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1979/04/04 第91回国会 参議院 参議院会議録情報 第091回国会 本会議 第9号
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1979/04/04 第91回国会 参議院

参議院会議録情報 第091回国会 本会議 第9号

#1
第091回国会 本会議 第9号
昭和五十五年四月四日(金曜日)
   午後一時三分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第九号
  昭和五十五年四月四日
   午後一時開議
 第一 税理士法の一部を改正する法律案(第九
  十回国会内閣提出、第九十一回国会衆議院送
  付)
 第二 国会議員の選挙等の執行経費の基準に関
  する法律の一部を改正する法律案(内閣提
  出、衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 一、昭和五十五年度一般会計予算
 一、昭和五十五年度特別会計予算
 一、昭和五十五年度政府関係機関予算
 一、日程第一及び第二
 一、国会議員互助年金法の一部を改正する法律
  案(衆議院提出)
     ―――――・―――――
#3
○議長(安井謙君) これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 二木謙吾君から病気のため三十日間、山田勇君から病気のため十日間、それぞれ請暇の申し出がございました。
 いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(安井謙君) 御異議ないと認めます。よって、いずれも許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#5
○議長(安井謙君) この際、日程に追加して、
 昭和五十五年度一般会計予算
 昭和五十五年度特別会計予算
 昭和五十五年度政府関係機関予算
 以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(安井謙君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。予算委員長山内一郎君。
   〔山内一郎君登壇、拍手〕
#7
○山内一郎君 ただいま議題となりました昭和五十五年度予算三案につきまして、予算委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。今日、わが国の財政経済は、流動的な国際経済情勢の中で、物価の安定を図りつつ、景気の自律的拡大基調を維持することにより、国民生活の安定と着実な経済発展の基盤を強化し、なお、財政の異常な公債依存体質を改善し、財政の対応力の回復を図ることが急務となっております。
 そうした財政経済課題に対処するため、五十五年度予算は、行政の整理簡素化と歳出の徹底的な見直しによって経費の節減合理化に努め、また、公債発行額を前年度当初予算より一兆円減額すること等によって財政再建の第一歩を踏み出し、さらに経済の着実な発展を配慮して編成されております。その結果、一般会計予算の規模は四十二兆五千八百八十八億円、対前年度伸び率一〇・三%、公債依存率三三・五%となっており、また、財政技融資計画は十八兆一千七百九十九億円、対前年度伸び率八・〇%で、これら伸び率はいずれも最近二十年間のうちで最も低く、五十五年度財政は緊縮型となっております。これら予算三案は去る一月二十四日国会に提出され、一月三十日竹下大蔵大臣より趣旨説明を聴取し、衆議院からの送付を待って三月十日から審議に入りました。自来、本日まで熱心な審査が行われましたが、その間、二月二十六日札幌、金次、大阪の三カ所で地方公聴会を、三月十八日中火公聴会を、また、三月二十六日から二十八日までの三日間、綱紀粛正及び行政改革問題、物価等に関する問題並びに婦人問題の集中審議を行い、さらに、四日間にわたり分科会を開くなど、終始慎重かつ熱心に審査を行ってまいりました。以下、委員会における質疑のうち主なるものにつきその要旨を御報告申し上げます。まず、綱紀粛正に関する質疑として、「総理は地政方針演説で綱紀の保持はあらゆる施政の原点であると述べられているが、はなはだ残念なことに多発する綱紀紊乱事件に政府の対策は後迫いであり、手おくれの感がある。公務に携わる者は厳正な綱紀の保持を堅持することが何よりも大切と思うがどうか。また、綱紀保持に対する管理機関が総理府人事局と内閣官房審議室に分かれているか、一つの機関で一元的に行い、より強力な管理を行うべきではないか」等の質疑がありました。これに対し、大平内閣総理大臣より、「綱紀の粛正が施政の第一の条件で、まず内閣自身が、そして政府自身が真剣に当たることから始めなければならないと決意し、去年の暮れ、具体的な綱紀歯正に係る申し合わせを行い、それを基本に不正柱理の根絶、厳正な勤務体制の確立、官公庁間の接待の自粛などの項目を決め、現在厳正に実施中であり、政府部内及び政府関係機関において指弾を受けるような綱紀の弛緩はないものと確信している。厳正な綱紀の保持が後迫いであってはならないので、政府自身が真剣に取り組むことによって今後批判を受けるような不正不当問題を惹起することのないように心がけたい。綱紀粛正の管理機関は、現在内閣官房と総理府にまたがっているが、内閣自体が中核体となって推進し、閣議の方針を直ちに各省庁が実行に移し、効果を上げるように心がける決意である」旨の答弁がありました。
 次に、行政改革に関する質疑として、「政府の行政改革は、特殊法人とか出先機関の整理統合に重点が置かれ、肝心な仕事のやり方や中央省庁等の改革を放置している。また、二百十二もある審議会は多過ぎるし、中には休眠状態の審議会もあるので、整理を断行すべきではないか」等の質疑がありました。
 これに対し、宇野行政管理庁長官並びに政府委員より、「今回の行政改革は、昨年の特殊法人等の不正経理や綱紀の弛緩に対する厳しい国民の批判を契機として、特殊法人、地方支分部局の整理統合に重点を置くことにした。中央省庁の改革は国家行政組織の根幹に触れることなので慎重でなければならない。部局の再編は、時代の変化と国民のニーズに合わせ、スクラップ・アンド・ビルド方式によって行う方針である。昨年末決定の行政改革では、十八特殊法人の削減、特殊法人役員百二十名余の縮減を初め、長い間批判されてきた米の検査関係で三千の検査出張所の全廃、検査員八千人の純減、さらに長年行われなかった公務員の省庁間での配置転換等、改革の規模において戦後最大のものである。また、地方支分部局の整理については、十二月末閣議決定の省庁別整理再編成に関する成案がおおむね五十四年度末の期限までにまとまった。審議会の整理は、五十二年の行政改革で三十六純減の整理統合が行われ、会の委員も減少し、また、整理のための法律改正作業が昨年終了した等の経緯を考え、五十五年行革の第一段階では取り上げなかったが、第二段階では当然取り上げることにしている。第二次大平内閣の行政改革は短期間に相当の効果を上げているが、政府としてはこれでいいなどとは毛頭考えておらず、強い姿勢で第二、第三の行政改革に取り組む決意である。なお、今回の行政改革が歳出削減効果を上げていないとの批判もあるが、確かにその効果をはっきりさせるには人員整理によらざるを得ないが、これは国会決議の関係もあってむずかしい。しかし、それでも五十五年度は予算査定で七百七十人の純減を行っており、今後とも定員削減の方法で人減らしを図るとともに、器減らし、仕事減らしをすることにより一層の効果が上がるよう取り組みたい」旨の答弁がありました。
 物価問題に関する質疑として、「昨年の卸売物価高騰、消費者物価小康の情勢が、本年に入って両物価とも騰貴が強まっているのに、政府は予算関連公共料金や電気、ガス料金を軒並み大幅に引き上げることにしており、物価問題に対する取り組み姿勢に問題はないか。新日鉄の鉄鋼価格値上げやビールのような寡占商品の値上げ、また、便乗値上げ等を抑制し、生活関連物資の価格安定を図るため、関係法律を発動して個別物価対策を早急に実行すべきではないか。五十五年度政府経済見通しの消費者物価上昇率六・四%の達成は困難ではないか。さらに、三月十九日発表の総合物価対策は、監視、調査、要請など言葉の羅列で実効ある対策にはなり得ないのではないか」等の質疑がありました。
