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1979/04/24 第91回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第091回国会 社会労働委員会 第15号
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1979/04/24 第91回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第091回国会 社会労働委員会 第15号

#1
第091回国会 社会労働委員会 第15号
昭和五十五年四月二十四日(木曜日)
    午後二時九分開議
 出席委員
   委員長 葉梨 信行君
   理事 越智 伊平君 理事 住  栄作君
   理事 竹内 黎一君 理事 山崎  拓君
   理事 田口 一男君 理事 森井 忠良君
   理事 大橋 敏雄君 理事 浦井  洋君
   理事 米沢  隆君
      大坪健一郎君    北口  博君
      田邉 國男君    戸沢 政方君
      中野 四郎君    丹羽 雄哉君
      八田 貞義君    船田  元君
      牧野 隆守君    箕輪  登君
      山下 徳夫君    湯川  宏君
      枝村 要作君    大原  亨君
      金子 みつ君    佐藤  誼君
      前川  旦君    村山 富市君
      安田 修三君    山本 政弘君
      谷口 是巨君   平石磨作太郎君
      伏屋 修治君    梅田  勝君
      田中美智子君    塩田  晋君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 野呂 恭一君
 出席政府委員
        大蔵省理財局次
        長       垣水 孝一君
        厚生大臣官房審
        議官      正木  馨君
        厚生省児童家庭
        局長      竹内 嘉巳君
        厚生省年金局長 木暮 保成君
        社会保険庁年金
        保険部長    持永 和見君
 委員外の出席者
        参議院社会労働
        委員長     久保  亘君
        厚生省年金局数
        理課長     竹内 邦夫君
        労働省職業安定
        局業務指導課長 若林 之矩君
        社会労働委員会
        調査室長    河村 次郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十三日
 辞任         補欠選任
  小渕 正義君     永江 一仁君
同日
 辞任         補欠選任
  永江 一仁君     小渕 正義君
同月二十四日
 辞任         補欠選任
  枝村 要作君     大原  亨君
  小渕 正義君     近藤  豊君
同日
 辞任         補欠選任
  大原  亨君     枝村 要作君
  近藤  豊君     小渕 正義君
    ―――――――――――――
四月二十二日
 公衆浴場法の一部を改正する法律案(田中寿美
 子君外四名提出、参法第一一号)(予)
同月二十三日
 建築物における衛生的環境の確保に関する法律
 の一部を改正する法律案(参議院提出、参法第八
 号)
 こどもの国協会の解散及び事業の承継に関する
 法律案(内閣提出第八一号)(参議院送付)
同日
 放射線診療部門における診療報酬の改定に関す
 る請願(森下元晴君紹介)(第四五五五号)
 医療保険制度及び建設国民健康保険組合の改善
 に関する請願(池田克也君紹介)(第四五五六号)
 同(後藤茂君紹介)(第四五五七号)
 同(佐藤誼君紹介)(第四五五八号)
 同(柴田弘君紹介)(第四五五九号)
 同(瀬野栄次郎君紹介)(第四五六〇号)
 同(中路雅弘君紹介)(第四五六一号)
 同(伏木和雄君紹介)(第四五六二号)
 同(藤田スミ君紹介)(第四五六三号)
 同(吉井光照君紹介)(第四五六四号)
 同(伊藤茂君紹介)(第四六六八号)
 同(工藤晃君紹介)(第四六六九号)
 同(沢田広君紹介)(第四六七〇号)
 同(中路雅弘君紹介)(第四六七一号)
 原子爆弾被爆者等の援護法制定に関する請願
 (池田克也君紹介)(第四五六五号)
 良い医療制度確立に関する請願(佐藤誼君紹介)
 (第四五六六号)
 同(藤田高敏君紹介)(第四五六七号)
 医療保険制度の大改悪反対等に関する請願(伏
 木和雄君紹介)(第四五六八号)
 医療保険制度の改悪反対等に関する請願(佐藤
 誼君紹介)(第四五六九号)
 原子爆弾被爆者援護法制定に関する請願(柴田
 弘君紹介)(第四五七〇号)
 年金・医療制度の改悪中止等に関する請願(中村
 茂君紹介)(第四五七一号)
 国民年金法の被保険者で公的無年金者となった
 重度障害者に対し特例納付制度適用に関する請
 願(岡田利春君紹介)(第四五七二号)
 労災保険法改正案のうち保険給付と民事損害賠
 償との調整反対に関する請願(岡田利春君紹介)
 (第四五七三号)
 健康保険法改正案の撤回、良い医療制度の確立
 に関する請願外一件(枝村要作君紹介)(第四五
 七四号)
 同外二件(北山愛郎君紹介)(第四五七五号)
 同外一件(佐藤誼君紹介)(第四五七六号)
 同(柴田弘君紹介)(第四五七七号)
 同(瀬野栄次郎君紹介)(第四五七八号)
 同外六件(三宅正一君紹介)(第四五七九号)
 同(吉井光照君紹介)(第四五八〇号)
 同(兒玉末男君紹介)(第四六七六号)
 同(金子みつ君紹介)(第四六七七号)
 同(薮仲義彦君紹介)(第四六七八号)
 同(和田一郎君紹介)(第四六七九号)
 厚生年金保険法の改悪反対等に関する請願(佐
 藤誼君紹介)(第四五八一号)
 同(森井忠良君紹介)(第四五八二号)
 同(鍛冶清君紹介)(第四六八六号)
 同(金子みつ君紹介)(第四六八七号)
 同外五件(横山利秋君紹介)(第四六八八号)
 労働行政の確立に関する請願(井上泉君紹介)
 (第四五八三号)
 同(角屋堅次郎君紹介)(第四五八四号)
 同外一件(楯兼次郎君紹介)(第四五八五号)
 同(藤田高敏君紹介)(第四五八六号)
 同外一件(藤田高敏君紹介)(第四六九四号)
 婦人の労働権確立等に関する請願(庄司幸助君
 紹介)(第四六六七号)
 新鮮血液の確保及び心臓病児者の内科的医療費
 補助に関する請願(永江一仁君紹介)(第四六七
 二号)
 同(毛利松平君紹介)(第四六七三号)
 同(山口敏夫君紹介)(第四六七四号)
 同(湯山勇君紹介)(第四六七五号)
 看護職員条約批准のための国内法令整備等に関
 する請願(有島重武君紹介)(第四六八〇号)
 同(沖本泰幸君紹介)(第四六八一号)
 同(薮仲義彦君紹介)(第四六八二号)
 戦後強制抑留者の処遇改善に関する請願(薮仲
 義彦君紹介)(第四六八三号)
 同(渡辺貢君紹介)(第四六八四号)
 良い医療制度の確立に関する請願外一件(藤田
 高敏君紹介)(第四六八五号)
 戦後強制抑留者の補償に関する請願(粟山明君
 紹介)(第四六八九号)
 重度重複身体障害者に対する福祉改善に関する
 請願(小野信一君紹介)(第四六九〇号)
 重度重複身体障害者のため労働者災害補償保険
 法改正に関する請願(小野信一君紹介)(第四六
 九一号)
 労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律
 案反対等に関する請願(梅田勝君紹介)(第四六
 九二号)
 同(山原健二郎君紹介)(第四六九三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 厚生年金保険法等の一部を改正する法律案(内
 閣提出第三八号)
 建築物における衛生的環境の確保に関する法律
 の一部を改正する法律案(参議院提出、参法第八
 号)
     ――――◇―――――
#2
○葉梨委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。野呂厚生大臣。
#3
○野呂国務大臣 ただいま議題となりました厚生年金保険法等の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 わが国は諸外国に例を見ない急激な速度で高齢化社会に移行しつつあり、老後の生活の支えとなる年金制度に対する国民の関心と期待は、年金受給者の急速な増加と相まって、かつてない高まりを示しております。昭和五十一年度には、厚生年金及び国民年金を中心に財政再計算の実施とあわせて給付水準の引き上げ等の制度改善が行われたところでありますが、その後における社会経済情勢の変動に対応し、これらの制度について所要の改善を行う必要が生じております。
 今回の改正法案は、このような趣旨にかんがみ、厚生年金、国民年金等について、財政再計算を一年繰り上げて昭和五十五年度に実施し、年金水準の引き上げ、遺族年金及び母子年金その他の給付の改善を行うほか、福祉年金の額の引き上げ等を行うことにより、年金制度の実質的な改善充実を図ろうとするものであります。
 また、本法案は、年金給付の改善とあわせて、児童扶養手当、特別児童扶養手当及び福祉手当についても額の引き上げを図ることといたしております。
 以下、改正案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
 まず、厚生年金保険法の一部改正について申し上げます。
 第一に、年金額の引き上げにつきましては、本年六月から新たに老齢年金を受ける者の標準的な年金額を月額約十三万六千円に引き上げることとし、定額部分について単価の引き上げ、報酬比例部分について過去の標準報酬の再評価を行うことといたしております。また、加給年金額につきましては、単身世帯よりも夫婦世帯に手厚い改善を図る観点から、配偶者の加給年金額を月額六千円から一万五千円に引き上げる等大幅な改善を図ることといたしております。そのほか一障害年金及び遺族年金の最低保障額を引き上げることといたしております。
 第二に、在職老齢年金について、受給者の実態を勘案し、本年六月から六十歳以上六十五歳未満の在職者に支給される老齢年金の支給対象を、標準報酬月額十五万円までの者に拡大する等の改善を図ることといたしております。
 第三に、遺族年金につきましては、受給者の生活実態等を勘案し、年金による生活保障の必要性が高いと思われる子供を持つ寡婦及び高齢の寡婦に重点を置いた改善を図ることとし、寡婦加算額を本年八月から子供二人以上の寡婦の場合月額七千円から一万七千五百円に引き上げる等大幅な改善を図ることといたしております。
 一方、遺族の範囲につきましては、年齢等を勘案して見直すこととし、子のない四十歳未満の妻につきましては、年金の支給対象としないことといたしております。
 第四に、標準報酬につきましては、最近における賃金の実態に即応して本年六月から、四万五千円から四十一万円の三十五等級に改めることといたしております。
 第五に、保険料率につきましては、給付改善及び将来の受給者の増加に対応して、長期的に財政の健全性を確保する観点から段階的に引き上げる必要がありますが、今回の引き上げ幅につきましては、千分の十八にとどめることとし、本年六月から引き上げることといたしております。なお、女子につきましては、本年六月から千分の十九引き上げるとともに、昭和五十六年以後毎年千分の一ずつ引き上げ、保険料率の男女差の解消を図ることといたしております。
 次に、船員保険法の一部改正についてでありますが、おおむね厚生年金保険の改正に準じた改正を行うことといたしております。
 次に、国民年金法の一部改正について申し上げます。
 拠出制国民年金につきましては、まず年金額の引き上げを図ることとし、本年七月から二十五年加入の場合の年金額を月額四万二千円とし、現実に支給されている十年年金の額を月額二万六千五百五十円に、五年年金の額を月額二万千六百円に、それぞれ引き上げることといたしております。そのほか、障害年金の最低保障額及び母子年金等の額を引き上げることといたしております。
 第二に、母子年金及び準母子年金について、本年八月から母子加算及び準母子加算制度を創設し、夫等の死亡により他の制度の遺族年金の支給を受けることができない者には、月額一万五千円を母子年金等の額に加算することといたしております。
 第三に、保険料の額につきましては、財政の健全性を確保する見地から、昭和五十六年四月より月額四千五百円に改定することとし、以後段階的に引き上げることといたしております。
 福祉年金につきましては、十年年金の引き上げ率を勘案して、老齢福祉年金の額を月額二万円から二万千五百円に引き上げる等所要の改善を行うことといたしております。
 次に、児童扶養手当法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部改正について申し上げます。
 児童扶養手当及び特別児童扶養手当の額につきましては、福祉年金に準じて、本年八月から児童扶養手当の額を児童一人の場合月額二万八千円に引き上げる等所要の改善を図るとともに、福祉手当につきましても引き上げを行うことといたしております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#4
○葉梨委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#5
○葉梨委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大原亨君。
#6
○大原委員 第一の質問の項目は、野党の修正案に関係をいたしまして、老齢福祉年金千円アップに関係をいたしましてお聞きをいたします。
 第一に、基本的な問題といたしまして、福祉年金と五年年金のことを経過年金というわけですが、経過年金については、これは各審議会の議論等、あるいは本委員会の決議等によっても、これの引き上げについては、年金再計算期等において、あるいはスライドの時期等において十分底上げをしていくという方針になっておるわけですが、本年は、財政危機を理由にいたしまして、きわめてシビアな改善の仕方にとどまっておるわけであります。私は基本的に、経過年金についてはいろいろな工夫をして引き上げるべきではないかと思う。その足りない部分といたしまして、ひとつ具体的に指摘をしておくのですが、母子あるいは準母子福祉年金については、二万八千円から二万九千三百円になりました。児童手当についても、二万八千円から二万九千三百円に、一千円アップに従ってベース改定をするようになっておるわけであります。その際に、本体年金のときには、厚生年金の言うならば寡婦加算等の措置があったわけであります。それから、国民年金等におきましても、いま厚生大臣が提案をいたしましたように、母子加算等があったわけですが、母子福祉年金等においてはこの措置をしなかったのであるか、あるいはどのような計算の基礎で二万九千三百円に上げたのか、この二つの点についてお答えをいただきたいと思います。前段の方は、できれば後で厚生大臣からでもお答えいただければいいと思います。
#7
○木暮政府委員 経過年金につきましては、各審議会から、今後の年金の抱えております重要な問題ということで、速やかに何らかの具体案を立てて対処するようにという御意見をいただいておったわけでございます。その際、また一方では、経過年金と拠出制の年金との関係はやはり考えなければいけないということと、現在の国家財政の現状から見まして、経過年金の引き上げにつきましては特別な財源措置も考えなければいけないであろうという御指摘をいただいておったところでございます。
 私ども、五十五年度の予算編成に当たりまして、この各審議会の御勧告、御意見に従いまして、財政状況が非常に厳しいということは予想されましたので、経過年金の引き上げにつきまして事務的に考えました案を関係者の方々にお諮りをした経過がございます。
 その案と申しますのは、老齢福祉年金に限らず、年金というものは若い世代が高齢の世代の方を扶養するということが根本的な仕組みであろうかと思うわけでございますが、福祉年金につきましては、その子弟の方々が、あるいは共済組合あるいは厚生年金あるいは国民年金の被保険者になっておるわけでございます。したがいまして、老齢福祉年金等の引き上げにつきまして、共済組合、厚生年金、それから国民年金の被保険者の方々に特別な拠出金を出していただくということを考えてみたいということであったわけでございます。
 具体的に申し上げますと、共済組合、厚生年金、それから国民年金の被保険者の方々が月額百円程度の拠出をしていただきますと、福祉年金が千円程度上げられるということでございますので、案としましては、もし御理解を得られれば無理ではない案ということになろうかということで、関係者の方々に御相談を申し上げたわけでございます。
 その結果、厚生省の考え方は一つの案として十分わかるけれども、経過年金に限ってこういう措置をとった場合に、将来のほかの社会保障の経費もこういう形で調達するということになる可能性もあるではないか。それからまた、共済組合、厚生年金、国民年金の方々に拠出をしていただくということになりますと、共済組合と厚生年金には事業主負担がございますけれども、国民年金には事業主負担がございません。したがいまして、その拠出金につきましては事業主負担なしという形で、先ほど申し上げましたような百円程度出していただければ福祉年金月額千円程度上げられるということでございましたけれども、共済組合なり厚生年金の被保険者は事業主負担なしに百円あるいは二百円の拠出をするということは社会保障の基本問題に触れる問題ではないだろうかということで、五十五年度の予算に間に合うように意見を取りまとめるということは無理ではないかという御指摘をいただきまして、そういう特別な考え方によりまして、経過年金を引き上げることは断念をいたしたわけでございます。したがいまして、五十五年度の予算といたしましては、従来方式によりまして経過年金の引き上げをするという以外に方法はなかったわけでございますが、これにつきましては財政当局と非常な激しい対立がございまして、最後、大臣折衝を何回か繰り返していただきまして、一般会計で月額千五百円を上積みをするということになったわけでございます。この千五百円と申しますのは、物価の引き上げの見込み率等に比べましてそれを上回る引き上げ額でございますので、現在の時点、財政状況ではかなりの結果を得られたというふうに思っておる次第でございます。
