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1979/04/16 第91回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第091回国会 社会労働委員会 第12号
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1979/04/16 第91回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第091回国会 社会労働委員会 第12号

#1
第091回国会 社会労働委員会 第12号
昭和五十五年四月十六日(水曜日)
    午前十時一分開議
 出席委員
   委員長 葉梨 信行君
   理事 越智 伊平君 理事 住  栄作君
   理事 竹内 黎一君 理事 山崎  拓君
   理事 田口 一男君 理事 森井 忠良君
   理事 大橋 敏雄君 理事 浦井  洋君
   理事 米沢  隆君
      大坪健一郎君    北口  博君
      斉藤滋与史君    中野 四郎君
      丹羽 雄哉君    八田 貞義君
      船田  元君    山下 徳夫君
      枝村 要作君    前川  旦君
      村山 富市君    安田 修三君
      山本 政弘君    坂口  力君
      谷口 是巨君   平石磨作太郎君
      梅田  勝君    田中美智子君
      小渕 正義君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 野呂 恭一君
 出席政府委員
        厚生省公衆衛生
        局長      大谷 藤郎君
        厚生省医務局長 田中 明夫君
        厚生省薬務局長 山崎  圭君
        厚生省社会局長 山下 眞臣君
        厚生省児童家庭
        局長      竹内 嘉巳君
        厚生省保険局長 石野 清治君
        厚生省年金局長 木暮 保成君
        社会保険庁年金
        保険部長    持永 和見君
 委員外の出席者
        法務省刑事局刑
        事課長     根來 泰周君
        文部省社会教育
        局青少年教育課
        長       佐藤 次郎君
        労働省労働基準
        局監督課長   岡部 晃三君
        社会労働委員会
        調査室長    河村 次郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十六日
 辞任         補欠選任
  伏屋 修治君     坂口  力君
同日
 辞任         補欠選任
  坂口  力君     伏屋 修治君
    ―――――――――――――
四月十五日
 療術の制度化阻止に関する請願(奥田敬和君紹
 介)(第三九九〇号)
 戦後強制抑留者の処遇改善に関する請願(井原
 岸高君紹介)(第三九一号)
 同(高鳥修君紹介)(第三九九二号)
 同(沖本泰幸君紹介)(第四〇八〇号)
 同(狩野明男君紹介)(第四〇八一号)
 同(西田司君紹介)(第四〇八二号)
 同(橋本登美三郎君紹介)(第四〇八三号)
 失業対策事業の新制度確立等に関する請願(河
 上民雄君紹介)(第三九九三号)
 同(中村茂君紹介)(第四一〇四号)
 保育所職員の配置基準改善に関する請願(木原
 実君紹介)(第三九九四号)
 同外一件(木原実君紹介)(第一〇五号)
 同(新村勝雄君紹介)(第四一〇六号)
 厚生年金の支給開始年齢引き上げ反対等に関す
 る請願(木原実君紹介)(第三九九五号)
 同(川崎寛治君紹介)(第四一〇三号)
 看護職員条約批准のための国内法令整備等に関
 する請願(久保等君紹介)(第三九九六号)
 同(西村英一君紹介)(第三九九七号)
 健康保険法の改悪反対等に関する請願(山田芳
 治君紹介)(第三九九号)
 失対事業の新制度確立等に関する請願(山田芳
 治君紹介)(第三九九九号)
 同(島田琢郎君紹介)(第四一〇七号)
 同(中村茂君紹介)(第四一〇八号)
 医療保険制度及び建設国民健康保険組合の改善
 に関する請願(大内啓伍君紹介)(第四〇〇〇号)
 同(井岡大治君紹介)(第四〇〇一号)
 同(井上一成君紹介)(第四〇〇二号)
 同(岩垂寿喜男君紹介)(第四〇〇三号)
 同(山田芳治君紹介)(第四〇〇四号)
 同(吉原米治君紹介)(第四〇〇五号)
 同(阿部助哉君紹介)(第四〇五九号)
 同(井岡大治君紹介)(第四〇六〇号)
 同外二件(上田哲君紹介)(第四〇六一号)
 同外四件(大出俊君紹介)(第四〇六二号)
 同外二件(大野潔君紹介)(第四〇六三号)
 同(沖本泰幸君紹介)(第四〇六四号)
 同(角屋堅次郎君紹介)(第四〇六五号)
 同外四件(川俣健二郎君紹介)(第四〇六六号)
 同(河野正君紹介)(第四〇六七号)
 同(木内良明君紹介)(第四〇六八号)
 同(島田琢郎君紹介)(第四〇六九号)
 同(瀬野栄次郎君紹介)(第四〇七〇号)
 同外一件(部谷孝之君紹介)(第四〇七一号)
 同(武藤山治君紹介)(第四〇七二号)
 同外四件(森井忠良君紹介)(第四〇七三号)
 同外六件(森田景一君紹介)(第四〇七四号)
 同外三件(八木昇君紹介)(第四〇七五号)
 同(山田英介君紹介)(第四〇七六号)
 同(米田東吾君紹介)(第四〇七七号)
 健康保険法改正案の撤回、良い医療制度の確立
 に関する請願外一件(清水勇君紹介)(第四〇〇
 六号)
 同(新村源雄君紹介)(第四〇〇七号)
 同(伊賀定盛君紹介)(第四〇八六号)
 同外一件(小川省吾君紹介)(第四〇八七号)
 同(岡田利春君紹介)(第四〇八八号)
 同(木原実君紹介)(第四〇八九号)
 同(木間章君紹介)(第四〇九〇号)
 同(沢田広君紹介)(第四〇九一号)
 同外一件(柴田健治君紹介)(第四〇九二号)
 同(新村勝雄君紹介)(第四〇九三号)
 同(瀬野栄次郎君紹介)(第四〇九四号)
 同(中村茂君紹介)(第四〇九五号)
 同外三件(芳賀貢君紹介)(第四〇九六号)
 同(山田英介君紹介)(第四〇九七号)
 同(渡辺三郎君紹介)(第四〇九八号)
 同(渡部一郎君紹介)(第四〇九九号)
 民間保育事業振興に関する請願(山口シズエ君
 紹介)(第四〇五八号)
 良い医療制度確立に関する請願(安藤巖君紹介)
 (第四〇七八号)
 国民健康保険における傷病手当、出産手当の実
 施等に関する請願(森井忠良君紹介)(第四〇七
 九号)
 医療ソーシャルワーカーの配置財源保障に関す
 る請願(上田哲君紹介)(第四〇八四号)
 同(小沢辰男君紹介)(第四〇八五号)
 厚生年金保険法の改悪反対等に関する請願(安
 藤巖君紹介)(第四一〇〇号)
 同外二件(森井忠良君紹介)(第四一〇一号)
 医療保険制度の改悪反対、医療の改善に関する
 請願(新村勝雄君紹介)(第四一〇二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――本日の会議に付した案件
 厚生関係の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○葉梨委員長 これより会議を開きます。
 厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田口一男君。
#3
○田口委員 近ごろ、珍しい病気というのじゃないでしょうが、自閉症という病気がありまして、全国に幾つかそういった子供を収容しておる施設があるようであります。たまたま私の地元の三重県にもそういった自閉症児を収容しておる施設がございまして、聞くところによりますと、本年四月一日から、施設の運営に当たって、従来は若干の国庫補助ということになっておったそうですけれども、そういう補助体系を児童福祉法に基づくいわゆる措置費体系というものに改めていく、こういうふうになったそうでございますが、これは一定の前進と私は評価をしておるのであります。
 そこで、自閉症児の収容施設のあり方について、ひとつ厚生省にお伺いをしたいと思います。
 いま申し上げましたように、五十五年度から児童福祉法に基づく精神薄弱児施設の一種としていわゆる措置費体系に組み入れる、こういうお話でございますが、冒頭に申し上げたように、珍しい病気といいますか、まだまだ研究開発が進んでいない、いわゆる難病の一種でございますから、にわかにこうやればいいのだ、ああすればいいのだということは定まっていないのでしょうが、いままで自閉症児の施設のあり方についてどういうやり方をやっておったのか、まずその辺のところからお聞かせいただきたいと思います。
#4
○竹内政府委員 自閉症という言葉自体は、わが国の場合、昭和三十年代になってからちらちらと問題提起が出てきたというような、いわば新しい症候群でございます。厚生省といたしましては、昭和四十六年度から心身障害研究費の中で、自閉症の診断基準の問題、自閉症児の療育のあり方の問題、医学的な治癒を目的とする医療のあり方の問題、そういったことをいろいろ研究してまいりました。その過程で、ことしの三月三十一日現在で言いますと、全国で四カ所の精神病院を指定いたしまして、それぞれ収容二十名、通所二十名ずつの子供につきまして、年間で六千万円程度でございましたけれども補助金をプラスアルファして、治療訓練費という形で訓練のための経費を補助金で支弁する、それ以外はいわゆる医療費で全部カバーをするという形をとってきたわけであります。
 私ども、自閉症児対策につきましては、先ほど申し上げましたように、ここもう十年近く研究を続けてまいりました。ただ、実際問題として、医学的な意味での定説と申しますか、それがまだ決まりません。しかしながら、子供たちの療育効果というものにつきましてはそれなりにいろいろな研究報告等もございますので、先生御指摘のように、私どもも自閉症児施設というものを精神薄弱児施設の一種という形で取り上げて、本年の四月からいわば措置費の体系に取り入れるという形にしたわけでございます。
#5
○田口委員 経過は大体わかりましたが、問題は、いまのお話ですと、療育方針といいますか、診断基準といったものは定説がない。これから研究をし、試行錯誤ということもあるのでしょうがね。そういう状態で、私は三つほど、実際に施設を運営していくに当たって、そこの職員とか責任者から注文を聞かされておるのですが、一つは、いま言った精神薄弱児施設の一種として位置づけられる。ところが、これも局長御存じだと思うのですが、本年の一月中ごろ、大阪の府立中宮病院の松心園、これはいま言った、指定された四カ所の病院の一つだと思うのですけれども、そこに働いておる指導員が結局職業病に認定をされたという記事を見たのです。この記事からも、また私が直接職員から聞いた話からしても、定員の配置の状況とかいろいろなことを考えると、相当仕事の内容がきつい。したがって、試行錯誤の状態はわかるけれども、精神薄弱児施設の一種ではなくて、少なくとも重度心身障害児並みの措置費といったことがまず当面考えられていいのじゃないか、こういうお話がございました。
 そこで、私も専門的にどうこうと言うことはできませんから、五十四年度までの、いま局長がおっしゃったようなやり方、たとえば職員について医療費負担によって賄うとか、看護婦の配置は特二類であるとかいうことと、精神薄弱児施設の一種であるこの四月一日以降の、たとえば職員配置といったものを比較した場合に、私は一定の前進があると認めたわけです。多少はふえたと思うのですけれども、際立ってどういうところが違うのか、その差異についてひとつお聞かせをいただきたいと思います。
#6
○竹内政府委員 私ども、この四月からスタートいたしました自閉症児施設は、二つのタイプに分けておるわけでございます。つまり、常時医学的な監視のもとで精神発達障害に関する医療を要する子供たちを中心とするもの、これは一応医療型と呼んでおります。それから、常時医療的な監視あるいは専門医の治療行為は必要としないけれども、なお療育といいますか、子供たちの自閉症の症候群の現象に対応した形でこれの社会復帰への道を、手探りではございますが、求めていく、そういう形のものを福祉型、こういう形で二つのタイプを頭に置いてつくりまして、自閉症児の施設を整理をしてみたわけでございます。
 従前の治療教育訓練費という形で補助金の対象にしておりましたのは医療型だけしか見ておりませんでした。医療型につきましては、従前の治療訓練費というのは補助金、四カ所で年間で六千四百万そこそこでございますし、かつは、これも基本的には訓練費、治療材料費といったようなものに主として充てられておりますけれども、この中でいままで加算的に、保母というのはある程度施設にお任せばしておりますけれども、一般的にはせいぜい二人程度がプラスアルファされるという状態でございます。医療型につきましては、今回の場合、私どもとしては、保母の加算分といたしまして収容定員四十人について六人の指導員と保母、指導員三名と保母三名、これをいわゆる児童精神発達障害に関する医療機関としての看護体制のほかにプラスアルファとして置くことができるようにという形にいたしたわけであります。これは基本的には病院の看護状態を一類看護を一応ベースにした計算で申しますと、大体二・五人に一人の割合、つまり入っております子供四十人については二・五人に一人という割合でいわば保母、指導員、看護婦が配置されるようにというふうにいたしたわけであります。
 この施設の場合にも、私どもはいわゆる重度加算という方式で、必要経費について、基本的な精神薄弱児施設よりもより手厚い経費を組んだわけであります。
 非常にわかりやすく申しますと、現在精神薄弱児施設の場合、教育費的なものを除きますと、大体月当たり十五万四千円というのが精神薄弱児施設の措置費でございます。これが自閉症児の福祉型になりますと、ややこれを上回りまして、十六万三千円ないし十八万円程度までに引き上がるわけであります。十六万ないし十八万と申しますのは、子供の問題、それから地域差の問題等がございますので、一般論として言いますと、精薄施設よりも大体月当たり一万円ないし一万二千円程度の加算になります。それから、医療型につきましては、月当たりの医療費のほかに、医療費をベースにして計算をしておりますけれども、加算分を入れまして月当たり二十四万五千二百五十三円という細かい数字を申し上げますが、基本ベースとしては措置費の費用として計上いたしております。
 先ほど先生、重症心身障害児のケースを提示されましてそれ並みにと、こう申されましたけれども、重症心身障害児の場合は医療費面の、特に外科的な手術を要するケースも非常に多うございますので、一概にこういう外科的手術を要する診療形態を一般的にとらない自閉症児施設と重症心身障害児を単純に比較するのはいささか問題がございます。先ほど申しましたような金額だけで申しますと、重症心身障害児は一番高くて、月当たり三十四万五千七百二十五円というのが私どもの措置費体系上の保護単価と申しますか、基本ベースになっておるわけでございます。
#7
○田口委員 初めての試みですから、それでやっていけるかどうか今後十分見守っていただきたいと思うのですが、その中でこういう問題が起こってくると思うのです。
 自閉症児という児ということを使っておるのですけれども、さっきも言いました三重のあすなろ学園というところの例でいきますと、現在、これは昭和五十五年三月一日現在なんですけれども、十八歳から二十二歳まで、これは文字どおり解釈すれば自閉症児じゃない、自閉症者になると思うのですが、九十三人のうちでいま言った十八歳以上の者が十二人おるわけであります。それから、その下のランクの十六歳から十七歳までの者が十六人おる。となると、現に十八歳以上の者はどうするのか、いま言った自閉症児対策からいって、精神障害児の一種としてのこういう対象になっていくのか。それから、いま言った十六歳から十七歳までの者が十六人おるのですが、これは来年になったら十八歳になる。そうすると、この者は出ていかなければならぬのか、そういう心配を施設の長あたりが持っておるわけです。さらにまた、これはあるかどうか知りませんけれども、間々あるようですが、そういういわゆる年長者が入ってくるかもわからない。こういう場合の区分けといいますか、現におる年長者が十八歳以上になったら、しょうことなしにこの施設を出ていかなければならぬのか。そして、整理をしますと、万が一新しく十八歳以上の者が入ってきた場合にはこれを受け入れるような門戸開放をされておるのか、こういう点はどうなんでしょうか。
#8
○竹内政府委員 施設関係者としての当然の一つの疑問でもあり、心配の点でもあろうかと思います。
 もともと自閉症と申しますのは、幼児の段階でこの自閉症の症候群というものがあらわれてくるというふうに学問的には言われております。したがいまして、自閉症それ自体の対象はほとんどがいわゆる児童に限定されているわけではございませんけれども、主たる対象はそういう形で、日本だけではございません、世界各国ともそれで対応してきているわけであります。わが国の場合も、二十を超えた、あるいは十八歳を超えたといういわゆる成人のケースの場合に、なおかつ自閉症という症候群が残るかどうかということについては、私ども、たとえば専門家の先生方の御意見をいまお聞きしているわけでありますけれども、先生から御指摘いただいたあすなろ学園の十亀先生の御意見を伺いましても、その点についてはなお多分に疑念があるわけであります。
 しかしながら、現実に自閉症児として療育を続けてき、それについての治療効果あるいは療育訓練の効果というものが十分明らかでない場合、かつはその症候群の発症状態というものが重度である場合というのが現にあすなろ学園の入所者を見ましてもあるわけであります。そういうケースにつきましては、私ども現在、児童福祉法の六十三条の二という規定に在所期間の延長規定がございまして、精神薄弱児施設、法律上は精神薄弱児施設の一種でございますので、この六十三条の二の規定によりますと「第三十一条第一項の規定にかかわらず、当分の間、第二十七条第一項第三号の規定により精神薄弱児施設に入所した児童であってその障害の程度が重度であるものについて、引き続いて入所させておかなければその者の福祉をそこなうおそれがあると認めるときは、満二十歳に達した後においても、引き続きその者をその施設に在所させることができる。」という規定があるわけであります。
 つまり、私が申し上げたのは、二十歳以後も置けるというだけでなくて、その子の福祉を損なうおそれがあるときはという条件があります。つまり、自閉症の症候群の最大の特徴は、社会適応がむずかしいといいますか、非常になじみにくいというところに自閉症の症候群の一大特徴があるわけであります。そういう限りでは、私どもとしては、十八歳を超えてもあるいは二十を超えておったといたしましても、その者の福祉を損なうおそれがある限りにおいては、年齢を超えても、端的に言えば自閉症児施設にそのまま入所をさしていくということを認めていきたいと思っております。
 なお、先生御指摘のように、二十歳を超えて新たにそういう必要性ができてきたときはどうかという問題につきましては、私どもとしてはこれは基本的なパターンで申しますと、まず精神薄弱者の更生援護施設に入所をしていただくわけであります。そして、入所をしていただいた中で、その状態が明らかに自閉症症候群を示しているという形で、そのための医療なりあるいは療育訓練が特に必要ということになれば、自閉症施設にいわば措置がえをしていくという形が当然とられてくるわけであります。
 いまのところわが国には十五、六歳から先の、いわば年長の自閉症症候群を中心として対応する施設が、医療型の面からも福祉型の面からもまだないわけであります。これはあるいは先生御存じかもしれませんが、実は自閉症の親御さんたちが大変苦労豊まして、三重県に檜の里という社会福祉法人で年長者のための施設の建設を現在急いでおるわけであります。私どももできるだけのそのための援助は惜しまないつもりでございますけれども、大体明年度にはこれがスタートできるのではなかろうか。私どもは現在実は措置費上対応しようにも対応すべき対象施設がないために、手のつけようがございません。しかし、したがいまして明年新たにこういった施設が本邦初めてスタートをする、スタートできるというときに、自閉症症候群を擁する年長者のための自閉症施設としてこの檜の里がスタートする時点までには、制度的にもこれがカバーできるように、私どもとしては本年せっかく自閉症児対策というものを前進させたわけでございますから、これはいわば第一歩でございますので、その次のステップとしてこの問題に前向きに取り組みたいという形で現在準備も進めておるわけでございます。
#9
○田口委員 年長である十八歳以上の者については大変前向きのお話を伺ってありがたいのですが、それに関連してというとおかしいのですが、いまもちょっとあすなろの十亀さんの名前が出たのですが、私ども十亀理論と言っておるのですけれども、あすなろの現状だけ、一つの例としてお聞きをいただきたいのですが、御存じだと思うのですが、従来からずっと精神病院に付設をしておりますから、たしか三月末現在で年長者も含めて九十六名おると思うのです。その九十六名が、さっき局長言われたように、まだ診断基準とか育成方針が固まっていない現状ではありますけれども、いままでの経験からいって、この子供は自閉症だろう、この子供は違うだろう、これは区分けが出ると思うのですね、極端な言い方をするとこちらは自閉症でこちらは分裂症というふうに。私は先般現地を見ましたら、これは病気は何という名前か知りませんが、いわゆる学校に行きたくない、登校拒否を示すような子供、そういった子供と、平たい言葉で言ったら混合と言うのでしょうか、まぜてやると、こういった精神障害児の発達に大変いいのだ、それを称して十亀理論と言っておるのでしょうけれども、いま現にやっておるわけです。そうすると、さっき言った精薄施設の一種として児童福祉法による措置費に組み込まれる。その場合には、これは診断基準で区分けをする。はっきり言って九十六名のうち十六名は自閉症ではありませんよというふうな計算になるのか。診断基準なり何なりがまだ固まっていないから、十亀理論というものがありとするならば、それは一応認めていこうというふうなことで九十六名、あすなろの例でいけば、やっていくのか。そこのところも、これは将来はどうこうというのでなくて、ここしばらくそういったことが全国の四つの施設の中にも起こるのじゃないかと思うのですね、医療型、医療施設ということになれば。この辺のところ、どうでしょう。
#10
○竹内政府委員 あすなろの個別論についてなかなか具体的な御意見を申し上げるというのも、いささか問題は残るわけでございますけれども、私どもは自閉症の検討委員会を発足をさせましたときに、まず先生のお話になりましたような十亀先生もそのメンバーの一人に入っていただいたわけです。私ども、つい最近でございますけれども、自閉症に関する通達を出しました。三月三十一日付で児童福祉法に基づく児童福祉施設最低基準の一部を改正する省令の施行をしたわけでございます。私どもこの中でその留意事項として局長通知を出しましたが、入所対象児童として通達の中で、たくさんありますので一々述べるのは避けますけれども、先生がいま言われたことに関連することを申しますと、「医学的診断が未確定であるが、自閉症児として療育方針を決定する必要があるもの」という区分をいたしております。つまり、自閉症という医学診断というのはいまのところまだ、先ほどから繰り返して申し上げておりますように、WHOの定義すらまだ案という段階でいるわけです。これの医学上の通説あるいは定説とでも言われるものが確定いたしておりませんために、一応私どもとしてはこの検討委員会を通じまして、発達経過による自閉症の臨床像のデッサンという形でこの診断についての基本線を示しまして、関係機関に全部これを流してこれを参考にしてやるようにということを示しているわけです。その中で、単純に登校拒否という現象だけで、その自閉症であるかどうかという症候群を示しておると見れるかどうかというのはいささか疑問があろうと思いますけれども、しかし登校拒否というのも自閉症症候群の中の現象の一つでもあるわけです。したがって、登校拒否だから自閉症というのでなくて、自閉症の中に登校拒否というような現象といいますか、症状もあらわれてくる。そういう意味で、なかなか医学的な診断としてはつきにくいけれども、あるいは精神衛生法の措置入院の対象となるべき児童の精神分裂症なり、あるいはまた何らかの小児精神科的な患者であるかもしれません。しかし、その辺の医学的な診断がまだつきかねておる。しかしながら、その実際の症状としてあらわれてくるいろいろな現象が自閉症症候群に該当するときに、私どもはその子供の福祉というものを考えれば、その子供のそういった自閉症の症候群に対応する療育方針というものを、最初に申しましたように、ここ十年近く研究をして一応の成果を得たということでこの措置に踏み切ったわけでありますから、ただいま申しましたように、そういう面が仮に未確定でありましても、自閉症児としての療育方針を決める必要がある。そういうことであれば、私どもはその自閉症児施設に入所を認めるという形をとっております。
 したがって、繰り返しますけれども、登校拒否イコール自閉症として入れるということまでこの場で私ども確言はいたしかねますけれども、しかし少なくとも登校拒否というのも自閉症症候群の現象の一つである以上、それに関して医学的な診断、自閉症として診断がまだ確定できないならば、確定できなくとも、自閉症児としての療育方針を立てるのに必要である限りは、そしてその療育をする必要があると認めた限りにおいては、私どもは自閉症児施設に入所措置をとって、これの福祉増進ということについての努力を惜しまない、こういうことで都道府県あるいは各市の福祉事務所等についても指導をいたしておるということでございます。
#11
○田口委員 この自閉症児の問題は、時間の関係でこれで終わりたいと思うのですが、最後に大臣にお願いをしておきたいのです。
 せっかく昨年の十一月か何かに機会があってここへ行かれたやに聞いておりますので、まだ固まっていない、しかも専門家に聞くと今後こういった自閉症の子供がふえそうだ、大変これはいいことじゃないのですけれども、事実はふえそうだ。そういった子を収容しなければならぬ。療育をする方針、こういったものが固まっていませんが、施設の完備につきましても、診断基準、療育方針の確立につきましてもより一層ひとつ力を入れていただきたい、こういうことを要望をするわけですが、大臣、あの施設をごらんになってどうですか。たとえば、あすなろというところだけを見て、一歩前進の措置体系に組み入れたんですが、まだまだという気はお持ちだろうと思うのですが、その辺のところをひとつ聞かしていただきたい。
#12
○野呂国務大臣 いまいろいろと先生と局長との議論を通しまして御理解いただいておりますとおり、あすなろ学園は児童福祉法による措置体系の中に仕組むことに相なったわけでございます。したがいまして、その施設の内容におきましてもあるいは措置の内容においてもさらにこれを進めていって、関係者の御要望にこたえなければならぬというふうに実は考えておるわけでございます。あわせて檜の里も社会福祉法人として出発をいよいよすることになりますが、これらとの関連を十分とりながら、特殊な施設に対する今後の積極的な取り組みを進めてまいりたい、かように考えております。
#13
○田口委員 では、自閉症の問題はそういう点で今後さらにということを要望しまして、次の問題に移らせていただきます。
 次の問題は、私は八十四国会の四月十九日にこの社労委員会で、そして昨年の八十七国会の予算分科会で二度にわたって取り上げたことなんですが、題名的に言いますと、ボランティアの活動中に不幸にして子供が水死した、亡くなった、こういうことでそのボランティアの一人が刑事責任を問われたという問題なんです。私はこれを、今度で三度目でありますけれども、なぜ取り上げたか。もちろん、これは誤解があってはならぬと思うのですが、ボランティアであるからそういった安全責任があいまいであっていいとか、今度の事件のように、子供が亡くなってもそれによって免責になるんだということは私は考えておりません。やはり安全責任なり何なりというのは当然ある。しかし、後で順次申し上げていきますけれども、いわゆる子供会というのは一つの地域における社会教育の一環だと思うのですが、その子供会の役員でもない一人のボランティアがその子供会活動に参加をして、たまたま不幸なことに子供が亡くなった、その刑事責任を問われるということによって、本年の大平総理大臣の所信表明演説の中にもわざわざ「ボランティア活動」云々というくだりがございましたように、私はそこでボランティアで社会福祉の後退だ、何だと言いたくありませんけれども、いま政策的にどんどんと推進をしておるボランティア活動というものを、こういった刑事責任を問うことによってボランティア活動をする者が規制をされるということになっていくのじゃないか。そういう点で三度にわたって取り上げたようなわけでございます。
