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1979/03/05 第91回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第091回国会 予算委員会第一分科会 第2号
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1979/03/05 第91回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第091回国会 予算委員会第一分科会 第2号

#1
第091回国会 予算委員会第一分科会 第2号
昭和五十五年三月五日(水曜日)
    午前十時開議
 出席分科員
   主 査 藤尾 正行君
      瓦   力君    田村  元君
      中島源太郎君    金子 みつ君
      新村 勝雄君    高沢 寅男君
      森井 忠良君    山口 鶴男君
      山花 貞夫君    横路 孝弘君
      谷口 是巨君    西中  清君
      大内 啓伍君
   兼務 岩垂寿喜男君 兼務 兒玉 末男君
   兼務 山本 政弘君 兼務 有島 重武君
   兼務 池田 克也君 兼務 近江巳記夫君
   兼務 高橋  繁君 兼務 鳥居 一雄君
   兼務 栗田  翠君 兼務 瀬崎 博義君
   兼務 安田 純治君 兼務 四ツ谷光子君
   兼務 中野 寛成君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (行政管理庁長
        官)      宇野 宗佑君
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      長田 裕二君
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 土屋 義彦君
 出席政府委員
        人事院事務総局
        職員局長    金井 八郎君
        総理府統計局長 島村 史郎君
        公害等調整委員
        会事務局長   永山 貞則君
        行政管理庁長官
        官房審議官   中  庄二君
        行政管理庁長官
        官房会計課長  田代 文俊君
        行政管理庁行政
        管理局長    加地 夏雄君
        経済企画庁総合
        計画局審議官
        兼物価局審議官 戸田 博愛君
        科学技術庁長官
        官房会計課長  永井 和夫君
        科学技術庁計画
        局長      園山 重道君
        科学技術庁研究
        調整局長    勝谷  保君
        科学技術庁原子
        力局長     石渡 鷹雄君
        科学技術庁原子
        力安全局長   牧村 信之君
        環境庁長官官房
        長       正田 泰央君
        環境庁長官官房
        会計課長    神戸 芳郎君
        環境庁企画調整
        局長      金子 太郎君
        環境庁企画調整
        局環境保健部長 本田  正君
        環境庁自然保護
        局長      藤森 昭一君
        環境庁大気保全
        局長      三浦 大助君
        環境庁水質保全
        局長      馬場 道夫君
        大蔵省主計局次
        長       禿河 徹映君
        運輸省航空局長 松本  操君
 分科員外の出席者
        衆議院事務総長 大久保 孟君
        衆議院法制局長 大井 民雄君
        参議院事務次長 前川  清君
        裁判官弾劾裁判
        所事務局長   西村 健一君
        裁判官訴追委員
        会事務局長   山崎 宏八君
        国立国会図書館
        長       岸田  實君
        警察庁交通局交
        通規制課長   広谷 干城君
        行政管理庁行政
        管理局統計主幹 工藤 弘安君
        国土庁大都市圏
        整備局整備課長 平野 侃三君
        大蔵省主計局主
        計官      佐藤  浩君
        大蔵省主計局主
        計官      新藤 恒男君
        大蔵省主税局税
        制第一課長   内海  孚君
        厚生大臣官房統
        計情報部人口動
        態統計課長   小林 昭二君
        厚生省医務局管
        理課長     田中 健次君
        農林水産省畜産
        局衛生課長   小山 國治君
        資源エネルギー
        庁長官官房参事
        官       深沢  亘君
        資源エネルギー
        庁石油部備蓄課
        長       森清 圀生君
        資源エネルギー
        庁公益事業部原
        子力発電安全審
        査課長     逢坂 国一君
        資源エネルギー
        庁公益事業部原
        子力発電安全管
        理課長     向 準一郎君
        運輸省港湾局管
        理課長     佐々木建成君
        運輸省自動車局
        業務部貨物課長 尾松 伸正君
        建設省計画局民
        間宅地指導室長 斉藤  衛君
        建設省都市局下
        水道部公共下水
        道課長     玉木  勉君
        建設省河川局治
        水課長     井上 章平君
        建設省河川局開
        発課長     堀  和夫君
        建設省道路局企
        画課長     沓掛 哲男君
        建設省道路局地
        方道課長    山科 喜一君
        自治省税務局市
        町村税課長   浅野大三郎君
        消防庁震災対策
        指導室長    大竹山龍男君
        参  考  人
        (電源開発株式
        会社副総裁)  野瀬 正義君
        参  考  人
        (石油公団理
        事)      佐藤淳一郎君
        参  考  人
        (日本住宅公団
        理事)     有賀虎之進君
        参  考  人
        (日本道路公団
        理事)     持田 三郎君
    ―――――――――――――
分科員の異動
三月五日
 辞任         補欠選任
  安井 吉典君     上原 康助君
  横路 孝弘君     村山 喜一君
  西中  清君     飯田 忠雄君
  二見 伸明君     谷口 是巨君
  大内 啓伍君     高橋 高望君
同日
 辞任         補欠選任
  上原 康助君     金子 みつ君
  村山 喜一君     中村 重光君
  飯田 忠雄君     吉井 光照君
  谷口 是巨君     二見 伸明君
  高橋 高望君     大内 啓伍君
同日
 辞任         補欠選任
  金子 みつ君     山口 鶴男君
  中村 重光君     新村 勝雄君
  吉井 光照君     貝沼 次郎君
同日
 辞任         補欠選任
  新村 勝雄君     横路 孝弘君
  山口 鶴男君     山花 貞夫君
  貝沼 次郎君     西中  清君
同日
 辞任         補欠選任
  山花 貞夫君     高沢 寅男君
同日
 辞任         補欠選任
  高沢 寅男君     森井 忠良君
同日
 辞任         補欠選任
  森井 忠良君     土井たか子君
同日
 辞任         補欠選任
  土井たか子君     安井 吉典君
同日
 第二分科員有島重武君、栗田翠君、中野寛成
 君、
 第三分科員高橋繁君、第四分科員山本政弘君、
 池田克也君、近江巳記夫君、鳥居一雄君、瀬崎
 博義君、四ツ谷光子君、第五分科員岩垂寿喜男
 君、兒玉末男君及び安田純治君が本分科兼務と
 なった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和五十五年度一般会計予算
 昭和五十五年度特別会計予算
 昭和五十五年度政府関係機関予算
 〔国会及び総理府所管(行政管理庁、科学技術
 庁、環境庁)〕
     ――――◇―――――
#2
○藤尾主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。
 昭和五十五年度一般会計予算、昭和五十五年度特別会計予算及び昭和五十五年度政府関係機関予算中、総理府所管について審査を進めます。
 行政管理庁に関する事項について質疑の申し出がありますので、これを許します。横路孝弘君。
#3
○横路分科員 ことしの十月に、十年ぶりの本格的な国勢調査が行われるわけです。この国勢調査のたびに、国民の方からいろんな苦情が出されているわけで、そのことについて、行政管理庁の方と総理府にお尋ねをいたしたいと思います。
 五年前の昭和五十年、それからその前の四十五年のときも、新聞を拾ってみますと、投書欄にプライバシーの保護という観点からの苦情がずいぶんたくさん出されています。年齢や勤務先が近所にわかってしまったとか、あるいは前の調査のときには、結婚年数や、女性の場合は出生児の数などを記入するようになっておりまして、それに伴って家庭騒動も起きたというような話もあるわけです。
 そこで、今回の国勢調査に当たって、これは行政管理庁の長官にお尋ねしますが、統計審議会の方で五十五年国勢調査についていろいろ議論をされてきたというように承っておりますが、プライバシーの保護という観点からどのように考えておられるのか。統計審議会の方の結論も出たようでございますので、その内容を初めにお知らせいただきたいと思います。
#4
○宇野国務大臣 行管庁は、常に各省庁が行います調査、それは極力国民のプライバシーに触れないように指導いたし、事前にその審査もいたしておる次第でございますが、特に統計法におきまして、次の三点のことが規定されております。
 第一点は秘密の保護、第二点は調査票の統計目的以外の使用の禁止、第三点は秘密保護に違反したものに対する罰則、こうした規定が整備されておりまして、この規定の適正な運用によってプライバシーの保護の徹底を図っておりますが、いま御指摘の国勢調査、ことしは十年に一回の大規模――五年に一回でございますが、ことしは大規模でございますので、よけいやはりプライバシー問題に関しましては配意をしなければなりません。
 そこで、昨年、いま御指摘のとおりに統計審議会に御意見を伺いまして、そして私が就任をいたしましてからその答申を得ました。内容等に関しましては事務当局の方からお答えさせますが、当然この御意見を踏まえまして、実施当局には、プライバシー問題に関しては、やはり保護というたてまえでやっていくように、こちらからも指示をするつもりでございます。
#5
○横路分科員 個別にお伺いしますので、その中でお答えいただきたいと思いますが、従来からの苦情の一つに調査員の問題があるのですね。たとえば記入して近くのマーケットに行ったら、近くの奥さんから、あなた五つも年上だったのということを言われてびっくりした。どうも調査員が聞いて、すぐその話を近所の何かの集まりのときに話してしまったらしいということで、任命された調査員がその居住地域と同一を担当するということによる批判がやはり大変強いようです。
 したがって、任命のあり方あるいはその教育、それから担当地域といった点について、まずしっかりと配慮をしなければいけないのじゃないかと思いますが、その調査員の点について、まずどのようにお考えか。
#6
○工藤説明員 お答え申し上げます。
 ただいま御指摘の調査員の選任の問題でございますが、昨年統計審議会で御審議いただいた際にもその点が問題になりました。御指摘のように、顔見知りの人が統計調査員になるとプライバシーが漏れる、それは非常に困るという意見がございましたし、また一方におきまして、全然顔を知らない人に自分の家のことを尋ねられるのは非常に不安である、こういう御意見もございました。それで審議会といたしましては、統計調査員の選任につきましては、その地区地区の実情によって異なる、したがいまして、調査員の選任と担当地区の割り当てにつきましては、プライバシー保護の面で徹底を図る、このような答申をいただいております。
#7
○横路分科員 どういうぐあいに徹底を図るのですか。そこのところが問題で、一つはいま言ったような問題もあるのでしょうが、やはり担当地域について配慮をするということ、それから任命を町内会に任せて、そこから人を挙げて町内会の会長さんが回るというところが地域によっては大変多いようで、そのことについての意見もずいぶんあるようです。大体国勢調査に対する不満の投書の八割から九割がそういう調査員に対する苦情になっているのですね。プライバシーの保護の徹底を図るということですが、そのために具体的にどういうことをお考えでしょうか。
#8
○島村政府委員 この調査員の選任につきましては、市町村の方で実はやっておるわけでございます。それで、その選任につきましては、一つの地図をつくりまして、調査区というのを一応地図をかきまして、そこに一人の調査員を選任するということで、そのために市町村において、その地区の中においていろいろその地区の特殊事情がございますので、その地区の特殊事情に対応して、たとえばいま工藤主幹が申しましたように、その地区の人が調査員の場合は困るというときには別の地区の人を持ってくるとか、あるいはその地区については同じ地区の人がいいというところもございます。そういうことで市町村の指導をまず徹底いたしまして、そして市町村において、その地区ごとの調査員の配置について十分慎重にするように努力をしたいというふうに考えております。
#9
○横路分科員 調査員については、ぜひその教育を徹底し、市町村に対する指導を強めてもらいたいと思いますが、もう一つは、これは調査員が各世帯を個別に訪問して、調査票を説明しながら配付して、また点検しながら回収するわけですね、実際のやり方は。問題は、回収の段階で問題になるわけです。配付して説明しているうちには別に問題ない。回収するときに問題が起きるわけですから、その回収方法を、たとえば調査対象者が、世帯主がみずから記入することを原則にして、同時に、調査票を配るときに封筒を配っておいて、封筒に入れてもらって密封して渡してもらうという方法をとれば、ほとんど問題にならないわけですね。そういう方法はとれないのですか。
#10
○島村政府委員 私どもの方は一部そのことについて考えておりまして、これを全国民に全部実施するということにつきましては経費上の問題、それから審査の問題、いろいろ問題がございます。したがいまして、そういうものについて、ぜひ密封をして提出をしたいという希望のございますところについては、そういう措置をとってまいりたいというふうに考えておるわけであります。
#11
○横路分科員 希望があれば密封して渡してよろしいということですね。そのことは事前に調査票を配付する段階で、希望があればあなたは封筒をお渡ししますよ、その中に密封して入れてもらってよろしいですよということを、配付の段階にちゃんとそれを伝えればいいと思うのですね。それはそういう措置ですか。それともこれじゃ困ると言って苦情、文句を言ってくる人間についてだけ封筒を渡して、封筒に密封してよろしいですよと、こういうやり方をするのですか。そのやり方によって大分違ってくると思うのですね。そこはどうなんですか。
#12
○島村政府委員 私どもといたしましては、いまの段階では、配ります事前に、そういう希望のある向きについては密封して提出していただきたいということで、そういうことを事前にいろいろ広報したいというふうに考えております。
#13
○横路分科員 事前にぜひその点の徹底をして、調査員にその旨指導して、調査員には封筒を持たせて、配付するときにその旨をきちっと、相手方の国民に対して、いやならばこういう方法がありますよということを話ししてください。その指導を徹底していただければ、私はかなり苦情はなくなるのじゃないかというように思うのですね。
 問題は、後、票を回収するときにチェックをするでしょう。そことの問題が問題になってくるわけですね。だから記載方法を簡単にすれば、そうチェックする必要もなくなるでしょうから、記載方法の簡易化を図ると同時に、事前のPRを徹底して、配付をするとき、戸別にそのことをきちっと調査員の方から申し出るということ、これをもう一度確認をしていただきたいと思いますが、ではことしの国勢調査はそのようにやっていただけますね。
#14
○島村政府委員 そういう事前の広報を実施する予定でございます。
#15
○横路分科員 次は、調査項目なんですが、国勢調査、センサスと言われていますね。センサスというのは人口についての統計調査なんですね。ところが調査項目を見ると、たとえば四十年調査には結婚の年数だとか、それから女の人に対していままでに産んだ子供の数、要するにいまいるだんなとの間の子供の数じゃなくて、その女性がいままでに産んだ子供の数を全部記入するようになっておって、この点に対する批判が大分強かったと思うのですね。人口調査ということで、人口についての統計調査ということならば、年齢と性別と職業ぐらいでいいので、氏名を記入する必要が一体そこにあるのかないのか。学歴についてもこんなに詳細な学歴調査というのが必要なのかどうなのか。特に学歴なんか、聞いてみますと、高学歴の人などは全然そこを別に問題にしていませんけれども、やはり低学歴の人はこれを記入するに当たってずいぶん抵抗を感ずるようなんですね。それから職業の欄も、職業によってはやはり記入することに抵抗があって、しかも近所の人が回ってきて調査をすると、どうもそういうことが近所に知れることについての抵抗感があるようなんです。
 この調査項目、人口統計ということならば、こんなに詳細な調査というのは必要はないように思うのですけれども、いまの結婚年数だとか、いままでに産んだ子供の数なんという前のときの内容を含めて、この辺のところはどういうぐあいにお考えになっておりますか。これも何か統計審議会の方でいろいろ議論されたのでしょう、そこら辺のところは。結論としてどうなっているのでしょうか。
#16
○工藤説明員 ただいま御指摘のございました結婚年数と出生児数を今回の調査に含めるかどうかという点でございますが、統計審議会におきましてこの点も審議いただいたわけでございます。今回実施当局の総理府におかれまして、この結婚年数、出生児数については、前回の経験からかなり問題があるので削除したい、こういう御計画でございましたので、削除するということで審議会といたしましては了承されております。
#17
○横路分科員 皆さんの方もその方針ですか。
#18
○工藤説明員 はい、そうでございます。
#19
○横路分科員 そのあとのあれはどうですか。氏名だとか、こんな詳細な学歴なんというのは必要ですか。人口統計だけとるということならば、こんな調査は必要ないんじゃないですか。どうなんですか。
#20
○島村政府委員 氏名につきましてはコンピューターには入れないわけでございますけれども、調査の方法といたしまして、これはどうしても確認ができませんと、結局重複しましたりあるいは脱漏するということがございますので、これはぜひ氏名を入れていただきたいというふうに考えております。
 それから、学歴等につきましては、これはやはり日本の教育程度を測定するために非常に重要な項目でございまして、文部省の方からも非常に強い要望がございます。また国連の方の勧告を見ましても、こういう教育程度というものについて調査をするように勧告が実は出ているわけでございますので、そういうふうにさしていただきたいと考えております。
#21
○横路分科員 その辺はいろいろ議論のあるところなんで、これからもひとつぜひ検討を重ねていただきたいと思うのです。
 前回の調査のときに、自衛隊用とそれから矯正施設ですね、刑務所などに入っている場合に調査票が別の調査票で調査いたしましたね。当時問題になったのですが、この辺については今度はどうなるのか。
 それから、こういう調査をやるということになりますと、いろいろな調査をやりたいという希望がたくさん出てくると思うのですね。それを地方公共団体などで上乗せ調査なんかやらないようにするということも従来から議論されている点なんですが、その辺のところはどうなっておるでしょうか。
#22
○島村政府委員 自衛隊等と調査票を変えておりましたことについては、今回これを同一にするようにいたしました。
 それからもう一つ、地方自治体の上乗せ調査につきましては、これは絶対にさせないということにいたしております。
#23
○横路分科員 一番初めに長官の方から、ほかの目的に使用することは、これはプライバシー保護の観点からも禁止しているんだということだったんですが、これは統計法上はどうなっているんですか。何か申し出があれば使えるような形になっているんじゃないですか。
#24
○工藤説明員 統計法の第十五条の規定によりまして、統計調査票は統計目的以外には使用できないことになってございます。ただし、行政管理庁長官の承認を得た場合には使うことができる、こういう規定になってございます。
#25
○横路分科員 その二項の規定というのは適用されたことがあるのですか。どんなケースを想定しているんでしょう。
#26
○工藤説明員 第十五条の統計目的外の使用の意義でございますが、私どもといたしましては、当該統計目的以外というふうに解釈いたしまして運用さしていただいております。したがいまして、たとえばこの国勢調査の調査票でございますけれども、そのほか指定統計調査の調査票でございますが、当該目的以外の統計を新たに集計してつくりたい、こういう場合が行管長官の承認に該当しております。
#27
○横路分科員 今回ちょっとこの統計法のことを調べてみて、プライバシーの保護という点から考えて、ややこの法律自体が弱い。プライバシーの保護という観念自身がわりあいと新しいもので、裁判でもあれはたしか判決が昭和四十年ぐらいですか、一九六四年の「宴のあと」かなんかの判決があったのが多分初めじゃないかと思いますが、結局この法律を見ますと、調査結果としての秘密が漏れたという場合に、刑事罰を科するということで保護をしているわけですね。しかし、秘密とプライバシーというのを見ますと、これはプライバシーの方がはるかに広い概念なわけですね。さっき言った自分の年を知られたくないとか、自分のいままでの結婚歴を知られたくないとか、職業の勤め先を知られたくないということは、秘密を漏らしたのを罰するという元来の秘密という概念よりはもう少し広いプライバシーという概念に入るんじゃないかと思うのです。その秘密を漏らすなということで、統計法というのはそこを縛りをかけているわけですが、そうではなくて、逆にプライバシーを保護するという観点から、たとえば調査事項だとか調査方法ですね、こういうものについて、むしろこの統計法全体でもうちょっと明確にした方がいいのではないだろうか。国勢調査ばかりじゃなくて、これからあと一つ、二つ例を出しますが、各省庁でやっているいろんな調査を見ますと、ずいぶん勝手に調査目的が余り明確でないような調査もやられているんですね。したがって私は、この統計法自身で秘密を漏らした者を刑事罰で罰するということよりも、もうちょっとプライバシーを保護するという観点からの規定を、調査のあり方についての原則を明確にすることによって規定することができるんじゃないか。したがって、統計法もかなり古い法律でございますので、そういうプライバシーの保護という新しい観念ができる前の法律ですから、ないのは当然なんですが、そこら辺のところを検討すべき時期に来ているんじゃないかというように思うのですけれども、御意見いかがでしょうか。
#28
○工藤説明員 先ほど長官から御答弁申し上げましたように、現在統計法におきまして秘密の保護、調査票の統計目的以外の使用の禁止、秘密保護に違反した者に対する罰則の諸規定が整備されております。私どもといたしましては、これらの規定の適正な運用によりまして、プライバシー保護の徹底を図ってまいりたいと思っております。したがいまして、この統計法の現行の規定の適切な運用ということで、現在法の改正までは考えておりません。
#29
○横路分科員 たとえば昭和五十三年に人口動態調査ということで、厚生省の方が離婚調査を任意調査でやられていますけれども、これは内容を見ますと、ずいぶん内容に踏み込んだ調査になっておるわけです。やや女性週刊誌ののぞき見趣味的な傾向もあるような調査項目があるようにうかがわれるわけですが、こういう調査については行管の方で何か物を言っているのですか。これは厚生省任せなんですか。
#30
○工藤説明員 御指摘の厚生省の人口動態社会経済面調査でございますが、統計報告調整法の規定によりまして事前に行政管理庁長官の承認が必要となってございます。
#31
○横路分科員 指定統計調査でなくても行管庁長官の承認が要るのですか。
#32
○工藤説明員 さようでございます。
#33
○横路分科員 そうすると、たとえばこういう調査をやって行政に一体どういうように反映させることができるのですか。たとえば厚生省の離婚調査ですが、こんなものは家庭裁判所へ行って調べれば、いまの離婚の実態なんというのはすぐわかるわけですね。プライバシーにかかわる質問事項が大分多いものだから回収率がわずか夫で一二%、妻で一七%ぐらいでしょう。それはなぜかと言うと、逆に言うと、余りみんなにとって答えたくない項目だからなんですね。こんな調査は家庭裁判所へ行けばすぐわかることなんで、こういう調査をわざわざやる目的――一体行政の何に生かすつもりでやっているのですか。そういうことを知りたいからという単なる興味だけでいろいろなことを調査されては困ると私は思うのです。
 それから、総理府でやった社会生活基本調査ですか、被調査対象家庭の一日の行動を全部詳細に、朝起きたときから夜寝るときまで記載しろというわけでしょう。これもなかなか大変な調査ですね。行政目的がどうもはっきりしないし、個別対応でしょう。調査したいという場合に、こういう調査項目を各省庁で考えてやるわけですね。だから統計法というのが、原則はいま言ったような形で決められているわけですが、秘密が漏れるのを罰するというだけのお話であって、プライバシーの保護という新しいいまの社会の観念がこの法律の中に全然盛られていないわけです。そこに問題があるのじゃないかと思うのです。だからこの離婚調査も回収率が悪いのですよ。この程度の調査なら家庭裁判所へ行って聞けばすぐわかることじゃないでしょうか。厚生省来ていますか。
#34
○小林説明員 わが国の離婚の特性といたしまして、協議離婚が八九%を占めておりまして、協議離婚の内容の実態は明らかになっておりません。−最近ふえつつあります離婚が今後どう動いていくかということは、社会福祉行政諸般の上から非常に重要な問題でございますので、その基礎的資料といたしまして五十三年度に調査いたしたものでございます。
#35
○横路分科員 いや、たてまえはそうなんですが、これほど詳細な調査をやる必要性が一体あるのだろうか。調べた結果をどういうぐあいに行政に生かしていくのか、そこの関連がはっきりしないと、いろいろ知りたいから調査をやられるということでは意味がないわけで、調べたことをどういう形で行政に生かしていくか、そこのところが問題なわけです。どうもそういう目的がはっきりしないで数多くの調査がなされているのじゃないかと私は思うわけです。余り議論されている問題じゃないので、そう検討されておられないのかもしれませんが、国勢調査を機会にぜひ統計法の内容についても検討していただきたいと思うのですが、大臣、いかがですか。
#36
○宇野国務大臣 いろいろお話を承りまして、私といたしましてもプライバシー保護のためにもつと細心の注意をしなければならぬ、かように考えております。統計法そのものから申し上げれば、あるいは現在の規定の適正な運用によって十分プライバシーの保護はできるかもしれません。しかし、政府といたしましても、きのうも総務長官がプライバシーに関する問題の前向き姿勢を表明いたしておりますから、そうした関連等もございましょう。そうした関連におきまして国民のプライバシー保護のためには努力をしたい、かように存じます。
#37
○横路分科員 統計調査の技術的側面のみがこの統計法の中でかなり重視されているのです。だから統計審議会のメンバーを見ても、たとえば法律家というのは全然入れない。プライバシーの保護という観点からのメンバーは入ってないのですね。統計を利用する側の人たちだけが入っている。つまり使われる、調査の対象になる人間がこの統計審議会の中に全然入っていないのです。その辺のところもぜひひとつ考えていただきたいと思うのです。
 実は、プライバシーの保護というのは、もう一つ情報公開法という議論がいまありますね、これについても総理大臣大分積極的なようなので、一体行管の方でどう考えているかお答えいただきたいと思うのです。
 時間がありませんので、ついでにお尋ねしますが、情報公開法をつくれば逆な面でプライバシーの保護が今度は必要になってくるのです。つまりプライバシーの保護法案も情報公開法と同時に実は制定しなければならないのではないかというのが私たちいろいろ議論をした上での結論なんですが、この情報公開法を進めていくとプライバシーの保護が必要になってくるというこの構造についてはどのように御理解されておられますか。
#38
○中政府委員 お答え申し上げます。
 行政管理庁ではプライバシーの保護問題を昭和四十九年に行政監理委員会に諮問いたしまして、五十年に中間の報告をいただいております。その後研究を重ねてまいりましたが、確かに先生御指摘のように、各国の模様を見てまいりますとプライバシーの保護の問題とうらはらの問題として情報公開の問題も出ております。情報公開法の中におきましては、プライバシーの保護の問題を公開の除外規定として入れております。私どもの方でプライバシー保護の問題をどう進めていくのか。それとうらはらに、情報公開の制度が仮にできるといたしますならば、その中には、諸外国の例から見てはっきり除外規定として入れていただくのが筋ではないのかという観点からプライバシー保護の検討は進めておりますが、先生あるいは御承知かと思いますが、大分最近模様が変わってまいりまして、OECDの加盟国の模様を見てまいりますと、行管が当初取り組んでまいりました行政機関の中における電算機処理に係るプライバシーの保護の問題からいま範囲が相当広がってきている気配でございます。そういうことから、少し幅広い研究をやっていく必要があるのではないかということから、いまそういう資料の収集をやっておる段階でございます。
 大体以上でございます。
#39
○横路分科員 この情報公開法についてはわれわれもいろいろ検討してまいりまして、ずいぶんたくさんの問題が実はある。官庁の方に公開を求めるにしても、どういう情報があるかということがまず前提にならなければいけないですね。その目録をつくるだけで多分大分時間がかかるのではないかと思うのですが、この情報公開法についての作業はどんなぐあいになっているのですか。
#40
○中政府委員 お答えを申し上げます。
 情報公開の問題につきましては、内閣の審議室の方で検討を進めております。なお、私どもの方からの併任者がおりまして、本来は向こうでやっていることになりますので、正規のお答えは内閣からかと存じますが、私どもの方といたしましては、いま申し上げましたように、プライバシー保護のうらはらの問題、それから行政運営の問題として文書管理の問題がございます。日本の行政機関が各種の情報を山のように持っているのではないかということでございますが、先生御指摘のように、確かに文書管理の面から見ますとやや諸外国におくれている面等もございます。確かに諸外国の情報公開法等に出ておりますようなシステムは、日本の現状ではなかなかとりにくいのではないかということから、当庁の方で文書なり情報の管理の全般の問題の研究を行っているところでございます。
#41
○横路分科員 これで最後にいたしますが、大蔵省来ていますね。せっかく来てもらったから、グリーンカードの問題なんですが、これもやはりプライバシー保護ということが大変大事な問題になってくるだろうと思うのです。その場合、一つ大きな問題は、ほかの目的には使用しないという他目的使用の禁止ということだと思うのですね。その辺のところを一体どのようにお考えになっているのか、大蔵省からお答えいただきたいと思います。
 同時に、行政管理庁の方にお尋ねしたいのですが、最近いろいろと官庁の電算化も進められているという点からも問題になってくるわけですね。皆さんの方が結局は中心になるだろうと思うのですが、たとえば今回のグリーンカードの問題などについても、これは大蔵サイドでやるのでしょうが、同時に行政管理庁の方も、国民のプライバシーの保護という観点から、きちっと物を言うことは物を言うということでひとつ問題を進めていただかないと、各省庁でそれぞれおやりになって、調べてみますと、ずいぶん項目がたくさんあって、それぞれ法律にこの規定があるようですけれども、全体としてくくった法律というのも将来的には必要になってくるだろうと思うのです。そういう意味で、プライバシーの保護という観点について、ひとつほかの省庁に対するそういう指導というものを行政管理庁でやっていただきたいと思いますので、そこを最後に長官の方から御答弁をいただいて私の質問は終わります。
#42
○内海説明員 お答え申し上げます。
 横路委員御指摘のプライバシーの問題というのは、税というのは公正な課税を実現する上でかなりプライバシーに立ち入った調査もせざるを得ない。また、今度は利子配当の総合課税という目的でこのグリーンカードを導入するわけでして、当然そこでプライバシーの問題というのについては、御指摘のように十二分な配慮が必要であると思っております。そのような観点を踏まえまして、今度提案申し上げております所得税法の十一条の二の二項というのには、このグリーンカードの「交付を受けた者が自己のために用いる場合を除き、国税に関する事務に使用する以外の目的にこれを用いてはならない。」という明文の規定を置いて、そういう御懸念をシャットアウトするような配慮をしております。なお、こういった問題を進めるにつきましては、長いこと行政管理庁の方にも御相談をしながら経過を御説明し、進めてきた経緯がございます。
#43
○宇野国務大臣 各省庁からいろいろ調査等、事前に審査するわけですが、年間五百から六百あるというふうなことで、仰せのとおり、十二分にそうした面におきましても今後プライバシーの保護には全力を挙げたいと思います。
 なおかつ情報の管理におきましても、やはり徹底した一元化を図っていかなければそうした目的も到達されない、かように考えまして、十二分に各省庁とは協議を重ねる所存であります。
#44
○横路分科員 これで終わりますが、情報の管理の一元化などと言われると、またそこでいろいろ議論があるのですが、これで終わります。
#45
○藤尾主査 以上で横路君の質疑は終了いたしました。
 次に、金子みつ君。
#46
○金子(み)分科員 私は、本日は行政管理庁長官を中心にして国家公務員の定員の問題について少しお尋ねをして御意見を伺いたいと思います。具体的には厚生省所管の国立病院、国立療養所の定員の問題を中心にしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 まず初めに、国は財政危機を突破するという目的があったり、あるいは財政再建という目的があったりいろいろ目的があると思うのですけれども、国家公務員の定員を毎年毎年削減をしていっていらっしゃるわけですね。増員も一方ではあるということも一応わかってはおりますが、増員したり削減したり大変に複雑ではございますけれども、そういうふうに進めていらっしゃるわけなんですが、私はまずお尋ねしたいと思いますのは、削減をなさる場合の何か基準のようなものがおありになるのかどうか。これはたとえば一般事務系統の職員とかあるいは現業の職員とか、大変に業務内容が変わってくると思いますが、そういう場合に特別な配慮がなされているのか、なされていないのか。全く画一的な一つの基準に基づいて削減をなさるのか、その辺をまず伺わせていただきたいと思います。
#47
○加地政府委員 定員削減の問題でございますが、御承知のように昭和四十三年からやってまいりまして、さらに五十五年度を初年度とする第五次の計画を昨年設定いたしたわけであります。定員削減の考え方でございますけれども、やはり行政全体として少数精鋭主義のもとに簡素効率的な形でやっていこう、これが趣旨でございまして、お話しのように財政再建という問題も全然ないわけではございませんが、行政の簡素化、効率化を図っていく、こういう趣旨が前提にあるわけでございます。
 ただ、その場合に、御質問にございましたように、いわゆる一般行政事務であるとかあるいは病院のような現場の事務、さらには五現業のような問題でございますが、全体を通してそういう削減計画をお願いするわけでありますけれども、やはり業務の実態を十分伺いまして、たとえばどうしても削減のできない業種あるいは職種というのがございますし、あるいは一般的にはそういう意味の合理化、効率化の図られやすい職種というのがあるわけでございまして、そういう各業種の実態に合わせて削減の計画をやっておるわけであります。
 具体的に申し上げますと、たとえば病院で申し上げれば、先生御承知のように、医師とか看護婦の場合、これは医療法に決められた基準もございますし、また、きわめて専門的、技術的な職種である、非常に合理化の余地が少ない。こういう観点から、第三次削減以降は、御承知のように削減対象にしておらないわけでございます。
 そういうふうに、私どもは、個々の業種につきましては、十分実態を見ながら、合理化のしやすい職種あるいはしにくい職種、そういう問題についての配慮はやっておるわけでございます。
#48
○金子(み)分科員 わかりました。
 配慮はしているというお話でございますが、やはり、もとになる基準には科学的なものがあるわけじゃなくて、どっちかといえば主観的な配慮でやっておられる、こういうふうに聞こえたのですが、それでよろしいですか。
#49
○加地政府委員 先生のおっしゃいます主観的というのはどういう御趣旨かと思いますが、私どもは決して主観的なあれではございませんで、行管が一方的に判断したものを各省にお願いするという形はとっておりません。やはりいろんな客観的なデータをベースにして行管としても考え方をまとめますが、同時に、各省の実際に事務、事業をやっておる、責任のある役所の御意見も十分伺った上で、いわば私の方と各省と協議をしながら決めていく、こういう形をとっているわけでございます。
#50
○金子(み)分科員 わかりました。それでは、いまの定員削減の関係ですけれども、昭和四十四年度を初年度にいたしまして、国立病院、療養所に対しては、第一次、第二次、第三次、第四次と、ずうっと毎年毎年削減してこられて、五千八百七十三人に達しているという報告を私はいただいております。今度、いま局長おっしゃいましたように、第五次削減計画が五十五年から向こう五カ年計画で行われる。そして九百五十六名の削減をしようという御計画があると承りましたが、これは事実でございますか。
#51
○加地政府委員 先生御指摘のとおりの数をお願いすることにいたしているわけであります。
#52
○金子(み)分科員 それでは、いま国立病院、療養所の実態がどうなっているのかということを御説明申し上げたいのですが、数字がございますので、数字では聞いていただいただけではよく理解しにくいでいらっしゃろうと思いますので、資料をつくりましたので見ていただきたいのですが、委員長よろしゅうございますか。
#53
○藤尾主査 許可いたします。
#54
○金子(み)分科員 その数字をごらんになっていただきますと、一目瞭然ということになるのでありますが、これは五十二年の医療施設調査と病院報告からとったものでございます。病院の患者百人当たり職員の数、これを開設者別にしるしたものでございますけれども、これをごらんいただきますと、私が申し上げたいと思っておりますのは、下二列、国立病院と療養所でございますが、その数字が、一番上の、同じ国立の大学病院等に比較いたしますと、数字といたしましても大体半分なんですね。
 たとえば医師は、国立大学の場合は二九・四、国立病院は九・〇、半分以下です。それから療養所は三・八、これはもう比較にならないくらいひどい。しかもこれは国立との比較。看護婦の場合は六一・〇、三五・二、三一・八、こういうふうになって、約半分、国立同士の違いもございますし、それから都道府県、市町村、日赤、済生会及び北海道社会医療協会、それから厚生連、こういうようなところが経営しております病院の場合の職員の数に比べてもはるかに少ないということが言えるわけです。看護婦の場合は一番少のうございますが、これが一枚目の紙の数字でございますので見ていただいたらおわかりになると思います。二枚目はそれをグラフにしたものでございますので、一目でわかっていただけると思いますが、御説明は省かせていただきます。それから三枚目の紙は、御承知かと思いますが、国立病院、療養所と他の病院との比較でございますが、何を比較したかと申しますと、複数夜勤体制の実施状況です。これは昭和四十年に人事院が判定を下しました。看護婦などの夜勤に対しては、一人で勤務をするということはならない、二人以上、複数で勤務をしなさい、そして一月に八回以上はしないようにという判定が下されていたわけですね。それがもう十五年たちますのにこの実態はこの数字が示しているとおりでございまして、一般病院で言えば、大学の付属病院は九五%それが実施できている。それから自治体立病院は九六%、その他の公的病院でも九四%、ところが国立病院は何と六八%しかできていない、療養所に至っては四四%しかできていない、こういうような状態になるわけでございます。これがやはり看護婦等の看護要員の数の不足から起こる問題だということはもう申し上げなくてもおわかりだと思います。
 もう一つ、資料はつくりませんでしたけれども、こういうことであるからこそ、いま問題になっております医療費の問題などと絡めて、病院医療の問題で大変大きな問題をかもしております保険外負担というのがございます。これは部屋代の差額と付き添い看護の問題なんですけれども、その付き添い看護がどれくらいあるかというのを国立病院の方の調べをいたしましたところが、一つ一つは申し上げませんけれども、付き添い看護というのは基準看護承認病院ではつけてはならないことになっているんですね。国立病院は全部基準看護承認病院なんです。ところが、ひどいところはその付き添いが入院患者二・五人に一人あるい、は四人に一人、五人に一人、十人に一人というふうについている。しかもそれが基準看護承認病院であってついている。これは、言うなれば一つの違法のような形になるわけなんですが、こういうような実態が起こってきているということは、やはり国立病院・療養所における看護定員の少なさかげんがこういう結果をもたらしているのだということができると思うのですが、いまのこの数字をごらんになりましてどういうふうにお感じになっていらっしゃるか、私はその感想を長官からも聞かせていただきたいというふうに思っているわけでございます。
 なおその前に、いろいろの新聞投書がございます。先般国立病院の実態の悪さが連続して朝日新聞に載っておりましたのもごらんになったと思います。これは家庭の主婦の投書ですが、私どもが長時間待たされるのを知りながらも国立病院に通院するのは、やはりより良心的な治療が受けられると信頼しているからこそです。国立病院はわれわれ庶民のための病院という感を強く持っているからであります。少人数で働いている国立病院の職員の様子を見ていますと本当に気の毒で、がまんをして何も頼まないようにしようとすら努力をしている今日でございます。こういうような投書が入ってきているわけです。幾つもございますが、同じことでございます。時間もありませんので例は一つだけ挙げましたけれども、こういうような実態をごらんになって、そしていまの数字をごらんになって、長官どんなふうにお感じになりますか。御意見を伺わせていただきたいと思います。
#55
○加地政府委員 長官からお答え申し上げる前に、私の方からも御答弁申し上げたいと思います。
 先生御承知のように、国立病院あるいは国立療養所は歴史的な沿革がございまして、戦後陸海軍病院を継承して国立病院・療養所になさったわけであります。時間がございませんので簡単に申し上げますと、先生重々御承知のところですが、戦後、結核撲滅という国の非常に大きな政策医療のいわば中核機関としてこの国立病院・療養所が大変な成果を上げられましたが、その後さらにそういう結核病棟の転換という形で、重心、筋ジス等のいわゆる重度心身障害者対策でございますとか、あるいは最近は難病対策とか、こういった問題を取り上げられまして、国の政策医療を推進なさっておるわけであります。
 そういう沿革的な経緯はございますけれども、かつての陸海軍病院を継承したという経過からいきまして、発足当初から、いま御指摘になりました他のたとえば大学病院でございますとかそういうところに比べまして、確かに定員の配置が全く同様の配置ではなかったという事実があるわけであります。しかし、いま申し上げましたように、その後いわゆる国の医療政策における重大な政策医療を担当し、また高度の医療をますます取り上げるという形をやってまいりましたし、また一方、御指摘のように人事院勧告に基づきましたいわゆる二・八問題、夜間複数看護体制の強化、こういった問題もございまして、私どもはそういった国立病院・療養所の経過あるいは実態というものを十分考えながら、今日までそういった定員の充実について積極的に努力をしてまいったつもりでございます。
 御承知のように、四十三年からの数字を比較してまいりましても、いまお話しになりました五千人の削減を落とし、かつネットで約八千人の純増、こういう形になっておるわけでありまして、私どもとしては国立病院・療養所の機能の重要性というものを十分考えまして定員上の配置を考えてまいった、こういうつもりでございます。
#56
○宇野国務大臣 具体的にはいま局長が話したとおりでございます。確かに定員削減は年々やってまいりました。そして一般事務の方には大変な負担があるいはかかっているのじゃないかと思われるほどやってまいりましたが、しかし御指摘の医師、看護婦等の面に関しましては、局長が答弁いたしましたとおりに十分配慮をいたしておるものでございます。今後もそうした面におきましては、やはりいろいろと厚生当局とも話し合いをいたしまして、サービスの低下を来さないように考えてまいりたいと考えております。
#57
○金子(み)分科員 お示しいたしました数字の中から考えられることで、私がどうしても一つふに落ちないことがございます。いまの説明を伺っておりまして、陸海軍病院を引き受けてからのお話をなさったわけですが、もう三十年も前、もっと前の話になるわけでございまして、終戦の後引き受けてから、新しい制度に基づいて国立病院は非常によくやってまいりました。私の記憶では、日本じゅうの病院の中で国立病院は内容も質も日本で一番いいという定評を受けた時代があったわけです。そういう時代から比べますと今日ではすっかり落ちてしまったという実態があります。幾つかの特別な施設だけは別でございますが、たとえばがんセンターですとかあるいは医療センターですとかという特別な任務を持った病院は別といたしまして、一般的には国立病院の内容は非常に低下したということが言えると思うのです。
 そこで、私がどうしても一つふに落ちないのでお尋ねしたいと思いますのは、なぜ国立大学の付属病院はこれだけ定員があるのに厚生省所管の国立病院にはないのか、その違いは、陸海軍病院を引き受けたということでは私は答弁にはならないと思うのですけれども、その違いはなぜでございますか。
#58
○加地政府委員 先ほどお示しいただきました数字は、私ども従来から十分拝聴いたしておりますが、御質問の国立大学の付属病院との比較の問題でございます。これは先生御承知のように、国立大学の付属病院の機能と申しますと、これはやはり医育と申しますか、いわゆる医学生の教育という問題と、さらに教官を中心にいたしました研究施設、こういう目的をもって設置されたものでございます。沿革的にも相当古くからあるものでございますし、機能的にそういった役割りを持っておるということでございまして、しかも、いわゆる学術研究用という形で非常に濃厚な医療をやらなくちゃいけないという機能もあるわけでございまして、これが普通の病院に比べて大学病院が違うところではないかと思います。
 一方、国立病院・療養所につきましても、先ほど申し上げましたように、私どもも今日の医学技術の非常に高いレベルでいろいろな難病対策その他の高度の医療をなさっていらっしゃることは重重承知いたしております。そういう意味において、私どもとしてはできるだけ、大学の付属病院まではいかないにしても、それに近い形の充実を図っていくべきじゃないかという考え方から、先ほど申し上げたようないわゆる複数看護体制の問題でございますとか、医師、看護婦の充足でございますとか、こういう形を通じて充足に努力をしてまいっておるところでございます。
#59
○金子(み)分科員 それをおっしゃるのですともう少し申し上げたいことがありますが、時間がありませんので、十分納得いたしませんけれども、問題を先に進めたいと思います。
 国立大学が診療のほかに研究があるとかいろいろおっしゃいますけれども、それなら、医師が多いのはわかりますけれども、看護婦はそのために特に必要なことはないのですから、看護婦の数が倍違うのは理屈にならないと私は考えております。しかし、この問題を議論するのが趣旨ではありませんので、問題を先に進めていきたいと思います。これは私だけでなく、関係者がみんな不思議に思っておる点でございまして、文部省の方が定員を獲得する技術に熟練しているのか、厚生省の方が上手にとれないのかというところまで話が進みそうでございますが、そこまで持っていくつもりはございませんので、きょうはこの問題はここまでにとめておいて、さらに検討を進めたいと思います。
 そこで、関連の問題でございます。
 この削減の問題について、いろいろなところからいろいろな意見が出されております。たとえば厚生省所管の国立がんセンターの所長でありますとか、国立の名古屋病院あるいはその他の病院の院長などが新聞投書をしておられるわけですね。新聞投書をするのはよくよくのことだと思います。内部的にいろいろと会議をする場もあるのだと思いますから、そういうところで会議もなさっていらっしゃると思います。それでもなおかつ世論に訴えたいという気持ちで新聞投稿をなさったと思うのですが、そういった新聞投稿がございます。
 そこで、この内容などは一つ一つ申し上げるまでもないことなんですけれども、要するに何をおっしゃっているかと申しますと、いままで国立病院はずっと削減、削減と続いてきて、増員した部分もあるけれども、しかし、削減の方が多くて、問題になっているのは、ここまで参りますと国立病院・療養所の人員配置の問題はもう限界の状態に達しているということを言っておられます。もしこれ以上減らされたら病院の機能は全くだめになってしまうということを非常に心配しておっしゃっているわけでございます。
 ことにそれは、病院は医師、看護婦が中心だとどなたも考えていらっしゃると思いますし、またそうだと思いますが、私どもは、かつてこの削減の対象から医師と看護婦は外していただくようにお願いをした記憶がございます。それで医師と看護婦はいま削減の対象から外していただいていると思います。
 しかし問題は、行政職(二)の人たちがどんどん外されていっているわけです。この行(二)の中には、医師、看護婦を助けて、病院の中で患者に対する医療サービスをする重要な人が入っているわけです。たとえば放射線の技師ですとか試験検査の技師、栄養士、看護補助者、そういう人たちがたくさん入っているわけなんです。これが削られるものですから、ことに看護補助者が削られますと、病棟における看護婦が削られたのと非常に似たような状態になってしまうわけです。ですから、全体の機能が麻痺していってしまうということになりますので、この点をぜひ考えてもらいたい。
 今日の医療はチームワークですから、医師や看護婦だけでできるわけではございませんので、必要な医療従事者のチームが組めないということになってしまうわけなんで、この問題は非常に大きな問題です。ですから、今度削減をなさる場合に考えていただきたいと思いますことは、行(二)の職員を外さないでほしいということであります。行(二)の職員も医師、看護婦と医療チームとして全く同じ業務をやっているわけでありますから、行(二)の職員を定員の枠から外してもらいたいということをぜひ考えていただきたいと思うのですけれども、その点はどのようにお考えいただけるかということが一つ。
 それからいま一つは、厚生省の中に国立病院・療養所問題懇談会というのがつくられております。この懇談会が意見書を提言しているわけでございまして、毎年提言しております。もうたまらなくなって提言しているのですが、昨年、五十四年の十二月十三日にも提言をしております。
 その提言の中で、一つ非常に私も同感で、その点をぜひきょうお願いしたいと思っていることがあるのです。それは何かと申しますと、従来の定員削減の目的が財政再建の一環としてもしなされるものであるとするならば、国立病院・療養所は御承知のように特別会計でございますから、自主自立で運営しているところでありますから、こういうところまでも一律に定員削減の範疇に入れられるということは理屈が合わないじゃないか、疑問があると言っておられますが、私もそのとおりだと思うのです。ですから、そこら辺の御説明と、それから、行(二)を外すように努力をしていただくということについての御見解を伺わせていただきたいと思います。
#60
○加地政府委員 最初の問題でございますが、確かに先生のおっしゃるとおり、病院という全体の施設の運営管理という面から考えますと、一番中心になるのは医師、看護婦ではございますけれども、それ以外に医療補助者でございますとか、おっしゃるような行(二)関係の職員とか、施設全体としての運営を考えていく必要がありますし、その意味では私どももそういうふうに理解をいたしております。
 そこで、今回の五次削減に当たりましては、いま御指摘のございました行(二)関係、いわゆる看護助手等を中心にいたしまして、従来よりもさらに削減率の低い職種に組み入れて、そういった方々の御負担を極力軽くするように考えたわけでございます。
 それから、特別会計の問題でございますが、確かに病院・療養所事業は国の特別会計をとっているわけでありまして、それはそれなりにそういう理由があって運営されておることは事実でございます。ただ、特別会計をとっておるがゆえに、いわゆる定員削減の枠外にする、こういう話でございますが、実は特別会計事業はもちろんでございますし、五現業のような形につきましても、合理化できる分野からは合理化をしていただいて定員削減に協力をしていただく、われわれはこういう仕組みをとってございますので、特別会計なるがゆえに削減計画の対象外にするということには、直にはならないのではないかというふうに私は考えているわけでございます。
#61
○田中説明員 私ども国立病院・療養所の定員につきましては、厚生省として従来から大変努力をしてきているところでございます。
 いま先生御指摘のように、しかしながらほかの公的医療機関等と比べまして非常に少ない状況にございます。確かに現状は楽でございません。いま申しましたように、行(二)の職員が削減をかけられるということでございまして、私どもも、政府の方針でございますので、できるだけ協力するということで対処をしておるところでございます。内部努力をさらに重ねまして対処していきたいと思っておりますけれども、今後とも、看護職員を中心に、職員の充実には関係省庁と協議をいたしまして十分対応を進めてまいりたいと考えております。
#62
○金子(み)分科員 時間がなくなりそうでございますので、これはこのまま先に進んでいきたいと思います。
 最後に一つ考えていただきたい問題がございます。それは、この定員の関係の中で現在こういうものがあります。看護婦定員見合い賃金職員というのがありまして、これが六千五百五十名ございます。このうち看護婦有資格者が三千六百五十四名で、常勤職員の看護婦と定員見合い賃金職員とは内容的には全然違っていないわけです、看護婦の免許を持つ有資格看護婦でございますので。ところが、この見合い賃金職員は、その身分上非常に違いが起こってまいりますので、これを定員に切りかえることについて鋭意努力をしていただきたい。これは四十四年四月一日の参議院内閣委員会の附帯決議にもなっているわけです。その附帯決議がもう十年も前になされているのに、一向に切りかえが進められていっていないというのは、大変に遺憾だと思うわけでございます。
 この問題を含めまして、時間がございませんので最後に長官から御意見を聞かせていただきたいと思いますのは、先ほど来話をしてまいりました病院、療養所のような現業、ことに医療施設の職員の削減は、削減の枠から外すということの努力と、いま申し上げた定員見合い賃金職員を定員として切りかえるということについて、ぜひ御協力をいただきたいし、そのように進めていただきませんと、国立病院が国民から期待されている医療施設としての機能を果たせなくなることがあるということが心配でございます。
 これは一昨年、五十三年三月の予算の第三分科会の中で小沢前々厚生大臣が、同じ問題に対する御答弁の中で「私は、病院、療養所みたいな現場のサービスあるいは年金業務をやるようなところ、これは定員の削減から外してもらった方がいいのじゃないかと思っているのです。」というような答弁もしていらっしゃるわけです。厚生大臣をやっていらしたときに、そのことを非常に感じたということをおっしゃっておるわけなんですが、こういうような発言もありますことですので、どうぞ長官、どのようにお考えくださり、将来に向かってよい方向へ進めてくださるか、そのお考えをお聞かせいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
#63
○加地政府委員 いわゆる非常勤職員の問題でございますが、先生御承知のように、現業機関あるいは一般の事務官庁を含めまして、国の行政事務をやってまいります場合に、原則はいわゆる定員内職員という形でやっておりますが、行政事務の中には、御承知のようにきわめて臨時的あるいは季節的な業務もあるわけでありまして、各省庁の御判断でいわゆる賃金職員の採用をやっておられるわけであります。
 かつて三十年代に、そういった非常勤職員の問題が国会で相当大きな問題になりまして、いわゆる定員外職員の中で、定員内職員にすべき職種について大幅に定員内に繰り入れをやったわけでございます。同時に、三十六年以降、今後はそういった非常勤職員の定員化を防止する、こういう閣議決定のもとに各省に協力をしていただいて今日に至っているわけであります。
 そこで私どもは、一つの職種に同じ人が長年従事しておるから、それがすぐ定員職員でなくちゃいけない、こういう考え方はとっておりません。むしろやはり恒常職の形でやるべき方と、いわゆる臨時的季節的業務を担当しておる方と差はあるわけでございます。しかも一方、国立病院の問題に限って申し上げれば、毎年相当数の増員が行われておりますし、それから離職をされる方もあるわけでありまして、そういう方々は、やはり定員内職員が適当である方々についてはそういった増員なり欠員の中で常勤化をされるということもございましょうし、また、そういうふうにやっていらっしゃると私どもは伺っております。