 それから、今度の改正で厚生年金、国民年金の母子年金等につきましては特別の手当てをいたしたわけでございますけれども、母子福祉年金、準母子福祉年金は老齢福祉年金の引き上げに準じた引き上げにとどまっておるわけでございます。この点につきましては母子福祉年金、準母子福祉年金が福祉年金の三割というかなり高い率で設定をしておりますので、今回はその従来の率で金額を定めたということでございます。
#8
○大原委員 二万円を二万一千五百円、一千五百円上げたからそれは他の年金上昇率よりもよろしい、こういうふうな説明ですが、私が言っているのは、つまりこれは金額は絶対額が少ないのですから、そこで率だけで議論してはいけない、金額で議論しなければ底上げにならぬ、こういうことでありまして、野党修正案の一千円追加も私はきわめて大きな一つの意義がある、こういうふうに考えるわけであります。したがって、私は、時間がないから一つ提案ですけれども、われわれはたとえば厚生年金や国民年金の積立金から三十年間の経過年金の平均的な給付の金額をならしまして、それで三十年間で一般財源から返していくような方式をとれば、特別の会計を設けて運営ができるのではないか、こういう提案もいたしておるわけです。ですから、それをやっておけば、十年後には大体国民年金の福祉年金はどんどん減るわけですから、それは二十年、三十年延ばしておいて一般財源を均等的に入れていけば、これはかなりの水準が維持できていくのではないか、こういう議論もあるわけですから、もう少し知恵を働かして、上げるつもりで、やるつもりでやらなければだめですよ。考え方の基本がだんだん崩れて、四十八年には福祉元年と言われていたけれども、そのときにはかなり是正いたしてきましたが、この経過年金の底上げについて十分留意をして善処されるよう強く要望いたしておきます。
 厚生大臣、御答弁いただきたいと思います。
#9
○野呂国務大臣 福祉年金、特にこの経過年金の底上げを図ることが大変大事ではないかということでございますが、やはり特別な財政的な観点も考えてみなければなりませんので、急速に制度の成熟化する中で今後負担をどのように調整していくかということ、この給付と負担の総合的な観点から慎重に考えさせていただきたいと思います。しかし、財源措置を考えていく場合には、やはりこの制度全体に及ぼす影響もございますので、慎重にひとつ考慮しながら前向きに取り組んでまいりたいと思います。
#10
○大原委員 野呂厚生大臣は、最初出たころは非常に勇ましかった。だんだんしりすぼみになりまして、慎重に慎重にと、それではだめですよ。初めごろは少々財政危機じゃ、何じゃ言ったところで、そうではなしに、福祉は大切なんだからやるのだと言っておりましたが、だんだん悪くなった。
 それから、この野党修正に関係をいたしまして、私どもの多賀谷書記長等も直接大蔵大臣にも、あるいは厚生大臣にももちろんですが、申し入れをいたしておりまして、かなり御努力をいただきました問題があるのです。しかしながら、これは目的を達成できなかった。これは児童扶養手当、母子福祉年金の問題でありますが、二万八千円を二万九千三百円にいたしました際に、十八歳の問題があるわけであります。その問題については先般も私は質問はいたしたわけですが、この十八歳を高等学校卒業まで、これは準義務教育ですから、母子家庭の子供が、八つ上がりの子供が途中で児童扶養手当が切られるということになりますと、かなりの金額になっておりますから、途中で退学させなければならぬ。これはやはり非常に忍びがたいことであるということで強く要望いたしたところであります。その問題については、母子福祉年金で別枠で対処することにされて、貸付金の対象を高校在学中の者を対象にいたしまして二万九千三百円の貸付を長期無利子で貸すというふうになったわけであります。しかし、これを実際上のことを考えてみますと、専修学校とか各種学校への在学中の者も含めてやるべきではないか。また、修学資金ばかりではなく、技能習得の資金についてもこの貸付制度を高校卒業に準じて対処いたしまして、そして死別、生別の母子家庭の児童の教育に対しまして理解のある措置をとるべきではないか。この範囲の拡大の問題につきまして御見解を聞きたいと思います。
#11
○竹内政府委員 本年度の予算編成の時期に当たりまして、御指摘のような問題について、母子福祉の貸付金で修学資金の貸付の額を、児童扶養手当あるいは母子福祉年金等が失権をいたしました場合、その失権した翌月からいままで受けておった母子福祉年金または児童扶養手当等に相当する額を貸付金、修学資金として受けられるというような仕組みで対応するということでセットいたしまして、またこの点については、予算委員会で先生の御質問にそういう意味でお答えしたわけであります。
 ただ、先生いま御指摘のように、確かに高校ということに非常に限定をして物事を考えますと、実は高等学校に通っている以上に、現実の社会情勢の厳しさの中で、いわゆる専修学校に行っている場合、あるいはもっと極端なケースを申し上げますと、就職のため、あるいはまた新しく事業を開始するということのために、技能習得といいますか、たとえば職業訓練的なもの、あるいは自動車の運転免許等も含めまして、こういった問題についての措置が実は若干おろそかになっておったわけであります。そういう意味で、先生のいまの御指摘の点などを含めまして、取り急ぎましてこの五月からこの問題については直ちに実施するように運びたいと思っておりますので、当面、今月中にも母子福祉法の施行令の一部を改正いたしまして、母子福祉の貸付金の中に、これまで申し上げましたような修学資金だけでなくて修業資金についても同じような措置がとれるように、そしてまた高等学校だけでなくて、五年制の高等専門学校あるいは各種学校の中でも専修学校、そして専修学校になっていない各種学校につきましては技能習得資金の方でカバーをするというような形で、より一歩進めて、先生の御意図を現実に実施に移すようにやっていきたい、かように考えておりますので、ひとつよろしく御了承いただきたいと思います。
#12
○大原委員 満十八歳というので、括弧いたしまして高校卒業まで、あるいはそれに準ずるものということにならなかったことは遺憾でありますが、せっかく長期無利子の措置をとられたわけであります。したがって、言うなればこういうスタグフレーションの時代ですから、切るだけではなしに非常にきめの細かい措置をとることが福祉においては必要であると私は思います。この点は強く要望いたしておきますので、厚生大臣もいろいろな点できめ細かな配慮をしてもらいたい、このことを希望として申し上げておきます。
 そこで、今度は保険料の問題であります。厚生年金の保険料の計算の基礎に関係をいたしましてこれから順次質問いたしますが、その前に大蔵省見えておりますか。――共済年金の保険料を昭和五十四年十月とそれから五十五年十月に変えるわけです。それを変える際に、保険料を今度は、五十四年十月からは本人負担五十一・五になるわけですね。その倍をすればいいわけですから、保険料を算定いたしました算定の仕方、これをひとつお答えください。
#13
○木暮政府委員 共済組合のことでございますので間違っておるかもしれませんけれども、基本的には厚生年金と同じように平準保険料をはじき出しまして、平準保険料の八割を保険料として取る、こういうことで千分の百三に決まったというふうに聞いております。
#14
○大原委員 平準保険料の八割で千分の百三にした、そういうことですね。その平準保険料はどのようにして計算をいたしましたか。
#15
○木暮政府委員 平準保険料の計算につきましては、数理課長が来ておりますので、もし必要でございますれば数理課長から詳しく御説明申し上げますが、そういたしますか。
#16
○大原委員 数理課長でいいです。これは後厚生年金の保険料に関係するからお尋ねするのですが、お答えいただきますのは、共済年金の保険料は修正積立方式をとっているのですから、これから数理的に積立金を積み立てるといたしまして保険料を計算した部面と、もう一つは、過去の年金のスライドやベア、その過去の穴埋めをした部面、この二つに分けて、平準保険料について二つに分析したお答えをいただきます。
#17
○竹内説明員 共済組合につきましては直接担当でございませんので細かいことは存じませんけれども、現在行われております共済組合の数理計算では、新しく加入する人の将来に向かって必要な保険料をまず計算いたします。それは普通数理的保険料と言われるものでございますが、その保険料で現在すでに何歳かに達している人の給付は恐らく賄い切れないわけでございます。たとえば現在、過去に二十年なら二十年期間があってこれから十年たったらば三十年で退職するという人は、ことし二十歳なり二十二歳で入る人の必要な保険料では賄い切れないわけでございまして、その足りない部分を別途計算いたしまして、整理資源率と普通言われておりますけれども、それを足し算いたしまして平準保険料をつくっております。そのときに、国家公務員共済組合の場合におきましては昭和三十四年十月に旧恩給法から切りかえられた人が半分ほどいるわけでございますけれども、その人につきましては三十四年十月前の期間につきましては別途計算、恩給で全額負担されるという計算で共済組合の整理資源必要費用から落としております。
#18
○大原委員 平準保険料を計算いたしまして、その八割を保険料率として決めるわけですね。その中には将来にわたって数理計算に基づいて必要な保険料を積み立てるということが一つあるわけです。もう一つは、いままでの過去の穴埋めがあるわけですね。整理資源があるわけです。それを計算して平準保険料を出しておるわけですね。その内部の比率はどうなっておりますか。
#19
○竹内説明員 共済組合の総保険料は百五十三か四だと思いますけれども、そのうちの十五ぐらいの分が――共済組合につきましては私のところでちょっとわかりません。
#20
○大原委員 それでは質問しますよ。大まかなことでなしに、今度は厚生年金について聞くから。
 厚生年金の保険料について、平準保険料があるわけですね。それに対しまして六割か――実際の保険料率は平準保険料に対して何%ですか。
#21
○木暮政府委員 社会保険審議会等関係審議会に御諮問を申し上げましたときは、六十五歳に二十年かけて引き上げるということを前提といたしまして平準保険料をはじきました、その平準保険料の七割ということで千分の百九という御提案をしたわけでございます。今回法律案としてお出しいたしましたのは、国会の予算委員会等の御審議も踏まえまして六十五歳にすることを取りやめたわけでございますけれども、保険料は百九のままお出しをしておるわけでございます。六十歳のままで推移いたしますときの平準保険料は千分の二百になりますので、ただいま御提案をいたしておりますのは修正率が五二%になっておるわけでございます。
#22
○大原委員 そこで、平準保険料を、法律に従って五年後に再計算しますね、そのときに平準保険料の中で、私が指摘をいたしましたこれから必要な保険数理に基づく積立部分、それと過去のスライド、ベア、それによる穴埋め分、その割合がわかっていますか。
#23
○竹内説明員 それは厳密には区別できかねます。ただ、給付が物価についていきましてスライドされているわけでございますけれども、それに見合う程度に保険料を取るもとになります報酬が上がっておりますので、給付改善がその程度になっている場合には、新規加入者、共済組合で言います数理的保険料そのものはほとんど違わないわけでございまして、それを過去の分とそうでない分と分けることは非常にむずかしいと思います。
#24
○大原委員 むずかしいことないですよ。あなた座ってなさい。わしが質問しているんだから座ってちゃんと聞きなさい。厚生大臣、あなたわかる。わしが質問していること、つまり本来あるべき保険料を平準保険料というわけですね。それを計算するときは、将来、積立方式なんですから、積み立てる場合に必要な数理的な根拠に基づく保険料をやるわけですよ、これは積立方式ですから。それから、もう一つは、インフレ下においては物価スライドをやっているわけです。スライドとか五年ごとの再計算で穴があくわけですよ。その穴埋めを平準保険料に加えるわけですよ。だから、これは過去のものだ。過去の穴埋めだ。それで、共済年金について私が調べたところによりますと、五年前よりも平準保険料が共済では千分の二十八増加しているのです。その二十八の中で二十六が過去の不足財源、穴があいた分です。これは数理計算といって将来に対して積み立てるというやつはほとんどないわけです。ほとんどが過去のインフレ時代におけるスライドとかベアの穴があいた分です。ほとんどなんです。厚生年金は私はそれほどではないと思うけれども、中身がわからぬなどというようなふざけたことはない。これは時間がたって惜しいから、後で答弁していただきます。その点は保留ということはしないけれども、別な機会に答弁してもらいたい。
 そこで、私は資料を早急に出してもらいましたが、皆年金になりまして昭和三十六年以来、厚生年金について言いますと、厚生年金の積立金は三十六年には四千四百四十億円でございましたが、物価の上昇は三十六年に六・二%ですから、そこで真ん中あたりを計算いたしまして二百七十五億円ほど目減りをしておるわけです。そういうふうにして計算いたしますと、インフレによって積立金が目減りいたしたのを合計いたしますと、昭和五十四年度の末で幾らになりますか。これはあらかじめ通告してありますから御答弁ください。
#25
○木暮政府委員 先生から先ほど作成を命ぜられた資料でございますが、年度初めの積立金にその年度の物価上昇率を掛けてまいりますと、御指摘のように、昭和三十六年度では二百七十五億になります。こういう計算をずっと五十四年度までやってまいりまして、トータルは九兆一千三百六十億というふうになります。
#26
○大原委員 大臣、これは昭和三十六年、皆年金になりましてから、厚生年金の積立金が物価上昇によりまして目減りをいたしました合計を計算いたしますと、これは純粋に正確ではありませんが、九兆一千三百六十四億円です。いいですか、これは私がいままで議論したこととはちょっと違いますよ。これだけ目減りしているのです。この目減りは一体だれが負担するのですか。保険料算定の上においてはだれが負担することになりますか。
#27
○木暮政府委員 ただいま御指摘のございましたように、積立金が物価上昇によりまして減価するわけでございますが、一方ではこの積立金は資金運用部に預託をいたしておりまして、預託金利というものが入ってくるわけでございます。そういうことで、ただいま御指摘の金額がすべて目減りということではないのでございますけれども、オイルショック後の物価上昇期におきましては運用利回りを物価上昇率が超えたわけでございまして、その数年につきましては大変遺憾なことでございますが、かなりの差し引きの目減りが出たことは事実でございます。ただし、その後、物価の鎮静に伴いまして運用利回りの方が高くなって取り戻しつつあるというのが現状でございます。
#28
○大原委員 九兆一千億円ほど目減りをしておるわけですが、御指摘のように、積立金は資金運用部へ預託をいたしまして利子を取っているわけです。しかし、これは積立方式ですから一定の運用利回り、利子の問題は後で議論いたしますが、運用利回りによる利子の収入は積立方式が当然に予想している収入面であります。これは収入がなかったら、計算できなかったならば、積立方式をとっておる理由はほとんどないのです。大半の意義は失われるわけですよ。だから、その利子の中に物価上昇が食い込んで収入が減るということになれば、積立方式の意義は根拠が一つ崩れるのですよ。一つの柱は崩れるのですよ。ですから、運用利回りまで食い込んでもとのゼロになっているのは、第一次石油危機のときに、約二兆四千億円という計算をはじいて予算委員会のときにも出したのですけれども、これはもう元も子もなくなっているわけですね、二兆四千億円は。だから、つまり物価上昇によって、積立方式をとりながら、どんどんたまっていく積立金が目減りをいたしますが、目減りをするのは結局は被保険者が負担をする仕組みになっておるのですね。これは基本的におかしいではないかという議論がある。積立方式をとっているのは、世代間の負担の公平を図るというところで、高齢化のピークまではある程度これを持っていこうというわけでしょう。
 しかしながら、積立方式をそういう目的でとりながら、インフレで目減りをした問題に措置をしないでこの保険財政を続けていくならば、三十六年以来約二十カ年間に九兆円も超えて目減りをしている。そうすると、これは結局は保険料を積み立てた人、その瞬間よりも後の人が保険料で穴を埋めていくことになるでしょう。私が保険料の計算の基礎を言いました、過去の穴埋め分と言いましたけれども。ですから、積立方式というのはインフレにおいては非常に矛盾する。それと一緒に、インフレは高齢化社会における、いろいろな貯金を含めて年金制度の最大の敵であるということになる。本年は六・四%消費者物価が上昇する。それを超えることは間違いない。それにいたしましても、私は、これからのスタグフレーションの中における、慢性インフレの中における年金制度というものはインフレにどう対抗できるかということを根本的に考えないと、保険料がどんどん高くなる一方であって、資金運用部へその瞬間瞬間にたくさん吸い上げるだけであって――その運用についていろいろ文句があるだろうけれども、きょうは理財局から来てもらっているのはそのことだが、だけであって、つまり結果としては高負担、低年金になるのではないか。保険料の負担に対応して年金の給付が保障されないのではないか。それに対して何らかの根本的な考え方を変える必要があるのではないか。こういう点について真剣に検討すべきであると思うが、いかがです。
#29
○木暮政府委員 年金の財政にとりまして、インフレが非常に大きな影響を持つことは御指摘のとおりでございまして、また過去の経過をたどりましても、先生の御指摘のような面が現実に出ておるわけでございます。ただ、現在とっております積立方式は、完全積立方式ではございませんで、修正積立方式をとっておるわけでございます。完全積立方式でございますれば、いわば各人が自分で納めた保険料の額を利子をつけて返してもらうというような見方ができるかと思いますけれども、インフレの問題、そういうこともございまして、修正積立方式をとっておるわけでございます。修正積立方式、たとえばただいままでとってまいっております六割の修正積立方式でございますれば、四割は後代の負担に送るということでございまして、先ほども先生の御発言の中にもございましたように、現在の修正積立方式は、現在の世代と後の世代との負担にできるだけ余り大きなアンバランスが起きないようにというような面を主としてねらって行っておる運営方式というふうに申し上げることはできるかと思うわけでございます。