 御存じであるかもしれませんが、この事件は津市の簡易裁判所で昨年の暮れ罰金五万円という判決がございました。私は、ここでこの裁判の当否についてあげつらうということはいたしません、これは筋違いですから。裁判官の判断をあげつらう気持ちはございませんが、どうしても言いたいことは、きょう文部省社会教育局関係で来てみえるのですが、いま言ったようにボランティア、ボランティアと言って、何事も問題の起こらぬときには、金もかからぬことですから盛んにもてはやす。そして、刑事事件が起こった、途端に口にチャックを締めて何にも言わない。そのことはおれのところの関係じゃないんだというふうな態度、これは文部省だけではなくて、ボランティアの活動は他の省庁にもまたがる部門もあると思うのですけれども、私はきょう文部省だけに限って的をしぼって言いますが、そういうことであっていいのか。ボランティアというのはとうとい仕事だと私は思う。また、政策的にもどんどんやっていかなければならぬというふうにも私は理解をいたしますが、一方で進めておきながら、こういう事件が起こったらわれ関せずえんという態度をとり続けるところに問題があると私は思う。そういうことで、何度も言うようですが、どうしても取り上げていかなければならぬ。
 そこで、私は、今度はもっと的をしぼりまして、善意の奉仕というボランティア活動、このボランティア活動のあり方といいますか、限界といいますか、責任の所在といったものについて、この不幸な事件を契機にしてはっきりさせる必要があるのじゃないかという気がするわけであります。冒頭申し上げたように、安全責任は免れぬ、ボランティアといえども免責ではない、そういう前提に立って、立てば立つほど、これから盛んになってくるボランティア活動の限界、責任の所在、こういったことをこの事件を契機にはっきりしなければならぬ、こういう一つの演説をしておきまして、刑事課長来てみえますから、私は法務省にお聞きをしたいのです。
 本件といいますか、この問題の事実経過は御存じだろうと思うのですが、もう一遍繰り返して言いますと、昭和五十一年八月一日、三重県津市安東地区の四ツ葉子供会が、安芸郡何とかというところにあるのですが、隣の村の安濃川の河原へハイキング、飯ごう炊さんを実施した。当日の参加は、子供会会員三十名、OBというのは子供会員を卒業したという意味のOBなんですが、OB六名、そこで育成会より十一名が引率をした。この育成会十一名が広義のボランティアということになるのですけれども、このハイキングの行事は年間行事であって、前もって役員会で行動計画その他を決めて行動を行ったのでありますが、その事故は昼食の後片づけの後に、水深十五センチから二十センチくらいの川で水遊びをしておった直後に一人の子供が監視の目をくぐっておぼれて死んだ、こういうことなんです。
 こういう事件が起こって、法務省が起訴状の冒頭に、「被告人」という言い方をしておりますが、田村という女性なんです。「被告人は、保母の資格を有し、」とまず断定しておるのです。そして、四ツ葉会という子供会の指導者であると断定して起訴しているわけです。そして、裁判がずっと続けられたのですが、いま言った昨年暮れの罰金五万円の判決、これは検察側の起訴を一〇〇%受けた判決と当時の新聞も評しておりますけれども、ちょっと参考に読んでみますと、「判決は、これを受けまして子供会育成会から依頼され、子供会指導者となった。ハイキングでも計画の立場から実施要領の決定、当日の子供に対する指示に至るまですべて被告が中心となって行いハイキングの最高責任者だった。」こういうふうに断定するのです。この事実関係は、控訴するとかどうとか言っておりましたからそこで争うものと見て、ここでは私は言おうと思いません。
 ただ、法務省にお聞きをしたいのは、まず一つ、四ツ葉子供会という子供の自主的な活動とそれを指導する育成会、当日で言えば引率者十一名ですね、この四ツ葉子供会と育成会との関係をどういうふうに見ておるのか。そして、聞くところによりますと、事故が起きた後、この引率した十一名が全員連帯して責任をとろうということを確認しております。
 ちなみに、こういう事実なのです。三十名の子供を四班に分けまして、たまたま亡くなったお子さんの属する班は第二班です。その第二班に引率者、育成会十一名のうちの二名が当たる。そして、被告とされた田村さんの属する班は第三班六人、これに引率者三人、三人のうち一人が被告とされた田村さん、こういうふうな事実になっておるのですけれども、この事故が起きた後十一名全員が連帯責任を持とうじゃないかと確認しておるのに、検察の側は過失致死の容疑者を特定するためにだれの責任が重いかということをしぼった。そのために十一名はちょっと青くなったわけです。そして、私じゃない、私じゃないということもあったそうですけれども、そういったこともあって、検察の側では冒頭に保母の資格を持っているという予断のもとに罪人に仕立て上げようとしている。しかも、何回かの裁判の経過で弁護側とのやりとりの中で検事が答えておりますのは、十一人が連帯責任を持とうじゃないかという言い方について、被告である田村さんが、十一人の中で最も子供の指導に熱心だったからと力説をして、しゃにむに一人に仕立て上げる、こういうことがあったと裁判の傍聴に行った方々がその都度言っておるわけであります。私は、判決の当日の新聞記事を見て、津地検の二人の検事さんが大変はしゃいでおる写真を見たのですけれども、熱心に人のめんどうを見ると損をするという風潮をこのことが助長しておるのではないか。
 したがいまして、四ツ葉子供会とその育成会関係は、当日十一人ですが、その十一人の中で被告とされたのは一番熱心だったから被告とされたのか、そういう点についてちょっと答えていただきたいと思うのです。
#14
○根來説明員 ただいまの御質問は区々にわたっておるわけでございますが、まず、四ツ葉子供会とそれから子供会育成会との関係でございますが、判決書によりますと、育成会というのは、子供会を援助育成するため子供会の児童の保護者によって結成されるとなっておりますので、そういう意味では、子供会を援助育成するために設けられた会である、こういうふうに理解しておるわけでございます。
 それから、二番目でございますが、検察庁が十一人の育成会の会員、当時のハイキングに同行した会員でございますが、その会員のうち一人、ただいま御指摘の女性にしぼって起訴したのはどういうわけかという御質問というふうに理解するわけでございますが、御承知のように、刑事責任というのは、道義的責任とか民事責任とかと違いまして、義務を前提といたしまして、その義務を果たしたかどうかという観点からしぼっていくものでございます。この十一人の方が連帯して責任を持とうというようなお話があったことは承知しておるわけでございますが、これは道義的にこういうことを起こしてまことに申しわけないという意味で、そういう連帯的な責任を負うということを確認されたことと思いますけれども、警察、検察庁の捜査におきましては、ただいま御指摘の女性が一番この事件にかかわりあっておりまして、また、いろいろの義務を負担しておるわけでございますが、その義務の懈怠の結果こういうような不幸な事案が起こったということで起訴して、それが簡易裁判所でございますが、認められている、これは現在名古屋高裁で係属中でございますが、認められたといういきさつになっているように理解しております。
#15
○田口委員 十一人のうちで被告となった女性がどの程度やった、これは後で事実関係、事実誤認ということは別の舞台でやられるでしょうから私はここでは深追いしません。ただ、ボランティア活動という問題から私は見たいのですが、ことしの三月二十四日、「今週の日本」という、これは総理府広報室が編集協力しているというタイトルつきの新聞がときどき折り込みで入ってくるのですが、たまたまこの三月二十四日号はボランティアについて、「ボランティア活動に参加なさりたい方は」というPRをしておるのです。いろいろな事例が載っております。この中で、主婦のボランティアが、主婦ならではの経験を生かした活動でありますからどうぞ参加してくださいという新聞なんですけれども、ここで文部省にお尋ねしますが、こういうふうに参加を慫慂しておるボランティア活動の由来、そして最近は政策として積極的に推進されてきておるこの理由についてお聞かせいただきたいと思います。
#16
○佐藤説明員 お答えいたします。
 ボランティア活動というのは、多くの場合、職業あるいは学業につきながら、みずからの意思によって無報酬で自分の能力あるいは技術等を提供する活動というふうに理解されておりますけれども、特に社会教育というのは、先生御承知のとおりでございまして、自発的、自主的な活動でございますので、こうしたボランティア活動によるところが非常に大きいわけでございます。特に青少年団体の活動につきましてはボランティア活動の重要性というものを私どもは認識しておりまして、そういったボランティアの方々のいろいろな経験を踏まえましていろいろな指導に当たっていただいておるわけでございます。
 私どもといたしましては、そういったボランティア活動の方々が安心して活動できるような措置をいろいろ考えておるわけでございます。安全教育の徹底の問題、また事故が起きた場合の措置のことにつきましても、保険制度のいろいろな活用等について指導しておるのが実態でございます。
#17
○田口委員 そこで、こういった不幸な死亡事件がありまして、改めて法務省と文部省に、こういう私の考え方について御見解を承りたいのですが、いま文部省から、ボランティアの意義についてお話がありました。確かに重要視をしなければならぬ。となりますと、さっき言った免責だ、どうだこうだということを前提にして、今度の事件は、一子供会の指導者の過失致死罪ということを問うというよりも、いまお話のあったように、これから重要性を増してくるボランティア活動の責任の所在というものを裁判を通して明確にするということが問われておったんじゃなかろうか。十一人の引率者全部が、広義で言えばボランティアなんですね、素人なんですから、素人といいますか。そのうちの一人の刑事責任を問うというよりも、ボランティアの活動の中でそういった事件が起こった、これからも起こるかもしれません。死亡ということがないにしてもけがをするということになるかもしれぬ。
    〔委員長退席、住委員長代理着席〕
そういった場合に、ボランティア活動の責任の所在、これを今度の事件を一つの契機として明確にする裁判ではなかったのか。ところが、どうも、さっきも私が申し上げましたように、十一人いる中で何でもかんでも一人にしぼらなければならぬ、その注意義務違反ということを追及し、あれは熱心だからというふうなことで一人にしてしまった。むしろ、私が言おうとしておるボランティア活動の責任の所在を問うということじゃなくて、ボランティア活動という面からいけば逆な方向に導こうとした、導いてしまった、こう思うのですが、文部省、法務省、それぞれボランティア活動という観点から照らしてどうだろうか、再度御見解を承りたいと思います。
#18
○根來説明員 ただいま裁判の意義についていろいろ御意見があったわけでございますが、私どもも、捜査当局といいますか、公訴機関といいますか、確かにそういうボランティア活動についてこういう事故が起こりますと、一体どういうような義務があったのか、あるいはどういう過失があったのかということについて捜査上いろいろ苦悩するわけでございまして、この事件が五十一年八月に起こったわけでございますが、実際処分といいますか、起訴しているのは五十二年十二月でございまして、相当時間がかかっておるわけでございます。
 そういう意味で、いろいろあれこれ考えて、そして、その結果この女性を起訴したということになろうかと思いますけれども、私どもの立場から申しますと、そういう裁判の社会的意義というよりも、やはり刑事責任をだれに負わすのが妥当であるかという見解から処分したと言わざるを得ないと思うわけでございますが、おっしゃる社会的な意義というのはよく理解できるわけでございます。
#19
○佐藤説明員 いま先生御指摘ございましたように、ボランティアの責任の所在というのがこの裁判で争われているというふうに理解をいたしておるわけでございます。現在、青少年活動に従事しているボランティアの方々が、この裁判を重大な関心を持って見守っておりますのもそういう点からでございまして、私どもといたしましても、ボランティア活動に参加される方々がやはり責任を持って子供たちの生命なり安全について十分配慮して活動に従事をしていただくということが必要なことだと考えておりますが、その範囲がどこまでかということはこの裁判の結果を待っていろいろ参考にさせていただきたいと思っているわけでございます。この現在の裁判を契機にいたしまして、私どもといたしましては、青少年団体の関係者とも十分密接な連携をとりまして、すでに、安全教育の徹底ということで、この事件に関係が一番深い全国子ども会連合会におきましても、安全教育に関する資料を文部省が援助もいたしましてつくって配付をいたしたり、あるいは私どもが全国の社会教育の関係者に安全教育の徹底を指導したり、また事故の措置といたしまして、ボランティアの負担にならないような保険制度の活用について一層指導を徹底してまいりたい、かように考えている次第でございます。
#20
○田口委員 法務省にいまの話でちょっとお聞きをしたいのですが、その辺のところが耳に入っておれば端的にお答えをいただきたいのですが、当初、子供を亡くされた親御さんが、さっき言った引率者十一名全員を対象にして損害賠償といいますか、当時の話で三千万と聞いたのですが、裁判に訴えた。ところが、一人にしぼられたために、その三千万なら三千万の金額を十一人じゃなしにその一人にしぼった、こういう話は聞いておりますか。
#21
○根來説明員 検察庁からの報告によりますと、被害者といいますか、亡くなられた男のお子さんの親御さんが、三重県あたりを相手取って損害賠償を起こしたということは承知しておりますけれども、どういう経緯で相手方が選定されたかということについては何ら報告を受けておりません。
#22
○田口委員 私は、この判決を読んでみて、さっきから何回も言っておりますように、ボランティアというものに対する受けとめ方、これがさつきの刑事課長のお話では、五十一年に事故が発生して、それから慎重審議、約一年かかって起訴に持ち込んだ、それだけ慎重に検討したんだと言われているのですけれども、どうもボランティアというものに対する受けとめ方に大変な間違いがある、こう思うのですね。さっき言ったように、文部省の方の話によれば、ボランティアは善意の人がそれぞれの経験を生かしてということなんですが、端的に言ったらプロかアマかという解釈の違いだと思うのですよ。ところが、これはいまさら皆さんに申し上げるのは釈迦に説法かと思いますが、ボランティアとは本来微力な素人が力を合わせて行うところに意味がある。ところが、この事件で言いましたら、十一名の引率者がおるのに特定された女性一人が指導のプロと履き違えて、最高責任者というふうに断定をしたのじゃないか、恐らくこう思うのですね。そこで、被告は保母でありというふうなことを持ってくる。確かに保母であれば子供を扱うプロだと思うのです。十一人のうちで他の十人に比べたら、この田村さんという女性は子供を扱うにはなれておるプロかもわからない。しかし、ボランティアというのは本来そうじゃない。自分のそれぞれの経験を生かして何か地域に奉仕しよう、こういうことで奉仕したのが、たまたま検察の方の受けとめ方では、いやこれはボランティア指導のプロだ、十一人のうちでプロかアマかということを選別したら被告が一番プロに近い、プロだ、だからこいつをやってしまえ、まあ言葉はなんですがね、こういう受けとめ方をしているのじゃないか。
 私は、そこで、ボランティアというものの意義について、定義といいますか、プロなのかアマなのか、ひとつ双方ともお答えをいただきたいのです。
#23
○根來説明員 いろいろ御意見を承ったわけでございますけれども、私どもの方は、この起訴状について保母であるということを書いたのはどういういきさつであるかということはよくわからないわけでございますけれども、判決書を見ますと、保母さんであって子供さんの取り扱いに非常になれていたということで父兄からいろいろ信頼を受けて、また御本人も子供さんが好きであるというようなことでこういうことに参加をされたというふうな事情がありまして、保母であるから起訴したというようなことではなくて、そういうような子供会に関係された理由として保母であるということを書いたまでだというふうに理解しておるわけでございます。
 それから、ただいまのプロであるかアマであるかというお話でございますけれども、法律的にそれをどういうふうに表現するかというのは若干問題があると思いますけれども、普通は、いわゆるプロということにつきましては、こういう事件については業務上過失事件と、業務上という頭がかぶせられるわけでございまして、また、あるいは過失が大きいときには重過失というような犯罪に問われるわけでございます。この問題の女性は、そういうことでボランティア活動に善意で参加された。しかしながら、子供さんを預かった以上は、やはりこういう義務を尽くしてもらわなくちゃいけないというようなことで、その義務の違背があったということで、業務上とか重過失ということじゃなくて過失致死という比較的軽い、裁判結果も五万円ということで比較的軽いわけでございますが、そういう軽い罪を問擬しているということから、やはりそういう点を十分頭に置いて起訴した、また判決があったというふうに御理解賜ればありがたい、こういうふうに思うわけでございます。
#24
○佐藤説明員 いま先生御指摘のプロかアマかというようなことでございますけれども、一般的にプロというような場合は報酬を得てやることが本来の目的ということになりますので、そういう意味ではこのボランティアというのは、先生の御指摘の範疇ではアマではないかというふうに考えるわけでございます。
#25
○田口委員 誤解のないようにしてほしいのですが、罰金刑五万円がどうの、それから御存じと思うのですが、身分が公務員ですからね、下手して禁錮なんかになりますと、休職、職を失う心配もある。だから、もっともっと裁量すべきじゃないかという話もあるのですが、私はそういうことを言おうとしません。くどいほど言っておりますように、ボランティアという善意の奉仕活動というものが、たまたま経験を十積んだか五しか持っていないかというこの度合いによって、そうじゃないというさっきのお話ですけれども、こちらは十の経験を持っておる、他の十人は五なり三なりの経験しか持っていない、だからこいつだという言い方で特定をした。これでは今後ボランティア活動というものはちょっと育たぬのじゃないか。皮肉な言い方をしますと、さっきの「今週の日本」で幾つかの例を挙げておるのですが、自動車の運転免許を持っておる人が、目の不自由な方の収入援助のために、週に一回、自宅から施設まで、人手がないものですから、おれは運転免許を持っておるし、自動車も持っておるから送ってやろう。ボランティアですね。運転免許を持っていないとできぬわけです。しかし、その途中でぽんとやったらどうなるのです。これはいろいろ拡大解釈といいますか、言おうとすれば言えるわけですね。それからもう一つは、主婦の経験を生かせとさっきも言いましたけれども、ある老人ホームで、目の不自由な老人の方や歩けない老人を車いすに乗せたり手を引っ張ったりして花見に連れていった。滑って転んでけがをした。主婦で子供の手を引く経験を持っているのだけれども、それはどうなのだ、こういう言い方も起きるわけです。となると、それなら一人に特定せずに、十一人の引率者全部罰すればいいじゃないかという言い方になるようですけれども、やはり十一名というものは、ここではその人が死んでおるのですから、大なり小なり責任がある。その責任は問うべきだと思うのです。ところが、十一人という引率者の中で、あなたは経験があるから、あなた一人でかぶってくれということが現にこの地域で起こっておるのです。その被告になった人もあとの十人も同じ地域に住んでおるのですから、一人に全部罪をなすられたということで、地域のきずながぎくしゃくしたものになっておるのです。そういう影響まで生んでおる。
 ですから、経験を持っておるから――判決をもう一遍引用させてもらいますと、すべてについて最高責任だから。最高責任ということになると、それなら育成会の会長なんというのはどうなるのか、副会長というのはどうなるのか、こういう問題まで起こるわけですよ。ですから、一年間かかって慎重な上で起訴をしたという事実は私は認めますけれども、なおボランティアというものについてさっきプロかアマかという表現をしましたけれども、どうも指導のプロであるというところに力点を置き過ぎたのではないか。過失致死ということでどうしても一人に特定しなければならぬという従来のパターンにこだわって、このボランティア活動でも一人にしぼってしまって、世のボランティア活動に大変な水を差した結果になったのではないかと私は憂えるのですが、その辺重ねて聞きます。
 それから、私は前も当時の内藤文部大臣にこういうことを言って終わったのですけれども、ひとつ通達を出してほしいですね。ボランティア活動をやめろとは言いませんよ、前はやめろという通達を出せと言ったのですが。保母であるとか教員であるとか消防職員であるとか――なぜ消防職員といいますかというと、たまたまこの事件で消防職員が引率者の一人に入っておった、人が死んだのではなしに、子供が飯ごう炊さんで間違って火事を出した、その引率者のうちの一人が消防署に勤めておったから、おまえは過失なのだということになるのじゃないか。ですから、そういった特殊な経験、資格を持った者がボランティア活動に参加することは結構だけれども、万が一のときには、こういう津の簡裁のような例があることを念のためという通達を出す必要があるのじゃないか。これはどうですか、出す気持ちがありますか。一方、安全にやらなければならぬけれども、そういう事実はあるのですから、そういう通達でも出さなければ私はみんな用心をしないのじゃないか、こう思いますので、これは文部省の見解と、重ねてさっきから同じことばかり聞いておるようですが、法務省の見解をお聞きしたいと思います。
#26
○根來説明員 刑事責任についていろいろお尋ねでございますので、若干判決書の内容で御説明いたしますけれども、委員御承知のように、この女性の方は子供会主催のハイキングの実施に際しては非常に積極的に参加されて、行事予定とか行事細目をみずから担当して立案されて、また現場にも前もって見に行っておるというような状況でございまして、また現場では児童にいろいろ指示を与えておったというようなことで、裁判所が、保護監督するについて直接かつ最高の責任者の地位であったということを、まず地位として認めておるわけでございます。
 それでは、この女性にはどういうふうな注意義務の懈怠があるかといいますと、これは初め予定した飯ごう炊さんをする場所でなくて、当日が暑かったものでございますから、下流の方で飯ごう炊さんをしたということで、初めの予定と大分違ったわけでございますが、その飯ごう炊さんをした付近で川遊びをさせたものですから、もっと安全な場所を選定すべきでなかったか、あるいは安全な場所とか危険な個所を周知徹底させるべきでなかったか、あるいは子供が川遊びをするときにはほかの育成会の会員によく注意するように言うべきではなかったかというような注意義務があることをまず裁判所が言っておるわけでございますけれども、これに対してこの女性は、余り危険個所について注意をしなかったということであり、また、子供が御飯を食べてから三々五々遊んでいるところへ行きまして、単に子供らに、川に入ってもいいですよ、範囲はここからあそこまでですよと言って指さしたにすぎず、子供にここからここまで、あそこへ行っては危ないですよということを周知徹底させなかったというようなこと。あるいは他の育成会員が御飯を食べた後、後片づけをしておったわけでございますが、その後片づけをしておる人々に、子供が川遊びをするからよく見てやれというふうな指示をしなかったということが具体的に過失ということでとらえられておるのでありまして、そういう意味では、社会的にはいろいろの見方があると思いますけれども、刑事責任を問われる被告人としてはいたし方がなかったのではないかと私どもは考えるわけでございます。
 なお、ただいまいろいろ御指摘のあった点は、今後の事件処理について十分考慮、参酌したい、こういうふうに思っておるわけでございます。
#27
○佐藤説明員 お答え申し上げます。
 この事件の判決が十二月六日に出されたわけでございますが、その後開かれました全国の社会教育の関係者の会議におきまして、この判決の内容なり経緯なりというものを十分徹底をいたしたわけでございます。
 なお、先生前から御指摘がございますように、私どもといたしましては、ボランティアの方々が安心して活動できるような措置を今後一層充実をしてまいりたい、かように考えております。
#28
○田口委員 終わります。
#29
○住委員長代理 次に、山本政弘君。
#30
○山本(政)委員 きょうはスモンのことでちょっとお伺いいたしたいと思うのですが、御承知のように、東京地裁民事三十四部で和解勧告裁定が出ました。ところが、それに対して製薬三社が回答を引き延ばしてきたわけです。回答は出ましたけれども、これ自体私は大変不誠意だと思うわけでありますが、同時に、和解対象百十九人の訴訟のうち三社合わせて七十六人についてだけ勧告を受諾をしてきた。念のために申し上げますと、回答が三月二十一日で、そして一括して当裁判所に回答してほしい、これが裁判所の勧告でありましたけれども、まず第一番に期日が無視されてきておる。もちろん後で回答はしてまいりましたけれども、期日が無視されておる。対象となった原告の三分の一以上が和解を拒否された。受諾は六四%ということでありますから、三分の一以上になります。それから、投薬証明のない患者の救済については地裁の所見を完全に黙殺をしている、こういうことが実はあるわけであります。
 私はそういうことを見まして、これだけ社会的な問題になっておるにもかかわらず、そして可部方式といいますか、そのことによって国も、原告も被告も一致点に達したにもかかわらず、なおかつ製薬三社の方が言うことを聞かない。
 私が申し上げたいことは、国の方で、製薬三社が裁判所の所見並びに裁定を即時全面的に受諾するように、ひとつ強力に説得をしてほしい、こう思うのでありますが、そのことに対する厚生大臣の所見をまずお伺いをしておきたい、これが一つであります。
 第二に、努力をなされてきたと思いますが、どういう努力を講じてきたのか。三日の参議院の予算委員会では、連日説得をしておる、何らかの回答があるだろう。少なくともあの記事だけを拝見をいたしますと、私はあの時点では明るい見通しを持っておったわけでありますけれども、しかし、製薬三社の回答というのはさっき申し上げたとおりであります。したがって、どういう努力を講じておいでになったのか、また、これから講じようとなさっているのか。繰り返し申し上げますけれども、私はやはり即時全面的に裁定を受諾をするように説得をしてほしいと思うのですけれども、これに対するお考えをまずお伺いいたしたいと思います。
#31
○山崎政府委員 いままでの経過につきましては先生御指摘のとおりでございまして、私ども、東京地裁の所見が示されましてから製薬三社に対しまして、早急に検討を行いまして一括受諾のことを強く要請してまいったのでございます。
 御案内のように、四月七日に、御指摘のような百十九例中七十六例が受諾可能、結果的にそういう数字になっておりまして、残余の四十三例につきましてはなお、会社側の言い分といたしましては服用キノホルム剤の特定がなお不十分だ、この点に関する立証をさらに待って和解に応じたい、こういう回答をしたということでございまして、私どもは説得を重ねてまいりましたことの経過を踏まえますと、私どもとしては大変遺憾なことだ、かように考えておりまして、現在もなお、回答が行われました後も鋭意説得を続けているわけでございますが、どのような説得を重ねたかということにつきましては、私自身薬務行政を預かります立場といたしましては、担当取締役を同時に集めましたり、あるいは個別に呼びましたりいたしてきたところでございます。
#32
