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1979/03/04 第91回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第091回国会 農林水産委員会 第6号
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1979/03/04 第91回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第091回国会 農林水産委員会 第6号

#1
第091回国会 農林水産委員会 第6号
昭和五十五年三月四日(火曜日)
    午前十時三十四分開議
 出席委員
   委員長 内海 英男君
   理事 片岡 清一君 理事 津島 雄二君
   理事 羽田  孜君 理事 山崎平八郎君
   理事 柴田 健治君 理事 芳賀  貢君
   理事 和田 一郎君 理事 津川 武一君
   理事 稲富 稜人君
      小里 貞利君    菊池福治郎君
      佐藤  隆君    田名部匡省君
      高橋 辰夫君    西田  司君
      福島 譲二君    小川 国彦君
      角屋堅次郎君    新村 源雄君
      馬場  昇君    細谷 昭雄君
      本郷 公威君    瀬野栄次郎君
      武田 一夫君    中林 佳子君
      神田  厚君
 出席国務大臣
        農林水産大臣  武藤 嘉文君
 出席政府委員
        農林水産政務次
        官       近藤 鉄雄君
        農林水産大臣官
        房長      渡邊 五郎君
        農林水産省構造
        改善局長    杉山 克己君
        水産庁長官   今村 宣夫君
 委員外の出席者
        厚生省年金局企
        画課長     長尾 立子君
        農林水産委員会
        調査室長    小沼  勇君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月一日
 辞任         補欠選任
  松本 善明君     中川利三郎君
同月三日
 辞任         補欠選任
  中川利三郎君     松本 善明君
同月四日
 辞任         補欠選任
  根本龍太郎君     小里 貞利君
  福家 俊一君     田名部匡省君
  松澤 雄藏君     高橋 辰夫君
  本郷 公威君     安井 吉典君
  瀬野栄次郎君     西中  清君
  中林 佳子君     中川利三郎君
同日
 辞任         補欠選任
  小里 貞利君     根本龍太郎君
  田名部匡省君     福家 俊一君
  高橋 辰夫君     松澤 雄藏君
  安井 吉典君     本郷 公威君
  西中  清君     瀬野栄次郎君
  中川利三郎君     中林 佳子君
    ―――――――――――――
三月四日
 農業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第五五号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 農業者年金基金法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第四六号)
     ――――◇―――――
#2
○内海委員長 これより会議を開きます。
 農業者年金基金法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。角屋堅次郎君。
#3
○角屋委員 きょうから農業者年金基金法の一部改正の法案の審議に入るわけでありますが、まず、社会党を代表して冒頭私から、主として重要な問題については武藤農林水産大臣にお伺いをいたしたいと思います。
 御案内のとおり、農業者年金基金法は、いまから十年前の昭和四十五年、第六十三国会に法案が提出をされまして、その当時社会党からは、ここにおられる芳賀さんの方から、党の対案として農民年金法案を出しながら真剣な議論が展開されたわけでございまして、これはかねて国民年金が生まれた以降におきましても、農林漁業者の社会保障問題ということについては、わが党のサイドでも、また他の党の場合もそうでありましょうが、その労苦に報いるような社会保障の充実をやらなければならぬという気持ちがありましたところに、ちょうど昭和四十二年の一月の解散総選挙の際に、もう亡くなられましたが当時の佐藤総理が、農業者にも年金をということを公約として国民に呼びかけられたのが契機になりまして、ちょうど武藤農林水産大臣はその選挙で初当選をされたのだというふうに承知をいたしておりますが、それを契機に、農林省にも研究会が持たれる、また厚生省の国民年金審議会にも専門部会が持たれるということで、検討がなされまして、成案を得て、第六十三国会の昭和四十五年三月に法案が出されてくるという形に相なったわけでございます。
 政府案の方は言うまでもなく構造政策の方にウエートを置き、当時の社会党案は農業者の老後保障にウエートを置くというところにそれぞれの特色があったわけでございます。法案が一部修正で通ります際に、私が自民、社会、公明、民社の四党を代表して附帯決議を提案した経緯もございます。自来今日まで、昭和四十九年、昭和五十一年、昭和五十二年、昭和五十三年、昭和五十四年と、五回にわたる改正が行われ、今回の六回目の修正案が出るという経緯にございます。
 そこで、当初にお伺いしたいわけでありますが、大平内閣は、昭和五十四年八月十日に御案内のとおり新経済社会七カ年計画というものを閣議決定をされて、日本型福祉社会の建設といったようなことを言っておられるわけですが、最近の経緯を見ますと、与野党の新年度予算の折衝を見ましても、やはり国民的な世論を背景にして、福祉の後退を許さない、もっと充実をしなければならぬといったような形で、修正の話し合いがようやくまとまったという経緯もございます。それはともかくとして、十年前に発足いたしました当時の保険設計上、あるいは当時想定いたしましたことと、五回の修正を経て今日実績が出てまいっておるわけでありますけれども、その間において、当初の想定と実績との間にはいろいろ差異が生じてきておることは御案内のとおりでございます。この際、それらの点について、まず農林大臣からお答えを願いたいと思います。
#4
○武藤国務大臣 この農業者年金が発足いたしました経緯は、先生御指摘のとおりのような経緯から生まれたわけでございますが、それから十年経過をして、そのときに考えておったものと現在とを比べてどんな状態になっておるかということでございます。
 私どもは、いまお話もございましたけれども、農業者年金というのは、農業者の老後の生活の安定に資するということもございますが、それはそれとして、経営の若返りというか、あるいは農業経営の規模の拡大というか、そういうところを重点に置いた政策年金であると考えておるわけでございます。
 そこで、五十一年から今日までの実態でございますが、いま申し上げました経営規模の拡大の関係の経営移譲年金の給付でございますけれども、五十一年度から発足いたしまして、こちらは当初の見込みを上回る経営移譲が行われておると判断をいたしております。そして、その経営移譲の主体はあくまで後継者への移譲でございまして、それが多いことは当然でございますが、第三者への移譲については、後継者のいない場合に限られているわけでございまして、おのずからこれは限度が、何といいますか、実績においても後継者に移譲しておるのと比べれば大変少ないわけでございます。
 それから、老後の生活の安定にも寄与しておるという点においては、年金給付の額の物価スライド制が四十九年度から導入されましたこともございまして、わりあいにその方向においては定着をしてきておるのではなかろうかと考えております。しかし現実には、発足当初は大体一〇〇%の加入を予定をしておったようでございまして、そういう点からいけば、現在はまだ八〇%程度の加入しかございません。その意味においては見込みよりも下回っておるということになろうかと思います。そういう点においては、私どもは今後一層何とかいろいろな制度の改善を図りながら加入の促進をしていかなければいかぬ、こう考えておるわけでございます。
#5
