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1979/12/26 第91回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第091回国会 大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会 第1号
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1979/12/26 第91回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第091回国会 大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会 第1号

#1
第091回国会 大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会 第1号
本小委員会は昭和五十四年十二月二十一日(金曜
日)委員会において、設置することに決した。
十二月二十一日
 本小委員は委員長の指名で、次のとおり選任さ
 れた。
      麻生 太郎君    稲村 利幸君
      熊川 次男君    高鳥  修君
      玉生 孝久君    中村正三郎君
      林  義郎君    山崎武三郎君
      川口 大助君    佐藤 観樹君
      島田 琢郎君    堀  昌雄君
      古川 雅司君    宮地 正介君
      渡辺  貢君    竹本 孫一君
十二月二十一日
 稲村利幸君が委員長の指名で、小委員長に選任
 された。
―――――――――――――――――――――
昭和五十四年十二月二十六日(水曜日)
    午前十時一分開議
 出席小委員
   小委員長 稲村 利幸君
      麻生 太郎君    熊川 次男君
      高鳥  修君    玉生 孝久君
      林  義郎君    川口 大助君
      佐藤 観樹君    島田 琢郎君
      堀  昌雄君    古川 雅司君
      宮地 正介君    渡辺  貢君
      竹本 孫一君
 出席政府委員
        大蔵省証券局長 吉本  宏君
        大蔵省銀行局長 米里  恕君
 小委員外の出席者
        大蔵委員長   増岡 博之君
        大 蔵 委 員 多田 光雄君
        参  考  人
        (金融制度調査
        会会長)    佐々木 直君
        大蔵委員会調査
        室長      葉林 勇樹君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 金融及び証券に関する件
     ――――◇―――――
#2
○稲村小委員長 これより金融及び証券に関する小委員会を開会いたします。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 このたび私が金融及び証券に関する小委員会の小委員長に就任いたしました。
 何とぞよろしくお願いいたします。
     ――――◇―――――
#3
○稲村小委員長 金融及び証券に関する件について調査を進めます。
 本日は、参考人として金融制度調査会会長佐々木直君の御出席をいただいております。
 佐々木参考人には、御多用中本小委員会に御出席を賜り、まことにありがとうございます。
 これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
#4
○堀小委員 大変年末の押し迫ったどきに佐々木参考人には御出席をいただきまして、ありがとうございました。
 実は、本日は、金融制度調査会の会長としての佐々木参考人にお伺いすることと、調査会を離れまして、長く日本銀行の総裁として、また日本銀行にお勤めになって日本の金融問題について造詣の深い佐々木参考人に金融制度調査会の会長を離れて一つ伺うことと、二つをちょっとお伺いをいたしたいと考えておるわけでございます。
 そこで、最初に、この金融制度調査会というものでございますけれども、これは金融制度調査会設置法という法律で定めがございまして、第一条に「金融情勢の推移にかんがみ、金融制度の改善に関する重要事項を調査審議するため、大蔵省の附属機関として、金融制度調査会を置く。」第二条「調査会は、大蔵大臣の諮問に応じ、金融制度の改善に関する重要事項を調査審議し、及びこれに関し必要と認める事項を大蔵大臣に建議する。」こういうふうに実はなっておるわけでございます。
 そこで、実は恐らく、この法律は昭和三十一年にできたわけでございますけれども、当時は金融制度というのはほとんど銀行を中心とするいわゆる間接金融機関といいますか、これを主体として考えてよろしい時期であったか、こう考えるのでありますけれども、その後、経済の発展に伴いまして、国際的ないろいろな問題が入ってまいっておりますし、さらには国内的には、石油高騰の影響を受けて、高度成長から低成長へという転換がございまして、不況を回復するためには大変な国債の発行というような事態になってまいりまして、金融機関そのもののあり方も変わってまいりましたけれども、同時に、債券というものの占めますウエート、言うならば金融市場というもののウエートが非常に高まってきておるというふうに考えますので、この法律ができました当時は銀行中心ということでよかったと思うのでありますが、今日、この金融制度という言葉の内容はそういう客観的な経済情勢の転換につれて内容も変わって理解されてしかるべきではないだろうか、かように考えるわけでございますけれども、佐々木参考人はどのようにお考えになるかを承りたいと思います。
#5
○佐々木参考人 ただいまの御指摘は全くそのとおりだと思います。銀行、特に都市銀行のウエートというのは、全体の金融活動の中で、三十年代の半ばころからだんだん低下しておりまして、それ以外の金融機関のウエートが増大すると同時に、ただいま御指摘のありましたように、金融市場を通ずる資金の調達の方法というものもだんだん増加してまいりましたし、また、政府系金融機関の活動もだんだん伸びてくる、こういう状態でございまして、御指摘のとおりだと考えます。
#6
○堀小委員 そこで、実はこの金融制度調査会というのは、いま運用されております状況を見ておりますと、大蔵省の銀行局が主たるお世話をしておるようでございます。私はかねがね大蔵委員会で申してきたことでありますけれども、どうも大蔵省という機構は、よく言われるわけでありますが、局あって省なしという言葉がよく言われますけれども、どうも縦割り部分が大変強く作用をしておる。そこで、いまお話しのように、私は、今日で金融制度という問題を扱います場合には、単にこれは銀行局の何か所管業務というようなことではなくて、広く申しますと、実は主計局も関係がございますし、理財局、銀行局、証券局、国際金融局と、これだけはいずれもいま私の申し上げた広い意味での金融というものに直接の関係を持っておる、かように考えておるのでありますが、実はこの法律ができた当時からの沿革もあるのでございましょう、銀行局がもっぱらこの金融制度調査会の所管をいたしておるということであります。が、私は、やはりこれはいまの新しい情勢になると、少し、新しい発想に基づいて、金融制度調査会というこの法律はこれで十分なんでありますが、そういう金融制度というものの中身が変わってくれば、そこを所管をするそういう大蔵省の機構の問題も変わってしかるべきではないだろうか、もっとこう、そこに総括的にできた何かを考えて運営がされるということの方が望ましいのではないかという気持ちがいたすわけでございますが、参考人はいかがでございましょうか。
#7
○佐々木参考人 今度の銀行に関する諮問を受けまして、金融制度調査会で検討しております途中におきましても、ただいま御指摘のように、いろいろな方面の意見の調整にもう少し全体としての立場からの検討が加えられた方がいいというふうに感じた場合もございました。そういう意味で、おっしゃる点につきましては、さらにもう一遍、そういったような見地から金融制度調査会の運営に積極的な前向きの検討が加えられることは非常にプラスになると考えております。
#8
○堀小委員 実は、この答申を拝見いたしておりましてそういうことを特に感じましたのは、銀行の国債に関する業務の点で、行政当局にひとつ結論は任せたい、ゆだねたい、こういう部分がございまして、また一方、証券取引審議会の側においても、同じ問題についていろいろと意見が述べられた後で、これは行政当局に任せたい、こういうふうになっておるわけでございます。
 そこで、証券取引審議会というのは、これは法制上は非常に限定をされた形になっておりまして、証券取引その他、そういう具体的な問題が中心になっていて、必ずしも金融制度というような大きなスケールの形にはなっていないのでありますが、やはりそこからもそういう意見で、行政当局に任すというようなことになりますと、実は本来こういう問題については、総合的な処理がされるとするならば、一つの考え方が大蔵省の諮問機関の一つとして出しやすいのではないか、そこにやはり、それは恐らく業界という利害関係の問題もあろうかと思いますけれども、おのおのがその業界の利益を代表したような形で問題が処理をされるということは、こういう問題が、やがて法律案として出される私ども国会の立場からいたしますと、いかがかなという感じもいたしますので、この点については金融制度調査会の内部におきましても、そういういま佐々木参考人がお答えいただいたような方向でさらにひとつ御検討を進めていただきたい、こう考えるわけでございます。
 そこで、今度はちょっと中に入りまして、ここに「金融制度の改善に関する重要事項を調査審議するため」と、こうございますが、私はいまいろいろな金融業界の問題を見ておりまして、金融制度という問題にかかわるものと、制度そのものではなしに、すでに法律やその他の基本があって、それが経済の変化につれて手直しをしてほしいというようなものと、金融業界のいろいろなところの御要望の中を少し整理いたしますと、二つに分かれる部分があるんではないだろうか、こんな感じがするわけでございます。
 それの一つは、いま信用金庫の方から要望が出されておるようでありますが、外国為替業務の取り扱い、これは先般参議院の大蔵委員会におきまして、わが党の勝又委員の質問に対して、大蔵大臣及び銀行局長が、目下金融制度調査会で検討していただいておるので、その結論を待って処理をしたい、こういうお答えがございますが、これは私はまさに制度の問題だ、こう考えるわけでございます。