○野呂国務大臣 東京地裁での所見が示されましたので、和解をするようにということを強く説得をいたしてまいったわけであります。その結果、御指摘のような百十九の方々のうち七十六については和解勧告に従います、あと結論を出していないわけでございます。したがいまして、その後を受けまして私も特定の会社の社長及び役員を呼びまして強く説得をいたしました。また近く、ここ二、三日のうちに三社の社長を呼びまして再度和解の勧告をいたしたいと考えておるわけでございます。ただ、これは厚生省だけの問題でございませんで、やはり裁判所の所見に国は従った、したがって製薬企業も従ってくださいということを申し上げるわけでございます。いわゆる説得という形でございます。したがいまして、今後とも裁判所の和解の折衝の動向もあわせ考えていかなければならぬことは言うまでもございません。
 それからもう一つは、特に投薬証明のない患者の救済につきましては、国としてはもう全力を傾けて、これは大きな責任を持っておるのだ、したがって企業側も国と同様に従いなさいということを申していくわけでございますが、先生御承知のとおり、和解という一つの裁判の、しかも厚生省の、国の責任においてということの勧告でございますために、言葉では説得と申しましても、その説得が大変むずかしいものだということを私は実際感じております。しかし、これはもう時間を置かずに、次の段階、次の段階と手を進めてまいりたい、誠心誠意一日も早く解決が図られるように努力をするということを申し上げる以外に、向こう側でございませんので、なかなか――私が毎日呼んで、呼んだ回数によって物が決まるというのならきわめて簡単で、朝から晩まで私はお目にかかっておってもいいわけですが、説得というのは、いわゆる時、そして向こうさんが納得するということでございますので、大変難航しておるということは大変申しわけなく存じておりますが、最善の努力をいたしまして、一日も早くスモン患者のすべての人が救済されるように努力をいたす所存でございます。
#33
○山本(政)委員 大臣の御答弁というのは私はよくわかるのですが、東京地裁の勧告というのは、和解が進展をしてきたスモン訴訟のうちで、製薬三社が和解を拒否するケースが激増してきている、各地で積み残し原告が生じてきたということを背景として、これを打開するために、東京地裁で積み残しになっている百四十人のうち百十九人の和解を勧告してきたのだろうと思うのですけれども、私も和解勧告の全文を見ました。これは非常に丁寧に書いてあると思うのです。そして、和解の道筋を条理を尽くして書いていると思うのですが、それに対して、製薬三社がなかなか言うことを聞かない。
 ただ問題は、もちろん裁判所の問題であるかもわかりません、そして大臣の方としては、相手のあることでありますから説得に苦労なさるかもわかりませんけれども、しかし、三月十三日の新聞によりますと、岡山でもスモン訴訟の和解交渉が十二日に地裁であった、そして和解の積み残しになっておった十一人のうちの六人について、こういうことが言われているのです。「投薬証明がなくても、医師の記憶に基づく(投薬)推定証明があれば、製薬会社などに賠償責任がある」との判断を示しているというのがあるのです。あるいは十七日の新聞を見ますと、兵庫のスモンも患者側が勝訴をしております。これは神戸地裁の判決でありますけれども、推定投薬証明書の六人に服用の証明は十分だ、こういうふうに言っているわけでありまして、こういうふうに見てきていますと、全国的に裁判所の判断としても、ほとんどというよりか、全く原告側の言い分が承認をされているというふうに考えていいと私は思うのです。
 そうすると、これは大変失礼な申し上げ方かもわかりません、大臣も薬務局長も大変御努力をなさっていることは、私はそのとおりだろうと思いますが、しかし、もっと努力してもらえぬものだろうか。繰り返し申し上げますが、つまり即時全面的に受諾をするように説得を強くやってほしい、こう私は思うわけです。
 そこで、大変失礼な言い方になるかもわかりませんが、やはりそういうことに対して一応のめどというものがあっていいのではないか。これまで来たものをずるずる、要するに製薬会社の言いなりに――相手があることだと思いますけれども、やはり延ばしておくことは患者の人たちのためにもお気の毒だ、ぼくはこう思うわけであります。要するに目安を立ててほしいわけですよ。少なくともいつごろまでに百十九人の人たちに――それはもちろん大臣のおっしゃるように相手のあることです。そして、ぼくに言わせたらなかなか頑迷であります。しかし、その頑迷な点については、私は後で申し上げたいと思うのですが、この辺までには何とか解決をつけてほしいということがなければ、ぼくは原告側としても希望が持てないだろうと思うのです。これまで長年かかってきたものを、これから先全面的に解決をするのに一体どれくらいかかるかということに不安をぬぐい去ることができないだろう、こう思うのです。したがって、ひとつぜひめどをつけてほしいと思うのです。いつごろまでにきちんとやっていくということ。相手がありますよ、しかし厚生省としてのお気持ちというものはひとつ御表明いただけませんでしょうか。お願いをいたします。
#34
○野呂国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたとおり、この問題の性格上の点あるいは裁判所との関係もございまして、いまの段階でいったということをお約束申し上げることが大変むずかしいわけでございます。したがいまして、段階段階を迎えながら、そして説得に当たった段階でめどを考えていく以外に、初めからこういうときにはと一つの――私どもはめどは立てたいのです。そしてまた、そのめどとはいつかといえば、それこそあすにでも解決してくれというのが本当のめどでございます。
 国は、こういう問題については無限の責任があると私は感じ取っております。同時に、製薬会社にも、それは一つの制約もあるでありましょうけれども、少なくも裁判所の所見で出ておりますことに関しては、速やかにその解決に向かって和解に応じてもらいたいということを私どもは強く申し上げておるわけでございまして、いまここで和解の期限は一体いつなんだ、あえて言うならば、あすにでも全面解決をしてもらいたいというのが厚生省のめどであります。しかし、それならば具体的にその約束が守られるのかということにもなりますので、一つの段階、説得の段階を迎えながら、そして、これでもかということでめどを立てていくということでなければならないのではないかと思います。
 いずれにしても、強く説得をいたしまして、患者の方々に御迷惑をかけないように急ぎこれが対策に当たってまいりたいということを重ねてお答え申し上げたいのでございます。
#35
○山本(政)委員 相手があることでということで、あすにでもという話がありました。ぼくもその大臣のお気持ちというものは疑わぬつもりです。したがって、ここでこういうことに理解をするというか、私の方で確認をしておきたいのですが、あすにでもということでありますから、国として、製薬三社が裁判所の所見及び裁定というのを、ともかくも即時全面的に受諾するように、これから誠心誠意を持っておやりになるということは、私はひとつ承っておくということにしてよろしゅうございますでしょうか。
    〔住委員長代理退席、委員長着席〕
#36
○野呂国務大臣 私は担当の薬務局長にも、毎日の仕事をすべてこれに集結をしてもらいたい、これがいまのあなたの最大の役割りであるということを申し上げておるわけでございます。その気持ちをおくみ取りいただきまして、できるだけ早い機会に全面和解解決に進めてまいりたい、かように考えております。
#37
○山本(政)委員 どうもありがとうございました。
 薬害被害者の救済を図る医薬品副作用被害救済基金というのがありますね。この基金法は、たしか昨年の九月でしたか、臨時国会で修正をされて、そしてスモンの和解確認書の調印の直前に成立した、こう思うわけですけれども、この医薬品副作用被害救済基金法の附則の第六条「業務の特例等」というのがありますが、そこで「健康被害の救済を円滑に行うことが特に必要である」と、こうありますね。「特に」とある。「特に必要であると認めた場合には、厚生大臣の認可を受けて、」こうあるわけでありますけれども、これから拝見をいたしますと、まず、基金の方で判断をする、厚生大臣の方で認可をする、そして大蔵大臣と協議をするというのがあって、そしてそこでできるのだ、こう思うのです。
 そういうことでスモンを救済対象に加えた、そして必要な資金を製薬会社に貸し付けた、こういうことでありますが、薬務局長で結構でありますが、どこの社に幾ら、いつ、何のために資金を貸し付けたかということをひとつお聞かせいただきたいと思うわけであります。
#38
○山崎政府委員 御指摘のように、私どもは基金の附則業務と呼んでおりますが、既発の薬害に対しまして、ここでは和解一時金になるわけでございますが、患者さん方への支払いのために一般市中金融から基金が借り入れを受けまして、そして基金が和解したメーカーに対して貸し付ける、こういうシステムでございまして、五十四年の十一月からその資金の貸し付けを行っておりまして、二月までで、チバ社に対しましては四十九億三千三百万円の貸し付けを行っております。それから、田辺に対しましては五十億ちょうどでございます。それから、小分けメーカーが、田辺の系統でございまして、これが六千七百万、合わせましてちょうど百億というお金を五十四年度貸し付けたのが実績でございます。
#39
○山本(政)委員 そうすると、これも新聞のあれですが、五十四年の十二月の六日です。田辺製薬の松原一郎社長は、五日の決算発表で、大蔵省に対してスモン救済基金から百億円の融資を申請したことを明らかにした、こうなっている。それから、チバガイギーも、二百二十億ですか、いまお話を聞きますと百億というふうになっておりますが、これから先、やはり必要であるならば、いま申し上げた金額について融資をするということになりますか。その辺をちょっと聞かしていただきたいのです。
#40
○山崎政府委員 いま先生御指摘の数字は、五十五年度分の田辺、チバ両社の借り受け希望額でございまして、五十四年度はそのような形で総額百億を貸したわけでございますが、実は五十五年度はその百億分を借りかえるということが一つございまして、五十五年度その借りかえ分を含めまして、チバとしては二百二十億、それから田辺としては百億という融資の希望を表明したわけでございます。国といたしましては、連帯債務を負っている関係上、予算上債務保証をするという関係がございまして、予算総則で債務保証の天井額といいますか、それを合わせまして小分けメーカーも含めまして三百三十億と置いております。
 ただ、実際の貸し付けは、それはあくまで希望でございまして、前月和解分の実績を当月に貸し付ける、こういうシステムになっております。つまり、前月和解分の金額が確定いたしますとその部分を貸し付けてまいる、こういうことを五十四年度もやっておりますし、今後もそういたしてまいりたい、かように考えております。
#41
○山本(政)委員 そうすると、チバの四十九億三千三百万円、田辺の五十億円、それからあと小さな枠が六千七百万円ですかありますね。これは一体どういう資料に基づいてお貸しになったのだろうかということです。私はそういう資料を出していただきたいと思います。どういう資料に基づいてお出しになったのか。
#42
○山崎政府委員 ただいまも申しましたように、前月和解分が確定いたしますと当月にその金額を融資しておる、これが大筋でございます。
 先生のお尋ねの資料というのが、たとえば両社の損益の状況でございますとか貸借対照表であるといたしますれば、それはお出しできます。
#43
○山本(政)委員 何でぼくがそんなことをお伺いしますかというと、いま局長のお話では、五十四年の十一月から二月まで、これだけは一括しておりますね。だから、十一月にお出しになったのは十月分の和解の結果が出ているのか、十一月の和解の結果が十二月に出ているのか、そういうふうに要するに前月の和解分の金額を翌月に貸し付けているということがあるのだったら、そういう資料もあわせてお出しを願いたいということが一つであります。
 特に私が申し上げたいのは、今回製薬三社の回答を見ておりますと、チバガイギーが一番拒否をしている件数が多いのじゃないかという感じがするのです。違っていたら、私がそういうふうに感じるのでありますけれども、そこで、田辺の方は別といたしまして――田辺はここに出ておるのですよ。都銀とか地銀とか相銀などの金融機関の株式を売り払う、二千四百万株も売却をする、その株式の売却益ということで補てんをする、そして足らないから融資をしてもらうのだ、こう言っているのだけれども、ぼくもちょっと後ろの方を見たところが、チバガイギーというのは株式市場に上場しておりませんね。出ていないのですよ、田辺は出ておっても。そうすると、厚生省としては、お貸しになるときに、財務諸表をおとりになって、そしてその上の判断に基づいたのかどうか。つまり、財務諸表というのは、貸借対照表もあるでしょうし、損益計算書もありますね。そういうものをごらんになった上での御判断で貸し付けをされたのかどうかということなんです。ぼくに言わせたら、認定しようというものをちゃんとチバガイギーならチバガイギーからおとりになって、そしてその上の判断に立って、これは基金がやるのか、認定は大臣がおやりになるのですか、しかし、いずれにしても認定なさるときにはそういうことが必要だと思うのですけれども、そういうことをきちんとしておやりになっているのかということなのです。ただ、要するに前月の和解分がこれこれだ、これだけの金額になる、したがって融資をしてほしいということで単に貸し付けるということではないだろうと私は思うのです。田辺を弁護するわけでもありませんし、田辺はそのことによって免責されるわけでもありません。しかし、少なくとも田辺はとにかく自分の財産を売っているわけですね。チバは売ってないとぼくは思うのです。
 そういう意味でお答え願いたいのは、要するに貸借対照表とか損益計算書、つまり財務諸表をおとりになった上での判断なのかどうかということをまずお聞きしたいわけです。
#44
○山崎政府委員 私ども、おっしるように、貸し付けに当たりましては、基金サイドにおきまして財務諸表等を取り寄せまして、経営状況一般を考える、これが当然の前提でございまして、そしてその上で先ほど申しましたルールに従って貸し付けをしておる、こういうことでございます。
 なお、冒頭におっしゃいました田辺、チバの受諾状況は余り大差がございませんで、チバが六八・六%、田辺が六七・八%で大同小異でございます。
#45
○山本(政)委員 しかし、パーセンテージが一%違うとか違わないという問題ではないのです。スモンの患者の人たちを救済するのに、要するに企業として本当に努力をしているのだろうかどうだろうかということを私は実はお伺いしたいのです。チバガイギー、武田、田辺とあります。ほかのところは知りませんが、新聞だけの乏しい資料でありますけれども、新聞だけの資料によりますと、田辺は、いま申し上げたように、当面株式売却の益とスモン救済基金からの百億円の融資でやっていきたい、そして株式を売却しているわけでありますけれども、チバガイギーでは患者救済に対してそういう努力がなされているのかどうかということが一つの大きな問題になり得るだろうとぼくは思うのです。そして、受諾率が多いとか少ないとかということは別といたしまして、そういうことに対して、チバガイギーに対して国としては一体どういうふうにお考えになっているのかということを実は私は知りたいわけです。
#46
○山崎政府委員 ざっと申しまして、田辺の方は従業員五千人以上の会社で一部上場の会社でもございますし、チバの方は上場もしていない千人程度の会社でございます。御案内のように、チバガイギーはスイスのバーゼルにございますのを親会社とするいわば子会社的な存在にあるわけです。これはそれぞれ独立した会社でございますけれども、そういう意味合いにおきまして田辺にはいろいろ長い歴史も伝統もございまして、保有する株式なりあるいは固定資産もある程度はあるわけでございますが、チバの方は、宝塚に工場が一つあるというような、いわば原末をスイスの親会社から輸入しましてこちらでそれを製剤化していく、こういうものを主たる業務内容としているということでございます。二つの会社の間には、それぞれあり方といいますか、こういう問題に対する能力、資産の内容もおのずから違ってくると思います。
 お答えになっているかどうかわかりませんが、いずれにしましても私どもはそういう貸し付けを行うことによりまして、患者さんへの和解一時金が滞るということがあってはならない、こういうことで貸し付けをしている、これが私どもの立場でございます。
#47
○山本(政)委員 日本チバガイギーという会社というのは、確かにおっしゃるように田辺に比べて従業員が少ないかもわかりません。千人程度かもわかりません。しかし、いま局長のおっしゃったように、本社は宝塚にありますね。土地もあります。かなりの土地がある。工場は、宝塚ではなくて篠山にかなり大きな工場がある。私がお伺いしたいことは、これは担保に入っているのだろうか、つまりスモンの薬害被害者に対する救済のためにこれは担保に入っているのだろうかどうだろうかということをお伺いしたいのです。
#48
○山崎政府委員 その点、ちょっと承知しておりません。調べます。
#49
○山本(政)委員 私が乏しい調査でありますけれども、調べたところによれば、これは入ってない。そうすると、少しばかりおかしい感じがするわけであります。
 もう一つお伺いいたします。エンテロ・ヴィオフォルムとメキサホルムを最初につくったのはどこの会社でしょうか。そして、最初に日本に輸出したのはどこの会社でしょうか。
#50
○山崎政府委員 チバ社でございますが、当時はチバ製品株式会社と言っていたと思います。
#51
○山本(政)委員 スイスの当時のチバですね、いまのチバガイギー、合併したわけでありますが。これは裁判の記録によってもあるわけでありますけれども、要するに各地の裁判で言われていることは、このスモンの訴訟において薬害をこうむった人たち、その人たちに対しては本来ならばスイスが支払うべきである、こういうことが裁判書類の中に書かれておるのですよ。私はやはりそういう意味ではスイスの本社というものが最大の責任を持つべきだと思うのだけれども、これはいまだに活としてそういうことに対して責任を負おうとしていない。日本チバガイギーという、薬務局長のおっしゃることに従えば子会社、これに責任を負わせようとしておるわけです。しかし、最初につくったのはチバガイギーの本社である、最初に日本に輸出してきたのもチバの本社である。ですから、本来ならばスイスが払うべきだと私は思うのです。せんだっての原爆の問題を思い出すわけでありますけれども、本来ならばスイスの資産というものを調査していいんじゃないでしょうか。そして、必要ならばスイスの本社が日本のチバガイギーに対して融資をするのが当然だろう、私はそう思うのです。いかがでしょう。
#52
○山崎政府委員 私どもはやはり親会社、子会社という関係は実態として承知しておりますけれども、いずれにしても独立した別個の法人である、こういう意味で、その辺の法律上の解釈その他から見ましても、そういうふうにはなかなかいかないのではないか、かように考えておりまして、おっしゃいますように、親会社の原末等を輸入しまして、そして子会社がそれを製剤にして販売した、これは確かにおっしゃるとおりでございます。先ほどお答え申しましたチバ製品株式会社というのは、いまのチバ社の前身でございまして、それは何と申しますか、いまのチバ社が債権債務を全部引き継いだ、こういう関係になっております。チバ製品株式会社、それが日本のいまのチバ社の前身でございます。そういうことで、めんどうな法律論を展開すれば、前身のチバ製品株式会社がやったことなんで新しいものは知らぬ、こういうような態度にも、策を弄すればできないことはなかったような感じもあったのです。ところが、その辺はチバが全部引き受ける、こういう関係にもなっております。それから、親会社、子会社の関係で、子会社には資本金の増加を過去やっておりまして、それを過去分の返済に一部充てている、こういうような事実もございます。たとえばスモン病発生以来、企業としての財務能力を充実させるために四十九年から五十三年まで総計で百十億の増資を行っております。また、最近では二百億の増資、こういうことも行っておりまして、これが親会社からの増資でございますが、それも将来のスモンの和解に備えてのことだ、かようなふうにも説明を了しております。
#53
○山本(政)委員 それは説明をしているわけで、現実にそうなっているかどうかということは、私はやはり資料をいただきたいと思うのです。チバ製品という会社であったからいまは責任がないんだというのがかつてあったというお話がありましたけれども、チバガイギーで、チバ社とガイギー社と合併をしたわけですから、むしろ迷惑を言えばガイギー社の方が迷惑だというふうに言うはずだとぼくは思いますよ。しかし、いずれにしても合併をしたのだったら、チバガイギーとしてそれは責任を持たなければならぬ、こう思うし、もう一つは、局長のおっしゃるように別法人だというのだったら、それじゃお伺いいたしましょう。
 日本チバガイギーの社長は、一体どこの人なんです。日本人ですか。
#54
○山崎政府委員 クノップという外国人でございます。
#55
○山本(政)委員 そのクノップという社長さんは、スイスの本社の役員をやっていませんか。
#56
○山崎政府委員 本社の役員をやっておるかどうか、承知しておりません。
#57
○山本(政)委員 スイスとチバとの関係というのはあるんですよ、クノップ社長との関係は。そしたら、親会社とか子会社とか別法人だとかいっても、非常に密接な関係があるということが言えませんか。私は、なぜ社名が日本チバガイギーになっているかということを考えなければいかぬと思うのです。本社がスイスのチバガイギーですね。問題は要するに、本社がつくった製品というのを日本のチバガイギーが輸入して売っているということだけにしかすぎないんじゃないですか。業務関係からはただそれだけですよ。ですから、親会社とか子会社とかいっても非常に深い関係があるということです。ですから、ここにもありますように、東京地裁の判決ですら、スイス・チバガイギーの責任が問われているのです。そうしたら、これは別法人と言えないじゃありませんか。名目的には別法人であっても、実質的には別法人とぼくは言えないと思うのですよ。
 それじゃ、もう一遍お伺いしましょう。五十四年の十一月から二月まで、四十一億三千三百万円チバガイギーが融資を受けた。融資を受けたんですけれども、これは払っているわけでしょう、すでに。要するに払って、その穴埋めに融資を受けたわけですね。それでは、その四十一億三千三百万円というのはチバガイギーはどこから借り入れたんでしょう。
#58
○山崎政府委員 五十五年一月までの四十一億というのは、基金の貸し付け分ではないかと存じますが、先ほども申しました五十四年十一月、十二月、一月と、それぞれ前月分の和解金額トータルが四十一億数千万円になると思います。それから、さらに五十五年の二月には、一月分和解済み額七億六千九百万円が貸し付けられておりますので、先ほど申しました四十九億三千三百万円……
#59
○山本(政)委員 四十九億ですか。
#60
○山崎政府委員 はい、四十九億でございます。
#61
○山本(政)委員 だから、私はお伺いしたいのは、四十九億三千三百万、これは累積ですよね、十一月から二月まで。そのお金というのは、要するにチバガイギーが手持ちのお金を出したから、それで要するにそのお金が不足だから基金から借り入れたのかということなんですよ。そのお金は、チバガイギーが事実持っていたお金なのか、それともどこからか借りたお金なのかということです、ぼくの聞きたいことは。
#62
○山崎政府委員 たとえば、その月におきまして月分をまとめますので、チバ社としては資金調達のために一時市中金融から短期融資を受けます。短期借り入れを受けまして、そしてそれを月分をまとめまして前月分を、たとえば十一月についていえば、それをまとめて九億六千四百万という形で基金から借りておるわけでございますが、その前にその月分の短期借り入れを一般のたとえば住友とか三和とか等々の銀行から借り入れてつなぎをしておる、こういう感じでございます。
#63
○山本(政)委員 何か、協調融資団といいますか、二十七銀行が協調融資をするということを私は新聞で記憶がありますけれども、短期融資で市中銀行から借りたということは間違いありませんか。
#64
○山崎政府委員 つなぎとして借りておることは間違いありません。
#65
○山本(政)委員 それはチバも田辺も武田もですか。
#66
○山崎政府委員 武田は基金からの融資をしておりません。田辺につきましては融資しておりますが、田辺の資金繰りをどうしておるかはいまちょっと手持ち資料がございませんが、恐らく同じようなことではないかと思っております。
#67
○山本(政)委員 そうすると、基金からの借り入れ前に要するに短期で市中銀行から資金というものを調達をしておるということですね。それじゃ、いつどこの銀行から要するに調達をしたということも資料としていただけますね。これは御答弁のいかんによっては、ぼく自身が感じている危惧を申し上げたいと思うから言っているのですが。
#68
○山崎政府委員 その資金の調達の状況それ自身、私、手持ちに資料を持っておりますが、余りに当該会社のまさしく企業秘密にわたるのではないかというふうにも感じられますので、ちょっと検討させていただきたいと思います。
#69
○山本(政)委員 実質は知りませんよ、しかしこれは新聞にちゃんと出ているのですね、これは新聞のあれですから。日本チバガイギーが二百二十億円とにかく融資を受けるということが出ているのですよ。薬務局長は、要するに別法人だ、だからスイスの本社から救済の資金というものは出ないだろう、こういう意味のことをいままでの論議の過程の中でおっしゃったとぼくは思うのです。だけれども、あるいはぼくの推測が行き過ぎかもわかりません。まとめて二百二十億円というのは大変な金額なのですよ。日本の金利も高くなってきています。しかし、もっと高いところがある。だから、スイスのチバガイギーと日本のチバガイギーとの関係を考えた場合に、本社の方から救済の資金というものを日本のチバガイギーに出さないで、低利な融資だけは二百億円を超すお金というものをもらって、そしてこれを外国の金利の高いところへ持っていったらどうなりますか。金利だけでも大変な金額になりますよ。少なくともいまのチバガイギーの態度を見ていると、そんな邪推あるいはそういう推測さえ私はしたくなってくるのですね。それだけ誠意がないということなのです。もちろん田辺といえども、株式を売却してその利益を一部充てんしたから免責をされるということではありません。しかし、チバに至っては、ぼくは少しひど過ぎるのじゃないかという感じがするからあえて申し上げているのですよ。お金がないからといって、大変たくさんのお金を出して、外国に預けてごらんなさい。その可能性すらぼくはあると思うのですよ、いまのチバガイギーの態度を見ていたら。そういうことを言われませんか。だから、いまの態度を見ていると、漫然と事態を遷延をしながら、解決を引き延ばしているとしかぼくは言えないと思う。これだけ世論というものが大きな声になって、全国各地の裁判の結果というものがはっきりしておるにもかかわらず、まだかたくなな態度をとっているのは一体何があるのだろうか、ぼくはそういうことを疑わざるを得ないのです。あるいは邪推かもわかりません。推測のし過ぎかもわかりませんけれども、どうも釈然としないものがある。どうでしょう。そういう意味で、大臣のお答えもありました。即時全面的に受諾をするのに最善の努力をします、こういうお話がありました。しかし、相手のあることだということなのです。そういうことについても私はもっと私なりに調査をしたいと思います。ですから、これはひとつ理事会にお諮りをいただいて、三社の社長を呼んでください。そして、きちんと物事をはっきりさせる必要があるだろう、こう思うのです。
 そのことについての御答弁をひとつぼくはお願いしたいと思います。
#70
○山崎政府委員 先ほど大臣も御答弁申し上げましたように、東京地裁を含めまして一日でも早い和解の実現、早期解決を心から望んで私ども努力を重ねたいと存じます。
 御指摘のチバを中心とする融資につきましては、先ほど来申し上げておりますように、円滑な和解一時金の調達、こういうことのために、前月分の実績を踏まえてその限度で貸し付けを行っている、こういうことでございまして、お尋ねの御趣旨もわからないわけでございませんが、これは一応両社は別のものである、かように考えておるところでございます。
#71
