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1979/03/06 第91回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第091回国会 予算委員会第三分科会 第3号
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1979/03/06 第91回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第091回国会 予算委員会第三分科会 第3号

#1
第091回国会 予算委員会第三分科会 第3号
昭和五十五年三月六日(木曜日)
    午前十時開議
 出席分科員
   主 査 橋本龍太郎君
     小此木彦三郎君    塩崎  潤君
      津島 雄二君    上田 卓三君
      大原  亨君    川俣健二郎君
      新盛 辰雄君    細谷 昭雄君
      井上  敦君    岡田 正勝君
   兼務 上原 康助君 兼務 土井たか子君
   兼務 中西 績介君 兼務 松浦 利尚君
   兼務 八木  昇君 兼務 山田 芳治君
   兼務 野間 友一君 兼務 東中 光雄君
 出席国務大臣
        労 働 大 臣 藤波 孝生君
 出席政府委員
        労働大臣官房長 谷口 隆志君
        労働大臣官房会
        計課長     白井晋太郎君
        労働省労政局長 細野  正君
        労働省労働基準
        局長      吉本  実君
        労働省婦人少年
        局長      高橋 久子君
        労働省職業安定
        局長      関  英夫君
        労働省職業安定
        局失業対策部長 加藤  孝君
        労働省職業訓練
        局長      岩田 照良君
 分科員外の出席者
        警察庁刑事局保
        安部防犯課長  柳館  栄君
        沖繩開発庁総務
        局企画課長   野村 誠一君
        法務省民事局参
        事官      宇佐見隆男君
        大蔵省主計局主
        計官      安原  正君
        大蔵省主税局税
        制第一課長   内海  孚君
        大蔵省銀行局中
        小金融課長   小田原 定君
        林野庁職員部福
        利厚生課長   今井 秀壽君
        労働大臣官房参
        事官      田代  裕君
        労働省労働基準
        局監督課長   岡部 晃三君
        労働省職業安定
        局雇用保険課長 守屋 孝一君
        参  考  人
        (雇用促進事業
        団職業訓練部
        長)      笠原 昌平君
    ―――――――――――――
分科員の異動
三月六日
 辞任         補欠選任
  大原  亨君     枝村 要作君
  寺前  巖君     井上  敦君
  岡田 正勝君     米沢  隆君
同日
 辞任         補欠選任
  枝村 要作君     上田 卓三君
  井上  敦君     寺前  巖君
  米沢  隆君     和田 一仁君
同日
 辞任         補欠選任
  上田 卓三君     細谷 昭雄君
  和田 一仁君     近藤  豊君
同日
 辞任         補欠選任
  細谷 昭雄君     新盛 辰雄君
  近藤  豊君     小渕 正義君
同日
 辞任         補欠選任
  新盛 辰雄君     藤田 高敏君
  小渕 正義君     岡田 正勝君
同日
 辞任         補欠選任
  藤田 高敏君     大原  亨君
同日
 第二分科員中西績介君、山田芳治君、第四分科
 員松浦利尚君、八木昇君、野間友一君、東中光
 雄君、第五分科員上原康助君及び土井たか子君
 が本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和五十五年度一般会計予算
 昭和五十五年度特別会計予算
 昭和五十五年度政府関係機関予算
 (労働省所管)
     ――――◇―――――
#2
○橋本主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。
 昭和五十五年度一般会計予算、昭和五十五年度特別会計予算及び昭和五十五年度政府関係機関予算中労働省所管について説明を聴取いたします。藤波労働大臣。
#3
○藤波国務大臣 昭和五十五年度一般会計及び特別会計予算のうち労働省所管分について、その概要を御説明申し上げます。
 労働省の一般会計の歳出予算額は、四千九百二十億九千九百九十二万三千円で、これを前年度予算額四千八百五十五億五千六百万一千円と比較いたしますと、六十五億四千三百九十二万二千円の増加となっております。
 次に、労働保険特別会計について御説明申し上げます。
 この会計は、労災勘定、雇用勘定、徴収勘定に区分されておりますので、勘定ごとに歳入歳出予定額を申し上げます。
 労災勘定は、歳入歳出予定額とも一兆二千五十七億二千二百五十一万四千円で、これを前年度予算額一兆九百四十六億九千二十五万四千円と比較いたしますと、一千百十億三千二百二十六万円の増加となっております。
 雇用勘定は、歳入歳出予定額とも一兆五千八百二十四億八千九十六万四千円で、これを前年度予算額一兆五千五百四十億八千九百八十二万一千円と比較いたしますと、二百八十三億九千百十四万三千円の増加となっております。
 徴収勘定は、歳入歳出予定額とも一兆九千九百三十億九千五百四十万三千円で、これを前年度予算額一兆七千五百三十一億六千八十二万三千円と比較いたしますと、二千三百九十九億三千四百五十八万円の増加となっております。
 最後に、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計の石炭勘定のうち当省所管分としては、炭鉱離職者の援護対策等に必要な経費として百八十二億四千百八十一万二千円を計上しておりますが、この額は、前年度予算額百七十三億二千五十九万八千円と比較いたしますと、九億二千百二十一万四千円の増加となっております。
 以下、この労働省予算の重点事項につきまして、委員各位のお許しを得まして、説明を省略させていただきたいと存じます。
 よろしく御審議のほどをお願い申し上げる次第でございます。
#4
○橋本主査 この際、お諮りいたします。
 労働省所管関係予算の重点項目については、その説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○橋本主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔藤波国務大臣の説明を省略した部分〕
 次に、その主要な内容について概略御説明申し上げます。
 第一は、高齢化社会に対応する高年齢労働者対策の総合的推進に必要な経費であります。
 八〇年代においては、わが国の人口高齢化は世界に類例を見ない速度で進んでまいります。このように高齢化社会が急速に到来することを考慮すると、高年齢者に安定した雇用の場を確保することが、雇用政策上の最重点課題であります。
 このため、当面、昭和六十年までに六十歳定年が一般化することを目標に、定年延長に関する労使間の合意や、社会的機運の醸成を促進するとともに、定年延長奨励金の増額、高年齢者雇用率の達成指導の強化等を図り、さらに、財団法人高年齢者雇用開発協会の活動に対する助成を強化するなど、事業主に対する相談指導を積極的に行うこととしております。また、特に六十歳以上の層に対する就業対策として、地域社会の日常生活に密着した補助的、短期的な仕事に定年退職後等の高齢者の能力を活用し、その就業機会の増大を図るべく、高齢者の自主的団体であるシルバー人材センターを育成援助することとしております。さらには、高年齢者職業相談室、人材銀行の増設などによる職業紹介体制の強化、高年齢者向けの職業訓練の拡充などを図ることとしております。
 以上の諸施策とともに、新たに高年齢労働者対策推進研究会(仮称)を発足させ、高年齢者をめぐる諸問題について総合的な研究を進めてまいることとしております。
 これらに必要な経費として百九十六億一千五百八十四万四千円を計上いたしております。
 第二は、産業構造の変化、経済の変動に即応する雇用対策の推進に必要な経費であります。
 現在、雇用失業情勢はゆるやかに改善されてきておりますが、石油価格の動向等物価の上昇要因も多く、これが雇用に及ぼす影響を考慮すると、先行きは決して楽観を許しません。このため、雇用安定資金制度や特定不況業種離職者臨時措置法等を活用して、当面する雇用情勢に即応した機動的な雇用対策の推進に万全を期することとしております。
 また、中長期的観点に立って、安定成長下における雇用の開発のための対策を推進することとし、今後の雇用発展職種についての研究開発を進めるとともに、職業研究所の刷新強化を図り、総合的な雇用研究を推進し、雇用及び職業に関する情報の整備等を行うこととしております。
 これらに要する経費として一兆二千三百五十四億一千三百二十四万二千円を計上いたしております。
 第三は、産業経済の動向に即応できる職業能力の開発に必要な経費であります。
 勤労者が産業構造の転換、産業技術の高度化等、社会経済情勢の変化に対応して、生涯を通じて職業能力の開発向上ができるようその条件を整備し民間、公共一体となった訓練体制の確立に向けて施策を推進することとしております。
 このため、長期的展望に立った職業訓練に関する基本的方向についての調査研究を進めるとともに、まず、民間における職業訓練の振興を図る施策として、高齢者向け訓練事業に対する新たな助成、認定職業訓練に対する助成の拡充、有給教育訓練休暇制度の充実等を行うこととしております。また、公共職業訓練につきましては、離職者に対する職業訓練を機動的、弾力的に実施するとともに、最近の産業技術の高度化に対応して、訓練内容の高度化の促進を図る等の措置を講ずることとしております。
 これらに必要な経費として五百九十八億六千五百七十五万九千円を計上いたしております。
 第四は、勤労者の職業生活の充実と安全確保のための福祉対策の推進に必要な経費であります。
 労働者の福祉の向上、国際的協調の推進等の観点から、労働時間対策の必要性は一層高まるものと考えられます。そこで、第四次雇用対策基本計画に示されておりますように、労働時間の水準を昭和六十年度までに欧米先進国並みに近づけるという目標に向けて、計画的、段階的に努力を進めていくこととし、そのための施策を行うこととしております。
 中小企業退職金共済制度につきましては、最近における退職金水準の上昇等にあわせて見直しを行い、退職金給付の改善を図るため、掛金の引き上げ、それに見合った国庫補助の増額を行うほか、加入前の勤務期間の通算制の導入等を行うこととし、このため、中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案を今国会に提出しております。
 また、勤労者財産形成制度につきましては、融資枠の拡大とともに貸付条件の改善を図るなど制度全体の普及定着を図ることとしております。
 次は、労働災害、職業病防止のための対策等の推進であります。労働災害はここ一両年増加の傾向にありますが、特に建設業では大型災害の発生が見られるなどの状況にあります。そこで、五十五年度は、建設工事の計画の安全性に関する事前審査制度の充実強化、重大事故発生時における安全確保対策等建設業における安全衛生対策を推進することとし、今国会に労働安全衛生法の一部を改正する法律案を提出することとしております。
 労災保険制度につきましては、年金給付等のスライド制の改善、遺族補償年金の支給額の引き上げ、特別支給金の改善、その他の労働福祉事業の充実等制度の改善整備を行うとともに、財政基盤の強化を図るため労災保険料率の引き上げを行うこととしております。このため、法改正を要する事項については、今国会に労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案を提出いたしております。
 さらに、最低賃金制の履行確保の徹底、未払い賃金の立てかえ払い事業の充実等労働条件に関する施策を推進するとともに、勤労青少年福祉対策の推進、勤労者福祉施設の整備充実等を行うこととしております。
 これらに必要な経費として七千九百四十六億一千九百十七万六千円を計上いたしております。
 第五は、心身障害者等特別の配慮を要する人々のための雇用対策の充実であります。
 心身障害者雇用対策につきましては、心身障害者の能力に応じた雇用機会が確保されるよう身体障害者雇用率の達成指導の強化と雇用納付金制度に基づく各種助成措置の積極的な活用を図るとともに、身体障害者職業訓練の推進、心身障害者職業センターの増設、雇用奨励金の増額等就職援護措置の充実等の施策を講ずることとしております。
 次に、季節・出かせぎ労働者につきましては、通年雇用奨励金の増額とともに、積雪寒冷地冬期雇用促進給付金制度を昭和五十五年度からさらに三年間実施期間を延長し、積雪寒冷地における冬期就労の促進を図ることとしております。
 また、失業対策事業につきましては、就労者の賃金を昭和五十四年度当初に比べ七・八パーセント引き上げることとしております。
 なお、建設労働者、同和対策対象地域住民、寡婦等、沖繩失業者、駐留軍関係離職者、炭鉱離職者、港湾労働者等のための雇用対策についても、これを充実することとしております。
 これらに必要な経費として一千三百六十億九千四百三十四万八千円を計上いたしております。
 第六は、男女平等の促進と家庭基盤の充実に必要な経費であります。
 本年は国連婦人の十年の中間年に当たることから、その趣旨の徹底を図るための啓発活動を強化するとともに、昭和五十二年一月に策定された国内行動計画の趣旨に沿って、男女の実質的平等ガイドラインの策定、男女別定年制、結婚退職制等の解消、男女同一労働同一賃金の原則の徹底等雇用における男女平等促進対策を積極的に推進していくこととしております。
 また、職場における母性健康管理対策、育児休業制度の普及に努めるなど、勤労婦人の諸問題に即応する福祉対策を進めることとしております。
 これらに必要な経費として六億八千百五十三万三千円を計上いたしております。
 第七は、安定成長下における労使の相互理解と信頼を強化するための環境づくりに必要な経費であります。
 今後の経済社会の変化に適切に対応していくためには、労使の不断の相互理解と信頼関係を一層強化し、労使関係の安定と社会的コンセンサスの形成を図っていくことが必要であります。
 このため、産業労働懇話会等の場を通じ、政労使間の理解を一層深めることに努めるとともに、八〇年代の労使関係に関する総合的な研究、わが国の労使慣行に立脚した労使の相互理解の促進に関する研究等を行い、これらの成果の普及を通じて、安定した労使関係の形成を促進することとしております。
 これらに必要な経費として八億八百六十六万九千円を計上いたしております。
 第八は、国際化時代に対応する労働外交の積極的展開に必要な経費であります。
 今日、世界はますます相互依存の度を強めており、労働問題の分野においても、このような国際環境の変化に対応した施策を積極的に展開することが要請されております。
 このため、今後ともILO、OECD等の国際機関の諸活動に積極的に参加協力するとともに、新たに、アジア地域技能開発計画(ARSDEP)への協力の実施、国際技能開発計画の推進等発展途上国労働者の労働能力の開発その他多角的な技術協力の推進を図ることとしております。また、労働組合指導者等の国際交流の推進、先進国労働大臣会議への出席、わが国の労働事情に関する積極的な海外広報等の施策を通じて、労働外交を展開してまいることとしております。
 これらに必要な経費として三十二億四千五百八十六万九千円を計上いたしております。
 以上のほか、行政需要の増大変化に対応する行政機能の整備充実及び一般行政事務費等に必要な経費を計上いたしております。
 以上、昭和五十五年度労働省所管一般会計及び特別会計の予算について概略御説明申し上げました。
 何とぞ、本予算の成立につきまして格段の御協力をお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
#6
○橋本主査 以上をもちまして労働省所管についての説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#7
○橋本主査 この際、分科員各位に申し上げます。
 質疑時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願いいたします。
 なお、政府当局に申し上げますが、質疑の時間が限られておりますので、答弁は要領よく簡潔にお願いいたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中西績介君。
#8
○中西分科員 就職差別解消がどのように行政的に図られておるかについて質問をいたしたいと存じます。
 まず第一は、同対審答申あるいは職安法に基づきましていかに就職促進が行政として措置されておるのか、推進されておるのか、特に、労働省はいかなる機関を通じて措置をされておるのか、この点についてお答えいただきたいと存じます。
#9
○藤波国務大臣 同和対策審議会答申にも述べられておりますように、同和問題解決の中心的な課題の一つは、同和地域住民に就職の機会均等を完全に保障することだ、このように考えております。同和地域住民に対する就職の差別は、この就職の機会均等のその確保を阻むもので、きわめて遺憾でございます。そのため、労働省といたしましては、事業主が同和問題についての正しい理解と認識のもとに、応募者の持つ適性と能力に基づきまして従業員の採用や選考を行うべきである、このように考えて、これら直接関係のない事項によってその採用不採用が決定されるというようなことがないように、企業に対して指導してきたところでございます。具体的には、応募者の持つ適性と能力とは直接関係のない事項を排除した応募書類の使用を徹底させることといたしまして、新規学校の卒業者につきましては統一応募書類、一般求職者等についてはJIS規格の履歴書というようなことで統一いたしまして徹底させる。適正な採用選考システムを確立させますために、企業内の同和問題研修の推進委員制度を拡充いたしまして充実をしていくこと。また、求人を受け付けますときに求人者に対する啓蒙啓発を行いますとともに、特に地名総鑑の購入その他就職差別を引き起こした企業に対しましては個別の指導を強力に行うことなどを、従来ずっと推進してきたところでございます。今後とも就職差別の解消につきましては、啓発活動を強化いたしまして、関係機関の協力を得て、実効の上がるように十分努力をしていきたい、このように考えておるところでございます。
#10
○中西分科員 いま大臣の答弁がありましたように、啓発活動を強化していくということとともに、実効が上がるということを目標にしてこれから努力をするということでありますけれども、実質的には、就職差別はいまだに後を絶っておりません。特に多くの例が私たち九州におきましても見受けられるところです。そういう状況にありますが、その中の一つの例として、本年三月高校卒業生を対象にしたある警備保障会社の差別事件について、私はただしていきたいと存じます。
 特にその中でお聞きしたいのは、職安法の第三条からいたしましても、あるいは新卒者の身元調査、特にこの場合には住民票取得申請事実がありまして、ある区役所から三名取っています。さらにまた、調査員による聞き取り調査をいたしておりまして、これが二名、その後またわかりましたのは、県下的にもある程度の数が出ています。こういうことを考え合わせてまいりますと、このことの問題点がどこら辺にあるのか、この点を明らかにしていただきたいと思うわけであります。
#11
○関(英)政府委員 ただいま先生御指摘の事案は、福岡におきます警備保障会社の高校卒業生の採用に当たりましていろいろな形の身元調査を行ったというところでございますが、その場合の求人は事務職員に関する求人であったというふうに私ども聞いております。そういう意味でいきますと、この身元調査といったものは、本来警備業法とは関係のない求人であるというところに大きな問題があったのではなかろうかと思います。もとより、就職の機会均等を確保するために、差別につながるおそれのある身元調査は実施しないように指導しているところでございますが、このような事件が起こったということは、私ども、まことに遺憾だと思っておりますが、警備業法との関連の問題というものが背後にあってこのような事件が起こってきたのではなかろうかというふうに思っております。問題点はその辺にあろうかと思っております。
#12
○中西分科員 ところが、具体的にこれに触れてみますと、十月時点でこの問題が明らかになりました。その際に、党関係者のこちらからのいろいろな調査によりますと、こういうように答えておるわけです。警備員の採用に当たっても、警備業報第七条の規定があるので調査活動の疑いが持たれるが、当社の採用についての方針は職安法が優先すべきであるとの考えから、調査していない、このことを言い切っているわけですね。したがって、疑いの調査活動は全くなされていない、こう言い切っておるわけです。さらにまた、この採用部長なりあるいは課長あたりの聞き取りをずっとした際には、こういうように言っておるわけですね。警備業法七条に、禁錮以上の刑を受けた者は刑が終わった日から三年経過しなければ警備員となることはできないとの趣旨の規定があるが、警備員採用に当たっても職業安定法の精神を優先させ、身元調査はしていない、こういうように回答しているわけですね。ですから、これは全部知った上でされておるというところに大きな問題があると私は思うのです。そのように言い切ったにもかかわらず、実態としては、いろいろ現地におきまして調査をした結果そういう調査結果が出てまいりまして、最終的には十二月時点になりまして、今回の採用選考に当たり一部の人に対し身元調査を実施いたしましたと言い、これはその地域のもので出ておる。そして、ある職安の所長あたりが言っておるのは、身元調査する前に職安実施の研修会を受けておる。しかも、ここは昨年もやっておるわけです。今年もやるとはけしからぬということを職安の所長は言っているのです。このように、十二月時点になりましてから、従前にそういうものを十分身に体しておりながらそのことを具体的には否定をした、ところが後になってみると、具体的にそういう事案が明らかになってくる、そうすると、自分たちはやりましたというふうに肯定をする、こういう事態になっているわけですね。
 ですから、こういうことを考え合わせてまいりますと、すべて知った上でやられておるというところに大きな問題点がある、私はこういうふうに理解せざるを得ないわけです。ですから、いま局長が言われましたように、この警備業法とのかかわりの中でそういうあいまいな点だとか、それがあるのではないかということじゃないのです。そこをまず認識としてとらえておく必要があるのではないですか。いまの事実確認についてはよろしいですね。
 そうしますと、その後の問題として今度は、いまあなたがおっしゃったように、警備業法との関係があるかのごとき発言が次々に出てくるわけです。従前は、警備業法よりも職安法の方が優先するんだ、こういうことを言っておるにもかかわらず、出てくる問題は、今度は、ある人事部長の話の中にこういう言葉が出てくるわけです。警備業法を無視してよろしいかとか、あるいは警視庁の指導監督を受けておる、そしてこの監督の中でやっておるからこの関連はどうなのかとか、いろいろなものが出てくるわけなんですね。さらに、非常に問題だと私は思いますのは、ここの会社の重役に当たる人たちがこの後になってこういうことまで言い切っているわけですよ。身元調査で差別だと言われることは疑問だということを言い切っています。そして、むしろそれによっていろいろ対応しておる行政は主体性を持ったらどうかということまで言い切っていますね。私は、これは大変不謹慎な発言だろうと思います。こういうように、警備業法との関係の中で非常に混乱した発言と言うとちょっとあれなんですけれども、大変間違った発言がなされている、こう私は認識をせざるを得ません。
 したがって、なぜそういうのが出てくるかといいますと、警視庁の防犯総務課あたりから出されているいろいろな資料だとか、あるいは警視庁から出されているものあたりを見ますと、そういうものをますます強化しろというようなことを書いておるわけですね。ですから、そういうことになりますと、これは警察庁にお聞きしたいのですが、いま言われたような経過、中身からいたしまして、私はきわめて遺憾に思います。この点、指導の上で行き過ぎがあったのではないかと思いますけれども、どうでしょうか。
#13
○柳館説明員 御承知のように警備業といいますのは、ユーザーの依頼に基づきまして盗難等の発生の警戒、防止をすることを業としておるわけでございます。そういう重要な仕事であるということにかんがみまして、警備業法の七条におきまして、警備員については十八歳未満の者は使ってはならない、それから一定の前歴のある者は使ってはならないということになっておるわけでございます。したがいまして、警察といたしましては、この法律に定められた義務を遂行するために、欠格事由該当者を警備業務に従事させないようにという指導をいたしておるわけでございます。
 その具体的な内容、どういう形で行うかということでございますけれども、これはそのケースケースによりまして、その必要度の度合いというものが非常に変わってくると思います。私どもがいま一般的に申し上げておりますのは、本人から欠格事由に該当しない旨の誓約書をとる、あるいは本人から提出された履歴書等に基づいて不審点があった場合には以前の勤務先等に対して照会をするといったようなことなど、必要な限度とそれから妥当な方法で行うようにということを指導しておるわけでございます。
#14
○中西分科員 具体的な事実を指摘をして、行き過ぎがあったのではないかと私は指摘しておりますから、あった、ないと、こう一口でいいから答えてください。
#15
○柳館説明員 ただいま問題になっております事案は事務員としての採用の問題でございまして、警備業法それ自体に基づく欠格事由の確認の問題ではないというぐあいに考えておるわけでございます。
#16
○中西分科員 したがって行き過ぎであったのでしょう。
#17
○柳館説明員 いわゆる警備業法の欠格事由以外の調査についてどういうことがなされ得るのかということにつきましては、警察の立場からどうこうすべきであるというような責任のあることは、そういう権限もございませんので、それはやはり採用一般を預かるところがどう御判断なさるかということかと存じます。
#18
○中西分科員 それでは、この該当の会社が警備業法云々ということでつられて言うことは間違いであるということですね。
#19
○柳館説明員 その点、私は誤解があると思います。
#20
○中西分科員 そこで、この内容については、いま言われるように、警備員でもない者をそうして調べておるという大きな間違いがあると同時に、たとえ警備員であっても学卒者、新卒であるということを私は忘れてはならぬと思うのですね。この点もひとつ警察庁の方、確認をしてくださいよ。新卒ですよ。
#21
○柳館説明員 新卒の場合につきましては、私、先ほど必要度ということを申し上げましたけれども、年齢の点につきましてははっきりいたしておるわけでございますし、それから学校等からの御推薦があるわけでございますので、別にそこまで確認をするというようなことは必要はないのではないだろうかと思っております。
#22
○中西分科員 したがって、この問題については大変な行き過ぎがあったということを、警察庁なりあるいは労働省についても認めることができると思います。
 そこで、こういう措置をしておるにもかかわらず、個人の問題としてすべてを片づけていく、措置をしていくというこのことは、私は大変な間違いであって、少なくともやはりその責任においてその会社なりが、こういう事案については率直に認めるべきであると思うのですが、この点、労働省どうでしょう。
#23
○関(英)政府委員 この福岡の事案につきましては、本社の指令等に基づいて行ったものではないというふうに私は聞いておりますけれども、しかしながら、こういう事件が起こってくるというのは、たまたま、ある個人が採用部門を担当しておるからということだけが原因ではなくて、やはり会社全体において就職の機会均等に関する認識、理解、そういうものが十分深まっていないところに問題が、本質的原因があろうかと思いますので、やはり企業全体としてこういう問題についての理解と認識を深めてもらう必要がある、そういうふうに思います。
#24
○中西分科員 したがって、これらにかかわった現場、現地の各職業安定所あるいは各自治体その他多くの皆さんが、何回となくそういう面での折衝なり、あるいは理解をいただくようにお会いをしようということで努力をしたわけでありますけれども、実際的にはなかなかそれが困難になりまして、最終的には、この行政の関係の方たちが全部集まりまして、重大な決意をもって対処する必要があるということまで言い始めています。また、文書でもって申し入れまでしておるわけですね。ということになりますと、こういうことが依然として反省されずに残されていくということになりますと、私は少なくともこれから後、行政各機関に対して求人の取り次ぎなどについて停止するように指導する必要があると思うのですけれども、この点どうでしょう。
#25
○田代説明員 ただいま先生おっしゃられましたように、今回の対応の中で、これは通常一般にもございますけれども、差別事象を起こした企業がその本質をわきまえるまでには相当な時間がかかる場合がございます。そういった意味で、今回の対応につきましても、まだまだ今後指導を続けていかなければならない必要があろうかと存じます。今後指導を続けた上でもって、なおかつ、同和問題に対する正しい理解と認識を持たずして、今後ともそういう行為を再び起こすおそれがあると判断した場合には、先生おっしゃるような求人の不受理とかあるいは紹介の停止というような措置を講じてまいりたいと思いますが、要は、企業に同和問題に対する正しい理解と認識を持って採用選考に臨ませることが最終の目的でございますので、今後ともそういう観点に立って根気強く指導を続けてまいりたいと思っております。
#26
○中西分科員 さらにこの点については指導あるいは啓発、特に啓発なんですけれども、この点を強化されることを望みたいと思います。
 そこでもう一つ、興信所だとかあるいは警備保障会社などにおきまして私は指導を強めてほしいと思いますのは、この問題が出ましてから、ある警備会社でささやかれておるのには、われわれのところでやったらあんなへまはしないよ、もう少しうまくやるというような言い方をして、身元保証調査なり何なりをやるという、こういうことを言っておるところがあるのですね。こういうことが私たちのところに聞こえてくるということは、相当言われておるということになるわけでありますから、この点について、興信所並びに警備保障会社などがそういう身元調査等について十分、いまあなたたちが答弁がありましたような立場でやるように指導するか、さらにまた法的に規制を加えるか、何かをしなくてはならぬと思うのですけれども、この点どうでしょう。
#27
○田代説明員 一つは、警備業者等が今後の活動の中で、その中には調査活動がある場合もあるかもしれませんけれども、そういった活動の中で、先ほど局長からも答弁いたしましたけれども、私どもの方は、たとえいかなる仕事においても、この採用選考に当たって就職差別が入り込むような措置を外していきたい、こういうふうに考えて措置をしてまいってきておるわけでございます。そういう意味では身元調査を禁じたのも、先般大臣から答弁申しましたように、統一応募書類等をつくる際にそういった事項の削除をやってきたわけでございまして、その削除した内容を調査するというようなことであればその趣旨が生かされない、こういうことになりますので、私どもといたしましては、そういったものを含めて今後とも強力な指導をしたいと思います。ただ、警備業法の関連につきましては、警察庁とも十分打ち合わせてまいりたいと思います。
#28
○中西分科員 その点、警備業法との関係については、やはり憲法なりあるいは職安法なりこういうもろもろの法律なり、こういうものに合致をする、そしてまたそれを尊重するというたてまえの中でどうするかということを具体的に検討する、こういうことでなくちゃならぬと思いますね。それが前提でなければならぬ。そのことをひとつ関係者等は十分認識をしてやっていただきたいと思うのです。
 最後になりますけれども、企業側におきまして、特に銀行などではさらに差別助長の傾向というのがあるやに聞いています。ですから、こういうものに対しましても、私は、先ほど答えにありましたように、十分な啓発と教育をさらに強化をしていただきたいということに対する見解をひとつお答えいただきたいということが一つ。
 それから二つ目に、ILO百十一号条約批准についてお答えいただきたいと思います。と申しますのは、この条約はあくまで宣言的な条約であるということは御存じのとおりであります。そういたしますと、この問題についてはいろいろな面で不足する分をさらに補い積み重ねていく、補完をしていくという、そういうもののためにも、私は、この宣言的条約であるという意味と、そしてこの条約の意味がそこにあると思うのです。昨年の三月一日の八十七国会の中での田口質問の中でも政府委員の答弁があっておりまして、実態上は余り問題ないという表現を使っていますね。実態上余り問題はない。したがって、これらについては今後検討を重ねていくというようなことになっているわけでありますけれども、私は、この点について今後いかにするのか、そして昨年来検討はどのようにされてきたのか、結果ですね。それから一つは、具体的な作業はどうなっておるのか、作業方針。そして時期的にはどういうところをめどに置いてやっておるのか、この点を最後にお聞かせいただきたいと思います。
#29
○田代説明員 前半の御質問に御答弁申し上げます。
 金融機関関係等におきましても地名総鑑購入企業があるというように、表面上はわからなくても、実際上やはりそういった問題がまだまだ存在しております。そういった点で、労働省といたしましては、企業の雇用主及び企業の採用関係担当、そういった方々に対する啓蒙、啓発指導を今後とも活発に行っていく考え方でございます。
#30
