くにさくロゴ
1979/02/19 第91回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第091回国会 農林水産委員会 第3号
姉妹サイト
 
1979/02/19 第91回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第091回国会 農林水産委員会 第3号

#1
第091回国会 農林水産委員会 第3号
昭和五十五年二月十九日(火曜日)
    午前十時五十一分開議
 出席委員
   委員長 内海 英男君
   理事 片岡 清一君 理事 津島 雄二君
   理事 羽田  孜君 理事 山崎平八郎君
   理事 柴田 健治君 理事 芳賀  貢君
   理事 和田 一郎君 理事 津川 武一君
   理事 稲富 稜人君
      小里 貞利君    菊池福治郎君
      近藤 元次君    佐藤 信二君
      佐藤  隆君    菅波  茂君
      田名部匡省君    玉沢徳一郎君
      西田  司君    福島 譲二君
      保利 耕輔君    堀之内久男君
      渡辺 省一君    小川 国彦君
      角屋堅次郎君    新村 源雄君
      馬場  昇君    日野 市朗君
      細谷 昭雄君    本郷 公威君
      権藤 恒夫君    瀬野栄次郎君
      武田 一夫君    中川利三郎君
      中林 佳子君    神田  厚君
      近藤  豊君    阿部 昭吾君
 出席国務大臣
        農林水産大臣  武藤 嘉文君
 出席政府委員
        農林水産政務次
        官       近藤 鉄雄君
        農林水産大臣官
        房長      渡邊 五郎君
        農林水産省経済
        局長      松浦  昭君
        農林水産省構造
        改善局長    杉山 克己君
        農林水産省農蚕
        園芸局長    二瓶  博君
        農林水産省畜産
        局長      犬伏 孝治君
        農林水産省食品
        流通局長    森実 孝郎君
        農林水産技術会
        議事務局長   川嶋 良一君
        食糧庁長官   松本 作衞君
        林野庁長官   須藤 徹男君
        水産庁長官   今村 宣夫君
 委員外の出席者
        環境庁水質保全
        局水質規制課長 渡辺 一志君
        建設省河川局河
        川計画課長   渡辺 重幸君
        農林水産委員会
        調査室長    小沼  勇君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月十二日
 辞任         補欠選任
  中川利三郎君     松本 善明君
同月十三日
 辞任         補欠選任
  小川 国彦君     上田  哲君
  中林 佳子君     不破 哲三君
  松本 善明君     中川利三郎君
同日
 辞任         補欠選任
  上田  哲君     小川 国彦君
  不破 哲三君     中林 佳子君
同月十四日
 辞任         補欠選任
  小里 貞利君     荒舩清十郎君
  田名部匡省君    稻村左近四郎君
  高橋 辰夫君     奥野 誠亮君
  玉沢徳一郎君     海部 俊樹君
  保利 耕輔君     始関 伊平君
同日
 辞任        補欠選任
  荒舩清十郎君     小里 貞利君
 稻村左近四郎君     田名部匡省君
  奥野 誠亮君     高橋 辰夫君
  海部 俊樹君     玉沢徳一郎君
  始関 伊平君     保利 耕輔君
同月十五日
 辞任         補欠選任
  中川利三郎君     松本 善明君
  中林 佳子君     工藤  晃君
同月十六日
 辞任         補欠選任
  武田 一夫君     正木 良明君
  工藤  晃君     中林 佳子君
  松本 善明君     中川利三郎君
同日
 辞任         補欠選任
  正木 良明君     武田 一夫君
    ―――――――――――――
二月十九日
 農業者年金基金法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第四六号)
同月六日
 農業関連行政組織の拡充強化に関する請願(中
 村靖君紹介)(第五五〇号)
 同(石川要三君紹介)(第五七七号)
 同(工藤晃君紹介)(第六〇四号)
 農業改良普及制度の拡充強化に関する請願(赤
 城宗徳君紹介)(第五五一号)
 肉豚価格対策に関する請願(福島譲二君紹介)
 (第六〇五号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 農林水産業の振興に関する件(農林水産業の基
 本施策)
     ――――◇―――――
#2
○内海委員長 これより会議を開きます。農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。
 農林水産業の基本施策について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴田健治君。
#3
○柴田(健)委員 大臣の所信表明について、大臣に対して御質疑を申し上げたいと思います。
 まず、私は林業問題から入っていきたいと思いますが、私は大臣の所信表明にじっと耳を傾けて、林業問題に対してどういう考え方を持っておられるかということを関心を持って聞いたのですが、たった三十五秒間で林業問題は終わっておるわけです。そして、農林省が出しておる重点施策は五つに分けられておる。そこで、大臣は森林資源に対する公益的機能の種類を御承知だろうと思いますから、これは林業問題の基本政策の中で重点に考えなければならない問題でありますから、その五つの種類に対してどの部分に力を入れなければならぬかということを、大臣としてお考えがあれば明らかにしてもらいたい。
#4
○武藤国務大臣 所信表明の中で短いという点については大変申しわけなく思いますけれども、それは林業あるいは森林行政というものを軽んじておるつもりは決してございませんので、この点についてはぜひ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
 そこで、何に重点を置いて考えているかということでございますが、従来から言われておりますことすべてについてもちろん考えていかなければなりませんが、特に最近の林業を取り巻く環境を見ておりますと、どうも国産材が外材に押されてしまっておるという点に一つの大きな問題があるのではなかろうか。そういう点からいけば、もう少し国産材が充実をしていくような考え方にいかなければいけない。それには、今度の新林構でもございますが、ある程度間伐材などもよく消化されるような形にいかなければいけないのではないかということが一つと、もう一つは、治山というものは現在のわれわれの時代だけでなく、後世のわれわれの子孫の時代を考えた場合に大変大切な問題ではなかろうか。私は特にそういう点にウエートを置いて考えていきたい。しかし、そういうことにウエートを置いて考えていくときには、結果的にはまた林道の整備とかその他をやらなければならないと思うのでございますけれども、何に一番力を入れていくのかという御指摘であれば、やはり治山と申しますか、われわれの子孫のためにも十分な治山をやって、将来、より豊かな国土の中で、より災害のない地域社会ができ上がるようにしていかなければいけない、こう考えておるわけでございます。
#5
○柴田(健)委員 治山というのは山を治めるということですね。その治めるのにはいろいろな方法があるのですが、あなたは治山、治山と言うけれども、治山の中でも何に重点を置くのか。ただ林道をつけるのも治山だ、土砂流出の砂防堰堤をつくるのも治める部分だ、造林するのも一種だ。しかし、この林業を取り巻く厳しい情勢というものをつくり出した最大の原因は何かということを十分理解してかからないと、公益的機能を十分活用するような林業政策をとりますと言ってもうまくいかない。林業を本当に守ろうとするなら、この公益的機能によって日本の国民がどれだけ恩典を受けておるのか、そして国民にどういう責任を持ってもらうのか、理解をしてもらうかという国民運動をなぜ起こさないのかということです。公益的機能の活用という立場から言えば、大臣としては山を守り育てるという立場でもっと国民運動を起こすという姿勢が欲しい。そういう点の考え方を明らかにしてもらいたい。
#6
○武藤国務大臣 国民運動をどういう形で起こすかは別でございますけれども、これは政府がもっと積極的に国民の理解を得るような形で林業政策を進めていけば、結果的には御理解をいただくことになると思いますので、国民運動というふうに何か銘打ってやらなくても、私は政策を着実にやっていけばいいのだと思うのでございます。
 ただ、先生御指摘のように、従来のどちらかと言えば山が放置されておったという点は否めない事実ではなかろうか。これが今日国産材が外材に押されてしまって、林業が非常に苦しい立場に追い込まれてきてしまったことでありまして、過去において、もう少し山を治める、治山を充実し、そしていま御指摘のように林道の整備もし、砂防もし、また間伐材もうまく切り出して山を育てていっておったならば、私は今日のような事態は起きていなかったのではなかろうかという反省をしておりまして、その上に立って、これからはより充実をした治山をしていく。そして、その治山は、先ほど私も申し上げておりますように、また先生もおっしゃるとおり、山を治めるというのはただ木を植えるだけではなくて、間伐もやらなければならぬだろうし、また切った木を切り出す林道の整備もしなければならぬだろうし、あるいは山そのものの災害を起こさないように砂防もしなければならぬだろうし、いろいろあると思いますけれども、そういう諸施策を総合的に強力に進めていくところに将来の国土の保全があるのではないか、私はこう考えておりまして、治山を一番重点に考えていきたい、こうお答えをしたわけでございます。
#7
○柴田(健)委員 どうも私と意見がかみ合わないのですね。大臣の山に対する認識は非常におくれておるとぼくは思うのですね。
 それから、これは農林省全体、政府もそうなんだが、山に合理化政策を持ち込んだというところに問題があると私は思うのですね。そして、この山に対する合理化政策というのは、何でも機械にすればいいんだ、山を守るのも機械でやれるのだという考え方は、これは山を荒らすだけに終わってしまう。やはり山に合理化を持ち込むというのは私は余り感心しない。山自体は特殊な一つの地域であるから、その山に合理化政策を持ち込むということは山を荒らすだけになってしまう。
 もう一つは、御承知のように、山そのものに対する国民の考え方が戦前からいうと変わっておる。それはなぜかというと、われわれの立場から申し上げると、昭和二十八年に町村合併促進法という法律ができて、一万三千あった町村をいま三千三百何ぼに減しているわけですが、その町村合併をすることによって都市化対策を進めてきた。ところが、山に対する認識、山というものが国民にとってどれだけ大事なものかということを十分理解させずに都市化政策をやった。それは農業でも言えることだが、そしてその都市化政策の中で何を誘致したか。レジャー産業、・第三次産業でしょう。第三次産業や第四次産業の取り入れがおびただしいために、山はレジャーで使えばいいんだという方向が、そのために土地の売買が行われてくる。山は遊び場だ、レクリエーションの場だと、こう言う。それはそうかもしれない。それは一部分だけで、全体的から言えば山の問題はそうであってはならない。そういうことから考えて、いままで行ってきたのをもう一遍反省して悪いところを直していく。山を守るためには、日本の森林資源というものをどう開発してこの利用増進を図っていくかというそういう立場からとらえて、この林業政策を打ち立てるべきだ、こう思うのですね。いままでの誤りを、あなた全然一つも反省しないで、大臣が再々かわるからそういうことになるんだろうと思うけれども、林業そのもののあり方というものを抜本的に見直すときが来た。われわれは見直し論言うているのですね。だから、いままでの誤りは誤りでひとつ反省して、その上に立って見直していくということをしてもらわないと、本当の林業政策というものが出てこない。ありふれた文章で三十五秒間だ。聞いておる側から言うと、今度の大臣は新進気鋭の優秀な大臣だと思うけれども、山に関する限りはこれはだめだなという印象を持つ。先入観というものはずっと続くわけですよ。武藤大臣は山に余りどうもぱっとしないなと、こうなってしまったんでは、あなたの将来性に影響すると私は思う。それから山を見直すという姿勢を持ってもらいたい。どうですか、その点は。
#8
○武藤国務大臣 大変厳しいおしかりでございますが、私も実は多少は山を自分でも持っておりますし、山に対する認識は個人的には強く持っておったつもりでございます。
 いま御指摘ございましたけれども、私は先ほどもちょっと触れましたけれども、やはり戦後、また高度経済成長時代の山に対する政策というものは、必ずしも私も十分でなかったと思います。そういう反省の上に立って、これから将来を踏まえて、山をもっとしっかりと将来の子孫のためにも豊かな山にしていかなければいけない。私はたまたま、これはお隣の韓国でございますが、韓国で、先生の御指摘のように、あれは国民運動として緑化運動が相当数年前から行われておりまして、はげ山の多かった韓国が最近は非常に緑が多くなったという話も聞いておるわけでございまして、私はやはり日本もそういう意味においては緑の山にしていく努力をしていかなければいけない。それで、緑の山にするということは単に簡単に緑の山にできるわけではございませんので、やはりその間には下刈りもしなければならぬ、間伐もしなければならぬ、あるいはまたそのための林道整備もしなければならぬ、あるいは砂防もしなければならぬ、こういうことでございましょうから、そういう点を総合的にひとつ勘案をして、政府が国民運動としてやるかどうかは別といたしましても、私は、そういう思い切った、従来よりは充実した林業政策を進めていくということによって、国民の理解を得ながら山をりっぱな山にしていく、こういうことであれば、必ずしも先生と私は意見が違うとは思わないのでございますけれども、私はそういう考え方で努力をしてまいりたい、こう申し上げておるわけでございます。
#9
○柴田(健)委員 僕は、たとえば、いままで九十年近くの長い歴史を持ってきた保安林の地域がいま適地であるかどうか、保安林のあり方、指定の区域、指定森林地域そのままでいいのかどうかというあり方の見直し、それから、いままでにいろいろ問題があるわけですが、入会権の見直し、そしてまた特に防災的な立場で見る防災対策、そういうものが今度の五十五年度予算では強く出てくるだろうと期待しておったのですが、そういう点においては何にも出てこない。私はそういう点で非常に不満があるわけですね。
 なぜ保安林の見直しを言うかと申し上げると、この前にも私は申し上げたのですが、山の管理に保安林であるがゆえに管理がおろそかになっている点がある。そこに、松くい虫の駆除対策についても一つの障害になる、山林火災が起きてもいろいろの問題がある。そういう点で、防災的の面から見て、保安林の指定した地域の山林は、何らかの形で一つの行政指導が強まるような、余り強めても困るけれども、強まるような強めるような方向が出ないものか。それは農林省が本当に山を愛するなら、もっとそこまで踏み込んで政策として出てくるだろう、こう思っておったのですが、そういう点は大臣ないわけですね。どうですか、大臣その点は。
#10
○武藤国務大臣 昭和五十五年度でたしか保安林の実態調査をすることになっております。その実態調査の結果を踏まえながら、やはり制度の見直しを含めて検討していくべきであると私は考えております。
#11
○柴田(健)委員 時間が少ないですから、あなたと林業問題やると何時間かかるかわかりませんから、適当にやめておきます。
 それから、山の合理化言うて機械を導入して、チェーンソーを入れて伐採ばかりやっている。それで、いま白ろう病で社会問題、政治問題になって大変な問題になっているわけですね。そういう山に働く人々をまずどれだけ大切にするかという、それによって後継者育成というものが出てくる。それから林業後継者。言葉としてはぽんぽん出てくるけれども、現実に現場での現象面として出てくるのは、若年労働力の増員というものがふえてこない。高齢化にだんだんなっていく。もう五十歳、六十歳と、山に働く人々がそれだけ高齢化してくる。山の方は荒れていくし、働く人々は高齢化してくる。これでよくなるはずはないと私は思うのですね。
 それから後継者育成については、やはり山で働く人々の社会保障政策というものを強く進めていかなければならぬだろう、こう思うのですね。これらについても十分でない。国有林で働く人々ですら――一般の民間の林業労働者と言われるのと国有林との格差がある。それから国有林で働く皆さんもいま惨めに追い詰められてきておる。それじゃ若年労働者として後継者として育成しておるとは言えないわけで、特にもう少し山を理解し守るそうした後継者の育成をやるべきじゃないかと思う。そのあり方についても今度の五十五年度の所信には余り出てこない。大臣この点についてお答えを願いたいと思うのです。
#12
○武藤国務大臣 必ずしも十分でないとは思います。しかし、今後においては山を治めていくという、特に新林構もまた新しく十カ年計画で出発するわけでございますし、ひとつその中で、いま御指摘のございましたように、やはり後継者と申しますか、林業に喜んで従事する人が非常に少なくなってきていることは承知をいたしておりますので、そういう点も反省をしながら、後継者づくりに本当に真剣に取り組んでいかなければならないと思っておりまして、五十五年度だけを見れば不十分かと思うのでございますけれども、ひとつ新林構の十カ年の中で充実した政策がとれるように、今後ともできるだけ努力をしてまいります。
#13
○柴田(健)委員 この山林労働者に対する福祉政策、社会保障政策というものを思い切って導入しなければならぬ。山に働く人々は、にわかに役に立つと言うてはおかしいのですが、本当の林業労働者としての技術習得というものはむずかしいのではないか。一般の作業労働者のように、その日に山へ持ち込んできたらすぐ使えるというようなものではない。林業労働者というものは何か職種を明確にしてやるべきじゃないか。そういうことで、社会的に一つの身分保証というか、地位の位置づけというものをもっと明確にしてやるべきだ、こういう考え方でわれわれは常に言うてきたのですよ。どの大臣にもこう言うてきたのですが、歴代の大臣はそれに一つも耳をかそうとしない。
 それから、林業労働者の名称を変えたらどうか。特殊技能者として位置づけを明確にしたらどうか。そうしないと、そこに自信と信念と、そして山を愛するという気持ちが生まれてこないじゃないか。山に働く者が自分の山を守っていきたい、そういう自信を持たせるようにしないと、本当に山を守れないだろうと私は思うのですよ。山を守るのは人だと思うのですよ。どの産業でもそう言えるのですけれども、まず人を養成するということが一番大事なんで、その人を大事にし養成する方法というものがまだ具体的に出てこないところに、日本の林業がおくれてくる最大の原因があると私は思う。人だと思うのですよ。そうでなければ、後継者育成としてどんなにいい言葉で言うても育成にはならない、後継者はふえてこない、こう思うのですね。その点は、きょう言うたからあんたがすぐ変わるというものでもないけれども、あなたも十分勉強してもらいたいと思うのですね。その辺どうですか。
#14
○武藤国務大臣 先ほど来申し上げますように、後継者が非常に育ってきていないことは事実でございますので、私としてはこれは非常に残念なことだと思います。今後、幾ら口で治山を言ってみても、結果的にそこで働いていただける人がいなくなれば治山なんというのは絵にかいたもちになるわけでございますから、そういう点において、後継者づくりについても、いま先生のいろいろの御意見も十分尊重しながら、ひとつ労働条件の改善、あるいは実際に国民が山に働く人たちによく理解を持つような、そういう方向にも私どもはやはり努力をしていかなければならないと思っております。できる限り真剣に今後の後継者づくりについて努力をしてまいりますことをお約束をさせていただきます。
#15
○柴田(健)委員 大臣はまじめに素直に答弁されるから、余り厳しい質問もしてはならぬと思うのですけれども、やはり山に働く人々を国が大事にするんだという基本的な発想でやっていただくなら、それだけ山に働く人々は国民に対して責任を持ってもらえるだろうし、また国民の皆さんも山に働く人々に感謝するだろう。そういうお互いに感謝し合うというような人使いをしないといけない。何でも合理化で、首切りで、こういうことで押しつけて、減量経営だ、こういう発想では山を守れないということだけは十分肝に銘じてもらいたいと思うわけであります。
 次に、山に対して、資源活用の問題ですが、日本は何としても資源の少ない国だということはみんな知っておる。少ない国でありながら、その資源の活用については非常にお粗末だ。そこに、試験研究機関のお粗末、研究開発がお粗末、こういうことになる。これからは好むと好まざるとにかかわらず資源管理型の政策をとらざるを得ない時代に入ってきたと思うのです。資源管理型の政策をとらなければならぬ時代に入ってきたのなら、もう少し資源開発に対する研究開発というものを思い切って――今度の研究開発の予算を見ると、まことにこれはまたお粗末ということなんで、ただ、エネルギー問題と山の問題というものは将来切っても切り離すことのできない重要な課題だ、こう思うのです。それからエネルギー資源として活用の方法の開発計画、研究開発というか、そういうものについて大臣はどういう考え方を持っておられるのか、それを聞いておきたい。
#16
○武藤国務大臣 五十五年度から、確かに少額かもしれませんけれども、木質系のエネルギーの開発というものについても力を入れていこうという新規の予算を考えたわけでございまして、世界のいまの油の事情から申しましても、私は、日本における木質のエネルギーの開発というものについてはもう一度相当力を入れていくべきではなかろうか。残念ながら、過去においてややもすればそれが忘れられたものでございますから、これが大きく国民生活の中に活用されるとまではいますぐにはいかないかと思いますけれども、やはり長期的に見れば大変大切な問題であろうと思っておりますので今後積極的にこのエネルギー開発については取り組んでまいりたいと考えております。
#17
○柴田(健)委員 大臣がそういう自信を持って今後取り組んでもらえるのなら、これから大きな期待を持っておきます。
 資源を大事にするということの面から見て、どうも大変山火事がたくさんある。山林火災。何回言うても農林省は、林野庁を含めて、林野庁が総元締めだけれども、山林火災の防止策について何ら手を打ってない。思い切って、全国で何カ所か防災基地を国土庁と話をして設けなさい、防災基地で、常にヘリコプターで空中から防除対策ができるようにやりなさい、こう言うのだけれども、やろうとしない。資源を大切にしなければならぬ、こういう答弁をしながら、実態論から言えば何にもしないということは、これはおかしいと私は思うのですね。それから、集中豪雨で、水害で山崩れやいろんな問題が起きる、それが災害復旧ということに直ちになるわけですけれども、火災のあとはもう微々たるもので、何十年かかるか知らないけれども、ぼちぼちやっているということですね。そんなことよりも、山火事を起こさない、そういう運動をしなければならぬし、そういう政策を進めなければいかぬ。この点、大臣どうですか。――長官は要らぬ。きょうは大臣に。
#18
○武藤国務大臣 いままでの実態についてはもう先生御承知でございますから、長官の答弁も要らないかと思うのでございますが、私はいまもちょっと長官に言ったのですけれども、たしか、私カナダを旅行いたしましたときに、カナダに山林消防隊というのがあったのを、カナダではなかったかと思うのでございますが、まあ日本でそういうものまでやるのかどうかという点はいろいろこれから議論してみなければならぬかと思いますが、とにかく山を守っていくという点からいけば、なるべく山林の火事、特に山林地帯に入りますと、結局いまの消防ではなかなかうまく消火ができないということで、結果的には非常に大きな被害をもたらすわけでございます。そういう意味においては、私もいまちょっとアイデアで浮かんだだけでございますが、たしかカナダであったと思いますが、そういうのも私は見てきておりますので、できるだけ山林の火災予防という点について積極的な取り組み方をひとつ検討してまいりたいと思っておりますので、そういうことで御理解をいただきたいと思います。
#19
○柴田(健)委員 これは農林省だけでやれる仕事ではないわけですね。国土庁、自治省、まあ大臣、あなた自治行政も詳しい人だから、森林をたくさん持っている町村、それから交付税の中の単位費用、山林面積に対してどれだけの単位費用を認めておるのか、それから自治体、いまの消防制度から言えば自治体消防だから、山を本当に守らせるのなら、交付税の算定基準の単位費用をもっと大幅に引き上げるべきではないか。そして地方公共団体にもっと責任を持たしていくということをしないと、国もやるが自治体もやらなければならぬ。いまかみ合っていないのですね。いま交付税の単位費用は幾らと思います。ちょっと大臣、答弁してください。
#20
○武藤国務大臣 私も大分自治省で交付税の基準財政需要の単位費用についてはやっておりましたが、私がやっておりましたのは四十七年ごろでございまして、どうも残念ながら、申しわけございません、いま幾らになっているか存じませんが、ただ、言えることは、山を対象としての基準はたしかなかったのではなかろうかというふうに私は承知をいたしておりますが、どうも金額的にはまことに申しわけございませんが、存じません。
#21
○柴田(健)委員 国全体が山に対する認識が足らないのですよね。そうした地方公共団体の産業経済費の中で山に対する単位費用というものが非常に低い、まことにお粗末である。林道もそうですよ。林道の維持管理の単位費用といったらもう三分の一ですかな、普通の。道路法で指定を受けておる道路については単位費用は高い。けれども、この林道に対する単位費用は非常に低いわけですよ。
 それから、山に対する、全体が山に投資をしようというそういう姿勢が、農林省ばかりじゃないが、政府、自費党政府全体にそういう山に対する認識が足らぬ、大いに努力してもらいたい、こう思います。
 次に進みたいのですが、今度ちょっと農業問題に入ってまいります。
 近ごろ総合農政論、盛んに大臣の所信表明の中にも総合農政論が出ているわけですね。総合農政論の基本は何か。どういう発想で総合農政論というものが生まれてきたのか。昭和四十二年以降総合農政論が出てきた。それまでは基本農政論。なぜ総合農政論が生まれてきたのか。基調になっているのは何か、それをまず大臣、ちょっと答弁願います。
#22
○武藤国務大臣 私は、総合農政論が生まれてきたのは、やはり国民の食生活の変化に伴いまして米以外の需要が相当ふえてきた。それに対してのやはり対応の仕方が、農業基本法における選択的拡大という言葉を使えば、選択的拡大といいましょうか、そういう形で、米以外のあるいは畜産物その他についても相当のやはり消費に見合った生産をすることによって農家の所得も引き上げていく、こういう姿が必要ではないか、こういうことから総合農政というものがいろいろ言われるようになってきたのではないかと思っておりますが、そういう意味からいって、価格政策あるいは構造政策、こういうものを伴っていま総合農政政策というような形で行われておると私は判断をいたしております。
#23
○柴田(健)委員 われわれの受けとめ方というか理解をしておる点は、基本農政論の段階は質よりは量だということで生産向上運動だ。それから、昭和四十二年まではそれできた。四十二年の大豊作以後は総合農政論に変わってきたというのは、過剰米、これと食管会計の赤字論、この二つで生産調整に入ってくる。生産調整、減反だ。それから、いまの総合農政論というものは、減反政策を進める、米の生産調整をやる、これが基調になって総合農政論が生まれてきた、われわれはそう理解しておる。それが続く限りは日本の農業というものはよくならないと思っている。基本農政論は、土地の生産性を高めて質よりは量だということだったが、いまは、おいしい米をつくりなさい、量よりは質ですよという転換をして、そうして生産調整をやる。そして、おまけに価格政策で価格抑制政策をとる。抑えてしまう。この総合農政論が続く限り日本の農業というものはよくならぬとわれわれは思っている。
 私たちは、日本の農業の行き詰まりというものは大きく分けて三つある。一つは国際分業論からくる、一つは重化学工業優先の産業政策からのしわ寄せ、一つは都市化政策における消費者農政という形の方が強くなってきた、それから生産者農政になってないという理解をしておるわけです。総合農政論で日本の農業がよくなると思えないし、今度の大臣の所信表明の中で、あなたが地域農業論を大分ぶったんですね。総合農政論と地域農業というものが本当にかみ合うのかどうかという疑問をわれわれは持っておる。大臣、この点について、地域農業を進めるため総合農政論で、いまの総合農政の中で本当に成功すると思っておられるかどうか、見解を聞きたいのです。
#24
○武藤国務大臣 私は、いまの農業を総合的に進めていく中において、必ずしも抑えていくという考え方を持ってはいないわけでございまして、水田利用再編対策に対しても、米が過剰であるのに、片方において小麦、大豆その他は非常に不足をいたしておるわけでございます。いま御指摘の国際分業論というのもございましたけれども、私は国際分業論は必ずしもとらないわけでございまして、特に将来の世界的な食糧の需給動向を見ておりますと、私は、できる限りやはり自給率は高めていかなければならないという観点に立っております。しかし、自給率は高めていかなければならないけれども、国民の食生活というのが変わってきておるこども事実でございまして、やはりその国民の食生活の変化に対応した形で農産物の供給というものも考えていかなければならないのではなかろうか、こういうことを考えておりまして、必ずしもただ一概に抑えるということではなくて、幸い米は相当これで技術も進み、よほどの災害があっても米の生産は大体減らないだろうというふうに見込まれるわけでございまして、そういう中で、それではほかのもっと足りないものをより多くつくっていただきたいという考え方を持っておるわけでございます。
 それから、いまの、地域農政というお言葉をお使いになりましたけれども、これは地域農政総合対策事業とか地域振興何とかと、いろいろ項目がございますが、私は、地域のいまそのいろいろの事業をやろうとしておる考え方は、そういういろいろの総合農政と申しますか農業全般にわたっての政策を進めていく上においては、私どもだけが、だんびらをかざして、こうやれと言ってもこれは無理なんでありまして、やはり地域地域の農民の皆様方の御理解が得られなければできないわけでございまして、そういう意味において、それぞれの地域において、地域を中心として、いろいろ私どものお願いしていることに対して、いろいろ御協議をいただいたりあるいは計画をつくっていただいたり、そういう受けざらをひとつやらなければいけないのではないか。その受けざらをやることが大切であって、それがいろいろの地域の農政の振興対策とかあるいは総合事業だとか、こういうものを考えておるのは、そういう受けざらをつくっていただきたい、こういう気持ちでやっていきたいというところから出ておると御承知をいただければ、大変幸いだと思うわけでございます。
#25
○柴田(健)委員 どうもわれわれが見ておって、長い間自民党の農政――福田さんはだれよりもだれよりも農民を愛しますと言った。農民を愛した。確かに農民を愛したかしれない。農業を愛してない。農業というものはつぶしていった。農民を愛するためにどうしたかというたら、補助金をいろいろの名目で、まあ農林省ぐらい数多くの名目、種類のある補助金制度というものは珍しいのじゃないですか。それから、農民を愛するためにやったのじゃない、票がかわいいから、票を欲しいためにやったので、考えてみれば選挙対策上の農政をやった。農業というものはもういよいよ行き詰まってきた。農民は愛したかもしらぬが農業を愛してない。
 そういう歩みをしてきたいまの日本の農業、ぞして今度は地域農業論をぶち込んできた。地域農業というのは町村単位にもう少し計画を持たせなければならぬと私は思うのです。国と町との中に入って県がどれだけの調和をとるかという、都道府県の任務というものを明確にしなければいけない。
 そういうことになれば価格政策というものが強く出てこなければいけない。農畜産物の価格政策というものが十分出てこない限り町村は指導できない、見通しのないことを人にやらせるんだから。米ができ過ぎたから米だけ価格を抑えて生産調整をして、あとは何でもつくりなさい。ビール麦がいい証拠でしょう。農林省はビール麦をつくりなさいよ、こう言うた。号令をかけて一年たたぬ間にもうだめですよ、こうなってしまった。そういう思いつき、場当たりというのは、やはり価格政策というものが出てこないところにそういう思いつきになってしまう。今度の野菜の問題はどうですか。あなたもきりきり舞いしておられるようだが、思いつきばかりしているからそうなんですよ。
 それだから、生産から流通に至るまでもう少し農林省が責任を持つ体制でなければ、地域農業というものは発展しないと私は思う。何ぼかけ声をかけても、ただ補助金で終わってしまう、補助金政策で終わってしまう、私はそういう判断をしておるのですが、いま総合農政論で、価格政策もとらずに地域農業は絶対発展しない、こう思っている。大臣は発展すると思いますか。ここで論戦しておかなければ後々の問題があるからよう聞いておかなければいかぬ。