 これに対し、大平総理大臣並びに正示経済企画庁長官等より、「昨年来の卸売物価高騰は、原油その他輸入原材料品の値上がりという海外要因に円安が加わったことが主たる原因であるが、この値上がり分をできるだけ生産性向上などの企業努力によって吸収し、消費者物価に反映する度合いを低めていくことを物価政策の基本にしており、今日まで経営者、労働組合、一般消費者の御理解と冷静な対応によって、世界で驚異と言われるほど消費者物価は安定の道をたどってきた。最近に至って卸売物価の上昇が消費者物価を押し上げる懸念が強まっているので、たとえば、電気料金は、原価主義と公平の原則にのっとり、申請の六四%を五〇・八%と厳しい査定を行うとか、また、予算関連公共料金値上げは、財政再建の必要性に基づくものであるが、受益者負担の原則を貫くとともに、値上げ時期を調整するなど、必要最小限度の上げ幅に抑制している。個別物価対策を法律によって規制することは慎重にすべきで、政府がいたずらに介入すべきではない。鉄鋼等の価格については需要者との交渉に任せるべきで、そのことが個別物資の需給を調整し、思惑や仮需による値上がりを解消することにも役立つと考えている。余り先走って法律を発動すると、かえって価格調整機能を悪化させ、また、規制解除後の価格高騰といった弊害を招きかねない。寡占商品に対しては、公正取引委員会をして公正な競争を確保するように体制を整備して常時監視させ、その他の商品に対しても、いやしくも同調的値上げや共同行為が行われないよう厳しい態度で臨んでおり、具体的事例が出てくれば各般の措置をとることにしている。五十五年度政府経済見通しの消費者物価上昇率六・四%の目標値は、公共料金値上げ分を織り込み済みであり、相当緊張して真剣な経済運営を行うならば、目標を達成できないことはないと判断している。それには、政府ばかりでなく各界各層の国民の冷静な対応が必要であり、その協力によって物価問題に対する政治責任を果たしたい。三月十九日決定の総合物価対策は、これまでの対策が金融政策に偏重しているとの指摘も考慮して、財政運営で公共事業を中心に抑制的な予算執行を打ち出すとともに、特定不況産業十四業種についてその需給と価格動向を注視し、また、価格制限的行為を防止するため五十六業種に独禁法の厳格な運用に努める等、きめ細かな施策を準備し、総需要の適切な管理と相まって物価安定の実を上げることにしている。なお、今日の物価問題は単に物資の需給状況によって発生したものではなく、石油の急激な値上がりにより大量の所得が産油国に移転するという性格のもので、これを経済過程を通じ国民が公平に負担しなければならない点が対応を非常にむずかしくしていることを知ってほしい。さらに、こうした情勢を考えると、今後ともわが国は生産性の向上を価格政策の根幹とし、エネルギー消費の節約を実行しながら、原油値上がり分を吸収して消費者価格への転嫁を抑えていくことが至上命令で、少資源国の対処の仕方はこれ以外にないことを企業も労働組合も消費者も理解して行動してほしい」旨の答弁がありました。
 財政問題に関する質疑として、「政府は五十五年度予算で前年度当初予算に比べ公債を一兆円減額したことで財政再建に一歩を踏み出したと述べいるが、甘過ぎるのではないか。また、五十九年度に赤字国債をゼロにする目標のみを掲げ、これを裏づける実行計画がなく、財政再建の手だてか不明確ではないか。最近の国債暴落の原因とそり対策、五十五年度国債の消化見通し、政府と日銀による国債買い支えは財政インフレにつながる危険はないか。さらに、財政再建を主張しているのに補助金の整理は不十分ではないか」等の質疑かありました。これに対し、大平総理大臣並びに竹下大蔵大臣より、「財政の公債依存体質を改善し、財政の対心力の回復を図ることは緊急の課題で、政府は五丁四年度補正で一兆二千二百億円、五十五年度は別年度当初予算より一兆円の国債の減額を行っている。五十五年度は出るを制して入るをはかることを最小限にとどめるという形で財政再建の第一歩を踏み出した。来年度以降は歳入歳出両面にわたる財政再建を推進する考えである。その際、最も肝要なことは、国民が負担と受益の関係をどう選択するかということである。すなわち、公共サービスの維持充実を目指して負担の増加を選ぶか、逆に負担の増加を回避して公共サービスの水準低下を甘受するか、あるいは両者の組み合わせによって対処するかの三通りにしぼられる。政府は財政再建の考え方をくみ取ってもらう意味で財政収支試算を示したが、財政再建の方法については国民各層の意見を十分聴取し、国民の選択の方向を見定めつつ適切に対処していく考えである。国債の値下がりは、物価上昇懸念の強まりや諸外国の金利上昇等に加え、金融引き締め下で短期金利の急騰が生じたことなどが原因である。しかし、結局、市場の実情から見て国債が多過ぎるので、国債の削減に努めるとともに、シンジケート団の引き受け及び公募入札も五十五年度は前年度に比へ二兆円圧縮することにしており、五十五年度国債の消化は可能と思う。国債の買い支えは国債整理基金、資金運用部資金等で行っているが、その際公社債市場全体の動向を注意深く見守って実施しており、いやしくも国債エゴイズムといった批判のないよう細心の注意を払っている。国債管理政策を通じて借金財政をインフレ政策で免れるなどといった危惧や批判が出ないようにしていきたい」旨の答弁がありました。
 また、澄田日本銀行副総裁からは、「日銀は金融調整のための買いオペレーションは別にして、基本的には成長通貨供給の範囲内で国債を買っている。そして、発行後一年以上を経過した国債を買い入れ対象としているのは、日銀引き受けの国債発行を禁止している財政法五条の精神を尊重したもので、これを短縮する考えはない」旨の答弁がありました。
 なお、補助金については、「経費節減と行政改革の見地からその整理が不十分であるとの批判については、そのときどきの国民のニーズに応じ必要な補助金の予算計上は当然で、補助金性悪説はとるべきではない。他方、既得権化、硬直化して非効率になっている補助金の整理が必要で、今後、五十五年度を含む四年間に四分の一を整理合理化する方針が昨年暮れの行政改革で決定しており、さらに衆議院の予算修正でもサマーレビューを活用した補助金の整理が合意されていることなどから、今後一層の整理推進を図ることにしたい」旨の答弁がありました。
 防衛問題に関してはい「ソ連のアフガニスタン侵入、日本の北方領土に対するソ連基地の設定、ソ連海軍力の日本海への進出等の情勢から見て政府は防衛力の増強に一段と努力すべきではないか。防衛大綱は今日の情勢に合わないのではないか。また、米国がわが国に求めている着実で顕著な防衛費の増加と防衛力増強要請にどう対処するのか。海洋有事の際の対策がないのは怠慢ではないか。さらに、リムパック80の合同演習に自衛隊が参加したことは集団自衛権行使を前提としたものではないか。演習目的は米軍のシーレーン防衛への協力にあったのではないか」等の質疑がありました。
 これに対し、大平総理大臣並びに関係各大臣より、「ソ連の軍事力増強は否めない事実であるが、わが国としては安保条約の誠実な実行と防衛力整備の大綱に従って国力国情に応じた防衛力の着実な整備を進めることによって、これまでも必ずしも安定的でない国際情勢の中で日本の安全が確保されてきた。今後ともこの体制で緊張した姿勢をもって対応するならばいかなる事態にも対処できると確信しており、既定方針の堅持と着実な防衛努力を積み重ねることで必要かつ十分と思う。わが国の一層の防衛努力の要請が米国の各方面にあることは承知しているが、他方、わが国が在日米軍経費の負担軽減のための財政措置や防衛力の質的改善に努めていることは米国も多としているし、平和憲法、専守防衛等の基本的枠組みについても十分理解していると思う。防衛費の増額については国民総生産の一%相当額を超えないことを目途とするとの五十一年の閣議決定と防衛計画の大綱の二つの目標と現在の防衛予算の間に距離があるので、当面は計画の線に近づける努力をしたい。なお、防衛費の増加が単なる量の問題に終わり、人件費、糧食費等に占められることのないよう正面装備の充実、継戦能力の向上等、質の高い防衛力整備に役立つよう十分検討したい。海洋有事の事態を想定した具体策は持っていないが、政府は、海上輸送路に重大な支障が起きることのないよう、外交へ内政全体を通じ周到な配慮をしている。リムパック80の合同演習は、参加艦艇の能力評価を行い、練度の向上を図ることが目的で、このため対水上艦、対潜水艦等通常兵器による訓練を行ったもので、特定のシーレーン防衛とか、米軍の防衛海域の肩がわりのためなどということではない。さらに、リムパック80への参加が集団自衛権の行使を前提にしているとの批判は誤りで、憲法九条によって個別的自衛権の行使は認められても集団自衛権は認められないことを十分に踏まえ、現行の法律及び基本的な防衛政策に何ら反するものでないことを関係省庁間で慎重に検討、確認の上参加したものである」旨の答弁がありました。
 三月二十八日、婦人問題の集中審議が国会で初めて行われましたが、その際、男女平等、母性保障、婦人の社会参加等、婦人の地位向上に関する多くの質疑があり、これに対し、関係各大臣より、「国連婦人の十年の中間年に当たり、政府はこれまでの施策の総点検を行うとともに、婦人の地位向上のための各般の対策を一層強力に推進いたしたい」旨の答弁がありました。