 その次に、公社、公庫、公団等の業務委託や余裕金等公金の取り扱い面で信用金庫がいろいろ制約があるので、銀行みなし規定の法制化をお願いしたい、こう言っていられるようでありますが、これもやはり私は信用金庫とすれば新しい制度の問題に関係がある、こう理解をするわけでございます。
 ところが、その後に、信用金庫の法人会員資格のうち、資本金基準の現行二億円から五億円への引き上げと、同基準の規定の法律から政令への委譲についてお願いをしたい。
 それからもう一つ、一会員当たりの融資限度における通達限度額を現行の四億円から八億円へ引き上げてほしい。自己資本の二〇%以下という法定限度の枠内での通達限度額の見直しをお願いしたい、こういう二つの項目がございます。
 後の方はどうも法律規定ではなくて通達要綱でありましょうから、これはもうそのまま処理ができるんだと思うのですが、いろいろ書いてあるのを読みますと、前回これらの法律、基本的な仕組みはすでにあるけれども、その内部の金額の問題等は私はこれは何も金融制度の改善に関する重要な事項でも何でもないと思いますので、金融制度調査会に諮って処理をしなければならない部分ではないのではないか。ですから、いま私が申し上げた信用金庫の要望の中で、外国為替の問題と銀行みなし規定の法制化の問題は、これは当然金融制度の改善に関する重要事項だと私は理解をいたしますが、後の二つは、これは経済の発展に伴って必然的に、いまから七年前になりますが、昭和四十八年当時改正されたものが今日そのままになっておる、これを見直してほしいということは、わざわざ金融制度調査会の議を経る必要はないのではないか、行政段階でこの問題の処理がされてしかるべきではないか。同じようなことが相互銀行やその他にもあるようでございますが、そういう一種の見直し問題というものと、いまの制度問題というものは切り離して取り扱いをしてもいいのではないか、私はこう金融制度調査会というものの法律を見ながら考えておるわけでありますが、この点については参考人はいかがでございましょうか。
#9
○佐々木参考人 いまの金融制度調査会の根拠法から考えますと、確かに問題は制度というところに中心があるというふうに思います。ただ、いまのような融資金額あるいはその他対象の資格といいますか、大きさというようなものについての限度については、それが中小企業専門金融機関の性格にも影響するところでありまして、そういう意味で、わりあいにその中小企業専門金融機関にとっては本質的な問題だというようなことで、金融制度調査会での意見を聞きたいという意味での行政当局の御配慮はあるのではないかと想像しております。
#10
○堀小委員 私は、実はすでに金融制度調査会が本年の六月でございますか、答申をされておりまして、この答申の内容についてはちょっと一部意見がございますけれども、おおむね銀行法の改正のベースとしては結構だ、こう考えておるのでございますけれども、ただ国会の側の問題を私なりに考えてみますと、実は、来年は御承知のように、六月の終わりごろですか七月かに参議院の通常選挙がございます。この国会の会期は来年の五月十八日まででございますけれども、御承知のように、五月は初めに連休でお休みがずっとございますし、連休が終わりますと、それから後の参議院の審議というのはなかなかこれは参議院選挙を目前に控えて正常な時期とはちょっと異なる様子になるのではないだろうか、こう考えております。せっかくもし政府が銀行法をこの国会に御提案になるといたしましても、大体三月いっぱいは、私の過去の経験からいたしますと、予算関係法案の審議にぎりぎりいっぱいかかって、とても予算関係以外の法案をゆっくり審議しようなどという時間はとれない。四月に入ると、今度は、後でも触れますが、特例債の問題を大蔵省としては財政特例法という形で提案をなさるわけで、これはいまの財政再建に関して非常に重要な法案になってまいりますので、やはり相当な審議をさしていただきたい、かように考えてきますと、五十年目に一回という銀行法のある意味での抜本的な改正という問題が、明年の五月十八日までに十分な審議が尽くせるかというと、私は国会の側から見ますと、なかなかそういう時間が物理的にないのではないか、こういう感じがするのでございます。
 そこで、そういう状態でもし銀行法の問題がそうなる。あわせて、いま中小企業専門金融機関の問題について調査会で御審議が進められておりますけれども、これらの問題については、実はちょっと来年の審議に間に合わせるようにということにはなりにくいのではないか、かように考えておるわけであります。それは大蔵省当局の対応でございますけれども、そういたしますと、一年間やはりこれらの金融諸立法というものがおくれてくる。しかし、片方では、いま申し上げたような必ずしも金融制度の改善の重要事項にかかわりのない、客観的な経済の発展に伴う部分があるわけでございますから、これらの問題については別途ひとつ考慮をしてもいいのではないだろうか、これが一点でございます。
 もう一つ、実は当委員会で長く論議をされてまいっております金融機関の週休二日制の問題がございます。
 今回の答申の中に銀行法十八条の改正についての適切な答申をいただいておることは私どもも大変結構なことだと思っているのでありますけれども、この十八条問題も確かにある意味では金融制度にかかわりがないとは言えませんけれども、どちらかというと、これはその金融の内部の問題としてのことではなくて、日本の社会経済上の問題、要するに外部からの問題として実は週休二日制の問題があるように考えますので、こういうふうな金融制度プロパーの問題とそうでない部分からの要請に基づく問題等は、何も銀行法を改正するというのは全部を一遍、一緒でなければいけないとか、信用金庫法の改正は、それに関連するものは全部一つにまとめて法律を改正しなければならぬというようなことではなくて、いま申し上げましたように、重要事項については私はやはり銀行法だけを単独で審議するのではなくて、あわせて中小専門金融機関を含めて全体としてひとつ金融機関のあるべき姿というものを当委員会として議論さしていただくことの方が審議をする立場から申しましても合理性がある、こんなふうに私は考えるのでございますが、その点について、これは金融制度調査会の会長のお立場ではちょっとお答えにくいことでございますから、これはひとつ学識経験者としての参考人の立場で率直にお答えがいただければ大変幸いだと思うのです。
#11
○佐々木参考人 どうも学識経験の方も非常に古くなりまして余りお役に立たないと思いますけれども、いまの御指摘のように、法律の改正を要する問題とその法の運用に関する問題、これによって扱いが変わってしかるべきだという点は御指摘のとおりだと思います。
 ただ、銀行法の改正について検討してまいりましたいろんな経緯から申し上げますと、やはり銀行法の改正というのは一つのまとまった一体としてやっていただいた方がよろしいというふうに私どもはその審議の過程では考えてまいりました。いまちょっと例としてお挙げになりました週休二日制問題なども、確かにこれは銀行がいかにあるべきか、金融というものがどういうあり方であるべきかというような問題とはちょっと異質の問題ではありますけれども、ただ、審議の過程で参考人の方などにおいでをいただきますと、銀行が土曜日に休むことに必ずしも皆さん御賛成ではない、そういうような利用者の立場からはいろいろな御意見がまだあるようでございます。
 そういう点から、やはりこれには皆さんの納得が非常に必要ではないか、そういうようなちょっと質の違う条件が必要な問題も入っておるというようなこともありまして、私としてはやはり法律を改正する場合の改正の仕方としてはできるだけ総括的な、総合的な改正をお願いするのがいいのではないかというふうに考えております。
#12
○堀小委員 私も、本来ですと、そういうふうに総括的でよろしいと思うのでありますが、さっきちょっと、国会の見通しでございますけれども、恐らく審議というのがなかなか十分な時間がとれないということになって全部が一年間先へ延びるときに、一部分、部分的にはどうしても早く何かしてほしいという問題もあろうかと思うのでありまして、私はこれはここまでにとどめさしていただいて、もし必要があれば議員立法によってそれを部分的に処理をするという道もありますので、何も政府案だけに頼る必要はありませんから結構でございますが、せっかく金融制度調査会で御審議をいただいている事項でございますので、その点をちょっと参考人にお伺いをしたわけでございます。
 そこで、その次は実は国債に関する問題を少しお考えを伺っておきたいと思うのであります。
 実は、国債の問題というのが金融機関にとって非常に大きなウエートを占めることになってまいりまして、特に問題なのは、いわゆる六・一国債と言われる国債がかなり価格が下がっておりまして、それによって起こる評価損の問題というのが各金融機関にとっては大変大きな課題になってきておると思うのであります。
 ちょっと新聞を見た限りでありますからわかりませんけれども、新聞が伝えておるところによりますと、大蔵省は、今度この国債の評価方法について、従来とってまいりました低価法をとってもよろしいし、また原価法をとってもよろしいという、何か選択制をとってもいいのじゃないかというような問題提起をされているようにちょっと新聞で見ておるわけでございます。事実の経過がよくつまびらかになりませんので、この点はちょっと銀行局長の方でこの問題の事実経過はどうなのかをお答えをいただきたいと思います。
#13
○米里政府委員 先生御指摘がございましたように、できましたら五十四年度下期、来年の三月期からにでも現在の評価制度を選択制にしたいという考えを持っておりまして、現在各関連の金融機関に大蔵省の考え方を説明し、おおむね御了承を得られましたら近々そういう統一経理基準の一部改正という形で通達を出したいというふうに考えております。
 この間の私どもの考え方をちょっとこの際申し述べさしていただきますと、御承知のように、国債の市況の変化によりまして非常に大きな評価損が金融機関の決算上も生じております。概数でございますが、九月決算で都市銀行全体で評価損が約二千億円、それから地方銀行全体で約一千億円というような評価損が生じておるわけでございます。金融機関はこの評価損に対してどういう対処をしておるかと申しますと、有価証券売却益をほぼ同額出しましてその評価損を消しておるというような形をとっております。この有価証券売却益というものは、御承知のようにいままで手持ちにしておりました有価証券の含み益を売却することによって顕在化する、表に出すということでそれを相殺しておるという形になっておりまして、実はこれは元来金融機関の資産に属するべきものがだんだん外へ流出してまいっておるという形になっておるわけでございます。どちらが健全経営かということはいろいろ議論があろうかと思いますが、こういう状態が中期に続きますということは、私どもは今後の健全経営ということから考えて非常に問題があるんではないかというように考えております。
