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1979/03/19 第91回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第091回国会 大蔵委員会 第14号
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1979/03/19 第91回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第091回国会 大蔵委員会 第14号

#1
第091回国会 大蔵委員会 第14号
昭和五十五年三月十九日(水曜日)
    午前十時三十三分開議
 出席委員
   委員長 増岡 博之君
   理事 愛知 和男君 理事 稲村 利幸君
   理事 高鳥  修君 理事 綿貫 民輔君
   理事 佐藤 観樹君 理事 山田 耻目君
   理事 坂口  力君 理事 正森 成二君
   理事 竹本 孫一君
      麻生 太郎君    大村 襄治君
      熊川 次男君    椎名 素夫君
      白川 勝彦君    玉生 孝久君
      中村正三郎君    林  義郎君
      藤井 勝志君    坊  秀男君
      村上 茂利君    毛利 松平君
      山口シヅエ君    山崎武三郎君
      山中 貞則君    山本 幸雄君
      伊藤  茂君    川口 大助君
      沢田  広君    島田 琢郎君
      塚田 庄平君    堀  昌雄君
      山田 芳治君    柴田  弘君
      田中 昭二君    古川 雅司君
      宮地 正介君    多田 光雄君
      渡辺  貢君    玉置 一弥君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 竹下  登君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  小泉純一郎君
        大蔵大臣官房審
        議官      水野  繁君
        大蔵大臣官房審
        議官      梅澤 節男君
        大蔵省主計局次
        長       禿河 徹映君
        大蔵省主税局長 高橋  元君
        国税庁次長   伊豫田敏雄君
        国税庁直税部長 矢島錦一郎君
        国税庁徴収部長 田中 哲男君
        国税庁調査査察
        部長      矢崎 新二君
 委員外の出席者
        警察庁長官官房
        能率管理課長  伊藤 達磨君
        警察庁刑事局捜
        査第一課長   加藤  晶君
        行政管理庁行政
        管理局管理官  篠沢 恭助君
        行政管理庁行政
        管理局管理官  吉村 友祐君
        国土庁土地局土
        地政策課長   渡辺  尚君
        大蔵大臣官房審
        議官      宮下 鉄巳君
        社会保険庁年金
        保険部業務第一
        課長      萩原  昇君
        郵政省貯金局第
        一業務課長   小倉 久弥君
        労働大臣官房審
        議官      倉橋 義定君
        労働省労働基準
        局賃金福祉部賃
        金課長     花田 達郎君
        自治大臣官房情
        報管理官    小野寺秀雄君
        自治省行政局選
        挙部選挙課長  岩田  脩君
        大蔵委員会調査
        室長      葉林 勇樹君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月十九日
 辞任         補欠選任
  大久保直彦君     田中 昭二君
  宮地 正介君     有島 重武君
同日
 辞任         補欠選任
  有島 重武君     宮地 正介君
  田中 昭二君     大久保直彦君
    ―――――――――――――
三月十九日
 医業の税制改善に関する請願(松本善明君紹
 介)(第二五七一号)
 同(野間友一君紹介)(第二五七二号)
 不公正税制の是正等に関する請願(石田幸四郎
 君紹介)(第二六二八号)
 一般消費税の新設反対に関する請願(中川嘉美
 君紹介)(第二六二九号)
 同(伏木和雄君紹介)(第二六三〇号)
 同(渡部一郎君紹介)(第二六三一号)
 同(飯田忠雄君紹介)(第二七〇〇号)
 同(渡海元三郎君紹介)(第二七〇一号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 一一号)
 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第一二号)
     ――――◇―――――
#2
○増岡委員長 これより会議を開きます。
 所得税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。多田光雄君。
#3
○多田委員 次官にまずお伺いしたいと思うのですが、財政再建が非常に緊急かつ重要な課題であることは明らかですが、政府は財政再建を口実にして、五十五年度予算案では福祉の切り捨てというか福祉の軽視といいますか、予算の切り捨てがありますし、公共料金の大幅引き上げ、さらにまた国民には実質的な大幅の増税を課しております。これでは財政が国民生活の防衛と日本経済の国民本位の発展という政治の根本課題にはこたえていないばかりか、かえって国民生活を破壊して、財政危機を一層強めざるを得ないのではないかと思います。現にインフレ機運が強まって経済の基盤を揺るがしているような現状です。こういう中で税制審議に当たって、私はまず所得税の減税の問題についてお伺いしたいというふうに思っています。
 そこで次官にお伺いしますが、所得税の課税最低限の引き上げは、昭和五十二年の引き上げ以来今日まで三年連続して見送られてきておりますが、これはかつてない異例の事態といえましょう。しかも重大なことは、財政再建期間中は減税できないと総理みずからが公言していることでありますが、これは国民生活の将来にかかわる重要な問題であります。
 そこで伺いますが、どういう理由で連年にわたる所得税の減税を見送っているのか。そしてまたそれはいつまで続くと考えておられるのか、簡潔にお答え願いたいと思います。
#4
○小泉(純)政府委員 今度の予算案が福祉切り捨てではないかという御意見でありますが、政府として限られた財源の中でできるだけ福祉面に対しましても意を用いたと私自身思っております。そういう中で、所得税減税がどうしてできないのか、確かに昨年の総選挙によって国民多数の意見というのは増税を拒否したと思います。できるだけ増税を避けて、ほかの方法で財政再建をせよというのが大方の国民の意向ではないかと私は理解しています。そういう中で、増税の中でも一番国民が関心を持ったのは一般消費税でありますが、そういう国民の意向を受けながら予算を組んだわけでありますが、できたらば現在の情勢においては財政再建の面において増税を求めたい、増税に対して国民の理解を求めなければならないときに所得税減税はどうか。しかも、所得税の現実の日本の姿を見てみますと、諸外国に比較して、課税最低限を見てもそれほど低いわけではない、国民に対して過重な負担を強いている現状でもない、こういう中にあってはできるだけ減税は避けて、減税できる状態ではありませんから、増税は避けるような方策を考えますけれども、かといって減税するような事態ではないと私は見ております。
#5
○多田委員 恐らくいま次官ができたら増税したいということは、国の財政が赤字で大変だ、それを埋めるには増税しかない、こういうお立場からできたら増税したいという大変大事な発言をなさったわけですが、そう理解してよろしいですか。
#6
○小泉(純)政府委員 いまの財政状況を見ますと、増税しないでできるのにこしたことはないのですけれども、いろいろな財政規模等を考えてカットするには限度がある。そこで増税しないにこしたことはないのですけれども、でき得ればこの赤字財政を脱却する意味において、むだな経費をカットするとか、行政改革とか、そういう支出面の削減と同時に、歳入の増を図るということ、この両面からやっていかなければならない、そういう支出面のカット以外の歳入の増を考えた場合、増税のために国民に対して理解を求める方策を考えねばならないのではないかということで、私はいまの発言をしたつもりでございます。
 選挙のとき、私もいろいろ野党の意見を聞いてみました。確かに野党は一般に対しては増税反対と言います。ところが、現実を見ますと、ずいぶん増税を要求しているのもこの委員会でもありますね。ですから、簡単に増税反対といっても、そういう面だけではないわけであります。野党は増税反対というスローガンは掲げたにもかかわらず、この委員会におきましても、ある面においては増税を要求している。ですから、そう考えますと、一般消費税に対しては非常な拒否反応があったけれども、ある面においては、ほかの場によっては野党自身も増税を求めているということを考えますと、歳出の削減と歳入増というものは、できるだけ国民の理解を求める方法をこれからも鋭意考えていかなければならないのじゃないか、そういうふうに私は考えます。
#7
○多田委員 いま述べられた課税最低限の国際比については後でお伺いしたいと思います。
 そして、いま、野党も増税を求めている、増税以外に日本の財政の再建はないんだ、こういうような意味のお話をされたわけです。ほかの党は知りませんけれども、私どもは恐らくただ一つの党として特別公債の発行にも一貫して反対してまいりました。同時に、今年度の予算の編成に当たりましても、組み替え案にしてもあるいは修正にしましても、私どもの立場というのは、いまの財政の再建は、国民生活を守りながら、しかも財政再建を続けていくことができるし、また、そういう立場を政治家としてとらなくちゃならないということを、口先だけでなくて数字や計画をもってすでにお示ししているわけです。きょうこれに深く立ち入る余裕がございませんので、一応このことを申し上げておきたいと思います。
 そこで、私は、まず第一に、やはりわれわれは国民の生活の実態から足を離れるわけにはいかないというふうに考えております。
 そこで、国民の税金との関係について申し上げますと、これは、すでにさきの参議院でうちの議員が大蔵も認めた数字でいろいろお伺いしているわけです。そこでは、昭和五十二年に年収二百五十万円の標準世帯、税額は三万一千八百円です。戻し税を入れれば一万六千八百円です。その年収が消費者物価と同率で上がったとするならば、昭和五十五年では、収入が一・十六倍になり、税額は一・八一倍、戻し税を入れれば三・四二倍になります。同様にして、四年後の昭和五十九年度まで減税を見送るとすれば、年収は一・四一倍に上がりますけれども、税額は何と三・六倍になるのです。戻し税を入れますと六・八倍という高率の税額になるわけですよ。これは、先ほど言いましたように、大蔵省が認めた数字でございますけれども、実際の生活は、きのう皆さんが物価対策を出されたように、公共料金を初めとする諸物価の高騰がのしかかって大変な重圧になっているわけですね。政府は、この所得税減税見送りによる実質的な負担増という形での増収を財政再建のための財源確保の一つの手段として見ているのではないかと私ども考えざるを得ないわけです。ですから、政府は赤字解消のためには国民生活の後退はやむを得ない、そして、減税の必要はないというふうに考えておられるかどうなのか、これは先ほどの次官の、できるならば増税をしたいということとあるいはうらはらになるのかもわかりませんけれども、ここでひとつ明快にお答え願いたいと思います。
#8
○小泉(純)政府委員 財政再建のために国民の生活があるのじゃなくて、政府も国民の生活の安定のためにいかなる方策がいいかということで考えた予算であります。ですから、今回の予算についてもあるいは税法につきましても、いま何とか財政を再建するということが将来の国民生活の安定につながるという気持ちからやっているのであって、別に財政再建のため、あるいは減税しないということが国民生活を無視しているというふうにとられては困るのであります。いま、将来のインフレなり経済破壊を何とか防ぐためにどうしてもやらなければならないことがたくさんある。そのことに対して国民が負担を感ずるという場合もあると思いますけれども、そういう際には納得と理解を求めるような努力をしていかなければならないし、あくまでも財政再建というのは国民生活の将来の安定のためになければならないと思っております。そういう点は、国民に負担を強いるためのような税法改正を意図しているのではないということを切に御理解をいただきたいと思うのであります。
#9
○多田委員 引き続いて、先ほどお話ししました資料に基づいてお伺いしたいと思うのです。
 この連年の減税見送りは、ただ、いまおっしゃっただけじゃなくて、税制のあり方をもゆがめる結果になるのじゃないかということを私は恐れるわけです。たとえば、先ほどの試算では、五十二、年に二千万円の年収、これはやはり高額と言っていいでしょう。この二千万円の標準世帯の場合、減税を見送りますと五十九年度ではどうなるかといいますと、収入は一・四倍です。税額でも一・八五倍と、収入と税額の伸びぐあいはさして変わっておりません。ところが低所得者、たとえば年収二百五十万円の標準世帯の場合は、同じ昭和五十九年度でどうなるかといいますと、収入の一・四一倍に対して税額では六・七九倍という大変不均衡なものになるわけです。このように減税の目送り、いまの諸物価の上がり、実質的な増税の進む中で、このような実質的な負担が低所得者ほど激しくなっていくということです。まさに、所得税は累進税が基本だと言われる中で、著しくこれが逆進的になっていって、税の公平という観点からも崩れてくるのじゃないか、こう思うわけですね。こういう不公平、生活難が所得税減税見送りで倍加されても、当然赤字解消のためにはやむを得ないというふうに考えているのか、これほど不均衡が生まれるのに対して、どういう措置をこういう低所得者に為政者としてとるべきなのか。先ほど次官は、財政のことだけを考えて国民のことを考えていないわけではありませんと言いましたけれども、国民の中で二百万から五百万という所得の人が圧倒的な多数です。この人たちが最も不公平な税率で苦しめられるとするならば、それを放置しておいて赤字解消だけが最優先というのでは、国民は納得しないし、恐らく自民党政府と国民との間の矛盾ももっと熾烈なものになっていくのじゃないか、こういうように私は思うわけですね。私は高成長のもとであっても低成長のもとであっても、所得税本来の姿というものは変えるべきではないというふうに考えるわけです。次官の御答弁をお願いしたいと思います。
#10
○高橋(元)政府委員 計数の問題でございますから、先に私からお答えをして、政務次官の御答弁ということにさせていただきたいと思いますが、いまお話のございました、こういうことはなかなかないと思うのでございますけれども、給与収入の増加と物価の上昇とが等しい場合の税負担の推移という試算でございますけれども、それに基づいて年収二千万の給与所得者の場合の方が、五十二年に対した五十九年の所得税の伸びが年収二百五十万の場合よりも低くなる、これは累進を本来としておる所得税のあり方としておかしいのではないかというお尋ねであったかと思います。
 その点で申し上げますと、これは御高承のとおりでございますけれども、給与収入のうち一定の控除額を超える部分が課税所得になる。夫婦子二人の給与所得者でございますと二百一万五千円までは税率がゼロでございまして、二百一万五千円を超えてまいりますと、給与所得控除とか社会保険料控除を引きまして、残りにまず一〇%から一二%という累進税率がかかってくるわけでございます。したがいまして、課税所得が非常に低い方、二百五十万といういまの例示でございますと、その方の二百五十万の年収の中で所得税の課税の対象になります所得というものは三十一万八千円でございます。これに対しまして、その後収入が伸びていかれる部分は課税所得として追加されていくわけでございますから、いまの課税最低限と累進税率を持っております所得税の構造――これはあえて日本に限ったことでございませんで、世界共通でございますし、日本の累進構造は世界の中で最も高いと私どもは思っております。そういう所得税の累進構造を前提にいたしますと、確かに税額で三・五八倍になります。二千万の方について言えば、この中の大部分がすでに給与所得が課税所得として把握されてあるわけでございますから、それに対してさらに累進の税率がかかってまいります。したがって、所得税の累進構造が有効に働いているかどうかということを判断していただくためには、税額の伸び率によってお考えになるということでなくて、むしろ税引き後の手取り額でお考えいただくのが至当であろうというふうに私は思います。
 ただいまの設例で申しますと、二百五十万の方と二千万の人それぞれについて税引き後手取り額で比べてみますと、二百五十万の方の税引き後の手取りは五十二年対五十九年で一・四倍になります。二千万の方は一・三倍になります。もっと正確に申し上げますと、一・三八倍と一・二六倍ということでございますが、そのように給与所得控除、基礎控除、配偶者控除、扶養控除等の控除を引きました後の課税所得の伸び、それが高額所得者の場合に小さい。そういうことから、いまおっしゃったようなことが出てまいるわけでございますけれども、税負担そのものが重いわけでございますから、やはり累進性は全体として保たれているというふうにお考えいただくべきではないかというふうに考えます。
#11
○多田委員 いまの局長のあれでも、いろいろ御説明なさりましたけれども、この数字の根本を否定なさっているわけじゃありません。そして、私は累進性が全部崩れてしまったと言っているんじゃないのです。いま申し上げましたように、やはりアンバランスがある、このことを私は指摘しているわけです。
 さらに、私、続けてお伺いしたいと思いますが、総選挙のとき大平総理は、高額所得者への増税はもう相当厳しい、こういうふうにおっしゃって、年収二百万から三百万の増税をほのめかしていらっしゃったわけですね。だから、いまこの層への増税を、増税という形に見えない減税見送りという非常に巧妙な形でもって増税を進めている。私は先ほども申しましたけれども、そう見ざるを得ないんじゃないか。先ほど言いましたように、所得税納税者のうちで大半の層が二百万から五百万というところを占めているわけですね。そういう意味で、その層に対するこういう実質的な増税、こういう問題について次官はどうでしょうか、これを本当に改めて、もっとこの層に温かい手を伸べるということをお考えにならないでしょうか。
#12
○小泉(純)政府委員 確かに税の構造というのは常に検討しなければならないことだと思いますが、いま年収一千万円以上の人が納税者の中で約一%、その方々が税収の二五%以上を占めるというようなそういう構造にもなっておる。ですから、総理が選挙中言われたようでありますけれども、年収二百万から五百万までの層が非常に多い。ですから、ある一つのところだけ特定の負担を求めるというんじゃなくて、やはり日本の社会を形づくっていくというものは全国民が支えていかなければならない。そういう意味において、それ相応の福祉社会を形成する費用として全国民に対して公平な負担を求めるという、その努力と検討というものはこれからも続けていかなければならない、そういうふうに思っております。
#13
○多田委員 それから、先ほど課税最低限の国際比較をなさって、日本は高い方じゃないというふうにおっしゃったわけですけれども、政府は主として為替レートを土台にしてやっておられるようです。しかし、変動の激しい為替レートを使っての比較というのは、そのものだけでは問題を正確につかむことができないのではないか。
 たとえば日経連でもいろいろな資料を出しておられますが、日経連の労働経済特別委員会が五十三年、一昨年の十二月に出した「賃金・労働時間の国際比較」というのがあるのです。この中の主要国の生計費指数によりますと、昭和五十三年度で課税最低限は日本が二百一万五千円、こうなるんですね。ところが、諸外国はどうかといいますと、円で見ますと、生計費指数ですが、アメリカは三百五十四万一千円、それから西ドイツは二百二十二万四千円、それからイギリスが二百五万九千円、フランスが三百万九千円、こういうことで決して先進資本主義国と比べても高いどころかむしろこれは低い方になるんじゃないか、私はこういうふうに考えるわけです。
 先日ここで、参考人としておいでになった税調の会長も、もしそういう資料があるならば大いに税調としても参考にしたいと、こういうふうに言っておられたわけですけれども、大変私はいいことだと思うのです。ですから、大蔵省としても、私はこういう問題も含めて−レートのことももちろん含めてやられるのは結構ですが、こういう資料もやっぱり含めて御検討になっていただいて、そしてその資料を、税調はもちろんですけれども、当委員会にも大いに出してもらいたい。つまり、入るをはかるということですけれども、同時にこういう面も十分ひとつ勘案していただかたいと、私はやっぱり一方的な計算になってしまらんじゃないかというふうに考えるわけです。その点でどうでしょうか。
#14
○小泉(純)政府委員 先ほどの、前の委員会におきましての参考人の意見もそのとき聞かしていかだきました。確かに国際比較をする場合に、一つの基準じゃなくていろいろな方法があると思いますが、そういう比較のためによりよい方法がある、あるいは別の方法があるというのでしたら、その基準なりを参考にする意味においてどしどし大蔵省としても取り入れた方が私自身もいいと思っております。
#15
○多田委員 ぜひそうしてもらいたいと思うのです。
 私は、減税問題をちょっとここで終わりたいのですが、締めくくる前に、実は私どもの新聞の機関紙の赤旗が、昨年の九月期決算の五十社の決算状況を調べたのです。これはすでに発表になっておりますが、上位から五十社を調べてみましたら、内部留保があの石油ショックのときの七四年に比べて七四%、五兆四千億もこれは積み増しているのです。総計は十二兆六千七百七億円、これだけの巨額の利益を上げているわけですよ。そしてまた、昨年の九月期でも、予想される三月期決算でも、いわば史上未曽有であるとか空前の利益とか言われているのですね。この利益を上げたのは、経営者の手腕もさることながら、やはり人減らし、そしてまた賃金の抑制、これが根幹にあることばもう明らかだし、たとえばこの間、財界展望という雑誌を見ましたら、東芝の岩田社長さんがこういうことを言っておられるのですね。どんな環境でも四百億円から五百億円の経常利益は計上できる体質ができ上がった。つまり、不況の中で体質をつくり上げて、そしてこれだけの利益をもうけ上げる体制をつくり上げているわけですよ。こういう大きな企業が大変な利益を上げている。そしてまた、今度の所得税の改正でも、一千万以上に対しては五%という一つの控除を設けました。私はそれ自体、若干ではありますが、前進だと思いますけれども、貧富の差が激しい今日、決してこれが税の公平になっているというふうには考えられないわけです。そういう中で、御存じのとおり、私どもは大企業からの税金の公正な取り立てや、あるいはまた後で申し上げる資産家からの公正な税の取り立てをするということを含めて、財政の再建を年次的にやろうということを言っている、その一環として私はきょうの質問をしているわけであります。私は、ただ金さえ出せば何とかなるとかそういう立場で言っているのじゃないということをあえて申し上げまして、この問題についてはさらに今晩また大臣への質問がございますので、そこでお伺いしたいと思います。
 そこで、次にお伺いしたいのは、法人税の問題について伺います。
 法人税の増税、とりわけ大きな企業に対する増税は、現下の法人課税の現状からいっても、あるいは国際比較からいっても当然実施されるべきものだし、世論の大方の要求にいまなっているというふうに私は思います。
 そこで、取り上げたいのは、昨日のこの委員会でも議論になりました経団連の法人課税についての見解です。昨年の十一月の末に出された「法人税負担と租税特別措置について」、「国際比較を中心に」という副題のついた資料に示されております。この経団連の見解ではいろいろなことを言っておられるけれども、結局日本の企業の租税負担は先進諸国の中でも最も重いんだ、一番重いんだ、こういうことを言って法人税の増徴に反対していられるわけですね。
 そこで、第一に、きのうの議論にもなりましたけれども、地方税における超過課税を取り込んでいる問題の不当性について再確認しておきたいというふうに思うのです。経団連のやり方その他について、昨日、主税局長は、同僚議員の質問に対して、国際的にも一番高いということは事実に合わないという御答弁をなさったその根拠をもう一度地方税の超過負担の問題を含めて、ごく簡潔にここで、私、述べていただきたいと思うのです。
#16
○高橋(元)政府委員 昨年暮れの経団連の企業課税についての御主張は多岐にわたっていますが、いま御質問のあった超過課税を取り込んだ場合の企業の税負担水準の国際比較の問題でございますけれども、昨日もお答え申し上げましたように、国際比較をいたします際には、標準的な税率をもって相互に比較するのが相当であると私どもは考えるということであります。地方税と国税とに所得課税が分かれております場合には、どこの地方の税率を使うかによって上下がございます。そこで、日本の場合には超過課税がなくて地方税の標準税率によって法人住民税及び法人事業税が課せられている場合、これをとりまして四九・四七%の実効税率である、こういうふうに申し上げているわけであります。確かに、東京、大阪、兵庫、愛知、神奈川、そういうところに所在しております法人にとりましては、超過課税が両税について行われているわけでございますから五一・十二%になりますけれども、国際比較の基準としては四九・四七というのを私どもは考えております。
 これに対して、アメリカは現在五〇・八六%と申し上げておりますが、これはカリフォルニアの法人を頭に置いているわけで、その場合にカリフォルニアの州の法人税は九%であります。ニューヨークに事例をとりますと、州の法人税が一〇%になりますので、実効税率は五一・四に上がりますし、一番高い、ミネソタをとりますと、州法人税が十二%に上がりますから、実効税率は五二・四八になるということであります。同様に、州で営業税がかかっておりますドイツの場合でも、比較の基準にとっておりますのはノルトライン、ウェストファーレンの法人でありまして、この場合には営業税一五%を加算いたしまして、実効税率五六・五二というものをもって日本の四九・四七と比較しておるわけでございますが、同じドイツでも、営業税のもっと高い、たとえば一八%を課しておりますバイエルンでありますと五七・六二であります。ザールラントになりますと五七・九九であります。いずれを比較の基準にするかという問題はありますけれども、私どもはアメリカの場合にはカリフォルニア、ドイツの場合にはノルトライン、ウェストファーレンというものをとって、日本の場合には超過課税が行われていない団体というものを標準にとって実効税率の比較をしておる、こういうことでございます。
#17
○多田委員 いまの御説明でも、またきのうの御説明も同じですけれども、大蔵省としてはそういう中庸的な平均的なところをとっておられるということですね。そうしますと、経団連の取り上げているのはやはり特殊な例、この数字のとり方は間違いというのじゃありませんで、特殊な例を取り上げて、日本の企業の税率は高いということを言っておられるわけですね。この点で経団連の主張は必ずしも正しくない、ある意味では自分の都合のいい数字を取り上げているというふうな点を私は第一に確認しておきたい、こう思うのです。
 次に、経団連の主張では、アメリカ、西ドイツ、イギリスなどでは租税特別措置が積極的に行われているということを指摘して、企業の実質税負担は、さっき述べられた実効税率から、西ドイツが四六・六七%、アメリカが四〇・六六%、イギリスが二六・六五%と低まっていると言っているのです。だから、超過税率も加味した日本の企業の税負担率五一・一一%は世界一だ、こういうふうに経団連の資料は言っているわけですね。
 そこで、私、最も実効税率が高いと言われている西ドイツの五六・五二%をこの四六・六七%にしているやり方について伺いたいと思うのです。これは主税局長に伺いたいと思います。これは、この間も私は疑問に思いまして大蔵省の担当官に詳細に伺いましたけれども、改めてここで、なぜ西ドイツがこういうふうになっているのかということを伺いたいと思うのです。
#18
○小泉(純)政府委員 確かに個人も企業も増税というものはできるだけ避けたいと思うのは、私は当然だと思うのです。ですから、経団連なりが一つの物差しを使って日本の企業は世界一重税だと言うのも、正しいとか正しくないということは別にして、ある面においてはみずからの立場を正当化しようとする努力は当然だと私は思うのであります。また、個人においても、日本の所得税は決して軽くない、重い、こう言うものも私は当然だと思うのです。ですから、はかる物差しは人によっていろいろ違うし、また、物差しによってその比較の結果も違ってくるわけですから、いろいろな比較を検討しながら、物差しがどういうふうに違ってくるのかという検討はこれからもしていかなければいけませんが、ある特定の団体が比較したものが正しいとか正しくないということは別にして、自分たちの立場というものに理解を求めろ努力は、抑圧するどころかむしろどんどん奨励していって、よければそれをどんどん参考にするという政府の態度が必要ではないかと私は考えております。
#19
○高橋(元)政府委員 いまお尋ねのありました四六・六七%が西ドイツにおける法人の実効税率であるという問題でございますけれども、これは実は租税特別措置があるからという主張ではございませんで、私どもが国際比較をいたします際には、すべての企業についてはどこの国のものであろうと三〇%を配当に充てるという形で比較をしております、配当に充てる割合が違ってまいりますと税負担が変わるというのはドイツと日本だけでございますから。つまり、配当に軽い税金をかけておるのは日本とドイツだけでございます。そういう意味で、配当性向を三〇としないでもっと高めていったらドイツの法人の税負担はもっと下がるという主張でございます。それが、配当性向が現状ではもっと高いということを言っておりまして、法人所得全額を配当に充当するとすれば西ドイツは四六・六七になる。三〇%でなくて一〇〇%が配当に回るとしますと、ドイツの配当にかかる税率は三六%でありますから、それに地方税を合算して四六・六七になる、こう言っておるわけでございます。
 ちょっと時間をいただいて、特別措置によって実効税率が動いてまいるという事例を資料でいろいろ御主張になっておられます。私どもはその数字をお使いいたしますと、イギリスでは特別措置を考慮すると五二%の実効税率が二六・六五になるし、アメリカの租税特別措置を全部適用した場合には五〇・八六と私どもが言っておりますのが四〇・六六になるのではないかという御主張があります。これは特別措置そのものが、たびたび申し上げておりますように、いわゆるタックスエクスペンディチュア、税を通ずる補助金でございますから、したがって、特別措置には、税法の中でやられるもの、法人税法そのものでやられるもの、わが国のように特別立法の特別措置法の中でやられるもの、歳出でやられるもの、公的金融でやられるもの、いろいろあるわけでございますから、つまり、そういうもの全体として企業の租税補助金の比較をすべきであって、租税特別措置が法人税法の外にあるその部分だけを出してみて完全適用するとこうなるという御比較には必ずしも当たらないところがあるのではないかというふうに考えておるということをつけ加えさせていただきます。
#20
○多田委員 それは大蔵省の主税局長の言っておることであって、私は、この資料でどう言っておるかを聞いたのです。私、この資料に基づいて大蔵省からヒヤリングを受けたのですけれども、この資料では、ドイツの場合、配当に対する税額還付制度というものがあるのですよ。まずある年に法人所得があり、その次の年には法人所得がゼロという仮定、これは特殊なケースなんですけれども、そういうケースを立てているのです。そしてまた、その年に課税されず内部留保に回った分が次の年に全額配当に回る、こういう点を特殊なケースを立ててやっておるわけですよ。そこをここで言っておるのですよ。
 先ほど大蔵省が中庸で平均的なところと述べておられた、私はそれは結構だと思うのですよ。結構だと思う。そういう立場に立っているから経団連の分析と違ってくるわけですね。そして経団連の日本の企業が一番高いというのは事実に合わないときのう御答弁なさったのは、そうだろうと思う。ところが、経団連は、この問題でもこういう特殊な例を挙げて、そして日本の企業の法人税率は高いんだということを言っているわけです。ですから、まれにしか生じないような特殊な例を持ち出して、そして外国の制度の減収効果を最大限活用して税負担を軽く算定して、これを一般化していく、こういう態度は間違ったやり方だというふうに私は考えるのです。それを私は主税局長に伺いたかったのですが、時間がないので述べたわけです。
 そこで、次官がさっき述べておりましたけれども、だれでも税金を安くしたい、そのとおりなんです。しかしながら、いま私があえて取り上げる法人税が問題になっているのは、昨年、政府みずからが何%かの法人税を引き上げてというのが腰砕けになってしまったわけですよ。そしてきのうも、法人税どうするんだと言ったら、主税局長は、年度初めの税調でこれは避けて通れない問題とおっしゃった。私は恐らく法人税の問題を積極的に出されるという意味で述べられたのだというふうに承っておりますし、他の同僚議員もそういうように承っているわけですが、そういうやさきに、最近経団連が物すごく積極的に日本の企業の税率の高さを宣伝なさっている。私、きょう残念ながら資料を持ってきませんでしたけれども、この資料なんかそうですね。これは色刷りで大変なものですよ。そういうものを出してやっている、ここにまた再び与党・政府が法人のこういう攻勢に腰砕けになってしまったのでは、庶民に対する増税だけが先行して、また法人税が後に残っていく。そして、わずかばかりの特別措置の手直しによって、これで不公平税制の八割は解決したのだと言われたのでは、皆さんがどんなに美辞麗句を並べられても、それの裏打ちにはならないということで、あえてこの問題を私申し上げたわけです。
 そこで、いま一、二の例を挙げても、かなり特殊なケースを持ち出して経団連は述べておられるのです。こうやられる根本は、私はこうだと思うのです。日本の国の税金だって、その仕組みはなかなかわからぬですよ。まして、法人税なんてどういう仕組みで計算されているのか一般の人はわからぬです。ところが、言語も違い、習慣も違い、歴史も違う外国の税制に至っては、全く絶望的と言ってもいいほどわれわれはわからぬのです。恐らく多くの国民は、われわれよりもはるかにわからぬのです。そういう中に、経団連が莫大な宣伝費を使って、法人税が高いんだとグラフ入りで宣伝なさる。そうすると、ああそうかなと思う。そして、日本の企業が史上未曽有の、空前の利益を上げて、四百億、五百億利益を上げる体制ができ上がった、こういう企業の実態を知らないままにまた五十六年度の予算の編成を迎えていったら、これはえらいことになるという意味で、経団連のこういう宣伝を軽視してはいけないということで、あえて私はこの問題を取り上げたわけです。
 そこで、私ここでお願いしたいことは、大蔵省は国民の税金を使って−あえてこう言わせていただきますが、海外の税金の資料その他も調べておられると思うのです。また、そういう資料を独占的に持っておられる立場でもあるのですよ。ですから、そういう立場から、経団連のこの資料に対して先ほど主税局長がおっしゃった、つまり平均的に中庸なものをいけば、これは決して高いものじゃないんだという立場、そういうものを公平に国民にも知ってもらう、そういう反論をすることも必要だ。一般にわれわれがやりますと、それに対して大蔵省はテレビその他で宣伝なさいますよ。ところが、経団連のこういうものに対しては、意見を持ちながら何の反論もされないということは、私は不公平だと思う。ですから、ぜひひとつそういう反論をなさる義務があるのではないかということが一つです。
 それからいま一つは、持っておられる資料――一部は出していただきましたけれども、当委員会は国民に対してもっと資料を公開して、そして国民が正しく考える材料を提起すべきだという、この二点をひとつお願いしたいと思いますが、次官いかがでございましょうか。
#21
○小泉(純)政府委員 経団連の主張に対して、もし政党の中でも違うというのだったら反論を述べるのは結構ですし、また大蔵省としても、その使っている資料に対して大蔵省の立場は違うという場合には、それなりに大蔵省の立場を明らかにしていかなければいかぬ。いずれにしても、立場が違う者同士が大いに意見を述べて国民の理解を求めるというのは、私は大いに歓迎すべき傾向だと思っております。
#22
○多田委員 次官の積極的な御答弁で、ぜひひとつ進めていただきたいと思います。
 私、局長にちょっとお願いしたいのですが、きのう、新しい法人税については、税率を上げるとはもちろんおっしゃいませんでしたが、年度初めの税調では避けて通れない問題だということをおっしゃいました。あえてまた重ねてお伺いするのはどうかと思いますが、法人税の引き上げのために積極的に税調に諮っていく、そしてそれを実現していくという立場をひとつさらにきちんとしていただきたいということをお願いしたいと思うのですが、御答弁をお願いします。
#23
○高橋(元)政府委員 これはたびたび申し上げております五十二年の税制調査会の中期答申で、国際比較をしてみると、日本の企業の総合的な実効税負担というのはやや低いように思われる、そこで、適当な機会をとらえてこれを引き上げることを検討すべきだということになっております。それに基づいて私どもは各年度の税制改正を御審議いただく、年度答申と私どもは俗に言っておりますが、それをつくります際に、税制調査会で企業の税負担のみならず全体の税負担がどうあるべきかという御審議をいただくわけであります。
 昨日、私が、いま御質問のありましたようなお答えを申し上げましたのは、五十六年度の財政の現実の状況がどうなるかまだいまつまびらかにできませんけれども、そういう状況がより具体化してまいる秋から始まります年度答申の、審議において、やはり税負担の増加をお願いする必要がありとせば、そのときには法人の税負担というものを取り上げて検討していただくことは避けられないだろうということを申し上げたわけであります。ですから、それはことしの秋になって、五十六年度をもう少しよく見通して、歳出の状況がどれだけ切り詰めを許すかどうかということもよく見ました上で、具体的な問題として取り上げてまいるということでございます。
#24
○多田委員 法人税は以上で終わりたいと思います。
 なお、私、その後に有価証券の譲渡益課税の問題についてお伺いしたいと思ったのですが、時間もありませんので、これはきょうの夕方、大臣にお伺いしたいと思っています。
 続いて、私、税務行政についてちょっとお伺いしたいと思います。
 国税庁、どなたがいらしていますか。−新聞に報道されたことですが、三月十日、東京地裁刑事二十五部で、東京のトルコぶろチェーン店の巨額脱税一件の判決が言い渡されて、この中で裁判官は、東京国税局が被告の陳情で脱税の一部を容認する処置をしていたことを指摘して、こういうことを言っています。「国税局の処理は、国民の税務行政に対する信頼を著しく裏切る行為」と厳しく批判しているわけです。これは各紙に出ましたからそのとおりです。
 この新聞記事を、私は三紙を見たのですが、その中の二紙で、全く一致した磯邊国税庁長、官の談としてこういうことを言っています。その前に調査の正当性を述べながら、最後に、判決文で指摘されたことで、もし国民に不信の念を持たれることがあるとすれば申しわけない、こう言っておられるわけです。私は、こういう言い方は非常に自己防衛的なものであって、すっきりしないと思うのです。
 さらに、引き続いてお伺いしますが、国税庁や税務行政に対して広く国民が不信を抱いている今日的な問題の一つとして、現在進行中のロッキード裁判において、検察側によって新証拠として暴露されたK・ハマダなる人物が、ラスベガスのホテルのカジノで負けた百五十万ドル、これは最終的に百二十万ドルに値引きされたということですが、これを国際興業社主の小佐野賢治被告に肩がわりをしてもらったことに絡む問題について国税庁の姿勢をお伺いして、本当に国民の信頼を得るような立場に立っておられるかどうか、これをひとつ伺いたいと思います。
 そこで聞きますが、仮にある人が三億六千九百六十万円の贈与を受けたとすれば、この贈与税は幾らになりますか。
#25
○矢崎政府委員 まず初めに御指摘のございました三月十日の東京地裁の判決の問題についてお答えを申し上げたいと思います。
 かねて東京国税局が査察、立件をいたしまして、東京地検に法人税法違反で告発をしておりましたトルコぷろを営業いたします株式会社中央観光外三社につきまして、去る十日に東京地裁におきまして第一審の判決があったことは承知いたしております。しかしながら、判決文全文についていまだ入手しておりませんので、判決において指摘されていると言われております個々の事実につきまして正確なことは申し上げられないわけでございますけれども、御承知のように、査察調査と申しますのは、一般の税務調査とは異なっておりまして、逋脱者の刑事責任を裁判によって追及をするという性格のものでございますので、通脱行為につきまして公判において確実に立証できることが要求されておるわけであります。その意味で、査察調査というものは慎重に実施をいたしまして、かたい処理をするというのが通例でございます。
 そこで、本件について見ますと、本件は十億円を超す大型の脱税事件でございまして、それからまたトルコぶろという特異な業種のせいもございまして、帳簿書類もほとんどないような状況のもとでその処理に大変苦労をした事案でございますけれども、その過程で犯則嫌疑者サイドから判決文で言われていると伝えられております経費についての主張がございまして、その時点で把握いたしております諸種の資料とも照らし合わせをいたしました結果、犯則嫌疑者サイドの主張を認容いたしまして通脱所得を算定をした、こういう経過がございます。
 さらに本件について申し上げますと、検察庁への告発の後、検察官捜査におきまして犯則嫌疑者が逮捕をされまして、相当長期にわたって取り調べを行われております。その結果といたしまして、嫌疑者の主張していた経費が否認されて起訴されたというふうに聞いておるわけでございます。そういうことで、以上申し上げたように……(多田委員「その経過は簡単でよろしい」と呼ぶ)査察調査の段階では、与えられた状況のもとで精いっぱいの努力をしたものでございまして、言われておりますような架空の経費を認容したというようなものではないわけでございます。
 それからまた陳情につきましても、個々の事案におきましていわゆる陳情というものはしばしばございますけれども、そのようなことにつきましては、私どもとしては犯則嫌疑者サイドからの主張の一つというふうに受けとめておりまして、実態解明のための検討対象としてこれを総合判断の材料の一つにしておるわけでございまして、陳情があるからといって手心を加えるとか筋を曲げるといったようなことは決してないわけてございます。
 なお、御指摘になりました新聞によります長官の談話について補足をして申し上げますと、これは……(多田委員「私の主要な質問に答えてくださいよ、それはよろしいから」と呼ぶ)
 それでは、その点は御理解いただけると思いますけれども、調査の段階では精いっぱいのことをやっておりまして、もしも判決が言っておりますようなことについて査察調査について不信の念を持たれることがあるとすれば遺憾であるということを申し上げたわけでございまして、手心を加えたというようなことを申し上げているつもりではないわけでございます。
 なお、ロッキード等のことにつきましては、担当の方から引き続き御答弁させていただきます。
#26
○矢島政府委員 あくまでも一般論と申しますか、仮定の問題としてお答え申し上げますが、仮に先生御指摘のような三億六千万円ということで、これは為替相場でいろいろあると思いますが、どういうことかわかりませんが、仮に三億六千万円ということになりますと、時効の問題なんかは別といたしまして、一般論としてお答え申し上げますと、贈与税額は約二億四千八百万円、そのような数字になろうかと思います。
#27
○多田委員 私も一般論として聞いているのです。
 それで、私、聞きたいのですが、K・ハマダという人は国籍はどこですか。
#28
○矢島政府委員 存じません。
#29
○多田委員 存じないということは、調べてないということだろうと思うのです。
 そこで贈与税、つまり贈与に当たって本件のような場合に課税関係が成立するのはいつですか。
#30
○矢島政府委員 一般論として申し上げますが、個人対個人という場合を一応仮定いたしまして、個人が負担するような債務を何らの対価性もなぐ他人に弁済してもらうという場合の課税関係ということを前提といたしましてお答えいたしますと、他人の債務を肩がわりしたその方が求償権の放棄をしたという場合には、その時点でその債務者に課税原因が発生するということになりますし、その債務者の得た経済的利益に対しては贈与税が課税される、こういうことになろうかと思います。
#31
○多田委員 その求償権を放棄したとき、つまり立てかえしてもらったけれども、それだけでは贈与になるかどうかわからない、立てかえした人が求償権を放棄したときに初めて贈与税が、税務関係が生まれるということだろうと思うのです。
 そこで、このミスターK・ハマダなる人物、国籍はわからないけれども、検察側の主張によりますと、巨額の金を立てかえた被告小佐野は求償権を放棄したのでしょうか。どうでしょうか。
#32
○矢島政府委員 五十五年三月六日の東京地裁の刑事二十五部で開かれました第四十一回公判で冒頭陳述の補充訂正が行われましたことは私ども存じておるわけでございますが、そういうことが行われたかどうかということについては存じません。
#33
○多田委員 それでは、新聞で時効になったと言われていますが、時効になったという根拠はまだありませんね。
#34
○矢島政府委員 その事案がどういうケースであるかという、その個別の問題についてはあくまでもお答えを差し控えさせていただきますが、仮に、先ほども申し上げました陳述の補充訂正によりますれば、昭和四十八年中ということになっておりますので、当然時効になろうかと思います。
#35
○多田委員 私が税務行政の姿勢として伺ったのはそこなんですよ。この間、私、くにへ帰りましたら、演説会でこういうことを聞かれたのです。先生、あのハマダという人は税金を払うんでしょうね。私は、当然払うだろう、こう答えたのですよ。それはだれでも同じだと思うのです。ところが、三月十五日の確定申告日は終わりましたけれども、一般の零細企業その他に対しては五十万、百万の金でも皆さんは徹底的にお調べになるでしょう。ところが、いまあなたのおっしゃったのでは、二億四千万ですか、これだけの脱税と思われている問題が浮かび上がっているのに、そのもらった者が、国籍が日本人であるか外国人であるかも調べない。皆さんは検察庁に行って調べるだけの権限があるのです。それもどうやらやっておられないようです。そういう弱い者には強くて強い者には弱いという税務行政、これが国民の多くの不信を買っているのです。それが政治不信を呼ぶ一つの要因にもなっているのですよ。だから、国税庁はこの問題に対して、いち早くまずその本人が日本人なのかどうか、これを調べる必要があると私は思うのです。この間も参議院の予算委員会で大平総理は、それが事実なら許しがたい事件だ、こう言っているのです。これほどひどいというか厳しい言葉を使っているのですよ。K・ハマダ氏なる人物が日本人で、かつ世間で一定の知名度を持った人であるということを想定した上で、私は大平総理は言っておられたのじゃないかというふうに思うわけですけれども、この許しがたいと非難している事件の真相を究明するというのは検察ばかりではありません。これだけの贈与税が絡む問題ですから、国税庁はすぐこれを調べるべきだというふうに私は思います。重大な関心を持って調査すべきだと思いますが、どうですか。
#36
○矢島政府委員 先ほど来申し上げておりますように、特定の方の名前を申し上げることは御遠慮させていただきますが、一般的に私どもはいかなる場合でも資料を収集して課税すべき対象があれば課税するという方針で従来からもやっております。
 ただいまいろいろお話がございましたけれども、一般論として申し上げれば、課税すべき対象があれば適正な処理を行うよう努力しているのが私どもの行政でございます。
#37
○多田委員 私も一般論から聞いて腑に落ちないからやや個別の問題を伺ったわけでありますけれども、このケースここまで明らかになってきているわけですから、国税庁としては当然調査すべきだと思いますが、調査する意思があるのかどうなのかということを伺いたいと思います。
#38
○矢島政府委員 先ほど来繰り返し申し上げておりますが、一つの資料として私どもとしては受けとめておりますが、調査をするかどうかということについてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
#39
○正森委員 それでは関連で一言聞かしていただきます。
 いま最後に直税部長の方から姿勢についてお話がありましたが、その前提として同僚の多田委員の質問に対して、いずれにせよ昭和四十八年中だから時効になっておりますという発言がそれより前にありました。しかし、それは直税部長の従来この席での答弁と食い違ってくると思うのですね。あの検察庁に出しました冒陳の補充書には、四十七年の十一月にK・ハマダなる人物が大負けに負けて百五十万ドル負けた。それを小佐野被告が百二十万ドルにまけてもらって、これを四回にわたって昭和四十八年の間に、最初に五十万ドル、次に二十五万ドル、二十五万ドル、最後に十一月の問題の日に二十万ドル現金ドルで払った、こういうことが冒陳の補充書で言われているだけであって、直税部長が言った、いつ求償権を放棄したかなどということは冒陳には一言も触れていないのですね。ところが、あなたは立てかえ払いをしたというだけでは、いつから贈与ということになって贈与税を支払う義務が発生するかどうかわからない、こう言われている。そうしますと、債権についての時効は十年間あるわけですから、小佐野被告が立てかえ払いをしてから、いつの時点になってもう返してもらうのをあきらめて、返してもらわなくてもよろしいと、つまり求償権を放棄したかどうかということはわからないじゃないですか。だから、四十八年にすでに時効になっておることは検察側の冒陳でも明らかだなどということは、これは完全な誤りでありますから、ですから、まず第一にK・ハマダという人物が、わが課税権の及ぶ日本人であるかどうかを調べる、次いで小佐野なりあるいはK・ハマダなる人物を必要があれば調べることによって、いつ求償権を放棄したか、したがって時効になっておるかどうかということを調べるというのが国税庁として当然ではありませんか。われわれ国民は三十万、三十万の金だって払わなければ重加算税を取られるということになっておるわけでしょう。ですから、そういう問題について少なくとも調査をするということを明言していただかなければ、所得税について、これから国民は税金が重くなるというのに、黙ってこんな税金の重くなるのを国民が承諾するわけがない、こう思うのです。それについて途中からおいでになりましたが、大蔵大臣ににぜひ決意のほどを承っておきたいと思います。
#40
○伊豫田政府委員 大臣の前に、一言お答えさせていただきます。
 課税の時期につきましては、先ほど直税部長からるる申し上げましたように、贈与税の課税の時期につきましては贈与の行われた時期、言いかえれば立てかえの行われた時期であるか、それで求償権が放棄されていればその時期であり、また求償権が放棄されていなければその後の放棄された時期であると申し上げたことに間違いはございませんで、ただいま直税部長が申しました四十八年と申しますのは、その限りで贈与が肩がわりということで求償権が放棄された場合を想定してのお答えでございましたので、その点は御了承願いたい、このように思っております。(正森委員「そんなことは了承できない」と呼ぶ)それは事実でございますので、一般論として申し上げれば、その限りにおきまして事実でございます。一般論としては全くこれは事実でございます。
 それから第二点に参ります。
 第二点で調査するということをこの席で言えということでございますが、われわれといたしましては、御承知のとおり、守秘権の問題がございまして、個別の問題につきまして、今後それについて調査をする云々のことは申し上げない、差し控えさせていただきたいというのが従来からとってまいりましたわれわれの考え方でございまして、したがいまして、今回の件につきましても、もちろん相当重大な資料としてわれわれはあの問題を受け取っておりまして、その限りにおいて必要があれば重大な関心を持っております。その後の処理の問題については、この席で申し上げることにつきましては差し控えさせていただきたい、このように考えております。
#41
○正森委員 いまの伊豫田次長の答弁は、これはわかったようでわからない答弁であって、あくまで一般論と言うておりますけれども、一般論ならあなたの部下の直税部長が立てかえ払いをしただけでは贈与であるかどうかわからない、立てかえ払いしたときに初めから贈与のつもりで立てかえ払いしておれば、立てかえ払いの時期が贈与税の時効の発生の時期だけれども、初めは返してもらうつもりで立てかえ払いをして、二年なり三年たってこの人は返してもらえないから求償権を放棄するということになれば、その求償権を放棄したときから時効が発生する、こう直税部長が言ったじゃないですか。ところが、そこまで一般論ですよ。ですから、一般論としては、果たして立てかえ払いをしたときに本当に贈与が行われたのか、それとも、それから何年かたってから求償権を放棄して、その時期から贈与税というのが義務として発生したのかということは調べなければならないでしょうが。その当然のことを聞いたわけなんです。そうして冒陳によれば、昭和四十八年に五十万、二十五万、二十五万、二十万と払ったけれども、それは立てかえて払ったということを言っているだけであって、その時期に完全に贈与したのかどうかということは冒陳にあらわれていない。そうだとすれば、その点を調べるのは当然ではないか、こう言っているのですよ、理の当然でしょうが。そして、あなたが言われた個人の問題について答えないと言うけれども、K・ハマダという人物が浜田幸一氏かどうかなんて私らは何にも言うてないのですよ。日本人であるかどうかもわからぬから、国籍を調べろ、わが課税権の及ぶところかどうかわからぬから調べろと言っているので、一般論として言うたように、二億四千八百万円も税金を取れるなら、それについて一般論として調べるのは当然じゃないかと言っているのですよ。そんなものを調べないというなら、ばかばかしくて国民は税金払えますか。再度答弁を求めます。
#42
