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1979/05/08 第91回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第091回国会 科学技術振興対策特別委員会 第14号
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1979/05/08 第91回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第091回国会 科学技術振興対策特別委員会 第14号

#1
第091回国会 科学技術振興対策特別委員会 第14号
昭和五十五年五月八日(木曜日)
    午前十時三十分開議
 出席委員
   委員長 瀬野栄次郎君
   理事 小沢 一郎君 理事 塚原 俊平君
   理事 石野 久男君 理事 上坂  昇君
   理事 貝沼 次郎君 理事 中林 佳子君
   理事 米沢  隆君
      狩野 明男君    椎名 素夫君
      玉沢徳一郎君    中村喜四郎君
      船田  元君    保利 耕輔君
      日野 市朗君    木内 良明君
      瀬崎 博義君    林  保夫君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      長田 裕二君
 出席政府委員
        内閣法制局第三
        部長      前田 正道君
        科学技術庁長官
        官房長     下邨 昭三君
        科学技術庁原子
        力局長     石渡 鷹雄君
        科学技術庁原子
        力安全局長   牧村 信之君
        資源エネルギー
        庁長官官房審議
        官       児玉 勝臣君
 委員外の出席者
        運輸省船舶局首
        席船舶検査官  野口  節君
        運輸省船舶技術
        研究所長    佐伯 宗治君
        参  考  人
        (日本原子力船
        開発事業団理事
        長)      野村 一彦君
        参  考  人
        (日本原子力船
        開発事業団専務
        理事)     倉本 昌昭君
        特別委員会第二
        調査室長    曽根原幸雄君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法
 律案(内閣提出第二六号)
 日本原子力船開発事業団法及び日本原子力研究
 所法の一部を改正する法律案(石野久男君外四
 名提出、衆法第三七号)
     ――――◇―――――
#2
○瀬野委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案及び石野久男君外四名提出、日本原子力船開発事業団法及び日本原子力研究所法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 両案審査のため、参考人の出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○瀬野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 なお、参考人の人選、出頭の日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○瀬野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
#5
○瀬野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石野久男君。
#6
○石野委員 私は、実はこの法案の審議、採決を非常に急がれるものと思っておりましたら、諸般の情勢で非常にゆっくりと審議をしてもいいような状況になっておりまするので、できるだけひとつ初歩的なところからの御質問をさせていただきたいと思います。
 しかし、それにしても、どうしても一つ聞いておきたいことがあるのです。それは「原子力船研究開発の進め方について」という原子力委員会のなにが出ておりますけれども、これをずっと見ておりまして、原子力委員会というのは、「むつ」のあれだけの問題があったことについて、安全性ということは全部安全委員会にお任せしちゃったのかなという感じが私にはするのです。これだけの法案の中に炉の安全とかという安全の問題で一つの文言も入っておりませんね。どうも考え方の問題として、この法案というのは、修理をして一日も早く動かそうということだけに熱心なお考えのように思われますけれども、実は五十二年の段階で、私たちは、現事業団法というものをどういうふうにすべきかということで、とにかく与野党の間でいろいろな意見を交わしまして、一定の方向性というものは出したわけです。そのときには、安全性の研究が何よりも大切だというようなことで、そういう方向に法案の改定の仕方を持っていこうと思っておりましたが、この四月十一日の安全委員会の「進め方について」に安全性ということが一言も入っていないということは、何か意味があるのかどうかということを先に聞かしていただきたいと思います。
#7
○石渡政府委員 安全問題につきましては、原子力の研究、開発、利用の大前提として考えておりますので、特にこの四月十一日付の文書においてそれを申し述べなかったという事情であると理解いたしております。
    〔委員長退席、貝委員長代理着席〕
#8
○石野委員 安全委員会もあることですから、原子力委員会は安全の問題はそちらにお任せだという意味かもしれませんし、それが大前提だからということかもしれませんが、「研究開発の進め方」ですから、もうちょっと安全性の問題についても関心のあり方というものがどこかで示されてもよかったなという気が実はするということだけは申し上げておきたいと思います。
 きょうは、事業団の理事長さんにひとつお伺いしたいのですが、安藤委員会がいろいろと改修の問題について検討なさっていらっしゃる、その中には、改修についての一応のスケジュールが出ておりますけれども、このスケジュールは、どの程度まで現在進められておって、いまどのくらいのものが残っておるのかということについて御説明をいただければと思います。
#9
○野村参考人 安藤委員会の御指摘に基づきます諸般の業務につきましては、私どもは、これを今後の業務推進の一つの大きな指針として、これに基づいてやっていっておるところでございます。その間、諸般の体制につきまして、先生御案内のように二つの大きな柱がございまして、一つは、遮蔽改修の工事、一つは、それと並行して行われる安全性の総点検でございます。
 遮蔽改修の工事につきましては、いままでこの場で議論をされたわけでございますが、諸般の事情から、本年の四月に関係の施工者と基本的な合意ができましたので、ただいまから遮蔽改修の工事に取りかかる準備をして、すでに一部その準備が開始されておるということで、遮蔽改修工事はその緒につき始めたということでございます。
 それから、安全性総点検につきましては、これは大きく分けまして、いわゆるハードウエアと申しますか、機器、機械等のそういう物的な面についての点検と、それからソフトウエアと申しますか、この機器、機械を運用するためのいろいろの解析とか分析とか評価とか、そういうものに分かれるわけでございます。ハードウエアの点検につきましては、御承知のように回航後からすでにそれぞれの部分につきまして点検を行っておりますし、ソフトウエアについても、すでに関係の機関の協力をいただきまして実施をいたしておりますが、まだこれについては、今後、遮蔽改修と並行してやらなければならない部分、あるいは他の原子力研究所等権威ある専門の機関に御指導をお願いしてやっていく面等がございまして、これは目下進行中ということでございます。
 大筋の話といたしましては、大体いま申し上げたような状態でございます。
#10
○石野委員 余り細かいことはわかりませんけれども、五十年の十一月に出た第一次報告の中の「「むつ」総点検・改修スケジュールの概要」に示された年次でいきますと、これはそれぞれみんなスケジュールは組まれておりますけれども、わかりやすく言いますと、これはどこまで進んでいるか。上から順序に安全性の検討、遮蔽の改修、安全性の総点検というようなことでスケジュールが組まれておりますが、これはどういうところまで行っているのか。私、赤線を引っ張ってみたいので、教えてください。
#11
○倉本参考人 この遮蔽改修につきましては「遮蔽改修のスケジュール」というのがございますけれども、このうち遮蔽改修設計、概念案の作成、基本計画、基本設計は現在全部終了いたしました。関連実験につきましても、ここに述べてあるものは一応終了いたし、現在、改修工事にこれからかかるという段階に来ております。
 それから、安全性総点検の関係でございますけれども、原子炉のプラント機器の点検でございますが、これにつきましては、制御棒駆動機構試験は現在まだ行われておりません。それから機能確認試験でございますけれども、これには一応十項目ほど挙がっておりますが、そのうちの七項目について一応手をつけております。その七項目のうち五項目は完全に済んでおりますが、二項目につきましては、一部を終了いたしておるという段階でございます。さらにSGの開放点検、細管探傷試験あるいは一次系の配管探傷試験、これについてはまだ着手をいたしておりません。
 それから、原子炉プラントの設計の再検討につきましては、現在ほとんど大半のものについては一応終わって、最終的な取りまとめの段階に至っております。
 事故解析、関連実験研究でございますが、この実験の方は一応終わりまして、事故解析等につきましても、一部についてはまだ現在解析の実施をいたしておるという状況でございます。
#12
○石野委員 そうしますと、この図でいきますと、線をずっと引っ張っていくとすれば、もちろん複合しておりますから、この一本の線だけではなかなか――進んでいるものもあれば、おくれているものもあると思いますけれども、大体これでいきました場合には、この図の中で遮蔽の改修は、大体五十一年度の基本設計が終わったところまでは一応そういうふうに見ていいわけですか。それよりもっとずっと、五十二年度の方へずっと入り込んで詳細設計、そこらまで進んでいるということですか。
#13
○倉本参考人 遮蔽の改修につきましては、現在も、ちょうどこの線でまいりますと五十二年度の終わったころの時点、詳細設計に、一応工事関係の部面が設計に入っておるという段階だと御理解いただきたいと思います。
#14
○石野委員 そうすると、安全性の総点検の点では、本来からいけば五十二年度の中ごろまでに一応の予定コースは終わるということになっておりますね、これはそのように進んでいると見てよろしいのですか。それともまだ、先ほどいろいろなプラントの設計の再検討とか炉のプラントの事故解析云々というのが大分残っておると言いますから、これは必ずしもここで全部終わっているというふうには見られないですか。
#15
○倉本参考人 安全性の総点検は、非常に項目が多うございますので、この一本の線ではちょっと申し上げにくいのでございますが、そのもう少し前に、総点検のスケジュールが二−五というページにございますが、この表でごらんいただきますと、先ほどもちょっと申し上げましたが、一番上のプラント機器の点検というところでは、一番上の制御棒駆動機構試験、これがまだ実施されておりませんし、それから機能確認試験、これの十項目のうち七項目の実施を、まだ一部若干残っておりますが、大体昨年度行っております。それから、その次のSGの関係の試験と一次系配管探傷試験、これは今度遮蔽改修工事が始まりますと、その段階でやる予定にいたしております。それから、その次のプラントの設計の再検討、これにつきましては、ほとんどの項目について一応検討を終わりまして、現在取りまとめをやっておるという段階でございます。それから、次の最後のプラントの事故解析及び関連実験研究、この実験研究は一応終わりまして、一部解析についてはまだ現在若干行っておるというような状況でございます。
#16
○石野委員 このスケジュールの上からいきますと、船はドックに、佐世保に行きまして、いろいろカキを落としたり何かする、中には入っていないようですけれども、このスケジュールはいつごろから始まり、そして中のいわゆる具体的な炉に近づいた改修工事へ手を加えていきました場合、この予定どおりに、これは五十三年ですから、法案によりますと来年の十月ぐらいまでですね、法案というよりも五者協定によるところのドックの使用の期限というものがあるので、それまでの間にこのスケジュールを完全に満たそうとした場合、少なくとも仕事にはいつごろからかからなければいけないのでしょうか。
#17
○倉本参考人 現在、改修工事につきましては、すでに一部の準備工事と申しますか、一部工事にかかっておるという状況でございますので、現在の状態で大体来年の十月までには全体の作業を完了し得る、かように考えております。
#18
○石野委員 ちょっとわかりにくいのですが、私の聞いていることは、今度これだけの仕事をやらなければいかぬわけですね、いまのところ、現状ではまだふたをあけることも何もできないわけでしょう、少なくともふたをあけるようになるのには、来年の十月のいわゆる契約期限内に一切の仕事を終わるのには、少なくとも船の中で仕事をしようというのには、いつから始めなければいけないかということをちょっとお聞きしたい。
#19
○倉本参考人 現在のスケジュールでは、私どもの方は、準備工事が終わり次第と申しますから、大体七月の終わりごろには工事に取りかかれるというぐあいに考えております。
#20
○石野委員 取りかかれるのじゃないんですよ。私の聞いているのは、五者協定によって佐世保ドックを使用している期間中に仕事を仕上げてしまわなければいけないわけでしょう、皆さんにとっては。新定係港だとか何かの問題もありますけれども、少なくとも来年の十月までには仕事をしてしまわなければいけないわけだね、その仕事をしてしまうために、このスケジュールを完全にこなさなければいけませんが、こなすためには最初の開始期間が非常に問題だろうと思うのです。ですから、それは少なくともそれ以前に何カ月必要なのかということを私は聞いているわけです。
#21
○倉本参考人 現在私どもといたしましては、七月の終わりか、遅くなっても八月の初めころには、その工事といいますか、ふたをあけることができれば、この工期に間に合わせられるというぐあいに考えております。
#22
○石野委員 そうしますと、この予定でいきますれば、私は仕事の内容はわかりませんけれども、少なくともこの安藤委員会が一次報告で、約四年間をかけて一応運転調整試験にまで入るというスケジュールができているわけですが、そのうちプラントの設計の再検討などは、五十年、五十一年のスケジュールは大体こなしておりますという話ですね、これはこのままで不具合点の対策の点検、補修工事(要すれば)という、こういうようなものは、作業が始まったときに同時並行でやるものだろうと私は思いますが、その他のもので、予定されたこれだけのものをやるためにあと二年間ここは必要になっているわけですよ。
 大体、お話を承ったところによりますと、原子炉プラント機器の点検は、五十年度の点検方法の検討というところまでは大体いっておるけれども、あと制御棒駆動機構試験というものは、これから始まるわけですよ。いよいよ炉に近づかなければやれないことでしょう。そうすると、当初段階では二年ないし三年というものを予定しておったものを一年間でやれるのですかということを私は聞いているんですよ。
#23
○倉本参考人 この安藤委員会に出ております安全性総点検スケジュール、遮蔽改修工事のスケジュールでございますが、これは直接工事に関係をいたすものだけではございませんで、その工事を始めるまでにいろいろやらなければならないもの、どういうものをやるかということで、一応のスケジュールが引かれておりまして、この時点ではまだ修理をどこでやるかというようなことも決まっておらなかったわけでございます。佐世保で修理を行います工事は、この線表でまいりますと、むしろ五十三年度以降のスケジュールになるわけでございます、いろいろ出入りはございますけれども。それで、この総点検関係のもので、いまのプラント機器の点検等が、これは佐世保に行ってからこの試験を一部始めたというようなことで、若干このスケジュールよりはもちろんおくれておるわけでございますが、その試験をどこでやるかということにつきましては、現在の工事の計画との関連におきまして、いつやるかということを決めていきたい、それは工事の間の適当な時期にこれをやるということにしておるわけでございます。
#24
○石野委員 私は、余り専門家じゃないものだからわからないのだけれども、そうすると、要するに原子炉のプラント機器の点検というのは、修理工事が終わってしまってからやるという意味なのですか。
#25
○倉本参考人 いえ、制御棒駆動機構試験は、工事が終わってからしかできないわけでございます。それからこの機能の確認試験、SGの開放点検、一次系配管探傷試験等は、工事の間にやるわけでございます。
#26
○石野委員 そうでしょう。だから、たとえば工事が終わらなければできないものと工事をしている間にやらなければならぬものとがこの中に皆複合しておるわけですよね。ですから、これを五十一年、五十二年度で単純に見れないということは、私どももよくわかるんですよ。わかるのだけれども、一番上の制御棒駆動機構試験というのは、工事が終わってからだということにしましても、その下の方にある機能確認試験、まあそれは別として、少なくともSG開放点検とか一次系統の探傷試験とかいうものは、工事中にもいろいろやらなければいかぬわけでしょう。そのためにこれでは一定の時間をとっておりますね、しかも、それはある程度時間差を置きながら計画されております。それを、時間が詰まってくればダブって同時点検ができるものなのか私はわかりませんですよ、あるものをやった後にやるのか、同時にやれるものなのか、それはわからないのだけれども、計画書によれば、まずSGの開放点検をやった後で一次系の云々、こういうふうに出ているわけですよね。だから私たちが見ると、そういう順序でいった場合には、一年間で計画しておったもの、それから一年半ないし二年に入るべきものを一年間に詰めてしまうということは、非常に無理が出てきやしないのかという疑問を持つから聞いているのです。だから、そういうことはできるのですかどうですかということなんです。
#27
○倉本参考人 これらの試験につきましては、遮蔽改修の工事の中で十分できるというぐあいに私どもの計画では考えております。と申しますのは、遮蔽改修の工事の初期の段階では、現在ついております遮蔽材の取り外しとか、そういうようなことがございますので、その間においてこれらの点検はできる。なお、この探傷試験を行いますための機材等については、全部私どもでこれらの開発をして、技術の確立は一応できておる、準備は一応済んでおりますので、工事の方の段取りがつけばこの試験にはすぐかかれるということになっております。
#28
○石野委員 細かいことはわかりませんが、作業が始まれば、大体このスケジュールの順序のものは、短絡してと言ってはいけませんけれども、時間を詰めてでもやれるというふうに理解いたしますが、しかし、無理が出るのではないかなという感じが素人なりにするということだけはここでつけ加えておきます。
 それと同時に、五者協定によるドックの使用期間が来年の十月までだということは非常に問題であろうと私は思っておるのです。したがって、それまでにやるために七月か八月ごろに仕事ができ始めればといまおっしゃったけれども、このスケジュールは大体一年以内でこなせるのだということですから、そこで無理の出ないようにということを希望しながらそういうふうに受けとめておきますが、その場合に、もし七月末に仕事に入れなかったということになると、当然のこととして、来年のドック使用契約期限内よりはみ出なければならないような事態になる可能性は出てまいりますか。それとも来年の十月までに突貫工事でぐぐっとやるつもりなのですか。
#29
○野村参考人 いま申し上げましたようなスケジュールで五者協定の期限内に終えるように、いま最大限の努力をいたしつつあるわけでございます。
#30
○石野委員 いろいろな事情で予定どおりに仕事が進んでいない、ところが一番最後の壁は決まっておるとしますと、どうしても突貫工事をやらなくてはならない事態が出てくるだろうと思う。しかし突貫工事というのは、いろいろな意味において事故を併発する危険性もございまするし、それだけに、安全性を第一として考えなくてはならない工事でございますから、私どもとしては、ますます危惧を持つ内容になっていくわけですね。そこのところは問題があるだろうということだけは申し上げておきたい。
 そこでこの際、大臣にお聞きしておきたいのですけれども、原子力船「むつ」のあり方の問題についてもまだ非常に問題がございます。これはまた後で私は論議したいと思いますが、ただ、修理をするということについて、当初段階で三年間という予定を持ったものがもう一年半遊んでしまった、そうすると、あと一年半なのにまだ工事の段取りを組むことができないような事情にあるとしました場合に、いまお話しのようにスケジュールどおり期限内に必ずやらなければならぬということになると、ずいぶん無理がいく仕事だと思います。
 それで、原子力安全委員会と原子力委員会とは、それぞれ業務分担が違ってきておりまするので、安全委員会がこの修理工事にどの程度の口を差しはさむことができるかどうかわかりませんけれども、原子力委員会が安全性の問題を中心にして物事を考えているとはいいながら、どうも私は――五十年から五十一年、五十二年、五十三年と、各委員会を通じてこの問題の検討がずっとなされてきて、そして最終的には、この四月の原子力委員会のいわゆる「進め方について」の見解が出ているわけです。
