぬとも考えておりませんし、低負担によって低福祉を実現しようとも考えておりませんで、今日の財政を歳入歳出両面にわたりましてできるだけ合理化に努めまして、充実した福祉をこの中から生み出していきたいということを考えておると御承知を願いたいと思います。
 それから不公平税制の是正についてどう考えておるかという御質問でございました。
 不公平税制の議論を始めるに当たりましては、やっぱり不公平税制というものをどういうものと考えるかという考え方が固まらなければ議論にならぬわけでございますが、特定の政策目的のために公平を原則とする租税原則を曲げてまいる特別措置を不公平税制と言うのでございますならば、今日、五十一年度以来鋭意とってまいりました不公平税制の是正措置によりまして、われわれはこの不公平税制の整理は一段落したのではないかと考えておるわけでございます。これは税制調査会もそのように評価いたしておるわけでございます。
 今年も、利子配当課税の総合課税化への所要の措置を講ずる、企業関係の租税特別措置についても廃止または一律に大幅の縮減をいたしたというようなことは、白木さんも御承知のとおりでございます。
 しかし、税制につきましては、あくまでも公平の原則を貫くということはいつも不断に忘れてはならない原則であると心得ておるわけでございまして、今後とも政府は一層努力をしてまいるつもりでございますけれども、現行税制の中で特定政策目的のためのいわゆる不公平税制というようなものは相当の整理がついたというように私は見ておりますことを御理解いただきたいと思います。
 それから物価調整減税を行うつもりはないかということでございます。
 財政再建につきましては、従来からたびたび申し上げておりますように、歳入歳出両面からその手だてを検討してまいらなければならぬと考えておるわけでございます。したがって、歳入歳出とも広い視野に立ってこれから各方面で意見を聞きながら進めてまいるつもりでございます。
 しからば、その過程におきまして物価調整減税というようなものを考える余地はないかということでございますが、この点につきましてもたびたび政府が国会に御答弁申し上げておりますとおり、わが国の所得税の負担水準は国際的に見ましても相当低くなっておりますことは御理解いただいておると思いますが、また、課税最低限も主要諸国の中でフランスと並びまして一番高い水準にあるわけでございまするし、また、有業人口に占める所得税の納税人員の割合は諸外国に比較いたしまして一番低くなっております。
 したがって、こういう点から見まして、所得税について物価調整減税を含めて減税を行うというようなことは私は適当でないと考えております。
 自余の点につきましては、大蔵大臣からお答えします。(拍手)
   〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
#40
○国務大臣(竹下登君) お答えいたします。
 まず最初は、一般消費税の問題でございますが、これにつきましては、昭和五十六年度においては歳出歳入両面を通じ幅広い角度から財政再建の基本的方策を検討する必要があることはもとよりのことであります。
 その場合に、政府が昭和五十五年度に導入するための諸準備を行わんとしておったいわゆる一般消費税(仮称)につきましては、昨年十二月二十一日の本院における財政再建に関する決議が行われておるところでございますので、あのままの形での新税を提案できる環境にはない、このように考えております。
 しかしながら、しつこくいわゆる一般消費税(仮称)と言っておりますのは、特定の仕組みに限定するのではなく、消費支出一般に着目するという意味での一般的な消費税、あるいはこれを幅広く消費支出に着目する間接税とでも申しましょうか、これを今後一切否定するということは、税体系上きわめて問題が多いところであると、これはかねて主張いたしておるところであります。したがいまして、財政再建のための歳入構造の健全化の必要性について国民の御理解が得られるよう今後とも十分に努力をしていかなければならないと思います。
 いずれにいたしましても、今後各方面の御意見を伺いながら、歳出歳入を通じ幅広い観点から財政再建の進め方について検討してまいりたい、このように考えております。
 それからプロポジション十三号の点でございます。
 白木議員御指摘のこの問題でありますが、税金革命とでも言われる問題でありますが、私もその実態は知っております。
