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1979/03/25 第91回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第091回国会 社会労働委員会 第6号
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1979/03/25 第91回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第091回国会 社会労働委員会 第6号

#1
第091回国会 社会労働委員会 第6号
昭和五十五年三月二十五日(火曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 葉梨 信行君
   理事 越智 伊平君 理事 住  栄作君
   理事 竹内 黎一君 理事 山崎  拓君
   理事 田口 一男君 理事 森井 忠良君
   理事 大橋 敏雄君 理事 浦井  洋君
   理事 米沢  隆君
      大坪健一郎君    瓦   力君
      北口  博君    小坂徳三郎君
      斉藤滋与史君    田邉 國男君
      戸沢 政方君    丹羽 雄哉君
      八田 貞義君    船田  元君
      牧野 隆守君    箕輪  登君
      山下 徳夫君    湯川  宏君
      枝村 要作君    金子 みつ君
      佐藤  誼君    安田 修三君
      山本 政弘君    谷口 是巨君
     平石磨作太郎君    伏屋 修治君
      梅田  勝君    田中美智子君
      小渕 正義君    塩田  晋君
 出席国務大臣
        労 働 大 臣 藤波 孝生君
 出席政府委員
        労働省労政局長 細野  正君
        労働省労働基準
        局長      吉本  実君
        労働省労働基準
        局賃金福祉部長 寺園 成章君
 委員外の出席者
        総理府人事局参
        事官      吉田 道弘君
        社会労働委員会
        調査室長    河村 次郎君
    ―――――――――――――
三月十九日
 医療保険制度及び建設国民健康保険組合の改善
 に関する請願(石橋政嗣君紹介)(第二五八二号)
 同(木原実君紹介)(第二五八三号)
 同(中西積介君紹介)(第二五八四号)
 同(中村重光君紹介)(第二五八五号)
 同(馬場昇君紹介)(第二五八六号)
 同(大久保直彦君紹介)(第二六六三号)
 同外一件(草野威君紹介)(第二六六四号)
 同(瀬野栄次郎君紹介)(第二六六五号)
 看護職員条約批准のための国内法令整備等に関
 する請願(阿部昭吾君紹介)(第二五八七号)
 同(木原実君紹介)(第二五八八号)
 同(久保等君紹介)(第二五八九号)
 同(塚田庄平君紹介)(第二五九〇号)
 同外一件(中西積介君紹介)(第二五九一号)
 同(春田重昭君紹介)(第二五九二号)
 同外一件(松浦利尚君紹介)(第二五九三号)
 同外一件(三宅正一君紹介)(第二五九四号)
 同(山田耻目君紹介)(第二五九五号)
 同(米田東吾君紹介)(第二五九六号)
 同(浅井美幸君紹介)(第二六四四号)
 同(石井一君紹介)(第二六四五号)
 同外六件(石田幸四郎君紹介)(第二六四六号)
 同(市川雄一君紹介)(第二六四七号)
 同外一件(石野久男君紹介)(第二六四八号)
 同(稲葉誠一君紹介)(第二六四九号)
 同(小沢辰男君紹介)(第二六五〇号)
 同(大久保直彦君紹介)(第二六五一号)
 同(竹内黎一君紹介)(第二六五二号)
 同(中野四郎君紹介)(第二六五三号)
 同(伏木和雄君紹介)(第二六五四号)
 同(堀昌雄君紹介)(第二六五五号)
 同(山田英介君紹介)(第二六五六号)
 同外二件(山本政弘君紹介)(第二六五七号)
 同(吉井光照君紹介)(第二六五八号)
 同(米沢隆君紹介)(第二六五九号)
 同(和田一郎君紹介)(第二六六〇号)
 同(飯田忠雄君紹介)(第二七二五号)
 同(金子みつ君紹介)(第二七二六号)
 同外一件(小川省吾君紹介)(第二七二七号)
 同(奥野誠亮君紹介)(第二七二八号)
 同(久保等君紹介)(第二七二九号)
 同(倉石忠雄君紹介)(第二七三〇号)
 同(栗原祐幸君紹介)(第二七三一号)
 同(小泉純一郎君紹介)(第二七三二号)
 同外一件(佐藤守良君紹介)(第二七三三号)
 同(沢田広君紹介)(第二七三四号)
 同外二件(田邊誠君紹介)(第二七三五号)
 同(高田富之君紹介)(第二七三六号)
 同(戸沢政方君紹介)(第二七三七号)
 同(渡辺栄一君紹介)(第二七三八号)
 原子爆弾被爆者援護法制定に関する請願(阿部
 昭吾君紹介)(第二五九七号)
 同(伏木和雄君紹介)(第二六七九号)
 国立腎センター設立に関する請願(柴田睦夫君
 紹介)(第二五九八号)
 同(石橋一弥君紹介)(第二六六一号)
 同(染谷誠君紹介)(第二六六二号)
 同(中井洽君紹介)(第二七二一号)
 医療保険制度の改善に関する請願(松本善明君
 紹介)(第二五九九号)
 社会保障、社会福祉の拡充等に関する請願(春
 田重昭君紹介)(第二六〇〇号)
 原子爆弾被爆者等の援護法制定に関する請願外
 七件(広瀬秀吉君紹介)(第二六〇一号)
 同外二件(中川嘉美君紹介)(第二六七六号)
 戦後強制抑留者の処遇改善に関する請願(吉原
 米治君紹介)(第二六〇二号)
 同(瀬野栄次郎君紹介)(第二六七四号)
 同(和田耕作君紹介)(第二六七五号)
 同(阿部昭吾君紹介)(第二七一五号)
 同(春日一幸君紹介)(第二七一六号)
 同(柴田弘君紹介)(第二七一七号)
 同(松本忠助君紹介)(第二七一八号)
 同(渡部正郎君紹介)(第二七一九号)
 健康保険法の改正反対に関する請願(渡辺武三
 君紹介)(第二六〇三号)
 健康保険法改正案の撤回、良い医療制度の確立
 に関する請願(前川旦君紹介)(第二六四三号)
 腎臓病患者の医療及び生活の改善に関する請願
 (小渕正義君紹介)(第二六六六号)
 同(八田貞義君紹介)(第二六六七号)
 同(中川利三郎君紹介)(第二六六八号)
 療術の制度化阻止に関する請願(小坂善太郎君
 紹介)(第二六六九号)
 東北地方等に冬期暖房料の療養担当手当拡大適
 用等に関する請願(八田貞義君紹介)(第二六七
 〇号)
 新鮮血液の確保及び心臓病児者の内科的医療費
 補助に関する請願(八田貞義君紹介)(第二六七
 一号)
 児童福祉法に基づく学童保育の制度化に関する
 請願(栗田翠君紹介)(第二六七二号)
 国民健康保険における傷病手当、出産手当の実
 施等に関する請願(栗田翠君紹介)(第二六七三
 号)
 良い医療制度確立に関する請願(塚本三郎君紹
 介)(第二六七七号)
 同外六件(前川旦君紹介)(第二六七八号)
 同(佐藤誼君紹介)(第二七一一号)
 同(小渕正義君紹介)(第二七一二号)
 同(塩田晋君紹介)(第二七一三号)
 同(湯山勇君紹介)(第二七一四号)
 医療保険制度改善に関する請願(渡部一郎君紹
 介)(第二六八〇号)
 同(渡辺武三君紹介)(第二六八一号)
 同(高田富之君紹介)(第二七二二号)
 同(飯田忠雄君紹介)(第二七二三号)
 良い医療制度の確立に関する請願(佐藤誼君紹
 介)(第二七〇九号)
 同(関晴正君紹介)(第二七一〇号)
 医療ソーシャルワーカーの配置財源保障に関す
 る請願(田邊誠君紹介)(第二七二〇号)
 医療費明細書の交付義務づけに関する請願(飯
 田忠雄君紹介)(第二七二四号)
同月二十二日
 医療保険制度及び建設国民健康保険組合の改善
 に関する請願(林保夫君紹介)(第二七四八号)
 同(和田耕作君紹介)(第二七四九号)
 同外六件(村山喜一君紹介)(第二八〇五号)
 同(後藤茂君紹介)(第二八六二号)
 同(渋沢利久君紹介)(第二八六三号)
 同(高橋高望君紹介)(第二八六四号)
 同(山田芳治君紹介)(第二八六五号)
 同外一件(山本政弘君紹介)(第二八六六号)
 看護職員条約批准のための国内法令整備等に関
 する請願(住栄作君紹介)(第二七五〇号)
 同外一件(久野忠治君紹介)(第二七八二号)
 同(小坂徳三郎君紹介)(第二七八三号)
 同外五件(塩川正十郎君紹介)(第二七八四号)
 同(中島源太郎君紹介)(第二七八五号)
 同外一件(上田哲君紹介)(第二七八六号)
 同(上坂昇君紹介)(第二七八七号)
 同外二件(中村茂君紹介)(第二七八八号)
 同外一件(長谷川正三君紹介)(第二七八九号)
 同外一件(藤田高敏君紹介)(第二七九〇号)
 同外二件(田中龍夫君紹介)(第二八三四号)
 同(山下徳夫君紹介)(第二八三五号)
 同外二件(河上民雄君紹介)(第二八七三号)
 同外一件(後藤茂君紹介)(第二八七四号)
 同(三原朝雄君紹介)(第二八七五号)
 同(山田芳治君紹介)(第二八七六号)
 同外二件(綿貫民輔君紹介)(第二八七七号)
 同(安藤巖君紹介)(第二八七八号)
 同(井上敦君紹介)(第二八七九号)
 同(岩佐恵美君紹介)(第二八八〇号)
 同(梅田勝君紹介)(第二八八一号)
 同(浦井洋君紹介)(第二八八二号)
 同(金子満広君紹介)(第二八八三号)
 同(神崎敏雄君紹介)(第二八八四号)
 同(木下元二君紹介)(第二八八五号)
 同(工藤晃君紹介)(第二八八六号)
 同(栗田翠君紹介)(第二八八七号)
 同(小林政子君紹介)(第二八八八号)
 同(榊利夫君紹介)(第二八八九号)
 同(柴田睦夫君紹介)(第二八九〇号)
 同(庄司幸助君紹介)(第二八九一号)
 同(瀬崎博義君紹介)(第二八九二号)
 同(瀬長亀次郎君紹介)(第二八九三号)
 同(田中美智子君紹介)(第二八九四号)
 同(多田光雄君紹介)(第二八九五号)
 同(津川武一君紹介)(第二八九六号)
 同(辻第一君紹介)(第二八九七号)
 同(寺前巖君紹介)(第二八九八号)
 同(中川利三郎君紹介)(第二八九九号)
 同(中路雅弘君紹介)(第二九〇〇号)
 同(中島武敏君紹介)(第二九〇一号)
 同(中林佳子君紹介)(第二九〇二号)
 同(野間友一君紹介)(第二九〇三号)
 同(則武真一君紹介)(第二九〇四号)
 同(林百郎君紹介)(第二九〇五号)
 同(東中光雄君紹介)(第二九〇六号)
 同(不破哲三君紹介)(第二九〇七号)
 同(藤田スミ君紹介)(第二九〇八号)
 同(藤原ひろ子君紹介)(第二九〇九号)
 同(正森成二君紹介)(第二九一〇号)
 同(松本善明君紹介)(第二九一一号)
 同(三浦久君紹介)(第二九一二号)
 同(三谷秀治君紹介)(第二九一三号)
 同(村上弘君紹介)(第二九一四号)
 同(安田純治君紹介)(第二九一五号)
 同(山原健二郎君紹介)(第二九一六号)
 同(四ツ谷光子君紹介)(第二九一七号)
 同(渡辺貢君紹介)(第二九一八号)
 年金・医療制度の改悪中止等に関する請願(伊
 藤茂君紹介)(第二七八一号)
 療術の制度化阻止に関する請願外四件(相沢英
 之君紹介)(第二七九一号)
 医療保険制度の改悪反対等に関する請願(岩垂
 寿喜男君紹介)(第二七九二号)
 同(上田哲君紹介)(第二七九三号)
 良い医療制度の確立に関する請願(川崎寛治君
 紹介)(第二七九四号)
 同(藤田高敏君紹介)(第二七九五号)
 民間保育事業振興に関する請願(佐々木義武君
 紹介)(第二七九六号)
 同(石橋政嗣君紹介)(第二八六七号)
 同(山田芳治君紹介)(第二八六八号)
 保育所施設の最低基準改定等に関する請願
 (佐々木義武君紹介)(第二七九七号)
 同(鹿野道彦君紹介)(第二八六一号)
 東北、北信越等における冬期暖房料の療養担当
 手当拡大適用に関する請願(清水勇君紹介)(第
 二七九八号)
 国民健康保険における傷病手当、出産手当の実
 施等に関する請願(清水勇君紹介)(第二七九九
 号)
 良い医療制度確立に関する請願(清水勇君紹介)
 (第二八〇〇号)
 同(安田修三君紹介)(第二八〇一号)
 同外二件(山口鶴男君紹介)(第二八〇二号)
 同(小川省吾君紹介)(第二八七〇号)
 同外七件(田邊誠君紹介)(第二八七一号)
 同外二件(山口鶴男君紹介)(第二八七二号)
 戦後強制抑留者の処遇改善に関する請願(津川
 武一君紹介)(第二八〇三号)
 同(松本善明君紹介)(第二八〇四号)
 同(竹中修一君紹介)(第二八三二号)
 同(中井洽君紹介)(第二八三三号)
 同(石野久男君紹介)(第二八五二号)
 同(川口大助君紹介)(第二八五三号)
 同(関晴正君紹介)(第二八五四号)
 同(高田富之君紹介)(第二八五五号)
 同(竹内猛君紹介)(第二八五六号)
 同(芳賀貢君紹介)(第二八五七号)
 同(長谷川正三君紹介)(第二八五八号)
 同(三浦隆君紹介)(第二八五九号)
 同(渡辺三郎君紹介)(第二八六〇号)
 医療費明細書の交付義務づけに関する請願(吉
 田之久君紹介)(第二八三六号)
 国民年金法の被保険者で公的無年金者となつた
 重度障害者に対し特例納付制度適用に関する請
 願(中井洽君紹介)(第二八四九号)
 労災保険法改正案のうち保険給付と民事損害賠
 償との調整反対に関する請願(中井洽君紹介)
 (第二八五〇号)
 健康保険法の改悪反対等に関する請願(伊藤茂
 君紹介)(第二八五一号)
 原子爆弾被爆者等の援護法制定に関する請願外
 四件(広瀬秀吉君紹介)(第二八六九号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案
 (内閣提出第二三号)
     ――――◇―――――
#2
○葉梨委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田口一男君。
#3
○田口委員 議題になっておりますいわゆる中退金につきましては、問題はなしとはしませんが、今日の情勢からいって、私は全面的に賛意を表するものでございます。
 ただ問題は、こういった中小企業に働く労働者の諸君の老後の生活をおもんぱかって、国が若干の補助金を出しながら退職金制度というものを充実させていこう、こういう機運がある一方、退職金という問題について、最近、またぞろ二、三十年前と同じような議論が出てきておる。こういう点について、この機会に労働省から退職金というものの持つ意味、性格をはっきりさせていくことが必要ではないかと思うわけでございます。
 具体的に申しますと、退職金というものは、権利という言葉を使いますけれども、労働者にとって賃金と同じような権利と言えるのか。労働基準法の言葉で言うならば、労働条件の一部であるということが言えるのかどうか。昭和三十四年にこの中退金の制度をつくった前後の背景から私は考えましても、やはり一般的に退職金というものは権利性を帯びてきておる、言いかえれば、労働条件であると言い切っても過言でない、こう思っておるのでありますけれども、労働省の方ではそういう見解を持ってみえるのかどうか、まずお伺いいたします。
#4
○寺園政府委員 先生御指摘のとおり、退職金は一般的には労働条件であるというふうに考えております。労働基準法上の評価におきましても、就業規則、労働協約等によってあらかじめ支給条件が明確になっておる退職金は賃金であるというふうに評価をいたしております。したがいまして、そのような退職金につきましては、労働基準法上は労働条件に該当するというふうに考えております。
#5
○田口委員 そうしますと、いまのお答えでは、いわゆる就業規則であるとか何であるとかいう前書きがついておるのですけれども、昭和二十二年九月十三日に、おたくの方で発基十七号という行政解釈を出しておるのであります。退職金は恩恵的給付であれば賃金ではないけれども、労働協約、就業規則等であらかじめ支給条件を明確にしておるものについてはこの限りでない。あれから三十年たっておるのでありますが、なお今日でもその行政解釈が生きておるのか。いまのお答えで十分だと思うのですけれども、念のためにお伺いいたします。