#26
○武藤国務大臣 私は、先生の方と意見は違うかもしれませんけれども、現在の日本の農業の実態を見ておりますと、大きく分けまして、土地利用型農業と施設利用型農業とこう分けた場合に、施設型農業というものは生産性が相当高いと私は判断をいたしております。土地利用型農業については、残念ながらなかなか規模が大きくならないものでございまして、生産性は必ずしも高まっていない。
 こういう観点から、私ども、今度農地法制の見直しをしたいと考えておるわけでございますけれども、そういういまの非常に狭い、生産性の低いところで価格保障というような考え方をより強く出していくということは、国民の理解がなかなか得られないんではなかろうか。やはり農民も努力をしていただく、農業をより発展をさせていく、その中でやはり価格政策についてもしかし十分な理解を示していくということは国民も理解ができると私は思いまして、そういう面においては、農業から生まれる産物に対するものは、やはり一般の産業から生まれる産物とは違った形で価格政策というのは考えていかなければならないし、不十分ではございましょうけれども、いまの農林水産省のとっておりますいろいろの価格政策は、他の工業製品と比べれば価格政策はとっておると私は思うのです。
 ただ、それが十分であるかどうかという問題は、これはいろいろ議論があるところだと思いますけれども、私は、いま申し上げたように、生産性を高めていき、その中で価格政策も十分国民の理解を得ながらやっていくということになれば、農業の全体の発展というものは決して不可能ではない、こういうふうに判断をいたしております。
#27
○柴田(健)委員 生産性を高めていくと言う、非常にりっぱな――生産性を高めれば高めるだけ今度は生産調整に入っていくんじゃないのですか。果樹もそうでしょう。牛乳もそうでしょう。豚もそうでしょう。養鶏もそうでしょう。畜産関係も全部生産調整。生産を高めなさい、それであとは生産調整だ。米もそう。あなた、生産性を高めると言いながら生産調整で抑え込んでいくでしょう。あなたはそういう矛盾をもうはだに感じないような不感症じゃないですか、大臣。あなたは不感症の政治家になっては困るんで、不感症にならぬように、血が通うて生きているということ……。
 それから生産を高めると言いながら生産調整をやる。それから総合農政論はすべて生産調整だ。生産を高めなさいと言うて補助金をやる。それで、できたら生産調整、こんな矛盾をしておるから国民が笑うんですよ。日本の農政は何だと、こうなる。それから生産する側の農民の方から言うと、農林省信用できず、こういう結論が出てくる。
 私は、地域農業というものは、やはりある程度、基準価格というものはこれですよということを――何をつくっても米以上に所得がある。それから農家所得という中でも、農業所得でなしに農業外所得を奨励して、第二種兼業農家を育成してきた。農林省みずからやった。今度はこの国会中に農地法の改正を出してくる。農用地利用促進法案というものを出してきて――いま兼業農家は農地という意識を持っていない。これはもう財産だという発想に変わりつつある。その中で農地が動くと思えない。やはり農地を動かして生産単位を拡大をする。単位を拡大をしてみたところで、価格政策の中で手放しだということになれば、見通しが出てこない。お先真っ暗で展望がないということになる。農民が安心してやれるような状態は出てこないと思う。だから、一連性があると私は思う。皆関連がある。
 それから、われわれの立場から言うと、何としても農畜産物の価格政策を思い切ってとってやる。高い安いは別として、上限、下限の基準価格だけは早急にとる。そのくらいまで踏み込んでいかないと、地域農業というものは発展しないと私は思う。農地を動かすと言うたって、もう発想が変わってきている。そういういままでの矛盾の上にまだ矛盾をつくり出そうとする農政のあり方というものは、われわれは理解できない。大臣はそういう矛盾を一つも感じない大臣とするならば、われわれは何をか言わんやで、もう論戦してみてもしようがないなという気になるのですが、そういう悲観をさせないように、落胆をさせないように、もう少しもう一歩踏み込んだ答弁が欲しいのですが、どうでしょう。
#28
○武藤国務大臣 私の先ほどの答弁が少し舌足らずであったと思うのでございますが、もう一つ考え方としては、やはり需給見通しというものに対しては、従来よりも、これだけコンピューターその他が進んできた時代でございますので、中期、長期、短期の需給見通しというものをしっかりつくってあげなければいけないということは、私は当然だと思います。
 そういう意味において、たまたまいま生産性が高まるとみんな余っちゃうんじゃないかということでございますが、生産性を高めることと必ずしも矛盾しないのでございまして、生産性を高めることと、あるいは適地適産という考え方でございましょうか、この地域ではなるべくこういうものをつくっていただきたいとかいろいろとお願いをする。それと、先ほどの地域農政と申しますか、地域におけるいろいろの御相談、計画というものとをマッチさせていただく。そうすると、全体的に国全体の需給計画の中でより需要に合ったような形で供給ができるような形にしていただければ、結果的に、先生が御心配になるような、いまの豚だとか生乳だとかいうようなことが起きてこないと私は思うのでございます。
 そういう需給見通しと、ある程度適地適産の考え方と、それから経営、特に土地利用型の経営規模の拡大の問題、こういうものの絡み合わせの中に、いま一つそれぞれの地方におけるいろいろの集落において御相談いただく、あるいは市町村において御相談をいただく、こういうものとがかみ合ってくれば、いままでの失敗は二度と繰り返さなくていいんではないか、こういうように考えているわけでございます。
#29
○柴田(健)委員 この問題はまたいずれ機会があろうかと思いますから……。
 次に、この間予算委員会で、民社党の塚本書記長さんに対する大臣の答弁を聞いておって、ぼくは案外な気がしたのですが、何という答弁をせられるのかなと、われわれの立場から受けとめたのですね。それで、要するに食糧庁の出先である食糧事務所の人が多い、事務所の統廃合をやる、職員を減らす、それで検査を簡素化する、検査方式を抽出検査でやる、こういうことで、あの答弁はあなたの腹から自信を持って答弁をせられたのですか。ちょっとその点を……。
#30
○武藤国務大臣 私は自信を持って答弁したつもりでございます。と申しますのは、食管の関係で米麦というような主食については今後も国が直接管理をしていかなければならないという考え方は、私は正しいと思っております。だから、食管法そのものは、根幹は維持するとよく言うのでございますが、とにかく食管法の基本的な考え方は変えておりません。ただ、現実にいまたとえば米の検査でございますが、先生御承知のとおり、試行的に、試験的に行いましたバラ検査、抽出検査が、五十四米穀年度は大体四十八万八千トンぐらいをバラ検査、抽出検査で検査したと聞いておるわけでございます。これを五十五年、ことしの秋においては百三十万トンぐらいを何とかバラ検査、抽出検査でやりたい、こういうふうにいま思っておるわけでございまして、これを今後とも進めていきたい。それはなぜかと言えば、先ほどの話の補助事業になりますけれども、たとえばカントリーエレベーターというのが構造改善事業の中で入っておるわけでございます。せっかくそこでバラでストックしながら、何もその前の検査が袋で検査するという必要はないわけでございますから、せっかくそういうカントリーエレベーターなんかがどんどん出てくるならば、やはりそこでバラで持ってきてバラで検査をするという姿が望ましいのではなかろうか。あるいは都市へ参りますと、今度は全糧連の系統でございますか、米穀組合に対して集中精米の補助を出しておるということになれば、やはり集中精米所はバラで持ってきてそこでやればいいのだろうと私は思うのでございまして、そういう点からいけば、せいぜい今後そういう検査を思い切ってふやしていったらいいんじゃないか。そういう検査をふやしていけば、結果、検査官はそれだけ必要がなくなるわけでございまして、だから――それを段階的に、ひとつそういう仕事を合理化することによって検査官も減らしていく、こういうことはできるであろう。だから、何年かかるかわかりませんけれども、そういうことをどんどん進めていけば、いまの検査官を半分ぐらいにすることは決して不可能ではない、こういうことを私は考えて答弁をしたわけでございます。
#31
○柴田(健)委員 大臣の考え方というものは、もう十年も二十年も前の考え方を基調にした発想だと思うのです。これからの穀物の検査は、米ばかりじゃない、本当に総合農政というものを進めていくのなら、米だけではないのだから、国が責任を持って主要な穀物は生産から流通まで全部検査をして、品質のいいものを消費者に供給していくという責任を持たなきゃならぬと思う。ただあなたは収納検査だけにとらわれておる。そして食管会計の赤字の一これからの検査は食管会計で人件費を賄うものではない。これは一般職員として食管会計から外してしまう。それから、食管会計には明らかに独自の会計方式をとっていく。人だけを外してしまう、一般財源で賄う、こういう方向で……。収納検査の方法は、あなたがいま言われるように抽出もあれば、バラ検査もあるだろう。いろいろな方法も考えれば簡素化できるでしょう。けれども、収納検査だけではもう消費者は納得しない。生産者も納得しない。流通検査まで思い切ってやっていくのだ。それを大臣としてなぜ考えられないか。収納検査の段階だけをとらえられて論陣を張るから、人が多いとか少ないとかいうことになっていく。流通検査をなぜできないのか。そこまでいま事態が来ておるんじゃないか。消費者に責任を持って供給していく。たとえば、収納検査は何年何月にやった、倉庫の積み出しまでは食糧事務所が管理する。そこから先へはどうなっていくかわからない。そういうことをするから米の品質が変わっておる。米は三カ月たてば品質は変わる可能性がある。消費者に行くまで検査の責任を持つ、そういう時代ではないかとわれわれは思っておるのです。あなたは予算委員会で収納検査の立場だけをとらえてあんな答弁をしたというのは、私は大臣としては非常にお粗末だという気がする。もう一歩踏み込んで流通検査まで将来やっていきますという答弁がなぜできなかったか。私はそう思っておる。
 それから、いまの米の販売小売業者までなぜ食糧事務所が責任を持って検査をしていかないのか。農民がどんないい品質の米をつくってみたところで、消費者の口に入る時分には何が入っておるかわからない。
 それで、いま食管制度を崩した三本立てがあるでしょう。超過米制度がある。自主流通米制度、政府米制度。三本が消費者の中でどういう形で入っているか、その検査もできないということ。それで農林省の責任が果たせるかどうか。あくまでもこの三本立ての価格政策そして販売方法というものがある限りは、収納だけの検査では無責任に終わってしまう。中途半端だ。完全な検査をしておるとは言えない。それから、小売業者に対する都道府県知事の権限を外してしまって、都道府県にある食糧事務所が責任を持って、小売業者の許認可の権限を持ってしまう。悪い小売業者は全部その日にでも免許を取り消す、販売許可を取り消すぐらいまで厳しくいかないと、生産者と消費者のつながり、米の消費拡大にもならない。いま流通がでたらめだ。その検査をなぜやろうとしないのか。そこまでいけば検査要員がふえるかもしれない。食管会計でやる必要はないじゃないか。それから、収納検査より一歩踏み出した流通検査までやる、そういう発想になってもらいたい。大臣どうですか。
#32
○武藤国務大臣 たまたまこの間の予算委員会の答弁は、そういうことで生産地での話をしたのでございますが、米価審議会で私は実はいろいろ意見がございましたときに申し上げたことでございます。これは食糧庁からすでに発表したのではないかと思いますけれども、来年度以降消費地において、いわゆる小売段階におけるいま先生御指摘の混米がなされたり、そういうことによって結果的に米の消費の減退につながるような現象が必ずしもないわけではない、こういうことは承知をいたしておりますので、今後は品質の表示をはっきりさせるということを義務づけるわけでございます。そしてそれがうまくできておるかどうかという点については調査を進めていくわけでございまして、そういうときには当然食糧事務所の人たちがそういう調査に行っていただくということは、十分私どもは活用していかなければならぬと考えております。
#33
○柴田(健)委員 大臣は新進気鋭の大臣だから、ひとつ新しい発想に取り組んでもらいたい。
 それから、予算委員会でああいう答弁を軽はずみにしてもらったのでは、生産農民に与える印象というのはよくない。その点を十分考えて検討してもらいたい、こう思います。この問題はいずれまた掘り下げて質問申し上げたい、こう思います。
 次に、大臣御承知のように物価がどんどん上がってくる。公共料金を政府みずから上げるわけですから、油もどんどん上がってくるという見通し。そうすると、第一次産業、漁業、林業、一般農業、全部に重大な影響を与えるわけですね。それからまた、そうした農産物の価格、ことしも米価問題、麦価の問題もあるでしょう。けれども、何としても公共事業の予算。どんどん価格が上昇してきたら、諸資材の値上がりに伴う公共事業が、地元負担が大変なことになってくる。そうした場合に、四十八年にはスライド制を導入したのですが、そういう異常事態になった場合にはスライド制を導入される御意見があるのかどうか。
 そして、もう一つは、何としても農業という産業に対する油の確保です。その点について絶対自信があるという答弁をもらいたいわけです。この二つの点で御答弁を願いたい、こう思います。
#34
○武藤国務大臣 公共事業の執行に当たりましては、これは私どもの省だけでなく政府全体の問題でございますから、私がここで御答弁するのはいかがかと思いますけれども、経済情勢を十分見ながら、しかも私ども政府としては物価を極力抑えていきたいということでいま努力をしておるわけでございまして、今後の物価動向、経済情勢、あるいは雇用の問題、いろいろの角度から公共事業の執行というものは考えていかなければならないわけでございます。スライド制の導入というものも、それは本当に狂乱物価がこれから参りまして――いまのところはまだそれほど公共事業の執行に影響が出てきておるとは私ども承知をいたしていないわけでございまして、将来どういう事態になるかは予測ができませんけれども、いまの時点でそれじゃスライド制を導入しますというような答弁は、まことに残念でございますけれども、ちょっといたしかねるわけでございます。
 それから、油の問題でございますけれども、農業、林業、漁業ともに最近は相当油を使用いたしておるわけでございまして、これについては、私もエネルギー関係に相当力を持っておるつもりでございますから、少なくともそういう農林、漁業に対して油が不足を来すというようなことはどんなことがあっても避けたい、またいまのところはそれだけの自信を持っておるつもりでございます。
#35
○柴田(健)委員 終わります。
#36
○内海委員長 小里貞利君。
#37
○小里委員 本日は委員会あるいは本会議、大分立て込んでおるようでございまして、時間帯といたしましてもちょうど昼食時間帯でございます。新兵でございますが、せっかく理事の皆様方から発言の機会をお許しいただきましたので、大変恐縮に存じますが、これから、与えられました時間内で要点を簡潔にしぼりながらお尋ね申し上げたいと思います。
 なおまた、農林大臣も大変お忙しいところでございますが、この後三十分ぐらいして予算委員会の方にもお出かけの模様でございます。
 昨日あたりの新聞では、農林大臣就任以来、衆議院あるいは参議院の予算総括質問などにおきましては、大変りっぱな成果をおさめておいでのようでございまして、大臣答弁では新人王なんという大変敬意を表するに値する記事も昨日などは見させていただいておるところでございますが、まず大臣に質問の第一点としてお伺いいたしたいのは、あぜ道対話の提唱でございます。
 簡単に申し上げますと、今日、先ほどもお話が出ておりましたが、農村あるいは農業の産業の現場も大変動揺をいたしております。また、それに劣らず、率直に申し上げまして、政府あるいは農林省なども内外の経済、社会諸情勢の激しい起伏の中にありまして、将来の農政の展望につきましてもきわめて不安定な一つの立場に立っておられるわけです。私はこういうようなときにこそ、政府、農林省あるいは農林大臣の真実な農政にかける期待あるいは考え方というものを、動揺をいたしておりまする農民、あるいは農村で行政なりあるいは経済活動などを積極的に展開いたしておりまする農協を中心にした関係諸団体等と、もっと具体的な意味で接触を農林大臣自身がなさることが一番必要なことではなかろうか。言いかえますと、農政にとりまして農民あるいは農政に対する農村団体の要望というものを的確に吸収なさるということが必要なのではなかろうか、こういうふうに考えるわけです。
 それこそ、先ほども話が出ておりましたが、たとえば森林一つをとってみましても、この後、林野庁長官でも結構でありますが、お尋ねいたしたいと思っておりますけれども、間伐というものが大変厳しい情勢下にあります。その実際間伐を必要とする森林の中に農林大臣自身が一時間でもいいから、十分間でもいいからお立ちになる、あるいは牛乳の搾乳をやりながら厳しい農村の戦線で戦っておる農民の皆さんと話をする、あるいは澄み切った農村の谷間のあぜ道に立って、大きな呼吸をやりながらあすの農政を農民の諸君と考えてみられる、そういう機会が非常に大事なことではなかろうかと思うわけなんです。そのような意味で、私は、いわゆるあぜ道対話と申し上げましょうか、大臣に要請を申し上げるわけです。
 大臣は、仄聞するところによりますと、お忙しい中にもかかわりませず、可能な限り大臣就任以来地方にも足を運んでおられるやに承るわけでございますが、ある農村の農協に関係する理事者が私にこの前話をしました。田植えのときの大臣と稲刈りのときの大臣の顔が違うようでは、われわれは一体日本農政の姿というものをどういうふうに理解したらいいのでしょう、こういうような大きな疑問すら農村にはあるわけです。農政の腰の落ちついた一つの方策あるいはまた国が農政にかける一つの熱意のある姿勢を農民に理解をせしめるためにも、そういうような気持ちで、まず第一点として農林大臣に率直な意見を伺いたいと思います。
#38
○武藤国務大臣 御指摘の点は、私は大変理解をさせていただきます。農政をやるものは、農業の実態を知らなくてこの東京におりまして幾ら机の上で議論をしておっても、果たして実効が上がるかどうかは大変問題でございまして、やはり農民の心をつかまずして農業政策というのはつくり得ない、こう考えております。
 私、大臣に就任いたしまして、できるだけ全国を回らせていただきたいと申し上げたのでございますが、この役所に入ってみますと、大変忙しい役所でございますので、どうも十分にその目的が達し得ておりません。一月になりまして神奈川県、静岡県、大分県、熊本県だけ、まだ回っただけでございます。私としては、今後とも機会のあるごとにひとつ実際に地方へ出かけていって、直接農民の声をよく承らしていただきたい。そして、私どもの考え方も率直にひとつ農民の方に御理解をいただくようにしたい、こう考えておるわけでございまして、御指摘の点は十分今後も踏まえて、私は一層努力をしてまいりたいと思っております。
#39
○小里委員 あぜ道対話という仮称テーマで申し上げましたが、農林大臣、積極的なお気持ちで取り組んでいただける、さようなお考えのようでございまして、大変結構に存じます。政務あるいはそのほか党務など大変お忙しいことかと思うわけでございますが、可能な限り先ほど申し上げましたような趣旨で足を運んでいただくように、御期待を申し上げるわけです。
 次に、農政の基本につきまして、二、三点お伺い申し上げたいと思います。
 わが国の農業は、先ほどからお話がございますように、米の過剰を初め、あらゆる農産物需給の不均衡、経営規模拡大の停滞など、種々困難な問題に直面をいたしております。大変情勢は厳しいと申し上げなければならぬわけでございます。このような情勢を踏まえまして、今後の農政の基本方向について、この機会に農林水産大臣から承ってみたいと思います。
 この前、農林委員会におきまして、農林水産大臣の方針もお示しいただきましたけれども、ただいま申し上げましたような前提で、基本方向をお知らせいただきたいと思うわけです。
 次に、農業の将来について、明るい展望を切り開くための展望、こういうふうに農林大臣は予算委員会等でもお話しになったようでございますが、これにはそれこそ私どもは期待を申し上げております。一体これはいつごろまでにどのような考え方を打ち出されるおつもりなのか、お示しをいただければと思うわけでございます。
 以上、まず二点をお聞かせ願いたいと思います。
#40
○武藤国務大臣 私どもは、先ほども柴田先生にもお答えをしておりますが、とにかく生産性の高い農業経営を中核としながら、農業生産の再編成と申しますか、需要に見合った形で供給がなされるような農業生産を考えていかなければならない。そして、それによって日本の食糧自給率の向上を図っていかなければならないと考えております。そういう方向に応じて農業の基本政策を進めていきたいということで、いま農政審議会に今後の農政のあり方、農業のあり方についての見直しをお願いをしておるわけでございまして、私の申し上げておる明るい農業というのは、そういう中核農家と申しますか、経営規模のある程度大きくなったものが中心となって、そして需要に見合った形の生産が行われていけば、先ほどいろいろ議論がございましたが、価格的にも、私は農業者の所得もふえていくんではなかろうか、また消費者にとっても割り安の価格で農産物を手に入れることができるようになるんではなかろうか、こう考えておるわけでございまして、そういうことになれば、これは明るい農業になるわけでございます。そういう明るい農業になるような形での需給見通しというようなものも含めて、農政審議会にお願いをしておるわけでございますが、大体作業といたしましては五月いっぱいぐらいをめどに考えておるわけでございます。
#41
○小里委員 ただいま御答弁いただいております中で最も重要なポイントは、私は需給の見通しであろうと思うのです。国民需要の動向というものをこれからどういうふうに踏まえるか。これはいろいろ統計なりあるいは経済、産業の諸情勢の推移、あるいはまた、国際的な諸情勢等もきわめてむずかしい諸条件の上に立って、踏まえていかれるわけでありますけれども、なかなか単純にその見通しというものが、比較的安定した雰囲気の中と申し上げましょうか、情勢の中で、とらえられるものではなかろう。その厳しさもよくわかるわけでございますけれども、しかしながら、今日の農民は、あるいは末端の農村の実態というものは、いままでの国の農政に対しまして一つの焦燥感あるいは不安感というものの根本は、私はこの需給動向の見きわめ方にあったと申し上げても過言ではないのではないかと思うわけです。そのような観点から、あと二、三点お伺い申し上げてみたいと思うのでございますが、農業を取り巻く環境が本当に厳しい中にありまして、農民は農業の将来に不安を抱いていると言っても過言ではないわけなんです。大臣は、一九八〇年代を新しい時代であると受けとめ、所信表明の中におきましても書いてございますが、「農業の将来に明るい展望を切り開き、国民の農業に対する期待に応えていくために」と、ただいまお話しいただいたようなことを持っておいでになるのでありますが、私はその中で、長期的な視点に立った政策の推進を図るために、農産物の長期需給見通しを新たに作成すると伺っておるのでありますが、これまで農民が一番困っていることは、先ほども触れましたように、目まぐるしく変わる農業情勢、特に需給動向のために、安心して営農計画が立てられないということだと思うのです。その意味において、私は、長期需給見通しは、たとえば農産物の需要については少なくとも十年間あるいは二十年先のものをしっかりと見定められないのか、これが農民の切実な要望点だと思う。これに対する供給体制をどうするか、特に供給の不足するものの増強をどういうぐあいにして図るかを具体的に定めるなど、農民がかなりの期間にわたって安定した営農計画が立てられるようなものとすべきであると思うのでございますが、その辺についての農林大臣の、はなはだ言葉は過ぎるかもしれませんけれども、自信のほど、見通しのほどをお聞かせいただきたいと思うわけです。
 最後に、農業生産は自然条件に左右されやすいし、それこそ昨今の野菜価格にもそれが象徴されております。世界の農産物の生産量に対する貿易量の割合を見ても、小麦は一五%弱、トウモロコシで一九%弱、米に至っては三%弱と、その割合がきわめて低いため、ソ連などの不作はたちまち世界の需給の逼迫となってはね返ってきております。世界の食糧需給が今後どのように推移していくのか、見通すことは文字どおり至難のわざでありますが、世界食糧農業機構の見通しなどから見ても、長期的には楽観を許さないものがあると思います。したがって、食糧の安定確保を図るためには、極力輸入に頼ることを避け、輸入は国内でどうしてもできないものに限って国内生産に支障を及ぼさない形で進め、自給力の向上に努めることが基本であると思うのでございますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
#42
○武藤国務大臣 第一点の、需給の長期見通しをしっかりつくらなければいけない、これはもう御指摘のとおりで、農家にとってもそれが一番大切な問題だと思います。ややもすれば、過去においてはそれが結果的にどうも思いどおりにならなかったところに、いろいろの問題が起きてきているわけでございます。その意味において、実はいま農政審議会にお願いをいたしておりますのは、十年先、昭和六十五年を目途にひとつ見通しを立ててもらおう、こういう形でやっておるわけでございまして、その立て方といたしましては、やはり数字というものは客観性を持たなければなりませんので、従来の統計の結果を見ながら、それに今後のある程度の、いままでの趨勢の方向を勘案いたしました形で、去年の十一月に一応たたき台を農林水産省として農政審議会に出しておるわけでございます。
 私は、いまの第二の点に御指摘のございましたように、最近の世界の情勢を見ておりますと、アメリカの対ソ制裁措置として穀物の輸出停止というような形で、食糧が外交手段に使われるようになってきておるという現実、それから世界的に見ますと、たとえばFAOの一九八五年の見通しでは、大体開発途上国においては食糧が相当不足するであろう、しかし先進国においてはある程度余裕があるであろう、こういう観点でございます。非公式でございますが、新聞報道などを見ておりますと、何か二〇〇〇年にはいまよりも五割食糧の増産をしなければ間に合わないというようなことも言われておるわけでございまして、私どもは、今後の日本の国民の安全保障という点からいっても、やはり食糧についてはできる限り自給力を高めていく、そのためには国内で生産できるものは極力生産をしていくという努力をしていかなければならないわけでございます。その意味においても、需給見通しと今後の農業生産というものは非常に有機的な関係があるわけでございまして、御指摘のような形でしっかりした需給見通しをつくり、それに基づいて農民の皆様方に御協力を願っていく、私はこういう姿勢でまいりたいと考えております。
#43
○小里委員 ただいまの答弁をお伺いいたしまして、その中で二つだけしぼって再度お尋ね申し上げたいと思うのでございます。
 特に、国外からの農畜産物の輸入問題であります。輸入については、端的に申し上げまして、計画的に、それこそ削減とまでは申し上げられなくとも積極的に抑制をしてかかる、そのようないわゆる責任ある農林水産大臣の決意のもとにただいまの御説明ございました作業は進められておる、かようにかたく期待もしたいし、そしてまた信ずるわけでございますが、それが一つ。
 もう一つは、国内農産物のいわゆる全量優先供給を原則とすると申し上げましょうか、このように国内の生産目的というものは設定せられるべきもの、私どもはこういうふうに御期待申し上げるわけでありますが、農林水産大臣、この点についてどのような決意で臨んでおられるか、お聞かせ願いたいと思います。
#44
○武藤国務大臣 農畜産物の輸入につきましては、先ほど申し上げましたような形で、私どもは、国内で生産のできるものは極力生産をしていき、どうしても国内で賄い切れないものについては供給国である相手方とも十分協議をしながら安定して確保していきたいという考え方でおるわけでございます。
 そこで、いま御指摘の点は、それでは原則としては全量をひとつ国内でできるだけつくるという形で行けないか、こういうことでございますけれども、これは大変むずかしい問題でございます。たとえばよく言われます穀物自給率が非常に下がるんではないかということでございますが、これは特にトウモロコシその他のえさの原料を今後とも相当輸入に頼るという、相当というか大部分を輸入に頼るという考え方に立っておるものでございますから、穀物自給率がどうも伸びないわけでございます。そこで、そういうものも国内でつくってしまえばいいということでございますが、これは価格的に見て非常に問題があるわけでございます。そうなってくると、たとえば今度は、畜産をやっておられる方々が幾ら高くても国内でできるえさの原料を使いますということになってくればこれはまた別でございますけれども、そうすると、このときは畜産物の価格が大変高いものになりまして、これはまた、国民から、なぜ外国と比べてそんなに高い畜産物なのか、こういう御指摘も出てくるのではないかと思いまして、この点は私どもいま非常に苦慮を実はいたしておるわけでございます。たとえばよく言われます飼料稲というようなものでも、本当に安くでき上がるような技術が開発できれば私ども大変いいと思っておりますが、いまのところは残念ながらまだその技術の開発の見通しが立っていないわけでございます。
 そういう意味において、いま御指摘の点はわかりますけれども、私どもは、なるべく主食である米、あるいは将来小麦についても、私どもの農林水産省で出しました試算においても、少なくともうどん、そば、こういったようなものに使用される小麦については、ひとつ十年後には全量国内で賄おう、こういう計画に立っておりますが、全部を全部国内で賄うということは現実の問題として非常にむずかしいんではないか。しかしながら、そういう考え方は、やはり安全保障という考え方からいけば国内でできるだけつくるということは当然でございますので、いろいろの制約条件はありましょうけれども、努力はしていかなければならないと思いますが、いま一つの例として申し上げました飼料関係、えさの原料になる飼料作物についてはなかなかむずかしい問題でございまして、そういうようなものはやはり将来とも輸入に頼らざるを得ないのじゃないかというのが、いま私どもの率直な考え方でございます。
#45
○小里委員 農林水産大臣、大変丁重に親切にお答えいただいておるようでございます。私が最後に二点目でしぼってお尋ね申し上げました、いわゆる国内農産物全量供給優先原則というのは、大臣が触れておいでになったように、そのような国内農業者というもの、農民というものを大切にするという、いわば基本的な姿勢をお聞きするためにも申し上げたわけでございまして、ただいま二点にしぼってお尋ね申し上げ、答弁いただいたような姿勢で、ぜひひとつ農林省挙げて取り組んでいただきたいと思うわけです。
 次に、林政についてお尋ね申し上げたいと思います。大臣は予算委員会の関係もあられるかと思いますので結構でございます。
 林野庁長官おいでであろうかと思いますが、わが国の森林の将来は、間伐をどの程度進め得るか、このことによってきわめられるだろう、これくらい間伐の重要性というものが今日非常に強く叫ばれておるところであります。先ほど柴田先生の質問の中にも出ていたようであります。しかしながら、先ほどの農林水産大臣の話にもありましたように、林業の経済効果というものは、即座に林業家の生業としてその結果が出てくるものでもございません。あるいはまた、林政の功罪というものも即決的に出てくるものでもないところに、林政の一つの複雑さあるいはまた厳しさというものもうかがえるところであります。かねてから農水省、林野庁長官などには一生懸命御努力いただいておるところでございますが、それだけにじみちな仕事でもありますし、忍耐強い苦労もしておられることと察するわけです。
 そこで、私は、この間伐の重要性にかんがみまして、間伐を推進する上におきまして、林野庁なりあるいは出先の取り組み方についてお尋ね申し上げてみたいと思うわけです。
 その一点は、間伐の重要性というものをどのように認識しておいでになるのか。また、その間伐の実際の作業の進捗状況はどの程度にあるのか、どのように把握しておられるかということであります。
    〔委員長退席、片岡委員長代理着席〕
ちなみに申し上げますが、現在二千五百万ヘクタールでございますか、恐らくそのうちの九百万ヘクタールぐらいは間伐の必要期にあるとも言われておるわけでございますが、この中における間伐の実施率、これはどういうふうに押さえておいでになるのかお伺いいたします。
 また、間伐対策が全国的に大きな問題にもなっているわけであります。私事を申し上げまして恐縮でございますが、私は南九州です。鹿児島県独自でこの推進対策を積極的に進めるために、世論調査と申し上げますか、林業調査などをいたしたこともあります。ちょっとその結果の端的に関係するところを申し上げてみたいと思うのでございます。
 たとえば、間伐を必要とする山があるか、という質問をいたしました。これに対しまして林業家が答えましたパーセントは七六%であります。私の山は間伐を必要とします、七六%。あるいは、山を育てるために間伐が必要だと思うかという問いに対しまして、九七%という著しい、それこそ必要であると思うという答えが出てまいっておるのであります。あるいはまた、今後間伐をしたいと思うか、という点についても八五%。
