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1949/03/09 第7回国会 参議院 参議院会議録情報 第007回国会 法務委員会 第8号
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1949/03/09 第7回国会 参議院

参議院会議録情報 第007回国会 法務委員会 第8号

#1
第007回国会 法務委員会 第8号
昭和二十五年三月九日(木曜日)
   午後一時五十二分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○商法の一部を改正する法律案(内閣
 送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(伊藤修君) これから法務委員会を開きます。
 商法の一部を改正する法律案を議題に供します。昨日に引続いて逐條審議に入ります。
 本日は第四章株式会社、第一節設立、百六十五條乃至百九十八條について先ず政府委員の御説明をお願いいたします。
#3
○政府委員(岡咲恕一君) 百六十六條から御説明申上げます。百六十六條はすでに御承知のように定款の絶対的記載事項を定めた規定でございまして、この度の法律案におきまして授権株の制度、無額面株の制度を採用いたしましたのに伴いまして、当然改正をいたさなければならない規定でございます。改正の最も重大な点は先日総括的に御説明申上げました際にも触れて置いたのでございまするが、定款の絶対的記載事項から資本の額というものの記載がなくなりまして、それに代るものといたしまして「会社が発行スル株式ノ総数並ニ額面無額面ノ別及数」、それから「会社ノ設立二際シテ発行スル株式ノ総数並二額面無額面ノ別及数」というものが新たに加えられた点でございます。
 現行法におきましては資本の総額は株金額の総額と一応一致いたします関係上、特に又株式会社がこの資本団体たる本質を明らかに示すにおきまして、おのおの百六十六條三号の「資本ノ総額」というものを特に掲げておるのでございまするが、この度の改正によりまして無額両株式を採用いたしまするならば、資本の総額は幾ばくになるかということを予め予測いたすことは困難でございまするし、仮に額面株式のみを会社が発行いたします場合におきましても、資本の総額というものを示すということにいたしますると、授権資本としての資本総額を現実に会社が拂込まれましていわゆる法律上の資本であるところの資本というものとの区別が困難になりまする関係を考えますると、この授権資本の範囲、及び会社が設立する際に発行せられる株式の総数というものは、金額で統一することは不適当であると申さなければなりません。従いまして改正法律案の百六十六條第一項の第三号及び第六号におきましては、この授権資本並びに会社が設立される際に発行いたしまする株式の総数において表示いたすということにいたしたわけでございます。
 次に問題になりまするのは、授権資本の範囲、及び会社の設立の際に発行せられる株式の範囲と、株式の数を以て表示するのはそれでよろしいが、定款から現実に拂込まれました会社の資本をなしておるところのその金額というものを定款に記載する必要は果してないのであるかどうかということが問題になると考えまするが、これは結局、その便宜の問題に相成るわけでありまして、若し現行法のように資本の総額というものを定款の絶対的記載事項といたしますならば、無額面株式の場合におきましては、その表示において甚だ困難に遭遇いたしまして、場合によつてはこの定款の無効という問題も起つて来るかと思いまするし、又仮にその点の困難は巧妙に抜け得たといたしましても、会社の設立後の新株を発行いたしまして、資本の額の変更を見る度ごとに常に株主総会を招集いたしまして、特剔抉議によりまして定款変更の手続を取らなければならないということになるわけでございます。そういたしますると、新株発行を取締役会の專決事項といたしました授権資本の妙味は殆んど失われてしまうと申さなければなりませんので、この観点から申しましていわゆる法律上の資本というものを定款に書くことは不適当と考えまして、これを除くことにいたしたわけでございます。
 次にこの定款の絶対的記載事項として附加せられましたもので御注意を煩わしたいと思いまするのは、百六十六條の第一項の第五号の規定でございます。これは御覧になりまするように、新株引受権に関する定を定款に記載いたすということになるのでございます。新株引受のことは、その関係の條文の御説明のときに、やや詳細に申上げたいと考えまするが、旧株主の権利を害する慮れがあるという意味におきまして、アメリカ等におきましては、原則として旧株主に新株発行の際における引受権を與えるという建前をとつておりまして、最近におきましては、この経済情勢その外会社が数種の株式を発行するというふうな取扱をいたしまする関係上、新株引受権というものが、とかく新株の発行を制約するという面が多くなりまして、非常に不便であるということから立法におきましても、或いは解釈上も漸次旧株主に新株引受権を與えないという傾向をとつているやに承つておりまするが、いずれにいたしましても、この旧株主に新株引受権が與えられるのであるか、與えられないのであるか、それとも一応與えるとしても如何ような形において制限せられるか、或いはこの会社の従業員、若しくは縁故者、その外特定の第三者に新株引受権が與えられるのであるか、ないのであるかというふうなことは、この株主にとりましては極めて重大な関心事でありまするが故に、原始定款におきまして、少くとも授権の範囲における株式の発行におきまして、新株の引受が如何ように取扱われるかという事を明示するのが適当である、かように考えまして特に第五号の規定を設けた次第でございます。それから第七号にございまする最低発行価額につきましては、かねて御説明申上げておりますので、これは省略いたすことにいたします。
 それから定款の絶対的起載事項のその外の点につきましては、現行法通りでございまするので、これ又改めて御説明申上げることもないかと考えます。百六十六條の第二項は、これもしばしば御説明したかと思いますが、会社の設立に際して発行する株式の総数は授権資本の少くとも四分の一以上でなければならないという趣旨を規定いたしたものでございます。第三項は現行法通りでございまするので、これ又説明の要はないことと存じます。
 次に百六十八條を御説明申上げます。これは、いわゆる定款の相対的記載事項に関する規定でございまして、現行法の第一項の一号から三号までを削除いたしましたことが改正点でございます。第一号を削除いたしましたのは、第一号につきましては、四百四條、現行の四百四條に株式会社の解散原因に関する定がございまして、その第一号によりまして、九十四條の第一号の規定を準用いたしておりまする関係上、特に現行法の会社の存立時期、又は解散の事由を明記する必要がないかと考えましたのでこれを削除いたしたのでございます。この第二号にありまする数種の株式の発行並びにその各種の株式の内容及び数を定款に記載するという関係は、二百二十二條の第二項に新らしい規定を設けましたので、これ又必要がないこととなりましたので、これを削除いたしたわけでございます。次に第三号の規定でございまするが、いわゆる株式の額面以上の発行の場合には、その事項を定款に掲げるという現行法の規定を削除いたした点について簡單に御説明申上げます。現行法におきましては、株式を額面以上の価額を以て発行する場合に、額面超過額について各株主の挿込の義務があるとされておりまするのは、株主の有限責任の唯一の例外であるとされましたので、特にこれを定款に掲げまして有限責任の例外の責任を認める場合のあることを明らかにいたしたのでございまするが、この改正案におきましては、この二百條の第一項の規定におきまして、株主の責任はその有する株式の引受価額を限度とする、言い換えれば額面額の額面株におきまして、額面額以上の発行をいたした場合であろうと、或いは無額面株式におきまして相当の価額においてこれを発行いたしました場合でありましようとも、いずれを問わず株主は、その株式の引受価額を限度として有限責任を負うものであるということを明らかにいたしました関係上、額面超過額につきましても、有限責任を当然負うのでございまして、額面超過額の拂込は、有限責任の例外であるという解釈を改正法律案においては許さないことになりましたので、特に定款に相対的記載事項といたしまして、これを掲げる必要がない、かように考えたわけでございます。その外の点につきましては、現行法通りでございまするので、説明を省略さして頂きたいと存じます。
 次に百六十八條の二を御説明申上げます。これも総括的な説明の際に申上げておるのでございまするが、会社の設立の際に発行すを株式につきまして、如何なる種類の株式を発行するか、そうして種類株につきましては、先程も申上げましたように、一百二十二條の第二項の規定によりまして必ず定款にその定があることを必要といたすのでありますが、この会社の設立に当りまして如何なる種類の株式を幾株発行するか、額面株を発行するか、或いは無額面株を発行するか、優先株を発行するか、或いは後配株を発行するか、或いは混合株を発行するか、その株式の種類とその数並びに株式の発行価額、それから無額面株を発行いたしまする際に拂込剰余金として資本準備金に組入れる額、かかる事項は株式の発行に関する基本的な重要事項でございまするが故に特に発起人全員の同意を以てこれを定めるということにいたしたのでございます。従いましてここに掲げました事項以外の事項は、発起人の過半数の決議によつて発行し、定めることが要求されまするし、或いはその発起人の組合におきまして特に執行機関である発起人を定めた場合におきましては、その発起人において定めることは差支ないわけでございます。一号から三号に掲げまする事項は、特に重大なる事項でありまするが故に、これを発起人全員の同意を以てこれを定めるということにいたしたわけでございます。
 次に百七十條の改正でございますが、これは字句を整理いたしたに過ぎませんので、別段申上げることもないと考えます。