 財政の公債依存体質を改善して財政の対応力を図るととが急務となっておりますが、今後財政再建を進めるに当たっての具体的手だてとしては、結局は負担と受益との関連で考えるほかなく、いま総理からも総理の考えをお述べになりましたが、三つに仮にこれを分けて、一つ、公共サービスの維持充実を目指すために負担の増加をお願いするのか、二番目、負担の増加を回避するために公共サービスの水準の低下に甘んじていただくのか、三番目、あるいは両者の組み合わせによって対処するのかといった選択肢の中で国民の判断を待つということにまあ窮屈に言えばなろうかと思うのであります。
 しかし、政府といたしましては、この点については、それこそ広く各界各層の御意見を伺いながら、まさに国会の論議等を聞かせていただきながら、幅広い角度から十分検討して財政再建に当たっていかなければならぬ、このように考えておるところであります。
 次が、給与所得控除の問題でございます。奥さんがパートにお出かけになる場合等の状況についての御意見を交えての御質問でありました。
 わが国の所得税の負担水準は、総理も申しましたように、国際的に見て、課税最低限は高く、そして負担は低く、そして有業人口に占める納税人口の割合はこれまた低い、こういう姿になっておりますので、いま五十万円を引き上げることにつきましては、給与所得控除が給与所得に対する概算経費控除である性格にかんがみましてこれはぎりぎりの水準であると思いますので、これを引き上げるということはできないとお答えせざるを得ません。
 さて、そこで、給与所得控除の控除率の適用される百五十万、三百万、六百万、千万という枠組みを変更する前提のもとであると仮定いたしますと、これは三千万人を超す給与所得者全体に減税の効果を及ぼすということになりますので、いま財政再建が急務となっておるわが国の財政状況からは、その角度からもいまできることではないというふうに思います。
 次が、老年者年金特別控除の問題と、老年者年金特別控除の年齢の問題と、両方からの御指摘であったと理解いたします。
 老年者年金など公的年金につきましては、老年者年金特別控除など税制上種々の配慮を行っております。公的年金だけしか所得のない老年者夫婦の場合には御存じのとおりその収入金額を二百十九万円、配偶者が老人控除対象配偶者であった場合には二百二十九万円、それ以下であれば所得税は課税されないことになっておりまして、この上さらに老年者年金特別控除額を引き上げるということは適当ではないのではなかろうかというふうに思うところでございます。
 それから年齢の問題でございますが、現在この適用年齢は六十五歳でございます。仮にこれを六十歳ということの御主張といたしますならば、老人福祉対策の基本となる老人福祉法の適用年齢や国民一般の年金である国民年金、農業者年金の支給年齢と一致しているこの六十五歳が、したがいまして、その体系からも整合性を欠くのではないかというふうに御理解をいただきたいと思います。
 そうして、六十歳から六十四歳の年金受給者の所得税の課税最低限は百十三万六千円でございますが、この年齢の者が受け取る厚生年金の平均的年金額は約百万円でございます。全体として七五%以上が現行の課税最低限でカバーされておるということも御理解を賜りたいと思うところであります。
 最後に、世論調査の問題は総務長官からお答えがございますが、これまで同様世論調査等の結果を見て国民の声を十分に理解して当たりたい、このように考えます。(拍手)
   〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕
#41
○国務大臣(小渕恵三君) お答えいたします。
 税に関する世論調査につきましては、総理府といたしましてはおおむね原則として三年に一遍実施をいたしております。最近では昨年の八月に行っておりますので、当面考えておらないところでございますが、しかし、税務当局から特にということで御要請がありますれば検討いたしてまいりたいと存じております。(拍手)
    ―――――――――――――
#42
○副議長(秋山長造君) 橋本敦君。
   〔橋本敦君登壇、拍手〕
#43
○橋本敦君 私は、日本共産党を代表して、所得税法及び租税特別措置法の一部改正案につき、総理並びに大蔵大臣に質問いたします。
 政府は、来年度を財政再建元年と称しています。しかし、果たしてそうなるのか。来年度予算の内容を見ると、国民にとっては、公共料金、物価の値上げ、福祉の後退、重税と、文字どおりの三重苦予算、そしてこの国民犠牲の上で依然として財界本位の従来どおりの政策を進めるものであります。これでは、財政再建元年どころか、財政危機を一層深めることは明らかであります。