#6
○寺園政府委員 御指摘の昭和二十二年の発基十七号で示しました解釈は現在も変わっておりません。
 なお、この解釈は判例、学説においても確立した考え方であるというふうに承知いたしております。
#7
○田口委員 といたしますと、労働基準法第十一条に言う、もちろん前置きは就業規則であるとか労働協約ではっきりうたってあるというふうにして、そうである退職金は労働基準法十一条にうたっておる「労働の対償」である、こういうことが言えると思うのであります。それから、賃金の後払いというふうな言い方もできるでしょうけれども、そういった考えからいけば、労働組合と使用者、労使の団体交渉事項に当然なってくると思うのでありますが、それで間違いないのかどうか。
#8
○細野政府委員 一般的に民間におきましては、おっしゃいますように、退職金につきましては当然労使の交渉の対象事項になると考えております。
#9
○田口委員 そうなってまいりますと、これもちょっと事務的になるかもしれませんし、後の問題にも関係ありますから、ちょっと念を押しておきたいのですが、そういった労使の団体交渉事項になるという退職金の規定を変更する一いままで退職金の計算は、一律に計算をするとか勤続年数によって率を決めるとかいろいろあると思うのですが、一定の率を決めておる。その率を一方的に変更することについて、ちょっと古い判例で、たとえば昭和四十一年九月の大阪簡裁の判決であるとか、四十四年九月の岡山地裁の判決などを見ましても、経営者の経営不振等の理由があるにせよ、一方的な退職金規定の変更はその合理性がないという判決も出ておるのですが、そういった率を変更することも当然団体交渉の対象になるのかどうか、わかりきったことだと思うのですが、念のためこれもお伺いします。
#10
○細野政府委員 一般的に民間におきましては、その点につきましても当然団体交渉の対象になると考えております。
#11
○田口委員 そこで、総理府の人事局から見えておると思うのですが、いまこれは主として民間労働者の、しかも労働組合のあるということになると思うのですが、退職金というものについてもはや今日では、一定の前置きがあるけれども権利であり、労使の話し合いの対象にしなければならぬ、団体交渉事項にするのがあたりまえだ、こう定着をしておると思うのです。
 そういう観点から言って、今回国会に、他の委員会に提案をされております国家公務員等の退職手当法の改正の問題、これも私は同じ考えでやらなければならぬと思うのでありますが、総理府の方ではどういうお考えを持っているのか、お伺いします。
#12
○吉田説明員 いま先生のお尋ねの件でございますが、従来から国家公務員の退職手当法につきましては、この範囲が非常に広うございまして、非現業の公務員ばかりでなく、先生御承知のとおりに、五現業三公社、さらには国会職員、裁判官、三権全般をカバーする非常に特殊な法律でございます。したがいまして、非常に広い範囲の関係から、しかも払っております退職手当は、最高裁の判例でも性格として認められておりますように、長期勤続に対する報償としての性格を持っております。そうしまして、その原資は国民の税金でございます。したがいまして、これは従来から国会の御審議を経て法定するという形をとっておりまして、昭和四十八年に、これは暫定的でございますが、二割の民間との較差を基準にしまして増額をしたわけでございます。この際も、法律によりまして二割増額し、今回国会に御提出申し上げております改正案につきましては、やはり全く同様の手法をとりまして、人事院の民間調査を基準にしまして約一割の差があるということで、実質算定八・三%の減額を御提案しているわけでございます。
#13
○田口委員 いや、内容は別として、後で聞くのですが、さっきから労働省の退職金の性格についての御見解を承っておるのです。そういう観点に立つならば、いま報償金というふうなことを言われましたけれども、団体交渉事項になるのか、労使という言葉を使いますが、そこで一定の話し合いをし、望むべくは合意に達した上でということがいいと思うのですが、一応はそういう筋道、手順というものを踏むべきではないのか、その辺についてどう考えておるのか。いまあなたがおっしゃいましたように、退職手当法の範囲の第二条を見ますと、三公五現の諸君も入っておる。それから、非現業の国家公務員の諸君も入っておる。それから裁判官、国会職員、あらゆるいわゆる公務員というものを網羅をしておるのですが、三公五現の諸君だけ抜き出してみた場合、これは公労法の第二条で、また第八条で団体交渉の事項は、賃金その他これこれだと書いてあるのですね。となると、国会で決めなければならぬ、法定でございますというけれども、その法定ということを逆にとってみるならば、国家公務員、地方公務員、そういった対象になる公務員が、公務員として何年勤続すればこれこれの率で退職金を出しますよという、民間で言うなら就業規則ですね、それを変更するのですから、三公五現の諸君だけとってみても、団体交渉といいますか、話し合いということにしても当然にこれは間違いではない。これは長年勤めた者の報償金だからおれの方で切り捨て御免だという考えはいかがなものか、こう思うのですが、どうでしょう。
#14
○吉田説明員 いま先生の御意向でございますが、私ども、上げるときもいまのような法定主義でやらせていただいております関係から、今回は下げる形になりましたが、やはり非常にその範囲が広いということでございますので、片方では交渉、片方では政府が一方的に決めるという形ではなかなかその辺が調整がとりにくい、そういう意味で国会の御審議という一番国民の御判断を仰ぐ仕組みにのせて御判断をいただくという形をとらせていただいておりますので、私どもとしては従来どおりのやり方でやらせていただきたいと思っております。
#15
○田口委員 確かに国会は国権の最高機関ですから、そこで決めるということは、話す限り、聞く限りでは間違いがないと思います。しかし、国会で決まった退職金の定めで私がもらうのじゃないですよ、代議士がもらうのではないですね。もらうのは三公五現を含めて公務員の諸君である。となると、その者に、百分の百二十にしますよ、百分の百十五にしますよ、上げるにしろ減らすにしろ一応の話をし、そして団交権が認められておる諸君であれば一応それを俎上に上せてという、そういう手順を踏むことが筋道じゃないのか。それを国権の最高機関に諮っておるのですからそういうことは必要ないと言わんばかりの言い方はちょっとうなずけませんね。これは労使合意を前提としないと人事局長がある場で言ったそうなのですけれども、私はあえて合意をしなければ、労使合意がなければ提案ができないという、そこまでかたくなに言いません。一方では合意があるだろうし、一方では合意を求めるにも場がないのですから、そういう問題がありますから、私はあえて言いませんけれども、少なくとも民間の退職金の性格と同じ意味の退職手当とするならば、ある程度のそういった手順を踏むべきじゃないのか、こう思うのですが、もう一遍そこのところを。
#16
○吉田説明員 たびたびお言葉を返すようで恐縮でございますが、私どもの考え方としては先ほど申し上げたような考え方でございますけれども、ただ一方的に私どもが勝手に調査をしてやるという形ではございませんで、私どもが独自にやる場合でももちろん公正にやるつもりではおりますが、そういう点で公正中立だと言われております人事院に民間の分につきましては調査を依頼いたしまして、その調査をもとにしまして、私どもが各省からあるいは三公社等からいただいている公務員等の退職金の実額とを比較して今回もやっているわけでございます。そういう意味において、できるだけ中正公正な立場が形としてもとれますように、そういう形でやらしていただいております関係から、私どもとしては従来のやり方でやらしていただきたいと考えております。
#17
○田口委員 確かに国家公務員の諸君、非現業の諸君が主なのですが、人事院という第三者機関、地方公務員の場合には人事委員会なのですが、そこの調査の結果をもとにして官民の比較をとって出しておるのだから公正じゃないかというわけですね。私はその限りでは否定をいたしません。しかし、時間がありませんかち、私はこの問題の細かい分析で時間をとろうとは思いませんが、ただこのことだけはここではっきりしておきたいと思うのです。
 さっきもちょっと言いましたように、退職金の算定、退職手当の額を出す方法に、一律的な問題と勤続年数の支給率、いろいろあると思いますが、いま大きな企業もそれから公務員の皆さんの場合にも、算定基礎額、本俸といいますか月給といいますか、それ掛ける勤続年数別支給率が大体退職金の計算の方法ですね。そうなってくると、皆さんの方で言うと、昭和五十二年に官民の比較をとったら一〇%程度公務員の方が高かったのだ、こういう言い方をされておるようでありますけれども、私は一例としてこういう数字を調べてみたのです。
 三十年勤続をして賃金二十七万、月給と言っておきますが、二十七万、それで、官の方は普通退職で四一・二五カ月ですから、金額にしますと約千百万ですね。年齢五十七歳ということになっているのですけれども、それとよく似た民の場合の五十五歳定年退職で千四百三十八万円ですね。そうしますと、官が三十年で千百万、端数もありまして千百十三万です。民は千四百三十八万。この官の三十年勤続の公務員に対していわゆる肩をたたく、勧奨、どうだ、もう年だから後進に道を譲ってやってなんていいかっこうをしながら肩をたたいて、そこでやめますと、四一・二五が五九・四月に上がるわけです。割り増しです。千六百三万。この千六百三万円と普通退職千四百三十八万の民と比較をすると、大体一一・五%ぐらい公務員の方が高い。おっしゃるように、一割程度公務員の方が高い、こういう数字が出ますね。この比較であれば公務員の方が高いということは私は否定しません。ところが、問題は、勧奨と普通退職とを当てることに無理がある。後で労働省基準局あたりで調べた数字もあればお聞きをしたいのですが、会社都合という場合で退職されたら民の場合は幾らになるのか。そうしますと、私が調べますと千六百二十万です。普通退職で千四百三十八万もらうものが、会社都合ということでやめてもらうと千六百二十万もらえる。こっちは、お上の御都合によって肩をたたかれると千六百三万、ほぼ同額でしょう。となると、いま人事院の調査と言いましたけれども、総理府ですから私は知らぬと言うかもしれぬけれども、この五十二年調査は会社都合と勧奨と比較をしたのか、定年退職と勧奨退職と比較をしたのか。その辺ちょっと細かいのですけれども、一番問題ですからお聞きをしたいのです。
#18
○吉田説明員 いま先生御指摘の数字につきましては、私どもが今回の官民比較で出している数字と若干違っておりまして、公務員につきましても、仮に私どもで今回の比較をしております行(一)の高卒でいきますと、この方はかなり高うございまして、平均いたしますと、私どもの今度の調査でやっております関係で、三十年で勧奨の場合は千六百万までいきませんで千四百三十八万でございますが、大体考え方としましては、いま先生のおっしゃいました問題点を先に申し上げますと、まず私どもなぜ民間の定年退職と国家公務員の勧奨を比較したかと申しますと、いま一応国家公務員の制度におきましては、退職手当法の五条では定年と勧奨とは全く同率で同じ扱いにしてございます。そういう意味で、定年との関係におきましては民間とある程度競り合うだろう。ただ、国家公務員につきましては、一般の公務員につきましてはまだ定年制がしかれておりませんので、実際上この定年でおやめになっているのは裁判官、検察官、大学の教授、こういう方々だけでございますが、この方々が定年でやめる場合には五条でやっております。そういう意味で、民間の定年と比べるのはおかしくないのではないかというのが一点でございます。
 それでは、先生の御質問のように、会社都合は民間の場合は定年退職よりも高いのではないかという御意向はあるかもしれませんが、一般的に申しまして、これは五十三年の労働省の調査がございますが、いわゆる早期退職者に対する優遇措置がいわゆる会社都合だと私ども考えますが、この優遇措置をとっておりますのは、民間におきましてもまだほとんどございません。非常に少のうございます。仮にそれをとりました場合でも、一般にそういう会社都合の退職金の支給割合は定年退職の支給割合を使うのが常態でございまして、そういう意味におきましてむしろ会社都合というのは定年退職並みに扱えばそれほど間違いないのではないか。ただ、先生御指摘のように、非常に高い場合もございます。このケースがどういうケースをおとりになったか私どもちょっとわかりませんが、たとえば構造不況業種等で今年度内に何人希望退職者を募るとか、そういう非常にドラスチックな改革をする場合には確かに加算金等を上乗せしまして退職金よりも高くするという例はございますが、これは非常に希有な例でございまして、私どもが一般的に制度として比較する場合には、一般の会社都合という形になりますと、これは定年退職の支給率と同率にするというのが一般の形だと承知しております。
#19
○田口委員 私はここで調査対象を会社都合の性格がどうだ、定年退職と勧奨退職どうなんだということまで突っ込んでやろうとは思わないのですが、いままで吉田さんおっしゃった、そういう言い方は附強牽引の説というのだろうと思うのです。私は、いずれ国家公務員も地方公務員も定年は設けなければならぬだろう。時期は別ですよ。退手法の中で六十年と言っているのですが、定年の是非は別としていずれは設けなければならぬだろう。そうすると、仮に六十歳としますね。そうすれば、肩をたたこうがたたかれまいが六十になったらやめていかなければならぬ。そうでしょう。六十にするか五十九にするか六十一にするかは労働組合といわゆる団体交渉でいろいろ話し合いをするということもあるでしょうけれども、一たん決まった定年年齢に達すればもういやおうなしに、しかも退職金は幾らということでやめていかなければならない。ところが現実は、よしあしは別として一部の職種を除いて国家公務員は定年はない。ないということは、やめさすためには摩擦が生じるわけですね。そこで、永年勤続だとか勧奨に応じたとか、それから職制の加配というふうな言葉を使ってやめてもらわなければならぬ。そのために四条とか五条とかという適用を設けて割り増しをやっておる。そのもらった割り増しの退職金と民間の定年と、即座にそういう言い方をすると誤解も生まれますけれども、とにかくそういったプロセスを経て民間の定年が決まっていく、その退職金と比較をするということは無理がある。こっちは摩擦を少なくするために会社都合でやめてもらわなければならぬ、摩擦を少なくするためには割り増しをつけるんだ、この割り増しの会社都合とこっちの勧奨と比較をしてそこでなおかつ公務員の方が高いんだというならばある程度見直さなければならぬ、こう私は思うのです。しかし、その辺のところがはっきりしていない。
 昭和五十二年十一月に賃金制度研究会という、これは労働大臣の私的諮問機関か何かじゃないかと思うのですが、その報告を見ましても、関西経営者協会の調査によると、規模五百人以上の場合、会社都合退職のモデル退職金支給率は昭和四十二年が六七・九六であったけれども、五十年には五一・五五に減っておりますが、一般定年退職の率を上げておるというふうに言っておるのです。ですから、この調査対象についてもちょっと粗雑の感がある。したがって、はっきり言いますけれども、行政改革であるとか公費天国であるとか、言うならば、いま公務員の諸君についてピンもキリも含めて攻撃が強まっておる。何でもかんでも公務員の悪口を言えばいいというふうに大合唱を皆さんが起こしているわけです。その大合唱の中で問答無用的にこういった公務員の権利をばさっと切り捨てようとしておるじゃないですか。したがって、去年の閣議決定を見ましても、人事院勧告を決める際にもうすでに退職金まで減らそうじゃないかと言っておる。初めに閣議決定ありきという言い方もあるのですけれども、初めに減らすことを決めておいて後から何でもかんでもいいからつじつまを合わそう、公務員の方が高いと印象づけよう、そういう世論操作、大合唱の中で、公務員の労働組合の諸君が文句を言うとびしゃんとたたく、そういう空気の中で皆さんの方が、公務員の二十年、三十年、四十年と孜々営々まじめに働いておる諸君の退職金までこの際一挙に話し合いもせずに削ろうとする。ここのところはけしからぬと私は思うのです。私はこれは別の場所で言いますけれども、そういうことが退職金の性格、一方では権利性を一般的に帯びてきているのにかかわらず、公務員であるからといって法定主義だ、何だかんだと言ってこういうことをやるのはちょっと片手落ちに過ぎるのではないか。私は、高いからどうとかと言うのじゃなくて、やり方をまず言っておるのです。まず、そういう点についての御見解を聞きたいと思います。