○伊豫田政府委員 個人名というお話と個別の案件と一般論といろいろ錯綜しておりまして、私もなかなかうまく表現ができませんので申しわけございませんけれども、私が申し上げておりますのは、一般論としてはやはり個別の案件につきまして今後調査を行う行わないというのは、この席で申し上げることを差し控えさせていただきたい。
 なお、ただいま正森委員の言われました件と、先ほど直税部長の御説明いたしました件と、贈与、立てかえ、肩がわりその他についての考え方は、課税の時期については同じようになっていると思います。
 以上でございます。
#43
○多田委員 私どもまだ大変すっきりしないのです。私は、ここに税務行政の基本姿勢の一つがあらわれていると率直に言わざるを得ません。ですから、ぜひひとつこの点について、私は今晩また大臣に対する御質問がございますから、そこでまた伺いたいと思いますから、はっきりさしていただきたいということを重ねて要望いたしまして、私の質問を終わります。
#44
○増岡委員長 山田芳治君。
#45
○山田(芳)委員 昨日事務当局に約一時間ばかり事務的な質問をいたしましたが、大臣が御出席になりましたので、若干基本的な問題についてお伺いをいたしたいと思いますが、その前に、いまの関連において、昨日も伺ったわけでありますが、大臣の考えをひとつ伺いたいのは、いまK・ハマダ氏なる者の問題が取り上げられましたが、わが国におけるいわゆる徴税権の消滅時効というものがアメリカやイギリス、西ドイツ、フランス等の他の国に比較して非常に短い。ですから、すべてを延ばせというわけではありませんが、少なくとも脱税の場合、不正申告あるいは申告をしない、こういうものについては、たとえばイギリスでは、普通の場合六年でありますが、脱税の場合は実質上期限がない。こういうふうなことによって、やはりいま話があったように、国民が非常にこういう点の不公正な徴税というものを意識をしているということは、国民に対する信頼を裏切るわけでありますから、必要な消滅時効の延長ということをこの際抜本的にお考えになってはいかがかということを昨日も提案をいたしたのでありますが、大臣はいかがお考えでありましょうか。
#46
○竹下国務大臣 この問題につきまして、いまちょっと正式な名称は忘れましたが、航空機疑惑等についての問題点を閣僚協議会等で整理して、その中でも指摘されておる問題であったというふうに理解をいたしております。したがいまして、いろいろな問題がございますから、いましばらく長期的な視野でこれを検討してまいりたいというふうに考えておるところであります。
#47
○山田(芳)委員 それなら、これは検討するということで了解をいたしておきたいと思いますが、やはり税調なども他の先進諸国の例ということを常に言われるわけでありますが、この点はぜひひとつ他の先進諸国の例にならっていくべきであるというふうに考えます。
 次に、相続税の問題でありますが、相続税について、農地に対しては特別の措置があるわけでありますが、個人の営むところの中小企業の資産についても一定の配慮をすべきではないかというふうに思うのでありますが、大臣、いかがでありましよう。
#48
○竹下国務大臣 農業についての相続税につきましては納税猶予制度がございますことは、御指摘のとおりであります。したがって、これに関連して中小企業の事業用地等につきまして、宅地そのものとそれは言えますので、農地のように宅地化期待益部分を猶予するという考え方は、そもそもこれは農地の場合と宅地そのものであるという考え方の、でございますので、これはなじまないのではないかというふうに思います。農地のような所得と経営の不可分といった問題もございませんし、農地と同様の納税猶予制度を設けることは、その限りにおいては困難ではなかろうかというふうに考えております。税制調査会の中期答申におきましても、この点につきましては、「これについては、農地と中小企業の事業用財産とは事情が異なるので、その必要はないとする意見が多かった。」これは五十二年十月の答申でございます。争ういうことにされておるわけでございます。
 次に、中小企業経営者の事業用不動産あるいはその経営支配する同族会社の株式その他の不動産等の価格の相続財産の価格のうちに占める割合が五〇%以上である場合には、その相続税の延納期間及び延納利子税率が、不動産等に係る部分について期間十五年、利子税率五・四%、動産等に係る部分については期間十年、利子税率六%という、長期かつ低利の延納制度がございますので、こうした制度を十分活用していただきたいと考えておりますが、最初の御指摘の農地との関係のものについては、いま五十二年十月の中期答申というものに従って実施しておる、こういうお答えになります。
#49
○山田(芳)委員 納得はできませんけれども、時間がございませんから、これはひとつまた問題を後に残しておきます。
 これは大臣にぜひひとつ聞いておいてほしいと思いますし、知っておいていただきたいと思うのですが、現在日本の法人の数は、大蔵省の資料によりますと百六十四万九千、すなわち百六十五万の法人がある。こういう法人の課税の実態というものを国税庁は毎年いろいろと帳簿について調べられているわけなんですが、大体の状況を見ますと、五十三年においてどのぐらい実態調査をしたかといいますと、百六十五万ある法人のうち九・五%しかできていない。ですから、一回りするのに十数年かかるわけであります。この調査をした数が九・五%でありますから、十五万六千しかないのですね。この十五万六千を五十三年度で調査をしたら、税法に必ずしも適合していない、脱税の意思はなかったけれども間違っておったというものが大体八割あるのですね。ですから、これはすべて更正決定等がなされる、修正申告がなされるという形になるわけであります。その中で、というよりも、その全体の十五万六千の法人の中で約二二…五%、二割以上のものが不正申告をしている。これは脱税その他の意思があると認められるものがある。こういう数字が出ておるわけであります。個人の事業に至っては、毎年調査は四%というのですから、これは二十五年かからなければ一回りできない、こういう状態になっているのです。ざっと概観を申し上げると、十数年かからなければ法人は一回りして調査ができない。これは悪いから見るというんじゃなくて、正しい税の申告をするためにいろいろと調べてもそういう状態、しかもその八割が何らかの形で直さなければならない実態にある。二割を超える部分が不正申告だ、こういうことになっているのですから、この実態を見ますと、大臣、どうしてこうなのかというと、職員の数がきわめて少ない。これも国税庁からもらった数字でありますけれども、昭和二十三年ごろには七万人おったんですね、国税庁の定員が。五十三年で五万二千なんです。法人は五十三年と三十三年を比較すると三倍にもふえているのに、職員の数はほとんどふえておらない。こういう状態ですから、私は何も徴税を強化せいなんて一音も申しません、節税をすべきだという立場に立っておりますが、正しい申告ができるようにやはり指導すべきだし、正しい申告ができるためにやはり具体的な調査があるんだということが確認されてないと、二割を超えるのが不正申告をしているという実態でありますから、これは調べたところだけです、十何年に一遍しか回ってこない。しかも二割もあるのですから、しかも八割が何らかの形で間違っている。国税庁の人員が非常に不足をしている。行政改革の際だからこんなことを言うのはおかしいじゃないかという議論もあるけれども、そうじゃなくて、正しい税というものを確保する。財政再建には歳入の確保が必要なのですから、こういう点、国税庁の職員の皆さんが大変な労働強化だということを私どもに訴えているわけですから、いかに行政改革のときであるといっても、必要なところには適正な人員配置をしていくべきだ。そして税の確保を図ることが再建の道であって、単に増税増税ばかりが能ではない、いまの税法で取れるものは取るべきだ、こういうふうに考えるわけであります。国税庁もそれなりに努力しております。昔は税務署では直税課、間税課という課があったのを事務的なものは全部総務課という形で一本化して、課制度をやめて統括管理官とか統括官あるいは調査官という形で、課制を廃止してまで外へ出て徴税をやっていくために努力をしているということもしておられるわけでありますが、限界に達しているという話を聞いておるのです。こういうことを言う議員は少ないかもしれませんが、働いている労働者の諸君が非常な労働強化だ、もう少し何とかしてほしい、こういうことを言っておるわけでありますから、現場の意見を聞いて、何も権力的に徴税攻勢をかける意味ではなくて、正しい税、節税すべきものはする、しかし正しい税を納めるための人員配置について大臣として考慮をしていかなければならないし、五十年来この税法が上がるときに附帯決議がついておるわけでありますから、そういう点について大臣の考え方をひとつお伺いをいたしたいと思います。
#50
○竹下国務大臣 確かに、定員削減というものが行政改革の大きな柱として叫ばれておりますときに、国税庁だからといってこれを大いに増員するということには私どもも非常にちゅうちょせざるを得ないところがあります。したがいまして、これだけ徴税事務が煩雑化したにもかかわらず、十年以来同じような形でやっていただいておる。そこにいろいろ質的な向上等もあり、それに対する給与の改善等も行われてきたわけでございますけれども、いま山田委員の趣旨に対しては、私も行財政改革を推進していく一方の立場を持ちながら、まあ下世話な言葉で言うと、一人多くなれば六千万円かせいでくるというような言葉もあるくらいでございますので、諸般の事情を勘案しながら熱心に見詰めていきたいというふうに思っております。
#51
○山田(芳)委員 どうも余り積極的な御発言でないのですけれども、やはり正しい税というものを納めるために、一方では歳入の確保を図る国税庁の所管大臣として現場の意見も十分くみ上げてやってほしいということを強く要求いたしておきます。
 次に、法人税関係について若干申し上げたいと思うのでありますが、わが国の税制は戦後二十年代はいわゆるシャウプ勧告というものが法制化をされました。しかし、昭和二十年代で大体このシャウプ勧告というものの基本的な考え方が崩壊をいたしました。昭和三十年代になりますと、いわゆる高度経済成長という政策がとられたために、高度経済成長政策に奉仕をする税制というものが非常に強くなってまいったと思うのであります。そしてそこでは資本の蓄積というものを目標にして設定された各種の租税特別措置法であるとか貯蓄増強のための政策、設備近代化、合理化あるいは輸出促進といった個々の目標達成に税制が寄与をしていく、こういう形になりまして、二十年代のシャウプ勧告が言ったところの税制というものは政策に対しては中立であるべきだという考え方が全く崩壊をしてきたという歴史があるわけであります。この中で、確かに資本蓄積や輸出促進といった目標は税制の誘導によって達成されたということは否定できないと私は思いますけれども、そこで失われたものがあるのであります。それは何かといえば、確かに高度経済成長は達成できたけれども、税が最も大切にしなければならない公平の概念というものがそこでは全く没却された、こういうのが高度経済成長、三十年代、四十年代へかけてのわが国の税制ではなかったか、こういうふうに思います。そこで、いま低経済成長になって、しかも財政再建というきわめて厳しい目価を達成するためには、いままでのような高度経済成長政策に奉仕をし、寄与してきた税制度をもう一遍見直さなければならないというのがわが国のこれからの立場だ、こういうふうに思います。
 そこで、政府当局も去る十日の税制調査会の山で、法人税の仕組みを基本的に洗い直すということを言われております。そのことはまことに結構なことだが、この際、私は法人税制だけではなくて、その他の所得税の問題や資産課税の問題等々についても洗い直すべきだというふうに考えて去ります。そして国民の信頼にこたえられる税制を確保することが――いずれにしても財政再建のためには税をふやしていかなければならない、そういう実態にあることもまたやむを得ないという点もあります。そういう意味において、その前提として国民の信頼を得られる税制を確保するためには、三十年代、四十年代において失った公平の概念というものを取り戻すことを基本的に考えなければならないというふうに考えるわけでありますが、その点についての大臣の御意見をお伺いいたしたいと思います。
#52
○竹下国務大臣 今年度税制改正におきまして、租税特別措置の整理合理化というものに対しましては、税制調査会等からも五十一年以来おおむね一段落したものと思うというような評価もいただいておりますので、それなりに私どもも御理解をいただけるところではなかろうかと思っております。しかし、税制そのものが絶えず見直しの対象になるべき性格を有しておるということについては、私も否定するものではございません。なかんずく御指摘があっております法人税制というのは、いろいろな議論がございまして、税制調査会の五十二年の中期答申を見てみましても、いろいろな角度からなお引き続き検討すべき課題があるということが指摘されておるわけでございますので、ただいま御意見の中にございましたように、先般お願いして設置していただきました企業課税小委員会、これによりまして各般の方面から掘り下げていただくということにお願いをし、そしてまたその結果に心から期待をしておるということであります。
#53
○山田(芳)委員 そこで問題になりますのが、基本的な考え方の中で一番法人税の問題になっているのがいわゆる法人の税負担の問題であるわけでありますが、その中で法人と法人の間における配当を益金として算入するのかしないのか、こういう問題が一つの問題になるというふうに思います。私はもちろん古くから論争のあるところの法人が実在説の線をとるとかあるいは法人擬制説をとるとかいう論争はしばらくおくといたしましても、担税能力のあるところから取っていくということ以外に現在対応する方法はないというふうに思うのであります。ただ、問題は、株式会社、企業というものが個人の集まりであるから、そこの所得はいずれ個人に還元されるんだという考え方だけは間違っているのではないかというふうに思います。それはなぜかといいますと、シャウプが昭和二十年代においてわが国の税制度を調査をしたときに勧告を出しております。そのときにシャウプは、少なくともわが国の法人というものが大衆の株主によって支えられることによって発展していくんだということを前提として言ったのでありますけれども、残念ながらわが国のその後の発展を見ますと、決して個人株主はふえておりません。大蔵省の資料によりますと、法人株主が七割であって個人株主は三割しかない、こういうことであります。
 少し具体的に申しますと、たとえば三菱重工の大株主のトップというのが三菱銀行であります。また、三菱銀行の大株主を見ると、トップは明治生命で六%、二位が東京海上火災で四・七、三菱重工も四位を保っている。こういうふうに考えますと、わが国の企業というものは旧財閥糸の企業が復活をするとともに、新しい企業集団ができてお互いに株を持ち合っているという実態になっているわけであります。だから、個人の株主の集まりであるという法人擬制説的な実態になっていないし、シャウプがわが国に対して勧告をしたところの大衆の株主によって支えられる法人というものは全く影をひそめて、大企業の持ち合いによるところの株式会社というものになっているというふうに思われるわけであります。
 そこに関連して、受取配当の益金不算入が新たな問題になるわけでありますが、こういう問題について私はいまここで、四〇%なり三〇%なりの配当の軽課税があるわけですが、当然益金に算入をしてそれをかけろということを直ちに言うわけではありませんけれども、しかし、少なくとも現在の日本の株式会社は法人擬制説に言うような個人の集まりであってその所得はいずれ個人に還元されるという理論ではとうてい律し得ないという形になってきている、そういう立場に立つ限りは、いまの法人税というものの根本的な洗い直しというものが必要なのではないだろうか。きのうも実は西ドイツの税率についても提案をいたしておいたわけでありますが、こういう問題についても十分検討してもらいたいと存じますが、その点はいかがでありましょうか。
#54
○高橋(元)政府委員 法人の擬制説か実在説かということにつきまして、四十六年ごろまで税制調査会も長い間議論をしてきたわけでございますけれども、現在の税制調査会または私どもの方の法人と個人の間の課税の調整の問題と申しますのは、むしろ会社、企業形態の資金調達、それから法人の投資資産選好、そういった経済的な側面に即して実態的に考えていくということで、法人税負担が株主のみに帰着するというふうにフィクションを行います擬制説が正しいのか、それとも法人はそれぞれ社会的に実体なんで、それぞれ経済的な実体を持っておりますので何遍かけてもいいというふうに考えるのか、そういう抽象的な議論を離れて、もっと経済実態に即して考えていくということであります。
 そこで、先ほどお話のございました企業課税の小委員会でもそういう立場をとって、各国の会社の実態、各国における法人課税の経済的な機能というところまで手を広げてお調べいただこうというふうに私は考えます。
 いまのお話の受取配当益金不算入の制度でございますけれども、これは擬制説または実在説、いずれの説をとっておるかはっきりしないところもございます。個人と法人の間で法人税をかけ、配当に個人の所得税をかけるいわゆる二重課税をやっておりますアメリカの場合でも、受取配当の益金不算入制度はございます。日本の益金不算入制度はやや特殊でございまして、負債利子控除というのをかけておりますから、法人の受取配当が約七千五百億円あるかと思いますが、その二分の一の三千五百億円は受取配当益金不算入の場合に控除してしまうわけでございます。そういう意味では、いわば二分の一益金不算入というのが実態かと思います。そういうことも全部、これはいわば法人税の基本的な仕組みのまたその中核になることでございますから、今度の企業課税小委員会でも検討になるものというふうに考えます。
#55
○山田(芳)委員 それでは主税局長さん、そのとおりの部分もありましょう。だから、そうなると、個人の所得税との調整の問題は、いまのような税額控除方式ということについても検討がなされなければならない部分がある。一割なり何割を税、額で控除するという方式がいいのか、累進税率の中にどうはめ込んでいくかという問題があろうと思うのですが、その点はどうですか。
#56
○高橋(元)政府委員 企業課税を審議していただく場合の一番基本的な考え方は、会社形態での資金調達の問題のほかに国民の投資資産選好をどうするか、与える影響をどう考えるかということも一つ問題だと思います。
 そういう意味で、個人と法人の間のそういういまおっしゃった意味での二重課税をどう調整していくかという方式につきましては、これはおっしゃるように調整しない方式から、ドイツのような完全にグロスアップをやる方式までさまざまございます。たとえば、支払い配当損金算入という方式が提案されたこともございますし、一部部分的な損金算入という方式が提案されたこともございますわが国の税制調査会のいままでの歴史でございますけれども、そういうこと全体がまさに申し上げておる基本的仕組みのもう一つの重要な問題である。したがって、今後、本年中をかけて慎重に御検討いただくという対象になるかと思います。
#57
○山田(芳)委員 もう時間がありませんので、二、三はしょって質問をいたしますが、広告費の課税ですね。この間本会議でも大臣から御答弁があったのは、交際費との関係において問題があるので検討しなければならない、こういうお話でありました。検討していただくようでありますが、実を言うと、カルドアという学者の学説を読んでみると、広告費の七分の五は過剰広告である、本当に営業活動に必要な適正な広告規模の範囲というのは非常にむずかしいとは言われるけれども、こういう説もあるということを申し上げて、あのテレビを見ていただいてもわかるように、広告が非常に多いのでありますが、少なくとも財政再建のためには全然課税をしないということではいかがなものであろうか。一〇%程度の課税をしても二千五百億程度の財源が出てくる、こういうふうに思うので、交際費との間において云々という話もありますけれども、それは中小企業でありますから、中小企業でない部分について一遍検討してもらいたい、このように思いますし、それから私はきのうもちょっと申し上げたのでありますが、これはちょっと専門化して恐縮ですが、地方税にあるところの法人事業税というのが外形標準だ、物税だと言われながら、実際は課税標準は法人所得というふうになっているという、しかもある部分、ガスとか、電気とか、損保関係、生命保険関係については課税標準は売り上げであるという外形標準をとっているというふうに、非常に混淆している。しかも、法人税の所得については前年度の法人事業税を損金として落としていくというような、所得課税であるならそういうことはなされないはずなのをやっているというふうに、これは非常に混淆しております。もちろん、自治省に対しても二十一日に質問をするつもりでおりますけれども、法人税の洗い直しをやられるならば、こういう…題についても法人事業税の基本的な物の考え方を整理をしていただかないと、非常に混淆しているということだけはこれはきのうもお認めになったわけですから、この問題も十分論議をしていただきたい。この二点だけ、法人事業税の考え方を基本的に筋の通ったものにする、広告税の課税についても検討するかどうか、この二点についてお伺いして私の質問を終わります。
#58
○竹下国務大臣 広告課税につきましては、これは検討さしていただきます。前回お約束をしたとおりであります。
 事業税は、御案内のように地方税でございますが、いま山田委員のなさいましたような議論が予算委員会等でも出ておりますし、自治省におきましてもそういう方向で検討されることを私どもも期待しておるところであります。
#59
○山田(芳)委員 終わります。
#60
○増岡委員長 塚田庄平君。
#61
○塚田委員 大臣に端的に質問をしたいと思います。
 先ほど同僚議員から所得税の減税問題が出ましたけれども、私もまた結論的には所得税の減税、私の場合は物価調整減税をもう準備すべき段階ではないか、もうすでにやられなければならぬ段階じゃないか、こういう観点で以下御質問したいと思います。
 きのう、実は日銀から物価の状況について、特に卸売物価についての発表がありました。この結果を見ますと、前年同月比二一・九%と大変な物価の上昇になってきております。大蔵大臣は本会議その他予算委員会等では、大体ことしの物価の状況については政府見通しが達成される、五十五年度においても六・四%は十分達成される見通しだ、こう言っておりますが、最近の物価の上昇で特に注意されなければならぬのは、いまは石油の値上げあるいは輸入品等の高騰、こういったものが大きな引き金になっておりますが、最近はこういう輸入から、国内品というか国内的な要因がインフレ要因になってきているということが識者によって指摘されてきております。つまり、卸売物価と消費者物価との関係は、卸売物価が何カ月かたつと当然消費者物価にいろいろな形で響いていくというこの関係速度が、最近非常に速くなってきておるということが言われております。私どもも大体四月ないし五月になりますと、消費者物価はあるいは一〇%を超えるんじゃないかという見通しのもとにおります。これは大臣はどういう考えであるか、お答えによって両方でかけてもいいんじゃないかと思うのですが、こういう情勢の中で、さらに電気料金あるいはガス、これも値上げが決定されまして、恐らく二十一日に認可になるでしょう。電力については五〇・八、ガスについては四五%と、これはもろに消費者物価にかかってきます。
 こういうことになりますと、もちろん五十四年の政府見通し、五十五年の見通し、これも全く崩れてしまう。こういう中で、一〇%近くになりますと、当然庶民の預金の目減り、あるいは私の論調でいきますと、預金利子を物価は超えますから、こうなりますと、物価調整減税というものを実施しなければ、庶民の暮らしというものは非常に困窮を来すということになって、税金に対する不満も上がってくるのじゃないか。
 きのう、たまたま参議院の予算委員会で公聴会がありましたが、この公聴会の中でも減税、特に所得税の中以下の人たちの所得税減税、物価調整減税の必要性を強調された、こういうふうに私どもは聞き及んでおりますが、そういうものとの関連等も考えて、ただいま大蔵大臣はどういう考えでおるかということについて、ひとつ総括的に御意見を承りたいと思います。
#62
○竹下国務大臣 いま塚田委員御主張のように、諸般の情勢、最近の物価情勢、卸売物価のみならず消費者物価にもかなりの速度でその影響が来た、そうして、今後国内経済動向によってはさらに加速することも懸念されるというような物の考え方から、公定歩合の引き上げ等が行われたわけであります。
 したがいまして、これからどう対応していくか、政府といたしまして、きょうの六時でございましたか、総合物価対策というようなものが企画庁中心でいま最後の詰めが行われておるところでございます。
 当面、私どもの方の直接の関係といたしましては、総需要の適切な管理という言葉を使っていただくようにいま作業を進めておるところでございます。それといま一つ、金融面における措置、この二つの点におきまして公定歩合の引き上げはやや天井感に達したということで、心理的な影響を心から期待しておるということでもございますので、そうした形で物価の総合対策というものが打ち立てられるようでございます。
 したがいまして、今度は、これがいわゆる預貯金金利全般に対する波及でございますけれども、銀行預金につきましては私の方が発議いたしまして、いまそれぞれの段階で検討がされておるところでありますし、一方、郵便貯金につきましては、これは別の審議会で御検討をいただくという状態になっておるわけでございますけれども、いわゆる公定歩合の操作というものが必ずしも預貯金金利にすべて連動をするというものではないと思います。そのときどきの金融メカニズムの中におきまして適切な決定がなされるものであるというふうに考えておるところであります。したがいまして、いまの物価というものに対する物の考え方は、これは外的要因が確かにその大部分であることは事実でございますので、その外的要因を国民全体でどこでどのように公平にこれを負担していくか、何分にも大きなお金が、産油国へ富が移転するわけでございますから、そういう角度の中で国民への理解と協力を求めていこうということであります。
 それと同時に、これが消費者物価にいかに影響を少なくしていくかということは、まさに生産性向上というものを労使の熟度の高いところの話し合いの中に、徐々にそういう傾向がわが国経済の中にもたらされておりますものを、より生産性の向上について労使がそれぞれ話し合いの中に強調していこうというようなことをいま主張しておるわけでございます。
 したがいまして、物価調整減税をやるということは、この財政の体質を改善させて厳しい状況にも対応していくだけの力をつけよう、財政再建力まずやり遂げるということが国民の皆さん方の幸せに通ずることであるという考え方に立っておりますので、所得税減税というものをいまやる考えというものはそういう状況にはないというふうに判断をいたしておるところであります。
#63
○塚田委員 ずいぶん見解が私どもと違うのですが、相変わらず大臣は外的要因ということを強調しておりますが、私は確かに外的要因が非常に多いことは知っております。しかし、外的要因か広内的要因というか、そういう言葉があるのかどうかわかりませんが、そういう傾向に変わってきておるので、消費者物価への卸売物価の影響というのは非常に加速度的に強くなってきておる、そういう情勢の中で一体あなたは見通しをどう立てておるかということについての答弁もございませんでした。私は、恐らく五月ごろになると一〇%を超えるんじゃないか、こういう前提のもとに物価調整減税というのはぜひやらなければならぬ、こういうことなんで、いまさらに答弁を求めますと、もうそれだけで終わってしまいますので、こういう私の主張をこれからの財政、税制運営にぜひひとつ参考にしていただきたい、こういうことを大臣に要請をいたします。
 さて、その次でありますが、これはもう余り時間がありませんが、労働省が来ておりますので、その分から先に。きのうは本当に失礼しました。
 予算委員会においても、例のパートタイムのことがいろいろと問題になりましたが、パートタイムと言えない、賃加工内職といいますか、パートタイムの一歩手前といった方があるいはいいのかと思いますが、この内職者についての税金の取り扱いというのは非常にまちまちなんで、労働省は内職の態様といいますか、これを一体どうとらえておるか、この点ひとつ答弁をお願いします。
#64
○花田説明員 お答え申し上げます。
 先生御案内の賃加工という形態は、わが国ではかなり古くから存在しております。ただ、労働の態様が雇用労働者と違うということで長く労働保護立法の対象の外に置かれておりました。これではいかぬということで、昭和四十五年に家内労働法という法律が制定されまして、賃加工の大半の方はこの家内労働法の保護の対象となるというふうに理解をしております。ですから、一般的に申し上げますと、賃加工はこの家内労働法の家内労働者に出たると思いますが、この様態につきましては、基本的には問屋とか、あるいは工場でもよろしいわけでございますけれども、そこから原材料の提供を受けまして、それを加工、製造する。いろいろ機械を使う場合もありますけれども、労働の対償を求める目的でという目的が入っておりますけれども、そういう形で加工する者という定義でございます。したがいまして、そういう意味での家内労働者は、私どもの把握では補助者というのも含めまして全国で昨年で約百四十五万人ぐらいいるのではないかというふうに理解をしております。
#65
○塚田委員 別に給与に関する取り決めというか契約がなくとも、そういった態様の中で賃加工内職というものを労働省はつかんでおるのですが、税務当局、主税局の方ではこういった内職者の所得というものを給与所得とみなして課税するという方向で対処するような考え方はないかどうか、この点ひとつ御答弁願いたいと思います。
#66
○矢島政府委員 御質問でございますが、先生御案内のように、雇用契約に基づく所得は実態に応じまして一応給与所得、それから請負契約に基づくものであるときは事業所得というようなことでございます。収入の実態に応じまして所得区分を決めるというのが税法のたてまえでございます。したがいまして、内職の実態につきまして明確に請負契約とされるものはもとよりでございますが、そうでないものにつきましても、親会社あるいは内職者の間で雇用契約に基づくものであるという認識のないようなものまでも運用上給与所得として取り扱うということは、やはり税法の基本に触れるということで、できないというふうに考えておるわけでございます。
#67
○塚田委員 契約がない、したがってなかなか給与所得というふうにみなすことはできないということでございますが、日本では内職というのは長い間慣例化されておりまして、雇い主との間に契約等もなくてやっておる場合、それでしかも事業所得として課するというのは非常に酷な事例が多いので、これは内部的な調査をもっと進めてもらって、百五十万と言われておるそういう人たちになるべく近代的な給与所得としての立場を確立させるという意味も含めまして、そういった指導行政をひとつ強めてもらいたい、あるいはそういう取り扱いを進めてもらいたい。これは労働省と税務当局に要請をしておきたいと思います。
 それから、これも労働省と税務当局にお願いしたいのですが、中途退職者についてです。中途退職になりますと税金が戻ってくるのですが、これが徹底してないために損をする場合が非常に多い。これも私どもの知る限りでは恐らく三百万を超えるのではないかと思うのですが、こういう場合には税金が戻るのだということをやはり徹底させる必要がある。一つは、労働省の方にお願いしたいことは、やめていく場合にまず経営主、雇い主がそのことを徹底させる。それから安定所においてこの点についても、そういう発見をした場合には税金の問題にも触れて指導をするということ、それから税務署の関係でも、この点について周知徹底するような方法を何らかの形でもっと強力に講じてもらいたいと考えておりますが、ひとつお願いします。
#68
○矢島政府委員 ただいま先生御質問のように、確かに途中で退職された方につきましては還付されるというケースがございます。私どもは、その点はテレビとか週刊誌、パンフレットを通じて従来からできるだけPRに努めているという実情にございます。それからサラリーマン一人一人に交付されます給与の源泉徴収票の裏面に記載いたしまして、こういう場合には還付できますというようなこととか、あるいは源泉徴収義務者全員に配付されますパンフレットがございますが、これにもそういう記載をするということで徹底を図っております。少なくとも納税者が知らないということのために損をすることのないように、その点につきましては今後とも機会のあるたびにPRをしてまいりたいと思っております。
#69
○塚田委員 大変急いで申しわけないのですが、自民党の税制改正大綱、まあこれは自民党の決定ですが、これと政府の税の決定は一体のものと私は考えておるのですが、自民党の来年度の税制改正大綱の内容の中で政府の出した案と違う点が一つあります。それはここで何遍も質問されておりますが、貸倒引当金についての率でございます。これは特に金融機関の率なんでございますが、自民党の大綱を読みますと、昭和五十五年度中に法定繰入率を千分の五から千分の三に引き下げる措置を講ずるという一つの決定があるのですが、政党政治の中で当然この決定は大蔵省のこれからの方針にも影響するというよりもむしろそれを左右するもの、こう考えておりますが、この点は大蔵省としても確認されますか、どうですか。
#70
○高橋(元)政府委員 たしか五十一年でございましたか、金融機関の貸倒引当金を千分の五に下げたわけでございますが、現在はまだその経過期間中でございます。したがって、五十五年度中の金融機関の貸倒引当金は〇・五まできていない、五十六年の九月期になりますと〇・五に達すると思います。したがって、本年度の税制改正で金融保険業以外の貸倒引当金について二割カットいたしたわけでございますけれども、それと同じ趣旨で、引当金の繰入率を現実に合わせて見直していくという趣旨で、いま御引用になりました自民党の税制改正大綱にあると同じ方針で金融機関の昏倒引当金について改正をいたしたいと考えております。
#71
○塚田委員 そうすると、五十五年度中に千分の三にする、こう確認していいですね。
#72
○高橋(元)政府委員 千分の三という率は、くどいようでございますけれども、経過期間の五十五年度中はいまだ千分の五になっておりません、千分の五に達したところを見計らって千分の三までさらに下げていくという趣旨でございます。
#73
○塚田委員 貸倒引当金についていろいろ議論がありますが、特にこれは金融機関の場合非常に問題だということが何遍も指摘されておるところなんです。恐らく、貸倒引当金の繰入率は、実績は大体いま〇・一くらいだと思うのです。これが〇・五になっておるということでは実態から余り乖離しているのじゃないかということで何遍も指摘されているのです。そういう面で、自民党の税制改正大綱の、たった一つ、税調といいますか今度の場合と違う二十七項目のこの項目は、私は非常に評価していいのじゃないか、こう思うのです。五十五年度当然これはやるべきだと思うのです。そうでなくても〇・一が〇・五になっておるということは実態と余りにも乖離している。何遍もこの点は指摘されておるところでございますので、もう一度お答えを願いたいと思います。
#74
○高橋(元)政府委員 貸倒引当金の繰入率は政令事項でございます。したがいまして、五十五年度中に〇.三に引き下げると書きましたのを今回御提案いたしておりませんのは、政府においてその趣旨に従って税制改正を政令でやる、こういうことでございます。五十六年九月期に金融機関の貸倒引当金が〇.五に達しますので、それから先〇・三になるような措置を本年度講ずる、こういう趣旨であります。
#75
○塚田委員 質問を変えまして、たしかきのうの質問の中で富裕税の問題が出ましたが、その場合、たしか局長は、動産について特に把握しがたいというようなことの答弁で、なかなか実態がつかめない、こういう情勢の中で富裕税については否定をしております。一般的に不表現資産の把握が非常に困難だということなんでございますが、そうしますと、私は一つ反論したいのは、ここに「財産および債務の明細書」というのがあります。これは確定申告書に申告の時期に添付することになっております。これはたしか昭和四十九年かと思いましたが、いまの長官が次長のころ私は質問をしたのですが、これは一体いまどのくらい、率で言ってもいいし、枚数で言ってもいいですが、実際添付されているか。
#76
○矢島政府委員 先生御質問の財産債務明細書は、提出義務者につきまして申し上げますと、昭和五十三年分で七万七千人でございます。悉皆的に調査したものはございませんが、サンプルで調査したところによりますと、このうち八〇%以上の者は提出しているという状況にございます。
#77
○塚田委員 私の印象では、これはたしか二千万以上だと思いましたが、七万というのは非常に少ないような感じがします。私はまだそれは少ないという基礎的な資料を持っておりませんが、大変少ない。しかも、実際出しておるのはこういう状況で、一体督促状とか、あるいは具体的にどういう督促の形態をとるのか知りませんが、やっておるのかどうか、やっておるとしたら、どういう内容の督促状を出しておるのか、あるいはその結果についてどういう対処をしておるのか、この点について御答弁願いたいと思います。
#78
○矢島政府委員 先生ただいま御質問のとおり、所得につきましてその年分の退職所得以外の所得金額の合計額が二千万円を超える者というふうにされておるわけでございます。それから、そういう合計所得金額が二千万円超の者というのは、昭和五十三年分で七万七千二人というのが国税庁の統計年報書の数字でございます。
 督促しているかどうかということでございますが、これは全くサンプル調査でございますので、全般的な数字をこれによって推しはかることはいかがかと思いますが、そのサンプル調査によりますと、三月十五日現在までに出てきておりますのが四四%という数字でございます。それに対しまして何度も督促いたしまして最終的には八二%まで提出されているということでございます。ちょっとよけいなことでございますが、先生が前に御質問されたときに、それほどなかったというようなお話もたしかございましたのですが、現在そういうことで私どもとしてはできるだけ督促をいたしまして提出をよくするように努力しているわけでございます。
#79
○塚田委員 さすれば、この明細書の裏に「書きかた」というのがあるのです。これにはもう詳細に、土地から建物、山林、有価証券、書画骨とう、貴金属、あらゆるものがこれに記入されなければならないような形態になっているのです。ところが、残念ながら、この信憑性について検査をし、しかも虚偽の申告をした場合にこれを処罰するというようなことは、法律的にそういう処置をとることはできないことになっておりますが、もしこれが完全に把握されるということになれば、富裕税はたちどころに一と言ってはちょっと語弊がありますけれども、少なくともそれが実施できる根拠といいますか足がかりができるものと私は思っておりますが、これを罰則のない義務規定ではなくて罰則をつけて、二千万円以上については何としても申告させ、しかも虚偽の申告をした場合についてはそれ相当の制裁措置をとる、こういった措置をとらなければならないのじゃないか、こう思うのですが、どうでしょうか。
#80
○高橋(元)政府委員 確かにフローとしての所得を正確に申告していただき、また、税務調査でもフローとしての所得を正確に把握できるようにするということは重要な課題であると思います。それをチェックするために、いまお話のございました財産債務明細書があるわけでございます。それは適正な申告をストック面からもチェックできるという意味でお出しいただいております。こういう制度でございますが、財産債務明細書は特定の高額所得者に限って提出していただくということにもなっておりますし、また、そういう所得が高い方の資産内容というものは非常に多岐にわたる、また多種類にわたるということだと思います。現時点で直ちに罰則を設けて提出を強制することはいま申し上げたようなこの制度の趣旨から限界があるのではないかというふうに考えますけれども、全体といたしましてフローとしての所得をより正確に把握できるように私どもも制度上さまざまの工夫をしてまいりたいと思いますし、いまの御提案もそれに含めて検討させていただきたいというふうに考えるわけであります。
#81
○塚田委員 富裕税の創設についてそういうものと含めて検討させてもらう、こういうことでございますが、各国の例を見ますと、よく日本と比較されます西ドイツ、これは州税ですけれども、すでに富裕税はできております。あるいはオランダ、スウェーデン、オーストラリアあるいはデンマーク、このように富裕税が設定されて、それぞれ税収に占める割合は一・四あるいは〇・八、〇・五と、これは地方税も入れてですから、国税だけでは相当の税収になっておると見ていいのじゃないかと私は思うのです。いまのような財政再建のさなか、こういった税金こそ、制度こそまず第一に学んで早急に設定をすべきじゃないか、こう私は考えるのですが、大臣、この点ひとつ大臣から答弁してください。
#82
○竹下国務大臣 いままでの例といたしまして、戦後財産税というようなものがございましたが、このいわゆる富裕税というものは、その財産そのものが直ちに利潤を生み所得を生んでいくというものにストレートにつながるものでない、と同時にまた、捕捉が非常に困難であるというようなところから、私は、現実問題としては、富裕税というものは非常にむずかしい問題であるというふうに考えております。
 ここで、一つだけ、私、落としましたので、それだけ時間を延ばしていただいて結構でございますから……。
 例の外的要因以外の、俗にホームメード・インフレと言っておりますが、それに対していろいろ見込んでおるだろうということでございます。現在のところ、必ずしも正確な数字はございませんが、消費者物価におきましては、実績見込みの四・七は達成する。これは五十四年度でございます。と申しますのは、二月の東京を七・六と決めたとして、いまの三月が仮に七・七になっても四・七の中にはおさまるということでございます。しかし、一方、卸売物価は、これはもう塚田さん、政府見通しというのは最初は一・六でございますから、それが実に恐らく十二・一という実績見込みをオーバーするのじゃないかと思います。
 それが今度は、四月以後のいわゆるホームメード・インフレという形になって押し上げてこないか、こういうことでございます.が、したがいまして、政府見通しとしては、いまの外的要因というものの影響が、確かに私は四月−六月というものが一つの山場だと思います。それから先になりますと、五十四年度の上昇率がかなり高うございますので、対前年比からいたしますならば、あるいは落ちつきを戻してくるかもしらぬという意味におきまして、にわかに四月何ぼになるか、二けたはいつなるんだと言われましても、私が明確に答えるだけの資料も自信もいまございませんけれども、いずれにしても、五十五年度政府見通しで六・四%というものの中へは何が何でも、これは平均でございますが、おさめていかなければならぬという決意で諸般の対策を行っておるということであります。
#83
○塚田委員 もう時間がありません。大臣は、何が何でもおさめてもらわなければならないということですが、私は、そういう大臣の願望にもかかわらず実態は進んでいくんじゃないかということで、先ほどから指摘したわけでございます。
 最後に、念を押すようでございますが、主税局長の答弁の中で、来年度の税調、今年末の税調等で、いま言ったようないろいろな措置も含めまして、富裕税の創設について答申を受ける用意だというふうに解釈していいですか。
#84
○高橋(元)政府委員 五十二年以来、富裕税の制度の創設につきまして税制調査会では毎年御審議をいただいております。それがどのような具体的な提案になるかということは別といたしましても、本年度税制調査会ではまた再び御検討いただくことになるであろうというふうに私は思っております。
#85
○塚田委員 いや私の言うのは、富裕税はやるべきだという大筋の答申は来ているのですね。ただ、これは、さっき言ったこの実態把握が非常に困難だというのが、やはり税調あたりのこれに対するきっぱりした決断を下せない最大の要因だと思うのですよ。したがって、私は、いま言った財産債務の明細書等もきちっと、たとえば、まあ罰則と言ってはなんですが、そういうものを含めてこれを完全に把握する、虚偽の申告は許さない、こういった態度とあわせまして、税調のいままで懸念していたいろいろな問題を解消しながら富裕税の創設へ進む、こういう形をとってもらいたいと思うので、この点、再度最後にひとつ御答弁願いたいと思います。
#86
○高橋(元)政府委員 たびたび申し上げておりますように、富裕税の創設という問題を審議していただく際に、資産の把握がむずかしいということだけでちゅうちょしているわけではないわけであります。そのほかに、現在の所得税の累進構造が七五%、地方税を含めて限界最高税率で九三になる、その中で経常的な財産税が入るかどうかという問題もございますし、もっと執行の問題で評価が、たとえば株式の評価をどうしたらいいかという問題もございます。ですから、所得税のサイドチェックの手段としての財産債務明細書というものだけを取り上げてみますと、これはフローとしての所得を本来正確に把握するための二次的な資料でございますから、所得税法の中で罰則をかけて正確な申告をしていただくということを期待するのには限界があると先ほど御答弁したわけでございますが、そういう三つの問題、それらを全体を含めて御検討を従来からいただいてきているわけでございますし、そういう御検討の結果がすべてまとまって、執行面でも不公正にならない、かえって不公平を増さない富裕税というもの、経常財産税というものが可能であるかどうかという御検討については、ことしじゅうに答えがまとまるかどうか、私は、税制調査会にきょうの御意見をお伝えはいたしますが、ここで直ちにお答えをできるほど確信を持っているわけではないのであります。
#87
○塚田委員 時間が来ましたので……。
#88
○増岡委員長 午後一時十分再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時四十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時十五分開議
#89
○増岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 午前に引き続き質疑を続行いたします。玉置一弥君。
#90
○玉置委員 民社党を代表して質問いたしたいと思います。
 わが党は、今回に限らず、従来から財政再建というものの手だてといたしまして行財政改革というものを積極的に進めなければいけない、そういう考え方に基づきまして、いままで各省庁にあるいは大蔵当局に具体的な実際の各項目について提案をしてまいりました。その一つとしまして、退職給与引当金の繰り延べ算入の廃止あるいは引き上げ、そして給与所得控除の頭打ちの復活あるいは交際費課税の強化、利子配当所得の源泉分離課税から総合課税へ、そういういろいろな具体案というものを提示しながらやってまいりました。今回その具体的な内容について、個々の考え方、そして具体的にいつからどういうふうに実施されるかという点をポイントにお聞きをしてまいりたいと思います。特に、前回の総選挙において一般消費税という形で打ち出されて、それが拒否を食らったというのはこの委員会でも再三論議をされてまいりました。しかし、われわれが考えますには、一般庶民といたしまして、国民として現在の行政のやり方それ自体に非常にむだが多いというふうに感じている、これは事実だと思うわけでございます。さらには、いまの財政そのものの使われ方、そして各種の補助金あるいは特殊法人、そういうものが非常に目立った存在であるということでございます。そして特に一般給与所得者にとりましては、現在の税制が非常に不公平であるということでございます。
 今回租税特別措置の改正によりまして公正を期すように努めていきたい、そういう方針でやられている。これにはわれわれも賛同するわけでございます。しかし、個々に見てみますと、まだまだいろいろな部分で不公平があるのではないかと思われるのでございます。本来であれば租税特別措置、機会均等という面から考えますと非常に不公平感があるわけでございますけれども、社会的な背景あるいは経済的な背景、そのときの政治情勢、そういうものによっていろいろな措置が講ぜられて、それが現在に至っている、そういうふうに考えられるのでございますが、いま考えて現在の租税特別措置法そのもののねらいは果たして何か、そして現状に合っているかどうか、その辺大蔵当局の御見解をお聞きいたしたいと思います。
#91
○高橋(元)政府委員 租税特別措置法及び所得税法のそれぞれの本法の中で幾つかの特別措置を設けておるのは事実でございまして、本年度の改廃後におきましても、項目数といたしましては企業関係で七十二、その他全体を含めまして百六十一項目ございます。それに基づきます減収は御案内のとおり九千八百十億円でございますけれども、その目的といたしておりますのは、一つは貯蓄の奨励、これが一等大きゅうございまして、四千億円の減収でございます。いわゆるマル優等がこれに入ります。それから生命保険料の控除とか損害保険料の控除というのはこの貯蓄の奨励の中に入っております。
 それから二番目が環境改善、地域開発ということでございまして、言葉が悪くて恐縮ですが、いわゆる後進地域と申しますか低開発地域等の特別措置法に基づきます特別償却、割り増し償却等の特例であります。それから公害防止施設の特別償却等がこれに入ります。減収額で申しまして千四百七十億であります。
 第三が資源の開発でございまして、海外に資源開発を行います際の海外投資損失準備金でございますとか、坑道の掘進に関する準備金でございますとか、特別償却制度がこれに入ります。減収加州で百九十億円。
 それから第四番目が技術の振興なり設備の近代化でございますが、これは試験研究費の控除でございますとか、その他大型研究に対する助成でございます。減収額で千百三十億円。それから企業体質の改善なり内部留保の充実という形で、中小企業にいま多く残っておりますが、特別措置法で認めておりますのは五百三十億円。その他二千九十億円でございます。
 それが九千八百十億円と申しておることの内容でございます。したがって、そのねらいといたしますところは、私がいま申し上げた数個の項目、これをさらに分解をいたしますと百七十五になります。非常に多岐にわたっておりますが、現時点で将来の経済構造なり社会構造というものをよりよい方向に持っていくためのそれぞれ必要な項目が存置されておるというふうに認識をいたしております。
#92
○玉置委員 現在、海外とのバランス、その辺がこれからの問題になってくるというふうに言われておりますけれども、たとえば海外技術援助、そして海外でのプロジェクト、そういういわゆる製品輸出だけではなくて、技術輸出あるいは人的な援助といいますか、そういう方面での経済活動がいま非常に活発になってくる、そういうように思われるわけでございますけれども、そういう面から見まして、現在の研究開発費でありますとか、あるいは逆に技術援助に対するあるいは企業の海外の危険負担といいますか、そういうものに対する方向が逆行しているのではないか、そういうように感じる部分があるのですけれども、その辺についてはいかがでしょう。
#93
○高橋(元)政府委員 ただいまも申し上げましたように、たとえば日本国内の技術というものを海外にいわば見えない輸出をいたしまして、それに基づいて本邦及び相手国の両方の技術水準なり経済交流を高めていく、これが必要なことは私どもそのとおり認識しておりまして、たとえば俗にいわゆる技術等海外所得特別控除制度というのがございますが、これはその中で重要な項目かと思います。それから海外投資損失準備金というのがございまして、これも発展途上国とわが国との経済関係というものを密接にするとともに、日本における資源の確保等にも役立つという制度でございます。それから海外市場開拓準備金にしましても、これは中企業を含みます中小企業というもの、それが市場を開拓して外国との経済関係を緊密にしていくということに役立っておろうかと思います。そのほか数多くの項目がございますが、主なものを三つ申し上げました。
#94
○玉置委員 いまお話の出ました、たとえば中小企業の海外市場開拓準備金、これの引き当て基準が実績額ベースでの引き当て基準というふうに伺っておりますけれども、実際これからやろうというところに対する危険負担のいわゆる損金計上、そういうものから見ると、実績のあるところ、海外市場における実績が大きいところについて徐々に拡大されているという、現行すでにやっておられるところについては見るけれども、新規に起こされるところについては見ないというふうに受け取れるわけですけれども、たとえば、これからの新しい海外との技術援助あるいは後進国に対します援助という面から考えて、そういう新規参入を拒むような方向に行かないかという心配があるわけですが、それについてはいかがでしょう。
#95
○高橋(元)政府委員 御審議をいただいております租税特別措置法の改正案の中で、資本金十億円を超えます法人につきましてこの海外市場開拓準備金の適用を本年度から廃止をするということで考えておりますが、五億円以下の法人につきましては、その年度の購入物品の輸出に係る――つまりこれは商社でございましょうが、購入物品の輸入に係る収入金額につきましては、大法人の場合〇・六六%、中小法人の場合丁三六%を準備金に繰り入れることを認めておりますし、それから自分でつくりました物品の輸出の場合には、一億円超の法人は〇・九%、資本金一億円以下の法人は一・八四%、それぞれ収入金の中から所得に算入をいたしませんで準備金への積み立てを認めておるということでございます。この制度の趣旨は、海外市場開拓の費用に充てるために海外取引の収入金額の一部を準備金に積み立てさせるという制度でございますから、いま仰せのありますことが、申しわけない、ちょっと理解できないのでありますが、新規参入を拒むということは全くないというふうに思います。
#96
○玉置委員 それは、国内を含めた総売り上げの中から、いまおっしゃられたパーセントが引き当てできるということですか。
#97
○高橋(元)政府委員 これは、現在輸出をいたしておりますその収入金のうちからでございます。したがいまして、業種を転換して、または事業の主力を変えて、現在国内サイドの仕事をやっておられる方が輸出をしていく場合に、国内サイドのものから将来の海外市場開拓の費用に充てるためのそういう意味の利益操作、そういうことは全く考えられていないわけでございますが、輸出をしておられる限りはイコールフッティングでございます。
#98
○玉置委員 というと、先ほど言いましたように、輸出の実績がない限りは引当金ができないということになるのですね。
#99
○高橋(元)政府委員 さようでございます。輸出代金の中で一定の割合を将来の海外市場の開拓の費用に充てるために準備金に積み立てる、そういう制度でございますから、それ以上の一定の非課税利益を留保するというような形の準備金ではないわけであります。
#100
