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1949/04/01 第7回国会 参議院 参議院会議録情報 第007回国会 本会議 第36号
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1949/04/01 第7回国会 参議院

参議院会議録情報 第007回国会 本会議 第36号

#1
第007回国会 本会議 第36号
昭和二十五年四月一日(土曜日)
   午後一時五十五分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第三十四号
  昭和二十五年四月一日
   午後一時開議
 第一 最高裁判所裁判官国民審査管理委員の選挙
 第二 広島県大林村に簡易郵便局設置の請願(委員長報告)
 第三 郡山市に逓信病院または分院設置の請願(委員長報告)
 第四 郡山市に郵政省地方簡易保險局新設の請願(委員長報告)
 第五 須賀川町須賀川郵便局舎等の敷地買上げに関する請願(委員長報告)
 第六 山形県十六合村に無集配郵便局新設の請願(委員長報告)
 第七 郡山市に郵政健康管理特別局設置の請願(委員長報告)
 第八 国立宮城療養所構内に無集配郵便局設置の請願(委員長報告)
 第九 栃木県落合村に特定郵便局新設の請願(委員長報告)
 第一〇 福島県小野新町駅前に簡易郵便局新設の請願(委員長報告)
 第一一 栃木県北高根沢村に簡易郵便局設置の請願(委員長報告)
 第一二 福島県三和郵便局の集配事務開始に関する請願(委員長報告)
 第一三 山形県東根温泉に郵便局設置の請願(委員長報告)
 第一四 鹿兒島県伊崎田簡易郵便局の昇格に関する請願(委員長報告)
 第一五 簡易生命保險および郵便年金積立金運用再開に関する請願(委員長報告)
 第一六 簡易郵便局の振替事務取扱に関する陳情(委員長報告)
 第一七 阿寒国立公園記念切手発行に関する陳情(委員長報告)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(佐藤尚武君) これより本日の会議お開きます。
   〔木下源吾君発言の許可を求む〕
#4
○議長(佐藤尚武君) 木下源吾君。
#5
○木下源吾君 本員はこの際、新給與実施法の廃案に関する件について緊急質問をすることの動議を提出いたします。
#6
○鈴木清一君 只今の木下君の動議に賛成いたします。
#7
○議長(佐藤尚武君) 木下君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。木下源吾君。
   〔木下源吾君登壇、拍手〕
#9
○木下源吾君 私は、給與法が廃案になつて、政府が月給を拂う根拠がなくなりましたので、この際、政府はこれに対してどういうお考えを持つておるか、これを一つ聞きたいと思うのであります。同時にこのような事態が起きたということに対する政府の責任をも併せて問いたいと思う。又これに関連して民衆が給與ベースの改訂、給與に関する要請、請願等に対して、国会に請願をした場合において、昨夜のような警官隊の威力を以てこれを押え付ける、そういうような行動に対しても私はこの際質問をしたいと思うのでありますが、先ず国会の事態はここは平常ではありません。これ程、輿論も又実際の公務員においても、賃金のベース、これを改訂して貰わなければならない、人事院の勧告を不満足ながらこれが実現方を要望する、国鉄の裁定を不満足ながらこれを実施さして貰わなければならぬ、こういうような澎湃たる国民輿論の前に立つて、政府はこれらの輿論に耳を籍さない。又国会におけるこれらの要請に対しても聊かも耳を藉さない。その結果から来た問題であります。そうして本日は、国家公務員に対する給與はたとえ今日一日であつても空白の状態である。これは政府の責任が非常に重大である。そこで、伝えるところによれば、政府はこの事態を收拾するためにポツダム政令を行おうとする、こういうことがあるのであつて、国会の開会中において、すでに国会の意思表示が確定しておる場合に、苟くも政令を以てそうして行おうとすることが、そのことが真実であるとするならば、議会政治の否認、こう申しても過言でない行動であると思う。勿論、現政府はこれまでもたびたび法律を蹂躪し、議会政治を否認しておるかのごとき行動をたびたびやつておるのであるから、或いは今回もそのような挙に出ずることは日常茶飯事のことのように考えられておるかも知れませんけれども、併しこれは我々は国民と共に非常に憂うるところである。政府は、伝うるように、この給與法廃案の結果、最高司令官に対して覚書を要請したというような事実があるのかどうか、この点を一つお伺いしたいのであります。そうしてその要請をしたとしたならば、その結果はどういうことに相成つたかを伺いたい。
 次には、恐らく政府はこのような給與の根柢がなくなつた責任を感じて、私ならば政府はやめなければならないと思うのでありますけれども、尚いろいろ理窟を付けてこの政府はやつて行くんであろうと考えまするが、その際において、給與を完全に支拂うということのためには新たなる法律を作らなければならないと思うのであります。そして、その法律が従来の新給與実施に関する法律と同一のものであるならば、これは国会に提出するということが、いわゆる同じことを再び審議を求めるということになり、不再理の原則に反すると考えるでありますが、これは以前から一つの慣習法とも言うべきものになつている。この場合、政府はこの点についてはどういうようなお考えを持つておられるか、これを承わります。若しも従来と違つて法律の内容を持つたものを提案するとするならば、それは人事院勧告通りにするか、或いはどういうようにするか、その内容について承わりたいと思うのであります。恐らく政府はもはやみずからの手においてこの事態を收拾するという能力はもうありますまい。多数の與党を恃んで衆議院において議員提出の形で出すということも考えられる。その場合において、すでに参議院は参議院の性格に鑑み、愼重な理性の判断によつて、つい昨日この議場において決定した事実を政府は如何に考えられるか。政府の態度といたしましては、我が参議院を子供扱いにしている。参議院を軽視する甚だしきものである。この参議院においてあの法律を修正いたしましたあの現実を率直に認める、これが国民の意見であるということを考えたならば、よもや多数の與党を恃んでも同一な内容の法律案は提案されないと私は考えるのであるが、若しもそういう事態が起きたとするならば、私は参議院の体面の上においても由々しき問題だと考えるのでありますが、政府はこの点について如何なる所見を持つておられるか、これをお尋ねするわけであります。
 第三点には、ベース改訂をして貰いたい、国鉄の中裁委裁定を完全に実施して貰いたい、こういう声が澎湃と起きているばかりでなく、これらの人々は本国会の行動に対しては至大な関心を持つているのであります。その結果、本院に対して、これが請願、要請のために参つているのであります。この要請、陳情のために参つておるのに対して、昨日多数の警官を動員いたしまして、これら陳情者に対して暴行を加えておる。それは国鉄の或る中闘の一人に対して警官が棍棒を以て、引摺り込んで、棍棒を以て十数回も殴打をして、そうして負傷をせしめておる。この警官の行動の是非は暫らくおきまして、私は思い起す、一九〇五年、ペトログラードにおいてガボン僧正が請願のために宮城に労働組合の多数を連れて参つたときに、この請願に答えたものは機関銃の掃射の彈丸であつたのである。当時、宮城のぐるりはこれら請願者の鮮血によつて血河の状態を呈したのである。それ以来のことは賢明な諸君はすでに御承知でありましよう。人民の請願の声を警官隊の威力によつてこれを押付けるという行動は、正しい政治の運営において私は‥‥内閣の諸公はどう考えておるか。幸いにして我が国の労働者諸君は、一九〇五年のロシアのそれとは違つた意識の水準を持つておるが故に、或いは同一の結果が起きないであろうけれども、併しながら相手が無智であり、暴虐であり、横暴であるならば、結果の如何は予測することはできませんのみならず、我々は飽くまでもドツジ・ラインの修正、資本家擁護のためのこの二十五年度予算に対して、これを突破するのはただ一つベース改訂あるのみという確信を持つて闘つており、この予算委員今の我々の闘いは政府諸公すでに御承知の通りであろう。而も政府は理不盡ないろいろの口実を設けてこれを阻止しようとしておるのであります。我々は今一歩踏み込めば必ずやこの予算を粉碎することはできる確信を持つておる。かかる際において、我々野党の前に何たることぞ、陳情者の暴行に備える、そういうことに藉口いたしまして、昨晩のごとき、晝から夜にかけて数百の警官隊を以て本院の内外を埋めておる状態である。私共政府に対して闘つておる者から見れば、正にかかる警官隊の威圧はひしひしと身にこたえておるものであります。現内閣はみずからの悪政を敢行せんがために、而もこの警官隊は、昔ならば兵力を以てでもこの国会を威圧せんとするのであるか。私は敢えて政府に、樋貝国務相に私は伺いたい。昨日の警官の動員は、いわゆる国会法第百十五條に基き正当なる議長の要請によつて内閣はこれを派遣したものであるか。若し議長の要請であるとしたならば、警官隊の数は幾らであつて、その目的は何に使うということを内閣が決めて、そうしてここに派遣したものであるか。夥しい警官隊の若干の者は病気を帶びておるのである。私はこの事態を起した政府の責任を追及しなければならない。(「その通り」と呼ぶ者あり)曾て現内閣はすでに法律を無視して政務次官を任命したであろう。そうして又国鉄裁定を実施しないということも、又憲法違反の疑いは濃厚である。農林省の次官更送において今又かかる事態――前料幾犯なるかを知らない。真に日本を民主国にしようとする意図が毫末も我々には見ることができないのである。(「ないない」と呼ぶ者あり)かかる状態を惹起して、尚、現内閣は安閑としてその席に留まるという考えを持つているから、私は敢えて総理大臣にこれが所見を承わりたいのであるが、本日は来ておらないから、これに代る者から、正に代る者から、私は明確に答弁を承わりたいのであります。(「徒らに声を大きくしているだけだ」「野外演説か、しつかりやれ」「泣いちや困るよ」と呼ぶ者あり)
   〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(池田勇人君) お答え申上げます。
 公務員の給與の支給に関する法律が昨日廃棄となりましたので、公務員に対しまする給與の支拂の根拠がなくなつたのであります。併し我々として、支拂の根拠法がなくなつたからといつて、公務員に給與を支拂わないというわけには参りません。(「当り前だ」と呼ぶ者あり)従いまして、只今根拠法になるべきものを制定しなければならぬと考慮いたしておるのであります。不日何かの形で根拠法が制定できることと思うのであります。尚、輿論に応えて給與ベースを変更する意思はないかというお話でございますが、先程来申上げておりますように、只今公務員の給与ベースを変更する意思はございません。(拍手)
   〔国務大臣殖田俊吉君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(殖田俊吉君) 総司令部にメモランダムを出すように頼んだかどうか、さようなことは頼んでおりません。ポツダム政令を出す考えは只今ございません。ポツダム政令は総司令部のお話があれば出しますけれども、そのお話のない前にポツダム政令を出すという考えはありません。
 それから法律案を、同じものを出したのでは、一事不再理の原則に反するではないかというお話のようでありましたが、昨日廃案になりました法律案は、当時有効であつたのでありまするが、当時有効であつた新給與法の効力を延長するためにその一部を改正するもの、こういうのに対しまして、今後制定せられまする法律案は、全く白紙の上に新立法をするものでありまして、その性質は全然別であると考えます。従つて一事不再理の原則に反するとは毛頭考えておりません。
   〔国務大臣樋貝詮三君登壇〕
#12
○国務大臣(樋貝詮三君) お答えいたします。
 議院の中におきましては、議長がすべて指揮することになつております。いわゆる指示を待つて臨むわけであります。議長から請求があれば、各院におきまして請求があるならば、警視庁がその配下に属することになつております。従つて政府においてはこれに関與しないことになつております。
 又、昨日におきましてのデモにつきましては、いろいろ面会の形をとつて、丁度衆議院でやりましたと同じように、ああいうことになるのじやないかということも聞きましたけれども、これは法律上から聞いたわけじやないのであります。従つて私共はあれには関與いたさなかつた次第であります。その結果につきましては、事後においてどうなつたかということを聞いておるような始末でありまして、今のところでは私共は関係しておりません。政府は関係しておりません。(「はつきりしないね」「何にもはつきりしない」と呼ぶ者あり)
     ―――――・―――――
   〔板野勝次君発言の許可を求む〕
#13
○議長(佐藤尚武君) 板野勝次君。
#14
○板野勝次君 私はこの際、政府職員の給與実施法の一部改正案の廃棄に関する政府の責任と善後措置について、緊急質問をすることの動議を提出いたします。
#15
○鈴木清一君 只今の板野議員の動議に対しまして賛成いたします。
#16
○議長(佐藤尚武君) 板野君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。板野勝次君。
   〔板野勝次君登壇、拍手〕
#18
○板野勝次君 私は共産党を代表いたしまして、政府職員の給與実施法の一部改正案の廃棄に関する政府の責任と善後措置について緊急質問を試みるものであります。
 昨日から今朝にかけての国会の動きの中には、私達国会議員にも又国民の多数にも、果してこの国会に自主性があるのかどうかということを疑わしめ、且つ政府がしばしばその自主性を強調しながらも、その自主権をみずから放棄して来、又政府みずからがこの自主性放棄の責任を国会に転嫁しようとする努力の跡が見られますことは、国民と共に我々の深く遺憾としておるところであります。(拍手)併しながら参議院におきましては、我々の一切の給與に関する問題の審議に当つた任務はすでに完了いたしたものと私は断定するものでありまして、同一のことを再び国会において取上げるべきものではないと私は確信いたします。そこで現内閣は今日まで何一つ労働者に対する対策を立てて来ていない。立てて来ているものは、労働者が飢餓線上を彷徨するような政策を頑として実施して来ておるという以外に、政策は何も見出すことができないのであります。全官公労働者の意思に反してその低賃金を一年間据置こうとするところの法案は、昨日、全野党の反対に会いまして廃案となりましたことは今更申すまでもないのでありまして、木下君もすでに指摘いたしましたごとく、このために今日から政府職員の給與は法律上完全に空白な状態となつた。政府はこれに対して如何なる責任と善後措置をとろうと考えているのか。元来公務員の給與は、国家公務員法の規定ですべて法律で定めるということになつている。この空白状態が続けば、たとえ予算案が成立いたしましても公務員には鐚一文も支拂うことができなくなつてしまつたのであります。政府職員、全官公労働者は飢えて死んでも構わないという、政府の賃金を粗末に扱う態度こそ、政府の僞わらざる肚ではないでしようか。労働者を奴隷扱いにして倒れるまでこき使うという政府の賃金政策、労働政策こそ、自主性のない吉田内閣の賃金政策、労働政策ではないでしようか。而も政府は応急措置として、再び同じ内容を持つたところの法案をもう一度出すという処置にでも出ようとするのでありますならば、これは明らかに憲法を無視し、国会を無視した措置であります。(「その通り」と呼ぶ者あり)而も政府は、聞くところによりますと、衆議院において議員提出という形で急場凌ぎをやつて行つて、これを解決しようとするやに聞いておるのでありまするが、果してそれが事実かどうか。併し少くとも昨日における全野党の態度が若し変らないといたしますならば、この点は実に重要であります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)若しこの態度にして、全野党の諸君の態度が微動だも変らないといたしますならば、若し政府が一事不再理の原則を破つて議員提出の形で押付けて来ようとも、この参議院が、言われておるごとく、この参議院の権威をみずから保持する能力を持つておるとするならば――私は持つておると確信するのであります。そういたしますならば、再び姿を変えて参りましたこの法案が、再びこの参議院において否決されたならばどうなる。或いは修正された場合には果して政府はどのような措置を講ぜられるのか。この場合予想されるものは、吉田内閣が今までとつて参りましたところの常套手段はただ一つしかないのであります。その頼るべき一本の手綱は当然ポツダム政令を予想するより外ないでありましよう。政府は果してその場合においてポ政令を出すように総司令部に懇請する意思を持つておるかどうか。国会開会中にポ政令の形式を以て出すということは、明らかに憲法を無視し、国会を無視した態度であります。この開会中に、而も国会において廃案となつたものを再び無視してこれを提出して来ることは、明らかに憲法を無視し、国会を無視した態度であるが、併し止むを得ない場合にはそのような措置をおとりになるかどうか。このように一事不再理の原則を破り、憲法、国会をも無視してポ政令で押切ろうとすることこそ、完全にフアツシヨ的な政治であり、ここに吉田内閣の本質が窺われるのでありますが、果してそのような措置をとるつもりかどうか。この吉田内閣の政策破綻は、單に労働政策に止まらないのであります。或いは労働政策は破綻していないと労働大臣は強弁するかも知れないのでありますけれども、国会外における労働者諸君の声は、明らかに吉田内閣の労働政策、賃金政策に対して大いなる不満を持つております。而もこの事実は木下君も指摘いたしましたごとく、昨日の全官公庁諸君の国会内における行動によつてすでに政府は身を以て体験しておられるに違いない。而もこれに対して警察官を動員して負傷者を出さしめる、これ以外には政策を持つていない。それなればこそ、吉田内閣の労働政策というものが、警察官を動員して圧迫しなければならない程、その生活を無視しておるという事実の中にその破綻を示しておるのであります。(「そう」と呼ぶ者あり)併しながらこの破綻は、ただに労働対策のみではないのであります。私はしばしば申しましたから重ねてここでは申しません。併し中小企業の対策にいたしましても、農民の対策にいたしましても、証券対策にいたしましても、貿易対策にいたしましても、何一つ吉田内閣において成功したものはないではありませんか。(「ノーノー」「何もない」と呼ぶ者あり)若しあると言うならば、積極的にこのような事情になつて吉田内閣の政策が成功しておるという具体的な事実を示して頂きたい。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)若し成功しておるものありといたしますならば、労働者を彈圧するこの政策に成功し、中小商工業者を倒産の運命の陷れるこの政策を強行して、これを成功しようとして来ておること、(「その通り」と呼ぶ者あり)外国から沢山の食糧を輸入することによつて食糧の洪水を引き入れて来て、我が国の農村を破壞せんとするこの政策を成功させようとする以外にはないではありませんか。(「もう少し研究して来て質問しろ」と呼ぶ者あり)こうした破綻を持つておる吉田内閣は、この破綻して来ておる政策を押し隠して行くためには、ただフアシズムの性格を露骨に現わして行くより外ないのであります。そうしてこの給與問題に至つて遂にその止めが刺されております。吉田内閣はこの給與問題の政治上の責任を痛感して本当に退陣する意思がおありになるかどうか。(「さつぱりない」と呼ぶ者あり)労働大臣はこの賃金政策、労働対策の破綻を現実の前に見せ付けられて、そうしてその政策を少しでも転換しようとする良心を持つておられるかどうか。我々日本共産党は、何はさておいても即時生活を保障するところの最低賃金制の実現のために闘つて来、今も尚闘つておりますが、取敢えず当面最低の線として全官公の労働者諸君が一致した要求でありますところの九千七百円を支持するものであります。これの実現なくしては労働者の当面する生活を乘り切つて行くことはできないのでありまして、重ねて政府の所信を聞きたいのでございます。
