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1949/04/03 第7回国会 参議院 参議院会議録情報 第007回国会 本会議 第37号
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1949/04/03 第7回国会 参議院

参議院会議録情報 第007回国会 本会議 第37号

#1
第007回国会 本会議 第37号
昭和二十五年四月三日(月曜日)
   午前十一時四十四分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第三十五号
  昭和二十五年四月三日
   午前十時開議
 第一 中小企業の設備資金融資に関する陳情(委員長報告)
 第二 中小企業の金融難打開に関する陳情(委員長報告)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○副議長(松嶋喜作君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○副議長(松嶋喜作君) これより本日の会議を開きます。
 この際、日程に追加して、昭和二十五年度一般会計予算、昭和二十五年度特別会計予算、昭和二十五年度政府関係機関予算及び昭和二十五年度政府関係機関予算補正(機第1号)、以上四案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○副議長(松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。予算委員長山田佐一君。
    ―――――――――――――
   〔山田佐一君登壇、拍手〕
#5
○山田佐一君 只今議題となりました昭和二十五年度一般会計予算、昭和二十五年度特別会計予算及び昭和二十五年度政府関係機関予算各案の予算委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。先ず各予算案の概要について申上げます。
 昭和二十五年度一般会計の歳入歳出予算総額は、歳入歳出とも六千六百十四億六百余万円と相成つておりまして、これを前年度予算額に比較いたしますると、歳入において七百九十九億七百余万円、歳出において七百九十六億四千余万円をおのおの減少いたしております。節減いたしました歳出の主なるものは、価格調整費の九百億円と、貿易、食糧管理その他の特別会計並びに復金等の政府関係機関に対する一般会計からの繰入、出資等でありまして、前年度に比し一千六十億円の減少でありまするが、地方、国債費において約七百十五億円、公共事業費において約三百六十五億円という相当著しい増加をいたしましたため、結局歳出総額におきましては前に申上げました通り八百億円に近い減少と相成つておるのであります。次に歳入について申上げますと、先ず租税及び印紙收入において四千四百四十六億円を計上いたしておりまして、前年度予算に比し七百十三億七千万円を減少いたしております。減少しておりますその主なるものは、所得税において五百十一億二千八百万円、法人税において百十四億五千八百万円、織物消費税、取引高税及び清涼飲料税の廃止のため四百五十六億八千六百万円、物品税、通行税、印紙收入及びその他における減少をも含めまして、合計一千百九十七億六千七百万円の減少となつております。一方これに対し酒税、揮発油税、関税及び噸税におけるところの増收並びに富裕税及び資産再評価税の創設のために合計四百八十三億九千七百万円を増加いたしまして、差引き前に申上げました通り約七百億円を減少いたしておるのであります。次に官業益金といたしましては、煙草專売益金千二百億円、これに樟脳及びアルコール專売益金を含め合計千二百十億二千四百余万円を計上いたしておりまするが、これは前年度に比較して十五億六千百余万円の増加となつております。その他、雑收入、特別收入及び前年度剩余金受入はいずれも前年度に比しそれぞれ減少いたしておりまして、結局歳入総額において約八百億円の減少と相成つておるのであります。
 次に特別会計予算について申上げますと、これは外国為替特別会計外二十九の特別会計に関するものでありまして、本年度より従来の地方配付税配付金特別会計及び薪炭需給調節特別会計の二特別会計を廃し、新たに米国対日援助物資等処理特別会計を従来の貿易特別会計から分離して設置することと相成つております。以上三十の特別会計の歳入歳出総額は、歳入一兆七千四百億七千二百余万円、歳出一兆六千九百七十六億七百余万円でありまして、前年度に比較いたしますると、歳入において五千九百四十八億二千二百余万円、歳出において六千四十二億三千八百余万円を減少しておりまするが、これは前に申上げました二特別会計の廃止と、国債整理基金特別会計において短期証券及び借入金の借換が減少した等によるものであります。
 次に政府関係機関予算について申上げますと、これは日本專売公社、日本国有鉄道、公団、復興金融金庫、国民金融公庫、船舶運営会、持株会社整理委員会、閉鎖機関整理委員会、証券処理調整協議会と、本年度新たに設置することに相成りました住宅金融公庫及び商船管理委員会とに関するものであります。以上の政府関係機関の收入支出総額は、收入一兆四千百十億七千百余万円、支出一兆二千九百十億二千七百余万円でありまして、前年度に比較いたしますると、收入において四千九十億八百余万円、支出において四千九十九億七千二百余万円を減少いたしておりまするが、これは酒類配給公団及び石油配給公団が廃止せられましたことと、価格調整公団、飼料配給公団、食料品配給公団、鉱工品貿易公団、纎維貿易公団、船舶公団、配炭公団及び船舶運営会がそれぞれ本年度中に清算を完了する予定に相成つておること等によるものであります。以上が昭和二十五年度予算案の概要であります。
 さて本案審議に当りましては、二月十日予備審査を開始し、同月十四、十五の両日に亘り本案に関する公聽会を開催して、各界よりの代表意見を聽取して審議の参考に資し、この本八回の委員会を開催して審議に当り、越えて三月十日衆議院より原案送付に基いて本審議に入り、予備審査を合せて前後二十四回の委員会において、二十五年度予算案を中心に、財政、経済、社会の各船に亘つて質疑を行い、三月三十一日分科会に移つて、更に各省各庁所管別の審議をなす等、鋭意その審議に努力し、各委員とも熱心なる質疑を行い、政府側よりはこれに対し懇切なる応答がありました。
 今その質疑応答の主要なるもの二三について申上げますれば、超均衡予算遂行の結果、国の財政均衡はとれたが、国民のふところの均衡はとれなくなつて来た。その原因は税金が高いことにあると思う。昭和十年に比較して見ると、二十五年度は酒が五百倍、煙草で六百倍、所得税は法人税を含めて千二百倍となつている。これでは民力の疲弊するのは当然だと思う。この際、徹底的に国民負担を軽減するという意味において、政府は将来と言わずに二十五年度予算面において税金を半減する意思はないかとの質疑に対して、池田大蔵大臣より、二十五年度においては歳出の関係上、所得税を五百億だけ減らす案となつた。併し尚税率が高いことは認めるので、次年度においては極力減税いたしたいと考えているとの応答がありました。更に、中小企業の困窮見るに忍びざるものがある。その最大原因は有効需要の減退即ち売行き不振にある。作つた製品はそのままストツクとなり、折角融資を受けてもそれが直ちに滯貨金融となる現状では中小企業は救われない。政府はデイス・インフレと言われるが、経済の実態はデフレである。金詰りの中小企業者から致命的の税金を取立て、その税金で国家の旧債償還をしたのでは、金は大銀行へ行つて中小企業者へは廻つて来ない。中小企業者は二重の金融難に陥つている。政府はこの際、抜本塞源的に、公務員の給與ベースを人事院の勧告に従い直ちにベース改訂を行い、公務員諸氏の生活安定を図ると同時に、有効需要の喚起により、今のデフレ状態より真のデイス・インフレの線まで持つて行き、中小企業者の救済に当らねばならぬと思う。この問題に政府が手を打たなければ本当の中小企業対策にならない。大蔵大臣はどう思うかとの質疑に対し、池田大蔵大臣より、中小企業或いは勤労階級の要望に応えて物がどんどん売れる状態を現出することは、前のインフレになる虞れが十分にある。この際、国民は飽くまで経済再建のために、できるだけ今の消費を節約して自立経済の道を歩んで行かなければならない。又金融の問題について商工中金、農林中金の拡充強化を強力に図り、中小企業者の要望に応えたいと思つているとの応答がありました。又興銀や勧銀等の特殊塩行の増資株を見返資金で引受け、この増資株に対し、その二十倍約一千億円の債券を発行し、これを見返資金や預金部資金で引受けると、それは日銀への担保力になつて、日銀がこれを見合いとして金を出せば信用インフレになる危險があると思うが、政府はこれをどう見るかとの質疑に対し、池田大蔵大臣より、国民から集まつた見返資金で国債を償還し、銀行がその金で興銀等の発行する債券を引受け、これを担保として日銀から金を引出しても、その限度が国債償還額の範囲内なら信用インフレにはならないとの応答がありました。次に中小企業のみならず農村金融の打開に積極策はないか。食糧自給対策をもつと積極的になす意思はないか。窮迫化しつつある農村に対しては食糧政策に重点をおいているだけでは不十分である。農業政策としては、自由経済移行後と雖も、或る程度の指導、統制、管理の必要があると思うが、政府は如何なる対策があるか。公共事業費中、砂防費の計上額は僅少に失しないか。地方財政平衡交付金制度設定に伴い、義務教育標準経費の確保は如何にするか。文化国家建設の見地から科学研究費をもつと増額する意思はないか。この予算は財政デフレを信用インフレでカバーしていると認められるが、それはすでに限界に来ている。政府はドツジ・ラインを修正する意思はないか。前年度に引続き巨額の債務償還をなすのは不当ではないか。物価の動向をどう見るか。貿易不振を打開するため為替レートを変える考えはないか。関税政策はどう決定するつもりか等の諸問題を初め、その他、歳入歳出の各般に亘る重要事項に関し、各委員と政府との間に熱心に活溌な質疑応答が交されましたが、その詳細につきましては速記録により御承知を願います。
 かくて四月二日、各分科会の主査より付託議案の審議経過並びに結果の報告あつて後、更に総括質問を行い、質疑を終了し、討論に入り、内村委員より社会党を代表して反対を表明し、その論拠として、本案の基本的性格が日本経済の実情に即せず、デフレ的な超均衡的予算であること、日本産業経済の構成変化を考慮せず、十九世紀的旧式の自由経済を基調としている。非自主的盲貿易と多額の価格調整費は、従らにデフレ恐慌を招来する。(「その通り」と呼ぶ者あり)デフレ予算の基本的方向が、低賃金と労働強化を通じ勤労大衆に犠牲を強いることのため社会不安を内蔵していることを挙げ、堀越委員より緑風会の多数を代表して、現在の経済状態に鑑み政府は将来財源を工夫して更に減税をなすべきことを期待して賛成すると述べ、安達委員より民主党を代表して反対を表明し、その理由として、極端なる金詰りと税金旋風に国民は塗炭の苦しみに喘いでいる。デフレ予算を変更して有効需要を喚起する必要があると述べ、藤田委員より第三クラブを代表して反対し、木村委員より労働者農民党を代表して、この予算を実施する場合どうなるかということについて我が国経済の実情認識が間違つている。予算構成の基礎條件は日本経済の民主的再建を妨げる。古典的自由経済の復活を意図している。米国援助減退に伴い輸出の増強を図ると言つているが、為替レート割高のために困難と思われる。金融政策において財政デフレを金融インフレで補つているが、それは限度に来ているとの理由によつて反対せざるを得ずと述べられ、又岩間委員より共産党を代表して反対の旨開陳せられ、帆足委員より緑風会少数を代表して反対を述べられ、最後に小川委員より反対の表明がありました。これを以て討論を終局し、採決の結果、本委員会に付託せられましたる昭和二十五年予算案は多数を以て否決すべきものと決定いたしました。(拍手)ここに御報告申上げます。
 次に只今議題となりました昭和二十五年度政府関係機関予算補正(機第1号)案の予算委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
 本案は去る一月二十七日附連合軍最高司令官より日本政府に対する覚書、占領軍に従属する建物の附加に関する規定によりまして、連合国軍人等住宅二千戸を建設することに関するものであります。而してこれを建設するために総額五十二億五千六百万円の工事費を予定し、その建設資金といたしましては、米国対日援助見返資金特別会計より全額を借入れて充当いたすこととしておるのであります。さて本案の審議に当りましては、三月二十二日政府より説明を聽取し、三回に亘つて質疑応答を重ね、審議を終了、討論を省略して採決の結果、多数を以て原案を否決すべきものと決定いたしました。(拍手)その詳細につきましては速記録において御承知を願いたいと思います。
 右御報告申上げます。(拍手)
#6
○副議長(松嶋喜作君) 討論の通告がございますが、この際午後一時まで休憩いたします。
   午後零時七分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二十四分開議
#7
○副議長(松嶋喜作君) 休憩前に引続きこれより会議を開きます。
 昭和二十五年度一般会計予算外三件を議題に供します。これより討論に入ります。木下源吾君。
   〔木下源吾君登壇、拍手〕
#8
○木下源吾君 私は只今上程されております二十五年度予算に対しまして、日本社会党を代表いたしまして、本会議においてこれが反対をし、組替えを要求し、且つ返上するものであります。
 そこで我が党の反対の理由は昨日の予算委員会において明確にいたしております。尚、本日委員長の報告によつても明らかにされております。併し本会議におきまして、この予算案の成否は誠に全国民の運命にもかかるという重大なときでありまするので、賢明なる諸君に我々の所信を訴えまして、多数の御賛成を求めたい。これが私のここに立ちましたゆえんであります。勿論我が日本社会党は、我が国の農民、中小企業、労働者の党、全勤労階級の党であり、我々は又その代表として議会に送られておるものでありまして、その故にこそ、率直に本予算に対して我我の立場から検討しておるのであります。端的に申しまするならば、本予算においては、遺憾ながら私共みずからの力によつて日本再建をなさんとする者にとつては、遺憾ながら本予算は賛成することはできない。それは又、現内閣はその持つているところの本質、特質からいいましても、我が国の再建を資本家の力に、手によつて再建することが正しいと考えておられるならば、かかる対立いたしましたる政府の態度に対しましては、おのずから明らかでありますが、本案の提出の際に総理大臣の言われた言葉を引用いたしますると、我が国の経済は安定している、この一点を取つてみましても、私共はこの客観的情勢に対して、おのずから判断の違うもの、又実際を体得しているのであります。私自身は言うまでもなく、私共の周囲におりまするところの勤労階級の者は、一日の生活を不安と焦燥の中に暮しているのであります。諸君もすでに新聞紙上等でも御覽の通り、かの上野の駅には、毎日可憐な少女が、農村から漁村から数十名の者が、毎日々々出て参りまして、何の目当もなく放浪しておるのであります。又昨今の犯罪の状況を御覽になつてもお分りでありましよう。統計を以て示すまでもなく犯罪は急激に殖えつつあります。東京都におきましてもいろいろな名前でこれを検挙しておりまするが、とにかくにも生活苦のその中から生れて来る犯罪は極めて多くなつております。今朝私は床の中でラジオを聞いておりました。私の郷里の近くの美深町の北海道拓殖銀行の支店長一家が鏖殺されました。そして八十万円かの金が強奪されておるのであります。又本日私に面会を求めて参りました郷里の友人の話によりますると、朝早く汽車に乘るために一人で歩いておられないという程危險を感ずるというような実情になつておるのであります。かかる事態は、国民の大多数が生活の不安を感じ、そしてその赴くところ只今申上げたような具体的の事実として規われておるのであります。いろいろ政府の御説明を承わりまするというと、秋までには何とかなるであろう、総理大臣は上半期の輸出に不振は下半期において取返すことができると、かように申しております。又大蔵大臣もさきざきに行けばよくなろうと言つております。併しこれらには何らの根拠がありません。説明の根拠はありません。私共ただ十月頃になつて景気がよくなるであろうという一抹の何らかの曙光を見出すならば、それは私共最も賛成のできない戰争への糸口である沖繩景気でなければならない。そういうようなことは我々は幾ら景気がよくなることを欲しても私共は欲することではない。本年度二十五年度のこの予算に盛られておる内容ではますます労働者、農民、中小企業者は日一日と刻々と窮乏化することで明らかである。