 それにいたしましても、運用の問題というのはやはり大きな問題でございまして、インフレと申しますのは、国全体の政策の問題ということになろうかと思いますけれども、経済運営の面でも年金の財政が円滑にいくように努力をしてまいらなければならないというふうに考えておるわけでございます。
#30
○大原委員 先般来議論しておりますが、今度は積立金を資金運用部へ、理財局の管轄の方へ預託をするわけです。大蔵大臣などは安全かつ効率的な運用などということを言っていばっているようなことを言っているが、時間がないから反駁する余地、場所がなかったこと等もあって一方的になっておるけれども、野党質問に対しましてもいいかげんなことを言っておる。
 運用利回りは公定歩合引き上げに伴いまして配慮するということになっているのだが、どういう措置をとりましたか。
#31
○垣水政府委員 今般の公定歩合九%に対する引き上げに対しまして、昨日、資金運用審議会の御了承を得て、五月一日から八・五%の預託金利ということにさしていただくことと決定いたしました。
#32
○大原委員 去年以来、五回ぐらい公定歩合を上げているのですね。今回初めて運用利回りを引き上げる措置を五月一日からとって、八・五%にする、こういうことですか。
#33
○垣水政府委員 そういうことではございませんで、今般の九%に対するものが八・五でございまして、二月に上げたときには八%……(大原委員「わかりました」と呼ぶ)公定歩合引き上げとほぼ並行して上げております。
#34
○大原委員 資金運用部に預託をいたしました運用利回りは八・五ですね。そして、公定歩合は九%ですね。
 いまこれから新しく発行する国債の利回りは幾らですか。
#35
○垣水政府委員 表面金利が八・七で、応募者利回りが八・八八八でございます。
#36
○大原委員 八・八八八だ、ずいぶん八が並んでいますが、それにいたしましても八・五より多いじゃないか。国債の利子ぐらいは、資金運用部がちゃんと預託を受けて運営する場合にやらなければならぬ。大体、大蔵省は運営する場合にいばりくさってやっておる。大蔵大臣の答弁を見てもそうですよ、やっているのだけれども、大体預かった以上は、インフレで目減りした分は運営主体の大蔵省、国が穴を埋めなければ積立方式は成立しないのです。それはやらなければならぬですよ。ですから、できるだけ上げるということを政府が言ったわけだ。それにしても国債の利子よりも低いじゃないですか。そういう点については、運用利回り以上に物価が上昇したやつを穴を埋める方法もある。学者の理論から言えばそう言っていますよ、運営主体がやっているのだから、これは低いじゃないですか。
#37
○垣水政府委員 先生御承知のように、資金運用部がお預りした金というのは原則として財政投融資の資金に充てているわけでございまして、近ごろ国債の発行が大変むずかしくなりましたために、その一部で国債の引き受けということをいたしているわけでございます。それで、実は八・五という運用部のお預かりするときの金利は、即政府関係機関等に対しまして貸し出す金利と同じにしているわけでございます。そして、運用部といたしましては若干国債あるいは政府保証債等の利ざやでもって泳いでいるというのが実情でございます。
 たとえば、財政投融資につきましては、住宅公庫等に対しまして八・五でお貸しするわけでございますが、住宅金融公庫は、御承知のとおり五・五%という金利そのものが法定されておりまして、上げることができないわけでございます。したがって、その差額は一般会計からの補給という形になっております。その点はほかの、たとえば国民公庫その他中小関係等の政府関係機関についても同様でございまして、その点を勘案いたしまして、私どもとしては国債よりも若干低いところで預託金利及び運用部の貸出金利を決めさしていただいているわけでございます。
#38
○大原委員 説明としてはわかるのですね。わかるのですけれども、理財局次長、これは質問を続ければ時間がなくなってしまうので私は省略しますが、つまり厚生大臣、この積立方式というのは、幾ら修正しましてもインフレの中ではほとんど無意味になっているのですよ。現在出している人は二十年、三十年後にもらうわけですが、もらうころには――いま一万円を超えて出している人はたくさんありますよ。そうすると、もらうころにはゼロに無限に近くなるのですよ。あなたは数字についてはわりあいに頭の回転の早い方だから計算してごらんなさい。七%物価が上昇いたしましたら何年間でゼロに近くなりますか。三十年もやりましたらゼロに近くなるのですよ。積立方式でやりながらインフレの時代においては積立方式は理論的にも成立しない。積立方式をやる場合にそういう議論をいたしますと、根本的に慢性インフレに対応できるような年金の制度をつくりなさい、こういうことは社会保障制度審議会でもどこでもやっているわけだ。そこで、百歩を譲っていまの制度を続けるとしても、保険料を出した人は、労使を含めて――使用者の方、資本の方も、これは労働者の福祉のため、年金のために出したのだから、永遠に資本家に金は返っていかないのです。ですから、労働者とか被保険者が参加できる形で運営をするということが絶対に必要なわけです。手続上必要なんです。大蔵省は、総合的に運営いたして安全にやっております、一番安全です、政府が安全ですと言うに違いない、私は時間がないから先回りして答弁するが。しかし、それはへ理屈であって民主主義ではないのだ。そんなことをぬけぬけとやっている国は世界じゅうないです。日本しかないのです。ですから、手続上もプロセスにおいても民主的でなければいかぬ。結果としていまのような結果になっても、保険料がどういうふうに決定して、資金をどういうふうに運営するかということについて被保険者が発言できないというふうなことは絶対にいけない。これは各審議会や各サイドの意見が皆出ておるわけですよ。それをやろうとしないじゃないか。そうするとなぜいけないかというと、大蔵省は第二の予算として財政投融資を洗い直さなければならぬのだけれども、財政投融資の資金運用部の資金を得るために保険料を決めたり、給付に干渉するんだ。制度の改正を妨げるわけだ。妨害するわけです。私が先回りして意見を言えば、そういう意図はないと言うだろう。しかしながら、結果としてはそういうことだ。それが民主主義というものである。だから、行財政の改革、宇野長官なんかに来てもらえばいいのだけれども、いろいろなことを何とかつじつまを合わしておるけれども、そうではなしに、そういうことを改正をして、本当に手続上も民主的にしなければ、こんなインフレだから、現在保険料を払っている者はもらうときにはゼロに近くなる。そして、保険料というものは過去の物価上昇分の穴埋め用にほとんどつぎ込むというふうな形でやったのでは、これはだれも年金に対して信頼をすることはできないと思うのです。だから、私は、インフレに対応できて、被保険者本人が参加できる形でこの制度を基本的に考えるべきであると思うのです。
 大臣は就任されてから質疑応答して答弁をされてきたわけですから、これは局長ではなしに厚生大臣の答弁を求めます。
#39
○木暮政府委員 積立金の運用につきまして、保険料を納めました事業主や被保険者の方々の意見を十分反映しなければならないというのはもう御指摘のとおりでございまして、私どももそれについて努力をしてきておるつもりでございます。
 昭和三十六年に国民皆年金になったわけでございますが、それまでは資金運用審議会の委員は役人が主でございまして、若干の学識経験者の方も入っておられるという構成でございましたけれども、これにつきましては厚生省の方から、国民皆年金に入るに当たって従来どおり資金運用部に資金を預託するので、資金運用審議会の構成について配慮してもらいたいということを申し入れいたしまして、七人の学識経験者だけから組織する審議会に変えていただきまして、しかもそのうち一人は厚生年金、一人は国民年金の立場を御理解いただける学者の方に参加していただいておるという措置をとったところでございます。
 また、昭和四十九年には、厚生大臣の私的諮問機関といたしまして、保険料を納められる事業主の方、被保険者の方を主といたしまして、毎年資金運用計画を定めます場合にはあらかじめ御意見を伺って、その御意見を理財局の方に申し入れるというような措置をとっておるところでございます。それで、今回さらに大蔵省の方でもその意見反映の方法につきまして工夫をしていただくということになっておるわけでございます。
#40
○大原委員 大蔵省、どういう構想ですか。
#41
○垣水政府委員 厚生省といろいろお話し合いをしているわけでございますが、今度資金運用審議会の会長や理財局長が保険料の拠出者の代表の方々等から特に御意見をお聞きするということで、まだ仮称でございますが、年金資金懇談会というようなものを設けて、できるだけその御意見を反映して、財政投融資計画の運営の方向に資したいということを考えている次第でございます。
#42
○大原委員 懇談会のメンバーはどうなるのですか。
#43
○垣水政府委員 まだ決定いたしておりませんが、いま申し上げましたように、資金運用審議会の会長、理財局長、それからすでに入っていただいております年金関係の先生のほか、各審議会からの代表、一、二名の方に入っていただきたいと考えております。
#44
○大原委員 労働者の代表、被保険者の代表は入らないのですか。
#45
○垣水政府委員 加えて入っていただきたいと考えております。まだ具体的な人名は決定いたしておりません。厚生省と打ち合わせ中でございます。
#46
○大原委員 質問したらどんどん委員をふやすのですか。
 大体、厚生大臣、資金運用部はたたき直さなければいかぬですよ。これは高度成長時代初期の緊急措置なんです。年金局長は、いろいろこういうふうにやっていきます、こういうふうにやっていきます、学者がやっていますと言っていますけれども、本当に出した人が主体的に参加するという方向をとるのでなしに、言うなれば言い逃れのようなことをやっているわけですね。
 それから、共済年金は三分の一は預託しているけれども、原則として残りは自主運営をしているわけです。だから、厚生年金だって自主運営をして、結果として理財局と相談して政府全体の資金の中でどう生かすかということはいいですよ。もう少し使用方法としても住宅とか土地問題等について計画的に活用しておれば、住宅等においても全般的によくなっているはずなんです。社宅ではないですよ。社宅や寮を企業へ引っ張りつけることはILOなんかいけないと言っているんだから。
 ですから、いま財政投融資も、民間資金を導入したり、国債との関係をどうするかということ等を含めて大転換期にあるわけですから、共済年金の積立金運用との格差を考えてみても、厚生年金の積立金の運用――国民年金もそうです。国民年金はわずかですから。わずかですが、その運用については毎年、ことしは三兆三千億円ほどふえるわけです。純粋に収支をはかってみましても三兆三千億円は厚生年金だけでふえるはずです。この莫大な資金をどのように使うかということについて、労働者や被保険者が参加しないで決定するということはないのです。そういう非民主的なことはないのです。なぜいけないかというと、いま申し上げましたように、これは結果としては保険料の決定や年金制度全体の改革について発言するということになるのです。そうすると、大蔵省がいばって厚生省が頭を下げて行く。この問題はそういうような問題じゃないのです。年金の積立金の運営の仕方を含めて、インフレと高齢化社会に対応するために、年金について根本的に考えながら、土台の厚生年金を基礎として、共済年金の改革も考えて、共済年金で――必要であるならばあなたの持論の企業年金も考えていって、国民が皆年金下で、税金でみんな負担しているんですから、納得できるような年金の改革の方向を出すべきであると私は思いますが、厚生大臣、いかがですか。
#47
○野呂国務大臣 これは予算委員会でもたびたびお答え申し上げてきたわけでございます。確かに年金の積立金がインフレによりまして実質価値を目減りさせていくことは好ましいことではございません。したがって、その積立金の運用利回りをなるべく大きくしながら目減りをなくしていくという根本的な対策が必要である。それに対しましてはいまの段階では、御指摘の被保険者あるいは労働者の直接参加という形、せめて共済年金のような利回りのそういう方式をさらに進めていくべきではないか、これは十分検討しなければならぬ問題でございます。ただ、その責任は国の財政で補てんすればいいではないかということになりますと、制度が成熟化すればするほどに年金受給者の数もふえ、給付費も増大いたしますから、長期的には保険料の負担も考えていかなければならぬ、その見合いをどう持っていくか、そして被保険者のせっかくの積立金が目減りすることのないような全体的な制度の運用を考えていくということは確かに御指摘のとおり大事なことだ、そういうふうに考えております。
#48
○大原委員 大体理解いただいたと思うのです。私が申し上げたように、民主主義は手続が大切なんです。手続を誤ると幾らいいことをやっておると言ったってだめなんです。そうすると、目的と手段とを混同することになって、大蔵省全体が年金に介入するということになる。ですから、手続が大切であるという点を特に強調しておきますが、厚生大臣、いかがですか。
#49
○野呂国務大臣 制度全体の問題として、これは基本的にも年金財政といりものをどういうふうに運用していくか、その中で被保険者のいろいろな期待にこたえていくかということは大変大事な問題であると思います。財政論の前にわれわれは制度全体についていろいろ検討することにいたしたい、かように考えます。
#50
○大原委員 共済年金との関係を考えてみても、資金運用についての手段方法は違うわけです。それから、これは一つの大切な問題、ポイントですが、今回共済年金の保険料は一〇・三ほど上がるわけですね。それで、厚生年金の方は一〇・九ほど男子は上がるわけですね。これは年金の保険料の決め方が妥当かどうかという議論があるわけです。かなり実態、時期は進んでいるわけですけれども、保険料については、成熟度は共済の方がうんと進んでいるのだし、言うならば共済はがたがた年金なんですよ。たとえば、地方公務員共済だって、呉市なんか、私の選挙区ではないですよ、森井理事の選挙区だけれども、年金加入者よりも受給者の方が多いんだよ。そういうようにいっぱい問題があるところがあるのです。であるのに、保険料についてはこれでも高いという議論があったんだが、それ以上に、厚生年金は二十七兆円あるのですけれども、このインフレの時代にこれをできるだけ必要最小限度にとどめながら、制度全体を考えながら合意を求めていくことが必要であって、成熟度があって、危険度が高い共済年金の方が一〇・三で、厚生年金の方が一〇・九というのは、私の議論を踏まえて常識的に問題がある。したがって、この保険料は十分議論をして下げるべきである。いかがですか。
#51
○木暮政府委員 先ほどちょっと申し上げましたように、今度御提案をいたしました保険料は六十五歳を前提として計算をしました平準保険料の六割でございまして、六十五歳を見送りましたけれども、百九のまま御提案を申し上げておるわけでございます。
 それで、共済組合との関連でございますが、たとえば昭和五十三年度末で見ますと、確かに厚生年金の方は被保険者に対しまして老齢年金の受給者が六・八%でございます。それに対しまして共済組合、国家公務員共済の場合でございますが、二一・四%でございまして、被保険者に対する年金受給者の数が多いのでございますけれども、これは御承知のように、昭和三十四年に共済組合の方が社会保険方式に切りかえまして、それ以前の費用につきましては国が直接持つということになっておるわけでございます。そういう観点から平準保険料で比較しますと、先ほど申し上げましたように、厚生年金が千分の二百でございまして、国家公務員の方は千分の百二十九でございます。国家公務員共済の方はまだゆとりがあるということなんでございまして、ゆとりのない共済組合に対してゆとりのある厚生年金がよけい保険料を取るということではございませんで、厚生年金の方が財政的に見て将来問題を持っておるということでございます。
#52
○大原委員 そういう側面もあるけれども、これはインフレ度合いのいかんが非常に大きな影響を及ぼすけれども、しかし成熟度が急速にピークに達するのは共済の方が早いのですよ。だから、これは余り議論しませんけれども、厚生年金の方はいま一四%の成熟度ですよ。一四・幾らでしょう。それは議論いたしませんが、そういうことですから、いまの全体の情勢を考えて、平準保険料の何%取るというのはいまは下げているんだから、修正しているわけだから、それはそれとして、修正度を引き上げて保険料を下げるべきだ、こういう議論であるということを、大臣、明確に私は言っておきますよ。
 それから、もう時間が参りましたから最後に、被用者の妻の任意加入という問題について、いままで幾らでも議論したんだけれども、時間がたてばたつほど、言うまでもなく矛盾は拡大するのです。それで、各方面から、審議会等からもいろいろな提案があるのです。それを厚生省は何ら決断をしない。そして、ちびりちびり付加年金等の措置をとって児童手当やその他社会福祉全体の体系をばらばらにしている。矛盾を拡大している。
 そこで、妻の年金権についてどうするのかということを、四十歳以下の若妻――若妻というふうに政府の方のどこかに書いてあったが、若妻じゃないです、四十歳は。長尾課長だってかなり年をとっている。若妻とは言わぬだろう。若妻じゃなく、かなり年だ。主人が死んで三十九歳、四十歳で国民年金に入っても、二十五年掛け金を掛けましたら六十五歳になる。だから、こんな思いつきのようなむちゃなことをしたらだめですよ。婦人をいじめちゃいかぬですよ。いまは婦人年じゃないか。自民党と大平内閣は婦人をめちゃくちゃにいじめているじゃないか。それは異議ないでしょう。どうするのですか。
#53
○木暮政府委員 厚生年金制度は婦人をめちゃめちゃに優遇をしておる制度でございます。保険料も安くしてございますし、それから支給開始年齢も五歳早うございますし、それから女性の方が長生きでございますから年金をもらう期間も長いわけでございます。非常に優遇をしておるわけでございますが、その点につきましても、今後高齢化社会を迎えるに当たりまして必要な手直しだけはさせていただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#54
○大原委員 残っておりますが、終わります。いまのは了解できません。
#55
○葉梨委員長 次に、谷口是巨君。
#56
○谷口委員 年金の問題あるいは健保法の問題とかいうのは、私たち国民の各階層にとってきわめて重大な問題であります。
 「年金制度の健全な発展には、インフレなき経済成長の持続と中高年齢層の雇用の安定、確保が欠かせない条件であり、これらの対策の推進に、格段の努力が払われなければならないことを特に明記しておきたい。」このように基本懇の答申の中に特記されているわけです。
