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1979/04/22 第91回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第091回国会 運輸委員会 第12号
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1979/04/22 第91回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第091回国会 運輸委員会 第12号

#1
第091回国会 運輸委員会 第12号
昭和五十五年四月二十二日(火曜日)
    午前十時二分開議
 出席委員
   委員長 古屋  亨君
   理事 加藤 六月君 理事 佐藤 守良君
   理事 関谷 勝嗣君 理事 保岡 興治君
   理事 田畑政一郎君 理事 吉原 米治君
   理事 西中  清君 理事 三浦  久君
      相沢 英之君    北川 石松君
      三枝 三郎君    浜野  剛君
      福家 俊一君    三原 朝雄君
      山村新治郎君    久保 三郎君
      斉藤 正男君    関  晴正君
      石田幸四郎君    草野  威君
      薮仲 義彦君    四ツ谷光子君
      永江 一仁君    渡部 正郎君
 出席国務大臣
        運 輸 大 臣 地崎宇三郎君
 出席政府委員
        運輸大臣官房長 杉浦 喬也君
        運輸省鉄道監督
        局長      山地  進君
 委員外の出席者
        日本国有鉄道総
        裁       高木 文雄君
        日本国有鉄道常
        務理事     加賀山朝雄君
        日本国有鉄道常
        務理事     繩田 國武君
        参  考  人
        (ルポライタ
        ー)      加藤 邦彦君
        参  考  人
        (出光タンカー
        株式会社代表取
        締役専務)   長野  煕君
        参  考  人
        (内外産業株式
        会社代表取締役
        社長)     田中 克佳君
        参  考  人
        (東京都公害研
        究所次長)   田尻 宗昭君
        参  考  人
        (元海上保安庁
        警備救難監)  船谷 近夫君
    ―――――――――――――
四月十八日
 日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案(内閣
 提出第四七号)
同月十六日
 国鉄赤字ローカル線の廃止反対に関する請願
 (近藤元次君紹介)(第四一五七号)
 国内用船外機の検査免除に関する請願(足立篤
 郎君紹介)(第四一五八号)
 日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案の撤回
 に関する請願(関晴正君紹介)(第四二二八
 号)
 国鉄運賃の値上げ反対等に関する請願(三浦久
 君紹介)(第四二二九号)
 総合交通政策の確立等に関する請願(安藤巖君
 紹介)(第四二三〇号)
 同(梅田勝君紹介)(第四二三一号)
 同(金子満広君紹介)(第四二三二号)
 同(神崎敏雄君紹介)(第四二三三号)
 同(木下元二君紹介)(第四二三四号)
 同(栗田翠君紹介)(第四二三五号)
 同(小林政子君紹介)(第四二三六号)
 同(榊利夫君紹介)(第四二三七号)
 同(柴田睦夫君紹介)(第四二三八号)
 同(庄司幸助君紹介)(第四二三九号)
 同(津川武一君紹介)(第四二四〇号)
 同(寺前巖君紹介)(第四二四一号)
 同(中路雅弘君紹介)(第四二四二号)
 同(中林佳子君紹介)(第四二四三号)
 同(野間友一君紹介)(第四二四四号)
 同(東中光雄君紹介)(第四二四五号)
 同(不破哲三君紹介)(第四二四六号)
 同(三谷秀治君紹介)(第四二四七号)
 同(山原健二郎君紹介)(第四二四八号)
同月二十一日
 総合交通政策の確立等に関する請願外二件(飛
 鳥田一雄君紹介)(第四三四四号)
 同(井岡大治君紹介)(第四三四五号)
 同外二件(井上一成君紹介)(第四三四六号)
 同(石橋政嗣君紹介)(第四三四七号)
 同(大橋敏雄君紹介)(第四三四八号)
 同(勝間田清一君紹介)(第四三四九号)
 同(北山愛郎君紹介)(第四三五〇号)
 同外一件(草川昭三君紹介)(第四三五一号)
 同(上坂昇君紹介)(第四三五二号)
 同(斉藤正男君紹介)(第四三五三号)
 同(沢田広君紹介)(第四三五四号)
 同(嶋崎譲君紹介)(第四三五五号)
 同(島田琢郎君紹介)(第四三五六号)
 同(新村源雄君紹介)(第四三五七号)
 同(高橋繁君紹介)(第四三五八号)
 同(楯兼次郎君紹介)(第四三五九号)
 同(前川旦君紹介)(第四三六〇号)
 同(松浦利尚君紹介)(第四三六一号)
 同(森井忠良君紹介)(第四三六二号)
 同外二件(森田景一君紹介)(第四三六三号)
 同(森中守義君紹介)(第四三六四号)
 同外二件(山田太郎君紹介)(第四三六五号)
 同外一件(渡部行雄君紹介)(第四三六六号)
 同(井上一成君紹介)(第四四六九号)
 同(伊賀定盛君紹介)(第四四七〇号)
 同(石野久男君紹介)(第四四七一号)
 同(稲葉誠一君紹介)(第四四七二号)
 同(岩垂寿喜男君紹介)(第四四七三号)
 同(小川国彦君紹介)(第四四七四号)
 同(加藤万吉君紹介)(第四四七五号)
 同(川口大助君紹介)(第四四七六号)
 同(佐藤観樹君紹介)(第四四七七号)
 同外一件(坂口力君紹介)(第四四七八号)
 同(柴田健治君紹介)(第四四七九号)
 同(新村勝雄君紹介)(第四四八〇号)
 同(瀬野栄次郎君紹介)(第四四八一号)
 同(関晴正君紹介)(第四四八二号)
 同(田口一男君紹介)(第四四八三号)
 同(多賀谷真稔君紹介)(第四四八四号)
 同(野口幸一君紹介)(第四四八五号)
 同(村山喜一君紹介)(第四四八六号)
 同(八木昇君紹介)(第四四八七号)
 同(安井吉典君紹介)(第四四八八号)
 同(山口鶴男君紹介)(第四四八九号)
 同(横路孝弘君紹介)(第四四九〇号)
 同(渡部一郎君紹介)(第四四九一号)
 同(渡辺三郎君紹介)(第四四九二号)
 国鉄運賃の値上げ反対等に関する請願(田畑政
 一郎君紹介)(第四三六七号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
四月十八日
 新幹線交通体系の整備に関する陳情書(十都道
 府県議会議長会代表京都府議会議長西尾正外九
 名)(第一五七号)
 福江空港の整備拡充に関する陳情書(長崎市興
 善町六の二四長崎県町村議会議長会長宮崎綱勇
 喜)(第一五八号)
 国鉄高千穂線の廃止反対に関する陳情書(延岡
 市議会議長佐藤済)(第一五九号)
 国鉄地方交通線の確保に関する陳情書外七件
 (北海道議会議長西尾六七外七名)(第一六〇
 号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――本日の会議に付した案件
 日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案(内閣
 提出第四七号)
 海上保安に関する件(海洋汚染の防止に関する
 問題)
     ――――◇―――――
#2
○古屋委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案を議題といたします。
 趣旨の説明を聴取いたします。地崎運輸大臣。
#3
○地崎国務大臣 ただいま議題となりました日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
 国鉄は、これまでわが国の基幹的交通機関としての機能を果たしてまいりましたが、その累積赤字は昭和五十四年度末において六兆円を超えるものと見込まれ、このままに推移すれば将来巨額な国民負担となることは明らかであり、わが国の交通体系における国鉄の枢要な機能を今後とも維持させるためにも、国鉄の経済の再建が緊急の国民的課題となっております。
 このため、政府といたしましては、昨年十二月日本国有鉄道の再建についての閣議了解を行い、国民及び利用者の深い理解と協力のもとに、国鉄の再建を図るため、国及び国鉄が当面緊急に実施すべき対策を決定したところであります。
 この閣議了解におきましては、国鉄は、地方交通線対策を含む経営の重点化・減量化、業務運営全般の効率化、機構・組織の簡素化等の推進によって昭和六十年度に職員三十五万人体制を実現することを中心とする徹底した経営改善を実施することとするとともに、国は、このような国鉄自身の経営改善努力を前提として、国鉄の経営努力のみでは解決しがたいいわゆる構造的問題を中心に債務のたな上げ等所要の行政上の措置を講ずることとしており、このような国及び国鉄の対策を総合的に実施することにより昭和六十年度までに国鉄の健全経営の基盤を確立し、可及的速やかに収支均衡の実現を図ることといたしております。
 本法律案は、この閣議了解の考え方に基づいて、国鉄の再建を促進するためにとるべき特別の措置を定めるものであります。
 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 第一に、この法律の趣旨は、わが国における基幹的交通機関である国鉄の経営の再建を促進するためにとるべき特別の措置を定めることとするもので、国鉄の経営の再建の目標を、昭和六十年度までにその経営の健全性を確保するための基盤を確立し、引き続き、速やかにその事業の収支の均衡の回復を図ることに置くこととするとともに、その目標を達成するための国鉄及び国の責務を明らかにしております。
 第二に、国鉄の経営の再建のための措置の確実な実施を期するため、国鉄に経営改善計画を作成させ、毎事業年度その実施状況を検討させることとするとともに、その経営の再建の促進に関する監査を充実するため、国鉄の監査委員会の委員を一人増員することとしております。
 第三に、国鉄の鉄道の営業線のうち地方交通線に関しては、関係行政機関等による特定地方交通線対策協議会を組織し、特定地方交通線を廃止する場合に必要となる輸送の確保について協議させることとすること、地方交通線の貸し付け及び譲渡の道を開くこととすること等、地域における輸送の確保に配慮しつつ、バスまたは地方鉄道へ転換するための措置を講ずることとするとともに、地方交通線の運賃設定に当たり物価安定等に配意しつつ収支改善のために特別の配慮を払うこととするほか、日本鉄道建設公団の業務として、地方鉄道線の建設を行うことができることとする等の措置を定めております。
 第四に、国鉄に対する援助の措置の強化を図るため、昭和五十四年度末の債務のうち五兆五千九百九億円の債務についてたな上げを行うとともに、たな上げされた債務に係る償還資金の無利子貸し付け及び利子補給を行うことができることとするほか、地方交通線に係る補助の規定を設ける等、国の財政措置に関する規定を整備することとしております。
 第五に、以上の措置を実施するために必要な関係法律の規定の整備を行うこととしております。
 以上がこの法律案を提案する理由であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
#4
○古屋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#5
○古屋委員長 海上保安に関する件、特に海洋汚染の防止に関する問題について調査を進めます。
 本日御出席いただきました参考人は、ルポライター加藤邦彦君、出光タンカー株式会社代表取締役専務長野熙君、内外産業株式会社代表取締役社長田中克佳君、東京都公害研究所次長田尻宗昭君、元海上保安庁警備救難監船谷近夫君、以上五名の方々であります。
 この際、参考人に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。
 本委員会におきましては、かねてより海洋環境の保全、海上保安体制の確立等各般にわたり審査を行っております。今国会におきましても海洋汚染防止に係る条約及び関係法案が審査されております。
 このような時期において、海洋の自然環境を破壊するスラッジの不法投棄など大変遺憾な事件も発生し、今後も懸念されております。
 御出席の参考人各位には、海洋汚染の防止に関する問題について忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 まず最初に加藤参考人、長野参考人、田中参考人、田尻参考人、船谷参考人の順序で、御意見をお一人十分程度に取りまとめてお述べいただき、次に、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
 なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得ることになっております。
 また、参考人は委員に対し質疑をすることはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきを願います。
 それでは、加藤参考人からお願いいたします。
#6
○加藤参考人 私は海が大変好きでございまして、特に素もぐりなどをするために南西諸島の島々、すなわち奄美大島から徳之島とか与論島とか沖永良部あたりの海によくもぐっております。そして、私が初めて廃油ボールというものを知ったのは与論島に初めて行ったときでございまして、その非常に美しい与論島の海岸を歩いておりますと足にべたっとつくものがあるわけです。それでべたっとつきますと、石けんで洗っても取れないわけなんです。これは非常に始末の悪いもので、石けんで洗っても取れないから熱い蒸しタオルで二、三回こすって、それから石けんで洗ってやっと取れるというようなものがあったわけです。地元の人にこれは何かと聞きますと、これがいわゆる廃油ボールだということを教えていただいたわけです。それが私が廃油ボールと初めて遭遇したときの印象なんでございますけれども、それは実は昭和四十七年のことです。それから、地元の人にこれは何か、これはどうしたことかと聞きますと、地元の人はこの南西諸島の沖合いで多くのタンカーがタンクの掃除をしている、その掃除をしてそのまま廃油ボールを捨てるからこういうものが流れ着くんだというようなことを地元の人に伺ったわけです。それが実に昭和四十七年のことです。
 そんなことがございましてから、私はあるときに産業廃棄物業者の方々と懇談する機会を持ちまして、そのときに、これは裏をとっておりませんからはっきり言えませんが、要するにそういうスラッジの中にきわめて有毒な物質を混入させて海に捨てておるというようなことを伺ってさらに私は驚いたわけです。
 そうこうしているうちに、釜ケ崎の日雇い労働者に私は友人がたくさんおるものですから、その人たちにどうしても私はこういう産業廃棄物を調べてみたいというようなことを言っておりましたら、その日雇い労働者の一人が、そんなことは十年も前からずっとわれわれはやってきた、だから本当に君が見たいんだったらタンカーに乗せて見せてあげる、自分が手配するからタンカーに乗ってみないかと言われたわけです。それが昨年の十二月です。そこで私はさっそくタンカーに乗ることになったわけですが、言われたのは二月二十八日です。それから二月二十九日にいよいよ新幹線で新神戸から徳山へ行きまして、徳山から乗ったわけです。乗ってみましたら、それがいわゆる徳山丸だったわけです。したがって、ここでかいつまんでその徳山丸に乗船したときの様子をお話し申し上げたいと思います。
