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1979/02/19 第91回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第091回国会 商工委員会 第2号
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1979/02/19 第91回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第091回国会 商工委員会 第2号

#1
第091回国会 商工委員会 第2号
昭和五十五年二月十三日(水曜日)委員長の指名
で、次のとおり小委員及び小委員長を選任した。
 エネルギー・鉱物資源問題小委員
      越智 通雄君    田原  隆君
      辻  英雄君    野田  毅君
      橋口  隆君    原田昇左右君
      堀内 光雄君    水平 豊彦君
      渡部 恒三君    渡辺 秀央君
      石野 久男君    後藤  茂君
      清水  勇君    松浦 利尚君
      長田 武士君    木内 良明君
      神崎 敏雄君    安田 純治君
      中井  洽君    宮田 早苗君
 エネルギー・鉱物資源問題小委員長
                辻  英雄君
 流通問題小委員
      天野 公義君    浦野 烋興君
      小川 平二君    大塚 雄司君
      粕谷  茂君    鴨田利太郎君
      中島源太郎君    深谷 隆司君
      粟山  明君    渡部 恒三君
      上坂  昇君    渋沢 利久君
      中村 重光君    渡辺 三郎君
      中川 嘉美君    森田 景一君
      小林 政子君    安田 純治君
      宮田 早苗君    横手 文雄君
 流通問題小委員長       中村 重光君
―――――――――――――――――――――
昭和五十五年二月十九日(火曜日)
    午前十時三十五分開議
 出席委員
   委員長 塩川正十郎君
   理事 堀内 光雄君 理事 渡部 恒三君
   理事 清水  勇君 理事 渡辺 三郎君
   理事 近江巳記夫君 理事 神崎 敏雄君
   理事 宮田 早苗君
      天野 公義君    浦野 烋興君
      越智 通雄君    粕谷  茂君
      鴨田利太郎君    田原  隆君
      辻  英雄君    原田昇左右君
      深谷 隆司君    水平 豊彦君
      粟山  明君    石野 久男君
      上坂  昇君    渋沢 利久君
      中村 重光君    松浦 利尚君
      山本 幸一君    長田 武士君
      木内 良明君    中川 嘉美君
      森田 景一君    小林 政子君
      中井  洽君    横手 文雄君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  佐々木義武君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      正示啓次郎君
 出席政府委員
        公正取引委員会
        委員長     橋口  收君
        経済企画庁物価
        局長      藤井 直樹君
        通商産業政務次
        官       梶山 静六君
        通商産業大臣官
        房審議官    神谷 和男君
        通商産業省貿易
        局長      花岡 宗助君
        通商産業省産業
        政策局長    宮本 四郎君
        通商産業省立地
        公害局長    島田 春樹君
        通商産業省機械
        情報産業局長  栗原 昭平君
        資源エネルギー
        庁長官     森山 信吾君
        資源エネルギー
        庁公益事業部長 安田 佳三君
        中小企業庁長官 左近友三郎君
 委員外の出席者
        警察庁刑事局保
        安部保安課長  佐野 国臣君
        法務省刑事局刑
        事課長     根來 泰周君
        外務省経済協力
        局外務参事官  後藤 利雄君
        通商産業省通商
        政策局経済協力
        部長      田口健次郎君
        資源エネルギー
        庁長官官房鉱業
        課長      山梨 晃一君
        商工委員会調査
        室長      中西 申一君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月十三日
 辞任         補欠選任
  横手 文雄君     玉置 一弥君
同月十五日
 辞任         補欠選任
  玉置 一弥君     横手 文雄君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 通商産業の基本施策に関する件
 経済の計画及び総合調整に関する件
 私的独占の禁止及び公正取引に関する件
     ――――◇―――――
#2
○塩川委員長 これより会議を開きます。
 通商産業の基本施策に関する件、経済の計画及び総合調整に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。粟山明君。
#3
○粟山委員 粟山でございます。
 去る二月十二日の本委員会におきまして、通商産業大臣並びに経済企画庁長官から五十五年度の重点施策につきまして所信表明を伺ったのでございますが、それにつきまして質問させていただきます。
 まず、通産大臣の所信表明の中で、重点施策としてエネルギーセキュリティーの確保、また国際経済社会への貢献、それから技術立国へのアプローチ、活力ある中小企業の育成、そして快適な国民生活の実現、この五つを挙げておられましたが、本日は時間の制約もございますので、主として第一のエネルギー問題、それから第二の国際経済協力問題、こういった点についてお伺いしたいと思います。
 最初にエネルギー問題でございますが、昨年の二月十三日には当時の江崎通産大臣から同じく所信表明がございまして、私、当時議員ではございませんでしたが、その会議録を読ませていただきますと、昨年度はまず景気の回復、それから国際収支の均衡ということを第一に挙げておられまして、エネルギー問題ということはもちろん挙げてはおられますけれども、いささか現在の状況よりもトーンが低いと考えられるわけでございます。
 それから一年たちまして、このたびの所信表明で真っ先にエネルギーセキュリティーの確保という点を挙げておられることは、ここ一年の、ことに昨年後半以来のエネルギー問題、特に石油問題のインパクトがいかに強いかということを示しているものと思います。わが国もいまやエネルギー問題にすべてが明け暮れておりますし、全国民が石油に振り回されていると言っても過言ではないと思います。
 そこで、所信表明の中にも、いま大体民間、政府合わせて百日分強の石油備蓄もあります。また省エネルギー、石油を昨年度の五%から七%まで節約しょうといろいろな手を打っておられますが、さて、やはり国民は今後の石油が大丈夫かという点に非常に不安を持っております。
 そこで第一の質問でございますが、いわゆる輸入石油をいまの依存度の七五%から五〇%に今後十年後には減らそうというお考えと承っております。しかしながら、現在、量にいたしますと年間ざっと三億キロリットルの輸入、これが十年後にそれの七十五分の五十ということではなくて、量的には絶対量はふえるわけでございます。十年後にざっと三.七億キロリットルぐらいの輸入をしなければならない、それで五〇%だということでございますと量的にもまだまだ非常にふやさなければならない。たまたまこのたび園田特使が中近東へ行かれた目的の一つもそういうことにございましょうし、いろいろと御当局は骨を折っておられると思いますが、これからの十年間、いま申し上げたような石油の量的な確保は、見通しがどうであろうかという点について、まず最初にお伺いしたいと思います。
#4
○佐々木国務大臣 石油オンリーの問題もございますけれども、お話の前段にありましたように、エネルギー全般としてどういう対策で将来取り組むつもりか、その間において油の地位というものをどう考えているのだという御質問だと承りましたが、いまお話のございましたとおり、長期エネルギー需給暫定見通しという通産省で持っております計画は、十年後に現在の七五%という油の依存度を五〇%まで下げたい、その下げた分を脱石油ということで、石油にかわるほかのエネルギーでこれを埋め合わせていきたいというのが根本でございます。
 その間、いまお話のございましたように、もちろん七%節約し、順次これはふえてまいりますけれども、あるいはエネルギー使用の合理化等、いろいろ備蓄並びに節約問題を加味して油の節約あるいは補給を図るわけです。そういう問題と、それから油の安定供給、これは何といってもいま一番中、心でございますが、油の安定供給と、三つを当面の一番重要な施策にしておりますけれども、それではそれのみで将来できるかと申しますと、そうはまいりませんので、IEAの見通しでも、あるいは恐らくいまの世界の一つの定説かと思いますが、少なくとも五年後あるいは十年後には油そのものの需給関係が大変逼迫するだろうというのは、これはもう一致した見通しでございます。それに対処するためには、現在行っております三つの対策、主たる対策だけではとても進めませんので、御承知のように代替エネルギーの開発に重点を志向せよというので、今年から総合開発機構を設置したり、あるいはそのための開発財源をつくったりして、エネルギー元年と申しますか、そういうことで進めたいとせっかくただいま努力中でございます。
 お話の、油の安定供給が将来どうなるのだということでございますけれども、いま申しましたように、少なくとも今年度はIEAの見通しでも、世界的な、グローバルな見方でいきますと、まずまず需給は若干供給の方が上回るということで、そう窮屈にはならぬのじゃなかろうか。しかし、将来それではグローバルに見て安定するかと申しますと、それはさっき申しましたようにそうじゃないのだということでございますから、その間、いま言ったような諸施策を強力に進めると同時に、油そのものの対策も加味して、そして少なくとも五年後に、いま決まっております六百三十万バレルというものはぜひひとつ確保していきたいということで今後進みたいと思っております。
#5
○粟山委員 将来五年後には六百三十万バレル確保したいというお考え、承っておりますし、ともかくも、とりあえず本年度は供給が十分であるということで、目先は一応安心――安心とまではいきませんが、そういうことを承って安心している次第でございますが、同時に、もう一つ大きな問題はむしろ価格の問題であろうか、こう思うわけでございまして、価格は一昨年の十二月ごろからすでに四回ほども各産油国で上げております。後ほど質問に出てまいりますけれども、電力の料金の算定基準、昨年の十二月初めに申請をしております北海道電力のその基準になっております油の値段、これがもう十二月の末には合わなくなっている。一月になって八電力が値上げを申請して、この基準にしている油の値段もどんどんと変わっているというような不安定な状況でございます。
 そこで、この値段が、人によりましては五年後バレル六十ドルにも上がろうか、六十ドルになる、あるいは十年後には九十ドル、百ドルという予想すら出ている、これはちょっと多過ぎるかもしれませんが。そうなりますと、先ほど量の問題で、仮に量の確保ができたといたしましても、三億キロリットルから、さらに五年後、十年後ふえる。値段がいま申し上げたように仮に五年後六十ドルになりますと、二百四十円換算でも、全体としまして十五、六兆円の円の支払いが必要になってくる、増加分だけでございます。さらに、十年後にはざっと三十兆円というような莫大な、天文学的数字が予想されるわけでございますが、さて、現在では、本当にことし一年でも油の値段がどうなるかということはなかなか予測がつかないかと存じますけれども、やはりこれから日本の経済を安定成長に着々と持っていこうというためには、大体このぐらいというお見通しも通産省としては考えておられる、こう思うのでございますが、その点につきましての御見解を伺いたいと思います。
#6
○佐々木国務大臣 御承知のように、いまお話しのように、公式販売価格とあるいはスポット物とを勘案いたしますと、去年の十二月のOPECの総会でああいうふうに値段が決まらずに、いわば自由価格でという体制になったわけですから、判断は非常にむずかしいのですけれども、少なくとも今年度はバレル三十ドルを若干超える程度で見通していいのじゃなかろうか。これは一つは、IEAは、今年度の需給状況はさっき申しましたようにそうタイトなものではない、むしろ需給関係は安定するだろうという見通しでございますし、スポット物もただいまは一時に比べて大分下がっておりますので、少なくとも去年値上がりした、あるいはことしの初頭、ことしの一月等どんどん上がってきましたようなああいう事態というものは、今年度は少なくとももう少し落ちついた値段になってくるのじゃなかろうかというふうに感じます。
 それでは来年以降一体どうなんだという見通しは、お話のように大変高くなるという見通しの方もいますし、そうではなしに、需給バランスから見てあるいは節約その他の油の対策等から見まして、むしろ需要が落ちつけば価格も長期に見て落ちついてくるのじゃなかろうかという見通しも逆にあるわけでございまして、その判断は非常にむずかしいのでございますから何とも申し上げるわけにいきませんが、しかし、少なくとも今年度に関しては、私は去年のようにああいうふうにギャロップ的に上がることはなかろうというふうに考えてございます。
#7
○粟山委員 ただいまの大臣のお答えで、大体、ことしの値段、バレル三十ドルでございましたかの程度で予算その他の措置をなさっているやに伺いましたが、確かに来年度以降となりますと非常にむずかしい、あるいはスポット物なんかがもっと下がるのじゃないか。これは本当にそういうことも考えられるのでございますが、やはり今度の新エネルギー、代替エネルギー問題につきましても、恐らく長期のある程度の値段といったような見通しもお立てになった上だと思うのでございますが、先ほど申し上げたような、五年後の六十ドルというようなことになりますと大変なことになりますけれども、その辺については、大体五年ぐらいにどのぐらいというような予想を通産省としては考えておられますでしょうか。あるいは長官からでもひとつ……。
#8
○森山(信)政府委員 油の価格の見通しにつきまして、ことしの見通しにつきましては先ほど大臣が答弁申し上げたとおりでございますけれども、中長期に見てどの程度の予測をしているかという御質問に対しましては、端的にお答えいたしますと、これは大変予想がしにくいということで、具体的には数字を掲げてございません。ただ、私どもの考え方といたしまして、先ほど先生がお挙げになりました六十ドルあるいは百ドル、こういう数字につきまして、現在のOPECの価格形成のメカニズムが、五年後、十年後に果たしてそのまま続いていくかどうかにつきましては、大変疑問に思っておるわけでございまして、現在御承知のように、大変石油が枯渇する資源であるということから、OPECが価格を決定するメカニズムは、あくまで産油国の体制の中において決められるという問題がございます。
 そこで、その観点だけを考えてみますと、先ほど大臣もお答え申し上げましたとおり、中長期に見まして、油の需給が大変タイトになるという見通しが現在ございます。数字を申し上げますと、一九八五年に大体一日当たり百二十万バレルぐらいショートするのではないか。それから一九九〇年には六百二十万バレルほどショートするのではないか、こういう見通しがございますから、その需給関係だけで見てまいりますと、先ほども御説明いたしましたOPECの価格形成メカニズムが必ずしも変更する要因はないのではないか、こういうふうに解釈されますけれども、そこに代替エネルギーの開発という問題が絡んでまいりますと、また違った様相が出てくるのではないかということでございます。つまり、いまOPECは、価格を決めます一つの基準が、産油国の生産動向ということが中心になって決められておりますのに、今後価格形成のメカニズムの中に代替エネルギーの開発の進捗状況というものが入ってまいりますと、また変わった形の価格形成メカニズムが成立するのではないか。したがいまして先進国といたしましては、一日も早くこのOPECの価格形成メカニズムの中の重要なファクターとなる代替エネルギーの開発、これは技術的な開発だけではございませんで、いわゆるコスト面の開発、油に代替し得る価格までいかに早く持っていくかということでございまして、この代替エネルギーの価格動向というものが、産油国によって相当大きな配慮条件になるという日にちがそう遠くない将来にやってくるのではないかと期待を持っておりますので、そういうことになりますと、OPECの価格もかなり現在と変わった形の形成が行われるのではないか、こういうことを考えておるわけでございます。
#9
○粟山委員 ただいまの長官の御説明を聞きましても、代替エネルギーに大変期待をかけておられて、将来の石油の量あるいは価格も、代替エネルギーの開発によってむしろ抑えていくことができる、そういう御期待かと承っております。
 そこで、代替エネルギーにつきまして二、三質問を申し上げたいと思います。
 何といっても代替エネルギーの開発、導入、これはまさに緊急なことでございますし、私もこのたびの新エネルギー総合開発機構でございますか、この新設には大賛成でございます。むしろ遅きに失したのではないかというぐらいに考えるものでございます。ただ、この代替エネルギーの開発というものは非常に、金もそうでございますが、時間がかかる。いまのエネルギーの問題、先ほどからのお話でも、これから五年後、十年後という時点を想定いたしますと、なかなかこれは容易ではないと私は思うのでございます。このたびの新機構の予算あるいは内容を拝見いたしますと、いささか総花的に、非常にいろんなものを取り上げておられる。これは、先ほど長官からお話がありましたような、代替エネルギーでコスト的にもあるいは内容的にも石油を抑え得るものということはまだむずかしいかもしれません。したがって、現在考えられる問題をすべて取り込んでいるような気がするのでございますが、しかしながら、五年後を考えますと相当緊急事態ではないか、こんな感じがいたします。
 そこで、いまこの新機構で取り上げておられまする代替エネルギーの項目につきまして、このうちでどれを重点的にお考えになっていられるか、それとも単に長期的という考え方で、あくまで総花的にやられるのか、その辺のお考えをひとつ伺いたいと存じます。
#10
○佐々木国務大臣 代替エネルギーの一番の油にかわるものとして重要視しなければいかぬのは、原子力発電あるいはLNG、石炭、この三つが数量的に見ましても中心にならざるを得ないと思います。ただ、それだけでよろしいかと申しますと、どういう事態になるかもわかりませんので、それを補完する意味で、いま機構で取り上げております地熱とか太陽熱とか風力とか石炭液化とか、いろいろなものがございますわけですから、そういうものをあわせてだんだん将来大きく伸びていくわけでございますけれども、当面、しばらくの間は補完的な役割りを努めるのもやむを得ぬのじゃなかろうかというふうに感じます。
 そこで、その大きい三つの、原子力、LNGあるいは石炭でカバーできぬような事態があったらどうするかという問題もあろうかと思いますけれども、少なくとも私どものいま一番急ぐのは、何といっても石炭で、油にかわるボイラーに切りかえる、これが一番早い施策だと思いますので、海外の石炭開発をどうするかあるいは導入をどうするか、国内炭との調整をどうするか、そしてまた、油の前は石炭の時代だったわけですから、できればそのボイラーに切りかえる等に対して、御承知のように今年度の予算では相当な補助金等を用意いたしまして、切りかえるようにして、現実にどんどんまた進んでおります。
 そういういろいろな政策をやはり合わしていくのが、日本のようにエネルギーの全然ない国といたしましては一番重要なことではなかろうか。何が一番重点なんだ、機構でいろいろ開発するものがあるようだけれども、盛りだくさんでというお話でございますが、機構でやる中には、たとえばいまの海外石炭の開発などもその一つでございますし、あるいは液化の問題とか地熱、太陽熱等、現実にもう政策としてあるいはエネルギーとして役立ち得るものもございますから、そういうものも、そのうちまた重点と言わないで、私は、むしろそれはそれとして進めていった方がいいのじゃないかというふうに考えております。
#11
○粟山委員 わかりました。時間も余りございませんので、質問を少しほかに移させていただきます。
 経済企画庁長官にお伺いしたいのでございますが、エネルギー問題とちょっと離れまして、長官の先般の所信におかれましては、物価と景気と石油、この三つを挙げておられました。現在、物価、景気という面から見ますると、景気を浮揚するという、先ほど昨年の話がございましたが、それと同時に物価の方も安定的に抑えていこう、両方を追っていたようでございますが、現在は、最近になりまして当然物価に重点が移ってきた。たまたま本日の公定歩合の一%引き上げ、預金準備率の引き上げといったような面から見ましても、また、もうすでに五十四年度の公共事業の五十五年度に五%でございますか、繰り延べ、こういった点から見ましても、物価の方に重点が移ってきたと思われるわけでございますが、ことしの一月の卸売物価の高騰、これが前年同月比は一七・三%でございますかでございますし、前月比も非常に上がっている。まだまだ消費者物価には波及は、急激な波及はしていないと言いますが、いずれ三、四月にはこれも波及してくるのではないかというような時点で、本日、公定歩合の引き上げがございました。これの景気あるいは物価に対する影響について、ひとつ長官のお考えを伺いたいと存じます。
#12
○正示国務大臣 お答えいたします。
 おっしゃるとおり、昨年来ずっと景気と物価、両にらみの政策ということが、大平第一次内閣のときはずっとそれで参ったと思いますし、また私は、それは正しかったと思うのであります。ところが、われわれ、昨年十一月初めに第二次内閣に命を受けましてから、私どもは物価問題、これが非常に重要性を加えたという認識を持っております。これはもう全閣僚がそういう考え方になっております。と申しますのは、ただいまもお話しのように、今回の公定歩合の引き上げにいたしまし
 ても、結局経済を着実に、また安定的に成長させていくためには物価の安定が先決である、物価がいわゆる狂乱状態というか、非常にインフレが悪性化していくということになりますと、これはもう経済の成長自体が崩れてしまうわけでございますから、何といっても物価の安定ということが最優先であって、それは同時に経済の堅実な成長、発展の基盤をなすものである、こういう認識を皆持ったわけでございます。その一番の大きな原因は、もちろん申し上げるまでもなく、先ほど来お話しの原油価格の相次いでの大幅な上昇、そしてまた円とドル、為替レートの関係等から、そういうふうな認識をわれわれとしては持たざるを得ないような客観的な事実に直面した、こういうところから御理解をいただけると思うのであります。
 今回、異例の措置と言われましたように、金融当局が公定歩合の引き上げをタイムリーに、しかも適切な程度に実行されたという点に、私は金融当局に対して心から敬意を表しておるわけでございますが、これによってわれわれとしては物価問題に対する責任がますます重大になってきた、こういう認識を持っておりまして、これからの公共料金等につきましても、通産当局がただいま電力等についてはヒヤリングをやっておられるわけでございますけれども、国会の皆様方からもいろいろと御意見もちょうだいいたしまして、適切な処理を誤ってはいけない、ますます物価問題についてはきめ細かく、しかも適時適切な対策をやっていかなければならぬという認識を一層強めておるわけでございます。
#13
○粟山委員 先ほど私、一月の卸売物価は前年同月比一七・三と申し上げましたが、一九・三と訂正させていただきます。
 そこで、これは長官ではなく、物価局長さんいらっしゃいますか。――局長さんにちょっとお伺いしたいのでございますが、昨年の暮れあるいはことしの一月、二月と卸売物価が非常に高騰しておりますが、これが消費者物価にやがて波及するということは、経済的に言って一つのサイクルというようなものがありますでしょうか。ありましたら、大体何カ月ぐらいにそれが波及してくるかという点をちょっとお伺いしたいと思います。
#14
○藤井(直)政府委員 お答えいたします。
 卸売物価が上がりまして、消費者物価に影響していく過程でございますが、これは物によりまして違いますし、また、その物資の需給関係、そういうものがどうなっているかということによっても違ってまいりますので、一概に申し上げることはできないわけでございますが、昨年からの動きで見ますと、たとえば原油が上がった後の波及におきましては、当然のことですが、ガソリンとか灯油という、わりに生産過程の短いものについては早目に出ております。しかし、それが今度石油化学関係になりまして、エチレン等を使って出ていくものにつきましては、その時間が非常に長くなっております。しかし、現在の消費者物価を見ますと、洗剤とかそれからポリバケツというようなものについては徐々にその影響が出てきているということでございますので、やはりその物に即して判断をしていかなければならないと思っております。そういうことで、一義的に何カ月かということについてのお答えはいたしかねますが、従来、過去の分析をいたしてみますと、一・四半期から二・四半期ということが言われております。昨年の全般的な動きを見ますと、その時間がかなり長くなっているというようなふうには思われますけれども、さて、それでは何カ月であったかということについては、にわかにお答えいたしかねるというのが現状でございます。
#15
○粟山委員 わかりました。
 それで、同じく物価の問題でございますが、消費者物価が、そろそろインフレになりかかっている状況でございますが、公共料金、これが全くメジロ押しに値上げ予想あるいは値上げ申請が出ております。もうすでに消費者米価が二月一日から三.二%、麦価が一四・一%というような値上がりでございますし、航空運賃も三月から二十数%、またたばこ、これは野党が何とかゼロに抑えるんだという予算修正を考えておられるようにも伺っております。そこへ予算関連以外の公共料金、電力、そしてまたガス料金、これの大幅値上げが来ておるわけでございます。これを見ますると、五十五年度の政府の消費者物価値上がりの目標は六・四%と承っておりますが、この六・四%の中で電力、ガスその他をいまのような値上げで吸収できるかどうか、この点についてお考えを伺いたいと思います。
#16
○正示国務大臣 大変御心配をかけておるわけでございますが、まず第一は、五十四年度でございますけれども、この間うちも予算委員会その他で、議員の皆様方から大変御心配をいただいて、すでに消費者物価も七%ほど上がるというんじゃないか、あるいは、これがもっと上がるということになった場合に、とても四・七%という目標は達成できないであろう、こういう御質問があるわけでございます。いまのところは七%を若干上回るようなことになりましても、これはいわゆる瞬間風速でございますから、二月、三月、まだ二カ月の指数がこれから出るわけでございますが、それでも五十四年度年度全体としての消費者物価は四.七%の目標の中におさまる、私どもはこういうことでいま一生懸命やっております。通産大臣は所管物資について需給関係をしっかりにらんでそれに対応する措置を講じていただく、農林水産大臣は野菜の早期繰り上げ出荷あるいは出荷奨励金あるいは緊急輸入というようなことでやっていただいておるのもまさにそのためでございますし、今回の公定歩合の引き上げでインフレムードを抑え込んでいただくというふうなことも、またいまお話しの財政の適正な執行、すべてそういうわけでございますので、われわれは各省庁一体になりまして、これからも年度末までずっと消費者物価を目標値におさめることに全力を挙げます。
 さて来年度でございます。おっしゃるとおり先ほど来お話しのような卸売物価の中間製品、完成品への波及、消費者物価への波及、こういうプロセスを経て、どうしても押し上げる力がだんだんと強くなっておりますから、ますます金融、財政その他の物価対策ということに力を入れなければならぬことは先ほどお答え申し上げたとおりなんです。私は、いまのところは適時適切な総合物価対策によって六・四%は達成できる、こういうふうに信じて、せっかく通産当局がいま大きな電力、ガスの料金問題について、これは一方では安定した供給を確保するという一つの要請、これも非常に大事でございますから、それを達成しながら、しかも国民生活、企業等への影響を配慮して、電力、ガスの料金についても適正なところで結論を出していただくようあらゆる御努力を願っており、われわれもまたそれに協力していくわけでございます。そういうことによりまして、いまのところは過去の第一回の石油ショックのときの苦い経験、それから諸外国がいま陥っておるスタグフレーションの実態、春闘の決まり方等も非常に大事な要素でございますが、私は、日本国民がもう本当に物価問題に対してみんなで一緒になって取り組んでおられる今日の態度というものは、われわれにとっては非常に希望を持たせるものである、有望である、したがって、また努力のしがいもあるから、皆様と御一緒に全力を尽くして来年度の目標も達成したい、かように考えておるわけでございます。
#17
○粟山委員 長官の御決心を承りまして非常に喜んでいる次第でございまして、ぜひ六・四%以下に抑え込むということを御努力をお願いしたいと思います。