○角屋委員 いま大臣お答えのように、十年間の農業者年金発足以来の経過の中で、昭和五十一年から経営移譲年金の支給が始まる、来年の二月から老齢年金の支給が開始をされていく、そういう点では一応法制にのっとった事柄がすでに実施をされ、これから滑り出そうとする。さらに、今回の改正を通じて、発足当初に例の五十五歳以上の者には被保険者としてこれを対象にしない。戦前、戦中を通じて長年苦労したこれらの方々に対して、政府の提案からすれば、第三者移譲という場合には離農給付金をあげよう、これは二段階ございましたけれども、その他のものも含めてそういう制度が十年実施をされてきて、後ほどまた触れますけれども、今回引き続き内容の手直しをして、十年間の再度延長をやるということに相なるわけであります。そういう点では、一応農業者年金基金の体制としては予定どおり進んできておるように見えますけれども、これまで法制定当時、五回の改正を通じて絶えず議論の焦点の一つになりましたのは、当然加入、任意加入も含めた農業者年金の母集団の問題、あるいはそれに対する当然加入、任意加入等の加入率の問題、こういうことが幾たびとなく議論されてまいったわけでございます。
 今日、農業者年金の実際の加入状況を見てまいりますと、農林水産省の資料にもありますように、昭和四十五年の一−三月の数字から始まっておりますが、五十年の百十六万四千をピークにして、五十一年が百十三万二千、五十二年が百十二万五千、五十三年が百十一万、五十四年の十二月が百九万九千と、いわば五十年の百十六万をピークにいたしまして、それ以降漸減の傾向を示してきておる。政府としては、この保険設計の際に二百万を当初対象に考え、その後保険設計としては百六十五万を想定して今日に来ておるわけでありますけれども、一応現在の法体制のもとにおいて農業者年金の母集団、あるいは加入資格者と言ってもいいかと思いますが、そういうものを展望してまいりますと、これから十年の段階の中でどういうふうになっていくのだろう。いわゆる百十万台のものが、加入の努力その他も含めてこれから上向きにいくのか、あるいは減少傾向にいくのかということを考えてまいりますと、場合によっては五十年以降においては百万台がさらに減った形の中で、数年後には百万を割っていく。これから十年後の六十五年を見る場合には、九十万を割るということにも相なるのじゃないかという想定も考えられるわけであります。そうしますと、せっかく生まれました農業者年金十年の今日において、これから十年後を展望いたしますと、附帯決議でわれわれが強く求めておるような、新たな加入ですそ野を広げていくという方途をとればもちろん問題は変わってまいりますけれども、いまの法制度の前提条件から見ますと、百万を早晩割って、十年後には九十万台に相なっていく可能性もあるのではないか。そうなりますと、経営移譲年金はすでに滑り出しておる、それに老齢年金も来年から始まっていく。農業者年金の将来を考えてまいりますと、産後の肥立ちで健全にすくすく成長していくのではなしに、産後の肥立ちの後の成長が案ぜられるというふうな感もなきにしもあらずであります。
 この際、加入資格者の問題について、当初は二百万を想定し、年金の再計算の過程で百六十五万ということで、その後変更はいたしておりませんけれども、来年は再計算期に入るわけでありますが、いま私の述べたこれからの判断というのはそういう方向にいくのであるか、そうでなくて、これからわれわれが附帯決議等で注文しているいわゆる加入者のすそ野も広げながら安定した農業者年金の加入者体制をつくっていくということになっていくのか、それら再計算を迎えるに当たっての考え方についてお伺いをしたいと思います。
#6
○杉山(克)政府委員 この制度、まだ発足して日が浅いこともありまして、幾つか当初に想定した事柄や実態等が食い違ってきているということがございます。その最たるものの一つが、いま先生御指摘になりました加入者の人数、すでに当初想定いたしました二百万人が、現在採用しておりますところの前回の再計算で見込んだ人員は百六十五万人ということになっております。実際の加入者はこれに対して約百十万人という実情にございます。これがこの先どうなっていくかということになりますと、やはり母集団ともいうべき農家戸数、特にその中でも専業農家、中核的な農家の数というものは相当大幅にいままでも減ってまいっておりますし、これからも相当程度減るのではないかというふうに考えられます。ただ、私どもといたしましては、現在の制度のもとでもまだ未加入のさらに加入を要請すべき対象もかなりあるということもありまして、母集団そのものは減っていく中で加入増加の努力もいたすということを考えているわけでございます。今後ともある程度減るのではないか、その見方も、先生が言われたような、見方によっては相当大幅に減るということも考えられますが、私どもは、減るにいたしましても従来ほどには減らない、それほど大幅な減少はないように、この保除自体の安定的な運用を考えていく上で、努力して維持を図ってまいりたいというふうに考えております。
#7
○角屋委員 恐らく来年の再計算期には、いま局長からの答弁のあった百六十五万人というのは百三十五万人台に修正をするんじゃないですか、いかがですか。
#8
○杉山(克)政府委員 現在、就業人口の見通しにつきましては農政審議会でいろいろ御検討願っております。百六十五万人の数字は、これは修正せざるを得ないと考えておりますが、どのくらいかということについては、なお今日ここで明らかにするような段階には至っておりません。
#9
○角屋委員 昨年、当時の担当の大場局長が野坂委員等との質疑応答の中で、これは五十四年五月九日の農林水産委員会のやりとりの中でも、加入資格を持っておる対象について、私がいまやりとりしておるような形以上の積極的な見通しを述べた経緯がございます。私は、ここで深くそれに触れようと思いませんけれども、やはり年金の設計上は、一応想定される最近時の確実なものに基づいて設計をしなければならぬということでございますから、先ほど来申しておりますように、われわれが言っておる年金のすそ野を拡大をするということになればまた別でありますけれども、いまの法体制上からいたしますと、率直に言って、二百万から百六十五万に、それは恐らく来年の再計算期には百三十五万台に修正せざるを得ないというふうな考え方に数字上で想定されるわけでありまして、局長からも、修正せざるを得ないがいまのところ農政審議会の審議その他も含めて数字はこれから固めるということでありますから、これ以上中身に入ることについては次の機会に譲りたいと思います。
 そこで、一つは保険に加入する母集団の将来展望がどうかということについてはお聞きしたわけでありますけれども、次は、農業者年金基金の保険財政の現状と今後の展望はどうかという問題に触れざるを得ないわけであります。これは当然来年の再計算問題とも絡んで、その問題に次に触れたいと思います。
 御案内のとおり、法制定以来十年の間には、物価スライド制の導入ということもやってきた、あるいはまた後継者等についていろいろ手を打ってきた、あるいはまた、いわゆる経営移譲について、いわゆる所有権の移転のみならず利用権の設定というふうに、経営移譲のやりやすい形に法改正をやった等々のこともあって、一方では責任準備金で積み立てるべきもの、あるいは他方においては当期の欠損金あるいは繰り越しの欠損金といった借方の関係、こういう問題も含めて、いわゆる保険設計上当初の見込みと再計算の段階の見直しという点ではいろいろ変化を生ずることは御案内のとおりであります。
 そこで、現在積み立て不足といったようなものはどういう状況になっておるのか、あるいはそういった中でいわゆる物価スライド制によるところの積み立て不足というものがどの程度生じてきておるのか。御案内のとおり、物価スライド改定は、五十二年度に一・〇九四、五十三年度に一・〇六七、五十四年度に一・〇三四、五十五年度は見込み数字でありますけれども一・〇四七、こういうことで行われてきたし、これから行っていこうとしておるわけであります。こういった物価スライドの中で、いま手元でわかっておる数字に基づいてで結構でありますけれども、現在積み立て不足がどういう状況にあるのか、そういった中で物価スライドによる積み立ての不足はどの程度であるか、それを明らかにしてもらいたいと思います。
#10
○杉山(克)政府委員 今日の時点で決算が明らかになっているのは五十三年度の分でございます。これを申し上げますと、借方と貸方との差額、これが繰越欠損金と当期欠損金ということになるわけでございますが、この二つがいわば積み立て不足ということになると存じます。この額は五十三年度決算上二千五十億円ということになります。このうち、年金額の物価スライドで給付を引き上げた分に見合って保険料を引き上げておればその分は生じなかったわけでございますが、保険料の引き上げがおくれているということのために生じた分が幾らかといいますと、これは約千四百億円ということになります。ただ、保険料につきましては、御案内のとおり五十四年度にその改定を行っております。従来のおくれを、時期的にはおくれたわけでございますが、率的には取り返したということで、全体として欠損金は七百億円程度減少することになるという状況になっております。
#11