 最後に、政府の曖昧なる答弁を求めておるのではないのでありまして、率直明快なる答弁を求めまするが故に、今まで質問いたしましたその中から更に範囲を限定して、そうして政府に質問の要点を明らかにして置きたいと思います。(「何でも答弁してやるよ」と呼ぶ者あり)
 第一は、先程大蔵大臣は、公務員の給與に関する法律案が廃案となつた、根拠法がなくなつた、併し公務員には金を支拂わなければならない。誠にその通りでありまして、支拂い意思まで枯れていなてしいうことだけは分つたのでありますけれども、併しその制定しなければならないというその法案の内容は、一体どのような内容を持つたものか。併し給與ベース改訂の意思がないというのならば、一事不再理の原則からいたしましても、どのような擬装を凝らして再びこの給與ベースを、同一のものをどのように換骨奪胎して出されようとしておるのか、これに対する明快なる答弁を聞きたいのであります。
 更に法務総裁に聞きたいのであります。(「時間を見ろ」と呼ぶ者あり)心配しなくてもよろしい。ポ政令につきましては、総司令部には頼んでいない、政令を出す考えはないと言われました。而も一事不再理の原則に反しはしないということも言われた。この法案は当時有効であつたが、効力延長で一部改正だ、全く白紙の新立法を出すのだと言われたが、白紙の新立法とは如何なる内容のものかどうか。弁慶の勧進帳でもお読みになるつもりかどうか。この白紙の新立法というのは初めて聞いたのでありますが、如何なる内容を持つておるものであるかどうかを率直に答弁して頂きたいのであります。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)
 更に樋貝国務大臣の答弁の中から見るものは、議会における警察権は議長が持つておるから関與しないということを言われたように思う。併しながら議会以外における政府の勤労大衆に対する従来の彈圧の状態から見て、樋貝国務大臣も知つておられるだろう。税金をまけて貰わなければならないからといつて税務署を取巻くところの民衆に対して彈圧を加えて来ておる。これは果して国会内における議長の権限でありましようか。決してそうではない。吉田内閣の彈圧政策がここに現われて来ておるではないか。いろいろな民衆の運動に対して彈圧を加えておる。この彈圧が国会内にも更に及ぼして来て、昨晩における不祥なる事態を起したのであります。而も生活に困窮しておる者がその生活の改善を図らんがために大衆的な行動をとるのに対して、再び昨日のような状態を繰返して、地方における民衆の彈圧を更にこの上続行する意思であるのかどうか、このことを聞きたいのであります。
 次に労働政策全体の破綻、各種の政策の破綻は誰しもが認めておる事実を、尚、若しもこの破綻に目を掩うて、現在の政策を何一つ変更することなく、政局をあつかましくも担当して行くのか。それとも又みずからの非を認めて、潔く恋々たる政権の維持を放棄して野に下る意思を持つておるのかどうか。総理大臣がいないので適当な人によつて内閣を代表してこの点に対する明快なる答弁を求めたいのであります。(「一人一人聞け、大臣に」と呼ぶ者あり)
   〔国務大臣増田甲子七君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(増田甲子七君) 板野さんにお答え申上げます。
 政府においては、給與に関する根拠法規が昨日を以て効力を失つたということにつきましては、先程大蔵大臣から御答弁申上げましたごとく、もとより給與は、法規がなくなりましても、或いはありましても、予算所定の俸給は完全にこれを支給いたしたいということは考えております。これについて絶対に無責任な考えは持つていないことは、先程大蔵大臣が御答弁いたした通りであります。従いまして俸給の支拂の前提をなす各種の法令につきましては、それぞれ憲法所定の諸機関において発案して頂くなり何なり配慮あらんことを切に政府として実は熱望いたしております。立法としいたしましては、決して一事不再理とは考えておりません。先程法務総裁も明確に御答弁申上げたごとく、すでに法律のないところに新らしく立法するということは、一事不再理では絶対にないのであります。(「明確なる詭弁だ」と呼ぶ者あり)それから吉田内閣においては、各種の経済政策或いは産業政策等において実施に移したものはないというお話でございまするが、そういうことは絶対にございません。我々のすでに実施いたしました公約なり政策なりを列挙いたすと、時間が相当かかりまするから、この際き省略いたしまするが、枚挙に遑のない程、公約なり政策は誠意を以て実施に移しております。
 それから労働政策について自信がないから退陣せよという御質問にお答え申上げます。これは労働方面について精通していらつしやる板野さんのお言葉とも思えないのでございまして、皆さん御承知のごとく、関係主務大臣において大いに努力いたしまして、先般の日鉄争議も円満に妥結に到達いたしました。又全鉱山争議も円満に妥結いたしました。それぞれ相当の労働條件の維持改善という結果を招来したその結果、円満なる妥結に到達いたしましたのでございまして、決して抑圧的手段をとつた結果ではございません。(「政府がやつたのか」「力に負けたんだ」と呼ぶ者あり)電産争議も御承知のごとく相当に給與ベースをアツプいたしまして、即ち労働條件の改善をいたしました結果、円満に妥結に到達いたしました。(「政府がやつたのか」と呼ぶ者あり)かくのごとく、それぞれ労働政策については主務大臣において大いに努力をし、その成果は着々に現われておるのでありまして、政府といたしましては退陣というがごときことは毛頭考えたことはございません。(拍手)
   〔国務大臣池田勇人登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(池田勇人君) 板野さんの御質問に対しましては、先程の増田国務大臣或いは法務総裁の御答弁で十分であろうと思いますので、私からはお答え申上げる必要はないと思います。
 次にこの機会を借りまして、先般吉川議員が私に対して御質問に相成りました予算案審議に際して関係法規の提出が遅れたり、或いは提出がなかつたら、予算案審議に支障を来たすではないか、こういうお話でございます。お話の通りに地方税は遅れました。又地方財政平衡交付金法案はまだ出ておりませんが、地方税はすでに出ておりまするし、又地方財政平衡交付金法案は直接に予算案とは関係がないと私は考えておるのであります。従いまして早急に予算案の御審議をお願いしておる次第であるのであります。(拍手)
   〔国務大臣君木正文君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(鈴木正文君) 私に対する御質問の焦点は、賃金給與の問題の方向を変える意思はないかというふうな点にあつたと存じます。この問題につきましては、政府の方針は従来あらゆる機会に御説明申上げた通りでありまして、総合的な経済諸政策によつて実質賃金の充実維持を図つて行くというのが根本最の政策であり、今後においてもこの線を堅持することが国家再建のために一番着実な途であると考えております。(拍手)
   〔国務大臣殖田俊吉君登壇〕
#22
○国務大臣(殖田俊吉君) 大体先程お答えをいたした通りでありまするが、もう一度申方げますると、ポツダム政令と申しますのは総司令部の指示に基いて発せられる政令であります。従つて指示がなければ制定はいたしません。指示は與えるものでありまして、要請すべきものではございません。若し又指示がありました際には、その指示に基きまして、或いは必要があればポツダム政令の制定をいたします。その場合には憲法違反の問題はないのであります。
 一事不再理の問題でありますが、これも先程申上げた通りでありまして、昨日廃案になりました法案は現に有効でありました法律の効力を延長する法案であります。併しながら若し今度新たに立法されるといたしまするならば、そこには何ら現に有効である法律というようなものはないのでありまして、全く白紙の上に新らしく立法するのでありますから、一事不再理の原則に反するものではないということを申上げたのであります。
