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1979/03/28 第91回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第091回国会 文教委員会 第8号
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1979/03/28 第91回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第091回国会 文教委員会 第8号

#1
第091回国会 文教委員会 第8号
昭和五十五年三月二十八日(金曜日)
    午前十時四十分開議
 出席委員
   委員長 谷川 和穗君
   理事 石橋 一弥君 理事 中村喜四郎君
   理事 深谷 隆司君 理事 森  喜朗君
   理事 木島喜兵衞君 理事 山原健二郎君
      浦野 烋興君    狩野 明男君
      坂田 道太君    坂本三十次君
      田村 良平君    野中 英二君
      船田  元君    宮下 創平君
      中西 積介君    長谷川正三君
      湯山  勇君    有島 重武君
      鍛冶  清君    高橋  繁君
      栗田  翠君    藤田 スミ君
      三浦  隆君    西岡 武夫君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 谷垣 專一君
 出席政府委員
        文部大臣官房長 宮地 貫一君
        文部省初等中等
        教育局長    諸澤 正道君
        文部省大学局長 佐野文一郎君
        文部省体育局長 柳川 覺治君
 委員外の出席者
        厚生省児童家庭
        局母子衛生課長 福渡  靖君
        文教委員会調査
        室長      中嶋 米夫君
    ―――――――――――――
三月二十八日
 理事嶋崎譲君同月二十六日委員辞任につき、そ
 の補欠として嶋崎譲君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
三月二十六日
 学級編制基準改善等に関する請願(有島重武君
 紹介)(第二九三九号)
 同(有島重武君紹介)(第三〇六四号)
 私学助成に関する請願(石田幸四郎君紹介)(
 第二九四〇号)
 同(河村勝君紹介)(第二九四一号)
 同(近藤豊君紹介)(第二九四二号)
 同(瀬野栄次郎君紹介)(第二九四三号)
 同(木野晴夫君紹介)(第三〇三九号)
 同(加藤万吉君紹介)(第三〇六五号)
 同(木野晴夫君紹介)(第三〇六六号)
 同外一件(木原実君紹介)(第三〇六七号)
 同(柴田弘君紹介)(第三〇六八号)
 父母負担軽減のため私学の助成に関する請願
 (池田克也君紹介)(第二九四四号)
 私学の公費助成増額及び助成制度確立に関する
 請願(権藤恒夫君紹介)(第二九四五号)
 私学の学費値上げ抑制等に関する請願(柴田弘
 君紹介)(第二九四六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数
 の標準に関する法律等の一部を改正する法律案
 (内閣提出第三一号)
 放送大学学園法案(内閣提出第二九号)
 文教行政の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○谷川委員長 これより会議を開きます。
 この際、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
 委員異動に伴い、現在理事が一名欠員になっております。これよりその補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○谷川委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。
 それでは、嶋崎譲君を理事に指名いたします。
     ――――◇―――――
#4
○谷川委員長 文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。藤田スミ君。
#5
○藤田(ス)委員 ことしは障害児の教育が義務化されましてちょうど一年目を迎えるわけです。ちょうど心身障害者対策基本法、これも十年目を迎える年になっております。この心身障害者対策基本法の中には、改めて言う必要もありませんが、十二条に障害者に対する十分な教育を受けられるようにするために必要な施策を行うこと、それから調査研究を行うことというふうに明記されているわけです。そこで私は、現在障害児の教育の現状をどういうふうに考えておられるのかということからお尋ねをしたいと思います。
#6
○諸澤政府委員 義務教育の段階を中心にする障害児の教育というのは、制度としては養護学校がございます。これは御承知のように五十四年度から義務制にしたわけでございますが、養護学校の教育対象としては、一つは精神薄弱者を中心とする養護学校、もう一つは肢体不自由の方を対象とする養護学校、それから病虚弱者を対象とする養護学校ということで養護学校にも三つの種類がございますが、それらを合わせまして、五十四年度当初、学校数は約六百五十となったわけでございまして、対象の児童生徒数も約八万ということで、これは義務制実施前と比べますと非常に充実してきたわけでございますが、今後ともこの義務制の趣旨に即してその充実に努めてまいりたいというのが現段階でございます。
#7
○藤田(ス)委員 私は、きょうはこの中で病虚弱児の教育の問題について特にお伺いをしたいわけです。
 児童権利宣言の中にも、あるいは児童憲章の中にも、適切な治療と教育と保護が与えられるというふうに明記されております。私は、いま障害児全体にとっても、その教育に医療と福祉との連携が求められているのではないかというふうに考えるわけですが、この点について文部省としてはどういう御方針をお持ちなのか、お伺いをしたいと思います。
#8
○谷垣国務大臣 いま御質疑の問題は、特に肢体不自由というよりも虚弱児の問題の御意見だと思いますが、御存じのとおりに、六カ月以上の医療あるいはまた生活規制を必要とする、そういうかなり虚弱の度が激しい児童生徒の諸君は、病弱者養護学校において教育をする、また六カ月未満の医療または生活規制を必要とする児童生徒は、それぞれの小中学校の特殊学級または一般学級の中で教育をしていく、こういうことでやってまいっておるわけでございます。
 病弱者の養護学校の場合は、実際問題といたしまして病院等に隣接をして設置をするとか、あるいはその構内に設置するとかいう形になってまいるわけでございまして、現在そういう形の養護学校で収容しておる、こういうことでございます。
#9
○藤田(ス)委員 そこでお伺いをしたいわけですけれども、病弱、虚弱の児童生徒の実態についてどういうふうに把握をしておられるのか、それから長欠児童と呼ばれる長欠児の中のいわゆる病気を理由とする子供たちの実態についてはどういうふうに把握をしておるのか、お尋ねをしたいと思います。
#10
○諸澤政府委員 病弱、虚弱児として養護学校に行っておられる児童生徒あるいは特殊学級に在学する児童生徒は、ただいま大臣から御説明申し上げたとおりでございますが、そこで病虚弱者の実態に応じて養護学校に行ったり特殊学級ということなんですけれども、これは大臣がお話し申し上げましたように、一応政令では、その療養なり生活規制の程度が六カ月以上かかりそうな子供は養護学校、それ以下の子供は一般学校の特殊学級ということになっておるわけですが、実態は一人一人の子供の病気の種類、程度によって必ずしもそうはっきり分けられない。そこで、実際には養護学校に入っておるけれども病状から見てもう特殊学級に移ってもいいということで年度の途中に特殊学級へ変わる、逆に特殊学級に入っているような子供さんでも養護学校へ年度の途中で移ってくるというような子供も相当あるわけでございまして、六カ月というのは一つのめどであって、必ずしもそれは画一的にやっているわけではないということでございます。
 それから、いまのいわゆる長欠児と病虚弱児の関係はどうかという御質問ですけれども、一応長欠児というのは年間の欠席日数が五十日以上というふうに考えまして、そういう子供はどのくらいあるかということなんですけれども、一般の小中学校について言いますと、五十三年度の調査では四万九千五十九人、約五万人でございます。それから特殊学校の場合は小中学部合わせて二千百五十七人ということになっておりますが、もちろんその長欠児童というのは必ずしも身体的理由によるものだけではないのでありまして、このうちはっきり病気による長欠というのは、小中学校では二万八千七百八十六人、全体の五八・七%、約六〇%でございます。それから特殊教育諸学校の場合には千六百八十九人ですから比率としては七八・三%、約八〇%近いわけでございます。ただ、その病気といいましても、これは正確にはつかんでおりませんけれども、小中学校の場合は、たとえば交通事故でけがをしたとかあるいはその他の外傷あるいは急性疾患というような、言ってみれば一過性の場合が多いと思うのでありまして、一方特殊教育学校の場合には腎臓疾患とか虚弱体質とかぜんそくとかいうような、要するに相当長期にわたって、しかもかなり症状の重いというお子さんが長欠しているであろうというふうに推定しているわけでございます。