そして現在よりも社会不安が激成されることも又火を見るよりも明らかである。何故に又かような現象が起きるかということについて、現内閣は何らの批判も、自己批判も反省もいたしておらないかに見えます。凡そ一国の予算、勿論インフレを止めなければなりますまい。併しながらこの予算に盛られておる内容を我々家庭にとつて見まするならば、自分の收入と、掛りとが、支出とがバランスがとれておればそれは均衡しておるということでありますが、併し二十五年度予算のように私共は期限の来ない借金までも拂わなければならないとするならば、お互いの勤労階級の竈は今日は堪え得られないという実情にあることを私は申上げなければならぬ。拂わなければならぬ利息と期限の来たものだけ、これだけならまだ我々は我慢をしなければなりますまい。けれども我々が期限の来ない借金まで返済するということになれば、到底我々の家庭の家計は堪え得られないのである。二十五年度予算に盛られておりまする本年度のいわゆる債務償還は一千二百八十数億に上つております。盡くは二十五年度のうちに我々国民の手からこれを出さなければならない金であります。特別会計、見返資金特別会計と言いまするけれども、尚我々の手から出さなければならない金であります。このような一点を取つて見ましても、この予算案が通過いたしました曉における我々の経済に及ぼす影響はどんなであるかということを、私共は今更戰慄を感ずるものであります。インフレを收束するがために均衡予算案を組んだと言いまするが、この均衡予算は形の上の均衡予算でありまして、收入と支出の均衡予算であり、尚その上に期限の来ない借金まで拂うというのであるから、これは超均衡予算であります。インフレを收めて、そうしてデイス・インフレにすると、こうおつしやつておるのであります。インフレの政策は言うまでもなく労働者、農民、中小企業を收奪するところの政策である。これの対照的な又デフレ政策も勤労者收奪の政策である。デイス・インフレというのは恐らくこれらを收奪しないところの政策であるでありましよう。併しながら低米価と低賃金の犠牲によらずして、現内閣の持てる政策、資本家の安定と資本家方式の復興は断じてできません。ここに現内閣は口にデイス・インフレを唱えておりまするけれども、それは口先だけで、具体的にはさような政策がとられないということが明瞭なのであります。本年度の歳入の面を見ましても、このことに当てはめましてよく分りましよう。税收は累進の課税を廃しております。法人税は軽減いたしております。超過所得税は廃止しております。そして一方には勤労所得税を減税したと申しておりまするけれども、少額所得者には極めて僅かしか減つておらない。七百億、九百億の減税ということをよく大蔵大臣がおつしやいますけれどもが、それは直接に税として取上げる部分は数字の上ではそうなつておりましようけれども、国民全体の総所得の面から見ただけでも増税である。殊にこれらの減税をいたしまする財源は何であるかといえば、御案内の通り重要産業も補給金を減らしたんであります。補給金を減らしたということが同時に鉄なり或いは肥料なりの値上りで、それが大衆に皆しわ寄せされて吸收されるのであります。一方、税によつてへこました毬の凹みが片一方に物価を通じて大衆から收奪されるという結果で、我々のふところ勘定では聊かも経済状態がよくならないのである。地方財政を睨んで見ますればお分りの通り、ここには明瞭に増税を企図しております。シヤウプ博士が地方財政を一千億と勧告しておるのに、一千五十億、僅かではありまするがそれを計上しておる。そうして又その内容においては、あのやかましい取引高税のような消費税、物価の消費者の負担であるところの税から鞍替いたしまして附加価値税、これは純然たる労働者の負担によつてのみ、窮極においては労働者の負担に全部かかるところの税金である。固定資産税をとつて見ますると、これは数倍に家賃を上げなければならない。地代を上げなければならない。どれをとつて見ましても我々大衆には極めて有難くない、そして私共の賛成のできない收入であります。支出の面を試みにとつて見ましよう。最大なものは前に申しましたところの債務償還、それも期限の来ない債務の償還までやろうというのであつて、この債務償還は大衆より收奪したところの金を政府の権力を以て銀行に與え、銀行は情実によつて大産業企業家にこれを融資するということになつておる。私は、金詰りで困つておる中小企業にはこの金が恐らく廻つて行かない。そのことは大蔵大臣の答弁によつても明らかである。これから試みようとする中小企業対策は、資本金三百万円以上、従業員二百人以上のこれらの企業に対して何とかしようというが、その数は全日本の中小企業の僅かに一三%、この一三%すら今資金の援助を受けられない。私共は、政府の何らの保護もない、銀行の貸出を受けるような信用がない、そういうものを我々は中小企業と考えている。これらの中小企業を救うという、又救つて貰いたいという声が澎湃として起つているのでありますが、それを現内閣に求むることは誠に木によつて魚を求むるの類であります。(「簡單々々」と呼ぶ者あり)よくお聞きなさい。(笑声)簡單に言うてはあなたには分るまい。(「その通り」「時間一ぱいやりなさい」と呼ぶ者あり、笑声)これらの中小企業対策は資本家的感覚では立たない。中小企業を救うというその観念がすでに誤まつておる。中小企業は救うことによつてではない、中小企業に組織をみずから持つように仕向けねばならないし、組織を持てばこういう全体主義的内閣はなくなるのである。(「その通り」と呼ぶ者あり、笑声)であるから私は木によつて魚を求むと同じ至難なことと、かように申かのだ、凡そ私共はこのような債務償還によつての金は、我々の貴重な金は、このような径路を経ては中小企業は救われない。これらの人が今では、自由主義というこの古い経済方式においては、自由に死に、自由に倒れる自由より持つておらないのである。(拍手)現内閣がこれを何とかしようというようなことを考えておるということを聞くさえ、我々はそれはおかしいのである。(「噴飯の至りだ」と呼ぶ者あり)全くそれはおかしい。農民の側を見ましよう。統制を外すということは、正に現内閣に言わせれば保護しない……どのくらいありますか。
#9
○副議長(松嶋喜作君) あと五分。
   〔「急ぐな急ぐな」と呼ぶ者あり〕
#10
○木下源吾君(続) それじや時間もありませんから、簡單に端折りましよう。(笑声)とにかくにも、大衆收奪の上にです、大金融資本と大産業を助けるのが現内閣の使命であり、(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)我ら断乎としてこれに反対するものである。そこで私共はです、單なる反対だけでは諸君の気は済みますまい。私共はこの反対する予算に対しましても、尚我々の建設的な主張の一、二を申上げましよう。
 言うまでもなく、私共はこのような政策に対して、これを突破するためにはベース改訂を以て闘つておるのであります。従つてベース改訂の四百五十億、中小企業に対する四十四億、農業復興費に対する二百四十四億、社会保障費に対する二十四億、これらの財源は硝安輸入の補助金である十三億、同じくソーダの八億、現在の粘結炭を開らん炭に代えたばかりに十四億七千万円、食糧輸入の補給金四十二億、二十四年度剩余金見込額のうちから七十億、国債償還の一般会当からの分四百九十三億、二十五年度予算の物陰費單価の五%減二十六億三千万円、鉄道建設勘定のうちから九十一億円、專売独立採算より六億三千万円、合計七百六十四億三千万円を財源に充てる。更に只今申上げたのは実現可能の最小限度の案であつて、更に許すならば、予算單価中物件費一割、一〇%、食糧輸入補給金から百五十万円の減、国債償却繰延によつて百億乃至二百億、これを地方税の軽減、中小企業振興費の増額等に充てようとするものであります。只今のような政府予算であるならば、国民の待望する講和條約も決して全面的講和の方向には参りません。資本家に偏重したる講和よりできません。私共はかかる事態に直面いたしまして、良識ある同僚諸君は必ずや我々の主張に御賛成を願えるものと念願いたしておるのであります。よく占領下におけるから止むを得ないと、かように申しまするけれども、占領下の仕事は民主主義を遂行することが最たるものでなければならない。現内閣のようなこの予算は、日本の民主化を阻害する、いわゆる民主主義の人格の尊嚴を損う予算である。労働者、中小企業、農民の人格を無視せるところの上に立つた予算である。占領下における我々の自由は民主主義達成の一点に集中すべきであると私は考える。長いものには巻かれろ的な、封建的な考え方を一掃するならば、私共の主張に全面御賛成を願えるものと考えるものであります。幸いに昨日予算委員会においては、良識の同僚によつて本案は多数を以て否決されております。これを否決することは当然である。先のベース、あの給與法が廃案になつたことそれ自体は、ベース改訂をしなければならないというこの意思に基いたものである。国会の意思表示は決定しておる。ベース改訂をすベしと決定しておる。我が参議院の性格から、どうぞ同僚諸君の良識に訴え、本案を否決し、現内閣に極めて峻烈なる反省を求めることこそ我が参議院の職責であると考えるのであります。何とぞ満場の諸君の御賛成を希う次第であります。(拍手)
#11
○副議長(松嶋喜作君) 田村文吉君。
   〔田村文吉君登壇、拍手〕
#12
○田村文吉君 緑風会大多数の意見を代表いたしまして賛成討論をいたします。
 緑風会は新予算において、国税、地方税を合せて若干の税負担の軽減されておることは認めるのでありまするが、我が国国民の負担が尚著しく不当に高額でありまするために、国民が塗炭の苦しみを嘗めつつある現状に鑑みまして、歳入の部におきまして所得税八百三十億円を減額し、これに見合う歳出において公債五百億円の償還を延期し、鉄鋼補給金百三十億円、食糧輸入補給金二百億円を削減する修正案を立てたのでありましたが、不幸にして諸般の事情によりまして、遂に諸君の御審議を願うに至らなかつたことを甚だ遺憾と思うものであります。私は税は幾らでも安い方がいいという意味で所得税の軽減を申すわけではありません。ただ今日の所得税は国民所得に比べて余りにも高過ぎる。このままでは大企業も、中小企業も、勤労者も、農業者も皆やつて行けなくなる。今その理由を申上げますならば、戰争の前、多額の軍事費を支出しておりました昭和十年度と、本年即ち新年度の財政の状況を倍数で比較して見ますると、先ず国民所得は二百二十倍となつております。歳入は三百倍となつております。酒の税金は五百倍となつております。專売益金は、即ち煙草でありまするが、六百倍と相成つておるに拘わらず、所得税、法人税の合計は驚くなかれ実に千二百三十倍と相成つておるのであります。直面する日本経済の無理は実はここにあるのであります。(拍手)購買力の減少、大中小企業の金詰り、(「反対論」と呼ぶ者あり)事業の整理、延いて失業者の増加、又はあらゆる社会悪の根源が実はここにあると申しても過言でないのであります。御承知の通り昨年の春頃にはいわゆるインフレ時代で、物は買えば上る、賃金も上る、田舍から闇米を二、三回運んで来れば、どうやら月の生活が立つたような時代には、税の不当に高いという声も消されがちで、文句は申しながら、一時を凌いで参つたのでありますが、今日はそうは参りません。成る程国家予算は超均衡予算でありまするが、国民の各階層の財布は全く空になり、借金だけが残つているというような状態に相成つたのであります。
 緑風会は、昨年の予算決定に際しましても、価格調整費七百億の削減によりまして四百億の減税と、農地改良費、六三制、住宅建築等の増額を主張いたしました。これはドツジ・ラインの特効薬ではありまするが劇薬を用いるために、絶対必要な予後療法であつたからであります。その後、政府も大体我々の主張に従つて、秋以来補給金を削り、若干減税の措置も講ぜられたわけでありまするが、時すでに半年も遅れたのであります。秋以来、迫り来たる劇薬の効果は、先に申上げたような行過ぎた苦難な事態を生ずるに至つたのであります。政府は、直接国税で六百五十億円の減税を新予算に組み入れられたのでありますが、地方税の増徴を考えますると如何程の減税にもならない、極めて微温的なものでありまして、又今年も政府の施策が半年か一年遅れて行くと申さねばならないのであります。果して国民経済は今のようないわゆるデイス・インフレ政策で今後一年間やつて行けるか、多大の疑問が残るのであります。私共は、頗る本予算に対して不満足ではありまするが、(「然り」と呼ぶ者あり)一応これを承認いたしまするが、政府は、できるだけ早い機会に予算の更正を求め、所得税に関する限り、現行税率を思い切つて半減するくらいの覚悟を以て善処せられんことを切望するものであります。尚、我が国刻下緊急の案件でありまする食糧自給対策が今日に至るも樹立されませず、徒らに輸入食糧に依存するがごとき態度に対しましても、私共は不満を感ずるものでありまして、政府が一日も早く食糧の自給自足方策を立て、これを予算化することの一日も早からんことを熱望するものであります。
 大中小企業及び農業当面の金詰りに対しまして、政府は見返資金その他の放出及びこれが浸透に御苦心になつているようでありますが、只今の御討論の中に三百万円以上の者にだけ限るというお話がありましたが、私の政府の説明を聞いたところによりますと、三百万円までが中小企業と一般観念で言われておりますけれども、それ以下のものに対しても、政府は非常に苦心をされております。おりますが、元来事業をする者は無闇に借金することを好むものではありません。殊に貨幣価値の下つた時代に借金をしますれば、デフレ時代即ち貨幣価値の上つた頃に返金する苦しみぐらいは知つておるのであります。だから、できるだけ税金を減らして自己資金を蓄積させ、自己の力によつて立ち上り、更に新らしい活動の端を開くようになれば、有効需要も増加いたします。事業も復活いたします。失業者も減るようになると思うのであります。それを今度の地方税のように、利益があつてもなくても、所得があつてもなくても、これに強いて重税を課したり、国税は又先に申上げましたような重税を以て国で取上げて、この金と見返資金とを大部分政府の指図の下に撤布なさろうとするのでありまするが、これは撤布の範囲におきましても、その浸潤の遅い点で申しましても、甚だ有効でないのみならず、必ずや復金の二の舞が起る虞れが多分にあるのであります。(「全くの反対論だ」と呼ぶ者あり)即ちそれよりは二千万納税者に減税してやる方が、再びインフレを起させない点からも、公平の点からも、はた又国民の自立邁進の勇気を鼓舞する点から申しても、どのくらい有効適切であるか計り知れないものであります。当面の救済策の一つといたしまして、仮に正しいと算定されました税金でもこれが徴收を繰延べてやるなり、又は高額の追徴税、加算税を負けてやるくらいの、行政上の手心を加えてやることが本当の活きた政治であると思うものであります。
 最後に緑風会が以上のような修正意図を持つて、それができないならば、なぜ本案に反対しないかという議論に対しまして一言いたします。成る程自分の意見に副わないから予算案を不決する、返上する、その言葉は誠に旺んなりと申すべきでありまするが、これは血気の赴くところ大事を誤まるものであつて、(「冗談言つちやあ困るよ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)私共はこれをとりません。(「何を言つているか」と呼ぶ者あり)国の予算が国民生活に如何に重要な関係を持ち、さればこそ一日もゆるがせにすべからざるものであることは誰人も異存がないものと思います。(「嬉しいぞ」「何を言つておるか」と呼ぶ者あり)参議院は政府より提出された予算案に過まちありと信ずればこれを修正し、よりよきものに作り上げることは当然の義務であり、権利であるのであります。併しながら今度のように、諸般の真に止むを得ざる事情により、(「何か」と呼ぶ者あり)修正案の提出さえできないような客観情勢に対しましては、(「どうする」と呼ぶ者あり)これを否決するというような態度でなく、飽くまでも建設的に考え、一応は予算を通過せしむべきであります。況んやこの予算の中には一日も放置することのできない緊急実行を要する問題が沢山あるのであります。(拍手、「そんな心配するなよ」と呼ぶ者あり)ただ徒らにこれを否決せんとするごときは、国民の受ける迷惑を顧みざるものと断ぜざるを得ないのであります。(「徒らに賛成するのが」と呼ぶ者あり)中には、所詮我々が否決しても最後に衆議院の可決がものを言うことになるから差支ないと考えるのは、(「誰だ」と呼ぶ者あり)子供が母親におんぶして駄々をこねるようなもので、みずからを侮り、みずからを軽んずるものと言わなければなりません。(「それは自分だ」「形式的なことを言うな」と呼ぶ者あり)参議院は飽くまでも参議院の本領を守り、その良識に従つて判断し、而もそれを尊重し、常にすべてを建設的にその主張を十分政府に徹底せしめ、政府又よくこれを容れて予算の運用を誤まらざるよう戒愼すると共に、世相の動きを早期に判断し、必要により本会期中でも、或いは速かに臨時国会を招集して、予算の更正を求むべきであることを警告いたしまして、(「何を言つておるか」と呼ぶ者あり)私の賛成演説を終ります。(「それをパンパンと言うのだ」「そうだ」「老いたるパンパン」と呼ぶ者あり)