○山本(政)委員 局長はそういうふうにお考えになっているかわかりませんけれども、どれだけの和解ができて、どれだけのお金というものが必要になってきているか。それはあなたのおっしゃるように市中で短期で借りて、そしてその翌月には低利なものを借りて払っているという事実があるのだったら、その資料というものは私はいただきたいと思うのですよ。それがいただけないのだったら、私どもは私どもとしてやはり三社の責任ある人たちにわれわれの疑問をぶつけて、そして解明するしかないじゃありませんか。資料をお出しになれないというなら、それしかないと私は思いますよ。これは大臣の御答弁というのか、あるいは理事会でということになるのか知りませんが、その返事だけは私は聞かせていただきたいと思うのです。
#72
○山崎政府委員 先ほどお答え申しましたように、余りに企業秘密にわたるのではないかということを私自身感じたのでございますが、その点は再検討させていただきたいと存じます。
#73
○山本(政)委員 私も若干はあるのですよ。氷山の一角にしかすぎませんけれども、あるのですよ。だから、根拠のないことを言っているのじゃありません。だから、ぼくは少なくともこの席ではっきりしていただきたいと思うのです。そして、責任者の喚問についてもきちんとしていただきたいと思うのです。
#74
○野呂国務大臣 チバガイギーの市中銀行での一時借り入れの実態、これは企業秘密なのかどうか、私は御要請にこたえていいのではないかというふうに判断をいたします。別にこれはチバガイギーの秘密だというようなものではないように思いますが、検討させていただきまして御要請におこたえ申し上げたい。
 なお、喚問されるかどうかという問題は、これは政府側の問題でございませんので、理事会等でお諮りの上、いろいろ詰めていただくということが必要ではないだろうかというふうに考えております。
#75
○山本(政)委員 では、これは委員長の方にお願いした上がいいかもわかりませんが、ぜひひとつ。
#76
○葉梨委員長 ただいまの山本委員の御要求につきましては、追って理事会で協議いたします。
#77
○山本(政)委員 それでは終わります。ありがとうございました。
#78
○葉梨委員長 この際、午後一時三十分まで休憩いたします。
    午後零時十分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十分開議
#79
○葉梨委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 厚生関係の基本施策に関する件について質疑を続行いたします。平石磨作太郎君。
#80
○平石委員 私は、母子保健法につきまして質疑をいたしたいと思います。
 母子保健法が制定をされまして、母子保健対策が児童福祉法から別途設立されてから、母子保健に対する国の施策といったものが非常に強化はされてまいりましたものの、いま時代は非常に変わってきました。そして、これからの母子保健に対する対策が現状のままではどうにもならないところへ来たのではなかろうか、こういう観点から、過日、公明党が母子保健法の一部改正案の提案をいたしたのもそのゆえによるわけなんでございますが、現行保健法が制定を見た当時において、社会保障制度審議会が、十分ではないけれども今後さらにこれについては強化していかねばならないといったような提案もなされておることでございますし、その後十四年たって、厚生省もこの母子保健法の改正については、昨年のことでありましたが、当時の橋本大臣に私どもが百七十万の署名を持って陳情をいたしました。その際、大臣のお話をおかりしますと、おっしゃるとおり、いまこれについては省内で検討委員会をつくって検討作業に入っておるのでありますが、いまの女性を見てみますと、大体貧血が七〇%、男子において貧血が二%、こういう状況は厚生行政をする上からも放置できない現状であるので検討を加えておるところへこのように百七十万の署名をいただいたということは、非常な励みになるし、また、厚生省としても鋭意これに取り組んでいく、このようなありがたいお言葉をいただいたわけですが、その後どのように検討がなされており、そして大体いつごろ改正をするというめどがありますのか、簡単にお答えをいただきたいと思います。
#81
○竹内政府委員 御承知のように、私ども母子保健の問題につきましては、母と子というだけでなくて、父親も含めて家庭の問題、そういう単位でこの問題を取り組んでいく必要があるというような意味で、家庭保健基本問題検討委員会を昨年六月に発足させたわけであります。いつという時限を示すようにというお話でございますけれども、私ども、この検討委員会は、スタートいたしましたときに、一応の審議のめどとして約二年間というふうにお願いをいたしました。そういうベースを基本にいたしまして、いろいろな角度から、自由討議を中心としながらも、すでに現在では幾つかの柱を立てて問題点を中心にしながらディスカッションを行うという形で推移いたしておりまして、つい今週の月曜日、十四日にも全体会議を開いて、もっぱら乳児のヘルスの問題を中心に御議論をいただいたところでございます。いまのところ、全体委員会は大体毎月一回、そのほか三つの小委員会がその間にそれぞれ一、二回という形で、各委員とも非常に関心を持っていただいて精力的に進められておりますので、問題の掘り下げもいろいろな角度から出ております。ただ、私どもは、明年の六月ごろに一応検討委員会としての意見書をおまとめいただいたものを基礎にいたしまして私どもとしての一つの取り組み方を示して、そしてその上で中央児童福祉審議会及び社会保障制度審議会に御諮問を申し上げて法案を提出するというような段取りになりますので、明確に何年のどのころにというふうに確約的な御返事はいたしかねますけれども、ただいま申し上げましたようなスケジュールで私どもも真剣に取り組んでおりますので、その検討委員会のまず意見書の提出、そしてそれに基づく私どもの取り組み、そして所定の審議会に御諮問というスケジュールで進むということで御了知いただければ幸いでございます。
    〔委員長退席、山崎(拓)委員長代理着席〕
#82
○平石委員 いまの御答弁で大体めどが立ちましたが、いまの答弁の中に、男性を含めてと、こういう局長の幅広いお話が出てまいりました。当然母子に限るという形で、現在の法律の第二条のところには「母性は、すべての児童がすこやかに生まれ、かつ、育てられる基盤であることにかんがみ、」と、こういう規定がございます。ところが、現行法での実際の施策の中では、妊産婦それから乳児に限って施策が行われておる。非常に狭い範囲での法の施行になっておるわけですが、いま、男性を含めてとまでおっしゃいましたが、やはり私どもは、現状を考えたときに、そういう狭い範囲でのみこれに対処するということは、やはりこれからの、時代の変わった、そしていま非常に懸念されております子供が少産少死である、そして高齢化社会に移行する、だんだんと出産が低くなってきたというようなことから考えたときには、もっと対象を広げて、広い施策が必要ではなかろうか、このように考えておるわけです。したがって、ここに新聞がありますが、これは今年の二月二十六日の新聞ですが、「産みたがらぬ日本女性」この新聞、御存じだと思います。これで見てみましても、厚生省は人口推計に狂いが出てくる、これを改定しなければならないような非常に少ない日本女性の出産、このことを懸念して、推計の改定も検討しなければならないということがここに出ております。
 このことから見ましても、やはり一夫婦で二・一人を下回るということは、人口の再生産率を非常に低下させ、いわゆる民族の活力という面から考えたどきに、これは大変なことだ、したがって、五十三年度において一・七九、五十四年度の推計では恐らく一・七五前後になるのではなかろうか、こういう数字が出ております。それから一方私どもは、そういうようなことを考えながら、この妊産婦というのをもっと、いわば妊娠可能な女性、ここへ対象を広げてはどうか、このように考えるわけですが、御意見を承りたい。
#83
○竹内政府委員 私どもの立場といたしましても、先ほども、家庭という中に、母と子だけでなく父親もという意味で申し上げましたけれども、そのことは、ある意味では、やはり一番中心になるのは、やはり母性保護というものが中心になりながら制度の整備というものを展開していかなければならぬと思います。そのときに私どもが一番望ましいことは、いわば正常な出産、そして健常な子供たち、そして健やかな成長ということになるわけです。したがいまして、そのためにはどうしてもやはり基本的には母性、つまり母となり得る人々の、正確でかつ新しい時代の科学、そういったものにも即応し、そしてその社会生活の進展にも対応したような、そういういわば母性教育というものが必要になるわけでございます。その限りでは、一般論として申し上げますと、いわば思春期に入りました母性ということになりますと、いまの状態では大体中学生ぐらいということになろう。しばしばおしかりを受けるわけでありますけれども、中学校という過程の中で私どもがそういう人々を対象にとらえようといたしますと、どうしても学校、そして役所の管轄でいいますと文部省というものの協力を得なければなりません。この点は別の面でも、たとえば健康診査というものにつきましても就学前の健康診査というのが教育委員会ベースでやられる。しかしながら、それなりに私どもとしては検査の項目についての調整をとって、それの活用を図ろうとしておりますように、学校における母性教育あるいは母性ということについての啓蒙というものも、これまでのようにただ単にある意味での性風俗といったような観点からの性教育という意味ではなくて、いわば母性保護という観点、そしてその母性の保障という意味から見て、ただ単に女性だけでなくて男子の生徒も含めた意味で、ライフサイクルの中における一番大きな起点である出産、出生ということに関する正しい知識というもの、それを植えつけていくということがやはり将来にとって非常に大きな意味があるんではなかろうかと思いまして、検討委員会におきましても、健康教育ということを含めまして、そして家庭におけるいわば社会人一般としてもその辺を正確に把握することが必要という立場で、この問題には文部省当局の方の御協力も幸いにして前向きに得られるような感触を得ておりますので、厚生省といたしましても、この母子保健法の改正といいますか、家庭保健制度それ自体の検討の中で、十分そういう対応策というものについて前進した施策が実行できるように努力をしてまいりたいと思います。
#84
○平石委員 そのように妊娠可能な女性、一応私どもは十六歳以上くらいを対象にして、こういう女性に対する健康診査を行っていく、そして健康で健全ないわゆる正常分娩ができ、しかも、いま資料もございますけれども、時間がございませんから数字は省きますけれども、乳児の死亡率も非常に高いというような数字も出ております。そういった面からひとつこれは拡大をする形において御検討をいただきたい。
 さらに、乳児、幼児につきましても現在は三歳児健診が行われておるのみでございますが、この乳児、幼児につきましても少なくとも一・五歳あるいは三歳児、そういったような形で就学前まで公費でもって健康診査を行う。
 それから、妊婦につきましては現在二回しか行われておりませんけれども、これも十一回程度行うべきではなかろうか、このように考えておるわけでございますので、この点についても御検討を賜りたい、こう思うわけです。それから、時間がございませんから速く行きますが、分娩について現在健康保険法その他でいわゆる保険給付としての現金給付が行われ、現在改正案の中では十万円が十二万円というように保険給付として引き上げが改正提案なされておるわけですが、これはやはり私どもは、現在の状況においてはやむを得ない処置として、出産費を社会保険と調整をして十五万円――いま大体の出産費というものは、これは一律にはまいりません。三十万と言われる場合もあるし、二十万と言う人もありますけれども、一応公費でもって十五万円を限度として支給してやるべきではないかということ。
 それからもう一つ、将来にわたって、この出産費というのは、世界の趨勢から見たときに、母性給付として現物給付になっております。これは諸外国の例を引くまでもなく、ほとんどの先進諸国におきましては現物給付でもっていわゆる医療給付、こういう形で行われておりますが、また一方、ILOの百二号条約、これも昭和五十年にわが国は批准をいたしておりますが、その中の四部門についてはこれを批准しておりますが、この出産分娩についてのところはまだ宿題として残ってはおりますものの、やはり最低基準としてのILOのこれが、これからの母子給付を進める上に一つの大きな尺度になろうかと思う。そういう情勢の中で、現物給付にこれができないものかどうか。これは保険局長にお伺いするわけですが、簡単にひとつお願いします。
#85
○石野政府委員 第一点の、分娩費の支給が今度の改正案の数字では十二万円というふうになっているのは低過ぎるではないかという話でございます。確かに、おっしゃるように、全国の分娩費の料金等を見ますと、最低でも六万円という数字がございます。最高では二十三万円という形でかなりばらつきがございます。平均いたしましても大体十五、六万というのが一般の医療機関の値段になっております。
 私どもが十二万円という改正案に基づきます予算で計上いたしました理由は、国立病院の分娩費の平均値をとっているわけでございます。その平均値をとりましても、大体十二万五千円というのが昨年の八月の時点の数字でございます。そういう意味で最低保障として十二万円ということを計上いたしたわけでございますが、おっしゃるように、分娩費の支給に当たりましてはできるだけその実情に沿うようにするのが一番いいということで、いま法律上の事項でございます額を、今度の健保法の改正案では政令にゆだねまして、できるだけ実情に沿うようにどんどん改定していくという考え方を持っておるわけでございます。したがいまして、平石先生おっしゃるように、分娩費の支給が本当に実情に沿うためには、やはりいまの十二万円というのが妥当かどうか、私どもも実はこの数字を見ましてもややじくじたるものを感じておるわけでございます。いろいろ御意見を承りながら、この数字につきましては、できるだけ早くそういう実情に沿うように改正をいたしたいというふうに考えております。
 それから、第二点の現物給付の問題でございますけれども、おっしゃる意味は非常によくわかりますし、私どもの気持ちの上でもいろいろ悩みがあるわけでございますが、現物給付に当たりましては、はっきり申し上げまして、いろいろな問題がございます。現在の出産の慣行料金が非常に差がございますので、基準の料金をどういうふうに算定するかという技術的な問題もございますし、それから、現行の慣行料金の平均をとったといたしましても、それが現在の一般医療の診療報酬の体系の中でどのようにバランスがとれるかというようなむずかしい問題もございます。それから、一番大きな問題は、医療機関側の協力がなかなか得られないという、率直なことを申しますとそういうこともございまして、現物給付化というのは実際上なかなかむずかしいのではなかろうか。私ども、そういういまの慣行料金というものを分娩に関しましてはできるだけ平準化された姿になって、それを医療保険で補償するというのが一番現実に沿うのではないかというふうに考えておるわけでございまして、さらに努力をいたしたいと思うわけでございます。
#86
○平石委員 いま局長は平準化の問題にちょっと触れられましたが、現物給付で行うということは点数をつけるということになるわけです。いまの疾病保険、名前は健康保険だから、いわゆる予防給付的なものはいまの診療報酬体系の中に繰り込むことは可能だという感じを持っておるのです。名前は健康保険であって実質は疾病保険なのだ、だから出来高払いだ、治療なのだ、こういう形のものになっておるわけです。いま局長の答弁にもありましたように、どの線かといったようなことを考える上から見ましても、点数でもって一つの基準をつくっておく。いまのままでしたら保険が適用になりませんから青天井で、幾らでもと言ったら語弊がありますけれども、どんどん上がることができる。こういうことをも考え合わすときに、やはり現物給付として点数制を持っていく方がよりベターではなかろうか、このように考えるのです。竹内局長はどのようなお考えか、ひとつお伺いしたい。
#87
○竹内政府委員 出産の給付の問題でございますけれども、医療保険の立場は、先ほど保険局長から申し上げたようなことでございます。保険局長の言葉の中にもございましたように、一番の隘路は、慣行料金におけるばらつきと医療機関の協力を得られるかどうか。ということは、別の意味では、現在でも入院分娩が主流を占めておりますけれども、まだ一割前後の、私どもで言う助産所あるいは母子健康センターなどでの出産もあるわけであります。そういったものとの調整というのも一つ問題が残ろうと思います。そういう意味で、先ほど御披露申し上げました私どもの現在検討を進めております家庭保健基本問題検討委員会におきましても、この問題も取り上げられて議論をされております。その中で、これは私の意見というよりも、検討委員会での検討過程ということでお含みいただきたいのですけれども、確かに現行の医療保険制度、健康保険制度の中に現物給付として持ち込むことはむずかしいであろう、それならば母子保健制度の改正のときに母子保健の立場で現物給付というかっこうができるかどうか、その問題もいろいろな角度で、広い意味での意見の交換は行うけれども、具体的な手法等については行政当局が少し検討してみてくれないかというような御発言もございましたし、また、私どももその問題についてはやはりそれなりに一応検討してみる必要があるのではなかろうかと思っております。
 ただ、いわゆる一般の診療報酬との均衡もさることではございますけれども、最初に申し上げましたように、ただ単に分娩に要する費用を現物給付化することによるいわば経済的な側面からだけこの分娩費の現物給付論を展開するならば、それはむしろ健康保険制度の問題としてお預けした方がよろしいのではなかろうか。しかし、少なくとも家庭保健、母子保健というサイドでこれを検討するといたしますれば、まさに先ほど御指摘いただきました妊産婦の健康診査の問題、そしてまた、新生児の保育指導、保健指導的なもの、そういったものも含めた上での現物給付論としてこの問題を取り上げて、その上で、もし行うとすればどのようなシステムが可能かということを、現在の検討委員会の意見交換に並行いたしまして、私どもは私どもなりに一応の勉強はさせていただいております。ただし、これは役所が、あるいは検討委員会の先生方がそのような方向が望ましいと言ったということだけで現実にすぐ実現できるかどうかということになりますと、やはり現在の分娩の大宗を占める産婦人科を中心とした医療機関のサイドの協力なしには実現不可能でございますので、そういった方面との意見調整なども今後やっていかなければなりませんので、そういった点で少し時間をかしていただきまして、私どもとしては前向きに検討はさせていただきたいと思います。
#88
○平石委員 いまの前向きの検討でこれは終わらせていただきます。
 時間がありませんので、先を急がせてもらいます。
 いま母子健康手帳が発行されております。この母子健康手帳は、妊産婦に子供が生まれるまでは利用されておりますけれども、それから以降は余り利用されておりません。せっかくですから、私どもは、このことをできれば将来国民健康手帳といったようなところまで持っていきたい、そして自分の生涯の健康記録を持っていくというようにしたい。これは沢内村あたりでやっております。これも時間があれば十分お話ができ、説明もできるわけですけれども。保健文化賞までいただいた岩手県の和賀郡沢内村、高知県の香美郡野市町、こういったところは「私の健康手帳」といったものを持っておる。それから、成人健康台帳、妊産婦の健診台帳、成人健康手帳、乳幼児の健康台帳、これのみに限りません。ここのお話を申し上げますと、総合的に村民の健康管理を行って、医療費の面におきましても非常に顕著な成績を上げておるわけです。
 だから、私は、いま局長からお話があったように、ただ経済的な面だけでといったようなことでなしに、やはり総合的な観点からこういったこともあわせ行う必要があるのではないかというように考えて、将来、国民健康手帳的なものに発展的に持っていきたいという考え方を持っておるのですが、いかがでしょうか。簡単にお願いいたします。
#89
○竹内政府委員 私どもも基本的にはそういう形が望ましいのではないかと思っております。ライフサイクルの起点としての出生記録を中心としたところから、極端なことを申しますと老人保健医療制度という問題の検討もありますし、また、厚生省も健康づくりという形の公衆衛生局での一つの中心的な課題もあるわけであります。
 そういった意味で、関係各局とも十分連絡をとりながらそういった問題についても検討させていただきたいし、私の方の立場からいたしますれば、望ましいことだというふうに理解をいたしております。
#90
○平石委員 非常に前向きな御答弁をいただいてありがとうございます。
 一つ、現行法では県知事がこれの実施機関になっております。やはり住民に密着するという意味から考えても、将来これを厚生省のもとの案にあったように、市町村の事務として、市町村へ実施段階をおろすといったようなことが検討委員会で検討されておるかどうか、これも簡単にお答えいただきたい。
#91
○竹内政府委員 そういった線が望ましいということは、検討委員会の委員の相当多数の意見にあるようでございますし、私どももその問題については、現在も保健所というもののあり方が、市町村単位の保健センターで対人保健サービスをという公衆衛生行政の基本的な方向もあるようでございますので、そういったことに平仄が合うのではないかということで前向きに検討させていただいておるところでございます。
#92
○平石委員 そこで、最後ですから大臣にお伺いいたします。
 いま局長といろいろ論議をいたしました。そして、幾つかの提言も申し上げたわけですが、特に現物給付の問題、あるいは健康手帳についての将来への生涯サイクルの健康記録、こういった面、あるいは出産費の増額の問題等いろいろ論議を重ねたわけです。当初申し上げたように、前の橋本大臣の、積極的にこの問題に取り組んでいくとの私との約束もあるわけですが、ひとつ大臣の決意をお聞かせいただいて終わりたいと思います。
#93
○野呂国務大臣 母子保健にかかわりまする社会環境というものは大きく変化をいたしております。御指摘のように、急ぎ足にやってまいりました高齢化社会、またその高齢化の反面、静止人口期を迎えておる。したがって、わが国の人口の将来を展望いたしますときに、小さく産んで大きく育てるという言葉がありますように、母子保健というものが、家庭全体の問題として、この施策の単なる見直しでなくて、これは二十一世紀に向かっての家庭保健全体の大きな課題でなくてはならない、こういう観点に立ちまして、基本問題検討委員会が昨年六月発足して、五項目にわたっての検討を進めておるわけでございます。この結果を待ちまして大いに前向きに取り組み、こうした大きな変化に対応でき得る母子保健対策というものを確立する必要があるというふうに考えておりまするので、最善の努力を尽くしてまいりたい、かように考えます。
#94
○平石委員 きょうはスモンについても質問を申し上げるつもりで通告してございましたが、保険局長にはわざわざ来ていただきましたけれども、時間がございませんのでこれで終わらせていただきますが、あすやらせていただきますのでよろしくお願いします。
 以上で終わります。
    〔山崎(拓)委員長代理退席、竹内(黎)委
    員長代理着席〕
#95
○竹内(黎)委員長代理 次に、谷口是巨君。
#96
○谷口委員 私は、一般質問の機会がございましたので、薬剤師法あるいは医師法、そういうものについて伺っておきたいと思います。
 最初に、薬務局長に伺いますが、薬剤師法の第一条に「薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって、」云々とありますね。これはどういうことを意味しているかということを聞きたいのですが、いわゆる医療ポジションの中での調剤業務については薬剤師が主として当たるということを意味しているのですか、それともそうでないのですか。
#97
○山崎政府委員 お答え申し上げます。
 御指摘の薬剤師法第一条は薬剤師の任務を包括的に規定したものと理解しておりますが、「薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保する」、こういういわば薬剤師としての基本的な任務をうたったものだと心得ておりまして、薬剤師はその主な任務の第一に調剤をつかさどる、こういうふうに理解しております。
#98
○谷口委員 では、いまの答弁によりますと、調剤の責任者は薬剤師であるというふうに、まず基本問題ははっきりしているということですね。もう一度御答弁願います。
#99
○山崎政府委員 さように心得ております。
#100
○谷口委員 次に、医務局長に聞きますが、医師法の第一条の中に「医師は、医療及び保健指導を掌ることによって」云々とありますね。これからいきますと、調剤を明確にうたってございませんが、先ほどの薬務局長の見解と同じでございますか。
#101
○田中(明)政府委員 同じでございます。
#102
○谷口委員 明確にお答えになりましたが、では私は医師法の第二十二条についてお聞きをいたします。
 あの二十二条の中に、医師は、必要があるときにはとあって、患者もしくは直接その看護に当たっている者が薬は要らないと申し出たときは、これは結局出さなくていい、それが八項目あるわけですが、この要らないと申し出たということの意味はその字のとおりに解釈してよろしいですか。
#103
○田中(明)政府委員 非常にむずかしい御質問でございますが、現状を見ますと、先生御案内のとおり、明治に入りまして日本が西洋医学を採用し、西洋の医療制度を導入いたしまして、調剤は薬剤師が行うという基本的な考え方はその当時から確立されておるわけでございますけれども、長い間の漢方の影響がございまして、なかなか実態は医薬分業という形が進んでいないというような実情がございます。ただいま御指摘の点に関しましても、患者といいますか、一般国民の方にも、そういうような長い習慣から、医者から薬をもらうというようなことが暗々のうちに当然というふうにも考えられているような状態がございまして、先生がおっしゃいました点につきまして、患者がはっきりとそういう意思表示をしなかったのに投薬したからといって、直ちに医師法の二十二条の違反の問題が生じるとは必ずしも言えないのではないかというふうに考えております。
#104
○谷口委員 非常に重大な発言でございますね。あなた方は法を守るという立場でしょう。その法を守らせる行政指導をやるのがあなた方でしょう。ならば、それを何十年かの間怠ってきたということに対してはどのようにお考えですか。明確に、簡単に。
#105
○田中(明)政府委員 先ほどるる申し上げましたように、長い間の慣習と国民の考え方というような観点から、私どもは医薬分業を推し進めておりますけれども、現状のような明確に患者が処方せんを要しないということを言わないからといって医者が処方せんを出すということが必ずしも違法とは言えないのではないかとい4考え方をいたしております。
#106
○谷口委員 では、あなたのおっしゃるのは、法律のとおりでなくてもいいという解釈ですね。先ほど私が、この法律のとおりでよろしいのですか、どう解釈するのですかとあなたに言ったら、そのとおりだ、しかし慣行によってと言っていますね。法律は慣行によって破られるものですか。
#107
○田中(明)政府委員 非常にむずかしい御質問でございますが、もちろん法律ははっきりいたしておるわけでございますが、やはりそういう社会の慣行ということも必ずしも無視できないのではないかというふうに考えておるところでございます。
#108
○谷口委員 きわめて申し出が正確でありませんね。法律を守らなければならない法治国において、その法律を守るように十分に指導を行わないで、そうしてそういう自然的な慣行ができた、そのためにその法律を曲げて考えるということはきわめて遺憾な状態であり、これは厚生省全体として十分反省をすべきことだと私は指摘をしておきます。よろしいですか。きょうはこれ以上深入りはしません。後日いたします。
 次は、医療法について伺いますが、第七条に「病院を開設しようとするとき、医師及び歯科医師でないものが診療所を開設しようとするとき、又は助産婦でないものが」云々とありますね。この中に、薬剤師でないものが薬局を云々と入らないのか。どういう理由ですか。
#109
○田中(明)政府委員 薬剤師、薬局のことに関しましては別に薬事法によって規定されておりますので、われわれは医療法の方でそれを規定いたしておらないわけでございます。
#110
○谷口委員 ちょっとおかしな御答弁ですね。薬事法で規定してあるから医療法の中に入れなかったということですね。そうすると、医療行為を行う場所あるいは医療行為そのものにこれは重点を置いているわけですね。そうすると、薬剤師の業務、いわゆる調剤業務は医療行為に当たるのですか、当たらぬのですか。