○玉置委員 すべてが全部そういう方法をとりますと大変ないわゆる隠し利益というかになるので、非常に言いにくいことなんですけれども、これからやはり経済の動向を見ても海外取引、目に見えない商品、そういうものの取引が非常に盛んになる、それもある業種に限られたことではなくて、いろんな分野での進出がなされると思うのですけれども、そういう場合に、ある程度既存の企業だけではなくて、やはり公平な立場から見てできるようにしなければいけない。そのためにはやはり認可制でありますとか、あるいはその他の方法によってある程度選択ができ、そしてそういうある認めた企業については準備金という形で海外取引をするという同一条件でやっていかなければいけないと思うのです。時間の関係で、その後どうするかという方法まで突っ込んでできないわけでございますけれども、同じ取引をするという意味から、新規参入の方面についても、そういう余地が得られるようなシステムにぜひ改定をしていただきたいという希望にとどめておきます。
 続きまして、今回に限らず、この租税特別措置法そのものに時限のあるものとないものというものがございまして、法律の中に「当分の間」という規定がございます。しかし、実際のところ、当初決められたままで数年間継続して設定をされ、中には手を加えられていないものもあるという状態でございますけれども、「当分の間」という規定がある。「当分の間」の時限、そして特に時限の定めのないものについてどうするか、そういうことなんですけれども、各項目の中で主なものを挙げていただいて、要するに「当分の間」というものの解釈についてお伺いをいたしたいと思います。
#101
○高橋(元)政府委員 適用期限ということだけに限って申し上げますと、「当分の間」というのは法律改正があるまでという意味だと思います。しかしながら、「当分の間」という言葉が租税特別措置法の一条に書いてございますのは、本則に対する例外であるということをまた趣旨としてあらわしているんだというふうに解釈いたしております。
 ただいまお尋ねの時限がないものということでございますが、たびたび繰り返して恐縮でございますけれども、租税特別措置の中に含まれております政策税制は既得権化、慢性化を防いで一定期間ごとの見直しを行うという趣旨から、原則として企業関係は二年、所得税関係では五年という期限を付しております。しかし、これにはもちろん例外がございまして、今回御提案を申し上げております土地税制などは、従来五年の期限でございましたものを期限を取り払っております。これは将来の減税含みで土地の売り控えが起こるということがあってはいけないという土地政策の観点からあえて無期限の規定をお願いをいたしておるわけでございます。
 もう一つの例外は、所得計算の特則というようなものがございます。たとえば、くどくなって恐縮ですが、特別償却は現在直接法でやるということになっておりますが、準備金方式でやってもよろしいという例外を認めております。これはそれぞれの企業のやり方もあるわけで、経理の方法があるわけでございますから、準備金方式でいわば間接にやるということを認める、これも特別措置法の五十二条の三という規定でございますけれども、これあたりは期限を置いておく必要がないというわけでございます。
 この二つの種類が主として期限がない規定でございますけれども、先ほど申し上げましたように、よく言われている言葉で言えば補助金のサソセット方式というのを私どもとしては厳格に実施をいたしておるというふうに思います。
#102
○玉置委員 この中でも非常に長いものがあるわけでございますけれども、そういうものについては本法の方を変えていかなければいけないのではないか、そういうふうに感じるのでございます。というのは、長年の経済情勢あるいは政治情勢の変革にもかかわらず残っているということは、やはりそれなりに必要な部分ではないか、そういうふうに思うわけでございますけれども、それについてはいかがでしょうか。
#103
○高橋(元)政府委員 特別措置の中で、先ほどもお答え申し上げましたように、二年または五年という期限を付しておりますけれども、二年たって全部が廃止されるということではございませんで、それぞれそのときの情勢に照らしましてなお存置する政策目的があるというものにつきましては、また二年の期限を限って延長いたしておるわけでございます。
 先ほどもお答えしましたように、「当分の間」というのが本法に対する例外であるという趣旨でございますから、したがって、いつそれを本法の計算規定の中にストレートに取り込んでもよろしいのかどうかということはまた別個の判断だと思います、全くそういうものがないともいま断言はいたしませんけれども。ただ、たびたびお示しのありましたように、租税特別措置はできるだけ政策目的を失った限りで廃止をしてまいりまして、また存続するものも縮減をいたしまして、等しい所得には等しい取り扱いという意味での租税の公平を実現をいたしたいというのが私どもの基本的な考え方であります。
#104
○玉置委員 それでは、次に所得税法についてお聞きをいたしたいと思います。
 所得税につきましては税率あるいは税負担率というものについていろいろ問題があるというふうにわれわれお聞きをいたしておりますけれども、納税者の大半を占める給与所得者に対する所得の捕捉率が、ほかのたとえば個人事業者、農業所得者、そういう方々の捕捉率と非常に大きく異なっているというお話がございます。
 まず一つお聞きをいたしたいのは、給与所得者とそのほかのいろいろな事業者の方々との捕捉率の実態と納税者率、そのうち何%ぐらい納税をされているのかということをお聞きをいたしたいと思います。
#105
○矢島政府委員 お答え申し上げます。
 ただいまの御質問でございますが、捕捉率という点につきましては、私ども実は把握しておりません。
 それから、納税者率という点でございますが、そこまでは実は調べたことがございませんが、五十三年分の所得税で申し上げますと、課税人員で申し上げますと営業所得者で百九十四万人、農業所得者で二十七万人、その他事業者が四十一万八千人、それからその他、これは譲渡とかそういうものでございますが二百七十三万九千人、合計五百三十六万八千人という方が申告しておられるわけです。一方におきまして、給与所得者は約三千万人、これは厳密な統計がないのでわかりませんが、このように推定されておるわけでございます。
#106
○玉置委員 五十二年の実績でございますけれども、給与所得者が三千七百七十万人、そのうち七四%が納税をされております。ちなみに、所得が五百万以下の方が九三%ということで、いまは若干上回っていると思われます。それから自営業につきましては六百六十万人、そのうち三三%が納税をされております。農業につきましては四百二十五万人、そのうち一七%が納税をされている。こういう結果が出ているわけでございます。
 先ほど、捕捉率については把握をされていないというお話でございましたけれども、従来から給与所得者とその他と非常に格差があるというお話をたびたび耳にするわけでございますが、それに対して今回特に財政難という意味からいろいろな法的な免税の引き下げあるいは租税特別措置の改定ということでやられておりますけれども、それよりもまずやらなければいけないというのは、先ほども申しましたように、不公平感をとるということがやはり第一にやらなければいけないことではないか、そういうように思うのでございます。全体の把握が非常にむずかしいということは、われわれ第一線の税務署の方からも聞きますし、また、いろいろな民間団体においてもそういうお話を聞いております。しかし、少しは上げていかなければならない、そういうように思うわけでございます。先日の質問の中にも、現在の国税庁の職員の増員を求めるお話がございましたけれども、しかし、現在の人数をふやしていかなければいけないのも一つでございますけれども、より的確に、あるいはある程度系統立って納税者の把握をしていく方法があるのではないか、そういうように思うわけでございまして、現在いろいろな方法でやられております税務監査あるいは税務調査、そういう内容も含めてぜひこれからより現状に合った、そして不公平感のない納税指導といいますか、そういうことをお願いをしておきたいと思います。
 これにつきましては、まだ捕捉率をつかんでないという、そういう結果が出てくると思ってなかったので、大体現在の大蔵省の中で、あるいは国税庁の中で要因として考えられておる内容、そしてそれに対抗してどういう方法でこれをやっているのかという点をお聞きをいたしたいと思います。
#107
○矢島政府委員 先生御質問の御趣旨は、よくクロヨンとかトーゴーサンとか言われているように、税務執行上不公平がないだろうかという御趣旨だと思います。
 謙虚に考えてみますと、巷間そういう声があるということについては、私どももちろん聞いておるわけでございますが、いずれにいたしましても、クロヨンという問題は、私どもとしましては単なる一種のごろ合わせ、感じというふうに考えておりまして、言われているほどのものではないというふうに考えておるわけでございますが、確かに、先生おっしゃるように一般的には給与所得者は給与、賞与につきましてその支払い者のもとで源泉徴収されるというだけに、正確に所得が把握されるという傾向があります。これに対しまして、事業所得者の場合は、あくまでも御本人の自主的な申告によって納税されるというのがたてまえでございます。したがいまして、事業の種類によって記帳習慣の普及度が相当違うということもございます。それから調査が非常にむずかしい。現金商売であるとか、あるいは非常にブラックマーケットであるとか、そういうような調査の難易度というものもまた違うと思います。それから、御承知のように、調査率が非常に下がってきているという問題もありまして、所得が正確に把握されていないという御批判はございますし、また現に必ずしも適正な申告をしておらないという方もおられるわけでございます。ただ、事業所得者のすべての方が低い申告をしておられるというわけではございません。特に記帳に基づいて一生懸命青色申告をやっていこうというような方が年年ふえております。営庶業所得者の青色申告の普及割合は五三%ということで、特前所得でいきますと三百万円以上の方の八四%までが記帳習慣をつけて、現にそういう青色申告制度が定着しようというような段階にあるわけでございます。
 先ほど来いろいろお話がございましたが、そういう中におきまして、現在私どもの税務行政の中心は、与えられた人員でいかにして効率的に行っていくかというような、しかも公正、厳正な税務行政を行うかということを最大のポイントとしてやっておるわけでございますが、基本的な問題としては、実調率が低下していく、しかも納税者はどんどんふえていく、職員数は一定である、経済、取引の範囲がどんどん広がって複雑になっていく、こういう中にありまして、どういうふうにこれから国税庁が対処していくかということが基本的に問題意識としてあるわけでございますが、基本的にはおっしゃるとおり私どもの能力をもっと伸ばしていくということも必要でございますが、執行上の問題といたしましては、やはりいろいろな措置によりまして、たとえば、ちょっとお時間を拝借して恐縮でございますが、資料、情報を非常に幅広い収集を行っていく、同時にそういうものの活用を図っていく、あるいは調査手法を研究いたしまして改善していく、あるいは各税務署間の連携を強化していくということによりまして、調査対象を的確に選定いたしまして、悪質、大口の脱税を行っているという者については調査の深度を深めていく、少なくとも正直者がばかをみないという方法をできるだけ努めていくということでございます。
 それから内部的に行きましても、電子計算機を取り入れていくとか、あるいは税務署間の人員の異動を行うとか、いろいろなそういうようなことによって調査事務量をできるだけ確保していくということも必要でございますが、もっと基本的には、やはり国民の方々の納税道義の向上ということが基本になければならないというふうに思います。こういう意味におきまして、執行面におきましても指導、広報といったようなことによりまして申告水準をさらに上げていくといったようなことに努めておるということと同時に、他方におきまして、いま申し上げたような調査体制の整備とか資料の収集といったようなことによりまして調査を展開していくということによって、課税が不公平にならないように与えられた人員の中でできるだけ努力していくということが今後の方向であろうというふうに思うわけでございます。
#108
○玉置委員 技術的な面での見直しというものもかなり必要かと思いますけれども、一つには、いまの納税者そのものの納税意識というか、そういう物の考え方が、非常に無理やり取られているという、そういうところから来ているのではないだろうか、そういうふうに思うわけでございます。しかし、現在の財政状態、そしてこれからやはり現在の生活レベルあるいは行政サービスというものを維持していくためには、考え方を大幅に変えていかなければならない。それは先ほどおっしゃったとおりでございます。
 しかし、現在、実際のところ納税義務があるにもかかわらず、見つからなければある程度済んでしまうということが実際あるわけでございまして、そういう場合、もし見つけられればということで脱税行為に対する罰則規定の強化でありますとか、あるいはやはり物の考え方を変えていかなければならないというところから、現在いろいろな納税者に対する記帳指導であるとか、そういうことはやられておりますけれども、それ以外に、考え方のPRあるいは税金がどういうふうに自分たちに返っていくのかという、そういうPRをもっとやらなければいけないのではないか、そういうふうに日ごろから感じております。ぜひ大蔵省当局、そして国税庁として、そういう面での税収のアップというものを考えていただきたい、そういうふうに感ずるのでございます。ぜひお願いをしておきたいと思います。
 それから所得税減税というお話に移るわけでございますが、たとえば五十二年、五十三年に特別減税という形で給与所得者に戻し減税をたしかされたと思います。ところが、実際給与所得者の給与そのものの税率が五十一年からいま変わってなかったと思いますけれども、いつからというのはちょっと確認しますけれども、五十二年ですか。――五十二年から変わっていないということでございます。ところが、賃金が大体平均七%から八%上昇を年々しておりまして、物価も五%前後あるいは場合によっては七%というふうにアップをしておりまして、たとえば物価、賃金ともに同じベースでアップをしてまいりますと、実質賃金というものが変わらない。一つの仮定でございますけれども。その中で年間所得が上へ、上へと移行してまいりますから、当然累進課税に引っかかってくるということで、そうなりますと、実質賃金の変わらない中から税額がふえてくるということで、税負担率がふえてくるという結果になるわけでございます。戻し減税の場合には税率を変えるわけではなくて、その分に相当する金額を返されたということになるのでございますので、現在、従来に比べて非常に税負担率がふえているのではないか、そういうふうに思うのでございます。税負担率がふえるということよりも、実質的な手取りが減っているのではないかという点に問題をしぼるのでございますけれども、過去四年間あるいは過去二年間、三年間でも結構でございますけれども、所得税収入の状況と、それから一人当たりの納税者所得、その辺についてお聞きをいたしたいということと、それからそれに相当する期間の物価上昇率、賃金上昇率についてお伺いをいたしたいと思います。
#109
○高橋(元)政府委員 五十二、三両年度は決算、五十四年度は補正後予算、五十五年度は当初予算ということで御理解をいただきたいと思いますが、所得税収から申し上げますと、五十二年源泉四兆九千七百九十六億円、五十三年はそれが一六・一%アップいたしまして五兆七千八百八億円、五十四年はさらに一七・一%アップいたしまして六兆七千六百八十億円、五十五年の当初予算では一五・八%のアップを見込んでおりまして七兆八千三百七十億円、これが源泉所得税であります。それで納税者一人当たりの給与収入でございますが、五十二年が二百七十五万円、五十三年が二百八十七万円、五十四年が三百六万円、五十五年は三百二十五万円というふうに見積もられております。この間の経済見通し、またはその実績によります一人当たりの雇用者所得の伸びを申し上げますと、五十二年は九・六、五十三年が五・七、五十四年が六・三、五十五年が七・三であります。
 それからCPIは、五十二年は六・七、五十三年が三・四、五十四年は四・七、五十五年が六・四であります。
 卸売物価も申し上げますと、五十二年が〇・四、五十三年がマイナス二・三、五十四年は実績見込み一二・一、五十五年は当初見通しで九・三であります。
#110
○玉置委員 これで見ますと、給与所得がたとえば五十二年二百七十五万から三百二十五万になったということでございますけれども、このところ所得控除額が固定をされております。そして総額がふえて、たしかこれは三百万で上下が変わってくるというふうに記憶をいたしておりますけれども、そういうことになりますと、五十四年、五十五年が平均で見ますと一ランク上がるわけですね。そういう結果が出ているわけでございます。
 私、申し上げたいのは、特別減税という形でやられた減税、その当時はそれでよかったのでございますけれども、現在の情勢からして、これから安定的な賃金上昇という形に入りますけれども、やはり個人消費が景気に与える影響もかなり大きなものがあるし、特に給与所得者が税に対する不公平感というものをいまだ持ち続けている中で税負担が実質ふえてきている、そういう実態、それに対する大蔵省の動き、先ほどもお話がございましたように、捕捉率そのものが十分とらえられていない、そしていますぐに手を打てる状態ではないというところからしますと、ぜひ所得減税というものをこれからも考えていただきたい、そういうように思うわけであります。まだ各党間での調整が十分なされておりませんけれども、物価調整減税というお話が出ておりまして、現在におきましては、ことしは間に合わないと思うので、物価調整減税というような形にならざるを得ないと思います。しかし、将来におきましては、現在の所得税、給与所得者の所得控除とかあるいは税率の改正とか、そういう面をぜひ変えていかなければ、ますます税負担が賃金の伸びによってふえてくるということでございますので、これについてやってほしいという希望を申し上げますけれども、大蔵省としてどういうふうに考えておるのか、その辺についてお伺いしたいと思います。
#111
○小泉(純)政府委員 所得減税の話ですけれども、五十二年でしたか福田内閣のときに戻し税が行われました。たしか、これは政府としてはできれば避けたかった減税でありました。しかしながら、国会の議席の状況、野党の要望等もありまして、やむを得ず減税をした経緯がございます。現在も財政再建期間、これだけ赤字財政を抱えて、何とかこの赤字財政から脱却しなければならないという時点でありますから、そういう要望があるのは承っておりますけれども、いまだ所得減税あるいは物価調整減税をする時期にないと判断しております。
#112
○玉置委員 それでは小泉政務次官に申し上げたいと思いますけれども、まあ自民党としてお聞きをいただきたいと思います。
 労働者に対する接近ということで、最近自民党の動きとして労働組合あるいは個々労働者に対して非常に接近をされているというお話を聞きます。給与所得者というのはほとんどが労働者である。ほとんどが労働組合を形成しておりまして――ほとんどということもないですけれども、しかし、そういう観点からいきますと、自民党のいまの動きと全く合わないと思うのですよ。
 そして、私が言いたいのは、実質手取りそのものが減少している状態にありますから、これから労働者の生活の質の向上をさせるという観点から考えても、一つは政治に対する非常な不満というものがいろいろな形であらわれてきますけれども、やはり直接感じるのは自分たちの生活がどのように変わっていくのかということが一番大きな関心事だと思うのです。そういう観点からいきまして、自民党としてさらにいろいろな労働組合あるいは各種の労働者に対して接近を図ろうとなさるならば、ぜひいまの考え方を改めていただいて、検討するという回答に変えていただかなければ困るのではないか、そういうふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。
#113
○小泉(純)政府委員 自民党としてという御質問でありますけれども、確かに自由民主党はどの人であれ、どの階層であれ、あらゆる団体あらゆる階層から、できるだけ多くの支持を得たいと思っております。ですから、たとえ労働組合であろうと野党を支持しておられようと、できるだけそういう方々からも理解を得るようにこれからも積極的に努力していかなければならない。そういう中にあって、給与所得者であろうが事業所得者であろうが、できるだけ、日本の経済の発展に努力されているわけでありますから、全体の立場から、いま物価も大事である、景気も大事である、所得の向上も大事である、そういう総合的な見方から、こういう国際情勢をよく勘案しながら、何とかして日本がこれから八〇年代以降生き延びていかなければならない、同時に繁栄を維持していかなければならない、そういう大きな立場から各界からの理解を得たいと努力しております。もちろん、その中にあって、給与所得者の支持というものも大事でありますから、給与所得者が持っておられる税の不公平感に対しても積極的に理解を得るような努力をしていきたいというのは当然であると思います。
#114
○玉置委員 われわれだけが国民政党かと思っていたら、やはりいろいろな方がおられまして……。まあそういう面で、実際国会議員である立場を考えますと、ある一部の利益代表という形ではだめだと思うのです。公平な目で見て、選挙区を重点に考えないで見た場合にどうなるかということも非常に重要な課題になってくると思います。
 そういう点から見ますと、ある時期集中して保護を受ける、そしてあるレベルに達すると、ある時期は今度低下をする、そういうパターンの繰り返しだと思うのですけれども、しかし四年間いままで置き去りにされた。五十二年、五十三年がございますけれども、率としては変わらないという点から考えて、やはり四年間置き去りにされているという現状が事実でございます。人事異動なりそういうものがほとんど三年周期でやられる時代でございますから、そういう面から見て、四年というものは長過ぎるという考え方にこれから変えていただけないか、そういうように思うのでございます。
 時間がございませんので、その程度にしておきますけれども、しかし、私自身というよりも皆さんが現在の状況についてはよく御存じだと思います。いろいろな中で生活をされて、そして身近な方にサラリーマン、給与所得者が非常に多いという現状から、やはり痛切に感じておる意見をお聞きになっておる、そういうように解釈をいたしまして、自分としてはやりたいけれどもいまはできない、そういう時期であるということだと思いますので、早い機会にぜひ改善をしていただけるようにお願いを申し上げて、次に移ります。
 給与所得者、そして個人事業者の基礎控除の問題でございますけれども、特に給与所得者につきましては、欧米との比較を見ますとそんなにおかしくはないというふうに思いましたので、時間がないので割愛をさせていただきたいと思います。
 続きまして、土地税制についてお伺いをいたしたいと思います。
 今回、長期譲渡所得についての部分が緩和をされました。目的は優良宅地の不足を解消したいということでございます。いろいろな心配があるわけでございますけれども、果たして税制の緩和だけで優良宅地が手に入るのかどうか、そしてその確率としてどのぐらい考えておられるのか、その辺をお聞きをいたしたいと思います。
#115
○高橋(元)政府委員 税制が、宅地の供給促進という意味での土地政策の中で、主人公ではないと思うのでございます。これは都市計画に関する各種の政策、再開発の政策、直接的な土地利用規制の政策、そういうものと相まって初めて実を結んでくるものであるということはたびたび申し上げておるとおりであります。
 しかしながら、三大都市圏、特に首都圏で地価が上がっておる、宅地の供給が不足しておる、これは因果関係をなしておると思います。そういう状況を解決していくためには、現在の土地の長期譲渡所得課税の中で二千万円まで比例となっておりますのでは、二十坪とか四十坪とか非常に小さい土地しか売られない傾向があるし、売り控えということも起こってしまうかもしれない、そういうことで、比例課税部分を四千万円に上げます。
 それから、五十万から二百万ぐらいと思いますが、通勤圏の中でかなりまとまった住宅が供給されるような宅地というものの分布を具体的な例に当たっていろいろ勘案をいたしてみますと、大体八千万円ぐらいのところで、それ以上は、こういう土地のキャピタルゲインでございますから、いまのような、先ほど来政務次官からも申し上げておりますような財政状況のもとで、大口の土地の譲渡について軽課をするというわけにはいかない。そういうことで、二千万円から八千万円の長期譲渡所得について税負担の軽減を図ることによって宅地の供給ということを促進をいたしたいということが一つ。
 それから、本年度から実施されております優良宅地の供給制度、これに二項目を追加をいたしますのと、既成市街地の中の立体高層化というのを進めるために、いわば立体買いかえというような制度を新しく認めるということでございます。これによって宅地の供給促進なり既成市街地の中の高度利用ということが進むと思います。
 それは、当然、私どもはそう確信しておりますが、しからば定量的にいかほどに出てくるかというお尋ねでありますれば、これは他の政策の動向いかんにもよることでございますし、いまここでどれくらいの土地が出てくるのかということを申し上げるだけの確信はないわけでございますが、いずれにしても、五十四年の優良住宅地の制度改正に基づきまして、東京都の中ではかなりの土地がそれに該当するものとして売られてきておるようでございます。ことしの確定申告なり、また夏に実施いたします土地譲渡の特別調査の結果なりを見てまた具体的な計数は申し上げたいと思いますが、いまの段階では、質的にその誘導効果は十分あるものというふうに確信いたしております。
#116
○玉置委員 土地税制についていままでもいろいろなお話が出ておりましたけれども、その中で、土地に対する付加価値と土地の投機買いというか、投機売り、そういう状態。要するに、現在では同じレベルで見られて課税をされている、そういうふうに感じるのでございます。
 これは非常に言い方がむずかしいのですけれども、たとえば、自分が持っている土地が、中に水道が通ったり、あるいは下水道がすぐ横にできたり、そういう環境の変化というものがございますけれども、それによって自然に付加価値として上がってきた。これは評価が上がるわけでございますけれども、それ以上に売るということは、今度は投機というか、要するにもうけになるわけでございます。逆から見れば、そういう土地を買って高く売るという場合を考えて投機というふうに申し上げているわけでございます。要するに、付加価値と投機が同一視されて、買った値段と売却値段の差が即所得というふうに見られておりますけれども、その辺について若干考え方を変えなければいけないのではないかと思うのでございます。付加価値として上がった場合に、地方自治体なりあるいは国に還元するという意味ではある程度の回収を必要としますけれども、さらに、投機についてはもっと厳重に取り上げるような形を持っていかなければ、昨年からまた再び大きく土地価格か上がっておりますけれども、そういうものが抑え切れないのではないか、そういうふうに思うのでございます。
 これは時間がないので、ごく簡単に、要するに、付加価値と投機と分けられないかというところに対する回答で結構でございますので、よろしくお願いします。
#117
○高橋(元)政府委員 現在の土地税制は、原則四分の三総合課税ということになっておりますが、これが適用になりますのは、四十三年の十二月三十一日以前から持っておる土地だけでございます。いま委員から御指摘のありましたようなケースは、最近、土地の値上がりが起こりそうなので、また起こっているので、それを買い込んで短期間保有して売り払う、そこで大きな転売利益を得よう、こういうことを指しておられるかと思いますが、そういうものは、四十四年一月一日以降取得した土地を売ります場合には一割増しの総合課税、ですから、四分の三ではございませんで、一一〇%総合課税、最低四〇%という課税をいたしておりますし、法人の場合にも、法人税の二割増しの土地重課という制度を設けておりますから、おっしゃるような意味での投機的な土地に対する税制上の措置は十分できておると思います。
 それから、社会開発の利益を得ているではないかという点の御指摘でございますれば、私どもは、通常の譲渡所得というものは現在の所得税法では二分の一総合課税ということになっておりますけれども、土地の分離長期譲渡という場合には、そういう公共事業等による開発利益に基因する面が大きいから、したがいまして、所得税法の本則の二分の一総合課税に戻るということは、他の資産に係る譲渡所得との権衡上問題があるという税制調査会の御見解を得ておりまして、先ほどもお答えしましたように、四分の三総合課税の大枠は今回の改正でも維持をしておるということでございます。
#118
○玉置委員 何か非常に土地税制に対する考え方がむずかしいといいますか、要するに、どうすれば値上がりが抑えられるか、そして宅地が供給できるか、非常にむずかしいところにあると思うので、私も非常に不勉強で、深く突っ込んでやれないものでございます。
 時間がなくなりましたので、項目として、ちょっと五分では無理かと思いますけれども、考え方、そして要するに認識という、その辺を確認をするということにいたしておきます。これは日本酒についてということでございます。
 最近、日本酒の需要が非常に停滞をしておりまして、その中でも、大手と中小というふうにかなり業界が分かれてきております。そして、特に日本酒の場合には、特級、一級、二級と非常に格差のある税率を設けられております。五十二年に二千九百七十といういわゆる清酒製造業者があったわけでございますけれども、五十四年度では二千七百に減ってきているという状態でございます。これはこちらの調べた内容でございまして、特に大蔵省にお聞きをいたしたいのは、まず現在の日本酒業界の状況についてどういうふうに把握をされて、どういうふうに受けとめておられるのかという点についてお伺いをいたします。
#119
○伊豫田政府委員 現在の清酒業界につきましてのわれわれの考え方と申しますか、どういうふうに見ているかという感じを申し上げさせていただきます。
 昭和四十八年度から昭和五十三年度の五カ年間におきまして清酒の課税移出数量を見てみますと、一一・八%減になっておりまして、年率にいたしまして一一・五%のダウンでございまして、需要の減少傾向はきわめて顕著なものがある、このように考えております。このため、清酒業界におきましては業界を挙げてその需要開発に現在努力をしておりまして、その結果、昭和五十四年四月から十二月の間の移出数量の対前年同期比を調べてみますと、一〇一・四%とわずかながら増加を示しているような状態でございます。
 また、清酒の需要停滞と銘柄格差の拡大によりまして、特に中小メーカーの経営が苦しくなっているもの、このように考えております。昭和五十二事業年度について見ますと、赤字企業は全体の約三割になっておりまして、一企業につきまして純利益五十万円未満のものも全体の約二三%ぐらいございまして、合わせて五〇%強がかなり苦しい状態に立たされているのではなかろうか、このように思っております。このような状態に加えまして、最近のコストアップが非常に大きいことから、本年一月末から値上げを実施する企業が相次いでおりまして、現在ではほとんどの企業が値上げに踏み切ったような状況にございます。
 以上でございます。
#120
○玉置委員 私も大体同じような内容について業界あるいは地元の業界以外の方からもお話を聞いてまいりました。たとえば五十四年度を見ますと、大手と言われるメーカーは約十二社であり、残りの二千六百八十幾つという数字がいわゆる中小になるわけでございまして、現在われわれが飲んでいるお酒そのものが一級、二級、特級とあるわけでございますけれども、一級酒が一番多いという販売実績になっております。しかし、一級、二級、特級ともに大体いまのところ大手と言われる業界が約半分近くを占めているわけでございまして、中小零細にとりましては、これから生きる道を考えていかなければいけないということと、やはり日本酒、日本の国でできたお酒という面から考えて、それぞれの持ち味を生かせるような、そういう体系をつくらなければいけないのではないか、そういうふうに思うのでございます。
 時間がないのでございまして、あと二分でございますから、きょうは一応考え方だけお聞きをしておきたいと思います。大手と中小ともに生きるような方法として何があるかということでお答えを願いたいと思います。
#121
○伊豫田政府委員 清酒製造業に限らず、一般に大手と中小が共存していく道と申しますものは、いずれの業界においてもなかなかむずかしい問題があるものと考えております。われわれといたしましては、大手と中小というよりも、中小酒造業者がどうやって今後生きていくかということにつきましていろいろ検討を重ねております。また、昭和五十二年四月から昭和五十六年度を目標といたしまして第三次近代化計画、こういうものに基づきまして構造改善計画等を策定いたしまして、側面からその指導を強化しているわけでございます。ただ、全体として申し上げられますことは、やはり自己の努力によりまして品質の向上に努力していただく、需要開発に努めていただく、あるいは経営の合理化に努力を続けていただくということしか、こういうじみちな努力を重ねる以外に方法はないのではないか、また、これが一番重要なことであろうかと考えております。
 なお、ただいま伝統的なというお話がございました。われわれも伝統的な地場産業であることを十分考えまして、そのような特性を生かして地域に密接に関連したそれを重視した経営を行っていただくことも一つの道ではないか、このように考えておる次第でございます。
#122
○玉置委員 時間が参りましたので、最後にお願いだけにしておきたいと思います。
 先ほど言われましたように、やはり地場産業として、あるいは日本の伝統的なお酒としてやはりこれから考えていかなければならないというのは事実だと思います。しかし、現状を見ますと、たとえば一つの機械を、あるいは一定量のお酒を、多人数でやるのとあるいは少人数でやるのと当然コストが変わってくるということで、ほかに生きる道を考えなければいけない。たとえば、地域地域の非常に特色のあるお酒、そういうものをつくっていく、あるいは人手でなければできない、あるいはお金をかけなくてもある程度技術でカバーできる、そういう分野に伸びざるを得ないというように思うのであります。そういう面から、現在の税制をあるいは合理化努力をしたその結果が報われるような形に変えていかなければいけないのではないか、そういうように思うのでございます。
 ちょっと時間がないので、今後また別途お時間をいただきまして、日本酒のことについてあるいはお酒全般についての見直しをお願いしてまいりたいと思います。
 本日は、これで終わりたいと思います。ありがとうございました。
#123
○増岡委員長 伊藤茂君。
#124
○伊藤(茂)委員 この法案の審議もずいぶん進んでまいりましたが、振り返ってみて、まず最初に、税制の基本的なあり方といいますか、税制を決める方のシステムについてお伺いしたいと思います。
 これは実務を担当する責任者である主税局長に実感を聞きたいわけでありますけれども、いままで御質問の中でもずいぶんありましたように、この一、二年一般消費税の論争があり、昨年総選挙があり、そして今日の時代に至っております。そして先日は正月早々、五十五年度の審議に入る前に日本経済新聞を読みましたら、五十六年度のフレームというのがあらわれてまいりまして、ずいぶん大変な勉強をしているんだなと思いましたが、そういう過程の中で何かタックスペイヤーとしての国民の意識が非常に高まっている。これは政府の政策がまずかったのか、高まったのか、どうなのか、それは別にして、私は近代国家としてある意味ではいいことであって、そういうものをどうあるべき民主的な姿に持っていくのか、これは大きな政治の責任でもあろうというふうに思うわけです。
 ところが、政府税調の答申、それから大臣のお話などを伺っておりましても、一般消費税についても十分国民の御理解を得ることができなかったので云々という言葉が繰り返されているわけであります。私は何か非常にじれったい気持ちがいたします。何か税金に対するいろんなアレルギーが起こる原因がある。そういうものの中で、いつも私申しておることですが、政府の方でも、徴兵みたいな姿勢で税を取るということではないだろうと思います、現憲法にのっとってですから。それから、国民の方でも、自分たちタックスペイヤーの支払う税によってどのように社会がつくられていくのかという意識も高まるようにしなければならない、要するに取る取られる論理ではない姿に持っていかなければならないというふうなことであろうと思います。
 本会議で質問をさせていただきましたら、大平総理が、そういう税制民主化という「御趣旨の線に沿いまして、一段と財政民主化を進めていく上におきまして、各層、各般の意見の吸い上げには特段の工夫を今後とも加えてまいるつもりでございます。」というふうなことを答弁されました。私は、一番そこで苦労される主税局長ですから、税調を中心にしたいまの仕組み、何かこう国民の理解が得られるように、それから国民と乖離をする、離れ過ぎるということのないような方向に努力をしなければならぬのではないだろうかというお気持ちは特段にお持ちなのではないかと思いますが、その辺の気持ちと、総理もそういうやや前向きの御答弁でございましたけれども、具体的にこういうことを税調にも提案をしているというようなことをお考えがあるのではないかと思いますが、いかがでしょう。
#125
○高橋(元)政府委員 税制調査会でございますが、ここでの御審議は、いまもお話のございましたように、各界各層の御意見の集約として国会でどのような御議論があったか、どういう御指摘があったかということを御報告するというのが非常に重要な翌年度の税制改正のいわば幕あけになります。そのときに必ずやらせていただいておるわけであります。
 その次に、たとえば一般消費税の審議をお願いしたときには、その都度私ども三百回以上各界の方と接触をいたしたわけでございますが、その都度出てまいった御意見というものを整理をいたしまして税制調査会に御報告をしております。それから、納税に関する各般の世論調査というものもございますが、こういうものも御審議の参考に供しておる。そういう形で税制調査会全体として国会での御論議、国会以外の世の中での御論議というものに常に接触していただけるように、私ども事務局として十分配意しておるつもりでございます。
 税制調査会のメンバーについてもう少しオープンにやったらという御意見がございますけれども、現在は婦人の方、労働団体の方、消費者団体の方、中小企業界の方、そういう方々に数多く入っていただいておるという意味では、政府のほかの審議会、私も幾つかの審議会に関係してまいりましたけれども、それに比べて税制調査会のメンバーという面でも、平均がとれたと申したら僣越ではございますが、かなり各界各層を代表した御意見が持ち寄っていただける、そういうことであろうと思います。民主的な人選になっておろうかと思います。
 ただ、そこでの審議が世の中にもっとオープンに出て税制調査会の御審議がどのように世の中に認められるかという点をもっとトレースしたらいいのではないかという御指摘もございます。私ども税制調査会の中の御意見というものは、こういう時世でございますから、こういう形で国民の方方に税負担の増加をお願いしなければならないという面にわたることがございますから、一々の方がどういうことをおっしゃったというのでは調査会の中の自由な御論議というものに阻害になることもあろうかと恐れますけれども、そういう考慮をのけますれば、税制調査会にどういうことを私どもが御説明をして、どういう御審議があったかということをできるだけ早くその日のうちに民間の新聞にお話をして、そこで税制調査会での御論議に対する世の中の御意見というものをまた間接的に承るということで、いろいろ工夫をしてまいってきておるつもりでございます。今後とも一層の努力をして改善を図りたいと思います。
#126
○伊藤(茂)委員 主税局長から伺いましたので、御出席の次官に気持ちを伺いたいのですが、一般消費税論争を通じて、政府・自民党に対しても争うですが、いまの税調その他の仕組みについて何かこう不信、不満というのが昨年秋強く出たという社会の状況だったろうと思うのです。
 私は、それと同じやり方、それと同じ仕組みで、さらに厳しくなる五十六年度の税制、さらに将来を論じても、やはり国民の信頼感が果たして生まれるだろうか、非常に疑問に思います。一般的には、高橋局長も、何か一層努力をしなければならないという気持ちは言われるわけであります。「ファイナンス」正月号の大臣の、これは大臣が書いたのかどうか知りませんけれども、文章を読んでおりましたら、まあそういう経過を振り返りながら「あくまで国民との対話をねばり強くくり返しながら、財政再建の緊要性について広く理解と協力を求める謙虚な態度」が大事であるというようなことを書かれております。大臣に直接ほめるのもなにですから、私は言葉は非常にいいことだと思うのですけれども、そういうことが総選挙以来ずっと議論されてきたわけですから、有能な次官を初め大蔵省の皆さん、もう後ほど伺いまする法人税の仕組みその他の問題、税調の審議も始まっているわけであります。私は、国民の皆さんに、いままでの姿勢ではない、もっと民主的に、もっとオープンに、そして皆さんの意見と参加を求めながらやっていくんだ、そういうことが鮮烈に印象づけられるようなアクションというものがないと、これから将来どういう政治状況になっても非常に望ましくない状態が続くのではないだろうか。たとえば、税調の中でもいろいろな代表の方々がいらっしゃるわけですから、内容の議題ではなくて、国民と距離があり過ぎるこういう状態についてどうしたらいいのかというようなことを、これは税調会長がやることでもあるとも思いますけれども、事務局を担当される大蔵省主税局のイニシアチブも大きいと思うわけであります。それから各界にそういうあり方について意見を聞き、そういうものをまとめてやってみようとか、いずれにしても姿勢を変えるということを国民の前に印象づけるようなアクションが必要ではないだろうか。具体論も幾つか、私、思うところがあるわけですけれども、いかがでしょう。
#127
○小泉(純)政府委員 確かに、昨年一般消費税を税調は答申されたわけですけれども、私は選挙に入って、選挙というのは民意を問うということを言われますけれども、これは本当だなということを日ごとに、投票日が近づくにつれて痛感いたしました。まさに国民の増税に対する嫌悪感、拒否感、自由民主党の私でさえもびっくりするくらいといいますか、前から思っていた以上に増税に対する反発感が強かった。これはもう私は、選挙に入ってどんどん毎日いろいろな支持者に会う、推薦を求めて各団体に会うという行為を重ねながらもひしひしと感じました。なるほど選挙というのは民意を問うというけれどもこれだなということを、ある面においては強く感じたわけです。
 自由民主党も当然その後、とても一般消費税などを導入できる状況じゃない、多くの国民は拒否しているということをはっきりと認識したからこそ、税調答申には出たけれども、本年度予算においてはできるだけ歳出をカットする、一般消費税導入によらないでどうやって財政再建を期していったらいいかということを現在でも真剣に努力している。そういう意味において、私は、いまの民主主義社会というのは前に比べて民意を吸収する努力というものが非常に強まってきているのではないか、ある面においては私はそんな悲観的な状況じゃないと思うのです。ですから、これからも国民の税に対する関心というものは強いということを自覚しながらあるべき税制に向かって努力していかなければいけない、そういうふうに思います。
 また、最近、私は役所よりも政党の力が非常に強くなってきたなということを思っております。特に自由民主党の税制調査会というのがいま大変な力を持っております。自由民主党も税制改正におきましても同時に野党の意見を聞かなければならない。政府、大蔵省のみならず、各政党の責任も役割りもますます強くなってきておる。その政党というのは国民の支持を得るために国民がどういう意識を持っているか、税に対するどのような感じを持っているか、それをつかむ政党がこれからも政権を担当することができるのではないか。そういう意味において、私は大蔵省のみならず政党の役割りというものも、また政治家の役割りというものもますます大きいということを感じております。
#128
○伊藤(茂)委員 自足党税調のPRは別にして、次官からは大変率直なお話もいただきましたが、次官のお話にもあったように、選挙のときに、あるいは今度の選挙を通じて非常に私ども政治家も強烈に印象づけられたというふうに思うわけでありますし、それから考えてみますと、そのときに考えさせられたことをどう反省として生かしていくのか、それを仕組みとして生かしていくのかということを考えなければならないと思います。
 いまお話しのように、確かにこれはお役所の方で考えろということだけではなくて、国民の代表としてやはり政治の部面でやらなければならない分野ではないだろうかというふうに思います。いずれにしても、税調だけではなくて大蔵省あるいは政府全体として国民との距離をどう縮めていくのかという具体的な行動をしなければならないということではないだろうか。たとえば、税制調査会も規則でいろいろと決められているわけですから、いまの仕組みは仕組みですけれども、規則ですからそうむずかしくなく変えられると思うのですが、そういう中で、主税局長がおっしゃったような構成とか専門委員とかどうとかという部面ということも一つはあると思います。枠を広げてもっと幅広く国民の各層の意見を代表できるようにということもあると思います。
 それから、主税局長お忙しくて大変でしょうけれども、次官その他も含めて一つのアクションとして地方公聴会などをとにかく全国に十カ所でも二十カ所でも持っていろいろと意見を率直に聞いて回る、しかもそれを率直に受けとめる姿勢で聞いて回るとか、これなんかも実務的には大変かもしれませんけれども、また税調会長もお年ですから大変かもしれませんけれども、やろうと思えばできないことではないんではないか。それから、審議会とかそういうものはどうしてもグローバルに物を考えるという専門的な仕組みになるわけでして、現実には、国民生活にしても、御婦人の方方にしても、それから中小零細企業の方にしても自分たちの環境の中で生きているということですから、どうしてもずれが起きます。そういうものを埋めていく手だて、私は何もいまの大蔵省の方針をPRをもっとよくしてやりなさいというのじゃなくして、国民とのつながりの中で広く意見を求め、またみずからの改革をしていくという方向でと言っているわけでありますけれども、そういう具体的なことぐらいはできるのではないだろうか。
 最近、城山三郎さんの書いた「男子の本懐」という本がずいぶん読まれているそうでありまして、私も読んでみましたが、井上準之助大蔵大臣、金解禁をめぐる当時の状況、いまから政策的に振り返ってどうかということは私はわかりませんけれども、しかし非常に感心しましたのは、国民に何か訴えるものを書く、非常に大事なことだから真夏にモーニングを着て机に向かって厳粛な気持ちで書いたそうですね。それから、非常に短い一週間足らずのうちに大臣が全国で二十六回演説して回って国民に訴えたとか、国民からも大変な反響があり、手紙が来る、電報が来る、当時は余り電話はなかったのでしょうけれども、そういうことか書いてありまして、政治家あるいはその衝にある者の姿勢というものはこういうものがあったのかということを思いました。
 そういうことで、いま二、三具体的なことを申し上げましたが、具体的に何らかの行動をとるべきではないか。後ほど大臣の決意も伺いたいと思うのですけれども、気持ちとして必要性は痛感されていることだろうと私は思うのですが、もうちょっと具体的にいかがですか。
#129
○高橋(元)政府委員 現在のような財政の状況を続けていって国民生活がよくなるはずがないと思うわけであります。そういう意味で財政の再建ということは、言葉が適当であるかどうかわかりませんが、大きなナショナルプロジェクトだろう、私はいつもそう思っております。そういう意味で国会での御論議のほかに、いま御提案がありましたように、これもそういう言葉を使わせていただけば、国民の参加意識といいますか、そういうものをどうやって確保していくかということが非常に重要なことはお示しのとおりだと思います。
 いま御提案のありましたようなことにつきまして、税制調査会も開会をする都度、三十人の委員でございますから御都合を合わせるのも大変だということもございましょうし、運営のやり方について会長にまたお諮りをしなければならないことですが、いま御提案のありましたような方向が可能かどうか、これからも運営に当たりまして事務局としてよく考えてまいりたいというふうに思います。
#130
○伊藤(茂)委員 続いて主税局長に理論的なことをひとつ伺いたいのですが、私は、税と国民、社会ということを考えますと、日本の社会は権利とか自由とか民主主義とかいうことについては、現憲法のもとで国民の中に相当広がった意識として民主的な意識が定着をしているということだと思うのです。しかし、私が指摘をしましたように、一番肝心な経済、特にタックスペイヤーとしての、あるいは国民主権者としての立場と社会ということについて、いままでの政治の仕組み全体にも責任があるのだろうと思うのですけれども、取る取られるの論理から脱却をしていないという状況があると思うのです。これを変えていって初めて近代国家になっていくということだろう。
 そういう中で税法学、そうたくさん読むわけじゃありませんけれども、二、三書物を読んでみますと、現在の日本国憲法というものをベースにして納税者の基本的権利というのか納税者権利というのか、国税不服裁判所とか、当委員会でのかつての論議を通じながら生み出した成果もいろいろあるわけですが、もう一つ、これからの時代に対応する、しかも民主主義をベースにしての国民の責任と義務といいますか、そういう議論も何人かの学者から出ているようです。私ども、運動面でも納税者の権利宣言というようなことをちょっといま研究しているところなんですが、国民の中にそういう方向が生まれてくるということは私は望ましい姿だと思うのです。
 私は、いまの税法というものは、ドイツの場合でもどこでもそうなんですが、いかにして税を納めてもらうかという、納めてもらう側の論理の体系になっている。私はもう一つ、たとえばアメリカでタックスペイヤーズ・シュート、納税者訴訟とかいう分野もあるわけですが、何か納得できる税制、納税竹としての権利と義務、さらにその使い道に至るまで主権者のあれが生かされていくような方向というものがあってもいいのじゃないか。税法学で一部の学者が言われている納税者の基本的な権利の論文などを幾つか読んでみたのですが、専門家の主税局長はそういうこともいろいろとお読みになるのじゃないかと思いますけれども、私は望ましい方向としてそういう考え方もある、また、そういう考え方が社会に定着してくれば、それに伴った制度あるいは法律というものを伴っていく、そういう社会に進んでいくべきではないだろうかという気持ちがいたしますが、理論的な問題としていかがでしょう。
#131
○高橋(元)政府委員 税制についての国民の御論議が非常に深まってきたということは、財政再建についての御認識が深まってきたということと軌を一にしておると思いまして、これが積極的な方向に向かって成果を結びますようにぜひいろいろな工夫をしてまいらなければいかぬと思うわけでございます。
 いまのお話の、納税ということが取られるという一方の考え方で認識されておるのでは十分な理解ができないということは、そのとおりだと私も思います。過日もここで申し上げたと思いますが、税金とその使われ方というものを一体として考えていただくと申しますか、むしろ社会を維持していく費用を自分たちがどう分担するのかという枠組みの中で考えていただくということが非常に重要だと思いますし、主計局長から聞きますと、日本の予算編成過程というものは外国に比べて非常に開かれた過程であるということも言われておりますし、国会での予算の御論議も非常に詳細かつ広範にわたって行われておりまして、税金の行方についての国民の御理解が非常に深いものとは思ってはおりますけれども、歳入と歳出をつなげて一体のものとして御理解いただくようにさらに工夫を加えていく必要はあろう、御指摘のとおりに思います。
 私、いま具体的にこういうことをやってまいりたいと申し上げるだけのまとまった考えを持っておりませんけれども、これまたいろいろの方面と御相談をいたしまして、そういう方向に一つでも二つでも前進できるように工夫を重ねてまいりたいと思います。
#132
○伊藤(茂)委員 これは具体的な問題でもありませんから、私どももあるべき税と社会、国民、そういうものについていろいろ勉強したり、研究したりしながら、公式、非公式に皆さん方とも議論していきたいというふうに思います。
 次に、法人税と消費税ということで一つずつ簡単にお伺いしたいのですが、先ほど同僚委員の質問の中で、いま税調ですでにスタートしている法人税の基本的仕組みその他法人税に関する議論がございました。私も前の税調でのいろいろな御議論などをざっともう一度振り返って読んで見たのですが、一般的に考えれば、学者の皆さんの中でも、それから常識論としても、概念的な意味での法人擬制説ではなくて、現実には法人実在という方向にいっているというのが多いのじゃないかと思います。また、先ほどの同僚議員への御答弁の中に主税局長も言われておりましたが、四十年代半ばこれについての議論がいろいろとあった。四十三年ですか七月の税調答申の中でも、経済、社会の実態に即応したわかりやすい税制の仕組みを確立する、そして法人税は株主の所得税の前払いとしてではなく、法人独自の負担力の指標と考える方向で検討することが適当である。言うならば、社会一般の公平感覚に照らして合意できる税制を目指さなければならないと考えられるわけであります。
 税調またはその小委員会で議論されていることなどを御説明や報道などで伺いますと、最近の諸外国の状況、インピュテーション方式あるいは支払い配当損金算入方式、カーター方式、その他いろいろなことを研究なさっているようです。ただ、基本的に四十年代の半ばの税調の審議の経過からいっても、いまそういう具体論でいった場合に、いわゆる二重課税調整その他いろいろな具体的な問題が出てまいります。手続として円滑であるか繁雑であるか、いろいろな問題も関連してまいります。しかし、そういうものの前提として四十年代半ばにも議論があったそういう方向を今日の時代にもっとはっきり進めていく。先ほどのどなたかの御質問にもありましたけれども、株主所有の現状、実態から見てもそれは言えるわけでありますから、そういう方向にいくべきではないだろうか。しかも、そういう方向を、またそういう問題意識をもっとはっきり委員会の議論を踏まえて大蔵省の方から税調にも提起すべきではないかと思います。この点、小委員会の作業も進んできているわけでありますが、どうお考えかということが一つ。