#64
○金子(み)分科員 長官、どうぞ一言。
#65
○宇野国務大臣 いろいろ貴重な御意見承りましたが、もちろん定員管理というのは、行政需要に応じまして十二分に細部にわたって配慮をしつつやっておるものでございますので、今後ともその削減問題に関しましては、従来どおり――私は、特に医療に関しましては、むしろ純増を来しておるわけでございますので、その辺の配慮も加えたいと思います。
 ただ、いま局長が言いましたとおりに、定員外職員の定員化という問題は、これはいろいろ事情もございましょうが、すでに閣議におきましても、そうしたことはないように心得べしというふうな閣議決定もございますので、非常にむずかしい問題ではないかと考えております。
#66
○金子(み)分科員 失礼しました。終わります。
#67
○藤尾主査 以上で金子君の質疑は終了いたしました。
 これにて総理府所管中、行政管理庁に関する事項についての質疑は終了いたしました。
#68
○藤尾主査 次に、総理府所管中、科学技術庁に関する事項について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。有島重武君。
#69
○有島分科員 昭和五十五年度予算四十二兆五千八百八十八億円ということになっておりますけれども、この中でエネルギーの対策費が四千二百四十一億円、構成比がちょうど一・〇%、この伸び率は三一・九%であるというふうに聞いておりますけれども、このほかに特別会計の分があろうかと思います。
 そこで、総枠でもってどのくらいの国費が動くのか、それから国費がこれだけ動くということは、国の中ではこのエネルギーに関して大体どのくらいの金が動くのであるか、そのことをまず最初に聞いておきましょう。
#70
○深沢説明員 お答え申し上げます。
 昭和五十五年度エネルギー政策でございますけれども、一般会計と特別会計と相分かれますが、一般会計で二百二十三億円、それから特別会計で五千五百六十八億円、合計五千七百九十一億円程度でございます。
 以上でございます。
#71
○有島分科員 それから国費がそれだけ動くと、国全体としてはどのくらいエネルギーでもってお金が動くのでしょうか。
#72
○深沢説明員 先生の御質問でございますが、手元にちょっと資料を用意してございませんものですから、後ほどまたお答えさせていただきたいと思います。
#73
○有島分科員 じゃ、国全体でどのくらいお金が動くのかということについては、後ほど御報告をいただきましょう。
 それで、ここに五十四年八月二十八日付の総合エネルギー調査会需給部会の報告といたしまして「長期エネルギー需給暫定見通し中間報告」というものがございます。これによりますと、五十二年度の実績でもってわが国のエネルギー供給合計が四億一千二百万キロリットル、これで六十年度には五億八千二百万キロリットル、こういうことになりますね、石油換算でもって。これはエネルギー庁さんの方の御関係でもって前に幾つか御報告が、御報告というか見通しというかがございますね。そうした幾つかの変遷を経てこういうふうに来たのだと思いますけれども、こういう報告を出された変遷、また、これがどのくらいの信憑性があるのか、またくるくる変わるのであるか、その辺については、エネルギー庁としてはどのように考えていらっしゃいますか。
#74
○深沢説明員 従来、総合エネルギー調査会におきまして、エネルギー問題につきましての重要事項については、いろいろ広い角度から御審議をいただいているところでございます。それで従来、五十年にも長期のエネルギーの見通しをお示しいただいております。また、五十二年にもお示しいただいております。今回、昨年の八月三十一日にお示しいただいておるわけでございますけれども、これはサミット等、国際的ないろいろなエネルギー情勢をめぐりますその中での先進国等におきます考え方、そこでの日本の立場等を踏まえまして、国際的な責務を遂行しつつ、わが国のエネルギーセキュリティーと申しましょうか、その向上を目指しましたエネルギーの長期にわたります暫定見通しを作成いただいたところでございます。
 それで前回は、六十五年度ぐらいまでのところでございましたが、今回は、今度日本の国といたしまして、石油代替エネルギーにつきましては、当面原子力、石炭、それからLNG等ございますけれども、もう少し研究開発も加速的に進めながら、それを実現していくような方向性を持たなければならないわけでございますけれども、その辺のところのリードタイムの長さ等も考えまして、七十年度というところにもどういう地図がかけるかというところで、今度のこの需給見通しにおきましては、七十年度までの長い見通しを策定して、お示しいただいたような次第でございます。
 以上でございます。
#75
○有島分科員 お聞きしておりますのは、ここに示された五十四年八月のものが、また近く、これがいろいろと手直しをされるという可能性があるのか、あるいは当分、これを一つの目標として考えていくべきものなのか、その辺はどうなんでしょうか。
#76
○深沢説明員 これは報告の中でも指摘されている点でございますけれども、やはり先生御指摘のように、エネルギー情勢というのは非常に流動的でございます。やはり時宜に適した柔軟な判断に基づく対応ということが必要になってまいります。したがいまして、この見通しにつきましても、そのときどきの評価、検討を加えながらやっていくようにという御指摘がございます。これから考えますと、またサミット会議等も開かれますし、それから国際的なそのほかの会議も開かれますので、その辺のところの推移を見ながら、わが国としまして、その辺のところに適切に対応してまいりたいということでございます。
 以上でございます。
#77
○有島分科員 それでは、経済企画庁の方では、この中間報告をどのように評価なさるか。また新経済社会七カ年計画、これとの整合性ということについて、経済企画庁ではどのように評価していらっしゃるか。
#78
○戸田政府委員 新経済社会七カ年計画を策定しております間に、われわれやはりエネルギーの見通しを、試算しながら計画を策定したわけでございます。その当時われわれ、原油換算で大体六億キロリットルぐらいの需要が必要なのではないか、同時に、それに対応する輸入量として一日当たり六百九十万バレル程度の輸入が必要なのではないかということを当初考えていたわけでございますが、その検討の過程に東京サミットが開かれまして、わが国の輸入目標が六百三十万から六百九十万バレルと幅で示され、できるだけ下限値に近づけるように努力するのだ、こういうことが決められたわけでございます。したがいまして、その過程でわれわれも、六百三十万バレルというような状況で、果たしてこの七カ年計画で考えておりますような経済成長なりその他の方向が進められるかどうかということを緊急に検討いたしまして、大変困難な問題がありますけれども、節約と代替エネルギーの開発を進めることによって、六百三十万バレルまで輸入量を削減することが可能であるという結論を出して、したがいまして、先生いまお手元にお持ちでございます資料には、原油換算総量五・八五から六億キロリットルと幅で表示し、輸入量につきましても、六百三十万から六百九十万バレル、こういうことでございます。
 なお、総合エネルギー調査会の中間報告は、先ほどもお話ございましたように、七十年までの非常に長いものでございますが、六十年までのところでは、大体われわれの計画を策定しました試算値の下限値に、いわば六百三十万バレルあるいは五・八五億キロリットルに照応して整合しているものだというふうに判断をいたしております。
#79
○有島分科員 経済企画庁の御判断ですけれども、その御判断の基準は、もうこれだけのものはどうでもこうでも確保しなければならぬというような、ミニマムといいますか、そういうような数字と見ていらっしゃいますですか。
#80
○戸田政府委員 経済計画の中にも述べておると思いますけれども、代替エネルギーの開発なり、あるいは省エネルギーの推進ということは、官民挙げての大変な努力が必要で、その努力の上にそういう方向が打ち立てられるのだというふうに述べておるわけでございまして、いわば今後の一つの努力の目標というような性格のものだろうというふうに判断をいたしております。
#81
○有島分科員 それでは科学技術庁長官に、いまの問題でございますけれども、長期エネルギーの需給見通しでございますね、これについて科学技術庁は大変大きな役割りをしていかなければならないと思うのですけれども、これについての御所感をひとつ承っておきたいと思います。
#82
○長田国務大臣 ただいま委員御指摘のとおり、今後のエネルギー計画遂行上、科学技術庁の果たす役割りは大変重いと思っております。特に石油にかわるべきいろいろなエネルギーの中で、やはり原子力の果たす役割りが大変大きいと思っておりますので、それの開発利用につきまして、私どもは、ほかの部門にも考慮しながら、しかし、主たる精力を原子力の開発利用に鋭意取り組んでまいりたいと思っているところでございます。
#83
○有島分科員 この原子力の受け持たなければならない比重というものは、非常に大きくなるわけでございますが、それはできますか。
#84
○長田国務大臣 ただいまのところ、御承知のように実は原子力発電二十一基、千五百万キロワットでございますが、建設中と計画中のものが千四百万キロワットございまして、五年後には、先ほど御指摘になりました長期計画で五年後三千万キロワットということになっておりますが、ほぼそれに近づくことは可能ではないか、その前後まで参ることができるのではないか。一番の問題は、御承知のような天然ウラン、それから濃縮ウランの確保でございますが、これらにつきましては、あの長期計画分の昭和六十五年ごろ、六十年代の半ばちょっと過ぎぐらいのところまで手配がなされておりますし、また再処理等につきましても、これまた同じくアメリカ及びヨーロッパ諸国との関係につきましていろいろな手配がなされておる。自主技術の方はそこまで全部賄うには足りませんけれども、濃縮の問題にしましても再処理の問題にしましても、逐次歩みを進めているという状況でございます。
 一番問題は、やはり立地の問題ではなかろうかと思います。これにつきましては、日本の原子力発電につきましての安全性に私どもも十分に注意をいたし、その実態を国民の皆様に御理解を願い、そして、その上での御協力もいただきながら計画の達成に努めてまいりたい、そのように考えている次第でございます。
#85
○有島分科員 いま長官がおっしゃったように、原料の問題と技術の問題、これはどうにかいけそうだ、一番困難な問題は立地の問題、また住民の反対といいますか、危険に対する疑惑と申しますか、これをどういうふうにしていくかということでございましょうね。そのために、やや強引に事を進めるために、お金をばらまいてしまえばよかろうというようなことがいつまでも続くというわけにはいかないでしょう。いままでは、ややもすればそれに近い、納得をしたというよりも、いろいろな経済上の有利な誘致といいますか、その誘いによって押しつけてしまったと言われるようなことも間々あったわけでございますけれども、ここでもって原子力の平和利用と言いながら、国民の素朴な心配といいますか、危害があるとかないとかいうこと、あるいはこの後処理を一体どうしてくれるのかというようなこともありますけれども、日本で使っている、採用しておる原子力発電の方式というものがアメリカ型であるということが一つですね。アメリカ型ということは、アメリカの開発というのは軍事利用ということによって推進されてきた、しかも、それはアメリカの海軍の開発したものをそのまま持ってきているという歴史的な経過というのが非常に重いのじゃないかと私は思うのです。わが国においても、そういったアメリカの技術をもとに置いてそれを改良していくというような一つの行き方とは別な、日本独自といいますか、本当の平和利用という行き方、ここでもって時間がないから余り詳しく技術的なことはできませんけれども、濃縮ウランにだけ頼っていくというような行き方から、もっと広くウラン鉱石等をもっと生だきと言ってはおかしいけれども、そういうような方向をさらにさらに大きく進めていかなければならないのじゃないか、進めるについては、目先六十年、六十五年のところに大きくそれが響くかどうかわからないけれども、そういう方向にもっと力を入れていかなければならないのじゃないかというふうに私は思うわけです。そういった方向が大いに宣伝される、ないしは宣伝に伴うだけのお金もつけていくということが、長期的に見て国民を納得させていく一つの手がかりになっていくのじゃないだろうかというふうに私は思うわけだけれども、技術庁長官、こういった点についてお考えになっていらっしゃるか、あるいはこういったことについて処置をなさる御用意がおありになるかどうか。いかがでしょうか。
#86
○長田国務大臣 御指摘のように、原子力の開発が軍事目的から始まった、しかも、その被爆国が日本だけだったという大変悲しい事態というものもあったわけでございますし、また、それに伴う国民感情というようなものも独特のものがあったということは、私どもは当然考えなければならないと存じますが、そのようなことも十分検討の上で、二十年余り前から原子力発電というものを日本に導入してまいったわけでございます。そして、その導入しました方式がアメリカ型軽水炉を入れまして、それを逐次国内で改良しながら進んでおり、現在でもほとんど全部その方式でありますことも御指摘のとおりでございます。ただ、その安全性につきましては、アメリカの安全確保の方法というものももちろん十分参考にしておりますが、私は、従来日本でとってまいりました安全確保の方策、それの実施の仕方というものは、相当高度の、確度の高い、安全を確保し得るようなものであったというふうに思いますし、昨年のスリーマイルアイランドの経験なども込めまして、それらにつきましての安全の確保ということについての措置が非常に周到になされている、そのように考えているところでございます。
 なお、新しい炉、濃縮ウラン以外のものにつきましてのことは、原子力委員会などでも、たとえば昨年ほかの炉式を導入すべきかどうかということなどに絡みまして十分検討したようでございます。私の着任前でございますけれども、その意見、決定などを見ましても、私は、あの時点でああいう決定がなされたということにつきましては、妥当なものだったというふうに判断しておりますが、また同時に、日本で濃縮ウラン以外の、あの方式以外を当面採用する意思がないかどうかの問題につきましては、御承知のように、科学技術庁を中心としまして新型転換炉の開発がかなり進められておるわけでございまして、これは濃縮ウランというものを使わずにやっていく方式で、先日のINFCE後の日本の新聞を見ましたら、何かアメリカのさる学者が日本の新型転換炉を非常に高く評価しているようでして、過褒あえて当たらずとまでは言い切れませんが、ちょっとほめられ過ぎているような感じもいたすわけでございますけれども、そういうような、日本は日本なりに独自のそういうものも開発している、しかし、次の段階は、ウラン鉱石を十分に利用するという観点から、いずれにしましても、御承知のウラン鉱石の大部分、九九・三%を占めておりますウラン238からプルトニウム、そちらへの利用の道に進まざるを得ないと思うわけでございますし、それにつきましての高速増殖炉の開発、どうもそちらの方が主流になってまいるのではないかな、そのような感じもいたしますが、いずれにしましても、今後の問題でございますから、専門家その他各界の御意見、検討、そういうものも経まして、正しい効率のある道、安全な道、まあ安全と正しいことは同義語と申してもよろしゅうございますが、正しい、安全で効率のある道を進みたい、そのように考えておる次第でございます。
#87
○有島分科員 ここでこういった話題を出しましたのは、いまおっしゃった新型転換炉のようなもの、これは科学技術的に、ないしは安全の見地から見てよろしいということが――まあ安全の見地のことはこれからでしょう。けれども、ひとつ話題に出しておきたいということは、どうしてもいままでの行きがかりとして、いままでの炉を改良してこれをやっていくのだという、この方が全体のパワーとして強いわけですな。だから、新しいものをまたいまの段階から開発していくというのはなかなか抵抗が多いのだというふうに思います。だから、その芽を政府機関の中でも科学技術庁が本当にプロテクトしていかないと、育てていかないとならないのではないかというふうに私は思うものですから、ここでもって話題に出しました。しっかり育てていってもらうように要望いたします。
 それから、代替エネルギーというような言葉は余り私は好まぬわけでありますけれども、これは石油の時代、石油を一番のメーンと見なければならないから、それにかわるものという意味でありましょう。石油時代から今度は次のエネルギーの時代というものが長期的には兆していると見なければならないでありましょう。そのときに原子力がかなり頼りになるエネルギーであるという評価はあるけれども、これは、そればかりに全部頼るだけの量はないわけです。
 そこで、私がかねてから着目しかつこれを主張しているわけですけれども、海洋の波浪のエネルギーであります。わが国に打ち寄せている波は年平均して十四億キロワットという波になるそうであります。これは新発電方式総合委員会というところの試算だそうでありますが、これは政府の方から答弁をいただいているところでございまして、年平均約十四億キロワットとなっておる。このお答えをいただいたのは実は五十二年の十一月でございましたけれども、この試算はもう少し突っ込んでやっていただきたいと思います。それで、これは年に直しますと、年は八千七百時間ですから、約十兆キロワットということになるわけです。そのうち何%使えるか、これはずいぶんあれですけれども、十兆キロワットということになりますと五十年度の全エネルギーというのは約二兆キロワットぐらいなんじゃないでしょうか。ぼくの概算が見当外れかどうか、大きくまとめてそんなものだろうか、確認しておきます。
#88
○勝谷政府委員 先生御指摘の数字は一応そういう推計がある団体から出されて、私どももそのような推計を使わしていただいておる実情にございますので、同一の認識に立っておると思います。先生御指摘のように、あくまでも理論的な計算値でございまして、これをわれわれのものにし得るかどうかは今後の研究にまつわけでございます。
#89
○有島分科員 そこで、科学技術庁長官にお願いしたい。この計量の仕方も、これはやや理論値に近いわけなんですよ。これを実証していくための計測ということを一つ進めなければならぬわけです。海の波のエネルギーをはかりましょうなんて、いま余りやってないわけですね。海明でもってやっとやり出している。見てまいりましたけれども、コンピューターが動いておる。これはわが国としてはそれこそ本気で調べなければならぬことだ。じゃ、調べるために予算はどのくらいついているかということなんですよ。きょうは時間がなくなっちゃったからここで細かい数字のことはやめますけれども、これはしっかり調べてもらいたい。
 それから、いまやっております上下波のエネルギーをとるという実験がございます。それからその上下波のエネルギーのあり方と横波のエネルギーのあり方、これは理論値によると同じだという議論と、いや違うんだという議論と二つあるんですよ。それもいまのところ学界の中でも余りはっきりしないようであります。そういうことはこの際、もう今年度中の課題くらいな勢いでなすってもいいのじゃないかと思いますのは、その海明のデータが大体出てまいりますから、これはコンピューターの曲線を読み取っていくのがかなりの時間がかかるようでございますけれども、そういうことと並行して進めてもらいたい。これは余りお金のかかることではございませんので、ぜひとも進めてもらいたい。それだけお約束いただければきょうの質問はこれで終わってもよろしい、こういうことでございます。
#90
○長田国務大臣 波力の発電等エネルギーにこれを利用することにつきましては、御承知の海明等を中心としてやってまいりましたし、たとえば黒潮の調査とかそういうこともやっておりますが、ただいま御指摘の点につきましても、今後私どもそういうことをも込めまして、波力の活用について研究開発を進めたい、そのように考えております。
#91
○有島分科員 それでは、きょうはほんのとば口のようなことで、またいろいろと承りたいと思います。どうもありがとうございました。終わります。
#92
○藤尾主査 以上で有島君の質疑は終了いたしました。
 次に、安田純治君。
#93
○安田(純)分科員 ただいま同僚委員の方からも原子力発電の問題について若干質疑がございましたけれども、まず長官にお伺いしたいんですけれども、先ほどの質疑の中で長官から、国民の理解を得て原子力発電を促進していきたいというような御趣旨の御答弁があったと思います。国民の理解を受けるためにはどういうことをしなければならないとお考えか、まずその点を明らかにしていただきたいと思います。
#94
○長田国務大臣 原子力発電設備の安全性というものにつきまして、まず関係者が、これは発電の建設の企業あるいはその監督官庁であります通産省あるいはまたダブルチェックの所管であります原子力安全委員会等におきまして、綿密な適確な対策を立てていくということが第一だと存じます。そしてそれをいろいろな形で国民の方によく御説明も申し上げ、御理解をいただく、それが問題を進めてまいります一つの前提だというふうに考えております。
#95
○安田(純)分科員 そうしますと、一つは科学的なといいますか、客観的な安全性の問題についての十分な技術的な検討と、その実態について国民に理解されるように国民に対して情報を提供するといいますか、このことの二つが必要だと思いますね。
 そこで、その実態の問題なんですけれども、実態について、本当に実態がどうなっているかということを国民に知らせる問題、これについて十分には行われていないというふうに私は考えるわけでありますが、長官は、国民が大方この安全性の問題について理解をしておるというふうに御認識でしょうか、どうでしょうか。
#96
○長田国務大臣 恐らく、原子力発電所が立地されております近辺の方々は、公開ヒヤリングもございますし、あるいは御自身の側からもこれを理解しようというお気持ちもおありでしょうから、相当の御理解をいただいているのではないか。ただ、広く国民全般にその面の認識が進んでいるかどうかということになりますと、私どももいろいろ努力もしているところでございますけれども、まだ非常に危険なものだ、危ないものだというところからまず出発しておられるように考えまして、今後一層その面の努力をしなければならない、そのように考えております。
#97
○安田(純)分科員 御答弁のお言葉を返すようですが、先ほどの同僚委員も質疑の中で発言されておったように、原発周辺の住民は、果たして本当に理解しているのかどうか。
    〔主査退席、中島(源)主査代理着席〕
お金で、端的に言ってしまえば、札束でほっぺたをひっぱたいて、不安だけれども背に腹はかえられない、金にはかえられないということで、不安ながら従っておるというような側面が非常に強いのではないか。私の国の福島県では、原発が浜通りに大変過密に存在します。少なくとも私どもが現地で見聞きする限り、決して、一般国民が、つまり原発周辺以外の人たちが危険なものだと考えている以上に不安に思っている人がたくさんいるし、現実に裁判なども起きておるわけでございます。恐らく長官も御存じだろうと思います。したがって、現在の原子力行政のあり方については、非常に多くの欠点ないし疑問があるというふうに言わざるを得ないということをまず冒頭に申し上げておきます。
 次に、客観的、科学的な安全性というもの、まずその点についてどうなっているかということを――きょうは時間がございませんので、原子炉の構造その他について細かい技術的な論争をするつもりはございませんけれども、現在行われている原子力発電は、その安全性や経済性について多方面から疑問が提起されて、国民に大きな不安を与えていることは御存じのとおりだと思うのですね。
 私は、原子力発電所に働いている人、原発従事者と言っておきますけれども、この原発従事者の問題についてまず伺いたいと思うのです。
 原発の稼働率低下に反比例して、原発従事者の被曝者数が増加しているというふうに言われておりますが、実態がどうなっておるか、この点についてまず御答弁いただきます。
#98
○向説明員 わが国の原子力発電所におきます従事者の総数の推移をお答えいたしますと、まず昭和五十一年度が約二万人でございます。五十二年度が約二万五千人、それから昭和五十三年度が約三万四千人ということで、従事者の数が増加しております。
 それから従事者の総被曝線量でございますが、これも昭和五十一年度約六千二百レム、昭和五十二年度が八千群レム、昭和五十三年度が約一万三千レムというふうになっております。原子力発電所の従事者数あるいは従事者の総被曝線量が増加しているわけでございますが、これは原子力の基数の増加、それからもう一つは、いろいろ応力腐食割れ防止対策工事とか、特殊工事がございましてふえたものというふうに考えております。
#99
○安田(純)分科員 つまり原子炉の基数がふえたということでの増加というのは、自然的なといいますか、当然随伴する増加ですが、稼働率が低下と私は言いましたけれども、いろいろ事故があったり検査が必要なことがあってとまる。そうすると、いまおっしゃったように、そこで働く人がふえるわけです、応力腐食割れとかその他の問題で。したがって、反比例してとまっている間に原発従事者の被曝者数がふえてくるということにならざるを得ないわけですね。政府はこの対策のために定期検査項目の見直しや期間の短縮などを考えているように伺うわけでございますが、果たしてそうなのかどうか。もしそうだとすれば、そもそも原発の定期検査の目的は何かということを伺いたいと思います。
#100
○向説明員 お答えいたします。
 定期検査でございますが、先生御承知のとおり、原子力発電所を建設するに当たりましては、まず原子炉等規制法に基づきます設置の許可、それから電気事業法に基づきます工事計画の認可等、厳正な安全規制が行われるわけでございますが、運転開始後におきましても、電気事業法に基づきまして毎年一回国の定期検査が義務づけられております。これは発電所をとめましてやるわけでございます。この定期検査は、各原子力発電所の設備が安全運転に支障がないかどうかということを確認することを目的として、各設備ごとに厳重に検査を実施しているというものでございます。
 そういうことで、われわれとしましては各設備ごとに検査をするということと、検査の内容といたしましては、いろいろな方法があるわけでございますが、外観検査とかあるいは分解の検査、あるいは機能検査等いろいろな検査を実施しております。
#101
○安田(純)分科員 その定期検査項目の見直しや期間短縮などについてはどうですか。そういうことをお考えのように報道されておりますが、全くそのお考えがないということですか。
#102
○向説明員 原子力発電所の検査の方法につきましては、先ほどお話したとおりでございますが、われわれ定期検査をやっておりまして、いろいろ運転実績等を考慮いたしまして、それで検査の内容等をレビューするということは考えておりますが、スリーマイルアイランドの事故以降、やはり検査すべき範囲がむしろふえているということでございまして、そこら辺はわれわれは慎重に対処しているところでございます。
#103
○安田(純)分科員 そうしますと、むしろ検査項目は今後ふえる、期間短縮は考えていないということですか。新聞報道によると、そういうことを考えておるようなことを言われますけれども、どうですか。
#104
○向説明員 定期検査の項目につきましては、いまお話しいたしましたように、スリーマイルアイランドのことも含めまして、検査項目の範囲をふやすということが必要でございます。
 それからもう一つ、運転実績等を考慮いたしまして、たとえば燃料等につきまして運転中の炉水濃度が十分低いものにつきましては、その燃料のシッピング検査と言っておりますが、そういう定期検査における検査の抜き取り率ということでございますが、これはそういうことを考慮して減らすということもできますので、そういう運転実績を考慮いたしました検査項目のあり方というのはあわせて検討をやっております。
#105
○安田(純)分科員 一月二十七日の朝日新聞の報道によりますと、「通産省資源エネルギー庁は、」ということになっていますが、「原子力発電所の稼働率を向上させるため、」つまり稼働率を向上させるということは、経済的にも効率があるし、先ほど言ったように、とまっている間にいろいろ人が入っていって働かざるを得ないので被曝線量もふえるということになるわけですから、それもまた抑えるという両方のメリットがあると考えられるのでしょうが、そこで、「稼働率を向上させるため、定期検査に必要な日数を現在の九十日から七十日程度に減らす方針で検討を進めているが、二十六日までに基本的な考え方がまとまった。それによると、検査項目のうち毎年実施の必要のないものを洗い出す、必要に応じて抜き取り検査方式を導入する」これはいま答弁があったようですが、「危険性のないものは原子炉を運転しながら行う――などが骨子」である。そうすると、この報道は正確ではないということですか。
#106
○向説明員 お答えいたします。
 定期検査の項目等につきましては、いまお話ししましたように、絶えず検査項目等運転実績を考慮して検討するということでございまして、いまお話ありましたような実績がいいものにつきましては、それぞれその評価をして検査を実施するということでございますが、先ほども御答弁いたしましたように、スリーマイルで検査すべき範囲も別途またふえております。
 そういうことで、われわれ、電気事業法で検査いたします定期検査は慎重にやっておるわけでございます。
#107
○安田(純)分科員 私はそんなことを聞いているんじゃないのですよ。この朝日新聞の報道、これは間違いかと聞いているのです。あなた方の考えは先ほど答弁を受けました。この朝日新聞が報道している内容は間違いかと聞いているのです。端的に答えてください。
#108
○向説明員 お答えいたします。
 定期検査のそういう項目につきまして、運転実績等を考慮して検討しているということは事実でございます。
#109
○安田(純)分科員 そこで長官、国民の理解の問題にまた返っていくわけですけれども、確かに科学技術上の問題は、そのほかの社会的ないろいろなシステムもそうでしょうけれども、事前に相当研究してかかっても、なおかつ実際に運用する段階で、一般に試行錯誤的なものがあり得る。これは化学工場であろうが物理的な作業であろうが、すべて物事には多少そういうものを伴うだろと思うのです。
 しかし、原子力の発電の場合、放射能という世代をわたって非常に被害を受ける危険のあるものですから、試行錯誤的なものがあってあたりまえだというような態度はもってのほかであると思うのです。検査項目がふえるのはスリーマイル島の事故の反省であるのだというので、それは結構かもしれませんが、それだって、実はスリーマイル島が起きたから初めて、いや、ここも検査しなければならぬということになったとすれば、いままでそこが抜けておったということですね。それから、必要のないものは今度はやらなくてもいいというふうにしていくんだ、運転実績を見てということになりますと、いままでは全くむだなことをやっていた、その項目については。つまり、試行錯誤があるということの告白だと思うのです。したがって、商業用原子炉といいますか、実用原子炉を導入するときに、こういう検査項目の見直しなんという報道が出ますと、まず、それじゃいままで一体、事前にどのくらい石橋をたたいておったのか疑問じゃないか。渡ってみて、ここはちょっと手直ししなければいかぬとかやっているんじゃないか。先ほど言ったように、あらゆる技術問題について試行錯誤的なものが実用段階においてあり得ることは認めた上で、しかしながら、放射能被害があり得るという危険物を取り扱う場合には、石橋は実際たたいてたたいて、結局は渡らないこともあり得るくらいのそういう姿勢がなければ国民は理解しないと思うのですよ。そういうことをやって、実際に運転を始めておきながら、いまになってから理解してくれと言うても、やはり当局の姿勢について不安を感ずるということがあり得ると思うので、その点で検査項目の見直しなんかについても、なぜそうなのか、いままでやったうちでもし検査項目から外すものがあったりするならば、それはなぜ必要ないのか、いままではなぜやってきたのかということについて、国民に十分わかるように説明をしていただかなければいかぬのじゃないかと思うのですね。ただやってみたら必要ないものは抜かすのだという、普通の工場みたいな試行錯誤的なことをやったのでは、これはもう国民の理解など受けようと思うのは間違いであるというふうに思います。この点は強調しておいて、御答弁は後からまとめていただいていいと思うのです。
 次に、放射線の被曝は理想を言えばゼロが望ましいと思うのですね。よく当局の方々や原子力発電の関係者は、自然界に存在する放射能でもこのくらいあるんだから大したことないという御説明がありますけれども、自然界に存在する放射能であっても、できるなら被曝しない方がいいのではないか。人間の健康に浴びれば非常に結構だ、浴び過ぎては困るというような紫外線とはちょっと違って、ないならないにこしたことないというのが医学上の結論だろうと思います。この点は疑いのないところだと思うのですね。ただ、放射線障害が非常に複雑なところは、非常に急激に多量の放射能を浴びた場合の被害は、これはもう確実に皮膚炎症や何かということでやけどをしたりしますからわかりますが、微量だった場合に、世代を越えての被害なり、あるいは何年かたってからの白血病、がんなんかの発現について、統計的には因果関係がはっきりしているようでありますが、しかし、われわれが青酸カリを飲んで死んだりするように非常に確実ではない。これは統計的なものだというふうに言わざるを得ない面がありますね。したがって、どうも安易に流れる危険があるというふうに思うのですよ。しかし、何といっても今日の医学の結論から見れば、放射線被曝はゼロが望ましい。しかし、自然界に存在する放射能は、これは避けようもないからやむを得ないんだ。やむを得ないんであって、結構だということではないと思うのですね。
 そこを前提にしてまず伺うわけですが、もしその考え方が全く間違いで、放射能は、多少浴びれば紫外線のように健康によくて、多ければ悪いんだということであれば、また御反論いただけば結構なんですが、私の理解するところは、放射線被曝はゼロが望ましいということはもうはっきりしていると思うのですね。
 さて、原発従事者の被曝線量が、先ほどの御答弁のように総被曝線量でも多くなっている。総被曝線量で多くなっているというのは、統計的に見ると、非常に危険が増大しているということでありまして、一人についての被曝線量の多さは、統計的に見るとそれだけ放射線障害の発生率が多くなる。人数をふやして一人一人の放射線被曝量は少なくしても、総被曝量が多くなれば、統計学的に見ればこれまた同じ危険率があるということは明らかだと思うのです。
 そこで、原発従事者の被曝線量が、先ほどの御答弁のように増加しておる。それから、原発付近の魚介類からコバルト60などが検出されたという問題もあるわけであります。そういうとき、先ほど言っているように、政府や電力会社の機関が、自然界に存在する放射能と比較したり、あるいは医学診断の際の胸部検診とか、胃とか歯の治療の際のレントゲンの数値を挙げて心配する必要ないんだ、こういうことを一、占うわけですが、本当に健康に影響がないのかどうか。医学上の結論から見ると、それはそれでどうも健康に影響がないとは言い切れない、統計学的に見れば。ただ、だれだれが、被曝した人、その人がいつどんなふうにして発病するかなんということは確実にわからぬけれども、被曝線量と放射線の障害は、統計的に見ると有意の関係があるということは明らかだ。
 さて、そこで伺いたいのですが、原子炉は設計上どの程度の放射性物質の環境への放出を許容しているのか、この点を伺いたいと思います。
#110
○逢坂説明員 御説明申し上げます。
 原子力発電所の放出物質につきましては、現在、安全の審査の段階におきまして、「発電用軽水型原子炉施設周辺の線量目標値に関する評価指針」というのがございまして、これに基づきまして評価しております。これには詳細に想定の手順が書いてございまして、これに基づいてやっておるわけでございますが、これの公衆の被曝線量に対する基準といたしまして、現在、法的には定められております五百、ミリレム・年間というのがございますけれども、これを十分下回る、容易に達成できるだけ低くするという考え方でやっておりまして、その値は、全身被曝につきまして年間五ミリレム、甲状腺につきましては年間十五、ミリレムということを決めております。したがいまして、原子力発電所の安全審査の段階では、これを達成できるということを確認するわけでございます。
#111
○安田(純)分科員 いや、私が伺っているのは原子力発電所内の、いわゆる管理区域内において被曝する従事者の問題でなくて、環境に、外にどのくらい放出することを設計上あらかじめ許容しているのかという問題です。
#112
○逢坂説明員 量を許容するということではございませんで、周辺の境界線で被曝、そこに人が居続けたと仮定しまして、それでいま申しました年間五ミリレムあるいは甲状腺十五ミリレムというのを管理の目標値にしておる、こういうことでございます。ですから、その外側はそれより低くなるというか、最大のところで評価しておるわけであります。
#113
○安田(純)分科員 この場合に、蓄積あるいは食物連鎖過程における濃縮などの危険はない、こういうふうに考えておるのかどうか。もしそうだとすれば、その根拠は何か。
#114
○逢坂説明員 蓄積の問題は、たとえば液体の放射性物質につきましては、まず放出キュリー数を仮定いたします。トリチウムを除きまして、年間一炉当たり一キュリーという仮定をいたしまして、それが放出口で出る濃度を仮定いたします。そして、食物などに蓄積するという量を計算いたしまして、これは各種別に決まるわけでございますが、そしてそれを魚介類、海草類を一定の決められた値、たとえば貝類でございますと、毎日二十グラム食べて、一年間食べたときのその人が被曝する線量を計算するということでございます。そういう手順につきましては、先ほど申しました指針に全部決まっておるわけでございます。
#115
○安田(純)分科員 そうしますと、食物の連鎖過程における濃縮などの結果、いわば濃縮された最後の結果の段階で、たとえば貝ならば、一日に何キロ食ったら障害を受けるという、その障害といいますか、その許容量に達するかどうかという一つのメルクマールがあるわけですね。濃縮というのは、消えるものがあるわけですから、次々食物連鎖が起きてくるものがあるわけです。その最後というのは、どの段階でつかまえるのですかね。
#116
○逢坂説明員 食物を食べまして濃縮した量というものを仮定いたしまして、最終的には人に入る量を計算するわけでございます。
#117
○安田(純)分科員 さて、東京電力の福島第一原発の周辺海域のホッキガイから、ホッキガイに限らないのですが、人工放射性物質であるコバルト60及びマンガン54などが検出されたという報告が――これは民間だと思いますが、放射能汚染調査グループと俗に言っておりますが、大学の研究者などがやっておるグループが報告を出しております。これはまず、そういう事実を御存じかどうか、御存じだとすれば、なお当局として跡追い調査といいますか、調査をしてみたかどうか、その対策はどうなっているかということを伺いたいと思います。
#118
○逢坂説明員 一月二十八日、二十九日にNHKニュース、その他新聞でその報道がされたということにつきましては私ども承知してございます。その量は、ホッキガイから四ないし十二ピコキュリーのコバルト60が検出された、こういうことでございます。この量につきましては、先般公開ヒヤリングで私ども御説明させていただきましたけれども、これを先ほど申しました評価指針に沿って評価いたしますと、大体年間当たり〇・〇〇〇三ミリレムぐらいになると思います。この量は、先ほど来申します年間五百ミリレムというよりは、はるかに小さいことはもちろんでございますし、五ミリレムより当然低い、それから自然の放射線で食物として採取しておるのが大体二十ミリレムぐらいございますが、これに比べましても十分小さいということを御説明させていただきました。
#119
○安田(純)分科員 いまの御答弁でまことに明らかになったように、長官、すぐ自然の放射能と比べてみて、人工的にできる放射性物質で自然界には存在しない、つまり原発があるために出てきた放射能をそれに比較するわけですね。それで安全だというふうに、すぐ国民を説得しようとすることが一つ。
 しかし、先ほど言ったように、放射線はゼロであるのが望ましいのであって、自然界に存在するものだって、なるべくなら被曝しない方がいいというのは常識だ。ですから、自然界の放射能にプラスアルファするわけですから、やっぱり国民は原発があれば、それで死ぬかどうかはすぐわからないけれども、よけいなものが加わることは明らかであるということになります。そのよけいなものが加わったのは、健康に障害がないのだと言い切れるかどうかも、放射線障害の複雑さから、先ほど言った統計的な問題から、断固として言い得るわけでもないはずですね。ですから、最終的にはどうもわからぬわけですが、それでもまあまあいまの世界の科学水準から見て、このくらいならプラスアルファしても大したことないやということを当局側の方ではお考えのようです。国民の側では、よけいなものがプラスアルファされておる。
 しかも重要なことは、その後調査されたかどうかなんですね。民間の方が、自分らの金を使って苦労して調べる。そうすると、それで新聞発表になる。NHKのニュースなんか、座ってテレビで見ておって、あれなら計算すると〇・〇〇何レムだから構わぬというふうになっているのか。ああそうか、それ以上かもしらぬし、民間のやったことだからそれ以下かもしらぬということで、すぐ駆けつけてやってみる、こういう姿勢がなくて国民に、信頼、御理解得たいなんて言ったって、これはどういうことなんですかね。
 ある意味では確かに、民間の放射能汚染調査グループの発表が、むしろ危険じゃないということの証明になったとするならば、長官、民間人が自分らの金で一生懸命、皆さん方のやるべき〇・〇〇〇くらいしかないから安全だということを証明してやっているようなもので、見方によっては逆になるんですね。それを役所の方は、NHKのテレビだの新聞報道見て、ああそうかといって、それについてのコメントをしておる。こういう姿勢のようにうかがえるのです、調査しなかったとすれば。で、長官のおっしゃるように、実態を明らかにして国民に理解を受けたいということは、私に言わせれば、どうもこれは虫のいい話ではないか、姿勢が問題だということを思いますけれども、長官、どうですか。
#120
○長田国務大臣 いま法令で定められております基準、あるいはまたそれぞれの企業なり、あるいは監督官庁であります通産省などがめどとしております基準、そういうようなものは、もうその基準の前後は本来は危険だけれども、危険の度合いが少ないからそうしているのか、あるいはほとんど無害に近いのか。ただいまの、ゼロが好ましいことなんだがというお説につきまして、私は十分な自信がありませんが、昔ラジウム温泉なんというのが非常に推奨されたことなぞ、ときに思い出すわけでございますが、いまつくりました基準がどの程度の安全というものを確保し得るものか、そういうことにも関連いたしますので、安全局長から御答弁申し上げたいと存じます。
#121
○牧村政府委員 先生御指摘のように、放射線の影響につきまして、できるだけ低い方が望ましいことは事実でございます。しかし、一方、原子力の開発に伴う、ある程度の放射線による被曝というものは、全国民あるいは従業者も受けざるを得ない、こういうような現実にございますときに、日本の安全規制の仕方といたしましては、ICRPという国際的な機関がございますが、そこで世界じゅうの学者が従来から研究を積み重ねられたものを評価いたしまして決めた基準に従うということで、全世界的にもやっておるところでございます。先ほど通産省からも御説明がありましたように、一般住民に対しては、現在国際的に認められております五百ミリレムの一般人の被曝許容線量をさらに百分の一下回った五ミリレムで、各電一力会社で管理させるようなことでやっておるところでございます。したがいまして、これらが十分守られていくことによりまして、まず一般大衆に一対しての放射線の影響を避けることができると考えておるところでございます。
 それから、ただいまモニタリング、貝の中のコバルト60の問題が先生から御指摘ございまして、私どももその報告を聞きまして、現在県と電力会社が相談いたしまして、県の方で試料を採取して再度調査するというようなことも行われておりまして、近くそのデータが出るやに聞いております。私どもといたしましては、各発電所の周辺のモニタリングにつきましては、これは当然事業者も義務づけられておりますけれども、地方自治体と協力いたしまして、地方自治体でもそれをダブルチェックするというふうなモニタリングのシステムをつけて、環境に放出される放射線の影響の調査を進めておるところでございます。福島県につきましては、海底土あるいは魚、海草、それから野菜類等についてやっておるわけでございまして、毎年そのデータ等を出しまして、評価して発表しておるところでございますが、貝の調査につきましては、このホッキガイが、分析を十分に行いますときに一定のところで一定の量を確保するのに非常に困難性もあるということから、県警とお話し合いした指標としておりますサンプルの中に入っていないというようなことがあって、いままでホッキガイの調査をしていないわけでございますが、今後地元の要請等がございました場合には、発電所周辺のモニタリングの計画の中にホッキガイを入れるかどうか等につきまして十分検討させていただいて、今後引き続き環境モニタリングの調査の際に、そういうものを採用していくというような姿勢でまいりたいというふうに考えておるところでございます。
 なお、検出されました十二ピコキュリー、すなわち一兆分の十二キュリーというのは、これらをもし人間が大量に食べましても影響を与えるほどの量ではないということは、先ほど通産省が御説明しましたとおりの数値でございます。
#122
○安田(純)分科員 とうとう時間が来てしまいましたので、実は労働省の方にも来ていただいて、一原発従事者の放射線被曝と白血病なんかの労災認定の関係なども含めて、またその答弁によって科学技術庁の方に再び伺う予定で大分資料も用意してきたのですが、時間がなくなってしまいましたのでこれで終わりますが、最後に長官に一言だけ。
 いろいろと私も先ほどから強調しているように、国民の理解を受けるためには実態をまず国民に知らせなければいかぬだろう。われわれ実態を聞くたびに、お役所の姿勢について疑問を感じざるを得ない。たとえばホッキガイのいまの答弁でも、十分な量を一カ所で採取できないから対象にしなかったと言うけれども、民間の学者がちゃんとやっているわけですから、これを国ができないはずがなかろうじゃないか、国は何をやっているんだというふうに言わざるを得ないですね。あるいは学者のデータが全くインチキで、ほんの小指の先くらいでもってやっているのか、そうは思えない。ちゃんと報告のデータを見ると細かく書いてあります、どのくらい採取してどうしたということが。民間ができるのになぜ役所ができないのかということが疑問になりますね。
 それから、最後に。「原発ジプシー」という本が出ています。これは堀江邦夫さんというルポライターの方が原発の労働者の中へ入っていって――これを読みますとますます実態を知れば知るほど不安になってくるわけですよ。たとえば放射線の管理教育ですね、これなんか見ましても、この本の四十五ぺ−ジですが、「八ミリ上映後、放管」――放射線管理者ですね。「放管が各人に一枚ずつ用紙を配りはじめた。「放射線管理教育終了書」――たしか、こんな表題だった。名前、住所を記入し、判を押せという。たかだか四〇分ほどの八ミリを見せられただけで、管理区域内での実地研修もないまま、」「放射線管理教育は終了してしまった。」というような報告も載っておりますし、それから通産省が来た場合ですかね、その場合には適当に言っておけと言わんばかりの話も載っておるわけですし、現実に働いている現場でマスクつけておると働きにくくてどうしようもないとか、いろんなのが載っております。これは一部分だけじゃなくて全部読んでいただきますと、これは放射線の問題でも十分安全管理をやっておるなどと言っているけれども、現実には余りそうじゃないんじゃないかということがこのルポルタージュで明らかになってまいりますので、実態を知れば知るほど、かえって原発反対という気持ちが強くなるようでございます。それは私の特殊な感じかどうか知りませんけれども、私はそっちの方が常識じゃなかろうかと思うんですね。ですから役所の方が……
#123
○中島(源)主査代理 安田君に申し上げますが、時間が過ぎておりますので簡潔に結論を。
#124
○安田(純)分科員 はい。役所の方が机の上でといいますか、決してそれだけじゃないだろうと思いますけれども、本当に現場の中まで入っていって、実態がどうなっているのか、この点はもう少し真剣にやっていただきたいということもございます。そういう点で長官の御意見を最後に伺って終わりにします。
#125
○長田国務大臣 原子力発電所に従事する者、面接そこで雇われている者あるいは下請の者等についての被曝の問題には、私どもも相当深い関心を持っているところでございまして、通産省あるいは労働省とも絶えず連絡もとりながら実態掌握とその対策に努めているところでございます。今後ともその面につきましては、十分注意をしながら取り進めてまいりたい、そのように思っております。
#126
○安田(純)分科員 終わります。
#127
○中島(源)主査代理 以上で安田君の質疑は終了いたしました。
 これにて総理府所管中、科学技術庁に関する事項についての質疑は終了いたしました。
 この際、午後零時三十分から再開することとし、休憩いたします。
    午後一零時十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後零時三十分開議
#128
○藤尾主査 休憩前に引き続き会議を開きます。
 国会所管について審査を進めます。
 まず、衆議院関係予算の説明を求めます。大久保衆議院事務総長。
#129
○大久保事務総長 昭和五十五年度衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。
 昭和五十五年度国会所管衆議院関係の歳出予算要求額は、三百八十億七千六百八十四万五千円でありまして、これを前年度予算額三百七十八億五百十万円に比較いたしますと、二億七千百七十四万五千円の増加となっております。
 次に、その概略を御説明申し上げますと、第一は、国会の運営に必要な経費でありまして、三百五十億九千四百七十四万三千円を計上いたしております。この経費は、議員関係の諸経費、職員の人件費並びに事務局及び法制局の所掌事務を処理するために必要な経費でありまして、前年度に比し八億一千三百五十六万九千円の増加となっておりますが、増加したものの主なものは、昨年における給与改定に伴う議員歳費並びに議員秘書及び職員の給与及び諸手当、議員の海外派遣に必要な経費、国政調査活動費、招聘外国人滞在費及び議案類印刷費等の増加によるものでございます。
 なお、国際会議場建築準備のため引き続き三百二十九万八千円を、また議会開設九十年の記念行事経費といたしましては、新たに六百五十万円計上いたしました。
 第二は、本院の施設整備に必要な経費といたしまして、二十九億七千五百十万二千円を計上いたしております。このうち主なものは、五十五年度完成予定の高輪議員宿舎第一期工事新営費十六億九千五百五十五万六千円のほか、五十七年度完成を目途に、新たに高輪議員宿舎第二期工事新営費三億四百万円、本館窓枠防錆及び塗装がえ工事七千百四十八万七千円及び第一議員会館内外装等改修工事一億七千八百五十四万二千円等であります。
 また、国会周辺等整備に必要な土地購入費は、引き続き一億五千万円計上することといたしております。
 第三は、国会予備金に必要な経費といたしまして、前年度同額の七百万円を計上いたしております。
 以上簡単でありますが、衆議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。
 よろしく御審議のほどをお願いいたします。
#130
○藤尾主査 次に、参議院関係予算の説明を求めます。前川参議院事務次長。
#131
○前川参議院事務次長 昭和五十五年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。
 昭和五十五年度国会所管参議院関係の歳出予算要求額は、二百十億三千五十四万七千円でありまして、これを前年度予算額二百一億七千百四十四万六千円に比較いたしますと、八億五千九百十万一千円の増加となっております。
 次に、その概略を御説明申し上げますと、第一は、国会の運営に必要な経費でありまして、二百五億九千二百四十五万五千円を計上いたしております。
 この経費は、議員関係の諸経費、職員の人件費並びに事務局及び法制局の所掌事務を処理するために必要な経費でありまして、前年度に比し、八億三千六百八十八万五千円の増加となっておりますが、増加したものの主なものは、昨年における給与改定に伴う議員歳費並びに議員秘書及び職員の給与及び諸手当、議員の海外派遣に必要な経費、国政調査活動費、招聘外国人滞在費及び議案類印刷費等の増加によるものでございます。
 なお、第十二回参議院議員通常選挙に伴う改選関係経費として二億六千百十七万五千円を、また議会開設九十年の記念行事経費として五百三十万九千円を新たに計上いたしました。
 第二は、本院の施設整備に必要な経費といたしまして、四億三千三百九万二千円を計上いたしております。
 このうち主なものは、麹町議員宿舎改築に伴う敷地整理費等でございます。第三は、国会予備金に必要な経費といたしまして、前年度同額の五百万円を計上いたしております。
 以上簡単でありますが、参議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。
 よろしく御審議のほどをお願いいたします。
#132
○藤尾主査 次に、国立国会図書館関係予算の説明を求めます。岸田国立国会図書館長。
#133
○岸田国立国会図書館長 昭和五十五年度国立国会図書館関係歳出予算について御説明申し上げます。
 昭和五十五年度国会所管国立国会図書館関係の歳出予算要求額は、七十三億八千四百九十三万三千円でございまして、これを前年度予算額六十七億三千五百九十三万円と比較いたしますと、六億四千九百万三千円の増加となっております。
 次に、その概略を御説明申し上げますと、第一は、国立国会図書館の管理運営に必要な経費といたしまして、六十六億五千五百九十七万円を計上いたしております。
 これは、前年度予算額に比較いたしますと、四億四千五百七十八万三千円の増加となっております。
 増加したものの主なものを申し上げますと、職員の給与に関する経費、図書館資料の購入に要する経費、立法調査業務を充実するための経費、図書館業務の機械化に要する経費、米国の日本占領関係資料等の収集に要する経費その他でございます。
 第二は、科学技術関係資料購入に必要な経費といたしまして、四億六千三万三千円を計上いたしております。
 第三は、国立国会図書館の施設整備に必要な経費といたしまして、二億六千八百九十三万円を計上いたしております。
 これは、別館の新営に必要な経費等であります。
 以上簡単でございますが、国立国会図書館関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。
 よろしく御審議のほどお願いいたします。
#134
○藤尾主査 次に、裁判官弾劾裁判所関係予算の説明を求めます。西村裁判官弾劾裁判所事務局長。
#135
○西村裁判官弾劾裁判所参事 昭和五十五年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。
 昭和五十五年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係の歳出予算要求額は六千八百五十六万二千円でありまして、これを前年度予算額六千七百六十三万円に比較いたしますと、九十三万二千円の増加となっております。
 この要求額は、裁判官弾劾裁判所における裁判長の職務雑費、委員旅費及び事務局職員の給与に関する経費、事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官の弾劾裁判に直接必要な旅費、庁費でありまして、前年度に比し増加となっておりますもののうち、主なものは職員給与関係経費の増加によるものであります。
 よろしく御幕議のほどお願いいたします。
#136
○藤尾主査 次に、裁判官訴追委員会関係予算の説明を求めます。山崎裁判官訴追委員会事務局長。
#137
○山崎裁判官訴追委員会参事 昭和五十五年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。
 昭和五十五年度国会所管裁判官訴追委員会関係の歳出予算要求額は七千九百七十九万四千円でありまして、これを前年度予算額八千七十三万八千円に比較いたしますと、九十四万四千円の減少となっております。
 この要求額は、裁判官訴追委員会における委員長の職務雑費及び事務局職員の給与に関する経費並びに訴追事案の審査に要する旅費その他の事務費であります。
 よろしく御審議のほどをお願いいたします。
#138
○藤尾主査 以上で説明は終わりました。
#139
○藤尾主査 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口鶴男君。
#140
○山口(鶴)分科員 大蔵省の禿河さんお見えでございますから、まずお尋ねしたいと思うのですが、財政法の十八条、十九条を拝見いたしますと、他の各省庁の予算の編成と、国会あるいは最高裁判所、会計検査院等の予算の編成については、違った規定をいたしておるわけです。十八条では、歳出の概算は決定前に、国会でございましたら衆参両院議長の意見を求める必要がありますし、また、減額をいたしました場合は、その詳細を付記しなければいけない、こうなっておるわけであります。ですから、そういった財政法の規定があるのだから、大蔵省が他の省庁と同じように予算の査定なんということはすべきでない。国会が、あるいは国会図書館が要求いたしました予算はそのまま素直に認める、これが財政法の規定からいって当然だということを私は毎年申し上げてきました。大蔵省、少し歯切れは悪いのですが、大体そのような趣旨でやりたいということを言ってきたのですが、そのお気持ちは変わりはないでしょうね。
#141
○禿河政府委員 先生のいまのお話がございましたとおり、私ども、国会その他の独立機関の予算につきましては、財政法十七条、十八条、十九条、こういう規定もございますので、その趣旨を踏まえまして、今後ともその点を十分勘案いたしてまいりたい、かように考えております。
#142
○山口(鶴)分科員 そこで、お尋ねしたいのですが、いま行政改革ということがいろいろ言われております。機構について新しい国民のニーズに従って再編成をしていくということもこれは必要なことだと思います。
 ただ、同時に、国会は憲法によりまして唯一の立法機関であります。法律についても、制定当時の状況から情勢が相当変わりまして、不要になったもの等々があるのではないかと思います。これらをやはり見直していくのも国会の重要な任務ではないか、私はこう思っておるわけです。その上でお尋ねしたいのですが、現在わが国の法律というのは一体何本あるのですか。
#143
○大井法制局長 お答え申し上げます。