 そういうようなことでありまして、間伐そのものの育林上期待できる役割りというものについて、間伐することの意義につきましては、ほとんどの森林業者の皆様が認識をしておる。また、その必要性というものを切実にとらえておるということが出てまいっておるのであります。
 さらにまた、間伐に当たっての要望は、技術面では、選木指導が五〇%、あるいはまた間伐技術の指導、これが何と四〇%、あるいはまた、価格の見積もりなりそのほか施設面では、先ほども話が出ておりましたように、間伐作業路をつくってほしいという要望が七〇%など、大変間伐に対する必要性というものが、あるいはまたその間伐することの意義、役割りについての理解というものが、林野庁あたりの日ごろの御指導の成果でもあろうかと思いますが、顕著に出てまいっております。
 しかしながら、昨今私どもがお見受けするところ、林野庁なりあるいは県、市町村なり、森林組合など、積極的に取り組んでおるとは思いますけれども、まだまだただいま申し上げましたような間伐の必要性あるいはその要請にこたえるにはほど遠いという感じがしてならないのでありますが、林野庁長官はこれらの点につきましてどのように認識しておいでになるか、お聞かせ願いたいと思います。
#46
○須藤政府委員 お答えをいたします。
 ただいま間伐の重要性の認識についてどうかというお話でございますが、いま先生の御指摘がございましたように、日本の森林面積二千五百万ヘクタールのうち、現在約一千万ヘクタール近い人工林ができておるかと思いますが、そのうち二十年生以下の林分が約七〇%でございまして、ただいま鹿児島県の世論調査の例をお引きになりましたが、間伐林分がどの程度あるか、七六%というお話でございますが、まさに全国的な傾向と軌を一にしておると思うのでございます。御承知のとおり、造林をされますのはヘクタール当たり大体平均三千本植栽されるわけでございますが、その後保育の段階、つまり除伐を過ぎ、あるいは保育の間伐を過ぎ、それから利用ができる間伐、つまり伐期に至ります四、五十年生にはヘクタール当たり約八百本程度になるわけでございます。その間、除伐、間伐をしなければ、りっぱな材はとれないということでございまして、せっかく営々として植えました山をそのまま放置いたしますと、まさにもやしのような林になってしまうということでございますから、このもやしのような林になりますと、もちろん国土保全上もあるいはその他公益的な機能も損なわれてまいりますし、どうしても除伐なり間伐というものは的確にやっていく必要があるということでございます。しかしながら、そういう重要な間伐でございますが、現在の経済情勢なり木材業界をめぐります環境からいきますと、なかなか厳しい状況下にあるわけでございます。
 そこで、現在間伐の進捗状況がどの程度になっておるかというお尋ねでございますが、私どもが把握いたしておりますのは、必要量の約三割、いいところで四割というような実行状況のようでございます。そこで、私どもといたしましては、従来から間伐林道の開設でございますとか、いま御指摘がございました作業路の開設ということに相当大きな取り組みをやっておりますし、また林業構造改善事業におきましても、そのような事業をやっておるわけでございます。また、流通面につきましても、間伐材の流通、加工あるいは需要開発促進事業というものも重点的に取り上げておりますし、また、林業改善資金におきましても、そのような間伐を推進するのに必要な施設などの資金なりあるいは簡単な製材工場の施設なりの資金の融通ができるように、いろいろな手だてを打っておるわけでございますが、いま御指摘のように、なかなか思ったように進んでいないという状況でございます。
 そこで、五十五年度におきましては、さらにこれを強力に進めるために、新しい林業構造改善事業におきまして間伐施業指標団地というようなものを整備いたしまして、さらに今後の間伐の推進の指標にしていこうというようなこともやろうとしておりますし、また間伐材がどうしても利用されなければなりませんので、需要開発の推進等を行うために間伐材等小径木流通加工・需要開発促進事業というようなものを実施していきたいというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、山をお持ちの皆様方は、間伐の重要性を十分認識されておるわけでございますから、われわれとしては間伐が促進されるような環境をお手伝いしていくということに重点を置いて今後進めてまいりたいというふうに考えております。
#47
○小里委員 大分具体的な計画のもとに進めておいでになる概況もわからないでもないのでございますが、最後に二点だけ重ねてしぼってお尋ね申し上げたいと思うのでございます。
 ただいま林野庁長官の答弁の中にもありましたように、森林の持つ社会的な役割り、使命というものも実に無限で甚大であります。公益的機能という表現でお話しになったようでございますが、まさにそのとおりであります。私はそのような観点から申し上げましても、政府は公的な責任の立場におきましてこの森林育成事業というものにもつと力をかしてやってしかるべきではないか、かような感じを持つわけです。
 さらに、政務次官もおいでになりますが、実は山を考えていきますときに必ずちなんで出てまいりますのが、外材による圧迫というのをよく地方農村では聞かされるわけです。御承知のとおり、かつての昭和五十二年の林業白書等によりますと、それこそ外材輸入を積極的に規制せよということを農林省自身の林業白書できちんと国民の前に明らかにされたことがあります。もうあえてそのことをるる申し上げる必要もないと思うのでございますが、このままいくと、林業生産活動は停滞し、それこそ放置すれば林業の衰退だけでなく国土の荒廃を招きますぞという重大な警告をいたさざるを得ないということをはっきり書いております。さらにまた、重要な要請事項の一つとして、秩序ある外材輸入の確保の必要性を強調したのがこの林業白書の一つの核であります。
 そこでお伺いしたいと思うのでございますが、そのように国産材の供給面で森林経営者の経営意欲の減退や生産の停滞あるいは山村地域社会の衰退など深刻な問題が生じているから、ただいま申し上げましたように、秩序ある外材の輸入、輸入を規制する一つの措置をとりなさい、こういうことを警告いたしたのがこの白書であったわけでございますが、先ほど若干話も出ておりまするように、それから二年たちました。そのような秩序ある外材の輸入問題はどうなっているのか、どのような感触でとらえておいでになるのか、簡単でよろしゅうございますが、お聞かせをいただきたいと思うわけです。
#48
○須藤政府委員 お答えいたします。
 ただいま先生から御指摘がございましたように、外材の輸入の変動によって国内林業に与える影響というのは非常に大きいわけでございます。現在、いわゆる需要量の約三分の二が外材輸入でございますが、先ほどお話し申し上げましたように、日本の国内森林資源の状況がいまだ幼齢林が非常に多いという資源的な制約がございまして、国産材の供給量の限界がございます。ここ当分と申しますか、相当将来にわたりまして相当量の外材を輸入していかなければ木材の需給の均衡が保てないという状況でございまして、そういう意味で外材をやはりどうしても安定的に輸入をしていく必要があるということでございまして、ただいま御指摘のとおり、五十三年の十月から中央におきまして官民合同の木材需給対策中央協議会というのをもちまして、実はそれまでは一年ごとの需給見通しを立てておったわけでございますが、それ以来四半期ごとの木材の需要の見通しを立てまして、これを指標にいたしまして輸入の指導をしておるというのが実態でございまして、たとえば、在庫が非常に多いという場合には、輸入業界の団体を呼びまして輸入の圧縮を指導する、あるいは仮需が非常に高まっておって非常に動揺があるという場合には、在庫の状況を説明いたしまして、動揺のないように説明をするとか、いろいろそういう手だてを打ちまして指導いたしておるわけでございまして、最近の状況を見ますと、比較的これがよく機能をいたしておりまして、この外材の輸入につきまして著しい変動を与えるというようなかっこうにはなっていないということでございます。
 一時強権的に輸入を規制したらどうかという議論がございましたけれども、御承知のとおり、最近の国際貿易環境というのはそういう状況ではございませんで、なかなか強制的にこれを調整するというわけにはまいらないということで、いま申し上げましたような木材需給対策中央協議会というようなものをもちまして、四半期ごとの需要見通しを立て、これによって指導しておるというのが実態でございます。
#49
○小里委員 林野庁長官、どうもありがとうございました。
 次に、最後になりますが、農地法制の整備について、政務次官おいでのようでございますので、二、三要点をしぼってお尋ね申し上げてみたいと思います。
 先ほどの大臣の話の中にも出ておりましたように、農地法制の整備はいわゆるやる気のある農家、自立経営農家というものをひとつ育てていこう、そして体質的にあるいは規模的にもきちんとその根底をこしらえてやろう、こういう一つのねらいであろうかと思うわけです。
 そこで、そのやる気のある農家の育成となりますと、私は、昨今の農家、兼業農家もさることながら、特に自立経営農家というのは、技術的にもあるいは経営に対する見識もあるいはまた経験も相当豊富な条件の上に成り立ってきておる、かように判断をするわけです。これらのやる気のある農家にしましても、みずからの力でみずからの意思でできない一つの限界点があるわけです。その一つが、私は典型的にはこの農地の流動化の問題だったろうと思うわけです。それにもかかわりませず、本当にやる気のある農家は、諸般の厳しい壁があるにもかかわらず、耕地面積の拡大に営々と努力を図ってまいってきております。また、耕地面積の拡大を図らざるを得ない切実な経営上の必要性もあったろうと思うわけなんです。
    〔片岡委員長代理退席、委員長着席〕
事実、御承知のとおり、それこそ借地のある農家数も相当ふえてまいっておるとお聞きするわけです。もしここに数字があれば、その借地のある農家数が一体何十万戸と踏まえておいでになるのか、これはいまここに数字がなければ結構でございます。しかも、私どもが仄聞するところによりますと、借地のある農家数は漸増の傾向にある、漸増どころでなくて激増の傾向にある、かように理解をいたしておるのでございますが、その辺の趨勢について、あるいはまた借地のある農家数というのは総農家数の中におきまして何十%なのか、恐らく最低二〇%以上だろうと私は思うわけでございますが、それらのことももしおわかりであればお聞かせをいただきたいわけです。
 さらに、三番目にお伺いいたしたいのは、このような法改正の、いわゆる法体制の整備によりまして、借地による農家の戸数あるいは経営面積などはどのように有利に展開していくと踏んでおいでになるのか、その辺の行政効果も含めてお聞かせいただければと思うわけです。それこそ、農林水産省がこの法改正の整備を打ち出されましてから、地方農村からは、この問題に対しまする期待あるいは要望が耳しげく出てまいってきております。私は、そのような農村が、あるいは近代農業を打ち立てようとする自立経営農家が、この問題に対しまして望んでおるその内容の密度の高さというものを非常に力強く考えておるところでありますが、それらを含めましてお聞かせいただけたらと思います。
#50
○近藤(鉄)政府委員 小里先生から大変貴重な御意見を承ったわけであります。
 お話のように、借地がある農家が漸増どころか激増しておる、こういうことでございます。具体的な数字は後ほど事務局の方から御報告いたさせますが、問題は、先ほど来の大臣の答弁また先生のお話もございましたように、これからの農業を考えてまいります場合に、農家所得の向上、安定、そして国内における自給度の向上、そういったいろいろな要請を考えてみましても、やはりある程度の規模以上の自立農家を育成していかなければならない、そのための条件がたくさんありますが、しかしその条件の中の非常に大きなものの一つが御指摘の農地であると思うわけであります。零細規模の農業経営ではいかんともしがたい面が出てまいります。それだけに何とか農地を集積をして規模の拡大をしていくことが、これからの農政の大きな方向になるわけでございますが、御案内のように、最近農地が値上がりをしておりますので、いわゆる所有権の移転、売買という形での農地の集積はなかなかむずかしくなってまいります。売ってしまって所有権を失うよりは、大変荒らしておっても、草化してもこれを維持しておきたいという気持ちも農地保有者の中に非常に強く見られる現象でございますから、したがってそういうことを考えてまいりますと、結局は所有権の移転、売買によらないで、まさに農地の賃貸によるところの流動化、そして集積を積極的に進めていこう、こういうことで実は農地法の改正、農用地の利用増進に関する法律を何とかひとつ整備をしてまいりたい、こういうことであります。
 そこで、そういう形で、具体的に申しますと、生産性の高い中核農家に農地利用権が集積されるように、現行の農用地利用増進事業というものがございますが、これをさらに発展させまして、地域の実情に応じて農地の流動化と有効利用を促進するための仕組みを整備する、そのための立法措置を講じたい。次に、これに関連して、農地法において賃借権に関する規制をこれまである程度厳しくしておったわけでございますけれども、これを緩和してまいりたい。こういうようなことで、いま法律の準備を行っている次第でございます。
 その結果、先ほどお話がございましたように、一体どの程度の借地を持った農家があって、それが将来どういう形に数字的になっていくのだろうかという御指摘でございますけれども、これにつきましては官房長の方から御説明させていただきたいと思います。
 以上でございます。
#51
○渡邊(五)政府委員 農地の借地の状況につきまして、借入地のある農家数の推移についてまず申し上げますが、現在全国で、五十四年で借入地のある農家数は九十一万三千戸ございますが、この数はむしろ四十五年当時よりもかなり下がっていることは事実でございます。借入農家の大部分は都府県になるわけで、都府県で五十四年に八十九万五千戸という戸数であります。なお総農家戸数に対し都府県での借入地のある農家の占める割合は一九・四%、二割弱でございます。ただ、階層的な差は最近かなり顕著に出ておりまして、都府県に例をとりますと、二ヘクタール以上の耕作規模の農家におきましては、その階層の中に占める借入地のある農家の割合は三割以上に伸びておりますし、特に五ヘクタール以上になりますと四二%程度、要するに大規模な経営というのが借地形態に動いているという状況でございます。
 なお、最近の権利移転の状況について簡単に申し上げますと、ただいま政務次官からお話のございましたように、所有権の移転自体は四十年度後半までは年間七万ヘクタール程度ございましたが、最近では、五十三年には四万二千ヘクタール程度というふうにかなり落ち込んでおります。また、三条によります賃借権の設定は五十三年九千四百ヘクタール程度で、それほど伸びておりません。
 これにかわりまして、五十年の農振法の改正で実施されました農用地利用増進事業、これは短期の利用権の設定でございますが、これは五十一年、五十二年当時は各年三千ヘクタール程度でございましたが、五十三年は六千ヘクタール、五十四年には一万二千ヘクタール、昨年の十二月末現在の利用権設定の全体面積は二万四千ヘクタール程度になるのではないかというようなことで、ここのところ倍増しているような状況でございます。
 これらの状況を見まして、いま手元に細かい資料がございませんが、大ざっぱに申し上げられますことは、農地法三条によります賃借権の設定は、耕作規模の大小との関係では非常にばらつきがありまして、必ずしも傾向的なものは出ておりません。ただ、利用増進事業の規模別の推移を見ますと、一ヘクタールを分岐点といたしまして、一ヘクタール以上の層では借り入れが超過をするというようなことで、利用増進事業によります短期の利用権の設定の積み重ねがかなり規模拡大に機能しているというふうに私どもは評価しているわけでございます。
#52
○小里委員 政務次官を初め、このような時間帯でおつき合いいただきまして、大変どうもありがとうございました。
 これで私の質問を終わります。
#53
○内海委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時四十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時十四分開議
#54
○内海委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。馬場昇君。
#55
○馬場委員 まず大臣に、ちょっと話は大きいのですけれども、基本的な問題でございますので、世界の食糧の事情の展望について大臣はどう考えておられるのか、たとえば現在一九八〇年の世界の食糧状態はどうだ、九〇年にはどうなると思うのか、あるいは二〇〇〇年には世界の食糧事情はどうなると思うのか、こういう食糧事情についての大臣の展望をお聞かせいただきたいと思います。
#56
○武藤国務大臣 私の展望というか、私よりもたとえばFAOあたりの方がよくいろいろと統計をとっておられるわけでございまして、FAOの統計を私ども役所といたしましても参考にいたしておるわけでございます。そのFAOの見込みでは、一九八〇年はたしか二億何千トンの在庫があるということになっておりますし、それから一九八五年の見通しがたしか出ておりますけれども、この一九八五年の見通しでは、開発途上国では食糧はやはり不足である、ただ、先進国においてはある程度余裕があるので、全体的に見ればそう大きな需給のアンバランスは来ないであろう、こういう判断をしておると承っておりますし、また、この間新聞でこれは承知したわけでございまして、まだ農林水産省としては確認はいたしておりませんけれども、二〇〇〇年については大体現在よりは五〇%くらいの増産をしなければいけないのじゃないか、こういう新聞報道もございまして、私といたしましては、現時点においてはそう大きな需給のアンバランスは起きてこないと思いますけれども、長い将来の目で見れば、やはり二十一世紀を踏まえてという観点からいけば、相当食糧はタイトになっていくということだけは間違いがなかろう、私はそういう判断をいたしております。
#57
○馬場委員 FAOのお話をなさいましたが、後段では自分自身の御見解を出されたわけでございますが、私がここで聞きたいのは、やはり農林大臣が、日本の農林行政、食糧行政をするという責任者として、きちんとした、食糧事情はこうなっていくんだ、そういう展望の中で日本の食糧行政をやっていくんだ、そういう展望を聞きたかったのですが、人はこう言っている、人はこう言っているではちょっと話にならないわけでござますので、もう一つあわせて申し上げたいのですが、現状の認識では食糧は需給バランスはとれておる、あるいは備蓄があるんだというようなお話でございましたが、たとえばWHO等では、やはり偏在をしておって、現在でも五億人ぐらいの栄養失調状態はあるのだ、あるいはその中の一億人ぐらいは飢餓状況にもあるのだ、こういう厳しい状況も言っておるわけでございますし、さらに、やはり人口の問題でも、ふえていくわけでございますから、たとえば現在どれだけの人口がふえていって、二〇〇〇年ぐらいにはどれだけに人口がなる、それについて食糧の生産はどうなんだ、もう一九九〇年にはFAOその他のいろいろなデータを見てみますと一億二千万トンぐらい不足するのではないか、こうも言われておるのですけれども、そういう点、大臣のお話を聞いておりますと何かこう楽観的な見通しのように聞こえてしようがないのですけれども、人口はどうなる、生産はそれに追いつくか追いつかないか、そうして、現在のたとえば栄養状態も含めて、いま一回聞かせておいていただきたいと思うのです。
#58
○武藤国務大臣 私は、最後には、いま先生御指摘のように、私も長期的にはタイトになっていくということを申し上げたわけでございますが、人口は、これもいま約四十三億世界の人口があると言われておりますが、大体二〇〇〇年には六十億を突破することだけは間違いがなかろう、わが国の人口も、いま一億一千万台でございますけれども、やはり最終的には一億三千万台にいくことは間違いなかろう、こう言われているわけでございまして、それだけ人口の増加する分に対しての食糧は確保しなければならないわけでございます。日本としても、これから約二千万人の人間がふえていくわけでございますから、やはりそれに対しての食糧を供給するということにおいては十分その辺は判断をしていかなければならない、こう考えております。
#59
○馬場委員 やはりFAOでも、さっきも言われましたように二〇〇〇年には食糧の五割増産は必要だということを言っておるわけでございまして、五割増産いたしましても、それでも栄養の不足人口が二〇〇〇年時点で三億九千万人ぐらいは出るのだ、こういうようなことを発表しておるようでございますし、OECDの二〇〇〇年レポートをとってみましても、二〇〇〇年には穀物の必要量は全体で二倍以上必要なんだ、こういうことを言っておるわけでございますし、私は、現在でも厳密に言えばやはり問題があるし、特に九〇年、二〇〇〇年を展望した場合に、食糧は不足するんだ、そういう状態の中で、日本の食糧行政というものはやはり展望の中で考えていかなければならぬ、そういうぐあいに思いますが、これは大臣の認識も大体同じようでございますので、そういう認識のもとで日本の食糧行政をまずやっていただきたいと思うのです。
 次に、最近、食糧は戦略物資であるという、食糧戦略物資論が出ておるわけでございます。このことについて大臣はどう認識しておられるのか、お尋ねしておきたいと思うのです。
#60
○武藤国務大臣 アフガニスタンへのソ連の侵入を契機といたしまして、アメリカが、従来そういうことはまさかやらないだろうと言われておりましたソ連に対しての穀物の輸出を停止をしたということにおいて、大きく食糧が、今後、戦略物資といいますか、外交の手段としてとにかくとられるということがこれで一つの契機になりましたので、今後もそういう事態が将来とも全く考える必要がないということではないと思います。決して好ましいことではございませんけれども、やはりそういうことが起きるということを私どもは常に念頭に置いて、日本の国民の食糧の確保ということについては、本当に基本的な国の安全保障という観点から取り上げていかなければならないと考えております。
#61
○馬場委員 このことはもう、世界の穀倉と言われるアメリカでさえも、カーター大統領がこのほど議会に送りました八〇年大統領の報告によりましても、食糧の問題は、安全保障の見地から、エネルギーと食糧の安全確保、生産基盤の充実というのを、アメリカでさえも、カーター大統領は強調しておるわけでございます。
 そういうことで、ここで大臣にいま御答弁もいただいたわけでございますけれども、現在、食糧が世界貿易のうちで出回っておるのは、大体小麦で一七%程度だと聞いておりますし、米で四%、牛肉で六%、豚肉二%、これが貿易に回されておる分でございまして、本当に戦略物資として使われた場合には大変になるわけでございます。
 これはちょっと話が飛びますけれども、わが党はいろいろみんなと仲よくしていこうという政策をとっておるわけでございますが、たとえばアメリカ等からいま食糧が停止されるということになったら大変な状態になるわけでございます。そういう意味で、ここでももう一つ最後に確認をしておきたいと思うのですけれども、大臣の食糧行政につきましては、食糧は安全保障の問題として常に戦略物資という立場で、長期的に展望しながら食糧行政をやっていく、こういう原則をお持ちであるかどうかということについて、さらに答弁を得ておきたいと思います。
#62
○武藤国務大臣 先ほどもお答えをいたしましたように、やはり国の安全保障という観点から、食糧を国民に対して安定して供給するということは、私どものこれは一番大切な責務だと考えております。戦略物資という言葉を使うのがいいのか、外交手段として使うのがいいのか、よくわかりませんが、やはり世界の中でそういう動きのある観点からいっても、必ずしも日本の現状においては国内の自給率は高くないわけでございまして、今後ともできる限り、日本の国内で生産のできる限りにおいて極力賄っていくという考え方のもとに、食糧政策を進めていかなければならないと思っております。
#63
○馬場委員 世界的にいま食糧は危機だ、そしてさらに戦略物資である。そういう状況の中では、いまもお触れになりましたけれども、日本の食糧政策の基本というのは自給率の向上以外にはない、こういうぐあいに思います。だから、大臣は、自給率をどうやって向上させようというようなことを考えておられるのかということが一つと、もう一つ、ちょっと戻りますけれども、やはりいまの日本の農業というのは油づけ農業と言われておるわけでございまして、油も戦略物資であるし、有限なエネルギーであるわけでございます。大体、一トン食糧をつくるのに油がどれくらい要るのか、ものすごい、半分くらいのトン数の油が要るのではなかろうかとさえ思うのですけれども、こういう油づけ農業というものをやはり脱却していかなければ、食糧全体の危機というものの前に、油の危機によってまた食糧の危機が早まってくる、こういうぐあいに考えるわけでございますが、自給率をどうやって高めていこうかという考えか、油づけ農業について、これを脱却する方法というものをどう考えておられるのか、二点について聞いておきたいと思います。
#64
○武藤国務大臣 やはり国民の理解を得なければなりませんけれども、現実においては国民の食生活は非常に多様化いたしてきておるわけでございまして、でき得る限り国民のニーズに合った形での食糧の生産がなされれば、これは一番理想的でございます。ただ、残念ながら、たとえば主食一つ考えてみましても、米はおかげさまで六百五十万トンも過剰があるということで、百十何%という自給率でございますし、小麦は、残念ながら、いまのところまだ推定でございますけれども、五十四年度で八%くらいになるのではなかろうかと言われておるわけでございまして、その辺をどう持っていくのかということでございますけれども、私は、けさほどから申し上げておりますように、できればやはり土地利用型の農業の経営規模を拡大をしていただいて、そして、コストがある程度安くなるわけでございます。その中において、米だけでなく、その他のものもできるだけその土地、その土地に合ったような形で生産をしていただく。たとえば小麦についても、将来は、いまの農林水産省で昨年農政審議会にたたき台として出しました見通しでは、たしか一九%という数字を出しておりますけれども、これは過去のいろいろの統計上のデータからその趨勢の一応加味した形で出ておる自給率でございますが、私は、この間うちからいろいろ農政審議会の方とも議論をいたしておりまして、たとえば麦の品種改良、技術開発をやれば、もう少し麦をより多く栽培できないだろうか。たとえば私よく言っておりますのは、いまの日本の麦は大体六月の中ごろ過ぎに収穫されるようでございますけれども、結果的に、そのときは梅雨どきと重なるということで、非常に被害が多いということを聞いておりますけれども、五月中に収穫ができるような麦の品種を改良したらいいじゃないかということを、私は技術会議の人たちにも強くいま言っておるわけでございますけれども、そういうようなことなども努力をしながら、やはり自給率を高めていかなければならないと思っております。
 また、油づけの農業というものは、こういう時代になってまいりますと、当面はやはり、きょう柴田先生にもお答えいたしましたように、油の量的な確保だけは何とかしていくつもりでございますが、いついつまでもそれに頼っていただいておったのではいけないわけでございまして、できる限りそういう体制から脱却をしていただかなければならないのじゃなかろうか。
 たとえば、私この間神奈川県を視察に参りましたときに、あるハウス栽培、これは温室のような形でやっておられますけれども、そこでは、太陽熱の利用の形で、結局昼間の温度を地下にためておいて、それでその温室の中の夜の保温をするというようなこともやっておりまして、私は非常に参考になりました。これは一つの例でございますけれども、いま農林水産省にも今度から省エネルギー対策室というのを設けたわけでございまして、この油づけから一日も早く脱却できるような方向にいろいろと技術開発について真剣に努力をしてまいりたい、こう考えております。
#65
○馬場委員 油づけの方からまず申し上げますと、いま大臣言われましたように、やはり農業の本来の姿にこの際帰っていかなければいけないのじゃないか。本来の姿というのは、いまおっしゃいましたように、太陽の光や熱で食物をつくる、それをたとえば家畜等に食わせる、その排せつ物等で土を肥やす、そこでまた作物を育てる、こういう自然の生態系というか循環というのですか、それはやはりもとの姿に戻すという方向というのは、一挙にはなかなかむずかしいと思うのです、こういう状況ですから。しかし、方向性としては、やはり今後日本の農業のあるべき姿というのはそういう方向に行くべきじゃなかろうか。こういうことを私も思うので、いま大臣言われましたが、ぜひその方向を一つの方向として、方向というよりもそこが原則だ、この原則に向かって一歩でも近づけていけるんだというようなことをぜひやっていただきたい、こういうぐあいに思うのです。
 そこで、自給率の問題について、先ほどから言っておるのですけれども、世界的に食糧は危機になるわけですね。そしてまさに戦略物資としてそれが使われていく。そういう中で、日本の国の安全保障、国民の安全を守るということは、もう自給率を高めること、先ほどから言っているとおりです。ところが、いまの日本の農林行政はそうなっておりませんね。現在の穀物だけの自給率をとりますと、五十三年度は三二%まで下がっておるのじゃないかと私は思います。ところが、六十五年展望の試算を出しておられるのですけれども、これを見ましても、自給率をふやすという数字にはなっていないのです。食糧が足らない、戦略物資だ、国の安全保障の問題だと言いながら、自給率を上げようという施策が全然行われていない。これはもう話にならない。国の安全を脅かし、国民の命を脅かす、そういう国民に安心感を持たせない農政しか行われていないということになっているのじゃないかと私は思うのです。ちなみにアメリカでは自給率は一七三%ぐらい、フランスでも一五二%ぐらい、西ドイツでも八〇%ぐらい、イギリスでも六五、六%。そういう中で、日本は三〇%から四〇%。先進国の農林行政というものなんか、さっき言ったように、不足する戦略物資、そういう中で着実に上げていっているのです。ところが日本は逆に下がっておる。これは全然お話にならないと思うのです。農林大臣、これはもうあなたの責任は非常に重大だと思うのです。上げられますか。上げる計画をつくりますか、どうですか。
#66
○武藤国務大臣 農政審議会でいま長期見通しについていろいろ議論をしていただいているわけでございます。率直に言って、農林水産省が、先ほど申し上げましたように第一次のたたき台として審議会に提出をいたしました十一月の長期見通しの数字というものは、従来の統計数字に一つの趨勢というものを加味いたしまして出したものと承知をいたしておるわけでございます。
 それによれば、先生御指摘のとおりで、せいぜい主食用の食糧の自給率については横ばい、それから穀物、いわゆるえさ原料を入れました穀物自給率については従来よりもある程度下回る、こういうものが出ておるわけでございます。そこで、私は、いま農政審議会の先生方やあるいは省内で毎日というぐらい実は議論をしているわけでございます。それはそれなりに一つの客観的な数字として尊重すべきであろうと思うけれども、しかしながら、一方においていま農林水産省としては、米にしても小麦にしても、米について言えば消費拡大という形でいろいろの予算措置をしておりますし、あるいは小麦などについてはいろいろの奨励策、予算措置をとっておるわけでございます。そういう片っ方で国の金を使って政策を進めながら、そういうものが一向に、過去の客観的な数字とその趨勢だけで出されたものにしておいたのじゃ、何のためにそういう政策をやるのか、やはりそれだけの政策を進めるならば、その政策をやったならばその客観数字よりよりもう少しいい数字が出てくるはずなんであって、その数字が出てこないなら、何もいま多くの税金を使う必要はないのであって、私は、やはり一つの客観的な数字から出てきた目標値と、その政策目標を織り込んだ形での目標値と、当然二つあってしかるべきではなかろうか、そういう二つの数字をもって農政審議会でもこれから議論をしていただくべきではないかというのが、実は率直に言って私の考え方でございまして、そういう考え方に基づいて、これから議論をひとつせいぜい積極的に、私も入らしていただいてやらしてもらいたいと思っておるわけでございます。私の気持ちといたしましては、できる限り、少しでも自給率はいまよりも高めていく、こういう努力をしなければならないと考えております。
 ただ、一つだけ穀物自給率で非常に私、頭が痛いのは、きょうもちょっと先ほどの答弁で私申し上げたと思いますけれども、たとえば飼料稲についていろいろと先生方の中にも御議論があるようでございますが、これがたとえばトウモロコシあるいはマイロなどにかわるべきある程度のコストでできるようになればすばらしいことだと思っておりますけれども、いまの反収量その他からいってなかなかそこまでは近づけにくいというのがいまのところの判断でございます。しかしながら、私は、そういうものにもあえて挑戦すべきであろう。そして、できる限り穀物自給率についても高めるような努力はひとつしていかなければいけないのじゃないか、こういう考え方で、飼料稲の技術開発についても、より積極的に進めていくべきであるという考え方で、いま督励をしておるところでございます。とにかく私としては、できる限り少しでも高めていくというのが当然のことだろうと思っております。
#67