 なお、質疑はその他国政全般にわたり広範多岐に行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 かくて、本日をもって質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して大木委員が反対、自由民主党・自由国民会議を代表して桧垣委員が賛成、公明党を代表して原田委員が反対、日本共産党を代表して沓脱委員が反対、民社党を代表して井上委員が反対の旨、それぞれ意見を述べられました。
 討論を終局し、採決の結果、昭和五十五年度予算三案は可否同数となりましたので、国会法第五十条により委員長は原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#8
○議長(安井謙君) 三案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。栗原俊夫君。
   〔栗原俊夫君登壇、拍手〕
#9
○栗原俊夫君 私は、日本社会党を代表し、昭和五十五年度予算三案に反対の討論を行います。
 大平内閣は、五十三年十二月の成立以来、国民による内閣支持率は一本調子に低下をたどっており、従前の内閣に比べてみますというとまことに特異な内閣でございます。最近の世論調査でも、内閣の支持率は三分の一にとどまっている反面、反対する向きは五〇%近くに上っており、国民の多数が大平内閣に背を向けていると言っても決して過言ではありません。このよって来る原因が何であるか、大平内閣の言行不一致の政治姿勢にあることは疑う余地のないところであります。
 昨年以来、大蔵省を初め、公社公団等、行政内部における不祥事件が続発し、国民の厳しい批判にさらされたことは、すでに御承知のところであります。これら一連の不祥事件に対し、大平総理は、政治倫理の確立と行政綱紀粛正を政治の基本とすることを施政方針演説で表明してまいりました。しかるに、最近明らかになった一自民党代議士の巨額な賭博事件に対しては、その政治責任を明らかにしようとしないばかりか、その事件の解明にさえ手を染めようとしないのが実態であります。このような大平総理の言行不一致の姿勢に国民が信頼を置かぬのはけだし当然と言わなければなりません。さて、政府によれば、経済は五十四年度を通じ順調な拡大を続け、その趨勢は今日に至るも持続されており、この結果、企業の収益も第一次石油危機以後最高の増益を記録しており、これこそ政府の政策運営のよろしきを得たものであると自画自賛しております。しかし、実情は果たしてそうでありましょうか。
 中小企業倒産件数一つとっても、五十四年一月以来逐月増加し、一−二月には千六百件を超え、七の負債総額も二千三百億円に上っているのであります。この結果、雇用の改善も遅々として進まず、特に中高年齢者の雇用求人倍率はきわめて低いのが実情であります。企業倒産の増大や雇用状態の低迷にかかわらず、生産活動が活発化し企業収益を上げ得たのは、かかって大企業による強引な人減らしや行き過ぎた減量経営にあることを如実に物語っていると申すことができましょう。さて、かかる情勢の中で、一昨年以来の産油国による原油価格高騰の影響が次第に国内経済のあらゆる分野に浸透を始めております。二月の卸売物価は年率三六%、消費者物価は前年比八%に高騰し、まさに第一次石油ショック時の物価狂乱前夜に類似してきております。一方、景気についても、産油国への所得の大幅な移転によるデフレ効果と、物価抑制のための公定歩合の九%への引き上げ等強い金融引き締めを勘案すれば、年度後半の景気後退は不可避と見られ、とうてい楽観など許されるものではありません。かかるスタグフレーションに陥る状況を踏まえるとすれば、昭和九十五年度予算は、わが党が主張するように、物価抑制に焦点を置くとともに国民生活を防衛する福祉重視の予算編成こそが求められたのであります。しかるに、衆議院でのわれわれの修正要求で幾分改善されたものの、昨年秋の総選挙以来ガバナビリティを失った大平内閣に何ら思い切った手を打つ意欲も決意もなく、例年どおり政府・与党の惰性に満ちた予算にとどまっているのであります。
 以下、予算に即し、反対の理由を申し述べてまいります。
 まず、反対の第一の理由は、物価値上げ促進予算であることであります。
 すでに二月に値上げした消費者米価、麦価等を含め、今回の予算は、たばこ、国鉄、国立大学等、国民生活に関連する値上げが数多く盛り込まれております。これらの値上げ幅は、国鉄の八%を除けば、いずれも二けた台の大幅引き上げであり、国民生活を強く圧迫することは明らかであります。加えて、電気、ガス料金の大幅引き上げが認可されました。物価情勢が狂乱前夜に突入した現在、これら公共料金を凍結し、あるいは延期して、何としてでも国民生活を守るのが政府の当然の責務でなければなりません。
 しかるに、政府は、電力、ガス料金値上げを産油国の原油値上げを理由に原価主義を固執し、電力料金を五〇・八%、ガス料金を四五・三%と、それぞれ大幅な値上げを許可してしまったのであります。われわれ社会党の試算によれば、電気料金は三三・六%以下に圧縮が可能であり、百歩譲って値上げを認めたとしても、備蓄用石油を取り崩すことによってなお数カ月の値上げ延期は可能であったはずなのであります。にもかかわらず、参議院選挙対策等も絡んでか、政府が企業サイドに立ち、電力各社等の要求をほぼうのみにしたことは、企業本位の姿勢であって、何と批判されてもやむを得ないところではないかと思います。
 これら公共料金の引き上げによって、直接効果だけで二・六%も消費者物価を押し上げ、これに波及効果を勘案すれば、五十五年度政府消費者物価見通し六・四%はまさに絵にかいたもちと言わざるを得ません。
 反対の第二の理由は、福祉切り捨て、高負担の予算であることであります。
 衆議院における社公民三党による強い修正要求によって福祉年金の増額等に一部改善を見たものの、五十五年度予算の特徴は福祉切り捨てが顕著なことであります。予算全体の伸び率一〇・三%に対し、社会保障関係費の伸びは七・七%と、ここ十数年において最低の伸び率に抑制されているのであります。
 この反面、受益者負担の名において、健康保険では初診料と入院費の患者負担を大幅に引き上げるとともに保険料算定対象にボーナスを含めることとし、さらに厚生年金でも保険負担を増加させているのであります。この結果、平均的サラリーマンの社会保険負担増は約三万円となり、これに所得、住民両税を含めた五十五年の家計負担増加は約五万八千円に達し、国民生活を圧迫しているのであります。
 福祉切り捨ての政府の方針は、今年度にとどまらず、五十六年度にもすでに引き継がれていることを特に指摘しておかねばなりません。
 老後保障に逆行する六十五歳の年金支給開始年齢の繰り下げは取りやめられたものの、児童手当制度や老人医療の無料化、そして社会保障施策全般にわたる所得制限についての三点が、自民党三役と関係大臣との間で見直しの覚書が交換されております。これらは福祉充実に逆行するものであり、とうてい認めることはできません。その廃棄を強く要求するものであります。
 反対の第三の理由は、不公平税制が依然として温存されていることであります。
 われわれは、かねがね現行の不公平税制の解消を強く主張してきました。しかし、五十五年度でも、給与所得控除の天井引き下げと退職給与引当金比率の引き下げ等、金額にしてわずか三千五百十億円の不公平改正にとどまっており、逆に悪名高い土地税制を緩和するなど、公平税制に逆行する措置が講じられているのであります。政府は、不公平税制の整理合理化はおおむね一段落したとして、今後本格的大増税を示唆しているのであります。
 しかし、われわれがかねてから主張する不公平税制とは、単に政府が従来から進めてきた租税特別措置に限定されるものではなく、受取配当金に見られる益金不算入方式や、合法的利益隠しの各種の引当金や準備金など企業への優遇税制全体であり、それを抜本的に洗い直し、適正な課税をすることであります。これによって巨額な法人税が確保されるのであります。また、法人税率に累進税率を導入し、中小法人を軽減するとともに、大法人には規模に見合った税負担を求めるべきであります。
 なお、今回の税制改正で、政府自身が諸外国に比べ低いと認めていた法人税の引き上げが、財界の横やりで中止されたことは、まことに遺憾と言わなければなりません。一般大衆に強いが財界にはまことに弱い政府・自民党の姿勢を如実にあらわすもので、強く批判されなければならないと考えます。
 反対の第四の理由は、五十四年度に比べ国債が増額され、財政再建が手つかずであることであります。
 五十五年度は、四兆六千億円という未曾有の税の自然増収が確保されながら、五十四年度補正後予算に対しては逆に二千二百億円増加し、十四兆二千七百億円が発行されております。しかも、五十九年度の政府目標達成に毎年度二兆円ずつ減らさねばならぬ赤字国債の減額をわずかに五千七百億円にとどめており、ここに財政再建に対する政府の姿勢が露呈しているのであります。六年後の昭和六十年度以降には確実に二兆を超す大量の赤字国債の償還が開始され、それらを含めた国債費は十二兆円を超すことが明らかな今日、もっと真剣に国債の減額に思いをいたすべきではないでしょうか。