#11
○藤田(ス)委員 正確につかんでいらっしゃらないということを言われたわけですけれども、学校保健調査でも小児慢性疾患というのはふえる傾向にありますね。四十八年の保健体育審議会の答申では、あの中に、「特に注目すべき疾病異常その他心身の健康上の問題の動向、特異性などに関する調査、研究」を行うことというふうに書かれているわけなんですけれども、こういう答申を受けて、それでは文部省としては一体どういうふうな取り組みをしてこられたのか、お尋ねをしたいと思います。――答申を言いましょうか、「児童生徒等の健康の保持増進に関する施策について」という答申ですが、わかりますか。
#12
○柳川(覺)政府委員 御指摘の児童生徒等の健康の保持増進に関する施策につきまして四十七年に保健体育審議会から御答申をいただいております。
 この御答申の中では、学校保健の現状と課題をとらえまして、特に施策といたしまして児童生徒の健康診断の問題、一般の健康診断を実施した上で心臓、循環器等特別な健康診断を必要とする児童生徒に対する配慮、また特別健康診断の推進の問題、それから施設設備の改善、特に環境衛生の保持の問題、あるいは養護教諭の先生方の増員体制の問題等、当面学校保健あるいは学校環境保全というような観点に立ちましての一般的な健康増進施策の御答申を受けたものでございます。
#13
○藤田(ス)委員 私がお尋ねしているのは、その答申を受けて、特にここで書かれている「注目すべき疾病異常その他心身の健康上の問題の動向、特異性などに関する調査、研究」を行うことというのに対して、どういうふうにそれを具体化されていかれたのかということをお尋ねしているわけなんです。
#14
○柳川(覺)政府委員 児童生徒の特別な配慮を要する身体上あるいは健康状態に関する課題につきましては大変多岐にわたっておりますので、一つは通常の一般に行われております健康診断につきまして実態に即した内容改善を行うということと取り組んできております。また、そのためにはいま御指摘の種々の実態把握を行うということで、これは主として学校保健会がございますので、学校保健会に調査研究を委託いたしまして、学校保健会にそれぞれ委員会を設けさせていただいております。心臓、循環器あるいは目の問題あるいは他の保健活動問題等各種の委員会を設けまして、その委員会で実態調査を進めながら実態の把握と改善のための施策を御検討いただいておるということでございます。
#15
○藤田(ス)委員 目下学校保健会に委託しているということですね。しかも、まだその段階にあるということですね。こういう調査というのは、本当は義務化の段階でもっと積極的に調査を行い、それを基本にしてどう義務化を徹底していくかという立場で、あるいは長欠児の解消のためにも取り組んでいただかなければならない、こういうふうに私は考えるわけなんです。
 現在、病虚弱児の就学率はどうか。先ほど病虚弱児に対する教育の保障の内容について触れられましたけれども、一体病虚弱児の就学率はどういうふうになっておりますか。
#16
○諸澤政府委員 病虚弱児というものの定義がまず問題だろうと思うのですけれども、先ほど申しましたように病弱、虚弱の程度によって、特殊教育諸学校いわゆる養護学校の病虚弱対象学校へ入る者と普通学校の特殊学級に行く者がおるわけでございまして、私どもの現在の把握としては、地域によるいろいろな事情はありましょうけれども、おおむねそういう生徒の分類に従って大体収容しているのではなかろうかというふうに思うわけでございます。
 ただ、先ほど申し上げましたように、そうは言ってもこの対象児の実態というのがそれぞれ特殊事情がありますので、たとえば五十三年度の実態を見ますと、年度の初めには小中学校の特殊学級等にいた子供で年度途中で病弱虚弱養護学校へ移ったものが全国的に見ますと二千二百十六人いる、逆に病虚弱養護学校に在学していたもので年度の途中で普通の学校へかわってきたものが千七百八十六人いるというようなことで、その病状あるいは健康の実態に応じて入れかわったりしておるというのが実情というふうに把握しておるわけでございます。
#17
○藤田(ス)委員 綿密な調査をしておられないということで、私は実はこの質問をさせていただくについて、その実態を自分自身よく把握をしていきたいということで正直大変苦労したわけです。
 そこで、私はきょうは厚生省に特にお願いをしておいでいただいているわけですが、厚生省では小児慢性疾患の養護と教育管理に関する研究をやっていらっしゃるというふうに聞いておりますが、この小児慢性疾患の養護と教育管理に関する研究の目的と結果の概略をいま把握しておられる程度で結構でございますからお示しをいただきたいと思います。
#18
○福渡説明員 ただいま御指摘になりました研究でございますけれども、私どもの方では心身障害児の病気に関する研究という研究班をお願いをしております。その中で小児慢性疾患の医療の実態と養護並びに社会復帰に関する研究というサブテーマをつくりましてこの問題についての研究をしておりますが、その中で特にいまお話がございましたテーマに関係する部分は、医療機関、福祉機関における教育保障の実感調査というのが昭和五十二年度から行われております。この研究に従事していただいております先生は京都大学教育学部の田中昌人先生ほか三名ということでございます。
 いままで報告をこちらの方にいただいておりますその概要を申し上げますと、この調査の目的は医療福祉機関における小児慢性疾患の実態を把握をしたい。これは昭和五十二年の五月現在で一応把握をしていただこうということになっております。それからあわせまして医療福祉機関における治療を基本としつつ教育のあり方を明らかにしていきたい、こういう目的を二つ挙げております。
 結果は、ごく概略的に申し上げますが、国公立の総合病院で小児科を標榜している医療機関すべてにアンケート調査をいたしまして、この目的に合致するような内容の項目についての回答を求めております。実際にアンケートの回答がありました回収率というのは三〇%でございますが、その中で一応傾向的に把握できた問題点と申しますのは、一つは、教育についての制度的な保障はまだ少ない。これは医療機関における実態でございます。
 それから二番目として、こういうような状態の中で父母、病院等の関係者の努力でいろいろな教育活動が行われているけれども、その内容は遊びであるとかあるいは相談、レクリエーションという内容になっております。実際の学習教育という点については、なかなか行いにくいというような点がありますけれども、教科の補充教育が行われている場合には、大体病院の方あるいは指導者としてボランティアの人がそれに当たっておられる実態であるということでございます。
 それから児童生徒の実態でございますけれども、これは就学年齢未満児が意外に多くて実際に就学児は比較的少なかったということでございます。疾患では腎疾患が一番多く、脳神経疾患がそれに次いで多かったということでございます。それから入院期間は、二年以上が約三分の一、それから一ないし三カ月が約四分の一という順序でございました。
 このほかに、私どもの方では小児慢性疾患実態調査というのを昭和四十七年に行っておりますが、これで把握をしました状況に基づきまして医療対策を進めております。ただ、その医療対策を進める基本的な考えの中に、子供さんが発育途中であるというところに着目をいたしまして、ただ単に医療を行うというだけではなくて、心理的、教育的な面に十分に配慮をしながら医療を行っていただきたい、こういうようなことを行政指導上行っておる実態でございます。
#19
○藤田(ス)委員 どうもありがとうございました。
 私は、こういう調査は、何度も言いますけれども、本当はどうして文部省がかかわりを持てないのだろうというふうに思うわけなんです。したがって、調査がまとまりましたら、それはぜひ文部省の方でも十分活用をしていただきたいし、そういう立場で厚生省とも十分協議検討をして、この調査を生かしていただきたいと思うのですが、厚生省の方にもう一度その点についてお尋ねをしておきたいと思います。
#20
○福渡説明員 ただいまも御説明申し上げましたように、この研究が五十二年度から行われております。それで、いままで私どもの方に入っておりますのが中間報告という段階でございますので、最終的に報告をいただいた段階で関係の省あるいは局とも十分に連絡をとりながら政策に反映させていきたい、このように考えております。
#21
○柳川(覺)政府委員 先生御指摘の児童生徒の疾病異常の状況につきましては、文部省の方といたしましては、多年学校保健に関する統計調査で行ってまいっておりまして、たとえば心臓の疾患異常につきましては、幼稚園で〇・三九%、小学校の十一歳で〇・二四%等の実態を把握いたしております。
