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1979/03/05 第91回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第091回国会 大蔵委員会 第10号
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1979/03/05 第91回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第091回国会 大蔵委員会 第10号

#1
第091回国会 大蔵委員会 第10号
昭和五十五年三月五日(水曜日)
    午前十時三分開議
 出席委員
   委員長 増岡 博之君
   理事 愛知 和男君 理事 稲村 利幸君
   理事 高鳥  修君 理事 綿貫 民輔君
   理事 佐藤 観樹君 理事 山田 耻目君
   理事 坂口  力君 理事 正森 成二君
   理事 竹本 孫一君
      麻生 太郎君    大村 襄治君
      熊川 次男君    椎名 素夫君
      白川 勝彦君    玉生 孝久君
      中村正三郎君    林  義郎君
      藤井 勝志君    坊  秀男君
      村上 茂利君    毛利 松平君
      山口シヅエ君    山崎武三郎君
      山中 貞則君    山本 幸雄君
      伊藤  茂君    川口 大助君
      沢田  広君    島田 琢郎君
      塚田 庄平君    堀  昌雄君
      山田 芳治君    柴田  弘君
      古川 雅司君    宮地 正介君
      多田 光雄君    渡辺  貢君
      玉置 一弥君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 竹下  登君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  小泉純一郎君
        大蔵大臣官房日
        本専売公社監理
        官       名本 公洲君
        大蔵大臣官房審
        議官      水野  繁君
        大蔵大臣官房審
        議官      梅澤 節男君
        大蔵省主計局次
        長       禿河 徹映君
        大蔵省主税局長 高橋  元君
        大蔵省理財局長 渡辺 喜一君
        国税庁次長   伊豫田敏雄君
        国税庁間税部長 小泉 忠之君
  委員外の出席者
        郵政省貯金局第
        一業務課長   小倉 久弥君
        建設省住宅局市
        街地建築課長  片山 正夫君
        大蔵委員会調査
        室長      葉林 勇樹君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月五日
 辞任         補欠選任
  山田 芳治君     稲葉 誠一君
  柴田  弘君     坂井 弘一君
同日
 辞任         補欠選任
  稲葉 誠一君     山田 芳治君
  坂井 弘一君     柴田  弘君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 一一号)
 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第一二号)
     ――――◇―――――
#2
○増岡委員長 これより会議を開きます。
 所得税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島田琢郎君
#3
○島田委員 本委員会に提案されました所得税法並びに租税特別措置法の改正に当たりまして、若干の質問をいたしたいと思います。
 わが党も同僚議員がほとんど質問に立ちますので、総体的な質問ではなくて、細かな部分について限定をして私から質問を申し上げたいと思います。
 財政再建というのが、いま国民の側からも異常な注目を受けている、こういうふうに言っても言い過ぎではないと思うぐらい大変政治的な課題でもあります。同時にまた、国民的な大事な課題であるということが言えると思うのであります。
 そもそも財政収支のバランスを回復するということが財政改革を進める上での重要な課題である、こう言われているわけでありますけれども、特に税制改革によります増収対策というものを考えます場合には、一面では富と所得の再配分を強化するということが大事なことでありまして、そういう意味で現行の税制度がきわめて不公平であるという指摘は免れないところであろうと思うのであります。わが党も長い間この不公平税制の是正を求めてまいりました。かなり具体的に国会でも項目を挙げ、金額を掲示してこの是正を追ってまいったところであります。来年度の予算、間もなく衆議院でも決着が見られるでありましょう五十五年度の予算に対しましても、社公民三党が中心になりまして政府案に対する修正を申し入れいたしましたのも、まさにこの不公平税制の是正ということが大事な柱になっているということでありまして、その限りにおいて言えば、今回の所得税法あるいは租税特別措置法の改正というのは非常に国民の注目を浴びるということになるのであろうと思うのであります。本委員会におきましてこの問題をしっかり議論するということが当然でありますので、若干、提案を受けております内容について疑義の部分を解明するという立場で質問したい。
 とりわけ税制度の改正とか税金の問題ということになりますと、国民の側から見てなかなか理解しにくい。そして、税金ですから関心があるように思いながら、意外に――国会の論議も、なかなかわかりにくい、こういう点で責任があるのでありましょうから、国民の皆さん方からのもう少しわかりやすい国会の議論と政府側の説明が欲しいという声もまた無視できないものがあるわけであります。冒頭で私はお願いを申し上げておきますが、私もなるべくわかりやすい質問をいたしますが、国会議員だけがわかっていても始まらぬ話でありますので、国民の皆さん方が不公平税制を是正するという共通の立場にいま立っておられるという認識をしっかり持って、国民の一人一人の皆さんによくわかるような、ひとつそういうわかりやすい説明と答弁をぜひお願いいたしたい、こう思っておるところであります。
 さて、前置きを少し長くいたしましたが、政府の税制調査会の答申がございました中で、特に来年度の税制改正という問題については、この税制調査会の答申がもっと反映されるような予算であってしかるべきだ、私はこういうふうに思っておったのであります。たとえば国債発行額の今年度当初予算比で一兆円の圧縮といったような点で歳入のバランスをとって、いかにもつじつまを合わせたという感じでしかない。これでは国民の皆さん方はなかなか理解しないし、納得ができないのではないか、こういうふうに考えるわけであります。この点について、ひとつ大臣の明快な御答弁をいただきたいのであります。
 引き続いて利子配当所得の分離課税、この特別措置は、指摘するまでもなく今年末の期限切れを迎えているわけでありまして、私どもとしては早くから、利子配当所得の分離課税は不当である、これは不公平税制の最たるものではないか、一刻も早く総合課税に移行すべきだ、こういうふうに主張をしてまいりました。しかし、利子の所得に対します総合課税を実施するとしても、いまの優遇措置がある中で、たとえば本人の確認とか名寄せがなかなかむずかしくてできないといったようなネックがあって、これらを理由にして、その対応策として一時は国民総背番号制を持ち出されたり、政府側においてもいろいろ試行錯誤的な検討がなされてきたようであります。今回、グリーンカードというふうなことで新たに国会にこの制度の確認の提案がなされているわけでありますけれども、どうも国民一般の皆さん方から言えば、優遇税制の問題とグリーンカードというものが一体どのように機能し、どのように働いていくのか、その辺のところがまだ十分理解ができないという声が多いのであります。政府側の非公式な説明によりますと、準備等を終えて実施に入るのは遅くとも五十九年であります、こういうことでありますけれども、総合課税に一刻も早く移行せよという立場から言えば、非常に時間がかかり過ぎるという議論もあるわけでありますが、この辺についてひとつ政府側の説明をまず冒頭に受けたいと思うのであります。
#4
○高橋(元)政府委員 ただいま仰せのございましたように、利子配当所得について総合課税に移行をする、それもできるだけ早い時期に移行をしなければならぬ、これは私どもといたしましても、四十五年に政府の税制調査会でさような方向について御答申をいただきましてから、四十五年度の改正、五十五年度の改正それぞれにおいて努めてまいったところでございます。
 それに当たりまして、いまもお示しがございましたのですが、やはり個人の定期預金だけ取り出してみましても一億口座ぐらい入ってございます。郵便貯金が三億口座または枚数ございます。それだけの多くのものが恐らく六千万を超える所得者によって貯蓄がなされておる。そういう状況を前にいたしまして、やはり本人の確認、それから利子配当所得の名寄せ、こういうことについての的確な大量処理に適した方法というものがございませんと、五十五年末の期限切れを待って観念的に総合課税に移行いたしましても、かえって税の第一線では混乱が生じ、税の不公平が生ずるということが事実だと思います。
 そこで、御提案申し上げております所得税法の一部改正及び租税特別措置法の一部改正案の中で、いわゆるグリーンカード、少額貯蓄等利用者カードというふうな制度でもって、名寄せとそれから本人確認ということを課税貯蓄、非課税貯蓄両方にわたりまして統一的に行うというような手段を確立いたしたいというふうに思います。
 そうなりますと、グリーンカード制度は、六千万人と申し上げましたが、あるいはそれよりも上回るかもしれません、六、七千万人の方々に少額貯蓄等利用者カードをお渡しをしなければならない。それらの方々に少額貯蓄等利用者カード制度の趣旨について御理解をいただかなければならない。それから銀行におきましても、少額貯蓄等利用者カードを提示をしていただいて本人確認をし、支払い調書の提出をしていただくわけでございます。それから限度管理もしていただくわけでございます。そういうことについての事務の手続ないし慣熟ということも必要でございます。
 それから徴税当局といたしましても、先ほども申し上げました大量処理の方法としての少額貯蓄等利用者カード制度の確立、ソフトウエア、ハードウェア両方の整備が必要でございますし、それに基づきます庁の職員の事務の慣熟ということも必要でございます。
 そういうことをやってまいりますことをいろいろ考えてみますと、どうしてもことしの末をもって期限が到来いたします租税特別措置法の諸規定を三年間延長いただきまして、その間にそういった基盤の整備をやる。それから、六千万ないし七千万の方々にカードをお渡しするとしますと、五十九年一月一日から一気にというわけにまいりませんので、一年早く五十八年からカードはお渡しをして、混乱なく新しい体制に移行できるということが必要であろうかと思います。そういうことからいたしますと、御提案申し上げておりますように、五十九年一月一日から制度を全面的に切りかえ、その一年前からカードをお渡しできるような体制ということが利子配当所得の総合課税のためにぜひとも必要であるというふうに私どもは考えておる次第でございます。
#5
○島田委員 私は、総合課税に移行するという手だてとして、問題になっております郵便貯金を初めとするマル優あるいは特優等の実態を正確に把握するというその限りにおいて言えば、特別な手だてが要るんだろうというふうに理解はできるのでありますけれども、しかし、グリーンカードがそのすべてだというふうに結論づけるのは、私はこれは早計だというふうに思うのです。しかも、いまお話しのとおり、グリーンカードを発行して実際実施に移るとすれば三年間ぐらいかかる、こういうことでありますから、これじゃどうも国民の皆さん方は待っていられない。そもそも利子配当所得の分離課税制度というのは、だれが何と言ったって資産家優遇の制度だということは紛れもない事実でありますから、その点で言えば、それは所得が完全に捕捉できないという面があるにしても、源泉税率を引き上げるなどして総合課税に移行するという手だては幾らでもあるのではないか、こう考えるのです。ですから、グリーンカードの指導を実施するという前に、いま三年間の延長措置をとってあくまでも五十九年からの実施であるというふうに国税庁としてはお考えになっているようでありますけれども、まずその前に繰り返して申し上げますが、源泉税率を引き上げるといったような手だてによって総合課税に移行するという手だてがあると思うのですが、この考えについてはいかがなんですか。
#6
○高橋(元)政府委員 現在、源泉分離を選択しておられます利子の支払いは一兆円弱ございます。これにつきましては三五%の税率で源泉選択をしていただいておるわけですが、この制度を使いますと、課税所得が八百万よりも上になりますと、源泉分離で取りっきりという場合には納税義務者にとって有利になるわけであります。それがいまお話のございましたように、不公平ではないかという御指摘だったと思います。
 それで、これから五十八年十二月三十一日まで利子配当所得の源泉分離選択課税制度を延長していただきたいという御提案をしておるわけでございますが、それに当たって源泉分離の税率を引き上げたらどうかという御指摘でございます。このことにつきましては、たしか五十二年度の改正というふうに承知いたしておりますが、現行の源泉分離選択課税率を三〇から三五に引き上げて延長を三年間させていただいたわけであります。そのときの経験からいたしましても、源泉分離選択税率を引き上げました場合に、現在源泉分離を選択しておられる貯蓄というものが架名の取引に逃げてしまう、あるいは非課税貯蓄の中に逃げてしまうということが出てまいります。五十二年、五十三年の貯蓄統計等を見ておりますと、かなり顕著にそういった非課税貯蓄の伸びが高まっておるという事実が観察されるわけであります。
 先ほども申し上げましたように、非課税貯蓄の管理についての制度、それは結局は本人確認と名寄せということになるわけでございます。限度管理ということになるわけでございますが、そういう制度が完備しておりませんと、源泉分離の選択課税率を上げた場合に現在三五%を払っておられるものがゼロになってしまう。それでは本来の趣旨である総合課税からかえって遠のいてしまうのではないか。私どもそういう経験を持っておりますので、今回は少額貯蓄等利用者カード制度による本人確認と名寄せの体制の整備が可能となる五十八年十二月までは現行制度を維持してまいるということで考えさせていただいておるわけであります。御理解をいただきたいと思います。
#7
○島田委員 それでは、御提案のありますグリーンカードの問題について少し細かな点で説明を伺いたいと思うのであります。
 まず民間の関係で言いますと、マル優、特別マル優の名寄せという問題があるわけでございますが、具体的にはいま局長から大まかなお話がございましたけれども、非課税制度の利用状況といいますか残高というか、これは郵政省もお見えでありましょうから、両方からお聞きいたしますけれども、残高が幾らになっていて、名寄せの模様、作業の進捗状態は一体どのようになっているのか、御説明を伺いたいと思います。
#8
○高橋(元)政府委員 後ほど国税庁の方から名寄せの状況または非課税貯蓄申告書の管理の状況については御答弁を申し上げますが、私ども、国税庁を通じまして直接に非課税貯蓄の残高というものが把握できておりません。したがいまして、これから申し上げます数字は、銀行局が金融機関の監督上集計しております数字でございます。
 少額貯蓄につきましては、銀行その他の金融機関扱い分が、非課税貯蓄申告書の数で申し上げますと、一億六千万件でございまして、八十二兆一千八十億円という残高を持っております。証券会社扱いのいわゆるマル優が五百六十万口で四兆二千八百億円という残高を持っております。それから国債別枠と言われております少額公債非課税制度、これが二百八十二万口で二兆九千億でございます。それから財形貯蓄、これも非課税扱いでございますが、郵便貯金を除きまして九百十五万件で二兆六千五百億円であります。それから郵便貯金が、これは口座または枚、両方合わせまして三億九百九十三万口座、四十四兆九千九百億円でございます。
 申し上げました数字はいずれも五十四年三月末でございます。
#9
○島田委員 ところで郵政省、いま大蔵省側から説明がありましたので残高等承知いたしましたが、郵便貯金は当然非課税限度額に達すればそれを超える部分については明らかにしなければならぬわけでありますが、ただ、いまの制度からいえば、その実態を捕捉することはなかなかむずかしい、こういう状態にあると思うのであります。しかし、郵便局としては名寄せ作業というのは常時おやりになっておるというふうに考えられるのでありますが、その点についていかがですか。
#10
○小倉説明員 御案内のように、郵便貯金は全国どこの郵便局でも預け入れができ、また払い戻しができる、そういう仕組みになっております。したがいまして、預入の際に個々の郵便局の窓口で利用者の貯金総額を確認することは困難でございますので、総額制限を超過しておるものがあるかどうか、こういう監査につきましては、貯金原簿を保管しております地方貯金局におきまして同一住所の預金者ことにいわゆる名寄せを行いまして、この監査に努めておるところでございます。
 そこで、この名寄せの結果、貯金総額が法律に定められております制限額を超えている、そういうものを発見いたしましたときは、郵便局を通じまして預金者の方にその旨を連絡申し上げまして、その方の貯金を制限額以下になるように減額していただいているところでございます。
 なお、どの程度の減額の状況にあるかということでございますが、昭和五十三年度におきまして名寄せを行いました結果、減額の措置をいたしましたものは二万二百件、二百二十一億円となっております。
#11
○島田委員 いまのお話は何年ですか、五十三年度ですか。
#12
○小倉説明員 さようでございます。
#13
○島田委員 実態的にはどの程度確度の高いものか、そういう点ではどうなんですか。
#14
○小倉説明員 郵便貯金は、郵便貯金法によりまして一の預金者につきまして一般の郵便貯金につきましては三百万円、こういうふうに規定されております。したがいまして、私どもでは、その預金者が全国どこの郵便局で預入をなさいましても、すべてそれぞれの預金者の住所地を所管いたします地方貯金局にその預入申込書の写しを集めまして全国一本で名寄せを行っておるところでございます。
#15
○島田委員 ところで、国税庁は、マル優あるいは特別マル優の名寄せを具体的には今後どのようにして進めていこうとお考えになっているのか。
 それからグリーンカードという名前が、私はどういうところから出たのかよくわからぬのでありますけれども、察するところ、国鉄のグリーン車、グリーン券というのがございますが、ああいうところから発想されたものかどうかよくわかりませんが、この際、カードの様式といいますか、どのようなものが考えられているのですか、それともそこにもうサンプルができているのであれば御提示願いたいのであります。
#16
○伊豫田政府委員 少額貯蓄等利用者カードの様式につきましては、ただいまいろいろ検討しております。材質、大きさ、いろいろな意味におきまして納税者の皆様に便宜かつ確実なものであるようにということで検討しております。
 ただいまのところ、たとえばその大きさについて、これを自動車免許証程度のものにするのか、あるいはさらにもう少し大きくした方がいいのか、こういうことをいろいろ検討している状況でございます。主たる記載事項と申しますか、必要最低限の記載事項としてわれわれがただいま考えておりますのは、納税者番号でなく、グリーンカードにつきましての番号でございます。それから氏名、それから利用者が設定いたしました金融機関等の店舗ごと、かつ貯蓄の種類ごとの非課税限度額を記入する欄あるいは使用上の注意、このようなものをただいまいろいろ検討させていただいている段階でございます。
#17
○島田委員 そうすると、このカードが二重に交付されるようなことはもちろん防がなければならぬわけでしょうが、絶対それは心配がないというふうに考えていいのですか。たとえばカードの交付を受けた。住所を変更した。交付を受けるときには住民票が要ると書いてありますね。しかし、移ったときに住民票が本人とついてはいっているわけですけれども、移った先ですぐもう一遍カードの交付申請をする、こういうことはあると思うのですよ。その場合、二重に交付されるようなことは起こり得ないと判断していいのですか。
#18
○伊豫田政府委員 御指摘のカードの二重交付につきましては、われわれもこのカードの問題を組み立てるにつきましていろいろと検討いたしましたところで、また事実心配したところでございます。
 それにつきまして結果的に申し上げますと、もちろん同一人に番号の異なるカードを二重に交付することがないよう万全の準備を整えているつもりでございまして、その仕組みといたしましては、まずカードの交付申請が出てまいります段階におきまして、それを電算機に入れまして、すでに交付が行われているかどうかについてのチェックを行います。それによって、もし二重申請の事実があればそこで新しい交付申請ははね出される、こういうことになります。それから、万一、二重交付が行われてしまったような場合におきまして、それが発見されました場合には、ただいま考えておりますのは、後の方で交付されたカード、この番号を電算機に記憶させることによりましてカードの二重使用あるいは不正使用というふうな事態が生じないようチェックするシステムをつくっております。
 それから、ただいま先生が最後に御指摘でありました住所等の異動の場合、これにつきましては、市町村等地方公共団体の協力を得まして住民票の異動につきましての情報をいただきまして、直ちに電算機の方に入れています情報を修正することといたしております。
 なお住所異動の報告等が、たとえば取りまとめて報告する等のために若干おくれる場合もなくはないかと思いますが、そのときにはただいま申し上げましたようなことによりまして、後から二重交付を受けたカードははね出される、こういうふうなことになっておりますので、ただいまの段階ではそれによって二重交付は防止される、このように考えております。
#19
○島田委員 交付を受ける場合にはあくまでも住民票の写しということが証拠になる、こういうことのようでありますが、そうしますと、地方自治体に住民登録をしている人が、地方自治体に私はグリーンカードを持っておりますということも申請しなければならぬということになりますか。そうでないと、役場としては本人が異動した場合に、住民票は確かに本人についていきます。これは戸籍法上そうなっているわけでありますが、しかし、住民票が移ったからといって、あなたの方ではグリーンカードを所持している者なのかどうかという判断はそれだけではできないわけです。そうすると、常に、異動のある住民票は、グリーンカードのコンピューターに入れていかなければならない。そうすると、カードを所持している者であろうとなかろうと、みんなコンピューターに入っていく、その中でグリーンカードを持っている者と持っていない者が選別されていくということになりはしないのですか、その点はいかがなのですか。