 厚生省は、厚生年金の支給開始年齢を六十五歳にと考えて、今回の改正案に付記をしたわけであります。
 総理府のいろいろな調査をやった中に、五十年に行いましたいわゆる老後の生活設計に関する調査、それによりますと、ここにいろいろなデータが出ているわけでありますけれども、三十歳から五十五歳までの年齢層の人々はどういうふうに将来を考えているかというと、六十四歳までは夫婦の就労による収入を第一とする、子供の世話にならない、こういうふうに考えて返事をした人が八五・五%という圧倒的な割合を占めているわけです。六十五歳以降の人々は、公的年金が第一位となっているわけであります。
 この意識調査を見る限り、いわゆる国民の意識を厚生省はこの年金に反映をさせたというふうに一面は見えます。しかしながら、さきにも述べたように、年金の健全な発展というものは、基本には雇用の安定がなければならないわけです。国民の一人一人は、六十四歳までは子供の世話にならないで、そして自分で働いて生活を保っていきたい、このように希望しているわけです。ところが、それに反しまして、雇用の年齢の状態はそうなっていないわけです。現在、定年制が五十五歳から六十歳に移行しようとしている、そういうふうに解釈をしておりますけれども、定年制が六十歳に定着するまでにはどの程度の時間を要するのか、これは労働省の見解をひとつ伺っておきたいと思うのです。
#57
○若林説明員 ただいま先生御指摘になられましたように、多くの労働者が、自分の健康が許す限りは六十五歳ぐらいまで働きたいという気持ちを持っておるわけでございまして、私どもの関係で定年退職者の生活のアンケート調査をいたしました際にも、やはり七割前後の方々が六十五歳ぐらいまで働きたい、若干それより遅くまで働きたいという気持ちを持っておられるわけでございます。
 私どもも、このような今後の高齢化社会に対処いたしますために、やはりわが国の終身雇用慣行の中で、できるだけ同一企業の中で働いていくことがこれら高齢者の方々の雇用の安定に最もふさわしいということでございまして、定年延長の指導を進めているわけでございます。定年制の状況は、先生御指摘のように、依然として五十五歳の定年が多い現状にあるわけでございますが、長期的に見てまいりますと、景気の停滞の中にありましても、五十五歳定年の割合が大きく減少しておるわけでございまして、着実に定年延長の傾向が見られると考えております。特に最近におきましては、鉄鋼、私鉄が定年延長の実施を決定いたしましたのを初めといたしまして、定年延長を決定する企業が各業界にわたってあらわれておりまして、定年延長の機運は一層着実に定着しているというふうに考えております。
 政府といたしましては、こういう中で、六十年度までに何とか六十歳定年を一般化したいということで、最大限の努力を払っているところでございます。
#58
○谷口委員 この年齢という問題はきわめて重大であります。したがって、私ども公明党としては、六十五歳までは定年制の延長を国はやるべきである。しかしながら、ひとまず過渡的な問題として、経過的措置として六十歳までは急いでこれを政府でやりなさいとずいぶん声を高くして要求をしているわけです。
 しかし、いまあなたの場合、六十年に大体六十歳の定年の制度を定着させたいとおっしゃるけれども、果たしていまの状態でそういくものかどうか。また、万が一できたとしても、一つの傾向として、ある一定の年齢からはもう責任あるポストにはつけないとか、あるいは昇給をストップするとか、あるいは実質賃金を下げるとか、いろいろな傾向もあわせて行われておりますが、これに対してはどうお考えですか。
#59
○若林説明員 お答え申し上げます。
 先ほど申しましたように、私ども六十年までに六十歳定年を一般化するということで現在努力を進めているわけでございますけれども、この定年延長という問題は、わが国の終身雇用慣行と、それに基づきます賃金、退職金制度、あるいは人事管理制度といったようなものの見直しが必要なわけでございまして、これはかつて長年労使が積み上げてきた制度でございますので、労使の話し合いによってその見直しの解決を図っていく、その前提の中で六十歳定年が進められていくというふうに考えているわけでございます。
 現在、六十歳定年が進められております中で、いま先生の御指摘になりましたようなものも含めまして、労使の間でいろいろな話し合いが進められていくわけで、これはさらに今後も引き続き続けられていくというふうに考えておるわけでございます。
#60
○谷口委員 六十歳を超えまして、さらに、たとえば六十五歳になるまでの間のいわゆる雇用の安定という問題は、私はきわめて重大だろうと思う。それからまた、雇用年齢と年金の関係とは切っても切り離せないものでありますから、この努力というものはきわめて力を尽くさなければならぬと私は思うわけですけれども、このいわゆる高齢者対策というのは、六十歳から六十四歳としてもいいですが、その間の雇用対策を具体的にどのように考えていられるのか、お伺いしたいと思います。
#61
○若林説明員 先ほど申しましたように、六十歳までは定年延長というものによって雇用の安定を確保してまいりたいということで努力を進めているわけでございますけれども、六十歳から六十五歳層になりますと、個人的にずいぶん差が出てまいります。業種面でも問題があろうかと思いますが、私ども基本的には、六十歳を超えましても同じ企業で高齢者を引き続き雇っていただくということが、日本のこの終身雇用慣行の中で高年齢者の雇用の安定を図る道ではないかというふうに考えまして、六十歳を超えましても、定年延長、再雇用、勤務延長等によります雇用延長によって雇用の安定を図るということを基本に据えてまいりたいというふうに考えております。
 ただ、先ほど申しましたように、六十歳を超えますと、いろいろ個人差あるいは業種別の問題も出てまいりますので、そういうような高齢者の方々の多様なニーズに応じてそれぞれにふさわしい対策を講じていくということが必要だろうと考えております。
 このほど高齢者の活力を生かすという観点から、高齢者の人材の活用のための措置も講じているわけでございます。
#62
○谷口委員 非常にこれはむずかしい問題ですね。従来も、いわゆる中高年齢層を必ず使うようにということでいろいろな手が打たれ、また指導がなされてまいりました。しかし、目標にははるかに達しない、こういう状況でありますから、これはやはり定年延長というものも法制化して、中高年齢層を雇用することを一つの義務としてその内容の充実を図らない限り私は効果が見られない、また期待も薄いと思いますが、そうやるべきだと思いますが、どうですか。
#63
○若林説明員 いわゆる定年を法制化するという問題でございますけれども、先ほど申し上げましたように、定年延長という問題につきましては、わが国の終身雇用慣行、それに根差します賃金、退職金、あるいは人事管理といったような問題の見直しが必要であるわけでございまして、このような問題に対する解決というものと別に一律に定年年齢だけを法制化していくということにつきましては、いろいろな問題があるのではないだろうかというふうに考えておりますが、いずれにいたしましても、この問題につきましては、前通常国会の国会の御論議を踏まえまして、現在雇用審議会で定年の実効ある推進策につきまして、法制化問題も含めまして御諮問申し上げ、御審議を願っているところでございまして、政府といたしましては、その御結論を待って対処してまいりたいというふうに考えているところでございます。
#64
○谷口委員 厚生大臣に伺いますけれども、これは労働省関係のことをいま聞いてきたわけですが、お聞きのように、高年齢の方々の雇用という問題については、現実は非常に厳しいわけですね。ところが、厳しいにもかかわらず、年金の傾向としてはいわゆる年齢の引き上げという方向に向かっている。現に共済年金はそうなったし、厚生年金にしてもそうやりたいのはやまやまでありましょう。そういう問題を加えまして、今後、年金と働く年齢との整合性については、厚生省あるいは政府としてどのようにやろうという考えをお持ちなのか、厚生大臣として決意を伺っておきたいと思います。
#65
○野呂国務大臣 本格的に迫ってまいりました高齢化社会を迎えて、高年齢者層の雇用対策は大変大事なことだと私は思います。むしろ政府の取り組みが遅いのではないかというふうにも考えるわけでございます。政府が一体となってこの問題の解決を進めなければならないことは言うまでもないことであります。しかしながら、年金財政の将来を考えてまいりますときに、それならばそれが満たされなければと待っておれないという将来の財政的な心配もございます。したがって、これらが十分に関連を持ちながら、しかもいろいろ御指摘になっております官民格差、共済年金との問題等も整合性をより高めながら、そしてできる限り早い機会、次期再計算期には、厚生年金につきまして、六十五歳問題についても改めてまた御検討を願うことがあるのではないだろうかというふうにも考えておるわけでございます。しかし、現段階におきましては、この問題については将来皆さんでお考えを願って、いろいろな総合的な判断の上に立って処置すべきではないかというふうに考えておるわけでございます。
#66
○谷口委員 労働省、最後ですが、あなたに決意を聞いてもちょっと大変でございましょうから、聞かないで希望だけにとどめますが、要するに年金問題と雇用年齢とは切っても切れない関係があることは事実です。したがって、年金の方の苦しい状況云々だけで年金の年齢が引き上げられてはたまったものではない。それに対しては雇用実態に合わせていかなければならぬわけですね。この努力をしっかりやっていかなければならぬということをひとつ銘記しておいてもらいたいと思う。もう答弁は聞かぬことにいたします。
 では、労働省は大体終わりまして、厚生省の方に質問の主体を移します。
 基本懇で、現行制度の問題点と改革の必要性として三点挙げているわけですけれども、まず第一に、制度分立による格差、不均衡でありますけれども、現在の時点で合理的でない部分についてはどういうふうに認識をされているか、答弁を伺っておきたいと思います。
#67
○木暮政府委員 現在の年金制度は、先生御案内のように、八つの制度に分かれております。それで、制度が対象にしております国民の階層も違いますし、またできました年も違いますので、それぞれ沿革がありまして、いろいろな違いがあるわけでございます。そういう観点から見ますと、違いがあって当然というふうにも言えないことはないのでございますけれども、この八つの制度は、現実にはばらばらではなくて通算制度でもって結ばれているわけでございまして、国民の方々も通例幾つかの年金を渡り歩くというのが実情でございますので、そういう意味からいいまして、できるだけ整合性のあるものにしていかなければならないという面があるわけでございます。また、今後それぞれの年金制度負担をふやしていかなければならないわけでございますが、負担をふやしてまいります場合には、やはり負担の公平感というものが大切であろうと思うわけでございます。そういう観点からも、制度間の沿革というものは尊重しながらもできるだけ整合性のあるものにしていかなければならないというふうに考えております。
#68
○谷口委員 この整合性ということが非常に大事なものであります。したがいまして、いまいろいろお話しになった問題を認識されて、今度の改正案に具体的にはどういうことを反映されたか、具体的にお述べ願いたいと思う。
#69
○木暮政府委員 今回の改正でございますが、率直に申し上げまして、基本懇で指摘されております格差の問題につきまして、幾つかの芽は出しておりますけれども、基本的に取り組むところまでは至っておらないわけでございます。と申しますのは、たとえば共済年金と厚生年金との間にいろいろな格差が指摘されておるわけでございます。たとえば、現実に出ております共済年金の方が厚生年金よりも高うございますけれども、これもよく見てみますと、現在共済組合の方々が受給しておられる年金は三十数年間加入の年金でございます。厚生年金の場合には二十二、三年の加入期間に対応した年金が出ておるというようなことがございまして、そこら辺、どこまでが合理的な格差であり、どこまでが不合理な格差であるかということがはっきりしないというようなことが率直に言ってあるわけでございます。そこで、共済組合の方もこの問題には積極的に取り組まなければいけない、いまのままではいかぬということで、本年度研究会を発足させまして、共済組合のあり方を根本的に研究をしていただくということになっておるわけでございます。そういうものの進展を見ながら、私どもの方も国民の皆様に納得のいくような整合性のとれる方に厚生年金、国民年金も持ってまいりたいというふうに考えているわけでございます。
#70
○谷口委員 厚生省は、中高年齢者の雇用の安定、あるいはその意味からいくと定年制六十歳、こういうふうにいま労働省としてやっていっている動きは御存じですけれども、労働省としてはあと五年かかるという一応の目標を先ほど言っているわけです。これができるかできないか、まだ問題ですけれども、あと五年かかる、こういう一面があり、もう一面では、いわゆる共済年金を二十年掛けて、五十五歳から六十歳に支給年齢を動かし始めたわけですね。またさらに、制度審の答申についても、制度審の建議を正しく理解していない、こういう指摘をしているわけです。こういういろいろな状況の中で、いわゆる附則の中になぜ六十五歳支給ということを述べなければならなかったのか、これが私たちは理解できない。だから、簡単明瞭にその理由を述べていただきたい。
#71
○木暮政府委員 私ども、関係審議会に諮問いたしましたときには、ただいま先生から御指摘のございましたように、支給開始年齢の六十歳を二十年がかりで六十五歳にいたしたいということで御審議を煩わしたわけでございます。その際も労働省と十分連絡をとりまして、労働省の方は昭和六十年に六十歳定年を一般化したいという方針を立て、また閣議決定もしておるわけでございますので、昭和六十年に六十歳定年が一般化する。若干の余裕を見まして、六十二年に六十一歳にする。それから三年ずつ一歳ずつ引き上げていったらどうだろうかということで御提案を申し上げておったわけでございます。
 これもこういう形で審議会に御諮問申し上げておったわけでございますが、ただいま御指摘のございましたように、制度審議会は、国民年金、共済年金、それからまた厚生年金、それから提唱しておられます基本年金も含めまして、六十五歳にすべきだという御意見であったわけでございますけれども、もう少し雇用政策の具体化が要るのではないだろうか。また、官民格差の問題にももう少し突っ込んだ対応が要るのではないだろうか。そういうことがないままに六十五歳にするのは問題であるという御意見をいただいたわけでございます。
 私どもといたしましては、そういう御意見を尊重いたしまして、今回は支給開始年齢の引き上げを見送ることにいたしたわけでございますが、この問題につきましては、いま申し上げましたように、制度審議会は、各年金そろえて六十五歳にしなければ日本の年金はだめだという御指摘をされており、また社会保険審議会も、六十五歳の問題というものは避けて通れないということを意見書で述べていただいているわけでございまして、私どもといたしましては、厚生年金を将来にわたって安定した形に持っていくためには、ぜひともこの問題と取り組んでいかなければならないという意味で、訓示規定を入れさしていただいているわけでございます。
#72
○谷口委員 いまの説明を聞きますと、いわゆる社会保障制度審議会の中にも具体的に指摘がなされているわけですね。「今回の諮問はこの建議の趣旨を正しく理解することなく、単に厚生年金支給開始年齢の六十五歳への引上げを提起しているにすぎない。したがって雇用政策はもとより、いわゆる官民格差の是正、早期支給制度、積立金の管理運用の改善などへの配慮が欠けている。また、その他の提案についても検討の不十分さがめだつ。」このように明確に指摘されているわけです。その中であえて六十五歳の支給をなさったいわゆる訓示規定について、あえてこれを取り上げていく、私はむしろこんなものは取り消さなければならない、削除しなければならない、これは私たちの考え方でありますけれども、これについて大臣、どのようにお考えですか。
#73
○野呂国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、両審議会におきましても、年金財政の将来を考える場合においては、六十五歳問題は避けて通れない問題である、こういうことが明確に指摘もされているわけでございます。したがいまして、私は年金財政の将来を安定さすためには、思い切って保険料率を引き上げて、その負担をふやすか、あるいはそれにたえられないとするならば、給付率を引き下げる以外にない。さらにまた、支給開始年齢についても検討すべきである。いろんな問題があると思います。しかしながら、それらは雇用問題等いろんなものと絡みながら、国民の御選択をされるべきものでございまして、しかしながら六十五歳につきましては、次回の再計算期において真剣に取り組むべき課題である、こういう考え方のもとにその趣旨の規定を設けることにいたしたわけでございます。
 しかしながら、先ほども触れましたように、現段階においては具体的にどんなような措置を予定しておるかということについては、決して具体的に考えているわけではございませんが、次期再計算期においては、その趣旨を踏まえて、諸般の事情を総合的に勘案して、年金財政の安定のための処置を講ずべきである。こういう意味で、訓示という名前もそこから出てきておるわけでございます。この規定をいま直ちに排除するということはいかがなものだろうか。われわれは将来の課題をここに提起しておる、こういうことで御理解を願いたいと思うのであります。
#74
○谷口委員 その答弁については私たちは納得できないものがたくさんあります。これははっきりといたしておきます。非常に重大な問題ですから、私は大臣の再考を促しておきます。
 それから、制度の問題についていろいろありますけれども、社会的経済的条件の変化に伴う問題としていま起こっておるのは、婦人の職場進出によるいわゆる被用者年金への加入とか、あるいは被用者の妻の国民年金の任意加入が挙げられているわけですね。このどの部分をどう見直すべきなのか、それについて所見を伺っておきたいと思います。
#75
○木暮政府委員 これはなかなかややこしい問題で、簡単に御説明できないのでございますけれども、御指摘のように、婦人のライフサイクルが変わってまいりまして、若いときに勤めて、そのままずっと勤められる方が多くなってまいりましたし、一たん結婚して家庭に戻って、子供が育つと再び職場につくという方もございますし、また職場に復帰されない場合でも、国民年金に任意加入されるというようなことでございまして、婦人の年金に対するかかわり方が変わってきたわけでございます。
 端的には、サラリーマンの奥様方が非常に多数国民年金に加入をするというようなことになっておるわけでございまして、この国民年金に対する妻の任意加入の問題をどういうふうにするかを初めといたしまして、婦人の年金制度における位置づけというものを見直しませんと、年金が十分機能しない場合も出てまいるでしょうし、また年金が重複して費用負担が非常に大変になるという問題も出てくると思うわけでございまして、今後の年金の将来を決める場合の最重要問題というふうに認識をいたしておるところでございます。
#76
○谷口委員 時間がだんだん迫ってきたので、先に進みますけれども、いわゆる基礎年金構想について、それの実施に当たってはいろいろな問題が挙がっているわけですけれども、いわゆる各制度間で財政調整ということがやはり問題になると思います。これは漸進的にやはり基礎年金構想を目指す目的としてやっていかなければならぬと思いますが、それもしかし徐々にできるところからやっていかなければならぬと思いますが、これに対するプロセスはどのようにお考えですか。
#77
○木暮政府委員 八つの制度がそれぞれ違った運営をしてまいっておるわけでございます。その中には国鉄共済のように非常に困っておるところもございますし、また、わりあい余裕のあるところもあるわけでございますが、国鉄共済一つとりましても、国鉄共済の運営が悪いから非常に財政的に困るということではない面もたくさんあるわけでございます。先輩を多く抱え、現役の人が合理化で少なくなるということで、少数の人が多くの先輩を養うということは、国鉄共済の運営が悪いからということではないと思うのでございます。
 そういうように、各年金制度の努力ではなくて、社会経済的な情勢で年金制度が影響を受けて運営に困難が生じるという面がございますので、そういう点は財政調整をするということが必要であるという基本懇の御指摘をいただいておるのでございます。しかし、財政調整をいたします場合に、各制度が違ったままではなかなか納得がいただけないわけでございまして、先ほども先生から、各制度間の格差を是正するようにという御指摘がございましたけれども、やはり財政調整をやります場合にも、できるだけその前に各制度間の違いをなくしていくということが前提条件として必要だと思いますので、そういう面から努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#78
○谷口委員 政府側にお願いしますが、時間が迫ってきたから、しゃべりたいこともたくさんあるでしょうけれども、簡潔にひとつお答え願いたいと思います。
 今度の改正の中に、四十歳未満の子なし、まあ若妻で問題になりましたけれども、若妻に対して年金を支給しなくなるわけですな。これは前に支給しないということになっておったのを支給するようになって、今回また支給しないこととなったんですね。これの経緯と、それからこの四十歳子なしの若妻に支給しないということについて、ほかの年金との整合性、これをひとつ簡単明瞭にお願いしたい。
#79
○木暮政府委員 今度の改正の重点の一つは、遺族年金でございます。その遺族年金の改正に当たりましては、関係審議会から、一律に遺族年金を改正するのではなくて、お年寄りの未亡人とか子供を抱えている未亡人に厚く改正をすべきである、その一方、いままで遺族年金が出ている場合でも、年齢とかそういうものを考慮して遺族の範囲を見直すこともあっていいんじゃないかという御意見をいただいておったわけでございます。そういう御意見に沿いまして、高齢の未亡人の場合、あるいは子供のある未亡人の場合には、思い切って遺族年金の改善をさせていただいたわけでございますが、いま御指摘の四十歳未満で子供のない方には、年金を御遠慮いただくというようなことにいたしたわけでございまして、関係審議会の御意見に沿って、必要なところは厚くつけるし、また比較的必要度の薄いところは御遠慮いただくというような措置をとった次第でございます。
#80
○谷口委員 私は、非常に不満であります。たとえば、四十歳くらいで、なかなか仕事なんかあるものじゃない、現実には。それはやはりよく踏まえてもらわなければ困ると思うんですね。これは、しかし時間がないから先に進みますけれども。
 また、ここにこうして記載してありますね。加給年金のところですが、「将来本格的な児童手当の実現を妨げるものとなるので、再考を要する。」とありますね。これは大臣にお伺いします。よろしいですか、児童手当の関連。局長、時間の関係で結構です。ちょっと待って、大臣です。
 私たちが社労部会であなたに要望した中にこれは入っております。本来ならば、児童手当というものは第三子から不満足でも行われて、第二子、第一子となるべきであった。それを政府の怠慢によってなさなかった。そして今日、あなた方の間では、何だか影が薄い存在になってきつつある。こういう問題を抱えながら、この加給年金のところで指摘されながら、なおかつこれをやったことの真意はどうなんですか。これはけしからぬじゃないですか。
#81
○野呂国務大臣 児童手当の問題は、「将来本格的な児童手当の実現を妨げるものとなるので、再考を要する。」というようなことが指摘されておりますが、ちょっとこの意味がわれわれはよくわからないのでございまして、二十一世紀のいわゆる人口静止期を迎えるというようなことも考慮しながら、健全な子供をどう育てていくか、このことについては、児童手当制度そのものについても十分検討をし、前向きに取り組んでいかなければならぬと私どもは考えておるのでございます。いま直ちに、それならばこれはこうするのだということをお答えできませんけれども、大事な問題として、今後この制度はもっと前向きに考えなければならない問題だということは、私も平素考えておる持論でございます。
#82
○谷口委員 時間が迫ってきたので、局長、答弁したいところもあるでしょうけれども、場合によって大臣にばかり聞くかもしれません。
 厚生省の試算によりますと、昭和七十五年の時点で、大体老齢年金受給者が一人に対して厚生年金の加入者は四人、共済年金は二・六人、こういうふうになっておるわけです。共済組合が二十年後に六十歳支給になると、いわゆる収支均衡するというふうになるわけですけれども、厚生年金はなぜ六十五歳、その案でなければ困難だと判定したその理由をひとつ簡単に。あと一問ありますから、早く答えてください。
#83
○木暮政府委員 厚生年金の場合に、関係審議会に御諮問を申し上げましたときには、六十五歳にいたしたいということであったわけでございますが、六十五歳に仮にいたした場合に、しかも五年置きに男子の保険料を千分の十八ずつ上げさせていただくということをいたしますと、昭和八十年から八十五年の間におきまして赤字が発生するわけでございますが、それまでは単年度の赤字を出さずに済むということでございまして、昭和八十年以降はさらにまた別の手段を講じなければならないのでございますけれども、当面の財政の安定は確保できるということで御提案をしたわけでございます。
#84
○谷口委員 保険料率に入りますけれども、男子一〇・九%、女子が九・二%、坑内夫が一二・一%、大幅な負担増になりますね。厚生年金は現在黒字財政であるし、これは急がなくていいという一つの理由を私たちは考えるわけです。それから、いま政府主導型の値上げが物すごいんですね。これは政府がみずから物価値上げをどんどんやっているように、公共料金がぼんぼん上がっていく。電気だとかガスだとか、あるいは米とか、あるいは酒、たばこ、それからきのうもはがきとか手紙が上がりましたな。こういう中で、一連の公共料金の値上げがどんどん行われる中でこういう大幅な率の引き上げは納得できないのですけれども、なぜそうしなければならないのですか。
#85
○木暮政府委員 厚生年金は、御指摘のように、現在積立金もございますし、単年度赤字が出るという状況ではございません。しかし、年金の性格から言いまして、長期的に財政を見ていかなければならないということでございまして、そういう面からしますと、先ほど来議論がございましたけれども、完全積立主義をとっていくということであれば一番いいのでございますけれども、それも現実にそぐわない点がございまして、必要保険料の六割を取るということでやってきておるわけでございます。今回は六十五歳の前提で考えましたけれども、六十歳という現行に戻しましたので、その必要な保険料の六割も割りまして、五二%程度の保険料ということになるわけでございます。その分だけ後代の負担が重くなるわけでございますので、むしろ私ども事務当局としましては、もう少し高目に保険料を設定したいというふうに思っておるわけでございます。また、ほかの料金と違いまして、厚生年金の料金の場合には、掛けたのに比例しまして御本人の年金が決まってくるわけでございますので、ほかの料金とは性格が違うという面もあろうかと思っております。
#86
○谷口委員 大臣に伺いますけれども、いわゆる年金問題というのは、あなただって年金を当てにしているはずでございますが、国民みんなひとしくこれは期待をし、非常に大きな望みをかけているわけですね。したがって、やはりこれは国民みんなの大きな関心であります。これがいわば改悪されるようなことがあったら大変ですね。国の責任においてどんどん内容の充実を図らなければいかぬし、やはり各制度間の格差もなくし、整合性を持たせなければいかぬ。
 こういう問題について、大臣は、どのようなこれからの展望、決意をお持ちですか。
#87
○野呂国務大臣 年金制度が、制度の成熟化に伴いまして給付費がふえてまいります。その財政的な安定もやはり考えながら、しかしそれがためにはどういう方法をとるかということについては、やはり国民の御理解を得られるものでなければならない。やはり国民の合意ということが、福祉行政における最大の基本的条件ではないだろうかというふうに私は考えるわけでございます。したがって、分立する制度間の不均衡あるいは格差問題については、いろいろな機関を挙げて検討し、また政府といたしましても関係閣僚懇談会を設けまして、ここで今後十分に練ってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
#88
○谷口委員 最後に、関連がありますのでお伺いしておきますが、前回も大臣にお聞きしましたいわゆる予算作成の場合、大蔵大臣からいわば一札とられましたね。あの一札とられた問題は将来の問題としてきわめて重大です。この前私はあなたに、これは来年度の予算の作成について拘束をするのかと言ったら、あなたはしないとおっしゃった。しかし、私は信用できない。大蔵大臣が一本とったつもりでいるんだからあなたが幾らがんばったって――なかなかむずかしい面はあるでしょう。しかし、あなたのおっしゃった拘束しないという意気込みは、私、国民は大きな希望をつないだと思う。だから、あなたはひとつ力を発揮して、むしろあなたの最後の仕事と思って、本当の話が、全力を挙げてこれは立ち向かわなければならないと私は思いますが、再度あの覚書を破棄し、堂々と主張する決意を聞いて、私は質問を終わりたいと思います。
#89
○野呂国務大臣 いわゆる覚書なるものと申しますのは、あれには覚書ということが示してございません。私は一つのメモであると思います。しかも、そのメモの内容につきましては財政当局の責任者である大蔵大臣と私との間に、党三役がそこに立ち会って、お互いに今後の問題についてどういうふうに考えていけばいいかということについての認識を確認したという程度のことでありまして、したがいまして、これは五十六年の将来において必ずしも拘束するものではないという現状認識、将来の展望に立って国民の期待にこたえていくような福祉行政、厚生行政をむしろ積極的に展開すべきであるというふうに考えておるのでありまして、大蔵大臣も一本とったとは考えていないと私は自信を持ってお答え申し上げる次第でございます。
#90
○谷口委員 時間が来たようでやめますが、いまの決意は私は非常によかったと思います。しかし、大臣、いつも言うように、言うばかりではだめですぞ。来年度の予算編成を見た上であなたのおっしゃったことが真実なのか、あれは表面だけ言って任期間過ごせばいいんだという、そういう気持ちはないと思うけれども、そういう気持ちでぽっぽっとやっていったんだったら来年がこわいですよ。よろしゅうございますか。しっかりとひとつ実現を期してやっていただきたい。
 時間が来ましたから、以上で終わります。
#91
○葉梨委員長 次に、梅田勝君。
#92
○梅田委員 私は、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案につきまして若干質問を申し上げたいと思います。
 今回の改正案におきましては、各種年金の給付改善と、厚生年金におきましては寡婦加算の引き上げ、国民年金の母子年金におきましては母子加算を新しくつくる、あるいは児童扶養手当、特別児童手当、福祉手当の給付改善、こういった一定の改善が見られるわけでありますが、同時に、先ほど来議論になっておりますように、今回の改正案におきます第四十六条、いわゆる老齢年金の支給開始年齢に関する訓示規定という問題、それから二つ目には、大幅な保険料が予定されている。これは厚生年金におきましては男子千分の十八ということでありますが、これは半々にいたしまして月収の〇・九%ということになるわけでありまして、わが党の党費でも一%でありますから、これは労働者の負担におきまして、現在でも相当高いのに上積みということになるわけでありまして、相当問題であろう。それから、国民年金の場合でも、夫婦いたしますと月九千円ということになる。また、段階的にこれは引き上げていくわけでありますから、非常に負担が重くなるわけであります。それから三つ目に、これまた今回の大きな問題になっております四十歳未満の子なし妻に対します遺族手当の打ち切りがある。これらの三つの問題は、私たち共産党・革新共同にとりましてとうてい認めることのできない重大な改悪というように考えております。したがってわが党といたしましては、まずこの点の削除、修正を要求していきたいと思うわけでありますが、大臣はわれわれのこの考え、また多くの方々が要望されております修正要求についてどのように対処しようとなされているのか、お伺いしたいわけであります。
 あわせて、後申し上げていきたいわけでありますが、なお給付の改善があるとはいえ、もっと現行法の改善が必要であろうというように思うわけであります。たとえば、現行の遺族年金でありますが、これは非常に低いと思うのですね。基本年金の五割というのをもう少し上げられないかどうかという点をお伺いいたしたいわけでありますし、また障害年金につきましても、これまた後で申し上げますけれども、相当改善すべき点があるんじゃないか。それから、保険料につきましては、将来だんだん保険料を上げていかなければならぬという数理上の予測もあるという点を考慮いたしますと、現行の労使負担割合を改善していく必要があるんじゃないか、こういった要求を同時にしてまいりたいと思います。
 まず、最初に厚生大臣に御答弁賜りたいのは、いろいろ新聞等でも健康保険改悪がらみで厚生年金につきましては一部修正もあり得るんじゃないかという巷間伝えられている話もございますが、そういう問題とは切り離して、まず厚生年金の改正について、この改正案の中に含まれている三つの問題点について修正すべきじゃないか、これについてまず大臣の御所見を承りたいと思います。
#93
○野呂国務大臣 いま御指摘のありました訓示規定の問題、あるいは保険料率の引き上げの問題、あるいは子なし若妻の遺族年金の問題等々が指摘されて、これに対して修正を要求するが、それに対して厚生大臣はどう考えるか、こういうことでございます。
 いろいろ議論は承っておるわけでございます。現在それぞれこの国会審議の場を通しまして議論をされ、御指摘を受けておるわけでございます。しかし、修正権は国会自体の問題でございまして、政府はこのことがよりいいものだという認識の上に予算を計上し、同時にそれに伴って厚生年金法の一部改正を提案させていただいておるわけでございます。どうぞ議論のあるところは、いろいろ国会としての修正をされるかされないかは国会自体の問題でございます。厚生省がその要求に対していいのか悪いのかということを申し上げるような立場ではございません。どうぞ御議論は御議論として私どもは承りたい、かように考えるわけでございます。
#94
○梅田委員 政府を構成している自民党の中でいろいろ修正してはどうかというような意見も出るような時代でありますから、もう少し柔軟な態度で検討していただきたいと思うわけであります。
 そこで、もう少し訓示規定の問題に立ち入ってお伺いしたいわけでございますけれども、これは最初明確に、六十五歳へ段階的に支給開始年齢を引き上げるというように法律用語的に言われますが、私どもは感覚的にこれを繰り下げになるというように受け取るものでありますが、これは猛反対があって一応引っ込めて、老齢年金の受給資格年齢につきましては、この法律の施行後に初めて行われる厚生年金保険の財政再計算の時期に、所要の改正措置が講ぜられるものとする、こういう訓示規定ということになったようでありますが、私は問題は二つあると思うのです。
 一つは、先般も労働大臣に対する質疑の中で明らかにされましたように、現在六十歳定年制ということを推進しておるようでございますが、五十五歳以上の求人倍率というものは〇・七倍であり、年の行った人たちの就職戦線というものはきわめて厳しい、高齢者に対する雇用対策というものはきわめて貧困だということは天下周知の事実であります。そういう時期に、さらに支給開始をおくらせるということは絶対にあってはならないと思うわけであります。
 それから、いま一つの問題は、多くの年金加入者は、この制度自体が、厚生年金の場合には戦前からずっと続いておるわけでございまして、相当の歳月を経ているという中で、厚生年金の老齢年金は六十歳になったらもらえるのだというイメージで老後生活設計というものが組み立てられてきたと思うのです。ところが、もしこれが制度改悪されますと、非常に計画が狂うわけであります。受け取り得べき利益というものが受け取れない、それまでの人は受け取っておったということでありますから、そういう点では歴然たる差が出てくるわけであります。われわれは、法を変更します場合には、国民の生活秩序を不安定にしてはならない、いわゆる既得権不侵害の原則というものに基づいて立法をしていかねばならぬ、このように思うのでありますが、従来のそういう体系を変えていくということは重大な問題だと思うわけであります。
 その二つの点からいたしますと、いわば今日の国民の生活に対する、社会保障というものに対する考え方を大きく崩すことになるという点で、これは絶対にあってはならない、このように理解するものでありますが、いかがでしょうか。
#95
○木暮政府委員 まず、第一の問題でございますが、現在の高齢の方々の雇用状況は非常に厳しいものであることは、私どもも承知しておるわけでございます。関係審議会に六十歳から六十五歳に支給年齢を繰り延べることを御諮問いたしましたときにも、労働省と十分連絡をとりまして、現在直ちに六十五歳にするということではなく、昭和六十年に六十歳定年を一般化するという労働省の行政方針が閣議決定になっておるものですから、その六十歳定年が実現をいたします昭和六十年からさらに三年余裕を見まして、昭和六十三年に六十一歳にする、その後三年ずつ一歳繰り上げていくということを考えたわけでございます。労働省も、六十歳定年を一般化した後も、定年の延長とか再雇用とか、そういうことを含めまして高齢者の就労確保に努力をしていこうということでございましたので、各審議会に御諮問をした次第でございまして、現在の高齢者をめぐる雇用条件の厳しさを踏まえながら、将来の見通しを立てながら御諮問を申し上げたつもりでございます。
 それからまた、既得権の問題がございますけれども、年金の場合には、既得権、期待権のかたまりのような制度でございますので、これにつきましては十分配慮していかなければならないわけでございます。
    〔委員長退席、山崎(拓)委員長代理着席〕
各審議会に御諮問申し上げました案でも、既得権は手をつけないという案でございまして、現在すでに受給しておられる方が六十五歳未満である場合には支給を停止するというのは考えておりませんで、既得権はそのまま尊重していくということでございます。期待権につきましても、もう五十九歳になって来年六十歳で年金をもらえるという方は、それなりの生活設計を立てておられるわけでございますので、そういう国民の生活設計を十分配慮しながら、二十年の猶予期間を置いて年齢を上げていったらどうだろうかというふうに考えたわけでございまして、その点につきましても十分な配慮はして御諮問申し上げたつもりではいるわけでございます。
 ただ、各審議会で、雇用の問題とか官民格差の問題の詰めが足りないじゃないかという御指摘を受けましたので、今回はそれを見送りまして、今後の課題ということで、訓示規定を置かせていただいておるということでございます。
#96
○梅田委員 既得権をそのように分けて考えられるということにつきましては、私は問題があろうかと思いますが、いずれにいたしましても、審議会も、現在の厳しい雇用情勢等を考えて無理であると判断しておるのですから、私は、この訓示規定につきましては本改正案から撤回すべきだということを重ねて申し上げて、次の問題に移ってみたいと思います。
 次は、インフレ減価の問題をお伺いいたしたいと思います。
 先ほど来、これも議論になっておりましたが、こういう保険制度、年金制度というものが安定的に進みます前提といたしましては、経済情勢がこれまた安定をしていなければならぬ、これは当然のことであろうと思うわけであります。ところが、現実にインフレが進行いたしまして、貨幣価値が下落しているという状況のもとにおきましては、絶えず給付の内容も変えていかなければならぬということもあって、また積立金のインフレに伴います下落、目減りが非常に激しくなるということになりますと、一体この損失をだれが補償するかという問題が当然出てくる。財政運営ができないから結局保険料を上げてくれ、給付をこのように切り下げたいということでは、これは契約して入っているわけですから、ましてこれは強制保険でありますから、いやおうなしに入っているわけですから、政府の失政によってそういう事態がもたらされたということになりますと、加入者はこれは承知ならぬということになって当然だと思うのです。
 そこで、先ほど来お伺いしておりますと、昭和三十六年からは九兆一千三百六十億円の目減りがあったということでございますが、もっと長い目で見て、ここ三十年の間にどの程度目減りしたかということについて、調査した資料がございましたらお示し願いたいと思います。
#97
○木暮政府委員 ただいま手元にございますのは、昭和三十六年以降の数字でございまして、もしそれでよろし砕ければ説明させていただきたいと思います。
#98
○梅田委員 それは先ほど伺いましたから、さらに質問する必要はないのですが、少なくとも戦後経済が比較的安定に入ったという昭和二十五年、ここからことしまでの三十年間の推移というものをやはりこの際見直してみるということが必要ではないかと思うわけであります。
 私どもの一つの試算がございますが、大臣ごらんください。昭和五十年を一〇〇といたしまして計算をしてみますと、現行の二十三兆余りの積立金が、もしインフレがなければ、物価上昇がなければ、価値として三十六兆五千六百十四億円の値打ちがあるはずだ。差し引きいたしますと十三兆一千三百七十九億円のインフレ減価が起こっておるということになるわけでございますが、これは大変重大な数字になるわけであります。同様に、このような状態で今後三十年間を予測した場合、一体どうなるか。われわれの計算では約八十一兆円の目減りが発生するということになるのでありますが、将来予測は、インフレ等についてどのように計算するかによって違ってまいりますが、一体こういった問題について厚生省としてはどのように考えておられるか、ちょっと端的にお伺いしたいと思います。
#99
○木暮政府委員 物価上昇がずっとあることは事実でございまして、その分だけ年金の積立金は目減りをするわけでございますが、一方では、先ほども申し上げましたように、資金運用部に積立金は預託をしてあるわけでございまして、預託金利というものは手に入るわけでございます。それで、通常は物価上昇率よりも預託金利が高うございますので、目減りということでなく、少しずつ実質価値を増していくということなんでございますけれども、例のオイルショックの後の物価騰貴が非常に高うございまして、預託金利を大幅に上回りまして大きな目減りが出たことは事実でございますが、現在、物価の鎮静と同時にその目減りを取り返しつつあるということでございます。ただ、御指摘の点は、今後の年金財政に非常に大切な問題でございまして、年金の積立金につきまして、その確実な運用につきまして今後とも配慮していかなければならないというふうに思っておるわけでございます。
#100
○梅田委員 預託をして、いわゆる資金運用をしたその金額というものはだれが生み出したかという、ことを考えてみますと、ずっと回り回って考えていきますと、結局労働者の剰余価値が変化した形態というのが経済理論なんですね。だから、いわば労働者にとっては共食いみたいなものであって、そんなものは、積み立てるわけですから、当然そういうかっこうでふえていくのはあたりまえなんですよ。それを前提にして年金制度というものを考えていく。しかし、物価上昇、政府のインフレ政策によって起こった損失につきましては、これは別個の問題ですね。性質の違う問題、それを一緒くたに考えて差し引きずるというのは、考え方としては正しくないということを申し上げておきたいのです。
 そこでちょっと、厚生省の方からいただきましたあなた方の目減り額試算というので最近七年間のものがございますね。これは運用利回りの差を計算されたものでございます。これは確かにいま言われましたように、狂乱物価のときには一年間で、たとえば昭和四十九年のときには一兆二千四百五十五億円の目減りがした。非常にえげつない目減りが起こったわけでありますが、最近は、御承知のように、金利が高いものですから、プラスが出ておるということでありますけれども、この七年間を合計した金額を見ましても一兆三千七百十四億円の目減りですね。これは間違いありませんね。
#101
○木暮政府委員 そういうことになると思います。
#102
○梅田委員 ことしの値上げをやりました場合にどれほどの増収というか、どれだけ新たに取り立てるということになりますか。
#103
○木暮政府委員 厚生年金につきましては、保険料率の引き上げと標準報酬の上下限の改正を含めまして、八千二百七十二億の増収でございます。
#104
○梅田委員 ここ七年間を見ましても、ことしの値上げはしなくてもいいということに単純計算でいくとなると私は思うのです。もういままでインフレでそれだけ損しているのですから、この責任は政府がとらなければいかぬわけですからね。だから、その分は当然値上げをやめてもあたりまえだというように労働者は言うだろうと思うのです。
 私はそういう点で、こういった問題につきましては、やはりインフレを起こしている政府の責任というものをもっともっと深刻に考えて対策を講じていただきたいと思うのです。労働者の立場から実感的に見ますと、たとえば労災保険の場合には、物価スライドじゃなくて賃金スライドで見直していきますね。年金たる保険給付額の改定に用いるべき率という労働省の告示の資料によりますと、昭和二十五年の時点と今日の比較、これは二十倍になっているのです。私どもの試算の計算はそこまでは行ってないわけです。昭和二十五年の場合は五・六倍ぐらいになっているわけです。だから政府統計の取り方がいろいろ問題にされておりますけれども、いわゆる物価上昇率というものは労働者のはだ身に感ずる実感としてはぴんとこない。もっと上がっておるかなと思うのですね。賃金の方はいわば二十倍に算定されている。これは政府自身がおつくりになっているスライド率です。だから、私どもが試算いたしましたインフレ減価というものは実態としてはまだまだ低い。最低限で見積もったものでありますから、本当に労働者としてはこの厚生年金の制度、仕組みというものが政府の間違った施策によって重大な損害をこうむるということにつきましては徹底的に究明していく必要があるだろうと思うわけであります。そういう点では今後改善していくということにいたしまして、この議論はいつまでたってもなかなか並行で、皆さんも、はい、そうですかとお認めにならぬわけでありますから、しかし、重大な問題としてとめておいていただきまして、次の問題に移らしていただきたいと思います
 次は、障害年金の問題でありますが、これは具体的事例がございます。厚生年金の事後重症の期限を五年を限っておりますが、これは実態から見て撤廃すべきではないかということでございます。いろいろ具体的事例があるわけでありますが、たとえば難病の場合でございますが、これはもうほとんど五年の制限にひっかかってしまうのですね。最初は内部疾患ということで治療を受けておるわけでございますが、実際に障害になって動けなくなるとかいうのは、五年を過ぎて六年、七年という状態になってそういう状況になる。ところが、もう期限切れで認めていただけない、認定の基礎になりますのは初診日ですね。最初に診察を受けたのはいつかということから始まる。遅く進行する障害的な病気であります場合にはなかなか救済できないということになるわけであります。いろいろな病気がございますが、たとえばある人の場合でございますが、膠原病で昭和三十六年に発病した。そして、三十八年に治療をいたしまして、四十一年に働けなくなった。そして、申請したところが、四十五年に申請は却下されたというようなことでありまして、非常に問題があるわけでございます。慢性肝炎でありますとか、あるいは慢性腎炎の場合でありますとか、全身性エリテマトーデス、パーキンソン、こういった傷病につきましてはそういう傾向があるわけであります。それから、リウマチの実態調査を、リウマチ友の会が昭和五十四年の三月から四月にかけましていたしましたところ、回答者数が四千三百七十人、その中で障害年金を受給したという人は六百五十九人で、わずか一五%なんですね。障害福祉年金をもらっている方は五百二十三人で一二%であるということで、かなりの人が年金受給対象になり得る障害を持っておるのに、実際は発病して五年を経過しているということでもらえないわけです。これは大変矛盾があると思うのですよ。目の病気の場合でも、緑内障の場合なんかでも進行が非常に遅いわけです。相当時間がたってから障害者になる。こういう点を考えますと、これはどうしても改善する必要があるんじゃないかというように思うわけでございます。
 それから、こういう者が社会保険審査官に審査を要求いたしましていろいろ係争になっているわけでございますけれども、非常に気の毒な例もあるわけなんです。却下だということでぼくの手元に来ておりますのは長野県中野市で起こった事例でありますけれども、浅沼和子さんという人の場合。この人の場合も、実際は症状を見ておりますと「両腕が動かなくなり仕事が不可能、毎日床につききりで、家の中を歩くこと、たまに庭に出る程度。」という症状が書いてございます。そして、介護が必要である。お医者さんに行きます場合でも、お父さんや家族の人三人がかりで行くというような状態があるわけでございます。しかし、この人の場合でも昭和四十九年四月に最初の診断を受けているわけです。それから、申請は五十四年七月三十日にされたので、要するに五年は経過しているということになっておるわけでございますが、昭和五十三年十二月に身体障害者の一級の認定を受けられておるにもかかわらず、ちょうど四年目に身体障害者の認定を受けておるのにもかかわらず。この方は申請がおくれたということでいわば時効にかかっておるんだということで受けられない。私は非常に問題があると思うのですね。
 ですから、事後重症の場合には五年の期限を撤廃すべきじゃないかというように思うのでありますが、いかがですか。
#105
○木暮政府委員 厚生年金の廃疾認定でございますが、被用者年金というたてまえからいたしまして、廃疾状態になりましたときに障害年金を出しますのには、在職中に発病したものとの関連を明確にするという必要があると思うわけでございます。昭和五十一年度の改正以前は廃疾認定日でもう勝負をしてしまったわけでございますが、事後重症という制度をそのときに導入をいたしたわけでございまして、五年の期間を見ればおおむねいいのではないか、当時共済もそういう制度でございまして、制度としてはこういう形で妥当ではないかと思っておるわけでございますが、認定上の問題につきましては年金保険部長から御答弁申し上げます。
#106
○持永政府委員 事後重症の関係でございますけれども、特に先生御指摘のような難病の場合には、障害の取り扱いといたしまして現状の障害だけじゃなくて、いま先生御指摘になりましたようなその後の状態も十分考慮して認定の取り扱いをしておるつもりでございます。また、認定で、その時点では該当しない場合でも、その病状の経過におきまして社会的な治癒が見られる場合、そういう場合には病状が悪化したときに再度診療を受けるということもございます。その場合には再度診療を受けた日をもって初診日として扱うことにいたしております。
 いま先生御指摘ございました具体的なケースについては、少し調べさせていただきたいと思います。
#107
○梅田委員 先ほど来何遍も言っておりますように、進行が遅い病気があるんですね。だから、これは難病ということで、厚生省も大変むずかしい病気だということでわざわざ対策を講じておられるわけですから、年金支給の場合にも思い切って改善をすべきじゃないかというように思うのですが、これは大臣、思い切ってやられたらいかがですか。
#108
○木暮政府委員 事後重症制度というのは、五十一年に、そういう実情もございまして取り入れたわけでございまして、一般のケースの場合は大体うまくいくと思うわけでございます。また、認定の問題につきましても先ほど部長が御答弁申し上げましたように、しゃくし定規でなくやっているはずでございますが、いまもまた御提案の事例等もよく見せていただきまして検討させていただきたいと思います。
#109
○梅田委員 個々事例の場合は、この方は審査を出されておりますから、さらに慎重にやっていただきたいと思うのでありますけれども、その五年の最中にこの方は身障者一級認定がなされて本当に動けないという実態があるのですね。厚生省当局として法律を解釈する場合には、いろいろ規則をつくっておられますが、その根本的な精神というものは正義に基づいて救済するという原則でやっていただかないと、だれが見てもこの人の場合には、前にも医療機関にかかっているし、そして途中で認定があるし、事後におきましても医療機関はちゃんと認定しているんですね。ところが、肝心のその時期に医療機関でないところ、いわゆる整骨医で診てもらっていたということでいわば難癖をつけておる。私は、これは法律運用におきましていささか硬直しているんじゃないかと思うのですよ。時効の問題につきまして、昭和四十二年の四月にそちらから通達が出されておりますね。年金たる保険給付を受ける権利の時効消減の防止について、この中におきましても、できる限り弾力的な運用を図れという趣旨が書かれてあります。そして「基本権の消滅時効が進行する旨を関係者に周知徹底されたい」ということで、時効にならぬようにしなさいよということで関係者に周知徹底を義務づけておるにもかかわらず、この方はそういう手続を知らなかったということです。まことに考えられぬような事態が起こっておる。ですから、私は障害者であることの認定を前後の時期において明確に判定できるような場合には、これは法律の基本精神を体して弾力的にやっていただきたい、再度要望したいのでありますが、いかがですか。
#110
○持永政府委員 先ほど申し上げましたように、御指摘のケースは十分調べさせていただきたいと思いますし、ただ時効の問題と事後重症の五年の問題というのはちょっと性格が違う問題でございますから、その点はひとつ御理解いただきたいと思います。
 それから、事後重症のそういった難病の方の扱いにつきましては、先ほども局長から申し上げましたが、できるだけ私どもの方も全体の症状を見ながら、経過を見ながら認定をしていきたいというふうに考えておりますから。
#111
○梅田委員 時間が参ったようでございますが、あと一問だけ質問して終わりたいと思うのであります。
 今回の保険料の引き上げというものは非常に重大でございます。私は、そういう点で最初にも申し上げましたように、労使負担の割合を三対七とせよ、従来から申し上げておったわけでございますが、この際そういう方向で打ち出していくべきではないかというのが一点。
 それから、もう一つは、国民年金の保険料につきましても、低所得者層に非常に過大になるんじゃないかと思うわけであります。これは調査された資料で、強制加入世帯所得調べがございますね。これで見てみますと、二百万以下の世帯におきましては全体の七七・八%ということで非常に大きいわけです。だから、圧倒的に低い所得層だ。百四十万以下が六一・六%になる。そこへ持ってきて今度は夫婦で月九千円、毎年値上げしている。これは大変痛いわけですね。そういう点におきましては、所得の低い人に対する対策というものを考えていく必要があるんじゃないか。そういう点で、所得比例制の導入というものを考えておられるのかどうか、それらの点をお伺いいたしまして私の質問を終わりたいと思います。
#112
○木暮政府委員 厚生年金の保険料労使折半でございますが、これは健康保険等の類似の社会保険制度もそういうことになっておりますので、各制度共通の問題でございますので慎重に取り扱わなければならない、またその際、中小企業の事業主の負担能力ということも考慮していかなければならない問題だというふうに思っております。
 それから、国民年金の保険料でございますが、所得比例制を導入するという問題は私どもも非常に大きな問題だと思っておりまして、ただいま御指摘のございますように、低所得の方々が多いことも事実でございます。また、五十三年に行いました世論調査では、それにもかかわらず四、五千円までがんばっていくという方が多いということもあるわけでございます。
 そこで、所得比例制を将来考えていかなければならないわけでございますが、一つは、所得の把握の仕方ということに技術的な問題点がございまして、被用者年金の場合には事業主のところで給与がチェックできますので所得比例制を、現にそうでございますけれども、やれるわけでございますが、国民年金のように非常にいろいろな職業なり所得状況の方の所得をどうとらえるかということが一つの問題がございます。それからまた、端的に申し上げまして、所得に応じて保険料を低くする場合には、社会保険制度でございますので給付の方にも響かせなければならないということがございまして、いろいろ検討課題がございますけれども、この問題は国民年金の将来の一つの大きな課題だと思いますので、十分研究をさしていただきたいと思います。
#113
○梅田委員 議論は尽きないと思いますけれども、時間がございませんので、以上で終わります。
#114
○山崎(拓)委員長代理 次に、米沢隆君。
#115
○米沢委員 先ほど来各党がやっておられまして、私は最後になりましたので重複する部分があるかもしれませんが御容赦をいただき、御質問に入りたいと思います。
 御承知のとおり、大臣、今回は健保修正をめぐりまして社労委の日程調整が難航いたしました。やっと本日、年金法案の質疑に入ったわけでありますが、本来、健保と年金は別物の法律でありますから、健保は健保でその整合性を求める、年金法案は年金でその整合性を求めるというのが本当の姿ではないかと私たちは考えます。しかるに、どうもあなた方は年金法案を取引材料に使っていらっしゃる、これは大変遺憾だと思います。これは国会のことだから御答弁はできない、そうおっしゃるかもしれませんけれども、私たちは健保につきましては真剣に、よりよい修正に向けて努力しておるわけでありまして、こういう取引に使われるということは大変不愉快、見方によっては冒涜である、そう考えておるわけであります。
 大臣、個人的で結構でありますから、この点をどう考えておられるのか、御質問いたします。
#116
○野呂国務大臣 私どもといたしましては、健保法と年金法とを絡ませるというような考え方は決して持っていないのであります。どこまでも別個の問題でございます。健保法案は重要な法案でございます。また今国会においても先議案件でございますから、健保法の審議を促進させていただきたい、ぜひとも成立をさしていただきたいと考えておるわけでございます。したがいまして、政府といたしましては健保法案も年金法案も、両法案の御承認をぜひともお願いいたしたい、かように考えているわけでございます。
#117
○米沢委員 まあ社労の理事会等では、先ほども質問がありましたように、年金の修正等も応じる用意がある、だましかどうかわかりませんけれども、そういう話が出ておるわけでありまして、これも国会の問題でありますからどうこう大臣の方からは答弁できないと思いますけれども、精力的に修正についても詰めていきますから、ぜひ前向きに受けとめていただきたい、このことをまず期待をいたします。
 それから、私たちはかねてより年金制度全般にわたり抜本改正をしなければならない、抜本改正に取り組むべきであるということを強く主張しております。特にナショナルミニマム年金の確立、制度間格差、不均衡の是正、婦人の年金権の確立等々、基本問題を早急に結論を得べきだと思っておるわけでありますが、今回の提案にはこれらの点について全然触れられておりません。問題の性格にもよりますけれども、今回は改正案作成の段階でどれぐらい当局でこういう問題について検討がなされたのか、何かめどを持って検討が進められているのか、それとも行き当たりばったりでないと解決できないのか、この点をまず局長に御答弁をいただきたい。
#118
○木暮政府委員 厚生年金、国民年金につきまして、昭和五十一年に財政再計算を伴う大改正をいたしたわけでございます。しかし、その次の改正にあたりましては、基本的な問題に触れなければ年金制度の前進ということはむずかしいという判断をいたしまして、昭和五十一年の五月に年金問題の権威の方々、学者の方、労働組合の代表の方、あるいは事業主の代表の方も含めまして委員になっていただき、基本懇をつくりまして、三年にわたる御審議を賜っておったわけでございます。その中間には非常に分厚いリポートも出していただき、昨年の四月に最終報告をいただいたわけでございます。また一方、制度審議会におかれましても、五十一年後の改正というのは高齢化社会を迎える大切な改正であるということでいろいろ御議論をいただきまして、基本年金構想を中核とする御意見をいただいたわけでございます。さらに、厚生省の社会保険審議会でも、基本懇のようなものをつくって審議すべきだというのは社会保険審議会の御意見にもあったことなのでございますが、社会保険審議会自体も並行して勉強会をしていただきまして、各審議会あるいは基本懇がそれぞれ数十回の会議を重ねまして、将来の年金のあり方につきまして御議論をいただき、御意見を賜ったのでございます。
 しかし、現実には、大きな問題でございます基礎年金あるいは婦人の年金問題につきまして、必ずしも統一的な意見が得られませんで、今回はこの基礎年金等を改正案に盛り込むことができなかったわけでございます。
 基礎年金につきましては、そのねらいとするところは、ただいま御指摘のございましたように、八つの制度に分かれておる年金、さらに福祉年金を含めまして、ナショナルミニマムというようなものを機能として持たせるということが一つの御指摘でもございますし、それからまた基礎年金というものは一般財源から入れるということであれば、それぞれの制度の年金財政の安定化に資する面もあるのではないかというようないろいろなメリットのある御提案であるわけでございますけれども、一方ではこの基礎年金の財源をどうするかということが大きな問題でございまして、制度審議会も基礎年金では付加価値税を導入するということを御提案されておったわけでございますが、増税問題につきましては、御案内のような経過でなかなかそれにつきましても見通しがつかないというような財源の問題、さらには基礎年金と既存の年金制度との橋渡しに非常に技術的にむずかしい点があるというようなことがございまして、今回は手をつけることができなかったわけでございます。
 また、婦人の年金権につきましても非常に多くの時間をかけて御議論をいただいたわけでございます。その中心になりますのは、被用者の妻の国民年金任意加入制度をどうするかということでございまして、いまのままの任意加入制度で置いておくということはいろいろな面で弊害が出てくるということでございます。
 二つの意見が出されまして、一つの議論は、この妻の任意加入制度をやめてしまうという御提案でございまして、これは制度審議会がそういう御意見を述べられておるわけでございます。また、もう一つの御意見は、もう七百万人を超える方々が加入しておるわけでございますので、廃止ということではまたこういう方々の期待を裏切るということになりますので、むしろ強制加入に踏み切るべきではないかという御意見がありまして、この間、非常に時間をかけて御議論いただいたのでございますが、結論を得るに至らなかったわけでございます。
 結論が出なかった理由につきまして申し上げますと、この婦人の任意加入の制度をやめてしまうという場合には、いままで掛けた保険料に見合う年金給付はしなければならないであろう。掛けたお金はそのまま国民年金の方でいただいてしまうというわけにも当然いかないわけでございます。そういたしますと、七百万人を超える方々がいままで保険料を掛け、それに見合う年金を出すということになりますと、当然スライドをするというようなことも必要でございまして、そのスライド財源等を後に残った国民年金の人たちが負担するのは、そうでなくても国民年金の保険料は高くなるという見通しがあるところでございますので、非常にむずかしいのではなかろうか。
 一方、婦人の任意加入制度を強制に踏み切ります場合には、ただいまは厚生年金が世帯単位でもって被保険者をとらえておるわけでございます。夫に老齢年金を出し、夫が亡くなられた場合にはその妻に遺族年金が出るという形でございますが、被用者の妻は全部国民年金に強制加入するということであると、厚生年金の方の遺族年金の取り扱いをどういうふうに考えるか、さらに進みますと、厚生年金というものを個人年金にすっかり組みかえるという必要まで出てくるわけでございまして、これにもいろいろ大きな問題があるというようなことで、十分御議論いただいたのでございますが、結論が出なかった次第でございます。
 官民格差につきましてもいろいろの点で御指摘があるわけでございますが、まず共済組合のあり方というものにつきまして徹底した分析、研究が要るのではないかということで、この点につきましては、本年大蔵省を中心といたしまして、共済組合を所管する各官庁が共同いたしまして、学識経験者の方をお願いして分析をしていただけくということが決まっておりますし、また内閣の方では、共済組合所管の各大臣と厚生大臣が官房長官を座長にいたしまして閣僚懇談会をつくって、随時この問題につきまして推進をしていくということになっておるわけでございます。
 以上のような状況でございまして、基礎年金、官民格差の問題、婦人の年金権につきましては、根本的な改正は今回の案に盛り込むことができなかったわけでございますけれども、今後ともすべて年金の重要な問題でございますので、できるだけの努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#119
○米沢委員 基礎年金の問題とか、婦人年金権の確立とか、制度の格差是正、不均衡の是正等々は、確かに御説明いただきましたようにむずかしい問題を含んでおる。それを重々承知しながらもいろいろと審議をされておられるわけでありますが、どうも老人医療の制度と同じで、幾ら議論をされても結論が出ない。結果的には再諮問をして、またどうなるかわからない、どうもそういう感じがしてならぬわけです。社会保険審議会の答申でも、今度の厚生年金についての諮問の答申を見ましても、政府においても検討を早く進めろというような要請までついておる。やはりどこかで決断をしないと、あちらがこう言うておる、こちらがこう言うておる、したがって、まとまりませんでは、厚生省の役目は果たし得ない。そういう意味で、老人医療の問題と同じように、ある程度めどを決めて決断を示されて、いつ幾日までをめどに置いてやりたいというような答申が出されてしかるべきだ。次の財政再計算期には支給年齢は何かやろうという話でありますけれども、少なくとも婦人の年金権問題とか基礎年金構想等々、一歩前に踏み出すことを次期財政再計算期までにやるという約束をしてほしいと私は思うのですね。そうでないとこの問題はずるずる行って、逆に特に被用者の妻の国民年金なんというのはほったらかしておきますとどんどん矛盾を拡大するだけですよ。そういう意味で、ある程度早く結論を出されて、少なくとも次の計算期には何らかの改正案を出すという約束をしてほしい、そう思うのですか。どうですか。
#120
○木暮政府委員 おっしゃるとおり、次の財政再計算期に当たっての課題であるというふうに私どもも考えております。
#121
○米沢委員 それから、もう一つ、婦人の年金権に関連しまして、高年齢で離婚された婦人の年金権喪失問題、これはやる気があればそんなにむずかしい問題ではないのですね。これはどうなっておりますか。
#122
○木暮政府委員 離婚された場合の年金の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、被用者の妻につきまして現在任意加入の制度がございまして、七百万人を超える方々が利用されておるということでございますので、かなり問題の様相が違ってきておるとは思いますけれども、高齢で国民年金の任意加入をしていなかったという場合につきましてはほとんど年金権に結びつかないか、仮に結びつくにしましても非常に少額の年金になってしまうということでございます。
 離婚の妻の取り扱いも、婦人の年金権の問題の大きな課題であるわけでございますが、先ほどくどくど申し上げました任意加入の制度の処理がつきませんものでしたので、離婚妻の手当てが今回はできなかったということでございます。
#123
○米沢委員 この問題は、おっしゃるように、被用者の妻の国民年金の加入率が大変高い。問題は、高年齢者で年金に入れない、入ったとしても期間を満たさない、そういう人をどう扱うかということでございますから、余りストレートに関連させて議論されるとちょっと足を引っ張られる感じがしますね。関連させると、わけてもその可能性があると私は思います。その点前向きに議論されて、少なくとも来年ぐらいには改正案を出してください。
 それから、今度年金法案に関連しまして問題になりましたのは、予算委員会を初めとして再々議論になっております六十五歳への引き上げの問題、これは結局今回は法律案から削除されまして、訓示規定という形でその問題が投げかけられておるわけでありますが、この文章の解釈がいろいろ予算委員会でも議論はありましたけれども、いまだにいろいろな解釈がなされて、それがゆえに憶測やら心配が非常にとりざたされて、どうも年金の議論にとっては非常に不幸なことであるというふうに私は感ずるわけでございます。
 この訓示規定を読む限り、見方によったら次の再計算期に、四、五年後だと思いますが、同様のものが再提案されて、当初の改正案に盛り込んだ六十五歳引き上げというものが、昭和六十三年に六十一歳、昭和七十五年に六十五歳が実現する、こういう可能性もあるわけですね。ただ時期がずれるだけ。今回は見合わしたけれども、次の機会に提案されたならば、いま提案されておるねらいそのものがそのままストレートに実現される、そういう可能性もあるわけですね。あるいはまた、もう少し柔軟に対応をされた案が出てくるかもしれない。そういう意味では、見方によって、必ず今度は六十五歳になるぞという人もおれば、そのあたり柔軟に考えられる余地もあるのだとか、いろいろな議論があって進まないわけですね。
 そういう意味で、再々これは問題を取り上げられておりまして恐縮でありますけれども、厚生大臣、この訓示規定に織り込まれた真意というものを再度明確にしていただいて、それを再確認さしていただきたいと思うのであります。
#124
○野呂国務大臣 先ほどのお話の中で、当初の改正案にあったのを今度改正したということでありますが、当初は今度が当初でございます。ただ、審議会に、私どもの考え方として、長期にわたり年金財政を安定させるためには支給開始年齢を六十五歳におくらして、二十年という段階的な進め方で行きたいという意見を諮問した諮問案でございまして、法律そのものの改正案は六十五歳を盛り込んでいないということでございます。
 さて、いろいろ解釈、訓示規定でございますが、訓示規定というのは正式な法律用語かどうか私もよくわかりませんが、いわゆる訓示規定というものにつきましては、たびたび申し上げておりますとおり、将来の高齢化社会を見通しました場合に、支給開始年齢の問題は避けて通れない問題で、両審議会においてもすでに御指摘になっておるわけでございます。したがいまして、その方面に対する認識も共通しておると考えましたので、次期財政再計算期において真剣に取り組むべき課題であるという趣旨の規定を設けたわけでございます。したがって、いまの段階において六十五歳の問題を次期再計算期に出すのだという段取りを決めておるわけのものではないのでございます。その時点においてのいろいろ雇用の問題、公的年金制度の格差などの問題に十分有機的な連係を保ちながら、その時点でお考えがあるだろうし、また政府としてもその時点の判断に従ってやりたいものだということでございます。したがって、次期再計算期に六十五歳問題を再びそのままの形で出すんですということを約束的に申し上げている規定でも何でもないのでございます。今後ともこれらのいろいろな情勢判断は十分にその時点ですべきである、こういうことでございます。
#125
○米沢委員 理解をいたしました。しかしながら、年金の財政が将来にわたって大変問題がある、したがって次の財政再計算期におきましては必ずこの問題が提案されるような方向に進むのではなかろうかと私たちは考えております。それは将来のことですから、そういう意味でわれわれも検討するにはやぶさかではありませんけれども、いろいろな議論の中から出ておりますように、高年齢者の雇用対策の確立、あるいは制度間格差の是正、あるいは定年と年金支給開始年齢とを何とか連結させたいものだ、そういう問題がある程度解消される、少なくともその時点において、近い段階で解決されるであろうという見込みが立たない限り、支給開始年齢というものは、どうもこの問題を横に置いてはなじまない問題である、そういうふうにわれわれは理解をしたいと思うし、政府もそのあたりの周辺の問題を片づけるためにぜひ精力的に努力をしていただきたい。そのことが解決されることが少なくとも前提にならなければならないと思うのでありますけれども、これも再確認の意味で厚生大臣の方から御答弁いただきたいと思います。
#126
○野呂国務大臣 支給開始年齢引き上げの前提条件として、たとえば雇用の問題あるいは格差是正ということを明確にお答えは私はできないと思います。しかし、その時点において十分判断をして、将来の年金財政の安定化に向かって、やはり国民的広場の中で検討される問題であるということでございます。御指摘のようないろいろ各関係の問題と十分関連を持って検討をされるべき問題であるというふうに思っておるわけでございます。支給開始年齢だけが独走するということは、これは当然避けるべき問題だと考えております。
#127
○米沢委員 それから、やはりその前提として問題になりましたのが、先ほどから言っております格差の是正です。これもまた予算委員会を通じてほとんど毎日出てきたと言ってもいいぐらいに格差の是正の問題が出てまいりました。私たちは、やはり特に官民格差については、それぞれ制度のつくられた経緯等がありますから少々の違いは認めるものの、やはり制度的に格差がある、そしてまた解消しなければならない格差がある、そういうふうにわれわれは考えておるわけでございます。