#13
○副議長(松嶋喜作君) 小林勝馬君。
   〔小林勝馬君登壇、拍手〕
#14
○小林勝馬君 私は民主党を代表いたしまして、只今議題となつておりまする昭和二十五年度の本予算案に対しまして反対するものであります。(拍手)
 政府は今回の一般、特別両会計並びに政府関係機関の予算案を以て、昭和六年以来初めての均衡予算であり、名予算であると自画自讃しておられるのでありますが、この予算こそ吸上げ超過の予算であり、従つて逆に不均衡予算であり、デフレ強化予算であることは私共がしばしば指摘したところでありまして、その実態は全く弱肉強食的、冷酷無情の古き自由主義的の姿を現わした予算であると言わなければなりません。(「その通り」と呼ぶ者あり)又政府は本予算を以てドツジ・ラインを堅持することであると言つておるが、ドツチ・ラインは我が国の経済の自立を一日も速かならしむることにあるのでありまして、吉田内閣のごとく我が国の経済を破壞するようなこととは全く相反するのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)現下の国情は、極端なる金詰りと過重なる税金旋風の下に、中小企業、農業、漁業を初めとして、各種の産業は殆んど倒壞の途を辿つて、国民生活は極度の不安と焦躁に喘いでいる現状であることは、今更私がここで申上げるまでもないことであります。かかる現状においてなされる国家予算の編成は、租税の軽減を図り、而して各種産業の振興対策に力を盡し、更に賃金ベースの適正なる改善により有効需要を呼び起し、以て極端なるデフレよりデイス・インフレの線に安定せしめる必要があるのであります。
 然るに政府は資本の蓄積に名を借りて、経済安定政策の犠牲を再建の担い手である農民や労働者並びに中小企業者に対して皺寄せをしておることは、断じてこれを許すべからざるところであります。今回政府の提出せる予算を検討するに、国民所得を昭和二十三年の極端なるインフレ時代を基準といたしまして過大に算定し、その基礎の下に頗る過重なる徴税を断行せんとしておるのであります。(拍手、「その通り」と呼ぶ者あり)而も昭和二十四年度の予算におきまして、吉田内閣は国民から血の出るような税金を搾り取つて現在まで来ているではないですか。その上、今回地方税において巨額の増徴を企図し、附加価値税、固定資産税等の悪税を用意して、これを強行せんとすることを併せ考えますならば、その結果として国民に極めて重い税金を課することになり、悪税予算と言わなければならないと思うのであります。かかる重税に対して、国民はこれからどうして堪え得るでありましようか。今日の国民経済は曾てない萎縮に直面しておるのであります。税金の滯納は極度に増大し、不渡手形は濫発され、滯貨は鰻上りに上昇しておる。巷には店仕舞いのダンピングの声がやかましく、深刻なる金詰りを来たしておる。中小企業の破産、失業者の増加、デフレの深刻化と不景気は、企業と言わず、家計と言わず、これを破滅の底に追い込まんとしておる。加うるに本予算の強行を敢えてするならば、更に悲惨なる事態を惹起する虞れなしてしないのであります。更に本予算の使途において我々の納得のできないことは、中小企業の振興に対して頗る冷淡なること、又農漁業に対しましても、殆んど見るべき支出をなしておらざることを挙げられるのでございますが、一方国民の厚生福利のための社会保障費の僅少なること、教育文化に積極的な対策がないこと、及び国家公務員の給與を改善せざることなど、我が党本来の主張と相反することは、私共の断じて同調できざるところでございます。
 尚我々が本予算について最も強く反対する問題は、苦境のどん底にある国民の血の一滴たる税金を以て期限の未だ遠い債務の償還に巨額の金額を支出することであります。一体何故にこの財政窮乏の際、忘れるような頃の古い借金や、期限のまだ来ておらない長期の公債をこのように多額に繰上げて支拂う必要がどこにもあるのでありますか。一国の政治の信用上、国家の負債はもとより償還しなければなりません。併し未曾有の敗戰と、切迫した経済窮乏の苦境にあるとき、なけなしの財布をはたいて、これをここ一二年のうちに償還しなければならないという理由はどこにも見出せないのであります。このことについて、政府はこの債務償還によりまして金融機関に預金が増加し、その結果として中小企業並びに農漁業に必然的に浸透するとの意見を発表しておるのでありますが、現下のデフレ政策の下において政府の保証のない投資を市中銀行でやる筈がないじやないでしようか。そのまま日銀に返還されて、何ら金詰りの打開にはならないばかりでなく、却つて極度の混乱をも招来する結果となるものであります。一昨日の朝日新聞の紙上に、大蔵省見解といたしまして、私共の反対の声に押し巻くられまして、債務償還費の減額三百億が妥当だということまで発表されておるのではありませんか。これらのことに関しまして池田大蔵大臣は、去る三月一日、諸君も御承知のごとく、全国の中小企業者の苦悩を嘲笑するかのごとき談話なるものを発表されまして、政府の肚の底に隠されておる極端なる弱肉強食是認の思想を如実に暴露して、天下の指彈を痛烈に浴びるに至つたのであります。あの談話の内容は実に尋常一様なものではないと思うのでありまして、池田大臣の釈明のように、表現が悪かつたとか、又は言葉が足りなかつたというような生易しい問題ではないと思うのであります、(「そうだ」と呼ぶ者あり)その真意は、火事場で火だるまになつて、まさに死に至らんとしている者を笑つて傍観している姿ではないでしようか。この残虐な恐ろしい考え方が本予算に一貫した根本方針となつて編成されているであろうことを考えるとき、国民の一人として痛憤措く能わざるものがあります。
 よつて我が党は本予算は修正すべきものと考えるのでありまして、歳出のうち先ず第一に債務償還費の五百億削減、第二に価格調整費百九十二億の削減、この内訳といたしまして、食糧輸入調整費百三十六億八千万円を筆頭といたしまして、ソーダ、硝安、粘結炭を挙げ、第三に物件費節減百十億、第四に二十四年度剰余金見込の半額を計上して七十億、以上合計八百七十二億円の財源を捻出して、これを新たなる歳出増額に充てることとし、この財源を以て、農業復興のために二百億、中小企業振興に百億、次に平衝交付金の増額を図り、地方税減免に充てるために百億を計上し、次に公務員の賃金ベースについては人事院勧告を尊重して、いわゆる現在の六千三百七円ベースを七千八百七十七円ベースに置き換えることによつて三百九十五億を計上し、更に教育文化費二十三億、社会保障対策費に五十四億、以上八百七十二億を以て産業文化国家の健全なる育成に資すべきと考え、本予算案を修正すべきであると強く要望したのでありますが、客観的事情によりこれが許されないことは甚だ遺憾であります。更に又我々は、政府が別途提案している地方財政平衝交付金に関する法律案及び地方財政委員会に関する法律案の審議が未了のこの際、本予算の可否を決することは甚だ遺憾とするところでありまして、我が党は前述の事情により、残酷且つ殺人的本予算案に対しては絶対反対するものであります。(拍手)
#15
○副議長(松嶋喜作君) 次の討論者はまだ参りませんから暫らくお待ち下さい。(「休憩」「議事進行」「発言放棄」「その次だ」、その次だ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)……石坂豊一君。
   〔石坂豊一君登壇、拍手〕
#16
○石坂豊一君 私の発言に先立ちまして報告をさして頂きたいことがございます。それは先刻山田予算委員長の報告において、予算委員会における討論の際に、我が党を代表して城委員より原案賛成の意思を述べられたことが脱落いたしておるのであります。これは予算審議の重大な事項であり、議会の文献においても見逃すことのできない事項であるが故に附加えたいと思います。城委員は自由党を代表して、本案はインフレを收束し、国民負担の軽減を図つて、生活の安定と経済再建に役立つものと認められ、反対派の唱える実行不可能の理論に與することはできない、国民の信頼を得ることに努めつつある吉田内閣の政策は(笑声)我が党の意見に合致するもので、本案に賛成である、詳細は本会議の討論に譲ると述べられたのである。それだけ御了承願いたいと思います。
 さて私は我が自由党を代表いたしまして、上程せられましたる二十五年度予算各案に対し賛成意見を述べたいと思います。暫時御清聽を汚します。その理由の第一は、この予算は衆議院において愼重審議の結果絶対多数を以て可決されておるからであります。(笑声)即ち参議院の立場からこれに賛成するのである。その第二は、予算そのものが現下の経済事情に鑑みましてデイス・インフレ支持のため極めてよく整備されたものであり、各般の施設が我が党の主張を多分に取入れてあるからであります、(笑声、「勤労者の犠牲において」と呼ぶ者あり)即ちこの予算により我が国の財源がますます健全性を加うると共に、延いては信を国際間に得て、よつて以て講和の促進に寄與し得るところが頗る多いと信ずる次第であります。(「衆議院で書いて貰つたな」と呼ぶ者あり)久々演壇に立つたのだから野次らないで下さい。(「野次られたつてやればいい」と呼ぶ者あり)野党諸君の意見は予算委員会において拝聽し、本会議においても承わるところでありますが、その御議論に対しましては一応敬意を拂うに吝かではありません。併しながらたまたま或いは仮定的の立論を以て現内閣の施政を批評し、或いは現実に実行しつつある建設的事項をも無視して、故意に攻撃の具に供するがごとき、或いは又空樽を叩いて酒を出せというに至つては、断じて同調することができないのを遺憾とするのであります。(「名表現だ」と呼ぶ者あり)これより予算の内容について極めて大綱を挙げて賛成意見を述べたいと存じます。
 第一は画期的な減税であります。この減税は、先に血の涙を搾つて実行したところの行政整理により念出せる九百億が主なる財源となつておると思います。(「そういうことを繰返していいか」と呼ぶ者あり)而して今日の税制改革は、終戰以来激動の過程に立つた国民経済が我が党内閣の施策によりまして漸次安定の域に達せんとしておる情勢に対応して、国税、地方税を通じ根本的に改革を企図するものであつて、国民負担の新たなる均衡と地方財政の充実強化を図りつつ、大幅の減税を断行する誠に画期的なものであつて、その二十五年度の減税額は七百十三億であり、これに二十四年補正による減税二百億を加えると実に九百億の巨額に達するものであります。これにより我が党の公約したる取引高税、織物消費税等が全然姿を消し、所得税も又控除額の引上げ、控除種目の増設、税率の変更等により、勤労者、農民及び中小商工業の各層に亘り減税となり、其の他各税目ごとに課率の経減と負担の公平を期しておるのは顯著なる事実であります。更に政府は明年度以降の減税についても大なる見通しを有することは、我らの欣快とし、国民諸君に一大光明を與えることを信ずるものであります。
 第二は、前年度に引続き巨額の債務償還を行うことであります。これについては種々の批評もありますけれども、何としても公人と私人とを問わず整理するときには借金を返すということが必須の條件であります。政府の今年度に計上しておりまするのは一千二百七十六億に上る債務償還であります。この債務償還ということは、堪え難き利拂の重圧より免れ、国家財政を更に安固たらしめ、且つ我が国の信用を高める何ものにも代え難き尊き努力であります。従つて政府の言うごとく、この償還による資金を適当に運用いたしまして、経済の安定に資すると共に、資金の蓄積、利子の引下げ等にも寄與することが絶大なることであろうと信じて疑わないものであります。明の耶律楚材は、一利を興すは一害を除くに如かずと言つております。この債務償還は正にこの金言に的中するものであります。而してこの債務償還による資金が如何なる部面に還流するか、これは非常に皆議論の的となつておるのでありまするが、私は大蔵大臣の述べるところの必要なる部面に還流して行くということを確信するものであります。それとも日本銀行から借りておるところの各銀行の担保の返還に充てられて、却つてデフレになるかという心配もあるようでありまするが、それは政府当局の適時適当なるところの施策に期待いたしまして、私共は政府の所信を信ずるものであります。
 第三は建設的事業の積極的計画である。即ち一般会計において公共事業費九百九十億を見積られておりまするが、その以外に失業対策費、住宅建設資金、事業特別会計における建設勘定の増額、その他見返資金の産業部門に対する直接投資等、その額は実に二千五百九十億に上るのであります。なかんずく公共事業費にありまして我々の挙げんとするところは、災害復旧費の増額、全額国庫負担制度の設定であり、又毎年発生を予想せらるるところの災害に対する復旧費百億を予備的に計上してあるのであります。その外に砂防費の増額、これらが毎年全国に亘つて頻発する各種災害の防止対策であると共に、一面地方財政を圧迫するところの各種の弊害を除く点において極めて有効適切であると信ずるのであります。このことはさすがの野党代表者の方々も衆議院において賛意を表せられておる次第でありまするのみならず、国民諸君も又この案の速かなる成立を鶴首して待つておることと考えるのであります。尚又住宅問題に対して、住宅金融公庫を設立して百五十億円の融資を行う外、国庫の助成による庶民住宅の建設を続行し、両者相待つて百八十六億が計上されておるのであります。これによつて深刻極まる住宅問題を解決し、国民生活緩和に資するところ大なるものありと信ずるのであります。更に又六三制校舍建築の補助四十五億円の計上は、先の補正予算による十五億と合せまして学制改革の根本を一応解決し、我が国普通教育施設の拡充に資すること偉大なるものありと確信するのであります。これらの建設事業の拡充強化は経済再建の基盤を作るばかりでなく、現下重要問題である失業救済、有効需要の喚起にも大なる効果をもたらすことは何びとも確認すべきことと信ずるのであります。
 次に第四として、価格調整費の半減と米国対日援助見返資金の減少及び大幅の統制撤廃であります。二十五年度の価格補給金は、前年度当初予算二千二十二億、同補正額減二百三十億に比して、九百億円に圧縮せられております。支して補給の対象も輸入食糧と安定帶物資がおのおの半額を占めておる有様であります。この補給金の削減と米国の対日援助の減少はいわゆる竹馬の足を切るものでありまして、我が国経済の自立のために必要なる庸進的施策であります。御承知のごとく我が国の経済は、曾て戰争遂行の必要から国民経済の各部門に亘つて強度の統制を実施し来たつたのでありますが、その結果は延いて国民の創意工夫と努力を低下せしめ、独占安易な経営は甚だしく非能率的となつたのであります。これらの流弊を今日改むるのが焦眉の急であります。かくて二十五年度においては、公団のごときも一部を除いて大部分廃止せられ、大幅の統制の撤廃が予想されておることは、我が党の政策を取入れたるところの適切当然の処置と信ずるのであります。この補給金の削減、統制撤廃による自由経済への立帰りは、我が国経済が国際経済に復帰し、速かに高度の国際貿易によるところの自立を図るため避くべからざる途であると信ずるのであります。併しながら考うべきことは、多年不自年且つ温室的であつた国民経済に窓を開けて国際経済社会に突入するためには、一方において強力なる社会政策、社会保障制度のごとき施策を拡充して、気の毒なる落伍者を最小限度に食い止め、又再起の途を與えなくてはならんことは勿論のことであります。この点に関しまして今度の予算、一般、特別会計を通じまして、それぞれ相当に盛り込んであることは認めることができるのであります。のみならず立法的にも逐次立案し、現に国会に提案されていることは諸君御承知の通りであります。
 第五は貿易の振興と外資導入の施策であります。我が国の経済再建は国際貿易と外資導入に依存すべきところの多いことは勿論のことでありますが、これがために外務省、通産省その他各省に亘つて、それらの施策に必要なる経費が見積られてあるのを認めるのであります。又昨年十二月一日より輸出を民間に委せられて、去る一月一日より輸入も大幅に許可制度を廃止せられた等のごとき、これらと相待つて今後我が国業界に相当の活況を呈することは期して疑いないところであります。野党の方の非難にかかつておるところの彼の為替レートの問題のごときは、現下我が国政府の手では如何ともなし難いものと私共は考えるのであります。
 以上の外、地方財政の強化による地方自治の拡充、育英資金、各種研究費の増額その他厚生社会施設の充実等、見るべき施設は枚挙に遑がないのでありますが、時間の都合上省略させて頂きます。