 次に百七十一條を削除いたしてあります。この点につきまして、御説明申上げます。現行法の百七十一條によりますると、第一項は「株式発行ノ価額ハ券面額ヲ下ルコトヲ得ズ」と規定いたしておりますが、これは改正案の二百二條の第三項に新らしぐ規定いたしましたので、必要がなくなつたわけでございます。次に現行法の第二項は「額面以上ノ価額ヲ以テ株式ヲ発行シタルトキハ其ノ額面ヲ超ユル金額ハ株金ノ拂込ト同時二之ヲ挿込ムコトヲ要ス」となつておりまして、先程申しましたように額面超過額の支拂は株式引受人の有限責任の唯一の例外であるという点と、その金額は一体いつ拂うかということが問題になりまするので、特にこの規定を掲げておるわけであり、まするが、改正案におきましては百七十條の第一項にありまするように、「発起人が株式ノ総数ヲ引受ケタルトキハ遅滞ナク各株ニ付其ノ発行価額ノ全額ノ拂込ヲ為シ」ということになつておりまするし、又百七十七條の第一項におきまして、「会社ノ設立二際シテ発行スル株式ノ総数ノ引受アリタルトキハ発起人ハ遅滞ナク各株ニ付其ノ発行価額ノ全額ノ拂込ヲ為サシムルコトヲ要ス」ということになつておりますので、現行法の第二項はこれを存置する必要がなくなりましたので、これを削除いたしたわけでございます。次に百七十二條から百七十四條までは條文の字句の整理に過ぎませんので説明を省略いたすことにいたしたいと存じます。
 次に百七十五條でございまするが、これは株式申込証に関する規定でございます。申込証の記載事項につきましては百七十五條の二項に詳細なる規定を掲げているのでございます。すでに御存知のように現行法におきましては英米等にありまするような目論見書主義を採りませんで、株式の申込人は專ら株式申込証の記載というものによりまして、会社の内容、その株式発行の條件というものを知るということにいたしております関係上、株式申込証の記載事項というものは甚だ重大な意義を持つわけでございます。改正案におきましてはその趣旨に従いまするように成るべく会社の内容、株式発行の條件というものを明らかにいたすように多少の修正を加えたわけでございます。大体現行法の建前を踏襲いたしたのですが、新たに加えられましたものは第五号、第六号、それから第八号、第十二号でございます。第五号と第六号とは株式を申込みまする者にとりましては極めて深い利害関係を持つことでございまするし、殊に改正案におきましては新らしく償還株式というものを認めることにいたしました関係上、この第六号に関する事項は是非とも株式申込証に明らかにすることが適当であろうと考えたのでございます。第八号竺先程申しました百六十八條の二に代る事項ですが、従来の取扱によりますと、一応この定款を見ればここに掲げてある事項は察知し得るわけでございますが、改正法案におきましては発起人全員の同意を以てこれを定めまする関係上、而も株式申込人にとりましては極めて重大な必ず知ることを要することでありまするが故に、この株式の発行内容を明らかにいたすことにいたしたわけでございます。十二号が新たに加えられましたのは、この度の改正によりまして、名義書換代理人又は登録機関というものを会社は置き得るということにいたしましたので、これを置いた際には、株式移転の取扱関係を明らかにする必要がありますので、新らしく十二号の規定を設けたわけであります。その外の点につきましては字句を整理いたしただけでありまして、特に御説明申上げることはないかと考えます。次に百七十七條、百七十八條は字句の整理でありまして、御説明を省略させて頂きたいと思います。
 次に百八十條の第二項の規定について御説明申上げたいと思います。第一項と第三項は概ね條文の整理に過ぎませんので別段申上げることはないと考えます。第二項の規定は、いわゆる創立総会の決議の方式を定めたものでございまして、「創立総会ノ決議ハ出席シタル株式引受人ノ議決権ノ三分ノニ以上ニシテ且引受アリタル株式ノ総数ノ過半数ニ当ル多数ヲ以テ之ヲ為ス」これは一般的、説明的に申上げましたように、株主総会における特剔抉議の方式を改められましたのに伴いまして、創立総会の決議の方式を株式総会の特剔抉議の方式に準じて改めたものでございます。別段御説明することもないと思いまするが、従前は引受人の頭数を主にいたしておりましたが、それを止めまして、議決権の数で行く、議決権の三分の二以上で決議をする、而もその三分の二以上が株式の総数の過半数に当るということを必要とするということにいたしたのでございます。
 次に百八十一條、百八十三條、百八十四條、百八十五條は「監査役」を廃止いたしまして新たに「会計監査役」を認めましたこと、その外授権資本制度を採用いたしましたことに伴いまして必要なる字句の修正をいたしましたのでございます。
 次に百八十條でございまするが、これはいわゆる設立登記に関する規定でございます。この第二項におきまして登記事項を法定いたしておりまするが、授権資本制度、無額面株式及び名義書換代理人又は登録機関を採用いたしました関係上、これを登記いたすことにいたしたのでございます。授権資本に関しましては第一号にございまするように、第百六十六條第一項第三号に掲ぐる事項を登記いたさなければならないということになつておりまして、第三号は授権資本の枠の事項でございまするので、これを掲げることにいたしたのでございます。授権資本を採用いたしました関係上、発行済株式の総数、額面無額面の別及びその数を登記する必要がございまするので、五号といたしまして、これを登記せしむることにいたしたわけでございます。次に資本の額は、これは株式会社が資本団体であるという性質上、後述することを適当と考えましたので、第六号に「資本額」というものを規定いたしておるわけでございます。名義書換代理人又は登録機関に関する事項は、第三号にありまするように、百七十五條の第二項の十二号は即ちその規定でございます。名義書換代理人又は登録機関に関する事項でございまして、これを掲げるということになつたのでございます。次に現行法によりますると、十号におきまして、「取締役ニシテ会社ヲ代表セザル者アルトキハ会社ヲ代表スベキ者ノ氏名」というふうに規定いたしてありまするが、現行法はこの取締役は当然会社を代表し、又業務を執行する権限があると、特に会社を代表せしむべき取締役を定めた場合には、この取締役のみ会社を代表するのであるという建前をとつておりまするが、改正案におきましては、取締役は当然会社を代表する権限はございませんで、特に取締役会において選ばれたる代表取締役のみが会社を代表いたすということになつておりまするので、この八号におきまして代表取締役の氏名を掲げるということにいたしたのでございます。次に又現行法におきましては「数人ノ取締役が共同シテ会社ヲ代表スル又ハ取締役が支配人ト共同シテ会社ヲ代表スベキコトヲ定メタルトキハソノ規定」を掲げるということになつておりまするが、改正法律案におきましては代表取締役が数人ありまして、これが共同代表するという制度は採用いたしましたが、この支配人との共同代表は廃止いたしましたので「数人ノ代表取締役が共同シテ会社ヲ代表スベキコトヲ定メタルトキハソノ規定」を掲げるというふうに改めたのでございます。次に百八十九條は別段御説明を申上げることはございません。
 百九十條につきまして御説明申上げます。百九十條の第二項を削除いたしたのでございます。これは現行法によりますると、発起人は権利株を讓渡することができないということになつておりまして、従いまして発起人が権利株を讓渡いたしました際には、その讓渡は無効と相成るわけでございます。ところが発起人以外の引受人が権利株を讓渡いたしました際には、第一項に規定いたしておりまするように、会社に対しては効力を生じないけれども、讓渡当事者間においてはこの効力を生ずるということになつておるのでありまして、讓受人から見ますと果してこの讓渡せられておる権利株が発起人の引受けたる株式であるかどうかということが公明でない場合がしばしばございまして、取引の安全を害しておるのでございます。これに鑑みまして、権利株は発起人の権利であろうと、他の一般引受人の権利であろうと、差別を設けませんで、一様に当事者間においては讓渡を認めるけれども、会社には対抗できないということにいたす方が適当であると考えたのでございます。尤も現行法では、この発起その讓渡行為は好ましいものではないことに鑑みまして、罰則を以て発起人の讓渡行為を禁止いたしておるのでございますが、これはやはりこの改正案におきましても引継ぎまして別に條文を起しまして発起人の権利株の讓渡に対しては罰則を以て臨むということにいたしたのでございます。四百九十八條の第二項がその規定でございます。
 次に百九十二條の御説明を申上げます。これは現行法にもありまする原則を承継いたしたものでございまするが、多少この規定の内容を変えたわけでございます。すでに御承知のように、会社の設立に当りまして株式の引受がないとか、或いは拂込がないにも拘わらず、会社の設立登記を終つたというような場合に、純理から申しますると、設立手続に瑕疵があるわけでございまするから、その設立を無効といたさなければならないのでございまするが、僅少なる瑕疵のために設立手続を無効といたしまして、再び設立手続を開始しなければならないということにいたしましたのでは、株式の引受が集団的に行われます建前上、善意の一般第三者、殊に株式引受人の権利を害することも多いのに鑑みまして、僅少なる設立手続の欠陷は、発起人がこれを補充いたしまして株式を引受ける義務を有し、且つ拂込の義務を有するということにいたしておるのでございます。ところが現行法によりますると、引受のない株式につきましては、発起人は連帶して株式引受をなす義務を負うということになつているのでございます。言い換えれば株式の引受義務を負うのみでございまして、発起人が引受の意思表示をしなければ、発起人は株金を拂込む義務がないことになりまして、会社といたしましては、先ず発起人に引受の義務の履行を求めて、然る上に出資の責任を追及するという二段の手続を経なければならないわけでございます。これは全く無用な手続を重ねることになりまするので、これを改めまして、会社の設立に際して発行する株式について会社の成立後省引受なきものあるときには、発起人は共同してこれを引受けたものとみなす、法律上当然共同して引受けたものとみなすということにいたしております。法律上当然共同して引受けたものとみなされますと、二百三條の第一項の規定が適用されまして、共同して株式を引受けたる者は連帶して拂込をなす義務を負うということになるので、ございまして、発起人の責任を追及することが極めて明確に相成るわけでございます。第二項の規定は現行法通りでございまするので、これは別に申上げることはないと思います。第三項も同様でございます。第百九十五條が監査役を廃止いたしまして会計監査役の制度を採用いたしましたのに伴う字句の整理でございます。