 タンカーに乗りましたのは二月二十九日の午後一時二十分です。それから出港しましたのは二時二十分だったわけです。出港しますと、まず班に分けられますけれども、私と一緒に乗ったいわゆるアンコといいますか日雇い労働者は二十三名だったわけです。それから、正確には覚えておりませんけれども、そのうちの七人がいわゆるバッタ打ちという作業に行きます。そうしますと、残りが十六名になりますけれども、この十六名が二班に分かれて作業をするわけです。このバッタ打ちというのは大事ですからちょっと御説明申し上げますと、どういうことかと申しますと、スラッジというのは、そのままでは非常に有毒なガスが残留しておりますから、そのスラッジに甲板の上からこのくらいのホースで熱湯を吹きつけるわけです。そうしないと危なくて有毒なガスのために作業ができないわけです。その熱湯をぶっかける作業をバッタ打ちと申しますけれども、このバッタ打ちに大体三時間から五時間かかるわけです。それでもなお有毒なガスが残留しておりますのでタンクの底に入っていけないわけですけれども、その後でガス抜きということを行います。専門用語ではガスフリーと申しますけれども、そのスラッジの中に残留しておりますガスを抜くのにまたさらに三時間から五時間かかるわけです。それでも、三時間から五時間かけてガスフリーを行った後でもタンクの中に入っていきますと意識を失って昏倒するぐらい有毒なガスが残っておるわけです。詳しいことはお話し申し上げませんけれども、たとえばそのガスの危険性と申しますと、甲板の上を金具のついた靴で歩くだけでも爆発するあるいは静電気によっても爆発するわけですから、要するに合成繊維の服を着た者同士がすれ違っても爆発するぐらい危険なガスだそうです。かつて、アンコたちが入るときにどういうことをしたかと申しますと、タンクの中にカナリアを飛ばしまして、カナリアが死んだら行かない。ところがカナリアが生きておったら大丈夫だろうということでタンクの底に入れたというような状態だったらしいんです。
 さて、十六人が二組に分かれまして八人ずつなんですけれども、その八人が一つのタンクの両端からずっとスラッジを揚げていって、真ん中で合流して、合流したところで終わるということになるわけですけれども、その八人はまず四人がタンクの底にもぐります。タンクの底と申し上げますと、徳山丸の場合ですと、約二十九メートルの高さですから十五階建てのビルぐらいの高さなんです。その底に四人がもぐりまして、まずバケツの底にスラッジをくみ上げます。そうしますと、甲板に残っておる四人がそれをウインチでつり上げまして、それから古米の袋に入れてその口を針金で縛りましてそれを甲板のふちにずらっと並べていくわけです。私は初めは袋をフックに引っかけて甲板のふちに並べる役をしておったんですが、余りにも体がしんどいものですから仲間に頼みまして、後は袋を持って立っておる役目に回していただいたわけです。さて、そうした作業は実は朝の四時から始まって夜の十一時まであるわけです。それから十一時から夜食が出て就眠するものですから実質睡眠時間は三時間ほどになります。三時間睡眠で一週間ぶっ続けに作業させられますと、たいがい頑健な男でもぶっ倒れるような状態になります。実は、もう動けないからやめさせてくれというストライキ寸前の状態まで行ったこともあったわけです。それどころかその労働条件と申しますと、食事をする場合でもテーブルもなければ、いすもなければ、座るところもないわけで、スラッジがこびりついた廊下の上でしゃがみ込んで、こんなかっこうで飯を食ったりあるいは立ったままみそ汁をぶっかけて飯を食うというような労働条件だったわけです。
 さて、私がその目撃したときでございますけれども、最初に目撃したのは三月の二日です。三月二日は、それまでに揚げたスラッジの袋が夜の十一時の作業を終わって帰ってきますと全部なくなっておったというのが第一回目の目撃です。これは実際に投棄しておるのを見たわけではございません。ところが実際に見たのは、三月の三日でございます。三月の三日、私はタンクの真ん中あたりで作業をしておりまして、私は袋を持って立っておる立場ですから、このようにして立っておりますと、こちらにへさきが見えるわけですね。へさきまでは大体百メートルか百五十メートルあるわけですが、その間に袋がずらっと並んでおるわけです。こうやって見ておりますと、五、六人の男がそのへさきの方から袋を捨てにかかったわけです。私は、これが目的だったものですからじっと袋を持ちながらこうやって見てますと、一時間から一時間半くらいかかりましてそのへさきからずらっと百五十メートルくらい並んだ袋を六人がぼんぼんと海の中に捨てておるわけです。一人がフックでひっかけて船べりまで持ってきますと、あとの二人がそれを両端を持ってほうり込むわけです。それから、ずるいことを思いついたやつがおりまして、そいつは手押しの台車にいっぱい山盛りスラッジの袋を積みまして、その台車ごとぼうんとさくにぶつけまして、その反動で袋が中に落ち込むようにしております。その場合に、落ち込むのは上の部分の袋だけですけれども、残った袋は手でほうり出すというようなことで三月二百を過ぎたわけです。
 それから、四日は私目撃しなかったのですけれども、三月の五日には昼間から捨てておりました。これは、六日に入港ですから、もう時間がないので、昼間から捨てるというようなことを行ったんじゃないかと思います。それが三月の五日です。
 それで、そのときのことなんですけれども、甲板はごうごうたる投光器の明かりで照らされておりますので、これは絶対にブリッジから見えないはずはございません。実際に私は、三月二十一日の現場検証のときに初めてブリッジというものに上がってみまして、ブリッジから死角があるかどうか調べてみたのですけれども、死角はほとんどございません。タンカーの中央あたりの両舷に小さな倉庫がありますけれども、その倉庫からの死角はせいぜい三メートルか五メートルです。ちょっと移動すればその死角もなくなるわけです。しかも、その甲板上で作業するときにつける投光器の光はブリッジでしか操作できないということでございますので、ブリッジにおった方は絶対に知らぬはずはございません。だから、出光タンカーが知らないとは私は絶対言わせません。必ずブリッジの人は見ているはずです。残念ながら今回逮捕されたのは内外産業の監督と作業員ですけれども、私はこれに対して絶対承服するわけにいきません。陸上における産業廃棄物の場合には排出者責任というのがあるようですけれども、今回の場合にもこの排出者責任というものを明確にしていただいて出光タンカーの責任を必ず追及していただきたい、私はこのように思います。
 なお、時間がなくなったので余り申し上げられませんけれども、海洋汚染防止法というのを私ここに持っておりますけれども、これはよく読んでみますと、実にざる法です。しかも、国際条約を批准していないそうです。これは、先進国四十三カ国が批准しているのに日本だけが批准していないということはとんでもない話で、世界の国々に野蛮国と思われてもいたし方ないと思います。これをぜひ批准に持ち込んでいただきたい。実際にどういうふうに海洋汚染防止法を改正したらいいかという点につきましては、私も私なりの意見を整理しましてここに持ってきておりますので、後ほど質問を受けるときに全部お話し申し上げたいと思います。
 なお最後に、今回海上保安庁の方々は実によくやってくださいました。海を愛する男として本当に一生懸命多くの方々がやってくださったことを私、心から感謝しております。そして、この海上保安庁が今後絶対に海洋汚染をさせないためにも、この海上保安庁の人員の拡充と設備の拡大をぜひともやっていただきたい、このように思っております。
 これで私のお話を終わります。(拍手)
#7
○古屋委員長 ありがとうございました。
 次に、長野参考人にお願いいたします。
#8
○長野参考人 出光タンカー代表取締役専務の長野熙でございます。
 今般は、弊社船徳山丸におきまして、スラッジの不法投棄事件が発生いたしまして、大変に世間をお騒がせいたしまして、まことに申しわけなく、深くおわび申し上げます。
 弊社はタンカー専門会社でありますので、安全運航を第一に考えております。それで、特に事故の防止と油流出による海洋汚染の防止に重点を置いて懸命の努力を払ってまいりました。しかし、今般徳山丸におきましてまことに不本意な事件を惹起いたしまして、努力の至らね点を深く反省し、おわび申し上げる次第でございます。
 なお、同船の状況でございますが、この船は二年に一回のドックを昨年の三月に済ましております。しかし、タンクの中のパイプラインに一部不調が認められましたので、安全第一ということを考えまして、工期を一年繰り上げまして、ことしの三月に急遽臨時ドックをすることを決定したわけでございます。これは、パイプラインの不調がもしひどくなりますと、油が流出いたしまして油濁事故が起こる可能性があるというふうに判断したからでございます。応急処置もできたのでございますけれども、応急処置ではいけない、抜本的な対策を講じなければいけないということで、ドックに入れて徹底的に修理をするということで、一年早めてドックに入れたわけでございます。
 ドックに入りますまでに、さっき加藤参考人もおっしゃいましたが、タンクの中をきれいにしなければいけない。これは、ドックに入りまして、ドックで作業するときに、人が入れてそれから火が使えるような状態でないとドックに入れませんので、そのためにタンクのクリーニングをするという必要で、徳山を出ましてから四国の沖約三百五十キロメートルぐらいのところでタンククリーニングの作業を行いました。
 この作業の実施でございますが、私の会社は創立してから十八年になりますが、十八年間にわたりまして山水商事株式会社にタンククリーニングを全部お任せしております。これは請負契約を結びまして作業をお任せしておるわけでございます。それで、山水商事株式会社はこのタンククリーニングの仕事をさらに内外産業に下請させまして、実際の作業は内外産業がやったわけでございます。
 タンクのクリーニングに際しましては、まず最初にタンクの中を熱湯で洗いまして油分を一ところに集めまして、これを一つのタンクに全部集めます。その後でタンク底に残りましたスラッジを袋詰めにいたしまして、これを油分と一緒にドックのところまで持っていきまして、そこで廃油の処理業者に引き渡すことに決めております。
 しかしながら、この袋詰めしましたスラッジの一部を内外産業の作業員が外洋に不法投棄したものであります。
 この件に関しましては、直ちに社内に緊急安全対策本部を設置いたしまして、現状の調査及び事故再発防止対策などの検討を行っております。努力が足りなかった点を反省し、おわび申し上げる次第でございます。今後はこのような不祥事を二度と起こさないよう、次のように改善いたします。
 まず、外洋でのスラッジ揚げにつきましては、関係先と御相談の上、抜本的改善対策を行います。
 次は、社内体制の改善についてでありますが、社内における教育及び訓練を再徹底するようにいたします。
 さらに、工事業者の指導についてでありますが、作業に対する指導と監視を十分に行うことはもちろんでございますが、今後教育を行いまして、法の遵守、正しい作業の実施等を図っていきます。
 どうか今後ともよろしく御指導のほどをお願い申し上げる次第でございます。
#9
○古屋委員長 ありがとうございました。
 次に、田中参考人にお願いいたします。
#10
○田中参考人 内外産業株式会社代表取締役田中克佳でございます。
 このたび徳山丸タンククリーニング工事に関しまして、弊社の従業員が海洋汚染防止法に違反する事件を引き起こしまして、社会的に大変な非難を受けましたことは、法に違反した当人に対してわれわれ監督指導の立場にある会社代表といたしまして深くおわび申し上げます。まことに申しわけございません。
 違反した当人に対しましては、現在送検されておりますので、来るべき裁判を通じまして司直の手ではっきりと事情解明ができるものと考えております。
 一方、内外産業株式会社に対しましては、本件に関し昭和五十五年四月二十一日送検されまして、略式にて罰金二十万円の求刑を受けました。会社といたしましては、責任を十分に痛感しておりましたので求刑に服することに決定いたしました。
 内外産業株式会社は昭和三十三年の設立でございまして、会社設立以来わが国におけるタンククリーニング業界の大手の一社としての実績を上げてまいっております。関係の海運業界、造船業界等におきましては、その実績に高い評価を受けてまいっております。なお、会社の幹部以下従業員一同も、この仕事を通じましてわれわれは国家、社会にいささかなりとも貢献しているんだとの自負を持って現在に及んでいるものでございます。しかるところ、このたび一部従業員の不心得、不始末によりまして、こういう事態を引き起こしましたことは、まことに残念に存じておる次第でございます。
 昭和四十六年海洋汚染防止法が施行せられましたので、社内においてもいろいろ検討、研究を重ねましたが、その結論としては、要するにわれわれタンククリーニングの業者は、いついかなる場所においても一切の油分あるいは廃棄物等を海中投棄してはならぬということでございました。われわれとしては、この理解のもとに社内指導をなしてきたつもりでございましたが、結果的にこの指導、教育が不十分のためにこういうことになったと反省しております。深くおわび申し上げます。
 今後はこういった不祥事を絶対に引き起こさないように社内体制を確立して従業員の指導、教育の徹底を図りたく考えております。
 その具体的方法としては、今回の事件に対する社内の責任を明確にいたしまして、その処分をいたします。次に、海洋汚染防止法あるいは安全対策、そういったものの必要事項等をわかりやすく明記した作業心得を全従業員に配布して教育を徹底いたします。第三に、工事実施に際して監督責任者は必ず全従業員に対して、海洋汚染防止法、安全対策等について全員の注意を喚起することを実行させます。第四に、問題のスラッジの袋に海中投棄禁止というステンシルを大きく赤色で刷り込みまして注意を喚起したいと考えております。その他種々の方策を考えて絶対に再発防止を図るつもりでございます。
 なお、タンカーを利用して石油を運搬する以上、タンククリーニング工事は絶対必要不可欠なものであります。また、この工事を業者に委託される以外に解決の方法のないのも事実であると思います。わが社といたしましては、今後なお一層関係諸官庁あるいは関係機関、関係業界の御指導を願って、完全な体制で完璧な工事を施行するように体質改善を図りたいと考えております。
 改めて、今回の事件を引き起こしましたことについて会社代表として深くおわび申し上げます。
 以上をもって終わります。
#11
○古屋委員長 ありがとうございました。
 次に、田尻参考人にお願いいたします。
#12
○田尻参考人 私は、前職の海上保安庁の現場の体験を通じまして、巨大タンカーが一たん事故を起こして大量の油を出したならば取り返しがつかないという問題につきまして、その問題点を若干申し述べてみたいと思います。
 現在、海上保安庁では海洋汚染防止法とかあるいは海上交通安全法で懸命にこのタンカーの油の対策を立てておりますけれども、何分にも海洋汚染防止法は不法排出を規制する、あるいは油が出た後の処理をする、また海上交通安全法は限られた航路の中の主に衝突防止というようなことでありますから、タンカーが座礁したりしまして何十万トンという油が流れることについては非常に大きな限界があるわけでございます。また、乗組員がいかに注意をいたしましても、一番問題なのはやはり受け皿であります港とか石油基地に欠陥がございますと、どうしても事故が防げないということでありますので、きょうはポイントとして欠陥港湾の問題を申し上げてみたいと思います。
 まずその前提として、一昨年の三月十六日にフランスのブルターニュ海岸でアモコ・ガジス号が座礁いたしました。二十万トンタンカーでありました。それで二十万トンの油が流れ出しまして、約四百キロの海岸を真っ黒に汚染したのであります。その結果、当時はとりあえず十六隻の軍艦と二千人の軍隊が出動しましたけれども、ほとんど手の打ちようがない。結局最終的に二十万人の作業員が動員されましたけれども、その被害をほとんど処理し得なかったわけです。そして四千羽の海鳥が死にまして、四千億の被害の補償要求がいま出ているということで、この被害の程度を日本に焼き直しますと瀬戸内海がすっぽり入る規模でございますので、フランスの海岸より水産物のより豊富な日本において、もしこの種の事故が起こったならば、まずあの瀬戸内海でも全部油で覆われてしまうということを覚悟しなければいけないということであります。
 さて、二番目に日本のタンカーの隻数でありますけれども、昭和五十二年でタンカーの隻数が千四百六十一隻である。世界第一位であります。そして五十二年で全国の海での油汚染が八百二十六件に及んでいる。年々でこぼこはありますけれども、やはり数百件の油汚染が後を絶たない。またタンカーの海難にしましても、五十三年に九十九隻もある。そのうちで一番多いのが乗り上げであります。こういうことを考えますと、一たんタンカーの事故が起こったならばもう手の打ちようがないということは、残念ながらわが国におきましても昭和四十六年の新潟のジュリアナ号事件あるいは水島の重油流出事件で証明をされていると思います。