#111
○田中(明)政府委員 調剤行為が患者の疾病の治療を目的とした行為であることは当然でございますが、現行制度のもとにおきましては、先ほど申しましたように、薬剤師が原則として行う調剤行為につきましては医療とは別の概念で薬事法の方においていろいろと規定しているというふうに考えております。
#112
○谷口委員 ちょっとおかしいですね。たとえば、処方せんが発行される、その処方せんによって調剤する行為、これはそれじゃ医療行為に当たりませんか。
#113
○田中(明)政府委員 先ほど申しましたように、そのような行為が患者の疾病の治療を目的とした行為であり、広い意味では医療行為の中に入るのではないかと思いますが、一応現在の法体系のもとにおきましては調剤という行為を別個の概念としてとらえているというふうに考えております。
#114
○谷口委員 もっと明確に答えていただきたいのですが、いわゆる処方せんなら処方せんを発行された、その処方せんによって、たとえば保険業者なんかでも結構ですが、これを調剤する、その調剤の行為そのものは医療行為に入るのですか入らぬのですか。
#115
○田中(明)政府委員 同じ答えになるのですが、広い意味で患者の治療という行為の一つであり、そういう意味で、広い意味での医療という中には含まれると考えますけれども、一応現在の法体系のもとでは、その調剤行為というのは別個の概念として把握しているというふうに考えております。
#116
○谷口委員 きわめて苦しい答弁ですね。よく立場もわかるから、きょうは余り深追いはしないつもりでおりますけれども、それじゃ医療行政の中で、医師が診療して処方せんを出したとしますね。その処方せんについて調剤するときは、これは広いも狭いもなくて、そのものずばりどっちなんですか。医療行為なんですか、医療行為じゃないのですか。
#117
○田中(明)政府委員 医師が患者を診察し、治療するということの中に、その治療の一環として薬を与えるということが入るわけでございますので、先ほど申しましたように、広い意味では医療行為の一環と考えられますが、現行の法律のもとでは、その薬を調剤するということを別個に取り出して一つの別の概念を与えているというふうになっていると私は考えております。
#118
○谷口委員 それならば、医療行為に当たらないものが、同じ処方せんが診療所で書かれて、医者じゃないのが現実に調剤していますよ、あなた方は知らぬととぼけるけれども。それと全く処方せんも中身も一緒なんですが、それも医療行為じゃないのですか。
#119
○田中(明)政府委員 調剤は本来薬剤師がするべきものでございまして、先ほど先生が御指摘のように、現在の医師法におきまして処方せんを出さなくてもいい場合という例外の規定が八つばかりあるわけでございますが、本来的にはこれは薬剤師が行う業務であるというふうに考えております。
#120
○谷口委員 医師が自分で処方せんを書いて、あるいは書かぬかもしらぬけれども、書いて、そして自分のところでやっている行為と、保険薬局でやっている行為と全く変わらない。どこが違うのですか。
#121
○田中(明)政府委員 医師が行う医療行為というのはすべて医療の中に含まれるかと存じますけれども、先ほど来申し上げておりますように、調剤というものにつきましては、これは現在の法体系では別個の概念が与えられているというふうに考えておりますので、八つの例外の場合に、例外的に医師が調剤行為を行うのだというふうに考えております。
#122
○谷口委員 じゃ結局、医師が行う調剤行為も、広い意味でいくと医療に当たるけれども、狭い意味では医療に当たらぬということですね。そう解釈してよろしいですね。あなたの答弁を聞いているとそういうふうになりますけれども、簡単に言ってください。わけのわからぬことを遠回しに言わぬで。
#123
○田中(明)政府委員 そのように考えております。
#124
○谷口委員 そうすると、広い意味、狭い意味、私よくわからぬのだけれども、ある意味では医療機関であるならば、結局薬剤師以外の者が薬局を開こうとする場合、これは医療法の中に当然入るべきじゃないのですか。医療機関として認めなければいけないのじゃないですか。
#125
○田中(明)政府委員 先ほど来お答えしておりますように、広い意味での医療の一環と存じますが、調剤につきましては別の概念として取り出しまして薬事法でいろいろ規定されているというふうに理解しております。
#126
○谷口委員 じゃ、たとえばいままで医師が調剤していたことについては、医師本来の仕事の中とはっきり言えない、そういうものを何十年にわたって行って、そしていわゆる経済的収入を得た、こういうことになりますな。どうですか。
#127
○田中(明)政府委員 現在の法律の基本的な考え方は、調剤は薬剤師が行うべきものであるということでございますので、われわれといたしましてはその線に沿って医薬分業をいろいろ推進しておるわけでございますけれども、なかなか実態は調剤本来の姿からほど遠いというような状態にあると思います。
#128
○谷口委員 委員長にお願いしますが、時間が限られていますから答弁ももっと簡潔にやるように注意してください。
 次に質問を続けますが、そうしたら、はっきりと結論だけ聞きます。調剤をやっている、あるいは調剤をやる部門の薬局は、医療機関なんですか、医療機関じゃないのですか、政府の見解は。
#129
○竹内(黎)委員長代理 答弁は簡潔にお願いします。
#130
○田中(明)政府委員 現在の法律で規定している医療機関ではないというふうに思います。
#131
○谷口委員 それじゃ、お聞きしますけれども、たとえば生活保護法におきましては、「医療機関の指定」という第四十九条に「厚生大臣は、国の開設した病院若しくは診療所又は薬局について」云々とあるのですが、これはどういうことですか。
#132
○田中(明)政府委員 現在医療法において医療機関と規定しておりますのは病院、診療所、助産所でございますので、われわれはそれが先ほど申しました現行法のもとにおいて規定されている医療機関であるというふうに考えておるわけであります。
#133
○谷口委員 それだったならば非常にしどろもどろの答弁になってきますね。国で決めているのですよ。生活保護法、これは大臣も後で読んでください。生活保護法にも書かれている。また、原爆の問題でも第九条にぴしゃっと載っています。「医療機関の指定」、第九条「厚生大臣は、その開設者の同意を得て、第七条の規定による医療を担当させる病院若しくは診療所又は薬局を指定する。」載っています。足りなければまだ言いましょうか。たとえば、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律施行規則第十三条、これも明確に指定してあります。ここにおいては、「薬局の見易い箇所に、指定医療機関である旨を標示しなければならない。」そうなっているのです。それから、身体障害者の問題についても、第十九条の二の「医療機関の指定」の中に明確に書いてあります。こんな事例をあなたは知っているのですか。更生医療の指定医療機関の問題についても第十九条に明確にうたわれている。それから、母子保健法についても明確に第二十条にうたわれておる。
 これは大臣に聞きます。大臣が答弁してください。これは明確にしないと大混乱です。片方ではそうやって政府では医療機関の中にぴしっと入れている、片方は入れていない。したがって、医療法の中に現在の薬局をそのままにしていいかは別として、薬剤師という問題、結局薬剤師でない者が薬局を開く場合は明確に入れない限り将来大きな障害になると思う。なぜかなら現在いろいろな動きが行われている。たとえば、薬剤師でない方々が、特に医師なら医師で結構です、そういうところが通牒を出している。時間がだんだん迫ってきたから結論に入りますけれども、たとえばこれは県の名前は明かしませんけれども、ある県の医師会長の通達であります。この決定事項について早急に措置されたい旨日医武見会長より連絡が参りましたのでお知らせいたします。この中にこう書いてあるのです。現在法律上では医薬分業がたてまえである。しかし長い伝統と習慣から任意分業が認められており、一部を除いてほとんど医薬分業が行われていないというのが現実である、明確に書いてありますね。それから先を読みますが、さらに租税特別措置法の改正に際し、武見会長は新しい対応策としても医薬分業を進めている。すなわち医薬分業を実施することにより、医薬収入の三〇ないし四〇%が移動するので、二八%が廃止されても大きな問題はなくなるとしている。その先に、この失われる薬剤費、医薬収入を、さらに五月二十九日の常任理事会では医師指導型薬局の開設促進を決定し、地域保健計画全般の中で医師の指導による調剤薬局の最も効果的なあり方を検討し、積極的にこれが実現を図るべきであるとしている。これは明らかに税率が変更された、それによってこうむる、いままでもうけ過ぎていたとか出さなくてよかった税金を多く出さなければならなくなった。そのために隠れた医薬品の収入をほかの形で別途に得て、処方せんは処方せん、薬は薬で受けていく、こういうことが通達として出ているのです。
 これからいっても大臣、こういう薬局は当然医療機関としてほかの方から入っているのだから、私は明確に医療法の中に入れるべきだと思うけれども、どうですか。
#134
○野呂国務大臣 現行の医療法に基づく医療機関の中には薬局は入らないことはさっきの論議の中で明確にされておると思います。しかし、この医療法の中に薬局を取り入れていくかどうか、これは慎重に検討しなければならぬ問題であって、単に医療とは何かという範囲の問題とは、医療法に基づく医療機関とは別途の問題である、かように解釈いたします。
 なお、医薬分業につきましてはさらに進めていかなければならぬことは言うまでもありません。
#135
○谷口委員 これから先、あと何年かすると、現在のまま進めば、進まないかもしらぬけれども、二十兆の医療費になるのでしょう。その医療費の二十兆の中で約四割は薬剤費と言われているのです。その四割は八兆です。八兆円の薬を将来ずっと扱うわけです。国民の税金から取り上げた医療費、いわゆる保険税とも言うべきもの、これの約八兆円は薬局で扱うのです。現在の薬剤師の薬局か医師会の指導する薬局かはわからない、だけれども厳然としてわれわれの健康を預かり、多額の経済的な部分を占めるこれについて、たとえば昔の一般の薬局という概念では通用しなくなった。当然新しい状態に対して私は新しい考え方を持たなければならないと思う。大臣、従来の医療行政のあり方自体がいま根本から問われているわけです。これはもっと認識してくださいよ。これを認識しないでは、あなたは大臣として私は非常にさびしく思う。あなたこそ正々堂々とあるべき姿をやっていく人だと私は思っている。それをなかなかやれないいままでの姿、これは打破すべきではないかと思いますが、大臣、重ねてどうですか。
#136
○野呂国務大臣 医薬分業をより進めていかなければならないことは言うまでもありません。いろいろな具体的な問題はあると思いますが、医療費が高まる中で、特に薬の占める役割り、治療の中にあるべき姿、そういうものを長期的に見通して適正な措置を講じていかなければならぬことは御指摘のとおりである、これに取り組んでまいりたいと思います。
#137
○谷口委員 御指摘のとおりだということでありますから、非常に正直な答弁だと思います。大臣、これは思うだけではいけないのです、思ったら実行しなければ。それを実行するかしないかがあなたの誠意であり、あなたの政治的手腕にかかわるわけだ。ほうっておいて、あと一、二年たてばまた変わるよ、そういう気持ちでは話にならないのです。これは私の希望です。
 それから、薬務局長ちょっと一つ。もう時間が来ましたが、新聞に載っていますね。国税庁の方でずいぶん実態が明らかになりました。私がいままで指摘したとおりです。この実態についてはお聞きになりましたか。
#138
○山崎政府委員 お答え申し上げます。
 先般も国税当局にいろいろ聞いたのでございますが、税務行政の立場からの調査でございまして、他の行政目的には利用させていただけない、こういうことがございます。私どもはそういう強制的な調査権も持っておりませんが、先般も大臣が製薬主要メーカーと集まりがありましたときにも厳重に自粛を要請したところでございまして、私どもも近々一般的な事情を聴取したい、かような考えで進めたいと思っております。
#139
○谷口委員 要するに国税庁の方からは資料がもらえなかったということですか、明確に答えてください。
#140
○山崎政府委員 具体的な資料はちょうだいできませんでした。
#141
○谷口委員 いまから事情聴取するというのですが、どのように聴取するのですか。
#142
○山崎政府委員 先生御案内だと思いますが、従来から製薬業界に対しましては添付なりリベートという問題については、いわば不公正な取引条件の一つである、こういうようなことで、現に通達も十回にわたって出して自粛を重ねてきたわけでございます。また、とりわけて五十二、五十三、五十四年におきましては、三回にわたりましてそういう行為があったものについて具体的に薬価基準の収載から削除する、こういう大変厳しい措置もとったことでございまして、私どもはおおむねその辺は大分締まってきた、かように認識しておったところでございまして、税務当局の調査年次も五十二、五十三が中心でございますので、あるいはその辺の絡みがどうなってまいりますか、それは別問題といたしまして、その姿勢だけは堅持してまいりたい、かように考えております。
#143
○谷口委員 あなたは今度薬務局長になられたのだけれども、本当の話、何遍通達を出してもばかにされているんだからだめですよ。あなた方が何の法的権限もなくて、立入検査もできなくて、相手に書いてもらって頭を下げて調べて何がわかるのですか。だから、法的な一つの基準を設けなさいと再々言っているでしょう。健康保険法については簡単に私たちはすっと通しませんぞ。いろいろな問題をそのときに質問いたしますけれども、最後に大臣、あなたはこの前製薬会社の社長を集めてお会いになりましたね。そのときに、私たちは新聞でしかわからぬが、非常に実情がよろしくないということで強い注意を与えたということになっていますな。この問題についてあなたは実情がわからないで、何がどれだけリベートがあったかわからないで、あるいは何が添付されたのか、何で招待があったのか、そんなことわからないで注意なさったのですか。
#144
○野呂国務大臣 新聞を見まして担当の者にその実態はどうかということについて尋ねると同時に、十四日に製薬企業十四社の方々を招きまして、いろいろ薬価の問題等も国会で御指摘をされたわけですので、この点私の感じをいろいろ申し上げると同時に、とりわけ新聞に掲載されたこの事態が今後あってはならぬ、十分反省を促す、こういうことでございまして、実態問題については今後究明しなければならぬというふうに考えておりますが、まずこれからそういうことのないように注意を願いたいということを十分に話したわけであります。
#145
○谷口委員 最後の一言になりますが、大臣、ほかの、たとえば薬務局に聞いたって何もわからないのですよ。聞いてもあなたは何もわからなかったと思います。それはなぜかなら、法の不備なんです。あなたが一番の責任者でしょう。責任者が何もわからぬで、ただ新聞に載っておったから注意したでは、これはおさまらない。したがって、やはり法的なきちっとしたものを持たない限り薬務行政、医薬品行政はいつまでたったって変わりませんよ。税金で締めつける以外にない。これはおかしいと思う。あなたの心構えをひとつ伺って、私は質問を終わりたいと思います。
#146
○野呂国務大臣 この問題につきましては、従来から強力な指導をいたしてまいったわけであります。しかし、指導で十分及ばない、今後そういう問題が発生するおそれありとする場合は、十分規制も考えていかなければならぬというふうに考えております。
#147
○谷口委員 終わります。
#148
○竹内(黎)委員長代理 次に、坂口力君。
#149
○坂口委員 久しぶりに発言の機会を与えていただきましてありがとうございます。
 きょうは年金の問題につきまして皆さん方に提案をし、また御意見を伺いたいと思うわけでございます。特に野呂厚生大臣はかねてから年金問題につきましては御造詣の深い方でありまして、それがゆえに厚生大臣になられたのかもしれませんが、きょうは基本的な問題でひとつ御意見を承われればというふうに思うわけでございます。
 年金の問題が今日ほど重要な地位で叫ばれているときはないと思います。しかし、年金制度が非常に込み入っておりますために、正しく認識されるということが非常にむずかしいのもまた事実でございます。実は先日国会の方に互助年金制度の一部改正案が出まして、国会議員もこれから国民年金に入ることができるということになったわけでございます。まことに恥ずかしいことでございますけれども、あれが出ますまで実は国会議員は国民年金に入ってはならないということを知らなかったわけでございます。と申しますのは、四十七年からずっと実は掛金をしてきたわけであります。きょうは私そのことを申し上げるつもりはございません。私の場合は掛けてきたわけでございますからそれを放棄すればそれで済むことでございますけれども、逆に掛けなければならないのを掛けなかったり、あるいはまた継続すべきものを、認識が十分でなかったがために途中で放棄するというようなケースもあるわけでございます。
 最近私の手元に多くの方々から意見が寄せられておりますのは、かつて厚生年金にお入りになっていて、そして会社をやめられた方が、いわゆる脱退手当金として一時金をもらわれて、そしておやめになった方々から何とかしてこれが復活できないだろうか、やめるときには本当にそういう詳しいことも何もわからずにやめるときの一時金の一部のようなつもりで受け取ってしまった、認識不足であったと言われればそれまでだけれども、しかし何らかの方法はないのだろうか、こういう声がたくさん寄せられているわけでございます。国民年金におきましては特例納付制度がことしの六月三十日まででございますか、いま受け付けられているところでございますが、この国民年金の方は、いままで入っていなかった人についてその道を開くということでございますが、厚生年金の場合には少なくとも一度入っていた人について、何らかのいろいろな条件はつくでしょうけれども、道が開けないのであろうか、こういうことでございます。どちらが濃いかと言えば、一度入っていた者の方がより関係は濃いという気もするわけでございます。しかし、法体制上はいろいろな問題があることは私も承知をいたしております。
 現在、脱退手当金受給資格というものがあると思いますけれども、これはどんなものがございますか。
#150
○木暮政府委員 脱退手当金の制度につきましては変遷があるわけでございますが、実は昭和五十三年の五月三十一日に女子の特例がなくなりまして、現在の制度は男女を通じまして厚生年金に五年以上入っておられる方であって、六十歳の時点で年金にどうしても結びつかない、通算年金にも結びつかないという場合に脱退手当金が出る、こういうふうになっておるわけでございます。
#151
○坂口委員 三十六年……
#152
○木暮政府委員 五十三年五月三十一日までは女子につきまして特例が残っておったのでございますが、現在は男女を通じましてそういう形で制度があるわけでございます。
#153
○坂口委員 新しい制度ができました裏には、いままでのそうした制度の弊害を取り除くためにできたのであろうと思いますが、最近はかなり年金問題がやかましく言われるようになりましたので、あるいは最近は減っているかとも思いますが、特に三十年代から四十年代前半くらい、この辺のところでは、多くの方がせっかく長い間掛金をしながらそれは退職一時金みたいな形でもらっておやめになったというケースが非常に多かったと思うわけでございます。その人たちがその後国民年金に入られた方もございますし、あるいは一時それが中断しておった人も中にはあるわけでございます。また、中には再度お勤めになって、現在また厚生年金に改めて入ってみえる方もあるわけでございます。中には国民年金と厚生年金とを足しまして、ぎりぎり期限いっぱい、定められた国民年金なり厚生年金なりの二十五年あるいは二十年という期限にいくかいかないかという人もあるわけでございます。
 そこで、死んだ子供のよわいを数えるようだけれども、十年ないし十五年いままでに掛けて一時金をもらったけれども、その一時金を現在の貨幣価値に換算をして、あるいはまたそれが今日まで運用されたとするならば利息等もついたであろうから、その分も換算をして、それに見合うべきものを何とか返還をする道が開けないであろうか、こういう声がたくさん出てまいりましたのは、やはり現在の年金の制度の間にいろいろな格差がある。ですから、国民年金でいけば年金権が得られるようにできているじゃないか、こういう御答弁にもなるかと思います。しかし、確かに年金権は得られるかもしれませんけれども、その差がかなり大きいというところにこの問題が出てきておるのではないかと私は思うわけでございます。
 この際、ひとつ御意見を伺っておきたいと思います。
#154
○木暮政府委員 脱退手当金が支給されますと、脱退手当金の支給の基礎になりました期間は被保険者期間でなくなってしまうわけでございまして、場合によれば年金権に結びつかないことが出てまいりましょうし、また年金権に結びつきますにしても、脱退手当金をもらわなければ長い期間を基礎とした年金が得られるということで、脱退手当金をもらわなければもっと高い年金をもらえただろうというケースが出てくるわけでございます。
 脱退手当金の制度を振り返ってみますと、昭和三十六年に国民皆年金を実施したわけでございますが、その前と後で若干意味合いが違ってきているんではないかと思います。国民皆年金になりまして、各年金制度に通算が行われるということになったわけでございますが、その前は、厚生年金だけということではどうしても年金に結びつかないし、将来厚生年金の適用されている職場に再雇用されるというような見通しも余りないということであれば、脱退手当金を受けるということも当然考えられることであったろうと思うわけでございます。特に女子の場合には、やはり結婚までとかあるいは子供が生まれるまで勤めるというようなことが多かったわけでございますので、脱退手当金をもらうということになろうかと思いますし、またそういう事情を考えまして、女子の脱退手当金を男子より優遇していたというようなことがあったわけでございます。しかし、昭和三十六年に国民皆年金にいたしまして以後は、まあ若くして亡くなられれば別でございますが、すべての期間が生きるようになってきておるわけでございます。初め先生、年金制度はむずかしいので国民はなかなか理解しにくいという御指摘もございましたけれども、制度的にはすべての期間が年金に結びつくように通算されるということになりましたので、脱退手当金をもらうかどうかという選択の仕方が、昭和三十六年の前と違う意味合いを持ってきておるんじゃないかと思います。昭和三十六年に国民皆年金にいたしました際には、その当時御高齢であった人のこととか、あるいは脱退手当金をすでにもらってしまっておるというような方もおるということを考えまして、通算制度の上でも、あるいは厚生年金だけの方の場合にも、単独通老というようなことで言っておりますけれども、期間短縮をするような措置を講じておりまして、年金権に結びつかない方は恐らくほとんどいないんじゃないか。額は低額にとどまるということはありましても、昭和三十六年の国民皆年金のときに同時に行いましたそういう特例措置で、すでに高齢の方も、あるいは脱退手当金を受けられた方も年金に結びつくということになっているはずだと思うわけでございます。そういう意味では、当時脱退手当金をすでに受けられた方について十分配慮したというふうに私ども考えておるわけでございます。昭和三十六年以降につきましては必ず年金に結びつくという制度になっておりますので、一時金を選ばれた方にはやはりそれなりの理由があって一時金を選択されたということに制度的にはなるのじゃないかと思います。
 また、これは申し上げるまでもなく、厚生年金制度は、民間の事業所に勤務しております方々が事前に掛金をされて、老後等に年金を受けるといういわゆる社会保険の仕組みをとっておるわけでございますので、脱退手当金を選ばれて、その保険料をお返しするというような形がとられた場合につきまして、ある程度の利子をつけるにしろ、脱退手当金を返してもとの期間を生かすというのはやはり制度の根幹に触れると申しますか、基本的な問題でございまして、簡単にそういう措置がとれそうにもないと申し上げざるを得ないと思っております。
#155
○坂口委員 根幹に触れる問題であることも承知いたしておりますし、それがゆえに実はここに提案をしているわけでございます。確かに三十六年以降は年金権というものをほとんどの人が、あるいはすべての人かもしれませんが、得られるであろうと思いますし、現在そうなっているであろうと思います。しかし、先ほども触れましたように、その額といい、あるいはまた受給年齢といい、やはり厚生年金と国民年金の間には差があることも事実でございます。したがいまして、私がいま提起しておりますような問題が起こってくるわけでございます。その時点で脱退をしました人は、個人の意思によってしたことになるわけでありますから、いまさらということにはなるであろうと思いますけれども、しかし、その脱退した人たちには、年金なるものがどういうものであるかということ、あるいはまたいま書類を出せば返してもらうものが、これが将来どういうふうに影響するものであるかというようなことも含めて、余り十分な認識なしにおやりになっている人が多かったことも事実だと思うわけであります。国民年金の場合にも、現在とられております特例納付制度というものが何とかしてできぬであろうかと再三意見が出たわけでございますが、その初めの時点におきましては皆さん方から、制度上は大変それはむずかしい、あり得べからざることであるという御答弁が何回か繰り返されていたと記憶をいたしております。しかしながら、多くの皆さん方のお声が政治を動かす結果になりまして、非常にあったかい制度だと思いますが、現在の制度が生まれたわけでございまして、六月三十日という最終段階を迎えているわけでございます。
 でありますから、厚生年金につきましても、根幹にかかわるむずかしい問題であることは十分にわかりますけれども、それだけに、多くの声が上がればやはり一度検討に値する問題ではないか、こういうふうに思うわけでございます。
 大臣、何かございましたら、ひとつ。
#156
○木暮政府委員 御指摘の問題、非常によく理解はできるわけでございますが、特例納付の問題でございますが、これもいまお話の中で御指摘がございましたように、私ども事務当局としては、なかなかむずかしい問題ではないかと申し上げておったわけでございますし、また国会のたっての御議論で実施いたしましたときに審議会等にお諮りをしたときにも、これは保険制度というものの本質に矛盾するということでございまして、審議会等の学識の先生方からは非常におかしいという御指摘を受けたわけでございます。しかし、国民年金の場合には、先生御承知のように、厚生年金とちょっと違った立場がございます。と申しますのは、厚生年金の場合には、そもそもは資格を取得する場合の届け出とか保険料の徴収とかが全部事業主の義務になっておりまして、事業主が給料から天引きして保険料を保険者に納めるというようなことで、どちらかというと被保険者の本人は余り注意を払わなくてもちゃんと保険料を納めるという結果になるような手続になっておるのでございますけれども、国民年金の場合には、まず保険制度というものに従来全く関係がございませんでした自営業者等の方々に実施したという点がございますし、また保険料も自主納付ということでございまして、自分で資格取得を届け出て自分で保険料を納めるというような特殊事情がございます。そういう点も加味すれば、保険制度といたしましては、保険事故が近づきつつあるときに保険料の追納を認めるというのは非常におかしいと思うのでございますけれども、国会の御議論もあって踏み切った。しかし、いま申し上げたように、厚生年金とは大分事情が違うということは一つ申し上げられると思うわけでございます。
 もう一つ、厚生年金で脱退手当金の期間の抱き起こしをするという場合に申し上げなければならないことは、実は脱退手当金を支給した件数がすでに六百万件あるわけでございます。この六百万件の基礎データというものが必ずしも整備されておりませんで、仮にそういうことをやるにいたしましても、六百万件のすべての方々に公平な手続をするということは恐らくできないだろう、そういう点もあることを申し上げさせていただきたいと思います。
#157