○角屋委員 まだ今日、老齢年金は来年から支給に入る、経営移譲年金も五十一年から始まったという段階である。したがって、今日の時点で直ちに非常な危険信号であるということは実感としてはなかろうと思いますけれども、しからば、五十年代の後半あるいは六十年代にかけてというふうな今後の状況を考えてまいりますと、さっき一つ言いました加入対象者が一体どうなっていくのか、受給者はどんどん増加をしていく、しかし、農民負担から考えて保険料を余り上げていくわけにもいかない、逆に言うならば、国庫の負担等についてさらにこれを考えていかなければならぬ、こういう全体の調和の中でこれから運営をされていくということになるだろうと思います。
 そこで、農業者年金制度の将来財政というものを考えてまいりますと、いま言いましたように加入者が減っていく傾向を考えなければならぬ。経営移譲の移譲率についても、当初四〇%を想定したけれども、先ほど言った後継者移譲の条件を緩和したことによって、今日経営移譲は四〇%の想定が二倍の八〇%ということになる。これは優遇の資金が出るわけですから、それだけ支出は多くなる。さらに、来年老齢者年金の開始等も含め、また、年々五%以上であろうと五%以下であろうと、スライド制はやはり取り入れていくという考え方は当然のことでありますけれども、そういうことも含めて考えてまいりますと、将来の農業者年金の財政については問題がいずれ生じてくる。そうであるとするならば、前からも議論されておりますけれども、いまの農業者年金制度のいわゆる財政上完全積立方式といったようなものについては、これはやはり検討して修正積立方式等に移行していくということを考えていかなければならぬのじゃないか。前々からもこういう議論は真剣になされてきたわけでありまして、たとえば渡辺前農林水産大臣の場合も、当時は農林大臣でございましたが、これらの問題については、何々方式というような法律上の用語を用いて私はどうだと断定はいたしかねますが、農業の実態という点から考えると、何かこれらのところは抜本的に一遍検討してみる必要があります、私はこう考えておりますという答弁をしておるわけで、要するにこれは考える必要がある、検討していかなければならぬ。当時出席をしておりました内村参考人等からも、年金財政の当時の状況から見て、これはやはり完全積立方式については再検討をしなければならぬ時期が近づいておる、そういう意味の考え方も表明されたわけでありますが、これらの問題について、まず、厚生省の方がおいでになっておりますので、この機会に、厚生年金あるいは国民年金、厚生年金の場合は該当条項は厚生年金保険法第八十一条四項、五項、六項といったようなところが大体該当してまいると承知しておりますが、国民年金の場合には国民年金法の四条二項、八十七条三項、四項、こういったところがこれらに関連する条項かと思いますけれども、こういった厚生年金、国民年金等の年金の財政方式といったものについて、国民、農業者年金も含めてひとつ御答弁を願いたいと思います。
#12
○長尾説明員 厚生年金の財政方式の方から御説明を申し上げます。
 厚生年金の財政方式は、いわゆる修正積立方式という方式をとっておるわけでございまして、ただいま先生から御指摘をいただきました条文に基づきまして実施をいたしておるわけでございます。こういった修正積立方式を厚生年金につきましてとっております考え方でございますが、厚生年金は現在のところ受給者の数が、俗に成熟化が進んでおらないと申しておりますが、まだ少ない段階でございます。現在、被保険者全体に対しまして老齢年金の受給者の比率は大体八%程度になっておるわけでございますが、将来の推移を考えてみますと、被保険者につきましては三割程度の増を見込むというふうに考えておるわけでございますが、受給者の方は大変急激に増加をいたしまして、老齢年金の受給者が被保険者に対しまして大体三五%ぐらいにはなるのではないかというふうに見込まれておるわけでございます。一方、必要な給付費でございますが、給付費の方は、一人当たりの年金額がふえるというような要素を加味いたしますために、八倍程度にふえるのではないかというふうに予想されておるわけでございます。
 こういうような状況のもとにおきまして、厚生年金の被保険者の方の世代間の負担の均衡ということを考えてまいりますと、いわゆる完全積立方式をとりまして平準保険料を負担していただくということが望ましいという考え方があるわけでございますけれども、一方、従来の保険料から急激に保険料を引き上げていくということは、現実の負担能力の面で問題があるということからいたしまして、冒頭に申し上げましたような修正積立方式、すなわち当面の保険料といたしましては平準保険料より低い水準といたしまして、そこで生じました積み立て不足を、将来被保険者が若干伸びてまいるわけでございますが、将来の被保険者の方に負担を願うという形で将来へ繰り延べるという方式をとっておるわけでございます。
 次に、国民年金でございますが、国民年金につきましては、御承知のように、十年年金というふうに言われておりますように、制度の発足のときに、一定年齢の方につきましては、本来の資格期間でございます二十五年を特例的に短縮いたしまして、大幅な成熟化対策をとったわけでございます。したがいまして、現在、厚生年金に比べますと制度の発足は大変おくれておったわけでございますが、成熟化状態は厚生年金よりもある意味で高いというような状況になっておりまして、先ほど厚生年金八%というふうに申し上げたわけでございますが、国民年金はすでに一八%、一九%近い成熟の状態にあるわけでございます。一方、給付のレベルにつきましては、四十年代の改正におきまして、厚生年金と均衡をとりまして、給付水準を大幅に引き上げてまいったわけでございますが、保険料の引き上げにつきましては、これに追いついた形での保険料の引き上げがなかなかできませんで、現実問題といたしましては、財政方式といたしまして修正積立方式という形にはなっておりますけれども、積立金につきましては、御承知のように給付費のほぼ一年分というような程度の積み立て状況にあるわけでございます。現在、国民年金の場合には、老齢年金受給者がやはり急速にふえておるわけでございますので、年々の収支を均衡させるという形で、五十一年以来保険料の引き上げスケジュールを設けまして、そのスケジュールに沿いまして段階的に引き上げていっておるわけでございます。
#13
○角屋委員 いま厚生省の担当課長の方から御答弁をいただきましたように、厚生年金保険法の場合これは修正積立方式をとる。国民年金法の場合も修正積立方秋をとる。これは厚生年金保険法で言えば、第八十一条の第六項のところで、「前項の保険料率は、その率が第四項の基準に適合するに至るまでの間、段階的に引き上げられるべきものとする。」こういう条項があるわけであります。国民年金法の場合は、第八十七条の第四項のところで、同じく「前項の保険料の額は、その額が第四条第二項〔保険料額の調整〕の基準に適合するに至るまでの間、段階的に引き上げられるべきものとする。」とあって、こういう関連の御答弁があったわけでございます。
 農業者年金基金法は、そういういま言ったような条項が法文上ないわけでありまして、先ほど来申しておりますような農業者年金の将来展望、年金財政といったような点から見ると、前々から議論されておる修正積立方式への移行というふうな検討が再計算を前にして真剣になされるべき時期に来ておる。保険料一つを見ましても、昭和四十六年一月から四十九年十二月までの間は七百五十円でございましたけれども、それが五十年時点で千六百五十円になり、五十二年時点で二千四百五十円になり、五十三年時点で二千八百七十円になり、五十四年時点で三千二百九十円になり、五〇十五年一月以降三千九百七十円、こういうことで、保険料も七百五十円から来年の一月になりますと三千九百七十円というふうに、実に五・三倍に引き上げられていく、こういう形等も考えて、今日の非常に困難な情勢下におきます農業者の負担というものの軽減その他を考えてまいりますと、いわゆる完全積立方式についても再検討して改めていく段階に来ているのじゃないか、こういうふうに判断をいたしているわけでありまして、渡辺前大臣も、これらの問題については真剣に検討しなければならぬということをおっしゃっておるわけでありますが、武藤農林水産大臣のお考えはいかがでございますか。
#14
○武藤国務大臣 いま御指摘の点は、確かに昨年の委員会の議論の中であったと承知をいたしておりますが、なかなかこれはむずかしいと思いますのは、やはり加入者の年齢構成が他の年金と比べて高いことは先生御承知のとおりでございます。
 それから、先ほど来議論がございましたように、将来ともどうも被保険者の数はふえるよりは減少の方向にあるのではないかというようなことを考えますと、それじゃ修正積立方式でいって、将来今度は給付の方がふえた場合にどうするかという問題があるわけでございまして、確かに保険料をどこまで農家が負担できるかという限度を将来ともに十分考えていかなければならないことは当然だと思います。そういう点において、果たしてこれは永久に完全積立方式でいけるかどうかという点については私も疑問があろうかと思いますが、現時点で考えた場合には、やはりまだ完全積立方式でいくべきではないか。特に、今後経営移譲の年金の給付が相当ふえていくという見込みが立てられる現在においては、完全積立方式を維持していかなければならないのではなかろうか。そういうことを申し上げますと、いやそれじゃ国庫負担でも多くして何とかカバーすればいいじゃないかという御議論が出てくるかと思うのでございますけれども、先生御承知のとおり、この農業者年金は、たとえば拠出するときに国が三割補助するという考え方はほかの年金にはないわけでございまして、その点は他の公的年金と性格的に非常に違うものを持っておる。確かに老後の保障というものもございますけれども、一面においては、農業政策として、構造政策として経営移譲を促進するという一面も持っておるわけでございまして、その点については一概に、公的年金がそれぞれ修正積立方式にかわってきたからこの年金もすぐ修正積立方式に切りかえるべきだということについては、私はなかなかそう簡単にはいかない点があるのではないかと思っております。しかし、昨年前大臣からそういう答弁があったことは承知をいたしておりまして、今後ともこの問題については検討を続けていきたい、こう考えておるわけでございます。
#15
○角屋委員 この問題は議論すれば重要な問題の一つでありますが、きょうはトップバッターでありますので、一応一通り問題点に触れていくということで、あと同僚議員の論議にさらにバトンタッチをしたいと思います。
 この際、ちょっと聞いておきたいのでありますが、昨年、御承知のとおり後継者の加入救済措置をとりました。これが五十四年十二月末までに申し入れをするということになっておる。この該当人数はどれだけになっておるか。あるいは五十三年度改正のときに時効救済措置をとったわけでありますが、この時効救済措置による加入者はどの程度の数字になっておるか。これを簡単にお答え願いたいと思います。
#16
○杉山(克)政府委員 後継者の加入救済措置によって新規加入となった者は七千六百十二人、それから時効救済措置によって新規加入者となった者は五万三千二百二十八人、両者合わせて約六万人ということでございます。
#17
○角屋委員 これは先ほど来の加入者の母集団の問題では、法改正を通じてプラスされた面ということに相なるわけであります。
 そこで、次にお伺いをしたいのは、今日経営移譲年金受給者が約十二万六千人あるわけでございますが、これが六十歳前に移譲して、そして六十歳から経営移譲年金をもらうという方もあるし、六十歳から六十四歳までの間に、後継者に移譲するか第三者に移譲するか、移譲して年金をもらうという場合もある。一体、十二万六千人のこれらの人たちの移譲時の年齢別構成というのはどういうふうになっておるかお答えを願いたいと思います。
#18
○杉山(克)政府委員 五十四年十二月末現在でこれを見ますと、移譲時の年齢が六十歳到達時である者が五万九千百九十二人、構成比で言いますと四六・三%。それから六十歳から六十一歳までの間、つまり六十歳代というのが四万九千八百八十一人、構成比で三九・〇%。それから六十一歳代が一万三千七十六人、構成比で一〇・二%。六十二歳代が四千九百三十三人、構成比で三・九%。六十三歳代というのは七百三十五人、〇・六%、こういうことになっております。
#19
○角屋委員 大体、比較的年金受給資格の当初に大多数の者が経営移譲をしておる。六十四歳に近いところでのパーセンテージは少ないということでございます。
 そこで、来年二月から支給開始になります老齢年金の受給権者、これは来年の場合大体一万ぐらいだというふうに想定しますけれども、この数は大体見込みとしてはいかがですか。
#20
○杉山(克)政府委員 私ども、約一万二千人と見込んでおります。
#21
○角屋委員 そこで、後ほど議論しますけれども、来年からいわゆる経営移譲年金とは相当段差のある老齢年金が支給されていく。これは大体一万二千人ぐらいになる。つまり経営移譲年金というのが、当初想定の四〇%から二倍の八〇%近く経営移譲が行われておるということと関連するわけでありますけれども、六十五歳までに経営移譲がなかなかできない――農林水産省あたりの担当のところで見ておって、どういう事情で経営移譲ができないのか。たとえばすぐの後継者がないというのもありましょう、その他いろいろな理由がありましょうけれども、経営移譲年金と老齢年金とでは給付に非常な差があるわけだけれども、それがなかなか経営移譲に至らない。そういった理由について大体どう見ておられるのか、これをお聞きしたい。
#22
○杉山(克)政府委員 六十歳を過ぎた者で経営移譲をしてない者、その理由については詳細な調査はございませんが、農業者年金基金で事例調査を行ったのがございます。これは五十三年でございます。これは件数は少ないのでございますが、総体百七件、百七人について調べましたところ、後継者が全くいないというのは十七人、後継者がいる場合というのは九十人あるわけでございます。したがって、後継者が全くいないというのは少なくて、後継者がいてもなかなか経営移譲ができないというのが多いわけでございます。また、後継者がいる場合の内訳を見てまいりますと、適格な後継者がいない、後継者は頭数としてはいることはいても、本当に自分が安心して任せられるような適格な後継者がいないというのが一番多くて三八・三%、それから自分で引き続き経営を行うというのが一四・〇%、それから自分の生活が不安になるというのが一二・一%、こんなところが大きゅうございまして、あと近く申請予定であるけれどもまだ手続が済んでないとか、そのほかがあるわけでございます。
#23
○角屋委員 次にお伺いしたいのは、現実に経営移譲年金の受給者は、先ほど来申しておりますように今日十二万六千人台あるわけでございますが、これらの経営移譲の姿というのを見ますというと、農林省の資料で見てもわかりますように、後継者移譲が圧倒的に多くて九二・八%、第三者移譲等はその他の残りということになるわけであります。
 そこで、時間の関係もありまして、ここで年金加入者の面積別構成というものについてお答えを願うという時間的ゆとりがありませんから、その御質問は控えますけれども、ただ、その数字を見てまいりますと、たとえば五十三事業年度末現在で加入者百十万二百三十九人のうちで、後継者というのが任意加入でおるわけでありますが、これが二十一万六千六百四十五人。これは後継者でありますから面積はまだゼロでありますが、この中身を面積別に見てまいりますと、一ヘクタールから一・五ヘクタールのところが一番多くて、〇・七ヘクタールから一ヘクタールのところがその次で、〇・五ヘクタールから〇・七ヘクタールのところがその次、一・五ヘクタールから二ヘクタールのところが第四番目といったような形で人数の分布がなされておるわけでありますが、こういった加入者の面積別構成の中で経営規模の必ずしも大きくない者、そういう者も含めて大体パラレルに九二・八%が後継者に移譲するという形に相なろうかと推定されます。これはこのこと自身農業政策上あるいは農業経営上、中核的な農家が健全に農村に存在をする、御年輩の方から若い後継者にということは、このこと自身はそれで議論はないわけでありますけれども、農林水産省が願っておる、従来も四苦八苦し、今次国会にもいわゆる農地法制の改正をあるいは独立立法等を出そうとする考え方からいけば、言うまでもなく中核農家に借地農業であれ農地を集積したい。これはいわゆる農業者年金加入者の母集団との関係でどうなるかということも関連するわけでありますけれども、きょうはここでそういう議論をしようとは思いませんが、いずれにしても、今日の経営移譲年金の受給者の中身、つまり後継者移譲と第三者移譲との対比、こういうものを農林省としてどう判断をしておられるのか、この点をお伺いしたいと思います。
#24
○杉山(克)政府委員 わが国の家族制度、それから農家の経営事情その他考えますと、やはり今後とも後継者移譲というのが大多数中心にならざるを得ないと考えております。ただ、後継者移譲も規模拡大という直接的な効果は確かにございませんが、経営の細分化を防止するという意味では消極的な規模拡大に貢献しているという点はあるわけでございます。若返りの効果は先生御指摘のとおりでございます。
 それから、第三者に移譲して、その第三者が経営規模を拡大していくということが望ましいわけでございまして、この点については、少ないながら件数は出てまいっておりますのと、今後ともこれをほかの総合的な政策との絡みにおいてさらに推進してまいりたいと考えておるわけでございます。
 第三者移譲が行われましたものの経営規模の推移を見てまいりますと、経営規模が拡大するのは当然でございますが、その程度は、これは都府県の平均でございますが、五十二年三月の数字で、譲り受け前が一・三二ヘクタールであったものが、譲り受け後は一・七八ヘクタールになっている。それから北海道におきましては、前に九・四ヘクタールであったものが後に十二・六ヘクタールになっているということで、かなりもともとある程度の経営規模を持っておったものがさらに相当規模の拡大を果たしているという事例といいますか、実績が見られるわけでございます。
#25
○角屋委員 次に、これは現行の法体系のもとにおいて、わが党が提案した農民年金法案と基本的に違う問題で、従来からも議論されてまいりました点で、いわゆる経営移譲年金と、来年の二月以降支給されていく六十五歳以上の老齢年金の支給額というものが、やはり現実に非常な差を生じておる。これは大変な問題ではないか。いろいろな事情によって、六十歳から六十五歳までに経営移譲したい、後継者が、息子が不幸にして亡くなったりして孫に後バトンタッチをしなければならぬというものもありましょうし、私はいろいろな形があろうと思います。いずれにしても、六十歳から六十四歳までに支給する者と、さらに農業を続けていって六十五歳から老齢年金をもらう者、この差が非常にあるということは問題でありまして、わが党は、一昨年の段階でも昨年の段階でも、またことしもそういたそうと考えておりますが、要するに、来年の二月から支給されていく農業者老齢年金については支給額を倍にしてはどうかということを提起してまいりました。
 私は、この機会に数字に基づいてお尋ねをしたいわけでありますが、いわゆる六十歳から七十五歳までということを前提にして、経営移譲して年金をもらう者と、経営移譲しなくて六十五歳から老齢年金をもらう者との、七十五歳まで生きてもらうとして総受給額の比較を、五年、十年あるいは十五年、二十年で対比をしてみますと、五年の場合、移譲した者の受給額は総額として二百九十四万七千円。六十歳から六十四歳までに経営移譲年金としてもらう分が百九十七万二千円、六十五歳から一割経営移譲の分がもらえるわけですから、これが四十三万三千円、それにプラス六十五歳からの農業者老齢年金分もいただくわけですから、これが五十四万二千円、これらを合計して、移譲した場合の七十五歳までのもらう金額としては二百九十四万七千円ということになる。これに対して、移譲しなくて六十五歳からもらう方については五十四万二千円だけである。そうしますと、差額において二百四十万五千円という差が出て、これらのもらう金額の対比は五・四倍の差があるということに五年の場合なる。
 時間もありませんから、十年の場合に例をとりますれば、移譲した者の受給額は四百二十九万三千円総額としてもらえる。この内訳は、経営移譲年金六十歳から六十四歳まで二百六十二万九千円、六十五歳からの分として経営移譲の一割分が五十七万九千円、農業者老齢年金も六十五歳からもらえますから、これが百八万五千円、締めて四百二十九万三千円に対して、六十五歳から移譲しないでもらう人についてはわずかに百八万五千円である。差額は三百二十万八千円になる。その倍率は四倍である。こういう数字に相なるわけであります。
 これはそれぞれの時点で、法の提出されたとき、法改正のときに絶えず議論されてまいった問題でありますけれども、来年はいよいよこれまで掛金を納めた方々の最初の方が老齢年金をもらうわけであります。月に四千百八円と承知しております。これに対して、経営移譲年金は平均の数字も出ておりまして、深く触れませんけれども、いわゆるもらう総額として、五年の場合、十年の場合の六十歳から七十五歳までの、経営移譲した場合、しない場合の差は、五年の場合五・四倍、十年の場合四倍、差額については五年の場合二百四十万五千円、十年の場合三百二十万八千円、こういう大きな差があるわけであります。
 歴代の農林水産大臣は、当時は農林大臣といったこともありましたけれども、いや、これは政策的にそうしておるんだから、老齢年金についても考えなければならぬかもしらぬけれども、政策的な方にウエートを置くのでやむを得ないかのごとく言ってまいりました。しかし、現実にこれから若い世代の諸君に加入を勧めていくという場合に、長い一生の間にはあるいは後継者を失うことがあるかわからぬ。あるいは現実に後継者が得られるにしても、被用者年金に変わっていく場合で跡を継がないというケースがあるかもしれない。そうすれば、これからの農業者年金の将来展望からいけば、移譲した場合と移譲しない場合の大きな格差というものについては、若い世代の諸君に積極的に加入を勧める場合、内村さんが去年の段階でも、これからの農業の展望が明らかでない、後継者が得られるかどうかわからない、後継者が得られないで経営移譲ができない場合は、掛金プラス五分五厘の利子ぐらいであれば何ら意味がないといったようなことで、なかなか積極的に入ってこないといったようなことも、若い農村青年諸君に加入を勧めていくとぶち当たるということを言っておったわけであります。私は、いわゆる加入者の母集団の中から現実の加入率を高めていく、あるいは若い世代の諸君に加入を呼びかけていく場合に、経営移譲の場合はかくかくしかじかである、しかし不幸にして経営移譲できない場合でもなおかっこういうことを考えておるということが、これからやはり必要な政治的な配慮に相なってくるのではないかということを率直に思うのであります。
 わが党は、そういう考え方のもとにおいて、一昨年も昨年も、多くの修正点が考えられる中で、特にいわゆる老齢年金についての引き上げ、これは一挙に二倍であるか、あるいはとりあえずもう少し下げたところであるかというようなことは、意見としてはいろいろあろうかと思いますけれども、しかし、先ほど来の格差からいって、私は数字は申しませんけれども、二倍に上げても相当な差がございます。こういうことを含めて、老齢年金の問題については、来年からの支給を前にして積極的に考えるべきではないか。この点、局長がもう立とうとしておりますけれども、これは農林水産大臣の方からお答えを願いたいと思います。
#26
○武藤国務大臣 これは非常に基本的な問題ではなかろうかと私は思うのでございます。農業者年金という制度の性格そのものを、私どもの方は、先ほどから申し上げておりますように、経営移譲年金という形で、どちらかというとそちらにウエートを置いた政策年金的な考え方を強めておるわけでございます。しかし、一方においては、いま御指摘のように、まだ加入率が思ったようにはいっていない。そこで、それでは思い切って加入をさせるためには、老後の保障という性格をもっと強めて考えるべきではないかというのが御指摘ではなかろうかと思うのでございます。ただ、私どもの方は、それは国民年金というものがあるのでございますから、あくまで国民年金の補完的な意味で農業者老齢年金があるのでございますというのがいままでの農林水産省の考え方であったと私は思うのでございます。一体、将来しかしどうしていくかということについては、十分ひとつ検討しなければならない問題だと思います。ここでいま前向きにはお答えできませんけれども、農業者年金制度研究会というものも、任意の諮問機関といいますか、構造改善局長の諮問機関にあるわけでございますので、将来の問題としてはひとつ真剣にこれは考えさせていただきたいと思っております。
#27
○角屋委員 いままでの議論を踏まえ、さらにこれから委員会でも質疑が続けられてまいります、従来からの問題点であります農業に専従するいわゆる主婦あるいは後継者の配偶者といったような、婦人の加入を拡大していく問題、あるいは、社会党案には遺族年金というのはあるわけでございますけれども、やはり農業の持つ家族経営体としての特性といったようなものを考えながら、遺族年金の創設というものを積極的に進めていく必要がある。あるいはまた、これまででも取り上げられた特定後継者の要件緩和の問題、あるいは、先ほど私が言っておりますように、若い世代の諸君の加入を積極的に進めていくといったような問題、あるいはいま取り上げました老齢年金の引き上げ問題、これらに絡んで、保険設計上国庫助成等の引き上げ、完全積立方式の再検討といったような問題が問題としてはあるわけでありますが、こういう問題を含めて、今後の農業者年金の問題の制度改正の方向について基本的にどういうふうに考えておられるか、お答えを願いたいと思います。
#28
○武藤国務大臣 いま農業者老齢年金についてはお答えいたしましたが、それ以外にも、御指摘のように、いままで委員会のこの法律の改正ごとに附帯決議もなされておりまして、婦人加入の問題であるとか、遺族年金の創設の問題であるとか、いろいろと御指摘をいただいておるわけでございます。しかし、これも先ほど申し上げますように、この年金の性格の問題、基本的な問題に触れてくると私は思うのでございます。たとえば遺族年金というものは確かに厚生年金、共済年金ございます。しかし、これはあくまで老後の保障という観点からいけば、国民年金の補完的な性格であるということでありまして、それぞれ国民年金には個人の立場で夫も妻も加入しておるということでございまして、その辺は、厚生年金あるいは共済年金と非常に性格が違うと思います。あるいはまた、婦人の加入ということでございますけれども、これはやはり農業をやっていただいている方が対象でございまして、もし婦人の加入ということになれば、その婦人がいわゆる耕作する権利さえお持ちいただいておれば対象になるわけでございますけれども、実際農業をおやりになっていない場合にはやはりこれは問題があるということで、附帯決議をいただきながらも今日までそれがなかなか実現していない実態ではなかろうかと私は考えております。今後とも、そういう基本的な一つの問題につきましては引き続き、先ほども触れましたが、研究会において検討を続けてもらうようにしていきたい、こう考えておるわけでございます。
#29
○角屋委員 これらの問題も本法案の処理までの段階では同僚議員からさらに触れられると思いますので、今回の農業者年金基金法の一部を改正する法律案の改正点の問題について簡潔に触れたいと思います。
 第一点は、年金給付の額の改定措置でありまして、これは今度の国会に厚生年金保険法等の一部を改正する法律案というのが出されておりまして、これは社会労働委員会で審議がなされていくわけでありますけれども、それと関連して、農業者年金基金法の一部を改正する法律案の中で、これを受けて、第十条の二の二のところで、「国民年金法による老齢年金一老齢福祉年金を除く。一の額が改定される月分以後、」これは先ほど申しました法改正の中では、月は今年の七月ということに相なっておりまして、これがそのまま通りますれば、その「月分以後、政令で定めるところにより改定する。」こういう形において処理されるわけでございますが、これは改正点としては特に問題がないので、質疑については省略をいたしたいと思います。
 第二点の、離農給付金の内容を手直しをして、十年延長の問題でありますけれども、私が昨年本委員会で渡辺大臣に質疑をした中において、渡辺大臣は、離農年金のようなものあるいは経営譲渡年金のようなもの、これはまだ決まっておりませんけれども、こういうものも含めて積極的に検討を進めてまいりたいと思っております、こういった趣旨の答弁が含みにあったわけであります。今回この十年延長の問題を出すに当たって、答弁は簡潔で結構でありますけれども、そういうことを含めた検討の結果いまのような中身で手直しをして出すに至った考え方。それから、この機会に、今度は二段階の給付金が一括になりまして、従来百三十八万円、これは大正五年一月一日以前生まれの者、それから五十九万円、これは大正五年一月二日以降の生まれの者、こういう形で二段階になっておりましたのを、一括六十二万円ということにいたしておるわけでございますが、六十二万円にした算定の根拠。さらに、今回二段階制が一段階になったわけでございますが、しからば大正五年一月一日以前の者については当然今後とも対象に考えていくものだと思いますけれども、それはそう受け取っていいかどうか。あるいは離農の相手側の要件について今度変更したわけでありますが、これはどういう理由に基づいているか。こういった点について総括的にお答えを願いたいと思います。
#30
○杉山(克)政府委員 昨年の国会におきまして角屋先生と渡辺前大臣との間で質疑が行われた状況につきましては、私どももよく承知いたしております。離農年金の問題についても検討を進めたいということを確かに渡辺大臣は答弁いたしております。それらの検討を経ました結果、私ども、今回別途提出を予定しておりますところの農用地利用増進法及び農地法の一部改正、これらの農地法制についての改正と、今回この年金基金法の改正でお出ししております離農給付金のさらに十年間延長ということで、総合的な農業政策としての離農年金のことも検討の結果こうやって出してまいったわけでございます。その意味では十分その議論の経過も踏まえた結論であるということを申し上げておきたいと存じます。
 それから、大正五年一月一日以前の生まれの者は今後とも対象となるのかということでございますが、今回離農給付金制度の該当者は、ほかの厚生年金等に加入しているために農業者年金に加入資格がない者、つまり兼業者というのが主眼にはなっておりますけれども、大正五年一月一日以前に生まれた、いわゆる年齢制限があって農業者年金に加入できなかった者も今回の六十二万円の離農給付金の対象者として取り扱うということになっております。ただ、こういう年齢の方はすでに一万五千人の方が離農給付金の交付を受けておりますし、実際問題として絶対数は今後それほど多く出てくるというふうには考えておりません。
 それから、六十二万円の根拠はどうかということでございますが、従来の制度におきますところの離農給付金の単価は五十九万円でございます。これは農業用の残存資産、償却未済の資産の評価等も考慮いたして決めておった水準でございますが、それらも勘案いたしまして六十二万円といたしたところでございます。(角屋委員「相手方の問題」と呼ぶ)失礼いたしました。一つ答弁漏れがございました。
 今後構造政策を展開していく上で、安定兼業農家等の保有する農地を専業農家に集積していくということが一層重要な問題であると考えておるわけでございます。こうした方向により一層誘導するために、離農の相手方につきましても、直系卑属、それから面積規模等は被保険者に準ずるが、被用者年金に加入しているため農業者年金に加入していない者、こういった者に対する農地の譲渡等は離農給付金の対象としないということにいたしたものでございます。
#31
○角屋委員 次に、前回の昨年のどきにも私は取り上げたわけでございますが、漁業者年金の創設という問題について大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
 これは、過般参考人を呼んだときに、漁業団体側に私からも質問をいたしたわけでございますけれども、御案内のとおり、この問題は、昭和四十九年四月三日に当委員会におきまして、「水産業の振興に関する件」という、自民、社会、公明、民社四党の共同提案による決議案の趣旨説明を私が命ぜられまして、満場一致で可決いたしましたが、その中に「漁業者年金制度の創設についての検討を含め、漁業者の社会保障制度の整備充実を図り、後継者の育成に努めること。」こういうことが決議されておるわけであります。昨年の段階でもそういう点についてお伺いをいたしましたが、農業者年金制度は今日十年を迎えようとしておる。二百海里時代の中で沿岸、沖合いともこれを中心にわが国の漁業の進展を期さなければならぬという場合に、国民年金に加入しておる漁業者についても、漁業者年金制度の創設等を通じてさらに漁業者に対する社会保障、福祉を充実するということは、政治的命題としては重要なことだと私は考えておるわけでありまして、これらの問題について今後どういうふうに考えていかれるのか、この点、武藤農林水産大臣から御答弁をお願いしたいと思います。
#32
○武藤国務大臣 先生はもう水産の方はベテランでございますが、現在のわが国の漁業就労者は相当高齢化してきておりますし、また、後継者という問題についても農業と同じような悩みを抱えておるわけでございまして、そういう面からいって、漁業就労者の福祉を考えていくということはこれから大変重要な問題である、こういう意識は私も持っております。
 そこで、それじゃ今後そういう漁業者年金制度をひとつつくったらどうかという問題でございますけれども、テンポは少し遅いようでございますが、五十二年度から全国漁業協同組合連合会に助成をいたしまして、漁村福祉改善対策検討委員会というものを設置してもらいまして、福祉問題について検討していただいております。もちろん年金制度につきましてもその一環として検討していただいているわけでございまして、私ども、その検討結果を踏まえてこの問題を考えていかなければいけないのじゃないかと思っております。特にその中で問題になっておるのは、農業者と比べて対象者の数がわりあい少ないという問題、そこで一体年金制度というものが完全にうまくいくであろうかというような疑問点も出されておるやに承っておるわけでございますが、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、漁業の後継者確保という点からいっても、また高齢化してきた漁業者の将来の福祉問題を考えても、この問題についてもやはり十分検討をしていかなければならぬことは当然であると考えております。
#33
○角屋委員 一応、若干の農業者年金基金法の一部を改正するに当たっての改正点の問題、あるいは十年間を顧みてのいわゆる集約、これから十年を展望しての制度改正の方向、その中には保険財政の立場からの完全積立制度の修正問題、あるいは老齢年金の増額問題、あるいはまた、附帯決議で絶えず言われておる婦人等を含めた加入者のすそ野の拡大問題、あるいは遺族年金の問題、こういういろいろな、従来から検討し、そして五回の改正を通じて改正されてきた面もございますけれども、こいねがわくは、せっかく農業者年金が発足して十年を迎えて、これが産後の肥立ちで健やかに行くのか、非常に肥立ちが悪くて行く末が案ぜられるのかという点については、やはり農政を預かる立場から言えば、農業者年金基金のこの法律の内容整備ももちろんでありますし、あわせて漁業者の問題にも目を向けて、やはり積極的に漁業者年金の創設という前提で真剣に取り組むということも含めて、大臣の答弁はいささか慎重、しかも歯切れ悪しという感がしないわけでもありませんけれども、引き続いて同僚議員からの質問も展開されるわけでありますから、いま言った点を強く希望して、私の質問を終わります。