 次に百九十六條でございまするが、これは現行法によりますると、発起人の責任を免除し得る場合を定めているのでございまするが、発起人の責任の重大なことに鑑みまして、取締役と同様に取扱う、言い換えれば二百六十六條の第四項を準用する、即ち発起人の責任は総株主の同意あるのにあらざればこれを免除することを得ずということにいたしているわけであります。二百六十七條乃至二百六十八條の三を準用いたしておりまするのは、これは取締役の責任を追及いたしますために、いわゆる代表訴訟を認めたのでありまするが、この代表訴訟を発起人についても認めることにいたしたのでございます。百九十七條は、代表訴訟を認めるということにいたしますると、全然、無用な規定となるのでありまして、これを削除いたしたわけでございます。
 次に百九十八條でございまするが、疑似発起人の責任につきましては、現行法によりますると、疑似発起人を発起人なりと誤認して株式の引受をなしたる者に対して、疑似発起人が発起人と同一の責任を負うということにいたしているのでございます。言い換えれば、疑似発起人は会社設立の場合の資本充実及び損害賠償の責任のみを負うことになりまして、不成立の場合における責任は全然免れるということに相成るのでありまするが、発起人の責任の重大なことに伴いまして又疑似発起人の責任を発起人と同一にするということが適当ではないかと考えまして改めたわけでございます。会社不成立の場合の百九十四條に定める責任を疑似発起人が負うということにいたしたわけでございます。
#4
○委員長(伊藤修君) 以上の諸点に対するところの御質疑をお願いいたします。
#5
○松井道夫君 百六十六條の規定についてお尋ねいたしたいのでありますが、第七号の「会社ノ設立二際シテ無額面株式ヲ発行スルトキハ其ノ最低発行価額」というふうになつておるのですが、この「最低発行価額」これについては別に制限はないのですか。
#6
○政府委員(岡咲恕一君) 「最低発行価額」を規定いたせばいいのでございまして、その価額を如何ように定めるかということにつきましては法律上別段の制限は置いていないのでございます。
#7
○松井道夫君 この点について、額面株の方は現行法では二十円ということになつておつて、改正案の方でも維持されておると存ずるのでありますが、やはり会社の資本というものを或る程度確立したいという趣旨からではないかと想像されるのでありますが、無額面株式についても最低価額を定める方がいいのではないかということも考えられるのでありますが、その点について……
#8
○政府委員(岡咲恕一君) 額面株式につきましては、松井委員のお尋ねのように、改正法律案の二百二條の第三項に「券面額ヲ下ルコトヲ得ズ」という規定を設けておりますが、会社が無額面株式のみを設立に際して発行するという場合には、発起人の全員の同意によつて価額を定める。その発起人の経済上の良識に期待して委せて差支ないのではないかというふうに考えましたので、特にこの法律で制限を置かなかつたわけでございます。尤もこの設立に当りまして額面株と無額面株を同時に発行する、こういうことは普通株のみであります場合には先ずないことと考えます。優先株を額面株で発行する、そうして普通株を無額面株で発行するというふうなことはこれはあり得ることと考えまするが、無額面株と額面株とも併存して発行いたしますような場合には、これは株主も平等と申しますか、一方は二十円拂込まなければ株主となり得ないのに、無額面株においてはそれ以下の価額で株主になるということは許されません。その意味において二百二條の第三項が制限として働いて来るということはあり得るのでありますが、無額面株のみを発行するという場合には法律上は全然制限がありませんで、五円で発行してもよし、十円で発行してもよし、或いは五十円、百円、それは全く健全なる市場或いは会社の将来に対する見通しから判断されましてお定めになるということにして差支ないのではないかと考えたわけでございます。
#9
○松井道夫君 今の御説明で会社の良識に委して置けばよい。それは尤もなのでありますけれども、そうしますと、額面株の方では一定の最低限というものが二十円というふうに決まつておるので、その権衡上おかしい。額面株式を発行する場合にもこれは勿論良識を以て決めるのであるのでありますけれども、ちよつとその辺権衡上おかしいように考えますが、その点を伺います。
 それからもう一つは、二十円という金額は現在の貨幣の価値からいいますと甚だ僅かなものでありまして、実際界でぼつぼつその最低限を上げた方が適当じやないかという意見があつたと思うのでありますが、改正に当つてその点を考慮されたかどうか。
#10
○政府委員(岡咲恕一君) 二つのお尋ねでございまするが、一括してお答申上げたいと思います。額面株につきまして最低発行価額を二十円といたしておりまするのは、現行法の建前をそのまま踏襲いたしたのに過ぎないわけでございます。この際額面株式の発行価額について無額面株式との均衡を考えまして、或いは経済上の要望、或いは実情と申しまするか、現在は貨幣価値が暴落いたしておりまして、二十円の価値必ずしも戰前の二十円とは等しくございませんので、貨幣価値の変化に伴いまして適当なる額面株式の最低発行価額というものを計上いたすことが適当かと考えましたけれども、現在二十円株、或いは五十円株というものも相当、相当と申すよりも、実は大部分の株式は五十円株、興行株その外特殊の株式が二十円株、或いは二十五円という株があるような実情でありまして、これを法律上当然変更いたしますといたしますると、各関係会社に相当迷惑を及ぼすのみならず、幾ばくの金額を以て適当とするかということになりますると一暫定法であれば格別でございまするが、恒久的な基本法としての商法といたしまして、幾ばくの金額が適当であるかは俄かに判断し難い点もございましたので、これは多少保守的かと思いまするが、現状を尊重して余り大きな変更を加えないという建前で額面株につきましては全く現行法通りの取扱をいたすことにいたしたのでございます。
#11
○鬼丸義齊君 第一にお尋ねいたしたいのは、会社の設立ですが、会社の設立は如何なる手続を終つたるときに会社が設立されたりというふうに解しているのかということを一点伺います。
 それから第二に伺いたいと思いますのは、無額面株式の制度をこの際お換りになるについては、何かやはり従来の商法の会社の方法だけでは賄い得身ない情勢下にあるのであるか。或いは又この無額面の株式というものの制度を採ること自体によりまして、我が経済界において大なる利益を期待しておられるかということについての、もう少し具体的の理由を一つ伺いたいと思います。
 それから尚これは一般にも言われているようでありまするが、元来無額面株式については専門家の人は別としまして、未だ日本においては誠にこれは未知の制度であつてこれが聊かも予備知識を持たない財界に対して突如としてこの制度が布かれますのには、少しく実施上において困難が伴わないかと考えまするが、その点政府の方ではどうお考えになつているのかを伺いたい。それで一番最初伺いました会社設立の時期がいずれの手続を終り、どうしたことによつて会社が設立されたと法的に見るものであるか、対内的と対外的と二方に分つての説明を伺いたい。私の考え方はやはり会社の設立にはすべての株式の引受というものがやはり設立の成立條件じやなかつたかと思います。今百九十二條の改正法によりまするというと、会社が設立後においても引受なき株式というものがあることになるのであります。これがために根本的に会社設立の時期に対する従来の考え方と異なつたる解釈をしなければならんのであるかどうかという点を伺いたいと思います。
#12
○政府委員(岡咲恕一君) 第一点のお尋ねでございますが、この会社の設立の時期の問題でございまするが、これは現行の会社法の改正前におきましてはいろいろ議論もございまして、只今鬼丸委員の御指摘のような点が御指摘のような解釈も行われたものと考えまするが、これを明らかにいたします趣旨を以ちまして、現行商法では五十七條の規定を設けまして会社ハ本店ノ所在地二於テ設立ノ登記ナ為スニ因リテ成立ス」ということにいたしまして、登記の完了を以て設立されたものとするという取扱をいたすようになつているのでございます。百九十二條の問題は、当事者が注意深く誠実に仕事をいたしまするならば、引受けない株式或いは拂込未済の株式というものは殆んどなくなるのではないかと考えまするが、万一不注意によりまして引受けない株式があつた場合、或いは拂込未済の株式があつた場合、若しくは引受の取消された株式があつた場合、僅少なる瑕疵によつて遡つて設立全部を無効にいたすということは、小さな瑕疵のために多数の利益を害すること甚だしいのでありましで、発起人に特別の責任を與えて、出資を完遂せしめるということにいたしたわけであります。