 最後に私は中小商工業及び農村村策に一言触れて置きたいと思う。我が国経済における中小企業の地位の重大なることは今更言を費す必要がございません。従つてこれを振興するためには各般の方策を講ぜられて行かなければならぬのでありますが、我が党は速かに統制を撤廃し、計画経済を離脱せんと主張しまするのも、その目的は、一は以て中小商工業の復興と農村振興とに活を與えんとする熱意ある希望から起るのであります。戰時中停頓したところの中小商工業を復興せしむるには、ひとりこれのみならず、技術の向上、経営の合理化と共に、金融疏通の途を講ずることが急務中の急務であるが故に、政府は資金難打開のためには、これを担当する金融機関の整備拡充、特別融資の枠の設定、増額等に鋭意努力しつつあることをも認めることができるのであります。又農村対策としては、国民の食糧確保のためにも農産物価格の支持、災害の防止、土地改良、技術の改善、病虫害の駆除等による増産と生産費の低下を図り、又農業金融農業協同組合の強化など、諸般の方策を講じ、予算に相当盛り込んであることを認めることができるのでありますが、その各費目に及ぶところの計数を列挙することの煩を避けたいと思うのであります。
 これを要するに、本予算そのものは曾て見ざる程度に充実せる内容を有するものであり、二十四年度均衡予算と相待つて、我が国経済の安定、健全財政の確立を目指して、構想を練り、苦心を重ねて編成された結晶品であることは間違いないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)現下の経済状態は、戰後いずれの国と雖も一たびは逢着しなければならぬ避け難き苦難の試錬であると考えるのであります。この際は名医の良薬を飮んで口に苦きを忍ばねばならんところの大切の時期であると我々は感じ、ここに国民諸君の理解を求めたいと存ずるのであります。(「誰に飮ますのだ」と呼ぶ者あり)我が党は以上の見地において、双手を挙げて二十五年度予算各案に賛成する次第であります。野党の諸君は、長所を捨て短所のみを挙げて予算各案に対し委員会において否決せられましたることは、誠に遺憾千万でございまするが、何とぞ同僚諸君多数の方々がこの我々の切なる希望を容れられまして、国家再建のために切に本案を可決せられんことを附加えてお願いをいたす次第であります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)
#17
○副議長(松嶋喜作君) 川上嘉君。
   〔川上嘉君登壇、拍手〕
#18
○川上嘉君 只今自由党の石坂君が、出ない声を無理に張り上げて、野党側は徒らに反対せんがための反対をやつている、尚、建設的な意見がない、かような失言をしたのでありまするが、私は飽くまでも国を救い国民を救わんとする熱意から、無所属懇談会並びに新政クラブを含む第三クラブを代表いたしまして、只今上程されました昭和二十五年度の一般、特別、政府関係機関の総予算に反対するものであります。
 反対の理由は極めて簡潔明白であります。只今石坂君の話では、この予算は実情に即しておるとのことでありまするが、(「その通りだ」と呼ぶ者あり)私は我が国の実情を全く無視している、(「異議なし」と呼ぶ者あり)国民を救い国を救わんとする誠意に全く欠けておる、今までより以上に国民大衆に過重な負担と犠牲を強要している、こう断ぜざるを得ないのであります。尚、本案は審議の過程におきましても、内容におきましても不合理、無理だらけであります。池田大蔵大臣兼通商大臣は三月一日の新聞記者会談におきまして、五人や十人の中小企業者が倒産し自殺しても、ドツジ・ラインという大きな政策転換の前には仕方ないとの意見を表明し、これがために大波瀾を巻き起したのでありまするが、五人や十人の中小企業者が倒産し自殺するときには、すでにその背後には幾百万の中小企業者、農民、漁民、労働者等、全国民大衆が倒産の寸前にあるということを認識できなければ、政治家たるの資格は勿論ないのであります。(拍手)然るに吉田内閣はこの我が国の実情を無視し、国民の苦痛を苦痛とすることができず、日本経済の実情を認識する政治感覚がなく、誤まつた認識の上に立つて一切の政策を強引に推し進めようとしており、昭和二十五年度総予算こそは正に反動性を飛び越えた吉田内閣の暴君的な性格の端的な現われであると断ぜざるを得ないのであります。この予算は昨日の予算委員会におきまして二十三対十二で否決されましたのでありまするが、これに対し今石坂君は誠に遺憾であると言われましたが、これは当然御尤もなことであります。以下本予算の内容につきまして、大別して税制、債務償還、給與ベース等の三点からこれを究明することにいたします。
 第一点は税制についてでありますが、一昨年以来、税金故に自殺した者もある、一家心中した者もある、発狂した者もある、倒産した者も増加している。こういつたことは殆んど連日のごとくに新聞紙上に発表されているのであります。尚、税務署側におきましても、税務職員が過重事務、不合理課税のために病人が続出し、更に色心的な呵責から自殺した者もあり、発狂した者も多々あるのであります。尚、目下全国各地に実情を無視した更正決定の一括返上、更に実情を無視した滞納整理、差押公売反対、公売物件に対する不買運動等が巻き起つており、こうした表面に現われたところの諸運動の背後に、幾百万の中小企業者、農民、漁民、労働者等、全国民大衆が税金故に倒産の寸前にあることを見逃してはならないのであります。更に現在税務職員は納税者から蛇蝎のごとくに嫌われており、税務職員に物を売るな、税務職員と口をきくなという運動が巻き起つており、今回の参議院議員選挙におきましても、何らの政策を掲げなくても、ただ最初から税務署を攻撃さえすれば大体当選圏内に入る、これらのゆえんは一体どこにあるのか。税務職員は、吉田内閣が編成し、立案し、そうして與党多数で強引に通過したところの予算に基き、そうして税法によつて、飽くまでも政府の命令によつて税金を賦課徴收しているのであります。民自党が去る衆議院議員の選挙におきまして絶対多数をかち得たのは、公約が選挙民の要望に叶つたためであり、更にこの公約中、最も国民の支持を受けたものは税金問題であることは一点の疑いもないのであります。又吉田内閣が労働攻勢や国民の不満を緩和するために宣伝しているただ一つの切札は減税であります。尚、九原則やドツジ予算のために減税の公約を果せなかつた政府は、その面子を維持するために、万事シヤウブ勧告ができるまでの辛抱だと盛んに宣伝し公約して来たが、今回予算に盛り込んだ税制案はシヤウブ勧告に基いたものであるが、細目はここで省略するとして、減税になるのは、主として高額所得者、大企業及び外国人である。中小企業、農民、漁民、勤労者等は大幅に増税された住民税、附加価値税等、地方税と差引すれば増加する可能性が多いのであります。(「元気が足りない」と呼ぶ者あり)默つて聞け。そろそろ元気を出すからね。政府は国税、地方税合せて三百億円の減税であり、寄附金の減少を考えると、五百億円以上の負担軽減であると盛んに宣伝しているが、これは正に数字の魔術であり、実質的には相当な重税であります。現在、中央地方を通じて政府が立案したところの税法案を、若し税務職員並びに地方の税務職員がこれを嚴格に実施したならば、相当な大幅な増税となることを私は、はつきりと、ここに断言して置く次第であります。尚この税法では公平適正な課税は依然として期待できない。依然として申告と更正決定をめぐつて、納税者と税務署との対立はますます激しく悪化するものと断定いたします。現在滞納額が約一千億程度もあり、申告納税の成績が非常に悪く、青色申告の手続をしたものが法人において僅か三割乃至四割、個人においては僅かに二・五%程度に過ぎない。このことは何に基因するのか。政府の税制改革案では決して減税にならない。民主的で公平適正な課税も不可能である。更に青色申告は日本の実情に適さず、時期尚早であります。
   〔副議長退席、議長着席〕
 次に第二点は一千三百億に近い巨額の債務償還についてでありますが、未だ返済期限も来ていない債務償還を、以上述べましたように税金故に国民大衆が圧殺されようとしている現在、緊急に血税を以てまで返済する必要があるかどうか。又他の必要不可欠なる経費を削減してまで債務償還をする必要があるのかどうか。私は我が国の税負担が過重であるかどうかについて默つて語らなかつたシヤウブ氏、而も自分達の使命は飽くまでも税制の面だけであつて、予算面に触れることはその任務外であるとしていたシヤウブ使節団でさえも、二十五年度において、二十四年度と同様の国債の償還をすることの必要性は、現行税金を無理してまでも維持しなければならない程に緊急なものではないという意味の注目すべき店を指摘しております。然るに政府はこの債務償還によつて資金が金融機関を通じて民間産業に流れるものと、かように予定しておりますが、市中銀行が巨額の日銀借入を余儀なくされておる現状では、かかる資金の還流は行われない。従つて吸上げられた金は国民のふところへは入らずに日銀の金庫に足踏みをしてしまう可能性が強いのであります。昨年の初め頃までのインフレが、とにかく昨年中に急激に收束してしまつて、逆にデフレ的様相を呈するに至つた原因の一つが、二十四年度における巨額の債務償還であつたことから考えると、二十五年度に引続き債務償還を続けることは、最近の不景気、金詰りを更に更にひどくするのであります。ちよつと水を飲みます。時間があるから……(「ゆつくり飲んで呉れ」と呼ぶ者あり)政府は債務償還で市中銀行に入る金を再び民間に貸出すことによつて、金詰りはひどくならないと言つておるのでありまするが、銀行にして見ますれば、銀行の預金の裏付けとなつておる手持国債の現金化したときに、その金をそんなにたやすく誰にでも貸出すかどうか、このことはこれまでの銀行貸出の不公平、不適正な実情から、極めて悲観せざるを得ない現状にあるのであります。債務償還を強行することによりまして、日本経済を安定させるどころか、却つてデフレを強化する。農民、漁民、中小企業者、勧労者の生活はますます窮迫して行くことは必至であります。従いまして、先程の小林議員から指摘されました通り、債務償還を削減して、農業の復興、中小企業の振興更に地方税の減免、給與ベース改訂、社会保障制度の充実、教育、文化の向上等について適切な措置を講ずることこそ急務中の急務であるのであります。尚この財手不足分は、政府が誠意熱意さえあれば、九百億円の価格調整費の創減、二十四年度剰余金見込額百四十億円の削減、並びに物件費等の節減等によりまして、捻出は可能であります。
 第三点は、給與ベースについてでありまするが、本問題につきましては、すでに一昨日、本会議におきまして反対討論をしたのでありまするが、尚、繰返して政府の責任を追及し、現行給與ベースを支持する政府の不合理を糾彈することにいたします。人事院は国家公務員法第二十八條によりまして公務員ベースの改訂を行うべきことけ勧告しております。然るに政府は人事院の勧告を無視しておる。予算案は物価が横這いであるとの基礎の上に立つております。ところが給與ベースは物価が下落するとの基礎に立つておる。全く不合理極まるものであります。名目賃金は上らないけれども、減税、各種諸手当の適正なる支給、社会施設の充実整備等によつて、実質賃金は上ると宣伝しているのでありまするが、別に数字的な根拠、具体的な対策を明示していなののであります。税金の例をとつて見ましても、従来公務員は不合理な税法の嚴格な適用によりまして、毎月々々所得額をそのまま把握されて来ていて、そこには何らの彈力性も與えられていなかつたのであります。従いまして、高い税率、低い控除額の下で一番苦しみ犠牲になつたのであります。然るに今回の税制改革で却つて勤労控除額を減じたことによりまして、その負担は重くなつているのであります。尚、政府はベース引上げをすれば、国民負担が増加し、いわゆる物価と賃金の悪循環でインフレが再発すると、かように宣伝し、頑張つているのでありますが、悪循環の誤まりであることはもう余りにも有名であります、述べる必要もありません。ベースを改訂する財源は人事院の算定によりますというと四百億円でありまするが、これは揆ね返りによりますところの勤労所得税を見込めば三百億円に過ぎないから、決して増税等国民負担の増大によらなくとも、一般会計からの債務償還の一部を振替えることによつて賄える筈であります。従いまして政府の財源がないからとの理由、物価と賃金との悪循環がインフレを再現するとの理由も、実質賃金が上昇するとの理由も、全くのこじつけであるのであります。要は政府が公務員の給與ベースを積極的に改訂しようという熱意、誠意がないと、こう断ぜざるを得ないのであります。要するに、二十五年度総合予算案は、昨日、殺人予算だと非難されております。更に小川友三氏は気狂い製造予算だと、こういう工合に非難しております。国民経済の実情を無視してこれを実行する場合には、農民、漁民、中小企業者、勤労者、公務員等、国民大衆の生活をますます窮地に追い込むものであつて、第三クラブは、本二十五年度総合予算案に強く反対して、これを放上するものである。以上。(拍手)
#19
○議長(佐藤尚武君) 木村禧八郎君。
   〔木村禧八郎君登壇、拍手〕
#20
○木村禧八郎君 私は労働者農民党を代表いたしまして本予算案に反対するものであります。
 只今自由党の石坂議員から、野党は徒らに政府の政策を攻撃しているに過ぎないということを言われましたが、(「その通りだ」と呼ぶ者あり)福沢諭吉先生は「学問のすすめ」という本の中でこういうことを言つております。政治が正しければ議論はおのずからやむと、(「その通り」と呼ぶ者あり)こういうことを言つております。議論が紛糾し、野党の攻撃が集中するのは政治が正しくないのです。(拍手)このことは、昨日の予算委員会において、この予算案が否決されたということによつてはつきりは現われている。十指の指さすところ、十目の見るところ、これ正しいのです。私はこれから本案に反対する理由を述べたいと思います。(拍手)
 反対の論拠は要約しまして四つであります。
 その第一は、この予算案審議におきまして幾度も論議をいたしたのでありますが、政府がこの予算案を作るに当りまして、日本の今の経済がどうなつているか、この日本の経済の実情認識に対しまして間違つた見解を持つている、この点から、この予算案を実行した場合に、私は非常な経済的な混乱が起る、非常にデフレが起り、非常な不景気がやつて来る、そう思うのです。今の二十四年度の予算を実行した結果はどうなつているか、我々が主張した通りにデフレーシヨンがやつて来たではありませんか。この実情認識を欠いて更にこのデフレ予算を組むということは、これは重大な問題だと思うのです。実情は如何に無視しようとしてもデフレであります。吉田総理も、池田大蔵大臣も、経済は安定していると述べました。財政演説、施政演説において申しました。そこで私は予算委員会において、総理にも、池田大蔵大臣にも質したのです。経済が安定し、デイス・インフレであると言うならば、どういう理由で経済が安定し、そうしてデイス・インフレであるか、その理由を示して貰いたい。総理に対しまして私は、毎日職業安定所に非常に多くの人達が押しかけて来ておる、而も職は得られない、失業者が非常に殖えて来ている、又税金の問題で税務署に多くの人がデモを組んで押しかけている、毎日の新聞は、我々が見るのは不愉快な程、自殺者、心中者が出ている、これは生活から来ておる、こういう実情を総理は、これは安定している証拠であると御覧になるか、安定しているとおつしやるならば証拠を示して貰いたい。これに対して総理は何でもかんでも安定しているのだと言つて、合理的な論拠を我々に示して呉れませんでした。池田大蔵大臣は、経済が安定している証拠として三つの点を挙げました。その第一は通貨が安定している、通貨の量が殖えない、第二は物価、賃金が動かない、第三は生産が増加している、これが安定している三つの証拠であるということを述べております。そこで私は、それが安定している証拠になるかならないかを予算審議を通じて池田大蔵大臣と論議をしたのであります。併しながら池田大蔵大臣の答弁は我々を到底納得させることができなかつたのであります。通貨の量が同じであるから安定していると言うが、これは安定の証拠にならない。生産が二割五分も二割も殖えているのに通貨が同じであるということは、相対的にデフレになることである。更に通貨の内容においても、銀行の貸出によつて殖えている通貨と、我々がふところに持つている通貨と性質が違う。最近流通している通貨は、財政的には、我々からお金を税金で取つた金が銀行に廻つて、その金が銀行から出て来て、いわゆる貸出という形で金利の付いた金として流通しているのであつて、通貨の量が同じでも性質が違つている。だからデフレになつて来ている。金利が付いて廻るお金を皆持つている。安定した証拠にならない。物価、賃金が安定していると言つても、物価については、公定価格と闇が平均して動かないから安定していると言うが、ところが公定価格は上つて闇は下つている。従つてそのために、公定価格が上るために勤労者は困り、闇がどんどん下るために生産者が困つている。むしろこれは不安定な証拠であります。賃金が動かないのは政府が給與ベースを上げないから動かないのである。(「その通り」と呼ぶ者あり)労働の需要と供給によつて賃金が安定しているのではない。政府が故意に、民間賃金については三原則、公務員の給與については給與ベースによつて縛つているから上らない。これは安定の証拠ではない。そのために却つて勤労者は困つている。生産が殖えたと言いましても、生産の増加は変態的である。有効需要が殖えて生産が殖えたのではない。その証拠には生産が殖えても滯貨が増大している。滯貨が増大しているということは安定の証拠ではない。従つて大蔵大臣が示した経済が安定している証拠、通貨が安定している、物価、賃金が安定している、生産が増加しているという点、これは安定の証拠にはならない。従つてどこに安定の証拠を我々に示すかということを我々は追及したのですが、いや、何でも安定している、それは合理的な根拠がない、見解が違う、そういうふうに逃げようといたしましたが、併し私達は、立場は違いますが、事実を分析する場件には同じ立場に立つている。資本主義経済を本にして、資本の論理に従つて我々は分析している。従つてこの実情分析については見解の相違がない。どつちかが間違つている。従つて総理なり大蔵大臣なりから、間違つているならどこが間違つているか、私の主張のどこが間違つているか、それを理由を示して呉れと言つたんですが、いや何でも間違つている。安定しているんだ。これでは合理的な説明にならない。(「頬被り安定」と呼ぶ者あり)頬被り、確かにそうです。そういう意味で、失業が殖え、滯貨が殖えて、心中自殺者が激増していることは、むしろ安定の実態が不安定になつて、安定してない証拠です。併しこういう実情に対する間違つた認識の上に立つて二十五年度予算を編成しているということは、これは重大な問題です。我々絶対に賛成ができない第一の理由であります。