 同時に、もう一つ最後に、こればかり聞いてなんですが、もし仮に国会で決まったんだからしようがない、法定主義でございますというと、三公五現の諸君、団交権を持った諸君でももう切りっ放しになる。となると、これは仮定の問題ですが、仮定の問題というと何ですけれども、いま別なところで審議をしておる国鉄再建特別措置法、四十二万の国鉄職員を三十五万人に減らそうとする。当然七万人首切らなければならぬ。その七万人のやめていく諸君も現行法でいけばある程度割り増しできるけれども、今度でいったら、七万減るわけですから、七万人ばっさり首は切るわ、退職金も前のような状態ではないわということになるのですが、それで果たして人間の生首を切るということがスムーズにいけると思っているのか。それは国鉄のことでございますと言えるような問題じゃないと思うのですが、その辺のところも、周囲を考えた場合に、私の申し上げることはやぼかどうか、その点だけ最後にお聞きしておきたいのです。
#20
○吉田説明員 まず初めの、非常にばっさりとやっているのではないかという御指摘の点でございますが、お言葉ではございますけれども、実は十一月二十二日の人事院勧告の実施に関しまして、あの際に初めて決まったように新聞等でも書かれたことがございまして、いろいろそういうふうな考え方になったんだと思われますが、いままでの経過を若干申し上げますと、人事院の調査と申しますのは大体五年ごとにやっておりまして、四十八年の改正も四十六年に調査をしました民間調査に基づいてやったわけでございます。今回も五十二年度の民間の退職金の実態を調べてもらったものを基準にして検討しようということで、実は昨年の十一月以前から私どもはそういう研究をしておりまして、すでに昨年の三月の内閣委員会におきまして、当時の総務長官から、現在、人事院に民間の実態調査をやってもらっておるので退職手当制度の見直しをそのうちやりたいということも衆議院の記録に残っております。そういうことで、私ども事務的にしましては、下げるとか上げるとか、そういう方向はまだ決まってはおりませんでしたが、見直しをしようという方向はもうすでに昨年の十一月よりも相当前からやっていたという点はございますので、その点御運解いただきたいと存じております。
 それからまた、二番目の点でございますが、おっしゃるように、国鉄がいま、私どもの担当ではございませんが、再建法案等を国会に御提出しているということは私、仄聞しておりますが、私どもの制度そのものとしましては、先ほど申しましたように、これは非常に三権全般に係る一般的な退職手当の制度でございまして、個々の機関、個々の方々の問題をこの退職手当法の中で処理するということは非常に困難だという点は御理解いただきたいと存じております。
#21
○田口委員 公務員を優遇せよという意味じゃないのですよ。やり方を、もっと納得できる方法でやるべきである。ですから、退職金の見直し、賃金制度研究会も言っておりますように、これは基準局長か労政局長にちょっと私の考え方が間違っているかどうか、そういう傾向にあるかどうかについて後で御見解を承りたいのですが、いずれは退職金というものは、高齢化社会の中で、企業にとっても国家財政にとっても地方財政にとっても大きなおもしになるということは私は否定しません。だから、定年を設けたら、定年以降いまのように累進的に率を上げていくということもいかがなものかという気持ちは持っております。それらは大方の議論を待たなければならぬと思うのですけれども、この退職手当法の中にも「再検討」なんという珍しい文言を挿入しておりますように、やがて、遅い早いは別といたしまして、そういう検討をしなければならぬ時期がやってくる。にもかかわらず、それを認めておりながら、しかも調査時点は昭和五十二年という民間労働者の諸君にとっては構造不況産業だとか何だということで、一番どん底なんですね。割り増しをつけたって、会社都合にしたって、そう大した金額は出してない。そのどん底のときの片一方と、万古不変とは言いませんけれども、ある程度変わりのない公務員と比べれば、こっちが高いに決まっておるのです。そして、さっき私が言ったように、大合唱の中で、そういう吟味も十分せずにやってしまうということは公平さを欠くんじゃないかということを私は申し上げておるわけであります。
 そこで、労働省の方、どうでしょう。中退金、こういったことで、退職金制度がまだまだそろっていない中小企業もある、そこに奨励をする意味でこういう制度をつくった、そういうやさきに、高齢化社会を考えて将来退職金というもののあり方などについて、おたくの方でつくっておる賃金制度研究会とか、そういったものの意向というのはどういうものを出しておるのか、基準局長の見解という意味ではなくて、そういったところの退職金のあり方についての議論の趨勢というのはどんなものでしょうか、ちょっと参考までに。
#22
○吉本(実)政府委員 労働省といたしましても、今後の高齢化社会における退職金の制度のあり方につきましては、やはり高齢化社会での退職金制度の役割りとかあるいは機能、こういうものも変化していると考えられますし、また企業経営におきましても、退職金の支払いというものについてどう考えていくかというようなこともございますし、またその原資の保全というような問題、企業外にそれをきちっとするかどうかというような問題もございますし、いろいろ退職金制度についても諸問題が生じてくるだろう、こういうように私どもは理解しております。
 こういうことで、実は現在、先ほどもちょっと御指摘がございましたように、賃金研究会、会長が中山先生でございまして、いわゆる学識経験者の方々で構成されておりますが、その研究会の中で、公的年金制度と他の制度との関係をどう考えるか、こういったことも含めまして、退職金のあり方等につきましてもいろいろ御検討願っているところでございます。また、こういったことの結果を踏まえまして、いろいろ検討してまいりたいというように思っております。
#23
○田口委員 退職金の問題は、中退金も含めてこの程度でここのところはおさめたいと思うのですが、重ねて総理府の方に、私は合意をしなければならぬということをあくまできめつけるつもりはございませんが、やはり公務員の将来にわたる問題ですから、そういう労働組合のある三公五現であるとか、国家公務員の場合でもそうですが、私のところで一方的に決めることでございます、皆さんと話し合う必要はありませんという態度ではなくて、国会に出されておるのですが、それと並行しながら、ある程度納得のいく方法をとってもらうように努力を払ってもらいたい。そうでないと、私はいまから申し上げることにも影響するのですが、たとえばいま総理府が考えておるようなことで突っ走っていきますと、いまはもうないと思っておるのですが、国鉄のマル生であるとか全逓のマル生であるというふうに、不当労働行為なんか見つかってもともと、見つからなければやり得だ、こういう気持ちを官民ともに蔓延させてしまう、この退職金の問題にそういう考え方を固執する限りですよ。ある程度は納得いくための話をするという方法をとってもらわないと、私はそういうことを憂えるからいまお願いをするわけでありますが、そういった不当労働行為が後を絶たぬ。
 そこで、退職金の問題は切り上げまして、この機会にちょっと不当労働行為の特定な案件について労働省にお伺いをしたいと思うのです。
 もう何回か労働省の方に労使とも話がいっておるそうでありまして、御存じだと思うのですが、名古屋精糖労働組合というのがございまして、それの一方の使用者、経営者である神戸精糖という会社がございます。この神戸精糖の経営者が名古屋精糖労働組合に対して去年の夏期一時金から年末一時金、そういったところを出発点にして数々の不当労働行為を働いておる、こういう話を聞いておるのですが、そういう話について労働省としては把握をしてみえるのか、そのことをまずお伺いいたします。
#24
○細野政府委員 御指摘のございました神戸精糖の問題でございますが、これはいろいろバックグラウンドがございまして、若干申し上げますと、名古屋精糖という会社がございまして、これが四十六年に倒産をいたしまして、それが神戸精糖と新名糖という二つの会社に分かれたわけでございます。一方、労働組合の方は名古屋精糖の時代のまま、一本のままで維持されまして今日に至っておる、こういう状況、つまり企業が二うで組合が一つ、こういう形になっているわけでございます。
 一方、神戸精糖の労働条件は、昭和五十四年の夏期一時金の前までは、会社が分かれましたけれども同じ条件でまいったわけでございますが、この五十四年の夏の一時金から、会社の方は、業績や労務管理の方針が違うのだから労働条件等は分かれてもやむを得ないものだ、こういう主張に立たれ、一方組合の方は、たとえ二社に分かれていても組合は一つなんだから、その内容は同一であるべきだ、こういう基本的な考え方で両者の意見が食い違いまして、お互いにその主張を繰り返して衝突をして、そのために労働協約の更新、改定の問題についても同じような衝突をして失効してしまった、こういうふうな経緯がございます。
 いずれにしましても、そういう基本的な問題で両者の意見が対立しておるものですから、両問題とも労使間で実質的な面についての話し合いが進んでいない、こういう状況にあるわけでございます。
 そこで、先ほど先生御指摘のように、三件の不当労働行為事件というのが申し立てられております。一つは、兵庫地労委に対しまして、五十四年の十月に、神戸精糖を被申し立て人としまして、夏期一時金につきまして団交を拒否している、こういう理由で申し立てられておる。それからもう一つは、同じく兵庫地労委に対しまして、神戸精糖を被申し立て人にしておるわけですが、五十五年の一月に、労働協約が失効したわけでございますけれども、その失効したことが組合に対する支配介入である、こういう理由で不当労働行為の申し立てをいたしております。それから三番目は、東京都労委に対しまして、五十四年の十一月に丸紅を被申し立て人としまして、労働協約破棄問題にかかわる団交拒否を理由にしまして不当労働行為の申し立てが行われておる、こういう状況でございます。
 以上、不当労働行為関係について私どもの把握している点を概略申し上げました。
#25
○田口委員 大体時間を追っての出来事については労働省つかんでいただいておることはわかりましたが、いまお話のありました労働協約が、失効は二月末でしたね、二月末に失効をする。いまもう現に三月ですから、言うなら無協約時代に入っているのですが、そうなってくると問題ですから、いろいろといきさつがありましたけれども、二月の二十二日、ちょうど一カ月前に、神戸精糖株式会社と、それから支援共闘会議というのがあるわけです、名古屋精糖労働組合を支援する、その共闘会議の面々と、いま局長おっしゃったように全部で七項目あるのですが、協定が切れた後といえどもいままでの労使慣行に従ってやっていこうという確認書をとっておるのですね。その確認書に基づいて、ひとつ協定が切れたんだから新しい協定をつくるか、いまの協定をそのまま引き続いてやっていくのか、そういったいろいろな問題について団体交渉をやっていこう、そういうことでまずテーブルに着く双方の準備ができた。私は、これは皆さんの御指導のかいもあってそうなったと感謝をするわけです。ところが、二月二十二日にそういう確認書を結んでやれやれと思った三日たった二月二十五日に、この間結んだ確認書は、平たい言葉で言うとちょっと都合が悪い、ああいう確認書を結んだけれども、あの解釈は私の方ではちょっと違うんだという、確認書を否定するような文書を出したんですね。せっかく支援共闘会議の面々と神戸精糖とがいろいろな話をして、無協約時代になってもむちゃなことはしません、双方誠意を持って話し合いをしてやっていきましようじゃないか、こういう確認を結んでおきながら、まだ舌の根も乾かない二月二十五日になって、あれはちょっと困る。そこで困るのは労働組合側でありますから、三月になっていまお話のあった兵庫県の地方労働委員会に、これはおかしいじゃないか、そういう態度では何とかしてくれといって兵庫地労委に申し込んだら、地方労働委員会の公益委員側が、おっしゃるとおりだ、だから二月二十二日の確認書に基づいて双方誠意を持って団体交渉をやりなさい、これはあたりまえですね、常識です。労働委員会もまた労政局の立場も間違っていない。ところが、その間違ってない、団体交渉を双方誠意を持ってやりなさいということに対して会社の方は、どう言ったかといいますと、いやだ、団体交渉に応じない。そして、この三月十二日になってから一方的に二月二十二日に結んだ確認書というものは破棄をしますという文書通告をしてきた。これは最近のことですからお聞きになっておると思うのですが、こういう事実があるわけですね。
 これは果たして正常な労使関係と言えるでしょうか、一般論として、またこの特定の問題について言っても。労働省、どういうふうにお考えですか。
#26
○細野政府委員 先生御指摘の点は、いま労使の間で争われている非常にホットな問題でございますから、とかくの御意見を申し上げるのは差し控えさしていただきたいと思いますが、ただ、いずれにしましても、そういう企業が二つで組合が一つという基本的な状況の中でその間の労使関係をどうするかという基本問題についての労使の考え方が食い違っておりまして、先生御指摘のように、ようやく基本的な考え方についての確認書が結ばれまして、これで私どももようやく団交が軌道に乗るのじゃないかと期待をしたわけですが、不幸にしてまたその確認書の解釈あるいはその確認の手続等をめぐりまして両者の意見が衝突して、先生御指摘のような状況に現在なっておるわけでございます。
 私どもは、やはり具体的な問題から端を発して現在の労使紛争になっているわけでございますから、そういう基本的問題についての意見の対立で、いわば入り口でもって話が進まないというやり方も、その事情自体は理解できないわけではありませんけれども、しかし、それでは問題がなかなか進まないのじゃなかろうかというふうな観点で、労使双方から事情をお伺いするプロセスにおきまして、やはりこの際具体的な問題でお話を詰めるということがかえって問題をスムーズにするのじゃなかろうかというふうな観点で、労使双方に対しまして具体的な問題の話し合いをやっていただくように助言をし、あるいは指導をするというふうな形で現在までやってきているわけでございます。今後におきましてもそういう基本的な立場で労使の双方のお考えも承りかたがた、そういう線に乗るように努力してまいりたい、こう考えているわけでございます。
#27
○田口委員 そういう姿勢でやっていただきたいのですが、確かにいまホットな問題ですから、御答弁の内容によって影響することが大きいことはわかります。わかりますだけに、こちらの希望とすれば、会社側がもっと誠意を持って団体交渉に臨むべきではないかという、ぴしっと言ってほしいという気持ちなんですけれども、なぜそういう朝令暮改、二十二日に決めたのが二十五日にころっと変わる、こういうことになるのか。