 しかも、現在、国債価格は暴落を重ね、国債整理基金や日銀の買い支えによってようやく市況を維持していると言っても過言ではありません。すでに国債発行量は限界点に達しているのであります。十四兆円を超える国債の大量発行依存の本予算に賛成できないのは当然であります。
 反対理由の第五は、行政改革が不徹底なことであります。
 一般消費税導入に失敗した大平内閣が、五十五年度予算に鳴り物入りで打ち上げた行政改革も、中途半端なものに終わっております。今回の行革の目玉とも言うべき特殊法人の整理も、内閣の責任を回避し、従来同様、各省庁一律削減、官僚にげたを預けた結果、小規模で余り影響のないものが整理の対象とされ、また、十八という数はそろったものの、そのうち五十五年度中の統廃合が決まったものは、福田内閣当時からすでに決まっていた五つに終わっているのであります。地方支分部局の削減も五十六年度に繰り延べされたほか、防衛施設局に見られるごとく、自民党の圧力によって後退するおそれが多分に見られるのであります。
 今回の大平行革によっても、依然として官僚権益や特権は守られており、その徹底を欠いていると言わざるを得ません。
 反対の第六の理由は、防衛費が聖域化され、防衛支出が今後財政硬直化の一因となることであります。
 政府は、福祉といえども財政再建のために聖域なしと主張し、社会保障を圧縮しながらも、防衛費についてだけは従来どおりのGNP対比〇・九%を確保し聖域化していることは、許しがたいと言わなければなりません。
 すでに日本の防衛費は絶対額で世界第八位の予算を計上しているのであり、これ以上の増加は、むしろ軍事大国への道を歩み、近隣諸国に無用な摩擦と脅威を与えるものと言わなければなりません。
 最近の防衛費の増額は、アメリカの一部に見られる日本の防衛ただ乗り論に悪乗りしたものであって、まして防衛費一%確保論などは財政再建の立場から見ても論外と言うべきであります。
 しかも、大平内閣は、われわれの反対を押し切って海上自衛隊のリムパック80へ参加したほか、正面装備の充実等防衛力整備の意思を表明しており、きわめて危険と言わざるを得ないのであります。
 われわれ日本社会党は、軍備による防衛よりも外交による平和を従来から党是として主張してまいりました。この主張がまた現在の平和な日本と経済日本をつくり上げてきたものと考えております。私はそのことを改めて強く主張し、反対の討論を終わります。(拍手)
#10
○議長(安井謙君) 安田隆明君。
   〔安田隆明君登壇、拍手〕
#11
○安田隆明君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、ただいま議題となりました昭和五十五年度一般会計予算外二件に対し、賛成の討論を行います。
 今日、わが国が当面している最大の課題は、物価の高騰を防止し、経済の自律的な拡大を維持しつつ財政の再建を図ることにあります。
 最近の物価情勢は、一年間に二倍を超える原油価格の高騰と円安という海外要因によってこのところ続騰し、この二月には前年比二一・四%の上昇を記録するに至っております。しかし、国民生活に重大な影響を持つ消費者物価は、最近、昨年秋の天候不順による野菜の品薄で一時的な上昇はありますが、総じて安定を続け、五十四年度の上昇率は政府の当初見通しを下回る四・七%にとどまることが予想されるに至っております。
 一方、生産活動は、民間の設備投資の増加を中心として、個人消費など国内民間需要が堅調に推移し、景気の力強い自律的回復が持続されておりまして、政府の実質成長率六%程度はその達成が見込まれる状況となっております。
 第二次石油ショック当初、われわれは、あの四十八年当時の狂乱物価とマイナス成長という最悪事態の再来を危惧いたしたのでありますが、五十四年度のわが国経済は、原油の大幅値上げによるインフレとデフレ現象を防止して、雇用情勢を改善し、経済を安定成長に導き得たのは、国民各位の自制的態度と企業の堅実な経営努力とともに、自由民主党政府の適切な政策運営によるものであると思うのであります。すなわち、これまで五次にわたる公定歩合の引き上げと、貸出増加額の規制など、金融引き締めの措置を行って仮需などのインフレ要因を未然に防止する一方、民需の盛り上がりに即応して公共事業契約の執行の繰り延べなど、金融、財政の両面にわたって機動的、弾力的にその対策を講じております。御承知のように、現在、世界の先進諸国が第二次石油ショックによってスタグフレーションに陥っている中で、わが国がかかる経済的成果を上げ得たことは同慶にたえないところでございます。
 財政につきましては、五十年度以来、景気の下支えと牽引の役割りを果たしてまいりましたが、最近は経済の順調な拡大を反映して大幅な自然増収が見込まれるようになりました。われわれは、公債発行の縮減方針のもとに、さきの補正予算で約一兆二千億円、新年度予算では前年当初比一兆円の公債の減額を行ったところでありますが、本年度末の公債残高は実に七十一兆円の巨額に達しており、その利払いに要する国債費五兆三千億円は一般会計の一二・五%にふくれ上がり、他の歳出を圧迫しております。このまま推移すれば、利払いのための公債発行に追い込まれ、今後の福祉充実や景気調整など将来の不測事態に財政が対応することが困難であり、財政再建は急務であります。
 五十五年度予算は、かかる情勢を十分に踏まえ、国民生活の安定と着実な経済発展のための基盤強化のために細心の配慮が講ぜられておりまして、必ず国民各位の理解が得られるものと信じております。
 以下、その賛成理由を簡単に申し述べます。
 第一は、物価と景気動向に即応した予算であることであります。
 五十五年度予算の伸び率一〇・三%は二十年ぶりに低い伸び率となっており、特に一般公共事業については四十九年度と同様厳しく抑制し、財政面から物価を刺激することのない配慮をしていることであります。この財政面における抑制措置とあわせて、他面、五十四年度からの約七千億円の公共事業の繰り越しを行って景気対策にも万全の措置を講じており、五十五年度予算は物価と景気の両にらみの効果が期待できるものと思うのであります。
 第二は、財政再建の第一歩を踏み出したことであります。
 さきに申し述べましたように、五十年度以降の積極的な財政運営が実って、わが国経済はようやく民間主導型経済に移行し、多額な自然増収が見込まれるようになり、財政再建に取り組む時期が到来しております。従来の「出るをはかって入るを制す」から「出るを制して入るをはかる」との予算編成方針に切りかえ、昨年のサマーレビューによる歳出の徹底的見直しを行う一方、五十五年度財政事情の試算を公表して財政健全化の必要性か広く国民に訴えております。この結果、新年度予算は、国債費と地方交付税を除いた一般歳出を五・一%の伸びに抑える一方、国債発行を一兆円減額して公債依存度を三九・六%から三三・五%へと低下させましたことは、五十年度以降毎年増発を続けてきた財政の国債過剰依存から脱却する第一歩を踏み出したものとして評価することができるものであります。
 第三は、政策税制が改善され、いわゆる不公立税制に勇断をもって対処したことであります。
 長年の懸案でありました利子配当所得の総合課税への移行が五十九年度から実施されることとなり、このためのグリーンカードなど所要の措置が講ぜられることとなっております。
 これまでも租税特別措置につきましてはその整理縮減を図ってきたところでありますが、本年度は八十二項目に及ぶ準備金や特別償却のうち十項目を廃止し、四十六項目を削減するなど、社会保障、中小企業、農林漁業対策、資源及び科学技術の面に配慮しつつ、政策税制の抜本見直しが行われておりまして、この五年間における整理合理化の割合は八五%に達し、税負担における不公平感かおおむね解消されております。特に、今回の税制改正の特色は、一千万円以上の高額所得者の給与所得控除の引き下げが行われていることと、法人の退職給与引当金の累積限度額の適正化が図られ、税の増収措置がとられております。野党の一部に法人税の引き上げが見送られたことで批判があるようでありますけれども、この退職給与引当金の累積限度の引き下げ措置は法人税率の一・一%に相当する税収が得られ、しかも大企業ほど利用率の高い本措置を見直して、中小企業にも一律課税される法人税の引き上げを避けるとともに、景気及び雇用の関係から企業への重課を見送ったことは、時宜に適したものであると考えるのであります。第四は、行政改革の断行であります。高度経済成長期に肥大化した行政組織全体を見直す今回の行政改革は戦後最大の規模のものでありまして、大平総理の意気込みを高く評価するものであります。十八特殊法人の統廃合、地方支分部局の削減、許認可事項の整理、国家公務員の定員削減、補助金の整理、国家公務員関係三法などいわゆる器減らしの見地から取り組まれている今回の行政改革の早期実施に国民は強い期待を持っております。今回の行財政改革による経費の節減効果は約一兆円と言われるだけに、財政再建への寄与はまことに大きいものがあります。とかく行政改革は従前の権益擁護が絡むだけにその抵抗もありますか、今日の国民的要請にこたえて、その早期実施を強く要望いたします。