 そこで、国債の評価の問題をいろいろ調べてみますと、私が一番理論的だと思ったのはアメリカの制度なんですが、アメリカの制度の場合には、商品有価証券については低価法、投資有価証券については原価法、こういうやり方をとっておるわけでございます。御承知のように、商品有価証券であれば常に転々売買される、そこで時価を十分考えなければいけない。ところが、投資有価証券、長期に保有するものについては、最後に、償還時に全部額面で戻るわけだから、そこはひとつ原価法が正しい、こういう振り分けをしておりますので、実はこういう方法によれるかよれないかということを大分検討してみたわけでございます。ところが、どうしても商品か投資かというところが判然とできませんので、その金融機関のビヘービアによっていろいろ違うというような点もございますので、ややそれにならう形での、金融機関が一体その保有している国債などの有価証券をどういうビヘービアで売り買いするあるいは保有するかということにふさわしい制度として選択制という考え方を採用したわけでございます。もし、長期に保有するものでございましたら、毎期毎期評価損を立てておりましても、償還時にどっと一時に益が出てまいります。企業会計原則上の期間損益の点からも、こういう場合にはいかがであろうかと思われる点もございます。まだいろいろ理由がございますが、とりあえずそれだけ申し上げさせていただきます。
#14
○堀小委員 実はこの間、かつて銀行局長をしておいでになった高橋俊英さんが亡くなりまして、私もお葬式に参列しましたが、ちょうど高橋さんが銀行局長の当時、当委員会において私は二つの問題を提起いたしました。一つは、銀行の預金量によって銀行のランクが決まっている、これはどうもおかしいんじゃないだろうか。そこで、それは銀行のサウンドバンキングの程度によって順番が決まるということが望ましい銀行の位置づけではないかということで、私は新格づけ基準という問題提起をさせていただきました。もう一つ、当時、大口貸し出しの問題を調べてみますと、御承知のように、相互銀行法にはちゃんと二〇%という限度がはっきり設けられているにもかかわらず、都市銀行は全然そういう制約がございませんでした。それはやはり一つ規制があってしかるべきではないか、西ドイツその他にも規制があるようだから、ひとつ検討してもらいたいと言って要請をいたしました。大口貸し出し規制については、いまも問題はございますが、商社の問題で、堀さん、これはどうもうまくいきません、そういう高橋さんのお話でございまして、新格づけ基準の方は今後ひとつ努力をしてやってみたいというお話で、これは同じ高橋でありますが、高橋英明さんの手によって統一経理基準として私の願いがかなったわけでございます。
 ですから、いまこの答申にも銀行経営の健全性という問題を重要に取り上げられているのでありますけれども、いまのこのアメリカの規定が私は全く合理的だと思うのであります。商品と投資とに分けて、投資物件というのは償還まで持っておるというのが当然でありますし、日本の国債というのはそんな長期ではなくて十年でございますから、十年間持とうというものと、それからオペレーションの種にするとかいろいろな資金繰り上で売るという問題については、処理をする立場からすれば、一定のルールを設けなければ、自由な選択に任せるようなことになりましたら、私がかつて新格づけ基準という問題で提起をした銀行の優劣の問題、言うなればディスクロージャーでありますけれども、この問題はわけがわからなくなってしまうのじゃないかと思うのであります。
 いまのお話を聞いてちょっとわからない点は、同一銀行が部分的に低価法を使ったり原価法を使うのか、この銀行は全部原価法でやります、低価法でやりますということになるのか。さっきのビヘービアで変わるなんというお話では、私は銀行の経理の状態というものはさっぱりわからなくなってしまう、こういうふうに思います。特に、オペレーションをやられる日本銀行の立場からしても、じゃオペレーションをやる価格というのはどうなるのか、当然私は、これは時価でなければオペレーションの対象にはならないだろう、その時価で出てくるものは、実は原価法で計上されたものが出てきたようなことになれば、銀行の経営の健全性という問題を外部から見る場合には、全く何にもわからなくなってしまう。私は非常に重要な問題だと実は思っておるわけでございます。
 では、なぜこういうことが起きたのかということを考えてみますと、これは実は、いまの金融機関のキャパシティー以上に国債を持たせておる政府当局の国債政策の誤りが間接的に銀行の個々の評価基準の問題まで及んでいるのではないだろうか、本来、銀行が投資物件として持てる範囲のものを持たせるべきであるにもかかわらず、途中でそれをいろいろと売ったり処理をしたりしなければならないような状態を招いておるのは、私はやはりオーバーイシューだ、こういうふうに考えるわけでありますが、この点についての参考人の御意見はいかがでございましょうか。
#15
○佐々木参考人 十五兆に上る国債の発行が余りに大き過ぎるという事実、この点についてはもうかねがねいろいろな機会に私は申し上げておる次第でございます。
 今度五十五年度予算につきましては、いまわれわれが新聞で承知しておるのでは一兆円ほど減るということのようでございますが、これは量についてはもっと調節が図られてしかるべきだというふうに考えております。そういう点から、いまの国債の発行量、また発行の仕方、両方ともわれわれとしては改善を要する点が非常にあるというふうに考えております。
#16
○堀小委員 実は、いま予算が政府と与党の中で詰められておる最中でございますけれども、政府が発表いたしておりますのは、昨年の当初の発行予定より一兆円減らします、こういうことのようであります。一兆円減らされることについては、私どもも当委員会においてぜひそうした方がいいという考え方を出したわけでありますけれども、昭和五十四年度は、これも新聞の伝えるところでございますけれども、大体自然増収が一兆九千億くらいあって、次の補正予算では一兆二千億円の国債の減額を行いたい、これも大変結構なことでございます。そうしますと、当初十五兆二千七百億円という予定が一兆二千億円減りますから、五十四年度に発行されるのは十四兆七百億ということになるのではないか、こう思うのでありますが、その十四兆七百億という実績に対して五十五年度は十四兆二千七百億でありますから、いまの実績対発行予定ということでは昨年に比べて二千億実はふえることになるのであります。
 私はちょっと党内の作業をいたしておりまして、いまのこの情勢でもし一九八四年ぐらいに特例債をなくそうと思えば、どうしてもことし二兆円の減額をして、そのベースで実は減額をしていかなければ特例債の発行をゼロにすることはできない、シミュレーションを置いて計算をして。そういう考えのもとに、実は私どもなりの作業で、前年比二兆円減の十二兆二千七百億円という国債発行で対応すべきだ、こういうふうな問題提起をちょっといま個人的にしておるわけでありますけれども、私はどうもやはり、財政再建元年と言いながら、いまの政府の対応はこの国債問題について非常に問題がある、まず第一こういう点を実は残念に思っておるわけでありまして、いま参考人がお話しになりましたように、発行の仕方も、その他のいろいろな問題をよほどこれは基本的に考えてもらわないと困るのではないか。
 きょうは銀行局しか入っておられませんが、きょう私がここでやらしていただいた問題は、佐々木参考人のお考えを承る委員会でありますから、政府の問題は追ってひとつまた小委員長にお願いをして、大臣初め政府の関係者に来ていただいて、この同じ問題で政府の側の見解をたださせてもらいたいと思うのでありますけれども、やはり私はそういう意味では、もう長年にわたって私が主張してまいりました金利の自由化問題、これがなかなか実際にはそうなっていなくて、これは理財局の関係でございましょうけれども、公募入札を国債でやるというときにでも新聞で拝見している限りではコントロールが働いておる。公募入札というのは本来自由な入札であるべきものなのに、いわゆる行政指導的なものが働くということでは、もう金利の自由化などというものはまさに空文にすぎない、こういうふうに私は考えるわけでございまして、私は、社会党の立場からおかしいと思われるかもわかりませんけれども、要するに現在は市場経済でありますから、市場経済の中で管理の問題が入ることは非常に大きな問題になる。まあ、私は医者でございますから、人間の体というのは自律神経という大変すばらしい仕組みがございまして、自分の意思にかかわらず実は暑いところへ行けば汗が出る、これは自律神経の働きによって汗を出すことによって、皮膚の表面の体温を蒸発熱によって下げるということでオートマチックな調整をする、これによって私どもは大変快適な生活ができるような仕組みがすべてオートマチックにとられておるわけでありますが、市場経済もやはり自由な市場での出会いで価格が決まるという問題が阻害をされてくると、必ずいろいろな問題が出てくる、こう私は考えておるわけでありまして、その一つの例が、国債の価格というのは必ずしも六・一国債の水準にみんなあるわけではなくて、発行のあり方によって実は価格が皆違うわけでありますから、大量に売られるものだけが価格が下がる、こういうふうな問題になるのでありますから、そういう意味では、私は、さらにいまの国債の発行なり募集のあり方について金利を弾力化して本当に自由な入札が行われるということでなければならない、こう思うのでありますが、参考人、いかがでございましょうか。
#17
○佐々木参考人 金利の自由化の問題は、実はもう三十年ぐらいの昔からいろいろ議論をしておりまして、なかなかそれが実現いたしません。御指摘のような全体の金利の仕組みというものが部分的な不自由さによって非常に損なわれている、これは事実でございます。ただ、最近短期金利の点では、あるいはコールマネーまたは手形市場、そういうところではだんだん自由化が進んできております。これは関係者の努力によるところでありまして、大いに敬意を払っておりますが、それがもっと進んで、特に国債を中心とする市場の金利についての市場原理の尊重ということは、ぜひ今後推し進めていかなければならない大事な点だと考えております。
#18
○堀小委員 いまのは、裏返せば、自由であるから六・一国債がああいう形になるのだということになるかもしれません。しかし、そうなったときには、それをコントロールをするのは実は発行の問題を考えなければならないのでありまして、どうも私は、今度のいまの国債の評価問題というのは、結果のところだけでばんそうこうを張って、もとの方は全然さわらないで、最終の結果のところだけで対応しよう、こういうやり方は、これは一番まずいやり方ですね。