 さて、本論に入りまして、現在海の巨大開発というのが行われておりますけれども、どうも私たち納得できないのは欠陥が多過ぎるということであります。従来から、まだ私たちが海上保安庁におりますころから比べますと、どうも最近の海の巨大開発が余りにも基本的な問題を置き去りにして強行されているということに非常に大きな心配を感ずるわけであります。そういうことが原因になって、タンカーが一たび事故を起こしたならば大変な惨事が起こるのではないか。
 まずその第一といたしまして、むつ小川原でありますけれども、太平洋の真ん中というか、むつ小川原の吹きさらしのど真ん中に巨大タンカーのシーバースをつくるという計画がございます。基本的に不思議なのは、いままで全国の港に高い金をかけて防波堤をつくり、静かな海面を確保するために港湾造成を行ってきたのであります。それは港湾法に基づいて港の中は静穏であることということを眼目として、長年にわたる風や波のデータも調べてそういう対策をとってきたはずであります。それが一挙に外洋で大型タンカーの荷役が安全だということになれば、従来の全国の港湾造成は何のために行われてきたのかという大きな矛盾が生ずると思います。また、こういう外洋でブイが浮かんでいるわけですが、それに係留したタンカーの荷役、港則法に基づく危険物の荷役が許可できるということになれば、全国の港湾で非常に厳しい条件をいろいろとつけて、その周囲にいろいろな対策がとられていることを条件に規制し許可してきた危険物の荷役の許可というのはどうなるのかということを考えますと、港湾法上、港則法上基本的な問題があるのではないかと思います。
 次に、むつ小川原で外洋で荷役をすることの問題につきましては、昭和四十八年の第四港湾建設局の大規模シーバース安全対策調査報告書に、こういうシーバースは風やうねりが余り入ってこないところでやるべきだということがはっきり書いてあります。外洋でありますから、風やうねりが入ってこないどころではなくて、そのまま吹き通しであります。
 次に、昭和五十二年に第二港湾建設局が大規模工業港原油ブイバース調査報告書というのをまとめておりますが、この中に、太平洋に面しているから非常に厳しい外海の条件にさらされるということを指摘しております。
 それから青森県が作成いたしましたむつ小川原港シーバース安全対策調査報告書には、このような外洋に面するブイバースの例は数少なく、安全対策について種々問題かあり、太平洋の波を直接受けるので種々の困難が予想される、こういうぐあいに明快に書いておる。これはあたりまえです。
 私は釜石海上保安部の巡視船の船長をしておりまして、この付近でずいぶん海難救助で苦労しました。三陸沖の突風性低気圧が北上いたしまして、むつ小川原から北海道にかけてはそれが台風並みに成長するところ、しかも津軽暖流、黒潮、親潮、三つの海流がぶつかる非常な難所であります。毎年百隻近くの海難が発生しております。その吹きさらしの海上で巨大タンカーの荷役をするということは余りにも無謀ではないかということを感じます。
 次に二番目の問題点として、家に駐車場が必要なように船にも港の中に避難錨地、台風や低気圧がやってきたならば、ちゃんといかりを入れる、避難する場所が必要であります。第八十回の港湾審議会の議事録でも、港湾審議会の委員から、ここは避難錨地がない、非常に深くて海底が急斜面になっているからいかりがもたない、避難錨地がないということを指摘しております。
 三番目に、ブイにつないで船がぐるぐる回るわけですから、油が出たときにそれをとりあえず囲むオイルフェンスがぐちゃぐちゃになってしまうわけですね、オイルフェンスはいかりでとめなくちゃいけませんから。それで第二港湾建設局の報告書にも、こういうブイバース方式ではオイルフェンスは使えないと書いておるわけです。
 そして、次に水深ですが、第二港湾建設局の石油ブイバース調査報告書では、潜水夫がもぐるのに四十メートルが限界である、ところがこのブイバースの付近はそれより水深が深いから海底パイプの点検ができないということを書いております。これは基本的なことだろうと思うのです。
 最後に、この付近が米軍の海上演習場でありまして、タンカーが走っているところへ弾が飛んでくる。これはどういう解決をしていいかわからぬということであります。
 次に、時間がありませんのでもう一つだけ例を挙げますが、五島の海上石油タンクであります。五島の青方というところに折島という島がありまして、その島より大きな九百メートルの長さの六百万トンの石油タンクを海上に浮かべるという、これは世界に例のない計画でありますけれども、二十万トンタンカーの三十倍でありますから、これは大変なスケールであります。これを浮かべてドルフィンで固定をするわけですが、非常に心配なのは、台風に直撃されたときはどうするかということです。これは別段スクリューもかじもついておりませんから逃げようがありませんので、この六百万トンの海上タンクが台風に直撃を食って島に激突をして破れたならば、もう想像のできない致命的な海の破壊というものが行われるのではないかと思います。最近北海で十メートルの大波で海上宿泊所がひっくり返ったことがございますけれども、あれは波の力をまざまざと思い知らされた大きな例だと思います。したがって、どんなに堅牢なものをつくりましても、ルース台風や伊勢湾台風級の台風が直撃したならばこのタンクがどうなるかということを考えますと、非常に心配であります。
 それよりもっと具体的なことは、五十三年七月七日の運輸省の技術審議会の答申、これは安全指針であります。世界にかつてないこういうタンクを浮かべるということについて、運輸省の技術審議会が指針を出したのでありますが、その指針に違反をしている。たとえば、七つに分かれておるわけですが、その一つは、日本でつくられたタンカーの最大クラス以下であることということが書いてあります。これは強度に自信がないのでそれまでにせよということで、あたりまえでありましょうけれども、日本でつくられたタンカーの最大は、私の記憶ではグロブティックトウキョウの五十万トンであります。ところがこの海上タンクの一つは八十万トンであります。そうすると何のために技術審議会で指針をつくったのか、こんなに明白な違反があったのでは話にならない。
 それから、横に巨大タンカーの桟橋ができるわけですが、タンカーというのは操船中よく流れますから、そのタンカーとタンクが衝突しないように、また衝突しても安全なようにという規定ができたわけです。ところが、三菱重工の安全計画書という資料によりますと、この海上タンクの強度は三千トンの船が四ノットでぶつかったときに耐えられると書いてあります。ところが、横にできる桟橋に着くタンカーは三十万トンですから〇・〇四ノットのスピードでぶつかって限界だということです。ところが〇・〇四ノットといいますとたしか毎秒二センチですか、風に吹かれただけでもそれぐらいのスピードになるわけですから、どうしてこれが安全と言えるのかということです。
 それから、いろいろとありますけれども、桟橋に入ってくるタンカーは安全に操船できるような配置になっていなければいけないと書いてあるのですが、実はこのタンカーは、非常に港が狭いので、百二十度曲がらなければいけないようになっています。しかし運輸省の省令三十号では、航路は三十度以上曲げてはいかぬ。これは、二十万トンタンカーともなりますとデッキの広さは後楽園球場と同じくらいありますし、エンジンをとめたって四千メートルくらいとまりませんし、こういう腰の重いのは三十度以上曲がれないわけです。タグボートを使えばいいと言うでしょうが、タグボートも冬のしけたときは必ずしも有効ではありませんので、百二十度も曲げる、しかも運輸省の省令を四倍も上回っている。
 こうなりますと、私は、こういう計画は具体的にもっと良心的にやらなければ、これによって海上保安庁や船舶乗組員がどんなに注意をしても事故が防げるだろうかということが憂えられるのであります。
 最後に、提案だけを簡単にいたします。
 意外に海上におきましては法令が整備されておりません。実に陸上に比べておくれております。
 その第一は、タンカー安全法をつくるべきであります。
 第二は、海上消防法をつくるべきであります。消防法が海上にございません。そのためにタンカー乗組員は危険物の免状が要らない。陸上ではローリーの運転手でも要るような危険物の免状が義務づけられていない。
 あるいはタンカーのアセスメントをやるべきであります。石油基地をつくるのに煙突と排水口のアセスメントだけをやってもとんちんかんな話でありますから、タンカーのアセスメントをやるべきであります。
 最後に、日本が海洋国として非常に恥ずかしい便宜置籍船、世界的にもぐり船と言われまして、リベリアやパナマのような検査のない税金も要らない国に国籍だけ移して、リベリアの旗を立てて世界じゅうを――海の無法者としてきらわれているこの欠陥船、この最大の大手がアメリカと日本で、日本の場合六百九十隻もそれがあるということは、われわれ海洋国として恥ずべきであり、世界に対して胸を張って海洋国であることを誇れるように、まずこのようなもぐり船を早急に解消すべきであります。
 以上でございます。
#13
○古屋委員長 ありがとうございました。
 次に、船谷参考人にお願いいたします。
#14
○船谷参考人 徳山丸事件に関連しまして、私の所見を申し上げます。
 本件が事実としますと、多くの考えさせられる問題を含んでいると思います。
 最初に、公害防止あるいは環境保全について、私が平生から考えていることを簡単に申し述べます。
 まず、企業は利潤を追求するのは当然であると思いますが、そのために設備投資をしたり経費節減を図る場合に、自然環境の保全ということを、当然必要とする人件費等と同様に、大前提として考えなければならないということは言うまでもないことであります。
 このことをさらに進めて考えますと、もし環境保全のみを考えるとすれば、白砂青松の海岸もそのまま、あるいは山林、農地も昔のままという明治維新以前の状態に返ることになります。それが非現実的であり、国民がより高い文明社会を願うのであれば、一つの方法は、工場建設なんかはやめて、必要品は極力外国製品を輸入してそれによるという考え方もできると思いますが、一方、資源に乏しいわが国は、原材料を輸入して製品輸出をし、国家利潤を上げなければ購買力も生じないという事情があります。したがって、日本で生産するとしますれば、工場や鉄道、道路等の建設のため、国土の狭い日本は海岸の埋め立てや農地の工業用地への転換や、多かれ少なかれ自然を変えざるを得ないということになります。この場合でも自然の変更は必要最低限にすべきであるということは言うまでもありません。
 この自然の保護と文明社会の建設、維持、発展との調和点を見出すのが現在のわれわれの命題であろうと思います。
 この両者の矛盾を解決する道としましては、一つは、種々の面で制約のあるわが国では、国民が文明社会への欲求の限界を認識して、ある程度でしんぼうするという考え方も必要ではないかと思いますし、積極面では、国民の頭脳によって、環境保全のための施設等をより安くより優秀なものをつくり出して、環境破壊等による利潤の追求はやめて、われわれの勤勉さや工夫で両者が成り立つ方途を懸命に追求するということでなければならないと思います。
 わが国民は、その気になれば相当困難なことでもなし遂げることができるという証明は身近にあります。たとえば、東京湾等臨海工業地帯は、工場進出後は短時日で前面の海の色は茶褐色になりました。しかし、公害防止の声が大きくなって以来、関係者の努力によって、いまは魚も帰り、昔の美しい青い海によみがえりつつあります。
 次に、環境保全のための施策としまして、工場等に環境保全のための施設を建設する場合等で、余りにも多額の資金を必要とする場合、あるいは環境保全のための諸事業が経営上採算がとれないといった場合には、企業努力の限界をよく見きわめて、国が援助して建設、整備を促進したり、あるいは安い料金で、経営が成り立っていくようにしてやるということ、これはすでに配慮され実施されているとは思いますが、さらにきめ細かな配慮が望ましいと思います。
 次に、本件に関連して感じた若干具体的なことを申し述べます。
 その前に、本件の関係者の一員であります出光タンカーは、この種のことは平常から熱心な会社であると認識しております。たとえば、海上災害防止センターの、これは私、以前に勤務いたしましたが、その約三カ年半の間の防災訓練の標準コースヘの参加数は、主要タンカー会社二十七社の受講者約六百名のうち、出光タンカーは百名余りで、群を抜いて一番多数の者が受講しております。このほかに、そのセンターの施設を利用して社内研修が数回行われましたが、その際にも百名近くの者がセンターの訓練に参加しております。
 それにもかかわらず、本件のような事実があったとすれば、どこかが狂っていると思われます。
 たとえば、タンククリーニング業者の競争があって、スラッジ等を少なく、安くする業者が歓迎されているというようなことであれば、それは逆に、当然出るべきスラッジ等を少なく言う業者は何かおかしいと見るべきであろうと思います。まして、違法行為を前提として費用算出をしたりあるいは採算を考えているような企業があれば論外と言わざるを得ません。
 そこで、法制度の問題でございますが、わが国民は何事でも法令で事細かに定めなければ、社会秩序や環境維持ができない国民であろうかといつも自問いたします。たとえば、道路上や駅の構内にたばこの吸いがらを所構わず捨ててあります光景は、先進諸外国には見られません。
 まして、本件に関連しましては、船に油濁防止管理者が法令によって定められて任務を与えられておるわけでありますから、自船の乗組員はもちろん、他の作業者の行為も十分監督して法令に違反する者がないように注意するべきであると思います。
 また、このような作業の現場監督者は、あらゆる事情に優先して、法律に定められております「何人も、海域において、船舶から油を排出してはならない。」ということについて、全国民から責任を負わされているのだというくらいの自覚を持つべきであろうと思います。
 最後に、法令の励行、すなわち取り締まりについてでありますが、油の違法排出を防ぐためには、海上保安庁による監視、取り締まりの強化も大変必要であろうと思います。これを徹底するには、海上保安庁はこのほかにも大変多くの任務を持っておりますので、体制のより一層の整備が必要と思われます。
 それにしましても、監視されていなければ違法が行われるということは、余りにも情けないことだと言わねばなりません。
 結局は関係者すべてのモラルの問題に帰着するのではないだろうかと考えます。
 以上でございます。
#15
○古屋委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。
#16
○古屋委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。関谷勝嗣君。
#17
○関谷委員 各参考人にいろいろお話を伺ったわけでございますが、わが運輸委員会で海洋汚染の法律の一部改正というものをちょうどやっておりましたときにこの問題が出たわけでございまして、急ぎ皆様方にこの実情また対策というものをお伺いしたいと思っておったわけでございますが、ちょうどそういう事件の発生したときで、捜査の障害になってもいけないということで今日になったわけでございます。そんなことで、きょうは正直なところを御答弁をいただきたいと思うわけでございます。
 これは、長野さん、田中さんあるいはまた田尻さん、船谷さん、十分に御存じであろうと思うわけでございますが、伺いますと、スラッジをビニール製の米袋に入れて投棄をやったということなんでございますが どうもあるところから聞いてみますと、これは何千メートルの深さのところに投棄するのだから、油が漏れるとかあるいはそのほかのものが海中に広がるということはないのだ、そのまま底までずっと落ちていくのだということを言う人もおりますけれども、逆に水圧の高いところへ入っていくわけでございますから、その過程において袋も破れてしまう。そして、そういうものが拡散をするのではなかろうか。スラッジの場合は、最近は油は別に抜き取って砂が大部分であると言いますけれども、その砂も、ただいま加藤さんがおっしゃったように、足についてもなかなか落ちないような物質であるというようなことでございますから、その基本観念を捨てることはいけないのですけれども、捨てても大した影響がないというような大それた考えにまた大きな間違いがあると思うのでございますが、実際問題、そのナイロン製の袋に入れて捨てる、その捨てたものはどういう状態になるのだということを、これは専門的なことでございますから、船谷さん、どんなものでしょう、御存じでしょうか。それをまず最初に詳しく御報告いただきたいと思うのです。
#18