 第二の無額面株の採用のお尋ねでございますが、実はどうも現在の日本における経済界が、アメリカにおきまするような無額面株という制度を受入れるという程度に熟しているかどうか、或いはそういうこの制度に果して適応しまして、これを濫用しないで活用して企業の発展のために寄與し得るだろうかどうだろうかということは多少疑いを持つたわけでございますが、授権資本制度と無額面株というものは、理論的には必ずしも不可分なものではございませんけれども、取締役の株式発行の際に甚だ多くのものを期待する、取締役の賢明な判断によつて資金調達の面において十分弾力あり軌道性ある発行方法を認めるということが、資本団体としての株式会社の企業を発展せしめる上に極めて合理的であるというふうに考えますると、法律的には不可分じやございませんけれども、実際の面では甚だ深い結び付きを持つわけでございまするので、授権資本制度を採用するからにはここで踏み切りまして、一応無額面の株も採用して見ようということを考えたおけでございます。法制審議会の委員の中には実業家の専門家もいられましたので、特にその委員を通しまして実業家の意見なり希望なりというものを確めて頂いたのでございまするが、全体といたしまして結構である、授権資本の制度を採用するからには、思い切つてその制度を採用するのがよろしいだろう。或いは多少実業界におきましても危惧の念を持つておられる向もあるのでございまするが、全体といたしましてはむしろ賛成である、無額面株の採用につきましては、審議会或いは商工会議所におきましても殆んど反対的の論議がありませんで、極めてこの点はなだらかにお認めを願つたのでございます。外の点につきましては、随分白熱的な論議をなして、原案を作りましたときは大いに苦境に立つたこともございますが、無額面株につきましては、殆んど反対論はございませんで、むしろ採用することが適当ではないか、ただその無額面株の発行なりその評価において不正、不当のことがある場合には、この責任を徹底的に追及し得る、又取締役なり発起人の責任を明らかにするという措置を講じますことによつて差支ないではないか、こういう意見が支配的でございまして、採用いたすことにいたしたのでございます。又先程の松井委員のお尋ねにも関連いたしますが、無額面株式の発行につきまして、設立に際して発行する場合は最低発行価額を定款に記載する、ところがその最低発行価額については法律上何らの制限がないということについては無額面株との対照上、やや立法上の手落ちではないかということも考えられるのでありますが、証券取引法の施行によりまして株式の公募につきましては相当嚴重な公示主義を採用いたしておりまして、非常識なる最低価額の決定、或いは非常識な価額における無額面株式発行というものは、それ自体会社の信用を害しまするし、又証券委員会においても、十分これについて監督をせられるのでございますから、この点は公の監督と、それから企業の責任者である発起人、或いは取締役の誠実且つ賢明なる判断に委してやつて差支ないであろう。まあかように考えまして、多少危惧の念を持たないでも、ございませんでしたけれども、採用いたしてもよろしいであろう、かように考えたわけでございます。
#13
○鬼丸義齊君 私はまだ全体の改正案を読んでおりませんから、お尋ねについて甚だ不用意な点があるかも知れませんが、お許し願いたいと思います。この無額面の株式について、発起人の引受ける株についての価額と、一般公募の価額というものは、全然常に同一でなければならないのである、即ちこの価額というものは單一価額でなければいけないのであるか、それとも時日の経過、或いはズレ等によつて多少売出した際に価額が、非常に好況のために高く売れる、或いは非常なる不良のため売れない場合には、売れなければその価額を動かすことができるかどうか、それから大体この立法の狙いとしては、額面価額の最低価額より上のものが多い、というふうな狙つておるのであるか、或いはそれとも額面価額では売出し得ないので資本を集め得ないというために、それをしも内輪に決定して売出すということもでき得るという利益等もある、こういうふうに解されておられるのであるか、この点を一つお願いいたしまか。
#14
○政府委員(岡咲恕一君) 第一点のお尋ねは、額面株或いは無額面株共通の問題であろうと考えますが、私は現在では法律上は発起人の引受ける株式についての発行価額というものと、公募される株式の発行価額というものとの間に差別が設けられることは、法律上差支ないのではないかと考えております。先日も当委員会の事務局の方面からそのお尋ねがありまして、差支ないのではないかと考えておる、併し或いはこれは私の研究不十分で、もう暫く検討いたしまして、或いは誤つておりまするならば訂正の機会をお與え頂きたいと思いまするが、現在では差支ないのではないか、最初発起人は或る価額を以て引受けた、例えて申しますと、額面株についてプレミアムを附けて七十円で引受けた。ところが非常に会社に対する人気が沸きまして、公募する際には百円にも百五十円にも相場が立つような気配が見えた場合に、発起人としての善良な忠実な注意を以ていたしますれば、やはりこの場合には百五十円の相場がするものならばそれに近い発行価額を定めることが発起人としての義務ではないか、かように考えまするし、又逆に七十円で引受けたところが、とても無理である、額面が辛うじての値段であるということになりまするならば、公募の際は額面五十円によつて発行するということも許されるのではないか、かように考えております。尤もそこに発起人が悪意で特に不当な利益を得る目的を以てやつたという場合には、任務懈怠として発起人は責任を負わなければならんことはこれは申上げるまでもないと思います。現に私共が噂を聞いておりまするところでは、全く発起人は会社を設立して、そうして企業に奉仕するというためではなくて、いろいろな方便を講じまして、先ず自分は非常に安く株を引受けて極端に申しますると、権利株の状態においてそれを他に転売して利益を得る、或いは安く引受けておいていろいろ工作をして株価を煽つて、そうして煽つた状態においてその権利株を売つて、そうして免かれてしまうというふうなこともあるやに聞いておりまするが、これはもう明白に発起人の悪意のある任務懈怠の行為でございまするから、責任を追及されることは当然と考えます。法律的には発起人が株式を引受けて全株を引受けない場合には募集することを要するということになつておりますので、二段に、先ず発起人の引受、それから第二に一般の発起人外の申込というふうに分けて取扱うことを、私は法律が禁止してはいないであろうと考えております。
 次に第二のお尋ねでございまするが、会社の設立に際しましては、私は経済的に申しまして無額面株を発行する必要も、又利益もないであろうと思います。例えば数種の株式を発行いたしまするような場合には、これは額面株と無額面株を発行するということもあるかと思いまするが、普通株を発行いたしまするならば、若し五十円が高きに過ぎると思えば三十円にいたしても二十円にいたしてもよろしいわけでございまするから、先ず一応設立の際は額面株で発行せられることが普通ではないかと思います。ただ問題は会社の設立後会社が非常に発展をいたすという場合に、むしろブレミアム附の額面株を発行するより、思い切つてその際に無額面株を発行するということが会社にとつて経理上、或いは会社の信用を維持する上から考えまして非常に有利なことである。殊に無額面株を発行いたしますると、資本に組入れられる額が多く組入れられます関係上、額面株におきまする場合より、相当多額の金額が資本に組入れられるというようなことに相成りまする関係上、会社の信用を強化するという方面から申しますると、或いは額面株よりも無額面株を発行される方が適当であるという場合もあり得るかと思います。それから、会社が不況に立ち至りまして、会社の設立の目的なり、会社の資本必ずしも不良ではないにも拘わらず、例えば現在のように非常に株式が氾濫いたしておりまして、いわゆる株のインフレというような時代に遭遇いたしますると、有力会社と雖も場合によつては額面を割つた株式を発行しなければならないどいうことになるかも知れない。そういう場合には無額面株という制度が、非常に妙味を発揮いたします。額面が五十円であつた場合に、三十円の無額面株の発行をするというと、眞の力を発揮するのではないかと思います。一体額面を割るような発行の場合と、額面を超過した発行の場合と、いずれにおいて無額面株が活用されるかというと、私この点知識も不十分でございまして、断定いたすことはできませんが、少くとも会社が資金調達において非常な困難に遭遇いたしまして、額面以下の発行が許されないという場合に、無額面株によつてその窮境を切り拓いて会社の資本を充実して企業を発展せしめるというこの機会を用いることはこれは明白でありまするし、むしろその場合に威力を発揮するのではないかと考えております。
#15
○鬼丸義齊君 そういたしますと例えば最低引受と申しますか、最低の価額を決めまして、その最低価額は決めましてもそれ以下の価額で以て売出すことも許されることになるわけですか。尚今度の改正について先程も御説明がありました百九十條の二項を削除いたしまして、権利株であろうとも法律上許されることになりましたときに、たまたまこの無額面株がその制度を布かれたということになりますると、例えば物を一つ売却するというような場合には、先ずその株式を……余り例としてはよくありませんが、ともかくも引受人の方で価額を安く引受けて、公募の方で非常に高くして売出してよい、而もいやが上にも釣上げて売つてよろしいという、いわゆる買い方の意欲を高めて高価な売り方をして行くことが会社資本の充実する一つの方法であり、同時に又営利会社の営利を狙いといたしますることはこれは言うまでもありませんので、これは好むと好まざるとに拘わらずこの制度自体によつてそういうことはもう忽ちにして起ることが想像されます。そこで私はこの資本を集めるということが目的ではありましようけれども、非常な規定によつて不正を禁止してはおりまするけれども、而もそうした不正の方法によつて不正な利益を、資本を集めるということをこの制度によつて醸成するようなことになりはしないかということを非常に憂える。先程本法案を立案するに当りまして、各方面の意見を徴されて、この無額面株式の発行については異論はなかつたという御説明がありましたが、学者間においてはそうかも知れませんけれども、併しこれでいよいよ本案が議会に運ばれまして新聞に報道されまするや、各商工会議所あたりの実除の衝に当つております者から見ると夜権資本制度は勿論、又この無額面株式発行につきましても相当強力な反対の声があるようであります。学者間の説と実際に当ります生産業者とが或いは会社、事業をやります現業者の方の側におきましては、相当これは強い反対意見もあるようであります。そうしたようなことで何らかいわゆる会社組織の前途に対して一波紋を投ずるというようなふうにも感じられます。この点十分考慮に入れてこの制度を採られたこととは思いますけれども、如何にもどうも何らかそこにもの足らないと申しますか一用意の足らないと申しますか、株式界に一つの波紋を投ずるようなふうな制度ではなかろうかということを憂うるのであります。不正行為によつて価額の釣上げ等を十分に防ぎ得るものと、そうして所期以上の結果をもたらし得るという確信があるには相違ございますまいけれども、一面におきましては、何だかまだ十分な用意が備わつていないのじやないかというような感じがしてならないのでありますが、尚一つこの点についての率直なる御意見をお願いいたします。