#34
○内海委員長 片岡清一君。
#35
○片岡委員 ただいま提案になっております農業者年金基金法一部改正につきまして、自由民主党・国民会議を代表いたしまして、若干の問題について御質問をいたしたいと存じます。
    〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
 まず最初にお伺いいたしたい点は、この農業者年金制度も、これは先ほどからお話のありましたように、農業経営の若返り、そしてまた農地保有の合理化、そして農地の切り売りやあるいは分割相続によって農地がだんだん細分化される、そういうような傾向を何とかとめていこうというためにも一つの大きな作用をなしておると思います。そういうことから、発足いたしましてからもう十年を経過いたしておりまして、加入者が大変問題になっておりましたが、いまや百十万に達しまして、昭和五十一年から支給が開始せられて、経営移譲年金の受給権者は十二万六千人に上っておるということでございます。そして、一番新しく年金を受給した者が、月額三万六千円ぐらいになっておるということでございます。したがいまして、この年金も相当農業社会、農村社会において定着をして、大変大きな役割りを演じておる、こういうふうに思うのでございます。
 ところが、社会保障制度審議会から、諮問をせられたことに対して答申が出ております。その答申の中に、去年も出ておるわけですが、去年のこの答申の中には、「本制度は、農業政策上の観点から特に手厚い国庫の負担を受けているものであるが、今なおその政策効果は明らかにされていない。」というようなことが言われており、ことしの大河内会長から農林水産大臣、厚生大臣あての答申にも似たような文句があります。「なお、この制度に対する国庫負担については、農業政策上の効果との関係を明らかにするよう留意されたい。」こういうことで、何か農業政策上の効果がまだ十分でないような見方がなされておるわけでございます。
 農林水産省といたされまして、この農業者年金制度は農政上一体どれぐらいの成果が上がっておるか、政策年金としての効果が上がっておるかどうか、上がっておるとすれば、その実情をひとつ承りたいと思います。
#36
○杉山(克)政府委員 趣旨はもう申し上げるまでもなく、農業者の老後の生活の安定を図るということと、それから一連の構造政策のための施策の中で、適期の経営移譲を進めるということを目的としているわけでございます。この目的にどの程度かなっているかといいますと、数量的な把握はなかなか困難でございますが、だんだんこの制度がよく理解されて浸透してきている、老後の生活の安定にかなり役立つというようなことは農家一般の方にも受けとめられてきているのではないかと思います。
 それから経営移譲を進めるという点でございますが、これは後継者に対するものと第三者に対するものと両方があるわけでございます。後継者に対する効果でございますが、農村社会の今日のような兼業化、混住化の深まっていく中で、農地は資産的な価値の高まりを見せているわけでございます。そうなりますと、農地の切り売りだとか分割相続というようなことが行われがちでございます。私どもとしては、ただでさえ経営規模の小さいものがさらに細分されるということは、これはぜひ防止したいと思っておるわけでございますが、この後継者に対する移譲は一括移譲を要件として、そして農業者年金が給付されるということになっております。そういう意味で零細化の歯どめの効果はかなり果たしているというふうに思うわけでございます。それから、後継者移譲を通じまして、後継者自身を確保する、後継者に希望を持たせ、同時に、その後継者が代がわりすることによって経営上の若返りに貢献するということになると思うわけでございます。そういう意味では、世代の交代、若返りにこれまたかなり貢献しているというふうに考えられるわけでございます。
 それから、第三者移譲の役割りでございますが、これは後継者がいない場合になされるというのが通常でございます。その数は後継者移譲の場合に比べてそう多くはありませんけれども、第三者移譲が行われたものはやはりそれなりに経営規模の拡大が見られるということで、経営規模拡大にこの制度は徐々に貢献しているという実績が上がっていると考えております。
#37
○片岡委員 私も、そういう点にはかなりの成果を上げておるんだと思いますし、また、近く経営規模の拡大のために、農地法の改正、農用地利用増進の法律を出すという段階になっておることにかんがみましても、これはやはり一つの大きな政策年金として役立っておる、こういうふうに思うわけでございます。ところが、一般の公的年金と比べて、一つの政策目標を持った年金でありますので、どうしても農民の人たちにも理解がいかない。何とかもっと農民を優遇するような方法にしてもらいたいというようなことから、いろいろな要望が毎年出ております。そういう意味で、社会保障制度審議会でもそういう点でなかなか十分な理解が得られないといいますか、そういうことから、毎年こういう政策目標に向かって、農業政策上の効果というものに対して若干の疑問が述べられておるというのは、そういう点にあるのかなというふうに思うのですが、それはどういうふうに受けとめておられますか、御意見を承りたいと思います。
#38
○杉山(克)政府委員 農業者年金制度はほかにはない特殊な政策的な意図を有している、そのことについて特別な財政負担もいたしておるというような状況にあるわけでございます。そういうことから、ほかの年金制度に比べて特別有利である、そういうものについてはそれなりの政策効果を果たさなければいけないという宿題をしょわされておるわけでございます。その点が、審議会等におきまして種々御批判を受ける一つの背景になっていると思いますが、先ほど御答弁申し上げましたように、いまそれなりの農業政策上の効果は上げつつあるわけでございまして、私ども、審議会の方にも、各先生方等にも御説明をするというようなことで、御理解を願うよう努力いたしておるところでございます。それぞれの先生方によって必ずしも一様ではございませんが、私どもとしては、従前に比べてそういう一般の方の御理解もかなり進んで、農業政策上の意義なり、それから上げつつある効果、実績についてもお認めいただけるような空気になってきたというふうに考えております。今後とも一層そういう努力を続ける必要があろうと考えております。
#39
○片岡委員 先ほどから角屋委員からもいろいろ御質問がございましたようであります。毎年毎年この年金制度の改正についての審議が行われますときに常に問題になるわけでございます。私は、そういう点で、いまの公的年金の一般的な性格と、それから、いまの特殊な政策目標を持った年金であるということとの間に、なかなか十分な整合性といいますか、そういうものが十分でない点があるのじゃないかという点も考えられます。そこで、いままでいろいろ要望が出てきて、それを農林水産省としては最高度に受けとめて、できるだけ農業者の人たちに有利なように、目的を逸脱させない範囲において一生懸命やってきたんだというような経過があるのだと思います。
 そこで、私がお伺いいたしたいのは、いままでも、先ほどから問題になっております農業者老齢年金の水準の引き上げの問題でありますとか、あるいはいつも大変農民の方々から要望されておる主婦の年金加入の問題、あるいはまた遺族年金の創設の問題等、いろいろ毎年毎年強い要望が出されておるわけでございます。しかし、これが先ほどからの政策年金であるという立場から割り切れない、調整をとるのが非常にむずかしいと思います。そこで、非常に農林省としても苦労しておられると思いますが、いままでこういう要望があって、これに対してこうこたえてきたんだというようなことがあると思いますので、その苦労の点をひとつ御披露願って、それで、われわれが今後いろいろ農村の方々に御理解願う、そしてできるだけ多く加入してもらう、こういうことが必要でありますので、そういう立場から、苦労しておる点をひとつ跡づけていただくなら大変ありがたいと思うのですが……。
#40
○杉山(克)政府委員 従来から改善について各方面からの御意見をちょうだいいたしておりますし、本委員会においても例年のように附帯決議をちょうだいいたしておるわけでございます。私どもといたしましては、実行可能なものから改善に努めてまいったわけでございまして、五十一年、五十二年、五十三年、五十四年――その前に四十九年がございます。その後毎年のように、ただいま申し上げましたような五回にわたって制度の改善を行っているわけでございます。