○船谷参考人 私、余り詳しい現場の模様、御質問の内容のようなことを、申しわけないのですが承知しておりません。前職中にそういった現場には行ったことがございません。
 タンククリーニングそのものにつきましては、いろいろの方途、方法があるということは承知しております。海水のスプリンクラーでタンクを掃除しまして、そしてその油まじりの水をスロップタンクに入れる。そして、タンクはガスフリーしてスラッジを集める。それでいま言われたような処置をするということでございます。スロップタンク自体もまた掃除をするということでございまして、細かいところは私承知しておりませんで申しわけございません。
#19
○関谷委員 ですから、だれも知らないといいましょうか、はっきりわからない。ということは、そういうことは決してないことだということですね、そういう不法投棄をしちゃいけないということだから。そういうようなことがどうなるかというのも別に研究する対象でもないわけです、これは違法行為をしておるわけですから。ですから、そのもの自体がどういうような海の汚染につながっておるかということをまず私は知りたいわけでございます。実際のところ、いろんな方に伺ってもなかなかこれがどうなるかということはわからない。それほどまた大それたことをやっておった、悪いことをやっておったということであるわけでございますが、それはどうなっておるか、加藤さん御存じですか。
#20
○加藤参考人 結論から申し上げますと、私も実はよくわからないので、海上保安庁で供述したときに実は私、聞いたわけですよ。そうしたら、海上保安庁の方も実は知らないということなんですが、類推するところによりますと、バッタ打ちのときに海水をばっとぶっかけますけれども、そのときにスラッジが上へ浮いてこない。タンクの上へ浮いてこないということは、比重からいってスラッジは下にあるのであろうということです。今度は、海洋関係に詳しい方に聞きますと、あのスラッジというのは一応海底に沈む、海底に沈んで海底をどろどろにしてしまって、生態系を狂わせるということは小耳にはさんでおります。
 それからもう一つは、油分がかなり入っておりますので、油というのは当然比重が軽いから上へ上がってきます。それから、揮発性分が抜けますと、実際に与論島とか沖繩の海岸で何度も私いやな思いをしていますけれども、それから類推しますと、いずれはそれが海岸に漂着する。だから二様に考えられるわけです。海洋の下にべたっとついて、生態系を狂わせることと、それから、油分が浮き上がって太陽光線を遮蔽して生態系が狂うということと、それから磯の浜辺に流れついて、それで浜砂のバクテリアの生態系を狂わしてしまうというくらいにしか、私は不勉強でございますが、存じておりません。
#21
○関谷委員 そのように、これは常識では考えられないようなことが行われておったわけでございまして、本当にわれわれもびっくりいたしておるわけでございます。
    〔委員長退席、佐藤(守)委員長代理着席〕
 長野参考人と田中参考人にお伺いいたしますが、海洋汚染防止、海上災害の防止というようなことで、国の立場において、安全のため、また、油流出の防止をどのようにやっていくかということをいかに真剣にやりましても、それ以前の基本の問題である、やってはいけないこと、絶対やってはいけないことがこれであるわけでございますが、こういうようなことは出光として、下請業者に、やっていけないことということではっきり指示をしていたのか。また、内外産業の方は、その作業員に、こういうようなことをやってはいけないということをはっきり言っておったのか、これを御答弁いただきたいと思います。
#22
○長野参考人 やっていけないということを山水商事と内外産業との契約書でうたっております。
 それからもう一つは、昨年四日市で漏油事故がありましたときに、関係業者、それから私の方で用船しております用船先の船会社の方、それから私、出光興産の製油所の担当の部課長、そういう人を呼びまして、油を一滴でもこぼしてはいけない、これは非常に大切なことであるということをよく説明しております。
#23
○田中参考人 油ないしは廃棄物を一切海に捨ててはいけない、これは海でこういう仕事をする場合の一番前提になる常識でございますので、当然社内でもそれは教育をやっております。特に最近も、最近と申しましてもちょっと前ですけれども、新聞等にときどき、いわゆる漏油だとかあるいは不法投棄の問題が起こりますと、われわれの方の現業の責任者が私のところに参りますと、わが社においては大丈夫だなということは念を押しておりましたような次第でございます。
    〔佐藤(守)委員長代理退席、委員長着席〕
それから、さっきスラッジの定性の問題が出ておりましたけれども、スラッジという言葉自体が非常に漠然とした言葉でございまして、私その方の関係のある学者から聞きましたところ、スラッジという言葉の意味は、石油という言葉の意味ほどに幅の広いものだ、たとえばタンカーに発生するスラッジにいたしましても、特に今度の徳山丸のような場合、クリーニングの方法として、一番最初に原油で、固定しております機械がございましてそれで原油洗浄をいたすわけでございます。いわゆる油で油を共洗いするということを一番先に、いわゆるガスフリー工事が始まる前にやります。その次に、同じ機械をもってうんと温度の高い海水、八十度ぐらいだと言われておりますが、それで強力なポンプでタンクの全面をたたくわけでございます。それと同時に今度はいわゆるガスフリー、これは何と申しましょうか大きなベンチレーターみたいなものがありまして、それがたくさん入りまして、エアダクトとも申しますけれども、そういうものでガスを抜いていくわけでございます。それをやって、それから今度は、最後に、さっき加藤さんの言われました、正しくはバターワースという機械でございます。日本でも現在たくさんできておりまして、それは初めにバターワースという会社がつくったんでバターワースマシンと言っておりますけれども、しかし普通作業される方はそれをいまおっしゃるようにバッタ打ちなんとおっしゃっていると思うのですが、これは熱湯をホースでタンクの底まで引き込みまして、そこに自動的にノズルが回転いたしましてそしてすみずみまでそれでたたくように温水で洗うようになっております。そういうふうにやりますとガスが出るわけで、それも一緒にいまのガス抜きの機械で出しておるわけでございます。そのガスが非常に有毒である、これは普通の石油のガスでございますので、いわゆるどちらにもある石油のガスの有毒の程度と考えていただけば、格別にそれにほかの物質が入っているわけじゃございませんので、その程度の有毒なガスでございます。
 そういうふうな状態に洗いますので、特に現在の一番何といいますかモダンな形のタンカーの場合のタンクに残りますスラッジの状態というものは、一遍専門家に定性、定量をやってもらったらよくわかると思うのですけれども、恐らく鉄分が七〇%ぐらいだろうとぼくらは推察しております。あと砂、それから水、これは油とエマルジョンの形になって入っておる、それに油分、だから、こういうこともわれわれもいままで観念的にはわかっておりましたけれども、具体的にどういう定量どういう定性のスラッジが出るというようなことまでは勉強しておりませんので、これからはぜひそういう問題も御指導を得ましてやりたいと思います。
 ちょっと申し添えまして失礼いたしました。
#24
○関谷委員 時間がないので、きょうは皆さん質問するのは非常に短いものですから、ポイントは十分に聞きたいわけですが、答弁は短くて結構ですからよろしくお願いいたしたいと思います。
 外洋でのスラッジ、いわゆる船倉を清掃するということにまた一つの大きな問題点があるのではないかと私は思うわけでございます。そういうようなことで長野参考人にお伺いいたしたいのでございますが、抜本的な改善対策、そういうようなものをどのように考えておるか。お伺いいたしますと、米袋一袋が大体四十キロぐらいの重さがある。そして何十万トンの大きな船の上をそれを移動させなければならないということで、先ほど加藤さんの報告の中にもありましたように、非常な重労働であるようでございます。そういうようなわずらわしさ。また処理業者の費用を聞いてみますと、一トンといいますと大体それで二百五十袋ぐらいらしいのでございますが、それが一万円から一万五千円ぐらいということでございますから会社の経費とすればそう高いものではない。ですから、長野さんにお伺いいたしたいことは、どうしてこういうようなことが起こったのか。そしてそういうような理由で起こった、それでこういうふうに抜本的に改正をやりたいということをお答えをいただきたいと思います。
#25
○長野参考人 経費の問題は、いま普通海運業界で行われておるものと大体同じだと思っております。私の方が特別安いということではないと思います。
 それから抜本的対策でございますが、一つはこういうことをもう二度と起こしたくありませんので、海洋でスラッジを採取するときには監視専門の人間をふやしまして絶対にこういうことが起こらないように監視するということが一つでございます。それからもう一つは、ドックまで持っていきまして、ドックの沖で、要するにタンククリーニングは途中でやりますけれども、スラッジ揚げは全部ドックのところでやるということをいま検討しております。ただし、これは関係の漁業組合とか所管官庁との打ち合わせをしないと、ここでやるということを決めるわけにはまいりませんが、ドックのところでやるというのはもう衆人環視の前でございますから絶対に悪いことはやれないので、そういうことも考えて、それで本当に対策が立つまでは、非常に経済的な負担はあると思いますけれども、そういうことも覚悟した上で、こういうことを起こしましたのでやっていきたい、そういうふうに考えております。いま検討中でございます。
#26
○関谷委員 いろいろな新聞報道などを見ましても、どうも責任の所在というものがもう一つはっきりしていないということもこういうようなことが起こった原因であろうと思いますので、本船側と下請業者側との作業分担がいままで一体どうなっておったんだろうかということをお聞かせいただきたいのと、同時に責任の所在というものをはっきりしていただきたいと思うわけでございます。それともう一つは、出光タンカー株式会社から今度は山水商事におりて、山水商事からまた内外産業におりてくるという、こういう段階があるわけでございますから、それでまた話が非常にむずかしくなってきておるということでありますが、いずれにしても、そうは言っても一番の責任は出光であることは間違いないと思うわけでありますが、そうなりますと、もうしばらくは出光自体でこの作業をやって、経費はもちろんかかるでしょうけれども、それぐらいやるという姿勢もまた見せるべきであろう、そのように思うわけでございますが、長野参考人と田中参考人にその問題に対してどう考えておるか御答弁をいただきたいと思います。
#27
○長野参考人 まず私の方で作業をやるということは、いま外航の船会社と海員組合との間の話し合いで実質的にはできないことになっております。ですから、船員にタンク掃除をやらすということはできません。それでは自分のところでそういう人を雇ってやるということになりますと、私のところは全部で船は九杯持っておりますので、これはドックするときだけしかタンククリーニングをやりませんので、一年間に大体五杯ぐらいドックする。そうすると、一遍が五、六日でございますので、三十日ぐらいの作業のために人をまた別に置くことは無理なので専業者の方にお願いしなければならない。そのためには専業者の方がやって、絶対にそういうことをやられないように私の方で徹底的に注意する以外には手はないと思っております。
 それから作業の分担でございますが、タンクのクリーニング、スラッジ揚げ、そういう作業は全部内外産業、それからポンプを動かしたりする仕事、設備を動かす仕事は私の方でやっております。以上でございます。
#28
○田中参考人 いま受注経路の問題が出ましたけれども、これは作業専門の会社でありまして、いわゆる受注活動ができかねるというような意味で、商社的なものが入るというような意味合いでございます。しかし、今後はこの問題は山水商事と内外産業との間でもしっかり話し合って、いまおっしゃいましたように特に責任の問題が絡みますので、改善の方向に持っていきたいと思っております。
 それから、いまの本船サイドと、それから実際のタンククリーニング工事をやる内外産業側の者の責任の限界でございますが、本船は本船に固定されているところの機械を動かしたり、たとえばさっき申し上げました固定の洗浄機を動かす、あるいは必要なポンプを動かす、あるいは温水加熱機を動かすとか、そういうふうなことをおやりになり、われわれはそれから実際にタンククリーニング工事をやる分野を責任を持ってやる。そういうふうに任務が分かれております。
 以上でございます。
#29
○関谷委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、どうか徹底した抜本的な改善を行っていただきまして、本当にわれわれの生命の源であるこの海洋を汚さないように努力をしていただきたいと思います。
 終わります。
#30
○古屋委員長 田畑政一郎君。
#31
○田畑委員 今度の徳山丸事件というのは、いままで海洋を油で汚しておる、こういう事件がどちらかといいますと一流の船舶を持っていらっしゃる会社の責任ではなくて、むしろ中小の方にそういう原因があるんじゃないかというふうにわれわれ考えられておったわけでございますが、今回の加藤さんの告発によりましてわれわれも認識を新たにいたしましたことは、大型船を持っていらっしゃるところにおいてこういうものが案外日常のことになっておるという点が大変明らかになってきたことが、私大変重要なことではないかと思うのでございます。そういった意味で、今回の問題についてもわれわれ徹底究明をいたしておるわけでございますが、きょうおいでになられました参考人の皆様方もそういった広い意味の将来というものをお考えいただきまして、率直な御意見を拝聴いたしたい、かように思うわけでございます。
 まず、こういったことが大型タンカーによって日常茶飯事に行われているということを、ルポライターの加藤さんは作業員仲間といいますかアンコ仲間からお聞きになったということを書いておられるわけでございますが、そういう点をもう少し詳しくわかりましたら御説明いただきたいと思います。
#32
○加藤参考人 私はかなり釜ヶ崎の人たちの中に友人がおりまして、今回の前にも後にも何度かこのことについてはお話ししております。それともう一つは、一緒に乗った仲間なんですが、ほとんどが数年から、私は十年選手だというような人もおりまして、前からずっと同じことを繰り返しておったということは、そういうことを証言できる仲間は何人でもおります。この間も東燃の明原丸が実際にそれをやっているところを読売の写真に出ておりましたけれども、実際に多くの人たちが何年間も同じことをやっておったということを語る人は幾らでもおります。
#33
○田畑委員 いまお話しございましたが、かなり前からこういうことが行われておった。
 これは内外産業の社長さんにお伺いしたいと思いますが、最近、二、三年前の明原丸事件というのが内部告発によって明らかになっております。これはずいぶん以前の話でございますが、あなたの会社の名前が出ているのです。あなたの会社が海上投棄をやった。今回はからずもということでございますけれども、前にもあったのじゃないですか。
#34
○田中参考人 明原丸の事件が新聞等に報道されておりますけれども、これは私の調べました範囲では絶対にそういうことはないという報告を受けております。
#35
○田畑委員 あなたの同業者というのは何軒かあると思うのでございます。そういう同業者で海洋投棄をやっておる、こういう事実を聞いたことはありませんか。
#36
○田中参考人 海洋汚染防止法施行以前は、外洋に出ると投棄するのが常識であったわけでございます。しかし、海洋汚染防止法施行以降はそれをやっちゃいけないということで、もうそれが常識になっておりますので、そういうことが行われているとは全然考えておりません。
#37
○田畑委員 いま、海洋汚染防止法が施行されて以来やってはいないというお話でございますが、これは率直に言いましておたくの会社がスラッジ等を渡された会社は神原さんというのですか。
#38
○田中参考人 これは厳密に申し上げますと、内外産業はその揚げましたスラッジの授受等に関しましては関与していないわけです。ただ単にお渡しする労力を提供しただけでございまして、内外産業はただタンクの上に、それを上舷まで揚げましてそれでその船に渡すという役割りでございます。処理の方面のことは、内外産業はその中に関与しておりません。
#39