 そこで、これらの疾病異常のある者につきまして、さらにその詳細にわたっての追跡調査をいたしまして、できる限り早期発見、早期治療に努めるという方向の資料を得たいというような立場から、先ほど来申しましたとおり保健会を通しましてそれらの追跡調査の方法等について鋭意検討をしておるということでございます。来年度も数カ所を取り上げまして、コンピューターの設備も設けました心臓の集団検診のできるような体制もとっていくというようなことの取り組みをしておるところでございまして、厚生省の方でお進めになっております調査の結果等も十分活用しながらこの面に対応していきたいと考えておるところでございます。
#22
○藤田(ス)委員 話を進めていきたいと思いますが、私は先ほど厚生省からお示しいただいたこの調査を見まして、まず最初に一つの大変大きな感動をしましたのは、医療側が教育の制度的保障について必要だと言っているのが九一・二%なんです。治療に専念すべきで教育など必要ないんだと答えているのが〇・九%と一%にも満たない数字になっております。先ほども御報告がありましたように、形態はレクリエーションだとかいろいろの形態をとっておりますけれども、何とか子供たちに教育を受けさせてやりたい、そういうものを与えていってやりたいということで努力をしているというのは、教育の制度的保障のない病院でも九八%に及んでいて、そして先ほどの御報告にもありましたように、その指導に四五%の看護婦さんが当たっておられる、あるいはそのほかの保母が三五%当たっているというふうに、医療側は大変積極的だなということを思ったわけです。教育は治療上でもまさに一つの大きな効果になるわけですね。そのことは、こういう病気の子供たちにとって大きな生きがい、生きる励まし、支えという点でも教育というのはとても重要なものなんだなということを考えたわけですが、大臣は、いま厚生省の調査の概略をお聞きになってどういうふうにお考えになったか、お答えを願いたいと思います。
#23
○谷垣国務大臣 ことに子供たちの心身と申しますか、虚弱な子供たちに教育が与えます一つの生きがいと申しますか、体を丈夫にしていかなければいかぬという気持ちをふるい起こさせる上に非常に大きな役割りを果たしておるということは、先生がいま御指摘のとおりであろうと思います。これは大人でもそうでございましょうが、ことにこういう子供たちの場合はその影響が非常に大きいものがある、私はこういうふうに感じます点は先生の御意見と同感でございます。
#24
○藤田(ス)委員 教育が子供たちに生きる勇気、それからそういう希望をふるい起こさせる上でも非常に大事だとおっしゃってくださいましたので、質問を先に続けていきたいと思います。
 入院児に対する教育保障は義務化されましたので、若干の違いが出てくるかもしれませんが、少なくとも私が厚生省にもお尋ねをして調査をしましたところでは、現時点でもそんなに数字が変わっておりません。この調査の中では、入院児に対する教育保障というのは一九七七年時点ですが、国立系で五一・四%、公立系で二八・三%、公的団体系で二二・七%、全体では平均すれば三四%、こういうことになっているわけです。
 教育保障のない病院、特に国公立病院での整備を図る上でも行政管理庁の指摘は非常に大事だと思うのですが、「医療、教育及び福祉の一体的、かつきめ細かな対策を充実する観点から、文部省、一厚生街等関係行政機関を始め、医療機関及び関係団体をも含めた連携の強化等について改善を図る必要が認められた。」ということで、行政管理庁が七八年の六月十九日に勧告されているわけですが、病虚弱児に対する教育保障は平均すれば三四%であったというこの現状に基づいて、一体どういうふうに厚生省と協議を進めてこられたのか、この点についてお伺いいたします。
#25
○諸澤政府委員 病虚弱養護学校の場合は、一般的には学校だけ独立して教育活動をするわけにはまいりませんから、医療機関に併設または隣接して設置するというのが通常の形でございまして、現在あります九十六校のうち、八十九校はそうした医療機関に併設または隣接の学校でございます。
 そこで、その病院というのも、そのうち六十二校は国立の病院または療養所ということになっておりまして、二十四校が公立の病院、療養所ということで、その場合に併設して病虚弱者のための養護学校として設置されている場合あるいは子供の数が少ない場合には、そういう病院に、言ってみれば養護学校の分教場を置くというようなものもあろうかと思うのでありまして、いま御指摘のように全国的に見ましたならば、ごく限られた子供が入っているような病院についてはそういう措置をまだ十分とっておりませんから、教育対象になってないところもまだ相当あるかと思うのでございます。
 一方、義務制の実施に伴って、いわゆる学校へ行かずに自宅療養あるいは病院等で療養している者についての訪問指導というのも拡充してまいりましたので、この訪問指導の対象となる子供の数が特殊教育対象者全部では七千三百三十一人となっておりますが、そのうち病虚弱者は千二百九十五人という数字になっておりますので、これからの対策としましては、そうしたごく限られた人数の子供が幾つかの病院等に一人ないし二人いるというような場合には、そういう訪問指導の仕事を一拡充してこれに対応するというふうなことでやってまいりたいと思っておるわけでございます。
#26
○藤田(ス)委員 どういうふうに協議してこられたのかということをお尋ねしたのですがね。
 私は訪問指導は何も悪いとは言いませんけれども、しかし心理的に非常に不安定になっている病気の子供に対して、やはり教育は集団、その保障をどう追求していくかということが基本だというふうに考えるわけなんです。少し話がはっきりしませんけれども、厚生省との協議の問題についてはもう一度後でお尋ねします。
 先ほども病院に併設したりあるいは中に院内学級のようなものを設けたりして進めておられるということでしたけれども、文部省の直接管轄下にある国立大学病院、これは小児病床を持つ病院が幾つあって、その中で教育保障を制度的に進めているところは幾つあるのか、これをお示しいただきたいと思います。
#27
○佐野政府委員 国立大学の、医学部付属病院は現在三十六病院あるわけでございますが、これらにはすべて小児科の診療科が置かれております。
 五十四年七月一日現在で見ますと、付属病院の総ベッド数が二万六千二百五十床、そのうち千三百四十床が小児病床でございます。現在付属病院で病院の中に養護学校の分校なりあるいは特殊学級を設けているのが四大学、児童生徒の数で四十九人、それから病室等への訪問教育が行われておりますのが五大学、児童生徒数で五十八人となっております。
#28
○藤田(ス)委員 国立大学は三十六あって、小児病床が千三百四十あって、分校が四大学、特殊学級が五大学、こういうことですね。その数は四十九人と五十八人、合わせて百七人なんですね。
 文部大臣、先ほどから厚生省は非常に積極的に教育の保障についても言われていましたし、調査の中でも先ほど申し上げましたように九〇%を超える医療側が必要なんだということを言いながら、しかも義務化をして、その義務化によって一人一人の子供にどこまで教育保障を進めていくかということをいま追求しておられるはずの文部省が、どうして大学病院でこんなに少ないのでしょうか。文部大臣はこの現状をどういうふうに思われますか。
#29
○谷垣国務大臣 問題点の一つであろうと思いますが、その問題に関しまして私自身が直接まだ検討いたしておりません。担当の方からお答えをさせていただきたいと思います。
#30
○佐野政府委員 いま申し上げましたような院内の教育を行っておりますところは、いずれも長期間の入院を通じてある程度病状の改善が見られる、それによって学習が相当程度可能になった者がある場合に、付属病院が教育委員会と協議をいたしまして疾病の状況なり教員の配置あるいは施設設備等の条件が整った場合にこういった措置を講じているものと承知をいたしております。
 もちろん御指摘のように病虚弱児についても可能な限り学習の機会を確保するように配慮することは大切なことではございますが、病院においては、申すまでもなく何よりも十分な治療によって健康の回復を図ることがまず先決でございます。さらに入院をいたしております子供たちの疾病の種類なり病状、治療期間、年齢等もかなり区々でございますから、学習の方法もいろいろなものを考えなければならないわけでございます。現在付属病院の小児科における平均の入院期間、在院日数は三十二日ということになっております。もちろんこれは平均でございますから、ネフローゼであるとかその他の疾患によって長期間入院している者もございますし、それらに対する対応も考えなければならないことはもとよりでございますけれども、いま申しましたような病状なり諸条件によって学習の方法も区々であるということに留意をしながら、病院の方で教育委員会と緊密な連絡を図りながらそれぞれの個別のケースに応じた適当な措置をとっていく、そういう方向での努力をするということを考えていくべきだと思います。
#31