 さて、ただこの六・四、やはり公共料金に戻りますけれども、電力八社の六四・四%の申請、それとガス料金大手三社の五〇・八%、これをそのまま、仮にでございますが認めた場合、消費者物価に対するはね返りはざっと何%ぐらいになるものでございましょうか。
#18
○正示国務大臣 ただいま通産御当局がヒヤリングをやられまして、これから公聴会をやられます。私どもの方では物価安定政策会議に付議をいたしましていろいろと御意見を伺う、また、国会の最も大事な御意見等もいろいろ伺うわけでございます。したがって的確にどの程度ということはもちろん申し上げかねるわけでございます。
 そこで、強いて何か試算をとおっしゃれば、仮に電力、ガス等で一〇%程度引き上げた場合にどうなるか、そんなようなことにいたしまして試算をしたものはございます。一割の引き上げでたしか電力については〇・一八、それからガスが〇・〇九そんなような試算を一応しておりますが、これは決して通産当局が予断をもってこれからどの程度にということを申し上げたわけではございません。
#19
○粟山委員 いまの私の質問も、まだまだ電力料金、ガス料金値上げの検討中、当局で査定中ということでございますので、余りいろいろなことを申し上げるのもかえっていかがかと思います。
 しかし、次の質問でございますが、この公共料金の値上げの問題、国民としましては非常に関心を持っているわけでございまして、私ども自民党におきましても、毎日のように消費者あるいは電力会社さん、そして評論家の方々、いろいろお招きして勉強しているところでございますが、何と言ってもこの値上げの内容、申請の内容は燃料費、特に石油の値段ということが大部分と言っても過言でないというぐらいを占めているわけでございまして、したがいまして、従来の通産省の査定の場合の原価主義という点から見ますれば、なかなかこれを押し下げる余地が少ないんではないか、こうも考えられるわけでございまして、先般、昨年の暮れに申請のありました北海道電力さん、これが三八・数%を三四・二%にまで押し下げたというような経緯も伺っておりますが、それから見ましてもなかなかいまの電力八社平均六四・四を大きく下げることがむずかしい。しかし、先般のあれは総評さんの発言でございましたか、大体申請六四の半分くらいに切る要求をするんだというようなこともございましたし、昨日の新聞紙上等では、今度の公定歩合の値上げその他から見て、物価の動きを見て四〇%以下にするのが妥当であろう。いろいろな案と申しますか、数字を散見するわけでございますが、いま申し上げた原価主義という点からいたしますと、なかなかこれを押し下げるということがむずかしいと思います。ただ問題は、現在ここ一年の緊急事態として原価を査定しようという一つの方針であるのか、それとも電力の長期安定供給というものを考えた場合には、国民の納得を得て物価に多少の波及は覚悟の上でやっていくのか、その辺につきまして大臣のお考えを伺いたいと思います。
#20
○佐々木国務大臣 御承知のように、電力、ガス料金の物価あるいは国民生活全般に与える影響が大変大きいものだということはよく承知しております。したがいまして、それに対する十分なる配慮というものが必要なこともこれまた申すまでもございません。しかしながら、反面先ほど冒頭に御質問ございましたように、今後脱石油という時代を迎えて日本が生き延びていくためには、何といってもエネルギーというものを確保しなければいかぬということになってまいりますと、その大宗はやはり電力でございまして、電力の基礎を培うものは、いままでは油でございましたが、これにかわって原子力あるいはLNGあるいは石炭ということになってまいりますと、その切りかえをしていく大金が必要なのは電力会社自体なのでございまして、電力会社の経営の基礎が脆弱になって、そういう建設もできないということになりますと、日本のエネルギー政策というものは根本から崩れるわけでございまして、日本のエネルギー政策を遂行していくという要求も、これまた根本論として一番重要な問題ではなかろうかとも感じます。
 そこで、あくまでも経営の合理化というものを徹底して、経営努力をするだけしたという前提は当然のことでございますけれども、その前提に立ちまして、いま申しました二つの大きい要求を頭に描きながら、原価主義という原則で慎重に厳正に査定に臨みたいということでいま進めつつございます。原価主義でございますから、お話のようにあらかじめ何%といったような想定をして、無理やりにそれにおさめるということは原価主義の許さぬところでございまして、あくまでも原価主義の各ファクターをそれぞれ厳格に査定しながら、それを集大成した、積み上げたものが答えとして出てくるわけでございますから、あらかじめ何%に抑えるということは毛頭考えてございません。
#21
○正示国務大臣 粟山委員に先ほどの数字を正確に申し上げます。
 電力は、一割のときは〇・一八、ガスは〇・〇九、そういう計算でございます。
#22
○粟山委員 ただいまの通産大臣のお話で、やはり従来の方針の原価主義を貫くという点、それには経営の合理化その他ということを条件にお話になっておられました。過去の委員会の質問にもございましたが、この経営の合理化の問題でございますが、現在九電力地域独占というようなことが非常に言われておりまして、この点を、以前の委員会での質問に対しては、やはりいまの地域それぞれの九電力体制がいいのだというお答えがあったと見ておりますけれども、こういうような状況になりますと、どうも殿様的な経営も目につくという感じもいたしますので、これをどちらからでも安い電力を買えるというような、全面的ではないにしても、地域独占を少し緩和するというようなお考えはないものかどうか、お伺いしたいと思います。
#23
○森山(信)政府委員 現在の電力会社の体制は、先生御承知のとおり、戦後間もなくそういう体制が整備されたわけでございます。
 日本の電力の歴史をひもといてみますと、明治二十年ごろ東京電燈ができまして、それから、大変言葉は悪いのですが、離合集散がございまして終戦直後にはいわゆる日本発送電という一元的な組織ができたわけでございまして、それに対します九配電会社という体制ができたわけでございます。この体制が果たしてよかったかどうかという反省がございまして、先ほどお答え申し上げましたとおり、昭和二十六年だったかにいまの体制が整備されたわけでございます。私どもは、その後一貫して九電力体制を推進してまいっておりますし、現在でもその体制が最もふさわしいのではないか、こういう考え方を持っておりますけれども、御指摘のようにある種の弊害が出てきておることも事実だと思います。したがいまして、その弊害をできるだけ除去しながらいまの九電力体制を整備していくのがいいのではないか、こういう考え方で、その一つは広域運営の問題ではないかと思うわけでございます。いま御指摘のように、地域独占という立場からだけではなくて、そこに広域運営という問題を当然に導入すべきであるという考え方から、中央に中央電力協議会という制度を設けまして、日本を西と東と中と三ブロックに分けまして、それぞれ電源開発株式会社等を媒体にいたしまして広域運営をする、こういう考え方をいま推進しているわけでございまして、九電力体制ではどうしても弊害の出かかっておるような問題をカバーしつつ、いまの体制を存続するのが現下の情勢では最もよろしいのではないかな、こういうような考え方で処理をしておるところでございます。
#24
○粟山委員 わかりました。いま私が申し上げたのは、一つは、私の地元は福島県でございますが、これは日本でも有数の電力県でございまして、管轄と申しますか、電力を供給しているのは東北電力ではございますけれども、昔から猪苗代湖の水、これは東電さんでやっております。また、申し上げるまでもなく東電の原子力発電所が福島第一、第二とございます。また、東北電力はようやく、大変高い補償費を払って発電所をこれから建設しようというところでございます。この有数の電力県ではありながら、なかなか県民が安い電力の恩恵に浴していない、こういう不平があるわけでございまして、そういう点をもう少し広域的にやっていただけないか。土地なりいろいろ土地の人たちが持っているものを提供するのだから、それに対しては少し恩恵を与えてほしい。単なる場所の補償とか漁業補償であるとかなんとかいうことではございません。もっと広く考えた恩恵をもひとつ考えていただきたいということが私の希望でございまして、これはお答えは結構でございます。
 それから、時間もございませんので、電力問題で、簡単でございますがちょっと要望だけ申し上げておきます。
 電力問題の査定に当たりまして、多消費産業が非常に困っておられます。私どもの福島の方でも、アルミニウム産業をわざわざ、いま申し上げたようにここは非常に電力が豊富だから来てほしいということで誘致をいたしました。ところが、いまになって大幅な電力値上げということで、下手をすると工場も閉鎖しなければならぬ、こういうような産業が幾つかございます。そういう点、もちろん個々には電力会社さんとの交渉もございますでしょうが、電力のこのたびの値上げにつきましてもひとつ十分な御配慮をちょうだいしたい。オフピーク時の電力をもっと安くするとか、時間を延ばすとか、いろいろな御配慮もお願いしたい、こう思います。
 もう一つは、同時に農事用の電力でございます。やはり農業県でございますし、何といっても農事用の電力が高くなるということが農民の生活には本当に響くわけでございますので、この点もぜひひとつ御配慮を願いたい。これは私の要望でございますので、申し上げておきます。
 時間がすっかりなくなってしまいましたので、エネルギー関係はこれで終わります。
 それでは次の質問を、もう時間がございませんので簡単に申し上げますが、大臣の所信表明の中の第二の、国際経済社会への貢献という点を強くうたっておられまして、特に政府開発援助、ODAの三年間倍増ということをはっきりとうたっておられますし、先般の東京サミットでも大平総理がそのことを約束しておられます。そうしますと、これは昭和五十五年度、ことしでその三年目、倍増の時期に当たるのですが、予算措置等にそのことがはっきり出ておりますかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。
#25
○田口説明員 御説明申し上げます。
 わが国の昭和五十五年度のODA事業予算、政府原案でございますが、対前年度比一六・四%増の八千四百二億円というふうになっております。為替レートの大幅な変更等がない限り、先生御質問の三年間でわが国のODAを倍増するという目標を一九八〇年、最終年でございますが、達成することがほぼ確実な額であるというふうに考えられます。
#26
○粟山委員 どうも時間がありませんので、ごく簡単に質問申し上げます。
 いま、日本の経済協力でございますが、政府の開発援助、これが海外のいろいろなところで聞きましても非常に条件が悪い。たとえば金利あるいは返済の期間、その他非常に条件が悪いということでございまして、各国の条件と比べましても確かに、いま数字を申し上げる時間もございませんが、悪いのでございます。その点につきまして、今後もっと改善の余地があると思いますが、いかがでしょうか。
#27
○田口説明員 私どもといたしましても、ODAの質をさらに改善する必要があるのじゃないかという見地から、無償資金協力等の贈与を拡充していく、それから御指摘くださいました円借款等の金利を引き下げていく、それから返済期間の延長をしていく等々の条件緩和に努めてまいりたいと存じております。
#28
○粟山委員 そこでもう一つお伺いしたいのですが、よく言われます投資保証協定でございますが、いま現在日本はやっと昨年でございますか、エジプトとだけ協定を結んで発効したと伺っておりますけれども、日本の会社の海外駐在の方々等に聞きますと、もっともっとそれをやってほしいんだ、そうじゃないと海外投資が非常に危険であるということでございます。西ドイツあたりはその辺には非常に力を入れていると聞いておりますけれども、方針として、日本はこれからもっと各国と結ぶ気持ちがあるのかどうか、こちらから積極的に働きかけているのかどうか、そういう点についてお伺いしたいと思います。
#29
○田口説明員 御説明申し上げます。
 わが国の経済協力を積極的に進める上で、政府ばかりではなく、民間も大いに力を入れて、官民一体となって経済協力を進めていく必要があるのではないかと思います。そのことを考えますと、先生御指摘の、民間投資がもっと少ないリスクで安心して外国に投資していけるということが必要であり、そのために私どもといたしましても投資保証協定を積極的に進めていく必要があるのじゃないかということで、目下検討中でございます。
#30
○粟山委員 そうしますと、現在は交渉中のところはないわけでございますか。
#31
○後藤説明員 お答えいたします。
 手元に資料がございませんので、調べましてまた先生の方に御連絡させていただきたいと思います。
#32
○粟山委員 もう時間がいよいよ切れましたので、最後に要望だけちょっと申し上げたいと思います。
 海外に進出しております企業の出先機関等で聞きますと、まずいま申し上げたような条件、たとえば日本からの借款の相手国に対する条件が悪いので非常にむずかしいという面が出てきております。第二が、率直に申し上げて、外務省の出先機関の協力がいささか不足であるということがよく言われております。ヨーロッパの国々などは、プラント等の売り込みに大使みずから先頭に立ってやる。日本の場合は、お役所だからということでなかなか協力をしてくれないという点がございます。それといま申し上げたような投資保証協定の問題、この三つが私の聞いた範囲では日本の海外進出にとっての一番のネックである、こう言われております。これにつきましては、これからの日本はますます海外に出なくてはなりませんので、ぜひその辺の点を改善をお願いしたい。要望いたしまして、時間もなくなりましたので、私の発言を終わります。
#33
○塩川委員長 以上にて粟山明君の質疑は終わりました。
 続いて渋沢利久君。
#34
○渋沢委員 大臣は予算委員会ということでありますので、大臣不在を了承して質問をいたしますが、改めて大臣に同じ問題で詰めたお尋ねをしなければならないことにならぬように、ひとつ政府委員のしかとした御答弁をまずお願いをしておきたいというふうに思います。
 いろいろ準備の手違い等がありまして、きょうは予定を変えまして、大型店出店問題にしぼってお尋ねをしたいというふうに思います。
 最初に、今度の予算の中に盛られておるというふうに思いますが、全国的にラッシュとも言うべき大型店の無法な進出に対して、小売商業の皆さんが大変苦闘している、こういう状況を勘案して、政府は一定の融資、援助融資を予定しておるというふうに伺っておるわけですが、まず新たに設けられましたその種の融資の趣旨、運用等について簡潔に説明を受けたい。
    〔委員長退席、堀内委員長代理着席〕
#35
○左近政府委員 お答え申し上げます。
 五十五年度の予算に盛り込んでおりまして、いま国会で御審議を願っておりますものに、中小企業体質強化資金助成制度というものを考えております。これは幾つかの融資があるわけでございますが、その中にいまお話しになりました大型店の進出に対する融資というものも入っておるわけでございます。
 御説明いたしますと、まずその制度の仕組みでございますが、これは国が中小企業信用保険公庫に八十億の出資をすることになっております。中小企業信用保険公庫は各県にございます信用保証協会にこの八十億を無利子で貸し付けるわけでございます。それからその同額を都道府県もまた各県の信用保証協会に貸し付けるわけでございます。そこで全国ベースで言うと、国から出る八十億とそれから都道府県から出る八十億、合計百六十億の資金が集まるわけでございますが、これを信用保証協会が自分の県内の民間金融機関に預託をいたします。これも低利でございまして、大体いま考えておりますのは一%程度の金利で民間金融機関に預託をするということで考えております。民間金融機関はこういうふうな安い金利で預託を受けるわけでございますので、この預託を受けました、いま申しました百六十億の大体四倍程度の額まで一般中小企業者に体質強化資金ということで、幾つかの条件がございます、条件に合致したものに貸し付ける、こういう制度でございまして、民間金融機関を大いに活用して、政府が出します金の、いま言いましたように県がもう半分つけますし、それからそれが四倍になりますので、合計八倍程度の金が貸せる、こういう制度でございます。
 それで対象は、一つは大型店等の進出対策融資というのがございますが、そのほか下請中小企業対策融資というのもございます。それから地域産業対策融資、それから組合共同事業対策融資というような四つの項目で成り立っております。
 御指摘の大型店につきましては、大型店等の進出対策融資ということでございまして、これがまた二つに分かれておりまして、一つは大型店の進出対策、それからもう一つは、これは商業ではございませんで、むしろ商業以外のところで大企業の進出に現在大変悩んでおられる業種がございます。たとえばクリーニング業だとか豆腐業だとかいろいろございますが、こういう方にもこの融資を均てんさせようということでございます。
 大型店対策の考え方といたしましては、従来から大型店の進出に対しましては大店法によりまして規制をいたしまして調整を図るということが出ております。
    〔堀内委員長代理退席、委員長着席〕
ただ、中小小売店対策としては、単に大型店の進出を防ぐというだけではなくして、もっと積極的に、中小小売店が時代の趨勢に応じて中小小売業を近代化するという必要もまたあろうかと思いまして、そういう点で全国の小売店からいろいろな要望がございました。従来は、商店街を造成するとかということで、集団になって資金が必要だという場合には資金を借り入れることができることがございましたが、個々の小売店に対して直接融資するというものが非常に制度的には完備してなかったという点がございまして、小売店の方々に、規制と並行してやはり小売店自身に低利融資をしてほしいという御希望が非常に強かったわけでございます。したがいまして、今回こういう制度を設けたわけでございまして、大体大型店の進出が著しいというふうなところを各県で地域を指定いたしまして、その地域は、確かにこの商店については影響があるというふうに認められるところにつきましては、商工会議所等が一応そういう事実を認定したものについて貸し付けるということでございまして、金利は大体七・二%という程度の、低利の資金を貸し付けたいということでございます。
 ただ、金利につきましては、また公定歩合の引き上げ等もございますので、最終的にはそういうものも勘案してやりますが、一般に、現在七・二%のときは、たとえば国民公庫は八・二%という金利でございますから、一%安いということでございます。こういう点でわれわれ考えているわけでございます。
#36
○渋沢委員 長官、このことで時間をとるわけにはいかないのであれですが、一つだけ言っておきます。
 大型店の進出で小売商業が痛められて、そういう状況がはっきり出てきているので、それを何とか近代化、体質改善、そういう競合にたえられるような体質強化のためにこういう融資制度を考えた、こういうことです。しかし本来は大型店が出るというのは共存共栄なんだ、こういうこと、その範囲において出店を認めるような指導を、これは後の問題になるけれども、すると言っているのだから、やたらに小売商業が大型店の進出とあわせて疲弊し困窮するという事実が、つまり中小企業庁がこういう新たな融資制度を考えざるを得ないような状況が現実に存在してきたということ自体が非常に重要なわけなんだ。そういうことと無関係に、体質改善、近代化ということの中で力をつけようという銭を出すんなら、これは結構な話なんだが、本来そうあるべきなんだけれども、ちょうど中小企業の倒産、この趨勢はいかんとも抑えがたいという、こういう流れに沿って倒産防止政策なんというものが出てくる、ないよりはいいし、なければ困るという意味でわれわれは賛成なんだけれども、この制度もそうだ、結構な話だと言うんだけれども、しかしいま一つえぐってみた背景には、どうも本来あってはならない状況が出ているということで考える。ですから、大型店が出てどうにもならなくなったという状況がつかめたところにだけ、そういう一定の厳しい物差しで金を出すというようなことではなしに、むしろ後の部分で長官が言われたように、本来そのことと別に、体質改善、近代化、こういうかかわりでの融資制度という中身に受けとめてそういう融資を強化する、こうあってほしいと思うのですね。時間がないのでそのことだけ要望しておきまして先へ行きます。
 さて、大型店の問題なんですけれども、この前の法改正のときに国会で非常に議論があった。その議論の流れは、これは一体、大型店の無法とも言えるような進出、中小小売商に与える重大な影響、こういうものを考慮して、これを規制するという方向、そういう思想でこの法律をさわるというのか、それとも、どうも法律が不備でトラブルが多過ぎて、三年も五年もほったらかされて出店側、大商側はどうにもやりきれないという状況があるので、ともかく一定の条件はのむけれども、その流れをスムーズに、何カ月かたてば、あるいは十何カ月かたてば開店にはちゃんとこぎつけられるという、そういうレールを敷くためにつくった法律なのかどっちなんだ、こういう議論や意見が交わされたことはあなた方御存じのとおりだ。それに対してあなた方は、とんでもない、こういう経済成長の状況、雇用状況も景気回復といっても必ずしもこの部分はよくはない、小売商業にとっては大変悪条件の中で、どんどん大型店が進出していくということに一定の歯どめをかけるということがこの法改正の非常に重要な主たる目標である、だから知事などの地方自治体の権限を強くしたのだ、意見も言えるし調整機能も預けたのだ、あるいはまた調整スペースも広げたのだ、あれこれ要するに小売商業の立場を守るという思想でこの法律はいじくったのだ、こういうことを言ってきたのだ。間違ってもいままでのように地元の関係者、小売商業者と出店側との間で、資力のある者、力のある者が力で押し切るというようなやり方はさせないように、あくまで合意と納得と了解で出店をさせる、こういう方向でやるんだということを言ってきたわけですね。この物の考え方は変わってないのでしょうね。
 ただ、きょう大臣がいないので言うんだが、ぼくも速記録を調べてみたら、大臣はその点では非常に明快に言っておるわけですよ。河本さんも言っておる。中曽根さんが殖産大臣のときに、地元の了解のない出店、開店はあり得ないということを言っている。これが議会の議論ではいつも問題にされて、河本さん、あなたも同じ思想か、あなたの地元の姫路の場合でどうだと突きつけられて、河本さんも、そのとおりです。地元の了解のない大型店の出店なんというのはあってはならないというように言っているわけです。
 ところが今度の法改正の裏には、そうは言っても五条届け出以前の、三条届け出以後の事前商調協調整で一つレールを敷いて、時間の区切りをつけて追い込む、こういう仕掛けがあるんじゃないかということで、非常に神経質に追及されているんだな。それに対して局長は必ずしも大臣と同じような歯切れのいい解明をしないで、商調協の精神は同じでございます、しかし商調協の運営についてはいろいろ改善を加えたいということでぼかしてきました。しかし一歩も後へ下がるようなものでないという印象をかなり振りまいてあの国会を終わっているんです。速記録を私全部見た。そういうことですね。この思想に基づいて通達も出されたと思うのです。
 まずその基本的なことで考え方や姿勢、その後の事態というものをどう見ておられるか、どう考えておられるか、簡潔にひとつお答え願いたい。
#37
○神谷政府委員 先生御指摘の基本的な点につきましては、大臣あるいは私どもの前任者がいろいろ答弁させていただいておりますし、私もそれにつきましては十分研究させていただきましたし、法律の条文等に基づいても判断させていただいておりますが、基本的にはおっしゃるように大規模店舗の進出に伴って小売商業が受ける影響、これを調整していくというのが基本であり、調整でございますので、地元で不測のあるいは必要以上の混乱を惹起させないということがこの法律のねらいとするところでございます。したがいまして、地元の意見というものは十分練り、これを尊重し、しかるべき調整を行っていくべきであるという御指摘の点は、全く異論のないところでございます。ただ、地元にも消費者の利益の保護にも配慮しろというふうに法律にも書いてございますように、消費者の利益から見た物の考え方あるいは中小小売商の現状、さらには流通近代化という国民経済としての大目的等々を総合的に勘案して、しかるべき調整を行っていくことがわれわれ行政に課せられた使命であるというふうに考えております。
#38
○渋沢委員 そこで、その通達による問題が幾つかある。商調協の運営について一つ、あるいはその事前商調協のありようについて一つ、その他。そこで幾つかお尋ねをしていきたいと思うわけです。
 まず事前商調協という言い方が適当であるかどうかは別として、実質的に商調協の場で三条届け出以後審議をする商調協の運営、まず期限について言うと、おおむね八カ月ということを通達しておるわけです。これはどういう意味ですか。
#39
○神谷政府委員 法律上では、御承知のように三条届け出ないし五条の届け出を経て一定期間後までに勧告を行うよう、一つの期間が定められておるわけでございます。ただ、この運用を行います前に十分地元において実情を調査し、あるいは関係者の意見交換等を行い、調整の行い得るようなものは調整をつけるということが、法律の円滑な運用上適切であろうという考え方は今日においても変わっておらないわけでございますが、ただ従来、地元の話し合いがつかない場合には、三条の届け出等に関してもこれを受理しないというような運用が間々行われておりまして、これが問題の解決をある意味でエンドレスに引き延ばすような事象もしばしば見られる。このことは、もちろん地元のいわゆる調整あるいは話し合いを十分行うという趣旨から見ますと適切な面もあるかと思いますが、いたずらに問題が長引きまして、地元に不測の混乱状態を長期間そのまま存置するというような問題も起こりますので、一定の合理的な期間内での調整を行っていただき、十分検討、意見交換を行っていただいた後は、法律の規定に基づいた手続を進めていっていただくことが適切ではないかということで、一応の目安として、やはり事前の話し合いあるいは調整等は八カ月程度でできるだけまとめていただくようお願いをし、それがまとまらない場合には正式の手続に乗せていただこう、こういう趣旨で指導を行うことにいたしておるわけでございます。
#40
○渋沢委員 八カ月でまとめてもらって、それでまとまらなければベースに乗っけるといういまの最後の話は、これは一体最初の話とどう結びついているのか。もともと法律のたてまえは、改正前からたてまえと実際の運営とは率直なところ使い分けて、実情に合った、法の趣旨に沿った運営が行われてきたと思うのです。ところが今度は、いまの話によると、それからその後の実はあなた方の指導の実態を見ていると、どうもかなり大きな変化が出てきておるというふうに思うわけです。いまどきただアジって、あおるために特殊な人たちが趣味や道楽で反対運動をやっているようなことで、町の商店会が三年も五年も一緒に旗振って、忙しい人たちが飛び歩いて運動やるなんてことはできるわけないのです。もしそういうことがあり得るとすればこれはよくよくのことなんです。まさに死活にかかわるような場面でしかあり得ない。ですから、何年か時間をかけてやっていくうちに法律もわかり流れもわかり、いろいろな状況がわかり、そうして共存共栄の活路を見出す、また違った形、さまざまなケースでさまざまな対応で調整が行われておるじゃないですか。ですから、たまたま長きにわたってというような例外の事案を頭に置いて物差しにして、そして八カ月、これでまとまらなければベースに乗せるというようなものであなたやっているのですか。おおむねというのはどういうことなんですか、おおむねという解釈をまず聞きましょう。実際の指導はどうやっておるのですか。
#41
○神谷政府委員 八カ月の期間をある程度指導の基準といたすに当たりましては、従来、事前商調協と称されておる場におきまして各地で行われてまいりました調整の事例というものを幾つかと申しますか、かなり数多く私どもの方で集め、検討いたしまして、一定の手続で両者が誠意をもって話し合いをしていくという場合には、八カ月程度でかなり煮詰まったところまで近づき得るという観点から八カ月というのを一つの基準にいたしたわけでございまして、八カ月を過ぎましたらそこですべての話し合いが終わるわけではございませんで、その後五条の届け出あるいは正式の商調協という形でさらに調整あるいは意見の聴取といったものも行い得る形になっておるわけでございます。したがいまして、基本的には八カ月の段階で何らかの形の結論を出していただきたい、要するにある程度そこまでに調整がつけば調整をつけていただくし、調整がつかない場合にはその問題点等を整理し、正式の手続に乗せて正規の商調協あるいは審議会等で議論をしていただこう、こういう趣旨でございます。したがいまして、おおむねというのはやはり原則はそこをめどにして御努力願いたい、こういう趣旨でございます。
#42
