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1979/04/10 第91回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第091回国会 科学技術振興対策特別委員会 第8号
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1979/04/10 第91回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第091回国会 科学技術振興対策特別委員会 第8号

#1
第091回国会 科学技術振興対策特別委員会 第8号
昭和五十五年四月十日(木曜日)
    午前十時三十分開議
 出席委員
   委員長 瀬野栄次郎君
   理事 小沢 一郎君 理事 塚原 俊平君
   理事 石野 久男君 理事 上坂  昇君
   理事 貝沼 次郎君 理事 中林 佳子君
      椎名 素夫君    中村 弘海君
      船田  元君    保利 耕輔君
      田畑政一郎君    日野 市朗君
      木内 良明君    瀬崎 博義君
      林  保夫君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      長田 裕二君
 出席政府委員
        科学技術庁長官
        官房長     下邨 昭三君
        科学技術庁計画
        局長      園山 重道君
        科学技術庁研究
        調整局長    勝谷  保君
        科学技術庁原子
        力局長     石渡 鷹雄君
        科学技術庁原子
        力安全局長   牧村 信之君
        資源エネルギー
        庁長官官房審議
        官       児玉 勝臣君
 委員外の出席者
        原子力安全委員
        会委員長    吹田 徳雄君
        国土庁大都市圏
        整備局筑波研究
        学園都市建設推
        進室長     井上 良藏君
        文部省体育局学
        校保健課長   島田  治君
        厚生省医務局指
        導助成課長   小沢 壮六君
        工業技術院総務
        部総括研究開発
        官       高橋  宏君
        運輸大臣官房技
        術安全管理官  片岡 栄夫君
        建設省道路局企
        画課長     沓掛 哲男君
        消防庁地域防災
        課長      長谷川寿夫君
        特別委員会第二
        調査室長    曽根原幸雄君
    ―――――――――――――
四月七日
 日本原子力船開発事業団法及び日本原子力研究
 所法の一部を改正する法律案(石野久男君外四
 名提出、衆法第三七号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 科学技術振興対策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○瀬野委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石野久男君。
#3
○石野委員 政府は、三月二十八日の決定で「昭和五十五年度原子力開発利用基本計画」というものをお出しになられたようですが、この計画の従来と違っている点、また新たに何か考えることがあるとするならばどういうことなのか、概略の説明をひとつしていただきたい。
#4
○石渡政府委員 昭和五十五年度原子力開発利用の基本計画でございますが、原子力委員会及び安全委員会の議決を経まして議決したものでございます。本年度、五十五年度におきまする政府の原子力開発利用に関する基本方針及び具体的施策を示したものでございます。また同時に、日本原子力研究所法第二十四条の規定に基づく基本計画、同研究所の行う業務も同時に規定しているものでございます。
 特に本年度は、新型動力炉、高速増殖炉の開発が具体化するという点が従来と著しく異なった点かと理解しております。
#5
○石野委員 この計画の中には、昨年のアメリカのスリーマイルアイランドの原子炉の事故に関連して、特に何か新しくわが国が考えなければならないという思想、そういうようなものは織り込まれているのですか、いないのですか。
#6
○牧村政府委員 基本方針の中に、特に安全確保対策の総合的な強化を図るという方針を、両委員会の意見を踏まえまして基本計画に定めさせていただいております。
 それで、TMIの事故の教訓を踏まえまして、原子力の安全確保対策の一層の充実を図る必要があるということで、まず安全委員会の機能の一層の充実、それから審査等に必要な安全基準の整備等に引き続き努力を払っていくこと、それからもう一点は、放射性同位元素等の規制の整備等の規制行政の充実を言っております。
 また、TMIに関連いたしましての安全研究の推進が必要であるということを特にメンションしております。そのほか、原子力施設におきましての万一の緊急時における防災対策の充実強化を図るということを述べております。
#7
○石野委員 そのほかには、この基本計画の中には新たに考えるというようなことはございませんですか。
#8
○牧村政府委員 先ほど申し述べた大筋のことが盛られておりまして、その他につきましてはないかと存じております。
#9
○石野委員 まず新型転換炉、高速増殖炉等については、現状はどのようになっておりますか。
#10
○石渡政府委員 まず新型転換炉につきましては、「ふげん」が現在稼働中でございまして、良好な成績を示しておりますが、次のステップに、すなわち実証炉に進むかどうかということを踏まえまして、現在までの成績をチェック・アンド・レビューしようということで、原子力委員会に専門部会が設置されたという段階でございます。
 それから、高速増殖炉につきましては、実験炉「常陽」につきましての研究開発が一段落いたしまして、その成果を踏まえまして、今年度中に原型炉の建設に着手しようという状況になっております。
#11
○石野委員 「ふげん」が今日までの間に、もう実証炉の段階までいくということの過程で学び取ったことで、特に炉の開発等について経験的に学んだと申しますか参考になるようなことは、どういうことがございましたか。
#12
○石渡政府委員 「ふげん」の開発につきましては、先生御高承のとおり、軽水炉技術の延長で大体いけるというのがそもそものスタートでございました。そして原子炉の据えつけ工事中におきまして、たまたま軽水炉にオーステナイト系ステンレス鋼の応力腐食割れ問題が発生いたしましたので、この次善の対策として水冷溶接法、余り溶接局部が高温にならないような溶接法を採用いたしまして、いままでのところ成功しているということでございます。
 また、技術的に大分類似点がございますカナダの重水炉で、圧力管のロールドジョイント部というところにやはり割れの事件が発生したということも踏まえまして、当該部分の応力の除去に努めたというような経験が、建設中の問題になった点でございます。
#13
○石野委員 「ふげん」の場合は、燃料棒がまた軽水炉と若干の相違もあると思いますが、そういう点については、どういうような経験がございますか。
#14
○石渡政府委員 「ふげん」の燃料につきましては、微量のプルトニウムを添加するという成分上の違いがあるわけでございまして、この燃料が燃焼中にどういう変化を起こしてくるのかという点が、やはり研究の対象になろうかと考えております。
#15
○石野委員 たとえばスリーマイルアイランドの事故で、内部はまだはっきりわかりませんけれども、燃料棒の溶融ということがある程度あるというふうに認識されておる、その場合に、スリーマイルの場合はウラン燃料そのものですが、今度新型ということになれば、プルトニウムは若干でも入っておる、その場合、もし燃料溶融というようなことになりました場合には、漏洩があるなしにかかわらず、ウランの場合のような考え方で対応はしておれないだろう、こういうように思いますが、そういう点についての技術的、設計的な配慮というようなものでは、どういう点に問題があったのでしょうか。
#16
○石渡政府委員 プルトニウムの添加の量も非常に少ないわけでございますし、軽水炉燃料におきましても、燃焼中に燃料棒中にプルトニウムが発生しているというような状況もございますので、「ふげん」の状態ではそう根本的な相違はないかと考えております。
#17
○石野委員 ウラン燃料を燃焼する過程でプルトニウムが常にもうできておるということは、私たちも、未熟ですけれども、理解はしているのですが、しかし、当初段階からプルトニウムを混入しているということになりますれば、やはり中性子は、ある程度中で出てきたものよりも、最初から投入しているという意識がないと、軽水炉の場合だってあるのだから、新型転換炉でもプルトニウムを若干入れたって大したことはないのだという認識は、ちょっといただけないのだが、どうなんですか。
#18
○石渡政府委員 御指摘のとおり、当初からプルトニウムが添加されているわけでございますから、大したことはないという趣旨で申し上げたわけではございません。
 若干構造的なお話になりますけれども、燃料が一本一本分かれているような構造になっているわけでございますので、そういう意味では、軽水炉におけるような燃料が集中しているという状況よりは事故に対して抵抗力があるのではないかというふうに考えているわけでございます。
#19
○石野委員 これは、これからまた実験研究をしている間に出てくる新しい課題として、われわれの予想していないものも出てくるかもしれぬし、皆さんが予想しているように何も事なく済んで行くかもわかりませんが、しかし、安全だと言っているものの中で事故がしばしば出ているという経験にかんがみても、やはりこういう点についての配慮が特に大事だと私は思うのです。ことに当初段階からプルトニウムを使っているということについての私たちの疑問といいますか心配ごと、素人であるだけにあなた方よりも心配しているのです。
 これは安全委員長にもちょっとお尋ねしておきたいのですが、新型転換炉にしましても高速増殖炉にしましても、今度はだんだんプルトニウムに焦点を合わせていこうということが重点なはずなのですから、それだけにプルトニウムに対する警戒というものを、ウランそのものよりももっと重要視しなければならないだろう、したがって、それに携わるところの安全委員会にしても、あるいは原子力委員会の事務当局にしましても、やはりもう少し厳粛に警戒心を高めてやっていただかなければならぬと思いますが、いまのなにから見て、委員長はどういうお感じですか。
#20
○吹田説明員 おっしゃるように、高速炉とか新型転換炉になりますとプルトニウムを使うことになります。安全委員会といたしましては、まずそういう基準を十分整えておく必要がございますので、現在、特に高速炉の方に対しましては、基準部会で鋭意検討中でございまして、軽水炉の経験を生かしながら慎重に審査を進めていく考えでございます。
#21
○牧村政府委員 若干補足して説明させていただきたいと思いますが、特に新型炉の「ふげん」に対しまして、TMI事故が起きた以降、科学技術庁としても、いろいろな事故に対応する安全性がいかに保たれるかということの検討を緊急にやったわけでございます。先ほど原子力局長からも御説明しましたが、幸い新型転換炉は圧力管タイプでございまして、仮に燃料の破損があったとしましても、軽水炉のように大量のものがすべてやられるということは非常に少ない構造でございます。それから緊急に冷却しなければいけないような場合にも、ドラムに大量に備えつけた水が非常に高いところに据えつけられておりまして、燃料等の破損の際に十分水没できるような構造になっておるというようなことも確認しておるところでございますが、先生御指摘のように、プルトニウム燃料を使うというような問題でございますので、研究開発の段階でもさらに安全性の研究を十分していくことは、もちろんやらなければいけないことかと考えております。
#22
○石野委員 これは、やはりプルトニウムを使うということになりましたら、軽水炉の従来の燃料と違っておりますから、その点は設計の問題としましてもそうですし、管理の問題としても十分注意していただくように、特に注意していただきたいと思います。
 高速増殖炉の「常陽」が原型炉をつくる段階にまで来ているということだそうですが、この問題は世界的にも、今度ソ連では高速増殖炉が稼働に入ったとかいうような情報も聞いておりますけれども、高速増殖炉の現時点における問題点というのは、どういうことでございましょうか。
#23
○石渡政府委員 問題点はいろいろあろうかと存じますが、まず先生が先ほど来御指摘のプルトニウムが燃料の主体になっているということでございますので、燃料の製作ということが非常に注意深く行われなければならないという点が第一の問題かと考えております。
 第二に、冷却材としてナトリウムという特殊な金属を使っているということでございまして、ナトリウムは空気あるいは水との化学的な反応が非常に激しい金属でございます。こういう金属を冷却材に使っているということで、この安全の問題が第二の問題かと考えております。
 そのほか、燃焼部が非常にコンパクトであるということから、放射線の密度が非常に高い反応が炉内で行われる、そのためにいろいろな材料あるいは燃料のそういう高放射線下の挙動といったものがまだ十分解明されていないというような問題があるかと考えております。
#24
○石野委員 炉の構造等については機械的には設計上ずいぶん検討は加えておると思いますが、この高速増殖炉を使いましたときに、平常運転の中で、外気に放射能が何らかの形で漏れる、あるいは排出するというようなことについては、完全に遮蔽できる構造になるのでしょうか、どうなのでしょうか。
#25
○牧村政府委員 高速増殖炉の場合、先ほど原子力局長からも申し上げましたような特殊な構造になっていることは事実でございます。現在、日本では「常陽」が七万五千という出力で実験炉として運転されておるわけでございますが、幸いにいたしまして、運転成積は研究成果が非常にうまく取り入れられておりまして、順調に動いてきております。先生御懸念の外部に対する放射能の影響というものを何ら起こしていないわけでございますが、今後、大型化するにつれまして、たとえば炉室内あるいはコンテナの中の空気中のアルゴンとか、そういうものが放射化されるというような、そういう低レベルの気体放射能が出てくるという可能性は十分考えておかなければならぬわけでございますが、高速増殖炉の場合には、そういうコンテナの中は、たとえば窒素であるとかそういうもので充てんするというようなことで、そういう放射化物ができるだけ出ないような配慮もされつつ、設計が行われておるというふうに承知しておるところでございます。
#26
○石野委員 私は、まだ設計図も十分理解できておりませんし、皆さんの方でもいろいろ実験中でございましょうから、いろいろな心配をしなければならないことも数多くあろうと思いますが、私たちは、やはり設計の段階なりあるいはいろいろ研究する中で、できるだけ内部で処理のできるようなことをやっておいてもらわないと困るという考え方を持っています。高速増殖炉そのものに必ずしも賛成しているわけではありませんけれども、しかし、やる以上はそういうことをやっておいてもらわないと困るということだけは、この際申し上げておきたいと思うのです。
 あと、細かいことについてはわからないのでございますけれども、これらの問題について、最近「常陽」の、三年の間にずっと経験をしてきておりました中での出力の時間的な経過過程というようなものがもしわかりますならば、これをちょっと教えてもらいたい。
#27
○石渡政府委員 出力の関係について御報告申し上げます。
 「常陽」は、五十二年四月に初臨界を達成いたしまして、五十二年九月までを第一期の、原子炉の出力五万キロワットで性能試験を行ったわけでございます。五万キロまでの段階で、その性能につきまして確認をいたしました。五十三年十月から五十四年、昨年の二月まで、この五万キロでいわゆる定格運転を実施いたしました。この間、安全審査も行っていただいたわけでございます。その後、五十四年、昨年の七月から第二期の計画に入りまして、まず七万五千キロワットまでの出力上昇試験を実施いたしました。以降、五十五年二月から今日まで、七万五千キロワットの出力で定格運転を行っているというのが状況でございます。
#28
○石野委員 これは大体どの辺のところまでいきますと、一応当初段階で原型炉へ入れるところまでの確信といいますか、いいのだというようなふうに見て、いま実験をやっておられるのですか。
#29
○石渡政府委員 現在の七万五千キロワットでの定格運転で一応当初の成果をおさめるという予定でございまして、今年度いっぱいぐらいでこの定格運転を終了する、無事であればこれで終了いたしたい、かように考えておるわけでございます。
 なお、この炉のその後の計画につきましては、五十七年半ばぐらいまでにさらに炉心部を改造いたしまして、熱出力十万キロワットまでの出力に持っていきたい、そして、これは用途を変えまして、燃料あるいは材料等の照射施設として利用するという計画を持っているわけでございます。
#30
○石野委員 いままでずっと経験をして、この七万五千のところまで出力アップしてまいります過程で、特にいろいろと、当初段階の設計と実験過程との間で著しく学ばなければならないようなことがあったのかどうか、そういう点ちょっと……。
#31
○石渡政府委員 あるいは細かい点では何かあったのかもしれませんが、大筋におきまして当初の計画どおり進んでまいったというふうに理解しております。
#32
○石野委員 最近、高速炉エンジニアリング株式会社というのが発足するということを聞いておりますが、発足したのですか。これと「常陽」などとの関係なり、あるいは今後の開発計画との関係はどういうふうに結びついていくのですか。
#33
○石渡政府委員 高速炉エンジニアリング株式会社という会社は、去る四月一日に発足いたしております。
 その前に「常陽」の建設でございますが、「常陽」につきましては、四つのメーカーが関係をいたしました。すなわち、東芝、日立、富士電機、三菱重工という四メーカーで「常陽」の建設をやったわけでございます。この場合、東芝が幹事会社と申しますか、一応全体の取りまとめをやるという立場をとったわけでございますが、今後とも、原型炉あるいはさらにその後の実証炉等につきましても同じ体制で進むのであろう、少なくともこの四社が中心となって開発、建設に従事していくという体制を考えますと、四つが並列的に並んでいるということよりも、やはり総合的なプランニングという体制をとり、技術の蓄積を一元的にやっていった方がいいのではないかという考えが出てまいりまして、原子力局といたしましても、いろいろ検討したわけでございますが、そういう考えを受けまして、四社共同で一つのエンジニアリング会社を設立したということでございます。
 したがいまして、今後は、原型炉の建設あるいはその後の建設も含めまして、このエンジニアリング会社が設計等を一元的にやる、ただこれは、あくまでソフトの面に限られるわけでございまして、各メーカーが分担するであろう各機器との総合調整等も行うというような体制を考えて、この会社が設立されたという経過と了承しております。
#34
○石野委員 この会社がいまの「常陽」との関係でそういうような関連性を持っているが、今後、この高速炉エンジニアリング株式会社というものが四社の関係でいろいろと仕事をしていく場合、政府はどういうふうにこの会社との関連なりあるいは連携を持っていくのですか。従来の実験との関係ではどういうふうになるのですか。