○野呂国務大臣 いま年金局長がお答え申し上げておりますとおり、一たん退職手当金を利息をつけて払い戻しをしたという方が、年金の受給資格期間に過去掛けておったものを通算する、あるいはまた計算の基礎に繰り入れてはどうだろうかということについては、十分その事情がわからない、理解不足のために生じたことだというのも私は個々にいろいろ聞いてはおるわけでございますが、制度として基本の問題であるということでなかなか困難でございます。退職手当金を選んだ方と、あるいは選ばずにそのままずっと継続していった人との差というものをどうするか、不公平の生じないような取り扱いをどうするかということは大変困難な問題であると思います。ただ、国民皆保険におきます年金制度のあり方全体の中で何とか救済措置がとれないか、これはなお続いて検討する必要があるかと思います。
#158
○坂口委員 大臣から、むずかしい問題ではあるけれども今後検討する余地はあるという御答弁をいただきまして、一応私も満足でございますが、先ほど局長が御答弁になりましたように、被保険者が注意を払わなくてもよい制度でありましただけに、ややもいたしますと自分が年金の掛金をしているという意識が非常に低くて、退職金の一部というような気持ちで返してもらった人が多かったことも事実でございます。国民年金のように自主的に自分からすべて払っておりますと、やはりその意識というものももっと高いのであろうと思います。しかし、月々月給の中から引いていってもらう、こういう形になっておりますと、ややもいたしますと掛金をしているという意識が、少なくとも過去におきましては薄かった、これは否めない事実だと思うわけであります。それだけに、そういう制度であったのかと後になって気がつかれる方も多いわけでございまして、脱退をした人の責任はすべてその人にあると言ってしまえばそれまででございますけれども、やはり行政上もそれらの点を十分に指導する責任というものはあったであろうと思いますし、事実、各会社におきます担当者がその辺のところを十分に退職者に認識させたかどうかということにつきましても多くの問題があるところでございます。中にはもう一律に、この用紙を持って、これに記入をしてどこどこへ行っていらっしゃい、そうしましたら退職金がもらえますからという形で渡されたところもあるやに聞いているわけでございまして、これはもう過去のことでございますけれども、いまになればその人たちにとりましては非常に悔やまれることであったわけでございます。根幹に触れる重要な問題であることはよく認識いたしますが、根幹に触れる問題でありますだけにぜひひとつ今後御検討をいただきたい、かように思うわけでございます。もう一言御答弁をいただいて終わりにいたしたいと思います。
#159
○木暮政府委員 先ほどお答え申し上げました中でちょっと舌足らずであったと思いますけれども、国民年金で特例納付をいたしましたのは、厚生年金の場合には資格取得届あるいは保険料納付が事業主の手で行われるということがございまして、そこが国民年金と違うところではないかということを申し上げたわけでございます。脱退手当金の場合には本人が請求書を出すということでございます。ただ、それにつきましても、先生のおっしゃるような事情があることは事実だろうと思います。非常にむずかしい問題でございますが、今後の研究課題として検討させていただきたいと思います。
#160
○坂口委員 では、これで終わらせていただきますが、そういうことでございまして、大臣、むずかしい問題でございましょうけれども、ひとつ御検討をいただきたいと思うわけでございます。六百万件というお話がございましたが、その内容もいろいろであろうと思いますし、そのすべてに救いの道があるのか、あるいはその中の特定の条件の人に救いの道があるのか、よくわかりませんけれども、大臣、あわせて御検討いただきたいと思います。
#161
○野呂国務大臣 大変な数に及んでおるわけでございますから、その実態が那辺にあるのか、これも調べなければならぬと思います。また、これは単に厚生年金だけの問題ではなくて、年金制度全般のあり方についての中で検討していかなければならぬ課題であるというふうに考えておるわけでございます。
#162
○坂口委員 ありがとうございました。
#163
○竹内(黎)委員長代理 次に、梅田勝君。
#164
○梅田委員 スモン問題につきましてお伺いいたします。
 昨年九月十五日にようやくスモン問題の年内全面解決を約束する確認書が調印されたわけでありますが、結局昨年内には解決ができなかったわけであります。田辺製薬、日本チバガイギー、武田薬品工業のいわゆる被告製薬三社は、多大の苦痛をスモン患者とその家族に与えてきたわけでありますが、今日なお、この問題につきましては不当な争いを繰り返して全面解決に至っていないわけであります。
 そこで、今日の時点で確認をしていただきたいわけでございますが、裁判の原告の数、それから和解済みの数、なお解決のついていない分、並びに国が鑑定をいたしましてそれが済んだ分、鑑定済みの分、それから投薬証明が出ていないということになっている数につきましては、どのようなものでありましょうか。数だけで結構でございますから確認しておきたいと思います。
#165
○山崎政府委員 お答え申し上げます。
 提訴患者の数といたしましては、三月一日現在で五千百八十七名でございまして、そしてそのうち鑑定報告がなされておりますのが三千七百七名、さらにその中で和解済み、和解が調いましたのが二千七百十六でございますが、このほかに地方裁判所におきまして判決をすでに受けておりました者の数が五百六名でございまして、そのうち百三十四名が和解が成立しておりますので、いわゆる判決済みの中で和解が成立しておりますのが百三十四名、ただいま申し上げたものでございます。そういうことで、現在和解が了しておりますのが二千八百五十名、こういうことに相なりまして、五千百八十七名の患者、提訴者数に対しまして二千八百五十名が和解が済んでいる、かようなことでございます。
 なお、投薬証明書のない人の数というのは、どのようなあり方が投薬証明書がないのか、あるいは薄いのか、その辺の境界が定かでございません。そういう意味できっちりと数をつかむに至っておりません。
#166
○梅田委員 お伺いいたしますと、いまだに半分近くが解決できていないということになろうかと思います。その間ずっと苦しみを受けながら救済が受けられないということでございまして、全面的な解決が即刻求められておろうかと思います。すでに東京地裁の勧告も出されておりまして、その諾否がこの三月、一括回答が求められておりますが、しかしなお製薬三社というものは解決をおくらしておる、きわめて重大なことだと思うわけであります。
 そこで、大臣にお伺いしたいわけでございますが、以前聞いたときには最優先で取り組むとおっしゃっておりましたが、即時全面解決、これがおくれている責任について大臣はどのように感じておられるか、まずその点をお伺いしたいと思います。
#167
○野呂国務大臣 責任のあり方、大変むずかしいお尋ねでございますが、いずれにしても東京地裁の所見が出まして、国はその責任を明らかにしなければならぬということで、地裁の所見に全面的に従いますということをお約束申し上げたわけであります。ただ、ともに責任を持っております製薬企業側におきましては、その後鋭意説得に努めておるわけでございます。御指摘のような現状であることは大変遺憾に存じております。しかし、問題は、国と同様に製薬企業もこれに従ってもらいたいということをなお説得を続けてまいるわけでございます。ただ、先ほどもお答え申し上げたのでありますが、説得という言葉は二字でございますけれども、当たってみますと、私どもなかなかそう簡単に、おいと言えばはいと答えてはくれないという現状は御理解をいただきたい。しかし、国としての大きな無限の責任を感じながら担当局長はこれに専念をしておるというのが現状であり、ごく近く、あすあさってにも関係製薬企業の社長を私の手元に呼んでおります。さらに説得を続けていきたい、こういうことでございます。
#168
○梅田委員 これは考えてみますと、もともと確認書が調印されておるわけでありますから、これを無条件即時実行ということでいけば問題がないわけでありまして、私どもたびたび申し上げましたように、地裁に判断を求めるという必要もなかったわけであります。国の責任というのは非常に大事であるわけでありまして、私どもに言わせますと、国はまず立てかえてでもこの公約を実行するということが必要であっただろう。今日の時点になって考えてみますと、一層そのように思うわけであります。まして東京地裁の勧告が今日出ている。それが出れば製薬三社を説得して早期解決を図りたいとたびたび公言をされてきたのでありますから、できないはずはない。国がどれだけ強力に製薬三社に対して対応するかということにかかっているように思うわけであります。私どもは患者の皆さんが切実に要望されております、一つには、投薬証明書のない患者、薬物関連性を問題とされている患者について、勧告を受諾し、早急に救済すること。二つに、また投薬証明の有無にかかわらずスモン患者に対する一時金の支払いなど救済の内容につき和解済み患者と差別なく救済すること、この内容ですね。つまり、製薬三社はみずから生み出したスモン薬害を真摯に反省し、三月七日の東京地方裁判所民事第三十四部の所見及び裁定を即時全面的に受諾すべきである、こういう統一的な要求を支持するわけでありますが、この点につきましては国におきましても同様であろうと思うわけであります。
 そこで、先ほど来大臣は一生懸命努力をしておる、しかし相手のあることで説得というものは非常にむずかしいということをおっしゃっておるわけでありますが、いままでずっと経緯があるわけですから、いつまででも引き延ばされてはたまったものではありませんし、やはり製薬三社に対する説得のめどですね、先ほど来議論されておりますが、いつまで、どうするのか、期限を明確にしてもらわないと困るわけでありますが、その点につきまして再度お伺いいたしたいと思います。
#169
○野呂国務大臣 この解決が和解という一つの裁判上の手法を用いておるというところに大変むずかしい問題もあろうかと思います。それがために今日まで患者の方々に大変御迷惑を相かけてまいったわけであります。したがいまして、私どもは努力をするということをお答え申し上げる以外にないわけでございまして、現実その努力を続けておるわけでございます。したがって、いつにそのめどがつくのかということは、一日も早く私どもめどをつけたいというふうにいささか焦りぎみではございます。しかし、毎日会ったから解決が早くなるとか、あるいは長時間会ったから製薬企業がこれに従うんだという、そういう物理的な問題ではございませんだけに、この説得には難航を続けておるという御理解をいただきまして、しかし私どもはこれに対しては鋭意最善の努力を続けて、そして早く、一日も早く解決できるように努力を続けたいということを申し上げる以外に、見通しをいま申し上げる段階に至っていないことは大変遺憾に思うのでございます。今後とも努力を続けてまいりたいと思います。
#170
○梅田委員 結局、いつまでという期限が明確にならないということは非常に残念だと思うのです。
 そこで、委員長にお願いをしたいわけでありますが、製薬会社が不当な解決の引き延ばしをやっておるわけでありますから、その実態を国会でも明確にして、そして即時全面解決を図るために、私は製薬三社の代表者、社長を当委員会に喚問して、徹底的に明らかにしたいということを要望したいのでありますが、いかがでございますか。
#171
○竹内(黎)委員長代理 ただいまの梅田委員の御要求につきましては、追って理事会で協議をいたしたいと思います。
#172
○梅田委員 それでは、スモンの恒久対策の問題につきまして一つ伺っておきたいと思いますが、スモン患者の治療方法の科学的研究、スモン患者らの福祉の向上に必要な恒久対策の措置というものにつきましては、昨年の九月十五日にやはり確認事項がつくられております。これに従って対策が講じられておろうかと思いますが、スモンの治療対策のために国立宇多野療養所に新しい施設を整備する、東の方におきましては府中につくられるということになっておりますが、それはどの程度進行しておるのか、その設備の内容、医療体制につきましてお伺いしたい。
 いま一つ、東の方は府中、西の方は宇多野ということになっておりますが、患者の身近にないので不便だ、もっと近いところにそういうものができないものかという要望があるわけでございます。それにつきましてどのような対策をお考えになっているのか、時間がございませんので簡潔にお願いいたします。
#173
○田中(明)政府委員 国立療養所宇多野病院につきまして私からお答えさせていただきます。
 宇多野病院のスモン病棟につきましては、五十四、五十五年度の予算で四十床のスモン病棟を整備中でございまして、五十六年、来年の二月竣工の予定でございます。二月竣工いたしましたら、できるだけ早く開棟をいたしたいというふうに考えております。
 なお、このスモン病棟には医師、看護婦等、職員二十六名を配置する予定でございます。
#174
○山崎政府委員 引き続きましてお答え申し上げます。
 都立の神経病院は、従前府中病院と呼ばれておったものがございますが、その府中病院の神経内科六十床を母体としてそれが独立いたしまして、この七月一日に総ベッド数で三百床の神経専門病院という形でオープンする予定でございます。このスモンに関しましては府中病院時代からいろいろと協力をいただいておるわけでございますが、総病床三百床のうち神経内科病床百六十床が整備される予定でございまして、その中で従前どおり受け入れに協力していただく、こういうことに相なっております。
 なお、御指摘のように、東京、京都だけで間に合うのかということでございますが、私ども全国各地で希望する医療機関で治療を受けたいという御要望にこたえるべく、すでに国立病院、国立療養所あるいは自治体病院、こういうものを中心に受け入れがスムーズに行われますように、私ども薬務局が窓口になりまして医務局とともに、御紹介申し上げて入院のあっせんをやっております。
 以上でございます。
#175
○梅田委員 なお尋ねたいことがございますが、時間がございませんので次に進めさせていただきます。
 聾唖者の問題についてお伺いしたいと思います。御承知のように、来年は国際障害者年でございますが、まだまだわが国の障害者福祉対策というものは十分でございません。きょうはそういう点で聾唖者の問題を取り上げていきたいわけでございます。
 今日、全国で聾唖者は約二十三万五千人と言われておりますけれども、約百三十万と言われている全身障害の数の一七・九%、約二割に近い多い数でございます。そこで、手話奉仕員の登録を見てみますと約九千人でございまして、まだ非常に少ない。これはもっと積極的に養成すべきではないかと思うのでありますが、いかがなものでしょうか。
    〔竹内(黎)委員長代理退席、委員長着席〕
#176
○山下政府委員 御指摘のとおり、五十三年度末の手話奉仕員の登録数は約九千名でございます。職安でございますとか社会保険事務所でございますとか、そういったところへ奉仕員が派遣されましたのが五十三年度約一万六千件、実際は養成をいたしまして手話のできる方はもっと多数おられるわけでございますが、現在登録されておるのはそのような数字に相なっているわけでございます。御承知のとおり、障害者社会参加促進事業という統合されたメニュー事業での助成をいたしております。その中におきまして手話奉仕員の養成あるいはその派遣事業、手話通訳者の設置事業というものを助成をいたしております。こういった事業につきまして今後とも最大の努力をいたしてまいりたいと考えております。
#177
○梅田委員 手話通訳をされる方の社会的な地位を高めるという面もありまして、国家認定等を制度化しろという要望が強いわけでございますが、できればそういう制度をつくって、認定した者を公務員に採用してサービスの窓口に配置するということをやるべきではないかと思うのでありますが、この点についてはいかがなものでしょうか。
#178
○山下政府委員 地方に対します助成事業といたしましては、ただいま申し上げましたように、手話奉仕員の養成事業あるいは派遣事業あるいは手話通訳者の設置事業というようなものに対して助成をいたしておるわけでございます。これを公務員として採用するか否かという点につきましては、やはり国なり都道府県、市町村といった地方公共団体それぞれの状況に応じまして、需要に応じて判断するのが至当ではないかと考えております。
 認定試験等のいわゆる国家試験等の制度を考えたらどうかという御指摘でございます。これにつきましては今後の問題として検討いたしてまいりたいと思っておるわけでございますが、厚生省といたしましては、昭和五十四年度から全日本ろうあ連盟に対しまして手話通訳の指導者の養成事業というのを新しく始めております。五十五年度予算におきましても、その内容を充実をいたしているわけでございまして、当面そういったことによりまして手話通訳者の資質の向上あるいは量の確保ということに努力をいたしてまいりたいと考えております。
#179
○梅田委員 そういった手話通訳者の養成を図っていく、その養成をやる場合のいろいろ研修会がありますね。そういう場合の旅費とか助成なんかも今後考えていただきたいと思うわけであります。
 次に、年がいかれました聾唖者が老人ホームに入られましても、お話ができないというので、なるべく聾唖者だけの老人ホームが欲しい、こういう要望が非常に強いわけでございます。現在、広島に五十人規模のものがあって大変よく利用されているようでございますが、盲人専用の老人ホームもあるわけですから、厚生省としてもこれの設置の方向にもっと力を入れていくべきではないかと思うのが一点でございます。
 それから、社会福祉法人がそういった施設を設置します場合に、非常に多額の費用が要るわけでございます。非常に苦労をしてやっているわけでございますが、土地代はともかくといたしましても、土地の造成費はせめて国庫補助の対象にすべきではないかというように思うわけであります。京都いこいの村というのが現在計画されまして、取り組んでいる状況を聞きましても、土地代は非常に安いのですよ。安いのですが、それを基盤整備するのが非常に高いということで非常に御苦労があるようでございますが、その点なんかはいかがなものでしょうか。
#180
○山下政府委員 御指摘のとおり、盲老人のための施設は現在全国で十一カ所程度ございますし、聾唖者のための老人ホームが広島に一カ所ございます。今年度実は北海道にも一カ所設置される予定がございます。今後とも地域の需要の実情等を勘案いたしまして検討をいたしてまいりたいと考えます。
 社会福祉施設を設置いたします場合の土地の造成費の問題でございます。御承知のとおり、現在の施設整備費におきましては土地代の補助はいたしておりません。造成費につきましても土地代と同じ考え方をとっておるわけでございますが、造成費につきましては、実は民間社会福祉事業の振興という観点から、社会福祉事業振興会というのがございます。ここにおきまして融資の道は講じておりまして、通常のものよりも有利な条件での援助をいたしておるわけでございまして、それの活用を検討いたしてまいりたい、かように考えるわけでございます。
#181
○梅田委員 時間がございませんのでさらに詰めることはできませんが、引き続き努力をしていただきたいと思います。
 最後に、大臣にこの点でお伺いしたいわけでありますが、御承知のように、民法十一条が改正されまして、聴覚、視覚障害者に対する社会的障害の除去は一歩進んだわけでありますが、厚生省関係の諸法規におきまして数多くの資格制限がありますとか、あるいはおし、つんぼ等好ましくない用語というものが法律の中にあるわけでございます。そういう点で、まず厚生省関係の資格法にあるものについてこれらを一掃していく、そしてこれらの人々の職域拡大のために力を尽くすというようにしてはどうかと思うのでありますが、この際厚生大臣の御所見を承っておきたいと思います。
#182
○野呂国務大臣 医療従事者関係法規におきまして、その免許の取得を制限する欠格事由が設けられておるわけでございまして、このことについては、特に厚生省関係だけでも適正化をするように、いわゆる完全参加というような意味から十分見直していく必要があることは言うまでもございません。これは慎重にひとつ検討してまいりたい、かように考えます。
 なお、差別用語の問題につきましては、これは法改正ごとにやってきておるわけでございます。したがいまして、一括してすべての法律をこの用語だけの改正をやるということもなかなかこれは法改正のたてまえからいっても大変むずかしい問題であると思いますが、法律改正時においては一つ一つをとらえて差別用語を改めていきたいというふうに考えております。
#183
○梅田委員 来年は、先ほど申し上げましたように、国際障害者年でございますから、格段とこれらの問題につきまして努力をしていただきたいと思います。
 最後に、保育所不足解消問題につきまして一つだけお尋ねをしたいと思います。いわゆる保育浪人というのがございますが、全国的に約三十万いると言われておりますけれども、これは働きに出ているお母さんにとりましては非常に悩みの種になっているわけであります。先日、私は、あるところで保育要求の懇談会がありまして、たくさんの方々から直接実情を聞いたわけでございます。たとえば、京都市の左京区というところにおきましてことしの四月の入所状況ですが、定員四百九十二名に対しまして九百六十六名が応募した。つまり四百七十四名があぶれたわけであります。実に倍率は一九六・三%、二倍でございます。全く激しい競争率になっているわけでありまして、特に内訳を見てみますと、ゼロ歳児は百十八人に対して百九十人、一歳児は四十六人に対して百八十九人、実に四倍以上でございます。二歳児は百二十七人に対して二百十四人、三歳児は百三十四人に対して二百十四人、四歳児は五十一人に対して百十七人、五歳児は十六人に対して四十二名、こういうことになっておりまして、非常に激しい競争率。それから、年度途中に子供が生まれましてそして産休が明けたというお母さんは全く取りつく島がない。こういう状況が現実であろうと思うわけであります。
 厚生省として、児童福祉法の規定によりまして、保育に欠ける児童につきまして措置する責任があろうかと思うのでありますが、これは一体どのような計画で解消していくのか、明確な御答弁をいただき、また大臣のその点についての御決意をいただきたいと思います。
#184
○竹内政府委員 お答えいたします。
 京都市の左京区の例をお引きいただいたわけでありますけれども、確かに大都市の場合、保育所の定数に対しまして保育に欠ける子供がすべてカバーし切れないという実態があることは私どもも承知をいたしております。もちろん、そのためには、私どもとしては、保育所の増設といいますか、あるいは増改築等による定員の増加を図るという形で対処してまいっておるわけであります。特に昨年来、私どもといたしましては、一般的に出生率が低下している中でも依然としていわゆる人口急増地域あるいは大都市等においてはそうした傾向が、婦人労働の進出の著しさに伴って出てまいっておりますので、いわば全国的に見ますと実は保育所それ自体はグロスではある程度満たしておるわけでありますけれども、そこのところをどうするかということで、できるだけの努力をするという意味で、もっぱら大都市の保育所の整備というのに整備費の補助金等につきましても優先的に配分をするということのほかに、あるいはいままで整備の十分でなかった無認可保育所のようなものを小規模保育所として取り上げて整備をするという形で対応しておるわけであります。ただし、大都市でも、例示されましたところがそうでありますけれども、同じ市内でも実は保育所の定員が逆に残っておるところも一部あるわけであります。そういったところは地域の偏在という問題でございますので、多々ますます弁ずということはなかなかむずかしいので、私どもとしても、市町村あるいは都道府県の御協力を得ながら、個別問題ではございますけれども、主としてそういう集中地域に対する不足の解消ということについて整備の促進を図ってまいりたい、かように考えております。(梅田委員「年度計画は」と呼ぶ)
 年度計画と申しますのは、これはむしろ京都市なら京都市あるいは京都府それ自体が、いわばそこの子供さんたちのこれからの増加傾向を見通して、その年その年だけでやるわけではございませんので、そういった面を含めまして、私どもとしては、その整備計画を私どもにお出しいただきますときにその辺をお示しいただいたところについて積極的にこれの解消に対応しておるという意味で、昨年から特に大都市、人口急増地域を中心に保育所整備を図っておるということを申し上げたわけであります。
#185
○野呂国務大臣 いまお答え申し上げましたとおり、緊急度の高い地域と申しますか、人口急増地域を中心といたしまして、地域の要請にこたえて、国としては整備を推進してまいったわけであります。なお、無認可の保育施設がございますが、こういう施設をさらに個々に指導をいたしまして、認可できるような形に持っていかなければなりませんし、また小規模保育施設の制度を適用いたしまして、今後無認可の保育施設の解消に努力をしなければならないと考えておるわけでございます。このことについては、保育の要望が非常に強いわけでございますから、都道府県、市町村と十分話し合いを進めながら整備に万全を期してまいりたい、私はかように考えます。
#186
○梅田委員 時間がございませんのでこれで終わりますが、ともかくも深刻でございますので、強化をしていただきたいと思います。
#187
○葉梨委員長 次に、田中美智子君。
#188
○田中(美)委員 ことしの二月二十九日の日経新聞に、竹内児童家庭局長が、電話帳を見た限りではというふうに言っておられますが、ベビーホテルというか、赤ちゃんホテルというのが都内に三百社、全国で千社ぐらいあるのではないかというような記事が出ておりますので、竹内局長もある程度御存じだと思います。
 新聞だとかいろいろなものに書かれているものを見てみますと、一時間千円くらいで預かる。一泊すると一万二千円という高級ホテル並みのお金がかかる。電話帳を見ましても、またいろいろなビラを見ても、その状態がよくわかるわけですけれども、いまここに持ってきております「幼保園」というので、「園児募集中」というようなこのビラは、市ケ谷周辺に全戸に配布されたビラです。これは一軒残らずということらしいですね、ずっとこれがばらまかれた。この記事一つ見ましても、チェーンになっているんですね、同じ経営者が幾つかあっちこっちにこういうものをつくっている。
 それから、電話帳を見ますと、非常におもしろいのですけれども、これはコピーしてきましたけれども、山手線がずっと書いてありまして、この山手線の駅のところに将来ずっとつくっていく。いまできたところは黒丸になっていて、白丸のところはいま建設中というのですから、これは全部できますと、ずっとここにベビーホテルができるようになっているわけですね。ですから、どんどん急増しているという感じがするわけです。これは電話帳のベビーホテルのところをちょっとコピーしてきたわけです。
 これは私もまだ実際に見てきておりませんけれども、うわさの範囲では、非常に大変な状態のようです。いろいろ私は、知人やその専門家などに行ってもらったのですけれども、外の人が見に行っても、保育の状態というものを見せないそうです。ですから、そんなところに無理に行くということが悪いと思ってまだ行っていないわけですけれども、そこに預けた人たちのお話をいろいろ聞いてみますと、ビルの地下室で窓が全然ないとか、窓ガラスがないような、それこそ廃屋みたいなぼろ家でやっているとか、ビルの非常に高いところ、そういう階にあるとか、とても狭いところにびっしり赤ちゃんを並べて置いているとか、ひどいところでは、これは熊本の話だそうですけれども、プロパンの倉庫の二階をベビーホテルにしている、まさに火薬の上に赤ちゃんを載っけているというような、ちょっとオーバーな発言ですが、そういう感じのところがあるというふうに私のところに訴えが来ています。それから、食べる物にしても、そこらの店屋物をとりまして、それを大人の一人前のものを五人の子供に少しずつ分けて食べさせるというような形で、栄養とか衛生とか、そういうものはほとんど考えられていないのではないかというような状態が訴えられてきているわけです。
 それで、ついこの間、四月十二日に、国連婦人の十年中間年日本大会実行委員会というのが主催しまして、集会が持たれました。これは御存じだと思いますが、四十八の婦人団体が一緒になってやっているということは、日本の婦人団体がほとんど網羅されている。これは思想信条を超えて網羅されてこういう実行委員会がつくられているわけです。
 これはそこで出されたパンフレットです。いろいろな要求やいろいろな決議やなどが出ているわけですけれども、この中にやはり「深夜業の母親を対象とする赤ちゃんホテルを初め、各種の子育て産業が繁盛し、育児が商業主義の手段とされている危険な状態が生じている。」ということを、婦人団体四十八団体がともにこの危険性を訴えているわけですね。