○谷口(隆)政府委員 ILO百十一号条約につきましてはもう御承知のとおりでございますけれども、雇い入れとか雇用条件とか職業訓練につきまして、人種、性、宗教、政治的見解、社会的出身等によりまして差別的取り扱いをしてはいかぬ、こういうことを内容とする条約でございまして、先生もいま指摘されましたように、わが国におきましては、憲法を初めといたします法令によりましておおむね実施されておるところでございます。ただ、わが国の条約を批准する方針につきましては、批准した以上はこれを誠実厳格に遵守するという立場で法制の整備をした上で批准をする、こういう立場をとっておるわけでございまして、若干中身に触れますと、たとえば皮膚の色による差別の禁止ということがございますけれども、これらの点につきましては、そういう実態がわが国にないわけでございますけれども、何か特別の措置が必要なのかどうかとか。あるいは職業訓練につきましては差別を禁止する明文の規定が法律上ございませんが、これについてもそういう法的な整備をする必要があるのかどうかということ。あるいはまた、差別がなお残念ながら存在しております雇い入れの段階の問題等につきまして、どういうような形で法制を整備すればこの条約の基準に該当するのかというようなことがございます。
 問題は、この条約におきまして関連する問題として、同和問題ということも非常に重要な問題でございますけれども、先ほど申し上げましたように、この条約が取り上げておる問題はほかにもいろいろございまして、たとえば性による差別的な取り扱いの禁止というような問題につきましては、男女平等というような問題がいま取り上げられておりまして、基準法研究会の報告をもとに関係の審議会でも検討しておるというようなこともございますので、そういうほかの関連の分野の問題もさらに詰めた上で、その結果をまって批准をするかどうかということを決めていかなければならぬという問題がございますので、なお時間がかかるというのが状況でございます。
#31
○中西分科員 時間が参りましたので恐縮ですが、いま言うように、検討する期間が必要だということは否定はしません。しかし、日本においては往々にして、当分の間やるなんと言ったら三十年もかかるから、こういうことのないように、やはりこれは一つの目的意識を皆さんが持っていただいて、一定の期間を区切ってでもやるというぐらいの強い意思があるかどうか、最後に大臣……。
#32
○藤波国務大臣 いま官房長から御説明申し上げましたように、百十一号条約は非常に大事な条約でございます。それだけに、特に日本の場合には、条約を批准いたしますときには整合性をしっかりと国内法の点検をいたしまして、あるいは調整をいたしまして、世界にも有名なぐらい、批准をしたら必ず守っていく国だということで今日までも来ておりますので、そういう意味で、いま、いろいろな整合性などを考えて点検をしておるわけでございます。非常に重要な条約であるということを十分認識をしてかかっておりますので、なるべく短い当分の間に検討を進めまして、批准に至るように前向きに努力をしていきたい、このように考えておるところでございます。
#33
○中西分科員 がんばってください。
 終わります。
#34
○橋本主査 これにて中西績介君の質疑は終了いたしました。
 次に、八木昇君。
#35
○八木分科員 最初に大臣の御認識を伺いたいと思うのですが、御承知のように、おととしの十月に同和対策事業特別措置法が三カ年間延長されました。その際、わが党の大原委員が内閣委員会におきまして、次のような趣旨の確認を求めた質問をしております。今回の法改正は、同対法は今後三カ年をもって打ち切るという趣旨ではなくて、当面三カ年間延長し、その間実態を調査し、法の総合的改正を検討せよという趣旨だと考えると、大臣にその確認を求めたわけであります。当時の稻村総理府総務長官はこれに対しまして、今度の延長は、この三カ年間において実態を調査しながら基本的な問題をどう解決していくか、こういう問題が今度の三年延長であると思っております、さらに、これで打ち切るのではなく、国民的課題として基本的な問題を考え、一日も早く社会的格差が是正されることを願っておると答弁をしておるわけであります。
 そこで、この同対法三カ年延長の意味というのは、この三カ年間に実態をさらに詳しく調査し、その間に法の総合的改正を検討する、こういうことであると考えておるのですが、労働省としてどのように受けとめておられるか、まずお伺いしたいと思います。
#36
○藤波国務大臣 同和地域住民の就職の機会の均等を確保し、雇用の促進と職業の安定を図ってまいりますためにいろいろな施策を積極的に推進してきたところでございますが、同和地域住民の就職の実態というものをいろいろな形で調査をし、絶えずその状態を把握しながら行政を進めていかなければならぬ、こういうふうに考えて進めてきておるわけでございますけれども、全国の平均的な状態と比較いたしますとなおかなり不安定な状態に雇用状態があるというふうに、私どもとしては非常に厳しい受けとめ方をしているわけでございます。したがいまして、労働省といたしましては、同和地域住民の雇用の安定のために今後とも継続して力いっぱいに努力をしていかなければいけない。全国の出先にも呼びかけまして、同和問題の早急な解決のために総合的にひとつ取り組んでいこう、こういうことでがんばっておるわけでございますけれども、法律の総合的な改正の御指摘の点につきましては、労働省としては、とにかくいま抱えておる問題を労働行政の中で力いっぱいに解決するために努力をしてきており、今後とも相当継続して努力していかなければなるまい、こう思っておるわけでございますけれども、法の改正問題につきましては関係省庁と十分連絡をとりながら進んでいかなければいけない、このように考えておるところでございます。
#37
○八木分科員 その点についてももう少し詳しく質問したいと思うのですけれども、先へ参ります。
 この三カ年間延長されたということ自体が、差別の実態というものが今日なお根強く広範に存在しておるということを意味しておると思うのです。徳川三百年以来の差別、明治以後これがずっと温存されてきた差別、そういう問題でありまして、言いかえれば、部落解放は国民的課題でありますと同時に、特に政治行政に大きな責任があるということが再確認されたものであるとも言えると思うのですけれども、この法延長、そしてまた、その間に実態を十分把握して法改正の検討をせよという趣旨の一昨年の法の延長というものは、いま申し上げたようなことをもあわせて意味しておると思うのですが、どうでしょうか。
#38
○関(英)政府委員 特別措置法の改正のときの附帯決議もございました。その附帯決議第一項によりますれば、十分実態を把握し、検討せよということでございます。
 先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、私どもの行政の責任でございます就職問題につきましては、いろいろお話ございますように、なお差別の実態も残っておりますし、不安定な就労の実態もございます。これはこの延長の期間内にできる限り解決すべく私どもは努力はいたしますけれども、雇用問題というものは、わずかの期間ですべてがうまくいくという簡単な問題ではございませんので、延長期間内だけでなく、その後も引き続き私ども、行政上の努力を重ねていかなければならない問題、こういうふうに考えておるところでございます。
 ただ、法の、さらに再延長とかあるいは総合的改正という問題になりますと、これは労働省だけで決められる問題ではございませんので、大臣もお答えいたしましたように、そういう点につきましては関係各省と十分打ち合わせてまいりたい、こういうふうに考えておるのでございます。
#39
○八木分科員 ところで、この三カ年延長の際に、御承知のごとく三項目の附帯決議がなされたわけですが、その第一項に「法の有効期間中に、実態の把握に努め、速やかに法の総合的改正及びその運営の改善について検討すること。」というのがあります。法延長後、具体的に、労働実態の把握についてどのように労働省として努めてこられたかについてただしたいのでありますけれども、その前に二、三お伺いをいたしたいと思います。
 労働省が昭和五十二年に実態調査を行われたと聞いております。同和地区住民の就業実態というものの調査をなされたのでございますが、調査結果について詳細をお伺いをしたいのですけれども、時間的余裕もございませんので、簡潔にその結果の特徴点を説明してくれませんか。
#40
○田代説明員 実態の把握につきましては、いま先生御指摘のように、いろいろな形で私どもの方もその掌握に努めているわけでございますが、五十二年におきまして労働省として調べました中で特徴的な点を若干申し述べたいと思います。
 一つは、就労の実態としまして、一般的には常用雇用が多いわけでございますけれども、同和地域におきましては、臨時、日雇いの率が一般の地域に比べまして非常に高いという一つの特徴を持っております。
 それからもう一つは、自分が雇用主になっている場合であっても、従業者を持たない雇用主、一般的に一人親方、こういうふうな言われ方をしますが、そういった率が同和地域におきましてはやはり高い。それと内職者というようなものも一般地域に比べて高いという状況を示しております。
 それから、仕事についている方の就業先の事業所を産業別に見てみた場合に、特徴的に出てまいりますのが建設業の従事、これが、先ほど私が御説明しました臨時、日雇いという就業形態と関連を持っているわけでございますが、それと公務。これは公務の中の現業職につかれている方が多いということで、そういった点の傾向が出てまいっております。
 それから、そういった就業者の就業先の規模別の点を見てまいりますと、三十人未満、いわゆる零細規模、こういった方に一般地域よりも高く就職をしている、こういう状況がございます。
 主要な点を申し上げますとそういうことでございます。
#41
○八木分科員 私も労働省の方から、大体主要な特徴を述べた簡単な表はいただいたのですが、詳しい調査結果はいずれ明らかになるのでありましょうが、この調査のやり方はどういうふうにされたのでしょうか。全国に四千数百の未解放部落があるわけですが、その幾つかを抽出しながら、そしてその中の何名かについて摘出して全体を平均してみた、こういうようなやり方でしょうか。それでは本当の就業実態というものを十分に把握できないと私は思うのです。
 それから、全国一般との比較について、昭和五十二年の総理府の就業構造基本調査と比較してありますけれども、これについて私は疑問がございます。
 たとえば全国の場合、一般常用が五九・二%、そして同和の方が四九・一%、こういう表になっておりますけれども、実際、全国が五九・二%であるか。五九・二%というのは、たとえば一家を支える主人、そういうような人の場合、もっと高いはずではないのか。だから、家庭の主婦あたりがパートなんかに勤めに行っておる、それも労働人口全体のパーセンテージの中に入っておるとするならば、これと単純に比較するということは適切でないというふうに思いますし、それから、就業先の事業所についても全国平均は公務三・五%となっておる。全国三・五%であるはずはないと思うのですね。たとえば学校の教員だけでも、義務制あるいは公立の高等学校をも加えまして何万か知りませんけれども、百万は超しておるのでしょう。そういうふうにずっと考えていきますと、この三・五%というのも私はおかしいと考えます。
 それから、三十人規模未満の事業所に働いておる人のパーセンテージが全国平均で五二・八%というのもおかしいのですね。これは、たとえば農家の主婦あたりが、耕作反別が比較的少ないので、そこでどこか三十人未満の小さな事業所に働きにも行っているというような人なんかも全部入ってパーセンテージが出されておるとするならば、これと比較するということは適切でない、こういうように思うのですが、時間がありませんので詳しく質問する時間がないのですが、その辺のところを御答弁いただきたい。
#42
○田代説明員 ただいま、調査の詳しいデータをここに持っておりませんので、数字等を申し上げることはちょっとできませんけれども、いま先生御指摘になりました全国数字との比較という点につきましては、この五十二年の労働省の調査では当然全国との比較というものを前提としておりましたので、就業構造基本調査の項目その他と合わせた形をとっております。したがって、そういう意味ではパーセンテージそのものの比較ができるように考えております。実際の調査数全体はちょっといま手元に持っておりませんのであれでございますけれども、全国の同和地域を有する県につきまして、地元との打ち合わせのもとに一定の数の調査をやっているということを申し上げておきます。
#43
○八木分科員 そういう調査では、意味がないとは言いませんけれども、余り意味をなさない、こういうふうに考えます。
 そこで、こういうような調査をやるべきではないかということをこの後申し上げたいのですが、その前に、同和地区の労働実態というものについてどういうふうに認識しておられるかを改めて問いたいと思うのですけれども、同対審答申では、同和地区に滞留する停滞的過剰人口を近代的な主要産業の生産過程に導入することにより、生活の安定と地位の向上を図ることが同和問題解決の中心課題である、こういうふうに述べております。私もそのとおりと思うのですが、いわゆる近代的主要産業の生産過程からこれまでずっと外されてきた、やはりそこに導入していかなければいかぬ、これが一番中心的な同和問題解決の課題だ、こう述べておるわけですから、そこの点が対策として一番主要な点だと思うのですが、近代的な主要産業の生産過程というのは一体どういうことを指しているかについて、お考えを述べていただきたい。
#44
○田代説明員 先生御指摘のように、同和地域における雇用問題のまず基本に近代的な主要産業の生産過程、ここで述べられておりますが、そういった就職が従来なされていなかったということが指摘されております。
 それは一つには、従来同和地域において、いわば教育の機会均等を受けられないために、一般の地域と比べましてはるかに学校への進学率も低かった。したがって、そういう意味では、一定の条件を持って近代産業に就職をする要件が満たされていなかったという点があろうかと思います。そういった点で、現在は進学率も相当上昇しておりますし、そういう意味での新規学校卒業者につきましては十分改善措置がとられつつあると思っております。そういう意味では、現在新規学卒者の就職先といたしましては、これは受け入れる企業側に差別的な採用選考がなければ、十分にそれに対応していけるだけの力を持ちつつある、こういうふうに判断をしておりますので、そういった近代的な雇用の場、これは幅広く存在しておりますけれども、今後ともそういう前提で新規学卒者等については十分考え得る問題だと思っております。
#45
○八木分科員 そこで、これを具体的に言いますと、内容的には、月給制度のところで常雇い、そして各種の社会保険等がきちっと整っておるという、そういう事業先ということを示しておると思うのです。それからまた、私企業形態としては大企業、あるいは公共企業体等、公務員、こういうことを指しておると思うのです。
 そこで、そういうことをも考えていきますと、労働省の労働実態調査というものは、たとえば賃金形態別、それから社会保険制度等があるところに勤めておるかどうか、そういう項目別、それから企業の種類別、規模別。それから、同じ未解放部落といいましても、御承知のとおりに大都市型の大未解放部落もあれば、われわれ佐賀県のようなところは各町村に、極端なところは五一尺六戸という小分散未解放部落、そういういわゆる農村型、それから漁村型もあれば山村型もある。だから、そういう類型別に労働実態というものがどうなっておるかという調査、把握、そういう調査をしなければ、これは普通の労働実態調査と意味が違うのですから、労働実態調査の意味をなさないと思うのです、極論すれば。そういう調査を、しかも延長期間三カ年の間にやってもらわなければならないという趣旨が入っておると思うのです、あの附帯決議に。ことしと来年ですから、その期間中にそういう、私が申したような趣旨の調査をやる意思があるかどうか。本年度中にそれを開始されないと、その上に立っての総合改正についての意見も述べられないでしょう。それについて本年度中にそういう調査をやる意思があるかどうか。私は当然やっていただかなければならないと思うのですが、その際の調査の項目、方法、それから集約の時期、こういうものについて明示願いたい。
#46
○田代説明員 就労の実態というものを正確に捕捉していくことは、当然労働行政を展開する上に、先生御指摘のとおり大変重要なことだと思っております。ただ、労働の実態と申しますのは、一断面、一時点だけでつかまえられるものではなくて、現実には経済の変化、景気の変動その他の要因におきまして常に動いていっておるものでございます。そういった点では、労働省といたしましては、こういった過去において行った調査ももちろん活用してまいりますけれども、それにとどまらず、大変いいことには、労働省は出先の機関として全国各地に公共職業安定所を持っております。先生御指摘のように、同和地域の実態というものがそれぞれの県、あるいはその県の中においても地域によって異なる状態を示しております。先生、これを類型的にというふうに御指摘になられたと思いますが、私どもの行政の末端はまさにその中において実情の捕捉に努める、こういう形をとっております。
 そこで、労働省といたしましても、そういった現地で捕捉する実情につきましては、現地職員からのヒヤリングというのを重ねて開催をしておりますが、こういうことにおきまして、生きている情勢というものを十分把握して今後とも対策を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
#47
○八木分科員 それで、もっと具体的に、改めて本年度中にでもそういった調査を実施して統計的な数字をびしっと出す、そういう調査をなさるのでしょうか。なるほど昨年、前の労働大臣が筑豊地区の未解放部落を視察されたり、あるいは部落の皆さんと労働省関係の方がヒヤリングされたりということはされておるのですけれども、それでは把握が抽象的ですから、改めて調査を実施される御意思があるかどうか。
#48
○田代説明員 ただいま御答弁申し上げましたように、過去の調査なりヒヤリング等を通じまして、現地の実情、それからいま先生からもお話ございましたように、私ども担当の者、昨年は労働大臣も現地視察をいたしましたが、そういった実情を捕捉して、それは単に一般的な捕捉でなくて、現地の細かい実情について十分捕捉をする、こういうたてまえでことしも臨んでまいりたい、かように考えております。
#49
○八木分科員 これはまた今後ほかの場でも問題になると思うのですけれども、五十二年度調査にとどまらず、改めてもっと計数的な科学的な調査の実施を強く要請をしておきたいと思います。
 時間がありませんので、最後に一点お伺いして終わりますが、同和対策はすべて、雇用労働対策につきましても実態に即してやらなければ意味をなさないわけでございまして、御承知だと思いますが、去年の五月八日に全日本同和対策協議会というのがございますね。全国の都府県によって構成をされておりますが、この協議会が決定をいたしまして、専門部会に調査を命じ、そして専門部会が二十数回の会合を開き、専門部会としての調査報告が出されております。
 その内容を申し上げる時間がないのですが、そこの中で、この同和対策についてどういう認識を持つか、これまでの対策についてどういう反省をするかということについて述べてある点、非常に重要なんですが、この点についていずれも労働省としても同感であるかどうかということと、具体的な提言として、結局次のように具体的にやらなければいかぬ。単なる受け身の対策だけではいかぬ。具体的な計画を策定し、設定をして対策を進めなければならぬ。読み上げますると、その具体的な計画として六項目述べてあります。(ア)人口構造と職業構造を分析した地区の職業構造の未来計画。(イ)年齢構造と産業経済基盤の未来図に対応する職業計画一進学計画を含む一。(ウ)企業主、事業主に対する啓発計画と雇用計画への編入(訓練計画を含む)。(エ)大手企業主、事業主に対する啓発計画一政府による一。(オ)職業教育講座計画。(カ)中高年齢層に対する技能修得、就職対策等の抜本策の樹立。こういう具体的な提言をしておるわけでございます。これはもちろん地方自治体としての反省と、それから認識と今後の進め方についてのものでありますけれども、当然政府と一体でやらなければならないものでございます。
 そこで私は、具体的にお伺いをしたいと思うのですが、今後は、各未解放部落別にまでいけるかどうか、あるいはある程度ブロック別の行政単位にか、あるいは府県単位にか、労働省、出先の職業安定所、それから県当局、該当市町村、それから地域における企業主それから住民代表、これは未解放部落の代表も当然入らなければならないと思うのですが、そういう人たちによるところの同和地区の雇用対策委員会とでもいうべきものを設置して、そうしていま報告をされておりますような計画というものを具体的につくって進めていく、こういうところまでいかなければならないのではないか、こう思うのですけれども、見解をお伺いしたいと思います。
#50
○関(英)政府委員 ただいま先生が御指摘になりました全日本同和対策協議会より出されました専門部会の報告書は、地域の実情に即した総合的な計画を樹立して、そしてそれに対応した対策を進めていかなければならぬという考え方で出されておりまして、私ども非常に貴重な意見として承っております。先生御指摘のように、今後地方自治体がそういった地域の実情に即した総合的計画を立てていこうといたします場合には、私ども第一線の職業安定機関は、関係の市町村はもとより地域住民とも十分連携を強化いたしまして、そういった総合的な計画の樹立に適切に対処していくことが必要であろう、こういうふうに考えております。
#51
○八木分科員 終わります。
#52
○橋本主査 これにて八木昇君の質疑は終了いたしました。
 次に、上田卓三君。
#53
○上田(卓)分科員 ただいま中西績介先生、また八木昇先生から労働行政における部落差別の実態につきまして鋭く質問し、追及をいたしたところでございます。大臣なりあるいは田代参事官等からもるる御説明がございましたように、全国の未解放部落の労働実態といいますか、主要な職業の実態というものが、たとえば経営者であったとしても一人親方である、本当に家族労働者といいますか、そういう家族の手伝いをしてもらってやっと経営が成り立っておるという状態や、あるいは内職が多いとか、あるいは臨時、日雇いが多い、あるいはたとえ公務員であったとしても現業職が多いというような、非常にそういう状況が報告されました。また、先般の予算の一般質問で私も申し上げましたように、たとえば生活保護世帯が全国の平均に比べて五倍から六倍に達しているというような状況、あるいは高校、大学の進学率は、特別措置法ができまして十一年の間に確かに一般との格差が縮まりつつあるということも事実ですけれども、しかしここ五、六年の近年の状況を考えるならば、逆にまた、一たん上がった進学率がまた下がりつつある状況があるということも私指摘を申し上げたところでございまして、関係各省においてもそのことはお認めになっておるところでございます。
 そこで、さらにオイルショックあるいはドルショック以後の経済不況の中で、本当に部落の中小零細企業だけでなしに全国的な中小零細企業の引き続く倒産、あるいは中堅どころあるいは大企業でさえも一夜にして倒産するという状況のもとで、本当に部落の零細な企業が塗炭の若しみを受けている、あるいは国際情勢の悪化によって、そういう荒波によって、あるいは大資本のそういう攻勢によって、そういう部落産業と言われるものが壊滅的な状況にあるということも、これまた事実ではなかろうか、こういうように考えておるところでございまして、本当に部落民には仕事がなくなって、失業あるいは半失業状態があり、中には、そういうことの結果やはりこういう犯罪傾向がふえるというような状況がある中で、いわゆる差別の再生産というような非常に悲しい出来事が起こっておるわけでございます。さらにそれに輪を加えておるのがいわゆる部落地名総鑑に見られるように、今日では第九まで、そしてそれを購入しておるところの企業がもう二百社になんなんとする。その企業の中においても、最近発覚しました安田信託銀行のように、銀行やあるいは金融機関あるいは学校とか、特に、いま中西先生がおっしゃられましたように福岡で起こりました警備保障会社、これは全国で一番大きな警備保障会社でございまして、こういう差別企業なりあるいは差別図書を売る会社とか、たとえば警備保障会社などは、私の知っている範囲では、警察庁とかあるいは警視庁の幹部の天下り先であるということも聞いておるわけでございます。内々には警察庁なり警視庁の方からそういう部落の差別調査をせよというような指示さえもある。それは文書で明らかになっているわけではないですが、そういうような状況すらわれわれの方でキャッチされているような状況があるわけでございます。それだけじゃなしに、探偵社とか興信所なども、法務省などと私から言うならぐるになって、逆にそういう役所の天下り先になっているのじゃなかろうかという疑いすら実は出ており、われわれの方でも若干のそういう資料を持っているところでございます。
 いずれにいたしましても、特別措置法が出まして十一年間になるわけでございますが、そういう状況の中でも遅々としてこの部落問題の解決の中心課題であるところの労働問題、主要な政策関係あるいは産業から排除されているこの問題についてなかなか解決してない。そして法が一応三年の延長が見られたというものの、残すところあと二年という状況にあるわけでございまして、これは恐らくこの三年の間に部落問題は完全に解決つかないということから三つの付帯条件、とりわけその中でもこの法の総合改正、こういうことがうたわれていることは大臣もすでに御承知のことだろう、こういうふうに思うわけでございます。私は、もう二年とか三年とか、いや五年と、本当は一日も早くこういう問題は解決しなければならぬし、してもらいたいわけでございますが、そういう何年何月までにこの問題を解決するというようななまやさしいものではなかろう。現在法律がある時点でも、こう次から次へと差別事件が起こっている状態の中で、法律がなくなったら、それこそ法律がなくなったのだから堂々と差別していいのだというような形でさらに頻発する可能性がある、こういうように考えるわけでございます。
 そういうことも含めて、法改正も含めたところの決意、そして大体どのぐらいこの問題の解決のために日時を要するのかということを、何年何月とは言えませんが、私は相当期間解決のために時間が必要ではないかというように考えるわけでございますが、その点について大臣からひとつ明確なお答えをいただきたい、このように思います。
#54
○藤波国務大臣 先生御指摘のように、同和対策措置法の精神に反するいろいろな事例が例証として挙げられまして、そういった事実が出ていることを非常に残念に遺憾に存じております。
 労働行政は、憲法に基づきまして、すべての人の人権を重んじ、すべての人が差別されなくて、それぞれ個人の個性や能力に応じて働いていくことができる、そのために労働行政は何人といえども差別することのない行政を展開するということを一番大事な理念として掲げて、精力的に行政を進めておるところでございます。
 そういう意味からいたしますと、措置法があるから同和対策を特に熱心にやるとかいうことではなくて、むしろそれよりも憲法の理念に照らして、労働行政というものはいかなる差別もなく進めていくようにしなければいけないということを大前提として掲げているわけでございます。今後ともあらゆる努力を進めてまいらなければなりませんが、特に先ほどの御質疑の中でも、政府委員からお答えをいたしましたように、労働行政というのは絶えず動いていく情勢に絶えず対応するということ、そして生身の人間がその中でどのように気持ちよく働いていくかということを扱う行政でございますので、実はそういう意味では、いまの大前提のこと等も含めあわせまして、いつまでたったらこの労働行政が解決するということではないわけでございます。永遠に続いていく課題である、こういうふうに考えているわけでございます。
 ただその中で、特に措置法に基づいて同和対策の重要なことを認識して行政を進めよ、こういう御意思を体してさらに積極的に同和対策に関して努力をしてきておるところでございますけれども、何回も申し上げますが、これは措置法の期間にこだわらずに、とにかくいま同和地域では、先ほど来いろいろとお話の出ておりますように雇用の安定が一番大事である、職業の安定が一番大事である、こういうふうに考えておりますことと、それから実態としてはなかなかそういうことになっていないというその隔たっている部分をとにかく埋めていくためにあらゆる努力をしていかなければいかぬ。これは相当時間のかかることだと思いますし、また絶えず努力をしていかなければならぬ、こういうふうに思いますので、どういうふうにしてその対策を講じ、何年ぐらいで解決するつもりかということにつきましては、永遠の課題を解決するために永遠に努力をしてまいります、しかも積極的に全力を挙げて取り組んでまいります、こういうことをむしろお答えする方が先生のお考えになっておられることに合うのではないかというふうに思いますし、私どももそんなふうに考えておるということをお答え申し上げたいと思います。
#55
○上田(卓)分科員 大臣のおっしゃるとおりだろうと私は思うわけでございます。そういう意味から三つの付帯条件、そしてこの法の総合改正ということが国会で決まったゆえんだろう、こういうふうに思います。法律があるもとでさえも差別事件は枚挙にいとまがないという状況でございますから、なくなれば本当にわれわれは寒けがするような思いでございますので、この際そういう残事業というような形で期限を切って――期限を切って解決しなければならない問題もあると思います。いまの労働行政のような永遠に追及しなければならない課題は一日も早く解決しなければならぬけれども、非常に長期にわたるということをおっしゃったのだろう、こういうふうに思うわけでございます。
 そういう意味で部落解放の基本法的なもの、たとえば教育基本法のような意味で恐らく総合改正というものが言われておるのだろう、こういうふうに思いますので、そういう点で大臣におかれましても、各省庁とも十分御相談いただいて結構でございますけれども、労働行政という立場からも、この問題はぜひともこの三つの付帯条件の実施が大事であるということをひとつ認識いただきたい。そのことについて、がんばりますという一言だけひとついただきたい、こういうふうに思います。
#56
○藤波国務大臣 同和対策のこの措置法が掲げておりますいろいろな課題の中で、何回も申し上げますが、雇用の促進、職業の安定は最も大事な課題だというふうに考えまして、労働行政としては全力を挙げてがんばっていきたいと思います。
 なお、法改正の問題等につきましては、他の省庁とよく相談をしながら進んでいくようにいたしたい。がんばってまいりたいと思います。
#57
○上田(卓)分科員 次に移りたいと思います。
 中高年齢者等の雇用促進法があるわけでございますが、いわゆる高齢者の法定雇用率の目標は六%ということで定められておるわけでございます。しかし、この目標の未達成企業は、私の調べでは、全国平均で七七年には五六・三%、七八年には五七・三%、七九年には五三・九%にも及んでおるわけでございまして、その上従業員数が千人以上のいわゆる大企業ではその達成率はさらに悪い。七七年には八二・二%、七八年には八二・二%、七九年には八〇・六%が未達成率である、こういうような状況があるわけで、ございまして、大企業ほど高齢者に対する雇用に不熱心である、こういうデータが出ておるわけでございまして、これは全く法律違反であると言わざるを得ない。そういう点について労働省の明確な御回答をいただきたい。
 さらに、この法の第十一条にはいわゆる罰則規定がない、こういう状況があるわけでございまして、特に身体障害者の雇用の場合、法的雇用率は同じく六%ということになっておるわけでございますが、いわゆる不足人数に応じて納付金を徴収するというような規定があるわけでございますが、こういう未達成の企業に対して何らかのペナルティーを科す必要が絶対あるのではないか、私はこういうように思いますので、その点についてさらにお答えいただきたい。
 同時に、目標達成がなかなかできないというのは職業安定所の機能が非常に弱い、これを強化しない限りなかなか達成できないんじゃないか、こういうように私は思っておるわけでございます。特に大阪の例を申し上げますと、府下で現在九百十二人の職員がおられるわけでございます、ところが、十年前には九百八十二人おられたわけでございますから、毎年削減されてこの十年間に七十人も減少している、こういうような状況にあるわけでございます。これでは中高年齢者の雇用促進は全くかけ声に終わってしまう、こういうように思うわけでございまして、そういう点で職員の増員配置を含むところのそういう体制の強化が必要であるというように思いますので、以上の諸点について明確にお答えをいただきたい、このように思います。
#58
○関(英)政府委員 中高年雇用促進法に基づく高齢者の雇用義務六%という法律上の努力義務を定めておりますが、昨年の六月一日現在の調査結果は先生御指摘のとおりでございまして、繰り返しになりますので数字は省略いたしますが、大企業ほど実雇用率が低く、そして未達成企業の割合が非常に多いということになっております。
 これは昭和初期あるいは第二次大戦後に大企業を中心に一般化しましたわが国の終身雇用制といいますか、新規学卒者を雇用して企業内で教育訓練し人事配置をしていって、そして定年制で退職をしていくという終身雇用制度が大企業を中心に一般的であるという日本の雇用事情、雇用慣行に根差しておるところにその原因があろうかと思います。
 定年も、私ども定年延長に努力してまいりましたけれども、五十三年の時点でなお四一%の企業が五十五歳ということでございます。五十五歳ですと、高齢者の雇用率はゼロということでございますので、この定年延長に努めなければなりませんが、とりあえず私ども、この雇用率を達成していくために、大企業で、しかも雇用率の非常に悪いところに雇用率を達成するための計画の作成を命じまして、現在その計画の提出をいただいております。今後は個別企業ごとに提出していただいた計画の達成のための指導を強化していきたいと思っております。
 それからペナルティーの問題でございますけれども、先ほど申しましたわが国のような雇用事情、雇用慣例からして、直ちにこれにペナルティーを科すということについては非常に困難な問題が多かろうと考えております。
 中高年の雇用を促進するために第一線は非常に努力いたしておりますが、先生御指摘のとおりに最近の定員削減の中で順次減ってまいりました。私ども、なるべく管理的な地方段階あるいは本省段階で定員減を受けとめて第一線の減を少なくしているつもりでございますけれども、御指摘のような情勢にあることは確かでございます。今後とも定員増に努力しますとともに、機械化による合理化とか第一線の安定所の再編整備を四月一日から全国的にやりまして、余りお世話をする必要のない、求人カードを見て自主的に就職できる人はそういうコースを選んでいただいて、相談の必要な人には綿密に相談をするような再編整備という形で、できる限り機能強化を図って雇用促進に努めていきたいと思っております。