 それから第二の反対の理由は、この予算の編成の基礎條件となつたものが四つあります。その第一は給與ベースを上げないということ、それから物価は一割くらい上つて行くという、そういう計算で予算が組んであるということ、それから第三は、補助金を撤廃し統制を撤廃して自由経済に持つて行くということ、第四は、アメリカの援助が減るのに従つて日本の輸出を殖やす、いわゆる自立経済へ持つて行く、この四つが二十五年度予算の編成の基礎になつております。ところで、我々はこの四つの基礎條件について具体的に政府に質問したわけです。究明したわれですが、どうしても納得が行かないのです。従つてこの重要な予算編成の基礎になつてこの四つの條件について、我々を納得させるものは一つもなかつたという点においても我々はこの予算に反対しなければならない。第一の條件である給與ベースを引上げないという点について、これは何故引上げないのか、何故引上げることができないのかということを我々が聞いたところが、給與ベースを上げると物価と賃金との悪循環を来たしてインフレになる、これが第一の理由。第二の理由は、人事院勧告に基いて給與ベースを引上げても約六百億の財源が要る、ところが予算がない、ない袖は振れない、この二つが給與ベースの引上げができないという理由なんです。それでは給與ベースを上げたならば物価と賃金が悪循環するかどうか、これについて議論をしたのでありますが、どうしても我々を承服せしめない。とにかく何でもかんでも悪循環するという独断であります。我々の見解としては、むしろ物価がどんどん下つて行つているときに、給與ベースを上げて大衆購買力を殖やせば、物価の低落を止めて、それこそが政府の主張するデイス・インフレ政策になる。物価は急激に上つても急激に下つてもいけないのだ。物価が安定するのが一番いい。ところが政府はどんどん物価を下げさせている、それではこれはデフレになつて行く。むしろ給與ベースを上げて物価を安定させるのがデイス・インフレ政策である。給與ベースを引上げて物価が値上りして、インフレが起るなんということは……均衡予算の下でインフレを起りつこないのです。我々が主張しているのは超均衡予算を均衡予算にしろ、こういうことを主張しているのであつて、超の字を取ることによつてインフレは起りつこない。これはもう世界共通の常識であります。従つて我々は何でもかんでも賃金を上げさえすれば悪循環するというところが間違つていることは総理に申上げました。総理は給與ベースを上げれば物価に影響があるということと、給與を上げた場合に悪循環してインフレが起るということと混同しているんじやないか、そう申しましたら、いや、とにかく悪循環するのだ、だから上げない、こう言う。我々には納得できない。第二の理由には、財源がないということを言いましたが、財源のあることは、これまで各党の反対討論においても明らかでありますから、私は詳しく申述べません。債務償還を減らせばよろしいのですし、又物件費においても節約ができます。又食糧輸入を減らせば補給金の方が減つて来て財源が出て来る。財源は作るものであつて自然に出て来るものではないのです。財源は作るものです。前の片山内閣当時において、財源がないないと言つて、そうして辞職しましたが、〇・八ケ月分のあの給與の財源は、片山内閣が潰れた芦田内閣になつたらひよつこり出て来ている。財源というものは作れば出て来る。それが政治であり、それが政策です。財源がないなんてことは、これは子供の言うことであると私は思うのであります。第二に物価です。物価については政府がこの予算の積算の基礎として、この前に私が申述べましたが、大体農産物の価格を決める場合のパリテイ計算が一割上る計算になつている。それで予算を組んでいる。今後物価が下つて行けば物件費において二重に余計計上している。この点において私は、政府がこの予算の積算の基礎として物価が一割上るように計算していながら、節約できないというように言つておるのは私はおかしい。この点もおかしい。更に第三の予算編成の基礎條件は、補助金を削り、統制を撤廃して自由経済に持つて行く、いわゆる自由競争経済に今後日本の経済を持つて行つたならば、どういうことになるかはもう明らかであると思う。これは戰争前の経済に戻すこと、いわゆる社会党の木下議員も言われましたが、古典的な自由経済方式を復活させる。我我の主張は、敗戰後の日本の経済をどうしても綜合計画的な経済、合理的民主的な統制を基礎としなければ、民主的な日本の経済の自立再建は絶対に不可能だ。それと反対の政策をやつて行こう、そういうことを基礎として二十五年度予算を組んでいる。これは私は日本の経済の再建をむしろ阻害するものである。従つてそういう予算編成の基礎條件に我々は承服できない。それから第四の予算編成の基礎條件は、アメリカの援助が減るに従つて…減るから輸出を殖やす。ところで問題は、この輸出が政府の計画通りに殖えるかどうかは問題であります。先程石坂議員も、一ドル三百六十円は、政府が何とかしようとしても、しようがないのだと言われましたが、その裏においては、一ドル三百六十円は著しく円高であつて、輸出を阻害しておるということをお認めになつておることと思う。一ドル三百六十円の為替相場を決めた当時の景気と、世界の情勢も日本の経済の情勢も非常に違つて、激変している。にも拘わらず一ドル三百六十円を固定していますから、輸出に非常な支障を生じていることはもう周知の事実なんです。三百六十円を以て今後輸出が増進できるかどうか、政府の計画通りできるかできないかは、今後の事実が私は示すと思う。そのときになつて慌ててもこれは間に合わない。こういうような以上四つの予算編成の基礎條件を以て二十五年度予算を編成したのです。今申上げましたようにその四つの基礎條件は我々は到底服できない。間違つているのです。これが本予算案に反対する第二の理由であります。
 第三の反対論拠は、この予算の内容が日本経済の合理的な自立再建に有害であるということであります。先ず歳入面について見ますと、シヤウプ勧告に基きまして、中央、地方を通じまして三百億の減税する。中央において七百億減税をして、地方において四百億増税をして、差引三百億の減税をすると言つておりますが、これは先程川上議員の言われました通り減税にならない。実際においては私は増税になると思います。而も税金の絶対額がもう多いということはこれは我々身を以て感じておるところでありまして、例えば大蔵省の調査によりましても、二十四年度の税金を昭和五年の当時のこの所得に比較して申上げますと、昭和五年当時の月給八円五十銭の人が三%の税金がかかることになつておるんです。月給四十円の人が一六・八%の税金がかかることになつておる。月給百円、当時年收千二百円、免税点でありましたが。この月給百円の人の税金は、現在で申しますれば三割一分四厘の税がかかつておる。百円の月給の三分の一以上が税金で取られておるということは、どのくらい生活が苦しくなつておるかということがよく分ると思います。それに対して今回の政府の減税措置は、中央において或る程度減らしますけれども、地方において増税しますから、差引が減税にならない。税の絶対額が多過ぎるのです。そればかりでないのです。そういうふうに税の絶対額が多い上に租税のかけ方が非常に不公平だ。これはシヤウプ勧告案の精神に反しておる。今度の税制改革が税負担の公平化に反しておる第一の理由はしばしば申上げましたが、二十三年度即ちインフレが非常にひどかつた当時の国民所得を基にして、そうして二十五年度の税制改革を行なつておるんです。あのインフレーシヨン当時に所得を捕捉することが如何に困難であつたかということは周知の事実であります。あの当時の所得を基礎にして、大蔵省主税局が掴まえた所得を基礎にして、それに何割かの…シヤウプ勧告では六割、六〇%をかけてやりましたが、政府はそれに若干の修正を施したと言いますが、基礎は二十三年度のあのインフレ期における所得を基礎にしておる。ですから非常に沢山の脱税があつたのです。非常に沢山の脱税がある。その脱税を認めて放任して、そうして今度の税制改革をやつておる。ここに問題があるのです。ですから、どうしても今度の税制改革によつては租税負担が不公平になる。それから第二には、政府は合法的な脱税をやはり認めておる。シヤウプ勧告においては、合法的な脱税として、讓渡所得と、無記名預金、架空預金、そういうものを禁止する、こういうことをしなければいけないということをはつきり言つたのです。讓渡所得をはつきり掴むために公社債の登録、更に株式の名義書換も、これをシヤウプ勧告では勧告をしておるに拘わらず、政府はその法案を提出しようとして用意しながら途中で止めてしまつた。ですから、讓渡所得も、無記名預金も、架空預金もシヤウプ勧告通りやらないのです。従つて合法的な脱税を許し、非合法的脱税も容認し、合法的脱税も認めた。それが二十五年度のこの税制改革であります。こういう税制を基にして、税金を徴收をして、税の絶対額が多い上に更に負担の不均衡がひどくなつて、そうして勤労者は非常な苦しみを受ける。こんな非民主的な不合理な税制改革は私はないと思います。更に税の転嫁というものを考えれば、税金は中小企業者、或いは労働者、そういう外に転嫁できない人に皺寄せして来てしまう。附加価値税四百幾らかけた場合、この附加価値税は誰に転嫁されるか。結局労働者の賃金切下げ、そういう面に転嫁されてしまう。これでは租税負担が公平とは言えない。こういう性格を持つた税制改革なんです。これを裏付けして二十五年度予算が編成されておる。更に歳出面におきましても、各議員も指摘されました通りに、旧債務償還が多過ぎる。それから非生産的な支出がやはり多い。例えば終戰処理費から当然出さなければならないものを見返資金から出す、こういうふうな不合理があります。更に政府はこの予算が事実復興予算として公共事業費を沢山計上して九百億円計上しておると言つて澄ましておりますが、この公共事業費の中には、これまで地方自治体がやつていた公共事業を今度は政府が政府の負担でやるという事業が含まれておる。従つて金額は殖えても事業量は政府が宣伝しているように殖えておるのではない。更に又附加価値税を土建業者から沢山取るならば、附加価値税がかかることを政府は考慮して公共事業費を組んだかどうか疑わしいと思うんです。この附加価値税を考えたならば、相当沢山の附加価値税が公共事業にかかると思うんです。土木事業にかかると思うのです。そうしたら政府の計画しておるような事業の量は私は実行できない。更に予算を組まなければ実行できない。そうすれば、この公共事業費を通じて有効需要を殖やして景気を直す、その効果は政府が宣伝しておるようなものではないのです。そういうように我々は考えておる。更に景気政策についても、或いは文化とか、或いは厚生、そういう施設につきましても経費が著しく少い。これは分科会において問題になつたのでありますが、国立病院におきまして、国立病院のお医者さんは公務員として給與ベースを抑えられておるためにどんどん良いお医者さんは逃げて行つてしまう。高橋龍太郎氏が委員長でありましたが、高橋さんは、私は国立病院でお医者さんに診て貰う気がしない、危險で診て貰う気がしない、こう言つておるんです。良いお医者さんはどんどん民間に行つてしまう。そうして困窮者で診て貰いたい人が国立病院に行つて、そうして十分な治療ができないで死んでしまうのです。どうしても助かりたいと思うには民間に行かなければならない。良いお医者さんは民間に逃げて行つてしまう。それでは非常にお金がかかる。吉田内閣はこういう方面に対してもつと沢山の費用を私は使うべきだ。こういう点については全然考慮されていない。貧窮者が国立病院へ行けば死にに行くようなもので、良いお医者さんは皆民間に行つてしまう。こういうことが明らかになつて私は唖然としているのです。こういうふうな歳出予算になつておる。こういう歳出予算を我々は国民としてどうしても認めるわけには行かないと思う。
 更に反対の最後の点でありますが、これは財政と密接の関係のある金融政策について政府は適切な政策を示しておらない。むしろこの二十五年度予算を実行した場合、金融面においては行詰りが生ずる、そういう懸念があると思うのであります、もうすでに財政のデフレを信用インフレで補うという段階は過ぎている。これはもう限界が来ている。この点については木下委員が言われましたから詳しく触れません。更に政府は低金利政策を徹底すると言つていますが、金融業者は預金と貸出との、この利率の開きが非常に大きくて、莫大な利潤を挙げている。従つて国債金利からいつても、その預金コストと貸出利率の開きから行きましても、もつと金利を徹底的に下げるべきである。併しながら政府がそういうことを要望してもなかなか下げない。低金利政策が徹底していない。そうして著しく銀行が暴利を貪つている。そういう金融政策なのです。更に長期設備資金の調達が困難になつている。株式は暴落して、株式による長期設備資金の調達が困難になつてしまつた。更に市中銀行は貸出が預金の八割も九割も占めるようになりましたから、貸出が困難になつて来ている。金融政策はこういうように行詰りになつた。日本銀行がどんどん貸出すと言つても、貸して上げると言つても、銀行はお金を借りない、こういう状態になつている。もう財政デフレを金融インフレで調整するには限界が来ている。どうしても財政デフレを調整するには財政自体において調整しなければならない。即ち旧債の償還なるものをやめて、財政自体において調整しなければならない段階に来ている。要するに、こういうふうに金融政策が行詰まつたのは、財政と金融を分離して、産業建設に非常に重要な金融を営利機関である民間の銀行に任した、そのためにこういうことになつて来ている。政府は財政金融を分離した際に、金融機関の社会的な公共化を強めると言いましたが、依然として金融機関の社会性、公共性は強まつておらず、そのために長期設備資金の調達もうまく行かない。これが経済再建を非常に妨げていると思う。
 以上の四点において私は二十五年度予算をどうしても承服することができないのであります。従いまして、その結果として、若しこの二十五年度予算が実行されたらどうなるか、私はこの本年十月頃において重大な経済危機が来ると思う。池田大蔵大臣は逆に、十月頃経済は安定すると言つておりますが、それは自由経済、自由競争経済で、弱い者はどんどん潰れて整理されて行つて、強い者だけが残つて、十月頃強い者だけが安定するという意味であつて、これを裏返せば、十月頃には中小企業、弱小企業はどんどん潰れて、そういう意味で危機が来る。こういうことになると思うのです。我々はこういう予算を絶対に認めることはできない。(「その通り」と呼ぶ者あり)
 従つて我が党はこれに対して先ず第一に、超均衡予算を、均衡予算の線までこれを直すこと、その直すことによつて生ずる財源によつて減税と給與ベースの引上げ、農産物価の引上げ、そういうことを行なつて、大衆の購買力を殖やして景気をよくする。今の政府のように不景気をもたらすのではなく、景気をよくする。更に資金資材について総合計画経済を行なつて、盲経済をやめること。それによつて国民に今後日本の経済はどうなつて行くかということに対する明るい見通しを與えること。(「学者の理窟だ」と呼ぶ者あり)最後に、そうしてここで、このデフレ予算、デフレ経済を、旧債務償還をやめ、そういうことによつて調整して景気を直して、この景気を持続させるためには、やはり何といつても輸出が増大しなければなりませんので、この輸出増大策としては、中国貿易、東南アジア貿易、これを急速に促進せしめる、これによつて私は日本の経済の民主的な自立再建はできると思います。