#35
○石渡政府委員 まず、建設の主体は、原型炉について申し上げますれば、あくまで動燃事業団でございます。動燃事業団が基本的な設計の仕様を定めまして、それを関連の電機メーカーに発注するわけでございますが、その全体的な調整を行うという仕事を動燃から下請するのが、このエンジニアリング会社の機能になろうかと考えております。したがいまして、あくまでエンジニアリング会社は動燃から注文を受けてその仕事をやっていくという立場に立つかと考えられますので、私どもと直に特別の関係が生ずるということはないかと考えます。
#36
○石野委員 政府の方は、この高速炉エンジニアリング株式会社というものに対しては、事業計画等をいろいろ見るというようなことなどは、別にこの仕事について考えてはいないのですか。
#37
○石渡政府委員 特にそういうことをしなければならないという立場にあるとは考えておりませんが、新しい試みでもございますので、折を見て報告は受けてみたいという程度のことは考えております。
#38
○石野委員 いずれ動燃がまとめていくということですから、やはりそれに対する当然の管理監督はしていくと思いますが、安全性の問題等について、部品などのことでいろいろ、つけかえがどうだったとか材質がどうだとかいうような問題がございますので、そういうことなどについて、下請会社などに、政府なり皆さんの方でどういうふうに着意をしていかれるのか、これは安全委員会の方の仕事でもあるかもしれませんけれども、そういう点はどういうふうに着意をしておられますか。
#39
○牧村政府委員 TMI事故あるいはその後関西電力の高浜に起きました材質の違う部品を使用したというようなことに関連しまして、実用の発電炉につきましては、通産省が主体になりまして、いわゆる品質保障の体制を、電力会社あるいは電機メーカーあるいはその下請の部品提供者等を含めての抜本的な対策を講ずる必要がいま強く望まれておるところでございます。
 そこで、私どもが科学技術庁として関係しております開発段階の炉についても、やはりこの考え方は非常に重要なことであるということで、現在動燃を中心にいたしまして、そういう体制を電力会社等が行うのを十分参考にしつつ、品質保障の活動を抜本的に改善するようにという指示をいたしておりまして、動燃が中心になりまして、開発段階の炉の品質保障活動というものの整備に努めておるところでございます。
#40
○石野委員 材質の問題、品質の問題等について、安全委員会はいろいろな意味での規制措置なり指示を与えていると思いますけれども、こういう問題について、あらかじめ新しい事業に対する会社ができる、そして仕事が始まるというときには、やはり厳しく監視監督をする必要があると思います。そういう意味で、材質管理等について従来にも増して着意をしなければいけないのじゃないかと思いますが、ことさらにそういうことはやらないのか、やるのかどうか。
#41
○牧村政府委員 原子炉の設置許可並びにその後の詳細設計の承認あるいは工事方法の認可等の作業が出てくるわけでございますが、そういう点に関しまして、行政庁として、先生ただいまおっしゃいましたようなことに特に厳重な監視をしていきたいというふうに考えておりますが、安全規制の立場から申しますと、その責務は一に動燃事業団がやらなければいけないわけでございます。また必要な重要な機器等につきましては、もちろん製造現場に参りまして、試験等をするわけでございますが、それに対する一義的な責任は当然事業団が負う形で、私ども、責任というものは事業団に集中させて規制をしていく、こういう体制でいくのが一番いいかと思っております。
 したがいまして、先生御指摘のエンジニアリング会社に対して安全当局が規制をするというのは、いまの私どもの考え方では持っておりません。そこで出てきたものを事業団が責任を持って受け取って、受け取ったものをわれわれがチェックするというふうな進め方でやってまいりたいというふうに担当の方は考えておるところでございます。
#42
○石野委員 「もんじゅ」についてことし予算がつけられたようですが、この「もんじゅ」の建設計画はどういうふうになっておるのか、詳細設計等についての内容あるいはそれがどういうふうにタイムスケジュールをもって進められていくのかということ等について、後で資料もいただきたいし、若干の説明をしておいてもらいたい。
#43
○石渡政府委員 「もんじゅ」につきましては、私どもの予定といたしましては、昭和六十二年度に臨界に持っていきたいという基本的な計画でございまして、先生御指摘のように、今年度中に建設に着工いたしたいという気持ちで進めているわけでございます。
 現在まで計画がおくれおくれになっていたわけでございますが、一つには、こういう全体的な技術開発の進み方、これが基本でございますけれども、また立地の問題につきましても、いろいろ折衝を経てきたわけでございまして、私どもの気持ちといたしましては、今年度中にぜひ着工に持ち込みたいという気持ちで進めているというのが現状でございます。
#44
○石野委員 ことしじゅうに着工したいということになれば、どこで着工するかという問題がすぐ出てまいりますが、場所は大体決まっておるのですか。
#45
○石渡政府委員 立地の点でございますが、福井県の敦賀市の白木というところを予定しておりまして、従来からいろいろ地元あるいは県当局とお話し合いを進めてきたわけでございます。現在県当局では、環境審査あるいは自然公園法にかかわる審査が進められてきておりまして、このうち自然公園法にかかわる審査につきましては、大体終了したという段階になっているわけでございます。
#46
○石野委員 皆さんの方の調査は終わったのでしょうけれども、現地における自治体の住民の御協力がないとこれは困ると思いますが、その状態はいまどういうふうになっておるのですか。
#47
○石渡政府委員 「もんじゅ」の建設につきましての地元の受け入れ体制と申しますか、この状況でございますが、まず白木地区に決まったというのは、もう約十年前の話でございまして、当初その白木地区から、県あるいは市の同意が得られれば提供してもよろしいという御内意があって、その土地が決まったというような状況でございます。
 その後、その白木地区を中心にいたしまして、この建設のためのいろいろな審査を促進するようにということが県、議会等に要請されたようでございますが、このような要請を受けられまして、福井県といたしましては、昭和五十一年に動燃事業団がその地区を事前調査するということに対して許可をされたわけでございます。この事前調査に基づきまして、現在、環境審査あるいは自然公園法にかかわる審査をそれぞれ五十三年あるいは五十四年に開始した、このうち、自然公園法関係が終了したということを申し上げたわけでございます。あるいは自然公園法関係につきまして、なお中央官庁との協議ということも残っているようでございますが、実態的には審査関係は終了し、全体の環境審査につきましても、近く終了に持ち込めるというふうに期待しているわけでございます。
 それから、地元の受け入れに対する状況でございますが、動燃事業団が主体となりまして、地元の皆様方にこの計画の内容を数次にわたりまして御説明を申し上げるといったこと、あるいは通産省さらには科学技術庁も立ち会っての説明会ということも二度ほど地元で行いまして、それぞれその御理解を深めていただくという活動を現在行っているという状況でございます。
#48
○石野委員 そうしますと、まだ現状では、地元の受け入れについての納得といいますか、応諾は十分とれているという段階までには至っていないということですね。
#49
○石渡政府委員 地元の皆様に対する説明はさらに繰り返しているという状況でございますが、最終的には県の御判断ということで、それが決定という段階になるわけでございますけれども、事務手続上まだその段階に至ってないということでございます。
#50
○石野委員 地元の問題は、最終的には県が決定をすることだということですけれども、手続上の問題がまだ終わっていないというお話ですが、実際には地元の受け入れ体制というのは、そういう手続とか、あるいは県がどうするかということの前に、住民がどういうふうに考えるかということが非常に大切です。そういうような意味で、これは単に「もんじゅ」がそこへ置かれるということだけじゃなしに、原子力施設全般に対する住民の考え方の問題が一つある、そういうようなところをよく納得のできるような処置をしない限り、問題はこじれていくだろう。
 私にはまだわかりませんので、特に福井の場合、後でまたお尋ねいたしますけれども、たとえば防災計画なんかにつきましても、県議会を中心にして中央に対する厳しい要請があったことは御記憶のとおりでございますし、施設が非常に集中しているだけに、住民の受け入れ感情というものは、もう十年前とはずいぶん違うのだということを考えると、これはなかなか容易じゃないと思いますが、それらの点はともかくとしまして、たとえばこの「もんじゅ」で使いますプルトニウムをなにする燃料体は、どこでつくらす予定でございますか。
#51
○石渡政府委員 「もんじゅ」の燃料につきましては、その建設計画と合わせまして、動燃事業団の東海事業所内に燃料製造施設を設置して、そこで製作をしていくという計画でございます。その燃料製造施設につきましては、運転開始を昭和六十一年を目途としておりまして、四十九年度から概念設計等を始めておりまして、その建設の着手は五十六年度、来年度になるという予定でございます。
#52
○石野委員 これは動燃がつくる、こういうふうに理解していいのですか。
#53
○石渡政府委員 そのとおりでございます。
#54
○石野委員 新型転換炉にしましても高速増殖炉にしましても、これはまだ研究実験の段階をようやく出ようとするところでございますが、いずれも燃料としてプルトニウムを使うというところで従来の軽水炉と違う、われわれがまた安全に対する関心を強く持つという炉の形でございます。
 いろいろな問題は、また後でその経過の中でお聞きすることにしたいと思いますが、原子力施設の諸問題等について、新しい利用基本計画というものができて、その中には安全性に関する諸点、やはりスリーマイルアイランドの事故にいろいろ学んで対処されているように承っておりまして、特に防災の計画についてこの基本計画に着意されたということ、原子力に関係する新聞などは、従来にかわる問題としてこの防災計画を取り上げたことを特記しておりますが、この防災計画の基本については、私は、さきの予算委員会のときにもお尋ねいたしまして、六月ごろじゃないと答案ができてこないのだというお話も聞いておりました。しかし、基本計画に防災計画が出ておるということを承りましたので、大体の想は固まったのだろうと思いますから、この際、防災計画についての考え方あるいは現在計画がどのような段取りで進められていくのかということのあらましを、これは安全委員長さんでも大臣でもどちらでもよろしゅうございますから、ひとつお聞きしたい。
#55
○吹田説明員 お答えいたします。
 まず、はっきりしたところから申し上げますと、お尋ねの防災対策の専門部会の答申でございますが、これは非常に多岐にわたっております事項を鋭意収斂させつつございますので、われわれとしては、六月をめどに多分結論が出るものと期待しております。
 現在、御承知のように、原子力発電所等を設置しております都道府県及び地元市町村におきましては、災害対策基本法に基づきまして、地域防災計画の中ですでに原子力防災計画が整備されております。また国といたしましても、万一の事故時における災害応急対策の円滑な実施を図るために、昨年の七月に中央防災会議におきまして、御承知のように、緊急時連絡網の整備、緊急モニタリング要員の確保及び機材の整備等を内容といたします原子力発電所等に係る防災対策上の当面とるべき措置を決定しておるところでございます。
 ことしの予算におきましても、緊急技術助言体制の整備、緊急時連絡網の整備、緊急モニタリング体制の整備、緊急医療体制の整備その他教育訓練等の整備に必要な経費が、大体科学技術庁関係で十三億、その他を入れますと大体十五億の予算が見込まれておりまして、格段のこの方面の整備がなされると思います。
 したがって現在、安全委員会といたしましては、緊急技術助言体制をいつでも発動できるようにしてございまして、専門部会のキーメンバーの大部分がこの緊急助言組織のメンバーを兼ねておりますので、そういう意味で、われわれといたしましては、防災対策で現時点でなし得ることはやっておるつもりでございます。
#56
○石野委員 防災計画は多岐にわたっていくし、普通の災害対策に加うるに放射能問題を扱っていかなくちゃいけませんから、これは非常に膨大なものにもなりましょうし、それから対応の姿勢と申しますか、考え方も普通の防災とは違った意味での重要さを持っていると思うのです。
 最近、情報として聞くところによりますと、アメリカのNRCは、炉の設置許可の中に炉心溶融のことをも考えて、環境に対するいろいろな対策を認可、許容の内容にしている、いわゆるクラス九をはめ込むという考え方があるのか、やったのか、どっちか知りませんけれども、伝え聞いておりますけれども、わが国におけるところの炉の設置許可の場合、そういうことを改めて内容として考えるお気持ちがありますのかどうか、これはひとつ安全委員長に聞いておきたい。
#57
○吹田説明員 いま先生御指摘のように、アメリカではクラスナインという問題が出ておりますが、われわれといたしましては、立地の指針がございまして、その指針をいま現在見直しておりますので、そういう外国の考え方をも考慮に入れますが、直接入れるかどうかというのは、基準部会等の専門家の意見に任せたいと思っております。
#58
○石野委員 わかったようでわからないのですが、専門家の意見云々という点をもうちょっとはっきり聞かせてください。
#59
○牧村政府委員 最近、アメリカのいろいろな考え方が立て続けに出てきておりまして、クラスナインの事故をどういうふうに今後の安全審査に取り入れていくかということも問題になっていることは承知しておるところでございます。現在、安全基準専門部会におきましても、この間の議論がされておるところでございます。
 それから、先生御指摘のそれと防災との関係の指針案がアメリカで出てきておるのも事実でございます。しかし、日本におきましては、安全審査のときのサイトの基準と、それから防災をどういうふうに行っていくかということにつきましては、先生御存じのように、片や原子炉等規制法でその安全確保を図るということと、それから防災につきましては、災害対策基本法で行うということとで進めてきた国情の違いがございますので、ここで一概に、防災を行う広さを設置許可の基準にするというふうなことには、日本の場合はならないかと考えておるところでございます。
 また、新しいアメリカの考え方も、技術的な考え方に基づいていろいろな地域を定めるということではなくて、どうも恣意的に決めておる面もあるようでございます。したがいまして、私どもといたしましては、その辺も踏まえまして、またヨーロッパ諸国等日本と似ておるような国情も配慮しつつ、安全委員会の中の専門部会におきまして鋭意御検討をいただいておるというのが実情でございます。
#60
○石野委員 いまのお話の中で恣意的にという言葉がございましたけれども、これはどういう意味ですか。
#61
○牧村政府委員 タスクフォースというのがNRCに設けられまして、提案をしておるわけでございますが、たとえば防災計画を持つ地域は十マイルというふうなことを言っておるわけでございます。これに対してNRCのTMIに関連いたしまして、この改善の委託を受けましたたとえばロゴビン報告によりますと、このタスクフォースの提案は、任意的に決めたというふうな指摘もされておるところでございまして、現在、そういう距離等が出てきたものは、必ずしも根拠があって出てきたものではないというふうに理解しておるところでございます。したがいまして、日本といたしましても、もちろんアメリカの状況等を参考にするわけでございますが、立地の条件等日本とアメリカでは大きな国情の違いもございます。そういう点もあわせ考えつつ、専門家の御議論をいまいただいておるというのが現状でございます。
#62
○石野委員 いまの点について後でもう一遍ちょっとお聞きしたいのですが、防災計画がこの基本計画の中に入ってまいりますと、細かいことはともかくとして、防災計画を組み込まないというその考え方の基本の立場の問題ですか、そういうところで、ケメニー報告は防災についていろいろと報告して、最後にこの際言っておきたいことがある、それは前にも述べたことだけれども、われわれの哲学として、この種の事故は起こり得ることだし、そのときの緊急事態への対応を備えておかなければならないのだという、哲学だとまで言って基本姿勢を示しておりますが、これはやはりそういうたてまえでなければいけないと思いますが、吹田委員長の考え方をひとつ……。
#63
○吹田説明員 わが国では、幸いにして原子力発電所の建設されております都道府県には、地域防災計画というのがすでにございます。そういう意味で、アメリカではそういうのは全部がございませんのは、御承知のとおりでございます。われわれといたしましては、そういう計画がいわゆるワーカブルであるように、よりよくするための努力を実はしておる次第でございます。
 それで今後、やはりTMIのような事故を日本では起こしてはいけないという線に沿ってこれまでのいろいろな計画をよりよくしていきたいと私ども考えております。
#64
○石野委員 これは別に理論闘争や何かをやるつもりじゃないのですが、防災計画をやろうとする構えですね、心構えの問題として、私は委員長が、ケメニー報告が防災に対する哲学としてわれわれはこういうことを皆さんに申し上げるということを言っていることをそのまま日本に移しかえて言うと、また運動上いろいろな問題が出てくるだろうという警戒心の余り言葉を選んでいるのだと思いますけれども、私は、そういうことを抜きにして、原子力だけじゃない、ほかのものだって皆事故は起こり得る可能性は持っておるものなんですよ、ところが、原子力については放射能問題で科学の面でも施策の面でもなかなか対応しにくいものがたくさんあるということから、これに対してわれわれは警戒心を強くしなければいかぬということを言っている。
 そういう意味からしますと、TMIのような事故を起こしてはならないというたてまえということと、こういうものは起こり得ることなんだ、だけれども、われわれはそれをさせないようにするのだというその前提が一つ入っておかないというと、そこを抜きにしておいて、日本ではそんなことありませんよという言葉になってしまう。たとえばTMIの事故があった直後に委員長が、日本にはあり得ないことなんだ、こういう言葉を用意して言われたのか不用意で言われたのかわかりませんけれども、きわめて非科学的な言葉を原子力安全委員長ともあろう者が言った。こういう不始末をしてはいかぬとぼくは思うんですよ。やはりここはまじめに国民に対して態度を明確にしておくべきだ。そして、そこからどういうふうにやるかという対策が出てこないといけない。一番基本になることをぼやかしておいて、そして、そこで何か安全性は万全なんだというような期待感を持たすようなことをしておいて、事故が起きたときは大衆はかえって逆になる。むしろ委員長は、やはりケメニー報告が言っているように、こういう事故は起こり得るものなんだ、だから、それに対する備えをしなければいけないのだ、この構えの中から起こさないようにしていくのだ、こういう態度になるべきだと私は思うんですよ。ここは大胆にはっきりと言っておいてもらった方がいいと私は思う。その方が私どもとしても話はしやすい。ところが、いまのような御答弁が続いていきますと、依然として安全神話というものを守り続けていこうというような構えが安全委員長の中にある、安全委員会の中にあるというふうに見ざるを得なくなります。したがって、また原子力政策に対する不信感というものは依然として続いていくんですよ。ここははっきりとひとつ委員長、私の質問に対して答えておいていただきたいと思います。