 同時に内閣は、やはり三月二十八日の決定で原子力開発利用基本計画というものを出しておられる。その基本計画を見ました場合に「遮蔽改修工事及び安全性総点検を早急に進めるとともに、同船の新定係港に関する調査を行う。」と書いてありまして、そしてこの「事業団を日本原子力船研究開発事業団に改組の上、従来の「むつ」開発業務に加えて、原子力船の開発に必要な研究として舶用炉の最適化に関する研究を行う。また、船舶技術研究所においては、原子力船についての基礎的研究を進める。」という方針が出ているわけです。この方針と原子力委員会の見解を見合わせてまいりますと、開発優先という傾向がどうしても強いんですね。どのように見ましても開発優先の傾向が強い。「むつ」の問題の最大の教訓は、安全性の問題だったと思います。最近、年月がたつに従って開発の方向だけが非常に焦りぎみに出てきているように思われる。特に二十一世紀には、もう競争の時代に入るのだというようなことだけが先行しまして、安全性の問題が非常に軽視されがちではないか。口の上では安全性を言われておりますけれども、実際の行動を見ますと安全性というものは軽視されている、こういう傾向があるように私は受けとめておるのです。
 それに加えて、いまこの改修工事の実態を見ますると、だんだん時間が詰まってくるし、その折衝が相手としても非常にむずかしいということもございまして、特に事業団は非常に短い時間の中に長期計画のものを詰め込んでしまわなければならぬというような実情に追い込まれているということになりますと、これを管理監督なさる皆さんとしては、特に科学技術庁としては、相当な決意をお持ちになって安全性に留意していただかないといけないと思うのです。大臣は、そういう点についてどういう御所見をお持ちになられるか、お聞かせ願いたい。
#31
○長田国務大臣 ただいま御指摘の点は、私どもがよほど気をつけてまいらなければならない点だと存じております。
 なお、三年間が一年半になったということも、大ざっぱに申しますとそういうことも申せると思いますが、いままでの期間も全く空費しておったわけではございませんので、佐世保に回航以来、たとえば船底の貝がらを除去するとか船底あるいは船体の塗装だとか、あるいはまたどういうふうにこれの遮蔽改修をやっていくべきかということなどにつきましては、事業団はもとよりでございますが、関係の業界などにおきましても、それぞれ内部におきまして検討を進めていたということは、四月二日に一応「むつ」の工事の問題が軌道に乗りまして以来、科学技術庁内はもとよりでございますが、事業団の方にも参りまして、安全性無視ということはいささかもあってはならないことでございますが、その点に十分配意しながら、全体の総力を結集して、そして通常の状態ではないといいますか時期も迫られている、大変なことをやり遂げるのだという決意のもとにやっていただくべく、それぞれ強く要請をし、あるいは激励をしてまいっているところでございまして、残されました期間は、確かに三年という面から見れば半分でございますけれども、いままでのいろいろな内部的な準備というようなこと、あるいはいままでのうっせきした、待ち構えておった気持ちというものを、それぞれ関係者が、爆発という言葉はちょっと適当じゃございませんけれども、強く結集しまして、期間内に安全も十分考慮した上でやり遂げる、ぜひそういうふうにしてもらわなければならないと思いますし、また不慮の事態等が起こりません場合にはやり遂げられるのではないか、そのような見通しも持ち得ている次第でございます。
#32
○石野委員 ちょっと時間が過ぎましたけれども、最後に一言申し上げておきたいのですが、この修理工事というのは、原子力船「むつ」の当初段階で考えた計画よりもずいぶんと成功の度合いも違ってきているし、予算的な面でも違ってきておりますし、それから地域住民なり国民全体から期待されたものが、むしろ逆の方向で見られるような状態になっておりまして、すべての面で問題の多い仕事でございます。かてて加えて、佐世保における仕事になりますと、今度は業者が仕事をしているわけでございますから、業者間の利害関係というのが当然出てくるわけです。ひさしを貸して母屋を取られるような仕事をするばかはだれもいないのでございますから、そこでは大家さんの方で意見が出てくるのも当然のことだと私は思う。これはいたずらにその人だけを責めることはできないと思ったりもします。したがって、やはりこの仕事の遂行に当たりましては、それ自体そういう問題を含めているということをよく考えながら対処すべきであろう、こう思うのです。
 安全性の問題については、私は、むしろ船の安全なのか、炉の安全なのかということをもう一度お聞きしたいとさえ思っておりますけれども、これはまた他日に譲らしていただきます。大変追い詰められた仕事をするようになって、事故の起こらないように、それからそごを来さないように、これをひとつ、私は特に注意を喚起しておきたいと思います。
 終わります。
#33
○貝沼委員長代理 上坂昇君。
#34
○上坂委員 日本原子力船開発事業団法の一部改正案に関連して質問をいたしますが、まず、いままでずっと大分長いこと一切の機械がとまっているわけでありますが、普通、機械でも何でもそうなんですが、とめておくと機能が非常に低下をする。これは住宅でも何でもみんなそうで、使ってないとだめになっちゃうのですが、こんなに長く使わないでほっておいて、その点は大丈夫なのですか、船から、機械から、炉から一切を含めまして。その点をお答え願いたいと思います。
#35
○倉本参考人 現在「むつ」は、放射線漏れを起こしまして、大湊へ帰港いたしまして以来、私どもは「むつ」自身を常にいつでも使えるという状態に維持するために、乗組員一同、自主点検という形で船の維持管理に努めてきておったわけでございます。そのため、むつから佐世保に回航をいたします際におきましても、運輸省の方の臨時航行検査等を受けた際におきましても、非常に健全な状態であったわけでございます。その後、佐世保に参りましても、なお現在、維持管理につきましては従前どおり進めておるという状態でございます。
#36
○上坂委員 原子炉の中については点検ができるのですか。
#37
○倉本参考人 原子炉と申しますか、原子カプラントのうちでいわゆる狭義の原子炉、いわゆる圧力容器、燃料の入っております部分につきましては、これはふたをあけるというわけにまいりませんので、圧力容器の中については点検はできませんし、いたしておりません。
#38
○上坂委員 原子炉の二次遮蔽の部分、ここのところはできると思うのですが、肝心の圧力容器の中はわかりませんね。ほかのところを修理して、修理が終わった時点で、今度はその圧力容器の中、これの点検はどんなふうにいつ始まるのですか。
#39
○倉本参考人 圧力容器の中につきましては、燃料を入れまして以来、燃料の健全性を保つということで、その中に入っております一次冷却水の水質管理に努めておりますし、また圧力容器の健全性を保つということで、そのためのいろいろな手段を講じてきておるわけでございます。また、一次冷却水そのものにつきましても、定期的に分析を行っておりますし、その結果によりましても、燃料体そのものは健全であるというぐあいに私どもは理解をいたしております。
 それから、いよいよまた工事が終わりまして、再び出が上昇試験を行うというその前の段階におきましては、私どもといたしましては、圧力容器、また、その内部についても、できれば点検もしたいというぐあいに考えております。
#40
○上坂委員 実験船ということは、原子力を使って船がうまく動くかどうかということを研究、実験をするものなのですか。
#41
○石渡政府委員 そのとおりだと理解をしております。
#42
○上坂委員 そうしますと、原子力の炉の出力、そういうものが速力なり、あるいは将来いろいるなものに使う場合の船のトン数とか大きさとかそういうものに関係がある、こういうふうに考えていいのですか。
#43
○倉本参考人 実験船「むつ」といたしましては、舶用原子炉といいますか、原子炉が舶用としての特性と申しますか、それに対応して原子炉というものがどういうぐあいに動くか、動かせるか、また、それらの外的な影響としてどういうものが実際出てくるかというような点についてのデ一夕をとる。また船の場合には、陸上と違いまして、いろいろ海象、気象あるいは出入港の場合に出力がいろいろ変動するということもございますので、それらの条件下で原子炉の運転がどういうぐあいになるのか、そのための基本的な外的条件のデータ等も一応とって、それらを今後の舶用炉の設計のための資料にする、そういうための各種の試験を行うということでございます。
 したがいまして、基本的には、直接実験船で得たデータを、船の大きさということよりも、むしろ舶用炉というものに関連をしたデータをとる。そして将来各用途が出てまいりますと、あるいはスピードでございますとか出力でございますとかそういうものに対応した設計というものが出てくると思いますけれども、やはり現在世界の情勢といたしましては、舶用炉としての標準設計というものを確立して、たとえば三万馬力、五万馬力、十万馬力といったような型の標準設計の原子炉をつくりまして、これをその船に搭載するという方向で、現在、標準設計の開発という方向の研究が進められているというところでございます。
#44
○上坂委員 そこで、修理をして動くようになった場合には、洋上に出て、いまおっしゃったような実験研究が行われることになると思うのですが、その場合、もし定係港が決まらなかった場合には、年じゅうぐるぐる回っていることになりますか。
#45
○倉本参考人 船の修理ができまして、実際に原子炉運転をいたします前には、やはり臨界試験と申しますか低出力の試験というものを一応やりまして、その上でだんだん出力を上げていきまして、それで一〇〇%なり、いわゆる航行できるような状態が安全性とともに確認をされた状態で実際の試験航海あるいは実験航海というものを行うわけでございます。その前の臨界試験等を行いますには、定係港と申しますか陸上付帯施設というものが完備をしておることが必要でございます。
#46
○上坂委員 そうしますと、まず定係港を設けて、そこで係留をした状態で臨界までずっと出力を上げていった、そして臨界に達して、これで異常ないといった場合には海上に出ていく、こういうことですね。
#47
○倉本参考人 定係港岸壁で臨界試験、さらにできますれば低出力のといいますか、出力の上昇試験二〇%程度までは岸壁でそのままやりたい、それが順調にいきまして、これで出力を十分上げても差し支えないということが確認されますれば、洋上へ出て試験を行うという手順で進めたい、こういうぐあいに考えております。
#48
○上坂委員 そうしますと、修理が完了する以前には、やはり定係港がどうしても必要になってくるんですね。
#49
○野村参考人 そのとおりでございます。
#50
○上坂委員 そうすると、定係港をまず決めるということが非常に大切になってくるわけですが、佐世保の場合には、定係港でなくて、定係港にならない港で修理をするという場合には、法律上のいわゆる手続といいますか、それはどういうふうになるのですか。定係港でないところで、そうした修理をしたりなんかするということについての手続です。
#51
○牧村政府委員 一般論的に申しますと、原子力船というのは、定係港でいろいろな修理も可能でございますけれども、船でございますので、先生御指摘のように、造船所等に入りまして、カキがら落としその他をやることがあるわけでございます。そこで、佐世保に入港するときには、現在の規制法あるいは「むつ」の設置許可上は、原子力船は原子炉をとめまして、いわゆる冷態停止の状態で出入渠等をして、そういう状態で諸種の工事等が行われるような手続をとることになっております。
#52
○上坂委員 そこで、定係港の問題でありますが、もし定係港が見つからない場合ということが一つと、それからもう一つは、いまのむつについては、これは完全に定係港でない、こう考えてよろしいかどうか。
#53
○牧村政府委員 現在の大湊におきます「むつ」の定係港でございますが、これは規制法で原子力船「むつ」を許可しておるときのあくまでも法的な定係港でございます。しかしながら、放射線漏れを起こしまして、現在修理等をやろうとしておりますが、その修理を実施している期間は、原子炉を冷態停止の状態で、そういう状態で所要の修理をいたしておりますので、そういう状態と関連いたしまして、むつの、四者協定等からまいりました撤去の問題があったわけでございますが、「むつ」の定係港につきましては、燃料交換施設、あるいは使用済み燃料を貯蔵いたしますポンド、それから当然、そういう取り出しを行いますに必要な燃料のキャスク、こういうものは、たとえばキャスクについては原研に預けてある、あるいは燃料交換に必要なクレーンにつきましてはそのかぎを青森県知事に預けておる、それからポンドにつきましては砂で埋めておるということで、一部定係港の機能を停止しておるわけでございます。
 一方、原子力船は、先ほども申しましたように、冷態停止でございますので、原子炉の安全上から見まして、そういう定係港の機能が停止しておりましても、十分安全は保てるということで処置しておるわけであります。
#54
○上坂委員 そうしますと、むつはまだ定係港であるというふうに考えていいわけですね。そうしますと、むつが定係港であれば、いまのところ、ほかに定係港を見つける必要はない、こういう論理になりますが、いかがですか。
#55
○石渡政府委員 大湊につきましては、先生御高承のとおり、四者協定というものがございまして、定係港を撤去するというお約束になっているわけでございます。
 その撤去の問題につきまして、現実にただいま安全局長から御答弁申し上げましたように、定係港の機能は停止しておる、船は出ていっておるという状態でございますが、こういう状態を、四者協定における撤去ということをいかに理解するか、どのように考えていくかということにつきましての理解の統一を図ろうということが現在の状態でございまして、このことは、昭和五十三年八月に当時の科学技術庁長官と青森県知事、むつ市長、それから青森県の県漁連の四者の会談がございまして、「むつ」が佐世保に回航された後適当なときに、このことについて相談いたしましょうということになっているわけでございます。近くこの四者の会議が行われまして、撤去問題の理解と解釈について御意見の統一が図られるのではないか、かように考えているわけでございます。
#56
○上坂委員 そうしますと、定係港というのは、まだいわゆる大湊港が存在をしている、ところが四者協定があって、撤去をするという約束があるから、撤去しなければならないわけですね。理解と納得のいくような話し合いということですから、撤去しなくてもいいというようなかっこうになってしまえば、むつがもう一回これは存続をする、こういう解釈になるわけですね。どうしてもそのとき協定を守って早く撤去をしてくれ、こういうことになれば、そして撤去をしてしまえば、定係港がなくなるから新しく定係港を見つけなければならぬ、要するに陸上の施設をつくらなければいけない、こういう形になると思いますが、それでよろしいですか。
#57
○石渡政府委員 四者協定の内容でございますが、まず新定係港を見つけます、そしてその後、現在の大湊の定係港を撤去します、こういうことになっているわけでございますので、ただいまの先生の申されましたいろいろな仮定の議論には直ちに入らない、かように考えているわけでございます。
#58
○上坂委員 それじゃ時間が来ますから、これはこれでやめまして、次にちょっと条文についてお聞きをしたいのです。
 この法律は、今度「研究」という名前がつけ加わって、「研究開発事業団」とするという案でありますが、研究開発事業団といままでの開発事業団というのはどう違うのですか。
#59
○石渡政府委員 まず経過的に申し上げさせていただきますと、原子力第一船「むつ」の建造計画が立案された当時でございますが、その当時におきましては「むつ」の設計、建造、運航の経験を積むことによって、原子力船に関する技術体系が確立される、その後は民間において原子力船の実用化が図られるものと考えておりまして、そういう考えから現在の日本原子力船開発事業団の形が生まれたわけでございます。すなわち限時的なものとして設立されたという関係がございます。
 しかし、先生御承知のように、現在、経済的な商船としての原子力船を実用化するというためには、「むつ」の建造あるいは運航に加えまして、新たな経済性、信頼性の向上を目指した研究開発を、引き続き国が中心となって続けていく必要がある、こういう必要性が出てまいったわけでございます。したがいまして、そういうことを目的として研究開発事業団に改組をいたしたいという点が、第一の変わった点でございます。
 そこで、改組後の事業団におきます原子力船の開発につきましては、研究開発は、長期的に一貫した体制で進められる必要がある、限時的な考えでもって、船の完成あるいは実験航海の終了をもって打ち切るという考え方では、長期的な観点に立った一貫した研究が進められないということでございますので、新しい研究開発事業団におきましては、そういう長期的な観点に立った研究開発ができるようにいたしたいということで、内容的に相違があるわけでございます。
 これがいわゆる経過的な考え方の相違でございますが、これを法文的な御説明を申し上げますと、まず今回の改正におきましては、現在の事業団の目的と業務について改正を行うということにしているわけでございます。目的につきましては、現行の「原子力船の開発」という文字に加えまして「これに必要な研究」をつけ加えることとしております。また業務につきましては、現行の原子力船の設計、建造、運航等に関する研究となっているのを改めまして、「原子力船の開発のために必要な研究」、すなわち一般的な研究を行うということにしているわけでございます。
 この改正の趣旨につきましては、先ほども経過的に申し上げましたことに尽きておるかと思いますので、説明を省かせていただきます。
#60
○上坂委員 そうしますと、いままでの研究は、第一船としての「むつ」の研究開発。ところが今度は、変な言い方かもしれませんが、故障したことを契機として、その「むつ」が動く状態になれば、その動く状態の中で、今度は将来の原子力船、第二船か第三船か知らないけれども、それを目標にした研究体制をつくっていく、こういうことのための今度の法改正である、こういうふうになるわけですね。
#61
○石渡政府委員 原子力船「むつ」は、あくまで研究開発を目的としておったわけでございますが、先ほども触れましたように、原子力船の実用化の見通しというものが、当初考えていたものよりも大分先に延びそうだという点が、まず見通しとして違ってきたわけでございます。
 その理由といたしましては、経済性の追求というものが非常に大事である、そのためには、より効率的な、すなわち軽量であり、そして高出力の舶用炉の開発が必要であるという事態になりましたので、こういうことをねらいましての、新しい研究開発事業団によりましてのそういう任務を遂行してまいりたいということが第一点でございます。
 それで、たまたま従来やってまいりました「むつ」につきましては、その遮蔽改修あるいは総点検を済ませまして実験船として十分活用してまいりたい、そして運航時におきまする舶用原子炉の挙動を研究し、また諸般のデータをとることによりまして原子力船「むつ」の活用を図りたい、こういう位置づけをしているわけでございます。
 そういう目的でございますので、新しい研究開発事業団につきましては、恒久的な機関として考えてまいりたいわけでございますが、現実には行政改革の要請もございまして、昭和五十九年度末に他の恒久的な原子力開発機関と統合するということを予定させていただいておるわけでございます。
#62
○上坂委員 そうしますと、「むつ」の修理が完全に行われないと、「むつ」の活用というのは実際にはできませんね、そこで修理を急ぐという結果になるのじゃないかと思いますが、そういうふうに考えていいですか。
#63
○石渡政府委員 修理を急ぐと申しますか、特別の理由を持ってゆっくりやるということではございませんで、できるだけ早い方が効率的であるということと、もう一つは、長崎県当局を初め地元とのお約束もございますので、その期間を守りたいという事情があるわけでございます。
 ただ、先ほど来申し上げておりますように、非常に息の長い研究開発になってまいりますので、「むつ」の成果というものを十分織り込んだ、また、それを十二分に参考にした研究計画というものを組み上げてまいりたい、このように考えている次第でございます。
#64
○上坂委員 では、条文に入りますが、附則の項ですが、いままでは「廃止するものとする。」、こうなっておったんですね、それを今度は統合して「廃止するものとする。」を廃止しちゃったんだね。そっちの方、条文の方を廃止しようとしているわけでしょう。私は、事業団の方を廃止した方がよっぽど行政改革になるのじゃないか、こういう厄介なものをいつまでも持っていて、税金のむだ遣いをするのならば、それを廃止した方が本当の行政改革じゃないか、こう思っておるわけですが、そんなことはありませんというお答えが来るだろうから、これは質問にはしません。
 そこで、「むつ」の定係港入港及び定係港の撤去に関する合意協定書、この「むつ」協定の場合には、特徴的なんですが、たとえば「政府は、この協定が締結された後、直ちに、原子力船「むつ」の船長に対し、定係港への入港を指令する措置をとる。」、こうなっておりますね。これはきちんとこうなっているのです。「するものとする。」というふうにはなっていないんですね。ところが不思議なことに、佐世保における修理に関する合意協定書になると、全部「するものとする。」なんですね。「選定のための努力をするものとする。」、「新定係港に回航するものとする。」、「修理の期間中、丙はこれらの鍵を預かるものとする。」、こういう書き方は、この協定は守らなくてもいいという協定なんですか、守らない場合でもこれは生きる、こういう解釈をするわけですか。皆さんがおつくりになっているいまの法律の一番最後の言葉と発想が同じなんですね。その点はどうなんですか。「むつ」の方はきちんと、「する。」、こうなっている。
 それからもう一点は、「廃止する。」、こうあった場合には、法律ができなくてもなくなっちゃうという説明をされているようですね。「するものとする。」という場合には、新しい法律をつくらないと廃止しない、こういうふうに言われているようですが、その点についてもお答えください。
#65
○石渡政府委員 まず、いわゆる四者協定と五者協定との文言の差でございますが、四者協定、これの合意協定書が締結されました時点での状況は、原子力船「むつ」を大湊港に帰さなければならないという非常に切迫した状況でこの合意協定書ができたというふうに理解しております。すなわち、目前の話でございましたので、きわめて近々の話として断定的に事を決めることができたのではないだろうかというふうに理解しております。