 現に、その破綻はすでに深刻な物価問題となってあらわれ、インフレの危機はいまや重大局面に突入しているのであります。卸売物価は、この一月、前年同月比で一九・三%、消費者物価も、ついに東京都区部で二月の前年同月比七・六%も急騰しました。この上さらにガス、電気を初め公共料金の軒並み大幅引き上げを行うならどうなりますか。それは狂乱物価再発の引き金となることは火を見るより明らかではありませんか。これを避けるためには、まずもって公共料金の値上げはこの際思い切ってすべて凍結すべきであります。そうしなくても、総理、あなたは国民に約束した消費者物価上昇率を六・四%以内に抑え込み得るといまでも断言できますか、明確な答弁を求めます。
 さらに、今後の経済動向を見ると、重税と物価高は当然国民の購買力を低下させ、金利引き上げも企業活動の低滞を招くなど、不況とインフレの同時進行といういわゆるスタグフレーションの深みに落ち込むことが予想されます。政府はこのような事態について深刻に認識をしているのかどうか、政府の経済見通しはいかがですか。
 かかる物価高と不況のもとでは、最悪の大衆課税と言われる一般消費税の導入は絶対に許されないものであります。しかも、これは、さきの総選挙において厳しい国民の批判を受けたものであり、それにもかかわらずいまだに形を変えてでもその導入を検討しようとする政府の姿勢は、選挙で示された国民の意思を乱暴に踏みにじる以外の何物でもありません。そしてまた、不況や物価高のもとでは無理だとする政府のこれまでの見解からしても導入は不可能なはずであります。この際、五十六年度以降の一般消費税の導入は行わないといま言明すべきでありますが、改めて総理の見解を求めます。
 次に、不公平税制の是正について伺います。
 国民生活を守りながら当面の深刻な財政危機を打開するためには、不公平税制の徹底的是正こそまさに当面の急務であります。そして今日、史上最高と言われる利益を上げ、内部留保も大きくふやしている大企業への税制を抜本的に見直す必要があります。
 政府の今回の改正は、是正の名のもとに中小企業向けの措置を整理する反面、大蔵省も当初は廃止の方針をとっていた航空機の特別償却、電力の渇水準備金等、こういった措置を若干手直ししただけで存続させたばかりか、大規模経済協力合弁事業に対する海外投資損失準備金制度などを創設して大企業に対する新たな優遇措置の拡大さえ図っているのであります。これでは、まことに不十分どころか、竜頭蛇尾のそしりを免れません。政策的優遇税制の見直しは今後ともさらに徹底すべきだと思いますが、総理の見解を求めます。
 特に、わが国の大企業が先進諸外国に比べて低い法人税率となっていることは政府税調も指摘したところであり、大蔵省も税制改正決定の直前まではこの引き上げを口にしていたではありませんか。これはどうなったのです。政府は財界の圧力に屈したのですか。財政再建を進めるためには、大企業の莫大な利益に対する会社臨時特別税の課税や大企業の法人税率の引き上げを直ちに断行すべきであります。
 同時に、ここ三年来の減税見送りによって事実上の大増税となっている所得税についても減税を行うべきは当然だと思いますが、政府の所見を伺います。
 さて、また、税務行政も大企業には甘く、庶民には大変厳しい不公正なものとなっているのではありませんか。
 大規模な乱脈経理と政界工作の疑惑が明らかになったKDD事件に関連して伺いますが、航空機疑獄事件の例を見ても、日商岩井等大商社の脱税が相次いで明らかになり、果たして税務当局は大企業に対し厳格な調査を行っているのかと国民は深い疑問を抱いているのであります。
 最近の国税調査によっても、大企業四千二百社の使途不明金は、五十三事務年度において、何と過去最高の三百三十六億九千五百万円にも上っております。言うまでもありませんが、使途不明金なるものは、一つは脱税の温床ともなり、一つは政界工作や不当な企業活動の資金源ともされてきました。そして、いま、KDDの経理の乱脈ぶりはまことに目を覆うばかりであります。
 この際、税務当局は、KDDの使途不明金は五十年度以降どれくらいあるのかを明らかにするとともに、KDDに対し査察も含めて徹底的に再調査すべきは当然だと思いますが、どうですか、政府の決意を伺いたいのであります。
 さらに、KDDのような特殊法人に対して会計検査院の検査が及ばないなどということはとうてい国民が納得できるものではありません。会計検査院法及びKDD法を改正して厳格な検査ができるようにする必要がありますが、政府の所見はいかがですか。
 続いて、いわゆるグリーンカード制度について伺います。