 第五は、厳しい財政下においても重要経費については特段の配慮がなされていることであります。
 すなわち、石油供給の安定的確保や代替エネルギーの開発のためのエネルギー対策費は三一・九%、政府開発援助三年間倍増のための経済協力費は一七・五%、恩給、社会保障費等は一般経費の伸び率を上回る措置が講ぜられ、五十五年度予算は既定経費の節減合理化の中でも緊要な重要施策については予算の重点配分が貫かれております。
 この際、私は、特に社会保障と防衛問題について一言申し上げたいと思います。
 わが国の社会保障は、高度経済成長期の自然増収に支えられ大幅な改善が行われておりますことは、年金を例にとるまでもなく国際的に遜色なきものになっております。しかし、近年、ばらまき福祉への批判から、単なる量的拡大から質的充実が求められておることは御承知のとおりであります。予算編成時における福祉に関する党と政府との申し合わせは、福祉の後退を意図するものではなく、現行社会保障制度の体系や効率、給付と負担についての明確化を図って、高齢化社会に対応した日本型福祉社会建設の長期的展望に立って、真に福祉を必要とする方々に手厚い保障を行うものであります。
 また、防衛問題につきましては、不幸にして与野党間で大きく意見が異なることはきわめて遺憾であります。
 およそ、独立国にあって自国の平和と安全のために防衛力の整備を図ることは、国家存立の基盤であります。今日の緊張化する国際軍事情勢の中にあって、わが国が国力、国情に応じて日米安保条約を基軸に防衛力の整備に努めることは当然の責務であり、今回の予算でGNP対比〇・九%を確保しておりますことは適切な対応であり、今後ともその強化充実を強く推進すべきであることを主張いたすものであります。
 最後に政府に要望いたしたいことは、強力な物価対策であります。
 現在の物価上昇は、大平総理が述べられているように、原油価格の高騰による産油国への所得の移転であるため、単純な価格統制や公共料金の凍結によって解決できるというなまやさしいものでなく、政府の対策にも限度のあることも十分承知しております。しかし、最近の物価高騰の中には、たとえば野菜の異常な値上がりなど、政策の対応いかんによっては十分防止し得るものもあります。政府ではさきに総合対策を講ずるなどの努力を行っており、この方の効果も期待できるのでありますけれども、今後とも総需要管理政策の一層の徹底を図るとともに、きめの細かい構造対策や個別対策を実施して、何としても六・四%の政府見通し内でおさまるよう強く強く要望いたしたいのであります。
 戦後三十数年、わが党は、国民各位の御支持により、世界に例のない一党による政権を担当し、今日ある日本を築いてまいりました。いま、八〇年代の不透明時代の幕あけに際して、わが党は、かつての実績と経験を生かし、新しい時代の国民のニーズにこたえるため、さらに研さんしてこの難局を乗り切ることを国民各位に訴え、予算三案に対する私の賛成討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#12
○議長(安井謙君) 相沢武彦君。
   〔相沢武彦君登壇、拍手〕
#13
○相沢武彦君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました昭和五十五年度予算三案に対し、反対の討論を行います。
 先行き不透明、不確定要因が従来以上に増してくる八〇年代、その幕あけとなります昭和五十五年度のわが国経済は、OPECの原油値上げ、物価高騰、財政再建、高齢化社会への対応、加えて最近のはなはだしい円安傾向とそれによる輸入価格の高騰、さらに自動車をめぐる日米経済摩擦など、内外ともにきわめて厳しい環境に取り囲まれております。
 しかしながら、政府予算案は、こうした緊急的課題に取り組む内容に乏しいばかりでなく、一言で言えば、福祉切り捨て、弱者切り捨てであり、公共料金を初め物価値上げを織り込んだ国民負担増加予算にほかなりません。
 加えて、行政改革や補助金の整理一つをとっても中途半端なもので、財政再建の第一歩にはほど遠いと言わねばなりません。
 こうした大平自民党内閣の旧態依然たる姿勢は、有言不実行の最たるものと言わねばなりません。
 以下、政府予算三案に反対する主な理由を申し上げます。
 反対理由の第一は、各種公共料金の引き上げ等政府主導による物価値上げが画策されていることであります。現在の物価動向を見ると、二月の卸売物価は前年比二一・四%の大幅上昇を記録し、年率で見ると三六・一%の上昇となります。消費者物価も月を追って上昇し始め、二月の全国消費者物価指数は前年比八・〇%の上昇と上昇率は急速に高まっております。このような状況下にありながら、政府は、四月から平均五〇%前後に及ぶ電力料金やガス料金の大幅引き上げを認可し、その上に国鉄、たばこ、郵便料金等の各種公共料金の引き上げを強行しようとしているのであります。
 政府は、物価問題が最大の課題であるとして総合物価対策を決定し、公定歩合の引き上げや財政執行の抑制を実施しておりますが、いまや公共料金の値上げ中止や具体的な個別物価対策が緊急不可避となっているのであります。
 国民生活の圧迫となるインフレ、なかんずく昭和五十五年度消費者物価上昇見通し六・四%の破綻を容認する政府の姿勢に強く反対するものであります。
 反対理由の第二は、財政再建が社会保障費の圧縮と引きかえられ、弱い者いじめの福祉後退予算となっている点であります。
 政府案における社会保障関係費はわずか七・七%増にとどめられました。加えて、厚生、大蔵同省並びに自民党は、「昭和五十六年度において右人医療無料制度、児童手当制度等各種福祉制度の見直し」を申し合わせており、昭和五十六年度以降の福祉政策の後退へのもくろみは明らかと言うほかはありません。
 また、現在の薬づけ、検査づけ医療体制を改革することなしに、いたずらに健康保険法の改悪による患者、被保険者の負担増を図っております。さらに、年金の掛金の大幅引き上げを画策しているのであります。
 今後わが国が高齢化社会に突入していく上でぜひとも必要な将来展望を持った長期社会保障計画の策定等は何ら着手されておりません。わが党はこうした福祉切り捨て策に強く反対するものであります。
 反対理由の第三は、財政再建に関してであります。
 政府は、昭和五十五年度予算案において、昭和五十四年度当初予算に対し一兆円の国債減額を行ったことを本予算案の一つの目玉であるとし、これをもって財政再建元年の第一歩と誇示しております。しかしながら、昭和五十五年度の国債発行額は、昭和五十四年度補正予算と対比すると実に八千億円も上回り、巨額に及ぶ税の自然増収に助けられていながら、実質的には史上最高の国債増発となっているのであります。しかも、赤字国債は昭和五十四年度の補正予算における六兆九千日七十億円に対し、昭和五十五年度は七兆四千八日五十億円と増発されているのであります。
 税収面でも、不公平税制の是正、とりわけ租税特別措置の整理合理化は初年度四百八十億円程度にとどまり、はなはだ不十分であるとしか言えず、その他、法人税の引き上げが財界の圧力で取りやめになったこと、不公平税制の是正等に伴う増税額が昭和五十四年度に比べ一千億円も少ないこと等、財政再建に本気で取り組む姿勢が全く見受けられないのであります。
 行政改革についても、今回の予算編成の最重要課題の一つとされていたにもかかわらず、昭和五十五年度中に実現するものは特殊法人の整理五件だけというありさまであります。
 補助金についてもしかりでありまして、千九百六件、千六百六十七億円を整理合理化したと政府は言っておりますが、実際に廃止するのは三百二十八件で、残りは統合、減額あるいは終期を設けただけであります。しかも、一方において三百件を超す新規補助金を認め、総額では前年度に比べ一兆円余りもふくれ上がっております。
 そして、三K赤字対策についても同様であります。
 反対理由の第四は、八方ふさがりになっている国債管理の問題であります。
 安易な大量国債発行のツケと高金利を反映して債券市場は混乱を呈しており、特にロクイチ国債等の相場は大幅な値崩れとなっております。
 加えて、銀行等の国債所有金融機関の評価損がふくらむ一方、都銀等では預金増以上の国債を引き受けている状況にあり、国債の消化難はますます混迷の度を深めております。国債の消化だけに重点を置いてきた政府の国債政策は、第一段階である消化の段階で大きな行き詰まりを生じているのであります。