 いま、御存じのように、ぺットのホテルというのがあるのですね。犬がリボンをつけたり、何かネコが洋服を着たりというような、そしてホテルもあるということですけれども、それと同じようなレベルですね。
 それで、人間の赤ちゃんが商業主義の中に入っている、それも特殊なものではなくて、いまそれが急増してきているというこの実態を厚生大臣はどのようにお考えになるか、それから、これに対してどのような対策をとられようとしているか、その点をお聞かせ願いたい。
#189
○竹内政府委員 ベビーホテルの問題でございますが、私も二年前からこの問題に非常に関心を持ちまして、いろいろな角度で調べて対応をしたいという気持ちで、いろいろ手を尽くしてみているわけであります。
 私どもが承知しております中には、一番古いものは昭和四十二年ごろから、もうこういうシステムで動いておるところがあるようでございます。先生自身が御指摘のように、実は私どもが参りますと、なかなか入れてももらえませんし、ときには電話で当たってみましても、どちらさんですかというときに、うっかり児童家庭局長とか厚生省と言うと、もうそれだけでぽんと切られてしまうというケースもしばしばございます。そういうことで、私どもは、法律上、児童福祉法あるいは母子保健法その他関連の法律の中に何か足がかりはないかと思って苦心をしてみたわけでありますし、また、そのために関係のそれらの専門の役所との相談をして、何か厚生省でこの部分について手をつける足がかりになる法律として得られないだろうかと思って見たわけでありますけれども、現在のところ、日本の現状の中ではこうしたことがいわば野放し状態であるということで、非常に残念だと思っております。
 いまお話しのように、どういうことと、こう言われましても、実は中には大変手の込んだ、ちゃんとしたところもあるわけでありますけれども、かなり多数のものが、もうベビーホテルという名もおこがましい、あるいは無認可保育所という、保育所という言葉を使うのもおかしいんじゃないか、単なる一時的な預かり所といったようなものがあるわけであります。そういったものを私どもの立場で何か規制をするか、あるいは積極的に一定の基準を定めて登録制度を行政指導という形でやれないものかということについて、私どもも、実は家庭保健基本問題検討委員会の中でも取り上げられておりまして、この点についての試行錯誤であれこれ、場合によっては、いささか強引過ぎるかもしれないけれども、乳幼児の生命と健康を保持し、増進するということが母子保健法の趣旨であるだけに、母子保健法の趣旨に照らしてということで一定の枠をかぶせることも検討して、一時実行しようとまで実は思ったわけでありますけれども、なかなか現在の法律の中で行政官庁がそこまで立ち入ることについては憲法上も問題があるというような御意見をいただいたりしまして、まだ踏み切れないわけであります。
 その辺、そういう意味で、先生からこれはどうするつもりだ、あるいは何かの対策は、こう言われましても、私どもその対策を実施するための手がかりというものを実は暗中模索をしておりまして、何らかできるだけ早い機会に、そういったものがもしなかなか得られなければ国会にお願いをいたしましてでも一応それらの根拠規定なるものをどこかに求めるというようなことでやれないものかというふうに考えているわけであります。
 それからもう一点、こういった問題の中にはただ単に保育所が足りないとか何とかという問題でないものがたくさんございます。それからもう一つは、深夜の婦人労働という中身の問題等もございまして、いわゆる行政が福祉行政として一律にそれに対応することについての適否もあるようでございます。
 そういった点で、私どもこの問題、決してなおざりにするつもりはございませんけれども、ただ、いまの段階で具体的にこういたします、あるいはこうならなければならないというところまで言い切れる状態にないということだけは申し上げておきます。
#190
○野呂国務大臣 ベビーホテルを規制する法的根拠がない、それだけ実態の把握もむずかしい、こういう現状はこれは許せないことであると私は思います。したがいまして、皆さんとも御相談申し上げながら、基本問題検討委員会におきましては検討項目にはなっておりますけれども、余りこれをゆっくりながめておるわけにはまいらないかと思います。場合によっては規制措置を講じていく、法改正もやるというところまで積極的に取り組まなければならぬ、そう思います。
#191
○田中(美)委員 これは規制措置をいまの法律でできない。四十二年ごろから出ているということはもうずいぶん早いわけですから、厚生省としては立ちおくれていないか。急激にチェーン店みたいにしてできているわけですから、それは福祉行政のおくれという、いま家庭局長が言われたように、そうでないものもあるという、それもある程度私もわかりますけれども、やはり先ほど梅田議員が言われましたように、保育所に入れない、そういう人がやむを得なくそういうところを利用しているということもありますので、その行政と相まってやらなければならないものだと思います。早急にこの実態を、わずかであっても実態を調査していただきたい。そして、規制措置をしてほしいと思うのですけれども、調査をすぐしていただきたいと思います。簡潔にお願いします。
#192
○竹内政府委員 私どもも調査をいたしたいということで、ここ二年間いろいろ手を尽くしたわけでありますけれども、これからも自治体等の御協力を得ながら何とか実態の把握ということに私たちも努力をしてまいりたいと思っております。
#193
○田中(美)委員 その次は、名古屋にあります国立名古屋病院の問題ですが、昭和五十一年の五月十七日の社会労働委員会で当時の石丸局長が答弁していられます。国立病院に家族付き添い、これが非常に多い。これは家庭破壊にもつながっているということですので、この問題を何とかしてほしいという質問を私がいたしましたときに、「病院が必要と認める場合には、その患者さんに付添をつけまして、それは病院の費用でつける、かような措置をとっております。」こういうふうに答えているわけです。国立病院の場合は、医者が医療上必要と認めた場合にはそういう措置をとっているのだ、このように答えているわけですね。
 それで、名古屋病院に働く労働者が東海医務局長にそのことを聞いているわけなんですね、国会でこういう答弁をしているがどうなんだということを。そういうことは聞いていないというので議事録を見せたところが、それは私、というのは医務局長ですね、不勉強でした、こう言っておられるわけです。局長が国会の答弁に目を向けていなければならないことは事実ですけれども、その前に、局長がそういう答弁をしておきながら指導してない。それも名古屋病院の事例を出して名古屋病院をやってほしい、こう言ったので、やると言っておるのにそれを医務局長が知らないということは、国会答弁というのはいいかげん答弁なんだということを言われた大臣が首を切られたという事実もあったわけですが、そんなことではいいかげんな答弁じゃないかということで、二つの問題点があると思うのですね。
 一つは、国会で答弁したことをきちっと責任を持って指導していないじゃないかという問題と、その後何の改善もなされていないという問題と二つあると思うのですが、この点いかがでしょうか。
#194
○田中(明)政府委員 国会で答弁いたしましたことにつきまして、担当の機関あるいは者に対して速やかにこれを伝達するということがなされていなかったということにつきましては、まことに遺憾に思います。今後そういうことのないようにいたしたいと思います。
 なお、国立名古屋病院につきましては、先生も御指摘のとおり、本年の二月現在でも百二十三人の家族が付き添っているという実態がございまして、これは全国のほかの国立病院に比べて非常に多いということで、五十二年の当時に比べますと、ある程度減少いたしております。これは私どもといたしましては看護婦の定員を十人ばかりふやしましたし、医療上必要のないのに家族の付き添いを要求するということは厳に慎むようにということを、国立名古屋病院だけでなくほかの国立病院にも再三にわたって指導しておりまして、名古屋病院初め全国の病院も徐々に改善を見ておりますが、全国で一〇%ぐらい患者に家族がまだ付き添っておりますし、名古屋病院の場合には先ほど申しました一七・五%というような数になっておりますので、今後とも従来からの努力を続けまして、医療上必要があるものにつきましては当然病院の方で責任を持つ、家族等の希望による特別の場合は例外的に認めるという方針を徹底させてまいりたいと思っております。
#195
○田中(美)委員 私、いまここに持っておりますのは全日本国立医療労働組合、全医労が調査したもので、数字がいま局長の言われたのと少し違っておりますけれども、局長の方が少し少ないですけれども、おっしゃったように、よその国立の医療センターとか、横浜病院、京都病院、福岡中央病院とか、こういう患者の多いところと比較しましても名古屋病院は二三%、あとは大体一けたなんです。圧倒的に名古屋病院が多くなっておるということで、これは基本的にいま局長の言われたことと似ておると思います。
 いま言われましたように、家族が希望した場合には原則として認めておる、こう言われるわけですけれども、これは家族が希望したようにしてくれと病院側から言うわけです。患者や家族というのは病院に対して非常に弱い立場ですから、しょうがないから、そういうふうに言われれば仕方がなくこちらが希望したような形でついているということです。私はこれは一〇〇%けしからぬとは言いません。それは看護基準が低いということが、結局たてまえとしては完全看護のたてまえをとっていても実際には十分な看護ができないし、看護婦さんのオーバー労働になっておるわけですから、だからこそ何とか規制しなければならないけれども、家族の方から希望したような形をとるのは、いろいろ事情を話して病院から正直にお願いしてほしいと思うのです。家族がお願いに応じられないというときには、何とか病院でもってやるのだと前の局長が言っておるわけですから、それぐらいのことはしてほしいのです。そうしませんと、たとえば父親が入院した。そうすると、前にも言ったわけですが、子供が高等学校を一時休学して、一年間病院のベッドの横に寝ておるというような、幾ら何だって、それも本人の希望なんだから許可したのだ、こういうことはいけないと思うのです。
 ですから、看護基準を直して人数をふやすということは前提の要求として大臣にもお願いしたいわけですけれども、そこに行くまでの過程というのは、少なくともその家族が一方的に希望したような形をとって付き添いにつけるのではなくて、十分な話し合いをして、あくまでも病院側がしなければならないのだけれども、家族の方にもし手があるならばお手伝い願いたいというならば、これは必要悪ですけれども、私はそこまで厳しく言いませんけれども、ぜひその点をもっと話し合いをして、家庭破壊が起きるような、夫婦が一年間別々になっている、その間に夫はよそに女をつくってしまったというようなことさえ起きているのですから、そういうことにならないような御指導を願いたいと思います。大臣と局長のお答えをお願いします。
#196
○田中(明)政府委員 先生御指摘のようなことにつきましてはまことに遺憾であると思いますので、今後ともそういうことのないように十分に指導いたしてまいりたいと思っております。
#197
○野呂国務大臣 局長の答えたとおりでございまして、今後努力いたします。
#198
○田中(美)委員 労働省来ておられますか。――「昭和五十五年度労働基準行政の運営について」というのを労働省は出しておられます。これですね。これによりますと、第二の対策別運営方針、そこの二の労働条件、労働福祉対策、その一の労働条件対策の(1)ですね、ここに労働時間対策というところがあります。ここに、「労働基準法第四十条の規定に基づく八時間労働制の特例については、本年度廃止を予定している」、そしてこれを周知徹底するということが書かれております。つまり、施行規則の二十七条で特例の場合には九時間でもいいというふうになっている、これを取っ払うということですけれども、これは間違いありませんね。
#199
○岡部説明員 本年度の行政運営方針に、先生御指摘のように書いたわけでございます。そして、その実現に向けて現在努力をいたしているところでございます。
#200
○田中(美)委員 ことしじゅうということですが、ことしのいつごろになるでしょうか、見通しは。
#201
○岡部説明員 この特例の廃止、大きな問題でございまして、昨年末に全国的な調査的監督を行いまして現在その結果を集計中でございます。これがまとまりましたらその成果を踏まえまして関係各方面からの意見の聴取を行い、かつまた労働基準審議会にも諮らなければならない案件でございます。したがいまして、その具体的な時期につきましては現段階では申し上げることができるような段取りにはなっておらないわけでございます。
#202
○田中(美)委員 厚生大臣に伺います。
 いまお聞きになりましたように、何月ということはわからないけれども一応ことしじゅうにこの四十条の施行規則が改正される予定であるということはおわかりいただけたと思います。それで、よく言います看護条約、ILOの百四十九号条約ですね、この条約を批准してほしいという請願は、超党派的に、自民党から共産党・革新共同まですべてのところに来ていると思います。いま私のところにも七万三千人の請願が来ております。それは日本医労協や日本看護協会などから批准をしてほしいと来ているわけです。この中身を見ますと、国内法に触れるところは、いまの労基法四十条の施行規則二十七条のところだけが触れるわけです。ですから、これさえ改正されれば、細かい話し合いやいろいろあると思いますけれども、一応国内法に触れるところはここだけですね、これが改善できれば批准できるわけですので、できるだけ早く批准をしていただきたいわけですけれども、大臣の決意を伺いたいと思います。
#203
○岡部説明員 ただいまの看護条約の批准問題につきまして、この看護条約とわが国国内法との関係を考えました場合に、御指摘のとおり、この特例の存在というものが大きな相違であるということは事実でございます。したがいまして、この特例の廃止、これにつきましてはまだ関係各省とも十分に詰めていない段階でございますが、もしこれが実現いたしましたならば、この条約の批准に向かいまして一歩大きく前進が図られるであろうということは想像にかたくないところでございます。
#204
○田中(美)委員 労働省はもう結構なんです。私、厚生大臣に聞いているのですから。
 厚生大臣、労働省はああいうふうに言っているわけです。一歩大きく前進していると言っているわけですから。
#205
○野呂国務大臣 本条約及びその勧告の内容の実現について、これはいろいろな角度で検討しなければならぬ課題はございますけれども、まず厚生省としては当面看護婦確保対策の確立が必要であろうということでございまして、五十年度を初年度といたしまして、第二次看護婦需給計画にのっとりまして、六十年に約六十六万人の看護婦職員を確保するという総合対策をいま進めておるわけであります。この批准ができますようにその内容を整備してまいりたい、かように考えております。
#206
○田中(美)委員 この条約はいまのままでできるわけなんですよ。この四十条の施行規則二十七条が改正されればできるわけですから。まず批准するということは、厚生大臣がこうした需給計画をより一生懸命やっていくというあかしになるわけです。その需給計画をやってから批准するのじゃなくて、早く批准をしてほしいと言っているのです。それを答えていただきたいのです、大臣。
#207
○田中(明)政府委員 先ほど労働省の方からお話のありました改正につきましては、確かに大きな一つの改善であると思いますけれども、私どもが了解しておりますのは、その点だけが解決すればすべてオーケーということに必ずしもならない、まだいろいろ検討すべき点も残っているように了解しておりますので、今後、大臣も申しましたように、そういうほかの点につきまして関係の各省と十分検討して進めていきたいと思います。
#208
○田中(美)委員 しかし、国内法上触れるものはそれであるし、私が見たところではこれは非常に抽象的なんです。何を何せよという具体的じゃないわけですから、各省が話し合えばこれは努力目標として批准するということはできるわけです。ですから、そんなにぐちゃぐちゃ重要な問題はないのです、ここ一つですから。これはことしじゆうに達成できる。ならば、できるだけ早くその話し合いをしてほしいのです。聞くところによると、全くやってないそうじゃないですか。やっていますか。やっているのでしたら、いついつどこで各省ちゃんとやったか、それを言ってください。何もやらないでおいて重要なところがありますなんて逃げてもらっては困るのです。簡潔にお願いします。
#209
○田中(明)政府委員 担当課長が労働省とこの点につきまして従来からいろいろ協議しているというふうに了解しております。そういう過程におきまして、まだ先生御指摘の点以外にも問題があるというふうに聞いておりますが、さらにこの点十分検討いたしまして善処したいと思います。
#210
○田中(美)委員 そんなにおろおろした答弁、だめですよ、ちゃんと質問取りをやっているのですから。もう少し――何となく関係者がどこかでやっているようだなんて、そんなことは、どこの省だってやっているようだというようなこと、それはたくさん人がいるのですから、どこかでちょっと話したということはあるかもしれません。そんなことじゃなくて、責任ある人たちが、やはり大臣級の人たち、局長だけが集まってこういうことをやる、そういうことをしなければ進まないじゃないですか。ですから、いまの態度はやろうという態度じゃないですよ。
 大臣、どうですか。いまやっていないんならこれからやるというふうに。
#211
○野呂国務大臣 労働大臣ともあるいは関係大臣とも十分話し合って進めてまいります。
#212
○田中(美)委員 一日も早くこの条約をしていただけますように、これは一日もという言い方は文学的ですけれども、ことし労基法のそこが改正されれば来年なりに条約が批准できるような、こういうことをぜひやっていただきたいと思います。うなずいているだけでなくて、もう一度。
#213
○野呂国務大臣 わかりました。
#214
○田中(美)委員 その次、先ほど大臣のお言葉にありましたが、看護婦需給計画で着々と――批准してもその後勧告がありますから、この勧告に沿ったような形でやっていくということを大臣言われているわけですが、五十三年度までの看護婦需給の五カ年計画を見てみますと、私は看護婦にとって一番大変な問題というのは夜勤の回数だと思うのですね。これはいろいろな面から大変なものはたくさんあると思います。しかし、看護婦が結婚した場合に、夜家にいないということは大変な問題だと思います。
 それで大臣、ちょっと横道にそれますが、いま「看護婦のオヤジがんばる」という映画ができているのです。これがいま試写会の段階で、大体五月の初めから全国に封切られるのですけれども、その前売り券がものすごい異常な形で売られているんですね。私は早速見てきました。これを見ますと、いかに看護婦の家族が大変か。看護婦のオヤジというのは父親じゃなくて看護婦のだんなのことですね。その子供とだんなが、夜家に奥さんがいないわけですから、それがどんなに大変かということは、大臣は御経験がないからおわかりじゃないし、私もそういう経験ありませんのでちょっとわかりませんが、この「看護婦のオヤジがんばる」というのを見ると、非常にユーモアのある明るい映画です。ぜひ厚生大臣見ていただきたいわけです。もしあれでしたら招待券などを差し上げてもいいとまで思っていますが、厚生省の方ぜひ見ていただきたい。いかに夫と子供たちがいろいろな意味で犠牲に耐え、看護婦が患者のために働くことを支えているかということが涙ぐましくわかります。
 そこで私は、きょうは非常に重要な問題として、夜勤の回数が多いということは大変だと思うのですね。この看護婦需給計画、五カ年計画を見てみますと、一人夜勤というのは、やっているところは一三%減っているんですね。ですから、二人夜勤、三人夜勤というふうになっている。多少減っているということは改善されているということです。しかし、一カ月何日夜勤するか。二・八体制というのが出てもう十何年になるわけですけれども、八日以上やっているところというのはむしろふえているのですね。夜勤がふえているのです。ですから、大臣が言われた五カ年計画、四十九万人達成したと、数としては達成したかもしれませんけれども、その計画自体が達成しても実際には夜勤がふえているということは、その計画にやはり問題があったんではないかというふうに私は思います。
 それで、五十四年度から七カ年計画がまた出て、六十年までに六十六万二千八百人を達成するという計画がそちらから出されております。これを見まして、果たして二・八体制がちゃんととれるように改善できるのか。特に夜勤の回数が果たして減るのだろうかというふうに思います。この計画ですね、これはどう思われますか。
#215
○田中(明)政府委員 第一次の看護婦の需給計画におきましては、私どもはいわゆる二・八体制の普及の目標というのを八〇%に置いて看護婦を確保してまいりたいと計画したところでございますが、五十三年末におきまして、公的な医療機関等におきましては大体この目的が達成されておるように考えておりますが、まだ私的な医療機関においてはこれに及ばない状態でございます。
 第二次の看護婦の需給計画につきまして、六十年末で六十六万人の数を確保すると計画しておるわけでございますが、この目標が達成されますれば、二・八体制はおおむね九〇%の施設において実施可能になるというふうに推定いたしております。
#216
○田中(美)委員 八〇%と言われますけれども、実際にはこれは七五%ぐらいですよね。実際にはこれは一人夜勤と両方含めて言っているわけですから。夜勤で言えば、いま言いましたように、夜勤の回数はふえているのです。ですから、全然改善されていないのですね。また、九〇%なんていいかげんな――どこで聞いても九〇%と厚生省は言うのですよ。中身を聞いてみると具体性がないのですね。それで夜勤が減るかと私は聞いているのですよ。大臣、五カ年計画で夜勤はふえているのですね。七カ年計画で夜勤が減るかと、こう私は言っているのです。またこれは七カ年計画でふえるのなら、二・八の二のところは改善されても、八の方がどんどんふえていくということは、二の方は、勤務しているその晩が十分な看護ができるとか、労働の密度が少し軽くなるとかいう問題であって、夜勤の回数が減るということとは関係ないわけですからね。それをくっつけて考えてもらったら困るのです。私はいま夜勤の回数が減るかと聞いているのですけれども、結局お答えがきちっとできないわけですね。
 それで、次のあれをお聞きしたいのですけれども、一看護単位四十に対して十六という数で計算をなさったそうですけれども、予備率というのはとっていられますか、この積算に。
#217
○田中(明)政府委員 先ほどの御質問に対する答えですが、二・八という中には、二人でという問題と夜勤日数が八日という二つがございまして、先生御指摘のとおり、最近、日数に関してはふえているような傾向も見られておるわけです。ただ、そういうところでは二人じゃなくて三人の人が一緒に夜勤する、それで日数がふえているというような面もございまして、私ども計画をいたします場合には、二人で八日というような二つが結び合った形でないとちょっと策定ができませんので、先ほどのような答えになったわけでございます。
 それから、予備率というお話でございましたが、これにつきましては、看護婦の資格を持っている数の中の就業者の率という点は一応考えておりますけれども、その中でまた細かく予備率を何%に押さえているかというような点になりますと、実は私どもは需給計画の策定は、将来の人口、それから疾病構造の変化、医療機関の増、あるいは医療の内容の高度化、専門化による増、それから先ほども申しました二・八体制の充実を中心といたしました看護婦労働条件の改善に伴う増というような観点で一応の推定をいたしておりますけれども、先生御指摘のような点までは必ずしもこの中には入っておりません。
#218
○田中(美)委員 一言で答えていただけばいいのに、長々とそんなにおっしゃらずに、予備率は入っていないとおっしゃれば、大事な国民の時間ですから、むだ遣いなさらなくてもいいんじゃないかと思います。私は、予備率が入ってないと思ったのですね。
 看護婦さんは人間ですから、ロボットと違いますので、有給休暇もとりますし、病気にもなります。それから、赤ちゃんも産みます。特に看護婦さんは若い看護婦さんが多いわけですから、産前産後の休暇もとります。また、家族にいろいろ不幸があれば忌引もとります。こういうふうないろいろな権利休暇というものをとるわけですね。これを予備率と言っているわけですから、こういうものを何にも計算しないで計画を立てるということ自体が、大臣、非常にずさんな計画なんですよ。ただ、予備率を幾らとったかということでの論争なら、まだ専門家の論争だと思いますけれども、予備率何にもなしで、看護婦さんは有給休暇もとらない、赤ちゃんも産まない、病気にもならないという形で数でやっている。これは大体、普通でいけば予備率というのは五〇%ですよ。有休給暇を完全にとるとか生理休暇もとる、こういうふうにすれば五〇%ですよ。ですから、それが全然入ってないということは、三分の二の計画なんですよ。こんな計画で七年後に看護婦さんの夜勤の回数が減るということは考えられないのです。机上の計画なんですね。これは看護婦さんに対しても、非常にこの計画に不信感を与えています。たとえば、予備率を厚生省は三〇%にした、しかし看護婦さんたちは五〇%にせよという論争ならわかるのですけれども、ゼロということは、厚生省は看護婦は産前産後の休暇もとらないし、病休もとらないということを腹の中に入れて物事を立てているということ、まさに砂上の楼閣を建てている、この七カ年計画というものがいかにずさんなものであるかというふうに私は思います。
 それで、いまここでこの計画はいかにずさんかということを何遍とうとうと述べても始まりません。しかし、私はいま厚生大臣に、こういう計画に沿ってやっていたのではだめだ、少なくとも現状にもっと目を向けて看護婦の数をふやしてほしいわけです。これは五十四年十二月十三日に出されたおたくの方の資料ですから、国立病院療養所の定員について、国立病院療養所問題懇談会、この数字を見てみますと、大学病院、患者百人に対して六十一ですね。こういうふうに数字が五十八、四十八と、ちょっと端数がありますが、この中で国立病院が最低に少ないんですね。なぜこんなに少ないのか。ぜひ国立病院を――民間企業やまたいろいろな病院ではひどいところがあります。これをいま言っていますと時間がかかりますので、少なくとも大臣のおひざ元ぐらいは何とか改善してほしい。この国立病院の看護婦がなぜこんなに少ないのか。大学病院並みに上げれば、約倍近くふやさなければならない。大学病院ができることがなぜ国立病院でできないのか。大臣、しっかりしてくださいよ。ここをふやしていただきたい。それをお願いしておきます。
#219
○野呂国務大臣 いま国立病院の悩みは、まさに看護婦さんの問題、お医者さんの問題でございます。他の公立病院よりも著しく定員が低く抑えられておる、こういう問題でございまして、これは少なくも医療の水準を向上させるという大きな使命を持っておる国立病院だけに、今後この問題の解決は厚生省、何よりも先になされなければならない問題だ、かように考えるわけでございます。引き続いて看護婦の養成確保対策に取り組んでまいりたい、かように考えております。
#220
○田中(美)委員 最後になりましたが、ぜひこれは漠然として今後努力しますということではなくて、早急に、それこそ一人でも二人でもという、現場ではそうなんですよ、そこまでせっぱ詰まっているわけですので、その点を、国立病院に対する看護婦の緊急対策をとっていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
#221
○野呂国務大臣 努力いたします。
#222
○田中(美)委員 質問を終わります。
#223
○葉梨委員長 次に、米沢隆君。
#224
○米沢委員 私は、いま話題を呼んでおります臨床衛生検査の問題について若干の質疑をいたしたいと思います。
 質問に入ります前に、当局に若干の説明をお願いしたいわけでありますが、まず第一点は、御案内のとおり、昭和五十三年度の国民医療費は十兆円を超えて、五十四年度にはさらに増大して十一、二兆になるかもしれない、こういう推計がなされております。そして、その総医療費に占める医療上の検査料の割合は、御案内のとおり、約一〇%前後だと言われておりますから約一兆円の巨額に上っておるわけでありまして、重要な分野であると私たちは考えております。
 このように臨床衛生検査というものがパラメディカルの一翼を担う重要な仕事でありながら、どうもお医者さんの下請的な存在だと言われ、そういう見方が依然として残り、同時にこの検査所が登録については野放しの状況にあるということから、後でまた問題を述べますけれども、いろいろと問題点が指摘をされている状態にあります。したがいまして、その役割りというものがどうも社会的な位置として低いものになっておるという感が強い。このことは将来のいろいろな医療の面でゆがみを生じさせ、これからの医療に重大な影響を及ぼしかねない大変重大な問題ではなかろうかと思うわけであります。
 したがって、まず当局は、医療における臨床検査というものはどのような役割りを果たしていると評価しておられるのか、特に医療面にどれくらい寄与していると思っていらっしゃるのか、そしてそれを踏まえて、その面における行政指導の力の入れぐあいはどれぐらいのものか、総医療費中に占める検査料の総額あるいは伸び率を御説明いただきながら説明をいただきたいと思います。
#225
○田中(明)政府委員 総医療費中に占める検査料の割合等につきましては保険局の方で答えるようにいたしたいと存じますが、臨床検査の医療の中における役割りという点につきまして、私どもは、医学の戦後の急速な進歩に対応いたしまして臨床検査技術も非常に急速に発達をしておりまして、近代の医療における診断あるいは治療というものにおきまして臨床検査は非常に重要な役割りを演ずるようになってきていると考えております。特に近年、検査の機器の自動化等が進められてまいりまして、また、ラジオアイソトープというようなものが導入されてくることによりまして医療における臨床検査の役割りというのはますます大きくなっていると考えております。
#226
○石野政府委員 国民医療費におきまする検査料の総額とその伸びのぐあいでございますが、五十一年度の数字をとりましても検査料が約五千六百億、当時の国民医療費が七兆六千億でございますので約七・三%の比率でございました。こがれ五十三年度の概数で見ますと、国民医療費全体で十兆円、そのうちの検査料九千億、比率にいたしまして九%になるわけでございます。もっともこの数字は社会医療調査の数値を用いまして推計いたした数字でございますので、確実にその数字を申し上げるわけにはいきませんけれども、大体そんな傾向にあると思います。
 今後の伸びをどう考えるのかということでございますけれども、いま医務局長が申し上げましたように、今後の医学の進歩なりあるいは検査技術の発達によりまして、より的確な診断を行うためにこの検査の必要性というものはますます高まってくると思うわけでございます。そういう意味で、国民医療費に占めます検査料の比率も、大幅ではございませんけれども、それ相応の伸びを示すというふうに考えておるわけでございます。
#227
○米沢委員 御承知のとおり、この検査そのものが技術者の関係あるいは検査機器の高額化に伴いまして、自分で検査をやるという病院よりも外部に委託するという外注化の傾向があるわけでありますが、この外注化の傾向がもたらしつつある影響についてどういうふうに御判断なさっておられますか。
#228
○田中(明)政府委員 医学の進歩あるいは医療内容の高度化、検査技術の発達等に伴って、的確な診断を行うために検査の必要性が高まっているわけでございます。その検査の中にはいろいろと高度な技術あるいは検査機器を必要とするものもふえておりますし、また検査機器が自動化等の面で非常に進んできておりますので、数少ない件数を手でやるといいますか、器械を余り使わないでやる場合よりも、多数の検体を集めましてそういう高度な検査器械を使ってやった方が効率も高まりますし、したがってコストも低くなるということになろうかとも存じますので、しかるべき資格を持った人と設備を持った臨床検査あるいは衛生検査の検査所におきまして、委託といいますか、受託によりまして適切な検査を行うということについては、必ずしも否定すべきものではないと考えております。
#229
○米沢委員 外注化の傾向は、いま御答弁の中では、経済的な側面があるということを強調されておりますけれども、私は後で問題を指摘したいと思います。これは確かに経済合理性を追求する上で否定する何ものもないわけでありますが、外注化の傾向即検査業界にいろいろ与えておる影響、検査そのものの質の問題等々、そのあたりの観点からもう少し影響度合いを御説明いただければちょっと前向きかなと思っておりましたけれども、どうもそのあたりが余り触れられておりませんので、大変不満であります。後でまた御質問いたします。
 冒頭申し上げましたように、昨今医療における臨床検査のあり方という問題が大変社会的な関心になりつつあります。その理由には、数多くの問題があると思いますけれども、特に問題視され始めた理由に、いま検査づけという言葉が生まれておるほどに、最近の病院や診療所などの臨床検査の頻度がまさに検査ラッシュと言われるほどのものでございまして、それが治療上大きな貢献をしていることは好ましいことではありましょうけれども、反面、お医者さんの依頼でこの検査を行う民間の衛生検査所のうち何の規制も受けていない未登録検査所が数多く存在をし、この業界の過当競争も反映いたしまして、検査料金のダンピングが横行する。ために、検査の質という面から大きな疑問が生じつつある。事人命にかかわるこの種の検査が、世に言う信頼性が保証されないということであれば、これは重大な問題であると私は思うのでございます。
 そこで、厚生省当局はこのような検査業界の実態についてどのような認識をされておるか、大臣から御答弁いただきたいと思います。
#230
○野呂国務大臣 未登録の衛生検査所に対しましては、登録衛生検査所の趣旨を周知徹底せしめることが必要でございます。その結果、登録率は大分向上してきておりますが、御指摘のように、衛生検査所がその業務の効率化に努めていくことはもちろん必要でございます。しかし、その場合にありましても、その検査が正確でなければならない、そうでなければこれはもう大変な問題を引き起こすことでございますから、そういう正確な検査を確保するという態勢のもとに対応していかなければならない、かように考えております。
#231
○米沢委員 私が申し上げましたのは、そういう業界に対して、当局としてこういう姿勢をもって臨むということを聞いておるのじゃありません。現在この業界がどういう状況にあるのか、過当競争の状況、料金のダンピングの問題等々、実態についてどういうふうな認識をされておるか聞いているわけであります。
#232
○田中(明)政府委員 料金のことはまた事務当局からお答えすることにいたしたいと存じますが、衛生検査所につきましては、先ほど来申し上げているように、医療における需要が非常に高まっておりまして、ここ十年足らずの間に五割くらいふえているという実態がございます。その中で、登録をいたしまして設備等の規制を当局としてやっているというのが三分の二くらいでございまして、残りの三分の一は未登録ということになっております。先ほど大臣が申しましたように、未登録のものについては登録をするように勧奨いたしまして、その実数また割合は、この十年来非常に減ってきてはおりますが、まだ三分の一は未登録という状態でございます。登録をされている検査所につきましては、先ほど申しましたような法令に基づく設備の規制、さらにその七五%以上が精度管理というものに参加いたしておりまして、自分のところでやっております検査の精度について客観的な管理を受けているという状態で、その質も次第に高くなっていると考えておりますが、未登録のものにつきましてはこういう精度管理ということも行われていないような状態でございますので、私どもといたしましては、こういう未登録のものについてさらに勧奨いたしまして登録をさせ、設備の充実、精度の向上を図ってまいりたいと考えております。
#233
○米沢委員 未登録が約三分の一を占める、これは数字を見せていただけばわかるわけです。未登録者があるがゆえにこの業界にどういう実態が存在しておるのか、どういう問題が指摘され始めておるのか、この問題を正確に御説明を願いたいといって私は御質問をしておるわけです。ダンピングの問題等については、意識的にか無意識か知りませんが触れられようとしませんけれども、実際はもうちまたにも聞こえておりますように、これは法律上だれでも開業できるわけでございまして、金もうけ主義の業者がこの業界になだれ込む。医療機関を回っては、保険点数の三、四割くらいの安値で請け負いますよといってダンピングをして歩く。これはこの前も国会でも問題になりましたね、このことは皆さんも否定されないはずです。
 同時に、現実には保険料と検査料との乖離があり過ぎる関係で、薬価と同じように、安い検査所を使って利ざやをかせぐ、残念ながらそういう方もおられるやに聞いておるわけです。私はそのあたりをもう少し真っ正面に御説明いただかないと議論が始まらないわけですよ。避けて通られるとちょっと問題になりません。それほどの認識かと私は言いたいのです。どうなんですか。
#234
○石野政府委員 私の方で臨床検査の受託料金の実態をある程度調べておるわけでございますが、これは業者なり検査の種目によって違いがございますので一概には言えませんけれども、特に頻用されます血液理化学検査につきましては、おおむね検査点数の五〇%から七五%、それからその他の病理学的検査等では、七〇%から九〇%程度で受託しているのではないかという数字がございます。
 なお、ごく一部の検査機関におきましては、数項目の検査セットですべてやる場合がございます。その場合には、一番安いのでは二四%程度で受託される例もございます。しかし、その場合は、セットに含まれている項目すべてについては保険請求できるわけではございませんので、若干その差はございますけれども、そういう例もございます。
 いろいろなケースがございますけれども、いずれにいたしましても、保険点数とそういう受託しました検査所の料金については、大きな相違があるというふうに考えておるわけでございます。
#235
○米沢委員 そういう実態であれば検査の質には問題は生じないものでしょうか。この問題が第一点。
 それから、たとえばお医者さんが患者の血液や尿検査の必要を感じて検査所に依頼するとしますね。その段階ではお医者さん自身はその中身についてはどういうものかわからないわけですから、検査所から持ってこられた検査をもって判断をされる。もし、ダンピングのゆえにずさんな検査がなされて、その検査結果がお医者さんに手渡される、その検査によって今度はお医者さんがその患者の病状等を判断をされる場合に、これは医療過誤というものにも結びつく重大な問題を含んでおるんじゃないかと私は思うのです。したがって、そういうダンピングそのものが検査の質に本当は影響はないのか、あるいはひょっとしたら医療の過誤を起こすような問題に発展をしないのかということをどういうふうにお考えでしょうか。
#236
○田中(明)政府委員 私どもといたしましては、先ほど来申し上げておりますように、検査所につきましてはなるべく早く登録していただいて、設備を整備し、精度を高めるように指導してまいりたいと思って努力しておるわけでございますが、残念ながら未登録の検査所がまだ相当数ございます。こういうところにつきましては検査の質の問題等も把握できないという状態でございます。
 そこで、万一そういうような検査がずさんに行われまして、その検査の結果を使うことによって診断治療を誤るというようなことが起きた場合にはその責任の問題が生ずるわけでございますが、これにつきましては、検査の必要を判断し、それを依頼した医師、あるいは検査を行った検査技師等、あるいは検査に必要な機器あるいは材料に欠陥があるかどうかといういろいろな場合が考えられるわけでございますので、どこに、あるいはだれに責任があるということは一概には申せないと存じます。
#237
○米沢委員 そんな事故は起こっちゃ困るのですよ。そのために皆さんがおるわけだ。
 先ほどから未登録業者を登録化するということだけを方針だといって何回も繰り返しておられますけれども、私が申し上げたいのは、確かに未登録業者が野放しになっておる、その結果ダンピングも横行しておる、したがって検査にもずさんな面が出てくるであろう。そういう検査の質について果たして正常な認識で、問題があるというふうに認識されておるのか、そのことを私は聞いておるのですよ。どうなんですか。
#238
○田中(明)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、そういう誤った結果を導くようなことがあってはならないというふうに考えて努力いたしておるわけでございますが、何分未登録の検査所につきましてはそういう点についての指導監視ができないわけでございますので、早く登録させて、そういう監視の目から外れるような検査所がないようにいたしたいということで努力しておるわけでございます。
#239
○米沢委員 結果的には未登録業者を今後どういうふうに取り扱っていくのかという問題だと思うのですね。あるいはまた登録基準の強化をどう図っていくのかという問題に帰結すると思うのです。先ほどから局長の答弁を聞いておりますと、未登録業者の実情もわからない。わからないがゆえにその検査の質についても言及できない。しかし、もしそういう問題が起こらないと果たして腰を上げないのか。十分に常識的に考えて、普通なら百円でやるのを七十円でやるとか三十円でやるとか言われたらどっかに手抜きがあるであろう。手抜きがなかったら逆に設定の仕方が本当にものすごくおかしいわけですよ。そういう意味で、ただ未登録業者を登録化する。その登録化が進行しておる中においてまだ全然登録化に至らない、そういう業者がいろいろの間違いを起こす。問題が起こらないと腰を上げないなんという姿勢はぼくはおかしいと思うんだが、どうなんですか。
#240
○田中(明)政府委員 未登録の衛生検査所がまだ相当数残っているという大きな原因は、こういう衛生検査所の登録が義務づけられてないという点にあろうかと存ずるわけでございます。この点につきましては、この法律の制定の際にいろいろと審議されまして、職業の自由選択というような観点との調整で現行のような形になっていると了解しておりますが、この医学検査というものの重要性にかんがみまして、私どもはもう一遍衛生検査所の登録を義務づけるということについて現在検討いたしております。
#241
○米沢委員 その検討は急いでほしいと思います。確かに営業の自由という側面はあるでしょう。しかしながら、各省庁で許認可を行い、業者を選定し、いろいろとありますね。それは営業の自由があるにもかかわらず、社会的な大きな影響を持つであろうというところから一部のものに許可を与えるという制度が出てきておるわけでありまして、特に厚生省関係あたりでも、たとえば売春禁止法なんか、営業の自由だと言われても、それが社会的に大きな影響を与えるであろうからそれはだめ、こう言っておるわけでありますから、そういう意味で営業の自由を理由にこのあたり登録義務づけできないなんというのはナンセンスなんだ、私たちはこう考えておるわけでありまして、ぜひその義務づけ等について慎重にそして早急に結論が得られるように努力をしていただきたい、私はそう思います。
 それからまた、ちょっと問題がもとに返りますけれども、未登録業者の実数なんというのは厚生省には本当にわかっているのですか。
#242
○田中(明)政府委員 これは実は医師会といいますか、結局衛生検査所を利用いたします医療機関の方々の協力を得まして、大体都道府県において把握いたしておると考えております。
#243
○米沢委員 それはみんなあなた任せで、医療機関に聞くとか県のいろいろな衛生局とか保健局あたりに聞くとか、全くそれは実情としては本当に正確に把握されておるということにはならない。だから、ぼくは認識が甘くなるんだと思うのです。
 問題はもう一つあるのです。それは、正確に言いますと検査業者がやる質の問題です。たとえば、登録業者についても検査内容等について適正化が図られるように行政指導をなされる。これはなされてきたと思いますね。しかしながら、問題は、ここでもその未登録業者の取り扱いなんです。現在の法律によって、検査の適正化を図るという観点から登録業者の行政指導をなされておりますけれども、未登録業者というのは、いままで一体何をしてきたのですか。実態も余りわからない。実情も本当に把握されてない。しかし、検査そのものは医学的には大変重要な分野を占めておる、こうおっしゃる。しかし、未登録業者の検査の質という意味で適正化を図る意味での指導なんというのは本当は野放しだったのですね。どうなんですか。
#244
○田中(明)政府委員 御指摘のとおりでございます。
#245
○米沢委員 たとえば、先ほどから答弁いただいておりますように、未登録業者の登録化を一生懸命やっていただいておる。それは私も評価しましょう。しかしながら、もしいまの法律改正がなかったら、義務づけみたいな法律がなかったら未登録業者が登録に応じなくてもいいわけです。いままで一生懸命未登録の業者を登録化するため努力されてきた。未登録業者の中で登録などしたくない、しなくてもいい、そういう例はありませんでしたか。もし、その例が出てきたらどうするのですか。
#246
○田中(明)政府委員 実は未登録の検査所につきましても私どもは深い関心を払っておりまして、数年前にちょっとその状態について調査を行ったわけでございます。その際一応われわれが把握いたしました未登録の衛生検査所は全国で五百四十四でございましたが、そのうち約三分の二の三百六十六については回答が得られております。回答率は低いと言えば低いと考えられますが、未登録の施設からの回答としては私などは意外に高かったのではないかと思っております。
 それで、その未登録の検査所の内容でございますが、一応管理者として医師あるいは検査技師あるいは薬剤師というところを置いているところが大部分でございます。それでは、なぜ登録をしないのだということを聞いたわけでございますが、未登録であっても別に業務に差し支えないという返事が多いわけでございまして、確かにそういう意味におきまして、法律的な裏づけがないためにわれわれの勧奨による登録をさせる努力も行き詰まりになる例もございます。
#247
○米沢委員 登録しても余り意味がない、これは重大な問題なのです。結局登録してもしなくても一緒、登録すれば逆に登録基準あたりがあってやかましい。一緒だということはその分野に何ぼでも入りやすい、入って自由に気ままにやれる、そのことを意味しているわけでありまして、そういうところからも検査の質という問題が問われねばならぬ、私はそう思うのです。したがって、先ほど御答弁いただいておりますように、前向きに登録の義務化について御判断いただくということでございますけれども、問題は義務化すると同時に現在の医療の進歩、検査の進歩等に応じて基準を見直していく、そして基準を明確化し、義務づけして検査の質についてはどうこう言われない状況をつくっていくことが局長の役目だ、お仕事だ、そういうふうに私は思うのです。
 そういう意味から、義務づけについては答弁いただきましたから、あとは登録基準をもう少し強化する、そういう見直しみたいなものをなさるおつもりはありませんか。
#248
○田中(明)政府委員 医学は日進月歩でございまして、検査の面でも全くそのとおりであろうと存じますので、現在の登録基準、その設備の基準あるいは精度の向上のための監視等につきまして、さらに現在の進んだ検査技術に対応をいたして、必要があれば改定をいたしたいと思います。
#249
○米沢委員 その登録基準についても見直しをしていただく約束をいただけるわけですね。
#250
○田中(明)政府委員 先ほど申しましたように、医学的に見まして必要があると考えられるならばそのようにいたしたいと思います。
#251
○米沢委員 医学的に見て必要があればじゃなくて、見直さないとそんなのはわからないよ。見直しする作業が必要ですね。されるわけですね。
#252
○田中(明)政府委員 当然見直しは、検討という意味でいたします。
#253
○米沢委員 次に、検査の質の問題に直結しますのが、先ほどから言っておりますダンピングの問題です。
 先ほどから何回も申し上げておりますように、検査の料金はその種類ごとに保険点数が決まっております。しかし、医者と検査所との間にはその取り分の決まりはない。したがって、ダンピングみたいなものが横行すると私は思います。全国の臨床検査所協会の皆さんのお話によりますと、一般検査でも、検査所が五割の取り分を取らねば十分な精度は保てないのが常識だという話があるわけです。たとえば、先般厚生省は、昨年でしたか、国公立病院の検査料率を特殊検査では九〇%以上、一般検査では五〇%以上とすることが望ましいという通達を出されたそうでございます。このことは、たとえば千円の検査料の場合には、特殊検査の場合には九百円、一般だったら五〇%だから五百円を検査料として検査室に支払うことだと理解してよろしいわけでしょう。
 ところで、この検査料率の問題に絡みまして、たとえば民間の検査センターの料率は一体どういう御指導をなさっておられるのか、現に実態はどうなのか。先ほど保険局長の方からもちょっと話がありましたが、もう一回正確に御説明いただきたいと思います。
#254
○石野政府委員 民間衛生検査所の検査料金でございますけれども、いろいろな資料がございます。たとえば、医師会の臨床検査センターの料金表もございます。これも数十項目にわたりまして検査項目ごとに料金並びに料率等が決められておるわけでございます。それから、セット検査につきましては、いろいろ日本医学研究所とかそういうところもございまして、それらの資料を見てまいりますと、先ほど申しましたように、五〇%から七〇%、あるいは七五%程度の料金で受託をしておるという実態でございます。ただ、先ほど申しましたように、セットでやります場合にはいろいろなケースもございますので、これは一概に言えないわけでありますけれども、最近ではセットの件数の方もかなりふえているような実情もございます。その場合は非常に安い値段で受託をしておる、こういうことでございます。
#255
○米沢委員 実情についてはいま御説明いただきました。国公立については厚生省の管轄ですから行政指導あるいは通達等で指導がなされるが、民間検査センターにももっと強力な行政指導が行われないと、確かに保険点数と検査料金の乖離を是正しない限りこの問題はいつも発生する問題だと思いますけれども、こっちの方は保険局でがんばってもらうといたしまして、まだその差がある段階においては、民間の検査センター等についてもこの検査料率をぴしっと指導なさることがこの問題をむずかしくさせない大事な問題だと私は思うのですが、局長どうですか。
#256
○田中(明)政府委員 国立の病院につきましては私どもの所管の施設でございますので、検査の受託料について私どもから指示をすることができるわけでございますが、一般の検査所につきましては、その受託の料金を私どもの方から指示あるいは指導することはちょっとむずかしいと存じます。
#257
○米沢委員 むずかしいのが問題なんです。確かに私もむずかしいと思います。しかしながら、行政指導という言葉がありますように、やりようによってはやりようがある。あとは熱意というのか、こういう業界のいろいろ抱えておる問題の認識の程度にかかわる問題だ、私はそう思うのですが、再度御答弁いただきたいのです。
#258
○田中(明)政府委員 どうも現行の法制上は非常に困難であると存じますけれども、確かに先生御指摘のような保険の点数と非常にギャップの大きい料金でもって検査を受託しておる。それで、それは検査の質にもつながっていくというおそれもあろうかと存じますので、この点につきましてもう少し検討させていただきたいと存じます。
#259
○米沢委員 それからもう一つ、ダンピング競争が大変激しくなっていろいろと問題を生じておるという話をしましたが、特に官公立の病院にいたしましても、これは一つの経済主体でもあるわけですから、できるだけ安い検査料で委託をして、適正な、質のある検査としてこれを利用していくという努力をされることは大事なことだ、私はそう思いますね。そういうところから、御承知のとおり、官公立病院等では、外部に委託する場合に入札制度というのがありますよね。話を聞きますと、官公立病院で保険点数の一〇%くらいで落札された例もある。確かに私は医者でもありませんし、見たことでもないですから、その質について本当に適正な判断はできませんけれども、普通、保険点数に幾ら問題があるといっても、保険点数の一〇%ぐらいで入札させるなんということ自体、ただ安ければいいという判断に基づくあり方が私はやはり大きな問題じゃないかという気がするのですね。どこが適正かは私もわかりません。しかしながら、保険点数で検査料を決めておるその点数の一〇%ぐらいで官公立の病院が入札させる、安ければ安いほどいいということは、私はやはり問題だと思うのですね。
 たとえば、土木工事なんかの入札等につきましても、自前でどれぐらいの金が要るものかと予算の見積もりをやって、大体自分たちの計算した八割以下の入札があったらはねますよ。これはいいかげんにただ安ければいいということで業者に委託をする、手抜き工事が行われ、後で問題になる、そういうものを避けようとする配慮だと私は思うのですね。したがって、こういう検査の入札制度等についても、まず隗より始めよと、こう言いますけれども、やはり官公立の病院等でも、安ければ安い方にこしたことはありません。けれども、少なくともこの検査についてはどれぐらいの金が要るぐらいのことは試算できるわけでありまして、それに相相応するようなかっこうで、その中でやはり基準を満たしながらある程度安いものに入札を決める、こういう御指導をなさらないと私は問題が生じると思うのですが、入札制度を変えることについて御検討いただくような意思はございますか。
#260
○田中(明)政府委員 官公立のうち、厚生省所管の国立病院につきましては、私どもは臨床検査は原則として各病院で行うこと、特殊な検査等については、必要な場合に限り外部に委託するということを認めているわけですが、その委託先の選定につきましては、検査の精度、迅速性、また過去の営業の実績等を考慮して選定するように指導しておりまして、入札制度はとっておりません。ただ、厚生省以外の国立あるいは公立の機関につきましては、私どもと経営主体が違うわけでございまして、その経営の内容に立ち入ることにつきましてはおのずから限度があろうかと存じます。
 先ほど先生が御指摘になった保険点数の一割で検査を委託したというのは、私が聞いておるところでは、何かその受託した検査所が、非常にりっぱな病院から委託されたという宣伝効果をねらうためにやったのではないかというように聞いております。
#261
○米沢委員 確かに宣伝になりますよね。宣伝になるけれども、しかし、こういうのがまかり通ること自体正常ではないという認識を深めていただきたいと私は思うのですね。少なくとも国立等についても、外注委託状況等の表なんか読みますと、六八・三%が一部は委託をしておる。国公立病院等でも七七・五%は一部委託をし、全部何もかもやるのはわずか〇・六%ですね。現に一部、特に特殊医療等については委託をするということですけれども、特殊医療というのはほかの一般的な検査項目のむずかしいものですからね。そういう意味で余りにも不当な安い値段で入札されるような状況は好ましくない。そういうことを念頭に置いていただいて、今後行政指導をしっかりやっていただきたいと思います。
 最後に、大臣、いままでの質疑の経過をお聞きいただいたわけでありますが、先ほどから言っておりますように、未登録業者の登録の義務づけ、それから登録基準の見直しによる厳正な基準の確立、あるいは検査料率あたりの行政指導の徹底、保険点数との乖離の是正等々、この検査にかかわる周辺の問題が非常にたくさんございますので、どうか今後の方針として確固たる方針を打ち立てられて御努力いただくようにお願いしたいと思うのですが、大臣から最後に御答弁をいただいて、質問を終わりたいと思います。
#262
○野呂国務大臣 衛生検査所の制度をめぐりますいろいろの実態を御指摘になられました。また、いろいろ問題点を提起されたわけでございまして、今日検査づけ医療と指摘されるようなことも考え合わせますならば、この検査制度を十分見直していくということ自体が医療の質の問題にも関連をいたしておるわけでございます。今後登録の義務化あるいはまた登録基準の引き上げの問題等々、御指摘の問題について十分適正化を図っていくべく努力をいたしたい、こういうふうに考えます。
#263
○米沢委員 ありがとうございました。
#264
○葉梨委員長 次回は、明十七日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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