 先生お尋ねの数字が現在の法律ということでございますれば、その総件数は、関係機関等の資料に徴しますと、おおむね千九百件余りでございます。
 ただ、一言お断り申し上げたいと思いますのは、現行の法律、すなわち、現在生きて有効に働いておる法律はどのくらいあるかということになりますと、これは一口で答えが出ない、簡単なものではないという点でございます。と申しますのは、数多く制定されました法律で、その後廃止措置がとられておるもの、さらには、その法律自身によって明らかに効力を失うということになっておるものにつきましては別でございますが、それを除きました、現在までに制定されました法律の中には、いわゆる実効性を失っているかどうかということにつきまして判断を要する法律が相当多数にございます。したがって、これを対象といたしまして、いろいろな事由があるわけでございますが、たとえば、その法律が所期しました目的が完全に遂行されたというような場合、あるいは長時間経過しまして存在理由を失っているというようなものもあるでございましょう。こうしたものを、法的にも事実関係の上からも厳密に判定をいたす必要があるわけでございまして、その作業がきちっと行われませんと、いま申し上げました現行の法律の範囲を明確にすることはなかなか困難であるということでございまして、お尋ねの、現存する法律はという点に関しましては、いまのようないわゆる実効性を失っていると認められるようなものも含めまして数字を申し上げた次第でございます。
#144
○山口(鶴)分科員 千九百件余あるということであります。ところが、見てみますと、たとえば地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律、地方統一選挙に当たって選挙期日を統一をするとか、あるいはオリンピック東京大会の準備等に必要な資金に充てるための寄附金付き製造たばこの販売に関する法律なんというものは、これはオリンピックが終わったわけですから要らない。それから特定災害の補助の特例に関する法律というものも、もう特定災害が済んでしまえば必要ない。それからずいぶん問題になりました大学の臨時措置法、あれも「廃止するものとする。」と、こう書いてありまして、もう期限は来ているわけですね。まだ廃止手続をとってないから生きているということになるのでしょうが、しかし、政治的にはこれはもう明らかに死んでいる法律というふうに考えてもいいと私は思うのです。そういったたぐいのものがおおよそ幾つぐらいございますか。もちろんいろいろ議論はあるでしょう、たとえば大学の臨時措置法について廃止するという場合にどうかということになれば、あるいは自由民主党の方からちょっと異論も出るかもしれませんけれども、私どもは必要ないと思いますが、そういった検討の対象になるものというのは、おおむねどのくらいあると思いますか。
#145
○大井法制局長 いま先生御指摘の、いわゆる実効性を失ったという点につきましては、お話しのとおり認定の問題があるわけでございます。したがって、これもまた明確に何々件とお答えいたしかねるわけでございますが、おおよその件数は、三百件とも言われ、あるいは四百件とも言われております。
#146
○山口(鶴)分科員 さらにお尋ねをしたいと思うのですが、太政官布告なんというのがいまなお現に使われているわけですね。新憲法下いまなお太政官布告なんというものがあるのが、私は大変おかしいことではないかと思うのですが、現に正月の休暇などは根拠は何かと言えば太政官布告だ、こういうお答えが返ってくる。こういうものがそのまま残っておるというところが、私はいまの新憲法下大変おかしいのではないかと思うのですが、さらに占領下の名残であるとも言えるポツダム勅令というようなものもまだ残っている。こういうものは大体どのくらいありますか。
#147
○大井法制局長 お話しの太政官布告についてでございますが、これは明治憲法以前に制定されました、お話しのとおり古い法形式のものでございます。その効力につきましては、明治憲法と今日の日本国憲法、二つの関門を通りまして法的には有効なものが幾つか存在しておるということでございますが、その数は法律と同等の効力を有するものと解せられるものを含めて十件でございます。たとえば爆発物取締罰則というのは、明治十七年の太政官布告でございますが、その一例でございます。
 それから次に、いわゆるポツダム政令についてでございますが、これはお話しのとおり、占領中いわゆるポツダム緊急勅令、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基づき発せられた命令でございまして、平和条約の発効と同時に法律をもちまして、そのうちの特定のものについては法律と同等の効力を有するということにされて今日に至っておりますが、今日現在、その意味で有効なものはおおむね二十数件でございます。一例を挙げますれば物価統制令、昭和二十一年の勅令でございますが、その例でございます。
#148
○山口(鶴)分科員 さらにお尋ねしたいのですが、かたかなの法律が相当あるのじゃないかと思いますが、これは一体どのくらいありますか。
#149
○大井法制局長 御案内のとおり、日本国憲法制定以後においては、憲法を初め各種法令はひらがな書き、口語体という形式をもって制定されておるわけでありますが、いまお話しのかたかな書き、文語体という法律は、主として明治憲法のもとで制定されたわけであります。今日現存するもののおおむねの数は約百七十件余りでございます。
#150
○山口(鶴)分科員 ただいま現存する法律に、実効性のない法律として考えられるもの、あるいは太政官布告、ポツダム勅令あるいはポツダム政令、かたかな書きの法律と、現在の憲法体制のもとではいかがかなと思うような法律がいまなおたくさん残っている。このことは問題ではないかと思うのです。
 私たち立法府は、法律を制定する権能がございます。しかし、その私たちが制定した法律あるいは当然法律として新たに制定し直すべき法律、さらにはかたかな書きであって、旧憲法下にできた法律でいま現在の若い人たちから見れば、大変読み理解するのにむずかしいような法律をそのまま放置しておくことは、言いかえれば立法府の怠慢ではないか、かようにも私は考えるわけであります。かつて国会に法規委員会というのがあった時代もございました。いまはそういうものはございません。法律の内容を改めるということになれば、いろいろな議論があるわけですが、法律の内容はそのままにして、形式が現在にふさわしくないものを改める、あるいはすでに実効性を失っておって、なおかつ法律自体としては現存するものの中に数えられているものを整理するということは、私は国会としての当然の任務でなければならないと考えるわけであります。
 そこで、私は考えるのですが、一つは、現在の国会の常任委員会、国会の機関でどこがそういったものを中心になって進めるべきか。考え方はいろいろあるだろうと思うのですが、その前に、現存する法律が幾つ、そして実効性を失ったと思われる法律、あるいは廃止してもいいのではないかと思われる法律、そういったものを全部整理をする。摘出をして問題点を指摘をする。そうして太政官布告とかポツダム勅令、政令というようなものが幾つあるのかということをきちっと整理をする。それからさらに、かたかな書きのものを現代文に改めるとすれば、これも当然作業が要るわけです。私は、そういった作業は当然衆議院の事務局あるいは法制局というところがまず作業として始める必要があるのではないかな、こういう気がいたすのです。現在の機構で言えば、私は衆議院法制局、参議院法制局がそういうお仕事をする必要があるのではないかと思うのですが、そのためには当然スタッフも必要でしょう、一つの部局も必要だろうと思います。とすれば、禿河さん、国会がそういったものに手をつけようということになれば、当然それにふさわしい機構があるのがあたりまえであって、ないのがおかしいのですから、もし予算措置が必要だということになれば、国会が必要としたものはお認めいただくのが当然ではないか、私はこう思うのです。五十五年度予算の中には残念ながらそういうものはまだ入っていないわけでありますが、衆議院の事務総長なり法制局長なり、いま私が申し上げたようなことを立法府としてやることは必要ではないかと私は思うのですが、御見解を承りたい。
 また、その作業に手をつけようということになれば、現状の機構でできるのかできないのか。できないとすれば、ある程度の機構の拡充も必要だと考えますが、そのことをお伺いをいたしたいと存じます。
#151
○大久保事務総長 私から先にお答えさせていただきます。
 いま山口先生おっしゃったように、立法府である以上、自分らがつくった法律の行方と申しますか、それが現実にどうなっておるかということを追跡調査というか、実効を確かめることは当然の任務だと思っております。その意味におきまして、現時点でそれを総ざらいというか、やることは先生の御意見のとおりだと思います。
 今後どの委員会の所管でそれをやるかは別にいたしまして、その事前の意味で、もしそれをやるとなれば一応法制局が中心になるかと思います。どの程度の規模でやるか、その点についてはわかりかねますが、今後そういう事態になりましたならば、そのほかにも先生御承知のとおり調査スタッフの拡充の問題がございますから、それとあわせて十分に検討させていただきたい、大蔵省とも協議させていただきたいと考えております。
#152
○大井法制局長 先生御発言のとおり、立法府としての立法、制定、さらにはその後の見直し、検討という御趣旨はまことにごもっともだと思っております。ただ、実務を担当いたします私どもとしましては、事は実施に移してみますと必ずしも容易ではない。先ほど申し上げましたように、いわゆる実効性を失っておるかどうかの判定一つにいたしましても、そこにはいろいろな問題があろうかと思います。さらにはかたかな書きをひらがな書きに直すという作業にいたしましても、法律は形式と内容が一体であって、形式だけを直して済むものではないという議論もあろうかと思いますし、中にはきわめて基本的な法律で今日かたかな書きのもの、たとえば民法第一編、第二編、第三編あるいは商法、刑法といった法律もあるわけでございまして、その辺の検討が現に政府でも行われておるわけでございまして、いろいろ問題があろうかと思います。しかしながら、御趣旨自体は、立法府の一つの責務であり、同時にまた国会が本来の使命を果たされる上においてきわめて有意義なことであろうと感じます。
 私どもは、日ごろは各会派、各議員の御依頼を受けまして立法事務に専念しておるわけでございまして、そういった事務的な見直し作業をも行うことはなかなか困難な状況にありますが、御趣旨を体しまして鋭意努力したいと思っております。
#153
○山口(鶴)分科員 今回も一千四百十四億円、予算の実質修正について自民党から回答がありまして、内容的には予算の一部が修正される。禿河さんの方が予算書の書きかえはいやだいやだと言って、いろいろ抵抗したようでありまして、予算書の書きかえの方はいまなお私どもすべきだと思っておりますが、現実、予算の書きかえというのはなかなかむずかしい情勢にある。問題は、予算の書きかえということになると、三年前は政府が修正をいたしまして国会に承諾を求め、その承諾を得て予算の書きかえをした、こういう形式をとったわけでありますが、本来であれば国会が予算の修正案ぐらいつくれるだけの力を持たねばなりませんし、また、それだけのスタッフが必要ではないか、毎年私はそういうことをここで申し上げておるわけであります。
 現在、政府において、行政事務整理合理化という見地から、行政管理庁を中心として、法令の整理について作業を進めていることは私も承知しているのです。しかし、本来立法府の任務ということを考えれば、政府は政府でまた違った観点から整理すべきものをお考えになるのはいいと思いますよ。許認可事務を整理するというようなことで法令を簡素化する努力をするのはいいと思いますが、いま私が申し上げたようなかたかな書きであるとか、ポツダム政令であるとか、勅令であるとかあるいは太政官布告であるとか、あるいはすでに実効性を失なっている法律であるとか、こういうものを整理することはまさに立法府自体がやるべき仕事だ、こう思うのです。その必要性は衆議院事務総長も法制局長もお認めになっておるわけでありまして、そういったことについては当然大蔵省もとやかく言わないで、国会が必要とするものはお認めになる、こういう姿勢が必要ではないのか。とすれば、来年度予算においてそれを実現して、単に法令の整理のみならず、本来であれば予算の修正ぐらいできるような機能を国会が持って、そして憲法にうたわれた国権の最高機関たる任務を十分果たしていくということが必要だと私は思うのです。そのことについて禿河さんの方からお答えをいただきましょう。
#154
○禿河政府委員 私ども、国会の、特に調査機能の充実ということにつきましては、予算あるいは定員の面でできるだけ十分御相談もし、その方向に沿うようにということで努力をしてきたつもりでございます。それで、ただいま先生から具体的にお話がございました、国会が立法府として法令の整理に取り組む場合、財政当局としても当然その方向に即してやるべきだ、こういうお話でございますが、私どももちろん国会が立法府としての権能を発揮され、その機能を発揮されるということにつきましては、それに支障がないように十分考え、よく御協議もしてまいりたい、かようには考えております。
 ただ、ちょっとお願いで恐縮でございますが、行政府におきまして現在非常に厳しい定員管理ということが行われております点、あるいは先ほど先生から御指摘がございましたとおり、行政府におきましても昨年の十二月二十八日の閣議決定を受けまして、法令の整理に取り組んでおる、こういうことにつきましては、ひとつぜひ御勘案をお願いいたしたい、かように考えております。
#155
○山口(鶴)分科員 後段はちょっと言わでもがなだと私は思って聞いていましたのですが、問題は、私はいつも言っているのですが、国会の予算の伸び率と一般会計の予算の伸び率、しかも行政経費の伸び率というものを比較しても、いつも国会の方が少ないのですよね。ということは、行政府に対して立法府が地盤沈下している、こういうことになるわけです、率直に言って。私はそんなことはおかしいのであって、そういう趣旨から、禿河さんの後段のよけいなお話はいただけないわけでありますので、その点は、私の先ほど申し上げた点を十分ひとつ理解をして対処をいただきたい、これはお願いをいたしておきます。
 もう時間がありませんので、最後に一つお尋ねをしておきたいのです。
 国会図書館は、いわばわが国の図書館の中央図書館的なきわめて重要な任務を持つものであります。また、私たち国会議員も十分国会図書館を利用いたしまして、国会の本来の任務を達成するためにお互いに努力をしなければいかぬと思っておるのですが、国会図書館のコンピューターサービスをオンライン化するという計画につきましては、五十五年度予算におきましても一、ハードウエアの面については大蔵省当局も十分理解を示していただいたというふうに承っております。しかし、これで済んでいるわけじゃありませんので、これからソフトウェアの面、また、私ども国会議員が十分国会図書館を利用するという面から、オンラインサービスを十分に行うということは必要だと思います。これについて国会図書館としてのお考え方を承っておきたいし、また、こういったものについては、大蔵省も相当な理解を示していただいたことは評価をいたしたいと思いますが、今後ともこの問題についてどう対処いたすつもりでありますか、大蔵省にお伺いをいたしておきたいと存じます。
#156
○岸田国立国会図書館長 私のところの業務、機械化関係の予算は、五十四年度は約三億八千万円でございます。五十五年度におきましては約四億八千万円ほど計上させていただきました。特にいわゆるハードウエア、すなわちコンピューター関係の機器そのものの増設の要求につきましては、主計当局も深く御理解をいただきまして、当館の要求をお認めいただいたのでございまして、当館といたしましては深く感謝している次第でございます。
 五十五年度からは、早速このコンピューターに取り入れますデータに関するソフトウェアの開発研究に着手いたしまして、速やかに国政審議のためのデータバンクを実現いたしたい。これは、別館が大体私どもの予定では五十九年度に完成するという予定でございますから、その時期には国会情報センターとでも言うべき施設をつくりまして、オンラインシステムを完成し、国会に対する奉仕を充実させていきたい、かように考えております。また、全国の図書館、研究機関等に対しまする当館の各種のサービスにつきましても、同様にオンライン化をしていきたいと考えております。
 このオンラインシステムの開発事業は、当面、私どもとしましては、五年間くらいの継続事業でこれを拡充、充実させていきたいと考えておる次第でございまして、今後も各方面の御理解を得てこれを実現いたしたいと念願しておる次第でございます。
#157
○禿河政府委員 国立国会図書館のオンラインサービスの充実につきましては、私ども今後とも十分御意見を承りながら、できるだけそれに支障がないように対処してまいりたい、かように考えております。
#158
○藤尾主査 以上で山口君の質疑は終了いたしました。
 次に、山花貞夫君。
#159
○山花分科員 私は、国会職員の皆さんの労働条件のうち、特に婦人問題についてこの機会にお伺いをしたいと思います。
 日本の婦人労働者は今日千二百八十万人、全労働者の三分の一を超えました。いま社会的にも重要な労働力となっています。さらに近年、婦人労働者の社会的役割りの向上、そのことに対応いたしまして、結婚前の一時的な就職ということではなく、結婚そして出産後も働き続ける女性が急速にふえているわけであります。ところが、官民を問わず、婦人労働者の置かれている現状を見てみますと、相変わらず男女の分業的な職場配置のもとで補助的な労働につかされている、能力を持ってもそれを発揮する場がない、それ以前の問題としても、そうした能力を開発する研修の場に参加することもできない女性が少なくない、こういう残念な実態があるわけであります。実は本院におきましても、われわれはその例外ではないと考えています。全般的に各職場について見ても、婦人労働者は補助的な業務に従事していることが多い。そのことがまた昇格、昇任に際して男性よりおくれているのではないか、こういう問題の指摘ともなっているわけであります。
 まず、そこで最初に総長にお伺いしたいと思うわけですが、こうした現状の中で、意欲のある婦人労働者については、積極的に能力開発のチャンスを与えて責任のある仕事につかせるべきであると思いますけれども、総長のお考えはいかがでしょうか。まずその点についてお伺いしたいと思います。
#160
○大久保事務総長 お答え申し上げます。
 ただいまの御質問でございますが、率直に申し上げまして、最近におきましては男子職員に匹敵する以上の重要な職務についている女子職員もございます。一般的に申しますと、本院におきましては、課長補佐、係長という、かなり重要な職場におきまして女子職員もそれぞれ適性に応じて勤務しております。ただ国会職員の特殊性と申しますか、多少なじみにくい職場もございます。ただ、それは別といたしまして、ただいま先生のおっしゃいましたことを踏まえまして、能力、意欲に応じまして今後ともできるだけ女子職員の職域を広げていきたい、こういうように考えております。
#161
○山花分科員 いまのお話の中での御努力の点については評価をする次第でありますけれども、ことしは国連婦人の十年の世界的婦人運動の中間年に当たります。国内のみならず、この七月には国連主催の世界婦人会議がコペンハーゲンで開かれるなど、国際的にもいろいろ活動が予定されている年でもあります。世界の各国で男女平等と婦人の社会参加の状況が問われている年でもあります。お話のありました点につきましては、なお今後も御努力を続けていただきたい、後に続く女子職員たちにもやる気を起こさせるような、そうした画期的改善をさらに図っていただきたい、そのことを国会職員の、なかんずく婦人労働者の問題として強くこの機会に要望しておきたいと思います。
 さて、そこで一つ、二つ具体的な問題についてお伺いしていきたいと思うのですが、先ほど申し上げましたとおり、結婚とか出産にかかわりなく働き続ける婦人労働者がふえてきているという事態に即して考えたときに、必ず出てくるのが女性保護の問題であります。きょうはこの委員会でということを念頭に置きまして問題をしぼらなければならないとも思いますが、一昨年の九月に、労働大臣の諮問機関である労働基準法研究会は、労働基準法上の女性保護規定の見直しを図るという報告書を提出いたしました。そこでの基本的な姿勢は、男女平等の実現のためには男女が同じ就業の基盤に立つことが必要である、こうした線で貫かれているわけですが、女性は次代を担う子供を産み育てるという重要な役割りを持っているわけであります。母性は社会的に保障されこそすれ、決して保護か平等かという二者択一を迫られるような性質のものではないわけであります。そうした意味でこの報告書は多くの問題点がある、われわれはそう考えておりますし、同時に、婦人労働者の立場からも多くの疑念がこれまで示されてきたところであります。
 さて、この報告書におきましても、妊娠、出産に係る直接的な保護、つまり産前産後の休暇の問題につきましては、これは充実が必要であるということについては指摘しているところでありますので、総長にお伺いする前に人事院に確かめておきたいと思うのですが、現在、労基法上の産休につきましては、産前産後六週間ずつ認められていますけれども、従来からこの延長が強く叫ばれてまいりました。医学的な見地からも、またわが国における婦人労働者の勤務の実態、さらには核家族化が進んでいるという社会情勢から言いましても、少なくとも産前産後八週間の休暇が必要である、こうした意見が大変強いわけであります。
 昨年の分科会におきましてもこの問題が取り上げられました。そのとき総裁の方から、すでに女子職員の妊娠、出産に関する調査を終えて、徐々に六週間を延ばしていく方向で検討を続けている、またその結論も出かかっているという昨年の分科会における御答弁だったわけですが、その後の経過につきまして、調査の結果を踏まえて、そして検討の方向、結論を出すということであるならば、そのめど等につきましてお伺いをしたいと思います。
#162
○金井政府委員 女子職員の産前産後問題につきましては、御指摘のごとく、昭和五十二年に女子職員の妊娠、出産に関する調査を行いました。結果は、相当数の女子職員が産後の就業制限期間に引き続きまして休暇をとっておる、それも就業制限期間に引き続き二週間に集中しておる、あるいはその相当数が母体の回復保護ということであるという結果が出ております。私どもこれらの結果と、それから民間企業における同種の動向あるいはその他の公共的機関における同様の問題についても参考にしながら、産科学あるいは労働医学の専門家の意見等も踏まえまして検討を続けてきているところでございます。
 なお、公務における婦人問題、いま先生が御指摘ございましたようにいろいろ問題がございますので、それらの一環という点もございます。そういうことで、現在多角的に総合的な立場でこの問題の詰めを行っておりますので、いずれにいたしましても、人事院といたしましては産前産後、特に産後問題につきましては重視しておりますので、できるだけ早い機会に実現できるよう努力をしたいと思っております。
#163
○山花分科員 産前産後休暇につきましては、国際的な一つの基準としてILOの条約と勧告があります。しかし諸外国のその実態について調査をしてみますと、たとえば西ドイツの場合には産前六週間、産後八週間、東ドイツで産前六週間、産後十二週、イタリアの場合には産前二カ月、産後三カ月、オーストリアは日本と同じようです。ベルギーの場合には産後八週間、産前産後いずれかに六週間、ソ連の場合には八週間、八週間、インドネシアの場合には一カ月半、一カ月半、こういう実態にあるわけでありまして、いまお答えの中にありました公務の職員の場合の調査につきましても、人事院の月報に出ているところを拝見いたしてみますと、いま御指摘のとおり、産後の六週間の休暇以上に休暇をとった者がかなりいらっしゃる、数字にして一八・九%であって、休暇の平均日数は五・八日である、このようにされているわけですが、そうした実態から見ますと、いまできるだけ速やかにというお話はありましたけれども、もうこれだけの調査も済んでいるということであれば、そのめどについてもっとはっきりしていただくということが必要な時期となっているのではなかろうかと思うわけであります。
 先ほど指摘いたしました労基法研究会の報告書におきましても、母体の回復過程につきまして第一期、第二期、第三期と、いわば医学的な見地を含めて整理した中で、第一期の産褥期間につきましては大体六週から八週、第二期、産後六カ月までは疾病の発症あるいは再燃が多い、第三期は全身状態の安定する産後一年間というように整理をした中で、およそ母体の客観的回復過程及び現実の産後休暇取得状況から見ますと、現行の産後休業、特に産後につきまして六週間というのでは十分でない、八週間とする方向で検討すべきであると指摘も行っているわけであります。
 全体の報告書の問題点につきましては、きょうは質問の外に置きますけれども、いまのお話の中でも、昨年の分科会に引き続きましていずれ早期に結論をという程度でありますと、この一年間全く前進がなかったということにもなるわけであります。先ほど速やかにというお話がありましたけれども、重ねてこの問題について、およそどの程度のめどでいま問題整理されておられるのかということにつきまして御見解を伺いたいと思います。
#164
○金井政府委員 この種の問題につきましては、先ほども申し上げましたように、公務部内における婦人問題全般の中の一環という立場もございます。それからまた一つは時期の問題ということもございます。そういうことで、私どもとしてはできるだけ重点的に、早い時期に実現できるようにということでいま鋭意努力中でございますので、もうしばらくお待ちいただきたいと考えます。
#165
○山花分科員 前回と同じ回答だったわけですが、たとえば婦人の労働条件につきまして、産前産後休暇前後の問題ということで検討いたしましても、たとえば育児休暇につきまして諸外国の取り扱いと比べますと、そこでの労働条件はわが国の場合、なおかなり劣っているということを指摘しなければなりません。西ドイツの場合には、婦人の官吏の場合には三年−五年の休職の制度があります。東ドイツの場合には子供が満一歳になるまで育児休暇が認められています。フランスにおきましては、婦人の官吏につきましては五歳未満の子または継続的な世話が必要な病弱な子を養育するため、必要な期間休養の請求ができる制度となっています。イタリアにおきましては、産休が経過後、生児が一年に達するまで六カ月の休業の制度があります。ソ連の場合には子供が満一年まで育児休暇があり、スウェーデンの場合には二百十日の休暇があって、父母のどちらがとってもよろしいということになっています。オーストリアの場合には、出産後一年以内の育児休暇があるわけであります。社会主義国はさておきましても、いま申し上げましたとおり、欧米諸国の多くは産休以外に何らかの形で育児休業を認めておりまして、その後の復職につきましてもそれが保障されているわけであります。
 それに比べますと、日本においては、生後一年間一日三十分ずつ二回という一時間の育児時間しか認められておりませんし、それも現実にはなかなか確保されにくい。雇用実態について考えるならば、出産を機会に職場を離れると再就職ということはなかなかむずかしい。こういういわば産前産後の休暇問題の周辺の労働条件ということを見ましても、大変立ちおくれを示しているわけであります。
 一つ落としましたので加えますと、たとえば育児時間につきましても、ILOの基準は一時間半ですけれども、日本の場合には三十分、三十分で一時間と、いわば三十分カット。諸外国について見ますと、育児時間のその時間についてもかなりのハンディを日本の婦人労働者は持っているということであります。先ほど二度お尋ねいたしましたけれども、できるだけ速やかにというお答えでしたので、三度聞いても同じかもしれません。そうした周辺の婦人労働者の労働条件を踏まえて考えていただきまして、できるだけ速やかにというそのお言葉を、まあこの次の分科会になりますか、何らかの御質問の機会にははっきりした回答をいただきたいということを人事院につきましてはお願いをしておきたいと思います。
 というお話を前提といたしまして総長の方に伺いたいわけですが、現在本院に働いている婦人職員の皆さんは三百三十六名だと思います。その半数の方は結婚されていらっしゃいます。これは男女を問わず言えることでありますけれども、国会職員の皆さんは、一般と比較いたしますと、申すまでもなく勤務時間が不規則であるなど、そういう意味での厳しい条件のもとに働いているということであります。そういう点を考慮いたしまして、先ほど人事院の方ではできるだけ速やかにというお返事ではありましたが、人事院がこうした問題、産休の問題などにつきまして一つの結論を出した場合には、これを準用していくということについては当然のことといたしまして、むしろこうした問題について、特に国会職員の皆さんの特殊な労働条件、勤務時間等の実態ということを考えまして、まず各省庁に先駆けてこういう問題についても考えていただく、積極的に取り組んでいただきたいという希望が強いわけでありますけれども、この点、総長の方から御見解を承りたいと思います。
#166
○大久保事務総長 先生からの御質問でございますが、先ほど来人事院の方との折衝を聞きました。人事院の方もなるべく速やかにこれの結論を出したいということでございます。われわれもそれを期待しております。人事院の方で、一般職の方でそういうことがとられました場合には、わが方もそれに準じた扱いをするのは当然でございます。しかし、産休制度につきましても、これはすべての公務員に共通している問題でございますので、一般職との均衡を私としては考慮して実行したい、こう考えております。
#167
○山花分科員 いまのお話の中でも、まあ事が公務に従事している労働者の問題ですから、何といっても人事院先行ということになり、追ってということになりがちなのはやむを得ない面もありますけれども、しかし、その中で、いま指摘したような問題点があるということはひとつ十分お考えいただきまして、院内の職員の皆さんの婦人労働者のこうした問題について、きょう時間の関係もあって指摘は少ないわけですが、ぜひ積極的に取り組んでいただきますよう、総長にはお願いしておきたいと思います。
 もう一つ、多くの皆さんが関心を持っている問題として結婚休暇について伺いたいと思います。
 人事院の方の調査によりますと、これも月報に出ておったわけですが、職員局で民間企業につきましてすでに調査を済ませておるようであります。そうした資料について見てみますと、結婚休暇につきましては、本人の場合大体九九・一二%、一〇〇%近くということですが、制度として確立されており、その平均日数は五・一日となっています。また、本人の子供の場合には六二・九%の企業におきまして制度として確立しておりまして、その平均日数は二日間ということであります。いま申し上げました数字から明らかなとおり、特に本人の場合には、九九%を超える民間の企業ほとんどすべてが休暇制度を持っているということであります。
 人事院は、さきの国公労働者との交渉の中で、結婚休暇を制度化するための基礎資料はそろっている、こういう回答をされたようでありますけれども、いまだにその制度化に至っておりません。この点につきまして、まず人事院の御見解を伺いたいと思います。どのような基礎資料がそろっているのか、そして、この問題についてどの程度検討が進んでいるのか、先ほどと同じ問題ですが、実現の可能性とその時期等について、あわせてお答えをいただきたいと思います。
#168
○金井政府委員 公務員の休暇の問題につきましては、これは主要な勤務条件の一つでございますので、従来から種々検討を重ねてきているところでございます。
 ところで、結婚休暇につきましても、毎年民間企業約四千社につきまして、その実態を調べておりまして、先ほど御指摘がございましたような数字が五十三年の数字でございます。そこで、結婚休暇一つだけを取り上げてみますと、まさに民間でほとんど全部と言っていいくらい各企業が採用しているわけでございますので、社会一般の情勢に適用させるという立場から言えば、取り入れることについては、方向としてはもちろんそうなるという考えを持っております。
 ただ、公務員の休暇制度そのものが、御承知のごとく、閣令六号をもとにした年次有給休暇を初めとして、従前の例によって休暇体系というものが組まれております。給与法の規定にもございますごとく、いずれ情勢に適合した休暇制度を体系的に整備する必要があるわけでございまして、そういう意味からいろいろ検討を重ねてきたところでございます。
 たとえば年次有給休暇について見ますると、民間企業に比べまして公務員の方の日数がかなり多いという実情にありますし、その他の特別休暇につきましても、民間企業ではないようなものが公務員にはございます。ですから、結婚休暇一つだけという判断ではなかなかいきにくい面もございますので、いずれ週休二日制の問題がある程度決着がつきますれば、休暇制度そのものの整備ということを実現しなければならないと思っております。
 そういうことで、なるほど結婚休暇につきましては、現在、民間企業では約五・一日の休暇があるわけでございますけれども、年次有給休暇で、たとえば結婚適齢年齢を二十代の半ばといたしますと、それまでに至る年次有給休暇につきましては、民間企業よりも五日ないし十日公務員の方が多いというデータがございます。そういうことから見まして、結婚休暇につきましては、いましばらくお待ちいただきまして、休暇制度を改変する際に、重点事項として取り入れるべく検討したい、こういうふうに考えております。
#169
○山花分科員 休暇の全体につきまして、いま若干お話がありましたけれども、労働条件問題では、労働時間、休暇と現実の休暇の取得日数という全般的な検討も必要ではないでしょうか。労働時間については、公務員の方は四十四時間平均、週休二日の試行についての資料を記憶しているわけですが、民間よりも多い。年休の消化実績につきましても、民間労働者は十二日を超えておりますけれども、公務員の場合には約八日というのが、試行のときのデータであったはずであります。三百六十五日の中の平均休日の日数につきましても、私の記憶では、民間に比べてまだ差があったのではなかろうかと思っております。先ほどの御回答につきましては、なおまた検討してお伺いしたいと思います。
 ただ、結婚休暇の問題につきましては、先ほど申し上げましたとおり、民間では九九%を超えて実施しているということでもありますので、結論は人事院の決断にかかっているということだと思います。国公労働者には、忌引などにつきましては確かに特別休暇が認められておりますけれども、大事な結婚の方について一日の特別な休暇も認められていないということについては、むしろ常識的な疑問ということではないでしょうか。一定の休暇を与えるべきだと思います。民間は九九%あって公務員はないということは、いわば一つの官民格差と言われても仕方がないのではないか。国家公務員法第一条の精神を初めとして三条、二十八条でうたっている情勢適応の原則を無視しているのではないかというように私は考えます。人事院規則の十五の六の運用についての第一項の関係に、結婚休暇を加えればできるということではないでしょうか。重ねてこの点について人事院の見解を伺いたいと思います。
#170
○金井政府委員 結婚休暇は、確かに普及は非常なものがございますので、御指摘のとおりだと思いますけれども、やはり他の休暇ということの関連というのは無視できないところがございますし、それから先ほど休暇の取得日数のお話が出ましたけれども、公務員の休暇取得日数の平均は一番新しいところで十二・六日と承知しております。これも民間に比べると少ない数ではないと思います。ですから、できるだけ早い機会に、これも休暇制度の改変という際に総合的に判断して、そういうものについてはなるべく取り入れるべく努力したいというふうに考えております。
#171
○山花分科員 休暇についてお話があったわけですが、これは労働時間の関係も含めて総合的に検討比較さるべき問題だと思います。全体といたしましては、先ほどお話がありました予算修正をめぐっての回答の中にも、金融関係の週休二日について関係委員会で引き続き検討するということが回答としてあり、かつ、昨日の公務労働者についての週休二日問題等、大変そこでの休暇問題について関心が高まっている中で、結婚休暇について公務労働者に一日もないということについては、きわめて不自然であるというように私は考えます。この点につきまして、重ねて、先ほど来のお話を伺った中でも、なおこのきわめて不自然な状態についての改善を強く要望しておきたいと思います。
 最後に事務総長に、この結婚休暇問題につきまして、衆議院の当局としてはどのように取り組まれていらっしゃるか、この点について御見解を承っておきたいと思います。
#172
○大久保事務総長 お答え申し上げます。
 率直に申しまして、いまの段階で国会職員についてのみ結婚休暇を設ける考えはございません。ただ今後、人事院、一般職の動向を見ながら、それににらみ合わせて判断していきたいと考えております。
#173
○山花分科員 先ほどの産前産後の休暇の問題と同じことだと思いますけれども、いま議論に出ましたような、民間には九九%以上あって公務労働者が全くないという実態の中での先ほど来の人事院に対する私の方の要請であります。こうした問題点については、人事院が制度として決めた場合には、直ちに準用していただくということを当然といたしまして、こういう問題点を踏まえての日常的な休暇運用についての御配慮を最後に要望しておきまして、私の質問を終わらせていただきます。
#174
○藤尾主査 以上で山花君の質疑は終了いたしました。
 次に、高沢寅男君。
#175
○高沢分科員 私は、国会の職員の待遇、とりわけ級別定数あるいは定員の増加、こういう問題でお尋ねをしたいと思うのでありますが、事務総長御存じのとおり、毎年のこの分科会で、このテーマで私お尋ねしてきておりますが、今回もまた重ねてお尋ねをしながら、お答えの中での前進をひとつ期待したい、こう思います。
 事柄の性格上、やはり国会という立法機関、そこで働く職員の人たちの仕事の特殊性、置かれた立場の特殊性ということについて初めに申し上げて、質問に入りたいと思います。
 この立法機関であり、また国権の最高機関である国会には、一般職とは非常に異なるさまざまな勤務の特殊性があります。当然それに見合った待遇がなされるべきであると思うのであります。終戦後、帝国憲法から新憲法に変わりまして、国会の重要性は格段に増加し、それに伴って大幅な機構の拡充も行われました。そのときに採用された職員の人たちが、いま中堅から上位、こういうポストにあって、それぞれの職場で非常に責任ある仕事をされております。衆議院の場合には、他の省庁とは異なりまして、いわゆる出先の機関というものがありません。したがって、他へ転出するという機会もありませんし、採用から退職されるまでこの衆議院で過ごすということのために、必然的に、言うならば狭い枠の中で年齢構成も高くなる、そして高位号給に滞留する人がふえてくる、こういうような特殊事情にあるわけであります。したがいまして、国会の職員の人たちの労働条件や待遇については、こういう特殊性を十分に一考慮されて、そして職員の労働意欲を向上させる、そのことが、ひいてはまた国会の円滑な運営につながる、こういうことではなかろうかと思うのであります。
 国会で使用されている四つの給料表、これはいずれも上位、中位等級の行き詰まりが非常に著しくなっております。まず、ここでは行(一)表の問題についてお尋ねをしたいと思うのであります。
 事務総長は、毎年上位、中位の等級の定数の拡大には非常な努力をされておる。また、いま審議しております来年度の予算案の中でも、その努力の結果というものは十分に認められるわけです。しかし、現状の行き詰まりの解消ということから言えば、まだまだ十分とは言えないと思うのであります。
 たとえば、行(一)の三等級で大幅な間差ダウンとなる十五号以上の滞留者は、資料で見ますと、昭和五十二年度で四十二名、五十三年度では五十六名、五十四年度では六十八名となっております。二等級でも十五号以上の滞留者は、五十二年度で十八名、五十三年度が二十三名、五十四年度は四十六名、いずれの数字を見ましても、こうして年年増加の一途をたどっているわけであります。この趨勢から見る限り、五十五年度はさらに増加をする、こういうふうに見なければならぬだろうと私は思いますが、いろいろ財政事情など厳しい情勢にあることはわかりますけれども、こうした二等級の定数の増加、上位、中位の等級の頭打ちの打開のために、一段と総長の御努力をお願いいたしたいと思うのでありますが、まず、このことについて総長の御見解をお尋ねしたいと思います。
#176
○大久保事務総長 お答え申し上げます。
 ただいま先生のおっしゃいましたとおり、各職場におきまして上位等級の行き詰まりと申しますか、高号給者がいるのは事実でございます。しかも、先生がおっしゃったとおり、私もかつてこの席で申しましたが、終戦直後機構が拡張し、その方々が現在の議会事務局を支えている中心の方々でございます。そういう意味におきまして、この上位、中位等級の定数改善には、毎年かなりの努力を払っているつもりでございますし、五十五年度におきましても努力してまいりました。
 先生御承知と思いますが、特に二等級が一番の重点になっております。二等級につきましては、定数上十名の増加ということをやっております。ただ、何と申しましても、やっぱり職階制という問題がございまして、定数増の問題につきましても、毎年だんだんきつくなってくることは事実でございます。
 ただ、そう申しましても、三等級の行き詰まりを何とか私の方としては打開したい、そういう気持ちで、今後とも引き続き大蔵当局とも御相談の上努力してまいりたい、こういうように考えております。
#177
○高沢分科員 その御努力は私もよくわかっているわけでありますが、ここで端的にお尋ねしますと、その高位の号給に滞留している人たち、さっき私の申し上げた数字は年々ふえてきておりますが、このふえていくピークが、一体いつごろになると見ておられるか。そしてまた、それに対する対策というものをどういうふうにお考えになっておるか、それをひとつお尋ねいたしたいと思います。
#178
○大久保事務総長 お答え申し上げます。
 現実に衆議院事務局といたしまして機構が拡張されましたのは、昭和二十一、二年、特に二年から二十六、七年の間に大きく拡張したものでございます。その方がすでに二十五年を経過されておりますので、正直に申しまして、ピークはあと十年くらいの間続くのじゃないかというふうに、これは大ざっぱでございますが、考えております。
 ただ、その場合、どうしてもそれを、どの職場でも同じでございますが、全部が全部管理職と申しますか、というわけにもまいらない点もございます。そういう意味におきまして、二等級から上に行くという問題になりますと、どうしても管理職的な地位につかないとならない。これは、ある程度におきましてはやむを得ない現象じゃないか。各省庁のように、毎年一定数といいますか、何名かを定期的に採用し、定期的にやめられるというのと違いまして、戦後急に拡大した官庁におきましては、ある程度宿命的なものがあるのじゃないか、そういうようには考えておりますが、その間、摩擦のないように努力はしていきたい、こういうように考えております。
#179
○高沢分科員 これは私の個人的体験で大変恐縮ですが、衆議院に長い間勤務されたある職員の人が、最近退職することになった、こういうごあいさつを実はいただいたわけです。当然、じゃ、あとどうされますかというふうに聞いたわけですが、最初は何か印刷の仕事などやってみたいと思っている、こういうお話がありまして、それからしばらくたって、また実はその人にお会いしました。それで、どうされましたと聞いたところが、焼き鳥屋でもやろうかと思っているというようなお話なんです。
 これは、こういう場合によく問題にされる、いわゆる天下りですね。その職を勤め終わって、そして第二の勤めの場所として、非常にいい場所が保証される人たちももちろんあるわけですけれども、この点、これ自体はいまいろいろ議論の対象になっていますが、この国会で働く職員の人たちの場合には、そういう第二の、非常に安定した場所が保証されるという方は非常に少ない、こう見なければいかぬ。いま私の申し上げたその人もそういう立場で、この先の第二の人生をどうつくるかということで、ああしてみようか、こうしてみようか、こういうふうな非常な御苦心をされているわけですが、そういう方を見るにつけても、いまの問題の総長のお答えでは、あと十年くらいこういうふうなピークが続くだろうというお答えであったわけですが、ぜひこの十年という時間の間に、それらの人たちが結果的に非常によかった、こういうふうな気持ちを持ってこの職場を去ることができるような、そういういまの行き詰まり打開の成果をひとつ大いに上げていただきたい、こう考えるわけですが、重ねてのあれで大変恐縮ですが、お考えをお聞きしたいと思います。
#180
○大久保事務総長 お答え申し上げます。
 いま先生から具体的なお話があった点は、これはもうもちろん一般職員も管理職も含めてのお話だと思います。その上位等級を突き破る点については、先ほど御答弁したとおりでございますが、いま先生の具体的なお話に関連しまして、正直に申し上げまして、先生も一番先に御指摘になりましたが、国会というのは出先機関がございません。したがいまして、いま実際にやっています勧奨退職制度につきましても、詳しいことは各省庁知りませんが、ここに一生をささげるという意味でかなり長い期間、具体的には六十三まではゆっくり勤めてくれ、そういう五十過ぎて六十過ぎて困ることのないような形を何年か前からわれわれとしては考えまして、実行しておるような形でございます。
 なお、先生の御指摘の点につきましては、今後できるだけのことをやりたいと考えております。
#181
○高沢分科員 同じ問題になるわけですが、調査室の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
 かねてから総長は、調査機能の拡充強化について非常に意欲的に取り組んでおられる、このことは承知いたしておりますが、常任委員会の調査員の人たちの処遇を見ますと、やはり二等級のところに行き詰まり現象が非常に顕著になっております。したがって、上位等級などへの道が開かれない限り、この行き詰まりは拡大の一途をたどるということになるわけであります。
 この点については、昨年の分科会で総長は前向きなお考えもお示しになったわけでありますが、調査業務の重要性にかんがみまし、これらの調査員の待遇改善によりまして特に質的な面から調査機能を高める、こういう努力をさらに進めていただきたいと思いますが、この調査員の上位等級の定数拡大、このことについての総長のお考えをお聞きしたいと思います。
#182
○大久保事務総長 調査室の調査員の上位等級の定数確保につきましても、一般事務局の場合と同じような考えで進めておりますし、それだけの努力はしております。具体的に何等級ということじゃございませんですが、一般論としてはそうでございます。
#183
○高沢分科員 その調査員の場合には、五十五年度ではどのくらいの増加があったでしょうか。
#184
○大久保事務総長 定員の増でございますか、ちょっといま調べてお答えいたします。――具体的には五十五年度は三名増員しております。
#185
○高沢分科員 この三名の増員についても、これは大変な御努力の結果だろう、こう思いますが、こういう面においても、われわれ特にふだんお世話になる面も調査室では非常に多いわけでありまして、その意味も含めて、この増加の努力を今後ともひとつ大いに進めていただきたいと思います。
 そこで、繰り返しになるわけでありますが、要するに国会の職員の人たちは非常に狭い枠の中で働いている、その中でそうした待遇が処理されているわけでありますから、詰まってくるということは不可避な結果であるわけです。しかし、いわばその壁に穴をあけるということが非常にむずかしい問題があることはわかりますけれども、私は、五十年以来、この分科会で毎年同じ問題をお尋ねをしてまいりまして、個々にはいままでのことでは、たとえば議警職表の頭打ちの問題であるとか、あるいはまた技術職員の昇格の問題であるとかというふうなこともお尋ねをしてまいりましたが、どれも要するに同じ性格の問題であるわけです。そういう点において、この十年これから続くと見られるそういうピークを、この壁を破っていくために私は格段の御努力をお願いしたいと思うのです。
 要するに、壁に穴をあけるかぎは、私は、やはり大蔵当局との関係だろう、こう思うわけですが、その辺の国会の事務当局と大蔵当局との間のそうしたやりとり、あるいはそこにおける、われわれの言葉を使えば力関係というふうなことがここにもあるのじゃなかろうかと思うのですが、もし必要があればお手伝いもしたい、こうも思うのですが、この辺についてのひとつ率直なお考えをお聞きをしたいと思うわけです。
#186
○大久保事務総長 お答え申し上げます。
 これは力関係ということではなく制度の問題でございまして、別に大蔵省とこちらとの問題ではございません。
 ただ、国会がもう全然別個な特殊な制度をつくれば別でございますが、われわれも国家公務員の一員と考えておりますので、原則的には大体政府職員と同じ制度をとっておるわけでございます。その制度をとっております以上は、いわゆる職階制と申しますか管理職、二等級から一等級、壁というとおかしいのですが、そういうものに――何もうちと大蔵省だけじゃなしに各省どこでも同じだと思いますが、そういう壁にぶつかるわけです。それを何とか特殊な、たとえば昨年度で見ますと、いわゆる各常任委員会には主任調査員がございますが、特別委員会もいま三つも委員会を兼ねまして調査をやっておりますので、そのまま上席の調査員というのを管理職的なものとして認めるとか、そういう特殊なことを、いろいろ知恵を出しまして考えておるわけでございます。これは大蔵省との力関係ではございません。
#187
○高沢分科員 お立場上そう言われると思うのですが、率直に言って、この問題のかぎを握る大蔵省の方でも、その傘下に国税庁という行政官庁を持っておられますね。国税庁も同じように終戦直後の時期に非常に大量の人員を採用して、その人たちがいま二十年、三十年とずっと勤務して、まさにこの中位から上位の等級にたくさん滞留しておる、こういう実態にあるわけです。私も以前に大蔵委員会におりましたときは、そういう国税庁の上位、中位の滞留者の問題をどう解決するかということでやはり大蔵当局とずいぶんやりとりしまして、そこで、たとえば統括官というふうな新しい制度をつくるとか、いろいろのやり方によって管理職のポストを実際上拡大するということによって、ちょうどそういう段階に達した人たちに、これならばという、まあ満足のできるそういうものをつくって、そして、これを送り出していくというふうなやり方をとっているわけですが、これなどもその関係の組合の人たちと一緒にかなり大きな声で言うと、やはりこういうものはそれだけ拡大される、余り声を出さないと一向変わりがないというふうなことが現実にあるわけです。ですから私は、それを力関係というふうな言葉で言ったわけですが、国会の場合には、職員の皆さんと総長との関係も、ここで要求ずる、される側という関係がありましようが、今度はそれを代表して総長が大蔵当局に要求される場合に、まさにそういう国会の特殊性というものから、あなたのところだって同じことがあるじゃないかということを大いに指摘して、そして、いま言ったような上位、それから中位のそういうところに滞留されている人たちのために、ひとつこの壁に穴をあけていく、こういう御努力はぜひお願いをしたい、こう思うわけです。
#188
○大久保事務総長 お答えいたします。
 私も、率直に申しまして、庶務部長も長いことやりましたし、私は、大蔵省と接触する場合には本当に背水の陣でやったつもりでございます。いま先生のおっしゃったような意味でわれわれもいろいろと知恵を出しまして、たとえば企画調査主幹とかが憲政にありますが、そういうことで先生の趣旨を体して、もちろんやるときには背水の陣というつもりでやっておりますので、その点はひとつ御信頼いただきたいと思います。
#189
○高沢分科員 そのお気持ちはよくわかりました。大いにそれでやっていただきたいと思いますし、また今後もし必要があれば、サインをしてもらえばひとつ応援団に行ってもいい、こう思っております。もっとも行ってよけいなことを言ってお邪魔になっちゃいけませんが、そういう点もまた必要があればひとつ御連絡をいただきたいと思います。
 次に、速記の職員の問題でお尋ねをいたしたいと思います。
 この速記の職員の人たちは、国会においては会議録の作成事務に直接に携わっているそういう人たちでありまして、会議録の作成ということは憲法にも規定されている国会の事務局にとっては非常に重要な任務の一つだと思います。幸いにわが国においては、第一回帝国議会以来、正確かつ詳細な会議録が残されているのですね。これがわが国の政治史上の貴重な資料にもなり、また国民共有の重要な財産ともなっていることは天下周知のところであります。そういう重要な仕事に携わっている速記職員につきまして、その人材の確保、充実ということは、これは事務当局にとっても非常に重要な課題であろうと思います。速記の職務の重要性については過去この分科会においても、もう以前になりますが、知野事務総長もそのことを発言し、確認をされておられます。また国会みずからも速記者の養成機関を持って、独自の給料表を持ってその職員を待遇されているということもこの理由によるかと思うわけであります。
 こういうふうな職務の重要性にかんがみまして、速記の職員の人材の確保、充実というその現状はどのようになっているかということをお尋ねをしたいと思うわけです。もとより当局は、今日までこれに対してさまざまな面で努力をされてきたと思いますが、速記職場の現状をお聞きしてみると、なおまだ幾つかの問題点は残っているというように思われるわけであります。
 そこで、具体的にそれらの問題を指摘して、総長の御見解をお聞きしたいのでありますが、まず毎年取り上げられております速記職員の増員の問題であります。
 御承知のとおり、国会では最近特に政党や会派が非常に多党化してまいりまして、しかも与党、野党の伯仲という、こういう国会の状況のもとで審議の時間はますます増加する。また審議の内容も広範かつ専門化してきております。さらには、二月、三月、四月という一番国会の忙しい時期も含めまして、最近はほとんど一年間を通じまして国会が開会される期間が非常に多くなっておる、こういう状態のもとで、先ほど申しましたような会議録の正確、迅速な作成という、こういう課題にこたえるために速記の職員の健康管理にももちろん万全を期さなければならぬし、あわせてその必要な人員の確保はどうしてもしなければならぬ、こう思うわけであります。この増員問題につきましては当局もしばしばその欠員の補充がまず先決だ、こういうふうに言ってこられたわけですが、亡くなられました藤野さんの段階でも、昭和五十一年から三カ年計画で欠員をゼロにするというふうなこともこの国会ではお答えになっているわけでありますが、しかし現状どうかと見ると、まだ欠員の状態は完全に解消されたということにはなっておりません。資料で拝見いたしますと、昨年の十月速記職員は九名採用されておりますけれども、しかし本年一月でとってみると依然として七名の欠員がある、こういうふうな現状になっているわけであります。
 そこで、速記職員の人材の確保を図る上で、唯一の供給源である衆議院の速記者の養成所、この養成所につきましても非常な御努力で研修生の待遇の改善あるいはまた生徒の寮の整備、こういうものも前進をしていることは承知をしておりますが、こういう面もまたさらに進めなきゃならぬ、こう思うわけでありますが、これらの問題全体を含めて、まず速記者の人員確保、欠員の解消ということについての総長のお考えあるいはまた見通しと申しましょうか、それをまずお聞きをいたしたいと思います。
#190
○大久保事務総長 お答え申し上げます。
 基本的には、速記者の増員につきましては、私どもの気持ちとしては他の定員を振りかえても増したいという基本線は持っております。以前から山本先生からも毎回指摘されまして、いま先生もおっしゃったとおり、まず欠員を完全に補充するのが先決であるという前提に立ちまして、五十四年度から三カ年計画で養成所の生徒を、生徒として採用する際に少し余分に採りまして、それで昔は四、五名しか採らないのを十名ずつ採っていこう、そうすれば三カ年で欠員は少なくとも解消できるという目算を持ちましてやったのですが、何と申しましても非常に高度な技術でございますから、われわれが予定しているように、本科から研修科に行く際には十名と見込んだのが七名になったり六名になったり、それからわれわれが例年欠員として平均で見ているものがその年ふえたりということもございまして、すでに昨年段階で山本先生には、少なくとも欠員はもう十月段階でなくなると申しましたところが、実際は正直申しまして退職者がふえたりしてだめになった。ことしにつきましても、率直に言いますと予定よりも退職者が多いことと、それからかなり無理して生徒を採ったのですが、ことしの場合には本科から本院に採用できる人数がかなり減るんじゃないか。結局技術でございますから、無理して採ってもだめなものでございますから、そういう現状でございまして大変申しわけないとは思っておりますが、なお一昨年からもう一遍三年計画でもう少し生徒を余分に採ったらどうか、採っても実際はついていけなければ何にもならないわけなんですけれども、せめて教育を熱心にやりましてやっております。それでもだめな場合には、優秀な技術があれば民間からでもいいんですから、ことしの九月につきましても民間から応募しまして優秀な者があれば採用する、少しでも埋めたい、これは考えています。ただ率直に申しまして、昨年山本先生に約束したとおり、ことしの十月段階で完全に欠員を補充するわけにはいかなくなっちゃったということは申しわけないと考えています。
#191
○高沢分科員 速記の職員に女性の方が多いですから、当局が予定される以上にまた退職者が出たりというふうなことも当然あろうかと思います。また速記者養成所の問題は、実はこれはこれで一度集中的にお聞きをしたり、また見解を申し上げたいとも思ってはいるのですが、きょうは時間のあれがありませんので省略して別な機会にしたいと思います。いずれにせよ、そうやって速記者養成所で養成、採用される方をふやしていく努力はひとつ大いにやっていただきたい、こう思います。
 さて、その速記職員の最上位の一等級、高位号給ですね、ここに人員構成のピークがいま差しかかっておる、こういう状態であります。資料で拝見しますと、定数三十一に対して実員五十三名というふうな状態になっているわけでありますが、この辺も行(一)表の運用ではランクアップに伴う指導が行われたわけですが、速記職の方でそのことのために不均衡が生じてはまたならぬと思います。したがって、速記職の上位等級の運用を改善するということについて、ひとつ総長のお考えをお聞きしたいと思います。
#192
○大久保事務総長 お答え申し上げます。
 いま速記監督の最高の速記職一等級から行(一)二等級の移行の問題でございますね。この点につきましては、一遍にはいきませんから、毎年一名ずつ漸次増員いたしまして、行(一)二等級の適用の方に持ってきておくという形で毎回努力しております。
#193
○高沢分科員 いまの御努力を、先ほど言いました一名のところが二名になるように、二名のところが三名になるようにということでひとつ御努力をお願いしたいと思います。
 済みません、時間になりましたが、最後にもう一つだけお尋ねして終わりたいと思います。