#59
○上田(卓)分科員 時間がございませんので次に進みたいと思います。
 労働省は新年度からシルバー人材センターの構想を出されておるわけでございまして、これについて私も一定の評価をいたしておるところでございます。高齢者の生きがい対策というものは労働対策と福祉対策の接点ということで打ち出されておる、こういうように考えておるわけでございまして、高齢化社会の本格的な到来に備えて定年制の延長を初めとする雇用保障と社会保障のすき間のない結合がいまこそ必要ではないか、こういうように考えておるわけでございます。
 その点についてさらに具体的に御質問申し上げますが、いわゆるシルバー人材センターの対象が主として六十歳以上六十五歳未満、こういうことになっておるようでございますが、現実の定年制の社会的実態といいますか、あるいは年金支給あるいは中高年齢等の法律の年齢の規定などに比べてこの制限には非常に問題があるのじゃなかろうか、こういうように思っておるわけでございまして、雇用情勢の厳しいそういう中高年齢者とか、身体障害者、未解放部落住民あるいは寡婦などの実態も十分考慮されて、実施に当たっては十分な配慮が行われる必要があるのじゃないかということがまず一点であります。
 それから補助の内容と期間でございますが、たとえば私の地元の東大阪市が全面的に援助してつくられたところの雇用開発センターというものがあるわけでございますが、これは七九年の初年度だけで人件費だけで八人分で二千六百八十万円使っておるわけでございまして、その他を含めると三千五百万円を使っている。あなた方の構想では七百万円ということで、次年度から六百万円というようなわずかなはした金でこの問題に対処されようとしておるようでありますが、東大阪市などはさらに市の委託事業として、雇用創出ということで自転車置き場の整理とか学校の警備員などで二十六名に仕事を保障しているという現状があるわけでございまして、補助金について大幅な引き上げをぜひともお願いしたいし、また、五年間の期限というものにとらわれることなく、必要に応じてこういうものは、これからだんだん高齢化社会になるわけでございますから、高齢者が減っていくのなら別ですけれどもふえていくのですから、生きがい対策というならば、そういう意味でもっと年限を引き上げるべきでなかろうか、こういうように思っておるわけでございまして、特に、先日要望いたしました東大阪の雇用開発センターに対して、あるいは東大阪市に対して、地元の要望に対して十分かなえられるように善処をお願い申し上げたい、こういうように思います。
 それからもう一点は、人口二十万以上の都市ということになっておるようでございますが、いろいろ労働省の意見もよくわかります。しかし、たとえば私の選挙区と言うては変でございますけれども、たくさんの市町村がありながら、この対象になるのは東大阪市と八尾市だけである。先般井上代議士の方からも摂津市はどうなっているのかというようなことも、ございますように、大阪だけじゃございませんけれども、大都市圏においては小さな人口の市であっても都市化されているという状況でありまして、五十万の市も五、六万の市も同じく都会化のような状況になっておるということを考えた場合に、枠と一定の予算というような関係もあろうかと思いますけれども、そこは柔軟に考えていただきたいというように私は思いますので、その諸点について手短にお答えいただきたい、このように思います。
#60
○加藤(孝)政府委員 まず年齢を原則として六十歳から六十五歳にしておるという点でございますが、これはいま御指摘ございましたように、高齢化社会の中においていろいろな高齢者が出てまいります。その中で定年退職後等において常用雇用はもう希望しないけれども、体力、能力を生かして何らかの追加的収入も得たい、あるいはそれによってみずからの生きがいなり地域社会へのいろいろな貢献もしていきたい、こういう高齢者も今後の高齢化社会の中においていろいろ増加してくる。一方また地域社会でも、地域住民の日常生活に密着した仕事の需要も、核家族とか共かせぎだとかいうようなものが進む中で増加してくる、こういった状態の中でその結合を図っていく、こういうシステムとして構想したものであるわけでございます。
 したがいまして、原則として六十から六十五としておりますのは、そういう趣旨からそういう原則を設けておるわけでございますが、もちろん六十五歳を超えられましても、なお体力、能力から同じようなその仕事ができるという方について、その方が加盟されるのを積極的に拒む趣旨でもございませんし、それからまた五十五あるいは六十ちょっと前で定年になられたという方もまた入会されることを拒む趣旨ではないわけでございます。
 ただ、対策がそういう高齢者対策、シルバー人材センター、こういうことでいっておりますようにそういう観点のもので、ございますので、このセンターのねらいはそういう人たちを対象にしたねらいである、そういう基本的な枠組みを超えて、いろいろ東大阪の事例も私も大阪から直接いろいろ伺いまして研究させていただいておりますけれども、やや枠組みがその辺違うというような問題がございまして、今後研究はさせていただきますが、いま考えておりますものとは基本的な枠組みにおいて違うので、今度のセンターのねらっておりますものとは若干異なるという点をひとつ御理解賜りたいと思うわけでございます。
 補助金の期限を五年といたしましたのは、これは新しく補助金をつくります場合には、とにかくこういう財政再建の中で補助金はできるだけ削減していこうという政府の方針の中で、新たにつくる補助金については五年の期限を設けて、そうして五年後においてその存続についてどうしても必要なもの以外はやめる、どうしても必要なものはやはり存続する、こういうことでございますので、その時点で十分必要に応じて対処させていただきたいと思っておるわけでございます。
 それから、おおむね人口二十万以上としております趣旨は、これは初めて全国的に平均各県二つ程度の市においてモデル的にそういうものをつくっていこう、こういう考え方に基づきまして一応ある程度の会員数なり仕事の需要が見込めるものをモデルとして育てていくという考え方でありますので、人口という規模だけではなくて、やはりそういう同じようなおっしゃるような地域都市の事情によりまして同じ程度の会員数とか仕事の量が一応見込まれるならば、そういったものもやはり対象として考えていく、こんなようなことで弾力的には考えて対応していきたいと考えております。
#61
○上田(卓)分科員 東大阪市のことをおっしゃったのですけれども、東大阪市は生きがい対策にプラスやはり中高年齢の常用雇用という問題があるわけでございますから、あなた方の構想よりもさらにりっぱな構想なんですから、そういう構想に対して積極的にシルバー人材センターの立場から協力をする、また職安は職安の方からも応援をするという形で考えてもらって、せっかくいい構想に対して、おまえのところは余分なことをやっているからあかんというような形でなしに、ひとつ御配慮をいただきたい、こういうふうに思います。
 次に移ります。破産法のもとでの労働者の権利.ということでございまして、最近の労働争議における注目すべき特徴の一つは、経営者たちが労働者の抵抗といいますか、あるいは要求を抑え込むために、みずからの経営責任を投げ出して、いたずらに自己破産や会社更生法に訴えまして偽装倒産を行っている例が非常に多いわけでございます。とりわけこの破産法の場合は、一般的に企業解体法として運用され、労働者にとってはかけがえのない職場を奪う最も過酷な法的処理ではなかろうか、こういうふうに考えるわけであります。労働者とその権利についての社会的認識が十分に成熟していなかった大正年間につくられた法律であるわけでございまして、そういう法律が今日の労使関係あるいは労働争議に機械的に適応されるならば労働者の権利が実質的に損なわれることは明確ではなかろうか、こういうふうに思っておるわけでございます。
 そこで、まずきょうは法務省の方がお見えでございますのでお聞きしたいわけでございますが、破産法の適用に当たっては企業の解体消滅以外に処理方法は一体ないのかという問題でございまして、たとえば債権者の意思と合意によってこの破産防止あるいは会社再建に道を開くことは絶対できないのかどうかという点についてひとつお聞かせいただきたい、このように思います。
#62
○宇佐見説明員 お答えいたします。
 破産宣告がなされますとこれは会社の解散原因となっているわけでございますが、先生御承知のとおりすでに破産宣告がなされました場合におきましても、会社の更生の見込みがあり、かつ破産手続によります方が破産債権者一般の利益に適合するという場合でない場合におきましては会社更生手続の開始決定をすることができるわけでございます。また、破産会社はいわゆる和議を提起をいたしまして、これが債権者集会で可決され裁判所の認可がございますと、いわゆる強制和議の効力が生ずるわけでございます。そういたしますと破産の終結決定がされまして、自後、破産会社は会社財産に対する管理権を回復する、こういうことになるわけでございます。そのほか、破産会社といたしましては、債権届け出期間内に届け出をいたしました債権者全員の同意を得ました場合におきましては、破産廃止の申し立て、いわゆる同意廃止といわれるものでございますけれども、これができるわけでございまして、裁判所が破産廃止の決定をいたしますと、破産手続は終了いたしまして会社がそのまま残る、こういう次第でございます。
#63
○橋本主査 上田君、時間が過ぎておりますから、締めくくってください。
#64
○上田(卓)分科員 あと一問でございますので……。
 それでは労働省の方に質問申し上げますが、憲法と労働法に定められた労働者の権利はこの破産法のもとでも確保されてきたのかどうか、こういうことでございまして、関係法の整備を含めてこの問題にどのように対処してきたのか。その基本的な姿勢をまずお聞かせいただきたい。
 それから具体的にお尋ねいたしますが、破産管財人は労働組合との団体交渉に応じる義務があると思うが、どうか。これは憲法を破産法に優先させるかどうかという根本問題を含んでおることだろう、こういうふうに思いますので、具体的にひとつこの問題についてお聞かせいただきたい。つまり団体交渉に応じるかどうかということは、個々の管財人の個人的裁量あるいは思惑あるいはましてや個人的な感情によって左右されてはならないだろう、こういうふうに思うわけでありまして、労働者の侵すべからざる権利だと思いますが、その点についてどうか、お聞かせいただきたい。
 時間がございませんのでさらに申し上げますが、労働組合がもとの使用者との間で取り交わしたところの労使慣行やあるいは各種協定のたぐいについても、破産管財人はそれらを引き継ぐ義務があるというように思うが、そのことについて明確にお答えをいただきたい、こういうふうに思います。
#65
○細野政府委員 お尋ねのございました破産法の適用下の企業に関する労働権の関係の問題でございます。
 企業は、一般に破産宣告の後にも破産手続の終結に至るまでの間破産の目的の範囲内で存続するものである、この間の労使関係につきましては、労働組合法その他の労働関係法令の適用はあるものである、こういうふうな考え方に立っております。労働省としましては、企業が破産法の適用を受けた場合におきましても関係法令を遵守するよう指導してきているのが私どもの基本的な考え方でございます。
 次に、団体交渉の関係の問題でございますが、破産の宣告を受けました後でも雇用関係が存続している間は、その労働関係の処理も一般に破産管財人が行う、こういうことになるわけであります。この場合に、破産管財人というのは破産法の定めるところに従って破産手続を進める者であって一般の経営者と違うから団体交渉に応ずる義務はないのじゃないか、そういう強い考え方も一部にはございます。ただ、私ども考えてみますと、破産手続下におきましても雇用関係が存続する限りでは労働組合法の適用があるわけでございます。それは先ほど申しましたとおりであります。そういうことでございますので、破産管財人の任務から生ずるいろいろな制約というものはあるわけでございますけれども、その制約の範囲で裁量に属する労働条件等の事項については破産管財人は団体交渉に応ずべき立場にあるというふうに私どもは考えておるわけでございます。
 それから三点目にお尋ねがございました労働協約等の問題でございます。企業が破産宣言を受けましても、労働協約等はそのことによって直ちに失効するというものではないというふうに考えられます。したがいまして、破産手続の範囲内においてこれを尊重すべきことは当然であるというふうに私ども考えるわけであります。
 ただ、破産手続は、先ほど先生からもお話がございましたように、基本的に企業の清算消滅を目的とするものでございますから、破産法上は労働協約の有効期間満了前であっても解約することができる、その他の会社の更生手続の場合と異なる定めがされておりまして、そういう意味での異なる取り扱いがなされることもまたやむを得ないところではないかというふうに考えておるわけでございます。
#66
○橋本主査 もう時間が過ぎておりますから、終わってください。
#67
○上田(卓)分科員 一言だけでございます。
 先般、大阪の全金の田中機械の支部の問題につきましていろいろ御要望申し上げておるわけでございますが、ぜひともこの問題について熱意ある労働省の御指導をいただきたいということでございますので、一言大臣の方からその熱意ある努力をするという姿勢を示していただきたい、このように思います。
#68
○藤波国務大臣 企業倒産に伴いまする労使紛争の問題は、個々、ケース、ケースでいろいろな事例がございましてなかなか申し上げにくいわけでありますが、一般的にはやはりいま局長から御答弁申し上げましたように、管財人と労働側の方々がよく話し合って、問題をできる限り納得づくで解決していく方向でそういう機会が持たれることが望ましい、こう考えておるわけでございまして、労働省といたしましても、そういった姿勢でできる限りの行政指導をしていくようにいたしたいと考えております。
#69
○上田(卓)分科員 どうもありがとうございました。
#70
○橋本主査 これにて上田卓三君の質疑は終了いたしました。
 午後一時から再開することとし、暫時休憩いたします。
    午前十一時四十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
#71
○橋本主査 休憩前に引き続き会議を開きます。
 労働省所管について質疑を続行いたします。井上敦君。
#72
○井上(敦)分科員 私は和歌山選出の者ですが、大臣は隣の三重県選出の方だそうであります。和歌山二区でも新しい大臣が生まれました。三重県でも生まれました。非常に心強く思っております。紀伊半島はこれでよみがえる、そういう期待が大きいのであります。
 この一月三十一日に三重県熊野市の二木島で身内を殺害するという悲惨な事件がありました。ニュースによりますと、石材労働者であって振動病の患者でもあったというようなことも伝えられております。昨年九月に労働省あるいは厚生省等に、和歌山の山に働く皆さんと一緒に私自身陳情に来たことがあります。そのときに、和歌山の振動病をなくす会の会長の丹田さんは、ことしになってすでに四十代、五十代というような若い者が亡くなった。いずれも重症患者であった。また竜神村の代表は、忘れもしません、あの真っ赤なたばこの火を指先でこうしながら、こういうことがわかるかと。もう完全に麻痺していたわけであります。
 御存じのように和歌山県は昭和三十五年当時には約三万六千名前後の林業労働者がおりました。いまは六千五百名前後に激減しております。こういう中で、戦後植えつけ、植えかえられてきた杉、ヒノキはあと五年あるいは十年先には伐採の適齢期を迎える。和歌山県は三重県、奈良県等と並んで木の国であります。その担い手の命と健康、また林業の将来にかかわる問題であろうと思います。この年々広がっている労働災害、職業病の根絶に向けて全力を尽くさなければならないというように考える次第です。
 きょうの議論を通して、後ほど労働大臣からその決意なり所信をお伺いしたいと思いますが、私は多年にわたって国有林の分野でこの問題に取り組んでこられましたその業績、その努力を高く評価するものであります。獲得された到達点といいますか、築き上げた現在の成果に至るまでには並み並みならぬ工夫、努力があったと思います。その国有林におけるレベルに全国の民有林労働者の振動病対策においてどう近づいていくのかというのが一つの課題であろうと思います。私はこの任期中、どうしても民有林分野におけるこの職業病の根絶、そしてひいては日本の林業の振興をいかに図っていくかということで、どの分野でもシリーズ的にこれを追及していきたいというように考えているところであります。
 つきましては、国有林における健康診断の実施状況、その当日の賃金補償。
 二つは、いままでしばしば健康診断の結果、管理区分異常なしAだとか、あるいは要注意Bだとか、あるいは治療を受けなさいというCだとか、通告を受けたけれどもどうしていいのかというのがほとんどわかっていないというのが多いのであります。そういう中で健康管理対策、特に予防対策ですね、時間規制やあるいは防振具などについてどういう手当てをしてきているのか。
 三点目は、休業補償給付についてであります。民有林においても現在六割に対して二割の特別上乗せがあって八割になっているようですが、国有林ではどうなっているのか。
 四点目は、その発生源の一つである振動工具の改良及び普及、その開発などにどう取り組んでいるのか。
 最後の五点目は、和歌山県などを見てみますと、和歌山市に労災病院があり、医大があります。しかし和歌山県は長い。沿岸二百五十キロであります。従来、林災防の和歌山県への割り当ては年間四百名前後であったかと思いますが、今日市町村も検診器具を用意し、あるいは和歌山医大の岩田教授などの教えをいただいて市町村自身も健康診断を実施できるというような体制の中で、患者はすでに認定を受けている数は九百六十名、これに滋賀県、三重県、大阪等々の他府県の労働基準監督署の認定数も加えますと約一千名を超えるでしょう。そういう中で治療に当たっている医療機関は県下に分散しています。開業医から診療所からあるいは病院から、約五十から六十の治療機関があります。こういうところでどういうように治療すればいいのかという強い関心があります。早く元気な体に回復したいという患者の要望にこたえたい。さまざまな療法があるようですけれども、ほとんどはと言っては言い過ぎかもしれませんが、薬と注射の繰り返しに終わっている感があります。こういう中で、治療上のどういう措置をとってこられたのか。
 最後に、全体としてこれらの施策についてどう評価しておられるのか。
 以上の点をまとめてお答えいただきたいと思います。
#73
○今井説明員 ただいま先生から御質問のございました点をお答え申し上げます。
 まず、国有林における振動障害の検診の実施状況でございますが、国有林におきましては、振動機械の使用者を対象にいたしまして昭和四十年から始めております。それ以降機械の使用者全員に毎年一回実施をいたし、さらに四十六年以降は毎年二回実施しております。またこの間に、検査項目につきましては改善充実を図り、冷水負荷による機能検査についても実施しているところでございます。五十三年度秋の検診の実施人員数は約一万名でございます。なお、検診を受ける者が検診日に休業した場合には、その賃金を一〇〇%支給しております。
 第二点目の予防対策でございますが、国有林におきましては、予防対策といたしましてチェーンソーの時間規制を実施しております。具体的に申し上げますと、一日の操作時間を二時間以内、連続操作日数二日を超えない範囲、週の操作日数は四日以内、一月の操作時間は三十二時間以内、年間の総使用日数を百二十日以内、一連続操作時間を十分を基準といたしまして、さらに振動機械からの隔離期間を毎年度二カ月程度としております。また、保護具といたしましては、耳栓、防振手袋、防寒衣等を備えつけておりまして、安全点検等を通じてその使用の徹底に努めているところでございます。なお、昭和五十五年度におけるこれら保護具の予算は九千三百万円でございます。
    〔主査退席、津島主査代理着席〕
 三点目の、振動障害認定者が治療のために休業した場合の補償でございますが、国有林に在職しております振動障害認定者につきましては、治療のため休業した場合は、労働協約により賃金を一〇〇%支給することとしております。
 第四点目の、振動機械の改良開発の状況でございますが、簡単に申し上げますと、チェーンソーの開発改良の経過でございますが、防振装置の開発改良につきましては昭和四十年度より進めておりまして、四十四年度からは防振機構内蔵型のチェーンソーを導入しております。また、エンジンのロータリー化につきましては、メーカーにその開発を要請し、昭和五十一年度から導入しておるところでございます。さらに代替機械の開発の状況でございますが、振動が直接手に伝わらずに伐倒できる遠隔操作によるリモコンチェーンソーにつきましては、国有林みずから昭和五十年度から開発に着手いたしまして、五十三年度から実施に導入しております。また、振動が手に伝わらない方法で玉切りを行います玉切り装置につきましては、昭和五十年度から、さらに自走式の玉切り機械でありますグラップルソーにつきましては五十三年度から導入しているところであります。これら機械の普及状況として、現在国有林が保有しておりますこれらの機械の台数を申し上げますと、ロータリーチェーンソーは千百台、リモコンチェーンソーが二千五百台、玉切り装置千二百台、グラップルソー二十台でございます。
 五点目の、振動障害認定者の治療の状況でございますが、振動障害の治療につきましては、温熱療法が最も効果的であるとされておりますが、認定者のうち、医師の所見に基づき温熱療法を必要とする者につきましては、一回につき四ないし六週間程度施設の整った病院に入院させ、温熱療法を中心に理学療法、運動療法及び薬物療法による治療を実施しているところでございます。この温熱療法につきましては昭和四十八年度から実施しておりまして、五十三年度一年間の実施の人員は千五百六十人でございます。また、五十三年度末までの総延べ実施人員数は六千五百八十六人実施しております。さらに、これらの温熱療法が実施できる病院の数でございますが、国有林が全国に予約している医療機関数は現在三十の病院でございます。
 第六点目の、これらの予防対策、検診対策を過去実施してまいりましたがどう評価しているかという御質問でございますが、国有林といたしましては、現在までこれらの予防、検診、治療対策を種々講じてきたところでございますが、その結果、最近の新規の認定者数は減少傾向を示してきております。具体的に年度別の認定者数を申し上げますと、四十九年度七百八十八名、五十年度四百八名、五十一年度二百一名、五十二年度百九十五名、五十三年度八十七名でございます。このような推移をたどってきておりますが、今後とも引き続き予防、検診、治療対策の充実に努力してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
#74
○井上(敦)分科員 改めて国有林における現在の到達点等々について意見を申し上げませんが、問題は、民有林分野における対策の強化であります。民有林分野でも、かなり検診そのものについては各県の取り組みに大きなばらつきが見られますが、しかしいずれにしろ、この間延べ六万五千名ぐらいの検診が実施されているようであります。
 さて、具体的な点であります。時間の関係で、一点は休業補償賃金の是正についてです。これが一つ。もう一つは、スライド制における前年度賃金上昇率の短縮についてです。特に、昭和五十年当時は賃金上昇率二〇%等というような例はあったかと思いますが、ほとんど最近の状況はそうでありません。こうなると、スライド制の適用を受けるのはカメのように一番遅い。竜神村の古久保武雄さんは、基礎日額が二千七百六十六円、二〇%のスライドで現在一日二千二百十二円八十銭であります。それから小川福美さんについて言えば、二〇%のスライドを得て現在二千三百六十五円です。滝本治義さんの場合は、スライド四七%で一日二千三百六十八円であります。滝本さんは、検診は四十九年十一月二日、小川さんは五十一年一月三十日、古久保さんについては五十一年三月五日等々であります。したがって、低い上に、なおかつスライドされて現在受けているのはこういうように低いのであります。これでは治療を続けたいと思っても食えないというので、どうしても仕事に出ざるを得ないという現状があるわけです。毎年人事院勧告等でも民間の賃金上昇率を受けて賃金が是正されております。ひとりこういう日本の林業を担う民間労働者がこのような賃金状態でいいのか、スライド制の改善についてどう考えているのか。
 なお、具体的な要望が強いのは、証明書の手続の簡素化であります。すでに雇用関係が切れているのに毎月毎月行かなければならない、何とかならないのかという要望があります。この点について御見解をお聞かせいただきたいと思います。
 次は、工具の改良普及状況等について聞きたいと思ったのですが、もっと言えば買いかえ制度についてはどうなるのか。ぜひ新しく開発、改良された工具についてその制度を引き続き継続してもらいたい。
 四点目は、紀伊半島全体でも多いし和歌山でも多いのですが、個人で下請する、あるいは共同で作業するという縫製工場、編み物がありますが、電動ミシンを使用してすでに健診の結果患者も現実に出ております。清水町というところでいずれもC(要治療)二人、竜神村で三名出ております。中辺路町では、和歌山医大の岩田教授によってすでに動力ミシンについての振動障害の影響にかかわる研究健診が行われ八十八名が参加しています。それぞれしかるべき関係機関への報告も提出されているやに聞いております。電動ミシンあるいは電気ドリル等々、これらの指定外の振動工具の指定の範囲について、現実にこういう症状が出ているわけですからこれを広げてもらいたいというのが一点。
 さらに、家内労働法などの改正の検討とあわせて、これらの家内労働者が労災に加入できる道を開けないのかどうなのか、現在こういう点についてどう検討しているのか。聞くところによりますと、委託者の労災加入の検討に取り組んでいるやに聞くのですが、どういう状況でありましょうか。
 次に、メリット制の適用除外についてであります。メリット制そのもののよい面も私は認めるものでありますが、直接的には振動病の多発している業種についてはその適用を除外してほしいというのが強いのです。なお、きのう私が説明をお聞きいたしましたが、森林組合のように雇用期間二年以上というような場合は、林業の場合でもメリット制は適用されていないというように聞きました。しかし、森林組合の育成強化は国の重要な施策の一つであります。そういう点で、森林組合等にかかわる林業についてもメリット制の適用を除外できないのかどうか、今度の法の成否にかかわらずこの点適用できないのかどうなのか。
 なお、過日の建設常任委員会でも申し述べたのですが、国際標準化機構は、国の研究機関である産業医学総合研究所の三輪博士らによってそれがつくられたと言われております。わが国の研究はこういう大きな役割りを果たしているわけですが、直接お尋ねしたいのは、手などから受ける振動障害について近く学会はその国際機関の勧告を受け入れる、採択するという準備になっているようであります。人命にかかわるこれらの労働災害の予防そして根絶のためにも、一日も早く学会が受け入れようとしておる問題について大臣はこれを尊重する意思があるかどうか、以上の点についてそれぞれお答えいただきたいと思います。
 時間の関係がありますので、資料的にいただける分については資料的にいただいて、直接要点のみ触れていただきたい、特に大臣の所信は伺っておきたいというように思います。
#75
○津島主査代理 この際、お願い申し上げます。
 時間の制約がありますので、答弁は簡潔にお願い申し上げます。
#76
○吉本(実)政府委員 第一点でございますが、休業補償の関係でございます。これにつきましては、五十二年の法改正に基づきまして、傷病によって休業した期間についてはこれを除外して平均賃金を算定するようにしております。それから最低保障額につきましては、賃金日額の最低額や最低賃金の動向も考慮しまして今後とも改善に努めたいと思っております。
 それから、第二の休業補償給付の請求書についての問題でございますが、これにつきましては事業主証明をいただくことが法定要件になっておりますので、省略することはむずかしいと思います。しかしながら、事業主と労組の間でいろいろな問題があった場合には、そういった点について監督署でも考慮するようにしておりますので、その点の御了承を得たいと思います。
 それから、買いかえ資金の貸付制度でございますが、これにつきましては五十四年度に二千四百二十一台、五十五年度に二千四百二十一台というふうに考えておりまして、五十六年度以降については現在まだ五十四年度の最終段階でございますのでお答えできる段階ではございませんが、これはおおよそ実施できるのではないかというふうに思っております。
 それから、内職として個人が共同作業所でもっていろいろ電動ミシンを使用している場合の労災保険の問題でございますが、御承知のように雇用労働者でない者は労災保険の対象になっておらないということでございます。ただ、労災保険の特別加入制度がございますが、この場合も現行法のたてまえでは業務の実情とか災害の発生状況に照らしまして労災保険によりカバーすることが適当だという限度でやっておりますので、現在ただいまお話しの点についてはなかなか困難ではないかというふうに思います。
 それから、振動障害部分についての現在のメリット制の適用除外の問題についてでございますが、この点についてはいろいろ問題がございますが、今回国会に提案しております労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案の中でこういった問題についての処理をいたしたいというふうに考えております。
 それから、産業衛生学会とISOの関係でございますが、この点につきましてはこれが明らかに示された段階で十分慎重に検討してまいりたいというように思っております。
#77
○藤波国務大臣 ただいま局長から御答弁申し上げましたように、日本産業衛生学会から発表されております種々の許容基準等につきましては、従来も国際的に非常に権威のある米国政府労働衛生専門官会議の基準と同じように取り扱っているものもずいぶん多うございまして、したがって、一つ一つの基準を見ながら検討してそれを尊重するかどうかということを決めていくわけではありますけれども、十分その中身を拝見をして、できる限り尊重していくという前向きの姿勢で検討を進めてまいりたい、このように考えております。
#78
○井上(敦)分科員 終わります。
#79
○津島主査代理 これにて井上敦君の質疑は終了いたしました。
 次に、細谷昭雄君。
#80
○細谷(昭)分科員 私は、労働基準法及び建設労働者の雇用の改善に関する法律に関連しまして、主として出かせぎ労働者、なかんずく建設業従事の労働者の労働福祉の向上という点で幾つかの質問をいたしたいと存じます。
 最初、具体的な問題から入ってまいりたいと思いますが、まず第一に、大臣がこの前、労働安全衛生法の改定に関しまして労働者災害補償保険審議会に諮問されました答申の中にもありますけれども、最近は非常に労働災害がふえてきておるということが前文に書かれておるわけでございます。しかしながら、この中で特に取り上げられておらない点は、建設業従事者の中のかなり大きな部分を占めております農民出かせぎ労働者の病死の問題でございます。いわゆる私傷病の問題でございますけれども、この私傷病という点については確かな統計というのが恐らくないのではないかというふうに考えますが、まずその点、労働省はどのようにその数を把握されておるのか、その実態についてお伺いしたいと思います。
#81
○岡部説明員 建設業等につきまして事故について届け出義務がございますのは、たとえば私傷病と申しますが、宿舎などにおける死亡あるいは休業等につきまして届け出制度が一部ございます。すなわち、これは労働基準法施行規則の五十七条一項二号及び三号に規定がございまして「労働者が事業の附属寄宿舎内で負傷し、窒息し、又は急性中毒にかかり」というふうなことで死亡あるいは休業した場合に、届け出の義務を使用者に課しております。しかし、これは事故と申しますか、障害が生じましたすべてについてカバーし得る規定ではございません。
#82
○細谷(昭)分科員 私の手元に秋田県の出かせぎ互助会員の赴任中の事故発生状況のここ四十七年から五十三年までの統計がございます。これによりますと過去七カ年間で、これは出かせぎ互助会の会員だけでございますので全部がこれに入っているとは限りませんけれども、五百四十名の死亡者がございます。この中で病死、罹病されて亡くなった方が三百八十一名、全体の七〇%でございます。労災死亡が二〇%の百二名、それからその他の交通事故でございますが、交通事故死が三十五名の一〇%、こういうふうになっておるわけでございます。これから考えましても、すでに労働省が諮問された報告書の中にもありますように、年間三千名の死亡者が出ておる。この割合からしますとそれの恐らく三倍に当たるぐらいの病死というのがあるのじゃないか、その中における出かせぎ労働者というのもかなりの部分を占めておるのだろうと推定されるわけでございます。
 そこで、この私傷病の病死につきましては、いまお話がありましたとおり、いわゆる五十七条の三号というのは全部をカバーするものではございません。なぜ一体こういう病死が多発しておるのか、この問題でございますが、私の考え、私自身はここ十年間出かせぎの現場、寄宿舎を毎年回っておりますし、ことしも一月から二月、そしてせんだっては一週間大阪の現場を回ってきました。そういう中で考えますと、何といいましても農民の出かせぎ者が環境が激変するという問題、それから労働の疲労が蓄積されておるという点、さらには後から質問いたしたいと思いますけれども、いわゆる飯場と称されております建設業付属寄宿舎、これに拘束されておるという状況でございます。そういう中でストレスがたまっておるという精神的な疲労、こういうものが相乗されまして、非常に病気が多発する。必ずしも生来持っておる持病のための発病ということではございません。その証拠には、特に皆さん方の各現場における監督官の大変な御努力によりまして、こういう私傷病における病死におきましても、これは仕事、つまり労働から来る、ないしはその業務に起因するという判断で労災の適用を受けておる幾つかの例も出ておるわけでございます。この点非常に現場の監督官の皆さん方の御労苦を多といたしたいと思うわけでございますけれども、問題は、先ほどお話しのとおりに、病死というのは届けなければわからないという状況でございます。届けると初めてわかる。
 一体全体飯場の中で労働者が亡くなった場合、それが何によるという判断はどこでするのでしょうか。それは労災なのか労災でないのかという判断はだれがするのでしょうか。その点についてお伺いしたいと思います。
#83