 言うまでもありませんが、利子配当の総合課税は一日も早く実施しなければなりません。しかし、政府は、マル優の利用状況をコンピューターで全国一元管理すると、こう言いながら、これからさらに進んで国税に関するすべてのデータを集中管理する方針ではありませんか。政府によると、このカード発行枚数は全国民の半数にも上る約六千万枚というのでありますが、これは事実上やがて納税者番号制、ひいては国民総背番号制への道を開くことになるのではないでしょうか。この際、政府の明確な答弁を求めておきたいのであります。
 最後に、土地税制に関してであります。
 国土庁の最近の統計によっても、土地税制緩和のもとで、東京圏の住宅地の地価は、五十三年三・五%、五十四年八・八%、そして三大都市圏についても五十四年は八・一%もの上昇率となっています。このような地価高騰のもとでは、国民にとって宅地の取得などはもはや手の届かないはるかかなたの問題であります。今次の土地税制の緩和は、政府の言う宅地供給に積極的に役立たず、むしろ不公平税制の拡大となる上、大手不動産企業や大土地所有者に莫大な利益をもたらし、ひいてはまたぞろ大資本による投機的土地買い占めに再び道を開くものとなるのではありませんか。
 政府は、まず何よりも具体的な地価抑制策を示すべきであります。そして、真に国民の住宅難解決を願うならば、わが党がすでに生活用地確保法で提案しているように、自治体の先買い権の強化、大企業の買い占め未利用地の収用、地価抑制区域の指定と基準価格での取引の指導など、抜本的な国民本位の土地住宅政策をこそいま強力に進めるべきであります。これなくしては、もはや今日の深刻な宅地問題の根本的解決はなし得ないものと思いますが、総理にこの点の見解を伺って、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#44
○国務大臣(大平正芳君) 最初の御質問は、インフレ防止の見地から、いま予定されている一連の公共料金の値上げは凍結すべきではないかという御意見でございました。
 公共料金政策につきましては、かねがね、政府は、関係企業の経営の徹底した合理化を前提といたしまして、また、物価、国民生活への影響を勘案しながら、その幅、時期等について極力抑制する方針で臨んでまいりましたことは御承知願っていることと思います。
 いま予定されておる公共料金につきましても、厳しい環境でございますので、その内容は十分精査いたしまして、厳正に対処していく方針でございまして、凍結ということは考えておりません。
 第二に、六・四%という五十五年度の消費者物価の上昇率、これを実現する確信はあるかということでございました。
 御指摘のように、ただいま卸売物価は大幅な上昇を記録いたしておりまするし、消費者物価も上げ足を速めておるということでございますが、政府としては、各般にわたる物価政策を機動的に推進することによりまして、五十五年度の消費者物価を政府の経済見通しの範囲内にとどめるように最善の努力を傾けてまいりたいと考えておりまして、それはできない相談ではないと考えております。
 次の御質問は、このようなスタグフレーションの経済基調のもとでは一般消費税の導入というようなことは不可能ではないかというような御指摘でございました。
 一般消費税問題につきましては、かねがね大蔵大臣からも本院で御説明申し上げておるとおりでございまして、この取り扱いはすでに両院の決議がございまして、決議が指向する方向に沿って政府としても対処してまいるつもりでございます。
 それから大企業の法人税率の引き上げを行うべきでないかという御意見でございました。
 五十五年度の予算編成に当たりましては、歳出規模の抑制と、それから歳入面では税制特別措置の見直し等によりまして対処することにいたしまして、法人税率の引き上げは考えなかったわけでございます。それは、たまたま政府の予想を相当上回る税収の自然増加が期待できると考えたからでございます。そういう状況でございますので、この引き上げを五十五年度は差し控えたわけでございます。五十六年度以降におきましては、また歳入歳出両面にわたりまして広い視野からこの問題は検討しなければならぬと考えております。
 KDDについても検査が及ぶよう会計検査院法の改正が必要ではないかという意味の御質問でございました。
 KDDの営む事業の公益性にかんがみまして、政府としても、この会社の会計につきまして、政府自体の監督権の強化とあわせまして会計検査院の検査対象とする方向で現在国際電信電話株式会社法の一部改正案の検討をいたしておるところでございます。
 最後に、土地政策についてのお尋ねでございました。
 この問題につきましても、たびたび本院で申し上げますとおり、ただいまの土地経済の状況は大都市の周辺における宅地の供給不足が原因であり、大変な投機取引がいま行われておるというような認識はわれわれは持っていないわけでございます。政策の中心は何としても宅地供給の促進に置かなければならぬと考えております。