 政府は、国債の買い支え出動についても、国債だけを買って国債エゴイズムというようなことはしたくないと言っておりますが、公社債市場を混迷に陥れている最大の元凶は国債ではありませんか。このことは、言うまでもなく政府の安易な大量国債増発政策の失敗を意味するものにほかならず、これを放置すると、やがて国民の損失をふやすとともに、財政インフレとなって国民にそのツケが一方的に回ることを大いに危惧せざるを得ません。
 昭和五十五年度は、徹底した行政改革や大企業等の法人税増税などにより、国債を政府案よりさらに一兆円以上圧縮できたはずであり、政府の安易な国債依存体質に強く不満の意を述べたいのであります。
 このほか、地方行財政対策の不備、中小企業対策への配慮の欠落等、昭和五十五年度予算案は混迷するわが国経済社会の要請に十分こたえておらず、きわめて不十分と言わざるを得ません。
 このような多くの問題がある本予算案は、私どもはとうてい認めることはできないのであります。
 以上の理由を申し上げ、反対の討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#14
○議長(安井謙君) 小巻敏雄君。
   〔小巻敏雄君登壇、拍手〕
#15
○小巻敏雄君 私は、日本共産党を代表して、五十五年度予算三案に対する反対討論を行います。
 八〇年代に入って国民生活が日に日に苦しさを増す中で、わが国の政・官・財界を通じて不正腐敗がせきを切ったように噴き出しています。長期にわたる自民党政権が招いた政治、経済、社会全域にわたる危機的様相に対して国民は深刻な不信を表明するとともに、五十五年度予算に対しては国民生活の安定と国家財政の再建を切実に求めているのであります。
 ところが、政府予算案は、こうした国民の願いを無視し、じゅうりんするものでさえあります。
 以下、私は、予算案の反国民性を明らかにして、反対理由を述べます。
 まず第一に、この予算案は、公共料金を大幅に引き上げ、社会保障、福祉の切り下げを行い、加えて三年連続の所得税減税見送りによる実質大増税を押しつけて、国民に三重苦を強制する予算であります。
 狂乱物価の再現が足早に迫っております。卸売物価はすでに年率三〇%を超えて、さきの狂乱物価以来の急上昇であります。石油を初めとする輸入原材料の高騰に加え、独占大企業の便乗値上げが続くのを放置するなら、全商品への波及が急速に進んで、国民生活を破綻に追い込むことは目に見えております。
 いま政府のなすべきことは、公共料金を据え置き、独占物価の抑制に力を尽くすことであります。にもかかわらず、政府は、本予算案において、たばこの定価、国鉄運賃、郵便料金など一挙に空前の公共料金値上げを組み込み、さらに電力、ガスの四〇%ないし五〇%以上という大幅値上げを認可したのであります。これでは、政府がみずからインフレの火に薪を加え、油を注いで物価狂乱を招き寄せるものと言わなければなりません。みずから物価を引き上げる政府が総合物価対策を唱えても、それはまことに無責任、むなしい言葉にすぎません。
 現に、総合物価対策の一環として公定歩合の引き上げを行っても、抑制効果が見えない上に、かえって庶民を苦しめております。銀行から資金を借りる中小企業、住宅ローンで高い金利を払わされる勤労者は、ここでもまた犠牲を強いられるのであります。
 公共料金値上げによる国民の負担増に加えて、福祉切り下げ政策による各種年金類の負担増、所得税の実質増を合わせますと一本年度の国民負担は四兆二千六十二億円の増、国民一人当たりにして三万五千六百十六円に及ぶのであります。これはまさに反国民的と言わなければなりません。
 反対理由の第二は、軍事費であります。
 政府は、アメリカの要請、財界の要求に引きずられ、追従して、きわめて危険な道に足を踏み入れようとしております。アメリカのカーター政権は、アフガニスタンに対するソ連の軍事介入を契機に、わが国に対して軍事費の着実で顕著な増額、太平洋輸送路の防衛分担、自衛隊による三海峡封鎖作戦など、政治経済協力に加えて軍事面での協力分担を相次いで要求してきています。わが国の自主性がいまほど問われるときはありません。国際紛争の中で力の政策に加担することは絶対に許されてはならぬことであります。
 しかるに、わが国財界首脳の一部には、軍事費増強による軍事兵器産業育成論、武器輸出論、ついには徴兵制検討の発言さえ飛び出すはなはだ危険な情勢があります。憲法遵守の厳粛な義務を負う政府が、いやしくもこれら死の商人の声に動かされるようなことがあってはなりません。
 こうした中で、政府は、防衛庁の中期見積もり、すなわち五年間に二兆八千億という莫大な軍事費支出を認め、GNP比一%達成をも実行しようとしております。断じて反対であります。これは軍事大国へ大きく踏み込んでいく危険な道しるべであるばかりでなく、国民生活破壊に直結するものであります。
 わが党が衆議院において提出した修正動議でも示したように、大企業本位の財政経済を国民本位に切りかえ、軍事予算を削減し、平和で暮らしやすい日本を目指すことこそ広範な国民の願いであります。
 反対理由の第三は、この予算案がわが国の財政破綻を一層深刻化させるものだということであります。
 政府は、この予算案が財政再建の第一歩を踏み出すものだと言っておりますが、その内容は、財政破綻のツケを国民に転嫁し、その一方で国債発行額を五十四年度より二千二百億円も増額して、わが党が指摘したように、向こう十五年間に国債費を二百兆円も支払わなければならないというものであり、これではまさに一層深刻な第二の財政危機への第一歩を踏み出すものであります。
 反対理由の第四は、KDD疑獄や日税連の法案買収事件、さらには浜田事件などに象徴される大平内閣の金権腐敗容認の政治姿勢と自民党腐敗体質のもとにおいては、真に国民が望んでいる民主的行政改革が全く進められないということであります。
 KDD、日税連事件に次いで発覚した浜田事件は、外国で賭博に興じ、あまつさえその負債にロッキードの不正資金を充てていたという言語道断の事件であり、今日の自民党政治の恐るべき腐敗と、あきれ果てた堕落退廃ぶりを如実に示すものであります。
 また、一般消費税導入の布石となる税理士法改正案をめぐっても、東京地検が贈収賄事件としてまさに捜査中であるにもかかわらず、大平首相みずから献金問題により影響を受けないなどと言明して疑惑隠しの先頭に立ち、去る四月一日にはわが党の反対と国民の疑惑究明の要求を無視してあえて法案を強行可決されたのであります。まさに疑惑は深まるばかりであり、本院の歴史に重大な汚点を残し、その権威を失墜させるものと言わなければなりません。
 ところが、政府・自民党は、KDD疑獄での板野前社長や浜田幸一衆議院議員の国会への証人喚問を頑強に拒絶し、国会での疑惑究明に妨害姿勢をとり続ける一方で、金のかからない選挙を口実にファッショ的な小選挙区制の導入さえ公然と画策しているのであります。
 このような腐敗体質温存の姿勢で国民本位の行政改革ができるものではありません。高級官僚の天下り禁止など腐敗の根源には全く手をつけず、自衛隊や公安調査庁など不要部門は強化し、国民生活に直結する部門を削減しようとする今日の大平行革を見たとき、それは余りにも明々白々であります。
 私は、この機会に、捜査当局が疑惑隠しの策謀に屈せず、KDD疑獄の核心である政界工作や日税連、また浜田事件などの……
#16
○議長(安井謙君) 小巻君、時間が超過しております。結論をお急ぎください。
#17
○小巻敏雄君(続) 政治腐敗を徹底的に究明すること、また、政府・自民党が浜田氏の証人喚問など国会での腐敗究明に全面的に協力することを強く要求するものであります。
 以上述べましたように、本予算案は国民にとってとうてい認めることのできないものであります。
 日本共産党は本予算案に断固反対し、アメリカ追随、大企業奉仕の予算から国民生活最優先の予算に改め、日本経済の……
#18
○議長(安井謙君) 時間が経過しております。
#19
○小巻敏雄君(続) 民主的再建の方向への根本的転換を図ることなしには八〇年代わが国危機打開の道はない……
#20
○議長(安井謙君) 結論を願います。
#21
○小巻敏雄君(続) このことを強調いたしまして、私の反対討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#22
○議長(安井謙君) 栗林卓司君。
   〔栗林卓司君登壇、拍手〕
#23
○栗林卓司君 私は、民社党を代表して、ただいま議題となりました昭和五十五年度一般会計予算外二案に対し、反対の討論を行います。
 振り返りますと、衆参両院での予算審議期間中に公定歩合が二度にわたって引き上げられました。それ自体異例なことであります。そして、その都度日本銀行が政府に訴えたことは、公債発行の減額でありました。政府提出の予算案に対して、金融政策を預かる日銀からたびたび苦情が出されたというのも、余り例のないことであります。そして、このことほどただいま議題となっております昭和五十五年度予算案の性格を端的に物語るものはありません。