#16
○政府委員(岡咲恕一君) 第一のお尋ねの無額面株式の発行につきまして最低発行価額を定めてある場合に、その最低発行価額をも割つて発行するということが許されるかというお尋ねでございますが、会社設立に際して発行いたします際に最低発行価額を割つた発行を許さないことはもとよりでございすが、会社設立後に一体最低発行価額を割つたことを許されるかという点ですが、私が現在考えておりますところでは、この金額はアメリカにおいてよく申されますスティテッド・バリユーを定めたものと考えておりませんで、会社設立後の発行におきましては最低発行価額を割つた発行も差支ないのではないか。会社が設立に際して発行する際には少くとも資本団体たる性質上一定の金額が資本として資本、或は資本に準ずべき資本準備金として会社に積立てられるということを、法律が強く要求する理由があるのでございまして、その意味におきまして第百六十六條の第一項の七号を設けた次第でございまするが、その後の発行におきましては必ずしも最低発行価額というものが発行の制約にはならないだろう、かように考えております。
 それから第二の無額面株の発行に伴つて発起人に不正行為を激発をせしむる虞れがないかというお尋ねでございまするが、これは率直に申しますると、必ずしも善良なる発起人のみを期待し得ない現状を考えますると、実は発起人が権利株を讓渡するというふうなことは徹底的に抑えたい、若しそういう事実があればこれを摘発いたしまして、罰則によつて抑えて行くという措置を講ずることが強く要望されるのではないかと思います。少くとも発起人は法律上はともあれ道徳的に考えますると、発起事務をやりながら、その権利株を他に讓渡するということは誠に不当なことでございまして許し難いと思いまするし、法律も実はこれを禁止いたしておるわけでございまするから、実業界からそういう悪風というものが拂拭されるように政府としても努力したいと思いまするし、産業界におかれましてもこの点は深く自粛されましてそういう悪徳の発起人というものは再び産業界に顏を向けることはならないという相当高い倫理が守られなければならないと同じことを、私はお願いしいと思うのでございます。で、権利株の讓渡さえ発起人がいたしませんならば、会社設立後でなければ株式の讓渡は許されない、特に株券発行後でないと一応この讓渡は困難なわけでございまするので、特に発起人が安く株を引受けておいて、そうして途中でこれを讓渡して、多額の不当な金額を利得するということは、少くなるのではないかと考えます。のみならず証券取引所の建前によりますると、現にこの株式の発行関係につきまして、発起人が如何なる株式の引受をしておるかというこの引受の態様につきましては、これは飽くまで登記でなければならないようになつておりまするし、又この株式の申込書に、発起人が引受けたる株式の種類、数、その引受価額というものは当然記載いたすことになつておりまするので、若し発起人が甚だしく低い価額で引受けておりながら、一般公募の場合には又これを甚だ高い価額を以て公募するということになりますると、それは発起人自体の責任を疑われる原因にもなりまするので、私は少くともこの株式申込書にこれを記載せしむることにいたした関係、それから証券取引法が円滑に運用されている状態から考えますると、鬼丸委員の御心配になりまするように、発起人が特に安い価額を以て引受けて、利鞘を稼ぐというようなことは、少くとも将来に向つては困難になるのではないかというふうに考えまするので、この点に関連いたしまして、無額面株は非常な不安を伴うという御心配は余りなさらないでもよろしいのではないかと考えております。
 次に授権資本制度と無額面株の採用について、現在実業の第一線から相当反対の声を聞くではないかというお話でございまするが、授権資本制度、無額面株を採用するということを考えまして、私共が外部にも意見を発表いたしましたのは、一昨年の十二月であつたかと思います。で、その前後関係官が、或いは実業家の団体或いは株式界の連中といろいろ話をいたしましたし、私も一二度そういうような席に参りまして、政府が考えている授権資本制度、無額面株というふうなことを説明いたしたこともございまするが、私共が当時触れました範囲では、これはとんでもない改正だ、日本の産業界に思わない衝撃を與えるであろういうふうな話をまあ殆んど承わりませんで、むしろ株金分割拂いを止めたからには、ここまで踏切つた制度を採用するのが適当であろうというふうな意見が多かつたのでございます。いよいよ法制審議会を設けまして、その会に御意見を求めるようになりました。当時は東京の商工会議所はもとよりのこと大阪、京都、名古屋、或いは東京のこの経団連、その外の有力な実業団体の御意見も聽いて見たのでございまするが、授権資本制度に対しては殆んど全面的に賛成でございまして、無額面株につきましても私今明確に記憶いたしておりませんが、先ず異論がなかつた。極く一部で多少疑問があるのではないだろうかというふうな声はございましたけれども、正面からこれは極めて危險な立法であるから絶対に政府は思い止まるべきものであるというふうな強い意見は私は聽かなかつたのでございます。審議会は鬼丸委員或いは多少学問に偏したような会議のように御了解かと思いまするが、審議会の中にはいろいろな委員がおられまして、殊に産業、実業界からも委員が出ておられまするし、その委員がやはり商法部会に入られまして……商法部会は鬼丸委員のお仰せのように主として学者、学界方面の委員が割合に多うございまして、学界の意見というものは相当強くこの懸案の中に取入れられているわけでございまするが、必ずしも学問的見地からのみこの法案を作つたわけでございませんで、むしろ私共といたしましては学問、学者の方の要求よりも実務家がどうこれをお受取りになるだろうか、これを本当に運用するのは学問上の議論ではございませんで、日本の産業経済の実際面でございまするから、この方で運用されないで、この法律によつて経済の再建を傷つけるというふうなことがあつては誠に申訳ないのですが、その方面の御意向というものに対しては、非常に私は神経過敏に実は考えて参つたのでございます。学者からは相当痛烈に非難され、ながらも、実は学者の意見よりも、実業界の本当の要望がどこにあるかということに非常に関心を拂つて来たつもりでございます。ところが率直に申上げますると、この度の法律案の要綱におきまして、会計書類の閲観権というもの、それから累積投票というものにつきましては、これは随分激しい反対がございました。或いは特剔抉議の方式というものについても、現状ではやや困難ではないだろうかというふうな問題がございましたけれども、無額面株につきましては、少くとも私耳にいたしましたところでは、これは困るというふうなことは殆んどなかつたのでございます。そういう次第でございまして、私は先ず大丈夫ではないかと考えましてこの法案の中へ取入れたわけでございます。ところが最近或いは松本先生その外実業界の方面において、多少疑問を持つておられるような意見を承わるのですが、結局問題は国家的な強い監督というものによつで取締役を抑えて行く、発起人を抑えて行くという方が、日本の現状では適当であるのか、それともむしろ発起人なり取締役に十分倫理的な高さを求めつつ、この経営上の手腕を十分振わせるというふうな法制にしつつ、又他面その責任に対しては仮借なく追究して行くという制度を取る、商法の建前の方では少くとも相当自由な権能というものを経営責任者であるところの取締役に與えて行くということの方が、私はむしろ現状に適するのではないか。発起人の不当行為、或いは株式の募集における不正行為というようなものは、証券取引法、或いは証券取引委員会というふうな、そういう機関を通して監督することが適当なのであつて、商法自体の中に非常に活動を窮屈に抑えて行くということは、必ずしも立法上適当でないのではないかというふうな考えもございまして、実は思い切つてむしろ私は十分の期待を以て無額面株を採用いたしてよろしいのではないかと考えたのでございます。
#17
○松井道夫君 権利株の売買の話が出ましたが、現行第百九十條の第二項を削るということになつておりまして、罰則でも結局それを削つたことになるのではないかと思いますが、只今の御説明によりますと、発起人がこういつたようなことをするのはよくないことだということには別に違つたお考えはないのでありますから、この二項を削つたから罰則をなくしてしまわなければならんということにはならんだろうと思います。これはまあ第三者の関係に効力を生ずる場合もあつても一向差支ない。又会社に対して効力を生じないという場合であつてもそういう行為をした人を罰する……。まあこれは自分の名前で株式申込書に書いてあるようなものを讓らなくても、発起人は外の、例えば自分の子供の名前であるとか、或いはしめし合せた者の名前で引受けてそれをどうこうするというようなことはできんわけです。そういつた発起人を処罰しないということも起つて来ておかしいのじやないかと考えるのですが、その点を伺います。
#18