 そのためにはどうしたらいいか。吉田内閣が政治を担当しては絶対にできない。(「そうだ」と呼ぶ者あり)ですから、何よりも先決の問題は、一日も早く吉田内閣に退陣して頂く。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)これこそが、このデフレ、不景気、これを直すところの先ず最初の條件なんです。そうして民主的な政党を以て我々が政権を取る。そうして以上申述べましたような我々の政策を、これを断行すれば中小企業者も救われます。勤労者も救われる。農民も救われて、その代り大資本は困るかも知れませんが、国民大衆の生活は安定するのであります。(拍手)こういう意味で、私は本予算案に労働者農民党を代表しまして絶対に反対するものであります。(拍手)
#21
○議長(佐藤尚武君) 岩間正男君。
   〔岩間正男君登壇、拍手〕
#22
○岩間正男君 日本共産党は本予算に絶対に反対するものであります。
 反対の最も大きな理由は、何よりも本予算案が日本を東亜の軍事的基地として再編成せんとする方向に使用されているという点を指摘せざるを得ないのであります。これを歳出の面から見ますと、公共事業費の使用内容が問題になる。公共事業費は二十四年度に比べて一応六割増、九百九十億ということになつているのでありますが、併しこれが如何なる方面に使われているかというに、例えば道路建設五ケ年計画を見ると、これは主として太平洋岸と日本海岸を結ぶものに重点が置かれており、地方や農村の産業に必要な道路は全く顧みられないのがその実情であります。又それ程交通量のない所でも、而も並行線のあるような所に大幅な道路が建設されているのであります。これは曾てナチスのヒツトラーが政権を握つた後に先ず取掛つたのが道路の建設であつたことを思い比べますと、極めて警戒しなければならないことである。又河川にせよ、港湾にせよ、海上保安施設の増強にせよ、これが如何なる政治的意図を以て計画され、使用されているか。ここに吉田内閣の公共事業政策の本質があり、その意図は民族の将来にとつて極めて危險であり有害であると言わなければならないのであります。
 次に注目すべきものに、地方財政平衡交付金の千五十億があります。政府は今度の税制改革で地方の独自の財源を持たせ、地方自治を強化することを表面では謳つております。併しながら事実はこの平衡交付金を以て全面的に地方行政を支配し得るような体制を整えているのであります。その運用はすべて地方財政委員会に委されることになるのでありますが、地方財政委員会は決して人民の意思を代表する機関ではなく、特定の政治的意図を以て背後から完全に支配される危險が十分にあるのであります。これは終戰後に作られました幾多の委員会制度なるものが、如何にロボット機関であり、常にその背後の権力によつて独断的に支配運営されていたかといういろいろの事実を思い合せれば、誠に明瞭であると言わなければならないのであります。このような委員会機構を通じまして、交付金は、例えば全国十四ケ所の特別開発地域のように、軍事的危險のある地点に重点的に配分することも可能となつて来るのであります。
 以上挙げた例でも明らかなように、二十五年度予算は日本をまさに来たらんとする世界大戰、反ソ反共の極東における前線基地として強化せんとする意図の下に使用されつつあることは極めて名瞭であります。(「その通り」と呼ぶ者あり)これは外電もしばしば報じているところでありまして、ポツダム宣言の精神を蹂躙し、新憲法に違反する態度であると言わなければならないのであります。
 一方又世界の最近の情勢を見ますと、対日講和の問題に対しましては極めて急速なる展開を示しているのであります。これは去る二月の中ソ同盟條約が大きな主動力をなしているのでありますが、それ以来アメリカ、イギリスを中心とする欧米諸国家間にも対日講和の早期締結の声が盛んに起つて来ているのであります。現に最近の外電の報ずるところでは、オーストラリアの外相スペンダー氏も全面的な講和でなければならぬということを言い、又イギリス外務次官のデーヴイス氏も同様のことを述べているのであります。こうした世界の情勢を全く無視し、吉田内閣は何を好んで日本を軍事基地として提供する方向にその経済を再編成せんとするのであるか。これは極めて奇怪なことであります。敗戰の苦い経験から立ち上り、飽くまでも平和を求めんとする日本国民のひとしく疑惑を感じているところであります。
 次に予算に対する第二の反対理由は、それが極めて反人民的な性格を露骨に現わしている点であります。これは第一の理由の当然の帰結でありますが、内外独占資本のために日本の経済のすべてを挙げて奉仕せんとする現吉田内閣の売国的態度は、当然に労働者、農民、中小企業、民族資本家を骨の髄までしやぶり取ろうとしている。そこに物凄い犠牲と生活破壞が起つていることは今更指摘するまでもないところであります。この性格を最も本年度の予算におきまして端的に現わしたものは、今までも他党からしばしば繰返されたのでありますが、債務償還の一千二百八十億円であります。中小企業が潰滅し、失業者の洪水が全国津々浦々に溢れ、農村の恐慌がまさに迫つておる、人民の生活が全く地に落ちて惨苦に喘いでいるという、このような真只中におきまして、なぜこのような非常識な暴挙を敢えてするのであるか。この点に了解に苦しむのであります。無論それは言うまでもなく、金融機関特に銀行の資産を豊富にして、金融による産業の支配を著しく強化せんとする意図に外ならないのであります。而も二十五年度において償還期限の来ている国債は僅かに八億に過ぎないにも拘わらず。その百五十倍にも及ぶ国債を全部償還して金融支配を強化せんとする無謀なやり方に対しては、金融業者の間からさえも反対の声が上つているのであります。このような急激な措置は当然に今後の金融操作を不円滑にし、そこに幾多の困難な事情が発生することは余りにも明瞭であります。これは一体誰のためにしておるのであるか。これをなさしめるものは何であるか。この正体について我々は深く凝視をしなければならないと思うのであります。
 反人民的な予算としましては、この外に終戰処理費、価格補給金、司法警察費、又税務署の徴税費などを挙げることができますが、ここで特に問題にしなければならないのは見返資金の問題であります。アメリカの対日援助資金と見返資金は切離すことのできない関係にありますが、併し対日援助資金は我が国にとつて有効な債務であることは、すでにこれは明らかなことであります。従つて対日援助資金が債務である限り、その見返りとして積立てられましたところの見返資金は、これは日本国民が食糧を買つて、食糧のその代金、又税金から出したところの補給金、こういうものから成つておるのでありますから、当然にこれは日本国民のものであります。このことにつきましては本国会におきまして、我が党の追求によりまして、吉田総理大臣も池田大蔵大臣も遂に認めざるを得なかつたところであります。従つて日本国民のものであるならば、当然に見返資金の運用権は我々国会に属さなければならないのであります。これは当然のことである。ところが政府はその運用におきまして全然その自主性を放棄しておる、そうしてこの権限を常に背後の権力に委ねておる、その指令によつて動いておるというのが実情であります。長期資金の全く欠乏しておる現状におきまして、千五百億以上に及ぶところの見返資金の性格は今後の日本経済の死命を制する程重要なものであるにも拘わらず、その運用を他に委ねて一々その指令を仰がねばならない。こういうことは極めて重要なことであり、我々の了解に苦しむところであります。今その投資の実情を見ますと、例えば国鉄の場合でありますが、国鉄の現在の資本金は四十九億であります。これに対しまして見返資金から新たに四十億が投資されます。これが固定資産再評価されますというと、今後見返資金の投資分が全体の国鉄資金の約四五%を占めることになるのであります。而もその見返資金の投資條件については何らこれは明記されていない、誠に不明なそのままにされておる。従つてこのような曖昧な形で、実に自分で支配権を、運用権を持つていないような見返資金が投資されるということは、非常に重要な問題であり、国民のひとしくこれは警戒を怠ることのできない問題であると思うのであります。このような運用のやり方は、例えば電気通信事業、国有林等の公共事業の場合、又日発とか日本鋼管等の民間投資の場合におきましても殆んどすべて共通したことでありまして、今後重大関心を持たざるを得ない問題であります。若し政府のかかる奴隷的態度を改めない限り、今後日本の重要産業はすべて外国の握るところとなり、日本経済は完全に見返資金を通じて外国資本の支配に委ねられるところの危險性が十分にあるのであります。尚、目下深刻を極めている中小企業に対しましては、見返資金は僅かに年間十二億を支出しているに過ぎないのでありますが、今度新たに連合軍用住宅二千戸の建設のためには五十二億円を支出する。そのためにこの補正予算がこの国会に出され、昨日参議院におきましては委員会で否決をされたのであります。このような売国的な吉田内閣の見返資金の運用状態を我々は嚴重に監視し、監視しても尚足らない点であろうと思うのであります。日本国民の金が我々の自由に使えないというこの事実、これは單に戰争に負けたからというだけではないのであります。我々が今や植民地的に奴隷化しつつあるという事実をはつきりこの見返資金の運用は物語つておるのであります。
 予算に対しますところの反対理由の第三は、言うまでもなく税金の問題であります。シヤウプ勧告を基礎とした今回の税制改革におきまして、政府は盛んに減税を宣伝しておるのでありますが、これを今日まともに受取つておる者は誰もいないのであります。成る程極く一部の資本家と外国人にとつては減税になるかも知れないのでありますけれども、勤労者にとつては逆に甚だしい増税になるのであります。これは地方税の税制をとつて見れば極めて明らかであります。改正されましたところのこの地方税の特徴的な諸点、これは国会の審議が甚だ期間がございませんでした。御承知のように政府はこの提出を今国会に怠つておる。我々参議院の要求によりまして二週間後に出したような状態でありますから、十分なる審議が未だなされていないのでありますけれども、私はこの点を簡單に指摘して見たいと思います。
 先ず第一に、国家財政の先程申述べました反人民的な收奪、軍事的目的のための使用、このようにして起る物凄い收奪が全部今後は地方財政に押付けられるという、こういうような特徴を持つております。これは今までの国家予算と地方予算の比率が大体十対五であつたのに対しまして、今年度は十対七以上になりまして、その比重が非常に強化されておる。このような数字の面にも現れておるのであります。第二としましては、平衡交付金は、地方財政を操作する、先程申しましたところの地方財政委員会によりまして地方財政を完全に操作するのでありますが、そのための見せ金、誘い水としてこれは出される危險が十分にあるのであります。これは先に述べました地方財政委員会の機構そのものと関連いたしまして、我々は十分にこの方向に対しましてこれは注視しなければならないと思うのであります。第三に、住民税、附加価値税、固定資産税を税法通りに取りますというと、これは地方税の見積りが今年度は一千九百億になつておるのでありますけれども、若しも税法通り取りますというと約三千四百億となります。国税、地方税を通じまして政府は三百億の減税を宣伝しておるのでありますが、このような形におきましては逆に一千億以上の大増税となることは明白であります。第四番目といたしましては、附加価値税、固定資産税の強化によりまして当然物価の値上りが起るのでありますが、その物価の値上りは最終的には全部大衆の生活に転嫁されて来る、こういうような性格を持つておるのであります。第五としましては、附加価値税や固定資産税を收奪的に取るのでありますから、当然そこに中小企業、民族産業の崩壞を加速度的にならしめる。このような危險が十分にあるのでありまして、この点につきましては自由党の諸君におきましても非常にこれはこれに対する心配を持つておられる点は明らかであります。(「余計な心配をするな」と呼ぶ者あり)その結果、当然首切り、低賃金、労働強化というものが拍車をかけられて来る。このようにしまして、第六の点としましては、労働者に対するところの二重、三重の負担、收奪が物凄く進められて来る。又この際特に注目しなければならないのは、賃金体系が非常に変化して来るだろうということであります。つまり大企業等におきますところの賃金部面は、減価償却とか、それから棚上げ資金とか、そういうものを認めることによりまして当然に縮小されて来る。従つて労働者の賃金部面はこれは圧迫されまして低賃金にこれを導くということは、これは当然に起つて来るのであります。このような問題につきましては、これは勤労階級は十分に検討しなければならないところの実に重大なものを持つておるのであります。第七といたしまして、このようにしまして当然この税金は余りに苛酷であるから取れない、取れないので何とかこれを取らなければならない、そこで徴税機構を強化する、そうして彈圧する、こういうようなことになつて来るのであります。こういうような反撃に対しまして、吉田総理はこの状態に対しまして、地方税法の発表と同時に、何を恐れてか、本年度においては無論ドツジ・ラインは変更しないけれども、併しながら税金の取り方については調整をするということをこれは声明された。併し果してこれは総理の声明だけでどうとかなるものであろうかどうか。一方におきまして、先程申しましたように非常に機構が強化され、殊に問題になるのは今国会に提出されておるところの徴税犯則取締規則であります。この規則によりますと、今後は税務官吏の考えによりまして、扉をあけ、戸をあけて、勝手に家の中に入ることもできる。或いは親書を開くこともできる。或いは若い婦女子の身体検査をすることもできる。こういうような点が強化されておるのでありますから、当然これは総理の声明に拘わらず、一方におきましては、実際の問題としまして、このような收奪の面が強化されておる点は、はつきりこの税徴收の機構が何を意味しておるかということを物語つておるものであります。従つて当然第八の問題としまして、それは取れない。取れば人民の生活は赤裸かになる。そうして完全なここに転落が起る。そうして我々国民の生活水準は物凄く低下せざるを得ない。
 こうした委譲申上げましたような世界に前例のない悪税なればこそ、政府は人民の反撃を恐れまして、人民の前にその真相を公表することができなかたつのであります。特に参議院選挙を前にしてその勇気がなかつたということであろうことは、我々の想像するに難くないところであります。そのために衆議院では地方税法を出さないで、多数を恃んで不合理に通過を図つたのであります。併しながら我々参議院予算委員会におきましては、この無謀に抗議いたしまして、地方税法の提出を求めて二週間鬪つたのであります。本格的な審議はこのために非常に時間的な限定をされたのであります。而も閣僚の出席が悪く、吉田内閣総理大臣のごときは、再三再四の出席要求を無視して審議を遅らせたところの重要な原因を作つておるのであります。而も又一方でこれは三月以内に通過できないというので、暫定予算の案が出たのでありますが、この予算は上程することができない。だから何とか三月以内に通して呉れというような実に国会の審議権を無視した声明を、このような威圧を池田蔵相は参議院の予算審議に加えた。併しながら我々は飽くまでもこのような地方税の性格、このような收奪の性格を十分に審議することなしには、国民大衆から負うておるところのこの我々の職責を果すことができない。従つてこの審議権を飽くまでも守り拔くためにこれと鬪つたのである。国会の自守性、これを確立することが、これが又同時に日本民族の自主性の問題と深く繋がつておることを深く確信するが故に、如何なるこのような政府の暴圧に対しましても断乎としてこれを守り拔くために鬪つたのであります。従つて政府の当然の態度、政府の予算を遅らせた、更に暫定予算を組めなかつた問題、これは当然今後の政治責任の追及として我々はこの点について明確ならしめるところの覚悟を有するものであります。
 以上申しましたように、二十五年度予算の根本性格は、日本の軍事基地化を促進し、人民の大收奪の上に内外独占資本の利益のみを図る亡国予算である。この予算を実行すれば人民の生活は驚くべき潰滅状態に陷り、国の独立は根柢から崩れ去ることは必至であります。然るに政府はかかる現状を直視しようとせず、依然として経済は安定していると放言しているのであります。これは誠に頬被り的な欺瞞的な安定である。
 数千がモクを拾いて生きており
   一人が安定をうそぶけるとき