○馬場委員 口ではいつも自給率を高める、高めると各大臣言われるのですよ。しかし、実際は下がってきておりますね。そしてまた、長期計画をつくった中で下がるような計画を、これはたたき台と言われたのですから計画じゃないかもしれませんが、下がっておるわけですよ。これじゃ話にならないと思うので、ぼくは積極的に、たとえば一九九〇年までには穀物自給率は何%にする、二〇〇〇年には食物の自給率は何%にする、そういう達成目標をつくって、それに向かってもろもろの施策をやっていくということが必要じゃないかと思うのです。私ども社会党は、どんなに悪くても穀物の自給率というのは六〇%程度は持っておかなければ国の安全は守れない、国民の生活は守れない、命は守れない、そういう考え方を持っているんです。だから、自給率を高めます、高めますといかに言われても、過去の例から信用はできません。九〇年には何%、二〇〇〇年には何%、そこに向かって農林行政を集中してやっていく、そういう計画をつくってやるお気持ちはございませんか。
#68
○武藤国務大臣 とりあえずいま農政審議会にお願いしておるのは十年先を見越してのものでございますけれども、いま御指摘ございましたように、農林水産省としていまたたき台として出しましたのは、過去において大変、御指摘をいただくように、需給の見通しがいつも狂っておったということから、非常に慎重に構えて、実は客観的な数字でもっていまたたき台を出しておるわけでございます。しかし、世界の情勢がこう変わってきておるわけでございますので、私といたしましては、そういう情勢の変化も踏まえて、もう少し政策目標を織り込んだ形での自給率をぜひひとつつくり上げたい、こういうことでやっておるわけでございまして、いずれにいたしましても、最終的には、農政審議会の議論の中からある程度の答申を出していただきまして、その後に私どもしっかりしたものをつくりたいと思いますが、それは大体とりあえず十年先のものをまずしっかりしたものをつくりたい、こう考えておるわけでございます。
#69
○馬場委員 十年先にしっかりしたものをつくるというのは、パーセントをお出しになりますか。私は、社会党の主張もありますし、そしてまた世界の先進国のパーセントをさっき言ったわけでございますが、それは参考になると思うのです。そういうものを参考にしながら、十年先にはたとえば六〇%に持っていくようにするんだ、そういう計画をつくるんだ、六〇%でなくても、パーセントを必ず出して、それに向かって努力をするんだ、そういう計画なんですか。
#70
○武藤国務大臣 先ほども申し上げておりますように、どうしてもえさ用の穀物というものが、まあここ十年先までの間に相当自給ができるようになるということは大変私はむずかしいと思っております。日本人の食生活の中で畜産物の需要は今後とも決して落ちていかないと思うのでございますが、その畜産物の価格などから考えましても、相当安いえさの原料でなければ、今度は畜産農家がお困りになるわけでございます。それを考えれば、二十一世紀に向かっては話は別でございますけれども、ここ十年だけを見た場合には、なかなかえさの穀物の自給を高めるということは、私は率直に言って大変むずかしいのではないかと考えておりまして、そういうえさの穀物を含めての全体の穀物自給率を六〇%に持っていくということは、至難なわざであろうと私は判断をいたしております。
#71
○馬場委員 えさを含めておるわけですけれども、どうしても、私がパーセントを出すのか出さぬのかと言うけれども、出すとも出さぬともおっしゃらないのですが、たとえば十年先の自給率のパーセントを出されるのですか。
 それからもう一つは、いまえさは非常に困難だとおっしゃいましたが、これはえさ米なんかの研究はするとおっしゃっているのですが、じゃ小麦とか大豆とかというのはどうなんですか。
 そのパーセントを出すのか出さぬのかということと、あと小麦とか大豆の展望……。
#72
○武藤国務大臣 それは、私どもは数字は出さしていただきます。そして、先ほど小麦の一九%と私が申し上げましたのは、一応この間の試算でもそれを出しておるわけでございまして、これからそのたたき台に基づいていろいろ議論をし、答申を出していただき、それに基づいて私どもは最終的に数字を出さしていただく、こういうことでございます。
#73
○馬場委員 ぜひ諸外国の例をごらんになりまして――どんなに低くてもよその国はみんな六五%以上になっています。そういうときに三〇%台というのじゃ、これはもうお話になりません。ぜひりっぱな高い、社会党なんか六〇%と言っておるわけですから、そういうものを頭に置いた長期計画というものをつくってもらいたいと思います。
 次に、私は食糧の輸入問題についてお尋ねしたいのですけれども、実際、最近減反をずっと水田利用再編成で米についてもやっておられるというわけでございますが、過剰というのは一つもよくならないわけですね。農林省がやったのを、全部農民は苦しい中で計画を守ってきておる。なのに、過剰というのは少しもよくならない。同じ主食としますと、小麦と競合するわけですけれども、だんだん小麦の輸入量は、資料をもらいましたけれども、ふえています。それから、さらに今度は、穀物だけではございません。最近、ミカンもものすごく過剰で、後で具体的にお尋ねしますけれども、大変な危機的状態にミカン農業もあります。なのに、ミカンの輸入量もずっとふえていますね、オレンジとかグレープフルーツとかジュースとか。最近の乳製品、牛乳、生産調整を一生懸命やっておる。にもかかわらず、乳製品含めて輸入がふえている。肉についても言えます。豚肉とかその他どんどんああいう危機的状態にいまあるわけですけれども、こういう過剰で生産調整をやっている中で輸入がどんどんふえているというのは、私は、どうしても農林行政としてはおかしいのじゃないか、こういうぐあいに思うのですけれども、大臣の輸入政策というものの原則とか基本というのはどこに置いておられるのですか。
#74
○武藤国務大臣 私は、水田利用再編対策も結果においては自給率の向上に結びつけたいと考えておるわけでございまして、米の生産から、日本の自給率の低い小麦、大豆、飼料作物に転換をしていただき、その生産を定着をしていただきたいという考え方に立っておるわけでございます。
 輸入につきましては、確かに、御指摘をいただきますように、どうも結果的にはちょっと後手に回ったきらいがございますけれども、やはり考え方としては、先ほども申し上げましたように、国の安全保障という観点から食糧というものを考えていかなければならないという基本的な認識に立てば、できる限り国内で生産できるものは極力生産をし、そしてどうしても足りないものを輸入に仰ぐというのが私は基本的な考え方だと思っております。
 ただ、問題は、一部のものを除きますと、一応輸入は自由化いたしておりますので、その辺が、いま輸入のいろいろな規制措置をとってはおりますけれども、必ずしも十分でないために、あるいは先ほど申し上げましたように多少後手に回る場合もあるわけでございまして、豚肉なんかちょっと後手に回ったのじゃないかと私は思うのでございます。しかし、許される範囲においての輸入規制措置はできるだけとっていかなければならないということで、いまとっておるわけでございまして、今後もそういう考え方で進めてまいりたいと思っております。
#75
○馬場委員 やはり輸入に対して農林大臣の原則というものをきちんと確立しておいていただきたいと思うのです。たとえば、工業製品を輸出する、その見返りにいわゆる農畜産物を買わされる。そのことによって日本の農民がいじめられる。しわ寄せをそこに持ってくるというような輸入政策というのは、農林大臣の立場としてとるべきではない。そういうことで、輸入原則をひとつ確立してもらう。もう一つは、やはり国内で不足する分だけしか輸入しないのだ。国内で余るものは輸入しない。不足分を輸入するという原則を確立するのだ。そういうような輸入に当たっての原則というものをきちんと確立しておいていただかなければ、農民も非常に心配するわけです。そういう点について、いま私が二つ、まだあるかもしれませんが、原則的なものを言ったのですが、そういう原則をお立てになって輸入政策を考えられますかどうか。
#76
○武藤国務大臣 私は、ほかの工業製品の輸出の犠牲において農畜産物を輸入をしなければならないというような考え方は持っておりません。あくまでも日本の農業の生産量、それから国民の消費量というものを考え合わせた上で、必要な不足分を輸入をするという考え方が、私どもの農林政策としては当然の考え方だと思います。
 ただ、いま御指摘の、いろいろ国内で余っておるのに輸入が来ておるんじゃないかということでございますが、私は、どうもこれは何も輸入がふえて結果的に国内の需給バランスが崩れたというよりは、生乳にいたしましても果実にいたしましても、先ほどの話に戻りますけれども、いわゆる需給の見通しが誤っておった、この需給の見通しが誤っておって、たとえば生乳にいたしましても果実にいたしましても、需要の見通し以上に生産ができた、それから最初の期待ほど消費がなされなかった、こういうことに原因があると私は思っておりまして、やはり供給の方が非常に最初の予定より、より供給が円滑にいったということ、それから消費が必ずしも思うように伸びなかった、こういうことが需給のバランスを崩しておるということでありまして、外国から何も強制的に買わされて、それによって国内の需給バランスが崩れた、こういうふうには私は判断をいたしておりません。
#77
○馬場委員 大臣、物すごい認識の違いがありますね、いまのお話を聞いておりますと。何かいまの話を聞いておりますと、農民におまえたちつくり過ぎたじゃないか、国民におまえたちは食わなかったじゃないか、だからこんなに困っているんですよ、過剰で農業が危機になっているんですよ、つくり過ぎたのが悪い、食わなかった者が悪い、すべて国内の国民に責任を転嫁したような大臣のいまの言い方です。そうじゃないでしょう。結局、たとえば東京ラウンドの交渉を見てください。果実なんかについても、ことしからまたどんどんふやすという計画があるでしょう。たとえば今度も、豚肉なんかについても関税を安くしようという計画があるでしょう。こういうものは、何も需給の見通しを誤ったということと全然違うのじゃないですか。これは東京ラウンドの交渉等において買わされて約束させられたことじゃないですか。結局、やはり大臣、あなた認識を変えてもらわなければ、そこに農林大臣が抵抗し、日本の農業、農民を守るという立場から、いま言った東京ラウンドとかそういうものに抵抗しなければ、お話にならないと思うのです。だから、大臣、そんな需給の見通しが誤ったと言うのなら、いま余っているのですから、誤らないためには、これはいま決めましたミカンあるいはオレンジのジュース、あるいは肉、いま約束しているのですから、需給の見通しを誤っていま現実にあるわけですから、これを凍結したらどうですか。それが需給というものを中心に物を考える農林省のあるべき姿じゃないですか、いかがですか。
#78
○武藤国務大臣 豚肉についても、たしか基本税率の問題がいまの東京ラウンドの中で話はあったわけでございますけれども、一方においては差額関税制度をとっておりまして、結果的にその基本税率がそのまま働かないような仕組みを考えておるわけでございまして、私は、必ずしも一概に、そういう点においては、東京ラウンドで税率の引き下げだけにこちらが何かそれをのまされたということではないのじゃなかろうかと思います。
 それから、私どもは、何も農民だけが勝手につくり過ぎたというふうにもしおとりいただいておるならば、これは大変誤解でございますので、ぜひ誤解を解いていただきたいと思うのでございますが、私は、農林水産省自身のいろいろの生産奨励の指導についても問題があったのじゃないかということを申しておるわけでございます。その辺のところについて、もう少し生産が需要に見合った形で行われていたならば問題がなかったのじゃなかろうかということを思っておるわけでございまして、それは農民だけの責任ではないので、私ども行政官庁の大きな責任だろうと私は思っております。ただ、先ほど申し上げましたのは、外国から入ってきたものによって需給のバランスが非常に崩れたというようなことではないのではないか、こう申したわけでございます。その点、誤解のないようにひとつお願いを申し上げたいと思います。
#79
○馬場委員 実際、資料をいただいたのですが、ほとんど、たとえばお米も過剰です、ミカンも過剰です、肉も過剰です、牛乳も過剰です。過剰ならば輸入は減るはずです。ところがふえているわけですから、そこのところをよく考えてもらわなければ困ると思うのです。農林大臣は先ほど不足分を輸入するのだとおっしゃったわけですから、その原則とこの状態はいま違うわけでございます。そういう点についてぜひ、たとえば不足分を輸入するという原則ならば、国内で生産ができますと輸入量は減らさなければならない、そういうかっこうになるわけですが、減らないということは、さっき言ったように、たとえば工業なら工業の政府の政策だとか、外国からの輸出政策とか、そういうものに農林省が負けちゃって入れさせられておると言ってもこれは過言ではないし、実態は私はそうだと思います。
 だから、ここでもう長く議論はしませんけれども、やはり輸入の原則というのは不足分を輸入する、そしてだんだん日本では自給率を高めていきます。また消費者は、今度は逆に、安いものを輸入したらいいじゃないかというような意見もあることは事実ですけれども、そしていま農林行政は、何かしら生産者と消費者を対立させるような行政も一部行われておるようでございますけれども、先ほど言いましたように、これは本当に食糧不足、国の安全保障という問題ですから、食糧をめぐって生産者と消費者が対立しておるということは不幸な事実でございます。だから、たとえばいま当面入れたら安いというような消費者の気があるとすれば、それは余り短絡的過ぎると思うのです。こういう国の安全保障です。そして国民の命を守ることです。そして生産者、国民一体となって食糧問題というのを長期的に考えていかなければならない。そういう国民の安全保障問題としての、戦略物資としての食糧に対する国民と生産者とのコンセンサスづくりというものが農林省は不足しておる。このこともやらなければ、対立したら行政がうまくいかぬわけですから、ぜひそういうことでお願いをしていきたい。やはり農民とか農林省は長期的に思うのに安ければいいということではないということで、ぜひひとつコンセンサスづくりをやっていただきたい、こういうぐあいに思います。
 それから、私は、いまの日本の農業の危機を回避するためにはこの輸入問題と、消費者がまだ高いと言うのは、たとえば生産者がつくったものが三倍とか五倍とか七倍とかで消費者に行っておるわけですから、そこに流通の問題があるわけですね。やはりこの輸入政策の問題、流通の問題、ここにいままでやらなかったような抜本的な対策を打ち立てる、それでなければ日本の農業危機は救われないと私は思うのですが、この輸入政策と流通政策、やはりここに抜本的な対策を、農民側の食糧自給率を高めるという側に立ってぜひ入れていただきたいと思うのですが、いかがですか。
#80
○武藤国務大臣 輸入政策につきましては、先ほども申し上げておりますけれども、自由化しておる中では相当いろいろと仕組みを考えて規制措置が行われておると私は考えておるわけでございますけれども、これからもでき得る限り、そういう観点に立って、自由化の中においても極力抑えられる範囲、必要でないものはなるべく輸入しないように持っていかなければならないということは当然かと思います。
 それから、あわせて加工、流通面に非常に問題があることは御指摘のとおりでございまして、生産者の手取りが案外低いのに消費者のところでは高いものになっておるというのは事実でございます。また一方、外食をされる方、あるいは加工品を家庭に直接持ち込んで食事に使っておられる方、こういう姿が大変多くなりまして、たしか数字では食品加工合わせますともう六割以上になっているということでございますので、これはそういう事態を私どもは十分認識して、これは食品産業と申しますか、そういう一つの大きな観点から、流通、加工について思い切った合理化の方向を私どもは強めて指導してまいりたい、こう考えておるわけでございます。
#81
○馬場委員 いままで幾つか質問いたしましたけれども、こう言っては失礼な言葉になるかもしれませんけれども、従来の農林官僚の農林行政の上に新大臣はぽっと乗っておられるゆえの答弁で、農民、農業、日本の食糧、国民の安全保障のために、よしこの危機の中でおれはひとつ一生懸命がんばるぞというようなファイトが私にはどうしても感じられないのですよ。大臣は若いのですから、いままでの官僚の惰性の上に立ったあれではなしに、大変な状況にいま来ておるし、アメリカが戦略物資としていま使ったばかりじゃないですか。そういうときに抜本的な農政の転換というのをやっていただきたいということをぜひ希望しておきたいと思うのです。
 そこで今度は、抽象論を幾ら言ってもしようがありませんから、もう本当に危機で破産寸前とか農業が壊れる危機だという問題点、当面の対策について、これは大臣御存じなければ担当でも結構でございますので、幾つかお聞きしたいと思うのです。
 まず一つは、養豚経営の危機の問題について申し上げますけれども、これは去年の八月ごろからの暴落でもって、私の県の例も言ったのですけれども、子豚を五、六カ月養って売りますと、子豚を買ったときと売るときの値段は同じで、一頭出すごとに一万円以上の損失で、月に四、五十頭出しまして四、五十万の損失がずっと続いてきておる。そういう中から自主調整保管が行われました。一月八日からは畜安法に基づく調整保管が行われました。そして輸入物の凍結とかいろいろ行われて対策が立てられておるようでございます。
 これは一つだけ聞いておきたいのですが、価格は回復したのか。そして三月までに回復しようという皆さん方の決意でございますが、三月までに安定基準価格に回復する見込みがあるのか。三月までに回復しなければその次どういう手を打とうと考えておられるのか。そして、こういう状態の中で物すごく経営資金繰りが困っているのです。経営資金対策はどうやったか、見通しはどうだ、これが第一点です。
 時間がございませんので、一緒に申し上げておきたいと思うのですが、次に、果汁、ミカンの問題についてでございます。
 特に、ミカンの問題については、温州ミカンだけを申し上げますと、ことしは温州ミカンの経営はもう歴史的などん底の状態になっておるのは御承知のとおりでございまして、その中で三百三十万トンが適正需給量だといって計画されたようですけれども、二十九万トンばかり上回ったわけでございます。この上回った二十九万トンにつきまして、加工原料用果実価格安定事業、これは計画しました数量は三十九万六千トンですが、この上に二十九万トンを保証基準価格措置に合った対象にしてもらいたいという要望があるのですが、この問題はどうなっておるのか。
 それから果実加工品の調整保管事業で、とにかく三万トンさらに果汁を調整保管したいという要望があるのですが、一万五千トンの予定だったのですけれども、これを上積みして濃縮果汁の果実加工品調整保管事業にこれを適用していただける・のかどうか。
 さらにまた、この経営危機についての資金対策はどうやられたのかということについて、まず、典型的な養豚の問題とミカンの問題について御質問申し上げます。
#82
○犬伏政府委員 豚肉の関係でございますが、先生御承知のとおり、昨年の九月以降価格が低落をいたしまして、畜安法に基づく安定基準価格を割り込んで推移をしたわけでございます。これに対する対策といたしまして、生産者団体等とも協議をいたしまして、いわゆる三本柱の対策、すなわち計画生産の推進、第二に消費の拡大、そして、これらの措置の効果が直ちに発生をするものではないということで、自主調整保管を始めたわけでございます。九月以降自主調整保管は現在まで……
#83
○馬場委員 答弁中ですけれども、全部経過を私は知っているのです。だから、私が聞いていますのは、値段はいまどこまで回復したのか、三月までに回復するのか、しなかったらその先どうするのか、資金はこれとこれの対策を立てました、それだけでいいのです。
#84
○犬伏政府委員 はい、わかりました。
 自主調整保管をやり、さらに畜安法に基づく調整保管を実施いたしまして、一月の東京の卸売価格、規格上のものでございますが、五百八十六円。これは正月相場が入っておりますので、やや高目に出ておりますが、最近の数字で申し上げますと、昨日五百八十六円、同じ数字でございます。大阪におきましては、湯はぎでございますが、安定基準価格が五百五十九円でございます。昨日の数字はまだ入手できておりませんが、先週末の数字が五百六十一円で、安定基準価格を超えております。これが安定的に推移するかどうか、なお私どもといたしましては、調整保管の三十万頭の枠を持って進めておりますので、その効果をできるだけ発揮できるように鋭意努力を進めておりまして、できるだけ近い将来に安定基準価格水準に達するように、目下生産者団体とも協議をしながら進めておるところでございます。
 そうした努力にもかかわらず回復をしない場合の措置はどうかということでございますが、私どものただいまの感触といたしましては、必ずや安定基準価格に回復するものというふうに考えております。
 それから資金対策の問題でございますが、確かに昨年の九月以降価格が低落をいたしまして、その時点時点の経営収支は非常に大幅な赤字になったことは事実でございますが、八月以前の状態におきましては利潤、所得合わせたものがかなりの額に達しておりまして、年間を通じてどういうことになるか、この状況を把握した上で必要な措置をとる必要があればとっていくということで検討したいと考えております。
#85
○二瓶政府委員 ミカンの関係についてお答えを申し上げます。
 まず第一点の、加工原料用果実価格安定事業の点でございますが、先生御案内のとおり、この価格安定事業につきましては、当事者間で二カ年間の契約を結ばせまして、これにつきまして価格が相当低落をした場合に果実基金協会の方から補給金の交付を行う、こういう仕組みに相なっておるわけでございます。
 そこで、ただいま御指摘の五十四年産のミカンでございますが、これにつきましては、五十三、五十四、この二カ年間がいわゆる業務対象年間になっておるわけでございます。そして、この契約につきましては、五十三年、一昨年の秋までに契約を結ばせまして、その数量がただいま先生お話しされました三十九万六千トンという数字に相なっておるわけでございます。したがいまして、現時点になりましてこの数量では足らないということで契約を更改したいという御要望は、私たちも聞いてはおりますけれども、これは当初契約したそのものについてやるということになっておりますので、現段階におきまして手直しをするということは困難であろう、かように思います。
 それから第二点の、調整保管でございます。生果の方が非常に価格がよろしくないわけでございますので、加工仕向けの方にどんどん向けておるというのが実情でございます。したがいまして、現在まで、五十四年、五十五年の予算におきまして三億ずつ計六億円、金倉助成の予算化をいたしておるわけでございますが、これが一万五千トン分でございます。したがいまして、三万トンぐらい欲しいという話を確かに聞いております。あと一万五千トン分足らないわけでございます。一万五千トンといいますと過去二カ年積み立てました金と同じ金目になりまして、これは予算に組んでないものを、二年間積み上げた金と同じぐらいを何とかひねり出せというむずかしいお話でございますので、私たちとしては、多少これは前向きに検討したい、こう思っておりますが、ちょうどただいま搾汁をまだやっておる段階でございます。三月にも搾汁は入ろうかと思いますけれども、大体今月末ぐらいになれば大勢はわかると思います。そういうような数字をつかまえまして、財政当局の方とも折衝をしてみたい、かように考えております。
 それから第三点でございますが、非常に価格が低落をしておる、したがいまして非常にミカン農家の経営が悪化しておる。したがいまして、昔借りました公庫資金なり近代化資金、これの償還期にいま入っておるというようなことで、返済にも非常に窮するという場面が出てこようかと思います。したがいまして、この償還猶予等、貸付条件の緩和ということにつきましては、現在関係金融機関なりあるいは担当の経済局の金融課等と前向きに検討中でございます。
#86
○馬場委員 ぜひ、これは養豚関係の団体とかあるいは果汁団体が、皆さん方の方にも、本当に困ってこういう対策を立ててくれという要求があるわけでございますので、十分話し合って適切な措置をとっていただきたいと思います。
 最後に、燃油高騰、電気代の高騰の対策についてお聞きしておきたいと思うのですが、実は具体的に申し上げますと、私の熊本でこの間、二月四日の日ですが、十一月の寒い中にあのイグサを植えるのです。そのイグサがもう二十センチぐらい成長しているのですけれども、それを農家の人が、このままではもう赤字が累積してしまうからといってブルドーザーで全部、青田刈りといいますか、押しつぶしてしまったという事件がございました。これはどういうことかと言いますと、大体十アール当たりに肥料代だとかその他で七万円ぐらい使っておるわけですが、二十センチぐらいいま伸びておるわけです。そして、これは転作奨励金も出るわけでございますが、いま七万使った、転作奨励金がある、しかしそういうことではどうにもならない。たとえば、生産費は十アール当たり大体三十六万円ぐらい要るわけですが、原草で売りますと二十七万円か三十万くらいしかしないのです。これでも赤字が出ます。畳表に加工して売りましても、これは大体一反当たり四十五万円程度にしか売れなかったわけでございます。こういう状況で、現在でもその生産費に満たないのです。ましていわんや、今度乾燥用の重油が上がりますと、いま十アール当たり三万五千円ぐらいですが、これが大体六万円ぐらいの予想がつくわけです。電気代がいまは十アール当たり六千円ぐらいですけれども、これが九州電力が六〇%近く上がりますと九千六百円ぐらいになるわけでございまして、いま七万円、そして転作奨励金、そういう費用を使ったり、もらう計画の中でつくっているのですけれども、これをつくっていて最後まで製品にして出したら物すごい赤字が出る、いまのうちにこれを踏みつぶした方がいいというようなかっこうで、実はブルドーザーでこれを踏みつぶした、こういう状況があります。こういうたとえば転作作物のイグサ、こういうのをどういう指導をしていただくのかということをひとつ聞いておきたいと思うのです。
 それからもう一つは、カツオの一本釣り漁業の問題についてでございますが、これについて、これは全く同じような、たとえば燃油の問題について申し上げますと、去年の二月には一キロリットル当たり三万一千円、ことしの二月はもうそれが七万三千円しているのです。年度末には八万円ぐらいになろう、こういう状況になって、もう休船、減船、こういうような状況でにっちもさっちもならない、こういう状況になっておるわけでございます。たとえばこういうカツオの一本釣り漁業というものは、これは燃油対策ですが、もろもろの条件が加わりまして、もう危機的状況にございます。
 このカツオ一本釣り漁業に対して、たとえばどのような対策を立て、この経営危機を乗り切っていこうと考えておられるのかというような問題、その中の一つとして、現地に私この間行ってきたのですけれども、たとえば生えのカタクチイワシが南の方まで持っていきますと変質するわけですけれども、これを防ぐために低温蓄養装置とかを船に備えつける、それに対する助成だとか、あるいはタンカー等で遠洋に生えの基地を設置してくれとかいろいろな要望があるのですが、こういうものに対して水産庁はどういう対策を持っておられるのか、こういう問題についてお尋ねしておきたいと思うし、基本的には、こういう油の高騰その他の問題があって、まさにもうどうにもならぬという状態になっておりますこの漁業をどうやって救おうという対策を持っておられるのかということをお聞きしておきたいと思う。
#87
○二瓶政府委員 イグサの関係でございますが、ただいま先生からお話ございましたように、熊本におきまして二十センチほど伸びたイグサをブルドーザーで踏みつぶしたということは、県の方からも聞いておりますし、日本農業新聞等でも拝見をいたしております。
 そこで、このイグサの関係でございますが、五十年に相当このイグサの原草なり畳表の価格が高騰をいたしました。その関係もございまして、新興産地等も出てまいりまして、イグサの作付をやっておるというところがふえてまいっております。それから、最近におきますと、需要の方は非常に新築住宅戸数の伸び悩みとか畳の張りかえ需要の減少というようなこともございまして、需要の方が確かに停滞傾向にございます。
 したがいまして、基本的には何といいましてもやはり需給バランスをとるということがポイントになろうかと思います。したがいまして、需要に見合った計画的な生産を推進していくということが必要であろうと思います。
 そういうことからいたしまして、担当課長会議をやったり、あるいは全国い草生産流通協議会というのもございますので、そういうところで需給関係の情報交換等いろいろやっておりますけれども、どうもまだその生産の方の関係が指導が十分でございません。したがいまして、現在この四月を目途にいたしまして、全国のイグサの生産者の団体、これを新しく設立をさせたい。そこが中心になって、関係県で十分このイグサの生産が需要に見合うように、そういう角度で指導をしてもらおうということで、この生産者団体の設立につきまして役所の方もともにいろいろ世話をしておるというようなのがいまの現状でございます。
 なお、資材の関係で、電力とか燃油等の高騰というのがございますが、電力等につきましては、私の方からも、イグサに限らず、資源エルギー庁の方とも、極力値上げ幅を少なくしてもらいたいとか、あるいは農事用電力等につきましてもいろいろ折衝をしておる段階でございます。
#88
○今村政府委員 御指摘のように、遠洋カツオの一本釣り漁業の経営は非常に厳しいものがございます。したがいまして、私たちとしましては、業界といろいろ協議をしながらその対策を検討いたしておるわけでございますが、まず油につきましては、量の確保ということは、御高承のとおり、大体まあまあ心配はないような状態になっておりますが、問題は、御指摘のように価格でございます。
 そこで、私たちとしましては、昨年末に三百億の燃油資金を融資をし、今年におきましても、予算が通過いたしますならば、五百億の燃油資金を融資するということで対応をいたしておるところでございますが、やはり将来に向かいまして、省エネということを十分考えなければならない問題であろうと思います。したがいまして、私たちとしましても、今後の省エネ対策につきましては、研究会を開催する等によりまして、いろいろと検討いたしておるわけでございますが、業界といたしましても、できるものから省エネ対策を講じていただくようにお願いをいたしておるところでございます。
 一本釣り遠洋カツオ、マグロの将来は一体どういうふうに考え、それに対してどういう対策を講じておるのかという問題でございますが、今後魚価及び漁況はどういうふうになるのかということにも関連いたしますが、全体的に見まして、私は、カツオ一本釣りが急激に好転するということは望みがたいというふうに思っております。
 したがいまして、まずカツオの大体六〇%は輸出で、残りがかつおぶしになるわけでございますが、製品形態を、かん詰め等の加工のような形から、やはり生食に、食べてもらうという形に持っていかなければいかぬと思っておるわけです。
 それから第二点は、やはりビンナガ等の値段の高いものをとってくるということでございまして、これは漁場調査、その他によりまして、ビンナガをできるだけ漁獲をする。
 それから、当面経営安定対策は、先ほど燃油資金等についても申し上げましたが、要すれば経営維持安定資金等を融資をすることによって所要の措置を講ずると同時に、長期的にはやはり構造問題に取り組んでいかなければいけないのではないかと思います。幸いにして、業界におきましては、この問題について真剣に検討をいたしておるところでございまして、私たちとしましても、その案がまとまれば、十分水産庁としてもこれに対応していきたいというふうに考えておるわけでございます。
 それから、御指摘の冷却装置でございますが、これについては、私たち現在試験をいたしております。しだがいまして、その成果があらわれ次第、この冷却装置等につきましての所要の対策については十分検討をいたしていきたいと思っております。
 もう一つの、基地を設けてそこでえさを補給するようにしたらどうかというお話でございますが、これはいろいろ検討いたしておりますが、なかなか基地でも温度が高うございまして、技術的に非常にむずかしいような状況でございますけれども、これらの点についても、なお検討いたしてまいりたいというふうに考えております。
#89
○馬場委員 もう時間が来ましたので、終わりますが、とにかく大臣、農林水産業というのはまさにここなんですよ。これに対処するりっぱな農林水産行政をやっていただきたいということをつけ加えまして、私の質問を終わります。
#90
○内海委員長 瀬野栄次郎君。
#91
○瀬野委員 農林水産大臣の昭和五十五年度所信表明に対し、農業、林業、漁業の政策推進の上から、重要な点について質問し、答弁を求めます。
 世界の食糧需給と日本の関係について、農林水産大臣に冒頭お伺いをいたします。
 米国の対ソ穀物輸出制限などをきっかけに、戦略物質としても重視されるようになってきた食糧について、世界的に高値不安定の時代に入りつつあるという見方が広がってきております。農林水産省は、このほど農政審議会に提出した報告の中で、こうした判断を示すとともに、穀物市場は脆弱な構造に変化しており、米ソ両国の生産が同時に急減した場合は最も危険な需給状態に陥ると警告しております。一方、国連食糧農業機関、FA○も、二〇〇〇年の農業展望で、同年の世界人口というものが六十億人の見込みになる、この六十億人を養うためには五〇%の食糧増産が必要と訴えております。さらに、農業団体や商社、学者グループの中にも、一九七三年、四年のような食糧危機が発生する可能性も強いとの見方も出始めております。
 当委員会でもこの問題についてはしばしば論議を重ねてきたところでございますが、私は、以下質問をするに当たって、まず冒頭、この問題に対して政府はこのため食糧政策の見直しが迫られていると思うわけです。