 それからもう一つは、租税特別措置について八五%までとか山を越したという御説明を伺っております。確かに、年々当委員会でも議論をし、また世論もあり、全体の御努力もあって改善の努力はされてきているということは事実だろうと思います。私は、山を越したかどうか、その辺は別にいたしまして、もし山を越したとして、そこでもうおしまい、結構ということはないのじゃないだろうか。先ほど広告税その他も含めいろいろな提起がありましたし、私どもの方も年々土地増価税その他いろんな法律も提案をしている。社会全体としてどう公平な感覚が生まれるのかという方向へのもう一歩進んだ積極的な努力を払っていく、山を越したとすれば、次の山に向かって努力をするという段階に来ているという認識を持つべきなのではないだろうか。それから具体的な問題として幾つか、一々申し上げませんが、私ども問題としてきたさまざまの企業税制についての問題意識も生まれてくるということだろうと思います。その辺どうお考えでしょう。
#133
○高橋(元)政府委員 企業課税の基本的な仕組みの問題でございますけれども、これも繰り返しで恐縮でございますが、企業の資金調達の形態なり個人投資家の金融資産選択なり税負担のバランスなり、さらには諸外国の動向との関連なりということの広い視野で検討しなければならないのだろうと思います。そういう形で企業課税の小委員会ではお取り上げになるものと私は思っております。
 いままでいろいろ申し上げてまいりましたけれども、昭和四十三年のいわゆる法人利潤税の御提案が税調からありましたその時期の外国の税制というのは、イギリスにいたしましてもドイツにいたしましても、いわば二重課税、つまり法人、個人の調整をしないという形の税制でございましたけれども、その後EC、具体的にはドイツ、イギリスあたりの税制の改正を見ますと、インピュテーション方式という方へ大きく移行をしておるというのがその後の大きな情勢の変化だと思います。
 企業全体としての活動が大きく国際的な関連の中で理解されなければならない、またその影響を考えていかなければならない、そういうふうな国際化が非常に進んでまいった今日でございますから、擬制説とか実在説とか、完全な意味での擬制説税制とか実在説税制というのがあるわけでもないわけでございますから、そこは、いまのお話のことも含めまして、税制調査会でこれから広く経済的な視野も含めて御検討をいただくべきことだと思います。
 次に、租税特別措置でございますけれども、企業関係の租税特別措置についてこの五年間に八五%、縮減、廃止、合理化ということをやってまいりました。もちろん、これで終わったということを私どもは申し上げておるのではなくて、おおむね一段落をしただろうという税制調査会の御意見を私どもなりに非常にありがたく伺っておるわけでありますが、政策税制でございますから、もちろん時々刻々の必要に応じて設けられ、時々刻々の必要に応じて廃止されていくべきものだと思います。そういう意味で、情勢の変化に即応した政策税制の検討というものは今後とも繰り返し続けなければならないと考えております。
#134
○伊藤(茂)委員 主税局長お答えになりましたが、いままで税調の答申でも、皆さんの御説明でも、政策税制という枠内で物事をお考えになる。私どもの方は、もっと広い意味での社会的公平という立場から問題を議論する、そういうことが繰り返されているわけであります。私が申し上げましたのは、税調の答申、皆さんの御答弁を聞きますと、ほぼ山を越しましたとか越しつつありますというふうな情勢認識のように伺います。そうしますと、狭い意味での政策税制、租税特別措置という考えからいけば、これで済みました、あとはそれでは国民に広く税収を求めるような措置を何かとりましょうかという話にいくわけでありまして、話がそこまでまた食い違ってしまう。そこで、何か一段落済みましたということで、おかげさまで結構でございましたということではない。いわばもっと幅広い視野からの社会的公正感が得られるような努力、さらに調整をしていく、それがその前にお願いしました企業税、法人税についての基本的な認識の問題、私は理論闘争で擬制説か実在説かということを時間をとってやろうとは思いませんけれども、社会的実態の認識というものは現実に形成されてきているのだろうと私は思うのです。その認識をあるいは本質的規定をどうするのかということが前提となって重課か軽課か、あるいは仕組みの問題、技術的な諸問題が出てくるというふうなことだと思うわけでありまして、そういう観点から伺ったわけであります。
 次に移りますが、もう一つ、消費税あるいは間接税の問題ですが、しばらく前の議論の中で直間比率についての質問が二、三あったように思います。その答弁を伺いますと、日本の直間比率はヨーロッパの場合とも違いますし、アメリカとも相当大きな比率の開きがあります。何か伺いますと、間接税の比率をもっと高めるという方向にいろいろと誘導的な御答弁のような気がするわけであります。
 私は、直間比率とか、そういう問題は日本なら日本の土壌に合って形成されてきたわけですから、そもそも概念としてどちらが高い方がいい、悪いというものではないだろう。あるいは純理論的に税制から考えれば、所得税の方が税の公平感、痛税感というのか、税金を納めた感覚を厳しく持つという意味も含めて、納税者の方からは税の使い道についてどうかという感覚も強まってくる。これがむしろ一番公平な税制ではないだろうかという御意見もあります。何か直間比率について前とは違ったニュアンスのある答弁をされているなあという感じもしているわけでありますが、いかがでしょうか。
#135
○高橋(元)政府委員 ECでかなり一般的な消費税の導入が進みましたので、いま日本の税制の中の直間の比率というものはアメリカに次いで世界で第二位ということになっておるのは事実でございます。税制として直接税、間接税をどういうふうに組み合わせていくのがベストかということになりますと、いまもお話のございましたように、それぞれの国の歴史、社会の沿革に基づくもので、一概にどっちがいいというわけにはまいらないと思います。しかしながら、所得税というものが、個人の所得を総合して累進課税をする、そういう意味で理論的にも最もすぐれた税制であるということは疑いないと思うわけでありますが、所得税にどれくらいのウエートを求めるか、それ以外の税制とどういうふうに組み合わせて税体系をつくるかということになりますと、これはそれぞれの国の財政もございましょうし、社会というものもございましょう、民生ということもございましょう。そういうものの全体を観察をして、現在の状況からどちらへいくか、総合的に御検討をいただかなければいけないことだと思います。
 ただ、申し上げられますのは、ことしの税制改正はかなり多額の自然増収のもとで初めてできたわけでございますから、今後こういう経済ないし財政の状況が続くということを継続的に期待することはできないのだろうと思っております。そうなりますと、比較的安定した成長と申しますか、低い成長の中で、歳出の中の福祉なり教育というものはある程度固定的に伸びていくのでございましょうから、そういうものの財源を安定的に賄っていくことができて、かつ各税制の組み合わせからできている税体系としての負担の各階層へのやり方と配分の方法が一番いい税制というものを模索していくしかないのだろうと思います。やはり安定した歳入を上げ、特例公債から脱却するために、十分な税収というものを歳出との関連で考えていく、いま申し上げました歳入構造の健全化ということを具体的に模索していくということがこれから財政再建を図っていきます上での税制面の一番根幹になる考えであろうというふうに思っております。
#136
○伊藤(茂)委員 さっきの法人税に関連をして、四十年代初めごろからの税調の答申をずっと読み返してみたのですが、そのついでに気がついたのですけれども、この消費税の問題でも当初は福祉の充実その他社会的要請、そうして歳出も増大をするということから必要であるという論拠だったと思いますが、この二、三年、すべてその必要性は財政赤字の方に移行したという変化があるわけでありまして、これも国民が納得しにくい問題があるのだろうという気がいたします。
 それからいまの話題の延長で、ずっと前に大臣が消費税ということについても、一般消費税(仮称)についてはできないけれども消費一般について着目するということは断念するものではないということを繰り返されておりました。そしてまた、消費一般に着目するということも、あるいは一般消費税的な形もたくさんある中での一つ、ワン・オブ・ゼムという表現をされました。何かゼムというからには、これは概念として何十か何百かということを指すわけでありますから、一体どれだけそういう形態があるのだろうかと思ってちょっとひっくり返して考えてみたのですが、そうたくさん、ゼムという印象ほど思いつきません。税調の中でもいままで議論のあった内容というのは、御承知のとおりに現実にある物品税、そのほか議論としては一般消費税を決めるまでにあった大規模取引税、大規模売上税あるいは製造者消費税、EC型付加価値税、名前として挙がったのはこれくらいですね。そのほか諸外岡の税制に山ほど具体例があるのかどうかまでは調べておりませんけれども、いずれにしても選択の柵というのは、何十も何百もあって、その中でだれしもこれならというふうな名案が出るわけではなくて、現実にはいままで話題となって検討もされてきたことにしぼられるんじゃないのだろうか。結局こういうものの五つか六つある中のどれを選ぶか。さらに極端に言うならば、消費の段階で課税をするのか歳出しの段階で税金をいただくのかというくらいの違いになるんじゃないだろうかという気がしますが、そのワン・オブ・ゼムのゼムの方ですね、専門家の局長、いかがです。
#137
○高橋(元)政府委員 通常エクサイズと言っておりますが、個別消費税、物品、サービスを固定いたしましてそれにかけていく消費税というものが、製造、卸、小売各段階についてあるわけでございますが、いまのお尋ねはそういうもの以外の消費課税、つまり普通名詞としての一般消費税としてどんなものがあるかということでございましょうから、それに即して現実に立法されているものを申し上げますと、まず課税段階をどこにとるかという差がございます。製造段階でかけているもの、これはカナダで言う製造者売上税というものがございます。一般物品税というふうに考えていただいてよろしいかと思います。それから一般卸売段階課税というのがございます。前のイギリスの仕入れ税というものはこれに近い形を持っているかと思います。それから一般的な小売課税というのがあると思います。アメリカの各州でやっておりますセールスタックスと言っているものがこれでございます。それが段階でございます。
 それからもう一つは、各段階でかけていく。製造、卸、小売各段階を通じてかけていくという多段階課税の中では、重複して何回もかけるという累積方式と累積排除をする方式と二つあろうと思います。かつて昭和二十三年に一時導入をいたしましたわが国の旧取引高税、それからECでかなり広くやりましたターンオーバータックスという系統のものは何遍もかかってくる累積型の消費税であります。それから非累積のものとしては、EC初め二十三カ国で現にやっておりますいわゆる付加価値税であります。これはインボイス方式。それに対していわゆる一般消費税(仮称)はインボイス方式をとりませんで簡易税額控除方式と申しますか、アカウント方式と言っておるのですが、そういうものでやっていこうという提案でございました。この辺が各国で現実の立法例としてあります一般消費税の各態様でございますが、こういうものを採用している国は現在八十四カ国あるというふうに承知しております。
#138
○伊藤(茂)委員 要するにワン・オブ・ゼムのゼムというのは非常に多数、何十何百あるわけではなくて、現実に皆さん方が可能と思う、また現実性にたえ得る幾つかの中から、一つになるのか二つになるのか知りませんが、お考えになって、そして消費一般に着目するということは依然として大事である。消費一般に着目する税制というものを断念するものではない。というのは、その幾つかの中のワンかツーか選ばれるということになるわけですね、論理的に。
#139
○高橋(元)政府委員 本会議なり各委員会で大臣がたびたび申し上げておりますいわゆる一般消費税というものを欠いて、日本の税体系からそれを全く外してしまうことは考えられない。と申し上げておりますのは、所得課税と資産課税、それから個別消費税だけで完全な税体系になるということではないという考え方を申し上げておるのだと思います。もちろん、各界各層の御意見を伺い、歳出、歳入両方についての長期の見通しを立てて、その上でのことでございますけれども、頭からそういうゼネラル・セールス・タックスというものを外して税体系を構成することができるかどうか、それをやるべきだということにはならないのではないかということが大臣の考えだろうと思います。
#140
○伊藤(茂)委員 時間がありませんから、論争は別にいたしまして、土地税制の問題でお伺いいたします。
 先ほど来、この二年続き譲渡税の緩和はどういう効果があるのかという質疑がございました。まあ、よくわかりませんという、また具体的にこれだけ成果があったということはなかなか言えませんというお話であります。昨年の秋も一昨年の秋も建設省、国土庁チームと大蔵省チームの世論調査の論争があって、どうこうということも前に議論されましたし、私もこの点については大蔵省の応援団なんですけれども、二連敗みたいなことなんじゃないかと思うわけでありまして、要するに、効果というものは測定できない、はっきりしない。しかし、さらに提案しましょうということですね。責任を持った議論が大変しにくいという感じがいたします。
 それから、この土地問題ほど税制問題は文字どおりワン・オブ・ゼムでありまして、総合的な対策がなければこれはいかんともしがたいということであろうと思います。
 ただ、これは建設省なり国土庁の方から特に強く言われてきたということで、国土庁の方に、済みませんがお答えを願いたいのですけれども、昨年の譲渡税緩和のときの当委員会の附帯決議でも「土地税制の改正に伴い、地価騰貴の抑制、宅地供給の促進等について、諸施策の公正、かつ、機動的な運営に遺憾なきを期すること。」ということが付せられております。この一年間どういう遺憾のないことをおやりになったのか、ちょっと説明してください。
#141
○渡辺説明員 最近の地価動向は、先生も御存じのとおり三大都市圏の住宅地を中心に強含みである、そういう背景といいますか認識に立ちまして、国土庁といたしましてもいわゆる投機的な土地取引というものを極力抑制するという立場から、国土利用計画法の的確な運用でありますとか、それから税制につきましても短期重課等の堅持というようなことがあります。それから、一方、いわゆる地価動向強含みの主因が宅地供給のギャップである、特に三大都市圏を中心とする宅地供給のギャップであるという認識のもとに、宅地供給の促進のため、これは国土庁のみでございませんで、関係各省と協力して行っていくものでありますけれども、国土庁としましては特に大都市地域におきますいわゆる土地利用の転換の促進、そういったこと、あるいは今回お願いしております宅地供給促進の観点からの土地税制の改善、こういったいろいろな施策を総合的に講じていく必要があるし、またそういうふうにやってきたつもりでございます。
#142
○伊藤(茂)委員 漠然としておりますから具体的にちょっとお伺いしますが、先ほど言われましたが、三大都市圏、特に東京圏の問題が深刻なわけでありまして、私も田園都市線沿線に住んでおりますけれども、名前だけは総理の言われる田園都市構想と同じなんですが、実態は何か非常に恐ろしいような気がします。数年前に駅から歩いて通える宅地坪四十万円くらい、いま七十万円くらい、あと何年かしたら坪百万くらいになるだろうと、不動産屋とか宅建業者の方々皆そう言います。そうすると、五十坪の土地を求めたら五千万円、一億円の建て売り住宅が出る時代ですから、そういう状態ですけれども、一体これはどういう人が住んでどういう町になるのかそら恐ろしいような気持ちがいたします。昨年ですか、読売新聞か何か長期連載で「土地は泣いている」という連載がありましたが、土地だけではなくて、そこに家を建てる人も、過大な住宅ローンを払っている方もみんな泣いているという状態がさらにひどくなる。何かしなければならない。
 二つだけちょっと具体的に伺いたいのですが、一つは、国土利用計画法で言う土地取引規制区域の指定ですね。何か計画では年に二十何カ所くらいをやるぞというくらいの構えをとっておられるということのようであります。いままでこれを発動した具体的なケースは一件もないと新聞報道ではそう聞いております。何か内閣総理大臣の解散権よりもまだ大変な、まだ抜いたことのない刀みたいな形になっているようでありますけれども、余り抜かなければさびてしまうわけですから、やはりいまの状況、特に東京圏などを考えたら、びしびしと何かやるべきじゃないか、大変なことになってしまうという気がいたします。それが一つ。
 もう一つは、さっきも話題となりましたが、開発利益の公的還元の問題です。いずれにしても、土地は持っていればもうかる財産であるという観念をなくするようにしなければ土地の病理というものは解決をしないということであろうと思います。何か本を読んでみますと、ヨーロッパの場合でも一九七〇年代にいろいろな改革の努力が進められたようでありまして、そう詳しく細部のものを研究したわけでありませんけれども、イギリスの場合に一九七五年土地公有化法案、フランスの場合七六年土地政策改革法あるいは西ドイツの場合でも七六年連邦建設法の全面改正、イギリスの場合と近いような形。イギリスの場合でも、これは保守党政権と労働党政権と交代する場合に大分政策のチェンジも出てきているようでありますけれども、基本的には、ジョン・スチュアート・ミル以来の不労所得には厳しい課税をすべきであるという哲学が生きているということだと思います。開発権は地方公共団体のみが取得をして、一たん地方公共団体が開発用地を取得し開発をして、それを民間に再譲渡する、その間に非常に高い、八五%くらいとも聞きますけれども、開発利益というものを吸い上げていく、それがまた公的な開発に使われていくなど聞くわけであります。それと比べますと、国土庁にしても建設省にしても、日本の場合には非常に事態は深刻なのにほとんど進展していないという状況だと思うわけでありまして、いろいろな対策が総合的にとられなければなりませんけれども、たとえばその二ついかがですか。
#143
○渡辺説明員 まず最初の国土利用計画法の規制区域の指定の問題でございますけれども、国土利用計画法十二条の指定は、土地の投機的取引が相当広範にわたって集中して行われるということと、同時に地価が急激に高騰する事態という二つの要件といいますか、あるわけでございます。最近の地価の状況につきましては、先ほども申し上げたとおりでございますけれども、その主因がいわゆる宅地の需給ギャップであるということで、規制区域制度の発動要件であります投機的な土地取引というものが行われている徴候は見当たらないというわけであります。投機的土地取引の抑制につきましては、現在、国土利用計画法のもう一つの柱でございます届け出制によります土地取引の規制、あるいは、先ほども出ておりますが、税制でありますとか、それから融資の抑制等の対策が講じられているわけでございまして、当面この国土法による規制区域の指定の必要性はないというふうに考えております。
 ただ、土地の投機的取引というものが、結果として地価が高騰するということになりますと、国民に及ぼす弊害が非常に大きいわけでございますから、規制制度の趣旨にかんがみまして、地価の動向あるいは土地取引の動向、こういったものに対する監視をさらに一層強化するという形で対応してまいりたいというふうに考えております。
 もう一点の開発利益の公的還元の問題でございますけれども、イギリスあるいは西ドイツ、余り詳しくないので比較のしようもございませんけれども、私といたしましては、わが国の場合の土地の開発利益というものにつきましては、固定資産税あるいは都市計画税、あるいは長期、短期の土地譲渡所得税、こういった各種の税制によって相当程度吸収されているのではないかというふうに考えているところでございます。
#144
○伊藤(茂)委員 相当程度吸収というお話がございましたが、さっきもちょっと例に申し上げました幾つかの国の場合と比べると、非常になまぬるい状況になっている。むしろ、お答えになった御本人もそれは痛感されているのではないだろうかという気がするわけであります。地価の問題その他、先ほど大臣のお話によりますと、夕方物価対策の閣僚会議が開かれて総合物価対策が発表される。新聞の報道では、その中に地価に対する監視などの問題も含まれるやに伺っておりますし、入っていなければそれだけのことでありますけれども、また別に後ほど大臣に御質問する機会にさしていただきたいと思いますが、もう一つだけ伺いたいのは、さっき言った非常に困った見通しか、非常に厳しいか恐ろしいような見通しにある私が住んでいる田園都市線というところの沿線にしても、どういうふうに土地が上がっていくのかということを聞きますと、マクロでは需給ということを言われます。不動産協会その他皆さん方からいろいろな資料が出されております。それなりに数字の妥当性もあることだろうと思いますが、現実には、たとえば坪五十万円の土地だというふうに皆思っているところがあるとすると、資金力のあるどこかの会社かデベロッパーが来て、それを六十万で買う。直ちにその六十万がその地域のアベレージになってしまう。さらにまた十万円高いお金を出して資金力のある人が買う。それがまたアベレージになる。そういうメカニズムで地価が上がっていく。これはミクロで見た場合の形ですね。それと、これはちょっと心配なのは、いま、大手不動産でも一時手持ちの土地を抱えておってどうにもならぬという大変困った状況というふうに言われておりましたが、この二、三年来から、整理は済んだので新たな仕入れ時期に入るということで、私の近くでいきますと東急のエリアですから、話に聞きますと、昨年に比べてことしは仕入れの資金手当ても三倍ぐらいふやして将来に備えていこうという話も聞きますし、いろいろなこともそういう整理から新たな仕入れという段階になっている。恐らくそれに伴って不動産金融もふえていくということになるんじゃないか。私は、狂乱インフレのときのようないわゆる投機、それから過剰流動性という形とは違っていると思いますが、現象面ではあれほどじゃないという意味ではなくて、将来を考えると、非常に深刻な状態が進んでいくというふうなことではないだろうか。最近のこの不動産金融の問題、それからそういうメカニズムで進んでいくという問題について、どういうお考えを持っておられるか。
 それから土地税制は、文字どおりこれこそワン・オブ・ゼムですから、これからできれば三カ月か半年ぐらいのうちに総合的な対策を立てていく、関係省庁ぜひやらなければならないということではないかと思いますが、事務レベルでもそういう検討をされているのかどうか、最後にお答えください。
#145
○渡辺説明員 最初に御指摘のありましたいわゆる企業、不動産業ということでございますけれども、が土地を買っていく、そういったものと地価との関係というものは当然あるわけでございますけれども、これにつきましては、当然、たとえば市街化区域あるいは調整区域それぞれ面積が異なりますけれども、国土利用計画法によりまして、利用目的及び価格の指導というのが的確に行われておるというふうに考えておりますし、われわれも今後そういった形の国土利用計画法の適用というものをさらに的確にやっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
 それから、ここ三カ月ぐらいで何か検討すべきではないかというお話でございまして、私がお答えするのは適当かどうかと思いますけれども、国土庁におきましては、関係各省と、先ほど申しましたように、非常に土地政策自体がかかわり合いが深いということで、常に密接に連絡をとりながら、宅地の供給でありますとか、いわゆる投機的な土地取引の抑制でありますとか、そういったことに対応する対策を講じてきておるわけでございます。
 それから地方公共団体との間につきましては、国土利用計画法の運用という観点から、すでに検討会を設けておりまして、これは事務担当者レベルでございますけれども、頻繁に議論を重ねているということでございまして、したがいまして、現在のところ、御意見のような何か特別なものをというようなことにつきましては、特段必要ないのではないかというふうに考えております。
#146
○伊藤(茂)委員 時間ですからこれで終わります。いまの話題は後ほどまた夕方大臣にお伺いさせていただきたいと思います。
#147
○増岡委員長 沢田広君。
#148
○沢田委員 いま国土庁が来ておられましたから、ついでにちょっとお聞かせいただきたいと思うのです。これは予告してないから戸惑う場合もあるかもわかりませんが、それはお許しをいただきたい。
 国土庁が今度の税法の改正に伴いまして対応するべきことということは、言うならば、地方都道府県が優良な宅地造成なりあるいは公共用地なりを指定をした場合に、優先的に買っていく財源、この財源の補てんを早く確立しなければならない。国土利用計画法は計画ばかり立てているだけであって、その裏づけがない。あなたの省には予算がない。だから、大蔵委員会で、相手はお金持ちのところで、あなたがどういう意見を持っているか、都道府県が国土利用計画法を適用していく場合に、それを実効的に生かしていく道は、それの財源をどうするかということにあるわけですから、その点についてはどう対処しようとされているのか、その点ひとつお答えをいただきたいと思います。
#149
○渡辺説明員 国土利用計画法の施行費につきましては、毎年予算で補助経費を計上しておるところでございます。基本計画の策定経費でありますとか、あるいは土地取引の規制の実施関係費でありますとか、前年度は約二十三億でございまして、五十五年度の予算におきましては四%の増額をお願いしているところでございます。
#150
○沢田委員 そういうことを聞いているわけじゃないんです。いわゆる調整区域であろうと、特に私の方の埼玉なんというのは、もう大手が調整区域を大変、四百ヘクタールぐらいですか、ほとんど買ってそのまま保有してあります。しかし、それを公共用地に利用するにしても何にしてもやはり金がなければできない。だから、国土利用計画法で今度はどういうふうな位置を割りつけをいたしましても、特に首都圏なんかの範囲内においては公共用地はどうしても先買いをしなければならぬ条件にある。そういう状況の中で国土利用計画をつくっていく場合はやはりそれを買っていける力を知事が持たないと、せっかく運用していってもそれはペンペン草が生えていくだけのことにしかすぎない。そういう事態に対応してどうするかといえば、言うならば、その国土利用計画法に基づく都道府県知事の買い取り権というものの財源をきちんと確保してやらなければ、この国土利用計画法は生きた法律にはならないということを言っているわけだから、もう答弁は要らないです。そういうことで、あなたの方では二十三億程度の金じゃ話にならぬので、それはやはり買い取り権というものを優先して知事ができるような措置を講じてやらないと生きた行政にはなりません。こういうことを申し上げて、きょうあなたは番外ですから御要望だけして、次に行きたいと思います。
 続いて、きょう出ている「ファイナンス」に大変いろいろな御意見が出されております。これいまいただいたばかりでありますが、これは念のために、速記録上の必要でちょっと言っておくだけのことなんですが、各新聞社の方、主計局調査課長、理財局資金第一課長、主計局主計官、主税局調査課長、氏名は省略します、そういう方々が出ておられるのであります。それぞれ名前は出ておりません。名前は出ておりませんが、新聞記者の方が言われていることはまことに時宜に適した言葉がたくさん出てきておる。「誰かが」、まあ小倉税調会長が言ったんでしょうが、「あれで一段落みたいなことを言われましたが、具体的に何であるかわからないけれども、どうもまだあるのじゃないか。」まさにそのとおりなんでありまして、それについてはどう考えておられるのかということが一つ。これは前の同僚議員が聞かれたようでありますから、特に返事は要りません。それから「結局、取りやすいところから、ちょこちょこっとつまみ食いをして、つじつまを合わせたのじゃないか、」こういう御批判があります。まさにこれも名言だと思っているわけであります。それからもう一つは、「経済界が反対したから法人税がつぶれたんじゃなくて、もともと大蔵省はやる気がなかったんだと思っているんです。」これは大蔵省の名誉にかけて答弁しなければならぬ事項だと思うのでありますが、この事実はどうなのかということを聞いておきたいと思います。それから、その次に「不公平税制の是正による財源調達が先で法人税率の引上げが後であったことは事実です。」これは答弁ですね、こうまとめた。これは、だから大蔵省が答えておるんだろうと思うのであります。「優先順位あとの法人税の引上げをやらなくても、」後云々と書いてあって、「大臣から来年は上げますよと言っているわけです。」こう書いてありますから、来年は上げるということは、この文章に間違いがなければ、これは上げるというふうに解釈をしていいのかどうか、その点お伺いをいたしたいと思います。
#151
○高橋(元)政府委員 租税特別措置は一段落した、まだ残っておるものがあるではないかという、その最初の話でございますが、これは繰り返し申し上げておりますように、政策税制としての租税特別措置というものは時々刻々の情勢の変化によって絶えず見直しを行うべきである。そういう意味で、私どもは今後とも、一段落したからといって、これに安んじておるつもりはない、情勢に応じて検討してまいりたいと思うわけでございます。
 それから法人税率の問題でございますが、これはあるいは大臣から直接お答えした方が適当かと思いますけれども、私ども、実は五十五年度の予算の編成に当たりまして、歳出を極力切り詰め、その場合にどういう予算の形になるかということをフレームのAとBという形で十一月の三十日にお示しをいたしました。そのフレームのAとBで、Aは現行の税制で五十五年度に想定し得る自然増収の中に歳出を入れたとしたらどれだけ無理がくるかということであります。フレームのBの方は、当然増だけはともかくも予算の枠をふくらますという前提であります。フレームのAとBの間で、歳入が八千四百億円の差がございました。つまり、当然増を賄うだけの歳出を予算の増額の中に求めようとしますと、歳入が八千四百億円足りなくなるということでありました。
 その八千四百億円をどうするかということでございますけれども、これは歳出の削減、切り詰めをもって五十五年度の財政再建の第一歩を踏み出すための非常に重要な原則とするという考え方が税制調査会の中にもございまして、私どももそう思っております。そこで、八千四百億円全体を税制改正による増加に求めることはないにしても、極力歳出を切り詰めてやっていくにしても、あるいは増収策を新しく検討していただくことが必要かもしれない、そういう考え方でございまして、若干くどくなって恐縮でございますが、その際に、五十二年の中期答申以来、税制面の公平ということをできるだけ確保するための措置というものがまず優先すべきだと、そこに述べられているとおりであります。そういう考え方を持っておりまして、その系列でまいりますと、若干いわゆる不公平税制というものの範囲が広がってしまうわけですが、一つは給与所得控除の高額の場合の率の削減ということがございましたし、法人の分野で申しますと、退職給与引当金の引当率を経済情勢の変化に応じまして切り詰めるということもございました。それから、企業関係の租税特別措置を中心に徹底的な見直しをやるということもございました。これは、いわば継続的なプロジェクトとしてぜひやっていくという考え方でございました。
 そうなりますと、残りはやはり法人税率を引き上げる、それから印紙税の引き上げを行う、その他の試案が幾つかございまして、それを検討してきたわけでございますけれども、歳出の削減をもって第一義とするという五十五年度の予算編成の中で、五十五年度の自然増収四兆五千九百八十億円というものを見通しますと、この際、法人税の引き上げなしに必要最小限度の増収措置ということが税調の答申の中にございますけれども、やらないでもそれは五十五年度の予算としては一兆円の国債減額を計上して必要最小限の歳出を計上することが可能であるという答えになったので、五十五年度は法人税の引き上げはやらないということになったわけであります。
 五十六年度以降どうするかということは、これはもうたびたび申し上げておりますように、本年末の経済情勢によることでございますけれども、今後の税制改正に当たって法人税の率についての検討を避けて通ることはできないであろうというふうに思います。
#152
○沢田委員 仮に法人税をことし上げて赤字国債をそれだけ減らすという発想はなかったわけですか。来年に一兆円削れればいいや、もう後は削る必要はない――これだけ財政再建という議論が論ぜられているときに、その一兆円は削ることを努力した、じゃ法人税も引き上げてさらに赤字国債を減らすということを今年・度から実施するということはなぜ考えつかなかったのですか。それとも、考えていてもやろうとしなかったのですか。どちらなんです。
#153
○小泉(純)政府委員 確かに、もっと国債を減らせよという意見もあることはあったと思います。あるいは自然増収が四兆円を超えた、本来だったらその分だけ国債を減らした方がいいじゃないかという意見もあろうと思うのです。しかしながら、いろいろ諸般の情勢を考えてみて、一兆円程度の国債を減らす、そしてできるだけ増税をしないで済ます、歳出を見直すということでいけそうだと、また、大方の理解を得ることができるというふうに思ったからこそ法人税の引き上げを見合わせた。今後ともできるだけ財政再建のための努力を続けていき、そのときの情勢においていろいろな増税をお願いしなければならぬ場合はまたそれをやらざるを得ない、とりあえず来年度予算においては法人税を引き上げないで一兆円程度の国債削減とその他の歳出の見直しということで大方の合意を得ることができる、そういう見通しを持ってやったわけでございます。そういうふうに判断しております。
#154
○沢田委員 簡単に言うと、財政再建は必要である、しかし一兆円以上の赤字を減らすことよりも法人税を抑えることの方がその財政再建に妥当である、一行で言えばそういう結論に達して法人税は据え置いた、こういうことになりますか。
#155
○小泉(純)政府委員 選挙の結果というものが国民が増税に対して拒否感を感じている、できるだけそれを尊重しなければいけないということを強く念頭に置いてわれわれは組んだつもりであります。ですから、いろいろ経済情勢を勘案しながら、やはり企業においても健全な発展はしていただかなければならない、日本経済の発展のために健全な企業の繁栄というものは喜ばしいことでありますから、そういう観点もあわせながら、当面法人税を引き上げないでやっていける。しかも、ある面においては、増税も負担でありますけれども、歳出を切り込むということも同時にこれは国民にとって負担であります。両面を考えながら今度の予算は適当であろう、妥当な線であろうということでやったわけで、特別に財政再建のために法人税引き上げは必要ないということよりも、いろいろな情勢を考えながら、できるだけ増税を避けて歳出を切り詰める、これに最優先を置いて、なおかつ国民の生活を安定するという基本的な前提を残しながら組んだ予算でありまして、別に法人税を特に意識して避けたというようなことは私はないと思うのであります。
#156
○沢田委員 ここで議論していると長くなりますが、たとえば扶養控除の税額にいたしましても、一般の所得税の物価調整減税の問題にしても、あるいは控除率の引き上げにいたしましても、一般的に見れば、減税できないにしても、やはり一方では増税されているわけです。これはどう常識的に見ても、若干物価スライドの分だけ上がったにしても、その分だけは増税されていることに間違いないのですね。だから、現実は、一般の庶民大衆、勤労者その他の方々は増税されているわけです。ただ、法人税はいま言ったように据え置かれたという矛盾は、後で同僚議員が大臣等に聞くだろうと思いますからこの辺でとめておきますが、赤字国債をさらに減らそうという努力と、こういう条件のもとだから法人の皆さんにも御協力をいただいて法人税を上げよう、そのどちらを選択するかという追い詰められた段階で、法人税を逃がして赤字国債の方でやったという結果は否定できないことだと思うのであります。それはどんな理由があろうとなかろうと、そういう結果になったということだけはやはり否定できないことではないか、こういうふうに思いますので、これはもし御意見があったら後でお聞かせをいただきたいと思います。
 それから、さっきも土地税制の問題で若干出ておりましたから、これは簡潔に。この間税調会長の小倉さんにもお伺いをいたしました。委員にも反対と賛成、両論ありましたということで、終始一貫この場の参考人としては述べておられました。私は、この法案をいまさら撤回できる条件、残念ながらいまの情勢ではきわめてむずかしいと判断をいたします。できれば撤回をしてもらいたいし、反対であります。しかし、もしもこれを適用するということに至った場合には、一定の条件、地価の問題であるとか地域の問題であるとか、特に税調会長は首都圏という言葉を使っておられました。首都圏か、近畿圏か、中部圏か、そういうものが含まれるかどうか別として、その首都圏という文字をある一定のエリアを決めて施行する、こういうことは考えられないのかどうかということが一つ。
 それから、いま伊藤委員の方からも言われたいわゆる総需要抑制ということの一つの公定歩合の引き上げの重大な時局に当面をしている。そういう状況の中で、この税制の緩和がかえってインフレを助長する、そういう危険性を持っていることは否定できないと思います。そういうような中で実施時期をある程度延ばす。一定の期間を置いて、九%からだから一〇%ぐらいになってしまうでしょうけれども、こういう土地税制が運用される時期をもっと安定した時期に持ち越す、こういうことが必要になっているのではないかと思いますので、もしこれがわれわれが反対しても通ったという場合、反対していてなくなってしまえばそういう回答は必要ないのでありますが、万一の場合は、一応これは提案されていますからそういうことは必要ではなかろうか、こういうものについてどの程度お考えになっておられるか、当局からお伺いをいたしたいと思います。
#157
○高橋(元)政府委員 御提案申し上げております優良宅地のための譲渡に対する税制の拡大でございますが、これは都市計画区域に限った適用を考えております。
 第二に、今回四十五年以来十年ぶりかでやりました居住用資産の買いかえでございますが、立体化のための買いかえ特例は、三大都市圏の既成市街地に限るという適用地域でございます。そのほかの一般長期譲渡について地域を限って施行できないかというお尋ねでございますけれども、これは納税者が担税力に応じて公平に負担するという所得税のたてまえからしますと、ある地域の譲渡は課税が高く、ある地域の譲渡は課税が低いということにはなかなかなりにくいのではないかということで、いわば誘導税制としての優良住宅地税制、それから立体買いかえ、この二つの制度について、適用地域を特に宅地供給の不足しておる都市計画区域なり三大都市圏の既成市街地に限定をいたしたという趣旨について御理解をちょうだいしたいと思うわけであります。
 第二に、これが投機的な目的のために悪用されないかという点でございます。投機的な土地の購入をいたしまして売却した場合には、今回の改正で御審議をお願いいたしておりますように、土地の短期譲渡の特例というものはそのまま存置しておりまして、これは非常な重課でございます。総合の場合の一一〇%という税金で譲渡所得について課税をいたします。そういう制度があります以上、土地を仮需要として買ってそれを転売するということは起こり得ないというふうに私は思っておりますし、実需としてその土地を買ってそこに家を建てたいという人、つまり短期譲渡をしない目的で実需に使う人が買うということになりますと、これはむしろ売り惜しみということが問題になりますので、お認めいただければ五十五年一月一日から施行をいたしたいという考え方で御提案をしておるわけでございます。
#158
○沢田委員 これはこの間、建設だと思いましたか、行きました。現在三千百万の世帯がありまして、三千五百七十万戸だと思いましたが家が建っておって、現在二百六十九万戸の空き家を持っておるわけです。いわゆる遠く狭く高いという条件だと思いますけれども、毎年百五十万戸をつくってきて大体百万戸が持ち家、分譲住宅、五十万戸が借家、こういうことになっております。今日のような日本の経済条件の中で果たしてそういう発想が必要なのかどうか。現在の三千百万世帯の中で三千五百七十万戸の家がもうすでにできている。がまんをすれば住んでいけないことはない。そういう中でこういう税制が果たして必要なのかどうかということも一つあるわけです。
 それからもう一つ、建設省で考えているのは、市街化区域の中にどんどんマンションをつくって、そして、そのマンションに住まわせていこうということなのでありますが、これもいま言ったような住宅事情の中で果たして展望はあるのかどうか。いま言われたように土地は高くとも立体化していきますから、十一階建てなりなんかを建てていけば、坪当たり単価というものは安くなっていくわけです。八十万であろうが百万であっても、それだけ坪単価は安くなっていくわけです。結果的には、そこでは環境破壊が行われ、あるいは住民の反対運動が起きる、こういうことにつながっていくことをこれは助長していくことになりかねない。だから、いまこれは大蔵省に聞くのは妥当でないのかもわかりませんけれども、この土地税制によって日本の家族構成、住宅条件、そういうものをどういう形にしていくことを考えているのかということが明確でないということだと思うのですね。その辺が、十七万人の不動産業者を対象にしている行政にしかわれわれには考えられないじゃないか。非常に方角が不明瞭である。では、どういう条件の中に、どういう状態の中にこれから――都市の再開発なら再開発でいいですよ。それならそれで一つの政策目標があると思う。再開発をして相当の坪数の中に相当のビルをつくって、そこへ皆さんに住んでもらう、これはこれなりの一つの政策だと思います。しかし、今回の土地税制は少なくともそういう方向とは背馳する方向であるというふうに私には思われます。
 これだけで時間をとるわけにはいきませんけれども、時期的なものについてお答えがなかったので、若干私の見解を述べて、いまの公定歩合の状況あるいは今日のような経済情勢の中で、さらにドル買いが行われてきて円高になり得ない、こういうような状況も踏まえてみると、もし法律が通った後でも、その実施時期については十分考慮する余地があるのではないか、経済情勢との関連性を見ながらドッキングしていく必要があるのじゃないか、そういう点はどうお考えになっておられますか。
#159
○高橋(元)政府委員 三点お尋ねがあったかと思います。
 第一点は空き家がかなりあるではないかというお話でございますが、これは私、詳細な地域別のデータを承知しておりませんので、概括的なお答えで恐縮でございますけれども、三十年代から起こりましたかなり大規模な、日本としては初めて経験したような人口流動がございましたので、空き家とそれから住もうとする人の地域的な不適合ということが起こっているのだと思います。ですから、もう数年前から、世帯数に比べて住宅数の方が多いという状況がありまして、たしか五%ぐらい家の方が数が多いはずでございますが、それは住む人がいなくなってしまったところの家というのがむしろ多いのではないかというふうに思いまして、いまのところ、若干建設費のぐあいでマンションの売れ残りがありますとか、住宅公団に未入居の家がありますとかいうことはございますけれども、大都市及びその周辺で住宅、宅地難があることは御認識のとおりだと思います。
 第二に、立体マンションの新築をかなり誘導するような税制でないかというお尋ねでございますが、大都市の、ことに既成市街地内の地価水準を考えますと、たとえば三十坪なり四十坪の土地を取得してそこに家を建てるということがその人にとって非常な負担であることは事実だと思います。そういうところは、既成の市街地のごみごみしたところを整備してむしろ立体化するという形で地価負担を引き下げ、居住水準を上げていくということは、政策として当を得たものでないかと私どもは考えておるわけであります。
 第三に施行時期の点でございますが、施行時期はいまも申し上げましたように五十五年一月一日から、特別に政策誘導が必要な地域でございますから、地主の税制緩和を期待しての売り控えが起こらないように本年の一月にさかのぼって適用させていただきたいというふうに考えておりまして、これは地価対策としても有効でないかというふうに考えております。
    〔委員長退席、稲村(利)委員長代理着席〕
#160
○沢田委員 所得税は、いま一般的に庶民から見まして、大蔵省は取る方の立場ですから正しいと思っておられるでしょうが、取られる側から見ると、所得税ほど不公正なものはない。法人税を含めて、クロヨンと言われたりトーゴーサンと言われたり、このあれによると、神様でなければわからぬなんて大蔵省の人は言っているようでありますが、そんなことはないと思うのですね、捕捉率の問題を言っておるのですから。
 所得とはそもそも何だろうというので広辞苑を引いてみました。「得るところ。得て、自分の所有となるもの。」これを所得と言っているのであります。経済的には「経済活動をなす主体(個人または法人)が一定期間内に取得する財貨。俸給・賃金・地代・家賃・利子・利潤などによって構成されるもの。」こういうふうに言っております。それから修訂大日本国語辞典では、「我が身に得るところ。まうけもの。」「収入。利益。」「繼續する収入。」こういうことで表現されております。所得税というものの所得、これは法律にある言葉でありますけれども、改めてこの所得税、こういうものを変える場合に、その所得というものの本体はどこにあるのか、これは簡単にお答えをいただくというのはむずかしいことかもわかりませんが、あなた方が納めてもらう所得税の所得というものはどういうものなのですか。ひとつ国民にわかりやすく、これを街頭でしゃべるようなつもりで、この所得というものはこういうものですと、ちょっと言っていただけませんか。
#161
○高橋(元)政府委員 お話が非常に下手でございますので、街頭でおわかりいただくというのは大変むずかしいあれでございますが、税法の定義で申しますと、収入金.額から必要経費を引いたものということでございます。したがって、入ってきたものを得るのに必要な経費を引いたその差額が所得であるということでございましょうし、法人の場合には益金から損金を引いたものということでございます。その範囲がどれだけであるべきかということについては、所得税理論上非常に長い間論争がございますが、一番完全な所得の概念というのは、つまり、いま申し上げた入ったものから出たものを引いたもののほかに、資産の増加というものも加えて完全な所得概念になるということに承知しております。
#162
○沢田委員 では、その所得でいま言われたようでありますけれども、若干順序は不同になりますが、皆さんが税務署長をやられたり、これはどこの庁でありますか、まあ空出張とか、いまいろいろ議論をされておりますが、上司になると、部下の結婚式に行く場合にはお祝いを持っていく。これは当然です。ただ乗り込んでいく人はいないでしょう。これは常識だと思うのですね。どなたかがお亡くなりになれば、これは香典を持っていく。これも常識だと思うのであります。ところが、上司になって税務署長になったり、そういう人たちが若い人たちの職場に行くと、何人も何人も結婚される。それは全部ポケットマネーであるということになります。そうすると、二つの問題があるわけです。一つは、そういう費用を出すために旅費で出す。これが空出張の原因になる。もう一つは、あなたがたとえばどこかの税務署に行けば、あなたを接待しなければいかぬ。接待はまた後で話しますが、接待しなくちゃならぬ。そうすると、それの費用はどこから出るかというと、これも出場所がない。結果的には、税務署長を一週間も出張させておいてその旅費をまるまるそれに振り向ける、こういうことが行われているわけであります。ところが、事業の場合はこの因果関係は不鮮明でありますけれども、事業の場合で部下の場合は原則として控除になっていきますね。ところが、友だちの場合に果たして控除になるのかならないのか、こういうこととの関連性が今回の空出張とかそういうものを生み出した一つの原因であると思います。
 私も昔官庁に若干いましたから、その実態を知らないわけではありませんけれども、いわゆる食料費、交際費というものは一銭もない。そういう状況の中でどうやって捻出をするかといえば、結果的には出張旅費で生み出すか、あるいは結果的にはその他の方法で生み出すか、どっちかしかないのであります。だから、改めて予算の中である一定限度、正式なものとして交際費というものを認めていくという考え方はないのかどうか、これは全然別に考えてみるという必要性はないのかどうか、この点をひとつお聞かせいただきたいと思います。
#163
○禿河政府委員 官庁の接待費、交際費というものについての御質問でございますが、私どもが財政当局として考えております官庁の交際費の性格という点から申し上げますと、この交際費と申しますのは、各省各庁の長その他の職員が、国またはその機関を代表して行政を遂行するに際しまして、必要な場合に儀礼的、社交的な意味で部外者に対して支出する経費だ、かように観念いたしております。私どもといたしましては、こういう交際費の予算は、経費の目的とか性格にかんがみまして、中央省庁、それから外局、地方官庁等の機関のいわばランクに応じて計上はいたしておるところでございます。その具体的な執行につきましては、各省、各庁の責任で行うということになっておりますが、ただいまお話しがございました交際費というものの計上をもう少し拡大するということにすべきではないか、こういうお話でございますが、私どもといたしましては、現下の厳しい財政事情等にかんがみまして、行政経費の節減合理化というふうなことに取り組んでおるところでございます。そういう点から、交際費というものの予算計上をふくらませるということはなかなかむずかしい、こういう状況にあると考えております。
#164
○沢田委員 交際費という名称もきわめてあいまいな言葉なのでありますが、ふくらませるとかふくらませないとかではなくて、正しい姿にしていくことでどうかということを言っているわけです。だから、いままで言われているような全員に空出張を出すとかなんとかということは論外として、一般的に通常現在行われているそういう他官庁とのつき合い、あるいは地元の市町とのつき合い、そういう場合におけるつき合いという言葉にもこれまたあいまいなものがありますが、世上儀礼的なものの範囲ということにもなりますか、そういうものすら自分のポケットマネー以外に出しようがないというのが現実でしょう。こういう状況が正しい状態かどうかということをいま聞いているわけです。そういう費用が末端までいっておりますか。
#165
○禿河政府委員 確かに、行政を行います場合にも、そういう対外的なおつき合いと申しますか儀礼的なものが必要になる点はございます。しかし、これがどの程度常に必ず必要なのかというのは、率直に言いましてなかなか的確にはつかみにくい面がございまして、そういう点で経費の節減合理化という観点からこれをなかなか増額しがたいということを私ども申し上げたわけでございます。
 それでいま先生のお話のことでございますが、予算上私どもが見ております中央官庁、それから地方官庁につきましても、わずかではございますけれども、ずっと見ております。中央官庁はもちろんでございますけれども、ブロック官庁あるいはその次のランクに属するようなものにつきましても、若干の交際費は計上いたしておるところでございます。
#166
○沢田委員 きれいごとを言われているようでありますが、私はそういうきれいごとでは実際には済まされないのではないかという気がするから、もっと明朗化をしていくという立場で言っているわけなのです。やみからやみへ金を動かしていかなければ運営できないということでなしに、それはきちんと組んで、きちんと明朗化をして会計検査院の監査を受けられる、そういうシステムの中に置いた方がかえっていいのではないかという意味で言っているわけです。だから、空出張をやったりいろいろな形で捻出して、そういう形をとるよりは、もっと明確化した方がいいのではないのか、その方が職員もやりいいのだ、そしてその範囲内でやっていくことが合理的なのではないかという提言をしているわけなんで、あなたのようにこだわっていると、次から次へとうみじゃないが出てきますよ。これはどうやったって現在のような生活条件の中ではいやおうなしに出る。学校の場合は、後援会とか何かあるから校長さんは後援会の費用から持っていけるからいいかもしれぬけれども、そういうもののないところではきわめて厳しい条件だと私は思いますよ。念のため申し上げて、次へ参ります。KDD事件を初めとして、接待という言葉がよく使われております。税法上の接待というものは控除になるのかならないのかということが疑問になります。これもまた私は調べてきました。接待というのは「人をもてなすこと。もてなし。あしらい。」「仏家の布施の一。路上に湯茶を用意し、往来の人に施しふるまうこと。信者の篤志によっても行われた。接待茶、門茶。」こういうふうに言われているのです。税法上で言う接待とはどこまでのものを接待というのか、それから一般的な企業の場合の接待の解釈はどういうふうな理解をされて考えておられるのか、この点ひとつお答えをいただきたいと思います。なお念のため、接待というのはお茶以外のことはないんですね。公職選挙法みたいなもので、接待とはそういう解釈なんですが、税法上どう解釈されているか。経費の控除の対象となる部分の接待とは何か、一応お聞かせいただきたい。
#167
○矢島政府委員 正しいお答えができるかどうかわかりませんが、税法上の交際費は、先生も御承知のように「交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、きよう応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいう。」ということでございます。
 そこで税法上接待の意義ということが問題になろうと思いますが、接待行為の費用が交際費として限度計算の対象になるかどうかという判断を行う場合の問題として出てくると思いますが、税法上の交際費は、いま申し上げましたように、「接待、きよう応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出する」費用をいうということでございまして、「その他事業に関係のある者」というその「者」の中には、直接法人の営む事業に関係のある者だけではなくて、間接にその法人の利害に関係のある者も含めるということで、かなり広いものになっています。
#168
○沢田委員 それはその辺にいたします。
 次に、今度民法の相続分の改正があるようでありますから、それに伴いまして若干お伺いいたしますが、これも同僚議員の聞いた部分は除きます。配偶者のものについては一応重複しますから省略いたしますが、長男、次男、三男、長女もあるでしょうけれども、三人いると仮定いたしました場合、三分の二をそれぞれ三分の一に分割するというのがいまの民法であります。ただ家業を継ぐ者がそれぞれその家業を継ぐに当たって、次男であるか三男であるかわからぬが、そういう人たちがお父さんなりお母さんと同居しながら家業を継いでいく者も同じ条件で相続をしていくということが妥当なのかどうか。家庭の中におけるいわゆる寄与率というものを考える必要性があるのではないかと思います。たとえば農業なら農業にしてみても、長男が農業を継ぐか次男が継ぐかわかりませんけれども、いずれにしても長男なり次男が継いでいく場合には、嫁としゅうとの問題も含め、あるいは農業に従事するということも含めて、相続になったならばきょうだいとみんな一緒である、こういう論理は社会の常識ではなかなか理解しにくいわけでありますが、税法上その点について寄与率というものを考える必要性があるのではないか。私の知っている人でも、長男、次男、三男みんな逃げてしまって、生活保護にかかりたいなどと相談に来た方がおりましたけれども、そういうような場合も起こり得るわけであります。ですから、親を扶養していく人たちの寄与率というものを何とか考えていく道はないのか。これは相続税全般の問題かもわかりませんけれども、あるいは控除額を一人の分だけは六百万にするとか、そういうことで考えていくことができないかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