#20
○伊豫田政府委員 グリーンカードにつきましての異動情報を地方公共団体からいただきまして、これを修正していくというのはただいまの委員の御質問のとおりでございますが、その場合に、確かに、グリーンカードの交付を受けている者についての異動情報が必要なわけでございまして、それ以外の者についての異動情報はその交付を受けている者を特定する限りにおいて必要だ、やはりそういうことをいたしませんと、結局は、さらに電算機に入れています情報に混乱を生ずるということになりますものですから、全体の異動を連絡いただきまして、それの交付をすでに受けているカードについての異動情報だけをそこから抽出するということをコンピューターにやらせまして、その部分についてのみの修正を行っていく、こういうことになるかと考えております。
#21
○島田委員 だから、私の言うのは、そうすると、グリーンカードを持っている者は常に役場もそのことを承知していなければならない。グリーンカードを持っている者が異動しましたよというものがないと、あなたの方では全国の異動のものを全部コンピューターに入れて、そこではじき出さなければならない、セレクトしなければならない、こういうことになるのではないでしょうか。それは機械が非常に繁雑になりますね。それだけではなくて、グリーンカードを持っている者は常に役場に登録しておかなければならないということになるのではないですか。そうすると、役場は、異動した者がこれはグリーンカードを持っている者です、こういう付せんをつけて次の居住地に回してやらないと、いま言ったように、あなたの方では全部入れなければならぬというようなことになる。そういうやり方をとるというお考えですか。
#22
○伊豫田政府委員 その点につきましては、役場の方に選別していただくことは非常に困難かと思います。ただ、先生のおっしゃいましたところと若干違いますのは、ただいまのコンピューターは非常に進んでおりまして、そういう機械的作業につきましては、時間的にもあるいは経費的にもそう大きなものではございませんので、むしろ地方公共団体において、この住民についてはグリーンカードの交付申請がすでに行われたということを常に表示、あるいはイヤマークしておいていただくという手間に比べまして、はるかに、全体の情報を一度入れまして、セレクトのみに使わせていただくという方が事態は簡単でございます。したがいまして、そういう方法をとることといたしております。
#23
○島田委員 それはわかりました。
 ところで、カードの大きさはどの程度のものになるか。いまのお話ですと、免許証程度のものか、これは構想があるようでありますが、いずれにしても大事な自分の財産だから、できるだけ紛失しないように心がけるのでありましょうけれども、でも免許証でさえ紛失する場合がある。なくしたときはどうするのですか。どういう手続をとっていくのですか。
#24
○伊豫田政府委員 カードを紛失された場合のことにつきましてもいろいろ検討いたしましたが、ほぼ新規交付に準ずるような手続によりまして再交付申請を願うということを考えております。再交付申請をされました場合におきましては、コンピューターの中に情報が入っておりますので、現在入っている情報をカードに打ち込んだもの、たとえば何々銀行では非課税貯蓄限度額幾ら、何々銀行の何々店舗では幾ら、何々証券では幾らという情報をカードに今度は自分で書いていただくのでなくて、こちらで打ち込みまして、打ち込んだものを再交付申請の方にお渡しして、それで従来なくしたものと同様のものを再現してその後の非課税貯蓄を続けていただく、こういうことを考えております。
#25
○島田委員 二重交付という面と、ときには免許証でも、持っているくせに二重交付を受けるというようなことが行われるわけですね。これはどうも人を疑ったような話で悪いのでありますけれども、しかし、これはとにかく税制上の優遇措置というものがついて回りますから、そういう意味では、そういう点も未然に防止する必要がありますね。そういう点はいかがですか。
#26
○伊豫田政府委員 再交付という制度を利用しての二重交付という問題につきましては、先ほど御答弁させていただきましたように、二重交付をいかに防止するか、あるいは二重交付がすでに行われていた場合に、その不正使用をいかにしてはね出すかというところで御説明したような方法によりまして、再交付申請を受けたという事実をコンピューターに入力しておきまして、それが不正に使用された場合には、金融機関からの非課税貯蓄限度額の異動を通じましてわれわれの方ではね出し得るというふうなことにいたしてございます。
#27
○島田委員 ところで、カードを持っておられる人が亡くなった、こういう場合もございますが、そのときはどういうふうになるのでしょうか。
#28
○伊豫田政府委員 カードの交付を受けておられる方が亡くなられた場合につきましては、当然、地方公共団体等の住民票に異動が生じます。そういうことによりまして、私の方で死亡されたという事実をコンピューターに入力しておくことによりまして、あるいは相続等のための若干の時間も要るかと思いますので、そこら辺は細かく詰めておりませんが、ある程度の期間それが生きるような形にいたしまして、後でその処理をトレースするようなことでチェックしてまいりたい、そういうことによって不正使用が行われることのないように処理してまいりたい、このように考えております。
#29
○島田委員 ということは、死亡しましたという申告をするということですか。
#30
○伊豫田政府委員 死亡の事実につきましては、申告というよりも住民票上の異動が当然ございます。あるいは市町村に対して届けていただくことに現行法でなっていると思いますから、それによりまして、そちらの方から情報をちょうだいいたしましてコンピューター上の情報を修正してまいりたい、このように考えております。
#31
○島田委員 また、これも少し悪い理解の仕方で御質問するのですが、亡くなった人のカードを悪用するといいますか、そういうことを防ぐという手だてはどのようにお考えですか。
#32
○伊豫田政府委員 すべての問題につきましてそれを詰めるのはなかなかむずかしい問題でございますが、大筋だけ申し上げますと、非課税貯蓄でございますので、預金しているという状態が一応の場合には前提になります。したがいまして、ある期間がございます。そういう意味で、悪用するといいましても、私が申し上げましたように、死亡をした後、死亡をしたという届けが地方公共団体に出、それがコンピューターの方に来る間の問題であるということが一つ。
 それから第二に、それを仮に悪用するといたしましても、死亡者が所持していたカードでございますから、それをみだりに悪用することは税法上にも問題がございますのみならず、その他のいろいろな問題も生じてまいります。実際上はそういうことはなかなか起きないし、仮に起きたにいたしましても、後で十分トレースし得る問題ではないか、このように考えております。
#33
○高橋(元)政府委員 補足してお答えさしていただきますが、現在御提案いたしております所得税法の改正案の十一条の三の五項というのがございまして、これは少額貯蓄等利用者カードの交付等という規定でございますが、その中に政令をもって具体的な手続を定めるということを規定さしていただいております。その政令の中で、私どもといたしましては、ただいま国税庁からお答えかありましたような個人の死亡などの場合、これは住民票上基本台帳で死亡が確認されるわけでございますが、その死亡された個人の方について非課税限度額が設定されております場合には、これは国税当局が承知しております。国税当局としてはそれを金融機関の営業所の方に通知を差し上げる。それによって、カードの提示があってももう非課税貯蓄扱いでなくなっているという状態ができるだけ早くわかるように処置をいたしたい、そのような政令をもって処置をいたしたいという予定でございます。
#34
○島田委員 いま私がお尋ねをしているのは、みんな政令事項だろうと思うのですね。しかし、従来政令事項というのは法律の論議のときにはなかなか審議の場所に提示されない場合も多いわけであります。しかし、このグリーンカードというのは、やはり国民のいま関心があるのはその政令のところにあるわけでありますから、この辺のところはあとう限り明らかにしておいてもらうということを前提にいま私はお話を進めておるわけです。起こり得ないというお話でありますけれども、しかし、犯罪だって起こり得ないところに犯罪が起こるのでありまして、犯罪を承知の上で、法に触れることを承知の上で出てくるのが犯罪でありますから、グリーンカードなどという制度が出てきたことによって新たな余分な犯罪がここに生まれるとしたら、これは不幸なことだと思うから、そういう点なんかについても法律の上でしっかりそういう犯罪を未然に防止できるという予防の措置というものが必要だという観点に立っていま細かなお話をしているわけであります。ですから、その点についてはひとつ煩わしいと思わないで御答弁を願いたいと思うのであります。
 次に、子供の名前で貯金するという場合があると思うのですね。グリーンカード制ということになりますれば、すべて国税当局に把握される、こういうことになるわけであります。
    〔委員長退席、稲村(利)委員長代理着席〕
国民の守秘義務というのか――守秘義務という言い方はちょっとおかしいかもしれませんけれども、貯金がありますよという話は余り他人には聞かせたくない話でありまして、こういう点では、そこにいい人もおれば悪い人もおるものだから、いろいろな事件が起こるわけでありますけれども、法律上は収入のない子供がグリーンカードによって貯金されていくというようなことになれば、贈与税の立場から言えば、六十万円ですか、これを超えますと、いろいろ税法上の措置がとられるということになるわけですね。これもどうも画一的に、六十万超えました、あなた贈与税の対象であります、贈与税取りますよ、法律的に法律論議をすればそれが正しいのだけれども、しかし、庶民の感情から言えば、なかなかこの辺のところも釈然としないということがあるわけです。その辺のところは私の杞憂に過ぎればいいのでありますが、この制度を検討に当たっていろいろと御論議の中にも出ていたのではないかと推測されるのですが、この点はいかがですか。
#35
○伊豫田政府委員 問題が実は二つあると思います。一つは、この制度が定着した後にどのようにそのような問題に対処していくかという問題と、それからやはり経過的な問題とあると思いますが、私はずっと定着したときの一般的な問題として一般論についてまずお答えさしていただきたい、このように思います。
 まず一般論といたしましては、やはりいま委員のおっしゃいましたような場合につきましても、預金の名義人を一応所有者として、子供に対して贈与があったものとして課税せざるを得ないと思っておりますが、ただ、一般論としてでございまして、実際に子供の名義のみを使ったのであって、預金の真実の所有者は子供でなく、それはたとえば預金通帳を子供が持っていない場合とか、あるいはその預金の管理、運用を子供が行っていない場合とか、このような場合の特段の事情があると認められる場合につきましては、その預金を真実の所有者に戻すということを条件にお願いをいたしまして、それについての贈与税の課税を行わないというふうな取り扱いになるのではなかろうか、このように考えております。
#36
○島田委員 いろいろお尋ねをしてまいりましたけれども、私どもは分離課税が資産者優遇の、今日の利子配当課税一つにしてみてもなっている。それがグリーンカードといったような制度の中で、せっかく庶民がこつこつとためた、言ってみれば、へそくりみたいなものまですべて国税当局に今度は捕捉されてしまう、把握されてしまう。これはグリーンカード制度というものが、金持ちもあるいは庶民もみんな一緒くたに網の中に入ってしまうわけでありますが、それはもろ刃の剣とでも言いましょうか、そういうものでありますから、どっちの方に切れ味がよくてどっち側の方に切れ味が悪いといったようなことは許されないということは、それはわかるのでありますけれども、どうもそういう意味で言えば、私はグリーンカード制度というのは非常に血も涙もないような一面を持っているな、そもそもは、いまさら貯金の話の細かなことをする必要はないのでありますけれども、日本の現状から言えば、社会保障制度がおくれている、家族が病気をしたりあるいは子供が進学をしたり、娘が嫁に行ったりと、いろいろ家庭的には家計のやりくり大変でありますから、奥さん方は本当になけなしの金の中からつめに火をともすようにしてこつこつと貯金をされた。そもそも非課税措置というのは、そういう実態をとらえて三百万円までは税制上の優遇措置をとろうではないかというのが発想ではなかったかと思うのですね。今度はそういう夢も希望もみなぶっつぶすようなやり方をとろうというふうに私どもとしては感じられるのです。この辺のところはもう少し――いま、子供の名前でやっておったって、別に税制上、税法上の問題としては、それはまともなやり方をすれば贈与税かけてきますよということになるけれども、しかし、そうではなくて、もっと温かいやり方考えていますよという御答弁だったから、私はそれは了承しますけれども、しかし、なかなかどうもグリーンカードというのは釈然としない、そういう一面を残す制度ではないかというふうに思うのでありますが、私のこういう考え方というのは、財政当局としても御議論のあったことと思うのですけれども、なかなかそれは選択できない。さっき言いましたようにもろ刃の剣みたいなものでありますから、どっちにもいいようにあるいはどっちにも厳しくせなければならないといったような、そういうものになりかねないのはわかるとしても、その辺のところの庶民のいわゆる言うに言えない、訴えることのできないそういう気持ちに対してこたえるというのには、私はいささか説明不足のグリーンカード制度ではないかという気がしてならぬのでありますが、私のこの考え方に対して、大臣どうでしょうか。
#37
○高橋(元)政府委員 大臣のお答えの前に事実を申し上げさせていただきたいと思います。
 いまもお話しございましたように、わが国の個人の貯蓄率は世界に冠たる高さでございます。これは申し上げるまでもないことでございます。したがいまして、各世帯ごとの貯蓄の残高というのは収入よりも、大体総平均で一一四%ぐらい、一五%ぐらい上回っております。全世帯で年間収入が五十三年に三百九十万おありになったわけですが、貯蓄の残高は、保険の払い込みまで全部入れまして一世帯あたり四百五十万くらいでございます。大体その割合というのは、所得の、収入の大小によって変わっておりませんのですけれども、たとえば法人の経営者とか自由業者とか個人の事業経営者というあたりになりますと、年間の収入の一・四倍から一・六倍ぐらい貯蓄をお持ちであります。私どもは貯蓄動向調査等でいろいろこの辺の事情も検討し、議論もしてみたわけでございますが、私どもが把握できます一番大きな収入というのが法人経営者の七百六十七万円でございますが、この方々の平均の貯蓄は一千二百万であります。ただし、この中には自分の経営しておられる法人の株式がございますから、それを引きますと大体一千万ぐらい。現在は郵便貯金が三百万円、非課税貯蓄が三百万円、少額公債別枠が三百万円、合計九百万円の非課税限度を持っておられますから、非課税限度、これは事実上奥さんの財産であることもありましょうから、奥さんの名義をお使いになることもありましょう、そういうものを御利用になる限りは、大体の方々は非課税貯蓄の限度管理の中をきちっとやっていけばその中に御自分の貯蓄というものが入っていくと思います。
 問題は、現在の支払い調書制度、課税貯蓄二〇%源泉で税金をいただきまして、後で御本人が申告をしていただく。その課税分の貯蓄について、現在年間の利子の支払いが一件についてたしか一万円だと思いますが、一万円以上あります場合には金融機関が払った都度税務署に支払い調書を出していただくことになっていますけれども、その支払い調書が非常に数が多くて名寄せが大変である。そこをきちっとやっていくことによって将来とも総合課税の実が上がってまいる、また源泉分離選択課税制度を廃止することによって、全部の貯蓄が非課税貯蓄と課税貯蓄といずれかになる、こういうことをねらっておるわけであります。
 そこで、これはただいまの御質問がそうだというつもりで申し上げるわけでは毛頭ないわけでありますけれども、しばしば世間では、グリーンカード制度が導入された場合には個々人のおっしゃいますようなへそくりとか生計上やっております貯蓄というものが全部何円何銭ということが税務署にわかってしまうのではないかという危惧があるようであります。しかし、私どもはグリーンカード制度によって、個々人が持っておられます貯蓄の残高がどこの銀行に何万円、どこの銀行に何十万円というふうに全部わかるというような制度を仕組んで御提案申し上げておるわけではないのでございまして、非課税貯蓄等利用者カードに書かれますのは、たとえば何々銀行に二百万円までのマル優の枠を設定いたしました、何々証券会社に五十万円までの国債の保管の枠を設定いたしました、そういう限度枠を知らせていただくわけでございます。それと普通預金、当座預金といったような要求払いの預金につきましてはグリーンカードシステムの外ということを考えております。したがいまして、給与を振り込むような普通預金でございますと、それは二〇%源泉課税になりますけれども、グリーンカードの提示がなくて預金の設定それから預入、払い戻しということは可能であります。それから、定期性の預金につきましても、ただいま申し上げたようなことで、非課税貯蓄を選択しておられる限りでは残高というのはわからないわけであります。それから非課税貯蓄からはみ出てまいって課税になっておられるもの、これは非常に数も少ない方々のものであろうと思いますけれども、これにつきましては、支払い調書にカードの交付番号が打ち込まれて税務署に提出になるわけでございますから、その部分は比較的高い資産階層、それから高い所得階層の方々のものでございましょうから、これは国税当局で支払い調書のグリーンカード番号によって総合してまいりますけれども、そこを確実にしていくことが先ほど来お示しのありますような利子配当の総合課税の実を上げていくまさに一番のねらいでございますから、それによりまして申し上げましたように個々人の財産が全部あからさまになってしまうというようなことを避けつつ大きな貯蓄について総合課税の実を上げてまいるという制度として、かなり私どもなりに苦心をいたしまして御提案を申し上げておる次第でございます。御理解をいただきたいと存じます。
#38
○島田委員 ところで、経過措置というのが一つございますが、郵便貯金の場合は政府が実施を予定しております五十九年一月一日以前の、極端に言えば五十八年の十二月三十一日に預け入れをしたものでもこれは引き続き非課税の扱いということになるわけですが、民間のマル優の預金については、五十九年中に洗いがえをしないとこれは非課税扱いにならぬ、こういうことのようでございますが、これは取り扱い上不公平ではないかという意見もあるのでありますが、これはいかがですか。
#39
○高橋(元)政府委員 五十九年の一月に非課税貯蓄等利用者カード制度に全面的に移行しました後は、民間の金融機関が預かります非課税貯蓄も郵便官署の預かります郵便貯金も、いずれも少額貯蓄等利用者カードの提示が義務づけられておりまして、受け入れる方もそれによって確認することが義務づけられておるわけでございます。したがいまして、五十九年の一月一日以降は民間であれ郵政官署であれ同一の方法で新制度に移行する、その点は差はないと思います。
 ただ、問題は、五十八年の十二月三十一日以前にグリーンカードを利用せず、したがってグリーンカードの交付番号が証書または通帳に記載されないでおります郵便貯金と民間の課税貯蓄との関係であろうと思います。それは、現在の民間の非課税貯蓄は、税務署長に対して非課税貯蓄申告書というのを金融機関の営業所を経由して預金者本人から出していただくということによって初めて非課税の手続がとられるわけであります。したがって、非課税貯蓄申告書の提出によって営業所ごとに非課税貯蓄限度額というのが設定されます。それが五十九年の一月一日から十二月三十一日までの間に少額貯蓄等利用者カードにその限度額を写しまして、転記をしていただくわけであります。申告書が全部なくなってしまいまして、今度はカードに書かれました何十万円、何百万円という限度だけが生きてくるわけでございますから、転記をして金融機関の支店長さんの確認を受けるということによって六十年の一月一日以後も民間の分は非課税が継続されるということになりますが、郵便貯金は制度上三百万円の預入限度、預入総額制限という郵便貯金法の規定がございまして、これは郵政省がおいでになりますが、総額制限を超えました場合には減額措置をしなければならぬ、減額措置をとれない場合には、国債を買って預かっておかなければいかぬという規定がございます。そういうふうに郵便貯金法の中で預入限度総額制限を守り、かつ、限度超過の場合に減額措置をおとりになるということが決まっておりますから、したがって郵便貯金の場合には、五十八年の十二月三十一日以前に預かりました貯金は特別の手続を要することなく、つまり非課税貯蓄申告書またはそれにかわるカードへの限度額転記ということを経なくて非課税の取り扱いが継続していくという点で差があるという御指摘かと思いますが、これはくどいようでございますけれども、いわば民間の非課税というのは、現在申告書の提出によって非課税の要件が備わるわけでございます。郵便貯金の場合には、法律によって三百万円という限度が設けられておる。そこの制度上の差異によって起こってくるわけでございますが、承知しておりますところでは、大体、定額貯金というのは十年まで継続できるわけでございますが、現実には四年ぐらいの年数で全部新しいものに総体といたしまして回転をしていくようでございますから、五十九年以降いま申し上げた制度上の差が若干続きますけれども、それ以後入ってまいります貯蓄につきましては、民間の貯蓄も郵便貯金も同じ制度のもとでグリーンカードの確認を経て非課税の手続に入るということになるというふうに私どもは考えておるわけでございます。
#40
○島田委員 ところで郵政省、先ほど名寄せの作業の状態を御説明いただいたのでありますが、郵政省としてはグリーンカードが導入されれば直ちに対応できる、こういうふうな状況にあると理解していいんですか。
#41