 まず、備蓄をどう進めていくかという問題もありましょう。また、自給率をどの程度に上げるか、さらには、輸入安定のためにどのような国際協力体制をつくっていくかなどが焦点になってくると私は思うのであります。
 そういった点で、農林水産大臣は、こういった世界の食糧需給と日本の関係、こういったことで、まず冒頭、見解を明らかにしていただきたい。
#92
○武藤国務大臣 先ほどもお答えをいたしたのでございますが、最近のいろいろの動きを見ておりまして、現時点においては世界的に食糧の需給が非常に切迫をしてきておるということではないわけでございますけれども、長期的に見た場合には、いま御指摘のとおり、二〇〇〇年には人口が六十億ないし六十五億のどこかわかりませんが、とにかく六十億ないし六十五億のどこかに落ちつくくらいに人口がふえていくだろうと言われておりますし、そのためには五割の増産ということも非公式に新聞報道ではなされておるわけでございます。私どもといたしましては、今後こういう事態を深刻に受けとめまして、とにかくできる限り国民の食糧を安定的に供給をしていく、国民の食糧について安定した供給がなされ得るような形で考えていかなければならないことは当然でございまして、備蓄にいたしましても、現在は小麦もあるいは飼料穀物も二カ月ないし二カ月半ぐらいの備蓄をいたしておりますが、そういう備蓄についても、どれくらいがいいのか、また、先ほどから申し上げておりますように、自給率をできるだけ高めていくことは当然かと思うのでございますけれども、そういうことについて十分検討を加えていきたいと思っておりますが、ちょうど幸いと申しますか、いま農政審議会で長期の見通しを立てるためにいろいろ議論をしていただいているわけでございますので、そういういろいろ議論をしていただく中において、そうして、答申を受ける中において、私どもは今後の長期見通しをしっかり立てていきたい、こう考えておるわけでございます。
#93
○瀬野委員 そこで、農林水産大臣に重ねてお伺いしておきますけれども、食糧需給の不安定要因としては、国際政治情勢との絡みがある、かように私は思うわけです。
 今後、国際政治の絡みというものを度外視して私は考えられない、ますますその度が深刻になってくる、かように思うわけです。そこで、米国の対ソ穀物輸出制限をきっかけに、食糧を武器とするような動きが今後とも強まる、いわゆる戦略物資としての考え方が強まってくるということは否めない事実であります。政治要因を抜きにして食糧政策を考えられない、かように私は思っているのですけれども、大臣はこの点についてはどう認識をしておられるか、この機会に大臣のお考えを承っておきたいと思います。
#94
○武藤国務大臣 食糧というものは大変天候に左右されるわけでございまして、ソ連においても中国においても必ずしも豊作だとは言えないわけでございます。そういうところを見越してか、アメリカとしては、見越したのかどうか存じませんけれども、外交手段としてソ連に対する穀物の輸出停止をやったわけでございまして、私どもはそういう事態から、今後食糧が将来においても、戦略物資と申しますか、いわゆる外交手段として使われる可能性は決してないわけではないと考えておりまして、そういう考え方に立って、国内においてできるものは極力国内で生産をしていく、こういう方向で努力をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
#95
○瀬野委員 その点はよくわかりました。
 そこで、ソ連の輸入が世界の穀物貿易の不確定要因であるとともに、OPEC諸国のうちサウジアラビアが農産物輸入として七九年で前年対比五〇%もふえておる事実があります。さらには、わが国農業関係者または団体等は、産油国の輸入動向というものが今後市場の撹乱要因になる可能性が強くなってきた、こういうふうに指摘をして、また、われわれにも機会あるごとにいろいろと要請がございますわけでございますが、こういった点についても、この機会に農林水産大臣から、わが国農業の将来展望に立ってこの辺も十分検討、対処していかねばならぬ、かように思うのですけれども、その点も十分計算に入れて検討しておられるか、あわせてお伺いしておきます。
#96
○武藤国務大臣 産油国における食糧の輸入がふえてきておるのは、産油国の国民の食生活が向上してきておるのではなかろうかと私は判断しております。当然、将来においては、開発途上国における人口の増加と、それからその開発途上国における食生活の改善がよりなされていくでありましょうから、そういう観点からいけば、今後、産油国のみでなく、将来において食糧の需要というものが相当増加をしていくことだけは間違いございません。
 私どもはそういうことも十分踏まえながら日本の国民の食糧の安定確保ということについて極力努力をしてまいらなければならないわけでございまして、そのためには、国内で生産のできる限り極力国内で賄っていくということを基本として考えていきたいと思っておるわけでございます。
#97
○瀬野委員 その点もよくわかりました。
 そこで、冒頭もう一点お伺いしておきますが、ソ連のアフガニスタン軍事介入に対する報復措置として、カーター大統領は一月四日、千七百万トンのソ連向け穀物の輸出禁止を命令すると発表したことはもう御承知のとおりです。その影響はじわじわと広がって日本へも及んできつつあることはもう申すまでもありません。
 私は、今回のいわゆる米国の禁輸でわかったことは、ソ連はすでに買い付け輸送済みのものが約五百万トンというわけでございますので、千七百万トンの禁輸とともに合計しますと二千二百万トンに上る大量の買い付けを行っていたということになるわけです。前回一九七三年のときも、ソ連は不作を理由に二千万トンの大量買い付けを行ったとされておりまして、こういったことについてはまだ耳に新しい問題でございます。
 そこで、米国は、国際情勢からして、先ほど申し上げましたように、ますます食糧戦略を強めてくると見られるわけです。わが国は、穀物を二千八百万トンも輸入し、そのうち約七割を米国に依存し、米国の食糧戦略のかさのもとにすっぽりと入ってしまっている、いわゆる俗に言う三本足畜産、こういったことを言われまして、実際日本でやっているのは一本足畜産だ。四本のうち一本にも当たらない、その半分であるということがよく言われておるのも当然であります。その結果、対米協調外交を基軸とする中で、わが国の農業は常に米国農業の影響下のもとでしか生き残れないということになってまいります。俗に輸入依存の加工畜産と言われる日本農業の体質をあらわに浮き彫りにしていると言えるのでございます。
 農林水産省としても、今回のこの問題に対しては、まだ米国から正式に穀物輸入増大について要請はないが、もし正式要請があれば慎重に対処すると、慎重な態度を見せておるようでありますが、すでに民間ベースでは輸入増大の要請が来ております。国内においても、政策構想フォーラム等が、米国の対ソ禁輸穀物を日本で買い上げ米国で備蓄することを提案するなど、活発な動きが始まっております。そして、一月二十六日には、農林水産省、外務省両省で禁輸穀物の一部をわが国で購入することについてひそかに検討していることが伝え聞かされるのでございます。このように対ソ穀物輸出規制の及ぼす波紋ははかり知れないものがございまして、新段階に入った米国の食糧戦略に対してわが国はどう対処するのか。
 そこで、農林水産大臣に伺いたいのでありますが、この問題に対して冷静に対処すべきであり、長期的には、先ほども答弁ございましたように、わが国の自給率を上げていくという努力が一九八〇年代の農業の大転換期に当たって最も大事である、かように私は申し上げたいのでありますが、その点に対する認識と、この問題に対する対処の方針をどういうふうに考えておられるか、重ねてお伺いをしておきます。
#98
○武藤国務大臣 先ほどからお答えをいたしておりますように、日本の国の安全保障という立場から、国民の食糧を極力国内で賄っていくという基本方針は先ほど申し上げたとおりでございます。
 もう一つ、いま先生の御指摘は、その問題はその問題として、アメリカがソ連に対して輸出を停止をしたいわゆる千七百万トンについて、日本はどうそれに対処しようとしておるのか、こういう御質問もあるかと承りますので、それに対してお答えをいたしますと、まだ正式には私ども、アメリカ政府から日本がぜひ少しでも買ってくれたらどうかというような要請はございません。
    〔委員長退席、片岡委員長代理着席〕
ただ、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、いま備蓄を飼料穀物については配合飼料安定供給機構で約一カ月分持っておるわけでございます。それから、小麦につきましても大体二・六カ月分くらいいま持っておるわけでございます。これだけの備蓄でいいのかどうかという問題もございますし、また、友好国であるアメリカにおいて非常に困っておるのであれば、もしこちらに買い得る余地があるならば買ってもいいのではないかということもございまして、いろいろ検討はいたしておりますが、正式に向こうから要請があるわけでもございませんし、こちらとしてまだいま検討しておる段階でございまして、それじゃひとつ幾ら買おうじゃないかというような結論はまだ出しておるわけでもございません。
#99
○瀬野委員 農林水産大臣も検討はしているということですが、当然これだけ新聞その他報道で流されておるわけですから、十分御認識があると思いますが、わが国の畜産農家を圧迫したり、またわが国の農政に多大な影響があるようなことはしていただきたくない、かように思うわけです。わが国が南方諸国に米を輸出しようとすれば、アメリカから厳しい圧力がかかってくる。アメリカはアメリカで、ソ連に売ろうといったのが、ああいうアフガニスタンの問題でいわゆる禁輸措置に出た。余ったから日本はこれを買え、早く言えば虫がよ過ぎると私は言いたいわけです。かと言って、アメリカのかさのもとに必要なものは輸入をし、お世話になっておるわけですから、そういったことは十分承知しておりますけれども、さればとて、国内の畜産に影響するような膨大な備蓄輸入というのは、これは大変なことでありますが、十分慎重に考えてもらわなければいかぬ、かように思うわけです。
 それで、いまのところいろいろと検討はしておられると思いますけれども、重ねてお伺いします。
 カーター大統領もことしの十一月が大統領選挙であります。もちろん、アメリカにおいても農民から相当な突き上げがあるだろうし、今後のアメリカ国内における農産物の生産にも影響してくるわけでございますから、かなり強い姿勢で今後いずれは来るんじゃないかと思います。それに対する腹構えというか、十分対処はしておられると思うけれども、いま私が申し上げたことも十分考えて、ひとつどっしりと日本農業を守っていく。また日本農業は大変厳しいときにあるわけですから、その辺は十分考えた上で対処してもらいたいと思うのです。重ねてひとつ決意を伺っておきます。
#100
○武藤国務大臣 私どもといたしましては、先ほどから申し上げておりますように、あくまでも日本の国民の食糧をできる限り国内で生産をするという姿勢は今後より強めていかなければならないと思っておるわけでございまして、そういう観点から、いわゆる押しつけられて買うというようなことは私どもは考えておりません。
 ただ、先生御指摘のように、現実には日本の畜産の飼料穀物はほとんどいま外国からの輸入に依存しておるわけでございまして、今度は逆の場合も考えなければならないわけでございまして、やはりアメリカが、協力的でない、それじゃ日本に対しては今後飼料穀物は売らないよ、こう言われることも、これは日本のいまの畜産の現状から見れば大変困るわけでございます。そういうこともあり、私どもはやはり友好的な立場に立って、どうしてもいま輸入に依存をせざるを得ないものについては極力安定して輸入をしていかなければならない。それにはやはり友好的な協調的な雰囲気でいかなければならないことは当然でございまして、そういう面において私どもが手伝うことはあるであろうかということで、先ほど申し上げたように検討をいたしておる、こういうことでございますので、御理解をいただきたいと思います。
#101
○瀬野委員 農林水産大臣は、「農業の将来に明るい展望を切り開き、国民の農業に対する期待にこたえていくためには、八〇年代の農業のビジョンを明らかにし、長期的視点に立った政策の推進を図ることが肝要であります。このため、現在、農業の長期展望と基本政策のあり方について、ことしの半ばまでに結論を得ることを目途として、農政審議会において鋭意検討を願っているところであります。」と所信表明をされております。
 農林水産省が進めております八〇年代の農政ビジョンづくりの中で、「昭和六十五年農産物の需要と生産の長期見通し」の試算によれば、農業の厳しさを反映したかなり厳しい試算で、現行の六十年見通しのような食糧自給の視点が弱く、エネルギー危機の深まる中で食糧安保の方向を国民にどう訴えようとしているのか、まさしく期待外れであります。もちろん参議院選後になると思います。その前に出してくるといいというけれども、とても間に合わない。恐らく参議院選後、半ばですから、八月ごろだろうというようなことがちらちら耳に入っておりますけれども、私はあえて以下指摘する問題はぜひともひとつ農林省の方ももっと強力な、審議会に対して報告をし、さらに審議会においても十分検討して、中身のある六十五年見通しにしてもらわなければならぬということで、私は審議会の諸君に聞こえよがしと声を大にして実は申し上げるわけでございます。
 そこで、この中身をずっと見ますと、まさに明確を欠いておりまして、この点を私はまず明らかにしていただきたい。
 と同時に、今後経済環境の変化等を考慮して八〇年代見通しはどう見通したらいいのか、私は改めて六十五年見通しに対しての見通しをひとつ大臣から承りたい、かように思います。
#102
○武藤国務大臣 いま農政審議会で御検討をいただいておる、実は私どもたたき台と申しておりますけれども、農林水産省が最初出しました試案の数字というものは、先ほども申し上げましたが、従来のいろいろの統計数字と申しますかそういう実績から割り出しまして、それに需給の動向などの趨勢値を勘案をして出したのが、いまの需給見通しでございます。
 ただ、その後に、先ほど来お話をいただいておりますアメリカのソ連に対する穀物の輸入停止措置というような問題が起きてまいりましたし、FAOの、非公式ではございますけれども、二〇〇〇年の見通しなどが新聞で報道をなされておりますし、そういうような事態も踏まえて考えていかなければならないのではなかろうか。そういうことから、私はいまいろいろと、米の消費拡大あるいは小麦の生産拡大といったようなこともやっておりますし、また、今後この委員会で御議論をいただく予定でございますけれども、農地制度全般の法制の見直しというような中から、土地利用型農業の経営規模の拡大なども私どもは考えていきたいと思っておりますし、それやこれやを含めまして、いろいろと政策目標を含めた数字というものは、十一月にお示しをした数字とはまたいささか違ったものも出てくるのではなかろうか、こう考えておりまして、そういうようなものも踏まえて、いわゆる政策目標を入れた一つの見通しと、それからある程度客観的な統計数字に基づいた現在示しておる見通しと、こういうものを両方含めてひとつ農政審議会でも議論をしていただこう、そして私はそういう方向でできる限りしっかりした、本当に今度こそは間違いのない需給見通しをひとつ立てていきたい、こういう気持ちでいま取り組んでおるわけでございます。
#103
○瀬野委員 農林水産大臣は、今度こそは間違いない計画を立てていきたい、こういうふうに取り組んでおるとおっしゃいますが、御承知のように、農林水産省の需給見通しは、昭和三十六年にできた農業基本法第八条で決められておりまして、昭和三十七年、昭和四十三年、昭和五十年と三回つくられてきた経緯がございます。いずれも数年でこの計画は狂っております。ある意味ではまさにこれはノー政と、こう国民が批判しても当然のことだと思うのです。
 そこで、今回の見通しも現行の修正でありまして、まさに現状農業を反映、現行の六十年見通しより自給率目標を落とすというような計画でございまして、私は、現状追認、肯定のいわゆる六十五年見通しと、こういうように現状では言わざるを得ません。大臣はこれに対して反駁があればおっしゃっていただきたいと思うが、いまの六十年見通しは、振り返ってみますと、四十八年の石油、食糧ショックの後、食糧自給の世論が高まる中で将来の期待値を出したきらいがございます。これに対し今回は、六十年見通しもさることながら、まさに六十五年見通しは将来の予測、こういったものに対して現状認識肯定のいわゆる見通しであって、積極性のない計画である。
 農林大臣の所信表明の中にも白目頭に、「私は、八〇年代は、資源エネルギーの制約を初め、高齢化社会の到来、ゆとりと生きがいを求める国民意識の変化、さらに、農林水産物の需給動向など内外の経済情勢や社会環境が変化する中にあって、農林水産業にとりましても、長期的視点に立って、これらの情勢変化に対応する新しい発展を図るべききわめて重大な時期である」と言いながら、「新しい時代の幕あけの年であります。」こういうふうにおっしゃっておられます。
 そういったことから見ましたときに、まさに積極性を欠いておる、こういうように思うのですが、その点は率直にどういうふうに大臣は認識しておられますか。こういった国民の批判に対しては、どういうふうに思われますか、大臣の所見を承りたいと思います。
#104
○武藤国務大臣 先ほども申し上げておりますように、十一月に農政審議会にお示しをいたしましたのは、あくまで審議のたたき台にしていただこうということで出したものでございまして、その出しますに当たっては、従来の失敗を繰り返さないためにも、やはり客観的な統計上出てきた数字と、それから一つの趨勢の方向というものがあるわけでございまして、そこから見通しを立てれば間違いがないということでお出しをしたために、いま御指摘のように結果的には何か現実肯定論になっておるんじゃないか、こういう御批判をいただいておるのではないかと思いますけれども、余りまた甘い見通しを立てて現実の需給が見通しよりも狂ってきたというようなことは、これはかえってまたおしかりをいただくわけでございますから、そういう意味で、非常に慎重な数字をお出しいたしておるわけでございます。
 しかし一方、先ほど来申し上げておりますように、いろいろといま私どもは、より積極的に転作作物の奨励だとかあるいは米については米の消費拡大であるとかいう政策もどんどんやろうとしておるわけでございますから、今後においてはそういう政策がうまくいった場合にはどういう姿になるであろうかということも踏まえて、数字を出していかなければならないのではないか、こういうことで議論をいたしておるわけでございまして、私はそういう形になっていけば、もう少し、この間の、最初にお示ししました数字よりは変わったものが出てくるのではないか、こう期待をいたしておるわけでございます。
#105
○瀬野委員 いまも大臣から答弁がございましたが、今回の試算を見ますと、需給見通しの内容は最大のポイントが米であります。肉類や油脂の伸びとの競合で今後も消費は減ると予測しておられます。六十五年の一人当たりの年間消費は六十ないし六十五キロ、昭和五十三年が八十一・六キロでございますから、かなり落ち込むことになっております。したがって、九百三十万から一千万トン、こういうふうになっております。
 せんだっての予算委員会でも、武藤農林水産大臣は、私見だがと前置きして、六十五年度には少なくとも一人年間六十五キロ程度で歯どめをかけたい、これで約一千万トンになる、こういうように答弁をされておられます。農協の八〇年代ビジョンでは、六十年度に六十五ないし六十九キロと見て九百六十四万から一千十二万トン、約一千万トン、おおむね同じような見方であります。六十五年度の時期において若干、五年間ぐらいのずれがあるのも考えられますけれども、ほぼ同じと見ております。これに対し、十アール当たり収量は約五百十キロと予測されておりまして、水田の本地を二百七十万ヘクタールと見て約千三百八十万トンの潜在生産力。したがって、需要量を九百七十一万トンと見ておりますから、その差額が四百十万トン、すなわち八十万ヘクタール。一説には七十九万という説もあれば八十一万という説もありますが、おおむね八十万ヘクタール程度は減反が必要になる、かように見ておられるようであります。まさに日本の本地水田の三分の一に近い生産調整ということになる。大変な問題であります。農協もおおむねこのような見方をしておられますが、一方転作では、いまも大臣から答弁がありましたが、麦、大豆、飼料作物を挙げ、現状よりほぼ倍近く伸ばす。畜産、野菜、果実の自給率は現状水準。結局、現状の農業の厳しさを反映した六十五年見通しになっております。
 私はこれを見ましたときに、この所信表明で新しい時代の幕あけ、明るい農業の展望を開くとずいぶんおっしゃっておられますけれども、まさに六十五年の見通しも、農林水産業冬景色で、なかなか春が来ない、春どころか春がすみも来ないというような感じでありまして、まことに寒い、さびしい限りであります。
 こういった意味で、私は、農政審議会にも十分反映してもらいたいし、農政審議会も十分検討してもらうと同時に、転作作物、また特定作物等に十分なる対策、価格対策等力を入れていかなければならぬ、かように思うのですけれども、その点あわせて、六十五年見通しに関連してさらにお伺いをしておきます。
#106
○武藤国務大臣 先生の御指摘は、現在の農業経営者のあり方については現実の時点でとらえておられると思うのでございますけれども、いまの私の所信表明の中にもございますように、いわゆる中核農家と申しますか、農業生産の再編成をやっていただく中で、相当農業中心としてやっていこうというお気持ちの方を中核としてやっていこう、そういう農家の方にはひとつ希望の持てる農業をつくっていきたいという考え方が、私ども、もう一つあるわけでございます。
    〔片岡委員長代理退席、委員長着席〕
そういう点からいけば、私は決して悲観すべきものではない。これはわかりませんけれども、私どもはぜひひとつ明るいものをつくりたいと思っていま努力をいたしておるわけでございます。
 価格政策につきましても、お米と全く同じような形での価格政策はなかなかとり得ないわけでございますけれども、そういう私が申し上げますような、一つの経営規模の拡大に伴いまして中核農家を中心として農業をやっていく場合には、コストも相当下がってくるのではないかと私は考えておるわけでございます。その下がってきたコストについては、生産者もいまよりもより多くの手取りになり、そしてまた、一部はまた消費者にも還元をするという形でいくならば、結果的に価格政策においても消費者にもよりよいものになり、生産者の手取りにおいてもより多くの手取りが入ってくる、こういうことになると私は思っておるわけでございまして、そういう政策もぜひ進めていくならば、私は、価格政策においていまいろいろ問題になっておるようなことはだんだんなくなってくるのではないか、こういう期待を持っておるわけでございます。
#107
○瀬野委員 さらにこの機会に申し上げておきますけれども、農林水産大臣は所信表明の中で、「申すまでもなく、農林水産業は、国民生活の安全保障にとって最も基礎的な食糧の安定供給という重要な使命を担うとともに」云々と、こういうように述べられております。例年こういったことはよく述べられる決まり文句みたいなものでございますけれども、私は、こういった食糧需給ということから六十五年見通し等をずっと見てまいりまして、先ほども指摘をしましたように、数年にしてこれが全部狂ってしまって、目標を達成せぬうちにもう二、三年でこういう需給の見通しというものが次々と立てられる。もちろん時代も変わるからやむを得ぬこともわかりますけれども、十年間立てられるというのであれば、少しは長もちするような計画でなければならぬ、かように思います。
 そこで、いまも大臣の所信表明の文言を申し上げましたが、国民が今後肉や油脂関係を食べていきたいというのならば自給率が下がるのもやむを得ないという考えが農林省部内に仮にみじんでもあるとしたならば、これはまさに問題であると私は思うわけですね。食糧自給の重要性を訴えていかねばならぬ農林官僚の気魄というものがもっと満ち満ちていなければならぬ、私はかように思えてしょうがないわけです。国民の食生活というものが変わっていくのだからというようなことで気魄がないとなれば、これは日本農業にとって大変さみしいことである、また大変なことであると私は思うのですが、その点は十分農林水産大臣は指導し、指揮をとってもらいたいと思うが、その点はどうですか。
#108
○武藤国務大臣 先生の御指摘は畜産関係のことではなかろうかと思います。
 畜産関係について、問題は飼料穀物でございまして、飼料穀物が特に養鶏、養豚においてはそのほとんどを外国に依存をいたしておるわけでございます。外国に依存しておるのはなぜかと言えば、日本においてはそれに匹敵するだけのコストでは生産がいまのところ全く不可能でございます。
 たとえばトウモロコシを一つの例に取り上げますれば、アメリカのトウモロコシの生産規模は一農家当たりの面積で大体四百五十ヘクタールぐらいになっておるわけでございます。小麦の方はたしか百五、六十ヘクタールだったと思うのでございますが、トウモロコシの産地などの経営規模というのは大体四百五十ヘクタールぐらいになっておるわけでございまして、日本では今後幾ら努力をしてみても、そのような耕地を確保することは全く不可能だろうと思うのでございます。
 そういう意味において、たとえば将来、いまいろいろ御議論されておる飼料稲と申しますか、飼料米と申しますか、いわゆるお米の変形、そういうものができ上がってきて、いまのトウモロコシと同じぐらいの価格になっていくことにすれば、これは私は決して悲観したものではないと思うのでございますが、そういう点で、日本の畜産の現状において、どうしても飼料穀物、濃厚飼料に依存せざるを得ないという現状を肯定をするならば、日本国内だけではなかなかそれは賄い切れないぞということがたまたまそういうような表現になったのかと思いますけれども、決してあきらめておるわけではございませんし、飼料稲についても研究は進めておるわけでございますし、また、外国から飼料穀物を買うにしても、畜産の振興という点については私どもは今後とも力を入れていくつもりでございますので、決して何か悲観したようなことを言っておるというつもりは私どもはございません。
#109
○瀬野委員 農林水産省は昨年十二月十四日に五十三年度の食糧需給表を発表しております。すなわち、農産物の自給率は水田転作から小麦、豆類の自給率はわずかに高まったが、米の需給均衡を前提とした総合自給率は前年並みの七三%、穀物の自給率は三四%と前年より一%ダウンした。米を除く穀物自給率は三・一%でしかない。この穀物自給率の減少は飼料穀物の輸入がふえ続けているためで、農産物全体の輸入数量指数は前年比五・六%増となった。自給率向上の厳しさを浮き彫りにする結果でもある、こういうふうになっております。すなわち、輸入依存の加工畜産といわれる日本の体質、先ほども申し上げたこの体質が浮き彫りにされておるわけでございます。
 ちなみに主要農産物の自給率の推移をずっと見ましても、五十三年度の主要農産物の自給率と六十五年の今回の皆さん方のいわゆる見通しの試算の関係を見ましても、米は五十三年の一一一に対して六十五年は一〇〇%、特に小麦は五十三年概算が六%に対して六十五年試算が一九%、大豆を見ますと、五十三年概算が五%で六十五年の見通しが八%、こういうふうになっております。言うまでもなく特定作物でもありますし、自給率を上げるとなれば、御存じのように、小麦、大豆、飼料作物、またその中のえさ米、こういったものしか私はないと思うのです。これに限られておるわけです。どの表を見ても同じです。
 そこで、米の一人当たり消費量が昭和五十三年は八十一・六キロに落ち込み、昭和六十五年見通しでは六十ないし六十五キロに落ちるとされております。食生活の洋風化が続き、肉、油脂類が大幅に伸びることが予測されます。言うまでもなく、米の消費拡大に努力することは当然でございますが、今後主要農産物の自給率を上げるとすると、先ほど申しましたように、小麦、大豆、飼料作物になると考えるわけです。その点の認識は、大臣どうでございますか。
#110
○武藤国務大臣 私どもは、水田利用再編対策というものにおいて、これは単なる米の供給過剰と申しますか、過剰米がいま出ておりますのでお米の減産をしていただきたいということだけでは決してないわけでございまして、いま御指摘のような小麦だとか、あるいは大豆だとか、飼料作物だとか、そういうものにぜひ転作をしていただきたい、そして、その転作をぜひ定着をしていただきたい、こういうことをお願いいたしておるわけでございます。これから申しましても、私どもはそういうものについての自給率は極力高めていくように生産力を高めていきたい、こういうふうに考えておるわけでございますから、御理解をいただきたいと思います。
#111
○瀬野委員 極力高めていくとおっしゃるけれども、あと十年後のこの見通しを見ても、その息吹が全然感じられないわけですね。八月ごろこの結果が出ても私はそう期待できないものだと思うがゆえに、いまのうちならもっと変えられると思って申し上げるわけです。
 先ほど申しますように、自給率を上げるならば、小麦、大豆、飼料作物、これしかない。やるものは私はこの三つしかないと思う。あと特定作物、ソバへの転作とか言われますけれども、当面こういったものじゃないかと思う。特に大豆なんかは北海道から沖繩まで全国でとれるわけです。転作の幅は狭くなっていると私は思うわけです。そういった面から、私はぜひ自給率を上げるためにもっと真剣に取り組んでもらいたいと思う。大豆にしても小麦にしても飼料作物でも、何が問題で自給率を思い切って上げられぬのか、何がネックになっておるのか、改めてもう一回お答えをいただきたい。
#112
○武藤国務大臣 やはり過去においては農政がどうしても米中心で参りましたし、技術も、結果的には米の技術は非常によくなってきたわけでございますが、その他のものについては必ずしもまだ十分でなかったということもあるのではなかろうかと私は思います。しかし、先ほどのお話にもございますように、国の安全保障という観点から言っても、国民の食糧の供給確保ということは大変大切な問題であると私ども受けとめておるわけでございまして、過去は過去として、今後は麦の生産技術の開発につきましても極力努力をしてまいりたいと思っておりますし、従来の例にとらわれず、これから一生懸命やっていきたい。水田利用再編対策に対しても、特に特定作物として思い切った奨励金を出しておるというのもその辺にあるわけでございますので、その辺は十分御理解をいただきたいと思うわけでございます。
#113
○瀬野委員 私が数年前から申し上げております一例としては畦畔大豆転作、別名額縁転作とも申しておりますが、ああいう大豆を農家につくらせる。米の生産調整その他に必要な経費等を大豆の確保の方に回す工面をして、北海道から沖繩に至るまで大豆をつくらせる。そのための技術指導、条件整備をしてあげる。現に数県では大豆の刈り取り機械なども開発してやっております。また、品種改良にももっと力を入れてあげる、そして大豆の病気等の対策も十分心配ないようにしてあげる、農協共販体制も確立してあげる、何かこういう思い切ったことを考えていかなければ、行き当たりばったりみたいな農政では今後の農政はどうにもならぬ、こう思うのです。私も何回も提案しておりますので詳しく申しません。また、飼料米にしても、これはここで言うのはどうかと思いますけれども、数年前から私のブレーンでずいぶん研究しまして、ようやくことし約一升ばかり――昔の度量衡で申しわけないですけれども、約一升、一粒八百円に当たるぐらいの価格になりますけれども、普通の水稲よりも背が半分ぐらい高くなります、稲わらが高くなります。そして、実のつき方も多い。粒は倍ぐらい大きい。だから、一般の米とは判別がつきます。食管にもそう問題はないと思う。農林省もプロジェクトチームをつくって幾らかは研究をやっておられると思いますけれども、こういったものにもつと力を入れて研究開発して、飼料作物を推進し、山地酪農から平たん部酪農にどんどん切りかえるようなことも考えてあげる。そして、自給率を徐々に高めながら、一挙に上げますとアメリカあたりから相当圧力がかかってまいりますから、そうしながら国内の自給率を上げていく。畜産に必要な穀類は、どうしても完全自給ということはできません。いつかも言いましたように、めん類向け小麦とか大豆ならば何とか自給はできる、私はこう見通しを立てております。そういった意味で、飼料作物、飼料水稲、こういったものに対して本当に本気で取り組んでいかなければ、六十五年見通しで約八十万ヘクタールに及ぶ休耕田ができてくるわけです。そういったことに対して、もっと意欲的に、六十五年見通しというものを深く検討して、それの裏打ちになるような財政対策ということを、農林省の頭のいい連中がいっぱいおるのだから、農林官僚がもっと元気を出して、気魄に満ちた計画ができていくような農政を立てて、一九八〇年代はこれでいくのだと見直しをし、そして財政が厳しいときであるけれども、大蔵省にもばんとぶつかっていく。幾ら時代が変わっても油やらお金のコインを食べるわけにいきません。農業というのは、やはり国民の生存のための基盤産業でなくてはいけません。そういった意味で、そういった自給率を上げるために私は真剣に考えてもらいたい。いわゆる小麦、それから大豆の問題、それから飼料作物、わけても飼料水稲、稲作、こういったものに対して相当力を入れてもらいたいと思う。どんなふうな研究をしておられるか、簡潔にお答えをいただきたいと思う。
 私は私なりに研究しまして、ことしはあちこち篤農家にこの種を少し分けてあげてつくらせて、そしてやはり二、三年しないと種がどうしても確保できませんので、できた上で発表しようと思ったけれども、手ぬるい皆さん方の何か計画に憤りを感ずるからあえて申し上げましたけれども、私たちも民間のいわゆる研究機関でそういったものをいまつくって皆さん方に見てもらおうと思って、いま一生懸命研究開発しつつあります。ここで中間報告を申し上げると同時に、農林省の一大奮起を求めたい。大臣、見解を述べてください。
#114
○武藤国務大臣 私どもも、飼料稲、飼料米と申しますか、これの開発についてはできるならばぜひやりたいということでやっておるわけでございまして、確かに予算的には十分でないかもしれませんけれども、現実においても農事試験場においても、また北陸及び九州の農業試験場におきましてもいま鋭意いろいろの実験をやっておるわけでございます。また、たしか十一県の農業試験場でもやっていただいていると思っておりますけれども、取り組んでおるわけでございますし、せっかくのいまのお話でございますから、先生の方でいいものがあれば、ぜひまたそれもお教えをいただきたいと思うわけでございます。
 私どもはあきらめておるわけではなくて、何とかコスト的にもある程度は合うような形でのものができ得るならば、これは日本のいままでの水田そのまま利用もできるわけでございますから、あるいは稲作技術もある程度応用できるわけでございますから、これは大変結構なことだと思って一生懸命取り組んでおるわけでございますので、御激励をいただいたと私は受けとめておきます。
#115
○瀬野委員 せっかく農林水産大臣の答弁でございますので、それで食管的には問題ないと思う。それから稲わらも全然違うし、粒も大きさが違うし、区別が歴然とつく。ただ、私ちょっと個人的に心配しているのは、この米を飼料用としてつくって、もちろん一般の水稲との区別はつきますが、ただ収穫した後これを粉にして一般の米とまぜて、いわゆる米の粉で売るとなると、ちょっとまたこれは問題かなと思って、その辺の心配があることは事実であります。しかし、そんなことを一々考えていたのでは、これはどうしようもない。それで、味はもちろん大味で違いますので、その辺はひとつまた今後研究課題とするにしても、こういったことを何かやっていかなければ、まさに農林水産業冬景色とか酷寒景色で、かすみも来なければ、日差しの一片すら来ないというかっこう。もっと明るい六十五年見通しにしていただきたい、かように重ねて申し上げます。
 あと、林業、漁業の問題でも質問しなければなりません。あと問題いろいろあるのですけれども、とても時間が短いものですから十分できませんが、もう一点この機会に確認をしておきたいと思うのですが、六十五年見通しは以上で一応終わるとしまして、通告しておりました農業基本法の抜本改正の問題です。
 これは、私も当委員会に十一年近く籍を置きまして、数回申し上げてまいりました。歴代閣僚からもたびたびいろいろと答弁がございまして、数年前は、瀬野委員の質問に答えて研究をする、また、改正に向かって努力をするということの答弁もいただいて、会議録に残してあります。
 そこで、私の方で農業基本法の抜本改正にはぜひひとつ次のようなことを織り込んで進めてもらいたいと思っております。一つには、経済合理主義一辺倒の現行農業基本法に、新農村主義という新しい農政理念を盛り込んでもらいたい。二つには、農業基本法に欠落しておる食糧政策的視点を盛り込んでもらいたい。三つには、経営育成の論理や自然の循環、生態系を重視した視点から再検討してもらいたい。四つには、農村整備は産業経済的側面のみでなく、社会文化的側面をも含めた総合的社会政策という視点から具体的規定を盛り込んでもらいたい。五つには、農業、農村の特殊性を考慮し、農業者の経営と生活を守るための施策を強化すると同時に、同法の規定には消費者対策的視点がきわめて不十分であることから、消費者の立場をも考慮した内容に改めていただきたい。最後に、六つ目に、国が農業再建と食糧自給率向上へ向けて国民的合意の形成に努むべきことを義務づけた規定を盛り込んでもらいたい。
 長くなったけれども、要点をはしょって申し上げましたが、こういった六つの柱をわれわれは考えて政府にお願いして従来からきたわけですが、いずれにしても農業基本法の改正についてはもう時がいよいよ来た、こう思う。数年前から検討しておると言うのですが、現状はどういうところまできておるか、お答えをいただきたい。
#116
○武藤国務大臣 前から非常に御熱心に農業基本法の見直しについて御意見を承っていることは、承知をいたしております。この農業基本法の読み方でございますけれども、いまおっしゃいましたようなことについて、いまの法律が全く違っておる、乖離しておるんだというふうにも実は私ども受けとめていないわけでございますけれども、せっかくの御熱心ないままでの御意見でございますので、いまちょうど農政審議会で長期的な見直しの中で、いろいろ今後の農業のあり方、またそれに対する農政のあり方というものを議論をいたしておるわけでございますので、いまここで農業基本法の改正をするということはお答えができませんけれども、私どもは農業全般についていま見直しをやっておるわけでございますので、十分先生の御意見も念頭に入れながら、これからの審議に当たっていきたいと思っております。
#117
○瀬野委員 次に、林業関係の問題に移ります。
 農林水産大臣は所信表明の中で、「林業につきましては、外材輸入の増大や木材需要の伸び悩み、林業生産活動の停滞など厳しい情勢にあります。」と述べておられますが、まさしく国内林業をめぐる情勢は木材需要の伸び悩み、外材の進出、林業経営諸経費の増大等から、林業者の経営意欲が阻害され、伐採、造林等の林業生産活動が停滞している等きわめて厳しいものがあります。わが国林業振興施策の基本的な方針はどう考えておられるか、所信表明を述べられた農林水産大臣から明らかにしていただきたいと思います。
#118
○武藤国務大臣 私は、けさほど柴田先生の御質問にもお答えをいたしましたけれども、現下の情勢は大変厳しいものがございまして、それこそ外材が七割近くも占めるというような状況でございます。これは私は決して好ましいことではないと思っております。やはりこれからは将来の日本のわれわれの子孫のことを考えましても、山というものをりっぱに育てていかなければいけないんではなかろうか。だから、せいぜいりっぱな山にしていくということにおいては、しかし結果的には間伐もやらなければいけない、下刈りもやらなければいけない、あるいはそれを搬出する林道も整備をしなければいけない。また、山を守るためにおいては砂防工事も必要でありましょう。いろいろのことを総合的に勘案をしながら、将来はやはり相当量国産材によって木材の需要が賄われるようにしていかなければならないと思っております。そのために今度新しく十カ年の林業構造改善事業を計画をいたしまして、その中で、国産材の生産から流通、加工までの一貫した中で新しく構造改善を進めていきたいと思っておりますし、また、林業の後継者づくりということにおいても十分力を入れていかなければならないわけでございまして、その意味においては、山村に定住をしていただけるような生活環境整備などについても強力にこれから進めていかなければならない、こう考えて、そういう方向で努力をしてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
#119
○瀬野委員 時間の関係でもうはしょった質問になりますけれども、農林水産大臣はただいま外材は七割を占めておるとおっしゃいました。日本の木材の中で約三分の二が外材であることはもう国民がよく承知をしているところであります。
 その外材ですけれども、外材輸入対策のために、昭和五十三年十月に発足いたしました木材需給対策中央協議会というのができました。これは四半期ごとに六カ月の見通しを立てて木材の輸入量を公表しておりますが、一昨年、昭和五十三年末は外材の在庫が二・一カ月分であったのが、昨年すなわち昭和五十四年末は、一年経過して外材在庫が二・七カ月にふくらんでおります。すなわち外材の輸入量がふえて、需要の見通しが狂ったと言えます。結果がうまくいかなかったわけです。これは外材輸入対策のためにつくった協議会でありますけれども、午前中林野庁長官はこれに対して、委員の質問に対し、比較的機能している、また順調にこれが見通しを立てているというような意味の答弁がございましたけれども、全く逆であります。すなわち林野庁は指導監視を強める必要があると私は思うのです。このようにせっかく協議会をつくったけれども、在庫量が一年たって二・一カ月分が二・七カ月にふえたんです。減れば私もこれは一応納得できますけれども、それがまだことしもだんだんふえる傾向にあるのです、現在。現在データは出ておりませんが。そういったことを見ましたときに、これは何のためのいわば中央協議会かと思う。これは財界のお歴々、そうそうたる人たちがメンバーになっておりますけれども、私は残念でなりません。また、こういった結果に対して、林野庁は業界の指導をしていないんじゃないか。委員に聞いても、余り指導がないというのです。これでは私はまさに国民に対して気休めじゃないかと思う。結局、外材輸入対策のため木材需給対策中央協議会をつくったけれども、世論の批判をかわすためにつくったということであって、何らこれが結果的に機能していない。これは十分反省して、これに対する、これがもっと外材対策のために機能するようにしなければ私は意味がないと思う。
 こういった意味で、まだ一年ちょっとしかたっていないからといえばそれまでかもしれませんけれども、私は、今後見ていても、どうもこれが本当の外材対策になるような動きをしないというふうに見ております。そうでなかったならば結構だけれども、ひとつ反論があれば、大いにこれが機能するように努力してもらいたいと思うが、その点について農林水産大臣から答弁を求めます。
#120
○須藤政府委員 お答えいたします。
 ただいま先生御指摘ございましたように、五十三年の十月から木材供給の目安とするために、学識経験者、木材業界代表者、関係行政機関の職員をもちまして、木材需給対策中央協議会が結成されました。四半期ごとに主要木材の短期需給見通しの策定、公表を行っておりまして、これをもとに木材の需給安定のための関係業界に対する指導の強化を図っておるのでございますが、ただいま御指摘ございましたように、昨年でございますか、在庫量が非常にふえたわけでございます。これは木材の輸入につきましては、輸入の手続のずれとかあるいは天候不順等の産地国側の輸出事情の影響などもございまして、必ずしも短期需給見通しと在庫量につきましては合致しない場合もあるわけでございますが、傾向といたしましては特に過剰在庫あるいは物不足の状況は回避されておりまして、短期見通し及びこれに基づく指導は、木材需給の安定上それなりの効果を上げているというように考えておりますが、何分にも一年余りの実績でございますから、今後とも機能するように十分に指導してまいりたい。また、いま御指摘ございました業界に対する指導が不十分じゃないかというお話がございましたが、過剰在庫の際には輸入を抑えるようにいわゆるその業界の団体を呼びまして指導いたしておりますし、今後とも十分にこの成果が上がるようにやってまいりたい、かように考えております。
#121
○瀬野委員 いま林野庁長官から答弁がありましたように、大臣もよくお聞きいただきたいと思うが、ひとつこれは十分機能するように、またすぐ結果が出るわけですから、次々機会があるごとに私はずっとまたこれは見解をただしてまいります。先ほど言ったような経過でございまして、在庫はふえていくというようなかっこうで、結局何のための協議会かというような感じがしてなりません。十分機能するかどうか、いま長官の決意もありましたから、これはまたすぐ結果が次々わかってくるわけですから、ずっと見ながら、ひとつ会議録をもとに今後ともまた質問を留保し、政府の見解をただしてまいります。
 次に、昭和五十三年四月、森林組合制度の単独立法化に当たりまして、信用事業を一日も早く行い得るような森林組合の体制の整備を図るとともに、早急調査検討を進めることを強く私は主張してまいったところでありますが、まず第一点として、信用事業についてはどう調査検討しておるか。第二点として、この信用事業が確立する当分の問は、各県森林組合連合会は少なくとも農林漁業金融公庫の公庫資金の受託金融機関としての業務はすぐにでもできるのではないかと思う。これをすぐさすべきだと思う。林野庁はこの点、真剣に法律的に検討しておられるかを伺いたい。
#122
○須藤政府委員 お答えいたします。
 信用事業問題の検討でございますが、昭和五十三年十二月から検討を開始いたしておりまして、一点は、森林組合系統組織が信用事業を行うに必要な内部的諸条件の整備について、もう一点は、森林組合系統組織が信用事業を行う場合の外部的問題について、それから信用事業問題解決のための関連周辺施策について、この三点にしぼりまして、五十三年十二月から三回にわたりまして検討をやっておるわけでございますが、現在は専門家に依頼いたしまして、林業資金等に関します実態調査を行いまして、目下取りまとめ中でございます。
 それから、第二点目の県森連に農林公庫の受託業務を行わせたらどうかという御提案でございますが、現在、御承知のとおり、県森連は農林公庫から業務を受託しております農林中金からの事務委任を受けておりまして、申込書類のチェックでありますとか現地調査等を行っておりまして、これらを通じて農林公庫の林業関係資金の貸付業務については関与しておるわけでございますが、しかしながら、県森連が直接農林公庫から業務受託を受けることにつきましては、農林漁業金融公庫法第十九条に規定しておりますその他の金融機関に県森連は含まれないと解されておりますので、できないことになっておるわけでございます。いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたとおり、信用事業問題につきましては、現在信用事業問題検討会においていろいろな角度から慎重に検討しておるところでございます。
#123
○瀬野委員 ぜひこれは早急に検討して受託金融機関としての受託が認知できるように努力してもらいたいと思います。農林水産大臣に特にお願いしておきます。
 次に、新林業構造改善事業について若干お尋ねしますけれども、新林業構造改善事業は、林業従事者及び後継者に生きがいを与え、働きがいのある、定住し得るような地域会社の実現を企画するとともに、地域の多様性を前提に地域住民の自主的意思を尊重した林業の総合施策として推進されることが肝要であると思います。ややもすると、地方等の選挙対策として町の中心部にテニスコートなどの施設がつくられるような懸念もあるわけでございますので、このようなことがないように指導していただきたいと思う。言うまでもなく、新林構においては施設をつくることは当然あるわけでございますが、この場合は林業従事者が主として利用できるための林地に近いところにつくるというようなことを私は言っておるわけでございます。せっかくつくったけれども、町のいわゆる林業に関係ない人が利用するような施設であってはならない。よくこれが市町村長の選挙対策になっていくような傾向が過去にいろんな形でありましたので、特に新林構の出発に当たって私は警告を発しておく意味で申し上げるわけです。要するに、地域の林業振興のために使うことが当然で、地域の自主性に任せ弾力的に事業を推進し、さりとてルーズにならぬように、今後十カ年間の重要な事業でありますから、慎重に進めていただきたいと考えるが、農林水産大臣でもまた林野庁長官からでも、その見解と決意をひとつ述べていただきたい。
#124
○須藤政府委員 ただいま御指摘ありましたバレーコート、テニスコート等の類につきましては、第二次林業構造改善事業では認めておらないわけでございますが、新林業構造改善促進対策実験事業では、森林総合利用促進事業の一環といたしまして、森林公園の中の林間広場、あるいは林業環境整備事業の一環といたしましての、林業従事者のトレーニング施設の中でのスポーツ施設は認めておるわけでございます。いま御指摘ございましたように、こういうことが新林業構造改善事業でも補助対象のメニューとはいたしておりますけれども、この林業構造改善事業の趣旨にのっとりまして、安易に流れないように何らかの制約は設けてまいりたいというように考えております。
#125
○瀬野委員 新林構の中の間伐対策でありますけれども、林野庁は間伐指定地域として、第二次林構の最終年でありました昭和五十四年は、計画策定が百三十地域指定のうち実験事業はわずか十八地域でありました。昭和五十五年から行う新林構においては十カ年間で、林野庁はおおむね八カ年を目途としておるようですが、要するに、十カ年間で千八百地域を実施することとしておりますが、昭和五十五年度は当初林野庁は三百カ所要求したにもかかわらず、結局大蔵省との折衝の段階において、予算の関係等もこれあり二百二十地域となりまして、そのうち即着が百三十三地域で、残り八十七地域は昭和五十六年に事業実施となったわけであります。もちろん、最初は事業を策定して計画を立てて翌年度から行うということで一年ずれるというようなこともよく承知しておりますけれども、このようなペースでは間伐対策のテンポがまことに遅いばかりか、千八百地域が仮に全部実施できても、それは日本のいわゆる間伐対象地の一部でございまして、まさに私はさびしい限りであります。これすらも確固たる見通しがあるかどうか。また、地域指定の遅いところについては、いわゆる最初と最後では八年ないし十年違うわけですから、補完的に対策を講ずる必要があると思うが、何らかの補完的な対策を考えておられるのか。そうしないと、刻々と成長してまいります、最初と最後では十年違うわけですから、そういった点についてはどう手当てしておられるか、明確にお答えをいただきたい。
#126
○須藤政府委員 お答えいたします。
 新林業構造改善事業につきましては、事業の仕組みを多様化いたしまして、おおむね十カ年間に山村林構九百地区、地区林構三百三十地区、広域林構八十地区、特別対策五百地区、計千八百十地区というものを対象に実施することにいたしております。なお、これらの事業は八カ年にほぼ均等に地域指定を行うということから、五十五年におきましては総地域数の八分の一に当たります二百二十地域を対象として事業を実行しようとしておるわけございます。
 いま御指摘のございました間伐の推進でございますが、もちろん、この特別対策として実施いたします五百地域のうち、二百地域に限りまして当面三カ年間に実施をするということにいたしておるわけでございまして、その、ずれをどうするのかというお話でございますが、実は間伐対策につきましてはほかの施策もあるわけでございまして、たとえば森林総合整備事業等もこの間伐を対象にいたしておりますので、できるだけこれがダブらないようにうまく配置をしていきたいというふうに考えております。
#127
○瀬野委員 さらに、間伐は価格と需要が問題でございますが、パルプ材が最近価格が少し上がりぎみで、需要に応ずる供給も上向きになっておることは御案内のとおりです。いつまで各製紙会社が買い付けるかわからないというのがいわゆる林業者の不安要素でございます。すなわち、国外のパルプ価格が緩むとそちらに走る心配がございます。よって、受け取りやすい、出しやすいという間伐材の大量消費のため、相互間のルールを守るよう、話し合いの場をつくるなど指導の強化を図るべきであると考えるが、時間もございませんので、要点を簡潔で結構ですから見解を承りたい。
#128
○須藤政府委員 御指摘ございましたように、最近、外材のチップ価格の上昇によりまして、パルプ会社が国内資源の見直しということを盛んに言っておるわけでございまして、私どもとしましては、大変結構なことでございますから、これは一時的な現象にならないように、ひとつ今後永続的に国内資源の活用という意味で、ぜひとも活用してもらいたいということで、パルプ会社あるいはチップ工場あるいは行政と三者で懇談会を持ちまして、今後実質的にどう進めていくかということを早速始めておる段階でございます。
#129
○瀬野委員 いま聞いているのは、農林水産大臣の所信表明に対する質問でございますので、林野庁長官に答えてもらっておりますが、時間がせっぱ詰まっておるものですから、はしょってやっておるわけで、大臣も十分、重要な問題をやっておるわけですから、認識を新たにして対処していただくように、途中でございますけれども申し上げておきます。
 さらに、昭和五十三年から発足を見ましたところの林業労働者の退職金制度でありますけれども、すなわち、中小企業退職金共済制度は、社会保障の充実という点からも、林業労働者の人材確保の上からも、その確立が待たれるのであります。われわれも数年前から、これは多年の念願でございましたし、当委員会でもずいぶん論議をしまして、ようやくこれが発足を見たということで、待望久しかった制度であります。
 さて、顧みますと、昭和五十三年に、聞くところによると千三百事業体で二万人の加入者の実績があったやに承知しておりますが、林業だけの特定業種を設けて、昭和五十六年には特殊法人に移行することになるわけでありますけれども、その見通しはどうなっているか。その点ひとつ簡潔にお答えください。
#130
○須藤政府委員 いま御指摘ございましたように、五十三年度末約二万名でございまして、五十四年度末約三万二千名を見込んでおります。なお今後とも林業従事者の加入を積極的に促進いたしまして、五十五年度末目標四万五千名と置いておるわけでございまして、五十六年度には、いまお話がございましたように、特定業種退職金共済制度の適用を受けるように運んでまいりたいというふうに考えております。
#131
○瀬野委員 農林大臣、いまの件についてお答えをいただきますが、農林水産大臣は、いまお話をお聞きになったと思うけれども、いまの件は労働省との関係もあり、大変いろいろ今後の努力が要ると私は十分わかっています。大臣は、農業は人づくり、林業は国土づくり、こういうふうに言われておりますけれども、言うまでもなく、まさしく林業は確かに国土づくりであります。だが、その裏にはやはり農業と同じく、また私に言わせれば農業以上に、林業は特殊技術でもありますので、人づくりということが大事であるということを、十分大臣は認識してもらいたいと思う。どこかの講演で、農業は人づくり、林業は国土づくりというようなことで、後がなかったのですね。少しさびしい思いをしましたけれども、その点は今後十分心得て発言をしてもらいたい。
 そこで、ただいま私が質問しました問題ですが、昭和五十六年に移行すると言っております中小企業退職金共済制度について、恵まれない林業労働者に対し、国も金を応分出して、本格的に取り組むと同時に、来年度これは移行せねばなりませんから、そのときにいろいろなトラブルが起きないように、十分いまから対処していただくと同時に、また、どういう結果になろうと、後始末、そしてめんどうを見てもらうように、いまから決意を述べて、十分対処してもらいたいと思う。見解を承っておきます。
#132
○武藤国務大臣 どこで私そういうことを申し上げたかあれですが、まさか林業は人は関係ないとは思っておりませんので、林業についても、国土保全という面においては大変大切であるし、人づくりという面においても、当然林業をやっていただける方々、大変な御苦労なお仕事でございますから、十分その辺は理解をしておるつもりでございます。
 でございますから、いまの中小企業退職金制度の中へ来年度仕組まれるということについては、いま長官の答弁いたしましたとおりで、私といたしましてもできる限りそういう方向になるように、積極的に努力をしてまいりたい、こう考えております。
#133
○瀬野委員 時間があと三分余りになりましたので、漁業の問題については、十分時間がとれませんので次回に譲ることとして、せっかく通告しておりましたけれども、質問を留保さしていただきます。
 林業問題であと二点ばかりお伺いして質問を終わりますので、まとめてひとつ簡潔にお答えをいただきたいと思います。
 次に尋ねたいのは、松くい虫による松枯れ被害は、松くい虫防除特別措置法が制定されてすでに三カ年を経過しようとしておるにもかかわらず、被害材積というものは激増しております。二百万立方メートルを超えておるのは御承知のとおりです。また、被害地方も東北地方にまで及ぶようになっておりますが、この原因と対策についてはどう検討しているか、この点を簡潔に承りたいのです。ずいぶん最近激増しておりますから。
 それと、特別防除については、昭和五十二年から、国民並びに民間の各種自然保護団体等の厳しい批判の中で五カ年計画をもって事業を推進してきておりますけれども、このような状況下で昭和五十六年、来年度までに松くい虫の被害を終息させられるかどうか、その見通しもあわせて伺いたい。
 さらに、最近一部の学者から、松枯れは黒変菌という菌が主原因であるかのように言われまして、根腐れにより、夏の乾燥時に枯死するという説がありますが、これについては十分筑波学園等で検討し、対策をしておられるか、どういうふうな見解を持っておられるか、これもあわせて簡潔にお答えいただきたい。
 さらに、昭和五十三年七月に公布、施行された国有林野事業改善特別措置法に基づき、同年九月に農林水産大臣が国有林野事業の改善に関する計画を策定し、目下この計画に沿って経営の改善合理化に取り組んでいるところでありますが、この国有林野事業の経営改善計画の推進状況はどういうふうになっているか。簡潔で結構です。
 さらに、五十五年度においても千三百四十億円、前年対比一一三・六%の財投資金の借り入れを計画しておりますが、このような状況で、利子負担等から見て、昭和七十二年度までに収支の均衡を回復できる自信があるかどうか。
 以上の点について、かいつまんでお答えをいただいて、質問を終わりたいと思います。
#134
○須藤政府委員 お答えいたします。
 まず、松くい虫問題でございますが、五十三年度は、夏季におきます異常高温、異常乾燥等の影響もありまして、民有林、国有林あわせて前年度に比べまして約二倍半、二百七万立方の被害が発生しておるのでございます。
 また、五十四年度の被害量とその原因でございますが、五十四年度におきましては、九月末現在で中間的に取りまとめたところによりますと、五十三年度同期に対しましておおよそ一割増の百四十九万立方ということになっておるわけでございます。
 五十四年度にも引き続き大量の被害が発生した原因につきましては、一般的には五十三年度に異常な気象条件のもとでマツノマダラカミキリの成虫が広範囲にわたって活発に活動いたしまして、その結果、五十四年のマツノマダラカミキリの生息密度が非常に高まったということがございますし、五十四年の夏季におきましても、五十三年ほどではございませんけれども、一部の地域で気象条件が加害害虫の活動、繁殖に好適であったなどによるものではないかというふうに考えておるのでございます。
 次に、被害対策でございますが、松くい虫被害の防除につきましては、予防措置といたしまして、効果のすぐれております特別防除等を計画的に実施するとともに、周囲の生活環境等への配慮からこれらの予防措置が実施できない松林につきましては、被害木の伐倒駆除を重点的に実施いたしまして、また、被害の著しい個所につきましては、樹種転換、跡地の復旧を実施するなどの各種の措置を地域の実情に応じて総合的に講ずることによりまして、防除効果を高めていこうとしておるのでございます。
 なお、五十三年度の予期せざる異常気象によりまして未曾有の被害が発生いたしまして、五十四年度もその影響を受けて被害が増大していることから、五十六年度に被害を終息させるという当初目標を達成することは、気象等の自然条件いかんにもよるわけでございまして、必ずしも容易ではないと考えておるわけでございますけれども、総合的な防除対策を緊急に推進いたしまして、被害の減少を図り、できるだけ早い時期に終息させるように努力していきたいというふうに考えておるのでございます。
 それから次の、松くい虫のいわゆる菌による枯死という説があるがどうかというお話でございますが、実は松の根の退廃をもたらします各種の病原菌につきましては、過去の研究過程におきまして、接種実験が進められた結果、松の激害型の枯死に結びつくような強力な病原性を持つ菌はないという結論を得ておるのでございます。微害型につきましては、従来から発見されておりますが、現在のような激害型の枯死には結びついていないという結論を得ておるのでございます。したがいまして、激害型の松くい虫の被害は、従来から言われておりますマツノマダラカミキリによりますマツノザイセンチニウによる被害であるというふうに確定をいたしておるわけでございます。
 次に、国有林野事業経営計画の進捗状況並びに七十二年度までに収支均衡回復が果たして可能かという御質問でございますが、国有林野事業の改善につきましては、国有林野事業改善特別措置法に基づきまして、五十三年九月、国有林野事業の改善に関する計画を策定いたしたので、ございますが、同計画に沿いまして次のような改善を実施しておるのでございます。
 まず統廃合等によります組織の簡素化でございますが、一つは北海道五営林局の北海道営林局及び四営林支局への再編整備、これは五十四年の一月一日実施でございます。それから、北海道を除く地域におきます九営林署の統廃合、五十四年三月一日の実施でございます。それから事業所の統廃合、五十三年度は三十六事業所、五十四年度予定といたしましては六十事業所程度を予定しておるのでございます。それから五営林署の事業課の廃止、これは五十四年の十月一日に実施をいたしております。それから高齢者の退職促進等によります要員の縮減でございますが、五十三年度は、定員内千三百四十二人、定員外千五百九十六人、合計二千九百三十八人の縮減を達成いたしておるわけでございます。それから労働生産性の向上でございますが、直営生産につきましては、五十一年度を一〇〇といたします向上率は、五十二年度が一〇四%、五十三年度が一〇七%、五十四年度予定が一一三%ということに相なっておりまして、今後ともこの国有林野事業の改善に関する計画に沿いまして、造林、林道等の生産基盤の整備あるいは事業運営の効率化、経営管理の適正化、特に要員規模の適正化及び組織機構の簡素合理化ということを計画いたしておりますし、また収入の確保等の各般にわたりまして国有林野事業の経営改善を進めていくことにしておるのでございます。
 国有林野事業の収支の見通しにつきましては、収入の基礎となります伐採量が、資源的制約等から今後十年程度にわたりまして漸減いたしまして、現在よりも約一割程度減少するわけでございますが、その後六十年代後半になりますと、伐採量の増加が見込まれておるのでございます。また、事業実施面につきましては、国有林野事業の改善に関する計画に基づきまして、前述のような自主的改善努力を重ねておるところでございまして、経済情勢の推移にもよりますけれども、これらの自主的改善の一層の推進と造林、林道等の基幹的投資資金の一般会計からの繰り入れ等によりまして、現時点におきましては、昭和七十二年度以降において収支の均衡回復を図るということで経営の健全性を回復することは可能であるというふうに考えておるのでございます。
 以上でございます。
#135
○内海委員長 中林佳子君。
#136
○中林委員 本題に入ります前に、まず大臣の見解を伺っておきたいことと、それから委員長に要望したいことがあります。
 実は私、先週の連休明けの十二日に、質問準備に必要だからということを念を押した上で、政府委員室に八点の資料要求をしておきました。途中の経過は省略させていただきますけれども、何度も催促をしているにもかかわらず、資料が届けられたのが十六日、土曜日の午後六時ごろです。しかも、届けられた資料の中には、農水省の独断で一部分のみを抜粋したものなど、不十分なものもありました。その上、八点のうち二点は昨日十八日の午後五時前にやっと届いたというありさまなんです。
 大臣、私の要求した資料はマル秘のものは何一つ含まれておりません。きわめて基礎的なものばかりでありますし、しかも、このような中身のある論議をするためには、事前に勉強しておかなければならない資料ばかりなんです。ところが、このような始末が起こっております。大臣は、野党議員の資料要求について、今回のようにできるだけ遅く、できるだけ少なく出せというような指導をしておられるのかどうか。そして、今回のような措置についての御見解をお伺いしたいと思うのです。
 委員長には、今後ともこのようなことが農水省で行われるならば、委員会での論議ができませんので、改善を求めるよう理事会で御協議を願いたいと思います。
#137
○武藤国務大臣 実は私、承知をいたしておりませんので、どういうことであったのかは存じませんが、基本的な考え方としては、当然、委員会でいろいろと御審議を願う上において、私どもマル秘事項のものについてはこれは別でございますが、オープンにできるものについて極力委員の先生方に御協力を申し上げるのは当然の姿だと思っております。そういうことの起きないように、今後は私もよく注意をいたしたいと思います。(中林委員「委員長、理事会で」と呼ぶ)
#138
○内海委員長 よくわかりました。
#139
○中林委員 それでは、本題に移らしていただきます。
 八〇年代幕明けの国会に当たって、大臣に最近の農業情勢をどのようにお考えか、お伺いをしたいと思うわけです。
 七九年版の農林水産省統計から拾った数字なんですが、総農家数の推移を見ますと、一九六〇年六百五万七千戸、これが十年たった七〇年には五百四十万二千戸、この減少率が一〇・八%です。一番最近の統計は七八年、これが四百七十八万八千戸、このわずか八年間に一一・四%の減少というふうに、減少率はだんだん傾斜を深めているわけです。また農業就業人口も、一九六〇年には一千四百五十三万二千人、それから七〇年、十年たった後には一千三十五万二千人、七八年には七百五万六千人と、何とこの十八年の間に約半減、四八・六%減っております。耕地面積を調べてみますと、一九六〇年には六百七万一千ヘクタール、これが十年後の七〇年には五百七十九万六千ヘクタール、七八年には五百四十九万四千ヘクタールと、減少率を増しながら減っているのが実態です。こういう傾向とそれから輸入農産物の急増と相まって、穀物自給率は六〇年の八三%から、七二年には、これは概算ですが四〇%へ、それから濃厚飼料が六〇年の六七%から七二年の二六%に激減しているわけです。ここにわが国の農業の危機的状況の一端を私は感じているわけなんですが、このような現状を大臣はどのように認識をされているのか、御見解を聞かせてください。
#140