 人員増の問題ですが、昨年は事務局の庁舎が完成して、それに伴う増員も行われたわけでありますが、しかしながら、依然としてこの、実態はまだまだ人手が不足ということになっております。特に今年度新設された委員長室に二十四名配置されたわけですが、現実にはその分としての増員は十、二名であったわけでありまして、結局半分ですね。その他は各部門からそのためのいわば人手を供出して間に合わせるというふうな状態がとられているわけでありますが、この点について、残り十二名をどうされるか、五十五年度で措置されるのかということもお尋ねしながら、全体としてこれらの定員の欠員をなくすることについてのお考えをお聞きしたいと思います。
#194
○大久保事務総長 お答え申し上げます。
 委員長室の部屋が二十四できまして、それにつきまして女子諸君を配する、そういうことで、五十四年度につきましては開設いたしましたのがついこの前でございますので、二カ月ちょっとの間一各課からの応援、臨時職員の採用等で処理いたしまして、残った十二名につきましては、五十五年度の予算におきまして非常勤職員給与という形で−処理していくというつもりでございます。
 なお欠員につきましては、これは大蔵当局ともいろいろお話ししまして、通常の自然減何%で補充なしということじゃなく、国会の特殊な性格から、むしろ調査スタッフなども増員してほしいのだということで、その点は完全な補充をするという形でやっていっているのが現状でございます。
#195
○高沢分科員 時間が来ました。今後ともまた御努力をお願いして、質問を終わりたいと思います。
#196
○藤尾主査 以上で高沢君の質疑は終了いたしました。
 次に、山本政弘君。
#197
○山本(政)分科員 けさの新聞だったと思いますけれども、完全雇用を達成をするために、それから失業率というものを二%前後におくためには、六十五歳の定年あるいは雇用の延長、それから週休二日制の普及が必要であるというような、これは財界でありますけれども、そういう意見が表明をされておりましたし、それからいままでの経過、過程から見ましても、週休二日制について五十四年八月十日、これは衆参両院の議長と内閣総理大臣あてに人事院から勧告と報告が出ていますね。その中で、一つは官民の週休制度の現状、それから週休二日制の試行の結果から「職員についても週休二日制を採用することが適当であると認められる。」当分の間職員ごとに四週五休方式を基本として、年間を通じて弾力的な運用が適当であると思われる、しかし弾力的な運用というのは暫定的であるべきである、そういう見解が表明されたと思うのです。
    〔主査退席、中島(源)主査代理着席〕
そして二月の十五日でしたか、予算委員会で大出議員からの質問もあって、伊東官房長官から今国会に法案を出すということで、きのうの新聞でしたか、法案を出すというような話がありましたけれども、人事院総裁も、週休の二日制については世界の大勢である、それから民間の実情からいってもこれとの均衡上、公務員について導入すべきであるということで、大勢としては私は、週休二日制というものはその方向に進んでおるというふうに見て差し支えない、こう思うのです。
 そこでお伺いしたいのは、国家公務員よりか地方公務員の方がはるかに進んでいますね。そして、実際に週休二日制を実施している自治体というのはかなりあるように聞いておりますが、そういう点について国会職員を指導し、管轄をしている事務総長から、週休二日制についてどういうふうにお考えになっているのか、まずひとつ御意見をお聞きしたいと思います。
#198
○大久保事務総長 お答え申し上げます。
 週休二日制の問題は過去何回か論議もされ、最終的には人事院から去年夏、四週五休という形で勧告のあったことは事実でございます。それに先立ちまして、この分科会におきましてもいろいろと御意見がありまして、政府の方におきましても試行的な形で各省庁でやっていった。その段階で、衆議院はどうするんだということでありまして、私の前の代の総長の時代から、開会中はなかなか無理だ、したがって閉会に入ってから、これは率直に言うとおかしいのですが有給休暇の振りかえのような形で、時期的には早くやったわけでございます。
 そこで、いまの段階で先生からの御質問でございますが、いままで行っている試行の段階では、いまのようなことで時期としては早目にやりました。しかしいまの段階でどうするかということになりますと、やはりわれわれも公務員の一員であることは間違いございません。したがいまして、国会職員だけが一番先にやるというのはどうかと、率直に私は考えております。法案も出ることでもございますから、それが成立すればそれに沿いまして、まず第一段階といたしましては閉会になってから四週五休制を完全に実施する。それも有給休暇じゃなしに職免方式ですか、それで完全に実施するというふうに私はいま考えております。
#199
○山本(政)分科員 人事院勧告というのは、これは一般職といいますか――ただ私は一般職と特別職の法律関係はよくわかりません。しかし一般職と特別職というものの区分けの仕方というものは、仕事の内容上から分けたのじゃないという感じがぼくはするわけです。つまり何と言ったらいいか、内閣の規制を受けるか受けないか、規制という言葉が正しいかどうかわかりませんが、つまりそういう意味で内閣の規制を受けるか受けないかということについて、裁判所とかあるいは国会というものはそれとは別だということで特別職になっているので、業務の内容からして分けたのではないだろう、こう私は思うのです。とすると、要するに十四日の日に法案を提出をする、これは新聞ですが、こう内閣の方で決めたようですね。そうすると、ぼくはそれに応じて、特別職といえどもやはり対応していくのが筋だと思うのです。そうしないと、片一方同じ公務員であって、特別職とか一般職とかという区別はあるにしても、それは要するに管轄上の問題で区分けをされているということにすぎないのであって、私は仕事から言えばそんなに区分けをする筋合いじゃないだろうという感じがするのです。とすれば、内閣の方がそういう考え方をしているとするならば、やはり国会の方でも同じ考え方で同時進行すべきじゃないかという感じをぼく自身は持つわけですね。したがって、勧告の付帯条件といいますか、予算も人員もふやさぬ、それからサービスも低下させないというようなことであるならば、総長のお話で言えば、それはむしろいままで時期的に早く試行しているんだというお話がありましたけれども、それならばやはり他省庁に先駆けてやっていいのじゃないかという感じが私はするわけです。その点についての御見解、いかがでしょう。
#200
○大久保事務総長 お答え申し上げます。
 別に、われわれ国会職員は特別職でございますし、法規的には何ら政府等の拘束は受けません。したがいまして、さっき私の申し上げたのは多少あれですが、何も一般職にならってやらなければならぬという気持ちでは全然ございません。ただ、いまの段階で心境はどうかというお話でしたから、われわれ国会職員も広い意味の公務員の一員であり、国会みずから規制すべきことはみずから規制しなければならぬという気持ちの上で、別に向こうにならうという気持ちではなしに、情勢を見ながらやりたいというこでございます。
#201
○山本(政)分科員 ぼくが申し上げるのは、だから先駆的におやりになったらいかがでしょうか、こう言っているのですよ。ですから先駆けて試行もおやりになっているのだし、試行錯誤があるかもわかりません、またあったかもわかりませんけれども、他省庁に先駆けておやりになっているならば、つまり人事院の勧告に拘束される必要もないのだし、内閣に拘束される必要もないというのだったら、むしろ大局的な見地から、国会の方としては施行してもいいのじゃありませんか、私はそう申し上げているのですが、もう一遍お願いいたします。
#202
○大久保事務総長 お答え申し上げます。
 時期的には早かったということは事実でございますが、あの方式はいわゆる職免方式ではないのです。有給休暇の振りかえですから、むしろ職員に対する権利制限のような形で実行したわけでございます。ただ、議会の特殊性と申しますか、開会中に試行しにくいという面があったもので、やむを得ず、むしろ職員にとってはマイナス面だと思います、やり方は、一般政府に比べれば。ですから、率直に言って先生のおっしゃることもよくわかります。わかりますけれども、われわれがみずから判断して、別に政府に拘束されるわけでもございませんし、政府にならわなければならぬということではございませんが、いまの段階では、国会職員が真っ先に立って四週五休制を実施するという気持ちはいまのところございません。
#203
○山本(政)分科員 事務総長、この前の、五十三年の第一分科会で、事務総長こう御発言しているのですよ。「公務員につきまして週休二日制が本格的に実施」されるとすれば、私どもとしては、「どういう形で実施しているのか、どういう方法であるかを十分参考にいたしまして、われわれ国会の特殊的な立場を考慮しまして検討、実施してまいるつもり」です。
 特殊的立場というのは、まさしく開会中に繁忙だというようないきさつもあるでしょう。しかし、同時に、特殊的立場というのは、内閣に拘束をされないという国会の立場もあるのじゃないですか。ぼくはそういう両側面があるだろうと思うのですね。ですから、いみじくもおっしゃったように権利を制限しているのだと言われれば、その制限というものを取っ払うのが本来あるべき姿だろうとぼくは思うのですよ。いかがでしょう。
#204
○大久保事務総長 お答えいたします。
 もし万一このままの状況で、われわれはもちろん政府に拘束されるものではございませんが、週休二日制のことが法制化されれば、当然われわれはそれに下回らないだけのことをやる用意はしております、技術的な面は別にいたしまして。ただ、もしこのままでいった場合には、少なくともああいう有給休暇の振りかえはやめて、その分、いま試行している段階の分については、職免方式をやるつもりでおります。
#205
○山本(政)分科員 そうすると、ぼくは大変ありがたい答弁をいただいたと思うのですけれども、そういうつもりにしておりますということは、すでに計画をお持ちですか。そういう実施をするということについて準備はできておるのでしょうかとお伺いしているのです。
#206
○大久保事務総長 これは多少仮定のあれになりますが、週休二日制が法制化された場合と、もし法制化されない場合、いずれの場合にいたしましても、私の方としては、会期中はちょっとなじみにくいものですから、閉会に入るその前の段階でどちらの方式でもできるように、庶務部長を中心に検討をさせております。
#207
○山本(政)分科員 では、その検討しているということをぼくは大いに期待をしておきたいと思うのですけれども、具体的に申し上げますと、国会職員の勤務時間というのは、たしか一週四十四時間ですね。(大久保事務総長「四十四時間です」と呼ぶ)それで計算しますと、さっき、年間の有給休暇を使っておる、これは変則だ、こういうお話がありましたけれども、それはいずれにしても是正をしてもらうということで、たとえば四週五休ということでいま内閣の方では考えておられるようですけれども、私は、もう少し具体的に、四週五休になさるおつもりなのか、あるいは、これは完全に四週五休になれば、十三回年間に休めるはずだと思うのです。現行は閉会中隔週ごとですね。そうすると、要するに休みの回数というのは、隔週ごとにやるとすれば十回にしかならぬと思うのです。そうすると今度は、内閣の考えているように四週五休ということになれば、これは開会中も休暇をやらなきゃならぬというふうにぼくは思うのだけれども、そういうことについても衆議院としては、総長、お考えになっておられるのでしょうか、どうでしょうか。
#208
○大久保事務総長 お答えいたします。
 週休二日制が法制化された場合、先生のおっしゃるように四週五休となりますと年に十二回ですか十三回、これはもう、もし開会中にやらないと、いろんな意味で技術的な問題が起こるということも確かでございます。
 したがいまして、一つの方法としましては、年間を通して同じように四週五休でやるという方法と、閉会時多少それを振りかえてやるという方法。多少手続的な面がございますので、その結果、われわれとしては、振りかえでやる方法は可能じゃないかと考えておりますが、まだ先生にこういうことでやるという具体的に説明できる資料はいま現在持っておりません。
 ただ、私としては、国会というのは正直申しまして土曜日いつ委員会がやられるかわからないものですから、そのときに急に振りかえるということもまたできませんし、できたらしばらくは閉会中に振りかえるとか、四週六休になるのですか、そういう方法は技術的にできるのじゃないかということで検討させているということでございます。
#209
○山本(政)分科員 これはぼくは事務当局のお考えはよくわかりますが、こういう言葉がいいかどうか別としまして、開会聖域論というのかな、開会中はもうとにかくというお考えをお持ちになることはぼくは当然だと思うのですけれども、しかし、先ほど申し上げたように、要するにサービスを低下させないとか、定員とか、そういうものについて障害をしないというふうなことができれば、やはりぼくはそういうことについても考えていただきたいと思うのですけれども、現在のやり方がいいのかどうか、開会中に休むあるいは閉会中にもっと休みを多くして開会中のことを補うとか、いろいろ考えがあるでしょうけれども、しかし私は、そういう点について、ひとつ早くやはり考え方を示してほしいと思うのです。そうしないと、片一方の方は、公務員でも一般職の方は進んでいってしまう、特別公務員の方はおくれていくということをぼくは一番心配するわけです、法案はもう出るわけですから。ですから、その点はひとつぜひ進行してほしいと思います。
#210
○大久保事務総長 なるべく早急に具体的な方法については結論を出したいと考えております。
#211
○山本(政)分科員 あとは宿日直の問題です。
 これももう私ずうっと毎年お伺いしているわけですけれども、宿日直というのはかなりもう改善をされてきた、こう私も思うのですけれども、ただ、この改善というのが、業者を導入して、そして宿日直の回数を減らしている、この辺については意見が私もありますし、意見の分かれるところだろうと思いますが、しかし、ともあれそれが一定の改善を見たということは確かに事実で、これはいいことだと思うのですが、それでは全く職員の不満が解消されているかと言えば、必ずしもそうじゃないだろう、こう思うのですね。もちろん衆議院の宿日直というものが国会という、要するに他の官庁に見られない業務態様があるわけですから、宿舎の場合だって開会中は十二時までですか、それから閉会中が十一時、その後門扉を閉じるわけでしょうけれども、しかし、そうは言っても宿日直に関してはやはり根本的に見直していい時期がもう来ているのじゃないかという感じも私はするわけです。何回か勘定したことはありませんけれども、この分科会で私もずいぶん御質問申し上げて、何回かのやりとりをした記憶がありますけれども、そういう点についてのお考えをひとつ聞かせていただきたいと思います。
#212
○大久保事務総長 お答えいたします。
 この問題につきましては、数年来先生から御指摘もありましたし、われわれも常識的に考えて無理なところもございまして、漸次、必要でないと言うと語弊がありますが、廃止したところもございます。それから原則的には人員をやりくりしまして、たとえば業者を導入するとかして宿日直回数を減らすという基本方針で毎年改善してきたことも事実でございます。今後もその方向ではまいりたいと思っております。
 それから、何しろ全面廃止というわけにいきませんものですから、どうしてもその点は若干先生方に御不便をかけると思いますが、清掃とか業者等を入れまして、それで職員の宿日直回数を減らすという方向でこれからも進んでいきたいと考えております。
#213
○山本(政)分科員 もちろん、全面廃止ということは無理かもわかりませんね。しかし、宿日直の職場の個所を減らすというようなことはできるのではないかというような感じもします。それから人を減らすというようなこともできるのではないか。たとえば宿舎あたり、平常日といいますか、ウイークデーなんかには、これは職員は二人ですか。
#214
○大久保事務総長 お答えいたします。
 現在、議員宿舎は、一番大きいのが九段で、あと赤坂、青山と仮の三宅坂がございます。それで先生も御承知と思いますが、五十五年度末現在で高輪の第一期工事が完成しますと、その分三宅坂の仮宿舎を廃止、それから九段のアパートを廃止、そういうことによってその分は廃止になりますが、高輪の方に持っていきたいというように考えておりまして、ただ、方向としてはどこの、たとえば青山を廃止するとか、そういうわけにはなかなかいかないと思います。ただ、三宅坂はいずれ廃止するつもりでございます。
#215
○山本(政)分科員 保守とか保安とかということは、これはやはりちゃんとした職員の方がおられることは必要だと思うのです。ぼくも宿舎住まいじゃありませんからよく実態を知りません。ただ、聞くところによれば、宿舎の場合は職員が二人、そして業者が一人入っているのですかね。そういう場合に、具体的に申し上げれば、職員を一人というわけにはいかないものだろうか、そういうところが幾つかありはしないだろうかという感じもするわけですけれども、その点いかがでしょうか。
#216
○大久保事務総長 お答えいたします。
 現実をいま聞きますと、宿舎におきましても実際宿直が三名でございますが、職員が二名、あと業者といいますか信用ある業者に委託しているのが一名ということでやって、全部業者任せというわけにはいかないというふうに考えております。
#217
○山本(政)分科員 だから、ぼくが申し上げているのは、二人の職員の場合に一人にすることができないものだろうか、この辺はどうなんですかね。やはりむずかしいですか。
#218
○大久保事務総長 お答えいたします。
 一般論としては先生のおっしゃることもわかるのですが、やはり特に開会中、宿舎職員にしろ会館職員にしろ、宿直というのは単なる普通の一般の宿直と違いまして、ある程度五時半以降の勤務の延長のような仕事もございますので、やはり業者をもう一人ふやすというわけにはなかなかいかない。もちろんその部分は超過勤務命令を出しますから、宿直、日直手当とは別に出しますが、ただちょっとその辺が、きょうだけは業者がいい、あしたはだめだというわけにもいかないものですから、ちょっとむずかしいのじゃないかと思います。
#219
○山本(政)分科員 やはり議員がうるさいですかな。
 最後に、一つ人事院の方にお伺いしたいのですけれども、いまの宿日直の手当というのは五十一年に決まって、それからずっとアップはしていないと思うのですけれども、千六百円ですか、これを増額なさるような意思はございませんでしょうか。
#220
○金井政府委員 私、給与の関係はちょっと所管外でございますけれども、いずれにいたしましても、各給与とも官民比較をもとにしまして調査をし研究をしておりますので、適正な価格といいますか額を維持するということで努力を続けていくことに相なると思います。
#221
○山本(政)分科員 もう四年間ですかそのまま据え置きになっていると思うのですが、ひとつぜひお考えを願いたいと思います。
 きょう私が本当に聞きたかったのは週休二日制なんですけれども、ぜひひとつ、繰り返し申し上げますけれども、公務員、一般職ですね、この人たちがそういう趨勢になってきて、法案も十四日ですか、出される予定だという話も聞いておりますけれども、しかし、私はぜひお願いしたいのは、それにおくれることなく、そして前の総長の藤野さんはぼくはずいぶんその点では努力をされたと思いますから、現総長もひとつそういう点でぜひきちんとした、四週五休ですか、最低ですね、ぼくに言わせたら最低ですけれども、それをひとつ実施していただきたいと思います。
#222
○大久保事務総長 お答え申し上げます。
 週休二日制につきましての先生の最後のお話でございますが、もし法制化された場合には、もちろんそれを下回らない範囲で衆議院職員についても実施するつもりでおります。ただ、技術的な問題がございますので、この点はどうしても閉会中にまとめてできないということになれば、多少開会に食い込むということも考えられると思っていますが、なるべく早く結論を出したいと考えております。
#223
○山本(政)分科員 終わります。
#224
○中島(源)主査代理 以上で山本君の質疑は終了いたしました。
 これにて国会所管についての質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#225
○中島(源)主査代理 次に、総理府所管中、環境庁に関する事項について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩垂寿喜男君。
#226
○岩垂分科員 よろしくお願いをいたします。
 わが国の代表的な都市近郊河川である多摩川及びその流域の環境保全対策を全国のモデルとして推進するために、多摩川流域環境保全対策連絡会議が設置されたのは昭和五十年の十一月二十八日であります。これは実はこの年の環境週間に当たって、当時の小沢環境庁長官に対して私が提案をいたしまして、環境庁長官を初め、各省庁の責任者あるいは東京都知事、神奈川県知事、川崎市長などが現地を視察をした結果実現した経過がございます。
 この提案についての問題意識というのは、建設省は確かに護岸などの治水対策をやっている。しかし、水質ということになると環境庁だ。それから工場排水というようなことになると通産省が深くかかわっている。自然保護ということになると農林省だ。実はいわゆる縦割り行政で、それが相互の横の関連というものを持ち合わしていませんでした。それから地方自治体も、多摩川のこっち側は東京都で、反対側は神奈川県だ。にもかかわらず、自治体の取り組みも横の連絡というものがとられていない。つまり縦割り行政、あるいはなわ張り行政という言葉を言っていいかどうか別ですが、そういう体制がばらばらなものですから、多摩川なら多摩川を取り戻すための対策というものも非常に総合的でない、こういう問題意識でございました。
 ですから「兎追いしかの山、小鮒つりしかの川」ではございませんが、日本じゅうの川が汚されてきている、そして汚染がひどくなってきている、死んだ川になりつつある。こんな状態のもとで、いわば全国の川のモデルとして多摩川に目をつけてひとつ対策を講じてほしい、こういう提案を受けましていまの連絡会議が生まれたわけでございます。
 実は、あれからもう五年に近い歳月が経過いたしております。連絡会議の中間報告もまだ行われていないという状況でございます。この間に、汚染はますますひどくなっているという状況があって、多摩川を取り戻すことがむしろ困難な状況が積み重なってきているわけでございます。私はいたずらに拙速を要請をするわけではございませんけれども、しかし、余りにも時間がかかっているのではないか。議員が言ったことは余り親切に取り上げてくれないのかなといういささかひがみを含めて、おくれている点について環境庁はどうお考えになっていらっしゃるのか、まずこの辺から明らかにしていただきたいと思います。
#227
○馬場政府委員 お答えいたします。
 ただいま先生おっしゃいましたように、多摩川流域環境保全対策連絡会議は、先生の御提唱で、都市の中を流れております非常に大事な川でございますし、またその中で水質の汚濁なり、あるいは自然環境の保全の面でいろいろ問題が出てきているということで、多摩川に関しまして、政府部内の関係各省あるいは東京都、神奈川県、あるいは川崎市その他の関係の自治体も含めまして横の連絡をとりながら審議し、さらに対策を考えていこう、そういう趣旨で生まれたわけでございます。
 ただいまおしかりを受けましたように、五十年の十一月に発足をいたしまして、その間にかなりの年月がたっておるわけでございます。水質の保全の分科会と自然環境保全の分科会に分かれまして、それぞれ多摩川の水質あるいは自然環境の保全に関して総合的な施策の方向づけを図るために種々検討を行ってきたわけでございます。大変おくれて申しわけないわけでございますが、いろいろ鋭意検討をいたしてまいりまして、水質保全に関しましては一応の中間的と申しましょうか取りまとめを了しておる段階でございます。なるべく早くちゃんとしたものにいたしたいと考えておるわけでございます。
#228
○岩垂分科員 水質は中間的なまとめができつつあるあるいはできた、しかし、自然環境保全の方が少しおくれているというふうに伺っているわけですが、最終のまとめをどんなスケジュールでおやりになるおつもりか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
#229
○馬場政府委員 ただいま申し上げましたように、水質につきましては五十五年度なるべく早い時期に取りまとめをいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
#230
○岩垂分科員 そうすると、自然の方はどうなりますか。
#231
○藤森政府委員 お答え申し上げます。
 自然環境保全分科会の方は、言うまでもなく、多摩川流域の自然環境の保全対策ということが検討目的でございますが、その一部でございます多摩川の河川敷の保全という問題につきまして、建設省の委託を受けまして、河川環境管理財団という財団におきまして関係者を集めまして各般の調査研究が別途進められております。その研究メンバーは、自然環境保全分科会のメンバーとも重複があるというふうな事情もございまして、分科会におきまして、建設省からその調査研究経過についていろいろ説明を受けまして、これに対しで関係者から必要な意見を申し述べるというふうなことをいたしました。
 その後の進め方につきましては、ただいま申しましたような財団の研究もございますので、その研究結果を踏まえて検討を行うことが一番適当ではないか、こういう結論に立ちまして、その後分科会を開くに至っておらなかったわけでございます。ところで、財団の方の研究結果は、現在調査研究が最終段階を迎えているということでございます。そこで分科会の方といたしましても、その財団の方の研究調査の内容につきましていろいろ説明を受けたり、今後の検討の進め方、これにつきましても協議をしていかなければならないわけでございますので、分科会を開催することにつきまして関係機関と協議をする、こういう段階になっておるわけでございます。
 先生お尋ねの、これからの最終的なまとめにつきましては、大変申しわけないわけでございますが、自然環境の方はいま言ったような事情がございまして、水よりもややおくれて物をまとめるというふうなことになろうかと思います。その点はあしからずお願いしたいと思います。
#232
○岩垂分科員 もちろんしっかりやってもらわなければなりませんから、時間がかかることは事実だろうと思いますが、長官、五年かかっております。大変だろうと思います。しかし、やはり一定のめどをつけて発表して対策を講ずるということでないと、これはいたずらに時間ばかりかかってもらちが明きません。たとえば自然の方で言えば、都市環境の変化がどんどん起こっているわけです。そういう点でも、五十五年の早い時期にという水のところへできるだけ合わせるように督促をいただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
#233
○土屋国務大臣 先生の御趣旨に沿いますように最大限の努力をいたします。
 実は、この問題につきまして先般藤森局長の方からもいろいろお話を承りましたものですから、でき得れば私近いうちに、近いことでもございますから現地も視察をさせてもらいたい、かように考えております。
#234
○岩垂分科員 ありがとうございました。
 水の方の中間的なまとめができているそうですが、概略で結構でございますから、当面とやや長期の二つの対策があろうと思いますが、ちょっと御説明いただけますか。
#235
○馬場政府委員 お答えいたします。
 水に関します取りまとめの状況でございますが、当面促進、強化を図るべき施策と、それからやや長期的な観点から検討すべき事項、二つに分けておるわけでございます。中身につきましてはあれでございますが、その検討した事項を申し上げたいと思います。
 当面促進、強化を図るべき施策といたしましては、まず第一に下水道の整備と、河川の性格上、やはり三次処理の問題を検討いたしたわけでございます。それから二番目に排水規制の強化の問題でございます。それから三番目に屎尿浄化槽の維持管理の適正化、それから生活雑排水対策の推進、大変急激な形で都市開発が進みますし、人口が急増している地域でございますので、生活排水対策が大変重要であろうという観点でございます。それからその次に汚泥のしゅんせつ等の推進の問題でございます。それから河川の美化運動の推進というような事項が当面の問題でございますが、やや長期の観点から検討すべき要項といたしましては、水管理及び汚濁発生源の管理システムの確立の問題が一つございます。それから二番目に大きな問題でございますが、流況改善の問題と水資源の開発なりあるいは有効利用の問題、これをどう考えていくかという問題でございます。それから三番目に河川の浄化機能の強化に関します調査研究をさらに進める必要があるのではないか、そういう推進体制の問題でございます。その次が望ましい水域環境のあり方、最後に土地利用の適正化の問題、そういう点につきまして一応の中間的な取りまとめをしておる段階でございます。
#236
○岩垂分科員 いろいろ各省にまたがる問題もございまして、それぞれの所管事項にかかわってそれを取りまとめていくのに困難がいろいろあろうと思いますけれども、やはりおざなりでなくて具体的に、しかもそれをどうやっていくということについての処方せんを含めて対応願いたいものだと思うのです。
 東京湾を取り戻すためには多摩川を取り戻さなければどうにもなりません。そしてそれはまさに日本の全国の河川、それとのかかわりにおいて多摩川を取り戻すことができたとすれば、日本じゅうの川を取り戻すことができますし、世界じゅう見ても、首都圏の近くの川というのはそれなりにその国のいわば名誉というか、誇りにおいていろんな取り組みが行われていますので、そういう御配慮を賜りたいものだと思います。
 念のために伺っておきたいと思うのですが、この会議はいま申しましたように対策連絡会議でございます。中間報告なりあるいは最終報告が終わったので解散でございます、これでは対策にはなりません。その意味で各行政機関がそれぞれの取り組みをする、対策を講ずる、その推進状況というものを点検をして、そして報告し合って、さらにその目的に向かって行政的な諸施策を住民の協力をも含めて進めていくということが大事だと思うのです。したがって、対策会議というのは、何か報告が終わりましたから解散ということでないように求めたいと思いますが、その点言わずもがなかもしれませんが、念のために承っておきたいと思います。
#237
○土屋国務大臣 お答え申し上げます。
 全く先生の御意見に私同感でございます。水質保全対策につきましてはおおむね取りまとめを終えており、五十五年度の早い時期にも対策の方向づけを明らかにしたいと考えております。
#238
○岩垂分科員 委員会をこれからも逐次開きながら、それは頻繁にというわけにはいかないと思いますが、できるだけ点検を含めてやっていくようにしていただけるという大臣の御答弁だと思います。
 建設省にちょっと伺っておきたいのですが、いま当面の課題とやや長期的な課題について取り組みをしてきたというふうにおっしゃいました。何といいましょうか、河川敷を利用した浄化機能に関する調査をいま多摩川でやっていますね。あれは実用化のめどというのはどんなところに考えていますか。
#239
○井上説明員 多摩川の河川敷を利用して水質浄化実験を実施しておりますが、これは昭和四十八年に東京都の府中市で高水敷を利用して施設を設けまして実験いたしております。この内容でございますが、下水処理場からの処理水を使用いたしまして、一つは河川の礫層を通過する間に水質が浄化されるという接触酸化の実験と、それからもう一つは下水処理水に空気を混入することにより、水質の浄化を図る曝気効果の実験とこの二つについて行っております。実験の結果はBOD値でこの除去につきましてかなり効果が見られております。なお、除去効果の永続性の問題あるいは実用化に際しての問題点等、水量にもよりますが、かなりの面積の高水敷を必要とするという問題がございまして、実用化については今後なお検討を継続してまいりたいと考えておるわけでございます。
 河川には従来から水質を浄化するという自浄作用があることは知られておるわけでございますが、この自浄作用を人為的に少しでも助長してやる方法はないだろうかというようなことで、きわめて基礎的なデータを得る目的で実験研究しておるわけでございまして、これの実用化というところまではまだ到達いたしてない状況でございます。
#240
○岩垂分科員 いまの自然浄化ということが非常に大事なことなんです。その点で鋭意その研究を促進さしていただきたいと思うのですが、それに関連をして、多摩川の下水道の総合計画をお示しいただきたいのですけれども、しかし、これ時間かかりますから、後ほどで結構ですが、書類なりで出していただければ結構だと思いますが、川崎側を含めて、流域、公共含めてぜひ資料をお示しいただきたい。この点はようございますか。
 その場合に、もう一つお願いしたいのは、ついでですから申し上げたいのですが、多摩川の浄化のためには下水道の普及が必要だということがもし結論として導かれるとすれば、そういう重要河川と言うと言葉が少し、ほかは重要でないのかということになりますからそういうことは言いませんけれども、そういうところへの下水道予算の重点的な配分といいましょうか、傾斜的な配分といいましょうか、つまりその仕事を早目にやっていくということを含めてお考えになっていただきたいと思いますが、その点はいかがお考えか。その点を総括的にお答えをいただきたいと思います。
#241
○玉木説明員 お答えいたします。
 多摩川の流域は東京都側と川崎になるわけでございまして、現在鋭意下水道整備を進めておるところでございますけれども、特に川崎の方が若干おくれぎみでございますので、これにつきましては、今後、事業計画になるべく見合うように十分考慮いたしまして、下水道整備を進めてまいりたいと考えております。
#242
○岩垂分科員 これは河川の方でちょっとお尋ねしたいのですが、多摩川の浄化ということになりますと、流量がやはり問題になると思うのです、流況とでもいいましょうか。率直に言って、羽村の取水ぜきというところで多摩川の水は全部東京都の水道用水としてとっているんです、ほとんど全部と言っていいくらい。ということは、つまり多摩川の中流、下流は事実上どぶ川が流れていると言われても仕方がないような状態なんです。私は生活排水だけの多摩川というのでは何ともしょうがないと思うので、やはり取水を、全部水を取ってしまうということがないように、できるだけふやしてもらいたいと思うのですが、その点は、環境庁に伺いたいと思うのですが、時間がございませんから、建設省はどんなふうにお考えになっていらっしゃるか、お答えをいただきたいと思います。
#243
○井上説明員 ただいま先生御指摘の多摩川の取水でございますが、羽村ぜきにおきまして、確かに東京上水として昭和十一年に毎秒二十二・二トン、年平均にしまして十三・二トンの水利権が許されております。最近五カ年における取水量を見ましても、年間を通じまして平均毎秒十・九三トンでございますので、この水利権内で取水しておるという事情にございます。
 河川水の役割りとして環境の維持という機能を持つことは御指摘のとおりでございまして、特に大都市内での河川の果たす役割りは非常に大きいものがあるというように私どもは認識しております。したがって、建設省におきましては、下水道の整備による水質の保全対策もさることながら、河川におきましても、河道の整備あるいは堆積汚泥のしゅんせつ等の河川環境整備事業というものを積極的にいま進めてまいっております。
 環境維持のための河川水の確保という問題でございますが、何分にも現今の水の需給はきわめて逼迫しておりまして、多摩川の水も首都圏における貴重な水資源として、上水あるいは農耕水等に高度に利用されておる現状にございます。したがいまして、これを割いて環境維持に振り向けるということはきわめて困難な現況にあるわけでございますが、これからの重要な検討課題といたしまして、水資源開発あるいは下水処理水の再利用等を含めて総合的に調査検討してまいりたいというふうに私どもは考えておる次第でございます。
#244
○岩垂分科員 いままで事実そういう機能しかなかったのですが、それでよかったのですが、河川の水は飲用水、それから工業用水あるいは灌漑用水、大きく見るとこの三つのジャンルに入っていたわけですね。ところが最近では、やはり都市の環境という意味での水の利用というものが非常に重要な要素を占めてきているというふうに思うのです。たとえばたんぼや畑がつぶされちゃった、灌漑用水はもうそんなに要らないな、したがって、川を流れる水は減らすよ、こういうやりとりがあるわけですね。しかし、都市の環境というものから見る水という点を頭に置いていかなければならぬと思うのです。川崎では二カ領の問題でこれは一応の解決を見ましたが、今後そういう点を含めて水の役割りというものを建設省お認めになりますか。
#245
○井上説明員 ただいま御説明申し上げましたように、河川の水質が環境に果たす役割りというものは非常に大きいものがあるというふうに認識しておりまして、現在の水需給の状態からいたしますと、首都圏の場合非常にむずかしい状況ではございますが、今後そういう観点から検討を進めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
#246
○岩垂分科員 ありがとうございました。
 長官、退屈そうな顔をしていますからお尋ねしたいと思いますが、一月二十一日に東京湾を視察をされたそうです。これに関連して二、三伺いたいと思うのですが、東京湾の富栄養化対策、なかんずく燐に対する排出規制というものを御決意をなさったというふうに承っておりますが、そんなスケジュール、手だてを少しこの際お示しいただきたいと思います。
#247
○土屋国務大臣 お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、私は、去る一月二十二日でございますけれども、富栄養化対策の一環といたしまして、船で東京湾を視察をいたしましたが、ちょうど時期的に寒いときだったものですから、残念ながら期待しておりました赤潮等は見ることができなかったのでございますが、都の係官の説明によりますと、だんだん暖かくなってまいりますと、赤潮が発生いたしまして汚濁が大変著しくなるというお話も承り、また写真も見さしていただきまして、私本当に驚いたような次第でございます。そこで、改めてまた再度東京湾に視察に参りますこともお約束をいたしておる次第でございますが、船上における記者会見で、私は本年度中にこのCODにかかわる総量規制のための総量削減計画を承認いたしまして、五十五年度より具体的なCODの削減を行いますとともに、窒素、燐の対策の一環といたしまして、五十五年の四月から環境庁と関係都道府県の連絡協議会を設けまして、総合的な水質保全対策を打ち出してまいりたい、かように考えております。
#248
○岩垂分科員 長官、いま一都三県というふうに恐らくお考えになっていらっしゃると思うのですよ、東京と神奈川と埼玉と千葉と。実は御存じかどうか知りませんけれども、東京湾の富栄養化に伴う第二次汚濁問題については、すでに指定都市である横浜、川崎を含めて広域的な対策というものを続けているわけです。ですから、もしそうなさる場合には、川崎、横浜も含めて、つまり国と一部三県、そして二市ということが、これまでの経過から考えて、それから対策の具体化のためにも重要かと思いますが、その点少し……。
#249
○土屋国務大臣 ちょっと失礼いたしましたが、政令都市川崎、横浜等も含めていろいろ検討さしていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
#250
○岩垂分科員 環境庁の長官の頭の中にある対策を、この際お示し願いたいのですが、富栄養化対策というのは環境基準の設定を目指しておられるのか、あるいは基準というか、指針、ガイドラインというような形でお考えになっていらっしゃるのか、その辺ちょっと……。
#251
○馬場政府委員 富栄養化対策でございますが、私どもも、富栄養化対策といたしましては、最終的には環境基準を設定をし、また排水基準を設定して、濃度規制なりあるいは総量規制を本格的に実施をするということであろうかと思いますけれども、現在いろいろ検討はいたしておるわけでございますが、まだ環境基準の設定あるいは排水基準を設定する場合のいろいろ技術的な問題等につきまして、必ずしも十分な知見をまだ得られておりません。したがいまして、そこはもう少し検討を続けてまいりたいと思っておるわけでございます。
 そこで、当面でございますが、環境中におきます燐のレベルにつきましてガイドラインを設定をしたいということで、現在検討会を設けておる段階でございまして、なるべく早く結論を得まして、当面は行政指導でまずやっていくという形から順次本格的なものにしていきたいというように考えておるわけでございます。
#252
○岩垂分科員 そうしますと、スケジュールはともかくとして、水質汚濁防止法の改正ということを意識して、つまりそれの中での環境基準というふうに考えてようございますか。
#253
○馬場政府委員 環境基準の設定につきましては、今後私どもも内部的にかなり詰めなければならぬ問題がございますし、またいろいろ学識経験者なり審議会等の御意見をお聞きしなければならぬことでございますけれども、そういう段階でございますので、現行法の中で処理できるのか、あるいはまた現行法の若干見直しをしなければならないのか、その辺は今後の検討課題だと思っております。
#254
○岩垂分科員 しかし、準拠法として考えてみると、水濁法というところが一応のポイントですね。その点はそのように理解してよろしゅうございますね。
 それで、一都三県二市ということになりましたが、自治体に対する削減計画というのは具体的にいつごろお示しになって、そしていろいろなやりとりをまとめていくつもりですか。これは馬場局長で結構です。
#255
○馬場政府委員 いろいろスケジュールなり中身の問題につきましては、関係自治体と今後御相談をしなければならぬわけでございますけれども、行政指導で実施をするということでございますので、現在瀬戸内海で実施をしているような形がやはり適切ではなかろうかというふうに私どもは考えておるわけでございます。
 そこで、まずその辺の実態をもう少しつかむ必要がある。これは各関係自治体もいろいろ調査をおやりでございますが、なお広域的にやる必要がございますし、私どもなりにもいろいろな、なお検討しなければならぬ点がございますので、本格的な環境庁の調査は五十六年度ぐらいになるのではなかろうか。そこで、できれば五十六年度中ぐらいには対策を出していきたいというように考えるわけでございます。
#256
○岩垂分科員 時間がかかるのは仕方がないとしても、現実に合成洗剤がじゃんじゃん使われて、それに対する手だてがない。しかし最近地方自治体が、割合からすれば非常に少ないけれども、燐の使用、合成洗剤の使用禁止を打ち出しているわけですが、大臣、もうこの辺できちんとした方針を示さぬといかぬですが、突然で恐縮ですけれども、大体もう気持ちの中にあると思いますので、御答弁をいただきたいと思います。
#257
○馬場政府委員 合成洗剤につきましては、琵琶湖の富栄養化防止条例以来、各自治体におきまして、いろいろ公共機関等で合成洗剤の使用規制をするというような内容が多いわけでございます。そこで、私どもも富栄養化対策の一環として、まず燐を全体的に減らしていく、そういう中で合成洗剤の問題も考えていく観点をとっておるわけでございます。
 そこで、瀬戸内海等につきましては、現在すでに削減計画の中で具体的にやっておるわけでございますけれども、その他の東京湾とか伊勢湾等につきましては関係自治体ですでにいろいろ措置をとられておるところもございますけれども、私どもも関係自治体の意向を尊重して、いろいろ相談をしながらその辺の問題に対処してまいりたいと思っておるわけでございます。
#258
○岩垂分科員 どうもしり切れトンボなんですが、時間が来てしまいましたからこれで……。早く対策を示さないことには、えらい立ちおくれみたいなかっこうになっていてかっこう悪いと思うのですよ。だから、その措置をぜひ求めたいと思います。
 それから最後に一言だけ。多摩川の自然環境を守る上で、建設省の京浜工事事務所あるいは東京都の公害局あるいは多摩川の自然保護団体、こうまとまっていろいろ相談をしてきた経過があります。非常に積極的に取り組んでいらっしゃるわけですが、今後も計画をつくっていく過程で、多摩川流域の自然保護団体の意見やあるいはそういう希望をできるだけ生かすように御配慮願いたい。これはもう言っ放しで、お答えは結構ですから、終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
#259
○中島(源)主査代理 以上で岩垂君の質疑は終了いたしました。
 次に、鳥居一雄君。
#260
○鳥居分科員 公害防止計画について具体的な事例を挙げて御質問申し上げたいと思いますが、千葉臨海、この地域の公害防止計画は昭和五十三年度で終了いたしまして、新たに五十四年度からこれを初年度といたしまして五カ年計画が策定されようとしている。今月中旬ごろにはという予測もございます。前回の公防計画では、民間の努力目標の達成率に対しまして国、地方自治体の行う事業の達成率が大変におくれました。このことが引き続き防止計画を策定することになった大きな理由でありますけれども、この中で大気汚染に関して、工場等の固定発生源についてはほぼ当初の目標どおり改善を見た、その一方で、新たな発生源といたしまして、人口急増による自動車の保有台数の増加、あるいは成田空港開港等による自動車公害の増加、こういう移動発生源による大気汚染が大きくクローズアップされてまいりました。したがいまして、今回策定されようとしている公防計画におきましては、大気汚染に関して、特に移動発生源対策というのが重大な焦点になってきているはずであります。
 具体的に、東関東自動車道、千葉市の真砂地区、この事例を挙げまして公害防止の観点から対策を要求したいと思うのです。
 そこで、この高速道路の建設に関して、しばしば公害紛争事件が頻発しておりますけれども、公害の紛争処理に当たりましては公害紛争処理法があって、紛争処理に当たりましては、総理府に公害等調整委員会が独立機関として設置をされております。
 この真砂地区住民から千葉県の公害審査会に対して審査請求が出されておりますけれども、現在審理中でありますが、この経過、争点、これまでに何回開かれて、結審の見通しはあるのか、この点について伺いたいと思います。
#261
○永山政府委員 お答えいたします。
 ただいまお話しの事案でございますが、当委員会に対しましては千葉県の公害審査会の方から、千葉市の真砂町の住民の方々約五百十八名から国、日本道路公団を被申請人といたしまして東関東自動車道市川−潮来線、それから国道三百五十七号線の建設差しとめ等の調停申請が五十四年の一月二十四日千葉県公害審査会に出された、その後四回にわたりまして参加申し立てがございまして、合計四千三百七十六名の参加申し立てを許可したという連絡を受けております。
 しかしながら、御承知のように、公害等調整委員会と各県の公害審査会はそれぞれ独立の機関でございまして、上下の関係にございませんので、その管轄は、いまお話しの紛争処理法二十四条の規定でそれぞれ分担をするという形になっております。したがいまして、千葉県公害審査会の管轄に属する事案のその後の進行状況については承知いたしておりません。
#262
○鳥居分科員 建設省道路課、答弁ありますか。
#263
○沓掛説明員 東関東自動車道の千葉市真砂地区につきましては、昭和五十年十一月から地元説明会を開始し、各自治会を通じて理解が得られるよう説明を重ねてきたところでありますが、昭和五十四年一月に地元の方から申請されておりました公害調停が千葉県公害審査会で受理され、審理が始められております。
 調停委員会は現在までに十二回開かれまして、環境対策について審理が進められておりますが、アセスメントにおける予測手法がその主な争点となっております。
 調停における被申請人である国及び日本道路公団は、環境対策について地元の方に理解を得られるよう十分に説明して、早期の解決が図られるよう努力を重ねてまいりたいと考えております。
#264
○鳥居分科員 つまり、この審査会での争点というのは、アセスメントの手法の違いということが非常に明確になってまいりました。県の審査会としては、ガイドラインがないために、ただ双方の主張を聴聞する以外に手がない、ですからこのまま聴聞をし続けて、そしてその結審ができない、そんなような状況に現にあるわけです。県としても、県の審査会そのものが非常に手狭な、非常勤の職員の人、有識者を充てるというところから来る弱体といいますか、そうした県側のスタッフ自体限られた予算の中でやるわけでありますから、大規模ないわゆる国の事業に関係する紛争の処理ということになってまいりますと、非常に制約された条件の中で大変苦しんでいるわけです。
 いま航空機騒音あるいは新幹線公害、こうした国の機関の公害問題等については、公害等調整委員会が実際に担当しておやりになっているわけでありますけれども、私たち、新幹線公害とこの高速道路公害が一体どう違うのか、こう考えてまいりますと、きちんと設置法で位置づけられている国の機関である公害等調整委員会でこれは当然処理すべきものでないのか。これは処理法の二十四条ということになってまいりますけれども、政令の改正でできるわけなんですけれども、それを公害等調整委員会で引き受けてやっていく、こういうかっこうにはなりませんか。
#265
○永山政府委員 お答えいたします。
 ただいま御指摘の点、お話しのように公害紛争処理法二十四条第一項二号で定める形になっておりまして、二都道府県以上にわたって広域的な見地から解決を要するものについては政令で定めるということになっております。いまお話しのいわゆる周速道路をこの中に含めるかどうか、これはそうなりますと、またいろいろな問題も出てくると思いますので、もう少し慎重に研究させていただきたいというふうに考えておりますので、御了承をお願いいたします。
#266
○鳥居分科員 それで、建設省に伺いますが、アセスメントの手法の違いということなんですけれども、実際に真砂地区でアセスメントを行ったということですが、どんなようにやったのか御説明願いたい。
#267
○沓掛説明員 昭和五十三年七月に出されました「建設省所管事業に係る環境影響評価に関する当面の措置方針について」の建設事務次官通達に基づきます環境影響評価技術指針(案)及び同年十月に出されました技術指針細目・道路事業編(案)に沿って騒音の予測、大気汚染についてはNO2の予測を行っております。たとえば大気汚染でございますと、差分モデルあるいはブルーム・パフ式などで検証をいたしておりますし、騒音については、日本音響学会式などを用いて計算による予測を行っております。
#268
○鳥居分科員 真砂地区のアセスメントを行うに当たりまして、そのベースになる現、実の大気汚染が一体どうなっているかという、この点の把握を度外視しては、測定に全く意味がないのです。その大気汚染の主因ですけれども、NO2の実測を実際に真砂地区では何カ所で測定しているのですか。
#269
○沓掛説明員 真砂地区の大気汚染の現状についてでありますが、これは地方自治体で、近傍に設置しております一般環境大気測定局及び自動車排出ガス測定局の実測から把握するとともに、真砂地区内におきまして昭和五十三年十月二十七日から同年十一月九日までの二週間にわたりまして、道路公団がNO2の実測を行ったデータ等がございますので、そういうものを参考にいたしております。
#270
○鳥居分科員 私の質問は、真砂地区でNO2の測定を何カ所やったか、こういう質問なんですが。
#271
○沓掛説明員 いま申し上げましたように、これは道路公団が一カ所で二週間実施いたしました。そのほか、この近くに地方自治体で設置しております一般環境大気測定局がございます。たとえば真砂地区でございますと、検見川小学校に設けられておりますので、そういうようなものを参考にさせていただいております。
#272
○鳥居分科員 この真砂地域は、NO2に関しては県内でもワーストスリーの中に入る、環境基準の上で〇・〇六PPmを超える地域になっているわけです。この地域でアセスメントを行うというならば、現場の実態というのを正確に把握しなければならないのは当然なことだと思うのです。現実の実態を把握しないで、むしろいま大気汚染ゼロという前提で、それで高速道路が建設されたと仮定してどのくらいになる、これは実情を無視したいわばまやかしといいますか、でたらめの数字をもって住民対策とする、こう言われて仕方のない実態だと思うのです。こういう高速道路建設以前にすでにワーストスリーの中に位置しなければならないような地域、この地域に新たに高速道路六車線が建設される、こういうわけですから、開通後の大気汚染というのは大変なことが現に予測されているわけです。現状より悪化しないということが言えるんでしょうか。環境庁、どうですか、これ以上悪化しないという保証はありますか。建設省、どうでしょうか。
#273
○沓掛説明員 大気汚染につきましては、東京湾岸道路に起因いたしますNO2の濃度予測を行っておりますが、その結果は、自動車排出ガス規制の効果によりまして環境基準を下回ることとなっております。
 しかしこれは、いま先生がおっしゃったように、その周辺がゼロだという前提ではないかということでございますが、当地区の大気質全体の保全につきましては、固定発生源の排出規制及び自動車排出ガス規制等による総量規制、都道府県公安委員会の行う交通規制等の総合的対策が必要ではなかろうかと思っております。
#274
○鳥居分科員 真砂地区の現状につきましていま取り上げたわけでありますけれども、私は国の責任が非常に不明確であると思うのです。一方でこの地域は大気汚染等の著しい地域として、三度目、総理大臣名で公害防止計画が策定される、そういう対象地域であります。私は、五十三年のこの委員会におきまして、前回策定しました公害防止計画の進捗率が非常に悪い点を指摘いたしました。そして計画の延長を強く要求したわけでありますけれども、大気汚染に限って見ると、その最大の課題というのは、いわゆるNO2の汚染対策、これに尽きるだろうと思うのです。しかも発生源というのは、固定発生源によるものというより、むしろ千葉臨海におきましては、公害防止計画でも明らかなように、移動発生源、自動車による汚染が最大の課題になっているわけです。これは、公害防止計画調査報告でも明らかになっております。
 千葉臨海の公害防止計画報告書、この中で、「本地域のNOXに係る排出量は、固定発生源では、四十八年から五十二年までの削減目標は、一〇四・一%を達成した。一方移動発生源である自動車の排ガス規制は、四十八年以後、数次にわたる規制で、五十三年度までに乗用車で、四十八年以前の車の約八%まで削減された。にもかかわらず、本地域の一般環境測定局における一日平均値の年間九八%値の上位三局の経年変化は、昭和四十八年にくらべて大幅な改善にはなっていない。」と指摘をしているとおりであります。この千葉臨海の地域の計画策定に当たっては、特に大気汚染対策が重点的になされなければならない、こう思うんですけれども、環境庁はどういうふうに認識されてますでしょうか。
#275
○金子政府委員 千葉臨海の公害防止計画をさらに延長して、五十八年度末を目途に、大気汚染状況を初めとするもろもろの環境質の改善を図りたいと思っておりますが、その中のNO2の問題は、お説のとおり非常に大きな、またむずかしい問題であると認識いたしております。現にNO2測定局七十三局の中で十五局が、NO2環境基準の下限を上回っておる状況でもございますので、固定発生源、移動発生源、その他あらゆる発生源対策、あるいは自動車単体対策を含めまして、県当局と力を合わせて努力をしてまいりたいと考えております。
#276
○鳥居分科員 そこで、真砂地区のNO2の一日平均値の二%値を見てみますと、近傍地点の、先ほど地元の調査によると指摘されている検見川小学校ですけれども、検見川小学校における昭和五十三年度値、これは〇・〇六七PPmです。県内でも上位三局に入るきわめて環境の悪い地域、これがこの地域です。その原因というのは、国道十四号線の交通量の増加、これに起因しているわけです。
 ちなみに具体的な数字を申し上げますと、千葉市登戸町付近で一日四万四千台、公団調べによると、真砂地点で一日六万台、この交通量が実測されています。ここでの交通量は年々増加の一途で、環境庁は五十三年にNO2の環境基準を〇・〇四から〇・〇六PPmに大幅に緩めて改めましたが、それにもかかわらず、この基準を超える地域になっているわけです。しかも地形的に言っても、この真砂地区というのは、ただいまの検見川小学校のちょうど風下に当たる地域であり、検見川小学校自体高台です。風下に当たる、しかも谷間に相当する真砂地区、この環境というのは、検見川小学校よりはるかに劣悪な条件の中にある、こう言って間違いないわけです。現実の汚染度は、この地域を比べてみてはるかに大きいわけでありまして、ここに新たに高速六車線が通ろうというわけです。環境庁のこれに対する所見はいかがでしょうか。
#277
○三浦政府委員 この高速道路の新設に際しましては、環境基準の達成維持が図られるように慎重に検討を行うことは当然のことでございまして、関係の地域におきまして、大気汚染や騒音などの問題を起こさないように適切に配慮する必要があるというふうに考えております。
#278
○鳥居分科員 建設省の立場というのは、高速道路の必要性という点にぐっと比重を乗せかけて、何としても建設しようという立場に立たれるわけですが、NO2汚染対策については自動車排ガス規制だけに頼って、個々の発生する一台一台の規制だけを頼りにしているその対策で大気汚染対策なんというのは実現できません。六車線がまた束になって自動車が通ろうというところでのますます悪化するこの汚染対策、これは私、緊急課題だと思います。
 現に公害白書の中でも、自動車による騒音、NO2による大気汚染などの改善の必要性、これをはっきりと明記しているわけであります。この地域の公害防止計画を策定して、汚染防止の実効を上げなければならないわけであります。
 この千葉臨海地域の公害防止計画の策定の五十四年度、初年度にあたりまして、こうした問題解決のために、まず環境庁として建設省とがっちりと話し合いを詰める、これが必要じゃないかと思いますが、環境庁としては、この話し合いをどういうふうに進めていくお考えでしょうか。
#279
○土屋国務大臣 お答え申し上げます。
 大変深刻な問題でございますので、先生の御意見も踏まえまして、建設省初め関係官庁と話を詰めてまいりたいと思います。
#280
○鳥居分科員 重ねて申しますが、地元に建設省から説明をした資料によりますと、〇・〇五PPmからわずかな距離離れただけでいきなり〇・〇二PPmとなっているのです。そのほかの地域の説明では小刻みに〇・〇五、〇・〇四、〇・〇三、こう来ています。真砂地域だけなぜいきなり飛んでいるのか。これは地元対策として数字を示して、そして、ごのことについては、安直に納得してもらおう、こういう作為がありありではありませんか。具体的に真砂地域の測定を行い、ひどい現状の上に六車線が開通した場合に、それはこうなりますという資料ですか。
#281
○沓掛説明員 先生いま御指摘の資料は、私がここに持参しておるこのパンフレットかと思いますが、これにつきましては、この排ガスのところにそのいろいろな前提条件が書いてあるわけでございます。その前提条件は、いま私が申し上げましたように、固定発生源の排出規制及び自動車排出ガス規制等による総量規制、都道府県公安委員会が行う交通規制というようなそういう総合対策がとられた上でいま申し上げたような数値になるということで、このパンフレットでもその前提条件が明示してあるわけでございます。