 最近は文芸の領域にも、このような失業苦と税金によるところの苦しい生活を歌つた、そういうような素材を主題にしたところの作品が非常に多くなつている。私は歌を毎月見ておりますが、その中の一首に今のような歌があつたのであります。モクというのは、これは政府の諸公は御存じないかも知らんけれども、煙草の吸殻のことである。上野や浅草に行けば、モク拾いが群がつているのであります。数千がモクを拾つて生きており、一人が安定をうそぶくとき、安定をうそぶいている池田蔵相に対して、予算委員会において、あなたはこれに対してどういう御感想をお持ちになるかということを聞いた。ところがこれに対して蔵相は答えることができなかつたことは当然でありましよう。じたばた論議であの物議を醸した蔵相としては、当然この歌に対して答えることはできなかつた筈であります。併しながら、このような姿が現在の吉田内閣、安定をうそぶいている吉田内閣の足許に起つているところの実情であるということをはつきり申上げなければならないのであります。(拍手)最近の報道によりますと、UPのアーネスト・ホープ氏は、反インフレ政策下の日本人の生活はインフレ時代より苦しくなつた、警察当局の資料によれば、東京の自殺者の七〇%は経済的苦痛がその原因であるということを述べております。このように苦しい生活を守るために、労働者の闘争は、民同幹部の八百長的な取引にも拘わらず、(「八百長とは何だ」と呼ぶ者あり)今や全国的な闘争に盛り上つているのであります。大衆の血の出るような要求を押え付けようとする民同幹部は大衆によつて指彈されている。又街頭に投げ出された失業者は、職業安定所を取り巻いて連日血の叫びを揚げているのであります。一方、農村におきましては、低米価、重税による生活の破壊が、最近の輸入食糧の激増と相待ちまして、曾ての農村恐慌を遥かに越えた樣相を呈しています。更に中小企業の倒産、破壊、一家心中や親子心中の激増、これらの事実は、国を蔽うところの危機、不安、動揺は二十五年度予算の遂行によつて更に促進され、自主復興どころか、国を挙げて外国依存、植民地的隷属化の方向へ転落することは明らかであります。而もこの悲惨な実情の半面に、外国資本と結んだ独占企業、金融資本の收益率は、最近驚くべき程上昇しているのであります。最近の資料によりますと、昭和二十四年度下半期の銀行收益率は九五%に達しております。これは同年の上半期の六〇%を遥かに超えた莫大な利益を挙げているのであります。従つて独占資本本位の本予算の性格は、このような社会矛盾を更に更に急激に推し進めざるを得ないのであります。だからこそ、與党自由党の内部においてさえも、いわゆるドツジ・ラインの修正を要望する強い声が起り、政府は政策転換を強く迫られている実情であります。これが売国的な吉田内閣の深刻な内部矛盾であり、政府はそのために早晩崩壊せざるを得ないところの運命に立至つているのであります。今や新らしい国際情勢の転換期に当りまして、真に世界の平和と日本民族の独立を希う良心的な責任者は、内外独占資本の日本植民地化、軍事基地化政策に対しまして、徹底的に闘うべきときであるということを我々は思うものであります。我々は、ソ同盟、中国を先頭とする世界の平和勢力、人民勢力と相提携して、世界平和、民族独立のため、戰争に反対して、平和擁護のために闘わなければならないのであります。二十五年度予算の討論に当りまして、日本共産党は、日本の軍事的植民地化、民族の奴隷化的な性格の故に真向からこれに反対して、その組替えを要求するものであります。(拍手)
#23
○議長(佐藤尚武君) 小川友三君。
   〔小川友三君登壇、拍手〕
   〔「友三頑張れ」「総裁にしてやるぞ」と呼ぶ者あり〕
#24
○小川友三君 余りおだてるな。(「しつかりやれ」と呼ぶ者あり)只今上程せられておりまする予算案につきまして私の主張を申上げます。
 私は日本敬老会の会長の関係上、この前の国会におきましても、本会議におきましても、又たびたび私は七十歳の吉田総理大臣の努力に対しましては、衷心から敬意を表しておるのであります。吉田総理大臣は老躯を提げまして敗戰後の混沌たるところの政界を牛耳つて、そうして非常に努力をせられておる今日、見ようによつては一部経済界は安定いたしておるということも又事実であります。又中小企業者が非常なる苦境に陷つているのも又散見をすることもでき得るのであります。中小企業者が又非常な繁栄を続けまして、相当儲けた者も沢山あるということも事実であります。それは中小企業者が経理と財政の一切を詳細にやつておつたら、そうして繁栄を続けることはできますが、中小企業者が一時の隠退蔵物資の闇成金で、そうして金を濫費して、経費が厖大をしまして倒産している者もあるということは言い得るのでありまして、これが片山内閣のときも、芦田内閣のときも、そうした例は相当に例があるのでありまして、中小企業者が倒れたら、これは片山内閣の厳任である、或いは芦田内閣の責任である、これは吉田内閣の責任であるということを結論付けるということは、(「軽率だ」と呼ぶ者あり)国家の政治家として軽率の譏りを免れないと言い得ると思うのであります。(拍手)私は昨日の予算委員会におきましても、一週間、十日前の新聞は、小川友三は政府擁護派の二十三票に数えられておりました。小川友三は政府を支持しておるから、幾らか貰つたんだろうと言うべら棒な者もいた。天下の小川財閥が、(笑声)総理大臣に金を呉れなんという卑怯なことは、断じてそういうことはありません。それを申上げて置きます。(笑声)窮乏日本を救うために、我々国会議員は挙げて努力いたしておるのでありまして、又池田大蔵大臣も、この前の本会議におきましては、病躯を押して、ペニシリンを打ちながら(笑声)司令部に参りまして、努力をせられた行為に対して、私は重ねて又感謝の意を表する次第であります。池田大蔵大臣が経済のブレーン・トラストの総帥として、このデイス・インフレを完全に目的を達成するために心魂を打碎いておるということも私は認めます。併し大蔵大臣池田先生と雖も(笑声)神樣じやない。だから非常なるところの食い違いがあり、又国を願う情熱の燃ゆるところの野党各派の賢明なる議員諸君は、先程まで相次いで吉田内閣の嚴正批判をしたのであります。この点につきまして野党各位の皆樣にも私は満腔の敬意を表しました。(笑声、拍手)インフレ防止の成功は正に吉田内閣の誇るだけのことはあるのであります。インフレを防止するために実に一ケ年有余を要したのでありますが、このインフレに浮かれて来た中小商工業者というものが今このデイス・インフレの線を引かれまして非常な苦境にあることは事実であります。吉田内閣におけるところの池田大蔵大臣は、この人々を救うために国民金融公庫の資本金十三億を十八億に増大し、それを三十億に又増大を決定いたしたのであります。まだ金額は僅少ではありまするが、先日の予算委員会におきまして、池田大蔵大臣に向つて不肖小川友三は、これを臨時国会においては六十億に増大するということを私は要求したが、池田蔵相はそういう希望に副うべく努力をしたいということを言われましたので、その点につきまして私はそれに八十点を付けたい。(笑声)インフレがデイス・インフレになつた場合は、これは明治初年以来幾多の例があるのであります。曾ては欧洲第一次戰争の後に大商会が潰れ、杜撰な商会が潰れたのでありますが、依然としてそのときに、富を蓄積し、国民に大きな貢献した者も沢山あるのであります。現在インフレからデイス・インフレに移行しつつあるときにも又国民の負担を軽減するために努力をして来ているというような大会社があり、又賢明なるところの経営者があるということも認めざるを得ないのであります。(「小川商会あり」と呼ぶ者あり)インフレのときに借金した一千億の金は、このデイス・インフレになりますと、実質価値におきまして或いは一千五百億或いは二千億に匹敵するような重い負担を持つのでありまするから、中小企業者においてインフレ時代に借りた借金が非常に重くなつているということもこれは認めざるを得ないのであります。こうした点においてインフレを收束させたという点については、勤労大衆の諸君も来ておりますが、生活が幾らか、ほんの幾らか楽になりつつあるということもこれは言い得るのであります。併しインフレ時代にうんと借金した連中は現在デイス・インフレの線に入りますると重い負担を背負わせられておりますということは、その一例を申上げますならば、私が自由党の予算常任委員長の山田先生と共産党の岩間先生、五六人で我々は足利の織物業者或いは桐生の織物業者と対談をしたのであります。去年の春は織機一台が十八万円しておつたが、今はデイス・インフレになつたので一台八万円になつて十万円下つてしまつた。併し月賦で買つたのだから、契約はしておるからしてそれを全部拂わなければなりませんので非常に困つておる。これがインフレからデイス・インフレに入つた場合に物価の下落であります。借金はそのまま残つている。そうしてそれを請求される、織つた織物はいつもの相場で売れない、デイス・インフレになると物は買えなくなる、そこで物価が下つて来るから、人絹の入つた銘仙は三反で一千円、一反三百三十三円三十三銭で買える、そうした時代ができた。この時代が、物が安く買える時代が来たということは、正しく池田蔵相の財政政策の成功である。(笑声)ところが売る方に言わせれば、前に一反二千円で売れたのだからこれは困ると言いますけれども、併しその点について、インフレからデイス・インフレに入る、その線を引いた場合に、聰明なる企業者は気が付かなければならなかつたのであります。気が付かない方が悪いとは申しませんが、(笑声)そうした変更が現在加えられつつあるのでございますからして、吉田総理大臣の言われる通り、吉田総理大臣はみずから総理大臣ですから経済方面は余り知らなくたつていい。(笑声)経済のブレーントラストはいるからそれでよろしいので、これは総理大臣の責任じやない。池田蔵相、安本長官等、経済の幕僚が一生懸命やつて、今まあというところで食い止めておるので、まあ八十点というところであります。(笑声)そこで日本の現在の置かれておる情勢から又判断をするし、又政府の御盡力を賜わらなければならない点は、昭和十二年の景気にこれを直すのだ。昭和十二年の紙幣発行高は二十五億であります。一ドルは二円だつた。であるから本当は紙幣の発行を計算して行くと、四千五百億万円発行すれば、昭和十二年度の紙幣の発行は二十五億だつた、その二十五億を現在のドルで換算すれば四千五百億円の紙幣がでておけば、こうした金詰りはないのでありますが、諸般の情勢によつて三千億程度に切詰められておりますから、そこで非常に金廻りが悪くなつておるということは、経済学を勉強した人は直ぐ分る。(笑声)そこで片山内閣のときも、芦田内閣のときも、吉田内閣のときも、そうがむしやらになつてブルドツクが食い付くような攻撃を私はいたしません。(笑声)やんわり攻撃して行きます。(笑声)公務員の給與ベースの問題に移りますが、総理大臣は予算委員会において何とかしてやりたいという親心を持つて御発言をしたことは事実です。ですから吉田総理大臣は、公務員の諸君が非常に苦しんでおられるこの窮乏を救いたい‥‥そうして小川友三は席の後ろの方におれば傍聽席の諸君は見えない。総理大臣はまともから勤労大衆諸君の注目を浴びておるのであります。経世の政治家としての吉田総理大臣ばかり攻撃しないで、吉田総理大臣にこの給與ベースを上げて貰えるように傍聽席の皆さんも集まつていらつしやる筈です。(笑声)又議員の皆様も何とか余裕を作つて、物件費を下げたり或いはあらゆる冗費を節約して、そうして給與ベースを例えば月一千円でも二千円でも上げて貰う。吉田総理大臣は八千三百万同胞の信任を受けておる。信任しない人もあります。(笑声)大体賛成せられて信任している。この吉田総理大臣が給與ベースの改訂のために経済閣僚を提げまして、そうしてその筋に交渉したならば、今日は上らなくても最も近いうちに私は上り得ると固く信じます。私は敬老会の会長として(笑声)吉田総理大臣を尊敬して止まない。我々が余り攻撃すると怒つちやう。攻撃しないで尊敬し、敬い奉りまして、(笑声)全国百八十七万勤労大衆の幸福を獲得するために、やんわりと真綿で以て首を押えるように、(笑声)吉田総理大臣を尊敬して羽蒲団の上に坐つて貰う。そうして吉田総理大臣を怒らせないで、ともかくその目的を達成すれば、それは天下の政治家と言い得るのであります。(笑声)大蔵大臣は、昨日の予算委員会におきまして二十三対十二票で政府軍は敗れました。そのときに私が二十三の方に組して阿修羅の敢闘したことは、池田大蔵大臣も見ておられたので、余りふだん攻撃しておるから気の毒でたまらなかつた。併し参議院の輿論が予算委員会におきましてはかくのごときであるということを、池田大蔵大臣は目の前で、成る程小川友三という野郎は相当やるということは大蔵大臣もお認めになつた筈であります。
 昭和二十五年度の予算に移りますが、昭和二十五年度の予算におきまして、今の吉田内閣が社会公共事業費に莫大な金を出しておるということは、これは皆さんお認め賜わる筈であります。努力をしておる。しておるのは事実でありますし、敗戰直後の窮乏は、余計貰つた方が皆都合がいいから、もつとよこせもつとよこせとこういうことになつておりますが、この経済の状態から見まして、まだやりくりはできる。そこに埼玉県銀行の頭取がいらつしやいますが如何でしようか。一つ平沼先生‥‥、とにかく経済のやりくりを、とにかくあなたは経済の幕僚に参画して貰つて、そうして吉田内閣がごうごうと受ける非難を、成る程これはいい手だ、このくらいの手を打たなくちやならないと私は思いまして、私は今度の吉田内閣に当りまして、こういう希望を持つております。農林財政通の楠見先生を内閣に参画させる、或いは野田先生、沢山の方がおります。労働者農民党の木村先生も、とにかく安本長官ぐらいにおりまして、そうして一生懸命に政治をとつたならば、こうした私は非難を受けないと思います。反対する人々の御高見、賛成する人々の御高見を承わつておりますと、いろいろ理由はありますが、まとめよう‥‥、吉田老大生を(笑声)支持してまとめようという気分が相当ありますけれども、まあその点がもう少し何とか、日本人が笑われるから何とかまとめたいものだと私は心配するものであります。
 併し、吉田内閣において台閣に列するところの大臣の皆さんは忙しいには違いない。私は参議院議員でも随分忙しいから、大臣はこの何十年か忙しいのだから、とにかく一人の大臣に向つて予算委員会におきましては四十五人の放列を布いて、大臣大臣こうだ、ああだと言われるから、池田大蔵大臣もなかなか疲れてしまう。又衆議院に行けば何人かいる。そのために池田大蔵大臣も相当疲れておるが、百戰錬磨、(笑声)まあ百戰錬磨でもないが相当な人物である。この台閣に列する人がもう少し勉強して呉れと註文しては甚だ恐れ入りますが、どうか池田大蔵大臣は終戰後の最優秀の大蔵大臣として、私はこの前も褒めておるのでありますが、その通り認めます。どうかこの野党の反対の意見をよく尊重して頂いて、そうして国民が何を要求しておるかということは、はつきり分つておるのでありますから、大蔵大臣は是非どうか日本開闢以来の大蔵大臣としまして、(笑声)善政の限りを盡して頂きたいのであります。又臨時国会でも結構ですから、給與ベースというものは、是非たとえ幾らずつでも、五百円でも千円でも毎月上げて貰うというような、或いは実質賃金をはつきりさせるという具体的な案を立てて頂きまして、やつて貰いたい。こういうわけであります。親が子供を愛する情熱は、燒野の雉子、夜の鶴、霜夜の狐なんとやら、ということがありますが、(笑声)台閣に列する人は特に親心を持ちまして心魂を打碎いてやつて貰いたいのであります。命がけという言葉は古いと言われますけれども、本当に命がけで以てやつて貰わなければならぬ。この各大臣は勿論そうした大精神を持つていらつしやるに違いありませんが、まだまだ努力はもう少し足りないような私は感じがするので、そこで野党陣営から猛烈な反対がある。小川友三までが大反対をぶつくらわしまして、二十三対十二で予算案を否決するというような状態を作つたことも、もう少し各大臣が熱心にやつていられたらそうした状態に追い込まれなかつたということが言い得るのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)今国家公務員の諸君の生活状況の窮乏は、住宅不足のために、若き妻を遠く、北道道或いは東北、(笑声)或いは信越地方に送つておりますので、我が妻が間違いがなければいいが、米一升で売つてしまうというのどは困るというような心配をしていらつしやるに間違いないのであります。でありまするから、毎月、月末には、月給日には、二千円でも、或いは二千五百円でも、三千円でも生活費が仕送れるようにしなければ、どうしても米が買えないから止むを得ず一升で売つてしまつたというようなことにならないように、そういう國家公務員諸君の心中を察して頂きまして、是非どうか池田大蔵大臣並びに経済幕僚各大臣に懇請して止まないのであります。「討論だ討論だ」と呼ぶ者あり)いや、私は討論しているんだよ。(笑声、「時間がなくなるよ」と呼ぶ者あり)三十分あるんだよ。インフレに次くデイス・インフレ、昨日大蔵大臣にお伺いしました。インフレ時代に儲かつたのは、農民と中小企業者と国家公務員と三つ並べて、どれが一番儲かつたか損したかということを申し上げた。ところが、大蔵大臣は国家公務員の苦衷を察する、中小企業者も、農民も、まあ出によつては儲かりませんが、関東地方の農民では幾らか諸けた人があります。