 一方の長崎県におきます王者協定の場合には、約三年という先の話を、それぞれ紳士協約として約束するという状況、やや先の話に対しまして、その方針とか原則を決めるということが必要な状態でありましたので、そういう状況でそのときの協定に携わった方々の意思なり、あるいは考え方なり、そういう方針を決めるという状況であったと考えられます。そういう場合には、方針なり原則を決めるというための適当な文言といたしまして、このような「するものとする。」という言葉が選ばれたものであろうと考えられます。
 一方、話は変わりまして法律の問題でございますが、廃止するという明らかな限時法におきましては、その時点においてその法律は使命を終わるということでございますが、その立法の時点におきまして、立法者の方針、基本的な考え方を示すものとしてあります場合には、「するものとする。」という表現をとりまして、そして、その廃止のためには、別の廃止のための法律が必要であるという点につきましては、ただいま先生の御指摘のとおりでございます。
#66
○上坂委員 そうしますと、最初から何か廃止の必要が起こってこなければ廃止をしないという意思を持って「廃止するものとする。」、こういう法律の条文になったのですか。
#67
○石渡政府委員 少なくともその立法の時点におきましての基本的な考え方はこうであるということでございまして、その時点におきまして検討いたし、廃止するものであれば廃止のための立法がとられるであろうし、それから、さらに延長と申しますか継続する必要があるという御判断であれば、そのための法的な措置がとられるということであろうかと考えます。
#68
○上坂委員 廃止すると断定していたときでも、法律改正によってその法律を延長することができますか。
#69
○石渡政府委員 私、法律の専門家ではございませんが、これは立法府の御意思であろうと考えます。ただし、その場合に別途の立法措置による、すなわち単純に内容的には同じでありましても、別途の法律措置が必要になるのではないかと考えます。
#70
○上坂委員 別の法律をつくれば存続できるということですと、廃止すると断定しても一向に差し支えないと私は思いますが、そこのところを「するものとする。」と言って、国民には全くわからないような解釈をして、ある期限で研究開発をして、研究開発が終わった時点でなくすということをきちんと決めることができなかったということは、そのこと自体が、どうもこの研究はうまくいかないのだと最初から見通していたのじゃないかという感じがしますが、いかがですか。
#71
○石渡政府委員 まず、後半の研究開発の性格について一言御説明さしていただきたいわけでございますが、研究開発そのものが相当不確定要素を含んでいるということは、本質的にそうであろうと考えます。したがいまして、相当先の話を、この時点ぐらいまでには終わるであろう、完成させ得るであろうという一応の予想はできましても、断定はなかなかむずかしいということであろうかと思います。そういうことを背景にいたしまして、「するものとする。」という表現によりまして、その時点で改めてもう一度御判断をお願いしようという趣旨での「するものとする。」という表現になっているというふうに御理解賜りたいと存じます。
#72
○上坂委員 そうしますと、この佐世保港の合意書ですね、これについても、やはり同じような解釈を私はとらざるを得ないのですが、この五者協定の中身を見ますと、全部先ほど言ったように「するものとする。」となっていますね。したがって、たとえば二番目に「乙は、「むつ」の佐世保港における約三年間の修理が終了した後、「むつ」を新定係港に回航するものとする。」、こうありますね。そうして新定係港が修理後も見つからなくても、そこにずっと置いておいても構わない、そこで、先ほど言ったように臨界実験、それも行うようになってしまう、新定係港が、「回航するものとする。」ですから、見つからなければ回航しなくてもいい、こういうふうになって、そのときどうしても回航しろという要求があれば、そこで、この協定書は結び直す、締結し直しをする、こういう形になっていくのですか。そのことだけ先に聞きましょう。
#73
○石渡政府委員 ただいま先生が御指摘になっております五者協定、これはもちろん法律ではございません。まさに合意協定書で、五者の間での紳士協約でございます。そういうものでございますので、政府は、当然、その合意事項を誠実に遵守していくというのが基本的な態度であるべきでございます。
 仮定の議論をされたわけでございますが、特に新定係港がございませんと、先ほど安全局長からも御説明申し上げましたように、出力上昇試験等ができないわけでございますので、これはもう基本的な事項でございますので、私どもといたしましては、何としても新定係港を設置をしなければならないという立場にあるわけでございます。
#74
○上坂委員 そうしますと、これは紳士協定だから守られないことがあってもやむを得ない、こういうことになっちゃいますか。
#75
○石渡政府委員 紳士協定でございますので、守られるべきだと考えます。
#76
○上坂委員 禅問答みたいになりますから、この辺でやめます。終わります。
#77
○貝沼委員長代理 木内良明君。
#78
○木内委員 私は、きのうの質問に引き続いて何点かにわたってお聞きをいたします。
 率直にお聞きするわけでございますけれども、「むつ」の技術的水準をどう評価するか、高いのか低いのか、長官、ひとつお聞かせください。
#79
○長田国務大臣 かなり専門的な問題でございますので、担当局長からお答えを申し上げさせていただきます。
#80
○石渡政府委員 高いのか低いのか、非常に一言ではむずかしい判定かと存じますが、先生御高承のとおり、大山委員会におきましては、全体としてかなりの水準に達しているという、一言で申せばこういう評価になっております。
 私どもの理解といたしましては、全体として適当な修理あるいは総点検の後、この船を使いまして、少なくとも研究開発のための実験船としての有用性というものは保たれるであろうという程度の評価ではないかと今日考えておる次第でございます。
#81
○木内委員 いわば条件つきの水準の評価ということで、定まっていないという印象を受けます。
 昨年十二月二十日の原子力船研究開発専門部会報告書に、るる諸外国の原子力船開発の状況に触れた後、いわば諸外国の舶用炉あるいは原子力船の評価について、原子力商船の実用化に必要な「基礎的技術基盤が既に確立されている」という評価が行われておりまして、同じ資料の中に「我が国における原子力船技術の現状」ということで、そうした技術水準にまで達している先進諸国に比べた場合に「まだ、自主技術による原子力商船実用化に必要な基礎的技術基盤さえ確立されていない我が国の状況は、かなり遅れた段階にあると言わざるを得ない。」、こういう評価になっているわけであります。
 先ほどの局長の答弁と、それからこの報告書の表現と関連して、どういう受けとめ方をされておられるか、ひとつお聞きしたいと思います。
#82
○石渡政府委員 「自主技術による原子力商船実用化に必要な基礎的技術基盤さえ」という「さえ」が非常にきつい表現だなと私個人的には思っておりましたが、原子力船に関しましては、確かに「むつ」の開発を基盤としてこの原子力船関連技術を築き上げていこうというのが、この計画が始まりました当時の考え方であった、言ってみれば、走りながら考えようというスタートであったということは、前回も先生に申し上げたわけでございます。
 もちろん、走りながらとは言いながらも、もっと基礎的な技術基盤を築いていかなければならないというポジションにあると考えておりまして、そういう意味で、原子力商船に関します先進的な技術を持っている国とのおくれというものは認めざるを得ないという判断になったものだろうと考えております。
#83
○木内委員 私は、当委員会でかなりの長時間にわたって、「むつ」の扱い、みずからこの「むつ」に対する評価、姿勢をどう定めるべきかという観点から、幾つかの質問をしてきたわけでございまして、そうした点からもう一度、私は、この報告書の中の表現等についていろいろと、最終態度を私も決めたいということから、洗い直してみたわけであります。しかし、いまだに実は判然としないのがこの「むつ」に対する評価でありまして、確かに、いま局長が言われましたように「実用化に必要な基礎的技術基盤さえ確立されていない」という、この「さえ」というところの文言に妙なひっかかりを感じたわけでありまして、これは恐らく、それこそこの報告書でさえこういう「さえ」という言葉を使っているわけでありまして、かなりに低いという評価をすべきなのか。私は、みずからの希望的観測としては、いや、そうではないのだ、もっともっと、このほころびをつくろうことによって、まあ残念なことに、こうした事故によって冷態状態が続いてはいますけれども、技術水準としては高いという評価をしたいのだけれども、私は、いわばこちらの分野については素人であります、しかしながら、この専門部会の報告書というのは、それを上回る、いわばかなりの技術水準あるいは学問的水準からの評価をされている。ということは、局長が先ほどおっしゃいましたけれども、実用化に対する技術水準は当然低い。これは先般大臣とのやりとりを行った内容でも明らかであります。しかしながら、実験研究船としての技術水準はかなりいいところまでいっているという意味のことをさっきおっしゃいました。しかしながら、この報告書を見ると「基礎的技術基盤さえ確立されていない」ということは、恐らくもっと前の段階で不十分、未熟、不徹底な点があるのではないかという報告に私は受け取れるわけです。そういった意味から、実は冒頭にこの点をお聞きしたわけでありますけれども、その点どうでしょう。
#84
○石渡政府委員 あるレベルを判断しようとしての記述でございますけれども、やはり比較の対象としておりますのが、ある技術水準に達している先進諸国ということでございまして、米国なりあるいはドイツなりフランスなりといったことを頭に置いております。それで、それぞれの国は、もうすでに相当の開発の実績を、形態は違いますけれども、持っているわけでございまして、そういう高いところを見て考えるとというところが、この報告書の立場でございまして、そういう観点から、相当厳しい自己批判と申しますか、わが国の原子力船のレベルに対する評価になっているのではないか、かように考える次第でございます。
#85
○木内委員 私は、この委員会における「むつ」の審議の冒頭で私の立場を鮮明にしているわけであります。わが国の国際環境の中に置かれた位置、立場というものを考えますときに、今後、相当長期にわたるものであるにせよ、実験研究というパーフェクトなプロセスを経て、いずれこの原子力船の持つ役割りというものは大きいものがある、そのような評価をしている立場からこの審議を続けてきたわけでありまして、その意味では私は何か、僣越でありますけれども、鬼っ子を抱えているような、非常にかわいい子ではあるが、余りに不備な点が多く、残念であるという気持ちがしてならないわけであります。
 いずれにしても、局長からもいまお答えいただいたように、やはりかなり慎重に取り組んでいかないことには、まだまだ実験研究段階としてさえ、それこそ先進諸国に比べても、当然でありますけれども、技術的なおくれ、水準の低さというものがある、こういう認識をしていただいた上でこの開発に取り組んでいただきたい、このことをまず要望申し上げるわけであります。
#86
○石渡政府委員 ただいま非常に厳しい、また温かいお言葉を賜ったわけでございますが、先ほどの私の答弁でちょっと申し落としました。「基礎的技術基盤さえ」という表現が出てまいりました一つの大きなファクターといたしまして、この基礎的技術基盤を築こうとしてスタートした「むつ」の計画が今日動けないという現実に対するいろいろな気持ち、委員、先生方のいろいろな気持ちが、この「さえ」という言葉に集約されているのではないかということもあわせて感ずる次第でございますので、申し上げる次第でございます。
#87
○木内委員 いまのお答えをいただきましたので、次へ進みたいと思います。
 いまの報告書の指摘のように、すでに諸外国では原子力商船の実用化に必要な基礎的技術基盤というものが確立されておる、わが国は確立されていないとするならば、今後、諸外国との技術提携について何らかの具体的な対応をすべきではないかというふうに思います。この委員会におきましても、諸外国との技術提携についての議論が何回かにわたって行われたことも、私は記憶しております。そうした審議の内容というものを私が耳にした範囲で感ずるのは、諸外国との技術提携のあり方、実態は、いま民間レベルでかなり相当なペースで進みつつあるということであります。しかしながら、少なくとも遠い将来において国益を左右すると言われるほどのこうしたケースについては、やはり政府としての具体的な取り組み、いわば民間だけに任せるのではなくて、何らかのアクションをさらに色濃く起こすべきではないか、このように思うわけでございます。
    〔貝沼委員長代理退席、委員長着席〕
この技術提携の実態については、きょうまでのこの審議の中で重複している部分があるかもしれませんけれども、簡単に触れていただいて、さらに政府としての取り組み、見通しをお聞かせていただきたいと思います。
#88
○石渡政府委員 まず、原子力船に関します技術提携につきましては、もうすでに先生御承知のことかと存じますが、日立造船、石川島播磨重工、それから日本鋼管、その三社が、それぞれ西独、フランス、米国の原子船の開発をやっております機関との技術提携をやっております。
 ただ私、聞いてみますと、いわゆる非常に糸の細い技術提携のようでございまして、情報の提供を受けるという程度のようでございます。あるいは、この原子力船の技術がある特殊性を持っているためもあるかと存じますが、非常にパイプの太い技術提携とは考えていないわけでございます。一つには、日本側の技術がほとんどないために、一方的にもらうというような事情が背景にあるのではないかと感じております。一言で言えば、まだ、欲しい技術がどんどんもらえるというような技術提携ではないというふうに考えております。
 ただいまの先生の問題提起に対しまして、二つお答えできるかと思うのでございますが、一つは、いままで申し上げましたことに基づきまして、日本の技術をあるレベルにまで持っていくというのが第一の基盤ではないかということが第一でございます。それから第二に、外国の技術に頼ります場合に、日本の場合大体うまくこなしてきた経験があるわけでございますが、少なくとも原子力関係につきましては、陸上炉では相当手痛い経験を持ってしまった。なぜかということにつきましては、やはりこちら側に十分な基盤がなかったということ、また導入いたしました後も、ある期間少し信頼し過ぎたと申しますか、そういう傾向があったということでございまして、何と言いましても、基本は、わが国の方におきましても、相当の基盤を持った上で技術提携を考えませんと、それをこなし切れないという事態が生ずるのではないかというふうに考えるわけでございます。
 したがいまして、技術提携について政府としてどう考えるかということでございますけれども、いまの時点での判断といたしましては、まず、みずからのポテンシャルを高める、これが第一であるというふうにお答え申し上げる次第でございます。
#89
○木内委員 いまかなり率直な御答弁をいただきました。簡単に言えば、高度の技術の提供を受けるためには、こちらも高度の受け入れ体制というものがなくてはいけない、そのために、いままでの行き方に甘い点があったので、これを反省しながらそこへ行っていく、しかしながら、技術提携の具体的なあり方、それから時期等については、いまなお明確でない、こういうふうに受けとめてよろしゅうございますか。
#90
○石渡政府委員 おっしゃるとおりと理解しております。
#91
○木内委員 私も、まさに局長のおっしゃったとおりだというふうに思います。
 そこで私も、「むつ」の法案の発足当初から今日に至るまでの経緯等についてずっと洗い直しをしてみましたが、近年、特に最近に至ってかなり明確になってきた点がある。それは、いまの御答弁とも関連があるわけですけれども、昨年十二月の専門部会の報告書等を初めとして、急に舶用炉の研究ということが浮き彫りにされてきた、そうですね。私は、長い「むつ」の歴史から見て、この舶用炉の研究業務というものにかなり重点を置くという行き方、いわば「むつ」本船の存在を離れての研究というものが大変付加されてきているということを感ずるわけであります。
 すなわち、かつての政府の考え方としては、第一船さえ、「むつ」さえうまくいけば第二船はいけるのだ、「むつ」一本やりだったものが、ここへ来て、法改正までして研究体制を整えよう、研究に対応しようというふうになってきているというふうに思います。これは原子力船開発に対する基本的な考え方が明らかに変形されてきているのだ、あるいは目的は同じであっても、そのプロセスにおける技術の形成の仕方というものが、いま申し上げたような点で変わってきている。もっと言いかえれば、開発計画の中における「むつ」の評価というものが変わってこざるを得なかった現実の姿があるわけであります。順調にいかなかったから舶用炉の研究という新段階の対応をせざるを得ないのだ、こういうふうに理解をしたい。
 したがって、今日までの「むつ」に対する評価が改まっているということをまずお認めいただいて、その上で、先ほど局長が言われたような、そうした技術水準のレベルアップを図るための新たな対応策として研究業務等の付加が行われ、さらにまた、新段階における展開が「むつ」の運用については行われるのだという、そうした明確な答弁をひとついただきたいと思います。私の意見、どら一でしょうか。
#92
○石渡政府委員 結論から申し上げますと、先生の御意見に私、賛成でございます。
 なぜそういうことを申し上げるかと申しますと、やはり原子力船「むつ」の位置づけにつきまして歴史的に考察してみたわけでございますが、やはり考え方が変わってきているわけでございます。当初、いろいろな形で民間の協力も求めまして、調査あるいは研究が進められてきたということも事実でございますし、また、原子力船開発事業団が発足いたします時点でのいろいろな政府答弁をごらんいただきましても、その時点では、もういまや船の建造にかかって、それを中核として原子力船関係の技術を築き上げていくのだという考え方に立っていたということも事実でございます。しかし、何年かたちまして、放射線漏れ事故に起因いたします大山委員会でのいろいろな御批判があったわけでございます。
 そういうことも含め、また今日時点での世界の原子力船に関します現状をあわせて考えてみますと、原子力船「むつ」のわが国における原子力商船技術の研究開発におきます位置づけというものは変わってこなければならないというふうになってきていると思います。先生御引用の原子力船研究開発専門部会の報告書におきまして、そのことが明確に書いてあるとは思いませんけれども、明らかにその位置づけは変わっていると判断せざるを得ないと思っている次第でございます。
#93
○木内委員 きのうの質問とは打って変わってじみな議論になっているわけでありますが、確かに、この報告書の中では、そうした明確な表現は避けていると思います。しかし、いままさにおっしゃったとおり、明らかに変わってきているというふうに思います。
 それで、研究業務ということが、今回の事業団法の手直しによって今後付加されるわけでございますけれども、この法案が提出されたということにつきましては、この研究業務の具体的な中身、テーマ、さらにまた研究計画というものが当然策定されていてしかるべきだというように私は考えざるを得ないわけです。ただ漠然と舶用炉の研究開発をやるのだということでは、やはり納得できない面があるわけでありまして、この研究計画の具体的な内容、たとえば舶用炉の研究というのは、いついつまでに、この段階にまでするのだ、さらに、また陸上における実験はこの程度にまでいけるのだ、しかしながら、舶用炉としての特殊な、いわば特性を踏まえた上での研究開発というものについての段階を追ったタイムスケジュール、これらが策定されていてしかるべきだというふうに思いますが、この辺はどうなっていますか。
#94
○石渡政府委員 新規の研究開発業務につきましてですが、改組後の新事業団におきましては、幾つかのタイプの舶用炉につきまして、船体あるいは陸上支援施設を含めた試設計をまずやろう、そして設計評価を行い、その結果を見まして、今後の研究対象としてこういったタイプの炉を改良舶用炉として取り上げるかという概念をまず確立しようということで、そういう意味では手探りの状態から始まるという状態であるわけでございます。
 その後につきましても、一応、原子力船研究開発専門部会のワーキンググループでいろいろ考えておりますけれども、これらの具体的な計画につきましては、むしろ法案の御審議をお願いいたしまして、幸い成立させていただきました時点において、直ちに原子力委員会で具体的な計画を練り上げていきたい、このように考えているのが現在の状態でございます。
#95
○木内委員 率直な答弁でありまして、まさに手探りの状態である、仮に法案が成立したら、その段階で策定もし、テーマについてのタイムスケジュールの詰めも行うということでありますけれども、しかしながら、ある程度の見通しというものは、やはりお持ちになっていると思うのです。ただ、いまテーマを挙げられたことは、これはもう当然のことでありまして、私のお聞きしているのは、たとえばいずれこれが他の科学技術庁所管の研究機関に統合されるということがあるわけですけれども、この段階までに何をやっておくのか、あるいは統合された段階で、時期的に、そのころにはすでにこのテーマについては研究の成就を見ている、やはりそこまでの逆算をしたタイムテーブルができていていいのじゃないかというふうに思います。
 それからもう一点は、いままでの原子力船開発事業団の業務というものは、あくまでも「むつ」をメーンのベースにしまして行われていたわけでありますけれども、この法改正を行うだけで果たして十分な研究スタッフなり機能というものが期待されるのかどうか、これは私はかなり厳しいところだと思うのです。名前は変えた、目標も掲げた、性格づけも行った、しかしながら、いままであるこの形態というものは「むつ」本船であって、これから舶用炉の研究をされるということをおっしゃっておりましたけれども、それだけの機能というものが短時日のうちに整備されるとは思えないような懸念もあるわけであります。
 この二点についていかがでしょう。
#96