○政府委員(岡咲恕一君) 松井委員のお尋ねですが、発起人が権利株を讓渡いたしました場合には、当然処罰を受けるのでございまして、それは四百九十八條の第二項に別の規定を起しまして、この行為を飽くまでも違反の行為として発起人を処罰するということにいたしてあるのでございます。言い換えれば三十万円以下の過料に処すということになつておるわけでございますから相当重い制裁を受けるわけでございます。取引の安全という面から第三者に対してまで無効を主張するのはやや行過ぎではないかというので本法を作つたわけでございます。
#19
○松井道夫君 第百六十六條の中の第三号、一体「額面無額面ノ別」とありますが、設立に当つて額面株と無額面株の双方を発行するということが何らかの合理的理由で相当行われるものと思つていらつしやるかどうか、この点を……
#20
○政府委員(岡咲恕一君) 百六十六條第一項の三号は、いわゆる授権資本の範囲と申しますか、授権資本の枠を示したわけでございます。言い換えれば或る会社が幾株の株数を発行するか、その会社は一体額面株を発行するのか、無額面株を発行するのか、これを発行する場合に数は幾らであるかということを規定いたしますと、大体授権資本の枠が分るわけでございます。そうして第六号におきしては設立の際は然らば一体その会社は幾株を発行するまであるか。例えば授権資本の三分の一に当る株式を発行する会社もございましようし、或いは二分の一を発行する会社もございましようし、或いは四分の一に止まる会社もあるかと存じます。これを要するに設立の際に発せらるべき株式の総数、額面、無額面の別を記載するということにいたしたわけでございます。それから設立に際して額面と無額面の双方を発行する場合があるか、その実益があるかというお尋ねでございまするが、普通株を発行する場合には私は額面株のみ発行されるだろうと思います。強いてこの無額面株を発行する必要が殆んどないのではないか。或いはその会社の発行額面株・式の発行価額を二十円未満にいたすという必要がある場合には或いはこの発行の必要があるかと思いますけれども、先ずこういうことは実業界の事業から見ましても、只今お尋ねがありましたように、二十円という金額のその限度そのものがすでに低きに失するのではないかと思われますので、これは恐らくもう絶無ではないか、かように考えます。然らば額面株と無額面株を並行して発行することがあるかということになるわけですが、これは普通株のみならばないと考えます。若しごの普通株に加えて優先株を発行する、或いは優先株においては利益配当において甚だ有利な株式である、そうして適当な期間にこれが償還されるというふうなことになりまするというと、額面株は五十円で発行いたしましても発行條件が甚だ好ましいし、又遠からざる将来にこれが償還されるということになりますと、社債的な働きを持ちまするし、或いは償還株でございませんで、これは転換株になり、普通株に転換される、特に非参加的優先株であるというような場合は普通株に転換されるということは非常に有利な条件を持つことになりまするので、この場合には額面が仮に五十円で発行ざれました際に七十円或いは八十円というふうな高値で発行されるともあり得るわけですから、この場合には優先株……、償還附、転換附の優先株で無額面株で発行して発起人の裁定によつて七十円でこれを売出すということも一部にはあり、資金調達の面から申しますると極めて有利な調達方法ではないかと考えられるわけであります。
#21
○松井道夫君 今の三号を読みまするというと、将来発行する株式の総数が決まつている、最高の枠が決まつておりまして、それから額面、無額面の別及数というものを規定しておるのでありますし、そのすべての枠の内訳に更に額面、無額面のもう一つの枠が決まつておりまして彼是融通することもできないのではないか、そういう気持もされるのでありますが、これは諸外国の立法例、或いはアメリカの立法例もこういうふうになつておるのかも知れませんけれども、これは大変不便なことではないかと考えられるわけであります。尤も私のこの三号に対する解釈が間違つておるのかも知れません。経済界の情勢によりまして額面株を発行するか、無額面株を発行する、いずれがいいかということは予見することができないような状態であります。これを何らかの形で彼是融通して残りを全部無額面にするのが適当だと思う。無額面でやる、或には全部額面にするかる額面でもやれたというようなのが実際上経済界の実態に即した方法じやないかと考えられますが、その点一つ。
#22
○政府委員(岡咲恕一君) 松井委員の御意見は誠に御尤でございまして、私共できればそういうふうになることが望ましいと思うのであります。三号の御解釈は松井委員の解釈通りで結構でございます。問題はこの株式の総数とそれから額面、無額面の別さえ明らかにすれば足りるので、額面、無額面の株数まで明らかにすることは会社にむしろ迷惑な束縛を與ることになるのではないかというお尋ねでございまするが、全くその通りだと考えますけれども、無額面株というものが十分国民に馴染まない関係上、会社が将来一体どういう株式の発行の仕方をするのか、額面、無額面と書いておるだけでは全部無額面株を発行するかも知れませんし、額面株の場合は何となく国民が、先程鬼丸委員のお尋ねがございましたように、従来馴れております関係上一種の安心を伴うわけですが、無額面株は一体どういう工合に発行するのか、而もその価額は場合によつては予想外に低い価額で発行されることがあり得るということになりますと、相当な不安を伴うだろうということを考えまして一応現在の段階では資金の枠を決めます際に荷くも無額面株を発行するならばその会社は無額面については或る特定の数までしか発行しないのだということを明らかにする方が却つて国民に対して一種の何といいますか、安心感を與えるのじやないか、こういうふうな意見がございまして一応この額面無額面の別のみならず、更に数をも定款の記載事項といたしたのでございます。若しこれが不自由なれば定款変更によりまして改めることは一向差支ないわけですが、定款変更をいたすここが一つの煩瑣な手続でございまするので、若し差支ないものならば三号における数というのは削る方が私は合理的であると考えております。現に大阪の商工会議所でございましたか、この数を削ることが適当であるというような意見も出ておりますので、私共としましては若しこれは当委員会の御意見によりまして削る方がいいというふうな御意見が有力になりました際にはもとよりこれは削除することには反対いたすものでございません。
#23
○松井道夫君 それから今の百六十六條の二項でありますが……。その前に七号に関連してでありますが、設立の場合はこの七号の規定によりましてこれも勿論登記されるわけになりましようから、一般に無額面株がどのくらいで売出されるか、これがどの程度資本金を構成しておるかということぐらい分るのでありますが、その後の発行の場合に、それが幾らぐらいで発行されるかどうかというようなところは、やはりいろいろの関係上登記その他で分つたら非常に便利だろうと思うので、その売出価額、或いは債券発行価額ですか、そういつたようなものが設立の場合でなく、その後において発行した場合に分るようにして頂きたい。
#24
○委員長(伊藤修君) 今の御質問に関連してでありますが、第百八十八條の第六号の「資本ノ額」ということについて一応御説明を願いたいと思います。
#25
○政府委員(岡咲恕一君) 無額面株式の発行価額は登記事項ではございません。第六号の「資本ノ額」と申しまするのは、後の第二百八十四條の二の規定にございまする資本の額でございまして、これは新株の発行を基に変更を受けるわけでございます。従つてその場合には、変更の登記をすることによつて改められて行く次第でございます。それから、この無額面株式、或いは額面株式の発行価額は登記はいたされませんけれども、株式申込書には明らかに記載されるわけでございます。即ち百七十五條の第二項の八号によりまして古六十八條の二に関する事項を申込書に記載いたすわけでございまするから、百六十八條の二の第二号に「株式ノ発行価額」というものがありまして、これはまあ登記ではございませんが、公示されることに相成ろうかと考えます。
 それから、会社設立後の発行につきましても、大体株式申込書によるということにいたしておりますので、これに記載されますし、又取締役会において如何ように発行関係が決議せられたかということは、取締役会の議事録に必ず明確に記載いたす、そうして各取締役の決定に対する賛否も議事録に明らかにいたすということに相成つておりますし、この議事録は会社に備えて株主は何時でも閲覧し得るわけでございますので登記はいたしませんけれども、発行価額を如何に定められたかということは株主は何時でも知り得るということになつておるわけでございます。
#26
○松井道夫君 私のお尋ねしておるのは、これは発行価額が分らなければ株主は申込ができないのでありますけれども、株主はよく分るわけであります。その他の利害関係人に対して登記は株主の関係もありますけれども、売買や第三者に対する何が多いのであります。から、会社の数やその他ずつと以前の第二項とか第三項の発行はどうであるかということを取決めて行くのは登記で分るのが一番簡單であるという意味でお尋ねしたのであります。
 次に第百六十六條の第二項でありまするが、「会社ノ設立二際シテ発行スル株式の総数ハ会社が発行スル株式ノ総数ノ四分ノーヲ下ルコトヲ得ズ」ということになつておりまして、どうも廃止されました前の未拂込の株式、あれので、まあその四分の一という数を引用されたのではないかというような気がするのでありますが、私の感じからいたしますればすでに廃止されておる、而も当時よりもいろいろ弊害があるということで禁止されております数字が現われて多少何らか味があるという感じがいたすのであります。この四分の一ということは本当に無額面株式というものを将来盛んにいたす、むしろその特長を発揮するという面からいたしますれば、何らかような制限をする必要はないのではないか、或いは同じ制限をするにしても四分の一という法理的根拠は分らないと思いますので、その辺の四分の一ということにいたしました経過、その他いろいろ議論が出たと思いますが、どんな工合か述べて頂きたい。又政府委員の御意見がありましたならばお聞きしたいと思います。
#27