   〔国務大臣樋貝詮三君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(樋貝詮三君) 只今御質問があつたのは昨日の議会のことについて御質問されましたから、従つて参議院の議長からその御要求がなれれば、私の方で、政府の方で指図をするのではないということを申上げたのであります。従つて税務署等においてどういうふうになつておつたかということを私は申上げなかつたのであります。御承知のことと存じて私は非常に抽象的にお答え申上げたのですが、現在の警察法その他の法律によりますというと、この議会におきましては、衆議院議長、それから参議院は参議院議長の請求があれば、それで自治体の警察であるところの警視庁がその傘下に入りまして警備に当るということになつておる。従つて政府は非常事態を宣言しない限りにおいては、何ら只今申上げたようなことに干渉をすることはもとよりのこと、法律上は結果さえも報告を受けないような現在の警察制度になつております。事実上話が出ますのはこれは別といたしまして、法律上はその報告を求めるというようなことにもなつておらぬ次第であります。従つて昨日の出来事に対しましても、参議院議長よりどういう手段をとりましたかは、後に事実上の話は別といたしましても、そのときにおいて別に政府が報告を受けたわけではないのであります。又政府においても公式にどういうことを報告して貰いたいということを要求したわけではないのであります。言い換えれば、政府が何も関係しないことに強いてそういうふうな関連を結び付けた、こういうことになるわけでありますから、私から細かい御答弁を申上げるよりは、むしろその実情をお知りの方が却つてよかろうと考えておる次第であります。
#24
○議長(佐藤尚武君) 日程第一……
   〔板野勝次君発言の許可を求む〕
#25
○議長(佐藤尚武君) 板野君の御発言は再質問ですか……僅か一人残つておりますから、その時間内でお願いいたします。
#26
○板野勝次君 只今の答弁はいずれも不満足であります。そこで重ねて官房長官に答弁をお願いしたいのは、(「いないぞ」と呼ぶ者あり)立法府に所定の手続を経て立法措置をとつて貰うことを政府は熱望しておるということでありますが、立法府をしてどのような手続でやらせようとしておるのか、この点を承わりたいのであります。若し官房長官がいないならば誰でも適当な人によつて答弁をして貰いたい。ところが若し同じような方法で否決された場合においてはどうするか。同じ状態が続いた場合において政府としてとるべき措置はどのような措置がとられるのか、この点が答弁されていないのであります。若し参議院が昨日と同一の状態でありますならば、再び修正された場合にどのような措置をとられるか、頼るのはポツダム政令以外に頼る途はなくなつて来るのではないか、その場合にどういう措置をとられんとされるのかということを聞いておるのでありまして、これに対する明快なる答弁を求めたいのであります。
 又法務総裁は白紙に還つて立法すると言われたが、この問題に関連してどのような立法の措置をとろうとしておるのか、これを具体的に示されることなくしては我々は判断に苦しむのであります。白紙に立法をやろうとされる具体的の内容について説明を願いたいのであります。
 更に樋貝国務大臣に、国会内の出来事だけでなくして外部に加えておる彈圧政策について質問したのであります。今後あのような国会外における大衆運動に対して従来と変ならい彈圧を加えて行くのかどうか、この点であります。
 更に労働大臣に聞きたい。この廃案になつたものを全く変えずにあつかましくも強行するのかどうかという点であります。
   〔国務大臣小澤佐重喜君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(小澤佐重喜君) 板野君にお答えいたしますが、結論におきまして立法措置というものは、国会法に規定されております通り、立法権を有するものは政府若くは議員の諸君でございます。従いまして増田官房長官が立法措置を講ずるということは、適当な方法、即ち政府提出が然るべきか、或いは議員提出が然るべきかという点について只今研究中であるという意味であります。更に第二点は、若しその法律が不幸にして通過しない場合、廃案になつた場合どうするかというのでありますが、私共は必ずや皆様方の御審議によつてその法案が成立し……即ち公務員諸君の給料の支拂ができないという実情から見ますと、必ずこれを御理解して通過させて下さるということを確信いたしております。従つてそれ以外のことは全然考えておりません。(「それは大変だ、仮定の上では」と呼ぶ者あり)
   〔国務大臣殖田俊吉君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(殖田俊吉君) 只今お答え申上げました通りでありまして、政府が新立法いたしますか或いはその他の方法によりまして新らしく立法されるか、私は今申上げることはできないのであります。いずれにいたしましても新らしい法律の内容は問題でないのであります。如何なる立法をいたすにいたしましても、昨日廃案になりました議案と一事不再理になるような問題は起らぬということを申上げたのであります。
   〔国務大臣樋貝詮三君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(樋貝詮三君) 税務署等に大衆運動と申しましようか、多数の者が押しかけて参つておるのは事実でございます。各地においてこういうようなことが行われておりますが、それに対して警察力を以て彈圧を考えておるというようなことは全然ありません。併し暴力を振う場合におきましてはその暴力に対抗するのは当然でありまして、従つて暴力を振わない程度におきましては、大部分が市警ですが、言い換えれば自治体警察でありまして、国家警察でないでありましようけれども、併しながらそれに対しても、言論でいろいろ主張をいたすのに対しては決して彈圧を加えるべからずということを申しておるような次第であります。只今においては市警の方に対して命令を下せないことになつておりますけれども、併し注意は喚起しておりますような次第であります。
   〔国務大臣鈴木正文君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(鈴木正文君) 私に対する只今の御質問は、全く小澤大臣或いは法務総裁のと同樣でございまして、政府の見解に差異があるわけはないのでありまして、両大臣の答弁を以て私の考えと御了承願います。(拍手)
     ―――――・―――――
#31
○議長(佐藤尚武君) 日程第一、最高裁判所、裁判官国民審査管理委員の選挙。昨年十一月二十八日最高裁判所裁判官国民審査管理委員会の委員堀眞琴君が委員を辞任いたしました。つきましては、これよりその委員の補欠選挙を行います。
#32
○石原幹市郎君 只今の最高裁判所裁判官国民審査管理委員の補欠選挙は、成規の手続を省略して、議長において指名せられんことの動議を提出いたします。
#33
○大隈信幸君 只今の動議に賛成いたします。
#34
○議長(佐藤尚武君) 石原君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#35
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて議長は、その補欠として佐々木良作君を最高裁判所裁判官国民審査管理委員に指名いたします。(拍手)
     ―――――・―――――
#36
○議長(佐藤尚武君) この際、日程第二より第十五までの請願及び日程第十六、第十七の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#37
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。郵政委員長水久保甚作君。
    ―――――――――――――
   〔水久保甚作君登壇、拍手〕
#38
○水久保甚作君 只今議題となりました請願及び陳情につきまして、郵政委員会における審査の経過並びに結果を御報告いたします。
 広島県大林村に簡易郵便局設置の請願、郡山市に逓信病院又は分院設置の請願、郡山市に郵政省地方簡易保險局新設の請願、福島県須賀川町須賀川郵便局舎等の敷地買上に関する請願、山形県十六合村に無集配郵便局新設の請願、郡山市に郵政健康管理特別局設置の請願、国立宮城療養所構内に無集配郵便局設置の請願、栃木県落合村に特定郵便局新設の請願、福島県小野新町駅前に簡易郵便局新調の請願、栃木県北高根沢村に簡易郵便局設置の請願、福島県三和郵便局の集配事務開始に関する請願、山形県東根温泉に郵便局設置の請願、鹿兒島県伊崎田簡易郵便局の昇格に関する請願、簡易生命保險及び郵便年金積立金運用再開に関する請願、以上請願十四件、簡易郵便局の振替貯金事務取扱に関する陳情、阿寒国立公園記念切手発行に関する陳情、以上陳情二件、各請願陳情とも、関係市町村における郵便局その他郵政官署の新設若しくは昇格又は郵政省の特別措置を要望するものであり、又簡易生命保險及び郵便年金積立金運用再開に関する請願は、すでに同一趣旨の多数請願が採択されており、第五国会においては、本院及び衆議院においてすでに決議したる案件でありますから、審査の結果、委員会はいずれも願意を妥当と認め、これを採択し、議院の会議に付し、且つ内閣に送付すべきものと全会一致を以て決定した次第であります。
 右御報告申上げます。
#39
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
#40
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は採択し、内閣に送付することに決定いたしました。
 議事の都合により暫時休憩いたします。
   午後二時五十七分休憩