 実は、私ども社会党の中に、この紛争がどろ沼に入っていきますと相当影響が大きいと思いますので、早期に解決をする含みを持って対策委員会というのをつくっておるわけです。その対策委員会が労使双方から、労働組合側からばかりでは片手落ちですから、労使双方から意見を聞こうということで調査の申し入れをいたしました。御存じだと思うのですが、この神戸精糖というのは国有地を借りてやっておるのですから、そういうこともあるし、聞くところによると、砂糖の売り戻し特例法という法律があるのですが、それに違反をしておるやの話もあるし、そういうことも含めて会社の首脳部と会いたい、お会いできませんなんて一遍にぽんとけられたのです。まあ会えませんから頭にくるという意味じゃないのですが、さらにいろいろと手を尽くして、その後会社の首脳部と会って、それでいま私が申し上げたようなことを、中身は別としてテーブルに着いてもらいたい、じゃそうします、早速団体交渉に臨みます、やれやれと思ったら、話し合いしてないのですね。時間もないのに長々となんですが、この文書で日を指定するでしょう。何月何日と日を指定して、それまでに回答をよこせ。そうすると、労働者が使用者に対して日を指定するとは何だ、こういう言い方をするのですね。それから、言葉遣いになって、戦略的とか戦術的という言葉をよく使いますね。使用者に対して戦略的という言葉を使うとは何だ、そういうことを取り消さない限り団体交渉に及ばぬというふうな、まるで児戯に類したことをやっておる。私どもははっきり言うと、そういう朝令暮改的なこと、それから何かと因縁をつけて団体交渉を断る、去年の一時金もまだ解決していない、それは結局組合というものの存在を認めようとはしないところにあるんじゃないか。そして、黒幕があるんじゃないのか。そこで、ずっと調べますと、神戸精糖の資本は丸紅です。人事、経営、資金一切、一〇〇%に近いほど丸紅が持って、連結決算までやっておるのですから。そこのところ、これは私は確かめていないのですけれども、おたくの方は知っておるかもしれませんが、その丸紅お抱えの労務屋と称する者が、せっかくの確認書をぶち壊したり、文書に対して一々難癖をつけたりというようなリモコンをやっておるんじゃないかという気がするのですね。
 ですから、ホットな問題ですけれども、どろ沼化を防ぐために、ひとつ労働省として、そこのところ、一はだ脱いでもらう必要があるんじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
#28
○細野政府委員 この問題、労使が基本的な考え方の入り口論だけで終始しておりますとなかなか問題が解決いたしませんので、やはり具体的な問題について労使が話し合う。たとえば、会社の実情に応じて労働条件が違うということであれば、それはその会社の実情に応じまして実際にどういうふうに、たとえば一時金なら一時金というものを決めるか、そういう形でもって問題を解決していく方が問題のスムーズな進み方ではなかろうかというふうな観点に立ちまして、先生御指摘のように、団体交渉自体が進む、話し合いが進む、そういう観点で私ども労使双方からいろいろ事情を伺いながら助言、指導をしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#29
○田口委員 それはやってほしいのですが、ただ私は、双方から聞いた限りで申しますと、たとえば具体的な問題として、いま無協約ですね。無協約の状態になって、これは私の推測ですが、普通ならば労働組合側は、いまのままの協約を持続したいと望むでしょうし、会社側は、いやだめだ、いま局長おっしゃったように、二つの企業に一つの組合ですから、そういう組織形態を改めて、一企業一労働組合というふうにしてもらいたいとかというような具体的な提案があると思うのですね。そこで、いやだめだ、しようがないというふうな話し合いになると思うのですが、一つもそんな話はない。労働組合側はどちらかというと受け身の姿勢らしいのですね。そこで、やあやあと双方がやって、文書でやると、その文書に戦略的と書いてあるのはけしからぬとか、これでは一歩も進まないと思うのですね。ですから、どこから解きほぐす糸口を見つけるか。いま双方かっかしておるでしょうから、糸口が見つからぬ。そこのところをさっきの三月三日のように、地労委なり何なりという機関でやる。その地労委が団体交渉をやれと言っても拒否をする。これでは打つすべがないじゃないか。ですから、その解きほぐす糸口ということを、やはり第三者機関である地労委なり何なりにどんぴしゃり労使に言ってもらって、団体交渉のテーブルについてもらう。そこのところを積極的に指導してもらえないか。これだけ一つお願いなんですが、どうでしょうか。
#30
○細野政府委員 地労委の運営自体に対して、私どもとかく意見を申し上げるのは、地労委の独立性から言いまして、これはなかなかむずかしいわけでございますが、県とよく連絡をとりまして、そういう糸口が見つかるような環境づくりに私ども努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
#31
○田口委員 では、これで最後にしますが、確かに役所柄ずばりずばりと言うのはむずかしいと思うのですけれども、ただ一点、私は素人目に見ても、従来の不当労働行為どうこうということは言いませんよ、そういったいきさつの上、二月二十二日の確認を結んだのです。そこでやれやれと思ったとたんに、三月十二日に一方的に、確認書の破棄を通告いたします、この通告によって確認書は消滅することを念のために申し添えますなんという一片の文書でそれが事済むのかどうか。その点についての御見解を承って、私の質問を終わりたいと思います。
#32
○細野政府委員 この確認書の性格自体につきましては、成立しました経緯から見ましても、法的に見ましてどういう性格のものかということが明確でないわけでございます。したがいまして、破棄問題につきましても、法的効力みたいなものにつきましては、ちょっとこの場でお答えするほど私どもよく事情をつかまえておらないわけでございます。ただ、いずれにしましても、一度は基本的問題についてお互いの間に基本的な了解が成立しているわけでございますので、そういう事実を踏まえまして、そこを出発点にしまして、この問題が、先ほど先生御指摘のように、具体的な問題で解決の糸口がついていくように私どもとしては助言、指導してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#33
○田口委員 では、終わります。
#34
○葉梨委員長 次に、谷口是巨君。
#35
○谷口委員 本日、上程されておるいわゆる共済制度の問題についてお伺いいたしますけれども、従来の制度の中身が今度少し拡充をされてきたわけでございます。
 この範囲の拡大ということについては基本的に非常に好ましいことでございますが、その改正の時期が、私たちにとってみれば、少しおそ過ぎたのではないかという感じもするわけです。中小企業基本法は本法よりもたしか四年おくれて制定されて、その後改正がいろいろなされてきたわけであります。しかしながら、本法は、範囲拡大は現在までなされないで、契約の締結の対象がいわば狭められてきたわけてあります。今日まで範囲の拡大がなされなかったその背景というものはどういう事情があったのか、説明を願いたいと存じます。
#36
○寺園政府委員 中退法は、制定されましたのが昭和三十四年でございます。先生御指摘のとおり、当時中小企業基本法は制定されておりませんで、その後四年経過をいたしまして基本法が制定されたわけでございます。この中退法が制定されました当時、中小企業の範囲を従業員規模で決めるという例が多くございましたし、また退職金制度のような労働関係につきましては、従業員規模の小さい企業で特に対策が必要であるということから従業員規模で中小企業の範囲を定義したわけでございます。その後数次にわたりまして範囲の拡大を中退法でもやってまいりましたが、先ほど申し上げましたような考え方から、従業員規模を拡大するという形で範囲の拡大をやってきたわけでございます。しかし、現在におきましても本制度の範囲外でも退職金制度の普及がまだ十分でない分野がある、あるいは従業員規模だけで定義をした場合には中小企業の範囲外になる場合があり得るというような観点から、かねてから資本金規模も加味して中小企業の範囲を定義すべきだという御要望がございました。そういう御要望に即し、また審議会の建議にも即しながら、中小企業政策の整合性を確保するという観点を加えまして、今回の改正で資本金規模を加味し、本法の適用対象を拡大したということでございます。
#37
○谷口委員 時期的にも非常に遅かったという印象は私たちから見たら否めないわけです。
 それから次は、従来の法律によりますいわゆる対象中小企業数あるいは人員、それと加入者の数と加入率、わかっておりましたら数字で説明してください。
#38
○寺園政府委員 現在の企業規模別の企業数あるいは従業員数を的確に表章した統計はございませんので、事業所センサスをもとに推計をいたしますと、対象となる事業所の数は二百二十一万企業でございます。現在この制度に入っております企業数は約二十一万でございます。したがって、加入率で見ますと九・五%でございます。また、従業員ベースといいますと、対象の従業員は約千七百万人程度になろうかと思います。現在、中退制度にと申しますか、一般の制度に入っております被共済者数は約百七十二万でございます。したがって、約一割がこの制度に入っておるというのが現状でございます。
#39
○谷口委員 それでは、これと比較いたしまして、今回拡大されますとその対象がどのようになるか、またどの程度の加入を見込んでおられるのか。
#40
○寺園政府委員 今回の範囲拡大によりまして企業数は約六千企業、従業員で約百六十万人が新たに適用対象になると推計をいたしております。その中でこの制度にどの程度加入するかというお尋ねでございますが、これを推計するのはなかなかむずかしい問題がございますが、現在の加入状況、加入率を前提にいたしますと、加入見込みといたしましては、新たに六百企業、十五万人程度がこの制度の中に入ってくるのではないかと考えております。
#41
○谷口委員 率からいきますと、従来の分と大差がないという見込みになりますね。しかし、この審議会の小委員会の中で審議された中に、制度への加入促進についてその強化を図るべきであるということで、それも加味されて今回の改正になったと思うのですが、それにしては従来の加入率と今回見込まれる率は大差がないということについて、私ちょっと不思議に思うのです。こういうふうに変えたのだから、もっとこういうふうにふえる見込みであるというふうにこなければならないと私は思いますが、その辺、どうですか。
#42
○寺園政府委員 全般的に本制度への加入率を高めるために加入促進に力をいたすことは当然でございますが、新たに適用対象になる分野と申しますのは比較的規模の大きいところが対象になろうかと思います。規模の大きいところでは独自の退職金制度を持っておられるところもかなりあるわけでございます。この制度は、独力では退職金制度が設けられないような企業が共済のシステムでこの制度を利用するということでございますので、新たに適用対象になりました企業の加入率が、一般の現在までの加入率よりも高い加入率になるのは現実問題としてなかなかむずかしいのではないかと思っておるところでございます。
 なお、新たに適用対象になる企業は先ほど申し上げたようなことでございますけれども、従業員規模だけでこの事業を運営をいたしておりますと、従業員の増減によりましてこの制度への適用関係が適用になったり適用にならなかったりするという点がございますが、資本金規模を加味したことによって適用関係がかなり安定してくるのではないかと思っております。
#43
○谷口委員 私は答弁を聞いておりまして、正直なところを話しておられると思いますが、法改正をし、内容を改善したのだからさらにふえていく自信あるいは目標を積極的に持たなければならぬと思うのですが、いまの答弁は非常に消極的じゃないかと私は思うのですが、大臣いかがですか。
#44
○藤波国務大臣 範囲を拡大したことと、退職金制度はこれからの社会の中で一人一人の労働者にとって非常に大事な問題になってくる、従来もそうでございましたけれども、従来よりもさらに生涯設計をどう進めていくかという中で退職金の持つウエートが大きくなってくる、こういう双方の立場から考えまして、今後積極的にこの効果が普及されていくように努力をしていかなければいかぬ、このように考えておりまして、議員御指摘をいただきますように、少し控え目な御答弁を申し上げておりますけれども、これは大事をとって一つ一つ着実に前進していきたいという気持ちのあらわれとお受け取りをいただきたいと思います。労働省といたしましては、この中退法を中心にいたしましてさらに積極的に努力をして思い切って拡大をしていくようにしたい、こう考えておりますので、どうか今後の努力をお見守りをいただきますようにお願いをいたしたいと思います。
    〔委員長退席、山崎(拓)委員長代理着席〕
#45
○谷口委員 それが本当のところだと思いますが、局長激励の意味で、ひとつ今後積極的な施策を実行して向上されるように私たちも心から願い、援助したいと思います。
 次の質問でございますが、今回の改正でもなおかつ対象外とされるのはどのようなものがあるのか、またその数量においてはどんな見込みか、あるいはあるとすればそれに対する救済策はどういうものがあるのか、御答弁を願いたいと思います。
#46
○寺園政府委員 先ほど申し上げましたように、本法の適用になります中小企業の加入の状況は一割を若干割ったところでございます。中小企業におきましても独自の退職金制度を持っている企業もかなりございます。しかし、なお零細企業あるいはサービス業等を中心といたしまして退職金制度が確立をしていないところもあるわけでございますので、その辺のところも念頭に置きながらこの制度の普及促進については一層力をいたしてまいりたいと思っております。
#47
○谷口委員 零細企業については特に力を入れていけば、数量の上ではそんなにふえないにしても相当数の方が救われていくのじゃないかと私は思うわけです。中小零細企業の中でも、確かに中小の企業と零細の企業とは格段の差がいろいろな意味でありますから、この点、いま答弁なさったようにひとつ力を入れていただきたいと思います。
 それから、この契約を普及促進していかなければいかぬわけですが、具体的にどのようなことを、いままでと違うやり方をやって、追加して、効果を上げようとなさるおつもりなのか、そういう考え方をお伺いしておきたいと思います。
#48
○吉本(実)政府委員 本制度への加入促進につきましては、従来からいろいろの手だてをしているわけでございます。毎年十月には加入促進月間というものを設定いたしましたり、あるいは各種の報道機関等を活用いたしましたり、あるいは各種の説明会等も行う、またそれぞれの相談員制度の活用ということも図りながら、この期間に、中小企業退職金事業団が中心になることはもとよりでございますが、都道府県の関係機関、関係の事業主団体、また資金を取り扱っております業務委託金融機関等の協力連携のもとにいろいろ対策を講じてきておるわけでございますが、やはり今後ともこういった点についての連携強化を図りながら、積極的にPRを進めて加入促進を図っていきたいというふうに思っております。特に事業主団体等につきましては、従来からも加入促進とあわせて多少業務委託等のこともしておりますが、そういったこともあわせながら、今後さらに促進してまいりたいというように思っております。
#49
○谷口委員 では次に、契約の締結について伺います。
 法第三条第三項に「中小企業者は、次の各号に掲げる者を除き、すべての従業員について退職金共済契約を締結するようにしなければならない。」このようになっているわけですね。こういうふうな表現が従来幾つもあるわけです。締結することができる、あるいは締結するようにしなければならない、あるいは締結しなければならない、大体こういうようにあるわけですが、これは法律の問題でございますけれども、この「締結するようにしなければならない。」という表現をとったのは、どういうことを意味するのですか。