 このために、第一は、土地取引の動向につきまして迅速正確に把握して、必要に応じて機動的な対応ができますようにその監視体制を一層強化拡充すること等によりまして、引き続き国土利用計画法の的確な運用を図ってまいりたいと考えております。
 第二は、計画的な宅地開発並びに都市再開発の促進のための財政上、金融上の措置を拡充してまいりたいと考えております。
 第三は、大都市地域における市街化区域内農地の宅地化を図るための方策を進めることにいたしております。
 あわせて、宅地供給促進の観点から土地税制の改善を図ることにいたしております。
 そういった施策を総合的にかつ機動的に行ってまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
#45
○国務大臣(竹下登君) まず、スタグフレーションについての認識について御意見を交えた御批判がありました。
 わが国経済を息の長い安定成長軌道に乗せていくためには、インフレ、不況、さらにはスタグフレーション、そのいずれをも回避しなければならないということは申すまでもないところであります。
 最近の経済情勢を見ますと、設備投資の堅調な増加などから、経済は総じて着実な拡大を続けておると言えると思います。しかし、一方、卸売物価は石油価格の上昇の影響などから大幅な上昇を続けておりますし、これまで落ちついた動きを示しておりました消費者物価につきましても卸売物価上昇の波及が強まるおそれがあることは申すまでもありません。したがって、物価の先行きは警戒を要する状況にあります。景気の先行きについても、石油情勢とかあるいは欧米経済の動向等今後注意すべき要因があります。したがって、必ずしも予断を許さないものがありますが、当面は物価により心配がある、こういう認識の上に立っております。
 したがいまして、こういう経済情勢にかんがみて、政府としては、機動的な政策運営態度のもとに物価対策を総合的に推進してまいりたいと、このように考えております。
 スタグフレーションの関係からする一般消費税問題は、総理からお答えがございました。
 法人税問題も総理からお答えがありました。
 次に、政策優遇税制の見直しの問題を御指摘になりました。
 企業関係の租税特別措置につきましては、五十五年度において全面的な見直しを行いまして、廃止または一律縮減など、これまでにない思い切った整理合理化を行おうとしておるところであります。したがって、五十一年度以降五年間に、三十二項目の廃止、五十一項目の縮減、すなわち約八五%の整備が行われることとなります。したがって、税制調査会の五十五年度答申でも明確に述べられておりますように、政策税制の整理合理化はおおむね一段落したものと考えていると、このように評価を受けておるところであります。
 ただ、御指摘のありました海外投資等損失準備金であろうかと思うのでありますが、発展途上国に係る投資につきましては積立率を一五%から一二%に引き下げることとしておりますが、そのうち経済協力事業に係る投資については資源確保等の見地から二五%の積立率を認めておることといたしているものでありまして、これはまさに政策税制そのものであるというふうに御理解を賜りたいと思うのであります。
 次に、KDDの税務上の使途不明金等に対するお尋ねでございますが、これは税務上の守秘義務の問題、個別事犯でございますので、ここでお答えをすることは差し控えさしていただきたい。
 一般論といたしまして、この査察調査は、通常の税務調査と異なりまして、逋脱犯の告発を目的として強制調査権を発動して行うものでありまして、その要否につきましては慎重に判断する必要があると考えられます。
 犯則事件として立件するについては、偽りその他不正の行為に該当する行為があるかどうか、不正の行為と逋脱の結果との間に因果関係があるかどうか、逋脱の犯意があるかどうか等について立証し得る積極的な見通しを持って行うべきものであると考えます。いまのお答えは一般論として申し上げたわけであります。
 グリーンカードの問題でございますが、まずインプットするのはどんなものをインプットするかと申しますと、カードの交付を受けた者の住所、氏名でございますとか、あるいはその者の金融機関等の各店舗における非課税貯蓄の限度額でございますとか、その者が支払いを受ける利子配当で支払調書に記載ざれたもの等が考えられるわけでございますので、そうして少額貯蓄の非課税制度の利用者の申請に基づいて交付するものでございますので、これは国民総背番号制につながるようなものでは断じてございません。