○渋沢委員 これも非常に重大なことでありまして、この前の法改正論議のときには非常にぼかしてかわしてきた部分を、いまのあなたの答弁のように非常に明らかに八カ月、おおむねとつけたのは多少の余裕を見て、あなた方の答弁の仕方で言えば、おおむねと言えば八カ月が物差しだ、尺度なら一、二カ月ということでしょう。どんなに延びたって五〇%、四カ月を超えるのじゃおおむねという範囲に属さないから、せいぜい一、二カ月、こういう論理でしょう。現にそういう指導を始めたのだ。なぜそういうことをこの前の法改正の論議のときにきちんと言わないのです。やはりそういう批判、問題意識が出て、執拗にあなた方は答弁を求められているじゃないですか。しかしあなた方は繰り返して、さっきの前段の答弁のような、あくまで地元の了解、これが大事です、これが基本です、こういう思想でぼかしてきたのじゃないですか。これはもう事実が示すように、実際出店側というのは資本力を持ち、スタッフを持ち、あらゆるデータを集め、専門家をそろえ、法律も役所の仕組みも、いろいろな人間関係も含めてかなりいろいろな経験を、反対運動を乗り越えて出店をしてきただけの、やはりそれなりの体制を整えて対応しているわけだ。ところが、新たにこの出店に見舞われる地域の商業者というものは、それぞれ多種多様な、しかも資本力の乏しい、厳しい環境の中で働いている。この小売商業の皆さんが、これに最初から五分で対応できるわけはないのですよ。法律なんというものはどだい読んだこともない、どこに問題があるのかわからない。どこに自分たちの意見が素直に伝えられるようなパイプやルートがあるのかすらわからないというようなことで、あっちへ飛び、こっちへ行き、いろいろな経験を踏まえて、やっとどうにか一人前にこの問題で物が言えるようになるのに、それはあなた、半年やそこらすぐかかっちゃう。ですから、おおむね大型店ペースですよ。そういうものを公平にバランスをとってチェックをしていく部分があるとすれば、これはやはり商調協じゃないですか。ところが、後で聞きますけれども、商調協も大型店を上回るようないろいろなデータや資料を集めて、それにきちっと対応するような責任は通産省から預けられているけれども、実際にはそれほど機能しているものが全国の商調協に存在するというふうには思えない。
 こういう状況の中で、残念ながらいまの仕組みは、あなた方が八カ月だよ、延びても一、二カ月だよ、おおむねと、こういうことで出口を切ってしまうということは、これは文句なしに出店側に道を開いたということでしかないですよ、だれが考えても。また、現実がそうなんだ。しかも出口がはっきりしているから、商調協のペースに乗せられますから、とにかくそこでがまんする以外にはないというところに、みんな袋小路に追い詰められている。最近小売商業の皆さんが弁護士歩きをして、優秀な弁護士を頼んで、法律闘争以外にはないのじゃないかという形がずっと出かかっていますよ。私の知っている限りではかなりあります。これは何を物語るかというと、もはや国会で審議してもらってもいかぬ、附帯決議をつけてもらってもいかぬ、現場で出てくるものは、法律はどうあろうと、実際の指導はこういう形で袋小路に追い込められている。うんと言うよりしようがない。せいぜい条件をつけて、そして出店の側は、今度の電気やガスと同じで、大体適当なところで値切られることを承知の上で申請している。これは事実があるから時間があれば言いますが、出店側はちゃんと途中で値切られることを承知の上で出店計画をつくって、そしてちゃんと採算に合う当初の計画に合わせるような、そういうやり方をいまずっとしてきていますから。とにかく知恵と力を持っている連中との勝負なのですから、完全に追い込まれている。こういう状況について、あなたはおおむねとは八カ月ないしは一、二カ月、こういう指導をしていく、こうおっしゃるわけですか。
#43
○神谷政府委員 先生御高承のとおりでございますので細かく繰り返すつもりはございませんが、御承知のように法律の五条の届け出をいたして、それは五カ月前までに届け出るようになっておりますし、三条の届け出、これも七カ月前に届け出るような形になっておるわけでございまして、現実にこの法律どおりの運用で行なってまいりました場合に、やはり消化不良と申しますか、物事が十分にこなれていない、まさに先生の御指摘のような問題も出てくるという現実も踏まえまして、私どもとしてはできるだけ開店等の十三カ月前に届け出を行うようという形で、むしろ事前商調協というものも法律の一つの前の段階としてこれを事実上設けて、十分こなしてくるよう指導をしておるわけでございまして、ある意味におきまして、この期間というものを八カ月に指導方針として基準を設けたところにスポットライトを当てますと御指摘のような問題になるかもしれませんが、われわれ自身といたしましては、むしろ法律の運用、本来の届け出、勧告という体制を生のままでのみ込むのではなくして、十分やはり地元の意見等を勘案し、あるいはこなしていくために八カ月程度のものを設けていったらどうだろうか。それならばいつまでたっても問題が解決せぬからといってエンドレスにして、立法府において制定していただきました法律の性格そのものまで変えるような運用にすることは必ずしも適当でないだろう、こういう観点から、実態をくみ上げるような法律運用として先ほど申し上げましたような指導を私ども行っておるわけでございまして、この間できるだけ意見の集約を集中的に関係者にやっていただきたいと考えておるわけでございます。
#44
○渋沢委員 こういうふうに受け取ります。いいですね。無原則、無方針であってはかえってまとまるものもまとまらないことも考えて、一応の物差しとしておおむね八カ月というものは指示しているけれども、八カ月とか十三カ月というものにこだわっていくわけじゃない。あくまで地元関係者の円滑な合意、そして小売商業関係者の利益を重大に損なわないという法の精神にのっとって、円滑な合意というもののために関係機関はあらゆる努力を払うという大原則はいささかも変わらない。したがって、八カ月、十三カ月というのはこれまでよというような区切りで言うのではなしに、できれば望ましいものとして一つの物差しを与えたものだというふうに受けとめます。そういうことでなければ、とてもこれは私ども――これは私個人の趣味で物を尋ねているわけじゃないですよ。党として重大な問題ですから緊急に対応せざるを得ない。簡潔にその部分だけまず……。
#45
○神谷政府委員 指導の基準を設けておりますので、これは私どもとしては、一つの基準としてはやはりそういう形で指導したいと考えております。物事を先生おっしゃったように、状況がどうあろうと、基準で物差しだから一切実情を無視して何でもかんでもこれでやれというようなことを考えるつもりはございません。ただ、その後に正式商調協もあり、広域的な案件であるとか、非常にむずかしい案件で長期化するものに関しては勧告期間の延長という制度もあるというような点も勘案して、しかも地元における調整、話し合いの状況が一体どういう状況にあるかというものを考えながら、これを基準として、できるだけ法律の精神を踏まえて運営していきたいと考えております。
#46
○渋沢委員 それは調整期間のあることも知っていますよ。しかし、そんなところで時間を三月や四月ひねってみてもそれはちっとも生産的じゃない。やはり出発点の段階、入り口の段階で時間をかけることが大事なんです。私は、一カ月で片づくのなら結構なんです。しかし、二年かかろうと三年かかろうと、理由があればそれもまたやむを得ないです。何らか特殊な意図を持って、壊すためにやっているというような趣旨のものならば、それは客観的にそうとしか読み取れないような状況が出てきているなら話は別ですが、そんなものを物差しにすることは許されない。やはり大原則をもっときちっとすべきだ。
 ではもう少し具体的にただしますが、東京の場合非常によくない傾向があらわれておるのです。八カ月ということでおおむねのところは外しまして、現実には、出店側はもとよりですが、関係者に対して東京商工会議所商調協は明確な指導をしておる。私も担当課長に直接どういう考えでやっておるのか聞きました。名前を言ってもよろしい。どういうことでやっているかというと、調整期間は八カ月である、三条届け出を受けて八カ月以内に商調協は結論を出さなければいけません、こういう制約があります。したがって分科会というのを設けて、そして七カ月の間に分科会の審議をやらせます、最後の一カ月で全体会議でその報告を受けてまとめます、これがスケジュールですということを関係者に公式に説明をしております。
 その七カ月の運用をどうやっているかというと、この分科会、これもおかしいのですが、三人の学識、それから商業、例の三者構成というやつで分科会を地域別に分けて、一件三人でやらしている。それを二月に一回ないしは少し多くても一カ月半に一回という割合でやらせる。全体会議は従来月に一回ないし多くて二回ということですから、結局大半は一件三人の委員で扱う分科会で処理されます。この東京の状況については、私も調整官にいろいろ尋ねたり話をしたり事前にしておりますから、大筋御存じだろうと思う。
 そこで尋ねるが、いまのあなたの趣旨からいってもこういう運営はいかがなものですか。通達を素直に読みますと、通達はある部分は非常に具体的に指示されておる。まず全体会議できちんと会議を開きなさい。開いて、そして当該地域の小売業の事業活動の現状及び見通し、消費者の利便の程度、中小小売業の近代化の見通し、その一定の重要な基礎的な状況分析、審議をきちんと尽くしなさい。これが基本だという思想を通達ではかなりきめ細かく書かれておりますね。結構だと思います。しかし、一定の調整案をつくらなければならないときには、学識経験者委員によるという限定をしまして、小委員会で調整案をつくりなさい、しかし、全体会議できちっと重要な商圏、その人口、交通、地域産業開発というものを含めて、そうは書いてないけれども、要するに総合的な判断をきちんとしなさいということを指導しておられますね。しかし、東京でやっている分科会、これは通達で言うところの小委員会として理解をしているわけですか。承認を与えているのですか。この種の分科会運営については通産省はどういう指導をやっておられるのですか。
#47
○神谷政府委員 分科会は、東京の商工会議所が東京都区部における調整をもっぱら行っております実態並びに東京の商調協の実情等を勘案して、第二種大規模小売店舗の調整の場合に、主として当事者の話し合いのあっせん等というところに第一義的に努力を傾注しようという趣旨から編み出された独特のものでございまして、先生御指摘の小委員会とは異なります。むしろ調整の一方式として、あっせんを主体とした小グループというものを東商が独自に生み出したものというふうに了解をいたしております。
#48
○渋沢委員 これは全くその通達の範囲を超えた、通達の方向にはない方式という形でやっているわけです。これはまず一つは、通産省は事前にこのようなやり方をすることについて相談に乗って、それがよろしいという合意と指導を与えておるのかということ。多分そうだと思う。現地の連中はそう言っている。これはみんな通産省の御納得と御指導のもとでやっておる、こう言っている。その点を念のために聞いておく。
 それから、分科会というものは通達にもないし、もちろん勝手に東京レベルで編み出した方式なんだが、これは私の調べた範囲で言うと、案件が非常に多いので全体会議で一々こなすというよりは、小人数で分科会で地域を割って担当させることの方が効率的な審査ができるということで、調整はやっていない。調整はやらしてないが、事実上の関係者の話し合いの場として、つまり小型商調協、商調協がやるべき仕事を三人の人たちにその案件はお預けするということで審査をさせ、当事者を話し合わしている。こういう形のもので、実質的な商調協だ。商調協を三人でやっているのだ、あそこは。そういうことなんです。こういう運営では非常に弊害があると私は思う。たった三人の委員が、これは調整案はつくらないというけれども、事実上の話し合いの場にするということは、調整の前段行動じゃないですか。そこで事実上話し合われることが一定の調整につながっていくわけでしょう。一番重要な場面ですよ。通達で言うような必要な分析、調査、検討、審議を十分行った上で、なおかつ小委員会もやれば分科会もやるというなら結構だけれども、全体会議を省いてしまった。何を省いたかというと、通達で言うあれこれ重要なデータ、資料を集めて審査しなさいというところを省いてしまった。そして三人が集まって、関係者を次々にあるいは一緒に呼んだりして、裁判所のようなことをやっているわけです。ですからそこでは、早く話をまとめる。先ほど言いましたように、東京では八カ月という枠の中で、七カ月間で分科会を仕上げると言っているわけですから、そこでやられているのはもう理屈も何もないのです。商圏がどうだとか、これで小売商がどうだとかいうようなことじゃなしに、とにかくお互いに話をまとめなさい、七カ月間やってまとまらなければ八カ月目に全体会議に出しますよ、だからまとめるならこの期間までにまとめなさいということを一生懸命やっている。これは議論も何もできないです。要するにどこで妥協するかというだけの話です。
 そういうことで、東京商調協がこの地区にこういう形で出ていくことが好ましいとか好ましくないとかいうことじゃなく、十年たってみたら、これは出店した側にも重大なそごが出てきたとか、あるいは自治体が考えている地域経済開発計画とか交通政策とか地域指定の立地計画というものと全く無関係にでき上がってしまったというような問題に必ずぶつかる。特別委員に自治体から入れるようには形はしてあるけれども、実際は、一番その地域のことを知っている自治体の関係者がイニシアチブをとるとか、存分にそこでそのベースでやれるというような性質のものじゃないのです。委員が、とにかく話し合え、一致点を見出せ、時間は切れるよ、これをやっているわけです。こんな運営で、争いがなくなったというような結果だけをもし見て通産省はおいでになるとすると、これはとんでもない話だ。責任を持ちますか。
 しかも、考えてみると、今度は出店の側から言うと、この三人の商調協委員がわかればいいんだ、もっと言えば、三人のうちの二人の委員がその出店の必要性について、それは一定のチェックや規制はあったにしても、基本的に理解を示してくれればいいわけです。逆の側で言えばまた逆のことが成り立つ。そういうことでしょう。二人か三人で勝負が決まるわけです。
 そういう運営をやっていくことがいいんですか。これはとても大きな弊害があるし、あなた方が指導してきた通達の方向から全く外れたものだと私は思う。どうでしょう。
#49
○神谷政府委員 御指摘のような運営が、東京都区部の第二種大規模小売店舗の調整に当たって行われておるということは事実というふうに承知いたしております。
 まず、最初の御質問の、通産省としてこの方式を事前に了知しておるかということに関しては、私ども報告を受け、承知をいたしております。
 次に、この考え方についてどう考えるかという点でございますが、すでに御承知のように、商調協の調整という問題、これをあえて分割いたしますと、一つはできるだけあっせんをして当事者で合意に持っていこう、そういうことで、法律というような手段、あるいは法律上の勧告、さらには命令といったような手段等を講じずに、円満に物事が解決することをねらうというのが第一の側面であり、第二の側面は、その話し合いあるいはあっせん等が必ずしも十分功を奏しなかった場合において、調停と申しますか、あるいは一定の考え方を取りまとめていくという面、これは商工会議所の意見という形で反映されるわけでございますが、この二つの要素に大きく分けられると思います。
 前者につきまして、あっせん等を行う場合に、東京都の場合には商調協のメンバーは三十人でございますが、三十人がそろってあっせんの労をとる必要は必ずしもないだろうというふうに考えておりまして、おのおのの意見を反映する三人に、先ほど御指摘のように、一公共団体あるいは区部さらには地元の商店街の代表等も特別委員あるいは臨時特別委員という形で参画をいたしておりますので、地元の商店街の近代化の問題であるとかあるいは都市計画、町づくりの問題等もそこで勘案しながら話し合いの促進あるいはあっせんを行っていく、こういう意味で、商調協に課せられた一定の分野をこういう形でこなしていくということは、私どもの通達の精神に反するものではないというふうに考えております。ただ、あっせんが必ずしも効を奏さなかった場合には、当然のことながら全体会議において検討されるほか、通達に基づいた小委員会における調整案の作成等の手続は踏まれるべきであると考えております。また、私どもといたしましては、分科会の協議の状況といったものは商調協に随時報告されるべきものであるというふうに考えておりまして、これらが適切に運営される場合には通達の趣旨にはあえて反するものでもなく、実際的な問題の解決の一つの手段としての方法であろうというふうに考えられます。
#50
○渋沢委員 大変見解を異にしているので、ここで東京レベルの問題で議論をして時間をつぶすわけにいかぬけれども、どだい私思うのは、商調協なんというのは法律で明文化している部分でないから、法律でつかまえられない部分ですね。たてまえはいろいろあるけれども、しかし実態としては商調協が出店についてのかぎを握っている。その運営をそこにゆだねている。あとはそこから上がってきたものを通産が事務処理をするということで、事実上商調協の運営というのは決定的に重要なんだ。にもかかわらず法律ではつかまえられないような構造になっているところに非常に問題がある。いまの点はあなたの説明では私は納得しませんけれども、ただ、これだけはちょっと聞いておきましょう。
 東京がもし言うように八カ月である、七カ月の分科会でこれでまとめる、だから早く結論を出せという指導をやっているとすれば、これもあなた方は責任を持ちますか。これはまさに通産省の指導でやられていることか。これは通達の精神に合った指導と言えるのかどうか。そうでないとするならば、そういう点は改めるように改善の指導をおやりになる気持ちがあるかどうか。
#51
○神谷政府委員 一応の話し合い、あっせん等を行う場合に、ある程度のターゲットと申しますか、このくらいの時期にまとめたい、ひとつ大いに努力してほしい、さらには努力しましょうという形で運営をするということは、やはり物事の進め方として合理的な側面を持っておるのではないかというふうに考えております。
 ただ、先ほど先生が御指摘になりました東京都の商工会議所の分科会の運営、分科会を七カ月でやり、あとの一カ月でというような形の方式が、実際に現実に最もフィットしておるかどうかという点につきましては、御承知のように第二種店舗の調整というのは、昨年、あるいは本年度といった方がよろしいのかもしれませんが、入ったばかりでございまして、それほど多くの経験も積んでおりませんので、東京都の状況等につきましても、私ども十分事情を今後フォローしながら適切な形で運営されていくように指導してまいりたいと考えております。
 ちなみに、これまでの間にすでに第二種の処理済みのものが三十数件ございますが、これらはすべて分科会のあっせんの段階で両当事者の合意が行われておりますので、現在までの結果を見る限りでは特に私どもが介入し、あるいは強く一つの方向づけを行っていかなければならないというような状況ではないと考えております。いずれにしても歴史の浅いものでございますし、御指摘のように地元の問題をこなすにはやはり非常に慎重であらねばならないと考えますので、フォローしていきたいと考えております。
#52
○渋沢委員 結局、法律も現場へくるといろいろ変わっていくわけです。あなたが、八カ月と一定の期限を区切った物差しがなければ進みません、解決しません、それはそれとして、できるだけそういう方向でやれということは言うていますと、こうなると、下ではどういうことになっているかというと、私が聞いても八カ月でけりをつけるのです、ごらんくださいと言って、あそこで印刷した説明書の中にもここからここまで八カ月と刷り込んである。これでやるのですよ、八カ月でやる以上は七カ月で分科会仕上げなければ、先生、後の一カ月、これで全体会議、やる場面がないのですよと、もう疑いもない説明をしておるのですよ。あなたはそうおっしゃっても、現場ではもうそういうふうにどんどん変わっていくわけです。だから小売商の側もこれはどうにもならぬと言っているわけだ。これはもう出口が決まっちゃっている。大店舗の業者が腹を決めて出せばこれはもう決まりだ。しかも通産の指導は八カ月という区切りをここまで厳しくいっている、こういうことなんだ。だから決まらざるを得ないですよ。円満に喜んで合意しているわけじゃないですよ。やっていることはむちゃくちゃですよ。だからはけ口がなくて裁判闘争という形に向いているのですよ。この事実をあなた方はつかんでない。ここだけは厳しく見てもらわないと困るし、いままで国会で言ってきたこととは事実の流れは違ったかっこうでひとり歩きをしておると私は思いますよ。きょうは、本当は参考人として東京の関係者に出てもらってやりたかったんだが、急にこれをやるようになったもんで時間がなくてできませんでしたけれども、これはまたさらに具体的な事実をひっ提げて必ずやりますよ。いまの状況は非常に問題がある。問題がないなどとおっしゃってはいけません。事実はやむを得ないというところに追い込まれておるのですよ。これだけはまず申し上げておきます。
 最後にちょっと、時間がないので。私は商調協の指導通達を見たけれども、やっぱり書いてない。それから現地で、東京の場合いま問題になっていることが一つありまして、関係者が商調協を傍聴したいと言ったら、とんでもない、商調協というものは決まったメンバー以外でやるものじゃない、いかに関係者といえども傍聴など許さない、国の方針です、こう説明をして断っている。それで葛飾区の東新小岩の商店会の皆さんが、これは非常に小さな商圏へでかいのがわっと出てくるものだから一これはまさに私は心配しておるわけです。これは放っておくと本当にえらいことになると思っておるのですが、そういうこともありまして、地元の実情を手っ取り早いところで区議会などに相談に行って、そして区議会議員の皆さんにお願いをした。区議会もこれはひどいというので満場一致で幾つかの採択をして、そして区議会議長が正式に東京の商調協の会長あてにいろいろな要望を出している。その中に、たとえば、開かれた商調協じゃありませんが、やはり関係者の傍聴ぐらいは認めてやってほしいというようなものまで、区議会が全会一致で議長名で要望書を東京商調協に出しているが、拒否。そんな前例もない、国の方針だ、文句があれば、電話番号も言って、ぼくはそのメモを知っていますが、国の方針ということの中身について、それ以上どうしても知りたければ某調整官のところに問い合わせなさい、こういうことで東京の商調協は説明をしております。伊藤調整官が何やら日経流通新聞に書いた記事を私も資料に持っておりますけれども、もういままでの密室の駆け引きめいたことをやめて、開かれた商業調整を商調協の場でやらせるようにこの法改正を機会にやっていかなければならぬ。結構な話です。ところが、こんな商調協の実際の運営では開かれたものじゃないじゃないですか。議事録の提出を求めても、それは商調協の事務局の答弁の限りではない、会長が許可した範囲において答えることもある、文書で出すこともあるという程度のことで、公開などというものはあり得ないと断固として拒否しておる。そこの部分でもめなくていいことでもめておるのですね。地元の関係者の方が、余り知らないから区議会に相談してみたり区役所に相談したり、そういうことで一つの手段として商調協に手続を踏んで、大変丁寧なことをやったもんだが、お願いに行ったら門前払いを食った。これはひどい、こんな調子じゃまさに出店も大店ぺースだなという不信感を持つのはあたりまえです。開かれた商調協運営と言うなら、もっと傍聴はもとより議事録の公開、会議の公開、何も聞かれて悪いような審査をする場面じゃないでしょう。そういう指導を通産省は積極的にやるべきじゃないか。そうでないと、本来通産省がやらなきゃならないことを、たてまえとしては通産省がやるべき判断を実質は商調協にゆだねているのですよ。そういう商調協というものが出店について与える影響が非常に大きい状況から考えますと、しかも参議院の分科会で、出店の可否について判断することは結構だとおっしゃる通産省のもとで、これからいろいろ出店審査が行われていくとすれば、なおさら全国の商調協の会議の公開、議事録の公開、これは当然のことじゃないですか。そういう通達を出しなさいよ。どう思う。審議官。
#53
○神谷政府委員 商調協は法律上定められたものではございませんが、地元のいろいろな意見なり実情というものを、赤裸々に実態を聴取いたしまして、そこで意見を法律前段階で煮詰めていただくというのが目的でございます。したがいまして、地元商業者等の個別的な利害にも関係する現実的なものについてもできるだけフランクにお話を願い、できるだけのデータ等も出していただく、そういうことでございまして、これらの発言が自由に、しかもかつ安心して出てくるように、かつ審議の公正を確保するという意味で、一般的に非公開で運営されるということが原則になっておるわけでございまして、私どもがこれをすべて公開でやれというような指導を行うのは必ずしも適切なものではないと考えられます。ただ、ただいまのお話にもございましたように、できるだけ広く、オープンにいろいろな意見を聴取するという意味で、開かれた商調協と言われるような形の運営、そういうものには商工会議所でも留意してもらうように指導していきたいと考えております。
#54
○渋沢委員 これは全くひどいので、この種のものはなぜこういう判断をしたかということを、あるいは意見をまとめたかということについて、関係者に十分納得のできる説明ができるものをまとめなきゃいかぬですね。問答無用で結論が出ましたよというような扱いでは、これはこの種のものの処理の仕方としては重大な問題があると思うのですね。都市計画などで、余り事前に知らせることがかえって弊害があるというような場合もあるでしょうけれども、この種のものは関係者みんなが十分に、存分に納得した点をまとめなければならないのですから、会議を何で非公開を原則にしなければならぬのか、公開を原則として、やむを得ざる場合については一定の規制もできるようなことにするというならまだ話はわかるけれども、非公開を原則にするというのは、これはいただけない話じゃありませんか。むしろ心配の部分があればそれをチェックするような処置をとればいいのです。公開を原則にするというのはあたりまえじゃないですか。どこが開かれた商調協ですか。これは検討の余地もありませんか。この商調協の運営について、これらの問題について、十分きょうの私の意見を含めて検討してみる、そんな気もないですか。
#55
○神谷政府委員 まず、私ども現実にこれらの商調協を設置しております商工会議所の意見も、さらに先生の御意見等も承っております段階で聴取もしてみたいと考えておりますが、ただ、現在までわれわれの考えております考え方は、審議の過程においてはやはりいろいろな事情をざっくばらんに話し、公正に審議していただく、こういう意味で非公開が原則であろうというふうに、あるいは原則であることが適当であろうと考えております。
 ただ、ただいま御指摘がございましたように、しからばどういう点を勘案し、どのような観点からこういう意見がまとめられたものであるかということは、関係者等に十分説明もできるようにしておかなければならない。プロセスの問題と、考え方をまとめた場合、その考え方を、なぜこういう意見になったかというものを関係者に説明するという問題、この二つを分けて検討してまいりたいと考えております。
#56
○渋沢委員 時間が切れましたので、終わりにしますけれども、いまの審議官の答弁をきょう聞いておりまして、非常に問題がある。やはり先般の法改正ではその意図した部分、非常に前進した側面もあったと思いますが、そことは別に、実態としては一部で指摘されているように、大型店の出店にとって大変やりやすいレールを敷いた改正ではなかったのだろうか、こういうむしろ疑いを深めるようなあなたの姿勢だし、東京商調協などの運営が現実としてあるというふうに思わざるを得ないです。これはぜひ法の精神に立ち返って、まだそう時間がたっていることじゃありませんから、いろいろ試行錯誤もあるでしょうけれども、過ちのないような運営をやるように、やはり通産当局は、このおおむね八カ月の問題にしても、商調協のその他の運営にしても、ぜひたくさんの皆さんの納得をいただきながら、この法の趣旨が本当に生かされるような指導をひとつ厳正にやってもらうということを強く求めたい。
 最後にそのことを申し上げて、そして、大変不満足であった、このままじゃ私はとても納得のできるものじゃないということを申し添えて、きょうの質問は時間がないので終わります。ありがとうございました。
#57
○塩川委員長 渋沢利久君の質疑はこれにて終了いたしました。
 本会議散会後委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午後零時三十八分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時二十五分開議
#58
○塩川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。中村重光君。
#59
○中村(重)委員 それでは経企長官に先に質問しましよう。
 公定歩合が引き上げられたんだけれども、経企長官としては、要するに経済見通しを立てていたわけだから、それに対して経済見通しが狂ったということだって言えるわけだけれども、その及ぼす影響というものは相当大きいものがある。その点に対しては、これはむしろ通産大臣の方がその影響をもろに感じておられるわけだろうから、お二人から、経企長官は経済見通しの点から、通産大臣は産業政策の面から、そのことによってどのような影響を及ぼすと見ているのか、それぞれお答えをいただきましょう。
#60
○正示国務大臣 今回、公定歩合をいままでにはない時期に思い切って引き上げられた金融当局に、私、心から敬意を表するわけであります。と申しますのは、けさほども粟山委員の御質問にお答えいたしましたが、一方では景気、それから物価、こういうふうに言われますけれども、今日の経済の安定的な成長を確保していくには、何といっても物価の安定が非常に大事なことは、これは中村委員もよく御承知のとおりかと思うのであります。物価が狂乱状態というか、悪性インフレ状態に陥ってしまったのでは、これは元も子もなくなりますから、これをとにかく未然に防止していくということが今日の政策の一番大事な点であろうかと思います。そういう意味から、今回公定歩合の引き上げをタイムリーに断行せられたことについては、私は心から敬意を表しておるのであります。
 さて、これの影響でございますが、やはりそうした大きなプラスといいますかメリットといいますか、これに比較いたしますれば、若干の金利負担の増加等は優にこれをカバーして余りあるものがある、こういうふうに私は考えております。もちろん通産大臣から後でお話があると思いますけれども、いろいろときめ細かな行政指導その他の対策をこれからも必要とするわけでございますが、大きく申しましてインフレムードを防遏するという意味において、今回の公定歩合の引き上げは日本の経済、今日直面しておりますエネルギー関係その他、為替の変動等からいいましても、大きな安定的な効果をもたらすことによって、経済の成長、物価の安定に大きく寄与していくもの、かような判断を下しておるわけでございます。