 一昨年度すなわち昭和五十三年度の公債発行高は、これを引き受ける市中銀行にとって、一年間の預金の伸びのせいぜい三割強の金額でありました。したがって、公債を引き受けても、預金の伸びの七割弱は一般の融資に充てることができたのであります。しかし、昭和五十四年度の状況はさま変わりでありました。十三兆四千七百二十億円という公債発行高は、都市銀行にとって、預金がふえた分を全部公債引き受けに回してもまだ足りないほどに巨額であり、しかも加えて、無理な公債発行が招いた相場の暴落は、市中金融機関に対して約四千億円の評価損、売却損を与えたのであります。日銀が苦情を言い続けるのも当然であります。
 では、こうした状況のもとで今年度の公債発行高はどうかと言えば、昭和五十四年度をさらに八千億円上回る十四兆二千七百億円であります。政府は、当初、今年度は公債発行を昨年度に比べて一兆円減額すると説明してまいりました。それは、昨年度に当初予定した公債が全額発行できるとしての計算であります。しかし、金融市場の実情を無視した一方的な計算が通用するはずがありません。結局、昨年度は、当初予定の八八%、金額で一兆八千億円も下回る発行しかできなかったのであります。それにもかかわらず、さらに今年度、昨年度の実績を八千億円も上回る公債発行が行われたとしたら、一体どういうことになるのか。それは金融市場に昨年に輪をかけた混乱をもたらすことは必至であり、ようやくにして自律回復のきっかけをつかんできた民間設備投資の芽を摘み、さらに一層の国債相場の暴落をも伴いながらわが国を深刻なスタグフレーションに追いやるに違いありません。
 すなわち、昭和五十五年度予算における公債発行高十四兆二千七百億円は、本来、発行できるものでもなければ、すべきものでもありません。これが予算案に反対する第一の理由であります。
 もちろん、政府としても、いまとなっては全額発行できるとは考えていないと思います。大蔵大臣も答弁されたごとく、公債発行のじゃ口を閉めることが現下の急務なのであります。
 では、そうだとして、一体今年度の実際の公債発行高はどれくらいになるのでありましょうか。また、その結果、歳入はどの程度減ることになるのでありましょうか。政府はそれを明確に示す義務があります。なぜなら、歳入の裏側にあるものは歳出であります。したがって、歳入が不確定ということになれば当然歳出も不確定になる理屈であります。すなわち、昭和五十五年度予算の基本的な性格を一言で要約して言えば、予算が可決成立したからといって、その予算を全部使ってしまうわけにはいかない予算だということであります。
 しかし、これでは国会で予算案を採決する意味がありません。元来、予算とは、単なる歳入歳出の見積表ではありません。予算は財政行為の準則であり、政府の行為を規律する法規範であります。そして、予算の採決とは、憲法八十三条、八十五条、八十六条などの条項に従い、国の財政を処理する権限を政府に与える国会の議決にほかなりません。この国会の議決に際して、歳入歳出両面にわたって不確定な予算案というものは全く不適当であります。
 しかも、問題は、公債にとどまりません。公定歩合の大幅な引き上げが景気に及ぼす影響などを考えたとき、租税収入の見積もりも安心というわけにはいかないのであります。加えて、引き続く円安傾向、米国の高金利政策など、予算編成の当初に想定した状況とは大きく違ってまいりました。
 こうした変化が予算の成立後に起こったものであるなら、必要な補正予算を作成し、国会に提出すればよいのであります。しかし、その変化が予算の審議期間中に起こった場合、政府はこれにほおかむりして当初の予算案をあくまでも押し通すという態度をとるべきではありません。むしろ、その変化を率直に受けとめ、予算案を再検討し、当初予算に必要な修正を加えて国会に再提出すべきであります。しかし、今回はそうしておりません。これが反対理由の第二であります。
 現在、わが国財政は赤字国債の桎梏のもとにありますが、その発端となったのが昭和五十年度の三兆円を超える歳入欠陥でありました。しかし、当時を振り返ると、当初予算を審議していた際、すでに相当の歳入不足が出るであろうということは明らかだったのであります。そこで、われわれは、当初予算の撤回と行政経費の削減を含む新予算案の提出を政府に求めたのであります。しかし、政府は言を左右にしてこれを受け入れず、当初予算を押し通して、ついに年度末には大幅な財政赤字を出すに至ったのであります。
 ところで、昭和五十五年度予算は、程度の差こそあれ、昭和五十年度予算の場合と同様に歳入の不安を抱えた予算であります。やってみたけれどやっぱりだめだったからといって赤字公債を増発するわけにもいきません。昭和五十年度の場合と違って、いまの金融市場にはそれを引き受ける力がないからであります。
 では、増税をしようとしても、国民は行政改革なしの増税を受け入れる気持ちは全くありません。したがって、残された道はたった二つ、すなわち、インフレ覚悟で急場をしのぐか、あるいは思い切って行政費を削減するかであります。まさに財政は追い詰められたと言わなければなりません。ところが、この現状にもかかわらず、五十五年行革による行政経費の節減が、昭和五十五年度でわずかに二千二百七十億円とは、一体何事でありますか。これが反対の第三の理由であります。
 最後に、国鉄の再建問題に託して行政改革の取り組み方について一言申し上げたいと思います。
 国鉄の再建については、昨年十二月の閣議了解に基づき所要の法律案が今国会に提出されております。内容の適否は別として、時間的に見て今回の国鉄再建が再建の最後のチャンスになることは間違いないと思います。なぜなら、国鉄の膨大な赤字を支え続ける余力はもはやわが国財政には残されていないと判断されるからであります。国鉄が再建され国民とともに財政が救われるか、国鉄が再建されず国民と財政が国鉄とともに心中するかの瀬戸際に立たされていると言っても過言ではありません。
 ただ、問題なのは、営業費の三分の二以上が人件費である鉄道経営の特徴として、再建問題が必然的に人員整理に結びつくことであります。
 この点、同様の事情にあったイギリスの国鉄では、思い切った再建方針を確立し、昭和三十八年当時四十八万人いた国鉄職員を、ほぼ十年後の昭和四十八年には半分以下の二十三万人に削減したのであります。そして、この再建計画が比較的円滑に進捗した理由として、職員の希望退職、新規採用の抑制、さらに労使の間で結んだ要員整理協定に基づく再就職のあっせんが挙げられております。再建策としての職員の希望退職及び新規採用の抑制は、日本もイギリスもさして違うわけではありません。違うのは、ただ一つ、労使間で締結した要員整理協定に基づく再就職のあっせんであります。言いかえれば、人員整理の問題にも目をそらさずに取り組んでいくまじめな態度であります。その結果、イギリスの国鉄は危機を脱し、日本の国鉄は国民と財政に無理心中を迫る形となっているのであります。
 なぜこのような違いが出るのか。一事が万事であります。
 この際、政府に対し、反省と責任の自覚を求めて、反対討論を終わります。(拍手)
#24
○議長(安井謙君) これにて討論は終局いたしました。
 これより三案を一括して採決いたします。
 表決は記名投票をもって行います。三案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#25
○議長(安井謙君) 投票漏れはございませんか。――投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#26
○議長(安井謙君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#27
○議長(安井謙君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数        二百三十六票
  白色票          百二十五票
  青色票           百十一票
 よって、三案は可決されました。(拍手)
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名      百二十五名
      安孫子藤吉君    青井 政美君
      浅野  拡君    井上 吉夫君
      伊江 朝雄君    岩動 道行君
      石本  茂君    糸山英太郎君
      稲嶺 一郎君    岩上 二郎君
      岩崎 純三君    上田  稔君
      上原 正吉君    植木 光教君
      江藤  智君    衛藤征士郎君
      遠藤  要君    遠藤 政夫君
      小澤 太郎君    大石 武一君
      大島 友治君    大鷹 淑子君
      大谷藤之助君    岡田  広君
      長田 裕二君    加藤 武徳君