 以上でお答えを終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#46
○副議長(秋山長造君) 中村利次君。
   〔中村利次君登壇、拍手〕
#47
○中村利次君 租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案がただいま提案されましたが、私は、民社党を代表して、両法案及びこれに関連する政府の諸政策について、総理並びに大蔵大臣に質問します。
 財政再建が強調される中で、五十五年度の予算案によっても国債の発行予定額は十四兆二千七百億円であり、年度末の発行残高は七十一兆円の巨額に達します。そして、そのうち特例債の発行残高も二十九兆円に及ぶのであります。一方、イラン政変を発火点とする原油価格の暴騰と、それに伴うインフレ懸念、引き続く経常収支の大幅赤字、円相場の下落等々、わが国を取り巻く経済環境は急激に悪化してまいりました。円の急落に対しましては、政府・日銀によるアメリカ、西ドイツ、スイス等各国の協調を得た円防衛の緊急策がとられましたが、これはあくまでも緊急策であって、決して抜本策ではあり得ません。国際収支の改善の必要性はますます強く、差し迫るインフレ対策はいよいよ急務であります。また、内外の金利差にどう対処し、公定歩合をどうするのか、そしてそれらの対策が景気回復にどう響くのか、そしてその対策はどうか。財政再建にかかわる課題はまさに山積し、しかも急を要します。
 そこで、私はまず総理に対して、これらの諸課題に対する対応をお伺いいたします。おろそかにできない問題でありますので、明確な御見解をお示しください。
 このような厳しい条件下に、国民の生活を守り、財政再建を果たすのは、決して容易ではありません。民社党は、行財政再建についてその具体策をつとに発表しておりますが、その中でも、行政機構の簡素化、効率化、諸経費の徹底節約など、いわゆる行政改革の断行が何よりも不可欠であることを主張してまいりました。たまたま総理が大平内閣発足の時点で掲げられた看板がチープガバメントでございましたから、私たちは総理の行政改革にかける熱意と果敢な実行に大いに期待をかけたのであります。ところが、遺憾ながら、この看板は目下のところ明らかに看板倒れになっているようであります。しかし、この看板はぜひとも修復してかけ直していただきたい。
 そこで、この際改めて総理の財政再建への基本姿勢、国民の立場に立った行政改革についての御所見を伺いたいと存じます。
 財政再建の前提としての問題点とされる不公正税制につきましても民社党は具体策を示してまいりましたが、そのうち、五十五年度の税制改正についての政府案は、租税特別措置、退職給与引当金、給与所得控除などの点で若干の改善を図ってはいますが、まだまだ不十分と言うべきであります。ところが、大蔵大臣は、今国会で、租税特別措置の整理は一段落との御所見を披瀝しておられるようであります。また、先ほどの総理の御答弁で総理もまた同じ見解にお立ちであることを聞いて私は驚いておるわけであります。はなはだ理解に苦しみますので、この際はっきりした御見解を改めてお伺いいたします。
 私どもが長年主張してまいりました利子配当所得に対する総合課税につきましては、政府もその方向で結論をお出しになったわけでありまして評価をしたいと存じますが、しかし、その実施時期が五十九年とはどういうことでしょう。はなはだ納得いたしかねます。期日の短縮が技術的に困難ならば、その間の税率の引き上げなどの検討が当然なされてしかるべきだと存じますが、いかがでしょう。まさか、この特別措置を廃止するに当たって、最後の優遇措置として税率を据え置かれたのではないとは存じますが、いかがでしょうか、御見解を伺います。
 次に、中小企業転換対策臨時措置法に基づく承認を受け現物出資した場合の課税の特例の廃止及び中小企業海外市場開拓準備金を縮小するなど、中小企業に新たな負担を強いる改正が図られている点について伺います。
 申すまでもなく、現行の中小企業税制は、社会的、経済的に弱者の立場にある中小企業の不利を是正して、その健全な成長発展のための租税負担の適正化を目的として措置されているものであります。当然この特別措置の整理合理化には格段の慎重さがあってしかるべしと存じますが、いかがですか、御所見を求めます。
 次に、土地住宅関係の税制改正について質問します。