#61
○佐々木国務大臣 今度の公定歩合の引き上げは、物価が非常に異常な上昇速度でございますので、極力これを抑制するという意図で決定されたものと思っています。したがって、いま経企庁長官からもお話がございましたように、その実効が上がることを期待したいと思っております。
 ただ、お話のように、私どもといたしましては、せっかくここまで伸びてきた景気でございますので、この景気が先行き必ずしも楽観を許さぬ状況でもございますので、できますれば民間設備投資の冷却したりすることのないように、長期資金面等で特別な配慮をしていただければ大変ありがたい、あるいは経営基盤の弱い中小企業金融等にきめ細かい配慮をしていただければありがたいといったようなこと、あるいは景気動向の今後の変動次第によっては、また公定歩合の政策に対しても機動的な、弾力的な発動をしてもらいたいものだというふうな点を希望しつつ、実効の上がることを期待しておる次第でございます。
#62
○中村(重)委員 消費者物価は、いまのところスタグフレーションというところまでぼくはいっているとは思わないのだけれども、卸売物価の点からいったらまさに狂乱的な状態だね。一昨年の十一月から上がりっ放しだ。だから今回の公定歩合の引き上げは、これはもう避けられないことだということで、私どもとしてもこれを評価をするわけなんですよ。
 ところが、経企庁長官は、いま物価の安定が最大政策課題なんだから、そのためには公定歩合の引き上げというものはこれを評価する、敬意を表する、こういうことであったわけだ。ところが実際問題として、今回の公定歩合の引き上げということによって、卸売物価というものを鎮静させることができると考えているのかどうか。これは財政だけではどうにもしようがない。かといって、金融だけでこれを鎮静させるということは、ぼくは不可能だと見ているのだ。だから、今回の公定歩合の引き上げに伴って、予算の組み替え等、財政的な対応策を講じていくという、財政、金融両面から抜本的な対策を講じていくということでなければ、いま経企庁長官が敬意を表する、共鳴する、高く評価をするということは、単に言葉だけに終わるという可能性があると私は思う。一時間半という限られた時間の中で、電気料金の問題であるとか、あるいはエネルギーの問題について触れていきたいと思っているのだけれども、その具体的な問題をいろいろ取り上げてくると、私は、もういまあなたの方からもらったこの経済見通しなんということは、まやかしという言葉は当たらないのだけれども、これはもう修正をしなければならぬということが明らかなんだな。卸売物価にしても、五十四年度は一二・三%か四%でしょう。五十五年度は九・三%というように見ているんだね。どうしてこのような見通しを立てたんだろう。根拠があるんだろうか。考えてごらんなさい。原油価格の問題ですよ。五十四年度の平均価格と五十五年度の平均価格というのがどうなるか。それから原油の値上がりの問題、電気料金の値上げ、これはもう電力を魂とするところの産業は言うまでもなく、すべての産業に重大な、ある産業によっては壊滅的な打撃を受けるということになるわけですよ。公共料金の引き上げと、そのような原油の値上がりに伴うところの、便乗値上げということではなくて、もうどうにもならなくて値上げをしなければならないということになってくるんだな。これはそういうことにならなくとも、この見通しそのものに無理がある。修正をしなければならぬということは明らかなんだ。無理な見通しを立てている。だから、公定歩合の一%の引き上げなんということによって、経企庁長官が礼賛するような形にならぬ。修正はもう避けられないということはいまにしてわかるのではないか。その点どうお考えですか。
#63
○正示国務大臣 御指摘の点はわれわれも十分心をいたさなければならぬと思っておりますが、今日のインフレを私どもは輸入インフレ、それから国内要因に基づくものをホームメイドインフレというふうに、概念的に区別をして考えておるわけでございます。仰せのとおり、卸売物価が大変上がっておりますのは、これは主として原油を初め、最近の国際情勢からくるいろいろ非鉄その他の原材料物資、これがやはり海外から高い値段で入ってくる、この問題が大きくあることはもう御指摘のとおりであります。
 それからまた、いままた若干円安傾向になっておりまして、これがやはり輸入物資を高くする原因になっておる。そのような外来といいますか、外からの卸売物価を押し上げる要因というものについては、これは確かに中村委員御指摘のように、大変な状況になっておるわけであります。しかし幸いなことに、いままで、いまもお話がございましたように、中間製品あるいは完成品、消費者物価、この方への波及が大変うまいぐあいに各企業あるいは消費者、そういう方々の冷静な対処によって、日本では、国際的に見ましても、まあ西ドイツに劣らない程度にいままで大変よい成果を上げてきておることは、これまた御了知のとおりだと思います。
 そこで、私どもは、今回の公定歩合の引き上げがこういう時期に行われたことを評価する意味は、このごろ卸売物価から中間製品等への波及度が非常に心配されておる。そういうときに、インフレムードを事前に遮断していく。そこで防ぐ。そして燃え上がらさないようにしていくという措置を講じたという意味において、私は、公定歩合の引き上げは一つの大きな英断であった。これは総理、日本銀行総裁等が、また大蔵大臣がそれらの点について非常によく決断されたという意味で、先ほど金融当局に敬意を表すると申し上げたわけであります。
 そこで、それだけでそれじゃ大丈夫か、これはもうそんなことは考えておりません。しかし、いわば一番の基底となる条件を整備したという意味で、これは大変高く評価いたしておりまして、そこで、われわれとしては、金融、財政、お話しのように財政では本予算においてすでに国債を相当減額する、今年度の補正予算でもまたそれを行う。さらに公共事業については執行を五%ほど留保して、これを物価に対する悪影響のないように調整をしていく。こういう財政、金融政策で基盤を確立をしていく。そしてインフレムードを遮断していく。こういう政策をとりながら、一方では通産大臣にお願いして、先ほど申し上げたように、個々の物資の需給の動向を考え、備蓄を放出するような必要性があればそれもやっていただくというふうな、物資別の個々の対策もやっていただくわけであります。農林水産大臣には、蔬菜について、春物野菜を繰り上げて出していただくとか、あるいはキャベツ等の契約栽培を、これもひとつ緊急に出荷をしていただくとか、あるいは輸入をこの際思い切ってふやすというふうなこともやっていただく、こういうふうなあらゆる手を講じる。しかし一番大事なのは、これはもう中村委員がよく御承知の、また非常に大きなウエートを持っておられる春闘なんですね。これは労使の関係によって決まることで、われわれはとやかく申し上げませんけれども、とにかくいままで日本の消費者物価が諸外国に比べ、また、前回の石油危機のときに比べて安定しておるのは、本当に経営者と労働組合の方々の良識のある賃上げということが決定的なモメントであった、私はこういうふうに評価をいたしております。それらの点について、今後一層御協力をいただくためには、われわれとしては公共料金の引き上げの際にも、これの国民生活あるいは企業の経営あるいは物価等に対する影響を十分考慮して、物価政策の面において労使の方々からの御協力、また一般消費者の方々の冷静な行動を今後も続けていただくように持っていかなければならぬ。その点は大きな責任を感じておるわけでございます。
#64
○中村(重)委員 公定歩合の引き上げをあなたが評価をしたということは、それはそれでいいわけです、われわれも評価をしているのだから。ただ、そんななまやさしいものじゃないということを言っているのです。それから完成品なんかの問題にしても、好む好まないにかかわらず国際摩擦があるのだから、そういう方向へ進まざるを得ないわけです。ところが、完成品といっても、これはやはり国際的なインフレというものがあると、結局必ずしも安いものは入ってこないということになるわけだから、そのこと自体によって経済見通しというもの、いわゆる卸売物価といったものが、原料をもって生産をするという問題と、完成品が入ってくるということになってくると大きく違うことは、私もわかっているわけです。いまあなたが一つ一つ挙げられた点をそのまま評価をするとしても、政府の経済見通しというものは非常に甘いということを指摘せざるを得ないわけです。
 あなたは野菜の問題だとかいろいろなことを挙げられた。流通機構というのはあなたはどう考えているのだろうか。たとえば、沖繩に本土から野菜を送るのでしょう。沖繩へ七万円も八万円も航空運賃をかけて野菜を送る。その沖繩からまた本土にその野菜が返ってくるのだから二重運賃ですよ、七万も八万もの運賃が。七万だったら十四万ですよ。そんなことをあなたは知っているのか知っていないのか。流通機構というものを抜本的に改めていかなければならない。中央市場なんかでもそうなんだ。もう言葉ではなくて、まあ期せずして二人とも同期生だから、私は両大臣にりっぱな成績を上げてくれることを期待をしているのだけれども、忙しいから私が指摘するように体を動かす余裕はないのかもしれないけれども、本当に実態をつかむということなんだ。私は一つの例を挙げたわけだが、たとえばあなたが経企庁長官になったときに、この流通機構をどうする。魚にしても流通機構は百年間動いていないのです。あるいは青果関係にしてもどうするか。ところが、流通機構を抜本的に整備するということになってくると、今度はそれに携わっている人たちに失業者というものが出てくる。雇用問題も起こってくる。そういう問題をどうするかといったような大変むずかしい問題があることはわかっているが、とにかく現状のような状態では政治というものはない、行政というものもない。だから、抜本的に改めていかなければならぬと私は思っているのです。だから最大限の努力はしていかなければならないが、たとえば円安傾向ということがある。円安になってくると、原材料というものは値上がりをしてくる。これは当然な話です。その点では完成品であることが好ましい。円安をどの程度見ておるのだろうか。あるいは原油価格というものを八〇年あるいは八〇年代をどう見通しているのかということをこれから質問を通じて伺うわけだけれども、そういうものを一つ一つ押さえていく。それから経済見通しの問題としてマネーサプライの問題もあるのだから、これをどう考えていくのか。今回の公定歩合の引き上げというものがマネーサプライにどんな影響を及ぼしてくるのか、そこらあたりも十分あなたの方では詰めてみなければ、いまあなたが答弁をされたようなことがあなたの考え方であるとすれば、それだけじゃないのだとは言ったけれども、少なくともこういうところに問題がある。これはこうしていくのだ、それから今回の公定歩合の引き上げというものも具体的にこういうようなことになるといったようなことを、いまの答弁が不十分であったというふうに、ただ一回の答弁であなたを非難はしないけれども、十分ひとつこれから検討して対処をしていくということでなければいけないと思うのですよ。いまの私の指摘に対してお答えがありますか。
#65
○正示国務大臣 おっしゃるとおり経済は生きております。したがって、非常に複雑な問題がその中にあるわけでございまして、ことに流通機構については、いわゆる近代化がおくれておる面があることは御指摘のとおりかと思います。
 ただ、今回の石油危機を契機にいたしまして、物価問題に対する関心が非常に高まってきた。これは国会の論議等を通じてもそれが大いに高まったゆえんだと思うのであります。たとえばかずのこ問題一つをここでとりますと、私はあんな消費者の賢明な対処の仕方というものはなかったと思うのです。いままでならばかずのこがなければ正月にならぬというふうな考え方から、非常な高値をこんなに強く非難し、またそれに対してこんなに強く抵抗するということは考えられなかったのでありますけれども、今日の消費者は、物価について本当に心から大きな関心と鋭い批判の態度、行動をとっておる、こういうふうに申し上げていいと思うのであります。
 そういうようなわけで、だんだんと物価問題に対する関心が高まると同時に、いま中村委員御指摘の、古い流通機構等にもおいおいとメスを入れる時期が到来しておる、こういうふうに考えまして、先ほども申し上げたように、農林水産大臣、通産大臣等の非常な御協力を得て、いまわれわれは物価対策に全力を尽くしておるということは、ただ単なる口先の問題ではなくて、具体的にやっておることを指摘を申し上げたわけでございます。
 なお、マネーサプライあるいはこれからの企業におけるいろいろの金利負担、その他将来の見通し等からも、経済を安定的に運営していくために十分に心しなければならぬ問題はもう数限りなくあると思います。しかし、私どもは結論的に申し上げれば、いまお出しをして御審議をいただいておる予算、その基盤になる経済の成長見通し、物価の見通し、これは今回その改定というよりは、むしろそれを守るための今回の金融施策であった、こういうふうな評価をいたして、今後一層の各方面への努力を傾けていきたい、こういう考え方を持っておるわけでございます。
#66
○中村(重)委員 いずれにしても八〇年代は明るい展望ということよりも混迷と激動の時代だ。それをどう乗り切っていくのかということですね。われわれが政権をとる場合、経済企画庁長官というものの任務は非常に重要な任務であるということを認識をしているが、今日の低成長下、政治も経済も大転換をしていかなければならないときに、経企庁長官は単なる調整役であってはならないのだから、これは重大な役割りであるということを認識をしてもらわなければならないということですね。
 それから、午前中も大規模店の問題についても話があったようです。これはむしろ佐々木大臣の方に中心があるのだけれども、大規模スーパーというのはいままでは市だけであったが、最近は一万か一万五千の人口のあるところにはじゃんじゃん進出する。それから、恐らく数カ年のうちには農協がスーパーに負けないような販売体制をつくり上げようというので、これまた人口が一万か一万五千ぐらいのところには、肉を初め農作物を、スーパーまがいの販売行為をやるということで、これから取り組む体制を整えつつあるということです。これは中小零細企業との摩擦をどうするのかといったような混乱がある。ただ中小零細企業のことだけを考えれば、消費者の利益に反するという面も出てくるだろう。したがって、大も中も消費者も、お互いに共存共栄し得るような体制をつくり上げるために、異常な決意をもって取り組んでいくということでなければならないということを、問題の提起だけをいたしておきます。
 次に、電気料金の問題についてお尋ねするのですが、値上げは認めざるを得ないという不動の方針のようだけれども、産業界や国民生活に及ぼす影響ということをどの程度に評価をしていますか。これはどちらも関係があるのだからどうぞ。――それじゃいいです、抽象的な質問になるから。
 水増し申請をしておると見ますか。
#67
○佐々木国務大臣 いま査定している最中でございまして、ヒヤリングで聞いたりあるいは公聴会で各方面の意見をちょうだいいたしたりしている最中でございまして、現実的な査定に正確に入っているかどうか、私まだつまびらかでございません。しかし、言われるごとく、たとえば燃料代等に関して水増しがあるんじゃないかというふうなお話もございますけれども、私の承知している限りでは計算の基礎が違うわけでございまして、そういう点で必ずしも水増しとは見れぬのじゃないかというふうに聞いてございます。
#68
○中村(重)委員 参議院選挙を前にして避けられないことであろうけれども、政府もそれから与党も、大幅にこれを抑えていこうと言っているんでしょう。いままでは料金計算というのは二カ年でやったわけだ。今度は一カ年にしているわけだ。だから、それにかかわらずこれをぐっと抑えていこうということであれば、これは少なくとも公益事業の原価計算の線からいくと水増しという認識がなければ、これが前提でなければ抑えていくという言葉は出てこないんじゃないか。だから水増しと考えているんでしょう、あなたが新聞にこれを抑えていくんだということを言っているわけだから。新聞に言うんだったらここで言えるだろう。だから水増しということ以外に言いようがないんじゃないか。どうですか。
#69
○佐々木国務大臣 お話のように電気、ガス料金の値上げ問題に関しましては、生活物資あるいはその他に対して大変物価面で大きい影響のあることはもちろん承知してございますし、その影響をできるだけ小さくするという努力をすることはこれまた当然のことだと思います。しかしながら、反面御承知のように日本はいまエネルギーの危機でございまして、これからどうしても将来を目指して代替エネルギーの開発もやらざるを得ません。原子力だとかあるいはLNGだとか石炭だとか、こういうものに電力の根源を求めていこうとすれば切りかえていかざるを得ないわけですから、それには膨大な資金も必要なことは明瞭でありまして、それなしには日本は生きていかれぬわけですから、これが重要でないかというと、これは重要でないとは言えない。これをどうしたってさせなければ日本は経済も民生も立っていかない。そうすればこの方に対しての配慮というもの、言うなれば経営の基礎をきちっとしていくという配慮というものは十分考えていかなければならぬわけでございまして、でございますからそういう両面をにらんで、そしてもちろん電力会社の放漫な経営というものは許されるわけはございません。どれほど経営努力をしたかということをまず大前提にして、そして、法で原価主義というふうに明示してございますから、原価主義にのっとりまして厳正公正に査定に入りたい、こういう構えでいまやっておりまして、その各原価の個別個別の条件を吟味している最中でございます。先生の先ほどのお話の燃料の問題はその各ファクターの一つだと思います。いまはそれをやっている最中でございますので、そういう態度だということだけ申し上げておきます。
#70
○中村(重)委員 質問者も余り意見が多い質問になっているんだけれども、答弁もちょっと長過ぎるから、時間の制約があるようだから……。
 もう二年間値上げしていないんだから、当時の原油の価格と現在の原油の価格、それからLNGにしても原油にリンクして値上がりしつつあるということですね。だから私は、値上げは避けられないとは思っているわけだ。問題は、あなたの方で今度は従来の二年を一年にというアドバイスをして一年にしたんだろうと思うのですよ。そうなってくると、本当にまじめな申請をしておるとすると、その幅というものは抑えるにしてもきわめて狭いんだね。従来どおりであれば、いまあなたが言われた原価主義ということをまじめにやっておったとしてもなかなかむずかしいと思う。だから真剣に検討しなければならないし、事務当局はしていると私は思う。ところが、大臣だとかいわゆる政府や与党の方でこれはずっと抑えていくんだと言ったら、水増しということが前提でなければ言えないことだろうから、あなたまで言うんだから、それは経企庁長官も言っているんだ、だから水増しという認識だろうかということをまず聞いているわけだから、それに対して答えてもらえばいいんですが、一年間で料金算定――原価算定と言ったらいいのか料金算定と言ったらいいのか、いずれでも同じでしょうが、そういうことを幾ら縮めてみても、私はそのままでは限界があると思うのです。したがって、申請の内容の構造的な点、制度的な点、これを変更する以外にはないと考えている。その点についてはどうお考えになりますか。
 いまあなたは原価主義ということをおっしゃったんだが、原価主義というのは本当に理想的な制度だろうか。これはなるほど価格を算定するのには非常にやりやすくはあるんだろう。公益事業であるからある程度政府の発言権というものもあるわけだから非常にやりやすいだろう。またそれをやらなければ認可できないということになるんだが、ところが、その原価主義というのが本当に価格を抑えていく――公益事業なるがために企業自体は大きなメリットを持っているわけだ、保護されているわけだから。都市ガスの場合はプロパンという名だたる競争相手というものがあるけれども、電気の場合は完全な地域独占だから、そして原価主義というもので保護をしているんだから、だから私はこの原価主義というのが本当に産業界を保護し、あるいは消費者を保護するそういうりっぱな制度だとは考えていない。その点に対してはあなたはどうお考えになっているん、だろうか。制度的にこれを改めなければならないという点があるとはお考えになっていらっしゃらないかどうか。いかがでしょうか。
#71
○佐々木国務大臣 私は、経済的、科学的にと申しますか、余りいろいろな配慮を加えずに、原価主義なるものは会社の存立の基礎でございますから、やはり原価主義という制度を法でつくったのにはそれだけの深い理由があって、長い間の経験を積んだ結果原価主義に踏み切っていまの法律もできているものだと思っております。したがいまして、いまの制度のまま査定を進めていきたいというふうに考えておるのであります。
#72
○中村(重)委員 原価主義によって利益を受けるものはだれですか。原価主義というものが産業界を保護することになると思いますか、あるいは家庭料金、いわゆる家庭を保護する制度であるというように考えますか。
#73
○佐々木国務大臣 あの法律にはもう一つ原則がございまして、原価主義であってしかも公平にという原則がついておるわけです。ですから、原価主義にのっとりながらその配分等に関しましては公平にという原則で進めておるつもりでございます。
#74
○中村(重)委員 わかったようなわからぬような……。ともかく原価主義で一番利益を受けるものはまず企業です。間違いないです。地域独占でしょう。そして原価主義というものは、油が幾らになった、人件費が幾らになった、いわゆる固定経費と燃料、そういうものが幾らになったから上げてやらなければならない、そういうことになっている。だから企業は損目がない。原価主義とは損目のないことだ。そして地域独占で守られているのだからこんな結構な商売が世の中にありますか。
 それから、この原価主義というものは、どちらかというと電力、なかんずく大企業にとって有利、それから一般消費者にとって不利に働く、やり方によっては。少なくともいまの制度というものは、そういう形に働いていると私は思う。否定できますか。
#75
○森山(信)政府委員 幾つかの問題がございましたので、まとめて御返事を申し上げたいと思います。
 一つは、原価主義がだれの利益になるかという御指摘でございます。いま中村先生から御指摘がございましたように、直接的には企業がそれによって経営が守られるという姿勢があると思います。それから間接的に需要家のメリットというものもあるのではないかということでございます。と申しますのは、原価主義のたてまえは、あくまでも電力の長期安定供給というたてまえに立った原価主義でなければならない、こういう気持ちを持っておるわけでございます。したがいまして、その都度その都度の原価主義でございますと、おっしゃるような企業利益に重点が置かれがちだということはございますけれども、それによって需要家の皆様方に安定した供給を確保するという観点に立ちますと、需要家の皆様方の利益につながってくるのではないか、こういうことでございまして、やはり電力経営の問題は、いま御指摘のように地域独占という弊害が若干ございますので、そういった面につきましての配慮を続けながらいまの体制を存続さしていくということによりまして、需要家の皆様方に利益を還元するといいましょうか、メリットを確保する、そういった考え方のもとで原価主義というものをとっておるわけでございます。
 それから、先ほど御指摘のございました水増しの問題につきましては、これも原価主義の枠内で処理すべき問題と考えております。といいますのは、原価構成の中で占めます燃料費の比率等がかなり高いということもございまして、燃料費についての見方をどう見るかということは、実はこれは大変議論のあるところでございまして、まあ私どもは先般来、ことしの原油の価格は三十ドルをある程度上回るところで大体大きな変化はないのではないかという見方をしておりますけれども、電力会社の方で、過去のパターンに従いまして、年間に五%ないし一〇%上がるのではないか、こういう見方をしておるということもございます。したがって、それが水増しと言えるかどうかにつきましては若干問題があろうかと思いますが、私どもの考え方は先ほど申し上げたとおりでありますので、そういう点の査定は十分やらしていただきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#76
○中村(重)委員 安定供給というのが原価主義の最大なものであるということは、それは言葉としては言えても、現実の問題としてそうしなければ安定供給ができないなんということでは、それが
 いわゆる最大のものとしては説得力がないわけだ。
 それから、今回は家庭直撃だという批判がありますね。無理もないですよ。前回と今回とやり方が、いわゆる三段方式という形をとってみても、前回は値上げの一段階がこう、二段階がこう、三段階がこうというようになだらかになっていた。今度は一定のところまでいったら上は一も二も三も同じような形で値上がりになってくるからね。だから今回は家庭直撃であるという批判は当たるのです。
 ところが今回は電力料金の方は値上げ率が高いです。家庭料金の方は値上げ率は低いです。だから、電灯料金よりも電力料金というものを値上げしたのだから、家庭料金を守ることになるのですというようなことを言っている向きがあります。これはうそなのです。今回の値上げの中心は燃料代だから、固定経費じゃないのだから当然そうなるのですよ。これはそのままで計算しておる、政策的な配慮がなされていないから、いわゆる原価主義という形で申請者も申請をしているから今回はそういうことになる。固定経費の場合は変わってくる。その点を査定に当たっては慎重に対処しておやりになるのでなければいけないと私は思っているのですが、そのことから出てくるいわゆる三段階逓増方式ということ、これをこの際段差をつけるということで家庭直撃であるという批判に対応する必要があるのじゃないか。政治的には大臣の答弁だろうが、これは政治的ということよりも事務的な面から、専門家である長官が答えられなければいけないのでしょうが、いかがですか。
#77
○森山(信)政府委員 まず第一点の家庭直撃型ではないかという御指摘でございますが、いま中村先生も御指摘のございましたように、原価計算上のたてまえから、原価主義のたてまえから言いますと、今回の値上げの一番大きな要因は燃料費のアップでございますから、固定費の増大につきましての分が相当少ないということもございまして、電灯の方の値上がり率が少ない、こういうかっこうになっているわけでございまして、おっしゃるとおりでございます。
 それから、第二番目の問題としてお出しになりました三段階料金制の問題でございますが、これは電灯料金のことでございますけれども、御指摘のとおり現在は三段階制をとっております。百二十キロワットアワー以下、それからそれ以上二百キロワットアワーまで、それ以上と、三段階をとっておりまして、これは近年になりましていわゆる省エネルギー型の料金制度にしたいということから、第三段階目の料金をやや高くする、こういうパターンをとったわけでございますが、逆に言いましていわゆるナショナルミニマムという観点から言いますと、一段階目の料金をできるだけ安くした方がいいのではないかという御意見がございます。これは私どもも全く同感でございます。
 そこで、先ほど来繰り返して申し上げております原価主義の枠内でこの三段階料金を決めていくということになりますと、最初の第一段階目の料金をかなり安くいたしますと、第三段階目の料金を相対的に高くしなければならない、こういう問題がございますので、その辺のバランスは大変むずかしゅうございますが、一つの政策判断が入る余地がそこにあるのではないか、つまり原価主義の枠内におきましてもある程度の配慮をすべき事項がその辺にあるというふうに考えておりますので、査定に当たりましては十分配慮をさしていただきたい、かように考えております。
#78
○中村(重)委員 大変重要な答弁でして、要するに百二十キロワットアワー、こういうことになっているのだね。それをもっと高くしていくといったようなこと、それは一つの方法なんです。当然そうなされなければナショナルミニマムというようなことにならない。これは電力会社にしてもガス会社にしても、新しい器具を買いなさい買いなさいということで押しつけている。もう買わざるを得なくなってくる。買う買わぬは本人の勝手ではあろうけれども、なかなかそうはいかないということですね。その点は十分配慮していかなければならない。
 それから省エネルギー型ということ、それはそれなりに必要でしょう。ですけれども、考え方が、値段を高くすれば使わないだろう、それが省エネルギーに通ずるからといったような、一面から言えば罰則的な形、私はそういうものは政策というものじゃないと思う。本当の政策というものは、公益事業であればあるほど、公益事業とは何ぞや、公益事業はどうあるべきかという基本の上に乗った、先ほど私が指摘した現在の公益事業というのは、企業を守り、そうして電力だとか電灯を大きく使用する人たちというようなもの、大口の人が守られるという制度になっている。ところが、いまあなたのお答えの中で、だから大口の利用者というものに少し重くしていけばそれだけ今度は第一段階の人たちを守ることにつながっていく、あるいはそれが省エネルギーということにもつながってくるからということにもなりましょうが、私は一概にそのことを否定するものではないのです。ないのですけれども、それを金科玉条のように懲罰的に物を考えていくのでは、それは政治ではない、その点は指摘をしておきたいというように思います。
 それから、ともかくもう一つは、原価主義というのはまず総原価を一応はじき出すでしょう。総原価をはじき出して、電力と電灯に配分するわけですね。その配分のやり方というものを変えていかなければ、いまあなたが言われた政策的配慮というものは非常に幅の狭いものになってしまって、単に申しわけ的な形になったのでは意味がない、私はこう思っております。そういう点は、いまお答えになりましたように、本当に三段階逓増方式、それから総原価をはじき出して電力と電灯に配分していくという配分のやり方、そういうものを抜本的に変えていくんだという、制度そのものを変えていくんだというくらいの構えでおやりにならないと、現在の制度を動かさないで、その中でということになってくると、これはもう出てきた中身、答えというものはきわめて限られたものになるであろう、私はこう考えます。その点はどうお思いになりますか。
#79
○森山(信)政府委員 公益事業の料金制度というのは実は大変むずかしい問題ではなかろうかと思います。そこで、先ほど来中村先生から御指摘のように、従来の単なる原価主義にとらわれずに、新しい体系で料金を算定したらどうかという御指摘もございますし、一方におきましては、やはり公益事業でございますから、そこに適正なる原価というものを認めて安定供給を図っていった方がいいのではないか、これはもちろん私どもの見解でございますけれども、かなりの差があるわけでございまして、いろいろな意見がございますので、私どもといたしますれば、ただいま電気事業審議会の中に料金部会というのがございまして、各界の皆様方にお集まりいただきまして、電気料金のあり方につきまして慎重な御検討をいただいておるわけでございます。もちろん先生から御指摘のございましたような点を踏まえまして、今後の課題として討論はしてみたいと思いますけれども、現在のところ、やはり従来どおりのパターンという指摘はございますけれども、いまのやり方が最もふさわしいのではないか、各界の皆様方の御意見の集約の結果がそういう状況になっておるということもございまして、私どもはそういう線で進ませていただきたい、かように考えておる次第でございます。
#80
○中村(重)委員 いま諮問をしている、その意見を聞いてと言っているんだけれども、それはそれなりに各界の人たちが集まっているであろうから、昔のものがというような言い方は私はしません。しかし、あなたの方の考え方というものを大きく変える姿になっていない。ある意味においては隠れみの的な存在であるという批判があることもあながちノーだというようには言えないと私は思います。
 そこで、具体的に両大臣にお尋ねするのですが、査定に当たっての考え方、一割配当、それから減価償却の定額方式を定率方式に変更した申請になっている、だからこれをどう改めていこうとするか、まずその二点についてお答えをいただきましょう。
#81
○森山(信)政府委員 まず第一点の配当の問題でございますが、一割という申請の内容でございます。そこで私どもは、一割が果たして妥当な数字かどうかという点を踏まえまして現在査定をしておる段階でございまして、申請の姿が、ノーマルな状態におきます電力会社経営の一つのメルクマールとしての配当率の問題と、それから先ほどお話のございました物価問題との関連で配当率はぎりぎりどこまで下げられるかという観点等、いろいろな観点からの考え方で査定をさせていただきたい、かように考えておる次第でございます。
 それから第二点に御指摘のございました償却方法でございますが、現在電力会社が行っております償却には定額と定率と両方ございます。ただし、従来の電気料金の算定上はすべて定額の償却を導入しておったわけでございますので、この際どういう取り扱いをするかにつきましては慎重な配慮をしなければならないだろう、こういうふうに思います。
 ただ、会社側が一部定額、一部定率と、大体比率が半分半分くらいでございますけれども、一部にせよ定率の償却制度を導入して申請いたしましたゆえんは、昨年の電気事業審議会の料金部会におきまして、償却につきましての基本的な考え方といたしまして、できるだけ早く定率償却法を導入した方がいいのではないか、こういう御答申があったことを受けまして企業としては申請に踏み切ったのではないかというふうに考えますが、全体のバランスを考えましてどういう取り扱いをしたらいいか、きわめて慎重にこれを検討する必要があるのではないか、かように考えております。
#82
○中村(重)委員 申し上げるまでもなく、定率になれば初めは大きいが最後はずっと小さくなるわけだね、定額であれば初めから終わりまで一緒なんだ。その答申に基づいて定率でということを申請したということでしょうが、本来は、固定資産というのか機械器具というのか、耐用年数をどう見るかということが大きな問題点です。ともかく減価償却はしてしまった、機械はまだ十分使える、ただになってしまった。二十年使えるものを十年で減価償却をしてしまうということだってあり得るんだからね。だから耐用年数というものを甘く見たのでは、定額にしても定率にしても、その点は過保護だということになりかねないんだ。そこらあたりを十分、公益事業というものはこういうものだという考え方の上に立って定額か定率かということを判断してお決めにならなければいけない。私の方の申し入れは、定率を延期して定額にすべきだという申し入れをしております。それは、定率という形になってくるとどうしても企業の側に得になり、需要家にとってマイナス要因として働くというような点からそういう申し入れになっているわけですが、耐用庫数をどう見るかということが根本であることだけは否定されないでしょうから、そういう点はひとつ十分真剣に対処をしてもらうように強く求めておきます。
 それから原子力発電、これは私も質問するのに若干ジレンマに陥るわけだが、原子力発電というのは供給量の中に加えるべきではないという考え方、それは安全性、それから余りにも稼働率というものが低い。いま私どもの方で調査団を出して調査をしたところ、恐らく稼働率は三〇%内外ではないか。ところが、今度稼働率というものを相当高く見るということですね。料金算定に当たって、原子力発電というものは一キロワットアワーが一番安い原価になっているわけだから、それは非常にプラスになる。この設備をあなたの方の計画に基づいて、いま申請中のものもこれを認めていこう、こういうことになっても、これは安全性、環境問題といったようなところから住民の反対があって立地難ということになる。ところが、計画に基づいてこの設備費、これはいわゆる固定資産になるけれども、それを今度ははじき出す。それをすると今度は、認可に当たっては相当高い認可をすることになりますね。当然これはそうなる。だから、稼働率を高くするということは、実際それだけ稼働しなければ――その面から言えば、高くするということは値上げを安く査定をすることになる。それは企業にとっては不利、需要家にとっては得ということになりましょうが、設備の方は今度は逆になるわけですね。そこらは非常に重要な問題点なんですが、原子力発電というものの稼働率をどの程度に見る、それから設備に対しては、いわゆる計画というものがあるわけだから、その計画に基づいてどのような算定をしようとお考えになっていらっしゃいますか、いかがですか。
#83
○森山(信)政府委員 現在の日本の原子力発電所の稼働率は、五十四年で大体五六%程度になっております。いま御指摘の三〇%程度のところがあるのではないかという問題につきましては、発電所の地点によりまして一部そういうところもございますが、平均した数字を申し上げますと五六%ということでございます。
 それから、今回の八電力の値上げ申請のベースになりました稼働率の算定目標は五四・五%でございまして、私は、そう必ずしも高くはないのではないか、先ほど申し上げました五六%の実績と対比いたしますと、著しい乖離はないのではないかということでございます。
 そこで、稼働率を一%上げますと原油が三十万キロリットル節約されるということがよく言われるのでございますが、その問題と原子力発電所の安全性確保の問題とは別問題というふうに考えておりまして、私どもは、料金を幾らかでも安くするために、意識的に稼働率を上昇せしめるというようなことは毛頭考えていないわけでございます。安全性が確保された上で稼働率が上昇するというのが望ましい姿でございますけれども、単に料金を安くするために、安全性を無視した稼働率の向上ということを考える気持ちはないということだけはっきり申し上げておきたいと思います。
#84
○中村(重)委員 これは当然だということです。
 次に、今度は大臣から答えてください。退職給与引当金というのは従来どおりこれを認めていくのか。公益事業であるのに社内留保が余り多過ぎるという批判というものがあるのですよ。だから、何かしらわかりにくいような社内留保というようなことではなくて、これは私企業の場合と公益事業−私企業であっても公益事業という場合は、厳しい制度というものをつくり上げていくのでないといけないと私は思う。単に保護するという立場からだけこの制度をつくり上げていくというようなことは間違いだというように私は思うのです。問題はありますけれども、新しい設備をつくるために金がかかる。そのために電力料金にしても電灯料金にしても上がる。そのことは、新しい人のためにつくる施設を、前から使っている者にも同じようにぶっかけるということは不合理ではないかというような不満を漏らす向きもある。これは全くわからないことだ、筋の通らないことだということばかりには片づけられない点も実はあると私は思うのです。ともかくわかりにくいような社内留保というものが非常に大きくなる。その社内留保も、すべて企業は運営資金として使っているわけです。公益事業の場合は、そういうものはやめるものはやめてしまう。むしろ、新しい施設をつくらなければならないというその計画に基づいて、最低限度の施設拡充のための積立金を、ガラス張りの中で認めていくというようなことだって考えてみる必要があるのではないか、そっちの方がよほどはっきりしているということ。それから、そういうようなことをする反面、公聴会もただおざなりの公聴会であってはならない。民間が参加をする公聴会、そして資料の公開、そして原価というものがどうなっているということを明らかにするような公聴会でなければならない。そういうことをやらなければならないような今日の国民的な感情というか、本当に保護されている公益事業であるから、もう需要家に対しては押さえて押さえて、これは私企業だからそういうことはやれないのだなんということで、住民の要求、需要家の要求を受け入れないというようなことは間違いだと私は考えている。もうそこまでやらなければいけないのではないか、こう思いますが、この点に対しては両大臣の見解、いかがですか。
#85
○佐々木国務大臣 まず最初の、退職給与引当金、積立限度額といったような問題でございましたが、これは御承知のように、五十五年でいま税制改正の中にこの問題が入っております。いままでの積立限度額の五〇%から四〇%に下げるという法案でございますけれども、法改正、税制改正を踏まえまして、そして慎重に対処していきたいという考え方でございます。
 それから公聴会に対する態度いかんという問題でございますが、公聴会に対しましては、お話のように十分自由に、意見を思う存分聴取できるようにするのが当然だと思っております。
#86
○正示国務大臣 ここでちょっと私の立場を申し上げておきますが、両大臣の見解いかんと、こういう御質問でございますけれども、先ほど来、通産大臣、エネルギー庁長官が申しておられるように、ただいま通産省で諸元についていろいろとヒヤリングをやり、これから公聴会に出される、そして通産省からいろいろうちの方へ御協議がある、こういうことになるわけで、まだ御協議がございません。しかし、いまいろいろ御指摘のような点については、私どもも物価安定政策会議というものがございまして、さきの北海道電力のときもそこに付議をいたしましていろいろ意見を徴しました。これらは、先ほどエネルギー庁長官からお答えのありました点についてその物価安定政策会議の意見も十分取り入れていただき、私どもの意見も申し上げておるわけでございます。したがって、ただいまは通産大臣やエネルギー庁長官からお答えのあるところで御了解を賜りたいと思います。
#87
○中村(重)委員 正示長官、そういうことは答弁にならない。それを逃げというんだよ。通産省でやって、そして幾らにしましょうかというのであなたの方に協議がある、そういうような狭い範囲のもので両大臣の見解いかんと聞いているのじゃないんだ。公益事業のあり方、原価主義のあり方、そしてそのことから来る現在の公聴会のあり方、そういう制度的な問題という点から言っているのであって、少なくともあなたは物価の問題の責任者であるわけだ。だから、もっと責任ある答弁でなければ、そんな逃げの答弁をしてぼくを納得させようなんてとんでもない心得違いだ。こういう制度的なものはどうです。
#88
○正示国務大臣 私どもに大変参考になる御意見をいろいろ拝聴しておるわけでございます。いま通産大臣からお答えのあったように、今日の公聴会制度をフルに活用する、それから電力審議会等の意見も十分徴する。一番大事なのは国会の御意見なんです。この御意見を十分われわれは拝聴いたしましてこれから対処していこうというときで、余り私どもの方から一々申し上げなくとも、通産大臣、エネルギー庁長官のお答えに対する中村委員の御意見を大変貴重な御意見として拝聴しておるわけでございます。
#89
○中村(重)委員 国会の意見が最大だと言うならば、そっちの方から先に答弁しなきゃ、中村重光代議士の言うこともというようなつけたり的なことではなくて。そうしないと、国会の意見を最大限に尊重しなければならぬ、傾聴しなければならぬということとつながらぬじゃないか。まあそういうことはいろいろ言っている時間がない。
 そこで、先ほど言ったように、電灯料金とか電力料金は産業界、国際競争力にとって重大な問題なんだね、原油の値上がりの問題と相まってこの電力料金の値上げというものは。そこで、わが党で申し入れをしている燃料のプール制の導入あるいは料金のプール制の導入、もうこのくらいのことは採用しなければならぬ段階ではないだろうか。あなたも料金まではなかなか踏ん切らぬだろうし、九電力を一つにしろということにつながっていくだろうから、九電力は物すごい抵抗をするだろうから、なかなかそこまではむずかしい。踏ん切りは、これは並み大抵のことじゃないだろう。むしろ大平自民党政権として、こんな問題とおっしゃるのだろうが、燃料のプール制の導入くらいはもうおやりにならなければいけないと私は思う。いかがですか。
#90
○佐々木国務大臣 いまの九電力制度のできました経過等は、私よりもはるかにお詳しいことと思いますし、私は、いまの制度、言うなれば活力と効率を生かして、そして進めていくというこの九電力のあり方というものがいいと思っております。と申しまして、お話のように各電力会社に電力料金で大きい格差があったのではこれまたまことに困るわけでございますので、格差をなるべく縮めるようにしなければならぬということ、これもよくわかります。さらばといって、お話のように燃料その他を一括してということになりますと、それがいま一番大きい問題のときでございますから、自然昔に、戦時中みたいなかっこうに返っていくという傾向になりがちだという乙とは、これはもうお話のとおりだと思います。したがって、やはり私は現在のままで、そして余り格差の起こらないようにしていくという行き方が一番よろしいのではなかろうかと思います。
#91
○中村(重)委員 石油の火力発電というものは禁止する、それから石炭にするというIEAの決定がありますね。それは日本としても拘束をされるわけだ。だからして国内炭にしても政府見通しは二千万トンを横滑りに、こうなっている。これはエネルギー政策の中であなたから将来見通しとしてお伺いをしなければならないのだけれども、そうなってくると今度は海外炭の輸入。ところが開発輸入をしていくのでないとなかなかうまくいかない。輸入できない。だから電力会社も共同開発という方向へいま乗り出しつつあるのでしょう。それは避けられないのだ。そこまでも一歩踏み込まざるを得ない情勢になってきているのだから、燃料のプール制の導入というようなものは適当ではないんだ、従来どおりがいいんだというようなことは、私は現在進みつつある情勢というのか、そういうものからしでいただけない答弁だと思うんですよ。そこまでずっと進みつつあるのだからね。だからもう何回も公益事業、公益事業と言うのだけれども、これは企業の方がいやなことだって、保護しているんだから、幾らかでも安く生産をすることができる、それが産業界を保護し、国民生活を保護することにつながっていくのだというのならば、私は、そこまで踏ん切っていくというのでなければいけないと思いますよ。いかがですか。
#92
○佐々木国務大臣 お話は、わからぬことはございません。わからぬことはございませんが、私もずいぶん事務の方に詰めてみました。ところが、現実に国内炭は御承知のような状況でございますし、輸入炭に関しましては、極端なと申しますとちょっと言い過ぎかもしれませんが、大変強い輸入統制をしておりますから、コントロールもおのずからできるようになっております。したがって、それを一本のプールにしなければお話のようなことはできないというのではなくて、いまのままでもできます、こういう電力会社等の要望に十分沿えるようにやれますという運営の仕方になっておるようでございます。それから、実際に海外に投資をして、いわゆる開発輸入をする場合、これは何も一カ所に限るわけではなくて、豪州なり華北なりあるいはカナダなりいろいろあるわけでございますから、それを思い思いに一番有利なところへ行ってそして持ってくる。しかも輸入の港湾は小口と違いましてみんな大口でございますから、港湾はそのまま使えるということでありますれば、私は余り一本に無理にせぬでも、従来のままでいけるものであれば、さらにまた投資意欲を別に阻害しないということであれば、そのままでもいいのじゃなかろうか、実はそう考えております。
#93
○中村(重)委員 私が言っていることは、いまのままじゃできない、できないから言っているんですよ。それとあなたは、開発輸入というのは一カ所ばかりじゃないんだ、中国であるとか豪州であるとかあるいは南アであるとか――実態を御存じでしょう。オイルメジャーというものはもうそっちの方へどんどん進出をしています。押さえつつあります。ヨーロッパのユーザーというものはどんどん押さえている。そうどこからでもというわけにはいかない。日本は八五年にならなければどうすることもできないんですよ、もうおくれにおくれて。そんなのんびりしたような状態じゃありませんよ。事態は深刻ですよ。だから、もっと現状の認識というものを厳しくお考えにならなければお話にならぬ、こう私は申し上げておきます。
 それからガスの問題だけれども、LNGの価格は原油並みに上がってきておるようです。LPGというものもそうなのですが、ガス会社が実施している天然ガスへの転換ですね。これは、いままでは価格が安かったというメリットというふうなものも非常にあったと思うのです。ところが、これがリンクするような形でどんどん上がってきているということになってくると、その面からのメリットというものは非常に少なくなってきている。かといって、安全性という点からは、これはどんどん普及していかなければならない、こう思うのですが、企業は、メリットがなければ無理して転換を、これはガスだけではなくて電力の場合にもつながってくるのだけれども、これはやる必要もないじゃないかということにもなりかねないのだけれども、今後の方針としてはいかがですか。
#94
○森山(信)政府委員 LNGにつきましては、御指摘のとおり従来は原油の価格に比べまして相対的に安いということもございますし、それからクリーンエネルギーであるということもございまして、ガス会社等が大いに導入をしようという姿勢を示したわけでございます。御指摘のとおり、最近は原油価格にリンクするという価格形成メカニズムを打ち出してまいっておりますので、価格面からいたしますメリットが相対的に減ってきている乙とも事実でございます。しかしながら、やはりそこにクリーンエネルギー性という問題がございますので、私どもは、やはりLNGの導入は国策として推進すべきであるという基本的考え方を持っておりまして、ガス会社等に指導をいたしておるところでございます。
 なお、先生御承知のように、LNGは受け入れ基地と積み出し基地がタイアップするという、提携関係が大変深い関係にございますので、一たんこれを始めますと、なかなかこれをほかのものにかえようと思いましてもかわるものでもございませんので、そういう面からも従来以上にLNGの輸入の拡大は努力をしてまいりたい、かように基本的に考えております。
#95
○中村(重)委員 いま東京瓦斯あるいは大阪瓦斯は六〇%以上ぐらいの普及になっているのじゃないかと私は思うのです。脱石油という面と、それから安全性という点からして、リンクしておるとはいいながらまだLNGの方が原油よりも安い。私の調査によると安いです。ですからこの普及というものが、いまあなたが言われるように液化を気化したりいろいろやらなければならないから大変なのだけれども、ともかく転換は最大限に推進する、そういう構えで対処してもらいたいということを強く求めておきます。
 電灯料金の問題を中心にいたしまして、公益事業制度の改善といったようなことを私は申し上げましたが、ともかく競争が排除されているということになってくると、経営者はぬるま湯に入ったような安易感というものが出る。すると経営の効率化というものが働かないようになってくると思う。そしてお役所の方に目を向けて、そっちの方を何とかひとつうまくやってもらえればといったようなことに重点が置かれるような形になりかねない。そこに大きな問題点がある。これはKDDの事件というものも他山の石として、十分今後厳しく、国民のいろいろな批判というものに胸を張ってこたえ得るような態度でなければならない、このように考えます。そういう考え方の上に立って今回の査定に当たるべきである。経企庁長官が一言われた言葉ですけれども、国会で指摘をした、これは勉強不足の点もありましょうし、当を得ない発言というものもなきにしもあらずでしょう。しかし、傾聴するところは十分耳を傾ける。そして、今日の国民の、需要家の期待にこたえる。低成長下、原油高、非常に大きな危機的な非常時という事態に陥っている今日に対応していく姿勢というものが私は必要であるというように考えます。その点に対して両大臣からそれぞれお答えをいただきます。
#96
○佐々木国務大臣 先ほどのLNGのお話から答弁したいと思いますけれども、私は暮れに千葉の袖ケ浦の基地を見まして、一月にインドネシアへ行きまして、LNGの話もいろいろちょうだいしてきました。これは全くお説のとおり、ぜひ万難を排して進めるべきだという決心でこれから進めるつもりでございます。
 それから二番目の、地域独占である電力会社に対する態度いかんという問題でございますけれども、全くお説のとおりだと存じます。そういう厳しい態度で進めてまいりたいと存じます。
#97
○正示国務大臣 ただいまの御意見その他、大変貴重な示唆に富んだ御意見として傾聴し、十分これから心して対処していくつもりでございます。
#98
○中村(重)委員 経企庁長官、お引き取りになって結構です。
 通産大臣、内外のエネルギー情勢、八〇年及び八〇年代の原油の価格と原油の確保、この点をどう認識をしていらっしゃいますか。
#99
○佐々木国務大臣 まず八〇年代と申しますけれども、ことし、すなわち八〇年代の初年度でございますが、ことしはどうかと申しますと、IEAの一応の発表によりますと、全世界的な、オーバーオールな一つの見方といたしましては、供給が若干需要を上回るという想定でございまして、別に需給が大変窮屈だというふうには見ておりません。ただ、お話しのようにイランの問題以来、油の世界的な流通構造というものが激変動いたしておりまして、従来のようにメジャーからの供給が七割も占めるというような状況は許されなくなりました。産油国がメジャーに対する油の配当をだんだん切っていっていますから、したがってメジャーの方もこちらに回す余裕がだんだんなくなってきておるという現状かと存じます。したがいまして、それにかわるべきものはどうすべきかという問題が一番大きい問題になってきますけれども、御承知のように政策原油と申しますか、自主開発とかあるいはガバメント・ツー・ガバメントといったような政策原油を極力進めることはもちろんでございますけれども、同時に直接取引、メジャーを通さない、産油国とこちらの商社あるいは石油会社との直接取引というコースがございまして、いまそのシェアを大きくしようということで極力努力しているところでございます。同時に、どうしても足りなくなりますと、スポット物に対する対処方法いかんという問題もございますが、それと百日近い備蓄を合わせますと、まずことしは何とかいけるのではないかというふうに考えます。
 将来いかんという問題は、五年後に関しましては、少なくともIEAの発表でも供給と需要は逆になっておりまして、大変窮屈になります。私どもおととし中東に行きまして、サウジアラビアのヤマニ石油相に会ったときも、ヤマニさんも必ずそういう時代が来ますと言っておりました。ですから、石油は少なくとも五、六年たった以降は窮屈になるということを頭に置いて、これから政策を進めていくのが一番大切なことではなかろうか。そのためには、いままでのように油だけの政策、たとえばいま申しました安全供給をどうするかという流通部門もあわせまして、多角的な供給源を求める、こういう行き方ももちろん必要でございますし、進めなければなりません。あるいは備蓄も必要でしょうし、特に節約が一番重要だと思います。
 しかし、それではこのままで何年か後には必ず足りなくなるというものに対処できるかというと、そうはいきませんで、どうしても石油にかわる代替エネルギーというものを一日も早く開発すべきだということに踏み切って、御承知のようにただいま進んでございます。
#100
○中村(重)委員 時間がありませんから、問題点を尋ねますから、それに答えてくださいね。
 私は、八〇年あるいは八〇年代の原油の価格、それから供給、いわゆる需給関係はどうか、ということは緩むのか緩まないのか。それからIEAで認められた六百三十万バレル、まあ五百四十万バレルというのは、これはまずまず努力さえすれば入ってくると思うけれども、六百三十万バレルというのは、私はこれは下方修正されるだろうと見ているのです。だからその点はどう見ているのかという点。
 それから価格はどうかというと、スポット価格はいまのところは四十ドルを割っていますね。ところが先般サウジが二十四ドルを二十六ドルに上げたでしょう。その背景がどうか。これはいろいろな見方があるわけなんだ。そうすると、今度三月にOPECの会議があるんだ、そのときに統一価格になるかどうかという点。これは非常に影響するんだから。
 それから、サウジがいま九百五十万バレル、イランが三百五十とも言われるし二百五十ぐらいになっているとも言われておるんだ。だからイランは大体どの程度か。それからサウジの九百五十万バレル、これは八百五十が百ふえて九百五十になっているわけだから、これはまたもとに戻すということになりかねない。それから全体的に減産体制というものがあり得るんじゃないかという見方があるわけだから、それらの点に対して、非常に重要な問題点ですから、この見通しをぴしっぴしっとそれだけを、いろいろな意見は要りませんから、尋ねたことをお答えください。
#101
○森山(信)政府委員 まず八〇年代の価格の動きと需給関係でございますが、八〇年につきましては先ほど大臣からお答えしたとおりでございます。
 それから八〇年代通しましての需給関係は、八五年に一日当たり大体百二十万バレル減るんではないか、ショートするんではないか、需給関係がマイナスに転ずるんではないか、こういう見通しがございます。それから、一九九〇年には六百二十万バレルほどショートする、こういう見通しがございます。さらにもう一つ不安な要因といたしましては、現在輸出国でございますソ連、東欧圏が、現在は一日当たり百万バレルほど輸出いたしておりますけれども、これが八五年までの間に輸入国に転ずるのではないか、こういう見通しがございます。したがいましてソ連、東欧圏が輸入国になりますと、さらにそのショートの幅がふえてくる、こういう危険性がございますので、一九八〇年代を見通しました需給関係は、原油に関する限りは大変タイトに推移するのではなかろうか、こういう見通しを持っております。
 それから価格につきましては、いま申し上げましたような需給関係でございますから、どうしても将来強含みという問題が出てくるだろうと思いますけれども、そこに一つの価格抑制メカニズムが働くのではないか。その一つは代替エネルギーの開発だと思います。それからもう一つは、産油国に対する経済協力等の関係がございまして、やはり産油国も国際的なインフレに悩まされますと困るという観点もございますから、この二つが価格の野放しの上昇をある程度抑制する効果として働くのではないか、こういう見通しを持っております。
 それからOPECの統一価格の見通しにつきましては、私どもは的確に把握することはまだ困難だと思っておりますけれども、私自身といたしますと、統一価格の問題はなかなかそう簡単にいくものでもあるまい、こういう気持ちを持っております。と申しますのは、サウジアラビアのいわゆるアラビアン・ライトとそれからイランのいわゆるイラニアン・ライト、これの値段の乖離が大変大きな状況にございます。先生御指摘になりましたように、スポット物はことしに入りましてから相当な下落を示しておりまして、先々週現在で大体三十五ドル五十セントぐらいまで落ち込んでおります。年末には四十一ドル七十五セントまで上がったんでございますけれども、いま申し上げましたようにスポット物は大変下がっておるという問題がございますから、スポットが下がるということはある程度統一価格に近づくというステップになろうかという判断はございますけれども、先ほど申し上げましたように、比較すべきアラビアン・ライトとイラニアン・ライトの格差が余りにも開き過ぎているという問題から見まして、そう短期間に統一価格ができるのはむずかしいんではないかな、若干個人的な見解になりますけれども、私はそういう気持ちを持っております。
 それからサウジの九百五十万バレルの生産体制がどうなるか、あるいはイランの生産水準がどうなるかという問題につきましては、諸説紛々でございまして、少なくとも第一・四半期はサウジアラビアは九百五十万バレルの生産を続けていくわけでございますけれども、その後段階的に八百五十万バレルまで生産を抑制する、こういう報道もございます。その辺は確認いたしておりませんが、ことしに関します限り、やや需給が緩和するという見通しもございますので、一部の国で減産が行われることはあり得るんではないかな、こういう感じがしております。
 それからグローバルに見ました場合に、ことしのOPECの生産見通しは大体三千万バレルを若干下回る、二千九百万バレル台に落ち込むんではないかというふうに見られておりますけれども、中長期に見ました場合に、一九八五年には大体三千三百万バレルぐらいになるんではないか、一割ぐらい増産が期待されるということでございますが、それがほぼ頭打ちの限界になるんではなかろうか。つまり産油国におきましてはなかなか新しい油田を発見できないというジレンマがございますが、現在のところ消費量よりも発見量の方がはるかに多いという問題もございますので、OPECの生産水準は大体五年先には現在の約一割アップ程度でとどまるんではなかろうかな、こういう見通しを持っております。
#102
○中村(重)委員 時間がありませんので、いろいろ私の方の党の政策を含めてお尋ねをしたかったのですが、改めて別の機会に譲ることにいたします。
 ただ、通産大臣、国のエネルギー政策というものは長期目標というものがはっきりしていないで、各省ばらばらだということです。縦割り行政で、そしてエネルギー見通しも通産省が立てるというだけ、こんなことではもう話にならない。しかも政府の見通しというものも目標ではなくて単なる見込みにすぎない。そして十五年程度の見込みということ。私は短期の政策というのか対策というものを否定はしない。否定はしないけれども、少なくとももっと長期の目標というものを立てたそういうものでなければ、大臣がさっき新エネルギーとかなんとかおっしゃったんだけれども、順調に行っていまあなたの方の供給計画から言えば六十五年に総エネルギーの五%でしょう。七十年になって七%にすぎないのだ。そんなことではこれはもう話にならないということです。ですからもっと精力的におやりになる必要がある。さらにいろいろ具体的に新エネルギーに対して数字を挙げて申し上げたいが、これは省略をいたします。
 ただ、大変重要な点としては大規模発電というものは四割程度の効率しかないということですよ。あとはすべて捨ててしまっているということ。高度のガスタービンを利用すると五割五分、そしてその残りのオイルというものはハウス栽培等に利用できるということもあるわけだから、つまり小規模化していく、地域に完全に組み合わせができて結びつくようなそういうエネルギーの開発計画をお立てになるということでなければならないということは申し上げます。
 それから、これはお答えをいただきたいんだけれども、日本は資源外交というものがさっぱりです。きょう園田特使が出発をするんでしょうが、これはそういう資源国、産油国だけを回るのではな
 い、その他広い範囲で回るんだ、こう言っている。それはそれでいいです。しかし、日本の大物というのか、そういう人たちが資源国、産油国を訪問するときは何か事が起こったときだけだ、そういうことであってはなりません。常時訪問する、相互訪問をする、そういうようなことでなければ産油国の理解と協力を得られるものではないということです。もっと資源外交というものを強力に推進をする。それから非産油開発途上国、ここはもう大変なのです、原油の値上がりによって。だからこれらの国に対しては、未利用の資源の開発、水力というものはあるわけだから、この開発に対して日本は本当に精力的に協力をしていくということでなければならないというように私は考えております。それらの点に対して通産大臣はどう今後対処していこうとされるのか、お聞かせください。
#103
○佐々木国務大臣 地域開発と熱源、エネルギー源とのコンビネーションを考えたらどうだという一番初めのお話でございますけれども、私どももそう考えております。たとえば、地熱はまさしくそれでございますし、ガスタービンはもちろん結構だと思います。あるいは多目的な高温ガス炉、これは原子力の一つの大きい形態ですけれども、これができますればいろんな地域開発に多目的に使えるわけですから、大変結構だと思いますし、そういう面に向かって私は進んでいくべきだと考えております。
 それから資源外交の点ですけれども、資源外交はお話のようにやはり二つの面が大きいのでありまして、一つは人的の面ですね、相手の首脳部とこちらの首脳部と申しますか、しょっちゅう交流があって、そして意思の疎通ができていくというのが、これは一番重要なことだと思います。二番目は、やはりお話のような経済の開発協力の問題で、これはどうしてもうらはらの問題として、それが伴っていって初めて資源外交というものが進んでいくのじゃないかと思います。私ども、そういう考えで今後とも進めたいと思って祈念しているところでございます。
#104
○塩川委員長 これにて中村重光君の質疑は終了しました。
 引き続いて、松浦利尚君。
#105
○松浦委員 きょうは、主として金の先物取引について限定をして、各政府委員、そして説明員の方々に御意見を承りたいと存じます。
 実は、昭和五十五年の二月一日に、質問第三号で、質問主意書を議長の手元を経由して内閣に提出をいたしておりましたが、五十五年の二月十二日に内閣総理大臣から衆議院議長を通じて私の手元に回答が寄せられました。この内容については、「質問事項について検討する必要があり、これに日時を必要とするため、」ということで、答弁をすることができる期限を四月二十六日ということにして、実は総理大臣から回答書が寄せられたわけです。ですから、質問主意書を通じての政府からの御意見が聞き取れませんでしたから、改めてきょう、この問題についての御答弁を通じて政府の考え方を明らかにしていただきたいと思うわけであります。
 御承知のように昭和四十八年に金の輸入が自由化をされ、五十三年に輸出が自由化されまして、金そのものが完全自由化体制に入っておるわけでありますが、これを契機としていうところの金のブラックマーケット、金を中心とした経済犯罪的な様相というのが非常にたくさん出てまいりまして、テレビ、新聞等を通じてこの犠牲者がどれほど大きな打撃を受けておるかということはすでに報道されておるところであります。われわれ社会党も、党の機関紙という限定された部分でありますけれども、金取引等についての国民に対するPR等も党として行ってきたところでありますが、きょう改めて具体的な問題等についてお答えをいただきたいと思うのであります。
 会議録等を調べてまいりますと、五十二年の何月でしたか、本院の物価問題特別委員会等におきまして、金ではありませんけれども、これに類した行為についての警察庁の取り締まり等についての御見解が示されておりますし、あるいは昨年の七月、本商工委員会の流通小委員会におきまして、中村委員等の質問に応じて政府の答弁が行われておるところであります。それにもかかわらず依然として犠牲者が後を絶ちません。限られた五十分ぐらいの時間の中でありますが、意見を含めずに事務的に質問させていただきまずから、端的にお答えをいただきたいと存じます。
 まず警察庁の佐野保安課長にお尋ねをいたしますが、悪質取引による被害状況、ブラックマーケット等に手を出したために被害を受けておるその内容についてどのように把握をしておるのか、まず保安課長の方からお答えをいただきたいと思います。
 同時に、その警察庁の答弁の後、通産省も、これはエネ庁の鉱業課の担当あるいは産業政策局の担当でありますから、把握をしておられれば通産の内容についてもお答えをいただきたいと思います。
#106
○佐野説明員 私どもの方もここ数年のうちの金の情勢をにらんでおりまして、特に昨年あたりからいろいろな苦情なり社会的な御批判というようなものも目につき出したところから、特に昨年来検挙活動を強化いたしております。具体的に申し上げますと、愛媛県あるいは広島、福岡、警視庁、四都県でこの種の取引に係る詐欺事件を検挙いたしあるいは現在捜査中であります。
 それからこれらの事件に関連して発見された被害者と申しますか、まだ捜査中でございますので確定的じゃございませんが、現在までの捜査では約二百七十人、それから被害額はおおむね四億三千五百万という数字を把握してございます。
 検挙された業者の手口は、いずれも最初から金の取引をさせるつもりはなく、保証金とか手付金の名目で現金の騙取を図るというようなもの、それから外国の公認の市場あるいは国内の公正な市場で取引される相場で取引を行いますということを言っておりながら、しかし実際には取引は行っておらずに、客に損をさせるような価格をつくって、しかも取引が行われたように装っておったというふうな手口が見られるという状況でございます。
#107
○神谷政府委員 通産省の方に相談あるいは照会も含め、寄せられました金に関連した消費者相談の件数は、昭和五十四年度十二月までの数字が集計されておりますが、二百九十九件でございます。ちなみに五十三年度は百二十三件。二百九十九件の内訳といたしましては、電話による照会が二百三十件、直接面接といいますか、出向いてこられた件数が六十三件というようなことでございまして、内容の中には、まだ具体的な被害までは至りませんが、新聞等で非常に問題になっておる、それを知らなくて取引を始めたが、何とか早く解約したい、あるいは自分もやっているが、心配になってきたので現状は一体どうなっているのかという案件から、先ほど警察当局からお話のございましたようなきわめて犯罪類似的なケースまで種々ございまして、それに応じて警察当局と御相談する、あるいは弁護士等を通じて努力する等の指導を行ってきております。
#108
○松浦委員 保安課長にお尋ねしますが、ブラックマーケットと言われておる詐欺行為まがいのことをするグループというのは、推定どれぐらいの組織があるというふうに判断しておられるのですか。
#109
○佐野説明員 いろいろ取りざたされておりますが、警察的に申し上げますと、具体的な詐欺の容疑というような関連で、いわば捜査対象になるものは別といたしまして、それ以外の潜在的なものについては立場上承知いたしておらないという状況でございます。
#110
○松浦委員 それじゃ通産省の神谷さん、理解しておられますか。
#111
○神谷政府委員 いわゆる関係者の間で市場と称せられるようなものにつきましても、この種のものでございますので、浮き沈みと申しますか、消えてなくなるようなものもございまして、正確な数字を把握することはきわめて困難でございますが、常時十程度、十幾つのグループが存在すると推定されます。
#112
○松浦委員 いま十幾つというふうに言われましたけれども、われわれが実質的に把握する範囲内では百二十系列ぐらい潜在的にあるのですね。いまはっきりしておることは、保安課長も、立場上ということもあるでしょうが、言えない。神谷審議官も正確な数字はわからない。結局わからないという状況の中で、現実には相当多くの国民が詐欺まがいのこういった行為によって被害を受けてきておる。いままではある意味では金持ち、お医者さんとかあるいは中小企業の金持ちとかという、特定の資金を豊富に持っておる人たちがその対象だったわけでありますが、昨年暮れあたりから退職公務員とかあるいは年金生活者、私のところでは盲目のあんまさん、小金をためておるそういうあんまさんがひっかかってきておる。ですから、国会でこういう問題を何遍議論をしても依然として後を絶たないという状況が、いまの答弁である意味では理解ができると私は思うのですね。なぜ国会でこれほど議論をしても被害者が後を絶たないかというのは、正確に把握するところがない、そこに最大の原因があると思う。わからないようにして行為が行われる。それをどうにかして、国会と政府が一体となって国民の被害を最小限度に食いとめるという努力をするのが私たちの努めであるし、政府の努めだと私は思うのですね。私は一生懸命やっておられる佐野保安課長にこういうことは言いたくないのですけれども、警察に言っても取り合ってくれない。こういうことがありますからぜひお願いしますよと言っても、経済犯罪であって内容的に非常にむずかしいために取り合ってくれないという、泣き寝入りしなければならぬ事態があるのですね。そういう申告が現にわが党にも来ているのです。そういう事実についてはどういうふうに理解されますか。
#113
○佐野説明員 具体的な事実として私どもよくは把握しておりませんが、一般的に申しますと、被害届の提出があった場合、あるいは告訴、告発というふうな形で御相談があります場合に、いま御指摘がありましたようなたらい回しとでも申しますか、親身になって御相談に応じ切れないという場面はあり得ないと思います。私ども承知しておる限りでは、いわゆる相談的な面での窓口の利用ということについてはある程度御相談は受けておりますが、それはあくまで御相談というふうな形でございますので、結果的には相手の方にそういった御不満の余地が残る場面もあろうかと思います。いずれにしましても私ども自身の立場で申し上げますと、訴訟上あるいは刑事訴訟法上の犯罪の容疑というふうな確度にどの程度高まっておるか、あるいは客観的な容疑というものがどの程度あるかということによりまして、警察の対応というものはある程度親疎の度合いがあるという点は御理解いただきたい、かように考えております。
#114
○松浦委員 保安課長、そこにおられていいですよ。
 現実にそういう申告がわれわれのところにあることは事実なんですよ、あなたは把握しておられないけれどもね。どうですかね、こういう問題についてはもっと積極的に、そういう申告があったら直ちに取り組むんだ。ただ起訴できるかどうか、そういうことだけに焦点を向けるのではなくて、現実にこれほど被害が出ておる以上は、取り締まり当局が、当面横領罪あるいは詐欺罪なら詐欺罪でもいいから、徹底的に捜査のメスを入れるという対応がなければ悪をはびこらす結果になると思うのですよ。いままでは別にして、これからの問題について課長どうですか、徹底的にやりますか。
#115
○佐野説明員 私ども内部的な事情を申し上げますと、昭和五十五年度におきまして私どもの方の「保安課関係業務の運営重点」というものを府県に示すわけでございますが、その運営重点の一つの中に、「各種商取引をめぐる悪質な不法事案の取締りの強化」ということを一項目加えてございます。それから全国会議あるいは管区レベルの会議がございますが、この種の会議に当たりましても、これは具体的な数を申し上げますと、五十四年以降五回ほど全国的な指示を府県には流しておる。ただその場合、先ほど申しましたようにあくまで私どもの活動の準拠いたしまするのが基本的には犯罪捜査という形になりますと、刑事訴訟法上の一つの基準というものがございますものですから、現場としてはそれに準拠して活動を行わざるを得ないという面はどうしても否めない事実だと思います。ただ、相談なり啓蒙啓発の問題につきましては、これはすでに通産省とも何回か打ち合わせをやっておるわけでございますが、犯罪にならない以前でのいろいろな行政施策、そういったものについては鋭意御相談申し上げながらさらに推進してまいる、そういう所存でございます。
#116
○松浦委員 貿易局長にお尋ねをしますが、花岡さん、この前公益法人に解散を命令されましたね、日本通商振興協会に。この解散を命ぜられた根拠、そしてその内容は何だったのですか。簡単に御説明ください。
#117
○花岡政府委員 お答えいたします。
 御指摘のございました日本通商振興協会につきましては、いわゆる金市場の運営を行っておるという情報がございましたために同協会に説明を求めまして、また当省職員の立ち入り検査等を行ったわけでございます。その結果わかりましたことは、この協会が中央貴金属市場なる名称のもとにいわゆる金に関する市場を開設、運営をしておりまして、この協会の会員はすべて金取引を業とする会社でございまして、協会の指導のもとに、協会の運営する中央貴金属市場において設定される金価格によりまして取引を行っておったということでございます。
    〔委員長退席、渡部(恒)委員長代理着席〕
 それで、この協会の定款で定められております目的及び事業は何かと申しますと、貿易の促進及びその貿易あっせんの業務というものであったわけでございますが、その定款所定の目的及び事業の範囲を全く逸脱しております。また協会は、公益法人という名称を用いまして、市場が公的に整備されておるというようなことを装いまして、信用度の高いという印象を顧客に与えるということで、著しく公益を害するおそれが大きいというふうに判断をいたしまして、昨年十一月に協会に対しまして解散の勧告を行った次第でございます。
#118
○松浦委員 この日本通商振興協会というのが、公益法人という形態をとりながらブラックマーケットまがいのことをやっておった、それで通産省貿易局の方から解散を命ぜられた、こういうことなんですね。ですから、いまの金取引市場というもの、特に先物取引市場というものが現実に国民の生活に重大な影響を与えておるということは、この解散を命令した内容一つとってみても明らかだと思うのですね。
 そこで、私は法務省の方にお尋ねをいたしますが、根來刑事課長が来ておられますけれども、警察の方は、実質的にはそういう横領罪あるいは詐欺罪、そういった一つの詐欺罪等の問題が明らかであるものについては取り締まりの対象にしていく、そうすると今度は、たまたまいま貿易局長が日本通商振興協会なるものの実態を把握をされて解散を命令された、命令されてその後どうなっておるかは後でちょっと貿易局長からお聞かせいただければいいと思うのですけれども、こういった詐欺まがいの行為をする、特に先物取引をするようなものについて、現在の法体系の中では取り締まる法律が一体ないのでしょうか、全く野放しなんでしょうか、その点ひとつお聞かせください。
#119
○根來説明員 ただいまお尋ねの点でございますけれども、抽象的に考えますと、刑法の詐欺罪とか横領罪とか、あるいは場合によっては背任罪の成立は考えられると思います。
#120
○松浦委員 それ以外には、そういう団体に対して何らかの形で取り締まる法律というのはないのですか。法務省の方は把握しておられませんか。全然ありませんか。
#121
○根來説明員 お尋ねでございますので、思いつくままに申し上げましたけれども、事実関係によってはあるいは特別法の罰則にかかる場合もあると思います。
#122
○松浦委員 後でもう一遍質問いたしますが、通産省の神谷審議官にお尋ねいたします。
 実は私の質問主意書も商取法八条の関係で取り締まれるんではないか、こういう質問を実は提起しておるのです。調べてみますと、これは図書館にたった一冊しかなかった本ですけれども、元通産省の局長の倉八さん、この人が、第八回国会でこの商取法という法律が通ったとき、その法案をつくったときの内容等が具体的にここに書かれておりますね。それからまた、質問主意書でも申し上げておきましたが、もうやめられました高辻法制局長官、この方が実は法務府の法制意見第一局長であったときに、政府の質問に対して回答を寄せておられます。その内容を見ますと、簡単に言うと、商取法に規定されておる以外の品目について、市場を開設して先物取引をやるものは全部違法である、そういう解釈にこれはなっておるのです。ですから、こういうブラックマーケット等の先物取引、特に差金、利益を目的とするようなものについては、この第八条で本来ならば取り締まれるような回答がいままで出てきておるのです。
 ところが、先ほどから取り締まり当局の歯切れも非常に悪いのですけれども、この商取法八条の関係については、現在通産省の方はどういう考え方に立っておられるのでしょうか。
#123
○神谷政府委員 まず、商取法の八条と現在ブラックマーケットと言われております金の、延べ取引と称しておりますけれども、これとの関連について申し上げますと、御承知のように商取法では先物取引の定義といたしまして、「将来の一定の時期において、当該売買の目的物となっている商品及びその対価を現に授受するように制約される取引」であることが第一。「当該商品の転売又は買戻」をするというのが第二。第三といたしまして、「差金の授受によって決済をすることができる」というような取引を先物取引と定義づけておるわけでございますが、この種の延べ取引を行います業者はいろいろこの辺を研究をいたしまして、現実に転売、買い戻し等は行わないという契約になっておりますし、差金決済を行わないといったような形の契約方式をとっておるわけでございまして、契約が、原則として種々の形態のものが自由に結び得る形になっておる状況のもとにおいては、むしろこれらの取引の実態といったものを、十分一般の方々に認識していただくということが必要であろうと考えております。現時点では商取法によってこれらの取引を規制することは困難であろうというふうに考えております。
#124
○松浦委員 そうすると、この法案をつくったときの倉八さんの発想、それから当時の高辻法務府法制意見第一局長ですか、この意見というのも、現行としてはなかなかむずかしいというお話ですね。そうすると、さっき言われたそういうブラックマーケット的なものについては、もう詐欺罪とかあるいは場合によっては横領罪、そういうもの以外では取り締まれない、それ以外にないのだ、現行法体系のもとでは結果的にそういうことになってしまうわけですね。
 法務省の根來刑事課長、何にもない、どうすればいいですか。
#125
○根來説明員 お尋ねでございますのでお答えいたしますが、ただいま通産省の方からお話があったような事実関係を前提といたしました場合には、特別法の適用もむずかしいという御回答でございます。
 それで、先生のおっしゃるような事案につきましては、実質はやはり詐欺とか横領とか、あるいは場合によっては背任という場合もあり得ると思うわけでございますが、そういう犯罪としてとらえていけば、おっしゃるような事案については取り締まり目的は達し得るのではないか、こういうふうに思うわけでございます。
#126
○松浦委員 そうすると、警察庁の佐野保安課長、これはやはり、国民の方からお願いするのもおかしいんだけれども、結局、事前に詐欺とか横領を、申告があったときには直ちに対応して、まず未然に防止することが一番いい。率直に言ってそういうものに対しては警察が厳しく取り締まるのだ、直ちに対応するのだという以外にもう取り締まる根拠はないんですね、いま法律も何もないんですから。そういう点についてもう一回答えてください、国民が聞いていると思って。
#127
○佐野説明員 たびたび繰り返すようで恐縮でございますが、犯罪捜査をやる場合には、特にごく基本的な、刑法に規定されておりますような、自然法に触れるというふうな行為につきましては、私どもは、犯罪の容疑が客観的にあるいは合理的に見受けられる場合に捜査を進めるという立場、これは基本的にはどうしても動かせないものがございます。したがって、あと残る問題といたしましては、その容疑をどう発見するかという努力の問題につきましては、先ほどから申し上げましたように、昨年以来私どもも関係都道府県に対しまして、その事件の捜査というものについては五回ほど指示いたしておるわけでございます。ただ問題は、事柄の性格上、金の取引あるいはそういった投機的な取引というものが、一般的には詐欺罪になじまない性格を持っておるという基本的な問題が一つあるのじゃないかという気がいたしております。確かに、卵のからを割ってから非常に腐っておったというふうなことがわかる。わかりますと、結果論では、これは当然詐欺としてやるべきであったのではないかという議論が出ることは十分わかりますが、ただ警察の立場、公権力を行使する段階では、そのからを突き破る要因性というふうなものをどう客観的、合理的にわが方で把握できるかという、ここのところが一番むずかしゅうございますので、そういったものについての指導、教養というものは、これは当然私どもプロといたしまして、各都道府県に対して十分指導、激励をいたす予定でございます。
#128
○松浦委員 もう一遍佐野さん、申告してもむずかしいからかかわり合ってくれない、こう言うんですね。そういう声が少なくとも出ないように都道府県をもっと督励して、そういう申告があったときには直ちに根っこまで調べてみろというぐらいの指導はちゃんとしていただきたいと思うのです。
#129
○佐野説明員 そのような御指摘があったことを十分念頭に置きまして、府県の督励に当たりたいと思います。
#130
○松浦委員 それでは今度は通産当局に、神谷さんにお尋ねをいたしますけれども、通産当局としては実際は法律担当、もし法律があるとすれば通産だと思いますし、金そのものはエネ庁という、やはり通産の扱う品目なんですね。ですからいま神谷さんは、どうも商取法の八条でもなじまないということになれば、通産当局としては、これほど国民の間から批判が出ておるのですから、何らかの形でこれに対応する制度なり仕組みというのをお考えになっておったと思うのです。しかも日本の場合は四十八年から五十三年、輸入自由化までの間に、金が自由化されてその流通機構が全く整備されておらない。そのためにブラックマーケットがつけ入るという一つの原因をつくり出しておるわけです。私は通産当局が少し怠慢だった、言葉は悪いけれども、そういう責めは負わざるを得ないと思うのです。
 それじゃ通産当局はこれに対してどういう対応をしようと考えておられるのか、その点を簡単にお聞かせいただきたいと思うのです。
#131
○神谷政府委員 御指摘のとおり従来からあった問題でございまして、これに対してはわれわれの方もさらに本腰を入れて取り組んでいかなければならないと考えております。
 まず、一般的に申し上げまして、今日のような取引あるいはそれにかかわる被害が横行しております第一の原因といたしましては、一般の方々の金に対する関心が強い、それと比較いたしまして金の取引に関する知識が必ずしも十分ではない、あるいは複雑な取引一般に関して十分慎重な態度で臨んでいないということもこれにつけ加わるのかもしれません。したがいまして、まず第一点といたしましては、国民に対するじみちな啓蒙普及、PR活動というものを行いながら、警察当局等とも御協力をしながら被害の防止に努めるということが第一であろうというふうに考えております。このために、従来から種々の方法で消費者行政の一環としてこれらを行ってきておりますが、さらに最近におきましては、エネルギー庁等とも協力をいたしながら、金に関心を有する人々と接触する機会の多い銀行、証券会社等の諸機関あるいは農業協同組合、さらには金地金の販売店等の関係者に対して、悪質な被害防止のための説明会を開催いたしまして注意を喚起する、あるいは協力の依頼を行ってきたところでございまして、これらのPR、啓蒙普及に関しましては、さらにこれを拡充強化してまいりたいと考えております。
 第二は、何と申しましても、先ほど申し上げましたように金に対する関心が強くなっておるのに十分の対応ができないようなことになっておる。その第一といたしましては、世界の金取引の現状あるいは大宗というものは現物取引でございまして、日本のような先物取引というのは、金の取引といたしましては一部の国を除いては必ずしも主流でございません。したがいまして、やはり信頼できる店で金の現物の売買ができるような形の流通機構の整備が必要であろう。これにつきましては、エネルギー庁が中心になりまして社団法人の日本金地金流通協会等を設立いたしまして、これらの現物流通市場の整備に努めておるわけでございまして、金に関心のある方々は、これらで安全、しかも信頼の置ける店とのお取引等を通じて、その関心あるいは欲するところを満たしていただくように努力をしてまいりたいと考えております。
#132
○松浦委員 大体年間どれくらいの金が流通しておって、そして個人が退蔵しておる金がどれくらいなのか、その点をひとつ明らかにしておいてくれませんか、推定になると思うのですが。
#133
○山梨説明員 お答え申し上げます。
 わが国の金地金の需給動向でございますが、先ほど先生からお話がございましたように、四十八年の輸入の自由化以降若干増加ぎみの傾向を示しておりましたものが、五十三年の四月に完全自由化という背景を経まして、五十三年度は、前年度需要トータル約百二十トンに対しまして百七十トン弱にまで増加しているわけでございます。
 このうちの需要内訳を簡単に申し上げますと、歯科・医療用とか電子機器メッキだとかいうようなものは固定的に、トータルで大体三十五トンないし四十トンという需要、これは若干五十三年度も増加しておりますけれども、そう急激に増加するという背景にはないわけでございます。その次に装身具類というのがございますのですが、これが五十二年度まで大体四十トンから五十トンというところで推移したものが、大体六十トンにまで増加しております。それからその次がいわゆる私的保有用と申しますか、というのが五十二年に十七トン程度のものであった。これは従来のピークは五十年度の二十トンが最高であったわけでございますが、これが五十三年度には三十トンまで増加しております。五十四年度の上期の数字では、これが十六トン、若干微増しているというような数字が一応出ております。
#134
○松浦委員 いまお話がありましたように、金そのものはそんなにたくさん流通するものではないのですね。絶対量が少ないわけでしょう。ですから、私自身は、個人が金を投機に使うとかあるいは財産として保有するとかいうことについては余り奨励されたことではありませんけれども、現実に金地金の取引が現行制度のもとで行われておるという現実は否定できないわけです。いま法律がない条件の中で、大前提として延べ取引ということは現実的には認めておらぬわけですが、直接現物取引としてそれを正常化するために、社団法人日本金地金流通協会というのを設立したということの御報告がありましたけれども、これは率直に言って、加盟するしないは自由なんですね。加盟しなくてもいいのですね。それが一つ。そして、この中のメリットというのは、これはお話をいろいろお聞きをしてみますと、金販売業者の登録をするというところに一つの大きなメリットを求めておられるようですけれども、ところがこの登録をしない業者というのが、これまたこれで何も強制力を持たない私的な社団法人でありますから、結局金地金の流通を正常化しようという努力はされても、別なルートというのが必ず出てくるのですね。そういう問題点があると思うのですが、そういう問題については通産省はどういうふうに理解しておりますか。