○田畑委員 そうすると、処理は出光タンカーでございますか。簡単に答えてください。
#40
○長野参考人 山水商事を通じて神原タンククリーニングサーヴィス会社と契約しております。私の方は山水商事と契約して、山水商事が神原と契約しております。
#41
○田畑委員 これは率直にお伺いしたいと思うのですが、いわゆる出すのは、廃油の引き渡しは山水商事だ、こうおっしゃるのです。内外産業とは関係ない、こういうことになる。ところが、内外産業と山水商事でございますが、あなたは山水商事の何をしていらっしゃるのですか。
#42
○田中参考人 山水商事の専務取締役をやっております。
#43
○田畑委員 それから山水商事の社長さんは、内外産業の何をしていらっしゃるのですか。
#44
○田中参考人 内外産業株式会社の代表取締役をしております。
#45
○田畑委員 そうすると、山水商事の社長は内外産業の代表取締役、あなたはやはり山水商事の重役をしている。それでいて油を渡す責任というのは、これは会社形式によると山水商事かもしれませんけれども、それは関係はないんだということは言えぬでしょう。
#46
○田中参考人 私は関係ないとは言えません。しかしいま私の言ったのは会社の仕事の流れのことを申しましたので、私は両方をやっております。だけれども会社は別の会社でございまして、それを申し上げたわけでございます。
#47
○田畑委員 これは出光の専務さんにお伺いしたいと思うのでございますが、あなたの会社でこうしたタンククリーニングを行われる、それを山水商事に委託をされる、山水商事はまた内外産業に委託する。それで見てみると会社の構成員、主要な人物は同一人物なんですね。それで結局のところ、だれが責任者かということについてははっきりしない。私ここに外航船舶廃油処理料金表というのを持っておる。これは恐らくあなたのところも持っていらっしゃるでしょう、出光タンカーでも。これは運輸省と船主協会が共同で決めた一覧表でございます。廃油を処理されるについて、幾らかの公定料金、目安になるものがあるわけです。これを見て大体決めていらしたに違いない。二十五万トンタンカーなら幾らぐらい、どのくらいのものが出るという数量が書いてある。そうしますと、結局これは大体わかっているわけなんですね。一つの基準があるわけなんです。それを二つの会社をくぐって、そしてさらにそれを下請に出して、そういう複雑な機構のもとでこの船主であるところの出光タンカーはどうしてこれをチェックすることができるのですか。チェックは非常に複雑でしょう。そういうところに私は問題があると思う。そしてどうですか、油記録簿もない。あっても記載していない。船に乗った人の氏名も記載しなければならぬけれども、それもない。だれが雇ってどういうふうに仕事をしたかというのを書いてないでしょう。そんなことでどうして、海洋汚染防止法ができて油の問題はまことに重要なんだというふうに考えられながらそういう機構を保持してこられたのか、これは疑ってはいかぬけれども、何かそこにあなたの会社がそういう複雑な機構をつくることによってこの問題についてみずからの責任を免れる、そういう気持ちがあったんじゃないかと疑われるわけですね。そういった問題についていかがでございましょう。
#48
○長野参考人 山水商事との取引はさっき申し上げましたように会社が始まってからでございますが、これは単にタンククリーニングだけの問題じゃなくて、ほかにもいろいろな仕事をお願いしております。それでその中の一部でタンククリーニングをお願いしておりますので、タンククリーニングだけでしたらそういう複雑な経路を通らなかったかもしれないと思います。
 それからもう一つは、集めました廃油の処理は、これはたしか昭和五十一年ごろから山水商事を使っていますが、山水商事に廃油を運ぶ船ができまして、これがあるからそっちの方の仕事もやらしてくれと言われまして、そっちの仕事もお願いしたというのが実情でございます。
#49
○田畑委員 いかがですか、これ。こんなに複雑な機構であなたチェックすると言ったって、これからもチェックはできないですよ。この点は何か改善策はあるのですか。
#50
○長野参考人 今度の事件がございましたので、業者の選定、それからどういう業者とどういう契約でやるか、もう一遍やり直しをしようということでいま検討をやっております。この次のドックまでには決めたいと思っております。まだあと四、五カ月ございますので、その間にきちんとしたものにして、こういう間違いが起こらないようにしていきたいと思っております。
#51
○田畑委員 この内外産業、それから山水商事もそうでございますが、おたくの会社は、いまの出光タンカーだけ請け負っていらっしゃるのじゃないのですね。たとえば山下汽船等もお得意さんでございますね。飯野海運もお得意さん。そういう幾つかの大きな会社を請け負っておるその道での一流メーカーですね。ところがいまおっしゃったように、明原丸は何もなかった、こういうことなんです。私はこれは疑っていますね。それはなぜ疑うかといいますと、三月二十四日、この徳山丸事件か発覚したときに――山田部長というのはおたくの会社ですか。
#52
○田中参考人 私の会社の者でございます。
#53
○田畑委員 山田部長というのは、読売新聞にこう書いてあります。そのまま読みます。徳山丸事件が報じられた二十三日の朝、「現場監督から事情を聞いたが、サビは投棄したものの、スラッジは捨てていないと聞いている。ルポライターが指摘したようなタコ部屋同様の職場環境ということは絶対にありえない。何なら一度、乗ってもらいたいぐらいだ。」こう言っている。これは明原丸でございませんけれども、出てきてもこういうふうに言われる。後になってくると、これは捨てた。しかも五袋捨てたとか十袋捨てたんじゃないんですよ。千何百袋捨てたんでしょう。そういうことになってくるんですね。だからそういうことを考えてみますと、明原丸事件はなかったとは私は言えないと思う。非常に疑わしい。もっとたくさんあったんじゃないか。私がもっと本当に聞きたいのは、おたくらの業界でそういうことが暗黙の了解として行われていたのじゃないか。これは国政の問題なんですよ。その点は内外産業だけをいじめているわけじゃないのです。国政の問題として、ほかにもこういうことが日常茶飯事のごとく行われていたんじゃないかということを私どもは疑ごうているわけなんですね。いかがですか、これは。ないと言っても、結局最後にはあることになるんじゃないですか。
#54
○田中参考人 私は、絶対にないと信じております。
#55
○田畑委員 それじゃ別のことを聞きましょう。
 労働条件はいかがですか。労働条件は、いまおっしゃったようにわずかしか眠らせないで、立ったまま御飯を食べさせている。明原丸事件ではそのときの写真が載っておりますね。あれはあなたの会社の人の写真じゃないのですか、違いますか。
#56
○田中参考人 明原丸の事件の写真というもの、われわれも新聞で拝見さしていただきましたけれども、格別の写真ではなく、単なる作業の状況を写した写真とわれわれは判断しております。しかもあれはたしか、あの形から見ると五十一年度における工事の写真であろうというふうに推定して考えております。
 それからいまの作業条件の問題でございますが、たとえばいま一つの例として食事のことをおっしゃいましたけれども、作業間における働いている人の食事というものは、本船の炊事室におきまして本船の乗組員と同じものを同じ金額を払いまして、そして会社から行っている監督もあるいは働いている人も、常用も日雇いさんも、全部船員と同じ食事を給食しております。そして作業員の方は、一般は三食ですけれども、四食特別に給食しております。
 それから作業時間の問題ですけれども、これはもしよろしかったら私の方で、その間における何時間働いて何時間休憩されたか、詳細のデータを必ずとることになっておりますので、必要があればお目にかけます。
#57
○田畑委員 明原丸では作業しているところではないのです。廊下に寝ているところが写っているのです。廊下に寝ているところが一番大きい写真で写っている。私はあれを注文している。
 どうですか加藤さん、一日に三時間か四時間しか寝られないのだということとか、寝る内容も余り大したことないというようなことについては、雇い入れられるときに労働条件の明示というのがありましたか。こうなんだよというお話がありましたか。
#58
○加藤参考人 雇用主からは一切ございません。ただ、何年も経験してきた日雇い労務者からは、とにかく三時間しか寝かせてくれない地獄船だよということを伺っておっただけで、雇用主である内外産業からはそういうことは全然伺っておりません。
 それから寝るところなんですけれども、毛布を二つ折りにして、それもスラッジのこびりついたような毛布なんですけれども、それがちょうど幅がこれぐらいになり、横の人の肩が当たるようなスペースで寝ますし、頭の上にはスラッジのいっぱいついたスリッパとか長ぐつがある、そんな状態です。
 食事の内容につきましては、労働者にとって決して悪いとは私は思いませんでした。ただ、いただく場所が、狭い廊下にこのぐらいの一斗かんのバケツを両方に置きまして、その間に三十センチの板を置くわけですね。廊下の両側に置いて、したがってこのぐらいの高さに食事が置いてあるのですけれども、そこにプラスチック製の器に盛られております。下が汚れておりますので座るわけにもいかないし、かけるところもない。だから、かっこう悪いけれどもやってみますと、こうやって食べるわけですね。
#59
○田畑委員 長野さん、これは率直に言いまして、スラッジ類の海洋投棄といい、それからそこで作業する労働者の労働条件といい、今日の状況ではちょっと考えられませんね。日本の恥ですよ。これを船会社としてどうお考えになられますか。
#60
○長野参考人 労働条件につきましては、これは内外産業さんの仕事でございますが、私の方は部屋を提供しておりまして、一人大体一坪強ぐらいの部屋を提供しております。そのほかに喫煙室に当たる部屋が一つございます。それからシャワーとかトイレは別にしておりまして、さっき申しましたように、食事も会社側で全部準備しております。
#61
○田畑委員 長野さん、あなたは船主としてそういう態度ではこの問題はいつまでたっても解決しませんよ。もっと厳しく、どう考えるかと聞いているのです。どうでしょう。あなたはなぜこういう作業条件を許しておるのか。その一つの原因として、これは船会社が船をとめることをきらっているからでしょう。どうですか。一日船をとめると会社の損害、いまの徳山丸とするとどのぐらいの損害ですか。
#62
○長野参考人 一日大体五百万ぐらいの経費がかかります。しかし、ただいまの中東の状況がこういうことでございますので、実際は十六ノットぐらいで走る船がいまは十ノットぐらいに減速してのろのろ運転で走っておる状態でございますので、一日、二日とまりましても、実際は被害はございません。
 それから、先ほどおっしゃいました労働条件の問題でございますが、いままでは下請業者任せにしておりましたけれども、これからは私の方で監督してもう少し改善していきたいと考えております。
#63
○田畑委員 船にはハイヤーベースという採算のとり方があるようですね。停船をいたしますと、いまおっしゃったように徳山丸で五百万円。だから船長に対する船会社の要請として、できるだけ船をとめないでクリーニングその他を行え、クリーニング以外でもあるのでしょうが、船はとめるな、こういう採算ベースのとり方といいますか成績の上げ方というのを会社は奨励されておる。その結果として結局こうしたクリーニングを行うのに船舶の停止を行わない。できるだけ海上でやる。海上でやれば海上投棄が行われる。行われれば下請業者もそれによって利益を受ける。船をとめないから船会社ももうかる。海上投棄をやればそれだけ下請もまたもうかる。結局両方がもうかるようになっている。だから私は率直に言って、こういうような事件が発生するのを、いまあなたの方は、それはもう下請に与えておるのだから、元請、下請といっても知らないんだと言うけれども、これは理屈にならないわけです。本当にやる気があるなら、先ほど自民党の方がおっしゃったように、自分の船会社でやるとか、あるいはしかるべきところへ停船をして、そういうスラッジのおろしなり引き渡しなりをきちんと見て、そのために一日や二日船がとまっても黙って船主は目をつぶるという気持ちがなかったら、これは実行できないと私は思いますね。その点いかがでしょう。
#64
○長野参考人 先ほど申し上げましたように、これからは、海上投棄がなされないように、ドックの沖でとめてスラッジを揚げるということを検討しております。
 それで、私の方はいまハイヤーベースとかいうことじゃなくて、船が非常に忙しいときは先生いまおっしゃったようなことになると思いますけれども、いまは途中でシンガポールあたりでとめたり漂流さしたりしておるくらい非常にゆっくり走っておりますので、一日、二日を争うというような状態ではございませんので、船の方もその点は十分知ってやっておると思います。ただ、非常に忙しいときはいま先生おっしゃったようなことになると思いますけれども、さっき申しましたように、外洋でスラッジ揚げをやるのはやめてドックのところに行ってやることを真剣にいま考えておるところでございます。
#65
○田畑委員 いまはひまだとおっしゃるけれども、やはりふだんからやっておることが船長さんには身についておるのですよ、正直なところ。あなたの会社だけ私は責めているのじゃない。恐らく全部そうだと思うのです。だからそういうことが今回のようなこういう事件の原因になっているというふうに私は思っておるのです。ともかくこれからはひとつ二日や三日とめてもきちんとやっていただくようにお願いしたいと思います。
 それから、先ほども触れましたが、油の記録簿が記録されておらない。あるいは乗船人員の氏名が記録されておらない。一等航海士は三日間にわたるところのスラッジ投棄を目撃していない。船長はもちろん知らない。これはいかがですか。ここまでくるとこれは会社の姿勢だと私は思うのです。油の記録簿だけがないのだ、これはわかりますよ。こうして三日間にわたって行われているこの四つの問題が、全部知らない、記載してないなんということは、これはもう経営管理者の責任だと私は思うのです。
 こういう点について、いわゆる見ざる聞かざるというようなやり方をとっていたんじゃないかというふうに疑われても仕方がないと思います。この点についていかがでございますか。
#66
○長野参考人 油記録簿の不記載というのは、全くこれは一等航海士の職務怠慢でございまして、おわびいたします。
 それで、これは海上保安部で調べられて、いま送検されているはずでございます。
 それから、この指導、監督、やはり私の指導、監督が十分でなかったということを非常に反省しております。これからもう少し厳しく指導していきたいと思っております。
 よろしくお願いいたします。
#67
○田畑委員 これはもっとはっきり答えてください。乗船した人の名簿、労働者の人が乗って事故が起こるかもしれないのです。それをあなたは何で記載していないのですか。これは重要なことでしょう、船なんという隔離されたところでは。どうして記載してないのですか。
#68
○長野参考人 普通は乗船した人の名簿はとっておるのでございますが、この場合とっておりません。これも怠慢だと思います。普通とっております。
#69
○田畑委員 一等航海士はなぜ見ていなかったのか。一等航海士は見ていなければならぬのでしょう。当直というのはいるのでしょう。なぜ見ていないのですか。三日間ですよ、はっきりしていることは。この三日間の投棄ですね。夜間もあるし昼間もあるのに全然知らない。船長も知らない。これはどういうわけですか。船会社としてはどういうふうにお考えになるのですか。
#70
○長野参考人 このタンククリーニングの責任者は一等航海士でございます。船長は、船の全般の責任と、それから特に航海の方をやっておりますので、知らなかったというのは――これは船長から聞きましたら、一等航海士がどちらかというと怠け者で、いつも何かカーゴコントロールルームにおける時間が多くて、見回っている回数が非常に少ないようでございます。それで何か気がつかなかったという――神戸の方でまだいまお調べを受けております。ですから、はっきりした答えがまだ出ておりませんけれども……。
#71
○田畑委員 あなたの話を聞いていると、何というか、表現の方法がありませんね。そんなに、船の中で居眠りをしたり怠け者である者に、会社はよくそういう高い船をお預けになると私は思いますよ。そんなことで事が進んでいくならこれは問題ないです。
 しかし、これは長野さんがそういうことをおっしゃればおっしゃるほど、あなたの方はそれを知って知らぬふりで見過ごしていたとしか思えませんね、こういう事件があったことを。あなたがおっしゃるように、もし本当に怠け者ならば、どういう処理をされるのですか。何か処置を考えていらっしゃるのですか。