○藤田(ス)委員 いま御答弁がありましたように、大体大学病院というのは、一つ一つの種々雑多な病種、症状、そういう子供たちにどう教育を保障していくかということを追求していく先頭に立ってもらわなければならない、こういうふうに思うわけです。文部省の大学病院が直接責任の管轄下にあるというだけではなしに、大学病院というのは諸科学技術の成果が最も適切に利用される条件がある場所なのです。しかも、そういうことに対する関係者の期待も大きいと思うのです。文部省がそれに対して、つまり病虚弱児の教育に対してどれだけ熱意を持っておられるかということの一つの大きなバロメーターになるのではないかというふうにも考えるわけです。
 先ほどから入院期間が非常に短いと言われました。しかし、短いと言いながらも腎炎・ネフローゼなどの長期の子供もいることもお認めになっておられるわけですし、そうだとすれば厚生省関係の非常に短期の子供を収容する国立病院だけとりましても十七ございます。これは長期の治療を要する子供を収容する国立療養所ではないのです。これだけ厚生省の方がむしろ積極的ではないかというのは大変残念なのです。だけれども、現実は私はそういうことを言わざるを得ないわけです。これは一つは医療側からそういう必要性、治療の上でも大事なのだということを押さえた上で、やはりこういう積極的な結果が出てきていると思うのですが、今後大学病院でそういうことを積極的に進めていっていただくというお約束をしていただけますか。
#32
○佐野政府委員 実際に養護学校の分校なり学級が設けられている事例について見てまいりますと、病院の側から教育委員会の方へお願いして設ける運びになっているものもありますし、また県の教育長の方から御要請があって病院側もそれに対応したというものもあるようでございます。いずれにしても教育委員会側と病院側とで十分に連携をして事を進める必要があると思います。御指摘の点については、私どもも医学部長、病院長会議等の機会に、病院側に対してさらに問題提起をしてみたいと思います。
#33
○藤田(ス)委員 もう少しこの問題について掘り下げていきたいのですが、時間がありませんので、残念ですが次に進みます。
 ただ何遍も言いますが、大学病院がこういう状態では、文部省が病虚弱児に対する教育保障について果たしてどれほどの熱意を持っておられるのかという点では疑問を持たざるを得ませんので、できるだけ早く教育委員会と病院側との協議を進めて整備を進めるようにお願いしたいと思います。同時に、国公立の病院に教育保障の条件を計画的に整備するために厚生省とどの程度今日まで協議を進めてこられたのか、この点について簡単にお答えください。
#34
○諸澤政府委員 具体的にどの地区でどの病院をどういうふうにということをこれまで厚生省と相談したことはございません。各県がそれぞれの実態に応じて、地域の実情に応じて、そこにある病院なりその他と協議しながら必要に応じて養護学校を設置するというやり方を推進してきたわけでございます。
#35
○藤田(ス)委員 現場では、もう少し厚生省と文部省との協議を詰めてもらわないとうまく話が進まないという実情が出てきております。これは院内学級の問題なのですが、現在院内学級がどのような実態で行われているのか、それに対して教育委員会がどういう指導をしておられるのか、この点について簡単にお答えください。
#36
○諸澤政府委員 先ほども申しましたように、病院内に養護学校の分教室を設けて、そこに入院している子供さん何人かを対象に教員が行って教育をするというようなことも実態としてはやっておるようでございますが、それぞれの院内学級の教育のあり方その他については、いまも申しましたように、大体県が中心になってその計画を立て推進しておるのが実情でございます。
#37
○藤田(ス)委員 県も困っているのです。これは堺の例ですが、私は一つの院内学級を見に行きました。ニメートルと四・五メートルの小さな部屋の中に教師が四人、机とロッカーを置きまして、その真ん中に二つか三つの子供の学習机を置いて、大変狭いところで日も当たらない。それから隣が診察室ですので歌も歌えない。そういうようなところで院内学級をやっているわけです。冷暖房も小さ過ぎてきかすことができませんし、それから電話をそこに置くこともできない。そういうような状態の中でやっているのです。
 私がどうしてこういう状態なのかということを病院側に聞きましたら、病院側もこれで精いっぱいの努力をしているんだと答えているわけです。一体この責任がどっちにあるのかはっきりしないと言っているわけです。病院に場所の提供の責任が負わされているのか、教育委員会にあるのか、その辺が少しもはっきりしないということを言われているわけです。院内学級をやっているところからは、ぜひ文部省は施設の基準をつくってほしい、こういうふうな訴えも出ておりますけれども、この訴えに対して一体どういうふうにこたえられるつもりですか。
#38
○諸澤政府委員 おっしゃるような実態については大変残念なことだと思います。ただ、院内学級というのはそれぞれのケースによって特殊でありますから、先ほど申しましたように、県の教育委員会としては、そこに養護学校の分教場を設けるということでありますと、恐らく県の教育委員会と病院との間にその施設の貸借関係があるというようなこともありましょうし、逆にただ教員を派遣して、いわば訪問教師のような形とすればその施設の管理は病院にあるというようなことで、またそこに収容されているお子さんの病気の状態、その他年齢等もありましょうから、基準を設けるといっても一律的にとてもできるものではないというふうにせっかくの御質問ですが考えるわけでございまして、この問題は、一義的には養護学校の設置義務のある県の教育委員会が状況に応じて判断をし、医療機関等と十分相談しながらやっていただくという一般論で指導するというのが率直に申しまして文部省としては一応限界ではないかというふうに考えるわけです。
#39
○藤田(ス)委員 これから新しく院内にそういう施設を設けていくについて、教育サイドのきちんとした責任を持った対応をしていくためにも、県任せにしないで文部省がもう少し積極的な措置を考えていくべきだと思うわけです。県任せでは解決できない問題がたとえば国立大学なんかの場合に特にありますので、その点を申し上げているわけです。私が言っていることはわかっていただけますね。
 時間がありませんので話をどんどん進めて恐縮ですが、医療施設から独立した病虚弱児の養護学校、その中でも寄宿舎をつけた養護学校の問題について特にお伺いしておきたいのですが、退院していきなり原学級に戻れない状態の子供がいわゆる長欠児という形になってしまうきらいがある。また、訪問指導を受けても、それはその子供に対して本当に真っ当な教育保障になるのかというとそうではなしに、やはり集団指導が求められる場合がある。ましてや非常に厳しい生活規制を受けているために、家庭の中ではどうしても支え切れない生活規制を医療の側から要求される場合がある。そういう子供たちのために社会復帰に力をつけるという意味でも、医療機関から独立をした病虚弱児の寄宿舎つきの養護学校というのは非常に大事な存在じゃないか。原学級へ戻っていく、ワンクッション置いた学校としてそういうものが必要ではないかと思うわけですが、文部省はこういう学校に対してどういうふうに意義づけをしておられるのか。それから全国にそういう寄宿舎つきの養護学校が何校置かれているのか。あわせてお答えを願いたいと思います。
#40
○諸澤政府委員 寄宿舎を持つ養護学校というのは全国で十二校、対象になっている子供が四百四十一人というふうになっております。いま先生のおっしゃるのは、ある程度身体障害の程度も軽減化して寄宿舎に入ってそこから学校へ行って勉強する、こういうような機会をつくって、それによって、その次の段階として普通の学校へ戻れるようにということだろうと思うので、それは確かに
 一つの方法でございますが、一般的に言えば、そういう障害児の方を必ず寄宿舎に入れて集団教育をするのがいいのかどうか。先生は集団教育というのを非常に強調されておりますが、私が専門の先生にいろいろ聞くと、病状によってはやはり家庭にあって教育することだってあり得ますし、個々の子供の状態によるので、一概に寄宿舎教育が必ずいいんだというふうにも甘えないのではなかろうかというふうに思います。また、養護学校を設置する県の立場に立ってみましても、地域の実態とか子供の数とか、やはりいろいろ障害がありますから画一的に考えるわけにはいかない。そういう意味では寄宿舎による養護学校教育というものも一つの方法であり、またそれなりの効果は上がると思いますが、それをどこにどういうふうに設置するかということは、やはり第一義的には設置者である県の教育委員会の判断にまちたい。ただ、先ほども先生おっしゃいましたけれども、実際養護学校が病院やその他の医療機関と提携する場合に、なかなか話し合いがうまくいかないというようなことについては、その病院が国立病院であったり国立大学の付属病院であったりという場合にはまた県の御相談に応じて、文部省としてもできるだけ協力するという体制は今後ともやってまいりたい、かように思うわけであります。
#41