     ―――――・―――――
   午後十時五十二分開議
#41
○議長(佐藤尚武君) 休憩前に引続きこれより会議を開きます。
 参事をして報告いたさせます。
   〔海保参事朗読〕
本日衆議院から予備審査のため左の議案が送付された。よつて議長は直ちにこれを人事委員会に付託した。
 一般職の職員の給與に関する法律案(星島二郎君外四名提出)
本日衆議院から左の議案を提出した。よつて議長は直ちにこれを人事委員会に付託した。
 一般職の職員の給與に関する法律案
本日委員長から左の報告書を提出した。
 一般職の職員の給與に関する法律案否決報告書
     ―――――・―――――
#42
○議長(佐藤尚武君) この際、日程に追加して一般職の職員の給與に関する法律案(衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#43
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。人事委員長中井光次君。
   〔中井光次君登壇、拍手〕
#44
○中井光次君 只今議題となりました一般職の職員の給與に関する法律案につきまして、人事委員会における審議の経過並びにその結果を御報告申上げます。
 先ず本案の内容について申上げます。提案者たる衆議院の藤枝議員の提案理由を借りて御説明いたしますと、従来政府職員の給與は、政府職員の新給與実施に関する法律により支給されておりましたが、同法の有効期限が本年三月三十一日となつており、これに対して政府よりその期限を一ケ年延長する趣旨の一部改正案を提出されましたが、同案が不成立となつた結果、政府職員の新給與実施に関する法律は三月三十一日限りその効力を失つたので、給與支給の根拠がなくなり、公務員に対する給與の支給が不可能となりましたが、かくのごとき状態は一刻もゆるがせにできないので、ここに一般職の職員の給與に関する法律案を提出したものでありまして、その内容の第一点は、政府職員に対する給與の統一を図つたこと、第二に、本法の施行に関し、人事院の責任と権限とを明らかにし、人事院をして常に公務員の給與に関する調査研究をなし、その適正を期せしめんとしたこと、第三に、政府職員の給與はその職務の複雑、困難及び責任の度に基き、その他の勤務條件を考慮して、別表の俸給表を以てこれを定め、法律の規定によるなければ、如何なる給與も支給し得ないこと、第四に、扶養手当は配偶者及び十八歳未満の子のうち、一人につき月額六百円、その他の扶養親族については一人につき月額四百円とすること、第五の点は、勤務地手当は従来の例によることとし、超過勤務手当、勤務時間、休日給については概ね従前の例によつたことであります、以上が本法律案の概要であります。
 本法律案は四月一日夜、当委員会に本付託となり、直ちに審議に入り、提案者たる衆議院藤枝議員より前述のごとき提案理由の説明があつて質疑に入り、先ず小畑委員より議事進行について発言があり、千葉委員、木下委員、吉田委員より質疑が行われました。その詳細は速記録により御承知願いたいと存じます。次いで小串委員より質疑打切りの動議が提出され、質疑を終り、討論に入り、寺尾委員より賛成、吉田委員より反対、小串委員より賛成、千葉委員より賛成の討論があり、(「違うぞ、千葉委員反対」と呼ぶ者あり)千葉委員より反対の……反対であります。……小串委員より賛成、千葉委員より反対の討論があり、討論終結、採決に入りましたところ、多数を以て否決することと決定いたしました。(拍手)
 尚、今夕の東京新聞に参議院の取扱の誤まりにより云々という記事がございましたが、記事その他がございましたが、それらの点につきましては官房長官よりその事実にあらざる旨を御言明に相成りましたから、ついでに御報告を申上げます。
 以上で簡單ながら御報告を申上げます。(拍手)
#45
○議長(佐藤尚武君) 本案に対して討論の通告がございます。順次発言を許します。発言者は時間の嚴守を希望します。栗山良夫君。
   〔栗山良夫君登壇、拍手〕
#46
○栗山良夫君 一般職の職員の給與に関する法律案が昨日の衆議院本会議において廃案と相成りました。それから以後において政府並びに自由党がとりましたところの態度につきましては、私が今ここで喋々繰返す必要もなく、議員諸君がよく御承知の通りであります。私は日本社会党を代表いたしまして、従来も私共が指摘しておりましたが、更にその度を早め、幅を深めまして、與党の多数の横暴を以て権威と神聖を誇るべき国会に対して極めて非民主的に態度をとらんとする現政府に対しまして、強い反省を要求いたしますると共に、深き国民的な憤りを以ちましてこの法案に絶対反対にいたすものであります。(拍手)
 先程、本日の東京の夕刊紙に報ぜられましたところの、この法案の取扱につきまして、かく相成りましたことは、参議院の法案の取扱の過まちである、こういう工合に政府が所信を述べましたことについて、増田官房長官はノーと答えられたという話でありますけれども、凡そ東京の全夕刊紙が取上げておりまするところを見まするならば、火のないところに煙が立つ筈はないのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)必ずやあなたはこれに対する何らかの所信を表明されたことと私は疑わざるを得ない。若しそれが事実であるといたしますならば、ここに出席しておりますところの新聞記者諸君に対する侮辱であろうと私は思うのであります。(「宣伝」と呼ぶ者あり)ところで、かような形にありますことは、これこそ参議院に対しまして異次重ねて参りましたところの軽視、或いは誹謗、或いは侮辱という態度が、今日も尚且つ改まつていないことを雄弁に物語るものでありまするが、特に私はここで強調いたしたいのであります。昨日ああいう結果に相成りましてからは、政府はみずからの責任を免れるために議員提出の法案といたしまして、すべての責任を国会に追い移さんとしたことであります。(「卑怯だ」と呼ぶ者あり)私は飽くまでも昨日廃案になりました責任は、これは政府にあると思うのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)この政府が再び何らかの打開策を講ずべきであるにも拘わらず、與党、政府と自由党の八百長によりまして、そうして議員提出の形によつて(「八百長じやない」と呼ぶ者あり)この法案の跡始末を付けんとするがごときことは、政治の民主化を叫ぶ自由党が、それと全く逆行するところの政治の非民主化の途を歩むものであると言わざるを得ないのであります。更に昨日廃案になりましたところの法案と、この今上程になりました法案を見まするならば、その内容においては殆んど相違はないのであります。然るに拘わらず、この法案を一事不再理の原則によつて私共は国会において審議すべきでないという説を立てるのに対しまして、全く新らしく白紙の上に築かれたところの法案であり、一事不再理の法案ではないという強弁を敢えてしようとする政府の態度こそ、これ又日本政治の民主化に一大障害を與えるものと言わなければなりません。私共はかような政治の御主化に逆行するような、こういう法案の取扱い方に対しましては、徹底的に反対せざるを得ないのであります。(拍手)更に私は、鈴木労働大臣が数日前に解決をいたしました電産の争議に対し、八千五百円の賃金ベースの変更のときに、極めて低位であつた電産の賃金を或る程度水平化し標準化するために上げたのであるということを言われておるのであります。私は伺いたい。電産のあの賃金よりも官吏の賃金が、現在の六千三百七円が高いとお考えになるか安いとお考えになるか。実に詭弁も甚だしいのでありまして、若し標準化するならば、公務員でありましようとも民間の労働者でありましようとも、すべて一律にこれを行われるべきであります。特に日本の銀行の利益率は九〇何%に及んでおる。かようなことを新聞は堂々と業績上昇を伝えております。こういうような片方に業績の上昇を許し、そうして経済三原則に名を借りまして金融機関の従業員に極めて高率な賃金を與えておる大蔵大臣が、自分の直接の部下であるところの公務員に対しまして、敢えて六千三百七円を固執して、この上昇に一大反対をするがごときは、全く私共の了解に苦しむところであります。特に人間の生活は、これは鉱物ではありません。飽くまでも人間は動物である。そうすれば、公務員でありましようとも一般労働者でありましようとも、一定の生活を維持するためには高低の差はない筈であります。若し民間労働者の給與を一定の標準まで引上げて、これを水平化し平均化しなければならないと考えまするならば、同時に官吏の給與も又この線に沿いまして直ちに修正されなければならないのでありますが、この法案におきましては、参議院が四ケ月の暫定期間で修正可決したにも拘わらず、一ケ年の間六千三百七円に置こうとするのでありますから、これ程横暴な、公務員に対して極めて大きな犠牲を強いる法案はないと断定せざるを得ないのであります。