#50
○寺園政府委員 御指摘の三条三項は、いわゆる包括加入の原則をうたった規定でございます。中小企業者が退職金共済契約を締結するに当たりまして、本来退職金になじまない従業員、それが三条の三項の各号に列記してあるものでございますけれども、そのような人たちを除きましては全員について退職金共済契約を締結することがこの制度の趣旨に合致するところでございますし、またこの制度に関しまして、従業員に対して不当な差別取り扱いがあってはならないというような観点から、三条三項で包括加入の原則を明らかにしておるところでございます。なお、この制度におきましては、当然のことながら、従業員の意に反してこの契約を結んではならないということになっておりますので、両者の要請をあわせまして「締結するようにしなければならない。」という法文の規定にいたしておるわけでございます。
#51
○谷口委員 排除規定が現実に設けられているわけだし、また本人がいやだというならこれはどうにもならないでしょうけれども、この法のいわゆる救済精神からいきますと、むしろもっと積極的な態度をとって、いわゆる包括原則じゃなくて、いわば義務規定というようなところまで一歩進めてやるべきではないかと私は思いますが、その辺は検討された結果どうでしたか。
#52
○寺園政府委員 原則は、先生おっしゃいましたように、この制度に入り得ると申しますか、一般の従業員として制度に入れる人たちは全員この中に入るという意味では、気持ちといたしましては義務的な運営をしていきたいということでございますが、先ほど申し上げましたように、片や意に反して締結してはならないという条文もこの法律の中にございますので、両者を調和した形で現在のような規定の仕方にしておるということでございます。
#53
○谷口委員 私は専門家じゃありませんから法律的なことは別にして、しかし、たとえば退職金制度というものはそもそも労使双方の同意によって起こるものであり、したがいまして、原則的には労働協約によるものになるわけですね。そういうものが結ばれないものをこれが救済することになると思いますけれども、要するに労働者の意思というものは、この契約に当たっては相当正確に反映されると私は思うのです。なぜかならば、排除規定があり、また本人がいやだというならばのけると、これは明確にされてあるわけですから。そうなってきますと、いまの答弁の中で、私は非常に弱いような気がするのですね。だから私は、先ほど断ったように法律的に専門家じゃないから言えないが、精神からいったら、しなければならない、排除規定を設けて、そこまでしなければならないと規定してよろしいという感じがあるわけですね。したがって、それを強調しているわけです。
 実際に排除規定、それから本人の意思に反したものが行われておりますか。どうですか、実際の状況については。
#54
○寺園政府委員 三条三項の各号に掲げられている人たちは包括加入の原則から外れるということでございまして、もちろんこの制度に入れても一向に差し支えないわけでございますが、現実にこれらの人たちがどの程度入っておるかという数字は現在手元には持っておりませんし、また意に反してこの制度に入っておる人たちは、これはゼロであろうと思います。
 いずれにいたしましても、包括加入の原則は、法文上の規定はともかくといたしまして、その精神が実際の加入に当たりまして実現できますように、従来にも増した努力を私どもとしてはしてまいりたいというふうに思っております。
#55
○谷口委員 要するに、法によって救われない、あるいは労働協約によって救われにくい方々、しかも零細企業も含めますから非常に経済的にも苦しい中でこれを達成していこうとするわけですから、法の施行に当たっては、私がしばしば言っておるように、しなければならないという精神でいかなければ、結果はなかなか出ないのではないか、私はそういう気がしますので、これは強く要望しておきたいと思います。
 それから、掛金の問題ですけれども、改善が行われましたね。今度は千二百円が最低限度になるわけです。従来の加入状況を見ますと、千二百円未満の被共済者が若干ずつ低下しております。五十二年三月三十一日現在では二七・〇%、五十三年度が二四・七%、五十四年度が二二・六%、若干ずつ減少はしております。しかしながら、なおかつ相当なパーセントの方々がこの千二百円未満に含まれているわけですね。そういたしますと、一応の経過措置はありますけれども、かなり経済的にきつい面があるのではないか、これが一点。それから、そういう状況であるとすれば、いわゆる上限の引き上げだけをやって、下限の引き上げはあるいは考えなくてもよかったのではないかという気もするわけですが、この辺のところはどのように検討されましたか。
#56
○寺園政府委員 今回御審議をお願いいたしております法案におきましては、最低の掛金を八百円から千二百円に上げることにいたしております。五十四年十二月末現在で千二百円未満の掛金を掛けておる方は三十六万五千人、率で二一・一%ということになっております。したがいまして、これらの人たちにつきましては、先生御指摘の経過措置を含めまして、最低の掛金である千二百円以上のところに掛金を掛け直していただくという必要があるわけでございます。それなりの事業主の負担がかかるということではございますけれども、最近におきます賃金の状況あるいは各企業におきます退職金に要する費用の負担状況等を見ますと、今回の最低掛金の引き上げというのはそう無理なく順調に推移できるのではないかというふうに思っております。前回の改正におきましては、最低掛金を四百円から八百円に上げたわけでございますけれども、前回におきましても順調にこの引き上げが推移をしておるところでございます。
 なお、最高の掛金だけを上げて最低は据え置くことについて検討したかという御指摘でございますが、御承知のように、この法律は五年ごとに掛金、退職金等の事情を見直すことになっております。前回の改正時点の賃金、退職金の状況と今回の状況とを比較いたしますと、賃金につきましても退職金につきましても、民間において大体一・五倍にアップをしておるという状況がございますので、それにあわせまして、最低、最高の掛金を引き上げたということでございます。
 なお、この制度は最低の掛金に対する給付につきまして国庫補助がついておりますので、今回の改正におきまして、千二百円の掛金に対する給付について国庫補助がつくということになったわけでございます。
#57
○谷口委員 前回の四百円から八百円に最低限度が引き上げられたときに、それについての障害は一切なかったと解釈してよろしいですか。
#58
○寺園政府委員 個々の企業におきましては、それだけ負担がかかることでございますから、いろいろな御工夫、御苦心をされながら最低掛金以上の掛金の引き上げの実現を見たということでございまして、全体的に見て順調に掛金の引き上げが行われたというふうに理解をいたしております。
#59
○谷口委員 私が心配しますのは、過去にそういういわゆる順調な経緯があったとすれば結構なことですけれども、八百円から千二百円に上がった。千二百円以上でなければ結局掛けられないし、政府の助成金もないし、あるいは事業主の中には、じゃ、もううちは遠慮しましょう、それでいやならばよそへ移ってくださいというようなことが、いまの情勢ではないとは言えないと私は思うのですね。それについてはどうお考えになっておりますか。
#60
○寺園政府委員 今回八百円から千二百円に最低掛金を引き上げたわけでございますけれども、先ほど先生も御指摘のように、この引き上げにつきましては経過措置を設けております。一年以内につきましては千二百円未満の掛金を認めておりますし、その一年が経過した後もなお掛金の引き上げをすることが困難であるというふうに労働大臣が認めましたものにつきましては、一定期間は千二百円未満の掛金を掛けることが認められておるということでございますので、この掛金の引き上げによってこの制度から脱退するという方はないのではないか、またそのようなことがないことを私どもとしては期待しておるところでございます。
#61
○谷口委員 私もそのように希望をし、そう願いたいと思います。
 大臣にお伺いしますが、もしこういう経過規定を含みながらも、なおかつそういうことができなかったようなものがあった場合はどのようにお考えでございますか、大臣の考えとしては。ないことを私は望みます。だけれども、もしそういうことが現実に起こったとすれば、これはいわゆる政府の好意が結果としては生かされなくて、逆に悪い方に引っ張ったことになりますから、そういう問題があり得なければ結構でありますけれども、あり得た場合にどういうふうに大臣はお考えでございますか。
#62
○藤波国務大臣 先生御指摘のように、ないことを期待するけれどもというのが私どもとしても全くいまの実感でございまして、できる限りそういったことの起こらないように、なかなかむずかしいですが、こちらも十分気をつけながらケース・バイ・ケースで対応していくようにいたしたい。結果といたしましては、お働きをいただく方々がこの制度によって恩恵に浴しているということが一人でも多くふえていくことがねらいでございますので、少し様子を変えればいろいろなことが起こり得るかと思いますけれども、なるべくそういうことのないことを期待しつつ努力を重ねてまいりたいと思います。
#63
○谷口委員 これは包括原則をうたっておりますから義務と違いますので、ちょっとやはりこれは将来問題になる可能性が若干残されているのじゃないか、そう考えるわけですから、この点をひとつ関係当局においても十分に御留意いただきたいと思います。
 それから、通算についてでございますが、今度少し変わりましたね。いろいろ論議された小委員会の中で、これは第二項の(3)ですね、「退職した場合の通算制度の取り扱い」、この中に「やむを得ない事情の範囲を拡大することについて検討すべきである。」とうたってありますが、この結果を受けて、では今度どのように変わったのですか。
#64
○吉本(実)政府委員 通常、退職金制度は個別企業限りのものでございますから、その企業を退職したことを退職金の支給事由とし、そのときに退職金を支給するのを原則としております。したがって、本制度においてもその原則を採用しているところでございますが、中小企業の連帯による共済制度というような特質がございますから、労働者の責めに帰すべき事由だとか、あるいは一定のやむを得ない理由がなくて自己都合で退職するというような場合を除いては、従来から一定のもとで前後の掛金の納付月数を通算をする、こういうふうな措置をしておるところでございます。
 先生御指摘の、やむを得ない自己都合退職の範囲を拡大してはどうかということでございますが、その点につきまして、いま御指摘の中小企業共済審議会の建議でも、退職金の性格なりそれから共済数理の仕組みの上からなかなかむずかしいところがあるけれども、こういったやむを得ない事情の範囲を拡大することについて検討をしたらどうか、こういう御指摘を受けておりますので、私どもこういった趣旨に沿いまして、今後その範囲の拡大につきまして検討してまいりたいというふうに思っております。
#65
○谷口委員 じゃ、今回の改正の中では、何か特別に変わった、そういう解釈の結果というのはまだ出てなくて、今後検討するということですか。もう一度……。
#66
○寺園政府委員 やむを得ない事由につきましては、この法律で労働省令で定めることになっております。したがいまして、この法律の施行規則の改正ということになるわけでございますが、いま局長が申し上げましたように、検討の結果を省令改正あるいはそれに基づきます通達によって範囲の拡大をしてまいりたいということでございまして、法律の上には具体的にはあらわれておらないということでございます。
#67
○谷口委員 私が希望することは、やむを得ない場合ということは一応うなずけるけれども、退職金を受給しないで、そして別の企業に入って引き続き被共済者になった場合は、本人の将来、老後を考えれば、これはできる限り継続することが望ましいと私は思うのです。反論もあると思いますよ、長く継続して勤めることが目的であるからということもあるでしょう。しかし、その本人の幸せということを考えれば、多少の問題があったにしても、退職金を受け取らないで他の企業に行った場合は継続するというたてまえに立つのがやはり私は本当じゃないかと思いますが、それに対してはどうですか。
#68
○吉本(実)政府委員 先生のおっしゃることも一つのお説かと思いますが、やはり退職金制度というものは個別企業というものを対象にしております。したがって、退職金の性格ということに関連してくると思いますし、また共済数理の仕組み全体の問題等もございますので、現行の制度につきましては、そういった中小企業全体をとらえてそこを退職したり入ってきたりというたてまえはとっておらない、こういうことでございますので、なかなかそういった点についての仕組みはむずかしいかと思いますが、ただいまもお話しのように、先ほどのいろんなそういった点についての便宜をできるだけ図っていきたいというようなつもりで今後の省令改正等について対処してまいりたいと思います。
#69
○谷口委員 これは大臣、非常に大事なことですから、できる、できないは論議の結果になりましょうが、私は強く要望しておきたいと思う。
 それから、納付期限後の掛金納付について、年率一〇・九五%の割り増し金がかけられるわけですが、私は中小企業、零細企業の立場からいくと非常に高いと直観的に感ずるわけですが、これはもっと低くすべきじゃないですか。
#70
○寺園政府委員 納付期限後に掛金を納付する場合に割り増し金をいただくことになっておりますけれども、いわば遅延利息の性格を持っておると思います。法律では年一四・六%の範囲内で省令で定めるということになっておりまして、実際には先生仰せのとおり年一〇・九五%というところで決めております。これが高いではないかということでございますけれども、納付期限どおりにちゃんと掛金を納めた人との均衡の問題もございますし、またこの掛金を原資として運用をし、その運用利息を付して給付に充てるという制度でございますので、遅延の間の事業団の運用利益の喪失に見合う分という性格もございますし、現在一〇・九五%というところで決めておるわけでございます。ただ、労働保険料あるいは健康保険料、厚生年金の保険料等の割り増し金、延滞料が一四・六%というところで決まっておりますところと比較いたしまして、この程度のところは相当なところではないかというふうに思っておるところでございます。
#71
○谷口委員 私たちの方から言わせると、中小零細企業というのは非常に経済的に苦しいわけですね。経済基盤が非常に浅い。そして、非常にもろい。大企業に比べたら私は雲泥の差だと思うのです。その中で、包括規定でありますけれども、皆さん方の努力によって一生懸命加入して、向こうも努力し、ふえてきていると思います。したがって、そういう中で無理して、あえて無理してという言葉を使いますが、一生懸命無理して納めておいても、なおかつ資金繰りその他でうまくいかなかった場合があった場合、私はやはり中小零細企業の包括規定に対する利息としてはあくまで高いという感じを持ちますが、もう一度答弁を願いたい。
#72
○寺園政府委員 非常に経営が苦しくなってまいりました場合に、この掛金を期限どおりに納めることについての困難さというのは、個々の企業におきましてはあり得るかと思います。割り増し金の率を一〇・九五%に決めました考え方は先ほど申し上げたところでございますけれども、それに加えまして、現在の法律におきましては、五人未満の従業員を雇用する企業におきましては、掛金を三カ月の範囲内で延納するということが認められております。そのような制度も活用しながら、できる限り、と申しますか、納付期限にきちっと掛金を納めていただきたいものだというふうに思っておるところでございます。
#73