#65
○吹田説明員 私、委員長として答えますことは、やはり技術的、専門的立場から言いますと、その発生する確率はゼロではありません、ですから、ゼロにするようにまず努力するというのが第一でございます。その次には、TMIのような事故がすでに現実に起こったのですから、われわれは、万々一のそういうものに対しまして備えをして、起こったときでも、被害をできるだけ少なくするように防災対策を立てていく必要がある、そういうふうに考えております。
#66
○石野委員 わかりました。言葉はいろいろ違いましても、とにかく技術的に言えばゼロではないということをやはりはっきりする必要があるのです。原子力一ついて事故は絶対にないのだということはM絶対に安全なんだということは言っちゃいけないということを、かつて予算委員会の席上で私は申し上げたことがございます。それで、当時は三木長官でしたが、絶対ということは言わさないということで、言わなくしました。私は、こういうものには事故は起こり得るということを前提にして、だけれども、われわれはこれだけの努力をしているのだということで国民の信頼を得るようにしてもらわないといけない、こういうふうに思います。
 大臣、いま私が問題をことさらにしつこくお尋ねした意味は、大体政治家としてわかっていると思いますけれども、この際ひとつ、大臣の所感も承っておきたいと思います。
#67
○長田国務大臣 私も、原子力発電につきましての放射能の問題等につきまして、その危険性がゼロだということは申さないつもりでおります。ただ、関係者の努力によりまして、設計から工事から運転から、あらゆる面での努力によりまして、ゼロに近づくべく無限の努力を尽くしてまいる、そのような心構えで取り組んでいきたい、そのように考えております。
#68
○石野委員 ケメニー報告の中では「準備がなく貧弱な対応策しかないことは、原発の事故の深刻さに気づいていないということだ。」、こういうふうに言っておるんですよね。要するに準備がなくて貧弱な対応策しかないということは、原発の事故そのものを深刻に考えていないからなんだ、こういう心構えが非常に大切だと私は思います。防災の問題は、こういう気持ちがないとなかなか完璧を期することはできないと思いますけれども、それに近いものは期待し得ないと思いますが、委員長、このケメニー報告についてどういう所感をお持ちでしょうか。
#69
○吹田説明員 ケメニー報告は非常に参考になるところがございます。しかし、国情が少々違いますので、われわれの日本にそのまま当てはめるというのは、非常にむずかしいところがございます。しかし、先ほど言いましたように、理論的にああいう事故の確率がゼロでないということは、私どもがあれからくみ取る教訓でございます。したがって、いま大臣が言いましたように、まずそれをゼロに近づけるような努力は必要でございまして、その上で事故が起こった場合でも、被害をできるだけ少なくするために防災対策をしておくということが必要でございます。現在も、わが国ではすでにいい意味でいろいろな手を打ってございますので、これからも一層、そちらの方に力を入れていきたいと思っております。
#70
○石野委員 委員長のお答えの中には、ケメニー報告との対比の中で、しばしば国情が違うのでということが出てまいりますが、それをどのように受けとめるかということでも、判断がずいぶん違ってくるわけです。国民の感情が違うという問題もございましょう、それから機器を扱うという労働者の心構えが違うという問題も中には含まれているのだと思います、いろいろありまして、従来のニュアンスとしてわれわれが受けとめる限りにおいては、委員長の言う国情が違うということは、日本ではあり得ないことなんだということに、実を言うとつながっているように聞き取れてしようがないんですよ。日本の技術陣あるいは労働者の心構えというようなものが、アメリカよりもよりシビアだということはわかっておりましても、技術の上ではるかにすぐれているということは、必ずしも言えないということが一つあります。
 それから、国情の違う中には地勢の問題が一つあるんですよね。生活圏におけるところの地勢の問題です。ですから、原子力施設がある、その施設から住民の居住地域の距離間隔というものはどういうことになっているかということを見ますと、これは国情が違うからはるかに安心感があるのじゃなくて、日本の場合は、この国情の違いの中で、はるかに危険だということが言えるんですよ。スリーマイルにおいでになっておわかりのように、あの周辺地には人が少ないですよね。二キロくらいの間というようなものは、恐らく人はいないと言ってもいいくらいの非常に過疎的な地域ですね。ところが、わが国の施設を見てごらんなさい。どの地域へ行ったって、これはもう二キロ行ったら相当な人がおります。ことに東海村なんかになりますると、もうそこには万を超す人がおるんですよね。二キロ地域になりますと、二けた近い者がおるんですよ。
 ですから、国情が違うという言葉にどういうニュアンスを含ますかということは非常に問題があります。どういう意味で、科学者である吹田委員長が、この問題について国情が違う、国情が違うということをしばしば言うのか、私は疑問に思っているんですよ。委員長は、この国情が違うということにどういう意味を含ませておるのか、この際ひとつお聞かせ願っておきたいと思います。
#71
○吹田説明員 私が国情が違うと申しますのは、科学技術に対する国民の考え方が、外国と日本とでは非常に違うのじゃないかというのが、一番大きなところでございます。もちろん、土地が狭い、地勢が違う、人口密度も大きいというところもございますが、私の一番大きなのは、やはりそういう科学技術に対する国民の考え方が違うのじゃないかということでございます。
#72
○石野委員 その意味は、科学技術に対して関心が強いというのですか、無関心というのですか、どちらですか。
#73
○吹田説明員 それはやはり物を科学的に考えるという経験が、外国に比べましてわが国では非常に少ないのじゃないか、そういうのが非常に大きな点です。
#74
○石野委員 よくわかりました。私は、国情が違うという意味は、むしろアメリカよりも日本の方が関心度が高くて、そして大丈夫なんだよという意味を含めていると思ったら、そうじゃなくて、逆に科学的関心度が低いのだから、もっと注意しなければならぬという意味で国情が違うとおっしゃっているとするならば、それはまたそれでよくわかります。そういうふうに理解させていただくようにします。
 それから、この防災計画でもう一つ大切なことは、ケメニー報告は、あの当時事故の発生しましたハリスバーグを含めて「(緊急時の対応は)まさに完全な混乱状態に支配された」、ここまで言っているのです。事故が起きたときの状況は、まさにそうだと私も思うんですよ。防災計画をつくろうとするときには、少なくともこの考え方がないと、やはり計画は狂ってくると私は思いますので、原子力の事故が起きました場合には、仮に国民の感情がアメリカよりも科学的には少ないにしましても、少なければ少ないほど、今度は恐怖感に襲われてきますから、混乱状態が一層強まるだろう、こういうふうに思います。
 だから、いま防災計画ができ上がっているのかどうか知りませんけれども、私は、やはり防災計画をつくるに当たっては、ケメニー報告が、事態が起きた場合には、まさに混乱の状態にあるのだ、完全な混乱状態だと言ったこの報告は正しく、一〇〇%それを受けとめて対策を立てるということでないと、本当の対策はやはり出てこないような気がするのです。これは計画の上では何でもないようなことでございまするけれども、この心構えがありませんと、少なくとも放射能はにおいもなければ目にも見えないということからくる混乱、恐怖からくる混乱というものがございますので、計画を立てるたてまえとして、これはどうしてもやはり、先ほど来お話のありました、計画に携わってくださる人たちにしっかりと考えてもらいたいと思います。
 委員長に、そういうことについての、特に計画を立案する上においての御着想がございますでしょうか。それは、そんなことはどうでもいいのだというふうにお考えかどうか、ひとつ御所見を承っておきたいと思います。
#75
○吹田説明員 おっしゃるとおりでございまして、原子力特有の事故というのは、それを判断する、そして的確にそれを伝えるということが必要でございますので、そういう方面に十分力を尽くしたいと思っております。
#76
○石野委員 これは情報の問題をどういうふうに一元的に掌握するかという問題とのかかわりもございまして、きわめて重大なことでございまするし、防災計画をつくる基本的な姿勢の中にそのことは十分畳み込んでおかなければいけないのじゃないかと思います。このことは大臣、防災計画を閣議にかけていろいろ論議をするに当たりまして、ただ文字づらだけでは処理のできない問題だと思います。当然、その問題については、各省間におけるところの連携を密にすると同時に、それを裏づけるような施策として、あるいは予算措置なども当然必要になってくるかと思いますが、この着意がなければならないと思いますが、大臣は、その点についてどのような御所見ですか、ひとつお聞きしたい。
#77
○長田国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、私は、可能性として危険というものがゼロではないということを前提にし、無限にゼロに近づけるための努力をやっていかなければならないと思っておりますが、万々一起こりました際の防災という問題につきましての措置も、同じような心組みでやはり取り組んでまいらなければというふうに思っておりますので、ただいま御指摘の予算措置その他各省各庁それぞれ心がけるべき点につきまして、同じような心構えでこれに取り組み、推進してまいる所存でございます。
#78
○石野委員 基本計画の中の「防災対策の充実」、それから「原子力事業従業員の線量管理対策の充実」というのがございまして、その中に「原子力事業従業員の線量登録事業の一層の充実を図る。」ということが書かれておりますが、これは具体的にはどういうことをどのようになさるのですか。
#79
○牧村政府委員 原子力従業者の線量の管理につきましては、当然一義的には、事業者が管理していくわけでございますが、特に原子力発電等で働いております下請従業員等には渡り歩く方が多いわけでございまして、そういう方は事業所ごとには管理されておっても、全体として余分に線量を受けることがないように、公益法人をつくりまして、そこに統一的に管理する登録センターを設置したわけでございます。おかげさまでこのセンターの事業は、昨年度から順調に機能を果たしてきておるわけでございますが、何せまだ本年度二年目でございますので、さらにその充実を図る、また、その活動の状況等につきまして外部等によく知っていただくというようなこと、それから細かい点で申し上げますと、放射線被曝手帳をできるだけ従業員の方に持っていただくということの制度的な問題につきまして、一〇〇%それを広げていく努力をしてまいりたいということ、並びに現在のこの登録センターのカバーしておりますのは、原子炉等規制法の従業者並びに障害防止法でいきますと、非破壊検査の業界の従業者のみでございまして、一般の放射性同位元素等を使っておられる事業所の従業員の方々は、まだこの対象の中に入っておりません、それをできるだけ早期にこういう登録センター活動の中に組み込んでまいりたいということを考えておりまして、これはまだ一、二年は検討した上で入っていただくということになるかもしれませんが、できるだけ早く全体の放射線下で働いている方々の登録ができるようにいたしたいということもございまして、「一層の充実を図る。」ということで表現させていただいておるものと私は理解しております。
#80
○石野委員 気持ちはよくわかるのですけれども、実際には「一層の充実」という「層」というところに私は非常に興味といいますか、なにを持つわけなんですよ。事実問題としまして、登録センターがありましても、目こぼしですか、網漏れしていく労働者が数多くあるように私はまだ感じておるんですがね。それがなければ非常にいいんですよ。特に下請労働者の諸君で渡っておる方々ですね、これをどのように完全に捕捉できるかということが、人レムの影響を、やはり悪影響を広めないために大事なんだと思うのです。
 だから形としては、登録センターがあってそうやっておるんですよということですけれども、労働者はAの施設現場からBの距離が非常に遠いところで働いた場合、それをどうにも関連づけてよう掌握ができないということになったら意味なくなっちゃうんですよ。「一層の」という意味は、私は、むしろそういうところに何か新しい手があるのかなということで、そこをひとつ聞きたい、こう思ったのですが、どうなんですか。
#81
○牧村政府委員 五十五年の一月末の現在で、この原子炉等の事業所に働いております、また過去にも働いた方々を含めまして、十一万人強の登録がすでになされております。それから、すでに現実にいま時点で働いておられる方が、この中の数万人になるわけでございますが、それらの方々に手帳の交付等はほとんど行き渡っておるわけでございますが、まだ一〇〇%ではないということでございます。
 先生、先ほどの指摘の漏れがあるのじゃないかということでございますけれども、これは法律に基づいて、個人的な被曝管理をしなくちゃいけないように事業者は義務を負っておるわけでございますので、そこで働いた方が、所定の期間そこで働きました後他に移るというような場合には、必ずここへ登録するようなシステムをつくっておりまして、現実に私どもは、そういう点の遺漏なきように指導しておるつもりでございますので、先生御懸念の漏れていないかということは、私はそれほど心配していないところでございます。
 なお、そういうような実態等がもしあるとすれば、非常に問題でございますので、今後も十分厳重な指導をしてまいりたいと思っております。
#82
○石野委員 労働者の被曝の問題でもう一つ重要なことは、登録をするなら十分漏れのないようにしてもらいたいのですが、被曝した方の被曝の実情、また、それに関連したと思われるような症状が出てまいったときに、いち早くそれをつかんで対策を講ずるということができないとまずいのだと思うのです。ところが、これは委員長も言われた科学的知識が非常に弱いということでもありましょうか、労働者の中には極力隠そうという気持ちがあるのです。その中にはいろいろな意味があるのです。だから、こういうような状態のために、かえって対策がおくれるというようなことがあってはいけないが、また同時に、この人たちの極力隠そうという気持ちの中には、特に家庭的な問題なんかも大きいわけです。娘さんなんかがおりますと、嫁入りに差しさわりが出るのだとか、そういうようなところまで実は被曝した人たちは考えているのです。もし自分が被曝したという事実が出たとすると、もう娘は嫁に行けなくなるのではないかというような心配から出てこないということがあるのです。
 だから、そういうようなことができる限りないようにする教育が一つ大切でありますが、また、そういうような労働者の気持ちがあるところへ、今度は会社の方でも、従来、なるべくそういうものを出したくないという考え方で抑えるという形も一つあるのです。これはよく調べてごらんになればわかるはずです。これからはそういうことがなくなるかどうかわかりませんけれども、いろいろな手当てをして、それを表に出さないように出さないようにしております。そういうことが避けられるような管理監督をこの「一層の充実」の中の内容として考えておいてほしいと考えます。「一層の充実」という言葉は、積極的な気持ちをあらわしているということだけでなく、そういう内容的なものを私どもは続み取りたいと思っておるわけでございますから、そういう点は監督官庁の立場で十分考えてくれるように、この際特に希望しておきたいと思います。
 これは局長、私がいま申し上げたことなどは大体理解があるだろうと思いますけれども、そんなことはないよということだとすると大分違うのでございますが、ひとつ局長の所見だけを聞いておきたいと思います。
#83
○牧村政府委員 石野先生の御質問と私が受け取っておる実態とあるいは少し違うのかもしれませんけれども、この登録制度を開始しましたときの最初の考え方といたしまして、個人個人の被曝歴がコンピューターに登録されるわけでございます。したがいまして、出そうと思えば、だれがどれくらい被曝したかということがきわめて簡単に外部に出せるわけでございます。しかしそれは、いろいろな意味で個人の秘密にかかわってくるおそれがあるということで、最初にこの運営をどうするかという議論をいたしましたときにも、これが非常に問題になりまして、やはり個人個人のデータについては、原則としては外には出さない、しかしながら個人が、関係しました事業者を通じて見せてほしいと言うときには、遅滞なく出せるようなシステムをいまとっておるわけでございます。
 そこで、事業者における個人個人の放射線管理の仕方を、さらに一層充実を図ることによりまして、それから以降は機械的にセンターに報告されるわけでございますので、電力会社における放射線管理の充実並びに放射線の被曝に対する従業員の認識、こういうものを、教育訓練等によりまして十分図っていくことで、働いている方が放射線下で働きましても、できるだけ少量の被曝で済むような努力もしつつ、先生のおっしゃった御懸念を解消していくのが重要なことではないかなというふうに私には感じられる次第でございます。
#84
○石野委員 いまの私の質問は、登録そのものとは大分違うのですが、そういう心がけが必要だということを申し上げたわけです。
 いま一つお聞きしておきますが、「定期検査等における従業員の被ばく線量の低減化の検討を行う」、これは具体的にはどういうことを意味しておりますか。
#85
○牧村政府委員 これは私ども科学技術庁としては、主として開発段階の炉あるいは試験炉の問題でございますけれども、定期検査に当たりまして、放射線管理区域の中に入りまして作業をすれば、当然被曝があるわけでございますが、その線量をできるだけ少なくしたいということでございます。特に原子力発電所の低減化の問題につきましては、現在通産省が鋭意やっておるところでございますが、その技術的な考え方はすべて共通しておるわけでございます。
 そこで、その方策として、施設の面につきましては、補修作業等を行う場合に、できるだけ少数の人間で、あるいは人間が要らないというふうな自動化の問題、それから作業いたしますのにも、いろいろな器具等を使って、遮蔽されたところで人間は遠隔下で作業をする、こういうようなことでやることが一番であろうかと思います。
 それから、たとえばフィルター等の交換が行われるわけでございますけれども、フィルターには放射性物質がろ過されて残っておるわけでございます。こういうものは従来手作業でやっておったことも間々あったわけでございますが、こういう作業をできるだけ自動化していきたいというようなこと。
 それから、これからの新しい施設につきましては、こういうような点検作業を行う場合に、機器の配置あるいは遮蔽構造をとり得るような、要するに定期検査等で被曝を少なくし得るような設計にもともとつくっておくということがきわめて大事であろうかと思いますが、そういう点での設計上の配慮、これは最近の軽水炉におきましても、コンテナを従来の考え方よりも少し大きくしまして、十分な遮蔽体の中で定検等が行われるような配慮が進められておるわけでございます。
 それから、原子炉の運転中に、当然、冷却水等がステンレス鋼等のチューブを循環するわけでございますが、その中に、たとえばコバルトが入っておるわけでございます。こういうものが放射化されて、それが水の中に溶けて出てきて、それが全体的に原子炉のコンテナの中の線量を高めるというようなこともあるわけでございます。酸素についても同様でございますが、そういうふうな対策として、原子炉の冷却水等の腐食生成物を、水の管理を厳重にするというようなことをいたしますと、原子炉建屋の中の放射性のレベルは非常に下げられるわけでございます。
 そういうようなことをいま鋭意研究開発も進めておりますし、実際の設計に取り入れる、あるいは運転の態様の中に取り入れていくというふうなことを考えておるわけでございます。
 それから、従業者の被曝につきまして、これは被曝を低減化させる上では管理面が十分しっかりしているということが重要でございますので、放射線下に入ります従業者の方々は、ポケット線量計あるいはフィルムバッジをつけるのが通常でございますが、最近は、それに加えまして、熱螢光線量計という自動的に比較的短時間で自分が被曝した量というものをはかれる線量計が開発されてきておりまして、こういうものをつけることによりまして、フィルムバッジですと一カ月に一遍とかというふうなことでしかわからぬわけでございますけれども、その日その日にどのくらい浴びたかというものを正確にはかれるようにしていくというふうなこと、その他、管理区域で働く方々のいろいろ衣服の改良であるとか居住性を改良するとかというようなこと、あるいは先ほども御説明いたしましたが、下請作業者に特に放射線管理というような問題の教育訓練の徹底というようなことを図らなければいけないのではないかというふうに考えておるところでございます。
#86
○石野委員 これはいろいろな対策を講ぜられておりまして、特にこのコンテナを大きくするというようなことなどは、設計の問題もあるし、作業の問題もありますが、炉としては日本の炉ではいつごろから、現実にはこのコンテナの形をちょっと大きくした設計の作業をやっておりますか。
#87
○児玉(勝)政府委員 ただいま安全局長がお話申し上げましたように、被曝の低減につきまして、いろいろ対策をとっておりますけれども、その中でいま先生おっしゃいましたように、実際の設計の面で取り入れておりますのが改良標準化の一つでございまして、それは川内の一号機をPWRとしては考えておりますし、BWRといたしましては福島第二の二号機以降が改良標準型の設計を取り入れて設計しております。
#88
○石野委員 防災問題でほかにもまだありますけれども、具体的な問題についてお尋ねしたいのですが、ケメニー報告は、いろいろな経験に学びまして、いろいろなことを言っておりますけれども、少なくとも避難計画、防災計画というものは、連邦レベルの一つの機関に集中した方がいい、こういうことを言っております。私も実は、現地の当時の事情なんかをずっと見ますると、情報が乱れ飛ぶ、もう大混乱があちこちで起きるということからしましても、防災計画は、中央に集中的に一元的に物事が進むようにした方が一番いい、こういうように思いますけれども、しかし、具体的に成果を上げるということになりますと、やはり地元の活動が敏速に行われないとこれはなかなかできないという問題が片方にあるわけなんです。
 今回、原子力安全委員会の専門部会が、この防災計画についての基本方針のようなものをおつくりになられて、政府の方針をつくろうとしておるが、その中で、この防災計画の一元的掌握の問題等については、どのようなお考えで計画の策定に当たっておられるか、まず、その点からひとつお聞かせいただきたい。
#89
○牧村政府委員 日本の場合は、災害対策基本法に基づいて国並びに地方公共機関等の防災計画が定められることになっておるわけでございますので、基本法に基づいて定められております中央防災会議が、日本の場合にはその中枢をなすものと考えておるところでございます。
 アメリカの場合は、あのスリーマイルアイランドの事故が起きましたときに、原子力を設置しておったすべての州あるいは郡が防災計画を持ってなかったことは事実でございますし、スリーマイルアイランドのありました郡には原子力の防災計画がなかったわけでございます。そういう違いを先ほど私は申し上げたつもりだったのでございますが、すでに災害対策基本法ができましたときから、放射線の大量放出事故というものを想定して、地方公共団体あるいは関係省庁が防災計画を持たなければいけないということを義務づけておるわけでございます。私どもは、その枠組みの中で、先般、昨年の七月に定めました決定におきまして、国レベルでは直ちに国務大臣を長とする事故対策本部というものを設けまして、地方公共団体が行います防災活動を強力に指導する体制をつくったところでございます。また安全委員会のサイドでは、これは安全委員会のお立場が諮問機関でございますので、緊急助言組織というものをつくっていただいて、国並びに地方公共団体が行います防災活動に対して技術的な助言をしていただくという、何といいますか二重の指導機関をつくって万遺憾なきを期してまいりたい、この体制を今後も関係省庁の協力を得ましてやっていただきたいというふうに考えておるところでございます。
#90
○石野委員 緊急技術助言組織のメンバーとか何かについては、後でまたひとつ教えてください。
 そこで、アメリカには当時、確かにペンシルベニア州に原子炉事故に対する防災計画というものはなかった、あそこはたまたま洪水の非常に多いところだから、洪水計画等をうまく利用したということを聞きました。わが国の場合、昨年の七月に、この計画を考えなければならないということで、中央防災会議が中心になっていろいろやっておりますが、現在、各施設のある府県ではもう全部防災計画は整備されておるのでございますか。
#91
○牧村政府委員 私ども、あのアメリカの事故が起きましたときに、県段階では全部ございました。二、三の市町村で持っておられなかったところがあったわけでございますが、その後、県、市町村と御相談申し上げまして、すべてのところに現段階におきましては防災計画ができております。
#92
○石野委員 原子力事故を中心とした防災計画で、中央防災会議が改めて各県に指示を与えなければならない問題、具体的にどうするかということについては、いま局長は、各県に防災計画はあるとは言いつつも、具体的にまだ整備されているとは私は思っていませんが、特に六月段階まで中央防災会議が原子力安全委員会に委嘱していろいろと検討を加えてもらい、その指示に従って計画をつくるのだということを、私は予算委員会のときにもお聞きしているわけでございまして、各都道府県にあるというその防災計画と中央防災会議が持とうとする計画との間には、完全に一体化するという意味で完全性を確保しておると言えるのでしょうか。その点はどうなんですか。
#93
○牧村政府委員 地方の防災計画に定められております内容を概略御説明いたしますと、まず災害予防の規定を設けております。これは災害が起きたときに、それをいかに予防するか、あるいはそれの前段階の措置をしておくことといたしまして、防災に関する組織あるいは連絡網の整備あるいは環境放射能水準調査のための組織、機材を常時整備しておくということでございます。
 それで、先生御指摘の、現在この辺の若干弱いところと申しますと TMIの事故を経験にいたしますと、緊急時のモニタリング体制というのは、まだ不十分であろうという認識で、これは先ほど予算のところで申し上げましたけれども、本年度の予算で大幅に改善を図ることにいたしております。それから災害応急対策として、災害対策本部の設置であるとか災害状況の把握、伝達体制、避難場所、立ち入り制限をする仕方、応急医療措置、これらにつきましては、一応各都道府県あるいは市町村段階まで設定されておるところでございます。そのほか、災害復旧としての問題等も盛り込まれておるわけでございます。
 そこで、全般的に申し上げまして、市町村あるいは県段階で危惧の念を持っておりますのは、どういうときに避難し、あるいは屋内退避をするかというような放射線とのかかわりにおける基準が、現在は二十五ラド以下の被曝ということで半の線量が決められておるわけでございますが、実際問題としては、その二十五ラドまで被曝するのを悠々見ておる、傍観するということではないのでございますけれども、その辺で、どういうときにどういうアクションを起こしたらいいかということについての基準がないところが一番の問題点であろうかということで、それがいま、原子力安全委員会の専門部会で専門の先生方に鋭意検討していただいておる非常に大きな問題点でございます。その間にでも事故が起きてはいかぬわけでございますので、昨年四月に、当面の措置で決めました専門家の派遣あるいは安全委員会の助言組織等を活用いたしまして、もし起きたとすれば、事故の実態に合わせて適宜都道府県等を指導する体制を一応整備したというのが現状でございます。したがいまして、そういう点についての専門部会の結論が出て、最終的に安全委員会の御審議をいただいて、改善の指針が出ましたときには、これらを直ちに地方防災計画等に組み込んでいくというふうなことを現在考えておるわけでございます。
#94
○石野委員 安全委員会がまだ指針を出しておりませんから、下部における組織があったといたしましても、まだ十二分に働き得ない状態にあるだろうということは大体予測しておりますけれども、それにもかかわらず、私どもば、先ほど局長からお話があったように、あすにでも事故が起きたらどうするのだという問題を心配します。
 そこで実は、各県には皆防災対策はできているのだというのでございますが、それは本当にすぐ生きてくるようなところまで、動きのできるところまでいっているのだろうかどうだろうかということで私は非常に心配するわけです。どう考えてみても、事故が起きて緊急時避難という問題が出たときに、これでいいのだろうかなという心配をするものだから、さきの予算委員会のときにもお尋ねしたわけでございました。
 それで、これは漠然と言っておってもどうにもなりませんので、ある地点を設定して、どの程度までいくものだろうかというようなことを、私は率直に言ってお尋ねしたいのです。
 まず、いつ避難するかということですが、二十五ラドの被曝があるまでは待っておれないということは、そのとおりだと思うのです。これは余り人心に不安が増大すると混乱が大きくなりますからね。そこで、できるだけ少量で事故が起きたときに早く避難をさせる方がいい。かと言って過剰避難をしてもまた困るということも一つある。そこらの判断が非常にむずかしいことは私もよくわかります。スリーマイルのときには、多分にそういう面のあったという報告も承っておりますから、そうあってはいけないと思いますけれども、しかし、いずれにしましても、放射能が外に放出されたということになれば避難せざるを得ない。ことに日本の場合、周辺地の人口が非常に多いということになると、これはなかなか大変なことになるだろうと思う。
 そこで、私はお聞きしたいのですが、たとえば私が一番よくわかっているのは茨城県でありますから、東海村で何か事故があった、それで、その取り扱いについてはきわめて慎重でなければなりませんが、スリーマイルアイランドのような事故があったと仮定します、そのときに避難の状況をどのようにするのだろうか、学校の子供さんたちをどうするのだろうか、あるいはその周辺地の住民をどのようにして避難させるのか、そのときに自治体は、交通運輸の問題についてどういうふうに的確な指示を与えるのだろうか、こういうようなことなどを考えますと、率直に申しまして非常に心配です。
 たとえば道路一つとってみましても、原研の中に事故があった場合、原研道路をずっと突き抜けていけば、六号国道を通って十文字でさっと向こうへ抜ける細いけれども道はあるのです。ところが、動燃のところに仮に事故があったとすると、動燃の前にも道路がございまして、それで六号国道へ抜けているのですが、三車線ぐらいの広い道路である、しかし、六号へ行くとぴたっとT字路になってしまっているから、これでは上下で大混乱になることは明らかなんです。それから原発のところからまた新しく道路ができまして、それも向こうへ行きますと、もう道路がないのです。向こうへ行くと人家がありませんから、畑の中へ行けば入れますけれども、自動車は通れません。道路になっていませんから、入ってしまったら、ふん詰まりになってしまいますからね。そうすると、あそこで十字路になっているのは、原研道路のところだけなんです。しかも六号国道は、常磐線の本線でございますから、この交通量は非常に激しいのです。ましてや日立製作所というような大きな工場が日立と勝田にありますから、その間のトラックの出入りもものすごく多いというようなことがありまして、交通量の面では大変なものだと思われる。
 そういうところで仮に事故があったときに、まず最初に子供さんをどうするのだろうかということなど、具体的に何か考え方があるのでしたら、ひとつ聞かしてもらいたいのだが、その前に、こういうものを想定した計画があるのかどうなのか、そこから先に聞かせてもらいたい。
#95
○牧村政府委員 先ほど御説明いたしましたように、大量の放射性放出があったときの退避その他につきましては、一応計画段階で各市町村、県がお持ちであるわけでございます。
 そこで、私ども今後の防災計画の充実ということで、きめ細かい対策を今後十分持っていなければいけないということは、御指摘のとおりであろうかと存じておりますが、公共団体の防災関係の方々あるいは関係省庁の担当の方々といろいろ協議した際に、たとえば先生御指摘の児童の退避、住民の退避等につきましても、原子力特有の問題に関する知識が十分でない面がある、ここのところを教えてもらえれば、あるいはこういう状況になったらこういう措置をとらなくてはいけないということを決めてもらえれば、それ以降の措置の実施は、従来の全体をカバーしております防災計画等の経験もあるので、十分措置できるというような御意見が大多数でございました。
 そういう点も踏まえまして、私どもといたしましては、仮に原子力発電所で事故があったといたしましたときに、それがどのくらいの事故になるかということは、時間の経過も必要でございますけれども、ある放出量、非常に低い放出量ではあっても、このくらいの放出が境界で感じられたと仮にしたときに、本部等を事前に準備しておくというようなことを含めまして、いまその対応の基準というものを検討していただいておる、これが出れば、現在持っております防災計画がさらにワーカブルになっていくものと思っておるわけでございます。
#96
○石野委員 局長はそう言うのですけれども、もうちょっと基本的に、たとえば道路網一つを考えても、なかなかそれに対応できないだろうと思うんですよ。たとえば東海で、仮に大事故でなくても、少くとも若干の問題で避難しなければならぬという問題が起きたときにどうなるか。私は、いま新しい資料を持っておりませんが、これは五十三年の茨城県の情勢ですから、大体五十二年の人口でございますけれども、東海村のその当時の人口は二万七千です。それから隣の勝田が八万五千です。そして那珂湊が三万三千です。日立だとか何かを抜きにしまして、これだけを入れましても、約十五万人ぐらいいるんですよ。そして道路は、御承知のように、六号国道と鹿島線のバイパスと二つありますから、半分ずつ人が逃げるのだという形にします。しかも東海に事故が起きれば、勝田、日立、東海というのは、全部退避の体制に入りまして、距離関係から言いましても、恐らくそこで家の中でじっとしているというような人はいないと思うのです。御承知のように、あそこを中心にして二十キロの地域の中には約六十万人おります。いま私が申し上げておるのは、大体五キロから十キロぐらいのところです。十キロぐらいのところで、まだこのほかに日立も入ってきますし、那珂湊も入ってくるのです。仮にここで何かの事故があって、この人たちが自動車で逃げるとした場合に、当時本県の乗用車が四十三万台ございまして、人口比からしまして、この地域の人口が大体県の十六分の一ぐらいになりますが、その比率で出していきますと、率直に言って、乗用車だけで二万七千台くらいになるんですよ。その上に昼間人口として外からずっと自動車で通ってくる人がおりますから、これは三万台を超えるだろうと思います。各事業所に自動車がみな置いてあるわけですから、これがいっときに出てきたりしたら、どの道路も全部ふん詰まりです。そういうようなときに、運輸行政上どういうふうに処理をなされるのか。
 あるいはここでは、東海村で小学校がその時点で四つあります。中学校が一つです。それから勝田では小学校が十二あります。そして那珂湊では六つあります。日立へ入れば小学校だけで二十四あるわけです。中学校が日立で十二、那珂湊で三つ、勝田で五つ、それから東海村で一つ、こういうふうにあるわけです。これは大変な生徒数であります。しかも、これだけの車が、六号国道あるいは鹿島バイパス道路、そういうようなものに半分ずつに分けて動き出したとしたら、これはとてもじゃない、もう行き詰まってしまいます。そして福島から上ってくる自動車もあって、恐らく福島県まで数珠つなぎになってしまうのじゃないか。下りの車は土浦あたりまで全部とまってしまうだろう、大体勝田でとまりますから。こんな状態が出たときには、ただ周辺地の問題だけじゃなしに、茨城県全体が大混乱を起こす、そういうようなことに対してどの程度の対策ができているのか。
 そしてまた、そういう状況のときに、たとえば沃素131、このものに対する対応をどういうふうにするのか。薬の準備の問題とかなんとかいうものは、スリーマイルアイランドでは、やはり沃素131に対応するための薬の調達で大混乱をして、大騒ぎしたのだという話を聞きましたが、医療施設とかあるいは薬の問題とか、それらの問題等について、そんな体制に対応するような指示をそれぞれ、たとえば文部省では、あるいは警察、消防の関係では、あるいは運輸省の関係では、きょうおいでいただいておりまする各省の方々にひとつお聞きしたい。特に建設省には、道路の問題で、こんな道路を防災の問題から放置しておいていいのだろうかどうだろうか、安全委員会は、建設省に対して道路問題について何か指示を与えなければ、防災計画は道路自体でもうふん詰まりになってしまうのじゃないかと思いますが、そういう点でどういうふうに計画を進められているかを、ひとつこの際お聞かせ願いたい。
#97
○沓掛説明員 お答えいたします。
 いま先生、道路の問題ということでしたので、最初に建設省の道路整備についての基本的な考え方を申し上げ、さらにこの東海地区の道路整備の状況を御説明させていただきたいと思います。
 建設省におきましては、従来より科学技術庁と協議の上、原子力発電所等にかかわります防災対策の一環として必要な道路等の整備に努めてきたところであります。しかしながら、原子力発電所等にかかわります防災対策につきましては、昨年三月の米国スリーマイルアイランド原子力発電所の事故の経験にかんがみ、昭和五十四年七月の中央防災会議において当面とるべき措置が決定され、さらに原子力防災対策の実効性を高めるため原子力安全委員会の専門部会において、先ほどからいろいろ御指摘がございましたような所要の検討が進められていると聞いております。この安全委員会の検討結果が得られ次第、これを踏まえて原子力発電所立地県の地域防災計画等の一層の充実、整備が図られることと思いますが、この場合におきまして、建設省といたしましても所要の対応を検討してまいりたいと考えております。
 さらに、この東海地区の具体的な道路の状況でございますが、茨城県東海村の原子力施設周辺の主要な道路といたしましては、国道二百四十五号、六号及びこれらを連絡いたします国道二百九十三号、東海停車場村松線と瓜連馬渡線とがございます。このうち、現在バイパス施工中の瓜連馬渡線を除きましては、ほぼ整備が完了しております。それぞれの道路の交通実情と交通容量から見まして、もちろん、これは適切な避難誘導措置が講じられるという前提でございますが、国道二百四十五号、二百九十三号、東海停車場村松線につきましては、十分避難路としての機能を果たせるものと考えております。しかし、国道六号につきましては、現在の交通実情、交通容量から見て十分ではないと思われますが、現在鋭意施工中の常磐自動車道が完成いたしますと、その方向への転換が期待されますので、適切な交通運用によって交通の面での避難措置に万全を期していきたいというふうに考えております。
 それから、広域的にいろいろ考えるべきだということがございましたが、私たち、原子力発電所の事故に起因する避難につきましては、その事故の大きさ、影響の及ぶ範囲、防護措置、避難方法等により種々の対応が考えられると思いますが、適切な避難誘導措置が講じられれば、先ほど申しましたように、現状の道路とそれから現在工事中の道路によって一応の避難は可能であるとは考えております。しかしながら、先ほど来も申し上げましたように、スリーマイルアイランドの事件もございましたので、原子力安全委員会の検討結果が得られ次第、地方公共団体において地域防災計画等の一層の整備充実が図られることとなると思いますので、建設省といたしましても、それへの適切な対応を図ってまいりたいと考えております。
#98
○片岡説明員 運輸省といたしましては、先ほど先生御指摘ございましたように、原子力施設周辺の防災計画につきましては、災害対策基本法に基づく関係指定行政機関の防災業務計画、それから地方公共団体の地域防災計画というようなもので具体的な計画が定められておりますので、万一事故が起こった場合には、関係機関がその計画に従いまして、事故対策に当たることになります。
 具体的に申し上げますと、原子力施設の災害等によりまして住民の避難の必要が生じた場合には、被害状況に応じまして避難地区を決め、避難命令を出すとともに、避難時の混乱を避けるため警察官あるいは消防団員等の誘導のもとに所定の避難場所まで避難をするということになっております。もちろん、この避難に当たりましては、迅速な避難が必要でございますので、運輸省といたしましても、鉄道あるいはバス、必要な交通手段を確保いたしたいと思いますが、これにつきましては、先ほど御説明がございましたように、十分な交通規制というものが前提でございます。
 それから、今後の問題につきましては、原子力安全委員会で検討中でございますので、その検討をまちまして所要の対策を検討していきたいと考えております。
#99
○長谷川説明員 ただいま御指摘の点につきましては、消防機関といたしましては、万一の際には地域防災計画に基づきまして関係住民の避難誘導を行うこととなりますが、TMIの事故以降、その避難計画などの見直し、検討を行っております。原子力安全委員会で現在審議されております結果を踏まえまして、関係地方公共団体に対しまして避難計画などの一層の充実を指導してまいりたい、かように考えております。
#100
○小沢説明員 災害が発生した場合の医療の確保の問題でございますけれども、厚生省といたしましては、一般的な防災対策の中で医療の確保につきましては、日赤でございますとか国公立の病院それから地元の医師会と協力をして医療班を編成いたしまして、当面の医療に当たるという体制が恒常的にできておるわけでございますが、特に昨年七月の中央防災会議の「当面とるべき措置」におきましても、まず緊急の医療体制につきましては、地元の各医療関係者から成る医療班、救護班等を編成し、これによって緊急の、医療活動を行う、それから、さらにこの活動を援助するために、放射線医学総合研究所の専門家から成る緊急被曝医療実施体制現地派遣チームが派遣されるというような形になっておりますので、昨年の七月に厚生省から各都道府県あてに、これに基づく所要の体制の整備を行うよう指導を行ったところでございます。それから、さらに放射線特有の医療ということもございますので、細部の対応がさらに必要になるかと思いますが、これにつきましては、先ほど来お話ございます専門部会でいろいろ検討されておりますので、その検討結果が出次第、これに対応する措置をとってまいりたいと考えております。
#101
○島田説明員 子供の避難訓練でございますが火災、地震その他災害一般につきまして、学校では特別教育活動という教育課程がございますので、その中で学校行事として諸種の避難訓練、具体的な避難訓練を行っておるわけでございます。また学級指導の時間という時間もございますので、ここでいろんな防災についての話、教育をしていくということで行っておるわけでございます。原子力の避難の問題につきましては、今後、関係省庁と十分連携を密にして対応してまいりたいと存じます。
#102
○石野委員 もう時間がありませんので、最後に大臣と委員長にお願いしますが、防災の計画は、いまいろいろと各省からお話は承りましたけれども、これは一応の御答弁でございまして、具体的にはなかなか問題がたくさんあるように思います。指針が出れば、当然、それに基づいてもう少し精細なものになるかと思いますが、指針の策定の仕方の中には、先ほど来私がいろいろお聞きしましたような考え方というものが中心になっていなくちゃいけないだろうし、具体的には道路計画の問題として茨城県の場合は常磐高速道路というものを用意しているというので逃げ道が一つあることはあるのですけれども、それだって十分じゃないと私は思うのです。ましてや福井だとかその他の地区、島根などへ行きました場合には、なかなか問題が多いように思います。そういう点を十分含めて防災計画の基本的な指針が策定されるように、この際お願いしておきたいと思いまするので、いままでのいろいろななにを勘案しながら、最後にひとつ御所見だけ承っておきたいと思います。
#103
○吹田説明員 御趣旨はよくわかりました。われわれといたしましても、安全委員会は諮問機関でございますが、強力な助言をしてまいりたいと考えております。
#104
○長田国務大臣 私どもとしましては、原子力発電所におきます事故を起こさないということに、まず第一に全力を注いでまいりますとともに、起こりました場合の防災関係のことにつきましても、先ほどからるる御指摘がございましたような点なども十分込めまして、各省庁と連絡をとりまして、施策を進めてまいる所存でございます。
#105
○石野委員 終わります。
#106
○瀬野委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時三十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十五分開議
#107
○瀬野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。木内良明君。
#108
○木内委員 私は、先月の十八日に当委員会におきまして「あやめ」二号の事故原因について、具体的にヨーウエートの問題あるいはまたアポジモーターの問題等に触れたわけでありますけれども、その後三月の二十六日でございますが、宇宙開発委員会の第四部会より事故原因に関する審議状況の中間報告があったというふうに聞いております。当然、前回の私の質疑を踏まえての内容であろうかというふうにも思っておるわけでありますけれども、この中間報告の内容がどんなものであるか、まずお聞きします。
#109
○勝谷政府委員 お答えいたします。
 「あやめ」二号の失敗原因の究明につきましては、先生御指摘のとおり、宇宙開発委員会第四部会におきまして、三月十日以来今日まで各種のデータ等の解析結果をもとに四回の審議を行いまして、現在までに次のことが明らかになっております。
 その第一は、ロケットにつきましては、飛翔中の各種の温度、加速度、各部の電圧等につきましては、いずれも規定値内にありまして、前回の失敗の原因でございましたヨーウエートにつきましても、正常に作動し、この結果、衛星につきましては、かなりの精度でトランスファー軌道に投入されたということになっております。
 第二の点は、アポジモーター点火後電波途絶までの八秒間のアポジモーター上部の温度でございますが、この温度が過去のものより急速に上昇しているという事実をつかんでおります。
 第三は、アポジモーター点火後のアポジモーターによる加速度が、計画値に対しまして約一・五倍以上と推定されております。
 この三つの結果を踏まえまして、NIロケットにつきましては、正常に作動したのではないかということが一応考えられております。さらに衛星に関しましては、アポジモーター上部の温度及び加速度に異常を引き起こす何らかのふぐあいがあったのではないかという推測がされております。
 現在はふぐあい要因の摘出を行っているところでございますが、設計試験データの一部につきまして国内で入手することができないものがございます。このために、第四部会は、三名の専門委員を米国に派遣いたしまして、衛星の設計メーカーでございますフォード・エアロスペース・アンド・コミュニケーション・コーポレーション、私どもFACCと略称しておりますが、このFACCとアポジモーターの製作をいたしましたアエロジェット等を中心に現地調査を行っているところでございます。
 本調査団は、目下米国に滞在中でございまして、近く帰国をいたしますので、この検討結果を踏まえまして、前回も御報告申し上げましたように、四月末を目途にいたしまして、原因究明の結果及び今後の対策を宇宙開発委員会に報告する予定でございます。この報告を受けまして、宇宙開発委員会は、早急に必要な態度を検討する予定でございます。
 以上、御報告申し上げます。
#110
○木内委員 いま三点にわたっての三月二十六日の中間報告を御説明いただいたわけでありますが、局長いまおっしゃられたように、四月六日に調査団が、ミッションが行っているということで、その結果をまた待って私も具体的な内容については触れたいと思うわけでありますけれども、ここで実は問題になりますのは、たとえば衛星メーカーあるいはアポジモーターのメーカー、さらにNASA、いろいろな方面への調査の予定というものが当然あるわけでありますけれども、よく指摘されるように、ブラックボックスの見えざる部分に対する調査というものがどの程度期待できるのか。ただセレモニーとして国会で問題になった、あるいはまた失敗があった、だから調査団を派遣するのだ、確かに行ってきました、こういう結果でありましたというような通り一遍の、表面をなでるような調査であっては決していけないと私は思うわけでありまして、この後、いわゆるブラックボックスの部分に対する調査というのは、実際どの程度期待できるのか、その点ひとつ……。
#111
○勝谷政府委員 目下のところ、調査団が現地におりますので、帰国した後のその結果について、確信を持って予測することはできませんが、少なくとも当委員会におきまして、過日、この原因究明について先生方から厳しく御指摘をいただいておる点についての自覚は、宇宙開発委員会、私ども役所並びに宇宙開発事業団、よく認識をしているつもりでございます。したがいまして、出発するに当たっての調査団のメンバーにおきましては、先生御指摘のブラックボックスの点等につきまして、質問事項を約百近くあらかじめ用意いたしまして、一般的にたとえば、原因をどう思いますかというようなことではなくて、われわれのデータではこういうことが予測されるけれども、そちらのあらかじめ出した計算値はどうなっているかとか、そういうような幾つかの細かい質問事項を用意して参っております。もちろん、ブラックボックスに関するものでございますから、相手方がすべてを答えるか、私ども確信はございませんけれども、答えなければ答えない点で、その点についての米国側とわれわれの見解の相違が明らかになろうというように私ども考えておりますので、いすれにしましても、その調査結果をもとにして、ブラックボックスと言われておるものについての今後の進め方も明らかになりましょうし、一定の成果が得られることを期待いたしております。
 御指摘のように、通り一遍の工場見学のような調査をいたすつもりではございませんし、そのような決心で三名の方はお立ちになったことを御報告申し上げます。
#112
○木内委員 確かに、いまの御答弁を聞きますと、百項目以上にわたるリストを用意されて乗り込んだということなんですが、ここで私が指摘したいのは、たとえば委員会の質疑にしましても、いい御答弁を何とかいただきたいということであらかじめ根回しをしたり、お互いレクチュアをしたりというふうなことが実際はあるわけです。いまのお話を聞きますと、三人の人がリストを持っていきました、意気込みは確かにりっぱだけれども、現地に着いてみたら、結局ナシのつぶての結果しか得られないというようなことではいけないわけで、出発前の根回し、あるいは技術開発の日米協定に基づくそうした調整というものが行われて、その上で一週間という短期間で――非常な短期間なわけでして、これを効率的に消化するということが当然要求されるわけですけれども、私がここでお聞きしたいのは、事前の根回しは実際どうだったのか、この根回しに基づいた調査団の派遣であるのだというようなことでなくてはいけないと思うのですが、その点どうでしょう。
#113
○勝谷政府委員 私どもの科学技術庁から政府ベースとしての技術アタッシェが参っておりますが、その線において相手側に便宜供与の申し入れをいたしました。さらに宇宙開発事業団の現地駐在員が、このための事前の根回しをいたしておりますし、提携相手でございます三菱電機におきましては、その前にすでに数名の人を派遣いたしておりまして、このたび三名が参るに当たっての必要な根回しはいたしております。ここらが十分にできているかどうかは、今度帰ってきての結果を見ませんとはっきりいたしませんが、通常のベースでできるだけのことは十分いたした、このように考えております。
#114
○木内委員 これは調査団が帰国してからの報告をさらにまた検討すれば、実際わかることでありますけれども、こうした一つ一つの姿勢に、やはり一回、二回、合計で二百五十億にも上る巨額な予算を投下したこの実験が失敗に終わっていることに対する責任問題、あるいはまた、この調査に対する意気込みというものが、いろいろな面で当然必要になってくると思うわけでして、この点はぜひとも今後、いろいろなケースで留意をしていただきたいというふうに思います。確かに、行きます、どうぞいらっしゃい、だから行きましたというふうな程度の根回しでは、これはいかぬわけでありまして、この点を指摘するわけであります。
 さらに「あやめ」一号のときに調査団の派遣が行われていなかったわけでありまして、今回ダブルミスということで、昨年に引き続いて事故があった、失敗した、それで行ったわけですけれども、このときの調査団が派遣されなかったいきさつ、それからあわせて「あやめ」二号につきましては、当然今回の調査の対象でありますけれども、「あやめ」一号の調査結果と考え合わせての調査というものがどういう形で行われているのか、お聞きします。
#115
○勝谷政府委員 「あやめ」一号の失敗の原因は、第三段ロケットと衛星の切り離しに必要なヨーウエート・アセンブリの作動が十分でなかったということは先生御存じのとおりでございますが、この点につきましての原因究明のデータは、実は当時、宇宙開発委員会で検討しましたところ、国内でとれました幾つかのデータではっきりとそのふぐあいの点がつかめたわけでございます。したがいまして、先回におきましては、そのヨーウエート部分の改造その他について、米側と十分打ち合わせをして改良を加えたということでございます。
 ただしかし、そのときにおきましても、その部分以外の人工衛星関連のものについても一応の検討はいたしたわけでございますが、今日のようなアポジモーターのふぐあいの点は、当時のデータで見る限り、注目すべきデータが出なかったということで、前回はヨーウエートの部分に原因があるという断定を開発委員会で決定をいたしたわけでございます。
 しかしながら、先生御指摘のように、このたびの原因究明に当たりましては、第一回目の失敗が十分わかっておりますので、ロケット関係につきましては、先回のロケットに関する幾つかのデータとこのたびのデータを比べ合わせますと、はっきりヨーウエート分野は、このたびのものはりっぱに作動したというデータがとられておりますし、さらに先回の幾つか正常であるとつかめておりましたデータとの比較において、このたびの衛星分野のアポジのふぐあいさ等も判明いたすわけでございます。
 したがいまして、一回目のものはヨーウエート分野のみが原因であるから、その他の点の究明はしないということではなく、一回目のデータにつきましても、とれるものは全部出しまして、その他の衛星のデータ、成功いたしましたETSIIのデータ等も一緒にいたしまして、このたびの原因究明をいたしているところでございます。
#116
○木内委員 いまの御答弁の前半で「あやめ」一号の事故、原因がヨーウエートというふうな断定的な御発言がありましたので、私も心配したのですが、後半の部分で、確かに、私も前回の委員会で指摘したのですけれども、八秒間と十二秒間の差はあっても、ヨーウエート部分だけが原因ではない、今後の調査によっては、前回の調査結果というものが甘い面があったかもしれないという答弁も開発事業団の理事長からいただいているわけでありまして、どうかそういった点も考え合わせての原因究明ということをよろしく要望しておきたいわけであります。特にヨーウエートにプラス先ほどの電圧、加速度の問題、あるいはアポジモーター本体の問題等を詳しく議論したいのでありますけれども、時間が十分ありませんので、その点については今回触れませんけれども、この調査結果を待ってさらに私もお聞きしたいというふうに思います。
 なお、前回の質問のときに、調査結果によっては賠償請求もあり得るという答弁をいただいたわけでありまして、特にこの議論のときに、賠償請求ということについては、重大な過失という意味のとらえ方をどのように考えるかというふうな議論もしたわけですが、その後、事故原因の究明とあわせて、起こり得べくして起こるであろうという予測のもとに賠償請求の問題も当然検討されているというふうに私は信じているわけでありますけれども、アメリカのメーカーに加えて国内メーカー、さらに宇宙開発事業団との関連の中で賠償請求がいまどのように検討されているのか、お聞きしたいと思います。
#117
○勝谷政府委員 「あやめ」二号に関しますメーカーに対する損害賠償請求につきましては、人工衛星、ロケットとも瑕疵担保期間はすでに終了していることは、先回の御質問のとき宇宙開発事業団の方から答えております。したがいまして、損害賠償を請求できますのは、メーカーの故意または重大な過失に基づく契約物品の瑕疵の場合に限られてきたわけでございますが、この賠償請求につきましては、この原因究明の結果がはっきりいたしましてから一年間がこの期間になっております。したがいまして、このたびの宇宙開発委員会の原因究明結果が発表されまして、その後一年の間に、その原因との関係で賠償額を請求できるかどうかという問題が生じてくるのではないかと考えております。このための調査、法律的な点等々は、宇宙開発事業団を中心にいま検討を進めているところでございます。
#118
○木内委員 いまお聞きしたのは、宇宙開発事業団内部における検討の方向がいかなるものかということをお聞きしたわけですけれども、詳しくは追及しません。いずれにしても、調査結果を漫然と待つのではなくて、並行して賠償請求を私も当委員会で今後取り上げていくつもりでおりますし、やはりそうしたいわゆる重大なチェックというものが、この宇宙開発には当然行われてしかるべきだというふうに思いますので、この賠償請求は、前回の答弁どおりぜひ前向きに検討いただきたいというふうに思います。
 次に、この宇宙開発の中でも、近年特に問題になってまいりました打ち上げ保険の問題についてお聞きするわけでありますが、初めに、今回の「あやめ」二号並びに昨年の二月の「あやめ」の実験を除いた過去の衛星打ち上げの際の保険はどういう状況になっているか、さらに打ち上げ回数と保険を掛けた回数の内容、数についてお聞きします。
#119
○勝谷政府委員 ECSプロジェクト以前につきましては、NASAに打ち上げを委託いたしました気象衛星、通信衛星、放送衛星の打ち上げに際しまして、打ち上げが失敗した場合の再打ち上げ費用につきまして保険を掛けております。その保険金額の合計額は百四十五億一千八百万円でございまして、支払った保険料は十四億三千百四十六万円でございます。
 この付保の対象といたしましては、最初気象衛星と通信衛星につきまして一括付保をいたしましたが、再打ち上げの際、アメリカのNASAに支払う予定の打ち上げ委託費の総額、これはロケットの製作費と打ち上げ費用でございますが、それにつきまして掛けております。さらに放送衛星の場合は、いま申しました気象衛星と通信衛星が成功いたしましたので、実は打ち上げに必要な予備のロケットが一つあるということで、失敗したときには放送衛星用として特定できることになりましたので、この保険を掛けましたのは、再打ち上げに必要な付帯費用、衛星の試験費と追跡管制費でございますが、それのみにつきまして、それぞれ付保することとしたものでございます。
 ここらの考え方でございますが、それまでにわが国で幾つかの試験衛星を打ち上げましたときには、およそこのようなロケットの打ち上げに関して保険を掛けるというような考え方はございませんでした。アメリカで打ち上げに至りましたときに、米国でも当時この種のロケットの打ち上げが一般のコマーシャリズムで打ち上げられておりましたものでございますから、そこで掛けられておる実態を見まして、NASAと相談いたしましたところ、日本でも掛けたらどうですかというサゼスチョン等もございまして、財政当局とも相談の上付保したというのが実情でございます。したがいまして「あやめ」の以前の状態は、アメリカで打ち上げたもの、これはある程度自信を持って打ち上げることができるアメリカのロケット、アメリカの技術、これをもとにして衛星関係の保険市場が形成されていた、その保険市場を対象にいたしまして、日本の保険会社が保険グループを形成したということになっております。
#120
○木内委員 次に、昨年の「あやめ」に掛けられた保険の内容と結果は、どういったものになっているか。
 それから、さらに「あやめ」二号については掛けられなかった、これは再打ち上げの予定がなかったという一般論としてのお話もあったわけでありますけれども、昨年の「あやめ」並びに今回の二号についての保険の周辺の事情をひとつお聞かせください。
#121
○勝谷政府委員 「あやめ」の一号の打ち上げに際しまして付保しました打ち上げ保険では、予備衛星及び予備ロケットが用意してございましたので、再打ち上げに要する経費のうち打ち上げ及び追跡管制費のみを対象としたものでございます。その保険金額は二十八億二千万円、保険料は二億七千百三十四万円でございます。御存じのように、この「あやめ」一号は失敗いたしましたので、保険金二十八億二千万円を全額受領いたしております。
 次に、このたびの「あやめ」二号について保険を掛けなかった周辺の事情でございますが、実は予備衛星がないということで、打ち上げ、追跡管制経費を打ち上げ保険によりまして充当すべく付保したけれども、「あやめ」一号につきましては、予備衛星がございましたので付保いたしましたけれども、ECSbにつきましては、打ち上げが失敗しても、再度打ち上げるべき予備衛星が存在しないという状況にかんがみまして、打ち上げ保険を掛けなかったわけでございますが、ここらの事情につきましては、実は先ほども申しましたように、保険市場がまだ十分成熟をいたしておりませんし、それからアメリカでのみ掛けて、アメリカで非常に成功して、三発とも成功した、そこでETSIIにつきましても日本で打ち上げ成功したということで、その後急遽、ECSの「あやめ」一号については、掛けるムードが盛り上がったわけでございますが、つらつら考えますに、この二号のときには、予備機が全然ない、さらに、ここらについての哲学といいますか、どういうふうに保険を掛けるかという点についても、必ずしもまとまっておりませんでしたので、予備機がないから掛けても意味がないということ、さらに完全に実験機であるということで掛けなかったわけでございます。
 以上がその周辺の事情でございます。
#122
○木内委員 いまるるいきさつについてのお話を承ったわけでありますけれども、どうも予備衛星がない、打ち上げ予定が次の段階で計画されておらない、したがって、掛けなかったという公式的な見解をよく耳にするわけであります。しかしながら、事業団の関係者の方でございますとか、あるいは大蔵省のコメント等をよく洗ってみますと、実は保険を今回掛けなかった本当の理由というのは、その辺にあるのではなくて、むしろ衛星打ち上げに関する保険の考え方が、政府としても、あるいは科学技術庁としても十分策定されておらなかった、そのために掛ける掛けないの判断に事業団が、たとえば大蔵省、会計検査院のグループと科学技術庁との間の板ばさみになって非常に悩んでいた、こういう事実もあるのではなかろうかというふうに思うのです。
 昨年の打ち上げの失敗の後、大変な予算が投下されてしまって、これはまずいじゃないかという指摘があったときに、事業団の人が、実はかくかくしかじかで掛けてあったのですと、こっそりと恐縮するようなていでこれを発表したというようなことがあるわけであります。さらにまた事業団の方が、保険を今後どうするかで非常なジレンマに悩んでいるという時期もあったというように聞いているのです。
 やはり同じ事業団の幹部の発言で、われわれは大事な国費を使っているのだから実は掛けたいのだ、ところが大蔵省がなかなか首を縦に振らない、必ず科学技術庁なり大蔵省の方からクレームがつく。もっと言えば、成功すればしたで、何で保険を掛けたのだ、どぶに捨てるようなものじゃないかと言う。失敗して掛けてなければ、何で掛けなかったのだと言われる。これは現場で技術開発なり打ち上げに奔走といいますか、懸命に努力をしている事業団の立場を考えれば、まことに不安定な状態だというふうに思うわけであります。
 私は、この際、大臣にもこれは関連してお聞きするわけでありますけれども、保険に対する考え方というもの、これを契機にはっきりさせていくべきじゃないかというふうに思うのです。むしろアメリカあたりの実験データで見られるような成功率の非常に高い環境に日本はないわけです。この後触れるわけでありますけれども、どうも失敗率が高いから、保険料率というものがさらに厳しい状況になってくるという予想も、私も、実際に関連保険会社の航空部長等に会って聞いてみました。こういう状態じゃ、いままでの保険料率ではとうていお相手できません、あるいはもう受け入れられないかもしれないということまで言っているわけですが、この問題は別にしまして、現時点において保険を今後原則的に掛けるなら掛けるというふうに姿勢を明らかに打ち出す必要がある。私は、掛けるべきだと思うのですが、その点どうでしょうか、まず局長にお聞きして、それから大臣にもお聞きします。
#123
○勝谷政府委員 次の衛星を打ち上げますまでには、先生御指摘のように、十分対策を練らなければいけないと私ども考えております。ただ、これは関係者も多いことでございますので、断定的なことを申し上げるわけにはまいりませんが、私どもいま検討しております方向といたしましては、近く実用衛星が逐次出てまいりますが、このものにつきましては、実際にユーザーとして使用される方々が多いわけでございますから、その方々の意見を尊重いたしますが、恐らく掛けろということになろうかと思います。
 一〇〇%実験的なものにつきましても、予備衛星なり予備ロケットがあるときには掛けた方がいいのではないかという感じを持っておりますが、先生御指摘のように、すべてのものに掛けるかどうかについても、次のロケットを打ち上げるまでに検討いたしたいと思っております。
 したがいまして、少なくとも次の段階で打ち上げが予測されております気象衛星二号のときは、予備衛星もございますし、予備のロケットも考えられますので、保険を掛ける方向で検討を進めていくことを御報告しておきたいと思います。
#124
○長田国務大臣 確かに、国あるいは国に準ずるものでやります事柄につきまして保険を掛けるか掛けないかにつきましては、いろいろな考え方がまだございますし、それから、ただいまの御指摘のように、対象物によって保険料の高低の問題など、現実の支出の金額のことも出てまいりまして、ただいま局長からお答え申し上げましたように、次の段階までにいろいろな考え方を整理して対処してまいりたい、そのように考えております。
#125
○木内委員 いまの大臣の答弁を聞きますと、局長の方が非常に具体的で前向きなんですよ。
 実際問題として、いまの局長なり大臣の答弁、私は、前向きのものとして受けとめてみたいといりふうに思いますが、基本的に実用衛星なり実験衛星等の違いはあるにしても、少なくともあらかじめのそういう計画の策定なり、基本的な姿勢を決めないで、いたずらに失敗したときに事業団だけが責められるというのは、私は間違いだと思うのです。やはり技術開発の、あるいは実用化へのそういう努力をしている現場の関係者が、そうした不安であるとかあるいは懸念を持たずに作業ができるような環境づくりをすることが私は必要だと思います。
 その意味で、これはいまもお話がありましたように、保険を掛けるという方向で一定のルールづくりを行うということですから、その点もぜひよろしくお願いしたいと思います。
 さらに今後、保険を掛ける際の予算のやりくりをどうするかということで、事業団が大変悩むケースがいままで多かったわけでありまして、当然今後、そういう配慮も行われると思うので、この点もひとつよろしくお願いしたいと思うのです。
 最終的に保険への加入、非加入ということは、科学技術庁が決めて、実施を事業団がするという考え方でいいでしょうか。
#126
○勝谷政府委員 この点も、先ほど御答弁申し上げた線と連なるわけでございますが、ユーザーが決まってまいりますと、ユーザー負担がございます。将来すでに開発が決まっております衛星につきましても、ロケットを含めまして六割がユーザー負担、四割が国の予算ということになっておりますので、六割負担をしておりますユーザーサイドの意思が相当入ることになろうかと思います。したがいまして、六割のユーザーの御意見と四割の予算を使っておりますNASDAの意見を調整いたしまして、私ども役所がさらにユーザーの所管官庁と相談しながら決めていくことになろうかと思いますが、いずれにいたしましても、先生御指摘のように、どちらにするかわからないというようなことがないように、関係省庁と十分打ち合わせをして、事前にその方向を決めたい、かように考えております。
#127
○木内委員 ついては、先ほども触れたわけでありますが、保険料率の問題であります。いま二億八千万掛けて失敗した、二十八億返ってきた。ところが、関連の保険会社の皆さんの話を、私も直接会っていろいろ聞いてみました。こういう打率の悪い実験、打ち上げというものは、われわれの検討に値しないというところまで、個人的に言い切る人もいるくらいなんですね。したがって今後、この保険の料率をどのように考えていくかということ、さらにまた、アメリカの査定基準というものが、いままで承るところベースになっているようでありますけれども、わが国独自の査定のあり方というものも出てくるのじゃないか。逆に言えば、非常に心配しているわけです。今後の実験の成果を踏まえての――成果といいますか、成功の見通しを踏まえての保険料の査定の考え方は、どういうふうにお持ちになっているのか、お聞きします。
#128
○勝谷政府委員 日本のこの打ち上げに関する保険市場というものが必ずしも成熟していない点は、先生も御認識のとおりでございますが、先ほど申し上げましたように、従来掛けておりますわが国の保険は、打ち上げ保険のみである点が一つ、それから初めて保険を掛けたのは、アメリカに打ち上げてもらったときで、その後日本で打ち上げた星で掛けたのは「あやめ」の一号のみである、この二点であります。いずれも打ち上げ保険であり、しかもアメリカで打ち上げたものが初めてで、その後日本でやったのは一つに限られている、こういう意味で、わが国における保険市場は必ずしも成熟いたしておりません。しかしながら今後は、この保険市場が逐次成熟されることを私どもも期待をいたしております。この監督の立場にある役所とも十分相談をしながら進めていくことになりますが、いずれにいたしましても、日本の保険グループだけで保険を形成するわけにいきませんで、やはりアメリカやロンドンの市場の再保険を待って初めて形成されるわけでございます。したがいまして、保険料率の決定はかかって再保険の査定にあるわけでございまして、これは先生御指摘のように、成功率とか保険すべき金額とかというようなことにかかっておるわけでございます。大体一〇%だということが言われておりますが、従来のわが国の保険の料率は九・何%ということで、国際的に見ても不利益な保険料率ではなかったと考えるわけでございます。
 この「あやめ」が二発失敗いたしましたので、今後どうなるかという問題でございますが、これも国際的な保険市場がこれをどのように認識するかということにかかっておりますが、私どもは、たまたまこのたび二つ失敗いたしましたけれども、この失敗の中身が、るる申し上げておりますように、ロケット分野では成功いたしまして、衛星についても最終の時点でのアポジモーターの点火に失敗したということでございますので、何かそのような各段階についての成功の点を十分認識してロンドン市場でも決定するようでございますので、従来の一〇%程度という保険料率は今後も保てるのではないかという期待をいたしているところでございます。
#129
○木内委員 いま言われたような一〇%というのでは、とうてい対応できないという声も実はあるのですけれども、その発言を信じて私も今後見守っていきたいと思います。
 それから保険については、従来にない非常に前向きの答弁をいただきましたので、これに対しては一定の評価をしながら、やはりその実現を見守っていきたいと思います。
 次に、スペースシャトルの問題を聞くわけでありますが、ことしの八月に打ち上げられる予定のスペースシャトルに搭載される予定のスペースラブの実験テーマに関して公募が行われたわけでありまして、わが国も東大の宇宙航空研究所の大林教授という方の案が採用されたが、これがどういう内容になっていて、科学技術庁なり大臣としては、この点に対してどういう評価をされているのか、簡単で結構ですから……。局長で結構です。
#130
○勝谷政府委員 五十七年を目標にいたしまして、粒子加速装置を積み込みまして、レーダーを空中に打ち込むことによりましてオーロラの研究をするというテーマにつきましてスペースシャトルを利用する方向で東大は進めております。
#131
○木内委員 局長、いまお聞きしましたのは、この宇宙航空研究所の教授の案が採用されて、スペースラブの一環として参加ができるようになっているという事実、これについての評価がどうかということをお聞きしたわけです。
#132
○勝谷政府委員 ポストアポロ計画の中心でございますこのスペースシャトルのアメリカのプロジェクトにつきましては、私ども、当初はスペースシャトル計画自体への参加も呼びかけられたわけでございますけれども、当時における日本の国力、技術水準等々考えまして、その方向をスペースシャトルを利用したわが国の実験、技術開発等々の参加に向けたわけでございますが、その一部といたしまして、東大のこの参加につきましては、私ども宇宙開発委員会としても、一つの方向として計画に組み込んでおります。
 一方、スペースシャトルを利用しての第一次材料実験につきましても、これは宇宙開発事業団の線でその開発を進めているところでございまして、いま、その二つの線でスペースシャトルを利用する実験計画に取り組んでいるというのが実情でございます。
#133
○木内委員 どうもお話を聞いていますと、科学技術庁のスペースシャトルへの積極的な取り組みの一環としてスペースラブへの参加が行われたというふうな印象がまずあるのですが、これはそうじゃないのです。
 もう一つは、製作段階において実際アメリカから呼びかけがあった、これに対して具体的な取り組みを行ったというふうなニュアンスに受け取れるのですが、どうも実際そうじゃないのです、局長。
 このシャトルの製作段階において、NASAが当時広く各国の参加を呼びかけてきたのです。この呼びかけに対して、ESA、ユーロピアン・スペース・エージェンシーあるいはカナダは、これに参加したのですけれども、わが国はこのとき参加していないんですね。実はその前提として、このスペースラブへの参加をどう評価するか聞いたわけですけれども、どうも答弁がちぐはぐになってしまいまして、私も残念なのです。
 まず、NASAからスペースシャトルへの参加の呼びかけが、具体的に、いつどういう形であったのか、これをお聞きします。
#134
○勝谷政府委員 昭和四十五年の一月に、NASAはポストアポロ計画といたしましてスペースシャトル等の計画を示しまして、宇宙開発の潜在的能力を有する国々に参加を呼びかけました。
 これを受けまして、宇宙開発委員会では、昭和四十五年の七月からポスト・アポロ計画懇談会を設置いたしまして、同計画に関する国際協力問題についてわが国の基本方針を検討したわけでございます。そのとき、先ほど答弁いたしましたように、シャトル計画への積極的な参加は、むしろスペースラブを利用する実験方向で協力をさせていただこうという方針を決めたわけでございますが、先生御指摘のこのセパック計画につきましては、五十七年にこの計画でスペースラブ計画に参画するということで一つの方向を打ち出しているわけでございます。
#135
○木内委員 いずれにしても、この問題で私は、今後積極的な宇宙開発への技術参加というふうな取り組みが十分行われなくてはいけないという観点から、過去の例を振り返って、その取り組みの姿勢に甘さがあったのではないかということを指摘したいわけであります。
 このポスト・アポロ計画懇談会で一生懸命優柔不断に結論を出し得ないまま検討を進めているうちに乗りおくれたというのが実相ですね。これは事実なんです、私もいろいろ調べてみましたが。
 しかし、過去のことは過去のことといたしまして、当時を振り返って、全面的にESAやあるいはカナダが参加したようなトータルな意味での技術参加はでき得ないまでも、あるいは部分的な技術参加なりあるいは各パーツ部門での参加は考えられなかったのかどうか、この点をお聞きしたいわけです。
#136
○勝谷政府委員 私ども、先ほどの懇談会で種々検討いたしまして、わが国の対処すべき方向を決めたわけでございますが、お言葉を返すようで恐縮でございますけれども、そのときの報告書は、第一は、当時のわが国の宇宙開発は開発に着手したばかりでございまして、Nロケットプロジェクトに初めて第一歩を踏み出したわけでございますので、協力すべき宇宙関連技術の定着を図ることをまず優先さすべきではないかという意見でございました。さらに、このような国際的なプロジェクトに参加することの意義は認められますけれども、開発経費が大きくなることが予測されましたので、わが国の負担能力を考えて、やはりこのたびは、先ほど言いました利用の面で参画すべきではないかということでございました。
 当時の予測されます数字を申し上げますと、アメリカ側が当初発表いたしましたときは四兆二千億の計画である、そして現実にはこれが二兆七千億になったわけでございますが、現実に参加いたしましたESAの参画は約二千億円でございますし、カナダにつきましては二百億円の協力をいたしておるわけでございます。わが国といたしましては、当時着手したばかりの、まだ開発規模も小さいときでございましたので、また参画するにも、先生おっしゃるように、一部の部品ということも考えられますけれども、宇宙関連技術自体がまだ定着をしていなかったということでございます。さらに米国においては、検討の過程におきまして、スペースシャトル自体は他の国の介入を許さないという方針が途中からまた出てきたわけでございます。
 このようなことでございましたので、わが国といたしましては、このスペースシャトル計画への参画は、むしろ利用に重点を置いて参加すべきではないかということになりまして、さっき言いましたような方向での参加、一つは、先生おっしゃったセパックの方向、いま一つは、第一次の材料実験という二つの方向で参画する方針を決定して、いま、その路線で着々と進めているのが実情でございます。
#137
○木内委員 いまのお答えでは十分納得できませんけれども、次の問題に移ります。
 宇宙開発体制の一元化という問題でお尋ねをするわけでありますけれども、現在わが国の宇宙開発体制というものは、科学衛星は東大の宇宙研究所、それから実用衛星は宇宙開発事業団、こういう二本立てで行われているわけでありまして、現行の二本立てのあり方というものについては、たびたび指摘をされているところでありますが、まず東大の宇宙研究所並びに宇宙開発事業団の事業内容について、簡単で結構ですから説明してください。
#138
○勝谷政府委員 わが国の宇宙開発は、宇宙開発委員会のもとに東大の事業も事業団の事業も調整されて、総合的かつ計画的に進められておりますが、具体的に申し上げますと、人工衛星打ち上げ用ロケットの開発につきましては、原則として宇宙開発事業団がこれを行うということでございますが、そのうちの科学分野の衛星打ち上げ用でございますミューロケットにつきましては、従来からの開発の経緯とか科学衛星の打ち上げに使用するものに限っておりますこと等にかんがみまして、その信頼性が十分に得られるまで東京大学で行う、これもミュー3S改をもって終了するということになっております。
 次に、人工衛星の開発は、実利用分野を目指したものは、宇宙開発事業団が行うこととしておりますが、宇宙科学の研究に密接に関連している科学衛星の開発につきましては、原則として東京大学において行う、そして東京大学で打ち上げました人工衛星の追跡につきましては、東京大学からの依頼によりまして事業団がこれを行うというように仕分けをしております。
#139
○木内委員 この情報の交換でありますとか技術の提携等、当然これは一本化されることが望ましいわけでありまして、いまのミューロケットの設計段階等を踏まえて、いずれ一本化される方向になるであろうと私も考えるわけでありますし、また要望するわけですけれども、一本化のいわゆるめどといいますのは、時期的にいつごろを想定されているのか、その辺についてお聞かせください
#140
○勝谷政府委員 一本化と申しますのが、ロケットにつきましては、先ほども申し上げましたように、ミュー3S改の開発をもって終了いたしますので、六十年の早い時期には完全に移るものと思いますが、ロケットの技術開発的な分野は、依然として東大にも残されるわけでございます。さらに衛星につきましての科学衛星分野は、東大並びにその他の大学の分野でございますので、そこでやっていただくことになろうかと思っておりますが、いずれにしましても、宇宙開発委員会の総合調整のもとに行うということが第一点。
 それから、従来のようにばらばらにやるのではなくて、十分関係の間で、東大並びに宇宙開発事業団、さらには航空宇宙技術研究所が一体となりまして、相互に、人材の交流も含め、技術委員会の検討等ともまちまして、従来以上に一体的運営をするという方向で進めることになっておりまして、これはいつということではなくて、ことしでも一歩一歩その方向の実を上げたいと考えているところでございます。
#141
○木内委員 実際の具体的なこの時期をお聞きしたかったわけでありますけれども、すでに今年度中から着々とこの一本化なり調整に向かってのそういう努力をなさっているということでございまして、これは私、もう遠からず具体的な形として浮び上がってくるのではないかと期待をしているわけです。
 それで、約一週間前の四月三日のことでありますが、宇宙開発事業団のトップと東大の航空研究所の所長、このトップ同士が初めて公式的に交流の場を持ったということを仄聞いたしましたが、この機会というのは、いま局長がお答えになったような一環の布石として、このスタートとしてとらえていいでしょうか。
#142
○勝谷政府委員 先生御指摘のように、四月の三日に東大と事業団と科学技術庁、文部省の四機関からなる検討会が発足をいたしました。それぞれの関係の責任者が中心になって行っております。ここでは研究協力、人材交流等につきまして、具体的な両者の協力関係を検討するということになっておりまして、これ以外につきましても、両者間で協力が必要となるその他の問題についても逐次検討するということに決定をいたしておりますが、あくまでもこれは関係の事業団並びに東大が一体的にその開発の結果、研究の結果を相互に利用し合って、わが国の宇宙開発を一体的に運用するという点での会合でございまして、一本化するという、組織が何か一つになるということではない点は御認識いただいているとおりでございます。
#143
○木内委員 一本化はしないけれども、意思の疎通は図っていくというふうな感じに受け取れましたけれども、私は、それではむしろ隠れみのになってしまうのではないかというふうに思うのです。いま言われたこの四者の懇談会というものが初めて公式に持たれた、それで、今後定期的にこれは持たれるのですかと聞いてみたら、実はその予定はない、定期的ということは決まっていない、その都度ということなんですけれども、これはあくまでも儀礼的な感じが非常に強いのではないかというふうに思うのです。ですから、たとえばこれを定期的に持つなり、あるいは人的な交流を行うなり、あるいは技術、情報等の交換をルール化する、こういう必要があるのじゃないかというふうに私は思うのです。これは科学技術庁の大臣にも、ぜひその辺の前向きな御答弁をお願いしたいと思うのですが、どうでしょうか。
#144
○長田国務大臣 科学研究を目的とする大学と事業団等は若干目的も違いますので、衛星自体についてある程度別個なことを目指しながらやっていくということにつきましては、私は、現在の時点ではやむを得ないような感じもいたします。しかし、ロケットにつきましては、先ほど局長がお答え申しましたように、大規模なものについては、今度は事業団の方で一元的にやることにして、東大側はいままでの経験なり知恵を十分そちらに生かすということ、衛星につきましては、そこまではまいれないと思いますけれども、共通の面は非常にたくさんございますし、まず一体と同様の運用がなされることが非常に望ましいと思っております。従来、その点につきまして、きわめてうまくいっていたというところまでは言い得ないのではないか、そのような若干の反省も持ちながら、今後、両者が一体的にやってまいるように努力をしてまいりたいと思います。
#145
○木内委員 いまの問題に関連しますけれども、局長、今後の事務レベルでの交流でございますとか、さっき申し上げた人的交流の具体的な進捗が図られる必要があろうと思うのです。あるいは会合をルール化するというふうな問題ですね、具体的にひとつ前向きな答弁を願います。
#146
○勝谷政府委員 私ども、いま大臣から御答弁いただきました線で、四月三日の会合はトップクラスの会合でございましたので、次は事務レベルにおろしまして、むしろ先生御指摘のようなルールづくりをしたい、かように考えております。
#147
○木内委員 局長、済みませんが、いまの件でもう一回……。
 このとき四者の代表としてお出になったメンバーはどういう人でしょう。
#148
○勝谷政府委員 東大宇宙研は野村所長ほか森教授、平尾教授が御出席になっております。それから事業団は鈴木副理事長、平木理事、山口システム計画部長、科学技術庁は神津審議官、宇宙企画課長、宇宙開発課長が出席しております。文部省は大崎審議官、研究機関課長、重藤調査官、およそ実質的な人はすべて出席しております。
#149
○木内委員 いまのメンバーの顔ぶれを聞きますと、今後のトップの大臣同士の取り組みによっては、相当に前進が期待され得るし、また、さっき申し上げたようなことで、これが逆の場合には隠れみのになってしまうというふうなことを懸念するわけでありますが、今後の実際を見守っていきたいというふうに思います。
 さらに、議論としては時期尚早かもしれませんが、一本化を行う場合の人員、施設、費用などの問題も当然今後煮詰められていかなくてはいけないというふうに思うのです。たとえば発射場ではいま内之浦と種子島があるわけですけれども、この辺の扱いはどうなるでしょうか。そういう議論はもうすでに進んでいますか。
#150
○勝谷政府委員 議論すべき事項の一つになっております。ただ、この方向は、種子島一本にすると言いましても、地元との問題もございますし、純技術的な問題以外の社会的、経済的問題も含めての検討になろうかと思いますが、いずれにいたしましても、検討すべき項目の一つに入っております。
#151
○木内委員 きょうは、この宇宙開発の問題とあわせて、原発の安全管理という問題についてもお聞きしようと思いましたが、残念ながら、あとわずかしか時間がございませんので、最後に、電磁流体発電、MHDの問題について、きょうは工業技術院からもお見えになっておられると思いますので、お聞きいたします。
 現在、工業技術院の手によって、ムーンライト計画の一環ということで、このMHDについては研究開発が進められているわけでございまして、五〇%以上の熱効率が期待できるといった点とか、時間の関係で省略しますけれども、その他いろいろな利点が、この電磁流体発電には考えられるわけであります。しかしながら、今後、実用段階に入るまでには、また、かなりの時間を要するということも認識をしているつもりでありまして、具体的なこの計画の実現に当たっては、私どもも今後しっかり勉強していきたいというふうに思っているのですけれども、そこで、まずMHDの開発の状況がどうなっているか、さらに世界各国における開発状況がどうなっているか、時間がありませんから、先に質問だけ申し上げますので、簡単で結構ですから、まとめてお答えください。いまのは二点目ですね。それから三点目は、外国との技術提携、共同開発についてはどういうふうな見通しを持っているのか。たとえば最近において、工業技術院の関係者がアメリカのDOEを訪問しているわけでありまして、この訪問内容を踏まえて、またダンカン長官からのお話もあって、二月ですか、先々月日本にミッションが派遣されてきた。これは意外と報道されておりませんで、非常にじみな分野だと思うのですけれども、その辺の技術協力の内容がどうなっているか。以上についてお答えください。
#152
○高橋説明員 お答え申し上げます。
 いま先生から御指摘ございましたが、MHD発電技術と申しますのは、非常に熱効率が高い、あるいは多様な燃料が使えるといったような非常にユニークな発電方式でございます。と同時に、超高温技術あるいは極低温技術といった限界技術を用いる、いわば革新的な発電方式、技術開発要素の多い発電技術という点も特徴でございます。そういうこともございまして、私とも早くから――昭和四十一年にこのプロジェクトは発足してございますが、四十一年以来、いわゆるナショナルプロジェクトといたしまして、工業技術院で取り上げまして進めております。現在その第二期計画目に入っておるわけでございます。ほぼ五十五年度、本年度中にマーク7という実験プラントを完成いたしまして、実験研究ができ得る見通しになりまして、そういう立場で鋭意進めております。
 この間、特に第一期の間におきましても、五百キロワット・三時間のMHD発電を、超伝導マグネットを使って実施したというようなことで、これは当時、世界記録であったわけでございますけれども、世界的にも評価していただいておるわけでございます。と同時に、現在のマーク7と申しますのは、長時間、大規模という立場からやっておりますが、百キロワット・二百時間という試験設備でまずいろいろな耐久性とかそういうものをやる、こう考えますと、百キロワット・二百時間と申しますと、技術的にはかなりいいところまではいっておりますが、実用化への道のりはまだ遠い、がんばらなくちゃいかぬ、こういうような立場にあろうかと存じます。
 世界的に見ますと、このMHD発電は、ソビエトとアメリカが非常に力を入れてやっております。かつてイギリス、フランス、ドイツもやっておりましたが、現在では余り活動が行われておりません。現在、世界で日本とアメリカとソビエトがMHDの先進国と申しますか、一生懸命やっている国だと思います。ソ連に関する情報は正確には把握しておりませんが、現在五十万キロワットという実用規模に近い実験プラントを建設中というぐあいに聞いております。アメリカにおきましても、ここ三、四年前から非常に力を入れておりまして、一九九〇年ごろを実用化技術を完成する目標というぐあいにいたしまして、非常に精力的な研究開発をやっておる状況でございます。
 こういう世界的な動きの中で、いま先生からお話がございましたけれども、米国から共同開発についてのお話がございました。私どもは、このMHDがいま申し上げましたように、非常に多くの技術的研究開発要素を持っておる、かつ非常に大規模な開発であるというものでございますので、両国が何らかの形で協力していくことが非常に望ましいという立場でございまして、協力のあり方等につきまして今後の課題として検討いたしております。
 たとえば、いまお話がございましたけれども、昨年秋以来、私どもの担当研究開発官の米国派遣あるいはこの二月の米国エネルギー省の担当部長の訪日等を通じまして、日米双方のMHD発電の研究開発状況の情報交換とかあるいは意見交換を行っている段階でございます。今後、こういう効率の高い発電方式の研究開発の必要性はますます高まるわけでございます。MHD発電方式はまだ多くの技術的なリスクがございます。あるいは本格開発のために、かなり長期間あるいはお金も相当かかるというものでございます。今後とも、私ども慎重に検討し、この開発に取り組んでいきたい、そういうぐあいに考えております。
#153
○木内委員 大分はしょった質問の仕方で大変恐縮でした。それから、きょうは原発の問題も予定しておりまして、児玉審議官あるいは向原子力発電安全管理課長等にお見えいただいておりましたのですが、質問できませんで、この点おわびいたします。
 以上で終わります。
#154
○瀬野委員長 中林佳子君。
#155
○中林委員 私は、まず原子炉施設の保安規定の問題でお伺いしたいと思うわけです。
 島根原子力発電所の原子炉施設保安規定は、昨年の六月十九日に第七次改定が行われたわけですが、これは昨年のTMI事故の教訓を反映されたもの、このように思われるわけですが、この島根原発の原子炉施設保安規定のどの部分に主に取り入れられたのか、手短に回答をお願いします。
#156
○児玉(勝)政府委員 先生いまおっしゃいましたように、スリーマイルアイランドの事故を一つの教訓といたしまして、通産省といたしまして運転管理に関する監査をしたわけでございますけれども、その結果等を入れまして、六月十九日に保安規定の変更認可をしております。
 ECCS関係について簡単に御説明いたしますと、炉心スプレー系につきましては、炉心スプレー系は二系列ございますが、一系列が運転不能の場合には、もう一系列について毎日の作動試験をするということでございましたけれども、それを低圧注入系の作動試験をもあわせて毎日試験をするというふうなことで、ECCS全体としての信頼性の向上を図るようにいたしました。
 二番目に、自動減圧系でございますが、これも原子炉の逃し弁一個が作動不能の場合は、従前はこの系統と機能的に補完し合うよう高圧注入系の運転試験を要求しておりましたけれども、その頻度が必ずしもはっきり書いてございませんでしたのを、毎日一回以上行うというふうに改正いたしております。
 それから、高圧注入系及び低圧注入系につきましては、従前の内容で十分なものと判断して、表現上の明確化だけを図った次第でございます。
#157
○中林委員 いまのように、反映されたとおっしゃるわけですけれども、地元では、これは保安規定ではなくて不安規定だ、こういう声があるわけですね。たとえば、いまおっしゃいました緊急冷却装置の規定の部分、第六節の非常用冷却系の部分の三十一条の二項ですね、「前項の確認において一系列が運転不能な場合は、十日間に限って原子炉を継続して運転することができる。」、こういう規定があるわけですが、一系列が運転不能な場合、十日間も故障したままで運転し続けることができる。私は、二系列完全なままで運転するのが最も安全だと思うわけですし、また、この十日間という設定の仕方ですが、その基準が一体どこから来ているのか。そして三十一条の二項では「十日間」となっているわけですが、これが三十七条まで、いろいろな場合を想定して十日から三十日間というふうないろいろな日にちの設定の仕方をしているわけですね。ですから、その根拠は一体どこから来ているのか、こういうことをお尋ねしたいと思うのです。
#158
○児玉(勝)政府委員 先生おっしゃいますように、二系列ございました場合には、二系列がともに健全な状況で運転されるというのが最も望ましいわけでございますけれども、その二系列の場合におきましても、一系列が運転中は一系列についての点検の頻度というのは必ず決めてございまして、一年間全然点検なしで動かすということではないわけでございます。たとえて申しますと、いまおっしゃった非常用冷却系の運転中における定期検査は、一カ月に一回実施するということにしてございます。それで、一系列がいま故障になりましたので、今度は一系列の故障確率の回数をふやすということで毎日一回ということでございまして、それで、十日間でもしもう一系列の運転機能が回復しなければ、そこで運転を停止しなければならないということにしてございます。これは運転に関するいわゆる機器故障の確率を考慮いたしまして、二系列の場合の運転の頻度と一系列の場合の運転頻度と運転時間というのを考えておるわけでございます。
#159
○中林委員 確かに、ただし書きだとか一系列故障の場合はどうのこうの、こういうことがあるわけですが、いま期間をなぜそういう設定にしたかという答弁漏れがあるわけで、後でお答え願いたいと思うわけですけれども、これまで原発には五重にも六重にも安全装置が取りつけられているから大事故になる心配はまずない、絶対安全だ、こう言われてきた、しかし、昨年のTMIの事故で二次冷却水のパルプの不調というごくささいなミスが引き金となって次々とミスが重なって、それに人為的ミスも加わって、メルトダウン寸前の大事故となった、起こり得ないということが起きたわけなんですね。したがって、現在の軽水炉システムには安全装置が幾重にも設けられているからといって万全だとは言えないということが立証されたわけなんです。ですから、この保安規定ももちろんTMIの事故から学んでいかなければならないのですが、いまのお話では、私はまだ学んでいない、こう思うわけです。
 だからこそ、地元の松江市議会では質問書を中国電力の方に出すほどの保安規定が通っているわけなんです。だから、こういうのが通れば、県民は非常に不安を感じざるを得ない、こういう状態なんです。軽水炉そのものが安全ではないのですから、二系列が完全に安全だ、運転できるのだ、こういうことが確かめられて、初めて最も厳しい保安規定、TMIの事故から学んだ保安規定だ、こういうふうに思うわけですけれども、先ほどの十日間の根拠と、そしていま私が述べたようなことに対する所見をお伺いしたいと思います。
#160
○児玉(勝)政府委員 先ほど申し上げましたように、二系列の場合の一系列が故障した場合には、毎日点検して十日間という故障確率と、それから二系列健全で一カ月に一回ずつ二系列を片方ずつ点検するという故障確率とが同じである、したがって、十日という日にちが出ておるということでございます。
 それから、スリーマイルの問題でございますけれども、機械と運転員のインターフェースの問題がスリーマイルの場合の大きな教訓であったと思っておりますけれども、そういう意味で、この点検の場合の保守員のいわゆる義務と、それからチェックという問題について、この保安規定も十分そういう点を考えてやったつもりでございますので、私たちとしては、スリーマイルアイランドの教訓を十分組み入れてやっておるというふうに考えております。
#161
○中林委員 それでは具体的にお伺いするわけですが、多分ことしだったと思いますが、九州電力の「玄海」の蒸気逃がし弁の故障がありましたけれども、このときの対応ですね、それと、そのときの保安規定は一体どうなっていたか、その点についてお伺いします。
#162