#72
○長野参考人 司直のお調べが済みましたら、会社の賞罰規程によりまして処罰したいと思っております。
#73
○田畑委員 ともかく、これは船主の、船会社の責任が重要です。私はそう思います。
 陸上のこういう油等の産業廃棄物につきましては、事業者の責任というのは厳しく追及されておりまして、一番最初その廃油を出したところが、最後の処理を終わるまでずっと一貫して責任が追及されるのです。陸上の場合にはそういう法律があることは御存じでございますか。
#74
○長野参考人 存じております。
#75
○田畑委員 だから、いわゆる船主というのは、いまの海洋汚染防止法ではそこまではいっておりませんけれども、それに甘えた行動を行われるということでは困るわけなんです。だから、それがないからといって見過ごしておられるとすれば、これは一つの共犯行為じゃないですか、そう思われても仕方ありませんよ。おれたちは知らぬと言っていれば事が済むのだ、だから適当に投げればいいじゃないかというふうに考えておられるとすれば、一種の共犯行為だ、刑法に問われるかどうかは別としても、共犯の意思があったとみなさなければなりませんね。だから、船主というものはそういう意味でこの種の問題については厳しい姿勢をとってもらうということをお願いをいたしておきたいと思います。
 次に、田尻参考人にお伺いをいたしたいと思うわけでございますが、いま徳山丸事件というものがたまたま出てまいりました。しかし、先ほどからちまたでは、こんなものは日常的なものだというふうな見解があるようでございます。
 そういうことを考えまして、これからますますこの油の問題というのは重要になると思うのでございますが、田尻参考人にはかねがね、海上において災害が生じたときにまことに重大な事故が発生するということで、いわゆる船長の責任あるいは船内におけるところの管理者の責任あるいはまた海上消防法の制定といったようなものを主張されておるわけでございますが、そういったことについて御見解をいただきたいと思います。
#76
○田尻参考人 ただいまの御質問の趣旨は、災害が発生した場合の船長の責任はどうかというお尋ねだと理解しましたが、よろしゅうございますか。(田畑委員「はい」と呼ぶ)
 船舶が海上において事故が発生したならば、申すまでもなく第一義的に船長の責任であることは論をまたないわけです。たとえば、先ほど申しましたアモコ・カジス号事件でも、刑務所に入れられているのは船長であります。
 しかしながら、先ほど私が申し上げたのは、船の海難の原因というものは非常に多様化しておる。あのアモコ・カジス号のときには、私らが聞くところによれば、船主が曳航料、つまり引っ張る船の値段をなかなか承認しなかったということで、その交渉に手間取った間に座礁したということが報ぜられております。
 それから、先ほど私が申しましたいわゆる欠陥港あるいは石油基地の非常に条件の悪いところによって事故が起こった場合に、ただ船長だけの責任で事を葬るならば、あの海洋汚染というのは改善できないということが私の趣旨でありました。
 たとえば、一つの例といたしまして、水島港のごときは、ちょうどタンカーの船長が私の商船学校のクラスメートぐらいでございますけれども、ああいう港に二十万トンを入れるというのは、私らは常識ではとても考えられない、どうもやはり船舶側にだけその責任が負わされているけれども、それを取り巻く周囲の条件を十分整えていかないと、明治以来の小さな港に、タンカーはどんどん五十倍にふくれ上がったわけですから、もう寸法が基本的に合わないわけです。したがって、そういう種々の取り巻く条件の方も整備していかなければいけない。
 あるいは、先ほど申しました海上消防法につきましても、私は四日市で東幸丸という爆発したタンカーを調べましたけれども、これがちょうど本件でいうスラッジの清掃中だったのです。ところが、調べれば調べるほどそういう作業の基準が全然法律にない。あるいは免状を持っていない小型タンカーの一等航海士が、カツオ、マグロの漁船員を二十年していた、ところが、いま海上消防法がなくて免状が義務づけられていないので、漁船にも機帆船にも通用する免状で、人手不足だから小型タンカーなんかはぽっと乗れるわけですね。そういう制度の中で、ただ事件を非常に表面的にだけ見ると、それを防止するということにおいてはもっと突っ込んだ原因究明あるいは対策を打たねばいけないのではないかということで、いま船長の責任はどうかということで、お答えになったかどうかわかりませんけれども、そういうぐあいに思います。
#77
○田畑委員 もう一つお伺いしますが、海上消防法でございますね。もし災害が起きたとき海上消防法というのはなぜ必要なのですか。
#78
○田尻参考人 私、四日市の海上保安部で一番苦労したのがこの点でございます。といいますのは、消防法は海岸線から内陸だけにしか適用できません。したがって、非常に端的に言いますと、海岸線から海に突き出した桟橋にはもう消防法が適用できないわけです。したがって、極端に言いますと、この桟橋に消防設備がなくても違法ではないわけです、もちろん行政指導でそんなことはやらせないとしても。
 あるいはまた、港の中で船舶に火災が生じまして、企業の従業員を応援さして、そして消火活動に従事させてけがをしたり死んだ場合、その出動というのは、法的根拠は何だということになるとないのですね。陸上では陸上の企業の自衛消防隊というのが義務づけられておりまして、消防機関は企業の自衛消防隊に対する出動命令権があるわけです。もう港とか海上になりますとそれがないわけです。したがって、海上保安部でもお話し合いで、協力をしてくれぬかという以外にはない。
 それから第三点としまして、海上消防法がありましたならば、たとえば、港からちょっと沖合いのシーバースなんかにもあるいは桟橋にも海上消防船という義務づけができるのですけれども、それがやはり義務づけができません。
 そういうぐあいに、いま港や海といいましても、これはちょうどコンビナートがずらっと取り巻いておりまして、動くタンクに等しいタンカーが動いているわけですから、その危険性というのは陸上よりもはるかに大きい。それならばそういう基本的なことは整備すべきではないかと思います。
#79
○田畑委員 ありがとうございました。
 それで、最後に今回のこの事件を明らかにしていただきました加藤さんにお伺いしたいのですが、先ほど私個人の考えとして対策を明らかにする用意があるというお話でございました。もしそういう対策がございましたら、お聞かせをいただきたい。
#80
○加藤参考人 私は専門家ではございませんので、思いついたことを全部レジュメにしてまいりましたので、五項目ほど申し上げたいと思います。
 今回の場合に、要するに作業の流れが、本船から下請、孫請とずっと来ていることが一つのピンはねシステムでもあると同時に隠蔽システムになっているということがございますので、その点が非常に問題だと思いますから、いまから申し上げますと、一つは、タンククリーニングの作業に対して、港湾労働法を適用するということ、これは素人の考えですけれども、これが一つ考えられると思います。そうしますと、不法ないわゆる労働条件を押しつけるわけにはいかないということが一つと、それから監視が同時にできるであろうということ、それから料金協定ができるであろう、不当な料金でやる心配がなくなるであろうといういろいろなことが考えられます。これが第一点です。
 それから第二点は、排出責任者の明確化、陸上の場合にもこれがはっきりうたわれていますけれども、今回のこの隠蔽システムというのですか、何段階にも及ぶことをやめて、即、排出したタンカーの所有者である今回ですと出光タンカーと東燃ですか、この責任をすぐに問える。しかも、行政処分もできるという形にしていただきたいことが第二点。
 それから第三点としましては、違反したタンカーに対する罰則の強化です。これは大変なことだと思いますけれども、たとえばタンカーの運航を二カ月とか三カ月とか半年とか即とめてしまう。海洋汚染防止法によりますと、たかだか三十万円以下の罰金ということですけれども、これでは何らの痛痒も感じないわけです。したがって、罰則として、半年なら半年の運航停止を命じていただきたい、これが一つです。
 それからもう一つは、海上保安庁の人員とかそういうものを拡充していただきたい。できることならば、タンク清掃に当たるときにはどなたか一人乗り込めるくらいの、これは物理的な計算が必要だと思いますが、できたらそれを行っていただきたいことが一つ。
 それから最後に、これは田尻さんがお答えする方がよろしいかと思いますけれども、便宜置籍船です。これは田尻さんもおっしゃいましたように、とんでもない船でございますので、便宜置籍船をこの際思い切って廃止していただくという方向、この五点です。これだけお願いしたいと思います。
#81
○田畑委員 終わります。
#82
○古屋委員長 薮仲義彦君。
#83
○薮仲委員 参考人の皆さんには、大変お忙しい中を、また長時間、御苦労さまでございます。
 私は、今後の参考にするために、多くの意見を皆様方からお伺いしたいと思いますので、大変恐縮でございますが、要点だけ簡潔に御答弁をお願いしたいと思うのでございます。
 最初に、加藤参考人にお伺いしたいのでございますが、雇用された会社はどこでございますか。採用された会社名は何という会社ですか。
#84
○加藤参考人 ぼくは釜ヶ崎の友人を通して行ったものですから、雇った会社は内外産業だと思います。それから神戸から行った人たちは、その下にある日水というところに雇われたということを言っております。
#85
○薮仲委員 先ほど、労働条件の改善というお話が加藤参考人からございましたけれども、賃金などは時間給ですか、それとも何日間に幾ら、こういうような賃金体系ですか、もしもお話いただけるのだったら、御説明ください。
#86
○加藤参考人 私のいただいた日当は、あれだけの労働時間、すなわち朝の四時から始まりまして、晩の十一時まで、これで一日九千七百円です。それで、これは具体的には私知りませんけれども、四コース制という制度があるそうです。一日を四コースに分けまして、一コース、二コース、三コース、四コースとありまして、具体的に言いますと、たとえば新神戸から徳山へ行くまでに、新幹線で何時間かかる、これを一コースなら一コースとして算定するということらしいのです。具体的には私知りませんけれども、四コース制に分かれておるということです。よろしゅうございましょうか。
#87
○薮仲委員 加藤参考人にまたお伺いしますけれども、参考人はこういう問題をルポなさったわけでございますから、海洋汚染防止法については多少のというか御理解はあったと思うのでございますが、私の聞きたい点は、採用された会社の方から、海洋汚染防止法について説明を受けたか。受けたか受けないかだけ答えていただきたい。
#88
○加藤参考人 全然受けておりません。
#89
○薮仲委員 それで、海洋汚染防止法という大きな問題ではなくても、少なくとも船に乗って作業しますと、船からスラッジとか油性汚水、そういうものは海洋投棄してはいけませんよというような作業についての注意は、その会社からお受けになりましたか、受けませんか。
#90
○加藤参考人 全く受けておりません。
#91
○薮仲委員 もう一つお伺いしたいのは、参考人のいろいろお話になった中で、お友だちの中から、こういう事案というのは今回の徳山丸だけじゃないよ、ずっと何年もこういうことが行われているよということをお聞きになったということで実態調査をなさったと思うのですが、少なくともそういうお友だち等に聞いている限りでは、こういう事案というのは今日までずっとあった、そのように理解していらっしゃるか、いらっしゃらないか、いかがでしょう。
#92
○加藤参考人 何人もから聞いております。具体的に言いますと、ぼくと一緒に行ったときに一番経験の短い者がこれで三回目、その次に短いのは三カ月日、タンクの下にもぐった者は十年選手と言っておりますし、同じことをやってきたと聞いております。
#93
○薮仲委員 そういうことを前提として次に船主の方あるいは内外産業の参考人、長野参考人、田中参考人等にお伺いしたいのでございますが、私の手元にあります海上保安庁の過去十年来の海洋汚染の違反の事項がデータで出ておるのですが、やはりそこの中で一番多いのは、今回問題になっております船舶からのそういうスラッジ等の油の排出を犯したという事案が一番多いわけでございまして、私はこれは非常に残念でございます。これを限りに日本の海かきれいになるように船主並びに関係の皆様が本当に決意をしてきれいにしていただきたいという願いを込めて参考人から御意見をお伺いしたいわけでございます。
 まず、出光タンカーさんとしてはこの徳山丸以外にこういう事件を過去に違反を犯したことがございますか。あるかないかだけ。
#94
○長野参考人 ございません。
#95
○薮仲委員 それでは同じく長野参考人にお伺いしたいのですが、その前に恐縮ですが田尻参考人にお伺いしたいのでございます。
 船がドック入りする、あるいはこれから原油を積みに行くときにはクリーンバラストにしなければなりませんのでタンクを洗います。またドック入りするときにはいまのように徹底的にタンククリーニングいたします。そこで発生するいわゆるバラスト水、こういうものの量というものは油の質あるいは船の大きさによって大体この程度発生するんじゃないかなと見当がつくんじゃないかと私は思うのでございますが、田尻参考人いかがお考えでしょう。
#96
○田尻参考人 いまバラストあるいはスラッジあるいはビルジの発生量についてどのくらいかというお尋ねと思います。よろしゅうございますか。(薮仲委員「スラッジだけで結構です」と呼ぶ)
    〔委員長退席、関谷委員長代理着席〕
これは非常にむずかしゅうございまして、たとえばスラッジも油の質によって不純物の度合いが違いますし、どのくらいたまるかということについて正直言いましてまだ一定の目安はございません。
 ただ、ビルジなんかについては、こういう本は専門の本でございますけれども、これには一万トン以上の船についてはビルジは一日十トンぐらいと書いてはありますけれども、この数字も私正直言いまして非常にばらつきがある。ましてバラスト水に至りましては水の入れ方によって違いますからかなり違うと思いますけれども、ちょっとその数字では無理と思います。
#97
○薮仲委員 長野参考人にお伺いしますけれども、今度の事件、一番何が問題かと言いますと、やはり発生したスラッジ等の処理が明確になっていなかった点が一番問題だと私は思うのです。この点がもしも明確であれば発生した数量はこの程度、それが当然陸上の処理業者によって処理されなければならない性質のものです。しかしそれが追跡調査されていなかった。どこに聞いても明確な数字が出てこない。先ほどのように当然記録しておかなければならない油記録簿も記録しなかった。確かに手落ちということかもしれませんけれども、今後はいたしませんということを信頼いたします。しかし、これからさらに御自分の所有するタンカーからどの程度の汚水、スラッジ、そういうものが発生して、どこの陸上の処理業者に処理されたのか。それはきちんと契約を結んだ以上は契約した会社にこのような量が発生しました、そしてこのように処理いたしました、それを統計をとればやがて五年、十年のうちにこの程度の油質のもの、またこういう形式のタンカーに入れた場合はこの程度のスラッジが発生するなというのは五年、十年のデータの積み上げでできると思うのです。そうすると不法投棄したときに、これは発生量が少ないよと指摘できたと思うのです。そういう意味で今後このスラッジは、自分の船から発生したスラッジですから、どこに処理されたか契約するときにきちんと報告を受けて自分のタンカーの発生したスラッジは処理されたということを確認していただきたいと思いますが、いかがでしょう。
#98
○長野参考人 さようにいたしたいと思っております。
#99
○薮仲委員 それから、船長並びに一等航海士は出光タンカーさんと雇用関係にあるわけですね。先ほども、いま法によっての訴追を受けていらっしゃるということで、非常に残念なことでございますけれども、これは法制上は一等航海士の方が油濁防止管理者、こういうことでございます。船にあっては、一等航海士がいれば船長にかわって油濁防止管理者でございますが、船長並びに一等航海士というのは当然こういうものについて責任がある。もちろん今回の場合には法的には一等航海士でしょう。そういうことをきちんとしておけば、一等航海士が少なくとも不法投棄することをさせなければ――この方は油濁については責任を持たなければならない。きちんとすればこれは防止できたと思います。そういう意味で船長並びに一等航海士の方に対して少なくとも御自分の船の中、もちろん他の船も同じですけれども、断じてこのようなことは黙認すべきではない、責任を持ってほしいという教育訓練をきちんとしていただきたいと思いますが、いかがですか。
#100
○長野参考人 十分反省をいたしまして、そのとおりやりたいと思っております。
#101
○薮仲委員 先ほど一等航海士が会社の罰則規定によって処罰されるということでございました。それはその方の犯したことであってやむを得ないし、あるいは当然という言葉が言えるかもしれない。しかし、同じように会社全体の経営者の経営責任に私はあると思うのですね。経営者として人を罪によって罰するならば、みずからもいさめるべきだと思うのです。経営者としての経営責任をどうお感じになりますか。
#102
○長野参考人 まことに残念で私の責任を痛感いたしております。
#103
○薮仲委員 それによってどのような行動をおとりになるかはお任せいたしますけれども、そこでもう一つお伺いしたいのは、その前にちょっと田中参考人にお伺いいたします。
 内外産業がこのような事業を行うときの監督官庁はどこでございますか。
#104
○田中参考人 格別の監督官庁はございません。
#105
○薮仲委員 内外産業がこの事業を行うためにたとえばその業務内容、普通の場合産廃等を扱う場合には、陸上の場合非常に条件が厳しい、許可条件を含めまして産廃業者というのは法の規制がございますけれども、内外産業さんは今回このような処理をなさっておりますけれども、何か法的に労働省は当然あるでしょうけれども、厚生省なり運輸省関係の法制の中で指導監督をお受けになる立場にございますか。
#106
○田中参考人 このタンククリーニングに関してははっきりした所管官庁はないというのが実情でございます。
#107
○薮仲委員 内外産業さんが今回の事犯で海上保安庁からは当然海洋汚染防止法で取り調べられると思いますが、そのほかの官庁から何か指導、監督ないしは取り調べを受けたことはございますか。
#108
○田中参考人 現在労働基準監督署において徳山丸事件に関しましてその労働条件その他取り調べ中でございます。
#109
○薮仲委員 いまおっしゃったことはこれから国会でわれわれが整理していかなければならない問題でございますけれども、こういうことがこの発生の大きな原因になっていると私は思うのでございます。
 そこで、田中参考人にお伺いしたいのでございますが、先ほど来今後いろいろ訓練を厳重にいたしますというお話がございました。しかし、加藤参考人に聞いてみますと、今日いままでも恐らくそうだったと思うのですが、余り教育訓練がなされていない。そういう点も非常に問題でございますので、この点は注意をしていただきたいと思うのですね。内外産業さんの事業内容というのは先ほどお話ございましたように、陸上の労働者をただタンカーの上に上げるだけです。タンカーの中のクリーニング作業については内外産業さんの責任でなくて、ほかの会社がタンククリーニングは責任をお持ちになる、こういうことでございますか。
#110
○田中参考人 内外産業の業務内容は、会社の設立目的は船舶、工場の清掃及びこれに付随する事業となっております。それでその中の現在実際に主として行われておりますのは船舶のタンククリーニング、それと一部陸上のタンク、あるいはその他のクリーニングというものになっております。なお、タンククリーニングの工事といいましても、これはただ単に人が何人かおればできるといったものではございませんで、機械、器具、資材その他、詳細は差し控えますが、今度の徳山丸に対しましてもトラック十トン車一台、四トン車一台、この二台分の満載の機械、器具、機材、それを持って、監督の計画のもとに実行する一連の工事でございます。ただ単に人を提供するという仕事ではございません。計画、実行も全部内外産業で実施するものでございます。
#111
○薮仲委員 簡単にお答えください。
 今回のクリーニング実施は内外産業がおやりになって、その処理の一切の責任は内外クリーニングが持っていらっしゃるということですか。中のクリーニングも内外産業がおやりになったのですね。簡単で結構です。
#112
○田中参考人 いまちょっと質問の意味がわかりません。処理というのは、廃油といいますか、スラッジの処理という意味でございますか。それとも……
#113
○薮仲委員 船の中のクリーニングはどこの会社がおやりになったのでございますか。
#114
○田中参考人 内外産業が実施いたしました。
#115
○薮仲委員 そうなってまいりますと、ここでもう一度私は長野参考人に参考意見とお願いをしたいのでございますが、やはりこれは先ほど申し上げましたように船長、一等航海士の方の責任というものもございましょう。と同時に、やはりクリーニングを契約なさった船主側としてこの問題は整理していただく必要があろうかと思います。そこで、私は先ほども申しましたように、スラッジの発生量をお調べいただくこと、それから契約の内容、本来なら――私はこれはどういうあれになっているかはわかりませんけれども、内外産業が発生したスラッジを陸上の処理業者に多く処理させれば、本当はこれだけの量を処理したのですから大きな収入があってしかるべきで、少ない発生量で陸上の処理業者に持ち込めば、処理した量が少ないわけですから、当然収入は少なくなる。なのに不法投棄をするというところに――これは私専門家でありませんので契約内容はわかりません。でも、船主の出光タンカーさんにお願いしたいのは、そういう契約内容まで踏み込んで、どういう契約内容になっているのだろう。発生した量が適正に処理されることが一番好ましいのであって、その契約がどうも私は納得がいかない。正しい契約内容になっているかどうか、それから処理の実態、先ほど来指摘されましたように労働環境、これは労働基準監督署の調査があるのは当然のことでございますが、このように発生量からその処理されるまでの処理内容、契約内容、ことごとくきちんと船主側として整理していただく必要があると思うのでございますが、いかがでございましょう。
#116
○長野参考人 おっしゃるとおりでございます。
#117
○薮仲委員 私はこの問題、これは出光さんが今回この問題にいろいろな意味でつらい立場にあろうかと思いますが、これをやはり海洋汚染をなくすという立場に立って、業界全体でもこの機運を盛り上げていただきたい。きょうは当然タンカー船主の側の代表としてお見えだと思うのでございますが、そういう意味で、私はやはり業界としても、こういう問題は恥ずかしいことだと思う。陸上でもいまあの琵琶湖の総量規制をしましょうとか、陸の人も海をきれいにしようとしている。海に生きる皆さん方がみずからの手で海を汚すようであっては、日本の海はきれいにならないと思います。ですから、皆さんの手で海をきれいにするために私はこれは当然業界――業界といっても内外産業さん等の業界です。それから船主の協会等でこの問題をきちんと討議して、船主全体で発生するスラッジがどうなるかということはきちんと責任を持とう――みずからその姿勢を改めていただくことが最も必要であって、この委員会で発言した以降は、皆さん方のその業界並びに業種の中からは二度と再びこのような問題が起きないということをここで明確にお約束いただきたいと思うのでございますが、いかがでございますか。
#118
○長野参考人 お約束いたします。実行いたします。
#119
○薮仲委員 私は皆さんと同じように、同じ立場で海がきれいであってほしい、それを心から願っておるものでございます。どうか今後とも皆さんの御努力によって、見つからなければ悪いことをやっても構わないのではなく、日本の大切な海を皆さんの手できれいにするように御努力をいただきたい、このことをお願いして質問を終わります。
#120
○関谷委員長代理 三浦久君。
#121
○三浦(久)委員 共産党の三浦久でございます。
 参考人の方、大変御苦労さんでございます。
 まず最初に、出光タンカーの長野さんにちょっとお尋ねしたいと思います。この不法投棄は、私は現場の監督とか現場の作業員というものが一時の思いつきでやったというようなものではないというふうに思っています。これはやはり内外産業の一つの経営方針というか、暗黙の了解というか、そういうものに基づいてやられているのじゃないかと私は思うのです。そうすると、そういうような状況に内外産業を追い込んだという何かがあるのじゃないか。それがやはり私は内外産業と出光タンカーとの契約の問題これがかなり厳しい契約で、結局通常の処理の仕方では内外産業がなかなか利益が上げられない。いわゆる不法投棄、こういうことをしないと利益が上げられないというような、そういうような契約内容になっているために、内外産業自体がそういうことをやっているのじゃないか、そういうように私は感じているわけなんですけれども、そういう意味で、これをなくすという意味で、やはり契約内容特にもっとマージンを高くするとかそういうようなことはいま必要だとお考えになっているのかいらっしゃらないのか、長野さんに続いて田中さんの方もお願いいたします。
#122
○長野参考人 代金の支払いは、実際に何人の人が何日働いてという実際の計算でお支払いしております。それで今度の場合ですと、スラッジを集めまして、それから船の上に揚げて袋詰めする仕事、これが大きな仕事だと思いますけれども、減った仕事というのは、投棄された約千六百袋と聞いておりますけれども、その袋を相生に着きまして船に積む、そのところまで持ってくる作業が抜ける。それからこれを船に積む作業が抜ける、これだけのことだと思います。
 それで私の方は実際に今度の場合は、さっき加藤参考人もおっしゃいましたが、二月二十九日の十二時過ぎに船に乗っておりますけれども、神戸を出ます二十九日の午前六時から、作業が終わったのがたしか三月七日の朝だと聞いおりますけれども、三月七日の十六時までの間、これは船におる間は一日二十四時間拘束しておるということでちゃんと計算して実績に基づいてお支払いしておりますので、特別にそういうことをしてもらって安くなるということもございませんし、それからいままで契約しておる内容は、よその会社と比べまして特別値切っておるとか安くしておるということじゃないと思いますので、私の方の契約が何か非常に過酷であるからそういうことが行われたとは私は思っておりません。
#123
○田中参考人 契約に関しましては、それはたくさんいただけばなお結構だと思いますけれども、全般的な各船会社あるいはほかの業者もありますのでそういうわけにはいかないかと思います。
 なお、スラッジの量を仮に減らして会社に何かメリットがあるかといいますと、これは極端に言えば全然ないどころじゃなくて、かえってマイナスなわけです。と申しますのは、われわれはこういう仕事でございますので、初めに計画見積もりいたしましてもなかなかいまスラッジの量の算定ができないというような状態で、いわゆる仕事が終わってから、こういう状態であったから契約はこうでしたけれどももう少しふやしてくださいというふうな形になっておりますので、そうしますとやはりわれわれとしてはこういうふうにたくさん仕事をしたんですよ、ですからこういうふうにくださいというのが本筋でございまして、その自分らのやった仕事の成果をそこで海に流してこんなに少のうございましたという、そういう経営は商売上も絶対にないわけなんでございまして、ですからこの問題によってこういうことをして出光さんなりあるいはわれわれの会社がプラスになるという要因は全然ないのでございます。これは実は検察庁でも保安庁でも会社の書類全部持っていかれるぐらいにずいぶんお調べいただきましたけれども、実際にないものでございますからそういうものはあらわれなくて、やはり監督の個人的な、楽をしたい、させたい、簡単に片づけたいというふうな気持ちがそういうことに結びついたんじゃないかというふうに、これはこれから裁判も行われますし、そうなるとはっきりすると思いますけれども、そんなふうに考えております。
#124
○三浦(久)委員 経済的な必然性はないという御両人のお話ですけれども、私の方でまた調べてみます。
 それから長野さんにお尋ねしたいのですが、この問題で出光タンカーとしてはどなたかが責任をおとりになりましたか。
#125
○長野参考人 まだいま取り調べ中でございますので、具体的な責任はだれもとっておりません。
#126
○三浦(久)委員 加藤さんにお尋ねいたしたいと思いますが、先ほど、この出光タンカーの乗組員が知らないはずはないんだ、たとえばブリッジでもちゃんと視界はぴちっときくし、またサーチライトもぐっと照らされている、作業をやっているところがそのブリッジから見えるのだ、こういうお話でしたね。するとそのブリッジというのは操舵室のことだと思うのですね。その操舵室というのは船長とか一等航海士とかそういう船の最高の責任者が乗っておるところだと思うのですけれども、その点いかがでしょうか。
#127
○加藤参考人 日雇い労働者はブリッジなんてとても入ることはできなくて、ブリッジの一階の廊下のところだけしか入れなかったので、ブリッジに実際に私が上がりましたのは現場検証のときです。このときに高級船員の乗る部屋から見ましたら全く死角はございませんし、私がそのとき、検証のときに写した写真もございます。死角はもうほとんどございません。倉庫の陰がちょっとぐらい、それも体をちょっとずらすと全部見えちゃいます。
 以上でございます。
#128
○三浦(久)委員 そうするといまの段階では、長野さん、何かさっき一等航海士は怠け者で知らなかったというようなお話ですけれども、船長も一等航海士もそういう不法投棄が行われておったということを知らないということ、これはちょっと信用できないというふうに思うのですね。するとこの操舵室にいつもいる人はどういうお方なんでしょうか、ちょっとお伺いしたい。
#129
○長野参考人 ブリッジには船長、それからこの場合は一等航海士は監督者ですが操舵室、ブリッジにおりませんで、あとはほかの二等航海士とか三等航海士、それと甲板員が一人ついて二人でいつもは航海当直をいたしております。
#130
○三浦(久)委員 そうすれば、いわゆる船長さんとか二等航海士、三等航海士ですか、そういう方たちは不法投棄の現場を目撃しているというふうに判断をするのが当然だと思うのですけれども、出光タンカーとしてはどういうふうにその点御判断されていますか、現在。
#131
○長野参考人 新聞に出ました日に海上保安部の方から行っていただきまして、船長とちょうど私の方の会社の監督も立ち会ってお取り調べを全員受けましたけれども、そのときだれも見ていないというふうに聞いておりますので、私はそれ以上は――報告を受けただけでございます。
#132
○三浦(久)委員 操舵室にだれもいなくなってしまうというようなことはないのでしょう。
#133
○長野参考人 それはありません。
#134
○三浦(久)委員 そうすれば、見ておったなんて言えば自分が責任をこうむるからやはりうそを言っているんだという立場で、あなたたちももうちょっと厳しく社内的に実相を明らかにするという態度をとらなければいけませんよ。それは、どろぼうをした人間だって見つからなければ、とりません、とりませんと言うのですよ。現行犯で押さえられたならばしょうがないということもあるけれども、それだってなかなか抵抗する人もいるでしょう。ですから、あなたたちに現場を見られていないのだから、そういううその陳述をするということは十分考えられることであって、出光タンカーの船長も、その当時何日にも何時間にもわたってずっと行われている作業、サーチライトまで照らしておって、そして操舵室におった人間がだれも知りませんと言う。ああ、そうですが、これじゃ警察だったらまず有能な警察官とは言えないでしょうね。ですから、あなたたちがもっと厳しい態度をとるべきです。自分の身内だからといって甘やかすというようなことは私はやるべきではないと思うのですよ。それは私、強く申し上げておきたいと思うのです。だれが見たって操舵室から何も障害はないし、サーチライトを照らしておるのに、数時間、数日間にわたって行われたこの問題を目撃した人が一人もいなかったなんということは、これは真っ赤なうそであるということは社会的に常識ですよ。
 それでもう一つの問題は、先ほどからも聞かれておりますけれども、油濁防止管理者、怠け者だというお墨つきをちょうだいしちゃったわけですが、この方は帳簿をつけていませんでしたでしょう。これは何年間ぐらいつけていなかったのですか。これは二年間は保存する義務があるようになっておりますね。船長さんが二年間はその帳簿を保管しなければいけないようになっておるのですが、お調べいただいた結果、何年間ぐらいこの帳簿をつけていなかったのか、ちょっと教えてほしい。
#135
○長野参考人 ドックする前に徳山港を出航しておりますが、徳山港を出航した後の記録をつけておらなかったと聞いております。
#136
○三浦(久)委員 そうすると、この航海のときだけですか。
#137
○長野参考人 そうでございます。
#138
○三浦(久)委員 それは間違いないですか。じゃ、何でこのときだけつけなかったのでしょうか。
#139
○長野参考人 ドックで非常に忙しいものですから、ドックを出航してから中東に行くまで一カ月ぐらいかかりますから、その間につけようと思っておったと本人は言っておるそうでございます。
#140
○三浦(久)委員 これは忙しいからつけなかったというようなものでは済まないわけですね。だっていつも忙しいでしょう。普通、いつも忙しいわけでしょう、このときだけ忙しかったというわけじゃないのですから。
    〔関谷委員長代理退席、委員長着席〕
私は何も検事じゃありませんから余り事実関係を細々追及してもしょうがないのですけれども、それじゃたとえば、油濁防止規程というのがあるのですね。皆さんの船も、徳山丸もこれをつくっているはずです、つくらなければいけないようになっておりますから。これによりますと「作業が終了した場合は甲板上に備蓄した貨物油タンクの残留物の量を計測し、作業に要したウエス等の油汚染物を所定の場所に格納しなければならない。」こうなっておる。そして「油濁防止管理者は、前項の措置の状況を点検し、その結果を船長に報告しなければならない。」この船長に対する報告はしておったのですか。
#141
○長野参考人 しておりません。
#142
○三浦(久)委員 そうすると、船長の方から報告を求めたということはあるのですか。
#143
○長野参考人 ありません。
#144
○三浦(久)委員 そうすると、この徳山丸は何も一等航海士だけがなまけ者じゃなくて、船長までもなまけ者だということになってしまうのじゃないですか。なまけ者同士で運転しておったらどうなるのですか。
 これは私の推理ですけれども、なぜつけなかった、つけられなかったからでしょう。それは不法投棄をしている、そういう現場を船長も知っておる。ほかの二等航海士か三等航海士も知っておる。そして一等航海士の汚濁管理官も知っておる。知っておるからこれはつけられなかったのです。私はそういうふうにしか推理ができませんね。加藤さんも出光タンカーがこれを知らないはずはないと言われ、出光タンカーが何の責任も負わないということに社会的な義憤を感じておられる。私も同じだ。こういう事故がありますといつも処罰されたりなんかするのは現場の労働者です。そして悪いやつほどよく眠るで、一番責任の大きい立場にある人は何らお構いなし、こういうのがいまの体制だと思いますね。こういうことを改めるために、皆さん方が社内で事実関係を明らかにする、いわゆる自浄能力をもっと高めるということを私は強く要望しておきたいと思いますが、いかがですか。
#145
○長野参考人 おっしゃるとおりでございます。
 それから先ほど徳山から相生の間つけなかったと申しましたが、私の勘違いでございまして、向こうの積み地を出てからずっとつけておらないそうでございます。
#146
○三浦(久)委員 最後に田尻さんにお伺いいたしたいと思いますが、田尻さんの貴重な御意見を賜りまして、われわれも今後この運輸委員会を通じて港湾行政また運輸行政の監視をもっと厳しくしていかなければならぬと決意を新たにしたわけであります。
 便宜置籍船の問題にいま加藤さんも田尻さんも触れられましたね。私はこれを根絶したいと思っております。しかし、当面の措置として結局油濁防止の観点で言えば、油濁防止管理者を設置するということも、また油濁防止規定の適用という問題も外国船にはないわけですね。また外国船の事故が多いということであって、外国船に対する海洋汚染防止法の適用、この問題についてどういうような御意見をお持ちなのか伺いたいと思います。
#147
○田尻参考人 お答えいたします。
 便宜置籍船は何分にも船舶の船籍がリベリア、パナマであります。立てている旗がリベリア、パナマの旗を立てている。乗組員も東南アジアの住民などを採用する。船長もイタリアなどから採用するというようなことでありまして、一見しただけでは全然わからないようになっております。実は横浜へ入港します船舶のうちの第一は便宜置籍船である。日本の海に便宜置籍船が非常に横行しているということです。実はアモコ・カジス号事件のときには便宜籍船お断りということでEC八カ国が入港について禁止を決めましたし、アメリカのカーターも便宜置籍船は廃止すべきだということを声明はいたしましたが、その後残念ながら具体的な動きがございません。
 それから外国船の問題でございますけれども、大体日本の沿岸を走っている船の半数近く、いろいろでこぼこはありますけれども、外国船と思って差し支えない。私は四日市で非常に驚いたのは、パナマのセントパトリックという船が、コンパスが十度狂っていて、いかりは片一方さびついて落ちなかったというような経験がございまして、パイロットも動かすのはごめんだと言っておりてきた。非常に暗たんたる思いがしたのでございますけれども、外国船対策というのは非常に重要であるということはお説のとおりであります。ただ、現行法では法規が適用できませんから、特に領海三マイル以上から外で油を流されますと、旗国に対して通報する以外に直接摘発ができない。しかしながら三マイルぐらいのところで流されますとすぐ海岸に漂着するわけでありますから、そういう点ではもっともっと国際条約を強化しながら、もう少し外国船対策を日本としては強化するいろいろな方策が必要だと思います。特に外国船については港の外から、あるいは内湾に入るときからパイロットを強制するとか、整備点検をいたしまして、できるだけ整備不良船は入港させないとかいうようなチェックをいたしませんと、どうも日本は世界で一番海岸線が複雑でございますから、そういうところへ余りなれない船がやってきてめくらめっぽう走ったのでは非常に心配である。お説のとおりでございます。
#148
○三浦(久)委員 終わります。
#149
○古屋委員長 永江一仁君。
#150
○永江委員 参考人の皆さんも朝から大変御苦労さまでございます。きょう私が最後でございますから、いましばらくおつき合をいただきたいと思います。
 多くの方々の質問を通しまして、確かに今回のこのことが、長い間何となく行われていたということが、加藤さんの決死的なルポによって表面化してきたということでありまして、それは大変意義のあったことだと思います。
 まず内外産業の田中さんにお尋ねしたいのですが、おたくはこのスラッジ等を処理する会社ですから、プロですね。この会社の経過の中で、どうもおたくは正常的にやられておったけれども実際うまくいっていなかったというお話なんですけれども、こういうスラッジ等の廃油の正常な処理方法というのは、そういうタンクの底から揚げてきたものをそういう廃油を運ぶ船に積みかえて、そしてそれぞれ陸上の処理場へ持ってきて処理をする。これが正常なことなんですね。もう一遍ちょっと確認したいと思います。
#151
○田中参考人 おっしゃるとおりでございます。
#152
○永江委員 そこで、ちょっとわれわれ素人にわかりにくいのは、この徳山丸の場合にも、そういう廃油を運ぶ船が横づけされておったというふうに理解するのですが、その船一そうで運ぶ量、徳山丸から引き揚げられた千何百個のものは一回で運び切れないのですかどうなんですか。
#153
○田中参考人 今回の徳山丸の場合、スロップ、スラッジとも、積み込む余裕は運搬船には十分あったそうでございます。
#154
○永江委員 そういたしますと、われわれとしても、先ほどのお話を聞いておりましても、何となく現場の監督の人が少しでもサボりたいということがすべての原因のようにおっしゃるのですけれども、現実的にその船に全部積み込めるにもかかわらず積み込まなかったというのですけれども、これは新聞等の報道によりますと、左舷から右舷に運ぶのがめんどうくさかったから片一方捨てたというようにも書かれておるのですが、加藤参考人、その現場におられて、その運ぶ船との関係はどういうふうな位置づけになっておりましたのですか。
#155
○加藤参考人 運ぶ船というのは、最後にスラッジをおろす……。関係と申しますと……
#156
○永江委員 廃油を運ぶ船には加藤さんがいらっしゃる時点では全然おろさなかったわけですか。
#157
○加藤参考人 いえ、六日にはもうクレーンの下に集められておりまして、残った分ですね、三分の一ぐらいだと思いますけれども、その残った分を集めておりまして、私も一、二回だと思いますけれども、台車を押して集める作業もしましたし、それから、最後に貨物船が着きまして、それにクレーンで積み込んでいるところも見ました。確かに、おっしゃいましたように、七日の朝下船しましたので最後までは見ておりませんけれども、いっぱい、山盛りになったような記憶は全くございません。まだ積めるスペースは残っていたような記憶がございます。
#158
○永江委員 そういたしますと、先ほどお話があったように、経済的な理由からいいますと、田中参考人の立場から言えば、もうとにかく船いっぱいに廃油を積んで持って帰った、うちの会社はこれだけたくさん廃油を処理しておるんだから、契約的にもっと値段を上げてもらいたいというのが経済原則だとおしゃったこと、わかるのですが、しかし、長い間、現場監督がめんどくさいからとにかく捨ててしまうということでございますならば、これは現場監督を含めてのそこの労働者の賃金が大変安い、そういうことから考えますと、出光さんの方に契約を上げてもらうよりも、おたくの会社の立場から言えば、働く人々のピンはねをすることによってもうける方が手っ取り早いということで、ある意味では経済的にも有効に働いておるのじゃないかというふうにも私は推測するわけなんですけれども、どうなんでしょうか。
#159
○田中参考人 こういうことが行われた原因が、いまの先生のお話ですと、給与面で低いからそういうふうになったというふうに、これはちょっとそういうふうに私の方は考えにくいといいますか、それは楽をしたいということがあって、もっと違った意味で言えば、人が見ていないから立ち小便をやろうかというふうなことをやっちゃったというふうに本人は言っております。その原因がどこにあるか、給与が低いからそういうことを無理にやろうとしたのか、そこらあたりはもっとわれわれもよく解明はしなければいかぬと思っております。
 たとえば、ちょうど何かで、運搬するのが非常につらいような、あるいはやりにくいような状況があったとか、そういう問題も含まれているかもしれません。だけれども、これは私どもの単なる推察で、実情がわかりませんのでお答えしかねます。
 そういうことです。
#160
○永江委員 私が申し上げたいのは、参考人も、とにかく廃油が多いということが、会社としても、出光に対して契約を更改のときには、これだけの仕事量があるのだからもっと上げてもらいたい、当然そうなるはずだと先ほど来何遍もおしっしゃっておられるわけですね。そういう中において、現場においては捨てられるという因果関係を考えて、しかも私たち先ほどからのお話を聞いておっても、会社の方々が私はある程度そういう現状を知った中においてこれを見過ごしてきておったというふうに受け取れることが多いわけなんです。そうでなければ、あなたの会社の立場からすれば、なるべく廃油量がふえるように監督なり、あるいは会社として逆にそういう方の指導をすることが経済的にも会社の上においてもプラスであるということになるにもかかわらず、現場において捨てられておるということ、しかもそのことが長い間、先ほど加藤さんのお話があったように、もう十年来も続いておるという、この現実の前にこの問題を考えてみますと、少々その量をふやして出光興産に契約をふやすよりも、まあ言うなれば働いておる人の賃金のピンはねをしておる方が会社的にはもうかるという考えで今日まで推移してきたのではないかというふうな一つの推測が成り立つわけなんですが、どうなんでございましょうか。
#161
○田中参考人 そういうことはないと思います。
#162
○永江委員 私の時間が大変短いので、この辺でその問題は終えて次に移ります。
 先ほど出光の長野参考人が、これは先ほど来多くの質問もございましたけれども、一等航海士等が大変たるんでおったということでこういうことが起こったというふうにお答えになっておるわけでございますけれども、先般の新聞を見ましても、こういうタンカーのスラッジ処理というものの費用を安く上げる、全部持ち帰ると大変な金額になるから、それを少なくするというのが船長の一つの腕だという、会社も暗黙のうちにそのことを期待しておるというふうにも言われておるわけです。ですから本当に、私はその船に乗る乗組員の方々ともいろいろつき合いがありますけれども、彼らは本当に海を愛しておるわけです。その海を愛しておる男が、自分の良心を押し込んでまでそういう海洋投棄をするということは本当は信じられない出来事なんでございます。現実にそういうことがあったということは、大変われわれ国民の一人としてもショックなんですけれども、私はやはり海を愛する船乗りの人々がなおかつそういうことを、見えた見えないという問題はありますけれども、現実にそういうことを見過ごしたというその裏には、やはり会社が、そういった面で廃油量を少しでも減らすということを会社として期待をしており、何ですか、数年前にはその全量を持ち帰った船長が、会社に多大の損害を与えたとして下船処分になったというようなことまで新聞に報道されておるわけなんでございますけれども、出光の経営者の一人として、従来までそういった問題に対して、何らかの乗組員に対する圧力といいますか示唆をされたことはございませんですか。
#163
○長野参考人 先ほどよく御説明いたしましたように、スラッジが何トンだから幾らという契約じゃございませんで、何人の人が何時間働いたからということで支払いしておりますので、スラッジがふえましても、私の方は別に請負でお願いしておりまして、経済的に何もプラスになりませんので、そういうことを船長に指導したことも何も一遍もございません。
#164
○永江委員 それでは時間も参りましたので、最後に、先ほど加藤参考人から、今回の問題を通じて海をきれいにしていくという意味で五つの提案というものもなされたわけでございますけれども、田尻参考人にひとつお聞きしますが、先ほど加藤参考人がおっしゃいましたああいう提案についてはどういうふうにお考えになっておられますか、お答えいただきたいと思います。
#165
○田尻参考人 私はきょう別の角度からお話をいたしましたので、本件は触れておりません。しかしながら先ほどの、現場で働いた人の体験を通した提案というのは非常に貴重だと思っております。
 なお一言、私、自分で調べておりませんので、自分で調べていないことは言うべきでないと思っていますから、本件のようないろいろと非常に驚くべき、しかも非常に疑問の多い事件についてはコメントをいたしませんけれども、一般的に申しますと、スラッジの流れ、行方、そういう不法投棄を起こしようがないようなシステムをやはり確立をして、そしてその上に立って厳重な取り締まりをやっていくということも必要ではないかというぐあいに考えます。
#166
○永江委員 時間が来ましたか、最後に――これで最後でございますので……。
 今回の問題を非常に社会正義に燃えて取り上げられました加藤参考人に最後にひとつ。きょうの委員会を通じての何か言い残したことを含めまして何かございましたら、一言おっしゃっていただいて、私の質問を終わりたいと思います。何か言い残したことがございましたら、どうぞおっしゃってください。
#167
○加藤参考人 急に言われましてもないのですけれども、一つだけあるとすれば、国際汚染防止法をこの際ぜひ批准していただきたい、このように思います。
#168
○永江委員 ありがとうございました。(拍手)
#169
○古屋委員長 これにて質疑は終了いたしました。
 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。
 本日は、御多用中のところ長時間にわたり御出席をいただきまして、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して、厚く御礼申し上げます。(拍手)
 次回は、明二十三日午前十時理事会、午前十時半委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後一時三分散会
ソース: 国立国会図書館
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