 今回の主な改正点は、土地関係では長期譲渡所得課税の改正、いわゆる優良宅地要件の緩和、不動産買いかえの特例拡大、特別控除制度の拡充などであります。そして、その目的は宅地供給の拡大を図ることにあるとされていますが、宅地の供給は確かに昭和四十七年の一万四千五百ヘクタールをピークに年々減少し、五十二年にはついにその四四%にまで減少しているわけであります。特に優良宅地の減少が著しく、いわゆるミニ開発などの問題すら惹起しています。政府は第三期住宅建設五カ年計画で五年間に六万六千ヘクタールの新規宅地が必要としておりましたが、その達成は恐らく絶望でありましょう。加えて、本年の公示価格の速報による地価の上昇、特に都市部、首都圏の宅地の高騰は異常であります。
 そこでお尋ねいたします。
 まず第一点、政府は今回の改正による宅地供給効果をどの程度とお考えになっておられるのか。
 第二点、当初大蔵省と建設省との間で改正による供給効果について見解の相違があったと聞きますが、その理由について伺います。
 第三点、税制の緩和で宅地供給の拡大が可能と思われるのかどうか。
 第四点、五十七年度から宅地並み課税を完全実施するとしていますが、課税対象地域の拡大やC農地への課税を実施なさるのかどうか。
 以上について明確なお答えをお願いいたします。
 最後に、今回の改正案で住宅取得控除を一万七千円で頭打ちにしようとしているのでありますが、これは、一方では土地税制を緩和優遇し、一方では住宅取得控除を切り下げることによって勤労者の持ち家対策が冷遇される結果になるというまことに時代逆行の発想であり、理解できません。いかなるおつもりか、御答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#48
○国務大臣(大平正芳君) 中村さんの第一の御質問は、当面の物価、為替政策についてのお尋ねでございました。
 今日の経済状況を踏まえまして、政府といたしましては、今回、米国等の協力を得まして一連の対策を講じたわけでございます。これが為替市場心理によい影響を与え、また資本流入を促進いたしまして、円相場が安定に向かう契機になるのではないかと期待いたしております。しかし、中村さんも仰せのとおり、抜本策はあくまでもインフレ対策でなければならぬわけでございまして、政府としては、従来から引き続き精力的に進めておりまする総合的な物価政策を機動的に運営いたしましてこの事態に対処してまいりたいと考えております。
 それから第二の行革についてのお尋ねでございました。
 政府といたしましては、国民の世論にこたえまして、現下の最重要課題の一つは行政改革であると考えて五十五年行革をまとめてまいったわけでございます。
 五十五年度行革の骨子といたしましては、中村さんも御承知のとおり、定員の計画削減が第一でございます。向こう五年間に三万七千六百五人の削減でございます。定年制の導入とか配置転換を進めるとかいうこともあわせて考えております。
 第二は、特殊法人でございますが、十八法人の削減を考えておりまして、実質上の削減は十六法人でございます。この統廃合とあわせまして、役員を、現在八百人ほどおりますけれども、これを百二十人以上を縮減いたしたいと考えております。それから役職員の人事給与等の適正化を図ることにいたしておりまするし、また、公務員に準じまして定員の削減措置を講ずることにいたしております。
 第三は、地方支分部局、附属機関等の削減でございますが、事務所、出張所、これは十一省庁にわたりまして二十九種類二百三十機関の整理を断行することにいたしております。ブロック機関等の整理方針は、近く政府部内で決定する運びにいたしまして、鋭意いま折衝中でございます。
 それから行政事務のうち報告事務の整理でございますが、千四百七十七件の廃止、簡素化を行うことにいたしております。
 補助金につきましては、四年間に四分の一の件数の整理を目標といたしまして、五十五年度予算では三百二十八件を整理、整理合理化額は千六百六十七億円、かつてない金額になると考えております。
 この措置とあわせまして、地方公共団体に対しましても、これに準じて御努力をいただくように勧奨いたしておるつもりでございます。
 次に、不公正税制の是正についてのお尋ねでございました。
 これは先ほど白木さんにもお答えいたしたとおりに考えておりまして、特定の政策目的を達するために租税原則を犠牲にするというのが不公平税制であるとすれば、そういう整理はおおむねここ数年の努力で一段落したのではないかと考えております。しかし、税負担の公平の確保ということは、不断のわれわれの目標でなければならぬと考えておることは申すまでもございません。
 最後に、土地政策についてのお尋ねでございます。