#169
○高橋(元)政府委員 このたびの民法の改正で遺産分割の基準というのが改正になっております。遺産の分割の基準は、遺産に属する物または権利の種類及び性質、各相続人の職業その他一切の事情を考慮してやれというのが従来の基準でございましたのに、新たに各相続人の年齢、心身の状態、生活の状況をも考慮するということにして、かなり相続人間の遺産分割または家庭裁判所における審判の際の遺産分割の基準というのが弾力的になりました。それと符節を合わせまして、相続法の中で寄与分という制度が新しくできたわけであります。これは申し上げるまでもありませんが、被相続人、通常はおやじさんでしょうが、おやじさんの家業である農業や自家営業に従事してその事業に協力するなどの方法によって財産の維持、増加に特別の寄与をしていながらこれに対する相当の対価を得ていない人がある場合に、そういう寄与相続人とほかの相続人の間の公平を実現するために、寄与相続人が遺産の分割において寄与の方法、程度等の事情に応じた相当額の財産を寄与分として取得することができる、こういう制度でございます。これは民法でそういうふうに今度改められたわけでございます。
 一方で、相続税の考え方は、これも御案内のことでございますが、すべての財産が法定相続分によって相続されたというふうに考えまして、それに基づいて遺産総額を分割をいたしまして、それについて相続人が、配偶者の場合には控除をいたしますけれども、それぞれの相続人が法定相続分によって相続をしたとした場合の税額を計算いたしまして、それを合計したものを現実に分割した財産に割りかけていくわけでございます。したがって、相続財産の中にそういう寄与分というのは含まれておりまして、これの分割は、先ほど申し上げた分割基準によって従来よりも広い方法で当事者間の協議または家事審判によって決まっていくわけでございますが、決まった割合に応じて各相続人が負担していただくということになります。
    〔稲村(利)委員長代理退席、委員長着席〕
寄与の程度がいかほどであったか、そういう寄与財産を認めることが正当であるかどうかということについて税務官署が介入をするというわけにはまいりません。したがって、寄与の程度に応じて控除率を高めていくべきであるという御提案でございますが、これにつきましては、現行の民法がより弾力的な遺産分割の基準を定め、かつ寄与分という制度を定めて、その運用によって相続税の方はそれについていくということ以外にはないのだろうと思いまして、特別に寄与分について控除または軽減を認めるということは相当でないというふうに考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。
#170
○沢田委員 そうすると、判例待ちだということになりますが、なかなか話が合わなければ裁判になっていくということになるわけですね。おれはこれだけ功績を残した、努力したんだ。しかし、それは民法が変わってであろうとも税法上でやはり考慮をしてやっていくというのが政治じゃないんでしょうか。こういうことが可能だという道を開いてやることが政治なんじゃないか。裁判所まで持っていけばクロ、シロははっきりするでしょう。しかし、そのクロ、シロをはっきりさせる以前において、その家庭を、自家営業なら自家営業を相続する者の利益というものを相続税の上で考慮するということは生きた政治として考えていく方途ではないのかという気がいたしますが、全然考慮の余地はないのか、そういう点は考慮してもいいんじゃないかという気がいたしますが、あえてお答えをいただきたいと思います。
#171
○高橋(元)政府委員 現在でも、お話のように、遺産分割をいたします場合に、農家であれば長子が全部の財産をもらうということはよくあることでございます。そういう場合に、すべての財産を一遍法定相続分に従って分割して相続したものと考えて税額を計算いたすわけでございますから、もらわなかった人は一文も負担せず、かつもらったとすれば、累進税率でございますから、税額は低くなっておるわけでございますが、すべてのものを一人でもらったよりも安い税金を、もらった方がもらった割合に応じて負担をしていただいておるわけでございます。それが現行の相続税でございまして、この相続税の考え方の中に、そういう、これから先遺産を使って仕事をしていくというような将来の事情を織り込むことは不可能であろうと思います。相続財産の維持ないしその増加に寄与したという程度に応じて、それはやはり相続人の間で御協議になって遺産の分割方法をお定めになるということだと思いますし、その場合に税法で寄与分についての控除を仮に認めるといたしますと、相続人相互間で遺産分割の協議において任意に寄与分として定めた額がたとえ妥当でない場合でも税務当局が適正な寄与分の額を確定させることはできないわけでございますし、真に寄与相続人であるかどうかの判定を税務当局が行うということになりましても、これはまた家庭の中に税務署が入っていく問題でございます。結局、相続人相互間の自由な意思で寄与相続人と寄与分を決めてしまえば、それによって相続税負担がやはり公正を欠く結果になる。そういう点から、いま御提案のようなことは現在の相続税法の中では困難であるというふうに考えておる次第でございます。
#172
○沢田委員 では、これはまた次の機会に別の角度からお聞かせいただきます。
 次に、障害者を――現在の福祉施設はまだまだ十分でございません。税金をまける話ばかりやっていたのではいかぬからプラスの話と両方合わせますが、障害者を家庭に持っている、精薄の子供あるいは心身障害児者、施設にも入れるのには困難である、こういう状況の人を持っている家庭としては、少なくとも老人控除並みの減税は必要なのではなかろうか。現在三十五万でありますけれども、それをいわゆる同居扶養老人控除並みの減税に引き上げてやるわけにはいかないかどうか。恐らく同じような条件になってしまうのではないか。まさにそういう家庭は十字架を背負って歩いている家庭だと思うのであります。飲むこともできず、あるいはたばこも節煙するというような状況で子供のめんどうを見ていかなければならない家庭が多いわけであります。そういう状況の中でその控除をやはりある程度引き上げてやって、そういう人の、所得があるのだからいいやということではなしに、その精神的な苦痛をねぎらってやるということも政治のあり方として必要ではないか、こういう気がいたしますが、いかがでしょうか。
#173
○小泉(純)政府委員 当然障害者に対しては特別の配慮がなされなければいけないと思いますが、老親扶養控除並みにそういう特別の控除をどうかということでありますが、老親扶養控除は特別の政策目的、政策効果を期待して設けたものであります。特に欧米と比較すると、日本の親も子供も七割以上の人が、できれば親と同居したい、親も子供と同居したい、こういう観念を持っておるのは、驚くなかれ、欧米では三割弱だったのが日本は逆だった。これは非常に隠れた財産であるというところに着目して老親扶養控除を設けた。ですから、そういう政策効果ということを考えますと、障害者に対して同じようなというのはどうも適当でない。当然、障害者に対して特別な配慮というのはこれからもなされなければいけないと思いますが、いまの段階で老親扶養控除並みの控除を設けるということは考えておりません。
#174
○沢田委員 時間の関係で、冷たい話でありますから、もう少し温かみを帯びた生きた政治を期待してやみません。
 では、ふえる方でありますが、免税団体、これは学校法人もありますし、特殊法人もありますし、いろいろ公益法人もあると思うのでありますが、そういう団体における事業外収入は当然確定申告を行う義務を持つものだろうと思います。たとえば体育館を貸しました、運動場を貸しました、そういういわゆる事業外によって得た収入分、あるいは運動会のお祝いをもらいました、こういうようなものは事業外収入となるのではないかというふうに思います。そういうものは、どういう法人であろうとなかろうと当然確定申告をする義務を負っておるし、また、当然確定申告をしているものと思うのでありますが、その点は税務当局としてはどういう対処の仕方を行っておられるか、お伺いをいたしたいと思うのであります。
 続いてもう一つでありますが、法の定めのない、たとえば行政指導と言われているものであります。たとえばマンションができる場合に、教育負担として三十五万円を一世帯から取るとか、あるいはその他の公益的な法人が、それぞれの指導要綱なりあるいは規則なりをつくって負担を命じております。この負担金というか寄付金というか、これは企業の経費として認められるのか、あるいは法に定めのないものであるから、義務的なものでないからこれは認められないのか、どちらになるのか、この点明らかにしてほしいと思います。それは決め方の実態によって違うんだというならこれまた一つの回答でありますから、それでも結構でありますが、どちらになるのか。いわゆる法の定めのない負担を国民は負う必要性はないということは法律で定めている条項であります。でありますから、その条項に反した負担を求めていくというものは、言うならば税外負担である。税外負担であるということは寄付金になる。簡単に言えば、寄付金になる。そうなると、経費の控除としては認められないということになりがちでありますけれども、その辺はどのように解釈されているのか、あわせてお答えをいただきたいと思います。
 もう一つは福祉年金です。これはきわめてわかりやすく言うと、千二百五十万円でもとの家を売りました。おばあちゃんとおじいちゃんがおります。そのときに、千二百五十万で家を売って千三百五十万で家を買いましたといった場合に、これは六百万以上の所得があるということになって、結果的には今度は二万二千五百円の福祉年金が一年間停止される。これは福祉年金という制度の考え方からいって、税法では家の買いかえは三千万までは一応認めているわけですね、だから、認めている税法上の特典はやはり福祉年金に及ぼすべきものではないのか。たとえばダイヤモンドを買ったとか、ほかのものを買ったんだというような、そのために換金した場合は別です。ただ、家を買いかえたという場合は、特例措置が税法上認められているのであるから、その点は福祉年金について、所得があったものとはみなさない、こういうことが考えられてしかるべきではないかということが一つです。
 もう二つばかり続いて言って私の質問を終わりますが、資産の再評価問題は今日までいろいろ議論をされてまいりました。資産の再評価をして貸借対照表の中であらわすようにしたらどうか。税法の問題は一応別といたします。税法の問題は別として、いわゆる資産勘定としては現状の土地公示価格をもって各企業はその資産評価をしていく、こういうことにまずしていくことができないかどうか。そのことは同時に貸借対照表をつくったり何かする部分においては大変ふくらむだろうと思います。ふくらんでいくことは間違いないだろうと思う。そして出てくる費用については何年度でこれを利益の分からとっていくかということは別問題として、少なくとも資産を再評価をして公示価格によってあらわしていく。そうでないと、いまの会社は覆面会社みたいなものになってちっとも公正公明なものではない。いろいろな資料も資本金別には出ておりますけれども、資産別には出てない。ところが、資本金と資産とは雲泥の差がある。そういうような状況でありますから、その点を含めて再評価による帳簿記帳、こういうものを考えていくという道は開けないかということが一つです。
 最後になりましたが、これは自動車損害保険だけで申し上げますが、医師の優遇税制の問題でありますが、昭和四十六年に七十一万人の負傷者、死亡者がおりました。昭和五十二年には五十五万人に減りました。ところが、医療費だけは二千百四十何億かに対しまして三千六百億と、死傷者が減ったにかかわらず六割も膨大にふくらんでいるのです。これはいわゆる自賠償の関係だけをとらえて見てもであります。また、この衆議院の予算委員会に配付された捕捉率につきまして見ましても、まだまだ医師の優遇税制というものはわれわれ庶民の不信感をぬぐい切れるものではない、そういう実態にあると思います。いまの自賠償の中身の問題だけでもひとつ解明をしていただきたい。なぜ負傷者なり死亡者が減ったにかかわらず保険金だけ六割もふえていったのか。全部のカルテを調べてみてもらって、その中身を明確にしてもらいたい。そうしなければ国民はこれは納得できないと私は考えます。どうかその意味において、これはあえてお答えをいただきたいと思います。
 以上、若干残りましたけれども、私の質問はお答えをいただいて終わりたいと思います。
#175
○矢島政府委員 お答えいたしますが、突然の御質問でございますので十分なお答えはできないと思いますが、公益法人の場合あるいは人格のない社団の場合があると思いますが、そういう場合におきましては、収益事業に当たる場合には先生お話しのようにやはり法人税が課税されるということになります。それは法人税法施行令五条にそういう規定がございまして、ただしここに規定がございますような、つまり掲名されているような業をやっておらない限りは収益事業に当たらない、こういうことになろうかと思います。その個別具体的な問題につきましては、事実を調べてみないとちょっとわからないと思います。
 それから老齢福祉年金の問題でございますが、老年者年金特別控除の問題といたしましては、措置法二十九条の四の中に七十八万円を給与所得控除以外のものとして一応認められているわけでございますが、この問題も、ちょっと私も突然の御質問でございますので研究させていただきまして、また後ほどお答えいたしたいというふうに思います。
 以上でございます。
#176
○禿河政府委員 ただいま御質問がございましたのは、福祉年金の支給の場合に、家屋を買いかえたような場合はそれを停止することがないようにすべきではないかということでございますが、老齢福祉年金等につけられておりますいわゆる所得制限と申しますのは、こういう年金が全額国費で支弁されておるというところから、一応生活にゆとりのある方々にはその受給を御遠慮願おう、こういう趣旨のものでございます。その場合の基準といたしまして用いておりますのが、一般の所得税法上の一般の所得というものを基準として用いておるわけでございます。ただいま御指摘がございました居住用財産の買いかえの場合、現在三千万まで特別控除というものが認められておるわけでございます。それをそのまま適用すべきではないか、こういうお話でございますが、この特別措置は税制の上におきまして特別の政策的な配慮に基づいて実施されておるものでございまして、福祉年金の受給を御遠慮願うかどうか、こういうふうな基準を考えます場合に、社会保障の観点以外のそういう特別措置の考え方、配慮というものを直ちに持ってくるということが公平の観点等からやはり問題はあるのではなかろうか、こういう感じもいたします。それからこの税法上の特別措置は、買いかえの場合だけでなくて、その収入が手元に残っておるような場合にも適用されるものでございます。先生はその中で買いかえの場合だけに限ってでもやるべきではないか、こういう御提言だと思いますが、現在税法上もそういうふうな形になっておりますので、こういう売却収入というもの、それを福祉年金の所得制限から除外をするということにつきましては、どうしても私ども現段階でははなはだ問題があると言わざるを得ない、こういう感じでございます。
#177
○高橋(元)政府委員 私からお答えするのは二点だと思いますが、最初に不動産その他の固定資産の再評価の問題があろうと思います。現在は、御案内のとおり商法上固定資産は取得価額によって簿価に計上をしてそれをふやすことを認めていないわけでございます。固定資産の増価、評価がえを認めていないという現在の商法の禁止をまずどういうふうに解除するか。それに見合って資本準備金を立てるわけでございますが、資本準備金に対する課税ないしそれの処分をどうするか。それから、そのふやした場合に減価償却がまたふえていくわけでございますが、それをどうするか等々さまざまな問題がございます。第一に、企業会計上現在の資産再評価が相当であるかどうかという問題との関連で、証券局にきょうのお話を伝えまして、よく検討してもらいたいというふうに考えます。
 それから第二点は、これは政務次官からお答えがあるわけでございますが、その前に申し上げますと、現在自動車賠償責任保険による診療行為は社会保険診療報酬の外に置かれておりまして、これは実額課税でございます。青色申告または白色申告、いずれにいたしましても収入額を税務上は個別に把握をして課税をいたすわけでございますが、その内容が乱にわたっているのではないかという点につきましては、ただいまの御意見をまた厚生省によく伝えて遺漏なきを期してもらいたいというふうに考えます。
#178
○小泉(純)政府委員 医師の社会保険診療報酬特別措置でありますが、いわゆる政治的に医師優遇税制は典型的に取り上げられたものであります。五十四年度の税制改正において、そのような意見を取り入れながら七二%から五二%まで段階的に改定したばかりでございますから、当分の間その結果を見守りたい、そう思っております。
#179
○矢島政府委員 ただいまの件についてちょっと補足説明させていただきたいと思います。
 企業が地方公共団体とか公益法人に負担金とか寄付金の名目で出された場合に、性格上純然たる寄付金で地方公共団体に対するものであれば、それは全額損金ということで法人税法の三十七条三項で規定がございます。それから個人が支出するものについては一定の限度内で特定寄付金、これは所得税法の七十八条にそういう規定がございます。所得から控除するということでございます。それから企業の経費としての性格を有するものにつきましては、一時的な経費に充てられるものにつきましては、その支出のときの損金または必要経費に算入する。それから宅地開発に伴いまして支出するものにつきましては、その実態が違うと思いますが、実態に応じまして資産の取得価額または繰延資産として計上する、こういうことになろうかと思います。
#180
○沢田委員 時間がないですから、これで終わります。
#181
○増岡委員長 田中昭二君。
#182
○田中(昭)委員 今日的課題でありますこの財政再建でございますが、いろいろ議論されておりますが、残念ながら確実なめどが立ったと言えない現状ではないかというふうに私は思います。
 そこで、財政の原則であります入るをはかって出るを制すということについては御異論はないかと思いますが、きょうはそういう予算の歳入の中で基本になります税金の問題について、昨年政府が税の世論調査を行っております。私はこういうものを持っておりますが、「税金に関する世論調査」五十四年十一月、これは総理府でやっておるようでございますが、内容は大蔵省の方で提供してあるようでございますからお答えを願いたいと思います。
 まずこの世論調査を行ったのはなぜか、そしてその理由をひとつお聞かせ願いたいと思います。
#183
○伊豫田政府委員 税金に関する世論調査は、昭和五十四年八月に行われております。われわれといたしましては、適正かつ円滑な税務行政の執行を図るためには、税務当局といたしましても納税者各層の税意識の動向をできるだけ的確につかんで、これに対して絶えず適切な施策を講じていくというのが本来あるべき姿かと考えられておりますので、それにつきまして努力したわけでございます。
 ただ、この調査を実際に行いましたのは御承知のとおり総理府でございまして、われわれといたしましては過去数度行われておりますが、本年度分につきましても国税庁から今後の税務行政に関する各種施策の参考とすべき調査項目とか質問内容、そういうものについて意見、御要望を申し上げて、それらを踏まえて今回総理府において実施されたものと承知しております。
#184
○田中(昭)委員 この世論調査は衆議院の総選挙前の八月に行われたようでございますから、ある意味においては時宜を得た調査であったろう、こういうふうに敬意を表するわけでございますが、この調査の目的を読んでみますと、この調査の結果を参考とする、そういうふうに言われておるわけでございます。参考とする、当然参考としなければならないわけでございましょうが、その手順といいましょうか、参考としてどういうふうに進めていくか、その手順なり順序なりがわかっておれば教えていただきたいと思います。
#185
○伊豫田政府委員 税金に関する世論調査の結果につきましては、われわれといたしましてもこれをできるだけ有意義に使用させていただきたい、現在の施策に反映させていきたい、このように考えているわけでございます。そしてまた、今回のような世論調査は過去にも数回行われておりますが、今回ほど税だけに集中いたしまして行われたものはございませんでしたので、その結果についてもわれわれとしては非常に興味深く受けとめている次第でございます。
 実際にこれをどういうふうに扱っていくかということでございますが、一つには、部内の各種会議やあるいは部内広報、そういうものを通じまして部内あるいは税務署の職員の末端に至るまで周知徹底を図るということを行っております。
 それからもう一つは、御承知のとおり関係部課長会議が局あるいは庁等によって広く行われておりますが、こういう会議においてもまたその内容をできるだけ反映させるべく検討あるいはそれについての討論等も行っている次第でございます。
 ただ、申し上げたいことは、この種の世論調査は、この調査結果から具体的にどういう施策を講じたということの直接的なつながりは非常に申し上げにくいものでございまして、むしろこのような調査は、このような調査の結果全体をわれわれとしてはよく理解し、それを踏まえて施策を講ずべきものと考えておりますので、具体的にどう施策につなげていくか、つながったかというふうなことについては非常に御答弁がいたしにくい、このように考えている次第でございます。
#186
○田中(昭)委員 いまの御答弁を聞いておりますと、確かに内容をどうするかということについてはむずかしい面もあろうかと思いますが、この調査の目的にもありますように、「税金についての国民の意識と行動を調査し、税務行政の執行及び施策の参考とする。」とあるでしょう。ですから、いまおっしゃっていることは、むずかしいからとかそういうことで話が直接つながらない。むずかしいことはわかるけれども、世論調査は世論調査だというような受け取り方に私はいま聞いたのです。それと、いまあなたがおっしゃった中で私一つ思いますことは、この問題を税務行政を行う方の立場だけで使おうというような答弁に聞こえた。実際税金を納めるのは国民ですから、国民にそれをどうこたえていくか。この世論調査の結果、国民の期待にこたえていくということと税務行政が一致しなければならない。昔の代官の税金取りみたいになっては困ると私は思うのです。そこで、もう一遍もう少しわかりやすい言葉で――内部に周知徹底することはいいでしょう。周知徹底をどういうふうになさるか、私はいまから見ておきます。
 それから、何回か行ったと言うが、私もちょうど十年くらい前に大蔵委員会でいろいろ議論したのですが、私の手元にありますが、九年前の四十五年、わが党が税制総点検を行ったのがその前の年ですが、その翌年に一回世論調査を行っております。その後四十六年にもう一回行っておる。それからずっとなかったのです。今度三回目だと私は認識しております。前の世論調査との関係もいまからお尋ねしていきますが、まず、前段で私が申し上げましたことに対してもう一回お答えをいただきたい。
#187
○伊豫田政府委員 まず世論調査の回数について申し上げますが、私の方にございますデータによりますと、三十九年二月税務職員の応接態度等に関する世論調査、四十五年一月税金に関する世論調査、四十六年一月税金に関する世論調査、四十八年八月税金と予算に関する世論調査、そして今回、五十四年八月の税金に関する世論調査、このように出ていると承知しております。
 それから、世論調査は世論調査、税の施策は税の施策で別々に動いているから、それを結びつけにくいという趣旨で私は申し上げたわけでは決してございませんで、結びつけるべく非常に努力友重ねるわけでございますけれども、世論調査の内容自体が若干抽象的な問題がございまして、具体的な結びつき方を後で御説明することはなかなか困難だということでございまして、観念的には結びついていると私は考えております。
#188
○田中(昭)委員 それでは少し内容に入ってから議論しましょうか。
 ずっといろいろな項目があるわけです。この項目は国税庁の方でつくったと私は聞いておりますが、大変いろいろ工夫してつくったと思います。私の持っておる中で、九ページに「税金についての考え方、負担感、対処行動」という中の「税金についての考え方」の表七の三、「誰も脱税しなかったら、税金はもっと安くなる」という問いを出しておりますね。それに対する答えは「そう思う」という人が過半数というようなことが出ております。
 そこで、この設問自体がどういう意味なのかも聞きたいのですけれども、その表の下の「税金をとられると思うと働く意欲がなくなる」という設問は国税庁がつくったのですか。
#189
○伊豫田政府委員 私の方は、総理府がこういう調査をやるということについてこちらの御要望を申し上げた程度でございまして、設問一つ一つにつきましては、必ずしも私の方でつくったと申し上げられるような内容のものではございません。
#190
○田中(昭)委員 総理府に聞くとそう言わないのです。総理府に聞くと、内容は全部国税庁からもらいましたと言うのですが、きょうは総理府に来てもらっておりませんから、これは次にしましょう。
 政府次官、私は税金を取られるなんということは言うべきでないと思うのです。大平総理大臣も、就任当初NHKの「総理に聞く」のときにそういう言葉を使っておられますけれども、十年前から注意するのだけれどもまだ頭の中には税金を取るという感覚が根底にあるようですね。これは直していかなければならないと思います。税金は納めてもらうものなんです。
#191
○小泉(純)政府委員 税金は取られるというのは確かに適切な表現ではないと思います。納めるというのがより適切な言い方だろうと私も思いますが国民の中にはやはり税金は取られるものだと感じている人もいるのは私は否定できないと思います。ですから、その設問がけしからぬけしかるとは別問題で、いままだ納める以上に取られるという観念を持っている層もいるのだなという気持からその設問を設定しているのじゃないか、別にいかぬ、いけないという問題でもないと私は思います。
#192
○田中(昭)委員 その議論はまた後でしましょう。
 いまの「誰も脱税をしなかったら、税金はもっと安くなる」、こういう人が大半ですね。これを政府はどう受けとめられますか。
#193
○伊豫田政府委員 脱税をしなかったらという言葉をわれわれがどういうふうにといいますと非常にむずかしくなりますけれども、われわれの調査において把握していないところに、あるいは申告されていないところになお脱漏の所得が仮にあったとなりますれば、われわれの調査深度なり調査の仕方をさらに充実していくことによってこういう問題をできるだけ少なくしていきたい、このように考える次第でございます。
#194
○田中(昭)委員 これはひとつ主税局長、政務次官もお答え願いたいと思いますね。国税庁は確かに答えにくいと思うのですよ。政務次官のような、通説で言われるような脱税ということで、脱税そのものに余り意味を置かなくて、「誰も脱税しなかったら、税金はもっと安くなる」という問いに対して過半数の人がそう思うと言っている、それをどう受けとめられますか。
#195
○小泉(純)政府委員 私もそう思いますね。脱税をされる方がいなかったならばもっと税収は上がってくるでしょうし、当然ある面においては税金が安くなってくるかもしれない。犯罪を犯す人がなかったらば警察官ももっと必要ないでしょうし、法律を守る人がすべてだったらこの世の中はもっとよくなる、そういうふうに思っている。そういう点からして、脱税する方がいなかったらばもっと税金は軽くて済むのじゃないかと思う国民がたくさんいるというのは私は当然じゃないかと思います。
#196
○高橋(元)政府委員 公平と申しますのは執行と制度と両方にわたっております。制度上の公平を幾らやりましても、執行面で公正が期せられないということではまさに国民の側からの税に対する御不満になってくるのは当然だと思います。ですから、そういう意味で、一定の税額をどういう税法で上げていくかというのが私の方の税制の仕事でございますけれども、その場合に、もし執行がまたは捕捉がよくできておって、一定の税額を達するのに――一定の税額が必要だという前提で申し上げているわけですが、執行面でよりたくさんの税収を得てくるならば、それは税率なり何なり、そういう面で当然出てくるだろう。そういう意味では、制度を考えていく上でも執行ができるだけ公平にできるような制度を考えてまいらなければならないというのが私の立場からのお答えでございます。
#197
○田中(昭)委員 政務次官、私はあなたの発言には大変敬意を表します。
 そこで、これは国税庁ちょっと答えられるかどうかわからぬけれども、いま政務次官は脱税をしないようにしたらもう少し税収が上がるだろう、こういう発言ですね。率直に、勘でいいが――あなたたちの勘は大体当たるのですよ。所得税で、法人税でどれくらい増収できるかな、法人税にしましょうか、どうですか。
#198
○伊豫田政府委員 ちょっとそれに関するデータもございませんし、私の頭の中でもどの程度ということが全然出てまいりませんので、御答弁をお許し願いたいと思います。
#199
○田中(昭)委員 本当はあるけれども、言わないのでしょう。それは段階的にありますからね。それじゃ私の方から言いましょうか。あなた資料がないと言うけれども、きょう調べてきてないのであって、よく調べればあるのですよ。まず法人企業実態調査というのがあるでしょう。これから見てみると、法人がどれだけ脱税しておるかすぐわかる。一ページに書いてあるじゃないですか。五十二年対五十三年は法人企業実態調査の一ページのところに、これは政務次官聞いてください、あなた、大変増収になるということだから、私が教えますから。五十二年と五十三年でわずかな法人を調べただけで三千六十三億円増収になっているのです。これは間違いないでしょう。
#200
○矢島政府委員 御質問でございますが、法人企業の実態調査は手元にございませんのでわかりませんが、あれはたしかサンプル調査でございます。私の記憶では、あるいは間違いがあったら訂正させていただきますが、公表された決算をもとにして税務上の是否認を行った計数というふうに考えております。したがいまして、必ずしもその差額が即脱税であるというふうには言えないと思います。
 それから、蛇足でございますが、たとえば私どもが調査しました個人の所得税でございますが、所得税の調査実績を見ますと、調査対象者の九〇%もの申告漏れがあるというような状況にはなっております。しかし、こういうもので即脱税が計算できるかということになりますと、これは私どもがチェックいたしまして、これならば出るというようなものを重点的に調査した結果でございますので、こういうような資料をもとにして即脱税額云々というようなことを調べることはできないし、また推測の方法もちよりとむずかしいのではないか、かように考えるわけでございます。
#201
○田中(昭)委員 わからぬような答弁をするなら出てこぬでいいですよ。何を言っているかわからぬじゃないですか。ちゃんと指摘しているじゃないですか。サンプル調査であろうと何であろうと、法人企業実態調査をちょっと読んでみましょうか、政務次官。実地調査等により増加した本税額は二千七百九十八億円となっております。前年度は二千四百三十二億円でした。これに比べて一五%の増であります。加算税が二百六十五億円、前年では二百四十六億円ですから、八%増です。この差額を加えると、三千六十三億円になるのです。
 そこで、いま脱税をしなかったら税収があるというようなことで、国税庁が一年間努力して、本当にこれだけの調査をするのには相当の努力があるのですが、その結果がいま法人企業ではそうなんです。五十三年度は企業が大変好景気に恵まれまして、また国税職員の努力にもよりまして税収はふえました。法人企業実態調査によっても、いま言ったように、これは脱税等の一部判明せるものであります。その一部だけで前年より三千六十三億円増収になった。やはり政務次官の思っておることは正しい。しかし、この額は全企業の九・五%を調べたものでしかない。この調べた内容は、たとえて言えば百社の中で七十八社も不正、申告漏れによる増収であります。百社のうち七十八社が不正、申告漏れをしておった金額であります。だから、全企業を全部調べるということは無理でしょうけれども、大いにがんばってもらって、こういう財政が大変なときですから、これは言えばできないと言うかもしれぬけれども、できないと言えば何でもできない、だから、仮に三割くらいでも調べてみれば、九千二百億から一兆円近くの追徴、増収になるという政務次官の御期待のとおりの数字になるわけです。だから、この脱税がなかったら安くなるだろう、こういう国民の感情があるわけです。これは推定分も入っていますが、どうですか。
#202
○伊豫田政府委員 御指摘のように、私の承知しておりますところでも法人税におきます実調率は九・五%という数字を持っております。いま先生のおっしゃいました、そのうち約八割弱のものについて不正申告と申しますか、あるいは申告漏れと申しますか、そういうものがあったということも承知しております。ただ、それならば三倍の三割について調査をすれば直ちにほぼ三倍のそういう増が期待できるかどうかという問題になりますと、先ほどちょっと直税部長が申しましたように、大きなものは、局所管法人につきましては約二四、五%の割合まで調査を行っております。そういういろいろの問題がございますものですから、三倍の調査をやれば直ちに三倍だけ増収ということは非常にむずかしいのではないかと思っております。第一点。
 それからもう一点は、是否認の中に完全な計上漏れの場合と、それから翌期認容という期間損益の問題と二つございますので、必ずしも例年通じてそういうふうな形になるかどうか、これは別の問題かとも思っております。
 以上であります。
#203
○田中(昭)委員 言いわけをするなら徹底的に言いわけをしなければだめですよ、中途半端では。結局、それだけの脱税がないということじゃない、調べが足らないということだ。ですから、それは必ずしも九千億あるか一兆円あるかわかりませんよ。それから、いま答えておる次長さんでも自分が全部調べたわけじゃないのです。あなたは調べた者の報告を受けていま言っているだけだ。そういうことでは私に対しての言いわけにはなりません。
 それで、もう少し脱税について申し上げますと、脱税を専門に調べておられます学者の先生がいらっしゃいますが、その方は、歳入予算額の三%ぐらいあるだろう。歳入の三%と言えば、本年度でいっても一兆二、三千億はある。そういうことを専門に調べて発表しておられる学者もおられます。
 それから、私は最近のいろいろな疑獄事件等で思いますけれども、これは大蔵省でも一遍問題になったと思いますが、会社の使途不明金、これにはもう少し重課した方がいいと思うのです。細かいことは省きますが、一億円以上の大企業を全部調べれば大体千四百億ぐらいあるという数字が国税庁の調べた数字で出ております。ですから、これに重課していけば一千億ぐらい取れるだろうという数字も出てきますが、これを五年間追徴すれば五千億。
 それから毎年滞納がございますね。法人企業で一番大きい滞納と個人で一番大きい滞納は幾らですか、聞かしてください。
#204
○田中(哲)政府委員 滞納は、税額で申し上げますと、十二月末現在でございますが、一億円以上のものが三百五人おるわけでございます。
#205
○田中(昭)委員 まあいいでしょう。質問を通告しておってもちゃんとあれもしないし、質問するとようわからぬというようなことでは困りますね。専門家だからそっちは情報はいっぱい持っておるんだから。こっちは少ない情報の中で言っておる。まあいいでしょう。
 それで、滞納金なんかというのは、悪いことをした上に税金を納めないのだから、全部取った方がいいですよ。全部取らなければいけません。四千億ぐらいあります。そうしますと、これだけでおおよそ二兆円ですよ。ですから、政務次官もまた大臣になったらあれですが、よくこういうこともある。あなたは、脱税がなかったら税金はもう少し取れると言うのだから、その取れるものは、いま私の乏しい資料でもi確実な国税庁の調査によってやったものでもそれだけある。それは国民も当然期待するものだと思いますよ。この世論調査にあらわれているとおりです。ですから、ひとつとどめておいていただきたいと思います。
 そこで、これからが問題なのです。私は、国民を代表して、いわゆる不明朗な黒い金、ブラックマネーといいますか、アメリカ、ヨーロッパ等でも地下経済というのが相当あるらしいのですが、こういうものにまで課税するような方向でいかなければいけない、こういうふうに思うのです。そこで、これは与党の先生方には大変耳にさわることかと思いますが、金権体質と言われるのはやはり政府・与党です。総裁選挙、いろいろなことが言われました。また選挙における汚い莫大な資金、それからまた、いろいろな政府の事業が行われて海外にまで行った金が逆流してくるといったような資金、小さく言えば、ばくち等の金も黒い金と言われるでしょう。そういうものがまず挙げられなければならない。こういうものに、いまのうちにきちっと歯どめをとっておかないと、国民総生産の二割も三割も地下経済で運営されるようなことになると、これは大変なことになるということでございます。そのほかいろいろ暴力団の不法所得、総会屋等もありましょう。それから、いまはやりのいろいろな、入学に際して親が、子供が反対していやがっているのに裏口入学の資金を使うとか、こういう不正な寄付金。次は、やはり不法利得、黒い金ですね。私は、こういうものをいまのうちにきちっと手だてをしておかなければいかぬと思いますが、このことについての御見解はいかがですか。
#206
○伊豫田政府委員 言われているブラックマネーその他につきまして、わかるところとわからないところとございますけれども……(田中(昭)委員「わかるかもしれない」と呼ぶ)恐縮でございます。私として理解できるところと理解を超えるところとございますが、いずれにしても、個人所得税及び法人税につきましては、所得のある限り課税をするということでわれわれとしては全力を尽くしております。
#207
○小泉(純)政府委員 当然、適正な納税をしている人のためにも、そういう違法、不法な脱税といいますか、いま言われたブラックマネーに対しまして、そういう行為が行われないような防止措置というのはこれからも検討していかなければならないというふうに考えております。
#208
○田中(昭)委員 政府は、国民の税金で動かされておる以上は、その方向はきちっとしておかなければいけない。断固としてその方向でやりますと御回答いただきます。
#209
○小泉(純)政府委員 不正に対しては断固たる措置をとる、これは当然の責務だと思います。
#210
○伊豫田政府委員 ただいま政務次官のお答えになったのと全く同じでございます。
#211
○田中(昭)委員 問題が脱税になりましたから、そこでちょっとついでに聞いておきますが、いまはやりの公費天国で空出張とか空超勤とか出ますね。これは国税庁はきちっとやっておるでしょうね、総括的なあれだけれどもどうですか。
#212
○矢島政府委員 出張の事実とか超過勤務の事実がないにもかかわらず使用者から出張旅費とか超過勤務手当として金銭が支給されておる場合につきましては、そういう名称とか支出方法に関係なく、返還されないのであれば、所得税法上支給を受けた個人の給与に当たるというふうに解されますので、所得税の源泉徴収が必要ということになります。一般論として申し上げますと、昨年来空超勤といったようなものがいろいろ出ておりましたが、これにつきましては、使用者におきまして本来の給与に加算して所得税の源泉徴収を行っているのが通常でございます。ただ、空出張旅費につきましては課税漏れとなっているケースも十分考えられますので、そういう課税漏れが想定されるような場合には、その実態を把握いたしまして、確実にその是正処理を行うようにしておるところでございます。
#213
○田中(昭)委員 さあ、どうかな。これは急にはいかぬことでしょうけれども、やはりよほど慎重に対処しないと、いまの答弁でいけば源泉徴収義務者、たとえは悪いけれども、税金を集めなければならない税務署がそういうことがあったならば、その機関の長、税務署長がその課税漏れをしておった源泉徴収所得税を納めなければならない、大体そういうことを説明されたわけです。いいですか。空出張なんかやっておって、それでその空出張に対する源泉徴収所得税の納税義務は税務署長にある。税務署長はその金はどこから持ってくるかという問題がある、まさか予算でそういうものはつけてないと思うのですよ。そうすると、それは後で各人から取るとは言うたものの、その課税漏れになっておる源泉徴収所得税を税務署長は国民の税金で納めなければならない。自分のポケットマネーで納めるわけじゃないでしょう。
 そこで、いま空出張と空超勤のことを区別なくして言われたから、強いて私はここに、最近報道されておる中から――まあ、空超勤というのは案外そういう正式な税法上の手続をしている、こういうふうに善意に見ます、中には漏れておるのがあるかもしれませんけれども。問題は空出張です。空出張も会議等に使ったから、個人に渡っていないからそれでいいとか悪いとか、その辺も問題でしょう。公文書偽造なんとか予算委員会で言われた。これはわれわれの時代から考えれば本当に何と言っていいか、こういうことが問題になること自体、さきの委員も質問していましたけれども、やはりもう少し考えなければならないと思います。きょうはここで空出張だけについて申し上げておきます。事実はまだ多いかもしれませんよ。内容は省きますが、「総理府 観光出張」でやみ。防衛庁はもちろん空出張はありますね。それから「環境庁 カラ出張」「外務省 接待予算の水増し請求 海外へのカラ出張」「大蔵省 カラ出張で裏金づくり」これは先ほど出ておったような問題でしょうね。「主税局員の「ただ旅行」 税務署のカラ出張 税務署の調査旅費の均等配分」これはあるかもわからぬな。私も過去におりましたから、やっぱりあるでしょう。それから「文部省 カラ出張で裏金づくり 大学教官のカラ出張 高エネルギー物理学研究所のカラ出張」「厚生省 カラ出張 社会保険庁のカラ出張」農水省、通産省と、これはずっと言えば切りがないです。そのほかに、今度は公団ですね。有名な鉄建公団、国鉄、それから地方自治体、東京都、その東京都も何々局、何々局、こう出ていますね。これは各地方自治団体でもずらっと出ていますが、こういうものは昨年いろいろああいうように問題になって、お役所だけがいじめられるというような感覚じゃいかぬと思う。そうじゃなくて、やはりこういうものについて税金の面はどう取り組んでいくかということは考えなければならない。民間の納税者というのは、そんな税務署の調査をされたら、本当に調査された方は死んでしまうようなことがあるのですよ。そういう特別な権限を持って調査をし、厳正を期しておる官庁側がいま指摘されるようなことじゃ私はいかぬと思う。これをいまの段階でどの程度やっているのか、今後どうしようと思っているのか、わかればお答え願いたいと思います。
#214
○矢島政府委員 先生御指摘のように、いろいろな新聞紙上で報道されていることは承知しておりますが、最近いろいろな官公庁とかあるいは公社、公団におきます空超勤とか空出張、あるいは鉄建公団も含めましていろいろな問題が出ております経緯にかんがみまして、私どもといたしましても、今後は官公庁に対する指導というものを積極的に行うという方針を打ち出しております。
 具体的には、官公庁とか公団、公社といったようなものを対象といたしまして集合指導をやるといったような方向とともに、自己監査を行わせるといったようなこと、あるいは必要に応じまして臨戸指導とかあるいは源泉単独調査を行うというようなことによって、調査あるいは指導を充実していくという方向を打ち出しておるわけでございます。もうすでに一部の地方公共団体等につきましては調査とか指導を行いまして、そういうものの是正を行ったというふうに聞いておるところでございます。
#215
○田中(昭)委員 どうもはっきりしませんけれども、それじゃもう一つこの世論調査の内容に戻りまして、世論調査の内容を見てみますと、税金が高いとか安いとか、これに回答したものが、これまた政府にとっては大変痛い話ですが、残念ながら高いと答えた人がやはり大半なんですね。これは政務次官、資料持っておりますか。見てください。――それを見たってわからぬな。
 それじゃ、おおよその話でいきましょう。大体高いと答えた人が、ここに数字が出ているのは五八%ですけれども、これは税金のことが何かよくわからない、高いか安いかわからないという人を含めるとすれば、そういう結果になる。そのわからない人を除けば六七%ぐらいになる。約七〇%、六〇%から七〇%近い人が高いと言っているのです。
 私はなぜそれを問題にするかといいますと、実は税金に関する世論調査を四十六年の分をとりますと、四十六年にやはり調査したときには、ここでは重いとか低いとかということになっておりますが、いわゆる重いということは高いということに置きかえて、低いということは安いということに置きかえれば、大体八年前、四十六年の調査のときよりも高いと答えた人がぐっとふえておる。五〇対六七ぐらいになっておるのです。それで、低いと言った人が今度逆に減っているのです。これは余り細かい数字を言ってもあれですから、感じとしてあなたがわかってもらえばいいと思うのです。ですから、問題は、私は最初にこの世論調査を今後どうするかということを聞いたのは、この世論調査の目的には、言葉はこういうふうに書いてあるけれども、国民がこの世論調査によって、せっかく回答した八年前に重いと答えた人が大体五〇%もおったのが、八年後の五十四年八月には七〇%近くまでもなっておる。この世論調査の事実とここに世論調査をどうするか、今後の税務の執行と施策に参考にすると言うけれども、これは私は逆ではないかというふうに思うのですが、この点はどうでしょうか。
#216
○小泉(純)政府委員 御指摘のように、税金は高いと思っている方が全体の六割近い。逆に安いという人は一%。どの時代でも税金は安ければ安いほどいいという気持ちは私は変わらないと思います。
 ただ、もう一つ注目しなければならない調査が、税金に対する考え方ということで、理屈はともかく、税金は国民の義務として当然納めるべきもの、そう思うと答えた者が何と九〇%以上いる。四十八年に比べてみると、四十八年は三三.八%、四十六年が四九・七%、ふえている。こういうことを考えても、税金は確かに高いんだけれども、半面国恥の義務として納めなければならない。それだけ政治に対して関心を持ってもらう、政府の支出に対して関心を持ってもらう、そういうことから納得のいく施策をする責任というもの、政治の責任というものはますます多くなってきた。ですから、いま言われたようないろいろな不正問題に対しまして、こういうことが政治の不信につながるということを一番恐れる者の一人として、より一層国民の理解を深めるために不正等を防止していかなければならない、同時に、もっとわかりやすく税に対する理解を求める努力も当然していかなければならないというふうに考えております。
#217
○田中(昭)委員 政務次官、確かにあなたの言っていることも私もわからぬわけではないが、ただ、いま言葉としてそういうふうに言うと、ちょっと次元が違う。国民が納税意識をりっぱなものを持っているということと脱税云々とか、高いとかいうことは別の問題です。納税意識を持っておるからこそ、なおさらそういう税金が高いという人がふえないようにしなければいけない。そうでしょう。そこがいわゆるこういう世論調査を、税の執行とか――それは一概にきちっとはならぬと思いますよ。しかし、八年前の、減税をどんどんやっておるときよりもいまは余り減税もないのにそういうふうに国民が思うということは、一つの感覚として持っておかなければいかぬというふうに私は言いたいわけです。
 そこで、よく政府もいままでやってきたことですが、確かに税金が財政再建のためには大変多く入ってきてもらわなければ困るでしょう。困るからといって増税を先に出すから悪いのですよ。逆に減税をどんどんやればいいんです。減税をやると増税しなければならない環境が出てくるから、そこで増税と、こうなる。よくいままでおたくの親分あたりがむちとあめという使い分けをしたじゃないですか。ちょっと内容が違うけれども、自民党はいつもやってきたことです。減税をどんどんやれば、所得税なんか減税をやっても大したことないんだから、やれば増税しなければならない環境が出てくる。発想を変えてもらわなければいかぬな。その発想転換はどうですか。
#218
○小泉(純)政府委員 政治家として減税というのはだれでもしたいと思っているのです。ところが、石油ショック以来こういう低成長になってきて、やりたくてもやれない実情。そこで、いま政府が非常に苦慮しているわけであって、できれば減税をしたいという気持ちは持っているわけですが、将来のことを考え、いまや財政再建に向かわなければならない大事な時期である。特にインフレという国民最大の敵というものをどうしても阻止しなければならない、そういうことを考えまして、やりたくともできない、そこの理解を求めるというのがいま必要なんじゃないかというふうに考えております。
#219
○田中(昭)委員 ちょっと議論が発展しまして、もう一遍世論調査に戻って、先ほどあなたが思ったように、脱税云々という問題です。それがはっきりしたら、まだ安くなるだろう。この世論調査は、こういう国民の際立った一つの調査結果であると思いますよ。そのほかにもいろいろあるのですよ。問九のところなんかには「まだまだあるはずなのに、税務当局はなまぬるい」、一生懸命やった国税庁にはちょっときつい言葉ですけれども、しかしこういう結果が出ている。これが一番多いのです。「腹が立つ」なんというのは、感情論ですからね。これを見てくださいよ。一番最後のところに、問九の中に、脱税ということで一番パーセントが多いのは「腹が立つ」ということです。これは感情論です。これを除けば、その次に多いのは、まだまだ「なまぬるい」。「よくやった」というのはたった一割にも満たない。これは、宿命的なものでしょうね。ですから、強くは言えませんけれども、問題は、手ぬるいと言ったその内容を分析しますと、東京が一番悪い。大都会が、取れないという言葉を使いたくないけれども、こういう考え方を持っておるということですね。
 そこで、こういう国民の期待感にこたえるためにも、やはり税に対する日ごろの不平、不公平感、重税感というものを取り除いて、そして速やかな対応と効果ある施策を国民の前に明らかにすべきであろう、私はこういうふうに思います。これをひとつ主税局なり政務次官なりお答えをいただきたいと思う。
#220
○小泉(純)政府委員 これは非常にむずかしい問題だと思うのです。「なまぬるい」という調査結果が多いというのが出ておりますけれども、税務調査の入った方々の陳情というのは、ほとんどが手厳し過ぎる。これに対して、ある面においては、税務調査の面においてその人の人権なり立場というものを考えなければいけない。本人がどのように精神的に受けとめるか。ある人によっては、むしろ警察官より税務署の方がおっかないという人がいるぐらいですから、この点は十分注意しながら、できるだけ国民の納得を得るような正当な調査を行わなければいけない。その辺をわきまえながら、当然正常な納税意識の高揚のために、いままでの調査を参考にしながら格段の努力をしていきたい、そういうふうに思っております。
#221
○伊豫田政府委員 お答えいたします。
 いま政務次官から御答弁申し上げましたが、われわれ国税庁といたしましても、現在の手厳しいという問題、あるいは甘過ぎる、そういう批判を全部踏まえまして、やはり申告納税の本質に徹した納税意識、こういうものを納税者に対する指導あるいは広報等によりましてできるだけ徹底させてまいると同時に、資料の収集あるいは調査体制の整備等によりまして、悪質な脱税を行っていると認められる者については、積極的に調査を行っていく、こういうことによって課税の公平を図ってまいりたい、このように考えております。
#222
○田中(昭)委員 いまの答弁ではちょっと確信がないようなことですが、これは結論ですから、重税感とか不公平感というものはやはり取り除く、その片方で、国民に税の執行ということで効果のある具体策をやはり示さなければいけない、これはひとつ永遠の課題として取り組んでいかなければならない問題でありますから、強く要望しておきます。
 そこで、もう一問、二問くらいになりますが、こういう世論調査の結果を見てみますと、先ほど政務次官も言われましたが、税に対する国民の関心は大変高くなっている、そして、憲法に規定する納税義務というものをきちっとわきまえておる、それは先ほどあなたが言った数字です。そういう納税義務は堅固なものがあります。その反面、何遍も言うようですが、税の不信、不満が増大をしておるというのがここに出てくるわけです。しかし、この責任はまず政府、行政にある。ですから、まず行政がこの不信、不満を解消しなければならない。それについて、幾つもあろうけれども、いろいろくどくど言わぬで、ひとつこれだけはやりますということがあれば述べてもらいますし、政務次官からはその決意のほどをひとつ聞かせてもらいたい。
#223
○小泉(純)政府委員 当然、国民の税に対する不公平感をなくすためにより適正な税制のあり方を検討していくのは、これからも大切でありますし、特にこうやって財政逼迫の折、どういう点について国民が不公平感を持っているか、また、公平というものの尺度は社会の推移によって違ってくると思いますから、その公平の尺度という大方の合意はどこにあるか、物差しというのはどこにあるかということを常に配慮しながら、より適切な納税を期待できるような環境を政治がそして政府が今後とも積極的に努力していかなければいけない、そう考えております。
#224
○高橋(元)政府委員 税制を担当しております者として、いわゆる不公平税制と言われておりますものの中で政策税制と申しますか、所得のいわばエロージョンでございますが、それをできるだけ減らしていくということでずいぶん努力してまいったつもりでございますが、これから先も、時々の経済の情勢に応じてこれの合理化に努めてまいりたいと思います。
 それと同時に、先ほどもほかの委員から御質問があったことでございますが、法人なり個人の所得を組み立てておりますその組み立てのやり方、これがいわゆる法人税の基本的仕組みと言ったりしておるものでございますが、そういうものにつきましても非常にわかりにくい、それがまた不信の原因になっておるという面も多々あろうかと存じますので、今度税制調査会で御審議をいただく過程を通じて、こういう税の仕組みの中で国民の御理解がしやすいような解明というものにも努力をしていただきたいと思っております。
#225