○藤田(ス)委員 私も何も画一的にこういう養護学校にすべて一たん退院した子供を入れよなんて言っているのではないですよ。だけれども、腎炎とかネフローゼとかぜんそくの子供だとか、そういう子供たちの中には原学級に戻ったらかえって病状が悪くなる子供がいるのです。そういう子供たちを家庭の中で過ごさせた方がいいという、そういうことも病状によっては、あるいは病気の種類によってはあるでしょう。しかし、現実にそうでなくて、ある程度集団の生活をしながらワンクッション置いて原学級へ戻っていくというような経過をたどっていく方がはるかに病気の治療の上でも効果を発揮するという点で大事な役割りを果たしている寄宿舎につき養護学校があるのだいとう点について、文部省はもっと積極的にその意義をお認めいただきたいわけですが、どうですか。
#42
○諸澤政府委員 おっしゃるようにそういう施設がきめ細かく設置されれば、ネフローゼのような子供が復帰する場合に非常にいいだろうということは私も考えられますけれども、何といっても養護学校を設置するのは県ですから、県の財政ということも考えなければなりませんし、そういう子供さんがどのくらい地域にいるかということも、やはり現実の問題としては学校をどう設置するかということとかかわり合いがあるわけですから、そういう御趣旨はよくわかりますけれども、やはりそれは一義的には県の判断にまって、そういうことが学校としてどうしても必要だし、またそれがやり得るという場合にやっていただくということではなかろうかと思うわけです。
#43
○藤田(ス)委員 だから私は、もっと実態を文部省自身が把握すべきだということを言っているわけです。病虚弱児の実態をもっときめ細かく把握して、文部省自身の方針として、この病虚弱児に対してどういう教育形態を求めていかなければならないのか、その点について調査もし研究もするということが大事じゃないか。最初に調査研究についてお尋ねしたが、個別に尋ねていきますと、こういうふうに県がやるものだとおっしゃいます。私も具体的には県がやるものだと思いますけれども、ただそれで放置しておいていいのかというと、そうではない。やはり義務化に備えて文部省がもっと病虚弱児にどういう教育方針をとっていくのかということをきちっとした押さえ方をしてもらわないと困るというふうに思うわけです。
 先ほどのお話にも何遍も出ておりましたけれども、学校教育法施行令の二十二条の二に「六カ月以上」の子供に対するとありますが、この「六カ月以上」というものの根拠はどこにあるわけでしょうか。
#44
○諸澤政府委員 これは特殊学校の教育対象児をどの学校にするかということについて、たとえば精薄であっても非常に重度の精薄かそうでないかというような基準を立てておりますが、言ってみれば一般的抽象的度合いのかなり強い基準でございますから、学校教育を遂行するという意味で、病虚弱児の場合は、六カ月以上もかかるような子は一応養護学校だという一つの目安にしておるわけでございます。それですから、先ほども申し上げましたように、実際には年間にわたって養護学校から普通学校へ、普通学校から養護学校へというふうな子供さんが出るわけでありまして、そこのところは実際の運用としてはかなり弾力的に考えておるというのが実態ではないかと思います。
#45
○藤田(ス)委員 では、実際にはこの二十二条の二というのは別に根拠もないし、一つの目安にすぎない、だからこれは画一的に考えないで大いに弾力的に考えていけばいいのだというふうに解釈していいわけでしょうか。
#46
○諸澤政府委員 そう言うとすぐそうおっしゃるだろうと思ったのですけれども、私は別にそんなに基準をわざわざ弾力的に解釈しろと言っているのではない。やはり六カ月というのは一つのめどですからね。ただ、実際にお医者さんの診断書を見たって六カ月以上と書いてあったって、それはお医者さんのその時点の診断であって、実際は必ずしもそうではないというのが実態だと思うのですね。だから、それを一つの目安にしてやるというのが制度の運用としては必要ではないでしょうか。
#47
○藤田(ス)委員 厚生省の調査によりましても八一・六%が医療期間が六カ月未満、この教育対象を決定する六カ月以上というのはもう必要のないものだ――もっときちんと、たとえば病弱の状態にある児童生徒で特別な教育措置を必要とするものというふうな言葉に置きかえた方がいいじゃないかという意見が出ているわけなんです。六カ月以上というそういう法的な根拠が何らない。しかも、決められたときからかなり医学も進歩しておりまして、子供の病気の種類も変わってきている中で、こういう六カ月以上というものがかえって弊害になる場合があるということが言われているわけです。そういう点では、この二十二条の二というのは、私は現在の情勢に合わせて改めていくべきだと考えるわけです。
#48
○諸澤政府委員 六カ月以上というのは何ら根拠がないという御指摘でございますが、私はやはり根拠が何らないということはないので、学校は一年の学年単位でやるわけですから、その学年の半分以上もこの子は休みそうだ、そういう子供は普通学校へやったってとても無理だから、やはり養護学校に行って病院併設のようなところで治療しながらやるのだということがやはり一つの目安だろう、そういうふうに思います。
#49
○藤田(ス)委員 それじゃ先ほど言われたように実態はかなり弾力的に活用してほしい、こういうことを希望としては持っておられるし、活用していけばいいということで確認をしておいていいですね。
#50
○諸澤政府委員 弾力的という意味ですが、弾力的という意味が抽象的に先走るのではなくて、一人一人の子供さんの病状を見て、それで教育委員会が学校を指定する際に、これはやはり普通の学級は無理ですよと言って養護学校へ行かれるという指定をするわけですから、大体そうした設置者である教育委員会の判断というものを一義的に考えていただいて、なおそのほかいろいろ事情があってお話し合いをするというような形で運営されることを私は望んでおるわけです。
#51
○藤田(ス)委員 最後に、病虚弱児の問題では高等部の設置なんですが、これも現状はきわめて少ない状態にあると思います。
 病虚弱児というのは、特に先の見通しがなければ励ましにならないではないかという点で、たとえば中学校の体育の評価が一であるために、高校入試の際にそれが理由で受験ができなくなっているとかいうような状態もありますし、養護学校に高等部がないために、もう中学校のまま、義務教育のままあきらめなければならないという状態も現実にあるわけです。この高等部教育の問題についてどういう方針を今後立てておられるのか。それから体育一の評価について教育委員会に指導していただけないか。それが受験さえできない障害になっているということについて、せめて受験だけでもさせてほしい、そういう生徒の要求にこたえて教育委員会に指導していただけないか。この点お答え願いたいと思います。
#52
○諸澤政府委員 病虚弱児を対象とした高等部を持っている学校というのは現在五十四年度で二十校ですから、確かにまだ数が少のうございますから、これは今後の課題として各県にもっと増設していただくように私どもも努力をしてまいりたい、かように思うわけでございます。そして一般的に言えば、やはり病虚弱児の場合は中学校までずっと養護学校におられたというような子供さんは高等部へ移るというのが適当な場合が多いだろうと思うのであります。それからそういう子供さんでも症状が軽くなって普通の高等学校を受けたいという場合に、ただいま体育のテストの問題がございましたけれども、この辺については現在では県の判断によって、私ちょっといま資料を持っておりませんので詳細はわかりませんけれども、軽減しているところもあるのではないかと思いますが、この点はなお少し検討させていただきたいと思います。
#53
○藤田(ス)委員 ぜひ御検討をお願いいたします。
 私きょうは非常に時間を急いでおりまして十分大臣におわかりいただけなかったかもしれませんけれども、とにかく病虚弱児の教育保障というのは確かに大変だと思うのです。入院中の子供、自宅から通院をしている子供、原学級に戻れないでいわゆる長欠になっている子供というふうに、まだまだ現状は決して十分じゃない。これから今後この病虚弱児の教育保障を進めていくために力を入れていただきたいと思いますが、最後に大臣の決意をお伺いしておきます。
#54
○谷垣国務大臣 病虚弱児の問題は、その当の生徒児童におきましても、健康の方をとるのかあるいは教育の方をとるのかというような、そういう簡単な分け方ではやれない問題であるわけでございますし、また先ほど来お話がありますように厚生省の所管なのか文部省の所管なのかというような大上段で議論のできる問題でもなくて、両方をにらみ合わせながら、本来の養護教育の義務化ができた、その考え方に立って進めていかなければならない問題だと思います。きょう先生が御指摘になっている問題は、私たちも今後それは検討していかなければなりませんし、いろいろ行政を進めていく上の詰めていく問題のいまだはっきりしていない分野であることはよく私もわかってまいっておりますので、今後ともに努力はさせていただきたいと考えております。
#55
○藤田(ス)委員 どうもありがとうございました。