○石渡政府委員 今日時点での私どもの持っております計画といたしましては、改良舶用炉の研究と申しますか、試設計から始めます研究に着手するということでございまして、当然、舶用炉プラントの小型軽量化といったことをねらった研究を考えているわけでございます。先ほども申し上げましたように、具体的な案はあるわけでございますけれども、どれを選び上げていくかということについては、これから詰めてまいりたいというのが現状でございます。
 それから、第二の点につきまして、昨日も、統合ということを考えた場合には二年ぐらい前からいろいろ手が打たれないとということを申し上げたわけでございますが、これはむしろ組織等を考えた場合の話でございまして、研究は、これはずっと継続されているべきものでございますから、もっと早く手がつけられなければならないと思います。
 そこで、それでは現状、組織を変え、名前を変えということでいいのかという御指摘ではございますが、そういうことでは何も動かないだろうと思うわけでございまして、そういう意味では、まずスタッフを強化するということが、現実とてもお約束し切れないような厳しい状態でございますが、できるだけの強化を図る、また質的な変換と申しますか、質的な改良を図っていくということによりまして、研究機能ができるだけ発揮できるように持ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。
#97
○木内委員 これ以上はお聞きしません。これはやはり実際に厳しいところだと思います。しかしながら、いまも言われたように、できるだけの努力をされるということでありまして、まさにどこから手をつけていいかわからないというのが、この研究業務の付加に当たっての一つのネックになっているというふうに思います。皆さんもいろいろと大変に努力をされているわけでございます。その点、私も評価しておりますし、近々のうちに、まさに実態に即した基本計画なり研究開発のあるべき姿、こういったものもやはり策定していただく必要が当然あるというふうに思います。
 この問題について、大臣、最後に一言ひとつ御意見をいただきたいと思います。
#98
○長田国務大臣 もう御存じのように、日本は造船あるいは海運の面ではすでに世界一流になっております。また原子力開発、原子力をエネルギーとして利用する面につきまして、いろいろ問題はございましたが、年数、いろいろな努力等を経て、今日かなりの水準に達しているわけでございます。
 問題は、その原子力エネルギーを船にどう利用していくかということが、これからの一つの課題だと思う次第でございまして、しかも「むつ」につきましては、その着手の時期が非常に早かった、しかし、その途中の進展にいろいろなことがありまして、年数がかかりました割りには成果がまだ十分に見られていないということなどがございまして、いまようやく遮蔽改修が軌道に乗りまして、これから大いにやっていこうというところでございます。
 いまのあの「むつ」自体の性能等を見ますと、これがいまの時代あるいはこれからの実用化を迎える時代に対応するのに十分かということについては、確かに若干問題があるわけでございます。しかし、あの「むつ」開発によりまして、実験航海等々による収穫は、またおのずから相当の蓄積となって残るわけでございますから、あとは原子力を用いました舶用炉を、これからどういうふうに近代化し、あるいはまた能率のいいようなものをつくり上げていくかということなどが、並行的に大変重要だと思うわけでございまして、その点について、これから事業団並びに将来これを引き継ぐべき機関等において、十分の成果を上げるために、私ども関係者、全力を挙げてまいらなければと思っておるところでございます。
#99
○木内委員 何点かひっかかるところがありました。たとえば舶用炉の近代化を行うということですが、近代化というのは、一定水準までいったものをさらに改善するというのが、近代化の一つの側面だと思うのですけれども、そこまでいっていないのが現実なんですね。
 そこで、いま舶用炉ということが出ましたので、運輸省にお聞きをいたします。
 舶用炉については、これまで船舶技術研究所で研究が行われたということになっております。私、きょうの質疑に当たって、船舶技術研究所の方へ行こうということで準備をいたしましたが、三鷹ではこれをメーンで扱っておられないということで、残念ながら時間の関係で行きませんでしたけれども、運輸省の方にはその旨いろいろお聞きしたわけでございます。
 当委員会におけるいままでの中身を聞いておりますが、三十二年から五十一年まで、これはあくまでも原子力予算の中でというただし書きがありますけれども、十一億円使われている。五十二年から五十五年までが二億円余りである。二十四年間で十三億三千万円ですかの費用が投下されている。まず、この数字が間違いないかどうかということが一点。
 それから、特に五十二年度から五十五年度にかけての二億三千万円という数字でありますけれども、近年におけるインフレ率等を考えて、むしろ先細の状態なのではないかという感じが私にはいたします。実際のところ、船舶技研で行われた舶用炉の研究はどの程度の評価ができるものなのか、その点についてお聞きします。
#100
○佐伯説明員 お答えいたします。
 先ほどの予算でございますが、御指摘のとおり、三十二年度から五十一年度まで原子力関係予算として使いましたものが十四億五千二百万円、そのうち原子力船関係は十億九千七百万円、それから五十二年度から五十五年度に至りましては、原子力船関係としては二億三千三百万円、原子力予算全体では四億八千万円になっております。
 これを使いまして実施いたしました研究テーマを幾つか御説明いたしますと、舶用炉に関しましては、過去には原子力船の遮蔽及び環境安全に関する研究、あるいは原子力機関の動揺及び振動に関する研究、舶用原子炉プラントの格納方式の研究、原子炉プラントの安全政策に関する研究、これに続いて最近行っておりますのが一体型舶用炉機器の性能、一次遮蔽に関する研究、それから原子力船の事故解析で舶用炉の事故の場合の解析といった研究を行っております。
 第二点の評価でございますが、私どもの研究所は、あくまで船舶あるいは船舶用機関等について、平たく申しますと、開発の前の段階までの基礎研究あるいは行政のニーズに基づく安全規制のための研究といったことを実施しておるところでございまして、これだけやったから舶用炉が完全ということは言えないだろうという気がいたしまして、まだまだ研究しなければならぬと思います。
#101
○木内委員 この舶用炉の研究は今後とも続けていかれるのですか。
#102
○佐伯説明員 先ほど御説明いたしましたように、私どもは、船舶に関して最新の技術あるいは将来の技術に関する試験研究を実施しているところでございますので、先ほどのような基礎的な研究あるいは行政需要に基づく安全規制のための研究は、これからも続けてまいりたいと考えております。
#103
○木内委員 科学技術庁にお聞きしますが、先ほど言われた研究内容ということで、いま船舶技術研究所の方からお話のあったテーマについても、これは当然、新たな研究業務として付加されるわけですね。
#104
○石渡政府委員 今後の事業団が取り上げます研究は、改良された新しい舶用炉の開発ということで、非常に特化されたものであると考え、それを中心に研究開発をやっていくという立場でございますし、船舶技研のお立場は、基礎的、基盤的というお立場でのアプローチでございますので、おのずからねらいが違うということでして、もし同じようなテーマに見えるという御指摘でございますれば、それぞれの立場から研究開発を進め、これが有機的に結び合っていくべきものである、こういうそれぞれの立場であるというふうに理解をしております。
#105
○木内委員 船舶技術研究所の方では、現実対応ということを前提にしないいわゆる基礎的研究であるということをおっしゃいました。科学技術庁の方では、むしろ新型舶用炉等の研究開発ということですが、しかし、いま科学技術庁が言われた研究開発の最もベースになるものには、現在船研の方で行っております研究が当然含まれなくてはいけないと思うのです。
 したがって、私がいまの御答弁を聞いて主観的に同じだというふうに感じているのではなくて、どう見ても同じ舶用炉という研究開発のテーマを考えるならば、同根、同じ根っこのものであると感ぜざるを得ませんが、この辺はどうでしょうか。
#106
○石渡政府委員 考え方としては同根のものになるかと思いますが、それぞれのレベルあるいはねらい、研究のアプローチの仕方の違いといったことで違いがあるわけでございまして、むしろ同根という意味で、それぞれの研究成果が密接な連携のもとに有機的に最終的に一体になっていくべきものだ、このように考えております。
#107
○木内委員 どうも局長のお答えを聞いていますと、来るべき次の私の質問に対して一生懸命ガードを固めているような感じがしてならないわけです。趣旨はおわかりだと思うんですね、さっきの上坂先生の質問じゃありませんけれども、禅問答みたいになってしまって恐縮しておりますけれども。
 いずれにしても、いまの御発言のあり方というのも表現が非常に微妙なんです。有機的に結びつくべきものであるというお考えのようでありますけれども、新型舶用炉の開発にしても、船研の基礎的技術研究にしても、私はあくまでも同根だと思います。スタートラインがあって、ホップ、ステップ、ジャンプという段階は必ずあるわけでありまして、それらが最も効率的に融合していかなくてはいけない、有機的に結びつくということが具体的に何を指すかわかりませんが、まさに一体のものとして今後進められていかなくてはいけないということを、私はまず確認をとりたいわけです、違ったものを研究しているわけではないのですから。
#108
○石渡政府委員 御意見のとおり一体となるべきものでございます。
#109
○木内委員 いま明確に一体となるべきものであるという答弁がありました。私もそう思います。とかくわが国の行政のあり方というものを分析してみますと、かなりに競合する部分があるのに縦割りのためにそれぞれに分離した状態で、有効な情報の交換でございますとか、あるいは技術交流というものが行われていないような点が各部面に見受けられるわけであります。
 たとえば、これは本日のこの「むつ」とは直接関係はありませんけれども、宇宙開発にしましても、東大の研究所とそれから宇宙開発事業団と相当にダブっている部分があるにもかかわらず、いまだに一元化されていないというふうなことがあります。
 その意味から私は、やはりしかるべき研究成果を出さしめるためには、いままさに局長言われたように、一体化されるべきものであるというふうに思うのです。今後新たに舶用炉の研究という研究業務の付加ということが行われたわけです。全く白紙の状態とは言いませんけれども、同じ日本の政府部内でその関連で行われてきた研究成果というものを持ち寄って、一足す一がそうすれば二ではなくなるわけで、三にも四にもなるわけでありまして、こういう前向きの取り組みというものが必要になってくると思うのです。
 局長ばかりお聞きしても、これは大変大事な問題だと思いますので、長官にお聞きしたいのです。局長の方にはいまいろいろ準備資料が行っているようですけれども、長官の方からひとつ率直な御意見を聞かしていただきたい。どうも御答弁が大変お上手なのでとらえどころがないことが多い。この問題はひとつ私の趣旨をよく踏まえてお答えいただきたい。
#110
○長田国務大臣 かなり専門的なことにわたりまして、私も、十分御納得いただける答弁ができますかどうですか、十分に自信はございませんが、究極の目的は、日本の船舶の特に舶用炉、原子力を用いた舶用炉の改善ということだと思っております。その中のどの分野をどちらが持つかということにつきましては、初めから法律で非常に明確にするという場合もございますし、法律上はあるいは組織権限上は相当ダブっておって、双方の話し合い等あるいはおのずからなる分業という形でやっていく場合もあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、原子力船研究開発事業団の立場からしますと、「むつ」というものをまず手がけ、それに関連する研究というものをやってまいり、さらに、それの若干延長と申しますか、若干新しいスタートをも込めまして、法案のいままでの御審議の経過を踏まえまして研究開発ということをやってまいりますので、実用化、実用船にも使え得る舶用炉というようなものが当然目標になろうかと思うわけでございます。
 私、船舶技術研究所の本来の目的というものにつきましての十分の理解がございませんので、片っ方の方だけ申し上げたわけでございますが、船舶技術研究所におかれては、あらゆる面、波との関係とかあるいはいろいろな抵抗との関係だとか、その他船舶万般についての御研究があるのじゃないか、そのように考えている次第でございます。
#111
○木内委員 どうも長官の答弁を聞いていますと、そこからまた問題がどんどん副次的に派生してくるような状況で、私も、収斂しにくくて困るわけでありますけれども、いまの中に幾つか問題があるのです。まず、舶用炉の研究開発を研究業務として付加するに当たって、あなたは国務大臣ですから、船舶技術研究所でどの程度の研究開発が行われているかどうかよくわからないということは、まずミスだと思いますが、どうですか。
#112
○長田国務大臣 問題点ではございます。こういうふうに研究機能を付加するについて、船舶技術研究所とどういう関係にあるかというような点で余りにもダブリ過ぎるというなら、これは一つの問題点として当然検討の対象にしなければならなかった点だと思います。そこらにつきましては、私も、条文あるいは船舶技研等に参りまして、じかにいろいろお聞きするという、昔、大昔にはそういうこともございましたけれども、最近ございませんで、事務当局などの意見を聞きまして、こちらは先ほど申し上げましたように、すぐに実用炉というものを目指しましての、あるいは「むつ」というものを土台にし、さらに改善された舶用炉というものに向かって進む。船舶技研の方は、先ほど私はごく抽象的な形で申し上げましたけれども、基礎的な問題その他万般についてのことだ、一応その面で機能が完全にダブるというものではないという説明を受け、それに納得し、その前提に立ちまして、こういう法案をお願いしている次第でございます。
#113
○木内委員 また、そこから問題が出るわけですけれどもね。いま機能が別だという認識はだれもしていないんですよ。確かに同根なんです。それで先ほどの局長の答弁で、一体化すべきものであるというふうにはっきり出たわけですよ。具体的にどういうことでなくて、恐らく心情的なものだというふうにおっしゃると思いますけれども、私はこれは明らかに前進だと思うのです。そして、この一体化を大臣としてはどうお考えになるかとお聞きしたら、これは先ほどの以前の答弁から前進がないわけです。すなわち、それぞれ認識がないということで今後検討するということでありますけれども、法律の中に明文化されなくても、条文化されなくても、いずれそういうものは図っていきたい、一体化を図っていきたいというふうに大臣、恐らくニュアンスとしてそうおっしゃったと思うのです。それはそうですね、そうですと一言おっしゃってください、会議録に載っけるのですから。
#114
○長田国務大臣 究極の目的は同一でございまして、その過程でどういうふうにそれぞれの特徴を生かしていくか、そういうところが問題だろうと思っているだけでございまして、いまの御趣旨と同一のことだと理解しております。
#115
○木内委員 会議録で載らない部分で長官とやりとりをしている段階では非常にいいんですよ。いざ発言されますと、どうも後退をしちゃう、そうですよ、それは長官。私は、何もいずれ一体化するとかいうことを明文化したり、あるいは法律の中に盛り込めということを言っているのじゃない。いいですか。しかし、一体であるべきだという御発言を踏まえて、今後ぜひ、制度の上でもあるいは研究形態の上からも、いますぐには無理だけれども、いずれ一体化をして研究成果の充実というものを図っていくという、その御答弁が一つあればいいのです、それは会議録に載ればいいのですから。いままでの議論で十分御理解いただけると思うんですがね。
#116
○長田国務大臣 一体という言葉につきましてのあれが大変むずかしゅうございましたが、それぞれ原子力を用いた舶用炉ということにつきましては、これは原子力委員会という立場で、原子力委員会は日本のいろいろな分野におきますものをすべて総合的にながめて、それぞれの特徴を生かしながら全体としての前進を図っていくところでございます。そのような意味合いにおきまして、船舶技術研究所あるいは原船研究開発事業団等も総合的な一体感の中での機能を果たしていくべきものだと存じますし、そういう方向に絶えず留意してまいりたい、そういうふうに考えております。
#117
○木内委員 そうしますと、原子力委員会を扇のかなめにして、ブリッジで一体化の実態を整えていくということですか。これは局長にちょっとお聞きしましよう。
#118
○石渡政府委員 ただいまいろいろ議論の対象となっております舶用炉、あくまで原子炉でございますので、原子力という観点では原子力委員会の存在、これが最高の位置にあるわけでございまして、わが国におきます原子力の研究、開発、利用を一元的に見るという立場にあるわけでございます。そういう意味では、原子力委員会の見積もり調整と申しますか、全体の予算の配分等を見る立場にございますので、たてまえ上はそこで全体の調整がとれるのだ、また全体の調整がとれるという機能を持っておるので、その機能のもとに一体化ということが考えられるのではないかという御答弁を、ただいま原子力委員長たる科学技術庁長官が申し上げた、こういうことかと存じます。
#119
○木内委員 また後退してしまいましたですね。そうしますと、技術の提供あるいは情報の交換等を原子力委員会がやるのですか、原子力委員会というのは、行政機能ですか、違うでしょう。じゃ、それはまたおかしいじゃないですか。せっかくいいところまで行ったのに……。
#120
○石渡政府委員 原子力委員会は、八条機関でございますから、あくまで諮問機関でございますけれども、科学技術庁といたしましては、行政庁としての原子力局として全体を調整する機能を持っておりますので、そういう意味では、半分ですが、行政機能としての機能もあわせ持っているというふうには思っておるわけでございます。
 若干議論が混乱したわけでございますが、まず舶用炉の開発という立場を科学技術の開発という面から見れば、当然、先ほど来申し上げております、心情的なものとおっしゃっていただきましたが、一体化ということであるべきだということが一つの線として出てきたわけでございます。
 一方、厄介なこととは申しませんけれども、これはあくまで原子力開発の一環であるという立場があるということを申し上げたわけでございまして、この面からの見方もあわせてしないといけないのだという立場があるということを申し上げた次第でございます。
#121
○木内委員 後退したことはきわめて残念でありますけれども、あくまで今後一体化を図るべきであるという心根から出た発言、これはやはり重要な前進だと私は思っているわけです。いわばこの舶用炉の開発等につきまして、行政のかきねを越えて国民的ニーズに基づいた開発を行う、研究を推進していくことは大事なことだと思うわけであります。
 この原子力委員会のブリッジ方式による一体化ということでありますけれども、これは実際に期待できますか。
#122
○石渡政府委員 予算の配分あるいは現実に船舶技術研究所にもいっているわけでございますが、科学技術庁が予算を取りまして、国立の各研究機関に原子力関係の研究開発のための予算を配分するという制度を通じまして全体の整合をとっている。整合と一体化との感じの違い、実態の違い、そこはございますので、あくまで整合をとり、協力の実を上げるように図るというのが今日の状態でございまして、これが先生のおっしゃっておられる一体化とどういうレベルの差があるか、ここに問題が残ると思います。
#123
○木内委員 時間が来てしまいました。しかしながら、一体化ということで前進があったと私自身評価をしたいと思います。
 申し上げておきますが、整合と一体化とは全然違います、原子力委員会の機能のとらえ方も違います、私はそう判断せざるを得ません。
 いずれにしましても、何項目かにわたってきょうは私は質問を準備しておりました。私は、総合的に質問をするのは決して好まない方でございまして、一つ一つ行政の具体的な点において痕跡をとどめるような質問をしていきたい、こう思って毎回質問に臨んでいるわけでございます。多分にしつこい点もあるかもしれませんけれども、ぜひとも御理解をいただきたい。
 きょうは一つの成果を上げ得た、私は、このように判断をして、質問を終わらせていただきます。
#124
○瀬野委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時三十五分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時十二分開議
#125
○瀬野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。貝沼次郎君。
#126
○貝沼委員 日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案について、二、三質問をさせていただきます。
 まず初めに、大山委員会の報告書が以前ございましたが、その大山委員会報告書の結論として「むつ」放射線漏れそのものは、単に原子炉遮蔽の欠陥に伴う現象にすぎない、しかし、関連して表面化した諸問題は、わが国の原子力開発体制の欠陥がたまたま露呈したものとして率直な反省が必要である、こういうふうに結論づけられておるわけでございますが、この報告書をいただいた後、当局としては、この結論に対してどういうふうに反省をし、また、どういう手を打ったのか、その手を打ったことは果たして満足されるべきものであったのかどうか、この点についての見解を承りたいと思います。
#127
○石渡政府委員 大山委員会報告でたくさんの点を指摘されたわけでございます。そしてまた、問題点の御指摘と同時に御提言もいただき、貴重な御見解として尊重してきているつもりでございます。
 例示的に申し上げますと、まず安全規制体制の強化という御指摘に対しましては、原子力安全委員会の発足等、原子力安全規制行政の強化をいたしたわけでございます。当然のことでございますが、その後の原子力船「むつ」の開発の進め方あるいは原子力船開発事業団の組織、体制等のあり方の改善を図ったこと、さらには今回、大山委員会報告の御趣旨を踏まえた意味で、原子力船開発事業団法の改正法案の御審議もお願いしておる、こういう次第でございます。