 たとえば、これは予算委員会でも大臣に申し上げましたように、給付水準の差、支給開始年齢の差、給付の算定方式の差、再就職した場合の支給制限、つまり在職年金の問題、この四つの問題は、程度の差はあれ、やはり官民格差であることには間違いない。このあたりを是正しない限りそう簡単に支給年齢をさあ上げましょうということには、単なる厚生年金の財政だけの整合性を求めようということには、ちょっとなり得ない問題である、われわれはそう理解をするわけです。
 ところが、何か言葉じりをつかまえるようで大変恐縮でありますが、野呂厚生大臣が自民党の恩給制度調査会会長を、いまされておるかどうか知りませんが、されておるときに、朝日新聞に投稿されているわけですね、「論壇」というところに。タイトルは「年金の官民格差論に反論」する、「加入期間や質の違いを無視」だ、こう書いて、るるその理由が述べられておるわけです。
 これを読みますと、答弁の中では、官民格差というものがあって、そのものも解消しなければならぬというようなニュアンスの答弁がるる聞かされてきましたけれども、このときの立場の差もありましょうけれども、これを読む限り、余り官民格差なんかない、そんなこと言うのがおかしいというもので貫かれておるわけです。たとえば「年金の「官民格差論」は、共済年金制度の歴史的沿革やその本質をかえりみず、「官」と「民」とは同じであるべきだという前提に立っている。」私は恩給制度の経緯はわかったとしても、いまの時代は官と民はできるだけ同じであるべきだと思うのでありますが、、この前提から、ちょっと大臣、あなたの見解を聞きたいと思うのです。官と民と違わなければいかぬのですか。
#128
○野呂国務大臣 朝日新聞に投稿いたしましたのは、当時恩給制度調査会の立場に立って私の考えを寸評の形で述べたわけでございますが、御指摘のとおり、私は官民格差については、お話にありますように、給付の水準あるいは支給開始年齢の差、それから給付算定方式にも格差があり、あるいは再就職した場合における支給制限という問題におきましても格差がある、格差はありますが、その格差のとらえ方をいろいろ慎重に考えなければならぬのだという意味でございます。少なくも共済年金というものは、言うならば公務員であった場合におきましては、公務員制度の一翼を担うべく正しい位置づけが必要である、こういう意味でございます。制度が違い、それぞれ沿革を持っておるわけですから、平面的にただこの問題が出ておるではないかということだけの比較では、私は格差という問題のとらえ方は問題ではないだろうか、やはりその制度が成立してきた理由、そしてまたその沿革などを判断しながら、格差はあるが、そのとらえ方としては、どういうことが官民格差なのかということを真剣に考えるべきだ、ただ平面的な比較だけが格差ではないのだ、したがって、今後の格差の問題につきましても、政府が一体となりましてこの格差をどのようになくしていくかという今後の方向は、私は公務員は公務員としての沿革の上に立ち、公務員制度の一翼を担うべき正しい位置づけの上に考えられるべきものだということを主張したつもりでございます。
#129
○米沢委員 官と民が同じであるべきだという前提に立っておるからいろいろと官民格差論が起き、その理由に、「第一は、年金制度の加入期間という大事な要素をどうみるか」という問題だ、同時に「年金制度をつくった考え方の違いを無視している」この二点を主張されておるわけです。
 確かにその論は整然と並んでおりますけれども、たとえば年金制度の加入期間ということでも、まあ共済年金の方は加入期間が長い、厚生年金は短い。それをたとえば三十年なら三十年に統一してみましても、御承知のとおり、大体二〇%ぐらい共済年金の方が高いわけですよね。これはやっぱり加入期間を同じにとったならば給付水準に違いがあることは事実ですね。加入期間を見ろとおっしゃっても、加入期間を同一にしたら、二割か十何%か高い。これはやっぱり格差だと私は思うのでありますがね。どうですか、大臣。
#130
○木暮政府委員 御指摘の点でございますが、ただいま支給されております厚生年金と共済年金を比較いたしますと、全体では六割も共済年金の方が高いということがあるわけでございますが、加入期間によってそういう問題が出ているということでもあるわけでございます。
 御指摘のように期間をならして見た試算でございますが、それにつきましても、二十年で見ますと、厚生年金を一〇〇といたしまして、共済組合の方が一〇五というような指数でございます。それから、二十五年で見ました場合に、厚生年金が一〇〇で共済年金は一一三ということでございます。三十年で見ますと、厚生年金が一〇〇に対して共済年金が一一八、三十五年で見ますと、厚生年金が一〇〇に対して一二一というような結果が出ておりまして、御指摘のとおりであるわけでございますが、この差をどういうふうに見るか。学者の中には企業年金部分が共済にはあるというふうに見るべきだという方もございますし、また、加入期間が長い方は恩給期間を長く含んでいるという面があるのではないかというような見方をされる方もあるわけでございます。
 いずれにしろ、その辺が明確でないわけでございますが、先ほど申し上げました、大蔵省を中心といたしまして共済組合所管の官庁が共同しまして、学識経験者の方に研究をしていただくというような段取りをとっているわけでございます。
#131
○米沢委員 それから、これは大事な問題ですけれども、「年金制度をつくった考え方の違いを無視している」という論の中に、「厚生年金は、老後の所得を保障するという社会保障的考え方からつくられた制度である。年金額の計算に当たっても、なるべく現役時代の給料の差を老後の年金の差に持ち込まないように配慮されている。」おっしゃるとおりですね
    〔山崎(拓)委員長代理退席、委員長着席〕
ところが、「これに対して共済年金は、公務員という特別な職務上の制約、たとえば、労働基本権の制限、私企業からの分離、秘守義務などに対する配慮から、その制約を長く受けていた者ほど有利な年金が受けられるようにつくられている。」こんなふうに述べられておられるわけでありますが、そんなに公務員の方はいろいろ労働基本権等制約されておるから高い年金でいいなんという議論にはならない。労働基本権の制約を踏みにじる人もたくさんおるわけだ。そして、しかし、そう言いながらも、「共済年金は公務員制度の一環」である、もともと「官吏制度に、より密着する年金制度が、かつての恩給であるが、恩給は、わが国において明治いらいの長い沿革があり、国家に対する忠実な職務遂行に対する見返りとしてつくられていたから、官吏などの身分保障として、退職時の役職や給与が、その者の年金額に大きく影響する制度であった。」したがって、恩給があり、その恩給は公務員制度の一環であるという、こういう論法ですね。
 私は、たとえば恩給というものが共済年金に統合される段階で、恩給でもらっておった皆さんの既得権は保障しよう、それも共済年金という形で既得権を保障しましょう、思想まで引き継いだはずはないと私は思うのですよ。どうなんですか、大臣。
#132
○野呂国務大臣 一つの当時の私の考え方といたしまして、いまでも私は、共済年金の中で、すべてとは申しませんが、かつて国家公務員であられた方々の老後を保障する場合において、単に民と官との格差を平面的に一律にその現象面だけを指摘して、これを官民格差としてとらえることにおいてはやはり問題があるのではないか。制度間の今日までの過程、制度における沿革などを十分検討しながら、共済年金は共済年金自体としての解決策を求めていくべきではないかというふうな考え方も持っておるわけでございます。これはいろいろ議論のあるところだと私も十分理解をいたしておるわけでございます。今後公的年金制度全般にわたって、単に共済年金だけの問題ではないし、また共済年金それ自体の中における今後の問題点というものを十分究明しなければならぬ、そういう今日の事態ではないかというふうに考えておるわけでございます。
#133
○米沢委員 当時恩給制度調査会長でありますから、こんなことも言わなければならない立場はわかります。しかしながら、大臣はもう現在の段階では国民の厚生大臣であるわけでありますから、官民格差是正というのはまさに国民の声、そういう意味では、恩給を守りたいという気持ちはやまやまでしょうけれども、そのあたりは踏み越えて、新しい気持ちで官民格差是正のために立ち上がっていただきたい、このことを私は要望いたします。
 それから次は、細かな話に入りますが、たとえば現在老齢年金の支給の平均水準は約八万六千円ぐらい、これが今度は十万ぐらいになるというような推定がなされておりますけれども、実際今回の改正によって平均実支払い額は一体どれぐらいになるというふうに考えておられるのか。いま十万円年金の到来だと華々しく言われておるのでありますが、果たして十万円もらえる人が実際どれくらいの割合を占めるのか、そのあたりをちょっと説明してほしい。
#134
○木暮政府委員 現在、御指摘のように、平均の年金額は八万五千円でございますが、今度の改正をいたしますと平均が十万円になるというふうに見込んでおります。ただいま手元にある資料は改正前でございますが、改正前ですでに昭和五十四年九月の新規裁定者の方々の五八%が十万円以上になっておるわけでございまして、今度の改正によって平均が十万円になるということは確実な見通しでございます。
#135
○米沢委員 それから、遺族年金の改善ですね。今回は率の引き上げでなくて、寡婦加算の引上げという方法で遺族年金の給付改善をなさっておられます。これには妻の任意加入の問題だとか、あるいは年金額の低い人が得をするような傾斜配分だとか、あるいは最低保障該当者が圧倒的に多いんだからこのあたりが救われるというような皆さんの説明がありますけれども、基本的には遺族年金は給付率、そのあたりをいじっていかないと本当の遺族年金の水準アップにならない。確かに率をいじりますと、いろいろな制度にわたってまた率の引き上げがやってきますから大変大きな問題を含んでおりますけれども、寡婦加算の引き上げというよりも、実質的にはわずかでもいいから年金そのものの水準を上げていく、そういう方向で今度は検討されたいと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
#136
○木暮政府委員 私、御説明申し上げたいことを全部言われてしまいましたが、先ほど来御指摘の婦人の任意加入の制度等の整理をつけて、率でもって遺族年金をやるような方向で検討してまいりたいと思っております。
#137
○米沢委員 これも細かい問題ですが、保険料の問題ですね。いま提案されている中には一・八%の料率の引き上げがある。その中には給付改善の分が含まれておるわけですね。聞きたいのは、この給付改善の分がどれぐらいなのか。一・八%上げられても実際の必要保険料率には達していない、こういう議論なんですけれども、そのあたりを数字を入れてちょっと詳しく説明してほしいと思うのですね。
#138
○竹内説明員 お答え申し上げます。
 どこからどこまでを給付の引き上げと言うか非常にむずかしいのでありますけれども、標準報酬の再評価分といたしまして千分の八、定額単価をスライド以降引き上げる分として千分の三、遺族年金の改正等、これは寡婦加算でございますけれども、それで千分の五程度あります。そのほか、前回の計算以後におきます死亡率の改善で必要保険料は千分の二十ぐらい増加しておりますし、被保険者が前回の計算のときに予定しておりました程度に伸びませんということで千分の十一ぐらいの保険料の増加が出ております。
#139
○米沢委員 後代負担の比率ですが、五十一年の改正のときには必要保険料との対比を大体六割程度、こう決められたというふうに聞いておるわけでありますが、この思想というものはこれからもずっと続くのですか。
#140
○木暮政府委員 昭和五十一年度の改正のときには必要保険料の六割の修正をかけて御提案をいたしたわけでございます。今回も関係審議会に御諮問を申し上げました段階では、支給開始年齢を六十五歳に繰り延べるということを前提といたしまして必要保険料の六〇%をいただくということで男子千分の百九ということで御諮問申し上げたわけでございますが、現実には六十五歳の改正は見送りにいたしたわけでございます。しかし、保険料は据え置きにいたしましたので、必要保険料の五二%というのがただいま御提案しているものでございます。私ども事務的な立場からいたしますと、成熟度が近づくにつれて修正度というのはむしろ低めなければならないというふうに思っておりますけれども、今回は六十五歳の問題が絡みまして修正度を逆に強めるような御提案になっておるわけでございます。
#141
○米沢委員 時間が来ましたからやめたいと思いますが、最後に、確かに六十五歳を引っ込められたんですから、それを前提にした所要保険料の決定、それも全額ではないということで年金財政の厳しさはよくわかりますけれども、保険料が一挙に上がるということは大変問題でありますから、少なくとも段階的に上げるような方法論をとっていただくとか、そのあたりの問題を修正の問題として今後提案をしていきたいと思いますし、例の四十歳若妻の問題についても実際そんな人がどれぐらいおるものだろうか、制度の整合性を求める意味での提案みたいな気がするわけでありまして、それらもでき得ることならば引っ込めるようにお願いを申し上げ、質問を終わりたいと思います。
     ――――◇―――――
#142
○葉梨委員長 次に、参議院提出の建築物における衛生的環境の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 提案理由の説明を聴取いたします。参議院社会労働委員長久保亘君。
#143
○久保参議院議員 ただいま議題となりました建築物における衛生的環境の確保に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 近年、ビルの増加に伴い、ビル所有者等の委託を受けて、ビルの清掃、空気環境の測定等ビル内の環境の衛生的管理を業とする者が増加しております。
 この改正の趣旨は、これらの事業者について所定の人的、物的基準を充足していることを要件とする登録制度を設けること等により、これら事業者の資質の向上と事業従事者の技術、技能の向上を図るとともに、あわせてビルの所有者等業務委託者の利便に資そうとするものであります。
 以下、この法律案の内容の概要を申し上げます。
 第一に、建築物における清掃業、空気環境の測定業、飲料水の水質検査業、飲料水の貯水槽の清掃業、ネズミ昆虫等の防除業または清掃、空気環境の測定及び日常の簡易な飲料水の検査をあわせ行う一般管理業を営んでいる者であって、その設備及び従事者が厚生省令で定める基準に適合するものは、その営業所ごとに、都道府県知事の登録を受けることができることとするとともに、登録を受けた者以外は登録を受けた旨の表示をしてはならないものとすることとしております。
 第二に、厚生大臣は、登録業者の業務の改善向上を図ることを目的とし、かつ、登録業者または登録業者の団体を社員とする社団法人を、登録事業の種類ごとに、その事業を全国的に行うものとして指定することができることとしております。
 以上が、この法律案を提出する理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
#144
○葉梨委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#145
○葉梨委員長 本案に対しましては質疑、討論ともに申し出がありませんので、直ちに採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#146
○葉梨委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#147
○葉梨委員長 この際、越智伊平君、森井忠良君、大橋敏雄君、浦井洋君及び米沢隆君から、本案に対し、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者からその趣旨の説明を聴取いたします。越智伊平君。
#148
○越智(伊)委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党・革新共同及び民社党・国民連合を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
    建築物における衛生的環境の確保に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、適切な措置を講ずるよう配慮すべきである。
 一 法改正の趣旨について十分な周知徹底を図り、登録の要件に従って登録申請があればこれを公正に取り扱うこと。
 二 登録基準を定めるについては、現在の清掃業等の営業の実態、技術水準等からみて、合理的で無理のない程度のものとすることとし、中小事業者に過大な負担を与えることとならないよう、十分配慮すること。
 三 建築物清掃業の登録要件である従事者の資格については、中小事業者の実態にも十分配慮し、厚生大臣指定の短期講習会等の受講によつて平易に取得できるようにすること。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#149
○葉梨委員長 本動議について採決いたします。
 本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#150
○葉梨委員長 起立総員。よって、本案については、越智伊平君外四名提出の動議のごとく附帯決議を付することと決しました。
 この際、厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。野呂厚生大臣。
#151
○野呂国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、厚生省といたしましては、その趣旨を尊重し、法の適正な運用に努めてまいる所存であります。
    ―――――――――――――
#152
○葉梨委員長 なお、ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#153
○葉梨委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
    ―――――――――――――
  〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#154
○葉梨委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後五時三十七分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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