○政府委員(岡咲恕一君) この設立に際して発行する株式の範囲を授権資本の株式の四分の一に定めましたのは、今松井委員の仰せのように従来の株式分割拂いの取扱の四分の一になつておつたということも二つの何と申しますか、縁由的な働きは持つたかと思いますけれども、これは実は余り論議もございませんで、先ず授権資本の四分の一の程度は発行しで会社が資本団体として企業界に乗出すためには必要とする程度の資本であるのではないだろうか、この程度は尤も最初から会社が保有すべき資金であり、それは適当ではないか、それから或いは五分の一、或いは六分の一及至は十分の一というふうに定めてもいいのですが、この枠を余りに低くいたしますと授権資本の範囲が拡がりまして、言い換えれば取締役会に大きな権限を設定することになるわけでございますので、先ず大体四分の一程度が適当ではないか、かように初め考えたわけであります。そうしてこの点につきましてもいろいろ産業界方面の意見を聞いて見ましたところによりますると、まあ一応適当な制限だろう、「或いは五分の一にしても余り反対はなかつたかと思いますけれども、大体授権の枠を四分の三にして置けばまあ大体普通の需要には応じ得るであろうというふうに考えられていたようでございます。でこれに関連いたしまして法務総裁が諮問いたしました最初の原案には、その後の定款変更によりまして授権の枠を拡げる際には必ずしもこの四分の一というものに拘束ざれない、従つて発行済総株数の四倍、五倍、六倍とこう会社が適当と考えられる範囲に授権資本を拡げて行くことがむしろいいのではないか、そういたしませんと昨年来行われましたように、例えば三倍増資或いは四倍増資ということになりますると、忽ち定款を変更しなければならないので、それでは折角取締役会に新株発行の権限を與えた妙味がなくなるので、これは株主総会の判断に委せて、特剔抉議によるわけですから、特剔抉議によるような大多数の株主の意向に委せることにして、五倍或いは六倍の授権資本の枠の拡張もいいのではないかと考えたのですが、これは四分の一という制限を初め置きました関係ですか、相当反対がございまして、それは余りに取締役会に大きな権限を與えることを株主総会が認めることになるので、やはり四分の一という制限は授権資本の枠の拡張の際にも一つの制限として働くという方が好ましいという意見が強くなりまして、三百四十七條の第一項にございますように、授権資本の枠も拡げる際にやはり四倍も超えてはならないということになつたわけであります。出発といたしまして四分の一というのは、必ずしもそう深く検討いたしたわけではございませんが、一応こういう基準が定まりますと如何にも四分の一が合理的なような印象を與えてしまいまして、三百四十七條の第一項に授権資本の枠の拡張の際には制限を加えるということになつたのであります。実は四分の一につきましては、松井委員のお尋ねに対して少し不十分かと思いますが、余り商法部会におきましても、或いは小委員会におきましても活溌な意見が出ませんで、大体極めて常識的に妥当だと、こういうふうに受入れられたように考えております。
#28
○松井道夫君 次に百八十條でありますが、これは創立総会の決議で、現行法と比べると大変に定足数その他決議方法が厳格になつております。まあ創立総会のみならず総会の決議方法が、特剔抉議の関係等で実際界の実情と比べまして二度も三度もやらなければならない、流会というようなことになりまして三度も繰返さなければいかん、又会社荒しといつた者達にその虚に乗せられる虞れがあるというような多くの非難が出ておるように聞いておるのでありますが、創立総会でありまするから、そういつた流会を繰返すというようなことはまあないだろうと想像されますけれども、併しそう楽観もばかりしておれないので、果して立案当局でこれで推して行つて今の最も弱くなつておる経済界に大きな負担をかけたり、又今日本の敗戰後の精神的な状態は頗る変態的になつておりまして会社の暴力的の傾向だとか、いろいろその他道徳的に非常にゆがんだ状態に現在相成つておりまするそういう状況の際に、この規定で行つて会社荒しということ、その他今の所有と経営の分離といつたような当然の経済界の原則といつたものから、非常に経済界に大きな負担をかけるというふうにならないという自信が果しておありであるかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。
#29
○政府委員(岡咲恕一君) 創立総会は会社の創立手続における最後の結末をつける重大な会議でありまするので、やはりその総会の決議の方式は相当の厳格さを持つということは必要ではないと思います。特剔抉議の方式を現行法も取入れておりまするし、それに倣いまして改正法律案では百八十條のニ項の規定を設けたわけですが、独占禁止法その外企業の集中排除に関する一連の法律によりまして株式が分散される傾向のあることは、これは否定できないと思いますし、現行法のように総引受人の半数以上が出席するというようなことは、分散されてしまつた株式引受の状態を考えますると、殆んど不可能に近い。そういたしますると、それに代る方法ということになるわけですが、本日は手許に持つて参りませんでしたけれども、イギリスにおきまする特剔抉議の方式などは極めて嚴格でございまして、殆んど総株主に近い株主の出席並びに殆んど全員一致に近い程度の決議を要求しておつたかと記憶いたしておりまするが、結局その決議の方式をどの程度にするかということは、只今お述べになつたように政策の問題かと思います。この三分の二以上の多数ということが一つの重要決議の要件ではないかと考えます。これは出席した株式引受人の三分の二ということにいたしますると、極く少数の出席者によりましても重大決議が可能になるわけでございまして、やはり三分の二の大多数の賛成を得ると同時に、その賛成者が総株数の半数以上に当る、言い換えれば議決権の過半数の決議によるというようなことはやはり必要ではないか、これ以上に決議要件を緩めるということはちよつと私行過ぎではないかと考えまして、株主総会の特剔抉議と同様に一応議決権の三分の二以上で、且つ総数の過半数に当る多数という方式を取つたわけでございます。これがいわゆる総会屋によつて濫用され得る危険がないか、流会に次ぐ流会ということになつては、結局会社の負担を増すし、会社の負担を増すということは善良なる一般株式引受人の負担になるというわけですから、これは避けなければならないということはお説の通りかと考えますが、これは少し理窟つぽい言い方で恐縮とは思いますが、株主に與えられた権利といたしましては、やはり議決権は非常に重大な権利ではないかと思います。頭から議決権が多くの場合行使されないで、株主乃至引受入の大多数というものは不在株主として、総会などには全く無関心であるというのが実態なんです。そ’れでよろしいということであれば、それも一つの考え方でございますけれども、とにかく議決権というものは尊重されなければならないという立場を取りますと、やはり定足数と言いますか、或る一定数以上の引受人なり株主が出席するということは、総会の議決権を尊重するゆえんになるわけでございます。その限度を如何ようにするかということは、結局ばポリシイの問題になりますが、アメリカなりイギリスにおける立法例あたりを斟酌いたしますると、議決権の三分の二以上で、そうして総数の過半数ということは先ず穏やかな方式ではないかと、かように考えます将来これが運用されて、万遺憾ないかどうか、政府はその確信があるかというお尋ねでございますが、頭数をなくしたという点においては、何と言いましても非常に会社当局にとりましては便利でございまして、創立総会でございますから、これは仮決議という方法を認めるわけには参らないので、どうも止むを得ない限度ではないか、この程度の決議方式であれば、これは企業界、産業界に対して非常な負担をかけることになるまいと、かように考えたわけでございます。
#30
○松井道夫君 成る程、現行法の創立総会の方の形の引受人の半数以上、これは頗る現在としては、或いは大きな会社では実行不可能でありましようし、その点におきましてはこの新らしい規定が頗る結構であろうと思うのであります。先程も申しましたように、まあ創立のときであるからこれは大体において出席して呉れる人もあるかと考えられますが、この創立総会に限らず、今度の改正案は決議方法を非常に嚴格にしておる場合が多々あるのであります。まあそれで先般の委員会で多少質問したのでありますが、衆議院におきまして前の会社等臨時措置法の内容と同じ会社の決議方法、招集方法ですか、決議方法を採用しておる、そういう方法ができることには政府委員、政府当局も賛成であるというお説であつたのであります。それから見ますると、当局といたしましてもどうも新改正法の建前がやや現状に対しては無理であるというふうに考えておられるのではないかとも察するのでありますが、勿論私まだ衆議院で提出いたす案の内容を見ておりません。株主が一千人以上とかそういつたような制限が仮に附いておるといたしますれば、それ以下のものにつきましては新法の建前で、すべて総会というものをやつて行かなければならないというふうになるので、実業界では相当心配しておると存ずるのであります。経済界でそういう一体声があるのを当局は勿論聞いておられると思いますが、そういう意見に対しては一体どう思つていらつしやいますか。
#31