○岡部説明員 これは五十七条の三号によりまして、死亡は、その寄宿舎内で負傷し、窒息し、急性中毒ということが要件でございますので、いま病死とおっしゃいましたけれども、そのような場合について十分な届け出がなされるかどうか、必ずしも明確にはなっていないわけでございます。どのようにしてそれが労災制度に乗るかどうかというふうな判断でございますが、これはもとより先生御承知のとおり、労災保険の給付の申請が上がってまいりました段階におきましてその事情を調査し、決定をする、認定をする、こういう段取りに相なります。
#84
○細谷(昭)分科員 いま課長さんのお話しのとおり、これは申請をして初めて判断できるという性質のものでございます。労働災害はすべてこれは本人の申請に基づくということでございますけれども、事実はどうなのかというと、本人は死んでしまうとこれは届けることは不可能なのです。残った遺族でしょう。それはもう実際問題としては、その死亡が業務に起因するのかどうかという実際の判断は、すべてその使用者である宿舎または会社の責任者にゆだねられておるという実情なのです。私はこれは非常に不当だと思う。これは届け出義務というものを課すべきじゃないか、こういうふうに思うのですが、これはもう当然大臣の政治的な判断だと思うわけでございます。死者は口を閉じて訴えることができない。しかも、出かせぎ農民と使用者という関係からしますと、そういう一対一という点で、法律で保証されております本人の申請という点をとうてい行使できない、これが実情なのです。とすれば、非常に数少ない事例からしましても、たくさんの病死の中には、業務に起因すると考えられる事例というのも何%かはあるはずなのです。ですから、まず第一に使用者の判断にゆだねることなく、使用者に、寄宿舎内で死亡した場合、届け出をさせるという義務を何らかの点で課すべきじゃないか、こういうふうに思うわけでございます。これはすでに昭和五十二年の三月十一日、第八十国会の予算第二分科会で栗林三郎前代議士が労働省、当時の労働大臣にその点を要望しておるわけでございます。十二分にその後の検討が加えられたと思うわけです。その検討の結果とこの方向についてお尋ねしたいと思うわけですけれども、これは特に私傷病による死亡というものを当然労働基準審議会に諮問をし、省令を改正するべきである。それはできるわけでございますので、ぜひこれは大臣の政治的な、しかもこういう出かせぎ者の皆さん方の残された家族という点を考えました際に、人間的な措置をなされるように強く希望するものでございますけれども、大臣のこれに対するお考えとこれまでの経過をお知らせ願いたいと思います。
#85
○吉本(実)政府委員 ただいま先生のお話でございますが、先ほど監督課長が申し上げました法令の趣旨をもう一度申し上げますと、要するに事業所付属の寄宿舎でございますから、やはり事業主がその付属寄宿舎に直接関連のある問題としてとらえ、付属寄宿舎の適正な物的あるいは人的な管理が行われるか否かを判断して改善に資するためにこういったものを設けておるということでございますので、すべての問題について報告せしめるというのは適当でないのではないかと私どもは判断しているわけでございます。要するに、いわゆる福祉施設的な意味での宿舎ということになれば、個人の住宅と変わらなくなりますし、その辺のところの法の趣旨でもって判断をしてきておるというのが私どもの事務的な考えでございます。
#86
○藤波国務大臣 先生御指摘のように、出かせぎ労働者の労働の実態、生活の実態というのを私どもも非常に心配をいたしておりまして、昨年十一月に私就任いたしまして、建設現場の視察などもございますので出ますごとに、出かせぎ労働者のいろいろな実態等につきましても聞き取ったり、また現場を拝見したりもしてきておるわけでございます。
 いま先生御指摘の問題は、お伺いをいたしておりまして非常に大事な問題であるというふうに思います。御指摘のように、本人がお亡くなりになれば、あとどういうふうな手続をとるかというようなことについては、なかなかスムーズに動いていかない面は多分にあるだろうというふうに私も想像いたします。御家族は見える場合もあるし、御家族が、病気になる、あるいはお亡くなりになって郷里から出てこられるような場合もありましょうし、いろいろな場合があると思いますが、さらに前大臣もいろいろお答えをしておるような向きもあるようでございますので、よく検討をいたしまして前向きに検討を進めてまいりたいと思います。
#87
○細谷(昭)分科員 大臣のいまの御答弁に私も大変期待をかけておりますし、恐らく四十五万と言われております出かせぎ農民の皆さん方が、これは非常に待ち望んでおる問題でございますので、ぜひひとついまの言葉どおり検討を願いたいと強く希望したいと思います。
 次に、有給休暇の導入はできないのかという問題でございます。これは有期の出かせぎ農民に対しましては帰休、帰郷休暇というのを特に企業がとっておる大変まれな例が、ございます。これは事業主がきわめて人間的な配慮をしておる。私はまことに頭の下がる思いがするわけでございますけれども、これは個人の善意とか個人のモラルとか好意とかということにゆだねられるべき問題なのかどうか、これはむしろ行政の持っておる特にこういう恵まれない出かせぎ農民の皆さん方に休暇を与えるという観点で検討すべきじゃないかというように私は思っておるわけでございます。
 そこで、具体的な問題でございますが、労基法の条項を準用できるように検討をしていただけないか。これも当然労働基準審議会等に諮問されなければならない問題だとは思います。つまり、通年雇用の労働者であれば、満一年になりますと六日間、そして順次一年ごとに一日という有給休暇が与えられるわけでございますけれども、有期の労働者に対してはこの条項の適用は全然ないわけでございます。したがいまして、もう定着しておる、毎年同じ事業所に二年も三年も四年も、秋田県の出かせぎ者なんかは二十年という長い定着率を誇っておる事業所がたくさんありますが、にもかかわらず、その方々に対しては一日の有給休暇も与えられておらない。これは矛盾じゃありませんか。なぜ一体そういう点で準用できるような検討をしないのですか、その点を。
#88
○吉本(実)政府委員 現在、労働基準法上の年次有給休暇の権利は一年間の継続勤務後に発生する、こういうたてまえになっておるわけでございます。したがいまして、季節労働者を含めた短期の雇用者につきましてはやはり一たん切れますので、そこでいろいろ失業状態ということをとって次にまた行く。おっしゃるように、二十年の通年雇用ということも実情といたしましてはよくわかるのでございますが、そういった法制になっておりますので、毎年新たに雇用契約が締結されるという形をとっておりますから、これを法的に義務づけるのはむずかしい、こういうふうに思っております。
#89
○細谷(昭)分科員 私は、この労基法のつくられたころは出かせぎ労働などというのはほとんどなかったと思うのですよ。これは現在社会的な問題なのです。有給休暇制度というのはどういう法理論に基づくかというと、これは労働者の再生産を確保するための休暇ということなわけです。ところが、出かせぎの場合の有給休暇というのはどういう意味を持っておるのかというと、出かせぎ者が半年家をあけておるということ、しかも農家なのです、農家の主人なのです。これは社会的に家庭破壊の最たるものだ。出かせぎのデメリットは、まず第一に家庭の破壊をもたらすということ、子弟の家庭教育ができないということ、子供の非行化というのが非常に心配されておるという問題がございます。さらに、老人を残すという老人福祉の点でもきわめて重要な問題がございます。ですから、単に疲労の蓄積を解消する、再生産ばかりではなくて、そういう家庭を守るという、教育を守るという重大な側面があるというふうに思うわけでございます。したがいまして、いまのような労働基準法の条項、これは時代とともに進めなければならない、即応しなければならない、こういうふうに考えるわけでありますので、これも先ほどと同様、大臣、どうお考えなんですか。
#90
○藤波国務大臣 先生の御指摘のところをお伺いいたしますと、私も全く同感でございます。ただ、いろんな部分部分と整合性を持たせるように十分検討して今日の法制があって、いま局長がお答えをしたような形になっておると思います。季節労働者の方々に何かそういった方向で有給休暇のような形のものがとれないかという趣旨を踏まえて、たとえば法律改正に持っていくというのも一つの道でしょうし、何か事業主にもっと理解のある態度を求めるように労働省として呼びかけるというような方法もありましょうし、一回その辺も、まことに申しわけありませんけれども、よく検討させていただいて、御趣旨が前向きに進むように何とか取り組んでみたい、こう思いますので、御理解をいただきたいと思います。
#91
○細谷(昭)分科員 次に、私は三月四日、おととい第五分科会でも取り上げましたので、この点はひとつ御検討願いたいという点で付言したいと思いますが、建設業の先ほどの付属寄宿舎の問題でございます。これはこの前もお話ししましたように、事前届け出制ということを考えていただきたい。今回、労働安全衛生法が改正されまして、そして非常に難工事と言われておるトンネル工事とかないしはダム工事、これについては事前審査制が設けられた。これは大清水トンネルの災害を皆さん方は検討されまして、そして労働者の皆さん方にとっては非常にこれは前進だと思うのです。もう一歩進めまして、この附属寄宿舎規程、これは、非常に時間がなくて申しわけございませんけれども、違反が多いわけでございます。
 私は、せんだって大阪の労働基準局長にお会いいたしまして、大阪の労働基準局は非常によくやっていただいておるわけです。私は恐らく全国の模範じゃないかと思うのです。代々の局長が非常に陣頭指揮をとってやっておられるわけです。大変敬意を表したいと思うのですが、この大阪管内のものを見ましても、違反率が、昭和五十年が七六・八%、漸次よくなりまして、昭和五十四年は五六・二%になっておる。いわゆる漸次改善されておるということはもうはっきりしておるわけです。しかしながら、にもかかわらずまだ半分以上が違反だ。ですから、これを根絶するためには、何とかひとつ事前届け出制ということを検討願えないか、これは建設省の側でどうなのかという点で申し上げました。端的に言いまして、どちらの方がいいのか、建設省がいいのか、労働省がいいのか、事前審査という検討の点では。率直に言いまして、労働省はどうお考えですか。
#92
○吉本(実)政府委員 現在の規定で、建設業附属寄宿舎規程等に定めております危害防止等に関する基準に従った計画を十四日前までに署長に届け出ろということになっておりますし、また、いろいろ問題があるという場合には計画の変更を命ずることもできるようになっておるわけでございます。したがって、先ほどの御指摘もございますが、この制度を徹底させることで十分ではないかというように思います。ただ、規定の中で、小規模なところがございますが、その点だけは多少抜けておるのですが、その辺についてはなお研究してまいりたいと思います。
#93
○細谷(昭)分科員 時間がありませんのでまたの機会にこの建設業の問題はじっくり議論したいというふうに思います。
 次に、出かせぎ労働者の基本対策について、いままで個々の問題については、大臣が、非常にいろいろな問題がある、特に出かせぎ労働の場合には問題があるというふうにお考えのようでございますし、これまた昭和五十年三月の予算委員会で栗林前代議士がこの問題の提起をしているわけでございます。いわゆる審議会ないしは部会でも結構です、その際に建設部会を持ってそこで検討をお願いするということを言っておりますけれども、その結果どうなっておるのか、そして、そういう出かせぎの総合的な問題、これをどういうふうに結論されておるのか、この点でお伺いしたいと思います。
#94
○藤波国務大臣 御指摘のように、出かせぎ労働者の労働条件の改善等につきまして、労働省としては最も重点課題の一つとして取り組ませていただきまして、総合的に取り組んできておるところでございます。また、御指摘がございましたように、審議会とか部会等でいろんな角度から出かせぎ労働者の問題について討議する。中央労働基準審議会等によりまして、従来の既存の機関、審議会でいろんな角度から出かせぎ労働者の労働実態、生活実態について御議論を重ねてきていただいておるところでございます。集中的に出かせぎ労働の問題について取り組んでそれを何らかの形でまとめたということにはなっておりませんけれども、いろいろな機会に取り上げられて、審議会の御意見等も承って労働行政に反映をするというようなことでずっと来ておりますが、今後とも先生のいろんな御指摘をいただきました御議論も踏まえまして、従来よりも積極的に議題に上せまして、出かせぎ労働者のいろんな問題に取り組んでいくようにいたしたい、こう考えておるところでございます。
#95
○細谷(昭)分科員 私は、建設省、それから通産省、厚生省、農水省、それから自治省、こういった各省の協力なくしては、労働省だけで完全に出かせぎ労働の問題を解決するということは不可能だと思うのです。そういう意味でぜひひとつ藤波大臣には在任中ちゃんとした一つの成果を上げていただくように強く要望したいと思うわけでございます。
 残り時間が非常に少ないので、申しわけございませんが、大きな問題について二つだけお願いしたいと思うのです。
 一つは、労働省の、特に出かせぎの労働者が多く来ております首都圏、それから大阪、京阪神ですね、この二つの労働基準局管内に事業所がもう万とあると思うのです。しかし、実際に労働の点検をしております監督官の数というのはごく少ない。私は数をいまお答え願えるとは思っておりませんけれども、問題は、どんなに現場の監督官が難儀し、精を出しましても、いろいろ指摘されております宿舎一つを点検することもとうてい不可能だというふうに思うわけです。ところが、現在いわゆる行政改革というのが進みまして各省一律方式で減員をする。これはとんでもないことだと私は思うのです。労働行政というのは非常にすぐれた福祉部面でございます。福祉を向上させるということは国民生活を安定させるということにつながるわけでございますので、このような行政改革の方向、一律方式に対しては労働大臣はどうお考えなのか、それに対する姿勢、これをひとつお伺いする。
 もう一つは、これはお答え願わなくても私の一方的な希望だと思ってお聞き願いたいと思うのですが、いま労働者災害補償保険法の一部改正案が提案をされました。そして、これから審議をされると思うわけでございます。これに対して出かせぎ労働という立場から考えますと私は反対でございます。その理由の第一は、労災と民事損害賠償との調整の件でございますけれども、この点について出かせぎ労働の立場からすれば反対だ、こういうことでございます。なぜかと申しますと、法律論からしまして、労災というのは生活扶助的な考えであり、損害賠償というのは民事上の請求権であるというふうに考えるのが一つ。もう一つは、実態論からしまして、組織労働者、組織された労働組合の皆さん方は、この点について権利がある程度確保されておる。しかし、出かせぎの労働は未組織でございますので、実際問題としてこれは全く上積み分三三%ないしはいわゆる慰謝料、この点については何ら確保されておらない、そういう実情で、調整条項を設けますと、実際は企業に口実を与え、資本の擁護にいわば利用されるということは、実態論として私は明らかだと思うわけでございます。そういう意味で、この点につきましては、民事損害賠償との調整という条項はぜひひとつ撤回をしていただきたいという希望を申し上げたいと思うわけです。
 その点で、最初の点について大臣のお考えをお伺いして、終わりたいと思います。
#96
○藤波国務大臣 今日の大平内閣の最大の政治課題は、行財政改革を進める、こういうことになっておりまして、特に各省庁のいろいろな行政の見直し等が行われておるところでございます。そのことにつきましては、労働省といたしましても、できる限り切り詰めた経費で国民に向かって行き届いたサービスをするという、安価な政府ということの中で、行政の見直し等につきましては努力をしていかなければならぬ、このように考えておるところでございます。
 しかし、御鞭撻をいただきましたように、今日全国の労働基準監督の仕事にいたしましても、あるいは職業安定の仕事にいたしましても、非常に労働の安全性といったことが強く求められていることや、あるいは雇用政策につきましても、非常にきめの細かい職業安定の仕事が要求されている。わけても、いま先生お話しのように、出かせぎ労働者の問題であるとか、最近の婦人労働のパートの増加の問題であるとか、高齢者の雇用対策が非常に大事であるとか、特に七〇年代後半から八〇年代にかけてどうしても解決していかなければならない労働行政上のいろいろな課題を解決していこうと思いますと、特に第一線の人手が欲しいわけでございます。労働省といたしましては、できる限り第一線における機能をより発揮してまいりますために、職員のいろいろな機能別の配置でありますとか、機動力を発揮して重点的に行政指導を進めるとか、いろいろなことをやってみております。精鋭主義でがんばれ、こう言ってやっておるわけでありますが、人手が欲しいという第一線の期待は非常に強いものがございます。一昨日も社会労働委員会で各党の委員の方々から、行政改革もさることながら、できるだけ人員を増強してがんばれという御支援をちょうだいしておりますが、できる限り、行管、大蔵省とも折衝を重ねまして、こういった第一線でますます重要性を増してきております労働行政をより充実強化してまいりますために、行政改革の本旨は当然尊重してまいりますけれども、機能を落とさないようにさらに努力をしてまいりたい、このように考えておる次第で、ございます。
#97
○細谷(昭)分科員 終わります。
#98
○津島主査代理 これにて細谷昭雄君の質疑は終了いたしました。
 これより山田芳治君の質疑に入るのでありますが、同君の質疑に対し、参考人として雇用促進事業団職業訓練部長笠原昌平君が御出席になっております。
 なお、御意見は質疑に対する答弁をもって聴取することといたします。
 山田芳治君。
#99
○山田(芳)分科員 職業訓練の問題についてお伺いをいたしたいと存じます。
 まず第一に、職業訓練の中に能力開発訓練、いわゆる能開といわれる訓練と、職場に在籍のままで有給休暇で訓練校に来るいわゆる向上訓練というのがあるわけでありますが、それにはそれぞれ給付金が出されているわけでございますが、五十三年で予算に対してどのくらいの実績があるか、一遍お知らせいただきたいと思います。と申しますのは、私の手元にある予算を見ますと、これは五十二年でありますが、たとえば能力開発事業は十六億二千八百二十万五千円に対して、実績が一億六千七十七万円、九・八%という実績の数字があるわけであります。こんなに一体予算に対して実績が低いのかどうか。これは大臣もおられるから、勉強の意味で、五十三年もそんな状態なのかどうか、五十四年は経過中ですが、五十三年は決算をやっているわけでしょうから、五十三年の決算に基づいて実績を御報告いただきたい。
#100
○岩田政府委員 先生御指摘のとおり、雇用保険法に基づきまして能力開発事業をやっているわけでございますが、この能力開発事業に関しまする全部の予算は、五十三年度で申し上げますと四百二十五億八千六百万でございます。そのうち、いま先生の御指摘になりましたのは、多分能力開発各種給付費というものではないかと思います。これは五十三年度の例で申し上げますと十二億八千六百万でございます。それに対しまして支出額が三億一千百万くらいでございまして、率としては、確かに先生御指摘のとおり約四分の一になっているという状況でございますが、これはいま御指摘になりましたいわゆる向上訓練とか能力再開発訓練、こういった訓練に用いますものではございませんで、安定局の関係の給付金になっております。私の方の向上訓練とか能力再開発給付に関しますものにつきましては、その給付金の関係で申し上げますと、この能力開発事業のうちの有給職業訓練等奨励事業費というものになっておりまして、これは五十三年度の例で申し上げますと、予算額十四億四千九百万に対して七億四千四百万になっているのが現状でございます。
#101
○山田(芳)分科員 いずれにいたしましても、予算に対して実績はきわめて低い。これはどういうわけだと考えられますか。
#102
○岩田政府委員 確かに先生御指摘のように、この有給教育訓練休暇奨励給付金と、それから職業訓練派遣奨励給付金の二種類があるわけでございますが、先生御存じのように、この有給教育訓練休暇の奨励給付金の方につきましては、制度の改善、その他制度の周知を図ってきているわけでございますけれども、日本におきます労働慣行といいますか、休暇をとってみずから教育や訓練をやるという自己啓発意欲といいますか、そういった点が必ずしも十分いっていない。それから、たとえば年次有給休暇という基準法に基づきます休暇がございますけれども、それの取得状況さえまだ完全にいっていない。取得率を全産業平均いたしますと、年次有給休暇の場合大体六割ぐらいでございますけれども、そういった日本の労働慣行というふうなものが一つ大きなものとして根底にあるのではなかろうかという感じがすることが一つでございます。
 それからもう一つは、この有給教育訓練休暇奨励給付金の方でございますが、これがやはり就業規則とか労働協約、こういったものに基づいて行われる場合に支給されることになっておりますが、なかなかこれが、十分労働協約とか就業規則、そういったものに反映されてないわけでございます。こういった点がかなり基本的な問題ではなかろうかというふうに考えます。
 したがって、私たちといましましては、制度の存在自体を知らない人たちも多うございますし、こういう問題につきまして今後ますますPRを十分やっていって、労使にこの制度の存在することあるいはこの制度が非常に有用なものだということをPRしていきたいというように考えております。
#103
○山田(芳)分科員 有給休暇で出てくる場合に、団体協約とか、いまお話のあった労働慣行というようなものがあるというわけですけれども、やはり職業訓練というものはきわめて重要な問題でありますから、ぜひひとつ事業所に指導をしていただいて、予算がそれだけ使われてないなんというのは、せっかく法律も直り、われわれの方からの注文もいろいろ労働省では聞いていただいて前向きに処理されているのだが、実際の実績の面においはさっぱり効果が上がらないということでは残念なことですから、いまの労働慣行その他においても、こういう問題はいろいろ改善するようにやっていただきたいと思うわけですが、とりわけ、企業において何かそこへ出すことが成績のいい者で、信賞必罰というか、そういうような気持ちで出すというような話をよく聞くわけですね。そうじゃなくて逆なんで、むしろ能力なり何なりを向上させるわけですから、そういった面のPRというか指導といいますか、それをぜひやっていただかないと、いまお話のあったように五割にも満たないような実績だ。せっかくまた五十四年、五十五年という段階においても同じようなことをやって、法律はできたけれども、仏はつくったけれども魂が入っておらぬということになるのではないかということを憂えるわけであります。ですから、これは注文でありますから、別に異論もないでしょうから、ぜひお願いをしたい。
 それから次に、能開訓練、能力開発の訓練、これはいわゆる離職者がもう一遍再就職をするときにやられる訓練であるわけですね。これの実績はどうなっていますか。
#104
○岩田政府委員 能力開発訓練の実施規模でございますが、これは五十四年度におきまして七万五千二百二十七名の枠を持っております。五十五年度におきましては七万四千百四十二を予定しているところでございます。
#105
○山田(芳)分科員 それに対して実績はどの程度入っておるか、それをひとつ。五十四年のはわかりますね。
#106
○岩田政府委員 五十四年はまだ最終的には出ておりませんので、五十三年度の例を申し上げてみますと、公共職業訓練校で行っております能力再開発訓練の入校率でございますが、これは七七・二%ということになっております。
#107
○山田(芳)分科員 やはり本当を言えば、実績を上回って予算が足らないというぐらいでなければいかぬと思うのですよ。恒常的に百万を超える失業者がある、こういう中で、いま言ったような実績は、恐らく五十四年、五十五年も同じような傾向だろう。この原因は何だと思っていますか。
#108
○岩田政府委員 やはり訓練所の総合的な配置とか、それから訓練校におきます訓練科目といいますか、こういったものの機動的な整備とか、あるいはいろいろな面での職業指導等々ございましょうが、やはり一たん離職された方たちが再就職をするに当たって、中高年の方が非常に多うございますので、どうしてももう一度訓練を受けて、自分で自分の職業能力、技術というものを新しく習得し直してやろうという意欲の点も若干問題もあろうかと思います。しかし、われわれといましましては、そういったこともさることながら、訓練校の訓練科目あるいは訓練定員、あるいはその他の関係の諸訓練機械を、十分それに対応できるように機動的に対処していくべきじゃないかというふうに考えております。
#109
○山田(芳)分科員 ここに一つ資料があるので、ちょっと申してみますと、これは「能開訓練の課程の受講者中就職決定者調査」という資料なんですが、溶接工の場合ですけれども、江津というところですから島根県でございますか、訓練をしておったときには手当を含めて十二万七千八百五十円受け取っておった、これはもちろん雇用保険と訓練手当を含めて。ところが、この人が就職をいたしますと八万二千五百円という給与だ。ここにあります。これ全部見ていただいて結構です。全部調べられております。一人一人全部調べられておりますが、こういう状態というのは、せっかく訓練を受けて再就職をしますと、いま言いましたように、十二万七千円もらって訓練を受けているのが、再就職をすると八万二千円というのですから、六割ないし七割の間というような、再就職はいまお話のあったように、中高年齢層であればこんな状態だということは、大変憂うべき状態だなという感じがするのですが、こういうことの実態は労働省でお調べになっておられると思うのですが、これに対して、大臣、一体どう思われますか。
#110
○藤波国務大臣 さっき局長からお答えをしました、とにかくわが身を省みることが一番大事でございますから、労働行政上反省をしなければならぬことをいろいろ羅列をいたしましたが、やはり日本人の生活の中で、あるいは現在の終身雇用の慣行で来ている日本の経済社会の中で、なかなか職業訓練とか能力開発ということになじみ切らない部分が多うございまして、そういう意味では、年々だんだんとそういう方向で習熟してくるというようなことになってきておるのではないだろうか。何回も申し上げますが、労働行政上のいろいろ省みなければならぬところは十分是正をしてまいりたいと思いますけれども、そういった一般的な空気をつくっていくということは非常に大事だと思います。受け入れる日本の経済社会の方も、一つの職業訓練を受けて一つの能力を身につけた人を遇するという遇し方が、なかなかうまく転がっていかないというような面が多分にあるのではないかということを心配をいたします。特に、これから中年から高年にかけて新たに能力を開発して新しい職場を求めるということになりますと、いままで経験を生かしてやってきたのが、また今度まるっきり初任給から出発するというようなことになりかねない、今日の経済社会にどうもいままでの習慣があるような気がいたしますが、そういうところをあわせて是正をしていきませんと、なかなか生きたものになっていかないというふうに考えるわけでございまして、広い角度から労働行政といたしましては取り組み、呼びかけるところにはどんどん呼びかけていく、行政指導を進めるということで、先生御指摘のように、せっかくつくりました仕組みが生きていくように総合的に努力をしていきたい、このように考える次第でございます。
#111
○山田(芳)分科員 私は労働省を責めているわけじゃございません。これは労働省だけで解決するわけではありません。日本のいろいろのそういった終身雇用制の問題、あるいは諸外国、アメリカ等における転職に対する物の考え方等々、長い伝統の上ですから、こういう点はわかるのです。だけれども、私がこういう話を聞いておりますのは、職訓で働く指導員やその他の皆さんからいろいろ聞いているわけです。その人たちが一生懸命訓練をしておった結果がこういう状態です。実績にも及んでおりません、再就職についてもこんな状態です、何とかならぬであろうかということを痛切に訴えて私のところに来て、何とか大臣に話をしてほしいという話でありますから、こういう点はわれわれも努力をしなければいけませんが、ひとつ労働省でもしっかりやってもらいたいという激励の意味で申し上げておりますので、そういう点で、今後職業訓練の内容及びその実績をもっと大きくしていくためには、就職先において実績を上げていくということでないといかぬと思いますね。その点をひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。
 それに関連して、いわゆる職業訓練と職業安定の方との緊密な連絡がどうも欠けているのではないかという批判がございます。具体的に言いますと、いま職業安定の窓口というものはもっと人をふやして親切にやらなければいけないのに、もちろんこれも先ほど話がございました、私は後ろで聞いておりましたが、行政改革などということで、最も大事なこの雇用の問題の窓口の接点である職業安定所に、兵庫県のごときは、二つの安定所を閉めなければならぬくらいの定数が減になっているという話を伺いました。第一線の失業者あるいは就職を求める人との接点のところこそ、もっと重点的に職員を配置をして、いまのような状態でありますから、できるだけ転職先を開拓する努力をされるべきではないかというふうに思うのですが、この点の決意を、ひとつ大臣、お願いをしたいと思います。
#112
○藤波国務大臣 御指摘のように、いろいろな仕組みを生かして能力開発をやっていく、職業訓練をしていくというところと、職業安定とのコンビをもっとしっかり組んでやれという御指摘は、私どもの行政の中で反省をしなければならぬ一つの非常に大事なところであるというふうにお伺いをいたしました。
 なお、先ほどの御質疑にもお答えをいたしましたように、第一線をさらに充実をいたしまして、よりきめ細かく職業安定の仕事を進める必要がございます。特にこの一、二年検討を重ねてまいりまして、職業安定所の窓口をできる限り機能別に対応できるようにいろいろ研究してみようということで、いろんなモデルの職業安定所などもつくりまして検討を重ねてきておりまして、五十五年度からそういった成果も生かしまして、思い切って全国の職業安定所の窓口を、より機能的に一人一人の御需要にこたえられるような構えをつくるということで、努力も重ねていくようにいたしておりますので、私どもがんばっていきたいと思いますが、ひとつ今後とも御鞭撻をいただきますようにお願いをいたします。
#113
○山田(芳)分科員 ひとつこの点はよろしくお願いをいたします。
 さてそこで、実は個別的な問題を申し上げるわけでありますが、私の選挙区が京都でありますが、京都の舞鶴が、今度は高等総訓が短大へ移行をするわけでございます。私は五十二年の三月十一日、この予算委員会の分科会で、当時の石田博英労働大臣に、舞鶴の総訓を職業訓練短大にぜひ上げてもらいたいという話をいたしまして、石田労働大臣も、できるだけ努力をいたしますというお話がありまして、ようやく五十六年から短大へ移行するということで、その点については心から敬意を表するし、私としてはお礼を申し上げなければならぬ、こういうふうに思いますが、さて第一の問題は、雇用促進事業団法施行規則の第二十五条の三というところに「公共職業訓練施設の行う業務」というのがありまして、いろいろ羅列をしているわけですが、「前項に定める業務のほか、職業訓練短期大学校は、向上訓練及び能力再開発訓練を行うことができる。」という規定があるのです。ところが、いままで開かれている短大、小平とかあるいは魚津あるいは五十五年度の築館、これにはそういうものが置かれてないのですね。置くことができるとわざわざ書いているし、現在置かれているようなところになぜ置けないのかということが疑問であるし、特にいま申し上げました舞鶴が短期大学に移行することは、いま申し上げたように心から御礼を申し上げますが、舞鶴は日立造船とか日本板硝子とか多数の失業者が出ている。だから、まさにこの法律が改正をされ、そして現実に能力開発、向上訓練というものが必要な地域なんですね。何でそれを付置をされないのか。まさにこれは付置をすべき地域でないだろうか。「総合高等職業訓練校の職業訓練短期大学または技能開発センターへの転換について」という雇用促進事業団の昭和五十三年九月三十日の方針がございます。これを読ましていただいても、地域の実情に沿ってやるのだと書いてございますね。だから、そういう点を含めて、この点はいかがかということをまずお聞きをしたいと思います。
#114
○岩田政府委員 先生御指摘のように、確かに職業訓練法の施行規則二十五条の三には、短期大学校も能力再開発訓練、向上訓練ができるということになっておりますけれども、先生もう十分御承知のとおりでございますが、五十三年に訓練法を改正いたしましたときに、短大と技能開発センターに従前の総訓校を分けて、都道府県立の職業訓練校と明確な機能の分担をして、総合的に全体で有機的にやっていくというふうな基本的な方針で改正してまいったわけで、ございまして、そういった趣旨にかんがみまして、短大におきましては、技術革新等々もございますから、高度な技能労働者の養成を目的として専門訓練課程での養成訓練を行うということで踏み切ったわけでございます。ただしかし、地域的な事情その他いろいろな事情もございますので、付帯的な業務として短大におきましても能開訓練あるいは向上訓練というふうなものも場合によっては必要ではなかろうかというので、施行規則二十五条の三でそういうふうな規定を設けたわけでございますけれども、われわれといたしましては、先ほど申し上げましたように、当面短大は短大として高度な技能労働者の養成を目的として、本来の目的であります専門訓練課程に重点をしぼってやっていく、ただしかし、いま先生も御指摘の舞鶴のように失業多発の状況その他もございますので、そういった短大にした場合にはそれの受けざらというか、総合的に県立訓練校等ともやっていかれるように、たとえば京都の場合ですと福知山にございます府立の訓練校を若干でも舞鶴に近い方に移転して新築するというふうなこととか、あるいは訓練科目を増設するとか、そういった対応をやっているところでございます。
    〔津島主査代理退席、主査着席〕
またあわせて、民間の事業主の方々にいろいろお願いして委託訓練をするとか共同訓練校へ速成訓練をお願いするとか、そういった多面的な対応でそういった状況には対応していこうと考えている次第でございます。
#115