○武藤国務大臣 一つは、やはり日本の経済の流れが、昭和四十年以降、高度経済成長という過程の中で、農業というものから他の産業への就業という形のものが非常にふえていったのが一つの原因だと思います。それからいま一つは、ちょうど時を同じくいたしまして、日本の国民の食生活が相当多様化してまいりました。特にその中においては、畜産関係のいわゆる肉類あるいは卵といったような種類のものの需要が非常に高まっていった。こういうものに日本の農業が必ずしも対応し切れなかったというところに、いま御指摘のようないろいろの数字があらわれてきたのではないかと、私は判断をいたしております。
#141
○中林委員 大臣の認識のほどはわかりましたので、次の点を伺いたいと思います。
 非常に狭い日本ですから、有効農地の利用が非常に大切だと私思うわけなんです。減反政策が進んでかなりの休耕田もあらわれていると思うわけですが、現在復旧可能な休耕田、これは一体全国でどのくらいの面積があるのか。あわせて、いま農水省の方でお考えの開発可能地の面積、これは幾らであるのか、お答え願いたいと思います。
#142
○杉山(克)政府委員 所管は各局にまたがりますが、私が便宜一括してお答え申し上げたいと思います。
 現在、減反で休耕になっている面積につきましては、現行の水田利用再編対策上休耕は認めておらないわけでございますが、農協等の水田の預託制度におきまして、借り手が見つかるまでの間、農協等において耕作可能な状態で保全管理をしている、こういう状態の水田があるわけでございます。これは五十四年度において約三万三千ヘクタールと見込まれております。それから、通常の水稲作付時から水稲刈り取り時までにおいて作付を行わなかった水田の面積につきましては、これは五十四年で約九万六千ヘクタールというふうに見られております。しかしながら、土地改良事業の通年施行によるものが約四万ヘクタール、それから水田利用再編対策上の水田の預託とされているものが約三万三千ヘクタールあるわけでございますので、その大部分はいま申し上げたこのうちに含まれているものと考えられます。
 それから次に、農地への開発可能な土地面積でございますが、これは構造改善局が昭和五十一年度に実施いたしました農地開発可能地分級調査の結果によりますと、資源的には約二百八十二万へタタール、これはまあ実際に造成いたしますと、造成面積で見た場合は大分減りまして二百万ヘクタールということになりますが、その程度存在するものと見られております。この開発可能地約二百八十二万ヘクタールのうち実際にどの程度農用地開発を進め得るかということについては、これは予算だとか、技術、全体の環境条件等ございまして、一概に申し上げることは困難でございますが、農用地開発推進の見地から、今後できるだけその開発を進めていくということで、総合的な検討を行っていく必要があると考えております。
#143
○中林委員 かなりの開発可能地もありますし、それから通年施行などあるとはいえ、まだまだやはりたんぼとして、あるいは耕地として使えるところもあるわけですが、現在の農政で、まあ何をつくっても過剰ぎみという状態の中で、農地開発についての大臣の基本的なお考え、これから八〇年代農政を背負っていく上での農地開発のお考えをぜひお聞かせください。――大臣からお聞かせいただきたい。
#144
○武藤国務大臣 私どもは必要な農地は確保していかなければならないと思っておるわけでございます。経済が安定成長に変わってまいりましたので、今後転用など余りないかと思いますけれども、しかしながら、転用ということも考えていかなければならないと思うわけでございます。それに対しては、ある程度新しい農地もまた開発していかなければならないと思っております。いずれにしても、基本的にはそういう形で日本の農業生産に必要な農地だけは確保していかなければいけない、こういう考え方でおります。
#145
○中林委員 国の直営の干拓関係の事業ベースの予算をこれまでちょっと調べてみますと、昭和三十二年度から当初予算額の推移を見てみますと、昭和四十一年度までこれは着実に前年度を上回って伸びているわけです。四十二年度で初めて前年度に比べて四%減となり、四十三年度はわずかに伸び、そして四十四年度は再び前年比の一二%減を示しています。そして、四十五年度と四十六年度は一四%、八%と減が続いておりますし、四十七年度には五%は伸びているとはいうものの、四十八年度から百億円台を割り、若干の上下はあるもののおおむね九十億円台で横ばいとなっているわけです。この間、単年度の最高は四十一年度の百四十四億二千九百万円で、五十四年度は、それに比べると六六%、九十六億二千六百万円に落ち込んでいるわけです。五十五年度の予算案ではもう三十六年度当時の水準、いわば百億円は割る、そしてさらに九十億円も割り、八十八億九千三百万円、最高時の六二%に減っているわけです。
 そこでお伺いするわけですが、来年度予算の公共事業関係は一応前年並みということで政府案が決定されておりますけれども、なぜこのように直営の干拓関係事業だけは大幅な減額になっているのか、お答えください。
#146
○杉山(克)政府委員 直営にいたしましてもそれから補助事業にいたしましても、干拓の事業量は先生御指摘のように年々減ってまいっております。かつては八郎潟とか児島湾とか大規模な干拓事業がございましたが、今日では規模におきましてもそれから個所数におきましても、かつてよりは縮小を見てまいっておるわけでございます。
 これはなぜかということでございますが、全般的なやはり経済の動向、それから農産物の需給の動向といったものを反映しているわけでございます。いま一つは、干拓に適当な土地、水面といいますか、これがだんだん減ってきたというようなこともあるわけでございます。五十五年は対前年、国営干拓で九一・八%、補助干拓で七一・一%、個所数につきまして国営七地区、補助干拓三地区ということになっておるわけでございます。
#147
○中林委員 全体的な国情の中で、あるいはもう埋め立てるところが少なくなったというようなお考えをちょっと伺ったわけですが、この予算の推移を見る限りでは、だんだんしりすぼみになり、直営干拓については非常に消極的になっているように伺うわけなんですけれども、それはどうなんでしょうか。
#148
○杉山(克)政府委員 一つは、水田からの転換ということで、転換先作物を何に求めるかという御存じのような需給事情の問題がございます。そういう際に、干拓地を造成してこれを農地にするという場合に、転作作物を何にするか、これが地域によってかなり限定がございます。かつてのように米の増産、米の増産ということでもって、土地をつくれば収益性も上がる、入植者も大いに入ってきたというような状況ならよろしゅうございますが、今日では地域の実情を見ながら、全体の需給を考えながら作物の導入を考えていかなければならないというようなこともありまして、全般的にかなりコストのかかる干拓地の造成というのは、全体的なごく長期の面から見れば今後とも続けていかなければならない必要な事業でございますが、むしろそれ以外の既存の耕地についての利用度を高めるような基盤整備、こういった方に重点を置いていくということで、限られた予算の中での配分については、さしあたって干拓は対前年減少するという傾向にならざるを得ないのでございます。
#149
○中林委員 現在直営の干拓事業は七カ所だと思いますが、この七カ所の総事業費は二千四百八十六億二千五百万円と見積もられておりますけれども、五十五年度以降の残事業費を五十五年度予算で割って単純計算すると十八・五年もかかるということになるわけなんです。各所の事業についてばらつきがあり、単純計算にはならないと思うわけですけれども、それぞれの完了予定年度、それの実現は可能なのかどうか、その点をお伺いします。
#150
○杉山(克)政府委員 事業の工期につきましては、もちろん予算の関係ございますが、干拓の工事はほかの事業と違いまして地盤が軟弱である、その地盤の落ちつくのを待ちながら工事を進めるというようなこともございまして、物理的、技術的にもかなり長期を要するというものがございます。
 それから、いつごろ完工可能かということでございますが、これは地区的にそれぞれ差があるわけでございます。若干おくれているというような事情のところもあるわけでございますが、たとえば七カ所ございますので個別に申し上げます。中海については計画期間は五十九年度まで、笠岡につきましては五十九年度まで、長崎南部は六十四年度まで、河北潟は五十七年度、木曽岬は五十八年度、印旛沼は五十七年度、羊角湾は五十八年度ということで、なお若干の期間を要するということになっておるわけでございます。
#151
○中林委員 この直営の干拓事業の五十五年度予算の四六%を占めております中海干拓事業のことでお伺いするわけですが、この中海干拓事業の調査及び実施計画はいつからいつまで行われたのか。また、着工はいつで、実際に干拓地域の堤防工事が始まったのはいつか、お答え願います。
#152
○杉山(克)政府委員 中海干拓事業が行われるまでには歴史的なと言ってもいいくらいのかなり長い経過がございます。中海、それから宍道湖の淡水化の事業が要請されるようになりましたのは、昭和初年に大橋川のしゅんせつによりまして海水が宍道湖へ逆流するようになったということがございます。その際沿岸既耕地が用水源を失ったということから、その用水を求めて淡水化が叫ばれるようになったわけでございます。それ以来干ばつのたびごとに幾たびか開発計画が立案されたのでございますが実現には至らなくて、戦後、昭和二十九年から三十年ごろに、島根県におきまして、中海それから宍道湖の大規模干拓並びに淡水化を含んだ斐伊川・宍道湖・中海総合開発計画が策定されました。また鳥取県におきましても、中海の埋め立てそれから弓浜半島の農業開発を含んだ総合開発計画が策定されたのでございます。一方、これら現地の事情も踏まえまして、農林水産省におきましても、昭和二十四、五年ごろ周辺既耕地の用水改良調査を開始したのでございます。それから、昭和三十年からは中海干拓と沿岸農業水利事業とを一体的に計画する必要から、直轄調査地区として調査を始めたわけでございます。この調査は三十四年まで行われ、引き続き三十五年から三十七年まで全体実施設計が策定されたわけでございます。それから、三十八年に至りまして予算計上されて事務所が設置されるというようなことになり、その後四十四年の十二月に干拓事業及び付帯事業計画が決定されたわけでございます。この辺から本格的な事業に取りかかったわけでございます。
 現在、本庄工区の堤防工の促進、それから中海、宍道湖の淡水化等に係る工事を進めておるところでございますが、昭和五十五年度までの進捗率は、五十五年度の予算の執行を計算に織り込んでございますが、約六〇%に達する見込みでございまして、今後は昭和五十九年度、先ほど申し上げました年度までの事業完成を目途に本事業の推進を図ってまいりたいと考えております。
 それから、一部事業につきまして、先ほど申し上げました計画の変更を予定いたしております。現在この計画変更について手続を進めているところでございます。
#153
○中林委員 なるべくお尋ねした点だけお答え願いたいと思います。
 この中海干拓事業は、先ほどおっしゃいましたように、中海と宍道湖の淡水化事業も含まれているわけです。そのために内水面漁業者と農民の営業と生活ばかりではなくて、中海、宍道湖周辺の島根、鳥取両県の生活にとってもこれは非常に大切なところなんです。特に中海、宍道湖の水質保全が重大な関心事となっております。
 そこでお伺いするわけですが、着工時の昭和三十八年、それから本格工事が始まったのが昭和四十三年ですから翌年の四十四年、そして島根県が公害対策基本法に基づいて湖沼類型をAのロと定めたのが昭和四十七年十月ですから翌年の四十八年、そして最も新しい年、以上四つの年の水質についてCODとSSに限ってどのように変化をしているのかお答えを願いたいと思うわけです。ポイントについては、河川管理者の建設省、それから工事の事業主である農水省、そして環境庁、それぞれ分担していると思いますので、中海と宍道湖のそれぞれで管轄するポイント一つずつについて示していただきたいと思います。
#154
○杉山(克)政府委員 中海の干拓と中海、宍道湖の淡水化が進行する過程、それからその前後におきまして水質がどのように変化するかは大変重要な問題でございます。農林水産省といたしましては昭和三十九年から調査を実施してまいりました。調査は上流から大橋川水域、中海中央水域、米子湾水域、境水道水域、この四水域群に区分してそれぞれ代表地点を選定して分析を行ったものでございます。
 CODの水域群別の経年変化の調査結果でございますが、これは昭和四十年から四十九年までの間問、おおむね千分の三以下ということで、基準値を下回るような状況にあったというふうに承知いたしております。
#155
○渡辺(重)説明員 お答え申し上げます。
 ただいま事業開始前それから計画の決まった時点、四十八年、最近、こういうふうなお話でございましたが、建設省の管理しております一級水系斐伊川、これは一級水系の指定が昭和四十一年でございます。それから、問題の中海は昭和四十六年から大臣管理が行われておりますので、それ以前の資料というのは私どもの方では手持ちがございません。四十八年と五十三年について申し上げます。
 宍道湖の湖心、真ん中で、四十八年CODが六・六PPm、五十三年のCODが三・七、これは年間の平均値でございます。それからSSが四十八年三・〇、五十三年四・九。次に中海でございますが、これも同じく湖心でございます中央の値を申し上げますが、四十八年が六・三、五十三年が三・四。SSで申しますと、四十八年が五・〇、五十三年が一一・〇。これはいずれも年間の平均値でございます。
#156
○杉山(克)政府委員 ちょっと申しわけございませんが、私の方はグラフを目で読み取っておりますので、若干見当の数字になって、もし正確な数字を後ほどでよければ別途お出しいたしたいと思います。
 先ほどはCODを申し上げましたが、SSにつきましては場所によって若干の差がございます。中海の中央部でおおむね五PPmということで比較的安定いたしております。そのほかの地区は若干ばらつきがございますが、米子地区が一番高くて、時期別に若干差はありますが一〇PPmから一四PPm、それから少し下がってまた八PPmといったような、その辺の前後した数値で推移いたしております。
#157
○渡辺(一)説明員 お答えいたします。
 まず、最近時点でございますが、五十三年度の公共水域の調査結果によりますと、宍道湖それから中海の湖心の有機汚濁に関する数字でございますが、いずれも環境基準をオーバーしてございます。それから経年的に見ましても、環境庁ができたのは四十六年でございますので、その当時からの数字しかございませんが、四十六年当時に比べると若干悪くなってございますが、最近時点ではほぼ横ばいということでございます。
 それで、数値につきましては、先ほど建設省さんからお話があったとおりでございます。
#158
○中林委員 引き続いてちょっとお願いしますが、トータル窒素、トータル燐の測定を開始したのは各省庁それぞれいつからか、お答え願いたいと思います。
#159
○渡辺(重)説明員 お答え申し上げます。
 トータル窒素、トータル燐につきましては、年間の観測回数は少のうございますけれども、中海では昭和四十七年から観測を行っております。それから宍道湖につきましては昭和四十八年から行っております。
 それから、先ほど四十六年から中海が大臣管理区間と申し上げましたが、間違っておりました。四十四年でございますので、訂正させていただきます。
#160
○杉山(克)政府委員 農林省のトータル窒素、トータル燐の調査はいずれも昭和五十年からでございます。
#161
○渡辺(一)説明員 環境庁につきましては、窒素、燐についてはまだ排水基準等が設定されてございませんので、特に指示をしてございません。
#162
○中林委員 いまのでもおわかりいただけますように、農水省及び建設省及び環境庁それぞれ、汚濁といいますか水質をはかってきた年といいますか、それが非常に浅いわけなんですね。一番古くて、農水省昭和三十九年からというのがございますけれども、農水省が中海の水管理委員会に水質予測を委嘱されました。これは昭和五十一年に報告されているわけですが、過去の十七年間のデータをもとにして今後の十七年間の予測をするということでシミュレーションをして一定の報告が出ているわけなんですけれども、こういったいわば非常に浅い調査データしかない。水質の問題でそのような予測が果たして正しいとお考えなのかどうか、その御見解を伺います。
#163
○杉山(克)政府委員 私どもといたしましては、淡水化に伴う中海、宍道湖の水質につきましては、現況の汚濁負荷量を前提とした中海、宍道湖淡水湖化水質予測シミュレーションということで観測をいたしておるわけでございます。これは、いま申し上げましたように現況の汚濁負荷量を前提といたしておるわけでございます。これによれば、淡水湖化した後におきましても水質は斐伊川水系の河川水に近づくということになりまして、農業用水として十分使用し得る水質の保持が可能である、何ら支障はないと判断いたしております。淡水化によって塩分躍層、これは専門的な用語になりますが、水中でもって塩分濃度の違う層がはっきり分かれるわけでございます。その躍層が解消いたしまして、いままで特に汚濁の進んでいる下層水の浄化が促進されるとともに、除塩ポンプ、これらのシステムの利用による効果によりまして、底部の塩分及び栄養塩類の強制排除ができるということもございまして、私どもとしては、前提が変わらない限りこの淡水湖化によって汚濁が進むというふうには考えておらないわけでございます。
#164
○中林委員 農林省はそのような結論を出して事業を進めていらっしゃるわけですが、この水質問題ではいろいろな科学者や研究者が勧告を出したり報告をしたりしているわけです。
 その中で、島根県が京都大学工学部の末石富太郎教授のグループに委嘱した「地域水需要からみた宍道湖水の評価に関する研究調査」、これは昭和四十六年から昭和四十八年の調査で、昭和四十九年に報告書が出ているわけです。
 それによりますと、干拓淡水化事業について重大な警告をしているわけです。つまり、この研究を通じて最も大きな結論は、すでに初年度の報告でも述べたように段階的淡水化でなければならないという記述です。全湖淡水化という行政目標は実は全くの幻想に終わるかもしれない、レトリカルな水需要の増大に依拠しており、また、それが必要とする無条件に完全な浄化技術及び下水道技術の開発を絶対命令としている。急激に淡水化すれば汚濁を防ぎ切れない。生態学的にも急激な変化を及ぼして危険がある。このように指摘しているわけです。
 こういう報告がありましたから、これは大変とばかり島根県と鳥取県が環境庁に調査を要請しております。環境庁は両県の要請を受けて、専門的立場から検討を行う委員会として中海淡水化影響調査委員会を設置したわけです。
 環境庁にお尋ねするわけですが、この要請の目的は何で、また、この委員会の発足年月日と調査期間はいつだったか、それをお答えください。
#165
○渡辺(一)説明員 ただいま先生から御指摘のありました中海の淡水化調査は、島根県それから鳥取県両県の強い要請を受けまして、環境庁が各分野の専門家に依頼しまして委員会を設置して、各種の資料を収集しまして、中立的立場から五十年三月に取りまとめたものでございます。たしか委員会の設置は四十九年の夏ごろかと聞いております。この報告書は、中海の干拓及び淡水化により湖流とか塩分濃度が変化することが予想されますので、それらに伴う水質等に対する変化がどうなるかというのを専門的立場から検討したものでございます。
#166
○中林委員 続いてお伺いするわけですが、報告書での結論、淡水化の予測をどのように結論づけているのか、簡単にお答え願います。
#167
○渡辺(一)説明員 報告書の内容は非常に多岐にわたってございますが、要点だけ申し上げますと、干拓とか淡水化工事によりまして当然湖流等の停滞性の現象が起こってくる。その結果、有機汚濁等につきましては分布は均一化することが予想される。しかし、淡水性プランクトン等の増加によってCODがやや高くなることも考えられる。あるいは溶存酸素量については夏期の低酸素状態が解消してくるとか、水素イオン濃度につきましては中性に近づいてくる。あるいは栄養塩類につきましては、底層の高栄養塩濃度の部分が排除されることにより低下する。そういった点が指摘されてございます。
#168
○中林委員 結論のところで水質保全対策をしなければならない旨が述べてあると思うわけです。一つは流域下水道、または排水基準を守らせる行政指導だとか、それから富栄養化対策や底のどろの除去、そういうことで水質保全対策を勧告しているわけですが、環境庁はそれに対してどういう努力をされたのか、Aのロという水質に達しなければならないという、五年間で達成ということが一応決まっているわけですが、それが決められてから五年はもうすでに済んで、いまなおかつその基準よりも高い数値が、CODにいたしましても、SSにいたしましてもあらわれているわけですね。だから、そういう現在の中海あるいは宍道湖の達成していない最大の原因はどこにあるとお考えなのか、あわせてお答え願います。
#169
○渡辺(一)説明員 報告書によりますと、先ほど先生がおっしゃいましたとおり、中海の水質保全対策としては、下水道事業の推進、それから排水規制の遵守指導、それから底泥の除去、それから富栄養化防止対策の推進、それから水門の適切な管理、あるいは土地利用についての配慮等が指摘されてございます。
 それで、中海の水質というのは、先ほども申し上げましたように、五十三年度にすべての観測点において環境基準を達成されてございません。それで、湖沼は、これは中海ばかりでなくして、日本全体の湖沼の環境基準達成状況を見ましても、約三八%ぐらいで、海域それから河川等に比べまして非常に悪い達成率になってございます。そのため環境庁としましては、そういった今後一層の水質保全対策が緊要とされておりますから、この報告書において指摘された諸対策を踏まえまして、鳥取、島根の両県あるいは関係省庁とも連絡を密にしまして、中海の水質の改善が図られるように努力してまいりたいと考えております。
#170
○中林委員 中海あるいは宍道湖の水質問題というのはずっと論議が進められているわけなんです。それで、わが党の先輩議員である春日元参議院議員ですが、この問題を質問したときに、CODは宍道湖では五十三年には基準に達する、このような御答弁もされているわけなんですね。それ、が実際には守られていないし、実際に大変下水工事もおくれているわけです。私がこの中海、宍道湖の水質問題をずっと調べている中で、いろいろな研究者、科学者がそれぞれ自分たちのはかったところをデータとしていろいろな仮定を置いている。そういう中で、だれ一人として淡水化してきれいになると結論づけた者はありません。環境庁がこういう報告書を出していらっしゃるわけですけれども、これでもそういう結論づけにはなっておりません。
 私が聞いた科学者の話では、このような宍道湖それから中海というのは全国でもまれな汽水湖なわけですね、塩水が入っているということで。こういう研究は、汽水湖を淡水化するという研究は日本では何一つされていない。だから、研究すればしていくほど複雑で非常にわからなくなる。きれいになるという説もあるのは知っているけれども、自分たちが調べてみると、アオコと言われる水の華、これが淡水化すれば一面を覆うような、そういった予測さえもされる。そんなことになれば死の海になって、これは島根、鳥取両県民にとっては大変な問題になるということを指摘しているわけなんです。
 環境庁が出していらっしゃる最後のまとめのところにも「中海周辺は山陰地方における産業、文化の中心であり、このような中海を魚釣等のレクレーションの場として広く地域住民、観光客等が利用し中海について関心をもつようにすることが、ひいては水質保全につながるものと考えられる。」このように指摘しているわけなんですね。ですから、現在汚濁が非常に進んでいる中で、ここの淡水化をする最終的なものとして、中浦樋門というものを締め切っていくというのがこの秋に計画されているわけなんです。
 そこで、一番いま新しい中海、宍道湖の水問題の報告書としてあるのが、島根県が出している昨年十二月の報告書、これによりますと、島根大学の伊達教授というのが中心になってやっていらっしゃるわけなんですけれども、この伊達教授さえも、最終的には今後まだまだ研究しなければならない、こういう結論づけを出されているわけです。
 ですから、私どもが考えますのは、この中海、宍道湖の水質保全ということ、これは干拓事業と矛盾してきていると思うわけですけれども、水質保全という点に関しては、こうした科学者、研究者の勧告を真摯に受け取る必要があるのではないかと考えるわけですが、大臣のお考えを伺いたいと思います。
#171
○杉山(克)政府委員 技術的な問題を含んでおりますので、私から答弁させていただきます。
 おっしゃられるように、確かにあれだけ大規模な汽水湖を淡水化するというのは非常に大きな変化でございます。ただ、おっしゃられるように、アオコが発生するのではないかというようなこと、確かに児島湾等で前例もあったわけでございますが、その研究が全く進んでいないというようなことではなく、それなりに私ども、淡水湖化計画の中でも、その排除のための、特に下層の塩分あるいは塩類を外に出すというような装置も工夫しているところでございます。しかし、いずれにいたしましても、急激な変化というのは私どももよろしくないというふうに考えております。中浦水門を今年度後半から運転操作開始することになりますが、いまおっしゃられたような諸般の検討の結果と、各省の研究等も踏まえまして、十分慎重にその運営は柔軟に対処してまいりたいと考えております。
#172
○中林委員 農水省は、構造局ですけれども、結論を早めてはならないと私は思うわけなんです。いま最大の中海干拓での焦点であります営農計画の問題ですけれども、その営農計画が、当初は水田で始まって、この十年間に三回営農計画そのものが変わるというようなことなんです。水田だから水が要るから淡水化するということで大体始まった事業なんです。それが本来の目的を失っているし、それから淡水化した後の汚濁の問題、これも科学的にもまだ明らかになっていない時点で、この秋にも水門を締め切ってしまうというような事態は、私は後世に後悔を残すことになるのではないかという疑問を感じるわけなんです。今後まだまだ中海干拓には三百数十億円の金がつぎ込まれる予定なんですが、こんなに多額な予算をつぎ込んで、果たして本当に日本の後世にとってよい土地になるのかどうか、私は大変疑問を感じております。
 そういう意味で、一点だけ大臣の見解をお伺いするわけですが、まだまだそういういろいろな懸念がある中で、中浦水門締め切りを急ぐということは大変危険だと思いますので、その点の御見解をお伺いします。
#173
○武藤国務大臣 私は現地の実情を十分承知をいたしていなかったわけでございまして、いまいろいろと審議がなされている経過もよく踏まえて、今後検討してまいりたいと思います。
#174
○中林委員 終わります。
#175
○内海委員長 稲富稜人君。
#176
○稲富委員 私は、先日の農林水産大臣の所信表明に対しまして、若干の質問をいたしたい、かように考えております。
 私は、まず、先日の大臣の所信表明を承りまして、はなはだ失礼な言い分でございますけれども、現在の日本の農業の実態というものをどう認識なさっておるか、さらに、日本の農業の将来の位置づけをどうするというような、こういうような確信がおありになるかどうか、こういう点を私は非常に考えまして、いささか失礼と思いますけれども、いささか失望いたしたわけでございます。
 それは、大臣はその中で、わが国の農業の実態としてだろうと思いますが、国際的な経済の流動する中において、農林水産業の「生産性の向上を図ることが強く要請されております。」これはわかります。そのためには、「農林水産業の体質を強化し、総合的な食糧自給力の向上と国民生活の安定を図ること」が必要である、こういうふうに力説されております。
 ただ、私がここで申し上げたいことは、・われわれが今日思いますことは、その大臣の目途はわかりますが、これを今日どう実現するか、具体化するかということが今日の緊急な問題であると思うのでございます。今日、日本の農業に関係しておる者は、一体日本の農業の将来はどうなるだろうか、日本の農業がどう位置づけられるだろうか、これが一番不安であり、私はこれをやることが最も必要である、かように考えております。
 ところが、大臣は、そういうような八〇年代の農業の中において、それでこれをどうするかということに対しましては、本年度半ばを目途にして、農政審議会において鋭意検討中である、こうおっしゃっております。実に悠長な考え方で、現在の日本の農業をどうするかというビジョンを立てなければいけないときに、ただ本年度半ばを目途として農政審議会で検討しておるのだと言う。私はそういうようなのんびりした時代じゃないと思うのですよ。
 今日、日本の農業というものは、一番大きなビジョンは農業基本法でございました。農業基本法というものがわが国の農業の将来に対する大きなビジョンを与えた。そのビジョンに対しまして、日本の農民は非常に期待を持った。ところが、その農業基本法というのが空文化している。この事情を十分大臣はお考えになっておるのであるかどうか、この点をまず承りたいと思うのでございます。
#177
○武藤国務大臣 大変厳しいおしかりでございますが、農政審議会で議論をしていただいておりますときに、私がここである程度のはっきりした将来の方向を打ち出してしまいますと、何か農政審議会をやっていただく必要がないというようなことにもなりかねないわけでございまして、その点については、農政審議会でせっかく昨年来議論をしていただいているわけでございますので、その審議を尊重しなければならないという立場において、大変どうも夢を申し上げられなかったわけでございます。その農政審議会も、実はこれは先生御指摘の、その農業基本法の中に農政審議会というのがあるわけでございまして、農業基本法にあるその農政審議会において議論をしていただいているわけでございます。私は、農業基本法の考え方というものは、これはいまの時代にも当てはまるところは相当あるわけでございまして、いま空洞化しているというお話でございますが、完全に空洞化しているわけではないと思いますけれども、多少は、私自身も、せっかくの農業基本法の考え方で、いまの時代にも即応するものが、必ずしもうまくいっていないという点はあると承知をいたしております。
 そこで、せっかくの機会でございますから、これは私の私見と申しますか、所信表明は、そういう形で農政審議会の審議をかえって阻害をするようなことになってはいけないということで控えておりますけれども、何かビジョンがないかという御指摘でございますので、私は、農政審議会の先生方にも、私の個人の考え方として申し上げていることはあるわけでございまして、それは、私は、よく五つの柱、こう言っているわけでございますけれども、一つは、今日の日本の置かれている農業の環境を見ますと、結果において土地利用型農業と施設利用型農業と比較してみますと、生産性において非常に違いがあるわけでございます。土地利用型の場合にはどうしても生産性が低いわけでございます。しかも、面積を比較をしてみますと、耕地面積の多いところは結構生産性が高い。耕地面積の非常に少ないところはやはり生産性が低いわけでございまして、そういう点からも、土地利用型農業の経営規模の拡大を思い切って図っていかなければいけないのじゃなかろうかというのが一つでございます。
 それからいま一つは、米は幸い余っておるという状態でございますけれども、けさほどから議論がなされておりますように、小麦その他について、日本において非常に自給率の低いものがあり、しかもそれは国民は要求しておるというものがあるわけでございまして、こういうものについては、やはり極力自給力を高めていかなければならないのじゃなかろうか。そのためには、水田利用再編対策でせっかく転作をやっていただくならば、それを定着させながら、しかも将来は適地適産の考え方で、きょうも地域農政という言葉をお使いになりましたけれども、私どもは、やはり地域のそれぞれの市町村とか部落とかそういうところにおいてよくお話し合いをいただいて、そしてやはり国民のニーズに合ったもの、いわゆる需要のあるものについて、なるべくそれぞれの地域に合ったものをつくっていただく。それで、その国全体の計画というものはやはり私どもの方で示さなければなりませんけれども、そういう形での適地適産の考え方、国と地方と本当に一生懸命やろうという農民の皆さんとが一緒になって、ひとつ需給の見通しに合ったような形での適地適産という一つの青写真を描いてみるべきではないか。
 それから三番目には、そういう中にあっても、日本の、たとえば小麦あたりあるいは大豆あたりがなかなか伸びていかないのは、その品質の問題とかあるいは収穫機械の問題であるとかいろいろ言われているわけでございますから、こういう農業機械の改良なりあるいは品質の改良について思い切って力を入れていくべきではなかろうか。
 それからもう一つ、やはり後継者づくりということが大切でございますし、そのためには集落のリーダー、特に若手のリーダーというものが必要だろうと思いますし、また、今度経営規模の拡大ということになると、ある程度農地をお貸し願える、出していただく方が必要でございます。しかし、その方もその村にはやはり定住をしていただく必要があるわけでございますので、そういう全体の中の、いわゆる農地を出していただける方も、あるいは農業を一生懸命やっていただく方も一緒になった形での地域社会を健全に育てていくという必要があるのではないか。そのためには、生産環境整備だけではなくて、生活環境整備もあわせてやっていかなければならないのではなかろうか。
 それから、せっかく生産者が努力をされても、きょうも議論がございましたけれども、消費者の手に渡るときには結構高いものになっておるということがございますから、そういう流通、加工という面についても、いままで、ややもすれば十分なメスが入れられていなかった。ひとつ思い切ってそういう点も見直しを図っていくべきではないか。