 次は、就学援助の問題についてお伺いをいたします。私は、ここに五十年六月十八日の文教委員会の議事録を持っているわけですが、栗田委員が就学援助の問題についてお尋ねをしたのに、当時の安嶋さんが答えておられることには、就学援助の希望者が非常に多くなってくると、その者に対して町村がさらに積極的な援助をしなければならないということになるけれども、その場合は国の補助の枠を超えて町村が援助をするということになるわけだが、いま五十年のこの時点で事態がそういうことにはなっていないので、将来そういう事態が起こりますならば、さらに予算の増額を図りながらそういう事態に対応していくべきだろうと考える、こういうふうに答えておられます。
 さらに重ねて、私どもは大体実績に対応する予算措置を講ずるということで近年予算措置をしてきたわけでありますけれども、基準を当てはめました場合に、この額では不足だという事態が現実に起こってまいりましたならば、それに対応する措置は検討しなければなるまいというふうに考えております。こういうふうにも重ねて答えておられるわけですが、この考え方はいまもなお当然生きているものだというふうに考えますが、どうでしょうか。
#56
○諸澤政府委員 この就学援助というのは、先生御承知のようにいまの法律と政令の趣旨を読みますと、市町村が生活保護世帯に準ずるような世帯について修学旅行費とか学用品とか給食費を補助する場合には、国は予算の範囲内でその二分の一を補助する、こういうことになっておるわけでありまして、一応予算の規制があるというのが前提でございますが、当時の担当者としては、そういうことを念頭に置いた上で、なお実態として、いろいろ希望がふえてきた場合にもちろんそれが適正かどうかという判断をした上で適正と考えればその予算の増額を図るべく努力をする、こういう趣旨ではなかろうかというふうに私は理解をいたしております。
#57
○藤田(ス)委員 本質的にはその事態に適応していかなければならないんだという点については変わっていないというふうに解釈をしたいと思いますが、この五年間に就学援助の全児童へ適用した実数、五年間の推移をお示しいただきたいと思うのです。
#58
○諸澤政府委員 これは御承知のように文部省で担当局がそれぞれ違っておりますので、私のところの学用品についての経緯を申し上げますと、四十九年度の実績は、給与人員が五十九万八千七百人、これは全児童に対して四・一%、その次の五十年度が六十二万五千三百人で四・二%、五十一年度が六十六万九千四百人で四・四%、五十二年度が七十二万六千六百人で四・六九”、五十三年度が八十万三千七百人で五・〇六%、こういうふうな数字になっております。
#59
○藤田(ス)委員 この数字で十分であったと考えておられるわけですか。
#60
○諸澤政府委員 これは先ほど申しましたように一義的にはどの範囲まで援助するかというのは市町村の教育委員会の判断によるわけですけれども、私ちょっといま気がかりなのは全国的に見ますと東京の各区とか大阪府下の市などは非常に高いわけですね。たとえば東京のある区から来ている私の方の課長補佐なんかが私のところへこういうものが来ましたということで区から来ましたビラを見ますと、そういう子供でも申請すれば就学援助の対象になりますというので、この人は収入が四百万以上あるのですね。それが妥当かどうかという判断は市町村の教育委員会がなさっているわけですけれども、ただ現実に言えることは、東京都の各区とほかの地域はかなり差があるということでございますので、その点の考え方をどういうふうに考えていくか。私はやはり就学援助というのは非常に大切な仕事だと思いますけれども、これは限られた国の予算内でやるという前提がございますから、そういうことも考えながら今後どういうふうにやっていったらいいかということをもっと考えてみたい、こういうふうに思っているわけです。
#61
○藤田(ス)委員 就学援助を知らせるというのは当然のことですよ。そうでしょう。就学援助についてこういうラインの人たちまでは受けることができますよ――仮にそういう宣伝があっても本人がうちはいいよと思う場合もあるでしょうし、あるいはその知らせを受けてそうなのかということで就学援助を受けていくという場合もあるでしょう。文部省の示された基準の中にもそういうものが非常にあいまいであるということと、にもかかわらずいまおっしゃいましたけれども、示されている基準の中にも就学援助を当然受けられる範囲内にあるというような一定の基準というものもあるじゃありませんか。私は、就学援助本来の精神からしていまの発言は大変問題だと思うのです。一体就学援助の精神をどういうふうに受けとめておられるのでしょうか。
#62
○諸澤政府委員 私は、先ほど申しましたようにそういう事実があって、東京都の場合には私が考えていたよりかなり援助の幅が広いんだなということを率直に申し上げただけでございます。
 その判断の基準は、先ほど申し上げましたように文部省が毎年ずっと通達で基準を示しておるわけでございますが、現在のところ、この基準というものはかなり抽象的になっておりまして、国民年金の掛金の免除とか、あるいは失対適格手張を持っている日雇い労務者とか、あるいは学校のPTA会費等を十分納められないような子供さんとか、あるいは学用品、通学用品のようなものも十分に支給されていないような子供さんというようなものを対象としておるわけで、これはたびたび所得その他で明確な基準を引いたらどうかという御質問もあるわけですけれども、この問題は、生活保護世帯に準ずるということで考えました場合に、必ずしもそういうふうに一律に線を引けない。家族構成その他の問題がありますので、いま申し上げたような抽象的な基準を考えて、それらを総合して判断してもらうということが一番妥当ではないかということで今日まで来ておるわけですから、この基準についてはなおいろいろ検討はいたしますけれども、私はこういうふうな運営が現実の問題としてはまず妥当ではないか、こういうふうに思っておるわけです。
#63
○藤田(ス)委員 私がお尋ねしたのは、その準要保護だとかの児童生徒の就学援助の制度の精神をお尋ねをしたわけです。この精神は、当時の安嶋さんが、学校教育法の第二十五条において「経済的理由によって、就学困難と認められる学齢児童の保護者に対しては、市町村は、必要な援助を与えなければならない。」、この精神に基づくものだと、さらに、かつまた教育の機会均等という趣旨からしても、こうした就学についての援助を行うことは当然必要なことだというふうに答えておられるわけです。その精神に変わりはないのかということを聞いているわけです。
#64
○諸澤政府委員 お話しの二十五条に、経済的理由によって就学困難と認められた児童生徒の保護者に対して援助が与えられなければならないというのは教育の機会均等という精神から出たもので、それはおっしゃるとおりでございます。私もそう思います。ただ問題は、経済的理由によって就学困難と認めるその基準をどこに置くかということだと思います。
#65
○藤田(ス)委員 私は基準のことをいまここで論議しようとは思っていないわけです。基準の問題はもう一度改めて別の機会にしたいと思いますが、しかし基準をあいまいにしておられるのは文部省じゃないか。文部省の基準が非常にあいまいじゃないか。そこで、地方自治体がこれは大事だと思われる適用者に対して現在適用していっているわけなんですけれども、どうしても文部省の方の対応がおくれてきて、現実は実績見込み額と交付決定額との差が非常に開いてきているという現実があります。
 たとえばこれは五十三年度の例なんですが、堺市では配分数が一万四千百七十二人に対して適用数は二万二千四百六十人、中学校の場合、堺市は三千七百九十八人に対して適用数は六千三百人、神戸は九千七百人に対して一万二千五百人、中学校の神戸の場合は五千三百人に対して五千八百人、こういうふうに現実に自治体が適用を必要だと認めたものに対する国からの配分は非常に少なくなってきているわけです。
 もう一つ私は資料を持っています。これは学校給食の分だけ取り出しているわけですけれども、大阪市は、五十年に実際の適用に対して配分の割合が九九.九%ありました。しかし五十三年度には九〇・二%というふうに変わってきています。豊中市は九八・五%が九一%に落ちてきています。堺は九六・九%が八八・八%に落ちました。そして岸和田市は九九・一%が八七・七%に落ちています。だから府下平均しましたら九八・九%が五十三年度で八九・三%という数字になってしまっているわけです。
 これは先ほど予算の範囲内でと言われておりますけれども、にもかかわらず実態がそういうふうに自治体の適用者がふえてくるに応じて国も応分の努力をしていかなければならないんだと言っておられることと、その精神からして大変矛盾するじゃないかということを私は言っているわけです。適用者がふえてくるのは当然なんですね。いまのように物価高だとかあるいは不況だとか失業だとかというふうな深刻な状態の中では当然だと思います。