○山田(芳)分科員 それはわかりますが、それでは規則は全然生きないわけで、そんな規則置かなければいいのですよ。置くことができると言うてあるのにいままで一つも置いてないというのでは、置くことができないと解すのと一緒ですね。特に、先ほど申し上げた「転換について」という決定によると、先ほど言わなかったのですけれども、こういうふうに書いてあるわけですね。「地域における雇用及び産業の動向、職業訓練の実施状況その他の事情を考慮して計画的に」やれ、こういうことなら、まさに舞鶴などの職業訓練短期大学は、向上訓練、能力開発を付置させるべき二十五条の三の規定に当てはまる地域であると私は思います。時間がありませんからこれ以上申し上げませんが、ぜひ検討していただきたいということを申し上げます。
 最後に、舞鶴総訓が短大へ移行するについて三点ばかりお願いいたしておきます。
 一つは、「短大へ移る当該訓練校の敷地面積は原則として三万平米以上あること」とあります。いまの舞鶴の総訓の敷地は確かに三万二千ありますから、そこを使えばその基準に達するわけですけれども、レイアウトの関係で、既存の建物を利用することが前提になります。短大へ上がることによって科目もふえるし、人員もふえる。こういう中で、実はすぐそばに旧舞鶴重砲兵連隊跡の空き地が約四千二百八十六平米ございます。これは大蔵省が普通財産として所管をしておるところでございますから、短大へ移行するに当たっては、大蔵省に交渉されて、私も大蔵委員でありますからまた大蔵省へ申しますけれども、ぜひひとつ雇用促進事業団の方におかれても交渉をしていただいて、そこを運動場にして、いまの場所に、人数もふえることですから大教室などをつくってほしい。いろいろな施設が不足をいたしております。私がその学校へ行って具体的にいろいろ聞いてみましたところ、たとえば校長室は現在のものを使うにしても副校長室はありません、応接室は全然ございません、講師の部屋がない、休憩室がない等々、非常に不十分な状態にありますので、短大へ移るときの予算は約三億円の規模だというわけでありますが、そう枠の中でばかり物を考えないで、ときによってはふえてもいいじゃないか。いまの舞鶴の訓練校も短大に移行すれば訓練生もふえますし、教官といいますか指導員の人たちもふえますし教室も不足する、いろいろな施設が不足していますから、この三点についてぜひお考えをいただきたい。
 もう一遍申しますと、土地については大蔵省所管の遊んでいる土地がありますからそこを運動場にして、現在あいている部分に全員が集まって共同訓練などができるような大教室を一つつくってほしいということ、第三番目には施設費の予算三億円ということが決まっておるようでありますが、染色科等も増設をする状態だと伺っております。人数もふえますので、三億円というような限定をしないで必要に応じて、予算には弾力性を持ってこの短期大学がうまくいきますようにぜひお願いいたしたいと思いますので、そこらあたりの点についてお答えをいただければありがたいと思います。
#116
○岩田政府委員 先生御指摘のように、この舞鶴短大は地形が非常に狭まっているところにあるわけでございますし、いま先生御指摘のような点もいろいろとあるようでございますので、地元の府とか市等とも連携を密にしながら御趣旨を体しまして今後検討していきたいと考えております。
#117
○橋本主査 これにて山田芳治君の質疑は終了いたしました。
 次に、上原康助君。
#118
○上原分科員 最初に、労働大臣に二、三点お尋ねをしたいと思います。
 雇用失業問題を中心にお尋ねするのですが、最近のわが国の経済構造が大変変化を来してきているということ、低成長時代に入っている、あるいはまた、ますます高齢化社会になりつつあるというようなことを考えますと、これからの全般的な雇用政策は従来よりきめ細かい政策が必要じゃないかという感じがするわけです。短い時間ですので突っ込んだお尋ねはできませんが……。
 そこで、最近、日本経済調査協議会あたりもいろいろ提言をしているようですが、定年延長問題、六十五歳までの層用継続の必要性を強調している向きもあります。そういう面で、これからの中高年の雇用政策について政府はどういうふうにお考えになっておられるかということと、いま申し上げたようなことでの新たな視点というか立場からの雇用政策をお考えになっておられるか、定年延長問題を含めてどういう御所見を持っておられるか、これが一点です。
 いま一つは、人事院の勧告などもあるわけですが、公務員の週休二日制問題、これは民間企業を含めてですが、これについては労働大臣は関係閣僚懇談会でも推進者だと私は仄聞をしているわけですが、どのようなお考えを持っておられるか、御所見を伺いたいと思います。
#119
○藤波国務大臣 御指摘のように、非常な不況から徐々に脱出をしてまいりましたわが国の経済、年々雇用失業情勢は好転しながら来ておるわけでありますけれども、なおその中でも中高年の雇用問題は非常に厳しい情勢になってきた、今後非常に高度な成長を望めないということや、あるいは石油問題などを中心にしまして非常に先行き不透明な部分が多うございまして、御指摘のように、雇用対策をよほどきめ細かくやっていかなければいけない、このように考えておるわけでございます。産業構造が転換をしてまいりましたり、特に中高年対策という非常に大きな課題が八〇年代の最大の課題として浮かび上がっておるというようなことをとにかく行政で消化していかなければいかぬ、こなしていかなければいかぬ、こういうふうに考えます。特に、非常なスピードで高齢化していくわが国の社会の中で、雇用を創出をしていくということは非常に大事な課題で、ございます。
 そこで、一連の中高年齢者の雇用対策をさらに充実強化していく姿勢で取り組んできておりまして、いまの第四次の雇用対策基本計画におきましては、昭和六十年度で六十歳定年を一般化するということでいろんな努力をしてきておるところでございますが、昨年、私鉄、鉄鋼など非常に大きな業界で労使の話し合いが前進をして、この定年延長問題も非常に前向きになった。これからいわゆる春闘の時期を迎えるわけでありますけれども、定年延長についての労使のいろんな話し合いの場で非常に大きな議題として浮かび上がってきているというようなことから、これらの機運をさらに一般化をいたしまして、ぜひ定年の延長をまず六十歳、できればそれをさらに延長するというようなことを中心にいたしまして、そのほかにもいろんな給付金制度等も活用をいたしまして、高齢者対策を進めていくようにいたしたいと思いますし、また、六十歳代の前半層におきましては、常用雇用ではなく、地域的な特徴などを生かしたいろんな仕事に対する需要もございますので、シルバー人材センターといったような仕組みで、ぜひ高齢者の、常用の雇用ではありませんけれども、お元気で、しかも働く意欲を持った高齢者には仕事の場をつくるというようなことについても新しい知恵を出し、努力をしていくということに取り組んでいきたいと思っておるところでございます。
 なお、御指摘のありました週休二日制の問題は、これまた昭和六十年度に先進諸国並みの労働の条件をつくる、労働時間、休暇をとるという方向で努力を重ねてきておるところでございます。労働者の福祉を増進をしていく、そしてより充実した労働と生活の時間を持っていくということ、それから、非常に激しくなってきております国際競争、経済戦争の中で、少なくとも相撲をとる土俵は同じ土俵上に上れというのが各国の強い意見でありまして、労働者の労働時間などにつきましては、先進諸国と同じような形に持っていくことによって初めて正当な競争だというふうに認められるというふうな非常に強い国際的な声もあるわけでありますから、そんなことも全部ひっくるめて、できる限り労働時間の短縮の方向を一般化していくようにしなければいけない、こう考えておるところでございます。
 公務員の週休二日につきましては、すでに人事院から意見が出されておりまして、労働省は公務員の労働条件というものは、とにかく人事院の意見を尊重するということを終始述べてきております。その中でも、すでに試験的に進めてきております四週五休といったような形で公務員の週休二日制を実施していくべきだという意見が述べられておるわけでありまして、今日は公務員というのが民間と比較をいたしましていろんなことが指摘されて、少し縮まって考えなければいかぬ、公務員というのは楽しいことにはなるべく民間よりも後からついていくべきだ、先憂後楽の思想でいくべきだというような考え方もありますし、また、事実公務員というのはやはり規律正しく職務につかなければいかぬというところは、他の民間とは違って十分あるわけであります。しかし、労働条件につきましては後から楽しむべきだというようなことでなく、国民に向かってサービスが低下しない、それから今日の大きな問題である行財政の大幅な改革の精神に反しないというようなことを工夫しながら、労働条件としてはもう一般化しできている週休二日の仕組みに入るべきではないか、こういうふうに私は考えておりまして、関係閣僚懇談会でも強く主張いたしまして、週休二日制、特に人事院の御意見で出ておりますのは、週休二日という看板が上がっておりますけれども、実態としては四週五休でございますので、ぜひ実現をしていくように今後も努力をいたしたい、こう考えておるところでございます。
#120
○上原分科員 定年延長の問題といいますか、民間ベースでは恐らく労使間の交渉事項、労使間で話し合って決めるべきことだと思うのですね。確かにいまおっしゃったように、昨年の春闘あたりからそういった面が労使間で協議をされ、すでに実現をしている企業や分野もあるわけですが、半面また一方では、公務員に対しては定年制を設ける、若干矛盾した点が出てきているわけですね。それはいずれの機会にか議論をしてみたいと思うのですが、同時に、定年延長問題と、前に橋本先生もいらっしゃるんだが、年金の改悪問題とを結びつけてはいけないと思うのです。ひとつぜひそこいらも労働省としてはそれなりの姿勢をとっていただきたい。ある面では、高齢化社会に向けての総合的雇用政策といいますか、いま雇用対策の第四次基本計画というのを立てていろいろやっておられるというのですが、私は労働省だけではなくして、政府全体で、通産省なりあるいは経企庁も入るでしょうか、総理府あたりも関連すると思うのですが、そういう面での八〇年代の日本の雇用政策は、いわゆる行政的、政治的立場でどうリードしていくのかということにもう少しイニシアチブをとってもらいたい。そうせぬと、いまおっしゃったように、一方においては公務員の足を絶えず引っ張る、抑えつけようとしておる、一方は民間の労使間の問題だというふうになると、何か空間ができそうな感じがするのです。ですから、そういう面については労働大臣の指導性といいますか、そういう面の積極性を出していただきたいということをここでは強く求めておきたいと思います。
 そこで、時間の関係もありますから、雇用問題というかかわりで具体的な点でお尋ねをしたいわけです。いまの四次計画とも関連があると思うのですが、雇用促進をしていく上で雇用開発委員会というものを設置をしたい、今度の予算修正でも大分問題になったようですが、これをどう機能させようとしておられるのか、また、これを設置することによって、いまさっき申し上げたような雇用政策というものが本当に効果が出るのかどうか、これについてちょっと所見を伺っておきたいと思うのです。
#121
○関(英)政府委員 雇用開発委員会につきましては、中央と地方と両方に五十四年度設けたところでございます。中央の開発委員会におきましては、学識経験者の方に委員をお願いいたしまして、雇用及び職業別の需給バランスのこれから先の見通しをつくっていきたい。私ども第四次雇用基本計画をつくりましたときに大まかな、マクロ的な見通しは立っておりますけれども、もっと細かく職業別の需給見通しを何とか立ててみたらどうだろうか、あるいはこれから発展するであろう職種、業種、そういったことを把握いたしまして、これらの分野への雇用の誘導策を検討する、そして、そういったものにつきまして雇用情報として広く利用していただく体制を整えていくというようなことを中心に御研究をいただいております。
 それから、地方の雇用開発委員会につきましては、これは行政側とそれから公益側、労使の代表の方々、いわば四者構成でできておりまして、北海道以下五つの道県に五十四年度設置しております。この地方雇用開発委員会におきましては、当該地方におきます雇用失業情勢がどう推移してきたか、あるいは特定不況業種の離職者の状況がどうか、あるいはこれまでの県の産業構造、それがどんなふうに変化してきたかというようなことを現在までいろいろと検討してきております。これから先、さらに今後のそういった産業構造の変化の見通し、あるいは離職者の追跡調査、そういうようなことも、委託調査を含めまして研究を進めて、今後当該地域におきますあるべき産業構造、職業構造、そういったものを検討していただこう、こんなふうに思っております。
#122
○上原分科員 そこで、中央と地方に置いてある、地方の雇用開発委員会の設置、北海道、新潟、広島、愛媛、長崎、五十四年度はこの五カ所ですね、たしか。五十五年度はどういう計画を持っているのですか。
#123
○関(英)政府委員 政府の予算案におきましてはあと二県に追加設置いたしたいということで提示いたしております。その考え方につきましては、大体不況地域を中心に五十四年度置かれたわけでございますが、これからの雇用が伸びるであろう産業なり職種なり、そういったものをこういった開発委員会を通じて見きわめていただきまして、そこへの雇用を誘導していこう、こういうことでございますので、これから雇用の発展が特に期待されますのは第三次産業でございます。したがいまして、第三次産業のウエートの高い大都市を含む地域に私どもとしては二県ほど設置をして、そういった活動をしてもらったらどうだろうか、こういう考え方で二県追加設置の予算を御審議いただいているところでございます。
#124
○上原分科員 これは構造不況業種の多い地域あるいは失業多発地域というようなことが二、三年来問題になって、五十四年度でようやくこの方針というのが芽を出してきたわけですが、確かにいまおっしゃるように、都市を中心にした雇用促進あるいは失業対策というのもこれは重要ですよね。しかし、私が非常に奇異に感ずるのは、何といっても雇用失業問題で一番深刻なのは残念ながらわが沖繩なんですね。しかし、これまでの雇用の問題については一言半句もない。今度も政府の七カ所案を十カ所にふやすということが修正で出ているわけですが、いま御答弁を聞いてもさらさらそういうお考えはないような感じがする。どうしてそういう――わからぬわけでもないですよ。大体見ても、造船不況で深刻なところが大体入っている。しかし私は、やはり地方の雇用開発促進、失業対策ということを真剣にお考えになるならば、沖繩がこれから落ちるはずがないと思うんだ、どう考えたって。それはなぜかという疑問を、何も私が沖繩出身だからそう言うわけではない。問題は、さっきの雇用政策とのかかわりもありますが、これからの雇用政策という面では、労働省は何か失業、雇用の対策というと、広域職業紹介をやります、職業訓練を充実していきます、雇用保険法の内容をもっと改善いたします、これはあたりまえのこと、あたりまえと言ったらちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、やるべきことであって、しかし、これでは抜本的な雇用促進対策にはなっていないわけですよね。だから、今後の雇用政策という面では、特に各地域のいわゆる地場産業をどう育成をしてその地域において雇用を創出し、就職できる企業なり就職の場というものを確保するかというのが八〇年代の重要な課題だと私は思うのですね。都市集中型の産業構造とか人口過密というのはやはりこれから考えなければいけないと思うのです。
 そういう面でもこの件については私はやはり労働省に御一考願いたい。労働大臣、どうでしょうかね。
#125
○藤波国務大臣 沖繩県におきます雇用失業情勢というのは非常に厳しいということは、労働省が労働行政を進めていく中で一番頭を占めている、また頭の痛い問題でございます。それは御指摘のように、やはり働き口がなければ、労働行政はどれだけ総合的にやりますと言ってみたって、訓練してみますと言ってみたってどうにもならぬわけでありまして、働き場所をつくっていくというのは基本的に沖繩という地域を考えた場合に大事な課題になっているわけでございます。先生御指摘のように、地場産業の振興を中心にいたしまして、その地域の産業を興していく。それがなければ、若者が自分の生まれ育った地域からどんどん外へ出ていかなければいかぬというようなことになるわけでありますし、それでは若い人の希望もないということでございますから、そういう意味では、さっき先生が御指摘になりましたように、労働省はただ守っているというだけではなくて、積極的に、経済の成長については経済企画庁と話をする、あるいはいろいろな地域の地場産業の振興については通産省と話し合うといったふうに、地域地域の実情に応じてそれぞれ対策を講じて進めていくようにしなければいかぬ。そういう意味では、地方の雇用開発委員会でいろいろ調査をして、そしてその調査の結果に基づいて新しい対策を講じていくというようなこともそういう考え方に立ったものである、こういうふうに御理解をいただきたいと思うのでございます。
 そこで、沖繩につきましては、沖繩振興開発特別措置法に基づきまして、先生御理解をいただいておりますように、沖繩県の労働者の職業のための計画を五十一年五月に策定をいたしまして、この計画に基づきまして、きめ細かな対策を推進している、こういうことになっておるわけでございます。なおなお、いま申し上げてまいりましたように、その計画が生きた計画になっていくように、ただ作文ということに終わらないように、地場産業の振興などを中心にいたしまして努力をしていかなければいかぬと思うところでございますが、沖繩につきましてはこういうふうに、特に沖繩の振興開発を中心にいたしました法律に基づきまして計画を立てて推進しているところでございますので、沖繩のことは話に上らぬじゃないかという御指摘でございますけれども、沖繩はいち早く俎上に上して、計画を組んで鋭意努力をしておるのである、よそと違って一生懸命やっているんだ、こういうふうにひとつ御理解をいただきまして、今後とも労働省としても、その計画が生きたものになっていくようにさらに努力をしていきたい、こう考えておるところでございます。
#126
○上原分科員 お言葉を返すようですが、御努力をいただいていることには、私も評価する面もありますし、やぶさかでないです。これは前々から労働省にもいろいろ御要望申し上げたのですが、後ほど、じゃ、どれだけ五十一年五月十四日に策定された計画が実を結んだが、少しお聞きしたいわけですが、必ずしも振興開発計画のこの労働問題、労働雇用に関するところは活用されていないですね、それは後ほどちょっと申し上げますけれども。
 なぜ私がいまの点を言うかといいますと、たとえば県別の有効求人倍率を見ましても、これは五十四年九月現在、北海道〇・四二、新潟県が一・二四、広島県〇・七七、愛媛県〇・六五、長崎県〇・五五、沖繩県〇・一八ですよ。これだけ深刻なんですよ、皆さん一生懸命やっていらっしゃると言うんだが。どう見たってぼくはやはり差別ということではなく区別ですね、これは。大きいところだけ見て、小さいところは忘れていらっしゃる。これじゃいかぬと思うのですね。ここは、十カ所にもふえるわけですから考えていただきたいと思うのです。もちろん、こういうものを置いたからすぐ雇用が促進されるとか失業がなくなるということじゃないんだが、問題は姿勢の問題なんですよ。これ、御検討いただけますか。
#127
○関(英)政府委員 先生御承知のとおりに、地方雇用開発委員会といいますものは、五十四年度の国会におきますいろいろな御審議を通じて新たに設置することになったものでございまして、そういった与野党間のお話し合いを踏まえまして私ども運営してまいってきております。五十五年度につきましても、私どもまた与野党間のお話し合いが行われておると聞いております。そういったものを私ども最大限に尊重いたしまして、今後実施に当たりましては、できる限りその方向に沿って運営して対処していきたい、こんなふうに考えております。
#128
○上原分科員 それで、この沖繩振興開発計画に基づいた問題ですが、実は私も何回か取り上げてきましたが、余りさしたる効果も出ないものだから途中であきらめたこともあったのですが、そうもいかないのです。
 確かに、おっしゃるように、計画案は策定をされております。これは長谷川元労働大臣に何回か強い要望をしたあげくできたのですが、この以後はこれの見直しも何もやっていないわけでしょう。どうなんですか、まずそこから……。
#129
○関(英)政府委員 この計画に基づいて行政を進めておるところでございまして、五十一年のこの計画に基づいて現在もこの計画の実効を図っているところでございます。
#130
○上原分科員 恐らく、この計画はないよりはましだという程度のものですね。
 それで、沖繩雇用失業対策推進連絡会議というのが、たしか五十三年一月二十五日に第一回会議を持ったと思うのです。これはいま生きているのですか。どういうふうな運用状況になっていますか。開発庁も来ているでしょう。これは労働省が中心かな。
#131
○田代説明員 いまお話がございました会議は、第一回を開いた以後、各省の連絡という形で現在も続いておりますが、そういう形で全体が動いている状況でございます。
#132
○上原分科員 どうも危ない、いまの答弁じゃ。恐らく、一回開いてお茶を濁して、全然機能していないのじゃないか。それ見たことじゃないですか。やっていないじゃないですか。
 大臣、何も小言だけ言うわけじゃありませんが、一事が万事そんなものなんです、役人は上の方からいろいろ御指示をしていただかなければ。
 もう一遍、では、やっていらっしゃるというなら、きょうは時間がありませんから、いずれもまたどこかの機会にお尋ねしますが、五十一年五月十四日に、沖繩県の労働者の職業の安定のための計画というのをおつくりになっている。これがどういうふうな効果を上げたか、皆さんの総括をやって報告をしてください。それと、この雇用失業対策推進各省連絡会議というものがどうなっているのか。これでは本当に問題ですよ。
 それで、時間がありませんから、私は前々から、実は私が組合の役員をしておったころから、沖繩に雇用基金制度をつくりなさいということを口酸っぱく要求をして主張してきたのです。しかし、これは残念ながら今日まで実を結んでおりませんが、たとえば、さっきの振興開発計画の第六章には「職業の安定のための特別措置」というのがありますね、よく引用される。第三十八条、第三十九条、ずっとある。これから考えても、雇用基金制度というのはできると私は思うのです。
 労働大臣、第三十八条だけ引用しても、「労働大臣は、沖繩の労働者の雇用を促進し、その職業の安定を図るため、沖繩県知事の意見をきいて、職業指導、職業紹介及び職業訓練の実施、就業の機会の増大を図るための事業の実施その他必要な事項に関する計画を作成し、その計画に基づき必要な措置を講ずるものとする。」こういうふうにあるのです。これが全然生かされていない。
 最近ようやく沖繩県も、この雇用基金制度を実現をするということで、今年度予算で県の予算措置を講じつつあるのです。したがって、これの計画が具体的に上がった場合においては、労働省としてもぜひ積極的に取り上げていただいて、財政面あるいはそのほかの制度的な補完をやっていただきたいと思うのですが、この際どうですか。
#133
○藤波国務大臣 基金制度につきまして、沖繩県の方で具体的に検討が進められているというふうに聞いておりますが、中身についてはまだ詳しくお伺いしているような形にはなっておりません。今後沖繩県の方で構想がまとまりましたらお伺いをいたしまして、いま申し上げてまいりましたように、沖繩県の労働雇用情勢は非常に厳しいものがございます、どのようにしてこれを好転させていくかというのは、私どもも非常に厳しい気持ちで取り組ませていただいてきておるわけでございますから、その考え方が前向きに進んでいくというような形の基金制度がまとまりますならば、国としてもできるだけの力添えをしていくように前向きに検討させていただきたい、こう考えております。
#134
○上原分科員 それはもう十年来の私の主張でもありましたし、ぜひやっていただきたいと思います。
 これは開発庁もいいですね。開発庁もそれについては、早急に振興開発計画と関連させてやりますね。
#135
○野村説明員 いま労働大臣がお答えになったわけでございますが、沖繩開発庁としても現在、県でその雇用基金制度を創設するため調査会を設けて研究しようということは私ども聞いております。そういう段階でございますが、具体的な構想、中身等については十分承知しておりません。したがいまして、この問題は直接には労働省がお取り扱いいただくということだと思いますけれども、私どもといたしましても、県の構想が出た段階で十分内容等を細かく聞きまして、また労働省とも御相談させていただきたいというふうに思っております。
#136
○橋本主査 上原君、時間が来ましたから……。
#137
○上原分科員 時間ですからこれで終えます。
 労働大臣、確かに最近、雇用情勢は幾分好転はしてきていますが、こういう時期にこそじっくり対策を立てていただきたいと強く要望して終えたいと思います。
#138
○橋本主査 これにて上原康助君の質疑は終了いたしました。
 次に、東中光雄君。
#139
○東中分科員 大臣に最初にお伺いしておきたいのです。
 最近、減量経営が非常に強く言われ、合理化が進められているわけですが、そういう中で、基準法に違反するような問題が特に大企業の中でいろいろ起こっていると思うのです。これは労働時間の問題もありますし、割り増し賃金なんかの問題もありますし、あるいは職業病その他非常に多発をしている傾向もある。
 基準監督行政を一層強化されなければならぬというふうに思うのでありますが、現地で私も二、三いろいろ実情を見てまいりましたけれども、非常に基準監督行政が消極的といいますか、もし労働者の権利を不当に侵害しているのであれば、できるだけ速やかに正していくような措置が講じられなければいかぬと思うのです。労働省は、なかなか陣容がなくて、人手が足らなくてということをよく言われるのでありますけれども、そういう点についての取り組みの基本的な姿勢をこの際明らかにしていただきたいと思います。
#140
○藤波国務大臣 非常な不景気の中をくぐり抜けてまいりまして、その間に企業も大変な苦労をしてきている。そこで、御指摘のようにいわゆる減量経営、合理化を進めまして人員を減らして、そしてこの不景気の時代を乗り越えていこうとして構えをつくった。
    〔主査退席、津島主査代理着席〕
そこで、少し景気が回復をしてきて仕事がふえてきておるけれども、新しい人を求めるということに対してはなかなか憶病にもなり、かつ、非常に不景気で苦労してきているものですから、企業の方にも労働者の労働に関して非常な無理があるというような事例がふえているという御指摘は、今回のこの国会の中でもいろいろな形で御意見が出されておりまして、非常に心配をいたしておる一つの視点でございます。
 第一線の労働基準監督行政あるいは職業安定行政、先ほど来もいろいろ御指摘もございましたが、確かに第一線で、行政改革の時期でもあり、定員がかえって削減をされていくという時代でございますので、気持ちだけ焦っても思うように強化充実ができないといううらみはございますけれども、しかし、機動力を発揮したり、重点的に行政指導に乗り出すとか、あるいは従来の役所型の役所でなくて、それぞれ現実に動いていく経済社会に対応する労働行政といったような第一線の構えをつくる、いろいろな工夫や努力を重ねまして、万一御指摘のような点がありましたら、労働者の権利を守るという立場で、できる限り迅速に行政指導に乗り出すという構えをつくっていかなければいかぬ、このように考えておるところでござい
 まして、決して、人員がないからとかなんとかと
 いうようなことを言いわけに言っておるつもりはありませんので、ケース・バイ・ケースで、積極的に労働者の権利を守るために労働行政は推進をしなければいけない、このように基本的に考えて
 おるところでございます。
#141
○東中分科員 行政改革はむしろ、そういうサービス行政を強化する方向でこそやられるべきであって、行政改革即人を減らしていく、そして基準監督行政なんかを人員不足というような方向に行くというのは、行政改革の名による行政の打ち切りということになっていくので、そういうことのないように強く要請をしておきたいわけであります。
 具体的な問題についてお伺いいたします。
 昭和五十一年一月二十二日、大阪の武田薬品工業株式会社で酸欠事故といいますか、酸素欠乏危険場所で作業に従事することによって一人の人が死亡し、一人の人が意識不明で倒れたという事件が起こりまして、これに対する措置がとられたわけでありますけれども、この概要について基準局長の方から……。
#142
○吉本(実)政府委員 ただいまの御指摘の点でございますが、昭和五十一年一月二十二日に事故が発生をいたしまして、その翌日、直ちに災害調査を行ったところで、ございます。そうして五十一年の四月二十七日に、武田薬品工業会社自体とほか二名を送致するというような所要の措置を講じたところでございます。
 なお、本件につきましては、武田薬品工業につきましてその後、昭和五十二年二月十日、罰金五万円、それから被疑者の今井澄栄、昭和五十二年二月十三日に罰金五万円ということで、有罪が確定しているわけでございます。
#143
○東中分科員 この事案で処罰をされた処罰理由ですね、労働安全衛生法違反ですが、何が処罰をされたのですか。
#144
○岡部説明員 違反条文は労働安全衛生法第十四条と六十五条、それから酸素欠乏症防止規則第十一条と第三条でございます。
#145
○東中分科員 要するに、会社及びその会社の担当課長が、この酸素欠乏危険場所に必要な酸素欠乏危険作業主任者技能講習を修了した者のうちから酸素欠乏危険作業主任者を選任していなかったこと及び池本伸雄氏をして酸素欠乏危険場所であるこの薬液調整タンク内部の洗浄作業を行わせるに際して、作業開始前に当該作業場所である同タンク内部の空気中の酸素濃度を測定しなかったこと、この二つだということをいま条文で示されたわけですが、そうでございますね。
#146
○岡部説明員 御指摘のとおりでございます。
#147
○東中分科員 こういう事態が起こった場合に、これは処罰したらそれでいいという問題ではないと思うので、労働安全衛生の立場からこういうことのないように、酸欠防止規則に基づきそういう内容を職場の中で全部知らせるということで再びそういうことのないように、起こったことに対する刑事上の処分は処分としてこれは当然やられなければいけないし、これは罰金刑の選択がそれでよかったのかどうかという問題もあるのじゃないかとさえ私は思っていますけれども、それはともかくとして、そういう労働安全衛生の体制を職場に徹底させるということが労働行政の中心でなければいかぬと思うのでありますが、どういう措置をこういう会社に対してとられたのか。単に送致して処罰された、それだけでもうほうりつ放しということになるのか。どういう措置をとられたのでしょうか。
#148
○岡部説明員 私ども、監督行政を遂行するに当たりまして、死亡事故というのはやはり一番重大災害ということで、重点的にこれを防止することを目的といたしております。そして、そのような事故が起こったところにつきましては、監督計画を立てます際に重点的にその防止体制ができ上がっておるかどうかということを、たとえば再監督し再々監督するというふうなことで徹底を図っているところでございます。
#149
○東中分科員 ところが、亡くなった池本伸雄さんと同じ職場で、同じような、会社のそういう酸欠状態の測定義務違反をやっておる職場にいた佐々木さんという人、この池本さんが窒息死で倒れたのを助けに行って意識不明になったという人がいるわけですけれども、この人が意識不明の状態で救出をされて、しばらくして意識が回復したけれども、強度の酩酊状態で体が動かない、しばらくして救急車で十三病院へ運ばれる、酸素吸入などの治療を受ける、家族がみな飛んでくる、翌日になってもなお強度の酩酊状態が続く、六日間入院してその後退院する、そしてまた自宅療養十二日間、こういう状態を経たわけですけれども、こういう人に対して会社側は、この人の要求にもかかわらず、また会社自体でも、これが悪かったのは会社のそういう安全衛生体制、犯罪行為まで犯しておったということを一切認めないで、亡くなった池本氏が、会社のつくっておった注意事項を守らなかったからだと言って、うそぶいているんですね。なるほど、亡くなった人に対する補償はしています。しかし、会社が事故調査委員会をつくって、そしてその報告書をつくった。これもなかなか公表しなかったのですけれども、公表したところによると、公表というか、後で被災者である佐々木さんが見たところ、結局、池本さんが作業注意書を守っておれば死にはしなかったんだということを書いておるんですね。そして、作業注意書をつくったのはだれかといったら、資格のない人が、それ自体では効果のないものをつくっておったにすぎないということも、その後明らかになっているのですけれども、会社は依然としてその報告書を撤回しようとしない。こういう状態で、人減らしをやり、工場移転に伴って規模を縮小していく、小さくしょうとしているということも公表しないという状態のままで今日に至っているわけです。
 武田薬品というようないわば全国的な大企業、製薬会社としては代表的な企業が、こういう事故が起こってもなおこういう姿勢でいるというのに対して、労働基準監督行政というのは、監督をしているということをいまおっしゃったのですけれども、具体的にこういう問題についてどういうふうにされておるのか。事実上そういうものは放置されたままになっているのじゃないかということを申し上げたいのですが、いかがですか。
#150
○岡部説明員 ただいま御指摘のございました佐々木利造さんの事故の問題でございますが、これは佐々木さんみずから、昭和五十一年二月十日付で休業補償給付の請求がございました。請求内容は、十五日間の休業の補償の給付でございますが、これは労働基準監督機関といたしまして、調査の上、業務上と認定いたしまして、五十一年の二月十五日に支払いを行ったところでございます。それを超えますところの問題につきましては、監督機関としては、ここでその評価を申し述べることは差し控えさしていただきたいというふうに存じます。
#151
○東中分科員 私の聞いておるのは、そういうことを聞いているんじゃないのです。酸欠危険状態にある危険地域での作業について、酸欠規則にいろいろ規定がある。その規定を守るべき義務が会社側にはある。そういう危険地域であるということは、会社側はその従業員に当然知らせなければいけない義務を負うている。それを知らしてなかったということが事故の起こった根本原因であるということは、処罰されたことによって明らかなんです。そのことが、監督署ではそういうふうに言っておるけれども、現場で犯罪行為をやった方の会社側は依然としてそれを認めないままで進んでおるという体制に対して、監督行政は知らぬ顔をしておるのですか。それで労働者の健康や安全を守るというそういうことが――労働安全衛生法の「目的」を見たちきわめて明瞭ですね。「職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な作業環境の形成を促進することを目的とする。」この労働安全衛生法の立場から言って、形式的な、そういう最低限の処分をし、救済をした、それだけでいいのかということを言っているのです。その点についてどういう指導をされておるのか、どうすべきものなのかということを、これはひとつ大臣にお伺いしたいのですけれども、私の言っている趣旨は、そんな形式的な、労災を適用したかせぬかということを聞いているのじゃないのです。いかがですか。