○小倉説明員 いまの先生のお話でございますけれども、このグリーンカードの制度は、架空名義によります預入によりまして利子課税を免脱されるのを防止するために、数千万人に上ります非課税貯蓄の利用者に預入の際にカードの提示を義務づける、こういう仕組みになるのでございます。そういうようなことにかんがみまして、制度の趣旨の周知徹底を図るということが、また、カードの発行体制等につきましても十全な準備を行っていただくということが必要であろうか。そういうようなことから、相当の期間が必要なものであろう、こういうふうに理解しておるところでございますので、そういう面が、郵政省といたしましても、特に数多くの利用者がおいでになります窓口を預かっております立場から、制度の趣旨が預金者の方々に十分徹底され、円滑に実施に移される、こういうような必要があるのではないか、このように考えるところでございます。
#42
○島田委員 PRの期間とか、あるいは大変精密なコンピューターの設置とか、制度に踏み切るまでの事前の作業というのがいろいろかかるようでございますが、しかし、想像するところ、相当これはお金のかかる話だなあと。先ほど六千万くらいの枚数といいますか、グリーンカードの発行を予定している。六千万というのが何が根拠ではじき出された数字かわかりませんけれども、これはコストとしては相当かかりますが、このコストはどこがお持ちになって、どういうふうに処理をされていくという考えですか。
#43
○伊豫田政府委員 少額貯蓄利用者カード制度を動かしていくために要する費用につきましては、やはり制度の具体的な詰めがいろいろな意味でもう少し詰まってまいりませんと、それと並行してでないと決まっていかない。その意味で、やはりはっきりした金額と申しますのは準備の進行の度合いに応じまして決めていかなくてはならない、あるいは決まっていくもの、このように考えておりますが、全体のめどもなくということではとてもいけませんので、その全体のめどの計算につきましてはただいま鋭意検討しておりますので、近く御答弁できる機会が来るのではないか、このように考えております。
#44
○島田委員 これはまた不思議なことをおっしゃるのですが、先ほどお話にありましたが、私が、グリーンカードに移行する前にも不公平税制を是正するという立場からいろいろ手だてがあるのではないのかという話をしましたのに対して、局長からの答弁では、総体的な金額は大したことない、そういう話なんで、むしろグリーンカード制度によってしっかり捕捉できれば不公平税制の是正も可能であるし、税金の面からいってもその方が収入増だというふうな印象で私は聞いたのでありますが、私の聞き方が間違っていたのかどうか。コストをなぜ私が聞いたかというと、膨大なコストがかかって結局税収はさっぱり伸びなかったというふうなことなら、いま細かにいろいろお聞きをしてまいりました点などを考えますと、グリーンカード制度が必ずしもベターではないのではないかという感じが私はするから、最後にコストのところで、一体どうなんですかと、こう聞いたわけですが、まだその点の検討が全くなされていないのか、なされているけれども公表の段階でないのか、いずれかでありましょうけれども、それじゃどうも私どもは――冒頭で財政再建、税収の問題、それは不公平税制の是正をたてまえにしてやはり税の収入増を図っていくという、当然納めていい人に税金を納めてもらうんだ、かたがた、不幸にして税金を余分に納めるというようなことがあってはいけませんから、そういう点をしっかり担保できるものでないといけないんだということを冒頭に私は少し長い前置きを申し上げたのはそういうことなんであります。最後にお聞きしたところでそれが明確でないというのなら、私は、グリーンカード制度というのは、どうもいままでお聞きした点で輪郭はわかったけれども、意図するところがわからないという結果に終わってしまうのですが、この点、私が納得できるような説明をもう一遍いただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
#45
○高橋(元)政府委員 国税庁からお答えが後ほどあると思いますが、私が先ほどお答え申し上げましたのがやや正確を欠いておりましたので、おわびしながらもう一度申し上げたいと思いますけれども、私が先ほど申し上げましたのは、源泉選択の制度を三年間延長するならば、その三年間延長期間中三五%をさらに引き上げてはどうかという御提案に対して、引き上げますと、かえって現在三五%の税率で源泉徴収をしております源泉選択の課税分が非課税貯蓄の中に紛れ込んでしまう、そういうおそれが多分にございます。したがって、増収策と思ってもかえってマイナスになりますというつもりでお答えをしたわけでございます。
 グリーンカードシステムというものが効果を上げてまいりますと、現在、少額貯蓄の中に――こういうことを考えたくはないわけでございますけれども、本来少額貯蓄優遇の取り扱いを受けることのできない貯蓄というのが入っておるかと思います。現在、少額貯蓄による減収額は、私どもの試算によりますと二千六十億ということでございます。利子所得の課税の特例と配当所得の課税の特例によります、これは源泉選択制度でございますが、減収が国税で六百億、地方税で九百億ございます。こういったものが、課税の適実が達成されることによって少額貯蓄全体が課税に移ってくるということはとうていないわけでございます。その中に本来資格のないものがあって、それが課税の分野に戻ってくるということも想定されるわけでございますし、二〇%の支払い調書によって把握されているものにつきましても、やはり上積みの総合課税によってもっと税収が上がってまいるということもあるわけであります。そういった仰せのありますような財政再建、それから税制に対する国民の信頼、増収、そういった観点からの改善のためにぜひとも必要な第一歩であろうというふうに私どもはグリーンカードについて考えておるわけでございますが、先ほどもお答え申し上げましたが、ことしの十月までにグリーンカードの交付に関する政省令というものを、金融機関とも国税庁ともいろいろ相談をしながら、非常にワークしやすい、かつ国民に御理解の願いやすいそういう形を考えてまいりたいと思います。そういうワークしやすいカードシステムというものがどういうものであるかということにつきまして、私どもいま国税庁ともるる相談をいたしておりまして、そこがよく詰まっておらないので、国税庁からはっきりした数字が申し上げられないというお答えが先ほどあったかと思いますが、事情はさようであるということを御理解いただきたいと思ってお答え申し上げました。
#46
○島田委員 それではグリーンカードの関係はそれで終わりまして、もう一つ、税制上非常に問題になっておりますのが土地税制という問題でございます。
 この土地の問題を考えますと、いろいろ立場によって大きな観点の違いというものが浮き彫りになってくるわけでございますが、たとえば建設省の立場で言えば、宅地をぜひ確保したいので、その供給促進方を願っているでありましょうし、大蔵省の立場で言えば、どの立場でこれをお考えになるか。まあ当然、税という問題を中心に置いてこの土地の問題というものをお考えになるのだろうと、こういうふうに思うのでありますが、今回の土地税制の改正という点で考えられますのは、一体全体宅地供給促進という土地政策上の観点から出されたものなのか、あるいは土地譲渡所得者の税負担の公平化を期する、そういう点を重視してこの改正に手をつけられたのか、その辺のところをひとつ明確にされたい、こう思います。
#47
○高橋(元)政府委員 昨年、税制調査会の中に土地税制特別部会というのを設けて、五十五年末をもって期限切れとなります現行の租税特別措置法の規定の後どういうふうにするかという御審議をいただいたわけであります。その税制調査会での御審議をいただいた視点と申しますのは、三大都市圏、特に首都圏における住宅、宅地問題にいかに対処すべきかという観点からの検討が主眼でありました。しかしながら、いまもお話のございましたように、税制としては税負担の公平ということが根幹でございますから、税負担の公平の観点の中で、先ほども申し上げました三大都市圏、特に首都圏における住宅、宅地問題にいかに対処するか、そういう両面からの制約のもとでの検討であったわけでございます。もちろん、税制でございますから、これのみをもって宅地の供給促進、住宅の供給促進という効果がぴしゃりと出てまいるとは私どもは思いませんけれども、現在まで行われておりました租税特別措置法の規定のもとで、土地の譲渡について、ことに三大都市圏の中で若干の支障を生じている面があるならば、それは改善をすべきであろうし、それからさらに高層化等の住宅需要というものに対処するうまい方法があれば、それはやはり税制面で工夫してみてもいい。しかしながら、大枠は土地譲渡所得者に対して大幅な税の軽減を行うことは適当でない、そういうことであったわけでございます。
 そこで、三大都市圏における市街地の地価の水準とか宅地供給の実態を考慮して、円滑な宅地の供給を促進するとともに、立体化、高度化による土地の有効利用を推進するために、土地の長期譲渡所得課税について所要の見直しを行うという観点からの改正を租税特別措置法の改正として御提案を申し上げている次第でございます。
#48
○島田委員 そもそも今度の譲渡所得の土地税制に対するものは、緩和措置こういうことによって提案がなされているわけでありますが、たとえば現行の譲渡益は二千万円までは二〇%の税率適用というのを譲渡益四千万円まで拡大するといったようなことでありますが、宅地の供給促進と地価の安定というものに資するという観点から税調が検討し、答申を行った、いまそういう御説明があったわけでございますが、大蔵省は、従来、土地税制の緩和が宅地の供給増をもたらさない、これは厳しく反論をしてきておりました。しかし、結局は大土地所有者や不動産業者に迎合した不公平な優遇措置を講じている、こういう結果になっているではないか、こう決めつけられても仕方がないような提案の仕方ではないかと私は思うのであります。
 ちょっと建設省と大蔵省の立場の違いでそれぞれ対比してみますと、おもしろいアンケートがあるのであります。これは税調に出された資料のようでございますが、大蔵省から土地取引に関する意識調査結果、特に利子と土地の関係についての抜粋の資料がここにあるわけでありますが、意識調査を行っているようでございます。大蔵省の今後の土地税制改正との関連から見た土地保有者の譲渡意思のアンケートの結果を見ますと、税制がどのように改正されても当分の間土地を売却する意思はないとお答えになっている人が実は七二・五%おりますね。ところが、建設省が、これは同じような設問ということにはならないのでありますが、若干立場といいますか内容は変わっているようでございますけれども、たとえばあなたは土地の売却と税金との関係についてどのようにお考えですか、つまり、税金が土地というものを売るときの意識としてどの程度土地所有者にあるのかという調査がございますが、同じような項目を比較するという中で言えば、税金がいまより安くなっても売却するつもりはないと答えている人が実は四〇%であります。そうすると、これはずいぶん違うのですね。同じ人にアンケートを求めたのではないから答えが違っていてもこれはいたし方ないのでありますけれども、大蔵省側は、七〇%以上が税制がどういうふうに変わっていっても私は土地を売る気はありません、こう言っているのであります。ところが、建設省側のアンケートによると、税金がいまより安くなっても売るつもりがないんだという人が実は半分しかいない、こういうことであります。私は、そういうふうに考えてまいりますと、今度の土地の税制での改正というのは、まだまだ検討する余地があるように思えるのでありますが、この点はいかがですか。
#49
○高橋(元)政府委員 しばしばお答えを申し上げておることでございますが、私どもが土地税制を緩めたからといって、直ちに土地の供給がふえる、宅地の地価の安定が達成されるということにつながるものではないということを申し上げておりました。それは、こういう次元の話でございます。
 現在、租税特別措置法で土地のキャピタルゲインにつきましては、所得税法の本則の二分の一の総合課税を四分の三の総合課税、若干下の方は緩和されておりますが、二千万円以上四分の三総合課税になっておる、それをやめてしまうという御提案、それから現在は、四十四年一月一日以降取得された土地は全部短期譲渡でございますから、通常の総合課税の一割増しという税率によっておりますが、それをやめて五年または十年で、以前に取得した土地、それにつきましては二分の一じゃなくて全額総合課税、こういうような極端な現在の租税特別措置法の加重規定を廃止して、所得税法の本則に移れ、こういう御主張に対して申し上げてきたのが一番大きかったと思います。しかしながら、現在御提案しております土地税制の改正案は、先ほどの御質問にお答えしましたように、三大都市圏の宅地供給の促進という観点からの改正案でございます。その場合、土地を売ろうとしても税負担を考えるとなかなか売りにくいという御意見もあるし、また、売る場合でも切り売りになるという形をとらざるを得ないのではないかという御指摘もあります。
 そういう点につきまして、私どもは、昭和五十三年中に一都三県で土地の譲渡を行われた方の中から無作為抽出で、五十分の一ぐらいの割合でかなり大きな意識調査をいたしました。その結果が先ほどお示しのありましたように、どのように税制を改正しても、つまり所得税だけではなくて固定資産税、都市計画税も含めてでありますが、改正されても当分売りたくないという方が七二・五%あるわけであります。これに対して地主の意識調査という形で建設省がおやりになったのは、対象の地域、サンプル、母集団も違っております。これは現在百五十坪以上の土地を東京、横浜、川崎で持っておる人を無作為抽出して、三百人ぐらいでございますから、私どものやりました意識調査のサンプルの十分の一ぐらいでございますが、それについてアンケートを求めて、そのときの、いまお示しのあった四割というのは、売却したときの税金が高いから売りたくないというお答えが出た方が四五・五%。したがって、七二と四五の持っている意味は若干違うと思います。それはサンプルも違いますし、アンケートの質問も違うわけであります。したがって、直ちに対比するわけにいきませんけれども、現在の土地の三大都市圏における売買状況等を見ますと、二千万円以下の譲渡益で売っておるという方が全体の八五%であります。そうなりますと、一坪当たりの地価を考えますと、大体二十坪から四十坪ぐらいの土地というものが三大都市圏、これは東京国税局の管内でございますが、その市街化区域内の取引の通常のスケールかと思います。二十坪、四十坪ぐらいの細かく区切られた土地というものがかなりたくさん、全体の取引の八割五分にも及んでおるということは、将来の都市像としてもかなり問題もございましょうし、居住環境としても問題をはらんでおると思います。そういう点を解決する方法はないのかということであります。
 それで、それを四千万円まで二〇%比例というふうに改めれば、土地の譲渡益が大きくなって税率が累進で高くなってくるから、したがって幾らで国税に取られてしまうかわからない、したがって売りたくないという方々について、比例課税部分を四千万円まで上げますれば、税負担部分が明確になって売りやすくなるという効果をねらったわけでありますし、また八千万円のところまで二分の一総合課税といたしましたのも、いま申しましたような、たとえば東京近郊の税務署について調べました売り控えの状況、切り売りの状況、それから地価ないし土地の譲渡面積の状況等々から判断いたしまして、通勤圏内でテラスハウスなりマンションなり建てられる五百平米ぐらいの土地の供給が大体できるというのが八千万円というふうに思います。
 したがいまして、二千万円から四千万円まで比例課税分を高め、四千万円から八千万円まで四分の三総合課税を二分の一総合課税に戻すということによって、私ども、主として東京通勤圏を政策対象地域としては一番重要だと考えておりますから、東京通勤圏を前提といたします限り、現在の切り売りないし売り控えというものがそこで解決されるのではないか。しかしながら、全国一円について四分の三の総合課税を二分の一に下げてしまう、それによって土地の譲渡者の負担が大幅に軽減されるということは、これは避けるべきであるというふうに思いますし、四十四年の一月一日以降はすべて短期取引として重課をするというシステムも変えないということで対処しておりますし、もう一つは、現在の租税特別措置の土地税制というのが所得税法の本則に対して税率を重くしておる加重規定でございますから、適用期限が来たらいまに安くなるよということで人気的に売り控えが起こるということを阻止するために、租税特別措置法の規定にはしますけれども、期限の定めを取っ払ってしまって、今後こういう税制が安定的に推移するという前提で土地の供給ないし地価の安定ということを考えてくださいということにしておるわけでございます。
#50
○島田委員 いろいろ御説明がございましたけれども、私は、そのように局長がお考えになっているようなことで進むとも思えないところがあるのでありますが、特に最近の傾向としては、都市近郊の農家が税制の恩典を認めて積極的に土地売却をするというような行為というのは見られなくなっている、こういうふうな実態報告も実はあるわけであります。もうきょうは時間がなくなりましたから、細かに申し上げることはできないわけでありますけれども。
 とすれば、宅地供給の増加の効果というのは期待することは非常にむずかしい。だから、土地税制のこういう改革を行うのでありますという説明でありますけれども、しかし、今回の改正では適用期限を設定しない、こういうことでございますね。ということになれば、土地確保の計画課税なんていうのは、これはできないのじゃないのか。結局は従来以上に土地譲渡益に対する減税措置を広げたという結果にしかならぬのではないか、こういうふうに私は思うのですが、私のこういう理解の仕方は間違っていますか。
#51
○高橋(元)政府委員 繰り返しになって恐縮でございますが、現在の土地税制は、所得税法の本則に対して本則よりも重い税率を求めておるわけであります。したがって、五十五年の末までは租税特別措置法によって四分の三総合課税をやります、こういうことでございますが、五十五年を過ぎてしまえば、措置法の延長がなければ所得税法の二分の一の課税に戻ってしまう、こういうことになるわけであります。それが税制でございますから、措置法の規定でございますから、大体期限つきの規定であります。期限つきに重い規定を設けた場合には、期限が近くなってまいりますと、重い課税を受けるよりは一年待った方がいいという傾向が必ず出てまいります。それを避けるために期限の定めを取り払ったわけであります。したがいまして、所得税法の規定は二分の一、長短の区分は五年ということになっておりますけれども、そういうことと関係なく、土地につきましては長短の区分は、四十四年一月一日以後取得されたものは短期、それ以前に取得されたものは長期という区分は今後とも期限の定めなく続ける、それから八千万円超四分の三という総合課税の制度も期限の定めなく今後とも続ける、そういう前提で期限の定めを取っ払ったわけでございますから、期限の定めを外したことは土地の安定的供給につながる非常に大事なところであると私どもは認識しておる次第であります。
#52
○島田委員 局長はなかなか豪気な読みのようでありますけれども、そのようにいけば私は幸いだと思いますが、一面の危惧なしとしない、こういうことでいまの問題の点を一、二指摘をいたしたわけでございます。
 さて、残り少なくなってまいりましたので、以下の質問については保留をさせていただきまして、私の質問はあと一つで終わりたいと思います。
 今回の租税特別措置の整理統合によって不公平税制の整理はおおむね一段落した、政府側はこういうようなことを盛んに言っておられるわけでございますが、果たしてそうなのかどうか。私は、租税特別措置というのはいろいろ功罪がありまして、どの部分が不公平でどの部分が公正なのかという判断のむずかしいところも中身にはあることももちろん認めるわけでありますけれども、しかし、これでおおむね一段落したというのにはまだちょっと早いように思うのです。
 細かな点で申し上げてまいることはできませんが、一、二の点を申し上げてまいりますと、たとえば引当金の問題でございます。退職給与引当金あるいは貸倒引当金、こういったような租税特別措置があるわけでありますが、今回もかなり引き下げましたと、こう言って提案されているわけでございますけれども、私は実態論的に言えば、引き下げる余地というものがまだあるのではないかというふうに考えているのであります。それから、金融機関を初めとする貸倒引当金の繰入率についてだって、もっと引き下げを図っていくべきだ。私どもが提案しているのはもっともっと大きいわけでありまして、それから言えば半分にもなっておらないのでありますから、こういう点ではまだその余地を残しているはずだ、こういうふうに思うわけであります。したがって、一段落したというような考え方を私ども持っていないのでありますが、この点については、これは政治的な判断ということも一つございましょうから、せっかくきょうは大蔵委員会に大臣最初からこうやって御出席をいただいておるのに、一遍も大臣に質問しないのじゃ申しわけないので、最後の締めくくりの意味を込めて、大臣から私のいま提起いたしました問題について御所見があれば承りたい、こう思うのであります。
#53
○竹下国務大臣 大変きょうは勉強させていただきまして、ありがとうございました。質問を受けながら、そして局長の答弁を聞きながら私も勉強しておるわけでございますので、結構な機会であったと思います。
 そこで、租税特別措置につきましては、従来から積極的な整理合理化に努めてまいりましたが、五十五年度において、先ほど来御議論のありました利子配当課税についての総合課税へ移行するための所要の措置を講ずるとともに、企業関係の租税特別措置につきまして廃止または大幅一律縮減など思い切った整理合理化を行うことにいたしておるわけであります。今回の改正一つ見ましても、企業関係八十二項目のうち十項目が廃止、四十六項目が縮減、整理割合六八・三%、八十二分の十プラス四十六ということで、そうなるわけです。いつでもメモを持って歩いております。したがいまして、五十一年度以降五年間に、租税特別措置につきましては、医師課税の特例を初めとしまして、その主要な項目のほとんどについて改善措置が講ぜられまして、企業課税の租税特別措置について三十二項目の廃止、五十一項目の縮減、したがって五十一年から今度の分まで全部まとめますと八五%の整備が行われたことになるわけであります。
 そこで、私どもがよく、おおむね一段落したと思います、こういうお答えをしてきておることも事実でございますが、やはりこのお答えをいたします前提になっておりますのは、税制調査会の五十五年度答申におきましても、これらの改正によって「税負担の公平を確保する見地からの政策税制の整理合理化は、おおむね一段落したもの」と考えている、こういうふうに明瞭に評価をいただいておるわけでございますので、そのとおりを答弁で申し上げておる、こういうことであります。
#54
○島田委員 私の質問はこれで終わります。
#55
○稲村(利)委員長代理 関連質疑の申し出がありますので、これを許します。山田芳治君。
#56
○山田(芳)委員 時間がございませんので、ただ一問質問を申し上げますが、わが党の同僚議員が累次にわたって質問をしてまいり、またその回答も、次の所得税法の改正において処置をするという明瞭な回答をいただいている問題がございます。それは鰥夫、いわゆる男やもめの控除制度であります。これについては、高橋主税局長が八十七国会において、明瞭に次の所得税法改正において処置をしますと言っておられたわけでありますが、所得税法の一部改正が今国会に提案されておるのですが、どこを探しても鰥夫控除について何らの措置がされていないということは、明確に当委員会において大臣の出席のもとに主税局長が答弁をされた、また前の次官をやられた大倉主税局長も明確に答弁をされている問題でありまして、約束を守っていただかなかったことについてははなはだ遺憾でありますが、まずこの点について、どうなったのかということをお尋ねを申し上げたい。
#57
○竹下国務大臣 これは、御指摘のとおり五十二年三月二十三日の衆議院大蔵委員会であります。坊先生が大蔵大臣であったときであります。いま御指摘のような「所得税法の改正の機会がありますまでに何らかのお答えを出しまして御審議を仰ぎたい、そのように考えます。」という当時の大倉政府委員からの答弁もございますし、五十三年三月においてまたその御質問があります。それから五十三年十一月の大蔵委員会におきまして、また五十四年八月八日の小委員会が一番近いわけでございますが、高橋説明員から「所得税法改正の機会が来年到来するかどうか、これから五十五年度の税制改正の問題として検討してまいらなければならないというふうに思います。」という答弁もございました。御指摘のとおりでございます。
 したがいまして、私も、そういうものを読みながら、なぜ見送ったかということでお答えをいたしますならば、まず現下の厳しい財政事情ということで、今年度は各方面からいろいろな御要望がございましたけれども、いわゆる特別の人的控除の拡充等を含めて減収につながる新たなる措置は行わないという前提で税制調査会での調査をお願いしたということからがこのような結果になってきたわけでございます。
 したがいまして、今度は具体的にこれからどうするかということをお答えしなければならぬわけでございますが、この問題については、御提案の趣旨を体し、政府として五十六年度改正の問題として対処する所存であり、関係方面の御意見を十分伺って進めてまいりたいという答えをつくってまいりました。
 それからもう一つは、鰥夫控除という言葉でございますが、試みに国語辞典を引いてみますと、「やもお」というふうに書いてありましたことをつけ加えさせていただきます。
#58
○山田(芳)委員 大臣もそれなりに勉強されたようでありますから、その点は大いに敬意を表しますが、もう一遍繰り返すわけですが、はっきり申し上げて、いわゆるやもめで十八歳未満の子供を持っているというのは大体一万世帯以上ではないかと言われておりますが、これはわかりません。本年また国勢調査がありますから、そこでわかるかもしれませんが。
 なお、制度としては、イギリス、西ドイツ、フランス等では、寡婦の控除で、男女平等ですから両方いける、こういうことになっておるようでありますし、アメリカにおいては扶養親族世話費控除ということで同じ制度があるということを付加して申し上げておきます。
 そこで、処置をしてまいるというわけでありますが、男性と女性は法のもとの平等ということもありますが、現実には日本の現状において必ずしもそうでないと思うので、処置をする際に、これは主税局長にお尋ねをいたしたいのですが、いま寡婦控除が適用されている関係を見ますと、夫と死別し係累を抱えている人で、その係累は扶養親族または生計を一にする十八歳未満の子供、年所得が基礎控除以下である、こういう者に対して適用され、それと同じ適用条件の中で、夫と離婚をして子供がある、係累がある、こういう人は適用されておるわけでありますが、これについても当然適用されるということに考えてよろしいかどうか、この点をひとつ明確にしておきたいと思います。
#59
○高橋(元)政府委員 いま大臣からお答えがありましたように、五十六年度改正の問題として真剣に取り組んでいくわけでございます。現行の寡婦控除の場合、係累を抱えております場合には適用要件としては所得要件は入っておりません。ただ、夫と死別して係累のない寡婦につきましては、年所得三百万円以下ということで寡婦控除の適用があるわけでございます。
 鰥夫と寡婦というものが経済的または社会的にどういう地位にあるかということについて、私ども厚生省なり関係の役所とその実態について勉強をいま進めておるわけでございます。いま男と女と全く同じということではないのだろうというお示しでございます。私ども、その辺のところをどういうふうに考えたらよろしいのか、せっかく勉強してまいらねばならぬというふうに存じておる次第であります。
#60
○山田(芳)委員 それでは一言だけ。婦人の場合には、夫と死別し、あるいは離婚をした場合には生活条件が厳しいということがあります。まあ男やもめの場合には比較的そういう点がない。だから、全く同一にせよとは申しませんけれども、少なくとも、いま大臣も明言をされたように、五十六年の税制改正には実施をいたします、そしてそれはいま言ったような形であるということだけ最後に一言答えていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
#61
○竹下国務大臣 先ほどお答え申し上げましたとおり、そういう方向で準備させていただきます。
#62
○山田(芳)委員 それでは終わります。
#63
○稲村(利)委員長代理 中村正三郎君。
#64
○中村(正三郎)委員 所得税法の一部改正案についてお伺いいたします。
 今回の所得税法改正案におきましては、給与所得控除について、給与収入一千万円を超える部分に適用される控除率を一〇%から五%に引き下げるとされておりまして、高額所得者に対して税負担がふえるようになっているわけでございますが、わが国の所得税の累進税率は、この間の大蔵大臣の本会議における御発言にもありましたように、先進諸外国に比べまして非常に累進度が高いわけでございます。年間収入で見ますと、三百万から五百万程度の中所得層ではフランスと並びまして所得税の実効税率が低いのに対しまして、年間収入が五千万円以上になると、先進国の中で最も高い所得税率になるわけでございます。この改正を行いますと、年収が千六百七十一万円以下の人の所得税は、イギリス、米国、西ドイツ、いずれの国よりも負担が少なくなり、また年間所得四千八十万円以上の所得の方は、世界じゅうの先進国のどこの国よりも高い負担になるわけでございます。これはグラフを書いてみますと非常にはっきりするのでございますが、先進国の中では異常に高い累進税率であるとわれわれ思うわけでございます。
 これを給与収入所得階層別人員で見てみますと、五十三年度分給与収入が一千万円以上の方は、人数では全給与所得者の〇・五%にすぎないわけでございますが、これらの方の納めている所得税は全給与所得者の納めている所得税の一一・九%に当たるわけでございます。また、三百万円以下の収入の方は、人数では全給与所得者の七〇・五%を占めているわけでございますが、この方々の納めている税金が三一%にすぎないというのが現状でございます。
 にもかかわらず、ここに総理大臣官房広報室の行った去年の世論調査があるわけでございますが、世論調査の中で所得税が高いという答えをなされた方が五八%、過半数を占めておりまして、逆に安いという答えをされたのが一%しかいらっしゃらないわけでございます。しかるに、この調査の対象者の中の四三%の方は五十三年中に所得税を納めていない方であったという統計があるわけでございます。こういう方たちは、税金によって受けている恩恵については余り意識がないと申しますか、考えずに、大変重税感を持っておられるというのが現実だと思うわけでございます。また、同世論調査で、国や地方公共団体が支出しております小学生一人当たりの教育費の負担額、五十二年で三十六万一千円を示して、この金額につきまして感想を求めましたところ、思っていたより多く支出があるんだなということを感じられた方が四七%もいらっしゃるわけでございまして、少ないと感じられた方はわずか九%でございます。
 このようなことを考えますと、政府は高額所得者の税負担を引き上げるばかりでなく、中所得者に対しても、この税の恩恵ということをPRいたしまして、そして応分の負担を求めるようにする必要があると考えるわけでございます。
 イギリスにおきまして、サッチャー以前に大変高い所得税をかけまして、国の経済自体が非常にスローダウンしたというようなことで、サッチャーになりましてから、たしか八十数%でございました最高税率を約六〇%ぐらいでございますか、下げた実例があるわけでございます。このようなことに関しまして、政府の御見解をお伺い申し上げます。
#65
○竹下国務大臣 現在のような財政の公債依存体質を改善して、財政の対応力の回復を図るために財政再建が急務であるということは決まり文句のように言っておるところでありますが、今年度の税制改正そのものの考え方からいたしますと、総選挙前後にいろいろ公費のむだ遣いでございますとか、そういうような世論が厳しい環境にあったわけであります。したがって、新たなる負担を国民の大方に求める、すなわち入るをはかって出るを制するという、その入るをはかることを後にして、まず出るを制しようという考え方のもとに予算編成に臨んだわけであります。
 したがって、いま御指摘のとおり、課税最低限は一番高く、また累進率も一番高いというような税制であることは事実でございますので、イギリスのサッチャーさんの行いましたのは、いわゆる勤労意欲を喪失してしまったという大変な状態の中での一つの勇断であったと思うのでありますが、いま日本の税制そのものがそこまで考えるということに対して、現状においては適当なものではない。ただ、今後さらにPRしていけ、有業人口の中で所得税を納めておる人口が少ないではないかというような実態につきましての啓蒙活動というのは、これは今後ともやっていかなければ国民の理解を求める基礎的要件が整わないというふうに考えております。
#66
○中村(正三郎)委員 次に、わが国の税体系についてお尋ねしたいと思うわけでございますが、わが国の税体系はいわゆる直接税、間接税の比率で見ますと、戦前におきましては間接税が五割をはるかに上回る額であったわけでございます。ところが、現在では、五十四年度で直接税が六七・三%、間接税が三二・七%と伺っております。間接税は直接税の半分以下になっているわけでございます。
 この直間比率について、先ほど中村議員もいろいろ外国の例を引いておられましたので、外国の例を見ますと、イギリスでは間接税が三九・五%、西ドイツでは四三・六%、フランスでは五九・九%という高率の間接税を取りまして、フランスは、御承知のとおり、先進国の中では一番所得税率が低いわけでございますが、アメリカは非常に直接税に頼る額が多い国でございますが、最近直接税中心の税体系について見直しが行われているということでございます。所得税に余りウエートをかけ過ぎた税体系といたしますと、たとえばの話でございますが、所得税を免れれば、現状、日本の税制では住民税も免れてしまうとか、あるいは事業税も免れることができるとかいうことが起こってまいりますし、社用族と言われますような人たちに、所得税のかからない、しかも実質上の所得があるのではないかというような議論も出てくるわけでございます。
 そういうようなことを考えてみますと、直接税、間接税を組み合わせて、一つの税に余り重点を置かないような税制を考える必要があるのではないかと考えるわけでございます。所得税には垂直的な公平ということが言われますし、間接税につきましては水平的な公平ということが言われますが、税制といたしましては、この両者を組み合わせることが望ましいのではないかと思うわけでございます。
 また、財政再建に当たりまして、税負担という面におきましても、今度の租税特別措置法の改正がございますし、また来年度予想されておりますいわゆる退職給与引当金の優遇措置の減額があるわけでございますが、この退職給与引当金、ちょっと話が飛ぶのでございますが、これ一つとりましても、実質的な法人税の増額が一・一%ぐらい行われたようなかっこうになると伺っております。しかも、退職給与引当金を引き当てている企業というのは大体大企業だそうでございまして、そういう面から税源ということから考えましても、余り直接税に頼っていくのはもう限界ではないかということを考えるわけでございますが、この直間比率の問題につきまして政府の御見解をお伺いしたいと思います。
#67
○高橋(元)政府委員 いまもお話ございましたように、わが国の直接税の割合というのは、四十七、八年ごろ高かったことがあるわけでございますが、最近またかなり上がってまいりまして、現在、お示しのように、大体七対三という割りで直接税でございます。外国の数字もいまお話がございましたが、イギリスは昨年のサッチャー改正で直間の比率が四五対五五くらいになったかと言われております。アメリカでもいま九対一の直接税国でございますが、これはどういうふうになるかわかりませんけれども、ウルマンの提案というのがございまして、ウルマン歳入委員長の提案のようなことが実現したといたしますと、九対一の直間比率が五対五になるということも聞いております。
 そこで、所得税は、理論的には個人の応能負担という意味では担税力相応の総合累進課税でございますから、最も望ましい税制でございますけれども、いずれの国におきましても、所得税の単一税制というものが実現したこともございませんし、そういうことが税制上の理想であったということもないと思います。税制というのは、個別の税制の組み合わせによって体系となって初めて全体として国民の方々に国の必要な費用、公共の必要な費用を負担していただく仕掛けでございますから、したがいまして、各種の税金の組み合わせについて配意するということが、これから先、財政再建を考え、また歳入につきまして国民の御理解を得て増収措置を講じてまいります場合には一番基本になることは申し上げるまでもないわけで、歴史的に直間の比率が日本は七、三であり、かつては三、七であった。アメリカが九、一である、イギリスが直間が六、四である、そういうことはそれぞれの歴史ないし社会の沿革を背負っておるものだというふうには思いますけれども、これから先、次第に国際間の交流と資本及び労働の交流ということも盛んになってまいりますと、税制が一国の独自の事情で規定されることは当然でございますけれども、それによってやはりまた国際間の問題、企業と申しますか、経済全体の国際的な競争力というものが改めて問題になってくる。いろいろ広い見地から歳出の問題もございます。歳出につきまして節減の努力、効率化の努力というものはなお一層これから続けてやらなければならないと思いますけれども、安定的に伸びてまいる歳出に対応してどのような歳入構造が適当であるか、それにつきまして時間をかけて十分検討すべきである、五十五年度の税制調査会の答申でもさような御意見をいただいております。私どもは、ただいまお示しのありました直間の比率について広い見地から考えていくべきだろうし、直接税に今後どんどん偏っていくことには問題があるのではないかという御指摘でございますが、その点も十分踏まえまして、今後中期的な見地からいろいろ掘り下げて検討いたしてまいりたいと存じておる次第であります。
#68
○中村(正三郎)委員 先ほどの所得税の問題もこの法人税の問題もそうでございますが、余り直接税に頼って、イギリスのように意欲がなくなって企業家もまた働く人も意欲を失うということのないような税制にして、なおかつ、税の財源を確保するということに御努力いただきたいと思う次第でございます。
    〔稲村(利)委員長代理退席、愛知委員長
    代理着席〕
 次に、利子配当所得の総合課税の移行についてお伺いいたします。
 利子配当所得につきましては、五十九年一月より総合課税に移行するということでありまして、そのための方策として少額貯蓄等利用者カード制度が採用される、グリーンカードということでございますが、国民といたしまして、税負担の公平を図る見地から利子配当所得が総合課税へ移行するということになります以上、それが公平に行われ、そこに抜け道があるようなことではいけないと思うわけでございまして、その把握につきまして万全を期していただきたいと考えておるわけでございます。
 そこで、第一にお伺い申し上げたいことは、先ほどからたびたび話には出ておったようでございますが、銀行預金と郵便貯金との間に総合課税移行に際して経過措置に、国民の側から見ますと、若干の不公平が起こる危険があるのではないかということを感じるわけでございます。
 今回の所得税法改正案によりますと、五十八年末までになされた民間の非課税貯蓄につきましては、五十九年中にすべて洗いがえされるということでございますが、それに対しまして、郵便貯金の場合は五十八年末までに預け入れすれば定額で最長十年でございますが、そのまま預入しておけることになるということでございます。これでは、昭和五十八年末までに駆け込み郵便貯金が起こり、預金の郵便貯金に対するシフトが起こるのではないかという懸念を持つわけでございます。この点郵政省にお伺いしたいわけでございます。
 また、郵便貯金につきましては、三百万円の先ほどからお話に出ております法律による預入総額の制限があるわけでございますが、これが守られていないのではないかという見方をする人がいるのは事実でございます。今後利子配当所得の総合課税が実施されますと、郵便貯金がその抜け穴にならないように、この三百万円の限度管理に万全を期す必要があると考えるわけでございます。
 すなわち、カード制の導入におきまして、民間金融機関と郵貯の間の管理の差が浮き彫りにされてくるのではないかということを感じるわけでございます。すなわち、銀行の場合、マル優の制限管理や支払い調書の名寄せなどは国税当局によりましてかなり厳しく管理されていると伺っているわけでございますが、郵政省の場合、三百万円の限度管理につきまして、具体的にどのような仕組みで行われることになりますのか。先ほど御質問された方と若干ダブるかもしれませんが、その場合に、何年も前に預け入れられた預金と新規に預け入れられたものの名寄せでございますとか、非常に遠隔地で、九州と北海道とか遠隔地で預入された貯金をどのように名寄せしていきますのか。また大変件数が多い預金だと伺っているわけでございますが、そういったものを管理するためにコンピューターを使ってオンライン計画があるようなお話も伺うわけでありますが、そのようなことがございましたら、その概要とその仕組みについて御説明いただきたいと思うわけでございます。
#69
○小倉説明員 現在の郵便貯金の総額制限を監査するための名寄せの方法等でございますけれども、御承知のように、郵便貯金につきましては全国どこででも預入ができるという仕組みになっておりますので、個々の郵便局の窓口において監査を行うことは困難でございますので、貯金原簿を所管しております地方貯金局でそれぞれの預入の書類の写しを集めまして、全国一本で、また古いものにつきましても含めまして名寄せをしておるところでございます。この名寄せにつきましては、現在、いま申し上げました地方貯金局で手作業で行っているところでございますが、ちょうど私どもの方の郵便貯金の事業につきましては、現在オンラインシステムを用いました総合的な機械化の計画を進めておるところでございます。この名寄せの事務につきましてもコンピューター処理に移すことにいたしまして、ちょうど本年度からコンピュータ処理への移行を始めまして、逐次全面的にコンピューター処理による名寄せ方法に移していく、こういうことで現在進めておるところでございます。そういうように、私どもでは現在におきましても厳正な預入限度額の監査に努めておるところでございますし、また、引き続きまして一層厳正にこれを進めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
#70
○中村(正三郎)委員 そのコンピューター、非常に数の多い預金をオンラインいたしますのに、どれぐらいの規模のどれぐらいの予算でできるものか、また、いつごろそれを完成されるか、もし目安がございましたら、教えていただきたい。
#71
○小倉説明員 私どもの郵便貯金のオンラインの計画ということになるのでございますが、これはいま申し上げましたように、名寄せ事務のみならず、郵便貯金、為替、振替、その他貯金関係の郵政省のすべての事業にわたりまして総合的に機械化を行う、こういう計画でございます。この計画につきましては、かねてから計画の推進を進めておるところでございますけれども、昭和五十三年の八月から首都圏の一部地域の郵便局からこのオンライン化に着手いたしまして、現在、ちょうど首都圏、近畿圏、それから中京圏の一部にも入り始めましたが、現在郵便局は全国で約二万ございますが、そのうち、首都圏、近畿圏を中心といたしまして二千七百ほどの郵便局がオンライン化されたところでございます。今後、このオンライン化を引き続き全国に及ぼしまして、昭和五十八年度末ごろを目途に全国三万の郵便局、また、業務的に申し上げますと、郵政省の為替貯金業務のほぼ全面にわたりまして、オンラインシステムを用いました総合的な機械化を完成したい、このように考えておるところでございます。
 なお、郵政省の為替貯金業務のオンライン化計画の総体の費用と申しますか、これはコンピューターだけじゃございませんで、コンピューターを格納いたします計算センターでございますとか、郵便局におきますオンラインの端末機ですとか、この辺を含めての総経費でございますが、私どもはこのオンライン化のためのいわば創設費用をおおむね千九百億円程度、このように考えておるところでございます。
#72
○中村(正三郎)委員 次に、また郵政省にお伺いいたしますが、郵便貯金法を勉強さしていただいたのでございますが、その十一条に、預金総額三百万円を超えたときは、郵政省はその旨を預金者に通知することになっております。その通知があったとき、預金者は預金総額三百万円以内に減額しなければならないということになっております。預金者への通知を発した日から一カ月以内に預金者が三百万円以内に減額しないときは、郵政省は制限額以内に減額するのに必要な限度においてその貯金の一部をもって国債証券を購入保管するということになっておるわけでございますが、とかく批判のございます限度額のことでございますが、この限度を超した方が大体どれくらい、たとえば昨年度でも結構でございますが、いらっしゃるのか、また、過去においてどれくらいいらっしゃったのか、そういったことを通知してどうしても減額しないので、実際に国債を購入して保管しているようなことがございますのか、その点についてお伺いいたします。
#73
○小倉説明員 郵便貯金の預入限度額の監査につきましては、ただいま御説明申し上げましたような形で名寄せを実施いたしまして、その結果、預金者の貯金総額が預入限度額を超えておるものを発見いたしましたときは、郵便局を通じまして預金者の方にその旨を通知いたしまして、貯金を限度額以内となるように減額、払い戻しをしていただく、こういうふうにしております。
 昭和五十三年度におきましてこの減額の措置をいたしましたものは二万二百件、合わせまして二百二十一億円、このようになっているところでございます。