      梶木 又三君    片山 正英君
      金井 元彦君    金丸 三郎君
      上條 勝久君    亀井 久興君
      亀長 友義君    河本嘉久蔵君
      木村 睦男君    北  修二君
      久次米健太郎君    楠  正俊君
      熊谷太三郎君    熊谷  弘君
      源田  実君    小林 国司君
      古賀雷四郎君    後藤 正夫君
      郡  祐一君    佐々木 満君
      斎藤栄三郎君    斎藤 十朗君
      坂野 重信君    坂元 親男君
      山東 昭子君    志村 愛子君
      嶋崎  均君    下条進一郎君
      新谷寅三郎君    菅野 儀作君
      鈴木 正一君    鈴木 省吾君
      世耕 政隆君    園田 清充君
      田代由紀男君    田原 武雄君
      高橋 圭三君    高橋 誉冨君
      高平 公友君    竹内  潔君
      玉置 和郎君    塚田十一郎君
      土屋 義彦君    戸塚 進也君
      徳永 正利君    内藤誉三郎君
      中西 一郎君    中村 啓一君
      中村 太郎君    中村 禎二君
      中山 太郎君    永野 嚴雄君
      夏目 忠雄君    鍋島 直紹君
      成相 善十君    西村 尚治君
      野呂田芳成君    長谷 川信君
      秦野  章君    初村滝一郎君
      鳩山威一郎君    林  寛子君
      林  ゆう君    原 文兵衛君
      桧垣徳太郎君    平井 卓志君
      福岡日出麿君    福島 茂夫君
      藤井 裕久君    藤井 丙午君
      藤川 一秋君    藤田 正明君
      降矢 敬義君    降矢 敬雄君
      細川 護煕君    堀内 俊夫君
      堀江 正夫君    真鍋 賢二君
      前田 勲男君    増岡 康治君
      増田  盛君    町村 金五君
      丸茂 重貞君    三浦 八水君
      宮田  輝君    最上  進君
      望月 邦夫君    森下  泰君
      八木 一郎君    安田 隆明君
      山崎 竜男君    山内 一郎君
      山本 富雄君    吉田  実君
      有田 一寿君    柿澤 弘治君
      野末 陳平君    森田 重郎君
      河野 謙三君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名      百十一名
      阿具根 登君    青木 薪次君
      赤桐  操君    茜ケ久保重光君
      穐山  篤君    小野  明君
      大木 正吾君    大塚  喬君
      大森  昭君    粕谷 照美君
      片岡 勝治君    片山 甚市君
      勝又 武一君    川村 清一君
      久保  亘君    栗原 俊夫君
      小谷  守君    小柳  勇君
      小山 一平君    佐藤 三吾君
      坂倉 藤吾君    志苫  裕君
      瀬谷 英行君    田中寿美子君
      高杉 廸忠君    竹田 四郎君
      対馬 孝且君    寺田 熊雄君
      戸叶  武君    野田  哲君
      浜本 万三君    広田 幸一君
      福間 知之君    藤田  進君
      松前 達郎君    松本 英一君
      丸谷 金保君    宮之原貞光君
      村沢  牧君    村田 秀三君
      目黒今朝次郎君    森下 昭司君
      矢田部 理君    安恒 良一君
      安永 英雄君    山崎  昇君
      吉田忠三郎君    吉田 正雄君
      和田 静夫君    阿部 憲一君
      相沢 武彦君    和泉 照雄君
      内田 善利君    太田 淳夫君
      柏原 ヤス君    上林繁次郎君
      黒柳  明君    桑名 義治君
      小平 芳平君    塩出 啓典君
      渋谷 邦彦君    白木義一郎君
      鈴木 一弘君    田代富士男君
      多田 省吾君    中尾 辰義君
      中野  明君    二宮 文造君
      馬場  富君    原田  立君
      藤原 房雄君    三木 忠雄君
      峯山 昭範君    宮崎 正義君
      矢追 秀彦君    矢原 秀男君
      渡部 通子君    市川 正一君
      上田耕一郎君    神谷信之助君
      河田 賢治君    沓脱タケ子君
      小巻 敏雄君    佐藤 昭夫君
      下田 京子君    立木  洋君
      内藤  功君    橋本  敦君
      宮本 顕治君    安武 洋子君
      山中 郁子君    渡辺  武君
      井上  計君    木島 則夫君
      栗林 卓司君    三治 重信君
      田渕 哲也君    中村 利次君
      藤井 恒男君    向井 長年君
      柳澤 錬造君    江田 五月君
      田  英夫君    秦   豊君
      前島英三郎君    円山 雅也君
      青島 幸男君    市川 房枝君
      喜屋武眞榮君    下村  泰君
      秋山 長造君
     ─────・─────
#28
○議長(安井謙君) 日程第一 税理士法の一部を改正する法律案(第九十回国会内閣提出、第九十一回国会衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長世耕政隆君。
   〔中村禎二君登壇、拍手〕
#29
○中村禎二君 ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。
 本法律案は、国会議員の選挙等の執行について、国が負担する経費で都道府県及び市町村に交付するものの現行基準額を実情に即するよう改定するとともに、新たに身体に重度の障害がある者の郵送による投票経費を事務費に算入する等、所要の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、基準額の算定基礎、地方区の議員定数、政治資金の規正、選挙法違反事件その他の問題について熱心な質疑が行われました。
 質疑を終わり、討論なく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告いたします。(拍手)
#30
○議長(安井謙君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#31
○議長(安井謙君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。
     ―――――・―――――
#32
○議長(安井謙君) この際、日程に追加して、
 国会議員互助年金法の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#33
○議長(安井謙君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。議院運営委員長中山太郎君。
   〔中山太郎君登壇、拍手〕
#34
○中山太郎君 ただいま議題となりました国会議員互助年金法の一部を改正する法律案につきまして御報告申し上げます。
 本法律案は、昭和四十九年三月三十一日以前に退職した国会議員等に給する互助年金について、本年四月から基礎歳費月額を現行の五十六万円から五十八万円に改定するとともに、国庫納付金を現行の歳費月額の百分の九から百分の九・三に改めるほか、国会議員が国民年金に任意加入できることとしようとするものでありまして、委員会におきましては、審査の結果、多数をもって可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#35
○議長(安井謙君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#36
○議長(安井謙君) 過半数と認めます。よって、本案は可決されました。本日は、これにて散会いたします。
  午後二時五十分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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