#152
○吉本(実)政府委員 先生のおっしゃるところもわかりますが、私どもとしましても、そういうようなことについてよく実態がわかっておりませんので、そういった把握はいたしたいと思いますが、いずれにしましても、すでに裁判で確定した事柄について、なお事業場において、もし依然としてそういったことをしているとすれば、これにつきましては何らかの指導をしていかなければならぬというふうには考えます。
#153
○東中分科員 そういうことを、その問題について同じことを引き続いてやっているかどうかということをいま私は言っているのではないのです。ところが、会社が、すでにやってきたことを絶対に変えようとしない、対労働者に対して。会社の言うとおりにすればよかったのに、言うとおりにせぬからいかぬのだ、会社の言うとおりにしておったら、それが実は法律上やらなければいかぬことを会社がやってなかったということの公的な結論が出ているのに、なおそういうことを主張したままで労働者に接している、そういう体制を正すべきだということを言っているのでありますから、そういう点、実態をぜひ調べてもらって、処罰したからよろしい、救済したからよろしい、後は知りませんというようなことにならないように、先ほど大臣が言われたように、法の趣旨を積極的にやってもらう必要があのじゃなかろうか。
 それに関連して、もう一つ申し上げておきたいのです。これは上方萬寿美という人でありますが、五十年の十月二十五日に頸腕の発病をしたということになっておるのでありますが、昭和五十二年の十二月十二日に、淀川労働基準監督署で職業病の頸腕としての認定がされておるわけです。ところが、この経過を見まして、私、非常に異常だと思いましたのは、同じ武田薬品でありますけれども、淀川労働基準監督署の認定では、医薬研究所の感染症グループで抗生物質の力価測定に従事し、マウスの感染実験、試験管内での力価検定等の作業において、ひじを上げたまま長時間連続して細かい作業を高度に神経を使って行い、発症した、こういう認定をしているわけでありますが、療養補償給付たる療養の給付請求書、これは労働者災害補償保険の給付請求書ですが、この災害の原因及び発生状況の記載を、基準監督署で認めているようにどうしても会社が書かないのですね。認定をされて、そして何回かそれを申請するので会社の判をもらいに行くと、部長のところで、マウスの感染実験というものをことさらに落とすとか、とにかく、認定された事実のとおりに書かないのです。そういう経過を経て、マウスの解剖と、それからピペット作業というのですか、それがこの職業病にかかる原因になったのだということを、どうしてもぼかそうとするのです。最終的には、ある程度それを認めたようなかっこうになるのですけれども、裁定がおりてからその申請書を出すまでに、何遍も書類のやりとりをしなければいかぬ。発病してからその認定を受けるまでの期間というのは、本人は病気で治療を受けに行く、それを今度は会社は欠勤扱いにする。非常な苦労を経てやっと認定を受けても、なかなかその認定を受けたことを認めない。こういうことを同じ武田薬品がやっているのです。そういうことをやれば職業病になりますよということがわかっておるからこそやめればいいのですが、実際にそれをやっている。そのことを書かれることが困るのだということで書かない。こういう労働者の権利を抑えつける姿勢をとるわけですね。なるほど、基準監督署は業務上の認定をしたのだから、それでいいのです。いいのですけれども、そういうことによって、認定を受けるまで二年近くの間非常な苦労をしている。たまたま認定を受けたからいいけれども、会社の妨害によって認定を受けられなかったらもうやめてしまっている。やみからやみに葬り去られてしまうという状態が起こるのです。これが実態なんです。これは、認定を受けたらそれでいいという性質のものではないわけです。その間にそういう欠勤扱いをされておるものですから、賃金あるいは一時金等でも非常な差別を受けるという事態が起こっています。
    〔津島主査代理退席、主査着席〕
 たとえば、この人は勤続十二年の二十七歳の女子労働者でありますけれども、ボーナスの点で見ますと、五十一年無の冬期の一時金支給額は、この本人は二十一万八千円であります。ところが、当時の一般の人は三十五万。同じ勤続年数で同時入社の人は三十五万だった。昭和五十二年の夏期一時金は、この上方という本人は二十一万八千円でしたが、同期の人は三十八万七千円。五十二年冬期で見ますと、同期の平均が四十二万一千円、ところが本人は三十七万八千円、こういうふうになっているわけですが、いま、職業病であったことが認定されて、いわば休んだのは自己欠席ではないということになって是正を求めておるのですけれども、是正する額が今度はまた、平均のところまでいかないという回答しかしないのですね。これで是正したのであると一方的に押しつけてくる、こういう状態が起こるのです。
 それは会社が悪いのだ、あるいは会社と労働者との関係の問題だというふうに労働省がお考えになっておったのでは、本当に生きた、労災、職業病をなくしていく、あるいは労働者の健康や安全を図って快適な職場をつくっていくという方向からはどうしても遠ざかると私は思うのです。ことさらに意識的にそういう労災隠しといいますか、あるいは会社の責任をできるだけ小さく見せようとするということを中心に動いておる。計画的にそう動いている会社に対して、本当に労働者の権利を守るという立場からの行政が強化されなければいかぬと思うのです。もう時間がございませんので、こういう問題も含めまして、ぜひ局長、大臣の具体的な措置と一般的な姿勢を明らかにしていただきたいと思うわけです。
#154
○吉本(実)政府委員 労働災害防止対策につきましては、私ども重点の事項としておりますし、先ほど申しましたような事柄でいろいろ問題があれば、よく調査をしまして措置をしていきたいと思いますが、特に、いま御指摘の労災隠しということがないようにいたしたいと思いますし、また、賃金をめぐるような先ほどの問題等につきましては調査をして、そのような事実があれば是正するようにしたいと思います。
#155
○藤波国務大臣 平素から、いろいろな行政指導をしてまいります中で、労働者の安全や衛生あるいは災害に関する雇用主の方の考え方については、できるだけ徹底をするように指導しておるところでございますけれども、起こってくる一つ一つの事例の中で御指摘のようないろいろな問題点なども浮かび上がるわけでありまして、局長からお答えを申し上げましたように、実態もよく調査をいたしまして強く指導していくようにいたしたい、こう考えておるところでございます。
#156
○東中分科員 終わります。
#157
○橋本主査 これにて東中光雄君の質疑は終了いたしました。
 次に、松浦利尚君。
#158
○松浦分科員 私は最初に、身障者雇用の問題について労働省の御見解を承りたいと存じます。
 御承知のように本年度前半は、いろいろ外的な条件があるにいたしましても景気は好調を持続いたしております。それだけに求人もきわめて活発に推移しておると理解をしておるわけであります。これは久しぶりのことでございますけれども、そういう中で、御承知のように五十一年十月に法が改正されまして、例の一定人員の身障者を雇用しなかった場合の課徴金制度、一種のペナルティー制度というのが身障者の雇用促進法の中に設けられたわけでありますが、企業利潤を追求して、社会的な責任については余り頭をかさないという企業がきわめて多いような気がするわけであります。
 そこで、過去の実態を踏まえて労働省から具体的に数字の御説明をいただきたいと思うのでありますが、前もって私の手元にもいただいております身体障害者雇用納付金の実績、五十二年、五十三年、五十四年について、五十四年はまだ途中でありますから予算あるいは見通しで結構でありますが、その数字を収入、支出あわせて御説明いただきたいと思います。
#159
○関(英)政府委員 雇用納付金の実績でございますが、五十二年度に雇用納付金として徴収いたしましたのは約九十六億ということになっております。支出につきましては、三百人以上の企業で雇用率以上に身体障害者を雇っている企業に対して雇用調整金を支給するということになっております。これはそもそも納付金制度が、雇用率まで雇用してない事業所と雇用率以上に雇用している事業所の間の経済的負担の公平を図ろう、こういう制度でございますので、その義務数以上に雇った企業に雇用調整金を払いますが、これが約七億でございます。これは年度の途中から発足したということもございます。それから、中小企業でやはりたくさん身体障害者を雇用した事業所には報奨金というのを支給するようになっております。これが約三億になっております。身体障害者の雇用を助成するための助成金制度が七億、その他事務費を入れまして収入から支出を引きまして、差し引き剰余が出まして積み立てられたのが七十二億ということになっております。
 次に、五十三年でございますが、収入が百八十八億でございます。支出、雇用調整金が十六億、報奨金が六億、助成金が二十九億、その他業務諸費を除きまして積立金の累計が二百二億になっております。
 五十四年度につきましては、予算でございますが、収入が百七十六億の予定でございます。支出といたしましては、調整金が十九億、それから報奨金が八億。助成金につきましては、いろいろ国会等の御論議を踏まえまして新しい助成制度を講じたり、あるいは要件緩和等をいたしまして、九十八億という一応の予算で臨んでおりますが、まだこれは年度途中でございますので実績はわかりませんが、助成制度につきましての先ほどの改善から見まして、ことしは五十三年度よりも倍近い実績を上げるのではなかろうか、こういうふうに考えております。
#160
○松浦分科員 さらにお尋ねをしておきますが、身体障害者作業施設設置等の助成金の実績、これを五十二年、五十三年について御報告ください。それから、五十四年度についての現在の申請の内訳を教えてください。
#161
○関(英)政府委員 御指摘の身体障害者作業施設等の助成金でございますが、五十二年は三十四件、九千万円でございます。五十三年度が百七十三件、四億一千万円でございます。五十四年につきましては、まだ現在申請を受け付け中でございまして、ちょっと数字がございません。
#162
○松浦分科員 いま実績について御説明がありました。雇用促進法が五十一年の十月に改正されたという比較的新しい時点ですから、ある意味ではやむを得ないという事態もあると思うのですけれども、企業の中に、身障者を雇用するよりももうペナルティーで納付金を納めた方がましだ、そういう発想の企業が非常に多いですね。ですから、せっかく政府が身体障害者を雇用促進をするために設けた制度が、本当の意味で成果を上げておらない。先ほど言いましたように、社会的責任というものを考えない。調べてみますと、身障者を雇用する企業はむしろ中小企業が多いのですね。だから、そういった意味では、こういった状況を改善をしていかなければ、求人が好調であるにかかわらず身障者を雇用するための門戸はますます狭くなっておるというのが現実の姿だと思うのです。こういう点を労働大臣あるいは労働省当局はどのように解決されようと考えておるのか、身障者にとってはきわめて大切な問題ですから、私はぜひ明確に御答弁いただきたいと思います。
#163
○関(英)政府委員 身障者雇用促進法が抜本的に改正されまして、納付金制度が設けられたわけでございますが、この制度は、先ほどちょっと申し上げましたように、身障者を多数雇用する事業所と、それから雇用率まで雇用しない事業所との間の経済的な負担の公平を図ろうという制度でございまして、いわば一種の、事業主の共同拠出金的な性格を持つものでございます。で、だんだんと雇用が進んでまいりますと支出の方がふえてまいりますので、単年度で収支を比較して云々することはできないと思いますが、しかし、この制度はこういった性格のものでございまして、先生御指摘のように、納付金さえ納めれば身障者の雇用の義務は免れるんだというような趣旨のものではございません。雇用促進法におきましても、雇用率まで達してない企業につきましては、私ども法律の規定に基づきまして、雇用を達成するための計画の作成を命じ、そしてその計画が適正でない場合にはその変更を勧告したり、あるいは適正な実施の勧告をしたりして雇用を進めていかなければならない、こういう法の仕組みになっております。
 現在、私どもといたしまして、特に御指摘のありました企業規模の大きいところで、しかも雇用率の非常に少ないところに対しましてこの達成計画の作成を命令いたしまして、現在千二十一社から達成計画が提出されております。そこで、私どもとしては、今後この計画に沿って、個別企業に対しまして計画どおりに達成していくよう、また計画内容が不十分なものに対しましてはその是正を勧告していくというような形で雇用の促進を図っていきたいと思っております。
 幸いにいたしまして、身障者を雇用せねばならないという企業の理解は非常に深まってきたという感じが私はいたします。ことし新規学校卒業者の求人につきまして、いわば集団見合いと申しますか集団面接を実施したわけでございますが、大企業からの求人は非常に殺到しております。そういう意味で大企業も、新規学卒者である身体障害者の求人は非常に熱心になってまいりました。問題のありました金融機関なんかもずいぶん求人を出しております。
 ただ、私ども、いま問題だと思っておりますのは、現在、安定所で求職者として非常に就職困難を感じておりますのは、重度であり、あるいは中高年の身体障害者でございます。こういうものの就職促進をできる限り図っていくために、先ほどちょっと触れましたが、五十四年度の助成金の改善もそういうところに重点を置きまして、非常に大幅な助成制度もつくったわけでございます。先ほどの雇用率達成のための計画による個別指導とあわせて、こういった助成制度を活用して身体障害者の雇用の促進を図っていきたいと考えております。
#164
○松浦分科員 いまの御答弁で結構ですけれども、ただ通り一遍の指導では、雇用促進というのはなかなかむずかしいと思うのです。同情的な目で見るのではなくて、健全な部分を採用するんだという立場に立った雇用促進でなければ、結果的には、いま言われた中高年の身体障害者といった人たちはもう社会保障で救済されればいいという形で終わってしまうのですね。私はそういう意味で、企業は確かに利益あっての存在であることは否定をいたしませんけれども、その背後には社会的な責任がある、しかも身障者を雇用するということはもう時代の要請である、そういう発想の転換をこれからしていかなければ、私は率直に言って、雇用の促進というのはなかなか大変だ。景気がいいときには、いま言われたように雇用がふえる場合があります。景気が今度一遍ダウンをいたしますと身障者はまたほうり出されるという、そういうサイクルだって起こる可能性があるわけでありますから、この際、私は労働大臣に、本当にこれは身障者の悲痛な叫びだと思います、同情ではなくて、みずから持っている能力を社会のために生かしていきたいというその要望にこたえるという意味で、ぜひ労働大臣の御見解、決意のほどを承っておきたいと思います。
#165
○藤波国務大臣 全く先生の御指摘のとおりでございまして、身体障害者が社会に参加をする、自分の個性と能力を発揮して胸を張って社会に参加をしていく、その方々を本当に気持ちょく迎えて、同情ということでなしに、みんな社会の同じ仲間として働いてもいただくというような構えをつくっていくことが非常に大事だと思います。それには、政府も行政指導を思い切りやっていかなければいけませんけれども、先生の御指摘のように、やはり今日、企業というのは自分勝手に成り立っているものではない、社会的な存在なんだ、その中で社会的な使命を果たしていくということについては最低限の責任を果たしてもらいたい、この身体障害者の雇用率の達成と高年齢者の雇用率の達成については、これは社会的に責任を果たしてもらいたい、いろいろな機会にそのことを私は申し上げて、お願いもしてきているところでございます。今後ともその考え方の上に立ちまして、さっきからお話が出ておりますように、お金を払った方が安く上がるとか、その方がかえってうまくいくんだというようなことで済む話ではないと思いますので、社会的に責任を果たしてもらうという意味で強力に行政指導を進めていくようにいたしたい、このように考えておる次第でございます。
#166
○松浦分科員 よろしくお願いをしておきたいと思います。
 それからもう一つ、これはお願いでありますけれども、いまの身体障害者の皆さんの公共機関による職業訓練のコースを見ますと、極端に言いますと時代の趨勢に非常におくれておる。たとえば時計の修理工だとかあるいは印刷とか、要するに手作業が中心の職業指導というのが非常に強いわけですね。私は、少なくともこういったことではなくて、やはり時代の趨勢であるコンピューターとかあるいはベルトコンベヤーに伴う作業とか、そういったやはり時代の趨勢に適応した、しかも身障者に対応できる職業訓練というものも、もっとあっていいのではないか。ですから、そういった発想の転換、そういうことも、この際労働行政の中で積極的に促進してもらいたい。そのことを、これは要望でありますけれども、お願いをいたしたいと思うのでありますが、政府の方からの御答弁をお願いいたしたいと思います。
#167
○関(英)政府委員 確かに先生御指摘のように、従来設けられておりました身体障害者職業訓練校におきましては、在来的な職種が多かったわけでございます。職業訓練といいますものは非常に急速度に変えるということがむずかしい、いわば学校の一つでございますのでなかなか小回りがききませんで、そういった御指摘を従来からいただいておりますが、私どももできる限り、御指摘のありましたような近代的な職種を身体障害者の職業訓練にも導入していきたいということで努力をいたしております。
 最近、昨年の秋オープンいたしました所沢の国立総合リハにおきましては、厚生省と一体になって、労働省もその中に職業訓練部門を設置いたしましたけれども、そこでは、たとえば電子、電気あるいはコンピューター等に関する訓練部門、そういったようなもの、あるいはタイプとかミシン縫製、そういったような部門、金属加工、精密加工、精密機械、木工等に関する部門、そういったようなものをできるだけ取り入れてやっております。そういった所沢の経験も生かしながら、今後そういった新しい職種の訓練ということにさらに努力を続けていきたいと思います。
#168
○松浦分科員 いま言われたのはモデルケースとして行われておると思うのですが、ぜひやはり全国的に各県に対しまして、そういった職業訓練のあり方について早急に指導をしていただきたいし、そのための助成も行っていただきたいということもあわせお願いいたしたいと思います。大臣どうでしょう。
#169
○藤波国務大臣 御趣旨に沿ってあらゆる努力をしていきたいと思います。
#170
○松浦分科員 ありがとうございました。
 それから次の問題は、これも雇用保険法が改正になりまして、実は雇用保険法第二十九条第二項の基準にかかわる部分について、具体的にあった例の中から、非常に特異なケースではない、ごく一般的なものだと思いますから、労働省当局の御見解を承っておきたいのです。
 御承知のように、雇用保険法第二十三条に、個別給付の延長の仕組みが法制化されております。ですから、職業安定所長が判定をすれば給付の延長が可能なのでありますけれども、たまたま私が経験をした内容というのは、職業安定所に出頭すべき日を思い違いをして記憶をしたという事例なんです。この個別給付の延長というのは主として中高年齢者が対象になるわけですけれども、これは労働大臣、皆さんまだお若いですからそういう御経験はないかもしれませんけれども、ある一定の年齢に達しますと、はがきが来たときに、ぱっとそのはがきを見た瞬間に思い違いをするわけですね。出頭する日にちを間違うわけですよ。ですから、出頭するときに、大体出頭日が来たなというのでそのはがきでも出して見れば気がつくのでしょうが、もう記憶してしまいますと、がんこなまでにその記憶を変更しないのですね。思い込んでしまう。たまたま出頭してみたら、あなたは出頭される日に出頭しなかったので、個別給付延長はできませんと言って断られるのですね。いろいろ議論をします。それぞれの末端の行政に立っておられる方も、どうかやって救済しようという努力はなさるのですね。ところが、そういうケースについて、この雇用保険法第二十九条第二項の通達基準というのが適合する分野がないのです。要するに、出頭日を間違ったものはだめなんですね、これは。記憶違おうが違うまいが、本人が悪いということで一笑に付されてしまう。
 これは私のただ単なる意見かもしれませんが、中高年齢者の人は、給付を受ける以外にもう所得がない人が多いわけですよ。その人が意識的に日にちを間違うということはないと思うのです。ですから、少なくとも高齢者に対しては、そういうふうに記憶違いが判定できたというふうに想定する場合には、特別の措置というのがされていいのじゃないか。せっかくある、法改正をして個別給付延長ということまで法案の整備を受けながら、ただ一片のこの労働省の通達が末端の判断を規制してしまう。確かに一つの基準が必要でありますから、一定の基準を示すことは必要です。しかし、この基準があるがゆえにそういったものまでも葬り去られるというのは、私は法改正の趣旨ではなかったような気がするわけです。これはいまの状態では救済できないという末端の御意見が正しいような気が私はいたしますが、結局、そういう皆さんはいただけないのです。給付の延長がないまま終わっております。これをどうかやって救済しなければならぬと思うのですね、法の趣旨からいって。どういうふうにするのが一番いいのか、そのことをお教えいただくと同時に、いまあるこの法体系の中でそういうのはどういう方法で救済できるのか、お教えいただきたいと思いますし、もしなければ、救済の措置としてどういう方法があるのか、そういう問題についてもお示しいただきたいと思うのです。
#171
○守屋説明員 先生もこの制度の趣旨は大体御承知だと思いますので、時間の関係もありますから余り細かいことは申し上げませんが、要は、この個別延長給付を受けられる方は、本来の所定給付日数を超えてさらに給付をしなければ就職ができない、またそれとうらはらに、特に誠実かつ熱心な求職者であるという前提もあると思います。
    〔主査退席、津島主査代理着席〕
 いま御指摘の点、まさにそのとおりの運用をしております。といいますのは、日本全国で年間、この雇用保険の給付を受けられる方は約百五十万ぐらいいらっしゃいますし、こういう方々について、先生のおっしゃる気持ちはよくわかるのでありますが、ただ思い違いとかなんとかで一々基準をころころ変えていくということはやはりできないわけでございまして、どこかに一律の線を引かざるを得ない。そうなりますと、特にこの失業認定のための出頭日が指定された場合、これは四週に一回でありまして、これを外れた場合には保険金はもらえませんよということは、冒頭に十分、私どもはPRしております。さらに、いま御指摘の点は、多分その前に、延長給付をあなたはしましょう、該当しますからしますが、しかし、認定日にはちゃんと来なさいよということをさらに念を押した上で来られていないケースだろうというように私は判断せざるを得ないと思います。私どもは、これは念入りに本人には通知しておりますので、それをなおかつ出てこなかったのはたまたま記憶違いであったという話になりますと、これはいま言いました四週に一回の出頭日の規定が全部記憶違いで崩れてしまうというおそれもございまして、対象人員が非常に多い関係上、どうしてもこれはある一カ所に基準を引いて一律処理をせざるを得ないという点も十分御理解いただきたいと思います。
#172
○松浦分科員 あなたは若いからですよ。あなたも必ず思い違いをすることがあるんです。
 いま中高年齢者の失業問題というのは社会的な問題――私は若い人の出頭日の変更とかなんとか言っておるのではないのです。中高年齢者の皆さん方のそういう思い違いについて、職安所長なりあるいはその他が、思い違いだったということが本当に判定できるような条件にあったときには認めてあげたらどうだろうか。何も軒並みやれと言っているのではないのです。記憶違いというのはあるのです。あなただって必ずあるんだ。聞いてみたら、これは医学的にもあるんだそうです。だから、がんこになってしまうんです。あなた違うんだよと言っても、お年寄りになったら、いやこれが正しいと言い出すのです、老化現象というもので。そういう人たちに対してまで、あなたが言ったような若い人が――あなたはきわめて明快にすぱっと竹を割ったように答弁をなさったけれども、年をとった者はそんなに簡単にいかないんです。そのために、せっかくの個別給付の延長というのがその人には生かされないという事態がある。ですから、そういう人たちを救済をする方法を何らかの方法で、本当に年齢からくる思い違いだったということが理解できるような状態があったときぐらいは認めてやっていいんじゃないでしょうか。あなただって必ずそういう時代が来ますよ。あなたは年をとらぬという保証はないんだからね。
#173
○守屋説明員 局長が答えます前にちょっと一言だけ申し上げますが、私も大臣と同じ年の中高年に入うておりまして、いま私が、認定日の思い違いがなぜだめかと申し上げておりますのは、これは単に先生は、ごくごくわずかな人間でごく一部分の話だろうというふうに御理解されるかもわかりませんが、これはいま言いました百五十万、対象すべての話に、思い違いは若くても年をとっておってもいかなる場合でも出るわけでございまして、中高年だけの思い違いという理屈も非常にむずかしい問題でございます。これは実際の業務取り扱いとしましては、もうほとんど不可能に近い話でございますが、局長から最後にお答えいたします。
#174
○関(英)政府委員 雇用保険制度という求職者に対しましてその生活安定のために支給している給付金制度、それは特に就職困難で、かつまた熱心な求職者に対して個別に着目して延長する制度でございます。ですから、その制度の趣旨に沿って、できるだけ画一的でなく弾力的に運用することも必要だろうと思いますが、ただ、ただいま先生がお取り上げになりました単なる思い違いだけでそれを全部救済していくかどうかということになりますと、課長の答弁にもありましたように、非常に影響も大きく問題も多かろうと思います。
 ただ、この制度は就職困難で、しかも非常に熱心な求職者に個別に着目して支給する制度でございますから、その人の求職活動の状況とか日ごろの求職態度、そういったようなものも総合的に勘案しながら余り画一的、弾力的でない運営でなく、実態に合った運営をするように心がけねばならないと思いますし、そういう意味で十分検討してまいりたいと思います。
#175
○松浦分科員 どうもわかったようなわからぬようなあれですけれども、しかしいま局長が言われたようにケース、ケースとして――全部じゃないですから、そういう思い違いをしそうな年齢というのは医学的にもあるわけですよ、脳細胞がだんだん減っていくわけだから。だから、そういう意味の理解は、局長はいま弾力的と言われましたから、ぜひ研究、御協力をいただきたいというふうに思います。
 それから、これは最後になりましたが、実はこれは前もってお願いをしておりませんでして急遽加えていただいたのですが、例の農家の労災事故の特別加入の問題です。これは御承知のように、農林水産省が別個にそういう制度をつくるということは現実的に不可能だ、そういう結論がほぼ出されておるやにお聞きをするわけですけれども、そうなってまいりますと、特別加入枠の拡大、適用範囲の拡大、こういったものについてはある程度やはり御考慮いただかなきゃならぬような情勢になってきておるんじゃないだろうか、特別加入を一遍認めておりますから。
 そういった意味では、これからの大きな政治課題として、農林水産省との間に、ぜひこの農家の皆さんの労災特別加入の拡大の問題について、両省ですり合わせ、御議論をいただくようにお願いいたしたいと思うのですが、すでに要望その他は労働省に出されておると思いますので、御配慮いただけるかどうか、そのことだけ御答弁いただきまして、時間が参りましたから終わらせていただきます。
#176
○藤波国務大臣 農業関係の方々から先般来もいろいろ御要望、御意見は承っているところでございます。先生御理解いただいておりますように、基本的にはやはり労災保険制度は雇用労働者の業務上の災害を中心にして考えておるものでございますので、農家にそれを適用していくということについては、相当無理をして特例を組んで、そして農業機械を特別に指定をして、その機械で起こった事故に関して適用していくというような形をとっているわけでございます。
 この間も、労働省もいろいろ相談しなければいかぬけれども、農林水産省の方もしりをもっとたたきませんかと少し無責任なぐらいに申し上げてみて、農林水産省もよく話し合ってくださいというお願いをしたわけでありますが、それは私どもも十分農林水産省と話をしたい、それには農林水産省ももっとそのつもりになってもらわなければ困るというような意味で申し上げたわけでございます。しかし、起こる事故の実態などは、私ども想像しても、あるいは実際に見聞しておることからしても、非常にお気の毒ないろいろな例もたくさんにあるわけでございますので、先生御指摘のように、さらに農林水産省とよく話し合って、実態に即して、何かいい仕組み、いい方法がないかということについて前向きに検討を進めてまいりたい、このように考えております。
#177
○松浦分科員 ありがとうございました。
 終わります。
#178
○津島主査代理 これにて松浦利尚君の質疑は終了いたしました。
 次に、野間友一君。
#179
○野間分科員 銀行におけるサービス労働、これらに関係して幾つかお聞きをしたいと思います。
 銀行というところは一見して大変きれいな職場で、しかも近代的、合理的な職場であるというイメージを一般に持つわけであります。しかしながら、これから質問いたしますけれども、その労働者の労働の実態を見てみますと、まさに労働法に違反して無法がまかり通る、こういう実態の職場があります。そこで、それらの点について、労働省の見解なり是正の措置あるいは調査、これらについて少しお聞きをしていきたいと思います。
 まず最初に、労働大臣に一般的な姿勢についてお聞かせを願いたいと思いますけれども、おおよそ労働者の「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。」また、労働基準法の定める「労働条件の基準は最低のものである」と労働基準法の一条にございますけれども、この点についての労働大臣の御所見あるいは認識をお伺いしたいと思います。
#180
○藤波国務大臣 具体的には労使がよく話し合って、どのような労働の条件で働いていくかということを取り決めて、労使それぞれの立場の責任を果たしていくということであろうと思うのでありますが、いろいろな業態あるいはいろいろなそのときそのときの状態によりましていろいろな無理が出てくることもあり得るわけでありまして、できる限りそういった法律違反等の状態にならないように日常から業界に対していろいろな指導もしてきておるところでございますけれども、そういった事例があれば、これは当然労働基準監督行政の立場で指導していくようにしなければいかぬ、このように考えておるところでございます。
#181
○野間分科員 労働時間について労働基準法のたてまえは、使用者は労働者に基準法の三十三条あるいは三十六条、これを除きまして、休憩時間を除いて一日について八時間、これを超えて働かせますと六カ月以下の懲役または五千円以下の罰金、こういう処罰の規定があります。
 それからさらに三六協定ですね、法三十六条、この場合でも所定の割り増し賃金、これは二割五分以上の率で計算となっておりますけれども、これを支払われない場合には同じく処罰の対象になる、これが法のたてまえだと私は思いますけれども、いかがでしょう。
#182
○岡部説明員 先生ただいまお述べになりましたように、一日八時間労働が労働基準法上原則として定められておりまして、それを超えます労働につきましては三十六条によります協定がなければこれを行わせてはならない。これらは罰則つきの規定でございます。
#183
○野間分科員 そこで、少し具体的に入るわけですけれども、一般的には銀行におきまして経営者あるいは役職の方が公式に全店を臨店するというケースが非常に多いわけであります。日程を定めまして全行員を対象にしまして出頭しなさいというふうに命じる、こういうケースであります。この場合に、時間外に行員を集めるということはとりもなおさず時間外労働、したがいまして所定の割り増し賃金を払わなければならぬ。これは当然だと思いますけれども、この点の認識は間違いないと思いますが……。
#184
○岡部説明員 たとえそれが通常定められております始業時間前にそのような業務が命じられたといたしましても、これはいわゆる残業の一部を形成するわけでございます。
#185
○野間分科員 終業時間後でも同じですね。
#186
○岡部説明員 そのとおりでございます。
#187
○野間分科員 この場合でも、もし支払わない場合には基準法百十八条の二ですか、これによって六カ月以下の懲役ないしは十万円以下の罰金、こういう処罰規定がありますね。
#188
○岡部説明員 そういうことでございますが、ただ、この際明確にしたいと思いますのは、いわゆる所定労働時間と申しますのは企業によってまちまちでございまして、たとえば銀行などにおきましては、いわゆる法律の八時間を割りまして七時間でありますとか七時間半とか、それぞれの社によりまして所定労働時間というものが異なっております。その所定労働時間を単純に超えたからといって、それはいわゆる基準法上の罰則の対象となる残業ということになるのではございませんで、それが八時間を超えました段階でなる。先生その辺は御承知のとおりと存じます。
#189
○野間分科員 そのとおりですね。
 ところで、和歌山に興紀相互銀行、こういう銀行があります。ここで年に数回ですけれども業務部長が臨店をする。早朝に出勤させたり、あるいは労働時間終了後に、時間外労働として集めて訓示したり、会議をするわけでありますけれども、この場合に割り増し賃金がほとんど払われていない。こういう事態は明らかに労働基準法違反ではないか、こういうように思いますけれども、この点の認識はどうですか。
#190
○岡部説明員 もしそれが労働基準法に規定いたします一日八時間を超えて行われた部分につきまして、法に規定する二割五分以上の割り増し賃金が支払われていないといたしますならば、それは違法ということになろうかと思います。
#191