○谷口委員 それは希望的観測を述べられても困るわけであって、要するに大企業とかあるいは公務員とかという、こういう基盤ががっちりしておる立場と、御承知のように、ちょっと違うわけですね。したがって、非常に低い賃金で、労働時間が相当長くなっている。たとえば、本工と下請というようなかっこうで言いますと、御承知のように、本工の方は比較的時間も安定し、また高い賃金で、比較的楽な、あるいは生命の安全という面からも保障された職場で働いている。ところが、中小零細企業、下請というのは、本工とか何かとは違って、いわゆるいやがる仕事、非常に危険度も高いというような、そういう面で相当悪戦苦闘して収入を上げている面もあるわけですね。たとえば公務員、地方公務員とか国家公務員にしても、仕事があろうとなかろうと一定は保障されるわけです。国がつぶれぬ限りあなた方も絶対何の心配もないわけですね。こういうものから見ると考慮をしなければならぬのじゃなかろうか。これはもう答弁は要りません。あとの答弁は大臣に求めます。
 いまのような問題を含めて私は大臣にいまからお聞きしますけれども、要するにいま週休二日制というのが非常に問題になってきていますね。私も週休二日制は基本的には結構であります。推進すべきであるけれども、大企業だとか公務員だとか、そういう方々の週休二日制と中小零細企業の週休二日制とは、ある意味で経済面で相当大きな影響を与えると思うのです。そういう場合、労働省として、今後、段階があると思いますけれども、そういうふうな週休二日制に対して中小零細企業に対する考え方はどのように根本的なものをお持ちなんですか。
#74
○吉本(実)政府委員 週休二日制の推進につきましては、先般、昨年の第四次の雇用対策基本計画等でも決めましたように、昭和六十年度を目標にしまして一般欧米先進国並みの水準に持っていこう、そういうふうな一つの覚悟と申しますか、目標を政府全体として定めたところでございます。それに基づきまして、労働省といたしましては、極端に非常に長い労働時間についての規制の問題とか、あるいは週休二日制を推進していくことが重要だとか、あるいは年次有給休暇の消化状況をきちんともう少しとれるようにするというような三つの柱を中心としながら行政指導で時間問題というものと取り組んでおる。その中の一番大きな柱として週休二日制を持っておるわけでございますが、週休二日制につきましては、ただいま先生御指摘のように、これが円滑にスムーズにいくかどうかということについてはいろいろ問題があろうと思います。特に、週休二日制の場合には、労働経済面のみならず、人の生活の仕組みということも一つの考え方に入れながら、全体の人生というものとの関連を持ちながら進めていかなければならないというような要素もあろうかと思いますので、そういった点についても配慮しながら進めなければならぬ。特に中小零細の企業につきましてはいろいろ困難がございましょうと思いますので、こういった点につきましては、私ども、従来の中小企業、零細企業におきましてもこういったことを行われた事例その他を非常に参考資料としながら、個々のそれぞれの事業主はもちろんのこと、事業主団体とも通じながら、いろいろ話し合いをして進めていくようにしている次第でございます。
#75
○藤波国務大臣 いま週休二日制について局長からお答えをしたところでございますが、先生御指摘のように、中小企業、零細企業、規模の小さい企業における週休二日制をどう実施していくかという問題、非常にむずかしいいろいろな問題を抱えていると思います。いま申し上げましたように、しかし労働者がこれからどのような労働条件で働いていくかということを考えますときに、規模の大きい企業であろうと小さな企業であろうと、規模の大小にかかわらず一人の労働者として休むべきときにはきちんと休む、そういった労働条件で労働の場に臨むという方向に持っていくことは非常に大事なことでありまして、ともするとこういった仕組みが大きな企業を中心にして動いていくわけでありますけれども、中小企業や零細企業がその中で恩恵に浴することもないという状態でないように広く一般化していくように努力をしていかなければいけない、このように考えるわけでございます。しかし、同時にやはり中小企業の経営基盤がしっかりしていきませんと、そんな仕組みをとりたいと思っても経営者の方もなかなかとりにくいということもございましょうし、そういう意味ではこれから低成長の時代に入ってまいりますので、非常に道は厳しいと思いますけれども、特に中小企業あるいは下請企業、こういったものが政治の場でしっかり守られていくという方向に向かってさらに努力をするということが非常に大事であると思います。
 もう一つは、社会が一般化されてこの仕組みが取り入れられていくということになりませんと、それぞれの規模の小さい企業が週休二日という方向になかなか踏み切れない、そういう意味では、労働省といたしましては、たとえば公務員の労働生涯の中で週休二日の問題などが非常に大きく浮かび上がっておりますが、これなどはぜひ推進をしてもらいたい、政府全体にもそのように呼びかけておるところでございますが、同時に、金融機関などが週休二日ということで踏み切っていくことになりますと、規模の小さい企業も社会一般がそうなったのだからということで踏み切りやすいという条件もできるわけでございますので、そういったことも十分念頭に置いて、今後週休二日制の問題に取り組んでまいりたい、このように考えておる次第でございます。
    〔山崎(拓)委員長代理退席、竹内(黎)委
    員長代理着席〕
#76
○谷口委員 大臣の答弁をいただきましたが、重ねて要望いたしますが、要するに経済問題は非常に重視しなければならないと思います。現在の賃金体制とか経済の基盤のあり方であって、そしてもし週休二日制になだれ込むとすればこれは重大な問題ですから、十分な御配慮を願いたいと思います。
 時間が迫ってまいりましたので、先に進みますが、事業団の業務の範囲ですけれども、これは法第四十四条一項三号によって融資事業を行っておりますね。私、実績をもらって中身をちょっと見ましたけれども、見た感じが非常に、各年度、百件をちょっと超える、五十三年度が五十六件ですね。件数としても非常に少ないし、また掛金のいわゆるいまのたまっている状態から言っても私は相当小さいのではないかと心配しますが、この状況はどうですか、掛金に対してどのくらいのいま融資がなされていますか、率で結構です。
#77
○寺園政府委員 中小企業退職金共済事業団がやっております融資の件数につきましては、いま先生が御指摘になりましたように、五十一年、五十二年が百五十件前後、五十三年が五十六件ということになっておりますが、金額を見ますと五十年が十三億、五十一年が二十二億、五十二年が二十五億となって順調に伸びてきております。ただ、五十三年は他の類似の融資制度の金利との関係で足踏み状態であったわけでございますが、五十四年度につきましては五十五年の一月末現在で、件数で百二件、金額にいたしまして十七億という融資額になっておるところでございます。現在までの融資額のトータルでございますが、現在までの中小企業退職金共済事業団の融資総額は、千八百四十四件、百四十五億ということになっております。
 なお、毎年の掛金と融資の額の比較でございますが、五十三年度の掛金収入は六百二十五億でございます。それに対しまして融資をいたしました額は約九億でございます。
#78
○谷口委員 時間がないですから、いろいろ聞きたいのですけれどもちょっとしぼっておきますが、私いま聞いた範囲内でも、いわゆる事業団の業務の範囲、非常に手狭ではないかと思うのですがね。そのことについて実は私、たとえば労働者住宅の項を見ても、たとえば五番目にございますが「世帯者向け住宅の」云々とありますね。この中に「共同浴場」というのがあるのですよ。これはいまでも共同浴場になっているのですか。何世帯ぐらいで一つの浴場になっておるのですか。――そっちが答えないうちに持ち時間が終了したという紙が来ましたけれども、これはちょっとひどいですから。
 説明がよくわかりにくいのです。たとえばこの件数が少ない。あるいは申し込みが少ないのか、条件が厳しいのか、条件が劣悪なのかわからないけれども、たとえば五番目の「世帯者向け住宅の」云々が書いてあるところを見たら「共同浴場」というのがあるのです。いま大臣、省エネルギーからいきますと、共同浴場、いいでしょう。だけれども、いま共同浴場というのは考え方の中からいくと非常に条件が悪いのですよ。しかも、御承知のように、子供さんがおる家庭はまず子供さんを先に入れたいのだ。共同であれば順番に入っていくのでしょうから、そうすると自分のうちの子供が入るときが一番最後の場合、相当汚れるかもしれない。そういう感情的な問題からいっても、これなんかもう時代おくれ、それこそもう十年も二十年も前の考え方じゃないかと思うのです。こういうことを改善しないで事業範囲の拡大を図っても、私はなかなか皆さんが喜んでやってこないと思うのですが、この見直しについて、これだけではありません、すべての見直しについて私は必要と思うが、大臣の見解を伺って、私の質問を終わっておきます。
#79
○藤波国務大臣 御指摘のような方向で改善をいたしますために見直しをいたしてまいりたいと思います。
#80
○谷口委員 最後に、見直しするのも五年も十年もかかって見直しするのと早急にやるのとあるのです。どちらの方ですか。
#81
○藤波国務大臣 早急に見直しをいたします。
#82
○谷口委員 終わります。
#83
○竹内(黎)委員長代理 この際、午後零時五十分まで休憩いたします。
    午前十一時四十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後零時五十分開議
#84
○竹内(黎)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 委員長所用のため、その指名により、暫時私が委員長の職務を行います。
 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案に対する質疑を続行いたします。小渕正義君。
#85
○小渕(正)委員 私の日程の関係で休憩時間をとるという配慮をしていただいて申しわけございませんでした。
 早速御質問いたしますが、この中退制度が発足してから満二十年を経過しているわけです。当局から出された資料を拝見いたしましても、対象事業所の推計が二百二十一万五千社くらいある。その中で加入企業が二十一万何がししかない。要するに加入率からいきますと九・五%程度だというのが資料にも出されているわけであります。いろいろの方の質問の中にも普及率の低さというものが指摘されたと思いますけれども、五年ごとに制度の見直しをやっていくということであるならば、なおのこと加入率がなぜこんなに低いのか、このあたりについて当局としてはどういうふうに見られているのか。そういった要因をどのように分析されておられるのか。これが的確に把握されていないと、五年ごとの見直しが本当に有効的なものにならぬのではないかという気が私はするわけであります。したがいまして、これらの要因をどのように把握されているか、それらのものについての見解をまず伺いたいと思います。
#86
○吉本(実)政府委員 本制度は、主といたしまして独自には退職金制度を設けることが困難な中小企業を対象にして設けられたものでございます。ただいま先生御指摘のように、本制度が発足した三十年代の前半におきまして、中小企業の退職金制度の普及状況は、三十人から九十九人の層におきまして約五六%でございましたが、現在では約八八%に上昇しております。こういった増加の傾向を見ましても、本制度がその間における役割りを果たしていたのではないかというふうに私どもは考えている次第でございます。
 ただ、現在退職金制度の普及のおくれております分野、規模別で申し上げますと小零細企業でございますし、産業別では小売、サービス業等でございますが、この面につきましては、御指摘のように、中小企業退職金制度の普及も必ずしも十分とはいえない状況でございます。これらの分野におきます就業形態あるいは各企業の負担能力等々からして本制度への加入がむずかしくなっておるという面もございますけれども、基本的にはどうも十分制度が周知されていないというふうに私どもは考えているわけでございます。そういう意味で、これからこういった分野におきます普及促進につきましては、従来の促進活動に加えまして、さらに積極的、重点的に対処してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#87
○小渕(正)委員 加入率を見る場合に、必ずしも対象事業所等をそのまま見るわけにはいかないと思います。確かに退職金制度を自前でつくられておるところが大体どの程度あるかという比較の中で判断しなければいけないと思いますけれども、実は長崎の例で私は申し上げますが、長崎で建設、清酒業も合わせた対象として考えますならば、六万八千五百社くらいと大体推定されているわけです。その中で制度を活用している企業が約三千三百六十九社、約四・九%、被共済者の数でいきますと、大体推定ですけれども三万三千四百名程度、約一四・九%、こういうふうに全体としては把握されておるようであります。特に中退適用対象事業所だけにしぼってみましても、約三万四、五千の会社の中で千六百九十五社、約四・九%、被共済者が十一万二千、約一四%、大体全体的に傾向が似ているわけでありますが、そういう形で、これは長崎の労政関係の取りまとめが全体的にできていないのですけれども、退職金制度をどれだけ持っておるかという数字がまだ具体的には出ておりませんけれども、いずれにいたしましてもこういう実態にあるのは間違いありません。
 そういうことでありましたので、私はそれぞれ中小企業の方々たちにもお会いしましていろいろ状況をお尋ねしました。特に長崎の島原半島は、五十名から百名規模の縫製工場とかブラウスをつくる工場とか、そういう工場が関西方面からたくさん出てきておるわけでありますが、そういう業者の方たちとお会いいたしてみましても、この制度があることを知らない、こういうふうな実態にあります。では、退職金関係についてどういう活用をされておるか調べてみましたら、結局生命保険会社の企業年金制度、これを活用されておるようであります。そのほかのこういう中小企業関係の方にお尋ねしましたけれども、結果的にはまず一つは知られてない、こういう有効な制度があることが実際に知られてない、それが一つ大きな要因だと思います。しかも、知られてない要因は何かと見ますと、これを推進するところの機関がない。結局現在第一線のところでは、金融機関に委託されてこの仕事をやられているわけです。したがって、この制度を普及しながら推進していこう、積極的に事業主の方たちにも呼びかけていくところがどこもない、これが一つは知られてない大きな要因ではないか、かように思うわけです。
 したがって、いかに知らせるかということになるだろうと思いますけれども、先ほどの御答弁の中にも、知られてないのも一つの要因だということを言われておりましたけれども、では、どのような形で知らせていくかということがこの制度活用の大きな一つの骨組みになるのではないかと思います。そこらあたりについて、何か具体策をお持ちでございますか、その点をお尋ねいたします。
#88
○吉本(実)政府委員 ただいま御指摘のように、本制度に対します周知が必ずしも十分でない、その点が加入率を低下させている一つの大きな原因ではないか、こういうことでございますが、私どももそのような認識のもとにPR活動をしていかなければならぬ、こういうふうに思っているわけでございます。現在この制度を推進しておりますのは、中央の中小企業退職金共済事業団が直接その推進を図っているわけでございますが、ただいま御指摘のように、委託金融機関が主として窓口を担当する、それから制度的には県の労政課がこの点についての所管をしているわけでございます。こういったそれぞれの諸機関をもっと活動させていくことが一番大事だろうと思うわけでございます。現在まででも、いろいろ中退事業団自身も相談員を新たに設けまして、これの活動によって資料提供なり加入相談、説明会等も行っておりますし、また委託金融機関におきましては、独自の計画的な加入促進活動も行っているところでございますし、また地方公共団体によりましては、一部掛金の助成措置も行いながら相談、説明会も行っている次第でございます。