 政府としては、市街化区域農地に対する固定資産税の課税の適正化措置につきましては、たびたび申し上げておりまするように、当面昭和五十六年度までは現行制度を維持することといたしたいと考えておりますけれども、五十七年度以降の取り扱いにつきましては、昨年末の税制調査会の答申等を踏まえまして、今後十分検討して対処するつもりでございます。(拍手)
   〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
#49
○国務大臣(竹下登君) 私に対する御質問の一つは、利子配当総合課税実施はもっと早くならぬか、その間の税率の引き上げをやらないか、こういうことであります。
 速やかに総合課税に移行すべきであるという考え方は私どもも同じであります。しかし、利子配当所得につきまして公平かつ実効的な総合課税を行うためには、利子配当の真正な受取人の確認と名寄せを効率的かつ的確に行うことが不可欠の要件であります。このためいわゆるグリーンカード制度を採用することとしておりますが、この制度につきましては、国税当局、金融機関等の対応体制を整えるための準備期間、そうして一方、国民の理解と慣熟のための所要期間、これらを考慮いたしてみました場合に、やはり昭和五十九年一月一日とならざるを得ないということを御理解賜りたいわけであります。
 そこで、源泉分離選択税率を引き上げる場合には、現行の体制のもとでは、課税貯蓄が非課税貯蓄に逃避いたしましたり、また仮名取引の増加を招来する結果となる等、最近における経験からいたしましてもかえって不公平が生ずるおそれが強うございますので、グリーンカード制度による本人確認と名寄せの体制の十分な整備が可能となる五十八年十二月末までは現行制度を維持するのが適当であるというふうに考えております。
 法人税の引き上げにつきましては、これはまさに民間の努力によりましてあのような自然増収が期待できたということ、そして、今年度は、入るをはかって出るを制する前にまず出るを制するということを先行して目標として掲げて予算編成を行いましたので、増収措置は最小限のものにとどめるということにいたしましたので、法人税の引き上げは結果としてこれを見送ったということであります。将来自然増収がこのように期待できるとは思いませんので、十分各方面の意見を聞いて検討すべき課題であるというふうに考えております。
 それから租税特別措置の中小企業対策の問題でございますが、大幅な一律削減を行うことといたしましたが、中小企業関係の特別措置については、五〇%の一般縮減に対して縮減率を二〇%にとどめるなど特段の配慮を行ってきたつもりであります。
 次の土地税制に対する御批判でございます。土地税制の緩和のみで供給拡大が可能と思うかと、こういうことであります。
 基本的な枠組みは維持しながらも、私どもといたしましては、今度の改正によって、三大都市圏、なかんずく首都圏における宅地供給に望ましい効果があらわれることを心から期待しておるというところであります。
 あくまでも税制の役割りというのは土地政策におきましては補完的、誘導的なものでありますので、これだけで解決するものでないということは、いま議員御指摘のとおりのことであると私どもも考えております。
 それから大蔵省と建設省の間で見解の相違があったかということでございます。
 これは、いわゆる効果というものに対していろいろな見解、議論が中途において伝えられるときには、相当大規模なものになりはしないか、そうなると税制の体系そのものの根幹が崩れるではないかというような点がこの過程においてお互いいろいろ議論したところでありまして、見解の相違があったというふうには私は認識をいたしていないところであります。
 それから住宅取得控除の減額は勤労者の持ち家対策の遂行に逆行するのじゃないか、こういうことであります。
 これもいろいろ議論したところでありますが、良質な住宅確保の観点から、床面積四十平方メートル、約十坪以下の小規模住宅を控除の対象としないこととしまして、また、高額な所得者については税制上の優遇措置を及ぼさないこととするほか、いままでのように大きい住宅を取得した者ほどが厚い税制上の恩典が及ぶことになるという仕組みを一律の控除とすることによって、狭い住宅取得者には従来より高い控除額が受けられるよう控除の仕組みを合理化したということでございまして、既存住宅の取得を適用対象とすることとしたのもその一つでございます。
 以上でお答えを終わります。(拍手)
#50
○副議長(秋山長造君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後三時二十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト