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1979/03/27 第91回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第091回国会 農林水産委員会 第12号
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1979/03/27 第91回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第091回国会 農林水産委員会 第12号

#1
第091回国会 農林水産委員会 第12号
昭和五十五年三月二十七日(木曜日)
    午前十時三十二分開議
 出席委員
   委員長 内海 英男君
   理事 片岡 清一君 理事 津島 雄二君
   理事 羽田  孜君 理事 山崎平八郎君
   理事 柴田 健治君 理事 芳賀  貢君
   理事 和田 一郎君 理事 津川 武一君
   理事 稲富 稜人君
      小里 貞利君    久野 忠治君
      近藤 元次君    佐藤 信二君
      佐藤  隆君    菅波  茂君
      田名部匡省君    高橋 辰夫君
      玉沢徳一郎君    西田  司君
      福島 譲二君    保利 耕輔君
      堀之内久男君    渡辺 省一君
      小川 国彦君    角屋堅次郎君
      新村 源雄君    竹内  猛君
      馬場  昇君    日野 市朗君
      細谷 昭雄君    本郷 公威君
      瀬野栄次郎君    武田 一夫君
      中川利三郎君    林  百郎君
      神田  厚君    阿部 昭吾君
 出席国務大臣
        農林水産大臣  武藤 嘉文君
 出席政府委員
        農林水産政務次
        官       近藤 鉄雄君
        農林水産省経済
        局長      松浦  昭君
        農林水産省農蚕
        園芸局長    二瓶  博君
 委員外の出席者
        農林水産大臣官
        房審議官    井上 喜一君
        農林水産省経済
        局統計情報部長 柳井 昭司君
        通商産業大臣官
        房調査統計部長 渡辺 全p君
        通商産業省生活
        産業局総務課長 宇賀 道郎君
        通商産業省生活
        産業局通商課長 村田 文男君
        農林水産委員会
        調査室長    小沼  勇君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二十六日
 辞任         補欠選任
  玉沢徳一郎君     田中 六助君
  保利 耕輔君     河本 敏夫君
  堀之内久男君     田澤 吉郎君
同日
 辞任         補欠選任
  河本 敏夫君     保利 耕輔君
  田澤 吉郎君     堀之内久男君
  田中 六助君     玉沢徳一郎君
同月二十七日
 辞任         補欠選任
  小川 国彦君     竹内  猛君
  中林 佳子君     林  百郎君
同日
 辞任         補欠選任
  竹内  猛君     小川 国彦君
  林  百郎君     中林 佳子君
    ―――――――――――――
三月二十七日
 国が行う民有林野の分収造林に関する特別措置
 法案(芳賀貢君外十名提出、衆法第二六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員
 共済組合からの年金の額の改定に関する法律等
 の一部を改正する法律案(内閣提出第八〇号)
 農林水産業の振興に関する件(畜産物及び繭糸
 価格問題)
     ――――◇―――――
#2
○内海委員長 これより会議を開きます。
 昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の
 一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。武藤農林水産大臣。
    ―――――――――――――
#3
○武藤国務大臣 昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 この法律案は、恩給制度、国家公務員共済組合制度その他の共済組合制度に準じて、既裁定年金の額の引き上げ等を行うことにより、給付水準の引き上げを行おうとするものであります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明を申し上げます。
 第一は、既裁定年金の額の引き上げであります。これは、退職年金等の年金額の算定の基礎となった平均標準給与を、昭和五十五年四月分以後、昭和五十四年度の国家公務員の給与の上昇率を基準として引き上げ、年金額の増額を行おうとするものであります。
 第二は、退職年金等についてのいわゆる絶対最低保障額の引き上げであります。これは、恩給制度の改善に準じ、退職年金、遺族年金等に係る絶対最低保障額を引き上げようとするものであります。
 第三は、昭和三十九年改正前の農林漁業団体職員共済組合法、いわゆる旧法に基づく遺族年金に係る寡婦加算の額の引き上げ等であります。これは、六十歳以上の寡婦または子がいる寡婦の旧法による遺族年金に加算されるいわゆる寡婦加算の額を引き上げるとともに、寡婦加算の適用を受ける受給者が同時に退職年金等を受けることとなる場合には、必要な調整を行うこととするものであります。
 以上のほか、掛金及び給付の額の算定の基礎となる標準給与の月額の下限及び上限の引き上げ等、所要の改正を行うことといたしております。
 以上が、この法律案の提案理由及び主要な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願いをいたします。
#4
○内海委員長 引き続き、補足説明を聴取いたします。松浦経済局長。
#5
○松浦(昭)政府委員 昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を補足して説明申し上げます。
 この法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由において申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。
 第一は、既裁定年金の額の引き上げであります。これは、昭和五十四年三月三十一日以前に給付事由が生じた退職年金、減額退職年金、障害年金、遺族年金、通算退職年金及び通算遺族年金につきまして、その年金額の計算の基礎となった平均標準給与を、昭和五十五年四月分以後、昭和五十四年度の国家公務員の給与の上昇率を基準として、平均三・五%程度引き上げるものであります。
 第二は、いわゆる絶対最低保障額の引き上げであります。これは、退職年金、障害年金及び遺族年金につきまして、年齢または組合員期間の区分に応じ、その絶対最低保障額を昭和五十五年四月分から引き上げ、同年六月分からさらに引き上げることといたしております。たとえば、六十五歳以上の者の退職年金については、絶対最低保障額を昭和五十五年四月分以後六十四万七千円から六十七万一千六百円に、同年六月分以後この額をさらに七十万円に引き上げることといたしております。
 第三は、昭和三十九年改正前の農林漁業団体職員共済組合法、いわゆる旧法に基づく遺族年金に係るいわゆる寡婦加算の額の引き上げ等であります。このうち、寡婦加算の額については、六十歳以上の寡婦または子のいる寡婦の旧法に基づく遺族年金について、子の数等に応じて加算される額を、昭和五十五年八月分から引き上げようとするものであります。
 たとえば、子供が一人いる場合の寡婦加算額については、昭和五十五年八月分以後六万円から十二万円に引き上げることといたしております。
 なお、寡婦加算の適用を受ける受給者が同時に退職年金等を受けることとなる場合の調整については、その詳細を政令で定めることといたしております。
 以上のほか、掛金及び給付の額の算定の基礎となる標準給与の月額につきまして、その下限を農林漁業団体職員の給与の実態等を考慮して六万七千円から六万九千円に引き上げるとともに、その上限を国家公務員共済組合制度に準じて三十九万円から四十一万円に引き上げる等の措置を講ずるほか、所要の規定の整備を図ることとしております。
 以上であります。
#6
○内海委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 本案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。
     ――――◇―――――
#7
○内海委員長 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。
 この際、昭和五十五年度の指定食肉の価格算定の説明、昭和五十四年肥育牛・乳用雄肥育牛等の生産費及び蚕糸業をめぐる情勢について、政府から説明を聴取いたします。井上審議官。
#8
○井上説明員 それでは、私から、牛肉と豚肉の指定食肉の安定価格につきまして、本日畜産振興審議会の食肉部会に諮問いたしました内容につきまして、ごく簡単に御説明をいたします。
 お手元に届いております資料のうちで、「昭和五十五年度指定食肉(牛肉)安定価格算定説明参考資料」というのがあると思いますが、それに即しまして御説明をいたします。
 まず、第一ページの「指定食肉(牛因)の安定基準価格及び安定上位価格」という見出しでございまして、その算式は、去勢和牛肉につきまして、1算式、P1イコール大きな括弧、小さい括弧のP0掛けるI、小さい括弧で閉じまして、掛けるmプラスk、大きな括弧で閉じまして、括弧一プラス・マイナスv、こういう算定方式によりまして牛肉の安定価格を求めるわけでございます。
 P1は求める価格でございます。P0が基準期間。基準期間と言いますのは、牛肉につきましては、過去七年間、昭和四十八年の二月から昭和五十五年の一月までの期間でございますが、その間におきます去勢肥育和牛の農家販売価格でございます。Iといいますのが、基準期間、ただいま申し上げました七年間に対します価格決定年度、つまり昭和五十五年度でございますが、その去勢若齢肥育和牛の生産費指数でございます。生産費の変化率でございます。それから、mとkといいますのは、生体を枝肉に換算する係数でございます。vといいますのが平均価格に対します変動係数でございます。
 まず、恥でございますが、恥につきましては、四ページをお開きいただきたいと思います。四ページから五ページにかけまして、昭和四十八年二月から昭和五十五年の一月までの月別の肉牛の農家販売価格と枝肉の卸売価格を入れております。そこで、恥は、四ページの右の方の一番下に「平均」というところがございます。昭和五十五年一月の下の「平均」という欄で、実際値が九百十四円二十銭、その右が九百三円四十銭というのがあります。これがP0でございます。P0の求め方は、牛肉の安定基準価格と安定上位価格の中におさまるように肉牛農家販売価格を修正してございます。その修正値の平均が九百三円四十銭でございます。
 それから次に、生産費の変化率の一でございますが、これにつきましては七ページをお開きいただきたいと思います。生産費指数の計算方法といたしましては、Iイコール狽フq0P0分の狽フq1P1とありまして、分母になっておりますのが、基準期間七年間の第一次生産費に占める各費目の金額と、それから基準期間における各費目に関連する物賃の指数でございます。基準期間の生産費を五十年度の価格を一〇〇として表示したものでございます。それから分子になっておりますのは、同じく五十年度の価格を一〇〇といたしまして価格決定年度の推定した生産費でございます。これで計算いたしますと、1は八万二千二百七十八円分の八万六千九百円になりまして、一・〇五六ということに相なるわけでございます。
 次に、mとkでございますが、これにつきましては十六ページをお開きいただきたいと思いますが、枝肉と肉牛の農家販売価格との関連は、Yイコール二八一六Xプラス一九・二二ということに相なるわけでございます。これらの数値をそれぞれのところに入れます。
 それからvでございますが、また一ページにお戻りいただきまして、vにつきましては一三%、〇・一三ということにいたしております。これは、牛肉の価格安定制度が発足いたしましてちょうど五年になるわけでございます。この変動幅の開き方については、各界からの御批判もあったわけでございますが、最近の数値をとりまして一三%ということにいたしたわけでございます。それで計算をいたしますと、一ページの一番下にございますように安定基準価格は千三百五十七円三十七銭、安定上位価格につきましては千七百六十三円一銭、こういうことに相なるわけでございます。
 それから二ページに参りまして、その他の去勢牛肉ということで言っております乳用の雄牛の安定価格でございますが、これの算定方式といたしましては、去勢和牛肉の安定価格から一定の価格比でもって開く、こういう方式を従来とっておりまして、昭和五十五年度につきましてもこの方式を踏襲いたしております。その比がそこの算式にございますように〇・八一四でございますので、その他の去勢牛肉の安定基準価格につきましては千百四円六十銭、安定上位価格につきましては千四百三十五円八銭、こういうことに相なっておるわけでございます。
 以上が牛肉関係でございます。
 それから豚肉につきましては、豚肉の安定価格の説明参考資料の方で御説明させていただきます。
 まず一ページをお開きいただきたいと思いますが、P1イコール大括弧、括弧のP0掛けるI掛けるαを小括弧で包みまして、掛けるmプラスk、それを大括弧でくくりまして変動係数で開いている、こういう算定方式に立つわけでございます。
 そこで、P1、P0、I等の考え方につきましては牛因価格と同様でございますが、ただ、基準期間は豚肉につきましては五年間をとっております。昭和五十年の二月から昭和五十五年の一月までの期間をとっているわけでございます。そこが違う点でございます。
 それから、
といいますのは、これも牛肉にない点でございますけれども、豚肉の需給調整係数でございます。過剰になる場合あるいは不足をする場合にそれぞれ
を働かせまして価格に影響させる、そういう係数でございます。その点が違います。mとkにつきましては枝肉換算係数でございます。牛肉とは違いますけれども、考え方としては同じような考え方で算定をいたしております。
 そこで、算定方法の考え方につきましては牛肉の方で御説明いたしましたので省略させていただきますが、結論だけを申し上げますと、その下にありますP1イコール四百二十七円、これにつきましては、基準期間における農家の肉豚の販売価格が四百二十七円でございます。それから、基準期間に対する価格決定年度の生産費の指数が〇・九八七でございます。それから需給調整係数といたしましては、これは一と置いております。最近の豚肉の供給状況はかなり供給過多の状況でございますが、生産調整をやっているという状況でもございますし、また、片や輸入の方の動向も落ちついてきているわけでございます。そういうような点を勘案いたしまして一と置きまして、価格に対しましては中立的な数値をとったわけでございます。それを計算いたしますと四百二十一円四十五銭でございます。それにmとkを働かせまして枝肉に換算いたしますと六百七十六円三十三銭に相なります。これに変動係数を掛けてございます。この変動係数につきましては従来の変動係数を三%大きくしておりますが、これにつきましてはかねがね畜産振興審議会におきまして御批判があったところでございます。最近の動向を勘案いたしまして一三%と置きまして計算をいたしたものでございます。その結果、安定基準価格は五百八十八円四十一銭、安定上位価格は七百六十四円二十五銭というぐあいに相なったわけでございます。
 それから、牛肉、豚肉ともに算定方式二でもう一つの算定方式を出しておりますが、これはさらに御参考までに従来出しているものでございまして、方式も従来どおりでございます。
 簡単でございますが、以上をもちまして、安定基準価格と安定上位価格についての諮問に出しました試算値についての説明を終わらせていただきます。
#9
○内海委員長 柳井統計情報部長。
#10
○柳井説明員 五十四年の畜産関係の生産費について御説明申し上げます。
 お手元に四つの資料が配付されておると思いますが、まず肥育豚生産費について申し上げますと、これは五十三年の七月から五十四年の六月までの調査でございます。肥育豚生体百キログラム当たりの生産費でございますが、三万八千四百九十三円ということで前年に比較いたしまして六・八%の減少になっております。それから、一頭当たりの生産費は四万百八十八円ということで六・六%の減少でございます。このように百キログラム当たりあるいは肥育豚一頭当たりの生産費が減少しておりますのは、子豚価格とそれから飼料の主体をなす配合飼料の価格が前年に引き続きまして値下がりいたしまして、素畜費と飼料費が減少しているためでございます。
 主要費目について御説明申し上げますと、素畜費でございますが、生体百キログラム当たりで二万四百七十円ということで七・七%減少しておりますが、肉豚市況の低迷を反映いたしまして、仕入れ時におけるところの子豚の価格が、前年に比較しまして値下がりしたためでございます。
 それから飼料費でございますが、これも百キログラム当たりで一万三千百五円ということになっております。八・七%の減少でございますが、これも配合飼料価格が前年に比べまして約一割値下がりしたためでございます。
 それから労働費につきましては、生体百キログラム当たり三千百四円でございまして、一・四%増加しております。この内訳を見ますと、労働時間が多頭化等の進展によりまして約二・四%減少したわけでございますが、労賃の単価の上昇がそれを上回ったためでございます。
 それから飼養規模別の生産費につきましては、時間の関係もございまして詳しい説明は省かしていただきますが、経営規模の拡大につれまして、労働費が著しく逓減しておるということが特徴でございます。
 それから収益性について見ますと、肥育豚一頭当たりの粗収益は、四万二千七百十四円ということで七・五%減少しておりまして、これは豚価の低迷を反映いたしまして生産者の販売価格が前年を下回ったためでございます。一日当たり労働報酬で見ますと、一万二百五十六円ということで七・九%の減少でございます。規模別に見ますと、上層階ほど高くなっておるという特徴がございます。
 次に、子豚の生産費でございますが、子豚の一頭当たり生産費は、二万六百十三円ということで前年対比で六・三%の減少でございます。繁殖雌豚の一頭当たり生産費は、十七万三千百三十三円ということで五・一%の減少でございます。このように減少しておりますのは、費用全体の五割強を占めますところの飼料費が、配合飼料価格の値下がりを反映いたしまして前年に比較しまして約一割減少しておるということが主因でございます。
 費目別に見ますると、飼料費は前年に対して一一・二%の減少でございます。
 それから労働費につきましては、五千二百八十五円で〇・九%の減少でございます。これは労賃単価は前年に比べまして上昇したものの、省力技術等の普及によりまして、投下労働時間が一頭当たり約八%減少いたしまして、賃金水準の上昇の影響を吸収したためでございます。
 収益性について見ますると、繁殖雌豚一頭当たりの粗収益は、二十万百十三円ということで七・九%減少しておりますが、これは子豚の販売価格が前年に比べて一割程度値下がりしたためでございます。それから、一日当たり家族労働報酬は八千四十七円ということで、前年対比六・五%の減でございます。
 次に、肥育牛関係について申し上げます。これは五十三年八月から五十四年七月までの調査でございます。去勢若齢肥育につきましては、生体百キログラム当たりの生産費が九万六千二百四十三円ということで〇・五%の減少でございます。一頭当たりの生産費は五十八万三千五十円ということで〇・九%の上昇でございます。この差は一頭当たりの販売時の生体重が一・四%増加しておる、こういうことによるものでございます。
 主要な構成費目について御説明申し上げますと、素畜費でございますが、生体百キログラム当たりの素畜費は四万八千六百六十円ということで六・五%アップしてございます。これは子牛価格が値上がりしたことや、あるいは前年に比べてやや大型のものが導入された、こういうことによるものでございます。
 それから飼料費につきましては、生体百キログラム当たり三万一千九百五十九円で一二・九%減少しております。これは配合飼料やあるいは大麦、ふすま等の価格が値下がりしたことと、若干肥育期間が短縮したということによるものでございます。
 それから、労働費につきましては、百キログラム当たり一万六百九十円で前年に比べまして二・四%増加しております。これは飼育労働時間が三・七%減少しましたが、賃金水準の上昇が約六%弱上昇したことによるものでございます。
 それから収益性は、一頭当たりの粗収益が六十四万三千九百二十九円ということで、前年対比六・七%増加してございます。それから、一日当たり家族労働報酬は八千七百六十一円ということで六七・一%の増加になっております。
 次に、乳用雄肥育牛の生産費でございますが、生体百キログラム当たりの生産費は六万二千百二十九円ということで四・七%の減少、一頭当たり生産費は三十九万二千三百五十円ということで三・六%の減少でございますが、これは飼料費が減少したことが主因でございます。
 まず、素畜費でございますが、生体百キログラム当たりの素畜費は二万六千五百七十九円ということで二・四%増加しておりまして、これは子牛価格が値上がりしたためでございます。
 それから飼料費につきましては、百キログラム当たりで二万六千七百三十一円ということで前年に比較しまして一二・三%減少しておりますが、これは配合飼料、大麦、ふすま等の価格がかなり値下がりしたためでございます。
 それから労働費につきましては、百キログラム当たりで四千九百三十四円ということで三・〇%減少しております。これは省力化等の進展によりまして、飼育労働時間が七・一%減少いたしまして賃金水準の上昇を吸収したためでございます。
 一頭当たりの粗収益は、四十九万五千二十九円ということで一〇・八%上昇しておりますが、これはこの期間におきます牛肉価格が堅調であったことによりまして、生産者販売価格が上昇したことによるものでございます。それから一日当たりの家族労働報酬は、二万三千七百四十三円ということで前年に比較しまして二・一倍ということに・なっております。
 それから最後に、牛乳生産費につきまして御説明申し上げます。これは五十三年の七月から五十四年の六月の間の調査でございます。
 生乳百キログラム当たり生産費でございますが、これは乳脂率三・二%換算でございまして、四ページにございますように、その算出の方法が記載してありますが、そのような計算によりまして三・二%換算で算出しておるわけでございますが、これによりますと、百キログラム当たりで八千百八十円ということで四・二%の減少でございます。それから一頭当たりにいたしますと四十六万五千百十九円ということで二・三%の減少でございます。このような生産費の減少の主因は、配合飼料等の値下がりによる流通飼料費が減少したことと、子牛価格の高騰によりまして副産物価額が増加したためでございます。
 主要費目について見ますと、まず飼料費でございますが、生乳百キログラム当たりの飼料費は四千二百六十九円ということで四・六%減少しております。このうち採草、放牧等の経費につきましては千五百五十二円ということで三・一%上がっておるわけでございますが、飼料費の六三・六%を占める流通飼料費が八・五%減少したためでございまして、この流通飼料費の減少は配合飼料の値下がりによるものでございます。
 それから労働費でございますが、百キログラム当たり二千四百二十八円ということで〇・七%上昇しております。これは労賃単価は上昇いたしましたが、飼育労働時間が三・八%減少したということによるものでございます。
 それから償却費でございますが、これは百キログラム当たり六百三十円で二・三%増加しております。それから飼育規模別に見ますると、やはり労働時間が規模の拡大につれまして非常に下がっておるということが特徴でございまして、飼料費につきましてはその規模間の格差というものは小さいというふうに考えられるわけでございます。
 それから収益性について見ますと、一頭当たりの粗収益は六十万一千二百五十八円ということで五・一%増加しておりまして、これは搾乳量の増加と副産物価額の上昇によるものでございます。それから一日当たり労働報酬を見ますると、九千八百十三円ということで一九・一%上昇しているという状況でございます。
 以上をもって終わります。
#11
○内海委員長 二瓶農蚕園芸局長。
#12
○二瓶政府委員 繭糸価格安定法に基づきまして、五十五生糸年度に適用いたします基準糸価等の行政価格につきましては、二十九日に開催予定の蚕糸業振興審議会繭糸価格部会の審議を経て適正に決定してまいることといたしておりますが、本日は蚕糸業をめぐる最近の諸情勢につきまして、お手元に御配付いたしております資料に従いまして御説明を申し上げたいと思います。
 それで、この資料の一ページをごらんいただきたいと思います。
 まず、生糸価格及び需給の動向について見ますと、五十三生糸年度、五十三年の六月から始まりました五十三生糸年度におきましては中間安定帯のおおむね上方で堅調に推移いたしました生糸価格は、五十四生糸年度に入りますと中間安定帯の下方で推移をいたしたわけでございます。これは一ページの表をごらんいただきますときれいにその辺の関係が読み取れるかと思います。そこで、昨年の七月以降、日本蚕糸事業団によります中間買い入れを行っておるところでございまして、現在までのところ一万二千六百俵の国産糸の買い入れを行っておるわけでございます。生糸現物価格は、五十三生糸年度、これを平均いたしますと、キロ当たりで一万五千百十八円ということであったわけですけれども、五十四生糸年度におきましては、昨年六月からことしの二月までの平均で前年を約五百円下回ります一万四千六百二円ということになっておりまして、現在も一万四千五百円台で推移をいたしておるような状況にございます。
 なお、今回の事業団によります中間買い入れに当たりましては、この一月、二月、三月にもそれぞれ買い入れを行っておりますが、本年のように基準糸価決定の時期におきましても事業団が中間買い入れを行っておる、そういう事態は、十年ほど前の昭和四十四年以来の出来事でございます。
 このような情勢に対処いたしまして、生糸、絹製品の輸入につきましては、中国、韓国との間の二国間協定数量の削減なり、あるいは輸入調整措置の強化等に努めてまいったところでございまして、輸入数量は生糸、絹糸、絹織物、いずれも五十四年の暦年は五十三暦年よりも減少しております。これは二ページをごらんいただきますと輸入数量というのがございますが、上に、左のところに暦年というのがございまして、ここに五十二、五十三、五十四、この五十四のところをごらんいただきますと、生糸は前年対比七二%、絹糸が八五・六、それから一つ飛びまして絹織物九四・八ということで、通関ベースでながめますと五十三年よりは五十四年の輸入数量は減っておる。
 さらに、御参考までに三ページに現在の生糸なり絹製品の輸入コントロールの仕組みにつきまして、生糸、絹糸あるいは絹織物等につきまして一覧表に収録をいたしておるわけでございます。
 しかしながら、このような措置にもかかわらず、日本蚕糸事業団の在庫は、現在、先ほど申し上げました国産糸の中間買い入れの一万二千俵強を含め八万九千俵という事業団設立以来最高の在庫水準になっておりまして、さらに今後、相当量五十四年度の発注をいたしました輸入生糸が入着いたしますので、近々さらにこれに上積みされまして、十万俵を超えるということは確実でございます。これは四ページの表をごらんいただきますと、この在庫数量の推移が四十九年の六月以降収録してございますが、一番右のところに五十五年の三月二十日現在がございますが、八万九千四百八十六俵ということで非常に高い山を形成をいたしております。これがさらに近々じゅうには十万俵を超えるというのは確実でございます。
 それから五ページをちょっとごらんいただきますと、ここに「買入、売渡、在庫状況」というのがございますが、中ごろに五十四年六月というところで線が引いてございます。まず輸入糸の一般でございます。買い入れのところは、六月以来買い入れございまして、三月二十日現在までで九千俵ほど輸入糸の一般糸を買っております。しかし、売り渡しはきれいにゼロが並んでおりまして、在庫は六万七千七十五俵という一般糸の在庫。それから次は、実需者売り渡し用の生糸でごごいますが、これも買い入れが一万六千三百十九俵の買い入れをやっておりますが、売り渡しは昨年の十月でストップをいたしておりまして、わずかに六千五百四十六俵売っただけで、在庫は九千七百七十三俵。それから国産糸の方は、買い入れは先ほど来申し上げておりますように一万二千六百三十八俵でございますが、これも糸価低迷いたしておりますから、当然売り戻し、売り渡し一切ないわけでございます。そういうことでこれをそろばんを入れますと、計を入れますと、先ほど申し上げましたような最後の在庫が八万九千四百八十六俵というのがこの三月二十日現在の姿でございます。
 それから、輸入糸の実需者売り渡しにつきましては、糸価低迷のために、今五十四年度におきましては現在までのところ、昨年度のずれ込み分を含めまして約九千俵を行ったのみでございまして、ただいまも申し上げましたように、昨年十月以降糸価がいわゆる下べそ価格であります一万四千七百円というのを上回らないため、五カ月間売り渡しを停止した状態となっております。大体このマル実といいますのは瞬間タッチ方式で売るものでございますが、その瞬間タッチで売るものが五カ月間以上売れずに現在まで続いておるということでございます。現在このように需要者に対する引き渡しが行われないまま事業団手持ちとなっておりますものが九千八百俵でございますが、さらに四月から七月にかけまして五十四年度分の需要者、実需者売り渡し用の生糸が一万六千俵わが国に到着をいたします。そういう状況でございます。
 需要者サイドからは、生糸価格が一万四千五百円あるいは一万四千六百円ということで昨年十月以降推移しておるわけでございますので、何らかの措置によりまして需要者売り渡し生糸が実際に実需者の手元に速やかに渡るようにしてくれという要請があるわけでございます。
 六ページのところに現在の「繭糸価格安定制度の概要」、金額の方はこれは五十四生糸年度適用の現在の価格、これをはめ込んでおるわけでございますが、中ごろに斜線で、この棒のところに斜線がございますが、これが中間安定帯でございます。この中間安定帯の下限が一万四千四百円の基準糸価でございます。上限の方が一万五千九百円、標準中間売渡価格でございます。この中に実は下べそ価格と上べそ価格という、いわゆるそういうものの設定をいたしております。そこで、この一万四千七百円という下べそ価格といいますのは、需要者に対しまして瞬間タッチで売り渡します場合の一応のめどを一万四千七百円というふうに決めておるわけでございますが、糸価がこれの下で低迷していますので実需者売り渡しが実際できない、停止しておるということでございます。
 これまで申し上げてきましたような糸価低迷の要因につきましては、いろいろあろうかと思いますが、基本的には末端需要の停滞によるものと見られております。これは七ページをごらんいただきますと、「和服等購入状況」というのがございます。全国、全世帯一人当たり平均でございますが、右の方に数量がございます。婦人絹着物、絹着尺地、絹地とございますが、五十四年はこの下のところに対前年比がございますが、婦人の絹着物は九六・二%ということで前年より落ち込んでおる。それから絹着尺地、いわゆる反物でございます。これが、絹の反物が八六%でございます。それから絹地、これは広幅で、いわゆる洋装などいたしますときに、洋服などつくるときの絹地でございますが、これが九一・八ということで、いずれも落ち込んでおる、こういう状況でございます。
 それから、もう一つのメルクマールとして八ページをごらんいただきますと、これは国内生糸の引き渡し数量でございます。絹織物業者に引き渡されました数量でございますけれども、これが五十二、五十三、五十四とございますが、五十三年は前年より一〇八・一%とふえたわけでございますが、五十四年に入りますと落ち込んでおりまして、昨年の六月からことしの一月までを前年同期と比較しますと、八一・一ということで二割ほど減少をいたしておるわけでございます。これをグラフにしたのが九ページでございまして、五十三生糸年度の方が上の破線、下の方の実線が五十四生糸年度でございますが、昨年の下のラインを五十四生糸年度では線グラフが走っておる、こういう姿になっておるわけでございます。
 そういうことで、絹全体、生糸、絹糸、絹織物の在庫が増加をいたしております。これは十ページの「絹の在庫の推移」というのがございますが、ごらんいただきますと、上のところに暦年、五十二、五十三、五十四とありますが、この五十四年の暦年のところをごらんいただきますと、一番右のところに合計がございます。そうすると三十万三千二百十一俵ということで、絹糸も絹織物等も全部生糸に換算をして積み上げますと三十万三千二百十一俵の五十四暦年末、十二月末の在庫になるわけでございます。これは前年が二十七万ですから約三万俵在庫がふえておるということでございます。これは、「生糸」のところに「事業団」という欄が左の方の四欄目ぐらいにございますが、八万二千七百三十六俵、前年が五万俵ということで、全体で三万俵ふえているのが事業団のところに積み上がっておりまして、ここでたな上げされているという姿で、昨年十二月末では八万二千俵という姿になっておるわけでございます。そこで、さらに昨今の経済情勢下におきまして、在庫の圧迫感が非常に強まっているという需給事情にございます。
 十一ページに「絹の需給表」というのがございますが、右の方の一番下の欄をごらんいただきますと、内需が八九%ということで、五十四暦年は前年対比八九%方の内需でございます。一番すみのところに「末在庫」というので二〇・四%ということで、先ほど申し上げました二十七万が三十万俵になっていますので三万俵ほどふえておる、そういうことで一割ほど在庫がふえておる、それが一つの圧迫要因にも相なっておるという厳しい需給情勢でございます。
 次に、繭生産の動向についてながめてみたいと思います。
 十二ページをお開きいただきますと「養蚕業の概況」というのがございますが、繭生産は天候に恵まれたこともありまして、官民挙げての努力により、五十四年は六年ぶりに増加をいたしまして、「繭生産量」というところの一番右すみにございますが、八万一千トンとなったところであります。この五十四年の繭生産において特徴的なことは、十アール当たりの収繭量が六十四・九キロで、対前年比八%ふえてございます。それから、二戸当たりの収繭量四百六十一キログラムで一一%増加というようなことで、いずれも大幅に増加を示しておりまして、生産性向上及び規模拡大が見られるということでございます。このような傾向が継続いたしますよう今後とも努力する必要がある、かように考えているわけでございます。
 以上で、最近の蚕糸業をめぐります諸情勢についての御説明を終わらしていただきます。
#13
○内海委員長 以上で説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#14
○内海委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小里貞利君。
#15
○小里委員 ただいまそれぞれ説明がございましたように、農畜産物政策価格の試算価格の決定あるいは審議もいよいよ大詰めに迫っているようでございます。大臣を初め関係省庁の皆さん御苦労でございますが、また一面、御案内のとおり、それこそはるかに遠い地方の生産現地、すなわち農民や生産団体の数多くの諸君が足しげく国会あるいは政府周辺に交渉方々立ち入りをいたしておられます。このことは、それだけ生産農民あるいは関係団体が畜産物の価格決定に対しまして非常な関心を持っておるということと同時に、それだけ今日の農民や農政にとりましてはきわめて重要な意味を持っていることを象徴しておると私は察するわけです。しかしながら、このようなことが例年とり行われておるわけでございますが、一面から言いますと、遠いところから生産農民や生産団体の諸君が押しかけてまいりまして、苦しい農村や農民あるいは生産、経営の状況をつぶさに説明しなければ、政府や関係筋がそれにこたえ得られないといういきさつを考えますときに、一体、このような状況をどういうふうに農林政務次官は考えておられるのか、この機会にお聞かせをいただきたいと思うのです。もちろん、民意を農政に反映するという観点から申し上げますと大変好ましいことでもありますが、まず一点としてそのことをお伺いいたします。
#16
○近藤(鉄)政府委員 御指摘のとおり、ただいま畜産振興審議会が開催されておりまして、五十五年度の指定食肉の価格その他についてもいま御審議を願っておるわけでありますが、小里先生のお話のとおり、私たち農林水産省にも大ぜいの関係者の方々がお見えになって現状についていろいろと御説明があるわけであります。そういうことをしなくても、ちゃんと農家の方々の御苦労を踏まえての価格決定をすべきではないかという御指摘のようでございます。私もそう考えますが、同時に、私たち農林水産省で仕事をしておりますと、一生懸命考えておりますが、ときには実際の現場の農家の方々の実情なりお気持ちなりを十分に把握し切れない面もあると思いますので、御上京賜るのもなかなか大変でございますけれども、私たちのところで現実の問題についていろいろお話をお聞かせいただきますのも適正価格決定に大変参考にもなる、こういうことでございますので、実はいろいろ御説明を承って万全を期している次第であります。
#17
○小里委員 政務次官も心得ておいでになるように、それ相当な時間や経費をかけてあえてそのような場を求めるわけでもない。ただいま政務次官お話のとおり、わが国の食糧政策の原点に立ち帰りまして、農民の説明を聞くまでもなく、食糧政策の重要性にかんがみて、農民の意思あるいは生産、経営の概況を尊重することを前提にした農畜産物の政策価格の試算価格が決定せられることを、この機会に強く要望を申し上げたいわけです。
 次に、今次の試算価格の決定をめぐる諸情勢の中で、いろいろあるわけでございますが、特徴の一つとして、五十五年度の畜産物価格をめぐる情勢の中で、生乳あるいは豚肉が過剰ぎみである反面、いわゆる配合飼料価格など生産資材は軒並みに上昇しつつあります。また、電力料金などを初めとした公共料金なども御承知のとおりであります。そういうことを端的に申し上げますと、需給均衡とコストアップの両面をどのように調整をするかが一つの大きなポイントであろう、こういうふうにとらえたいわけであります。もちろん、見方によりましては、それ以上に外国製品の輸入を、その需給均衡と相照合して日本の生産農民を守る観点からどのように位置づけていくかという問題もあろうかと思うのでございますが、まず、需給均衡と生産コストのアップをどういうふうにとらえておいでになるか、お伺いいたします。
#18
○近藤(鉄)政府委員 御指摘もございましたように、私たち今年度の畜産物の価格を決定する場合の最大の問題点というものは、まさに、特に豚肉や牛乳にあらわれておりますような需給の不均衡の状態と、片方で、御指摘がございましたように、最近までの飼料の値上がりや、また、これからいろいろな電気料金その他の値上がりからのコストアップの様相もある。率直に言って、生産者価格を上げれば、これは需給の原則でございますから、供給がふえて需要が減退してまいりますし、また、需給均衡だけを考えてまいりますと、価格というものは理論的には当然下がらざるを得なくなってくる、こういうことでございますので、この二つの相矛盾する問題をどういうふうに調整するかということが最大の課題でございまして、現在畜産振興審議会でいろいろ御審議を賜っておりますのも、その点についての諸先生の御意見を参考にいたしたい、こういうことでございます。
#19
○小里委員 言葉を返すわけではないのでございますが、政務次官のおっしゃることもよくうなずけるわけであります。ただ、素朴な農民感情から言いますと、需給のバランスがとれてまいりましたから、実は、生産段階において幾らコストアップでありましてもそのことについては責任が負えませんよという意味の姿勢は、これはとっておいでになったとも言いませんし、またそのことは慎まなければならないことだと思うわけです。ただいまお話しの中にもありますように、あくまで、需給のバランスがとれてきた、あるいは生産、供給過剰でありますからというその理由によって、単純に生産農民の立場というものを軽んずるという傾向は、あると申し上げておるわけではございませんが、およそ、しょっぱなで申し上げました日本の食糧政策をより安定的に貫く政府責任という立場から考えましても、十分その点を御配慮いただきたいと思うわけでございます。
 次に、先ほどそれぞれ試算価格の現在段階における推移の概況が説明がございました。それに関連いたしまして二、三点お伺いしてみたいと思うのでございますが、まず、政府は需給実勢方式で試算をしておいでになります。牛肉や豚肉の生産方式につきましては、御承知のとおり、生産者団体は生産費所得補償方式で算定しておるのでありますが、政府がこれを採用しない一つの根拠、考え方をお示しいただきたいと思います。
#20
○近藤(鉄)政府委員 御指摘ございましたように、いわゆる畜安法、畜産物の価格安定等に関する法律の中では、指定食肉さらに原料乳につきまして、「これらの生産条件及び需給事情その他の経済事情を考慮し、これらの再生産を確保することを旨とし、」決める、こういうふうになっておるわけであります。米価におきましては、御案内のように生産費所得補償方式をとっておるわけでございますが、あえて畜安法でこういう規定をしておりますのも、いまもいろいろお話がございましたが、ある程度の自由市場経済というものを前提にしながら、そういう自由な市場取引に基づくところの価格決定というものを一応前提にしながら、しかし、そういう形でありますが、価格の暴騰、暴落というものは避けることが生産者の方々にとって畜産物の再生産を確保していただける道でもある、こういうふうに考えて、自由価格ではありますが、安定の幅を決めて、その中で適正な価格形成ができるような措置をとっているわけであります。いわゆる一方的にといいますか、生産費所得補償方式で決めてしまいますと、たとえばその額で採算が合う生産者の方々が生産をどんどんされて、逆に需給の均衡が大きく壊れてくるということも考えられますし、また、いまのように畜産また酪農が歴史的にも比較的新しい日本でございますと、どういうものを基準的な畜産経営なり酪農の農家として決めるかということもなかなかむずかしい、そういうことも生産費所得補償方式がとれない一つの理由である、こういうふうに考えております。
 そんなことで、先ほど申し上げました一応枠を与えながら、需給の実勢を反映しながら、しかし、なおかつその中で再生産が確保できるような価格を決めるということが実は私たちの最大のねらいでございまして、いろいろな方々の御意見を承っておりますのはまさにそこに焦点を置いてやっておるわけでございます。
#21
○小里委員 ただいまのお話の中にも一部出てまいりました変動幅の問題であります。
 牛肉、豚肉ともに一三%にこの際調整せられるわけでございますが、豚肉につきましては広げて牛肉については狭めていくという考え方のようであります。これは試算過程における一つの体系としてはよくわかりましたが、もっと根本的に、そのような幅を広げたり狭めたりなさった一つの政治的な、生産奨励を含めた、あるいは先ほど私が申し上げました生産農民の立場を食糧政策の一環として原則的には第一に守っていくという背景があるのではないか、私はこういうふうに期待をし、また念願をするわけでありますが、そのような意味における行政効果と申しましょうか、一つのねらいは御説明いただけないものでしょうか。
#22
○近藤(鉄)政府委員 御指摘のとおり、これまで牛肉と豚肉は変動幅に若干差をつけておったわけでありますが、今回一三%に統一したわけでございますけれども、御案内のように変動幅を広げてまいりますと、ある程度需給の変化で暴騰、暴落の変化の度合いが出てまいりますが、逆に縮めてまいりますと、安定はいたしますけれども、しかし実勢から離れるような傾向も往々にしてございます。実は過去の牛肉、豚肉の変動について調べてみますと、牛肉においては実はある程度安定してまいりましたし、また、豚肉の場合にはいささか変動が実際大きかった、こういうような過去の趨勢を踏まえまして、この際実勢に即して大体一三%ぐらいが豚肉、牛肉ともに適当ではないか、こういう判断であるわけでございます。
 しかし、一方、豚肉の場合に変動幅を広げることが片方では生産調整というものをある程度進める効果を持ちますし、また、そういう形で国際的な環境の中で現在の国内的な豚肉の生産をある程度維持するための効果も同時にあるのではないか、こういうふうに私は考えておるわけであります。
#23
○小里委員 時間もありませんので、五十五年度の豚肉の需給の見通し、これは事務局でも結構でございますが、さらにまた、ただいまの政務次官の説明の言葉の背景にも感じられるわけでございますが、外国の豚肉の輸入増加、これはわが国の生産豚肉の品質の問題がうかがわれておるようでございますが、その辺の品質の問題が仮にあるとすれば、それらに対する対応策あるいは指導策をお聞かせいただきたいと思います。
#24
○井上説明員 五十五年度におきます豚肉の需給の見通しでございますが、先生御案内のとおり、豚肉につきましては、ただいま生産がややオーバーしておりまして、生産調整をやっているような現況でございます。そういうことで、当面は過剰でございますけれども、生産調整の浸透もある程度期待いたしまして、生産につきましては、来年度についてはおおむね需要に合った生産をやるのではないかというぐあいに見通しているわけでございます。
 問題になりますのは輸入見通しでございますが、確かに、昨年一年間の経緯を見ますと、非常にふえたわけでございます。ただ、十二月以降につきましては、対前年比で見ますと六〇%台に輸入が減少してきているわけでございます。今後の輸入価格の動向等を見ますと、輸入の方もこういった傾向が続いていくのではないかと考えられますので、供給の方については、ほどほどの供給があるのではないかという見通しでございます。
 片や、需要の方でございますが、過去二年間を見ますと、家庭消費の方は大体三%ぐらいの需要の増でございます。そういう意味で、需要が停滞していたわけでございますが、昨年の秋以降、これは価格が若干低落したということも関係があろうかと思いますが、消費が上向いてきております。そういうことで、生産も全体としてはふえるわけでございますが、需要の方も家庭消費を中心にいたしまして増加をしてきているという現況でございますので、需要と供給についてはおおむねバランスをするのではないかという見通しを持っているわけでございます。そういう点を踏まえまして、先ほど御説明いたしました需給調整係数は一ということにしてございます。つまり、需要超過でも供給超過でもない、ちょうど需給がバランスをする、こういうような前提をとっているわけでございます。
 輸入につきましては、いろいろな原因がございます。特定の規格のものを国内ではまとめてなかなか入手できないとか、あるいは品質の問題もあるわけでございます。
 品質の点につきましては、個々の個体については日本の方も豚の改良が進んでまいりまして、非常にいいものが出てきておりますが、なお、全体として見ますと、特に交雑と言いますか、交配が計画的に行われておりませんのでいろいろな豚が出てくるわけでございます。そういう結果、肉質がいろいろなものが出てまいりまして、その結果品質が低下をしてきている、こういった原因があるわけでございまして、この点、外国の豚肉と競争するためには、どうしても肉質の改良を図っていく必要がございます。そのために、基本は種豚の改良でございますが、さらにそれを基礎にいたしまして、計画的な交配の推進、それから最近指摘されております飼養管理の改善ということについて、これから重点を置いて指導していく必要があろうかと思います。来年度予算につきましても、そういった点に配慮いたしまして、所要の措置をしているところでございます。
#25
○小里委員 御案内のとおり、いまもお話が出ておりますように、養豚農家は最近、特にその顕著な傾向といたしまして、昨年来の低迷価格によりまして負債が顕著な勢いでふえてまいっておる、かような状況下にあるわけでございます。また、農水省としても、その辺の実態は十分把握しておいでになると思うのでございますが、この試算価格決定前後における負債対策というものもあわせて考えられてしかるべきではないかと思うのでございますが、もしその辺の対応策があるとすればお聞かせをいただきたいと思います。
 なおまた、稲作の転換先作目といたしまして、このように牛乳も豚肉も生産が過剰ぎみであるような状況なども考えて、この機会に、肉用牛の生産をもっと比重をかけて奨励するべきではないかという声もあるわけでございますが、もし御意見があればお聞かせいただきたいと思います。
#26
○井上説明員 まず養豚農家の負債対策でございます。私どもが現在までに把握しておりますのは、養豚農家の経営概況につきましては、昭和五十三年度まででございます。それによりますと、これは全国平均でございますが、一戸当たりの……(小里委員「五十四年度はないのですか」と呼ぶ)五十四年度はまだ出ておりませんで、五十三年度まででございますが、五十三年度までに関する限りは、農業所得あるいは資産の状況、負債の状況を見ましても、まずまず経営内容は健全ではないかと思います。ただ、五十四年後半から価格が低迷しておりますので、そういったことが養豚農家の経営にかなりの影響を与えてきているのではないか、このように考えているわけでございます。
 基本的には豚価の低迷にあるわけでございますが、現在、畜産物価格安定法に基づく調整保管を中心にいたしまして、市場隔離をやっております。また、それと並行いたしまして消費拡大対策、これは、農村あるいは都市、それぞれ重点を置きまして消費の拡大対策をやっております。それに合わせまして、先ほどもお答えいたしましたように、中央、地方を通じまして養豚の計画生産を推進しているところでございまして、そういった全体の施策の効果が徐々に出ていっていると思います。そういう効果もありまして、豚肉の卸売価格は漸次快方に向かっているところでございます。三月に入りまして、最近一週間くらいをとってみますと、六百円をちょっと上回るような水準で推移をしてきているような状況でございまして、養豚経営の収益性も、そういう意味では漸次快方に向かいつつあるとは思います。が、ただいま御質問ございました資金対策あるいは負債対策等につきましては、いままでやっております対策の効果をさらに見きわめる必要がございますが、同時に、そういう資金対策が新たに必要であるのかどうかを含めまして慎重に検討してまいる、そういう考えでございます。
 それから、稲転に関連しまして肉牛を導入することについてでございます。牛肉につきましては、畜産関係の作目の中でもこれから一番需要の伸びが見込まれる作目でございますが、他方、生産については、われわれ生産対策あるいは流通対策をやっておりますけれども、なかなか需要に追いつかないのが現状でございます。また、世界的に見ましても、牛肉の生産というのは非常にタイトでございますので、そういう意味からも、一層国内の生産をやっていく必要があるわけでございまして、稲転に関連いたしまして肉用牛を導入していくことも非常に重要なことだと思います。特に稲転につきましては、飼料作物が重要作物になっておりまして、それに関連してと言いますか、さらにその飼料作物を定着させるためにも肉用牛の導入を図っていく必要があろうかと思います。この点につきましても、稲転関連の肉用牛導入事業という予算をお願いしてございまして、そういう予算の執行を中心にいたしまして、稲転に関連した肉用牛の導入を積極的に進めてまいる、こういう考えでございます。
#27
○小里委員 大変具体的な配慮も措置しておいでになるようでございまして、結構に存じます。
 さて、この機会に、関連して政務次官に端的に一点だけお伺いしたいと思うのでございます。
 輸入牛肉につきましては、需要に対して供給不足を補完する、このことが大きな原則にならなければ、生産農家はなかなか安定的、一つの納得のもとにと申し上げましょうか、概観としても一つの経営方針を立てる上におきまして何となく気持ちが定まらないという状況もあります。この原則について政務次官は一体どういうふうに踏まえておいでになるか。万やむを得ず国外牛肉、いわゆる輸入牛肉を放出する場合でも、その時期なり価格、数量等は厳として適正に対処せられるべきもの、こういうふうに私どもは強く期するのでありますが、その辺について政務次官、どういうふうにお考えでしょう。
#28
○近藤(鉄)政府委員 畜産物価格決定についても、ちょっと私申し上げましたのですが、片方ではある程度生産費と見合うような形の価格決定がなされなければならない反面、片方では需給調整もあって、この二つの矛盾するといいますか、相反するような命題をどういうふうにうまく調整するか、こういうお話を申し上げたわけであります。
 特に、需給調整と申しましても、日本の畜産、酪農は、率直に言って戦後のことでございますし、ことに最近非常に急速に発展をした分野でありますが、やはり諸外国、欧米等と比較いたしますといろいろとおくれておる面もございますから、したがって、将来にわたって日本の酪農、畜産を振興していくためにはある程度の措置を講じなければならない、こういうことで、国際的な関係から完全に切り離しはできませんが、しかし、ある程度の国際的な影響については緩和措置を講じていく、こういうことは許されてしかるべきだと思うわけでございます。
 そんなことで、実は牛肉につきましては、御案内のように輸入割り当て制をとっておりますし、豚肉につきましてはいわゆる差額関税である程度、その量は規制しませんが、価格政策をとっておる。二つ扱い方は違っております。
 そこで、お話の牛肉でございますが、やはり今後国内的にもまた国際的にも牛肉の需要は伸びることが予想されますし、一ころアメリカや豪州が日本に対して牛肉の輸入を強く要請してまいった。ところが最近は、それぞれの国において牛肉の価格が結構上がっておりますので、一ころみたいなことがなくなっているというような面もございます。したがって、やはり私たちとしては、牛肉につきましても、あくまでも国内生産増強をメーンにいたしまして、これでできるだけの国内における自給率の達成を図る。しかし、足りない分がございましたらこれはその輸入による。しかし、輸入がそう過度にふくれ上がって国内の生産を圧迫しないように、そこは輸入割り当て制をとって慎重に行う、こういうことであります。
#29
○小里委員 次に、これもでき得れば政務次官にお答えいただきたいのでございますが、今日の農政事業、施策の中で大変生産農民に喜ばれております、また歓迎されました肉用牛子牛生産奨励事業の問題であります。これは御承知のとおり、肉用牛生産経営の意欲を高めるために、二年前からとり行われておるところでございますが、それこそ事業団の助成で、価格の上昇いたしましたことも手伝っておるわけでございますけれども、これが大変生産意欲が向上しつつありますことは御承知のとおりであります。五十四年度の授精頭数などを、見込み数字でありますけれどもお聞き申し上げてみますと、大分増加の傾向にある、こういうようなことでもございまして、徐々ではございますけれども、この施策によりまして生産も低落傾向に歯どめがかかった、こういうふうに申し上げてもいいかと思うのでございます。そのようなことで肉用牛子牛生産奨励金について、農林政務次官は、行政効果として振り返ってどのように評価をしておいでになるのか、それが一点であります。
 もう一つは、ただいま申し上げましたような生産奨励金事業でございましたので、これは当然継続してとり行われるべきものであると判断をしますし、また、それに対応するための準備もとり行われておると思うのでございますが、その辺のことについて、概括でよろしゅうございますがお聞かせいただきたいと思います。
#30
○近藤(鉄)政府委員 御指摘もございましたように、子牛生産に対する子牛生産奨励金につきましては、五十二年ごろの子牛価格の低迷状態がございまして、何とかこの子牛の生産を奨励して肉用牛の生産の拡大を図りたい、こういうことで設けたわけでございますが、結果としては非常に政策効果が上がった措置であるというふうに私たちは考えております。
    〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
ただ、最近牛肉に対する非常に堅調な需要の伸びに支えられまして子牛価格が結構高くなっておりまして、たとえばことし一月現在でも和牛の子牛雌が一頭当たり三十八万二千円、雄の場合が三十五万八千円、こうなっております。五十二年当時は大体二十四、五万で推移しておったのが、いま三十八万とか五万、こういう数字になっておりますので、十万程度数字が上がってしまった。こういうことから、現段階においてそういう奨励金交付は一つの役割りを終わったのではないか、こういう御意見も実はいろいろ私たちの方に入ってまいりますので、こういう御意見も踏まえながら、今後この事業の実施の必要性等について少し慎重に検討しなければならないかな、こういうふうに思っている段階でございます。
#31
○小里委員 率直に申し上げまして、いままでの答弁では、なるほど頭も鋭敏で歯切れのいい答弁をいただいたのでありますが、この子牛生産奨励金についてはどうも歯切れが悪いような政務次官の説明でございまして、私はいささかがっかりいたしておるのでございますが、これは申し上げるまでもなく、私は単純な一つの次元でもってこの功罪を即断すべきではない性質の事業だ、かように思うのであります。
 その本質的な特徴としては、申し上げるまでもなく、繁殖用の素牛を購入いたしましてから三年たたなければ子牛の生産に至らないという、特殊な一つの命題を持った生産事業であります。ただ単純に、五十四年度前後における子牛のあるいは肉の価格の情勢で、農民に歓迎されましたこの素牛奨励事業を、万々そのようなことはないと思うのでございますが、お取りやめになるなんてなりますと、先ほども申し上げましたように、せっかく各地方で盛り上がりました和牛の生産振興意欲に著しい水をかけることになるのじゃないかという憂慮があってならないわけでなんです。ぜひひとつ何らかの方法で、原則的にはこの奨励事業は一貫してとり行う、せっかくここまで農林省初め関係団体の努力によってその行政効果を上げてまいりました、また生産農民に歓迎されてまいりました事業でありますから、ぜひひとつこの問題には取り組んでいただきたい、前向きで継続して取り組んでいただきたい、かように思うのですが、政務次官、いかがでございましょうか、もう一回御説明いただきたいと思います。
#32
○近藤(鉄)政府委員 小里先生のお話、よくわかりますし、一頭の肉牛、特に和牛が成牛になりますまでにはなかなか時間のかかることでございますから、そう目先目先のことにとらわれてはならない、こういうお話だと考えます。それは十分にわかります。
 ただ、先ほどもちょっと申しましたように、あの段階の状況と現在とは、値段一つ考えても相当違っているので、少し検討したらどうだ、こういう御意見も私たちのところにいろいろ入ってまいりますので、そういう御意見もございますから、いろいろな角度からひとつ慎重に検討してみなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。
#33
○小里委員 かなり前向きのお気持ちをお聞かせいただきましたので、ぜひひとつこの問題には、政務次官、大臣ともよく御相談いただきまして、農水省の事務当局の知恵もぜひその方向でしぼるというか、集約をしていただきますよう、強く要請申し上げておきます。
 次に、時間もないようでございますから、酪農問題についてお尋ね申し上げます。
 それこそ、酪農の命運をかけて強力に展開してまいられました生産調整、言葉をかえて言いますと、自主的な計画生産運動は、御案内のとおり、単年度需給均衡の目標達成もほぼ確実になり、さらに五十五年度も実施を予定しておられるようでもありますが、この成果を政務次官はどういうふうに評価なさいますか。本当に生産農民が、酪農家が自主的な生産計画をやるということのその実態を、農政の一つの基本姿勢としてまたどういうふうに感じておいでになるか、簡単でよろしゅうございますが、お聞かせいただきたいと思います。
#34
○近藤(鉄)政府委員 酪農につきましては、これも生産者農民の御努力によりましてその生産は伸びておりますが、同時に、需要が私たちが予想したほどは実は伸びていないわけであります。
 私は、諸外国との比較において考えてみましても、将来にわたって今後牛乳及び乳製品の需要は伸びていくと思いますので、したがって、将来においてはその増産をしていただく必要があると思うわけでありますが、ただ、当面の需給のギャップがございまして、それが御案内のような乳製品の過剰在庫というような形になっておるわけでございますので、そういうことを踏まえて、短期的な措置としては、ある程度需要に見合った生産の調整をお願いいたしたい、こういうことでございます。
#35
○小里委員 先ほど申し上げましたように、このような、本当に農民は自分の足を切るような気持ちで生産調整をやっておるのです。事実きのうなども、地方の酪農家の団体の価格要請の集会に出ましたが、ある国会議員がその生産農家に質問をしておられました。生産調整、あなたの県のAクラスの酪農家は何頭削減したのか、こういう質問をしておりました。ところが、生産農家はそれに答えていわく、頭数は削減をいたしておりません、頭数までメスを入れるわけにはいきませんでした、こういうことなんです。それ以上はもう言わなくてもわかると思うのです。要するに、それならしぼった乳はどうしたかという問題なんです。恐らく子牛に飲ませたのでしょう。そういう惨めなほどの生産調整の実態というものは、私は、食糧政策を安定的に貫いて施行していくという基本から言いますと、これは見方によりましてはゆゆしい一面だとも思うわけなんです。
 そのようなことから考えてまいりまして、ただいま政務次官の答弁の中にもありましたように、過削在庫の問題であります。私は、この過剰在庫の圧力というものをなくするということが、これはもう一番大事なことだろうと思うのであります。この過剰在庫の圧力を払拭するために一体どのような措置をとっておいでになるのか、また、これからの対応策を、簡潔でよろしゅうございますが、お聞かせいただきたいと思います。
#36
○近藤(鉄)政府委員 実は過剰在庫の対策といたしまして、最近も国産脱脂粉乳約一万トン余りを、飼料用もしくは学校給食用として使っていただけるように関係方面に御協力をお願いをしてまいったところでございます。
 ただ、御案内のように、これは価格問題がございまして、輸入いたしますとトン当たり十五万円ぐらいのものが国産はトン当たり四十万円いたしますので、政府としてお願いをしておりますが、その辺について、いろいろお使いいただく方々の御協力もないとできないという問題がございます。
 一方、いわゆる乳製品市況の安定を図るために、実はごく最近でございますが、この三月二十五日に、民間在庫となっておりますバター五千トン、脱脂粉乳二万トンにつきまして、五十五年四月から一年間、その保管に要する費用、金利、倉敷料でございますが、これを畜産振興事業団が助成する措置をとってございます。また、昨年十二月以来、生乳及び国産の乳製品、カゼインとか乳糖とかそういったものでございますが、それをよりよけい使っていただけるように、たとえば菓子業者とかそういった乳製品の実需者の方々に対してお願いをしております。
 しかし、こういうことをやっておりましても、やはり最終的には何といっても消費の大宗が飲用牛乳でございますから、この飲用牛乳の消費拡大、そして片っ方で生乳の自主的な計画生産、これもあわせていただかないと、なかなか過剰在庫の処理だけでは問題も最終的な解決にならない、こういうふうに私たちは考えております。
#37
○小里委員 次に、時間もありませんから、飼料価格につきまして端的に二点だけお伺いいたします。
 現行九千六百円の補てんが行われておりますが、仄聞するところによりますと、七月ごろからはややもすると農家の直接負担となるのではないか、かような心配がなされておるところでございます。そこで、二点だけお伺い申し上げます。
 その一つは、このような異常補てんの発動が、まかり間違いまして必要なときには即時に臨機応変の対応措置がとられるように、きちんと準備がなされるべきであると思うし、またそうされておると思うのでございますが、そのことについてが一つ。
 もう一つは、昭和五十四年度の政府方針の決定、これによりまして、いわゆる年次でその年次計画が立てられるべきであるし、また、その計画を立てて即時に正計画の着実な実施を措置せられるべきであると思うのでございますが、その辺についてお聞かせを願います。
#38
○井上説明員 配合飼料の補てんの問題についての御質問でございます。
 まず、前提といたしまして、昭和五十五年度の配合飼料価格がどのように推移をしていくのかというのが問題であろうかと思います。配合飼料価格は、御案内のとおり主要な穀物価格、円レートの動向あるいはフレート等、そういう各要素によりまして配合飼料価格が決まってくるわけでございますが、現時点におきましては、なかなか確定的なことは申し上げられないわけでございまして、ごく最近時点のいまの価格、こういうものが今後とも続くという前提に立たざるを得ないわけでございます。ただいままでのところ、円レート若干変動しております。また飼料穀物価格等も変動しておりますけれども、まずまずいまの価格水準が大きく動くようなそういった動きはないものとわれわれは見通しておるわけでございます。
 そこで、補てんの方をどうするかということでございますが、この四−六月につきましてはすでに補てんの金額が決定したわけでございますが、七月以降の問題につきましては、農家の負担が急激にふえないように、その点十分業界の方の指導をしていくことはもちろんでございますけれども、政府の方といたしましても、昭和五十五年度に四十五億円の異常補てん金の積み立てを予定しているところでございまして、わが方としても、今後ともそういう造成については努力をしていく、そういう考えでございます。
 それからもう一つは、計画的にそういう異常補てん金を造成すべきではないかというお尋ねでございますが、われわれといたしましては、昭和五十七年度を目標にいたしまして千二百億円を造成するという目的で、毎年計画的に補てん金の積み立てを行っている、そういうような状況でございます。
#39
○小里委員 もうぼつぼつ時間も参ったようでございますが、最後に、久方ぶりに繭の増産がなされました五十四年産、御承知のとおりであります。まず、昨年六月以降糸価の低迷が続いているのでありますが、農水省としては、この原因はどういうふうに判断なさっておられるのかということが一つであります。
 もう一つは、せっかくの繭増産も糸価の低迷によって水を差された感があるのでございますが、養蚕振興を今後どのように進めていかれるおつもりなのか、以上二点だけお伺いいたしたいと思います。ほかに、それこそ価格の決定をめぐってお尋ね申し上げるべく質問を準備しておりましたけれども、時間が参りましたので、以上二点だけお尋ね申し上げます。
#40
○二瓶政府委員 まず第一点の、糸価低迷の原因でございますけれども、五十三年度、蚕糸繭業界は比較的好況に推移した年でありましたが、五十四年度は低迷をいたしております。これの原因といたしましては、やはり一番大きなものは絹織物の末端消費の伸び悩み、これが一番基本的であろうと思います。その他のこともつけ加えますと、前年度在庫の食いつぶし等によりまして生糸消費が減っている。さらに絹織物の在庫増というものがある。それからまた、絹織物の卸商等の信用不安、これは京都の室町の卸商等の関係でございますが、そういう問題、あるいは金利高騰による先行き不安等ということもあろうかと思っております。
    〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
 それから第二点の、養蚕振興の進め方の問題でございます。ただいま先生からお話がございましたように、五十四年の繭生産八万一千トンということで久方ぶりに増産になったわけでございます。今後どう進めていくかということでございますが、養蚕につきましては、農山村なり畑作地帯におきます土地利用型農業ということではやはり重要な複合経営作物の一つでございます。そういうことで非常に農家経済にも大きく寄与しているわけでございます。したがいまして、今後とも桑園の改良整備なり養蚕の近代化を推進していくということで、二戸当たりの養蚕経営規模の拡大なりあるいは生産性の向上というものを図りまして、より収益性の高い養蚕農家の育成、こういうものを図りつつ、全体的にも養蚕の振興ということが実現しますよう積極的に対処してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
#41
○小里委員 政務次官以下関係局長さんたち、どうも御答弁ありがとうございました。
 これで終わります。
#42
○内海委員長 この際、午後一時から再開することとし、暫時休憩いたします。
    午後零時十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時六分開議
#43
○内海委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。新村源雄君。
#44
○新村(源)委員 いよいよ昭和五十五年度の農畜産物価格のはしりとも言うべき畜産物価格並びに原料乳価の決定を目前に控えておるわけでございます。すでに次官も御案内のように、北海道を主として畜産主産県の多くの農民団体あるいは農民組織あるいは自治体等の方々が、それぞれ要請書を携えて、非常に厳しい情勢を訴えながら、これから決定される畜産物価格の方向を見守っておるわけでございます。
 そこで、これらの多くの要請書を見てまいりますと、まず第一点に挙げておりますのは、いずれも、外国の農畜産物の膨大な輸入によって国内の農業が非常に圧迫をされておる、そしてこの輸入規制という問題を第一番に挙げてきておるわけでございます。したがって、いまの日本の農業を論ずる場合には、外国の農畜産物とのかかわり合いをきちっと整理をしなければ、日本の農業の将来は安定し得ないということが明らかになっておるわけでございます。政務次官、こういう点についてどのように理解をされ、これからどう進めていかれようとしておるか、まずお伺いしたいと思います。
#45
○近藤(鉄)政府委員 農畜産物につきましては、その生産は、いろいろな条件、それぞれの国の地勢から気候風土、環境条件、また社会的ないろいろな仕組み、そういったもろもろのものが重なって決まることでございます。したがいまして、いわゆる国際分業論、自由貿易論に基づいて、安いものを求めて国内で消費するというような単純なことではいけないので、何といっても国民生活にとって非常に大事な食糧でございますから、原則としてあくまでも、できるものは国内で生産するという基本的な態度でなければならないと私たちは考えております。したがいまして、できるものは国内生産するという基本的な姿勢に立って、なお足りないものは外国からの輸入に仰ぐことになるわけでございますので、国内の需要供給の動向を踏まえて、仮に輸入によらなければならないにしても、国内の農林水産業の健全な発展を阻害するようなことは絶対に避けよう、率直に言って、当面は場合によってはそう生産性が高くなくても、将来需要が期待され、そして生産が期待される分野については、むしろ積極的に国内のその種の農業生産を促進していく、こういう姿勢であらなければならないというふうに考えている次第でございます。
#46
○新村(源)委員 いままでのこの経過を見てまいりますと、たとえば穀類におきましては、飼料用穀物等も含めて二千五百万トン以上も輸入されている、あるいはまたミカンを見ましても、肉畜、−酪農を見ましても、現実として膨大な量が国内の農業を圧迫し続けているわけです。したがって、どうしても日本の農業としては、いま次官のおっしゃったように、国内において可能な限り自給をしていくんだ、こういう原則に立てば、いま外国から入ってくるそういうものをどこかでいわゆる計画的にチェックをする、そういうところがなければ、いつまでも農業が圧迫されて、そのために国内の農家というのはもう離農のやむなきに至る、あるいはどうしても兼業をしていかなければならない、こういう状態に追い込まれるわけです。したがって、そういうことは言葉だけではなくて具体的にどういうようにして輸入をチェックするんだ、こういうことについてどうお考えになっておりますか。
#47
○近藤(鉄)政府委員 御指摘がございましたように、たとえば穀物におきましても二千五百万トンも輸入しているじゃないかというお話でございます。ただ、率直に言って、輸入している穀物の一つは小麦であり、一つは大麦その他飼料作物でございますけれども、穀物につきましては、国民の需要がそういう小麦製品に相当向かっておりますので、これに対して国内の生産が足りない分を輸入せざるを得ない。また、飼料農作物につきましては、これも最近の畜産の伸展に並行いたしまして相当膨大な需要が国内的にある、そこでやはり国内的に需要があるからある程度やむを得ず輸入をしておるわけでございます。
 しかし、方向としては、御案内のように最近の水田再編対策なんかでもその方針を持っているわけでございますが、小麦につきましても、また飼料農作物にいたしましても、ある程度国が助成して生産するというかっこうで、できるだけ国内農産物に頼る割合をふやしていく、こういうことでございます。
#48
○新村(源)委員 次官、私の申し上げているのは、足りないものは国民生活を守るという観点からどうしても輸入しなければならないわけです。ところが、そうではなくて、国内で生産されるものを圧迫するくらい膨大な量が入ってくるところに問題があるわけです。したがって、国内の農業を圧迫させないように、このチェックの方法というのは農林省としては今後どう考えていくか、農業再生産と農民の生活を守るという観点からどういうようにしていくか、現実にいまそういう問題があらゆる作目の上であらわれているわけです。ですから、どうしていくかということをお伺いしているわけです。
#49
○近藤(鉄)政府委員 当面具体的にいろいろ御審議いただいております畜産物について申し上げますと、たとえば、国内の養豚を今後育成していくために、輸入につきましては御案内の差額関税制度をとっておりますので、少なくとも外国から入ってまいります豚肉は、国内のいわゆる安定価格帯の真ん中の価格以下では入らない形になっておるわけであります。また、牛肉につきましては、これは割り当て制度をとっておりますので、国内の需給の動向を見ながら足りない分を割り当ての中へ取り込んでいく、こういうことでありますし、また、これもいろいろ御審議いただいております牛乳につきましては、バター等については一元輸入しておりますし、いま入ってきております脱脂粉乳とかナチュラルチーズにつきましては、国内的な価格と輸入価格と相当差がございまして、まだ国内的に相当規模の程度の使用量の脱脂粉乳だとかナチュラルチーズを生産する体制にない、そういうことでやむを得ず輸入をしている、こういう状況でございますので、一つ一つの農産物につきまして慎重に考えながら、国内の農業生産にいささかも影響を与えるようなことのないようにこれまでもいろいろな措置を講じてまいったと思います。
#50
○新村(源)委員 どうも次官と私の意見とは多少食い違っているわけですが、私がいま言っているのは、もうすでに次官のおっしゃるようなそれぞれの措置をやってみても、ことに酪農乳製品についてはそういう状態ではなくて、いま国内で大体九百万トン近い需要がありながら、国内生産が六百四十万トン程度というところで、バター、脱粉等が大幅に滞貨をしている、そういうことがことしの価格あるいは限度数量にも大きく影響しようとしている。すなわち、国内農業をそういう点から圧迫をしている。
 ですから、そういうことについて、たとえばこの前も私が要求をしたわけでございますけれども、いま農民団体等では、国内の生産を中心にして不足分は外国から輸入をするという総合需給表をつくってくれ、そしてそういう計画に基づいて輸入をする、あるいはこの中には自由化品目等がありますが、そういうものについては適切な行政指導を加えながらその計画を遂行していく、こういう輸入乳製品も含めた需給調整表をつくれ、こう言っておるわけですが、この点についてはどうですか。
#51
○近藤(鉄)政府委員 先生の御質問につきましては、実は前にも私たちはお答えしておりますけれども、結局、乳製品に限って申しますと、現在日本で輸入しております乳製品は、ほとんど国内的には生産していないものといいますと、価格の面で、たとえば脱脂粉乳などは国内価格トン当たり四十万円に対して輸入が十五万という相当な差がございますが、えさ用の脱脂粉乳などは国内では一応経済的にはとても採算が合わない、こういうものを輸入しておりますし、また、これまた輸入の大宗を占めますところのナチュラルチーズにいたしましても、これを国内でつくります場合と輸入してまいります場合と、少なくとも三分の一から半分ぐらいの値段の格差がある。したがいまして、一応これはこれとして別におきまして、国内で生産できる牛乳が、具体的にはたとえば生乳として、市乳として幾ら、あと加工原料として幾ら、そういう形で国内で生産できる牛乳をどういう形で消費するかということについての詰めをすることがまず大事であって、そして外国から幾ら入ってきてというのは、国内的な市場と別に、少なくとも残が現在あるわけでございますから、それはそれとしてまたいろいろ詰めを図っていく、こういうことが現実的な施策ではないか、こういうことで総合的な表をつくっての議論というのをこれまでやってこなかったわけでございます。
#52
○新村(源)委員 次官の御意見を聞いていると、用途によって安く輸入ができるというものは仕方がないのだ、財政上やる考えはないということです。だから仕方がないのだ、こういう考え方に立たれるわけですね。安いものが入ってくるのであれば、これは国内で幾ら国内の乳製品と競合してもやむを得ないのだ、こういう考え方に立っておられるのですか。
#53
○近藤(鉄)政府委員 現実に、安い脱脂粉乳を飼料として国内の農家の方々が必要とされる、また安いナチュラルチーズを国内の消費者が需要されるということであるとすれば、いま私たちが政策として考えなければならないのは、安い脱脂粉乳ができるための条件をつくっていく、またナチュラルチーズも安いナチュラルチーズができるような条件をつくっていく、こういうことに積極的に取り組まなければならないし、現実に取り組んでまいったつもりでございますが、それが達成できる前に、高くてもいいからひとつ消費者に使ってもらいたいということについては、いろいろな状況がございまして、私たちとしては慎重にならざるを得ない、こういうことでございます。
#54
○新村(源)委員 私の調査したところによりますと、脱粉が国内で一トン約五十万円、ところが輸入されてくるものは大体二十万円そこそこだ。しかし、いろいろ調べますと、これは、そういう輸出国では大体二十一万円程度の補給金を出している、そして輸出をしてくる、いわゆるダンピング輸出をしているわけです。そういうものと、国内の正常な価格というものは対抗できるわけはないですね。それを、仕方がないのだという基本的な姿勢であっては、私はいつまでたっても――もし酪農主要国においてそういう乳製品が余った場合には、常に日本の酪農民がそのことによって手痛い打撃を受ける。こういうことでは、安定をしてこれから拡大生産をしていく道というのは閉ざされてくると思うのです。ですから、そういうものに対するところの措置を政策上明確に打ち出しておかなければ、日本の酪農の安定した発展はあり得ないと私は思うのですが、そういう点ではどうなんですか。
#55
○井上説明員 お答えいたします。
 酪農品についての国際貿易の中で、輸出国が補助金をつけましていわゆるダンピング輸出等をしている例があるのじゃないか、これに振り回されて日本に乳製品が輸入されているのではないかという御指摘でございます。確かにECにつきましてはそういうことが言われているわけでございますが、なかなかその実態がつかめない状況でございます。ただ、ECの方はそのようであるにいたしましても、主要な乳製品輸出国といたしましてはニュージーランドとか豪州があるわけでございまして、こういった国は輸出補助金なしに非常な低コストで輸出をしているというような現状でございます。そういった主要な輸出国との関連におきまして恐らくECも輸出補助金を決めているのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。
 確かに、ダンピング輸出というのは輸出国にとっても経済負担でありますが、同時に、輸入国にとっても非常に迷惑な問題でございます。この点につきまして、先般MTNの場におきまして、そういう安値での輸出を自粛するというようなことが検討されておりまして、相互に関係国で監視をする、こういうような体制が整ってきたわけでございます。そういう中におきまして、わが国といたしましても、輸入品の価格の動向について十分監視をしてまいるつもりでございます。
#56
○新村(源)委員 国際乳製品市場というものは、そういうようにそれぞれの国の事情によって非常に違うわけですね。しかし、いずれにしても、そういう違った状況の中でできるだけ安いものが入ってくるということは、これはもう現実の問題なんです。ですから、先ほどから申し上げておるように、国内の酪農を守ろうということであれば、そういうものに対応するところの施策をきちっとつくって、そして総合需給表によって国内の生産を伸ばしていく、こういうことはなぜとれないのですか。
#57
○近藤(鉄)政府委員 繰り返し申しますように、現在の段階で輸入しております乳製品は、脱粉にしてもナチュラルチーズにしても非常な価格差がございますから、その価格差を度外視して単純に需給バランスをとろうとしても、現実問題としてなかなか実行不可能である、こういうことだと思うわけであります。したがいまして、たとえばナチュラルチーズにつきまして、倍半も違うわけでありますから、具体的にナチュラルチーズならナチュラルチーズをとりまして、現在も八、九万トン入っているわけでございますから、これを具体的に国産のナチュラルチーズに代替するためにはどういう措置を講じたらいいかということについて、ケース・バイ・ケースで個別に詰めることは非常に意味があるわけでありますし、そういうことで私たちも検討しておりますが、ただ、両側にバランスをとりまして、これだけ入っているからこれだけという形の議論は、どうもそれほど実り多いものでないのじゃないか。具体的問題についてどうしたら国内の乳製品で代替できるか、そちらについての実際的な考慮をいろいろ払うことがより効果的だということではないか、こういうふうに考えておるわけであります。
#58
○新村(源)委員 次官のおっしゃるように、総合的にできない、二本立てでやっていかなきゃならぬということについては、これはどうしても理解できないわけです。これはもちろんナチュラルチーズのように、国産でまだ十分対応できない、こういうものについては私はやむを得ぬと思うのです。たとえば脱粉あたりは、問題は価格差だけを解消すれば十分対応することができる、こういうものについては、国内で生産されるものと輸入されるものと一定の割合で抱き合わせてでも、そしてそれが直接消費者に響かないような形で、多少の財政負担は伴うかもしれないけれども、そういうところまでも一歩踏み込んでやることはどうしてできないのですか。
#59
○近藤(鉄)政府委員 脱粉につきましては、御案内のようにそのほとんどが飼料用の脱粉でございますので、これと国内生産の脱粉と競争させることは、私は実際問題むずかしいと思うわけであります。ただ、飲料用の脱粉につきましては、ほとんど国産の脱粉を使いまして、これをいろいろな方々に広く利用していただいておるわけでありますから、先ほど来申しておりますように、飼料用脱粉とかナチュラルチーズとか相当価格差があって、いわば違った商品分野だと言ってもいいくらいのものでございます。繰り返し申しますが、全部一律にしてどうこうする議論よりも、個々の議論の方がよりフルーツフルではないか、こういうことと考えておるわけであります。
#60
○新村(源)委員 いま次官のおっしゃいました学校給食用の脱粉は国内の脱粉に置きかえている、こういう御発言ですけれども、私が農林省からもらった資料ではそうはなっていませんね。昭和四十二年以降四十四年まで、四十二年と四十三年は多少量は減っていますけれども、四十三年対四十四年ではむしろふえていっている、こういうことになっているわけです。ですから、これはあくまでも、先ほど次官のおっしゃっているように、輸入は輸入建てだ、国内は国内建てだ、こういうことでは、私が先ほども申し上げましたように、どうしても総合的な需給対策というものはできないのでしょう。できないところにいまの問題が発生しているのでしょう。ですから、そういうものを両方くっつけてみて、輸入と国内生産との間のここにこういう問題があるから政策的にどうしていこう、そこに私は初めて政策が生まれてくると思うのです。あくまでも二本立てにしていくということについては、これはどうしても納得できないのです。
#61
○井上説明員 先生の御指摘は、牛乳、乳製品全体についての需給表をつくりまして、その中で国内でまずこれだけを生産する、残りは輸入であるということをはっきりさせろという御指摘でございまして、われわれ十分理解するわけでございますが、ただ、ただいま政務次官がお答えいたしましたように、現在IQで入っております飼料用の脱粉でありますとか、あるいは学校給食用の脱粉といいますのは、安い価格で入れるということが目的になっております。そのためにこういった過剰状況の中でも入れているわけでございまして、なかなかこういったものに、国産の価格がかなり高いわけでございます、そういう脱粉が置きかわることはむずかしいわけでございまして、どうも需給計画を輸入品を含めましてつくりまして、それを基礎に国内の生産なりあるいは限度数量を設定をしていくということは、かなり無理があるのじゃないかというように考えておるわけでございます。
 そういうことで、当面われわれとしてもできることはやっていくということでございまして、確かに五十二、五十三年度につきましては、飼料用脱粉等については全部輸入で賄ったわけでございます。ただ、最近の乳製品の需給状況を勘案いたしまして、五十四年度の下期につきましては、たとえば飼料用脱粉五万トンを割り当てましたけれども、同時に国産の脱粉を約一万トン引き取ってもらうとか、あるいは学校給食用の脱粉、これは五十四年度下期に三千トン割り当てたわけでございます。それから福祉用の脱粉二千三百トンを割り当てておりますが、これらにつきましても合計いたしまして八百六十トンの国産の脱粉を引き取ってもらうということにしたわけでございます。なかなかこういった種類のものにつきましては、国産の高い脱粉を引き取るということは非常に問題でございますが、現在の需給状況を十分説明をいたしまして、引き取り方に了解を得た上でこういうことをやったわけでございます。
#62
○新村(源)委員 いま政務次官おっしゃったように、そういう対策を、やはり国内でどんどん余ってくれば、国内のいわゆる酪農家に価格と限度数量でうんと無理をかけていくか、あるいはいま審議官おっしゃったように、何かの形で対策をしていかなければ、この問題は解決できないわけでしょう。ですから、それを私は、前もってそういう一つの方向をつくり得ないか、政策をもう一回前に向けられないか、こういう要求をしているのですよ。
#63
○近藤(鉄)政府委員 これからの乳製品の需要が拡大を予想される分野は、先生も御案内のようにナチュラルチーズだと思うわけでございます。チーズの需要はどんどん伸びておりますので、特にフレッシュタイプのチーズが伸びておる、そういうことでありますから、私は、今後日本の酪農を伸ばしていくために一つの大きな市場分野がチーズの生産だ、かように考えておりますので、一応国際的に競争できるような形で日本でチーズが国産化できないか、そういうものを内々いろいろ検討もさせているわけでございます。
 ただ、いままで申しましたように、それはあくまでも一つの具体的な問題に取り組んで、何とかそういう分野を国産でできないかということを検討をしているわけでありますが、一覧表をつくっても、それはただ表をつくっただけに終わってしまうのではないか、こういうことで、あえて総合需給表をつくらないで、個別の問題に取り組んで解決を図っていく、こういうことをこれまでやってまいったわけであります。
#64
○新村(源)委員 そうすれば、総合需給計画というものは、いまの段階ではどうしてもできない、こういうことですか。
#65
○近藤(鉄)政府委員 卒直に申しまして、一覧表をつくることはそうむずかしいことじゃございませんけれども、ただ、それで安易に、これだけナチュラルチーズがあるから、脱脂粉乳があるから、したがって、こっちは生産が上がって余るからこれをぶつければ過剰はなくなる、そういう形の議論になってしまうということを、実は私たち恐れておりまして、むしろ具体的な問題について具体的な措置を講ずることの方が、より実りの多いことではないか、こういうことでございます。
#66
○新村(源)委員 いまの政策はきわめて単純な方法でやっておるわけです。いわゆる輸入ものは輸入もので安いから入れてくる。そして、国内で生産されてきたものは、余ってくれば生産調整をしなさい、枠を少なくしますよ、こういう単純な方向で、しかも、それを全部生産農民にかぶせていっているわけですね。こんなことで国内の酪農というのは理論的に成り立っていくと考えておられますか。
#67
○近藤(鉄)政府委員 実は酪農に限らず、私はこれからの日本の農業を考える場合に、一つ大きな需要開拓分野は、従来輸入品によって抑えられていた分野だと思うわけであります。先生おっしゃったように、たとえばえさはどうだ、小麦はどうだというお話がありますから、結局、従来そういう外国の農産物が占拠しておった市場を、それを一つずつ突っ込んでいって日本産の農産物で代替していくことが、日本における農産物市場の拡大の一つの方法だ、かように私は考えております。したがって、乳製品についてももちろんそのことは非常に重要なことであると考えております。ですから、脱脂粉乳も安い、ナチュラルチーズも安い、これでは日本の乳製品は全然太刀打ちできないから、日本は日本で別に考えるんだ、こういうことじゃなしに、いずれ脱脂粉乳やナチュラルチーズについても国産ができるような措置を、再三申しておりますように考えていかなければならないと思っておるわけでございます。
 ただ、単純な需給表では、そういう根本的な問題が表へ出ないでしまうことを恐れるので、個々の問題について取り組んでいきたい、こういうことを再三申し上げている次第でございます。
#68
○新村(源)委員 総合需給の問題につきましてはなかなか意見が一致しないわけです。私は、いまのようなやり方ではなくて、たとえばさっき申し上げましたように、あるいは農林省が昨年の暮れ発表したように、昭和六十五年までには九百六十万トンの牛乳、乳製品の需要が見込めるんだ、こういう面から言えば、いま六百四十万トン程度の生産ですから、酪農民というのは非常に意欲を持ってやっていけるわけです。ところが、その中にすでに二百五十万トンというシェアが外国の乳製品に食われてしまっている。そうすれば、あといまの状態がもし続いていくとすれば、六十五年までに輸入をこれで抑えていったとしても、たった五、六十万トンしか伸びていく幅というのはないわけですね。こういう状態では日本の酪農というものの将来性、ことに若い世代の人たちに希望を持たせることは私はできないと思うのです。ですから、先ほど大臣がおっしゃったように、国内で自給できるものはできるだけ自給をして、そして国内の農業の安定と発展を図っていくんだ、こういうような見地から見たならば、こういう総合需給、安いからというのではなくて、安いということであればそこに政策を適切に運用して、そして国内の酪農振興をどうしても図っていってもらわなければならぬ、このことを強く要望をいたします。
 これに関連をいたしまして、先ほどもちょっと申し上げましたが、こういう輸入乳製品をできるだけ少なくするために、これは学給用その他については国内産に転用していくことは当然ですが、飼料用等においてもある一定の割合を抱き合わせをしていくという考え方が生まれてきませんですか。
#69
○井上説明員 いま飼料用あるいは学給用等に使用されます脱粉については、安い価格で入るということが何としても必要でございます。安価な飼料を提供することによりまして畜産物価格を安定させていく、あるいは学校給食に安い脱粉を入れまして父兄負担を少なくしていくということになるわけでございます。そういうような事情にありますので、国内の脱粉の抱き合わせを一定割合で強制するのは非常にむずかしいことでございます。それなりの政策目的がありまして安い脱粉が輸入されてきているわけですので、やはり関係者の十分な理解のもとに国産脱粉をあわせて引きとってもらう、こういう努力が必要ではないかと思います。
#70
○新村(源)委員 さらに、先ほど次官が、これからの国内乳製品の成長部門としてナチュラルチーズということをおっしゃっていたのですが、先般、参考人の御意見をお伺いしたときに、このチーズ工場というのは非常に膨大な金がかかる。山本参考人の話では大体六、七十億はかかる、こう言っておるわけですね。農林水産省としても、チーズ国産化の推進の一環として、北海道の農協乳業あるいは四国乳業、これらにそれぞれ五億円と二億円だったかと思いますが、補助金を出していくことになっておるわけです。しかし、参考人の意見によりますと、膨大な施設費がかかる、それから、そこから生産されたものが直ちにいまの流通機構にうまく乗っけて売っていけるかどうかという危険性もある、こういうように言っているわけです。
 したがって、これらの両面を政策的に援助をするという形でないと、ナチュラルチーズの国産化はなかなかむずかしいと思うのです。国費をさらに大幅にふやして国産化を図ると同時に、流通機構、流通段階等にも適切な行政指導を行いながら、速やかにこれを達成することが望ましいと思うのですが、この点についてどうですか。
#71
○近藤(鉄)政府委員 現在六、七万トンのナチュラルチーズを輸入しているわけでございますが、これは一トンのナチュラルチーズをつくるためには、大体その十二、三倍ぐらいの生乳が要るということでございます。したがって、たとえば七万トンのナチュラルチーズを全部国産化すれば、大体八十万、九十万トンの生乳が要る、こういう計算になるわけでございます。ですから、二、三十万トン、若干余っておっても、切りかえれば十分に国内で消費できる、したがって過剰にならないわけでございます。
 最大の問題は、いまお話がございましたように、一つは値段の問題であり、一つは設備投資に膨大な金がかかる、これは参考人からお話があったとおりでございます。ただ、恐らく山本さんがあのときお話しになったのは、ハードなチーズのお話であったと思いますが、もうちょっとソフトなフレッシュチーズにつきましては、そんなに多額の金がかからなくても生産工場ができるというふうに考えておりまして、現に畜産振興事業団から、このようなクリームチーズ、カッテージチーズの生産については助成金を出して生産を推進しているわけであります。
 私は、ただ、参考人の御意見に反対するわけではありませんが、日本がこれからチーズをふやしていく場合に、ヨーロッパやアメリカなんかにおけるチーズの発展を考えますと、むしろ酪農家がある程度まとまってチーズをつくっていらっしゃる、そういうもっとローカルなチーズ生産地がたくさんあるわけです。ですから、五千トンのチーズをつくるためには、六十億、七十億という大きな金でなしに、もうちょっと分散化して、場合によっては各酪農組合体ごとにチーズをつくっていただけることができれば、もっともっと国内的なチーズの生産が可能になる。大きく何千トン、何万トンのチーズ工場になると何百億という金がかかりますから、いろいろな意味でなかなか簡単にやれませんけれども、もうちょっと細分化して、しかも国際競争力のあるフレッシュチーズをつくっていくということになれば、比較的これからやれる道はあるのではないかというふうに私は考えております。
    〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
#72
○新村(源)委員 チーズの国産化の方向に向けて、現在すでにそれぞれの農業団体から要望が出てきておるわけです。これらを積極的に受けとめて、ひとつ積極的な姿勢を示していこう、このように確認をしてよろしいですか。
#73
○近藤(鉄)政府委員 そういう方向で今後ナチュラルチーズの生産を助成してまいりたいと考えております。
 ただ、先ほどちょっと申しましたように、もう一つの問題は値段の問題でございまして、ある程度生乳の値段が安くならないと、つくった製品がそう簡単に市場にはけない、こういうこともございますので、酪農家の方々の御協力を得ながら、いわゆる生乳、加工原料乳価格、そしてそういうチーズについては何か別枠で供給していただけるようなことも実はお考えいただく必要があるのではないか、こう考えてもおります。
#74
○井上説明員 政務次官の御答弁を少し補足させていただきます。
 いまナチュラルチーズの中で要するにソフト系のチーズ、水分が五〇%以上の、ちょうどチーズと牛乳の中間的なものと御理解いただいていいと思うのですが、そういうものにつきましては、昨年、北海道あるいは愛媛に助成をしたところでございます。こういったものにつきましては、輸送コストの問題とかへ保存期間に限界があるということで、かなり競争力があるのではないかというぐあいに考えられているわけでありまして、当面こういったものからチーズの生産振興をやっていく考えでございます。
 それからハード系のチーズにつきましては、ただいま畜産振興事業団でチーズの研究会を開いております。メーカーからも生産者団体からも専門家に参加をいただきまして、いろいろな角度から検討しているわけでございます。
 問題は大きく分けまして三つあろうかと思います。一つは技術の問題です。チーズは非常に多種類のチーズがございます。それをどういうものをつくっていくのかという技術的な問題。それからもう一つは価格の問題でございます。どの程度のコストでできるのかという問題。それからもう一つ、これは恐らく一番大きなまたは重要な問題かと思いますが、チーズ工場をつくります場合に非常に大きな投資が要ることは御指摘のとおりでございまして、そのためには、チーズの原料乳が安定して出荷をされるという保証がないといけないわけでございます。そういった点をどうするかという問題もございます。生乳需給状況というのは年によって変わりますので、大体一定の量が出荷をされるという保証をどういうぐあいにしていくのかという問題もございまして、これは経営的な問題でありますと同時に、またそういう生産者団体の問題でもあるわけでございまして、そういった点についていま種々検討しているところでございます。いずれ結論が出ようかと思いますので、結論結果を踏まえまして、十分検討してまいりたいと思います。
#75
○新村(源)委員 それでは、以上の施策につきまして積極的に取り組んでいただくことを要望しまして、次に、ことしの原料乳の限度数量の問題です。
 これは次官すでにおわかりのように、昨年の暮れにあの大幅な水田の減反、さらにまた第三次酪農近代化計画の推進、こういうことで、米の減反や第三次計画と考え合わせて、どうしても畜産の伸びの受けざらがなければ農業全体の生産が停滞していくことは明らかなわけです。
 そこで、昨年百九十三万トンの限度数量を、今年はどうしても二百万トン以上にしてくれ、またそれだけ生産されていくのだ、こういうことなのですが、あす諮問される諮問の中に、そういうことを強く反映させる意思がありますか。
#76
○近藤(鉄)政府委員 まさにこの限度数量を含めまして、現在畜産振興審議会でいろいろ御検討願っているわけでございますが、先生のおっしゃるお気持ちもよくわかります。また同時に、御案内のように、乳製品の相当な過剰在庫のある状況でございますので、その過剰在庫をどういう形でことし消化していくかという問題もございますので、加工原料乳として国が買い入れる限度もその辺も十分に考えながら慎重に決定をしていかなければならないのではないか、こういう御意見もいまあるわけであります。
#77
○新村(源)委員 そうなってくるとまた議論が逆に戻ってしまうわけですが、九百万トンも需要があるわけでしょう。そうすれば、国内生産と外国ものとの差というのは価格の差だけになってきておるわけですね。全体のものではないですよ。そうすれば、価格政策さえやればできるわけでしょう。ですから、そういう点については、恐らくもう原案はでき上がってしまっておるわけですが、限度数量二百万トン以上ぜひとも確保する、こういうことでぜひとも進めていただきたい。
 次に、価格の問題でございますが、午前中いただいた生産費調査の中では、去年よりも一七円ばかり安くなると出ておるわけです。時間が余りないので詳しく申し上げられませんが、私も先ほどこの資料をずっと見てまいりまして、たとえば飼料の価格の取り方一つ見ただけでも、おととしの七月から去年の六月までですが、七月にすでに七千五百円の値上げがされておる。十二月にささら九千六百円値上げされておる。そういうようにいろんな面で、この飼料の原価の取り方をちらっと見ただけでも、これだけの矛盾が出てきておるわけです。したがって、明日諮問される乳価というのは、私はあれとは違った形のものが出てくるだろうと思うのです。
 さらにまた、この前も申し上げたわけですけれども、酪農主産地等の生産費調査を見てまいりますと、ことに北海道の農民団体が全搾乳牛を平均した搾乳量というものを基本にして、五人以上の製造業の全国の常用労賃を基本にしていけば、百二十六円なかったらやっていけない、どういうことも明らかになっておるわけです。したがって、明日諮問される価格の中には恐らく、はっきり申し上げてそんなに期待できるものはないような気がするわけですが、いま申し上げたような点についてどのように理解をされておりますか。
#78
○井上説明員 加工原料乳の保証価格の算定につきましては、加工原料乳の主要な生産地帯における再生産可能な乳価を保証する価格ということでございますので、昭和五十五年度におきましては、北海道地域における生産費を基準にいたしまして、最近のいろいろな諸情勢を織り込みまして、適正に算定をしておるところでございまして、明日畜産振興審議会の酪農部会に提出する予定でございます。
#79
○新村(源)委員 次に、飼料問題でございますが、これはただいま申し上げましたように、すでに昨年の七月と十二月に一万七千百円上がっておるわけです。しかも、これからも、この前の畜産局長の説明によりますと非常に不安定要素がある。そしていま保証価格が決められる。そういたしますと、その中で飼料の価格が大きく動いていくということになると、当然畜産経営というのはそういう点からの不安定さが生まれてくるわけです。したがって、飼料部会等でも提案されておりました通常基金、異常基金、この運用によってできるだけ価格を抑えていくということになっておるわけですが、あの中で見ますと、政府の出資が七十一億円となっているわけですね。あんな程度で、これから価格の変動が大きく予想される状態の中で対応していけるかどうか、そしてもし対応できなかった場合にどうするかということについて、お答えいただきたいと思います。
#80
○井上説明員 配合飼料安定基金につきましては、異常補てんのためのファンドとそれから通常の価格変動に対応しますための通常補てんのファンドと二つあるわけでございます。前者につきましては、畜産振興事業団も出資いたしまして民間団体と配合飼料供給安定機構というものをつくりまして、その機構を通して補てんをする仕組みになっております。後者につきましては、全農系あるいは商系それから専門農協糸と、この三つの系統についてそれぞれ配合飼料の安定基金がございまして、その機構を通して補てんをしているという仕組みでございます。
 最近の配合飼料価格の高騰に伴いまして、異常補てん、通常補てんともにいたしておるわけでございますが、最近のような状況が続きますと、かなり財源も減ってくるわけでございますが、なお、かなりの財源も残る見込みでございますので、こういった財源状況等も一にらみながら、また同時に配合飼料価格の今後の動向を見ながら、適切な農家負担が行われるように努力をしてまいりたい、かように考える次第でございます。
#81
○新村(源)委員 時間がなくなりましたので、特に政務次官に強く要望を申し上げておきますのは、先ほど申し上げましたように、酪農に大きな期待をかけて、そして一生懸命やってきた、そこに急ブレーキをかけられた、こういうことで、いま主要酪農地帯の農民の不安は極度に高まっておるわけです。したがって、こういう事態を十分認識をされて、ことしの限度数量並びに価格、あるいは先ほど申し上げましたように総合需給等の上から酪農製品の消費の円滑を図る、あるいは飼料問題、ナチュラルチーズに対する助成の問題、これらについて十分な誠意のある対応をしていただくことを、もう一度決意をお伺いして終わりたいと思います。
#82
○近藤(鉄)政府委員 日本の酪農は戦後に急速に発展した酪農でございますから、したがって、いろいろな面で欧米各国との間にハンディがあると思います。そのハンディを乗り越えながら日本の酪農農家の方々が努力してこられたわけでありますから、こういう努力が無にならないように、私たちもいま先生からお話があったいろいろなことについて十分考慮しながら、できるだけその適正な価格の決定に努力をしてまいりたい、さように考えております。
#83
○新村(源)委員 どうもありがとうございました。
#84
○山崎(平)委員長代理 芳賀貢君。
#85
○芳賀委員 本日は、午前中に、まず統計情報部長から昭和五十四年度の食肉生産費調査の結果についての報告並びに五十四年度の牛乳生産費調査の内容について概要の説明を受けまして、あわせて畜産局の井上審議官から――きょうちょうど並行的に三番町の農林省分庁舎において畜産振興審議会の食肉部会が開かれておりまして、この部会には食肉の価格に関する諮問をして審議が行われておるわけでございます。そういうことで、きょうは農林省においても分散方式ということになっておるので、当委員会にはごく優秀な政府関係者が出席して、あとは審議会会場に行っているというような状態でございますので、数は非常にりょうりょうとしていますけれども、どうかまじめな受けとめをして、明快な答弁とか説明をしてもらいたいと思います。
 そこで、まず五十四年度の生産費調査の内容についてでありますが、これはもちろん五十五年度の食肉や加工原料乳の価格算定上の基礎をなすものでございますから、この農林省の生産費調査と価格決定の算式の上で完全なつながりがなければいかないわけですね。従来農林省は自民党と共謀いたしまして、とにかくいかなる手段を用いても安くすればいいというようなことで、算定方式についてもいまだに疑点が解明されないというのが今日の状態であります。
 そこで、数年間かかりまして昨年ようやく統計情報部の生産費の資料の中に「利用上の注意」ということで、特に牛乳の生産費がどのような順序でどのような要素を使って算定されておるかということと、そのできた生産費というものを基礎にしてそれを加工原料乳の価格算定に使う場合、つまり三・二%換算ということでやっておるわけでありますが、その生産費から三・二%換算の算定に移る正確な経路というものが明らかになっていないと、単にこれは低乳価のためにやっているというような非難と疑惑が、国会の中においてもそうでありますし、全国の特に生産農民の間からも不信の声として巻き起こっておるわけでございます。
 そこで、まず念のために、午前中に柳井部長から説明がありましたが、この算定の順序について「利用上の注意」のところにある方程式に基づいて、この際畜産局にも政務次官にもわかるような説明をしてもらいたいと思います。
#86
○柳井説明員 お答え申し上げます。
 乳脂率三・二%換算の生産費を出しましたその計算の方式と申しますか、これについて申し上げますと、第二次生産費で搾乳牛一頭当たりの経費でございますが、四十六万五千百十九円、こういうことでございますが、一頭当たりの実搾乳量は五千百八十五キロ、こういうことでございまして、乳脂率が三・五一%、一頭当たりの乳脂肪量が百八十二キロ、こういうことでございますので、その百八十二キロを三・二%で除します。そうしますと三・二%換算の乳量が出るわけでございます。それが五千六百八十四キログラムでございまして、先ほど申し上げました搾乳牛一頭当たりの第二次生産費四十六万五千百十九円を三・二%換算乳量五千六百八十四キログラムで割って百倍いたしますと生乳百キログラム当たり三・二%換算の数字が出てまいるわけでございまして、それが八千百八十円、こういうことでございます。
#87
○芳賀委員 それでは私たちはわかるが、政務次官や井上審議官が果たしてよくわかっておるのか不安がありますので、私が能率的に整理して申し上げますから、そのとおりであればそうだ、違うならば違うということで答えてもらいたいと思います。
 そこで、この生産費調査の裏面の方に「利用上の注意」というところがありまして、その中でまず第一方程式としては、生乳百キログラム当たりの生産費は、一頭当たりの搾乳量を分母にして一頭当たりの生産費を分子にして、それに百を乗ずると百キロ当たりの第二次生産費が生ずることになっておるわけです。そこで一頭当たりの生産費というのは――加工原料乳の価格算定は、ことしで三年続きますけれども、畜産物価格安定法に基づく加工原料乳の価格算定は、法律において主要なる加工原料乳の生産地域における生産費ということになっておるわけです。現在では北海道以外の内地各府県は全部市乳地帯、飲用乳地域ということになっておるので、加工原料乳地域というのは北海道だけということになっておりますので、加工原料乳の保証価格を算定するということになれば、いやでもおうでも北海道における生産費、自家労賃については北海道における製造業の労賃を勘案して決めるということになっております。そこで、昨年から統計情報部長とも相談いたしまして、もちろん全国の生産費は公表されるわけでありますが、あわせて北海道における牛乳の生産費の調査結果というものを昨年も今年も提出してもらうことになっておるわけです。そこで、北海道につきましては、五十四年度の牛乳生産費は、搾乳牛一頭当たり四十七万三百八十円、実搾乳量が一頭平均で五千三百キロ、これを分子と分母に分けて百を乗じますと、これが幾らになるのですか、柳井さん。
#88
○柳井説明員 実搾乳量ベースで生乳百キログラム当たり第二次生産費は、北海道の場合には八千八百七十五円でございます。
#89
○芳賀委員 ですから、八千八百七十五円というのは、これは一キロに直しますと、一キロ当たりの第二次生産費が八十八円七十五銭ということになるわけです。これはあくまでも第二次生産費であり、五十四年度の生産費ですから、これを基礎にして五十五年の加工原料乳の推定生産費というものを算定して、明日当委員会並びに畜産振興審議会に試算として提出されるわけですが、これに対して、一年間の物価修正、それをどのように行うかという点と、この物価修正した百キロ当たりの生産費に第二次生産費以外の、つまり合算すべき租税公課並びに諸負担金、これは法律で許容されているものは合算する、それに生乳の集送乳経費、生産者の庭先から工場まで搬入する経費ですね、それから指定集荷団体等の取り扱い手数料、つまり租税公課、諸負担、集送乳経費、それから手数料というのは第二次生産費に合算して、そこで初めて保証価格というものが生まれるわけですから、その点は井上審議官に尋ねますが、実乳量でいくとこれはキロ当たり八十八円七十五銭、これに今回どの程度の修正、たとえば率にすれば何%でもいいですが、第二次生産費に対してどの程度の物価修正を行う、それに合算すべき諸経費が幾らになるというようなめどがついておれば、ここで述べてもらいたいと思います。
#90
○井上説明員 保証乳価を算定いたします場合に対象といたします牛乳でございますが、従来から脂肪率三・二%のものの価格を決めていたわけでございます。来年度におきましても、従来方針と同様に、そういった方針で考えてまいりたいと思います。したがいまして、統計情報部の調査の三一二%換算の生産費が基準になるわけでございます。そういう基準にいたしまして、最近時点の物価、これは従来昨年の十一月からことしの一月までの物賃指数を用いておりますが、原則的にそれを用いまして算定いたします。ただ、四月以降価格がはっきりしているものにつきましては、そういう価格を利用してまいるということでございまして、その数字につきましては現在鋭意検討中でございます。
#91
○芳賀委員 あしたを前にして、まだ物価修正率をどのぐらいにするかわからぬわけですね。それから租税公課とか算入すべき各経費は固まっていますか。
#92
○井上説明員 それを含めまして、現在鋭意詰め
 ている段階でございます。
#93
○芳賀委員 これは第二次生産費に足す分は別個
 にわかるはずですね。それもわからないですか。
#94
○井上説明員 算定の方法につきましては、租税公課につきましては従来方法を踏襲するわけでございますが、これにつきましても物価修正が要りますので、検討中でございます。
#95
○芳賀委員 それじゃ、これはあす再度農林委員会を開いて、あすの午前に政府の試算の結果についての報告をしてもらって、午後二時から農林大臣が出席して、そこで畜産物価格全体の詰めの質疑を行って、それが終わった後で委員会として畜産物価格に関する決議をする、そういう予定をわれわれ理事会としては立てておるわけです。
 そこで次に、井上審議官、それじゃ第一方程式の関係はいいですね、これは約束事で去年できておるわけだから。だから、あす委員会において提出する算定の内容については、まず搾乳牛一頭当たりの生産費が幾らであるか、これは当然出してもらわなければならぬわけですね。それから実搾乳量がどれだけであるか。これに対して乳脂肪率が幾らであるか。昨年のときは三・五九%、ことしは午前の報告だと三・六%ということになっていますから、実乳量に三・六%を乗じたものが、つまり乳脂肪量ということになるのですね。これはもう直しようがないので、北海道の一頭当たりの乳脂肪量が百九十キロ、だから三・二%に換算する場合は、この百九十キロの乳脂肪量を三・二で割れば、三・二換算の換算乳量の五千九百八十二キロということになるわけです。これはもう毎年出ておることですが、前段の大事なものが出ておらないのですよ。一頭当たりの生産費が、従来は金額が出ていないでしょう。それから、それによって実乳量で割った百キロ当たりあるいは一キロ当たりの実乳量生産費というものが全然表面に出てきていないですからね。統計資料の中にも、これはこの内容の生産概況の中を見ると載っておるのです。去年から載せることになっておるのです。そういうものを順序立てて、あす提出される価格算定資料にはちゃんと載せてもらわなければならぬ。毎年毎年同じような議論を繰り返して、お互いに頭にきて、けしからぬじゃないかというようなことを繰り返さぬように、きょうはまだわからぬというわけですから、あす委員会開会までにぜひこの点は明確にしてもらいたいということです。必要であれば、この点は委員会として資料要求という形で提出するようにかたく申しておきます。
 そこで、先ほど統計情報部長も言われましたが、北海道の生産費の場合、実乳量一キログラムの第二次生産費は八十八円七十五銭である。それから三・二%換算の第二次生産費は、乳量が五千九百八十二キロにふえるわけでありますから、それを使って計算をいたしますと、一キロ当たり七十八円六十三銭ということになるわけです。これは北海道の生産費調査の中に出てきている数字ですから、もう言わないでも出てくるわけです。そうしますと、計算方法によって、実際の乳量で算定したキロ八十八円七十五銭と、三・二%で換算したキロ当たりの生産費七十八円六十三銭では、比較いたしますとちょうど一キログラム当たりにして十円十二銭の差が出るわけです。これは物価修正はもちろんしてない。これに租税公課等の経費も合算する前の統計情報部の昭和五十四年度の生産費というものを使って計算した場合に、キロ当たり十円十二銭の開きが出る。なぜ開きが出るかというと、八十八円七十五銭の場合には、加工原料乳ですから乳脂率は三・六%ものは脂肪の量も多いわけなんです。だから、実乳量あるいは脂肪量から計算をすると、生産費としてキロ当たりにすれば八十八円七十五銭になる。それから三・二に薄めると、これは水増しをして薄めるわけだから、薄めた生乳の場合には脂肪率は三・二に低下しておるのだ。実乳量と比べると〇・四%の開きが出るわけですから、百九十キロの脂肪を生産するという場合は、三・二%の乳脂率の低い生乳の場合は、当然五千九百八十二キロ使わなければ百九十キロの脂肪量を回収することはできない、当然のことが出てくるわけです。
 そこで、私の明確にしておきたいのは、いまの加工原料乳の不足払い法の運用の中に、生産者に対しては保証乳価を決定して、昨年から現在まで期間内ですけれども、キロ当たり八十八円八十七銭。ところが指定団体が集荷をして乳業業者に配分をする場合は、この金額から事業団が支出する二十四円五十七銭の補給金を引いた残りの六十四円三十銭という非常に低廉な価格で乳業会社に提供をしておる。その場合の生乳の取引条件というものは、長年の慣習でありますけれども、三・二%の生乳というものを取引の基準にする、そういうことになっておるわけです。だから農林省が三・二%にわざわざ水増し換算をすることは、従来の慣行によるところの三・二%基準で生乳の取引をするために、三・二%の場合の取引の基準というものは価格上どうあらなければならないかということでわざわざ換算をしておるわけです。しかし、それだけを決めておけばいいというわけではないでしょう。実乳量で言えば十円十二銭高い三・六%の生乳は最高の乳脂率ではないでしょう。北海道における一年間に生産された生乳の平均乳脂率というものが三・六です。中には三・八というものもあるし、三・二というものもある。それを総平均したものが三・六%の平均乳脂率ということになるわけだから、実際問題としては、出荷される生乳の中に乳脂率三・二%などという乳は探してもほとんどないのですが、これを最低の取引上の基準ということにすれば、三・二%の生乳と実際の三・六%の生乳の場合においては、当然十円十二銭の格差というものが生ずるわけでしょう。だから、この格差というものは、取引上完全に適正に取引条件の中で運用されておるかというと、これが行われていないわけでしょう。だから、三・二%を決める場合はこの点の解明を、政府として保証価格とかあるいは取引基準価格を決める場合に、取引条件というものは、乳脂率格差というものはどうしなければならぬということを正確に算出して、農林大臣が畜産物の価格を決定してこれを告示するわけですから、告示の際にこれは価格あるいは条件の中にちゃんと明示して、それを基礎にして生産者あるいは集荷団体あるいは乳業業者等が相互に適正な取引ができるようにしなければならぬではないかということを毎年毎年指摘しておるわけです。その点、ことしはちゃんと改善してやる考えでおるかどうか、その点はどうですか。これもきょうは事務的な答弁でいいです、あした農林大臣に対して締めくくりの質問をするわけですから。
#96
○井上説明員 牛乳の取引基準につきましては、昭和七年以来三・二%基準ということで長い間取引してきているわけでございます。したがいまして、三・二%の乳価を決めまして、それから乳脂肪格差というものについて売り手と買い手双方が協議をして決めていく、こういうルールをとっているわけでございます。
 ただいまの御指摘は、乳脂肪格差についても一定の指導を農林省がすべきではないかという趣旨の御質問だと思いますけれども、この乳脂肪格差についてどういうような単価をつけていくのかということは、取引両当事者それぞれの思惑がございますし、また、地域的あるいは時期的な条件によっても違うわけでございまして、一律にこういう基準を決めていくのは非常にむずかしい実情でございます。われわれといたしましては、こういった点については、従来どおり取引両当事者の判断に任せた方が適当ではないだろうか、こういったように考えているわけでございます。
#97
○芳賀委員 それでは全然何もやってないのじゃないですか。これは何らのめどがなくてやれというのではないですよ。三・二%はわれわれが黙っていても毎年やっているし、またやるでしょう。ところが、もう一つ肝心の、実乳量による統計情報部の生産費のこれはイロハですけれども、まず第一方程式というものを使わなければ、三・二%の水増し換算はできないのですよ。第一方程式でやれば、当然実乳量ですから、三・六%の乳脂率の場合には一キロ当たり八十八円七十五銭になるというのはちゃんと出ているんだからね。そうすると、三・二%と三・六%のキロ当たりの価格というものは、これはわかっておるわけだから、そうでしょう、片っ方だけわかっておるというより両方これはわかっておるのだから、三・六と三・二の間には〇・四の乳脂率の差がある。従来も取引の場合には〇・一%当たり、三・二%を超えた分については〇・一%刻みに、これは二十年間の慣行ですけれども一円の加算をする。井上審議官言ったのは、これはもう二十七年くらい前のことでしょう。その昔から〇・一当たり一円ということになってきておる。二十年以上の経過の中に原料乳は三倍以上に上がっているわけです。ところが、乳脂率格差というものはそのまま据え置きになってきておるでしょう。そういう実態ですよ。全然いままでやっておらないというのではないのです。
 そこで、それでは十円十二銭の開きがある、〇・四%ですね。じゃ、〇・一%にすればこれは幾らになるのですか。
#98
○井上説明員 いま先生の言われました前提で計算いたしますと、〇・一%は二円五十三銭になります。
#99
○芳賀委員 これは簡単でしょう。皆さんだって暗算でやれるし、私の孫だってこれくらいのことは、じいちゃんこれは二円五十三銭になるよと、すぐ答えが出るのですよ。ですから、三・二%に換算した基準取引の生乳が第二次生産費で言えばキロ当たり七十八円六十三銭である。これに対して今度は三・三%の場合にはそれに二円五十三銭を加算する。三・四%の場合はまたそれに二円五十三銭を加算する。三・五%の場合にはさらにその上にまた二円五十三銭加算する。そうして平均乳脂率の三・六%の場合にはもう一回二円五十三銭を加算する。四回加算するとちょうど十円十二銭ということになるのですよ。そういう格差というものを正確に農林省が設定をして、これを基礎にして、生産者として生乳団体それから指定集荷団体と指定メーカー、乳業会社の間において、やはり計算が乳脂率によって計算されておるわけであるからして、取引も、加工原料乳とにかく六十四円三十銭という市乳原料の半値でこれは国の制度で供給しているわけですから、これを飲用乳に向け、膨大な不正利得を占めるというわけにはいかぬでしょう。いやでもおうでもこれは加工乳製品の原料として製造をしなければならぬということになれば、いままでのところはこれは乳脂肪率でやっているわけです。外国においては無脂固形分等もちゃんと評価をして、乳脂率並びに無脂固形分の一定率というものをちゃんと計算をして、これによって価格算定をやるというところまでいっている。この間畜産局から資料をもらいましたが、日本の中では山口県が乳脂率と無脂固形分の取引というものを苦心して基準を設定して、それによってやっている。それを見ても全国都道府県の中で、北海道が乳脂率においても無脂固形分においても最高の率を示しているわけです。こんないい牛乳を、北海道の米と同じように、まさか北海道の牛乳退治をやるなんということは考えてないでしょう。北海道の米はまずいから退治する。それじゃ逆をいけば、北海道の生乳というものは一番新鮮で味もいい、濃度もあるし風味もいい、世界に冠たるものだということになると、これを低乳価で退治するなんというわけにいかぬじゃないですか。いいですか、こういうちゃんとした三・二%基準で乳脂率取引でやるという考えが農林省の一貫した方針であれば、少なくとも〇・一%当たり二円五十三銭、少なくとも二円五十銭程度の格差というものをちゃんと設定してやるべきだと思うのですよ。
 これは他に例があるのですよ。すなわち、農産物価格安定法というのを昭和二十八年にわれわれが議員立法で制定しているわけです。この農安法の中の芋でん粉の価格というものは毎年十月に決める。でん粉原料のバレイショ、カンショについては、これは基準取引価格というものが決定されて告示されるわけです。その告示の際に、でん粉原料のバレイショ並びにカンショについてはその歩どまり基準というものを設けまして、バレイショの場合にはでん粉歩どまり一六・五%を基準とする。これで一トン当たりとか百キロあるいは六十キロ当たりの価格が決定して告示されるわけですね。それに付随して取引条件については一六・五%を基準にするが、これに対して、でん粉歩どまりが〇・五%下回るごとにトン当たりつまり千キロ四百五十円ずつ、千キロ四百五十円なら百キロということになれば四十五円、そういうことになるのですよ。〇・五刻みに百キロなら四十五円ずつ取引価格を引き下げることをちゃんと示してあるわけだ。昔からそういうものがあるのですよ。同じ農林省が決める価格決定の行政価格の場合にはちゃんと親切にうたってあるわけだ。
 ところが、この生乳取引の場合には、そういうことが必要だということがわかっておりながら目をつぶってやらないわけだ。やらないのであれば、実乳量による三・六%を、当然算出される価格というものを示して、これによって取引をしていった方がいいわけですね。こういう問題がある。いま初めて言ったのじゃない。毎年毎年ぼくは根気強くやっているわけですが、頑迷固陋というか、低乳価にこり固まっているというか、とにかく当然やるべきこと、やらなければならぬことが今日まで行われていない。しかも一方においては、限度数量は減さなければならぬとか、乳価については副産物収入である子牛の値段が倍以上に上がっているからこれは去年より下げてもいい、まさかそんなことはしないと思うが、そういうきらいが流れているわけだ。非常にこれは生産者も地方においても心配されるわけですからね。――もう時間ですか。三時から農林大臣と会見することになっている。まだ少しありますが、あとは資料要求の形で、必要なものはこれこれということを委員長を通じて農林省の方へ要求しますから、それをいまの質問事項とあわせてあすの開会までにぜひ取りそろえて提出してもらいたいと思いますが、その点はよろしいですか。
#100
○井上説明員 三・二%基準で取引をしているわけでございますが、その取引基準に対して〇・一%について幾らにするかという問題、これは非常にむずかしい問題でございます。でん粉等の事例をお引きになったわけでございますけれども、先生御指摘になりましたように、一方では脂肪率だけではなしに無脂固形分なんかも関係しているわけでございまして、そのほかに需給状況とかあるいは地域的な問題とか、出荷者あるいは乳業メーカー、それぞれ事情に応じて格差を決めて取引しているわけでございまして、その取引に直接介入しますような格差基準をつけていく、それでもって指導をしていく、こういうことは非常にむずかしい問題ではないかと思うわけでございます。
 それから、いま要求のございました資料等につきましては、後ほど取りそろえて御提出いたします。
#101
○芳賀委員 これは井上審議官、あなたの答弁のいかんにかかわらず、私の要求した資料だけはちゃんと整えて明日の委員会開会までに委員長を通じて提出してもらう、この点はいいですか。これはっきりいいとか、よければいい――いや、首を振っただけでなくてそこへ……。
#102
○井上説明員 御答弁申し上げたつもりでございますが、提出いたします。
#103
○山崎(平)委員長代理 武田一夫君。
#104
○武田委員 五十五年度の畜産物価格の決定がもう間もなくでございますが、畜産農家が安心して生産に励めるように、さらにまた日本の畜産振興のために、政府が前向きの努力をされることを期待しているわけでありますが、先日も私たちは党の農林部会としまして六項目にわたる申し入れをいたしまして、農家の皆様方の声が十分に価格の面に反映するようにと要請してまいりまして、大臣も精いっぱい努力をするというお話がございました。私は、そうした努力が農家の皆さん方の期待にこたえる、そういうものになるように望みながら若干質問をしたいと思うわけであります。
 まず最初に、一番関心はやはり生産農家の経営の安定という問題でございますが、そのことにつきましてはやはり価格の決定というのが非常な注目でございます。やはり畜産物の決定に当たりましては、畜産農家が再生産を確保できるという一つの大きな観点がございますし、また、畜産経営の将来が展望できるようなそうした配慮がなされなければならないということを考えますと、生産者団体から要求されている価格につきましては、政府としては十分にその価格の決定の中に取り入れるべきであろうということを強く要求するわけでありますが、政府の御見解をまず最初に伺いたい。政務次官にお願いしたいと思うのです。
#105
○近藤(鉄)政府委員 御指摘のとおり、今後畜産農家の経営の安定をしてまいりますためにはいろいろな施策が必要でございますが、その非常に重要な措置は価格の安定であり、そしてその価格が再生産を可能にするようなものに維持できるかどうか、こういうことだと思います。したがいまして、ただいま畜産振興審議会においていろいろ御審議を賜っておりますが、先ほども統計情報部の部長からも御説明いたしましたけれども、生産費の調査を十分踏まえながら、しかし、これはあくまでも過去のデータでございますので、それを最近時点まで引き伸ばしまして適正な価格の決定をこれからしてまいりたい、かように考えています。
#106
○武田委員 御承知のとおり、最近の原油の値上がり、これは生産資材の値上がりというふうにつながりまして、肥料あるいは農薬、配合飼料、特に飼料が昨年の七月ですか、今年の一月と合わせましてトン当たり一万六千五百円、こうした上昇がある。さらに配合飼料につきましては、私は、世界的な食糧需給の関係から非常に厳しいというふうに見た方がいいのじゃないか。さらにまたもう一つは、最近電力料金の値上げ、聞くところによると鉄鋼料金の値上げがこの後に続く等々、こうしたもろもろの値上げの要素があるわけですから、こういうものがやはり生産農家の家計を相当圧迫するのじゃないか。これはもう想像にかたくないわけであります。調べたところによりますと、これは新聞等でも報じられておりますが、農業生産資材の総合指数が五十三年度平均の一〇四・四%から五十四年の十二月に一一四・四%に急騰している。さらにまた、今年二月の卸売物価指数が年率換算で三六・一%、これは言うなれば四十九年の石油危機以来の大変な暴騰だ、こういうふうに思うわけです。
 ですから、こういうことを考えますと、農家の皆さん方が出してきた要求というのは相当覚悟したぎりぎりの線で要求しているのじゃないか。豚などを例にとりますと、かなりの過剰でもあるということも心に十分踏まえて相当吟味しての要求だと思いますし、恐らく農家の皆さん方、団体の皆さん方としても、これはもう一歩も引けないというぎりぎりの線だということを十分に認識して、生産農家の意欲を失わしめないような配慮を今回の価格決定においてはぜひお願いしたいと思うし、そうあるべきだと思うわけであります。そういう点の御配慮をいま政務次官の話の中から受け取ったわけでありますが、重ねてひとつよろしくお願いしたい、こう思うわけでございます。
 それで、私はいままでずっと見ていますと、過剰だから価格を抑制しようというような動きが、米の場合なんかもありますが、しかしながら、それだけで果たしていいものかどうかということを考えなくてはいけないという反面があるのじゃないか。たとえば米の場合なんか考えますと、要するに生産調整された分は増産をするという傾向があるわけです。いままで手を七分通りしか入れてなかったのを、八分通り、九分通りして収穫を上げている。過剰の一つの原因にはそうした原因も私はあると思います。ですから、豚なんか一つ例にとりましても、もし収入が、去年のように据え置き、あるいはもし万が一下がるというようなことがあれば、農家の方々の対応の仕方としては、その収入の減った分をでは数をふやしてそれで見合わせるだけのものを獲得しよう、そういう対応の仕方も考えなければならぬのじゃないか。これは政府にとっても大変なことになるのじゃないかと思いますので、そうした実情もよく考えた上での対応をしていただきたいと私は思うのですが、この点もどうでしょう。
#107
○近藤(鉄)政府委員 価格につきましていまいろいろなお話があったわけでありますが、一応農林統計で調べたものを基礎にいたしまして最近時点までの引き伸ばしをいたすわけでございますが、しからば、いま御指摘ございましたように、これからえさがどうなるか、これはなかなか確定できません。また、その他資材の高騰をどう見るか、これは議論のあるところでございますが、一応これまでのあり方としては、最近時点まで引き伸ばした形で価格を決めるかっこうになっておりますので、その後の問題につきましては、これは確かに御指摘の問題がございますけれども、一応従来とも最近時点まで伸ばした形で決めているということをまず御了解いただきたいわけであります。
 同時に、いわば需給調整が必要なんだが、その需給調整をするために価格だけでは逆効果もあるじゃないか、こういうような御指摘でございます。これも確かにおっしゃる面もよくわかりますので、実は私たちも、養豚につきましては、最近までも計画生産という形で生産者の方々また団体の方々の御協力を得ながら、ある程度計画的にこれを処理してくる。さらに調整保管も、従来は団体の方にお願いしておったわけでありますけれども、最近は御案内のように畜産振興事業団で融資をいたすというかっこうの調整保管もいたしました。そういう形で、価格だけじゃなしにいろんな方策を講じながら何とか需給調整をして、それが逆にかえって価格の安定をもたらすようにいろいろ努力してまいっている次第でございます。
#108
○武田委員 いままでのケースを見ておりますと、たとえば、五十四年の政策価格算定資料の政府試算と、農協の要求価格算定の生産費あるいは五十三年度農林水産省の生産費調査結果の三つを比較してみますと、いずれも低政策価格をねらいとした行き方をとっているように思えてならないわけです。たとえば政府試算は、農協の要求に比べまして二千円低くなっております。それから、五十二年度の生産費調査に比べても四千円弱低いのです。それから、内容別にそれを見ますと、労働費がいつも評価がされないと言って生産者の方方が非常に不満限りないわけでありますが、この労働費を見ましても、農協要求に比べまして千三十円、それから、飼料費が二千四百八十八円、素畜費が五十三年の生産費調査に比べ三千二百八十三円、さらに副産物が千七万三十円と、いずれも低いわけです。ですから、こういう決定の要素の中に、政府の豚肉の算定方式が需給実勢方式をとっている、これがいつも問題にされて、要するにわれわれの要求と反対の低い方向に農林省は価格を決めていくのでないかということを依然として根強く持っているわけです。こういう不信をぬぐい切れないようでは相ならぬと思うわけです。ですから、この実勢方式についてもいろいろと問題として提起されている、たとえば安定価格が、肉豚の生産費でなくていわゆる肉豚農家の販売価格過去五年間をとっているが、これは畜安法からいう再生産確保ということにはならないのじゃないかという、要するに農家が自家労賃を犠牲にして肉豚を販売している例が多いということを政府当局はどのようにとっているのかという不安と不信があるわけです。また、過去五カ年の肉豚農家販売価格の平均を求めるのに、農家販売価格の実際値を、枝肉卸価格の安定価格を、肉豚農家販売価格に置きかえて修正価格としているというように、低くなっているじゃないか。そしてもう一つ、決定年の推定生産費の計算の仕方が、基準年の生産費を五十年基準に一たん修正し、これから価格決定年の実質生産費を推定、さらに五十年基準の物価上昇率を掛け基準年、価格決定年の名目生産費を求める方式をとりている。だから、この場合、賃金あるいは物価指数を最近時のものを使っているために、生産費がより低く算定されてしまって、いわゆる飼育労働時間の短縮による労働費の低下など、生産費向上のメリットが全部吸い上げられる結果になっているというような問題点を抱えて、やはりこれに対する相当な不満というのがありまして、これは改めるべきではないかということも言われておるわけです。
 ですから、こうした問題を考えたときに、私は、この価格政策というのは、いずれも農家の皆さん方のためにつくられたものでなくて、何か政府自体の一つの政策としまして意識的に低政策価格をつくっていくのじゃないかというふうな受けとめをしているということは、まことに残念であるし、もしそういうことが本当であるとすれば、これはまことにもつ七、いずれのときにおいても価格ができ上がったときに生産農家の期待を裏切るような結果になってしまう。この点は十分に検討しながら価格の決定をして、こうした大変なときほど私は生産農家を守るための決意を価格の中に込めてほしいと思うのです。この点、政務次官、どうでしょうか。
#109
○井上説明員 畜産物、とりわけ指定食肉の安定価格の決定につきましては、生産費の動向とか物価その他需給事情等を考慮いたしまして適正に決めるわけでございますが、ただいま生産者団体の要求しております価格と政府が試算いたします価格の違いについて指摘がございました。確かに生産者団体の要求の価格が政府の試算値より高うございますけれども、最近の数年間をとってみますと、だんだん政府の試算値と要求価格が近づいてきているような傾向があると思います。ただ、計算の根拠にいたします生産費調査が、生産者団体と当方とは違うわけでございます。生産者団体は独自の調査を実施いたしておりまして、それに基づきまして要求価格を決めているわけでございますが、私どもは統計情報部が実施しております生産費調査を基準にいたしまして、所要の修正を加えまして最近の物価等に置きかえまして生産費をはじいているわけでございます。そういう違いがございますので、費目によりまして若干見方が違うわけでございますが、全体としては非常に大きな違いというのはないのじゃないかという感じでございます。そもそも生産費調査の対象が違いますから違うのは当然でございますけれども、考え方としてはそんなに大きな違いはないのじゃないかと思います。
 ただ一点、非常に違いますのは、自家労働の評価の問題でございます。生産者団体の方は全国の製造業の賃金をとっておりますが、私どもの方は農村労働賃金というのを基本にして考えておりますので、その辺のところが大きく出ているのじゃないかと思います。
 それからもう一つ、農家販売価格につきまして若干の修正を私ども行っておりますが、この修正は、安定上位価格を突破したときには安定上位価格に引き戻して修正をいたします。しかし、たとえば豚肉のように、昨年安定基準価格を下回って推移したわけでございますが、それらにつきましては安定基準価格にまで引き上げた数字でもって計算をしているわけでございまして、それぞれ安定基準価格、安定上位価格の中に実際の実勢価格がはまるように計算をしているところでございます。
 それから、合理化が非常に進んでおるわけでございますが、合理化メリットを全部吸い上げてしまうというような算定はおかしいのじゃないかという御指摘でございます。確かに非常な合理化が進んでおりますので、そういった合理化の効果を算定の基礎に使うということは、現在の養豚の実態からいたしましては必ずしも不当とは言えないのではないかと思いますし、また、安定基準価格の性格は、それを下回って豚価が推移することを防止するというような価格でございますので、そういった点から見ましても、合理化を織り込んだ価格を見込んでそれを基礎に安定価格を算定していくということは必ずしも不当とは言えないのじゃないか、このように考えておるわけでございます。
#110
○武田委員 それでは、ちょっとお尋ねしますが、畜安法の運用です。
 その前に、畜安法の目的の一つに、安定帯価格内での畜産物価格の運用ということがあるわけですね、どうですか。
#111
○井上説明員 畜産物価格安定法の目的は、「主要な畜産物の価格の安定を図るとともに」「畜産及びその関連産業の健全な発達を促進し、あわせて国民の食生活の改善に資することを目的とする。」ということでございますので、価格の安定を図るということが基本になっているわけでございます。
#112
○武田委員 農家の皆さんも、最近の、去年の七月以降ですか、特に豚価の低迷それから飼料の値上がりなどで経営が非常に圧迫されて、危機的な状況の中で、やはり非常に現況の厳しさを受けとめまして生産調整に協力してきているわけです。しかし、農家の人々にとりましては、豚肉が安定基準価格を大きく割って低迷しているときに政府はなぜこの畜安法の発動をして買い上げ、調整保管をしなかったのか、こういう非常な不信を持っていることは否めないわけです。この点はどういうことか、やはり農家の方々の不信に答えてほしいと思うのですが。
#113
○近藤(鉄)政府委員 畜安法の目的は、いわゆる安定上位価格と安定基準価格の間に現実の畜産物価格、この場合には豚肉価格を何とかこの枠の中で安定させることであると思うわけでありますが、最近の事例は、率直に言いましてやはり全体としての需給のアンバランスがある、いわば供給過剰である、そういうことでございますので、実はその需給のバランスがまず第一点である。したがいまして、先ほど申しましたように、片一方で消費の拡大をお願いし、さらに計画生産をお願いする、さらに余った分につきましては調整保管をお願いする、こういう形で全体の需給調整をまず最初お願いをして、その後で国としてもある程度の価格安定のための措置を講じよう、こういうことで、最近は御案内のように調整保管についての利子補給を事業団が考えている、こういうことでございます。したがって、あくまでも需給調整というものが価格安定政策の原則なんだ、こういうことでこれまでいろいろ措置をしてまいったわけでございます。
#114
○武田委員 三十六年にこの畜安法が制定をされましてもう十九年になるわけです。この十九年を迎える過程をずっと見てみますと、豚の枝肉卸価格の年平均価格が安定上位価格を上回った年は十九年中七年、それから上位価格に近い年は五年、これに対しまして基準価格に近い年は一年、中心価格に近い年はわずか四年にすぎない。この事実は何を意味するわけですか。私は、これは要するに上限価格にへばりついているということは価格を抑制しているということになると思うのです。また暴落したときは買い支えをしないということをあらわしているのじゃないか。だったら何のためにこの畜安法というのはあるのだ。たとえば「農林法規解説全集」というのがありますね。この千五十一ページにはこうあるそうです。「三日以上連続して安定基準価格を下回ったときは、事業団は市場において買い支えることを設定している」というような内容の一項があるそうでありますが、半年以上続いてもそれが行われなかった。言うなれば畜安法というものがこうした効果的な働きをしていない。何か外国の畜産農家を守るためにあるのじゃないかというやっかみもある。こういうことを考えましたら、やはり本当に農家のための価格制度になっていないという不信は否めないわけです。農家を守るということを考えたら、私はこの効果的な発動を考えることは当然だと思うし、今年はせめてこのいわゆる安定帯の幅についての実情に合わせた設定といいますか、そういうものをひとまず考えてあげるということから、農家の皆さん方への大きな安心を与える方向へ持っていくべきじゃないか、こう思うのですが、いかがでしょうか。
#115
○井上説明員 豚肉価格の安定制度の発足以来二十年弱を過ぎるわけでございますけれども、その間の価格の変動状況と安定価格との関係について御指摘があったわけでございます。確かに御指摘のように上位価格の方に近い変動があったことは事実でございますが、ちょうどこの間を振り返ってまいりますと、高度成長で需要が非常に急速に伸びたわけでございます。片や生産の方につきましては、公害の規制が非常に厳しくなってくる。当初は養豚などにつきましてはなかなか公害の防止技術というのが完成しませんで非常に問題があったわけでございまして、そういった状況にもよるかと思いますけれども、結果といたしまして御指摘のような価格水準で推移したのではないかと思います。
 ただ、安定制度の評価といたしましてどういう評価を下すかということにつきましては、われわれ、こういう安定制度ができました結果、やはり養豚経営が安定的に発展をしてきたのじゃないか、その点についてはかなり大きな効果があったのではないかというように評価をするわけでございます。
 御案内のとおり、安定制度発足以前の豚価の変動状況を見てみますと、ちょうど三年を一周期とするいわゆるビッグサイクルという変動があったわけでございまして、しかも変動の態様は、下値と下値の倍が高値、そういう価格の幅の中を三年周期で変動していたわけでございます。そういう点について、たとえば変動の周期なり変動の幅等について見ましても、最近はこの制度設定当時とは様相を異にしてきております。また、先ほど申し上げましたように、飼養頭数なりあるいは飼養規模につきましても非常に合理化が進んできているわけでございまして、この安定制度の効果というのは、確かに批判もあろうかと思いますが、養豚経営の安定なり発展に果たしてきた役割りというのはかなり大きなものがあったのじゃないかというぐあいにわれわれは考えているわけでございます。
#116
○武田委員 ことしの場合、いま申し上げましたように、安定帯の幅については実情に合わせた設定というのはぜひひとつ前向きに検討してほしい、こう思いますが……。
#117
○井上説明員 やはり豚肉につきましては、あるいは牛肉も同様でございますが、実勢価格に合った制度運営をしていくというのが基本じゃないかと思います。暴騰、暴落を防止するというのが制度の目的でございますので、そういう価格変動の実態に即しまして、農家の経営にとりましてもまた豚肉を買い取る側にとりましても安定した取引ができますような、そういう安定帯の幅を設定するということで、このたび豚肉、牛肉についてともに変動幅を一三%にした、こういうような経緯もございます。ただ、一三%の数値そのものにつきましては、過去五年間ぐらいの変動の実態ということを検討いたしました結果一三%が適当である、こういうように判断したわけでございます。
#118
○武田委員 時間の都合で次に移りますが、輸入の問題ですが、やはり生産農家にとってやりきれないのは、一生懸命生産調整しているときに、その間隙を縫うように輸入の拡大が進められている。これは許せないことだ。これは心情は御理解できると思うのです。ですから、この点はひとつ、農家の努力を逆なでするようなことはやめなければならない。ずっと四十三年以降ですか、四十四年と次第に増加しまして、五十一年、五十二年になりますと十万トンから十五万トンというふうに、一つの輸入量の固定といいますか定着化というのがあるように見えるわけです。しかも、その間、豚肉の輸入単価というのは五十一年以降は高くなってきているようですね。八百三十五円前後となっている。ですから、こういうことを考えますと、やはり国内の豚肉の低迷の原因が輸入された豚の急増にあるのだ、そういうことは否めないわけですから、この点について相当思い切って当局も対応してほしいと思うわけです。
 そこでちょっと気になることなのですが、この輸入の件につきまして農水省の皆さんの仲間の方が、「輸入豚肉と国内豚肉の代替性は小さいものと思われ、近年の豚肉輸入は完全に定着したとみるべきであろう」、これは昭和五十四年の論文の中の一節ですが、こういうことを言っている人がいるのです。こういう見方はどうなんですか、政務次官。
#119
○近藤(鉄)政府委員 豚肉の輸入につきましては、私たちもいろいろ配慮しておるわけでございますが、御案内だと思いますけれども、豚肉輸入につきましてはいわゆる差額関税制度をとっておりますので、いわゆる安定上位価格と安定基準価格の真ん中、俗称へそ価格と言っておりますが、少なくともへそ価格までは関税がかかってくる。
    〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
また別に一〇%関税をかけておりますから、場合によってはさらに高いものでなければ入ってこないかっこうになっているわけでございますが、御指摘のように近年豚肉が非常にふえてまいっておるのは、価格の面よりもむしろ一つは品質の問題で、どうも日本の場合にはいろいろ安易に交雑をしてしまいますものですから必ずしも品質が均一でないし、また、中には入り用でないものも入っておるということも一方ございます。同時に、輸入のほとんどはハムソー・メーカーが輸入しておるわけでございますけれども、外国の豚肉の場合には一定の規格品をまとめて買うことができる。日本の場合には大体枝肉で販売されておりますので、なかなか部分肉でまとまった形で注文がとれない、こういうこともあるようでございます。したがいまして、実はこういう状況を改善するために、私どもといたしましては、食肉センターを今度新たにつくりまして、そこで部分肉の市場ができるようにしていこう、こういうことでございますし、片一方で養豚農家の方々にもお願いいたしまして、できるだけ品質を統一する。さらに、えさにつきましても、どうも安易に子豚用の飼料をおとなになっても食わせるという面もございますので、そういう点についても注意していただいて、ひとついい肉を、しかもアメリカの市場みたいに部分肉でまとまって供給できる体制をつくっていく、これがこの豚肉の輸入をこれから抑制をしていくための基礎的な条件整備である、かように考えております。そういうことをやっていきませんと、幾ら価格の問題で配慮いたしましてもなかなか豚肉輸入がとまらぬ、こういうことであると考えております。
#120
○武田委員 確かに、豚肉の輸入分のほとんどが加工用原料に向けられたりあるいは業務用が多い。家庭用の消費には余り向かないということですが、だからといって、どんどん輸入を拡大、定着させるという論法はまずいと思うわけです。どうもこの論文を書かれた人の意図はわからないのですけれども、そう受け取られるような書き方です。こういうことを、いま政務次官が言われたような方向で、たとえばそれじゃ国産の消費にかなうような加工を考えて、国内の生産を国内の肉でもってやっていこうというような研究開発をどれだけ進めてきたか、それはどの程度定着したのかということを聞いてみれば、まだそんなにいっていないのじゃないか。だから、こういう点にもう少し力を入れていかなければ、そうした問題の解決にはならないと私は思うわけです。この点やはり今後の一つの大きな問題として真剣に取り組んでいってほしいと思います。そして輸入の抑制に効果があるようにしてほしい、こう思うのですが、どうでしょうか。
#121
○近藤(鉄)政府委員 わが国における従来の豚肉の消費は、ややもすれば個人消費で、家庭向きで、したがって、いわば生といいますか、フローズンでない豚肉の取引が多かったと思うわけでありますが、ヨーロッパ、アメリカなんかは、そういう家庭用の生よりも、むしろ加工でハムやソーセージ化して食べる割合が多い。したがって、そういうハム・ソーセージ・メーカー向きに市場ができているわけでございます。日本の場合にはむしろ家庭用の消費の方に押されて、ハム・ソーセージ向きの市場ができてなかった、こういうことがございますので、いま申しましたように、そういうハムソー向けの豚肉の市場というものをいろいろな形で整備していく、こういうことが先ほど来申しておりますようにハムソー用に外国の豚肉が入ってくることを抑えることになりますし、それをしないと、依然としてハム・ソーセージ・メーカーが輸入豚肉に頼る、こういうことになってくると思うわけであります。
#122
○武田委員 そこで、そうした豚の問題、これはビッグサイクルなんてあるけれども、最近はときどきそのサイクルも多少狂ってきているのじゃないかと思う、いまの天気予報みたいに。いままでのような感じでいかないのじゃないかという心配をしていますが、いつまたおかしくなるかわからない。そのための調整機関といいますか、そういう対策に対する職員がどうなっているのか、私もちょっと気になるわけです。農林省関係の豚肉の係、担当者はどのくらいいるのかとちょっと見てみましたら、直接の担当者は二十人しかいない。これは少ないのじゃないかと思うのです。なぜかと言いますと、蚕糸の方と関係して申しわけないですが、いずれも重要なものでありますが、規模的に言うと戸数は大体同じくらいなんです。五十四年度の養豚農家数が十五万六千、養蚕農家が十七万六千で六十六人、大変な数ですよね。しかしながら、生産額から言いますと、養豚の方は何と五十三年概算で七千八百六十億です。養蚕の方は千六百四十六億円。こういうことで比較するのはまずいかもしれないけれども、こういういろいろ問題を抱えているところがこの人数ではすごく少ないのじゃないか。この点の中身をもう少し考えまして充実すべきじゃないか、あらゆる問題に対応できるような方向性を検討すべきじゃないか、私はそう思うのですが、この点どうでしょうか。
#123
○近藤(鉄)政府委員 先生から大変われわれの畜産行政、特に養豚行政に対して御激励を賜って感謝申し上げますが、数は少なくとも精鋭をそろえておりますし、また御案内のように畜産振興事業団がございますので、実際の調整保管とかその他いろいろな養豚関係の各般の施策の実施につきましては、事業団がこれまたりっぱな職員を抱えております。そういう人たちが相当末端の方はやっておりますので、現在のスタッフで必要最小限度のことはさせていただいておる、こう思っておるわけでございますが、先生の御発言、十分に参考にさせていただきたいと思います。
#124
○武田委員 最後に、時間の関係で、配合飼料の価格の高騰が今後どうなるのだと心配だと思いますが、やはり養豚農家の経営が不安定な一つの要素は、非常に上がったり下がったりするのが多いわけですね。過去の例を見てみましても、配合飼料というのは四十八年に三回値上げしているわけですね。四十九年は二回下がって三回上がっている。五十年には二回上がって二回値下がり、五十一年は二回値下がり一回値上げ、五十二年には二回値下げ、こういうように激しいわけですね。ですから、去年上がってことしまた上がった。そうすると、この調子でいくと下がるのか。ところが、下げ幅を見てみますと、どうも上げ幅よりは下げ幅の方が全般的に少ないわけです。ということは、全体的には飼料というものが経営の安定、不安定の相当深刻な要素になっていることは間違いないわけですから、今後、飼料の値上げ抑制と価格安定についての指導をきちっとしていかなければならぬのじゃないかと私は思うのですが、この点についての政府の取り組みを伺っておきたいと思うのです。
#125
○井上説明員 飼料価格の主要な構成要素になりますのは飼料穀物、トウモロコシとかコウリャン、大豆かす、それから、いまの円の為替レートの問題、フレート等でございます。こういうものが錯綜し合って原料価格を構成しておりまして、それが基礎になりまして配合飼料価格が形成されるわけでございます。
 将来の見通しについては、これは何とも言えないわけでございまして、確定的にこうなるというのは非常に申し上げにくい実態にございますが、ただいまのところは大体いま程度の価格水準が続くのではないかと考えておるわけでございます。御指摘のように、配合飼料は畜産の基礎的な資材でございまして、安定した価格で畜産物を供給するためには安い配合飼料が必要でございます。これをただ業界の自由に任せるだけではなしに、価格については十分実態を反映した価格になるよう指導してまいる考えでございます。
#126
○武田委員 最後に、基金の問題です。
 これは非常に心配しているわけです。残っているのが百三十五億とかで、六月までは何とかいいわけですが、七月以降どうするのかということです。これは、飼料安定基金の補てんもやはりいまから真剣に考えておかなければならないのじゃないかと思いますが、この点についての政府の考え方を聞きまして、私の質問を終わりたいと思います。
#127
○井上説明員 現在のような補てんを続けておりますと、この六月末には百数十億の財源しかなくなるわけでございます。われわれといたしましては、財源の充実には十分配慮してまいりますとともに、農家負担が急激に上がらないように、その点には十分配慮して業界を指導していくつもりでございます。
#128
○武田委員 時間が来ましたので、終わります。
#129
○内海委員長 中川利三郎君。
#130
○中川(利)委員 政府は今度の畜産物の価格決定に当たりまして、実勢市場の状態、つまり安定基準価格をさえ大きく下回って、豚一頭出荷すれば一万円おしりにつけてやらなければならない、そういうことを含めた市況相場に大きなウエートを置いて算出をしているわけでありますが、このような市況相場がなぜ起こったのかということを考えてみますならば、たとえば昨年あれだけ大きく下がっても畜安法の買い出動はしない。いまも大筋では基準価格より低いわけです。そういう問題について手をこまねいてきた、その中で起こった市況だということを考えてみますならば、つまり人為的につくられた市況としてああいう値段があるわけであります。価格算定のスタート台がこういうことでは、畜産農家がどんなにがんばっても、再生産どころか赤字たっぷりで、しかも離農がどんどん続く、こういうことにならざるを得ないと思うのですね。
 先ほど来問題になっております再生産確保ということは法の条文にあるわけでありまして、それであるならば、生産に要するコストを償うのが当然だと私は思うわけでありまして、その観点から、せんだって大臣にも、まず労働報酬について言うならば、都市並み労賃を織り込んだ再生産できる価格にせよということを申し入れたわけでありますが、いま政府がやっておるような算定方式でいままで本当の意味で再生産できてきたとあなた方はまじめに思っているのですか、これからもああいう価格でできるとお考えですか、この点、簡単に答えてください。
#131
○近藤(鉄)政府委員 確かに畜安法においては再生産を確保する価格ということになっておりますけれども、それはむしろ人為的に決めるといいますか維持するよりも、ある程度の枠の中で市場の力関係、需給関係で適正価格に落ちつくような措置を講ずることが畜安法の基本的な考えだと思うわけであります。したがいまして、今般も確かに、御指摘がございましたように、安定基準価格を下回っておるような場合もあったわけでございますけれども、あえて最近まで積極的に事業団が入ってまいりませんでしたのは、前にもお答えいたしましたように、何としても需給のバランスが大事である、そのためにはここで事業団によるところの安易な買い出動に入ってまいりますと、結局は生産調整が遅くなってしまう、こういうことで、まず消費の拡大に並行して計画生産を養豚農家の方々にお願いする。そうした上で、調整保管については、民間のお力によって、さらに最近になって事業団がその後押しをする、こういうかっこうで、需給調整を通じて安定価格帯の中に自然に実勢値段が入っていくようなことを基本として考えているような次第でございます。
 その値段で再生産が確保できるかという御指摘につきましては、率直に申しまして、養豚農家もいろいろ幅がございます。したがって、どの辺の農家の方を基準にとるのかということによって、まさに再生産費を補えるかどうかという議論が出てまいるわけでございますが、一応、私たちは、いまの値段の真ん中ぐらいで安定する農家の方を標準として考えていいのではないかと考えておるわけであります。
#132
○中川(利)委員 市場の力関係、つまり需給関係が主に考慮されるのは当然だ。それは畜安法の第三条にも書いてあるわけですね。「経済事情を考慮し、これらの再生産を確保することを旨と」する。つまり、経済事情は考慮する部分なのだ。しかし、再生産を確保するということは主体となる旨なんだ、旨とするということですからね。指定乳製品については再生産を確保するという文言は法律には一つもない。しかし、あなた方はその点を全然お考えにならないいままでの決め方ですね。この中で農家の方がどれだけひどく打撃を受けてきたか。あなたは先ほど、どのラインになればこの値段で再生産できるかということは幅があると言いましたけれども、昭和五十四年度の農家の減少率を見ますと、これは皆さんの資料ですよ、千頭以上の農家の減り方が一番多いですよ。マイナス一九・二%。五百頭から九百九十九頭がマイナス一四・五%。それ以下ずっと下がっている。この実態を見るならば答えは明白だと思います。こういう中で昨年一年間における畜産農家戸数の減り方は、乳用牛農家が六千戸、肉用牛農家が二万一尺養豚農家が九千戸減っているという事実、ここでまたこれをやりとりする時間的余裕がありませんから次に進みますが、私はこのことを強く指摘しておきたいと思います。
 次は、配合飼料の問題であります。
 あなたの答弁で、七月以降弱含みに推移するだろう、急激な値上げは考えられないというようなお話が午前中もいまもありましたね。問題は、現在異常補てん部分としてこれが発動中でありまして、四千二百九十円が補てんになっているわけであります。しかし、これは四月、五月、六月分まででありまして、七月以降どうなるか、政府のいまのような認識では当然異常補てんの発動がストップして、政府はそれで済むかもしれませんけれども、農民の立場になってみますならば四千二百九十円、これを農家がかぶるという事態が出てこざるを得ないわけですね、そういう状態になってまた上がれば。先のことはだれにもわからないですよ。しかし、私の聞きたいのはその準備があるかどうかということですね。つまり、そういう状態を目の前にしておってこのまま放置しておいていいのかどうかということと、万一飼料が値上がりした場合に直ちに財源的に対応できるかどうか、この点をはっきりお答えいただきたいと思います。
#133
○近藤(鉄)政府委員 この六月まではともかくとして、七月から一体どうなるんだ、こういう御指摘でございますが、前にお話ししましたように、将来時点における飼料の値の動きにつきましてはいまなかなか確定しにくいわけでございます。しかし、よしんば上がらないにしても、現状で推移をいたしましても、いわゆる補てん分が七月以降はなくなってくるわけでございますから、その分については何か配慮をしなければならないかなということで、実は内部でいま検討を進めているところでございます。
#134
○中川(利)委員 ならないかなということでなしに、検討しているね、前向きで直ちに対応できるように。この点をもう一回確認しておきます。
#135
○近藤(鉄)政府委員 ただいまお答えいたしましたように、七月以降どういう状況になるか、まだ現時点ではとやかく言えないわけでございますけれども、その時点で必要な場合には考えなければならない、こういうことで検討をしておる、こういうことでございます。
#136
○中川(利)委員 次に、需要見合いの生産調整についてお聞きしたいのでありますが、大がかりな母豚つぶし、それを主なねらいとして先ごろ養豚経営安定推進会議というのがつくられましたね。あれを見ますと、養豚生産を行っているすべての生産者の参加が前提になっているわけでありますね。ですから、私がお聞きしたいことは、俗にインテグレーションと言われる大企業による企業養豚も当然のことですが参加しているはずだと思います。そうだとすれば、これらの企業養豚の実態、たとえば商社が直接飼養している状況だとか頭数だとか会社の名前だとか、飼料会社がダミーに飼養をやらしている状況もあるわけでありますが、そういう状況、頭数だとか、商社、飼料会社が農家に委託している状況なんかもあると思うのですが、これらの資料はいただけますか。
#137
○井上説明員 豚のインテグレーションの実態についてでございますが、いわゆる企業養豚というのはどういう養豚をいうのかということは非常にむずかしいわけでございますが、畜産局といたしまして、われわれの業務に必要な資料として、都道府県に照会をいたしまして調査した資料がございます。その場合に、企業養豚という定義を次のようにいたしております。契約飼養タイプ、つまり企業が農家との間に生産物価格だとか数量とか規格等について契約をいたしまして、農家が生産した豚を買い取る、そういうようなタイプを契約飼養タイプとしてこれを企業養豚の一つに考えております。それからもう一つは、直営農場タイプでございます。いわゆる会社自身が農場を直営するというタイプでございまして、これは……(中川(利)委員「資料を出せるのか出せないのか聞いているのですよ」と呼ぶ)そういうことでございまして、全体の頭数といたしましては、これは昭和五十三年でございますが、それでは総飼養頭数に占める割合は約七%弱になっております。これらの資料については後ほど提出いたします。
#138
○中川(利)委員 養豚経営における豚肉の生産出荷組織の現状を拝見いたしますと、農協系統はわずか三〇%しか占めておらないですね。今度の母豚つぶしの割り当て、現在やっておりますけれども、大規模も小規模も一律ということは非常に不公平だと思うのですね。当然、そういうシェアの分野から言いましても、大企業養豚が大きな役割りを担っているはずだと私は思うのですけれども、そのチェック、押さえ、こういうものが具体的に何割くらいになっているのか、この辺についての御回答をいただければありがたいと思います。
#139
○近藤(鉄)政府委員 具体的な全体の養豚生産の中に占める企業養豚の割合につきましては、いま審議官にちょっと調べてもらっておりますけれども、現段階では必ずしも企業養豚がそう大きなパーセンテージではないと思うわけであります。
 現実に企業養豚をどういうふうにして今後規制するかという御指摘でございますけれども、これも豚肉になってしまいますと、あれは企業のものでこれは農家のものだというようになかなか仕分けがつかないものでございますので、その点は私たちも非常に苦労しているわけでございます。ただ、先ほど申しましたように、全体の割合がいまの段階ではまだそう多くないし、むしろ農家の方方が経営する養豚の飼養頭数が、いま御指摘がございましたが、だんだん大型化していく、こういうことであろうと思います。
#140
○中川(利)委員 いまの答弁は、どうも私まだあれでは困ると思うのですけれども、農協の系統出荷組織のシェアは三〇%しかないのですね。しかも、その具体的な企業の関係の大型の実態はつかみにくいとおっしゃっているわけですが、少なくともいま零細な養豚農家でさえもぎりぎりとそれに協力させられているわけでございますので、この点ははっきりしていただかなければならないと思うのですね。
 それと同時に、私はお聞きしたいことは、この養豚経営安定推進会議に商社糸を代表すると見られる団体もメンバーとして入っているわけでありますね。たとえば日本飼料工業会あるいは全日本畜産経営安定基金協会、これがそれだと思うのですね。しかし私は、このような団体がメンバーとして加わっておっても、各県ごと市町村ごとの末端に一体組織があるのかどうかということが非常に心配なんです。私の見るところでは、各末端までそれがすっと伝わる団体はこれは農協しかないのですね。ですから、母豚はつぶした、しかし結果として企業養豚は免罪されておるというようなことになりましたら、これは大変な不公平なことになると思うのですね。この点についても実態に見合った指導というのはどうなっているのか、ここら辺をお伺いしたいと思うのです。
#141
○井上説明員 まず、インテグレーション関係の飼養頭数の割合でございますが、先ほど御答弁いたしましたように、昭和五十三年の結果では肥育豚の総飼養頭数に占める割合は七%弱でございまして、六・九%になっております。概して大きいものだと考えております。
 それから、ただいまの養豚の生産調整に関連いたしまして、企業養豚がこういう中から逃げるということは非常に大きな問題であるという御指摘でございます。私どもも、全体の生産調整の中で企業養豚を含めていく必要があるということから、中央におきます養豚経営安定推進会議においては、いわゆる商系関係の団体の参加を呼びかけたところでございまして、これらについてはほとんど全部の関連団体が参加していると思います。都道府県段階においては、いま御指摘がございましたように、幾つかの県について企業養豚系統が十分参加してないのじゃないかという御指摘もあるわけでございますが、われわれの方針は、全体が参加をして生産調整をする必要がある、こういうことで、都道府県関係の商系系統の団体も参加するように呼びかけているところでございます。具体的に企業養豚関係が参加をしないということがはっきりします場合には、畜産局といたしましても、都道府県とともにその参加を強力に呼びかけていく、強力に参加をすることを指導していく考えでございます。
#142
○中川(利)委員 次に、規格に関係した問題でお伺いしたいのですが、落ち物が多くて百丁引きがざらだという問題ですね。つまり豚価が下がる、枝肉価格が下がることで、これは一面買い手市場になることですね。そういう中で上物率が下がって農家の手取りがさらに少なくなるというような問題があるのですね。とりわけ五十四年十一月から格づけ規格が改定されまして、御承知のように半丸重量の下限を引き上げたり、背中の脂肪の厚さを引き上げてみたり、そうした結果、上物規格の重量幅が非常に狭くなってきているのですね。とりわけガリは、いままで脂肪は薄く、こういうことを目標に品種改良を積み重ねてきたわけです。ですから、政府の方は一体何を考えているのだということを農民はみんな言っているわけです。こうしたやり方の中では、たとえば上物の建て値が五百四十七円でも、農家の販売単価は平均すれば四百二十四円になるわけです。きわめて大きな問題になっているわけでありますが、これらの問題に対して政府の見解は一体どうなのか、お答えいただきたいと思います。
#143
○井上説明員 昨年十一月に豚肉の格づけ基準を改めたわけでございますが、この豚枝肉の取引価格につきましては、昭和三十六年に設定いたしまして、それから昭和四十五年、四十八年二回にわたって改正を行ったところであります。市場に出荷されてきております豚の状況が、規格が必ずしもいまの取引実態に合わないということが指摘をされてきたわけでございますが、日本食肉格付協会におきましては、専門委員会を設置いたしまして長らくこの検討をしてきたわけでございまして、昨年の二月に答申をまとめたものでございます。それに基づきまして昨年の十一月に豚肉の格づけ基準を改めたわけでございます。
 改正の理由といたしましては、近年におきます品種は非常に大型になってきております、そういうものが入ってきている、あるいは肥育豚自身の出荷が大型化をしてきているということで、取引価格を肥育豚の大型化という実態に即したものにするよう、枝肉の等級別の下限重量の引き上げ等を行ったものでございまして、取引実態に合わせて格づけ基準を改めた、こういうことでございます。
#144
○中川(利)委員 大型化によっていろいろ改定したと言いますけれども、その結果として農民にはそういう状態をつくり出しているということについての問題点を、私は指摘したいと思うのです。
 同時に、いまの格づけに関連いたしまして、豚価の政策価格というものは上、中、並みがあるけれども、そのうち上物の価格を決めるだけですね。中、並みは、この決定された上物価格を基準に格落ちされているわけであります。しかし、最近の出回り量で見る大きい特徴は、何といっても上物よりも中肉が多い、こういう状況が昭和五十四年度から特に顕著にあらわれているわけであります。ですから、生産農民の間では、中肉の安定基準価格がないのはおかしいじゃないか、一番出回りの多いものをむしろ基準にすべきだ、こういう意見もあるわけでありまして、この点についてはどうお考えなのか。
 同時に、上物と中物、これは値段の開きが非常に大きいのですね。やはり行政指導をしてこの差を縮めるべきでないだろうかということです。
 この二点についてお聞きしたいと思います。
#145
○井上説明員 格づけ別の出荷頭数でございますけれども、昨年規格の改正をいたしまして、上規格のものが若干落ちております。しかし、大体四〇%前後で上規格の豚肉が出荷されているわけでございます。中規格のものは大体三八%前後でございましたが、最近四〇%あるいは四一%になってきているわけでございます。これは一つには、昨年非常に豚の頭数がふえまして屠殺をするのに若干期間がかかったということで、豚が大きくなりました結果中規格になったというものもあろうかと思いますが、規格の改正後も上、中ともおおむね前と同じような傾向で出荷がされているように思います。そこで、中規格のものを買い上げあるいは調整保管の対象にするということでございます。
 現在の価格形成を見ておりますと、上規格のものが決まりましてこれが基準になりまして中とか並みとかが決まるという仕組みでございまして、市場の実勢は上基準で取引されているという実態でございますから、上規格のものが安定をすれば中規格あるいは並みのものも安定してくるとわれわれは考えておりますので、中規格まで拡大をする必要はないのではないかと考えております。また、この点につきましては、かつて畜産振興審議会において非常に議論のあったところでございますが、中につきましては品質のばらつきが非常に大きいわけでございます。つまり、上から外れるものでございまして、小さいもの、大きいものということで、中というものに相応する価格をつくることが非常にむずかしいというような問題とか、あるいはいま豚の改良を進めておりますが、中規格を買い入れ対象にするということは豚の改良上からも問題があるのじゃないかというような意見が出まして、畜産振興審議会としては、中規格のものを買い入れ対象にするのは賛成しがたいという議論の経緯もございます。
 それから、格差の問題でございますけれども、上と中の市場格差は、やはり中の需要の実態に応じまして上との関連においてつくものでございます。ただいま申し上げましたように、中にはわりあいと、上をはみ出す大きなものあるいは上に到達しない小さなものと、いろいろな豚が含まれるわけでございまして、一律に格差を設けましてそれを取引の中に入れていくということは、取引の実態に即さないのじゃないか、取引を非常に混乱させるのじゃないかというふうに考えます。
#146
○中川(利)委員 どの市場趨勢を見ましても、一番取引の多いものが基準になるというのはやはり経済の真っ当な考え方を代表するものだと私は思うのですね。先ほどあなたの御答弁にありましたとおり、中物が上を上回っているわけでありますので、そういうようなものは当然改めて考えていいのじゃないだろうか。現に牛の場合はそういう関係もあるようでありますので、そういう整合性なんかも考えますと、当然そうすべきだと思うのです。
 時間の関係で次へ進みます。
 輸入の問題でありますが、先ほど来政務次官の御答弁の中でも、なぜ外国から輸入するかという問題につきまして、たとえば品ぞろえ、ロースならロースだけで百トンだとか千トンだとかいうようなことは日本では無理だ、そういう手当てはできないということですね。あるいは国内では枝肉取引のためにはほかの部分肉も買わなければならない、こういうことで輸入するのだというようなお話がありましたね。そうであるならば、先ほどもちょっと問題になっておったようでありますが、流通形態を日本でも整理して加工用に品ぞろえする、そういうものは当然やればやれるはずだと思うのですね。ロース以外のほかの部分も加工の仕方がいろいろあるわけでありますが、そうした研究は、日本では大企業やそういう大きい連中だけはやっておるようでありますけれども、農業団体や農協あたりではこういう問題についての指導をいままで本当に本腰を入れてやられなかったというところに、私は大変問題があると思うのですね。豚肉というものは、御承知のとおり、生産量のわずか二%ぐらいしか国際的に見ても輸出入されていないですね。どの国も自給することを基本にしておるわけでありますね。当然、加工用もそういう面で賄えるように何とかセンターをつくればいい、それも一つの方法ですけれども、根本的な考え方をそういう方向に改めるべきじゃないかと思うのですが、この点、政務次官はいかがですか。
#147
○近藤(鉄)政府委員 先ほども御答弁を申し上げたわけでありますが、いまの豚肉の輸入はほとんどがハム・ソーセージ・メーカーでございます。日本の豚肉市場が、先ほど申したのでありますが、個人消費、家庭消費を中心としておったために、そういうハム・ソーセージ・メーカーに合うような形のいろいろな製品の仕方だとか、また流通体制をとっていない、こういうことでございますので、いま川崎に食肉センターを建設中でございます。そういうところで今度部分肉を中心に取引が行われるようにしてまいりたい、こう思っておるわけでございますが、生産者農家の方もその辺を十分お考えいただきまして、従来の枝肉で売る形から一歩進んで、その際部分肉でハム・ソーセージ・メーカーが欲するような形で販売する、そういうことに流通の改善をしてまいれば、いま豚肉輸入の非常に大きな問題が解決されて、むしろ国産豚肉によってますます多くのハム・ソーセージが生産される状況になる、私はかように考えている次第であります。
#148
○中川(利)委員 最後に、やはり輸入の問題はいま大変重要な問題になっていますね。国内的に政府があれこれ小手先でいろいろなことをしたり、農民が必死になって自主規制しても、輸入の問題で土台を掘り崩される。さいの河原の石積みみたいになっているのですね。この輸入は自由化品目だといいながら、アメリカは日本に対して、たとえば自動車の場合、自由化品目でありますけれどもあれだけ文句をつけているのですね。あるいは電気製品、カラーテレビなんかについてもあれだけ文句をつけて、もし日本が言うことを聞かなければ制裁を加える程度のことは言うておるんですよ。これだけ日本でいま過剰基調で大変だというときに、自由化品目でございますというだけで何ら手を尽くさないということは、私はおかしいと思うのですね。おまけに関税が一〇%から五%東京ラウンドで引き下がるわけでありまして、たとえそこに差額関税の歯どめがあると言いながら、それだって状況の中では本当に守られるかどうかわからないのですね。安定基準価格を下回ったら買い入れ出動すると畜安法にありますけれども、それさえ守らない政府だと言えば言い過ぎかもわかりませんが、そういう状況でありますので、この際、やはり道理を尽くしたかっこうで、輸入の問題について対外的にもわかるようなかっこうで発言すべきであると思うのですが、この点、次官、いかがでありますか。
#149
○近藤(鉄)政府委員 一応自由化品目になっておりますと、なかなか国が入りまして輸入規制することについてはいろいろな抵抗もございますが、ただ、アメリカの自動車なんかの場合も、自動車業界がやっているわけでございますし、また、わが方の豚肉につきましては、実は生産者団体から輸入業者及び加工業者、加工団体に要請いたしまして、まさに民間ベースによるところの自主的輸入抑制の措置がとられる。結果として、最近、たとえば豚肉輸入量の推移を見てまいりますと、五十四年十二月に前年同月比六八%、ことしになって一月は六二%、二月は六九%、そういうことで、民間団体の自主的な努力によって相当大幅な豚肉の輸入の削減が実際に行われているわけでございます。そういう措置を含めました、まさに国内の農業を守るための具体的な、実際的な措置を今後ますますとっていかなければならない、かように考えております。
#150
○中川(利)委員 終わります。
#151
○内海委員長 神田厚君。
#152
○神田委員 きょう畜審部会に対しまして政府の試算が出されたわけでありますが、この問題を中心にいろいろ御質問を申し上げたいと思います。
 まず最初に、この試算によりますと、牛肉の価格の問題につきましては、若干中心価格の引き上げ、それから豚肉につきましてはほんの少しでございますね。さらに安定帯価格の変動幅が一〇%から一三%程度に拡大するだろう、こういうように言われております。
 ところで、まず最初に、安定帯価格の変動の問題でありますが、これが一三%になっていきます問題につきましては、その意図するところが輸入の豚肉に対する対応を考えたのだというようなことが言われておるわけでありますが、現実にこれを一三%に上げるということで、どの程度輸入の豚肉に対して対応ができるのか、その辺はいかがでございますか。
#153
○近藤(鉄)政府委員 実は今度の安定上位価格または安定基準価格の決定に当たって、必ずしもこれによって輸入をどうこうということではなかったわけでございますが、いろいろ過去のデーターの積み上げ、また、それを最近伸ばして、いま御指摘のような基準価格をいま畜産振興審議会に諮問しているわけでございます。
 ただ、御指摘ございましたように、一応中位価格の一%上昇ということになりますので、豚肉の場合には差額関税制度でございますから、そこまで関税が上がってくる、こういうことになりますので、実はこの委員会でもたびたび御説明しておりますように、豚国の輸入は必ずしも価格だけじゃなしに、むしろ品質の問題だとか規格化の問題だとか、そういった問題で非常に大きく左右されているわけでございますが、しかし、一%にもせよ、その分だけ高くなるということは、結果としてある程度輸入抑制措置になるのじゃないか。さらに、安定上位価格が四%に上がるわけでございますので、したがって、安定上位価格を超えた場合にはいわゆる関税減免の措置が考えられるわけでございますので、そういう両面から考えて、一応結果として今度の措置は輸入を抑制する効果を持つであろう、かように考えておるわけであります。
#154
○神田委員 審議官にお尋ねします。
 具体的に一三%になることで、これから先の問題でありますが、輸入問題との関係で、現在の輸入量の何%ぐらいはこういう形でそれを乗り越えてこないだろうというような判断をお持ちになりますか。
#155
○井上説明員 豚肉の輸入が行われますのは、やはり一定の規格のものがまとまって買えるということが基本だと思います。特に日本の豚肉需要の形態を見ますと、加工需要の場合はロースなりあるいはその他特定の部位が非常に多いわけでございます。そういったことがございまして、基本的に輸入があるわけでございますが、ただ、価格条件も非常に重要なファクターになろうかと思います。価格については、最近為替レートが円安に推移しておりますので、豚肉輸入価格も上がっているわけでございます。そういったことも影響があろうかと思いますが、そのことの結果、昨年の十一月、十二月、それから一月の状況を見てまいりますと、かなり輸入が減っております。六〇%台に減っておりますので、対前年から比べますと相当減っているわけでございます。今回中心価格を一%強上げるわけでございますが、仮にこれが輸入基準価格になりましてせきどめ価格になりますれば、その分だけ上がるわけでございますが、ただいま申し上げましたような日本の需要の動向なりあるいは輸入品価格の動向とも絡みますので、見通しはなかなかむずかしいわけでございます。ただ、言えますことは、昨年のような輸入量にはならないのじゃないか、これを幾分下回るような輸入量になるのじゃないかということでございまして、計数的にこの結果がどうなるかということは算定といいますか、推定が非常にむずかしいと思います。
#156
○神田委員 いずれにしましても、上位価格の引き上げというのは一つの要請でありましたから、これが果たされたということはそれなりの評価はできるわけでございますが、同時に、基準価格を引き上げて、しかもその基準価格での事業団の介入ということを明らかにしてほしいという要望が引き続いて出ているわけであります。基準価格を卸売価格が割ったならば即時買い上げというような要請もありますが、これにつきましては、どういうふうに考えていますか。
#157
○井上説明員 現在の豚肉価格は、大体六百五円を中心にいたしまして推移をしているところでございまして、われわれといたしましては、仮にこの諮問価格のとおりに決定されるといたしましても、直ちには買い入れになるとは考えていないわけでございます。
 買い入れにつきましては、現在調整保管をやっておりますし、この調整保管措置につきましても、さらに期間を若干延長いたしたいと考えております。そういう調整保管の状況なり、あるいは消費拡大を積極的にやっておりますけれども、そういった事業の効果を見ながら検討してまいることになるわけでございますが、こういったことをやりましても、なおかつ安定基準価格を下回る状態が出るというような状況では、畜安法に基づきます買い入れ措置等についても検討する必要があるのではないか、そういうぐあいに考えているわけでございます。
 ただ、畜安法に基づく措置につきましても、計画的な生産といいますか、需要に見合いました生産が行われる体制がつくられるというのが大前提であろうかと考えております。
#158
○神田委員 時間がありませんので、余り話できませんが、輸入の問題にしろ、この畜安法の発動の問題にしろ、やはり国内生産者の立場をある程度守っていくということが前提であります。そういうことから考えてみますと、豚肉もそうでありますが、輸入問題に対する行政指導をもう少ししっかりとやってもらいたい、こういう要望が非常に強いわけであります。豚肉そのものもそうでありますが、たとえばマトンとか非常に多くの食肉が輸入されているわけであります。豚肉を初めとする食肉輸入に対する対策といいますか、対応といいますか、これを少し考えていただかないと、豚肉だけに目を奪われているうちに、マトンや何かが急激に入ってきてしまう。食肉ですから、いろいろな形で利用の方面等も同じものもあるわけでありますから、そういうものが非常に大きな問題になってくるわけであります。したがいまして、この輸入問題につきましては、適切な業界指導というものを農林省は考えているのかどうか。それから、豚肉以外の、非常に多くいま日本に入ってきている食肉にはどんなものがあるのか。これらの問題について、ひとつお答えをいただきたい。
#159
○井上説明員 お答えいたします。
 馬肉の輸入量でございますが、ここ数年間の推移を見ますと、そんなに大きな変動はないわけでございます。昭和五十年以降の数字をとってみますと、五十年が五万トン、五十一年が五万三千トン、五十二年が五万五千トン、五十三年がちょっと多くなりまして六万五千トン弱でございます。それからマトン、羊肉でございますが、同期間とってまいりますと、五十年が十四万五千トン強、五十一年が十三万九千トン、五十二年が十五万二千トン弱、五十三年が十二万五千トン弱、こういった状況でございまして、馬肉なりマトンの輸入につきましては、余り大きな増加というのは見られないわけでございます。
 これは御案内のとおり、馬肉にいたしましても羊の肉にいたしましても、大部分が食肉加工品になるわけでございまして、最近の食肉加工品は豚の単味品、豚の原料を主体に使うという形になっておりまして、馬肉なり羊肉なりを使うものは、どちらかと言えば中級品あるいはそれ以下という状況でございますので、今後の加工品の需要の動向からいたしましても、馬肉とか羊肉というのはふえていくような状況にあるとは思いません。
 それから、供給側のを見ましても、馬肉生産のために馬を飼育するとか、あるいはマトンにしましても、これは羊毛を取った後のマトンでございまして、やはり供給の方にそういった限界がございますので、これが急激にふえていくような状況もないかと考えている次第でございます。
 それから、それ以外の肉の輸入状況を申し上げますと、牛肉について言いますと、これは昭和五十三年だけの数字を申し上げますが、十万二千トンでございます。豚肉が十万八千トン、それから家禽肉が六万五千トン、これらが主要な食肉の輸入状況でございます。
#160
○神田委員 食肉輸入がこれからどんどん多くなるだろうというのはわれわれの予測でございますが、そういう中で、輸入食肉への対策あるいは行政指導の明確化ということがこれから大変必要になってくる、こう考えているわけであります。そういう点で、現在のところ、マトンにしろ馬肉にしろ、大した輸入量ではない、前年に比べてそんなにふえてないということでありますから、それはそれで結構でありますが、自由化されているそれらの食肉に対する対応もきちんとしておかなければ、豚肉の問題を幾らやっても、全体的な肉類、たん白の輸入ということにつながるわけでありますから、その辺のところを指摘をしておきたい、こういうことでございます。
 なお、輸入豚肉の凍結期間、これは現在凍結されているわけでありますが、これをどうするのか。それからもう一つは、調整保管されている豚肉の放出の時期を、価格の問題も含めて、いつごろ、どんなふうに考えているのか。このようなところをお聞かせいただきたいのであります。少なくともこれらの問題については、生産者団体等との協議も踏まえまして、せっかくこのように上向いてきている市場に悪い影響が出ないように配慮をしていくべきだと考えるわけです。その辺いかがでありますか。
#161
○井上説明員 現在凍結保管をしております一万トン、あるいは調整保管、これは自主調整保管、それに畜安法に基づく調整保管を含めまして三十五、六万頭くらいの規模に達しておりますが、これらの放出の仕方いかんでは、市況に影響が出るわけでございますので、慎重に行うことは当然でございまして、私どもといたしましては、ただいまのところ、どういう状況になったら放出するかというのを決めているわけではございません。いずれそういう時期になりましたら、生産者団体とも十分協議をいたしまして、現実の市況に悪影響が出ないような形で放出をいたしたい、このように考えている次第でございます。
#162
○神田委員 次に、肉用牛の問題であります。
 これも、中心価格が三%台の引き上げということでありまして、生産者団体等の要求からはかなりかけ離れたものになっているわけであります。価格の問題は後でまとめてお聞きするといたしまして、こういう状況の中で、一つは、全体的な生産振興の問題が言われているわけでありますが、この中で素牛の生産振興をどうしても図ってほしい、そのためには、現行の奨励措置があるわけでありますが、この奨励金の措置を継続をしてほしいという要望が強く出ておりますけれども、この辺につきましてはどういうふうにお考えでありますか。
#163
○近藤(鉄)政府委員 いわゆる子牛生産奨励金が、五十一年、二年の子牛価格が低迷の時期に、何とか子牛の生産を振興して牛肉生産の増大を図りたい、こういうことで始まったわけでございます。その結果、相当の実績を得たと私たちは考えておるわけでございますが、御案内のように、最近は子牛の価格も結構高くなっておりまして、和牛の子牛の雌で一頭当たり三十八万二千円、また雄の場合でも三十五万八千円となっておりますし、繁殖経営の収益性は最近好転している、こういうふうに考えておるわけであります。そんな事情でございますので、あの時代に考えた奨励金の交付については少し再考すべきじゃないか、こういう意見も実はございますので、果たして今後これをどうするかについては、実は少し慎重に検討しなければならないな、こういうことを考えておる次第でございます。
#164
○神田委員 政務次官の答弁でございますが、われわれとしましては、国内の牛の振興をしなければならない立場にありまして、輸入問題等いろいろありますけれども、国内における畜産を振興していくという意味では、この生産振興の奨励の問題というのは欠かすことができない問題でありますから、われわれとしては、これはひとつ現状の方向での奨励の措置を継続すべきだということを要望しておきたいと思っております。
 それで、畜産の豚と牛の問題についていま御質問申し上げましたが、いずれも結論的に言えば、生産団体等が切実に求めているそういう要求価格より政府試算価格が非常に低く出されている。われわれとしては、生産団体等がかなり控え目に計算をして出してきた最低の価格であるから、これにこたえるような形で出すべきだというふうに主張していたわけでありますが、この政府試算価格との違いというのは一体どこにあるのか、生産者の団体の要求というのは、この政府試算の価格の提示された段階でなぜこれが満たされなかったのか、その辺はどういうふうに考えておりますか。
#165
○井上説明員 生産者団体の要求の基礎になっておりますのは、生産者団体独自で調査をしております生産費調査でございます。私どもが積算いたします基礎は統計情報部が調査をしております畜産物の生産費調査でございまして、この調査結果に若干の差があるということはやむを得ないことかと思います。そういう調査上の約束あるいはそれを基礎にした積算で、これは若干の差があろうかと思いますが、その結果、幾分の差が出てきていると思いますが、一番大きな違いは家族労働費の評価の問題だと思います。生産者団体の方は製造業の賃金でもって評価がえをしておりますが、農林省の統計情報部の方は農村の雇用労賃でもって評価をした生産費でございます。そういった点が非常に違うのじゃないかと思います。これが第一点。
 もう一点、算定方法で違いますのは、生産者団体の要求価格は、単年度の調査を基礎にいたしまして、最近の物価動向等を織り込んだ価格になっておりますけれども、私どもがやっておりますのは、基準期間、豚で申し上げますと、過去五年間の生産費に対します昭和五十五年度の生産費の変化率を求めて、それを実勢価格に乗じまして中心価格を求めまして、それを変動幅で開く、こういうことをするわけでございますけれども、ただいま申し上げましたように、生産者団体は単年度のものを積み上げまして最近の物価動向を織り込んで要求価格を出しておりますので、その辺が大分違う原因になっているのじゃないかと考えます。
#166
○神田委員 われわれの要求とは非常にかけ離れて多少がっかりしているわけでありますが、なおまた残されている期間の中で審議が促進されるわけであります。
 関連しまして、いろいろこの問題について御質問申し上げたいと思いますが、時間の関係でできません。これは項目別になっておりますが、一つは、こういう畜産、酪農の状況をいま見ておりますと、価格の低迷というようなことが一番問題になっておりまして、その生産農家がかなりの負債を持っている。ところが、この負債対策について政府の方としてもう少しこれを考えてくれないかという要望が非常に強いわけであります。ある地域ではいろいろそういうものについての対策もされているようでありますけれども、政府といたしまして、この畜産、酪農等の生産農家の持っておる負債の問題について積極的な対応策をとるお考えがあるのかどうか、具体的にどういうふうな金融対策をお考えであるか、その辺をお聞かせ願いたい。
#167
○井上説明員 現在生産者団体から要望が出ております金融対策といたしましては、酪農と養豚の二つでございます。酪農関係につきましては北海道を中心にいたしまして多額の借入金がありまして、その返済に非常に困る場合がある。したがいまして、それの対策について考えてほしいということでございます。養豚につきましては、最近の経営状況から資金対策を要望するという内容のものでございます。
 酪農関係につきましては、政務次官からもせんだって答弁申し上げましたけれども、資産の状況なりあるいは経営状況から見まして、資金対策をいまの段階で講ずる必要は余りいま見受けられないわけでございます。これはデータから検討いたします限りそういうことが考えられるわけでございますが、なお個々の酪農家につきましてはやはり事情もあろうかと思いますので、これらの点につきましてはなお検討してまいりたいと考えております。
 養豚関係につきましては、最近豚価の状況がかなり回復してきておりますし、調整保管なりあるいは生産調整等もやっておりまして、それらの効果が上がってきているように思いますので、これらの効果を見ながら資金対策については検討をしてまいりたい、このように考えている次第でございます。
#168
○神田委員 先ほども問題になっておりましたが、異常基金の増勢の問題ですね。いま飼料の値上がりに対しまして、基金によりまして大変生産農家は助かっているわけであります。見通しの問題でありますからこれがどういうふうになるかわかりませんけれども、七月過ぎにもう一遍これが値上げされる方向にあるとか、あるいはいろいろこの飼料価格の問題について云々されておりますか、そういう中で基金が非常に底をつきそうだということが言われておりますから、七月以降の問題について大変に不安を持っているわけであります。一挙にトン五千円もこれを農家が負担するような形になりますと、それだけでも相当なダメージを受けるわけでありまして、そういう意味から言いますと、これは是が非でも基金の補てんの問題はやってもらわなければならないし、この価格の問題でこれだけ低くしか上がっておらないわけでありますから、それでまたこの飼料の価格が上がって、それがもしも補てんをされないということになれば、実質的な引き下げの問題になってしまうような状況にもなるわけでありますから、その辺のところにつきまして、ひとつ前向きの御答弁をお願いしたいと思います。
#169
○井上説明員 七月以降の農家負担の問題につきましては、農家負担が急激にふえないようにしていきたいと考えておりまして、そのように指導してまいる所存でございます。
#170
○神田委員 どうですか、政務次官、これは大変大きな問題ですから、大変政治的なお力を持っております次官の方から、ひとつ御答弁願います。
#171
○近藤(鉄)政府委員 六月はともかく七月以降の問題につきましては、いま審議官からも話したわけでありますが、まだどういう条件になるかちょっとわかりませんが、少なくとも農家の方々に過当な負担にならないように、その時点でいろいろ状況を勘案しながらしかるべき措置を講じなければならない、こういう方向でいまいろいろ内部で検討をしているわけでございます。
#172
○神田委員 次に、酪農関係で御質問申し上げますが、保証価格の引き上げ、それから国内産のチーズの生産振興対策、これらをしっかりやってもらいたいというのが大きな要望であります。その中で、それらと同時に限度数量の枠の拡大の問題、本年度も実質的に十万トンくらい余ってしまったわけでありますから、その手当ての問題はなかなか明快な答弁がしてもらえませんけれども、限度数量の枠の拡大あるいは消費拡大の施策をもつとしっかりやってくれ、こういうような全体的な要望があるわけであります。それらを含めまして全体的に酪農の問題について考えていることをちょっとおっしゃってください。
#173
○近藤(鉄)政府委員 酪農も非常にむずかしい問題がございまして、特に、御指摘のとおり、現在相当過剰乳製品を抱えて苦慮しております。したがいまして、この値段につきましても、生産刺激的な形になることには相当慎重にしなければならない、かように考えておるわけであります。したがいまして、この限度数量につきましても、実は昨年百九十三万トン、これがいま相当過剰乳製品という形で残っておりますので、五十五年度はこれの処分もしなければならないであろう。現実にこの国内乳製品、脱脂粉乳なりバターなりを学校給食その他国内の関係者にお話をいたしましてお願いをして御協力を願って消費を促進しているような事情もございますので、そういう状況も考えてまいりますと、限度数量の額につきましても相当慎重にならざるを得ない。これはあす審議会にお諮りをするわけでございますけれども、私どもとしてはこのように考えている次第でございます。
#174
○神田委員 乳製品の問題は、輸入の問題がきちんと非常にしっかり把握されて、それでどうして国内で生産調整をさせながら輸入をたくさんしているんだという明確な論点がはっきりしているわけでありますから、輸入問題についてきちんとした態度をとって、それで限度数量等の枠の設定も
 それに合ったものにしていくようにしなければ、生産調整はやらせる、輸入は野放しにするという形では、これは生産農家に対して非常に酷なことですね。ですから、そういうようなことをよく考えた上でその数字を出してほしい、このように考えております。
 時間がありませんので、次に、繭糸価格の問題に移りますが、まず最初に、これに関連しまして、過日、矢野通産事務次官が京都におきまして、養蚕の問題につきまして非常に重大発言をしている、こういうようなことが言われておりますが、政務次官はその事実を御存じでありますか。
#175
○近藤(鉄)政府委員 矢野次官の京都における発言につきましては、私も新聞では知ってございますが、その真意については那辺にあるか、むしろ御本人なり通産省の方から承りたい、かように考えているわけであります。
 ただ、私どもといたしましては、日本の絹織物業界が使用する原料のすべてを外国に依存するということが、果たして絹織物業界にとってもいいかどうかと考えておりますし、高い生糸を使わされて困るという業界のお気持ちはわからないわけではないわけでありますけれども、やはりこの際、ある程度必要な生糸につきましては国内生産する、それができるためにともに共存共栄の方途をお互い歩み寄って考えていくべきではないか、かように考えております。
#176
○神田委員 政務次官の見解は事実関係がはっきりしてからまたお聞きしますけれども、通産省から来ていただいていると思っておりますが、通産省では、この矢野通産事務次官が京都におきまして、養蚕問題につきまして、つまり、絹織物業界が二年間これをストップしてしまえば一元輸入制度は吹っ飛んで安いものが買えるんだというようなことを言ったというような報道がありますが、こういうことにつきましては、これを確認されておりますか。
#177
○宇賀説明員 三月十四日の京都におきます京都財界人と矢野次官との懇談会の席上におきまして、ただいま御指摘のとおり、織物業界の代表の方から、織物業界の窮状を訴えまして、このままでは非常に困る、安楽死もできない、われわれとしては減産をする以外にない、それから一元輸入も問題であるというような発言がございました。
 私どもの記録によりますと、これに対しまして矢野次官より、減産資金の問題につきましては、政府系金融機関の各種制度融資というようなものを活用して前向きに対処していきたい。ただ、一元輸入というのは非常にむずかしい問題であって、簡単に変改することができないような問題である。したがって、これは非常に純粋な私見ではあるけれども、仮に織物業界としてもたとえば、たとえばでございますが、二年間織物の生産を休止して、この間高い生糸を使わない。もちろんその間どうしても養蚕をやめられないという農家には所得補償をするというわけでございますが、ともかくそれくらいの強い決意を持って事に当たるというくらいの意気込みがなければ事態の前進はないのではないかというふうな感じでお答えになりまして、われわれの趣旨としては、むしろ、そういった問題の困難性を次官としては強調され、織物業界にそこまでの決意があるかどうかという、決意をただすという趣旨で発言されたものと理解しております。
#178
○神田委員 そうしますと、そういう大変な発言があったことは事実なんでありますね。そして、いま後半おっしゃっておりませんけれども、せめて二年間生産を全面ストップさせる、そうすれば養蚕農家は生糸が売れなくなり全滅する、その上で国際相場の中国生糸などを使って生産を再開したらどうか。さらには、生産ストップ中の休業補償については通産省でめんどう見てもよい、こういうように言ったと言われておりますが、その点はどうですか。
#179
○宇賀説明員 私どもの記録では、全滅という言葉は使っておらないわけでございます。どうしても養蚕をやめられないという農家については所得補償をすればいいという言い方をされたというふうに聞いております。それから減産の期間について所得補償と、もう一つは、織物業界が減産をして休業しているその間の減産資金については、先ほど申し上げたように、中小企業機関、各種の政府系金融機関を使っていろいろ前向きに対処したい、このように言われたというふうに理解しております。
#180
○神田委員 ちょっとはっきり聞きたいのですが、この生産ストップ中の休業補償は通産省でめんどう見る、こういうふうに言ったというのです。これは本当でございますか。
#181
○宇賀説明員 先ほど申し上げましたように、事の始まりが、織物業界としてはこのままでは安楽死もできない、減産しなければならない、しかし減産をするにしても非常に大きな減産資金が要る、これを何とかしてほしいという形で織物業界から提起があったものでございますから、そういった織物の減産資金については、政府系金融機関等を通じて前向きに対処したいということを申し上げたいというふうに聞いております。
#182
○神田委員 これは矢野通産事務次官の個人の発言だというふうにきっとお答えになるのでありましょうが、通産事務次官ですからね。通産事務次官として呼ばれて、言っている発言でありますね。その点確認してよろしゅうございますか。
#183
○宇賀説明員 次官のお話の中でも、それから各種の新聞にも全部伝えられておりますように、純粋な私見であるがということで前置きをされた上での発言というふうに聞いております。
#184
○神田委員 そうしますと、通産省としては、その後この問題についてどういうふうな考え方、これを追認しているのか、黙認しているのか、否定をしているのか、その辺はどうでございますか。
#185
○宇賀説明員 一元輸入自体は、法律にも「当分の間」というふうに書かれております。したがいまして、絶えず養蚕、製糸あるいは絹業の実情に即して、長期的な観点から検討を加えていかなければならないことは当然でございますが、ともかく現在一元輸入という制度があるわけでございますから、われわれ行政面といたしましても、当然それを前提といたしまして、農林省とも御相談しつつ、養蚕、製糸がこの制度のもとでできるだけ繁栄していける方法を考える、そのための必要な施策を講じるというのがわれわれの現在とるべき方策ではないかというふうに考えております。
#186
○神田委員 ぼくが聞いているのは、この矢野次官の発言が、その後省内でどういうふうに処理されたのか、そういうことです。
#187
○宇賀説明員 繰り返し申し上げますように、純粋な私見であるがというように言われておりますので、われわれ行政的な考え方としては、昔から先ほど申し上げましたような形で対処しており、その点については何ら変更もございません。
#188
○神田委員 事務次官というのは非常に大きな責任を持った方ですね。しかも、その人が日本の養蚕農家を壊滅させるようなことを、私見であると断りながらも、半ば公的な場所で話をしている。ですから、私はこのままこの問題は見過ごしにすべきではないと思っています。
 本日は時間がありませんから、この問題につきまして通産省の方とあれをしても、そういう時間がありませんから、質問を留保して、さらに後で農林大臣等を通じて通産省に対する正式な見解を求めたい、こういうように考えております。
 その前に、まず、近藤政務次官は、いまのこの発言の問題を聞きまして、農林省の政務次官としてどういうふうにお考えになっておりますか。
#189
○近藤(鉄)政府委員 ただいま通産省総務課長から話を聞いただけでありますが、織物業界が二年間全面ストップをするんだ、しなければだめだというぐらいで、むしろいかに問題が困難であるかということを言った。言いかえますと、とてもそんなことはできっこないことは百も承知でありますから、したがって、日本の絹織物業界と、そして日本の養蚕農家がいろいろ密接不可分の関係があるので、お互い助け合っていかなければならないのだということの裏を言ったというふうに、むしろ私は好意的にこの際解釈をいたしたいと思っているわけであります。
#190
○神田委員 ちょっとおかしいですね。そんな裏のことまで考える必要はないのじゃないですか。やはり養蚕を振興させていかなければならない、さらには、この絹織物の業界と養蚕農家だってうまくやっていかなければならないわけですから、農林と通産は相談しながら結構協力体制もとってきたわけですよ。ですから、むしろ、相手のそういう立場を想像してかばうようなことではなくて、農林省としての態度をきちんと表明して、そして抗議すべきところはきちんと抗議をしなければ、いつまでもそんなもたれ合いみたいなことでやっていたのでは、日本の養蚕農家はつぶれてしまいますよ。あなたはやはり責任がある立場ですから、政務次官としてこの問題について発言をする場合には、自分の後ろに養蚕によって生活をしている多くの農家があることをきちんともう少し考えて慎重に答弁してください。
#191
○近藤(鉄)政府委員 矢野事務次官は、私個人的にもよく知っている人でありますし、大変物事をまじめに考えている方でありますから、いま日本の養蚕農家を全部だめにしてしまうなんということを本気で考えているとは思えない。ですから、まさに一つの抽象的な仮説としてそういう話をしたというふうに私は考えるわけでございますが、ひとつ本人に直接確かめまして、もしもそういうようなことが真意だとすれば、これはもう神田先生の御指摘をまつまでもなく、農林省の政務次官としては厳重に抗議をしなければならない、かように考えております。
#192
○神田委員 真意を確かめることというよりも、むしろ、そういうように報道されて、しかもそういう場所でそういうことを言っているということは事実なんですからね。いまやはりきちんと、そういう態度は好ましくないし、まずいというぐらいのことを言わなければだめですよ。近藤政務次官というのは、求めて農林政務次官になったということで、就任当時から農政に対する理解は非常に大きいということで、農民からも大変評価がよかったわけでありますが、この問題では、株で言えば暴落ですね。これはやはりこれから後まで尾を引く問題ですから、引き続きこの問題については追及することを申し上げておきまして、きょうはこれ以上答弁を求めてもしようがありませんから、基準繭糸価格の引き上げについてその分一生懸命がんばるように、ひとつ要望いたします。
 終わります。
#193
○内海委員長 竹内猛君。
#194
○竹内(猛)委員 私は、近藤政務次官にお尋ねしますが、現在養蚕業を取り巻く諸問題、養蚕業並びに生糸の生産者、そして織物、これについての最大の困難な問題はどういう問題かまずお尋ねします。
#195
○近藤(鉄)政府委員 日本の織物業界も、養蚕業も、また関係業界も非常な危機的な状況の中にいまあるわけでございますが、やはり最大の問題は、何といっても生糸の消費が伸びていない、絹織物の消費が伸びない、それを原因といたしまして、現在生糸の段階またその織物の段階においても相当な過剰が存在しておる、これが私は最大の問題である、かように考えております。
#196
○竹内(猛)委員 滞貨があるということは、輸入が野放しにどんどん入ってきたということにならないですか。その辺はどうです。
#197
○近藤(鉄)政府委員 実は生糸につきましては、もともとこれは自由化品目でございまして、御案内のように、ごく最近まで日本は生糸を輸出しておったわけでありますから、この生糸が外国から入ってくるなんということは、実は最近まで考えていなかった。それがまさに諸般の状況が逆転いたしまして、いま相当の生糸が国内に入ってきております。これがその過剰の原因であることは私は認めるわけでありますけれども、ただ根本に、その絹織物の消費がいろいろな状況から伸び悩んでいるということが過剰在庫の大きな原因であって、実はいま自由化したと申しましたけれども、しかし、御案内のように、二国間の取り決めで、生糸の輸入また絹織物の輸入につきましては、相当な規制を行っている現状でございます。
#198
○竹内(猛)委員 農林水産省は養蚕業というものを日本の産業の中でどういう位置づけにしているか、そのことについてちょっと聞きたいと思います。
#199
○二瓶政府委員 養蚕業でございますが、この位置づけということで農業総産出額に占める比率を最近ながめてみますと、五十三年は一・六%ということでございます。したがいまして、近年相対的な位置づけがやや低下をしているということは否めないかと思います。
 ただ、問題は、この養蚕といいますのは、農山村なり畑作地域におきます土地利用型農業といたしまして、農業経営上重要な複合作目の一つでございます。したがいまして、地域農業の発展という見地に大いに寄与するという面もございますし、それから、その生産物であります繭につきましては、最終的にはいわゆる絹織物という形で、日本国民の民族衣装として定着しておるという問題もあるわけでございます。したがいまして、この養蚕業につきましては、今後ともより収益性の高い養蚕農家の育成を図りながら、全体的にもこの養蚕業の振興というものを前向きに図っていきたい、こう考えております。
#200
○竹内(猛)委員 六十年を展望した農林水産省の長期計画、これによると非常に見通しが狂っているということについて気がつきませんか。その点はどうです。数字の上でちょっと説明してください。その点はもしできなければこっちからしますけれども、一応説明してください。
#201
○二瓶政府委員 六十年度を目標年度といたします長期見通し、これを五十年に策定、公表をいたしております。その際は桑園面積十七万六千ヘクタール、繭生産量十三万七千トンというのを目標にいたしたわけでございます。こういう目標を一応立ててこれに向かって推進を図ってきたわけでございます。
 ただ、問題は、なかなか現実は厳しゅうございまして、都市化、兼業化の進展なり労働力の不足なり、他作物との競合ということもございまして、減少傾向が続いております。五十四年にやや増産になったという関係はございますけれども、先生おっしゃいますとおり、意欲的に立てましたこの見通しに対しましては、最近の傾向からすれば必ずしも傾向としてはそれに沿ったような姿になってないうらみがございます。現在農林水産省におきましては、六十五年を目標年度にいたします農産物の長期見通しの改定作業をやっております。したがいまして、最近の養蚕の動向なりあるいは農業全体の動向、さらには経済の動きというものも踏まえまして、六十五年を目標年度にする新しい養蚕関係についての長期見通しも策定をいたしたいということで取り組んでおる次第でございます。
    〔委員長退席、片岡委員長代理着席〕
#202
○竹内(猛)委員 六十年に十七万六千町歩という見通しを立てておいて、現在は十二万五千というように減っておるわけです。ふえるべきものが減っておる。それから自給率にしても、七六%から出発して、将来八三%までは自給していこうということになっているでしょう。それが外国からの輸入によってさらに減っている。こういうふうになってきますと、何のために一体この長期展望をつくったのか。米においては著しく変わってしまっている。養蚕においてもビール麦においてもそうです。あらゆるものが違ってきているというのは、何のための農政審議会を経て長期展望などをつくったのか。ごまかすためにつくったのか。これはだれが責任をとるのですか。こういう無責任なものをつくって、そしてそれを押しつけて、農家の方にはあらゆるものを圧迫する、こういう農政はおかしいじゃないですか。どうです、責任を感じませんか。これは政務次官だ。
#203
○近藤(鉄)政府委員 御指摘の点はそのとおりだと思うわけでございますが、ただ、率直に申し上げまして、絹織物、生糸の需要が停滞しておるというようなこととも関連をいたしまして、養蚕農家の戸数が、考えておったよりも減りつつあるというようなこと、また生産のシェアが、相対的にでございますが、縮小しておる、こういうようなことだと思うわけであります。ただ、生産性が高まっておりますし、また、二月当たりの収繭量も増大しつつある、こういうことでございますから、必ずしも暗い状況ばかりではございません。個々の養蚕農家の改善の面も大いにある、かように私たちは考えております。
#204
○竹内(猛)委員 生産が高まっていることは事実だけれども、生産が高まった分は結局生産費が安くなるということで、それだけ価格を抑えられるということになってしまう。つまり、酪農にしても米にしても、何でも農家が努力した分は、生産力が高まって生産費が下がってしまうということで抑えられる、こういうことでは、農家の努力というものが一つも実らないということです。これを正当に評価しない限り、魅力のある農業などはできるはずがない。まして養蚕業のように、日本の伝統的な文化的な歴史的な産業、しかもこれはどこでもできるというものではない。非常に限られたところでがんばっている皆さんがいらっしゃる。これまで押しつぶすということになればどうにもならない。しかも、これが約束されたテンポで進んでいないところを見ると、これは農政に大きな欠陥があると言わなければならない。その欠陥をどこに求めるかということについて、立てた目標をしっかり守るためには、外国からのむやみな輸入を抑えなければならぬと思っている。
 現在滞貨しているというその滞貨の主な原因はどこですか。国内産のものか、それとも外国から輸入したものなのか、どっちの方が多いのか、その内訳をはっきりしてもらいたい。
#205
○二瓶政府委員 ことしの二月末の蚕糸事業団の在庫、これが八万九千俵強ございます。この中で国産糸の方が一万二千六百俵強でございまして、その他の大部分は輸入糸であるということでございます。
#206
○竹内(猛)委員 そのように、在庫が多い多いといっても、国内産がきわめて少なくて輸入の方が多いのは明らかでしょう。これが日本の農家を圧迫し、織物にも影響しているわけです。ところが、ことしは農家の皆さんは異常な気持ちで全国大会を開きましたね。そして皆さんに要請されていますが、どうですか、政務次官、基準糸価を上げることができますか。はっきりここで言ってください。
#207
○近藤(鉄)政府委員 基準糸価につきましては、明後日審議会に諮問することになっておりますけれども、この基準糸価は、繭糸価格安定法の規定により「生糸の生産条件及び需給事情その他の経済事情からみて適正と認められる水準に生糸の価格を安定させることを旨として」定める、こうなっておるわけでございますので、いまいろいろ関係資料を収集中でございます。ただ、五十五年度の基準糸価の決定に当たりましては、生糸の生産条件をあらわす大きな要素であります生糸生産費の動向と並んで、実は長期にわたる糸価の低迷、また生糸の末端需要の減少傾向、さらにいま御指摘ございました生糸、絹織物の在庫増、特にいま蚕糸事業団の在庫累積などの需給事情、これを十分に勘案しながら、審議会の答申を得て決めることになるわけでございますけれども、いまいろいろ資料を収集、分析中でございますので、現段階においてはまだ申し上げる状況ではないわけであります。
#208
○竹内(猛)委員 確かに、生産の状況から言えば、農家の努力によって生産費を下げるような要素もないことはない。だがしかし、農家自体でどうにもならない要素があるというのは、これはついこの間自民党の政府が電気料金を五〇・八%上げた、ガス代も四〇数%上げていますね。これは、これに伴う資材が上がるということなんです。いま労働組合総評議会でも春闘において平均八%を目標に賃上げをしようとしている。そのときに、原料であるところのガスや電力というものは四〇%から五〇%上がるという。これは農家の努力でどうにもならないものだ。こういうことをしておいて、全然値を上げないというようなことは、これはむちゃくちゃじゃないですか。外国から入ってきたものについては国内の生産の養蚕家の責任じゃない、政治の責任でしょう、外国から入ってきたものが滞貨をしているというのは。そういう政治の責任の失敗を生産農民に押しつけるということは、これは無謀じゃないですか。そういう点をカバーするのが政治でしょう。その点はどう思いますか。
#209
○近藤(鉄)政府委員 御指摘のとおり、公共料金の値上げ、また電気、ガス料金の値上げ、そういった資材費の値上げというものも当然今年度予想されるわけでございますが、同時に、養蚕農家の方々も生産性の向上に努力しておられる。向上した分だけ全部取り上げてしまったのでは実もふたもないじゃないかという竹内先生の御指摘、まことにそうだと思いますけれども、やはり同時に、生産意欲を高めていただいて全体の生産性を上げるためにも、そういう生産意欲促進のための一つの刺激としても、ある程度生産性によって経費が削減した分は、これは逆に引かせていただく、こういうことで、しかし、まるまる全部引くという形は、実はあらゆる政策についてやっていないわけでございます。そういうことでございますので、いま申しましたように、いろんな客観的なデータを集めて、それを分析をした上で価格の決定をしたい、こう思っているわけでございます。
 ただ、輸入による在庫は政治の責任ではないかとおっしゃるわけでございますが、実はこれは、最初申しましたように、ずっと前に自由化しておったものを、いまの国内の事情を踏まえて、二国間協定取り決めで相手方に説得をしながら、話し合いで相当数量を実は昨年も減らしているわけでございますので、そういう努力は今年も行いまして、何とか需給の調整を行い、また在庫を減らしていきたいと思っているわけでございます。現実に事業団が在庫を持って、本来ですといわゆる実需者売り渡しということで右から左に出すようなこともあるわけでございますが、それも抑えてきているということも国内の糸価の安定のための十分な考慮からである、かように御理解賜りたいと思います。
#210
○竹内(猛)委員 私は理解をすることはできない。やはり農家が借金をして努力をしたものについて、それを正当に評価して返していくということが筋ですよ。輸入の問題については、これは二国間協定いろいろやっているけれども、これは後で問題を出しますけれども、これは大いに政治的な背景があるでしょう。
 先ほど神田委員から、通産省の矢野事務次官の京都における暴言が出された。わが党としては、これは仮に個人の提案であろうと公的なものであろうと、少なくとも京都の商工会議所という正式の場所で発言をしたことであるから、これはもう許すことはできないわけですね。だから、この委員会で云々はしない。これは政治の問題だから国会対策委員会でもっともっと大きな問題にこれを発展させていかなければならない。いやしくも通産省の事務次官という重要な位置にある者が、二年間生産をやめれば養蚕農家が参ってしまうだろう、そして機業もとまるだろう。そうすると、とまった機業に働いている百社の皆さん、それから、百七の機業がありますけれども九千四百人の働く労働者がいますね。こういう人たちについては手当を出すと言っている。そういうところまで言っているのでしょう。これはかなり背景があって物を言っていることであって、思いつきで言っていることじゃないですよ。これは冗談じゃない。しかも前にいるのは機織り屋でしょう。そういう人の前で言っておるのだから、この発言というものは重要なものですね。だから、ここでは本人もいないから責めるわけにはいかないけれども、しかし、この問題はここで物を言ったからこれでおしまいになる、ここで答弁を聞いたから黙っているというものではない。私たちはこれは大きな政治課題としてこれから取り上げていかなければならない。
 この背景にあるものは、つまり二十五日に自由民主党では二つの会議が持たれたでしょう。一つは、赤坂プリンスホテルで八時半から会合をされた。これは蚕糸懇話会というものがある。これは亀岡さんが座長でやられている会議だ。この方面では、農家の立場に立って、非常に滞貨は困るけれども農民の心理を考えれば何とかしてあげなければならない、こういう生産農民にやや思いやりのある考え方を出しているのですね、ここでは。
 ところが、一方の長谷川四郎さんを代表とする自由民主党の繊維対策特別委員会、これが矢野発言と表裏一体なんだ。これは実もふたもないですよ。ここでちょっと読むけれども。
  政府は、昭和五十五生糸年度に適用する安定帯価格の決定に際し、我が国の地域経済社会の消長を左右する重要な産業である絹業が危殆に瀕している現況にかんがみ、次の事項の実現に努めるべきである。
 一、生糸の一元輸入制度下における大幅な内外生糸価格差の存在及び最近における絹製品の末端消費の動向にかんがみ、昭和五十五生糸年度に適用する基準糸価等の安定帯価格は昭和五十四生糸年度の水準に据え置くこととし、絶対にその引上げを行わないこと。
これは第一の重要なことですね。
 二、日本蚕糸事業団が行う輸入生糸の実需者売渡しについては、いわゆる下ベソ価格のため実需者売渡し制度導入の趣旨が有名無実化している現況にかんがみ、対象生糸が円滑かつ速やかに実需者に渡るよう下ベソ価格条項を撤廃するとともに、実需者売渡し停止措置の発動を慎重に行うこと。
 三、生糸の一元輸入制度が大幅な内外生糸価格差をもたらし絹業の経営を大きく圧迫している事実及び昭和五十一年法律改正の際の経緯にかんがみ、生糸一元輸入制度の在り方について、その撤廃を含め抜本的な検討を進めること。
   右決議する。
こうなっている。この繊維特別委員会の考え方と矢野発言は一緒じゃないですか。
 こういうふうに考えてくると、通産省の物の考え方というものがつまり自民党の中の繊維のこの仲間の中に反映をして、それを代表して事務次官が京都でしゃべったということになるのだ、こういうふうになりませんか。どうです、通産省、これと違うということになりますか。
#211
○宇賀説明員 矢野次官の発言は、先ほども繰り返し申し上げましたとおり純粋に私見であるということでなされております。
    〔片岡委員長代理退席、委員長着席〕
ただいま繊維特別委員会の決議について引用があったわけでございますが、われわれといたしましては、一元輸入自体について、これは長期的視野からいろいろ検討していかなければいけないという問題ではあるとは思っておりますが、現在はともかく一元輸入制度というのがあるわけでございますので、それを前提に、そのもとで蚕糸、養蚕あるいは絹業、共存していけるような方法をいろいろ考えるというようなことであれしているわけでございます。ただ、生糸の価格が国際的に非常に高いということが需要の減退を招いて縮小均衡ぎみになっていることは事実でございますが、ともかく現在は一元輸入制度というものがあるわけでございますので、それを前提に、その中で共存の道をいろいろ施策の上で探っておるというのが実情でございます。
#212
○竹内(猛)委員 事務次官の言っていることの中で、これをもう少し具体的にすれば、十七万六千戸の農家が全滅してもよろしい、そして百社で百七工場に九千四百人の働く労働者がいますが、こういう方々に対しては離職に対して手当を出す、こう言っている。これは通産省、そういうことできますか。仮にこれが私語であったとしても、そういう措置ができますか。どういう手法でやりますか。通産省あるいは労働省も含めてそういうことできますか。
#213
○宇賀説明員 先ほど申し上げましたように、矢野次官の発言は、たとえばそれくらいの決意を持ってやらなければならないほど問題は困難な問題であるという意味で、問題の困難性を指摘するということで、それだけの決意が織物業界にあるかという決意をただすという、むしろ問題の困難性を指摘するという形で行われておりまして、したがいまして、われわれとして、その先の補償等につきましてまだ検討したことはございません。
#214
○竹内(猛)委員 この問題は、本人がいないからこれ以上追及することはあるいは無理かもしれないけれども、しかし、問題としては軽々しい問題ではないということだけは重々ひとつ心得てもらいたいと思うのです。これはこれからいろいろな場所で政治的な課題になってくるだろうし、事もあろうに、日本の伝統的な養蚕をつぶして、そして今度は生糸生産者の生産工場にしても、これも伝統的な、長い間日本の産業の中で、あるときには花形の輸出をやり努力をしてきた、こういうところに働いている者に対してこのような発言をされるということは、いやしくも通産省の事務次官の資格を持っている者としては許しがたいことでありますから、この点については今後も断固としてその責任を追及するということをここで明らかにしながら、次の問題に移ります。
 通産省の統計によると、蚕糸業界は通産省の織物統計等をきわめて有力な判断材料としておるわけでありますけれども、生糸の生産市場で価格が決定されているわけですが、この問題について過般誤報があったことについて通産省は知っていると思うけれども、どういう誤りがあったかということについて明らかにしてもらいたい。
#215
○渡辺説明員 お答えをいたします。
 先般、昨年の十一月分の絹織物の在庫の数値を発表いたす準備をしております際に、一昨年、五十三年の一月分からの絹織物の在庫数値の一部につきまして誤りがあったことを発見いたしまして、これを訂正公表した次第でございます。
#216
○竹内(猛)委員 その誤りの具体的な内容について報告してください。
#217
○渡辺説明員 お答えをいたします。
 一部の事業所の申告に、私どもで呼んでおりますけたずれ、つまり単位は千平方メートルになっているのでございますが、これを平方メートルということで三けた間違えまして書いておる事業所が一部にございまして、これが発見をできませんで、県、私どもと、こういうことでこの二年間来ておるものがあったわけでございます。これが原因の根幹になっておるわけでございます。
#218
○竹内(猛)委員 五十四年十一月現在の通産統計において一億三百四十四万七千平米、これに対して実態が八千三百四十四万七千で二千万平米の誤差があった。この誤差によって生ずるものを換算をすると約四万四千六百俵、これを生繭で換算すると一万四千四百六トン、こういう誤差があったということについて、これを認めますか。
#219
○渡辺説明員 お答えいたします。
 単位を干平米にいたしますと、二万、つまり二千万平米の誤差があったわけでございます。
#220
○竹内(猛)委員 この誤差によって生じた被害についてどのような責任をとりますか。
#221
○渡辺説明員 お答えさしていただきます。
 先ほど申し上げましたように、この十一月の分につきまして、先月の半ばの発表に際し、直ちに統計法の趣旨にのっとりまして訂正発表をいたしたわけでございます。事態の発見と同時に直ちに内部的には上司の方にも報告をいたしまして、大臣からは私ども厳重注意をお受けしたわけでございます。また同時に、再発防止のための総点検、あるいは再発防止対策につきましてもその実施方指示を受けまして、現在その実施の途についておるわけでございます。
 また、これらの数値は第一次的には関係の都道府県で集計をいたすわけでございますが、関係の府県につきましても私どもから、これを上京させまして厳重注意をいたし、かかることのないように申し渡した次第でございます。また、これらの県を通じまして、関係の申告に係ります事業所につきましても厳重な注意をいたしたわけでございます。
 いずれにいたしましても、本件が社会的に与えた影響はまことに少なからざるものがある、こういうことを十分私ども念頭に置いております。そういう趣旨からいたしまして、今後こういうことが二度と起こらないように十分万全を期してまいりたい、かように存じておる次第でございます。
#222
○竹内(猛)委員 この問題も、確かに報告によると厳重注意ということでかなり厳しい注意を受けたということを聞いておりますが、それだけで与えた被害に対する償いにはならないと思う一これは団体の方からそれぞれしかるべき処置をとられると思いますが、これはぜひひとつ受けて立ってもらいたいと思います。
 続いて、蚕糸事業団の問題についてお伺いをしますが、先般本委員会で繭糸価格安定法の一部を改正をして、輸入差益金の利益というものを養蚕団体やあるいは蚕糸業者の団体にその振興のために渡すことになっておりましたが、これはその後どのように扱われ、どういうように運用をされているか、これについて報告を願いたい。
#223
○二瓶政府委員 日本蚕糸事業団の助成事業を拡充強化するという目的に立ちまして、繭糸価格安定法の一部改正の法律が議員提案によりまして五十四年五月可決成立、そして七月二十日に施行の運びとなったわけでございます。
 そこで、この法改正の趣旨に沿いまして、蚕糸業振興資金に約四十五億円の繰り入れをいたしました。それで、これを財源として蚕糸、絹業の安定的発展を推進するという角度から、五十四年度につきましては、この助成事業の規模を十億円ということにいたしております。五十三年度が三億六千万でございますので、その約三倍の規模になるわけでございますが、そういうことで実施をしておるところでございます。
#224
○竹内(猛)委員 これから行政改革の一環として、日本蚕糸事業団と糖価安定事業団が統合するというようなことが世上に伝えられているけれども、これは事実かどうか、そういうふうになっているかどうか。
#225
○二瓶政府委員 日本蚕糸事業団と糖価安定事業団の統合の問題につきましては、昨年十二月二十八日の閣議決定におきまして、五十六年十月を目途に統合するという一応の決定を見ております。
 その統合のやり方といいますか、これは今後具体的にさらに詰めていきたいというふうに考えておりますが、方針としてはそういう線が閣議で決まっております。
#226
○竹内(猛)委員 もう時間がないから、最後に近藤政務次官にお尋ねします。
 さっき言ったように、自民党の中に二つのグループが、一方においては、農家をつぶしてもあるいは会社をつぶしても、もういままでのものを撤廃しろという強い、それを支える繊維のグループがある。もう一つの方では、やはり物価がいろいろ上がっておる中だから繭の値上げを考えなければならぬじゃないかという、同じ政党の中で全く違った二つのものがある。(「各党とも」と呼ぶ者あり)与党の方にある。そういう中でこれをどういうように扱っていくのか。そして、一番先に質問したように、現状のままで養蚕農家を殺してしまうのか、それとも、やはり将来農民にも希望を与え、同時に生糸を生産する工場で働いている皆さんにも生活の安定を進めていくのか、こういうことについて最終的には農林水産省が決めるわけだろうから、それについての決意をひとつ聞かしてもらいたい。
#227
○近藤(鉄)政府委員 御指摘のとおり、自民党の中にもいろいろ御意見がございます。やはりいろんな選挙区の事情だとか立場の違いがございますから、この生糸の扱い方につきましても、御指摘のように、大ざっぱに言って二つの意見があることは事実でございます。これはそれぞれの立場立場、理由があってのことでございますが、しかし、私が先ほど来申しておりますように、大事なことは、長い間日本の農業の中で大きな役割りを占めておった養蚕業でございますし、また、特に最近の生産調整についても、山間地帯では大きな役割りを担っている養蚕業でございます。また、技術的に考えましても、日本の養蚕業ぐらいすぐれた技術を持っている養蚕業は世界にない。そういうことを考えてまいりますと、非常にむずかしい状況ではございますが、何としても養蚕業を安定的に発展させて、同時に、それを基礎にして日本の絹織物業が発展できるという、二者が立っていくような立場を何とか苦労しながらも考えていくのが私たちの役割りじゃないか、かように考えております。そういうことで、いよいよ近くに迫りました生糸価格の決定をめぐり、また、いろんな機会に、この二つの問題を何とか調和して発展させるためにひとつ努力を尽くしてまいりたい、かように考えております。
#228
○竹内(猛)委員 そこに座っている内海委員長のところも、近藤政務次官の出身の山形も、羽田委員のところの長野県も、日本では十本の指に入る繭の生産地区だ。そこで農家がどういうことをやっているかということはよく知っているはずなんだ。一銭も値を上げないなんというようなことでは、これはどうしようもないでしょう。それでは矢野事務次官の言葉のとおりになってしまう、つぶされてしまう。自民党の中で大いにがんばってもらわなければ困るですよ。そのことをまず要求します。
 それから、最後に、農林水産省は六十年の展望において見通しを誤ったということだ。それで、近く六十五年の新しい展望を出すわけでしょう。その中で、米の減反というものを、現在五十三万ヘクタール、やがて八十万にもしようということになるのじゃないですか。そのようなことになっていったら、一体あいている土地は何にするんだ。それは大豆をつくれ、麦をつくれ、えさをつくれ、野菜をつくれ、いろんなことを言うけれども、どっちもこっちも生産過剰になってしまって、みんな生産調整、それで価格が高いからだめだといって大蔵省にしかられる、こういうようなことばかりやっておってはどうにもならない話であって、国内における自給度というものを高めていくと同時に、特に養蚕においても、苗木を植えてもっと繭をつくっていくという方向も一部に考えられている。そのときの手当てとして、いままでは果樹については三年間の補助をくれていた。桑園には三年で打ち切りでしょう。だから、これを五年にする、あるいは三年で打ち切ったらあと二年は追加するようにして、養蚕農家に少し生産面でも温かくやってもらいたいと思う。そして、国内において八三%の自給をやるというんだから、それならその八三%の自給に向かって養蚕家をふるい立たせるような努力をしなければまずいじゃないですか。
 それと同時に、通産省との間では十分に連絡をとって、矢野次官のようなああいう暴言を吐かないように厳重に注意をしてもらいたいと思う。
 そういうことを申し上げて、私は終わります。
#229
○内海委員長 瀬野栄次郎君。
#230
○瀬野委員 蚕糸振興対策について、農林水産省当局並びに通産省関係当局に質問いたします。
 まず最初に申し上げたいことは、いよいよ二十九日には政府において基準糸価及び基準繭価等が決定をするということで、蚕糸業関係生産者は重大な注目をしていま見守っておるところでございます。そういった意味で、きょうは農林水産省の考えを含めて、時間の範囲内で質問をしてまいりたい、かように思います。
 まず最初に、政務次官にお伺いしますけれども、日本の養蚕業の位置づけと将来の見通しについてはどういうふうに農林水産省はお考えであるか、その辺から明らかにしていただきたい。
#231
○近藤(鉄)政府委員 日本における養蚕業は、古くは日本の農業の中で非常に大きな役割りを果たしてまいりましたし、また、かつては花形の輸出産業として、近代日本の経済発展の中で外貨獲得に非常に大きな役割りを担ってまいったと思うわけであります。最近総体的に絹の需要が伸び悩んでおりまして、化学繊維そういったものの進出が激しくて、いわば養蚕業押されぎみでございますし、また日本の農業も、従来の米とか養蚕に加えて果樹とか畜産と多角化してまいっております。したがって、日本の農業全体に占める養蚕業のウエートというのは総体的には減少をしておる、こういうことを認めざるを得ないわけでありますが、しかし、所によりましては山間地帯の振興などには依然として養蚕業が重要な役割りを担っておりますし、したがいまして、山間地帯の水田再編対策等におきましてもやはり養蚕業に今後大いに期待をしていかなければならない、かように考えているわけであります。
 技術的なことを言えば、この日本の養蚕業は世界最高の技術を持っているわけでございますから、したがって、世界最高の技術を持っている日本の養蚕業がこれでなくなるようなことになれば、人類の農業技術においても大きな損失だとすら私は考えているわけであります。ただ、先ほど来お話ございますが、いわゆる養蚕業を基礎にして発展しております日本の絹織物業が、これが国際的な割り高ということでいろんな議論をしているようでございますが、しかし、日本の絹織物業界にとってみても、大事な生糸を全部海外に依存してしまうということが、果たしてこの業界の将来の安定発展にとっていいかどうかということは深刻に考えていかなければならない、かように思っているわけであります。
 そういう意味で、農村においても農業においても重要な役割りを担っておりますと同時に、日本の絹織物業界のこれからの発展にとってもやはり大事な足場を提供している分野だ、かように考えて、できるだけの助成について今後意を尽くしてまいりたいと思っている次第でございます。
#232
○瀬野委員 養蚕業に対する位置づけと将来の見通しについては、一応政府の考えを了といたしますが、養蚕業の動向についてお伺いしてみたいと思います。