○田中(昭)委員 私の求めておるものは、まだもう少し具体的に求めたわけでございますが、一応政務次官の決意表明を多として、また主税局も、いままで以上に税制の改正については正しく納税者にこたえられるようにやっていただくと同時に、いまから私が申し上げるようなこともひとつ約束いただければ、こう思います。ですから、いま政府が考えていることの成果といいますか、その具体的なものを納税者、国民が深くわかるように理解と認識を与えなければいけない。先ほど、このことを税務署に周知徹底すると言うけれども、税務署だけに周知徹底するのではなくて、国民にもよく理解され、認識され、そしてそういうものがなければ国民の合意は求められない、いままで政府が考えたような大衆課税、弱い者いじめの一般消費税等はこういうことがなければ実施すべきでない、私はこういうことを強く申し上げたいと思うわけでございます。
 言わんとするところが足らないところがあったかと思いますが、最後に、その大衆課税は、こういうことがきちっと国民の合意がなければやりませんという御決意をひとつお聞きしたいと思います。
#226
○小泉(純)政府委員 税に対する国民の関心が非常に高まっている。しかも選挙の結果を踏まえて、一般消費税はもとより、できるだけ増税を避けて今回組んだのが五十五年度予算であります。ですから、今後ともできるだけ歳出の削減に努めて、できるだけ増税しないような努力というものは、政党として、また政治家として、また政府として、私はやっていかなければならないことだと思っています。
 ただ、ここで将来に向かって、あれはやらない、これはやる、これはやらないということをはっきりと断定できる状況かどうか。実情を見ながら、税というものはあくまでも国民の理解と納得を求めて行われるものだということを強く念頭に置きながら、今後の情勢を見て、税に対する国民の理解を深めるような努力をしていきたい、そういうように考えております。
#227
○田中(昭)委員 大変時間が短うございましたけれども、誠意ある答弁なり、また、いま私が言ったことの中でいろいろな問題点もあろうかと思いますが、皆さんの御答弁に感謝しながら、きょうの私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#228
○増岡委員長 正森成二君。
#229
○正森委員 所得税法の一つの大きな眼目は、利子配当分離課税を五十九年から総合課税にするということでございますが、その一つの手段として、グリーンカード制度の導入ということになっておるところでございます。これが非常に国民の関心を呼んでおると同時に、一方では危惧の念を抱いておられる方が多いわけであります。そこで、これまでに二、三の同僚委員が詳細に御質問になりましたので、できる限り重複しないように質問したいとは思いますけれども、話の順序で重複してくる点も出てまいるかと思いますので、答弁者側としても大変だろうと思いますが、御容赦を願いたいと思います。
 それでは、順序を追って伺っていきたいと思いますが、国税庁では、マル優の限度オーバー貯蓄というのはどの程度の件数で、かつ金額はどういうぐあいになっていると見ておりますか。また、現行の本人確認や名寄せの制度はどういうぐあいになっておりますか、簡潔に、念のため答えてください。
#230
○伊豫田政府委員 具体的な件数につきましては、ただいま数字を出しておりますが、全体のチェックをやるには大変大きな手間がかかります。したがいまして、若干の、スモールサンプリングというほどではございませんけれども、一部検討、チェックを行いますことによって、全般に対する波及効果を求めつつ現在の執行を行っているというのが実情でございます。
#231
○正森委員 伊豫田次長から非常に抽象的な答えが返ってきたのですが、ここに全国税労働組合がつくりました「税金酷書」という書物があります。また、私が個人的に伺ったところでも、国税庁でサンプルを選んで調査したところ、一七%ぐらいがどうも超過しておるとかいうような数字が出たところがあるというように承知しておりますが、いまの答弁でも明らかなように、限度オーバーの貯蓄がどの程度の件数、金額になっているかということを直ちには答弁できないようでありますが、まさにそれこそ、結局総合課税をする場合に必要となる対象ではないかというように思っているわけであります。
 そこで、税務署に提出される非課税貯蓄申告書というのは、税調の資料で見ますと約一億七千万件というように数字を見ているわけですが、正確には一億六千九百九十四万件のようでありますが、名寄せの作業をせずに、税務署では全く放置されていると聞いているわけですが、それはそのとおりですか。
#232
○伊豫田政府委員 ただいまの御質問は、非課税貯蓄申告書等の枚数並びにそれの処理に関してだと思います。数字につきましては、ただいまおっしゃいましたように、銀行その他の金融機関取り扱い分が一億六千四百三十四万件でございます。それから証券会社扱い分が五百六十万口でございまして、合計いたしまして、ただいま先生がおっしゃったような数字になっております。
 それから、非課税貯蓄申告書等につきましては、完全にやっていないということでもございませんで、これはただいま申しましたように、特定の署を選びまして、その署につきまして一定の区域を限る等の方法によりまして悉皆的に調査を行っている事例がございます。
#233
○正森委員 これも他の議員が恐らくお聞きになったことであったと思いますが、念のために伺いますが、グリーンカードシステムでは、経常年度でどれぐらいの費用がかかり、実施までの開発及び準備のための費用は幾らだと見ておりますか。
#234
○伊豫田政府委員 実は何遍も申し上げておるように、この問題につきましては、制度の詰めと並行して数字を固めてまいるべき性格のものと考えておりますが、先般当委員会で御報告申し上げましたように、おおむね経常年度で現在の貨幣価値において二百億前後、これは本当に約といいますか、めどと御承知願いたい、そういう数字を申し上げております。
 それから、そこに至るまでの期間についてどの程度のということにつきましては、これはいろいろ問題がございまして、必ずしも具体的に計数をただいまの段階で申し上げられる段階にないと思いますが、決して、その経常年度の計数に比べまして数倍に及ぶというふうな性格のもの、あるいはそういうけたのものではない、これぐらいは申し上げられることができるのではないかと思っております。
#235
○正森委員 五十三年九月に税調が資料として出しましたものによりますと、全国民付番制度というのでやれば、開発費用が百億円で、初年度が六百五十ないし千五百億円、経常年度は二百億ないし三百五十億、こうなっております。それから有所得者付番制度の場合には、開発費用が二十ないし二十五億、初年度百五十ないし三百五十億、経常年度百五十ないし二百五十億、こういうようになっているわけですね。そうすると、いまの伊豫田次長の答弁では、全国民付番制度よりはやや有所得者付番制度に近い開発費用なり経常年度の費用なり、あるいは初年度の費用が必要であると見ておる、こう理解してもいいのですか。あるいは、まだそうとは言い切れないのですか。
#236
○伊豫田政府委員 実は、当時考えておりました有所得者付番制度と申しますのは、納税申告書を出す者、あるいは支払い調書を発する者、こういう納税者、発する者といいますか、本人についての支払い調書のある者、こういう納税者につきまして付番をするということでございまして、今度のグリーンカードの趣旨としております少額貯蓄を行っている者についての付番とは全く食い違う話でございますので、この問題は一応外してお考え願えれば、このように考えております。
#237
○正森委員 いまの答弁は非常に持って回った言い方ですが、有所得者付番制度というのは制度が違うからこれは除外して考えたらいい、だから、どちらかと言えば全国民付番制度というのは数が一億一千万になる、今度のグリーンカードの場合にはいままでの答弁ではおおむね六千万ということだから、全国民付番制度よりは安く上がると思うが、比較するとすれば、全国民付番制度に比較されるべき開発費用なり経常費用が要る、こういうように答えられたんだと受け取っていいわけですか。
#238
○伊豫田政府委員 必ずしも比較していただくことが適当かどうかについては私もこの席でお答え申しかねますけれども、もし比較するとすれば、そちらの方だという趣旨とお受けとめ願いたいと思います。
#239
○正森委員 グリーンカード制度実施による増収見込み額はどれぐらいでございますか。これは年度によって違うから大変むずかしいことだと思いますが、ある年度をとって一定の前提を置いて答えてください。
#240
○高橋(元)政府委員 現在、租税特別措置による減収額という資料で御提出をいたしておりますが、利子配当の分離課税その他等で減収になっておりますのは六百億円ございます。そのほかに分離を選択いたしますと住民税が除外になりますので、その分が地方税として九百億円ございます。なお、そのほかに先ほどお尋ねのございましたマル優の限度枠をオーバーしているというのが実際あるのかもしれません。そういうものは当然課税として税収に上がってくると思います。
#241
○正森委員 いまの答弁は、確実なものとして国税段階で入ってくるのは最低六百億であるという答弁だったと思います。
 そこで、ここにいま言いました「税金酷書」というのがあるのですが、その百八十三ページには、「具体的に調べてみると、利子非課税制度の利用口数は、銀行関係で一億六二一九万口、郵便貯金二億八二九五万口、計四億四五一四万口になります。かりに郵便貯金分まで名寄せに含めるとしても、年間に名寄せに必要とする人員は、二〇〇〇人以下でこれに要する人件費は五〇億円をこえることはないでしょう。」云々と、こう書いてあるのですね。私はもちろん税務行政については全くの素人でありますから、こういう説が正しいかどうかということはわかりませんが、少なくも税務に従事している労働組合が書いたものであるから、一定の根拠を持っておるだろうというように思われるわけであります。
 そうしますと、はるかに開発費用や経常費用が――もちろん同じように事務がカバーできるというようには思っておりませんけれども、できるものについてなぜそんなに高い開発費用なりあるいは経常年度の費用を投入してグリーンカードを実施するのであろうかという疑問が起こってくるわけです。といいますのは、経常年度を伊豫田次長は二百億と言われました。そして主税局長は国税では最小限度六百億を下らないということになりますと、費用対効果の点を考えると、他の議員に対する答弁では大体国税の費用対効果は百円の税収を得るのに一円五十銭であるというようなことを言われたのが本当であるとするならば、今度の制度によって総合課税をとることによって得られる利益とそのために費やされるコンピューター導入等々の費用との費用対効果というのは、百円の税収を得るのにおおむね三十円かかるという計算にならざるを得ないのですね。もちろん、主税局長が言われたように、地方税の問題とかあるいは非課税貯蓄で逃げ込んでいるところとかプラスアルファはあると思いますが、これは少なくともけたが違うんじゃないかという気がするわけです。その点について国税庁はどういうように考えているんですか。
#242
○伊豫田政府委員 ただいま委員のおっしゃいました五十億円の算出根拠等については承知をいたしておりませんが、私が申し上げられることは、今度の制度を導入いたしませんと、名寄せはできても確認が実際問題としてできないという問題がございます。したがいまして、架空名義等の混入した支払い調書等につきまして、いかに名寄せを行いましても結果はあらわれてまいりませんので、その点については、今度のグリーンカード制度がどうしても必要だということは御理解賜りたいと思っております。第一点でございます。
 それから第二点の徴税費の問題でございますが、五十四年度、先生がおっしゃいました一円五十銭というのはちょっと一、二年古いかとも思いますが、毎年非常に変動しておりますが、私の記憶では一円四十一銭が今度の予算に基づきましてわれわれが一応計算した金額でございます。一円四十一銭が二百億上積みをいたしますと、大体一円五十銭になる。しかし、一円五十銭そのものは徴税費全体として見るときには必ずしも高い数字ではないと思いますが、ただいま委員のおっしゃいますように、その限界的な部分をとらえますと、百円の収入に対して二十円あるいは三十円とおっしゃいましたが、私ちょっと暗算をしておりませんが、恐らくそのとおりだと思います。しかし、この問題は単に一定の徴税費の範囲内においてさらに財政収入をふやすという問題だけではなく、納税者間における負担の公平、あるいは現実の問題として所得税の累進構造が緩和されるようなかっこうになっている、こういう問題を本来の杉に総合課税に改めるという全く別途の見地から要請されている、そういう面もある、このように思っております。
#243
○正森委員 いま伊豫田次長がそういう面もあると言うて、議事録には残らないのですが、非常にアクセントを強めたわけですね。そのところに注目したいと思うのです。つまり、総合課税に移ることによって得る税収の額だけから見れば明らかに通常の徴税費用よりは高くつくわけですね。これは伊豫田次長もお認めになりました。十倍以上に高くつくということは非常にはっきりしているのです。したがって、それ以外の税の負担の公平とかあるいは不正な手段に逃げ込まないとか、国民に対する一定の税に対する信頼感を与えるとか、それ以外のプラスアルファの効果を加味する場合に、全体としての徴税費から見れば百円当たり一円五十銭以内におさまるから、そう高いとは言えないのではないかということで正当化されるということになるんだろうと思うのですね。
 ただ、しかしそうとばかり言っておれるんだろうか。伊豫田次長あるいは主税局長を初めとする国の台所を預かる人は、それだけの抽象的な効果だけでこれだけの多額の費用を投入されるのであろうか。それ以外にもっと実際的な効果をねらっておられるのではなかろうかという気がしてならないわけであります。
 そういう問題も含めてこれから残された時間聞いてまいりたい、こう思うのです。
 そこで、その問題を聞く前に国税庁の方に伺いたいんですが、グリーンカード制度をやらなければ、名寄せはできても、たしか私の聞き方が間違っていなければ、本人確認ができないとおっしゃいましたか。というように言われましたが、しかし、総合課税に引っかかってくる人は全部で千四百万円非課税の貯蓄やら公債を買えるわけですね。その中に入っている人の中で総合課税をしたら税金を納めなければならぬという人もあるでしょうけれども、たとえば株を何百万株持っておるとか、預金を何億円持っておるとかいうような人は、わざわざこれで三百万円、こっちで五百万円というようなグリーンカードを使ってそのほかにまだあと十億円預金がありましたというようなことで預金をするのでなしに、そんなものどっちにあっても大したことがないというので、初めからグリーンカードなんか使わないでぽんと預金をしたり株を興ったりなさる方だって世の中には多数あると思うのですね。したがって、本当に総合課税の実を上げようと思えば、実はグリーンカードで把握される大部分の方は、総合課税をしようにも特例制度によって課税できない人であって、むしろそれ以外の人をしっかりと何らかの形でつかまえる方法を考えなければ、実が上がらないのではないかという気がするわけであります。
 そこで伺いたいわけですが、一定額以上の資産家には、名前はよくわかりませんが、財産明細書というのですか、あるいは財産精算明細書というのですか、何かそういう名前があって、あとう限り国税庁に出させるようにしていると伺っているのですね。きょう午前中にもたしか同僚委員から質問があって、一定のお答えがあったと思います。それは、一定限度以上の資産家は七万七千人であるというような答弁があったやに私も伺っておりますが、その点について、財産明細書というのですか、後で正確に言ってもらいますが、それはどの範囲の納税者に対して出させており、それの把握率というのはどれくらいあるのでしょうか。
#244
○伊豫田政府委員 正確な名前は、財産債務明細書ということに規定上なっております。これは所得金額二千万円超の者のみが提出することになっているわけでございます。それから、本来提出すべき者のうち八〇%程度の者が現在提出を行っているという状況でございまして、国税庁といたしましては、さらに提出をよくするように努力を続けている状態でございます。
#245
○正森委員 いま御答弁がありましたように、二千万以上の所得のある者について提出させておる、その数字はお答えになりませんでしたが、七万七千人というように午前中たしか答弁になったと思います。そして、その八〇%を把握しておるということなんですね。そうすると、総合課税をやる場合に、最も把握しなければならない者について二〇%抜けているわけでしょう。そしてこの二〇%は、今度の制度を行ったからといって、必ずしもグリーンカードの交付を受けるとは言いがたいわけですね。あなた方が、たとえば全国民付番制度とグリーンカードと制度との最も根本的な違いは何かと言えば、全国民付番制度というものは強制的にやるのでございます、今度のは自発的に非課税にしてほしいという人だけをやるのでございますということで、非常にその違いを強調されて、だから、御理解をいただきたい、こう言っているわけでしょう。そうすると、いまの答弁で言うと、財産債務明細書を出さない二〇%の確認というのはどういうぐあいにやるのですか。
#246
○高橋(元)政府委員 預金の取引をする、または利子配当を受領する、こういう場合には、所得者は告知をすることになっております。その告知は、今度審議をお願いしております法案では、グリーンカードを提示なさって交付番号を確認をしてもらって、交付番号を預金証書ないし証券類に書き込むということでもよろしいわけでございますし、もしグリーンカードをお持ちでない方であれば、恐らく戸籍謄抄本、住民票、それから法人の登記簿等、御本人であることがわかるような書類をもって御本人であることを示して告知をしていただくということになると思います。
#247
○正森委員 いま主税局長がお答えになりましたように、すべてがグリーンカードを利用することにはなっていないわけですね。住民票でもいいと言う。その住民票が果たして自分のものであるかどうかというと、これは非常に多額の収入のある者が、おれがやれば総合課税で高くなるから、ちょいと名前を貸してくれぬかということを仮にしたとしたら、あるいはそれは罰則で処罰はすることができるかもしれないけれども、グリーンカードのように一元的には管理はできないということにやはり依然としてなるのではないかというように思うのですね。
 私が非常に危惧を持ちますのは、このグリーンカード制度でばっちりと管理をされる大部分、恐らくは九〇%以上というのが総合課税に縁のない人であって、むしろその一〇%ぐらいの人及びグリーンカードをそもそも申告してこない人をいかに把握するかというところに、利子配当分離課税をやめて総合課税をやった場合にすべての税額を把握できるということの根本問題があると思うのです。それはわれわれの方でいろいろ研究をしてみましても、そういうことになってくると思うわけでございます。
 そこで伺いたいと思うのですが、いま支払い調書、その数は大体どのぐらいになっておりますか。私の承知しているのでは約千二百万枚となっておりますが、それでよろしいか。
#248
○伊豫田政府委員 おっしゃるとおり、利子が約千万枚、配当が二百万枚と承知しております。
#249
○正森委員 これが総合課税に移行しますと、いままで源泉分離に行っていたのが全部入ってきますから、三千二百万枚ぐらいにふえるのではないかというように聞いているのですが、そのとおりですか。
#250
○高橋(元)政府委員 前にも御答弁申し上げました源泉分離でどのぐらいの所得者数になるかということは、推計でございますが、推計をいたしました結果、三千二百万枚ということをお答えしたことはございます。
#251
○正森委員 そこで、これは私が全国税の労働組合の諸君に直接会って聞いたのですが、この三千二百万枚を、利子配当分離の源泉の徴収を、いま三五%ですか、これを五〇%というように仮に上げるとすれば、これは相当数減ってくる、恐らくその数は二〇%ぐらい、約六百万枚強ぐらいになるのではないかという推計をしているわけであります。そうだとすれば、そういうようにしてこの六百万枚について一定の人数を動員して名寄せと確認を行うということは、コンピューターを導入しなくても可能なことであり、しかも、そのことによって、総合課税をした場合に税金を納めるべき人々を最も把握することができるようになるのではないかというような気もするのですが、いかがでしょう。
#252
○高橋(元)政府委員 これは一昨年、昨年の税制調査会の御審議の模様から申し上げるわけでございますけれども、総合課税ということを理論的にまた制度的に完全にやる方法というのは二つしかないと思うのです。
 一つは、七五%という所得税の最高税率で源泉徴収をしてしまって、そして自己名寄せをしていただいて、自分でこれは私の預金です、払い過ぎになっていますから還付を請求します、そういう申告をしていただくということが一つでございます。この場合には名義の問題、名寄せの問題、全部納税者が御自分でなさることになります。
 もう一つは、納税者番号制度だと思います。これは強制付番でございますから、すべての預金取引について納税者番号の行使を必要とするわけでございます。
 ただし、前の方法がなぜいけないかといいますと、これは一億人おいでになるとすれば、恐らく九千九百何万人という方が還付の請求においでになる。現在、医療費の還付その他で年間四百万人が三月十五日前後になりますと税務署においでになりますので、税務署は、そういうことは言っておられないわけですけれども、非常に窓口がふくそうして納税者の方々に御迷惑をおかけする。そこへまた源泉徴収税額の還付という形で一億人近い方がおいでになるということを考えますと、税務の混乱はこれに増したものはない。したがって、現実的にはこれは無理であろうということになります。
 そこで、源泉徴収税率、いま三五でお願いしているのを五〇にしたらどうかという御提案だと思いますけれども、これはたしか五十二年であったかと思います。違っておりましたら後ほど訂正いたしますが、分離を選択いたしました場合に、源泉徴収税率を三〇から三五に上げたわけでございます。その結果起こってまいりましたことは、源泉分離から非課税の預金、これはマル優もございますし郵貯もありましょう。それを名指しで申すのは大変気が進まないわけでございますが、そういう非課税の貯蓄へどうやら逃げられたらしいということでございます。当時の民間、それから政府、それぞれの貯蓄の統計から見ますと、明らかにそういう傾向があります。
 そこで、そういった形で、かえって三五%納税していただいたものがゼロの方へ行ってしまうということでは、これは何のために源泉徴収をかけたかわからない、そういうことから、源泉徴収税率を上げれば支払い調書が減るということになるのかもしれません。その減ったことは歳入の減少でございましょうし、税の公正を乱す結果にもなるということで、私は、そういう御提案であるとすれば、それはとり得ないことではないかと考えております。
#253
○正森委員 主税局長の三〇%から三五%に上がったときの例を引いての危惧というのは、それはそれなりに私としては理解できると思います。しかし、それだからといって、私がいま五〇%説を言った場合に直ちにそれもそうなる、これまた言いがたいものであって、私どもはなお多くの研究すべき点があるのではないかというように思っているわけであります。
 次に、別の問題に移らしていただきますが、グリーンカードをやる場合に、種々の問題が起こってくるわけであります。他の議員もお聞きになりましたが、郵貯との関係について念のために伺っておきます。
 郵政省来ていますね。郵貯の預入に当たっては、本人確認の方法は何か義務づけられているのですか。
#254
○小倉説明員 ただいまの御質問でございますが、現在郵便貯金法におきまして、預入の際に本人確認をするという明文の規定はございません。しかしながら、御案内のように、郵便貯金は、一般の郵便貯金につきましてはお一人三百万までというような預入限度額が設けられております趣旨を徹底しますためには、正しいお名前で預金をしていただくという必要がございますので、それを窓口で徹底するように努めているところでございます。
#255
○正森委員 いまの答弁でも、結局預金者側の道義的な自覚にまつということになると思うのですね。そうすると、架名、架空名義の預金というのは実際上はなかなか防ぎ得ないのではないですか。どのくらいあると見ておりますか。
#256
○小倉説明員 郵便貯金の場合、窓口で、あるいは外務員が預金者のお宅に訪問いたしまして預金を集めます際、いま申し上げましたように本人確認に努めておるわけでございます。この本人確認につきましては、たとえば郵便局側でその預金者につきまして面識がある、あるいはまた外務員がお宅を訪問することによりますので、住所氏名が明確であるというような場合を除きまして、正しい住所氏名がわかりません場合は、そういう本人確認に必要な、たとえば身分証明書でございますとか、運転免許証でございますとか、そういうような確認ができるような資料の御提示を求めまして本人確認に努めているところでございます。
 ただ、そういうことで本人確認資料の提示を求めるわけでございますが、たとえばそれを御持参でない場合がございますので、これにつきましては、その後一定期間内にそういう確認資料を持ってきていただきたいということにしておるわけでございますが、なお御持参のない場合には、たとえばあいさつ状をその方に発送する、そういたしまして返戻されてくれば若干問題があろうというようなことも、いわゆる未確認であるということが言えるわけでございます。そういうようなことで、あいさつ状を発送する等いたしまして確認に努めているところでございます。
 そういたしまして、さらに返戻されてきましたあいさつ状等につきましても、さらにたとえば集配をやっております郵便職員に聞いてみるとか、さらに重ねてあいさつ状を発送してみるとか、いろいろの方法で再調査をしておるところでございますが、なお再調査いたしましてもその後未確認.状態で残っているものも若干数ございます。これがいま申しましたように架空であるか――そういうことはわれわれないと思っておりますけれども、未確認でございますので何とも言えないわけでございますが、五十四年十二月末で、これは当委員会でも先日お答えいたしましたが、そういうあいさつ状が返戻されてまいりまして、まだそういう未確認状態で残っておるものがおおむね七千件程度あるというような状態でございます。これはいま申し上げましたように未確認ということでございまして、即架空ということにはならないと思うのでございますが、そういうような状態で現在本人確認に努めておるところでございます。
#257
○正森委員 いま非常にまじめな態度でお答えいただいたのですが、聞いておりましても、いかにも牧歌的であり、かつ江戸時代的なやり方で、グリーンカードの制度を一方でとりながら、一方は何か十手でも持って御用だ御用だと走っているような、そういうアンバランスを感じざるを得ないのです。だから、ここのところをやはりきちんと整理していく必要があるのじゃないか。今度のグリーンカード制度についてずいぶん大蔵省もお考えになったのでしょうけれども、郵貯との関係がいろいろの意味で抜け穴になっているというふうに思わざるを得ないのです。
 いろいろありますが、まとめて一つだけ聞いておきますけれども、改正法案の経過措置の第三条の二項で、五十八年十二月三十一日までに預入された郵貯については以後もなおその効力を有する、こうなっていますね。そうすると、通帳や証書へのカードの交付番号の記載は五十九年一月以降ということで、それ以前の預金についての洗いがえということは行われないことになるというように理解するのが当然ではないかというように思うわけであります。そういたしますと、これから五十八年十二月までの間に現在民間の金融機関にある限度オーバーやあるいは家族名義の非課税頭金が、郵貯の名寄せ体制の不備を見込んで移動していくということになるのではなかろうか。しかも、郵貯の定額預金というのは十年間可能でありますから、十年間その利子について課税を逃れることができるのではないか。しかも、いまお答え願ったような江戸時代の牧歌的なやり方でしか架名あるいは架空名義を確かめることができないということになれば、そういうような方法での貯金というのも可能になるのではないか。これは課税さるべき利子配当所得にとって大きな抜け道であり、グリーンカード制度がこのような非課税貯蓄への逃避を防ぐことも一つの目的として実施されようとしているのに、この抜け道を防がないということになれば、これはその意味が非常に大きく減殺されるのではないかというように考えざるを得ないわけであります。それについて郵政省側は独自に何か考えておりますか、それとも大蔵省と御相談なさっておりますか。
#258
○高橋(元)政府委員 五十九年一月一日以後は新規の預入の際に、郵便貯金も非課税の適用を受けようとしますと、カードを提示して交付番号を証書に書いていただくということでありますから、預金の商品としての性格は若干違いますけれども、民間の貯蓄と政府に対する貯蓄との間に利子課税上の取り扱いの差というものはないわけであります。それまで経過期間中に預けられた預金についてお話しのような危惧があり得るかということでございます。これは郵政省から御答弁あるべきことかとも存じますが、国の金融機関でございまして、しかも法律上一人について三百万円という預入限度が総額制限がございます。しかも疑わしい場合には本人の氏名を受け入れ郵便局としては確かめるという方法もあるわけでございまして、私は郵政省でお進めになっておられるオンラインのコンピューターシステムとか、そういうものの整備がだんだんこれから進んでいくわけでございますから、また郵政省と私どもの方の課税官庁とそれぞれ国の官庁の間でその辺は相談をし合いながら、そういう好ましくない事態が起こらないように努めてまいるべきだと思いますが、詳細は郵政省からもお答えがあると思います。
#259
○小倉説明員 郵政省といたしましても、本人確認の一段の徹底に資するために、現在御審議いただいておりますところのこのグリーンカードの制度を郵便貯金につきましても当てはめてまいるというふうに考えておるわけでございまして、この制度が実施された場合にはさらに一層の本人確認の徹底が期せる、このように考えておるところでございます。また、現在私どもでは従前の手作業によります事務処理にかえましてオンラインシステムを用いました総合的な機械化を進行中でございますが、この中でいわゆる限度額管理のための名寄せ作業等につきましてもコンピューター処理に切りかえていく等いたしましてさらに正確で迅速で、また効率的な限度額管理というものに心がけておるところでございます。
 さらにまた、いまいろいろ御指摘ございましたが、このカード制度が実施されます間におきましても、先ほど私いろいろと現在郵便局でやっております本人確認の方法等を申し上げました。銀行の方でも類似のような方法を現在とっておられるのじゃないかというふうに推測しておりますけれども、さらにそういうものの一層の厳正な運用を図りまして十分な本人確認の体制をとり、御懸念のないように努めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
#260
○正森委員 郵政省からオンラインというような近代的な言葉も出てまいりましたので、コンピューター関係についてこれからしばらく質問させていただきたいと思います。関係省庁においでいただいております。お待たせして非常に申しわけございませんでした。
 今度のカードの発行枚数は約六千万枚ということになっているわけですが、これは従来政府がコンピューターにインプットしました枚数としては非常に大きなものであろうというように思われるわけであります。これは大体納税者の何割、有所得者の何割を含むと思っておられますか、あるいは逆に多いのでしょうか。
#261
○伊豫田政府委員 この数字につきましてはいろいろ試算に試算を重ねまして行われましたものでございまして、ただいま言われましたように、一義的に納税者の何割、何々の何割というものとは考えておりません。全体として考えております。
#262
○正森委員 それでは私どもの方で見ております別の数字をまた後ほど申し上げたいと思いますが、各省庁ではそれぞれの必要からコンピューターに導入しておると思うわけであります。昭和四十五年ごろ、統一コードに基づく一元的な管理ということが言われまして、そのときに世論がいろいろ沸騰したために実施はされませんでしたが、そのときの国会における議事録等を見ておりますと、当時非常にホープとして先頭を走っておりましたのは社会保険庁のコンピューターでありまして、これを中心にしていろいろなものを入れていくというような答弁があったと思うわけであります。社会保険庁としては現在どの程度コンピューターにインプットしておりますか。
#263
○萩原説明員 現在、社会保険のデータで個人のものとして持っておりますものは年金に関する個人記録でございまして、これは厚生年金、国民年金、それから小そうございますけれども船員保険がございます。これには大きく分けまして被保険者の記録とそれから受給者の記録とございます。現在電算機で持っておりますのは、被保険者で、過去、制度の発足以来払い出しました被保険者番号、これは必ずしも一人に一つというわけではございませんが、これがコンピューターに入っておりますのが、テープのかっこうで入っておりますが、約一億三千万件、受給者記録にいたしまして厚生年金、国民年金合わせまして大体一千万人分というふうに考えております。
#264
○正森委員 警察庁に来てもらっていると思いますが、警察庁は主として運転免許証の登録であると思います。そのほかに犯歴等についてもインプットしておると思いますが、それはどのぐらいの数でどうなっておりますか。
#265
○伊藤説明員 まず運転免許の関係でございますか、免許台帳が四千百万人、それから免許不適格事由台帳、これは違反などの台帳でございますけれども、四千七百万件でございます。それから犯歴関係では約五肝万人分でございます。
#266
○正森委員 きょうは繁雑になりますので来ていただいておりませんが、そのほかに法務省が出入国管理関係で五十四年の調べでは約千五百万、運輸省が車両登録の関係で五十五年一月では約三千四百万というようにインプットしておりますし、労働省も労災及び雇用保険関係で幾つか持っております。こういう個人データがいろいろ管理されておるわけですが、その秘密といいますか、あるいはプライバシーといいますか、そういうものが保護されるということは近代的な国家にとって非常に大切であると思うのですね。そこで、こういう問題を扱うのは行政管理庁ではないかと思うのですが、報道によればOECDでもこういうプライバシーの保護についてのガイドラインが近く出るということだそうであります。外務省に聞きましたら、この近くというのがどうも年内でもどうかというような可能性もあるというようには聞いておりますが、いずれはこれを受けて国内で一定の基準をつくらなければならないというように思うわけですね。行政管理庁は昭和四十五年当時は統一コードをつくってということで非常に積極的であったわけですが、そのときに当時の記録を見ても一番欠けておりましたのは、行政上の能率、能率と、少ない費用でいかに住民に対してサービスするかというようなことばかりが議論されておって、そのことによって住民のプライバシーを侵害することはないであろうか、それを保護するためにどうすればいいであろうかというような議論がほとんどと言っていいほど欠落しておったというのが非常な欠点であったと思われるわけです。OECDでもそういうガイドラインというような考えが出てきたわけですが、行政管理庁は他の省庁とも協力しながらこれについてどういうような段階にあるのか、お聞かせ願いたいと思います。
#267
○吉村説明員 ただいま先生のお話にございましたように、OECDがガイドラインを出すという情報は従来から入っております。ただ、いつごろになるかということにつきましては、先ほどお話がございましたように目下のところ不明ということでございます。そういうことで、現在の行政機関におけるプライバシー保護についての問題でございますが、行政管理庁といたしましては、御承知のように四十五年度から個人統一コードの研究ということをやりましたけれども、その後その研究は中止しておりまして、現在では統一コードということは一切検討もしておりませんし、今後検討する予定もございません。
 また、昭和四十九年に行政監理委員会に諮問いたしまして、行政機関における電子計算機利用という面についてのプライバシー保護について諮問をいたしました。五十年に中間報告を得ております。また昭和五十一年には事務次官等会議の申し合わせ事項ということでデータ保護管理準則というものを決めまして、各省庁にこの準則に基づいて規則をつくっていただくということで推進しておりますし、またこの方針は自治省からも通達をお出しになりまして公共団体にもできるだけその線に沿ってやっていただくという方向で努力しております。その後、行政管理庁といたしましてもOECD等の動向も踏まえまして関係各省を集めます会議を開催するというようなことで、できるだけプライバシー保護を推進するという方向で努力しております。
#268
○正森委員 いま行政管理庁から御答弁になりましたが、統一コードをつくるようなそういう考えは全くないということを大前提に言われたんですが、それについては若干疑問がございますので、後でもう一遍伺わせていただきたいと思います。
 しかし、保護管理準則といいますが、規程というものは各省庁でも出して通達をしておると思うのですね。
 いまここに社会保険庁の年金保険部長というのが昭和五十五年一月二十二日に都道府県知事に出した「新しい事務処理方式の、実施に伴うデータの保護及び管理について」という通達のようなものがあります。これはきょういただいたばかりですから、多分間違いがないものであろうというように思いますが、たとえばその中を見ますと、「社会保険事務所におけるデータ提供の基準」というのが書いてあるわけですね。それを見ますと、法令の規定に基づく場合や本人や家族の照会に対して答える場合とか、あるいは本人の承諾のある場合とかいうのがありますが、同時に「上記(一)から(四)までのいずれにも該当しない場合であって、データを提供することにつきやむを得ない事情があるものとしてデータ保護管理者が承認した場合」という規定が入っているわけですね。これは一部の新聞は、データ保護管理者というのは即社会保険事務所長であるというように考えて書いている記事がございましたが、この通達をよく拝見いたしますと、データ保護管理者というのはそうではなくて、本省の社会保険庁の計画課長と業務一課長と二課長であるというように読めるわけですが、そうですか。
#269
○萩原説明員 先生のお読みになりましたとおり、データ保護管理者というのは本省の課長というふうにいたしまして、実際にお出しする場合には地方の社会保険事務所の判断では出せない、中央まで上げていただきまして、そこで事情を判断した後、社会保険事務所長から出していただくというふうな仕掛けにしております。
 その他の明らかに文章で書いてあります事項につきましては、社会保険事務所長限りで出してよろしいという仕組みになってございます。
#270
○正森委員 そのやむを得ない事情というのはどういうぐあいに考えておられるわけですか。
#271
○萩原説明員 たとえば生活保護受給の場合に、通常の場合でございますと、保護を受給される方の本人の御承諾を得まして、私自身の年金額が幾らかお調べいただいても結構ですというかっこうで福祉事務所の方から社会保険事務所の方に御照会があるということを想定しておりますが、生活保護の中には職権の保護開始みたいな、保護を受ける御本人が精神障害であるとか、あるいは意思能力をほとんど失っておるというような場合がございます。このような場合につきましてどこまでそういう状態が許されるかということでございますが、典型的な場合としては、やはり職権保護開始に伴うそういう福祉事務所からの御照会については、場合によってはやむを得ないというふうに判断することもあるというふうに考えております。
#272
○正森委員 事実を確認しておきたいわけですが、一々出所の新聞の名前は申しませんが、新聞報道によりますと、社会保険庁が一月から始めた年金オンラインシステムでは、各地の社会保険事務所の窓口の受像機にボタン一つで加入者の職歴や収入歴を映し出す、非常に便利なものであるというようになっているのですね。ところが、こういうものについて別の新聞によりますと、警察が刑事事件容疑者の現住所調べにデータを使った例かあるというように言われているわけです。そうしますと、これもやむを得ない事情に当たってそういうことが行われておったのかどうか、警察庁にも来ていただいておりますから、両省庁で御答弁を願いたいと思います。
#273
○萩原説明員 一般的な犯罪捜査に関しまして御照会がありました場合には、個人のプライバシー保護という点から基本的にデータの提供には応じないこととしております。ただし、年金の詐取のように社会保険庁が事件の直接の当事者であるというような場合には、捜査に御協力するという意味からデータを提供する場合もあり得る、そういうように考えております。
#274
○正森委員 警察庁、よろしいか。
#275
○加藤説明員 ただいま御指摘ございました事実につきましては、実は私どもまだ承知いたしておりません。ただ、考えられますのは、ただいまお答えございましたように、年金詐欺関係やあるいは年金手帳の盗難というふうな場合に、そういう犯罪事実そのものを確認するということのためにそういう問い合わせをすることはあり得るというふうに思っておりますが、一般の犯罪捜査の場合につきましては、その被疑者、容疑者の住所調べのために社会保険庁に問い合わせるということは私ども考えておりませんし、またそういうふうなこともないと思っております。
#276
○正森委員 恐縮ですが、自治省も来ていただいていると思うわけですが、各地方自治体が、多分住民票だと思いますが、それをコンピューターにインプットしている数が年々非常な勢いでふえておるというように聞いているわけであります。そこで、その現状について御報告をいただきたいと思います。
 それと、時間がなくなってまいりましたので、これも新聞の報道するところによりますと、東京都の目黒の区役所でコンピューターから打ち出された二十万人分もの選挙人名簿が郵便局に渡されて、保険の勧誘に使用された例があるというように報道されておるのですね。こういう事実があったのかどうかということもあわせて御報告を願いたいと思います。
#277
○小野寺説明員 市区町村におきまして、大体七百四十一市区町村が電子計算機を導入して業務の処理をやっております。住民税、固定資産税、それから最近におきましては、御指摘のとおり住民記録等のものが非常にふえてきております。全地方団体の二六・四%が電算機によって住民記録を処理いたしております。
#278
○岩田説明員 お答えを申し上げます。
 昨年、目黒の選挙管理委員会の手から選挙人名簿の抄本そのものではございませんが、抄本と同じものが郵便局の方の要望、つまり短い時間に選挙関係の書類、それから入場券、そういったものの頒布をするために必要であるからという要請に基づきまして郵便局に渡りまして、それが他の保険業務のために用いられておったということが後になってわかったというケースがございました。
 それにつきましては、事態がわかりましてから選挙管理委員会といたしましては直ちにそれを返してもらいましたし、また都の選挙管理委員会といたしましても、区や市の選挙管理委員会を集めましてそういったようなことが起こらないようにという意思統一もし、それなりの研究もしているようでございます。
 御承知のとおり、現在選挙人名簿の登録そのものは公開されているものではありますけれども、それはまた名簿の本来の目的のためのものでありまして、他の業務のために用いられるということはわれわれとしても大変遺憾なことだと思っておりますし、こういうことのないよう今後とも指導してまいりたいと思っております。
#279
○正森委員 伊豫田さんに伺いたいと思います。
 これは、たしかこの審議の当初の段階で島田委員の質問に対してお答えになったことでございますが、グリーンカード制度を行いましたときに、当然のことながら、グリーンカードの交付を受けコンピューターにインプットされた方が死亡なさることもあれば、他の市区町村に転居なさる場合もある。これを確実に整理しなければ十分な目的を達せられないわけですね。この点についての島田委員の御質問に対して、たしか国税庁側はこう答えておるのですね。「その点につきましては、役場の方に選別していただくことは非常に困難かと思います。ただ、先生のおっしゃいましたところと若干違いますのは、ただいまのコンピューターは非常に進んでおりまして、そういう機械的作業につきましては、時間的にもあるいは経費的にもそう大きなものではございませんので、むしろ地方公共団体においてこの住民についてはグリーンカードの交付申請がすでに行われたということを常に表示、あるいはイヤマークしておいていただくという手間に比べまして、はるかに全体の情報を一度入れまして、セレクトのみに使わせていただくということの方が事態は簡単でございます。」こう言っておるのですね。これは解釈の仕方はいろいろありますけれども、とりょうによっては住民票の記録を一応国税庁の方でインプットしておいて、そしてその中からいろんな異動等を使わしてもらう、あるいはグリーンカードのあるものは選別して使うという方がかえって時間的にも経費的にもいいんだ、こう読めば読めるんですね。そういうふうに読んでいいのですか。もしそう読んでいいならいいと言ってほしいし、そうでないならもう少し誤解のないように説明をしてほしいのです。
#280
○伊豫田政府委員 お答えいたします。
 現在のわれわれの考えております制度のもとで必要なのは、グリーンカードの番号を持っていらっしゃる方の記録でございます。それにつきまして、それ以外のものをあらかじめいただいておいて、それをインプットしておいて新たにいただいたものをそれからセレクトするというのでなく、私がそこで申し上げました趣旨は、グリーンカードの方のデータだけが現在インプットされている、それに余分なデータを加えたときにはね出すことができるという意味でございまして、あらかじめデータをいただいておいてはね出すということではございません。したがって不要になるわけでございますね。ですから、入れましてインプットしてございます情報の劣化を防ぐために必要な範囲において使用させていただくだけでございまして、その後、ナンバーの振ってないような住民登録についての記録がインプットされたまま残るようなことはございません。そのように考えております。
 なお、若干その後いろいろ検討いたしました点を補足させていただきますが、確かに市町村の方にあらかじめデータを差し上げておいて、向こうでセレクトしていただくのは、これはとても困難でございます。これは間違いございません。ただ、私の方へいただきましたものにつきまして、そのセレクトを機械でやることももちろん簡単なんですが、機械でセレクトするためのインプットをするのになかなか暇がかかるわけでございます。そういう意味で、手作業でやるかということも現在検討中でございます。これをつけ加えさせていただきます。
#281
○正森委員 また大臣のおられるとき聞かしていただきますが、時間が参りましたので、話の途中なんですが一応切らしていただきたいと思います。
 私がいま非常に技術的な問題あるいは各省庁にまたがる問題を少し長い時間をかけて聞きましたのは、いまコンピューターが非常に普及しておりまして、政務次官もお聞きいただきたいのですが、各省庁で何千万という数がある。そのほかに地方自治体がある。きょうは時間がありませんから申しませんでしたが、民間もある。そしてその民間と大蔵省とが、ある意味ではオンラインで情報交換をしておるという部面もあるやに聞いておるわけであります。そこで、そういうものがオンラインされて、統一コードで一元化されるということにもしなりますと、これは個人のプライバシーにとっては大変な問題になってくるわけであります。
 諸外国の中では、アメリカやあるいはECなどで非常にコンピューターが進んでおるところもありますが、そういうようなところでは、おおむねプライバシー保護に関する立法が行われて、そして実施をされているわけなんです。ところが、日本の場合では、ある意味ではそれが文明国の中では最もおくれている国であると言っても過言ではない、こう思われるわけですね。そこで、このたびのグリーンカード制というのは、自分の方から非課税にしたいんだと言うて申し入れた人にだけ交付するのだ、そしてそれをコンピューターに入れるのだということにはなっておりますけれども、六千万という数は大変な数なわけですね。そうすると、一たんインプットされたら好むと好まざるとにかかわらずそこにいろいろな情報が入ってくるということになり、それがほかのものとオンラインされて一元的に管理されることになり、自分の知らない間に、それが、いまちょっと聞いただけでも何やらの勧誘に使われたとか、いろいろなことが出てくるわけですから、もしそうなると大変なことであるということで聞いたわけであります。
 その私の危惧を倍加させるのは、本年の三月五日に予算委員会の第一分科会で、同僚の議員といいますか、社会党の横路先生が質問をされたわけです。その最後の段階で、行管庁の宇野国務大臣がこう答えておるのです。「なおかつ情報の管理におきましても、やはり徹底した一元化を図っていかなければそうした目的も到達されない、かように考えまして、十二分に各省庁とは協議を重ねる所存であります。」こう答えているのです。これは四十五年以来最も問題になった個人コードで情報を一元化するという方向に進むととられかねない発百なんですね。そうなると、一番新しいコンピューター化を今度大蔵省がやるんだ、その数は六千万からあるんだということになると、これをひとつ利用してやろうというようなことをもしこういう方面の一つの責任者である行管庁が考えておるということになれば大変なことになり、二百億の費用をかけて六百億の税収を上げるというような利益にとどまらない非常な不利益を国民がこうむることになる。そして、もし私が人悪く考えれば、相当勘定高い国税庁と主税局が六百億の収入を得るために二百億からの金を毎年かけるのは、はああなるほどこういうように情報を一元化して国のお役に立てようというためなのか、それならこれだけの費用をかけるという意味がわかるというように、これは何とかの勘ぐりではありませんが、考えざるを得ないことも起こってくるのですね。この宇野行管庁長官の発言は実に重大なんですよ。横路先生も気がつかれたのですけれども、そこで時間が終わったものですから、大変な発言だとかなんとか言いながら終わったということになっていますので、私が横路先生にかわってこれは大変なことだということを聞いて、この時間での質問を終わらしていただきたいと思います。
#282
○高橋(元)政府委員 いま御懸念のようなことがあり得ないということを担保いたしますために、御審議をいただいております所得税法の第十一条の二という新しい条文の中に、「少額貯蓄等利用者カード及びその記載事項については、少額貯蓄等利用者カードの交付を受けた者が自己のために用いる場合を除き、国税に関する事務に使用する以外の目的にこれを用いてはならない。」というふうに明記いたしますとともに、所得税法の第二百四十三条を改正いたしまして、「所得税に関する調査に関する事務又は少額貯蓄等利用者カードの交付に関する事務に従事している者又は従事していた者が、これらの事務に関して知ることのできた秘密を漏らし又は盗用したときは、これを二年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。」ということにしておるわけであります。財産に関して税務の調査というのは一般的にかなり立ち入ったプライバシーの侵害をするわけでありますから、たびたびお答えをしておりますように、税務職員の守秘義務というものは当然加重されておるわけでございます。所得の調査に関して、一般的に普通の公務員であれば守秘義務は一年でございますけれども、二年という守秘義務を課しております。それは所得の調査に関して知り得た事務だけではなくて、このたび御提案申し上げておりますカードの交付番号そのものについても重い守秘義務を課しておる。これはどういうふうに官庁の情報交換ということができていくかわかりませんけれども、所得税ないし法人税その他税の調査に関する一般の考え方として、そういうものとドッキングをして広いネットワークを組むことはできないというふうに考えておりますし、今後ともこの考え方は変わらないと思います。
#283
○吉村説明員 行政管理庁長官の答弁に関しまして私から釈明をいたしますのもちょっといかがかと思いますけれども、当時の議事録を読みますと、行政管理庁長官はその前段におきまして、今後プライバシーの保護には全力を挙げたいと思いますという一段がございまして、それを受けて発言された言葉の中にやや疑問の残る点があったかと思います。その趣旨は、各省の公文書の管理等が必ずしもきちんと行われているとは言えない、そういった問題を共通的な基準のもとに整備を図るというような問題がある、あるいはプライバシー保護について政府部内の共通的な認識が要る、そういったものを統一あるいは一元化というような言葉で長官が述べられたというふうに理解しておりまして、各省庁の情報を集中的に管理するとか、個人コードの統一を図るとか、そういった趣旨では全くございませんということでございます。ぜひ御了解いただきたいと思います。
#284
○増岡委員長 午後七時再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後六時三十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後七時十分開議
#285
○増岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。引き続き質疑を続行いたします。伊藤茂君。
#286
○伊藤(茂)委員 午後も質問をさせていただきましたが、大臣が見えましたから、四点お伺いをさせていただきたいと思います。
 その一つは、先ほど物価問題に関する関係閣僚会議が大臣も出席をされて終わったようであります。関連をして一、二お伺いをしたいと思いますが、いずれにしても国民がこれからの物価動向はどうなるのか非常に心配している、またこれからの経済動向についても最も重要なポイントであるということで、幾つかの項目についてお決めになったと思います。その中では特に財政、金融、公共事業の運用などを含めて大蔵省が施策として注意をしなければならない問題も幾つかあるわけであります。
 土地の問題はまた後で別にお伺いしたいと思いますが、きょう、先ほどお決めになった閣僚会議の項目に基づいて、特に大臣、大蔵省として特段にどういう努力を重視をされますか。たとえば公共事業の執行についても、五十五年度予算成立後の執行計画について慎重な配慮が必要だろうと思います。それから、上半期、下半期、年度を含めてしかるべく目標を早急に定めて対策をとるということも含まれているようであります。これらを経済動向を見ながらどのようにおやりになるという気持ちでございますか。