 大山委員会報告書におきまして御指摘をいただきました事項につきましては、いろいろ根深い問題、また、すぐれた洞察に基づきましての指摘事項でございますので、今後とも十分これらの御指摘に留意しつつ、原子力船開発を初めとする原子力開発の推進を図る場合に、十分の配慮を払っていくべきである、このように考えている次第でございます。
#128
○貝沼委員 大山委員会では、ただいま御答弁がありましたように、非常にたくさんの問題点が指摘されておるわけでありまして、その後たとえば基本法の改正であるとか、さまざまの面でできたことは、私は結構だったと思います。しかしながら、事「むつ」に関しては、果たしてどれだけこたえることができたのかという問題では、非常に疑問があるわけですね。たとえば現地との交渉の問題とか、あるいはこれでは修理点検を早くやりなさいというふうになっておりますけれども、これがいまだにできておりませんし、こういうような面では、まだまだ私は大山委員会で指摘された問題について一〇〇%こたえておるということにはならない、こう患っておるわけであります。
 したがって、かなり期間もたっておるわけでありますけれども、なぜこういうことになったのかということですね。もうスケジュールもできた、こうやればよろしいということはわかり切っておりながら、なぜこれが進まなかったのか、なぜ交渉がうまくいかなかったのか、どうして話がいきそうになっては途中でひっくり返って、そして予算ばかり食うようなことになったのか、この辺について当局はどういうふうに反省をしておられますか。
#129
○石渡政府委員 大山委員会の御報告にも指摘されておられる点でございますけれども、たとえば特に地元問題という表現で適切かどうか若干疑問がございますけれども、地元問題に対する対策、対応がどうもうまくいっていなかったという点に大きな反省を求めている次第でございます。そのため、たとえば出力上昇試験の開始が約二年間おくれた、また放射線漏れという予期せぬ技術上のトラブルのためにその後の対応が円滑にいかなかったということで、今日まで開発の計画が大幅におくれているということでございます。この点が最大の原因であったと反省をしている次第でございます。
#130
○貝沼委員 おくれていることは事実でありますし、それから、これを今後どういうふうにして名誉回復し、信頼を取り戻すかということが実は根本的な問題だと思うんですね。当委員会においていろいろと議論はなされておりますが、これは議論の段階でありまして、議論だけで恐らく国民は納得いかないでしょうから、やはり今後残された問題は、態度で示していく、こういうことしか私はないと思うわけであります。
 大山委員会でも「今後、地元の住民に、責任をもって」、この「責任をもって」というのが、いままでの交渉を見ると、だれが一体責任を持ってきたのか、ここがはっきりしません。したがって私は、大山委員会のこの指摘に恐らく合っていないのじゃないかと思うのです。科技庁に聞いてみても、何となくこれは当時者同士が話をすると言うし、いろいろな面で責任の所在がわかりません。したがって、この「地元の住民に、責任をもって積極的に接触、」、これも積極的にやったとは見えません。何となく待ちの哲学できたようであります。そして「交渉し、正確な情報を伝え、」、この正確な情報も果たしてどこまで伝えたかということは私は疑問に思います。それから「理解を深めるよう努力をする」、この理解を深めることに一体どれだけの努力をしたのかということを非常に疑問に思うわけでありますけれども、この大山委員会で指摘された「今後の進め方についての提言」の一項目についてどうやってきたのか、そして今後はどうするのかという点について御答弁願いたいと思います。
#131
○石渡政府委員 ただいまの御指摘の点でございますが、私どもとしても、非常に反省もし、また、いろいろ考えさせられた点でございます。御指摘のように「むつ」の開発の過程におきまして、地元の方々との情報の交流について、日常の努力が必ずしも十分とは言えない面があった、決定的に不足しておったという時期もあったと思います。その点、国といたしましても、また事業団といたしましても、反省すべき点であったと考えております。こういう経験を踏まえまして、修理港問題につきまして、できる範囲での積極的な対応ということを試みてきたわけでございますが、非常に勉強になったというか、私どもにとって大きな教訓を得たという経験だったと考えております。
 今後さらに、いろいろな問題に対応していかなければならないわけでございますが、いろいろな局面におきまして、安全性の確保に私どもはできるだけの努力を払っているということ、しかしながら、内容がきわめてわかりにくいと申しますか説明しにくいという面もございますけれども、そういうことも十分踏み越えまして、特に地元の方々に対しての接触とお話ということを繰り返しまして、基本的には、やはり安全性の確保に対するわれわれの姿勢が言葉を超えて見られているわけでございますが、こういうはだを通じての御理解を賜るという姿勢で対応してまいりたい、かよう考えておる次第でございます。
#132
○貝沼委員 そこで、ここではっきりとしておきたい点は、一つは「地元の住民に責任をもって積極的に接触、交渉する」というこの責任の所在はどこなのか、これをはっきりしておきたいと思うのです。今後、新定係港等の話が出てまいりますと、どこが責任なのか、これがはっきりいたしません。したがって本日は、その責任の所在をまずはっきりしていただきたいと思います。
#133
○石渡政府委員 行政的な責任につきましては、科学技術庁そのものと存じますが、そういう折衝と申しますか、これは決してやりとりではないわけですが、現実の第一線での接触を保っての責任と申しますか、実際の行為の責任は、担当の事業団が担当すべきものと考えております。しかし、最終的な責任は政府であるという立場での事業団の監督という責任もあわせて持っているかと考えます。
#134
○貝沼委員 行政的責任は科学技術庁である、行為的責任は事業団である、話がうまくいかない場合は、そうすると大臣の責任になりますね。大臣、いかがですか。
#135
○長田国務大臣 全般的な責任、特に国としての責任は科学技術庁長官である私が負うべきもの、そのように考えております。
#136
○貝沼委員 そういたしますと、今後たとえば新定係港の交渉、あるいはそれに対しまして、たとえば正確な情報、こういうものは科学技術庁が責任を持ってやり、その科学技術庁と一緒になって、連携をとりながら事業団がやる、こういうことですか。
#137
○石渡政府委員 そのとおりでございます。
#138
○貝沼委員 事業団の方は、この責任の所在はどう考えておりますか。
#139
○野村参考人 先生のただいままでの御質問を承りまして、私ども非常に反省をいたしておるわけでございますが、ただいま大臣並びに局長がお答えいたしましたように、直接現場に職員がおりまして業務を実施しているのは私どもでございますので、たとえば現在、佐世保におきましては県、市及び県の漁連等に対して一カ月に大体一回の割合で会合を持ちまして、私どもの方から、工事に関しては工事担当の理事が大体出向きまして、いままでの仕事の進捗状況を説明いたしております。そういうことをやっております。したがって今後とも、この問題はさらに続けたいと思いますし、それから、これは工事が始まりましたので、事実上できなくなりましたけれども、佐世保に係留以来今日まで一年間の間に、かなり地元の方あるいはやや遠く離れた方もおりますけれども、「むつ」の船内を実際に見ていただくということで、数千人の方が「むつ」をごらんになりました。そういうことで、もちろん地元の方がその大半でございますが、地元の住民の方の御理解を深めるということをやってきておりますし、船内見学は、特殊の方を除いては今後ちょっと当分できなくなると思いますが、しかし、今後のそういう地元への説明会とか意見の聴取ということは、常時密接な連絡をとって、その実施については、十分私ども体制を整えてやっていきたいと思います。
#140
○貝沼委員 そういたしますと、地元から、たとえばこういう会合を持ってもらいたい、こういう話し合いをしてもらいたい、こういう点について疑問があるので資料を提示していただきたいというような要望がある場合は、ここにあるように、積極的に正確な情報を伝えて理解を深めることに努力をするわけですね。これは具体的にいかがでしょう。
#141
○野村参考人 いままでも、そういう県、市、漁連の関係の方々に対して、資料もお出しをし、工事の専門家が説明をしたりいたしておりますので、これは向こうとよく意思の疎通を図って、なるべく御要望に応ずるように会合も開き、資料の提出もやるということで、できる範囲の接触をし、また御理解を深めるための努力を続けたいと思います。
#142
○貝沼委員 私がこういうことをしつこくいま申し上げておりますのは、今回の修理、改修ですね、このチャンスを逃してしまったならば、恐らくもうだめだろうと思うのです。したがって、先ほどの態度で示さなければならないということは、今回がもう最後のチャンスである、このチャンスに本当に修理が行われなければ恐らくできないだろう、したがって、そのためには全力を挙げて地元の人の納得が得られるように、無理やりやるのじゃなしに、やはり納得ずくでいくようにしなければならないだろうというところで、私は特にこの問題をいま確認をしておるわけでございます。
 私自身、個人的な考えを申し上げますと、もともとこの原子力船「むつ」、これは三十八年ですか、与野党一致でできた法律でありますので、このとき私ども公明党はありませんでしたけれども、まあ与野党一致でできた、そして自前の技術で始めたわけであります。この自前の技術で始めた日本原子力船事業団の技術というものが途中で挫折するということは、これは自主開発という面から考えますと、非常にまずいことになる。そういうトラブル、事故というものがありましたけれども、これはこれで克服して、そして日本人が手がけ、つくった、日本人による技術によってできたものは、やはり一度は完成させておかないといけない、こういうふうに私は思っておるわけであります。
 したがって、今回この修理というものがもし失敗に終わるならば、これは非常に危ぶまれることになってまいりますので、あえてそういうふうに言っておるわけでございます。また、この今回の工事が失敗に終わるようなことがあれば、日本の技術はやはりだめだなとか、あるいは現在までにたとえば財政的にいろいろつぎ込んできたものも効果をなさなくなる、さらに国民に対する信用もなくなってしまう、また「むつ」そのものの所在が一体何のためにあるのかということで、いろいろな面でデメリットが多いと私は考えておりますので、これは成功しなきゃならぬと思うのです。
 当局は、今回ただ修理をさしてください、さしてくださいと言うわけで、そして五年間延ばしてくださいということを言っておりますけれども、基本的には、どういうことを考えてこの修理に当たろうとしておられるのか。
 私は、いま申し上げたような点で、これは日本の自主技術の開発という面から、あるいは日本人が手がけたものを一度完成させておかないことにはまずいというような面から、あるいは今後のたとえば人材の育成というような面からも、どうしてもこれは修理しておく方がいいのではないかと考えておるわけでありますが、当局はどういうふうにお考えですか。
#143
○石渡政府委員 まず、先生が非常に重視をされて御指摘になりました国産技術による原子炉であるという点の御指摘は、私どもも全く、失礼でございますが、同感でございます。
 それからもう一つは、大きな技術開発、根っこは、先生の御指摘と同じになるかと思いますが、ナショナルプロジェクトとわれわれ呼んでいるわけでございますが、大きな技術開発の進め方、これは戦後日本の技術が導入技術に、一〇〇%とは申しませんけれども、大きく頼ってきたということに対して、一つの国のプロジェクトとして進められたものが、やはり最後まで完遂されなければいけないという点を、私どもは、もう一つの点として重視している次第でございます。
#144
○貝沼委員 それからもう一点は、法案の条文の目的のところでお尋ねしておきたいと思いますが、この原子力船研究開発事業団の目的を「原子力船の開発及びこれに必要な研究を行い、もって我が国における原子力の利用の促進並びに造船及び海運の発達に寄与するものとすること」、こういうふうになっておりまして、この「原子力船」という言葉でありますが、これは「むつ」だけなんですか、「むつ」だけに限らないのか、その辺の解釈が一つ。
 それから「これに必要な研究」ということは、原子力船というものに対する研究だけをやるのであって、船とは直接かかわらない、たとえば舶用炉のいろいろな部分に対する研究、これはどうなるのですか。
#145
○石渡政府委員 まず「原子力船の開発」の「原子力船」の範囲でございますが、これは「むつ」を含みます原子力船全般を考えております。
 次に、「これに必要な」の「これ」の解釈でございますが、これは原子力船並びにこれに関連する、たとえば陸上支援施設、あるいは船体を含む、舶用炉を中心とするそういう付帯、関連のものも含んでいるというふうに解釈をお願い申し上げます。
#146
○貝沼委員 そういたしますと、「これ」というのは、日本原子力船研究開発事業団ということになりますね。これは原子力船じゃないですね。
#147
○石渡政府委員 原子力船の開発という意味でございます。
#148
○貝沼委員 それからもう一点は、午前中もちょっと指摘があったと思いますが、この研究という部分と、それから開発という部分でありますが、先般この事業団法の改正案が出たときに、研究所法案という話が出まして、そのとき与野党でいろいろ話し合いをいたしました。そして、次には研究所法というものに早く改めてもらいたいということで、それならば延期することもいいでしょうといういきさつがあったわけですね。ところが今回出てきたのは、その面から見ると、やはり研究というのは何となくくっつけたような感じで余りしっくりしないのですが、まあ入らないよりはいいような気はしますけれども、この条文から考えてみますと、あくまでも開発というのが主体であって、そのための研究であって、純然たる研究部門というものは余り加味されていないような感じがしてなりません。
 そこで、この「必要な研究」というのは、基礎研究からいろいろな面にわたって、かなり研究所的な性格を持つのか持たないのか、その辺のところの答弁をお願いします。
#149
○石渡政府委員 研究開発と一語で、一つの概念としてでき上がっているとも解釈できますけれども、あえて研究と開発とを分けてまいりますと、まず同等のウエートを置くのが最終的な姿であろうかと思っております。ただ、現実の姿として「むつ」の開発という点に若干のウエートがかかっているという実態を踏まえまして、研究の部分が徐々にふえていくという姿を想定してこういう名称を選んだわけでございます。したがいまして、研究及び開発、両方をバランスのとれた形で包含したものというふうに御理解を賜りたいと存じます。
#150
○貝沼委員 私が心配いたしておりますのは、こういう法律が出まして、そして何となく反省をした、やはり研究もしなければならない、一歩から出直しであるという反省があっただろうと理解しておるわけです。したがって、そういう反省に立つならば、たとえば事業団の単なる改組あるいは延命という感じで終わったのでは、これは何にもならないわけでありまして、やはりこの際、実質的に過去の体質を改めて、文字どおり一から出直していく、本当に初めから研究をやり直していくのだ、そして現実にある「むつ」については、徹底的に研究をして、わが国の技術というものをここで完成させてみせるというような方向で新しい決意で出ておるのだというものがなければ、これは通す必要はない、やる必要はないと私は思うのです、従来どおりであるならば。したがって、その辺の決意はどうなんでしょうか。
#151
○石渡政府委員 従来の姿勢によって進んできた経験、非常に好ましくない経験を得たわけでございますが、この経験を糧といたしまして、今後の原子力船の研究開発の進め方をいろいろ検討してまいったわけでございます。そういう意味におきまして、先生ただいま御指摘のように、初心に返ってと申しますか、心を入れかえてこの問題に対処をいたしたい、こういう決意のもとに今回法案を提出させていただいた、このように御理解をちょうだいいたしたい次第でございます。
#152
○貝沼委員 もう一点は、舶用炉の研究をするということになっておりますが、この舶用炉は、舶用炉という言葉だけではわかったようでわかりません。私も、研究所法ということを主張したときには、舶用炉の研究をやるべきであるというふうに言っておったわけでありますが、現実にこうして法律として出てまいりますと、当局で考えております舶用炉というのはどういうものを考えておるのか、たとえば、どれだけの規模のもので、どういうところでの使用を目的としているのか、どういうものを対象にこの研究をなさろうと考えておりますか。
#153
○石渡政府委員 まずイメージから申し上げさせていただきますが、現在、アメリカあるいはフランス、西ドイツ、それぞれ経済的に原子力船の製造の発注が来たならば、この炉でもって応札してやろうというそれぞれのタイプの設計を持っているというふうに伝えられているわけでございます。やや大型の十万トン近いコンテナ船あるいは砕氷船等をねらったような改良された舶用炉の設計でございますが、われわれもできますならば、そういった日本の舶用炉の設計はこれであるというものが持てるような時代に早く持っていきたいというのが一つのイメージでございます。そういう意味で「むつ」の経験も踏まえながら、われわれとしてこれが最適だろうとねらえる舶用炉の開発を、まず設計研究という段階から始めていきたいというのが私どもの考えているところでございます。
#154
○貝沼委員 それはたとえば、いろいろなものを手がけるのではなしに、規模にしても出力にしても、新聞等で小型とかいろいろ言われておりますが、あるものを想定して、その一つについてまず徹底的にやるという方向なのか、それとも幾つか並べておのおのについて研究をしていくという方向なのか、どちらなのですか。
#155
○石渡政府委員 当面この五年間ほどで考えておりますのは、幾つかのタイプの設計を考えてみまして、それぞれにつきまして概念設計が終わった段階で再検討いたしまして、できるものなら、その時期に一つにしぼって、その次の段階の開発にかかっていきたい、こういう考え方をとっておりまして、概念的に申し上げれば、比較的汎用性のある、三万ないし五万馬力ぐらいの舶用炉というところをねらうことになるかと思いますが、最初から設計段階での勉強においてそのねらいを定めるというプロセスを考えておるわけでございます。
#156
○貝沼委員 そういたしますと、これはかなり今後人材というものが必要になってくるわけでございますが、当局としては、この人材の確保をどう考えておるのか、どれくらいの規模まで考えようとしておるのか、その点を承っておきたいと思います。
#157
○石渡政府委員 現在百余名の事業団の定員でございます。三十数名は船員の方々でございまして、技術陣営としては大体五十名ほどということでございますが、その大部分は「むつ」の改修あるいは総点検に張りつくというのが実態であろうと考えております。スタートといたしましては、こういう人員等も非常に厳しい時勢でございますので、いきなり大幅なことはねらえないわけでございますが、できるだけの人員面での強化を考えたいということが一点。それから、やはり質的なと申しますか、研究開発に向いた方と言うと大変妙な言い方になるのでございますが、そういう職務に向いた方の充実ということも考えてまいりまして、だんだん強化を図ってまいりたいというのが当面の考え方でございます。
#158
○貝沼委員 四月十一日の原子力委員会の方針としては、民間指導路線の考え方を、国を中心とした長期研究開発の積極的取り組みというような方向へと軌道修正をしたようでございますが、そういたしますと、私は、これは非常に結構なことだと思いますが、と同時に、人材の育成ということを考えると、現在のような、あるいは原子力船「むつ」をつくったときのような出向の多いものではちょっと問題があると思うのです。「むつ」そのものの今後の実験にしても、長期間にわたるわけでありますから、出向ではとてもだめです。やはり専門につかなければなりません。まして今後、舶用炉を研究して開発していくということであれば、それの専門の人材の育成が必要であります。したがって、出向職員というものを減らして、そこに常駐していく職員を今後ふやしていかなければならない、また、そうしなければ、今回この改正をする意味がないと私は思っております。普通研究に携わる人であるならば、やはり腰を落ちつけて、そこで自分の一生の仕事として本気になってやっていくということで実が上がると思うわけでありますので、この辺についてはどうお考えですか。
#159
○石渡政府委員 私ども先生の御指摘のとおりと思っているわけでございます。人材の定着化、また、こういう息の長い研究開発でございますから、少なくともここに飛び込んでこられる方は、一生ここでこの研究をやっていこうという意気込みで取りかかっていただくということが基本であろうかと存じます。そういう意味で、身分的にもそういう希望がかなえられるのだという体制をつくり上げませんと、そういう人材に来ていただくということが実現しないわけでございます。
 それから次に、やはり出向体制ではいろいろ気をつけてはいるようでございますけれども、技術の蓄積あるいは継続性というものにどうしても弱点が出るというきらいがございますので、そういうこともあわせ考えまして、この組織の実態的な永続性はぜひお願いいたしたい、また、そういうふうに持っていかざるを得ないというふうに考えているわけでございます。そういうことも盛り込みまして、今回御審議をお願いしている次第でございます。
#160
○貝沼委員 もう時間が来ましたから、あとほかの問題は次回に譲りますが、大臣に一言お尋ねしておきたいと思います。
 それは今回この改正をやって、まず絶対失敗しないという決意をさらに強く持っていただかないと困るということであります。それは事業団の仕事が進まないだけでなく、原子力の平和利用という面から大きく後退をするという危惧があるからであります。この点についての大臣の決意をひとつ承っておきたい。
 それから、事業団の方に聞いておきたいと思いますが、事業団は、今後いろいろな面で地元の方々と折衝するわけでありますが、そのときも、テクニックとかそういうものに走るのではなく、あるいは政治力に押されるのではなく、誠意を持って今後対処していくように望んでおきたいと思いますが、その点についての答弁を伺っておきたいと思います。