 先ず私はかような観点に立ちまして、憲法が保障しておりますところの労働権、生活権を蹂躪いたしまして、そうして公務員の犠牲において日本の経済を再建せんとするところの政府の一貫して政策に対して、速かなる転換を要求いたしますると同時に、直ちに給與の引上げを行うべきである、この主張を固く繰返しまして、私は猛反省を促したいのであります。若しこれができなければ、昨日或いは一昨日あたりの議会を取りまく全国の公務員諸君のあの悲痛な血の叫び声がお分りにならないのか、この叫び声をただ單に馬耳東風と聞き流されまするならば、必ずや私は近き将来に国内に一大社会不安が巻き起るであろうことを断言せざるを得ないのであります。(拍手)すでに労働者だけではありません。農民諸君の生活、或いは毎日続々として倒産しつつあるところの中小企業の実態をお考えになりまするならば、政府はこの社会不安を一掃するために全力を傾注しなければならませんが、社会不安を一つ一つ釀成するような政策をとつておる現政府のごときは即時退陣せらるべきものであると私は要求せざるを得ないのであります。ところで、私は特に議員諸君に心からお願いを申上げて置きたいのであります。現在の政府並びに與党は、その党の政策を強行いたしまするためには、手段を選ばずしてあらゆる行為を行わんといたしておりますけれども、昨日満場一致を以ちまして四ケ月の修正案を可決せられました議員諸君は、今一度冷靜にお考えを願いたいのであります。私共の態度は飽くまでもあの四ケ月の法案の線よりも一歩たりとも後退するところの法案に賛成し得ない筈であります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)諸君が政治良識を持たれ、政治道徳を重んぜられまするならば、少くとも本法案に賛成投票をせらるるがごときことは、国民の嚴重なる監視の上に立つても行い得ないところの問題でなければならぬと思うのであります。(「そううだ、その通り」「参議院全体の汚名だ」と呼ぶ者あり、拍手)私は参議院の権威を高め権威を守るため、今まで私共が守つて参りました参議院の権威を更に高めまするために、更に與党並びに民自党の横暴な政治非民主化の態度に一大反省を促しまするためにも、挙げて議員諸君各位が法案の否決に度度を決定せられることを重ねてお願いを申上げまして、日本社会党の反対討論といたします。(拍手)
#47
○議長(佐藤尚武君) 中野重治君。
   〔中野重治君登壇、拍手〕
#48
○中野重治君 日本共産党はこの案に反対であります。否決に賛成であります。その理由を簡單に述べます。
 これは、この法律案は非常におかしなもので、先ず第一條に「この法律は、職員総平均の給與額を月額六千三百七円とする原則を確立するものとする。」と書いてある。こんな原則はどこにもない。今日六千三百七円ベースを給與の原則とする理由はどこにもない。それは今までにもすでに明らかにされているところで、若しこんなことを原則だと言う者があるとすれば、それは働く人間を殺すということを原則とする者がこういうことを言い得ると信じます。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)專売局の女の労働者は十八、九歳で手取り二千九百円乃至三千二百円しか受取ることができないのがこの原則ということになる。電報局に勤務して十年、二十七歳になつて家族三人抱えておる人間が手取り六千三百円で、支出は約九千四百四十五円になりますが、月々三千百四十五円の赤字を出さねばならぬというのが、そうしてこれで強行しようとするのが給與の原則ということになる。これは極めて残酷な、非人間的なやり方であつて、こういうものを原則とするということは学問上全く成り立たないのみならず、こういうことを原則としようとする人間に対しては、国会は全力を振つて闘うということが国会の原則でなければならぬ。(拍手、「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)これは吉田内閣が、吉田総理大臣が今までに、日本の再建のためには労働力を尊重しなければならないと、これ一つしか我々の国の宝はないのだと言つて来たあの言葉が、心の中に何を持つておつたかということをちやんと白状しておる。このいわゆる三六ベースというものが如何に残忍なものであるかということは、あれが制定された当時においてさえすでに明らかであつた。ところが今日尚又こういうものを原則として押付け、尚、向う一年間もこういうものを施行しようというのに至つては、この残忍性は、この前の制定当時における残忍性よりも遥かに深刻の度を加えた、こういう案を発案した人間は、ますます残酷になつて来ておる、もう言いようなき残酷になつて来ておるということを我々は確認しなければならない。これは御承知のように、外の問題と関係しております。税金一つ取つても、電気料金或いは家賃、こういうものはどんどん値上げされておる。こういうものとのバランスにおいて、残酷さは極めて悪質になつて来ておる。それだから、これは今の政府の労働者に対する首切り政策、失業政策、労働者を奴隷的な、苛酷な労働に追い込む、その政策を法律で一層確定しようということを狙つておるに過ぎない。それだから、こんなふうにしてそれをぶち破ることのみが原則であるような、そういう残酷なベースを押付けようというのには、その裏があります。その裏は何かというと、この法案の後の方に出ておる一般俸給表と特別俸給表との対比によつて明らかになりますが、税務署関係の人間、経済調査官、或いは警察官、海上保安庁関係の役人、刑務所の役人、こういうものは非常に優待されておる。これはこの表を御覧になれば分りますが、その一級一号というのだけを見てみますと、一般の労働者は二千四百円というのに対して、税務署の役人は二千八百四十四円で、即ち四百四十四円の差がある。これが警察官になると三千五百六十五円であつて、実に千百六十五円、金で保護をされている。だからまじめな労働者を全く残忍に扱つて、そうしてここからふんだくつて行つたものを税務署の役人、警察官、ここへ皆呉れておる。こういう方式をとつておる。ここに残忍性の増大の根本の階級的歴史的意味がある。これは今まで問題になつている国の総予算、或いは税法、或いは高い輸入食糧を買い込むとか、或いは高い外国の塩を買い込むとか、在いは日本の農民の使う肥料を高くするとか、こういうこととすべてくるまつて進行している。だから、実は国の再建を人民の手に確保するか、それとも、これをそれ以外の所に持つて行くかということと直接に結び付いている。それから、これは同じ問題を又繰返して出したというふうなことにも実際上なつておりますが、仮に昨日今日あたりの三百代言、二百代言的の白紙の何とかというようなことを承認するとしても、これは同じものを又もう一遍出したというようりも、もつと悪くなつている。実際においては‥‥。これは丁度試験に落第した人間が、今度は無試験入学を強行しようとする、そういう性悪さを持つておる。今はなくなつたあの法律、それから同じものを一年間そのまま延ばそうとして昨日までのこれ、それから今日出て来たこれを比べて見ると、実に明瞭に印刷面でそれがなつておる。これは今度の所で問題になることが沢山ありますが、時間がありませんから簡單に言いますが、それは今もちよつと言いましたが、そもそもこの第一條と第二條にそれが端的に現われておる。これは非常に大事であります。栗山君も触れましたが、それから委員会によつて触れられましたが、人事院との関係において、今までは人事院の勧告とか、そういうものを尊重する、それを原則的に認めて事を処理する、こういうことが法律で定められておつたけれども、今度の法律案では、人事院の勧告とか何とかいうものは完全に蹴飛ばされておる。蹴飛ばそうとしておる。それから特にこの第二條に、前の法律にはなかつた新らしい項目が入つております。それは第二條「人事院は、この法律の施行に関し、左に揚げる権限を有する。」という所ですが、これは前には一、二、三、四、五、六と、六つあつたのだが、一つ加えて七つになつておる。この第七が特徴的で、「この法律の完全な実施を確保し、その責に任ずること」、人事院の権限は、ただ「法律の完全な実施を確保し、その責に任ずること」、こうなつておる。だから人事院はこういう残酷な法律を労働者に対して押付けるための政府の完全な下請機関、こういうことになつている。これは一から六までの間には、例えば勧告をして、その研究調査の結果を国会及び内閣に報告すること、そういうことが人事院のその権限の一つになつている。又その外のいろいろな勧告を出すとか、労働者からの苦情の申出を受け入れるとか、そういうことが権限になつている。併しながら、どんな労働者からの苦情の申出を受けようが、どんな勧告を政府に向つてしようが、すべてはこの法律を完全に実施することが確保するために仕事の中に含まれてしまう。だから六千三百円でどんどん首切つて行く、苛酷な労働をさせるということを一層完全にやるためにのみ人事院の権限はある、こういうことになつている。そうして、それだから、若しこの法律に従つて労働者が苦情を言つて行く。そうするとそれに対して恐らく人事院から勧告が與えられる。棍棒とか警察ということによつて……。そうして棍棒とか警察とか税務署とかというものについては、例の別表によつて一人当り四百円乃至千百円の大きな支給が與えられておる。ここにこの法案の非常に悪質な保守的な性質がある。それがから我々はこれに全く反対である。(拍手)
#49
○議長(佐藤尚武君) 川上嘉君。
   〔川上嘉君登壇、拍手〕
#50
○川上嘉君 私は本法律案に反対するものであります。反対の理由はすでに前議員によつて十二分に述べられております。尚、世上におきましても、更に衆参両院におきましても、すでに十二分に反対の理由が認められておるのであります。従いまして私は極めて簡單明確に反対の理由を述べることにいたします。