 そういうふうな状態の中で、たとえば福島市では、ここは給付率二%という非常に低い町です。自治体は持ち出しを拒んで、できるだけ給付者に制約を加えている。その制約は、たとえばこの福島市内では、学校の先生が子供に対して、あなたの家はそれほど困っているのかというふうな尋ね方をしてみたり、あるいは民生委員がやってきて、お家はそれほど困っているのかと。実際に生活保護基準よりも低い収入で耐えた生活をしているにもかかわらず、その申請が認められていないというふうな例が出てきているわけです。そういうふうな状態というのは、福島市だけではなしに秋田にもありますし、あるいは福岡の方にも例が出てきています。福岡の方は、受給者の申請に対してどういうふうなことを言っているかといいますと、交渉の中で、本来就学援助事業にかかった総額の二分の一が国から来るべきであるところ三分の一しか来ないのだ、だから財政的にはお手上げなのだということで、生活保護基準以下の所得の人や住民税均等割の人が適用を却下されてしまっているわけです。これは福岡県の福間町で起こっております。
 適用者が非常に屈辱感を感じて受けていたり、あるいはまたこういうふうに自治体の側が露骨にそれを拒んで、そして当然受けられる範囲内にあると見込まれる人まで適用を受けていないというふうなことは、本来その精神から照らしてもおかしいじゃないか、それから国が言っておられる国の援助の責任から照らしてもおかしいじゃないかと私は思うわけです。だから、今後もっと国がこの実態に合わせた措置をしていくべきだというふうに考えるわけですが、この点についてもう一度文部省の御見解をお聞きしておきたいと思います。
#66
○諸澤政府委員 どうも先生のお話を聞いていまして、実態に合わせて予算措置をしろというのは、いま最も支給率の高い大阪府下の各市とか東京の各区に合わせて全国的にやれるような予算を組めというように理解するわけですけれども、私は必ずしもそうは思わないのです。各市町村が就学援助をどのくらいやるかというのはやはり市町村の財政事情もありますし、その他事情を判断してやっておる結果でございまして、全国的に見るとかなり水準の違いがあるという場合に国はどう対応すべきかといえば、一番よけいやっているところに合わせて予算を組めということにはならぬのではないか。やはり国も予算の範囲内で補助すると法律にはっきり書いてあるわけですから、実態をどういうふうに判断してやるかということ、これはもちろんおっしゃるようにただ抑えればいいというものではありませんから、私どももできるだけいろいろなことを考えながら、この程度のことはひとつ改善してやりたいというようなことをそのときどき判断しながらやっていくというふうに考えておるわけであります。いまおっしゃるように、実態というのは一番高いところを考えなさいというわけにはいかないと私は思います。
#67
○藤田(ス)委員 高いところを抑えろというふうに言ってないじゃないですか。実際に福岡県の福間町というようなところとか、秋田市内だとか、こういうところは、実態は生活保護基準よりも低い人が落とされているのだ。しかし自治体は、はっきりと国からは三分の一しか援助が来ないのです、だから地方自治体の方としてはもうやむを得ずこの程度でがまんをしてもらわなければならないじゃないですかというふうに言っているわけです。そういうふうな状態がいま全国からいろいろ出てきているということは、本来の就学援助制度の精神を大変逸脱してきているじゃないか、しかもそれが財政的な問題で逸脱をしてきているのはけしからぬということを私は言っているわけです。文部大臣、この点についてどうお考えか。そしてこの自治体が――私はたまたま大阪の者ですので大阪の例を挙げた。それが気に入らないとおっしゃるなら全国の例を挙げなければなりません。しかし文部大臣、地方自治体がこれだけ超過負担を強いられてきている。制度がゆがめられてきている。当然受けなければならないものが受けられなくなってきている。これを改善するために今後どういう努力をしていかれるおつもりか。この点をお聞かせいただきたいと思います。
#68
○谷垣国務大臣 先ほどからお聞きしておりますと、経済的に就学が困難であるというような条文が法律にあるようでございますが、これはそのときどきの環境、生活の状況、物価の状況等で非常に幅のある表現にはなっておると私も思います。しかし、それはそれなりに一つの考え方が出てのことでございます。また、各地方団体がそれぞれの判定をしておる、そういう幅があるのもこれまたいまの仕組みから申しまして当然であろうと思います。そういう法律の言っております本旨にのっとって今後ともに努力をしていかなければならない点であろうと考えております。
#69
○藤田(ス)委員 今後の努力をよろしくお願いをしておきます。
 きょうは時間がありませんので、私はまだ二つ問題を持っているわけですが、残念ですがこれでやめなければなりませんけれども、私が言いたかったのは、一つは同和教育です。東大阪の意岐部東小学校、御存じでしょうか。すでに私は資料を文部省の方にお渡ししておりますのでごらんいただいて、いると思いますけれども、ここでは、例の石川青年の狭山事件の問題、これについて意岐部東小学校の名前でこういうビラが出されております。石川さんは一〇〇%無罪で裁判所はこの石川さんを閉じ込めようとしているのだというような文章から、子供とともにがんばるから父母も支援をしてほしいというようなことと、この学校では就学児に対する健康診断に対しては反対しましょう、子供の健康診断をするのは差別につながるのだというふうなことでビラを流しております。それから国語は日本語というふうにここでは呼んでいるわけです。ここには朝鮮の子供たちもおりますので、朝礼の時間に朝鮮語であいさつをしたり、そういうこともあるので国語を日本語と呼んでおるそうです。さらにこういうことがエスカレートをしまして、そして一・二八の統一集会の日には教頭を先頭に全校が閉鎖をしまして、そして用務員が職務命令でこの学校に登校する子供に対して、きょうは門を閉鎖する、こういう実態があるわけです。こういう問題についてはぜひ調査をし、指導を強めていただきたい。一言だけこういう問題についてどの程度把握をしておられるのかお聞きをして、きょうは質問を終わります。どうもありがとうございました。
#70
○諸澤政府委員 ただいまお示しのような事柄は、初めてお聞きすることもあるわけでございますが、その意岐部東小学校で狭山裁判に反対して同盟休校を行ったということは聞いておりまして、これはまことに遺憾なことだと思っております。同和教育については、従来からも文部省としては社会運動や政治活動は別だということを指導しておるわけですから、今後も大阪府の教育委員会を通じてその指導の徹底を図ってまいりたい、かように考えております。
#71
○谷川委員長 本会議散会後直ちに再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時五十二分開議
#72
○谷川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 これより内閣提出、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律等の一部を改正する法律案及び放送大学学園法案の両案を議題といたします。
 両案の提案理由の説明を順次聴取いたします。谷垣文部大臣。
#73
○谷垣国務大臣 このたび、政府から提出いたしました公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 今日、学校教育に対する国民の期待はますます高いものがあり、学校教育が担う役割りは一層重要なものとなっております。わが国における初等中等教育は、その普及度においては世界に誇り得る高い水準に達しているのでありますが、今後の最も大切な課題は、その教育の内容の質的充実に一層努力することであります。すなわち、一人一人の児童生徒の能力と適性に応じた教育を行うことにより、基礎と基本をしっかり身につけた人間性豊かで創造力に富む心身ともに健全な国民の育成を図ることが重要な課題となっているのであります。
 公立義務教育諸学校の学級編制と教職員定数の標準につきましては昭和三十四年度以降四回にわたり計画的に改善を行い、公立高等学校等の学級編制と教職員定数の標準につきましても同様に昭和三十七年度以降三回にわたって改善を行ってまいったところでありますが、教育条件の一層の充実を図るため、このたび、小学校及び中学校における四十人学級の実現を初めとして、公立の義務教育諸学校及び高等学校等の学級編制及び教職員定数につきまして、さらに計画的にその改善を図ることとしたものであります。
 次に、法律案の内容について御説明いたします。
 まず第一は、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準を改善したことであります。
 すなわち、公立の小学校及び中学校の学級編制の標準に関しまして、同学年の児童または生徒を一の学級に編制する場合の標準を現行四十五人から四十人に改善するとともに、二個学年複式学級及び特殊学級の学級編制の改善を行うことといたしました。
 また、公立の特殊教育諸学校の小学部及び中学部の学級編制につきましても、その改善を図ることといたしました。
 次に、公立の小学校及び中学校の教職員定数の標準に関しましては、教頭定数及び小学校の専科教員の数を充実し、小規模中学校等における免許外教科担当教員の解消を進めるほか、寄宿舎を置く小学校または中学校について加算する教員の数を改善することといたしました。
 また、養護教員、学校栄養職員及び事務職員につきましても、その配置基準の改善を行うことといたしました。