#161
○長田国務大臣 この新しい法律が実施されました後の体制としましては、原子炉の研究開発という面についてはもちろんでございますが、特にいままでの悲しむべき事実の積み重ねでございました「むつ」の開発につきまして、これ以上の失敗ということは、本当に先ほど御指摘のとおりのことだというふうに思っております。そのように重大に受けとめまして、関係者一同心してこの問題に取り組んでまいる所存でございます。
#162
○野村参考人 事業団といたしましても、御指摘のように、地元に対しまして従来より一層の御理解と御協力を得るように誠意を持ってPRをし、わかりやすく説明をして、また疑問の点については、いろいろと懇切丁寧に解説をするというようなことによって地元の一層の理解をいただくような努力をあらゆる機会をとらえてやってまいりたいと思います。
#163
○貝沼委員 終わります。
#164
○瀬野委員 長瀬崎博義君。
#165
○瀬崎委員 まず最初に、法案そのものについて若干の質問をしておきたいと思います。
 法制局に伺いたいと思うのですが、現行の原子力船事業団法にも二十三条の一項三号で「前二号に掲げる業務に関する調査及び研究を行なうこと。」と定めているわけですね。この現行法の規定のままで原子力船開発に必要な研究業務、たとえば今度原子力委員会が打ち出しました舶用炉の基礎的な研究等はできるのかできないのか、法律的な見解を伺っておきたいと思うのです。
#166
○前田(正)政府委員 事業団法の第二十三条第一項を改正することが適当と考えましたのは、以下に申し上げるような点を考慮したためでありますが……
#167
○瀬崎委員 まず、研究ができるかできないかからお答えいただきたいと思います。
#168
○前田(正)政府委員 お答えいたします。
 現在の二十三条第一項第三号は、なるほどその調査及び研究について規定してございますけれども、第三号をごらんいただきますとおわかりのように、「前二号に掲げる業務に関する調査及び研究」とございます。したがいまして、お尋ねに関連いたしますのは、前二号のうち第一号でございますので、第一号と第三号をあわせ読みますと、第三号に規定しておりますところの「調査及び研究」といいますのは、原子力船の設計、建造及び運航の業務に関する調査及び研究ということでございますので、直ちに、いま委員の申されました一般的な意味での研究というものができるかどうかというのは疑義が残るということだと思います。
#169
○瀬崎委員 疑義が残るということは、じゃ、そういう研究業務を行った場合には、何らかの法的な制裁措置あるいは違法の取り扱いを受ける危険もある、こういうことですか。
#170
○前田(正)政府委員 事業団が業務を行いますのは、あくまでもその第一条の目的を達成するためでございますので、その行うべき業務の範囲は、第一条の目的達成との関連において限定をされると思います。したがいまして、第一条の目的の範囲を逸脱するような業務を行うとしますれば、それは違法ということにならざるを得ないと思います。
#171
○瀬崎委員 ですから、原子力船のいわゆる建造に関係のある研究を行ったからといって、必ずしも違法だということにはならないのでしょう。
#172
○前田(正)政府委員 その原子力船の建造に関する研究というのは何を意味するかという問題はあろうかと存じますが、いまおっしゃった意味での建造に関する研究が直ちに違法ということにはならないと存じます。
#173
○瀬崎委員 それと同時に、名称が開発事業団から研究開発事業団に変わるわけですね。法律的に見て、単なる開発事業団と言うのと研究開発事業団と言うのと、一体どういう違いがあるのか、この点を説明いただきたいと思います。
#174
○前田(正)政府委員 その点につきましては、開発だけでも研究を含み得るという余地は多分にあろうかと存じます。ただ、今回改正されるにつきましては、従来の経緯と申しますか、事業団法についての一つの解釈があったわけでございます。と申しますのは、御承知のように、事業団の設立というものが原子力第一船の建造を目的として設立をされたという経緯があるわけであります。したがいまして、二十三条の第一号は、一般的な用語といたしまして「原子力船の設計、建造及び運航を行なうこと。」と規定してはございますけれども、この原子力船というのは、いわば原子力第一船、いわゆる「むつ」を意味している、「むつ」のそれを意味していた。さればこそ、その事業団法そのものが、廃止するものとする、期限を付されていたという経緯もあるわけでございます。
 そういう意味で、一般的な用語としては「原子力船」というものが書かれておりますけれども、これは原子力第一船というものが前提となって規定をされている、こういう従来の経緯もございますので、その辺を明確にいたしますために、従来第一条では、単に「原子力船の開発」というのを規定したにとどまったわけでございますけれども、今回は「これに必要な研究」、「これ」と申しますのは、原子力船の開発に必要な研究というものを追加した、したがいまして、そういう新規業務を追加したという意味におきまして、事業団の名称にも「研究」という文言を付加した、こういうことでございます。
#175
○瀬崎委員 その流儀でいきますと、たとえば動燃事業団というのがありますね、宇宙開発事業団というのもありますね、科技庁所管の事業団の中に。動燃事業団ですと、「常陽」とか「ふげん」とかいう名前のついた新型転換炉であるとか、あるいは高速増殖炉の開発、それから再処理工場の開発、これが一般的な動燃事業団の開発のイメージになっているわけです。そこに新たに何か研究的な業務が加わるとすれば、ここもまた研究開発事業団というふうに名称の変更が必要になってくるのですか。
#176
○前田(正)政府委員 法律の名称は、その法律の中身の実態を最もよくあらわすものでなければならぬという大前提があろうかと思います。そういたしました場合に、動燃等の場合と比較いたしまして、原子力船事業団につきましては、余りにも「むつ」の建造、「むつ」と結びついていたという点におきまして、一般的な意味での原子力船の研究というものを従来含め得たかどうかという点に多分に疑義がありました。したがいまして、今回新たな業務を付加するといたしますれば、名称も変更した方が実態をあらわすということで適当であろう、こういう判断をいたしたわけでございます。
#177
○瀬崎委員 結局、言われているところは、実態として原子力船事業団イコール「むつ」建造事業団、こういうことが余りにも一般化しておったから、この際名前を変えた方がよいと、こういうことなんですね。
#178
○前田(正)政府委員 おっしゃるとおりでございます。
#179
○瀬崎委員 そこで、今度は科学技術庁の方に伺ってまいります。
 単に開発の機関と言うのと、研究開発機関と言うのと――今回法改正までやって名前を変えた、いま説明を聞かれたとおりなんですね。これは法律的にどうのこうのと言うよりも、余りにも実態として原子力船事業団が「むつ」事業団のような形態であったからと、こういうお話なんですが、しかし、受ける国民の側としてみれば、やはりわざわざ看板を書きかえてまでやるのだから、何か開発だけの事業団と研究開発事業団との間には違いがあるのではないかと受け取るのは当然だと思うのです。
 そこで、そもそもその発起人である科学技術庁としては、単なる開発機関と、それから研究開発機関と区別する基準というものをある程度明確にして事に臨まれたと思うのですが、どういう区別する基準を打ち出していらっしゃるのか、そこを伺ってみたいと思います。
#180
○石渡政府委員 区別する基準というお尋ねでございますが、どのような基準をお考えなのか、ちょっとつかみかねておりますが、少なくとも現在の「むつ」の開発を離れまして、将来の改良舶用炉の研究を新たに付与する、これが実態的な研究のスタートだと考えております。
#181
○瀬崎委員 それでは一般的な物差しにはなってないと思うんですよ。だから、ほかにもいま言いました開発事業団があるわけです。そして動燃事業団であれば、これの社会的認識は、さっきも言いましたような「ふげん」、「常陽」といった新型転換炉、それから高速増殖炉、そして再処理工場、それから。プルトニウムの製造ですね、大体こういうイメージが定着している。ここに何か研究的な問題が加わった場合、これはやはりそういう一定の基準に従って名前をまた変える、こういうことは考えているのですか。それはまたそれで別途の話なんです。いまの開発事業団を研究開発事業団に変えたのは、この原子力船事業団に限っての特例なんですか。いかがですか。
#182
○石渡政府委員 原船事業団に限っての特例になるのではないかと考えます。と申しますのは、動燃事業団のただいまの例でございますけれども、一方は核燃料サイクルの要点をテーマとして押さえている、また炉開発の場合にも、比較的近い将来に実現するであろう新型転換炉あるいは高速増殖炉という主な次代の核分裂型の原子炉の開発をテーマとしているということでございまして、仮にそれらを支えるための研究を行ったにいたしましても、きわめて共通的なテーマになるわけでございまして、わざわざ名前を考えるという必要は生じてこないだろうと考えております。
#183
○瀬崎委員 そこで、先ほど法制局の第三部長が答えられたように、その名称は、やはり事業団の中身を最もよくあらわしている必要がある、こういう話がありましたね、ですから、やはり今度は看板を変えてしまったのだから、中身がそれに相応していなければいかぬと思うのです。そういうふうな組織、機構が生まれるのか生まれないのか、ここが問題だと思うのですが、さて新しい研究業務を形の上ではつけ加えて、事業団全体の人員はふえるのですか、ふえないのですか。
#184
○石渡政府委員 ふやす方向で努力したいと考えておりますが、にわかにその成果があらわれるかどうか、若干の危惧を持っている次第でございます。
#185
○瀬崎委員 これは大臣に伺いたいのですが、一方で相当厳しい行政改革の枠がはまっていますね、そして、いろいろ統合の五年先の問題まで打ち出しているぐらいなんでしょう、そういうときに、いま石渡局長がふやす方向で検討だと言われましたが、これはやはりはっきりふやせるのかふやせないのか聞いておかないと、中身がどうなるかという問題に関連しますから、大臣の答弁を聞きたいと思います。
#186
○長田国務大臣 行政改革というのも政府の一つの大事な施策でございます。また、原子力を舶用炉に利用していくという面も大変重要な問題でございます。そしてお話といいますか内容を分けますれば、あるいは行政改革で減員というものを一様におしなべて食うかもわからない、同時に、こちらの方については、それ相当の体制の変更とともに人員が要るということもあるべきことだと思うわけでございます。差し引きしてそれが何人のプラスになるか、現状維持になるか、減員になるか、それらは予算査定の段階などにおきまして私どもが努力し、また財政当局や行政管理庁等がそれぞれの見方でもって処理しての結論ということになるわけでございますが、私どもとしましては、この新しい事業団の陣容を充実させていくということに力を入れていかなければならない、そのように考えております。
#187
○瀬崎委員 事業団に伺いますけれども、では五十五年度の予算で人員増の予算を見ているのですか、見ていないのですか。
#188
○野村参考人 五十五年度では見ているといいますか、結果的にはふえておりません。
#189
○瀬崎委員 事業団としては、たった五年間の寿命にしかすぎないんですよ、そのうちの初年度、五十五年度はこの増員の予算を見ていないというわけでしょう。あと四年ですよ。だから、いいかげんなことを言ってはいけないと思うのです。しかも一方で「むつ」も実際に、われわれはしてはいかぬと思うけれども、修理を始めようというわけでしょう。いままでよりは手がよけいとられるはずなんです。全体の枠がふえないで「むつ」にそれだけ手がとられたら、一体あと何が残りますか。実際研究業務をやるという実態は、一体生まれるのですか、生まれないのですか。そういう部署、新たな機構は生まれるのか、生まれないのか、はっきりしておいていただきたいと思うのです。
#190
○長田国務大臣 舶用炉の研究全般ということにつきましては、私どもは、この事業団の存在の期間は五十九年度末というふうには考えておりません。長い生命を持ってこれから取り組むべきだというふうに考えております。
 なお、予算の面から見ましても、新しく発足をするというようなことなどからしまして、全般的な研究費としては二千万計上されておりまして、非常に多額と申すわけにはまだまいらない次第でございます。
#191
○瀬崎委員 いま事業団の総人員は幾らですか。
#192
○野村参考人 約百四十名でございます。
#193
○瀬崎委員 そこへ二千万……。
 では、これを全部舶用炉の研究に当たる人件費に充てたとしても、よしんばこの研究業務の部署ができたとしても、百四十人の世帯の中のせいぜいわずか四、五人でしょう。それで、先ほど法制局の部長が言われたように、この看板に麗々しく「研究」と打って出るほどの中身の変更と言えるだろうか。私は、そういうふうないいかげんなことでごまかそうという態度に対しては、激しい怒りすら感じますね。一応法制局の方はお忙しければ退席いただいても結構です。
 さらに、これは五十二年四月二十六日の参議院の科学技術の委員会で、質問されているのは公明党の塩出啓典さんなんですが、質問の方は「原子力船開発事業団というものを研究のみに限るというような内容にするという点と、それと恒久的な、時限立法ではなしに、ずっと将来まで続いていくような研究所にすべきではないかと、こういうような点は最近いろいろ論議をされておるわけでありますが、それについての長官のお考えを承っておきます。」、これが質問であります。これに対する宇野長官の答弁は「ここで私がそれはもう恒久立法の方がよいんだと言うわけにはまいりませんが、しかしこの国会での審議の過程におきましては、やはりいまおっしゃったとおりに時限立法では、そこに働く人が果たして熱意を持つのかというふうないろいろ御意見があったということも、私の耳底深く残っている問題もございます。」、こう答えているわけです。
 だから、この質問の趣旨とこの答弁とをあわせ考えれば、明らかに恒久立法を目指す方向で努力する、こういう意思表示であったと思うのですが、いかがでしょうか。
#194
○長田国務大臣 この法案につきましての従来の御審議の経過からしましては、そういうような方向でございます。ただ、それに第二次大平内閣が非常に大きな施策として掲げました行政改革との関連をどうしていくかというような結果、このような法案になった次第でございます。
#195
○瀬崎委員 国会で恒久立法を目指すと一たん答えておきながら、それができないぐらいの厳しい行政改革の枠がいまかかっている。そして五年後統合の方針を打ち出さざるを得なくなってきた、そういう厳しい行政改革、われわれはそれが正しいと言っているんじゃないですよ。政府としては、そういうものを打ち出している中で、では、この事業団が今後研究を大きく打ち出すような事業団に衣がえをするというふうな陣容が整えられるというようなことは考えられないですね。非常に矛盾をしていると思いますよ。
 こういう点では、今回の法改正が、あくまでもこの三年前、つまり八十二国会の論議を踏まえたということで非常にすんなり通るのではないかというふうに言われてきたわけなんですが、答弁に当たった政府側も、批判を受けなければならないと私は思う、約束違いのことをしているのだから。
 同時に、こういう約束のもとに賛成の意を表明しようとする方があるとすれば、三年前とは違った状態にいまなっているということにも留意されなければならない、私は、こういうふうな感じを持っております。
 しかし、少なくとも求められておるのは、研究体制の一貫性ではないかと思うのです。この点だけはお認めになりますね、いかがでしょう。
#196
○石渡政府委員 そのようにいたします。
#197
○瀬崎委員 そうすると、これまでの小刻み延長が研究の一貫性の一番大きな障害である、これは大山委員会も指摘したところですね。それがさらに異なる研究機関と統合する、これはどこをどう押しても一貫性とは言いがたいと私は思うのです。それでもなお一貫性と言い得る根拠があれば示していただきたいと思うのです。
#198
○石渡政府委員 研究の実態、すなわち研究者がある研究に取りかかっておる、そういう実態の継続性というのは可能であろうと思っているわけでございます。
#199
○瀬崎委員 そういうふうな論法からするならば、何も事業団というものをつくらずに最初から、たとえばいま政府が目指している原子力研究所にきちっと原子力船部というようなものでもつくって出発しておけば、それこそ研究の中身も、体制も一貫しておったのではないかと私は思うのです。なぜそういう方策をとらなかったのか、尋ねざるを得ないのですが、いかがですか。
#200
○長田国務大臣 ずっと昔、原子力船開発事業団をつくりましたころの経過を私もどうも十分存じません。しかし、現在の行政改革の際に考慮すべき問題としましては、「むつ」の開発という問題も、これ自体やり遂げなければならない、それから従来の法案御審議の際の御意見、研究機能を付与すべきだということも十分考慮していかなければならない、そういうようないろいろな面から考えまして、このような法案になった次第でございます。
#201
○瀬崎委員 だから結局、研究開発という面から考えておった一貫性と、それから別の目的から来た行政改革とが折衷されたために、当初の科学技術庁の方針は貫けなかった、こういうことは率直にお認めになるのでしょう。いかがです。
#202
○長田国務大臣 行政改革につきましては、現在ある特殊法人などもどんどんなくなっていくというような情勢でございますから、ことしの十一月末までが期限だとされておりました――もちろんその後のことについてのいろいろな御配慮もございますけれども、十一月末までということに法律上なっておりますものにつきましてのこの原船事業団というものが、いろいろな角度からの検討の結果、このような内容になった次第でございます。
#203
○瀬崎委員 まさにいろいろな角度からでしょう。五年先の統合について、われわれとして決して賛成じゃないんですよ。だけれども、政府は打ち出しましたね。その相手が、原研と決めたわけじゃないと言われるけれども、結局選択は、原研か動燃しかないと思うのです。そのうち、たとえば動燃と仮定した場合は、現在の法律上の業務の規定からいきますと、このままでは統合がむずかしいのじゃないかと私は思うのですが、いかがですか。
#204
○石渡政府委員 いずれにいたしましても、法改正が必要になるわけでございまして、慎重に検討いたしたいと思っております。
#205
○瀬崎委員 しかし、これは行政改革とは言うものの、一方には純粋に科学的な研究開発という使命、また、その法則があるわけですから、これを無視しては、目的とする研究開発そのものが発展しないと思うのです。ですから、相手に選ばれている機関、特に直接研究に携わる人たち、技術に携わる人たちの意見の尊重は、当然の前提だと思うのですが、こういう点での相手先のいろいろな意見は聞かれたのか、聞かれていないのか、いかがですか。
#206
○石渡政府委員 その当時、時間を非常に限られた判断でございましたので、そういう手順を踏むと申しますか、十分お話をするという時間はございませんでした。
#207
○瀬崎委員 この間の私の質問のときに、大体課長以上の技術系の方々、出向者でない人がいるかと言ったら、ゼロでしたね。それから、ここ三年ほどをとってずっと勤続している人はいるかと言ったら、これもゼロでした。みんな入れかわっている、こういう状況だったのです。
 そこで今度は、そういう方も含めて全職員について、いわゆる出向で、統合するとすればもとの職場へ帰り得る人がどれだけ、それから事業団プロパーの職員の方で、統合する機関に引き継がれる人は一体何人、これをちょっと答えていただきたいのです。
#208
○野村参考人 本年の四月十六日現在で申し上げますと、出向してまいりました者が九十三名、それから本来事業団で初めからおりました者が三十五名ということでございます。
#209
○瀬崎委員 この数字は、一面では上から下まで事業団が寄り合い世帯であるという姿は少しも変わっていないという現状を示していますね。しかも今後も、五年の寿命ということになりますと、さらに事業団プロパーの職員のふえる可能性は少なくなる。と同時に、一方では相当な人数の方が新たな統合機関に受け入れられるという可能性も示していますね。そういうふうな点を考えると、これはやはりよほど事前によく相談をしてやらないと、統合問題そのものが大きな失敗のもとになると思うのです。そういう点では、来るべき参考人などは非常に大事だということを申し上げておきたいと思うのです。
 時間の関係がありますので、いろいろお聞きしたいのですが、「むつ」のスケジュールの問題で、これはきのう中林議員もずいぶん追及されたのですが、長崎における五者協定での約束における残された期間内で修理を完了するのだと言われているのですが、明確には一体何年何月で修理を終わろうというのですか。
#210
○野村参考人 五十六年の十月の中旬、下旬ということでございます。
#211
○瀬崎委員 じゃ、その修理の完了期限というものは、これからは三菱あるいは石播と契約をされる場合、その契約にも明記される期限、こういうふうに受け取っていいんですね。
#212
○野村参考人 施工者と契約をいま急いでおりますけれども、これも一本の契約で初めから終わりまでできませんので、部分契約というようなことをやりますから、現在の契約ではございませんが、結局、最後は五十六年の十月の中旬、下旬ということで修理が終わるような契約になる予定でございます。
#213
○瀬崎委員 それでは、そのいわゆる部分部分のそれぞれの契約の予定について、国会に資料を提出してほしいと思うのですが、よろしいですか。
#214
○野村参考人 現在まだ契約が詰まっておりませんので、お出しするのにちょっと間に合いません。
#215
○瀬崎委員 結局、過去三年かかると言っておった修理を一年半にしようというのは、皆さんの願望であって、何かによってきちっと証明されるものじゃないということなんですね。この点でも私はいいかげんだと思いますよ。
 きのうは中林議員が、四者協定、五者協定を守るべきだという話を大分されたのですが、政府は、原子力船も含めて、原子力施設の立地に当たっては、安全の確保と、それから地元住民の理解と協力を得る、これが原則だ、こう繰り返し言ってこられたのですが、この基本方針だけは絶対に変わることはありませんね。大臣に伺っておきたいと思います。