 ただ、真砂地区について、この真砂地区内の東関東自動車道に面した側が最初の線で〇・〇〇二PPmでございますし、それが自動車道路の路側等では〇・〇〇五PPmというふうに六十年における年平均値が示されておるわけでございますが、これがコンターが非常に飛んでいるということでございますが、ある程度インターポーレーションをやれば出てくるわけで、特にこの間を作為的に飛ばしたということはないというふうに思っております。
#282
○鳥居分科員 環境庁長官が話し合いを大いにやるという御意向をお示しですから、大いに期待をしたいと思います。
 以上で終わります。
#283
○中島(源)主査代理 以上で鳥居君の質疑は終了いたしました。
 次に、森井忠良君。
 ただいま電源開発株式会社副総裁野瀬正儀君に参考人として御出席いただいております。
 参考人の御意見は、分科員からの質疑によってお述べ願いたいと存じます。
#284
○森井分科員 まず最初に、私はちょっとむかむかしておることがありますので、失礼かと存じますが、大臣にお聞きを願いたいと思うのです。
 去年の十二月二十日、私は、これから質問をしようとすることにつきまして、大臣のもとに陳情者を連れてお邪魔をいたしました。ところが、私は、おかげさまでこのバッジをつけておりますと、国会はどこでも通れるようになっておりますが、環境庁へ入ろうといたしましたら、入り口でとめられてしまいました。そして今度、建物の中に入って陳情者を連れていこうとしたら、連れていった私もそれから一緒に行った陳情者も、すべて守衛にちゃんと届けをしなければ入れない仕組みになっておりました。
 長官、少なくとも公害で悩んでいる人は環境庁が頼りなんです。一体、ああいった厳重きわまる警備、しかも私ども国会議員が行っても、いま申し上げましたような形で、まさにかたいガードに包まれていると感じましたが、これは直せませんか。
#285
○土屋国務大臣 お答え申し上げます。
 私は、長官拝命以来、環境庁は開かれた環境庁である、そして環境庁をお訪ねになった方のどなたに対しましても、誠意を持って親切にしてやらなければならないということを厳命いたしておるような次第でございますが、さような点がございましたことは、率直に深くおわび申し上げます。
 それから、入り口に従来大きなテントが張ってあったのでございますが、中に入っております関係省庁と話をいたしまして、ひとまずテントも外させる処置をいたしたようなわけでございますが、大変御迷惑をおかけいたしましたことを心から深くおわび申します。
#286
○森井分科員 これから開かれた環境庁にしていただくということでございまして、大臣から直接御答弁をいただきましたので、それに期待をかけておきたいと思います。
 さて、きょうは瀬戸内海の芸南地区に、事もあろうに、大きな発電所を三つも集中立地をするという問題につきまして御質問をしたいと思うわけでございます。
 ざっと申し上げますと、いま竹原市にあります電源開発株式会社竹原火力発電所、現在六十万キロワット発電をいたしておりますけれども、これを近い将来に三百七十万キロワットにするというものでございます。いま申し上げました竹原火力以外にすぐ近くに二カ所火力発電所を立地するわけでございまして、合計いたしますと、先ほど申し上げましたとおり三百七十万キロワット、これは火力発電所としては最大の規模のものではないかと私は理解いたしておるわけでございます。
 しかも御承知のとおり、瀬戸内海環境保全特別措置法という法律がございまして、瀬戸内海は風光明媚で魚族資源も豊富で世界の公園である、子子孫々にその景観等は残していこうという立法がなされていることは御案内のとおりでございますが、事もあろうに、そういった地区で三百七十万キロワットに上る大規模な発電を行おうといたしておりまして、環境庁すでに御存じのとおり、あのきれいな島々の松枯れがどんどん続いている、そのほか景観が次から次へと損なわれているときに、そういったふうに火力発電所を集中立地をすることについて、一体これでいいのか。もちろん環境庁は受け身の立場であります。具体的には通産省が行うことになるわけでございますが、受けて立つ環境庁は、当然この協議に乗っていらっしゃいますけれども、何か安易に同意をなさったきらいがあると思うのでありますが、そういった点について、まずお伺いしておきたいと思います。
#287
○金子政府委員 竹原三号などにつきましては、昨年の三月電調審で審議されました。その際私どもは、許認可を行うまでの間に必要な環境保全上の配慮ないし措置を行うことを条件として了承した次第でございます。
#288
○森井分科員 三百七十万キロワットというのは、一部石炭も燃料としてございますから、重油に換算いたしますと五百五十万キロリットル、これは一日にドラムかんを七万五千本燃焼することになるのです。ですから、付近の住民はもう戦々恐々としております。
 確かに環境庁が通産省と協議なさった、しかし、きわめて安易な形ではないのか。私は、基本的な姿勢として、いま申し上げましたように、瀬戸内海環境保全特別措置法という特別立法をつくらなければならないような地域の審査にすれば、環境庁は少し安易ではなかったのか、これが一つ。
 私どもは、調査団を編成いたしまして、正式の社会党の調査団として現地を視察、調査をいたしております。そのときには、慎重の上にも慎重を期してやりたいというのが環境庁の御答弁でした。そして、いずれにしても環境庁の審査が終わった時点では、私どもの党へもお知らせをしますという約束があったわけでありますが、先月二十七日、通産省と合意に達したということで、いきなり環境庁としてのゴーサインをお出しになっている。背信行為じゃないですか。
#289
○金子政府委員 環境庁といたしましては、竹原の一号機の石炭火力につきまして排煙脱硫、脱硝、ばいじん除去等につきまして、設備を強化することによりまして、三号機を新たに動かす状態になった場合でも、一、二号機を動かしている状態よりも汚染物質の排出量はトータルで三割程度はカットできる、こういう判断がされましたので、とりあえず電調審の場では了承いたした次第でございますけれども、なお環境保全上いろいろ検討する余地があると判断いたしまして、それ以来約一年間にわたりまして、いろいろな条件を付して事業者側に了承を求めてまいった次第でございます。
 その結果、たとえば月の浦湾を石炭灰で埋め立てるようなことは中止してもらっておりますし、取水口、排水口などの設置の場所を変更することによって、海生生物への影響を食いとめるとか竹原におきまして約四項目、大崎火力におきまして三項目、そのような措置を講じまして、おおむね所期の線を確保できたと考えて、通産省に通知をしたという次第でございます。
#290
○森井分科員 御返事がなかったわけですけれども、そうすると、環境庁と通産省が協議ができたのは二十七日ですね、それは協議をなさっただけですか。たとえば先ほど申し上げましたように、住民からも直接一月二十日に土屋大臣あるいは通産省にもお伺いをいたしましたけれども、ちゃんと陳情書に書いておりまして、環境庁と通産省が協議ができたときには、住民の方へもお知らせをいたしますという形になっておりましたね。
#291
○金子政府委員 お答えいたします。
 本件につきましては、私どもと資源エネルギー庁との協議を了する際に、資源エネルギー庁の方に、事業者がこの趣旨に沿って今後とも関係住民との連絡を密にするように要請をいたしております。
#292
○森井分科員 私ども社会党の方へもお知らせするという約束がありましたが、覚えていらっしゃいますか。
#293
○金子政府委員 大変申しわけございませんが、私ども、そのような約束があったことを存じませんでしたので、大変失礼いたしました。
#294
○森井分科員 大きな声では言いませんが、それはけしからぬことですよ。私どもは正式に調査団を編成して、これは島本虎三さんが調査団長で、私どももお供して行っている。そして通産省と環境庁には、二度にわたって私どものところへ来てもらって話も聞いていただきました。そのときに、両省が話がついたら私どものところへ知らせなさいよということでした。しかし、結果としていままで来ておりませんから、このことについては私は強く抗議しておきます。
 そこで、いまお聞きしますと、二十七日に協議が成立した、実は二十七日に協議をしたことをいいことにして、明くる二十八日には電源開発株式会社から、例の八条の申請が出されている。一体この引き金になったものは何かといいますと、環境庁のゴーサインだけなんです。現地の住民は、三月の一日、話し合いをしましょうということになっておった。環境庁が通産省と話がついたばかりに、それを待っていたかのごとく明くる日には八条の申請を出してきた。環境庁は住民に対しても、あれだけたびたび陳情を続け、あるいは意見書の提出等を行い、住民の気持ちというのが頭の中にあるはずですから、少なくともそういった点について環境庁に反省というものはないのでしょうか。
#295
○金子政府委員 御指摘のように、本件に関しましては、地元住民と電源開発株式会社の間で話し合いがまだ十分でないということでございますれば、さらに、その面の努力を続けるように事業者を指導してほしい、こういうことをかねがね資源エネルギー庁に申し入れておりますが、今後もその要請をしてまいりたいと思います。
#296
○森井分科員 現地で電気事業者との話し合いは、確認がありまして、むしろ旗を立てられる中で工事着工、認可申請はしません、こういうかたい約束、これは文書で取り交わしておるのです。これは御存じなかったでしょうか。それが一つ。
 それから、現に話し合いが続いているということについては、お認めになりますか。
#297
○金子政府委員 前者については、私は存じておりませんでした。後者につきましては、そのような話し合いを続けられることは望ましいことであると考えております。
#298
○森井分科員 次の質問に移りますが、環境庁は、私、六つと思っておりましたが、七つの留保条項というのをお出しになっていらっしゃるわけですね、先ほどの局長の答弁で。幾つか解決をした、たとえば月の浦湾というところの埋め立てについては中止をしたということになっていますから、それはそれなりに評価できるわけですけれども、一番大きな問題は、やはり大気汚染の問題だと思うのです。
 そこで、広島県が出しております「芸南地域に係る大気汚染物質排出許容総量設定について」、これは硫黄酸化物と窒素酸化物でありますけれども、これが根拠になっていますね。それで、先ほど局長御答弁になりましたように、SOxNOxを電発の場合は三割ぐらいカットする、これが根拠になっていますね。
#299
○金子政府委員 そのとおりでございます。
#300
○森井分科員 そこで、住民側が一番疑いを持って、そしてまた、問題点を指摘しておりますのは、この県のシミュレーションなんですよ。この地域は、御案内のとおり島あり海あり山ありで、平たん地ではないのです。だから、大気汚染について拡散方式で予測するということはできない、そう住民側は指摘をしていますね。これは意見書等にも出ていますが、その点どうお考えですか。
#301
○金子政府委員 いまの段階では広島県当局の削減計画を信頼しているという状況でございます。
#302
○森井分科員 県の削減計画を信頼していると言いましても、これはずいぶん問題がありますね。たとえば県のシミュレーションを分析してみますと、相関係数というのがありますが、これはRイコール〇・七二一というふうになっています。これは言わずもがなでありますけれども、実測値と理論値が合うか合わないかという頻度をあらわすわけです。ですから、Rというのは一が一番いいわけですね。〇・七二一というわけですから、七〇%しか信用できないということでしょう。
#303
○金子政府委員 シュミレーションにおきます相関係数は、望ましいレベルといたしましては〇・八から〇・九ぐらい、すなわち一からのブレが〇・一ないし二ぐらいというのが望ましいものと心得ておりますが、シュミレーションそのものが非常にむずかしい場合、その他いろいろな事情から相関係数が〇・七前後という場合もあり得ると考えております。
#304
○森井分科員 このシュミレーションの結果は、排出量の総量を規制することによって環境基準値の年平均を下げようという考え方でありますけれども、拡散式の使えない地域であることや、あるいは相関係数が低いので年平均値に比例して日平均値、環境基準値は日平均ではかるのが普通で、告示されているわけですけれども、これが下がらないのじゃないですか。
#305
○金子政府委員 なお細部について検討いたしませんと、断定的なことをこういう場で申し上げるのはよろしくないと思いますので、差し控えさせていただきたいと思いますが、拡散式の取り扱い、その他の関係で局地的に若干問題が出てくる場合が絶無ではないと理解いたしております。
#306
○森井分科員 一番問題なのは、たとえばSOXやNOXについて、いま具体的には竹原火力について三割もカットするということでしょう。本当なのかどうなのかということと、いまも疑問があるという住民からの問題提起があるわけですね。そういった問題について、住民にきっちりわかってもらわなければならない。県が言うのだから間違いないと言うが、それでは県と環境庁で何かきちっとした話し合いをなさっていらっしゃいますか。
#307
○金子政府委員 私どもは、今回の竹原三号の設置に伴う一号機の脱硫等の強化及び三号機に最新の脱硫、脱硝等の施設を設けることによって、三割程度削減されることは間違いないと判断して、本件についてエネルギー庁の方に御返事を申し上げた、こういう次第でございます。
#308
○森井分科員 環境庁は、自信がないものですから広島県から一札とって、去年の八月でしたか九月でしたか忘れましたけれども、問題を起こしません、予定どおりのシュミレーションでいきますということを一札とっているから、私どもが環境庁を責めれば、県の一札をあなた方は見せたいのじゃないですか。一札とっているでしょう。
#309
○金子政府委員 私どもは、県の一札を見せたいというような、そんな気持ちでやっているわけではございません。
#310
○森井分科員 広島県の環境保健部長から、この件に関して文書を受け取っていますね。
#311
○金子政府委員 受け取っております。
#312
○森井分科員 それはどういう中身ですか。
 実は、これは長官にもお聞き願いたいのですけれども、県からどういう文書を受け取ったのか、見せてほしいと言いました。そうしたら、実物を見せないで、環境庁が、要するにうんと簡略化したものを私どものところに持ってまいりました。原文はついぞ見せてもらえないままなんです。時間がありませんから一言でいいのですけれども、どういう目的で、中身は何なのか、簡単に答えてください。
#313
○金子政府委員 私どもが要請いたしました各種の補完措置について、実効ある措置を断行いたしますと、こういうものでございます。
#314
○森井分科員 これ以上は、見せないのですから言いませんけれども、要するに広島県のシュミレーションについては、住民から非常に大きな疑問点が投げかけられ、答えができない。そこで、広島県から一札とって環境庁の責任を逃れよう、残念ながら、こうとしか私どもは考えられないわけでございます。したがって、これはこれから具体的にまた起きてくるわけですから、私どもその都度問題の指摘をいたしたいと思うのです。
 ちょっとここでお尋ねをしたいわけでありますが、たとえばオキシダント濃度が、竹原市の場合、環境基準をオーバーする、これが年間で百十五日もある。一年三百六十五日ですから、三日に一遍は危険信号が出される。こういった状態のときに、一体あの程度の環境庁の態度でいいのだろうか、こういう疑問が投げかけられています。どうお答えになりますか。現実の問題として言われています。
#315
○金子政府委員 光化学オキシダントの防止対策は、御承知のとおり非常にむずかしい問題がございますので、私どもの方で検討を重ねている、こういうものでございますが、その発生のメカニズムがかなり地域性が強いというようなことがございますので、地元の広島県の方にも引き続き検討してもらっているというふうに聞いております。したがいまして、当面はオキシダント対策は、緊急時対策を講ずるということによりまして、短期の高濃度のものが出現することを防止するというのが効果的であると判断いたしております。トータルで三割カットするということは、この面においてもきっと実効を上げると思っておりますが、広島県は、今後芸南地域での緊急時措置を強化するということを申しておりますので、今般の火力発電所の新増設によってオキシダント問題が悪化することはないというふうに私どもは考えております。
#316
○森井分科員 現在竹原火力につきましては、一号機と二号機が作動しているわけですね。それに対する現実の被害が出ているということが明らかになっています。たとえば小学校の子供ののどや鼻の病気、これが異常に高い。あの竹原火力があります近くの小学校で言えば、大乗小学校、忠海東小学校というふうなところ、これはたとえばへんとう腺肥大でありますとか、あるいは慢性副鼻腔炎でありますとか、異常に高い。これは子供の健康診断の結果ですけれども、患者が異常に多いのですね。あるいはミカンの葉が落ちるなどして、いわゆる植物被害もかなり出ている。スイカなんかは変形のスイカが出ているのですね。しばしば住民側から指摘があった。既設のものでも、これは電発と、竹原火力と因果関係はないと言うかもしれませんけれども、あのいまあります発電所の近くに限って、先ほど申し上げました学校の名前もそうなんですが、これは付近なんです。それからミカンの被害につきましても、発電所から遠くなるほど被害はない。足元の地区では、ミカンが次から次へと枯れるか、あるいは、カンの葉というのは大体三年ぐらいは木にとまっていなければいけないのですけれども、一年前のミカンの葉っぱぐらいしかとまっていない、赤枯れをしている。これはどういうふうに理解をしていらっしゃいますか。
#317
○金子政府委員 おっしゃいます地域につきましては、御指摘ございましたので私どもも調べた次第でございますが、NO2、SO2の環境基準はほぼ達成されておりますし、いわゆる浮遊粒子状物質の濃度も環境基準をわずかに超える程度の地域でございます。このようなレベルの地域では、大気汚染による疾患が生ずるということは少なくとも一般的にはないのではなかろうか、こういうふうに判断いたしております。
 また、御指摘のございました疫学的な調査は実施技術面でもむずかしい点が多いということ、あるいは実施方法、集計方法など不統一な点が多いのではないかというふうに理解しておりますが、なお、人間の生命、健康にかかわるものでございますので、地方自治体の方で調査方法を統一して、念のために継続調査をやることになっているというふうに聞いております。したがいまして、私どもといたしましてはその調査の結果を待ちまして、必要とあれば慎重に検討をやっていきたいと思っております。
#318
○森井分科員 時間が参りましたから、最後に大臣にお尋ねをしておきたいわけでございますが、いま出されておりますのは、三カ所の集中立地のうちの一つでございます。これはいま申し上げましたような問題点を抱えているわけですが、電気事業者におきましては、これからあと二カ所、大規模な申請を出してくるわけですね。したがって、環境庁とされましては、申し上げましたように、瀬戸内海の特殊性、それから現にございます具体的な被害等々を勘案をしていただきまして、これからさらに環境庁としてチェックできる、可能な限り厳重な審査をお願いしたいと思うわけでございますが、いかがでしょうか。
#319
○土屋国務大臣 お答え申します。
 先ほど来の先生の御意見も踏まえまして、環境保全の面から慎重に対処してまいりたいと思います。
#320
○森井分科員 参考人として来ていただいておったわけでありますが、時間の関係で質問ができませんでした。あしからず、ひとつ御了承いただきたいと思います。
#321
○中島(源)主査代理 以上で森井君の質疑は終了いたしました。
 次に、瀬崎博義君。
#322
○瀬崎分科員 間もなく琵琶湖富栄養化防止条例が実施に移されます。これに関連して質問をしたいと思います。
 五十三年四月二十一日の閣議決定で、瀬戸内海環境保全基本計画が出されたわけですが、この中には、「瀬戸内海の富栄養化による生活環境に係る被害の発生を防止するため、瀬戸内海の関係地域において発生する燐の負荷量について、計画的にその削減を図る措置を講ずるものとする。」、ここでは具体的な方針を明確にしているわけですね。その同じ五十三年度の環境白書を見ますと、「このような」というのは湖のことであります、「このようないわゆる富栄養化現象は、人為的にも促進されており、一度富栄養化すればその後に汚濁源を排除しても湖沼の停滞性から見て容易に元の状態に戻らないのが特徴である。湖沼の水質汚濁はこのように河川とは異なった側面を持ち、これが湖沼の水質保全上大きな弱点となっている。」「琵琶湖、霞ケ浦等各種の水利用上重要な湖沼において富栄養化の進行が見られ、今後の富栄養化対策が緊急に要請されている。」と警告しているわけですね。琵琶湖等について富栄養化対策が緊急に要請されている、こう言っている以上は、少なくも瀬戸内海と同様に、窒素や燐削減の具体的な措置を積極的に講じなければならないということになるんだと思うのですが、いかがでしょうか、大臣。
#323
○土屋国務大臣 お答え申し上げます。
 先生は、滋賀県御地元ということでよく御案内のことと思いますが、滋賀県におきましては、県民の同意を得まして、燐に対する製造販売、持ち込み等の禁止の条例をつくられたわけでございますが、環境庁といたしましては、水質保全の立場から高く評価をいたしておるような次第でございます。そしてまた環境庁といたしましては、今後、淡水赤潮研究会を設けまして検討を進めるとともに、また湖沼における燐につきましても環境上の水質目標を設定するための検討を行うほか、琵琶湖に総量規制を導入するための調査も来年度に実施することに相なっておる次第でございます。
#324
○瀬崎分科員 いまはいきなり滋賀県でやったことを評価されたのでありますが、私が言ったのは、環境庁が環境白書を出した中で、これは恐らく国として言ったんだと思うのですね、琵琶湖の富栄養化対策が緊急に要請されている、このことについて当然国として何かやらなければならない、こう思っていたのではないかと私は思うのですが、いかがですか。
#325
○馬場政府委員 お答え申し上げます。
 環境白書でいろいろ指摘をしているわけでございますけれども、私どもも環境庁といたしまして、湖沼における富栄養化は非常に重大な問題であるという認識に立っていることは環境白書で述べているとおりでございます。そこで、湖沼におきます富栄養化につきまして、いろいろ富栄養化のメカニズム等についてなお検討すべき問題がございます。そういう意味におきまして、先ほど長官申し上げましたように、一つは、湖沼における燐の環境中のレベル目標を早急に検討いたしまして、現在検討会を設けておりまして、早急に結論を得たい。したがいまして、それによりまして各湖沼のタイプ等も考慮しながら、行政指導により湖沼の燐の削減について対策を樹立してまいりたいというように考えておるわけでございます。
#326
○瀬崎分科員 滋賀県は条例の制定に当たってはずいぶん慎重な準備、また大変な苦労をしたわけですね。環境庁の方はどうだったか。いまの答弁でもわかるように、きわめてあいまいもことしているのですね。早急に早急に、緊急に緊急にと言いながら、具体的にはなかなか行動を起こさなかった。そればかりか、滋賀県が昨年の十月三日、水質保全局長あてに「窒素およびリンと富栄養化現象との関係について」という表題で三つのこと、一つは、窒素及び燐は富栄養化の主要な要因物質である、二つは、窒素、燐等の栄養塩類と赤潮の発生とは何らかの関係がある、三つは、琵琶湖の持つ特性にかんがみ、その水質を保全する見地から、窒素及び燐について県として総合的な削減対策を講ずることが必要であるという照会文を出しているのです。これは国にやってくれというんじゃなくて、県はこう考え、こうしようと思っているんだがという、県側としてはきわめて懇切丁寧な照会文を出しているのです、みずからやろうとしていることについて。これに対して環境庁は局長名で「十月三日付滋環第四二七号をもって照会のあった標記の件については、「異存はない。」」このように一言、全く受け身の立場で回答しているにすぎないわけですね。本当に味もそっけもない。
 それから、その直前に政府関係省庁の見解を求めるために上京した滋賀県の県議団の代表に対しても、議会事務局メモによりますと、環境庁は、瀬戸内海や琵琶湖の問題に関して、窒素、燐及び富栄養化の要因について検討はしているが、全国的なレベルとしてやるにはもう少し時間を要するし、いま少し検討したいと、聞いて帰っている人は一様に消極的だったと受け取れるような答えをしているわけですね。一方ではいますぐにも手を打たなければいけないような環境白書の書き方をしておきながら、一方具体的な措置についてはなぜ消極的になるのか。その原因を、同じことの繰り返しではなしに、事琵琶湖について聞きたいのです。
#327
○馬場政府委員 先ほどの県の照会文書の件でございますけれども、これは、富栄養化と燐の関係等についていろいろ議論があるので、環境庁としての見解を示されたいというのが主たる内容でございまして、その間に、私どもと県との間にはいろいろやりとりがあったわけでございまして、それの集大成として出したわけでございますので、あのような文書になっておるというようなことでございます。
 それから、琵琶湖につきまして、私どもも淡水赤潮研究会を設置いたしましていろいろ検討しているわけでございまして、滋賀県が県民の同意を得まして琵琶湖条例をつくられたということは私どもも高く評価をし、また、側面からいろいろ滋賀県に対してもわれわれの方で助言をし、協力できるところは協力してきたというようなことでございまして、私どもも、今後琵琶湖を含めた湖沼対策についてはさらに施策を充実してまいりたいと思っておるわけでございます。
#328
○瀬崎分科員 この滋賀県の条例制定は全国的にも大きな波紋を呼び起こしたわけですね。滋賀県の実情視察のために来県した自治体は、都道府県段階では、新潟、山梨、鳥取、山口、愛媛の五県を除く四十一都道府県に及んでおります。市町村段階では、大阪、京都、各古屋、札幌、横浜、神戸、福岡、鹿児島など主な県庁所在地などを含めて百十七市町村に及んでいるわけであります。またふえているかもしれません。そして、これらのうちの相当数の自治体が何らかの対策をとりつつある現状ですね。このように滋賀県の投じた一石が大きな波紋を全国に広げたこの要因については環境庁どう考えていますか、簡単に答えてください。
#329
○馬場政府委員 閉鎖性水域を抱えております府県等におきましては、やはりその対策が大変大事なわけでございまして、たとえば瀬戸内海等につきましては、十三府県あるわけでございますが、これは瀬戸内海法に基づきまして、環境庁の指導もいたしまして燐の削減対策をやっておる。そういう中で琵琶湖条例もある。そういうようなことで、とりあえず、まず合成洗剤の問題について何らかの措置を講じよう。ただ背景には、全体的な水域における富栄養化を防止しようということで総合対策をとろう、そういう中で考えておるわけでございまして、その他の地域につきましても同じようなことだと思います。
#330
○瀬崎分科員 これらの自治体の動向について環境庁ではある程度はまとめておると思うのですが、まとめているとすれば、そういう自治体のとっている措置の特徴といいますか傾向といいますか、そういうものを答えていただきたいと思います。
#331
○馬場政府委員 市町村段階まではなかなか十分な把握はしておらないわけでございますけれども、都府県段階、二十数府県に及んでいるかと思いますけれども、一つは先ほど申し上げました瀬戸内海地域、これは瀬戸内海におきます燐の削減計画、削減方針に基づきまして、合成洗剤をその一環として取り上げているということでございまして、これは石けんあるいは無燐洗剤あるいは低燐化あるいは使用の適正化、そういう観点を燐の総合削減対策の一環として取り上げている。それから、その他の東京湾、伊勢湾等におきましても趣旨は同じようなことでございます。それからまた、霞ケ浦とか諏訪湖とか、そういう湖を抱えたような県等もあるわけでございますが、そこでそういう総合対策の中の一環でございますが、まずとりあえずは公共機関の燐の使用について何らかの削減対策を講じるというようなこと、あるいは県民等にいろいろPRをするというようなことが大体共通して言えるのではなかろうかというように思うわけでございます。
#332
○瀬崎分科員 確かにいま言われたような点は共通点だと思うのですね。そういうふうな滋賀県がやってきたことと滋賀県以外の自治体がやろうとしていることとの特徴を比較してみると、私どもも東京、神奈川、茨城、千葉、埼玉、愛知、大阪、香川等に直接いろいろ照会してみたのです。一つは、滋賀県は罰則を付してきちっとした条例化の方向をとったわけですが、他の都道府県ではいまのところ要綱、要領、通達、通知どまりで、条例化の方向を目指しているところはどこもない。これが一点。
 それから第二点は、いまもお話がありましたが、滋賀県以外の都道府県は、燐を含む合成洗剤の追放を大体県関係機関からということに限っておって、一般住民に対しては粉石けんを推薦、推奨するという段階だ。
 三つ目は、滋賀県は燐を含む合成洗剤の追放とともに、工場排水に含まれてくる合成洗剤以外の燐、窒素に対しても一定の厳しい規制措置を採用した。家庭系、工場系の二本立て。非常に緩やかではありますが農業系にも一定の行政指導を入れている、ここに一つの大きな違いがあろうと思うのです。
 一応環境庁の見解も伺っておきたいのですが、この燐を含む合成洗剤だけを追放するという都道府県のやり方と、それから、むずかしいけれども工場排水に規制を加えているこの滋賀県がより総合的だとわれわれは思っているのですが、効果の面から見てどちらのやり方がいい方向だと思っていますか。
#333
○馬場政府委員 やはりそれぞれ地域の特殊性がございまして、一概に比較をすることは大変むずかしいかと思いますけれども、一般論で申し上げれば、産業排水、生活排水あるいは農業排水等も含めて、総合的な対策をとることの方がより効果的であるということは言えるのではなかろうかというように考えます。
#334
○瀬崎分科員 先ほど大臣も滋賀県の条例を緊急適切なものとして高く評価されました。いま局長の方も、より総合的になっている滋賀県の条例をそういう意味で評価されたわけですね。
 そうである以上、特にこれだけの条例をつくる過程の段階でも、またこれから実施する段階でも、県、市町村あるいは県民の払う犠牲、こうむる負担というのは非常に大きいのです。後で具体的に述べます。
 そうである以上、条例実施に当たって、これからも県から政府に対してはいろいろな相談が上がってくると思うのですが、政府として十分これにはこたえていく用意は当然お持ちであろうと思うのですが、いかがですか、大臣。
#335
○土屋国務大臣 お答えいたします。
 予算でできるものにつきましては御協力を申し上げたい、かように考えております。
#336
○瀬崎分科員 確かに総合的、効果的な対策に踏み切った滋賀県の負担は大きいのですが、まず財政負担であります。当面五十五年度の県の予算に出てくる新たな負担であります。
 これは粉石けんへの切りかえを極力県民の自発性によってというので、啓発、PR関係の費用、条例施行特別啓発事業費と称しておりますが、これが三千四百万円。
 それから、硬水地域があります。これの軟水化対策として、一万三千世帯に対し、軟水器一基、二万円を全額県費で補助するので、この費用が二億六千万円であります。
 それから、中小企業の排水施設改善費であります。これは三つあります。
 排水処理施設の新設、改善を要する中小零細企業が七十八社あるのですが、これに対しては現行の公害防止施設整備資金とは別枠で、貸付限度額は一件当たり五千万円、所要資金の一〇〇%貸し付け、貸付利率は年二%です。しかも、従業員二十人以下の小規模事業者の場合は無利子、償還期間十年。こうなりますと全然金融機関の資金は利用できません。すべて資金は県が出さなければならない。その金が五十五年度だけで十三億二千万円。
 それから二つ目が、窒素、燐処理施設導入企業に対して指導しなくてはならない、その費用が二百六十三万円。
 それから三つ目が、レストラン、食品製造施設の排水実態調査が進められます。これが八十八万円。
 中小企業関係の排水対策費で十三億二千三百五十一万円要るわけであります。
 それから、市町村の屎尿処理施設の窒素、燐高度処理をいたします維持費に対して県が補助します。三分の一です。これが二千二百万円。
 それから、農業関係は非常に緩やかな行政指導あるいは調査費でありますが、六千二百万円。
 締めて十六億九千九百五十一万円、ざっと十七億です。これは私がきわめて控え目に一般的な行政経費を除いて計算したものであります。このほかに、市町村の屎尿処理施設の維持費の自己負担分が約四千四百万と見積もられますね。条例を実施しようとしました初年度だけでも、県財政にこれだけの大きな負担がのしかかってくることを国として御承知になっていますか。
#337
○馬場政府委員 条例を施行する場合に、あれだけの対策をやるわけですから、それなりの予算を、県財政の負担を要するということは承知をしておりますけれども、詳細についてはまだ県から聞いておりません。
#338
○瀬崎分科員 篤と大臣も局長も認識をしていただきたいと思うのであります。いま申し上げたのは過去には全くなかった条例施行のための全く新しい予算であります。ですから、たとえば公害防止事業団の貸し付けがありますが、こういうものを改善して、滋賀県のような場合でも適用できる道を講ずるとか、あるいは屎尿処理施設の維持費に対する国の補助の道を講ずるとか、あるいは軟水化対策、これはばかにならぬですね、こういうものに何らかの国の補助の予算措置を講ずる。こういう形でそれぞれ検討して、どの事業、どの項目に国としてどんな援助ができるか、これは至急に検討していただきたいと思うのです。よろしいでしょうか。
#339
○馬場政府委員 一般的にいわゆる条例の施行に要する経費等の指導費であるとか事務費であるとか、そういうものにつきまして国の財政で負担をするというわけにはまいらぬのであろうというように思うわけでございまして、現在の国の財政の制度の枠の中で措置し得るものがあればできるだけ協力をするということになろうかと思います。いずれにいたしましても、県から聞いておりませんので、具体的にどういうようなことがあるか承知しておりませんので、いずれ県からそういう話がありまして、協力し得るものがあれば協力をするというように考えております。
#340
○瀬崎分科員 それと、本来はやらなければならない事業なんだけれども、財政的な裏づけがないために見送られているのもあるのですね、潜在的な財政負担。といいますのも、工場や事業場の排水規制が行われます。模範を示さなければならない公共施設で、いまのままいくとみずから違反せざるを得ないというふうな皮肉な現象が起こりそうなんですね。それは屎尿処理施設なんです。先ほど維持費を県が持つという話をしましたが、これは窒素または窒素、燐の高度処理ができるようになっている施設のことなんです。それができない施設が滋賀県の場合八施設あるのです。これの改良に要する事業費がざっと二十一億円と見積もられるのですね。新設の場合ですとこれは国の補助がつくのでありますが、現在ある施設に窒素または窒素、燐の処理ができるような改良を加える場合には、全然これは隅の補助の対象にならないわけなんです。それで見送られているのです。
 一方、瀬戸内海の環境保全特別措置法が規定しております関係府県の地域とか、あるいは伊勢湾、東京湾、大阪湾などの水質汚濁防止法による指定地域であれば、こういう屎尿処理施設の改良事業費にも五十四年度から三分の一の国庫補助がつくようになっているわけですね。まさに県内だけの目的ではなくて、近畿千三百万住民のいわば命の水がめを守るために、あるいは日本一の琵琶湖を守るために、滋賀県が伊勢湾や東京湾、大阪湾あるいは瀬戸内海などと同じようなこと、それ以上のことをやろうというときに、滋賀県にはその地域並みの補助ももらえない。これはちょっと私は不合理きわまると思うのです。少なくもこのぐらいの改善はまずやっていただきたいと思うのですが、いかがですか。
#341
○馬場政府委員 何といいますか、そういう制度の当事者でないわけでございますので、お答えしにくいわけでございますけれども、現行の補助体系なりそういうものの変更というものは、それなりの非常にむずかしい問題があろうかと思います。御趣旨の方は関係のところにお伝えをしたいと思っております。
#342
○瀬崎分科員 他人事じゃないですよ。これはいわば水質汚濁防止法による指定地域に滋賀県は入ってない。琵琶湖は入ってないという奇妙な現象から起こることなんです。
 そこで私は、やはり総量規制の問題を、ここで条例実施の際真剣に考えてもらいたい問題だと思うのです。条例そのものの効果を上げるためにも、滋賀県は条例と同時実施を望んでおる。またいろいろな条例実施に伴う事業に対して、各省庁の補助の特例措置を適用しようとしても、国自身が総量規制の網をかぶせるということが一つの必須要件になってくる場合が多いのですよ。そしてずいぶん古いことなんですが、四十九年九月十日、建設委員会でありますが、当時の山村水質管理課長が私の質問に対してこう答えているのですよ。特に琵琶湖とか瀬戸内海のような閉鎖型の水域によっては、まず緊急に第一義的にやっていかねばならぬと思います、総量規制について。「いまのところ、法改正等の準備等も考えますと、五十一年度からはスタートできるのではないかというふうに考えております。」こういう答えがあるのですよ。ところがさっきみずからお答えにもなったとおり、やっとこさ五十五年度の政府予算に琵琶湖の総量規制検討調査費が四千五百万円、あるいはこれは琵琶湖だけでないかもしれません。わずかに四千五百万円つけられただけなんですよ。こういうことがちぐはぐのもとになる。まさに滋賀県は、環境白書の言葉どおり、緊急にこの富栄養化防止対策をとろうとしておるのだけれども、国からは何の援助ももらえないような仕掛けのもとに出発しているわけですね。そういう点では、まず総量規制を国自身がちゃんと琵琶湖に対して実施する。このことだけは早急にやらねばいかぬし、もうここに来てしまったら、はっきり何年度からということを明確にしてほしいと思うのです。いかがです。
#343
○土屋国務大臣 先ほど来先生がお述べになっておられますとおり、何と申しましても滋賀県の場合には、千三百万人になんなんとする近畿圏の人たちのとうとい水がめでもこれあり、総量規制の問題につきましても、五十六年度をめどに実現できますように最善の努力をいたしてまいりたいと思います。
#344
○瀬崎分科員 そのめどがくせ者なので、いままでも何回かそう言われて延びたのですね。今度はそれ間違いありませんね。念を押しておきたい。
#345
○土屋国務大臣 お答え申し上げます。
 最善の努力をいたします。
#346
○瀬崎分科員 時間の関係があるので、先を急がざるを得ないのは残念です。
 もう一つ、この条例実施に伴って滋賀県の大きな負担になってくるのは、測定、調査、分析、研究の問題なんです。これは、現在の体制が非常に貧弱なところへ業務が一挙にふえてくる。
 もう一括して申し上げますが、第一に、琵琶湖の水質に関する測定、調査、分析、それから一部の研究を担っているのは滋賀県立の衛生環境センターなんです。その実情を報告しますと、環境庁、建設省の委託分も含めまして、このセンターで四十八定点調査というものを行っております。理化学測定については、南湖の方で年四回、北湖の方で年二回だったのですが、富栄養化現象が深刻になってきたことから、五十四年よりは毎月一回の頻度になってきておるのです。これはサンプリングから測定、分析をセンターの職員の手で全部行っておる。大変な作業量であります。それから冨栄養化現象の分析のためには当然生物学的測定も必要なんですが、残念ながら生物学出身者が非常に少ないために苦労しております。それから淡水の赤潮発生機構の解明調査にも取り組んでいるわけでありますが、ウログレナは御承知のように非常に壊れやすい。そのため、採取してきてその日のうちに測定、分析を終わらなければならない。赤潮時期になりますと、毎日毎日が残業の連続で、また一日じゅう顕微鏡を通じてウログレナばかりのぞいていると、本当に職員は気分を悪くしてしまうというふうなことが起こっています。そこへ赤潮の善性調査という新たな項目を五十五年度は加えなければならない、こういう実情なんです。そして七月一日から条例が実施されてまいりますと、今度工場排水の調査、分析業務が飛躍的にふえてくるのですね。こういうものを受け持つこのセンターの体制というのは水質課総勢十一人、年間予算は装置の購入費も含めまして五十四年度で二千八百万円、五十五年度で三千四百万円という状況ですね。果たしてこれでいいと言えるのかどうか、この点が一つあります。
 それから二つ目の問題としては、政府自身が本来は琵琶湖の富栄養化などについてはそれなりの調査、研究をしなければならないと思うのですが、これが非常にお寒い状態だ。国立公害研では、陸水域の富栄養化に関する総合研究を三年間実施しているわけです。三年間でこれにほぼ三億円使っていますね。しかも、新たに今年度からは陸水域の富栄養化防止に関する総合研究もまた三年間、年間一億円くらいの予算で始められるのですね。滋賀県の方でも京大の門田研究グループに委託して、赤潮発生機構解明調査というのを三年続けてきたのですが、この方は三年間で三千万円の予算なんです。一けた低いのですね。最初、公害研の研究が何か滋賀県の赤潮調査にも役立つようなお話を聞いておりましたが、専門家の意見では、公害研の方は霞ヶ浦が対象でプランクトンもアオコだ。琵琶湖の赤潮のウログレナとは対象プランクトンも違っているし、第一、霞ケ浦と滋賀県では湖の構造、性質が全然違う、余り参考にならぬ、こういうことなんですよ。しかも、政府の五十五年度の予算を見ますと、淡水の水質保全対策費というのは、総量規制関係を除きますと、湖沼の水質管理指針策定調査費が千五百八十万円と、それから五十四年度から始まりました淡水赤潮対策調査費千四百八十四万円、合わせたって三千万円です。国にもこれほどしか淡水向けのいわば水質保全の費用がついていないわけですね。これで国が琵琶湖に本腰を入れたということはとうてい言えない。条例を高く評価しながら滋賀県任せ、こう言われても仕方がない状態ではないかと思うのですよ。これが第二点です。
 それから三点目は、こういう実情ですから、いますぐ公害研の出先を滋賀県につくれと言っても無理な話でしょう。やはり滋賀の衛生環境センターを充実強化して、その重大な役割りを果たせるようにしてもらうことが早道だと思います。この衛環センターでは、測定、分析量の飛躍的な増大に備えまして、五十四年度にN、P自動分析装置を購入しているのです。ところが、これがまた妙なことに公害防止計画区域ではないということで、国庫補助率は二分の一ではなしに、三分の一しか適用されていない。しかも基準額が千二百六十万円と査定されているのです。実際にはこれが二千百万円かかっているのですが、そういうわけで実際の国の補助率は五分の一にしか当たっていない。
 同時に、現在の環境庁の告示では、N、Pの分析方法はJIS規格の分光器による手作業と決められていますね。そのためにせっかく自動分析装置を入れても、その分析結果がそのままでは対外的に使用する公認の値にならないわけなんです。対外的に使用する場合は、改めてまた手作業分析をせざるを得ないわけですね。私はすべてオート分析がいいと言うのではないのですが、滋賀県のような特殊な事情が生まれているところに対しては、オート分析、自動分析の結果をそのまま公認の記録にできるようなそういう弾力的運用の道、といっても、これは科学から外れてはいけませんから、そういう点では手作業とオート分析の精度比較、関連性、こういうものについて、これはまさに政府の責任で早急に研究を進めてもらいたい、こう思うのです。
 それから、この衛環センターが設備として早急に望んでいるのは、総窒素分析計約五百九十万、それから恒温水槽七十万、コールターカウンター五百五十万、クリーンベンチ二百万などなんです。こういうものについては少なくも国庫補助の道は開いてもらいたい。建物の拡張も強く望んでいます。
 こういう点、時間が来ておりますので一括申し上げましたけれども、ひとつ国自身がやるかわりだと思って、滋賀県のこのセンターが担う測定、分析、研究、こういうものに対して少し具体的に国として援助できるところはないかと積極的助成の範囲を広げる努力をしてもらいたいと思うのです。
 .お答えをいただいて終わりたいと思います。
#347
○馬場政府委員 いま詳細にお伺いをしたわけでございますけれども、滋賀県が研究センターをつくっていろいろ努力をされているということにつきましては、私どもも敬意を表している次第でございまして、私どももお手伝いできるものがあればできるだけお手伝いをしたい、器具の問題なりあるいは研究体制のいろいろな相談にあずかるとかという点につきましては、できるだけのことをしたいと思っているわけでございます。ただ、なかなか過去のあれから見ますと、県の要望と私ども合致しない面もいろいろあるわけでございまして、県の方のお話もさらに具体的に聞きながら、私どもで協力できるものなら協力するということでやってまいりたいと思っておるわけでございます。
#348
○中島(源)主査代理 以上で瀬崎君の質疑は終了いたしました。
 次に、中野寛成君。
#349
○中野(寛)分科員 私は、大阪国際空港周辺の公害対策についてお尋ねをするわけでありますが、しかし、実際の事業体、担当いたしますのは運輸省でございますので、長官にお立ち会いをいただいてお聞きいただいて、運輸省が実際に現在やっております事業等を御認識いただくと同時に、環境庁としてもなお一層の御尽力、御指導を賜りたい、このように思う次第でございます。なお、航空局長をお願いをしておって、お見えの御予定のようでございますが、まだ御到着でございませんから、先に自治省にお聞きをいたしたいと思います。
 昨年のこの予算委員会分科会におきましてもお尋ねをしたところでございますけれども、地方公共団体が空港周辺対策を進める上で必要な財源措置として、航空機燃料譲与税があるわけであります。本年度、昭和五十四年度から税額の引き上げ、そしてそれまでは市町村段階への配分のみでありましたけれども、府県への配分も加味されることになったわけであります。しかし、この配分は指定区域の面積、それから毎年四月一日現在の区域内人口等を基礎として、空港施設の特性等による補正係数を用いて配分されることとなっておるわけでございます。
 しかしながら、大阪国際空港のように、騒音激甚地区の移転を促進しつつあるわけでありますけれども、これが進めば進むほどある意味では矛盾が生じてくる。周辺整備を積極的に進めなければならない空港にあっては、周辺対策費はいよいよ増高するわけでありますけれども、一方譲与税配分の基礎となる人口は減少する、また発生源対策の進捗に伴う騒音コンターの縮小等の影響も加わりまして、譲与税配分等が、その周辺対策費がふえるにもかかわらず、配分の基礎の影響によって減少したりあるいは不安定な財源となったりする矛盾が生じるわけであります。これらのことについてどのように考え、そして配分方法を改善をする余地または配慮はないかどうか、この辺につきまして、まずお聞きをしておきたいと思います。
#350
○浅野説明員 お答え申し上げます。
 航空機燃料譲与税の配分に当たりまして、いわば騒音対策分としましては、騒音地区の世帯数を基準にいたしまして配分いたしております。これは、そういう騒音対策の財政需要というものと、それからそういう騒音地区の世帯数、そこに密接な関連があると考えられますので、そういう配分をしておるわけでございますが、ただ、ただいま御指摘がございましたように、世帯数は減少するけれども、依然として騒音対策の必要があるということも確かにそれはわかります。ただ、御承知のように、これは譲与税でございますから、譲与税の配分をどうするかということにつきましては、おのずから一つの制約があろうかと思いまして、客観的かつ簡明な基準によって配分する必要があろうかと思うわけでございます。そういう点から考えますと、やはり世帯数以外になかなか適当な基準は見出せないのではないだろうかという気持ちがしておるわけでございます。
 ただその中でも、できるだけ実態に応じて配分するということは考えなければいけませんから、たとえば騒音が特にはなはだしい地区につきましては、昨年も改正したわけでございますが、補正係数を高くするとか、あるいは世帯数が減りました場合にその緩和措置を講ずるとか、そういうところは従来からも改善をしてきておるところでございます。今後さらに研究はさしていただきたいと思います。
 以上でございます。
#351
○中野(寛)分科員 昨年補正係数の手直しが若干なされたことは私も承知をいたしております。ただ、やはり人口を基礎としてやるということになりますと、もうすでに御認識のように、周辺対策費というのは必ずしもそのことと比例して費用がかかるというものではないわけで、むしろ費用をかけることによって人口の減もあり得るわけであります。むしろそういう性格の事業だと思うのです。そうなりますと、面積であるとか事業量であるとか、そういうこと等を十二分に勘案してその対応策を講じなければ、結局その作業を進めれば進めるほどその予算は減少するということで、その段階でそのスピードはだんだん落ちてくる、実際の効果が上がらない、こういうことになってくると思うわけであります。もう一度お聞きをしておきたいと思います。簡単にお願いします。
#352
○浅野説明員 繰り返すようでございますけれども、やはり譲与税の配分でございますので、おのずから一つのわりと簡単な手法で配分せざるを得ないという面がございますから、さらにいろいろ研究はさせていただきたいと思いますけれども、いまの世帯数にかわる基準を見出すことはなかなかむずかしいのではないかという感じは率直に持っておりますか、なお研究いたします。
#353
○中野(寛)分科員 地方公共団体にとってある程度弾力的に使える費用というのは、この譲与税が一つのよりどころなのです。そういう意味では、これは単に譲与税だからこうだということではなくて、その使われている性格その他を考えて十分対応していただきたいと思います。
 それでは、どうもありがとうございます。結構でございます。
 それでは、航空局長お越しになりましたから早速お尋ねしたいと思います。
 私自身も、地方議会におります当時から数えますと約十五年間この問題に取り組み続けておりますし、運輸省の担当のほとんどの方たちと顔なじみでもありますから、むだなことは省略したいと思いますし、そしてまた御答弁も簡潔にお願いしたいと思います。
 まず最初に、民家防音助成事業につきましてお尋ねをいたします。
 大阪国際空港周辺の騒音防止の基本的な対策として、メインの事業として民家防音事業が行われているわけであります。特に今日まで一世帯あたり一部屋という原則があって、地域住民からは大変不十分な制度だというふうに批判もされておったわけでありますけれども、昭和五十四年度から、ほぼ全室とも言える範囲でその手当てがされることになりました。七千八百六十七世帯、これが今年度の予算の数であります。しかし、進捗率が非常に悪い。いろいろな原因はあるようであります。しかしながら、そのネックとなっているのは、やはり周辺整備機構の担当部課の人員不足が非常に大きな原因ではないか、こう指摘をされているわけでございます。特に大阪府側の方が兵庫県側に比べましてもその進捗率が低いわけでありますけれども、このようなことについて、単に予算をふやせばいいということではなくて、それを進めていく体制をきちんと整えてこそ、言うならば魂の入った仕事になるわけであります。行政改革の折から人員増を単純にやることはできないにしても、管理部門の節減等々いろいろな方法を講じて、その担当する部分についての体制強化が図られなければ、昭和五十五年度もかなりの予算を組んでいただいておりますけれども、これまたとても作業がスムーズに進まないのではないかと思いますが、いかがでございますか。
#354
○松本(操)政府委員 お答え申し上げます。
 いま御指摘ございましたように、大阪空港周辺の民家防音工事、従来もやってまいりましたが、五十四年度からはいわゆる全室防音ということに取りかかったわけであります。そのために、仰せのような体制の強化を図るべきであるということで、実は人員も、従来大阪の方は周辺整備機構担当者が二十六名であったのでございますけれども、五十四年度からは四十二名にふやす、そのほかにこれの応援部隊のようなものを総務部関係に嘱託を入れて十人ぐらいふやしました。それなりの体制をつくることはしたわけでございますが、全室防音というものになりますと、いままでの設計その他をそのまま右から左に使えない面がございまして、やはりそれなりの工夫をこらさなければならないとか、また地元の方にいろいろと説明もしていかなければならない。関係いたします工務店その他に対する説明等にも手間がかかってしまいまして、実際に総力的に立ち上がれたのが残念ながら夏に近くなってからというのが事実でございました。したがいまして、今年度いま全力投球で取り組んでおるわけでございますけれども、七割まではちょっといかないのじゃないだろうかという感じがいたしております。
 しかし、まだ残るところは全力を挙げてやっていきたいと思っておりますが、おっしゃいますように、この問題は民防が始まりましたときからいろいろと議論のあったものが、ここでやっと全室防音という形に踏み切れたわけでございますので、せっかくの制度の改善が実を結ばないということでは何にもなりませんので、おっしゃるようなことをよく踏まえまして、今後とも十分効率よく仕事ができるように努力をしたいと思っております。特に全国的に見ますと、まあまあのところまでいっておりますので、大阪だけがとりわけおくれるということがないように、そういう点にも心して取り組んでまいりたい、このように考えております。
#355
○中野(寛)分科員 すでに昭和五十四年度でもそれ相当の体制を組んだという御答弁でございますが、しかし、時期のおくれ等もあっておくれておる。しかし、果たしてそれでは昭和五十五年度大丈夫かといいますと、やはり私はどうしても心配が残るわけでございます。民防の場合には、たとえば家主と借家人の関係、そういうこと等考え合わせますと、申請を出すまでだって実は住民の皆さんなかなか大変なんです。また一方工事請負業者の方は、なかなか仕事が回ってこないと言って、むしろもっと仕事をくれと言っているわけです。やっといろいろな問題を克服して申請を出した、据え置かれている。一方の方は、仕事がなくて早く仕事くれないかなと待っている。その中で結局整備機構の体制等の問題からおくれているということになりますと、これは地元の皆さんにとっては両サイドから大変不信感を招く、相変わらずだなと、こういう印象を持たれるのは、これはもう局長、長年のことで御経験だと思います。そういう意味では、これは早急にスピーディーに体制を整える。場合によっては外部に委嘱する等々のことも含めて、その予算の執行が一〇〇%年度内にできるということを目標にして取り組まれる必要があると思いますが、改めていかがでございますか。
#356
○松本(操)政府委員 いま御指摘ございましたように、民防工事はなるべく地元の工務店等を使いたいということで、いろいろとそういう方の動員をお願いしておるわけでございますが、やはりそれは仕事がスムーズに流れませんと、せっかく民防の工事をやってやろうという気になっていただいても、手待ちができてくるということになると非常に御迷惑をかけることにもなります。そこで、毎月毎月の仕事量がなるべく定常的に流れるようにということを心がけまして、かつてそこまでやったわけでございますので、昨年五、六、七あたりの立ち上がりに多少もたついた点はございますけれども、最近は一応もとの姿に戻ってきておるのではないか、このようにも考えております。
 いま御指摘のございました外注というやり方、これなどもやはり国の予算の執行でございますので、そういった面の制約ば多々あるわけではございますけれども、作業の単純化というふうなことを試みまして、そのうち外注可能なものは努めて外注に出すというふうなことで、作業の効率化ということに今後とも十分取り組んでいきたい、このように考えております。
#357
○中野(寛)分科員 昨年の十月には、地元豊中市長からもこの体制強化についての要望も出されておるわけでございますし、大変希望の多い内容の事業でございます。どうぞなお一層の御努力を要請をしておきたいと存じます。
 続きまして、民家移転に伴う諸問題について若干お尋ねをいたします。
 一つは、営業者対策の問題であります。空港周辺の移転対策の中で、移転補償のほかに、持ち家者に対しては代替地の造成、分譲事業、そして借家人に対しては共同住宅の建設、公営住宅の優先入居等が実施をされているわけであります。しかし、営業者に対しても代替店舗の確保対策等を講じる、そういうことがなされませんと、実は営業者はいま大変困っているわけであります。その地域の住民が出ていく。営業にならなくなってくる。自分たちも被害を直接に受けている、こういう人たちの新たな場所における営業、そしてそのことがスムーズに行われるということが大変いま問題になっているわけであります。このことについて十分な御配慮がやはりなされなければならぬと思いますし、たとえばおふろ屋の問題一つ取り上げましても、おふろ屋さん開業していても住民がだんだんと少なくなってきて商売にならぬということで、もういよいよおふろ屋さんが廃業する、そうするとあと残っている住民の皆さんはもうその日から困っているというのが実態であります。こういうことも含めまして、おふろ屋さんの場合には夏までには何とか、本当はいますぐにでも何とかしていただかないと困りますが、特に夏までに対策を講じるということはどうしても必要ではないかというふうにも思いますが、そのことについていかがでございましょうか。
#358
○松本(操)政府委員 御案内のように、周辺対策の中で特に激甚地におきましては、移転補償というのが非常に大きな決め手になるわけでございますけれども、これは事柄の性質上、やはり強制するというたぐいのものではなくて、任意に立ち退いていっていただくということになるものでございますから、したがって、いまもいろいろと具体的な例の御指摘がございましたけれども、現実にはわりあいにかたまって家がどいてしまうところ、あるいはくしの歯が引かれるような形でぽつりぽつりと出ていくところ、いろいろございます。
 そこで、具体的な例として仰せられましたふろ屋のごときも、大体数百メートルに一軒というのがああいったふろ屋の分布のありようのようでございますけれども、空港の南の方の地域で一キロくらい離れないとふろ屋がないというような状態になってしまっているところがございます。若い男はいいにしましても御老人、子供になりますとやはり問題がございますので、いま地元の方といろいろ御相談をしているわけでございますが、航空局がふろ屋をやるわけにはまいらないわけでございますから、場所の提供あるいは資金のあっせん、こういうふうなことについては航空局の方で責任を持ちましょう、ついては市の方ともとっくり御相談しながら地元の、たとえば自治会といったようなところがその運営に御援助願うとか、そういった具体的な方法を急いで決めようではありませんかということで、いまお話し合いをしているわけでございます。