 私ども医者の世界では、かつては対症療法というのがありまして、熱が出たら解熱剤を飲ます、こういうことなんです。病気の本体に触れないで、ただ最後に出ておる――要するになぜ熱が出るか。体の中でそれに対応して熱を出すことによって病菌やその他に対応しようというシステムが働いておる。その熱だけ下げたって実は病気の原因には何ら関係がないと同じように、一番末端のところで銀行の健全性の確保に関する重要な評価のあり方をきわめて不透明で混乱的な問題に追い込むような、そこだけが先行して、もとの方は全然十分な対応が講じられていない、こういうことでは、私は、金融制度の問題については大変大きなマイナスができるのではないだろうか、こういう感じがするのでございますが、参考人、いかがでございましょうか。
#19
○佐々木参考人 国債の評価の問題につきましては、私自身も実は新聞で読んでいる程度で、具体的なことをまだ存じておりません。
 こういう二つの制度の選択ということになりますと、現実にそれをどういうふうにやっていくのか、いまのお話を聞いて初めて聞いたのでございますが、アメリカのように投資有価証券と運用有価証券を分けるというようなことが理論的に可能であれば、それは非常に筋の通ったことになると思いますが、そういう点についてどういうふうな具体的な方法がとられますのか、実は私まだ聞いておりませんので、とにかくいままで金融制度調査会で銀行法の改正を検討をしておりました過程においては、金融機関の資産の健全性ということは非常に大事なことである、ですから、それを損なうようなやり方については厳に慎まなければいかぬという趣旨の議論がずっと一本入っております。そういう点をこういう評価の問題については忘れてはならないところである、こういうふうに考えております。
#20
○堀小委員 ありがとうございました。
 そこで、実はさっきちょっと触れましたけれども、今度の調査会の答申の中で政府にゆだねられておりますのが、いわゆる銀行における国債の窓販問題でございます。この窓販の問題というのは、何か一般的には窓口販売だということの範囲に理解をされているようでありますが、実は証券取引審議会の意見書を拝見いたしましても、こちらの方でははっきりとバンクディーラーという問題で、そのバンクディーラーもこういう形のものについては問題がないけれども、ここから先はどうも証券取引審議会としては問題があるということをずっと列挙をされまして、しかし行政当局の判断にゆだねたい。制度調査会の方も、やるべきだという意見と、それに対して、しかしこういう問題もあるという意見が並列にはなっておりますが、どうも大勢としてはやるべきだという意見の方が主なのではないかと読んだのでありますけれども、私がいまちょっと申し上げたように、それではこれからこういうオーバーイシューは改善されるのかというと、なかなか改善されない。まだまだオーバーイシューが続いておる。そうすると、国債の価格というものは今後非常に情勢によって動かざるを得ない問題である。この価格が非常に変動するようなものを、経営の安全性ということがきわめて重要な問題として求められておる金融機関である銀行が、これのディーリングなどに手を出すということは、銀行の健全性を阻害するおそれが十分にある。要するに、その健全性を阻害するおそれがある一つの象徴的な問題が、私は今度の国債の評価の問題に集約をされて表に出てきておる、こう考えるわけでございます。ですから、これは個人的な見解でございますけれども、私は少なくとも銀行のバンクディーラーという問題については、証取審の意見のとおり、さらに十分な慎重な検討が必要なのであって、何もバンクディーラーをやることによって国債の市場性の問題その他が簡単に片づくものだとは考えておりませんので、そういう点で、いまからさらに進むであろう過剰国債を抱えた市場の問題というものを見通してまいりますと、少なくとも銀行の健全性という意味からはこういう危険の多いことを業務の中に取り込むということは、きわめて問題がある。私どもが聞いております範囲では、必ずしも銀行全体がそれに賛成をしておられるわけではなくて、銀行の中にもいろいろと反対の意見の者もある、こういうふうに聞いておりますので、これはまさに金融制度調査会法にこの「調査会は、大蔵大臣の諮問に応じ、金融制度の改善に関する重要事項を調査審議し、及びこれに関し必要と認める事項を大蔵大臣に建議する。」こうあるわけでございますが、これは行政当局が判断をされるのでありましょうし、最終的には法律となれば国会の私どもの判断にゆだねられるわけでございますけれども、やはりこういういまの不安定な国債の状態を展望しながら考えると、このことは銀行の健全性の点についてはマイナスであると私は判断をいたしますが、これは参考人の立場は、会長の立場ではお答えいただきにくいわけでございますから、ひとつ学識経験者としてはどんなお感じかをお答えいただきたいと思います。
#21
○佐々木参考人 どうもここは会長と学識経験者とぶつかるところでございまして、金融制度調査会では、御承知のとおり答申の中で、窓口販売等につきましては積極的な意見の方が多数を占めております。もちろん、いまお話もございましたように、少数意見として反対もあるわけでございます。また、それぞれの関係業界でいろいろな意見が出ておることも承知いたしておりますので、私としては、この問題は慎重な取り扱いが必要だということを個人の立場としては申し上げたいと思います。
#22
○堀小委員 その点は、参考人の御意見は私と同じでありましたことは、私も大変ありがたい御答弁だと考えておるわけであります。
 最後に、以上、本日は、来年に提案されるのかどうかわかりませんが、銀行法の改正という問題をあれいたしましたけれども、私は今後日本の金融情勢という問題の中で、何としてもこの国債の問題を離れて日本の金融の問題はあり得ない、こう考えておりますので、その限りでは、どうかひとつ金融制度調査会において、最初に申し上げましたように、広い範囲の意見を十分聴取していただいて、あと中小専門機関の問題その他がございますから、そういう問題をおやりいただいた最後に総括的に、今後の日本の金融制度のあるべき姿という問題の中における国債問題の位置づけというような問題をぜひひとつ課題としてお取り上げをいただきたい。この問題を抜いて日本の金融制度の問題は今後は考えられないと私は考えますので、そういう方向でお願いをいたしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#23
○佐々木参考人 金融制度の問題は、ただいま御指摘のように、関係するところが非常に広いわけでございまして、金融制度調査会で四年間審議をしておりました途中においても、今後どうしてもそういうやり方が大事だと感じた場面がずいぶんございました。したがいまして、おっしゃいますように、今後の審議に当たりましても、総合的な立場での判断を大事にしていかなければならぬと考えております。
#24
○堀小委員 終わります。
#25
○稲村小委員長 古川雅司君。
#26
○古川小委員 金融及び証券に関する件について、若干質問を申し上げます。
 佐々木参考人には年末の大変御多忙の中を出席いただきまして、先ほど来金融制度調査会会長として、また学識経験者としての個人のお立場からいろいろ御意見を伺っておりまして、心から御礼を申し上げます。
 大蔵省当局に対してもいろいろお伺いをしながら質問を進めてまいります。多少堀委員の御質問と重複する点があるかと思いますが、あらかじめお許しをいただきたいと思います。
 政府は十二月十九日、国債発行等懇談会を開きました。五十五年度の国債発行・消化計画を正式に決めたとされておりますけれども、発行総額が今年度当初計画よりも約一兆円少ない十四兆二千七百億円であると報道されております。先ほど来御質問がございましたが、いわゆる過剰国債の消化という点に問題が非常にしぼられているわけでありまして、その点を十分配慮されてのことと思いますけれども、この懇談会の決定によりますと、まず目につきますことは、国債引き受けシンジケート団の引受額を今年度より約三千億円圧縮をして総額九兆七千七百億円とするとされております。このシンジケート団、シ団と言われておりますけれども、ここに一つ問題があるというふうに私たちは承っております。
 大蔵省当局にお伺いしたいのでありますが、そのシンジケート団のメンバー相互の間に利害の対立が非常に長い間あって、特に最近の過剰国債の消化という非常にむずかしい事態の中で大蔵省への不満が高まってきている、このように聞いておりますが、これをどう受けとめていらっしゃるか、今回の三千億は非常に小幅といえば小幅でありますが、圧縮をしたというのはその辺の経緯を踏まえてのことなのかどうか、これをまずお伺いしたいと思います。
#27
○米里政府委員 実は、この問題は理財局の問題でございまして、私ども直接所管しているわけではございませんが、国債の毎年度の発行に当たりまして、国債の総額、特にそのうちシ団にどれだけお引き受けを願うかということについて折衝いたしました。もちろんシ団内部でいろいろ御意見はございますけれども、最終的には十分な御同意を得て全体の額及びその配分を決めているわけでございまして、特に大きな問題はないと承知しております。
#28
○古川小委員 今回三千億円圧縮したという算出、これもいまの御答弁によれば当然十分な合意を得てということになるでありましょうけれども、この点いかがでございますか。
#29
○米里政府委員 申しわけございませんが、そこは理財局の仕事でございまして、私ども十分承知しておりませんので、御勘弁願いたいと思います。
#30
○古川小委員 窓口販売の問題が先ほど出ましたけれども、これは証券業界からいわゆる領海侵犯だという批判が非常に高いわけでございます。五十二年の秋に銀行業界から申し入れがあったときに、銀行局当局は非常に積極的な姿勢を示された、にもかかわらずそのまま留保されていると伺っております。窓販についての是非はともかくとして、そのとき以来の経緯、窓口を広げてそれで国債の消化が進むとは限りませんけれども、この点はどうなっているのか、ひとつお伺いしたいと思います。
#31
○米里政府委員 御承知のように、国債の窓口販売の問題につきましては、過去におきましてたびたび議論が出ております。その間、窓口販売について幾つかの問題がございまして、一つは制度上のゾルレンのような問題であります。それから一つは、具体的に何年度から国債の窓口販売を実施するかどうかという非常に行政的な問題、あるいはまたその制度問題も、金融制度調査会あるいは証券取引審議会でそれぞれ専門家がお集まりになりまして、それぞれの角度から中期的な視野を踏まえて御議論願うというようないろいろな角度がございますが、その制度問題といいますか、金融制度調査会及び証券取引審議会の意見につきましては、それぞれことしの六月に意見が出されたわけでございます。