 しかし、いずれにいたしましても実態といたしましてはまだ必ずしも十分でございませんので、今後そういった諸機関とさらに連携を密にしながら本制度の普及に努めてまいりたい、特に事業主団体につきましていままで必ずしも十分ではなかった面もあると思いますので、この方面のてこ入れもしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。特に本改正におきまして、従来いろいろ要望のあった点も入ってきたわけでございますので、そういう面からも事業主団体等に向けて活発な活動を展開してまいりたいと考えております。
#89
○小渕(正)委員 県の方では労政課中心でこの問題を扱われておるというお話でありましたが、長崎県の労政課の話では、このことについては自分たちとしては余り入っていけないということを言っているのです。なぜかというと、何か民営干渉のたてまえからどうもそういうことに余り入っていくことが好ましくないような雰囲気で、また自分たち自身でも限度があって余りこの問題でそれぞれの企業にアタックがしにくい、こういうことを当局の人は、私に直接ではありませんが、調査の結果そういう報告が出ておるわけでありますが、いずれにいたしましても、確かにこういうパンフレットなどいろいろなものが出ておるのです。しかし問題は、これを強力に推進する機関がないというところに一つ大きな問題があるのだろうと私は思います。したがって、これからより周知徹底をしてもらうためには何らかのものを考えていかないことには、ただパンフレットということだけでは、県のどこかにそういうものを推進していくような機関でも担当者が決めてやらぬことにはどうしても後手後手になるのじゃないか、こういう気がしてなりません。
    〔竹内(黎)委員長代理退席、委員長着席〕
特に長崎の例を挙げましたけれども、実は長崎の市内の商工会議所で自前のこういう制度を持っておるわけです。それで商工会議所の人たち、会員に呼びかけておるわけですけれども、そういうところと太刀打ちするなんてとても考えられない。自前の商工会議所が持っているものをどんどん働きかけていくということになりましょうし、それからいま盛んに生命保険会社が適格年金制度ということで非常に強力なアタックをそれぞれの業者団体にやっていますから、そういう比較においてはとてもじゃない、いまの制度が皆さん方に、業者の人たちにアタックできるような状態にない。そういう条件を比べてみただけでもとても初めから立ちおくれている、そういう条件にあるということは間違いないと思いますから、まず制度の中身を考えることも確かに大事な問題でございますが、そういった意味でせっかくいい制度がもっと活用できるようなことでの取り組みはこれから緊急にやらなければならぬ課題だと私は思いますけれども、ぜひこの点は今後取り組んでいただきたい、かように申し上げるわけであります。
 それから、これは知られてないということでありましたが、なおいろいろな業者に私お尋ねしましたけれども、知っておるけれども入らないという方たちがまたかなりおられました。知っておっても入らないという要因は何かというと、魅力がない。魅力がないということはいろいろあるでしょう。どちらかというと中小企業関係の退職者関係はどうしても低勤続、長期勤続よりも、永年勤続者よりも、十年くらいをめどにした非常に勤続の浅い人たちが人口移動が激しいわけですから、どちらかというと、もっとそういった低勤続者層が有利になるような魅力に欠けている要因があると言われております。
 それからあと一つは、事業主が従業員の個々にそれぞれ金を掛ける、加入するわけですけれども、実際にこれを退職のときにもらう対象者の人は、共済事業団から金融機関を通じてもらうわけですね。事業主が、あなたの退職金ですよ、いままで掛けてこういうことになっておりましたよということで従業員に渡すような状況でないから、事業主としてはそういう意味での魅力もない。結局事業主としては自分の経営の中でどんどん金を出すけれども、もらう従業員の人たちは、事業主からそういうものがされたように思っておられるでしょうけれども、実際に退職金をもらうときにそういうあれがないものですから、事業主として若干そういう意味では魅力を感じてないという面がある。これは直接に事業主の方が言われておる。なるほどなと私は思うわけです。だから、そういう意味で魅力のない要因にそういうものがある。
 それからあと一つは、いざそういう事例が発生してお金を退職金としていただくときの手続が、いまのこの制度の中では少なくとも二カ月から三カ月かかってからしかおりてこない。先ほど私が申し上げた商工会議所とかそういういろいろな保険関係のものは、早くさっとお金としてもらえる。そういう意味での魅力がまた乏しい。それを上回るだけの大きな魅力である給付内容があれば別ですよ。ところが、いま私が申し上げたようなそういうものを比較いたしますと、それを上回るような給付内容の魅力がないものだから、余り変わらぬ程度であれば手近なところがいいんじゃないか、こういうふうにこれはなっておるんじゃないかと私は思います。だから、この点はこれからの課題で、今回こういうふうに改正の中で出されておりますが、まずそういった問題の解決も一つ頭に置いて考えていかないことには、ただ給付内容を少しずつ変えていくだけでは絵にかいたもち、せっかくの制度が有効に活用されない、こういうふうにどうしても、私実態を把握した中では思えるわけですけれども、そこらあたりに対するお考えは何かございますか。
#90
○寺園政府委員 この法律におきまして、そのときどきの賃金、退職金の情勢に適応するようにするために五年ごとの見直しの規定が入っておりまして、それに基づきまして掛金の引き上げ、給付の改善の措置をとってきておるわけでございます。そのほか、今回の改正におきましては、かねてから要望の強かった過去勤務制度の導入、あるいはすでに加入して一定期間たった人の月額変更した場合の掛け捨て、掛け損の解消措置などを講じまして、制度の魅力づけをしようといたしておるところでございますが、先生御指摘の問題につきましては個々具体的な中小企業あるいはそこに勤めておる従業員の方にあってはそういう気持ちを抱かれる面があるのではないかというふうに思うわけでございます。
 御承知のように、この制度は全産業を通じて単一の制度としてファンドを大きくした共済制度として運営をいたしておるところでございます。そうして、給付のあり方といたしましては、一般の退職金の例に準じまして短期の給付を相対的には低くし、それの原資でもって長期勤続者の給付を厚くするという制度にいたしておるわけでございます。ただ、中小企業におきましては実際問題として労働移動が大企業に比べて激しいという面もございますので、給付につきましては勤続十年から十五年あたりのところを利回りの点のピークに置くというような配慮もいたしておるところでございます。
 それから、手続が非常に長くかかるという御指摘でございましたが、現在のところ、やめられた従業員の方が事業団に退職金の請求をいたしまして、それに基づいて審査をして支払い通知書を出すわけでございますが、その間は大体十日前後で処理をいたしておるところでございます。請求に基づいて審査をするということでございますので、十日前後の日数というのはやむを得ないのではないかというふうに思っておりますが、なお一層の努力はしてみたいというふうに思っております。
 また、この制度は請求手続もあるいは支払いの通知も郵送業務でやっておりますので、御指摘のように、その地域地域におきます商工会議所等がやられます退職金の給付事務に比べて若干時間がかかる要素があることはあるわけでございますが、これは現行の仕組みとしては全国的にこの事業を中央の一個の団体でやっておるという関係からやむを得ない面があるのではないかというふうに思っております。
 また、事業主が直接退職した方に退職金を渡せない、そこにその魅力が欠ける面があるというのも何か気持ちとしてはわかるわけでございますけれども、何せ当該事業所をやめた方に退職金を支給をするということでございますので、確実に、退職した方に退職金を支給するというためには、やはり事業団から直接退職者に退職金を支給するという現行制度はそれなりの意義があるのではないかというふうに思っておるところでございます。
#91
○小渕(正)委員 いま承りましたけれども、事業主に魅力のないあと一つの大きな要因には資金繰りの対象にこれがなってないということが一つの大きな要因のようですね。やはり全然ないことじゃない、これは利用目的によってある程度活用できるシステム、制度になっていますが、中小企業の事業主から見るとほかの自前の制度、それから保険関係のああいう適格年金制度を活用した方がまだ自分たちの資金繰りの融資というか、そういった関係ではこちらよりそういう意味では条件がいい、こういうのもやはり事業主に魅力のない要因の一つになっていったようにわれわれ承っております。
 いずれにいたしましても、そういったいろいろな問題がございますし、いま私が調べたところでも、長崎の例を挙げましても、対象事業所にもよりますけれども、中小企業の中で大体半数近くは一時金制度を導入したところが多いわけでありますが、その中で約言〇%近くがこの中小企業退職金共済制度を実は活用されておる。そのうちの今度退職金制度がある会社の中で約一九%程度は適格年金を活用されて、一時金との併用で使われているとか、やはりそういう意味では自前で一時金の退職金制度を持ったところでもこういう適格年金制度とかこういうものとの併用の中で行われているというのがほとんど半数以上占めておるわけであります。
 したがって、そういうことを考えますならば、こういう自前というか、商工会議所関係のような、そういう地域における自前制度、適格年金制度、これを合わせますと、中小企業退職金共済制度よりも活用の幅が広いわけでありますから、ぜひひとつそういった点ではこれからこういったものも少し考えていかないことには、せっかくいま今回こういうような給付率を引き上げるあれで出てきておりますけれども、やはりまずそういったものの対策といいますか、もう少し運営の中で何か考えることをこれからもやっていかないことにはもったいない。せっかくのあれが絵にかいたもちになってしまうのではないかという感じがするわけであります。したがって、その点だけを一応御意見として申し上げておきたいと思います。
 次にお尋ねしますが、これでいきますと国庫補助が十年未満は五%、十年以上掛けた場合には一〇%という、一つの給付額ですか、そういうものによって上積みされた一つの金額が算出されておるわけでありますが、この五%とか一〇%という数字の根拠といいますか、どういう考え方からこういう数字を設定されたのか、まあ国がやるからには五%より一〇%の方がいいわけでありますし、一〇%より一五%の方が皆さん利用者から見ればなおいいわけでありますから、それでも十年未満五%、十年以上は一〇%というような数字を決められたその考え方といいますか、根拠は一体何か、そこらあたりについてひとつお尋ねいたしたいと思います。
#92
○寺園政府委員 この制度におきましては、中小企業の従業員に対しましてできるだけ多くの退職金を支給して本制度の魅力づけをするという観点から、退職金につきまして国庫補助をつけておるところでございます。現在国庫補助は勤続年数に応じて五%、一〇%という補助を行うことにしておることは、ただいま先生御指摘のとおりでございます。このように補助率を二段階にいたしておりますのは、勤続年数の特に長い従業員の労に報いて、そのことによって中小企業において優秀な人材を安定的に確保しようという観点から設けられたものでございまして、ただ単に長ければ補助金を多く出すということよりも、中小企業の従業員の平均的な勤続年数を見まして、それよりも若干長い十年のところから一〇%の国庫補助をつけておるということでございます。
#93
○小渕(正)委員 だから、一〇%というのをじゃ一五%になぜできないのか、一つの仮説ですがね、そういうことについて、そういう考え方の中に何らかの一つの基準的なもの、何かお持ちでそういうことを決められておるのか。もっと魅力あるものの利用を考えるならば、いまの国庫補助率をもっと引き上げていったらまだいいあれになるわけですから、それを五%、一〇%ということで限定しておられるから、何かそこに一つの基準なりそういった考え方があるのではないかということをお尋ねしたのです。だから、利用者側から見るならばこれをもっと一五%、二〇%にしてもらえばなおいいということになるのは当然ですから、そこでこの案をつくられる当局としてはそこに一つの何らかのなにがあるからこそこういうことになったのじゃないかという気がするものですから、そういうものをただ漠然と永年勤続者の方に少しでもよくやろうということで一〇%、私はそういうことだけではないのじゃないかという気がするのですが、そこらあたりいかがでしょうか。
#94
○寺園政府委員 給付を受ける側から見ますと、国庫補助率が高く、その結果として退職金の給付が多くなるということがそれだけ制度の魅力づけに資するということになろうかと思いますが、片や国庫のサイドから見ますとそれだけ国庫負担が多くなるということでございますので、その両者の調整の結果といたしまして短期勤続者については五%、長期勤続者については一〇%という率を定めておるところでございます。
#95
○小渕(正)委員 五%、八%、一〇%、それから一〇%、一五%、上げていくことは国庫負担が大きくなることですから、当然そういうことでは自動的にそうなることはわかっていますから、私、したがって、ただ限度としての一〇%という考え方が何かあるのかという意味でお聞きしたのですけれども、いまのお話を聞いておりまして、ただ何とはなしにともかくそれぐらいがいいだろうということの中で考えられたような気もするのですが、要するに民間の退職金制度の大体二十年なら二十年の金額を見た場合に、掛金の関係からいって、大体これくらいすればちょうど見合う、そういう意味での一〇%というのが出てきたのか、しかしこれは少なくとも国庫補助として国が支出する金額ですから、それを一部中小企業のそういう零細な従業員の人たちにやるわけですから、そういう意味ではそうでたらめ、幾らでも金を上積みするわけにいかないから、そういう意味での考え方からいって一〇%というのを一つ念頭に置いておってそこですべてやっていこうということになったのか、何かそういうものがあったのじゃないかと思うので聞いたのですけれども、その点いかがでしょうか。ないならないで結構ですから。
#96
○寺園政府委員 この制度は掛金の額につきまして十九段階設けまして、その間で事業主が選択をするという、そういう制度でございますし、それから国庫補助につきましては最低掛金に対する給付に国庫補助を給付をするということでございますから、民間の退職金事情というものを見ながら最低掛金あるいは最高掛金を法律で決めるということにはなりますけれども、民間の退職金に合わすように国庫補助をつけるということではなくて、最低のところにつけて、できるだけ魅力をつけていこうという考え方でこの制度は仕組まれているわけでございます。
#97