○児玉(勝)政府委員 逃がし弁につきましては、これは安全装置と申しますよりも、運転の調整装置というふうにわれわれ判断しておりまして、したがいまして、二つあるうちの一機がだめになった場合には、その元栓を締めまして、もう一つの調整弁でもって運転してよろしいというふうに保安規定に決められておるわけでございます。
#163
○中林委員 実質対応は、規定どおりそうされたわけでございますか。
#164
○児玉(勝)政府委員 規定どおりそういうように運転させたわけでございます。その後、逃がし安全弁につきましては、もう一方の不良になりました弁の内容につきまして、もう少しよく詰めてから対応すべきではないかということ、それからスリーマイルアイランドにおきましても、逃がし安全弁の問題がございましたので、不良になった原因についての究明をする必要があると思いますし、また一方の逃がし安全弁が不良のまま何日にもわたって運転するということは好ましいことではないわけでございますので、給電上都合のつくときのなるべく早いうちにとめて、点検に入るように指示しております。
#165
○中林委員 私が昨日聞いた話では、保安規定ではそのまま運転続行できるけれども、実質的にはとめた、こういう話だったんですね。ですから、保安規定と実際の対応にはギャップがあるということが、あの「玄海」の事故でも明らかだと私は思うわけです。
 さらに、通産省の方にきのう絵をかいていただきまして、島根原子力発電所の炉の中の冷却装置の部分をかいていただいたのですが、そのときに、たとえば格納容器の中で、こういう弁ですね、その辺が故障した場合は絶対に十日は運転できない、要するに十日間というのは、きのうの説明を受けましたら、修復期間だというような説明もあったわけですね。ですから、こういう格納容器の修復というのは、とめなければできないわけで、保安規定とそれから実際の対応にはもうすでにギャップがある、こういうふうに思うわけですけれども、その点はいかがですか。
#166
○児玉(勝)政府委員 先生おっしゃいますように、ドライウエルの中の弁の漏洩という場合には、これは中の不活性ガスを抜きませんと中に入れませんので、修復はできないわけでございます。ただし、先ほどおっしゃいましたような高圧注入系のような場合のポンプの問題、これはドライウエルの外にございますので、点検ができるということでございます。
#167
○中林委員 保安規定の中には、ポンプだけの故障は書いてないんですね。一系列が故障の場合とかそういう書き方なんですね。ですから、実際にそのまま十日間運転できるというのは、安全性を確保させる上から言っても、また実際の対応から言っても、もうすでにギャップがある、そういう意味で、通産省はもっと厳しく実際の対応もできるような保安規定にすべきだという指導をぜひ強める必要がある、このように私は思うわけですけれども、いかがですか。
#168
○児玉(勝)政府委員 先生おっしゃいますように、一系列の中には、それはポンプもありますし、バルブもございます。そういうことで、その一系列の中のどこが故障したらどうするというようなことについては、特に保安規定には決めてございませんけれども、その一系列が何かの原因でだめになったということであっても、もう一系列の点検頻度を上げて十日間までは運転してよろしい、その十日間のうちに修復できるものがあれば、修復すればまたもとどおり運転が継続されるわけでございます。そういうことで、安全のいわゆる確率の問題としては同等に扱っておるわけでございまして、また、そういうECCSの上の補修につきましては、通産省に届け出をさせまして、その修復の内容をわれわれにも伝えることになっておりますので、それによっては、先生おっしゃるように、それはとめてやった方がいいのじゃないかというようなこともわれわれは大いに指導したい、こう考えております。
#169
○中林委員 一系列云々の故障というのは、保安規定上ないというようなお話がありましたけれども、先ほど読みましたように「一系列が運転不能な場合は」と、こういうふうにちゃんと書いてあるんですよ。ですから、一系列というのは、先ほどの絵で言いましたように、ずっとこういう冷却装置が動く系列を一系列と言うのだと私は思うのです。だから、そこの一ポンプだけじゃなくて、その系列の中のある弁だとかそういうところが故障しても、系列の一つの故障だというふうに思うわけですね。ですから、いまの説明ではちょっと納得できませんし、ぜひ実際の対応ができるような保安規定に直させる、もっと厳しく保安規定はさせていく、そういう姿勢で各電力会社を指導していただきたい、このように要望いたしまして、次の問題へ移らしていただきます。
 いよいよ四月一日から筑波研究学園都市が後期のスタートをしたわけです。これは閣議決定が昭和三十八年七月十日にされてから十六年九カ月たちましたし、また用地買収が昭和四十一年十二月ですから、それから数えると十三年四カ月、筑波研究学園都市建設法の制定から数えればもう十年の歳月がたって、世界でも例を見ない大事業が、概成期限を延ばしに延ばしながらどうにか概成にこぎつけた、こういうことになっているわけですが、大臣の所感をお伺いします。
#170
○長田国務大臣 ただいま御指摘のような経緯を経まして、五十四年度末四十三の国立試験研究機関が移転を完了したわけでございます。
 科学技術庁におきましては、各種の国立試験研究機関、それから大学をこの都市に集中することが、わが国の研究開発推進のために、非常に有効だというような観点に立ちまして、この計画の推進に当たってまいったところでございますし、また、そのための具体策としまして、筑波研究学園都市におきます共同利用施設設備につきましての研究会の開催をいたしましたり、あるいはまた研究交流センターの設置などによりまして、この筑波研究学園都市が今後のわが国の研究開発におきまして中核的な役割りを果たし得るよう努めてきたところでございます。
 なお、五十四年度末に予定されておりました四十二機関の移転がすべて完了された現在、いよいよ研究機関、大学などの集積的効果を発揮すべき段階に参ったというような見方をしておりますし、今後は、その学園都市におきます研究交流等が一層推進されますよう、生活環境その他万般にわたります施設の整備につきましても、深い関心を持ってまいりたいと思います。
 なお、六十年に予定されております国際科学技術博覧会などは、独自の目的を持ったものでございますけれども、副次的には、この研究学園都市の充実ということにも相当貢献するのではないか、そのような考え方も持ちながら、これを取り進めてきた次第でございます。
#171
○中林委員 いよいよ今年度から後期の段階に入っていくわけですが、これまでの取り組みについて総括をし、反省をし、その教訓を引き出して後期の計画に生かしていく、より一層充実さしていく必要がある、こういうふうに思うわけですが、政府として、どのようにこれまでのことを総括なさり、反省なさり、教訓を引き出していらっしゃるのか、その点についてお伺いします。
#172
○井上説明員 お答え申し上げます。
 国土庁が従来から関係各省の建設事業を公共団体の意見も取りまとめながら推進をしてきたわけでございますが、振り返ってみますと、十七年にわたって建設をしてきたわけでございますが、いずれにいたしましても、世界に類例を見ないユニークな、かつ大規模な都市の建設でございます。そういう意味からは、比較的順調に進んできたのではないかというふうに私ども考えている次第でございます。ただ、御存じのような状態でございまして、一応施設自体、先行的に整備すべきような施設もでき上がり、四十三の国の試験研究機関も立地したわけでございますが、やはり日常生活の面でも、まだまだ十分な都市機能が充実しているとは考えられません。また交通機能等につきましても同様でございますので、やはり今後、人口の定着を推進する、あるいは都市の機能を充実して、都市の成熟を図っていくというようなことが重要な課題であろうというふうに考えているところでございます。
#173
○中林委員 そういう総括の仕方だから私は大変困る、このように思うのです。なぜならば、比較的順調に進んできた、こういう総括があったわけですが、どうして比較的順調かと思うわけです。昭和三十九年の十二月の閣議、これは口頭了解になっておりますけれども、新都市の建設は四十年より着手、おおむね十年で完成、五十年には完成だ、こういうことを言っているわけですね。それから、その次に昭和四十四年の六月十三日の閣議決定で、昭和四十三年度を初年度として前期五年、後期五カ年、二期に分けておおむね十年で完成、それから、また昭和四十八年にも五十年度末を目途に移転を行う、それから五十年の三月に、おおむね五十四年度を目途に移転を行う、このようにくるくる変わって、やっとこさという感じがするわけです。ですから、比較的順調に行われたというような総括では、これは全く納得ができない総括の仕方であるというふうに私は思うわけです。
 さらに、取り組みが大変甘いと私が思いますのは、建設法の四条で定めることになっている研究学園地区建設計画、これがいまだに決定されていないわけです。また同建設法の八条で周辺開発地区整備計画の承認、これをうたっているわけですが、いまだに総理大臣の承認はされておりません。さらに昭和四十五年五月十二日、参議院の建設委員会で附帯決議が出されておりまして「研究学園地区建設計画は、年次計画を作成し、建設を計画的に推進すること。」、こういうこともあるわけですね。これはいわば法律がちゃんとつくられ、それを守らなければいけないわけですし、委員会での附帯決議もそれを守るように努力していくということが政府の責任だと私は思うわけなんです。ですから、この国会の決定をサボタージュしてきた政府の責任というのは、私は非常に重大だと思うわけなんです。
 先ほど言いました研究学園地区建設計画及び周辺開発地区整備計画の承認、これは一体いつ行われるのか。あるいは大臣に、政府のこうしたいわば国会決定を無視してきたやり方、これについての責任をどのようにお感じなのか、この点についてお伺いします。
#174
○井上説明員 先生御指摘のように、筑波研究学園都市建設法に地区建設計画をつくるようにというふうに規定があるわけでございますが、何しろこの都市といいますのは、未知の分野の問題でございまして、非常にむずかしい問題が横たわっているところでございまして、法律でかっちりしたものを決めるよりも、弾力的な運用で推進していくことが適当であろうというような判断もございまして、この都市の建設の基本的な方向といたしましては、現在の国土庁長官を長にいたしまして、各省の事務次官を委員にいたしております研究学園都市建設推進本部を設けまして、そこでいろいろなことを検討してまいったわけでございまして、その推進本部によりまして、昭和四十六年に建設計画の大綱をつくっておりまして、それに基づきまして、各省協力し合い、地元も協力し合って、建設を進めてきているというところでございます。
#175
○長田国務大臣 先ほど比較的順調にというお答えを申しましたのは、ほかの大きな国家的プロジェクトなどの進捗状況などとの比較においての御返事だ、そのように私は理解しておりますし、また先ほどお話のございました国会決議等の遵守の仕方ということにつきましては、それぞれがその御決議を尊重しながら努力しているところでございますので、その点は御理解を願いたいと存じます。
#176
○中林委員 いま室長の方から、大綱だとか概要だとか、そういうのがあるのでというようなお話があったわけですが、それはあくまでも大綱だというふうに思うわけです。世界でも例を見ない一大学園都市を建設するのに、法律に基づくそういう建設計画、これは内閣総理大臣がやらなければいけないことになっているわけですね。それだけ重きを置いた法律なわけですよ。それを守っていかない、こういう大綱などでお茶を濁すからこそ、次から次にいろいろな問題が起きてきていると私は言わざるを得ない、このように思うわけなんですね。
 ですから、いまはその大綱があるからということで、今後一体、それでは建設計画そのものをつくるのかどうか、その点についてお伺いします。
#177
○井上説明員 筑波研究学園都市の建設につきましては、中心部の研究学園地区と周辺開発地区の二つに分けて計画を立てて進めることにいたしております。中心部の研究学園地区につきましては国が計画を決めていく、周辺地区につきましては知事が計画を決めていくということになっております。中心の研究学園地区と周辺地区が均衡のとれた開発、発展がなされるべきものでございますので、周辺地区の計画の行方も十分見ながら検討していくべきものだと考えております。
 現在のところ、県で周辺の開発の計画もある程度煮詰まりつつございますので、それを見ながら、われわれの方といたしましても、建設計画の作成につきまして検討を進めていきたいというふうに考えております。
#178
○中林委員 非常に対応が遅いというか、たとえば県のそういうのを待ちながらというような、国の方が後からついていくというようなやり方では、県もなかなかできないだろう、こういうふうに思うわけです。確かに茨城県が出しているのですよ、ですけれども、それがいまだに大臣の承認にはなっていないということもあります。国の方は大綱だけ出して、茨城県の整備計画ですか、それを待って決めるというようなことで、一体いつできるのか全く不安なわけですね。
 今後の問題として、これは早急に具体的な中身を入れながら計画を立てていかなければ、学園都市の住民や研究者の要望にこたえることはできないのではないか、世界に誇る学園都市建設がおぼつかないのではないか、こういうふうに思うわけです。
 ですから、一応いまこれまでの総括があったわけですが、計画性が非常に弱かった、こういう一項目をぜひ加えてもらうような総括をしてもらわなければ困る、こういうふうに思うわけなんですが、その点いかがですか。
#179
○井上説明員 先生の御意見を十分尊重いたしまして、がんばって検討してまいりたいと存じます。
#180
○中林委員 それでは、いわば今後の都市の充実、こういうものが非常に大切になってくると思いますので、ぜひいままでの反省を生かして、今後の都市開発あるいは建設に十分取り入れていただきたい、このように思います。
 それで、今後の計画の問題で質問させていただくわけですが、昭和五十三年四月六日の内閣委員会でわが党の柴田議員が、移転するすべての試験研究機関の技術記念物のリストを早急にまとめる必要がある、そして筑波移転機関の貴重な資料を保存する科学博物館などの施設の建設を提案したわけですが、これに対して当時の熊谷長官が「私も非常に共鳴いたしておるところでございます。博物館構想は非常に結構なお考えであると思っております。今後、筑波学園都市の実質的な完成と並行いたしまして、ひとつ前向きに取り組む」、このように約束をしているわけなんですね。わが国初の空中窒素の固定に使用されたリンデ式空気液化分離機とか、あるいは五百三十二種類にも及ぶ繭の品種とか、こういう日本の産業、科学技術の発展上、非常に貴重なものがたくさんあるわけですね。
 そういう意味で、このように約束されていることもありますので、これらのリストアップ及び博物館建設問題が一体どのようになっているのか、後期の計画にどのように位置づけられているのか、お答え願いたいと思うわけです。
#181
○園山政府委員 お答えいたします。
 先生御指摘のように、各研究機関が古くから伝統を持っていろいろ研究開発してきた非常に貴重な資料、機器、設備等につきまして、これを保存する、あるいは国民にこれを展示するということは、非常に貴重なことであるという認識を私どもも持っているわけでございます。
 先生御指摘のように、たとえば筑波研究学園地区に、そのような博物館と申しますか記念館というものを建設いたしまして、各機関が東京から移転してまいります場合に、そのようなものを散逸しないようにそこに集中展示するということは、私どもも、理想的には非常に望ましいと考えておるところでございます。しかしながら、やはり非常に財政の厳しさもございまして、私どもそこまで力が至りませんで、御指摘のような従来の研究所の貴重なものというのは、それぞれ各省庁あるいは研究機関において、いま保存の方法あるいはリストアップ等をしておられるというように了解いたしております。
 私どもは、やはり現在まだそういう構想ができて、おりませんけれども、将来に向かいましては、できるだけこの学園地区の中で、非常に意義のあるものと思いますので、努力をいたしていきたいと考えておりますけれども、御承知のような財政状態で、いつごろそういうものができるかというようなことをはっきり申し上げられる状態にないところが事実でございます。
#182
○中林委員 重要性は認めながら、財政事情などの点からいつと言うことができない、こういうふうにおっしゃるわけですが、私は、年次計画そのものがないところに、いつということが約束できない、スケジュールが立てられないということになっているのじゃないかと思うのです。せっかく当時の大臣がお約束なさったことなのに、まだ具体的なスケジュールさえ立っていないということは、私は大変問題だというふうに思いますので、ぜひ大臣の御答弁が実現できる方向で、せめてリストアップは何とかまとめていただくような方向で早くやっていただきたいと御要望をしておきます。
 さらに、研究交流センターの問題で、これには二百名程度の国際会議室が一つと、それから一般会議室が三つ、それから資料閲覧室と情報検索室が各一室ということで、世界の筑波、日本の筑波、こう言ったとしても、非常に貧弱なものだというふうに思うわけです。研究交流施設としては、千人程度の収容能力がある国際会議場の建設の構想がある、こういうふうに聞いているわけですが、それはそれとして、日本の筑波として学会だとか業界だとかあるいは科学者、技術者団体の事務所とか会議所、集会所、そして安く民主的に利用できる科学者会館とでも言いましょうか、そういうような施設も急いでつくる必要があるのではないか、こういうふうに思うわけですが、科技庁としてはどのようにお考えでしょうか。
#183
○園山政府委員 お答え申し上げます。
 研究交流センターにつきましては、ただいま先生御指摘のような設備をもちまして筑波地区での研究交流に寄与しておるところでございますが、非常に多数の方々に利用していただいておりまして、五十四年度では会議場を使用された人員が一万五千名程度、視察された方等を入れますと二万五千名程度という数字を聞いております。
 今後につきまして、先生御指摘のような大会議場はともかく、いわゆる科学者、研究者が有効に使えるようなホールその他を備えましたものというのは、私どもも、これは非常に有意義なことと考えるわけでございます。私どもといたしましては、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、昭和六十年に国際科学技術博覧会の計画を持っております。これは博覧会そのもののためということではなくて、この地区に必要なことと思いますが、私どもは、やはりそういう機会も活用いたしまして、いろいろと今後の努力を続けていきたい、このように考えておるところでございます。
#184
○瀬野委員長 ちょっと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
#185
○瀬野委員長 速記を起こして。
 中林君。
#186
○中林委員 速記をとめるということにまず抗議をいたします。
 それで、結局どうなったのですか、続けていくわけですか。あとかなり質問があるわけですが、速記をとめることだけ抗議いたします。
#187
○瀬野委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後三時二十三分休憩
     ――――◇―――――
    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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