 それから、営業者の移転というのは、普通の住宅の移転のほかに営業対策ということで地方公共団体の協力を得まして、移転資金ということで低利融資の制度が設けられているわけで、五十三年度にたしか大阪関係で九件ばかりその低利融資をお借りになった方があったわけでございます。ただ、問題は、いまたとえば八百屋なら八百屋をしておいでの方がどっかへ移転をされて、そこでさらに八百屋を継続できるかどうか、その移転される先のそういった店屋の分布状態、なわ張りというと青葉が憩うございますが、そういうふうなものがどうなっているかというあたりのところをよく詰めてからでないといけない、そこら辺になりますと、残念ながら航空局は、もとより周辺整備機構あたりでもなかなかそういったところまではきめ細かくお世話し切れない面もございますので、そういうようなところはやはり市の民生関係とか、そういったようなところの方に十分な情報もあるわけでございますし、専門の方もおいでになる、そういうふうなところとの話し合いの仲立ちをするとかという形で、十分な情報をもって、しかるべく次の転業の手配がとれるように、資金的に何がしかの手当をするという面については私ども曲がりなりにも用意をしたわけでございますけれども、それが具体的に動かせるような方法論、きめの細かなお世話ということに今後一層心がけていきたい、このように思っております。
#359
○中野(寛)分科員 住民のサイドからすればこれは本当に毎日毎日の生活の問題であります。大変不便をしておるわけでありまして、いろいろな制度や、また分析調査等の問題等あろうと思いますけれども、これはやはり一日も早く解決されませんと大変な問題でございます。なお一層の御努力をお願いしたいと思いますが、あわせましていわゆる共同住宅の建設、それから公営住宅の優先入居等、かなり場所にもよりますが好評で、そしてまたその新しい入居者といいますか、そういうものも進んでいるわけでありますけれども、あと住宅供給公社の空き家優先入居制度、これはやはり地元自治体から要望が出されていると思いますが、どのようになっているでしょうか。
#360
○松本(操)政府委員 住宅供給公社住宅の空き家の優先入居という点につきましては、関係機関との調整をいままでずっとやってきたわけでございますが、おかげさまでおおむねの了解を得るに至りました。現在細目的な詰めをいたしておりますので、そう遠くない時点でおっしゃったようなことが実現可能の運びになるものと期待をいたしております。
#361
○中野(寛)分科員 私どもも大いに期待をしたいと思います。
 なお、次に空港周辺整備につきましてお尋ねをいたします。
 昭和五十二年十一月に周辺整備計画調査委員会が策定をした「周辺整備のまちづくりについて」という地区計画図が地元に提示をされたわけでありますが、もう一つその評価は芳しくない。しかしながら、これからもできる限り地元のコンセンサスを得ながら、この作業をどうしても進めなければならないわけでありますけれども、その場合に問題になりますのが事業主体、事業手法、財源そして法制度の改正等々がやはり望まれるわけであります。また、大阪府の方で四十九年に騒音激甚地区は緑地系に整備するという基本方針が示されているわけであります。しかしこれもなかなか進まない。地元の市が移転跡地を利用して公園、緑道等の整備を行う環境基盤施設整備事業というふうなものは多少あるようでありますけれども、騒音激甚地区を緑地系にその計画どおり整備するとすれば、現在移転補償対象となっていない区域指定告示後の建物をも買収をしませんと、統一したその事業というものができない、まとまった事業ができないという問題が残るわけでありますけれども、このようなことも含めましてどのようにお考えか、お聞きをしたいと思います。
 またあわせまして、時間の都合でまとめてお聞きしておきたいと思います。そのほか地元の自治体から提案をされておる課題として、すでに御存じと思いますけれども、国有地と民有地との交換分合、都市計画手法等による事業の実施、それからまた税制上の措置の改善、また移転を可能とする条件整備、みなし二種への移転等々、かなり多くの問題点が提起をされております。とりわけ私は、作業を広域的にかつ前向きに進めていこうといたしますと、都市計画事業の施行というふうな感覚を盛り込みませんと、先ほどのたとえばおふろ屋さんの問題だとか営業者の問題だとかということも起こってくるということだろうと思います。ですから、大変失礼な申し上げ方をすれば、行き当たりばったりのやり方だと問題がより一層発生する、こういうことだと思うわけでありまして、このようなことを進める場合には、大蔵、建設、運輸、法務、そういう各省にも関連することでございますが、運輸省として積極的な取り組み方が望まれるわけであります。そのことについて簡単にお答えいただきたいと思います。
#362
○松本(操)政府委員 ただいま御指摘のありました問題は、空港周辺整備の中でとりわけ第三種の地域を主体といたしました激甚地域において、私どもが実は最も苦心をしながら、どうもその成果が目に見える形にならないということで、地元の方々からは大変な不満を持たれ、私どもも、またその成果の上がらないのにみずから非常に不満を持っているというむずかしい問、題の御指摘であったわけでございますが、やはり何といいましても基本になりますのは、航空機騒音防止法に基づいて府県知事が策定いたします空港周辺整備計画、これをいかに効率的に実施に移していくかということであろうかと思います。
 その中で、たとえば激甚地区における緑地糸の整備をしていくということになりますと、前段のお答えでも申し上げましたようなくしの歯をひいたような形ではまずいので、どうしてもつながったある一定の面積を明け渡してもらわなければならない。その場合に民有地と国有地とを相互交換するというふうなこともいろいろ考え、また具体的に一、二、例が出たものもあるわけでございますけれども、しかし、これは国有財産法上は非常にむずかしい手続が出てまいりますので、そう一律簡単に持っていくというわけにはいかないので、どうしてもケース・バイ・ケースでやっていくよりしようがないんではないか。
 それからその次に、移転の促進をするための方法といたしまして、これは代替地の造成とか、その他いろいろな面で苦労してまいりましたが、たとえばいまおっしゃいましたみなし二区あたりのところをどういうふうにとらえればいいのか。みなし二区というところはやはり騒音の程度のかなり高いことは否めないわけでございますので、しかし近間であるということから一言えば、そこに長く住みついておいでの方が、みなし二区でもいいから、いまのところよりはそちらの方がいいから移りたいがどうだというお考えをお持ちになるのもわからぬではないわけでございますが、しかし、これも無原則的にやりますと基本的な体系を壊す心配がないわけでもないというふうに思うわけでございます。
 それから、告示日後にできた家をどうするかという問題も、これもいまの騒音防止法のたてまえ論から参りますと、やはり告示のなされた以降は、その中は民防の対象にもなろうし、それなりのうるささがあるということをあからさまにした後のことでもございますので、現在の法律の議論から申しますとなかなかむずかしいわけでございますが、一方、先ほど申し上げました再開発計画的なものの中で、こういったようなものを地域的に一括して取り上げるという方法もあるのではないだろうか。これですべて律し切れるというふうにもなかなか参らぬ面があるようでございますが、有力な手段としてはあるのではないだろうか。いずれの場合にも、先生おっしゃったとおりでございまして、手法という点においてなかなか確立していないのが問題点であろうかと思います。ただ、こういったように、ある一定の地域に絵をかいて、その絵を実現していくという場合には、何と申しましても都市計画法というものが長い間の経験の積み上げの中で一つの手法というものを確立をしてきておりますので、これをもっと思い切って適用していく方法はないかということで、実は建設省の方とも寄り寄り御相談をしておったわけでございますが、ここしばらくの間、建設省の方から専門の人にも私どもの方に出向してきてもらいまして、一々建設省に相談しなくても、もう同じ部屋の中で隣同士で議論ができるような形で、いまいろいろと詰めているということでございますので、それやこれやを取りまぜながら、おっしゃいましたようなことが有効に動くように、なるべく早く具体案を練り上げたい、このように考えております。
#363
○中野(寛)分科員 時間が参りましたから終わりますが、最後に長官に御要望とお尋ねを申し上げておきたいと思います。
 現在、新しい関西新空港の計画もございます。これは、現在あるこの大阪国際空港のこういう騒音問題等を考えて、公害のない空港を新しくということから発想された空港でもございます。そしてまた、いま航空局長と応答いたしましたけれども、これらの作業も環境庁からのいろいろなお指図も含めて、参考にしながら作業が進められているわけでございます。私どもは、現在の空港に存在する公害を新しい関西新空港の建設予定地に輸出しようとはゆめゆめ思っていないわけであります。むしろ現在の空港対策をきちんと進められることが新しい地域の皆さんの理解を得ることにもつながるわけでありますし、その進捗を進めることにもつながっていくのでありましょう。そういうことを考えますと、現空港の対策、それから新しい空港の問題は、工法に至るまで、その環境汚染対策というものは大変な問題を抱えているわけであります。運輸省でまとめて、そして一定の結論を出してから環境庁へという現在のプロセスがあるようでございますけれども、しかしそれを待っているというのではなくて、ともに一つの作業に向かって参加し、進めていく、これがなければならぬと思います。運輸省の方で、環境庁が入ってくるのはまだ待てというなわ張り根性を持ってもらっても困りますし、環境庁も運輸省に遠慮してしばらくは入らないということでも困ります。そういう前向きの姿勢を強く私どもは要請したいわけでありますが、いかがでございましょうか。
#364
○土屋国務大臣 お答え申し上げます。
 先ほど来論議をお伺いいたしまして、今後諸施策の充実強化を図るように運輸省にお願いをいたしますとともに、環境庁といたしましては、この環境基準が達成されるよう、関係機関に強く働きかけてまいりたいと思います。
 それから、新関西空港の問題につきましてでございますが、これは国を挙げての一大プロジェクトでございますので、環境庁といたしましても重大な関心を持って今後取り組んでまいりたいと思います。
#365
○中野(寛)分科員 終わります。
#366
○中島(源)主査代理 以上で中野君の質疑は終了いたしました。
 次に、新村勝雄君。
#367
○新村(勝)分科員 自然保護、環境の維持ということがいま大変重要な課題になっておりますが、その中で、特に自然保護の中で、湖沼の環境維持ということについて伺いたいと思います。
 申し上げるまでもなく、湖は自然の大きな恵みでありますし、一口に山紫水明と言われるように、環境維持の中で重要な一つの対象ではないかと思うわけでありますが、これについて、湖沼の汚染の実態をいままで調査されたことがございますか。
#368
○馬場政府委員 ただいま御指摘のように、湖沼はいわば典型的な閉鎖性水域でございまして、水の交換も非常に悪いわけでございまして、水質の汚濁の進行が顕著になってきているわけでございます。
 環境庁といたしましては、毎年公共用水域の調査をいたしておるわけでございますけれども、その中で湖沼につきましても調査をいたしておるわけでございます。
 そこで、環境基準を設定しております湖沼につきまして調査の結果を見ますと、他の河川とかあるいは海域に比べまして、湖沼の環境基準の達成率が非常に悪いという状況になっております。ちなみに五十三年度の調査で申し上げますと、約三七%程度の達成率でございます。したがいまして、湖沼対策は大変重要な問題と思っておるわけでございます。
#369
○新村(勝)分科員 基準を設定しておる湖沼の数と、設定されておる湖沼の中でいろいろなランクがございましょうけれども、その汚濁の程度ですね、これをひとつ伺いたいと思います。
#370
○馬場政府委員 汚濁の程度でございますけれども、湖沼につきまして、いろいろ湖沼の利用目的等に応じまして環境基準のランクをいたしておるわけでございます。水道水源に使うもの、あるいは非常にきれいな魚がすむような山間部の湖から、あるいは、いろいろなランクがございまして、農業用水なりあるいは工業用水なり、そういうもののために主として使われている湖沼とか、いろいろあるわけでございます。したがいまして、そういう利用目的に応じましたランクづけをいたしておりますので、一概に比較することはむずかしいわけでございますが、たとえばよくPPmということで使っておるわけでございますが、CODの有機汚濁の汚染度でございますけれども、一PPmから二PPm程度のまだ非常に汚染の程度が低い湖もあるわけでございますが、一方におきまして、都市周辺等におきましてはかなり汚濁が進行しておる、たとえば諏訪湖、霞ケ浦あるいは手賀沼、印旛沼というところにおきましては、一〇PPmを超える汚染の程度になっておるわけでございます。
#371
○新村(勝)分科員 そういう実態に対して国はどういう施策を、汚染に対してはそれを回復する手だて、またこれ以上汚染が進まないような対策等があろうと思いますけれども、これについてどういう施策を実施されておりますか。
#372
○馬場政府委員 湖沼の汚濁の防止対策につきまして排水基準を設定いたしまして、各排水源、これは産業系、生活系もございますけれども、その排水源に対しまして国の方で一律の基準をつくりまして規制する、その上に各県におきまして上乗せ規制をやっておる実情でございます。さらに、そういう発生源を抑えるということのほかに、まあその一環でございますが、周辺における下水道の整備を図る、あるいはそのしゅんせつをするとか、いろいろな対策を講じておるわけでございますが、最近の湖沼の汚濁の特徴といたしまして、有機汚濁の問題もございますが、いわゆる富栄養化現象の進行が見られるわけでございまして、これは窒素とか燐とか、そういう栄養塩類が流入をいたしまして、プランクトンの発生等によりまして水質が悪化するというようなことでございますので、それに対する対策をやらなければならぬということでございます。ただその辺、若干いろいろの要因が複雑でございますので、その辺を検討するために、現在湖沼についての燐の対策をどうしたらいいかということで検討会を設けて検討いたしておる段階でございます。
 いずれにいたしましても、湖沼それぞれが立地条件なり利用のされ方が非常に違いますので、それぞれの特性に応じた対策を立てなければならぬということでございまして、関係各省の協力を得まして対策を実施いたしておるところでございます。
#373
○新村(勝)分科員 湖沼の周辺地域の都市化、また高度成長期における工業化が大きな原因だと思いますが、その時代から現在までの汚染の経過、悪化する一方であるのか、あるいはその施策によって相当回復をしておるのか、その辺の経過はいかがでしょうか。
#374
○馬場政府委員 湖沼の汚染の経過でございますが、大変残念なことでございますけれども、湖沼の汚染度合いはむしろ深刻化していると申し上げた方がいいのではなかろうかと思います。四十年代かなり汚濁が進行いたしまして、四十年代の終盤から五十年代の初めにかけて幾分回復基調を見せたわけでございますけれども、この数年の傾向を見ますと、やはり汚濁が進行しておる、かなり深刻な場面に入っておるのではなかろうかと思うわけでございます。
#375
○新村(勝)分科員 自然の恵みである湖沼の環境維持について、ぜひとも強力な施策をお願いしたいわけなんです。
 そこで具体的な、ローカルな問題でありますけれども、千葉県の北部に手賀沼という沼がございますが、ここは調査の対象あるいは施策の対象になっておりますか。
#376
○馬場政府委員 当然、大変汚濁の進行の激しいところでございますので、主としては県の調査でございますが、私どもも、先ほど申し上げました公共用水域の調査の一環として手賀沼の調査もやっておるわけでございます。そういう中で、確かに都市化の進行等によりまして、いろいろ汚濁が進行しておる失態につきましては私どもも承知している段階でございます。
#377
○新村(勝)分科員 手賀沼の汚染度、汚濁の状況ですね、これはどの程度でございましょうか。
#378
○馬場政府委員 手賀沼につきましての汚染の度合いでございますが、若干経年的に大きな傾向を申し上げますと、ここはCODの環境基準が五PPmということになっておるわけでございますが、四十三年ごろまでは環境基準の中におさまっておった状況でございますが、その後一〇PPmというのが四十五年前後に数年間続きまして、それから四十年代の後半にかなりはね上がりまして、二〇PPmを超えたというようなことでございます。それから若干改善の傾向を見せたわけでございますが、五十一年を底に、再び汚濁の進行が見られるわけでございまして、五十三年の調査結果によりますと、COD五PPmの環境基準に対しまして二八PPmというように、全国の中でも指折りの高いところではなかろうかと思うわけでございます。
#379
○新村(勝)分科員 いまのお話のように、いつもワーストナンバーワンというふうに報告をされておりますが、実は、この汚濁を救うために、たまたま建設省の方で北千葉導水路という工事をいま計画をしております。そこで、この導水路の一部に手賀沼を使ってもらいたい、こういう強い要望が地元からあったはずであります。そうすれば、この閉鎖水域が導水路の一部になりますから常に水が動く、こういう状況の中で汚染の進行をとめ、あるいはいままでの汚染を回復することができる唯一の手段ではないかということでお願いをしたわけでありますけれども、この構想に対するお考えを、建設省おいでになっていますので、伺いたいと思います。
#380
○堀説明員 お答えいたします。
 建設省におきましては、北千葉導水事業というものを現在工事中でございます。それで、北千葉導水事業の目的は、利根川の余剰水を江戸川に導きまして、いわば、流況調整と私どもは呼んでおりますが、これで十トンの水を開発する、あわせて利根河口ぜき等での開発水量二十トンを取水施設へ運搬する、さらに利根川の余剰水を手賀沼に導入いたしまして、これは最大十トンでございますが、手賀沼の浄化を図るということとともに、治水上は、この導水路のポンプを利用いたしまして、手賀沼の内水排水、それから松戸方面の坂川の内水対策等の治水の目的を持つ、私ども流況調整河川と呼んでおりますが、多目的な河川工事でございます。それで、この導水路のルート決定に際しまして、手賀沼導水路を通じたらどうかということについては、私どもは十分承っておりますが、治水の性格上、それから工事を円滑に進める上で、一部でございますが、現在のパイプ案が最適であるというようなことで、地元の方々の御了解を得まして、現在の計画を固めたわけでございます。
#381
○新村(勝)分科員 地元の了解、それは技術的にどうしてもだめだということでそうなったと思いますけれども、手賀沼をその導水路の一部にすることがどうしてもできない技術的な理由について、もう少し伺いたいと思います。
#382
○堀説明員 利根川の水を江戸川まで持っていく過程におきまして、分水嶺を越える、それから内水排除をやるというようなこと、それから技術的な問題、こういうことから、現在の沼の南を通るパイプ案が一番最適であるというような判断に達したわけでございます。
#383
○新村(勝)分科員 南を通れば当然、沼南町、農村部でありますけれども、そこを通ることになりまして、農家にも一時的にしてもかなり迷惑を与えるということになるわけでございます。利根川から手賀沼に水を入れて、その水を江戸川に導水するということは、十分可能だと思うのですけれども、どうでしょうか。
#384
○堀説明員 お答えいたします。
 利根川の水を第一揚排水機場で、パイプを通じましてポンプで圧送いたしまして、手賀沼の末端の第二揚排水機場というところで、手賀沼に十トンを上流から入れるわけでございます。
#385
○新村(勝)分科員 そうしますと、手賀沼に対する注水は常時行われるわけですか。その予想される浄化の効果はどの程度ですか。
#386
○堀説明員 これは利根川の余剰水を手賀沼に導入するわけでございますが、この量が十トンと言いますと非常に大きな量でございます。ただ、渇水期に十トンの水を入れるということはできないわけでございますが、年間を通じてみますと、相当大きな水になるわけでございます。その効果につきましては、手賀沼流域下水道、あるいは現在千葉県が行っております、あるいは今後さらに推進します手賀沼のしゅんせつ事業、こういうものと相まって手賀沼の浄化に対しては非常に効果があるというふうに私どもは考えております。
#387
○新村(勝)分科員 それによってある程度の効果があるということは理解をされますが、それと同時に、やはり沼の周辺の急速に都市化をした地域の下排水の処理をする公共下水道の急速な工事の推進が必要であると思いますが、その方の配慮はいかがですか。――公共下水道に対するお答えはどなたかないですか。
#388
○馬場政府委員 建設省の所管でございますが、お見えでないようでございますので、私が知り得る範囲内でお答えをいたします。
 手賀沼の流域下水道は、四十六年度から五十六年度までの計画のようでございまして、我孫子、柏等を含めまして八市町村でございましょうか、やるわけでございまして、終末処理場を手賀沼に設けまして、その水は利根川に放流するというような計画のように承知をいたしておるわけでございます。
#389
○新村(勝)分科員 そこで、大臣にお伺いしたいのですが、この閉鎖水域の自然保護といいますか、環境維持のためにはいろいろな施策があるわけですが、いまの導水路もその一つだと思いますし、公共下水道も最も有力な方法だと思いますが、これらの公共下水道の事業等を、湖沼の浄化に関係の深いものについては、これはもちろんどこでも必要なわけですけれども、特に優先的に実施をする、あるいは予算等を優先的につけていただく、そういう指導なり方針なりを環境庁の方から出していただくことができましょうか。
#390
○土屋国務大臣 お答え申し上げます。
 実は私、昨年長官を拝命いたしまして、この問題に対しまして私も深い関心を持ちまして、昨年の十一月二十四日に霞ケ浦を視察し、また、ことし一月二十二日に東京湾を船で視察いたしたわけでございます。
 結論的に申しますと、先ほど来先生の御意見の中にもございましたとおり、富栄養化対策また下水道事業等々、やはり総合的に対策を立てていかなければならないということを深く痛感いたしております。そこで、建設省を初め関係各省とも十分話し合いながら、先生の御趣旨に沿うように全力を傾けて努力をいたしてまいりたいと思います。
#391
○新村(勝)分科員 手賀沼は長官の近所でもありますし、機会があったらぜひ現場をごらんいただきたい。非常に悪いわけで、先ほどもお話がありましたように、全国の悪い方からのトップクラスということでありますので、いま実施中の北千葉導水路の早期完成と、それから着工はいたしておりますけれども、この公共下水道はなかなか進まないわけでございますので、こういう湖沼の浄化に関係の深い事業については、特段の予算の配慮等もいただいて、汚染の回復と環境の維持を図っていただきたいと思うわけであります。
 それから、単に若干の水を流したというだけでは不十分でありまして、長い間沈でんしておるヘドロのしゅんせつが必要だと思うのですが、その点については特に御施策がございますか。
#392
○堀説明員 私どもしゅんせつの方の直接の担当ではないわけでございますが、私、所管の課長ではないわけでございますが、私ども導水路事業をいま進めておるわけでございますが、進める際に、この導水路事業と並行して、現在県においてしゅんせつが一部行われておりますし、今後とも推進を図っていくというふうに聞いておるわけでございます。
#393
○新村(勝)分科員 このしゅんせつ事業についての国の補助なり国費はどんなふうになっておりますか。――それでは、長官の方から、しゅんせつの事業についてもひとつ特に御配慮をいただいて、汚濁の回復についても特段の御配慮をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#394
○土屋国務大臣 お答え申し上げます。
 霞ケ浦の場合には、建設省自体がしゅんせつ機を入れてやっておりましたが、先生の御意思を体しまして、建設省に申し入れいたします。
#395
○新村(勝)分科員 それではひとつ、湖沼の浄化について、特にローカルの問題でありますけれども、手賀沼の浄化について特段の御協力をいただきたいと思います。
 終わります。
#396
○中島(源)主査代理 以上で新村君の質疑は終了いたしました。
 次に、高橋繁君。
#397
○高橋(繁)分科員 最初に、公害の問題からお聞きいたします。
 水質規制あるいは大気汚染等は、規制が大分厳しくなってきておりますが、悪臭の問題について、悪臭防止法の施行令で八つの物質が決められております、五十年に三つ追加されまして。その八つの物質で防止法の目的を達するために、一体どれほど規制され市民の要望にこたえられているのか、その点について現状をとらえた状況をひとつお答え願いたい。
#398
○三浦政府委員 お答えいたします。
 現在、悪臭防止法では、アンモニアとかあるいはメチルメルカプタン、こういう八物質を政令で指定して規制しておるわけでございますが、しかし、何といいましても、悪臭の発生源は非常に複雑多岐にわたっておりますので、すべての発生源に対しまして、現行法で対処するということには限界があるわけでございます。
 五十三年度中におきます悪臭の苦情件数というのは一万六千七百件ございました。これらに対します八物質の規制効果と申しますのは、これは畜産が主体の農村型あるいはサービス業が主体の都市型ではかなりいろいろ差がありますけれども、大まかに平均いたしますと、苦情に対しまして処理件数は四、五〇%ということに相なろうかと思います。御指摘のとおり、悪臭防止法によります規制効果というのは、必ずしも十分ではございませんので、私ども、悪臭物質の追加指定あるいは悪臭を総合的に評価できるような官能試験法につきましても、現在、調査検討を進めておるところでございます。
#399
○高橋(繁)分科員 さらにお伺いをいたします。
 現時点で四〇%ないし五〇%しか救われないという状況の中で、私たちの公害に大変深い富士市でも三〇%しか救えないのじゃないかというような結論も出ております。
 そこで、その八物質のほかにまだある物質を追加したいとか、あるいはいまちょっとお話が出ました官能法、鼻で感じてやる方法というものも検討をしておるというふうにお答えになりましたが、その官能式といいますか、あるいは追加物質、これはいま、どのように研究あるいは調査が進められているのか、その状況を教えてください。
    〔中島(源)主査代理退席、主査着席〕
#400
○三浦政府委員 最初に、追加規制物質について私どもが検討しております物質を申し上げますと、これは有機溶剤系の物質でございまして、トルエンとかキシレンあるいは酢酸エチルとか酢酸ブチル、こういうものを現在追加規制に加えようかということで検討中でございます。
 また、官能試験法でございますけれども、悪臭公害と申しますのは、一般に少量で多成分の複合したにおいによることが多いわけでございまして、あるいはまた、すべての悪臭物質を器械で測定するということは、もう困難であるわけでございます。したがいまして、この問題を解決するためには、官能試験法の一種でございます三点比較式におい袋法という名前で呼んでおるわけでございますが、これにつきまして、五十一年度、五十二年度に基礎調査を行ったわけでございまして、五十三年度から三カ年計画で、現在、都道府県にお願いしてフィールド実験を行っておりますので、官能試験法につきましては、この調査結果を待って取り扱いを決めてまいりたいというふうに考えております。
#401
○高橋(繁)分科員 調査をして今年度で大体調査が終わるということですね。
 その官能式の方法については、実際に実用化の方向で検討してまいりますか。
#402
○三浦政府委員 五十三年度から三カ年計画ということで、五十五年度に終わるわけでございます。したがいまして、私ども、これは先生おっしゃるとおり、実用化の方向で検討しておるわけでございます。
#403
○高橋(繁)分科員 住民から、そうした悪臭の問題については大変な要望もありますし、また私自身も、その悪臭防止のための官能式というものに期待をしておるわけですが、環境庁として一体いつごろまでにその実行を法律で決めて発効するといいますか、実際いつごろからそれを実施したいめどを立てているのか、この辺のことはどのようにお考えですか。
#404
○三浦政府委員 急いでおるわけでございますが、現に条例等でもうすでに実施しておるところもございますので、五十五年度フィールド実験が終わった段階で、早ければ五十六年、あるいは五十七年になるかもわかりませんけれども、なるべく早く取り入れてまいりたいと考えております。
#405
○高橋(繁)分科員 条例で実施をしておるところはあるんですか、実際に。
#406
○三浦政府委員 官能試験法を条例で採用しているところは、これは先ほど申し上げました三点比比較式におい袋法というのでございますが、東京都、それから埼玉県、それから埼玉県の草加市が条例でやっております。それから宮城県、この四カ所で条例で現在実施しております。
#407
○高橋(繁)分科員 五十六年あるいは五十七年に発効ができるように、実際に規制ができるような方向で検討したい、これは期待しておりますので、ぜひともひとつそのことについては環境庁も積極的にお考えいただきたい、こう思います。
#408
○三浦政府委員 ちょっといまのお答えを訂正さしていただきますが、宮城県は三点比較式におい袋法でなくて、食塩水の平衡法というのでやっております。申しわけございませんでした。
#409
○高橋(繁)分科員 短い時間でありますので、次に温泉の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 国会で温泉のことについていろいろ意見を交わすのは初めてではないかと思いますが、長官も温泉地の出身であります。したがって、温泉あるいは温泉地、あるいは地熱資源とも言う人がありますが、そうしたものをひっくるめて温泉に対して長官はどんなふうにお考えになっておりますか、まず、それをお聞きいたしたいと思います。
#410
○土屋国務大臣 お答え申し上げます。
 温泉は、古くから国民の保健、それからまた休養に重要な役割りを果たしてまいっておる次第でございます。また今日、石油にかわる代替エネルギーとしての利用の拡大、その中でも地熱の発電ということが国策上大きな問題となっておるような次第でございまして、環境庁といたしましても、この問題につきましては、真剣に取り組んでまいりたいと思っております。
#411
○高橋(繁)分科員 いま長官がおっしゃったように、温泉は、日本古来から保健あるいは保養、最近はまた代替エネルギーとして地熱発電ということが言われております。いろいろな面で、基本的には厚生省も関係してくるだろうし、エネルギー庁も関係してくるだろうし、あるいは労働省も関係してくるかもしれません。温泉産業という言葉が果たしていいのかよくわかりませんが、温泉地というのは、いまおっしゃったように、日本の古来から保養の基地として日本で培われてまいりました。その一面、婦人の雇用の面でも、あるいは中高年齢層の雇用の面でも大きな力をなしていると私は思います。これは環境庁とちょっと担当が違うかもしれませんが、温泉というものに対する考え方としては、いま大臣もおっしゃったようなことであります。
 それから、地域経済の柱でもあります。一地域、伊豆半島を例にとりましても、料理飲食税は七十億です。それだけの県税を県に納めておる。そうしますと、大変な地域経済に対する柱であると言ってもいいと思います。また、ドイツでは温泉というものが医療体制に組み込まれているということから考えますと、温泉に対する考え方というものを、雇用の面は違います、エネルギーの面はエネルギー庁で考えます、こう言っても、温泉法という法に基づいて、いまそれ一つしかありませんが、担当している環境庁としては、今後大いに温泉というものに対して見直しをしなければならない時代に来ていると私は思うのです。そう私は考えますが、長官、どうですか。
#412
○藤森政府委員 お答えを申し上げます。
 先ほど大臣が答弁なさいましたように、温泉というものは、日本古来のいわゆる地熱利用の一つの伝統的な形態でございまして、私どもは、これを重大な国民的な利益として守っていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。
 ただいま御指摘のございましたように、現在の状況は、地熱をいろんな意味で活用して代替エネルギーとして利用する、こういうふうな大きな流れが出ておるわけでございますけれども、私どもとしましては、そういうものの流れもにらみ合わせながら、温泉の利用というもの、特に健全な公共的な利用という面に沿いまして、新しい形の温泉利用、これをいろいろと検討し、また、それを推進していかなければならない、かように考えているわけでございます。また、それが地域の振興にもつながるゆえんである、かように認識をいたしております。
#413
○高橋(繁)分科員 そこで、エネルギー庁で発表しました地熱発電の今後の見通し、地熱発電を使って石油にかわるべき代替エネルギーとして「長期エネルギー需給暫定見通し」の中で、昭和七十年に七百万キロワットを地熱の発電で得よう、こういう計画でありますが、現在、地熱発電で電気を起こしておるキロワットはわずか十五・七万キロワットです。最大限いま地熱の発電で五万キロワットですよ。仮に最大限五万キロワットといたしましても、その発電所の個所数は百四十カ所に上ります。現在までにある地熱発電の六カ所ですかの平均をとりましても二・六万キロワットです。そういたしますと、その倍の約二百五十カ所の地熱発電を利用しなければならない。環境庁が調べたいわゆる温泉地の数というものは日本では千四百カ所です。その中には、温泉地ではありますけれども自噴はゼロというところもありますし、少量の温泉量しか出ていないところも含めて千四百カ所です。こう考えますと、将来、昭和七十年に地熱発電で七百万キロワットのエネルギーを達成しようということになりますと、これは大変なことになると私は思う。先ほども申し上げた日本古来からの保養の基地、まあ日本全国でこういう個所に将来つくりたいというエネルギーの計画もありますが、ここでは地域を指定することがまず一番大事ではないか。ここは地熱発電の場所、ここは温泉保養基地である、ここはいま多方面に使われておりますが、長野県の諏訪湖ではレンズの製造に、みがくのかどうかよく知りませんが、温泉を使っておる、あるいは水産業、農林業にも使っておる、地熱は多方面な一つの資源として、石油エネルギーにかわるべきものとして、将来、利用というのは、活用というのは、広範囲にわたっていくということを考えますと、先ほど申し上げた日本古来の雇用の面でも、人間の健康の面でもたくさんの力をなしてきておるところを、地熱発電によって侵される場合もなしとせずでありますから、そういう地域指定を温泉法の面からもすべきじゃないかと思いますが、いかがですか。
#414
○藤森政府委員 お答え申し上げます。
 ただいま御指摘のございましたように、これから地熱開発がいろんなテンポで進められるわけでございますが、その際に、従来の伝統的な地熱利用の形態である温泉というものにつきまして、これを保護するために地域の指定を行うという考え方でございます。これにつきましては、私どもといたしましては、たとえば、ただいまお話しになりました発電、地熱発電のための地熱開発といいますか、こういうものも地下から熱水を採取するという意味におきまして、これは温泉法上の温泉ということになりまして、温泉法の規制を受けるというものでございます。したがいまして、この温泉法上の規制といたしましては、地熱の採取も同様でございますけれども、都道府県知事が、そうした温泉掘削の行為によりまして既存温泉の湧出量であるとか、温度とかあるいは成分、こういうものに影響を及ぼし、その他公益を害するおそれがある、こういうふうなことが認められた場合におきましては、与えられた掘削の許可を取り消すとか、あるいは与えないとか、あるいはまた温泉採取の制限を行うとか、こうした現行温泉法上の運用によりまして、既存温泉地の温泉源を保護することが可能である、こういうふうに考えております。したがいまして、ただいまお話しになりました地域指定を行うということにつきましては、私どもとしましては当面考えておらないわけでございます。
 なお、ただいまの御指摘は、たとえば地熱なら地熱、温泉なら温泉というふうに、そうした土地の利用といいますか、温泉そのものの使用について区分をしてこれを行うべきであるという御趣旨かと思いますけれども、その点に関しましては、昨年十二月に自然環境保全審議会が「国立、国定公園内における地熱開発に関する意見」ということで述べておりますものの中にも、少しそれますが、たとえば国立、国定公園内の自然環境上重要な地域は、地熱開発等においてはこれを避けることを基本とすべきであるということを指摘すると同時に、地熱開発に当たりましては、いろいろなことを考えなければならない中で、特に温泉地域との調整が図られた上で、その実施の是非が判断されなければならないという指摘をされておるわけでございます。私ども、これから地熱開発が進められるに当たりまして、これに対処する姿勢としましては、ただいまのような審議会の御意見の趣旨に沿いましてこれから対処をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#415
○高橋(繁)分科員 指定は考えてないが、何らかの形でよく検討をしてやるということでありますが、私は必ずトラブルが起きると思います。
 それと、これは地下資源でありますからわからない。よく地下水をくみ上げるときに、絶対に問題は起きませんよと言って掘り上げたら、周りの地下水が枯渇をしたことがあります。現在でも枯渇した姿を見れば、全く無残なものですよ。だから、温泉に対する考え方を少し変えまして、将来いわゆる保養基地としても、老人医療の一策としてこの温泉を利用していくということも考えなければ、いまよく言われる、お年寄りで病院がいっぱいになってしまっている、どうしてそれを解決するのか、これは厚生省の仕事ですが、そういうことも考え合わせて、医療の面、老人の保養の面あるいは地熱の面、そうした面で環境庁がモデルケースでもつくって、この温泉の利用を考えたらどうかと私は思うわけであります。地熱発電のエネルギーは必要であります。必要でありますが、現在の温泉が枯渇しないような方策としては、地域指定以外にない、このように私は考えます。検討をひとつしてください。
 それと、先ほど温泉法によって縛ることができる、こうおっしゃいましたが、この温泉法がまたまことにGHQの産物で、昭和二十三年にできた法律であります。温泉法というよりも、温泉掘削許可法と言った方がいいかもしれません。きょうは細かく一々できませんが、そこの十四条の中に、やはり地域指定ということがあります。この思想は、一体何ですか。
#416
○藤森政府委員 お答え申し上げます。
 温泉法の十四条は、温泉の健全な、公共的な利用を増進をする、そのために、施設の整備であるとかあるいは環境の改善を行う、こういうのが趣旨でございます。
#417
○高橋(繁)分科員 そういう趣旨からいって、本年度はゼロ査定に終わっております。環境庁は、それほどこの十四条の地域指定――比較的弱い温泉地をつくっていくというのが、いまお話のあった思想だと思うのです。これはどういうわけですか、努力をしなかったんですか。
#418
○藤森政府委員 お答え申し上げます。
 温泉法十四条の趣旨は、ただいまお答え申し上げましたとおりでございますが、これに基づきまして、いわゆる国民保養温泉地というものを指定をしてまいっております。現在まで大体六十六カ所の指定を行っております。この指定は、昭和二十九年度に最初行いまして、それ以来、その指定に伴っていろんな公共施設、公共的な利用増進のための施設の整備に努めてまいりましたけれども、この整備につきまして、三十四年度から国庫補助制度が設けられて現在に至っておるわけでございます。この補助のもとに、理想的な温泉地づくりを目指して、国はもちろんでございますが、都道府県あるいは地元の市町村等が一体となって推進して、今日に参ったわけでございます。
 五十五年度におきましては、この補助金に対しまして大変厳しい財政事情等がございまして、このために、本補助制度――これはちょうど二十年を経過したわけでございますが、一時休止をいたしまして、現行補助制度のあり方について見直しを行うというふうにしたものでございます。したがいまして、この補助金を廃止してしまったわけではなく、一時休止という措置をとっているわけでございますが、この間に、この二十年たちました制度というものを、もう一遍よく見直すというふうに考えておるわけでございます。
 その際には、先ほど先生から御指摘いただきましたように、温泉地を単なる歓楽街というふうなものにするのではなく、これから高齢化社会に向かっております、そうした社会に対応するような医療的な施設であるとか、あるいは若い人たちに対するスポーツの施設であるとか、いずれにしましても、自然環境の良好な状態の中において、この温泉を公共的に、また健康に使っていくために、どういうふうなあり方がいいのかということにつきまして、すでに私ども検討を開始をいたしておる次第でございます。これをもとにいたしまして、この一時休止というものをできるだけ早く解除をしてまいりたい、かように私ども思って努力をしている次第でございます。
 なお、補助金は一時休止になりましたけれども、法律に基づく保養温泉地の指定につきましては、来年度においても継続してこれを実施をしてまいる、かように考えておる次第でございます。
#419
○高橋(繁)分科員 そういう意味から、ひとつ温泉というものをないがしろにしないでいただきたい。
 それから、私はやはり温泉法の改定をしなければならない時期に来ていると思うのです。たとえば水道法――あれはがっちりできておりますが、水道法に基づくような供給システム、これはいま非常にトラブルがあるのです、温泉について。それから十七条の立入検査についても、ただ検査した結果、口頭で相手に伝える、あるいは書類もあるかもしれませんが、それに対する罰則も軽いものでありますし、したがって、温泉法の見直しをしなければ、やはり地下資源という大事な資源の一つであります。そういう意味で、将来温泉法の改正をする意思はありませんか、お聞きいたします。
#420
○藤森政府委員 お答えを申し上げます。
 ただいま御指摘がございましたように、温泉法、昭和二十三年制定でございまして、当時は恐らく温泉を一般家庭に給湯するというふうな利用の方法というものについては、余り現実的に考えられてはいなかったんであろうというふうに思います。いまやそういうものが、地熱の多目的利用という線に乗っかってある程度広がろうという情勢があることも、私ども一よく認識をいたしておるわけでございます。
 現在の温泉法は、御存じのように、温泉を保護し、その利用の適正を図ることを目的としておりますために、温泉の泉源の保護、それから主として利用場所における規制、こういうものが中心になっておるわけでございます。
 いま御指摘のありましたような点につきましても、現在衛生上の安全確保という面から、温泉法上、温泉を公共の浴用あるいは飲用に供しようとする場合にはこれを許可にかからしめるというようなこととか、あるいは公衆衛生上必要があると認めるときの……(高橋(繁)分科員「改正する意思がないかどうか、それを答えてくれればいいのです」と呼ぶ)こうした温泉法上の現在の措置によりまして、当面の事態には対処し得るというふうに考えております。ただ、御指摘のような点もございますので、私どもとしましては、長期的な課題としてはもちろんそれを頭に置いて対処をしてまいりたいと考えております。
#421
○高橋(繁)分科員 私も意見を持っておりますが、またの機会に譲りたいと思います。
 最後に一点だけ、よく問題になっております、国立公園内を通る道路の問題で、住民から早く通してほしい、しかし環境庁が待ったをかけている、毎年同じような陳情が来る。環境庁としてはその結論を早く出すことが最も大事だと私は思うのです。
 一例を挙げれば、山梨県の東名と中央高速道路を結ぶ百三十八号線のバイパス、富士山の丸尾というのが指定されておってなかなかこれが解決つかない。これの見通し、あるいはそういう問題について結論を早く、できないならできないとしてあげないと、地元としては毎年毎年同じ陳情をやってくるのです。そんなむだなことがありますか。だから、こういう問題についていかように結論を出すのか、簡単にお答えいただきたいと思います。
#422
○藤森政府委員 お答えを申し上げます。
 ただいまの東富士道路につきましては、現在のところ道路公団等から正式な協議がございませんが、事前の説明は受けております。
 私ども環境庁といたしましては、この道路が御存じのように富士箱根伊豆国立公園の重要な地域を通るという構想でございますので、自然環境の保全という立場から、ただいま関係機関との調整を鋭意進めておるところでございます。早期に結論を出したいと考えておる次第でございます。
#423
○高橋(繁)分科員 以上で終わります。
#424
○藤尾主査 以上で高橋君の質疑は終了いたしました。
 次に、兒玉末男君。
 ただいま石油公団理事佐藤淳一郎君に参考人として御出席いただいております。
 参考人の御意見は、分科員からの質疑によってお述べ願いたいと存じます。
#425
○兒玉分科員 長年問題になっております鹿児島県の志布志湾と宮崎県にまたがる大隅開発に関しまして環境庁、運輸省、通産省並びに石油公団に対しまして質問をいたしたいと存じます。
 この件は、環境庁長官も、歴代何遍も変わっておりますが、開発行為については、昭和四十六年に鹿児島県が新大隅開発計画の第一次試案を発表したわけでございます。特にいま、自然環境が豊かであり漁業資源の豊かなこの志布志湾をなぜ汚さなくてはいけないかということで、地域住民の猛烈な反対もあり、その後のオイルショックを受け、そして五十一年に今度は規模を縮小した第二次試案を発表したわけでございますが、これは隣接する宮崎県との調整がなかなか暇取りまして、いまだに具体的な着工の段階に至っておりません。
 しかし今回、五十三年二月に鹿児島県側が独自の立場で環境アセスメントの発表を行い、宮崎県側はもらい公害として、これに対応する独自の立場からの調査を進めるということで、今日までその環境アセスに対する態度は表明されませんでした。
 去る二十九日に宮崎県側が一応の環境評価を行い、総体的にいわゆるゴーサインを出したわけでございますが、地域住民の間には根強い反対がございます。
 このことについては環境庁長官あるいは石油公団等にもそれぞれ関係の団体が去る二月二十日に参りまして、意見書なり反対陳情の趣旨を具体的に提起をしているわけでございます。
 概略しますならば、大隅開発に関連しまして宮崎県側の対応が非常に手間取ったために、今度は手を変えて、鹿児島県側は志布志港湾の拡張改定という新たな手法で出てきておるわけであります。要するに、新大隅開発計画を発表しましたけれども、環境問題その他について沿岸住民の反対があり、かつ宮崎県側との調整がなかなか手間取るので、これらを見て、急遽一昨年、志布志港湾改定計画を発表し、昨年末、公有水面埋立法による埋め立て免許を申請するという手に至っております。これについては、新大隅開発計画に反対する住民は、明らかにこれは新大隅開発へのいわゆる地ならしであるということを見抜いて、強い反対運動を展開しているわけでございます。要するに志布志湾の港湾改定に伴う埋め立てについても環境保全、自然保護等のこの地域におけるいわゆる生態系の保持と合理的な運用、住民の健康と福利、種々な利益の確保、海陸交通の安全等の立場から、そのむちゃくちゃな行動に対しすでに三百通以上の意見書が提出され、また有識者、学者等においても、志布志港は台風時の船舶の避難がきわめて困難であり、欠陥港である旨の指摘もされております。港湾改定計画が先行し、埋め立て手続が後回しになる現在の処置にはなはだしい疑問を抱くものであり、埋め立ての認可後にいわゆる港湾改定計画が承認されるのが当を得たものと考えますが、まさに逆行の感であります。
 今回の港湾改定についてはその緊急性、貨物や旅客の増大予想量に水増しの疑問があり、港湾が不当に拡大化され、国費や県、町費の乱費につながるおそれがあることが指摘をされ、また港湾改定計画の二・五キロの沖合い防波堤構築内と区域内のいわゆる海底土砂のサンドポンプによる吸い上げ埋め立てにより、安楽川河口両岸の白砂分――国定公園の特別地域であります――が二十ヘクタール以上も浸食され、消失するおそれがあることが十分に指摘をされ、重大な自然破壊となります。
 また、鹿児島県が行った埋め立てのためのアセスメントに対しては住民や学者の意見書についても二部が環境庁、運輸省あるいは石油公団にも陳情書と同時に添付をされておりますので、このような関係書類について関係各省ば十分な配慮をしていただきたい。
 このような状況について具体的に御質問したいことは、まず環境庁でございますけれども、五十ヘクタールを超える埋め立ての場合、今回の第一号用地の埋め立ては九十八ヘクタールでございますが、当然運輸省と環境庁が協議をして決定することになっておりますが、これについてはどういう見解をお持ちであるのか。また二十ヘクタール以上の場合は、国定公園の解除は少なくとも県知事の権限ではできないわけでございます。それが十一・八ヘクタールと十二ヘクタールに二回に分けて埋め立てを行っているわけですが、これは国定公園特別地区をなし崩し的にいわゆる破壊をしている、環境庁の存在を否定するやり方ではないかと思うのでございますが、これに対する環境庁長官の見解、同時に、こういう行為まで行わして埋め立てをしようとする行為に対して、運輸省は一体どういうふうな対応をしようとするのか、この点についてまずお伺いしたいと存じます。
#426
○金子政府委員 新大隅開発計画と志布志港の港湾改定計画は別個のものであるというふうに私ども一は考えております。志布志港の港湾拡張計画は、現在ほとんど完成を見ております第一次の港湾計画のみをもってしては、当該地区における輸送力等あるいは将来の発展など勘案いたしますと、不足するという資料がございますので、それに依拠いたしまして、海湾拡張計画そのものは認めざるを得ない。しかしながら、その港湾拡張計画の実施に当たっては環境保全に十分に配慮するように要望いたしまして、その要望を入れていただいて、グリーンベルトの造成その他、他の類似の港湾計画に対比いたしますと、環境保全に配慮している金額あるいは面積割合等は非常に大きなものである、こういうふうに考えております。
 なお、私どもはこの志布志港の拡張計画は新大隅開発計画とは別個のものであるということを公の席で発言いたしております。
#427
○佐々木説明員 お答え申し上げます。
 ただいま御指摘のございました志布志港の埋め立て計画でございますが、現在志布志港の港湾管理者の長であります鹿児島県知事から私どもの方に、免許していいかどうかということについて認可の申請が上がっておるわけでございますけれども、それに基づきまして、私どもといたしましては、現在環境庁長官の環境保全上の観点よりいたします意見をお伺いしているところでございます。環境庁長官の御意見がございましたら、その意見を十分尊重いたしまして、認可の可否について判断をしてまいりたい、かように考えております。
#428
○兒玉分科員 長官、二点目に指摘しましたように、国定公園解除の条件で十一・八と十二ヘクタールに分けて、いわゆる国定公園解除の手続をしているわけですよ。これはだれが見てもごまかしだということはわかっているわけですよ。そのことはいま住民が非常に憤って、さっき局長は答弁されましたけれども、これはもうまやかしだということは現地住民ははだで受け取っているわけですよ。宮崎県側の対応は非常におくれた。こういうことではなかなか大隅開発につながる港湾改定ができない。これはいま局長が言われましたけれども、それはもう絶対後日に必ずこの問題は再度起きてきますので、その点にあえて反論しませんが、少なくとも国定公園解除のやり方が、二回に分かれてすれば一回が二十ヘクタール以下である場合は知事の案でできる。その見解は一体どういうふうに御理解いただきますか、お答えください。
#429
○藤森政府委員 お答えを申し上げます。
 志布志湾の港湾計画に関します国定公園の区域内におきます許可の問題につきましては、第一義的には県知事の権限になっておりますが、ただいま御指摘がございましたように、二十ヘクタールを超える土地の改変につきましては環境庁長官に協議をするというシステムをとっておるわけでございます。
 ところで、ただいまのお話にもございましたように、今回の当初の計画におきましては二十ヘクタールに至らず、また今回の改定につきましても二十ヘクタールに至らないということで、合計しますと二十ヘクタールを超えるということでございますが、いわゆる土地改変というものに当たるのは、合計いたしましても二十ヘクタールに満たないのが現状でございます。ただ、こうした措置が、実際の運用といたしまして非常に小さい二十ヘクタール未満の埋め立ての行為というものが、あるいは土地改変の行為というのが積み重ねられることによりまして、結果として大きな改変につながるということにつきましては、ただいま私どもがとっております行政運用の趣旨から言いましてもこれは好ましいことではないわけでございます。今回の改定計画につきましては、この程度であれば志布志湾の環境保全上やむを得ない。先ほど企画調整局長からお話ございましたように、これに対しまして十分な緑化の措置をとる、それも一般的な公園における緑化というのではなくて、さらに加重をいたしました緑化の措置を十分とるということを前提にして、この程度であればやむを得ない。しかしこれは公園としまして公園の景観を守る上からいきますと、恐らく限度であろうというふうに私どもは考えております。
#430
○兒玉分科員 どうも理解に苦しむわけですがね、環境庁長官。結果的に二十ヘクタールを超すことはわかっているわけですよ。しかも開発埋め立てが九十八ヘクタールです。五十ヘクタールを超す場合は運輸省と環境庁は協議するということに明確になっていますね。運輸省どうですか。
#431
○佐々木説明員 五十ヘクタールを超える埋め立てにつきましては、公有水面埋立法の規定に基づきまして、埋め立て行為自体についての環境保全上の観点からする御意見を環境庁長官からいただくということになっております。いまのは埋め立て法上の問題でございます。
#432
○兒玉分科員 環境庁長官にお伺いしますが、さっきこれは大隅開発とは全く無関係だということを局長言われましたが、これはもうだれが見てもそのことを本気で思っている人はないわけですよ。ということは、今回宮崎県側が二十九日に環境アセスのいわゆる評価の結果を公表しました。これらについても時間があれば後で聞きますが、その前に、いずれにしましても志布志湾の開発行為について、これは私の郷里の先輩の小山長規さんですがね、四十七年の八月、とにかくいかなる理由があるにかかわらず、沿岸地域は日南海岸国定公園の一角を占める貴重な自然であり、当時志布志湾を視察した長官は、九九%指定解除はしないと沿岸漁民にも約束をしているわけです。長官がかわればどうでもいいというものではないと思うのですよ。だから小山さんは途中で落選されまして、今度の選挙の際に、どのような理由があったにせよ、絶対に国定公園の解除はしないということを公約をされております。それは便宜上のものだとは言えないわけでありまして、そういうようなことを言われている現状から、今回、二回に分けて鎌田知事が国定公園の指定解除、これは知事の権限でできるわけです。結果的には全体的な開発行為が国定公園の指定地域において二十ヘクタール以上に及ぶことは明々白々であります。とするならば、環境庁としては、このことについて何も黙して語らずということでは、何のために環境庁が存在するのか。このことについて私は重大な因果関係があると思うのですが、環境庁長官としての御所見をこの際ぜひ求めておきたい。
#433
○土屋国務大臣 お答え申し上げます。
 先ほど来の先生の御意見、私なりに理解ができないわけではございませんが、先ほど来局長から御答弁がなされておりますとおり、二十ヘクタール以上につきましては環境庁と協議をするということになっておりまして、それ以下につきましては知事の権限において行われたということでございますので、その点はぜひひとつ御理解を賜りたいと思います。
#434
○兒玉分科員 私はどうしても合点いかないわけです。これはまた後日討論したいと思っております。
 それから、二月二十九日ですね、新大隅開発第二次案に対して、宮崎県側が環境評価を鹿児島県側に対応する発表をしておりますが、長官、御存じかどうか。それから前々の山田長官は、今後の大隅開発については、環境庁としては独自の立場で、鹿児島県が五十三年二月に発表しましたこれについてはもう十分御承知だと思うのですが、鹿児島県、宮崎県が独自の立場で評価をしても、環境庁としては、そのことで直ちに開発行為を許可することはしません。環境庁独自の立場からちゃんと環境基準の評価はした上で、開発に関する見解、態度を決定するという旨の答弁が公害環境特別委員会で私の質問に対して答弁されております。長官としては、今回の宮崎県の環境アセスの評価でもう全部オーケーだというふうに理解しているのかどうか、この点について長官の見解を承りたいと思います。
#435
○土屋国務大臣 お答え申し上げます。
 宮崎県が、今回宮崎県独自の立場で環境影響調査を行ったということは新聞で承知をいたしております。環境庁といたしましては、やはり環境保全、守るという立場から関係各県の意見等もよく聞きながら対処してまいりたいと思います。
#436
○兒玉分科員 そこで、長官にお伺いするわけですが、その際、現在論争を呼んでいます環境庁のアセス法案との関連はどうなのか、この点についてお伺いしたいと存じます。
#437
○金子政府委員 法案に関します技術的な問題でございますので、私から答弁さしていただきたいと思いますが、現在私どもが考えております環境影響評価法案は、計画策定段階におけるアセスメントを義務づけるということよりは、事業実施段階におけるアセスメントを義務づける、こういう考え方を強くとっておりますものでございますので、いわゆる新大隅開発計画を策定する段階とは一応切り離されている、こういうことでございます。
#438
○兒玉分科員 それじゃお伺いしますが、いま長官も言われたように、宮崎県、鹿児島県の大隅開発に関連する環境アセスについては、十分な検討を加えた上で対応するということには変わりないわけですね。
#439
○金子政府委員 私ども政府として新大隅開発計画に関与する段階が来れば、その段階で環境保全に十分に配慮しながら、何らかの意思の表明を行わなければならないと考えておりますが、現段階においては、先ほども申し上げましたように、この計画は県サイドで独自におつくりになったものであり、今回私どもが運輸省と協議いたしております志布志港の港湾計画改定とは別個のものである、こういうことでございます。
#440
○兒玉分科員 お伺いしますけれども、それじゃ独自のものだということであるけれども、環境庁というのは、そういう全体的な開発行為を規制する権限がないんですか、あるんですか。
#441
○金子政府委員 個別の一般的な大きな地域開発計画についていいとか悪いとかいう権限はございません。その計画がそれぞれの実施の段階に移りまして、事業化が予定され、事業者が決定してまいりますと、港湾計画であれば港湾審議会の場で、あるいは電源開発の問題であれば電源開発調整審議会の場で委員として発言する権限があるということでございますし、その他設置法上調整権というものはございますが、具体的に個別の計画について発動したというような前例はほとんどございません。
#442
○兒玉分科員 長官、お伺いしますが、いまの局長の発言はきわめて無責任だと思うのですよ。山田長官は、鹿児島県なり宮崎県が発表したアセスについては、それは一方的なものであって、環境庁独自の立場から、専門家の意見を含めて、その環境評価が適切であるかどうかということをチェックをして、それで可能なりということでない限り、オーケーということがない限りは、その環境アセス評価が正当であるという判断をしない限りは、絶対に開発行為は許可しないということを言明していますよ。議事録持ってきておりますよ。局長の見解と違うじゃありませんか。どうですか、長官。