 人事院は国家公務員法第二十八條によりまして公務員給與ベースの改訂を行うべきことを勧告しております。然るに政府は人事院の勧告を無視しておるのであります。このことは法律を無視することであり、正に民主主議の推進を拒むものである。予算案は物価が上昇するとの基礎の上に立つて編成されております。ところが給與べースは物価が上昇しないとの前提の下に立つております。このことは全く不合理極まるものであり、尚、名目賃金は上らないが減税、各種諸手当の支給、社会施設の充実整備等によつて実質賃金は上ると盛んに宣伝しておるのでありますが、別に数字的な根拠も、更に具体的な対策も何ら明示していないのであります。更に政府は、ベース引上げをすることによつて国民負担が増加する、更に物価と賃金の悪循環でインフレが再現すると宣伝し、頑張つておりますが、悪循環論の誤まりであるとこは余りにも有名であります。従いまして、ここでその理由を述べる必要もない。ベースを改訂する財源は人事院の算定によりますというと四百億円と相成しておりまするが、これは撥ね返りによる勤労所得税を見込みますというと、約三百億に過ぎない従いまして増税等国民負担の増大によらなくとも一般会計からの債務償還の一部を振り替えることによつて十二分に賄えるのであります。ここで千二百七十六億の債務償還は果して緊急に我が国にとつて必要なものであるかどうか。これを更に堀り下げまして、一般会計七百二十三億の債務償還を更にこれを細かく分析すれば、租税收入等五百億円がこれの中に見込まれておるのでありますが、現在過重な税負担に苦しんでいる国民経済の実情から見まして、果してこうする程緊急を要するものであるかどうか。税制の專門家であるシヤウブ氏は、税制以外の予算面につきましてはその任務の範囲外であつたのであります。然るにも拘わらず支出面の基準について実に注目すべき点を次の通りに指摘しておるのであります。
 第一点は、若し多量の金額が不要な使途に充てられて消費され、或いは必要な使途に充てられておるとしても非能率的に使用されるとしたならば、租税は過大であると言わざるを得ない。
 更に第二点は、支出が必要なものであり、且つ能率的に使用されたとしても、その支出が租税制度に無理と軋轢とを引き起してまでなされなければならぬ程緊急不可欠なものであるかどうかということである。こういうことを述べております。
 以上の二点を指摘し、更に政府の支出に関する二十四年度の計画、更に二十五年度の予想の中から次の結論を出しているのであります。来年度において、二十四年度と同率の国債の償還をすることの必要性は、国債償還に利用し得る他の方法を考慮に入れるならば、これ自体は現行税金を無理してまで維持しなければならない程に緊急なものではないと、はつきり、こう報告しているのであります。
 従いまして政府が宣伝しておるがごとく、債務償還を即ち削減することによつてドツジ・ラインは決して崩れない。又このことによつて日本経済を危機に陷れるがごときことは断じてないのであります。(拍手)又まだ債務償還の期限も来ていないのであります。従いまして政府のつまり財源がないとの理由、更に物価と賃金の悪循環がインフレを再現するとの理由も、尚、実質賃金が上昇するとの理由も、全くのこじ付けであります。要するに政府が積極的に公務員の待遇を改善しようとする何らの熱意もない、何らの誠意もない、(拍手)かように断定せざるを得ないのであります。
 更に実に面白いことでありますが、これは前に栗山委員からも指摘されたのでありますが、本法律案は、今から一年前ではないのです。僅かに何十時間か前、昨日委員会においても、更に本会議におきましても、修正案が満場一致を以て可決されております。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)ところがこれがどういう風の吹き廻しか、僅か二十四時間を出でずして、又ここに新らしく提案されたのであります。従いまして昨日から今日までの間に別に大した情勢の変化もない。従いまして、ここにおられる満場の参議院議員諸君は必ずこの法案に賛成じやなく、真向から反対されることを私は期待し、反対討論を終ることにいたします。(拍手、笑声)
#51
○議長(佐藤尚武君) 千葉信君。
   〔千葉信君登壇、拍手〕
#52
○千葉信君 私は只今上程になりました本案に対し、労農党を代表して反対の意見を表明いたします。
 反対する理由の第一は、御承知のように三月三十一日まで実施されておりましたあの法律案に対して、昨日の本会議において満場一致七月三十一日までの延長を認めた諸君は、八月一日以降は当然に人事院勧告に副つて修正されなければならない、こういう意味における本院の全会一致の決議でございました。ところがその翌日、八月一日以降においては当然に修正されなければならないというその法律よりも、もつと悪い法律が本院に提案せられておる。先程の反対討論の諸君の意見の中にもございましたが、恐らく昨日までの法律よりももつと悪い法案に対して賢明なる諸君が賛成されるということは万々あるまいと思うのでございますが、(「ある」と呼ぶ者あり)併し実は先程の委員会においても、今日の午後五時までは俺は絶対に反対するということを言つておられた一委員が、五十歩百歩だから俺は讓歩するのだ、こういうことを言われた方が自由党の方にございましたので、或いはひよつとすると(笑声)自由党の諸君がこの委員と同じように誤謬を犯すのではないかと懸念されますので、以下私はどのように悪いかということをよく皆さんに分つて頂くために申上げる点があるのでございます。(「よく聞いて置け」と呼ぶ者あり)
 先ず第一は、第一條によりまして、旧法においてはいわゆる賃金ベースの体系というもの、この点が実は皆さんは余りお分りにならないかと思いますが、非常に重大でございます。(「分つた」「教えてやれ」と呼ぶ者あり)賃金体系のこのベースというものと総平均の実收高というものとは、根本の考え方において違つておる。諸君が八月一日からは修正しなければならないということを考えられたあの旧法の中では、原則的に人事院の勧告を承認するのだ、こういうことを言つておつたのが、今度の提案では、いつの間にか提案理由の説明の中でも明確に言われずに削除されておる。
 第二の点につきましては、このことは皆さん方の身辺に起つておりまするので、よくお分りになると思うのでございますが、旧法の第十一條におきましては、具体的に申上げますならば、次官であるとか、或いは大学総長であるとか、或いは国会における專門員のごときは、旧法の十一條によつては当然にその官職は十五級に格付けされる。これが今度はいつの間にか完全に削除されておる。従つて諸君の目の前におられて、專門員でありながら、あの新給與実施法を完全に実施されないために、一年半先になつたら十五級にするとか、或いは二年先になつたら十五級にするとか言われて、現在のところ十二級に格付けされて暫定的にごまかされておる、あの專門員がその十一條によつて確保されておつたところの格付が、完全に今度は、この提案された法律では抹殺されてしまう。諸君の目の前でこういう事態が起る。こういう状態でございます。
 而も私は今日大きな問題になりまして、ここまで来てこのような混乱を起しておるところの一番大きな原因として、賃金ベース改訂の問題に対して一番悪い影響を與えたのは何であるか。御承知の通り政府が二月の三日に発表したところのあのいわゆる給與白書でございます。あの給與白書というものは、委員会におけるところの質疑、討論におきましても明らかに指摘されたところでございますが、具体的にこの問題を申上げますならば、この白書の中に、政府はいろいろの賃金ベースを上げることができないという理由を書いておりますが、その理由の一々を反駁しておる時間がございませんので、最も分り易い点を申上げたいと思います。(「えらそうなこと言うな」と呼ぶ者あり)増田長官もしばしば言明しておりましたが、二十四年度は実質給與は七千三百円になつておる、二十五年度においては超過勤務手当を増額するから七千四百十一円になる、こういうことを言つておる。ところがです、この増田官房長官が言明しておるところのいわゆる二十五年度に支給する七千四百十一円というものは、それでは六千三百七円とはどういう関連があるかといいますと、この七千四百十一円の集計の仕方に問題がある。ごまかしがある。例えば同様の要素を人事院における調査に比較いたしましても、同一の要素においてもうすでに二百七円も違つておる。これは特別会計におけるところの従業員諸君の特殊勤務手当でございます。元え、特殊勤務手当はもつと違つております。二百七円というものは、人事院の調査と、このいわゆる政府の給與白書に書かれたところの給與額との数字上のごまかしである。実際においてはこの二百七円というものは、もつともつと追及されなければならない性質のものでございます。而もです、最も我々の遺憾に堪えないことは、こういうインチキも極まるところの数字を羅列して、さながら公務員の給與そのものが人事院勧告を遥かに上廻つておる、増大しておるかのごとき印象を與えておりますが、本院におけるところの人事委員会の質疑において、私は山下人事官に対して次のように聞いております。政府の発表のあの数字は根本に非常なごまかしがある。この際明確にして置きたいから、次のことをお尋ねする。人事院の六千三百七円ベースというものと政府が来年度支給すると言つているところの七千四百十一円とは如何なる相違があるか。こう聞きましたところが、山下人事官は、一銭も相違がございません。あれは六千三百七円の賃金ベースそのものでございます。こう答えた。では、どうしてこういうことが生じたか。実はこのことについては私は非常に遺憾に堪えないのでございまして、委員会でも昨日の本会議における討論においても申上げたところでございますが、この資料を作つたのは内閣官房でございます。ここにおられる増田官房長官のあの内閣官房でございます。そこで、これを作るときにどういう詐術を行なつたかと言いますると、国民諸君或いは国会議員のこの問題に対する正確な判断を遮るために、悪意を以てこの賃金ベースと比較できない要素を加えておる。例えば超過勤務手当の問題でございます。この問題は賃金ベースと切り離して計算するのでなければ、決して人事院の勧告とは比較することはできないのでございます。