 その主な内容は、これは詳細申し上げますと大変長くなりますので項目だけ申し上げますが、まずは年金額の引き上げを行っております。それから年金給付の額の自動的改定措置を導入いたしております。これはいわゆる物価スライドということでございますが、そういうようなことで給付内容の改善を図ってきておるという点が一点ございます。
 それから二番目に、適期における後継者への経営移譲が行われるよう、後継者に対する経営移譲の要件の緩和を行っております。当初は所有権の移転を伴わなければだめだということになっておりましたものを、使用収益権の移転でもよろしい、ただしこれは十年以上ということで年限的な条件はつけておりますが、そういう要件全体の緩和を図っておるところでございます。
 それから、加入の面につきましても、出かせぎ者の加入に関する改善措置、それから後継者の加入についての救済措置、こういったことを講じまして、できるだけ多くの農業者が加入できるように努力してまいったところでございます。
#41
○片岡委員 私は、加入者の勧誘といいますか、これがまだ十分でないのじゃないか、また、理解がまだ十分でない点が相当あるのじゃないか。これはやはり年金制度であります以上、できるだけたくさんの人に入ってもらわなければ、その運用も非常にむずかしくなると思います。明年がその見直しの年になるようでありますが、この加入者に対してできるだけ理解が得られるような方法をいままでどういうふうにとっておられるか、その方法等についてお伺いしたいのです。また、それがなかなかうまく進まない理由がどこにあるのか、どういうふうに見ておられるか、そういう点もひとつ伺いたいと思います。
#42
○杉山(克)政府委員 現在対象者、加入の資格者が大体百三十数万おるというふうに考えられます。その中で実際に加入している者は約百十万、八割程度の加入率というふうに考えられます。残る二割、これは主として若い人たちでございます。若い人たちはなかなか年金の話をいたしましてもすぐには乗ってこれない。これは何も年金制度の理解が不十分だというだけではなくて、自分の将来の生活設計をどう考えるか、本当に農業を続けていくのかどうかというようなことについての自信のなさというか、見通しが確定していないというところにも一つ起因しているかと思います。そういう意味で、私どもは、年金自体のPRをして理解を求めるということと同時に、農政全体を通じて農業をやる気を起こしてもらう、そのために、たとえば先ほどお話が出ましたが、若い世代への、同時に生産性の高い農家、中核農家への農地の集積を進めるということでの農地法制の改正等も行うこととしておるわけであります。そういう制度的な、あるいは指導上の、あるいは予算上の助成、そういった全体の総合的な対策を通じて、若い人たちに農業をやる気を起こしてもらい、同時に年金にも加入してもらえるように図ってまいりたいというふうに考えております。
#43
○片岡委員 主婦の年金加入の問題は、先ほどの角屋委員の御質問にもありまして、その答えを伺っておるわけですが、この政策年金という立場からは確かにそういう答弁になったようなことが言い得ると思います。ただ、しかし、やはり農村の人たちにしてみると、おやじさんにかわって苦労して、いわゆる二ちゃん農業とか言われておって一番苦労しておる主婦が、やはり何か年金をもらえるようにしてもらいたいという一つの感情的なものがあると思います。
    〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
そういう点で、これはなかなかむずかしい問題だと思いますが、考える余地があるものかないものか、何とか前向きに考えてもらうことについて、ひとつ所信を聞きたいと思うのですが、大臣のお考えはどうでございましょうか。
#44
○武藤国務大臣 先ほど角屋先生にもお答えをいたしましたので、私からお答えさしていただきますが、これはやはり先ほどもお答えをいたしましたように、農業者年金の基本的な問題であろうと思っているわけでございます。国民年金では夫と妻が入っておるわけでございまして、そういう場合は妻がそれぞれ六十五になればもらえるわけでございます。それと同じように、国民年金の一つの補足的な意味合いもこの農業者年金は持っておるわけでございますから、そういう国民年金にそれぞれ個別に入っている以上は、その補足的な意味でたとえば農業者老齢年金というのがあるわけでございまして、こういうものについては妻も同じようにという考え方があるのではなかろうか、そういうところから婦人を加入させろというお話があったのではなかろうかと思うのでございますが、しかし、この年金の大きな性格は、やはり経営移譲させる、いわゆる農地をある程度経営移譲によって集積をしていくという大きな目的を持っているわけでございますから、農業の経営者、先ほど申し上げました耕作権者と申しますか、地権者と申しますか、その権利のない方がお入りをいただくということは大変問題があるのではなかろうか、こういうふうに私は考えておるわけでございます。だから、たとえば奥さんが地権者として一つの権利を設定を受けているということになれば当然入っていただけるわけでございますから、ぜひ、御主人よりは実際に農業をおやりになっているのが奥さんであれば、やはりその奥さんがひとつ権利をお持ちになるというふうにしていただけると、これは当然お入りをいただくわけでございますので、そういうことをしていかないでおいて、ただ女房一生懸命手伝ってくれておるのだからというだけでは、これはなかなかむずかしいのではないかという感じがいたしておりまして、その辺の権利がある程度主人から奥さんの方へ移っておれば当然対象になるわけでございますので、やはりせっかく、農業をおやりになる奥さんがあれば、そういう形にしていただいて、現在の仕組みの中で合ったような形にしていただいて、そして、場合によれば経営移譲年金も、また将来農業者老齢年金も受けていただくという形が望ましいのではないかということで、全く婦人の加入を認めないということではなくて、この仕組みを考えていただいた場合には、やはり権利を持っていただくということが前提である。そうすれば、入っていただくのは当然のことでありますからお入りいただいたらどうか、こういうふうにひとつ御理解をいただきたいとわれわれは思っておるわけでございます。
#45
○片岡委員 わかりました。将来ともひとつ、これは大変苦労しているのだから、普通の公的年金と違った意味で何とかしてあげたいという、やはり農民特有の感情論もあると思いますので、それらの点を十分踏まえて御研究を願いたいと思います。
 次に移りますが、今度制度が改正になりました考え方の問題ですが、特に私は、離農給付金制度、これについて昨年審議をしましたときに附帯決議としてもありましたので、これは延長することはまことに結構なことでありまして、ぜひやっていただかなければならぬと思います。農業者年金に加入できなかった人を救済するという意味でこれはぜひ必要だと思うのでありますが、この延長後どのような考え方のものとなるのか、その点について所信をお聞きしたいと思います。
#46
○武藤国務大臣 今度十年間延長させていただきましたのは、やはり現在私どもは農地の集積化を願っておるわけでございまして、そういう意味においては、今後とも離農給付金を、特に第三者に移譲していただく場合には現在の農業者年金では経営移譲年金の対象にならないわけでございまして、そういう場合について、あるいは年齢が非常に多かった方が対象にならなかったということでございます。今度は、年齢の方は別でございますけれども、第三者に譲る場合の形において、後継者がない方についてやはり離農給付金という制度を残しておかないと、結果において農地の集積化が、この年金制度の面からの農地の集積が必ずしも進まないのではないかという考え方に立ちまして、特にそういう意味においては、相手を農業者年金の加入者を対象にして、また金額も五十九万から六十二万に改めまして、十年間延ばし、その間により農地の集積をこういう面からもぜひ図っていただきたい、こういうことでこの離農給付金の制度を延長したわけでございます。
#47
○片岡委員 この農業者年金制度は、非常にいろいろ毎年論議せられておりますので、いろいろの問題については大体議論が尽くされておると言うとしかられるかもしれませんが、大体いろいろの問題が毎年繰り返されておるわけでございますので、私もその間の事情を心得ておりますので、いろいろまだお伺いしたいことがございますが、またあと同僚の皆さん方からいろいろあると思いますので、私はこの程度で終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
#48
○内海委員長 次回は、明五日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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