#135
○山梨説明員 ただいま先生からお話のございました社団法人日本金地金流通協会でございますが、実は発足が先ほどお話ありましたように昨年十二月の末でございまして、まだ一カ月半程度経過したにすぎませんのですが、現在、登録して下さいという申請に基づきまして審査を終了しまして、いま現在登録店とすべく手続を進めているものがすでに十七店舗ございます。そのほか登録の手続等に関しまして問い合わせがございますものが現在約六十店舗ございます。その他電話でもって問い合わせのあるものが現在若干あるわけでございますが、実は私ども、このせっかくつくった協会でございますが、この協会を健全に育てていきたいということを通じまして、悪徳業者が自動的になくなっていくことを期待しているわけでございます。
 先生おっしゃいますように、では登録していない業者の商行為についてはどうなのかということについてでございますが、まさに先生御指摘のございますように、この協会の指導というものはこういう業者には直接及ばないことはおっしゃるとおりでございます。ただ、当協会といたしましては、一般の消費者に対しまして健全な金地金の取引のあり方を広く啓蒙していくということを通じ、また、登録業者以外の業者と一般消費者との間における金地金取引に関しましても、いろいろトラブルが生じないように指導することによりまして、なるべくなら健全な業者はこの協会に登録していただくようにお願いしていくというふうに指導していきたいと考えている次第でございます。
#136
○松浦委員 優良な業者はいいわけですよ。いま現金決済で現物を取引しておる優良な業者というのはまじめな人たちですから、その人まで一緒くたにするつもりはありませんが、問題は、この協会に加盟しておらなくてもそういう行為ができるということは、やはりブラックマーケットをつくり出す素地というのは、現実に法律規制がないわけだから依然として残るわけです。
 そこで、これは通産当局に、せっかくできたのですからこれで一生懸命努力してもらいたいということを前提にして、これを否定するつもりはありません。これでもないよりもいいのですから、一歩前進だというふうに受けとめさせていただくとして、ある意味では金というのは流通そのものが絶対量が非常に少ないという、他のものとは違った性格のものなんです。ですから、こういうものを扱う業者は登録業法等をつくって登録を義務づける、そういう体制をとらなければ、私はこれでも対応できないんじゃないかという気がしてならないのです。ですから、私は将来の問題としてお尋ねをするのですが、法律がないとすれば、われわれ国会議員として議員立法をつくってでも法の網をかぶせていかなければならない。しかし、法の網をかぶせる前に、せっかく昨年の暮れにりっぱな業界の人たちを呼んでこういう協会をつくったんだそうですから、そういうことになればこれを殺すわけにいきませんから、将来の方向としては、これは登録が目玉になっておるわけですから、そういう登録を義務づけるという意味で、やはり登録業法的なものをつくって、金の取引をしようとする者はすべて登録を義務づけるということぐらいはやるべきだ。宅建業界でもそうだし、あらゆる業界においてこういう不正が伴うものについては登録制というのが現にあるわけですから、金の流通においても金を扱う者は登録をする、義務づける、そういった登録業法的なものはお考えになるお気持ちはありませんか。
    〔渡部(恒)委員長代理退席、委員長着席〕
#137
○森山(信)政府委員 先ほど来松浦先生と関係課長との御質疑の状況を私も拝聴いたしまして、大変大事な問題だという認識を深めた次第でございます。
 御指摘の点につきましては、私どもの考え方は、先ほど来担当課長から御答弁申し上げましたように、金の自由化が行われまして、まず歴史が大変浅いということもございまして、国民の需要家の方々が知識が若干御不足になっておられるという点もございます。そういう点につきましての強化をするという意味で社団法人を設立いたしまして、そういうものを媒体にいたしまして健全な取引業者の方を育てていく、と同時に、国民の皆様方の金に関します知識を十分啓蒙してまいりたい、こういうことでやらしていただいておるわけでございますが、当面そういう方向で流通の正常化を期待したいと思っております。しかしながら、御指摘のように、そういう状態でいわゆるブラックマーケットが撲滅できないという問題が起こりますれば、これは放置できる問題じゃございませんので、その段階におきまして新しい対策を考えていかなくちゃならぬだろう、こういうふうに考えておる次第でございます。その段階におきまして、ただいま松浦先生から御指摘のございました点を十分踏まえまして対策を講じてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#138
○松浦委員 先ほど中村委員からも指摘がありましたように、油問題あるいは公共料金の引き上げ、円安、こういった状況から見てインフレ要因というのが非常に多い。公定歩合を一%きのう急遽引き上げましたけれども、要するに国民がわが国の経済政策を信用しない、インフレに対して非常に不安感を持つということになれば、こういう金の流通が整備されればされていくほど金に対して財産的な価値を求める、そういう国民の動きというのは過熱をしてくると思うのです。しかも、金というのは流通する絶対量が非常に少ない。そうなってくれば、逆に言うと国際通貨と密接に関連をしてきて、わが国の金に対する対応、金に対する政策というのは非常に重要な意味を持ってくると思うのです。わが国で過熱をすればするほど国際金価格というのは引き上がっていくわけです、絶対量が少ないところにわが国の全価格がどんどん上がっていくということになれば。ですから、そういう意味では、こういう金地金流通協会というのをつくって流通の正常化を図っていく、警察当局も厳しく取り締まりをする、そういう対応の仕方をこれからしていくわけですけれども、それと同時に、一般大衆に対しては、こういう金に対する投機過熱については、ある意味ではブレーキをかけていく。もうけも非常に多いけれども損も非常に大きくなるわけですから、そういったものに対しては徹底的に国民にPRをする、指導をする、そういった対応がこれから大変必要なことになると私は思うのです。ですから、そういう問題について政府の具体的なあるいは総合的な金対策、そういうものも含めてどうなさるかということを最後にお尋ねいたしまして、時間が来ましたから私の質問を終わらせていただきたいと思います。
#139
○神谷政府委員 まさに御指摘のような観点から今後この問題を取り扱っていかなければならないと考えております。関係するところも非常に多いわけでございまして、物資原局としての資源エネルギー庁、それから、やはり犯罪的な要素あるいはそれに関連したようなものも非常に多いと思いますので、警察当局等と密接な連絡をとりながら、私どもの相談の窓口でも親身になってご相談に応じながら、さらに徹底的にPRをいたしまして、本来そう甘いことばかりないんだという事実を一般の方に十分認識していただくような努力を基本として続けてまいりたいと考えております。
#140
○松浦委員 最後に、あと二分残りましたから、これは委員長にお願いをいたします。
 実は、調べてみますと、本商工委員会でも物特委員会でも、金の問題は相当長い間議論されてきておるのです。冒頭申し上げたとおりなんです。にもかかわらず進展がなくて犠牲者が非常に多いのです。いまそれぞれの政府委員から御説明がありましたから、当面はそのことに期待をいたします。しかし、それでもなおかつ解決をしないときは、流通小委員会等におきまして議員立法的な立場であるいは超党派の立場でこれにどう対応するのか、そういう問題についてもぜひ委員長の御配慮をいただけますように、最後にお願いをして終わりたいと思います。
#141
○塩川委員長 心得てまいります。
#142
○松浦委員 どうもありがとうございました。
#143
○塩川委員長 これにて松浦利尚君の質疑は終わりました。
 引き続いて長田武士君。
#144
○長田委員 初めに電気料金改正問題についてお尋ねをいたします。
 東北、東京電力など八社は、一月二十三日、通産大臣に対しまして、八社平均六四・四二%という電気供給規程の改正を申請いたしました。
 そこで、まず最初にお尋ねいたしたい点は、従来ならば供給規程改正の原価の算定期間は原則として三年になっております。今回、八社の申請は、この算定期間を五十五年一カ年といたしておるわけであります。これは石油価格の見通しが非常に立てにくいという理由があるでしょう。あるいは算定期間を一年以上にした場合、今回の申請のいわゆる倍率が上がる、そういう理由があるかと思いますけれども、その理由について具体的に御説明をいただきたいと思います。
#145
○森山(信)政府委員 御指摘のとおり、八電力が原価計算期間を一年間といたしまして申請を行ってまいったわけでございます。その理由といたしましては、いま長田先生から御指摘のございましたように、燃料費をどう見るかということについて大変不透明さがあるわけでございます。原則論から申し上げますと、先ほど先生が御指摘になりましたように、原価計算期間は原則として三年間が妥当である、こういう一種の基準的なものがございますけれども、いま申し上げましたとおり、今後燃料費の上昇がどの程度になっていくかについて大変な見通しの困難さということから、一年間の原価計算にしぼって申請をしてまいったものというふうに私どもは理解をいたしております。
#146
○長田委員 電気事業は、本来電力料金を長期にわたって安定化するということが私はその使命だと思うのです。原価の算定期間を五十五年の一カ年としているということは、来年度においても再び値上げが実施されるのではないかという危惧も実は持っているわけでありますが、この点どうですか。
#147
○森山(信)政府委員 たてまえ論から申し上げますと、原価計算期間と電気料金とは必ずしもリンクしてないわけでございまして、私どもが今回申請を受けまして査定をします際の、一応の原価計算期間として一年間をとるということでございます。したがいまして一年たちましたら、つまり昭和五十六年の三月末に自動的に次の料金申請があるというふうには考えていないわけでございまして、先生も先ほどお述べになりましたとおり、こういった公共料金というものは、できるだけ長い期間据え置かれるのが望ましいという基本姿勢は持っておる次第でございます。
#148
○長田委員 次に申請内容についてお尋ねしたいと思います。
 今回の値上げの最大の理由は燃料費の高騰であり、その結果、原価に占める燃料費のウエートが大変高くなっておるわけであります。したがいまして、この燃料費をどのようにするかによって、全体の値上げ幅が大きくもなりあるいは小さくもなるわけであります。
 そこで、東京電力の申請を例にとってまいりますと、原油のFOB価格については、わが国の全輸入原油の産油国公式価格を一バレル当たり二十九ドルと踏んでおるわけであります。このほか、東京電力が厳しい環境規制に対応するために、わが国全体で輸入しておる原重油より良質なミナス原油を初め、南方原油に依存をしておることについての割り高分、それに産油国へのプレミアム、スポット原油による割り高分を加算いたしまして、燃料価格平均、FOB価格を一バレル当たり三十四・七ドルとして計算をし、その上、日本着価格のCIF価格を一バレル当たり三七・一ドルとしておるわけであります。これに原油関税、石油税、さらには発電所に到着するまでの諸経費等を加えますと、発電所着価格を重油換算で一キロリットル当たり平均六万七千円と計算をいたしております。これを一バレル当たりに換算をいたしますと何と四十四ドル七十セント、これについて為替レートは一ドル二百四十円と換算したわけでありますが、この点について通産省は妥当な数字であると考えておるかどうか。
#149
○森山(信)政府委員 御指摘のとおり、今回の電気料金の値上げ申請に至りました最大の要因は燃料費のアップにあるわけでございまして、値上げの寄与率は八二%というふうに私どもは理解をしているわけでございます。そこで、燃料費の見方が最も大きな査定上のファクターになってくるわけでございますので、私どもは大変慎重な姿勢で査定に臨みたいと考えております。
 私ども、たびたび本院で御答弁申し上げております数字は、まず原油の基準価格を幾らに見るかということでございまして、オールジャパンの全油種を平均いたしました原油価格は、三十ドルをある程度上回ったところで推移するのではないか、私どもはこういう基本的な考え方を持っておるわけでございます。
 そこで、先ほど長田先生からお示しになりました東京電力の場合の燃料費、特に原油代の乖離の問題が出てまいりますので、どういう点が違っておるかと申しますと、御指摘になりましたように、東京電力の場合、一つはローサルファ原油、生だき用の原油を主として南方から買ってきておる、その分のコストアップ要因があろうかと思います。それから、いわゆるインランドチャージと称するものがありまして、石油税、関税、その他の諸経費あるいは輸送費等もありますけれども、そういうものも幾らかあろうかと思います。そこで、発電所の、いわゆる消費地着の価格が御指摘のとおり四十四ドルということでございますので、私どもがかねがね申し上げております三十ドルをある程度上回る数字との差というものは、そういうところにあるというふうに御理解をいただきたいと思うわけでございます。
 ただ、東京電力の場合、基準になりますオールジャパンの原油の価格が、ことし一年間に五%程度上昇するのではないかということを見込んでこの申請を行ったわけでございます。この五%ことしじゅうにアップするであろうという想定が果たして妥当であるかどうかは、これは大変議論の分かれるところでございまして、私どもはことしはそう大きな値上げはないのではなかろうかという気持ちを持っておりますが、そこが東京電力の見方と私どもの見方が若干食い違っておるという点でございます。
#150
○長田委員 それでは五十五年一月、わが国における全輸入原油価格はどのくらいになっておりますか。
#151
○森山(信)政府委員 五十五年一月の数字は、オールジャパン全油種平均いたしまして約三十ドルというふうに私どもは理解をいたしております。
 ただ、先ほども申し上げました三十ドルをある程度上回る数字と申しますのは、先生御承知のとおり一月になりまして産油国の相当な国々が値上げをいたしましたし、二月に入りましてイラン及びインドネシアがそれぞれ値上げをしたわけでございますので、その分を考えますと今後通関されるであろう原油の代金が三十ドルをある程度上回るところで推移する、こういうような考え方を持っておる次第でございます。
#152
○長田委員 長官、日本貿易月表を見ますとバレル当たり二十九・二ドル、こう出ているんですよ。あなたは、三十ドルを超えているなんて言いますけれども、超えていませんよ。
#153
○森山(信)政府委員 実はその辺が一番大きな問題でございまして、と申しますのは、通関統計に出てまいった数字と実際に支払った数字に乖離があるわけでございます。と申しますのは、十一月以降におきまして産油国が値上げをいたしまして、これがさかのぼって値上げをしたわけでございます。本来でございますと通関統計に出てきます数字は輸入の契約のときの数字が出てくるわけでございますが、輸入をいたしました後に、さかのぼって原油代金の値上げ分を別途の形で送金しなくちゃならぬ、こういう問題があるわけでございます。これを通関統計、いわゆる貿易取引で送金をいたしますと通関に計上されるわけでございますが、さかのぼって支払わなくちゃならぬ値上げ分につきましては貿易外の送金を行っておりますので、通関上は数字が出てこないということでございますので、いま先生のお示しの通関統計上の数字と実際に支払いました数字には若干の差がある。つまりその若干の差と申しますのは、さかのぼって値上げした分を後から別途送金した分が加算されている、こういうことでございます。
#154
○長田委員 それでは具体的に話を進めたいと思います。
 東京電力の申請内容の燃料費単価を一バレル当たりドル換算してみますと、重油が四十五ドル九十セント、原油が四十四ドル九十セント、ナフサが五十ドル九十セントというふうになっているのです。為替レートは申請のとおり一ドル二百四十円で計算をしたわけであります。
 そこでお伺いしたいのでありますけれども、東京電力は原油FOB価格をどの程度と見込んで今回の申請を出されたのか。
#155
○森山(信)政府委員 原油のFOB価格につきましては、キロリットル当たり五万五千八百円、これはバレル当たりのドルに換算いたしますと三十七ドルという数字になっております。
#156
○長田委員 資料によりますと、いま長官が言った数字はちょっと違うんですよ。重油が六万九千二百五十五円、原油が六万七千七百三十五円、ナフサが七万六千七百十三円、LNGが七万二千三百三十円。違いませんか。
#157
○森山(信)政府委員 私が先ほどお答えいたしました数字は原油の価格でございまして、おっしゃるように原油の消費価格、これは発電所到着ベースの価格でございますが、キロリットル六万七千七百三十五円、そのうちのFOB分が五万五千八百円、バレル当たり三十七ドルという数字になっておるわけでございます。この理由は、先ほど言いましたように原油の中には生だき用の原油がかなり入っておるわけでございまして、この生だき用の原油は、先生御承知のとおりミナス原油を中心にいたしますいわゆる南方系の原油でございまして、相当なローサルファということでございますので、普通の原油に比べますとバレル当たり三ドルくらい値段が高いというのが相場でございますので、三十七ドルにはそういった経費が入っておる。それからまた、先ほどお答えいたしましたとおり、ことし一年間に約五%全体として値上がりするのではないかというのが東京電力の見込みでございまして、そういったローサルファ分のいわゆる油種メリットの分と、五%値上がりするのではないか、この両方の見積もりから三十七ドルというものを申請をしたものと私どもは理解をしておるわけでございます。
 なお、重油価格、LNG価格は御指摘のとおりでございます。
#158
○長田委員 原油のFOB価格一バレル当たり三十七ドル、それから燃料価格平均、これはFOB価格で一バレル当たり三十四ドル七十セントと見込んでいるというような、東京電力からいろいろ報告が入りました。東京電力は良質なミナス原油を初め南方原油を使っておるということで割高となるのだ、こういう御答弁でありますけれども、五十五年一月の外航運賃と保険料を含んだ実勢価格、CIFでありますけれども二十九・二ドルです。それに比較しましてこの三十七ドルというのは、五%を加えたとしても余りにも高い、そう思いませんか。
#159
○森山(信)政府委員 この三十七ドルという数字をオールジャパンの油種平均価格に逆算し直しますと、大体三十四ドルから三十四・五ドルくらいに相、当するのではないかと思うわけでございます。と申しますのは、先ほど来申し上げておりますように、低硫黄分のメリットを入れておるものでございますからこの数字になりますので、いま長田先生が比較の時点としてお示しになりました数字と同じ油種に換算いたしますと三十四ドルないし三十四・五ドル、こういう数字になるわけでございます。したがって、そこにある程度の差があるではないかという御指摘につきましては、先ほど来御答弁申し上げましたとおり、東京電力ではことし一年間に五%の値上がりがある、こういう見込みを立てまして申請をしておるというのが実情でございまして、その考え方につきましては私どもとは若干差がある、こういうことでございます。
#160
○長田委員 私は、現在のOPECの動向も非常につかみにくい、先行き見通しが非常に立てにくい状況ですね。したがって、通産大臣初め総理大臣も原価主義ということを徹底してやっていきたい、こういうことを明言しているのですから、五%の値上げを見込んだとか、そういう不透明な部分を公共料金の原価計算に繰り入れるということは一体どうなんでしょうか。
#161
○森山(信)政府委員 まずOPECの価格の決め方についてお答え申し上げたいと存じます。
 先生御承知のとおり、従来はOPECが年に一回総会を開きまして値上げをするかしないか決めるということでございまして、そういう価格の決め方が一昨年までは続いたわけでございますが、昨年になりましてその価格を決めるやり方がだんだんと変わってまいりました。昨年は御承知のとおり四回に分けて値上げをしたわけでございます。それから昨年暮れのカラカスでのOPEC総会では、ついに統一価格の制度を放棄いたしまして各産油国の市場の原理に任せるという、いわば野放しの価格が実現したわけでございまして、現在はそういう状態が続いておるわけでございます。
 そこで、電力会社といたしますれば、今後の価格値上げの仕組みが一昨年までのような状態で、年に一回上がっていくというやり方になるのかどうかという点につきましてはなはだ疑問に思ったのではなかろうかということでございまして、過去の趨勢から見まして五%ないし一〇%は上がるもの、こういうふうな考え方のもとに値上げ申請に踏み切ったのではないかと思うわけでございます。しかしながら、何度もお答え申し上げましたとおり、私どもはいまのOPECの価格形成の仕組みが、ことしは統一的に五%ないし一〇%上がる、こういうような仕組みにはならないのではないかという考え方を持っております。ある意味での野放し状態がある程度続いていくのかなという気持ちは持っておりますが、ただ、ことしに関して申し上げますと、世界的に大変需給が緩みがちでございますので、そういった意味から去年のように大幅な値上げはないのではなかろうかという気持ちを持っておりますので、三十ドルをある程度上回ったところで推移するのではないか、こういうことを考えておるわけでございますから、査定に当たりましては私どもの考え方のもとに査定を進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#162
○長田委員 そうなりますと、原油の価格の五%の見込みは査定の段階で削るという意味ですか。
#163
○森山(信)政府委員 現在、私ども査定の最中でございますが、先ほどからお答え申し上げましたとおり、私どもはことしは大幅な値上がりはないもの、若干の調整はあろうかと思いますけれども、調整と申しますのは、先生御承知のとおり現在のOPECの価格には、GSPと称しますいわゆる政府公式販売価格とスポット物と二つございます。GSPの方につきましては若干の変動が予想されますけれども、その反面、いわゆるスポット物につきましては軟化の兆しがございますから、そういうことのバランスで見ますと、ならしてみますと大した変化はない、こういう考え方を持っておりますので、それを基準にして査定をしていく、こういうことでございます。
#164
○長田委員 どうもはっきりしないね。要するに消費者は原油の値上がりを見越した、いわゆる値上げの先取りが含まれているのじゃないかというような疑問を抱いているのですよ。その点ははっきりしませんと、ますます電力料金値上げに対しては国民は疑問を持つと思いますよ。そういう見込みは削りますとはっきり言ってくださいよ。
#165
○森山(信)政府委員 現在は電力会社、ガス会社からのヒヤリングをやっている最中でございまして、私どもがここで査定方針を明確にお示しするわけにはまいりませんけれども、ただ、先ほど来私がお答え申し上げておりますことは相当はっきりしたことを言っておるつもりでございまして、私どもの算定基準になりますことは、ことしは大幅な、大幅といいますか、価格の変動はない、こういう考え方を持っておりますので、それで査定をするということは相当はっきりした態度を、私としてはちょっと言い過ぎるぐらいのことを申し上げているつもりでございますが、御賢察をいただきたいと思います。
#166
○長田委員 余り回りくどいことを言われるとわからなくなってしまうんだよ。ですから、その五%の見込みは削るというふうに理解をしておきます。
 次に、第二番目の問題といたしまして、産油国からわが国までの運賃、保険料、諸税、それから国内での諸経費などについてでありますけれども、五十三年度における実績を見てまいりますと、これらの諸経費は燃料価格平均一キロリットル当たり逆算しますと四千八百二十八円になります。今回の申請時に一キロリットル当たり一万四千六百二十三円となっておるわけであります。率にしてまいりますと三〇三%、何と一挙に三倍増に見込んでおるわけであります。確かに石油税の負担増やその他諸経費についての負担増もいたし方ないものと私は考えておるわけでありますけれども、それにしても見込み額が余りにも大き過ぎると言わざるを得ないわけであります。この点、通産省はどのように考えていらっしゃるか。
#167
○森山(信)政府委員 先ほどお答え申し上げました原油消費価格のうちの、その他経費と称しますものが約七ドル九十セント程度というふうに言われておるわけでございます。これはFOB分に対しますプラス要因でございますから、運賃、保険料等が含まれた数字でございまして、その明細につきましては現在ヒヤリングをしておる最中でございますので、いましばらく時間をいただきたいと存じます。
#168
○長田委員 長官、私も全部計算して持ってきたの。それによりますと、五十三年度の値上げのときにはFOB価格はバレル当たり十三・四ドル、そして消費単価が二万一千九百円なんです。五十五年の今回の申請によりますと、FOB価格はバレル当たり三十四ドル七十セント。そして消費単価は、キロリットル当たりでありますけれども六万七千円。これを逆算していきますと、いま申し上げました諸経費その他で何と三〇三%にもはね上がっておるのですよ。この点私ははっきりした方がいいんじゃないかと言っているのです。
#169
○森山(信)政府委員 たびたびお答えして恐縮でございますが、原油の消費価格が六万七千七百三十五円でございまして、FOB分が五万五千八百円でございます。したがいまして、その他の経費と申しますものが一万一千九百三十五円ということでございまして、ドルに換算いたしますと七ドル九十セントということでございます。その分につきましては保険料、運賃その他の経費、あるいはいわゆるインランドチャージと申しますものがこれにプラスされておるということでございまして、前回との比較につきましては、現在ヒヤリング中でございますので、私どもとしますとこの内訳を詳細に把握いたしかねておりますので、その積算の比較につきましては御勘弁をいただきたいと思う次第でございます。
#170
○長田委員 いずれも査定中ということではっきりしないのでありますけれども、それではひとつ実績面についてお尋ねしたいのでありますけれども、東京電力における発電所着の燃料費の単価は現在どの程度になっておりましょうか。
#171
○安田(佳)政府委員 現在におきます単価につきましては、ただいま手元に資料を持ち合わせておりません。
#172
○長田委員 回答がなくちゃ非常に困りますね。私は燃料別にぜひ調べてもらいたい、LNGが幾らとかナフサが幾らとか、重油、軽油、その種別によって。そして、こういう公共料金でありますところの電力、これに対して具体的な原価主義ということを総理大臣も言っておるわけでありますから、やはり原価というのは適正にやらなくちゃなりませんし、厳格にやらなくちゃいけない。そのもととなる資料を持ってないとか企業秘密であるということになりますと、なかなか国民が納得できるような審議ができないんじゃないでしょうか。長官、どうですか。
#173
○森山(信)政府委員 私が現在手元に持ってまいっておりますのは、いわゆる原油の値段につきましては持ってまいっておりますので、それをお答え申し上げたいと存じます。
 五十四年の一月が十三ドル八十四セントでございまして、これを円に換算いたしますと一万七千五十九円でございますが、十二月になりまして、原油の輸入CIF価格が二十五ドル三十六セントでございます。それで、円に換算いたしまして三万九千十三円ということでございますが、先ほどお答え申し上げましたとおり、この二十五ドルというのはあくまでも通関上の数字でございまして、貿易外で遡及した分につきましての送金を入れますと、プラス四ドルぐらいの計算になるということでございます。
 なお、御指摘の重油あるいはLNGにつきましては、ただいま手元に資料を持ってきていないので答弁できないわけでございますが、別にこれは企業秘密とかいうことで答弁してないわけではございませんので、後刻お手元にお届けをさしていただきたい、かように考える次第でございます。
#174
○長田委員 それではこの委員会に提出してくれますね。
#175
○森山(信)政府委員 先ほどお答えいたしました原油の輸入代金と同じレベルにおきまして、重油価格あるいはLNG価格についての資料を当委員会へ提出させていただきたいと存じます。
#176
○長田委員 それでは、去る二月一日に認可されました北海道電力についてお尋ねしたいと思っております。
 同電力の場合は、申請の段階では、燃料費の算定条件といたしまして、原油価格をFOB価格一バレル当たり二十四ドル、為替レートは一ドル二百二十五円としておったわけでありますが、これは実勢価格と比較して低いことから、査定の段階で増額されたわけであります。許可ベースでは、原油価格をCIF価格で一バレル当たり三十一ドル程度とし、為替レートは一ドル二百三十七円にしたと聞いておりますけれども、これは間違いありませんか。
#177
○森山(信)政府委員 私どもの理解では、申請ベースでは二十七ドルというふうに理解いたしておりまして、それが査定の段階におきまして、御指摘のとおり三十一ドル程度の査定をしたわけでございます。
#178
○長田委員 御答弁をいただきました数字をべースにいたしますと、北海道電力の発電所着原油価格はどの程度になっておりますか。
#179
○安田(佳)政府委員 おおむね五万九千円程度になります。
#180
○長田委員 五万九千円になりますか。私が試算しますと、発電所着の原油一キロリットル当たりおおむね五万五千円前後だと計算したのですが、間違いありませんか。
#181
