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1979/03/05 第91回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第091回国会 農林水産委員会 第7号
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1979/03/05 第91回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第091回国会 農林水産委員会 第7号

#1
第091回国会 農林水産委員会 第7号
昭和五十五年三月五日(水曜日)
    午前十時六分開議
 出席委員
   委員長 内海 英男君
   理事 片岡 清一君 理事 津島 雄二君
   理事 羽田  孜君 理事 山崎平八郎君
   理事 柴田 健治君 理事 芳賀  貢君
   理事 和田 一郎君 理事 津川 武一君
   理事 稲富 稜人君
      小里 貞利君    北口  博君
      久野 忠治君    近藤 元次君
      佐藤 信二君    佐藤  隆君
      白川 勝彦君    菅波  茂君
      田名部匡省君    高橋 辰夫君
      玉沢徳一郎君    西田  司君
      福島 譲二君    保利 耕輔君
      堀之内久男君    渡辺 省一君
      小川 国彦君    角屋堅次郎君
      新村 源雄君    馬場  昇君
      細谷 昭雄君    本郷 公威君
      瀬野栄次郎君    武田 一夫君
      中林 佳子君    神田  厚君
      近藤  豊君    阿部 昭吾君
 出席国務大臣
        農林水産大臣  武藤 嘉文君
 出席政府委員
        農林水産政務次
        官       近藤 鉄雄君
        農林水産大臣官
        房長      渡邊 五郎君
        農林水産省経済
        局長      松浦  昭君
        農林水産省構造
        改善局長    杉山 克己君
        農林水産省農蚕
        園芸局長    二瓶  博君
        水産庁長官   今村 宣夫君
 委員外の出席者
        厚生省年金局企
        画課長     長尾 立子君
        農林水産委員会
        調査室長    小沼  勇君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月五日
 辞任         補欠選任
  菊池福治郎君     北口  博君
  根本龍太郎君     小里 貞利君
  福家 俊一君     田名部匡省君
  松澤 雄藏君     高橋 辰夫君
  柴田 健治君     兒玉 末男君
  馬場  昇君     稲葉 誠一君
  武田 一夫君     草川 昭三君
  中林 佳子君     寺前  巖君
  神田  厚君     中野 寛成君
同日
 辞任         補欠選任
  小里 貞利君     白川 勝彦君
  北口  博君     菊池福治郎君
  田名部匡省君     福家 俊一君
  高橋 辰夫君     松澤 雄藏君
  稲葉 誠一君     馬場  昇君
  兒玉 末男君     柴田 健治君
  草川 昭三君     武田 一夫君
  寺前  巖君     中林 佳子君
  中野 寛成君     神田  厚君
同日
 辞任         補欠選任
  白川 勝彦君     根本龍太郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 農業者年金基金法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第四六号)
 農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律
 案起草の件
 漁業協同組合合併助成法の一部を改正する法律
 案起草の件
 農業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第五五号)
     ――――◇―――――
#2
○内海委員長 これより会議を開きます。
 農業者年金基金法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴田健治君。
#3
○柴田(健)委員 農業者年金基金法の改正について御質疑を申し上げたいと思うのですが、まず大臣にお尋ねしたいのです。
 大臣は立法府で育った人です。行政府で育った人ではない。たまたまいま大臣ということで行政府の最高責任者になっている。立法府の立場から申し上げますと、何としても国会の意思というものを尊重してもらわなければならぬということから、どの法案でもそうですが、全党一致で附帯決議というものをつける場合が多いわけですが、特に今度のこの農業者年金法については附帯決議を常時つけてまいりました。全党一致でありますから、国会の意思は決まっておるということで、大臣は立法府で育った人でありますから、立法府の権威の立場から、その附帯決議に対する認識をひとつ聞かせてもらいたい、こう思います。
#4
○武藤国務大臣 附帯決議につきましては、当然、行政府としても、その都度大臣がお答えをしておりますように、その趣旨については十分検討をします、こういうことをたしか発言をいたしておるわけでございまして、十分検討しなければならないということは当然かと思っております。
 ただ、私もこの農業者年金基金法の改正が行われるたびに附帯決議がつけられておることは承知をいたしておりますが、何かその内容においては非常に似通ったものがその都度あるわけでございまして、それがその都度実現をしていないということは十分検討はしなければならないけれども、なかなかすぐ実行ができないものも相当あるのではなかろうかという感じだけは、私は率直に持っております。いずれにいたしましても、十分尊重していかなければならぬことは当然かと思います。
#5
○柴田(健)委員 この附帯決議、先般もつけておるわけですが、七項にわたってつけておるわけです。一、二、三、四、皆重要な年金制度の加入者即受給者の利益というかそういうものを守り、ひいては日本の農業を発展させるということでは、ぜひこの制度を十分生かしていきたい、生かすためにはいままでの不備な点を直してもらいたい、こういうことでわれわれは附帯決議をつけるわけであります。一、二、三、四、五、六、七、この問題について今度の改正、そしていままで取り組んできてどういう処置をせられたのか、大臣の見解をこの項目別にちょっと聞いておきたい、こう思います。われわれは修正を出す考えを持っておりますし、また引き続いて附帯決議もつけなければならぬ、そういう考え方でこの法案の審議に臨んでおるわけでありますから、そういう立場からぜひ大臣の見解を十分聞いておきたい、こう思います。
#6
○武藤国務大臣 「農地保有の合理化に資するよう、離農給付金制度について、改善策を検討すること。」というのがございますが、これは今度の法律の中に入れたつもりでございます。「本制度の円滑な運営が図られるよう、末端における業務体制の整備充実に努めること。」これは結局予算的な措置でございますので、予算的な措置を前年に比べて七・一%アップの二十三億一千三百万を計上しております。それから「農業者年金の積立金の運用に当たっては、その実施方法について十分検討を加え、農業者への還元に配慮するよう努めること。」こういう附帯決議の趣旨につきましては、これまでも積立金の運用に当たって、農地の売買融資業務の充実等によりまして農村還元に努めておるところでございます。
 そこで、問題はあとの問題でございまして、老齢年金の引き上げ、あるいは国庫助成の引き上げ、現行の財政、いわゆる完全積立方式の検討の問題、主婦などの年金加入の問題遺族年金の創設の問題、特定後継者の要件緩和につきましては、根幹にかかわる問題でもございますので、むずかしい点もございますので引き続き検討を続けておるということで、これらの点については今度の改正案には盛り込まれていないわけでございます。
#7
○柴田(健)委員 むずかしいと言われたのはまあ理解はできるわけですけれども、この附帯決議のたとえば四の問題でも、「遺族年金の創設を図るよう努めること。」という国会の立法府の意思なんですね。これについてどこまでいままで検討をされて、検討した結果、こういうところがなかなか壁が出ましたとか、むずかしい点がありますとか、もう少し具体的に説明してもらわぬと、われわれはいまの大臣の答弁では各項目ごとの十分な答弁とは理解できないわけであります。
 それから、加入の問題についても、加入の範囲の問題で、たとえば主婦の取り扱いをどうするのか。憲法の精神から言うて、男女同権という基本原則がある。そうすると、加入の資格についても――入れない人はしようがないですよ、それは自分の意思でありますから。入れる道を開いてやる、主婦でも入れる、こういうことで、加入の拡大についても十分その点は処置すべきでなかろうか、こう思うわけですね。だから、むずかしいと言われて、はい、そうですがと言うてわれわれは引き下がるわけにはいかない、そのために附帯決議をしているわけですから。決議がないのに大臣を責めたってしようがないけれども、附帯決議は立法府の意思で決まっておる。あなたは先ほど申し上げたように、立法府で育った人ですから、行政の立場でなしに立法府の立場で物を考えて処理してもらわないと、これは三権分立の路線が生きてこないと思うのですね。われわれ、何も行政府の従属機関でないわけですから、その点でもう一回具体的に御説明を願いたいと思います。
#8
○武藤国務大臣 いま御指摘をいただきましたのは、婦人の加入の問題でございますが、やはりこの法律が農業経営者から経営を移譲するという形において農地の集積化が図られる、そのための趣旨で、いわゆる政策的な年金の性格を持っておると思うのでございます。そういう意味において、やはり農業経営者でなければいけないということは一つのたてまえかと私は思うのでございます。法律もそういう考え方で書かれておると私は思います。
 しかしながら、現実に主人よりも奥さんに相当の仕事をおやりをいただいているという場合もあるわけでございまして、そういう場合、奥さんの立場を考えれば、いまのお話しで、男女同権なのに奥さんかわいそうじゃないかということでございますから、それに対して対象になるように考えていかなければならぬというのはよくわかります。ですから、いわゆる所有者でなくとも使用収益権というか賃借権でもいいのでございますが、とにかく何かそこに対して権利を持つという形において救済策が考えられておるのではなかろうかということでございまして、決して拒否をしているのではなくて、年金の性格からいって、その性格に合ったような形に奥さんの立場がなっていただければ当然入れるということになっておるわけでございますので、そういう形でお願いをしていくべきである、私はこう考えておるわけで、そういう面から、婦人の加入ということは、単純に附帯決議にはございますけれども、これはなかなかむずかしい問題である、こういう判断に立っておるわけでございます。
#9
○柴田(健)委員 附帯決議では、遺族年金の制度を創設するようにわれわれは決議に示しておる。これについてどういう検討をせられてどういうむずかしさがあるとか、そういうのをもっと具体的に説明してもらわないと、われわれの立場から申し上げると、どうも誠意がない、本当にやる意思があるのかないのか。ただ附帯決議というものは形式にやらしておけばいいんだというようなことでは、附帯決議の権威そのもの、ひいては立法府の権威にかかわる、こういうことで、もう少し具体的に説明してもらいたい、こう思うのです。
#10
○武藤国務大臣 遺族年金の場合は、これは経営移譲年金と言う以上は、経営を移譲するという事態において六十歳以上になると経営移譲年金をもらえるというのが主体かと思うのでございます。いわゆる遺族年金というのは、国民年金においては寡婦年金とかいうものがそれに相当するのかもしれませんが、あるいは厚生年金においては遺族年金があるわけでございます。しかし、老後の保障の中で、亡くなった場合にその残された遺族に対して支給がなされるということでございまして、私は、そういう面においては経営移譲年金とは性格がなじまないものがあるのではなかろうかと思っております。しかし、そういう議論をいたしますと、年金の中にも農業者老齢年金というのがあるわけでございまして、これに対してはどうかという議論は出てくるだろうと私は思うのでございます。ですから、全体的に遺族年金を認めるべきだというのは非常にむずかしいと思うのでございますが、将来の問題としては、農業者老齢年金、この部分に相当する遺族年金というものが何か考えられないのかということについては、今度は全体の厚生年金とか国民年金とかそういう横の並びにおいて農業者だけがなぜそういうことでまた余分に出すのか、こういう議論は全体の年金制度の仕組みの中では出てくるかと思うのでございますけれども、農業者の老齢年金を特に出しておるわけでございまして、その方が亡くなったときにその遺族に対してその分について何か考えたらいいのじゃないかというのは一つの意見だろうと私は思っております。そういう意味において、むずかしいことは大変むずかしいと思いますけれども、これは引き続いて私ども検討していかなければならないと思っているわけでございます。
#11
○柴田(健)委員 具体的に入ってきたわけですが、遺族年金の二つの中でどれを選ぶかということになると思うのです。やるとするならば、経営移譲年金で期限が五カ年間受給資格がある。それで二年もらって、残り三年もらわない間に受給者が死亡した。残り三カ年は遺族の人に上げるというのが一つの方法だと思うのです。それから、たとえば老齢年金をもらうようになって、半額なら半額遺族年金として支給していくというこの二つを両方やればいいのだけれども、われわれは両方やるべきだ、こう思うのだけれども、できなければせめて一つだけでもやったらどうかという気がするわけですね。
 それから、六十歳で経営移譲をした。六十四歳まで五カ年間移譲年金がもらえる。ところが、受給を始めて一年か二年かで受給者が死亡した場合には、遺族の方に残り三カ年なら三カ年、二カ年なら二カ年上げるということが、本当に農民に対する、制度的には生きてくる一つの方法ではないか、こう思うのですね。その点について、十分どの程度まで具体的に研究されたのか。いまの答弁では、やや前向きに具体的に入ってきた。それをもう一歩進めて、どうしたらいいのかということをお答え願いたい、こう思います。
#12
○杉山(克)政府委員 毎回御提案いただいておりますところの附帯決議につきましては、大臣から申し上げましたように、事務当局においても検討を進めておるわけでございます。実現可能なものから実施に移してまいったわけでございますが、残された問題はきわめてむずかしい事情のある問題ばかりでございます。これらにつきましては、実は農業者年金制度研究会という構造改善局長の私的な諮問機関がございますが、学識経験者にお集まりいただいて種々検討をしていただいているところでございます。この研究会におきましては、遺族年金の創設、それから婦人の加入、農業者老齢年金の引き上げ等の制度改正要望事項について議論を行ったわけでございます。その結果の取りまとめが五十四年の三月九日報告されております。ただ、これらはいずれも制度の基本にかかわる問題であるということで、明確な結論を出すまでに至っておりません。影響も大きいというようなことから、財政再計算の時期までに慎重に検討するということで、明確な結論には至らなかったわけでございます。ただ、五十四年度の研究会におきましては、その中で財政の現状を検討するということと、それから五十五年五月で期限が到来する離農給付金制度の存続問題について討議を願ったわけでございます。これらの問題につきましての討議の結果を踏まえまして、私どもは今回の法改正を提案しているところでございます。
 内容的にどんな議論があったかということを御紹介申し上げますと大変煩瑣になりますが、たとえば遺族年金の問題につきましては、検討の視点として、たとえば受給期間が短期で死亡した場合に遺族に対する措置を講ずることの趣旨は何かというような視点、あるいは農業者年金制度の持つ所得保障の基本的考え方からどう考えるべきかというような視点、国民年金制度、厚生年金制度との関係はどうか、夫が国民年金に加入している場合には、一定の要件に該当する場合は母子年金または寡婦年金が支給され、また六十五歳以降は妻の老齢年金が支給される、それとの関係で農業者年金に遺族年金を設けることについてはどう考えるかとか、そのほか幾つもございますが、たとえばいま申し上げましたような視点からの議論がなされたわけでございます。結論的には十分明確なまとまったものにはなっておりませんが、なお検討を続けておる、こういう経過にあるわけでございます。
#13
○柴田(健)委員 私は局長に答弁を求めたわけではないんでね。大臣に答弁を求めたのだけれども、親切な局長さんだから拝聴しましたが、その経過は、いろいろ努力された足跡はよくわかる。しかし、よりよいものをつくっていくというのが法の改正でなければならぬ、そういう立場から申し上げておるわけですが、附帯決議の取り扱い、立法府の権威をどこまで認めておられるかということを基点にしてお尋ねを申し上げたわけです。
 この制度は、社会保障制度審議会に諮問をされて、きのうも角屋委員の方から尋ねられた点でありますが、答申の中の最後に「農業政策上の効果との関係を明らかにするよう」、こういう答申がなされておるんですね。それから、農林省は構造改善局が受け持っておられますから、構造改善局というのは構造政策的な問題をやる。そうすると、政策年金制度ということになれば、離農給付金と経営移譲年金、この二つが重要な役割りで、老齢年金という方はいわゆる主たるねらいではない。形式だ。形式であるから、この支給額が非常に低い、メリットがないということで、加入者の立場から申し上げると、メリット論が出て、どうもメリットがないということなんですが、この社会保障制度審議会にかけなければならない理由は何か。それで、社会保障制度審議会の委員は、農業に明るい人はほとんどおらない。それをなぜ農業政策上の効果を明らかにせよという注文が出てくるのか、その点をひとつ明快に大臣、答弁願いたいのです。――局長じゃないんだよ。大臣だよ。わざわざ大臣がおいでになっておるんだから。
#14
○武藤国務大臣 これは総理府所管の社会保障制度審議会の問題でございますし、事務的に厚生省と構造改善局の方でいろいろ詰めておりますので、その経緯を御説明させていただきます。
#15
○杉山(克)政府委員 社会保障制度審議会で議論されるのは何ゆえかというお尋ねでございますが、これはやはり農業者年金制度も国全体の年金制度の一環でございます。特にこういった年金制度は全体とのバランスについて十分配慮する必要があるということがあると思います。
 それから農業問題について詳しくない人がなぜそういう農政についての発言をするのかということでございますが、むしろ、そういう年金全体の立場から、必ずしも農業問題だけでない立場から農業に対して問題を提起するということが、ある意味でこの審議会の議論していただく意味があるというふうに思うわけでございます。
 それから、審議会の答申は、保険財政の問題にも触れておるわけでございますが、先生の御質問は、農業政策上の効果の点についてお触れになったわけでございます。これについては、まだ発足後日が新しいためなお十分な成果を説明するまでには至っておらないわけでございますが、だんだん効果を上げてきておることは実態的にも明らかになってきておりますので、これらについては委員の先生方にもわれわれは事務当局としてきちんとした説明をしたいということで努力しているわけでございます。この制度が専業的な農家を対象としているところから、当然の結果でございますが、後継者移譲が中心になって実績が出ているわけでございます。このことは申すまでもなく一括移譲を前提としておりますことから、農地の零細分散化ということを防止している効果ははっきりしていると思うわけでございます。それから、農業経営の若返りにも当然役立っているわけでございます。それから、第三者移譲は、後継者のいない場合に限られるわけでございますが、これはその第三者の譲り受けを受けた者の経営規模の拡大に貢献しているということも当然でございます。これらの数字的な実証も挙げまして、私どもも、効果は上がっているし、今後さらに上げていく見通しであるということを申し上げているところでございます。
#16
○柴田(健)委員 この社会保障制度審議会、厚生大臣と農林水産大臣二人が出てこの答申が出ておる。これはわれわれの立場から判断して申し上げると、厚生大臣も農林水産大臣も同列だ。同列なら、老齢年金も経営移譲年金も取り扱いは同じでなければならぬ。それが老齢年金の方がメリットのないような方法をとられて、経営移譲の方を重きを置くというのは、産業政策上完全に政策的にやっている。なぜ社会保障制度審議会に諮問をしなければならないのか。それは老齢年金というものがある、国民年金との兼ね合いがある、そういう立場で審議会に諮問しておられるだろうと私は判断する。そうしたら、老齢年金を軽く見てはならない。それが、きのう角屋委員が質問したように五倍も違う、十年もすれば四倍も違ってくるという格差のある方法というのは、厚生大臣と農林水産大臣に対する答申というものは同列でなければならぬ、同列なら余り格差をつけるような制度であってはならない、こう思って、老齢年金は当然引き上げるべきだとわれわれは判断をしておるわけです。社会保障制度審議会に諮問しないという制度なら、完全な制度年金だ、政策年金だ、われわれはこういう判断に立ちます。けれども、社会保障制度審議会に諮問する限りは、老齢年金というものに重きを置かなければならぬと私は思う。それが本当だと思うのです。大臣、その点の判断はどうですか。
#17
○杉山(克)政府委員 大臣の名前を併記しておりますのは、それぞれ所管するということで所管大臣にあてた答申だから併記したということでございます。内容的に経営移譲年金だからあるいは老齢年金だからということでの区分したような、一つ一つについてのあて先を別に意味しているという意味ではないと私は存ずるわけでございます。これは経営移譲年金も含めまして、農業者年金自身が国民年金の付加年金としての性格を持つ、合わせて一体として農業政策上の効果と同時に、農業者の老後の生活安定、保障を考えるといった仕組みになっていると考えるわけでございます。また、そういった政策的な意味は、それぞれほかの国民年金加入者等の世界にも要請はあるわけでございますので、そういったものとのバランス関係、農業者、農業政策自体に対する配慮もさることながら、それらのバランス関係ということについても十分検討を願った経過が、そういう形で答申となってあらわれてきたと私は理解しているわけでございます。
#18
○柴田(健)委員 われわれの考え方とそこがかみ合わないものですから、法案の修正を出すにしても、老齢年金と経営移譲年金というものは何としても人間が対象だ。離農給付金は、これはまあ人間対象でないある程度別な意味を持っておりますから、それをわれわれは論議をするということではなく、経営移譲年金と老齢年金というものは人が対象だ、人が対象ならどちらも重きを置くべきだ、こういう判断で、いまの給付額から言うと、五十六年から給付されるわけですが、どうも老齢年金の額は非常に低い、話にならない。たとえば、預金をして五分五厘くらいの金利がつく程度だ、貯金をしておるのと同じだ。そういう取り扱いでいかにも年金だというのはおかしいという立場で、どうしても老齢年金の額の引き上げをわれわれま修正を提案しなければならぬということで、過去二回やってまいりました。今度出そうと思うのですが、そういう立場でわれわれは修正を出してきたと思っておるわけです。何としても人を対象に物を考えなければならぬという判断に立っておるわけであります。
 次に、事務当局にお尋ねしたいのですが、現在の加入者の面積別とそして種目別、どういうことになっておるのか、ちょっと数字的に説明願いたい。
#19
○杉山(克)政府委員 御質問の趣旨は、年金加入農家が作目別にどういう構成になっているかということかと理解いたします。実は加入農家について……(柴田(健)委員「面積別と作目別」と呼ぶ)ちょっとお待ちください。
#20
○柴田(健)委員 いまのやつは後で調べて御報告願いたいのですが、大臣、この農業者年金の位置づけ、現在のままでいいのかどうか。将来中身をどう変えていくのがいいか。われわれは先ほど申し上げたように、遺族年金をぜひ創設してもらいたい。特にその中でわれわれが変えてもらいたいという点は、障害年金制度をこれに加えたらどうかという気がするわけです。いま農林省が推奨して近代化農業ということで大型機械、農機具、そういうものが入ってきて、その操作を誤るというような、これは自業自得、研修が足らないと言われればそれまでだけれども、非常にけがが多い。どんな保険制度でも傷害についてある程度の見舞金というものもありますし、傷害保険というものもあるわけですね。加入者が農作業中にけがをした場合の障害年金というものをつくったらどうか、こういう気がするわけであります。今後農業者年金制度をこのまま内容を充実していく、拡充していくという立場から見た場合には、障害年金制度も加えたらどうかという気がするのですが、大臣の考えはいかがですか。
#21
○武藤国務大臣 いま御指摘のように、労災保険の関係でいろいろ農作業も変わってきておりますし、また機械も相当いろいろとふえてきておるわけでございまして、当然そういう農業機械を使っておるときに傷害が起きた、けがをされたというような場合については、できるだけもう少し前向きで労災保険の対象をふやしていかなければならぬことは当然かと思います。それはそれとして、あわせてこういう農業者年金にもひとつ障害年金を考えたらどうか、こういう御指摘でございますけれども、先ほど来どうも並行線かもしれませんが、私どもはこれは経営移譲をしていただくという政策目的を持った年金であると考えておるわけでございまして、いまのような障害年金というのは国民年金の中に障害年金もあるわけでございますから、そうして農業者年金に入っていただく方は国民年金に当然入っていなければこれは資格がないわけで、全員国民年金に入っていただいておるわけでございますので、その国民年金の障害年金は受けられるわけでございます。それにまた加えて農業者年金の障害年金を何か考えろというのはなかなかむずかしい問題があろうと思いますが、これは検討しなければならぬかと思いますけれども、私は正直言って非常にむずかしい問題ではなかろうかと思います。
#22
○柴田(健)委員 郵政省ですらやっているのですね。もはやそういう社会保障政策の一環ですべて取り扱っていく場合は、掛金を掛けない制度ならいざ知らず、掛金を掛けている限りは、死亡のときもけがをしたときも何らかの措置をしてやる。一つの組織に加入してくれたのだ加入者保護の立場からいっても、加入者に対するそうしたメリットを与えていくという前向きの姿勢があってしかるべきだ。そういう立場から考えたら、やはり障害年金制度を創設してもいいのではないか、われわれはこういう考えを持っているわけです。それがこの加入者を拡大する一つの方に、農業者年金制度はだんだんとよくなっていくのですよ、どうぞ入ってください、入って農業をしっかりやってください、こういうことにならなければ、メリットはないわ、魅力はないわ、こういうことになれば、どんなに加入拡大運動をやったって加入は――法の改正を五回やって、五回のあれをずっと見てきますと、だんだん減っているのですよ。法の改正をするたびに加入者が減ってくるのはどういうわけだ。こんな制度は見たことがない。それなら数字的に見ると悪い方へ改正されているのかということになる、印象的には。法の改正をした時点からだんだん加入者が減ってくるのはどういう現象か、原因は何か、その点、ひとつ大臣の見解を聞きたいのです。法の改正をするたびに減ってくるのはどういうわけか。魅力がないのか、加入運動の努力が足らないのか、末端の窓口になっている農業委員会、たとえば農協のそういうところ、また市町村役場、その三つの関連がうまくいっておるのかいってないのか、どこに欠陥があるのか、それらを含めて加入拡大ができないのをお答え願いたいのです。
#23
○武藤国務大臣 いまの障害年金の問題に私もう少しお答えをさせていただきますと、先ほど申し上げるように、一般の年金と非常に違うのは、あくまで農業経営者が自分の農地を譲る場合、経営を移譲する場合に、年金がもらえるような仕組みというのが主たるものでございまして、その辺は普通の年金とはいささか趣を異にしているのではないか。ただ、この年金はそれ以外に国民年金の付加的なものとしてございますから、農業者老齢年金というものもあるわけでございますけれども、主たるものはやはり経営移譲年金というものだろうと思うのでございます。ですから、そういうものに障害年金を考えるというのは非常にむずかしいということを申し上げたわけでございます。ですから、たとえば先生御承知のとおりで、いまの仕組みの中にも、加入者が障害者になってもう農業をやれないから経営移譲をするという場合には、普通なら六十歳にならなければもらえない年金が六十歳以下でももらえるわけでございます。そういう点において、障害者になった場合には実際は相当そういう恩典は与えられておるのでありまして、経営移譲年金を主体としたこの法律の中では十分そういうことが考えられておるのではないか、私はこう思っております。
 それからもう一つ、いまのどうも評判が悪いから減っていくのではないかという御指摘でございますけれども、もう少しPRが足りないのかもしれませんが、決して私はそうは思わないわけでございます。正直これは農業就労人口が御承知のとおり減ってきております。そういうことが、結果的に対象者が減っているのでございますので、これはやはりなかなかむずかしい問題があるのではないかと思っておりますが、しかし、なおPRが足りないところはPRもし、努力していかなければならぬと思っております。
#24
○柴田(健)委員 あなたの認識は現場とちょっと食い違うような気がするのですね。それは、就労人口が減ってきておるのは事実であります。けれども、農業者年金制度そのもののPRがまだ十分でないという気がするのです。
 それから、今後工夫してもらいたいと思いますことは、たとえばいま農業委員会が経費が少ないということで、活動、動きが鈍いわけですね。実際は農業委員会がこういう政策的な制度についてはもう少しPRをしなければならぬのに十分やらない。それから、農協と農業委員会との連携が十分でない。農協は、たとえば建物共済にしても生命共済にしても、手足になる者がたくさんおるものですから、夜昼家庭訪問、戸別訪問をして説得して、加入増をやって農業共済はもはや日本でも優秀な契約高を持っている。ちょいちょい悪いことをして、この間も全共連の会長以下役員が辞職しましたけれども、金が集まり過ぎて、契約が集まり過ぎて二百七十社の民間企業へ金を何百億、何千億と貸してろくなことをせぬということになってきた。余り金を持たせるとろくなことをせぬのですけれども、そういう努力が足らないという気がしますね。それから、要するに努力をしようと思っても、魅力がない制度だから、勧誘するというか要請をしてもどうも恥ずかしい、余りメリットがないというような。そういうことで、農業委員会の諸君も後ずさりをしているというのが実態ではないか、こう思うのです。
 だから、就労人口も影響するでしょう。しかし、農村の就労人口が減ってくれば減ってくるだけ農林水産省の農業政策がまずいということが言えるわけで、農業そのものに対する魅力が出てこないのは、これはもう農業政策の一番悪いところが出ておる。
 それでありますから、いま農村の就労人口の年齢を見ても、五十八歳ぐらいが平均年齢だ。もう六十歳に届く。全国平均で、高齢者社会を迎えるという日本の現状から見て、いま全国で総人口の九・三%が老人だ。ところが、都道府県によってはそれがもう一〇%以上超してきた。各県別に見ると、はなはだしいところは一二%の高齢者がおる。それから町村別に見ますと、都市付近はいざ知らず、完全な農業地帯の過疎町村と言われるのはもう一八%か二〇%、二割ぐらい老人がふえてきている。いずれあっという問に三割になるでしょう。もう農村地帯で三〇%は老人社会、老齢化になってくると、もはや農業という産業は成り立たないと私は思うのです。もうしばらくだと思うのです。老人が三〇%以上を占めるような町村はもうどうにもならない。そういう農村に育てたのは農林省じゃないだろうかという気がするわけですね。農業政策の誤りがある。全国の市町村、特に純農村地帯のこの高齢者の比率というものを大臣はどういうふうに認識しておられるのか。各県別でもいいが、あなたがそれだけ認識しておられるのなら、就労人口が少ないという言葉を出すのなら、そういう実態を知っておられると思うのですから、お答えを願いたいのです。
#25
○武藤国務大臣 私は、個別の県のは承知をいたしておりませんで、全体の人口が減っておる統計で見ておるだけでございまして、個別については局長から答弁させます。
#26
○杉山(克)政府委員 農家の総戸数が減っているということは現象的にわかっておるわけでございますが、その中でもまた専業農家、中核的農家の戸数の減り方が著しいという実態が出ております。
 たとえば、総農家数で見ますと、四十年五百六十六万五千戸が、五十四年度では四百七十四万二千戸に減っております。それから、中核農家と考えられるものは、これは五十年でございまして比較的まだ新しい時期でございますが、百二十五万戸ございましたのが、最近では百万戸を割っているのではないかというような水準に落ちているわけでございます。
 それから、この農業者年金に加入資格を有する者、その数は、制度発足のころ、四十五年当時は二百八万九千人というふうに見られておったわけでございますが、最近では、五十四年では百三十数万人と推定されるようになって、大幅に減ってまいってきている実績が明らかになっております。
#27
○柴田(健)委員 先ほどのはわかりましたか。
#28
○杉山(克)政府委員 先ほど答弁がおくれました分についてお答え申し上げます。
 くくり方がいろいろあるわけでございますが、まず都府県、この都府県は北海道の道南地区も都府県並みに扱っての数字でございますが、面積区分〇・三ヘクタールから〇・五ヘクタール未満のもの、これは加入者で二万四千人、割合で二・八%、それから〇・五以上で一・〇ヘクタール未満のものが、人数で三十四万一千人、割合で四〇・七%、一・〇から二・〇ヘクタールの階層が、人数で三十五万五千人、割合で四二・二%、二・〇ヘクタール以上のものが十二万人で一四・三%ということになっております。これは一部北海道の道南を含む都府県でございます。
 それから、道南地区を除く北海道これは面積規模が大分大きくなりまして、一ヘクタールから二ヘクタール未満のものは、人数で千人台、割合で二・二%、二ヘクタールから五ヘクタールのものは二万人で三八・六%、五ないし十は一万五千人で二九・八%、それから十ヘクタール以上のものが一万五千人で二九・四%ということに相なっております。
#29
○柴田(健)委員 作物別にはわからぬということでしょうね。
#30
○杉山(克)政府委員 作目別に年金加入農家について直接調べたものはないのでございますが、私ども、いろんな類推をいたしますというと、大体中核農家が、イコールというわけではございませんが、ほぼ年金加入者とみなしてもいいのではないかという状態にございます。そこで、中核農家自体については調査した数字もあるものでございますから、これをもって大体加入者の分布に近いというふうに考えてもいいのではないかと思うわけでございます。
 これを見ますと、これは全農家の構成比でございますが、中核農家の稲作は五一%、野菜は一三%、果樹類は一二%、施設園芸は六%、工芸作物は一〇%、養蚕五%、酪農六%、養豚三%、その他畜産四%ということになっております。これを見ますと、概括的に言えることは、全国平均に比べまして、稲作において比率が低い、構成比が低い、そして、それ以外のものは、すべてと言っていいくらい中核農家層の方が野菜以下各作目の構成比が高い、こういう結果になっております。
#31
○柴田(健)委員 いまの作物別の比重を見ても、加入を促進すればまだまだ加入者がふえる、こう私は思うのですね。
 それから、農林省は、これから努力すれば加入者がどの程度、たとえば年次計画を立てて三カ年の間にどの程度ふやすんだという努力目標はあるのですか。
#32
○杉山(克)政府委員 年次計画を立ててふやすというようなきちんとした計画的な数字は持っておりません。ただ、現状について申し上げますと、加入資格を有する者は全体で百三十万人台というふうに見られております。それに対して、実際に加入している者は約百十万人、この差二十数万人があるわけでございます。加入率で見ますと、これは経営主と後継者、若い年齢層とに分けて考える必要があるかと思いますが、若い層の方が加入率が低い。経営主の方はおおむね九割程度の加入率になっておりますが、若い年齢層では六割程度というふうに見られております。特に若い層にいま申し上げましたような対象加入資格者があるわけでございますから、今後できるだけ早い機会に加入していただくようPRを進めていきたいと思っております。
 ただ、一方におきまして、先ほども申し上げたことでございますが、兼業化が進む、それに伴って、ほかの厚生年金等に加入するために農業者年金への加入資格を失うという者もございまして、正直申し上げまして、新規加入はふやしても、減る者もあって、なかなか絶対数として増加させるということはむずかしい状況にあるわけでございます。
#33
○柴田(健)委員 林業振興から見て、もう少し農林省は山に力を入れなければならぬ。そういう立場から見て、やはり林家においても加入を進めたらどうか、こういう気がするのですが、この点は局長どうですか。
#34
○杉山(克)政府委員 農林水産省は、農業のほかに林業、漁業、こういった業種の対象も所管しているわけでございます。それぞれ所管の長官がございまして、私がお答えするのはあるいは適当でないかもしれません。ただ、私、漁業におきましても、また御質問の林業におきましても、それぞれの政策、漁業政策なり林業政策全体とのかかわり合いにおいて検討さるべき問題と思います。その点、それぞれの所管の庁におきまして検討もいたしておるわけでございます。本日、林野庁参っておりませんが、もし必要であれば、後ほど伝えて、答弁をさせたいと思います。
#35
○柴田(健)委員 皆さんとしても、雇用拡大、雇用問題を避けて通るわけにいかないわけですから、農業の面から林業の方に配置がえをするということも考えなければならぬ。これも一つの政策的な問題だから、内閣で十分検討してもらいたいと思う。この点、大臣一言何か言うことはありませんか。
#36
○武藤国務大臣 私からもよく林野庁長官に申しまして、ひとつ検討するようによく指示をいたします。
#37
○柴田(健)委員 この制度の中で移譲年金と老齢年金、今度十年延長する離農給付金ですが、この離農農家に対して、要するに今度は農地法の改正、農用地利用促進法という新しい法案、こういうものとの兼ね合いがあるということをきのうも答弁されたのですが、そういう兼ね合いでとらえた場合に、離農して別の人に、ひとつ生産単位の拡大というか、規模拡大に協力してもいい、ここまでは考えるんだが、いままで農業経営しておって、そしてもう農業ではやっていけないというので、出かせぎというか、他の職についた、要するに兼業農家になった。ところが、農業をやっておるときの借金がある。それは農協にある。農業委員会が地域農業という立場で農地の流動化を考えて、あなたはこの人に農地を貸したらどうかという場合、賃貸借でも売り渡しにおいてもやはり借金がつきまとう。離農したいのだけれども借金があるためにどうにもならないという一つの壁があるわけですね。そういう場合に、十カ年延長したけれども離農がどの程度できるのだろうか。東北、北海道のことはよくわかりませんが、西日本地域では経営面積が非常に小さい。ところが、いろいろな形でいままで農業経営上の資金として金を借りた、生活資金でなしに営農資金として借りた借金が農協にある。その借金がつきまとって、離農したくてもできないという農家に対する対策をどうするか。これは大臣ができなければ局長でもいいのですが、答弁願いたいと思います。
#38
○杉山(克)政府委員 親から後継者に移譲する場合、親なら金を借りられておったけれども、子供になると、農協そのほか地元の金融機関が、信用力の問題があるのでしょうか、金を貸さないし、いま返す当てもないから、それじゃ移譲するわけにいかないかというようなケースを想定されてのお話かと存じます。一般的に農地を取得する場合は、農地取得資金そのほかの融資制度もあるわけでございます。一番望ましいのは、地元の従来貸しておったところが、何も急に取り立てを急がなくても、引き続いて貸してくれるというような計らいが一番望ましいわけでございますが、いま申し上げましたような農地取得の制度資金の手当もございますので、そういった措置も通じまして、できるだけ若い世代、規模拡大に貢献するような階層に農地の流動化が進んで集中するようなことを考えてまいりたい、できるだけそういう方向が望ましいと考えておるわけでございます。
#39
○柴田(健)委員 農民の資金である農協預貯金も相当大幅にあるわけですけれども、農林中金、地方の県信連、農協から農業資金を借りて、御承知のように借金も、恐らくいま十二兆円以上貸し付けがあると思うのです。それは農業以外に金を借りている面もあるでしょうけれども、個々の農家の負債は非常に大きいわけですが、そういう借金は、大半は農業を近代化するための農機具代なんですね。農業施設の中では、建物の借金はごくわずかで、農機具代の方がはるかに大きい。肥料とか農薬の借金というよりか農機具。農業の近代化、機械化、省力化という立場で推奨してきたのは農林省なんです。いずれ農地法なり農用地利用促進法案が出た場合にわれわれ徹底的に論議をしていかなければならぬと思うのですけれども、いま膨大な借金を抱えておって、その借金がばかにならない一つの壁になっておる。今度のこの制度でも、経営移譲にも関係ありますけれども、老齢年金というのでなしに離農給付金、離農農家についてその点が一つ非常にネックになってくると判断しておりますから、この点については十分検討をお願いしておきたいと思います。
 次に、経営移譲のことを依然として繰り返して申し上げるのですが、五カ年を固定化したらどうかという気がするわけです。たとえば五十八歳で経営移譲する、二カ年待って六十歳になったら五カ年もらえるという道があるわけです。五十八歳でも移譲ができる。ところが、たまたま六十二歳で経営移譲しなければならない場合がある。たとえばおじいさんの名前でいまやっている。いま六十一歳だ。孫にやらせたい。農業高校へ行っておる。もう一年したら卒業する。経営移譲の条件緩和をしなさいとわれわれは言うのですが、そこが緩和できない。農業の経験何年、農業高校を出なければならぬ、そうした場合に十八歳でも移譲ができるという基準が依然としてある。それで、もう一年したら農業高校を出る、おやじは公務員か何かで跡を継がないから、農業経営者であるおじいさんから孫に譲りたい。もう一年待たなければならない。そうすると六十二歳になる。六十二歳で移譲したら三年しかもらえない。五十八歳で移譲できて二年待ったらまるまる五カ年もらえる。ところが六十二歳で移譲したら三年しかもらえない。その場合、弾力運用ができるかできないのか。それから、五カ年というこの期限を限定して固定化する。六十一歳でも五カ年、六十二歳でも五カ年。そのかわり老齢年金をもらえるのは六十七歳になるかもしれない。六十七歳までストップすればいいわけです。それができるかできないのか。われわれは五カ年というものを固定化したらどうかという気がするのですが、大臣、この点どうですか。
#40
○武藤国務大臣 この法律をつくるときにヨーロッパその他の制度もいろいろ参考にしてできたのではないかと私は思うのでございますが、ヨーロッパのものを見ておりましても、なかなかそういう仕組みにはなっていないのでございますね。日本でも国民年金が六十五歳から支給されるわけでございまして、国民年金は支給され、経営移譲年金がその上にいくわけでございますから相当の差が――多い方がいいじゃないかという議論はわからないわけではございませんが、そういう仕組みはむずかしいのじゃなかろうか。六十歳というところで決めたのがどうかという問題はあるかもしれません。このごろ平均寿命が延びてきたのだから、もっと先にしておいた方がよかったのじゃないかという議論はあると思いますが、ヨーロッパでも大体六十歳ということでやっておるわけでございます。確かに、具体的におっしゃるように一年、二年というケースはあるのかもしれませんけれども、六十五歳からは一応国民年金が支給されますし、御承知のとおり、それに加えて、この農業者年金に入っている場合には経営移譲しなくてもくれる農業者老齢年金もありますし、それに一割の経営移譲の分もまた加わるわけでございまして相当の金額になるわけでございますので、それに経営移譲をまるまる一〇〇%渡せということは、この仕組みからいって非常にむずかしいのではないか。おっしゃるケースだけ見ると非常にお気の毒だなという感じはいたしますけれども、制度全体から考えると、これはなかなかむずかしい問題ではないかと思うのでございます。
#41
○柴田(健)委員 そういうときのあなたの答弁を見ると、社会保障制度的な発想で答弁する。ところが、この制度そのものは社会保障制度は二割くらいなものですよ。八割は農業政策的な一つの補助金制度ですよ。補助金制度ならそのくらいのことはできると私は思う。社会保障という立場の年金制度ならそれはむずかしい。だれが考えてもむずかしいのです。これは正直に言うたら年金制度というより補助金制度の方が強いのですよ。われわれは、補助金制度ならそのくらいの運用ができてしかるべきだという気がする。あなたは、いまの答弁のところだけは社会保障の年金制度で答弁されるから、むずかしい、むずかしいと言う。それを切り離して、補助金制度だ、こういう判断に立って答弁していただければ、弾力運用ができるじゃないか、こういう気がするのですが、大臣どうですか。
#42
○武藤国務大臣 確かに、先生おっしゃるように、この農業者年金というものは性格的にきちんと割り切ってない点があることは私は事実だと思います。ですから、いろいろの議論がまた出てきているのではないかと思うのでございます。しかし、やはり掛金をしているわけでございまして、そういう点においては、私は完全な補助金制度ではないと思っているわけでございます。その辺の仕組みがなかなかむずかしいのでございますが、やはりこれからよりよいものにしていくためには、いろいろな御議論をしていかなくてはならぬと私は思っております。いま御指摘の点も、もしそういう考え方がありますと、これはこのことだけでなくて、今度は、それじゃ途中で亡くなった場合にやはりその権利を奥さんに譲れというような意見も今後の議論の中で出てくるのではないかと思うのでございます。そういう点においては非常にむずかしいのでございますが、やはり一つの考え方としては、いわゆる社会保障的なものと経営移譲という構造政策的なものをどこまでかみ合わせて、どこで割り切っていくかという点については、いろいろ研究をしなければならないと思うのでございます。現時点においては私は大変むずかしいとお答えをしておりますが、将来の問題として、この年金をよりよくしていく、あるいは性格をこれからもっとはっきりとどう位置づけていくかということは、いまお話のございましたように、私どもは農用地利用増進法案とか、いろいろ今後農地の集積化を考えておるわけでございまして、そういう中でこれをどう位置づけていくかということも、今後一層検討していかなければならぬと思っておりまして、ひとつ勉強する課題にさせていただきます。
#43
○柴田(健)委員 いまの方法でいくならば、これは平行線になってくると思うのですね。しかし、大臣のいまの答弁を聞くと前向きで――前へ向くのか後ろへ向くのか知らないけれども、答弁技術から言うと、検討いたしますとか、善処しますとか、研究いたしますとか、いろいろな答弁があるわけです。だけれども、大臣はまじめな人だから、検討の課題としてやります、こう言われるのですから、検討願いたいと思います。われわれはこの弾力運用をぜひしてもらいたい。それによって加入率もふえてくるだろうし、多少魅力も出てくるだろうと思っている。何としても制度というものは、魅力がないと維持も発展もしないということになりますので、その点は十分御検討を願いたい、こう思います。
 次に、いずれ近々に財政再計算をしなければならぬ。その場合に、たとえば今年度の予算折衝の中で大蔵省がとった態度、言い分その他から見て、この離農給付金について非常に抵抗した。農水省総力を挙げて、十カ年の延長、そして二段階を一本化して六十二万円ということにした。きのうも角屋委員が質問されたわけですから私は言いませんけれども、二本立てを一本化した。この大蔵省を説得した最大の理由は、農地の流動化をやりますというのが大きな命題になっておると思うのですね。今度、農地法なり農地利用促進法という法案を出してくる原因はそこにあると思うのです。今度の農業者年金との兼ね合いがある。大蔵省がそういう徹底的抗戦をした理由は、いずれ財政問題ということ、大蔵省は常に財政問題だから、財政の再計算の段階において、この資金、原資について非常に苦しくなってくる、そうしたら掛金を上げようという問題が出てくると思うのです。行き詰まったら受益者負担の増額ということが当然いつの世も出てくる。その場合に、掛金の大幅増額ということがいまから考えられるなという気がわれわれはするのですが、いま農林水産省として、大臣としてはどういう考えを持っておられるか、この点を聞いておきたい。
#44
○武藤国務大臣 やはりスライド制の導入などによりまして給付の方は多くなってまいりますし、また、今後経営移譲をしていただける方がより多くなることを私どもは望んでおるわけでございますから、出ていく方の金は当然多くなっていくわけでございます。そういう点においては、この財政再計算時期においては保険料をどうするかという問題を議論しなければならぬとは思っております。しかし、農家の負担増ということになるわけでございますから、その点についてはひとつ慎重に検討していきたいと思っております。
#45
○柴田(健)委員 意味深長な答弁ですよ。いずれ次のときには掛金を上げるということにもとれるし、まあ慎重にと、こう言う。慎重というのはどこまで慎重かという見当は、私は大体つくわけですね。しかし、いまの運用のあり方では、掛金を上げるということは、農民、加入者にとって非常に痛いことであって、理解ができないということで反対の意見が出てくると思うのです。それで、加入者をふやして、限界の百三十万なら百三十万まで早急に上げなければならぬ。ところが、受給者を見ると、この移譲年金の方でも十二万台、また近々どんどんふえてくると思うのですね。それだけ経営移譲の方は若返りをねらっている、離農の方は専業農家をふやしていく、そういう考え方。この移譲年金の方は、若返りということを図るためにはもうどんどんふえてくることがあたりまえだと思うのです。その場合にやはり財源的に非常に苦しくなる。掛金をふやす、それから後継者、長期に掛金を払っていただけるような若い人をふやさなければいけない。要するに後継者ということです。それについては農業政策というものが非常に関係してくる。いまのような減反で生産調整をずっと続けていくならば、農業はどちらかというと壊滅的状態なのです。そして、完全な副業的な産業に転落していく。日曜農業になってくるだろうと思う。それで、ほかに所得があれば農地は手離したくないという財産運用上の問題で位置づけをしてしまう。いろいろな農業政策のまずさというものがこの制度の中に入ってくると思うのです。
 そういう点で、私は、掛金を上げないように、そして魅力のある制度にするために、そして農業政策というものをもっと明確に――農林水産省、特に大臣にお願いをしたいのは、このままでは日本の農業はつぶれてしまう、われわれはそういう危機感を持っておるのですよ。これをどう立て直すかということは抜本的に見直さなければならぬ、こう思うのですね。いまその時期を迎えておるわけですから、こういう一つの制度を改正して生かしていくためには、基本はこの政策的制度であるということ、政策年金ということになれば、農業政策が基本になる。その農業政策をもう少し農民に協力が得られるような、そして日本の産業構造の中で農業という産業をどう位置づけをするか。農政の位置づけというものはそこにあると思うのですね。それを考えてもらわないと、この制度は十分生かされない。われわれの立場から申し上げると、農民にも年金をというのがわれわれの叫びであった。どうも農業をしておると、恩給はつかないけれども、神経痛とリューマチだけがつくじゃないか、恩給という言葉はつかなくても、せめて年金だけはつけてやろうというのがわれわれの悲願であった。それが中途半端な制度になっちゃって、どうも不満があるので、たび重なる修正案を出し、そしてまた、附帯決議も出して、この法案もきょうは通すということでありますから通しますけれども、やはりよりよいものをつくってもらうという姿勢で、基本は農業政策だ、そういうものを十分考えてもらいたい。
 まだお尋ねすることはありますけれども、私の時間が参りましたから終わらしていただきますが、大臣にひとつその点の決意を最後に聞いておきたい、こう思います。
 以上です。
#46
○武藤国務大臣 いまの保険料に関連いたしまして、農業の基本的なお話までございましたが、私もそのとおりだと思います。やはりいまの若い農業の後継者をしっかりつくっていかなければならない。そのためには将来、希望の持てる農業にしていかなければならない、あるいはこういう年金制度そのものにいたしましても、たとえば私ども学割、こう言っておりますけれども、若い後継者がこういうものに喜んで入るような仕組みを考えていかなければならないとか、農業の将来の後継者づくりという以上は、こういう年金制度そのものの中でもそういう若い人たちが入りやすいような仕組みというものを考えていかなければいかぬということは当然だと思っておりまして、私は、その辺については本当に前向きでひとつ取り組んでいきたい、こう考えておるわけでございます。
#47
○柴田(健)委員 終わります。
#48
○内海委員長 瀬野栄次郎君。
#49
○瀬野委員 農業者年金基金法の一部を改正する法律案につきまして、農林水産大臣に見解を求めます。
 まず、最初に、離農給付金支給業務の延長等について逐次お伺いしてまいります。
 政府は離農給付金の支給効果については、本制度が構造政策の推進に果たしている役割り等について効果があったと言われておりますが、過去十年間、厳密に言うとちょうど九年二カ月ということになりますが、構造政策上どのような効果があったか、まずその点から明らかにしていただきたいと思います。
#50
○杉山(克)政府委員 一つは、経営者の若返りということでございます。経営移譲年金はその若返り効果を大きく実現し得ていると思います。
 いま一つは、農業経営の規模拡大に貢献したということでございます。若干、数字で申し上げますと、経営規模拡大の効果は、全国平均で二戸平均百十六アールの農地が処分されております。それから、取得した農家は二月平均九十三アールということになり、二百五十六アールから三百四十九アールに経営規模を拡大をいたしております。
 順序が逆になりましたが、経営主の若返りの効果、平均年齢で見ますと、離農者の平均年齢は六十二・六歳、取得者の平均年齢は四十五・九歳ということに相なっております。
#51
○瀬野委員 農林水産大臣に伺ったのだから、冒頭から局長が出てきて答弁するのじゃなくて、大臣もしっかり勉強して答えてもらわぬと困りますね。
 引き続き農林水産大臣にお伺いします。
 昨年本法改正時に、当時の渡辺農林水産大臣は、離農給付金について今後離農年金制度にすることを検討している、こういったことを発言されておりますが、いやしくも大臣が発言したのでありますから、武藤農林水産大臣もこのことについては引き継ぎを受けて十分検討を進められ、農林水産省としてもその方向で検討をされていると私は思うのですが、いまにわかにできないにしても、その辺の検討はどのように進めておられるか、また渡辺前農相から十分引き継いでおられるか、その点の答弁を求めます。
#52
○武藤国務大臣 私も大臣がそういう答弁をしたことは承知をいたしております。
 そこで、西ドイツその他のヨーロッパの制度も私も見てみましたけれども、現在の日本の農業者年金の制度は、相当外国のそれらのものが加味されてでき上がったと私は承知をしたわけでございます。そういう意味においては、いまここで改めてもう一つ離農年金というようなものをつくることは大変むずかしいものではないか、こういう判断をいたしておるわけでございます。
#53
○瀬野委員 現在はむずかしいかもしれませんが、いまも大臣おっしゃったように、西ドイツの例など見ているとおっしゃいましたが、渡辺農林水産大臣も、恐らく西ドイツ、フランス等の離農時の年金制度というものを見た上で、そういう制度をとっておりますから、恐らく検討の用意があるということで農林水産省もいろいろ検討する姿勢があることをおっしゃったのではないかとわれわれは推察して、まことに結構なことだと思っているのですけれども、農林水産大臣も、そういうようなことで農林省のスタッフに、いまにわかにはできないにしても、こういったことの検討も進めさしておる、このように本員は理解しているが、そのとおりでございますか、改めてお伺いします。
#54
○武藤国務大臣 私がいま申し上げましたのは、いろいろ検討をいたしましたけれども、結果もうすでにこの思想は相当入っておるという判断を持っておるわけでございまして、今後も検討はいたしますけれども、非常に、いまの制度の中にも仕組まれておるのであって、あとは今後この制度をよりよくしていくためにどうするかという検討は、先ほども、たとえば経営移譲年金の支給のあり方などについても前向きで検討したいとか、あるいは今後の後継者づくりという意味において、若い人たちが入っていただく場合の条件の緩和とか、そういう面においては前向きに検討したいと思っておりますが、御指摘の西ドイツやフランスにおける離農年金、これは十分いまの制度の中に入ってきておりますので、これをとらえて全く新しいそういうものを入れろということは非常にむずかしいと思っておるわけでございます。
#55
○瀬野委員 いやしくも当時現職の農林水産大臣がこのようなことを言っているわけですから、大臣が目まぐるしくかわるものですから、そのときそのときのことで全部これが葬り去られていくというのじゃいかない。やはり先を見通して一貫性のあることを責任を持って答弁するようにしてもらわなければ、国民が戸惑いを感ずるわけですから、そういう意味でも指摘を申し上げたいと思って申し上げたわけですが、今後十分検討もしていくということでございますので、私は十分検討するべきだと思う。責任ある現職大臣が昨年そのように言っているわけですから、十分御決意して、農林省当局においてもいろいろな関係から検討して実現の方向へ向かって努力してもらいたい、かようにお願いするわけです。
 さらに、政府は離農給付金の対象者を政令によって拡大すると言っておられますが、どの程度拡大するお考えですか、お答えください。
#56
○杉山(克)政府委員 たとえば、従来、短期の掛金を掛けて脱退した者、この一、二年の間掛けたような者は、これはもうはっきり離農して戻ってこないだろうという前提のもとに離農給付金の対象者としておりました。しかし、三年以上も掛けて脱退した者、これはやはりいずれ農業に戻ってくるという考え方から離農給付金の対象者とはしないという考え方で従来取り扱ってまいったわけでございます。しかし、今回の離農給付金の給付する対象者としては、やはり全般的に離農をさらに促進するということ、さらには、実態から見てもそういった人たちの離農も事実として認めていくべき性格のものであろうかというようなことから、それらをも対象にするということを検討しております。その他若干検討しておりますが、まだ結論を得るに至ってない点もあるわけでございます。
#57
○瀬野委員 局長、そうすると、検討はしている、結論を得てないと言うのだけれども、いつごろまでをめどに大体検討を進めておられるのですか。めどなしにやっておるのですか。
#58
○杉山(克)政府委員 法律の制定後直ちに政令を準備するわけでございます。その政令の中で規定するということに予定いたしております。
#59
○瀬野委員 給付金の額についてお尋ねします。
 今回の法案の提案を見ますと、一つには、大正五年一月一日以前生まれの者、百三十八万円、すなわち当時五十五歳を超して入れなかった人であります。それと二つには、その他の人、すなわち大正五年一月二日以後生まれの者、五十九万円と、区別してあったのが、今回はだれでも六十二万円ということで、いままで二段階になっていたのを今次改正で一段階にしておりますけれども、この理由については、提案に当たって、農林水産大臣はどういうような理由で提案なされましたか。
#60
○武藤国務大臣 現在の百二十八万円という給付金は、年金制度発足当時にすでに高齢のために年金に加入できなかった者に対する年金の補完措置として、最低期間、五年間でございますが、五年間だけ年金に加入した者に支払われる経営移譲年金の国庫補助金見合いの額として予定せられたものでございます。しかし、これらの者の中の最年少の者、発足当時五十五歳でございますが、もう間もなく六十五歳に達することになり、今度は国民年金がもらえる、こういうことになるわけでございまして、そういう点でこの特例の取り扱いをやめることにしたために一本になった、こういうことでございます。
#61
○瀬野委員 そこで、さらにお伺いするわけですけれども、この給付金の額が一律に六十二万円ということになると、たとえば四ヘクタールの場合も三十アールの場合も六十二万円ということになるわけです。いわば全部六十二万円ということでございますから、政策効果を考えた場合は規模別に差をつけたらどうかと私は考えるわけです。そうしないと、全部一律でやっては、離農するにしてもなかなか効果が出てこない、かように私は思うわけですね。たとえば三ヘクタールないし四ヘクタール持っている人が六十二万円で離農するかというと、土地代は相当暴騰している。仮に九千万円も一億もする土地を持っていて、たったの六十二万円というようないわゆる給付金では、私はこれはてんでお話にならぬと思う。また、三十アールということであれば、土地代からして、まあこれは仮に一千万以下となれば、六十二万円となると幾らか効果もあるということで、一応はわかります。
 そういうようなことから考えてみますと、離農しないと土地がいわゆる荒らしづくりになる、これはもう当然であります。せっかくのこの制度が、私は、こういった面から見ると果たして効果が上がるだろうかどうだろうかと、実は懸念をするわけです。
 そこで、政府が年金を使って第三者に土地を渡すのならば、格差を設けたらどうかという考えもあるわけですけれども、この点はどういうふうに検討されて本法提案になったのか、その辺の経過と、検討をされた内容をひとつ説明をいただきたい、かように思うわけです。
#62
○杉山(克)政府委員 従来離農給付金の額は二段階あったわけでございます。これについては大臣からも御説明申し上げましたが、今回一段階にまとめられて六十二万円ということにいたしたわけでございます。これは、現在の年齢制限のためでない理由で農業者年金に加入できない者に対する離農給付金の額が五十九万円ということになっております。それらの実績といいますか、算定した過程等も考慮いたしまして六十二万円ということを決めておるわけでございます。その点、面積を考慮しない、一律であるということは従来と同様でございます。
 それから、改めて、じゃ面積に応じて差をつけることを考えてはどうかということでございますが、これはやはり離農したときに、離農したことに対して給付するんだという性格を考えますと、面積比というよりは一律という方が妥当ではないかと考えられるわけでございます。
 それから、離農すれば農地を手放すことになりますが、これは第三者移譲の場合は、当然適正な規模を持って適正な農業経営を営む者を相手として移譲をするということになりますので、荒らしづくりになるとか、後の経営が問題であるというようなことはないと考えておりますし、それから移譲の際は、それはそれなりに土地の対価は伴うものと考えております。したがいまして、私ども、六十二万円というこの一律の単価で差し支えないのではないかというふうに考えたわけでございます。
#63
○瀬野委員 局長、そうしますと、端的に言えば、大正五年一月二日以後生まれの者、すなわち五十九万円であったのをあなたは六十二万円にした、こういうふうな説明でございますが、だから結果的には三万円上げた。しからば、大正五年一月一日以前生まれの者は、百三十八万円であったのが逆にこれはダウンしておるわけですね。その辺の説明はどうなされるのですか。
    〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
#64
○杉山(克)政府委員 本来、この離農給付金の特例措置は十年限りで廃止される、この五十五年五月限りのものであったわけでございます。したがいまして、年齢的な制限のために農業者年金に加入できなかった人は、この離農給付金を受け取る意思のあった限りは、すでにほとんど全員が離農いたしましてこの離農給付金を受け取っているというふうに考えられます。実績を見ますと、この年齢制限のために加入できなかった者で離農給付金を受け取った者は一万五千人ということになっております。
#65
○瀬野委員 その点は私も後で検討させていただくことにいたしまして、引き続きお伺いしますけれども、この離農給付金は、御承知のように国がただでやる以上、有効に活用せねばならぬことは、これはもう当然でございます。すなわち、農業経営に意欲のある人に方策を講じていくべきだ、かように私は考えております。また、そうあるべきであります。ただ財産づくりや荒らしづくりになったのでは問題であります。局長は、そういったことはないものと思うということで、確信ある答弁ではございませんけれども、中核農家に活用するような方向であらねばならぬ、かように思うわけですけれども、この点は私の認識と同じでございますか。
#66
○杉山(克)政府委員 経営移譲の相手方は、これは年金に加入している者ということになっております。加入者はおおむね中核農家というふうに考えて差し支えないかと存じます。
#67
○瀬野委員 さらにお伺いするけれども、農林水産省ではこの財産づくりや荒らしづくりになったケースはおおむねどのくらいあるか実態を掌握しておられるか、それともこの心配は皆無に近いと言われるのか、その点もこの機会に明らかにしてください。
#68
○杉山(克)政府委員 およそ一般的に、生産調整等の影響で荒らしづくりになったという事例はある程度全国的にも出ているかと存じます。
 ただ、農地の移動に関連して、この離農給付金のために荒らしづくりになったという話は、私ども聞いてもおりませんし、事柄の性格上、まずないというふうに考えてよろしいのではないかと存じます。
#69
○瀬野委員 その点は実態を吸い上げて、農林省としては掌握はしていないのですか。そういったこともわからずに法案を提出するとか、いろいろなことになったのでは、私は実際とずいぶん違うと思うのですけれども、そういう実態は掌握してないのですか。たくさんのスタッフが地方におるわけだけれども、どうなんですか。
#70
○杉山(克)政府委員 私ども実は、調べるまでもなく、いま二度にわたって御答弁申し上げましたように、そういう実態はないというふうに見ておるわけでございます。
#71
○瀬野委員 あったらどうしますか。答弁を取り消しますか。
#72
○杉山(克)政府委員 制度自体の問題としては、先ほど申し上げましたように、一定の要件を備えた者にこれを譲渡するということを条件にいたしておるわけでございます。ですから、制度の問題というよりは、実態的にそういう者であるという前提で譲渡したにかかわらずそうでなかった者が出た場合どうするかということでございますが、指導なり運営の立場でそういうことの起こらないよう、これはいろいろなケースがあり得るから全く絶無とは言い切れませんが、ないとは信じておるわけでございますが、仮にあったら是正させるように努力し、指導してまいりたいと考えます。
#73
○瀬野委員 農林水産大臣、いま聞いておって、答弁がずいぶんさっきと変わったことを認識なさったと思いますが、その辺は十分掌握すると同時に、実態をつかんで、私は今後農林行政に当たってもらいたいと思う。
 農林水産大臣、いままでの議論を聞いておられまして、大臣にお伺いするのですけれども、政府が今国会に提出を予定しております農用地利用増進法案、すなわち農地法のバイパス、こう言われておるわけです。やがて本委員会でも審議する時期が来ると思っておりますが、この農用地利用増進法案と結びつけて農地の流動化を図り構造改善をするというような考えでなくてはならぬ、こういうふうに私は思うのですけれども、その辺については、本法提案に当たりましてどう検討し、今後はどういうように対処する考えでおられるのか、その点、大臣、御見解を述べていただきたいと思う。
#74
○武藤国務大臣 私どもは、今後の日本の農業の方向といたしましては、土地利用型農業については規模の拡大を図っていくことが必要であり、それによって生産性を高め、特に中核農家を育成していかなければならない。そしてそれは国民のためにもなることであるという観点に立っておるわけでございます。
 そういう意味からいきますと、いま御指摘の農用地利用増進法案にいたしましてもそういう考え方で出すわけでございますし、この農業者年金基金法の改正に当たりましても、この最初の法律のでき上がりました趣旨が、目的にも書いてございますように、農業経営の移譲を図っていく、そして農業の規模を拡大し生産性を高めていく、こういうことになっておるわけでございまして、当然それは同じ目的に沿った法律であると考えております。
#75
○瀬野委員 それでは、農林水産大臣、今回本法の延長期間を十年としたその理由について見解を述べてください。
#76
○武藤国務大臣 十年について、特に十年の根拠ということもございませんけれども、いま申し上げましたような形で、なお一層、兼業農家と申しますか、いわゆるほかの年金に入っておられてこの年金に入れなかった方々、そういう方々が離農していただけるように仕向けていかなければならないわけでございまして、そういう面で離農給付金をここでストップするということはいかがなものであろうか、引き続いてこの制度を延長したいということで、とりあえず十年としたわけでございます。
#77
○瀬野委員 農林水産大臣は、とりあえず十年としたということですが、それならば、この十年にどの程度離農が進み、またこのうち離農給付金の受給者はどの程度見込んでおられるか、その点を明らかにしてください。
#78
○杉山(克)政府委員 十年としたことの理由について若干補足いたしますと、現在の兼業の動向というのはますますこれから進行すると思いますが、長い期間のうちにはいろいろまた新しい情勢変化も出てまいると思います。そういう意味で、この離農給付金の仕組みを続けることにはいたしましたが、恒久制度とするには問題があるということで期間を限ったわけでございます。そして、従来の特例期間も十年であったということから十年ということにいたしておるわけでございます。
 そこで、その十年の間にどのくらい出てくるかということでございますが、私ども、これは非常に大ざっぱな腰だめみたいな観測になりますが、三万件くらいは出てくるのかというふうに現在のところ見ております。
#79
○瀬野委員 次に、昭和五十五年度における年金給付の額の改定について、農林水産大臣にお伺いします。
 年金給付の額については、国民年金の老齢年金の額が改定される月分以後、特別に引き上げ、すなわち昭和五十四年度の消費者物価の上昇に見合う引き上げを行うこととしておりますが、過去に五十二年、五十三年、五十四年と三回改定をしてきたわけであります。今年は四回目になるわけですが、本来ならば、基本的な原則は、消費者物価が上がらなければスライドは働かぬということになっておるわけです。五十五年は、すなわちことしは特別に、現在消費者物価が四・七%であるけれども、アップをする、このようなことじゃないかと思うのですが、そのように理解していいですか、大臣、どうでしょうか。
#80
○武藤国務大臣 確かに五%以下の場合には年金額を引き上げなくてもいいということになっております。しかし、国民年金、厚生年金等、他の公的年金が引き上げられるようでございますので、そういうときにこの農業者年金のみを据え置くというのはいかがかということで、この点は物価にスライドして上げよう、こういう考え方に立っておるわけでございます。
#81
○瀬野委員 では、昭和五十四年度末、すなわち本年三月末をもって総理府の確定の消費者物価上昇率が出た場合、その数値で考えるということだと私は思いますが、まだ三月末までには若干の時間がありますし、物価が上がってくれば当然変動があるわけです。すなわち、本年四月末にいわゆる三月末の物価指数の結果を見て、四月の末には総理府のいわゆる確定の消費者物価上昇率というものがはっきりしてきますので、その時点で仮に五%または六%となった場合は、当然その五%、六%のアップになる。スライドするわけですから、当然そのようなアップをする、このように本員は理解をしておりますけれども、その点は間違いございませんか。大臣からお答えください。
#82
○武藤国務大臣 そのとおりに私どもも承知をいたしております。
#83
○瀬野委員 昭和五十五年度における国民年金の給付額は財政再計算に基づき新規な額に改定されるため、改定措置は自動的に講ぜられないことになっております。本年金に対し改定措置が講ぜられるためには、特別の法的措置が必要となっておるわけでございまして、すなわち国民年金は五十五年度においてスライドアップをとらず新しい財政再計算によってやるわけでございます。そこで、国民年金はこれにより五十四年度に比して七・一%アップさせております。まことに私は結構なことだと思っています。国民年金は財政再計算するので七・一%アップして、そのアップ率が高いわけでありますが、農業者年金は財政再計算は五十五年度は行わないのでありますから、アップ率は現在は四・七%、また三月末のいわゆる消費者物価上昇率を見た上で四月の末にわかるでありましょう総理府の発表によっては五%、六%上がるということは当然であるわけでございますが、農業者年金も、今回国民年金が七・一%アップというんでありますから、この七・一%アップにすべきではないかと私は思いますが、その辺の事情はどういうことになっておりますか。これも大臣から明らかにしてください。
#84
○武藤国務大臣 法律が少なくとも五年ごとに見直すということになっておりまして、この農業者年金の方は財政再計算は五十七年ということになっておるわけでございます。今回はそういうことで、国民年金の方はたまたま五十五年が財政再計算の時期になっておりますから、いま御指摘のような形で見直しが行われるわけでございますが、こちらの農業者年金の方は五十七年に予定をいたしておるわけでございまして、前は五十二年にやったわけでございます。それで今度五十七年に私ども予定をいたしておるわけでございまして、とりあえず、先ほど申し上げましたように、物価の上昇率にスライドして上げるということはこれはもうやらなければならないと考えておりますが、そういう見直しは五十七年のときで考えていきたいと思っておるわけでございます。
#85
○瀬野委員 農林水産大臣は、農業者年金については物価スライドによってやる、見直しについては五十七年度に考える、こういうことのようですが、せんだって当委員会で、農林水産大臣は農業者年金基金法の一部を改正する法律案の関係資料を提案なさっております。この法律案の附則の次に本法提案の理由が書いてございます。「昭和五十五年度において拠出制国民年金等の年金額が改定されることにかんがみ農業者年金の年金給付の額を改定する措置を講ずるとともに、農業経営の近代化及び農地保有の合理化に寄与するため農業者年金基金の行う離農給付金を支給する業務の実施期間を十年間延長する等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。」こういうふうに述べておられます。
 冒頭、「昭和五十五年度において拠出制国民年金等の年金額が改定されることにかんがみ農業者年金の年金給付の額を改定する措置を講ずるとともに、」この文言から見ますと、物価スライドをやるのは当然であるけれども、今回は「国民年金等の年金額が改定されることにかんがみ」この「かんがみ」というところに力を入れなければいけません。そして「農業者年金の年金給付の額を改定する措置を講ずるとともに、」こうありますから、私は、当然国民年金と同じように肩を並べて今回措置を講ずる、このように理解する。また、そのように読み取れるわけです。大臣はこれをどのように読み取って提案されたのか。この点について御答弁いただきたい、大臣から。
#86
○武藤国務大臣 先ほども私答弁いたしましたように、国民年金の中には物価のスライド分もあるわけでございまして、それに見合った分についてはこちらもやろうということであり、財政再計算のものはこちらは時期がずれておるわけでございまして、先ほど申し上げた五十七年一月ということになっておるわけでございます。それまでにいろいろと見直しをやろう、こういうことでございます。
#87
○瀬野委員 ちょっと納得いかぬですけれども、局長補足説明。
#88
○杉山(克)政府委員 農業者年金においても財政再計算をすべきであるということは考えておるわけでございますが、先ほど大臣も申し上げましたように、五十七年の一月一日までにこれを行うということになっております。五十五年に行わなかったのは、経営移譲率の変動が今後どういうふうに見込まれるかということについてまだデータ不足である。それから、歴史もほかの年金に比べて浅いために、もう少しぎりぎりの時点まで情勢を見た方がいいではないかということで見送ったわけでございます。当然、財政再計算を行えば物価上昇率とは違った年金の引き上げというような結論が出てくるのかもしれませんが、これはいま申し上げましたように、五十七年一月一日までに行う再計算の中で検討するということになっております。国民年金等他の年金におきましては本年財政再計算を行い、国民年金の場合は七・一%の年金給付の引き上げを行うということになったわけでございますので、私ども財政再計算を行わないからといってこの農業者年金の年金給付額を改定しなくていいということにはまいりませんので、これは物価上昇率が五%を下回るときは改定しなくてもいいという法的な根拠はございますが、実際問題としてバランス上それを放置するわけにいかないということで、引き上げることを考えたわけでございます。
 その場合何をもって根拠とするかということでございますが、ほかによるべき指標がない、それから従来やはり物価上昇率を基準にしてきたということから、その物価上昇率をとるということにいたしたわけでございます。
#89
○瀬野委員 それで、たとえば、私はけちをつけようとは思わないけれども、理由の場合に、役人流の書き方であるけれども、いまにわかにこれがいい悪いは別として、こういうような書き方ではどうかとぼくは思うのです。昭和五十五年度において拠出制国民年金等の年金額が改定されることになるが、農業者年金の年金給付の額については従来の物価スライド制をもって措置を講ずるとともにとか、こういうふうに、もう少し言葉は考えていいと思いますが、そういう意味のことで書けばいいけれども、この理由だけを見ますと、これはだれが見ても、「拠出制国民年金等の年金額が改定されることにかんがみ」と書いてあって、国民年金等の年金額が改定されるからそれによって農業者年金の年金給付額の改定もあわせ措置を講ずるんだ、こういうふうな意味にもとれるわけですね。皆さん方は提案者としてそうでないと言うかもしれぬけれども、第三者、一般国民は、これを解釈せいといって試験答案に出してみなさいよ、いろいろな答えが出てくると思いますよ。この提案の理由にけちをつけようとは思わないけれども、もう少し国民に素直に明快に書いてもらいたい。紙の余白もこんなにたくさん残っているのだから、何も一行二行ふやしたからつてどうということはない、こう思うのだが、親切味がない。皆さんはこの理由が一番いい、こう思い込んでいるかもしれぬけれども、私がいま言ったことも踏まえて、今後もあることでありますから。農林水産大臣、その点はどうですか。絶対これはもう最高のものである、これで絶対である、こうおっしゃるのですか、お答えいただきたい。
#90
○武藤国務大臣 文章の表現の問題でございますが、中身についてはもう御理解をいただけたと思うのでございますけれども、もう少し文章の表現が、片一方は財政再計算の時期にたまたま当たっておって、物価上昇のスライド分だけでなくて全般的な見直しを国民年金の方はしておる、こちらはまだ、それをやるのは五十七年一月までにやるんだ、こういうことで二つに分けて考えておるわけでございますが、それが一つのように受けとれるような表現であったという点においては先生御指摘のとおりではないかと思います。
    〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
しかし、私どものその書き方についてはそういうことで反省をいたしますが、意味合いは先ほど来申し上げておることでございますので、御理解をいただきたいと思います。
#91
○瀬野委員 農林水産大臣が素直に認められたので、これ以上申し上げませんけれども、冒頭申しましたように決してけちをつけようというのじゃないけれども、やはりこういった点については、何でも文章は簡単がいいというのじゃない。必要に応じてわかりやすくやってもらいたいと思うのですね。私も役人を長くやったからよくわかりますけれども、いろいろと皆さん方がかたくなな答弁をすると、こちらも意地になっていろいろなことを言いたくなりますので、今後十分ひとつ注意して、いま大臣の反省もあったことでありますので、国民にわかりやすく書いていただきたい、かように思うわけでございます。
 次に、昭和五十五年度における国民年金の給付額は財政再計算に基づき新規な額に改定されるため、自動的改定措置は講ぜられないことになっております。この年金に対しては、先ほど申しましたように、改定措置が農業者年金の場合は五十七年ということでございますから、私はそのときには十分財政再計算によって国民年金と肩を並べるようにぜひともひとつ御検討をお願いしたい、このことをいまから強く要望申し上げておくわけでございます。
 さて、次にお尋ねしたいことは、現在残されている主要な事項としては、いろいろたくさん問題はありますけれども、本法提案に当たって農業者老齢年金の水準の引き上げ、また主婦等の年金への加入、さらには遺族年金の創設等があります。これらの問題については過去毎年国会で審議をし、先ほどもいろいろ論議されました附帯決議をつけてまいったわけです。私も附帯決議の逐条についていろいろとお伺いしたいと思っておりましたが、時間も制約されておりますのでその中から数点について改めてお伺いをしておきたいと思います。
 まず、昨年の附帯決議にもありました農業者老齢年金の水準の引き上げの問題でございますけれども、やむを得ない理由によって経営移譲できず、農業者老齢年金しか受給し得ない者の年金額については、これが保険料に比べて必ずしもメリットがないという指摘がされております。その改善につき強い要請がなされていることは、毎年大臣も十分御承知だと思います。すなわち、年金受給総額は保険料納付総額とこれに五分五厘の運用利回りを加算した額程度になるのが実情である、これはもう御承知のとおりです。よって、昭和五十六年の財政再計算に当たっては、掛け捨てになるような、すなわち元が取れないようなことが起きてくる、かように私は懸念をするわけですけれども、そういった懸念はないのか、もしそういった懸念があるとすればどのように対策を講じようとして考えておられるか、その点もこの機会に明らかにしていただきたい。
#92
○杉山(克)政府委員 数字の話でございますので、私から御答弁申し上げますが、保険料に対して老齢年金の受け取る全体の総額がどうかということでございます。これは五分五厘程度の金利を加味したものにしかすぎないではないかという御意見でございますが、もう少しこれは率がよくなっておりまして、年金の受給額と保険料との関係を見てみますと、これは加入年数によって差があるわけでございます。五年間掛けておりますと、保険料は六万三千円。年金の受給総額は、これはいろいろな前提を置いておりますけれども、六十歳以後の平均余命の期間を十六年問ということで、その期間受給することと仮定したわけでございますが、総額で二百四十八万円というふうに計算されます。それから、十年掛けますと、保険料は二十七万四千円ということになります。それに対して年金受給総額は三百四十七万七千円ということになります。この年金受給総額については、これは将来にわたって受け取っていく額でございますので、現在価値に引き直して、いわゆる現価ということで計算いたしております。いま私申し上げましたのは経営移譲年金と老齢年金を含む額でございます。
 そこで、老齢年金だけのところを申し上げますと、六十五歳以降の老齢年金だけで、先ほど申し上げました五年六万三千円の保険料を掛けた場合、六十二万七千円、十年二十七万四千円の保険料を掛けた場合、八十三万六千円、こういうことになるわけでございます。
#93
○瀬野委員 そうすれば、元が取れないというような心配はない、こういうことですか。
#94
○杉山(克)政府委員 私どもとしては、いま申し上げたようなことで、元が取れるとか取れないとかいうような話ではない。十分――十分というのは言い過ぎでございますが、国民年金などとあわせて農家の老後の安定はこれで図り得る、保険料に比べて相当手厚い年金の受給が受けられるというふうに考えております。
#95
○瀬野委員 さらに昨年の附帯決議で決議されております農業に専業的に従事する主婦の加入の問題ですね、これについても当局の見解を求めておきますが、現行制度における農業者年金の被保険者資格というものは、国民年金の被保険者であり、かつ所有権または使用収益権に基づき耕作または養畜の事業を行う農業経営主に限定されておることは御案内のとおりであります。農地等の権利名義等を持たない主婦等については年金の加入の道が閉ざされておるわけでございますが、わが国農業の実情というものは、農地等の権利名義人たる夫が被用者年金に加入し、その妻が実質上農業経営主となっている事例が多いわけであります。こうした主婦等が容易に年金に加入できる道を講じてほしいということがもう例年言われておりますが、ことしも恒例によってお伺いをするわけでございますけれども、この問題はいずれは解決せねばならぬ問題であろうと思うわけです。例年同じことが附帯決議に盛られ、またこういった要望が年々高まりつつあるわけでございますけれども、政府としても何とか考えるべきでないか、何とかせにゃならぬと思いますけれども、将来どういうふうにしようと考えておられるのか、農林水産大臣の率直な御意見はどうですか、お答えをいただきたい。
#96
○武藤国務大臣 いま先生御指摘のとおり法律に書いてあるわけでございまして、これはやはりこの趣旨が、先ほど来議論なされておりますように、いわゆる経営移譲という形が主体になっておるわけでございます。そうすると、経営移譲をしてもらおうということが目的でございますので、いま実質的に、被用者年金に主人が入っておる、厚生年金かあるいは共済年金に入っておって、実際の農業は奥さんがやっておられる、こういう場合には、実態はそのとおりで、私どもそういう方を何とか対象にしてあげたいと思うのでございますが、それじゃ果たして、実際はやっておるけれども、経営主かどうか、権利はあるのかどうかという点になるとやはり問題があるわけでございまして、そういう場合には賃借権であろうが何でもいいわけでございますので、ひとつ権利関係だけははっきりしていただくということさえしていただければ、その奥さんが今度は農業者年金の加入資格が得られるわけでございますから、そういう方向にぜひ持っていっていただきたい。これは先ほどの、PRが足りないのかもしれませんけれども、私どもはそういうふうに考えておるわけでございます。
#97
○瀬野委員 この点は、何か知恵をしぼって手だてを講ずるような方向で、今後も引き続き御検討いただきたい、かように思います。
 さらに、これも昨年の改正の際の附帯決議になっておる問題でございますが、遺族年金の創設についての問題でございます。農業者年金制度には遺族年金制度がなくて、これにかわるものとして死亡一時金制度が設けられておるわけでございますが、その支給要件が限定され、かつその支給額も四十九年の第一次法律改正以後据え置かれているために、掛け捨て防止等の面からその改善が強く要請されてきたことは御承知のとおりです。この問題は、最近においては厚生年金等と同様に遺族年金を創設すべしとの要請になっておりますが、本制度は原則として農業経営主しか加入を認めていないけれども、農業は先ほどと同じように一人でやっているのではなくて、妻も当然ともどもに働き、またこの年金の掛金の払い込みのお金の分もともどもに働いてかせいでおることはもう御承知のとおりでございますから、何らかの優遇措置をこれも講じてやるということが当然ではないか、かようにわれわれは述べておるところであります。政府も何らかの方策を講ずる用意があるのか、この点はどういうふうに検討されて本法提案に臨まれたか、その点も明らかにしていただきたいと思う。
#98
○武藤国務大臣 先ほど来、これもどうも恐縮でございますが、いわゆる経営移譲年金を中心としたいわゆる政策年金としての性格を持っておるこの農業者年金でございまして、それを厚生年金その他のような形での遺族年金という制度を創設するということは、大変そういう点においてはなじまないものであると思っておるわけでございます。
 ただ、先ほど柴田先生にも申し上げましたけれども、その農業者年金の中にも、そういう部分と、それから農業者老齢年金というような国民年金の補完的な役割りを果たしておると受け取れるような部分もあるわけでございます。そういう部分についてはそれじゃ考えたらどうかというような議論も私は出てくるのではないかと思っておりまして、この点については引き続きひとつ検討をしていきたい、こう考えておるわけでございます。
#99
○瀬野委員 この遺族年金の創設については、引き続き農林水産大臣としても検討を続けていきたいということでありますが、毎年同じことを繰り返してきておるわけでございますけれども、各党同じようないわゆる見解が述べられております。いずれこれも、先ほどの婦人の加入とともに今後も検討すべき問題である、かように思いますので、ひとつ当局もよりよい知恵をしぼって検討を進めていただくように、さらにお願いをいたしておきます。
 最後に、本法提案に当たってお伺いしておきますが、全漁連の方で漁業系統に適する年金制度について検討を進めておられまして、このほど漁業者共済年金制度に関する試案をまとめておられます。これは全漁連から全水共の方に依頼されて、たたき台がまとまったわけでございますが、それによりますと、系統独自の年金制度をつくる方向で運動を進めることにしておられますが、漁業者が六十歳になったとき、それまでの共済や貯蓄による資金をもとに一時払い五年据え置きの終身年金給付を受けるという仕組みであるようでございますが、農林水産大臣は、これについては承知しておられるか、どう受けとめられるか、その点からお答えをいただきたいと思う。
#100
○今村政府委員 漁業者年金の創設につきましては、五十二年度から、御存じのように全国の漁業協同組合連合会に政府としては助成をいたしまして、漁村福祉改善対策検討委員会を設置いたしまして、福祉問題の一環としていろいろ検討いたしておるところでございます。
 ただいま御指摘の全水共の案というのは、全漁連の方から全水共に検討をお願いいたしまして、全水共が一応事務的にまとめたというふうに理解をいたしておりまして、これもまだ、先ほど申し上げました委員会の場その他では検討がなされてはいないわけでございます。しかしながら、私たちとしましては、漁業者の福祉の向上ということはきわめて重要な問題でありますので、全漁連に助成をいたしまして、先ほど申し上げましたような検討を続けると同時に、こういう別途の年金的な仕組みについても全漁連が検討を進めつつあるところでございますので、これらの論議の推移を見守りながら引き続き検討を深めていきたいと考えておる次第でございます。
#101
○瀬野委員 水産庁長官、十分承知しておられるようだが、この全漁連が進めております漁業者共済年金制度の大まかな骨子ですね、どういうふうになっているのか、その考え方についてもう少し御説明をいただきたい。
#102
○今村政府委員 漁業者年金の問題につきましてはいろいろ検討を重ねておるわけでございますが、一つは国民年金その他への加入状況を見てみますと、まだ全体的にそれに加入をしておるというふうな状況ではございません。したがいまして、私たちとしましては、まずそういう年金への加入ということをもう少し促進をしたいということが一つございます。
 同時に、御存じのように漁業者年金の集団というのは小そうございますので、それ独自に公的年金を仕組むということについてはなかなか問題が多いかと思います。したがいまして、いま申し上げましたような年金に加入をいたしますと同時に、それの上積み的な措置として、いま検討されておりますような実質的な上積み措置ということも一つの方向ではなかろうかと思いますが、これらの点につきましても、年金全体のいろいろな議論の過程でもございますし、また漁業者年金を仕組みます場合にもいろいろの問題点もございますし、これら全体を含めて、今後鋭意検討いたしたいと考えておる次第でございます。
#103
○瀬野委員 私がお伺いしているのは、いまおっしゃったこともさることながら、今度の試案を見ますと七項目くらい概略で柱を立てておられるようであります。私どもは試案の内容について、いま手元にあるのですけれども、水産庁長官は十分認識しておるとおっしゃるからその点をいろいろ伺っておるわけで、七項目くらいのいわゆる柱にしている内容について、どういう問題が盛られておるかということを水産庁長官からお答えいただきたい、こういうことで私はお尋ねしたわけです。
#104
○今村政府委員 試案の仕組みの概要でございますが、一つは共済年金の原資といたしまして、六十歳までに各漁業者が共済、貯蓄等によりまして造成をしてきました資金を一括して六十歳の到達時に払い込んだ場合には、五年間据え置きまして六十五歳になったときから年金給付を始めまして終身年金の給付を行う、したがいまして、六十歳時に払い込む原資の額によりまして各人の給付額は異なるということでございます。第二は、給付額は毎年五%ずつ逓増をさせる。それから、財産は資金運用が効率的に行われても各人に還元しないで将来の給付額の逓増分に充当する。それから四番目に、給付前に死亡した場合には払い込んだ相当額を一時金として返還をする。それから五番目には、給付後に死亡した場合には給付期間に反比例させて一時金を支払うということが大体の骨子でございます。
#105
○瀬野委員 実は、農林水産大臣、このことについてはこの席で申し上げることはどうかと思うけれども、来る六月、七月の第十二回参議院通常選挙を前にして、各漁村等を訪ねてみますと、ある党から近く漁業者年金ができるような印象の発言がありまして、私たちの方にもいろいろ問い合わせがあります。私の方も、去る一月十七日から三日間、九段会館で第十七回の党大会を開いたのですが、例年こういった問題が出ておりまして、端的に言うと、農者業年金があるのにどうして漁業者年金はないのか、または林業者年金もないのか、こういうような率直な意見が地方に行くと聞かれるのも事実であります。もちろん、林業者に対してまた漁業者に対しては、それぞれ経営移譲とかいろいろ基盤の問題等もありまして、それなりの経過があることは十分承知しておりますけれども、一般から見れば、農業者年金があるのに一番苦労している漁業者に対する年金制度がない、これは何とか考えるべきじゃないか、こういうような意見があるわけです。もちろん、漁業者に対しては農業と違って経営基盤というのがなくて、漁業権というのはあるわけですけれども、漁業権もそれを与える人が別にあるわけでございますから、その漁業権の経営移譲ということにはこれはちょっとまいらぬと思いますが、いろいろ問題があることも事実であります。しかし、日本の食糧を生産している農家は一千万トン以上の米を生産している、漁業もまた、水産国として一千万トンの漁獲高を得ている、そういう立場から、国民生活の安定のために重要な動物性たん白質を提供し、食糧増産確保のためにがんばっている漁業者からしてみれば、いろいろ意見のあることも事実であろうと思います。そういったことで、ことしの二月ごろからにわかにそういったことが各漁村で、漁業者年金の成立を、漁業者年金の制度の確立をというようなことでいろいろと流されております。そういったことから、私はあえてこの問題をお尋ねしてみたわけですけれども、いずれにしてもそういう素朴な意見、またそのような願いがあるということは大臣も十分承知していただきたい。
 そこで、私は、今回全漁連が全水共からこのような試案をつくってたたき台として提案していただいた、そしてそれを全漁連が運動を進めていく中で検討しておるということについては、本当に心から敬意を表するわけでございます。それで、系統独自の年金制度ということで努力を続けていかれるようでありますが、いまいろいろ申し上げたようになかなか困難な問題があることも本員もよく承知しておりますが、少なくともこのような努力を全漁連として進めていかれる、これに対して、努力はしていただくわけですけれども、法律に基づくいわゆる国が関与した年金制度ができないとすれば、国がこれに対して予算を計上して助成するなど、将来めんどうを見てやるべきではないか。また、いまにわかにはまいりませんけれども、十分たたき台を検討して、そして、いずれは全漁連独自でこういった年金制度が行われていくであろうということは当然で、考えられますから、いまから十分こういったことを踏まえて温かい手を伸ばし、めんどうを見てやるということが望ましいというふうに私は思うのですが、その点については大臣はどのような見解を持っておられますか、お答えをいただきたい。
#106
○武藤国務大臣 漁業者というのは、農業者と違いまして多少数が少ないとか、あるいはいま御指摘のように経営基盤の問題とかいろいろございまして、なかなか単純にはいかない問題があろうかと思いますけれども、その団体側で真剣に取り組んでいただいておるという話でございますから、そういうところで何かまとまってきたときには、私どもも極力それに協力するという姿勢で対処してまいりたいと考えております。
#107
○瀬野委員 水産庁長官、せっかくおいでですから再度お聞きしますが、これは全漁連側から公式にしろ非公式にしろこういったことについての話はございましたか。
#108
○今村政府委員 事務的には私たち常に相談を受けております。その委員会の検討の場におきましても、水産庁の方からはオブザーバーとして出席をいたしておるところでございます。
#109
○瀬野委員 水産庁長官、十分相談を受けておるということですが、大臣も今後これには十分協力するという趣旨の発言がございましたが、水産庁長官としては、率直に言って、系統独自の年金制度をつくるということに対しては、私は大変な努力であろうと思う。その衝に当たる長官としては十分これにこたえていかなければならぬと思いますが、今後の問題ではありますが、あなたの考えとして、農林水産大臣に対してこれについてはこういうことでぜひ進言をし、大臣にも理解いただき、また将来大蔵省にも折衝して、こういった問題については国としても十分温かい手を差し伸べていきたい、こういうふうにお考えであるか、その点お伺いしておきます。
#110
○今村政府委員 ただいま申し上げましたように、漁業者年金を仕組みます場合にはいろいろと問題がございますが、せっかく全国漁業協同組合が中心になりまして鋭意検討中でございますから、その検討を深めていくことによりまして、先ほど申し述べましたような自主的な年金制度というふうなものもその中に含めまして、十分検討を深めていきたいというふうに考えております。
#111
○瀬野委員 約束の時間が参りましたので、以上で質問を終わらしていただきます。
#112
○内海委員長 この際、午後一時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。
    午後零時三十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十三分開議
#113
○内海委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。芳賀貢君。
#114
○芳賀委員 大臣が出席されるまでの間、政府委員に対して質問をいたします。
 第一の点は、農業者年金基金法の公的年金としての位置づけを明確にすべきであるという議論は毎年やっておるわけでありますが、これは所管の厚生省、農林省においてもいまだ明確に公的年金としての位置づけができていないわけです。昨年の附帯決議においてもこの点が前文で指摘されているわけでありますから、これは単に農林大臣や政務次官の政治的答弁だけでは信頼が置けないですから、この際、厚生省は政府委員が見えていませんが、農林省の杉山局長からこれは明快にやっておいてもらいたい。
#115
○杉山(克)政府委員 公的年金の定義いかんということでございますが、御存じのように通算年金通則法でこの用語が使われておるわけでございます。この公的年金というのは、老後保障を目的とする基本的な年金であるというふうに私どもは理解いたしております。この公的年金については、二つ以上の年金にまたがって加入している者の間でそれぞれの加入期間が短い場合、年金が受給できなくなるということになる場合がありますので、このような者を救済する必要があって通算制度を設けられているものでございます。その対象になるものがこの法律にいうところの公的年金でございます。
 農業者年金は、この通則法にいうところの公的年金ということにはなっておりません。ただ、御質問の趣旨は、これが法律に基づき明確な制度として打ち立てられ、かつその運営について国の負担が行われているという意味では公的な性格を持っている、その意味では、通則法にいうところの公的年金とは意味が違いますが、一般的な呼び方として公的年金と言ってもいいのではないかというふうに考えております。
#116
○芳賀委員 通算年金通則法にいうところの公的年金というのは、法律の定義の中にも公的年金各法あるいは公的年金制度ということをうたって、それに対して八つの年金がこれに該当するということは通算年金通則法で明確になっておるわけです。
 その前に、大事な点は、政府においてはしばしば、農業者年金制度というのは独立の年金制度ではない、国民年金に付随する付加年金制度であるということを最近は強調しておるわけです。しかし、昭和四十五年にこの法律が制定されたときの論議を振り返ってみても、これは明らかに農業者に対する離農年金とそれから老齢年金という二本立ての厳然として独立した公的な年金制度であるということは、もう疑う余地はないのです。議論の余地はないのですよ。ところが、最近これに対して、これは国民年金の付加年金制度であるということを強調しておるわけですから、こういう誤りは政府当局においてまず正しておかぬと、もう十年間たって相当の発展を遂げて、これからますますこの趣旨が発展方向に進むようにしなければならぬときですから、そういう基本的なこの年金の性格というものを明確にしておく必要があると思うわけです。
#117
○近藤(鉄)政府委員 午前中も大臣からもいろいろほかの先生の御質問に対して答弁があったわけでございますし、ただいま構造改善局長からも答弁があったわけでありますが、先生は大先輩でいらっしゃいますのであれですが、私の理解では、やはり国民年金という制度が一つのベースにあります。ただ、それは六十五歳から始まるわけですから、それより前に経営移譲してもらって農業経営の合理化を促進する、こういう政策的な意図で農業者年金というものが考えられたというふうに私は理解しております。したがいまして、六十歳から六十五歳までの間はこの年金でカバーして、六十五歳を過ぎますと国民年金があって、それに一応老齢年金と経営移譲年金が乗っかって、合算で年をとられた農家の方々の老後の生活の保障をする、こういうことでございますので、いわゆる純粋に老後保障だけを目的とした公的年金とはその性格において違っている、こういうふうに私たちは考えておるわけでございます。
#118
○芳賀委員 その政治的な抽象的な答弁は後刻農林大臣が来ますからいいですが、少なくともこの法律を所管運営する担当局長あるいは厚生省の担当者にしても、農業者年金は一体何なんだということが確認されていないと、これはだんだん粗末な扱いになるわけですから。農業者年金の目的、これは法律に明らかになっておるわけだから、何も離農促進だけを目的にした政策年金でないわけです。ただ、国民年金と引き合いに出されるのは、加入条件としてまず国民年金に当然加入しておる者でなければならぬということなんだ。これは農業者は全部、農業従事者は二十歳になれば当然国民年金の加入資格者ということになるわけだから、これが前提になっておるわけですよ。だから、国民年金の加入資格者としての要件を失った場合には、それは農業者年金に加入する資格も失っておるということになるわけです。
 それからもう一つは、老齢年金の点については、国民年金は六十五歳から支給開始ですね。農業者年金の場合にも老齢年金は六十五歳から支給開始。ですから、同じ要件で両年金に加入しておるわけですから、一定の年齢になれば両方の年金から給付を受けることができるわけです。つまり併給ですね。この素人でもわかることを無理にねじ曲げて別な解釈をしておるわけだから、こういう点は謙虚に、この法律が制定されたその時点に立ち返って、そして正しい運営をするべきであるという点なわけです。これは議論の余地ないのですよ。ただ、いやこれは公的年金でないとか、国民年金の付加年金なんということを頑迷にいつも強調しておるから、今回明確に改めるべきであるということです。あとは、農林大臣が出席してからこの点を明確にしてもらいます。
 その次は、今回の改正案の中で、特に離農給付金制度について、これが昭和四十六年に始まって五十五年五月十五日までの十年間、離農給付金制度というものが続けられてきたわけでございまして、法律上から言うと五十五年五月をもってこの制度は消滅するということになっておるわけです。それがわかるから、昨年の当委員会の法案審議の場においてもわれわれは離農給付金制度というものを、相当成果を上げておるわけですから、これはさらに延長、存続すべきであるという議論をいたしまして、私も当時の渡辺農林水産大臣と論議を闘わしたわけでございますが、渡辺大臣は、この離農給付金制度に対して、政府としてはさらに改善を加えてやっていきたいという考えがある、しかし、期限が切れるまでの問にかわるべき改善の方途というものが明確にならない場合にはこの離農給付金制度というものを続けるようにしますということになりまして、結局その結果と思いますが、今度の改正案には、離農給付金制度というものはさらに十年間存続するという改正が出てきたので、これは政府当局の努力というものに対して私は一応の評価をしておるわけです。しかし、単に十年間延長してよかったという問題ではないのですよ。これから十年間のこの給付金制度というものは何を目標にしてどういうような農政上の政策効果を上げるかという、その点に対して、この際、具体的にしておいてもらいたいと思います。
#119
○杉山(克)政府委員 昨年の当委員会におきます芳賀委員と渡辺前大臣との間の質疑応答は、私もよく承知しております。それから附帯決議でもこの点についての御要請があったこと、十分承知しておるわけでございます。それらを踏まえまして、私ども事務当局としても、大臣の意向も伺いながら、これは前大臣とその引き継ぎを受けられた現大臣の両大臣の御意向も伺いながら現在の案に最終的に落ちついたわけでございます。
 単に十年延長するだけでどうかというお話でございましたが、これを恒久化するという問題についても検討いたしましたけれども、やはり兼業化の進行あるいは移譲率の変化といったような、外的なというか、全体から影響されるところの条件の変化がかなり激しゅうございます。やはり制度というものはそういうものの推移も見なければいけないということならば、この際、恒久化ということでなしに十年ということで、これは前回の特例期間も十年でございましたから、合わせて、こういう際の一つの期間として十年ということで定めたわけでございます。
 ところで、その十年という間に何を目標にして農政全体を組み立てていくのかという御質問でございますが、この法律の目的にもありますように、農林省の今日最大のといいますか、幾つか最大のと言われるような大きな課題があるわけでございますが、その一つは、農地の流動化を促進する、そして中核的農家、専業農家にこれをできるだけ集積して生産性の高い農業経営を確立するというところにあるわけでございます。その意味で、この離農給付金の制度の延長もその一環でございますが、いずれまた御審議をお願いいたしますところの農地法制の整備、これらにおきましても制度面から農地の流動化を促進するということを考えております。そのほか、農林省全体の施策の中でそういうことに寄与するような形で、一般的な政策展開を図っていくということで考えておるところでございます。
#120
○芳賀委員 それで、いままでこの離農給付金の対象者あるいは経営移譲の相手方とか、経営移譲の内容とか、給付金の額とかいうものが整備されておりますが、この十年間の実施した方法と、これからまた十年間内容を改善してここをどうするというような点があればこの際明らかにしておいてもらいたいと思います。
#121
○杉山(克)政府委員 この農業者年金制度は、移譲年金の場合におきましても、この離農給付金の場合におきましても、実績を見ますればそれなりにかなりの成果を上げてきたと思います。一々数字では申し上げませんが、それらの成果を踏まえて、今回の制度改正と、さらに延長を図るということに至ったわけでございます。
 現行の離農給付金制度は、農業者年金に加入できなかった者の救済を図ることと、あわせてその離農を促進し、手放した農地等を専業的な農家に集積するということを、何度も申し上げるようでございますが、ねらいとしておるわけでございます。そして、この五月に期限が到来する、しかしながら、いま申し上げましたように、今後ともその離農を促進していくこと、さらに一層専業的な農家に集積していくことが必要であるという考え方のもとに、十年間、改めてこの制度を充実さして実施しようとしているわけでございます。
 そこで、具体的に内容いかんということでございますが、その単価は従来は二本立てでございまして、百三十八万円と五十九万円という二種類がございましたが、今回は一本の六十二万円ということにいたしております。それとともに、安定兼業農家等の保有する農地を専業的な農家に集積する方向にさらに一層誘導するという考え方のもとに、離農の相手方を農業者年金の加入者等とすることとしておるわけでございます。
 そのほか、この点が従来と変わる点でございますが、従来は離農給付金の対象とならなかった者があるわけでございますが、そういう者についても、この制度の趣旨に照らして相当の事由があったものと認められる者には離農給付金の対象として広げていこうではないかということで、目下検討をいたしているところでございます。
#122
○芳賀委員 次に、来年五十六年の二月から農業者老齢年金の支給が開始されるわけでございますが、当委員会においても、経営移譲年金の水準に比較して、老齢年金水準が非常に低過ぎる。実際に年金としての体をなしていないではないかということで、少なくとも老齢年金の支給開始以前に給付額を引き上げるべきであるということを、社会党としては昨年、一昨年の二回にわたって政府案に対して修正を試みたわけでありますし、また、当委員会としては、毎回附帯決議の中でこの点を強調しているわけです。経営移譲年金の場合も、昭和五十一年からことしで五年間移譲年金の支給が継続されておるわけでございますが、立法上から言いますと、法律の制定は昭和四十五年ですが、この経営移譲年金については、移譲年金の給付開始の前の昭和四十九年の本法改正の際に、経営移譲年金の額の算定の基準単価を大幅に引き上げて、その後また物価スライドの導入等もあって今日に及んでおるわけです。だから、経営移譲年金の場合も支給開始の前に実態に合うように法律の手直しをやっておる。だから、老齢年金についても、明年から支給開始になるわけですから、当然、政府においてもその点を十分に検討して――国会答弁だけは、十分検討しますとか、附帯決議に対して趣旨を尊重して鋭意努力しますということだけでは、来年給付開始ということになってしまうのですよ。だから、われわれとしては離農給付金の継続改正とあわせて老齢年金の基準単価の引き上げ等が改正案として出てくることを期待しておったわけでございますが、それが実現されていない。この点について具体的に、これは農林省並びに厚生省の方から、なぜ老齢年金の給付額の引き上げができないかという点について述べてもらいたいと思うのです。
#123
○杉山(克)政府委員 検討はもちろんいたしておるわけでございますが、老齢年金の引き上げは、私どもきわめて困難であると考えております。
 一つは、毎回申し上げているようで大変恐縮でございますが、この年金が経営の若返りと農地保有の合理化を目的とした経営移譲年金主体であるということにあると思います。
 それから、老齢年金自身を直接引き上げるということではないのでございますが、バランスを考えてほかの年金とともども物価上昇等を反映したその都度の水準改定は行ってまいっているわけでございます。私ども、一般的な老後の保障は国民年金を中心として考えるべきであり、この農業者老齢年金は、保険料を支払われた方がその保険料に見合うものを受け取らないような事態になる、経営移譲しなかった場合には給付はないというようなことで掛け捨てになることを防止する意味も含めて、国民年金と合わせた形での老後保障に貢献し得るということで、この制度を設けたわけでございます。
 したがいまして、いろいろ御要請なり附帯決議等も承っているのでございますが、私どもこの老齢年金の引き上げはきわめて困難であると考えております。
#124
○長尾説明員 ただいま局長から御答弁を申し上げましたことに重複するかと思いますが、厚生省としての考え方を申し上げさせていただきたいと思います。
 いま局長からも申し上げましたように、農業者年金は国民年金の給付と相まって農業者の老後の生活を保障するという目的を持っておるものと承知しておるわけでございます。御承知のように、本年現国会に厚生年金保険法等の一部を改正する法律案という形で、国民年金の改正問題につきまして、年金額の引き上げ等を主な内容といたします改正案を御提案申し上げておるところでございます。国民年金の給付につきましては、御承知のように、保険料につきましても大幅な引き上げをお願いするということをあわせて盛り込みまして、給付の改善を御提案を申し上げておるわけでございます。
 農業者年金につきましては、いま局長からもお話がございましたように、農業政策上の特殊な目的を持った年金でございますが、この老齢年金部分についてさらに改善をいたすといたしました場合に、全体の年金体系の中でどういうような位置づけを考えていくのか、また、国民年金が抱えておりますように、保険料の相当な引き上げをお願いせざるを得ないと思うのでございますが、そういう面についても、どのような安定性といいますかそういう財政上の問題を考えていくべきか、なかなかにむずかしい問題があるのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。
#125
○芳賀委員 この年金が、政府側の言うごとく、離農促進とかあるいは経営者の若返りだけを目的とした年金であるというのであれば、何も農業者の老齢年金制度というのは要らないでしょう。老齢年金制度が法律にあるということは、必要があって法律に明定しているわけですからね。それは目的でないんだ、経営移譲だけの年金であるということになれば、この部分は要らないじゃないですか。何のために老齢年金制度がこの法律にあるわけですか。まずその点を聞かしてもらいましょう。
#126
○杉山(克)政府委員 農業政策上の要請を強く反映した年金であるということは確かに申し上げましたが、同時に国民年金とあわせて老後の安定を図ることも申し上げたつもりでございます。芳賀先生御指摘のように、当然農業者の老後の生活安定ということを考えておることは間違いございませんし、それはもちろん老齢年金がその一部を構成いたしておりますが、一番ベースになりますところの国民年金、これは六十五歳以降でございますが、国民年金、この老齢年金、さらに経営移譲年金、これは一割部分でございますが、それらが合わさって六十五歳以降の老後の生活安定に寄与するというように考えております。
#127
○芳賀委員 そうであるとすれば、いまのように六百五十円の単価に保険料の納付済み期間だけを乗じた額を年金支給額ということであれば、これはまだ二十年経過になっていないが、一体どういうことになるのか。
#128
○杉山(克)政府委員 一番短い期間の加入の方、これは大正五年生まれの方ということになりますが、五十六年一月現在で、これは経営移譲年金が六十歳から六十四歳までの問、月額三万二千八百六十七円ということになります。それから、六十五歳以降農業者老齢年金を受けられる額は月額で四千百八円ということになります。
#129
○芳賀委員 それは経営移譲年金の受給を経て老齢年金に入った者の額でしょう。経営移譲年金を受ける機会を失って、保険料はずっと納付してきた、そうして六十五歳受給権が発生しているという加入者もいるわけなんです。それは幾らになりますか。
#130
○杉山(克)政府委員 経営移譲をなさらなかった方は、前提としては保険料は経営移譲をした人と同じに納めているということで考えておりますが、経営移譲をなさらなかった以上は経営移譲年金は受けられない、そして六十五歳から農業者老齢年金を受けられるわけでございます。これは月額四千百八円でございます。それから、経営移譲をなさった方は六十歳から六十四歳までの間三万二千八百六十七円の月額経営移譲年金を受け取られておったという、時期を違えてのそれぞれの金額を申し上げたわけでございます。
#131
○芳賀委員 これはそうじゃないのですよ。法律をよく見ればわかるが、老齢年金の場合は基準単価が現在六百五十円でしょう。六百五十円に保険料の納付済み期間を乗じた額が支給される年金額ということになっているのです。そのほかに経営移譲年金を五年なり経過的に受けた者は、経営移譲年金は単価は二千六百円ですから、老齢年金の四倍ですから、経営移譲年金額の一割というものは、今度は六十五歳になると老齢年金に加算されるという仕組みになっているわけでしょう。私の言うのは、老齢年金の額というものが法律のとおりに計算すれば六百五十円が単価になっておる。しかも、このほとんどは経営移譲年金をもらっているじゃないかという論もありますが、しかし、保険料を毎月定額に納入しておれば、経営移譲年金を受ける機会がなくても老齢年金は来年支給開始ということになるでしょう。この時点で判断すれば、経営移譲を受けた者も受けない者も保険料の納付額はずっと同じで来ているのです。そうでしょう。これは両建てでないでしょう。経営移譲年金を受ける者は保険料を高くする、老齢年金だけの者は四分の一低くするということにはなっていないわけですから、経営移譲年金を受けない者の場合にもやはり老齢年金に最大の期待を寄せていままで営々として保険料を納付してきている。これはもう現実なんですよ。来年になって老齢年金をもらってみなければ実感がわかないが、それをおもんぱかって、やはり事前に十分に検討して、実態に合うような、他の公的年金との比較検討も行って、老後の支えの一端になるような老齢年金というものは、この農業者年金の中にもあってしかるべきじゃないか。これも毎年議論しているのです。十分にこれは検討すべき問題だから鋭意検討します、そこまでは歴代の大臣も必ず言っているのです。歴代の局長もそれは言っている。ただ実行する者がいままで一人もいなかったというところに問題がある。後でこれは大臣にも尋ねますが、この点はやはり水準の引き上げというのは当然やるべきですからね。片方で国民年金をもらっているからいいじゃないかというのじゃこれは済みませんよ。農業者は農業者として国家社会に農業を通じて貢献しておるわけですから。その貢献者に対して、六十五歳になれば老後の支えの一端として農業者老齢年金を差し上げますというのがこの法律の目的ですから、それを全く没却して、六十五になれば国民年金をもらえるからいいじゃないかというようなわけにはいかぬと思いますよ。いいですか。皆さんの場合には、局長も部長、課長職もみんな被用者年金に入っておられるわけです。一番古い人は恩給時代もあったかもしらぬが、しかし、あなた方の奥さんは必ず国民年金に任意加入しておるでしょう。一定の定職がなくても任意選択で国民年金に加入することができる。農業に従事している婦人は、これは当然加入ですから、農業に従事する勤労者として唯一の年金の道として国民年金に当然加入しておるわけです。だから、被用者の母ちゃんも、朝から晩まで一生懸命に農業に専念している農村の婦人も、みそもくそも一緒にして、女性は国民年金をもらえるからいいのじゃないかということではこれは片づけるわけにいかないと思うのです。婦人加入の問題は後でまた議論しますが、当然老齢年金の水準を上げるべきであるという考えはあるのでしょう。なければないとはっきり言ってもらいたいと思うのです。
#132
○近藤(鉄)政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、この農業年金の目的は、あくまでも経営移譲促進でございます。ただ、それが六十五歳を過ぎられた場合に、その六十五歳まででお支払いしておりました経営移譲年金の一割を、国民年金が始まりますから上乗せをいたしましょう、さらに経営移譲年金の二五%相当額を老齢年金として上乗せをいたします、そういう形で、一応国民年金をお支払いしているわけでありますが、それに、やっぱりこれまでいろいろ農業で御苦労なさった、また経営移譲をしていただいたということで、プラスアルファでお支払いしている、こういう形になっているわけであります。ですから、繰り返し申しますが、あくまでも国民年金がベースにあっての付加年金という形をとらせていただいている、こういうことだと思います。
 ただ、経営移譲年金が将来高くなってまいりますと、それにちょうど二五%、一〇%加算になりますから、スライドして上がっていくということは当然考えられるわけでございますが、同時に、私も実は農村出身でございますから、やっぱり一般の国民年金と違って、農業をやった方々に何かプラスアルファをお考えいたしたいという気持ちは恐らく先生と同じようにあるつもりでございますが、これはいろいろ他の年金とのバランスの……
#133
○芳賀委員 あなたに聞いているのじゃない。あなたは役人じゃないでしょう。一年たてば政務次官をやめるのでしょう。事務当局が必要があると考えているか、ないと考えているかということを私は聞いているのですよ。あなたはまた暮れになれば政治家に戻るわけだからね。
#134
○近藤(鉄)政府委員 私もいまは一応政府側でございますのでお話しするわけでありますが、そういうことで、ほかの年金とのバランスもございますから、いま現在お払いしております老齢年金の額を超えてお払いすることは、他の年金とのバランス上なかなかむずかしい状況であるということも御理解いただきたいと思うわけであります。
#135
○杉山(克)政府委員 必要ないなら必要ないという答弁をせよというお話でございますが、これは政府として検討するということで従来御答弁申し上げておりますし、その基本的な考え方は変わっておりません。結論がなかなか出ないということは事実でございますが、それだけむずかしい困難な問題であるということを御理解いただきたいと思います。私ども、今後とも、構造改善局長の私的な諮問機関でありますところの農業者年金制度研究会というものがございますが、そこの議題にもなっていることでもございますし、さらに検討を進めてまいりたいと考えております。
#136
○長尾説明員 先ほどお答え申し上げましたことのまた繰り返しになるかと思うのでございますが、農業者年金の今後の改善の方向につきましては、関係方面の御意見を十分伺いました上で、私どもも検討させていただきたいと思っておるわけでございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、老齢年金は終身の給付でございます。御承知のように、平均寿命は現在大変延びておるわけでございまして、老齢年金の改善が農業者年金に与えます財政上の影響はきわめて大きいものがあると思うわけでございます。この次の財政再計算に当たりましては、私ども率直に申し上げまして、農業者年金の財政問題がきわめて大きな問題になると承知しておるわけでございまして、その中でいま先生のお話しの老齢年金の改善という問題をどのように取り扱うか大変むずかしい問題だと思っておりますので、真剣に検討させていただきたいと思っておるわけでございます。
#137
○芳賀委員 次に、当然関連がある問題ですから、年金財政の改善の問題です。これは農業者年金法の第六十五条に保険料に関する規定がありまして、年金財政に関する事項については国庫負担の額等に照らして適正に決める、それから、財政再計算については五年ごとに再計算を行うという主なる事項があるわけでございますが、農業者年金の場合は、公的年金の中でこの年金に限っていまだに完全積立方式をやっておるわけですから、加入者の負担であるところの保険料の上がる額が非常に強いわけです。最初の四十六年一月の一般保険料は七百五十円、五十年一月には千六百五十円、五十二年一月から五十二年十二月までは二千四百五十円、五十三年一月から五十三年十二月までは二千八百七十円、五十四年一月から五十四年十二月までが三千二百九十円、五十五年一月からは次の改定までの間三千九百七十円ということになっておるわけです。ですから、今度は国民年金や厚生年金の関係の法律改正が行われれば、それにまた連動して以降の保険料がまた改定、増額ということになるわけです。こういう完全積立方式を農業者年金だけについてとらなければならぬというところに問題があるわけです。
 こういうことになっておると、まだ老齢年金の短期間の加入ですが、来年の支給開始は五年年金に該当しておる者でしょう、経営移譲を受けた者が今度は老齢年金に入るわけだから。そうなると、老齢年金の毎月の給付額と毎月の保険料というものは、年金をもらっている者が保険料を払うわけではないが、加入者の支払う保険料負担というものは非常に接近してくるわけですね。そういう大きな矛盾というものが出てくるわけでありますからして、この法律にもうたっているとおり、次の財政再計算を通じて年金の財政方式というものをどのように改善するかということが非常に大事な課題なわけです。しかも、法律にも書いてあるとおり、保険料に対してもその給付額に対しても国が国庫負担をやっておるわけですが、ただ、問題は、経営移譲年金については給付費の国庫負担が三分の一あるわけですよ。来年から始まるのだからいままではなくてもいいわけですが、来年から開始される老齢年金については、現在の法律上は給付費に対する国庫補助というのはないわけですからね。その根拠がないのですよ。保険料については経営移譲年金をもらう者ももらわない者も一律に保険料の額は同一ですが、これは納付時に納付額に対して七分の三の国庫補助があるわけですね。だから、年金財政ということになれば、経営移譲年金にしても老齢年金にしても、同一の法律の中における年金ですから、この老齢年金の給付が開始される場合には、当然、経営移譲年金と同じように老齢年金の給付額に対する国庫補助というものがあってしかるべきだと思いますが、この点は政府としてはどう考えておるのですか。
#138
○杉山(克)政府委員 この年金が国民年金と、付加方式だと申し上げるとおしかりを受けますが、合わせて一体として全体としての効果を発揮する、その意味で老後の基本的な生活安定は国民年金によって図られる、それにプラスアルファといいますか、農業政策的な観点から加わったものとして全体が組み立てられているわけでございます。そういうことと、それから年金の横並びのバランスというものを考えました場合、どの程度までの特殊性が許されるかということを考えますと、老齢年金について、給付時点での給付についての助成、国庫負担をするということは、なかなか厚きに過ぎてむずかしいのではないかという議論があるわけでございます。そういうことも一つは勘案されまして、保険料納付時に、これは経営移譲のものも込みで、いま先生の言われましたように納付保険料に対する七分の三の国庫負担が行われるということになるのかと存じます。
 それから、保険料と受給額との比較の問題でございますが、これは先生、最近時点で受給を受ける者の額について比較を、質問がありましたので私申し上げたわけでございますが、一時点だけでなくて将来を通じて総額がどの程度になるかということで対比すべき問題かと存じます。私ども計算したところによりますと、これを申し上げさせていただきますが、五年加入の方は保険料六万三千円をお払いになる、これに対して、経営移譲の分は別にいたしまして、経営移譲分はもらえない方が老齢年金だけで生涯幾ら受け取られるかというと、そのほぼ十倍に相当する六十二万七千円ということになります。十年保険料を納めた方は保険料の額が二十七万四千円、これに対して受け取られる額は八十三万六千円ということになります。この総額は現価、現在価格に引き直した金額でございます。それから、前提といたしましては、六十歳からは平均余命の期間は十六年間と見て、その問は受給すると仮定したものでございます。そういう意味で、受給する期間によってかなり差はあるわけでございますが、一般的に、保険料に対する相当額の受給が受けられるということで、何というか、そんなに割りの合わないとかつまらないということでない、私はかなり手厚いそれたりの年金であるというふうに考えております。
#139
○芳賀委員 杉山局長、それは恐らく保険料に年五分五厘くらいで複利でやればそのくらいには貝合うというようなことを言いたいわけでしょう。それが年金かということになるですね。これは時間がないからこの程度にしておくが、比較表がこっちにありますから、これを後であげるから十分勉強しておいてもらいたいと思います。
 それから、財政方式はこれからも完全積立方式であくまでもやるつもりですか、どうですか。
#140
○杉山(克)政府委員 年金の安定経営といいますか、財政の安定性を確保するということから言えば、私どもはやはり完全積立方式が一番理想的なものであると考えております。特に農業者年金は、加入者の年齢構成がほかの年金に比べて高齢者の割合が高い、それから、将来加入者が増加することがなかなか見込みがたいというようなことを考えますと、将来にわたって年金財政を健全に運営していくためには、完全積立の原則を何とか守っていきたいと考えておるところでございます。
 こういう問題は、これからの全体の見通し、それから、いろいろ与えられておりますところの宿題、総合的に検討して結論を出す問題でございます。来年の財政再計算の問題点として十分吟味してまいりたいと考えております。
#141
○芳賀委員 これは完全積立方式だけでやっていけば、結局、年金財政を堅実にするということを理由にしているのでしょうが、それには、一番大事な年金の給付額を抑えていかなければならぬということになるでしょう。そうなるのじゃないですか。年金給付額を上げないで、そして受益者負担のような原則で何でもかんでも完全積立でなければならぬ、しかも、一番弱い未熟な農業者年金だけに対して厳重な完全積立方式なんということを唱えるのはおかしいじゃないですか。これは頭がちょっと狂っているんじゃないかと言われますよ。これは当然次の再計算に入るわけですから、法律も、財政再計算をやって新しい保険料額等を設定する場合は国庫負担の額等を考慮してやりなさいということが書いてあるわけだから、それには、やはり給付費に対する国庫負担とか、保険料に対する国の負担であるとか、それから財政方針にしても、少なくとも修正積立方式を導入する。修正部分というのは、これはきのうも長尾課長が言われましたが、後代者負担に一部整理資源率として残るわけです。それには、いわゆる後代者である若年層の加入がやはりすそ野を広げていかなければ、年金の健全な財政設計はできないわけだから、そこにやはり年金に対する加入範囲の拡大という問題が当然出てくるわけです。加入者の範囲をもうしぼりにしぼって、あれもだめ、これもだめだということになれば、若年層の加入の道は全く閉鎖されてしまうわけですから、そういう点もよく考えて、財政方式をどういうふうに改善をするか。もう当然の帰結として、これは修正方式の導入ということに、あなた一人何ぼがんばってみてもそうならざるを得ないのですよ。
 それじゃ次に、加入範囲の拡大という問題はどう考えているのですか。
#142
○杉山(克)政府委員 いまこの制度のもとで加入適格者というか資格のある者はどのくらいかということを推定いたしますと、これは年金制度発足のころは約二百万人というように見込んだこともあったわけでございますが、兼業化の進行に伴って専業農家、中核農家というのは減ってき、対象の有資格者はおおむね百三十数万人というふうに見られます。現在実際に加入している者は百十万人でございます。この差二十数万人は、その多くが若齢の者でございます。すでに経営主になっている者は九割程度加入しておりますので、その加入率の低い若齢者を対象にPRを進める。そのほか、農政全般の問題にもなりますが、農業に対して将来に希望を持って経営できるようなそういう展望を、与えるという言い方は少し生意気かもしれませんが、持っていただけるようないろいろな施策を講じ、勇気を持って農業に立ち向かっていただけるような気風をつくっていくというようなこともあわせて、できるだけ加入の増加を図ってまいりたいと考えております。
#143
○芳賀委員 大臣が出席されたので、お尋ねしますが、農業者年金の加入範囲の拡大の問題です。
 政府の資料にもありますが、五十四年三月末現在の加入者の年齢階層による表がありますから、これを見ておいてもらいたいと思います。
 まず、二十歳から二十九歳までのこの十年間の年齢層については、男子の加入者が一万九千九百人、女子の加入者が四百九十九人ということになっておるわけです。これに対して、基幹的な農業従事者の二十歳から二十九歳までの階層は十八万六千人おるわけですね。これは今後農業の後継者として育っていく階層です。それから、三十歳から三十九歳までの十年間の加入者については、男の加入者が十一万五百人、女子の加入者が三千五百人ということになっておる。それでは、この年齢階層における基幹従事者がどのくらいかというと、男子が二十一万八千人、女子が三十八万四千人ということになっておるわけです。ですから、二十歳から三十九歳までの年齢階層が、農業者年金にとっては当然加入を促進すべきいわゆる対象者ということになるわけですね。これが全然加入していないでしょう。もう二十歳代なんかは、昨年は三千人しか加入していないですからね。
 こういうことになると、単にこれは年金だけではないのですよ。この趨勢をとらえれば、将来必要な農業後継者というのはもう絶滅するというような状態になりかねないと思うのですよ。たとえば、昭和五十四年の三月に全国の中学校、高等学校あるいは大学を卒業した者の中で、農家の子弟の卒業者は全部で七十五万人おるわけです、中学から高校、大学を通じて。中学卒業は大体九〇%が高校進学ですからね。高校の中でも大学進学が相当おる。ですから、七十五万人の中で新規に就業した数が二十六万人なんです。二十六万人が何らかの職業に就業した。その中で農業に就業した数は幾らかというと、ついに一万人を割って八千人になったわけです。二十六万人の農家の子弟の就業者の中の八千人だけが農業就業者、これは統計が示しておるわけです。ついに一万人を割ったわけですね。仮に毎年一万人としても十年で十万人でしょう。三十年で三十万人ということになるわけです。だから、親から子に、この経営移譲にもありますけれども、世代交代が三十年あるいは三十五年ということにしても、これから将来にわたって農業を担う肝心な後継者あるいは専業的な農業の従事者というのは、この分でいけばほとんど絶滅するということになるわけです。だから、仮に、農業者年金というものは農業の発展あるいは農業者の確保とか老後の安定に資するためということになれば、この年金の運用の面から見ても、若年層の加入促進というものは、農業者年金というのはこういうものである、おやじさんから経営移譲を受ければおやじさんは五年間年金がもらえる、あるいはそれから先は終身老齢年金というものを国民年金と併給の形で受けることができるということで、やはり年金に対しても農業従事者に対して希望を与える、夢を与える。いまは、全国の勤労者、年金でいけば被用者階層ですが、年金というものに対して若い勤労者の関心が非常に高まってきておるわけです。そういう面から見ても、この若年層の加入促進、毎年議論になっているところの農業経営者の配偶者の加入、あるいは任意加入ということで特定後継者一人が年金に任意加入できるわけですが、その後継者の嫁さん、後継者の配偶者、これらの範囲は当然年金加入資格というものを付与して、将来に希望を持って年金に加入してもらうということになれば非常にすそ野が広がるわけですよ。だんだんだんだん先細りになれば修正方式を導入しようが何しようが、パンクすることは共済組合年金の実態で明らかになっておるわけですから、そうならぬうちにどうするかということについて、やはり皆さんが常時頭を働かして――頭を使わないで、完全積立方式でなければならぬとか、女性の加入はだめだとか、老齢年金は上げるわけにはいかぬとか、これは頭を使っていない証拠ですよ。ですから、加入範囲の拡大、婦人の加入、それから若年層の加入促進、こういう点に対して、大臣としてどう考えていますか。
#144
○武藤国務大臣 私がちょうど来るときに議論があったようでございますが、いまはいわゆる完全積立制になっておるわけでございますけれども、いまの御指摘のとおりで、給付の対象者がどんどんふえていき、しかもその給付金額も上げていかなければならない。一方において加入者が結果的にふえていかなければどうなるのか。よほど保険料でも上げれば別でございますけれども、これも負担の限界がある。そういう点からいけば、最終的には、完全積み立てと言っておったってそれは不可能になるのではないか。こういうことから、より若い人たちあるいはいま対象になっていない婦人の方々を対象にしてまで、とにかく入ってくれるという人にはどんどん入ってもらったらどうか、こういうのが先生の御意見かと思うのでございますけれども、これは仕組みをどうするかということでございまして、いまたまたま法律の改正を御審議願っているわけでございますが、基本的に、一つは経営を移譲するという年金を主体に考えておる。この点は先生も御理解いただけると思うのでございますが、それを目的の大きな一つの柱にしておるわけでございまして、そういう点からいくと、経営権、耕作権でも賃借権でも何でも、いろいろ言われるけれども、とにかく権利をお持ちでない方を対象にするというのは大変むずかしい問題があるのではなかろうか。これは基本的な問題でございまして、現在の法律、仕組みそのものを将来そういう方向に変えていくというのならば別でございますけれども、いまの目的から出てきておるいろいろの条文をなぶらないでやるということは大変むずかしい問題ではなかろうかと私は思うのでございます。現在の法律の趣旨からいけば、そういう方々をやることは非常にむずかしかろう。ただ、若年で特定後継者などもだんだん緩和をしてきているわけでございまして、そういう面においても問題はございますけれども、たとえばそういう特別に認められた人たちの負担をもっと減らしていくとかいうような問題は、一つの考え方として将来十分検討されるべきことであろうと私は考えておりますが、基本的に全く対象にならない方を入れるというのは非常にむずかしい問題ではなかろうかと私は思っておるわけでございます。
#145
○芳賀委員 対象の範囲というのは法律が制限しているのですよ。この法律が制限しているから、これはもう未来永劫に変更できないというものじゃないでしょう。だから、加入範囲を広げる必要があるということでそういう結論ができれば、その時点で範囲の拡大ができるわけです。国民年金にしても、最初は、被用者年金加入者の配偶者を入れるなんということはだれも全然考えていなかったのですよ。そのうちに、被用者年金加入者の配偶者に対しても任意加入の形で国民年金加入の道を開いたわけでしょう。だんだん社会、経済情勢の変化に対応して年金というものは発展の道をたどっている。これは大臣に私が言うまでもないことなんです。だから、年金にしても、経営移譲年金だけということになれば、経営者と後継者だけしか絶対もう入るわけにいかぬといっても、任意加入の特定加入者というのは、あと十年、二十年、三十年たった将来に、このせがれを私の後継者としたいというその特定の上に立って、何人かのせがれたちの農業従事者の中から一人だけを特定しなさいということになっているわけです。しかし、そのときはそのつもりであっても、そのせがれが、五年とか十年たった場合に、おれはもう農業はやらぬよと言って、今度はどこかに勤めるということになれば、そこでその者も加入資格を放棄したということになるわけですからね。そういう狭い考えだけでなくて、いま若年層の農業従事者というのは、将来も農業として自立する、そういう希望を持って農業に従事しているわけですからね。大臣や私どもが若いときは、農業をやっている場合は、次男坊も三男坊も嫁さんをもらうまでずっと農業を一緒にやって、適当な年齢で今度は土地を分け、家を建てて、そして分家を出すということをやったわけですが、いまはそういう形はもうほとんどないわけです。先ほど言ったとおり、年金加入者の二十歳から二十九歳までは二十倍以上も未加入者がいるわけですから、この層に対しも加入を促進させるということは当然やるべきなんですよ。特定者一人だけなんていうことにしないで、現に農業に従事して将来も農業を志向している者についてはというように範囲を広げるとか、それから婦人加入にしても、元来日本の農業というのは家族経営体ですから、若いときから夫婦が一生懸命で努力して、そうして農地を所有して規模を拡大して、互いに協力して、共同体の中で家族経営というものは成り立っておるわけです。ただ問題は、土地の所有者であるとか経営者であるということだけで言うと、今度は男子の地権者ということにもなるわけですが、しかし実態は家族経営で、共同体としておやじさん夫婦とかせがれ夫婦がやっておるわけですからして、そういう点は、他の年金の場合と比べて特質があると思うのですよ。だから、移譲年金に対して、昨年も一昨年も遺族年金の道を開くべきである――国民年金にはないということを政府は答弁していますが、しかし、経営移譲というのは特殊の年金の制度ですから、しかも五年間に限定されておるわけですから、終身じゃないですから、六十歳から五年間にまず第一回の年金の給付を受けた、その後不幸にして死亡したということになれば、納入した保険料の納入額全体に比較しても、経営移譲年金の受けるべき額から見ても、ほとんど権利放棄のような状態になるわけです。そういう場合は、夫婦が共同的に共同体として家族経営をやっておる、そうすればこの年金についても、少なくとも経営移譲年金については年金権の共有というような新しい思想の上に立った場合は、これは絶対だめだということにはならぬじゃないかということで、まず遺族年金の発想については、五年間の経営移譲年金の期間の中で、これはすでに経営権を後継者に移譲して年金をもらっているわけですが、だから、その配偶者に対して残期間の年金の受給権というものを継承して、これを遺族年金という形で給付するようにすべきではないか。
 これもなるほど貴重な御意見ですから十分検討しますということには、いままで歴代大臣はなっているのですよ。そこまではいいのですけれども、じゃ実行するかということになると、そこまでまだいってないわけですね。だから、武藤大臣として、経過は事務当局から聞かれておると思うのですね。遺族年金の創設の問題と、婦人加入、経営者の配偶者である主婦、それから後継者である息子の嫁さん、この辺まで年金の加入範囲というものを拡大すべきである。そういう場合には、経営移譲年金は必ずしも給付できないという事例も出てくるわけですが、その点は今度は老齢年金につないで、そのかわり老齢年金というものは、農村の主婦が老後の支えになるように、老齢年金の面についてもできるだけ暮らせる年金制度という思想で、重厚な制度を充実させるということに持っていくべきだと私は信念的に考えておるわけですが、大臣の御意見はどうですか。
#146
○武藤国務大臣 この第一条の目的で見ておりましても両方あるわけでございますが、「国民年金の給付と相まって農業者の老後の生活の安定及び福祉の向上に資する」ということが一つあるわけで、それ以外に「農業経営の近代化及び農地保有の合理化に」というふうにあるわけで、私ども農林水産省の考え方としては、主としていまの後にある「農業経営の近代化及び農地保有の合理化に寄与することを目的とする。」そこにどうもウエートを置いてこの農業者年金を運営しておると私は考えておるわけでございます。
 そこで、それだから経営移譲年金というのは大きなウエートを占めているわけでございますけれども、いまお話ございましたように、たとえば農地の共同保有というような形が進んでいくということになりますと、実はこの法律の目的がどちらかというと、農地の細分化を防ぐという方向にあることはもう先生御承知いただいておるとおりだと思うのでございます。たとえば共有をしておって、それを全部認めたといたしますと、今度その人たちが六十歳になりましたときに受ける側になるわけでございます。受ける側になったときに何人かに分かれたら、一体それをどういうふうに分けていくかというと、これはそのときに年金もよこせとなると、相続もやはり細分化していくというおそれがあるのじゃなかろうかという感じが私はするわけでございます。そういう点を認めれば、その人が今度は経営移譲年金をもらえる資格があるわけでございますから、その資格を一軒の家の中で何人かが持つということは大変問題があるのではなかろうか。ですから、そういう面からいって、いま御指摘のような、奥さんにも一緒に渡せというようなことは、私はなかなかむずかしい問題かと思うのでございます。ただ、たとえば相続税において、このごろは奥さんには二分の一を渡すようにするとか、いろいろ主婦の立場というものが非常に変わってきておりまして、将来一つの考え方が全く変わってくれば別かと思いますけれども、そういう面において非常にむずかしいのではないか、私はこういうふうに判断をいたしております。
 それから遺族年金につきましては、これもそういう意味からいって、経営移譲年金分についての遺族年金というのは大変むずかしいのじゃないかと私は思うのでございますけれども、農業者老齢年金、この部分というものは一つの国民年金の補足的な補充的なものである、こう私は判断をいたしておるわけでございますが、そういうものについての遺族年金というものは一つの考え方としてあるのではなかろうか。経営移譲年金はそういう福祉年金とはいささか趣を異にいたしておりますので、そういうものに対する遺族年金というのはむずかしいのじゃないか。
 ただ、この議論をしておりますと、今度は、経営移譲年金はそういう形で、ある程度経営移譲された者がそのまま受け取る。しかし、その人がたとえば、きょうもお話がございましたけれども、六十二歳で経営移譲した場合には、それじゃそういう考え方なら六十何歳までやる、こういう考え方はある程度一方においてはあるのではないかと思うのでございますけれども、いずれにしても、これは基本的な問題になると私は思うのでございます。そういう面で相当慎重に検討さしていただかなければならない、時間をおかし願わなければならないと思っておるわけでございます。
#147
○芳賀委員 大臣の認識が、歴代大臣と比べるとまだ非常に未熟な点が多いのですよ。私の判断では、かつて安倍晋太郎君が農林大臣をやったことがありますが、彼がちょうど農業者年金をつくるときの自民党の筆頭理事でもあって、法律をつくった側だから相当理解は高まった。前大臣というと渡辺美智雄君ですからね、厚生大臣もやったと自慢しているわけですが、大臣は農業者年金に対してはまだなじみが浅いと思いますけれども、歴代大臣のこの委員会における答弁、応答はもう少し前へ進んでいるのですよ。なるほどそれはもっともな話です、これは十分に検討の値がある、鋭意検討して何とか実現の努力をいたしますというところまで来ておるんだけれども、あなたのはもう七年くらい前へ戻っちゃった。何も私は、遺産相続のようにおやじさんの経営移譲年金を相続者が分けるなんということを言っているのじゃないですよ。五年間というふうに経営移譲年金は期間が限定されておるわけですから、この五年を過ぎると、いかなる理由があっても移譲年金をもらうことはできないのですよ。それから先は老齢年金に移行するわけですから。だから、経営移譲年金を受けるまでの期間は当然これは保険料を納付しておる。経営移譲年金の受給資格が生ずる直前に死んだ場合には死亡一時金というのが出るわけです。ところが、第一回の年金をもらったということになれば、それ以降死んでも、何もこれは支給がない。これは実態に合わぬじゃないか。元来、日本の農業の実態というのは、昔から家族共同体の家族経営主義でやってきておる。だから、これは夫婦一体で経営して今日に至っておるわけです。ただ、二人に経営権とか受給権を与えるということはできないわけだから、片方が死んだ場合は、経営の共同責任者が遺族としてまだ一人残っている、だから、その場合は、おやじさんの受けるべき経営移譲年金の残期間についてはこれを遺族年金という形で給付すべきじゃないか。その理由づけとしては、日本の農業というのは家族経営体である。共同体としてのそういう農政上の理念の上に立った場合には、経営移譲年金についてだけは年金権の共有性の思想というものは全然奇想天外ということじゃないと思いますよ。私はこれは理論上成り立つと信じているわけです。そういう点を勉強をして十分検討して努力しますということを農林省はいままでずっと言ってきているのです。それは後で杉山局長に聞いても関谷部長に聞いても、いや、そうなっていますということを言っておると思うのです。きょうこの法案を上げるということになっているので、これから出直して十分勉強してきてくれなんという時間はないけれども、経過はそうなっているのです。だから、こういう点については、経過とかその意義というものを十分に大臣においても検討されたい。老齢年金というのは来年からですからね。
 それからまた、遺族年金の発想等についても、大臣は老齢年金になった場合は考えてもいいと言ったって、これもむずかしいですよ。農業者年金の老齢年金ということなら、国民年金の老齢年金も併給の時期になる、ちょうど六十五歳だから。国民年金に遺族年金制度を創設しないでおいて、それじゃ農業者年金の老齢年金だけ先にやってくれなんということを農林省は言っても、厚生省なんか絶対言うはずはないわけだから、始めるとすれば、経営移譲年金というものを先ほど言った独自の発想に立って、武藤農林水産大臣として鋭意検討してがんばってもらいたいと思います。
 最後になりますが、今回の改正は、昨年の渡辺大臣のときに議論をいたしまして、そうして改正案の中に離農給付金制度というのをもう十年続けるということが改正で出てきたので、あなたはまだ出席しませんでしたけれども、この点は評価すると率直に言っておるわけです。今度は武藤農林大臣として来年にかけて何か一つまたやらなければならぬですよ。いろいろ大きな問題だけ残っちゃったのですけれども、この中で、では何を私がやりましょうというような自信があれば、考えがあれば、この際述べてもらいたいと思います。
#148
○武藤国務大臣 私は少し誤解をいたしておりまして、きのう来の話の遺族年金という表現が、いわゆる福祉年金の遺族年金的な考え方のように私は受けとめておったのでございますが、いま先生のお話は、必ずしもそうではなくて、六十歳から六十四歳にもらえる経営移譲年金を、たまたまおやじさんが死んじゃった場合にもらえなくなるではないか、これをやっぱり遺族がもらえるようにするべきではないかというお話かと思うのでございます。そういう点で、私、遺族年金という表現はそうなると少し考えなければならぬかと思いますが、そういう面についてそういうことであるとするならば、私はひとつやはり示唆に富んだ御意見として検討をさせていただきたいと思うわけでございます。
#149
○芳賀委員 それは杉山局長が担当者だけれども、こっちに座っている官房長も前に農政部長をやったことがあるわけで、それから使用収益権の設定によって移譲年金の資格が生ずるというのも、これは渡邊君が農政部長のときに考え出してやったような離れわざをやっている。多士済々ですから、ぜひ優秀なみんなに指示して、速やかに農業者年金は改善の方向へ進むようにしてもらいたいと思います。
#150
○内海委員長 武田一夫君。
#151
○武田委員 年金基金法の一部を改正する法律案、この問題について毎年当委員会でいろいろと論議が尽くされておりまして、今回もまた出てきたわけでありますが、私は数点にわたって質問いたします。
 まず、農業者年金制度というのは、農業者の経営移譲というものを軸としまして、農業経営の若返りあるいはまた農地保有の合理化すなわち規模拡大、そういうことによって経営の近代化を進める、さらに、あわせて老後の保障、福祉の充実という、大きく言えば二つの柱でもって進んできたわけです。そういう趣旨で、いろいろと、昭和四十六年以来五度目ですか、今回を入れると六度目になるわけですね、改正をしてきたわけでありますが、その間に制度の改善要求が非常に強かった。しかしながら、反面、財政的な問題が非常に深刻になってきた。言うなれば、衝突する二つの相矛盾するものが問題となって、ここ数年また相当深刻になっていくのではないか、こういうように思うわけです。
 そこで、まず農林大臣にお尋ねするのですが、年金財政の点、年金制度というのは、適正な運営をしながら将来の年金給付に支障を来さないということは当然のことです。しかも、長期にわたる財政的な見通しをはっきりさせなくてはいけない。そこに健全なる維持というものが出てくるわけです。ですから、大臣としましては、こうした観点から、農業者年金の充実を期するためには今後どのようにして財政の健全化を考えているものか、特に差し迫って現今どういうものに力を入れていかなければならない、こうお考えか、まずこの点をひとつお聞きしたいと思うのです。
#152
○武藤国務大臣 片方において給付が増大をしていく中にありまして、健全な財政を堅持していくという点からいけば、当然加入者がふえていくということが必要でございまして、とりわけ私どもといたしましては若い人たちの加入の促進を図っていく必要がある、こう考えております。
#153
○武田委員 それはあたりまえなことですが、農業者年金の今後の財政収支の見通しを農林省としてはどういうふうに見ているのかということをお伺いしたいのです。厚生省の試算によりますと、大体現行の仕組みのまま保険料を据え置いたとした、こういう仮定を持った場合でも、収入と支出というのは、昭和五十九年度ですか逆転しまして、収支残の赤字となる。それ以降は積立金の取り崩しが始まって六十四年度では底をつく。データを見ますと、五十五年が収入が一千百三十五億、支出が六百六十九、六十年になりますと一千百二十、支出が千三百四十六、六十五年になりますと千五百三十六、それに対して二千五百四十八億、ここでは赤字になってくるわけですね。七十年になりますと一千五百十二億、二千六百六十八億、収支残がマイナス千百五十六、年金積み立てというものがマイナス六千九百三十五億というふうに、これは非常に厳しく見た場合ですが、こういうふうになっていくと見ているのですが、大臣はこういう農業者年金の場合の見通しというのはどういうふうにお考えなのか。厚生省が見ているとおりのものと判断するものかどうか、それともこの点は多少違うのじゃないか、そういう点はどうですか。
#154
○杉山(克)政府委員 財政収支の見通しは、いろいろな要素がたくさん絡まり合っておりますので、いま確定的なことは言えないわけでございます。いま先生がお出しになられたその見通しの数字は、一つの前提を置いた数字でございますが、幾つかの見通しの中でもかなり厳しいものだと考えられます。しかし、大勢として私どもは、やはり結論的には昭和六十一年度以降の収支残は赤字になるのではないか、そして積立金の取り崩しが始まって、六十年代の後半には積立金はなくなるのではないかという点においてはほぼ似たような、数字自身は別にいたしまして、観測が一番あり得るような線であろうと思っております。ただ、全体の条件、特にたとえば保険料の料率アップをどんな程度に見込んでいくかとか、そのほかの要素の変動を考えますというと、数字についてはちょうどこれから再計算を行う時期でございますので、綿密に検討して間違いのないところを出したいと考えております。
#155
○武田委員 財政再計算のお話が出ましたが、前回財政再計算をしましていろいろな見通しがずいぶん狂ってしまいましたね、加入者の問題とか経営移譲の受給率が倍にふえたとか。そこで、今度また財政再計算の時期を迎えまして、こうした基礎データというものを相当慎重に考えた上で、そうした見通しの狂うようなことを最小限に食いとめる努力が必要だと私は思うのです。農林省の出した見通しは何でも狂う。六十五年のあの需給見通しも狂ったし、どこまで狂うのだというので、正直言うと、農家の方々は当てにしていないのです、狂い過ぎるものだから。自分でやった方が狂わないとはっきり言っているわけです。それでは余り情けないと思います。たまには一回くらいぴたっと見通しが当たるような努力もしないと、農林省としては非常な不名誉なことだと思います。
 そこで、財政再計算に当たりまして、将来の予測の基礎となる数値、こういうものを考える場合に、恐らくいままで年金の給付を受ける資格を有する者がどの程度になるかという推定のためには、経営移譲率、それから死亡率、脱退率あるいはまた被保険者の推定のために新たに年金に加入する者の数とかというのはこの基礎データとして浮かび上がってくると思うのですが、大体これは変わらないと思うのです、数の変動はありましても。こういう数値が財政再計算の基礎になるということは間違いないわけですね。その点はどうでしょうか。
#156
○杉山(克)政府委員 いま挙げられましたような項目が一番ベースになる要素として必要であるということはその通りでございます。数字自身はいままででも、現に経営移譲率一つとってみましても、毎年の変動がかなりある。今後安定的にどんな移譲率で推移するかということについては、もう少し慎重に見直してみなければいかぬと考えております。
 あと、大きな要素としては加入者の数という問題がございます。これは確かに当初の見通しを大きく下回るような現状になっており、有資格者全部を現在の仕組みの中で集めてみましても百三十数万人という状況になっているわけでございます。今後の兼業化の進行、中核農家がどんな形で推移していくかということについては、何も年金だけでなく、農政全般に影響する問題でございますので、農政審議会において検討をしているところでございます。いろいろ作業上の仮説はございますが、まだ数字を申し上げる段階にはございません。
#157
○武田委員 ただ数値がはっきりしたものが言えないというならあえて聞こうとしませんが、言えることは、この計算によりまして保険料が現在の水準よりかなり上がるのではないかという心配というか、見通しというものを大方みんなしていると思うわけです。この点は、やはりその見通しというのはそのとおりと当局はお考えかどうかです。
#158
○杉山(克)政府委員 いま申し上げましたようなデータを全部並べまして、全体的な結論として出てくる話でございます。確かに収支は大変苦しくなります。要素として、たとえば国庫負担がふやせるかということを考えてみますと、現在の国庫負担自身がほかの年金制度に比べてかなり高いというようなこともございます。それから給付については、これは水準を落とすということは当然考えられませんが、いろいろ改善要望が出ております。それを一体どの程度取り込んでいかなくてはならないだろうかというようなこともありますし、一方収入の面では一番大きな要素になります保険料、これは農家の負担力といったような問題もあって、なかなかそう大幅な上げ方はむずかしいということになりますと、その中でどこをどうやって調整するかということがこれからの大きな問題になるわけでございます。先ほど芳賀先生からもいろいろ御質疑がございましたが、そういうことを見通すと、なかなか完全積立方式というのはむずかしいのじゃないかというのも一つの見方であろうかと思いますが、私どもできる限り完全積立方式を維持していくというむずかしい命題のもとに、これらの要素の検討を進めていくという状況にあるわけでござ一います。
#159
○武田委員 恐らく、ずっと今後の推移を見ていきますと、いずれそうした保険料の引き上げというのは、政府の考えとして、年金財政の健全な運営のためにはやむを得ないという基本姿勢として貫いていくと思うのですね。そうすると、問題は、そうした保険料の値上げというものによる農家負担というものがどの程度までたえられるものかという一つの考えというか、そういうものもやはりお持ちでなければならないと思う。
 たとえば、厚生省なんかでアンケートをとってみますと、平均的な年金額の水準として大体十九万八千五百円の月給の人がいまどのくらいの保険の負担をしているかというと、一〇・九ということは半分にするから五・四五%ですね。それで将来どのくらいまで、いまの時点の水準で考えたときにたえられるかということについてアンケートをとったとき、やはり二〇%ぐらいまで、要するに一〇%ということですが、であればたえられるという答えが多かったということです。
 それからまた、国民年金の被保険者の保険料負担の意識調査をしてみましたら、これは五十三年十月のものですが、これによりますと、現行の保険料程度、いわゆるその当時二千七百三十円ですが、それが大体一〇・七%おりました。それから三千円台になっても大丈夫だというのが一四%、四千円ぐらいでも大丈夫だというのが四三・二%、そして五千円ぐらいが一九・二%、六千円が二・六%、七千円が三・四%、一万円が三・四%、一番多いのが三千円から五千円の中で、七六%の方がこの意識調査に対する一つのアンケートとして答えを出しているというわけです。
 こういうような一つのアンケート的なものを通して、農家の意識調査というのはやったことがあるのですかどうですか。そのデータはありますか。
#160
○杉山(克)政府委員 農林省としてそういう意識調査をやったことはございません。ただ、負担の問題は当然その経営収支の問題に一番絡むわけでございますが、同時に、給付の水準がどうかということとの絡みで考えなければならない面もございます。私ども、いま先生がお挙げになりましたようないろいろな動向なり民間その他の調査の結果等についても一部承知いたしております。それらも参考にしながら、負担の問題は十分慎重に検討してまいりたいと考えております。
#161
○武田委員 大臣にちょっと聞きますけれども、いま農家の方が、夫婦で月平均大体どのくらい、国民年金、農業者年金含めまして支払っているとお思いですか。
#162
○武藤国務大臣 大体国民年金だけが七千円前後、農業者年金が四千円前後、合計一万一千円前後、こんなような感じのようでございます。
#163
○武田委員 大体一万二千円くらいですね、一万一千九百十円。それで年間十四万二千九百二十円。息子夫婦がもしそこにおって、やはり同じような家庭でやると、息子の場合は割引があるということで大体十二万九千二百三十円、これが年間支払い。そうすると、合わせますと大体二十七万円を超しますね。どうなんですかね、いま専業農家の年収の平均的な所得というのはどのくらいなんでしょうか、それをちょっと。
#164
○武藤国務大臣 これは農業者年金に加入している農家の平均でございますが、大体粗利が五百万、農業所得が二百五十四万ということになっております。
#165
○武田委員 相当いい数字がいま出てきたのですが、これは平均的にはもっと下回ると私は思うのですよ、実際に歩いてみて。ですから、そうした数字の中で、一組の夫婦の保険率が何%で現状どうなるか、夫婦の二組がいるという場合全体何ぼあるかというと、やはり夫婦二組だと、純粋の専業農家という方が保険率から言うと、これはパーセンテージがずいぶん高くなるはずなんです。ですから、そういういわゆる中核農家、本当の農家らしい農家を支えていく方々のためであるならば、やはりそこにもっとウエートを置いた年金の掛金の負担につきましても検討していかなければならないと私は思うのです。
 いずれにいたしましても、ずっと見てみますと、いま兼業農家が非常に多くなってまいりましたね。二町持っても兼業農家は普通です。三町でも兼業農家はあたりまえのような状態です。ですから、そういうふうになりますと、今後ますます子供もそういうふうな方向にいくという傾向性は認めなくてはいけないと思うのです。おやじも働いて女房やあるいは嫁にさせるという、これが恐らく今後相当の数がそういう方向で拡大していくのじゃないかと思います。そして、専業や一種兼業というのがまた狭められてくると思うのですが、そのときに、やはり本当に農家を支えていく方々が最大に恩典を受けるような方向に持っていかないと、若い連中の加入がどんどん減ってくる。後で加入の問題を聞きますが、そういう現実を踏まえた、保険料の問題にしましてもあるいはまたそれを補うべき補助の問題にしましても、やはりもう少し詳しくデータを集めた中で手を打っていかないと、何か一生懸命農業をやる方々が――たとえば生活が一番いいのは二種兼業農家であるとか、その次が一種であるとか、専業とかというふうな、最近は一種が一番収入が多いという答えが出ておりますが、生活実感としては、二種の方々が何といっても豊かなことが目に見えてわかるわけです。そういう点を抜本的に改めていく方向の、財政再計算のときに当たってのそういういろんな細かいデータを、さっき申し上げた細かいデータにプラスして要因として考えていく方が、いわゆる年金の本来の性格が十分に発揮できるんだと私は考えているのですが、どうでしょうか、そういう点。
#166
○武藤国務大臣 当然、いろいろの角度からの数字を見ながら検討していかなければならないと思っております。
#167
○武田委員 それじゃお尋ねしますが、加入者がなければ、もらう方ばかり多くてこれはどうしようもないわけですからね。前にもこの問題については皆さん方がいろいろと質問しておりますが、二十から二十九歳という段階ですね、これが全体で一・九%、大体二万くらいですか、余りにも少ないということは理解していると思うのです。さらにまた、三十九歳という年齢まで引き上げたとしても十三万四千四百五十三人という数、全体の一二%ですから。あと、ほとんどがそれ以上五十九歳までという加入者の層ですね。これはやはり毎年高校卒の子供さん方が入ってきますわね。そのまま農業をする方々もいるわけです。そういうようなことを考えますと、この二十歳から二十四歳の二千九百三十三人、〇・三%は、いかにも何か一生懸命加入推進とこうやっていると言っても、効果の出てこないクラスじゃないか。それからその上の二十五歳−二十九歳も一わずか一・六%、一万七千四百八十一人。こういう問題にやはりもっと真剣に取り組まなくてはならないと思うのですが、この問題に対して、加入が進まない原因、そして進めるためにはどういうような方向で対策を講ずるかという問題を、具体的にひとつ聞かしていただきたいと思うのです。
#168
○杉山(克)政府委員 加入資格を有しながらなお入っていない人がかなりおるわけでございますが、その階層を見ますと、五十歳を境にして、五十歳から上では大体九割ぐらい入っておりますけれども、五十歳から下では約半分あるいはそれより若干高いかというようなレベルでございます。特に三十五歳以下の加入率が低いという状況が見受けられるわけでございますが、なぜこういった人たちが入らないかと言えば、これは農業者年金制度の内容を十分知らない、したがって魅力を感じないというような向きもあるいはあるかもしれません。そういった向きに対しては、確かにPRを十分にして理解を求めて、加入を勧誘していくということが必要だと思いますが、ただ、そういうことがわかっても、なおかつ、やはり自分の将来の農業への展望といいますか、どういう形で自分は将来農業をやっていくだろう、そしてまた六十とか六十五とか年とったときには、どういうことで自分の後継者を養成し、それにゆだねていくことになるんだろうというのが、正直言いまして、二十や二十五の若い人たちには事柄自体もなかなかむずかしい、それから農業自身がいま非常にむずかしい状況にありまして、よく考えてもなかなか先が見通せないというような実態があると思います。そういう意味で、単なるPRということだけでなしに、これは農業者年金制度を超えた農政全体の問題でございますけれども、やはり若い人たちに全体的な展望を持っていただくような対策を総合的に進めていく必要があると私は考えております。
#169
○武田委員 わからないというようなことをいまちょっと言いましたね、理解ができないと。私は問題だと思うのですよ。その階層は一番理解しやすいと思うのです。それがわからないとするならば、わからないとする方がわからないのじゃないかと私は思うのです。
 それじゃ聞きますけれども、このクラス、たとえば二十歳から二十九歳、いわゆる二十代で加入資格のある、そういう条件にかなった人間はどのくらいいるか、人数をつかんでいますか。
#170
○杉山(克)政府委員 現在加入資格を有している者は約百三十数万、百三十五万くらいかと思うのですが、細かいところまでは十分に承知いたしておりません。百三十数万、それに対して、現実に加入している者は百十万でございます。そうすると差が二十数万ということになります。このうちどのくらいが若い階層かということでございますが、年齢別に細かくはわかりませんが、先ほども申し上げましたように、経営主で相当高年齢のところは九割方加入している。それから若齢層のところは半分から、五十歳代までとってもせいぜい六割くらいの加入率かというような状況でございます。したがいまして、その差の二十数万の大部分は若い人だ、まあ若いという線をどこで引くかという問題が若干ありますが、世代的に若い層だというふうに考えております。
#171
○武田委員 各年代別に二十代、三十代、あるいはその中を今度は二十、二十一、二十二というふうな細切れにしたとしても一これはもう何年になるのですか、年金というのが出て十年近いのでしょう。そうした数値の異動なんて、そんな突然変異というのはあるわけじゃないのですからね。ただ、農業をするかしないかとか、そういうふうな異動はあったとしても、多少ずれがあったとしても、毎年と言わなくても、三年間とすれば、高校三年間の中で、たとえば二十代であればこのくらいいるという数は大体のことはわかると思うのです。それがはっきりしない。しかも、その中でこのくらいはやはり目標として引き上げていかなければならないというのがあるのでしょう。たとえば、極端に五万人抜けていくとすれば五万人入れていくか、あるいは二万五千であれば五万人分の掛金を、倍にして掛けて補充をするとか、そういうことは素人が考えてもわかるわけです。そういうデータをきちっと農林省は持っておって、農協や農業委員会等の努力と相まって、加入促進のPR並びに教育指導というものをもっと徹底していく、そこの点の努力がどうも非常に弱いのじゃないかと思うのです。その点、どうですか。
#172
○杉山(克)政府委員 私、大ざっぱにまとめた数字で申し上げたわけでございますが、細かい数字で申し上げますと、これは五十四年の推定でございますが、二十歳から二十四歳までの階層は数でもって二千九百、五・六%、二十五歳から二十九歳までは一万七千五百、一八・一%、三十歳から三十四歳までは三万八千四百で四二・一%、三十五歳から三十九歳までは七万五千七百で六九・一%、四十歳から四十四歳までは十五万五千三百で八〇・三%、それから四十五歳を超えますと加入率は急激に高くなりまして、四十五歳から四十九歳までの間は二十四万七千百で九八・八%、その上はほぼ一〇〇%というような状況になっております。
#173
○武田委員 ですから、加入対象者のきちっとした目標設定というのが非常にあいまいである。たとえば、いま聞きたいと思うのですが、ことし卒業する子供さんあるいは去年卒業した子供さんのうち何人が、あるいはまた十八で卒業すると十八、十九の二年間ですね、いわゆる第二予備軍といいますか、加入資格を持ってくる。いま二十でないとだめだということですからね。その階層はどのくらいずつあるものかということなどはちゃんとわかると思うのですよ。この中で何人かはいわゆる専業農家であり、農家を継ぐ。それがわからないというのは、ちょっと私は理解できないのです。各農業団体等でもそういうことで一生懸命やっておるわけですから、農林省のところでそれがはっきりわからないということ自体に、このPRを含めて年金加入の推進運動というのは非常に効果のない、ただ漠然とした中で何となくやっているという感じがしてしようがないのですよ。ですから、私は答えを求めませんが、もう少しはっきりした目標設定というものを持って、お互いにそれに向かって一致協力して進めていくという姿勢でまず取り組む。わからないとかなんとか言わせないで、わからせるようなシステムというか働きかけをする、これは当然のことなんです。その点は、今後の加入の問題についてひとつお考えをいただきたいと思うわけです。時間の都合で、これは答弁はもらいません。
 そこで、加入促進の一つの問題として、十八、十九の若い、いわゆる卒業して会社勤めをしないでそのまま農家を継ぐというお子さま方、こういう方々に特別の配慮があってしかるべきではないか。そういう人間ほど本当に農家を支える、将来の中核となるべき人間の一人一人だと思うのです。ですから、この際、二十歳にならなければならないなどということは、こういうクラスには取っ払って、年金財政の面にも関係して将来のことも考えまして、そういう農家として、高校を出ればすぐにもうそこに職場としての生きがいを感じている子供さん方は年金に加入できる、そういう特例措置のようなものを考えまして、二年間早めればいいわけですから、十八にして、そこでもっと若い活力の加入と、年金の一つの負担の軽減というものも考える、そういう方向というのは考えとして浮かんでこないものか、あるいは可能でないものか、これをちょっとお伺いしたいと思うのです。
#174
○杉山(克)政府委員 対象をもっとしっかりつかまえて、十分に目標を立てた計画的な加入勧誘運動をやれというお話、これはごもっともでございます。私どもできるだけ、いままでも努めてまいったつもりでございますが、今後努力いたしたいと思います。
 それから、新しく学校を出て農業に就業する者、そればかりとは限りませんが、特にそういった階層を中心に、年齢について加入資格を十八歳まで繰り下げること、繰り上げると言うのでしょうか、そういうことはできないかというお尋ねでございますが、御承知のように、この制度は国民年金と加入資格は一緒にしているわけでございます。国民年金自身が二十歳からの加入ということになっておりますので、制度的にそのことは、現在の制度では大変むずかしいと言わざるを得ないわけでございます。
#175
○武田委員 それはわかっていて言ったわけですからね。そのむずかしいところを何とかするのが努力であって、言うなれば、要するに本当に農家らしい農家というものを一生懸命つくって育てようとする考えがもし政府にあるとするならば、高等学校からそのまますぐに職場を農家に求めて自分の跡継ぎとなってやるという方々は、本当に珠玉のような存在ですね。これを本当に大事に育てていかなくてはいけない。正直に言うと、これは日本の今後の農業の基盤整備だと思うのです。基盤整備というのは土地だけではございません。人的基盤整備というのは、土地に関係する基盤整備よりも案外少ない配慮しかしなかったのじゃないか。もしそうであるならば、土地はあっても人がいない、本当の農家らしい農家、本当に力ある農業人というのは育たないと思うのです。ですから、予算なんかでも、基盤整備事業といったら、土地の基盤整備だけじゃなくて、人それ自体の基盤整備としての予算も農林省は多分に取るというくらいの思い切った施策を講じていく必要があると私は思います。大臣、こういう考えはどうですか。
#176
○武藤国務大臣 いまお話しになりました、いわゆる土地という目に見えるものの基盤整備だけではなくて、農業に就業しようという人たちのための基盤整備、これは私も大変重要なことであると思っております。ただ、それは農業政策全体の問題として取り上げていかなければならない問題であると私は思っております。
 それと、いまお話のございました十八歳の問題でございますけれども、これはいま局長が答弁いたしましたように、国民年金との関連がございまして、なかなか仕組みとしてむずかしいわけでございますが、たとえば二十歳になれば特定の後継者であれば入っていただけるわけでございますから、そういう点において、やはり農業の一つの明るい展望を見開くことによってよりよいものになるということになれば、二年たてば入れるわけでございますから、そのときに入っていただけると思いますので、やはり問題は、そういう若い人たちが農業に従事しようという気持ちを持っていただけるようなことをやっていかなければならない、そういう点においての土地並びに人の基盤整備は重要であるということについては、私も全く同じ考え方でございます。
#177
○武田委員 今後の作業過程の中で、これは毎年のように年金制度の充実が強く打ち出されるわけですから、柔軟に農業の構造全体の確固たる骨組みといいますかそういう体制のために、ひとつそのお考えを頭のどこかに、片すみにでも置いておいてもらいたいなと思います。
 ところで、加入促進の方策としていつも問題になる特定後継者の問題ですが、やはりこれにも条件の緩和をしてほしいという要望は毎年出てくるわけであります。ですから、それがまた加入の促進を妨げている要因の一つではないかという、これも大方の共通したお考えのようであります。ですから、この特定後継者の条件緩和について特段の御配慮をいただきたいと思います。
 たとえば、早くに父を失いまして、それで経営者となるという子供さん方もおるわけです。こういうような方々が、同じ年代にありながらそうしたものを受けられないということも一考を要するのじゃないか、こう思いますが、その点はどうでしょうか。
#178
○杉山(克)政府委員 現在、特定保険料といいますか、減額措置をとっておりますところの対象、これは要件としていろいろ規定しておりますけれども、年齢については三十五歳未満の後継者であることということにいたしております。その意味では加入資格がそもそも二十歳以上ということになっておりますから、その点の前提はございますが、特に若年だからそれは特定後継者ということで対象にならないということはないと私は思いますが、何か質問、取り違えたのでございましょうか。
#179
○武田委員 そうすると、おやじさんがなくなりまして自分が経営主となって農業しているというときに、これは特定後継者と極端に言えば言えないわけですね。ただ、経営移譲が自動的になっているわけでしょう。そういう場合、普通おやじさんが健在で三十五歳の息子に経営移譲したというときと同じように考えてもらえますか。
#180
○杉山(克)政府委員 御質問の趣旨はわかりました。親を失って、親からもうすでに実際問題として移譲を受けている、後継者でなくなって経営者となった場合はどうかということだと思います。経営者になりますと、これはまさに一人前の経営者としての保険料負担をしていただく。改めて特別な勧誘というか参加を要請するための特定保険料という考え方はなくなってしまうわけでございます。大変辛いことを申し上げるようでございますが、やはり経営者であるということから、特定保険料の対象とはなり得ないというふうになると考えます。
#181
○武田委員 ですから、そういうのを条件緩和の中で検討しながら、そういう人たちを救済する方向をひとつ検討したらどうかということなんですね。
 たとえばこういう場合もありますよ。農家の場合最近なかなか嫁さんの来手がないのと同じに、正直言いまして、娘さんだけの家庭にはお婿さんはなかなか来ないですよね。ところが貴重にもそういうケースがたまたまあったという場合、たとえばおやじさんがいま四十五歳である、養子に来たお婿さんになる人が二十六歳、嫁さんが二十三歳だ。十五年たったときはおやじさんは六十歳になってしまうわけです。息子はそのときは四十一歳になってしまうわけです。こういうケースの場合もいまの条件の中では救済できないのでしょう。そういうようなものも過程の中において救済していくような方向で考えれば、幾らでもそういう年金の加入の問題と関係しまして、経営者、いわゆる中核農家の育成のための手だてとしてこういうところの条件緩和をしていけば、農家の人も非常に助かるし、年金財政の上からもプラスになってくるのじゃないかと私は思うのですが、どうですか。
#182
○杉山(克)政府委員 制度でございますから、やはりそれぞれ要件がかぶさってこざるを得ないところがございます。
 いまのケースは、よそから嫁にあるいは婿に来た者、これはその家の親からすれば実子ではない、したがって後継者ではないということになるわけでございます。嫁であり婿であるという意味において後継者ではないということになるわけでございますが、これが養子縁組みをして正式な養子になりますれば、これは後継者として実子と同じような扱いになるわけでございます。
 せっかくの制度でございますから、制度の要件を理解して、場合によってはそういうことも応用動作としてお考えいただいて制度を活用していただければというふうにも思います。なかなかむずかしい問題だと思います。
#183
○武田委員 そういうふうに大変むずかしい問題がいっぱいあるわけです。その問題の大変なところに一つ一つメスを入れていかないと、いずれにしましてもこの年金は大変なんですよ。ですから、いま二、三例挙げましたが、事例がその他あると思います。そういうケースがどれくらいあるものかも、恐らく実際問題としてはわからないと思うのです。そういう方々を全部吸収して洗い直してみたら、かなりの加入できる、そして年金財政を支えるだけのものがそこから生まれてくるものと私は想像するわけでございまして、そういう点でひとつ御一考いただき、今後の年金財政の基盤を強固なものにしていく、そういうものにしてもらいたい、こう思うわけでございます。
 そこで次に、時間がないので、婦人の年金の加入の問題に入りたいのですが、これも非常に問題だと思うのです。先ほども申し上げましたように、農家の兼業化の進行度合いの一層激しいときに、私の宮城県などを見ましても、三町歩でも二町歩でもとにかく兼業農家はざらです。また一町以内の方々はもちろんのことですね。ですから、かえって専業農家でやっていて土地が少ないなんというケースもあるのです。こう考えますと、どうしてもその負担は妻やあるいは嫁に八割くらいはおぶさっているわけです。ですから、ここで考えなくてはならないのは、経営移譲とか名義の権利移譲とかなんとか云々というのは、これは法的にそのおり踏襲しなくてはならないとしても、実際の農業の形態の中から、こういう方々が年金の中に加入できまして、そしてその方々が農業を支えているんだという実質的な意味を込めた体系というものを考えることが、これからの時代を迎えて一層重大だと思うのです。お調べになりますと、おやじさんは朝晩少しやる、あるいは休みのときやるという程度の二、三町クラスの土地を持っておる方々が恐らく相当の数に上ると私見ています。ですから、たとえ嫁さんがたとえば六十のときに経営移譲年金をもらったからといって、おやじが、何だ、おれのもらうのをおまえがもらったなんということは言わない夫婦の間、しかも老後の保障ということを考えますと、やっぱりおやじさんよりも奥さんの方の苦労の度合いというのは大きいです。大体年齢的に言っても、死ぬ平均的な寿命というものを考えましても、七十四歳と七十七歳ぐらいの違いがあるわけです。しかも、苦労の度合いというものはますます大きくなっていく。私はやっぱりその点に思いやりがないと思うのです。ですから、ひとつ婦人の加入の問題についても、そうした一つの法的な手続の上においての経営移譲の問題は、それはそれとしましても、実質のそうした農業の本当にもう実際の主体者としてのそういう立場を、この年金の中で明確に確立してあげることによって、できれば将来は本当は男が中心になって農業をやるということが最高に望ましいわけですが、現実問題として、これからの二種兼業等々でもあるいはまた一種兼業でも、もちろんそういう女性の力が大きい、あるいは嫁の力が大きいということを考えるときに、そうした配慮が、検討するとか、附帯決議の中で、いつでも最善の努力を尽くしますと言っているけれども、その最善がさっぱりで何回も最善でありまして、こういうことでは、やはり農家の御婦人方の本当に大変な思いというのを知らないのではないかと言わざるを得ないと私は思います。
 ですから、大臣、この問題も大きな一つの課題として取り上げてきているわけですよ。この問題を大臣の健在の間にひとつ何か大きなアドバルーンを上げて、それを実りあるものにしてほしいと思うのですが、どうですか。
#184
○武藤国務大臣 先ほど芳賀先生からおしかりをいただきましたけれども、私は、なかなかできないことを余りできそうなお答えをすることはかえってまずいのじゃないかと思って、先ほど来正直に申し上げておるわけでございますが、やはり妻の立場というのはよく私わかるわけでございます。だから、ぜひそういう御指摘の点になるようにしてあげたいという気持ちはあるのでございますが、この法律における経営移譲年金というものが主体でつくられておる農業者年金というものを考えますと、これは経営をとにかく移譲した人が年金をもらうわけでございます。そこで、それじゃ夫婦でもし入っておったとしたときに、今度経営移譲したときに、その夫婦の場合は経営移譲年金が二人もらえる。片方において、おやじさんだけしがなくてそれが入っていたときは、おやじさんしか経営移譲年金はもらえないわけでございます。私は、そういう点において、やっぱり年金というものもこれは公平の原則に基づいてあるはずでございますから、そういう点になるとなかなかむずかしいのではなかろうか。ですから、きのう来申し上げておりますように、そういう奥さん方がいろいろおやりをいただくのはよくわかるので、奥さんの気持ちを考えていただいたら、御主人がひとつ賃借権なり小作権なり、何かとにかく権利だけ明確にしていただければ、当然今度奥さんが加入資格者になるわけでございますから、そういうことをひとつお勧めをして、そして奥さんに入っていただくという形が私はいいのではなかろうか、どうしてもいまの法律のたてまえからいけばそうならざるを得ないのではないか、こう考えておるわけでございます。
#185
○武田委員 そういうお勧めをしていても、結局さっき最初に話したような実態であるということも再考しなければならないということで、やはりその問題についての見直しといいますか、もっと突っ込んだ議論の中で、厚生省等とけ連携の中で、今後の課題として真剣に取り組む方向、ずいぶん英知を集めればいい方向に向かうだけのものがあるのではないかと私は思います。ですから、今後そういう意味で、ひとつ大きな課題でございますから、これは検討しながら善処をしていただきたいな、こう思います。
 ところで、農業者年金制度の目的の一つは、規模拡大を進めるということも入っているわけですが、きのうも局長の答弁を聞いていますと、これは要するに親子間の経営移譲、いわゆる身内での経営移譲がほとんどである、第三者移譲というのは少ない、こういうことでしたのですが、その中で気になることを局長が言っていたのです。土地の細分化をしないことは消極的に成功していることなんだ。何でも消極的な物の考え方を強調しがちですね。たとえば消費拡大をいつも一つ私取り上げるのですが、消費拡大の拡大ということはどうなんだと言うと、減らないようにすることが拡大なんだ、こういう拡大解釈。これは皆同じです。その消極的なことというようなことでもってその場を過ごそうという消極的な姿勢だから、物事が積極的に進まないと思うのです。現状維持ということは、私によればマイナス要因をそこに含んでいると見ていいと思うのです。やっぱり一歩でも二歩でも前進したというところに、本当に一つの施策の効果というものが期待できるのだと思うのです。そういう消極的な、細分化というのは土地の流動につながっているのだというようなことは、心の中で思っても――思ってもいけないし、言ってもいけないと私は思うのですが、どうですか、大臣。こういうふうなときですよ。農地法だって、今度出ると、農地の流動化のためにはずいぶん思い切ったことをやるのでしょう。そんな思い切ったことができるのに、やろうとしているのに、これはやるかやらないかこの次出てこないとわかりませんが、いま私あの内容を見ますと、これは思い切って農家の方々の自主性とかそういうような市町村の主体性とかを相当認めた、言うなれば一つの基準さえあればあなた方の好きなようにやりなさいというふうに私は感じられます。それなのに土地の年金の中においてそういうふうな消極的な発言というのが出てくるのは問題だと思うのですが、大臣、どう思いますか。
#186
○杉山(克)政府委員 昨日の私の答弁に関連した話でございますので、先に私から答弁させていただきます。
 一括経営移譲を図っているという点で、事実問題として細分化防止の機能を果たしている、そのことを説明申し上げたわけでございます。私は何も、この細分化を防止したということが規模拡大をあきらめたとかやめるのだという意味で申し上げたわけではございません。規模拡大のそもそものベースには、そもそも自分の持っているものを満足にきちんと受けとめる、そういう実態がなければいけないと思います。そういう意味で、そもそものそういう基礎をつくるのだという意味も含めまして、細分化が防止できる、こう申し上げたつもりでございます。これはこの農業者年金制度だけでなしに、それこそまさに、先生御自身が言われましたような農用地利用増進法そのほかの対策全般を含めて規模拡大の実現を図っていくべきだと考えております。
#187
○武田委員 ひとつ一生懸命進めてほしいと思うのです。
 五十四年の調査でしたか、農業をやっている方々に、あなたは今後規模拡大をやる考えがありますかというアンケートをとったときに、二五%は、やりたい、それから、七〇%近くでしたかね、そんなにいかなかったかな、四〇%ぐらいかな、かなりの、半数以上の方が、私は現状どまりでいい、こういうふうな答えをしているわけです。わずか二五%だけが、今後も経営規模を大きくしていきたいと言っているのですが、これが今後五年か六年の見通しの中でどう思うかというアンケートなんですね。こういう農家の意識というのは非常に心配です。七割近くが、私は現状維持でいいのだ。これをやっぱり変えていかないといけない。いわゆる農家らしい農家ですから、データの対象者は一種、二種兼業は入ってないです。専業と一緒です。そういう方々でそういうふうなことが意識的にアンケートに出てくるということですね。これは深刻に考えなくてはいけないと思うのです。大臣、どうですか。今後の規模拡大という問題を考えた場合に、このアンケートというのは一つの非常に重大な示唆を与えているのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
#188
○渡邊(五)政府委員 お答えいたします。
 御指摘の調査は昨年の一月現在での専業的農家約八十六万戸の調査で、御指摘のように五、六年先の経営についての将来の意向を調査いたしまして、現状維持というのは確かに七一%、経営を拡大したいというのが二五%ございました。この調査にはそのほか、これらの農家の中で在宅の農業後継者の意向調査というものもございます。約三十六万八千人ばかりの後継者の農業観でございますが、こうした後継者の志向といたしましては、農業はやりがいのある職業という回答をした方が四八%、約半分近くあるということもございます。確かに、御指摘のような現状維持という意向が多いことはやはり問題があろうかと思いますが、一面では、農業自体をやりがいのある職業あるいは多少なりとも規模拡大する人も四分の一程度あるということを私ども基礎といたしまして、これからの農業の長期的な視点に立ちました見直し等の政策のベースへ乗せていきたい、そういうふうに考えておる次第でございます。
#189
○武田委員 いま、今後の一つの指針、指標として考えているようですが、大臣、どう考えますか。
#190
○武藤国務大臣 いまの調査は、いまの現実の事態に対処しての農業者の方の考え方ではなかろかと私は思うわけでございます。いま官房長からも申し上げましたけれども、私ども、農政審議会に対して、やはり明るい希望の持てる農業のビジョンづくりをしたい、それに対してのお手伝いをひとつお願いしたいということで、いま農政審議会にお願いをいたしておるわけでございます。ですから、私ども農政審議会に対しても、たとえば日本の食糧の自給力をもっと高めていかなければならないことは当然でございますし、そのためには中核農家を中心とした農業をやっていかなければならないと思いますし、そのためには経営規模の拡大を図っていかなければならないわけでございまして、これはよくおわかりをいただいていると思うのでございます。
 ただ、経営規模の拡大を図っていくには、何をつくったら農業としてりっぱに所得が上がっていくかということも考えなければならないわけでございまして、そういう点においても、自給力と適地適産の考え方などを組み合わせた形で、しかも、それぞれの地域においていろいろと、それこそ部落単位ぐらいに今後何をつくろうかということも協議していただこうという地域農政の考え方もいま進めていこうとしておるわけでございまして、そういう中から一つの農政審議会の方向なども見ながら、私どもが新しいビジョンを打ち出したときには、必ずや農業に対してより一層規模の拡大も図りながら努力をしていこう、こういう方々が出ていただけるものと、こちらは期待をしながら、いま作業を進めておるわけでございます。いまの時点だけで見ますと、いまのような思想の調査、考え方の調査があらわれてきているかと思いますけれども、私ども、将来は経営規模の拡大に取り組んでいただける気持ちを持っていただけるような方向に、農業のビジョンをぜひ打ち出していきたい、こう考えておるわけでございまして、ことしの半ばという予定をいたしておりますけれども、もう少し時間をおかし願いたいと思っておるわけでございます。
#191
○武田委員 それでは時間が一分三十秒ばかりありますけれども、余裕を持ってバトンタッチしたいと思います。
 最後に、農業というのは総合的に力を加えていかないといけないのだということは十分におわかりだと思います。それから年金の問題も、あるいは土地基盤の整備の問題等も、あるいはその他もろもろの施策が、本当に有機的といいますか、どこをつついても、その規模の拡大あるいは中核農家の育成というもの、そして基本的には国内の自給率を高めながら日本の農業というものを健全に支えていくのだ、そういう重大な立場の仕事でありますから、今後の課題の中でどれ一つも手抜きができないと私は思いますので、この年金の問題についても、一層かたい決意と一層の努力を政府にお願いしまして、私は質問を終わらしていただきたいと思います。
#192
○内海委員長 中林佳子君。
#193
○中林委員 農業者年金基金法一部改正案について質問いたします。
 このたびの改正案の審査について、婦人の加入問題が非常に重要な問題になっているわけですが、私もこの婦人の加入問題でまずお伺いしたいと思うわけです。
 婦人の農業で果たす役割りは最近非常に増大しております。昭和五十三年一月一日現在の統計で見てみると、就業人口では男性が二百六十七万四千人に対して女性が四百三十八万二千人、実に丁六三倍です。基幹的農業従事者では、男性が二百八万五千人に対し、女性二百四十五万一千人、また年間百五十日以上従事する人では、男性が百六十四万八千人に対して、女性が百七十二万四千人と、いずれも女性の方が多いわけです。島根県の農業就業人口も、男性の三万一千五百八十人に比べ、女性が六万二千二百七十人と、約二倍になっております。いまや女性なくして日本の農業は成り立たない、このことが一層顕著になっている、このように思うわけなんですが、大臣、農業における婦人の果たしている役割りについてどのようにお考えなのか、まずお伺いします。
#194
○武藤国務大臣 非常に農業の作業に対して御協力をいただいている婦人の立場というのは、私はよく理解をしておるつもりでございます。
#195
○中林委員 農業者年金基金の目的を分割いたしますと、一に農業経営の近代化、二に農地保有の合理化、三に農業者の老後生活の安定及び福祉の向上と、三つあるわけです。農家の婦人は、自分の家の家計のこともありますけれども、日本の農業維持、日本農業発展というその役割りに大変な努力をしているわけなんです。しかも、子供の世話からお年寄りの世話と、非常に大変な役割りを果たしております。しかしながら、現在の制度では、一定の条件のもとではこの年金に入ることができるわけですけれども、婦人の加入が制限されていて、目的のうちの農業者の老後の生活安定及び福祉の向上の恩恵を受けることができない状態が非常に多いわけなんです。幾ら政策的付加年金だといっても、婦人には老後の生活及び福祉向上を付加する必要がない、このようにお考えなのかどうか、その点、非常に大切なことですので、大臣の御答弁をお願いします。
#196
○武藤国務大臣 決して婦人の老後の保障を福祉の面から考えていないとは私は考えていないわけでございまして、現に国民年金として奥さんはお入りをいただいているわけでございますので、国民年金の受給資格はあるわけでございますし、また、六十五歳になれば国民年金をお受けになるわけでございます。そういう面においては十分考えておるのではないか。ただ、この年金の中で考えろということになりますと、先ほど来お話を申し上げておりますように、なかなか仕組みとして非常にむずかしいということでございまして、決して婦人の老後の保障を考えていないというのは、私は全くその逆でありまして、婦人の老後の保障も十分私どもは考えさせていただいておると思っておるわけでございます。
#197
○中林委員 婦人の老後保障についてないがしろにはしていない、このようにおっしゃるわけですが、先ほど申しましたように婦人なくして日本の農業は支え切れていないという現状があるわけです。農業に従事しておりながら、その農業従事者に与えるこの年金、老後保障という一つの役割り、それを支えている婦人が非常に制限されているという問題は、本当に大変だ、このように考えているわけなんです。いろいろ制度的にむずかしいなどとおっしゃるわけなんですけれども、そこを突破して考えいただいて、婦人の加入の道を広げていく、・こういうことが非常に必要ではないかと考えるわけなんですけれども、その点いかがでしょうか、もう一度お願いします。
#198
○武藤国務大臣 どうも先ほどと同じ答弁になりますけれども、結局経営移譲年金というのが主体であることは御理解がいただけると思うのでございます。そこで、経営移譲年金というものに対しては、あくまで経営を移譲するということによって経営移譲年金をもらえる権利が発生するわけでございます。そして、それが六十歳から六十四歳でもらえて、また六十五歳以後はその十分の一がやはりもらえる、こういう仕組みになっているわけでございますので、あくまで経営主というのが法律的には資格の一つの大きな要件であるわけでございまして、そういう面から、確かに奥様方が農作業に非常に御努力いただいていることは私どもよくわかっておりますので、ぜひそういう御家庭においては、奥様にひとつ賃借権でも何の権利でも、とにかく何も所有権じゃなくていいのでございますから、使用収益権をぜひお与えいただくということによって、奥様が加入者になっていただいて、また六十歳以上になれば経営移譲されれば経営移譲年金はもらえるわけでございますので、ぜひそういうことにお願いをしたいというのが私どもの気持ちでございます。
#199
○中林委員 非常に理解ある御主人あるいは家というもの、そういうところがあれば、使用収益権の設定ということもできるでしょうけれども、大臣のいまの御答弁を聞きますと、私は、まだ日本の農家にある封建性の残りかすといいますか、その点が御理解いただけてないと思うわけなんです。いろいろと近代化されてきてはおりますけれども、実際は奥さんなりあるいは後継者の配偶者が農業に従事していたとしても、経営権を譲るということについては非常に厳しい状況にあるということなんです。だからこそ、毎年のようにこの婦人の加入を認めろ、こういう声が上がっているわけなんですね。その辺をもう御理解いただいて、そういうことができるならば、こういう強い要望などは起き得ないと思うわけなんですね。ですから、その辺をもっともっと、いまの農家の実状、婦人の置かれている立場、そこを十分に理解していただかなければ、この加入の問題は前に進まないのではないかと思うわけです。
 これは毎年この改正案があるたびに取り上げられている問題なわけですけれども、さらにその中で大切な問題は、いま加入している婦人の方々がどういう形で入っているのか、こういうことについても非常に不確かなんです。五十四年末現在の婦人の加入者が、昭和五十三年末に比べて千人減っているわけなんですね、五万一千人。その比率は当然加入でわずか五%、任意加入で三・二%、合わせて四・六%と、きわめて婦人の加入というのは低いのです。これをぜひ認識していただきたいのです。本当は従事しているのは婦人の方が多いのに、加入しているのはわずかこれくらいということなんです。ですから、こういうときにどういう形で入っているかということを、昨年の改正の審議の際に大場構造改善局長がわが党の津川議員の質問に対して、「内数は残念ながらまだ現在のところ掌握しておりません。これは急いで掌握したい」と答弁されているわけなんですが、この調査はおやりになったのかどうか、それだけ、やったかどうかだけお答えいただきたいと思います。
    〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
#200
○杉山(克)政府委員 加入者の総数は当然把握できておるわけでございますが、その内容がどういう構成になっているかということについてはまだ詳細な調査は行っておりません。
#201
○中林委員 非常に残念というか無責任というか、昨年の答弁でも調査いたしますとはっきりお約束なさっている。その一年前の審査の場合も調査しますとおっしゃっている問題を、津川議員が非常に遅いではないかと言って取り上げられて、昨年も約束された。なおかついまの時点で、その内訳だとか一体どういう状態になっているかとか、そういうことはお調べになっていないということは、非常に遅いし無責任だと私は思わざるを得ないわけなんです。
 昨年の改正案の審議の際に、「最近における農業就業の実情にかんがみ、農業に専従する主婦及び後継者の配偶者等についても年金への加入の途を開くよう努めること。」こういう附帯決議がつけられているわけなんですね。こういう附帯決議がつけられているにもかかわらず、今度の改正案には何ら反映されていない。私は本当に遺憾だと思うわけなんです。農水省が本当に婦人に加入の道を開くつもりがあるのかどうか。そのためには、先ほど申しました実態調査、これを本当になさる意向があるのかどうか、このことについての大臣の御決意、あるいは今後調査を進めていくつもりがあればそのスケジュールなどもお聞かせいただきたいと思います。
#202
○杉山(克)政府委員 加入者の実態については、当然財政再計算の問題とも絡む話でございますし、それから最近の加入状況等から見て、さらに一層ここで加入者の増加を図らなければいけないという観点から、私どもできるだけ早い機会に――何度も約束ばかりするではないかとおしかりを受けるかもしれませんが、改めてこの席で調査するということをお約束したいと思います。
#203
○武藤国務大臣 局長の答弁の通るように、私もよく見ていきたいと思います。必ず調査をするように、よく私は見ておきたいと思います。
#204
○中林委員 本当に空約束では困るわけで、ぜひ五十五年度じゅうには調査し、何らかの解決できる道を開いていただきたい。それがいまの農業を支えている婦人の切実な願いである、こういうことをぜひくみ取っていただきたい、このように申し添えておきます。
 次に、農業者年金業務体制の整備確立の問題に移らせていただきます。
 昨年十二月の農業者年金制度改善中央集会に私あいさつに伺ったときに、御要望をいろいろと承ったわけです。そして承ったから、その後実態を調べてもみたわけなんです。島根県の年金加入者数は五十四年末で一万四千二百五十二人、年金受給者が二千六百三十八人になっております。基金から委託されて市町村農業委員会を業務指導する立場にある県農業会議の職員はわずか二人しかおりません。一般実務の合間を縫って年金業務を行うのですが、これが実に大変で、研究会を含め指導のために出かける日数が年間で延べ二百日もあるということなんです。実に半分以上年金業務に忙殺されているという実態なんです。ですから、県でこういう実態、それならば市町村段階ではどうなっているかということを調べてみますと、ざっと千七百人の加入者を抱えている出雲市農業委員会では、市のバックアップを受けて職員五人のうち一人を担当者に決めているものの、百件もの経営移譲相談や独自の「農業年金だより」というパンフレットの発行などで忙殺されていて、名簿を一応つくっているが、加入予定者や加入者の男女別の実態の把握ができていない状況なんです。年金受給者二百三十人、加入者千四百人を抱える斐川町農業委員会では、職員二人が、受給開始の一カ月前からリストアップした人と連絡をとり合って、親身に相談に乗っているわけです。その状況は、一般事務と重なるためにまさに目まぐるしい活躍の中でやっております。このようないわば末端のところでの献身的な働きのおかげで、出雲市も斐川町も加入率は八〇%前後という非常に高い水準を保っていると思うわけなんです。しかしながら、この末端の活動に対する政府の補助が余りにも少な過ぎる、せめて専従職員の配置があればもっと農家の相談にも乗れるし、PRもできる、このように係の方々はこぼしていらっしゃるわけなんです。大臣、思い切って、せめて専従職員が配置できるような予算の増額、補助のアップをされるお考えはないのでしょうか。
#205
○杉山(克)政府委員 事務的な、特に予算関係のお話でございますので、私から御答弁申し上げます。
 各委託機関にいろいろの事務を委託しておるわけでございます。農協とか農業委員会、県段階では農業会議とか農協中央会、それぞれに対しまして委託費を出しているわけでございますが、たとえば農協とか農業委員会を見ますと、人数によってあるいは取り扱う件数によって格差があるわけでございます。私どもとしては、各県、各団体等の要望も聞きながら、年々その増額を図ってまいったところでございます。大きいところは、二百万円以上委託費を受けているところが二十六農協、農業委員会でも九つあるということで、確かに、特に勧誘活動の活発なところでは幾らあっても足りないようなこともあろうかと思いますが、全体を平均して見るとある程度はおこたえできていると思いますし、今後ともさらにその増額に努めてまいりたいと考えております。
#206
○中林委員 出雲市とか斐川町というのは島根県でも一番大きな農協であるわけですね。それの予算を見てみますと、とても一人を専従として置くだけの配分はされておりません。農水省からいただきました資料の予算の推移のところを見てみましても、大体前年比百十何%ずついっているわけですが、五十五年の予算要求は一〇七%にしかいってないわけですね。大体予算が切り詰められているとは言っても、いま非常に切実な願いである委託業務に対する予算の増額はどうしてもされる必要があるのではないか、それがひいては加入者をふやしていく道にもつながる、このように私は思うわけなんです。
 再度大臣に伺うわけですが、増額をされるような御決意はないわけですか。
#207
○武藤国務大臣 五十五年度についてはこれでやっていただこうということで、私どもはいま予算に計上してお願いをいたしておるわけでございますが、五十六年度以降につきましては、必要な経費はできるだけ賄えるような形に国の予算を考えていきたいと考えております。
#208
○中林委員 五十五年は非常に抑えられている中で仕方がないというお立場で、五十六年からの御決意になったわけですが、特にこの農業者年金の業務というのは、国民年金の業務に比べまして固定資産の状況の照合だとかがあってはるかに複雑なんですね。国民年金の方にはちゃんと人がついているのに、農業者年金業務には人がつかないというのは非常に不合理だ、このような声もあるわけなんです。これについてはどのようにお考えなんでしょうか。農水省として、ぜひ国民年金並みの業務ができるようにしたい、こういう決意をぜひ示していただきたいと思うのです。
#209
○杉山(克)政府委員 国民年金は全国での加入者は二千四百万人、農業者年金は百十万人ということで、対象の取り扱い件数に大きな差があるわけでございます。したがいまして、ある程度まとまった事業であれば専従の職員も置いて業務を進めていくことが可能でございます。その点、農業者年金は絶対数が少ないということもありまして、必ずしも国民年金と一緒というわけにはまいらない実情にあります。しかし、いずれにいたしましても、本当に適切、円滑な事業の運営、さらには加入者の増加といったこと等のために必要な業務はぜひとも果たしていかなければならない、そのために必要な経費は、今後とも一層努力して確保してまいりたいと考えます。
#210
○中林委員 そういう業務上の問題でさらに大変なことがあるわけなんです。離農給付金支給業務について、五十四年十月十一日付で基金の理事長の内村さんから、各県農業会議会長あてに通達が出されております。この通達は「離農給付金支給業務の終了に伴う事務取扱いについて」という通達ですが、その中身は、市町村農業委員会は離農給付金の受給希望者に対して、適正な申請書が提出されるよう十分指導するとともに・申請書が昭和五十五年三月三十一日までに農業委員会に提出されるよう極力指導するというものであります。
 このための実務量がこの三月三十一日に向けて非常に多くなってくるわけなんですね。先ほどるる説明いたしましたけれども、一人とか二人の方々が業務に当たったのでは非常な業務負担になってくるわけなんです。ですから、この時期だけでも何らかの特例的な措置をとる必要があるのではないかと思うわけですが、お考えはいかがでしょうか。
#211
○杉山(克)政府委員 この五月に現在の離農給付金の制度がなくなるわけでございます。そこで、現にこの給付金を受ける資格のある人たちが三月ごろに殺到する、また三月ごろに事務手続を進めないと五月の締め切りに間に合わないということもあって、三月末日までにその申請を出すようにということを指導した事実はございます。ただ、これは何も事務をいたずらに繁雑にするとか混乱させることが目的でないのは当然でございまして、実情からしてそのときに余りにも集中し過ぎて処理が不可能であるということならば、若干のおくれはやむを得ないと考えます。そこは実態に即して弾力的に運用するよう基金とも相談してまいりたいと考えます。
#212
○中林委員 無理してそこまでやらなくてもいいというお考えのようですが、実務に当たっていらっしゃる方は、できるだけこの時期にやりたいという考えをお持ちなわけです。ですから非常に繁雑になるし過重になるので特別な配慮をぜひお願いしたいと思うわけです。
 私の質問は、婦人の加入の問題と業務の十分な援助をという二点についてですが、ぜひ十分くみ入れていただき、前進的な対処をしていただきたい、そのことを申し添えまして、津川委員にあと譲りたいと思います。
#213
○山崎(平)委員長代理 津川武一君。
#214
○津川委員 農業者年金、百姓、農民に年金をやる、その制度は私は非常に正しいと思いますし、この制度の健やかな発展を願う者の一人でございます。ところが、いま問題になっているのは農業者年金の中で離農給付金。そこで、離農という意味を大臣と一緒に考えてみたいと思っているわけであります。
 離農は功成り名を遂げてからの処置、処遇でしょうかという問題なんです。たとえば農水省の職員に例をとってみます。新採用のときは希望と野心を持って農水省に入ってきます。勉強する、一生懸命仕事をする、だんだん仕事もなれてくる、地位も上がっていく、係長、課長補佐、課長、審議官、局長、次官、先が非常に開かれております。希望がございます。やりがいがございます。そして、一定の年齢になってくると退職される。退職金はかなりもらえます。そして、退職した後に年金がつきます。それなのに農民はどうなのでしょう。農業高等学校を卒業して二十五歳ぐらいから農業をやる、三十五年、四十年、死にもの狂いになって農業をやります。そして、そこにどんな未来が待っているかということ。どんな栄達が、どんな昇進が、すばらしい日本一の耕地の拡大が、収入の増加が、地位の向上があったでしょうか。皆さんが農業を見捨てて、農家戸数は減ってきます。農業者は減ります。そして年をとって、最後に農地を手離す。この場合は六十二万円の離農給付金、こうなっていきます。それがいまの状態でございます。特に離農は、生きがいの田や畑を耕してきたこと、今度はそこから離れていくわけです。だから、農民にも恩給をという考え方で農業者年金が出てまいりました。これは私はそれなりに理解できると思います。だが、現実はこの状態なんです。これは何とかしなければならないのじゃないかと思います。農業者に年をとったら年金をやる、それはよろしい。これが離農が条件だというどころにかなり問題があるわけです。仮に私たちが落選したら、また永久に再選しなくなったらどういう考え方を持つかということ。離農というものは農民にとって、たとえは悪いけれども、大臣は代議士をやめるとお酒屋の大尽として生きるし、私はやめれば病院に帰れる。ここには一つのよりどころがある。農民がいままでよりどころにしてきた農地を手離す、しかも六十二万円で。こういう点で、農業者の老後保障、農業者年金も含めて使っていきますけれども、やはり考え直していただかなければならない。この点で、特別の配慮が国の中になければならないと思っているわけです。これは通常の月給取りの老後、年金というふうな考え方では事が済まない。ここいらあたりの大臣の意見を承ってみたいと思うわけです。
 この間、意地の悪い人が言いました。農林次官をやめたら中央競馬会の会長。次官をやめたとき相当退職金をもらった、年金をもらった。今度、中央競馬会長になったら月給が百万五千円、一年のボーナスが六百二十五万六千円。農民の方は六十二万円で離れなければならぬ。そこいらも兼ねて、この農業者の老後保障ということ、農業者年金のさらに改善と同時に、特別な考え方、処置があってしかるべきじゃないかと思いますが、大臣の所見を、方針があれば聞かせていただきます。
#215
○武藤国務大臣 先生御承知のとおり、離農給付金の場合は、いわゆる兼業者と申しますか被用者年金に入っておる人の場合に出るわけでございまして、いわゆる農業者年金に入っておる場合は、御承知のとおり、もし経営委譲すれば経営委譲年金でございます。
 そこで、いま六十二万円のお話でございますので、これは離農給付金の話として私は受けとめさせていただきますけれども、離農給付金の方は、被用者年金に入っておるわけでございますから、当然厚生年金なり共済年金なりを五十五歳あるいは六十歳になればもらえるということになっておりますので、六十二万円で老後の保障の手当てをしなさい、それだけでもうあなたはおしまいですよというつもりではないということではなかろうかと思うのでございます。そういうものに入っておられないからこそ農業者年金に入っていただいておるわけでございますから、農業者年金に入っていただいておれば、国民年金プラス農業者老齢年金、また経営委譲された場合にはプラス経営委譲年金という形で、これも厚生年金とある程度バランスがとれておるわけでございます。ですから、いまの共済年金なり厚生年金プラス離農給付金が入るということにおいて私は御理解がいただけるのではなかろうか、それはもちろん多いにこしたことはございませんけれども。そういう点で六十二万円、いままでは五十九万円、こういう形で十分ではないかもしれませんけれども、ひとつその辺でごしんぼうを願いたいということが私どもが現在お願いしておる中身でございます。
#216
○津川委員 大臣、事態をしっかり見ましょう。いま大臣が言ったのは一局部ですよ。大正五年前に生まれて年金に正規のとおりできない人は、今度は六十二万円ですよ。その人たちはほかには年金はないですよ。そういう人たちのことを考えなければならない。大臣は別な職業を持っておって、それで離農する人だけ考えた。だから考え方が甘くなると言うのだ、これはいま大臣からさらに答弁をあえて求めないけれども。
 そこで、これは大正五年以前に生まれて今度離農退職していく人たち、いままで離農退職した人たち、これについて青森市の農業委員会が調査しているのです。離農後の生活、全く経験のない職業につくという人が五人、いままでの兼業ないしは出かせぎに従事していたその仕事を続けるのが二十三人、技能資格を習得するための訓練施設に入るのが一人、特に仕事はしないのが三十三人。この特に仕事をしない人の三十三人は、功なり名を遂げたのじゃないけれども、老後はまあまあ。ところが、いままでの兼業ないしは出かせぎに従事していたその仕事を続ける、これが二十三人なんですね。これが離農そして老後、そういうものの形です。もう一つこの続きで、さらに突っ込んで調べてみたら、自営業につくという人が二人。どこかの勤務につくという人が五人。人夫、日雇いをやるという人が二十人なんです。これが、五十年農業をやって離農給付金、この間まで百三十八万、これから六十二万もらってやめる人たちの運命なんです。これでいいのかということを私は国務大臣に問わなければならない。何らかこの人たちに温かい配慮があってしかるべきだ、この点をどうしても答えていただかなければならなくなって、いまここで質問台に立っておるわけであります。
#217
○武藤国務大臣 先生のお話は私は理解ができます。ただ、それは農業者年金であるとか、いま先生と議論しております離農給付金であるとか、そういうものだけで解決できるものではないと思うのです。これはやはりすべての人たちの老後の保障をいかにするかという大きな問題として取り上げていかなければならないと私は思っております。そういう面において、それでは、いま日本の国の年金制度が十分であるかという点においては、私は必ずしも十分であるとは思っておりません。そういう面において、今後、より見直しをしていかなければならぬということは、日本の国全体として当然なことであると思い、そして農民だけでなく、六十五歳になっても七十歳になっても人夫や日雇いまでやらなければならない事態は、本当に一日も早く解消しなければいけないのではないか、こう私は考えております。
#218
○津川委員 そこで、武藤さんは農林水産業を担当している国務大臣、したがってあなたが、その点での農業者、漁業者、林業者の老後を考えてあげなければならないのです。ここのところにかなり重要な問題が出てきたわけで、したがって、農林行政の中で老後保障というものをもっと考えていかなければならぬです。
    〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
 そこで、老後のためにいろいろなことをしてくれています。訪問してくれたり、バスに乗せて温泉場に連れていってくれたりしていますが、老後の一番の生きがいは仕事なんです。日本の老人の自殺は世界のトップグループなのです。農村の老人の自殺者が多い。これは仕事をとられたこと、生きがいがそこにあるということ。この大事な大事な仕事を離農させているので、ここのところで特別生きがいを与えていかなければ、また日本の農村老人の自殺が多いということになってきますので、あなたの領域からやれるもの、いま急に考えろとは言わないけれども、何らかの、日本の農業をいままでやってきた農民にこたえるものがあったら――きょうここではすぐできないと思います、僕の質問はこういうこと初めてなものだから。その点、何かお考えがあったらひとつ……。
#219
○武藤国務大臣 私どもの五十五年度の予算の中でも、たとえば、老人の方が牛を買おうというお気持ちを持っていただくときには予算をつけておりますし、また、それぞれ農村の地域ぐるみのいろいろな問題で、いわゆる地域農政特別対策事業というものがございますが、そういうものの中においても、先輩として貴重な経験を持っておられる御老人の方々の意見を極力聞くようにという指導もしておるわけでございます。そういうことにおいて、現在提案されております予算案の中でも、ある程度はあると思いますが、そういう考え方を今後ともより強く予算の面に反映をしていかなければならないと考えております。
 あわせて、しかし、いま一つは、そういう仕事だけでなくて、お年を召した方の自殺が多いというのは、やはり家庭の中における温かさというものも問題があるのではなかろうか。また、それは家庭だけではなくて、一つの地域社会の中におけるお年寄りに対する温かさというものがあれば、それも自殺者を少なくする一つの方法ではなかろうか。ですから、もちろん私どもの所管の問題でも、いま申し上げましたようなことで努力をしてまいりますけれども、これは社会全体としてこういう高齢化社会になってまいりましたので、そういうこともあわせて考えていかなければならないと思っております。
#220
○津川委員 家庭の中の温かみ等いろいろなことを言ってくれました。それは国務大臣としての武藤さんの範囲だが、農林水産、漁業を担当している部分から言うと、やはり離農という行為によって一これは年がいって農業者年金をもらうのはいいのですよ。今度の離農給付金の一つの目的は、離農を促進させるわけだ。そういう促進させるという前向きの農政によって自殺する人が出てくるという問題、ここは格別に考えていただかなければならない問題です。
 そこで、農業者年金基金で離農給付金受給者等に関する調査結果の概要というものを五十三年度にまとめております。見ておられると思いますが、各市町村にアンケートを出した。そうしたら、東北で三十の市町村がアンケートを出して、そのうち九つで、多額な借金を抱えて離農するなどの気の毒な事情にある農家が救われると喜ばれているという。離農していってそのお金が借金に取られてしまう。これも借金を払えば老後の心配が一つなくなりますね。しかも、この離農給付金のおりていく道は恐らく農協。農協は農家の借金を差し引きます。すべての農協がそうです。そうなってくると、ここにも何か惨めな状況が出てくるのではないか。せめてこの六十二万円はストレートに離農していく農家にやる道はないか、そういう指導はないかなと思っているわけでございます。よろしくお願いします。ひとつ答えていただきます。
#221
○武藤国務大臣 これはたしか先ほど、どなたかの御質問に対して杉山局長から答弁したのではなかったかと思いますが、これは借金を棒引きにしろという話でございますので、それは大変結構なことでございますけれども、それでは借金していない人と借金している人とという問題もあるわけでございます。やはりそれは、それなりに一つの商行為の中で起きてきている問題だろうと思いますので、一概に借金を棒引きにしろというのは、どうも大変むずかしい問題ではなかろうかと私は思うのでございます。
#222
○津川委員 武藤さん、私はもう少しヒューマニストかと思いましたよ。せめて六十二万くらいはストレートに離農者に届けて一その人の判断で借金返すならいいですよ。このくらいは大臣、ひとつ通達なり指令なり出してあげてくださいよ。重ねて答弁を求めます。
#223
○武藤国務大臣 私の申し上げているのは、棒引きをするようなことを抑えることは私どもでできないことはないと思います。ただ、棒引きをするしないという問題と債権債務の関係というのは別でございますので、その棒引きをしないようにするというようなことならば、私は一遍ぜひ前向きに取り組んでみたいと思いますが、債務を解消してやれということはちょっとできませんので、その点は御理解をいただきたいと思います。
#224
○津川委員 局長にも次、答えていただくけれども、大臣、六十二万円手に入れば、一番最初に孫に何か買ってやろうと思って計画しているかもしれない、借金の方は言いわけできるかもわからない。それを、農協に入らないで来る場合もあるけれども、農協を通ずると、そこで借金を棒引きして本人に渡らない。せめて一日でも二日でもこの六十二万円を握らして、その使い方を御自分に選択させてくださいよ。そういう指導をしてほしいのです。
#225
○杉山(克)政府委員 ちょっと申しわけありませんが、大臣の答弁の中で、大臣自身が修正してしかるべきことをいま了解を得て私が申し上げますが、棒引きと申し上げましたのは天引きの意味でございます。棒引きと言いますと、借金そのものをなくすように聞こえますけれども、頭から先取りするという意味での天引きの意味でございます。
 それから質問者の御意図も、そういう天引きをしないで一遍とにかく本人の手元に届けて、本人の判断で借金を返すなら返す、何かほかのことに使うなら使うということで、とにかく一遍判断をさせろ、選択をさせろ、こういう御意見かと思います。私どももそういう気持ちにおいては、まさにそうあってほしいと思うわけでございます。ただ、これは、私どもの問題というよりは、農協自身が借金との関係でもって、実際問題としてどう取り扱うかということがございます。これ自身、当然に天引きを許すとか天引きさせるという性質のものではございません。やはりおっしゃられるように、十分に本人の選択によって使い道が決められるようにしていきたい。そういうことについて指導ができるかどうか具体的な方策について、新しい御質問ですのでちょっとまだよくわかりませんが、検討してみたいと思います。
#226
○津川委員 くどいようだけれども局長、そのくらいの指導はできますよ。そのくらいの通達はできますよ。全中の会長に電話一本してごらんなさいよ。――信連か。検討じゃない。せめてもの六十二万円のおみやげだよ。大臣の株を上げるために、大臣、もう一回答えてください。
#227
○武藤国務大臣 私、先ほどお答えをいたしましたように、一たんもらえるものはもらう、しかし、その後それをまた債務のために返さなければならないようにすることは別の問題でございます。頭からそれを差っ引いてしまうというようなことのないようにすることは、私は法律上も可能であると考えておるわけでございまして、ひとつぜひそれは前向きに検討をしたい、前向きに取り組みたい、こう申し上げたわけでございます。
#228
○津川委員 最後に、老人の問題で、世界的にも問題になっている日本の農村の老人の自殺について、どこの局ですか、官房になりますか、どこかやっぱり一度調べておいていただきたい。大臣から、何かもしそういうことがありましたら、ひとつ機会をつくっていただくようにしていただければありがたいと思います。
 そこで、大分これで時間を食ってしまいましたけれども、次は、経営移譲の相手方の問題なんです。
 離農者の相手方として農業者年金の被保険者に限定しているようですが、今度また狭めてきた、その理由は何でございます。
#229
○杉山(克)政府委員 現在農業者年金に加入している者はおおむね中核農家あるいは専業農家としてりっぱな経営を営んでいける者というふうに考えているわけでございます。そういったりっぱな経営を営んでいける者の規模拡大をさらに促進するという意味がありまして、対象は細分化されるようなことのないように、そういう人のところへ集中して移譲されるということを考えたわけでございます。
#230
○津川委員 そこで、また具体的な質問に入っていきます。
 先ほどうちの中林さんが婦人の立場からかなり貴重な発言をしてくれて、私も中林さんの発言を注目していたのと、大臣の答弁、私のさっきの質問以上に注目していたわけなんですが、農業専従者が女性だけ。主人は農協、役場などに勤務している、したがって、被用者年金に入っておる。農業者年金の被保険者とはなり得ない。婦人がその地域で平均以上の規模で農業に専従していても、こういう農家の場合は、この主人が離農した場合に離農給付金が払えるかどうか。それから、この奥さんが主人と契約を結んで経営移譲している場合には受け取る相手になれるかどうか。この二点。
#231
○杉山(克)政府委員 夫婦がともに経営者というようなケースは一般的には想定しがたいのと、それから、私どものこの制度では夫婦の問での経営移譲は給付金の対象として考えておらないところでございます。
#232
○津川委員 つまり、役場だとかいろいろなものに入って農業者年金に加入していない本人が離農した場合は離農給付金がもらえますか。
#233
○杉山(克)政府委員 若干質問を取り違えているかもしれませんが、私ども同一世帯内での……
#234
○津川委員 そうじゃなく、ひとつ分離して、同一世帯でなくて、本人が健康保険だとか普通の厚生年金に入っている、その人がやめたときには離農給付金が来るかということです。
#235
○杉山(克)政府委員 その人が第三者に移譲した場合ということで限定しております。
#236
○津川委員 その次に、今度はその人が第三者に移譲する場合、戸主が農協に勤め、そして奥さんが戸主と契約して農業をやっている、この奥さんにこの農地が移っていけるか、移譲の相手となり得るかどうか、お答え願います。
#237
○杉山(克)政府委員 この制度は、男だから、女だから、夫だから、妻だからということでは差を設けておりません。奥さんであろうと、りっぱな経営者として資格を持って農業に従事しているならば、これは移譲の相手として当然認められます。
#238
○津川委員 そこで、だんなさんが農協に勤めて戸主で土地を持っていますね。奥さんがこれと契約していますね。したがって、今度の農地の譲り受ける相手になれますね。
#239
○杉山(克)政府委員 奥さんがこの法律にいうところの適格な経営者として農業を営んでいるならば、当然に譲り受けの対象となります。それは御主人がどうあろうとかかわりなくなれます。
#240
○津川委員 そこで、いま心配したことが出て、御主人は農地を持っている、奥さんが農地を持つ、一家の中で二人農地を持つことになりますが、これでいいですか。
#241
○杉山(克)政府委員 質問をちょっと取り違えているのかもしれませんので大変恐縮ですけれども、私ども、一つの土地を二人で所有するとか、二人でもって何か共有するというような事態は想定いたしておらないわけでございます。
#242
○津川委員 そういう想定をしていないと言うが、私が、国会議員だ、田も畑も持っていませんよ、仮に持っていたとする。うちの女房が田をやっておった。そこで耕作権の契約をして農業者年金の対象になる適格者なんだ。それで、あなたが今度は農地を第三者に移譲する場合、これはうちの女房が受け取ると、私も所有者、女房も所有者になるわけです。とういう場合でもいいかと言うのです。
#243
○杉山(克)政府委員 第三者が、ある家庭の奥さん一この奥さんは適格者として農業を営んでおる。その人に移譲する場合は、当然移譲の相手としては認められるわけでございます。移譲の内容は、所有権を移すかあるいは新しい賃貸借なり使用収益権の契約を結ぶかという形になると思います。そうなりますと、経営主としての名義は奥さんになることになります。だんなさんはその場合別段直接の関係はないように私は思いますが。
#244
○津川委員 わかりました。
 その次、先ほど中林委員が話された日本の農業の実態をどう見るかという問題なんです。農業をやる上について一番大事な問題は、農業をやるという意欲、農業をやってみたい、これがなければだめなわけだ。その次に、農業をやるという人間がいなければだめなわけだ。その次には、農業をやるという土地、農業の生産手段がなければならぬわけね。それからいろんな技術だとか種子だとか出てきます。
 そこで、大事な人間の実態、日本のこの大事な農業成立の条件の基礎を担っているのが農業婦人なんです。この婦人というものを、先ほど農林大臣はすうっと中林さんに答えているけれども、この点でやっぱりかなりはっきりした認識がなければならないわけです。この認識に基づいて農業者の中における婦人の対策を打ち出さなければならないわけです。この点で婦人に対する対策をどのように考えているか。概念としてはわかった、数も多い、農業の計画さえ立てている婦人のうちが多い、わかったと大臣は言っている。そこで、わかったら農業の主力である農業者婦人、農業者に対する農林省の方針というものがあったら聞かしていただきたいのです。
#245
○武藤国務大臣 農村における農業婦人と申しますか、働いておられる方々の地位向上のためにいろいろ努力していることは当然御理解いただいていると思います。
 そこで、この年金に絡んでのお話でございますと、先ほどもお答えをいたしましたけれども、いまもいろいろ議論が出ておりますように、とにかく経営主、所有権があっても所有権がなくても、その他のいわゆる使用収益権でいいわけでございますが、そういう権利をお持ちになる方がその権利をお譲りになる、それによって経営移譲年金をもらえる権利が発生するわけでございます。でございますから、その仕組みを変えない以上は、農家の婦人の皆様方のお立場なりお仕事というのは本当によくわかるのでございますけれども、現在の法律のたてまえがそうなっておる以上は、そういう形で実際に奥さんがお働きの場合には、奥さんに権利が、所有権でなくてもいいのでございますから、ぜひひとつ権利だけいくような形を私どもとしてはより進めていくということでなければならないと思っているわけでございます。
#246
○津川委員 そこで、実態は、婦人の農業者が農業をやっている。しかし、法律だからたてまえがある。ここで法律の条件を守っていく、これはわかる。そこでたてまえを変えなければならぬといま大臣がはしなくも言った。そこで、こういう立場を実態に即して法律を進めていく、こういう法改正で農政を進めていくというのでなければならないわけです。
 そこで、もう少し実態的に聞いてみますと、専業農家、ここでも婦人が中心になってやっているところがある。専業農家で奥さんが農業者年金に入っている人はどのくらいございましょうか。これはかなり入れるのでございましょうか。どこに困難があるのでございましょうか。
#247
○杉山(克)政府委員 現在総加入者百十万の中で、婦人の加入者は五万一千でございます。この婦人加入者はそのほとんどが専業農家で、いま先生がおっしゃられたような農作業に主として従事しておられる方であるというふうに私は考えております。
#248
○津川委員 その次に、主人がどこかほかの仕事についている、しかしうちには農地が一町歩でも二町歩でもある兼業農家では婦人が農業の主人公だ、この人たちが農業者年金にどのくらい加入していますか。
#249
○杉山(克)政府委員 専業農家でもっぱら婦人が農作業に従事している場合はいま申し上げたような形になりますが、兼業農家の場合も、恐らく名義人は兼業している夫だと思います。そうなりますと婦人は名義人ではございません。正当な耕作の、法律で言うところの権利を持っていないわけでございますから、これは加入資格がないということになります。
#250
○津川委員 ここでは加入資格はないわけだね。農業の実態はこの人がやっているわけです。そこで婦人の問題が出てくる。後でまとめてお伺いしますが、その次に、主人公は国家公務員、地方公務員、国鉄の人、そして田を二町歩持っている、これを奥さんがやっておる。この奥さんが農業者年金の加入者になり得るか。どのくらいなっているか。この実態も教えていただきたいのです。
#251
○杉山(克)政府委員 個別のケースとしては、ほかの職業に従事して厚生年金等に加入しているだんなさんが、自己所有の農地を奥さんに貸したり、あるいは所有権までも移転したりというような形で経営主という地位を認め、そしてその奥さんがこの農業者年金に加入しているという例はある程度あるという話は個別の話としては聞いております。ただ、全国的にそれがどの地区で何件かということについては、大変残念ながらまだ承知いたしておりません。
#252
○津川委員 その次、娘さんです。お父さん、お母さんがある、そして男の子がない、女の子がある。これが任意加入で入ることはできますね。この数はどのくらいありましようか。
#253
○杉山(克)政府委員 大変細かい話になりますので、そういう個々の実態についてはよく調査もしておりませんので存じませんが、私はあったとしてもきわめて少ない数だと思います。
#254
○津川委員 そこで、こういう数を先ほど中林委員が調べてくださいと言ったのですが、調べてくださいますね。
#255
○杉山(克)政府委員 全数の調査というのはきわめて膨大な調査になりますのでなかなかむずかしいので、ある地域をとったサンプル調査というような形でしかまずできないと思います。それから、やってみないとわかりませんが、どういう統計上の問題点があるか、できるだけやってみるということでお許し願いたいと思います。
#256
○津川委員 そこで、こういう人たちが農業者年金に入れるように指導強化していただきたいということなんですが、この中で、兼業農家でおやじが出かせぎか何かしている、そして奥さんが二、三町歩水田や畑をやっていて、農業者年金の条件に合っているわけです。この場合奥さんが農業者年金に入れますかどうか。先ほど入れないと言っている。
#257
○杉山(克)政府委員 御主人が兼業であるなしにかかわらず、奥さんが農地についての名義人として経営主としての立場にあれば当然入り得るわけであります。
#258
○津川委員 そこで、大臣、婦人が主人公、実態がこうなんです。そうすると、これからの法律、たとえば農業者年金が労働の実態、農業の実態に合うように、たてまえを、法律を変えるのが本当だと思うのですが、大臣は何か経営権を移譲してできるだけ農業者年金に対処すると言っているけれども、実態に合うように法律を、たてまえを直していく、これが本当の行政じゃないかと思うのですが、ここいらの見解を伺わしていただきます。
#259
○武藤国務大臣 先ほど来お答えをいたしておりますように、経営移譲をするときにこの年金の取得をする権利が発生するわけでございます。そこで、そうなると一体経営主はだれかということが一つの事実関係としてはっきりしなければいけない。それをいまは所有権または使用収益権、こういう形で規定をいたしておるわけでございまして、実態に合わせろということでございますけれども、その実態が果たしてそれではいかなるものであるか。私は、実態というものを、せっかく法律の仕組みがあるならば、なるべくそれに農家が御理解をいただいて、いまのように御主人がすでに会社に勤めている、あるいは役所あるいは国鉄に勤めているということであるならば、現実にはその奥さんが実際の耕作はおやりなのでありますから、ひとつ耕作についての権利を法的に奥様にお渡しをいただければ、これは大変スムーズにいくわけでございます。ですから、先ほども申し上げましたけれども、農民がそういう意識を持っていただけるように、われわれの方ももっとPRをするなり、できるだけ実態にあった形にしていただきたい。それは結果的には農家のためにもなるのです、こういうことをもっと指導していく必要があろうかと私は思っておりますので、それはぜひやらせていただきたいと思っているわけでございます。
#260
○津川委員 私たちは大臣と一緒に婦人の地位の向上、待遇改善、そういうものを権利の拡張のためにこれからもやっていきますので、大臣も一層そのつもりになってほしいのですが、この婦人のことでもう一つ伺います。
 農林省に婦人課長は何人おられます。
#261
○武藤国務大臣 残念ながら、いまのところ一人でございます。
#262
○津川委員 適格者がおるのでしょう。これは安倍農林大臣のときに一回質問したのです。中に優秀な人がいるから、選考して婦人課長をつくってみたいというふうなことです。ことしは国際婦人年の折り返し点になっているわけです。正直なところ、ぼくは大臣をかなりフェミニストともヒューマニストとも思ってきたのだ。そこで、やはり検討していただいて、婦人もその能力に応じて働いていただく。課長をつくれということは一つの例なんだけれども、たとえば課長をもう一人、二人つくるということも含めて、農林省における婦人職員の能力を伸ばす、うんと仕事をしていただく、この点についての大臣の方針を伺わせていただきます。
#263
○武藤国務大臣 大臣に就任いたしましてから相当期間たちましたが、まだそのすべて、いわゆる課長の仕事にだれができ得るのか、全般的には正直まだ把握をいたしていないわけでございますけれども、せっかくのお話でございますし、もしそういう適格者なり適任者があれば喜んで登用させていただきたいと思っております。
#264
○津川委員 その次、跡継ぎが実際上の農業経営者であっても、父親が被用者年金に加入していて農業者年金の被保険者でない、この場合、後継者が農業者年金に任意加入していなければ対象として認められない、こういう実際上の条件を持っておる人たちで、実際に加入しておるのはどのくらいございましょうか。
#265
○杉山(克)政府委員 残念ながらその数字は掌握できておりません。農業者年金に加入していない若い後継者でありましても、今後専業的に農業に従事していこうという者については、農業者年金に加入することによって離農給付金の対象となる経営移譲の相手方となることができます。そういう農業者にとっては年金への加入を促進するということを努めてまいりたいと思っております。
#266
○津川委員 いままでの論議をいろいろ伺ってまいりましたが、どうも何か老後の保障ということよりも財政措置が主になっていやしないか、構造改善の仕事が主になっていないかというわけなんです。
 五十五年度の農業者離農給付金の予算ですが、ことしは本当はどのくらいが対象としてあるのでございましょうか。
#267
○杉山(克)政府委員 年によって離農給付金の対象者は差がございますが、二千から三千という間でございます。しかし、ことし、五十五年度予算は、御承知のように、従来の制度がこの五月で切れるということになりますと、従来の適格者は、先ほども別に御質問がございましたが、この三月までに申請をするだろう、そして五十四年度中の離農という形が、給付金を受けるということが大部分となって出てくるのではないか。そうなると、通常の年よりはかなり減るのではないかというふうに見ております。そういうことで、予算上は千人程度ということでこれを組んでおります。
#268
○津川委員 皆さんが大蔵省に概算要求をしたときは二千人という説明を聞きました。それを実際の予算に計上したときは千人に減ったわけですが、これはどういう意味なんですか。
#269
○杉山(克)政府委員 これは見込みでございますから、議論をいたしておりますうちにいま申し上げましたような話が出て、そうだな、千人でもそれはやっていけるんじゃなかろうかということで、千人を計上したわけでございます。ただし、この種の予算は、この給付金全体の枠の中で出入りのある話でございますから、実行上仮に若干上回るような人間が出ても、それは十分対応し得るというような予算の仕組みになっております。
#270
○津川委員 その次、概算要求のときには六十五万円であったのが、予算では六十二万円になったのは、これは何でございましょう。
#271
○杉山(克)政府委員 大変恐縮でございますが、予算はまず要求したものが満額で通るということはほとんどございませんで、それなりに金を出す立場、負担する財政当局からは、できるだけ節約するという観点から、この程度でおさまらないかという話があるわけでございます。そういった調整を経た結果、最終的に予算額が決まるわけでございますので、当初の予算要求額は、申しわけございませんがお忘れいただきたいと思います。
#272
○津川委員 その次に特定保険料――特定後継者というのですか、任意加入者はどのくらいございましょう。
#273
○杉山(克)政府委員 加入資格別の加入者数を調べてみますと、任意加入のうちで農業後継者は、男は二十二万二千二百六十一人、それから女は五千百三十人、計二十二万七千三百九十一人、全体の計に対する構成比が二〇・七%ということになっております。これは昭和五十四年十二月末現在の数字でございます。
#274
○津川委員 この中で特定後継者は何人になっておりますか。
#275
○杉山(克)政府委員 約二万四千人でございます。
#276
○津川委員 特定後継者の条件を備えておりながら特定後継者になっていないのは、どのくらいありますか。
#277
○杉山(克)政府委員 地域によってはかなり差があると思います。PR不足のために、要件を満たしながら申し出をしないために特定後継者の取り扱いが受けられないという者もまだある程度存在しているというふうに推定いたしております。
#278
○津川委員 大体予想でどのくらいになりますか、パーセンテージにして。
#279
○杉山(克)政府委員 ちょっとわかりかねます。
#280
○津川委員 たとえばこの任意加入の後継者、青森県が四千四百六十七人、これは五十四年十二月。これに対して特定後継者は四百八十二人。隣りの岩手は後継者が七千二百二人、これに対して後継者は四百六人。かなりばらつきがあります。これは、県の方に事情があるのですか、こちらの方の指導方針だとかPR――どこに問題があってこんなばらつきが、地方によって不均衡が出てくるのでございましょうか。
#281
○杉山(克)政府委員 その地域の農民の意識の問題といったような地域の条件にも影響されるかと思いますが、一般的にはやはりPRの不足が一番大きな原因になっているかと思います。PRの不足は、全体として所管しております中央の私ども構造改善局の責任だと言われればそれはそういうこともございましょうが、やはり現地で第一線におられる農協だとか農業委員会あるいは市町村の方々の御努力ぶりが反映してくる点が大きいというふうに思います。
#282
○津川委員 特定後継者になっている人は非常に喜んでいるのです。うらやましがられているのです。それなのにこういう状態になっていますので、ここのところは特別に指導なり通達なり出さなければならないと思いますが、その点を答えていただくと同時に、この特定後継者になる条件として、親子がペアで加入しなければならぬ、こういう条件がございます。この親子ペア加入、これがどのくらいありますか。
#283
○杉山(克)政府委員 大変申しわけありませんけれども、一つ一つの具体的な数字については、事前の私どもの整理も悪かったせいで、ここでお答えできないのでございます。ペアで加入している数というのはここではちょっとわかりかねます。
#284
○津川委員 私の青森県では、もう一つの条件として、三十五歳以下で親子ペアであって、そして一定の農地がなければならぬ。その農地は、うちの方では百二十アールなんです。この百二十アールに足りないで特定後継者になれない人たち、これは調べがわかっておりますか、状態をつかまれておりますか。
#285
○杉山(克)政府委員 直接には、PRの仕事にいたしましても、それからそういう現地の実情につきましても、これは農業者年金基金がやっている仕事でございます。事前に御連絡いただければ、農業者年金基金の担当者なりあるいは私どもの方でもそういった資料を取り寄せて、的確にお答えできるのでございますが、申しわけございませんが、後ほどそういった点は十分調べさしていただきたいと思います。ここではそういった詳細についてはやはりお答えできる資料を持ち合わしておりません。
#286
○津川委員 そこで、たとえば青森県で百二十アールが条件になっていますね。リンゴをやっていると、百アールで十分やっていけるのです。だから、現にそこには三十五歳以下でペアで後継者がいるのです。こういう場合、画一的な面積だけでなく、それがまた畜産なんかになってくると、これも面積だけではいかなくなってくるのです。まず、この規模というものは具体的に直さなければならないと思いますが、いかがでございますか。
#287
○杉山(克)政府委員 一般的には面積制限百二十アールというものがございますが、いま先生が例示されましたような集約経営になりますと、それは機械的な面積制限は外されまして、実態に応じて認められるということになっております。
#288
○津川委員 もう一つ、おやじが気骨のある人で、別に言うとがんこで、農業者年金なんか入る必要がないと言っている。息子はペアで入りたいのです。だから、このペアも形ばかりでいかない、やはり外した方がこの農業者年金基金法が育つと私は思うのですが、これは外せませんか。
#289
○杉山(克)政府委員 農家の意識の問題、農家の家庭内の問題といったような、いろいろな、むしろ年金以前の問題がたくさん絡まっているようにも思います。私どもの仕事を通じてそういったものをほどいていく努力ももちろん必要でございますが、やはり能力にも限界がございますので、そういう問題はやはり家庭の中で話し合いをして、そういう条件をつくっていただくことが先決ではなかろうかと私は考えます。
#290
○津川委員 三十五歳で、もう一つは、先ほども例に出ましたけれども、お父さんが本人が三十五歳に満たないうちに亡くなってしまったわけです。お父さんがいると、これは特定後継者として安いことになる。お父さんが亡くなったとたんに経営者になってしまって、今度は高い掛金、こういうことなんだな。この本人は、お父さんを亡くしたという困ったことが一つできた、もう一つには農業者年金が高くなった、二つのことが出てくる。ここのところは、三十五歳以下の後継者で任意加入者は宝物なんです。したがって、三十五歳という年限は取っ払って、農業である限り後継者とみなして、この特定後継者としての恩典をやるべきだと思いますが、いかがでございますか。
#291
○杉山(克)政府委員 経営者であるか、そうでないかということで、後継者に対しては特定保険料といったような軽減措置がとられておるわけでございます。事情はいろいろございましょうが、後継者が親の死亡によってみずからが経営者になったという場合には、これはやはり経営者として扱わざるを得ない。経営者があっての後継者という立場でなしに、事実経営者でございますので、大変規則一点張りみたいな話になりますが、これは通常の保険料という扱いにならざるを得ないと考えております。
#292
○津川委員 法の体系はそうなっているんです。ところが、ここにさっぱりしないものが出てくるのです。法が国民の中にわだかまりやさっぱりしないものを持ってくるから、大臣、ここらあたり法なり政令なりを変えなければならぬと思うのです。ここにこそ行政があると思うのです。いかがでございます。
#293
○武藤国務大臣 やはりあの第三項の特定後継者というものは、後継者という以上はあくまで経営者があって後継者でございます。いまの御指摘の点は、経営者というものが亡くなっているわけでございますから、自動的に経営者になってしまうわけでございますから、だからなかなかそれは、先ほどの議論にまた入りますけれども、そういう点は後継者というものを特に優遇している制度でございますから、後継者でなくなった人をまた優遇するということにおいては、今度は他の、ただ年齢だけでいまのお話で三十五歳未満という形でやっているわけでございますけれども、経営者という立場においては私は年齢のあれはないと思うのでございます。そうすると、もっと極端な例を言えば、農業者年金ができたころにたまたまもうおやじがいなかった、二十三、四で経営者であったという人が、十年でまだ三十五未満でございますね。そういう方はきっと経営者としてお入りいただいていると思うのでございますけれども、そういう形からいくと、公平の原則からいって非常にむずかしいのではないか、私はこう思うのでございます。
#294
○津川委員 三十五歳以下の農業を目指していく、これがいるということが日本農業のあしたに強みを持っているし、私も日本農業の未来にその点で明るいものを感じ取っているわけです。この人たちが途中で農業をやめないように、農業をやろうという意欲を失わないためには、やはり引っ張っていく道がなければならない。したがって、三十五歳以下の人が農業者年金を取るためには、三十五歳から六十まで二十五年掛ける、そして六十五歳からという国民年金の制度、それもある。そこのところが大事になって、本当にこの人たちが農業をやっていこうとすれば、三十五歳以下の人に、親子ペアも本当に農業をやるんであれば耕作面積のそういう制限も取り除いてこそ本当の農業者年金に育つと思うのですが、ここいらの根本的な考え方を伺わしていただきます。
#295
○武藤国務大臣 それは、ですから、いま具体的にお話のございました、たまたま特定後継者であった、それが経営者になったために約三割の恩典がなくなるということは非常に困るという御指摘でございますが、私は、しかしそれは、いま申し上げたように、やむを得ないと思うのですけれども、いまの先生のお話はもっと基本的な問題であって、たとえば今後保険料をどうするか見直していく段階の中で、若い人たちによりこういう制度に――これはもうきょういろいろの先生方からお話があったとおりでございまして、若い人たちの加入をもっと促進をしなければいけないという点を御指摘いただいたわけでございます。そういう加入を促進をしなければいけないときに、たとえば保険料を将来見直すときに、ある程度年齢によって保険料をどうするかというようなものをもし将来制度として見ていくというなら、これは話は別でございますけれども、いま御指摘のような、たまたまおやじさんが生きておって、そして特定後継者に指名を受けておった。そしておやじさんが死んだから経営者になる。それで三割のものがだめになるよ。これはもうやむを得ないことでありまして、そういう場合やむを得ないので、もしやるとするならば全体の保険料の中で――そういう若い人たちに将来どんどん入っていただきたいという意味において、加入促進の意味で、保険料全体の中で若い人たちの保険料は別であるよというような制度を設けるならば、これは別の話だと私は思うのでございます。
#296
○津川委員 そこで、農業委員会の、実際に特定後継者と遊んだり特定後継者を説得してつくっている人たちの苦労を聞いてみたのです。そうすると、三つの条件の説明が大変だと言う。それさえなければ非常にやりやすいし、それさえなければ皆さん入ってくれるというのが端的な意見なんです。それで、この若い人たちを育てる一つの基本は、年金の中でそこのところを取っ払うことがかなめだから、ぜひこれを大臣に話してくれと言う。これが一つ、よく覚えておいてください。
 その次には、説明していく人たちが、先ほど中林委員からも出たけれども、人によって差が出てくるのです。四千人と七千人に対して、青森と秋田で出てくるときに、この人たち、農業委員会の方はまだある程度まで人が固定しているが、農協の方は、覚えたと思うとすぐかわってしまう、女の子で勉強したと思えば嫁に行ってしまう、それで非常に事務が困るというわけなんです。したがって、やはりこういう点での、そこに人間を固定させる特別な措置はないか。この人たちを年に何回か集めて啓蒙教育する、こういう機会がもっとなければならないというのが、この実際の業務に当たっておる人たちの私たちに対する要求なんです。いかがでございます。
#297
○杉山(克)政府委員 確かに担当者のレベルをそろえないことには、十分な知識を持っていただかないことには勧誘も十分できないということがございます。そこで、そういう担当の職員を集めて、農業者年金基金等におきましては随時研修を行っておるところでございます。かなり詳細にわたって丁寧な研修を行っておるのでございますが、今後ともそれは充実させていくように努力したいと考えております。
#298
○津川委員 もう一つには、農協の規模にもよりけりだけれども、職員四人というところがあるんです。この問題を扱う、農業者年金を扱っているのは女の子なんですよ、ほかにも預金、貯金たくさんあるので。こういう点でいくと、やはり農協全体としての――まあ農協の合併促進法がきょう出ますけれども、そういう点で農協の指導、援助も必要になってくると思います。
 次には、障害年金です。農業者年金の中で先ほど遺族年金のことが問題になりましたけれども、障害年金のことが余り問題にならないわけなんですが、農業者年金に障害年金が入らない、こういうことに至った経過、内容、論議の状況、それを入れなかったそこいらの政府の基本的な態度が知りたいのでございます。
#299
○杉山(克)政府委員 この制度は、やはり他の年金との関連のもとに検討されたわけでございます。障害年金については、これは現在国民年金で手当てされているということからだと存じますが、この制度を設ける際にいろいろ論議が行われておりますが、農業者年金の中で障害年金を扱うべきだとする議論はなかったと承知いたしております。
#300
○津川委員 農業が機械化されてけが人が大分出てきたのです。その状況の中に、もう一回農業者年金に障害年金を加えてみる検討をされるお気持ちはございましょうかしら、最近の農業災害の実態に即して。
#301
○武藤国務大臣 先ほど私、御答弁をいたしましたように、また、いま局長からも答弁がございましたが、障害年金というのは国民年金の中には考えられておるわけでございます。それからもう一つは、やはりいま御指摘のように農作業が非常に広い範囲になってまいりましたし、また農業機械もいろいろと新しいものもできてきております。ですから、万が一不幸にして障害を受けられた場合には、やはり労災法の関係でより充実をしていくことは私は必要かと思うのでございます。労災法の適用をもっと農作業なんかに広げていただく、これは必要かと思うのでございますが、年金そのものは、どうも繰り返すようで恐縮でございますけれども、経営移譲というものが一つの中心でこの年金があるわけでございますので、その労災法の適用の拡大と、いま一つは国民年金における障害年金でもってひとつカバーをしていただきたい、こう考えておるわけでございます。
#302
○津川委員 農業者年金に入っておってけがをする。国民年金の障害の一級、二級、これがあるのです。厚生年金には一級から三級まであるのです。それから労災には一級から十三級か十二級まであるのですね。その中で、国民年金とか共済年金はあるところで切ったわけ。これは足が切れたとか手が切れたとか重いところで切ったわけ。そこで切られれば今度は障害年金。したがって農業者年金の資格が喪失するわけ。このとき、大きなけがをして一時金をもらって農業者年金から去るわけね。このときの一時金は、いままで掛けたものの元金に金利ぐらいだな。これもやっぱり実情に合わない。いままでここのところは、一時金というものを考え直して、もう少し上げる必要があると思うのです。そういうことを期待してやっぱり入ってきたわけです。ここで私は、その一時金は非情だ、情けがないというふうに考えています。
#303
○杉山(克)政府委員 障害に限らず、事故がありまして加入が続けられなくなって脱退するということならば、それは制度上いま御質問のような扱いにならざるを得ないということになってやむを得ないことかと存じます。ただ、障害の程度が軽いとか、その事由がなくなってまた農業に復活できるということなら、そのときに再加入ということは当然考えられるところでございます。
#304
○津川委員 農業者年金の人が災害を受けて障害年金に移ったわけ。そこで一時金をもらう。ところが、農業者年金をもらおうと思えば、その後掛けるともらえるのです。もらえる道があるのです。だけれども、こっちは、障害を受けて収入が入らなくなった人に掛金を掛けさせるというまた矛盾があるわけだ。やっぱり非情だ、情けない。したがって、一時金のこのお金を何とかしてあげなければならない。ここにこそ、掛金を安くするさっきの特定後継者みたいなああいう考え方を導入していかなければならない。この二つ、どちらか一つずつ答えていただきます。
#305
○杉山(克)政府委員 障害によって困るから、そして農業者年金にも加入できなくなるからという実態はあるかもしれませんが、後々どういうふうにまたその経営を立て直していくかという問題とも絡むわけでございますが、その期間収入がとだえるというようなことであっても、後再び農業に復活できるというなら、その事故の後遺症といいますか、残っている問は一時加入を停止して、再加入というようなことで救済されると思います。ただ、もう復帰が困難である、したがって障害者として過ごさざるを得ないということになりますと、これは農業者年金の話ではなくて、まさに障害年金一般の問題であろうかと存じます。
#306
○津川委員 たてまえ論はわかります。でも、農業者年金を積んできたのは、何かあったときに。したがって農業者年金を、障害を受けて厚生年金で二級に指定されてその資格がなくなった、しかしその救済措置としてお金を掛けていけば六十歳のときにもらえるのですよ。そこに皆さんが望みを託するわけ。これはあたりまえだ、農業者年金を掛けてきたから。そうでなければならない。そのときの掛金、こっちは障害者で、一、二級というのはこれがないことなんです。そのくらいのときの掛金が私は特定の後継者のときくらいの援助があってもいいのじゃないか、こう思うわけでございます。たてまえはわかりましたけれども、農林省のこのことに対するお気持ちを聞かしていただきます。
#307
○杉山(克)政府委員 お話のような実例がどの程度あるのか、その内容はどうかというようなことを知った上で判断いたしたいと存じます。よく調べた上で検討したいと考えます。
#308
○津川委員 どのくらい実例があるかと言うが、またこれも人間なんだよ。人間一番困ったときに国が手を差し伸べなければならない。ぼくは一番困った極限のときを言っている。ここのところに温かい配慮がなければならない。これをどのくらいあるかなどということでは事が済まされないのだ。大臣、これはぜひひとつ検討していただきたいと思うのです。どうですか。
#309
○武藤国務大臣 いま御指摘のように、なかなかそういう数というのはつかみ切れないと思うのでございますが、そういうときになった場合を想定してということでひとつ検討させていただきます。
#310
○津川委員 まだ答えていただかないのは、一時金、障害を受けたとき、いままで掛けたお金に利子を加えたくらい。これも、これだったら何のための年金かわからないんだ。やはり、ここにも見舞い金的なものが、自分たちの心のこもった処置がなければならないと思いますが、障害を受けたときの一時金、この金額も私は何らかの一つの配慮があってしかるべきだと思うのですが、これまた答えていただいてないのです。
#311
○杉山(克)政府委員 いろいろな事由によって、それは掛金が、保険料が続けられなくなるという事態はあると思いますし、障害もその一つだと思います。盗難に遭ったとか火災に遭ったとかあるいは身内に不幸が生じたとか、いろいろな事由があって掛金が掛けられなくなるという事態は一般的にあるわけでございます。そういったものとのバランスをどうするか、そのすべてをこの仕組みの中で掛け捨てにならないような救済を考えていかなければならぬのかということになりますと、率直に言いましてかなり大きな問題になると思います。あらゆる場合に掛け捨てを全部なくするというような形で年金制度が仕組まれているわけでもございませんので、検討はいたしますけれども、なかなかむずかしい問題だと考えます。
#312
○津川委員 どうもかみ合わないな。ぼくが言っているのは、一時金に見舞い金的なものを考えないのかと聞いている。掛け捨てでなくて、掛けられないという話をしているのです。一時金というものに見舞い金的なものを加えられないかと言っているのです。大臣、どうです。
#313
○杉山(克)政府委員 御質問の趣旨は、特別な配慮ということで一時金をということなんですが、脱退すれば、従来まで掛けておった分と見合ったというか、そこら辺を考慮した金額での通常の一時金は出るわけでございます。その点ではベースのものは現在の仕組みの中でも行い得るということになっております。
#314
○津川委員 それは障害を受けての脱退。だから、これは特別なもので、普通の一般の脱退ではない。そこで見舞い金が欲しいなということを私が繰り返し繰り返し言わなければならぬわけです。
 その次は、百三十八万を六十二万円に改正した理由を聞かしていただきます。
#315
○杉山(克)政府委員 大正五年一月一日以前の生まれの方は、年齢的な制約があって、農業者年金が創設されたときにこれに加入できなかったわけでございます。こういった方に対する措置として、一時金としての離農給付金を交付するということで百三十八万円の仕組みができたわけでございます。百三十八万円の算定の根拠は、この五年間に国が一般の正規の加入者に対して手当てする財源とのバランスを考慮して金額を決めたということがございます。そういうことがございます。この対象になる方は、すでに当時より十年経過いたしておるわけでございます。大体六十五歳よりすでに五月でもって上になるという年輩の方でございます。そうなりますと、すでに年齢的に農業からは事実上リタイヤしておられるという実態が大部分でございましょうし、この百三十八万円の離農給付金自体についてはすでにこの五月までで切れるということは承知しておられたはずでございますから、申請して受け取られる方は受け取られておる。それから、今回打ち切られることになるということで、百三十八万円のその形で受け取りたいという人は現在すでに手続をとって申請しておられる方もあるわけでございますから、その形で本年五月までは受け取ることは可能でございます。現在までにもすでに一万五千人の方が受け取っておられて、その若干残っている方がいま手続をしておられるのだと思いますので、実態的には私は支障のある問題ではないというふうに考えております。
#316
○津川委員 六十二万円の根拠は何でございます。
#317
○杉山(克)政府委員 厚生年金等に加入しているため農業者年金に加入することのできなかった人に対しても、年齢制限のために加入できなかった者に対すると同様に離農給付金を交付する仕組みを創設のときに講じたわけでございます。そのほかの年金等に加入しているため農業者年金に加入できない方に対して、どの水準で離農給付金を交付すべきかということにつきましては、これはそれまでに農業経営の上でもって投じた各種の資産があるわけでございます。その資産の償却がまだ済んでいない残存部分についてこれを評価した過去の実績が、これは年ごとに若干改定してまいりましたが、現行制度が五十九万円となっております、これを配慮いたしまして六十二万円という水準を決めておるところでございます。
#318
○津川委員 これで終わります。
#319
○内海委員長 神田厚君。
#320
○神田委員 農業者年金基金法の一部を改正する法律案につきまして質疑をいたします。私が最後の質問者ということで、大臣も二日間にわたりましてこの農業者年金問題につきまして御答弁をいただいているわけでありますが、なるべく重複するところを避けて御質問したいと思います。
 まず、この農業者年金事業が実施をされたけれども、一体その効果は本当にあったのだろうかというようなことが多くのところで言われている面もございます。この問題につきまして、本年金事業の実施、いままでこうやられてきまして、どんなふうな効果があったというふうにお考えでございますか。
#321
○武藤国務大臣 私ども、いま農業規模の、特に土地利用型農業の経営規模の拡大という形を考えておるわけでございまして、そういう方向からまいりますと、この農業者年金によりまして、いわゆる農業者から第三者への経営移譲が行われたのがたしか約六万九千三百ヘクタール、その程度であると承知をいたしております。例の農振法に基づく農用地利用増進事業で農地が流動、いわゆる動きましたのが約二万四千ヘクタールでございますから、そういう面において、農地の流動化にこの方がより多く――大体五十一年から両方ともやっておりますから、そういう面においては、それが重複している分もあろうかと思いますけれども、いずれにしても効果があったのではないか。また一方からいけば、農地の細分化を防ぐという意味において、また後継者づくりという意味において役立っておる、こう私は考えておるわけであります。
#322
○神田委員 この問題につきましては、経営移譲の態様がどういうふうなことになっているかといいますと、大臣の方からもお話ありましたけれども、後継者移譲が九三%、それから第三者移譲は、さっきお話ありましたけれども、これはしかしパーセンテージにすると七%ですね。ですから、そういう意味では、後継者移譲の中でもその大部分が使用収益権の設定という形をとっておりまして、所有権の移転がないような状況でありますから、こういうことが果たして本法の目的であります農業経営の近代化、それから農地保有の合理化、こういうことに対しまして十分に対応しているというふうには考えられない面があるのですね。その辺はどうでございますか。
#323
○杉山(克)政府委員 効果は大臣が申し上げたとおりでございますが、それから、申し上げるまでもなく、経営移譲が行われました後、移譲を行った人はその後年金を受け取ることができるわけでございますが、これが平均月額でもって三万四千六百十八円ということになっております。そういうことで、規模の拡大とか若返りということのほかに、老後の生活安定に貢献しているということ、これはかなりはっきり言えるのではないかと存じます。
 そこで、経営移譲の実績程度でございますが、まず面積的に見ますと、規模拡大、これは都府県の段階では、譲り受けを受ける前は平均一・三二ヘクタールであったものが、譲り受けた後は一・七八ヘクタールになっている。これは第三者移譲の場合でございます。件数は大して多くない、比率は低いではないかという御指摘がございましたが、絶対数はともかくといたしまして、規模においてはいま申し上げましたような程度に拡大を見ている。北海道におきましては九・四ヘクタールであったものが、譲り受け後は十二・六ヘクタールになっているというような実績がございます。
#324
○神田委員 これはどうしてこういうふうになっているのかということについては、また順次質問をしていきますけれども、私どもとしましては、その目的が十二分に達せられてないということにつきまして、やはりもう少し工夫をしなければならないということを考えているわけであります。
 次に、今回の改正は、法案の提出理由によりますと、「拠出制国民年金等の年金額が改定されることにかんがみ」て改正するんだ、こういうことを言っていますね。それならば、本年度の国民年金の改定率は七・一%ですから、なぜこの年金給付の方が改定措置が四・七%になっているのか。もしも提案理由の説明によるように「拠出制国民年金等の年金額が改定されることにかんがみ」て農業者年金も改定するんだということならば、当然同様に七・一%引き上げてもいいのじゃないか、こういうようなことを主張することもできるわけでありますし、現実にそういう声も聞くのであります。その辺はどうでございますか。
#325
○杉山(克)政府委員 国民年金等他の年金においては、財政再計算が行われて総合的な検討の結果七・一%の引き上げが行われることになったわけでございます。同様に農業者年金におきましても、財政再計算を行って年金給付額の引き上げを計算、検討すれば、物価上昇率とは違った水準になるということが考えられるわけでございますが、農業者年金制度はほかの年金に比べて発足後まだ日も新しいというようなこともありまして、基礎となる前提条件はいま少しく吟味を要するということで、期間的には五十七年一月一日までに再計算をすればよろしいということになっておりますため、この再計算を来年度において行うということにいたしております。
 そこで、提案理由にありますように、国民年金等において給付が改定される、そのことにかんがみということでございますが、これは率が七・一%上がったからその率を考えてという意味ではございませんで、ほかの年金で引き上げられたから、その引き上げたことに着目――実行はこれから先の問題でございますが、引き上げられることになったことにかんがみ、やはりバランスをとる観点から農業者年金におきましても給付水準の引き上げを行うということにいたしたわけでございます。その場合、財政再計算をやっておりませんから、それ自身を幾らにするかというような率は出てまいらないわけでございますが、従来の給付水準の引き上げにつきましては物価上昇率を採用いたしておったわけでございます。したがいまして、この場合、私ども他によるべき基準がないということで、物価水準の変動率、上昇率を採用することといたしたわけでございます。物価上昇率はまだ確定いたしておりませんが、検討しておる段階では、三月末対前年四・七%というふうに見込んでおったところでございます。
 なお、通常の場合であれば、物価上昇率が五%を上回らない場合は年金の給付水準の改定は行わないというルールになっておりましたが、例外的な措置が最近行われたこともございまして、このルールについては現在再検討が行われているやに聞いております。そういう状況のもとではありますが、まさに他の国民年金等の給付が改定されることにかんがみて、この年金におきましても物価水準を考えた給付水準の引き上げを図ることといたしたわけでございます。
#326
○神田委員 そうしますと、これは財政再計算期の問題と絡んでの御答弁でありましたが、前回は農業者年金と国民年金との財政再計算期は一緒であったわけです。それでは、今回は農業者年金の再計算が一年おくれた理由はどういうことなのか。
#327
○杉山(克)政府委員 前回でも、やはり日が浅くてデータが確定しないという点においては共通の事情はありましたが、特に最近におきましては変動の事情が大幅である、経営移譲率が当初想定した約四〇%というものに比べてその倍近くの水準にまで上がっている、そういうことのために現在積み立て不足もかなり生じているというようなこともございまして、経営移譲率等の要素については、もう少し慎重に五十四年中の推移も見た上で判断したらいいのではないかというような事情もあったわけでございます。確かに一年おくれているわけでございますが、できるだけ早急に、この法律の審議の終わりました段階からでも、私どもはその内容の検討にかかりたいというふうに考えておるところでございます。
#328
○神田委員 局長の答弁を聞いていますと、わからないわけじゃないのですが、これはやはり国民年金の方が、いろいろな年金問題の非常に活発な論議やなんかがありまして、さらにこの国民年金の方の手を先につけなければならないということで、向こうが先に早まったので、この農業者年金の方が特におくれたというふうなことではないのじゃないかということを言う人もいるのですが、その辺はどうですか。
#329
○杉山(克)政府委員 いろいろ言われる方もあろうかと思いますが、厚生省の担当課長さんも見えておられるところでございますし、私の方から厚生省の内輪のことを申し上げるわけにはまいらないかと存じます。
#330
○神田委員 この問題はそれで結構でございます。
 次に、離農給付金制度の延長ということが今回の一つの大きな目的であります。これは、制度が延長されたこと自体はわれわれとしては非常に評価をするのです。しかしながら、いまのままの形の制度の延長でいいのかという問題は、根本的に議論をしていかなければならない問題として残ってきたわけです。と申しますのは、五十四年の本法の改正の際に、当時の農林大臣でありました渡辺美智雄農林大臣がこの延長問題に関しまして、離農給付金の制度の延長そのものという問題に絡みまして、この離農問題については年金制の問題を考えていかなければならない、現行制度に各種の改善を加えていきたいというふうなことを発言をしていたわけであります。時の農林水産大臣がそういう公式の場で発言をしたのでありますから、当然農林省内では部内においてのきちんとした検討なり勉強会なりが行われたはずでありますが、その辺のところはどうなっておりますか。
#331
○杉山(克)政府委員 昨年この委員会におきまして渡辺前農林大臣との問で行われた質疑応答、私もよく承知いたしております。その経過も踏まえまして私ども内部でも検討いたしましたし、今回の扱いにつきましては、農業者年金制度研究会、これは構造改善局長の私的諮問機関でございますが、そちらにお諮りいたしまして、この結論で了解を得たというような経緯がございます。
#332
○神田委員 そうしますと、渡辺前農林水産大臣が提言をした問題等につきましては、やはり方向性が違うという結論になったのでございますか。
#333
○杉山(克)政府委員 渡辺前農林大臣は、農地の流動化を促進する、経営規模の拡大を図ってまいりたい、そのことを離農年金制度との絡み合いで何か実現できないかということを検討を命じられたわけでございます。同時に、そういう問題についてはきわめて大胆な構想であるために必ずしもうまくいくとは限らない、それが成功しない場合には現在の離農給付金の問題について延長を考えることもあっていいのではないか、その点についてはどうかというような検討も命ぜられたわけでございます。
 私ども農地の流動化対策といたしましては、別途御審議をお願いすることにいたしております農用地利用増進法、これはまだ仮称でございますが、そういった法律の提案、そのほか農地法制についての整備を考えておるわけでございまして、それらの方策と一体的に、直接的にというよりは思想的な意味でつながりを持っているわけでございますが、農用地の流動化を促進する、その観点に立ってこの離農給付金についてもさらに若干内容の手直しを行って十年間延長することとする、こうしたわけでございます。
#334
○神田委員 次に、法案の少し細かい点について御質問申し上げます。
 現行制度においては三年以上被保険者であった者は離農給付金の支給対象から外しているわけでありますが、今回は三年以上被保険者であった者にもこれを拡大するのかどうか。また、拡大するとした場合には、農業者老齢年金のみの受給者も対象となるのかどうか。この二点を明らかにしていただきたい。
#335
○杉山(克)政府委員 ただいま申し上げましたように、離農者年金の仕組みにつきましては、従来は二本立てでございましたが、現在は、年齢制限のために当初加入できなかった者に対する救済措置として設けられた単価百三十八万円のこちらの離農給付金は、実態的にその必要がなくなってきているという判断のもとに、これは一本化いたしまして、六十二万円単価ということで新しく仕組みを考えたわけでございます。
 その場合、実際に、第三者移譲を行うときに、その行った人について従来の資格者要件を備えている人だけでなく、もう少しこれを拡大して、実質的な農地の規模拡大に貢献することはできないだろうかという検討をいたしたわけでございます。午前中の芳賀委員の御質問にもお答えしたわけでございますが、できるだけそういう前向きな方向で枠を拡大することで要件を検討しているところでございます。
 大変具体的、専門的なお尋ねでございますが、先生がいま指摘なさいましたようなそういう方向に向かって受給対象者を広げることはできるのかということでございますが、実は農業団体等この実情に詳しい立場の方々から種々要請も承っております。私どもとしては、それをどういう形でどういう要件をつけて認めていくかということを検討しているわけでございますが、この法律成立後、政令の段階でその内容を明らかにしてまいりたい。方向としては、いまおっしゃられた向きに対して前向きにこれを取り扱っていくという考え方でおります。
#336
○神田委員 そうしますと、農業者老齢年金のみの受給者も対象としていくというような形で考えていく、こういうことでございますか。
#337
○杉山(克)政府委員 考え方としてはそうでございますが、裸でいいのか、要件をどういうふうにつけるのかということを検討いたしております。
#338
○神田委員 次に、前からもいろいろこの問題はあったのですが、今回の改正でも、従来と同様に経営移譲面積の多い少ないにかかわらず一律の支給額六十二万円、こういうことになっておりますけれども、どうして面積比例というような考え方を取り入れられなかったのか、この辺はいかがでございますか。
#339
○杉山(克)政府委員 これは現在の仕組みが、いろいろ御議論はありましたでしょうが、面積比例ということでなくできているということが一つ。それから、基本にさかのぼって議論をいたしますれば、やはりこれは離農という事柄に対して、その離農するときを契機に取っていただく、差し上げるという形のものでございますので、そういう性質のものならばこれはやはり一律の方が妥当なのではないかという考え方があったと承知いたしております。
#340
○神田委員 農地の保有に資するという考え方から言えば、面積の問題も本当はやはり多少勘案していかなければうまく動かないのかもしれないですね。ですから、そういう意味では、私はこの問題はもう少し検討する余地が残っているのではないかと思うのです。この法律の目的から、農業の経営の近代化と農地保有に資するというふうなことでいっているわけでありますから、たとえば一反歩を離農する人と一町歩を離農する人と全部同じだということでは、それはやはりちょっと違うのじゃないか、こういう考え方もあるわけですね。その辺のところをひとつ検討していただきたい。検討に値する課題であるかどうか、どうでございますか。
#341
○杉山(克)政府委員 私ども、附帯決議等でいろいろ承りますようなお話も、それからこの席でいろいろ御議論をちょうだいいたします御意見も、同様それなりに真剣に考えて事務的に検討を進める必要があるというふうに考えております。
#342
○神田委員 次に、離農給付金額が、従来は財政再計算ごとに見直されて、また物価スライド措置が講ぜられてきたわけでありますけれども、大変いろんな諸般の状況から見ますと、この問題につきましても環境が非常に厳しくなってきている、こういうふうに聞いているわけでありますけれども、今後とも同様な改定措置を講じていけるのかどうか、講じていくつもりなのかどうか、その辺はいかがでございますか。この問題は大臣ですか。
#343
○武藤国務大臣 現行の離農給付金については、年齢制限のため農業者年金に加入できなかった者に対する救済措置としての色彩が強くて、経営移譲年金の国庫補助金見合い分を支給するものが中心であったために、年金額の物価スライド改定と同様の改定を行ってきたわけであります。
 しかしながら、今後の離農給付金制度は、いわゆる第二種兼業農家というか、安定兼業農家といいますか、そこからの農地を専業的な農家に集積させることをねらいとしたものでありまして、その額も、離農者の農業固定資本の処分損相当額と私ども言っているわけでございますけれども、これが六十二万円となっており、老後保障という意味はないものと思っております。このため、今後は物価の上昇にあわせて額を引き上げていくということは正直考えておりませんが、社会経済情勢の変化があった場合には、しかし額の見直しを行うことは十分検討していかなければならぬと考えております。でございますから、従来とは多少考え方を変えて、しかし社会情勢の変化を踏まえながら検討していきたい、こういうことでございます。
#344
○神田委員 大変これはむずかしい状況になっているのは事実でございますから、それなりの工夫は必要だと思うのですけれども、やはりわれわれとしましては、少なくとも物価スライド措置に準じた形で、あるいは物価スライド措置を本当はきちんと入れられれば一番いいわけですから、そういう形もとりながら、やはり従来の姿勢を堅持をしてがんばってもらいたい、こういうふうな考え方を持っているわけでありますから、ひとつそういうふうに伝えておきます。
 さらに、次に、保険料の引き上げの問題についてお伺いしたいのでありますけれども、今回の保険料の引き上げは年金額の引き上げ四・七%に見合うものでありますから余り大した影響はございませんけれども、来年度においては財政再計算が行われた場合はどの程度の引き上げを予定をしているのか、この辺はいかがでございますか。
#345
○杉山(克)政府委員 現在まですでにこの年金財政はかなりな積み立て不足も生じております。五十四年度の保険料の引き上げを行った結果、なお実額で千三百億円の積み立て不足ということになっております。そういうこともございますし、それから、加入者の年齢構成が高齢のところに偏っているというようなこともありまして、財政再計算時には、保険料は、数字はまだここで申し上げられるような吟味を経ておりませんが、かなり引き上げられることになると見通されております。
#346
○神田委員 政府は、本年金制度においては、前回の財政再計算期に想定したよりも経営移譲率が倍ぐらいに達している、そういうこと、及び年金額の大幅なスライドアップなどを見ますと過去の債務が非常に多額に累積をしていることを理由にしまして、大体現在よりも三千円程度引き上げが必要である、こういうようなことを言っておりますけれども、この具体的な根拠はどうでございますか。こういうふうに判断してよろしゅうございますか。
#347
○杉山(克)政府委員 いろんな前提を置いて仮説的に計算をすることは可能でございますが、きわめて重要な問題でもございます。これはまさに今後の財政再計算の中で金額をはじき出していくことでございますので、ここでは数字についてはまだ申し上げられないとだけ御答弁申し上げておきます。
#348
○神田委員 いずれにしましても非常に大きな引き上げ幅になることは予想されるわけでありますね。きょうの委員会でも問題になっておりましたけれども、ほかの年金制度がすべて修正積立方式になっているのですけれども、この農業年金だけがこういう形で完全積立方式になっている。そうしますと、やはりこれはこの辺のところに大変大きな問題が出てくるわけでありますから、今後とも完全積立方式というのを堅持してやっていくつもりなのかどうか、それで本当にやっていけるのかどうかという問題があるのですが、その辺はいかがでございますか。
#349
○杉山(克)政府委員 年金財政の健全を保持していくためには、私どもは、現在の完全積立方式が望ましい、これが理想であるというふうに考えております。ただ、今後の財政方式のあり方を検討するに当たっては、国庫負担の引き上げが可能なのかどうか、ほかの年金に比べてすでに国庫負担はきわめて高い率になっておりまして、この点はきわめて困難であるというふうに考えざるを得ない。また、農家負担の限度はどうか。全く保険料の引き上げを許容しないわけではないけれども、それにも限度があるのではないか。それから、今後の加入の増加を図っていくにしても加入者の見込みはどうなるか。それから、先生も御指摘になりました経営移譲率の推移が今後はどうなるか。それからさらには、給付の面で各種の改善措置の要請も出されておりますが、それらの取り扱いをどうするかというような、たくさんのことを同時に検討しなければならないわけでございます。限られた財源の中で多くの要請を満たしていくということはきわめて困難であり、本当に先々完全積立方式が維持できるかどうかということについてはきわめてむずかしい問題でありますが、まだ検討にかかっておらない段階でもございますので、十分慎重にこの点は検討してまいりたいと考えております。
#350
○神田委員 これはだんだん来年あたりやっていきますとわかりますけれども、国民年金と両方加入してきますと、農家の二月の負担が一万円以上になってしまうというようなことが出てきますね。現実にそういうことが出てきた場合に、果たしてそれで全戸が持てるのかどうかということがあるのです。ですから、そういうことを含めますと、やはり完全積立方式に固執しないで、修正積立方式に移行するということをもう少し真剣に考えていかなければならない時期に来ているというふうに思っておりますが、大臣はどうでございますか。
#351
○武藤国務大臣 いま実情につきましては局長から答弁したとおりでございます。そういう点において、理想的にはやっぱり完全積立でいくのが理想的でございますから、なるべく理想が実現するように努力するのは当然でございますけれども、御指摘のように、理想を実現しようと思えば保険料を非常に上げなければならない、こういうことにも逢着するわけでございますので、その点については、それではむずかしいなという感じもするわけでございます。それじゃいつまでも完全積立方式でやっていくかどうかという点についても、正直自信はないのでございますけれども、しかし、いまのところは、やはりそういう方向でいかなければならない、こういう気持ちでやっておるわけでございまして、特に来年度、五十六年度になりますと、財政再計算の関係でいろいろ見直しをしなければならないときが来ておりますので、そういうときに十分そういうことも踏まえながら、この方式についても検討させていただきたいと思っておるわけでございます。
#352
○神田委員 次に、年金の加入促進の問題について御質問申し上げます。
 この制度におきまして、年金の成熟度がいつも問題になるわけでありますけれども、これが急速に高まってくることが予想されているわけですが、現在の年齢別の加入がこのまま続くとした場合には、成熟度は今後どういうふうになるか、ちょっとその先の見通しについてお答えいただきたいと思います。
#353
○杉山(克)政府委員 成熟度の程度を図るためには、受給権者数の加入者数に対する比率を見るということが行われております。これを農業者年金について見ますと、昭和五十四年度末現在で一一・四%ということになっております。
 今後どういう水準で推移するかという点につきましては、先ほど来御議論のあります経営移譲率が大きく動いている、当初の予想を上回ったということもありますので、相当急速に上昇するのではないかというふうに考えられます。確定的な数字は申し上げにくいのでございますが、いまの一〇%そこそこが、一五%になり三〇%台になり五〇%台になるというような時期が来るのではないかというふうに考えております。
#354
○神田委員 これは成熟度が非常に問題になっておりまして、この農業者年金がうまくもてるかどうかというのは、これからの加入の問題ずっといつも何年も何年も議論をされている問題ですけれども、そのことにかかっているわけでありますけれども、一つ御質問申し上げたいのは、本年金に加入できる者は四十歳未満の者であるということがございますね。現在本年金へ加入している二十から三十九歳の加入実数は約十三万人と言っていますね。これは加入資格者から見れば非常に低くて、余りに低過ぎていつも問題になるわけですが、これらについては、十二分に理解を持っているし、去年も同じような質問をしたのですけれども、PRが不足であったり、あるいはいろいろな条件があってなかなかうまくいかないのだという答弁をいただくわけですが、これはどうですか。本当にこういう実態をもう少しきちんと真剣に把握しなければいけないと思うのですが、この辺はどんなふうに考えていますか。
#355
○杉山(克)政府委員 年金の業務は、すぐれて現場的な業務に支えられているわけでございます。そういう意味で、実態を把握することは大変必要でございます。
 ただ、この仕事は、役所が直接やるというのではなくて、御承知のように、農業者年金基金が行っているわけでございます。年金基金においては、それなりに実態の把握に努めているところでございますが、私どもも、一層督励してその詳細を把握させる、同時に、その把握した実態を武器にして、材料にして、加入の促進をいままでより一層精力的に図ってまいりたいと考えております。
#356
○神田委員 そうしますと、問題は、役所が直接やっているのじゃないから、そういう問題も多少あるようですね。ですから、これは一層の督励というか、どういうところをどういうふうにするという細かい指導をもっとしなければいけないと思うのですが、どうして入らないのか、本当に加入率が低いということがもうわかっているのですから、それをもう少しきちんと農林省の方で本腰を入れて、対策本部でもつくってやるようにしなければ、この年金そのものがもうもたなくなってしまう形になるわけですからね。その辺をひとつ決意を聞かせてください。
#357
○杉山(克)政府委員 御指摘ごもっともだと思います。対策本部のようなものをつくるかどうかは別にして、実務を担当している農業者年金基金と私ども十分連絡し合って、適切な対策をとってまいりたいと考えます。
#358
○神田委員 それから、現在、後継者加入をしている三十五歳未満の者に対しては保険料の割引制度があるわけでありますが、今後は、その若年層の加入を促進するという立場から考えますれば、三十五歳未満なら後継者加入以外の者でもすべてを割引の対象にすべきである、そしてさらに一層の加入の促進を図るべきだ、こういうような意見もあります。これは昨年度の附帯決議なんかにも、加入促進の問題については特段の措置をもう少し考えたらどうだということをこの委員会でつけているわけでありますが、その辺についてはどういうふうに考えておりますか。
#359
○杉山(克)政府委員 特定保険料につきましては、この制度はきわめて歓迎されているという一面、先ほどの津川議員の質問にもございましたが、なかなかこれが末端では十分に理解されていない、PRが届いていないという面もあるやに承知いたしております。むしろ、十分内容について説明して理解を求め、現在の特定保険料の制度の中でできるだけ加入の促進を図っていくことが先決ではないかと考えております。
#360
○神田委員 大臣はこの割引制度を、加入促進をするという立場から積極的に考えてみるお考えはございませんか。
#361
○武藤国務大臣 先ほど津川委員との間でいろいろ質疑を取り交わしたわけでございますけれども、私は、一つの考え方としては、やはり若年層により広く入っていただくということは真剣に考えていかなければならない問題だと思っております。生命保険にいたしましても、やはり年齢層によって保険料が変わっているといういろいろの制度があるわけでございまして、それをそのままここへストレートに入れるというわけにはまいらないと思うのでございますけれども、一つの考え方として、若い人たちにより入っていただくという意味合いにおいて、保険料の問題について検討を加えるということは必要ではないか、こう考えておるわけでございます。
#362
○神田委員 とにかく入ってもらわないことにはこれはだめなんですから、入ってもらうための措置を一やはりそれをどうして入ってもらうかということについては、いろいろな工夫が必要だと思うのですね。ひとつそういう意味では、去年の附帯決議にも出ているし、今度もまたあるいはつけられるかと思いますけれども、そういう状況でもありますから、十二分にこの問題についても前向きな検討をお願いしたい、こういうふうに思っています。
 時間がだんだんなくなってまいりましたので、この委員会で過去何回も取り上げられておりますけれども、それぞれの答弁を聞くわけでありますが、農業者老齢年金の引き上げ、これもやはり現行ではまずい、もう少し引き上げなければいけない。その引き上げの幅にはいろいろ考え方の違いがありますけれども、私もそういう基本的な考え方に立っているのです。ですからこれらについても、どうでしょう、まあこれから先の見通しと言ってはあれですけれども、この農業者老齢年金の引き上げの問題については、少しお考えになる余地はございますか。
#363
○武藤国務大臣 国民年金の付加的なものとしてこの農業者老齢年金があると私は考えておるわけでございまして、そういう面において、これだけを上げていくというのは大変むずかしい問題があろうと思います。そういう面において、今度国民年金の上がるうちの物価スライドに相当する分については引き上げを予定をいたしておるわけでございまして、今後も、これだけをひとり歩きでどんどん上げていくということはむずかしかろうと思いますけれども、当然国民年金も将来上がっていくわけでございましょうから、それと連動して、この農業者老齢年金についてもそういうときには上げていくというのがやはり望ましいのではないかと私は考えておるわけでございます。
#364
○神田委員 さらに、主婦の加入の問題、それから、遺族年金の創設がずっと叫ばれてきましたね。なかなか進歩しないのですけれども、今日まで、これらについての改善措置が講ぜられないという理由は一体どういうところにあるのですか。主婦の問題と遺族年金、特にこの二点についてはどうですか。
#365
○武藤国務大臣 これはきのうから大分議論をしておるところでございますが、私はどうもいまの経営移譲年金というものがやはり経営者というものが中心になって発生するわけでございまして、決して奥さんを排除するつもりはないのでございまして、実質農作業に携わっておられるのは奥さんが多いわけでございますから、ひとつぜひ地権者になっていただきたい。いわゆる使用収益権を、どんな形でも結構でございますから、それをぜひ得ていただきたいということをお願いをする。いまのところこれはやむを得ないのではないか。
 それかららもう一つ、遺族年金という言葉では、先ほど芳賀先生と私、議論いたしまして、少し私も誤解をしておった点があるのでございますが、いわゆる普通の福祉年金のいろいろな年金の遺族年金というものは私はなじまない、こう考えておるわけでございます。しかし、経営移譲年金というものについて六十歳から六十四歳まで支給がなされる、たまたまそのときに主人が死んでしまったらそのままだめになっちゃうという点において、これをどう何とか考えていくかという点においては、私はひとつ前向きに検討さしていただきたいということを先ほど芳賀先生にもお約束したわけでございます。いわゆる通例の普通の福祉年金の遺族年金とはなじまないと思っているわけでございます。しかし、そうじゃなくて、経営移譲年金がせっかく与られる権利があったのにたまたまその間に亡くなってしまった、そういう場合にどう考えるかという点については、私はこれは前向きにひとつ検討さしていただきたい、こう思っているわけでございます。
#366
○神田委員 農業者老齢年金の引き上げ、それから主婦等の年金の加入の問題、それから遺族年金の創設、これらが残された大きな問題になっているわけですね。そうしますと、これはいま大臣からも前より非常に前向きな答弁をいただいたわけでありますが、来年度の財政再計算に基づいての法律改正というのが当然あるわけでございますけれども、ここにおいてこれらの問題解決に積極的にお取り組みになる決意があるのかどうか、この辺をひとつもう時間もありませんから、この問題の一つの大きな締めくくりとしまして、私は、先ほど大臣が、完全積立方式から修正積立方式も財政再計算期の問題だ、そこのところで十二分に検討したいということですから、来年の財政再計算期というのは、そういう意味では農業者年金のこの問題で非常に大きな問題になりますね。ですから、これらのまだ残されている問題を含めまして、そういう問題について積極的にお取り組みいただく決意があるかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
#367
○武藤国務大臣 私どもが、ここでお約束をいたしております、前向きに検討しますとお約束していることについては、積極的に取り組んでまいりたいと思っておるわけでございます。
 ただ、先ほど申し上げておるように、たとえばいまのままいわゆる地権者にならない御婦人の加入とかそういう問題については、なかなかいますぐ来年の財政再計算に当たってそれを実現するということは、私正直むずかしいのではないか、これは基本的な問題でございますから。しかし、いまの仕組みの中でもできるだけ考えられ得るものについては積極的に取り組んでいきたい、こう考えております。
#368
○神田委員 約五十分ほどいろいろ農業者年金問題、質問しましたが、毎年同じことを言わなければならない状況なんですね。ですから、来年も解散がなければまた農業者年金の問題、ここでやることになるわけですから、ひとつもうちょっと違った形でうまくこれが運用できるような形でのお話をしたいというふうに思っているわけでありますが、大変大事な年金問題でございますから、どうかひとつ真剣にお取り組みをいただきたいということを最後に御要望しまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
#369
○内海委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#370
○内海委員長 この際、本案に対し、芳賀貢君外一名から修正案が提出されております。
 修正案について提出者から趣旨の説明を求めます。柴田健治君。
    ―――――――――――――
農業者年金基金法の一部を改正する法律案に対
 する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○柴田(健)委員
    農業者年金基金法の一部を改正する法律案に対する修正案
  農業者年金基金法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
  附則第十条の二の次に一条を加える改正規定の前に次のように加える。
  第四十八条中「六百五十円」を「千三百円」に改める。
 私は、日本社会党を代表して、農業者年金基金法の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨を御説明申し上げます。
 修正案は、お手元に配付いたしておりますように、その内容は、昭和五十六年から給付が開始される農業者老齢年金の給付額を二倍に引き上げようとするものであり、具体的には、現行法においてその年金額が「六百五十円に保険料納付済月数を乗じて得た額」となっているのを、「千三百円に保険料納付済月数を乗じて得た額」に修正しようとするものであります。
 以下、修正案を提出した理由を簡単に申し上げます。
 本年金制度に対しましては、制度発足以来、改善を要する各種の問題が指摘されておりますが、中でも農業者老齢年金の大幅な引き上げは強い要望となっております。
 かかる要請の背景は、第一に、やむを得ず六十五歳に達するまでに経営移譲できなかった者が六十五歳以後に支給を受ける農業者老齢年金の額が、保険料に比し必ずしもメリットがないという問題。第二に、同じ保険料を納付したにもかかわらず、経営移譲した者としなかった者の年金受給額の格差が余りにも大き過ぎるといった問題に集約されるのであります。そして、このことは、農民にも恩給をという制度発足の経緯から見れば、農民の切なる期待を裏切っているばかりか、当然加入制を採用している本制度にあっては大きな矛盾点ともなっているのであります。
 このため、日本社会党においては、昭和四十五年の現行法の制定に際し、純粋に農民の老後の保障を図ることを目的とした農民年金法案を対案として提出したほか、昭和五十三年の第八十四回国会、そして昨年の第八十七回国会の二度にわたり、今回と同様の修正案を提出し、農業者老齢年金の大幅な引き上げを強く主張してまいりました。
 また、本問題は、わが党のみならず、当農林水産委員会でも過去の審議過程で重点的に取り上げられ、法律制定時においては、少額ではありますがその引き上げの委員会修正を行ったことを初め、法律改正の都度、農業者老齢年金については速やかにその引き上げを図ることとした全会一致の附帯決議が付されてまいりましたことは、各位の御承知のところであります。
 しかるに、政府が、今回も何らの改善措置を講じなかったことは、これが農民の期待を裏切るばかりか、立法府の意思を無視したものと言わざるを得ません。
 今回、日本社会党が一昨年そして昨年に引き続き修正案を提出したゆえんは、国会が農民の切なる要望を体して立法府としての責任を果たし、真の年金制度の確立を図ろうとするものであります。附帯決議に賛成、この修正案に各党反対とは理解ができません。何とぞ全委員の御賛同を賜りますようにお願い申し上げます。
 以上、趣旨の説明を終わります。
#371
○内海委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。
 この際、本修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見があればお述べをいただきたいと存じます。武藤農林水産大臣。
#372
○武藤国務大臣 ただいま御提案のありました修正案につきましては、政府としては反対であります。
    ―――――――――――――
#373
○内海委員長 修正案に対して別段御発言もないようでありますので、原案並びに修正案を一括して討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
 まず、芳賀貢君外一名提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#374
○内海委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
 次に、原案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#375
○内海委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決されました。
    ―――――――――――――
#376
○内海委員長 この際、本案に対し、山崎平八郎君外四名から、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、社会民主連合の共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。馬場昇君。
#377
○馬場委員 私は、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び社会民主連合を代表して、農業者年金基金法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    農業者年金基金法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本制度が、国民食糧生産の担い手としての重要な使命を有する農業者の老後の保障と農業経営の近代化等に果たす役割の重要性にかんがみ、本制度を公的年金として位置づけ、制度の一層の整備充実が図られるよう左記事項の実現に努めるべきである。
      記
 一 農業者老齢年金については、昭和五十六年から給付が開始されることにかんがみ、農業者の老後生活の安定と後継者の確保に資するため、他の年金制度をも考慮し、次期財政再計算において適正な給付額に引き上げるよう努めること。
 二 次期財政再計算に当たっては、農家負担能力の実情、本制度の政策年金としての性格等を踏まえて保険料を定めるとともに、この場合、国庫助成の引上げを図るよう努め、現行の財政方式(完全積立方式)についても、他の公的年金の動向を勘案して検討を加えること。
 三 最近における農業就業の実情にかんがみ、農業に専従する主婦及び後継者の配偶者等についても年金への加入の途を開くよう努めること。
 四 農業のもつ家族経営体としての特性等を考慮し、遺族年金の創設を図るよう努めること。
 五 離農給付金制度の運用に当たっては、離農者の農地が中核的農家の経営規模の拡大等農業構造の改善に資するよう十分配慮すること。
   また、給付額についても適宜見直しを行うこと。
 六 特定後継者の要件緩和を図るなど若年未加入者に対する加入の促進について特段の措置を講ずること。
 七 本制度の円滑な運営が図られるよう、末端における受託業務体制の整備充実に努めること。
  右決議する。
 以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて各位の十分御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。
 何とぞ全委員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
 以上です。
#378
○内海委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 本動議に対し、別に発言の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#379
○内海委員長 起立多数。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
 この際、ただいまの附帯決議について政府より所信を求めます。武藤農林水産大臣。
#380
○武藤国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、農業を取り巻く、諸情勢の変化を踏まえ、十分検討いたしたいと思います。
    ―――――――――――――
#381
○内海委員長 なお、本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#382
○内海委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#383
○内海委員長 次に、農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。
 この際、農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。
 本件につきましては、先般来理事会におきまして御協議を願っていたのでありますが、本日、その協議が調い、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を作成した次第であります。その内容につきまして、便宜、委員長から御説明申し上げます。
 本案は、農業協同組合の合併の促進を図る必要性がなお存続している実情にかんがみ、農業協同組合合併助成法に基づく合併経営計画の認定制度の適用期間を、この改正法律の施行の日から昭和五十七年三月三十一日まで復活、延長するとともに、この認定を受けて合併した農業協同組合に対しては、従前の例にならい、法人税、登録免許税、事業税等の軽減措置が適用されるよう、関係法律について所要の改正を行おうとするものであります。
 以上がその内容でありますが、その詳細につきましては、お手元に配付してあります案文により御承知願いたいと存じます。
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農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律
 案
    〔本号末尾に掲載〕
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#384
○内海委員長 本起草案について別に発言の申し出もないようでありますので、この際、本案について、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣において御意見があれば、お述べ願いたいと存じます。武藤農林水産大臣。
#385
○武藤国務大臣 農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案につきましては、政府としてはやむを得ないものと考えております。
#386
○内海委員長 お諮りいたします。
 お手元に配付いたしております農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案の草案を本委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案といたしたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#387
○内海委員長 起立総員。よって、本案は委員会提出の法律案とすることに決定いたしました。
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#388
○内海委員長 次に、漁業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。
 本件につきましては、先般来理事会におきまして御協議を願っていたのでありますが、本日、その協議が調い、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を作成した次第であります。
 その内容につきまして、便宜、委員長から御説明申し上げます。
 本案は、漁業協同組合の合併の促進を図る必要性がなお存続しておる実情にかんがみ、都道府県知事の認定を受けるための合併及び事業経営計画の提出期限をさらに五年間延長し、計画が適当である旨の認定を受けた漁業協同組合については、従前の例にならい、法人税、登録免許税等の軽減措置並びに漁業権行使規則の変更または廃止についての特例措置を講じようとするものであります。
 以上がその内容でありますが、その詳細につきましては、お手元に配付してあります案文により御承知願いたいと存じます。
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漁業協同組合合併助成法の一部を改正する法律
 案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#389
○内海委員長 本起草案について別に御発言の申し出もないようでありますので、この際、本案について、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣において御意見があれば、お述べ願いたいと存じます。武藤農林水産大臣。
#390
○武藤国務大臣 漁業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案につきましては、政府としてはやむを得ないものと考えております。
#391
○内海委員長 お諮りいたします。
 お手元に配付いたしております漁業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案の草案を本委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案といたしたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#392
○内海委員長 起立総員。よって、本案は委員会提出の法律案とすることに決定いたしました。
 なお、ただいま決定いたしました両案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#393
○内海委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
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#394
○内海委員長 次に、農業災害補償法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。武藤農林水産大臣。
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農業災害補償法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
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#395
○武藤国務大臣 農業災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。
 現行農業災害補償制度につきましては、制度創設以来すでに三十有余年の歳月を経過しておりますが、その問に、この制度が災害対策として農業経営の安定のため多大の寄与をしてまいったことは御承知のとおりであります。
 しかしながら、果樹共済、蚕繭共済等の制度運営の実態を見ますと、制度が農業事情の変化等の実情に即応していない面があらわれております。政府におきましては、このような事情にかんがみ、特に果樹共済につきまして農業及び農業共済に関する学識経験者の意見を徴してまいったほか、関係各方面の意見を徴して慎重に検討してまいりました結果、補償内容の充実と合理化を図ることを旨として農業災害補償制度の改正を行うこととし、この法律案を提出した次第であります。
 次に法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
 まず第一は、果樹共済の改善と合理化であります。
 その一は、果実の単位当たり価額の設定方法の改善であります。
 現行の果実の単位当たり価額は、果樹の種類ごと及び都道府県の区域ごとに定めておりますが、品種問、地域間等の価格の格差を十分反映するようこれをさらに細分して定めることができるようにすることといたしております。
 その二は、共済掛金率割引制度の導入であります。
 果樹農家の被害発生の実態等に応じて共済掛金率の割引を行う制度を導入することといたしております。
 その三は、損害のてん補方式の改善と合理化であります。
 現行の収穫共済では、農家単位で三割を超える被害があった場合に共済金を支払う方式となっておりますが、損害評価の効率化に資するため、園地評価により収穫量を把握する地域につきましては、被害園地のみの減収量を農家単位で合計し、三割を超える被害があった場合に共済金を支払う方式を導入することといたしております。
 なお、共同出荷施設の資料を利用して収穫量を把握することができる地域につきましては、農家単位で二割を超える被害があった場合に共済金を支払うことといたしております。
 その四は、災害収入共済方式の試験実施であります。
 現行の収穫共済は、農家ごとに収穫量が減少した場合に、その減収量に応じて共済金を支払う方式となっておりますが、農家の損害の実態に一層近づいたてん補を行うことができるようにするため、当分の間、災害により収穫量が減少した場合に損害の額を収入の減少額により把握して共済金を支払う方式を実施することといたしております。
 なお、以上のほか、樹体共済の共済金支払い方式の改善、果樹共済の組合等手持ち責任の選択的拡大等所要の整備改善を行うことといたしております。
 第二は、蚕繭共済の充実と合理化であります。
 その一は、引受方式の改善であります。
 現行の蚕繭共済は、農家の掃き立て箱数に応じて共済金額を定めることとなっておりますが、一箱当たりの収繭量は農家問で格差がございますので、農家の生産力に応じて共済金額を定める収繭量建制を採用することといたしております。
 その二は、共済金支払い開始損害割合の引き下げであります。
 現行の蚕繭共済の共済金は、農家ごとに三割を超える被害があった場合に支払うこととなっておりますが、最近における被害発生状況にかんがみ、二割を超える被害があった場合に支払うことといたしております。
 以上のほか、蚕繭共済につきましては、共済事故を拡大することといたしております。
 第三は、家畜共済の改善であります。
 畜産振興の重要性及び最近における畜産経営の実態にかんがみ、農家負担の軽減による加入の促進を図るため、馬及び肉豚に係る共済掛金の国庫負担を引き上げることといたしております。
 以上がこの法律案を提出する理由及び主な内容であります。何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いを申し上げます。
#396
○内海委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時四十七分散会
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ソース: 国立国会図書館
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