○政府委員(岡咲恕一君) 株主総会の特剔抉議の方式につきまして、経済界の要望と申しまするか、成るべく会社等臨時措置法に認められたような方式を希望されておるということは私も承知いたしておりまする、この度の改正案に盛つておりまする方式、三百四十三條の方式につきましては、私の承知いたしておりまする範囲では、大体に賛成されておるようでございます。会社法この度の改正は、来年の七月一日以前に施行するということになつておるわけですが、できればこの三百四十三條だけを切り離して、少し早目に施行することはできないであろうかというふうな話も承つた程でございまして、三百四十三條の決議方式についてはむしろ一般には実業界は賛意を表されておると私は考えております。然らば今衆議院の法務委員会において何故臨時の便法を認める立案をされておるかということになるわけですが、これは恐らく関係方面の了解も得られまして、法律案として提案されるであろうと思いまするが、その法律案によりますると、公布の日から施行になりまして実は商法施行までの期間適用されるという建前になつておるのでございます。言い換えれば三百四十三條の特剔抉議方式は、むしろよろしい、この規定が実施されなければ現行法の頭数で行かなければならん、これは何といつても堪え難い、殊に大会社、何十万株、或いは何百万株という株式が発行されて十数万の株主があるような会社では殆んど不可能である。何とか頭数を落すという点は是非やつて頂きたい。そのために臨時の措置として会社等臨時措置法の建前を酌んだ暫定的立法をされたいというので衆議院の方の法務委員会が立案されているのでございます。そういう経緯かち見ましても三百四十三條が眞ちに施行されるならばその暫定的立法の必要は半ばなくなるのでございまして、三百四十三條については大体産業界は賛成であると、かように承知いたしております。
#32
○松村眞一郎君 私ちよつと質問したいのですが、この無額面の発行ということについていろいろ私は疑問を持つておるのですが、この百六十八條を見ると「無額面株式ノ発行価額中資本二組入レザル額」という書き方をしているが私は組入れざる額というよりも。入るる額の方が大事ではないかと思う。組入れざる額というのは意外である。元来この思想は無額面株式を発行するには割引株式と違つた形で同じ効果を得ようというのが重点である。組入れないのは何も問題でない。どうしても株式会社としては資本維持の原則というものがなければならん。これは私の考えです。だから組入るる額ということから出発点にしなければならんというのが一つの点。それから最低発行価額を決めるには設立の場合のみであると、途中でも最低発行価額を決めてもよくはないか多々ますます弁ずる、そういうことを考えておられるかどうか、そうなると更にさつき申した議論に入るのであつて、資本に組入るる額ということを決めて置いた方がいいのではないか、非常に区々になつて幾ら金額が入るか分らない。だから資本維持の原則から行かないと計算が確実でないと思います。そういう考え方が、ここに欠けているんじやないかということと、それから最低価額であるというといろいろな申込みがありわけですね。その場合に最低価額よりも高く売つて最高よりも低いというところに資本維持の金額を決めてもいいんじやないかという気が私は起る。このやり方はいつでも最低価額を標準にしてその中からその資本の金額を出すことを考える。そういうことを何も限定する必要はないじやないか。最低を維持すれば最高まで沢山区々になつた場合にそれよりもちよつと上のところに資本の維持を決めてもいいんじやないか。元来割引発行の代りに無額面の発行をれはやるのでありますから、非常にこれは折角の無額面の発行を認めるならば、私言つたように自由に決めていいんじやないか。資本に組入るる額一それを法文の議論で行くというと四分の一を超えないような工合にしようというようなことがどこかに書いてありますが一資本維持のところに、しれは計算的のことになりますから関連して議論しなければならんと思いますが、二百八十四條ノニですね、「其ノ発行価額ノ四分ノーヲ超エザル額ヲ資本ニ組入レザルコトヲ得」と書いてある。私はこれだけならば資本に組入れるべしという考え方から立法されなければならんというのが私の考え方である。そういう考え方をなぜしなかつたか。元来資本の額というものはこれだけであるということを二百八十四條ノニの一項に書いてある。資本維持の大事なことは十分分つておる。それならば資本維持の金額から決めるのが当り前である。組入れられない金額は幾らでも差支ない。組入るる金額が大事である。資本増加のためにやるのですから、どのくらいの資本増加をするか多多ますます弁ずるのであるから予想以上に入つて来れば結構である。それは利益として見ればいいのであるから、会社の確実な計算から言えば、資本維持の原則を徹底して行かなければならん。それは徹底しておりますから、それと同時に株券の中に最低発行価額を掲げていいのではないかということを考えることが一つ。もう一つは二十円を下ることを得ずという規定がある間は、無額面の株式を発行されても自然五十円、今日は五十円が市場の慣例でありますから、額面の株式の形にやはり無額面の方が引摺られるのではないかということを私は考えますが、その点如何ですか。大体五十円を標準にして最低発行価場額は二十円になるか三十円になるか知りませんが、とにかくそんなところに引摺られるのであつて、幾ら無額面といつても額面の形に引摺られて行く傾向を持つているのではないかという点、そういうような点を御答弁願いたい。
#33
○政府委員(岡咲恕一君) 松村委員のお尋ねになりました資本に組入れざる額というこの表現が不適当ではないか、むしろ資本に組入るる額というようにするのが適当ではないかというお尋ねでございますが、御指摘にかりました二百八十四條ノニにございまするように、本来無額面株式を発行いたしました際には発行額の金額が資本となるものでございます。これが申すまでもなく資本充実の原則というものを現わすという意味におきまして、一応総額を以て資本を構成するという原則を明らかにいたしたのでございます。ただ例えて申しますと、額面株を発行いたしました際その額面株が五十円であるものが仮に百円なり、或いは百五十円で発行された場合には、五十円のみが資本に組入れられまして、あとの残額は現行法におきましても資本に組入れられませんし、改正法案によりますと、それは資本準備金として資本に準ずる金額として積立てるという制度を認めておりまするので、その額面株式の発行との関連におきまして無額面株式でも相当高い対価を以て発行せられました際には一部これをいわゆるペイド・イン・サーブラスとして組入れないということを認めることが権衡を保つゆえんである。かように考えまして、資本に組入れざることを認める金額を二百八十四條ノニにおいで認めたるでございます。従いまして何にも発起人組合において決定いたしませんならば、これは当然全額が資本に組入れられるわけでございます。併しただ相当の多額を以て無額面株式が発行せられたと、これが額面株式であるならば当然プレミアムが附いているという場合に拂込剰余金を認めることはむしろ会社の経理上、適当であると認めますので、これは例外として資本に組入れざる額として留保することを認めてよかろう。言い換えれば一つの原則に対する例外になるわけでございますから、二百八十四條ノニのにおきましては資本に組入るる額といたしませんで、資本に組入れざる額として例外の決定をいたす場合の何と申しますか取扱を示したわけでございます。
#34
○松村眞一郎君 例外とか原則とかいうことは、計算上の問題と思想上の問題とは違うのです。私の今言うのは思想上から考えなければならん。何のために無額面株式を発行するかという点から御出発にならんといけない。それは全部を資本に組入れては困るからこれをやつておるのですから……初めからそういう制度なんです。割引発行に代る制度なのでありますから、初めかち全部組入れるつもりであれば額面で発行して一向差支ない。その思想が、初めから全部は組入れないという思想で出発しておる無額面の制度を、原則として組入れるならこれは計算上の問題である。計算の書き方と、思想の書き方と混同した議論であると私は思う。思想通りに條文は書くべきである。こういうのが私の考えですからもえになれば私の方が正しいということはお分りになると思います。
#35
○政府委員(岡咲恕一君) 松村委員のお尋ねですが、多少誤解がおありではないかと思います。と申しますのは、無額面株は仰せのように券面額の拘束を受けないという点で券面額以下に発行される場合がございますけれども、額面を超えて、言い換えれば、通常五十円額面株であります場合に七十円、八十円で無額面株を発行する場合も決して少くはないと考えます。資本に満たない金額で発行するというのではございませんで、若し額面額を割つて無額面株を発行するという場合には資本に組入れざる額を決めるというような発起人もおるまいかと思います。これは素直にお読み願えれば分ると思います。
#36
○松村眞一郎君 そういうことをおつしやるならば無額面にやりまして、発行価額より更に大きな金額を資本に組入れるということを書いてよろしいのですか。割引と同じことをやるのですから、発行価額よりも大きいものを資本として計上する、その方が健全である。割引発行は僅かの金しか取れない。そして資本維持の外に更に額面を維持しなければならん責任がある。それであるならば無額面の場合にもそういう考えを持つてよかろう。無額面で発行するけれども、発行価額を見ると十万しか入らない。併しながら資本の総額としては二十万円と認めるというお考えがあつて立法が、できておるかというと、そういう考えは入つていない。それがいけないと申しておる。無額面なるが故に一部を資本に組入れざることを得という思想はいけない。無額面であるけれども更に発行価額より大きいものを資本として計上するというお考えをしなかつたのかと伺つてお参る。しなかつたのでしよう。それが抜けておる。
#37
○委員長(伊藤修君) 静かにその点はお考えを願いまして又逐條審議のときに御両君にお願いします。本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十四分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     伊藤  修君
   理事
           鬼丸 義齊君
           岡部  常君
           宮城タマヨ君
   委員
           齋  武雄君
           松井 道夫君
           松村眞一郎君
  政府委員
   法制意見長官  佐藤 達夫君
   検     事
   (法制意見総務
   室第一局長)  岡咲 恕一君
ソース: 国立国会図書館
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