 なお、郵便貯金法の規定によりますと、この制限額を超えた旨の通知を受けた者が減額に応じないときには、郵政省でこの減額に必要な限度でその貯金の一部で国債を購入保管するということになっておるわけではございますが、これまでのところ、いま申し上げました減額通知書を発送しますとともに、最寄り郵便局から預金者の方に十分この趣旨を懇示する等いたしまして、その結果、預金者の側におきましてこの減額に応じていただいておりまして、現在までのところ、国債を購入した事例は生じておりません。
#74
○中村(正三郎)委員 国債を購入した事例がなく、通知を受けて皆さん減額しておられるという、非常にまじめにやっておられるんだと思いますが、いずれにいたしましても、この利子配当総合課税移行実施に当たりまして、国民としては公平かつ実効ある総合課税を望むのが当然でございまして、そういう点に御配慮をいただきたいと思うわけでございます。
 次に、割引債の取り扱いについてお伺いいたします。
 割引債につきましては、今回の改正案では、告知書の提出義務、支払い取り扱い者の確認義務等が設けられるそうでございまして、この点につきましては高く評価したいわけでございますが、その後の割引債の償還差益の課税方法等、実際実施面について私どもはまだ余り聞かせていただいていないわけでございます。その点について御説明いただきたいと思います。
#75
○高橋(元)政府委員 いまお示しのございましたように、税制によって国民の金融資産選択に不測の変更を与えるということは避けるべきであろうというふうに思います。そういう意味では、税制は国民の金融資産選択に対して中立であるということがまず必要であろうと思います。総合課税の実を上げますためにグリーンカード制度というものを柱にいたしまして、利子配当所得が五十九年からそちらの方へ行くわけでございますけれども、それに当たって、いま申し上げた国民の金融資産の選択に不測の影響を与えることがないということがまず必要なことだと思うのです。
 いまお話のございました割引債でございますが、これはたとえば転々流通をいたすというような点、それから定期的に払われる利子でございませんで、償還時に償還差益という形で果実が帰属するという点、いろいろ他の金融資産と違っておる向きがあると思います。現在約七兆円ぐらいの発行であろうというふうに承知しておりますが、こういった割引債につきまして、いま御説明申し上げましたような資産の特殊性ということを考えながら、支払い調書、源泉徴収等の具体的な諸点について、今後実務的、技術的に発行者、市場担当者、それから徴税当局その他の意見も聞きまして検討をしていくことは当然でございますし、私どもはなるべく早くそういう諸点を詰めてまいりたいと思いますけれども、やはり現場の意見、金融機関側の意見というものも十分聞いて、数多い国民の方々に申し上げたような不測の影響を与えることなく、かつ税のシステムとしても円滑に動くことができるような成案を得てまいりたいというふうに思いますし、成案を得た暁でまた再び所得税法の改正案という形で御審議を煩わしたいというふうに考えておる次第でございます。
#76
○中村(正三郎)委員 いずれにしろ、大変特殊な動きをする金融資産でございますから、むずかしい面があると思うのでございますが、国民がより公平感を持ちますような点で御配慮いただきたいと思います。また、グリーンカード制につきましては、先ほどもお話が出ておりましたが、大変経費がかかることだと思いますので、経費倒れにならないように、最小の努力で的確な税源の把握をするようにお願いしたいと思うわけでございます。
 次に、課税所得の把握の問題についてお尋ねしたいわけでございますが、現在何とかサンとかよくちまたで言われる言葉があるわけでございますが、給与所得者と個人事業主、また事業所得者の間では、所得の把握の面で不公平があるのではないかということがよく言われるわけでございます。今回の改正案では、不公平税制の是正が前進したことは事実でございますが、今後とも執行面におきましてこの不公正の是正に御努力いただきたいと思うわけでございます。
 シャウプ勧告でも、納税者の協力が落ちるのを防止するためには広範な調査が必要だということを言っているわけでございまして、正直な納税者には、不正直な者がその不正直によって利益することができないという保証が与えられなければならないということだと思うわけでございます。ここで税務調査の必要性を強調しているわけでございますが、一定額を超える所得の申告はすべて調査をしなければならないとか、それ以外のものでも究極的に脱税は探知されるんだというような保証が与えられなければならないということだと思うのでございますが、これには税務官吏ができるだけ多く納税者を訪れるというような努力をしなければならないということだと思うのでございます。こういうことを考えてまいりますと、税の確保には基本的には税務職員の数の増加ということが必要になってくると思うのでございますが、徴税額の増加によって人をふやしてもいいのだというような議論もあるわけでございます。ただいま行財政再建、行政改革というようなことでもって人員削減というような話も出るのかもしれませんが、この税の執行に当たりまして正直者がばかを見るというようなことがあっては、納税者のモラルの低下も招きかねないわけでございます。このようなことを考えまして、公平な課税の実現のために税務官吏の増員についてどのようなお考えがございますか、大蔵大臣の御所見をお伺いしたいと思うわけでございます。
#77
○伊豫田政府委員 お許し願って、その前にちょっと状況を御説明させていただきます。
 把握差の問題でございますが、巷間いわゆる把握差の問題につきましていろいろ言われていることは十分承知しております。把握差の問題と申しますのは、実は税に本質的にいつもある問題でございまして、先生のただいま御指摘になりましたのは、たとえば源泉徴収を受ける給与所得者と営業所得者の間の問題の御指摘があったように思いますが、そのほかにも同じ営業のものにつきましてもそういうものがございます。われわれといたしましては、ともかくそれを是認してはいけない、最大の努力をもって同じ公平な課税ができるように常に努力を続けていかなくてはいけない、このように考えております。その意味から、第一点につきましては、納税意識と申しますか納税道義と申しますか、現在わが国の税制は申告納税制度を主としてとっておりますものですから、その点について広報その他国民の方の納税についての意識の高揚を図らせていただいて、そのために常時努力を重ねております。
 それからもう一点につきましては、御指摘のありました調査の問題でございますが、ここ十年間の、たとえば申告所得税についての実地調査の率というふうなものを見ますと、残念ながら低下の状況にございます。これはただいまの把握差の現象の問題と方向が逆でございまして、われわれとしてはその点について事務の合理化その他によりまして調査人員を何とか捻出して、これに対応していこうということで努力を重ねております。ただ、申告納税制度にとりまして実調率というものの低下はいわば根幹を揺すぶるものと考えておりますので、われわれの努力のみをもって足りるかどうか、そういう点を含めまして、人員の増加問題こういうことにつきましては国民の皆様並びに関係方面の方々のより深い理解を得て今後ともその方向で努力をしてまいりたい、このように考えております。
#78
○竹下国務大臣 税務職員の増員問題でございますが、事実、大蔵大臣と行政管理庁長官と内閣官房長官が人員削減を唱える方の大将、大将という言葉は適切でありませんが、そういうことに当たっておるわけです。その都度そういう人員削減計画等の推進をしつつ、一方、大蔵省という役所を見た場合に、いわゆる徴税業務が大変に複雑化しておりますし、それを合理化によっていまカバーしておる。十年間にわたりまして申告所得者数は一・四倍、法人数は一・七倍と著しく増加しておりますのに、職員数はほぼ横ばい、こういうことなのです。俗によく言われることは、一人を採用すれば六千万ずつかせいでくる、こういうようなことも言われるのでございますが、これは本当に国民の各方面に理解を得ながら、そうした環境も一方で醸成していかなければならぬというふうに考えて、行政改革、削減計画に携わる立場と徴税当局を監督する立場の、一つのハムレットのような気持ちもときにはいたしておるのが実際であります。
#79
○中村(正三郎)委員 わかりました。
 私の質問をこれで終わります。どうもありがとうございました。
#80
○愛知委員長代理 熊川次男君。
#81
○熊川委員 租税特別措置法の一部を改正する法律案についてお尋ねいたします。
 租税特別措置については、昭和五十一年以来政府は鋭意その整理合理化に努力を払ってまいりましたが、それは高く評価できるものであります。租税特別措置はこれまで不公平税制、この最たるものとしてときにやり玉に上がったこともあります。私はこの租税特別措置は重要な政策手段としてその存在意義を高く評価している者の一人であり、この措置は言うまでもなく税の減免、これに基づくところの民間企業の活動を一定の方向に導く作用を持つ、いわば典型的な政策を実現する税制かと思います。その意味で、これは一種の補助金と同じ性格を持つものだと思いますけれども、いわゆる補助金のような煩瑣な手続を要せずに、しかも民間の活力を十分引き出す政策手段としてすぐれた点がある点を思い起こすならば、当然先進諸国においても同様な措置がとられているかと思いますが、これら諸国における租税特別措置の内容をお伺いいたしたいと思います。
#82
○高橋(元)政府委員 いまもお話ございましたのですが、アメリカの言葉で申しますと、租税特別措置というのはタックスエクスペンディチュアと言うようでございます。つまり、歳出面における措置と租税特別措置による減税というものは実質的には同じものだ、こういう認識であろうかと思います。
 アメリカの事例で申し上げますならば、たとえばよく御案内の投資税額控除という制度がございまして、これは投資額の一〇%を法人税額から引いていくという制度であります。それから、研究開発費につきましても特例が設けられておりまして、初年度一〇〇%の特別償却というようなことが可能であるようになっております。公害防止につきましても六十カ月間、つまり五年間で均等償却できるという特別償却もあります。
 それから、イギリスは、産業用機械設備、あそこは非常に投資がおくれて老朽化した国でございますから、産業用機械設備の初年度全額償却というような制度もございますし、たな卸し資産について後入れ先出し法が認められておりませんので、特別の減額が可能であるという制度もございます。
 いま時間の関係で一、二の国だけ申し上げたわけでございますが、それぞれの国にはそれぞれの国の持っております経済ないし国民生活の悩みに応じて、いま申し上げたようなタックスエクスペンディチュアというものがあるわけでございます。去年の暮れに経団連といろいろ議論をしておりました際に、アメリカでは大体二割ぐらい租税特別措置によって減収が起こっているではないか、イギリスでは半分くらいではないか、これはあべこべでございますか、というような指摘がございました。そういうことは、私が冒頭に申し上げましたタックスエクスペンディチュアということの中で考えるべきだ、つまり歳出面また政府の政策金融の面、それから税制上の租税特別措置の面、政策税制という面、それぞれの面でどういうところに手をかけて伸ばしていくべきであるか、また保護していくべきであるかということの総合的な政策判断の中で、租税にどれだけの政策持ち分を割り当てるかということによって決まってくるわけで、それぞれの外国で租税特別措置がありますからといって、日本でそれと同じものがなければ法人の税負担が均衡しないという理論ではないと思いますけれども、それぞれの国にはそれぞれの国の政策に応じた政策税制があることは事実でございます。
#83
○熊川委員 わが国の財政の現状が大変深刻であるということはだれしも認めるところでありますが、五十五年度予算においては、歳出面においてはその支出を極端に切り詰め、また、歳入の面では租税特別措置というものによって、しかもそれを思い切って整理統合を行うということにより公債の一兆円減額を図り、財政健全化のスタートを踏み出したわけですが、五十五年度は何といっても四兆六千億円もの自然増収というものに助けられてといいましょうか、いわばそういうものが見込まれるために今回のような措置で予算編成が進んできたのだと思われます。ところが、今後経済の情勢を見ると、石油の高騰を初めとして、五十六年度以降は五十五年度のような順調な自然増収が一体見込まれるかどうか、これはきわめて困難ではないだろうかと言わざるを得ません。五十六年度以降は歳出、歳入両面にわたってさらに本格的な検討を迫られるのではないだろうか、こんなふうに思います。
 このような環境にあるためか、一部の論者は、租税特別措置を整理すれば財政再建は可能だということを述べております。五十五年度における租税特別措置による減収額は九千八百億であり、しかもこのうち少額貯蓄の非課税措置などいわゆる個人を対象としたもの、こういった個人を対象とした措置による減額を除いた、いわゆる企業関係の租税特別措置による減収額はわずか千八百七十億円にしかすぎません。しかも、よく租税特別措置は大企業優先だということが言われているものの、その大企業を対象とした特別措置の減収額はさらに少額なものと言わざるを得ません。そこで、その額をまずお尋ねいたしたいと思います。
 いずれにしても、租税特別措置を整理合理化あるいは全廃したところで、それだけではとても財政の再建は困難であろうと思いますけれども、この点についての大臣の御所見を承りたいと思います。
#84
○竹下国務大臣 ただいま御指摘になりました数字はそれぞれ合っておりますが、五十五年度における法人税に係る租税特別措置による減収額は、平年度ベースでは千八百七十億でありますし、そのうち資本金一億円超の大法人に係るものは一千百億円であります。この企業関係租税特別措置を含めて租税特別措置全体の減収額は、いま御指摘になりましたとおり九千八百十億円でありますが、この中には、御指摘のありましたとおり、少額貯蓄の非課税制度とか、住宅対策、国民生活の安定のための必要な措置等が含まれておるわけでございますので、仮にこれらを全廃したといたしましても、また現実、少額貯蓄制度の問題は、先ほど来グリーンカードの問題等で議論していただいておりますので、いま全廃という考えがあるわけではもとよりございませんけれども、仮に全廃したといたしましても、それによって財政再建が可能になるというものではないというふうに考えております。
 したがいまして、財政再建の達成のためには、税負担の公平確保には十分配慮する必要がありまして、こうした観点から今後租税政策のあり方を、たとえばきょう熊川さんと私がこうして問答いたしましたり、その中で国民の理解と協力を得て、歳出、歳入両面にわたって国民の理解を得る環境をつくる努力をしていかなければならぬ、このように考えております。
 ちなみに、租特の整理で今年度は四百八十億円が見込まれておるということをつけ加えさせていただきます。
#85
○熊川委員 ありがとうございます。
 租税特別措置は、財政上の措置、また金融上の措置と並んで、いわゆる民間の活力をクリエートするものとして重要な政策手段である。したがって、たとえどのような財政状況に置かれようとも、この政策手段を放てきしてはならないと考えます。石油を初め資源に乏しいわが国が、今後たゆまざる産業の発展を期待するためには、この租税特別措置により民間の活力を引き出すことこそ重要な課題ではないだろうかと思い、特に競争力が乏しいという点で多くの問題を内包しているところの中小企業の分野ではなおさらのことという感を深くするものであります。
 もとより、租税特別措置は、税の減免を伴うという観点からして、税負担の公平の原則と、またいま述べたような政策目的の効率あるいは効果の妥当な調和という意味からして、絶えずむずかしい問題がつきまとうわけでありますけれども、この点を踏まえて、租税特別措置については、五十一年以来、先ほどのように政府は鋭意整理合理化を行ってきたわけであります。特に五十五年度においては企業関係の租税特別措置、先ほどお話がありましたとおり、八十二項目中七〇%近くの項目が一律縮減、これによって合理化が行われておりまして、非常に強い熱意はうかがわれますが、次の二点ほどお伺いいたしたいと思います。
 今回の租税特別措置の整理合理化と昭和五十一年以来昨年までの間に進められてきたそれとの間の相違点の存否並びに内容を明らかにしていただきたいと存じます。
 第二点としては、競争力の劣弱的体質を内包しているところの中小企業や農林業の租税特別措置の整理合理化に当たってはどのような配慮がなされたものでありましょうか。特に弾力的な経営が最も強く要請される中小企業、企業維持の原則が強く叫ばれ、雇用問題などにもいろいろと波及効果のある中小企業を、財政再建の名のもとに余り縮減し過ぎるということは非常な危険を伴うものではないだろうかと存じますので、お答えいただきたいと思います。
#86
○高橋(元)政府委員 政策税制というものが時々刻々の国民生活なり国民経済の必要に応じて要請されるということは、私どももそのとおりに思います。ただ、政策税制としての租税特別措置というものは、とかくつくられてから慢性化してしまう。これは補助金一般について指摘されておることでありますから、慢性化してしまうということは、必要がなくなってもまだ続いているということであろうと思います。もう一つは、効果が上がらないからいつまでたってもやめられないということかと思います。そういうように租税特別措置が設けられた政策税制としての設置の際に十分意義があったとしても、現在まで存続していることについて見直しの余地がないかと言えば、私どもは見直しの余地がないことはないと思いますし、事実、そういうことで五十一年以来毎年毎年繰り返し租税特別措置の整理合理化を行ってきたわけでございます。ことし十項目を企業関係で廃止いたしまして、それから四十六項目縮減をいたすという措置をとったわけでございますが、本年の租税特別措置の整理合理化につきましての私どもの考え方は、まず適用期限にかかわりなく全部洗い直しをする、歳出の方で言えばいわゆるゼロベースの査定に当たることでございますが、個別項目ごとに存在意義を考え、またその必要な政策手段というものを考えて洗い直しをしたということが第一でございます。
 それから、いま申し上げましたように、十項目の廃止を行ったわけでございますが、存続する項目につきましても、一律に五〇%または二〇%というかなりの率で縮減を行うということにしたわけでございます。税制について公平という要請を考えてみますと、政策税制として存置するとしても、その幅というものについておのずから圧縮が必要であろうという判断であったわけでございます。
 第三に、新設した企業関係の特別措置項目というものはございませんので、昨年の八十二項目が本年七十二項目になりました。
 こういうことで、五十一年以来単年度としては最高の六八%、大臣からもお話がありましたような整理割合になったわけでございます。その中にありまして、中小企業、農林漁業に対する政策税制の要請の必要性についての配慮が足りなかったのではないかという御指摘でございますけれども、私どもは縮減率を中小企業、農林漁業、それから資源エネルギー、それに研究開発、そういった分野の政策税制につきましては、五〇%の一般縮減に対しまして二〇%にとどめるというようなことで特段の配慮を加えてまいったというふうに考えておる次第であります。
#87
○熊川委員 大体わかりました。
 では、念のために御確認させていただきたいと思います。といいますのは、深刻な財政状況のもとで租税負担の公平が強く要請されることは言うまでもありませんし、だからこそ思い切った租税特別措置の整理合理化は行わざるを得ないと思いますけれども、いまお話もありましたとおり、五十一年からの整理統合でだんだんむずかしいものが残ってきたのではないだろうか、こんなふうに私なりに想像いたしております。
 そこで、数の面においても質の面においても今回のように思い切って臨んでくださったこの姿勢に対しては、高く評価せざるを得ません。しかし、反面において、言葉は悪いのですが、惰性的に、安易にこれを進めることは、かえって中小企業や農林業の、今回の自然増収で助けられたような、いわば税収の源をからすことになり、俗な言葉で言えば、金の卵の命を断つことになりはしないだろうか、こういった配慮も十分必要ではないだろうか、こんなふうに思います。先ほども大臣のお話をお聞きしていまして、おおむねこれで一段落したというお話であります。また、一月二十九日の当委員会でもその趣旨のお話ございましたが、再度この辺の御所見を御確認させていただけたらありがたいと思います。
#88
○竹下国務大臣 御指摘のように、租税持別措置というものは、従来から積極的に整理合理化に努めてまいったわけでありますが、五十五年度において、先ほど来グリーンカードの御議論があっておりましたが、まさに利子配当課税について総合課税へ移行するための準備、所要措置を講ずる、と同時に、企業関係の租税特別措置につきまして廃止または大幅一律縮減、先ほど来お答えしておるとおりでございますが、五年間に、利子課税の特例を初めとしてその主要な項目のほとんどについて改善が講ぜられた。すなわち、ことしが六八・三%でありますが、五年間で見れば八五%の整備が行われたということに相なるわけであります。したがって、私どもが、政策税制の整理合理化はおおむね一段落したものと考えておりますと、このように明快にお答えいたしておりますその背景には、税制調査会の五十五年度答申におきましても、明確に、これらの改正によって「税負担の公平を確保する見地からの政策税制の整理合理化は、おおむね一段落したもの」と考えられる、こういうことを言っていただいておりますので、そのとおりの考え方を意を強くして申し上げておるわけであります。
#89
○熊川委員 ありがとうございます。
 次に、土地税制についてお伺いいたします。
 土地問題の中心は、宅地の供給問題にしぼられるかと思います。首都圏の最近における地価水準の高騰、こういうものを見ると、今回の改正にある特別控除後の譲渡益四千万円または八千万円までの税をそれぞれ緩和するとしても、税の緩和のみで十分な宅地供給は期待されないのではないかという懸念を持つものでありますが、この点についての御意見を簡潔にお聞かせいただけたらと存じます。
#90
○高橋(元)政府委員 首都圏、三大都市圏というものを中心といたしまして、そこの宅地供給に役立つ限度で譲渡所得者の大幅な課税の軽減につながらないという範囲で講じた措置でございますが、土地政策としての税制でございますから、あくまで補完的、誘導的なものでございまして、宅地供給の拡大には、基本的には総合的な土地政策が必要だと思います。
 いろいろな観点があると思いますけれども、たとえば投機的な土地取引を抑制するという場合には、短期の譲渡に対する重課だけでは足りないわけで、融資の規制でございますとか、届け出制による土地取引の規制ということがもっと確実に行われる必要があると思いますし、宅地の需給の不均衡を解決していくためには、関連公共施設整備の推進なり宅地開発事業の資金コストの問題、それから線引きの見直しでございますとか、都市再開発基本計画ないしそれの実施の必要性でありますとか、土地の利用転換の推進につきましても、農住型の土地利用というようなことも言われております。市街地整備の基本計画、宅地供給計画の作成ということも必要でございますけれども、こういうことと相まって税制が宅地の供給促進と地価の安定につながるように、私どもとしても、政府全体の関係部局と相談をしながら力を注いでまいらなければならないというふうに考えておる次第であります。