 次に、公立の特殊教育諸学校の小学部及び中学部の教職員定数の標準に関しましては、教頭定数及び小学部の専科教員の数を充実し、中学部の免許外教科担当教員を解消するため、小学校及び中学校と同様の改善を行うほか、養護訓練を担当する教員の数及び寄宿舎を置く学校について加算する教員の数を改善することといたしました。
 また、寮母及び学校栄養職員につきましても、その配置基準を改善することといたしました。
 第二は、公立高等学校等の学級編制及び教職員定数の標準を改善したことであります。
 すなわち、公立の高等学校の教職員定数の標準に関しまして、教頭定数及び職業教育を担当する教員の数を充実し、新たに習熟度別学級編制に伴う教員の加配を行うこととするとともに、通信制の課程について教員の配置基準を改善し、寄宿舎を置く学校について新たに教員の数を加算することといたしました。なお、教職員定数の算定方法の基礎を生徒数から学級数に改めることといたしております。
 また、養護教員につきましても、義務教育諸学校に準じてその配置基準を改善することといたしました。
 次に、公立の特殊教育諸学校の高等部の学級編制の標準に関しましては、小学部及び中学部に準じてその改善を図ることといたしました。
 また、教職員定数の構準に関しましては、小学部及び中学部に準じて、教頭定数及び寄宿舎を置く学校について加算する教員の数を充実するとともに、寮母につきましてその配置基準を改善することといたしました。
 さらに、高等部に置かれる学科について、政令で定めるところにより、教職員の加配措置が行えるようにいたしております。
 第三は、小学校及び中学校の養護教員、学校栄養職員及び事務職員並びに高等学校の養護教員につきまして、一部の都道府県に関して講じてまいりました保障措置が、このたびの配置基準の改善に伴い不要となったため、これらの関係規定を整理したことであります。
 第四は、経過措置についてであります。
 この法律案は、昭和五十五年度から施行することといたしておりますが、その実施につきまして必要な経過措置を設けることといたしました。
 すなわち、公立の小学校及び中学校の同学年の児童または生徒で編制する学級に係る一学級の児童または生徒の数の標準につきましては、昭和六十六年三月三十一日までの間は、今後における児童生徒数の推移等を考慮しつつ、新しい標準に漸次近づけることを旨として、毎年度、政令で定めることといたしました。
 また、小学校及び中学校の複式学級及び特殊学級の学級編制並びに特殊教育諸学校の学級編制につきましては、昭和六十六年三月三十一日までの間は、今後における児童生徒の数の推移等を考慮しつつ、新しい標準に漸次近づけることを旨として、各都道府県等の実態に応じて都道府県の教育委員会等がその基準を定めることといたしました。
 次に、公立の義務教育諸学校及び高等学校等の教職員定数の標準につきましては、昭和六十六年三月三十一日までの間は、今後における児童生徒数及び教職員の総数の推移等を考慮しつつ、新しい標準に漸次近づけることを旨として、毎年度、政令で定めることといたしました。
 以上が、この法律案を提出いたしました理由及び内容の概要であります。
 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
 続きまして、このたび、政府から提出いたしました放送大学学園法案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 わが国の高等教育は、近年急速な発展を遂げ、国際的に見ても高い普及率を示すに至っておりますが、科学技術の進歩や経済の発展に伴い複雑、高度化してきている今日の社会において、国民の高等教育の機会に対する要請は一段と高まり、かつ、多様化しつつあるところであります。
 このような状況において、放送を効果的に活用する新しい教育形態の大学を設置し、大学教育のための放送を行うことにより、広く一般に大学教育の機会を提供することは、生涯にわたり、多様かつ広範な学習の機会を求める国民の要請にこたえるゆえんのものであると考えます。
 さらに、この大学が既存の大学等との緊密な連携を図ることにより、大学間の協力、交流の推進、放送教材活用の普及等の面で、わが国大学教育の充実、改善にも資することとなることが期待されるものであります。
 この大学の設置形態につきましては、種々検討を重ねてきたところでありますが、新たに特殊法人を設立し、これが大学の設置主体となるとともに、放送局の開設主体ともなることが適切であると考え、特殊法人放送大学学園を設立するため、この法律案を提出いたした次第であります。
 この法律案におきましては、特殊法人放送大学学園に関し、その目的、資本金、組織、業務、大学の組織、財務、会計、監督等に関する規定を設けるとともに、学校教育法、放送法その他関係法律について所要の規定を整備することといたしておりますが、その内容の概要は、次のとおりであります。
 まず第一に、放送大学学園は、放送等により教育を行う大学を設置し、当該大学における教育に必要な放送を行うこと等により、大学教育の機会に対する広範な国民の要請にこたえるとともに、大学教育のための放送の普及発達を図ることを目的とするものであります。
 第二に、放送大学学園は、法人といたしますとともに、その設立当初の資本金は一億円とし、政府がその全額を出資することといたしております。
 第三に、放送大学学園の役員として、理事長一人、理事四人以内及び監事二人以内並びに非常勤の理事三人以内を置き、理事長及び監事は文部大臣が、理事は文部大臣の認可を受けて理事長が、それぞれ任命することとし、その任期はいずれも二年といたしております。
 なお、この学園の設置する大学の学長は職務上理事となることといたしております。
 また、この学園には、その運営の適正を期するため理事長の諮問機関として運営審議会を置くこととし、業務の運営に関する重要事項について審議することといたしております。
 第四に、放送大学学園の業務については、放送等により教育を行う大学を設置すること及びこの大学における教育に必要な放送を行うことを規定するとともに、この学園の施設、設備及び教材を他大学における教育または研究のための利用に供することもできることといたしました。
 なお、この法人は、これらの業務を行うほか、主務大臣の認可を受けて、その目的を達成するため必要なその他の業務を行うことでもできることといたしております。
 第五に、放送大学学園の設置する大学の組織等についてでありますが、この大学が、特殊法人によって設置される大学であること、放送を利用して教育を行う大学であること等をも考慮し、大学の運営が適切に行われるよう所要の規定を設けることといたしております。
 まず、この大学に、学校教育法に規定する学長、副学長、教授その他の職員を置くこととし、学長は理事長の申し出に基づいて文部大臣が、副学長及び教員は学長の申し出に基づいて理事長が、それぞれ任命することといたしております。
 なお、学長及び教員の任命の申し出は、評議会の議に基づいて行われなければならなことといたしております。
 次に、学長、副学長及び教員の任免の基準、任期、停年その他人事の基準に関する事項は、評議会の議に基づいて学長が定めることといたしております。
 また、この大学に、学長の諮問機関として評議会を置き、大学の運営に関する重要事項について審議するとともに、この法律の規定によりその権限に属させられた事項を行うこととし、学長、副学長及び評議会が定めるところに選出される教授で組織することといたしております。
 さらに、この大学においては、その教育及び研究の充実を図るため、他大学その他の教育研究機関と緊密に連携し、これらの機関の教員等の参加を積極的に求めるよう規定いたしております。
 第六に、放送大学学園の財務、会計及びこれに対する主務大臣の監督等については、この学園の業務の公共性にかんがみ、一般の特殊法人の例にならって、所要の規定を設けておりますが、この法律における主務大臣は、文部大臣及び郵政大臣といたしております。
 第七に、放送大学学園の設立と関連する関係法律の一部改正についてでありますが、まず学校教育法につきましては、この学園が大学の設置者となり得ることを規定するとともに、通信により教育を行う学部の設置に関する規定を設ける等所要の整備をいたすものであります。
 また、放送法につきましては、この学園の放送等について、放送番組の政治的公平の確保、広告放送の禁止等所要の規定の整備をいたすものであります。
 以上が、この法律案を提出いたしました理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願いいたします。
#74
○谷川委員長 これにて両案の提案理由の説明は終わりました。
 次回は、来る四月二日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後二時八分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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