○小渕(正)委員 これは議論のすれ違いになりますからもう申し上げませんが、そういう意味で退職金を魅力あるものにしようということで国庫補助をつけられるということではわかりますけれども、それならばそれなりになお魅力あるものとしてどうなのかということで数字的なものをお聞きしたわけでありますが、それはなかなかすれ違いのようでありますので、この点は省略いたしますが、ただ、いまおっしゃられましたように、国庫負担の額が大きくなるからある程度そこらあたりも考えながらということを言われたわけでありましたが、私、このいただいた資料の表を見まして、これは四十ページですけれども、年次別収支状況ということで一般退職金共済の中の年度別の収支が出ておるのですが、五十三年度は掛金等の収入が六百二十六億一千幾らと出ています。運用収入が二百三十四億九千六百幾ら、こういうように出ているわけですね。こういうふうに見ていきますと、国庫補助が六億八千万近く五十三年度で出したように出ております。そして、支出を見ますと、退職金として支出したものは約二百八億、解約した方に出されたのが約七億三千万ぐらい、こういうふうな形のものが支出の方に出ています。
 これを見ますと、運用収入の中で支出の分は十分賄えるような数字になるわけですね、現行の五十三年度だけで見ましたら。だから、私はそういう点で、そういう考え方をまた根本的に変えることになりますけれども、国庫支出を、補助金を五%とか一〇%とかいうことでそれぞれするのじゃなしに、もう初めから思い切って国が三十億なら三十億の基金を出して、そしてこういう掛金の収入とプールの中において資金運用をやるならば、私はもっとすばらしい中身のある制度になるんじゃないかと思うのですよ。だから、そういう点で、あえて国庫負担が次から次に、先ほど国庫負担が限界があるなんて言われてましたけれども、そういうことじゃなしに、いま私が言うような発想でこの運用を考えたならば、もっとそういう点で給付内容がすばらしい一つのあれとして十分運用をやっていける、こういうようにこの数字からも私は素人なりに判断いたしました。したがって、いま共済制度が、全部がやめてしまって、全部一回に支払ってしまうような状況は絶対あり得ないわけですから、これはこれからの検討課題にしていただきたいと思います。そういう国庫補助率を五年から十年というように、何%、何%として毎年こんなふうに出すよりも、思い切って政府資金を何十億なら何十億出して、それとこういう掛金等の収入の基金の中でこれを十分運用し、しかもそれによってもっと短期の人たちにも魅力ある制度になり得るというものを私は十分持っていると思います。したがって、この問題とは直接関係ございませんけれども、こういう発想もあるんじゃないかということで申し上げましたので、ぜひひとつ皆さん方、もっともっと有効活用という意味で、これからの検討課題にしていただきたい、この点を御要望申し上げますが、この点いかがでしょうかね。
#98
○寺園政府委員 大変貴重な御意見をいただいたわけでございますが、いまの制度の仕組みは、掛金と掛金の運用収入を原資とし、片や、全体として見た脱退率というのを考慮しながら給付のカーブを描いているわけであります。したがいまして、先生の御提案のように、一定のファンドをつくってそれの運用益を給付の方に回すということが共済の仕組みとしてうまく乗っかるかどうか、その点を含めて勉強をしてみたいというふうに思っております。
#99
○小渕(正)委員 私のつたない経験ですけれども、私がいろいろほかの共済関係の運用を見てみますと、十分それで魅力あるものができるのじゃないかという気がいたしましたので申し上げたのですが、これで省略いたします。ぜひひとつ研究課題としてやっていただきたいと思います。
 若干具体的な質問をいたしますが、今回の給付改善の内容の中で、掛金が増額された場合の掛け捨て、掛け損の解消が盛り込まれているわけですね。ということはそれなりに理解できますが、いまの制度からいきますならば、そういうことをすることによっていままでよりも永年勤続者に対する恩典が薄くなるんじゃないかという感じがするんですが、その点いかがでしょうか。
#100
○寺園政府委員 かねてから懸案とされておりました長期勤続者の月額変更に係る掛け捨て、掛け損を今回解消をいたしたわけでございます。先生の御指摘は、それに伴って給付の調整が行われておるのでその調整部分について給付が不利益になるのではないかという御指摘と思います。この点は、この法律改正の基礎となりました審議会においても大変熱心な御議論があったところでございます。結論といたしまして、月額変更の場合の掛け捨て、掛け損については何らかの改善を図ることが望ましいので、共済収支の均衡を図るための調整を行いつつ、措置するように検討しろという建議をちょうだいしたわけでございます。
 先ほど申し上げましたように、この制度におきます給付は、掛金とそれに伴う運用益を原資とし、国庫補助をつけて給付をするということが原則でございますので、収支相償うことが原則でございます。したがいまして、現在の共済収支の状況を見ますときに、やはり月額変更部分の給付につきましては、一部調整しながら掛け捨て、掛け損の解消措置をとる以外道がなかったということでございます。
#101
○小渕(正)委員 今度は過去の勤務期間の通算制度を新しく設けることになっていますね。したがって、現行制度では最低掛金に対して補助があるわけでありましたが、今回こういう新しい過去の勤務期間通算制度の新設に伴って、そういった新しい過去の分に対しても今回の制度の中では国庫補助が果たしてついてくるのかどうか。今回新しく期間通算ということになりますと、その分を何年かかかって過去の分のあれを、今度加入して払っていくということになるわけですが、そういう分についても国庫補助の対象としての幾らかの恩典があるのかどうか、この点いかがですか。
#102
○吉本(実)政府委員 過去勤務期間の通算制度につきましては、その通算が行われる場合に過去勤務期間についても国庫補助が行われるということは、給付の増加という面からは大変好ましいことでございますけれども、国の補助のあり方としまして、過去の事実について援助を増加するというようなことになりますので、なかなかむずかしい問題でございます。また、特にその過去勤務期間というのは、長期にわたって掛金を納付してきた人との関係もございますし、要するに本制度にかかわりのなかった時期になるわけでございます。そういうものについてそれを事後的に補助するというのはむずかしいということで、今回は国庫補助の対象にいたしておりません。
#103
○小渕(正)委員 従来よりはやや前進したかどうかわかりませんけれども、しかし、確かにそういういろいろな兼ね合いがあってむずかしいでしょうけれども、いままでなかったのがあるんだから、そういう意味ではいいじゃないかということになるでしょうけれども、せっかくこういう制度をつくるからには、もう少しそういう対象の人たちにも魅力あるように、若干やはり何らか考慮をする必要があるんじゃないかという気がするんですが、この点はいま申し上げたようないろいろな兼ね合いというものがありましょうからむずかしい問題かもしれませんが、やはり制度として生かすからにはそこらあたりの配慮も必要じゃないかと、これはもうあえて御意見はお聞きいたしませんが、そういう意見を一つ申し上げておきたいと思いますので、これもひとつ次のときの一応の検討課題にしておいていただければと、かように思います。
 それから、中小企業退職金共済事業団と特定業種退職金共済組合の統合ですか、こういう問題がいま行政改革の一つのポイントとして、現在三つあるものを二つにですか、何かそういうことの話が進められているというふうに聞いたわけでありますが、この点について果たして、片一方はどちらかというとお役所関係の人たちを中心としてでき上がった事業団、あと一つのものはどちらかというと事業主団体を中心にしてでき上がったような組合ですね。ただ、そういう表面的な形をまとめただけでうまく運営がいくのかどうか、そこらあたりがちょっと気になるわけであります。その辺について、特にそういう関係を考えますならば、やはり事業主団体の御意見等十分聞きながらそこの関係の調整を図らぬことには、ただ形だけつくり上げても結果的には無理じゃないかという気もするのですが、そこらあたりに対するお考えがあればお尋ねしたいと思います。
#104
○藤波国務大臣 いま内閣が挙げて行政改革の実を上げようとして努力をいたしておりますことは、御高承のとおりでございます。したがいまして、労働省といたしましてもこの政府の方針の中でできる限り行政を改革して、さらに効率の高い行政に持っていくように努力をしたい、このように考えておる次第でございます。
 労働省関係の特殊法人につきましては、昨年末の閣議決定におきまして、中小企業退職金共済事業関係三法人を昭和五十六年度に二法人に再編改組する、こういうふうに打ち出されておるわけでございます。
 労働省といたしましては、これらの三法人が行っております退職金共済事業が、いままでどおり関係業界の援助や協力を得つつ、安定的にまた継続的に実施されることが重要だというふうに考えておりまして、そのためにはいま先生から御指摘をいただきましたように、関係業界の完全な了解を得て、さらに今後も継続して協力をしていこうという構えにならないと、ただばっさりと改革をやりましたというだけではよろしくないし、かえって労働行政を阻害することになる、このように考えておるわけでありまして、そういった点を非常に重視をいたしまして、関係業界等の意向を十分に配慮をしながら、この再編をしていくための具体的な内容についていま鋭意検討を進めておる最中でございます。今後ともできるだけ早く成案を得たいと思っておりますけれども、同時に、くどいようでございますけれども、関係業界の十分理解、協力を得られるようにあらゆる配慮をしながら進めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
#105
○小渕(正)委員 それでは、最後になりましたが、少し御意見といいますか、そういうものを申し上げてみたいと思うのです。
 先ほども申し上げましたように、この制度が活用されてないといいますか、知られてないという問題をいろいろ申し上げましたが、何といいましても中小企業の関係者の事業主の方たちが魅力あるようなものにしていくということが一つ。しかも、先ほどちょっと申し忘れましたが、事務的に非常に管理の繁雑さがこの問題についてもある。それぞれの事業主においては各人の口数と掛金と何年掛けたかというものをずっと管理しておかなければいかぬ、絶えず一年に一回ぴしゃっとした資料を出さぬといかぬとか、そういうことで非常に事業主にとってはその方の負担が厄介だといいますか、大きい。中小企業の方たちですから、事務員も親子でやったりきょうだいでやったりして、四、五十人の規模、零細企業になりますと、余りそんな正式の事務員の方を雇っているようなところは少ないのですよ。だから、そういう事務的な問題も、非常に中小企業の方たちにとっては、いまの制度の中では管理の繁雑さというものがある。先ほど言うように、商工会議所の人たちにとってはああいう保険関係の人たちがすべて代行してくれるわけですから、そこにある程度制度の魅力的な面があったにしても、そこらあたりに一つの壁がある。この点をぜひ頭の中に入れていただきたいと思います。
 それから、先ほど言うように、事業主側にもう少し魅力あるものにするための何か――この制度ができたときは、何か事業主側の権限が強まって困るのじゃないかとかなんとかいう左翼小児病的な見方もあったかもしれませんけれども、私は事業主がもっと活力があって魅力あるような形の中にもっと積極的に入っていくようなことをせぬことには、せっかくの制度が持ちぐされになると思いますので、その点を特に申し上げておきたいと思います。
 あわせて、これはまだ確かなものでありませんけれども、労働省がやっているこういう仕事、ほかにもありますね。財形制度関係での仕事とかいろいろあるのですが、結果的に、いい制度が、前回も別な機会で申し上げたと思いますが、どうしてもどこかで行き詰まったというか、下に落ちてない。これはやはり民間のどこかに委託するようなことを考えることが一つはいいのじゃないかと思うのです。しかし、これはどこの民間に委託するかということになるとまた大変ですけれども。そういう意味では、私も確かな考えを持ちませんが、たとえば労働団体あたりでも共済事業なんかやっている団体もありますから、そこらあたりと県あたりとうまくタイアップした中でそういう仕事を全部委託されて、そういう形でもう少しこういう事業を推進するようなことを何か一工夫考えぬことには、いまのままではいいものを幾らつくっても下まで落ちていかぬという問題があるのではないか。
 そういう点で、私もまだはっきりこうしたらいいということまで断定できませんでしたけれども、そういう意味で私も今後この問題を考えてみたいと思いますので、ひとつぜひ行政当局も、せっかくの皆さん方のそういうりっぱな制度が生かされるように、そういった面でもっと発想を変えた考え方に立って検討してもらうことも必要じゃないか、こういうことを御意見として申し上げまして、私の質問を終わります。
#106
○葉梨委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
#107
○葉梨委員長 これより本案を討論に付するのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#108
○葉梨委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
#109
○葉梨委員長 この際、山崎拓君、田口一男君、大橋敏雄君、浦井洋君及び米沢隆君から、本案に対し、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者からその趣旨の説明を聴取いたします。田口一男君。
#110
○田口委員 私は、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党・革新共同及び民社党・国民連合を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
    中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について適切な措置を講ずるよう配慮すべきである。
 一 中小企業退職金共済制度を一層魅力あるものに改善するとともに、加入促進対策を強化し、その普及促進を図ること。
 二 建設業退職金共済制度について、一の加入促進対策の強化とともに、証紙貼付の履行確保、事務手続の簡素化等に努め、その実効性の確保を図ること。
 三 中小企業退職金共済制度の運営に当たっては、関係労使の意見を十分反映しうるよう、一層の配慮を行うこと。
 四 資産運用については、その効率化と共済融資制度の一層の改善に努めること。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
#111
○葉梨委員長 本動議について採決いたします。
 本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#112
○葉梨委員長 起立総員。よって、本案については、山崎拓君外四名提出の動議のごとく附帯決議を付することと決しました。
 この際、労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。藤波労働大臣。
#113
○藤波国務大臣 ただいま御決議になりました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、これが実現に今後とも一層努力をいたす所存であります。(拍手)
#114
○葉梨委員長 なお、ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#115
○葉梨委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。〔報告書は附録に掲載〕
#116
○葉梨委員長 次回は、明後二十七日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後一時四十分散会
ソース: 国立国会図書館
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