 御承知のように、金融制度調査会は主として銀行業務などからの観点の議論でございます。あるいはまた、証券取引審議会は公社債市場のあり方を中心とした議論と、若干取り扱っておられる角度が違いますし、また、当然のことながら、フリーディスカッションの結果の結論でございますから、両調査会及び審議会の間においては、若干の意見の違いが出ておるという状態でございます。
 私ども事務当局といたしましては、こういったそれぞれの立場からの御議論を踏まえまして――何分この問題は非常に過去に経緯のある問題で、同時に、はっきり申しまして業界の利害にも関係する問題でございます。しかしながら、全体のマクロの立場から見ますと、国民経済的な問題として中期的に考えて、今後の国債管理政策という問題もございますし、国民サイドのニーズの問題もある。あるいはまた将来の金融、証券の制度の問題、市場の問題あるいはインターナショナルな関連の問題、そういった非常に広範多岐にわたる問題でございますので、いろいろな角度から総合的に勘案しましてしかるべき結論を出す、その際には、関係者の方々に十分な御納得をいただくように努めなければならぬということで、現在証券局とともに、いかにあるべきか、あるいは具体的にどうすべきかということを鋭意検討しておる段階でございます。
#32
○古川小委員 そうしますと、その点についてはきわめて近い将来に何らかの結論を出して、銀行業界側また証券業界側に一つの決定を下すことができるというふうに判断してよろしゅうございますか。
#33
○米里政府委員 制度問題につきましては、銀行法の改正をできましたらこの通常国会にお願いしたいというように考えておりますので、法案を提出します以上、それまでに何らかの制度的な結論を出す必要があるというように考えております。具体的にそれを実施するかどうかということは、いつ実施するかというような問題は、これは制度問題と同じ問題であるかもしれませんし、あるいはまた性質的に別の問題であるかもしれない。これは、やや行政的な問題であろうかと思っておりますが、いずれにいたしましても、鋭意意見の調整に努め、またこの問題は銀行局とか証券局とかいう問題だけではございませんで、十分関係者の方々の御納得を得た上での結論を中長期的なあるべき姿として出したいというように考えているわけでございます。
#34
○古川小委員 次に、国債消化の末端的な幾つかの問題の中からお伺いをしてまいりますが、大蔵省当局にお伺いをして、その後で参考人から御意見を聞かせていただければ幸いでございます。
 一つは、いわゆるペーパークライシスの問題でございます。紙の洪水と言われておりますが、当局は一億券の発行等によってこれを処理しようという方向にあるようでございますが、現在、なおかっこうした大量の国債発行によってその処置に特に証券会社等では困惑をしている、そういう実態がまだ十分にあるのか。これに対して大蔵省当局はどう対応しておるのか。これが一つ。
 それから、もう一つは個人消化の問題でございますけれども、個人消化はいわゆる国債の引き受け、売りさばきにつきましては昭和五十一年度が一七・二%、五十二年度が二六・六%、五十三年度が約二〇%と聞いております。これは五十四、五十五年度がどういう見通しになるか、もしすでにおわかりであればお答えをいただきたいと思いますし、個人消化というのは実はよく言われておりますとおり、内容はほとんど企業への割り振り、割り当てということになっておる。それが特に一般企業界では、中小企業への一つの強制的とまでは言わないまでも、かなりいろいろな圧力の加わった割り当て消化という形になって批判が起こっている、このように言われております。そういった実態、今後の対処についてどのようにお考えになっていらっしゃるか。
#35
○吉本(宏)政府委員 最初のペーパークライシスの問題でございますが、これは国債につきましては理財局の守備範囲でございますけれども、現在国債の振替決済制度というものにつきまして鋭意検討を進めておりまして、日本銀行を受寄機関とする国債振替決済制度を来年二月ごろには発足ということを目途にして現在検討をしている、かよべに聞いております。
 それから、証券会社のたとえば株券の問題でございますけれども、これにつきましては私どももつとにこの問題の重大性について考えておりまして、最近証券取引審議会におきまして、株券の振替決済制度につきまして検討をするということにつきまして合意を得まして、現在専門委員会を発足させまして検討中、こういうことでございます。
 なお、社債につきましては、一括登録制度というものにつきまして現在全銀協を中心にして検討をしている、このように聞いております。
 次に、個人消化の問題でございますが、御説のとおり、個人消化は国債の発行当初には一〇%程度をめどにして証券会社の窓口において売られてきたわけであります。その後、大量発行の時期を迎えまして、個人消化にも鋭意努力するということで一五%から二〇%、さらに、先ほど委員の御指摘のとおり二十数%というところまで個人消化がふえてきたわけでございますが、御承知のように、国債の個人消化の問題は、やはり発行条件とかあるいはそのときの金融情勢、そういったものと密接な関係がございまして、証券会社でも売りやすい時期と売りにくい時期とあるわけでございます。たとえば昨年の四、五月ごろはたしか二千億を上回る月間売却を記録したこともございますが、最近ではこの消化がやや鈍っておりまして、大体千億から四、五百億に下がっておる、こういう実態でございます。私どもとしては、やはり個人消化の国債消化に占めるウエートと申しますか、重要性にもかんがみまして、できるだけ個人消化を推進するよべにと言っておりますけれども、基本的にはそういった金融情勢あるいは発行条件と関連がございますので、その辺も踏まえて実施をしてまいったらいかがか、このように考えております。
 企業への割り当てという問題は、基本的にはないと思います。特に企業に割り当てるというような問題はございません。
#36
○古川小委員 参考人から、その点、両点について御意見があれば、お伺いしておきたいと思います。
 ペーパークライシスの問題とそれからもう一つは企業への割り当て、これはいま当局はないとお答えになったわけでございますが、実質的な個人消化が非常にむずかしいとなりますと、そういう事態があちらこちらに出てきているということがございます。
#37
○佐々木参考人 私、企業への割り当てということは聞いておりませんけれども、ただ個人消化というものはそのときの状況によって非常に量に変化がございます。ですから、これはある程度幅を持って考えておかないと無理が出てくるという点は注意する必要があると考えております。
#38
○古川小委員 次に、銀行法改正案につきまして先ほどからございましたけれども、金融制度調査会の答申を踏まえていま大蔵省の方で検討を重ねられていると伺っておりますし、先ほどの質問で私は明確にならなかった一つの点は、国会への提出のための閣議決定を大体いつごろに踏まえていらっしゃるのか、そういう期日的な点は明らかにされなかったわけでございますが、いまどのようにお考えになっていらっしゃるのでしょうか。
#39
○米里政府委員 来年は、まだ全然聞いておりませんけれども、普通の年ですと国会に予算関係法案は二月の半ばまで、予算関係法案でないものは三月の半ばまでということが普通の年のようでございますが、それで銀行法は予算関係法案ではございませんので、そういう意味では三月の半ばぐらいが通常のタイムリミットになるのだと思います。その前のしかるべき閣議の際にお願いするということであろうかと思います。まだそこまで具体的に詰まっておりません。
#40
○古川小委員 現在の検討状況は、伺うところによりますと、おおむね調査会の答申を踏まえて、忠実に法改正の作業を進めているという感じを受けるわけでございますが、ただ、若干気になります点をお伺いしてまいりますと、一つには業務範囲について銀行局と証券局の間で意見の調整が非常に難渋をしているということでございます。この点は答申でも「現行銀行法の解釈を踏まえ、また、証券取引法との関連にも配慮しつつ、今後、行政当局において、さらに検討される必要がある」というふうに指摘をしておられるわけでございます。大蔵省の方では、その位置づけについて、銀行の業務の中での位置づけについて協議中であると思いますけれども、数々の歴史的な経緯あるいは現行法の解釈の問題等、この点今後もこの答申を踏まえて調整が調うのかどうか、検討の現況についてお答えいただきたいと思います。
#41
○米里政府委員 先ほども申しましたように、銀行法案を国会に提出させていただくということになりますと、今度は銀行法の全文改正を考えておりますので、銀行の業務範囲につきましても何らかの規定を明らかにするということに相なります。そういった関連におきまして、それまでの間において十分詰めておく必要があるということで、現在種々検討、調整中でございます。
#42
○古川小委員 参考人にお伺いいたしますが、いまの問題点につきましては、答申で先ほど申し上げたような表現をしておられるわけでございますけれども、これは銀行局と証券局の間の意見の調整を必要とするということは十分踏まえての御検討の結果だと思いますけれども、これはいわゆる行政当局において調整をして調整の調うものであるというふうに御認識をなさってこういう答申になったのかどうか、その点をひとつお伺いしておきたいと思います。
#43
○佐々木参考人 これは実態的には銀行とそれから証券業界との問題でございまして、それで大蔵省ではやはり銀行局と証券局との話し合いということになっておるわけでありますが、私ども金融制度調査会でこれを議論しました者としては、そういう関係される方々の意見を政府、大蔵事務当局が調整されて、ある最後のまとまりをつくり上げていくことができるというふうに私どもは期待しておる次第であります。
#44
○古川小委員 この業務範囲に多少関連のあることでございますが、現行法の運用についてもし問題があれば、これは当然法改正の中で検討を進められることであると思いますが、その一例として、銀行法の第五条兼業の制限の中で「銀行ハ担保附社債信託法ニ依リ担保附社債二関スル信託業ヲ営ミ又ハ保護預リ其ノ他ノ銀行業二附随スル業務ヲ営ムノ外他ノ業務ヲ営ムコトヲ得ズ」と明記されているわけでございますけれども、この条項の趣旨について簡単にお伺いしたいと思います。
#45
○米里政府委員 法第五条に規定しております他業禁止の規定でございますが、御承知のように、銀行は、銀行業というものは非常に公共性が高い、そういう性格を有しておるわけでございますので、いわゆる本来の与信、受信両面における機能を十分に果たす必要があるということから、本業に専念せしめ、その他の業を営んではならない、こういう趣旨の規定だと思います。
#46
○古川小委員 きょうは一般論としてだけお伺いしておきまして、また後日詳細にお伺いしてまいりますが、銀行の兼業制限からして、たとえば貸しビル業あるいは不動産業等を営むことができるかどうか、これははっきりしたことであると思いますけれども、一応お伺いしたいと思います。
#47
○米里政府委員 他業と申し上げたわけですが、その場合の業とは何だということになろうかと思います。一般的に私どもが理解しております業の中身でございますが、まず第一には、不特定多数の方を相手にするということ、それから反復継続して行っておるということ、それから営利を目的としていること、一般的に言われておりますのはこの三要件が業であるか、ないかの判定基準である、物の本などにはそう書いてあるのは御承知のとおりでございます。そういった意味で、もし貸しビル業、不動産業というのをいま申しました要件に該当するような形で金融機関が営んでおるということでございましたら、それは他業禁止の規定に抵触するということが一般論としては申せるかと思います。
#48
○古川小委員 繰り返し一般論で恐縮でありますけれども、大蔵省としてはこうした銀行の貸しビル業、あるいはその業に至らない貸しビルということも含めて、そうした他の業務等を営んでいる、その実態について調査を進め、あるいは実態を掌握していらっしゃるのかどうか、その点まずお伺いしておきたいと思います。
#49
○米里政府委員 先ほど申し上げました業という中には――金融機関の中にはたとえばビルの遊休スペースを一時的に貸しているというものはあろうかと思います。しかし、これは先ほど言った業という概念から、該当しないというふうに私どもは考えております。
 それで、私どもは検査の際にこういった銀行法関係のこともすべて法律関係ということで見てまいることになっておりますので、通常そういった他業を営んでいるものであるかどうかということはチェックしているわけでございますけれども、現在までの検査結果あるいはもちろん場合によっては行政によって調べることもありますが、そういった検査、調査の結果として、営利を目的として銀行が他業を営んでおるというものはないというふうに承知しております。
#50
○古川小委員 銀行法改正案の検討状況の中でまとめてあと二、三お伺いをしてまいりますが、監督命令のところで、いわゆる銀行の自主性と自己責任を尊重していくという立場をおとりになっているわけでございますが、当局の検討の段階では、いわゆる当局の勧告または銀行による改善計画の提出からスタートすることというふうに原則としてしているわけでございまして、以後監督命令等に進むという表現をしていらっしゃいますが、現段階では法改正の中に、大体今後どういうスケジュールと申しますか、一気に監督命令そのものに踏み切れない事情をひとつ説明いただきたいと思います。
 もう一点は、先ほどございましたが、週休二日制の実施につきまして、これを政令委任の規定を設けることというふうに受けとめていらっしゃいますけれども、この点について明確に御答弁をいただきまして質問を終わります。
#51
○米里政府委員 監督命令の点でございますが、まさにおっしゃるようなことを現在検討しておるわけでございます。つまり、従来伝家の宝刀的な免許取り消しの条文だけがありまして、あとは行政指導で監督をしておった、こういう形であったわけでございますが、できるだけ行政指導というものを法的な規制ではっきりさせて、その法的な規制を、法の運用を行う以外の行政指導というものは、できるだけ銀行の自主性、自己責任という観点から、できますものは従来よりは簡略化してまいりたいというふうに基本的には考えているわけでございます。そういったようなことで、監督命令の規定を今度入れさせていただこうというふうに考えているわけですけれども、また、たとえば銀行経営の健全化ということのためにいきなり監督命令が出るということもいかがかと思いますので、その前段階として、当局の勧告あるいは銀行による改善計画といったような段階を置いて、その後において健全経営の問題については監督命令を出したい。ただ、法令違反というような問題についてはいきなり監督命令を出したい、こういう構成で法文化することはできないだろうかという線で現在検討中でございます。
 それから週休二日でございますが、おっしゃるように、政令にゆだねまして営業日の規定が弾力的に実施されるようにということを考えております。
 なお、週休二日制につきましては、こういった銀行法の改正の問題だけではなかなか片づかない問題もございますので、現在いろいろな方面からの作業を並行して行っているわけでございますが、その主なものは、国民のコンセンサスを十分に得るというようなことに関する一連の措置、これはたとえば全銀協によって最近積極的なPRを新聞紙上などで行っておるというようなこともございますし、それから関係省庁の連絡会議がございまして、この席でいろいろ具体的な問題、銀行法だけの問題ではございませんので、その他の関係諸法令の問題を詰める、あるいはこれまた全銀協の中で、金融機関内部の事務的ないろいろな週休二日に移行した場合の詰めを行うといったような多方面にわたりまして、現在法改正と並行いたしまして努力をしておる段階でございます。
#52
○古川小委員 終わります。
#53
○稲村小委員長 渡辺貢君。
#54
○渡辺(貢)小委員 大変年末が迫っている中で参考人の御出席をいただきまして、大変ありがとうございます。また、今回の答申を見ますと、大作というか労作といいましょうか、大変な答申でございまして、その御苦労にも感謝を申し上げたいと思います。
 幾つかの点について御質問をいたしたいと思うのですけれども、答申が出た直後にある座談会で佐々木会長さんが、昭和四十五年当時の答申に比べて今回の答申は、十年間を経ているわけですけれども、そう大きな社会的な変化といいましょうか、変化はなかったのじゃないか、ただ、銀行法の改正を目的にしているので、かなり深い検討がされた、こういうふうなお話が出ておりました。
 しかし、昭和四十五年当時に比べまして、この十年間の変化というのはきわめて大きいものがあるのではないかというふうに考えております。これは経済的な変化だけではなくて、そうした経済的な変化、社会的な変化に伴う国民の意識の変化も非常に多様であったというふうに思われます。そういう点で、当然これは御検討もされていらっしゃることと思いますけれども、この答申を出されていく過程で、そうした国民の意識の変化、たとえば貯蓄についての考え方、これは貯蓄増強中央委員会などの最近の調査によりましても、国民の世帯の九十数%が貯蓄を行っている。老後の問題、病気やあるいは教育費、住宅の問題など、十年前に比べると、貯蓄についての考え方の変化もきわめて特徴的であるというふうに思われます。
 もう一つは、そういう社会的な変化に伴う貯蓄の増大とあわせて、貯蓄をふやす場合の金融機関の選択についての考え方、これは私はそういう調査を見ながら、大変おもしろいというか、国民の中ではどうやって貯蓄をしようかということで苦労をしていらっしゃる姿を見ることができたわけなのです。これは奥さん方の中でも、金利の問題は一つの関心事でございまして、たとえば昭和四十五年当時の貯蓄をふやす場合の選択の基準の中で、金利という問題は指数で言うと一四、ところが、五十四年度、最近の調査によりますと二〇・八、あるいは安全性やその信用の度合いなどを見ましても、四十五年当時に比べて関心の度合いというのは約一・五倍に高まっている。つまり、銀行法の改正を進めていく場合に、今日ではこうした売り手市場とも言われております個人預金者の増大、そうした個人預金者の意識の変化というものが非常に重視されなければならないという点で、この点についての参考人の御見解をお伺いいたしたいと思います。
#55
○佐々木参考人 ただいま御指摘のございました四十五年といまとの差が余りないというようなことを、私、座談会で申した記憶がちょっとないのでございますけれども、とにかく今度の銀行法の改正の検討に着手しましたときは、いろいろな物の考え方、実態、そういうものに非常に大きな変化があるので改正をしなければいかぬという立場で検討したわけでございますので、四十五年の答申といいますのは、これはまたちょっとほかの問題の取り上げ方になっておりまして、それとの比較の問題というのは、参考にはいたしましたけれども、そういうふうなものによってやったわけではございません。
 現にこういう諮問が大蔵大臣から出されたこと自身が、銀行に対する一般の方の意識の変化、それが大きな背景になっておると思いますので、その点は金融制度調査会での検討の際に絶えずわれわれが頭に置いて問題としたところでございます。いまの預金者の意識の変化、こういうことは、銀行の健全性その他銀行のビヘービアの上に非常に大きな影響があるわけでございますから、そういう点についても、もちろん検討の途中十分考えてやってまいりましたつもりでございます。
#56
○渡辺(貢)小委員 そういう御答弁がございましたけれども、四十五年の答申と今回の答申の中で大変大きな違いを感ずるわけであります。ちょうど高度成長期の最盛期だったと思うのですが、この答申の中では、銀行経営の効率化の問題、競争原理を基本にしながら、銀行経営の効率化が非常に大きなウエートを占めていた。今回の答申の中では、銀行、金融機関の社会的な責任の問題がかなり重点として指摘をされているというのは私も理解できるわけでありますが、この前回の答申が出た後、大変権威のある答申だというふうに私どもも考えております。法改正以前に答申が出たことによって、ある意味ではひとり歩きをするのではないかという印象を受けているわけなのですが、というのは、四十五年の答申の後にそうした効率化の問題などが強調される中で、第一銀行、勧銀などの大型の合併、太陽銀行、神戸銀行などの合併がございましたし、同時に中小金融機関の中でも合併や転換等、約七十一件というふうに言われております。ですから、法改正の前に一定の答申が出されますと、また、今回のように、銀行法の第一条で金融機関の銀行のあるべき姿はこういうものであると期待される銀行像というものが出ると、ある意味ではそれが社会的な世論にもなるでしょうし、そういうものが法改正前に歩き始める。こうなってくると、同じ金融機関である信用金庫や相互銀行あるいは労働者の金融機関である労働金庫、これらのいわゆる中小の金融機関との差が非常に目立つ。先ほども堀委員から御指摘がございましたけれども、銀行法の改正はこういうふうな方向であるべきだけれども、非常に地域性や職能性の高い中小企業金融機関については一体どうなのか。前の徳田銀行局長の九月か十月ごろ並行して答申が出せるようにというお話を、私、見た記憶がございますけれども、最近、米里局長さんの御見解では、当分むずかしいというふうな御見解のように伺っておりますが、大銀行だけはかくあるべきだ、ところが、一方ではまだだというふうになりますと、金融制度全体としては、金融機関の果たしていく役割りとしては、非常に片手落ちになるのではないかというふうに考えるわけなんですが、その点は参考人いかがでございましょうか。
#57
○佐々木参考人 いまの中小企業専門金融機関の問題を後に置いて銀行法の改正だけを先にすると、中小企業金融専門金融機関に対して片手落ちになるのではないかという御質問かと思うのでございますが、もちろんわれわれとしてはこの両方の問題については総合的にいろいろの点を反応させながら検討してまいるわけでございまして、銀行法の方は金融機関の最も大きな部分を占めるものに対する規定の作成だということで、ここで決めました原則ではほかの中小企業金融機関、その他金融機関に適用できるものはもちろん同じように適用するという考え方で、要するに、基本をまず固めて、それを具体的なそれぞれの性格の金融機関に当てはめていくという考え方で検討してまいったわけでございまして、その間に不均衡が生じないようにするということはわれわれとしては非常に大事な点だと考えております。
#58
○渡辺(貢)小委員 そうしますと、中小企業金融機関等の問題について出される答申の時期、大体の作業やなんかはどうでございましょうか。
#59
○佐々木参考人 いま金融制度調査会では中小企業金融専門金融機関の問題について検討のちょうど最中でございまして、ごく最近やりました今年の最後の総会ではこの問題についての自由討論を済ませたところでございます。今後どういう段取りで運びますかについては、年明け後の状況において皆さんと御相談してやってまいりたいと考えております。
#60
○渡辺(貢)小委員 局長さんにお尋ねしたいと思うのですけれども、冒頭でも触れましたように、国民の金融機関に対する見方、認識の変化の中で、金融問題については大変大きな関心がございます。いまも参考人のお話では、そうした国民の金融機関についての考え方、意識の変化については十分な御検討もされたというふうなお話でございますけれども、今年に入って公定歩合が三回引き上げられております。すでに十一月の当初から各金融機関では〇・二ないし三ぐらいの引き上げが見られておりますし、地方自治体でも、これは埼玉の例ですけれども、制度融資がほぼ〇・三から〇・五ぐらい上がっております。そうした中で預金者保護という側面を重視した場合に、当然金利の引き上げの必要があるのではないか。いまの状況のもとで預貯金者の金利を引き上げないで抑えていくのは大変勇気が要るのだというようなお話を局長さんされていたようでございますけれども、すでに第四次の引き上げが必要だというふうな論議がございますが、こういう点も含めて預貯金者に対する金利問題についてどうお考えでしょうか、簡単で結構ですけれども。
#61
○米里政府委員 簡単に申し上げるのはなかなかむずかしいのですが、できるだけはしょりまして申し上げますと、私どもは、公定歩合の動き方と預貯金金利が必ずしも常に連動しなければならないという性格のものではないというふうに考えておるわけでございます。
 御承知のように、公定歩合というのは短期の金融政策として物価対策、景気対策ということで非常に機動的に動く必要がある。預貯金金利の方は、全体の金利水準の一環としての位置づけがなされるべきである。御指摘のように、現在では個人預金の中では八割が定期性預金ということで、貯蓄性、安定性の性格の強いものであろうかと思います。そういった両者の関連というものが、従来を見ましても必ずしも常に連動しているわけではない。たとえば五十年の春だったと思いますが、公定歩合を〇・五%ずつ三回引き下げまして、当時九%であった公定歩合を七・五まで下げたわけですが、その間預貯金金利は一回も動かさなかったというようなこともございます。こういったように、両者必ずしも常に連動するという性格のものではないということであろうかと思います。
 預貯金金利というのは、御承知のように、それを動かしますとわが国の金利体系においては全部の金利が動いてしまうというつながりがございまして、長期資金も全部金利が上がってしまう。ところが、長期資金の実勢から見て、長期資金をどんどん上げていくというのは実勢以上のものになってしまうというような関連がございます。たとえば国民生活に密接な関連のあるもので申しますと、住宅ローンであるとかあるいは中小公庫、国民公庫の金利も全部上がってしまう。長期資金の需給実勢がそこまでないにもかかわらず全部上がってしまうというような関連もございまして、私どもはできるだけ実勢に合った金利、金利体系全体を動かすときは実勢を見ながらやっていく、一方、公定歩合は、何よりもまず物価を抑えることが重要でございますから、これはできるだけ政策的に機動的に動かしていくということで、必ずしも常に連動しなければならないというようには考えてないわけでございます。
 したがいまして、今後預貯金金利をどう取り扱うかということは、そういった金融全体の実勢がどう動くかということによって判断してまいりたい、かように考えております。
#62
○渡辺(貢)小委員 その点いろいろの御見解があろうかと思うのですけれども、ぜひ国民のそういう期待にこたえていただきたいと思います。
 それから、これは日銀との関係になりますけれども、先ほども触れましたように、中小企業金融関係ですね。信用金庫、相互銀行などは大銀行に比べても預金の比率が約四〇%弱というふうに大変高い状況になっておりますし、参考人も当然それらを踏まえてこれから答申を出さねばならないという御見解でございますが、たとえば預金高約一千億円前後の信用金庫などの場合、国債も七、八十億引き受けておりますし、期末の評価損など、非常に圧迫している。それから、日銀に一定の預託をしているわけですが、これは金利がついておりません。預託の額は若干減っているようですが、一千億円前後の預金量を持っているところでは約二億円前後だというふうに聞いておりますが、金利はついておりませんし、再割りの道が開かれたけれども、とても一億円なんていう手形を受けるということはまず機会がないということで、再割りの道も十分に活用できない、そういうふうな批判、御見解がございます。そういう点で、この点の改善、たとえば若干の金利をつけるとか、あるいは再割りの方法についてもっと運用面で具体的な手だてが図れるように、これは日銀の関係になりますけれども、特に銀行局長さんに御要望しておきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#63
○米里政府委員 信用金庫の日銀に対する預託金が無利子であるというお話でございますが、これは準備預金のことであろうかと思います。準備預金がなぜ無利子であるか……
#64
○渡辺(貢)小委員 結構です。それはひとつそういう見解があったということを踏まえてやっていただきたいと思います。
#65
○米里政府委員 それから第二点の再割りの点でございますが、御承知のように、五十二年の十一月から全信連を通じての再割りというシステムができたわけでございます。それで全信連が裏書をして日銀に持ち込めば再割りできるという道が開かれたわけでございますが、その場合に一億円というものは、そんなに高い限度はないはずでございます。これは、いままでですと、御承知のように日銀と直接貸出取引契約をしている信用金庫だけが直接の適格再割りということになっておったわけですが、それが全信連を通じることになりまして再割り適格性が非常に緩和されたということでございまして、私も正確な数字は知りませんが、いずれにせよ再割りの適格手形として一億円というような高い枠があるということではないのではないかというように思います。
#66
○渡辺(貢)小委員 かなり不便を感じているという点が共通して出ておりますので……。
 時間がないので最後に一言なんですけれども、銀行の社会的な責任という問題が答申の中でも指摘されているわけですが、こうした社会的な責任を遂行していく上でも、そこで働く労働者の役割りは非常に大きいのではないかというふうに思います。中には大光相互のようにとぼけた経営者がいて、あれは新潟の政治的な一つの背景、風土があろうかと思いますけれども、そういう意味で社会的な責任を遂行していく場合に当該銀行等における労働者の基本的な権利、民主的な権利を守るということは不可欠の前提だというふうに考えるわけです。
 これは、私どもの調査によりますと、都銀でも東海、富士、地銀では千葉銀行、北陸、静岡、東邦、福岡、相銀では北洋、富山、静岡、滋賀、旭、第三と、かなり共通して見られますのは、組合活動ということで賃金の差別あるいは不当配転等が行われている。こういうことでは適正な金融機関としてのあり方から見て問題があろうかと思うのですが、こうした中で、十二月十四日、千葉銀行でも訴訟が十三名の方から提起されておりますが、最近では二十四日に静岡相銀の問題で賃金差別是正の地労委の裁定が下っている。これは五十七名、一億三千万円であります。約八銀行で総額六億五千万円余りの賃金の差別の実態がある、こういうふうな現状ですが、こうした点についてもひとつ十分な指導等をしていただく必要がございますし、社会的な責任を果たしていく上でも、銀行で働く労働者の権利を守るというのを基本にしなければならないという点を申し上げたいと思いますが、最後に一言、簡単に局長さん……。
#67
○米里政府委員 大蔵省が銀行を監督しておりますのは、銀行業務という観点から主として監督しておるわけでございまして、企業内の労働条件の問題はむしろ労働省の直接の所管になろうかと思います。そういうことではございますけれども、もちろん銀行も一つの企業として十分そういった労働者の権利の擁護ということについては企業経営者として適正、慎重に判断していくべきものである、かように考えております。
#68
○渡辺(貢)小委員 終わります。
#69
○稲村小委員長 竹本孫一君。
#70
○竹本小委員 佐々木参考人はきょうは御苦労さまでございました。時間もありませんので、三つ四つポイントだけ伺いますので、簡単に御答弁いただけばありがたいと思います。
 第一点は、銀行法の改正の問題が取り上げられましてから金融制度調査会で非常に重要な問題としてあらゆる面から御検討いただいたようでありますが、結論的に申しまして、非常に時間が長かったような感じがするのです。それだけ真剣に論議していただいたということはありがたいことでございますけれども、金融情勢その他、問題を出されたときから考えますと、ある意味においては情勢はすっかり変わってしまったと言ってもいいくらいに客観情勢も激変しましたが、調査会の審議も長かったと思うのです。