#216
○長田国務大臣 その二つの点、まだほかにもあるかもわかりませんが、十分心して取り組んでまいります。
#217
○瀬崎委員 そういう原則を守られる以上は、重ねて伺いますけれども、政府がみずから地元との間に結んだ原子力船に関する四者協定、五者協定、それから電力会社が陸上炉について地元自治体と結んでいる安全協定、こういうものに対しては当然尊重していく、具体的なこういう協定は何よりも尊重するということがなければ、地元の理解、協力を得たことにならないと思いますが、この点もよろしいですね。
#218
○長田国務大臣 そのような方針で参ります。
#219
○瀬崎委員 通産省、見えてますね。――聞くところによりますと、四国電力が伊方原発の三号炉について立地の意向を表明したとわれわれは聞いたのですが、通産省をそれを承知しているのですか。
#220
○児玉(勝)政府委員 昨日、現地に申し入れを行ったということの報告を受けております。
#221
○瀬崎委員 これは恐らく通産省は重々承知している、大臣も御承知だと思いますが、伊方原発については、いま尊重しなければならないと言われた協定が結ばれていることは御存じだと思います。「伊方原子力発電所周辺の安全確保及び環境保全に関する協定書」でありまして、五十一年三月三十一日に県と伊方町と四国電力の三者で結ばれております。
 この九条に「事前協議」という項があって「四国電力は、発電所もしくはこれに関連する主要な施設を設置し、もしくは変更し、またはこれらの用に供する土地を取得しようとする時は、当該計画についてあらかじめ甲(県)及び乙(町)と協議し、その了解をうるものとする。この場合において原子炉数二基(一基の電気出力が五十六万キロワットクラスのもの)を限度とするものとする。」と明記されているようですね。
 こういうものが一方で結ばれていながら、つまり五十六万キロワットクラスのもの二基が限度、こういう協定を結んでおきながら、これをそのままにしておいて、一方的に三号機を設置したいという表明、こういう態度は果たして協定の尊重なのかどうか、果たして地元住民の理解や協力を得てという原則に当てはまるものなのかどうか、いかがですか。
#222
○児玉(勝)政府委員 私たちとしては、第三号機の申し入れをその九条に基づいて行ったわけでございますけれども、いま先生おっしゃいましたように、ただし書きで「限度とする」という問題もございますので、その件につきましては、両者において今後詰めていく問題であるというふうに考えております。
#223
○瀬崎委員 大臣、本来ならば、協定を尊重するというなら、こういうただし書きがあるわけですから、まず、ただし書きそのものについて地元の意向がどうであるかを十分詰めた上でなければ、軽々に三号機をつくりますなどとは言えないはずだと思うのです。こういう点については、通産、科学技術庁両方にかかわる問題でありますので、改めて四国電力に対して、こういう協定を尊重して、慎重に事を運ぶように厳重に行政指導を強めてもらいたい、こう思うのですが、いかがですか。
#224
○長田国務大臣 その問題につきましては、第一次的には通産省の方の問題でございますし、なおよく私どもなりに事情なども調査をしてまいりたい、そのように思っております。
#225
○瀬崎委員 大いに調査はしていただきたいと思います。現にこの協定書は存在いたします。したがって順序としては、私が言ったように、ただし書きがあるわけですから、まず、このただし書きについて変更に地元が応じてくれるのかどうか、ここがきちっと協議されてから設置を表明するならするべきだが、この順序が全く逆になっていると思うのです。
 そういう点では、いまの大臣の発言に基づいて、通産の方で四国電力に対して、当然政府が抗議してしかるべき性質のものだと思うくらいなんですが、きちっとした行政指導だけはやってもらいたい。答弁を求めて終わります。
#226
○児玉(勝)政府委員 瀬崎委員のおっしゃったとおり、十分調査をいたしまして、地元の理解と協力が得られますように四国電力を指導したい、こう考えております。
#227
○瀬野委員長 米沢隆君。
#228
○米沢委員 本法案につきましては、かなり時間がとられて、論点はほぼ出尽くした感じがありますけれども、私は、基本的な問題について、大臣初め当局の所見をただしておきたいと思います。
 まず第一に、「原子力船の商船としての実用化の可能性は早くから指摘されていたにもかかわらず、世界的に原子力商船実用化の動きは顕在化していない。」と報告書には記載されておりますが、その理由について所見を伺いたいと存じます。
#229
○石渡政府委員 原子力船研究開発専門部会の報告の中に先生の御指摘のような記述がございます。今日的な理由という観点から申し上げますと、当初原子力船に期待されたほど経済性の問題が解決されていないということでございまして、まだ重油だきの船の方が経済性が高い、一方、原子力商船側といたしましては、十分に小型であり軽量であり、しかも強力な舶用炉が開発されていないという点が最大の原因となりまして、まだ原子力船が現実に商業化されてきていないという現象に結びついているというふうに理解をしております。
#230
○米沢委員 同じように報告書には、欧米先進国においても研究開発も一時停滞ぎみであるというような内容のことが書いてありますが、これに誤りはありませんか。
#231
○石渡政府委員 「研究開発」という同じ言葉でございますけれども、ここに使われております「研究開発」という言葉の意味は、むしろ開発段階の相当終わりに近い段階のものであるというふうに考えているわけであります。やはり実際の実用化に近くなるほどいわゆる開発に対しての投資が加速度的に大きくなってくるというのが、先生御高承のとおりの研究開発の現実の進め方でございますが、先ほど御答弁申し上げましたように、少しその実用化の時期が当初のもくろみより遠のいたということを踏まえまして、次の段階への飛躍のための研究投資がとまっているというのが、この報告書にも書かれている意味であると理解しているわけでございます。
#232
○米沢委員 この報告書の中身については、少なくとも昭和三十年代、四十年代、五十年代の五十一、二年ぐらいまでの分析の結果が、ある程度将来の予測も踏まえて書いてあると思うのでありますけれども、御案内のとおり、急激に石油事情が変化をしてきておる、そういう意味で、ここに記載されておるような原子力商船をつくることについても、ある程度停滞ぎみであり、研究開発についても、最終段階で停滞ぎみであるという認識、ここに書いてあるような認識では、新たな変革の時期を迎えて、ちょっと日本としては対応が遅くなってしまう、そういう可能性があるのじゃないかということを私は危惧いたします。
 御案内のとおり、わが国の海運業界は、過去において国際的に重要な地位を占めてきましたけれども、発展途上国が追い上げてくる、同時に、少資源国日本の悲運でありますが、石油の確保、石油が高くなったことに対する対応の仕方がどうしても遅くなりがちである、そういう意味では、いままで世界の中で海運国と言われてきた日本も、次第に、確実に地位をどんどん後退させているというふうに見なければならぬと思うわけであります。その上、国際競争力という問題からも大変大きな課題があるわけで、そういう意味で、石油高騰あるいは石油の確保の状況の絡みで原子力商船が具体化されるというようなことが書いてありますけれども、私は、ちょっと悠長に過ぎるという感じがしてならぬわけでございます。
 そこで海運業界は、こういう実態についてどういう受けとめ方をしておられるのか、ちょっと聞かしてもらいたいと思います。造船の方は結構です。
#233
○野口説明員 御承知のように、石油の価格が非常に急騰しておりまして、こういう経済的な影響から、また海運、造船が不況に一時入ったというようなこと、あるいは原子力船「むつ」の放射線漏れがあったというようなことから、原子力商船の実用化という点につきましては、海運、造船界とも、やはり一ころよりはかなり厳しい見方をしているというふうに思うわけでございます。
 ただ、ただいま先生御指摘ありましたように、石油事情の悪化から、船舶用の推進エネルギー源の多様化を図らなければいかぬ、あるいは世界の大勢におくれないように技術基盤を確立しておかなければいかぬというような点につきましては、重々承知しているところでございまして、海運界におきましても、ぜひこの原子力船「むつ」の研究、開発、実験を遂行してほしいという希望は非常に強いものでございます。
#234
○米沢委員 行政の立場からはそういう答弁になると思うのでありますが、実際海運業界は本気になって、早く経済的な原子力商船ができ上がるように本当に政府よがんばってくれというような、そんなことになっているのですか。感覚的には何かあなた任せではないのですか。
#235
○野口説明員 ただいま申し上げましたように、世界の大勢から見まして、あるいは現在の経済状況から見まして、その実用化の時期についてかなり厳しい見方をしておるわけでございまして、そういう見方が、あるいは一般的に少し海運界は冷淡ではないかというふうにお考えになられる面があるかと思うのでありますけれども、先ほど申し上げましたようなこれからの国際競争力の維持というようなことから考えまして、原子力船の研究開発というものを推進させてほしいという熱意は、やはりかなり強いものがあるというふうに私どもは見ております。
#236
○米沢委員 政府は、海運の分野についていわゆる原子力というものが最終的には実用化されるであろうということで、原子力を代替エネルギーの手段として考えられておる。中身について考えておることは、ほぼわかってきておるわけですが、その他石炭の利用とか水素エネルギーの利用とか、関連してそのあたりは実際の御検討をなさる体制はあるのでしょうか。
#237
○野口説明員 御承知のように、現段階でこのエネルギー源を多様化しようということで、利用可能なものを考えてみますと、現実問題としましては、石炭とかLNGとかLPGとかあるいは原子力というようなものが考えられるわけでございます。たとえば石炭の利用というようなものについては、かなり具体的にもう検討してございますし、外国からの具体的な引き合いもございます。そのほかLNG、LPG、そういうものについての検討も進めておるところでございます。(米沢委員「水素の方はどうですか」と呼ぶ)水素につきましては、まだかなり先のことではないかというふうに思われます。
#238
○米沢委員 繰り返して申しわけありませんけれども、原子力商船の実用化を急がなければならない、そういう要請は、これから先かなり急ピッチで強くなってくるのじゃないかと私は予想いたします。その際、この報告書を読ましていただきますと、実用化の時期の見通し等についても「現時点において原子力商船実用化の時期に関し確たる見通しを得ることは困難と言わざるを得ない。」、結果的には二十一世紀に入るころには相当導入が進んでおるだろうというような予測しか、見通ししか立てられていないわけですね。こうはう見通しのもとに研究開発の目標をつくり、その間に追いつくように研究しよう、そういうスケジュールが組み立てられておるわけでありまして、私は、どうしてもちょっと悠長に過ぎるという感じがしてならぬわけです。こういう実情でありますから、石油等についてもどういう急変が起こるかもわからない、そのときになってわれわれは石油がない、ほかのところはもう技術的にはかなり積み重ねてきておって、いざやろうとなれば、石油の値段との関係もありましょうけれども、われわれよりも少なくとも、書いてありますように五年か十年先を進んでおるわけですから、連中はぱっと乗り移る可能性があるわけですね。われわれは、そのときまだ技術もありません、高い石油を買わない限りわれわれは商売できませんなんということを言っておったのでは、これは問題になりませんわね。ますます海洋国日本なんというものは完全に沈没してしまいます。運輸省はそのあたりを一体どういうふうに考えておられるのか。どうも海運業界と一緒になって、原子力船と言っても、それはもう先の話だぐらいのことしか考えていらっしゃらないような気がするのでありまして、これは私の感じでありまして、そうじゃないかもしれませんけれども、どうも政府の考えていらっしゃることは、ちょっと悠長だという感じを否めないわけでございます。その点を大臣はどういうふうにお考えですか。
#239
○長田国務大臣 ただいまお述べになりましたことは、私ども非常に傾聴すべき御見識だというふうに思っております。
 原子力委員会は、ああいう見解を出しておりますけれども、確かにただいまお話のように、石油事情等がいつどうなるかわからないというようなことなどを考えますと、二十一世紀になった段階では相当実用化されているだろうというこの見方も、期間的に見ればかなり幅があるというふうに考える次第でございます。したがいまして、いま当面「むつ」の開発というものを早く計画どおり、計画から大分おくれておりますけれども、新しい計画どおり完了する、それから、あわせて舶用炉の研究というもの、その改善、改良計画を進めていく、そういうようなことでいつの時点での実用化にも即応し得るような体制をできるだけ早く整えておくというようなことが、この改正法案の趣旨でもある次第でございます。
#240
○米沢委員 確かに「むつ」の問題は、長年の懸案ですから、そこに力点が置かれて皆さん方がそれに振り回されておることはわかる。しかしそれと、将来にわたる研究開発を早くしなければならぬという問題は別物ですね。同時並行的にやられることだと私は思う。そういう意味で、確かに行政の能力の問題もあるかもしれませんけれども、研究開発のスピードをもう少し上げてもらわないと、こんなのは夢みたいな話ですよ。二十一世紀になったら何とか世界的には実用化の見通しがつくだろう、そのときわれわれは追いつけておるかどうかもわからないという感じでは、私はちょっと不満足です。だから、研究開発をもう少しスピードアップすべきだ。もし資金なんかに問題があるならば、海運業界みずからの問題として少しぐらい金を出せぐらいのことを言わなければだめですよ。どうですか。
#241
○長田国務大臣 まさにただいま仰せのように「むつ」の開発と、それから舶用炉の改良の研究、そういうものをあわせ進めているところでございまして、五十六年度以降の体制、五十五年度は、先ほど申し上げましたように、法律改正、それから予算面でもわずか二千万ということでございますけれども、五十六年度以降の問題につきまして、さらに関係者よく相談をして進むつもりでございます。
 ただいまの御意見は、私は非常に謹んで傾聴しているところでございます。
#242
○米沢委員 「日本における原子力船技術の現状」という欄を見させてもらいましても、まだ基礎的な技術基盤さえ確立されていない、欧米先進国に比べて五年から十年程度はおくれておる、したがって「このままの研究開発体制では、原子力商船の実用化時期までに我が国がこの遅れを取り戻すことは、非常に困難と考えざるを得ない。」、こういうような書き方がしてあって、だから、研究開発にちょっと力を入れるのだという御提案になっておると思うのですが、顧みて、日本は技術国だとか頭のいいのがたくさんおるとか言われながら、この原子力船技術に関しては、何でこんなにさびしいものなんでしょうかね。
#243
○石渡政府委員 端的に申し上げますと、やはり「むつ」開発で一とんざしたというのが非常に大きな原因になっていると考えております。そういう意味で「むつ」の開発計画を通じまして確立しようとしていた基礎的な技術基盤が確立されていないというのが現状であろうと思うわけでございます。
 なお、お許しを得まして、ちょっと申し上げさせていただきますと、先ほど来このリポートに書かれております、原子力船の実用化時期の問題につきまして、おっしゃるとおり、この検討は昨年一年を通じて行われたということでございまして、その後のエネルギー事情の急変は配慮されていないということがございますので、御指摘の点は私どもも重々気をつけてまいらねばならないと思っております。
#244
○米沢委員 日本の現状がかなりおくれておるものである、これは残念ながら悲しいことだと思います。しかし、過去を言うてもどうしようもありませんけれども、ぼくはやはりいろんな政党が反対だと言っても、行政の熱意にかかっておる、物の考え方の発想の違いだ、そう思いますね。だから、過去もいろいろと研究はされてきた、たとえば運輸省の船舶技術研究所、日本造船研究協会あるいは民間に委託研究する、一体これはどれぐらいの金が投入されて、どういう成果がいまあるのですか。
#245
○石渡政府委員 まず「むつ」に関しましては、約二百六十億の研究開発資金が投入されております。それから船舶技研につきましては、運輸省の方から御答弁申し上げますが、民間に対する原子力平和利用委託費ということで、昭和三十四年以来約二十年研究投資をしているわけでございます。約三億ないし四億円の研究資金を投入しておりまして、「むつ」につきましては、まだ研究成果といった段階になっていないわけでございます。一応原子力船を建造中ということでございます。
 また、日本原子力船研究協会というところで、毎年いろいろなテーマを選びまして、原子力船に関する主としてソフト面での研究をずっとやってきておりまして、原子力に関する周辺技術と申しますか、これをほぼ詰め切っているという段階にきていると考えているわけでございます。
#246
○野口説明員 ただいま船舶技術研究所の人間がおりませんので、正確な数字をお答え申し上げられないのですが、私どもが承知しておる限りでは、いままで船舶技術研究所の原子力関係予算は、二十年間で約十四億程度というふうに承知しております。
#247
○米沢委員 いま御報告を聞いておりますと、昭和三十年ぐらいから、この原子力商船等を頭に入れて研究が始まっておるわけですね。もう五十五年ですから、二十五年たっておるわけですよ。その間に「むつ」の建造費や何もかも入れて一千億に満たないのです、これは。五、六百億の問題ですよ。二十五年間に五、六百億ぐらいしか金を入れずに、それで欧米水準に到達するはずがないのです。だから、出てきた技術水準あたりでも、確かに優秀なものがあるかもしれませんけれども、それは欧米がかなりな金を入れてやっておるものに比べて、研究者に追いつけなんて無理ですわ、実際の話。いまからがんばって金を取ってもらうかもしれませんが、しかし、いまの財政状況から考えて、どうもこんなのに金を物すごく取ってこれるような環境にない。少なくとも皆さんの熱意であり、もう少し原子力に対する皆さん方のPRよろしきを得て国民的な合意みたいなものをつくるという、まず総論から始まらないと、ちょっと日本もこれから先を予測した場合、にっちもさっちもいかないという感じが私はしてならないのですけれども、大臣いかがですか。
#248
○長田国務大臣 原子力につきましての国民の御理解あるいは信頼というものを得ますことは、一番大切なことだと思っておりますし、何とぞそういう面につきましての御支援もお願いしたいと存じます。
#249
○米沢委員 技術の水準については、おっしゃるとおりお粗末の限りだ。ところが、またこのレポートに返って申しわけありませんけれども、「原子力船技術の展望」という中には、急にすぐできるような話になっておるわけですね、これは十年ぐらいたてば。「わが国は、現在のところ、欧米先進諸国との間にかなりの技術格差があると見られるものの、陸上炉の豊富な経験を背景に、今後、原子力第一船「むつ」の開発を初めとして原子力に関する研究開発を積極的かつ効率的に推進すれば、二十一世紀に入るころまでには、実用原子力船を量産し、運航できる技術を確立し、先進諸国に伍していくことは十分に可能と考えられる。」、いまのお粗末な状態から、十五年ぐらいすれば欧米先進国に伍していける。その間、いままでの金の使い方から考えて、そんなに金を使わぬで、こんなに急に飛躍した発想にどうしてなるのですか、これは。
#250
○石渡政府委員 この推定には非常に大きな前提があると考えております。先生も先ほど御指摘になりましたように、現時点で五年ないし十年のおくれがあるという現状分析が一つございます。それから日本においては、陸上炉の開発が急速に進むであろうという情勢にあるということが、また一つの前提でございます。それからもう一つの前提は、現在停滞している欧米先進国の原子力船技術が同じく停滞し続けるであろうという前提のもとに、こういう結論が出てきておるというふうに理解しております。
#251
○米沢委員 陸上炉について豊富な経験を持っておる、それは私、認めますよ。しかし、陸上炉だけでは「むつ」まで使っていろいろデータをそろえなければいかぬというわけですから、確かに関連はあるにせよ、船に載せるのはまた別物だということで、これはかなりの研究が必要だと私は思いますよ。同時に、先進国はいまの停滞ぎみの状態で十五年も推移するなんて、こんなばかな話はないはずじゃないですか。
#252
○石渡政府委員 御指摘のとおりでございまして、まず陸上炉の技術がそのまま使えるとは考えておりませんが、少なくとも関連する技術として支援と申しますか助けになるであろうということは考えていたようでございます。
 それから、そういう意味で欧米先進国の技術開発がとまっているであろうという前提というのは、これは先生おっしゃるとおり間違いであると思います。
#253
○米沢委員 そういう意味からいたしますと、確かにとまることはあり得ないですよね。そして石油事情等がこんなに急変しておる段階では、私は、また急激に先進国は最終的な技術の煮詰めをやって、経済性を求めた原子力商船をつくろう、つくらねばならない、それでないと国際競争には勝っていけないという発想に立って、私は、いまからがんばってくると思いますね。そういう者を相手に、われわれはわずか十五年か二十年の間に、まあ、これから投入されるであろう資金も、いままでとは違いましょうけれども、そんなに豊富でない、だから、これは確かにきれいに見えますよ、黙って信じられれば私もそうですがと信じたいですよ、しかしながら、どうもそうにわかに信じがたい。絵にかいたもちであるという感じを私は否めない。研究開発をもう少しピッチを上げろと言っても、最終的には金だ。じゃ金を引き出せるような状況にあるか、余りない。その上技術はおくれておる。ぼくは、この報告書を読みながら、何か大変むなしい感じがします。資金調達の方法論まで含めて、科学技術庁長官はもうちょっと大きな声でやってもらわなければいかぬわけですよ。そうでないと、この法律が通りましても、「むつ」が動くようになりましても、お先真っ暗だ。そして、ある時点において石油事情等が本当に急変した場合には、完全に日本は海洋国没落ですよ。貿易立国御破算ですよ。