それを敢えてしておるところにこういうものを作つた反動的な考え方がはつきりとあるのでございます。而も私は増田官房長官に対して次のようなお聞きしておる。増田官房長官は、例えば特殊勤務手当の点におきまして、これが賃金ベースの内か外であるかということを聞きましたところが、これは賃金ベースの外だと言つておる。こういう資料を作つておるところの張本人が賃金ベースに対してこのようなでたらめな考え方を持つておる。而もそれを再三私があらゆる席上でやつておるのに、昨日も増田官房長官はそれに対して勘違いされておる。私が昨日のこの本会議の壇上から降りて行く途中で、増田官房長官は、依然として僕に対して、君の考えは間違つておる。こう言つた。先程私は委員会において、増田官房長官に対して、給與に対する非常に重大な立場に立つておられますので、かくのごとき勘違いは非常に困ると、私は先程委員会で言いましたところが、初めて先程の委員会で増田官房長官は、あれは誤まりであつたということを言われておる。こういうのです。而も来年から殖えるところの‥‥(「やめろ」「もう少しだ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)默つて聞きなさい。(「時間がないよ」「まだ時間があるよ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)今増田官房長官は、来年度は超過勤務手当を殖やすから、だから公務員の給與は増大する、こういうことを言つておる。成る程超過勤務手当は来年は一人当り月百円程度は殖える。ところが超過勤務手当というものは、公務員法ではつきり決めてあるところの勤務時間以外の労働をした場合に支給されるものである。いわゆる超過労働に対して拂つた賃金を、賃金ベースの中へ、この給與の中に計算するのはおかしいではないか。而もこの超過勤務手当というものは何故支給しなければならないか。(「やめろやめろ」と呼ぶ者あり)この超過勤務手当を支給しなければならないのは、昨年の増田官房長官の言明からいいましても、超過勤務手当の支給というのは‥‥(「引つ込め」と呼ぶ者あり、其他発言する者多し)昨年の‥‥
#53
○議長(佐藤尚武君) 時間でございます。
#54
○千葉信君(続) 昨年の暮の行政整理は‥‥(「やめろ」「時間がない」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)この超過勤務手当を必要とした人を‥‥(「やめろ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)必要以上に無計画に首を切つた。(「時間がない」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)これがこの数字を出さなければならない大きな要素であります。
 以上の点からいたしましても私は本案に反対を表明せざるを得ないのであります。
#55
○議長(佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
 これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案の表決は記名投票を以て行います。本案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上御投票を願います。氏名点呼を行います。議場の閉鎖を命じます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#56
○議長(佐藤尚武君) 投票漏れはございませんか‥‥投票漏れはないと認めます。これより開票いたします。投票を計算いたさせます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#57
○議長(佐藤尚武君) 投票の結果を報告いたします。投票総数百六十九票、白色票即ち本案を可とするもの九十票、青色票即ち本案を否とするもの七十七票、よつて本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名      九十名
      赤木 正雄君    阿竹齋次郎君
      飯田精太郎君    岡本 愛祐君
      河井 彌八君    木下 辰雄君
      來馬 琢道君    佐伯卯四郎君
      島村 軍次君    宿谷 榮一君
      新谷寅三郎君    伊達源一郎君
      田村 文吉君    玉置吉之丞君
      寺尾  博君    徳川 宗敬君
      西田 天香君    藤野 繁雄君
      堀越 儀郎君    町村 敬貴君
      矢野 酉雄君    山内 卓郎君
      結城 安次君    井上なつゑ君
      宇都宮 登君    岡元 義人君
      小野  哲君    柏木 庫治君
      小杉 イ子君    中山 壽彦君
      鈴木 直人君    竹下 豐次君
      高瀬荘太郎君    高田  寛君
      松嶋 喜作君    川村 松助君
      小林 英三君    野田 俊作君
      波多野林一君    早川 愼一君
      玉屋 喜章君    水久保甚作君
      一松 政二君    松村眞一郎君
      村上 義一君    田口政五郎君
      岡田喜久治君    小野 光洋君
      團  伊能君    島津 忠彦君
      横尾  龍君    中川 以良君
      寺尾  豊君    大野木秀次郎君
      遠山 丙市君    加藤常太郎君
      西川 昌夫君    城  義臣君
      小林米三郎君    堀末  治君
      岡崎 真一君    西川甚五郎君
      大島 定吉君    鈴木 安孝君
      黒田 英雄君    平沼彌太郎君
      草葉 隆圓君    石坂 豊一君
      柴田 政次君    小杉 繁安君
      石原幹市郎君    今泉 政喜君
      松野 喜内君    黒川 武雄君
      佐々木鹿藏君    池田七郎兵衛君
      尾形六郎兵衞君    入交 太藏君
      藤井 新一君    深水 六郎君
      平岡 市三君    中川 幸平君
      左藤 義詮君    西山 龜七君
      橋本萬右衞門君    重宗 雄三君
      廣瀬與兵衞君    小串 清一君
      山田 佐一君    大隈 憲二君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名      七十七名
      安部  定君    藤森 眞治君
      小林 勝馬君    平野善治郎君
      中井 光次君    門屋 盛一君
      油井賢太郎君    深川榮左エ門君
      木内キヤウ君    深川タマヱ君
      仲子  隆君    安達 良助君
      小畑 哲夫君    吉田 法晴君
      木内 四郎君    谷口弥三郎君
      國井 淳一君    田中 利勝君
      村尾 重雄君    塚本 重藏君
      境野 清雄君    岩木 哲夫君
      前之園喜一郎君    大畠農夫雄君
      岩崎正三郎君    島   清君
      山田 節男君    石川 準吉君
      鈴木 順一君    淺井 一郎君
      岡田 宗司君    吉川末次郎君
      羽生 三七君    鬼丸 義齊君
      内村 清次君    栗山 良夫君
      下條 恭兵君    河野 正夫君
      和田 博雄君    山下 義信君
      板野 勝次君    細川 嘉六君
      中野 重治君    岩間 正男君
      兼岩 傳一君    鈴木 清一君
      水橋 藤作君    千葉  信君
      木村禧八郎君    堀  眞琴君
      姫井 伊介君    太田 敏兄君
      金子 洋文君    小泉 秀吉君
      大野 幸一君    千田  正君
      藤田 芳雄君    羽仁 五郎君
      伊藤  修君    森下 政一君
      中平常太郎君    丹羽 五郎君
      川上  嘉君    佐々木良作君
      中村 正雄君    梅津 錦一君
      若木 勝藏君    三好  始君
      米倉 龍也君    三木 治朗君
      木下 源吾君    門田 定藏君
      河崎 ナツ君    駒井 藤平君
      小川 久義君    岩男 仁藏君
      鈴木 憲一君
     ―――――・―――――
#58
○議長(佐藤尚武君) 次会は明後三日午前十前より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後十一時四十八分散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した事件
 一、新給與実施法案廃案に関する件についての緊急質問
 一、政府職員の新給與実施法一部改正案の廃棄に関する政府の責任を善後処置に関する緊急質問
 一、日程第一 最高裁判所裁判官国民審査管理委員の選挙
 一、日程第二乃至第十五の請願
 一、日程第十六及び第十七の陳情
 一、一般職の職員の給與に関する法律案
ソース: 国立国会図書館
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