 それから金融政策の問題があるわけでありまして、さらに引き締め基調を堅持する、またマネーサプライの状況の監視などの問題があるわけでありますが、それらの基調をどう持っていくのかということと、ちょっと心配なのは、金融に関係をして中小零細企業の問題ですね。やはり中小零細企業にとっては、マクロの立場から見て金融引き締め政策がとられるということはあるわけですけれども、言うならば一番弱い部面になるわけでありまして、いろいろな個別の業者に伺いますと、一面では金融引き締めで金繰りが苦しくなる、また一面では物価の値上がりによって原材料の値上がり、製品価格にそう転嫁するわけにもまいらない。確かに今年度予算では中小企業対策費は五・五%の伸びしかないという財政面では非常に弱い対策しか組まれていない。政府金融の面では一八%くらい系統金融が伸びているということはありますけれども、現実に業者にとっては非常に問題だろうと思います。こういう金融引き締め基調の堅持という中で、経済の弱い部面については特段の対策をとる、何か配意をしながらやっていくということも必要なのではないか。
 幾つか申し上げましたが、先ほど大臣も御出席で決まった物価問題関係閣僚会議の決定に関連をしてお伺いをしたいと思います。
#287
○竹下国務大臣 いま帰ったばかりでございますが、「当面の物価対策について」、いわゆる総合物価対策でございます。
 今度、一連のものを見ますところ、先ほど委員御指摘のような物価等に大変警戒を要するという前提のもとに立って適切な総需要の管理、便乗値上げの防止、海外要因による価格上昇等の影響を最小限にとどめる、そして六・四%程度の政府見通しに沿って全力を挙げて物価の安定に努める、そうして、この際、生産性の向上が物価安定に欠くことのできない要件であることにかんがみ、各界が一層の生産性向上に努めることを期待するという前文のもとに、先ほど御指摘になりました公共事業等の施行についてまず書かれておるところであります。
 物価動向に細心の配慮を払うものとして、五十五年度予算成立後の執行についても別途早急に目標を定めて、当面、抑制的な事業施行を図るものとする、こうなされておるわけであります。この点につきましては、かねてから政府部内で検討しておるところであります。そうして率直に申しまして、各公共事業担当省ともういわばヒヤリングに入っているところでございます。従来は予算が成立しました翌日、このおよその数字を発表するというのが先例になっておりますけれども、今度は、もしそれまでに予算現額が完全につかめて、そしてヒヤリングが終了したら、予算成立前にでもあるいはお許しを得てこの計画を発表しなければならぬかな、そういうふうに考えておりますので、抑制的基調ということできょうのところは終わっておるところであります。
 金融政策につきましては、いま御指摘のように、引き締め基調を引き続き堅持するとともに、マネーサプライの問題を監視をいたしまして、金融調節に当たっていく。特に公定歩合が最高に引き上げられて、これでもって天井感というものが出ることによって物価の安定にいい意味における影響が出ることを期待しておるというような状態にあるわけであります。
 特に最後にお聞きになった中小企業の問題でございますが、確かに委員御承知のように倒産もふえております。したがいまして、いまのところ金融面におきましては、いわゆる相互銀行、中小企業金融専門機関ばかりでなく、都市銀行等の一般金融機関にもどちらかといえば中小企業に対しての融資というような傾向がふえておるという情勢ではございますものの、いま決定したわけではございませんが、いずれ金利というものもいろいろな形において影響してきますならば、当然これに対しては一層きめの細かい配慮をしていかなければならぬというようなことがいまの物価会議で論じられた内容でございます。
#288
○伊藤(茂)委員 次の話題に入ります。
 午後もお伺いをしていたのですが、昨年来、一般消費税、総選挙の結果その他ということで、何か最近の国民の関心、世論調査などでも税金についての関心あるいは相談というのが非常に多いことが特徴的になっている。それだけにいろいろな不満も不安も高まっているということでもあると思いますし、また、これから八〇年代、参加の時代とか言われますけれども、そういう中でより一歩前向きの努力をして改革をしていくことが非常に求められているということではないかと思います。午後も主税局長や政務次官にも御答弁を願ったのですが、税制と民主主義ということについて大臣の御決意のほどを伺いたいと思うのです。
 正月の「ファイナンス」を見ておりましたら、大臣が「七難八苦を乗り越えて」というタイトルで、これから広く国民の理解と協力を求める謙虚な態度をもってという文章をお書きになっておりました。大臣がお書きになったのかどうか、大臣の名前ですからそういうお気持ちではないかと思うわけでありますけれども、私はその言葉は大変結構なことだろうと思うのです。ただ、その方向がさらに消費税、変形一般消費税を強行しようということでは困るわけでありまして、今日の状況の中で税と国民社会、そういうものについて近代社会としてあるべき一つの方向づけがつくられていくということが時代の流れとしても非常に大事なことであろうというふうに私は思うわけであります。
 そこで具体的にお伺いをしたいことは、これから先、税調その他がいままでと、昨年と同じシステムであっても国民の理解あるいは了承は得られないのではないかということを私は非常に危惧するわけでありまして、国民の目に見えるように、いままでとは違って、より民主的で公開して参加を求めて意見を求めてやっていくという現実のアクションが鮮烈に行われることが必要ではないか。そういう意味で、幅広く税調その他内外から意見を求めて現実に目に見える努力をすべきである。税調が地方公聴会を十カ所持って回るのも結構でしょうし、大いに時間をかけて各界の意見を率直に聞く、それを取り入れる姿勢を持つというのも結構でしょう。その他いろんな方法があるだろうと思います。大臣が正月にお書きになったようなそういう精神で、それを何か具体的に提起をしたり、やられたり、そういうお考えがあるかどうか、御説明を願いたい。
#289
○竹下国務大臣 「七難八苦を乗り越えて」というのは、私の郷里には山中鹿之助という者が出ておりましてよく使う言葉でございますが、七難八苦を乗り越えてわれ行かんとす、者どもついてこいというような姿勢では、私は顔づくりからすべてがそうなっていないのであります。どちらかと言えば非常によく聞く耳を持つという姿勢を今日までは貫いてきておるつもりでございます。したがいまして、私自身、いわゆる税の問題、税と民主主義というような問題については、すなわち納税者、国民の理解をいかにして得ていくか、これはきょう伊藤さんと私とが問答することも大きな国民との理解の媒体となることと私も思います。そういう意味において、まさに本院の御決議にございましたように、広く国民各界各層の意見を聞いて歳入、歳出両面から財政再建への手法を選べ、そういう御趣旨に沿ってこれからも私どもは姿勢を貫いていかなければならないと思います。
 そこで、具体的な御提案としての税制調査会の問題でございますが、私はその構成というような点については、まさに三十人の枠内で消費者、婦人、労働関係者を含めた各界各層の学識経験者をもって構成されると思います。一、二度出させていただいてもそういう感じがいたしますし、また、かつては労働界の代表であった人がいまや国会に議席を持って税制調査会等のことを想起しながらいろいろな御質問もいただくというような状況でございますが、ただ、要は運営の問題であろうと思うのであります。したがいまして、あれは大蔵省の会議室の中の議論であって、国民にもっと開かれた理解を求める一つの手法として、いま伊藤さんの御提案の公聴会を開く問題でありますとか、そういう問題については、そういう御意見があったということを率直に税制調査会長に御報告申し上げて、そして運営の基にそれらを考えていただけるようにお願いすべき課題ではないかというふうに理解をいたしました。
#290
○伊藤(茂)委員 先般当委員会で税調会長もお越しいただきまして御議論がございました。お人柄もございますけれども、淡々として会長の辞を語っておられます。いま法人税の仕組みの問題税調の関係の議論その他、例年よりも非常に早いスケジュールで開始をされているというわけでありますが、何かこれが進んでいくについて、やはり政治の責任者である政府の側から、刺激的にといいますか、大胆にといいますか、国民の参加と民主的な意見を求めてやっていく、いままでの延長線ではないのだという、また大胆に政府の意見も取り入れる、大臣がいまおっしゃられたような方向でぜひ具体化をしていただきたいというふうに私は思います。
 それからもう一つ、これは急にお伺いして恐縮なんですが、私はこれからそういう参加民主主義の税制ということを考えますと、国の財政が赤字になったから税負担をお願いする、増税をお願いするということの理解というのは、率直に言えば非常にむずかしいだろう、地方の時代と言われますけれども、自分の支払った税金がどう使われ、どう社会に役立っているのかという面からすれば、地方の方をむしろ強化をする、これは直接に身近でやはり意見が通るわけでありますから、また身近にその効果その他を見るわけでありますから、ここで、時間がございませんから、地方制度調査会の十七次に及ぶ答申あるいは今日十八次をスタートしてごたごたしている状況などは申し上げませんけれども、そういう視点、総理も地域の時代とか、田園都市構想とか言われておりますし、また地方の時代ということもいろいろ言われている、そういう時代の目指す方向を、何かさっき午後の質問の中でも、ちょっと城山三郎さんの「男子の本懐」で井上蔵相のことなんかを読んだ感想なんかを含めて申し上げたのですが、そういう時代の方向を目指すというふうな視点も非常に大事ではないかと思いますが、いかがでしょう。
#291
○竹下国務大臣 地方制度調査会でございますか等の推移につきましては、私も直接の立場ではございませんが聞かされております。そうして、地方の時代とか田園都市構想とかいろいろの議論をするたびに、地方自体が持つ財源というものをもっと強力にすべきだ、こういう意見もあることは事実であります。また一方、私この間関心を持って調べてみましたのは、昭和五十二年の国税がどのように都道府県に還元されておるか、そういうことを見ますと、東京都が全部で所得税、法人税等をもとより含めて九・八%還元されておる。それだけ言ってみれば担税力がある。私の島根県が五倍返ってきておる。これが一番貧困である。担税力がないという意味でございます。そういう意味において、地方の時代というのはそういう形における一つのものもやはりあらねばならぬかな、こういう印象も持ちましたけれども、私自身いまの御指摘等を十分踏まえましてこれから対応してみたい。ただ、「男子の本懐」というような時代とは、若干、私違うと思います。その意味においては、まさに国会の構成も、大政党が二つあるという状態ではなしに、いろんなニーズが多様化して多党化時代を迎えておるというような状態でありますし、国民のニーズもまさに多様化しておりますので、その調和点をどこに求めていくかというような考え方もやはり政治の上で大きな必要なエレメントじゃないかな、こういうふうにも考えております。
#292
○伊藤(茂)委員 もちろん私も井上準之助大蔵大臣がたどられたようなことを竹下大蔵大臣に期待しているわけじゃありません、ただ、気魄というのか何というのか、そういうことを読んで感じましたので申し上げたのです。
 それから、次に移りますが、いままでのこの法案の審議の中でちょっと気がかりなことは、直間比率ということについての大臣の御答弁です。そこにいらっしゃる坊さんが大蔵大臣のときに議論したことがございまして、元大臣の坊さんは、直間比率のどれがどういうウエートがいいのか悪いのかということはもちろんアプリオリに決められるようなものではないということを言われておりましたし、先ほど主税局長もそういう御答弁をいただいたわけでありますが、最近はその話の中に「しかし」という言葉がつきまして、何か国際経済時代に伴ってどうであるとかというお話も前にありましたし、それから、これからどうしても消費一般に着目するという視点は必要であるというふうな意味でのお話もございましたし、私は、そういうのを聞いておりますと、何がイージーに一般消費税と同じような繰り返しが考えられているのではないかという気がするわけであります。理論的には所得税が最も理想的な税制であるということは各界から言われることでありますから、そのとおりでありますが、その辺のことをちょっと明確にしていただきたい。
#293
○竹下国務大臣 確かに、誤解があってもいけませんので、やはり財政再建に対応するところの今後税制の問題のあり方につきましては、あの総理の言葉をかりますならば、国会決議というものはずいぶん注意してつくられた決議文であるというふうに理解をしております。すなわち、あくまでもいわゆる一般消費税(仮称)という前提において消費一般を対象とする税制そのものを否定することは、これは税制上問題がある、したがって、最終的には国民各界各層の意見を聞いて歳入、歳出両面にわたってその手法を模索しろ、こういうことになっております。そこで、当然のこととして、やはり私は、直間比率というような問題については、きょうの議論も通じ、またいろんなマスコミを媒体としたりしながらも、これは国民との問答の中にあるべき姿というものが模索されていかなければならぬ問題ではないか。確かにアメリカは直接税が大変に高い。そして他の先進諸国と言われるところは、日本に比べれば間接税の占める比率が非常に多い。また最近のイギリスで見れば、直接税を減らし間接税に増収を求める。いろいろな手法がとられておるわけでございますので、そういう一方に余り偏ることのないような形の方が――それぞれの長所、短所を生かしながら国民の理解と協力を得ていくべきものであると私は思うのであります。したがって、この問題こそ、いま何対何ぼの直間比率が適当でありますという結論などを申し上げるほど私もうぬぼれてもおりませんし、それこそ国民との問答の中に理解と協力を得ておのずから模索し、適切なものが決まっていくべきものであるというふうに理解をいたしております。
#294
○伊藤(茂)委員 土地の問題について一、二お伺いしたいのです。
 午後も議論をさせていただいたのですが、いまの直間比率に関係をして、消費税的なものについてワン・オブ・ゼムとかいろいろな議論が前からございました。私は午後の議論の中で、そのゼムというのは幾つあるのだというお話をしたわけでありますけれども、土地政策こそ、こういう税制の持つ意味、しかもその中で譲渡税の持つ意味というのは、土地対策あるいは住宅対策の中で文字どおりワン・オブ・ゼム、そのゼムの方はたくさんあるのだという感じがするわけであります。
 昨年も提案され、ことしも提案され、しかもその効果ははっきりしないという状態が続いています。しかも、地価の問題の状況にいたしましても、三大都市圏、特に東京圏は異常という状態に近づいている、そういう状況にあるわけでありますけれども、私は、たとえば閣議でこういう法案を提出することを決める、そんなときに、まあ大蔵大臣としては、期待するところでは、土地問題がいろいろと非常に大変な状況にあるときにこんなことだけ出してくるのでは困る、総合的な、しかも効果のきちんと出るような思い切った総合対策を土地についてはとるということが必要ではないかということを大いに強調されるべきではないだろうか。
 先ほど御決定になった総合物価対策の中にも、三行ほど土地の問題は含まれているようでありますが、どうも私は見詰めるだけに終わるのじゃないかという気がするわけであります。もちろん、これは大蔵大臣の所管よりも、むしろ建設省、国土庁の方がウエートが大きいかもしれません。しかし、閣内での重要なポストでございますから、そういう立場から、総合的な対策を強化をしていく、しかも、それを早い時期にやらなければならないというふうな見解を持って努力をされるべきではないだろうかと思うわけでありますが、いかがでございましょう。
#295
○竹下国務大臣 大局的に申しまして、私も同感でございます。国土狭隘にして人口の多いわが国でございますので、いわゆる土地に関しては、完全な私有財産とは別の物の考え方を持ってもいいではないかなどという議論が、いわば自由主義経済学者の中からでも出てくるような国でございますだけに、この総合土地政策ということにつきますと、私もいつもそういう感を深くいたしております。
 したがって、きょう決まりました当面の地価の安定の問題につきましては、「投機的な土地取引を防止するため、国土利用計画法の的確な運用、地価動向の監視強化」、これはどちらかと言えば国土庁の問題でございますが、私の方に関連いたしますものでは、「土地取得関連融資の自粛の徹底等の施策を推進する。」と。
 確かに、銀行局長通達によりまして、また半期ごとに土地関係融資に対する報告を求めておりますので、逐次減ってきておることは事実でございます。しかし、一方、税制面では、私はいつもこの土地税制というものを議論していただく中で思うのでありますが、まさに土地政策の補完的意味を持つだけのものであって、これそのものが決め手にはならぬ。しかし、範囲を広げますならば、それこそ切り売りしておった、その切り売りの面積は広くなって、それだけの供給というものは期待できると思うのでありますけれども、税制面のみでもって土地政策というものを律することはできないという感をいつも深くいたしております。したがいまして、あくまでもこれは政府を構成する一員といたしまして、土地政策については総合的な対策が必要であるということは、いつも私自身も感じておるところであります。
#296
○伊藤(茂)委員 最後に一問だけ。
 大臣がおっしゃるように、文字どおり土地政策全体からすれば補完的なものだけと思いますし、それから、税制全体でも、保有税その他いろいろなものを含めてもっと折り入った検討があってもしかるべきだろうという気がするわけであります。
 いろいろな土地関係のものを、外国のものやその他を読んでおりまして、ちょっとのんびりした気分でなるほどと思ったあれがあるのですが、しばらく前の「エコノミスト」に「土地政策は上滑りしている」というある評論家の文章がありまして、「土地野成金氏の生活と意見」というのがあります。「東京の近郊に居住する平均的農家」「名前は、土地野成金としておきましょう。」というようなことで、その中にも、一体農民の心理として、土地税制と農地を売るかどうか――結論としては、「いまの土地税制の下では、」ちょびちょび必要な分だけ必要になったときに売るだけであって、「農地は農地のままで保有し、少しずつ切り売りするのが最も効率のよい財産運用となる。」という気持ちであろうと。私は、建設省、国土庁あるいは大蔵省の世論調査とかいろいろな議論が昨年末もあったようですけれども、こんなことだろうと思います。
 総合対策が必要だということを大臣も言われました。私は、ひとつ提案をしてぜひお願いしたいと思うのは、三大都市圏の中でも特にこれは東京圏が異常な状態にあるわけでありますから、関係省庁の横断的なこれらについての議論をし、対策を御研究になる、同時に、地方公共団体、関係する県の知事、さらに下まででも結構ですが、そういうところも、公共団体のあり方、いまの土地政策をめぐって非常に困っている面も多いわけでありますから、そういうものまでも含めて総合的な対策を半年以内とか少なくとも秋までとか立ててみるとか、そういうことを、補完的なことだけ押しつけられているというのか出されている大蔵省の側から御提案になって努力をなさったらいかがだろうかというふうに思うわけですが、いかがでございましょう。
#297
○竹下国務大臣 確かに、補完的役割りしか果たさないという感じのする税制の問題におきましても、あめだけではなくて、やはりむちも一緒にやらなければならぬという感じは私もしみじみと感じております。そうしてまた、その総合的な土地政策の中では、私は田舎の育ちでございますから、大都市圏だけの感覚は当初はありませんでした、しかし、関心を持てば持つほど、いわゆる首都圏周辺のかつての農家の方々の物の考え方とかいうようなものに対しては、われわれもやはり考えなきゃいかぬなという面をよく感じます。したがいまして、税制のみならず総合的な土地政策の推進ということにつきましては、もとより所管としては国土庁でございますが、私どもも、期限を切っていつまでに出せというほどの自信は私にもございませんけれども、そういう考え方を進めていく下支えの役割りでも果たさせていただければな、こういうふうに考えております。
#298
○伊藤(茂)委員 質問を終わります。
#299
○増岡委員長 田中昭二君。
#300
○田中(昭)委員 大蔵大臣、連日御苦労さんでございます。
 きょうは何か物価問題等の閣僚会議が行われたようでございまして、そこで物価の総合対策、七項目が決まったようでございます。そのトップに財政、金融という問題があるようでございますが、その所管であります大蔵大臣はどういうふうに取り組みを具体的に考えておられますか。
#301
○竹下国務大臣 失礼いたしました。もう一つ決まったので落としましたのは、電気が五〇・八三%、それからガスが四五・三四%、これが消費者物価に影響いたしますのが、電灯で〇・七%、ガスで〇・三%、特別なことといたしましては、生活保護世帯ないし社会福祉施設については九月三十日まで料金据え置き、そういうことが決まっておりました。これは報告することを落としておりました。
 そこで当面の物価対策につきまして、今度は七項目ということにいたしたわけでございます。それの1が「財政・金融政策の運営」でありまして、公共事業等の施行という問題、当然のこととして物価動向に細心の注意を払いながら、御案内のように五十四年度にああして五%留保さしていただいております。もうきょうの日にちになりますと、この五%留保というのは、結果的には来年度への繰り越しということになろうと思うのであります。したがって今年度も五%留保したままに越年するわけでございますので、そうすると、そこでそれを含めたものの予算の現在額というのが早急につかめるのではないか。そこで協議いたしまして、できることならば表現としては「抑制的な事業施行」、こう申しておりますが、一般的に公明党でよくおっしゃる後ろ倒しというような形になるのではなかろうかと思いますだけに、数字をあるときドラスチックに出すというのは心理的効果もあるような気がいたしまして、若干国会の方と相談をさしていただきながら、もしそれができることならば、予算の成立前にでもそういう数字でもってまさに抑制的事業施行の実態というものも御理解を願うようにしようかなと思っておるところであります。
 金融の問題につきましては、もとより引き締め基調を引き続き続けるわけでございますが、まさに九%という公定歩合の引き上げでございます。これは本当に狂乱物価のときと一緒でございますから、これで天井感が出ないようでは、まだまだだめではないかという不安感を与えるようでは、心理的にもよく言われましたインフレマインドというものを刺激するような形になってもいけませんので、着実にその効果を見ながら、まさに弾力的な運用をしていかなければならぬということをひしと痛感いたしておるところであります。
#302
○田中(昭)委員 その七項目の中に、私が間違って見たのかもしれませんが、もう一つ公共料金を極力下げるという項目があったかと聞いておりますが、それに対する大臣の御見解はいかがでございますか。
#303
○竹下国務大臣 確かに、「公共料金の取扱い」というところに(1)と(2)がございまして、(1)は「経営の徹底した合理化を前提とし、物価及び国民生活に及ぼす影響を十分考慮して、厳正に取扱う。」これはまさにきょうの電気、ガスに対する姿勢のような感じがいたします。それから二番目の「公共料金の一部については、その引下げを図る。」これは括弧内でいま考えられておりますのは、「夜間遠距離通話料金等」というものが考えられております。
#304
○田中(昭)委員 現時点ではやはり物価の問題が大変問題であろうと思いますし、政府のとられた施策は多とするところでございますが、今後さらに一緒になって国民の生活を守る立場でがんばっていきたいと思います。
 そこで話を先ほどからの委員会の件に変えますが、大臣が留守でございましたために、その中での一つの問題は、昨年選挙の前に政府が税金の世論調査を行っておりました。いろいろなことがございますが、その中でおもしろい一つの項目としまして、国民がいまの政府に対して、脱税がなくなれば税金が安くなるのではないか、こういう期待を大半の人が持っておるということについて議論したわけでございます。そのほか所得税も大変高いという結果も出ておりました。これも過半数を超えて大半がそういう結果が出ております。ただ、税金の負担感については、前回の四十六年に行いましたときよりも、四十六年当時を五〇%とすれば、それよりさらに三割から四割くらい税金が高いという人がふえております。その反面、税金が安いという人は七、八年前よりも減っておる。そうなってきますと、いままでの政府のとってきた行政の中で、税金というものに対してまだまだ努力しなければならない、またもう少し国民の意見を率直に取り入れなければならない、それに対応しなければならないではないかということを議論したわけです。
 そこで最初の脱税の件でございますが、いろいろ数字を出しまして細かくここで申し上げませんが、大体法人等の税金にしましても、一昨年度、昨年度を比べてみても、法人税が三千億を超える増収になっておる、そういう結果が出ておりますし、それから使途不明金とか、滞納を一掃するとか、いろいろなもろもろのことをやって、大体二兆円くらいの税金は増収になるのではないか、そういうことを詰めたわけですが、政務次官も脱税がなくなれば確かに税金は安くなる、同感だというようなことでその話は終わったわけです。そこで否定はされなかったのですが、大蔵大臣としては、その問題について、脱税がなくなればもう少し税金が安くなるという国民の期待に対して、どう対処しようとされますか。
#305
○竹下国務大臣 いま田中委員御指摘のとおり、本当に苦痛は感ずるが、法律で定められているから納めなければならない、いわゆる納税義務意識というようなものは大変高いわけであります。にもかかわらず、所得税が高いと思うとか安いと思う、そういう点においては、商いと思うという人が徐々ながらふえていっておる。要は、税というものに対しては公平感の問題が一番大切なことではないかと思うのであります。そういう公平感を持たす意味において、税そのものの執行におきましては、もとより脱税等々はあってはならないことでありますし、それに対して厳しい検査等も行うと同時に、また申告制度そのものの存するゆえんもさることながら、技術的な方法のPRを絶えずやっていかなければならぬのではないか。私個人のことを申し上げてみましても、二千万円超になった場合の財産の公開がございますが、どういうふうな形で公開すべきであるかという初歩的知識すらなかったわけでございます。そういうようなことを考えてみますと、広報活動も必要だ、そして一生懸命で国税当局もやっておる、指導も強化しておる、そういう理解がないと、不公平感をぬぐい去ることはできないのではないか。そういう心構えでその衝に当たっていかなければならない課題であるというふうに考えます。そしていまおっしゃいましたいわゆる使途不明金等々の問題につきましては、今度できました小委員会でございますか、そこで法人税制の仕組み全体についての御議論をいただく中で、当然のこととして貴重な御意見をわれわれは報告するわけですから、審議の対象にしていただけるものであると考えております。
#306
○田中(昭)委員 政府の重立った方の中に、特に大蔵省出身で代議士になっている方の中には、税金というのはかすめ取るのだ、直接税の所得税なんかではめんどうくさくて税収が余り上がらないから、そういうものでなくて税金とはかすめ取るものであると言われるというようなことが報道されておるのです。まさか竹下大臣はそうではないと思いますけれども、総理もそれに似たことをちょっとおっしゃったことがあるのですが、大臣はどうですか、税金は取るのですか。
#307
○竹下国務大臣 税金はやはり国民の皆さん方の納税に対する義務意識というものをいかにして定着させていくかということがまず衝にある者の基本的な政治姿勢であらねばならぬ問題であると思っております。
#308
○田中(昭)委員 ちょっと大臣、私の質問に対する答弁になっていないようでございますけれども、あなたもこの間数年前の税金をまた修正申告されましたね。ああいう目に遭いますと大変だと思われると思うのですが、しかし、内容はどういうふうになっておるか私存じませんが、税金の問題は大事な問題でございますから、ひとつ慎重に国民の期待に沿うようにがんばってもらいたい、こういうふうに思います。
 これは注意すべきかどうかわかりませんが、本会議で税収の見積もりについて五十三年度が少し見積もりが低かったのじゃないかという質問に対して、あなたは過去には二割くらい低過ぎたこともあったとかなんとかという御答弁をされたことがありますね。覚えておられますか、記憶ありますか、なかったら、今回ここに持ってきておりますからお見せしてもいいのですが、それは大体いつのことですか。
#309
○竹下国務大臣 これはたまたま勉強しておりまして、要らぬことを言いまして、四十八年が増減割合がプラス二〇・六というのがございます。それから五十年がマイナス二〇・七というのがございます。したがって、昭和四十年からずっと見ておりますと、一番的確であったとでも申しましょうか、五十一年の〇・九というのが一番低うございます。二番目が五十三年の二・二でございますが、大体ざっと見ますと、九とか一〇とか七とかというのが平均値になるものかな、特に増減割合が大きかったのが四十八年の二〇・六のプラスと五十年の二〇・七というマイナス、それを覚えておったものですからそういうお答えをしたわけでありまして、その見込みが狂うのがいいことだなどとは決して思っておりません。
#310
○田中(昭)委員 それは、後の方に言っておられますからわかるのですけれども、結局お役人さんがつくったものをそのまま読まれるからそういうことになると私は思うのです。勉強のせいじゃないと思いますよ。四十八年と五十年はそれぞれの理由があるわけです。五十二年、三年はこれだけ安定成長のときに、そんなことは私に言わせれば言いわけにはならない、こういうことだけ申し上げておきましょう。
 そこで、時間も余りございませんから、次にもう一つ別な問題をお尋ねしておきますが、それは行政改革の問題でございます。これは大蔵省が大変力を入れなければならない問題で、行政改革の中で大蔵省の目玉とも言われます財務局の統合の問題です。私、九州でございますが、九州は二つを一つにするということで、いま大変な問題になっておるのです。これはもうるる述べなくても竹下大臣は大体九州のことはおわかりいただいておると思いますが、余りにも常識はずれのことをしますとこれは大変なことになる、こういうふうに私は思うのです。大体そのきっかけは、おたくの事務次官さんが各県に行かれましたね、熊本県と福岡県、それぞれ行って、この行政改革の財務局の統合問題については白紙委任をしてください、そういうことを言われたということが報道されました。それから毎日、新聞報道は南の熊本に北九州は統合されるのだという記事がたくさんございますよ。これは私は事実であればそれでいいと思うのですけれども、ちょっと異常ですね。南北戦争と言われます。どうですか、大臣、いま言われないことはわかりますけれども、余り非常識なことはやらないということだけはひとつお答えいただいておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#311
○竹下国務大臣 行政改革のブロック機関の整理ということにつきまして、まず隗より始めよと言われておるのが行政監察局と財務局、こういうことになっております。したがって、やはり特定してはならないという考え方で財務局全体の中でどこか一局を減らすところはないかなということで部内でいろいろ協議した。そうしたら、やはり同じ地方に二つあると言えば九州ではないかというところまでは一応の意見を見た。それにはやはりファッショではございませんから急激なことをしてもならぬので、したがって、地元の知事さんなりに、白紙委任と申しますか、何となく考え方を聞かしていただいたりしながらひとつ意見を聞いてきたらどうだ、こういうことになりまして、事務次官が参ったわけでございます。したがいまして、私どもは、いま、まだ大蔵省へ帰って会議する時間が全くございませんし、もう一度ある一定の時期には、会議を持たないままで何となく決めたと言われても私もいけませんし、各般の情勢を慎重に検討しながらこの南北問題というものに対応しよう。しかし、同じ九州でございますし、本当に言葉も余り違いませんし、大変仲のいい仲で御結論が出していただければ幸いこれに過ぐるものはないなという期待と願望を持っておるということだけを申し上げておきます。
#312
○田中(昭)委員 しかし、やはり大蔵大臣がきちっとした決断をされないといかぬわけですよ、立場上。ですから、これは本当を申し上げますと、北も南もかえって、事務次官が行かれたからどうというようなことではありませんけれども、本心はどっちとも残すためにそういうことをやっているのじゃないか、こういうのが大体の報道の落ちつくところですよ。こういうことじゃ、隗より始めよどころか、どうにもならない。竹下大臣も九州のことを御存じのようでございますけれども、いま熊本にあるそういう機関が宮崎に出張する場合にどういうようにしておるか御存じない点があろうかと思うのですが、きょうはそこまでは触れません。しかし、大変なそういう問題も含んでおりますから、どうかひとつ常識的な決断をしていただくように要望しておきまして、終わっておきます。
#313
○増岡委員長 古川雅司君。
#314
○古川委員 ただいま議題となっております両法案から多少離れますが、関連をいたしまして二つの問題について若干質問いたしたいと思います。
 第一に、五十五年度の税制改正につきましては、これは将来の本格増税への布石であるという一つの観点があるわけでございます。ことに将来大型新税、仮称一般消費税としてこれを導入するということについては、従来大蔵省には伝統的な願望があると言われておりました。いわゆる好不況にかかわらず税収を維持することができる間接税中心主義といったものがあるわけでございます。今回の一般消費税導入論議については、これはいわゆる財政再建論を利用したにすぎないという見方があるわけでございます。いずれにいたしましても、五十五年度の税制改正が五十六年度以降において歳出の削減、増税余地が非常に厳しいという状況の中で五十六年度以降の大きな課題になっていくということは、これは論をまたないと思います。五十六年度以降のこの一般消費税の導入につきましては、大平総理を初めといたしまして竹下大臣もやるともおっしゃらないし、やらないともおっしゃっていないわけでございます。大臣にこの点について二点御質問申し上げたいと思います。
 第一点は、去る三月十二日、本委員会に参考人として御出席願った税制調査会の小倉会長がわが党の宮地委員の質問に答えまして、中期答申、これはいわゆる一般消費税導入が柱になっているわけでございますけれども、この中期答申の改定作業に着手をするという示唆をしているわけでございます。大臣としてはこれにどうお取り組みになる御所存であるか、御所見を伺いたいと思います。大臣よろしくお願いいたします。
 第二点は、今回一般消費税導入を断念されたということについて、これは昨年秋の総選挙の結果を尊重されたものであるという受け取り方があるわけでございます。いずれにいたしましても、これが今回のこの五十五年度税制改正と含めて、国民の審判にこたえて打ち出された政府、与党自民党としての第一次の回答であるというふうに私は受けとめているわけでございます。国民の総選挙の結果、国民審判の結果を尊重しているというのであれば、これは選挙の結果として、当然任期の四年間にわたってこの審判の結果は尊重しなければならないはずであります。しかも、大臣はどのように御認識をしていらっしゃるかお伺いをしたいわけでございますけれども、あの選挙を振り返って、与党の公認を受けて選挙戦を戦われた方々の何人が国民に向かって一般消費税の導入に反対をしておられたか、そのことを考えますと、五十六年以降の導入云々というよりは、国民の審判の結果を尊重するという大臣の御姿勢があるならば、当然ここにはっきりと一般消費税導入断念ということをお答えになるべきではないか。国民の審判ということになれば、これは選挙というその明白な一つのセレモニーを通ってのことでございますので、この点明確に御答弁いただきたいと思います。
 以上、二点でございます。
#315
○竹下国務大臣 第一の中期答申の問題につきましては、主税局長から、内容にわたりますのでお答えをすることといたしまして、第二番目の、いわゆる一般消費税(仮称)の問題についてお答えをいたしたいと思います。
 いま五十四年度の答申に基づきまして五十五年度これを実施するという諸般の準備を進めるという閣議決定に基づいて、そうして諸般の準備を進めんとしておったいわゆる一般消費税(仮称)、こういうものが私は選挙の結果、その税目そのものが否定されたと考えるべきか、あるいは当時のそういう税を念頭に置く以前の問題として、綱紀の粛正とか行政の改革とか、そういうものをすべきであるというふうに受けとめるべきか、その受けとめ方は総合的にいろいろあろうと思うのであります。しかし、選挙というものが冷厳な事実であるということは私も否定するものではございません。戦術の問題で最初は私どもも思ってみました、票は減っていないんじゃないか。ただ、戦術上の問題じゃなかったかというようなことも、やせがまんの一つとして言ってもみたかったのでありますが、やはり政権政党として厳しく受けとめる場合には、総合的な反省というものが必要であるという考え方に基づきまして、五十五年度予算編成に当たりましては、財政再建といえば、直ちに入るをはかって出るを制すると申しますが、まず入るをはかるのは外において、出るを制するところから始めようというので、二十年来初めてのことでございます。一般歳出におきましては、五・一%という低い伸び率でもって諸般のニーズにこたえていった。そして税制の面におきましても、まさにいままで不公正とかいろいろ言われておった租税特別措置の改正、そうした従来のいろいろな不公正とかいう非常に批判をいただいておったような点から手をつけることによって、そして最終的には本格的な税目によるところの増収は考えないままできたということが現実の姿であります。そこへ持ってきて、今度は本会議において両院において決議をなされたわけですね。しかし、この決議というのは、まことに苦心していただいておりますのは、いわゆる一般消費税(仮称)という処方はとってはならぬという言葉をわざわざお使いいただいておるのは、消費支出一般に着目するという意味での一般的な消費税、あるいは幅広く消費支出に着目する間接税というものを今後一切否定してしまえば、日本の税体系の中からそれがなくなってしまう、そういうことではいけないからというので、いわゆる一般消費税(仮称)というお言葉をお使いいただいたと思うのであります。そうして、その上に歳入、歳出両面にわたって幅広い観点から財政方途を模索していけ、こういう決議をいただいておるのでありますから、まさにこの決議に基づいて私どもは財政再建の手だてを講じていかなければならぬ。したがって、あのとき言われたいわゆる一般消費税(仮称)と同じ手法が五十六年度とれるという環境にあるとは全く思っておりません。
#316
○古川委員 時間の都合がございますので、局長からお答えいただかないで、ひとつ大臣から第一点についても御所見をぜひ伺いたいと思います。
 ただいまいろいろ詳しく御答弁をいただいたわけでございますけれども、私の一番聞きたい点についてはお答えがなかったわけでございまして、次にまた国民の審判を受ける選挙があるとして、そこで与党公認の皆さんが国民の皆さんに向かって、私は何と言おうと一般消費税の導入には反対ですよと訴えて選挙をする。その結果また国民の審判が下るということは、今回のこの一般消費税導入、またその断念については何ら関係がないのか、先般の昨年秋の総選挙の結果を尊重したということであるならば、当然これは四年間にわたってその結果を尊重し続けるべきじゃないかということをお伺いしたわけでございまして、簡潔にひとつ、後の質問の都合もございまして大変恐縮ですが、お答え願いたいと思います、第一点、第二点ともに。
#317
○竹下国務大臣 それでは第一点につきましては、五十二年に中間答申をいただいております。それなりの時間がたっておりますが、まだ方向については御協議いただいていないそうでございます。したがって、現在はまだそういうことが決まってはいないということをお答えするにとどめさせていただきます。
 それから二番目の選挙の問題ですね。選挙というものは確かに主たる争点として日米安保是か非かとか、そういういろいろな、その都度都度、争点というものがあるわけです。今度も税制そのものも争点の一つであったと私は思います。しかし、選挙の結果というものに応じてあらゆる政策が全部否定されたというふうに考えられるべきものではないではなかろうか。したがって、選挙の結果は数が示して、何言ったってできないじゃないかという数が示されたときには、他の処方をもってまた部分合意とかいろいろなことを考えていかなければならぬわけでございますが、いまの場合、選挙によっていわゆる目標数を下回った場合、選挙に敗北したという表現は、四年間にわたってそのときの公約がすべて否定されるものであるというふうには私は理解すべきものではないではなかろうかと思います。
#318
○古川委員 この点につきましては、また後日いろいろ伺うことにいたしまして、次の第二の問題点に移らしていただきます。
 政府は、財政再建に当たって五十五年度以降の行政改革計画の実施についてその大綱を昨年十二月の二十八日に閣議決定をされまして、幾つかの項目を挙げその目標を示しておられるわけでございます。補助金等の整理合理化については二十九日と伺っております。ただ、こうした内容の中で根本的にメスを入れるべき問題が若干抜けているような気も、私、持っているわけでございますが、その一つについてきょうお伺いをしたいと思います。
 これはいわゆる特殊法人、認可法人についてその事業内容、役員の構成の実態等その解明をなすことがこの行政改革の一環として大事ではないかという意味でございまして、これは当然監督義務は関係の省庁、その大臣にあるわけでございますけれども、いずれも特別会計あるいは補助金という形で国民の税金の使途が問題になるわけでございますから、その総元締めとしての大蔵大臣にこれから所見をお伺いしてまいります。
 その内容の一例でございますけれども、特殊法人から公益法人に出資をする形で設立がなされる。その公益法人からまた出資がなされて民間会社の設立に寄与する。また、この民間会社というのは往々にしてダミー会社である場合が多いのでありますが、こういった実態を掌握をしていくべきではないかということをこれからお伺いしたいと思うわけでございます。
 具体的事例に触れる前に、大蔵省にまず一つ確認をさせていただきたいのでございますが、公社、公団、事業団等こうした特殊法人が公益法人という名の子会社あるいは孫会社に対して出資できる法律根拠についてであります。
 各公社、公団、事業団法を見ますと、一般的に関係事業に対して投資をできるとなっているものがありますし、また投資はできても出資はできないのじゃないかというふうな表現もあるわけでございまして、法律用語を見ましても明らかに解釈は違いますし、産業投資特別会計の場合には、出資及び投資と分けて規定をしております。また、日本住宅公団法の場合には「投資(融資を含む。)」となっております。日本国有鉄道法の場合には、投資とは別に現物出資はできるというふうに明確に分けております。この投資と出資の違いについて、この際明確な御見解をいただきたいと思います。
#319
○禿河政府委員 ただいまのお尋ねは一般的な法律用語の概念と申しますか定義についての問題でございますので、実は私ども財政当局として正確なお答えができるかどうかと思っておりますけれども、私どもで承知しております限りで申し上げますと、法令用語辞典等々によりますと、出資と申しますのは「事業を営むための資本として金銭その他の財産」等を「法人等に出損すること」、こうされております。これに対しまして、投資と申しますのは、通常は「利益を得る目的で事業に資本を投下すること」、こういうのが一般的な使い分けのようでございます。
 実際に、しからば法令の上でどういうふうに使われておるかというのを公社、公団、事業団等について見ますと、実際に使われておりますのはかなりいま申しましたような明確な概念によって分けられておるかどうか、率直に言いまして若干疑問があるところでございまして、投資と出資というものを明確に使い分けておるともどうも見られない、そういう関係もございます。私どもが知る限りで申し上げますと、国鉄とか三公社あるいは公団におきましては投資という言葉が大体使われておりまして、それに対しまして、事業団等におきましては、その法律で出資という言葉が大体使われておるようでございます。しかし、事業団法のような場合には大体出資、それから公団、公社法におきましては投資というふうな言葉に一般的になっておるようでございますけれども、その中身においてきっちりとした差異があるかどうかということにつきましては、私どもも率直に言いましてそうつまびらかにできない、こういう状態でございます。
#320
○古川委員 投資と出資の意味というのは明らかに違うわけでありまして、混同してはならないと思うのです。混同してしまいますと、結論的になりますけれども、行政機構が民間会社において実態的に制限なく拡大をしてしまう、そういう余地を残すことになるわけでございまして、これはいわば行政改革のしり抜けという事態を招くおそれか十分あるんじゃないかというふうに私は考えます。ここで具体的な事例をこれから挙げていくわけでございます。まず最初に、建設省所管の日本住宅公団、これは公団法第三十二条の二に投資ができるという規正がございます。それを法的根拠にいたしまして出資をしているのが団地サービス会社、これは三十六年に設立をされております。いろいろ問題が多いところでありまして、建設委員会等でも、あるいは会計検査院からもたびたび指摘を受けているところでございます。日本住宅公団といいましても、やはり国民の税金また公団団地の入居者の管さんの出費によるものでありますからはっきりしておきたいわけでございますが、さらにこの団地サービス会社が三つの民間会社、団地開発KK、関西団地開発KK、宅地開発技術サービス、この三社を設立しております。これはいずれにいたしましても投資できる、その投資を出資というふうに拡大解釈をすれば問題はないわけでございますけれども、そうした拡大解釈が果たして許されるのかどうか、そこに一つ問題がございます。
 もう一つ、これは労働省所管の特殊法人労働福祉事業団でございますが、これは子会社である財団法人労働福祉共済会に出資をいたしております。この内容、役員構成をちなみに申し上げますと、労働省から六名、大蔵省から一名、会計検査院から一名、建設省から一名、合わせて九名の天下りの方々によって構成されております。このうち四名は労働福祉事業団と兼務をいたしております。この子会社である労働福祉共済会からさらに出資をいたしまして、民間に共済商事会社を設立いたしております。この役員構成を見ましても労働省から六名、大蔵省から一名、人事院から六名、労働福祉事業団から一名、このうち二名はさきに申し上げました子会社の労働福祉共済会と兼務、この共済会の会長と共済商事会社の代表取締役は同一人物でございます。しかもこの共済商事会社につきましては、薬品であるとかあるいは医療機械を半独占的に労災病院等に納入をしておりまして利益を上げております。支店を病院の中に置いたということでこれまで指摘を受けて問題になっておるところでございます。こうした特殊法人、公益法人にはそれなりの社会的な意義があることも認めますし、政策目的があることも認めるわけでございますけれども、特に二番目に挙げました事例、労働福祉事業団につきましては、その根拠法の中に投資という表現も出資という表現もないわけでございまして、これは大きな問題ではないか。
 大変前置きが長くなりましたけれども、労働省においでをいただいておりますので、この点労働省と行政管理庁と大蔵大臣にお伺いをしたいと思います。
 労働省にお伺いしたいのは、昭和四十三年七月、労働福祉事業団がこの子会社労働福祉共済会に六千五百万円出資をいたしました。この法的根拠は何かということ、これをどう処置するのか、今後の問題もあわせて御答弁をいただきたいと思います。行政管理庁、そして大蔵大臣につきましては、こうした特殊法人等の出資行為について今後厳重な監視であるとか、これを違法とすれば、その処置をどうしていくのかという点につい触れていただきたいと思います。
#321
○倉橋説明員 お答え申し上げます。
 労働福祉事業団につきましては、設立以来、労災病院の売店、食堂等の経営につきましては、業務の付帯業務といたしまして事業団に特別事業部を設けまして、また、国からの出資金、交付金等の経理と混在しないために特別の会計を設けまして、直接これらの病院の食堂、売店等の経営に当たってきたわけでございますが、これらの業務の合理化を図るために昭和四十三年七月一日に財団法人労働福祉共済会を設立したわけでございます。設立いたしまして、従来直営で特別事業部が行っておりましたこれらの業務につきまして、設立いたしました福祉共済会に当該事務を行わせるということにしたわけでございます。その際、関係の職員につきましてもすべてそのまま身分を共済会の職員に移行さしたということにいたしたわけでございます。その際、共済会設立に当たりましては、従来特別事業部が所管いたしておりました特別会計の中から、同財団にいま御指摘のございましたように約六千五百万円の出捐を事業団からいたしております。私どもといたしましては、事業団が四十三年に行いましたこのような出捐につきましては、従来事業団が付帯業務として行っておりました業務の一環といたしまして、財団法人を設立し、それらのものに当該事業団の業務を行わせるということから考えまして、その範囲、程度等を考えまして、法的には可能ではないかと思うわけでございます。もちろん、事業団法その他につきましては明定の規定はございませんが、それらの趣旨から見て法的には許されるのではないかと思っておりますが、その後、いろいろ問題点の御指摘等もございますので、私どもといたしましては、今後このような出捐行為については一切行わないというようなことで事業団等を十分指導し、監督してまいりたいと思っております。
#322
○古川委員 六千五百万円はそのままですか。
#323
○倉橋説明員 四十三年に出渇いたしました六千五百万円につきましては、すでに出捐行為が完了いたしておりますが、御指摘の中で委託の方法、経理の区分、いろいろな問題がございますので、私どもといたしましては、いろいろな問題を含めまして委託関係の明確化等を進める中でこれらのことにつきまして改善するよう指導してまいりたいと思っております。
#324
○篠沢説明員 お答え申し上げます。
 先生御承知のとおり、行政管理庁は国家行政組織を管理するという立場から国の行政機関、それからそれと実質的に非常に近いような法人の組織等を管理していくということで特殊法人までを管理の対象としております。特殊法人は、御存じのとおり、特別の国家目的を持ちまして、設立行為も国以外のものがイニシアチブをとることを禁じておるというような法人でございますので、行管としては対象にしておりますが、公益法人は、御承知のように、全く民法三十四条そのものによる民間法人ということになっておりますものですから、行管としてはとうていそこまでタッチがしにくいということでございます。ただいま先生から特に財政管理的な結びつきということでお話があったわけでございますが、ただいまのところ行政管理庁の管理の考え方としては、財政管理的な側面は視点として持っておらないことを御了解いただきたいと思います。
#325
○古川委員 大臣にお答えいただく前に……。
 これはちょっとおかしいと思いますね。先ほどの労働省の御説明もわからないのです。四十三年にやったことは法的根拠はないけれども許されると思う、だけれども今後はやらない、これは一体どういうことですか。それから六千五百万円の出資についてもはっきりなさらないわけですね。これは返さないのですか。戻さないのですか。戻していいというものじゃない。これからやらないからいいというものじゃない。戻すとしても、これは十年前のことです。それこそ物価も上がりましたし、貨幣価値も下がっているし、なかなか返しにくいという点もあるでしょう。これはあくまでも法的根拠がなくても間違いじゃなかったとはっきりおっしゃるのですか。
 それから、行政管理庁からのお答えもわかりません。私が申し上げているのは、あくまでも、いま税法の問題について審議をしているわけですから、国民の税金の行方を私は論じているわけです。財政的にというお言葉をお使いになりましたけれども、こうした特殊法人からその先で法の根拠のない、あるいは法の解釈のあいまいな点について私はいまお伺いをしているわけでございまして、非常に時間が迫っております。最後に大臣から御答弁をいただいて、それで質問を閉じるわけでございますが、これは極論すれば天下り先への公金の不正流用だ。そういう意味では、国民の税金がこれからこうした特殊法人等を通していかに有効に運用されているか、私はあえて不正として指摘しているわけでございますけれども、財務当局の大蔵省として、その大臣としてこれは一度洗い画す必要はないか。これは労働省、行政管理庁に続いて大臣にお答えをいただきまして、時間が参りましたので、私は質問を終わらしていただきます。
#326
○禿河政府委員 今後どういうふうにやっていくかということにつきましては後ほど大臣から御答弁があると思いますが、その前にちょっと事務当局の方から簡単に御説明させていただきたいと思います。
 いま御指摘がございましたとおり、法的に明文の出資等の規定がない場合に、果たして出資ができるのかどうかという問題につきましては、やはりそれぞれの根拠法に即しましてケース・バイ・ケースで慎重に検討すべき事柄であろうと思います。その際、やはり第一義的には、その法律を所管いたします各省庁の判断によるべきところであろうかと思っておりまして、これを一般論として申し上げるのはなかなかむずかしい面はあろうかと思います。
 いま御指摘がございました労働福祉事業団、その出資の問題でございますけれども、先ほど労働省の方からの見解が示されましたとおり、これは病院関係の食堂とか売店等の経営といったような付帯的な事業に係る出資でございますので、明文の出資規定はございませんけれども、事業団法の十九条等にその業務の規定等がございます。その付帯業務というふうなことで、法的には違法な行為でないであろうということでこの出損がなされたものと考えております。今後こういう点につきまして、労働省の方におきましても速やかに検討されるということでございますので、私どもとしてはその措置を見守ってまいりたい、かように考えております。
#327
○竹下国務大臣 この問題は、私と行管長官と官房長官のところへ労働大臣がお見えになりまして、労働福祉事業団の公益法人と、それから医療器具なんかを入れるときのトンネル――トンネル会社という表現はいけませんが、その種の言葉が私には適切かに聞こえた法人につきましては、早速人事的な面における措置はとりました。したがって、出資等の面についても、法的な問題はいろいろありますが、改善の方向で早速検討に入りましたので、その推移を見守っていただきたいという旨の御報告がありました。