#443
○金子政府委員 私の説明が言葉足らずだったかと思いますけれども、現在の私どもの持っております権限の範囲内では、たとえば新大隅開発計画について、いまの段階でそれがいいとか悪いとかいうことを言う立場にはないということでございます。
#444
○兒玉分科員 計画ということじゃなくて、それが与える地域住民への影響、環境破壊あるいは水質の問題、空気の問題、自然破壊、それを統括するのは環境庁と違いますか。局長の答弁は、どんな開発をしようともそれは勝手だ、知らない、独自の問題だ。これじゃ環境庁は一体何のためにあるんだ。歴代長官は言ったじゃないか。あなたは長官の見解を否定する権限を持っているのですか、それじゃ。どうですか。
#445
○金子政府委員 私が申し上げておりますのは、新大隅開発計画というような計画を県などがおつくりになるのは県が独自の立場でなされることであり、そこまでの段階においては環境庁としていろいろな意見を述べると言う立場にはない、こういうことでございます。
 問題は、その計画に基づいて何らかの事業が具体的に行われるという、その直前の段階まで参りましたら、そこは環境庁が出ていかなければいけないところだと思っております。
#446
○兒玉分科員 局長の答弁では納得できませんよ。環境評価ということについて、二十九日宮崎県が発表しております。鹿児島県は五十三年二月に発表しておりますよ。その各項目について、それは妥当なものであるかどうかということを全然検討しないのですか。局長に聞きません。長官どうですか。小山さんは、九九%公園の場合は指定解除はしないということは、環境破壊のおそれ可能なりという立場から申されているわけです。山田長官は、環境庁が独自の立場からこれを十分検討した上でなければ開発行為に対しては承認はしませんとはっきり国会で答弁しているわけですよ。局長の受け取り方はどうも間違っておる。それでは何のため環境基準というものがそれだけ検討されるのか。その基本的な問題ですよ。長官、どうですか。
#447
○土屋国務大臣 お答え申し上げます。
 宮崎県、鹿児島県、それぞれ県独自の立場でいろいろ計画をなされ、発表なされておるわけでございますが、環境庁といたしましては、やはり環境保全という立場から、今後も各県の御意見等も承りながら対処してまいりたいと思います。
#448
○兒玉分科員 参考人の方どうも済みません。
 大隅開発の第二次試案で三号用地に石油精製三十万バレルと備蓄の一千万キロリットルというのが予定されておるわけです。これは、私、宮崎県ですけれども、生まれは鹿児島県でありまして、よく事情を知っているわけですが、たとえば鹿児島県の喜入の場合でも、これが来れば人も使えるし、町も栄えるということでございましたが、悪臭を放ち、しかもよくなるどころか余り人も使ってくれない。結局は、錦江湾を汚染し、住民に悪臭をもたらして、そしてほとんど益するものがない、こういう苦い経験。あるいは四日市の例は言うまでもなく、ぜんそくの四日市、こういうことでもって、志布志湾沿岸の住民は大変な不安を持っておるし、四十一年三月、運輸省の四港建は志布志湾地域開発計画報告書の中において、志布志湾が台風避難の観点から見ても、とにかく欠陥港であるという問題を指摘されておりますが、これについて石油公団並びに資源エネルギー庁としてはどういうふうな対応をしようと考えているのか、この点についての見解を承ります。
#449
○佐藤参考人 石油公団の仕事といたしまして、五十三年度から国家備蓄を六十年度ごろまでに二千万キロリットルの油の入る基地をつくるようにというのがわれわれに課せられた仕事でございまして、その仕事を遂行するために適地の調査をやっておるわけでございますが、ただいまのところでは二千万キロのめどで八カ地点を一応候補地点といたしまして調査をいたしております。
 志布志につきましても、このたびの二千万キロリットルの候補地点の中にぜひ入れてくれという要望が鹿児島県から出されたことは事実でございます。ただ、われわれといたしましては、よくよく検討いたしました結果、六十年度までの完成というのはいろいろな問題でとても無理であろうということで、今回は外しております。
#450
○藤尾主査 森清備蓄課長。簡単明瞭に願います。
#451
○森清説明員 いま石油公団の佐藤理事からお話がございましたのと私どもの考え方は全く同じでございますけれども、志布志を私どもの具体的な国家備蓄の候補地点として調査をするかどうかというところまではまだ至っておらぬ状況でございますので、志布志の港湾問題やら環境問題、そういったもろもろのブレークダウンした問題については、まだ私どもとして本格的に取り上げて検討する段階にまで至っていないというところでございます。
#452
○兒玉分科員 終わりました。
#453
○藤尾主査 以上で兒玉君の質疑は終了いたしました。
 次に、四ツ谷光子君。
#454
○四ツ谷分科員 大阪に能勢というところがございます。そこに能勢の郷というのがありまして、これは防衛庁が第三次防衛計画でナイキ基地を建設されるという予定であったところですけれども、ちょうど黒田革新府政のときでありましたし、大阪府民の自然を守る、平和を守るという観点から、ただいまではナイキ基地がつくられずに、能勢の郷という本当に自然の環境を生かした府民の憩いの場になっておりまして、府民の皆さん方から大変親しまれているところでございます。
 それから、本日私が主として御質問申し上げたい北生駒の、金剛生駒国定公園の中にございます、非常に乱開発のために荒れております北生駒のすぐ隣接をしましたところに室池という府の施設がございます。これも府が前もって買い取りまして、これは国土庁並びに環境庁の皆さん方も見に来ていただきましたときには、非常に緑の少ない大阪としては珍しく自然がよく残されている、こういうふうに評価をいただいているところでございます。自民党による高度経済成長政策の中で非常に自然破壊が進んできた中で、政治がよければ環境が守られるということは、大阪府の幾つかの例によってもはっきりと示されているところでございます。ところが現実はどうかと言いますと、環境行政については常にそうした開発行為の後追いになっている。こういうふうな中で、自然を私たちの暮らしの中に、命を守るために、いかに大切に私たちの子孫に残していくかということが非常に重大な課題になってきているところでございます。
 時あたかもことしは万博が開かれてから十年目に当たるわけです。大阪では、万博が開かれたということでいろいろな障害が起こりました。万博が済むまでは学校建設は見合わせてほしいだとか、公共下水道の計画等もずっとおくらされてくる、そういうふうな状況がつくり出されてきたわけですけれども、この万博会場をつくるために、その土は一体どこから取られたか。この問題は、毎年のように国会でわが党の議員も、また各党の議員も質問をしておられますので、いまさら申し上げることはございませんけれども、北生駒の土がいいということでここの開発が進みました。府の調査によりますと、昭和五十三年度現在では約百五十万トンの土が取られている。大阪府の全需要の三六%の土がここから取られていると言われていますが、昭和五十年度では大阪府の全需要の実に四八%にも及んでおったと言われています。最高は五百ヘクタールに上るような土砂の採取が行われました。
 この地図はただいま指摘した場所でございますが、ここにありますように、この赤で囲んでいるところが土砂採取跡地でございます。それからここがいま取っているところなんです。こういうふうに全地域にわたりまして虫食い状況で土が取られている。先ほど申しましたのは、この地域が室池施設になるのですが、ここだけは買い取られたために自然が残っているという状況です。この緑はゴルフ場ですけれども、こういうふうに地図の上で見ますとこういうものかということですけれども、毎日のようにこの場所で暮らしている者にとりますと、あっと言う間に自然破壊が進んでいるという状況で、本当に恐ろしいような現象が起こっていたわけでございます。
 しかも、昭和四十七年七月の豪雨では地すべり、山崩れが百八十二カ所起こりましたし、その年の九月の台風では地すべり、山崩れ六十八カ所、おまけに死傷者四人まで出ている。これは清滝川の溢水によって起こったわけでございます。それから同じ四十七年七月の豪雨で大東に御存じのとおりの水害が起こっている。こういうふうに山の乱開発が地元の人たちには水害となりあるいは山崩れとなる。おまけにダンプ公害ということで、ピーク時には一日三千台からに上るダンプが百六十三号線という国道筋を走り回る、それによる交通事故も後を絶たなかったというふうなことが言われております。
 結局、万博を初め関連公共施設のために北生駒から土が取られて、地元の四条畷、大束、交野は何の恩恵も浴さなかった、被害だけが残っている。しかも、昨年から工事現場の残土、瓦れき、アスファルト、粗大ごみの不法投棄等も行われまして、非常に惨たんたる状況がいまもまたつくられております。余りにもひどいということで、四条畷がどのような車がどれほど上がってきてごみを捨てるのか、あるいは土砂を取っていくのかということを調べました。これは二月の六、七の両日にわたって調べたわけでございますけれども、ごみを搬入してくる車が大体四百五十台に上る、それから土砂を搬出する車が三百台からに上る、このような状況がいまだに続いているということでございます。このたびやっと国に重い腰を上げていただきまして、昨年から二年間にわたる調査をしてくださることになりました。これは地元にとりましては一つの段階を上がったということで非常に喜ばしいことではありますけれども、もし、ここにあの小豆島と同じような雨が降ればどんな災害が起こるかわからないというのが現状でございます。したがいまして、この北生駒の問題につきましては、ただいま国土庁、環境庁、建設省、林野庁等の四省庁で合同調査をしていただいている、縦割り行政と言われている中で横に並んで調査をしていただいていることは非常にありがたいことだと私は思っているわけでございますけれども、まず国土庁に今度の調査の目的と位置づけにつきましてお答えを願いたいと思います。
#455
○平野説明員 お答えいたします。
 先生いま御指摘の生駒の現状につきましては、私どもよく存じておりまして、六甲とか金剛生駒等近畿圏の都市近郊におきまして、山地、丘陵地につきまして各地で土砂採取等が行われておりますことは自然環境の保全……
#456
○藤尾主査 明確に御答弁願いたいと思います。
#457
○平野説明員 国土の保全を図る意味におきましても緊要な課題だと考えております。国土庁といたしましては、近畿圏整備の観点から、大規模かつ無秩序な土砂採取による自然環境の破壊が問題となっておりますこの北生駒地域につきまして、大都市近郊の緑地地域における土砂採取問題に対処するためのモデルケースといたしまして、自然環境の保全回復、森林の保全整備、土砂害の防止、地域整備等を含めました総合的な保全整備計画を策定いたしますために、環境庁、林野庁及び建設省と共同いたしまして、また資源エネルギー庁及び大阪府の協力も得まして、昭和五十四年度から二カ年計画で国土総合開発事業調整費をもちまして調査を実施しているところでございます。
#458
○四ツ谷分科員 ただいまの国土庁の御答弁によりますと、国土の保全ということ、それから近畿圏整備の中で緑化回復あるいは緑を守っていくという観点からこの調査を進めていただいておる、全国のモデルケースとしての位置づけであるというふうにお答えをいただきました。そのとおりにぜひ進めていただきたい、このように思うわけでございますけれども、いろいろとこの問題をめぐりまして思惑が働いているようなところも聞いております。ここに住宅を建設するとか、そういうふうなこともあるというふうに聞いているわけでございますけれども、ぜひとも自然環境を守るという観点から、国土庁として窓口としての位置づけを明確にしていただきたい、このように思っております。
 その次には環境庁にお伺いしたいと思います。
 ただいま国土庁から四省庁の窓口としての調査の目的と位置づけについてお答えをいただきましたが、環境庁としては、このたびの調査についてどういうふうな目的と内容でお進めになっておりますか、それをお答え願いたいと思います。
#459
○藤森政府委員 お答えを申し上げます。
 調査目的は、ただいま国土庁からお話があったとおりでございますが、私の方といたしましては、大都市近郊の国定公園における自然環境の保全ということを目的としてこの調査を実施したいと思っているわけでございます。また、そのとおりに実施をいたしておるわけでございまして、具体的には自然環境の現況調査、これは動物の分布とかあるいは植生、それから景観等に関する調査でございますが、こうした自然環境の現況の調査と、国定公園の利用状況につきまして、利用者の動態の調査等を実施をいたしているわけでございます。これらの結果に基づきまして、採石が行われている北生駒地区の自然環境保全の基本方針を策定する調査を実施し、これに基づいて保全の計画を立てたい。これは四省庁の足並みをそろえて実施をしたい、かように考えております。
#460
○四ツ谷分科員 それでは国土庁と環境庁と両方にお伺いしたいんですが、五十四年度の調査では大体基礎調査、こういうふうに考えてよろしいでしょうか。
#461
○平野説明員 具体的に各種の基礎調査をいたしまして、その上で基本方針まで取りまとめたいというように考えております。
#462
○藤森政府委員 私どももただいま国土庁でお答えになりましたとおりに計画を進めております。
#463
○四ツ谷分科員 そういたしますと、五十四年度に基礎調査、そして基本方針までということでございますが、五十五年度としてはどういうふうな調査を主にされる御予定でございますか。
#464
○平野説明員 五十四年度においてまとめました基本方針を受けまして、基本整備計画を取りまとめていきたいというふうに考えております。
#465
○四ツ谷分科員 環境庁にもお願いいたします。
#466
○藤森政府委員 先ほどお答えしましたとおり、国定公園にかかる分が相当分ございますので、私どもも国土庁のお答えになりましたように、基本的に整備計画、特に国定公園にかかるものにつきまして計画策定ということに努めてまいりたいと思っております。
#467
○四ツ谷分科員 五十四年度と五十五年、二カ年かかって北生駒の調査をし、そして、方向づけをしていただくことになっているわけでございますけれども、こうした場合の調査の内容につきまして地元に公開をしていただけますか、どうでしょうか。
#468
○藤森政府委員 国定公園でございますので、公園計画も、あるいはただいま申しました調査というようなものも、大体府が中心になる、もちろん私ども参加をいたしますが、中心になるわけでございまして、その過程において地元の御意見も反映できるというふうに考えております。これはあるいは国土庁からお答えいただくものかもわかりませんが、この委員会におきましては、地元の学識経験者とか地元公共団体の責任者という方々が入っておりますので、そこで十分ただいま御指摘のような意見を反映される、かように思っております。
#469
○四ツ谷分科員 ただいま地元の意見ということなんですけれども、府が窓口である、こういうふうなことも申されました。また、地元の学識経験者、これはコンサルが行われておりますので、その委員の方々は学者の方々がそろっていらっしゃるわけですけれども、これはどうしても地元住民の生の声を反映をしていただかなければならない、こう思うわけでございます。地元では、もうすでにいろいろとこういうところに跡地をこぼしてほしいとか、あるいは自然保全が最も大事なんだとか、いろいろと御意見が出てきております。そうした生の声を反映するにつきまして公聴会などをお開きになる、そういうふうな御意思はありますでしょうか。国土庁にお伺いしたいと思います。
#470
○平野説明員 この調査をまとめます過程におきまして、いろいろな方法で地元の意見というのは吸収してまいりたいと思っております。先ほど先生のお話もございましたように、委員会の中には大阪府の担当者も入っておりますし、また大阪府の中に関係する各課が集まりました協議会をつくりまして、そこで地元の御意見も伺うということにいたしております。また、実際私どもの調査を進める過程におきまして、調査の委員あるいは調査のコンサルタントの事務局等が地元でいろいろな御意見を伺うということもぜひ実施さしていきたいというふうに考えております。
#471
○四ツ谷分科員 ただいま国土庁からそういう地元の声をいろいろな形で聞いていきたい、こういうふうなお答えがございましたので、ぜひそれは実現をしていただくように強く要望いたします。
 ところが、二年間の調査をしていただきまして、具体的な方向がどういうふうに出てくるか、重要な時期に来ているわけでございます。残された課題といいますと、環境保全の問題あるいは緑地回復の問題、災害防止、現に土砂がまだどんどんと採取をされております、その土砂採取をどうするか、とめるのかとめないのか、あるいは一定の地域を決めて取るのか、こういうふうな問題もございます。この生駒真砂土というのは、建築骨材としてきわめて優秀な骨材であるというふうなことから、公共事業に対する需要もまだまだ多いということも言われておりますので、土砂採取の問題は非常に重要な問題ではないかと思うのです。また、どうにもならなくなった岩盤の露出しているような部分については一体どうするのか、跡地利用の問題、それからいま大阪府が地元で非常に問題にしております廃棄物の処理は一体どうするのか。それから、この北生駒には、四千とも五千とも言われております、いわゆる民有地になっているわけですけれども、いまは地籍も明確でなくなっているが、とにかく向こうに土地を持っているのだ、こういうふうな方もたくさんいらっしゃる。こういう方々の権利やその他の補償について一体どうするのか、非常にたくさんの問題が残っています。
 そして、この二年間の調査で、先ほどおっしゃいましたように、たとえば環境庁としては国定公園としての面目を残すような、そういう方向にもっていくためにその方向づけをしたい。国土庁の方も近畿圏整備の中で国土保全という観点からやっていきたい、こういうふうにおっしゃっていただいたわけですけれども、保全事業に関する費用としては莫大なものが要るのではないか、こういうふうに考えます。人間が自然を壊すのはあっと言う間に壊しますけれども、ここに本当に緑を回復するためには、三十年、五十年はおろか、恐らく百年はかかるのではないか、こういうふうに私たちは考えているわけですけれども、せっかくいい方向を出していただいても、もう一年で終わるわけでございます。来年の三月末が来まして、調査が終わりました、こういう方向が出ました、しかしお金がありません、一体どうするのですか。だれが責任を持ってこの跡地を回復させるのか、こういうふうなことは非常に重大な問題ではないかと思うのです。
 この際、私の考えとしましては、いま非常に荒れている生駒のあの地域を買い取っていただくことはできないかどうか、こういう問題が重大な問題として残っていると思うのですが、これは環境庁に伺いたいのですけれども、この地域の買い取りということについて、環境庁としてはどのようにお考えでしょうか。
#472
○藤森政府委員 お答えを申し上げます。
 現在私ども環境庁が所管しております、民有地の買い上げという制度があることは御承知のとおりでございますが、これは国立公園、国定公園等の自然保護とそれから民有地の私権との調整を図るために四十七年度にできた制度でございます。この制度は、現在のところ、買い上げ対象を国立、国定公園内の特別保護地区と第一種特別地域、それから国設鳥獣保護区の特別保護地区というふうに、特に保全の上で重大な関係のあるところといいますか、きわめて重要な地域に限って適用をしているということでございます。したがいまして、この現行の制度をもってしましては、ただいま御質問の北生駒の採石地域の問題、いわゆる金剛生駒国定公園の地域は、現在のところ、第二種及び第三種というふうな特別地域でございますので、この制度による買い上げ対象には、残念ながらならないわけでございます。
 なお、この当該地域の自然環境の保全の問題につきましては、現在、ただいま申しましたような計画が進められておりますので、その結果を十分見まして、それを踏まえて、環境庁としてできること、関係省庁と協力しなければできないこと、あるいは大阪府の協力を得なければいけないこと、いろいろあると思いますが、それらにつきまして関係者が協議をいたしまして、いずれにしましても保全のための適切な措置が講じられるように、私どもとしましては努力をしてまいりたい、かように考えております。
#473
○四ツ谷分科員 ただいま環境庁からお答えいただきましたけれども、まず第一に、第七十一特別国会の衆議院の建設委員会でわが党の村上代議士が質問しましたときにも、同じ質問を村上代議士がしております、買い取りはできないのかと。そのときに、当時の環境庁自然保護局企画調整課長の新谷さんがお答えになっているのは「国定公園につきましても」国立公園と「事情は同じでございますので、そういう方向に拡大できるように努力をいたしたいと考えております。」こういうふうにお答えをいただいたわけです。これは恐らく買い取りということについて拡大をするため努力する、こういうふうにお答えになった。七十一国会ですから、恐らくこれは昭和四十八年ではなかったかと思います。ところが昭和五十二年十月十四日の衆議院決算委員会で社会党の議員から同じこの問題が出されたわけですけれども、そのときには、いま局長がお答えになったことと同じことを出原さんがお答えになっている。そういたしますと、四十八年から、ことしは五十五年になるわけですから、年度で言ってもあれですが、ほぼ七年の年を経過しておる。七年の年を経過しておるのに、お答えの方は進むどころか後退をしておる。こういうふうなことで、いまの法律の中ではどうにも手の打ちようがない、関係省庁で考えていく、こういうふうにおっしゃっておりますけれども、問題は、ただ単に北生駒の問題だけではないと思うのです。ただいま大都市周辺の緑が非常に少なくなってきております。東京でも大阪でも本当に貴重な緑というものが少なくなってきている。特にこの金剛生駒国定公園、これは大阪府民にとりましては淀川とともに緑のシンボルであり、残された唯一の大切な自然でございます。なるほどただいまの法律でいきますと、学問的にも非常に貴重な自然であり、ここだけが買い取りの対象になっている。もちろんそうした自然がだんだんと破壊をされていくこの現状では、そうした問題は大事です。しかし、たくさんの人間が生活をし、環境庁の長官も、自然は自分たちの命と同じように大切だというふうに所信表明の中でも述べていらっしゃる。大都市周辺の緑を守っていかなければならないこのときに、いま法律の範囲がございませんのでというふうな七年前と余り変わらないようなお答えでは、五十五年度の調査が終わって、さて絵は書けましたけれども、絵に書いたもちでございました、あとは大阪府でやってください、地元の四条畷でやってください、府民がお互いに基金を出してください、こう言われたのでは困ったことだ。といいますのは、この北生駒の土がこれほど荒れ果てたのも、国の事業でありました万博のために土が取られた。いわば、原因者負担ということになりますと、国の事業でありますから、国がはっきりとした態度をお出しにならなかったら、私どもも市もあるいは府民も協力することはできない、このように思うわけでございます。
 先ほど局長の方から、関係省庁と相談をして何とか対策をということでございましたけれども、この問題につきまして、長官の方から一言前進的なお答えをぜひ伺いたいと思うわけでございます。
#474
○土屋国務大臣 お答え申し上げます。
 自然は、人間の生命をはぐくむ母体であると言われております。先ほど来、先生が図面をもってお示しになられましたとおり、自然は一たん破壊されますと、それを戻すことは大変でございます。
 そこで、環境庁といたしましては、環境庁の使命である自然環境の保全に対しましては、全力を挙げて努力をいたしてまいりたいと思いますし、予算的措置の問題につきましても、関係省庁とよく協議をしながら検討してまいりたいと思います。
#475
○四ツ谷分科員 ただいま大臣の方からそういうお答えをいただきましたが、この北生駒の緑を取り戻す、自然を取り戻すということには、これは私の地元の問題として、大阪府民の問題として、目鼻がつくまで徹底的に追及をさしていただきたい、このように私は思っておりますので、ただいま長官がお答えいただきましたことにつきましては、折に触れ時に触れ、また尋ねさせていただきますので、ただいまの御答弁のとおり、よく検討していただきたいと思います。
 さて、もう時間がございませんが、最後にお伺いしたいのでございますけれども、この北生駒は、先ほど長官もおっしゃいましたように、一度壊した自然はなかなか取り戻すことはできない、その自然回復のために、やっと昨年から四つの省庁が腰を上げてくださった、調査が始まったという段階でございます。北生駒にこれで緑が回復をされるという保証はまだありませんし、また大東の水害やあるいは清滝川のような温水は、たくさん雨が降ればもう起こらないという保証もないというのが現状でございます。ところが、いま御存じのとおりに、関西新空港の問題が出てまいりました。まだ工法もはっきり決まっていない段階でこれはなかなかむずかしい問題だと思いますけれども、仮に埋め立て工法ということも考えられるとすれば、五億立米に上るという土砂をどこからかとってこなければなりません。まだどこからとってくるということははっきりしていない、こういうふうにおっしゃいますけれども、すでに新聞紙上等では泉南地域の山十数カ所から土をとろう、こういうふうな計画さえ出ていると言われておりますけれども、もし五億立米の土がここから採取されるということになりますと、ちょうど守口市がすっぽり入るぐらいの穴があくわけです。そうすると、北生駒と同じことがこのことによって起こる。水害も起これば、あるいは地すべりも起こるかもわからない、河川もはんらんするかもわからない、そういうふうな重大な問題を含んでいるわけでございます。先ほどの御質問の中にもありましたけれども、こうした問題について、環境庁がこうした大型のプロジェクトが行われる場合に、現在ではその事業を行う省庁が調査をされるということになっておりますけれども、これは重大な問題を含んでいると思います。
 環境庁の長官に最後にお伺いしたいわけでございますが、こういう問題について環境庁としてはどういうふうに積極的に対応して自然を守り、私たちの住環境を守る方針を出してくださるのか、その点について御答弁を願いたいと思います。
#476
○土屋国務大臣 現在関西新空港の問題につきましては直接関与いたしておりませんが、環境庁といたしましては、空港計画に即した環境影響評価が実施される段階になりましたならば、環境庁といたしましての意見も述べてまいりたいと思いますし、また国を挙げての大プロジェクトでもございますので、環境庁といたしましては重大な関心を持って取り組んでまいりたいと思います。
#477
○四ツ谷分科員 ただいま関西新空港の問題等についてお答えをいただきましたけれども、これは環境アセスメント法案の出産が非常にお苦しいようでございます。いま企業側の方からアセスメント法案がなるべく出ないようにというふうな動きがあったり、また出しても骨抜きのアセスメント法案を出そう、こういうふうな動きもあるというふうに聞いております。長官が大変御努力をしていらっしゃることは私も仄聞をしておりますけれども、そうした大勢に流されずに、本当に私たちの自然環境が守られ、私たちの子孫によい環境が残されるように、ぜひとも内実ともに強い規制力を持ったアセスメント法案が出るように、御努力いただきますように御要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#478
○藤尾主査 以上で四ツ谷君の質疑は終了いたしました。
 次に、近江巳記夫君。
 ただいま日本住宅公団理事有賀虎之進君及び日本道路公団理事持田三郎君に参考人として御出席いただいております。参考人の御意見は、分科員からの質疑によってお述べ願いたいと存じます。
#479
○近江分科員 私は交通公害の問題でお伺いをしたいと思います。
 今日交通公害の問題につきましては、全国的に拡大の一途をたどっておるわけであります。そのことにつきましては、五十三年に環境庁が調査をしたのを発表いたしておりますけれども、自動車騒音一つを見ましても悪化の一途をたどっておるということはもう御承知のとおりでございます。
 そういうことで、騒音、振動あるいは大気汚染等、非常に拡大をしておるということに対しまして、非常に懸念をいたしておるわけでございます。私は、この問題につきましてかねてから重大関心を持っておりまして、この問題を取り上げてきたわけでございまして、昭和五十二年十一月一日、公害対策並びに環境保全特別委員会でも取り上げました。また、五十四年二月二十八日、予算第一分科会におきましても、環境庁さんを中心としてお聞きをいたしたわけでございます。
 そこで、やはり具体的に問題を取り上げた方がいいだろうということで、私は、東洋最大と言われる、いわゆる大阪におきます千里ニュータウンの例をもって質問をいたしてきたわけであります。人口十三万、全国で初めてできましたニュータウンであります。しかしながら、御承知のように、幹線道路がその住宅街の中を縦横に抜けておる。こういう中で著しい環境悪化が見られるわけであります。そういうことで、私はこの具体例をもって皆さんにこの対策を求めてまいりました。このことを全国の交通公害問題解消への突破口にしていきたい、こういう観点で私は取り上げてきたわけでございます。
 そこで、先ほど申し上げましたように、五十四年二月二十八日、私が千里ニュータウンにおきます各地域で問題点を具体的に指摘をいたしまして、その対策を求めたわけであります。それ以後、関係各省におかれましてどういう対策を具体的におとりになったのかということを、環境庁、建設省、住宅公団、道路公団、運輸省、警察庁等の順序で御報告をいただきたいと思います。
#480
○三浦政府委員 お答えいたします。
 先生御指摘の千里ニュータウンにおきます道路交通公害につきましては、環境庁といたしましても激甚地区の一つという認識を持っておるわけでございます。
 このような道路交通公害の著しい個所の対策を促進するために、環境庁といたしましても各省にいろいろ協力をお願いするということで、関係機関もいろいろ対策を講じられておるわけでございますが、環境庁といたしましても、自動車本体から発生する排ガス規制、あるいはまた騒音の許容限度の強化を逐次行ってきております。あるいはまた、さらに昭和五十三年の十月に設置されました交通公害対策室が中心となりまして、関係省庁の課長クラスによります道路交通公害連絡会議を開催いたしまして、関係機関に働きかけて交通公害対策の推進に努めておるところでございます。
#481
○沓掛説明員 お答えいたします。
 五十四年二月二十八日、予算委員会第一分科会において、千里ニュータウンの騒音問題について先生の御指摘があり、建設省としても、騒音の防止のための対策について関係機関と協議を進め、遮音壁の設置や住宅のサッシによる防音化等、次のような措置を行うことといたしております。
 新千里西町につきましては、日本道路公団において遮音壁の設置を行いました。新千里南町の府営の賃貸住宅については、大阪府において防音サッシの取りつけ工事を実施中であります。
 新千里東町の日本住宅公団の賃貸住宅については、住宅公団と道路公団が協議し、防音サッシの取りつけを行う予定であります。
 新千里南町の大阪府住宅供給公社の賃貸住宅についても、防音サッシを取りつける予定であると聞いております。
#482
○尾松説明員 御指摘の公害問題でございますが、私ども運輸省といたしましては、特に大型トラックによります騒音などの公害対策といたしまして、輸送を確保しなければならないということはございますけれども、たとえばトラックの法定の速度、あるいは法定積載量を完全に遵守するということ、さらには運転マナーの向上を図るというようなことを、トラック業界とか末端の運転者に至るまで指導しなければならないと考えてやっておるところでございまして、トラック協会の方におきましても、過積載の防止あるいは法定速度の遵守というようなことにつきまして、周知徹底、PRに努めておるというところでございます。特に過積載の防止、法定積載量の遵守ということにつきましては、昭和五十三年八月に自動車運送事業等運輸規則を改正いたしまして、トラック事業における過積載防止の徹底を図ることといたしました。同時に、昭和五十三年十二月に改正道路交通法が施行されたことを契機といたしまして、一層過積載の自粛を徹底させるように指導いたしてまいりまして、かなりの改善の結果が見られておるというふうに考えております。たとえば営業用トラックにおきましては、法律施行前と施行後一年間を比較いたしまして、六三%ぐらい営業用トラックの違反の検挙件数が減っているというふうになってまいっておるところでございます。
#483
○持田参考人 お答えいたします。
 先ほど建設省の御答弁にありましたように、昨年先生から御指摘いただきまして、大阪府並びに住宅公団その他関係機関と鋭意協議してまいりまして、相互に協力してこの問題を解決しようということで、現在まで、道路公団としましては、新千里の西町の住宅の前面に二百二メートルの防音壁を五十四年の九月に完成してございます。
 それから、新千里の東町でございますが、これは住宅公団の団地でございますが、その道路に面します住宅につきましては、住宅公団側で防音工事をされるわけでございますけれども、その費用につきまして共同負担するというふうになってございます。
 以上でございます。
#484
○有賀参考人 昨年の二月二十八日先生が御指摘になりましたのは、先ほど来お話がございますように、私どもの新千里東町賃貸住宅団地のことでございますが、これにつきましては、大阪府、それから日本道路公団と協議してまいったわけでございますが、道路公団の方からお話がございましたように、結論といたしまして、道路公団と住宅公団で費用を負担いたしまして、道路沿いの六棟の百八十戸の窓をアルミ製の防音サッシ、これに取りかえる改良工事をすることにいたしました。現在、設計中でございまして、近く、この三月中には発注する予定になっております。
#485
○広谷説明員 警察といたしましては、御指摘の交通公害を防止する立場から、特に、従来から中央環状線の速度を毎時六十キロから毎時五十キロに引き下げる、あるいは新御堂筋線の側道部分におきます最高速度を六十キロから四十キロに引き下げるというふうな交通規制の面からアプローチをいたしておるわけでございますけれども、特にこの速度の規制につきましては、実際にこの規制が守られなければならぬという意味から取り締まり面に大変な力を入れておりまして、昨五十四年中には、五十三年に対比いたしまして七千七百件の増加でございます三万八千余件の取り締まりを実施している、こういうふうな状況でございます。
 なお、昨年五月には、吹田市内の下新田の新御堂筋本線上に無人速度取り締まり装置を南行、北行各一基設置いたしまして、指導、取り締まりの強化をやっておりますし、また、道路管理者とお話し合いをいたしまして、「静かに」という文面を表示いたしました看板を設置するなど、その他の対策も講じておるところでございます。
 なお、本月中には、中央環状線に無人速度取り締まり装置一基をさらに設置いたしまして、なお一層、この速度規制が守られるように、実効が担保できるようにしていきたいというふうに考えておるところでございます。
#486
○近江分科員 それなりの努力をしていただいて、若干の進歩があるということにつきましては、御努力を多とするものでございます。しかし、問題というものは非常に残っておるわけでありまして、先ほど建設省からお答えがございましたが、住宅供給公社の分については、今後対策をとる予定と聞いておりますという、こういう頼りない答弁なんですね。私は、この問題については通告もしているわけですから、聞いておりますということは一体どういう意味ですか。やるのかやらないのか、これはどうなんですか。どういう詰めをいままで政府は責任を持ってやってまいりましたか、お聞きしたいと思います。
#487
○沓掛説明員 お答えいたします。
 新千里南町の大阪府住宅供給公社の賃貸住宅については、一応供給公社の方から、防音サッシを取りつけるという話を聞いておるわけでございますが、いつ取りつけるかの時期等については、まだ今後そういう取りつけを予定しているというお話でございましたので、いま申し上げたようにお答えしたわけでございます。
#488
○近江分科員 道路公団さんなり住宅公団さん、あるいは大阪府は、努力して現実にこういうサッシの工事がもう始まりつつあるわけですね。また、防音壁等もできているわけですよ。それを現時点において聞いておりますということは、これは余りにもおくれ過ぎだと思うのです。したがいまして、地元におきましては、当然、豊中市もございますし、市長さん初め理事者、議会もあるわけですが、同時に、千里交通公害対策協議会もございます。地元自治会等もあるわけですね。ですから、そうした話し合いを進めて、関係省庁がこのように力を入れておるわけでございますから、それをいつから話をまとめて実行するか、いまそういう段階ですよ。聞いておりますという感触は、非常に責任の薄い感じが私はするわけです。それにつきまして建設省は、この住宅供給公社というのは、大阪府の外郭団体でございますが、当然、これの監督責任は建設省にあるわけですから、そういうなまぬるいことでは私はよくないと思うのです。ですから、早急に地元でいろいろ意見も聴取をして、どの方法が一番いいのかということを一日も早く煮詰める必要があると思うのです。今後のスケジュールについて責任のある御答弁をお願いしたいと思います。
#489
○沓掛説明員 お答えいたします。
 いま先生御指摘のように、この住宅供給公社は大阪府の住宅供給公社でございますので、私たち直接これを管理しておるわけではございませんので、あくまでも先方の方に防音サッシを取りつけてほしいという要望をし、その返事として、一応そういう方向で進んでまいりたいという答えを受けておるわけでございます。
#490
○近江分科員 あなた、私の質問時間はきょうは三十分しかないのですよ。そんな同じ答弁を繰り返したって仕方がない。したがって、大阪府に対して、または住宅供給公社に対して、あなたが出向くかあるいは来てもらうかして、道路公団、住宅公団、大阪府、こんなに真剣にやっているのでしょう、したがって、建設省も責任があるわけですから、もっと早くそれが実るように作業を進めていただきたい。もっと責任のある答弁をしなさいよ、真剣に努力しますという。いかがですか。
#491
○沓掛説明員 私は、道路局の企画課長でございまして、道路関係のこと、たとえば日本道路公団等につきましては、いろいろな関係を深く持っておりますので、そういう関係で強く指導してまいりますし、また日本住宅公団につきましても、これは建設省の所管である公団でもございますので、住宅局等を通じて強く要望してまいるものでございますが、先生御指摘の住宅供給公社は、これはあくまでも大阪府のものでございますので、私たちとしても、できるだけこれから努力等はしてまいりたいとは思っておりますが、国が直接関係しておる機関よりも一歩離れておるということで、いままで申し上げたようなお答えをしたわけでございます。
#492
○近江分科員 いずれにしても公共住宅なんですね。住宅供給公社だけがこういうようにおくれておる。これについてはあなたは遺憾とは思いませんか。これだけがおくれておるということについてあなたはどう思うのですか。
#493
○沓掛説明員 お答えいたします。
 それぞれの機関において最大の努力をすることは、先生御指摘のとおり、必要であると思います。したがって、大阪府においても最大の努力をしていただくよう私らの方からもいろいろ申したいと思っております。
#494
○近江分科員 ひとつ大阪府に対しても強く建設省からそれを指導し、一日も早く実現できるように御努力をいただきたいと思うのです。長官、いかがですか。
#495
○土屋国務大臣 先生の御意思を体しまして、関係省庁に強く連絡をとります。
#496
○近江分科員 そこで、細かい問題がまだたくさん残っておるのですが、一つは、御堂筋線にあります住宅公団の分譲住宅は、もういわゆる権利が離れたからということで取り残されているのですね。しかし、公害で苦しむ住民は、自分らだけが取り残されておる、この問題をどうするかということです。あるいは民間の分譲住宅も同じようにございます。まず、この点についてはどうですか。
#497
○沓掛説明員 御指摘の御堂筋線を含め、一般道路における住宅の防音工事の助成等につきましては、今国会に提案しております幹線道路の沿道の整備に関する法律案において、要件に該当する幹線道路の沿道で所定の手続の整った場合に、騒音の著しい住宅に対し防音工事の助成を道路管理者が行うことといたしております。御堂筋線の千里地区については、交通量も非常に多く、騒音も著しいので、この法律が制定された場合、沿道整備道路に該当するものと思われますので、関係地方公共団体等と十分協議して対策を検討するよう指導してまいりたいと思っております。
#498
○近江分科員 この法律が国会に提案されている、ぜひわれわれとしても協力したい、このように思っております。いままでこういうことが非常に遅過ぎたのです。これが、皆さん方に先見の明があって、せめて十年前くらいにでもこういう法律があれば、もっと多くの人が救われたわけです。そういう点では、非常に遅きに失したけれども、この法律ができれば、いまおっしゃったように救済の道も開かれるわけですね。しかし、そういうことで法律ができたといえども、今後、運用という点におきまして、本当に満足がいくものができるかどうかという点については、心配な点があるわけです。そういう点では、今後われわれ、法案をじっくりと担当委員会で審議をして、問題を指摘していきたいと思っておりますが、いずれにしましても、そういう取り残された方々が交通公害のために非常に苦しんでおられるわけでありますので、建設省さんとしても、また環境庁さんとしても、十分ひとつ対策をとっていただきたいと思うのです。
 それから、この府営住宅については、大阪府さんがサッシをおつけになる、非常に結構なことだと思うのですが、この点、道路公団さんと住宅公団さんで同じようにサッシをおつけになるわけですが、大阪府でやる工事と差がない、どちらもそれだけの効果の出る、そういう工事でないとまずいと思うのですが、その点について話し合いされていますか。
#499
○有賀参考人 お答え申し上げます。
 府の方の対策の細かなところまで、私、現在まだ聞いておりませんけれども、府等ともいつも連絡しておりますので、私どもの行います防音サッシにつきましても、当然、現在考えられる範囲で一番の、これならというものをやるつもりでおります。
#500
○近江分科員 大阪府に対しては建設省から、十分な効果が出る、そういう防音工事にするように、また十分ひとつそこは指導していただきたいと思うのですが、いかがですか。
#501
○沓掛説明員 先生の御趣旨に沿うよう大阪府にいろいろお願いしてみたいと思います。
#502
○近江分科員 先ほど建設省さんは、この幹線道路の沿道の整備に関する法律案につきまして、若干のお話をされたわけでございますが、この法律が通った場合に、私が何回も指摘しております、こういう被害者の救済といいますか、その対策というのは本当に進みますか。この法律を見ますと、都道府県が中心になって計画も策定してやっていく、主体が道路管理者ということでございますが、それをするにいたしましても、やはり予算の裏づけがないとこれは進まないわけです。建設省さんとしては、相当腹をくくって臨んでおられるのですか。これは当然補助金という姿になろうと思いますが、その点についてはどうなっておりますか。
#503
○沓掛説明員 この法案におきましては、沿道整備促進のための施策についていろいろ規定いたしておりますが、主なものを申し上げますと、沿道整備計画の区域内の整備を促進するため、国は、市町村が行う土地の買い取りに要する費用の一部を無利子で貸し付けることができるほか、道路管理者は、緩衝建築物を建築した者に対し、これに要する費用の一部を負担するとともに、一定の居住の用に供する建築物の防音構造化を促進するための国の助成その他必要な措置を講ずることといたしておりますので、この法案が成立いたしました暁には、私たち運用面でも最善の努力をいたしてまいりたいというふうに考えております。
#504
○近江分科員 住宅公団さんと道路公団さんにお伺いしますが、新千里北町、新千里西町のいわゆる御堂筋中央環状線あるいは中国縦貫道、これの交差点から北上いたしました地域、ここにまた住宅公団が両側にあるわけですが、ここの救済についてはどう考えていますか。
#505
○有賀参考人 ただいま先生のお話にありました団地につきましては、現在のところ特別の対策をしなくてもよいのじゃないか、こういうふうに考えております。
#506
○近江分科員 それは、どういう判断をなさっているのか知りませんが、御堂筋に沿いまして、騒音も排ガスも振動も非常に大きいわけですね。ですから、再度大阪府とも連携をとって、もう一度よく測定をして、そして、いわゆる被害が甚大であるならば、同じ東町でとられた対策をぜひ速やかにとっていただきたい、これは強く要望いたしておきますが、そうしていただけますか。まず第一次は実態調査をやって……。
#507
○有賀参考人 先ほど御答弁申し上げましたように、現在のところ、そこまで考えておりませんでしたけれども、先生からただいま御指摘と申しますか、お話もございましたので、その団地がどのような状況になっているか、調べてみたいと思っております。
#508
○近江分科員 じゃ、その結果によって、しかるべき施策を速やかに進めていただきたいことを重ねて要望いたしておきます。
 もう時間がないようですので、あと一問だけお聞きしますが、環境庁さんにお伺いいたします。いわゆる排ガスあるいは騒音につきまして、第一段階の規制というものを打ち出されたわけでござ一いますが、今日、これだけ全国的な公害の拡大を考えましたときに、第二段階、さらには第三段階と、やはり一層この規制を厳しくしていかなければならぬと思うのです。そういう点で、第二段階では排ガスのみやっているのですが、当然、騒音につきましても進めなければならぬと思うのですが、この点につきまして、今後の取り組みにつきましてお聞きをしたいと思います。
#509
○三浦政府委員 お答えいたします。
 自動車本体に対する対策といたしましては、排ガスの規制と騒音の規制がございますが、排ガス規制につきましては、乗用車につきましては、昭和五十三年に非常に厳しい排ガス規制が、窒素酸化物の規制がかけられております。中量、軽量ガソリン車につきましては、五十六年実施ということで五十四年に告示を済ましてございます。それから第二段階の重量ガソリン車、これは一番問題も大きいのですけれども、それからディーゼル車、これにつきましては、五十年代中にやることになっておりますが、私どもといたしましては、一年でも二年でも早くやるということで、いま技術評価の検討を急いでおります。
 それから、騒音の規制につきましては、五十四年に第一段階の規制をいたしました。それから第二段階の目標値は掲げてございますが、まだ、いつやるということが決まっておりません。これにつきましては、最近非常に大きな問題になってきておりますので、これについても、私ども技術評価を急ぎまして、なるべく早いうちにこれをやりたいというふうに考えております。
#510
○近江分科員 時間がありませんので終わりますが、最後に、こうした施策を進めていただいておるわけでございますが、これは言うなら全国の一つのモデルとして私は取り上げ、皆さんに施策を迫ってきたわけであります。そういうことで曲がりなりにも進捗しておるわけでございますので、しかるべき時期に関係各省一度現地も見ていただいて、その効果というものをこの目で確かめ、体験をしていただきたい、このように思うのです。かつて橋本大気保全局長初め政府からも御調査に来られたわけですので、そういう点、環境庁長官にお願いをしたい。関係各省一度ひとつ検討していただきたいと思います。
#511
○土屋国務大臣 お答え申します。
 先生御指摘のとおり、交通公害問題は、今日の大きな社会問題でございまして、私も、この問題につきましては、深い関心を持っておりますので、いずれ機会を見まして、現地を視察させていただきたい、かように考えております。
#512
○近江分科員 終わります。ありがとうございました。
#513
○藤尾主査 以上で近江君の質疑は終了いたしました。
 次に、谷口是巨君。
#514
○谷口分科員 私は、限られた時間でございますので、単刀直入にいろいろなことをお伺いしたいと思いますが、長崎県対馬におきますところのカドミウム汚染についてお話を伺ってみたいと思います。
 その前に、最初に、冒頭から長官に申しわけございませんが、この問題について「隠された公害」という本が出て、非常に興味深い中身でございますが、御多忙な長官ですが、お読みになったことはございますか。
#515
○土屋国務大臣 申しわけございませんが、まだ読んでおりません。
#516
○谷口分科員 非常に御多忙ですから無理もないと思いますが、読んでもらってなくて非常に残念でございます。暇ができました折に、一回読んでいただきたいと思います。
 私は、この問題については、県議会に長くおりました関係上、今日の問題にまで発展してきた経過をよく知っているわけであります。したがいまして、私は、非常に興味深く、また熱心にこの問題について取り組んできたわけでございますが、あの「隠された公害」にありますとおりに、私も、当初行ったときは、相当いろいろな面で監視をされた覚えがあります。また、部落によりましては非常に協力的にいろいろなことを話してくれたところもありますけれども、部落によっては非常に人の目をこわがって、私らが行っても口を緘して語らなかった。それから見ますと、今日ずいぶん大きな変化が起こっているわけでございますが、長官も、チャンスがありましたらお読みいただきたいと思います。
 この問題につきまして、まずお伺いしたいのですけれども、いわゆる土壌対策というものと、人間の健康対策と二つに分かれることになると思いますが、私が承知しておる範囲内では、土地改良事業というものは、大体順調に進んでいるのじゃないか、また、新しい土壌をこれに入れまして農作物をつくってみたところ、カドミウムの汚染量が非常に少なく出てきておるということでございますが、これは、そのとおりに解釈しておってよろしゅうございますか。
#517
○馬場政府委員 カドミウムの土壌に関します土壌改良事業につきましては、地域指定をいたしまして、対策計画の承認をし、現在、私ども順調に事業が進捗しておると思っております。これの効果は、全体の事業が終わりませんと、本当の判定はできないかと思いますけれども、所期の効果を上げられるものと考えております。
#518
○谷口分科員 この問題については、ひとつ計画どおり確実にやっていただきたいと思います。
 問題は、住民の健康調査でありますが、この問題については、順調に進んでいないわけであります。現在に至るまで延べ数千人に上る検診が行われたわけでございますが、その中で、始められまして十数年間にわたってすでに数十名の死亡をなさった方も出てきておるわけです。しかし、こういう問題を含みながら現在まで実際的な、具体的な救済措置が講じられてこなかった。それは何もしなかったというのじゃなくて、されてこなかった。もちろん、いろいろな基準があると思いますが、これは地元としても非常に残念なことだと思うわけです。したがいまして、ちょうど折も折、いわゆる「カドミウムによる環境汚染地域住民健康調査成績についての解析及び評価結果報告要旨」というのがこの前出されたわけですが、この問題について環境庁としてはどのような評価をなされているのか、概括的に伺っておきたいと思います。
#519
○本田政府委員 カドミウムと健康障害の関係につきまして、ずいぶんと以前からいろいろな調査研究が行われているわけでございます。これは先生、きわめて御熱心にこの問題をお考えいただいておりますことを私、承知いたしておりますので、多分御存じだと存じますが、イタイイタイ病が富山県に発生いたしましたときから、カドミウムと人体被害の関係につきまして、富山以外にこういうことが起こっているのかどうかということを長年検討、研究した結果、どうも腎機能異常との関連、イタイイタイ病は富山県以外にはいないけれども、腎機能異常との関係があるのじゃなかろうかということが非常に疑われてまいりまして、その結果、先ほど御指摘いただきましたように、昭和五十一年から三年間、比較的カドミウムの汚染の商い七県に調査を実施してもらったわけです。
    〔主査退席、中島(源)主査代理着席〕
イタイイタイ病及び慢性カドミウム中毒に関する総合的研究班という研究班がございますが、そこに解析をお願いした。その結果が、先ほど御提示いただきました要約になると存じますが、これによりますと、いわゆるカドミウムと尿の中の尿糖、それから低分子量たん白尿、それから近位尿細管機能異常、こういったものとの関連というものは、七県のうちで県によって認められたような県もあるし、また認められなかったような県もある。この原因は、七県によりまして汚染の程度がいろいろ違いますし、それから他の重金属との関係というものもまだ明確じゃない、そういったことが交錯いたしまして、因果関係が特定できなかったということがこの結論だと存じます。したがいまして、私どもは、やはりこれを解明するということを研究班に一層また今後お願いしていかなくてはいけないのじゃなかろうか、かように分析いたしております。
#520
○谷口分科員 おっしゃるとおりのいわゆる報告書が出ているわけでございますが、いわゆる全く否定されない、関連性があるという、そういう問題も現実にこの中に含まれてきているわけですね。したがいまして、報告書を引いてみますと、長崎県における受診者の中で死亡なさった方については所見が見られた、したがいまして「今後剖検例をふやすなど更に検討を続ける必要がある。」とあるわけです。
 この資料を見ますと、たとえば各県の汚染地域と非汚染地域と例をとりまして、検体として取り上げられて比較検査をされているわけでございますけれども、現実の面において、汚染地域についてはたとえば長崎県については、医師の指導が望ましいとされた者が五出ていますね。それから、今後の経過を見ることが望ましいとされたもの七、あるいは検査成績の不足により判定を保留した者五とか、合計二十三の中にそういう姿で出てきているわけです。少なくともこれを見ると、いわゆる汚染された地域には出てきた、汚染されてない地域には全く出ないということから見ると、これは何らかの関連性があるということはまず疑ってかからなければなりませんね。これはどうお考えですか。
#521
○本田政府委員 この調査に当たりまして、これはいま御指摘のカドミウムと腎機能異常というものは関連性があるかないかということでございます。総体で八千八百名余りが調査の対象になったわけでございます。その間に、当然この種の調査では、汚染地域と非汚染地域のグループを二つに分けまして調査するわけでございます。
 いま御指摘のとおり、汚染地域における第三次検診までいった数と、第三次検診までいきました非汚染地域の数というのは差がございます。これは第三次検診に入るときにその数自体が違っていたということでございます。これも地域によってまたずいぶんと違います。確かに汚染地域の第三次にいった数が多いわけでございます。
 しかしながら、これをいろいろ分析いたしまして、統計学的に有意の差を出してみますと、そこに、長崎県においてはいま先生御指摘のように明らかに関連性があるという有意差が出てきた。ところが、よその県におきましては、出たところももちろんございますが、出てないということになりますと、果たしてカドミウム汚染というものと腎機能異常というものが特定できるのか、そこで断言できるのかということに相なろうかと思います。
 したがいまして、その程度というものが、この調査によりまして断百、断定はできないまでも、ずいぶんと、俗な言葉で言えばにおってくるというようなこの調査の結果であろうと私は分析するわけでございます。しかしながら、これを特定的に、これがあるからこれが起こる、まず一〇〇%起こるというふうに特定できるところまでにはこの研究班の検討結果ではいってないということが言えるのじゃなかろうかと存じます。
#522
○谷口分科員 どういう状態になれば対馬が公害健康被害補償法に乗っかってくるようになりますか、ひとつ具体的に述べてください。
#523
○本田政府委員 公害健康被害補償法によりますところの疾病に指定する、つまり公害病ということになるわけでございます。第一種地域のぜんそく等と違いまして、第二種と言われますところの水係の疾病は、水俣病その他がそうでございますように、原因があって結果があるということが特定できることが必要だと思います。先ほどから先生御指摘いただいておりますように、因果関係がある程度はっきりするということがもう少し必要じゃなかろうかと思うわけでございます。それが一つ。
 それから、腎機能異常がいわゆる非特異性のといいますか、ほかの原因でもいろいろくるというような異常でございます。となりますと、そこに因果関係が出てくるわけでございますが、それと腎機能異常というものが果たして病気、疾病と言えるかどうかという問題があります。ただ単なる症候、その以前の機能の異常でございますので、その辺の二つが、因果関係の問題と、それから疾病であるということになりますならば、これは公害健康被害補償法によるところの疾病として指定できるのじゃなかろうかと存じております。
#524
○谷口分科員 具体的に進んでまいります。
 「今後剖検例をふやすなど更に検討を続ける必要がある。」とうたつてあるわけですけれども、じゃ具体的にどれくらいこれを続ければ、またどのくらいの日数がたてばこの人たちが本当に救われるのかどうか。非常に大事な問題でありまして、すでにもう十数年を経過しております。御承知のように、水はもうすでに飲用をとどめておりますから、新しい、若い人たちはほとんど出てこないと思います。結局お年の方、しかもやはりこの特徴であります、男性には非常に少なくて女性に多い、経産婦に特に多い、こういう姿から見て、私たちから見るといろいろな条件は整っている。ただ、法律上のいわゆるいままでのイタイイタイ病としてのすべての条件をここに不幸にもそろえていないという、そういうことだけで救済がおくれていくように私たちは思うわけです。そうなってくると、公害病を救わなければならないという法の精神からいきますと、非常にさびしいものを私たちは感ずるわけですね。したがって、あとどれくらい続ければいいのか、具体的にひとつ何かあったら言っていただけませんか。
#525
○本田政府委員 カドミウムとその健康障害の関係につきましては、先ほど申し上げましたが総合研究班がございまして、非常に積極的に研究を続けていただいているわけであります。ところが、たとえば動物実験も因果関係を解明するのに必要でございますが、いままで小動物しか使ってなかったのを、いま八十匹余りのサルを使いまして、カドミウムの長期慢性暴露と申しますか投与をいたしまして、それがどういうように生体に反応していくかというような、あるいは体内にどういうふうに蓄積していくかという研究、これも必要だと思います。それからカドミウムと低分子量のたん白尿などの徴候と臨床医学的な関係、こういったことも詰める必要があろうかと思います。さらにはいま御指摘の剖検例、不幸にして亡くなられた方々の解剖を重ねることによって、いわゆる病理組織学的な特性、臓器の中に蓄積されるカドミウムの量、そういったものを総合的に研究していくことが必要なためにいままでやってみえたわけでございます。