 そこで結論的に申しますと、一つは、いわゆる五五年体制の崩壊とか変革とかという問題がよく言われるのですけれども、これは通常は政界、政党のあり方等について批判されるのですけれども、学者によってはそういう政治の問題だけではなくて、一つは経済の高度成長の問題、一つは国家統治あるいは市民自治の問題というような三つの相で日本の政治なり社会なりが大きな曲がり角に立っているんだ、こういうことが言われます。特に経済問題で言うならば、間接金融と低金利で支えてきた日本の高度成長が市場の問題あるいは原料、燃料の問題等で行き詰まりまして、減速経済あるいは安定成長というところへ切りかわってまいるということでございますが、今度の答申の中身において確かに大口融資の規制とか、先ほどの週休二日の問題とかいろいろ御苦心をいただいているようでございますが、その体制の変化といいますか、情勢の変化に対応するためにどういう御苦心をいただいたかという点が一つ。
 それからもう一つは、これはかつて私どもが大蔵委員会で行ったんだったと思いますが、アメリカの連邦準備制度に参りましたときに、帰りがけにパンフレットを一つもらいました。それはマネーと書いてありまして、サブタイトルが気に入ったのですけれども、マスター・オア・サーバントと書いてあった。すなわち金融機関、お金というものはマスターとして中小企業や庶民に君臨するのか、サーバントとして大いにサービスするのかという問題でございますが、日本の金融機関のあり方の問題も、従来ややともすればマスターとしていばり過ぎている点があったと思うのですけれども、今度はサービスに徹するということに方向転換されるのか、そういうような問題についてもいろいろ御苦心をいただいたと思うのですけれども、右の二点についてきわめて簡単にお話しいただきたいと思います。
#71
○佐々木参考人 答申を出します前に非常に時間がかかりましたことははなはだ恐縮でございますが、あえて申し上げますれば、昭和二年にできました法律でもございますし、この際、できるだけ基本的な問題について十分な検討をした上で答申を出したいという意味での基本的な勉強に時間がかかったという点を御理解いただきたいと思います。
 五五年体制等と先の日本の政治、経済の変化を読み込んであるかという点につきましては、ある程度の勉強はいたしましたものの、十分であると思いません。先の見通しはなかなか立ちにくい点が多かったことを率直に申し上げたいと思います。
 それから、第二のマスターかサーバントかということは、やはりマスターであってはいけないのでございまして、そういう意味の考え方が今度の答申には一番大事なこととして入っているつもりでございます。それが今度新しく設けることなりました目的規定の精神の中にも出ているというふうに考えております。
#72
○竹本小委員 大蔵省についでに伺いたいのですけれども、金融制度調査会はたくさんな人、長い年月をかけて真剣に論議をしていただいた、この論議の成果というものを速やかに成文化する、法案化するということは当然の責任ではないかと思うのですね。なるほど、国会の審議期間がどうであるというような問題もいろいろあります。そういう点は高度の政治的な判断にまたなければならない問題だと思いますが、少なくとも事務当局としては、調査会において真剣に論議して一定の成果、結論を得たということになれば、それをまともに受けてその法案化を図り、その実現に最大限度の努力をするのが当然の責任であると思いますが、大蔵省はいかがであるか。
 なお、この点につきましては、従来、大蔵大臣あるいは銀行局長等もこの冬の国会にはかけますということをはっきり明言しておられる。そういう点について現在のところどういうふうに考えておられるか、結論だけ伺いたい。
#73
○米里政府委員 全くおっしゃるとおりでございまして、私どもとしてはこの四年間にわたる答申を受けましていま準備を進めておりますし、通常国会に間に合わせてぜひ法案を提出したいという考えで現在最大限の努力を払っておるわけでございます。
#74
○竹本小委員 これは会長さんに伺いたいのですけれども、この答申につきまして二つの相反する批判があると私は思うのです。一つは、この法案は銀行サイドに寄り過ぎておる、全然役に立たないというか、意味がないというような厳しい批判もあるようであります。今度は逆に、この法案は大蔵省の官僚統制、権限強化をやって、一種の官僚ファッショが出てくるのではないかというような考え方もまたある。全く相反したような批判を聞くわけでございますが、従来の銀行のマナーの悪かった点は、いまもお話がありましたように、この辺で改めてもらわなければいかぬ。この問題について第一条を中心に銀行の姿勢について一つの節度を求め、新しい方向を与える努力がされた。さらにまた、観念的な銀行国営論というものに走ってもどれだけの成果を得るか問題がありますので、そういうことにもならないように、現在の段階において考え得る最大限度の努力は実っておるのではないか。特に私はディスクロージャーの制度その他を高く評価しておりますし、けさの新聞によれば、会社法の改正も経営の公開という原則を強く打ち出そうとしておるようでありますが、銀行がそれに先行していくならなお結構だ。そういう意味で、批判もいろいろありますけれども、現在の段階において考えるならばまずまずの御努力だと私は評価しておるのでございますが、その批判に対して、大蔵省の権限をいたずらに強化するのではないかとか、いたずらに銀行の利益を守る側に立っておるのではないかという批判に対して、会長としての感想をお伺いいたしたいと思います。
#75
○佐々木参考人 銀行側に対して甘いという批判はどういうところから出たのか、私はちょっと見当がつきませんが、たとえば窓販の問題などについて前向きの答申になっているというような点が、あるいは証券業協会の方からごらんになると銀行寄りだということになろうかと思います。そういうような具体的な問題であろうかと思いまして、全般として銀行寄りであるとは、今度の改正の意図、それからわれわれ調査会を取り巻く環境、そういうことからいって、そういうことはちょっと当たらないのではないかと思います。
 それから、官僚統制が厳しくなったという批判につきましては、もういまさら御説明申し上げるまでもなく、行政指導といったような形で行われていた根拠を法文の中にはっきりさせるという形のものがある程度ありましたので、それが官僚統制を強くしたというような印象を外に与えていると思います。しかしながら、今度はそれだけ、いままで行政指導という形でやっていたことを法文化されているだけに、その運用については監督官庁の方でよほどその点を頭に置いた慎重な態度がなければいけない、こういうふうに考えております。
#76
○竹本小委員 最後にもう一つお伺いしたいのですが、先ほども御議論が出ました金融制度の改革ということになれば、全面的かつ根本的に改正しなければならぬ。そういう中で銀行法が先行するということはどんなものかという御心配の議論がありました。確かに私はそのとおりだと思います。十分な根拠のあるお話だと承りましたが、しかし、同時に先ほどの国会提出の問題に関する政治判断の問題とも関連をするわけでございますが、金融制度調査会において考えられる、そして一つの銀行のあるべき姿について結論を出される。当然のこととして、その場合には日本の金融制度全体を展望しながら一つの結論、一つの位置づけをされたと私は思うわけですね。したがいまして、全部の法案が一緒にまとまって出てくることが一番理想的なんです。それはそのとおりだけれども、全部が一緒でなければ論議できないかということになると、私はちょっと疑問を持っておる。たとえば日本銀行法の改正だってこれは必要なんですよね。日本銀行の方でインフレ推進みたいなことをやられればあとはめちゃくちゃになりますから、そういうことも含めて日本銀行法の改正も当然一つの像を描いて金融制度のあり方を考えなければならぬ。さらに、地方銀行あるいは信用金庫、相互銀行、さらに進めて言うならば郵便局あるいは農協、そういうものの金融的な機能をどう位置づけていくか、調整していくかという問題についても、全体の展望がなければ銀行のあり方を論議することはできない。したがって、そういう意味から言うならば、理想像としては全部まとめ上げて、その上で銀行法の改正に取り組むべきであると思いますけれども、しかし、結論を出された金融制度調査会としては、一応それらのものについても、より基本的なもの、より根本的なもの、より共通的な問題については一つのあるべき姿を描いて、その中の銀行法ということで問題を取り上げられたのではないか。したがいまして、裏から言うならば、一緒が理想だけれども、一緒でなくても必ずしも不可能でもない、無理でもない、不合理でもないというふうに理解すべきであるかどうかという点についてのお考えを承って終わりにいたしたいのです。
#77
○佐々木参考人 審議に当たりました私どもの考え方はただいま御指摘のあったとおりでございまして、総体を考えながら、その中の銀行法というものがどうあるべきかということを検討してまいったつもりでございます。いわば銀行法というのは母法といいますか母の法律であるといったような考え方で、まず基礎的なレールをはっきりさせるというつもりでやったわけでございまして、ただいま竹本先生のおっしゃったとおりの考え方でやってきたつもりでございます。
#78
○竹本小委員 ついでに、大蔵省銀行局長いらっしゃいますから、銀行局としてはそういう問題に対する取り組みはどういう考えでおられるか、一言承っておきたい。
#79
○米里政府委員 いま会長がおっしゃいましたのと同じ考え方でございますが、全体の金融機関のあるべき姿という総論的なものと、それから具体的に、普通銀行制度のあり方というものを答申でいただいたわけでございます。今度の問題は、中小金融機関の制度論というものは普通銀行とは違ってそれなりに固有のものがあるだろう、しかし、それは前回の総論の具体化の一環であって、普通銀行制度の問題というのは、その問題としてはそれなりに完結したものであるというように考えております。
#80
○竹本小委員 終わります。
#81
○稲村小委員長 佐々木参考人には、御多用中のところ、御出席の上、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとべございました。厚く御礼申し上げます。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後零時一分散会
ソース: 国立国会図書館
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