そうした状態を大蔵大臣は、それは幾らか知つておられるような答弁でして、(笑声)国家公務員の諸君が非常に苦しい状態で、若き妻が持つて来た鏡台も箪笥も売り飛ばして米を買う、あの西川の蒲団屋で買つた座蒲団まで売り飛ばして米に換えてしまつたというような事態を展開いたしておる。この苦衷を申上げた。池田大蔵大臣も、それは何とかしたいという気持、何とかしなくちやならない、こういう私は深い気持を大蔵大臣は持つていらつしやると私は固く信じます。(終りだ終りだ」「いや、もつとやれ」「相手はどうした」と呼ぶ者あり)住宅問題に対しましても、吉田内閣は相当の気持を持つて住宅問題の解決もやつておるということは間違いない。併し三百五十万も足りないのだからして、みんなが入りたいというのまでは間に合わないが、どうやら間に合せるように一生懸命やつているということも間違いないが、この二倍くらい、或いは三倍、慾を言えば十倍くらい殖やして貰いたいことを御註文申上げて置きます。この現在の情勢は、昨日の予算委員会におきますところの猛烈なる反対は、これは歴代内閣の未曾有の問題であると思うのであります。民主党の方も、社会党の方も、労働者農民党の方も、共産党の方も、第三クラブの方も、とにかくもつと生活をしよくしなければどうしようもないと言われて、熱心に質疑をされまして、そうして吉田内閣の政策面の訂正改良等を主張されたのであります。これは国民を愛するが故にやつたのであります。愛するが故に、我々国会議員は限りなく国民を愛しておるのであります。国民の幸福のためならば、共産党さまの言葉を借りて言えば、人民の幸福のためであれば、(笑声)断呼として鬪う。断呼として骨折る。粉骨碎身、文字通り現在国会議員は努力せられておるのでありまするので、勿論政府当局におきましてもここで努力をせられておるのであります。小川友三も勿論やつておるのでありまして、そして至高の見地から、大西郷の遺言を申上げますが、人のためならば死ねと、こうした覚悟を以て吉田内閣の各閣僚も盡力をしていらつしやると思うし、又して貰わなくちやならないと考えます。我々も人類愛のためならば死力を盡して鬪わなければ、(「どこと鬪うのだ」と呼ぶ者あり)いや、政治と鬪う、政治であります。政治をよくするために鬪う。一生懸命にやらなければ申訳ないのでありますから、この点につきまして私は特に総理大臣並びに各大臣に御努力を要求するものであります。(「羽蒲団が低いぞ」と呼ぶ者あり、笑声)今回の、昨日の予算委員会の話ですが、緑風会の動向が、日本参議院に緑風会ありとせられておることは、大会派として勿論国民は知つておるのであります。緑風会の使命は極めて私は重大であると思うのであります。参議院の大会派として、この際発足以来の大使命を達するために特に御盡力を野田先生にお願いする次第であります。(笑声)
 昨日の予算委員会におきまして、天理教の総帥堀越先生の賛成演説をやつた。堀越先生の賛成演説を聞いて見ますると、誠に賛成演説としては百点であります。(笑声)併し余りにも賛成演説に辷り過ぎまして、天理教の信者で税金に苦しむ者がなければいいがなあと私は心配しておつたのであります。(「うまいぞ」「しつかりやれ」と呼ぶ者あり、拍手、笑声)税金問題につきまして、私は池田大蔵大臣に質問をしたのでありますからして、税金問題につきまして訂正して貰いたいことを私は申上げます。今の税金は昭和二十三年度の税金を拂つて、二十四年度の税金を今このデフレーシヨンの時代に拂わなければならないのであります。銘仙一反の値が去年の春は二千円した、今は三反で千円になつてしまつたのです。だから税金が拂えないで困つておるのでありまして。大蔵大臣は、税務当局に、月賦で支拂わせるなり、よくよく拂えない場合には、これを負けちやう、切捨ててしまうような善政を盡して貰いたい。予算が間に合つた場合は、それで何とかこれを延ばすような起死回生の政治を布いて貰つたならば、吉田総理大臣のブレイン・トラストの池田大蔵大臣が、万年の後までも、池田大蔵大臣のお蔭で助かつた、実に偉かつたと言つて、銅像の三つぐらいは私は建つと思う。(笑声)現在の税務署の徴收状況は皆樣も御承知の通りでありますが、今税務署の滯納に対するところの手段につきまして、私は現在までの内閣と、今の吉田内閣のやり方を少し申上げて、又国民の窮乏をお考えを願いまして、吉田内閣において大いに骨折つて貰いたいのであります。(「時間がない」「時間はある」と呼ぶ者あり)余り急がないで下さい。三十分あるんだからね。(「もう三十分やるよ」と呼ぶ者あり)現在全国に五百数十ケ所の税務署がありますが、税務署に差押えられたから助けて呉れというので税務署員に会つて見ると、小川先生、税務署が差押えをしたということは大したことじやない、押えると延滯利子を拂わなくて済むのだから、これは押えるということに驚いちや困る、押えられたからと言つて自殺なんかされちや困ります、決して、押えても月賦で少しずつ拂つて貰えばいいんですから、競売なんかしませんから、どうか安心しら貰いたい、そういうふうに言つて下さい。こういう話で、押えられている人は一つの税務署で五百軒から千軒ありますから、全国で二百万軒ぐらい差押えを食つている、この計算で行けば……。併し押えられれば延滯利子を拂わないのですから、却て楽になるわれです。だから差押えをしたから、税務署でこの大蔵大臣はひどいものであるということはこれは言い過ぎです。
#25
○議長(佐藤尚武君) 二分きり残つておりませんから、討論でありますから、賛否を明らかにして頂きたいと思います。
#26
○小川友三君(続) いや、二分あれば十分です。(「これからだ」「賛成」「反対か賛成か」「ゆつくりやれ」と呼ぶ者あり)吉田内閣の経済大臣の方々は、救国の燃ゆるがごとき大精神を以ちましてやつて呉れるというのならば、この予算に賛成します。(笑声、「やれやれ」と呼ぶ者あり)どうか情熱を湧かし、曾て大蔵大臣も青年時代の大学生時分の気持を思い出して頂きまして、(笑声)どうか国民の窮乏を是非救つて頂きたいのであります。
 今度の第七国会におきまして、民自党の内閣がとつた予算は決して満点とは言われない。大いに修正しなくちやならん点もあるのでありますが、諸般の情勢でこうなつたということは私にはよく分る。(笑声)私は親米博愛勤労党の党首です。右の親米の政策を持ち、左に勤労の政策を持ち、博愛の政策を持つて、博愛の政策の中には、私は民自党、民主党さまを支持します。勤労党の名において私は今日まで社会党さまを支持して参りました。片山内閣のときも猛烈に片山内閣を支持しておつた。まあ一人一党ですから気楽なところもありますが……(笑声)
#27
○議長(佐藤尚武君) 時間でございます。お靜かに願います。
#28
○小川友三君(続) 時間ですか。(「賛否はどうした」「賛否々々」と呼ぶ者あり)
#29
○議長(佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は(「議長、賛否がない」と呼ぶ者あり)全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。(「賛否のない討論はないぞ」と呼ぶ者あり)
 議事の都合上これにて暫時休憩いたします。
   午後四時三十七分休憩
     ―――――・―――――
   午後七時三十分開議
#30
○議長(佐藤尚武君) これより会議を開きます。休憩前の議事を継続いたします。
 休憩前の討論中、小川友三君は、議長の注意にも拘わらず、賛否を明らかにせず降壇されましたので、議長は討論終結を宣告しましたが、この議長討論終局の宣告はこれを取消し、小川友三君から賛否の態度を明らかにすることを求めたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#31
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。小川友三君の登壇を求めます。
   〔小川友三君登壇〕
#32
○小川友三君 只今、最も尊敬する参議院議長佐藤先生の要求によりまして登壇をいたしました。先程、時間がないからというので私は降りましたのです。(「初めに賛否を明らかにするのだよ」と呼ぶ者あり)親米博愛勤労党の党首小川友三は、この予算案に対しては、先程三十二分に亘りまして、私は、吉田総理大臣の、或いは池田大蔵大臣の、各大臣の方々の、御勉強をお願いしたのであります。そこで天下の情勢から見まして、私は親米政治家としての討議をしたのでありますが、本予算案に対しましては、不肖小川友三は、総理大臣並びに各大臣に、もつと勉強して頂くようにお願いいたしまして……(「議長注意」と呼ぶ者あり)
#33
○議長(佐藤尚武君) 賛否だけを表明願います。
#34
○小川友三君(続) 反対をするものであります。(拍手、笑声)
#35
○議長(佐藤尚武君) これにて討論は終局いたしたものと認めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#36
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。
 これより採決をいたします。昭和二十五年度一般会計予算、昭和二十五年度特別会計予算、昭和二十五年度政府関係機関予算、昭和二十五年度政府関係機関予算補正(機第1号)、以上四案全部を問題に供します。四案の表決は記名投票を以て行います。四案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上御投票を願います。氏名点呼を行います。議場の閉鎖を命じます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#37
○議長(佐藤尚武君) 投票漏れはございませんか……投票漏れないと認めます。これより開票をいたします。投票を計算いたさせます。議場の開鎖を命じます。投票の……議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
   〔「ノーノー」「投票に疑義あり」「開票妨害」「妨害するな」「議事進行について」「宣告前だぞ」「宣告前に」「開票の結果発表」「議長宣告しろ」「投票は正確に行われている」「議長、結果を発表すべし」「友三どうしたのだ」と呼ぶ者あり〕
#38
○議長(佐藤尚武君) 投票の結果を御報告いたします。投票総数百九十九票、白色票即ち四案を可とするもの百四票、(拍手)青色票即ち四案を否とするもの九十五票、よつて四案は可決せられました。(拍手、「議事進行」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名      百四名
      赤木 正雄君    阿竹齋次郎君
      飯田精太郎君    江熊 哲翁君
      大山  安君    岡部  常君
      岡本 愛祐君    河井 彌八君
      木下 辰雄君    九鬼紋十郎君
      來馬 琢道君    佐伯卯四郎君
      下條 康麿君    宿谷 榮一君
      高橋龍太郎君    伊達源一郎君
      田村 文吉君    玉置吉之丞君
      寺尾  博君    徳川 宗敬君
      西田 天香君    藤井 丙午君
      藤野 繁雄君    穗積眞六郎君
      堀越 儀郎君    町村 敬貴君
      松井 道夫君    矢野 酉雄君
      山内 卓郎君    結城 安次君
      渡邊 甚吉君    小川 友三君
      伊藤 保平君    市來 乙彦君
      井上なつゑ君    宇都宮 登君
      小野  哲君    鎌田 逸郎君
      小杉 イ子君    小宮山常吉君
      大屋 晋三君    植竹 春彦君
      中山 壽彦君    鈴木 直人君
      竹下 豐次君    高瀬荘太郎君
      高田  寛君    松嶋 喜作君
      川村 松助君    小林 英三君
      野田 俊作君    波多野林一君
      早川 愼一君    玉屋 喜章君
      水久保甚作君    徳川 頼貞君
      一松 政二君    松村眞一郎君
      宮城タマヨ君    村上 義一君
      田口政五郎君    岡田喜久治君
      島津 忠彦君    横尾  龍君
      中川 以良君    寺尾  豊君
      大野木秀次郎君    遠山 丙市君
      加藤常太郎君    西川 昌夫君
      城  義臣君    小林米三郎君
      堀末  治君    岡崎 真一君
      西川甚五郎君    大島 定吉君
      鈴木 安孝君    黒田 英雄君
      平沼彌太郎君    草葉 隆圓君
      石坂 豊一君    柴田 政次君
      小杉 繁安君    石原幹市郎君
      今泉 政喜君    松野 喜内君
      黒川 武雄君    佐々木鹿藏君
      池田七郎兵衛君    尾形六郎兵衞君
      入交 太藏君    藤井 新一君
      深水 六郎君    平岡 市三君
      北村 一男君    中川 幸平君
      左藤 義詮君    西山 龜七君
      橋本萬右衞門君    重宗 雄三君
      廣瀬與兵衞君    小串 清一君
      山田 佐一君    大隈 憲二君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名      九十五名
      赤澤 與仁君    安部  定君
      奥 むめお君    楠見 義男君
      西郷吉之助君    帆足  計君
      藤森 眞治君    小林 勝馬君
      平野善治郎君    中井 光次君
      門屋 盛一君    大隈 信幸君
      油井賢太郎君    深川榮左エ門君
      木内キヤウ君    深川タマヱ君
      仲子  隆君    櫻内 辰郎君
      星   一君    奧 主一郎君
      安達 良助君    藤枝 昭信君
      島田 千壽君    吉田 法晴君
      木内 四郎君    谷口弥三郎君
      國井 淳一君    田中 利勝君
      村尾 重雄君    塚本 重藏君
      境野 清雄君    岩木 哲夫君
      前之園喜一郎君    大畠農夫雄君
      岩崎正三郎君    島   清君
      山田 節男君    石川 準吉君
      木檜三四郎君    淺井 一郎君
      岡田 宗司君    天田 勝正君
      吉川末次郎君    羽生 三七君
      鬼丸 義齊君    内村 清次君
      栗山 良夫君    松下松治郎君
      下條 恭兵君    河野 正夫君
      和田 博雄君    山下 義信君
      板野 勝次君    細川 嘉六君
      中野 重治君    岩間 正男君
      兼岩 傳一君    鈴木 清一君
      水橋 藤作君    千葉  信君
      木村禧八郎君    姫井 伊介君
      椎井 康雄君    池田 恒雄君
      星野 芳樹君    太田 敏兄君
      金子 洋文君    カニエ邦彦君
      小泉 秀吉君    大野 幸一君
      千田  正君    藤田 芳雄君
      羽仁 五郎君    伊藤  修君
      青山 正一君    森下 政一君
      中平常太郎君    丹羽 五郎君
      川上  嘉君    佐々木良作君
      中村 正雄君    原  虎一君
      梅津 錦一君    若木 勝藏君
      三好  始君    米倉 龍也君
      三木 治朗君    波多野 鼎君
      木下 源吾君    門田 定藏君
      河崎 ナツ君    駒井 藤平君
      小川 久義君    岩男 仁藏君
      鈴木 憲一君
    ―――――――――――――
#39
○議長(佐藤尚武君) 議事の都合により本日はこれにて延会……(確場騷然、聽取し難し)御異議ございませんか。
   〔「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり〕
#40
○議長(佐藤尚武君) ……(議場騷然、聽取し難し)それでは次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後七時五十四分散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した事件
 一、昭和二十五年度一般会計予算
 一、昭和二十五年度特別会計予算
 一、昭和二十五年度政府関係機関予算
 一、昭和二十五年度政府関係関予算補正(機第1号)
ソース: 国立国会図書館
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