#91
○熊川委員 ただいまの総合的な施策と並行して進めるというお話ですので、では、そのうちの一つを取り出して建築基準法との関係でお伺いいたしたいと存じます。
 首都圏においては、農地などの新規の宅地供給、この問題のほかに、既存の宅地の有効利用、これを図っていくことがきわめて肝要ではないかと思います。その意味で、今回の中高層共同住宅の建設のための土地の買いかえについての税の特例の創設、これはまことに時宜を得たものであり、高層化のためには結構でありますけれども、ここで問題になるのは、建築基準法の用途地域による用途制限の問題を解決する必要があろうと存じます。今回の税制改正に当たって、建築基準法の用途地域の見直しを含めたところの対処の仕方を簡潔にお伺いしたいと存じます。
#92
○片山説明員 建築基準法によります建築規制のうち、いわゆる集団規定につきましては、適切な土地利用を確保するという観点から、都市計画の用途地域とリンクいたしまして建築の規制が定められております。中高層住宅の建設を促進する地域につきましては、たとえば第二種住居専用地域を指定するなど、用途地域の適切な指定を行うことによりまして建築基準法によります適切な対応があるわけであります。したがいまして、先生御指摘の中高層住宅の建設ということは、都市におきます住宅対策で非常に重要なことは御指摘のとおりでございますので、この適切な土地利用を確保し、推進いたしますために、第二種住居専用地域でありますとか、住居地域でありますとか、そういうものを適切に指定をすることにつきまして、従来から地方公共団体に対しまして指導に努めていたわけではございますけれども、今後ともその指導に努めてまいる考えでございます。
#93
○熊川委員 では、時間の関係もございますので、お答えは時間の関係であるいはどうかなと思いますけれども、要望を含めて意見を述べさせていただきます。
 土地の問題は土地税制と非常に密接に関係するわけですが、安定的な土地の供給、こういうものは、今後さらに税制面において緩和されるのではないかというような意向が少しでも漏れると、土地所有者は、その期待権のもとにいわゆる売り惜しみということを繰り返すのではないかと思います。今回の土地税制は期限の定めを廃しております。これはそういった期待権を持たせないという意味で非常に結構なものと思いますけれども、ともかく当分の間制度を安定させることが、とりもなおさず宅地の安定的供給につながるものと思われますので、それに関するそのような基本姿勢を特に強くとられますことを期待させていただきまして、質問を終わらしていただきます。
#94
○愛知委員長代理 午後三時再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時四十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時二十六分開議
#95
○愛知委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 午前に引き続き質疑を続行いたします。川口大助君。
#96
○川口委員 私は、きょうは主として大臣に行財政、税制、こういうものに取り組む基本的な考え方、こういうものをひとつお尋ねをしたいと思うのでありますが、その前に、大分大臣も息せき切っておりますので、一言前提にお伺いします。
 大臣は、城山三郎さんの小説で「男子の本懐」という本があるのですが、お読みになったことがありますか。
#97
○竹下国務大臣 全部読んでおりません。斜め読みをしております。
#98
○川口委員 斜め読みでも結構だと思うのでありますが、あの小説は濱口雄幸内閣総理大臣と井上準之助大蔵大臣の人生の一こまを小説にしたわけであります。かつて私どもの先輩が体を張ってとにかく国難に当たった、財政を担当した、こういう点に胸を打たれておるわけでありますが、斜め読みをなさった大臣としてはどんな御感想でありましたか。
#99
○竹下国務大臣 やはり明治の人というのは歴史を画する人である。それに比べてみずからを反省してみますと、スケールに大変な差があるということを感じました。
 と同時に、もう一つは、やはり社会環境というものが違ってきたのではないか。いわば同じプリンシプルの政党が二つあって政権交代をやっておる。しかし、いまの議会制民主主義の方がむしろいろいろ異なった政党の問答が行われて、言ってみれば、リーダーシップとは、おれについてこいとか男子の本懐とかというよりも、むしろその意見の交換の中に調和を求めていくというのが新しい世代におけるまたリーダーシップの一つのあり方ではないかというような感想を持って斜め読みをいたしました。
#100
○川口委員 確かに大臣のお考えもわかるのです。しかし、私がなぜこんなお話を最初に申し上げるか、こう申し上げますと、いまの国の財政の現状というものは大変深刻なものであると思うのであります。しかも、自民党政府が日本のいまの政治を担当しておるわけでありますから、この赤字の原因も財政の現状もいわば自民党政治の責任でありますと私は考えておるわけです。私ちょうど五十一年に国会に参りまして、その当時、ここにいらっしゃいまして引き合いに出して恐縮でありますが、坊大蔵大臣でありましたが、その際も私はこの席上から、民間で言うと大蔵大臣は管財人のようなものだ、したがって、ひとつ心して財政運営に当たっていただきたいという要望を申し上げ、またその後、村山大蔵大臣にも同様の要請を含めた意見を出しておるわけです。ところが、実はいま私、五十二年の当初予算審議の際の坊国務大臣の提案理由を持ってまいりました。時間の関係上長々しく全部読むわけにいきませんが、その一節を拾ってみましても、「わが国財政は、歳入の約三割を特例公債を含む公債金収入により賄うという諸外国にも例を見ない異常な事態」になっておる、そして「今後かかる大量の公債発行が続くようなことがあれば、公債残高の累増、国債費の増高等を通じて、財政が硬直化し、機動的運営が困難になるのみならず、その資源配分機能が阻害される」、こう言っておりまして、しかも、大量の公債に安易に依存することによって財政の放漫化をもたらすおそれがある、そして民間の資金需要を圧迫して経済インフレの要因となるというふうに言っておるわけでありまして、そのために、このような事態を恐れるものである、財政の健全化の推進に全力を尽くすというふうに提案をしているわけであります。
 自来足かけ五年になるわけでありますが、今回の大臣の提案とさしたる違いはないのであります。いろいろな事情があるわけでありますが、言ってみれば、口先だけの財政再建で、現在の大蔵大臣に実際に責任はないかもしらぬけれども、口を開けば、政権を担当しておる、責任政党としてと言っていらっしゃる自民党政治そのものに大きな責任があると私は思うのでありますが、御見解はいかがでしょうか。
#101
○竹下国務大臣 私は、責任政党たるものは絶えずみずからが行った政策遂行の効果については責任を持つ立場にあることは当然のことであると考えております。そうして、その政策効果に対するもろもろの批判というものは、およそ言論界というものが一〇〇%の役割りを果たすとしたら、絶えず体制側にある者が七〇%の批判は受けて立って、それに耐え忍んでこそ初めて体制側の責任という意味ではないか。そして、いわば野党の皆さん方に対する批判も言論界等は三割はいたすだろうと思うのであります。それにまた耐えて、今度はそこに与野党の政権の交代が生じてくるものではないか。したがって、いまの場合はわれわれが与党という立場にあります政権政党でありますだけに、七〇%の批判に耐えることは当然のことであって、そして政策遂行の効果については、気持ちの上ではやはり一〇〇%みずからの責任であるとして耐えていかなければならぬというふうに考えます。
#102
○川口委員 お話はわかります。耐えることも必要でしょう。しかしまた、もう一歩進んでそれを打開するという勇気も必要であると思うのですが、いかがでしょうか。
#103
○竹下国務大臣 そのとおりであると考えます。
#104
○川口委員 そこで、現在の世の中というものは大変複雑になっております。したがって、何か事を起こそうとすると、いまのようにいろいろなかかわり合いが出てまいりまして、なかなか困難を伴うわけです。なればこそ、そこに指導性なり政府の責任というものが必要であると私は思うのであります。今回の五十五年度予算も、そういう過去の経緯や私のそういう考え方を前提にしていろいろ検討してみましたが、どうも積極的な熱意がうかがわれかねる内容になっておるということを私は非常に残念に思うのであります。大臣はたしかこの前のこの席で、これからのいわゆる財政再建は非常に厳しいので、入るをはかって出るを制す、それが今後の財政運営の方針だというようなことをおっしゃったように私は記憶しておるわけでありますが、ひとつ前段としてそういう困難な問題、たとえば税制一つの項目をいじるにしましてもいろいろなかかわり合いがある、それを、先ほど申し上げました「男子の本懐」ではありませんが、勇気を持って今後取り組んでいかれる決意なのか、質問の前で大変恐縮でありますが、大臣の心底を一応伺ってから内容に入ってまいりたいと思います。
#105
○竹下国務大臣 財政再建は入るをはかって出るを制するというのは、過去、現在、未来を通じて適当な言葉であると私は思います。ただ、今年度予算を編成するに当たりましては、昨年のいろいろな社会環境というものは、国民に対して新しい負担を求める以前に政府みずからが切るものは切ってこい、こういうことであったという理解の上に立って、五十五年度予算というものはまず出るを制するところから入っていこうというのが、サマーレビューから続いての予算編成の底流として流れておったものではなかろうかというふうに考えております。したがって、本格的な新しい負担を求める大きな手段であります増税というようなところに手をつけることはしなかったというふうに御理解をいただきたいと思います。
#106
○川口委員 私は増税まではまだ考えていないのですが、ただ、いまもお話し申し上げましたように、五十一年、五十二年のやりとり、私は本会議場で福田総理にも質問をいたしましたが、その際、赤字国債は三〇%以内にとどめるのだ、だから心配しなさんなというのがたしか福田総理の答弁であったと思います。そして、この席において大臣は、できれば五十五年度に赤字公債をなくしたい、発行を見合わせる、こういうこともちゃんと言っておるわけであります。ところが、皮肉にも五十五年度になくしたいというその五十五年度がいわば財政再建の元年だというふうなことになっていることに対して、私の政府に対する一つの不信の気持ちがあるわけであります。その上に竹下大蔵大臣は、元年まではいかないということをこの前申されました。元年になるような環境づくりをするというふうにさらにまた一歩後退したような御発言がございました。在任期間が何年かわかりませんが、短い在任期間でありましても、ひとつこの際、勇気を持ってそういう軌道、レールを敷く努力をこれからお願い申し上げたい、こういう気持ちでお尋ねしておるわけでありますが、いかがでしょうか。
#107
○竹下国務大臣 私は、財政再建元年という言葉が、要するに昭和五十九年に特例公債をなくそうというところから、ことしから財政再建元年としたい、ただ、この財政再建元年という言葉の響きが何だか余り肩を張っているような感じがいたしましたものですから、その後、財政再建に一歩を印したという表現を使っているわけであります。むしろ、これは政治家でございますから、私も厚かましい点もございますけれども、それなりに非常に謙虚な表現を使っておるというつもりであります。
 されば、その第一歩のあかしとはどんなものか。仮に申しますならば、私なりに整理しておりますのは、とにもかくにも当初予算ベースではございますけれども、一兆円の公債減額をしたということが、累年多くなったものを初めて減額したということがあかしの一つではないか。
 それから二番目は、最初申しました出るを制するという意味におきまして、昭和三十一年以来の低い伸び率の、一般歳出の伸び率を五・一%で抑えた。
 それから三番目が税制面の見直しでございます。確かに本格的なものに手をつけなかったといたしましても、御審議いただいております租特の整理合理化、給与所得控除の見直し、退職給与引当金の見直しというものが三番目のあかしと言わせていただけるのではないか。
 四番目は行政改革でございます。この行政改革は途端にこの支出が減っていくものではございません。むしろ、将来に対する一つの姿勢ではなかろうかと思うのであります。特殊法人につきまして十六法人の純減が予定されておりますし、さらに三月末までにはブロック機関、六月末までには府県の単位機関の整理、そして千六百数十億という補助金の整理合理化というものができた。
 大きく分けてこの四つが、財政再建元年といいますか、第一歩を印したというあかしとして評価していただければ、幸いこれに過ぐるものはない、こう考えておるわけでございます。
#108
○川口委員 いろいろお話がありましたが、そういう表現ではあるけれども、気持ちの中といいますか、ソフトな御発言をしたと言われますが、心の中としては五十九年赤字国債の発行をやめる、こういう決意で臨んでおられるんだ、その考え方で予算審議に当たってもよろしい、こうおっしゃっているわけですか。
#109
○竹下国務大臣 そのとおりであります。
#110
○川口委員 そこで、私はどうしてそういう不信の念を抱くかと言うと、たしか私どもの代表が本会議で総理大臣に対して法人税の税率の引き上げを見送ったのはどういうことか、そういうお尋ねに対して、私の聞き違いがなければ、総理大臣はこれは一つの善政である、よい政治であるというふうにお答えになったと私は記憶しておるわけです。この物の考え方。
 さらにいま一つは、大蔵大臣はまた、やりくりがついたんだ、予算のつじつまが合ったんだ、したがって法人税率の見送りを行った、こういうふうに答えておるわけでありますが、その予算がつじつまが合ったというのは一体どういう御見解なのか。つまり、合わないからこそ赤字国債を発行しながら何とかやりくりをするのであって、それを間に合ったから手をつけなかったとか、それが一つの善政である、法人税に手をつけないのはよい政治であったんだというふうなお考えからは、いまのような五十九年赤字をなくするというような意気込みは感じられない。そのために私はこのようなお尋ねをしているわけでありますが、大臣、一体どういうお考えでありますか。間に合ったからやらなかった、間に合ったというのはどういうことなんですか。
#111
○竹下国務大臣 私どもが就任いたしましたのが十一月でございますが、最初の閣議で、当初予算ベースではあるけれども、少なくとも先ほど来申し上げております一兆円の減額をしたい、その一兆円の減額というものをいわゆるフレームA、フレームBという二つをつくりまして、閣議了解をしていただいたのです。したがって、まずその一兆円減額をしたものを予定して、今度は支出を削減したわけです。その支出の削減をした、その五・一%で縮めたものが、たまたま一兆円を減額したものとそして民間の自己努力によるところの結果としての自然増収というものの見積もりと合わした場合に、新たなる負担をしていただかなくてことしの場合はたまたま済んだ、こういうふうに理解をしていただきたいと思うのであります。
 それから、総理が申された善政という言葉でございますか、これは一般論として、税金を少なく取ることは善政だ、こういうふうな気持ちでおっしゃったと思うのであります。
#112
○川口委員 総理の方から申し上げますが、私どもが不公平な税制を直そうじゃないか、しかも、法人税は、法人は特に税の自然増収でもわかるように、法人にいわゆる税の客体といいますか、税を取るべき要素がある、そう思っているやさき、法人税については善政だ、こう言われるわけでありますから、いまの内閣の姿勢なり向いている方向が偏っているのではないかというふうな考えに私どもなるわけであります。しかし、それは人の心でありますから、大臣とても推しはかることはできないのでありますから、それは譲りますが……。
 いま、一兆円の減額、削減というものを根底に置いたとおっしゃるわけですが、その一兆円というものにこだわるところに私はやはり財政への意気込みが足りないと思うのです。御承知のとおり、五十四年度補正において一兆二千二百億減額補正をいたしましたね。ということは、五十四年度当初に対しては確かに一兆円の削減になるわけでありますが、五十四年度の実績に対しては逆に二千二百億の赤字国債の増額になるわけですよ。それを、事実をもってわれわれは再建に取り組んでいるんだ、赤字国債を減らすように努力しているんだという理解にはとうていなれないわけです。
 ですから、その一兆円という額を決めたのは、だれが決めたかわかりません。たしかこの前の大臣就任の一般質疑のときに、私どもの同僚の佐藤議員が一体五十五年度の赤字公債をどのくらい減らすんだ、少なくとも一兆円か、返事してくださいと言ったら、あの場合言葉を濁して、明確な答えをたしか大臣しなかったように思うのでありますが、そうしますと、大臣就任後赤字国債の減額額を決めた、こういうふうに私ども考えざるを得ないのであります。ですから、一兆円だけの減額を決めたその根拠、あるいはまた、そのことが五十四年度の実績を上回る発行額なんだ、こういうことを承知の上でそのような減額措置を行ったのか、一兆円の根拠について教えていただきたい。
#113
○竹下国務大臣 閣議了解をいただきましたのは、一兆円以上、こういう言葉を実は使ったのでございます。私とて一兆円以上にしたいと最初思っておりました。これは過ぎたことではございますが、一兆三千億くらいにすれば、いわゆる十三兆に踏み込めるというようなところに一つのめどというか希望というか、そういうものを持っておったことも事実でございます。したがって、今年度の場合、いわゆるフレームA、フレームBというものを出しまして最初閣議で了解をいただいたということも、当然増経費というものがこれだけあります、その当然増経費を賄うためにはこれだけのものが要ります、だから、それにはどうしてもこの減額が必要であります、さらに自然増収がこれだけ見込めます、というところで歳出削減の一つのめどをそこに定めた。もっと削減すればよかったとおっしゃればそのとおりでございますが、各般の状況を分析して、現状においてこれが最善のものであるという考え方で予算編成を終えたということであります。
 したがって、法人税の場合、それはいろいろな批判もいただきました。しかし、今年度はこのような形でおさまりましたものの、その後の原油の高騰とかいろいろなことを考えてみまして、されば五十六年ということになると、法人税を枠外に置いて議論の対象にしないというような状態のものではないということも重々承知しておりますだけに、これから、今度の修正の場合にも削減のところではサマーレビューでもやってやれというような四党の共同の文書みたいなものができておりますが、そういうことから、これから五十六年度税制のあり方についても、税調等でも精力的な、根本的な審議を続けていかなければならぬ課題だというふうに考えております。そうして、川口さんと私とがこう問答しておる中にも、私は、国民の意思というものを吸収させていただけるものであるというふうに理解しております。
#114
○川口委員 そこで、一つは、予算修正後出納閉鎖は五月三十一日ですね、五月三十一日までの間に、現在見積もりました以外の自然増収というものがどのくらい期待されるか、あるいは満度に見ておるか、その辺の見当はつきませんか。これは事務担当者でいいです。簡単でいいですよ、わかればいいです。
#115
○高橋(元)政府委員 一月末税収というのをきょう発表いたします。
 それで、その一月末税収というのでごらんいただきますと、全体として十五兆七千二十四億収納が済んでおるわけでございますが、それが、補正後の予算に対します進捗割合というのが六七・一%でございます。去年が六六・三%でございますから、〇・八%だけまだ勢いがいいということが言えるわけでございますけれども、実はこの〇・八%上回っておると申しますのは、去年の九月一・七%上回っておりました状態からだんだん下がってきて、〇・八になったわけでございます。これがゼロになりますと、補正後予算と同じ額が入ってくるということでございまして、この上回っております割合は、収納月が進めば進むほど通常大きくなっていくということが普通でございますから、私ども、今後の経済の推移について全部を見通すということはむずかしいと思いますが、税収の足取りを見ますと、余り補正後予算額に対して大きなと申しますか、自然増収というのをさらに見込むということはむずかしかろうかということを考えておる次第であります。
#116
○川口委員 そこで、その一兆円の削減の国債分ですが、これは全部赤字国債の分として削減するわけですか。
#117
○禿河政府委員 五十五年度の国際発行額一兆円の減額の内訳でございますが、いわゆる赤字公債が五千七百億円、建設公債が四千三百億円、こういう内訳に相なっております。
#118
○川口委員 大臣、一兆円減額した、削減したといっても、いわゆる赤字公債の分はわずかに五千七百億なんですよ。だから、われわれはますます、本気になって赤字をなくすような努力をしておるのか――またとにかく、言葉ではいろいろなことを言っておるけれども、まあ任期も短いし、いつやめるかわからぬから、この際余り当たりさわりなく予算編成をやろうというふうな安易な気持ちではなかったか。つめに火をともすという言葉があるわけでありますが、本当に、民間の管財人が財政の立て直しをするという場合は、こんなようななまぬるいことではできないと私は思うのです。一体こういうことで、五十六年度以降五十九年度までに本当に赤字国債をなくせますか。もう一度所信のほどを……。
#119
○竹下国務大臣 これはあくまでもそれを目標として進んでいかなければならぬ課題であるというふうに思っております。
#120
○川口委員 それでは、少し角度を変えてお尋ねをいたしますが、これも大臣の答弁をお願いします。
 五十五年度予算は、新聞その他によりますと、ゼロベース査定をした、こう言っておるわけですが、大圏が考えておるゼロベース査定ということは一体どういうことなんですか。
#121
○禿河政府委員 ちょっとそのゼロベース予算ということでございますので、大変恐縮でございますが事務当局の方から……(川口委員「大臣に聞いているのですがね。それは政策としてやったわけだ、方針として……」と呼ぶ)
 私ども、五十五年度予算をゼロベース・バジェットということを申してはいないわけでございますが、もともとそのゼロベース予算と申しますのは、アメリカでカーター政権がそういう手法を用いて最近予算の編成に当たっておるというものでございます。