 それから、これは出資そのものに、財政管理ということに対してストレートに結びつくということについては問題がございますけれども、御案内のように、先般閣議決定いたしまして百十一特殊法人についても行政監察の権限を与える、こういうことにいたしましたので、その辺から、それに関する公益法人にそのものずばり手が届かないにしても、その本体の監査の中から当然行革の精神からすれば自粛されていくべき方向にある。ただ、確かに中には必要なものもあるというふうには私どもも認めますけれども、御指摘のあったような問題については、そういう方向で政治の上では歩みが進められておるというふうに御理解をいただければ幸いであります。
#328
○古川委員 時間でございますので、終わります。
#329
○増岡委員長 多田光雄君。
#330
○多田委員 大臣、どうも御苦労さまです。これから短時間ですけれども、有価証券の譲渡益課税の問題についてお伺いしたいと思います。
 これを取り上げますのは、実は午前中に大臣はおりませんでしたけれども、幾つかの問題について、次官を初め主税局長などに伺ったわけです。それをちょっと概括的に申し上げて質問の本論に入りたいと思うのです。
 私がきょう午前中に取り上げた問題の第一は、所得税の減税措置をやってもらいたいということです。赤字財政をなくする、それをにしきの御族にして国民に大きな負担をかけないでもらいたいということです。私があえてそれを言ったのは、今日財政危機の解決と、それから国民生活を守るというのは二律背反ではなくして、これは両立させなくてはならないし、またできるという確信を私ども共産党は持っておりますので、そういう立場から減税措置を求めてまいりました。
 それから二番目は、法人税の問題ですが、この法人税の税率引き上げについて、いまは大きな一つの世論になっているわけです。税調でも取り上げております。ところが、最近企業の集団である経団連筋から、日本の法人の税率は世界で一番高いというような意味の宣伝が盛んに行われているわけです。果たして高いかということを幾つかの点についてきょうは伺いました。ある点については大蔵省との見解が必ずしも経団連と一致していないという点も実ははっきりしたわけであります。そして、ぜひひとつ次年度からは法人税の引き上げをやってもらいたいということも要望したわけです。
 それから三つ目は、税務行政の姿勢といいますか、それをうかがう一つの点として、いま問題になっておりますミスターK・ハマダをめぐる贈与税の有無について国税庁がどういうふうに対処するのかということについて伺ったわけですが、私の質問の底を流れるものは、あくまでも財政再建に当たりましても、税制をとる場合にも、国民の暮らし、とりわけ低所得者を中心にする多くの国民の暮らしを守るという立場をしっかりと守ってもらいたいということが一つです。それから、税務に当たっては公平をとことん貫いてもらいたい、この二つが私の質問の中心であったわけです。そういう立場から、いま申し上げる有価証券の譲渡益課税の問題も大臣初め皆さんにお伺いするわけです。その点ひとつ流れとして了解していただきたいと思います。
 そこで本論に入りますけれども、今回グリーンカード制度の導入などによって利子配当所得を総合課税に移行するように提案されているわけです。この利子配当課税の総合課税は必要でありますし、またやらなければならないというふうに私ども考えておりますし、また年来それを主張してまいったわけであります。しかし、他方でもう一つの、この大資産家優遇税制でありますいま放置されている株式などの有価証券譲渡益の原則非課税制度、これには今回何ら手がつけられていないわけです。有価証券譲渡益課税がいまのままで、ざる法だとするならば、利子配当所得の課税強化を免れようとして当然有価証券の譲渡の方に資産が逃げていってしまうだろうということはだれしも予測することです。これは非常におかしいことだというふうに私ども考えます。
 それで、大蔵省が新しい制度の導入で利子配当の課税部分所得を押さえようとしたなら、今度は別の事実上の非課税資産に逃げ込んでしまう。まことに矛盾しているわけですが、これは片手落ちではないかというふうに思います。また仏つくって魂を入れないということにもなるのではないかというふうに思いますが、この点で大臣、第一に御所見を伺いたいと思います。
#331
○高橋(元)政府委員 今回御提案しております総合課税の問題は、利子所得のみならず配当所得についても五十九年一月一日以降同じ扱いをするわけでございます。したがって、配当の受領につきまして納税者が氏名を告知なさる場合にグリーンカードを原則として使っていただく、そういう意味では、利子と配当の間に差はないわけでございます。
 それからもう一つ、たびたび申し上げておりますが、税制は金融資産の選択に対して中立でなければならない、こういう考え方でございますので、今回の制度改正につきましても、利子配当について平等に影響が及ぶようにというのが基本的な考えでございますけれども、この場合、お話にありましたように、銀行預金だと利子にぴっちり課税されるけれども、株式のキャピタルゲインだと――そこはキャピタルゲインの課税される場合が五項目に限定されておりますから、そっちへいってしまうかということでございますけれども、現在の株式の取得動機というのを見ておりますと、やはり値上がり期待というのが非常に大きいわけであります。したがって、金融機関に預けられるような預金がいわばリスクキャピタルというものに直ちに逃げていくかどうかということになりますと、利子所得を得ようという安定資産がリスクキャピタルに全部が全部転化するという性質を持っているとは直ちには思えないわけでございますが、昭和二十八年から有価証券の譲渡益に対して例外的にといいますか四つのケース、現在五十四年度の改正でケースが五つになっておりますが、五つのケースに対して課税をするという制度になっております。
 今後とも段階的に課税の強化を図っていくということであろうと思いますけれども、金融資産の選択なり株式市場なり、そういうものに不測の影響を与えないということも大事なことでございますから、その辺を見きわめて逐次、申し上げたように、段階的に課税を充実していきたいという考えであります。
#332
○多田委員 大臣の御所見を伺いたいと思います。
#333
○竹下国務大臣 私は、グリーンカードシステムの導入によって利子配当課税が、名寄せ等が便利になって的確に把握し得る、そういう方向にあるものであるとはもとより考えておるところであります。したがって、いま多田委員の御発言は、そのことが株式の売買等によるいわゆるキャピタルゲインというものが把握しにくいからそっちの方へ逃げてしまうんじゃないかという御心配のようでございます。銀行よさようなら、証券よこんにちはというような状態になりはしないか。五十四年に改正されておりますよね。したがって、いままさにその初年度と申しましょうか、そういう推移の中で今後段階的にやられていくならば、五十九年にそういうところへ移動していくというような情勢にはないように十分なり得るではないかという感じが私はいたしております。
#334
○多田委員 あえて私がそのおそれなしとしないのは、これはすでにシャウプ勧告の中でも、ちょっと有名な言葉ですが、使われておりますので、私、もう一度述べてみたいと思うのです。
 勧告の中には、御存じのとおり、あのとき課税措置をとったわけですね。ここではこういうことを言っているのです。「こうかつな租税回避者が、その利益を実現する法的形式を変形することによって、」直訳そのままのようで何やらわかりづらいのですが、「他の形態の所得をキャピタル・ゲインに容易に変更することができるという点である。事実、アメリカにおける経験に徴して十分明らかであるが、キャピタル・ゲインが課税されないかまたは低率の課税しか行われていない場合には、多くの富裕な、そして抜目のない投資家が高額所得を得ながら、ほとんど課税されないで巧みにのがれることになるのである。」これがそのときの勧告の一文なんですよ。金というのは、ときには人の心を超えて多くの利殖を求めて動き回るものですね。ですから、ここでもうけないということになれば、水が低きに流れるように、さらに甘い汁の方に流れていくというのは、私は避けがたいことだというふうに思うのです。そして、行かないだろうということで、行かないという断定は大臣も主税局長もおっしゃっておらないわけです。
 それからいま一つは、行くか行かないかにこだわらず、私が冒頭申し上げましたように、不公平税制を是正するという意味でもこれはぜひ実現したいということで実は申し上げているわけです。せっかくいま総合課税に踏み切るわけですから、この機会に、この時点に立って有価証券についても本格的な課税に移行するということが必要だというふうに私は思います。
 もう一度、これは局長に聞きますが、外国でも、すでにアメリカ、イギリス、フランスなどでは原則課税に移行しているように聞いています。西ドイツはやっていないということですけれども、外国でできていてなぜ日本でやれないのか、その理由をもう一度明快にお答え願いたいと思います。
#335
○高橋(元)政府委員 アメリカの税制は、保有期間一年以下の短期キャピタルゲインというものは通常の合算をいたします。保有期間一年を超えております株式を譲渡した場合の、長期キャピタルゲインというものは四〇%総合課税ということでございます。
 それから、イギリスの場合には、一定の国債を除いて有価証券の譲渡所得は、他の譲渡所得と合算してキャピタルゲイン税、これは三〇%でございますが、課税をいたします。
 西ドイツは原則非課税でございますが、投機売買によるもの等は他の所得と合算して通常の所得税率により課税をいたす、事業譲渡のものは軽減税率により課税をいたす、こういう制度であります。
 日本の現行の制度は、さきに大臣からお答えのありましたように、本年度改正をいたしておりまして、一つは大量継続反復の場合、俗に五十回、二十万株と言っておりますが、そういう売買をした場合、それから事業譲渡類似の場合、それからゴルフ場の会員権の売買でございますね、それから、本年度新しく追加されましたのが、一銘柄二十万株以上の株式を年間に売りました場合の譲渡所得、こういうものが課税になっております。
 税制調査会の中期答申でも言われておりますように、段階的に課税の強化を図っていくということが必要であろうというふうに考えております。
#336
○多田委員 それでは伺いますが、年に五十回以上かつ二十万株、これでどの程度申告があるのでしょうか。聞いたところによりますと、余りないということを伺っているのです。
 それからいま一つは、昨年一定の強化をされた、つまり一銘柄で二十万株以上ということですが、この一年間でこれがどの程度の成果を上げてきているのか。三月十五日で確定申告がありましたから一定の資料を持っているのじゃないかと思いますが、お聞かせ願いたいと思います。
#337
○矢島政府委員 お答えいたします。
 有価証券の譲渡による課税状況につきましては、譲渡所得全般の数字しかございませんで、私どもそういう資料をとっておりませんので、わからない次第でございます。
#338
○多田委員 そうだろうと思うのです。ですから、昭和五十三年十月ですか、衆議院の予算委員会で、私どもの東中議員が笹川グループの非常に巧みな脱税問題を取り上げたわけですね。あれは年五十回以上かつ二十万株ということだったのですが、総括注文伝票というこれ一枚で、何回売買しても一回の回数だ、こうやっておれは――おれはというのは笹川が言っているのですよ、週刊誌で。おれはこうやって何億ももうけているんだ。これが取り上げられていたわけですね。こういう巧みな脱税が、しかもこれは二百万、三百万の年収の庶民がやっていることじゃないのです。楽しみで年に何株か買っているような庶民がやっているのじゃないのです。何億という金を使ってやっている資産家、投資家がこういうことをやって、巧みに脱税して大きな利益を上げているのですよ。しかもその実態はなかなかつかめない。それはそうだと思うのです。
 そこで、私なおかつ――きょう証券局来ていますね。お伺いしますが、あなたのところでどれだけつかんでおりますか、税金の網にかかっているのですか、伺いたいと思うのです。
#339
○宮下説明員 株式売買による所得については、私の方では全然つかんでおりません。
#340
○多田委員 大臣、このとおりなんですよ。だから、これがやはり不公平税制の一つの問題として取り上げられているんだろうと私は思います。したがって、これによって一体税金の上で減収がどれだけになるかというような問題も、恐らく税務当局によってもつかまれていないのじゃないかというように私は思うのです。
 そこで、大蔵大臣は先ほど課税が強化されたと言いますけれども、こういうおもしろい記事があるのです。これは大臣がまだ大臣になられる前ですからお気づきにならなかったと思うのですが、五十四年四月七日の朝日新聞のコラム欄に出ているのです。これはちょうど昨年一銘柄二十万株以上の強化がやられた後の記事なんです。こういうことが書いてある。
 億の金を動かす投資家などザラにいる株式市場にとって脅威かと思われたが、
この改正が。
 実際は「やれやれ、あの程度の改正でほっとしました」というのが証券界の反応。課税対象は増えたものの、自主申告制は変わらず、証券各社が心配していた「顧客資料の提出義務」が盛り込まれなかったため、税務当局が実態をつかむのが技術上困難、と見ているからだ。
  「本気で課税する気があるんですか、といいたいぐらい。もっとも、それでいいんですがね」と、証券会社の担当者はニコニコ顔だ。
さらにこう書いていますね。
 証券各社がおそれたのは「二十万株以上売った人のリストを提出せよ」と、法で決められることだった。実現されたら、大量に売買してくれる上客が株に魅力を失いかねないからだ。
また、こうも書いています。
  しかし、新税も結局は申告制に落ち着いた。
 「我々の要望が通った」「これならば影響はほとんどない」と証券各社は喜んだ。
こういう記事が出ているのです。
 そこで、この問題がなかなか捕捉しがたいというふうに言われているのですが、その捕捉しがたいものを捕捉する方法は私はあると思うのです。今度皆さんが総合課税をやるに当たって、百円の税金を集めるのにその経費に三十円から使ってあえておやりになるぐらいの力と、自主申告がありながらあえてこれをやるだけのあれを皆さんが持っているならばやれることなんです。それは何かというと、証券会社に対して顧客資料の提出を義務づけるということなんです。現実に証券会社は売買して知っているわけですから。私は、それをやるかどうかがこの問題を解決する決め手になるのではないかというように思うのですが、大蔵省、どうでしょうか。私は、この機会にこれをやらなければ、先ほど言ったように仏つくって魂の入らないものに一面なるんじゃないか。そして、脱税を政府公認のもとで、しかも大きな資産家や投資家にやらせる、こういうことになって、ますます税務に対する国民の信頼を失うことになるんじゃないか、私はこう思います。これはひとつ大臣のお答えと局長のお答えをお願いしたいと思います。
#341
○高橋(元)政府委員 五十四年度改正の御審議をいただきました際にも、株式市場から直接資料を取る、それによって課税の強化を図ってはどうかという御質疑があったわけでございますが、物の売買による所得でございますから、一々の譲渡についてそれぞれその譲渡者から資料を取るというところまでにわかにいくということも問題もあろうと思います。申告所得税は元来良心税でございますから、良心に従って申告をしていただくということが本則であります。そういう意味で、五十四年度改正の成果というものが三月十五日申告書になって出てきたわけでございますから、それの実施状況を見てさらに検討をしていきたい、それが昨年来お答えをしておるお答えであります。
#342
○竹下国務大臣 先ほどお話し申し上げましたように、一銘柄年間二十万株以上の株式譲渡を課税対象に加える等の課税の強化がまさに昭和五十四年度改正で行われたばかりでありまして、この改正の結果を見きわめて検討していくということであろうと思います。しかし、いずれにいたしましても、この譲渡益をいかにして把握するかということにつきましては、不公平なく、しかも簡易に執行できる方法をどうしても探求していく必要はあるというふうに私も考えます。
#343
○多田委員 時間もあれですから、ぜひひとつ大臣、その探求をやっていただきたいと思うのです。一般の勤労者の場合は、御存じのとおりにもう税金天引きですから、探求も何もないのです。これ以上探求されたら生活が破壊するだけなんですね。やはり、税の法網をくぐっているというのは、善良な国民や勤労者じゃないのです。くぐりようがないのです。くぐれるのはやはり一定の資産を持っている人たち、それをやればともかくこの大きな利子や配当益があるという人たちが、それこそ目の色を変えてその法網をくぐっているわけなんですね。ですから、私は、ここに目をつける必要があると思う。今度のカードの問題にしても、一番つかみたい人がなかなかつかめない。本当に、三百万の貯金をして何とかわずかの利子でもあれしたいという人たちが一番網にかかってくるんですよ。そこで非常に大きな被害といいますか、影響を受けるわけで、そういう側面があるということも私は考えておく必要があるんじゃないか、こういうように思います。これは局長、どうでしょうね。こういう問題はやはりざっくばらんに税調に出していただいて、そしてこの際思い切って、財政再建というのであれば、国民の本当の信をつなぐためにも、国民から大きな不信を買う、あるいは疑惑を持たれている問題は、時を待つのでなく、できるだけ早くやるということが国民の立場に立った財政再建につながるものだと私ども考えるのです。大蔵大臣はなかなか古い言葉を出されて、入るをはかり出るを制するということですが、どっちを先に言ってみたところで、入るをはかるためには、鼻血も出ない人から出すんじゃなくて、未曽有の利益を上げている法人であるとか大きな企業であるとか、そしてまた、課税最低限ぎりぎりの人にとってはとても想像もできないような利子や配当を受け取っている人たちにやはりメスを入れるというのが常道ではないかというふうに私は考えるのです。私は、こういう問題も思い切って税調にかけて、政府みずから率先してその裸視を実現していくということが大事だと思います。それがいま総合課税に踏み切るに当たっての一つのチャンスじゃないかと思うのですが、そういう点いかがでしょうか。
#344
○高橋(元)政府委員 国会でお出しいただいた御意見、またここでの御議論というものは、細大漏らさずすべて毎年税制調査会に御報告をして、税制調査会での年度の税制改正審議の際に、出発点と申しますか、参考資料と申しますか、そういうことにしていただいております。いまのお話も、当然国会が終わりました後の税制調査会に報告をいたします。
#345
○多田委員 最後に、大臣、きのうもきょうも税の専門家である主税局長や皆さんが、税の根幹は公平であるということを何度も重ねてそれを主張しておられるのですが、税の公平を図る上で大臣がいま一番大事だと思うことば何だとお考えになっておりますか。
#346
○竹下国務大臣 納税者たる国民が納税を義務意識をもってとらまえていただいておる現況、徴税の衝に当たる者が絶えず公平感を失わせないという心構えが必要であると思います。
#347
○多田委員 徴税官の心構えは賛成ですけれども、私は、やはり税の公平というものは、生活に困難な人たちの税というものと、それからかなり富裕な生活をしている者あるいは勤労せずして大きな所得を持っている者、こういうものに対して公平な態度をとっていくということが非常に大事だし、これは、税のみならず政治のやはり根幹をなすものではないかというふうに思っています。そういう意味で、ぜひひとつ今後もこの株式などの売買による益金に対する正当な課税を実現していく、そして公平な税制を図っていく上で、一層ひとつ皆さんの努力をお願い申し上げまして、短い時間ですけれども、私の質問を終わりたいと思います。
#348
○増岡委員長 正森成二君。
#349
○正森委員 大蔵大臣、いかにお役目とはいえ、連日夜遅くまで御苦労さまでございます。夕方一時間ほど質問いたしましたのでその続きをさせていただきますので、あるいは御理解がしにくいかとも思いますが、御理解いただける範囲でお答え願いたいということをお願い申しておきたいと思います。
 今度の改正の第十一条の二の二項に、先ほど主税局長がお話しになりましたように他目的の利用が禁止されておりますが、その中で「国税に関する事務に使用する以外の目的にこれを用いてはならない。」とこうなっております。そこで、「国税に関する事務」ということで、どの範囲のことを考えておられるのか御答弁願いたいと思います。
#350
○伊豫田政府委員 少額貯蓄等利用者カード制度は、利子配当所得の総合課税と非課税貯蓄の限度額の管理の適正化という目的で導入されるものでございますので、当局といたしましては、カードの記載事項につきましては、従来支払い調書について利用してきたと同様に利用することを考えております。
#351
○正森委員 非常にくどいようですが、今度の法律案を見ますと、十一条の三の四項では「少額貯蓄等利用者カードの様式は、大蔵省令で定める。」ということになっておりまして、肝心の問題は今後の省令で決まるわけですが、いまの御答弁でも、支払い調書を利用してきたのと同じような利用をさしていただきたいと、こう受け取れる答弁でしたが、それではわかったようでわからないことなんで、それでは支払い調書はどういうように利用してきたかということを答弁していただきたいと思います。
#352
○伊豫田政府委員 カードの記載事項を具体的にどのように利用するかという問題につきましては、今後その制度の細目の詰めと並行して詰めていかなくてはならないと思いますが、制度本来の目的でございます利子配当所得の支払い調書の名寄せとか、非課税貯蓄の限度額の管理、こういうものにつきましては制度本来の目的として当然に使われるべきものと考えておりますが、そのほかにたとえば利子配当所得に直接関連はいたしませんが、租税債権の管理等のためにカード番号を利用する、このようなことを考えさせていただいております。
#353
○正森委員 そうすると、結局、納税申告書にも使えるし、給与所得者の源泉徴収票や異動申告書にも使えるということは当然の結果になると思いますが、いかがですか。
#354
○伊豫田政府委員 カードの記載事項、具体的には番号をどういうふうに使うかという問題でございますが、その点につきましては、ただいま申し上げましたように今後の検討にまたせていただきたい、このように考えております。
#355
○正森委員 私として一番知りたいことが、結局今後の検討にまたせていただきたいということになっているわけです。そうだといたしますと、高橋主税局長が夕方の最後の私の質問に対してお答えになったことですね、罰則があるとか、あるいは十一条の二も引用されたと思いますが、それは結局まだ具体化されていないで、今後の大蔵省内での検討を待たなきゃならないということになるわけで、われわれとしては安心して、なるほど「国税に関する事務に使用する以外の目的にこれを用いてはならない。」となっているとか、あるいは法二百四十三条でこのグリーンカードの問題についても守秘義務が課されているとかいうだけでは、この問題についてプライバシーが守られるであろうかとか、あるいは乱用がされないであろうかということについて容易に安心することができない、こういうように言わざるを得ないと思うのです。
 そこで、もう一点伺いますが、夕方私が伺ったことでもございますが、現在の支払い調書は千二百万枚でございますが、総合課税に移行すると大体三千二百万枚になるということはお答え願いました。そして支払い調書にカード番号が記入される分が約八割というように聞いておりますので、そうすると、六百万枚が結局手作業でやらなければならないものに残るというように思われるのですね、私、夕方にはそう申しましたが。そうすると、この六百万枚の支払い調書等について、これを総合課税に移行して実効を上げるためには、その名寄せを徹底的にやり切らなければならない。それをやらなければ、今度のグリーンカードの導入というのは結局総合課税を十分実施するためには仏つくって魂入れずということになる、こう思うのですが、それを完全にやり切るといいますか、そういう決意であるのかどうか、あるいはそのための体制をどうするのかということをお伺いしたいと思います。
#356
○伊豫田政府委員 ただいま委員の御質問にございましたように、その点についての名寄せが不十分であれば、総合課税と申しましてもその点に不十分な総合課税ができてしまうということはよく承知しております。したがって、できる限りの努力を尽くすつもりでおります。
#357
○正森委員 その点についても、結局できる限りの努力をするという御答弁でしたが、私はまさにその約六百万枚強の支払い調書等をどういうように名寄せし、確認し、総合課税の実効を上げるかということがこのグリーンカードを導入するとしても根本であって、それができなければ実際上は総合課税の対象にならない少額貯蓄者だけをがっちりとカードに入れて資産から何から管理するということだけに終わる、しかも国費は多額に使われるということになると思うのですね。この点について、大蔵省としてあるいは国税庁としては、やはり十分な心構えと決意が必要であるというように思います。
#358
○高橋(元)政府委員 グリーンカードによる告知をなさらないで、グリーンカードを使わないで利子配当の受領をなさるという場合には、これは先ほども申し上げたことでございますが、住民票なり法人の登記簿の抄本なりというものをお示しいただくわけでございます。そこには当然住民票または登記簿謄本の住所、氏名または名称というものが書かれてくるわけでございますから、それが支払い調書に書かれて、税務署に御提出をいただくわけであります。したがって、そういう住民票の虚偽の住民票というのはあり得ないと思いますから、住民票上の名称または住所というものによって、税務上従来よりははるかに的確に本人の確認なり税務署における名寄せというものは可能になるというふうに思います。
 それから先ほどの伊豫田次長の御答弁の中であるいはやや誤解を抱かれるかもしれないと思う点について補足させていただきますと、少額貯蓄等利用者カードに書きますことは法律に決まっておりまして、その者の氏名または名称及び交付番号であります。その他必要な事項を書くということになっておりますが、現在のところ省令で定めるつもりにしておりますのは、非課税貯蓄の限度額、これを金融機関の店舗ごとに書くということに予定をいたしております。大蔵省令に譲りましたのは、そのようなカードの様式をどのくらいの大きさの紙にどういうふうに書くのかということを譲っておるわけでございまして、大綱は法律に明定してございます。
#359
○正森委員 主税局長高橋さんから再度答弁がありましたが、それでもなおかつ、「国税に関する事務」という範囲はどの範囲であろうかという点については、私の疑念を払拭するには至らなかったと思います。
 それからもう一つ、高橋主税局長が私の危惧に対して、夕方、質問の際に、守秘義務もあるし大丈夫だという意味のことを言われたのですが、それでは本当は不十分なんです。実は三月の四日に、党は違いますが私がよく存じております渡部一郎議員が、第一分科会でやはりプライバシーの問題について質問をしておられるわけであります。その中で指摘しておられることはまことにごもっともな意見で、つまり集めてしまったものについて守秘義務を課しただけでは、本来コンピューターを広く利用するためには不十分なのである、その前にまず収集をどの範囲収集するかという制限を行わなければならない。記録の制限を行わなければならない。他機関とのオンラインの制限、個人番号使用の制限、データ保護措置、データ提供の制限、職員の処理状況等の公表に関する義務、職員の個人の秘密の保護に関する義務、職員の運営の適正性あるいは正確性の保持に関する義務、また個人の権利として、閲覧請求、訂正、変更、廃止等の請求の権利、審議会の設置、処理委託の制限等に関してさまざまのことを行わなければならぬという意味のことが書いてあるのです。私はこの意見は非常に傾聴すべき意見だと思います。
 また同時に、法律家でもある伊達秋雄氏も、個人情報はその個人の同意を得ないでコンピューターに記録することはできないという原則を確立すべきである、個人情報の第三者への開示は禁止さるべきである、個人に対しデータバンクに貯蔵された自己に関する情報を知る権利を認め、また誤った情報の訂正を求める権利を認めるべきである、それからそのほかに守秘義務の問題とか、監督機関を設けることというのを言っておられるわけでありますが、大臣、いきなり途中からの質問で非常に困難だとは思いますが、総理府長官と行管庁の長官との間でプライバシーの保護についてお話し合いがなされたというようなことも聞いておりますし、それを受けて、内閣全体で大蔵大臣も含まれて総理もお入りになってこの問題についての対応策も考えられたということを新聞紙上聞いております。私は大臣のおられないときも含めて、種々こういうようにコンピューターを導入する場合にはその前提としてプライバシーの保護についての立法が必要であり、諸外国においてはすでに十カ国以上行われておるのに、わが国においては非常にそれがおくれておるところが問題であるということを不十分ながら指摘したつもりでございますが、この問題についての大臣の御見解と御答弁をぜひ承りたいと思います。
#360
○竹下国務大臣 先般行管長官、総理府総務長官、それから私も入っておりましたが、OECDの勧告に対応するということで初めて議論をいたしました。国際的に見ましても、一方でいわゆる情報公開法、一方でプライバシーの保護、確かにうらはらな問題が併存したような一つの議論だ。それで、これは鋭意検討を詰めてみようということになっております。
 ただ、私は、自由民主党の全国組織委員長をしておりますときに、党員名簿というのを私が責任者で全部インプットをいたしました。したがって、そのやり方等について多少は知っておりますけれども、大蔵大臣になってみて、このグリーンカードのシステムが考えられたとき、あるいは厚生省に年金のコンピューターがあります、それから電電公社にあるものとか、いろいろなものを総合して使ったらむしろ効果的ではないかと最初は思いました。しかし、それはまさにまたプライバシーの問題につながってむずかしいから、やはり大蔵省は大蔵省で厳密にプライバシーの保護というものを念頭に置きながら何をインプットしていくかということを考えていかなければいかぬなというような、私自身も、勉強しているうちにそういう心境になっております。したがって、OECDの勧告にどう対処するかというような問題をも含めて、大切な問題として、また私自身には幾らかの経験から興味のある問題として、これから対応してまいりたいと思います。
#361
○高橋(元)政府委員 大臣の御答弁で大綱は尽きておるわけでございますが、若干技術的なところを補足させていただきます。
 グリーンカードシステムに切りかわりました後で、カードによって、またカードを利用して国税当局が収集し得る情報の量というのは変わらないわけでございます。現在でも告知義務というのはございますし、告知義務を履行する際に、本人であることが明らかでない場合には、一定の公的な資料によって証明をしていただくことになっておりますし、支払い調書制度はこのカード以前と、現行と全く変わっておりません。そういう意味では、いわば非課税貯蓄申告書がカードへの記載ということで置きかわる、カードを行使されない郵便貯金の預入について郵政当局から税務当局に御通知をいただく、その点だけが変わっておりますけれども、基本的には現在でも納税者から税務署が教えていただいておること、また金融機関なり貯蓄の取扱者から教えていただいておることと全く同じでございます。
 しかしながら、カードに記載されておる事柄についてのプライバシーの保護ということで、罰則を改正いたしまして、二年以下の懲役というような重い守秘義務を税務職員に課しておる、それから、十一条の二で他目的利用を禁止しておる、こういうことで御理解いただきたいと思います。
#362
○正森委員 時間が参りましたので、いろいろ申したいことがございますが終わらしていただきますが、高橋主税局長から懇切にお答えはいただいたのですけれども、私の聞いておるところでは、これまで税務署あるいは国税庁がいろいろお知りになったこと以上にインプットされますと、これは資料としてずっと残る。そうすると、誤った情報が入れられたときに、これを自分が訂正する権利がないために、誤った情報がいつまでもずっと残るというようなことがある。これは、国税庁はまだやっておりませんけれども、ほかの省庁の関係では問題になっているんですね。そういう問題もございますので、なお国税庁、大蔵省で、国民の権利を守るためにいろいろ努力していただきたいという要望をして、時間でございますので、質問を終わらしていただきます。
#363
○増岡委員長 玉置一弥君。
#364
○玉置委員 非常に遅くまで本当に御苦労さまでございます。
 現在、いろいろな非常に厳しい情勢の中で、特に物価問題、そしてインフレの抑制という部分についていろいろな意見が出ていると思います。しかし、現在の状況を考えますと、行政面あるいは財政面での措置はかなり十分とられている、そういうように感じるのでございますけれども、これからガスあるいは電気、郵便料金、その他いろいろな公共料金も含めてますます上がってくる状態の中で、特に卸売物価が二月時点で二〇%をはるかに超えた状態でございますし、また原油の値上がりが非常に一方的にまだまだ上げられてまいります。こういう状態の中で特にわれわれ心配いたしますのは、本当にこのままで日本の経済はどうなるんだろうか、特にことしの後半以降でございますけれども、非常に不安感を持っております。
 そこで、お伺いいたしたいのは、現在まで行政的な措置として、物価対策あるいはインフレの抑制に対してどういうことをとられたかということ、それから景気維持あるいは需要抑制という言葉も出ておりますけれども、これからやっていくにはやはり財政金融、それらの運営しかないのではないか、そういうふうに思うのでございます。ある程度具体的に、これからの財政運営について、今年度あるいは来年度、景気の見込みとともにどういうふうな対処をされるのか、その辺についてお伺いいたしたいと思います。
#365
○竹下国務大臣 非常に基本的な問題でありますし、そうして当面の物価総合対策をいま決めたばかりでありますので、それなりに私としてもお答えすることがタイムリーではありますけれども、非常に抽象的になるきらいがあるかもしれませんが、その辺は御寛容を賜わりたいと思います。
 いま御懸念なすっておりました電気は五〇・八三%、ガスは四五・三四%、そういうことで決まったわけでございます。四月一日からこれが実施に移されるわけでございます。したがいまして、そういうことを総合してまいりますと、一段と今後の物価動向は警戒を要するものになると考えるのが当然のことであろうと思うのであります。そこで、いま、適切な総需要の管理という言葉を、わざわざ私ども最初からこのことをいろいろ議論いたしまして、いわゆる総需要抑制策というのは、過去においてわれわれの受ける印象は、ある種の不況感というものを少し感じ過ぎるのではないかというようなことからいたしまして、やはり適切な総需要の管理ということに表現としてはとどめたわけであります。そこで、今日まで実施してきたのは何かと言えば、金融政策では、今度やりましたのが第五次でございますけれども、第四次にわたってずっとやってきた公定歩合の操作というものはそれなりの効果を上げ得たのではないか。その結果といたしまして、これは話が長くなりませんように早口で申し上げますけれども、消費者物価の当初見通しが五十四年度は四・九%であったわけでございますけれども、それが下方修正をして四・七%内にこれはおさまるという見込みになったわけであります。ただ、玉置さん御懸念のように、それはなぜそこでおさまったかというと、四月−六月が三・二%、七−九が三・五、十−十二で四・九、その後はまさに一月が六・六、二月は七・六、対前年同月比でありますが、しかし三月七・七に仮になったとしましても、これは四・七%内に見込み得る、こういうことであります。しかし、いま御懸念なすった、後半等を特ににらんでの問題でありますが、ところが一方、卸売物価は五十三年度実績はマイナス二・三という大変ないい成績と言えばいい成績だったわけであります。それが五十四年の政府の当初見通しは一・六なんです。それが現実何ぽかと申しますと、いまは前年同月比では二一・九、二二出ているわけでございます。したがって平均した実績見込みの当初の十二・一というものを守ることはむずかしいと私は思っております。それが波及いたしまして、いわゆる消費者物価にあらわれてくるということは当然のことでありますので、そこで新たに第五次公定歩合の引き上げというものがありまして、これでもっていわゆる天井感を与えることによってインフレマインドというものを抑制していくという効果が一つございます。
 それからいま一つの、今度は財政面には何をやってきたか。具体的に申しますと、適時適切なる運営と申しましょうか、五十四年度はいわゆる公共事業の施行の前倒しということはしないで、俗に言う自然体でやってきましたのです。その自然体の中でも今度御協力をいただきまして、二月の終わりでございましたけれども、とにかく公共事業の五%分は留保させてください、その留保したものが、もうきょうになりますと使えっこありませんから、いわゆるまさに繰り延べとして来年度に移っていく、それもいつでも出し得るという体制をとっておったというのは、景気と物価両にらみの中で、結果としては物価を重視してそのまま繰り越しになってくる、こういうことでございます。したがって、今度はやがて通過成立させていただけるでありましょうところの五十五年度予算についてどういうふうに公共事業の施行を図っていくかということになりますと、抑制的事業施行ということにならざるを得ないと思うのであります。しかし、その中におきましても、玉置さん、後半の景気ということになると、とても、私にはもちろんでありますが、専門家にもなかなか半年先のことはわからぬ、こう言う人が多いのでございますけれども、物価というものは大体三、四、五というところがピークじゃないか、正念場じゃないか。ピークというよりも正念場でございますね。それに対応してこの弾力的な施策を行っていかなければならぬが、しかし、いつでもまた景気の下支えをやれるだけの余力は残していかなければならぬ。しかし、直ちに補正予算でも出して、公共事業でもぽこんと出して下支えをするだけの対応力がないわけでございますから、したがって、選択の幅は、いまおっしゃったように大変狭い選択の中で、本当に適時適切なる施策というものを展開していかなければいかぬというのが、非常に抽象的なことも多かったのでございますが大筋の対策である、このように御理解いただければ幸いであります。
#366
○玉置委員 四十九年のオイルショック、その当時は非常に企業側の努力といいますか、いわゆるいろいろな値上がりを企業で吸収するという形をとられたと思うのです。ところが、その後に減量経営、減量経営ということでやってまいりまして、今回特に卸売物価を見ても非常に急上昇をしている。その値上がりの原因をいろいろ調べてみますと、やはり原油の値上がり、円安の値上がりという二つがダブってきているわけでございますけれども、特に原油に関係するいわゆる素材産業、そういうところの値上がりが非常に大きい。その次に生産財産業ですか、いわゆる耐久消費財とかつくっておられるところについてはまだ上がってきていない。これはタイムラグがあるわけですけれども、そういう状態を見ますと、いままで、たとえば四十九年のオイルショックには産業ベースでの吸収がある程度できた、非常に減量経営の効果が出ている。しかし、また逆に言えば非常に体質的にも苦しく耐え忍んでいる、そういうところもあると思うので、その辺に対して長引けば非常に大きな影響が出てこないか、そういう心配をするわけでございます。
 それと、原油が一回目、二回目とこういうふうに上がってまいりますと、今回ガス、電力も上がったということで、いわゆる変動費、その部分が非常に大きくなるということで、変動費が大きく上がりますと、稼働率が上がっても利益が出てこないという状態になるわけでございます。この辺から考えて、物価を抑えるということはやはり生産価格を抑えるということにもなりますし、また、現在の雇用対策という面から考えましても、総需要抑制ばかりが先行しますと、またまた非常に雇用問題という問題が出てくるわけでございまして、雇用と景気の両にらみのような形でこれから対策をやっていかなければならないと思っております。先ほどのお話ですと、繰り延べとかあるいは抑制しながら公共投資をやっていくということでございまして、方向としてはそんなには間違っていないと思いますけれども、両方にらんだ場合にどういう対策、どういうレベルで抑えなければいけないか、その辺をお伺いしたいと思います。
#367
○竹下国務大臣 大変むずかしい問題でございますが、適切なる総需要の管理という言葉、総需要抑制といえばもうまさに不況感が、オイルショック以来のそういう一つの印象が強く出過ぎたというきらいもございますが、したがって、管理ということは、これは総需要の管理でございますから、時によってまた、前倒しだけできる力はございませんけれども、弾力的な運営のできる余力を持ちつっという意味で、こういう言葉を使ったわけであります。したがって、いまの御議論の中に適切に表現されておる、オイルショックのとき、とにかく民間は労使が大変な良識ある話し合いの中で適正な水準を保ちながら克服したじゃないか、確かにそうだと思います。私は今年度予算編成に出たっても予期せざる自然増収が出たというのは、まさにそれであったと思うのであります。まあ変な言葉でありますが、神様、仏様、民間様というような言葉を使いながら補正予算を組んだのですよ。
 しかし、それじゃ政府は何もしておらぬということになりますと、それもいけませんので、景気には、国民に新たなる負担を求めることなく借金をいたしまして、それを公共事業の下支えに使ったということは、もちろん政府の政策も誤っておったとは思いませんし、その政策を選択した国民自身も私は正しかったと思うのであります。そこで、だんだん卸売物価というものが、たとえて申しますときょうなどもいろいろ議論しておりますと、建設資材なんかでアスファルトなんというのはまさに油そのものでございますね。そしてガスはまさに油そのもの、電力も大変油そのものに近くて、その電力そのものの産業がまたたくさんあります。そういうものの価格に転嫁されていくというのは、これは否定できません。
 そこで、特に主張いたしましたのは、そんなことを言ったって民間の生産性向上は世界一じゃないか、それ以上強制するのは無理だと言われる懸念も考えながら、あえて「生産性の向上が物価安定に欠くことのできない要件であることにかんがみ、各界が一層の生産性向上に努めることを期待する。」こういう一文を盛ったといいますことは、日本人のそういう慣熟した労使の話し合いの中に、今日の経済を支えてきて、いまや世界的に見ればまだ日本とドイツが底がたい動きであるということが指摘されておるだけに、なお、生産性の向上も労使の間において努力をしてもらおう、外的要因においてわれわれが負担しなければならないものは、みんなが不公平感がないような形で何とか負担していただこうじゃないかという期待と念願を込めてこういう文章を書いたわけでございます。
 したがいまして、これからの課題につきましても、私は弾力的な運営の中にその大きな、たとえば設備投資意欲が全くなくなるとか、そういう状態には立ち行かないだろう。と申しますのは、比較的優良企業は、いまいわゆる資金自体は投資意欲にまでつながってないけれども、金融の支えなくしては設備投資ができないという状態には必ずしもないというようなことも期待しながら、本当に幅の狭い選択でございますけれども、御協力をいただきながら一生懸命やってまいりたいと思います。
#368
○玉置委員 いま設備投資の話が出ましたので、そちらの方にちょっと触れたいと思いますけれども、五十年に設備投資が極端に低下をしたということで、五十年、五十一年がもう全くと言っていいほどほとんど民間においては設備投資、特に増産に対する投資がなされなかった。その間、公害投資でありますとか、あるいは環境改善という方面の投資はありましたけれども、やはり一番大きなのは増産設備あるいは設備の更新ということでございますけれども、ともかく減量経営ということを一番の念頭に置いていろいろな事業計画がなされてきた。それと五十二年末あるいは五十三年、正式には五十三年に入ってからですか、民間設備投資が上向いてまいりまして、これはかなり当初は行政指導がありまして、鉄鋼でありますとか、電力でありますとか、いわゆる基幹産業と言われる産業を中心にして拡大をされるようになりました。
 いま非常に心配なのは、第五次の公定歩合の引き上げが行われまして、非常に金利が高くなっているということが一つ。それと、アメリカにおきましてプライムレートの引き上げを大幅に行った。逆に言えば、日本でもしそういうことがなされますと、いわゆる機械工業といわれる産業、それに関連する産業、非常に大きな影響を与えると思うのでございます。特に昨年十二・何%というふうに設備投資が非常に盛んになりまして、ことしになって約二%強落ちているわけでございますけれども、ようやく上向いてきて、特に非常に不況の長い機械工業分野、そういう分野がようやく息を吹き返したこの時期に、民間設備投資が大幅な低下を行わないような措置をぜひ考えていただきたいと思います。これを消費者の立場で見ますと、たとえば四十九年から設備投資が抑えられまして、五十三、五十四と比較的安定的に景気が上昇した。そういう中で、一部では五十四年度、五十五年度に増産設備を入れるところがございますけれども、やはりまだ疑心暗鬼の部分がありまして、まだ十分回復していない。設備投資においてはまだ十分ではない、そういうように思うのでございます。それが相続きますと、設備耐用年数、経済的には七、八年と言われておりますし、税制面でも十年前後でございますけれども、そういう面から見て、現在使われております設備が数年たてば逆に老朽化して使えなくなるのではないか、そういうように思うのでございます。ところが、変動費が上がり、固定費に回す費用が少なくなるということになりますと、やはりどうしても借入金が多くなる。金利が高いと多少控え目になる。これはあたりまえの事実でございますから、そういう際に、ぜひ景気を刺激するようなプライムレートの見直しというものをお願いをいたしたい。これは別に企業側に立っているわけでもなくて、消費者の立場からいきますと、もし機械が老朽化して品物をつくらなくなるということになれば、固定費はそのままですから、当然割り掛けで上がってくる。だから、景気が悪いのに高い物を買わされる、そういう危険があるわけでございます。そういう心配が出てくる状況になるのではないか、いまの条件が。そういう心配があるわけでございまして、特に民間の設備投資について、あるいはそういう融資についてどういうふうな措置を考えておられるか、その辺についてお伺いしたいと思います。
#369
○竹下国務大臣 単純な図式といたしまして、金利が上がれば設備投資意欲をそれだけ抑えていく、これはおっしゃるとおりです。ただ、そこをどう見るかということでございますね。きょうの中間指標を見ても、二月もまだその限りにおいては比較的他の先進国に比べれば、抜群という表現は少しオーバーでございますけれども、そういう水準を保っておる。そこでどういう状態にあるかというと、いわば企業そのものがいわゆる内部留保というようなものについては比較的健全な状態にある。そういうことになれば、私は、いまの底がたい基調が続いていきますと、一挙に落ち込むというような形ではないではなかろうか、それだけに金融政策においても、弾力的にそうしたものには対応していかなければならぬ課題であるというふうに思います。もっと長期に考えて、恐らく玉置委員のお考えというものは――きょうも通産大臣から一つの発言があって、公定歩合というのは上げるばかりが公定歩合の操作じゃないのだ、少しでも先上がりができたから、できるだけ早期に、いわばこれは日銀の専権事項でございますものの、弾力的な対応をして、具体的に言えば下げて、そしてそれがまたある種の金利への連動操作によって下がっていって、景気を冷やさないようにしなければいかぬよという注意があえて発言としてありました。当面は確かに物価です。しかし、基本的なスタンスとして、物価、景気両にらみの中に、当面卸売物価への波及をいかに食いとめるかという物価政策、しかし景気政策を完全にネグったものではないというところに苦心したこの適切なる総需要の管理というような表現で御理解をいただければ幸いであります。
#370
○玉置委員 先ほどから総需要管理というお話が出ておりますけれども、いま言いましたように、その場その場ではなくて、やはり何年か先を見越した総需要管理といいますか、そういう方面をぜひお願いいたしたいと思います。
 時間の関係で次に移りたいと思います。
 先ほどから税の不公平感というお話が再々出ておりますけれども、私自身先ほどお昼の質問におきましても、税の捕捉率という面から見ても非常に不公平感があるというお話を実際に実感として受けたわけでございます。その中でも、われわれといいますか、いろいろな勤労者の中で給与所得者と言われる人たち、そういう人たちにつきまして先ほど政務次官にも質問したのでございますけれども、同じ質問を大臣にしてみたいと思います。
 過去数年間ということで数字を出していただきまして、たとえば平均所得が五十二年に二百七十五万であった者が昭和五十五年に一応三百二十五万ぐらいになるというお話がございます。所得の伸び率が大体年平均で七%ぐらいである、そして物価の伸び率は累計をしますと三〇%弱、二十数%という形になっております。その中で所得税に対して、特に給与所得関係あるいは事業所得も含めてでございますけれども、手が加えられましたのは四十九年まででございまして、五十年以降は特に大きな税率の変更でありますとかあるいは控除額の引き上げ、そういうものがなされていない。五十二年に若干手を加えられたということだけでございます。これは実際のところ、物価が上がり、賃金が上がり、同じベースで上がりますと、要するに所得総額としては上へ移行するわけでございまして、当然累進課税にひっかかってくるということで税率が大きく増加をしてまいります。ということは、手取りが変わらないという前提で考えますと、税率が上がった分だけ実質的に生活を切り詰めていかなければならない。手取りが減るということになります。そういう面から考えて、五十年以降なされていないいまの所得税減税、そして昨年の暮れからことしにかけてのこの異常な物価の値上がり、そういう状態を含めまして、ぜひわれわれとしては所得税減税あるいは物価調整減税というような形で一般国民に戻せるような減税をお願いしたいと思うのですけれども、それについて御意見をお伺いしたいと思います。これは不公平感という言葉も入っておりまして、そういう面から見てどういうふうな回答が出るかということでお願いをいたしたいと思います。
#371
○竹下国務大臣 主税局ベースで調べまして、給与収入が七・三%、それから消費者物価指数が六・四%上昇した場合の実質手取り額、こういうことになりますと、現実問題として二百五十万円の人は五十四年価格に対して一〇〇・四、それから三百万円の人は一〇〇・三、それから四百万円の人は一〇〇・一、五百万円以上はちょうど一〇〇、まあまあこういう状態が出てくるわけであります。したがって、これは累進税率で、これが仮に給与所得が七・三であって、消費者物価指数が――まあ六・四というのはいまの政府見通しでございますけれども、悲願を立てておるわけでございますけれども、これをはるかに上回ったとすれば、それは委員の指摘なさるような状態が出てくる。ただ、ここでいわゆる物価調整減税というものは、財政再建の折、厳しい折でもあるという前提がもとよりございますけれども、要するに、わが国の所得税というのは、課税最低限は世界の先進国に比べ、フランスとちょぼちょぼとでも申しましょうか、高く、そして累進税率はまた一番高く、そうして平均のところでは大変低くと、こういう状態になっておりますのが一つと、そして有業人口に占めますところの納税人口の比率が、これまた納税人口の方が大変に低い、こういうことですね。所得税を納めていらっしゃらない方が多いという面からおきますと、にわかに物価調整減税をやる環境にはいまないじゃないか。やったことございます。それこそお父さんのときやら堀先生のときやら物価調整減税をやった。じゃあ物価調整減税だけじゃだめじゃないか。そうすると、その上に弱者救済を別の面においてやらなきゃ公平を欠くじゃないか。そういう議論をいろいろやってきましたが、それはまさに高度経済成長時代でこそなし得たことであって、いまそういう余裕はわが国の財政にはない、残念ながらそうお答えしなければならぬと思います。
#372
○玉置委員 物価調整減税がなされましたのは、たしか五十二年ですね、低成長に入ってからだと思うのです。それから特に私が言いたいのは、物価がいま、たとえばことしの春闘において大体八%から七%の賃上げがあるだろう、そういうふうに予測をされますけれども、現在のところでは消費者物価が六・四%になるということで、このまま推移すれば実質的にはやや賃金レベルが上がるわけでございます、税率を考えないで見た場合ですね。ところが、六・四%どころではなくて九%あるいは一〇%になった場合、大蔵大臣としてはどういうふうに対処すればいいと考えられますか。
#373
○竹下国務大臣 非常にむずかしい質問でございますけれども、先ほど申し上げましたように、去年の四−六とかいうところが大変上昇率が低いだけに、あるいは前年同月比で比較しますと、三、四あるいは五とかいうようなところは、私はまさに――いまから予測するのはいけませんが、二けたという可能性だってあるんじゃないかと言う人もあり得ます。したがって、年度年均を通じて何としても六・四%に悲願を立てて正念場としてやろうではないか、こういう意気込みでいまやっておりますので、なったらどうすかるということじゃなくして、ならないように努力をしますというお答えでもって御理解をいただきたい。
#374
○玉置委員 特に耐久消費財におきまして、あるいは素材関係もそうなんですけれども、工業製品の場合は三カ月タクトで上がってくるというのが通例でございまして、次の対処までに三カ月余裕があるわけでございますから、ぜひその次には生かしていけるようなそういう対策を考えていただきたいと思います。
 それから、特に一般大衆と言われております勤労者、そういう方々に対して非常に税負担がふえてきていることが事実でございまして、たとえば五十六年度で予定をされるかもわからないいわゆる一般消費税と言われるそういう内容について、国民の理解を得ようとするならば、やはり不公平感というものをなくさなければまずだめではないかと思います。それと、これは二十一日にやるつもりでございますけれども、行財政改革の積極的な促進、それの効果が出てこない限りはまず無理ではないか、そういうように思います。そういう意味で、ぜひ、財政だけを考えないで、選挙のことも考えて、物価調整減税というものを御検討願いたいと思います。
 時間が参りましたので、終わりたいと思いますけれども、ともかく今後の景気の成り行きは財政金融の運営にかかっている、そういうふうに感じておりますので、ぜひともみごとな運営をお願いして終わります。ありがとうございました。
#375
○増岡委員長 次回は、来る二十一日金曜日午後五時理事会、午後五時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後九時四十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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