 近年における繭生産量の推移を見てみますと、昭和四十年代は十万トン台でありましたけれども、昭和五十年以降急激に減少しております。すなわち五十二年には七万九千トンとなったわけであります。しかし、昨年、昭和五十四年には前年対比一〇五%と伸びてまいりまして八万一千トンとなりまして、政府に言わせれば四十八年以来六年ぶりに増産となった、こういうふうに言っておられるわけですけれども、果たして真の意味の増産になっていくのかどうか、いろいろ議論の分かれるところでございますが、養蚕業のいわゆる動向についてどういうふうに認識をしておられるか、その点も冒頭お伺いしておきたいと思います。
#233
○二瓶政府委員 最近におきます養蚕業の動向でございますけれども、都市化、兼業化の進展なり、労働力の不足なり、他作物との競合激化とか、いろいろ厳しい情勢がございまして、ただいま先生からお話ございましたように、養蚕農家数なり桑園面積が減ったりいたしております。特に繭の生産量、これが四十九年までは十万トン以上でございましたが、五十年から十万トンを切って推移をするというような姿に相なっております。ただ、この五十四年につきましては、ただいまもお話ございましたように、気象にも恵まれたということもございますが養蚕農家を初め関係者の努力によりまして八万一千トンということで、六年ぶりの増産になったわけでございます。
 そこで、問題は、今後どうこれを展開していくかということになりますけれども、五十五年度におきましても一応農蚕園芸局といたしましては八万六千トンという線に持っていきたいということで、いま各県等にもいろいろ働きかけをやっておるわけでございます。そういうことで、この生産はなおふやしていきたいというふうに考えております。ただ、問題は、やはり内外価格差の問題等もございますし、生産性の高い姿でもってしかも増産をしていくということに力を注いでいきたいというふうに考えておるわけでございます。
#234
○瀬野委員 二瓶局長からただいま答弁ございましたが、気象条件に恵まれたとか作柄がよかったとかいろいろな理由があるにせよ、最大の理由として、今年度、五十四年度八万一千トンに若干回復してきたということは、やはり五十三年度の繭糸価格が一応堅調に推移をしてきた、このことが一番最大の理由である、私はこういうように思っているのですけれども、その辺の認識は農林水産省はどうでございますか。
#235
○二瓶政府委員 ただいま私から申し上げましたように、気象条件なり関係者の努力という問題なり、あるいは免産対策の問題等もあったかと思います。ただ、確かに先生おっしゃいますように価格がよかったという問題は、これは非常に大きな影響があったかと思います。
 問題は、五十二生糸年度の場合は、基準糸価もさることながら、非常に旺盛な仮需要等に支えられまして、実勢糸価が非常によかったということが言えるかと思います。そういう意味で、今後も何とか実勢糸価をこの糸価低迷の姿から立ち直らせるということが一番の課題であろう、こう考えております。
#236
○瀬野委員 農林水産省は四十八年以来六年ぶりに昭和五十四年度は繭生産量が八万一千トンであるということで、ずいぶん回復してきたというようなことがしばしば聞かれるわけですけれども、養蚕業の現況をずっと見てみますと、御承知のように、養蚕農家数の場合は昭和四十二年が四十六万七千戸に対して、昭和四十六年が三十七万三千戸、五十三年が十八万七千一尺五十四年が十七万六千戸とずっと減ってきておりますね。さらに桑園面積を見ますと、四十二年が十六万一千ヘクタールに対して、昭和四十六年が十六万六千ヘクタール、五十三年が十三万ヘクタール、五十四年は十二万五千ヘクタールと減ってきております。もちろん二月当たりの収繭量は若干ふえてきていることも事実でありますが、問題は、この桑園面積が減っていくということは、これは幻の産業になるということがよく言われますように、私はこれは大変問題である、かように思うわけです。繭生産量が若干五十四年度伸びたとはいうものの、そのもとになる桑園面積がぐっと減少しつつあります。これらについてはどういうふうに認識をし、どういうふうにお考えであるか、また、対策を講じようとされているか、お答えいただきたい。
#237
○二瓶政府委員 ただいま先生からお話ございましたように、養蚕農家戸数あるいは桑園面積等全体としての数字は減少傾向をたどっております。一戸当たりの方は確かに規模拡大なり生産性の向上が見られる、こういう姿で推移をいたしておるわけでございます。したがいまして、私たちといたしましては日本の生糸そのものが二十七万俵ぐらいしか生産できませんが、所要量といたしましては、生糸そのものとしてはやはり六万俵前後不足をいたしておるわけです。したがいまして、やはり自給率を高めていきたいという考え方を持っておるわけです。したがいまして、先ほど来申し上げておりますように、内外価格差の問題等もございますので、生産性の高い角度の養蚕経営をつくりながら、桑園面積というようなものも確保しつつ、総量としての繭生産量、生糸生産量、こういうものをふやしていきたい、そのための施策を今後とも積極的に展開していきたい、かように考えておるわけでございます。
#238
○瀬野委員 声が小さくて余り聞き取れぬところが多いですから、もう少し声を大きくして答弁していただきたいと思います。
 いずれにしても、桑園面積が減っているということは大変問題であります。冒頭政務次官からも力強い決意の表明等がございましたが、実際には、中身を見ますと、いま申し上げたような状況でありまして、われわれは、わが国の伝統産業であるこの蚕糸業が大変な危機の状態に向かいつつあるということも十分認識しておりますし、また、当局も認識をしていただいて、これらに対する原因の究明をしっかりやっていただいて、十分な対応策を講じていかれるように強く要求をしておきます。
 そこで、労働力の生産性の問題と土地生産性の問題ですけれども、先ほども申しましたように、最近の蚕糸業の状況は、ここ数年鈍化してきたことは事実であります。五十三年の十アール当たりの作業労働時間を見ましても、四十五年の三割強減の二百十五時間となっております。また、土地生産性を示す十アール当たりの収繭量について見ましても、五十年以後はほぼ六十キログラム前後と停滞傾向でありましたが、昭和五十四年には六十四・九キログラムと増加していることも事実であります。さらに、養蚕農家の経営規模は年々増加しております。一戸当たりの桑園の栽培面積等は、五十四年には七十一・一アールと昭和五十年の一・七倍になりまして、収繭量は四十五年の一六倍の四百六十・八キログラムというように高まっておることも十分われわれは認識しておりますけれども、こういう現状を踏まえて、どういうふうに土地生産性それからまた労働力の生産性等について当局は価格決定前にお考えであるか、その点もひとつ明らかにしておいていただきたい、かように思います。
#239
○二瓶政府委員 ただいま先生からお話ございましたように、一般的な養蚕の統計等から見まして、ただいまお話ありましたように、一戸当たりの収繭量等も増加をいたしておる、あるいは十アール当たり収繭量も五十四年は六十四・九ということで、土地生産性も上がってきておるということがございますし、それから労働生産性、こちらの面につきましても、上繭一キログラム当たり労働時間というようなことで見ましても、五十三年が二・三時間というようなことで大分向上をいたしておるということがございます。こういうことで、問題は、今後生産対策等を強力に進めて、この労働生産性と土地生産性、これを高めていきたいと考えております。
 なお、基準糸価等の決定に当たりまして、こういう生産性の関係等をどう織り込んでいくかという問題等につきましては、これはただいま資料を収集検討中でございますので、従来の例なり最近の動向等も踏まえて検討してまいりたい、かように思っております。
#240
○瀬野委員 繭の減産傾向が今後も続くときには、養蚕業のみならずわが国蚕糸業の将来は重大な事態に陥ることが十分懸念されるわけです。
 そこで、蚕糸業振興審議会においては、昭和五十三年十二月以降生産部会を数度にわたって開催されております。近年における繭減産要因を究明するとともに、今後における具体的な養蚕振興の方策について検討を重ねてきておりまして、その結果を、御承知のように「養蚕振興の基本的方策について」と題して昭和五十四年七月二十日に取りまとめ、同日付で蚕糸業振興審議会会長から農林水産大臣に報告されております。
 そこで、この中身を見ますと、一つには繭生産基盤の強化、二つには土地生産性の向上、三つには投下労働時間の節減、四つには高能率養蚕経営の育成、五つに養蚕を取り巻く環境条件の整備、こういったことを当面の重点事項にして、政府は蚕糸業振興対策の一層強化を図ろうとしておられると思うのでありますが、こういう厳しい時期になっておりますので、こういったことに対して十分検討を進めておられるか、また、それに対していまどういうような手順で検討されておるか、その点今後の進め方について具体的にお答えをいただきたいと思います。
#241
○二瓶政府委員 蚕糸業振興審議会の生産部会から、ただいま先生からお話ございましたように、慎重な検討を経た結果、昨年の七月に一応御報告をちょうだいいたしておるわけでございます。したがいまして、私たちといたしましては、ただいま挙げられました各種の項目等を踏まえまして、五十五年度の一般会計予算等にそれを反映をさせる、さらにまた、五十五年度の事業団の助成事業等にも反映をさせるというようなことで考えたわけでございます。
 養蚕関係の予算につきましては、財政事情非常に厳しいときでございましたので、総額四十七億ということで予算を編成いたしましたが、これにつきましては若干前年より減ったという経緯がございます。したがいまして、五十五年度の日本蚕糸事業団によります助成事業をさらに拡充強化していきたいということで、この四月から事業団が五十五年度に入りますので、現在財政当局と助成事業の大幅拡大について折衝中でございます。
 したがいまして、私たちといたしましては、その生産部会の報告の線に沿うべく、一般会計の蚕糸関係予算と事業団の予算と両々相まちまして、その方向で対処をしていきたいということで取り組んでおる次第でございます。
#242
○瀬野委員 全養連においては、全国から蚕糸生産者代表千五百名を結集し、三月十八日十二時三十分から九段会館において、基準糸価引き上げ要求全国蚕糸生産者大会を開催し、熱気あふれる中に昭和五十五年度適用基準糸価の大幅引き上げについての決議が行われたわけであります。各党それぞれ決意を述べて、蚕糸生産者の期待にこたえるべくあいさつをしたわけでございますが、最近の生糸価格は、繭糸価格安定法に基づく一連の蚕糸対策にもかかわらず、依然として低水準に推移しております。しかるに、生糸の生産費は、物価、賃金等の急激な上昇に伴い二万円に近い水準に達しておることも御承知のとおりです。一方、生糸の実勢価格はこれを大幅に下回り、蚕糸生産者の経営はきわめて深刻な事態にあることはこれまた御案内のとおりであります。このような状況下、農林水産省が決定する基準糸価は、調査実績の生産費を大幅に圧縮し、実情を無視した低水準に査定される危険性があるということで、蚕糸生産者としては不安と承服できないという気持ちでいろいろと憤りをぶちまけておりました。
 したがって、政府においては、昭和五十五年度適用基準糸価の決定に当たっては、蚕糸生産者の経営実態と物価賃金等の高騰を十分参酌の上、かつ生糸需給事情、経済事情等を参酌して、安定法生糸生産費を一万六千三百円と算定し、基準糸価一万五千五百円、基準繭価二千三百円として、実勢価格を安定法生産費以上で維持するよう強く全養連においては求めておるわけです。よって、来る三月二十九日にはいよいよ価格が決定されることになりますが、こういった全養連の試算について当局も十分検討しておられると思いますが、こういった全国生産者の切なる声、決議を踏まえて価格を決定していただきたいと思うが、その点の検討内容、認識について当局の見解を承っておきたい。
#243
○近藤(鉄)政府委員 全養連を中心といたします養蚕農家の方々の御要望については私たちも承っております。御案内のとおり、基準糸価につきましては、繭糸価格安定法に基づきまして、生糸生産条件及び需給事情その他の経済事情を参酌して定めることとなっておりますし、また、基準繭価は、基準糸価に照応するものとして日本蚕糸事業団が定めることになっており、現在関係資料を収集、検討中でございます。御指摘ございました五十五生糸年度に適用いたします基準糸価の決定につきましては、まず、生産条件をあらわす要素であります生糸生産費の動向等、これに並んで生糸、絹製品の末端需要の停滞、そして市場糸価の低迷、さらには日本蚕糸事業団の在庫の累増など、最近の需給事情を十分勘案しながら、慎重に検討しなければならないと考えておりますが、蚕糸業振興審議会の意見も聞いた上で適正に決定してまいりたい、かように考えております。
#244
○瀬野委員 政務次官に今回の価格決定に当たってさらにお願いしておきたいことがございます。
 すなわち、昭和五十五年度適用生産費に最近の物価、賃金等の高騰の分が加味されていないということが一つの大きな問題であると思うので、この点を十分配慮の上決定してもらいたいと思う。すなわち、昭和五十五年度適用基準糸価が決定される場合採用される農林省統計情報部の繭生産費は、昭和五十三年十一月より昭和五十四年十月までの一年間のものであります。これを安定法適用生産費に組みかえる場合は、昭和五十四年十一月、十二月、さらに昭和五十五年一月の三カ月間の物価修正をして調整するのでありますが、私たち生産者から言わせますと、繭生産者が生産する繭は昭和五十五年五月以降でございまして、期間的に大きなずれがある、これは特に認識をしていただきたいと思うのです。そういった意味で、五十五年度適用の繭生産費については最近の物価、賃金の高騰は加味されない仕組みとなっておる、この矛盾を是正して実勢に合った物価修正をしていただく、こういうことが生産農家の強い要請でございますので、このようなことで価格決定をしていただきたいと思うのですが、その点の政府の考えを、端的にでいいですからお答えいただきたいと思う。
#245
○近藤(鉄)政府委員 私たち、これは基準糸価の関係だけじゃなしに、乳価も牛肉の価格もすべてそうでございますが、できるだけ最近時点までのデータをとる、全体のデータがとれなければ指数化して最近時点に延ばしていこう、こういう努力をしているわけでございます。
 御指摘のように、しからば五十五年五月以降はどうなんだ、こういうことにつきましては、もう農産物価格決定の共通する悩みでございますけれども、将来のことについてはなかなかはっきりしたデータがとれない、こういうことで、最近時点のデータで一応計算する、こういうことになっておるわけでございます。したがいまして、御指摘の点は十分理解できますが、これは技術的になかなかむずかしい問題であるということも御理解賜りたいと思います。
#246
○瀬野委員 通産省当局にお伺いしますが、国内需要の不足分に限り外国より繭を初め生糸、絹紡糸、絹糸、絹織物等を輸入すべきことはもうよくわかるわけですけれども、このうち中国、韓国との二国間協定については実情を無視した過大な取り決めが行われております。また、絹糸、絹織物等についても法の盲点を突き無秩序な輸入がなされております。このため需給は著しく乱れ、生糸価格は長期低迷を余儀なくされております。こういった点について、蚕糸生産者は経営に大きな不安を持ち、また動揺をいたしておりますが、通産省はどのように現状を認識し、これに対してどのように対処する考えであるか、その点お答えをいただきたい。
#247
○村田説明員 御案内のように、絹織物につきましては日中、日韓の二国間協定を基礎にいたしまして輸入の秩序化を図っております。二国間協定でございますので、御指摘のように、わが方の考え方を一方的に通すということはなかなか困難でございます。しかしながら、私ども、国内の需給状況を踏まえまして、これまで四回の交渉を行っておりますが、粘り強く交渉を行っております。たとえば絹織物について申しますと、中国の場合協定締結が七六年でございます。それ以前七五年には二千八百万平米入っておりましたが、ことし七九年度の協定におきましてはこれが千六百四十五万ということで、約半減いたしております。私どもとしても、国内の需給を踏まえて、できるだけ国内の絹業あるいは蚕糸業界に影響を与えないように努力しているところでございます。
 それから、その二国間協定を迂回いたしまして入ってくるようなもの、これは一昨年来間々見られたところでございますが、これに対しましては、貿管令を発動いたしまして事前許可制により監視いたしております。それから、とかく疑わしい輸入が多うございました香港につきましては、昨年九月からこれを事前確認制にいたしまして厳重な監視をいたしております。そういうような結果、疑わしいものはいまやほとんど後を絶ったというふうに私ども理解をいたしておりまして、この半年間の輸入は、織物について申しますれば対前年比二〇%減ということで相当鎮静化いたしております。引き続き輸入の監視には十分の注意を払ってまいりたいというように考えております。
#248
○瀬野委員 時間がもう詰まってまいりましたので、はしょってお伺いしますが、農林水産省の場合は生糸が二国間協定の対象になっているわけですね。通産省の場合は絹糸と絹織物ということでございますけれども、いまの問題で農林水産省の二国間協定に対して同じような問題が起きておりますが、これに対する対策はどう考えてるかということと、それから、絹織物、絹糸、絹紡糸及び繭等の輸入については、ただいまも答弁がありましたが、現行の輸入調整措置では過剰輸入になるおそれがあるので、さらに強力な法的規制措置を講じて、蚕糸生産者の経営安定を期すべきである、かように私は考えているわけです。また、そうしていただきたいと思うのですが、この点について通産省のお考えをお聞きしたい。
#249
○二瓶政府委員 生糸につきましても、中国、韓国とそれぞれ二国間取り決めをやっておるわけでございます。五十四年度におきましては約一〇%の削減ということを、これは五十一年から二国間取り決めをやっていますが、四年にして初めて削減ということに結果的になったわけでございます。問題は、あと今後五十五年度の取り決めというのをいずれやらなくちゃならぬわけでございますけれども、けさは鐸来御説明申し上げておりますように、事業団の在庫が二月末で八万九千俵という姿でもございます。したがいまして、わが国の生糸の需給事情というようなものが十二分に反映された取り決め数量になりますよう、粘り強く最大限の努力をいたしたいと考えておるわけでございます。
#250
○村田説明員 絹織物に対する規制の強化という御意見でございますけれども、いろいろガットのルールその他ございまして、これ以上の規制の強化につきましては慎重に検討してまいらなければならぬ、こういうふうに考えております。ただ、先ほど申しましたように、現在の二国間協定並びにこれを補完する貿管令による措置ということで、これを機動的かつ厳格に適用してまいれば、何とか対処していけるものであろうと私ども考えております。
#251
○内海委員長 林百郎君。
#252
○林(百)委員 農水省にお聞きしますが、五十四年度の適用基準糸価について、繭の一キログラム当たりの生産費を修正していますね。統計情報部の繭生産費に対して七九%の修正をして二千百十二円。この七九%の修正というのは、これはどういう根拠で、どういうところからこういう数字が出てくるのですか。
#253
○二瓶政府委員 基準糸価につきましては、先生御案内のとおり、繭糸価格安定法の規定に基づいて決定をいたしておるわけでございますが、その際に、繭の生産条件及び需給事情その他の経済事情から見て適正と認められる繭価水準の実現を図ることを旨として定めるというような規定の仕方に相なっておるわけでございます。そこで、この基準繭価でございますけれども、これは事業団の方で最終的には決めるわけでございますが、これにつきまして、五十四生糸年度適用の基準繭価につきまして、ただいま先生からお話ございましたように、最終的に決まりましたものが、統計情報部の繭生産費の二千六百七十二円、これに対しまして二千百十二円という基準繭価に相なったわけでございます。
 したがいまして、これに対する根拠はどうかということに相なりますと、いわゆる需給事情その他の経済事情というような面からいたしまして、労働生産性なり土地生産性なり、そういうようなものを上げていくのが急務であるという角度で、そういう観点を織り込んで決定をしたということが根拠でございます。
#254
○林(百)委員 非常に抽象的で何を言っているかよくわからないのですが、それなら、七九%のいろいろのファクターですね、それを私に提供してもらえますか。なぜ統計情報部繭生産費に対して七九%の修正をしたのかという、このファクターを私に提供してください。そうでなければ、あなたの答弁じゃわかりませんよ。四囲の状況だとか経済情勢だとかなんとか、そんなことでは、アトランダムに農林省の思うような数字が出てくる危険がありますからね。それは時間がありませんからそうしましょう。
 五十四年度の各作目別の労働評価についてですが、一時間当たり米は幾らで繭は幾らと計算していますか。
#255
○二瓶政府委員 五十四年度の繭なり米の労働評価の問題でございますけれども、これにつきましては、一時間当たりで繭が六百六十円四十六銭という評価をいたしております。それから米につきましては、・千三十三円十二銭でございますが、これは先生御案内のとおり、生産費所得補償方式という方式で米価を決めておりますので、その関係のことで一時間当たりの労働評価が高くなっておるということでございます。
#256
○林(百)委員 一時間当たりの労働評価が、繭が米の半分だ。米の方は生産費所得を償う評価をしてある。そうすると、繭の方はしてないから半分になるというのですか。要するに生産費所得を償わない一時間の労賃を計算しているということになるのですか。
#257
○二瓶政府委員 生産費調査を統計情報部でやっておりますが、その際に、家族労働の評価をどうするかという際に、これは生産費調査におきましては共通でございます。米にしろ、繭にしろ、その他の作物にしろ、生産費調査をやります際の家族労働の評価のやり方は同じでございます。それは農村の雇用労賃といいますか、それでやっておるわけでございます。
 そこで、それを、生産費調査の結果が出るわけでございますが、行政価格をそれぞれ決めるといいます際に、繭の価格をどうするかあるいは米の価格をどうするかという際に、それぞれその作物の商品特性なりあるいは国民経済に占める地位なり、そういうようなことを背景にいたしまして、いろんな行政価格を決める算式があるわけでございます。その際に、繭につきましては、労賃の評価の仕方は、統計情報部で公表いたしましたその労働評価のやり方を一応踏襲をいたしております。米の場合は、先ほど申し上げましたように、生産者米価というものを決めます際に生産費所得補償方式というものをとっておりますが、製造業の都市均衡労賃という角度で評価がえをするわけです。そういたしますと、先ほど申し上げましたように、千円を超える相当高い評価額になる、こういうわけでございます。生産費調査そのもののときの原生産費の評価はみな各作物とも共通でございます。
#258
○林(百)委員 いずれにしましても、繭の生産が低迷している。五十四年度は五十三年度より若干上向いたといえ、一時間当たりの労賃が繭は米の半分では、これは農民の意欲が出てこないのはあたりまえですね、採算からいっても。だから、この問題はここであなたと論争していても限りがありませんから、これも計算の基礎をあなたから私のところへ出してください。
 次に、これは次官に聞くよりほか仕方ないと思うのですが、昨年からことしにかけて生糸生産について、燃料は約三〇〇%ですね、三倍、金利が二二〇%、電力料金は先ほども話が出ました五〇%、燃料ガスは四〇%、それに円安という要因が加わっているわけですが、こういう要因を入れますと、繭一俵当たりの、あるいは一キログラムでもいいですが、生産費は幾らコストが上がりますか。
#259
○近藤(鉄)政府委員 私へというお話でございますけれども、ちょっと具体的な数字の問題でございますので、農蚕園芸局長の方から答えさせていただきます。
#260
○二瓶政府委員 五十五生糸年度に適用いたします基準糸価等の行政価格につきましては、ただいま資料を収集、検討中でございます。その際に、物価の関係等につきましてもいろいろな資料を収集いたしておるわけでございます。したがいまして、主として繭につきましては農村物価賃金調査、この辺の動向等も見ておるわけでございます。
#261
○林(百)委員 局長、生糸の生産費が、コストがこういう要因で幾ら上がるか、昨年以来灯油は御承知のとおり三倍にもなり、金利が最近二倍近く上がり、電力料金五割、燃料ガスが四割、それに円安というファクターが加わっているので、こうなると、生糸の生産費、一俵でもいいし、一キログラムでもいいですが、五十四年度の基準価格を計算したときよりどのくらい上がってきますかと聞いているのですよ。生糸のことを聞いているのです。
#262
○二瓶政府委員 ですからそれは、資料を収集して、どのデータを使うか等もございますので、いま検討中でございます。
#263
○林(百)委員 検討中と言っても、あさっては諮問案が農林省から出るわけでしょう。それなのにまだ……。こういうファクターを加えて、大体、アバウトで結構ですが、どのくらい上がってくると見ているかということもまだ検討中なんですか。
#264
○二瓶政府委員 ただいま申し上げましたように、資料を収集いたしまして目下検討中でございます。二十九日の十時半からの審議会までには必ず間に合わせるというつもりでございます。
#265
○林(百)委員 やむを得ません。
 先ほど次官は、生糸がだぶついている、だぶついていると言いますが、五十四年度の日本の国の生糸の消費量は何俵で、そして国内生産量は何俵だったのですか。
#266
○近藤(鉄)政府委員 生糸年度はまだ出ていなくて、五十四年暦年の生産が二十六万五千八百……(林(百)委員「消費量ですよ」と呼ぶ)生産が二十六万五千で、内需が全体として四十一万三千六百六十八俵になっております。
#267
○林(百)委員 生糸の消費量は幾らなんですか。何万俵で、そのうち国内生産の生糸は何万俵だったかと聞いているのです。局長でもいいです。
#268
○二瓶政府委員 ただいま政務次官が御答弁申されましたのは、絹織物等も全部生糸に換算した場合のものでございます。先生のお尋ねは、むしろ生糸そのもの……
#269
○林(百)委員 生糸そのものと、それから絹織物を含めて、あるいは二色に言っていただいて、日本の生糸の――暦年でやっていますか、生糸年度で答えていますか、どちらでもいいのですが、先ほど二十六万という数字が出ましたね。
#270
○二瓶政府委員 実は五十四生糸年度は目下進行中でございまして、五月末になりませんと五十四生糸年度が終わらぬわけでございます。ちょうどいま進行中の半ばということで、そういう意味で先ほど政務次官は暦年の数字を言われたと思います。
 そこで、五十四暦年の生糸の生産でございますが、これは二十六万五千八百二十九俵ということでございます。それに対しまして内需でございますが、内需は、これは織物等も換算をいたしております、それが四十一万三千六百六十八俵ということでございます。
#271
○林(百)委員 そうすると、内需が四十一万三千俵、それで国内生産が二十六万俵と言えば、少なくとも日本の生糸の生産に関する限りはだぶついていないんじゃないですか。十五万俵足りないんじゃないですか。そうすると、先ほど次官の答えただぶついているという要因は輸入生糸ですね。輸入生糸の要因が加わるものだから、だぶついてきて糸価を圧迫する、こういうことに解釈していいんじゃないですか。
#272
○近藤(鉄)政府委員 林先生のおっしゃるとおりでございます。ただ、たびたびお話をしておりますように、生糸の輸入につきましては、これはもう一応自由化商品になってございますので、本来ですと、自由に輸入業者が買う、また輸出業者が輸出ができる、そういう状況になっておるわけでございますので、それを二国間で話を詰めまして、国内のいろいろな需給やまた国内の繭糸価格の状況等を十分向こうに伝えまして、話し合いで調整をしてまいる、こういうことに実はいろいろむずかしい問題があるわけでございます。
#273
○林(百)委員 むずかしい話があるから聞いているので、あなたが言わなくてもわかっているのですよ。事業団の在庫の九万俵のうち国内のものは一万二、三千俵だというのですね。あとは輸入生糸を事業団が持っておる。近くまた三万俵近く中国から入ってくるので、これも事業団が買い入れるということになると、事業団は十二万俵くらい買い入れることになるわけですね。
 通産省にお聞きしますが、こういう実情にあるわけなんですよ。いろいろ苦労しているかもしれませんけれども、日本の生産生糸だけじゃ足りないんですよ。むしろ内需を満たさないんですよ。十五、六万俵も足りないんですよ。しかし外国からどんどん入ってくる。あなた方知っているかどうか知りませんけれども、現在、たとえば絹織物について、染色してない真白いものは半製品として通産省は行政指導によって輸入をある程度抑制して、二国間協定やいろいろやっていますけれども、二、三年前から輸入商社が知恵を出して、反物を、簡単に脱色できるいわゆる青竹、これは通産省は専門だから御承知ですよね、こんな形で日本の商社が輸入している、こういう実情もあるわけなんですよ。こういう点も踏まえて、これは輸入をよほど努力して規制しませんと、生糸もそうですけれども、ことに絹製品を抑えていかないと、日本の生糸事情が明るい見通しを持つことは非常に不可能になると思うのですね。生糸というのは、言うまでもなくそのすその方には繭生産者がいるわけなんですから、日本の農民の生活がかかっているわけですから、この点について一層の努力をしてもらいたい、こういうように思うわけです。
 それからもう一つ、さっきの矢野次官の話ですが、農林次官、これはあなたの考え方はちょっと甘過ぎると思うのですね。これは正式には京都商工会議所が通産次官として招待して、そして言うことには、せめて二年間生産を全面ストップさせる、そうすれば、農家は生糸が売れなくなって全滅する、その上で国際相場の中国生糸などを使って生産を再開したらどうか、生産ストップの体制中は通産省で生活を見てやるというようなことを言っているわけですね。しかし、生糸の一元化、そして蚕糸事業団の制度というようなものは国会で法律で決めたことですから、国会で法律で決めたことを高級官僚が勝手に自分でそれを否定するようなことを言うということは、これは国会の機能を全く無視したファッショ的な発言になるわけじゃないですか。ことに、二年もたてば蚕糸業は全滅する、生糸も全然買わなくなるから、生糸もそれで終わりになる、そうしたら中国の安い生糸を買ったらいい、日本の生糸よりは中国の生糸の方を使ったらいいなんということを勝手に、通産次官ともあろう者が京都の商工会議所に行って言っている。こういうことに対して、農林省がやはり一言抗議を言うなり、この真意はどこかということを問うぐらいのことをしなければ、農林省は通産省になめられてしまうんじゃないか、変な言葉ですけれども。この点を次官、よく考えていただきたいと思うのですよ。
#274
○近藤(鉄)政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、私は、矢野通産次官を個人的に知っておりますし、そうめちゃくちゃなことを言う人ではないと思っておりましたので、先ほど通産省の課長から話があったわけでありますが、これはまさに逆説的に、できもしないことをあえて言うことで、逆説的に、日本の絹織物業と養蚕業との密接不可分の関係を言ったのではないか、こういうふうに実は好意的に考えておったわけでございます。これも、御答弁申し上げましたように、しかし、真意が那辺にあるかについては、私は憶測でございますから、これは早速ただしまして、それによっては厳重に抗議を申したい、こう思いますが、いずれにいたしましても、場所柄等を考えれば、あのときの発言はきわめて不穏当であった、かように考える次第であります。
#275
○林(百)委員 時間がないから最後にしますが、次官、あなたと矢野さんとはどういう個人的な関係があるかもしれませんけれども、商工会議所で、通産次官ともあろう者が、日本の蚕糸業が二年もたてば全滅するから、そうしたら中国の生糸を買ったらいいじゃないかなんて、そんなことを言うような、そんなことを許しておくことはできませんよ。これは恐らく国会全体でも問題になると思いますが、そのとき、あなたどこまでも、そんな私情で、あの人は正直な人だからきっと言い過ぎたんだろう、そんなことを言っていたら、これは農林省の権威にかかわりますよ。このことは京都の議会でも問題になりまして、知事ですら、次官が脱線してしまったものだと思う、こう言っているんですよ。もっと毅然とした態度をとってもらいたい。
 最後に、私の要望ですが、あなたも御承知のとおり、製糸協会あるいは養蚕業界から、基準価格をぜひ実情に合ったように上げてもらいたいという非常に強い要望がある。これで見れば、生糸の織物業者が安楽死をするかもしれないと言いますが、このままでいけば、生糸業者も、養蚕業者の方が、農林省管轄の方が早く安楽死するかもしれませんので、十分この要望を考慮して、実情に適した諮問を農林省が出すように要望しておきたいと思いますが、その点で一言答弁を求めておきたいと思います。
#276
○近藤(鉄)政府委員 基準糸価の決定につきましては、いま至急資料を収集いたしまして分析、検討している段階でございます。二十九日の午前十時に蚕糸業振興審議会に付すわけでございますけれども、それまでには十分いま先生から御指摘ございましたような問題を踏まえて検討いたしまして、できるだけ適正な価格の決定に当たりたい、かように考えております。
#277
○林(百)委員 どうもはっきりしないけれども、結構です。
#278
○内海委員長 次回は、明二十八日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時十五分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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