 ただ、私ども、従来から実は予算の編成に当たりましては、いわゆる増分主義というものにとらわれることなしに、根底から既定経費の見直しも行っていきたいということで努力をしてきたわけでございます。その手法といたしましては、たとえば要求段階におきますいわゆるシーリングの枠の問題、あるいは昨年いたしましたような、早目に経費の中身を検討するサマーレビューだとか、あるいはまたスクラップ・アンド・ビルドの原則だとか、さらに、補助金につきましてサンセット方式を導入するとか、いろいろな手法を用いて、何とか既定経費の洗い直しを既存の制度、慣行にとらわれることなしにやっていきたいということで努力を重ねてきたわけでございまして、そういう意味におきましては、基本的な方向といたしましてはいわゆるゼロベース・バジェットというものに非常に近い、基本的な方向としては同じようなものであると考えております。
 そういうことで、私ども、特に昭和五十五年度の予算の編成に当たりましては、最近の財政事情、あるいは特例公債に大幅に依存するといういわば異常な財政体質というものを考えまして、そういう手法のもとに、また、そういう基本的な方向のもとに既定経費の節減合理化に努めてきたつもりでございます。
#122
○川口委員 これは事務当局でも結構ですから。
 言葉はどうでもいいですが、根底から見直したと言うけれども、根底から見直したという意味は、たとえば補助金なら補助金の行政効果といいますか、投資効果といいますか、そういうものも的確に把握できる、効果を見きわめるということがないと、根底の見直しはできないはずなんですよ。
 だから、大蔵当局として果たして、各省がいろいろ分捕り合いみたいなかっこうでむしり合いをするわけでありますが、そういう中にあって、本当に行政効果一つ一つを見きわめるだけの能力をお持ちなんですか。
#123
○竹下国務大臣 これはむしろ各省のそれぞれの担当が、それぞれの立場から、それぞれの実態は一番よく知っておると思います。がしかし、大蔵省といたしましては、言葉で言えば、予算に関する調整権、そして編成権というようなものがあるわけであります。したがって、それらがそれぞれのつかさ、つかさにおきまして、政策的にも通暁しておるというふうな体制は組まれておると私は思います。したがって、私は政治家でございますし、議院内閣制でたまたまいま大蔵大臣でございますが、これは内閣改造をやればいつでもかわってしまうという性格のものでございますけれども、大蔵省という機構の永続性というものはこれはまた大変なものである。その勉強ぶりはとてもじゃないか――まあ私は、試験を受けて大蔵省へ入ろうと思ったこともありませんし、仮に受けたとしても通ったとはもちろん思わないわけでございますけれども、事実そういう専門的な角度から勉強していくという仕組みと慣行と能力というものは十分に備えておる。
 それを今度はどう総合調整していくか、そしてそのような形で、少なくとも大蔵原案というものを編成しなければならぬという仕事でございます。したがって、同じ国家公務員でございますから、大蔵省が他の省の上にあるというような感覚ではなく、その中へまさに入り込んだ形の中で、この調整権、編成権というようなものに基づいて大蔵原案というところまでつくっていく。それからいろいろな復活折衝等々の作業がございまして、また予算編成権者として当然のこと、私の場合は、野党の政調、政審関係の方にも、ただ通り一遍に会うだけでなく、公式、非公式を数えてさあ十回ぐらいお会いいたしましたか、その中でいろいろな意見も聞きながら、最終的にはそこに政治的なある種の調整も加えながら編成していくという性格のものではないかというふうに理解しております。
#124
○川口委員 私は別に大蔵の皆さんが不勉強だとか頭が悪いとか、そういうことを言っているのじゃないのですよ。実際問題として物理的にもこれは不可能であろうし、一つ一つの事柄をそんなに詳細に理解することは私は不可能だと思うのですよ。だから、どっちかというと大蔵ペースよりもいわば各省ペースで、予算を削減するとか削減しないとかというふうな形にとらわれはしないかという心配があるわけですよ。私は何も皆さんより実地を知っているということじゃないのですが、ただわれわれがはだで感じた事柄で皆さんにいろいろ物を申し上げているから、あるいは現実と離れているかもしらぬし、あるいは最も現実的であるかもしらぬと私は思っているわけです。
 たとえば建設省の予算を見ましても、公共事業は伸びがゼロであるとか、あるいは何%伸びた、こういう表現をしておるわけですが、私からすると、何%というものは何ら意味がないと思うのであります。たとえて言えば――これは本当にたとえですよ。建設省の昨年度の予算の中に用地買収費が仮に三割あったとする。用地買収が全部済んでしまって、ことしは用地買収がゼロで工事費だけが必要だという場合は、仮に用地費の三分の一を減額しても工事量は減らないわけであります。そうでしょう。そういう場合もあり得るわけであります。そうしますると、いわゆる予算の伸び率としてはゼロになったけれども仕事の量はふえたこういう場合もあり得ると思うのであります。いままでの物の考え方は、昨年度予算に対し何%伸びたから節約したとか、何%に抑えたからこれは圧縮したとか、何%に伸びたからことしは予算を伸ばした――額はそうでしょう。しかし、仕事の内容、事業の内容にすれば必ずしも伸び率とは一致したものではない、こう思うのですよ。そうじゃございませんか。私の考え、誤りでしょうか。
#125
○竹下国務大臣 伸び率というものは、やはり数字は正直でございますから、非常に参考に値するものであると思います。ただ、いま川口さんおっしゃいますのは、たとえば、私もかつて建設大臣をしておったことがありましたが、東京の一等地である道路計画、街路計画がございました。私、見ましたら九三%が用地費なんですよ。一億の予算がついて、九千三百万円が用地費になって、たった七百万円しか工事費にはならぬ。その当時は、いかにして景気効果を上げるかというときでございましたので、決裁するのに私は非常にちゅうちょを感じたことがございます。そうして、一方、川口さんのところの秋田県や私のところの島根なんかは用地費率は非常に低うございます。したがって、そういうところへ傾斜配分すれば、いわゆる景気の波及効果だけから見たら確かにある、事業量は多くなるわけですから。そういう問題は、また各省庁でそれぞれバランスをとりながらやっていらっしゃるという状態を見ますと、それが毎年毎年の伸び率を財政効果として著しく阻害するような執行関係はおやりになっていないというふうに私は見ております。
#126
○川口委員 いや、新年度の扱い方としては大臣のおっしゃることはよくわかります。ただ、いまは財政再建の初年度だ、元年だ、ぼくはその頭で物を言っているわけです。そういう頭で物を考えると、一体ことしの予算というものはどういう性格を持たせるべきかということが一つの前提になりながら予算編成に当たられると思うのですね。そうした場合に、たとえば建設の場合には、言ったとおり予算の幅でふやすのか事業の幅でふやすのか、金でふやすのか事業の量でふやすのか、これで大分違ってくるわけですよ。そういうふうなものについて、各省間の予算査定というものを大蔵でやるだけの能力が一体あるものかどうか。だから、私はいまの時点で出るを制すということを考えますと、出るを制すためにはやはり事業内容というものを的確につかみながら、これはまず差し控えなさい、これはやりなさい、これが出るを制すじゃありませんか。そういう作業が本当にできたのかということを聞きたいために言っているわけです。
#127
○竹下国務大臣 それは、たとえば市町村道といった場合に、それぞれの所管省で執行の責任を持たれるのは当然でありますが、大型プロジェクトでありますとか新規でございますとかいう問題は、予算編成の段階で、査定の段階でもそれぞれ話し合いを詰めて行っておるという実態であります。
#128
○川口委員 この大型プロジェクト一つでもいろいろな議論があるわけであります。たとえばお話が出たから申し上げますが、国土庁に調査、調整費というのがありますね。これは考えようによっては非常に弾力のある、うまみのある予算ですよ。しかし、考えようによっては、こんなものは無理していまやる必要はない、むしろ調整をするなら各省間の予算の際に考えればいいのであって、国土庁にそのような潤滑油的なものの予算は置く必要がないではないかという議論も私はあると思うのであります。そういう点についてはどういうお考えを持っておられるか、大臣どうですか。一つの例ですよ。
#129
○禿河政府委員 国土庁の調査、調整費についてでございますけれども、予算の編成段階におきまして、関係の公共事業のそれぞれにつきまして今後の進行度合いとかいうふうなものが初めからぴしっと計画が立てられ、それからまた、今後計画どおりそういうふうなことで進んでいくというふうなことが詳細に決まっておりますならば、そういう調整費というものをあえて別途計上しなくても済むという御議論も確かにあろうかと思いますが、実際の問題といたしましては、道路にいたしましても、その他いろいろ関係の公共事業、その辺の進行度合いに差が出てきたり、その間をうまく調整をとりながら必要な金をつけていく方が、全体として資金の効率的な配分も図られるというふうなこともあるわけでございます。そういうふうなことを考えて計上いたしておるものでございまして、私どもは、それはそれなりに意味があるものであろう、かように考えております。
#130
○川口委員 予算を編成して国会に出したわけですから、やはりそういう答弁をしないとまずいと思うのですよ、皆さんの立場もあるから。しかし、こういうふうな私の意見もあるということをひとつ十分御参考にしていただきたいというふうに思います。
 次に、そこで大臣、それでは一体この五十五年度の予算の性格というものはどういう性格のものとしておつくりになったかお聞かせを願います。
#131
○竹下国務大臣 いまわれわれが使っておりますのは、物価と景気両にらみ型、中立と、こう言っておるわけです。
#132
○川口委員 その中立的という言葉が、物価と景気の両にらみ、中立という意味が私はちょっとわからぬのですが、もうひとつ砕いてお答え願いたいと思います。
#133
○水野政府委員 申し上げます。
 わが国の経済は現在のところ設備投資が堅調でございます。しかし、設備投資などが堅調でもって総体的には着実に拡大傾向にあるということでございますが、これから先行きなんかを当時も考えましたところ、物価、特に卸売物価を中心といたしまして物価の先行きが心配である、それから消費者物価にもこれから響いていくおそれがある、こういうふうに一応見通しておりました。それから、そういうことでございますし、景気そのものも石油情勢があいまいでございましたし、それから欧米諸国こういったところの経済情勢がどういうふうに動いていくか不透明なところがございまして、その両方をどうしても見ていかなければいけないということで、予算編成も中立と申し上げましたが、両方をにらみながら持っていかなければいけない、こういうことでございまして、結果、編成されました予算というのは、伸び率が一〇・三%でございます。景気との関連で見ました場合は、景気が自律的に拡大をいたしております。これの足を引っ張らない、こういうふうな関係でもっていわば景気中立型、これをひとつ申しております。また同時に、先ほど来御議論のございます国債発行減額とか、それから経費を極力抑制するというふうなことで物価面についても悪い影響を与えないということで、両面について、景気についても中立、物価面についても刺激をしない、こういうふうな性格のものと経済的には見ております。
#134
○川口委員 何かよくのみ込めないのです。何を言っておるのかよくわからぬです。ただ、素直に、中立ということは、余りこの予算によってそんな影響はプラスもマイナスも出てこないのだ、こういうふうな中立というふうに考えていいのですか。
#135
○水野政府委員 先ほど申し上げましたように、経済的に財政が景気を押し上げるという力は持っておりません。経済が自律的に拡大傾向にございます。それの足を引っ張らないという性格のもの、こういうふうに考えております。
#136
○川口委員 そうしますと、いま景気に対する一つの刺激策として、公定歩合の引き上げなんかやっていますね。またぞろやろうとしている。ある金融関係の人の観測では、そんなことでは手ぬるいのだ、むしろ総需要抑制型に入らなければいまの日本経済は大変なことになるということさえ言っているわけです。そういたしますと、これから公定歩合の引き上げが何回あるかわかりませんが、そういう状態になった場合とこの予算とのかかわり合いはどういうかっこうになるわけですか。
#137
○水野政府委員 昨年三度やりまして、先月四度目の公定歩合の引き上げが行われたところでございます。先ほど申し上げましたように、卸売物価が相当上がっておりますし、それから消費者物価にも波及するおそれが出てきておるということで、インフレ心理が醸成、波及するのが非常にこわいわけでございます。これを前もって抑制する、こういうことでもって公定歩合が引き上げられたわけでございます。これはひいては物価を抑制いたしますことによってその次の景気の落ち込みを防ぐというふうなことでございます。そういう意味では、先ほど申し上げました物価と景気、この両にらみのうち物価についていま傾斜をいたしておりますけれども、両方を守っていくのだという基本的スタンスにおいては変わりはない、こういうふうに考えております。
#138
○川口委員 どうもあなたの答弁には大変な矛盾があるのですよ。あなたはこの予算はいわゆる自律景気の向上を目指しておるのだ、こう言っておるのですよ。そこはいま公定歩合の引き上げ等によって抑制されるのですよ。自律景気というものがある程度抑えられようとしている。それを抑えられては大変だというのがいまの状態ではありませんか。ですから、その辺のかかわり合いは、この予算の編成時期に公定歩合が上がったのだから皆さん困るかもしれませんが、何かその辺の説明はどうも明確じゃありませんね。
#139
○水野政府委員 経済の情勢というのは、先ほど申し上げましたように、設備投資、それから海外に対する輸出が伸びておりますし、消費もいまのところまだ堅調でございます。そういった状況で、景況というのは当初見通したよりも高い線で移行しておるというのがこれまでの情勢でございます。したがいまして、そこのところをぎゅっぎゅっと総需要抑制というふうなことで詰めるということではなくて、そういったものとの関連で物価が上がって将来インフレ心理が起こってくる、これをここのところで抑止しておこうということでございますから、景気を下に引っ張り込むという意図まで持ってやっているわけではございません。
#140
○川口委員 大変なことをあなたは言っているのですよ。それじゃ予算編成の際は景気の上昇率をどのくらい見たのですか。
#141
○水野政府委員 申し上げます。
 国民総生産にして名目で九・四、それから実質でもって四・八%の上昇でございます。
#142
○川口委員 ですから、その見込みがいま狂いそうなんでしょう。狂いそうなので公定歩合の引き上げや何かやって調整しようとしているでしょう。どうなんです、そこのところは。
#143
○水野政府委員 物価そのものがここのところでもってテンポを速めておるということでございますし、景気そのものは狂う狂わないというよりも、景気そのものにつきましてそこのところをためない感じでもって公定歩合を引き上げた。もともと出ておりました経済の基本的スタンス、これを変えるほどの必要がない段階でもって公定歩合を引き上げた、こういうふうなことでございます。
#144
○川口委員 しかし、どうもぼくがわからないのか。結局指数というのは総需要ですよ。総需要という金額でしょう。二百何兆円とかというその全体の数ですよ。ですから、つまり物価の指数か上がるということ、テンポが速まるということは総需要の数がふえる、支出がふえるということじゃありませんか。支出が大きくなるということ、パイが大きくなるということでしょう。そこはどうなんですか。そうじゃないですか。パイが大きくなれば指数が変わってくるわけですよ。その辺のところがどうもはっきりした御回答になっていないと思うのですよ。
#145
○水野政府委員 お答え申し上げます。
 いま申し上げました名目の指数、これはおっしゃられるとおり物価が上がっていますと上がる可能性がございますけれども、それと同時に、一年間ずっと通しますと、物価が上がることによって先行きになりますと実質のところが落ちていくおそれがございます。したがいまして、いま直ちに物価がこういうふうな情勢になって、すぐに全体がどうなるかというのはきわめて判断のむずかしいところと思われますけれども、当初の見通しの範囲内において、これから調整をしながら一年間の経済を持っていくということであろうかと思います。
#146
○川口委員 であろうかと思いますでは困るのですよ。困るから公定歩合を上げたのじゃないですか。もしもはっきりしなかったら公定歩合を上げる必要がないのじゃないですか。心配だから、公定歩合を上げて調整しようとしているわけでしょう。大臣、これはどうなんですか。ぼくがわからぬのですかね。
#147
○水野政府委員 申し上げます。
 先ほど申し上げましたように、卸売物価がすでに相当上がっております。海外要因が主体でございます。これが徐々に中間製品、半製品に及んでいくおそれがあるということでございますが、中身を割りますと、幸い企業、それから特に消費者、こういったところが非常に賢明と申し上げていいのか、非常にしっかりしておられまして、そこのところまでまだ波及いたしておりません。その波及がこわいわけでございますが、いまみたいに物価全体が高いということでございますと、波及するおそれがある。インフレ心理が近々に出てくるおそれがあるということでございますので、その出てくるところをいまとらえてもらう、抑止してもらうということで公定歩合を上げた。まだ完全にそういうことが出切ってしまってインフレになって――物価そのものは相当高く上がっておりますけれども、中身については、そこのところまで行ってインフレ心理が燃え上がってしまっているというような状態ではないところで公定歩合を上げさせていただいて、それを早目に食いとめる、こういうことを考えたわけでございます。
#148
○川口委員 こんなところに時間をとってはしようがないですが、名目でもいいですが、いずれ九・四%が狂うような状態になる、こういうことでしょう。九・四%の見積もりが狂うようなおそれがある、したがって手を打った、こういうことでしょう。違うのですか。
#149
○水野政府委員 放置しておきますならば物価や何かがまだ上がるおそれがあるし、そうなると、経済の見通し全部が変わってくるおそれがないわけではない。したがいまして、物価を抑制し、当初の線に乗せるということでもって公定歩合を上げさせていただいておる、こういうことでございます。
#150
○川口委員 まあ、いい。後でまた機会を見て聞きます。
 そこで、五十五年度予算の租税の見積額、これは狂いませんか。大体確保できるか、あるいは適正な見積もりをしたかという点について、ひとつお答えをいただきたい。
#151
○高橋(元)政府委員 税収を見積もります場合に、一つは今年度の税の実績をどのように把握するかという問題がございます。
    〔愛知委員長代理退席、委員長着席〕
これにつきましては、先ほどおおむね申し上げまして、当初予算に対して一兆九千九十億円を加算した税収よりも、だんだんと毎月の税収の実績の足取りを追っていきますと、そこに収斂していく実勢にあると思っております。問題は五十五年度の経済見通しによる経済諸指標を基礎として、そういう課税実績に基づきまして五十五年度の税収を見ていくわけでございますから、経済の実勢が動きますと、五十五年度の税収がそれによって動いてくるということも事実でございますし、先ほど来大臣官房の方からお答え申し上げておりますように、今回の公定歩合の引き上げに伴って政府経済見通しがどのような実勢で実現をしていくかということについての見通しは、いま必ずしも明らかではありませんけれども、現在お示ししております政府の経済見通しが改定されなければならぬというほど大きく動くというふうにも私どもとしては聞いておらないわけであります。そのような実情にあるというふうに考えておらないわけでございます。したがいまして、五十五年度の予算の税収見積もり総体を狂わすような大きな経済見通しの差異というものがいまのところはないのではないかと考えておるわけでございます。
#152
○川口委員 次に、大臣の財政演説によりますと、今回の措置によって租税特別措置についてはおおむね整理が一段落した、こういうふうにおっしゃっておるわけでありますが、これはどういうことですか。
#153
○竹下国務大臣 これは五十五年度において利子配当課税について総合課税へ移行するための所要の措置を講じたということが一つあります。したがって、これは効果が出るのは昭和五十九年一月一日からであります。それまで当局の徴税者の方もあるいは金融機関も準備が要りますし、国民全体もこの制度に慣熟しなければなりません。ただ、いわゆるグリーンカード制度をやったということが、やはりこれは手直しの一つであります。次が企業関係の租税特別措置については、廃止または大幅一律縮減をやって思い切った整理合理化を行った、そうして税制調査会の答申においても明確に五十一年度以降――五十一年からやってきたわけでございますから、それでもって全体であります数、五十一年から五十五年度で八五%の整理割合がなるわけでございます。したがって、これは税制調査会等においてもこれをやれば一段落したものと考える、こういう評価とでも申しましょうか、いただいておりますので、そのように申しておるわけであります。
 ただ、税負担の公平の確保ということにつきましては、これは実態に即して税というものは絶えず見直しの対象になるものでございますから、税負担の公平というものについては絶えずこれに対して注意していなければならぬ。ただ、企業関係の租税特別措置等については、ここで一応一段落をした、こういう表現をしておるわけであります。
#154
○川口委員 これも前の提案を引き合いに出して恐縮ですが、前は大蔵大臣こう言っておるんですよ。税負担の公平を一層推進する見地から、引き続き租税特別措置の整理、統合、合理化を行う、こう言っておるわけです。ですから、この文章にある限りは、租税特別措置というものそのものがやはり税の不公平になっているのだ、こういう前提ではないかと私は考えておるわけですよ。ですから、そういう意味からすると、大体八五%やったからおおむね一段落したという認識は少しいただけない、こう思っているのですが、この点はどうなんですか。
#155
○高橋(元)政府委員 数字のことでございますが、一つ御説明を申し上げておきたいと思うわけでございます。
 企業関係の租税特別措置は八十二項目ありましたのが、ことしの縮減で七十二項目になっておりますが、それに基づきます法人税のプロパーの制度に対する減収額というものは、法人税の八兆五千億という予算に対しまして二・二%の千八百七十億ということになります。この二・二%という数字がいいか悪いかという御議論はまた一つあろうかと思いますけれども、政策税制として使命を終えたものは整理をして、残ったものについて圧縮を加えてこのような割合になっておるわけでございますが、さかのぼりまして昭和四十七年ごろを見ますと、その割合は九%でございました。当時、法人税収のプロパーの税収に対して九%ぐらい租税特別措置で減収を来しておったわけでございますが、四分の一の二・二%程度になってきておるわけであります。