○安田(佳)政府委員 大変失礼いたしました。五万九千円と申しましたのは重油の価格でございまして、原油の価格は、量は少のうございますが、先生御指摘のように五万五千円程度でございます。
#182
○長田委員 そこでお尋ねしております産油国からわが国までの運賃、保険料並びに諸税、それから国内での諸経費、そういうものを入れまして、その費用について五十三年度の実績と比較してみますと、五十三年度は原油一キロリットル当たり六千七百十五円、これに対しまして五十五年度の認可ベースでは原油一キロリットル当たり一万一千七百七十四円となっておるわけであります。すなわち五十三年度と比較しましても七五%増にとどまっておるわけであります。ところが、後追いという形で値上げを申請いたしました八社と比較をしますと、非常にかけ離れております。先ほど申し上げましたとおり三倍になっております。したがって国民の間に燃料費について水増しがあるんじゃないか、そういう疑問を大ぜいの人が実は持っておるわけであります。
 そこでOPECの動向も不透明な折から、政府といたしましても、これらの諸経費の査定に当たっては、現時点における実勢価格に基づいて行うのが一番正しいんじゃないか、私はこう考えますが、その点いかがでしょうか。
#183
○森山(信)政府委員 現在の実勢価格で査定をするということは、必ずしも原価主義にのっとらないことになりますので、先ほどお答え申し上げましたとおり、原価計算期間を一年間と見るわけでございますから、一年間の燃料費がどの程度になるかという見通しに立ちまして査定をするというのがたてまえでございます。しかしながら、電力会社が言っておりますような、五%ないし一〇%値上がりするであろうという考え方は私どもはとっていないということでございますが、実勢価格で査定をすることと、年間を通しまして原油価格がどうなるかということとは違いがございますので、私どもはむしろ五十五年度中に原油価格がどうなるであろうかという想定のもとに査定をするということでございますから、先生の御指摘の実勢価格、現在の価格にフィックスしてしまえという議論は、原価計算上はちょっと問題があるのではないか、こういう気がいたします。
#184
○長田委員 私が申し上げましたのは、保険料とか運賃あるいはその他諸税、そういうものが東京電力の場合ですけれども三倍になっております。北海道電力の場合は七五%しか計算していないのです。このギャップは当然査定の対象として削るべきじゃないかということを申し上げておるのです。
#185
○森山(信)政府委員 私は原油の価格について、だけお答えしたわけでございますが、その他経費につきましては、当然に先生の御指摘のような査定方針で臨むわけでございます。先ほど先生から三倍程度になっておるのではないかという御指摘がございましたけれども、私どもは、諸経費の内訳につきまして現在話を聞いておる最中でございますので、どういった経費を織り込んでおるのかというようなことにつきまして厳正に否定を加えていきたいということでございまして、その辺につきましては、いわゆる原油主義に乗っておるということは当然のことではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
#186
○長田委員 私が計算したのがございますから、ひとつ参考にしていただきたいと思っております。
 次に、内部留保についてお尋ねするのでありますけれども、五十四年度上期における、今回申請を出しております八社合計でどのぐらいの内部留保がございましょうか。
#187
○安田(佳)政府委員 先生八社合計というふうにおっしゃいましたが、恐縮ですが、九社合計で述べさせていただきます。
 九社合計で申しますと、内部留保といたしましては、取り崩し得るもの、取り崩し得ないもの等全部含めまして一兆一千三百九十六億円ございます。これは五十三年度末でございます。
#188
○長田委員 この資料によりますと、八社ですと一兆一千二百九億円という数字が出ておるわけであります。その後における燃料費等の値上がりによって、五十四年度末までにこれをどの程度取り崩すことが可能であるか、お尋ねいたします。
#189
○安田(佳)政府委員 五十四年度上半期末の八社合計の内部留保の数字は一兆一千二百九億円でございますが、このうち法定準備金といたしまして二千九百七十五億円ございます。また渇水準備引当金として七億円、それから退職給与引当金として四千八百三十二億円がございます。
 法定準備金につきましては、商法第二百八十九条の規定によりまして、資本の欠損の補てんに充てる場合等を除きまして取り崩すことができないことになっております。また退職給与引当金につきましては、債務性の引当金でございまして、これにつきましては目的以外に取り崩すことは適当でないというふうに考えられます。したがいまして、大きな項目といたしましては、別途積立金として計上されております千百七十億円、それから次期繰越利益として計上されております千百六十七億円等が一応取り崩し可能と見られますが、そのほかに、海外投資等損失準備引当金とか公害防止準備引当金あるいは原子力発電工事償却準備引当金、価格変動準備引当金、貸し倒れ引当金等々についても、場合によっては取り崩し可能であろうかというふうにも考えられます。
#190
○長田委員 電力料金の大幅値上げが申請されておるわけでありますから、この内部留保をどのように扱うかというのは非常に重要な問題であろうと私は思うのです。
 そこで、通産省は、この扱いについて十分なチェックをしていただきたいということと、特に消費者の立場を理解し、電力会社の企業努力についても十分指導していただきたい。この点いかがでしょうか。
#191
○森山(信)政府委員 ただいま公益事業部長からお答え申し上げましたとおり、内部留保につきましては取り崩し可能なものと可能でないものがあるわけでございまして、先生の御指摘にもございましたように、これは国民の皆様方に多くの負担をお願いするわけでございますから、電力会社が内部留保をそのままにして料金の引き上げをお願いするということは許されないと思います。しかしながら、ほかの目的に使う取り崩すことのできない内部留保につきましては、これは法律上の規定がございますので、その分につきましては留保は続けていかざるを得ないと思いますが、ある程度自由に取り崩しできますものはやはり取り崩しをすべきであろう。現に五十四年度の決算を行うに際しまして、この取り崩し可能な内部留保は取り崩さなければ恐らく決算はできないのではないか、こういうことでございまして、私どもは、取り崩し得る内部留保は五十四年度中にはほぼなくなるのではないか、こういう見方をしているわけでございます。
#192
○長田委員 次に、資本費の中の減価償却費を見てまいりますと、今回の値上げ申請より、五十四年三月の電気事業審議会の料金制度部会の中間答申において減価償却の方法が明らかにされ、定率法の採用が打ち出されたわけであります。そのことから、一部定率法を導入したために、八社合計の償却費は八千二百七十九億円となっております。従来の定額法に比較をしますと、千六百四十一億円実はふえておるわけであります。したがって、この分だけよけいに電力料金がかぶせられて、これは二・四九%の負担増と実はなっております。中間答申では、インフレに伴う実質的な償却不足に対処するために、この定率法が部分的に導入されたわけでありますが、燃料費の高騰による大幅な電気料金の値上げが見込まれるわけでありますから、今回の改正時に導入することは不適当ではないか、このようにも実は考えておるわけであります。
 さきの北海道電力も一部定率法を導入してあったのでありますけれども、認可に当たっては定額法で査定したようであります。したがいまして、八社の申請査定に当たっても、減価償却の方法は定額法で査定すべきであると私は思いますが、この点どうでしょうか。
#193
○森山(信)政府委員 償却の方法はきわめて大きな問題でございまして、いま御指摘のとおり、北海道電力の申請に際しましては定額法の査定をしたわけでございます。御承知のとおり、北海道電力は原価計算上も従来定額でございましたし、それから実決算も定額でございましたので、これは、今回一部定率を導入したいという希望はございましたけれども、定額に踏み切ったわけでございます。
 それから、残る八電力につきましては、原価計算上は定額で従来通してまいっておりますが、実決算におきましては一部定率を導入しておる、こういうような実績もございます。したがいまして、いま先生の御指摘のように、電気事業審議会料金部会の答申もございまして、インフレで償却不足に対処するために、できるだけ定率法を導入した方がいいのではないかという答申をいただきましたのをベースに八社が申請を行ってまいったわけでございますが、何分にも定率を一部といえども導入いたしますと、大変に負担が最初のうちにかかる、こういう大幅な料金申請のときには定率法の導入を見送るべきではないかという意見がございまして、私どもも、それは大変参考になる御意見だというふうに考えているわけでございます。したがいまして、現在は厳正に査定中でございますので、はっきりここで定率法の導入を見送るというふうに申し上げる段階ではございませんけれども、償却方法の取り扱いにつきましてはきわめて慎重な配慮をする必要があるのではなかろうか、こういうふうに考えております。
#194
○長田委員 ぜひひとつ定額法で実施していただきたいと強く要望しておきます。
 さて次に、実施時期についてでありますけれども、八電力会社はこぞって四月一日に値上げの実施に踏み切りたいとしておるわけでありますが、通産省としては、八社の値上げの実施日が同時であることを妥当と考えておるのかどうか、また、四月一日実施ということが妥当であるか、その点いかがでしょう。
#195
○森山(信)政府委員 四月一日の実施希望というのは、八社が期せずしてそういう申請を出したわけでございます。これは先生もよく御承知のとおり、五十三年度におきまして一部差益の還元をしたわけでございますが、そのときに各社が五十四年度中は値上げをしないという正式の意思を表明したわけでございまして、いわゆる公式的な公約を実行するために、五十四年度末まではぎりぎりがんばるという姿勢を示していまがんばっているのではないか、こういうふうに思うわけでございます。したがいまして、まあ公約が切れるというと表現がちょっとおかしくなりますけれども、ずいぶんしんぼういたしましたそのぎりぎりが五十四年度末でございますので、新たなる五十五年度に入ると同時に値上げの申請をしたいという気持ちは各社共通ではなかろうかということでございまして、私どもは申請に示されました希望日というものに必ずしもこだわる必要はないと思っておりますが、各社が四月一日の実施を希望しておるというのは、そういう理由によるものというふうに理解をしておるところでございます。
#196
○長田委員 いろいろ伺ってまいったのでありますけれども、北海道電力の場合、平均三八・八三%の値上げの申請に対しまして、平均三四・二三%で認可されたわけであります。この申請に対して、通産省はどのような査定方針で臨んだのでしょうか。
#197
○森山(信)政府委員 一番大きな変動要因は、先ほどもお答え申し上げました燃料費の見方ではなかろうかと思います。特に原油の価格の見込みを三十一ドルというふうにはじいたわけでございますが、この燃料費につきましてはことし一年間の、北海道の場合一年半の原価計算期間でございましたけれども、五十六年三月末まで通用するであろう燃料費を査定したわけでありますが、これがいわゆる増額査定になったわけでございます。その見返りといたしまして、経営の徹底した合理化ということを前提にいたしまして各種の査定をしたわけでございますが、先ほど先生の御指摘のございました減価償却方法あるいは配当の問題等につきましては、相当厳しい査定をしたつもりでおります。
#198
○長田委員 いま御答弁にありましたように、北海道電力の場合、燃料費と他社購入電力料が実勢価格と比較して低いことから、増額査定がなされたわけですね。全体の査定率は四・六%であります。しかし、この二つの原価項目を除いた人件費、資本費などの項目については、平均では二・二%の査定率になっておるわけであります。
 そこでお伺いしたいわけでありますけれども、こうした査定方針は、現在値上げ申請が出されております八社にも適用されるおつもりでしょうか。
#199
○森山(信)政府委員 北海道電力の場合とほかの八社の場合の査定の共通性というものは、たてまえの上から申し上げますと全然別個のものだというふうに考えております。と申しますのは、北海道の地域的な特殊事情あるいは燃料構成の特殊事情等々がございますので、考え方といたしますれば八社の査定方針とは別個のものである、こういうことを原則といたしておる次第でございます。
#200
○長田委員 どうか国民が納得できるような査定をしていただきたい、強く通産省に要望しておきます。
 最後に、昭和四十九年度以来、電灯料金は需要量に応じて三段階制を設け、多消費割高制度が実施されたわけであります。省エネルギー効果をさらに徹底していく意味と合わせて、福祉向上の面からも三段階料金制については、たとえば第一段階での月間需要量百二十キロワット時の限界を百五十キロワット時程度に引き上げて、この間の料金値上げの幅を緩やかにするとともに、第二、第三の段階の料金をさらに高くする累進料金を設けていく方法や、新たに第四段階を設けて各段階の料金格差をさらに拡大していくという、節約促進型の料金体制を導入する措置が必要じゃないかという感じがいたしております。
 そこで、エネルギー高価格時代における電力料金のあり方といたしまして、この方法を導入すべきであると考えるわけでありますが、今回の申請査定に対しまして、こうした方法を導入する考えがあるかどうか、この点どうでしょうか。
#201
○森山(信)政府委員 電灯料金の三段階料金制につきましては、私どもは基本的にこれを継続して行うべきものというふうに理解をいたしております。お示しのように百二十キロワットアワーまでが第一段階、それから二百キロワットアワーまでが第二段階、それ以上が第三段階、こういう仕組みであるわけでありまして、これを全部ひっくるめまして、原価主義にのっとった電灯料金の査定をするわけでございます。
 そこで、いまおっしゃいました第四段階目、つまり三段階を四段階にする意向はないかという御指摘でございますが、この問題は大変複雑な様相を呈する問題がございますので、私どもといたしますれば現三段階制が最もふさわしいのではないかという考え方を持っております。ただ、問題点といたしましては、恐らく第一段階目のナショナルミニマムをできるだけ安くしたらどうか、あるいは百二十キロワットアワーを、場合によりましては基準を少し上げたらどうかという御指摘ではなかろうかと思うわけでございますけれども、この問題も原価主義のたてまえからいきますと、第一段階目を極端に低くいたしますと、第三段階目がまた極端に上がるという問題が起こってまいります。この第三段階目の料金と申しますのは、主として中小企業の方々に使っていただいておる料金に該当するわけでございまして、そのバランスのとり方というのが大変むずかしい問題でございますが、第一段階目をまん中の平均のものよりも幾らか安くして、その分を第三段階目を若干割高にして、それが省エネルギーにつながっていく、こういうやり方は今後とも継続してやっていきたいものだというふうに考えている次第でございます。
#202
○長田委員 通産大臣、お尋ねいたします。
 現在卸売物価が年率二〇%を超えておるわけでありますけれども、消費者物価については比較的安定基調をたどっておる。私は、この消費者物価が安定基調をたどっておるという一つの大きな理由といたしましては、公共料金を据え置いたということに大きな要因があるように思うのですね。今回の電力料金の六四・四二%もの多額な料金の値上げ、これが消費者物価に与える影響というのは非常に甚大であります。そういう意味で、インフレを抑えるという基本方針にのっとって、私は電力料金はできるだけ抑えなければならない、このように考えておるわけでありますけれども、今回の申請に対してどのぐらい圧縮される予定ですか。
#203
○佐々木国務大臣 御承知のように原価主義でございますので、ただいまヒアリングをしたり公聴会を開いたりということで、順次方々の意見を参考にいたしまして査定に入るわけでございますけれども、原価主義でございますから、原価に占める各ファクターをそれぞれ厳重に吟味いたしまして、その積み上げたものが結論になるわけでございますから、あらかじめ何%といったような想定を設けてやっておりません。
#204
○長田委員 圧縮する努力はしますか。
#205
○佐々木国務大臣 もちろん圧縮しなければならぬことはよくわかりますけれども、先ほどもお話申し上げましたが、物価に対する非常に重要な配慮、これはもちろんでございますが、しかし反面いまの日本の置かれたエネルギー事情は、私から申し上げるまでもなしに、油に頼っておったのでは日本は将来生きていけません。そうでございますから、どうしても脱石油という方針で臨む以外道はないわけでございますから、石炭とかあるいは原子力とかLNGとか、そういうものに切りかえていくということになりますと、これは膨大な設備資金が必要になるわけでございまして、だれがそれをやるかというと電力会社がやるわけでございますから、電力会社がそういう重荷に耐え得ないということになりますと日本の経済は持っていけません。そういう点も考えますと、これは経営の合理化、経営努力というものが前提になることはもちろんでありますけれども、しかしその両面を考えつつ、原価主義にのっとって厳正に査定していきたいという態度であることは変わりございません。
#206
○長田委員 次に、経済摩擦についてお尋ねをいたします。
 政府の経済見通しでは、五十五年度における実質成長率は四・八%と見込んでおるわけであります。このうち一・六%は海外要因に依存しておることは御存じのとおりでありますが、しかしながら八〇年の国際経済は私はきわめて厳しい状況に置かれておると考えております。
 そこで、私は政府見通しのように海外要因に大きく依存することは現実的ではないんじゃないかという考え方を持っておりますが、通産大臣、どうでしょうか。
#207
○佐々木国務大臣 経済協調のマターじゃなかろうかと思いますけれども、担当局長から御説明申し上げます。
#208
○宮本(四)政府委員 先生御指摘のように、対外的な要因をできるだけ小さくいたしまして、国内的な要因、内需の振興によって成長を維持するという基本方針をどこまで貫けるか。全体のバランスの上からいたしまして、五十五年度におきましてはある程度海外要因、海外余剰を見込まざるを得なかった、こういう結果になったわけでございます。
#209
○長田委員 もし政府の経済見通しのように海外に多く依存をすることになれば、再び私は諸外国から厳しい批判が巻き起こることは間違いないように考えるわけであります。私も昨年アメリカを視察しましたときに、真っ先に取り上げられました問題が輸出に対する厳しい非難であったわけであります。特にアメリカは本年は著しい景気の後退が予測されておりますし、日米間の経済摩擦は避けて通れそうもない現状ではないかと思います。
 そこで、通産大臣は、こうした経済摩擦を引き起こさないようにするためにはどうしたらいいか、お考えをひとつお聞かせ願いたいと思っております。
#210
○佐々木国務大臣 お説のように、一定の地域に集中豪雨的に輸出をいたしますと、いろいろ摩擦の生ずることは過去の例で明瞭でございますので、そういうことのないように節度ある輸出をしてもらいたいということで、海外の情勢等をそれぞれの経済主体に通報いたしまして、誤りないようにということでただいま進めております。
 いま御指摘になりました、輸入が燃料等の関係で相当ふえてくるわけでございますから、輸出をふやさざるを得ないじゃないか、ふやそうと思えば摩擦が起きるじゃないか、それに対してどうするんだというお尋ねでございますけれども、確かにお説のとおりだと思います。しかし来年度の経済計画によりますと、御承知のように輸出、輸入の一応バランスはとれておることになっておりまして、商品別に、地域別にこれを積み上げて出したのではございません。そういうことでございますから、一応私どもといたしましてはいまの円安の傾向とかあるいはオイルダラーとか、いろいろの要素を考えまして、いまの経済計画で見込んでおる輸出は、グロスに考えましていけるものじゃなかろうかというふうに考えてございます。
#211
○長田委員 日米経済関係のうち焦点となっております自動車問題、これについて政府の方針をお尋ねをしたいわけであります。
 さきに来日してまいりましたフレーザー全米自動車労組会長の要請を受け入れるということになりますと、わが国の自動車業界の大手が対米進出をして、米国内への輸出の緩和に手助けをするかあるいは自動車の対米自主規制をするかという、二者択一を選択せざるを得ないわけでありますが、政府はこの問題に対してどのような姿勢で取り組む考えでいらっしゃるのでしょうか。
#212
○栗原政府委員 お答えいたします。
 先ごろフレーザー会長が来日いたしましたことは御承知のとおりでございますが、そのフレーザー会長に代表される声というのは、アメリカの中の一つの有力な声ではございます。ただ、そのほかにもいろいろ経営者サイドからの声もございますし、あるいは政府、議会の声もございますが、その声の中で、大体共通しておりますのは対米投資を望むという声だろうかと思っております。先ほど先生のおっしゃいました、日本からの輸出を制限せよという声も一部にはございますけれども、必ずしも全体の声としてはそうコンセンサスになっておるという程度ではございません。そういう意味におきまして、私どもといたしましては、現時点ではやはり対米投資という問題が一つのポイントであろうという感じを持っておるわけでございます。したがいまして、米国のいろいろな面の声というものを逐一自動車メーカーに対しても情報を提供するということを含めまして、もちろん、この投資の問題というのは、最終的には企業の判断に属することでございますから、私どものアドバイスも限度があるわけでございますけれども、そういったことをやることによりまして、いまの摩擦問題というものに対しての適切な対応ができれば望ましいという考え方を持っているわけでございます。
#213
○長田委員 それでは時間がございませんので、公取委員長にお尋ねいたします。
 OECDから勧告のありました政府規制産業における競争政策の導入については、わが国といたしましても前向きに対処するという方針のようであります。
 そこで公取委員長といたしましてはどのようなめどを立ててその作業を行っていくつもりなのか、その方針をお示しいただきたいと思います。
#214
○橋口政府委員 昨年の九月、OECDから加盟各国に対して勧告があったのでございますが、これは昭和四十七年からOECDの下部機関である制限的商慣行専門家委員会におきまして、約五年かけて検討した成果を踏まえたものでございまして、加盟各国としましてこれを実施する国際道義上の責任を持っておるわけでございますし、また、ことに先進国でありますわが日本といたしましても、この要請にこたえるだけの経済的、社会的な基盤を持っておるわけでございますから、これは一公正取引委員会という問題ではなくて、政府全体として前向きに取り組む、こういう性質の問題であろうと思います。ただ公正取引委員会といたしましては、この問題に対しまして競争政策の観点から積極的に取り組む立場にあるわけでございますから、現在は日本の経済の中で制限的な領域、政府規制分野がどのくらいあるかという見取り図を作成いたしておりますし、また経済に占める割合がどのくらいのウエートを占めるかという、全体としての鳥瞰図的な作業をいたしておるわけでございまして、本格的な作業といたしましては昭和五十五年度の予算に約五百万円強の予算を計上して、いま御審議を煩わしておるわけでございますが、この予算が成立いたしましたら、この五百万円をベースといたしまして、また行政管理庁も許認可の整理という立場から、この問題に対しまして積極的に取り組んでいただくということになっておりますので、五十五年度に入りましてから本格的な作業を開始したいというふうに考えております。
#215
○長田委員 それでは最後に、環境アセスメントについて若干お尋ねをいたします。
 アメリカが国際環境影響評価の促進の決議案を国連に提出しようとし、日本にも協力を呼びかけてまいったわけであります。これに対して通産省は、昨年十月に外務省を通しまして、アセスメント技術体系が未確立の段階で、アセスメント制度が可能とは考えられないと質問状をアメリカ側に提出したということでありますけれども、これについて回答は来ていますか。
#216
○島田政府委員 お答え申し上げます。
 いまお尋ねの件は、昨年の十月でございましたか、アメリカが国連総会の場で国際環境アセスメントに関する決議というものを考えて、わが国に対しても内々の支持方、意向打診と申しますか、そういうことがあったわけでございます。それに関連いたしまして、わが方から先方の考え方について三点ばかり説明を求めたわけでございます。これは外務省からしたわけでございますが、それに対して米側から回答をしてきた、こういうことでございます。
#217
○長田委員 内容を簡単に言ってください。
#218
○島田政府委員 三点ございますが、その三点と申しますのは、国際的な環境評価制度の意義の問題、それからこの国際的環境評価制度と海洋法会議との関係、それからもう一つは、異なる開発段階における諸国があるわけですが、そういうものについて国際的なアセスメントを行う場合にいろいろ問題が起きてくる、この三点についての回答ということでございます。
#219
○長田委員 アメリカ側では既存の技術で首尾よくアセスメントを実施し、その制度化は開発事業にも貢献しておる、こういう回答が来ていませんか。
#220
○島田政府委員 お答え申し上げます。
 アメリカ側の考え方は、その回答の中で、環境アセスメントは既存のアセスメント方法及び手法により可能であり、特定の新技術を必要とするものではないというような見解を持っているというふうに承知しております。
#221
○長田委員 アメリカの回答はそうでありまして、したがいまして少なくとも産業界や通産省が、あるいは自民党の皆さんが反対をしております予測基準が未確立である、そういう根拠はなくなっているのではないかと思いますが、通産大臣どうでしょう。
#222
○佐々木国務大臣 アメリカはなるほどそういう提案をしたのでありますけれども、私の承知しているのでは、インドから別の提案がございまして、それによりますと、環境アセスメントの技術的な側面及び環境上の要因を開発プロセスの中に組み入れることについてという二つの内容の提案をいたしまして、それが採用になりまして、そしてアメリカでは自分の提案を含めまして、インドの提案を国連の委員会で検討しようということで採択になったというふうに承知してございます。
#223
○長田委員 インドのことは私了解しておるのですけれども、アメリカの回答で、私はそういう意味では予測基準が未確立であるという日本の言い分というのは余り通らないのじゃないかとお尋ねしたのです。
 そうなりますと、既存の技術で事前評価することが可能であるならば、開発側がかたくなに反対する理由は、明らかに住民の反対を恐れたものと受けとめざるを得ないわけですね。この点はいかがでしょう。
#224
○佐々木国務大臣 評価に対する理解と申しますか、たとえば温排水の問題をとりましても、まだ温排水自体の、物理的な影響はわかりますけれども、しかし生物学的な、生態系等にどういう影響を及ぼすのだなんということは、手法もなければ、したがってまた評価の、基準もできておりません。しかし、恐らくはそういう問題が問題になったときに、それに対してどういう対処をするか、これは実は大変問題だと思います。
 そういうわけで、一つの例で済みませんけれども、いろいろ技術的な手法あるいは評価の基準等に関しましては濃淡がたくさんございます。物によってはほとんど完璧だというものもございますし、また全然、これからだというものもあると思います。そういういろいろ濃淡のあるものを法律や何かでどういうふうに規制していくのか、そういう点も、環境庁が法案の提案者でございますから、環境庁の意向もよく聞きまして対処してまいりたいということで、せっかくいま協議中でございます。
#225
○長田委員 開発によって被害を受けるのは地域住民なんですね。いままでも水俣病あるいはイタイイタイ病、四日市公害、こういうような公害患者が大ぜい出ました。未曽有の公害惨事を私たち体験をいたしておるわけであります。この際、この教訓を生かして、開発側と住民との間に一定のルールを確立しまして、模範的な法律をつくるのが政治の責務だと私は思いますが、通産大臣、どうでしょうか。
#226
○佐々木国務大臣 私どもも住民の理解を求める点では同感でございまして、そういう点も踏まえまして、原案がただいま出てきておりますから、検討中でございます。
#227
○長田委員 きのうのニュースによりますと、政府はアセスメント法案を今国会に提出することを決めたと報道されております。これには間違いありませんか。また、いつごろ提出をされる予定でしょうか。
#228
○佐々木国務大臣 総理が先般の予算委員会でああいう前向きの御答弁をしておりますので、私どもといたしましてはその意を体しまして、ただいま法案の内容に関して環境庁と協議中でございます。できるだけ一生懸命検討を進めたいと思っておるところでございます。
#229
○長田委員 最後に要望でありますけれども、ひとつ国民の健康を守る、生命を守るという観点に立ちまして、この成立を強く推進していただきたい。どうかひとつ、うわさされております骨抜きにしないで、骨も実もきちっと残して成立させていただきたい、これを要望しておきます。
 以上で終わります。
#230
○塩川委員長 これをもって長田武士君の質疑は終了いたしました。
 次回は、明二十日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時八分散会
ソース: 国立国会図書館
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