○野間分科員 すでに労働省に幾つかの資料のコピーをお渡ししておりますので、ごらんいただいておると思いますけれども、たとえば五十四年二月一日付の業知第四十七号あるいは八月二日付の業知第四十一号、こういう資料を見ますと、これは業務部長から各店長あてのものでありますけれども、この最後の業務部長の臨店日程、これを見ましても、ここでは八時四十五分始業なんですけれども、八時に集合、あるいは午後四時四十五分終了ですけれども、十七時集合と、幾つかこういうのが文字であらわされております。しかし、ほとんどこれが払われていない、こういう実態であります。先ほどこれらについて基準法違反、当然払わなければならぬという話がありましたけれども、これは一つの例で、なかなかこれがわからないわけです。わからないと申しますのは、実態がなかなかつかめない。残業が常態で、しかもサービスをするのは当然だというようないわゆる経営者のそういうやり方の中で、こういうのがほとんど払われないままに終始しておるというのが実態であります。これは一つの例であります。
 さらにひどいのは、これまたコピーをすでにお渡ししておりますけれども、ここの場合には所定時間外に働かせる場合に所定時間外勤務カードというものをつくっておるわけですね。これはどこでもつくるわけであります。ここでは一カ月単位になっておるわけですね。お持ちでしょう。五十四年の七月と八月、この二つの各二枚ずつ四枚のコピーをお渡ししているわけでありますけれども、これはどういうことかといいますと、これはある支店の内勤の女子の行員の場合でありますけれども、まず五十四年の七月を見てみますと、五十四年七月九日から三十一日まで幾つか残業しております。時間外勤務命令内容、そして時間外勤務と、こういうのがありますけれども、ここでは十八時間二十分残業しておるわけですね。そしてこれを月末に――これは後で言いますけれども、月末に支店長にこれを提出する。ところが、ここでは一人一カ月十時間という一つの残業時間割り増し賃金支払いのノルマというか目標があるわけです。したがって、これは多過ぎるから書き直しなさいということで、同じ五十四年の七月の三十日と三十一日、わずか二日に限定して書き直しを命じておる。その結果、実に働いたのは十八時間二十分でありますけれども、書き直しの後は四時間に訂正をさせられて、そしてこれだけの残業手当が払われただけだ、こういうことになっておるわけです。こういうのは一体どうお考えでしょうか。
#192
○岡部説明員 残業に対しましては割り増し賃金が支払われなければならないのは当然のことでございます。ちょうだいしております資料のその二枚のカードがそれぞれそういうふうに強制的に書き改めさせられたというふうなことがもし事実でございますと、これは法律上の問題が生じようかと思いますが、しかしながらこの辺の事実認定ということにつきましては、これは調べてみたいというふうに考えております。
#193
○野間分科員 同じ五十四年の八月分も、これはまずコピーをお出しした上の方のカードを見ていただいたらいいわけですけれども、これも十五時間三十五分になっておりますね。ところが、正規の銀行が承認をした印鑑の押した同じ月のものになりますと、これは下になりますけれども、時間外勤務が八時間、内訳がこう区分がありますけれども、こういうふうになっておるわけです。これまた大変なことですね。つまり、この七月と八月とを見ましても月末、七月は三十、三十一日、それから八月度は十三日、ちょうどお盆ですね、それから三十、三十一日、つまり常態は約束された勤務時間内で消化をして、月末とかお盆とか特別の場合に限って残業しておるような、こういうかっこうが書面上銀行の中では残っておるわけですね。恐らくこういうのは、いまも言われましたけれども、職制が書き直しを命じて、しかも事実働いた分に見合うものを払わない、カットして払っておる。だから八月度を見ましても、先ほど言いましたように十五時間三十五分働かせて八時間分しか払っていない、こういうことであります。これが事実であれば労働基準法違反というふうにいま答弁がありましたけれども、これはまさに当然処罰の対象にもなり得る。割り増し賃金の請求の対象にもなるし、処罰の対象にもなる、事実ならそうなりますね。
#194
○岡部説明員 法律の規定からはそういうことでございます。ただ本件は、私どももこの資料をちょうだいいたしまして若干現地に照会をしてみたわけでございますが、これにつきまして労働基準監督署に対する申告があるかどうかということを実は調べてみたわけでございます。しかしながら、これにつきましての労働者本人からの申告というものがないわけでございまして、この辺の事実の認定ということにつきまして若干私ども手間取っているという状況でございます。
 それからなお、ちょうだいしました資料の中で、この銀行における部内通達があるようでございますが、これは適正に時間外手当を支給するのは当然であり、留意されたいというふうなことで各営業店あてに通牒がなされているようでございますが、その辺も一つの資料として私ども拝見いたしておりますが、それを含めまして、それの実際の運用ということで先生いまお話がございましたので、その辺もあわせて見てみたいと考えております。
#195
○野間分科員 このカード、これは一カ月単位にこういうカードをつくっておるわけですね。たてまえはいまあなたが言ったように、なるほど時間外労働した場合にはきっちりそれに見合うものを払えということを言うわけです。これは前々から言っているわけです。ところが、それが改まっていないわけです。
 ここのカードを見ましても、たとえば「注」のところを見ますと、「時間外勤務を命ずる場合には、命令者が時間外勤務命令内容欄に記入押印のこと」そして「時間外勤務をした者は、翌日速やかに検印を受けること」こういうふうにあるわけですね。ところが差し上げたコピーの中で、たとえば二枚の方の上にコピーしたもの、これをごらんになったらわかりますけれども、ずっとこの命令内容は、全部一つ一つが、一日一日が、命令をして印鑑を押すという仕組みになりながら、こんなものは絵にかいたもちというだけの話で、全くこういうものはなされていない。支店長や役席がこのカードを持ちまして、月末になりましたらこれをさっと渡して書かせていく。そしてそれを十時間のノルマの範囲内で全部調整してカットしていくという実態なんです。残業というのは、常態の労働では間に合わない緊急の事態が生じた場合に、個々の労働者に対して、きょう何時から何時まで残業しなさいということを命令する。それに即して残業する。こういう一日一日の記録が当然なんです。ところがこれがなされていない。ここに労務管理と申しますか、経営者のこれらの掌握の実態の全くでたらめな態度が出てきていると思うのです。したがいまして、たてまえはたてまえとして実態はこうでありますから−−これは女子の行員ですね、全部そうなんです。全部というかほとんどがそうなんですね。したがって、これはやはり労働行政上大変な問題だと思いますので、一つ一つ毎日毎日だれに何時間勤務を命じたのか、それに対して必ず実態に即してこれを確認していくというふうに指導を改めていかなければ、こういうかっこうではいつまでたってもこれは改善できない、これは当然だと思うのです。先ほど言われましたけれども、もしこの実態を調べた上で、これが一つの労務政策として、これらの真実に即して残業させるということと、それに即してお金を払うというふうな仕組みについても十分な行政指導をする必要がある、そして過去のものについても調べた上で、あなたおっしゃったけれども、この実態がたてまえ、つまり銀行にあるものと実態とがもし違うという場合には、当然これを調査の上で残業手当未払いのものを払わせていく、これは当然だと思いますけれども、いかがですか。
#196
○岡部説明員 私ども基準監督機関は、労働基準法の要件を施行するというのが職務でございます。それで本件につきまして一つぜひ申し上げておかなければなりませんことは、いわゆる法定内超勤と法外超勤の差でございます。その部分で違法な事実があるといたしますと、これは先生御指摘のようにまさしく基準法上の問題でございます。その辺はわれわれ厳正にこれを見ていくつもりでございます。
#197
○野間分科員 見て、違反の事実があれば、その是正措置をとってほしいということです。
 ついでに、いま言いました質問の中で、こういうように労働者の管理上一カ月単位にまとめて月末にこれを渡してずらっと書かす、しかも十時間の範囲内で全部カットしていく、こういうことがまかり通っているわけです。これについての改善、これは当然じゃないでしょうか。
#198
○岡部説明員 これは労務管理の適正化という観点の御指摘で、ございますが、通常でございますと、残業といいますのは毎日毎日そのときの事情で命ぜられるものでございます。したがって、その都度そういう記録が残されるというのが通常あらまほしき姿ではないかというふうに考えております。ただしかし、ある一定期間毎日毎日でなくてもまとめまして書かせる、あるいはまたそれを命じた側の記録と照合して誤りのないことを定めていくというふうなやり方も、それが円滑に行われておればそれなりに法律上別に禁止されていることではございませんから差し支えないと思いますが、しかしいま先生が御指摘のようないろいろな書きかえ等の問題が生じているということでありますと、これは権利義務関係を明確化するという観点からその記録をできるだけ厳密に残すということが望ましいことは申すまでもないところでございます。
#199
○野間分科員 これの調査の方法は大変むずかしいわけですね。私もかなりここで働く労働者からも相談を受けたのですけれども、つまり所定時間外勤務カード、こういう書面は残っている。それに即して割り増し賃金を払っておるわけです。だからそういう残っておる記録を見るだけでは全然その実態は出てこない。これは当然なんですね、カードと払った金額が合うわけですから、
    〔津島主査代理退席、主査着席〕
基本的にはいま申し上げたように、やはり労働者の人事管理、労務管理、これがきっちり行われるということです。ここではまさに時間外労働というのが常態になっていますから、だからこそこういう問題が起こってくるわけです。その日その日確認するのは、これは当然なんですね。言われるように、それは月末でも、まとめてでも、これをきちっと毎日毎日、労働者が何時に来て何時に帰った、あるいは残業をある日は何時間命じた、それが確認できるような仕組みであればいいわけです。だからこの点も含めて、その実態に即して人事管理が行われるように、この点についても改善されるように強く重ねて要求しておきたいと思います。
 同時に、組合の大会の議案書があるわけですけれども、組合でもこの事態について毎年アンケートをとりまして、そしてどういうふうにそれぞれの行員が残業しておるかというアンケートをとっておるわけです。これも見てみますと、ここでは全体通じまして平均残業時間が、男子は四十数時間、女子の場合には約二十時間、こうなっている。これは棒グラフにちゃんと出ているわけですね。つまり銀行側は一人一カ月十時間の一つの政治目標と申しますか割り当てがある。ところが実態は、男子の場合には四十数時間、これも非常に遠慮しておると思います。女子の場合には二十時間、これは常態なんです。私もずっと過去の議案書をひもといてみたんですけれども、全部そういうことになっている。ひどいのになりますと一カ月百数十時間働かしておる。ところが、幾らそれが払われておるかと見てみますと、たとえばある人が五十四年、去年の四月、百二十一時間働いて払った残業時間手当は九時間三十分。五月の場合には百七時間働かせて払ったのは七時間。大変なことなんです。まさに奴隷のような職場なんですね。全くひどいわけです。
 時間の関係でついでにもうまとめて申し上げますけれども、私が調べたいろんなABCD各支店の実態について一つ表をつくっております。これを差し上げますので、これを見ていただいたらひどいということがわかると思うのですけれども、ぜひこれらも踏まえてひとつ調査をしてほしい。たとえば時間外請求カードの管理の問題でも、これは役職者が持っておる。そしてまとめて一カ月に一遍配るとか、ほとんどがそうなっておる。Fという職場は大変組合員の権利意識が強いところで、ここは比較的うまくいっている。あとはもう軒並みそういうことですね。一番ひどいのはやはり役席、代理になりますと金庫のキーを一番最後に閉めなければならぬ。そうすると、外勤は集金して帰ってきて、そして内部の整理をして、その上で、金部整理が済んだ段階で残った代理が金庫のキーをかけて帰るということで、これも全く払われていない、こういうのが実態であります。表をつくっておりますから、こういうものも含めてぜひ調査してほしいとお願いします。いかがですか。
#200
○岡部説明員 これは調べますが、この興紀銀行の場合と、それから和歌山銀行の場合につきまして、労働者の方からの直接の申告ということがないということが一つの問題点でございます。いつだれがどこでということが決まりまして、そこでたとえば犯罪となるような違法状態が確定できるわけでございますが、そういう申告のケースが出てきておりませんので、なかなかこれは把握しにくいという状況でございます。その辺につきまして、もしまた何らかの動きがございましたら、これまたそれをもとにして私どもさらに調査を進めることといたしたいというふうに考えております。
#201
○野間分科員 支店長、各支店の役席が非常に板ばさみなんですね。上からノルマ、枠がありますから枠の中で消化しなければならぬ。ところが、実態はそういうふうな状態で全くない。これは組合アンケートでも明らかに出ているわけですね。したがって、支店長はみずからの裁量でカットする以外にないわけです。ですから、その下で働く行員がなかなか物が言えない。権利意識の非常に強い人はきちっと請求してきちっと取っておるわけです。ところが、大部分の者は取れない。これが実態なんです。これをどうやって行政の上で生かしていくか、これが労働省の一つの労働行政の手腕であり、一つの技術だと思うわけであります。困難ではありますけれども、ぜひこれも調査願いたいと思います。これが興紀相互銀行の場合であります。
 ついでに言いますと、残業した理由についても、資料を後でお見せしますけれども、残務整理やあるいは報告書の作成、これは内勤ですね。外交の場合、これは推進といいますけれども、得意先訪問、入金事務、資料の作成、記帳あるいは報告書の作成、これが常態になっているわけですね。これが興紀相互銀行であります。
 さらに、同じ程度の規模のもので和歌山相互銀行というのがあるわけですね。これもすでにコピーした資料をお渡ししておりますけれども、ここでも一カ月一人当たり十時間がめどだと、これはガイドラインをつくっておるわけですね。しかし、書面によりますと、これは単なるガイドラインだからというふうにきれいごとを言っているわけです。ところが、同じこの文書の中でも、もし予算を超過する場合、そういう場合には事前に稟議書を申請しなさい、あるいは時間外の管理報告書をつくりなさい。これは二カ月平均一人当たり十時間を超えた場合には時間外管理報告書をつくれとか、あるいは直らない場合には時間外短縮計画書をつくりなさいとか、いろいろな枠をはめておるわけですね、この用紙もありますけれども。ですから、各店の職制特に支店長は大変苦労するわけです。こういうものをきちっと書いて出すということになりますと、これは勤務の評価に影響してくるわけですから、これまたどうしてもその枠の中で処理しなければならぬ。むしろ興紀相互銀行よりも和歌山相互銀行がひどい。これも和歌山相互銀行の一覧表をつくっておりますから、これをごらんいただいたらおわかりいただけると思うのですけれども、こういうものであります。この和歌山相互銀行と興紀相互銀行というのは大体同じぐらいな規模で競争しておるというような点もあるわけでありますけれども、こういう実態を踏まえてぜひ和歌山相互銀行についても調査していただきたい。いかがですか。
#202
○吉本(実)政府委員 先ほどの興紀銀行、また今度いまお話のございました和歌山相互銀行につきまして、特に和歌山相互銀行につきましては過去にも申告がございまして、いろいろ監督署も調査し、また臨検も行ったところでございますが、その限りでは法違反は確認できなかった経緯もございますが、具体的な問題のある事由があれば、その事実関係をひとつ調査しまして、もし法違反が確認されれば是正するというふうにしてまいりたいと思います。
#203
○野間分科員 その場合には、差し上げますから表をぜひごらんいただいて、こういう実態についてひとつ調査いただきたい。もう一遍お答えください。
#204
○吉本(実)政府委員 資料を参考にさせていただきたいと思います。
#205
○野間分科員 もう時間がなくなりましたので、最後に一問お聞きしたいわけですけれども、こういう事態がなぜ起こるのか、この基本が問題なんですね。これは大蔵省の方でも、たとえば過当競争、預金の獲得競争ですね。非常に競争が激しくて、そのために一人当たりのノルマが大変に過大になっているわけですね。ですから、いまこの二つの銀行の中でも、目標、ノルマを消化しようと思ったら残業なしにこれはできない。これは先ほど指摘申し上げた組合の議案書の中のアンケートでも明らかになったわけですね。銀行の方では、局長通達か何かでこれらの過当競争あるいは預金のそういうむちゃくちゃな競争をやめなさいというような通達を出しているのですが、これが改まっていないというのが率直ないまの実態なんですね。
 そこで、最後にお聞きしたいのは、大蔵省に対して、こういうような通達が――そのまま通達に従って銀行業務がやられていない、これらについて是正をぜひお願いしたいということと、最後にまとめて労働大臣の方から、こういう実態を踏まえて、先ほど事務当局の方から答弁もありましたけれども、調査した上で早急にこれらの是正をぜひお願いしたいということで、ひとつ答弁を求めて質問を終えたいと思います。
#206
○藤波国務大臣 銀行その他の金融機関につきましては、いま先生から御指摘のありましたような事例は非常にあるという話があって、ちょっと古いことになりますけれども、昭和五十一年に労働省に全国銀行協会を初め六団体の代表の方に来てもらって、金融機関の場合に非常にこういう事例が多いが、長時間労働その他法に照らして違反するようなことのないように、これはさっきからいろいろ調べてもなかなかわからないだろうというようなお話もありましたけれども、それはやはり基本的に労働条件を大事にしていくという姿勢がなければいかぬわけでありますから、そういったことについては警告を発し、指導してきておるところでございます。業界の過当な競争のようなものがそういうふうなところへ追い込んでいるような事例もあるのではないか。やはり心配でございますので、引き続いて業界に対しても適切に指導していきたいと思いますが、同時に大蔵省ともよく相談をいたしまして、連絡をとり合って、そういった事態の起こらないように労働省としてできる限りの努力をしていくようにいたしたい、このように考えております。
#207
○小田原説明員 私ども大蔵省当局といたしましては、相互銀行法に基づきまして金融行政の監督をしている立場でございます。したがいまして、ただいま話題になりました労働基準法の関係は労働省の直接の御所管でございますが、先ほども先生おっしゃいましたように、その背景に、金融機関の過剰な預金獲得競争とか、そういうことからではないかという御趣旨の御発言でございましたが、そこらの点につきましては、〇〇周年記念運動、預金獲得運動とか、そういうことは自粛するようにとかねてから銀行局長通達を出し、また検査等の機会をとらえましてもそれを指導いたしておりまして、ただいまの先生の御発言の御趣旨もよく踏まえまして、今後とも適正な金融行政を進めてまいりたい、このように思います。
#208
○野間分科員 終わります。
#209
○橋本主査 これにて野間友一君の質疑は終了いたしました。
 次に、新盛辰雄君。
#210
○新盛分科員 まず春闘について、その展望と、またこれから政府がこれに介入するしないの問題ではないのでありますが、労働大臣の見解をお聞きしておきたいと思います。
 すでに物価抑制を柱として八〇年春闘という名の労働四団体の要求基準も賃金八%を最低にして一二%強、大体出そろった感がするわけであります。そうした中で最近の物価高は御承知のように昨年対比でも七・六%、さらに電力、ガス、各種公共料金の値上げ等が続くであろうと予想されております。こういう中で賃金要求をしている側の労働団体も、やがては四月の中旬。ころに恐らく政府あるいは各経営者に対する要求を集中的に行うということになるのではないかと想定されます。その際に、物価上昇に対する賃金の引き上げの率、ここでは額はそれぞれ違いがありますから申し上げませんが、一応ガイドライン的なものを考えておられるのか、あるいは場合によっては政労交渉というトップ交渉の段階を迎える場面も想定されるのか、労働大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
 さらに、この賃上げ要求結果のいかんによっては、物価がそれ以上にはね上がった場合に、第二春闘の山場という、秋における物価上昇に加味された賃金要求という問題が出るということもいろいろ聞かされているわけでありますが、そうしたことに対する政府、また特に労働大臣の考えをまず聞かしていただきたいと思います。
#211
○藤波国務大臣 あくまでも春闘がどのような形で進められていくのか、どういう形になるのか、労使の非常に広い国民経済的な視野で良識的に話し合われることを期待申し上げておるわけでありまして、政府としてこれに干渉をいたしましたり、あるいは特に指導的な立場で発言をするということは差し控えさせていただきたいと思いますが、ことしの春闘を目指しましてそれぞれナショナルセンター、いろいろな検討が進められてまいりまして、八%という、表現は若干の差はありますけれども、数字で横並びに大体出そろったということにつきましては、非常に深く広いいろいろな御検討の結果、これもなかなか表現を私が申し上げるのはむずかしゅうございますけれども、非常にお互いに自制し合った形で要求を出しているんだという労働側の御意見につきましては、私どもも高く評価をしておるわけでございます。ただ、それが高いか安いかは別といたしまして、非常にそういった検討が進められてきたということについての評価をさせていただきたいと思うわけであります。
 問題は、やはり御指摘のように物価が上がっていくということが一番問題でございまして、そこで、政府といたしましてもいろいろな手だてを講じて物価を抑え込むという努力をいたしてきておるところでございますが、何分にも石油が一年間で約二倍に上がるといったような国際的な要因もはらんでの話でございますので、その中でできるだけの手を打っていくということで、たとえば物価の安定について経済企画庁と精力的に話を進めるとか、あるいは特に野菜の価格が高騰しておるというような事態でございますので農林水産省に対して強く要請をするとか、あるいは公共料金一連の値上げ問題等につきましてもできる限り抑制する立場で政府全体の意思を統一していくということについて、労働省から強く働きかけをして今日に至っておるわけでございます。したがいまして、今後ともなお物価の抑制を最も大事な今日の政治課題と心得まして努力をして、その中で労使ができる限り広い視野からそれぞれの立場を十分自覚をしていただいて話し合いが進められるように心から期待をいたしておるところでございます。
#212
○新盛分科員 物価抑制を主体として政府の考えを承ったわけでありますが、今度の予算修正の中で最たる問題として物価対策五百億という措置が決まろうとしておるわけですけれども、この問題も実は賃金と無関係でないわけですね。聞くところによりますと、何に使ったらいいだろうか、野菜その他諸物価が上がっているわけですから、どういう使い方をすると五百億が完全に消化されるのか、逆の面から言えば賃金の面に多少なり影響をさせることもある意味では考えられないこともないわけです。しかし、これはあくまでも物価問題でありますから、そうした面の努力をぜひひとつお願いをしますが、どうしてもいまのような状況でいきますと物価はとどまるところを知らないだろう。抑えようにも、賃金が仮に八%から一二%の間で、そこまで行くかどうかわかりませんけれども、仮に妥結をされたとしても、物価の方が八%を超えたということになれば焼け石に水、春闘の効果は上がらなかったというので秋に第二の春闘という形が生まれることも必定であります。そういうことにならないようにしなければなりませんが、この物価抑制というのがこれからの労働政策の面でも大変重きを置くのではないかと思いますので、この第二春闘、二段構え春闘といいますか、こういうことにならないように、やはり最終段階では賃金を引き上げるということに重きを置く政労交渉というのは当然起こってくるのではないかと思うのです。それに対して大臣はどう考えておられますか。
#213
○藤波国務大臣 今後どういうふうな動きになってまいりますか、動きを見ながら対応しなければいかぬ、こういうふうに考えておるところでございますが、やはり今日の物価を抑制していくということにつきましては今日の日本の最も大きな課題だというふうな立場に立って考えますときに、やはりみんながそれぞれの立場でそのことに取り組むという姿勢が大事だろうと思うのです。そういう意味で産労懇を中心にいたしまして、政府も物価対策に取り組む、産業界も便乗値上げなどのないようにあらゆる経営努力をしてもらう、同時に労働界におかれましても広い国民経済的な立場でこの賃金要求に臨むという、それぞれの立場に立った一つの空気をつくっていこうということで、産労懇でいろいろ御議論もいただき、小委員会も回を重ねましてこの十日にはさらに産労懇の総会を開きまして、そこで物価抑制に対する一つのアピールを出していこうというようなことで、政労使それぞれの立場で協議を重ねてきておる次第でございますので、そういったことを中心にいたしまして今後のいろいろな動きを見ながら労働省としては対応していくようにいたしたい、こう考えておりまして、春闘をどういうふうに持っていくつもりであるかといったようなことにつきましては、具体的に意見を申し上げることを控えさせていただく、このことを御理解いただきたいと思います。
#214
○新盛分科員 そうした状況を踏まえて、いま当面している課題は何といっても雇用問題であります。この雇用関係で緊急失業対策法が二十四年にできまして以来もう三十年過ぎたところでありますが、四十六年の五月には中高年齢失業者に対する特別措置法等ができました。そしてまた、失対事業法も五十五年度末までに再度見直しを行う、これからの対策について検討する期間に入っているわけであります。なくするのか、あるいはこれからさらに継続をするのか、そうしたことも含めて検討されておられると思うのでありますが、そのことについてお聞かせをいただきたいと思います。
 ちなみに、緊急失業対策法がありますが、それと中高年齢者の失業等に関する特別措置法等もあって、確認の附帯決議が実は四十六年五月になされているわけです。これは衆参両院の社会労働委員会でなされているのですが、この中の「現在失業対策事業に就労している者については、社会保障対策や高年齢者の仕事に関する対策が充実されるまでの間は、同事業に就労し得るよう配慮すること。」「現在失業対策事業に就労している者のうち自立を希望する者に対する就職支度金等の自立援護措置をさらに充実するように努めること。」こうなっておりますが、参議院の方ではそれを裏打ちをしてもらうための内容としてさらにきめ細かく決められております。この条項については再度ここで確認していいかどうか、これもひとつお聞かせをいただきます。
 さらには、五十五年現在、事業体は全国で幾らあるのか。昨年で六百四十六事業体ありました。就労している人員が十万五百人、その後ことしに入って恐らく高齢者で、ございますから、亡くなったり、あるいはもう働けなくなって途中でおやめになっている方々等もあるかと思います。これだけは補充ができないものですから、年々少なくなっているだろう、また、この平均年齢はどれぐらいになっているのか、昨年で六十三・九歳であります。そしてまた、そのうちの女子の率が非常に高いわけでありますが、この面は現在の推移はどうなっているか、お聞かせをいただきたいと思います。
#215
○加藤(孝)政府委員 御指摘がございましたように、失対法によりまして最小限五年以内の時期においてこの失対事業の見直しを行うことになっておるわけでございます。そういう意味におきまして五十五年度が五十年の見直しの五年目の年に当たりまして、制度の検討をお願いすることを予定しておるわけでございます。大体四月末か五月ごろくらいから検討を始めていただきまして、五十五年度、年度内においてはその結論が出されることを期待しておるという状況でございます。
 労働省といたしましては、この研究会に対しまして具体的な意見や方針をもって検討をお願いするということではなく、この制度の見直しにつきまして研究会において十分御検討いただいたその結論を踏まえまして労働省としての方針を決めていく、こういう対応の仕方で臨んでまいりたい、こう考えておるところでございます。その研究結果を受けまして労働省の方針を決めます際に、ただいまお示しの四十六年のそういう附帯決議等につきましても十分その辺を尊重しながら方針を決めてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
 それから、失対事業の現状についてのお話でございますが、現在就労者数は約十万人でございます。事業主体の数についてお尋ねがございましたが、五十四年度におきましては六百四十四事業主体がございます。平均年齢はその後また高まりまして、六十三・六歳ということでございまして、六十五歳以上の方の割合が四八%になっております。また女性の割合が六七・三%、こういう状況でございまして、就労者となられましてからの期間が平均いたしまして二十年六カ月、こんなような状況にございます。
#216
○新盛分科員 いまの失対事業法の見直しを五十五年度末までには何とか結論を出したい、労働省はその上に立ってこれからのこうした中高年齢者、失業者について失対事業法に基づく救済について検討してみたいということでありますが、この附帯決議等をも十分に加味してということですが、これは衆参両議院でもって決められたことでありますし、この効力は今後さらに継続するのかしないのかということに対して、いまの環境は非常に高齢化社会でありますから、失業者もだんだん救済はされつつありますが、雇用の創出その他労働政策の一環として失業対策事業は今後も継続をされるであろう、そうなければならないはずだとみんな認識をしておるわけですね。しかし、五十五年度は見直しの時期で、それは継続するかしないかということに対して非常に不安を持っているわけですね。だからこの確認事項は生きている。この確認ができるのかできないのかということを、これは検討の上だとおっしゃいますけれども、今日の客観的な情勢を踏まえたら、当然これは継続を前提にして諸般の事業体の内容、いわゆる賃金の問題や雇用保険の問題その他諸条件について検討を加えていくという前向きの姿勢が実は欲しいのであります。このことについてはどうですか、継続するのかしないのか。
#217
○加藤(孝)政府委員 ただいま申し上げましたように、この失対問題について造詣の深い先生方に検討をお願いいたしまして、その上で労働省としてはそういう附帯決議を十分に尊重しながら、方針を決めていく、こういうことでございますが、当然研究をされる際において、いろいろ御指摘のような現在の雇用失業情勢等全般的な見地からの検討がされるということでございますので、そういったいろいろ御心配の問題についても当然高い見地からいろいろ御検討の上で検討結果が出されていく、こういうふうに考えております。
#218
○新盛分科員 その検討の中身で、いま働いておられる方々は甲と乙の事業主体に分かれているんですね。甲というのは比較的年齢の高い方で、公園の花づくりとかあるいは道路の除草、ある意味では軽労働であって、その働く時間も六時間。乙事業主体におられる方々は道路の整備、舗装、さらにはコンクリートを練るとか、そうしたいわゆる土木事業等に従事するある意味では強いて強い労働といいますか、七時間働いて賃金も違う。こういうふうに分かれているわけです。
 しかし、現実、昨年の予算では六百八十四億、ことしはどれくらいになっているのか、それは後で聞かせていただきたいと思うのですが、そうなりますと、賃金が、私の方で入手したのでは一日一人当たり三千三百八十八円、これは二十二日稼働です。一日当たり大体二百四十五円三十三銭、いまごろ三十三銭というのはないのですが、これをアップするという計算になっています。ところが、最近の物価高、あるいは電気代、ガス代その他恐らく上がるであろう。そうすると、一世帯当たり百円は当然この方々の負担増になるのじゃないか。結果的に見て、物価の圧迫を受けて生活が苦しい。こんな賃金ではどうしようもないじゃないか、賃金アップの手直しを考えるべきだと思うのですが、ことしはもうすでに、五十五年度予算の額として失対事業費に使われているのは幾らになっているかわかりませんが、それから来る賃金アップや何かはそういうふうに計算すると出てくるというんですが、これはいまから、これらの事業体で働いておられる方々の団体がナショナルセンターもございますから賃金要求されると思いますが、この面のアップをお考えになっているのかどうか。物価との対応においてどのように処置をされようとしておるのかお尋ねをしたいと思います。
#219
○加藤(孝)政府委員 失業対策事業の賃金につきましては、同一地域における類似の作業に従事する労働者の賃金を考慮して、かつ失業対策事業賃金審議会の意見を聞いて決める、こういう仕組みに緊急失業対策法でなっているわけでございます。したがいまして、そういう同一地域における類似の作業に従事する労働者の賃金、またそれを審議会の意見を聞いてと、こういうことでございまして、失対賃金が直接物価の動向と連動してどうこうなる、こういうものではないわけでございます。
 五十五年度の失対賃金につきまして、こういう法に基づきますたてまえを踏まえまして、失対賃金審議会の意見もお伺いし、それに基づきまして、屋外労働者職種別賃金調査によります建設業の総合工事業の中で失業対策事業に見合う職種における日雇い労働者の賃金をもとに、これに失対事業就労者の実態、それから作業内容、こういったものを考慮して算出をしたわけでございまして、その結果、予算単価といたしまして、前年度当初に比べて七.八%増の三千三百八十八円、こういうものを決定をしてきておる、こういうことでございます。
#220
○新盛分科員 失対事業費の総額は幾らですか。
#221
○加藤(孝)政府委員 総額は六百九十八億八千二百万円でございます。
#222
○新盛分科員 屋外労働者のいわゆる建設業や日雇い労働者の賃金の横並びの問題もあります。しかし、物価の問題等も考えないで無関係にこの賃金がただ公式的に七・八%だというふうにもうすでに策定されているところに問題がありはしないか。今日の状況では、先ほどから出しておりますように、物価上昇の抑制を図ろうとしてもどうにも防ぎ得ない場合に、これらの賃金の全国平均五十四年度当初三千百四十二円六十七銭が今回三千三百八十八円になったというので、そういうことでもう終わりだというのでは、現に働いておられる方々は仕事に対する意欲も希望もわかないではないか。もともとこういうのは、二十四年段階で仕事がないから失業対策法というのをつくって救済をしたのだが、それがそのままずっと継続されて、いまの段階では老齢化してやめていただくのを待っているのだという仕掛けではよくないのでありまして、労働大臣、これからの問題として、それは取り扱いについては失対審議会その他でおやりになるでしょうが、考え方として、こうした物価等の上昇に伴って賃金のアップあるいはまた予算的な措置――物価対策費五百億という問題は、先ほど申し上げたのはその辺からくるわけでありますが、そういう関連は考えることはできないかどうか。
 時間がありませんので、次に質問をしておきますから、あわせてお答えいただきたい。
 そうした中で、現実にいま老齢化をしていけば、失対事業はやがてなし崩し的になくなるであろう。あと新しく若手労働を雇用の創出としておつくりになる気があるのかないのか、これが第二であります。
 第三に、雇用保険の関係で救済されるこれらの方々について、いまの雇用保険財政計画がどうなっているのか、その保険の実態がどうも不明なのでありますが、今後のこれらの展望についてお聞かせをいただきたいと思うのです。
 それから、いまお働きになっておる老齢化を迎えておられる方々の中には、八十歳を超え九十歳という方も全国的には一、二あると聞いております。これを細かく言うと、それはもうやめてもらわなければいけないということにつながるのかもしれませんが、労働力がまだ提供できるという方々、そういう元気な方もいらっしゃるわけですが、できることならば次の再生産のためにやめて、ひとつまた別に移ろうということにはならないでしょうが、退職金というのがこの方々はないのであります。だから、退職金がないかわりに、何か新しい再就労の道をもし探していただけるならば幾らかの支度金を上げましょうというようなことなどが決められて、実は四十九年でしたか四十五万円でやめなさいということになった経緯があります。この就職支度金あるいは自立援護措置、言葉ではそうでありますが、現実、もう孫の守りでもしようかという方もいらっしゃって、やめるならば百五十万ぐらいの支度金はどうだろうかという話も要求の中に諸団体からも出ているはずです。そのことについてどういうようにお考えになっているのか。これは毎年申し上げることでありますが、検討する、検討するだけで、内容的に前進をしておりません。この面についてひとつお答えをいただきたい。
 以上です。
#223
○加藤(孝)政府委員 まず、物価上昇の中で失対賃金について配慮せよというお話でございますが、失対の賃金については、先ほど申し上げましたように、物価との連動で決まるものではなくて、そういう同一地域の同種の労働者の賃金というようなものとの絡みで決められていく、こういうものであるわけです。また、物価問題につきまして、先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、いま政府を挙げて、また労働省も一生懸命にこの物価の上昇について努力をしておる際でございます。抑制について努力をしておる際でございます。そういう中で、いまここで失対賃金をどうこうということで申し上げるあれではないと思っております。
 また、老後の関係から就職支度金的なものをというお話でございますが、この点につきましては確かに四十六年時点でそういうことがあったわけでございます。今後の制度の全般的な見直しの中で、いろいろ検討が行われるわけでございますが、就労者などからの、あるいはまた事業主体などからもいろいろ実情なり、意見なりを聴取していく、こういう形の中で出されてきた問題、それらを当然検討されていく中で検討されていく問題かと考えております。
 また、今後新しく若い人を失業対策事業に入れていくというような観点につきましては、これは失業対策としまして、こういう失業者を事業に吸収していくという方式につきましては、滞留の問題等々、再就職につながらないいろいろな問題があったわけでございます。そういうようなことのために、法改正等によりまして、事業吸収方式から、現在行われておりますような各種の手当を支給しながら職業指導等を行って常用雇用の普及を図る、こういうふうに切りかえた経緯があるわけでございます。むしろ、今後はそういう方につきましては、中高年雇用開発給付金制度、こういつたようなものを活用し、民間の活力を生かした雇用促進を図っていきたい、こういうふうに考えているわけでございまして、新たに失業対策事業に入れていくということについては考えておらないわけでございます。
 また、日雇い保険の給付の関係での老後保障的なもののお話でございますが、日雇い給付からそういうことを行いますことは、保険制度が失業中の生活保障と再就職の援助を目的とする、こういうようなものでございますので、御指摘のような、新たにそういう日雇い保険的なものから老後保障的なものを考えていくということについてはなじまないもので、そういう面からは考えられない、こういうことで、ございます。
#224
○橋本主査 時間が参りましたので、締めくくってください、新盛さん。
#225
○新盛分科員 大臣から答えてください。
#226
○藤波国務大臣 いま失対部長からそれぞれお答えを申し上げたところでございますが、従来の失対事業としてずっとたどってまいりましたいろいろな経緯、失対事業を構えていく精神等がございまして、いま答弁をいたしております失対部長の内容を聞いておりまして、先生の御指摘には何か一つも報いられないような形の答弁ばかりで大変申しわけないと思うのでありますが、事業としてそういう形で構えてきております。特に、賃金の問題等につきましては、審議会の意見を聞くといいますけれども、審議会ではやはり物価の動き等を十分頭に置いた議論が闘わされるものと期待をいたしておりますし、その審議会の御意見をとって労働省の方でまた決めていく、こういうことでもございますから、物価の動きなども十分頭に置いた取り組みが必要であるというふうにいま考えておる次第でございまして、御趣旨とせられるところは十分頭に置いて今後取り組ませていただきたい、こう考えておるところでございます。
#227
○新盛分科員 終わります。
#228
○橋本主査 これにて新盛辰雄君の質疑は終了いたしました。
 次に、土井たか子君。
#229
○土井分科員 まず初めに、これは労働省がじきじきに担当していないとおっしゃるかもしれませんが、労働問題に関係する事柄でございますから、確認をするという意味で少しお尋ねを始めたいと思うのですが、いま一夫婦当たり子供の出生数というのはどれくらいになっておりますか。
#230
○高橋(久)政府委員 ちょっと一夫婦当たりの資料が手元にございませんが、出生率を人口千人当たりで見ますと、五十三年の数字は一四・九でございます。この出生率は年々下がってきております。
 なお、既婚女子一人当たりの出生児数は、四十五年の数字でございますと、二・七二人でございます。
#231
○土井分科員 四十五年というと、いまから何年前の指数でございますか。
#232
○高橋(久)政府委員 約十年前でございます。
#233
○土井分科員 実は、私の手元の資料から見てまいりますと、出生率が年々減ってきている顕著な減り方を示しているのは、それよりもはるかに後でございまして、四十九年の石油ショックあたりからこの方、ずいぶん出生率が減ってきているという現象を数字の上では確認することができるのですが、そのように考えてよろしゅうございますね。
#234
○高橋(久)政府委員 出生率が年々減ってきているということは、先生の御指摘のとおりであるというふうに考えております。
#235
○土井分科員 先の見通しというのは神ならぬ身でございますからわかりませんけれども、しかし、いまのような状況が社会的条件として続きます限り、出生率というのは低下するであろうということは一応考えてよいとお思いになりますか、いかがでございますか。
#236
○高橋(久)政府委員 婦人の出生率につきましては、その折々のいろいろな対策がどのように組まれるかということにも依存しているわけでございます。私どもは、現在の働く婦人が子供を生み育てるということにつきまして、条件が十分整いません場合には出生率が低下していくという傾向が先生御指摘のように見られるのではないかというふうに考えております。
#237
○土井分科員 そうすると、ここに数年出生率が低下してきているという現象の中には、働く婦人が十分に子供を出産して働けるという条件が社会的にまだまだ整備されていないということがその理由になってくるということも御確認いただけますね。
#238
○高橋(久)政府委員 現在の状況を見ますと、働く婦人がふえておりますにもかかわらず、婦人が子供を生み育てながら職場でその能力を十分発揮できるという条件が整備されているというふうには私どもも思っておりません。したがいまして、その整備に努めているところでございます。
#239
○土井分科員 きっぱりした御答弁で、その整備にお努めになっている努力たるや多としなければいけないのでございますけれども、しかし、現実はなかなかおっしゃるとおりになっていないことが、実はわれわれにとってはまことに困った悩みの種でもあるわけです。いまもうすでに出生率が落ちてきたことに対して、なぜ落ちたのかということについての理由説明も御意見の中で半ば聞かせていただいておりますが、それ以外にその理由として考えていいようなものはどういうものがあるというふうにお考えになっていらっしゃいますか。
#240
○藤波国務大臣 これは人によって、どうして子供何人にするかという出生率の問題は夫婦によって考え方が違うのだろうと思います。しかし、全体としては、やはり、いま婦人少年局長は、非常に働く婦人の条件が満たされていない、子供を産んでもなかなかうまく育てられないということは非常に大きな理由の一つであろうというふうに御答弁申し上げました。そのことも一つあるだろうと思いますが、まあ一般的に、やはり少なく産んでいい子を育てていこうというごく一般的な心理でそういうことになっているのではないかというふうに思いますけれども、なお人によっては、いろいろな考え方があろうと思いますから、一般的に何か御説明申し上げるのは非常にむずかしい、こういうふうに思います。
#241
○土井分科員 これは社会的に考えると、人口がどういうことになっていくかというのは非常にゆゆしい大きな問題であります。同時に、だからといって国家的立場に立って産めよふやせよといってみたり、または何人に抑えよということ自身は、私は間違っていると思いますから、それぞれ自主的に判断をすべき問題ではありますけれども、しかし夫婦が自主的に判断をする場合に、その自主的判断を阻害しないように社会的条件を整備するというのはこれ自身非常に大切な問題でございますから、これから考えていくと、やはり出生率が低下していっているということは、私はやはりゆゆしい状況だというふうに受けとめて、社会的条件の整備をそれだけ充実させるべく努力をするということは政治に責任として問われているのではないか、このようにまず思いますが、これは大臣、異論ございませんね。
#242
○藤波国務大臣 そういう一面があるということは認めておるところでございます。
#243
○土井分科員 それで、そうなってまいりますと、端的に申し上げまして、女性の場合には夫婦共働きというのが非常にふえていっているわけです、現実に。共働きの中でやはり女性がより働きやすいような条件、それから女性であるがために、いろいろ就労についての機会というのが奪われてはならないという保障、そういう問題もすべて含めまして、形式的な問題じゃなくて実質的な男女平等という問題と、それからもう一つ、先ほど来懸案になっております母性保護ということをどのようにするかということが、いわば大きな目で見た場合に八〇年代のわれわれの課題だと申し上げても過言じゃないと思うのです。労働大臣とされましては、この母性保護ということについて現にどういう点に重点を置いてお考えになるおつもりがおありになりますか。
#244
○藤波国務大臣 先生御指摘のように、八〇年代に労働行政上、いろいろな課題がございますけれども、その中の一つは、御指摘のように婦人が非常にたくさん職業について働くということになってきつつあるという傾向は非常に大きな課題である。これにどのように対応していくかということについては、鋭意婦人少年局でも新しい検討もまた重ねているところでございます。その婦人の労働条件をいろいろ考えてまいりますときに、いま御指摘のように母性保護という立場でいろいろな保護をしていく、あるいはいろいろな対策を講じていくということが非常に大事でございまして、さらにそういった方向での施策を充実をしていくようにしなければいけない、このように考えておるところでございます。
#245
○土井分科員 いろいろそれは教科書めいたことの御答弁は出てくるのですが、現実、働く女性の実態をずっと見てまいりますと、第三次産業、パート、臨時というのがずいぶんふえてきているのですね。このパートタイマーというのが一体最近はどういうふうな傾向にあるかということを御掌握なさっている調査の中身によって、ひとつここで御説明賜りませんか。
#246
○高橋(久)政府委員 最近の女子労働者の動向を見てみますと、フルタイムの常用労働者も増加しておりますけれども、パートタイムの労働者の増加も先生御指摘のように大変著しいわけでございます。
 私どもの調査によりますと、非農林業の週三十五時間未満の女子の労働者、短時間の雇用者を一応パートタイマーというふうに考えて見てみますと、五十三年には二百十五万人となっております。これは雇用者総数の一七・二%を占めておりまして、この比率は年々上がってきているという状況でございます。
 このようなパートタイマーにつきまして従事している産業を見ますと、卸売業、小売業、金融保険業、不動産業、この業種に従事している者が三六・七%、それからサービス業が二八・四%、製造業が二四・七%、このようになっておりまして、これらの産業で全体の約九〇%を占めております。
 こういったパートタイム労働者の増加という現象につきましては、私どもは産業構造の変化に伴いまして第三次産業の就業者がふえている、そういう関係でパートタイム雇用に対する需要が非常にふえているという需要側の要因と同時に、家庭の主婦の方におきましても家庭生活との両立が容易であるというようなことから、こういうパートタイムという雇用形態を希望する者が多いという、そういう供給側の要因とがマッチした結果、このようなパートタイム労働者がふえているというふうに考えるところでございます。
 しかしながら、その労働条件等を見てみますと、種々の問題が指摘されるわけでございまして、これらにつきましては、私ども実態を把握し、適正な労働条件が確保できるように努めてまいりたい、かように考えているところでございます。
#247
○土井分科員 いま御指摘のとおりに、パートタイマーは、その職種によって少し差はあるかもしれませんが、総じて言うならば、不安定雇用というふうに一言で言うことができると思うのですね。母性保護の点においても、不安定雇用であるがゆえにずいぶん損なわれるという半面がまた出てまいります。この不安定雇用というのを安定雇用の方に向けるべくパートタイマーについて御努力をなすっていらっしゃると思いますが、労働大臣、この点の御努力はいかがでございますか。
#248
○藤波国務大臣 最近、特にパートタイマーの労働者がふえてきている、婦人の場合に特に多いという実態にかんがみまして、全国の労働基準監督行政を中心にいたしまして、パートでありましても、いろいろな労働基準法等の法律に照らし合わせて労働者を守るという立場で十分配慮していただくように行政指導を進めてきているところでございますし、特に婦人労働の場合に、母性保護を中心にいたしまして、企業の方でいろいろな配慮をしていただくということについて十分念頭に置いて進めていただくようにいま行政指導をしておる最中でございます。
#249
○高橋(久)政府委員 パートタイマーにつきましては、私どもはパートタイムと申しますのは労働時間が短い労働者であるというふうに考え、ほかの労働条件の点におきましては他の労働者と違うべきものではないというふうに考えておりますが、ただ、わが国の場合には、先生御指摘のように、パートタイム労働者というのが何か身分的に違う労働者であるかのごとく取り扱われがちなところもございますので、この点につきましては、労働法規は適用されているわけでございますから、その法規の十分な遵守ということにつきまして、いま大臣が御説明申し上げたように努力をしているというところでございます。
#250
○土井分科員 その御努力のほどが十分に成果を上げるということになりますと、これはずいぶん状況が違ってくるだろうと思うのですが、なかなかこれうまくいっていないので、労働基準法から見ましてフルタイマーでもなかなかうまく母性保護の点が、その職種によって差は少々あるかもしれませんが、守り切れていない。ましてやというところがパートタイマーの場合には実態を見た場合に即刻申し上げることができると思うのです。ですから、いま労基局を通じてというふうな大臣からのお話もございましたけれども、行政指導もさることながら、やはり制度の上でこのくらいはしっかり取り組んでひとつ制度化しようじゃないかという問題があってしかるべきだと思うので、私は一つここで提言を申し上げたいと思うのですが、パートタイマーを含めまして、いろいろ保育所が完備しておりましたら、一人、二人、三人、子供が生まれましても働き続けるということがかなりいまの状況とは違ってくるだろうと思います。ところが、なかなか保育所の整備が思うとおりにいかない。そこで考えられましたのが、例の育児休業なんですね。この育児休業制度というのは、勤労婦人福祉法なんかにおきまして、義務づけられてはおりませんけれども、そうあってほしい、いわゆる努力目標と申しますか、できる限りそうあってほしいという願望も込めて規定上問題にされているわけですけれども、全体を見た場合に、これ自身なかなか実行率というのはまだまだ低いだろうと思うのですよ。どれくらいの実行率になっていますか。
#251
○高橋(久)政府委員 先生の御指摘のように、育児休業制度につきましては、勤労婦人福祉法に使用者の努力義務として規定されておりまして、私どもは奨励金等を交付することによってその制度の導入を事業主に奨励しているところでございますが、現在のところはまだ残念ながら普及率は六・六%という状況でございます。ただ、この普及率は年々上がってきておりますので、今後とも奨励金制度等の活用によりまして普及を図っていきたい、このように考えております。
#252
○土井分科員 奨励金制度とおっしゃいますが、その金額というのは見合うようなものでないと奨励する意味が実はないので、ここのところ予算の上では、むしろそれは恐らく削り取られる一方の予算の内容に違いないと私は思っているのです。だから、それに期待をかけるということは少し分に過ぎた期待のかけようになるんじゃないかなと思ったりしますから、ひとつそういう点から考えますと、いまの労働基準法の母性保護について種々規定されますところを十分に遵守すると同時に、やはりこの育児休業ということについて、いかがでございましょう大臣、強制するわけではありません、任意制ということが一つ、それから、職場復帰についてこれを保障するということが一つ、あと一つは、これはなかなかむずかしい問題ですが、有償であるという原則、やはりこういう三つの原則というふうなものを背後に持ってこういうことを制度化するということを考える時期が私は来ているんじゃないかと思うのですが、この辺は大臣としてはどういうお心づもりでいらっしゃいますか。大臣のお心づもりを聞きます、時間の関係がありますから。
#253
○藤波国務大臣 学校の先生や看護婦さんや保母さんの育児休業制度などの問題につきましても、法律をつくりますときに、土井委員、大原先生、橋本先生などいろんな御意見も伺って私ども一緒に取り組んできたことを思い起こしていま伺っておるところでございますが、日本の婦人労働を非常に大切に考え、しかも母性保護ということをさらに充実をしていこうという立場に立ちますと、何といいましても、この育児休業というところは非常に大事な施策であるというふうに考えておるところでございます。しかし、一気にいま有償というような方向でいけるのか、あるいはどのくらい業界として育児休業の仕組みが取り入れていけるのかというようなこと等につきましては、やはりそれぞれ時間をかけて行政指導をして、本当に形だけではなしに、名実ともに母性保護の理念がそれぞれの職場で徹底をしていく、胸を張って育児休業という仕組みを活用できるという御婦人の立場がとれるような形に持っていくには、やはり時間をかけて努力をしていかなければならないのではないかというふうに思いますので、いますぐに御指摘のような方向で踏み切っていくということにつきましては、もう少し時間をいただいてなお御趣旨を生かしたような方向で検討を進めさしていただきたい、また努力を積み上げさせていただきたい、このように考えておるところでございます。
#254
○土井分科員 藤波労働大臣になりましてその点は非常に期待がかけられておる一面ですから、時間をかけてとおっしゃっている間に、もう藤波さんが大臣でなくなったというのじゃこれは困りますから、やはり藤波大臣時代にがんばっていただいて、ぜひ実現を期すべくやっていただかなければならないなと私自身思います。
 それで、いま、藤波大臣自身が非常に造詣の深い教育の部面で、大臣自身も当時非常に御努力をなすって、育児休業制度というのが教育職員に対して認められることになりました。ところが、ここに一つ問題があることを大臣自身はよく御存じだと思いますが、義務教育諸学校の教育職員に対していま認められている育児休業が、職員にはまだ行き渡っておりません。つまり、同じ学校の中で、事務職員については育児休業がまだ認められていないという段階なんですね。これは、教育の条件整備という上からいっても子供たちに対して与える影響、教育効果という点からいっても、やはり非常に問題視されている懸案であります。これは文部省の考えることで労働省の問題じゃないとおっしゃらずに、この点労働大臣としては、学校事務職員に対してひとつ育児休業を実現する方向で努力するということをやっていただくというのは具体的な問題ですから、これはいかがですか。
#255
○藤波国務大臣 出発をいたしますときから、同じ教育の施設の中で一緒にそれぞれ努力をし合って働いている方の中に具体的に育児休業の仕組みが活用できる方とそうでない方という立場の人がおられるということについては、非常に問題だということの指摘は繰り返されてきておるところでございます。私も、実態を見まするときに、そのように実感としては考えるのでございますけれども、教育と職員という立場でお働きをいただいている方のたてまえが違うというようなこと等もございまして、今日までなお実現をしないできておるわけでございます。文部省としてもいろいろ御努力をしておられるところであろうと思いますけれども、なかなか乗り越えていけない仕組み上の問題もありますけれども、御趣旨とせられるところは私どもも十分理解をいたしますので、今後とも文部省とよく相談をいたしまして前向きに取り組ませていただきたいと思っております。
#256
○土井分科員 そうすると、その点は、母性保護のいろいろな制度のあり方については特にきょうはほかにも問題がございますが、育児休業について大臣御自身からこれを制度化すべく前向きでひとつ努力してみようというふうな御趣旨の答弁を得ましたから、それについて具体的にこれからの御努力方を私たちも応援しながら実現を期す方向でがんばっていきたいと思っています。
 さて、もう一つパートタイマーのことについて問題がありますが、私ある日一主婦の方から手紙をいただきました。これはもうこの手紙を読んだ方が具体的になると思いますので、ここでその部分だけをひとつ拾い読みさせていただきますが、「私はパートで働いております主婦でございますが、少しでも多く稼いで、主人の収入にそえて月々をやって行かなければならない貧しい者でありますので、お願いする次第でございます。御存じのように、女性の収入は月七十万までが無税になっておりまして、七十万以上になれば主人の税に加算され、苦労して働いても何にもならないように思います。多くの主婦の人はそのため、働き度いのを無理に休まなければならないのです。使用者側もその点は少々困っておられるようでございます。それもうんと働いて少々位の税金は払っても収入が殖えればその方がよいという考え方もありますけれども、そこまでは状況がなかなか許してくれません。物価の上昇なども考えていただきたいと思います。」こういうふうに書いてあるのです。
 あとまだいろいろこの中にさらに要望があるのですけれども、ここで一つ、最近いろいろな資料が出てまいっておりますけれども、パートタイマーの人たちから聞こえてくる声や実際の資料などに当たって調査をしてみますと、これは五十三年の十一月二十九日に内閣総理大臣官房審議室から出ている資料の一つでございますが、特にここで書いてあるのは、「働いていて子供が生まれるといっぱいお金がかかります。それでも働きたいから働くのです。」という前提で、一番お金がかかるのは何かといったら保育園費だと書いてあるのです。「厚生省で出している表を見て、保育費が大変にかかるのにびっくりしました。」これは女性の弁護士さんの発言なんですが、この資料の中に入っているのですね。「生後間もない乳児は三万六千円とか三万八千円で、三歳児とか四歳児になれば安くなりますけれども」、「一番高いところが三万八千円。これは厚生省の資料です。だから働いても、子供を持った母親は給料の残りが少ない。まごまごすると赤字になる。子供が病気でもして人を頼んだり、あっちこっち子供を連れて歩いたり、実家のお母さんのところにとんでいって預けたり、」そういうことなどを考えると、ずいぶん赤字がふえる一方だということが書いてあるのですね。そしてその中に「妻が働いていて何が一番よけいにかかるようになるかというと、驚くなかれ所得税が二一七・四%という数字を示している。土地、家屋、借金返済というのが二一二五で、」その次にこの所得税の二一七・四%というのが出てくるというのですね。これはゆゆしい問題で、共働きで働いていると税金がよけいにかかってくる。倍以上取られているのだということをこの数字はよく示しているので、このことを注目していただいて、この数字を活用していただきたいと私は思うわけでございます。ちゃんとこの資料の中に書いてあるのです。
 そこで、共働きの中でも、わけてもパートタイマーというのは、フルタイマーで働きたいけれども、いろいろな雇用関係から見まして、男性と同じように働く場所が女性にはないということもございますし、それから、先ほど御答弁の中にもございましたが、家庭とか子供というふうなことから手が離れないで、しかも働くということからすると、時間で働くというパートタイマーの方が好ましいとお思いになる女性もあることも事実です。そういうことからすると、それぞれの理由があるのでしょうけれども、家計のためとか、自分たちの生活費のためとか、子供の教育費のためとか、病気になったときのためとか、それぞれがやはり総じて生活のためということで働かれるのが最近の女性の働く目的の特徴なんですね。
 それからいたしますと、いまの税金の問題なんですが、大蔵省にもわざわざ御出席をいただいていますから、これは大蔵省は大蔵省なりにいろいろお考えがおありになると思いますけれども、控除の内容というのは、実際問題、最近の公共料金の値上げとか、いろいろな物価の高騰に対しましてどうも見合ったものになっていない、赤字がふえることのために働いているようなかっこうに残念ながらなるような実情だ。だから、働く分を少し手控えて、税金で少しこの控除額に見合っただけの賃金に抑えようとすると、使用者側のちょっと困ったねという声にもなってくるというふうなことが現実の問題としてあるようですよ。だから、この点、いまの年間七十万までの給与は配偶者控除が受けられるというこの額をできたら引き上げていただくということが、現実の差し迫った問題として声が出ているんですが、労働大臣、こういうのをお聞きになっていてどういうようにお思いになりますか。
#257
○藤波国務大臣 お働きに出るということは遊びに出るということじゃなくて、所得を目標にして、家計を助けるとか、教育のためとか、あるいは老後のためとかということを考えてお働きに出られるのだろうということは、当然そうだろうと思います。ただ、七十万円というのをいつも頭に置いて、七十万円よりもふえたら損だとかなんとかということよりも、家庭と職場とをどう両立させていくかとか、婦人であるから、ずっと詰めて長期にわたって働いていくというよりも、気軽く働いていくとかというような婦人独特のことを頭に置いた労働になり、それがちょうどたまたま七十万前後になると、そのことが非常に頭にひっかかるというようなことにはなるんだろうと思います。
 控除に関しては、それはなるべくならば御婦人の立場に立って、実入りの多い方がいいわけでございますから、婦人労働を担当する労働省としては、できる限り税制の改善をするように大蔵省にもお願いもしていきたいと思いますけれども、御存じのように、今日、財政事情が非常に厳しい中で、特に財政再建の最中でございますので、税制に関することに関してはなかなか物が言いにくいという環境にございます。
 しかし、婦人労働の実態につきましては、特にパートの実態等はさらに精密によく調査をして、その実態の上に立って対策を講じていくようにしなければいかぬ。先ほど申し上げました婦人少年局でいろいろ新しいことも考えておるということの一つは、さらに実態もよく調査することになっておりますので、そういったところの意識調査なども十分これから進めるようにいたしまして、できる限りその実態に即応した行政を展開していくように今後努力していきたい、このように考えておるところでございます。
#258
○土井分科員 余り歯切れのいい御答弁じゃないのですけれども、しかし、大蔵省の方にもひとつ声をかけて、その御努力は払っていただけるという趣旨の中身でもありますから、その辺に一縷の期待をかけたい気持で私はおりますが、手紙を私が読んだのは、ただの一例を挙げたにすぎないので、本当のところこの声はいろいろ渦巻いているのです。それで、大蔵省には専門的にいろいろこれについての御説明をまた別の機会に聞けるだろうとは思いますが、きょうは、そういう理屈じゃなしに、実際問題、税制の改正は、五十万というのとそれから十五万を二十万に引き上げられた、だからいまは七十万が配偶者控除の対象になるというのがなされたのは、たしか四十九年だと思いますが、それから六年たっております。その間やはり物価の高騰だとか、いま申し上げたとおり、先ほどからのこの審議をこの場所でお聞きいただいていたと思いますが、これは女性の職場からすると、それぞれ母性の保護について急速のテンポで保護についてのいろいろな諸条件が整備されたとは言いがたいような条件もございます。それはそっちで努力すべきでしょう。十分に努力しなければなりません。しかし、いまの物価に見合う生活維持のために必要最小限度の収入確保はそれぞれの世帯からすると至上命題でございますので、歳入に追われて、いまはいかにして歳入を確保しようかということで四苦八苦でいらっしゃるのはよくわかりますが、そういう状況のときは、それだけ物価の中で苦しんでいる勤労世帯の立場もあるわけでありまして、勤労所得者、特に共働きで、パートタイマーで働いている苦衷を訴えられるこういう一主婦の立場は、いろいろ渦巻いている、いまパートタイマーのそれぞれ持っている人たちの右代表の意見だというふうにぜひ受けとめていただきたいと思うのです。この点についてやはり税制の改正に向けて、いま御努力のほどがあっていいと思いますが、その中身としては、七十万の枠を引き上げるか、課税控除について少し改正の方向で考えてみようというふうな気持ちを持っていただいているかどうかということが今回のポイントになるであろうと思われますので、簡単で結構ですが、ひとつお答えいただきたい。
#259
○内海説明員 ただいま土井委員から、それぞれの家庭の事情に応じてというお話がございました。家庭というのは恐らく三種類に分かれるかと思います。一つの類型は、奥さんが働いていない家庭、その次は、奥さんがいわばフルタイムで働いておられる家庭、第三の類型が、パートで働いておられる家庭、それぞれに応じてやはり公平な税負担というのは必要でございます。先ほどパートタイムの税制についての御質問がございました。七十万というのは、七十万の給与収入がありますと、まず五十万は給与所得控除で控除されます。それから後二十万ありましても、それを非課税とした上で、なおかつ配偶者控除を受けられるようにする、こういう制度なんでございます。これをほかの家庭と比べてみますと、たとえばフルタイムで働いておられる場合には、配偶者控除は受けられません。受けられないで、御本人の基礎控除を受けた上で、それぞれの税負担をしていただくわけでございます。他方、全然パートも働いておられないような家庭もあるわけでございます。これは、たとえば病人がおありとか、いろいろそういった事情で働こうと思っても働けない場合があるわけですが、こういう場合には収入がないわけでございまして、やはりパートタイムの収入という問題はそれなりにあるとしても、そういった違う家庭との税負担のバランスという問題を考えていただく必要もあるわけでございます。そういう意味で、パートタイムにつきましては、七十万を得るときに、まず五十万を給与所得で控除するという、これは世界でも類のないくらい高い控除率でございますし、また二十万あっても、それを非課税とした上でかつ配偶者控除が受けられるということで、私どもとしてはぎりぎりいっぱいの努力をしたものであるという点、ぜひ御理解いただきたいと思うわけでございます。
#260
○橋本主査 土井君、時間が切れておりますので、締めくくってください。
#261
○土井分科員 ええ、わかりました。
 ぎりぎりいっぱいの御努力をいまから六年前に払っていただいたことは多としますが、六年の間にずいぶん物価も上がっているのです。社会的状況というのはずいぶん変化している。だから、それに見合うだけの再検討を、きょう申し上げたような趣旨に従って、この節払っていただくということは、これはやぶさかじゃないでしょう。いかがですか。
#262
○内海説明員 私ども、税制は、財政の状況、それから税負担のバランスということを見ながら常に検討してまいりたいと思っております。
#263
○土井分科員 終わります。
#264
○橋本主査 これにて土井たか子君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして、労働省所管についての質疑は終了いたしました。
 次回は、明七日金曜日午前十時から開会し、自治省所管について審査を行います。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後五時五十分散会
ソース: 国立国会図書館
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