 そこで、政策税制を一律に整理縮減を加えていくという手法につきましては、先ほども他の委員から御批判もあったわけでございますけれども、そういう形で一律にいわばゼロベースの見直しをすることは、これはまさに一段落ということで、今後は、大臣からもお話のございましたように、社会経済情勢の推移に即応して税制全体をどう考えて、そこの中の公平なり国民の信頼というものをどういう形で持っていくかという具体的な工夫の問題になろうかというふうに考えるわけであります。
#156
○川口委員 お話はわかります。ただ、一たん手をかけたから、手直しをしたから大体この程度の手直しをした、こういう御答弁でありますが、たとえば、これも一つの例でありますけれども、価格変動準備金などの場合、昨年手をつけましたね。手をつけましたけれども、しかし、それは今後五年ないし十年間にゼロにしろ、こういうことなんですよ。物の考え方がまことに画一的だと私は思うのですよ。ですから、価格変動準備金なんというものは、場合によっては、いまのお話ではありませんが、今回の予算が中立的予算だ、そういう性格のものだとするならば、あるいは在庫が一掃したという段階であるならば、こういうなし崩しにすることも必要ないと思うのですよ。政策目的としてことしはやらないんだ、ことしは価格変動準備金はなしだ、場合によっては来年はあるかもしれない、これが政策目的であり、政策の手法だと思うのですよ。そういうふうなお考えにはなれませんか。一律になし崩しになくしてゼロにするからいいんだということではなしに、政策目的であれば、その年の経済の変動、価格の推移、そういうものを見ながら、その年はやめる、来年はやる、こういうことがあってもしかるべきものではないかと思うのですが、いかがですか。
#157
○高橋(元)政府委員 五十三年度末で価格変動準備金の積み立て残額は約七千五百億円であったと思います。それで、七千五百億円を今後価格変動の著しい物品については毎年毎年〇・四ずつ下げて十年がかりでゼロにします、通常の物品につきましては毎年〇・三%ずつ積立率を切り下げていきまして昭和五十九年でゼロにいたします、そういう改正案を御承認をいただきました。それで現在なし崩しに整理をしておるということはいま委員からお示しのとおりでありますが、その中で毎年〇・三ずつ削っていきまして五十九年でゼロになるという部分が先ほど申し上げた七千五百億の中の七割でございます。したがって、あと四年かかれば価格変動準備金というのはその七割までが、いま現在七千五百億あるわけでございますから、大体五千億がらみのものがそれでなくなるわけであります。そのようなゆっくりやらずにもっと速やかにやったらいいではないかというお示しであります。価格変動準備金をなぜ整理するかと言えば、これは特定引当金ではありますけれども、利益留保性が非常に強いということで御批判も強かったわけでありますし、企業会計審議会でもいろいろ御意見もありました。私どももそういう観点でこれを整理したいということでずっと懸案にしてきておったわけでございますが、これは非常に沿革の古い話でございますけれども、昭和の初めからたな卸し資産について一割評価減をするというような企業慣行がありまして、税務上もそれが容認されてきておったわけでございます。それが一遍シャウプ勧告によってなくなりまして、また二十七年に復活をいたしました。二十七年から一割の価格変動準備金を認めるという制度が十何年か続いてまいりまして、その後非常に幅を切り込んで価格変動の著しいものについては五%、一般の物品は二%というふうに切ってまいりました。そういう昭和二十七年以来の長い準備金制度でもあるということもございますし、当時、積立額がとにかく八千億からあったわけでございますから、一挙にゼロにすると、それによります企業の、法人の税負担の激変を緩和する、そういう要請も無視できないということで、実際上、申し上げておりますように、大体七割方があと四年以内になくなっていくということでございますから、これはそういうことで御理解をいただければありがたいと思います。
#158
○川口委員 一例を申し上げたのですが、私の前提はあくまで早く財政の再建をしたい、そして財政に余力をつけて、弾力ある力をつけてステップしたいという前提があるから、何か皆さんより私の方が緊急性があるといいますかそういう感じなんですよ。だから、財政当局、先ほど大臣が言ったとおり、たまたま五十五年度は自然増収が多かったために少しのんびりしてはいないか、こういう機会にこそ健全財政の方向に、しかも税の不公平を正すような方向に思い切って前進していくことが大事なのではないかということを言いたいために、こんなお尋ねをしているわけでありますが、その点はどうですか。
#159
○竹下国務大臣 川口さんの方が、私を含む大蔵当局より正に男子の本懐になっておられるという感じで、実際のところ私もお話を聞いておりました。これは政治家同士の議論として、問答として申し上げますならば、私もあと三千億、十四兆台を割りたかった、十三兆にしたがった。したがって、そのことをいろいろ考えました。ところが、仮に予算編成の最末期において三千億という新たなる負担によって何かが確保される見通しがついたとします。それを果たして抑え切っておったか、それはやはり予算の伸びの方へいろいろ要求が強いわけでございますから、その方へ私個人は妥協してしまったのじゃないかという気持ちも当時あったことは事実です。したがって、せっかくここでおさまったものなら、ことしはこれでやろうという気持ちになりました。したがって、私が予算編成を終わったときに素直にぽろっと漏らした言葉としては、来年の大蔵大臣は大変だな、こういうことを申しましたが、いまでもそういう気持ちに変わりありません。本当に歳出削減のみでなく、今度は歳入に対しても各般の意見を聞いて取り組まなければいかぬという感じがいたしますだけに、素直にそういう感じを私が記者懇談か何かで漏らしたということも、川口さんと同じような気持ちが私にもあるから、そういうことがつい言の葉に上ったというふうに理解していただければ幸いです。
#160
○川口委員 政治家同士の話になると、大変おしかりを受けるかもしれませんが、やはり大平内閣は百三十八票の支持の上にできた内閣なんですよ。その実態からした、つまり保身のための大盤振る舞いが今回の昭和五十五年度の予算じゃないかと政治家としては考えています。私はそう考えているのですよ。だから、結局、あっちにもこっちにもいいようにやっているのです。本当に先ほど言ったとおり、井上準之助じゃないですが、命を張って、体を張って国の財政計画を立てるとすれば、たとえ百三十八票の支持の内閣であっても、毅然たる行財政の態度があってしかるべきであったのじゃないかという点が私は思われるわけです。政治家同士の話と言いますから、あえて私は申し上げたい。
 そこでもう一つ、財政投融資の件ですが、ここの原資で国債を引き受けるというのは一体いかがなものですかね。
#161
○渡辺(喜)政府委員 運用部資金で五十五年度は二兆五千億の国債を引き受けるという計画になっておるわけでございます。私どもの考え方は、基本的には、国債はできるだけ市中で引き受けていただくことがあくまでも基本であるということは変わりないわけでございますが、御案内のように、五十年度以降国債の大量発行が続いておりまして、しかも、その発行量が五十四年度までは年度を追って急激にふくらんできた、こういう状況でございまして、市中の引き受け能力といいますか消化能力といいますか、そういうものから見ましても、実際問題として国債の発行はかなり過剰になってきておるというのが現実の姿でございます。したがいまして、市中の引き受け側といたしましても、できるならば運用部資金でもってかなり国債の引き受けをして、市中負担をその分だけ減らしてもらいたい、こういう要望が非常に強く出てまいっておるわけでございます。
 しからば、一体、運用部資金で国債引き受けというのはどの程度やるべきかという問題でございますが、これはそのときの財政投融資の需要、一体どういう方面に財政投融資をどの程度しなければいけないかというふうなこと、これはもちろん経済、金融情勢等と絡んだ判断の問題だろうと思いますが、そういう需要の問題、それから運用部の原資の問題、一体どの程度原資の増加が見込めるかというふうな問題、と同時に、国債の発行の量の問題、その量と絡んだ市中の引き受け能力の問題、こういうふうなもろもろの要素を総合的に勘案いたしまして、私どもといたしましては、国債の円滑な消化を図るために可能な限りの国債引き受けを運用部資金でやりたい、こういう考え方のもとに、五十五年度につきましては二兆五千億、これは当初ベースでは前年度に対しまして一兆円の増という引き受けを計画いたしたわけでございます。
#162
○川口委員 大臣、私は、国債発行の安易さがここにも出ていると思うのです。私ども、小さいですが地方自治体を担当してまいりました者は、歳入に限りがあると、どうしても歳出をいじめるよりしようがないのですよ。たまたま国の場合は大きな権限があるものですから、いろいろなところに安易に便宜主義に物事を扱っておると思うのですよ。ですから、いまいろいろくどくどお話がありましたが、こういう状態が続きますと、それじゃ国債がかわいそうだ、一般会計がかわいそうだというふうになってまいりますと、国債発行の歯どめがきかなくなる。そこにちゃんと受けざらができたという感じになってしまいますと、財政投融資の使命といいますか任務というものが大変損なわれてしまうのじゃないかと私は思うのです。いま私どもの計算によりますと、財投原資約二十兆円でありますが、引受額はその中の一二・三%ですよ。しかも国債発行予定額十四兆円に対しましては一七・五%も財投で引き受ける、こういうかっこうになっておることは必ずしも正常の姿ではない。そしてまた国債発行に充てる。こういう安易な国債発行の仕方は、財政秩序をどこまでも崩してしまう、財政秩序の確立ができなくなるんだ、こういうふうに思うのでありますが、ことしはやったから仕方がないといたしましても、大臣、この私の考え方はどうですか。
#163
○竹下国務大臣 国債発行というものについての基本的な国債管理政策ということになりますと、基本的には多いからいけないのです。多いから市中引き受けに限界が生ずるわけです。そしてそれが一般の金融等々に影響を及ぼすこともあり得る。そこで、それこそ個人引き受けということになりましても、これもおのずから限界がある。しかし、それも市況のニーズにこたえるようないろいろなものを考えて発行したりしております。
 いま私は、五十四年度の段階におきましても市中引き受けというものの限界を見きわめながらいわゆる資金運用部資金においてこれを引き受けたというのも、国債管理政策全体からすれば、現時点においてはそれはそれなりの理屈のあることであるというふうに認識をいたしております。が、やはり国債管理政策を部内で議論しましても、最終的には幾ら何でも多過ぎるということは私も川口さんと同感ですよ。
#164
○川口委員 望ましくないけれどもやらざるを得なかった、こういう理解でいいわけですね。――担当者はいいですよ、時間がないから。
#165
○渡辺(喜)政府委員 資金運用部の資金は本来全部財政投融資に回していくべきであるというところまでは私ども考えていないのでございます。やはりある程度は国債引き受けもすべきである。というのは、国民の貯蓄というものは、一方で預金あるいは信託あるいは金融債等々の形で民間の金融機関に入っていくわけですが、それ以上の大量の国民の貯蓄というものは、郵便貯金を通じて運用部資金に入ってくるわけでございます。それで、本来国債というものはそういう国民の貯蓄で引き受けていくべき性格のものでございますから、そういう国民の貯蓄という性格に着目いたしますと、運用部もやはり何がしかの国債負担というものは引き受けていかなければいけない。特に、現在、民間の金融機関は原資の増加額の……(川口委員「簡単でいい」と呼ぶ)ほとんど全部を国債引き受けに回しておるというような状況でございますから、こういう時期においては運用部資金もやはりそれなりの国債負担というものを負うべきである、こういうふうに考えておるわけでございます。
#166
○川口委員 私は大臣の財政運営の方針を聞いているのだから、あなた余り答弁しなくてもいいよ。
 もう一つ大臣に聞きたいのですが、先ほど予算の性格について、つまり中立的な性格を持った予算だ、こういうふうにおっしゃっているのです。そこで、公共事業も災害を除いて伸び率ゼロだ、こうおっしゃっているわけですが、しかし、財投においては八%の増を見ているわけですね。八%の拡大を見ているわけです。予算の面においては自律景気を求めていながら、財投においては八%の増を見たというのは一体どういうことなんですか。
#167
○渡辺(喜)政府委員 おっしゃるように、財投計画は八%伸びておるわけでございますが、財投の内容は必ずしもそれがすべて公共事業関連ということではございません。中小企業でございますとか、もろもろの分野があるわけでございます。さらに、財投というのは資金面でございますので、実際に行う事業規模に着目いたしますと、事業規模の伸びの面では大体〇・五%程度の伸びにとどまっておるわけでございます。たまたま自己資金その他が少ないものですから、財投の資金面では八%の伸びになっておりますが、事業規模ではほとんど横ばい、こういうような現状でございます。
#168
○川口委員 時間がなくなってしまいまして余り申し上げられませんが、いろいろそれにも申し上げたい点がある。大臣、財投に対しても、特に産投の方ですが、一般会計の持ち出しが幾らかあるのですよ。二十九億くらいあるのです。ですから、こういう点もいまの財政の状態にある場合は、やはり現在の原資に対し一般会計から持ち出しなどの必要はないのじゃないかというふうに考えるのですが、この点はどうですか。
#169
○禿河政府委員 確かに、産投会計に対します一般会計からの繰り入れば五十五年度二十九億ということになっております。ちょっと私、担当でないものですから中身の詳細よく存じませんが、金額で申しますと、この二十九億というのは従来に比べますと非常に小さくなっておると思います。
#170
○川口委員 とにかく大臣、要らざる心配かもしれませんが、本当にいまの財政の破綻というものは、いずれ将来はわれわれの子孫にかかってくるわけですよ。世代間の不均衡というのは必ず起きるのです。ですから、財政当局の身になるというよりも、将来のわれわれの子孫の身になって世代間の不公平が出ないようなことをわれわれがいま考えてやらなければならぬ、そういう立場に立っていろいろお尋ねしたわけでありますから、どうかその辺御理解の上、今後よろしく財政運営をやっていただきたい、こういうふうに思います。
 そこで、あと時間がなくなりましたが、どうも大蔵委員会で一般質問の機会が余りありませんので、この際、ちょっと二つほどお聞きいたします。
 一つは、大臣も御関係があると思うのですが、三倍増醸酒、これを中止なさる意思がないかどうかということです。ということは、いま米の拡大に関係いたしますが、昭和二十年代は非常な食糧危機の時代でありましたから、アルコールを使って酒をつくることを認めておったわけです。ですから、一〇〇%のアルコールとブドウ糖と水をまぜて三倍に薄めて、それを日本酒として売り出しておったわけですよ。それがいままで残っておるわけです。ですから、日本酒の質も下がってまいりましたし、またアルコール中毒患者が多くなったのもそのせいじゃないかと思うのですが、非常に日本酒の品質が下がったのですよ。売れ行きも少なくなりまして、税の収入にも関係があるわけだから、この際、米の拡大を図りながら三倍増醸酒をやめたらどうか。きのう実は農林大臣にもお話をしましたら、農林大臣も賛成であるので、また大蔵大臣も酒に関係があるからひとつこの点はよく相談しましょうということで別れておるわけですが、御見解はいかがですか。
#171
○小泉(忠)政府委員 間税部長でございますが、国税庁の間税部の所管になっておりますので、私からお答えさせていただきます。
 三倍増醸の方式は、御指摘のように、昭和二十四年から導入されておりまして、現在まで約三十年経過いたしております。その製造技術あるいは品質とか嗜好の問題でございますが、これも三十年間にかなり定着をしてまいっておりまして、現在ではそういう状況でございます。したがいまして、これを急激に変更するということにつきましてはかなり問題があるかと思いますが、今後、清酒業界も質の向上等を従来からも図っておりますので、ともども十分検討いたしまして対処してまいりたいというふうに考えております。
 なお、清酒全体に占めますこの三倍増醸の割合は、現在大体三分の一になっておりますが、昭和四十年と比べますと一〇%程度下がってきております。したがいまして、三倍醸造といいますか、この形が順次自然に解消されつつあるというような現状じゃなかろうかと思います。
#172
○川口委員 もう一つですが、そこで酒の小売許可、これはむずかしいことを言ってなかなか許可にならぬ。よく考えてみますと、距離であるとか戸数であるとか、いろいろな制約がありますよ。しかし、どうもいままでの酒屋さんは、熱心な人もおるし、殿様商売しておる人もおるのです。だから伸びない。だから、やる気のある店には閉鎖的ではなしにもう少し開放的な見地から小売免許を出すようなお手配はできないものですか。
#173
○小泉(忠)政府委員 御指摘の小売酒販の免許の問題でございますが、酒税法の第九条、第十条に基づきまして、従来から国税当局が税務署長の判断で各種の状況を踏まえまして適切な措置をとってきておるわけでございますが、大体年間二千件近くの新規免許が下付されております。大ざっぱな数字で恐縮ですが、全体で約十五万件程度のものがございますから、大体一%前後というようなことで御理解いただきたいと思いますが、ただネットで申しますと、これが千を切っておりまして、九百何ぼというような増加になっております。
 御指摘の点でございますけれども、税務署長といたしましては、その地域の状況等を検討いたしまして、需給の均衡が過度に影響を受けないようにということに慎重な判断をいたしております。
 細かい問題になりますけれども、酒税の保全とか、あるいは需給の均衡等で税収の確保に遺漏があってはならないというような当局の見地もございまして、地域の状況も見ながら、できる限り広範囲に検討いたしまして下付をする、認めるというような方向で運用いたしております。
#174
○川口委員 問題がなければこんな質問はしませんよ。ですから、数字的な答弁よりも実態をよく御検討なさって、開放的に、前広にひとつ検討するということにしていただきたいと思います。
 次には、もう一つ、せっかく専売がおいでですからお聞きしますが、予算の組み方がどうも私は理解ができないのであります。
 というのは、従来は国の納付金があった、だから、利益を持たなければならなかった、これはわかります。しかし、今回は、もうすでに納付金というのは、たばこ一本の定価の中に何%という利益を見ておるわけです。利益を見ておりますから、後は経費でいいはずであります。それにわざわざ予算の当初から利益金を組んでおくという予算の立て方は、私は非常に問題があると思う。いま皆さんはりっぱだからいいわけですが、こういう何にでも使えるような金が予算そのものにあるということは、将来のKDDにもなりかねない。でありますから、不明確なものは設けないで、もし次年度における投資に必要な経費であるならば、予算の項目の中に、たとえば設備資金何々とか、何々積立金とか、何々準備金という形で明確にして予算を計上すべきだ、私はこう考えるわけであります。
 特に、仮に原価の値上がりがあった、あるいはまたいろいろな経済情勢によって定価を変えなければならぬという場合は、たまたま今回はわれわれ反対いたしましたけれども、法定制緩和という制度が設けられまして、それによって価格の調整ができる道があるわけであります。
 大臣、この点につきまして、予算の提案をされておりますからいまさらどうこうということでなしに、もしもそういう余裕があったならば、しばらくの間財政が苦しいわけでありますから、一般会計に繰り入れてもらうか、専売に手助けしてもらうか、あるいは余分な利益金があるならば、たばこの値上げを、法定制緩和があるわけですからもう少し下げるか、そういう措置をとるべきだというふうに私は思いまして、あえていまお尋ねをしたわけであります。
#175
○名本政府委員 ただいま川口先生御指摘の点でございますけれども、確かに、五十五年度予算におきまして、利益率といたしますと大体三・七%ぐらいになりますが、計上してございます。
 しかし、専売公社はいわゆる製造事業を営んでいるわけでございますから、固定資産の投資、機械設備等の投資、それから葉たばこ等の原材料の投資、しかもこの葉たばこは、先生よく御承知のように、たばこにつきましては二年間も寝かせなければならない、非常に固定資産に近いようなものでございまして、そういうものの投資のために必要な資金というものをある一定の割合のものは公社に留保していく必要があるということでございまして、この利益金と申しますのはそういうものに充てるための資金でありまして、一般会社の配当等に回します社外流出が行われます資金とは違うわけでございまして、そういう意味のものとしてひとつ御理解いただきたいと思います。
 それから、これはそういうものであるならば、利益としないで別途の形で計上すべきではないかという御意見でございますが、これにつきましては、利益金は、資産で申しますと利益準備金として貸借対照表の負債・資本の部に載っかりまして、その見合い勘定としましては、これは現金以外のそういうような投資されましたものがあるわけでございまして、現実に現金があるわけのものでもございません。現実にすでに投資されておるということでございまして、具体的にその資金がどのように回っていくかと申しますのは、これは専売公社の予算書の添付書類といたしまして資金計画が添付してございまして、売上金全体としましてその資金計画の収入の部に掲げてありまして、それに見合う資金需要というのが支出の部に掲げてあるわけでございまして、そういうふうになっておりますので、現実に遊んでおる金があるというようなものでは経理上当然ないわけでございまして、資金計画、それから現実には、そういうお金が回ってまいります投資のお金は、収入支出予算の支出の方に固定資産投資あるいは葉たばこ購入費として計上してございますので、先生のおっしゃる点は、現実の問題としましては、予算書、それから予算の添付書類におきましてほぼ満たされているのではないか、かように考えております。
#176
○川口委員 いろいろまだ納得しませんが、時間が参りましたので、きょうはやめます。いずれまた機会があったらもう少し討論します。
#177
○増岡委員長 次回は、来る七日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時五十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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