 私は、そういう意味で、この原子力商船だけには――だけだとは言いませんけれども、すべてのこういう原子力関係というものにわれわれがいまのうちに本当に力を入れて、少々ぼろくそ言われても、みんな生傷を受けてもやってくれるような気持ちでやってくれない限り、私は、二十年先の日本なんてお粗末過ぎるという感じがしてなりません。そういう意味で、大臣のこれからのハッスルぶりをぜひ私は期待を申し上げたいと思うのでございます。
 そこで、遅まきながら研究開発の体制ぐらいはつくろうということでこういう提案がなされているわけでありますが、その「研究開発の推進」という欄に「原子力船研究開発の推進にあたっては、先進諸国との間で技術情報の交換等による国際交流を図り、研究開発の効率的な推進に努めつつも、自主技術の確立をめざして自主的な研究開発を積み重ねていくことが極めて重要であり、この点に留意した研究開発推進方策がとられるべきである。」、これは一言で言うならば国産技術オンリーだ。技術の交流だとか情報の入手と言っても、肝心なところに金も出さぬで教えてくれるばかはおりません。民間が外国の西ドイツの会社だとかアメリカの会社などと提携して、少々情報は入ってきますよ、便利なものができましたよというくらいの情報であって、中身について、ノーハウについて金も出さずに漏らしてくれるはずはありませんね。だから、海外のすぐれた技術については、情報の入手、情報の交換ぐらいで、みんな自力で二十年、十五年おくれておる技術に積み重ねて、国産技術だけで追いつこうなんて、私は、ちょっと無理なんじゃないかと思うのです。
 それは研究される方は自負心もあり、おれたちは金さえくれればやってやるというような気持ちでおられるかもしれませんけれども、結果的にできなかったら取り返しがつかないのだ。本当にやれると皆さんが約束してくれるなら国産技術結構だ。国産技術だけで二十年先を約束できますか。これは少なくとも国産技術オンリーです、この考え方は確かに精神論としてはいいですよ、国産技術を確立しなければならない、そう思っておった方がいざというときにもうまくやれるわけですから。何も一々西ドイツに電話したりアメリカに電話しなくてもいいわけですから、それは結構なことですけれども、そう簡単に自主技術、国産技術だけで二十年、十五年のおくれを取り戻せると本気になって思っておるのですか。
#254
○長田国務大臣 技術の開発につきましては、それの社会への還元という面からあわせ考えました場合に、自主技術だけでその開発を進めていった場合に非常におくれをとる、社会への利便の享受というものの時期がおくれ過ぎる、あるいは少ないというようなことがあり得ることは、もうおっしゃるとおりでございます。それらも考えながら、社会への還元の問題と絶えず関連させながら、自主技術の開発と外国のすぐれたものの取り入れと両方を考え合わせ、考慮して進めるべきだ、そのように考えております。
#255
○米沢委員 しかし、少なくとも表面に出てきておるのは、国産技術を大事にしようということで、海外のいい技術を買ってきてもいいくらいなことは何も書いてない。技術の交流だけにすぎない、情報の交換だけにすぎない。そういう考え方は確かに大事かもしれませんけれども、欧米水準をキャッチアップするという要請がなされておる段階においては、いいものは買ってきてでもいい、それに日本的な技術を加えて日本型の技術をつくり上げる。日本が欧米諸国に追いついてきたのは、残念ながらみんなこの過程を経てきておるわけですよ。原子力研究者の水準は高いかもしれない、しれないけれども、時間というファクターがある、金というファクターがある、二十年なら二十年という一つのタイムリミットがある。その中で欧米水準までキャッチアップする、到達する、伍していけると本当に言うてくださるのならば、確かに国産技術を中心にしても結構です、そのかわり、海外技術についても優秀な商談がまとまりさえすれば、少々の金をかけても買ってくる、その上に日本型の技術をつくるのだということもあわせて並列的に書いてもらわないとぼくには信じられません。もう一回、再確認のため答弁をいただきたい。
#256
○長田国務大臣 科学技術庁を中心としましては、研究開発が主たる任務だということになっております。
 ただいまの舶用炉につきましては、実用の段階が目の前に迫っているという時期になりまして、たとえば造船業界あるいは海運業界から具体的に、それをつくるというような段階になりますと、ただいまお話しのような面が急にクローズアップせざるを得ないと存じますが、ただいまの段階で、研究開発を主たる任務とする科学技術庁あるいはこれに関連するところにおきまして、いま、どの程度の違いがあるか、私も詳細には存じませんけれども、外国の技術などを買ってきて、非常な制約のもとで使うということまでやりますかどうか、この点については、いろいろな考慮が要るか、そのように思っております。
#257
○米沢委員 どうも不満ですね。確かに科学技術庁は研究するところだとおっしゃればそのとおりだ。しかし、研究する技術が最初から十五年おくれた段階から始まるのか、ある程度進んだ段階からそれに上積みしていくのか。造船会社が技術を買ってくる問題とは別なんです。日本の造船会社も、ばかじゃありませんから、技術は悪いわ、金は高いわでは、皆さんが幾ら研究されても、買いませんよ、そんなものは。買ってくるのがあたりまえだ、そんな話をしておるのじゃないのだ。逆に、安くて経済性があって技術も大変すばらしい、そういう日本の造船会社が使ってくれるような状況までの研究については、ノーハウについても堂々と入れてしかるべきではないかと言うておるんですよ。どうですか。
#258
○長田国務大臣 たとえがちょっと別のことになりまして恐縮ですが、かつて宇宙開発計画におきまして、日本の自主技術の開発ということに非常に重点を置くという立場と、それから利用の面の立場と両方ありまして、宇宙開発計画で自主技術の開発に非常に重点を置いておった時期がございます。そうしますと、日本国民が宇宙のいろいろな問題によってその便益を受けるという時期はおくれざるを得ない、あるいはアメリカの衛星というものをそのまま利用さしてもらうという立場だけに甘んずるかどうかということがございまして、結局、先方の技術も取り入れながらこちらの技術を近づけていくというような方向に若干の転換を見たというような経緯などもございます。
 私は、ただいまのお説を十分に傾聴しているところでございます。いま、原子力船につきましては、実用化の段階というものにまだ若干期間があるという点をも込めまして、研究開発というものに精力的に取り組んでいく、そして、なおかつ実用化間際になりまして、相当の格差があるという時点におきましてどういうふうに措置するか、先ほども申し上げましたように、私どもが絶えず念頭に置いておかなければならない点を御指摘になられた、そのように思っております。
#259
○米沢委員 しつこくて申しわけありませんけれども、自主技術に力点を置いたがゆえに宇宙開発については完全に劣後にあるわけですよ。皆さんは大学の研究機関じゃないんだよ。研究成果を得たならば行政に生かす、社会に生かす、そのために勉強してもらうんですよ。象牙の塔で勉強してもらうということじゃないですよ。そういう意味で、自主技術に物すごく固執されている姿がどうもぼくにはわからない。国産技術に力点を置くのにノーと私は言うてないですよ、できればそうしてもらいたい、しかし、そんなものは簡単にできないだろうと思っているのだ。それならば、やはり海外の優秀なノーハウについても、おかしいことないじゃないですか、金を出して買ってくるのだから。その上に国産化的な技術を加えていけばいいのだ。また逆に言うたら、それを売り込めばいいのだ。それくらいのことを考えてもらわなければならぬということを私は申し上げているわけでございます。
 国産技術に固執されている理由は一体何ですか。同時に、これから先長期目標をつくって、その間に十五年、二十年という研究スケジュールまでつくってがんばろうとされている、その際に海外の技術について何か検討されたのですか、評価されたのですか、結果はどうだったのですか。実際は海外の技術の中身についてはわかり得ない状況じゃないのですか、皆さんにとっては。
#260
○長田国務大臣 どうも私の申し上げることは、若干一般論になりまして、恐縮でございますけれども、自主技術ということを中心にして、しかし、自主技術ということは、絶えず外界のことに目をふさぎ、耳をふさいでいるということではありませんので、絶えずそういう情報などもできるだけ入れながら、大いに努力をするという面におきましての自主技術によりましての苦労というものは、仮に今度相当距離のある、かなり隔たりのある外来の技術を迎え入れました場合でも、初めにそういう苦労をしないで迎え入れました場合と異なって、非常に早くそれを習得し、自分のものにし得るという面も相当あるわけでございます。
 なお今後、日本国内におきましていつの時点に実用化が迫りますかの問題は、いろいろな見方がありますけれども、そのしばらく前までの時点に全力を注いでいって、なおかつ非常に大きな隔たりがあるかどうかということにつきましては、私は、専門家ではございませんが、非常に絶望的な隔たりがあるとまではどうも思いたくない気持ちと、それほどでもあるまいという気持ちと両方ございますことも、ひとつ申し上げさせていただきます。
#261
○米沢委員 時は待ってくれない、これだけは念頭に置いておいていただきたいと思います。
 それから「むつ」の開発の推進という点でありますけれども、今度、遮蔽改修工事や安全性総点検を実施した上で早く運航できるようにしたい、しかし、この委員会でもいろいろ出たと思いますけれども、もう古びてしまったじゃないかとか、実用的な炉じゃないから余り意味がないじゃないかとか、船の総トン数の半分近くまで載せて、果たして「むつ」がスムーズに運航していったとき効果を上げ得るであろうか、あんなに重いものを積み上げてから運航させて、そこから出てくるデータは、果たしてうまく当初の目的のようなデータが取れるだろうかという素朴な疑問を私は持ちます。どうなのでしょうか、改修工事をして三百五十トンとか言いますね、それまでの重さは二千トンですか、三千トンですか、だから、船の半分以上は原子炉ですよ、そんなのを載せて運航させて取れるデータは、かなり一面的なものしか出てこないのではないかという気がするのですが、その点、科学的に説明していただきたい。
#262
○倉本参考人 「むつ」の原子炉でございますが、確かに設計は古いわけでございますけれども、一応舶用炉として備えるべきものは備えた形のものでございます。また、これを実験船として活用した場合に、原子炉は舶用炉としてのいろいろな条件がございますので、これらの条件にどういうぐあいに適応していくかということについてのもろもろのデータ、資料というものは、「むつ」から十分取り得るというぐあいに考えております。
 一方、陸の方でも解析的な研究、あるいは必要に応じて模型実験等をやりながら、それと実践から得られたデータを利用いたしまして、将来の舶用炉の設計及び製造に生かしていき得る、かように考えております。したがいまして、現在「むつ」は、十分舶用炉のと申しますか、原子力船の実験船として活用し得る、かように考えております。
#263
○米沢委員 信じましょう。
 あとは舶用炉の開発ですけれども、これも再三申し上げて申しわけないですけれども、欧米の技術水準を総体的に横にらみをしながら勉強してもらいたい、これだけはぜひ注文しておきたいと思います。
 それから、研究開発体制のあり方の問題でありますけれども、民間の役割りというものが、従来の考え方とちょっと方向転換がある。たとえばここに書いてある昭和四十七年六月の原子力委員会決定の「原子力開発利用長期計画」、ここには「今後の商船実用化については、事業団、運輸省、民間企業に対する政府からの委託研究の成果等を効果的に組み合わせて、関係機関の協力のもとに、民間企業の技術開発力を発揮しつつ、推進する」という立場でありましたものが、今度の場合には、そういうことでは間に合わぬから、金も要るし、時間もかかるから、国が中心になってやるということで、民間の役割りが完全に没落しています。時には出てきますよ、委託研究の相手だとか研究陣をちょっともらうとか、しかし、そんなものは民間の役割りじゃない。民間の役割りというものを一体どう考えていらっしゃるのですか。こんなものが国だけでやれるのですか。
#264
○石渡政府委員 確かに、御指摘のように、民間の役割りにつきましては、原子力船開発がスタートした時代と今回の分析では大きく違っているわけでございます。端的に申し上げますと、民間の熱意と申しますか、あるいは気持ちはあるけれども、手が出ないということがあるのかもしれませんが、相当熱がないという実態は踏まえなければならないと思います。しかし、舶用炉の開発を中心に考えますと、やはり相当長期間にわたって多額の研究投資もしなければならないという実態がだんだん明らかになってきておりますので、こういう研究につきましては、やはり国が主体となって進めていくというのが一応正攻法であろうというふうに考えているわけでございます。
#265
○米沢委員 ということは、これから先の研究開発については、国が一元的に体制をつくってやって、民間は関係ない。委託研究みたいなものは考えられておるのですか。
#266
○石渡政府委員 先ほど先生も引用されました昭和三十四年以来ずっと続いております原子力平和利用委託費によります研究、これは民間各社が共同してと申しますか、力を合わせて受けとめているというのが実態でございまして、そういうことは今後も続けてまいりたいと思いますし、また一応原子力船研究開発事業団が中心となって進めてまいります研究におきましても、できるだけ連携をとって進めてまいりたい、こういうことで、民間を無視すると申しますか、全然その役割りを期待しないという場面は、考えていないわけでございます。
#267
○米沢委員 しかし、民間企業の自主的な研究開発に期待することは、きわめて困難だという断じ方はおかしいな。その時期になってこれは大変だとなったら、あなた方より早く、スピードアップするかもしれませんよ。そんなときに、こんな横着なことを書いてはいけません。金については国がめんどうを見るならいいよ。私は、ぜひ皆さんにこのあたりはわかってもらいたいと思いますね。
 それから研究開発体制、いまおっしゃったように、今度国が中心となって推進をし、そのために日本原子力船開発事業団の改組をする、そして研究という業務を入れるということですが、いままでの研究体制と、こう改組された後の研究体制とは具体的にどのくらいの違いが出てくるか教えてください。
#268
○石渡政府委員 事業団を対象としての御質問かと存じますが、いままでの研究体制と申しますのは、「むつ」の開発に伴って生じた研究テーマにつきまして、主として委託研究という形で研究を進めてきているわけでございます。たとえば遮蔽の材料の試験であるとかあるいは遮蔽のやり方の試験、これは事業団も主体となってやったわけでありますが、そういうことで非常に限られた研究が行われておったというのが実態でございます。今後におきましては、むしろできるだけ体制も整えまして、「むつ」の開発関連はもちろんのこと、いわゆるそれより先の舶用炉、改良型舶用炉の開発についての研究を手がけてまいりたいというふうに考えておりますが、当面それも設計研究という段階からスタートをすることといたしております。
#269
○米沢委員 研究される中身を聞いておるのではなくて、体制を聞いておるのです。いままで事業団には研究者は何人ぐらいおって、いまこのいろいろな事業をやっていかれる場合、研究なさっていく場合、どれぐらいの人員強化が必要なのか、それをどういう時期から始めるのか、最終的にはどういうものを考えておるのか、その新しくなる研究体制は、どういう陣容なのかということを具体的に教えてもらいたい。
#270
○倉本参考人 この研究開発体制でございますが、私ども事業団といたしましては、国がどういう方針でどういうようなものを研究開発しろということの方針が決まりましたら、その線に沿って、この体制を整え、研究開発を進めていきたい、かように考えておりますが、この原子力船及び舶用炉等の研究開発を自主的に進めるということでございますと、やはりそれ相応の原子炉についての各種の試験研究から取り組んでいかなければならないというぐあいに考えますので、そのためには、やはり現在の規模ではこれはとうていそういう研究開発はできない。やはりそういう研究開発を真に効果あらしめるというためには、相当の規模の陣容また開発に必要な専門家というものを一応集めて、その体制のもとで中核になります研究開発についてはみずから研究を行っていくということがもちろん必要でありますとともに、先ほど来先生の御指摘のございました海外との技術交流、また必要に応じて技術提携というようなこともやりながら研究開発を進めていかなければならない、こういうぐあいに考えておりますが、やはりその陣容そのものにつきましては、予算等との関連もございますので、その研究の規模、それから目標等との関連におきまして、私どもとしては、適切な規模のもとでの開発を実効あるものにするため、それに適合した組織、体制をとっていきたい、かように考えております。
#271
○米沢委員 ぼくは、この世界には疎くて余りわかりませんが、日本の原子力研究者というのかな、こういうものを研究されていくそういう人材については、欧米に遜色ないぐらいに数はおるのですか。いるのを集めれば大体研究開発体制ができるのか、それともそっちの勉強からやってもらわなければならぬようなまだそういう人材不足なのか、そのあたりをちょっと教えてもらいたい。
#272
○石渡政府委員 日本におきます研究開発は、ご承知の日本原子力研究所、それから動力炉・核燃料開発事業団、この二つの機関が中心となって、むしろ国が主体となって進めてきたわけでございます。
 現在、人員といたしまして両機関合わせて五千人、予算規模約二千億円ということで二十年来の伝統を持っているわけでございまして、基礎的あるいは核燃料サイクルあるいは新型炉の開発につきましては、欧米に遜色のない規模とレベルを持っているというふうに考えております。
 先ほど来のこの原子力開発の一つの大きなテーマといたしましての舶用炉の開発ということになってまいりますが、そういうただいま申し上げました両機関の協力体制をもちましてある程度はサポートできるというふうに考えております。
 なお、これ以外に大学におきましても相当の研究者、研究能力がございます。トータルといたしまして、それこそ先進諸国に伍して十分やっていける実力はポテンシャルとしてはあるというふうに考えでおります。
#273
○米沢委員 それから、最後になりましたけれども、この原子力船が実用化されて、かつ広く普及するためには、いわゆる自由航行制度の確立あるいは原子力船に対する国際的核不拡散政策の適用等についての国際的合意の成立が必要であると言われております。先の話でありますから、まだそこらには手が届かない、目が回らないということかもしれませんけれども、同時並行的にそのあたりは国際的な秩序をつくっていくという意味でも大事な問題ですから、今後政府はこの点に関してどういう努力をされていこうとされておるのか。
 同時に、いま二つの条約がありますけれども、まだ署名していないとか未批准だ。それぞれその条約の中身については、問題点があって、まだ時期尚早だという観点からそういうことになっておるかもしれませんけれども、その点の現実的な処理についてどのような御見解を持っておられるか、二つの点、お聞かせいただきたいと思います。
#274
○野口説明員 原子力船の国際的な航行制度に関しましては、先生御承知の海上における人命の安全のための国際条約というのがIMCOという国際的な機関でつくられておるわけでございまして、このIMCOの条約中及びそれに伴う勧告におきまして、各国問でできるだけ自由に航行できるようにというようなことで、原子力船が相手の国を訪問する場合には、その原子力施設及び船舶の安全性を評価できるような安全性説明書というのを事前に出しまして、相手側の政府の評価を受け、入港しやすくするというような手続がいまとられておるわけでございます。サバンナとかオット・ハーンというような実験船が、すでにこういうものを使いまして、その航海中に二十何カ国、サバンナが二十六カ国、オット・ハーンが二十二カ国に寄港しておるわけでございますが、こういうことがおいおい定着いたしますと、国際的な航海がだんだん可能になってくるのではないかというふうに考えております。
#275
○米沢委員 現在の条約あるいはそういう実績等をながめておりますと、これが実用化の段階になったらスムーズにうまくいけるような制度ができるような感触も持ちますけれども、しかし、たとえば具体的に日本の商船が原子力商船になって各国といろいろ貿易される、先進国同士はいいですわ、ところが、いまでも発展途上国等はいろいろけちをつけて入れてくれないとか、港に係留させないとか、いろいろいちゃもんをつけておるわけで、その上自分たちが水準も届かないような日本の原子力船がやってきたというだけで、発展途上国との関係においてかなり日本はほかの先進国以上に意を用いられて、そこらがうまくやれるような条約をつくるということに精力を置かれないと大変なことになるのじゃないかと私は思います。いまでもいじめられておるわけです。先進国の中には助成策までやって、海洋国の日本に対抗する国際競争力をつけようという手段にまで出ているわけですよね。その上、発展途上国は追い上げてきて、いま目のかたきですわ。その上原子力船、先進国においてはまだ物わかりがいいかもしれませんけれども、発展途上国はそう簡単に聞こうなんというのはむずかしい情勢が多分に出てくるであろうということを考えられたときに、日本はほかの先進国よりも発展途上国に依存する部分がたくさんあるわけですから、その点は十分に格段の努力をされて、発展途上国との合意等が取りつけられるように先導的な役割りを果たしてもらいたいということをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
#276
○瀬野委員長 次回は、来る十四日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時二十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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