 いま先生御指摘の剖検例は、対馬の場合に一例、これはいわゆる骨軟化症がはっきりあらわれた剖検例を得たと申しますか、不幸にして亡くなられて解剖した結果がそういうふうに出たわけでございます。ところが、いかんせん、一例では、この骨軟化症というのがいろいろな原因でまた起き得るということがございますので、これをイタイイタイ病として特定するということもこの際できなかったということで、そこに指摘がございますように、もう少し剖検例を重ねることが必要であろうということが言われているわけであります。
 さてそこで、いま御指摘の、いつまで一体研究というのはかかるんだということでございますけれども、私ども、研究班にも絶えず、それをできるだけ早く解明いただきたい、因果関係の問題をもう少し詰めていただきたいということをお願いし、かつは毎年予算も計上してお願いしているわけでございますが、いかんせん研究のことでございますし、たとえば一年後にこの結果が出るとか、出していただきたいとかいうことを特定できないのがまことに残念でございます。要は、できるだけ早い時期にこれを解明していただきたいということを学者の先生方にお願いする、そういうことだと存じております。
#526
○谷口分科員 言葉の上では確かにそういうことも言えるかもしれませんが、現実の問題として、どんどん亡くなっていくわけですね。そして、言葉は表現が悪いけれども、亡くなる人を待っている、それをまた解剖していろいろなデータを集めている、こんな救済のやり方は、国民から見ると血も涙もないようなかっこうにしか映らないわけですね、現実は。
 もう一つ、カドミウムと腎機能異常の因果関係が特定できたならばこれは公害病に認定できるのかどうか。どうですか。
#527
○本田政府委員 申し上げましたように、公害病として認定するためには、カドミウムと腎機能異常というものの因果関係がある程度はっきりするということ、学問と申しますか、いわゆるはっきりするということが必要でございます。と同時に、腎機能異常というものがいわゆる病気であるかどうかということの決定も必要だと思います。この二つを満足すれば、公害病として認定することはできると存じます。
#528
○谷口分科員 先般の地元の陳情についても、私もそばについておりましたけれども、関係者の方方の御意見というのは相当激しいものがありましたね。私はあれは決して責められないと思うのですよ。協力に協力を重ねて、いわゆる健康診断に応じたんでしょう。そしていつまでたっても話にならない。こうなったら話にならぬ、もう環境庁は頼るに足らぬと、これが現実にいま地元の意見だと私は思うのです。
 したがいまして、新聞にもちょっと批判されておりましたけれども、国がなかなか公害病に認定をしないから、企業と被害者の間に現実に七百万円ですか、その使途については組合に任せるといういわゆる補償ともいうべき金があそこで出されたわけですね。こういう問題から考えて、国の対策が本当に住民のためになされているのか。たとえば疑わしきものは救済するという考え方、よく言われていますね。いまだったら疑わしきものは救済しないとしか地元は受け取らぬわけですよ。たとえば今後国で健康調査を続けていこうとしてもなかなか協力が得られないじゃないか。たとえば環境庁でも、五十一年にはこの関係について関連は否定できない、二人は治療が望ましいというようなことも言っておるわけです。それが今度の分については関連性がある、五人は医師の指導が望ましい、こういうようにだんだん一回一回変わってきているわけです。そしてその変わり方が余りに変化がなくて、もう地元の人たちもしびれを切らしてきている結果がこの前の七百万円で、保健対策という名前で出ていたわけですけれども、こういうことからいきますと、国の公害対策あるいは救済対策はもうすでにすべてが後手後手、そして実際に発動したときにはもう救うべき人はいなかった、こういうことになりかねないと思います。
 環境庁長官、いままでやりとりをお聞きになったと思いますが、私は環境庁の人たちが故意にやっているとは決して思わない。だけれども、国民のいわゆる被害者関係から見ると、余りにこれは遅過ぎる。本当にやる気がないのかあるのか、それすら疑うことになってくるわけですね。だから、五十二年だったですか五十一年に、腎障害が治療を必要とし、かつカドミウムの因果関係が明らかになれば新たな公害病として認定をする、こう言っているわけですが、もうこの段階で、救済という意味から、新しい意味での公害病として認定するときが来たのではないか、こう私は思うわけです。いままでのいわゆる後手後手という問題も含めて、今後、公害に対する対策、救済の手段、こういうものに対する根本的な考え方を長官からひとつ改めて聞いておきたいと思う。
#529
○土屋国務大臣 お答え申し上げます。
 私、医者でございませんので明確な御答弁はできませんが、何と申しましても人間の命にかかわる問題でもございますので、先生の御意見も踏まえて前向きに検討してまいりたいと思います。
#530
○谷口分科員 長官の意見を聞きました。それを横から耳打ちされたかどうかわかりませんけれども、――してなかったら結構ですが……。
 長官、医者だからこれが救済できてないのですよ、ああだこうだと言って。あなたは医者じゃないから救済できるのですよ。もうここでやるときが来たんだ。あなたは素人だから素人なりに腹を決めさえすれば私は道は通ずると思う。したがって、私はあなたが医者じゃないことが幸いしたと思う。そういう意味でもう一度答弁願いたい。
#531
○土屋国務大臣 重ねて申し上げますが、先生の御意見も踏まえて真剣に取り組んでまいりたいと思います。
#532
○谷口分科員 ではひとつ長官を先頭に、その方向で全員ががんばっていただきたいと思います。
 それからもう一つ、時間がだんだん迫ってきましたけれども、最近の洗剤についてお話を聞いておきたいと思います。
 私ども長崎県におきましても、御承知と思いますが大村湾という湾があるわけです。その大村湾の中でも相当に汚染が激しくなってきました。したがいまして、その関係の地方自治体では、いわゆる規制を決議した町も出てきたわけです。現在まで日本国内で規制に実際に踏み切った数は幾つぐらいあるか、地方自治体の数をひとつ言ってください。
#533
○馬場政府委員 合成洗剤の問題でございますが、私どもも自治体の中でも市町村までは必ずしも把握しておりませんけれども、都道府県段階で見ますと、正確にはあれでございますが、二十数県ではなかろうかと思っております。
#534
○谷口分科員 私に言わせれば、やはり取り組み方が非常に緩やか過ぎると思いますね。たとえばテレビではもうじゃんじゃんCMで効力がいいと流されているわけですね。有害とは決して言っていない。反面、いろいろな被害が現実に積み重なってきているわけです。果たしてどれだけの有害性があるかということについてまだ詰めてないようでございますが、環境庁として考えてみますと、こちらから見ると、地方公共団体がどんどん自分たちからやってくれるのを待っているのじゃないか、やむを得ないから国はそういうことに踏み切ったのだ、こういうふうに言うのを待っているような気がするのですが、基本的にはどうですか。
#535
○馬場政府委員 そのようなことではございませんで、私ども、水域におきます富栄養化防止のために、従来とも諸般の施策を講じてきているところでございますが、特に一例で申し上げますと、瀬戸内海につきましては環境保全特別措置法もあるわけでございますが、その中で富栄養化防止のために燐の削減の指導方針を国が示しまして、いま各県でその計画をつくっている段階でございますが、そういう中に、総合的な燐削減対策の中の一環として合成洗剤を取り上げているわけでございます。私どもも閉鎖性水域におきます燐削減のために、富栄養化防止のために総合的な対策を考えてまいりたいということでいろいろ検討会を催し、あるいはまた具体的に各県と協議をしながら進めている段階でございまして、そういう中で合成洗剤の問題につきましても前向きに対処してまいりたいと思っておるわけでございます。
#536
○谷口分科員 言うだけは確かに前向きとおっしゃるけれども、やっている姿を見ると決して前向きじゃない、後ろ向きですね。これほど騒がれてやっといま何かの会をつくって、目的をあるいは目標を立てたいとしているわけですね。これもいつになったら出てくるかわからない。瀬戸内海についてはたしか総量規制をやっていると思いますが、どうですか。
#537
○馬場政府委員 一昨年の水質汚濁防止法の改正と瀬戸内海環境保全臨時措置法の改正によりまして、瀬戸内海と東京湾、伊勢湾に総量規制制度が導入されたわけでございます。
#538
○谷口分科員 総量制が導入されたわけでございますけれども、いまこれほど各地方団体が真剣になって、国がやらぬから何とか規制して、環境の汚染あるいは人体への影響を防ごうとしてがんばっているわけですね。いわゆるこの燐洗剤の使用について、何らかの規制を国として早急に考えなければならぬときが来たと思うけれども、どうですか。
#539
○馬場政府委員 合成洗剤につきまして、全国一律に何らかの法的規制であるとかその他の措置によりまして規制をするということは、大変むずかしい問題であろうと思っております。その根拠、理由につきましては、非常にむずかしい問題があると思います。
 そこで、私ども水域環境保全の立場から、富栄養化防止、これは合成洗剤の中に燐が含まれておりますから、それの防止ということで、まず合成洗剤の中の燐の削減を求め、漸次効果をあらわしておるわけでございますが、さらに無燐洗剤の発売あるいはその他の新製品の開発ということを強く要請しておるわけでございまして、またそれをいかに合理的に使っていくかという問題もあるわけでございますので、そういう面の指導をやっておるところでございます。
#540
○谷口分科員 時間が迫ってきましたけれども、たとえば大村湾の例をとりますと、これはまさに狭い水道で水が入れかわっておりますから、一たん汚染されますと数十年かかるわけです。こういう状態だったら総量規制を大村湾あたりに適用するのが私は筋だと思うけれども、その点どうお思いですか。
#541
○馬場政府委員 水質汚濁防止法の改正で総量規制を導入したときの立法の趣旨でございますが、人口、産業の集中が著しい、そういうことで汚濁負荷量が非常にふえて、濃度規制だけではその効果に限界があるというようなことでございますので、したがいまして東京湾、伊勢湾とか瀬戸内海、そういうところを念頭に置いておるわけでございまして、大村湾が果たしてその制度に乗るかどうか、これはなお検討を要する問題であろうかと思います。大村湾は大村湾としての対策もまたあろうかと思いますので、県といろいろ打ち合わせながらやってまいりたいと思っております。
#542
○谷口分科員 私はその総量適用を強く要望すると同時に、最後に長官、私の質問に対する答弁には決して私は満足いたしません。しかし、いわゆる燐を含んだ洗剤についての対策で、国が動かないから国民が非常に真剣になっていることについてどのようにあなたはお考えですか、その見解を聞いて、私の質問を終わりたいと思う。
#543
○土屋国務大臣 お答え申し上げます。
 実は私、昨年末に長官を拝命いたしまして、私もこの問題につきまして深い関心を持ち、霞ケ浦、それからまたことしになりまして東京湾を船で視察いたしましたが、私が感じましたことは、富栄養化対策とあわせて、下水道事業等々総合的な対策をやはり強力に推進しなくてはならないということを深く感じたような次第でござ崎まして、今後関係省庁ともよく連絡をとりながら真剣に取り組んでまいりたいと思います。
#544
○谷口分科員 終わります。
#545
○中島(源)主査代理 以上で谷口君の質疑は終了いたしました。
 次に、栗田翠君。
#546
○栗田分科員 私は、静岡県裾野市につくられる富士ライオン・サファリの問題について伺いたいと思います。
 これはすでに着工の許可が出た当時から大変問題になっておりまして、もう三月末にも開園かと言われておりますけれども、いまでもその不安は取り除かれず、新しい問題もまたいろいろ出ているということです。これについて私、時間がありませんので、ごくかいつまんで質問させていただきたいと思います。
 まず第一の問題は、水汚染の問題ですが、これはサファリの建設予定地が柿田川の水源地にございます。柿田川というのは、沼津、三島など五十万人の人たちの飲料水を供給している大変透明度の高い川でございまして、地元の人たちはこの水の美しいことを誇りにしているような川でした。この水源地にライオン、トラなど三百三十五頭が放し飼いにされるということで、水が汚染されるのではないかという心配がかねてから出ておりました。
 以前、昭和五十三年の第八十四国会のときに、公害対策委員会で島本委員がこの問題を取り上げて質問をしておられますが、この中で環境庁の二瓶政府委員がこう答えていらっしゃるわけです。この水汚染については「予測調査を担当されております山本荘毅先生、この方は、こういう地下水の面につきましては日本の最高の権威とも言われておる方でございまして、そういう面から見ても、相当信憑性の高い権威のある報告ではないか、かように思っております。」つまり、当時の東京教育大学山本教授の名を使った報告が県に出されておりまして、小泉サファリ会社から出たこの報告について信憑性が高いからいいのだと政府が答弁をしておられます。
 また、同じく環境庁の出原政府委員が「これらの件につきましては、静岡県で土地利用対策委員会というのを設けまして、その委員会の中でそれぞれの関係者が集まって、特に専門家の意見を聞くべきものは専門家の意見を聞くというようにして最終の結論を出したと承知いたしております。その際に、地下水への影響等につきましては、相当詳細な検討をいたしたようでございまして、先ほど水質保全局長から申し上げました山本教授の御意見を伺うということ、」など云々と、こうずっと言っていらっしゃるわけです。
 まず、初めに伺いますけれども、当時この国会答弁をなさったとき、この小泉サファリ会社から出された山本報告について、政府は検討をした上でこのような答弁をなさったのでしょうか。またいまでもこの答弁のとおりに考えていらっしゃいますか。
#547
○馬場政府委員 当時もその報告書を読んだかどうか私つまびらかにいたしませんが、十分その辺のことは考えて答弁をしたものと考えております。現在私どもの方は、その報告書は当然のことながら読んでおるわけでございます。
#548
○栗田分科員 それじゃ、お読みになって同じように考えていらっしゃるということですね。
#549
○馬場政府委員 山本報告につきましては、五十一年に静岡県知事に提出された動物屎尿処理水等によります地下水への影響の予測調査には、何といいますか、不注意による計算違いといいますか、そういう問題はあったようでございますが、これはその後訂正されたというように承知をいたしておるわけでございます。
#550
○栗田分科員 私がまず最初に問題にしたいのは、大丈夫だと政府答弁なさった当時、中身は読んでいないで、権威ある方のお名前がついているから大丈夫だ、こうお答えになったということ、これは大変問題だと思います。これは、その後大変初歩的な誤りが中にあったということを住民側が発見をいたしまして、そして問題にしております。つまり当量と重量を間違えています。しかも、不注意による誤りではなくて、一年半にわたって別のものでも三回同じ誤りをやっておりまして、権威ある先生としてはこんな間違いをするはずがないと住民側が思っておりました。またその内容から言っても、山本さんがふだん言っていらっしゃることと違うというので、再三県に対しておかしいのではないかということを言いましたけれども、県当局はこれをみずから調査しませんでした。結局住民代表が山木教授と直接会いましたところが、私の名前がこの報告に使われていたというのを知らなかったと教授自身が言われたという大変な問題が出てきているわけです。これは、この山本報告だけではございません。耐震設計の問題についても初歩的な誤りがあって、これも住民側が発見いたしました。そしてこれを設計しました大成建設もこの誤りは認めているわけなんです。
 大臣に伺いますが、こういう重要な問題を大体県は自分で調査せず、会社に調査をさせた中身も見ずに、大丈夫だ大丈夫だと言って許可をして、しかも、政府自身がまたそれをお読みにならずに、当時の国会でも信憑性があるという答弁をなさっているのです。私は、大変ずさんな態度だし、住民が行政に対して不信を持つ原因はこういうところにあると思いますが、こういう事実についてどうお考えになりますか。
#551
○土屋国務大臣 お答え申し上げます。
 私個人といたしましては、率直に言って、日本を代表する富士山のふもとにこういう種のものができるということは余り感心しないことである、かように考えておりますが、これは県の責任においてやられたことでもございますし、実は去る一月二十四日に、富士・箱根・愛鷹の自然と生活環境を守る住民協議会の代表の方々もお見えになりましたものですから、お見えになりました御意向を私自身直接静岡県副知事の関根氏に対しましても申し上げておいた次第であります。
#552
○栗田分科員 県の責任においてやられたものとおっしゃいますけれども、県がその責任ある態度をとっていないわけですね。内容を見ていません。住民協の中の方たちが発見するような初歩的な誤り、専門家もいらっしゃいますけれども、その住民側が資料を見て発見する初歩的な誤りを県が発見してないところが少なくとも二カ所あって、しかも、先生の名前を使っているのを先生自身が御存じなくてびっくりなさったという、そういうわけで、政府自身は山本先生の名が使ってあるから大丈夫なんだろうとおっしゃった、その根拠そのものが崩れているわけですね。これは私大変な問題だと思います。
 続いてもう一つ問題点を言いますけれども、はこの小泉サファリから出された報告書、二通りあるのです。これは片方が県に出されたもの、こちらはもう一つの市に出されたもの。中を見ますと、こちらは県に出された下書きと言うべき内容でございます。ほとんど同じです。日付も全く同じです。ところが中を見てまいりましたら重大な違いが一カ所ございました。この違いはどういうところかといいますと、最も大切な水汚染の意見について、県に出された報告書で抜けていて、こっちの下書きに書いてあるのです。たくさん書かれていますが、時間がありませんので、一番要点だけを申しますと、「いずれにしても、安全を期して、岩盤の露出する地域は動物の放し飼い地区から除外することが望ましいと考えられる。」この考えられる見解がずっと上に出ていますが、ここのページ全部が県への報告に除外されています。つまり下書きにあったものを抜いています。この差異というのは、私は非常に意図的な差異だと思いますが、こういうことがされていいのでしょうか。どうお考えになりますか。
#553
○馬場政府委員 そのことについて私ども承知をしておりませんので、何ともお答えのしようがないわけでございます。
#554
○栗田分科員 こういう重要なことが次々と出ております。ぜひ御調査をなさるべきだと思います。
 次に、まだまだたくさんの問題が出ておりまして、その他水汚染で指摘される問題点は、たとえば動物のふん尿などの影響を広葉樹林帯があるものとして計算しております。ところが私は現地へ行きましたが、動物を放し飼いにするところは木は切ってあります。木があったのではお客さんに見えませんから当然切っちゃってあります。これでずいぶん違うのですね。木が生えているかいないかで吸収の仕方、つまりアンモニア性窒素などの吸収の仕方が全然違ってきます。それからローム層の厚さ三メートルで計算しています。ところが会社のボーリング調査でも、実際は平均して一・七メートルしかありません。土の厚さでずいぶん浸透の仕方が違ってまいります。調整池の問題、これはローム層がないのに一メートルあるということで計算されております。土壌のサンプルをとった場所が飼育地と離れている、こんな問題もあります。たくさんの問題がこの報告書だけを見ましても出てきていまして、これだけの問題が出ているからこそ住民が非常に不安を感じるのは当然だと思うわけです。
 続いてもう一つ申し上げますけれども、この水汚染の問題で細菌やビールス汚染について県は調査しているでしょうか。時間がありませんので、急いでください。――では、おわかりにならなければよろしいです。これは調査をしておりません。このビールス汚染、大変問題があるわけなんです。これについては三島の国立遺伝学研究所の岡彦一博士が、沼津地裁に対して陳述書を出しておられます。この陳述書によりますと、家畜に関する人畜共通の伝染病というのは七十四種ぐらいあって、そのうち食物、水などから、つまり口を通じて入るものだけでも八種あり、その他寄生虫病もあるということを言っておられます。ところがこれは家畜についてだけでして、アフリカ産の各種動物には未知のものが多いけれども、強い病源体が存在する可能性は否定できない。たとえば流行性肝炎など、アフリカやインドなど熱帯地に行った人たちが本病の濃厚汚染地に行って――日本からの旅行者の感染例も少なくないということですし、それからライオンとかトラなどのネコ属の動物には、トキソプラズマ病という人畜共通の病気などもあるということがこの岡博士の陳述書の中に書かれているわけでございます。
 ところで伺いますけれども、ライオン、トラなどの輸入に際しては検疫はやられておりますか。
#555
○小山説明員 外国から輸入されます動物につきましては、主要な海空港で動物検疫を行っておりますけれども、いま先生から御指摘のようなライオンあるいはトラといった野性の動動につきましては、畜産の主流をなしますいわゆる家畜の伝染性疾病を外国から持ってくるといったような懸念を私どもとしては現在のところ持っておりません。したがいまして、動物検疫から除外して対応しているわけでございます。
#556
○栗田分科員 お話があったとおりで、動物検疫からトラやライオンは除外されております。しかも、家畜に共通するような伝染病その他のものを持っているという点では検査されていますけれども、人畜共通のそういう病気で未知のものがあるかどうかなどという検査はしてないということなんですね。
 聞きますと、このライオン・サファリに来る動物は二カ月前にアメリカとアフリカから入れられているということでございます。この岡博士の陳述書の後に資料がついておりますけれども、これは岡先生が、アメリカのサウスカロライナ州の健康環境管理局疫学部長のリチャード・L・パーカー博士に対して、この問題での意見を問い合わせていらっしゃるその返事でございます。この御意見によりますと、「種々の野生動物と家畜が多種の潜在的病源体を動物自身が病徴を示すことなく保有していることは、明かであります。」云々。「レプトスピラ属細菌は健康に見えるが他の動物や人を感染させる可能性をもつ動物の尿中に多量に排泄されます。サルモネラ属細菌は病徴のない動物の糞便中に多量排泄され人に感染することになります。サルモネラ属に含まれる細菌類は人畜共通感染症のうち最も普遍的なもので給水を通じる大型の集団感染を起すことが知られております。例へば、数年前カリフォルニア州リバーサイドでそれが発生しました。」ということがずっと述べられております。ですから、こういう水源地にこういうものを混入させるということは厳重にやめなければいけない。「水系に浸入した病原の処理を試みるより水系に病原が入ることを防ぐ方がはるかに望ましいことであります。」といったような意見が出ているわけでございます。
 水の汚染に関してもこれだけの問題があるわけですけれども、ところでこの汚染の問題、けさ静岡の地方版で毎日新聞それから読売新聞に、このサファリ・パークの中の水を検査する七つの井戸のうち、一号の井戸と二号の井戸から大量の大腸菌が出たという記事が出ておりました。絶対にこんなものは出ないはずだと会社の方は言っていたわけでございますけれども、十二月にすでに出ていたのが知らされておらずに、一月二十一日にまたこれが出ていて、大腸菌は検出されてはならないはずなのに、一号の井戸には基準を超える雑菌百二十個とそれから大腸菌群、しかも濁度、色度十六度、つまり国の基準の三倍から八倍出たそうです。また二号の井戸も大腸菌群が出て、雑菌が二十八個も出ている、こういうことでございます。この問題をどうお考えになるでしょうか。この水汚染の問題と関係をさせて私は実に危険なことだと思いますが、どうお考えになりますか。
#557
○馬場政府委員 けさの新聞の記事は私もまだ承知しておりませんけれども、もしそういうことであれば、事実関係は県の方とも十分調べてみたいと思いますし、また県におきまして業者等に対する指導を十分やってもらうように、県に対しましても私どもの方から指導したいと思っております。
#558
○栗田分科員 まだ動物は入っていないのです。しかし工事をする人たちなんかが入っているわけで、どこから大腸菌が来たかということはまだわからないわけですけれども、しかしこういうものが人が入っていることで検出されるようになったわけですね。しかも十二月に出ているのに県はそのままにしていたのです。会社はそれをまた黙っていて、一月二十一日にまた検査してまた出ているわけですね。それでも黙っていてほかからわかってきたわけなんです。こういう実態です。これでは十分指導すると言いますけれども、まだ動物が入っていないうちにこのありさまなんですから一体どういうことになるんだろうか、柿田川のこの美しい水源地が汚染されるのではないだろうか、下流の五十万人の人たちが口からとんでもない病気を感染させられる可能性もあるのではないか、住民の皆さんが心配していらっしゃることが、まだ開園される前にすでに現実のものになってきたような気がいたしますけれども、水汚染に関してだけでもまだこれだけの未解決の問題があるということでございます。
 次に、地震との関係について伺います。
 いま駿河湾大地震が問題になっていますが、サファリのつくられる建設予定地、ここは静岡県の予想震度分布地図でも震度六の指定地域になっているわけでございます。震度六といいますと、これは、県の説明によれば亀裂を生じ、山崩れが起き、走っている自動車が踊り出すというこの程度の大変な揺れです。ところでこのサファリ建設地は須山というところですが、溶岩層に覆われていて非常に壊れやすい、つまり崩れやすい、もろいところです。ここに当時、関東大震災のころの古い新聞の写しがありますけれども、これによりますと「富士の五合目で大地震に遭う」というので「地震に遭ったら幾百トンの岩石が手まりのごとく、石室は第一震でもろくも崩壊した」という記事が載っておりまして、そしてその人が下へおりてきて御殿場を見ましたらば、見渡す限り人家はうち倒れ、そして露営者の惨状目も当てられないといったような状態が新聞に書かれているわけです。つまりこの地域というのは非常に地震に弱い地域だと私たちは思います。ところでこのもろい地域に、震度六が予想される地域にライオン五十頭、トラ二十五頭、その他クマとか象とかいろんんなものが来るわけですけれども、これを囲っている防護さく、フェンスというのは地崩れを想定してつくられているのでしょうか。――どなたかお答えください。どうもお答えになる方がいらっしゃらないようですけれども、私、現地へ行きましたら、建設基準に合っているということを言いますけれども、地面が下で崩れるということについては何にも想定していないようでございました。特に上下震についても想定していないわけですね。ただもし崩れたらどうするんだと聞きましたら、フェンスの上の針金の張力で倒れないからいいんだということを言っているのです。しかしこれは、実に危ないです。私も現地でフェンスが埋められているのを見ましたが、深いところで九十センチくらいしか埋まっておりません。たとえ張力で倒れなくても、下の方が穴があけばトラやライオンがぞろぞろ出てきたというようなことが一つの囲いだけでも起こったらどういうことになるんでしょうか。それこそ神野寺のトラは一頭逃げただけでもあの騒ぎでしたけれども、ライオンが五十頭もぞろぞろ出たらどういうことになるんだろうか、これもまた住民の方たちの大変な心配の原因でございます。いま水汚染の問題、それから地震の問題だけでもまだこれだけの解明されない問題があるわけです。ぜひともこれは県に任せておかれずに、国としても特に環境庁としては、専門家とともに現地を調査なさる必要があると思いますが、いかがでしょうか。時間がありませんのでお早く願います。
#559
○馬場政府委員 水の問題に関して御答弁申し上げます。
 静岡県の方からよく事情を聞いてみたいと思っております。
#560
○栗田分科員 地震はいかがでしょうか。地震の問題でもいま伺っていますし、特に現地調査ということを私申し上げているのです。前の五十三年の国会質問では地震の問題についてもこれは環境庁がお答えになっているんですけれども、「その点につきましては、十分確認をいたしておりませんが、さらに県当局に十分私どもとしては指導を尽くしたいと思っております。」と出原政府委員が言っていらっしゃるんですね。こういう問題について国会で答弁なさって、その後余り指導もしていらっしゃらない御様子ですが、これではずいぶん住民の方が心配なさるのは私、当然なことではないかと思います。やはり現地調査をもう一度なさいませんとなかなか実態がわからないし、県が出してきた資料というのは小泉サファリがつくった、会社側がつくった資料をそのままうのみにして、そして大丈夫だという意見だけを出してきているわけです。
 最近静岡県の山本知事はこの問題について大変な発言をしております。つまり、いまだったら私はこのサファリを許可しなかっただろう、こう言っていらっしゃるのですね。これはことしの一月十日に出された朝日新聞に書かれていますけれども、「八〇年代への挑戦」ということで朝日が一月じゅう連載いたしました。そのサファリの問題かなり大きなスペースを使って何日にもわたって書いていますけれども、この中で「東海地震の予想がはっきりした以後の許可申請だったら、私どもとしてもうんとは言わなかったかもしれない」、こう言っているわけです。でも、以前だったらうんと言って、後でわかったからもうしょうがないんだ、これでは困っちゃうんですね。しかもなぜうんと言わないのかということについてこう言っています。
 いま開園の許可を取り消すとすれば、県民の金で巨額の損害賠償をしなければならない、それは耐えられない、つまり後から賠償しなければならないから、そのお金を出すのが耐えられないから、いまは黙っているのだということなんですけれども、県知事でさえこういうことを言われるということは非常に問題があるということを知事自身が考えていらっしゃるのですね。しかしお金がかかるからといって、いまこれを放置して開園までさせてしまったとき、地震でトラやライオンが逃げたとか、五十万の人たちの飲む川が汚染されて、すっかり伝染病が蔓延したとか、もしこういうことになったときに、その中での被害の方がはるかに大きいと私は思うわけですね。県知事さえこういうことを言っている。ですから、ぜひとも国の責任で調査をしていただきませんと後で悔恨を残すことになり、また国民に対して責任を果たせないことになると思いますが、もう一度現地調査について伺いたいと思います。
#561
○馬場政府委員 先ほど申し上げましたように、静岡県がいろいろ指導をしておるわけでございますので、静岡県からよく事情を聞いてみたいと思っております。
#562
○栗田分科員 ではまず県から意見をお聞きいただいて、しかもきょう私が指摘しましたような問題について、一つ一つよく御調査をなさっていただきたいと思います。それが解明されないうちに開園をさせるということは絶対に許してはならないと思います。
 もう一つ伺いますけれども、この問題が出てから交通渋滞が非常に問題になっています。御殿場インター、それから沼津インターなどはかねてから渋滞のひどいところでございましたけれども、一日に一万、二万という人たちがもしサファリに来たとすれば、ますます大変なことになるだろうというわけです。この渋滞を解消するために迂回路をつくるということで、特に被害の多い御殿場市との間に会社が念書を入れて約束を結んでいるわけですけれども、この念書によりますと、この迂回路は開園前に完成させますと響いてあります。ところで、迂回路はもうできているでしょうか。
#563
○山科説明員 お答えいたします。
 富士自然動物公園に関連する道路のうち、特に交通量の増加が予想される東名高速道路御殿場インターからの動物公園までのルートにつきまして、企業者と関係市長との間で関連道路とその安全対策について協議、確認がなされているところであります。関連道路のうち東名高速道路の側道、これは御殿場市道でございますが、及び県道富士−裾野線と須山−御殿場線の交差点の改良につきましては、いま工事が順調に進んでおります。また、市道の中清水−駒門線及び大野原−駒門−板妻線につきましては用地交渉が一部難航してございますが、今後とも地元御殿場市を中心に関係者との間で地元住民との協議を図りつつ事業を進めてまいるということにしております。
#564
○栗田分科員 用地交渉がまだ難航しているところさえあるのです。ところが、この念書では、開園前に迂回路は完成させます、となっています。この念書をぜひ守るように指導していただきたいと思います。開園前に完成させる、完成しなかったら開園は許可できない、当然こういうことにすべきだと思いますが、いかがですか。簡潔にお願いします。
#565
○山科説明員 事業主の方から開園についての申し出が出された時点において当事者である静岡県知事が判断することとなろうと思います。その際は周辺道路の整備状況等も含めた総合的な判断がなされるものと考えられます。建設省としても、前述の関連道路の進捗につきまして、今後とも静岡県、御殿場市及び裾野市等関係方面への指導督励を強く続けてまいる所存でございます。
#566
○栗田分科員 会社は三月末には開園したいのだと言っているのです。ところが、まだこういう状態です。なされるものと思いますとおっしゃいますけれども、実際にはされていないし、迂回道路はとても三月末には完成しないと思います。ですから、これは念書のとおり守らせていくということ、どうしてもこれは責任を持たせなければなりませんが、何といいましてもいま私が幾つか挙げたような重大な問題がありますから、この建設は中止させるべきだと私自身は考えております。いま住民協から建設省に対して再審査が出されていると思いますけれども、この再審査は見切り発車などではなく、十分に審査をされ、結論が出るまでは開園は許さない、この立場に立ってやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#567
○斉藤説明員 いま先生御指摘のように、都市計画法に基づいて行った開発許可処分、これに不服があるということで瀬戸行男さん外四十一名の方々から建設大臣あて再審査請求が出ておるわけでございます。その後口頭陳述等の手続を経ておるわけでございますが、現在のところ、この請求人の方のうちの御三名の方々が開発行為との関係でどういうふうな影響を受けられるのか、その点が不明確でございますので、審尋をさせていただいているところでございます。その回答期限が本年三月十日ということになっております。いずれにいたしましても、その回答もいただきまして十分に検討させていただき、しかもできるだけ早く結論を出していきたい、このように考えております。
#568
○栗田分科員 私は、ただ急ぐということでなくて十分な審査をと言っております。何とかして開園を許可するのだという立場に立った審査ではなくて、本当に環境が守られるか、開発行為として正しいか、そういう立場の審査をしていただきたいと思います。
 最後に長官に伺いますけれども、いま都市開発などが進む中で、環境行政のあり方というのもずいぶん新しい問題が出てまいりました。いま挙げたように水汚染の問題、大気汚染の問題もそうですけれども、地震その他の安全対策、それから交通問題などずいぶん続出しているわけです。ところが、都市計画法などを見ますと、三十三条で条件が整ったら開発を許可しなければならないという意味の一文がありまして、静岡県の職員などに聞いても、条件が整ったら許可しなければ問題になるのだからという言い方をしているわけです。この法律そのものは建設省の所管になるわけですけれども、いまこういうさまざまな複雑な問題が出ていて、一歩間違えば大きな被害、大きな犠牲を出すようないろいろな問題があります。サファリの問題でも、国として十分な調査をされること、それからまた、環境行政全体に対して本当に新しいいまの情勢に対応した態度での処理をしていっていただきたいと思いますが、そのことについてのお考えを伺いまして私の質問を終わりたいと思います。
#569
○土屋国務大臣 サファリの問題につきましては、静岡県と十分連絡をとりながら行政指導を行ってまいりたいと考えております。今後の環境行政につきましては、当面問題となっておりますアセスメント制度の確立、それからまた、今日社会的な大きな問題となっております公害、交通問題、あるいはまたエネルギー等環境保全の問題等々、これらの問題と真剣に取り組んでまいりたいと考えております。
#570
○栗田分科員 これで終わります。
#571
○中島(源)主査代理 以上で栗田君の質疑は終了いたしました。
 次に、池田克也君。
#572
○池田(克)分科員 大変に遅くなりまして大臣も御苦労さまでございます。私で最後でございます。
 私は東京の一番南を流れる多摩川の流域に関する問題について若干お尋ねをしたいと思うのですが、きょういろいろなことをお尋ねする前提として、環境アセスメント法案が一体どういう成り行きになっていくか、ほかでもいろいろお話があったと思いますが、これを前提にして考えていっていいのかどうか、お伺いをしたいと思うのです。
#573
○土屋国務大臣 お答え申し上げます。
 環境影響評価法の制定は時代の要請である、私はかように確信をいたしております。環境庁におきましても、歴代の長官が、今日まで何といたしましてもこれを法制度化いたすべく努力をなされたような次第でございますが、ついに今日まで日の目を見るに至らなかったような次第であります。昨年、特に私と上村長官との引き継ぎ事項の中でも一番冒頭に取り上げられた問題でもございますし、また昨年の四月十日に、中央公害対策審議会の方からも速やかに法制度化すべきであるという答申もいただいております。私は、この答申の趣旨に沿って、一日も早く法制度化をいたすべく自由民主党の政務調査会、また政府部内におきましてもただいま鋭意検討をいたしております。先生御案内のとおり、先般の自由民主党と三党との話し合いの中におきましてもアセスメントが取り上げられ、自由民主党から政府に対しましても閣僚協議会等をつくるべきであるという意見が述べられ、ただいま準備がなされておるような次第でございます。
#574
○池田(克)分科員 今国会に提出をされるかどうか、これはもう時間の問題になってきているわけですが、その見通しはどんなものでしょうか。
#575
○金子政府委員 現在各省庁と事務的に詰めておる段階でございます。数だけから申しますと、折衝の対象になります相手官庁は十八ほどございますが、その中で比較的問題の少ないところは順次調整がついてまいりまして、現在のところ建設省、運輸省、通産省及び自治省の四つの省、いずれも大きな省でございますが、公共事業、電源立地など大きなものを抱えておられる省庁と事務的な詰めを鋭意進めている状況でございます。
#576
○池田(克)分科員 いま私申し上げましたように、きょうお尋ねをするのにこの法律ができるかできないか、われわれとしてはその前提にするのかしないのかということが大きな意味を持つわけなんです。一応この法律がここに仮称ということで資料をいただいておるわけですが、この資料等を見ますと、この法律が対象となる事業というものについて幾つか挙げているわけでございます。この規模と種類、これについてお聞かせいただきたいと思うのです。
#577
○金子政府委員 ただいま申し上げました主要四省との調整の過程におきましても、この対象事業というものはお互いの間で非常に大きな問題になっておりますので、この席ではっきり申し上げるのはいささかはばかられる次第もございますので御容赦いただきたいと思いますが、一般的に申し上げられますことは、大規模な公共事業あるいは新幹線などの建設事業、それから相当規模以上の電源開発事業、こういうものは当然対象事業になるべきものと私どもは考えております。
#578
○池田(克)分科員 ここにあるプリントには、河川法に規定する河川に関するダムの新築その他河川工事、こういうのが挙げられているわけでございます。これはいまもめていると申しましょうか、協議されている中の一つなんでしょうか、解決済みのものなんでしょうか。
#579
○金子政府委員 基本的にはそういう線で御了承いただけるものと私どもは期待いたしておりますが、問題はそれぞれの規模をどの辺で切るかということでございまして、必ずしも法律の条文そのものに即した調整問題ではないとは思いますが、法律を出すについてはそういう点までできるだけ詰めておきたいという御希望も相手側にございますので、そういう点も法律関連事項として鋭意折衝中のポイントでございます。
#580
○池田(克)分科員 同じように、高速自動車国道、一般国道その他の道路の新設または改築、こういう項目がございます。これについてはどうでしょうか。
#581
○金子政府委員 全く同じような状況でございまして、どこまでをとりあえずの対象とするかという点につきまして、やはり折衝を続けているという状況にございます。
#582
○池田(克)分科員 この二つの問題を私取り上げたのですが、もしこの法律ができなかった場合に、どういう制度で環境というものを守っていくのか。恐らく現行のものが十分じゃないから、どうしてもこの法律をつくる必要があるんだ。環境庁としては、いま大臣からお話がありましたように、かなり長い間議論されましてここまで来た。この委員会でも取り上げられ、大平総理からも努力をされる旨のお話がございました。もしこれができない、あるいは環境庁として所期の状況にならないで、大変不十分ながらという、そういう協議の結果になった場合、残された環境を守っていく道はどういうことにあるのか。特に河川の改修等について、あるいは道路等について往復四車線ぐらいの道路、あるいは一級河川の護岸工事、こうした点についてお伺いをしたいと思うのです。
#583
○金子政府委員 環境アセスメントの実施につきましては、昭和三十年代から四十年代の初めにかけまして、未然防止に余り配慮することなく高度成長路線を突っ走った結果、ひどい環境汚染、環境破壊をもたらしたという反省の上に立ちまして、昭和四十七年に、閣議了解によりまして、公共事業等の実施に際しては、環境アセスメントを実施するということになりまして、自来、公共事業実施官庁等におきまして、あるいは事務次官通達により、あるいは長官通達によりまして、アセスメントを実施してきているわけでございます。したがいまして、アセスメント法ににわかに賛同されない官庁の言い分としては、実際にアセスメントはやってきていることでもあるし、その実績を積み重ねることによって環境の破壊は未然に相当程度防げると思うので、法制度化は急がなくてもいいではないか、こういうことでございますが、私どもといたしましては、何と申しましても法律によって担保することによりまして、アセスメントは確実に行われ、未然防止が確実に図られるというところに意味がある、こういうことで、ぜひ法制度化を進めたいと考えているところでございます。
 お尋ねの点は、まさにその辺をどういうふうに考えるかということが当庁と建設省との間の折衝の一つのポイントになっているところでございますので、この程度の答弁でお許しいただきたいと思います。
#584
○池田(克)分科員 この問題だけいろいろと議論する余裕がございませんので、具体的な事例についてお伺いをしていきたいと思います。
 建設省にお尋ねをしますが、多摩川の左岸堤防の東京都世田谷区玉川一丁目近辺について、最近住民に対して測量等の具体的な活動が始まった。この堤防工事の概要についてこの席でお示しいただきたいと思います。
#585
○井上説明員 多摩川は首都圏を貫流する大変重要な河川でございまして、治水対策の進め方といたしましては、その安全度を三百分の一、つまり、二百年に一回起こるような大洪水に対して安全な河川とするように整備を進めておるところでございます。
 いま御指摘のございました二子玉川の地先でございますが、現在堤防が住宅地の背後を迂回しておりまして、いま申し上げましたような計画規模の出水に対しましては、二メートルぐらい浸水することが予想されるところでございます。したがいまして、新しく堤防を築造いたしましてこの地先を安全に守ろうという計画で堤防計画を立てたわけでございます。
 この堤防の法線でございますが、いろいろ検討いたしました結果、いま申し上げましたような計画に基づいて必要な川幅を確保し、しかも家屋移転をできるだけ少なくするように配慮いたしまして、現在の水際に沿った法線を決定したわけでございます。
#586
○池田(克)分科員 その上流に兵庫島という島がございます。この辺は大変水鳥の多い地域でありまして、付近の小学校等は鳥類の研究では全国的に評価されているような状況で、東京の中ではあちこちで自然が失われているのですが、河川に伴う自然というのは、鳥の生息やあるいは植物の生育等で大変に貴重な状況ではないか。やはりこの堤防の延長は、二級河川でしょう、野川の合流点と絡みまして、今回の改修と相関関係があるのじゃないか、こう心配されているのですが、これの見通しについてもお聞かせいただきたいと思います。
#587
○井上説明員 ただいま先生御指摘になりました兵庫島でございますが、当該個所は、多摩川の左支川でございます野川の合流点の下流に位置いたします。この野川もいろいろと改修工事を進めておりまして、この野川の治水計画上からも、兵庫島付近の河川改修工事を必要とするわけでございます。しかし、ただいま先生からお話がありましたような状況でございますので、兵庫島につきましては、できるだけ現在の環境を変えないように努めてまいりたい、このように考えております。
#588
○池田(克)分科員 先ほど指摘をいたしました兵庫島よりももっと下流ですが、樹齢三百年の松林というのがございます。詳しいことはこの席では控えますけれども、かなり本数のある自然環境としてはなかなか得がたい、こうした森と申しましょうか、こうしたものが堤防に位置しているわけでございまして、新聞等にも報ぜられましたのでお気づきと思いますが、今回の堤防改修ではこの森がすっかり姿を消してしまう、こういうふうに心配されているわけですが、事実としてはそのように見込まれるのでしょうか。
#589
○井上説明員 その松林でございますが、これはただいま御説明いたしました二子玉川地先の新しい堤防計画の最下流端に当たるところに位置するわけでございます。
 先ほど御説明申し上げましたように、この堤防法線につきましては、宅地の前を通して水際に設けるわけでございますので、できるだけ家屋移転を少なくするというたてまえで法線が引かれております。これでまいりますと、御指摘の松林は大部分伐採する必要が生じてまいります。この松林を残すということになりますと、前面に出すわけにまいりませんので、背後に法線を迂回することに相なりますが、こういうことになりますと新たに多くの家屋移転が発生いたします。この堤防法線の決定に当たりましては、やはり地元の住民生活に影響をできるだけ小さくするというようなたてまえで法線を引く必要があると考えられますので、まことに残念ではございますが、松林は大部分が切らざるを得ないという状況でございます。
#590
○池田(克)分科員 前面にその堤防を出すわけにはいかないというところがどうもよくわからないのですね。これだけの自然を残し、二百年に一度の洪水を防止する、これは貴重なことだと思うのですけれども、わずか数メートル法線を水寄りと申しましょうか、そうした線の引き方の工夫によって何とかこれを保存しながら、景観も自然もそして洪水も守っていける、なかなかむずかしいことかもしれません。しかしながら、樹齢三百年という樹木を残すということもまた大変貴重なことであり、この辺がこれからの行政のむずかしいところだと思うのですが、そこがいろんな技術も新しくなったことであり、工夫ができないものか。私たちも大変心配しているわけですね。前に寄せられないといまおっしゃっていましたけれども、これは技術的には絶体絶命だめだ、こういうことなんでしょうか。
#591
○井上説明員 多摩川の場合でございますが、相重なる洪水によりまして、昭和五十年の四月に多摩川の工事実施基本計画を改定いたしました。この時点で、当該地点では六千五百トン毎秒の高水を流下させる必要があるわけでございます。それまでは四千百七十トンでございましたから、かなり大きな河道の容量が負荷されるという結果に相なります。
 ところで、当該地点は対岸との関係におきまして必要な川幅をどうしても確保しなければいけないということと、もう一つは、おわかりいただけますように、この付近は低水が左岸寄り、つまり二子玉川寄りに寄っておりまして、現在一部実施いたしておりますが、すぐ低水護岸があるわけでございます。この低水護岸のある高水敷を地盤にいたしまして堤防を築造することになりますので、ある程度の余裕を持ってつくりませんと非常に洪水時において危険になるということが考えられます。したがいまして、私どもは大洪水に十分安全であるということを第一義的に考えますと、堤防をこの部分だけ前に出して川幅を狭めるということは、長い将来にわたって新しい禍根を残すことに相なると思いまして、そういうことはできがたいと申し上げた次第でございます。
#592
○池田(克)分科員 確かに河川の計画はいろんなことを配慮していらっしゃると思うのですが、この下流に丸子橋というのがございます。細かい地名で恐縮ですが、その辺は大変に川幅が狭くなっているわけですね。というのは、片方が山になっているというような事情がありまして大変狭くなってきておりますけれども、住民等の要望では、狭いといってもかなりの川幅がある。ほぼ河口に近いような状況ですので、河流等の工夫、工事等によってこの松林を保存するという強固な意思、そうしたものをお持ちになれば何らかの対策があり得るのではないか、こういう意見もあるわけです。私は素人で詳しいことはわかりません。しかし、どのようにその問題を理解して、そしてこの工事に対して地元も納得して協力していけるようにするか。現在測量等について反対運動が起きておりますが、私は心配をして取り上げているわけです。河流等のそうした問題と関連してはいないのでしょうか。
#593
○井上説明員 これは一般論でございますが、河川の川幅はできるだけ上下流通っておる方が、つまり凹凸のない方が洪水を流下させる際の危険性が少ないわけでございます。いろんな地形上の関係から、どうしても狭くならざるを得ないところが確かにございます。しかしこの二子玉川の地先につきましては、現在ははるか後方に堤防が迂回いたしておりまして、そういう意味では十分な河積のあるところでございますので、ここをことさら局部的に狭めまして新しい危険地帯をつくり出すということは、私どもとしては計画上はとることができないということを申し上げているわけでございます。
#594
○池田(克)分科員 河川と並んで道路の問題なんですが、建設省として外郭環状道路の計画というのが以前にございました。現在でも都市計画に関する地図等を見ますと、埼玉県の和光市とかそうした地域を経まして、世田谷区の一部地域まで点線が引かれて計画ができておるわけです。以前に私が東京の環状七号線、八号線の公害問題を取り上げましたときに、石原環境庁長官も、外郭環状道路ができればいいんだというような答弁をしておられました。この外郭環状道路の計画は、いまなお残っているのでしょうか。
#595
○沓掛説明員 お答えいたします。
 外郭環状道路は、東京の中心から半径約十五キロメートルの地域を結ぶ延長約八十五キロメートルの環状道路でございまして、均衡のとれた首都圏の形成に必要不可欠な幹線道路と考えております。現在埼玉、千葉県内の区間につきましては、一部を残しすでに都市計画決定がなされ、一般国道二百九十八号として事業中であります。また東京都、埼玉県境以南のうち、都県境から東名高速道路間は都市計画決定済みでありますが、東名高速道路から大井埠頭間はまだ都市計画決定がなされておりません。この都市計画未決定区間のうち、多摩川沿いの路線を現在調査しておる段階でありまして、今後の調査の進行に応じて関係機関とも十分協議してまいりたいと考えておるところでございます。
#596
○池田(克)分科員 調査中であるということを初めて私は伺ったのですが、環状八号線と多摩川の間ということになるのでしょうか、あるいは川崎側ということになるのでしょうか。
#597
○沓掛説明員 お答えいたします。
 ルートそのものはまだ決まっておるわけではございませんので、そのルートを決めるための調査を現在行っておるところでございます。
#598
○池田(克)分科員 調査といっても、東京と川崎にまたがる、先ほどの外郭環状道路の趣旨からいけば、首都圏の交通というものをより一層円滑にする、しかも大井埠頭へ目指していく、こういうことでございますから、私はそんなにあっちこっちがあるということではないのじゃないかと思うのです。私どもいろいろな住民の不安というものを聞いて、それをここでなるべく解かしたい。不安を持たずに、さまざまな計画を住民も持っているわけですし、また道路の計画もそれなりに重要なことだと思います。川崎側を通るのか、あるいは東京側を通るのか、これについてはどっちかではなかろうか。つまり多摩川の川沿いに大井埠頭まで通っていく、しかも環状八号線がすでにあるということから見れば、当然その間ということにならざるを得ない。調査をされる上では経費も節約されるわけでしょうし、一番能率的な調査をされているわけですから、ある程度の勘といいますを感じといいますか、そうしたものをお持ちになっているのじゃないか。環状八号線と多摩川の間、あるいは多摩川の川崎寄りという感じじゃないかと私は思うのですが、それも全く白紙でしょうか。
#599
○沓掛説明員 多摩川沿いの路線も一つの計画線として当然調査いたしております。そして、この調査されたものは都市計画決定がなされて事業化されるわけでございますので、都市計画のいろいろなプロセスの段階で、またそういう案についていろいろな場で御説明させていただくことになろうかと思います。
#600
○池田(克)分科員 それはいつごろ調査を終えて都市計画決定がされるのでしょうか。
#601
○沓掛説明員 第八次道路整備五カ年計画中と考えておりますので、昭和五十七年度までに調査を概成したい、そして計画を固めていきたいと考えております。
#602
○池田(克)分科員 二子玉川園近辺というのは大変に人口がふえてまいりました。そして環状八号線から多摩川までの間は一キロ足らずの大変狭い地域でございます。しかも、その半分は東京の南に当たる多摩川の河岸段地と申しましょうか、かなり急勾配の坂道になっておりまして、その坂道を除けばほぼ六百メートルぐらいしかずっと幅のないところでございます。そこにもし道路が計画されるとするならば、今度の護岸工事と並んで、この周辺の環境というものは著しく破壊されてしまう。あるいは川崎側に持っていくとすれば、また川崎側にも密集した人家があり、さまざまな状況というものがあり、想像できないほどの住民の反対あるいは環境の変化、現在計画されている建物や商売に大変大きな影響が出てくる。この問題について、この川の護岸工事で風致が変わるだけではなくて、相次いで道路の計画もあるとするならば、これを総合して、先ほど来申し上げているように環境の評価というものを厳密に行い、早くから発表をして、住民の合意を得たそうした事業としていかなければ、より一層混乱を増すばかりではないか。環境アセスメント法案がいま大きな問題となっているだけに、この地域の環境変化というのははかり知れぬものがある。これについてより慎重な――堤防工事についての問題だけじゃございません。時間がありませんので先に建設省からお伺いしたいのですが、先ほど、環境庁からの仮に環境アセスメント法案がなくても、別の形で環境評価をしてきたんだという建設省の御意見があったようですが、建設省としてこの護岸工事の環境アセスメントというものを独自になさるおつもりがあるのかどうかお伺いしたいと思います。
#603
○井上説明員 この二子玉川の堤防計画でございますが、これは昭和五十年に決定いたしました工事実施基本計画に基づきましてつくられるものでございますので、新たに環境アセスメントという形で調査するつもりはございません。
#604
○池田(克)分科員 環境アセスメントをするつもりはない。さあ、そこで道路がきたらどういうことになりますか。ほぼ並んで道路がやってくる、こういうことになったらどうなりますか。
#605
○沓掛説明員 お答えいたします。
 道路については、昭和五十三年七月に出されました「建設省所管事業に係る環境影響評価に関する当面の措置方針について」という建設事務次官通達、また、これに基づいた環境影響評価技術指針案及び同年十月に出された技術指針細目・道路事業編(案)等がございますので、これに沿って環境アセスメントを実施することになりますし、また都市計画決定する段階で、そういうものがいろいろの場で関係者に説明されていくということになります。
#606
○池田(克)分科員 消防庁にもおいでいただいているのですが、この河川敷は震災対策の逃げ場所として東京都では大変大事にしているわけでございまして、町の中にも緊急避難場所として多摩川河川敷ということがあちらこちらに標識をされているわけでございます。ところが、工事が進むにつれて、いままで河川敷だったところはそうでなくなる、あるいはいままで人が通れた堤防は今度は大変な大きな堤防に変わる、こういう状況の変化というものがあるのですが、これについて消防庁として建設省から何らかの相談があり、それに対する消防庁としての防災上の意見を述べて調整工作をされているんでしょうか、お伺いいたします。
#607
○大竹山説明員 消防庁といたしましては、大地震時の人命の安全というものを考えまして、避難地の確保については地方公共団体を十分に指導してまいっているところでございます。御承知のように、東京都におきましては、現在多摩川河川敷で百五十三万三千平米、計画避難人口六十二万人ということで計画をいたしております。
 先ほど来の建設省の堤防改修工事につきましては、私どもの調査では、これらの避難場所には入っていないということではございますが、今後とも住民の人命、財産を確保するという観点から、避難地の確保については一層努力いたしたい、こういうふうに考えております。
#608
○池田(克)分科員 最後になりますが、大臣に事情をお聞きいただいたと思うのですが、河川の改修については建設省としてそうした調査をなさらない、道路に関してはあり得る、こうしたことでございまして、やはり総合して、同じ地域に大変狭い、六、七百メートルの地域が川とおかとの間にある、そこを新しい市街地としてどんどん人が住んできている、いろんな建物も建ち、事業も進出してきている、そこに道路の計画は、私は可能性として十分ある。しかも、護岸工事と並んでしばらくの間はコンクリートのそうした新しい構築物が次々にできてくる、こういうふうな状況の変化、こうしたことを考えますと、いち早くこのアセスメント法案ができて、そうした意味で合理的な調査、それによるところの路線の設定、これは洪水から住民の命を守ることはきわめて大事ですし、私は道路も大事だと思うのですが、環境が破壊されるのはうまくない、こうした点を指摘するにとどめます。ぜひ今後ともこの問題について慎重な配慮を環境庁、建設省あるいは関係各省庁ともお願いをいたしまして質問を終わりたいと思います。
#609
○土屋国務大臣 お答え申し上げます。
 私と先生の御意見は全く同感でございます。環境庁といたしましては、環境保全の問題と真剣に取り組んでまいります。
#610
○池田(克)分科員 終わります。
#611
○中島(源)主査代理 以上で池田君の質疑は終了いたしました。
 これにて、総理府所管中、環境庁に関する事項についての質疑は終了いたしました。
 次回は明六日、午前十時から開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後九時三十分散会
ソース: 国立国会図書館
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