 私は、こういう、正直五つの柱をもちまして農政審議会の先生方と議論をしておるわけでございます。せっかく、何か私は全く夢を持っていないというような御指摘でございましたので、私も夢だけは持っておるということをひとつこの機会に御理解をいただきたいと思って、お話し申し上げたわけでございます。
#178
○稲富委員 時間がありませんので、お答えは簡単にお願いしたいと思います。
 ただ、ただいま農業基本法というものが、そのビジョンというものが示されたものが悪かったとは私は言っておりません。しかしながら、それが空洞化していることは事実なんです。いま大臣はそうじゃなかったとおっしゃる。その点は、私ずいぶん解釈が違います。御承知の農業基本法の中においての三つの柱というのは、農業に従事する者と他の産業に従事する者との所得の均衡を図る。果たして今日所得の均衡が図られているかどうか。私は図られていないと思うのです。これが農業基本法の一つの柱が間違っている、そのとおりになっていない。
 第二の問題は、選択的拡大として、日本の農業の将来あるものは畜産であり果樹園芸であるといった。それが今日は、畜産であっても果樹園芸であっても、この業者は不安を持っておる。これは私は空洞化した一つの事実であると思う。
 第三には、自立経営農家を育成するということははっきりしている。自立経営農家は減っているんじゃないですか。
 この農業基本法が示した三つの大きな柱が全くそのとおりになっていないということは、これは空洞化したと言っても言い過ぎじゃないと私は思う。これを農林大臣は空洞化していないんだ、こうおっしゃるから、基本的にずれが来るのですよ。空洞化したということになれば、その空洞化した上に立って日本の農業をどう確立するかということが私は最も必要だと思うのです。ここにおいてあなたと私の間においては認識の違いがあるということになる。この点を私はあなたに質問しただけなんで、やはり農業基本法は空洞化してない、空文化してないんだ、農業基本法のとおり実施されているんだ、こういうふうに認識していらっしゃるか、この点は重大な問題でございますので、この点を承りたい。
#179
○武藤国務大臣 私は、完全に空洞化していないとは申し上げていないわけでございまして、ある程度のところはいま御指摘のございましたように空洞化しておるというか、どうも農業収入よりは農外収入でもって賄われておるとかいろいろそういう点はあるわけでございまして、そういう点は、私が先ほど申し上げたような方向でよりよい方向に、もう一度農業基本法に沿った形での実現はこれからやっていかなければならぬ、こう考えておるわけでございます。
#180
○稲富委員 農業の実態は農業基本法に沿わないような傾向にいっておるということはお認めになる。ただ、大臣の考えられる空洞化していないということは、農業基本法の第六章の二十五条によって決定されております農政審議会を活用するということだけなんです。農政審議会に諮問をして、そしてこれに対するビジョンは描くんだという、この点だけをあなたが活用しているから空洞化していないということなんです。これは日本の農政をどうするかという非常に重大な問題なんです。農業基本法の農政審議会だけを利用する、これだけが生きているんだ、これでは、私たちは日本農業のビジョン――もうそのビジョンはすでに農業基本法で示されているんです。そのビジョンが壊れているんですよ。その壊れた農業基本法内の農政審議会に図ってまたビジョンを決める、こう言う。それではいまの日本の農政はもう間に合わないようになっている。農業基本法がそういう空文化したとするならば、いかなる理由で空文化したか。これは歴代の内閣を支持しておった、日本の農政をつかさどった自民党内閣に責任があると言っても差し支えないと私は思う。なぜこれが空洞化したか、その空洞化した反省の上に立って、将来の日本農業をどう確立するかということが八〇年代の農政でなくちゃいけないと私は思うのです。
 この点を申し上げたいがために、まず率直に空文化しておることは空文化しておるとして認めながら、われわれは新しい出発をするということが農政に忠実なゆえんである、こう考えますがゆえに、私は大臣にその気持ちを率直に承りたい。あなたを責めようと思いませんけれども、そういう点から私は申し上げたわけなんです。
#181
○武藤国務大臣 どうも大変お言葉を返すようでございますが、先ほどから申し上げておりますように、確かに空洞化しておると思われるような事象もございますけれども、その反省の上に立って今後思い切ったよりよいビジョンをつくり出していきたいと考えておるわけでございまして、農政審議会の設置のところだけであって、あとは全く空洞化しておるというふうにも私は判断をしていないわけでございます。しかし、御指摘のように、どうも現実の事態というものは非常に食い違った方向にあるんじゃないかということ、これが全くないということも私は言わないわけでございまして、ある程度は私はそういう点もあることは事実として認めていかなければならぬと思っております。ひとつそういう点は、これからぜひよりよい方向に直していかなければならない、こう考えておるわけでございます。
#182
○稲富委員 あなたがそれを認めないとおっしゃるならそれでようございます。私は、農業基本法が三十六年に制定された。これがだんだん後退して、いま申しましたように農業基本法が思っておるような日本の農政が確立できなかった。その原因は、政府がとってきた高度経済成長政策によって日本農業というものが非常に犠牲をこうむった。しかも、一部におきます農業の国際分業論、これに非常に日本農業が災いされたということもわれわれは否定することができないと思う。こういう事実をとらえて、私たちは今後どうするかということを考えなければいけない。こういう点からも、私は農業の国際分業論というものが、日本の農政においてどういうプラスになったか、どういうマイナスになったか、この点もひとつきわめなければいけないと思いますが、これに対しては大臣はどういうお考えを持っていらっしゃるか承りたい。
#183
○武藤国務大臣 私も、農業基本法の精神というものが必ずしも生かされなかったのは、確かに、ちょうど農業基本法がこれから行こうというときに高度経済成長に入ってまいりまして、その結果と、いま一つは、国民の食生活がそれと軌を一にして非常に多様化してきた、こういうようなことも影響しておったということに対しては、私は、それがすべての原因だとは思いませんけれども、しかし相当影響を与えたということについては、率直に認めざるを得ないと思います。それから、国際分業論がそういう中で非常ににぎやかに議論されたわけでございますけれども、私はきょう答弁を申し上げておりますように、時代は変わってきておるのではなかろうか。アメリカのああいう対ソ穀物輸出停止の措置であるとか、あるいは最近のFAOのいろいろの見通しであるとか、こういうものを踏まえて考えていくならば、私は、きょう申し上げておりますように、そういう考え方ではなくて、できるだけ日本でできるものは日本で極力生産をしていただくという基本的な考え方に立って、これからの農業政策は進めてまいらなければならぬと考えております。
#184
○稲富委員 農業の基本的な問題で議論しておりますと長くなりますから、この問題はまたいつかの機会に……。
 現在、日本の農業というものはまず原点に立って、そして、この際、八〇年代を契機として日本農業をどう位置づけるかということを検討するぐらいの、そして、まずわれわれは静かにこれを考え、過去を反省しながら、何も体裁をつくる必要はございません、失敗は失敗としてこれを改めて、そうして日本農業の位置づけをすることが、私は八〇年代を迎えた農業の意義だ、かように考えております。このことについては、またいずれ機会を得て十分ひとつ話し合いたいと思いますので、時間がありませんので、その次の問題でひとつお尋ねしたいと思います。
 それは、特に農林大臣が酒屋さんでございますので、経験もおありになると思いますから私申し上げるわけでございますが、御承知のとおり、今度の所信表明の中におきましても、農林大臣は、米の消費拡大のためには学校給食等においても積極的にやるとおっしゃっております。私は、ここで農林大臣に申し上げたいことは、これは私が多年申しておることなんですが、まず、米の消費拡大をやるためには酒をつくればいいじゃないか。御承知のとおり、酒税法第三条においては、清酒というものは米と米こうじと水を発酵したものが清酒なんです。ところが、これは昭和十八年ごろ非常に米が不足しておった時分に、他に含有物を入れてもいいという、こういう政令が出された。その後日本の酒というものは姿を変えて、今日の合成酒になっている。アルコールが入っている。これを、政令事項を廃止さえすれば、米、米こうじ、水をもって発酵したものが清酒であるということになりますと、おのずから米の消費は非常に拡大になると私は思うのです。
 私は、しばしばこの問題に対しては本委員会において大蔵省に対しても要望いたしました。その当時、大蔵省は、今日の酒というものが消費者に定着しておるからと言っておった。定着はしていないのですよ。あなたも酒屋さんだから知っていらっしゃる。合成酒は余り飲むと頭が痛くなるからと言って、ウイスキーやらしょうちゅうを飲んでいるのがたくさんある。こういう点、あなたは身をもって知っていらっしゃると思うのだが、定着していないと私は思う。そうすると今度は、酒の消費価格が高くなりますと言っている。これは税金をつけるからです。酒の税金というのは、あなたは一番知っていらっしゃるが、御承知のとおり、特級酒は三六・七%税金がかかる。それから一級酒は二六・五%、二級酒は一四・三%の課税になっている。これは、その当時は米というものが主食である、主食から酒をつくるのはぜいたくだから税金をかけろ、それで税金をかけたと私は思うのです。米が余っているときに、酒に税金をかけなければ酒の値段は安くなりますよ。今日ブドウ酒に対しては、小売が一千円のものに対して五・四%なんです。あるいは八百円のものは三・三%になる。酒の税金を安くさえすれば消費量もふえてきます。酒は高くなりません。しかも、この問題については、すでに閣議におきましても、昭和五十三年一月二十日の閣議了承事項として、「米加工品の消費の拡大を図るとともに、米の新規用途の開発普及、清酒の製造における米の使用量の増加等を図る。」ということも決まっている。なぜこれをやられないかというのです。これに対しては、農林省が大蔵省に遠慮してやり切らないのだ、こういうことを言う人さえあります。幸いにあなたはお酒屋さんであるし、大蔵大臣も酒屋さんだということを聞いております。それだから、大蔵大臣に話をして、この酒税法第三条の特例、いわゆる政令事項を廃止さえすれば、米の消費量はふえるのですよ。なぜこれをおやりにならないか。私はこのことを特に農林大臣に聞きたいと思っております。
#185
○武藤国務大臣 なかなかむずかしい問題がございます。いまの酒税を清酒について免除するというようなことになりますと、これは財政において相当の欠陥が生ずるわけでございまして、一体それを何で埋めるかということを考えていかなければならないと思います。
 それから、酒税はさておいて、アルコールの添加をやめるならやめまして、その分を米を使うということになれば、確かに五十万トン以上の米の消費の拡大につながるわけでございます。学校給食の二十万トンと比べましても、これは相当の量でございます。だから、そういうことができれば大変いいのでございますけれども、現実には、今度はコスト面におきまして、大体私の計算では、アルコールを米にかえますと、その分だけを見ますと倍ぐらい、結局、極端にいけば米の値段をその分については半分くらいにしなければ、いまの同じコストというわけにはまいらない、こういうことになろうと思います。でございますので、御趣旨の点は、米の消費拡大という点からいけば私は非常に理解ができますけれども、そういうむずかしい問題がございますので、いまのところなかなか思い切って踏み切れないということでございます。
 ただ、現実には、全然アルコール添加を減らしてないかといえば、そうではございませんので、年々少しずつはアルコールの添加を減らしながら、米の量の消費を清酒の製造においては少しずつはふやしてきておるわけでございます。ただ、それが微々たるものでございますので、思い切った米の消費拡大というものにまでつながっていない、こういうことであろうと思います。これはこの間予算委員会でも私はお約束をいたしておりますが、もう少しこれはいろいろと検討させていただきたいと思っておるわけでございます。
#186
○稲富委員 アルコール添加を少し減らしておるとおっしゃいますが、私が申し上げたいと思うのは、いまおっしゃったように、今日この酒税法の政令を削除することによって、米によって酒がつくられる。さらに学校給食をやられるとおっしゃる。学校給食を積極的におやりになると、これによって十六万トンぐらいの米の消費が拡大される。酒にアルコールを使わないことになりますと、これは四十五万トンから五十万トンは当然ふえる。六十万トン以上の米の消費量がふえますよ。六十万トン以上の米の消費量がふえるということになりますと、今日農民が農耕で一番困っておるものは減反政策なんです。私は、農民にたんぼをつくるなという過酷な宣言をするほどひどいことはないと思う。農民は自分の土地に農作物をつくることに喜びを持っているのですよ。これが日本の農民の伝統的精神なんです。その農民に、米をつくるな、つくらなければ奨励金をやるなんて、これは政治じゃないですよ。私は政治の意味を言っているのです。とうとい土地を、耕作される土地を、何かほかのものをつくれ、つくらないで損をするならどうするというならいいのですよ。つくるな、つくらない者には奨励金を出すのだなんて、これは農民の魂をもぎ取るものですよ。私は、これは政治としては最も残酷な政治だと思う。
 そういう点からいって、今日六十万トン以上の米の消費量が拡大になりますと、これによって十三万三千ヘクタールぐらいの農耕地は作付ができるのですよ。今年政府は、農民の非常な不平の中に、昨年よりもさらに減反政策をやられた。しかも、三年間はやらないと約束しながら、ことしはまた減反政策をやられた。そのぐらいの量は、十三万三千ヘクタールの土地で農耕ができるのですよ。そうなりますと、今日離農しろ、田を耕すな、それがためには奨励金をやるとおっしゃるが、その奨励金を出さないでよいことになってくる。その奨励金が七百四十四億。七百億円以上の奨励金を出さないでいいことになってくるのですよ。こういうようなばかげたことを、見え透いておることをなぜおやりになるか。しかも、日本の農業の基本を壊すような事態ですよ。こういうことをなぜあえておやりになるか。ほかの大臣は知らないけれども、農林大臣はこの問題に対しては真剣に考えなければいけない問題であると私は考える。すなわち、この酒税法第三条に規定しておるように、米、米こうじ、水をもってつくったものが清酒である、こういう規定さえはっきりされれば、当然消費量は拡大する。消費量が拡大することによって休耕をしないでいいことになってくる。農民に希望を与える。それによって七百億以上の奨励金が浮いてくるということになってくる。こういう点をなぜまじめに真剣に取り組まないか。しかも、閣議の了承事項として決定したことが、何がために実行できないか。この実行できない理由を私はひとつ承りたいと思う。
 しかも、今次の閣僚の中には、あなたもお酒屋さんであるし、文部大臣もお酒屋さん、建設大臣も酒屋さん、大蔵大臣も酒屋さん、ほかにも酒屋さんが五人ばかりおられるということを聞くのだが、閣議で決定されたらどうですか。酒屋さんが率先垂範で、米の消費拡大に大いに踏み切られることが、日本の農業に希望を与える、大きな曙光を与えるものだと思うから、思い切ってこれをおやりになったらどうかと思いますが、大臣の心境を率直に承りたいと思うわけです。
#187
○武藤国務大臣 従来の経緯におきましては、私は逆に、農林水産省の外におりましたときには、そういうことも十分考えられると思っておった時期もございますけれども、一たん役所へ入りますと、たとえば米の値段、米の価格というものを安くしようと思いましても、片方に、主食の価格よりも業務用の価格、加工用の価格というものは安くしないという、従来の何となく慣例になっておるわけでありまして、やはりそういうものが一つの大きなネックになっておるのではないかと私は率直に感じております。まあなかなか問題はございますが、先生御承知のとおり、いずれにいたしましても、もういま酒はつくっておるわけでございまして、今度の場合はことしの九月以降、十月以降ということになりますか、の酒造年度の中で考えていく問題でございますので、ひとつぜひそれまでに時間をおかしを願いまして、十分検討をさせていただきたいと思うわけでございます。
#188
○稲富委員 あなたは大臣になってから考えが変わった。検討したらまた変わるのじゃないですか。そういうものは、やはり実行することによって農民は希望を持つのですよ。百のビジョンよりも一つの実行なんです。これが私は今日の日本の農政には最も必要なことだと思うのです。現に、農業基本法という大きなビジョンによって農民に期待を持たしながら、その期待というのは倒れてしまっているじゃないですか。農林大臣が本当に農政に忠実であるならば、百のビジョンを立てることよりも一つの実行をすることによって、日本の農業に対する希望と将来への夢を持たせる、こういうことで、ひとつ農林大臣みずからが率先垂範してやっていただきたい、こういうことを私は特にお願い申し上げたいと思うのです。
 さらに、そういう点から、今日農政の上にたくさんのロスがあるのですよ。たとえば、今日あなた方は、食管法の中において食管特別会計の赤字が多いのだと常に言われておる。農林省は食管特別会計の赤字をいかにして減らすかにきゅうきゅうとされている。それがためには、当然消費拡大につながらない消費者米価の値上げまでおやりになる。食管特別会計の赤字を少なくするというならば、今日食管特別会計で賄っておる人件費を削ったらどうですか。これに対しては、あなたはすでに食糧事務所を何とか考える、こういうことをおっしゃっている。こういうような食糧関係の人件費、これが非常に食管特別会計の赤字をなしている事実なんです。ところが、食管特別会計の赤字があるというと、一般の国民は、生産者米価と消費者米価との逆ざやが食管特別会計の赤字であるように思っているのです。これは大きな間違いなんだ。食管特別会計の赤字というのは、人件費がたくさんあるじゃないですか。人件費ばかりではございません。今日、カドミウム米とか、全然食糧にならないような米を生産しておるじゃないですか。しかも、これに対しては、カドミウム米をつくるためには、国は相当な金を使って、莫大な金を使って干拓をやった。カドミウム米ができる。カドミウム米ができたからこれを買い上げ工食糧に回さぬで工業用に回す、そういうような政府のやり損ないのしりぬぐいまでも食管特別会計の赤字になって、いかにもこれが農民が逆ざやをとることによってこういうものができたような考えを一般は持っているんだ。こういう問題に対しても率直にメスを入れて、そうして、そういう点からの食管特別会計の赤字を解消することを考えることが必要であると私は思うのですが、これに対してどういうお考えを持っているか承りたい。
#189
○武藤国務大臣 もちろん、現在の食管の赤字がただ単に売買逆ざやだけでないことは、先生の御指摘のとおりでございます。いろいろの経費が相当かかっておるわけでございまして、いまの食糧事務所関係についても、私はできるだけ合理化を図ってまいりたいと思っております。
 もう一つ、やはり一番大きなのは六百五十万トシという大変な在庫を抱えて、その倉敷、金利、こういうものが相当大きなウエートを占めておると思っておるわけでございまして、やはり過剰米ができるだけ早くなくなるような需給の均衡を図っていくということが、私は、いまの食管の赤字を見ておりますと、大変大切なことではなかろうかと思っておるわけでございます。
#190
○稲富委員 もちろん、食管特別会計の赤字の中には、過剰米の倉庫料、運賃いろいろあります。しかし、そういうものをくるめまして、やはり何と申しましても可能なものからこれをなさなければならない。それがためには、やはり今日のそういう人件費等に対するメスを入れて、そして食管特別会計の赤字を解消する、こういうことを取り扱うことは私は当然だ、かように考えます。
 さらに、私は、今日行政改革の問題が非常に論議されております。その中において、農林省関係においては、農林大臣はただいま申しました食糧事務所に対して考える。私は、今日の食糧検査なんか農協に委託してもいいじゃないか、こういうことも考える。こういうことに対しては、農林大臣はこの間も、これに対して考えているのだと新聞記者に対談をいたされておりました。農林大臣がそういう決意であるということでありますので、非常に期待を申し上げます。
 さらに私が申し上げたいことは、今日の農林省の機構の中に、農林水産省設置法の中に、地方農政局というのがある。この「地方農政局」の中の第三十六条に、「地方農政局は、本省の所掌事務のうち、左に掲げる事務を分掌する。」ということになって、一から十九まで、いろいろやらなくちゃいけないことが書いてあります。私は、これを一から十九まで読みまして、果たしてこういうようなことをやるための地方農政局が必要であるかどうかさえも疑わなくちゃいけない。現在、農林省は直接事務的には各県庁といろいろ話をされ、指示されておる。農政局があるがために煩瑣なところを通っていかなければならない。書類もそこを通らなくちゃいけない不便さがある。地方では、各県庁あたりでは、農政局はない方がいい、農林省から直接の指導の方がいい、農林省直接の指示がいいと言っているところが多いのです。こういうときに、この地方農政局の必要があるかどうであるか、これは私は非常に検討しなければいけない問題ではないかと思う。私は必要ないと思う。ほかの地方では知りませんが、私は九州でございますが、九州農政局のごときは私は必要ないと思う。必要ないどころか、かえって弊害があることを私は知っている。弊害をたくさん知っておりますから、機会があったら申し上げてもいいけれども、こういう問題はひとつ再検討されたらどうかと私は思う。そして事務の簡素化を図る、あるいはこういうことによって人件費等も相当節約できるのじゃないか。果たして地方農政局が必要であるかどうか、こういう点を私は疑いを持っておりますが、これに対してはどういうようなお考えを持っていらっしゃるか。私は、これは必要ない、かえって弊害があるところさえもある。こういうことを申し上げながら、これに対する大臣のお考えを承りたい。
#191
○武藤国務大臣 私ども、これからのビジョンを打ち出してまいります上においては、適地適産の考え方なども相当強く打ち出していきたいと考えておるわけでございます。また、水田利用再編対策も、それとの絡みで転作の定着をお願いをしたいと思っておるわけでございます。
 先ほど、米をつくるなということは大変酷なことであるという先生の御指摘は、そのとおりだと思います。しかし、私は、ただ米をつくるなということだけではなくて、やはり需要に見合った形で生産というものをしていかなければいけないのだから、ぜひ需要のあるものをつくっていただきたい、こういうお願いをしたいと思っているわけでございます。そういう点からまいりますと、それぞれ地域地域には特性がございますので、なかなか農林省が直接やるわけにもまいりませんし、やはり各県が直接やっていただくというわけにもまいらない場合もあるわけでございまして、われわれの出先でよくその地域の実情をしっかり把握をしながら、いろいろとあちらこちらへこちらの考え方を伝えていただくなり、あるいはまた、それぞれの地域の実情をわれわれにしっかり伝えてくれるという意味において、農政局というものの存在は必要である。大変、先生のお言葉を返すようでございますけれども、私は、少なくともそういう意味においては存在意義がある、こういまは判断いたしておりますので、いまここで農政局を廃止するというような意向は全く持っていないということを、どうも大変恐縮でございますけれども、はっきり申し上げておくわけでございます。
#192
○稲富委員 もちろん農林大臣としてはそうおっしゃらなくちゃしようがないだろうと思うのですが、これは十分検討する必要がある、私はかように考えております。これは、事務の簡素化その他の問題で、また機会を譲りますが、私は検討する必要があるということだけは申し上げたいと思います。時間がありませんので、いろいろ聞きたいことがありますけれども、はしょって要点だけを申し上げます。
 次に、ただいまも関連のありました問題が、水田利用再編対策の問題でございます。この問題につきましても、いまの減反と同時に水田再編対策に対しては、もっと政府が積極的な指導というものをやらなければいけないのじゃないか。それがために、今日水田再編対策と言われながら、これを受けて立った農民は戸惑いをしているのですよ。これに対しては、適地適作とおっしゃるが、やはり指導をやらなければいけない。ことし野菜が非常に値上がりして問題になっている。つくらないからなんですよ。もちろん天候のぐあいもありました。こういう問題に対して十分政府が指導をやっておったならば、今日野菜が高騰するようなことも来ないで済んだと私は思うのです。この点は指導体制に非常に欠けるところがあったのではないかということを、私はこの際強く申し上げます。そうして、このことに対しては、十分今後これを生かして、農民が希望を持ってやらなければ、またこれも、何でもほっておいたら今度は野菜をたくさんつくる。野菜が今度は安くなってしまって市場まで運ぶ費用さえも足らないことになりますので、これこそ適地適作によるこういうような指導というものを強力に進めて、計画生産をやる、こういうことに立ち向かわなくちゃいけないと思います。こういうことに対しましては政府は十分積極的にやっていただきたいということを思うわけでございます。
 さらにその次に、これと関連しまして私がお尋ねしたいのは、今日の農村課税の問題でございます。御承知のとおり、農業というものは家族労働でございます。家族労働でありますがために、これに対する相続税その他に対しては、最近いろいろ政府として考えておることは知っています。しかしながら、農業というものは家族経営であるという念頭に立ちますならば、今日、相続税の問題に対しましても、その継承者が困らないような相続税をつくること、さらにまた、家族経営をやっている細君に主人が金をやれば贈与税を取られる、こういうようなことは、現在の日本の家族制度からできた農業経営というものに対しては矛盾ではないか。これは大蔵省に聞きたいけれども、農林省は農林省の立場としてそれを考えながら、強く大蔵省にこれを要望する、こういうことにひとつ考えたらどうかと思います。この点に対する大臣の考え方を承りたいと思います。
#193
○武藤国務大臣 この間、民法の審議会でも、今後の相続のあり方に対しましてのいろいろな議論がなされておりまして、妻の座を優遇するとあわせて、やはり後継者のために特別の寄与分についてはできるだけ配慮するようにということが、審議会の答申にたしかあったと私は記憶いたしておるわけでございますが、これなどは、いま御指摘のような相続税の問題とは直接は関係はないかもしれませんけれども、非常に農業の後継者にとってはいい方向に行くのではなかろうかと思っております。相続税の問題は私は所管ではございませんので、私からこうだということは申し上げることはいかがかと思いますけれども、私ども農林水産省の立場からいたしますれば、従来も長い間農業を継続してやってくれる人には特別の配慮をするようなものもすでに税制上あるわけでございまして、今後より一層農業の相続という面に当たりましては、税制面においても後継者が優遇されるような方向に行くのが大変望ましいと考えておるわけでございます。
#194
○稲富委員 もちろんこの問題は大蔵省の所管ということは知っておりますけれども、大蔵省へ言うと長くなりますので、農林大臣に要望して、農林大臣から大蔵省に強く要望してもらおう、こういう意味で、私はあなたに、この問題もあるいは酒税法の問題も特に要望したわけでございますので、そういう点を、農林大臣の立場から、農政をつかさどる者の立場から、大蔵省に対して強く要望していただきたい、私はこういうことを希望申し上げておるわけでございます。
 時間がありませんので最後に、一つは、エネルギー対策の問題でございます。エネルギー源を持たない日本は、このエネルギー対策というものが非常に困難でございます。これがためには、御承知のようにかつてわが国には水力電気というものが非常に盛んだった。だんだん水力電気がなくなって、そして今日は火力電気がふえている。雨量は昔とちっとも変わりません。これは、森林が伐採等で非常に衰えたのが原因である。かつては水があった川にもう水がないようになった。こういう点から、私は、エネルギー対策の水力電気をつくるという意味からも森林対策というものを十分やらなくてはいけないじゃないかというのが一つ。
 さらにまた、今日、植物から出てくる油、この間新聞等を見ますと、ユーカリから油が出る、これは自動車を動かすことができると言っております。ユーカリは御承知のように非常に成長の早いものなんです。もちろん風には弱いということは知っておりますけれども、成長の早いユーカリでございます。将来、対策としてこのユーカリなんかを植えるということ。さらには、やはりエネルギーの対策としてクスを栽培する。これも燃料になります。こういうようなことに対して、ひとつ積極的な手をおやりになったらどうであるか、こういうことも考える。森林を十分発展せしめること、さらに燃料資源としてのユーカリ、クス等を栽培することに積極的な努力をやるということが必要じゃないか、 こういう点を特に申し上げます。どうでございますか。
#195
○須藤政府委員 お答えいたします。
 ただいま先生御指摘のとおり、やはりダムだけではだめなわけでありますから、ダムの上流地帯の森林資源の整備ということは力を入れて今後やっていく必要があるというふうに考えております。
 なお、木材からとれます油についてでございますが、たとえばユーカリという木がございますが、これは生体重で大体一%前後の揮発性の油がとれるということでございまして、石油代替エネルギーとしての利用可能性があるという報告がございますけれども、ユーカリが順調に成長したとしましても、油の収量が少量でございまして、経済性、抽出方法、あるいは用途等、今後検討を要する課題が多いというふうに聞いております。
 なお、わが国におきますユーカリ類によります森林の造成でございますが、かつて林業的利用という観点から植栽されたものはございますけれども、その生育状況は、土壌条件等からくる成長不良あるいは風による折損等で失敗した実例が多いわけでございまして、わが国の山地気象、土壌条件等から見て、その推進はかなり困難を伴うものと考えられますけれども、今後、いま申し上げました点及び育成技術等の進展等を見ながら、さらに検討を進めていきたいというふうに考えております。
#196
○稲富委員 最後に漁業問題についてお尋ねします。
 御承知のとおり、日ソ漁業の問題でありますが、これに対しましては、最近におきましてもソビエトより、サケ・マスの交渉に対して日本の国際的な態度によっては何とか考慮するというような話もあったということも新聞には載せております。元来、今日まで三陸沖におきまするソビエト漁船団の不法漁業で、日本の漁民その他は相当な被害をこうむっている。これに対しても、われわれはしばしば政府に対してその損害補償を要求しろということを言ってきた。しかしながら、この結果はどうなっているか聞きません。しばしば交渉されたということは聞いておりますけれども、補償を受けたということは聞いてない。こういうことは、私は、国際的な道義の上からいっても、主張すべきものは堂々と主張して、そして、わが国の漁場を荒らされたとかいうような被害、こういうことに対しては、大いに主張すると同時に、今日、国際情勢の問題をもってサケ・マス漁業交渉にさえも支障を来す、こういうことがあるとするならば、これに対してわが国はどういうような漁業に対する態度をもって進むか、こういうことに対する政府の見解を承って、私の質問を終わりたいと思います。その点、日ソ漁業交渉の将来に対して、そういう点を含みながらひとつお考えを承りたいと思うのでございます。
#197
○武藤国務大臣 もちろん、私ども漁業外交を展開していく上においては、何も卑屈になる必要はないと思っております。
 そこで、いま先生の御指摘でございますが、漁業の被害については、実は最近、初めてソ連から補償をするという通知がございました。ただ、金額的には、私どもの要求から見ると微々たるものでございますけれども、たしか四万八千円という数字でございます。いままでは全くそういうことがなかったわけでございますけれども、最近わずかな金額ではございますが、一応補償に応ずるということを言ってきております。
 それから北洋漁業における今後の私どもの考え方でございますが、とにかく現在までの歴史、伝統というものはよく承知をいたしておりますので、この北洋漁業の維持が十分なされるように、私どもは今後とも一層の努力を続けていかなければならないと考えております。
#198
○稲富委員 では、私はもう質問を終わりますが、ただ、最後に、かつて私はソビエト大使館に行ったことがありますが、日本近海における従来の不法漁業に対しては、ソビエトは既得権だと言われる。われわれ、既得権というのは、北洋漁業は日本人が開拓した漁場で、これこそ既得権だ、日本人の持っておる既得権は損壊しておきながら、自分たちが不法漁業するのは既得権だと言う。これも大きな矛盾があると思う。こういう点も十分考慮の中に入れながら、道義的な解決のためには全力を尽くしていただきたいということを最後に希望を申し述べまして、私の質問を終わることにいたします。
#199
○内海委員長 次回は、明二十日水曜日午前九時四十五分理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時三十三分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト