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1979/05/07 第91回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第091回国会 大蔵委員会 第27号
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1979/05/07 第91回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第091回国会 大蔵委員会 第27号

#1
第091回国会 大蔵委員会 第27号
昭和五十五年五月七日(水曜日)
    午前十時二十四分開議
 出席委員
   委員長代理 理事 綿貫 民輔君
   理事 愛知 和男君 理事 稲村 利幸君
   理事 高鳥  修君 理事 山田 耻目君
   理事 坂口  力君 理事 正森 成二君
   理事 竹本 孫一君
      麻生 太郎君    越智 伊平君
      熊川 次男君    近藤 元次君
      椎名 素夫君    白川 勝彦君
      玉生 孝久君    中村正三郎君
      林  義郎君    藤井 勝志君
      坊  秀男君    村上 茂利君
      毛利 松平君    山口シヅエ君
      山崎武三郎君    山中 貞則君
      山本 幸雄君    伊藤  茂君
      川口 大助君    沢田  広君
      塚田 庄平君    柴田  弘君
      古川 雅司君    宮地 正介君
      多田 光雄君    渡辺  貢君
      玉置 一弥君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 竹下  登君
        運 輸 大 臣 地崎宇三郎君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  小泉純一郎君
        大蔵省主計局次
        長       西垣  昭君
        大蔵省主税局長 高橋  元君
        大蔵省国際金融
        局次長     大場 智満君
        運輸政務次官  楢橋  進君
        運輸省鉄道監督
        局国有鉄道部長 石月 昭二君
 委員外の出席者
        厚生省年金局年
        金課長     佐々木喜之君
        大蔵委員会調査
        室長      葉林 勇樹君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十五日
 辞任         補欠選任
  玉置 一弥君     永江 一仁君
同日
  永江 一仁君     玉置 一弥君
五月七日
 辞任         補欠選任
  大村 襄治君     越智 伊平君
  熊川 次男君     近藤 元次君
同日
 辞任         補欠選任
  越智 伊平君     大村 襄治君
  近藤 元次君     熊川 次男君
    ―――――――――――――
四月二十八日
 土地増価税法案(山田耻目君外八名提出、衆法
 第四六号)
 国税通則法の一部を改正する法律案(山田耻目
 君外八名提出、衆法第四七号)
同月二十五日
 一般消費税の新設反対に関する請願(市川雄一
 君紹介)(第四七三七号)
 同(沢田広君紹介)(第四七三八号)
 同(田邊誠君紹介)(第四七三九号)
 同(広瀬秀吉君紹介)(第四七四〇号)
 同(大久保直彦君紹介)(第四八二〇号)
 同(大野潔君紹介)(第四八二一号)
 同(草野威君紹介)(第四八二二号)
 同(竹入義勝君紹介)(第四八二三号)
 同(長谷雄幸久君紹介)(第四八二四号)
 同(正木良明君紹介)(第四八二五号)
 同(矢野絢也君紹介)(第四八二六号)
 同(和田一郎君紹介)(第四八二七号)
同月二十八日
 一般消費税の新設反対に関する請願(沢田広君
 紹介)(第四九四三号)
 同(前川旦君紹介)(第四九四四号)
 同(斎藤実君紹介)(第四九九〇号)
 同(瀬野栄次郎君紹介)(第四九九一号)
 同(宮地正介君紹介)(第四九九二号)
 重度重複身体障害者使用自動車に対する自動車
 重量税免除等に関する請願(上坂昇君紹介)(
 第四九七九号)
 一般消費税の新設及び大衆課税の強化反対等に
 関する請願(中島武敏君紹介)(第五〇三一
 号)
 ハイヤー、タクシーに対する自動車関係諸税減
 免等に関する請願(岩垂寿喜男君紹介)(第五
 〇四六号)
 同(岡田利春君紹介)(第五〇四七号)
 同(新盛辰雄君紹介)(第五〇四八号)
 同(関晴正君紹介)(第五〇四九号)
 同(山口鶴男君紹介)(第五〇五〇号)
 同(渡部行雄君紹介)(第五〇五一号)
五月二日
 医業税制の確立に関する請願(伏木和雄君紹
 介)
 (第五一二二号)
 同(山崎武三郎君紹介)(第五一二三号)
 同(山本幸雄君紹介)(第五一二四号)
 同(浦野烋興君紹介)(第五二四五号)
 同(木村俊夫君紹介)(第五二四六号)
 同(増岡博之君紹介)(第五二四七号)
 同(箕輪登君紹介)(第五二四八号)
 一般消費税の導入反対及び不公平税制の改善に
 関する請願(瀬野栄次郎君紹介)(第五一二
 五号)
 ハイヤー、タクシーに対する自動車関係諸税減
 免等に関する請願(石橋政嗣君紹介)(第五一
 二六号)
 同(小川省吾君紹介)(第五一二七号)
 同(木間章君紹介)(第五一二八号)
 同(沢田広君紹介)(第五一二九号)
 同外一件(新村勝雄君紹介)(第五一三〇号)
 同(前川旦君紹介)(第五一三一号)
 同(小野信一君紹介)(第五一九八号)
 同(北山愛郎君紹介)(第五一九九号)
 同(久保三郎君紹介)(第五二〇〇号)
 同(佐藤観樹君紹介)(第五二〇一号)
 同(柴田健治君紹介)(第五二〇二号)
 同外三件(井岡大治君紹介)(第五二四四号)
 重度重複身体障害者使用自動車に対する地方道
 路税免除等に関する請願(安田修三君紹介)(
 第五一九七号)
 医業の税制改善に関する請願(増岡博之君紹
 介)(第五二四九号)
同月六日
 一般消費税の新設反対に関する請願(稲葉誠一
 君紹介)(第五二八五号)
 同(田川誠一君紹介)(第五二八六号)
 同(北側義一君紹介)(第五三四四号)
 同(吉井光照君紹介)(第五三四五号)
 同(沢田広君紹介)(第五三八七号)
 同(山田耻目君紹介)(第五三八八号)
 医業税制の確立に関する請願(田川誠一君紹
 介)(第五二八七号)
 同(石田幸四郎君紹介)(第五三四六号)
 同(伊藤茂君紹介)(第五三八三号)
 同(沢田広君紹介)(第五三八四号)
 同(堀昌雄君紹介)(第五三八五号)
 ハイヤー、タクシーに対する自動車関係諸税減
 免等に関する請願(大出俊君紹介)(第五二八
 八
 号)
 同(井岡大治君紹介)(第五三八二号)
 医業の税制改善に関する請願(中林佳子君紹
 介)(第五二八九号)
 同(吉原米治君紹介)(第五三八六号)
 一般消費税の新設反対、税制・財政・金融の民
 主化等に関する請願外一件(伊藤茂君紹介)(
 第五三八一号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和四十二年度以後における国家公務員共済組
 合等からの年金の額の改定に関する法律等の一
 部を改正する法律案(内閣提出第四四号)
 国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律
 案(内閣提出第八四号)
 昭和四十二年度以後における公共企業体職員等
 共済組合法に規定する共済組合が支給する年金
 の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等
 共済組合法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第七〇号)
 公共企業体職員等共済組合法及び昭和四十二年
 度以後における公共企業体職員等共済組合法に
 規定する共済組合が支給する年金の額の改定に
 関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出
 第八七号)
     ――――◇―――――
#2
○綿貫委員長代理 これより会議を開きます。
 本日、委員長所用のため、指名により私が委員長の職務を行います。
 この際、竹下大蔵大臣より発言を求められておりますので、これを許します。竹下大蔵大臣。
#3
○竹下国務大臣 私は、今回ハンブルクにおける世銀・IMF合同開発委員会、十カ国蔵相会議、IMF暫定委員会に出席し、世界経済見通し及び当面の政策運営、リサイクリング問題、代替勘定構想、開発援助問題等について意見を交換したほか、マニラにおけるアジア開発銀行総会に出席してまいりました。
 ハンブルクにおいては、会議の出席のほかに、ミラー米国財務長官、マットヘーファー西独蔵相、アル・クライシ・サウジアラビア金融庁総裁と個別会談を行いました。
 今回の出張の全体的な印象としては、先行き厳しい世界経済の見通しのもとで、各国がそれぞれの政策努力に最善を尽くすこと、及びそのような各国の政策努力を国際的に協調して行うことが重要であるとの感を深くした次第であります。
 国会開会中であり、しかも当省の重要法案の審議中にもかかわらず、このような国際会議出席のための海外出張の機会を与えていただきましたことは、委員長並びに委員各位の御理解のたまものと深く感謝申し上げるものであります。
 また、出発前本院で採決いたしましたIMF等増資関係法案が会議中に参議院を通過、成立いたしました。そしてまた、留守中に本院において電発二法を審議、採決していただいたことにつきましても、あわせて厚くお礼を申し上げる次第でございます。
 以上、簡単でありますが、出張の御報告と御礼のごあいさつを申し上げます。
     ――――◇―――――
#4
○綿貫委員長代理 昭和四十二年度以後における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案、国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案、昭和四十二年度以後における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案及び公共企業体職員等共済組合法及び昭和四十二年度以後における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。
 まず、政府より順次提案理由の説明を求めます。竹下大蔵大臣。
#5
○竹下国務大臣 ただいま議題となりました昭和四十二年度以後における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案及び国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 初めに、昭和四十二年度以後における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。
 この法律案は、国家公務員共済組合法等の規定により支給されている年金につきまして、その額を引き上げることとするほか、最低保障額の引き上げ、寡婦加算額の引き上げ等、別途、本国会で成立いたしました恩給法等の一部を改正する法律案による恩給の額の改定措置にならい、所要の措置を講じようとするものであります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 第一は、国家公務員共済組合等からの年金の額を改定することであります。すなわち、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法、旧国家公務員共済組合法及び国家公務員共済組合法に基づく年金のうち、昭和五十四年三月三十一日以前に給付事由が生じたものにつきまして、恩給における措置にならい、昭和五十四年度の国家公務員の給与の改善内容に準じ、年金額の算定の基礎となっている俸給を増額することにより、本年四月分以後、年金額を引き上げることといたしております。
 この結果、平均で約三・五%程度年金が改善されることとなります。
 第二に、公務関係年金及び長期在職者の受ける退職年金等の最低保障額を恩給における措置にならい改善することといたしております。
 第三に、遺族年金に加算される寡婦加算及び遺族加算の額を引き上げるとともに、寡婦加算額の受給者が同時に退職年金等を受けることとなる場合には、必要な調整を行うことができることといたしておりますが、これも恩給における措置にならうものであります。
 以上のほか、掛金及び給付額の算定の基礎となる俸給の最高限度額につきまして、公務員給与の引き上げ等を考慮し、現行の三十九万円を四十一万円に引き上げるなど所要の措置を講ずることといたしております。
 次に、国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。
 この法律案は、このたび、別途、本国会で御審議いただいております厚生年金保険法等の一部を改正する法律案による年金の額の引き上げに伴い、国家公務員共済組合法等の規定により支給されている年金につきまして、年金額の算定の基礎となる定額部分の額及び最低保障額を引き上げようとするものであります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、厚生年金における年金額の引き上げに伴い、退職年金等の額のうち通算退職年金の額の算定方式に準じて算定する場合の定額部分の額及び通算退職年金の定額部分の額を引き上げることといたしております。
 第二に、国家公務員共済組合法及び国家公務員共済組合法の長期給付に関する施行法に定める退職年金等の最低保障額を引き上げることといたしておりますが、これも厚生年金における年金額の引き上げに伴う改善であります。
 以上が、昭和四十二年度以後における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案及び国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案の提案の理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#6
○綿貫委員長代理 地崎運輸大臣。
#7
○地崎国務大臣 ただいま議題となりました昭和四十二年度以後における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
 この法律案は、公共企業体の共済組合が支給しております退職年金等につきまして、別途、本国会で成立いたしました恩給法等の一部を改正する法律による恩給の額の改定措置に準じて年金額を引き上げるとともに、最低保障額の引き上げ等の措置を講じようとするものであります。
 以下、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
 第一に、公共企業体の共済組合が支給しております退職年金等のうち、昭和五十四年三月三十一日以前に給付事由が発生したものにつきまして、その年金額の算定の基礎となっている俸給を昭和五十四年度の国家公務員の給与の改善内容に準じて増額することにより、昭和五十五年四月分から年金額を引き上げることといたしております。
 この結果、平均で約三・五%程度年金額が増額されることとなります。
 第二に、長期在職した者に係る退職年金等の最低保障額につきまして、昭和五十五年四月分からその額を引き上げるほか、昭和五十五年六月分からその額をさらに引き上げることといたしております。
 また、旧国家公務員共済組合法に基づく殉職年金等の最低保障額及び扶養加給の額につきまして、昭和五十五年四月分からその額を引き上げるほか、最低保障額につきましては、昭和五十五年六月分からその額をさらに引き上げることといたしております。
 第三に、旧国家公務員共済組合法に基づく遺族年金に加算される寡婦加算の額につきまして、昭和五十五年八月分からその額を引き上げるとともに、寡婦加算を受ける者が、同時に退職年金等を受けることとなる場合には、必要な調整を行うことができるよう措置することといたしております。
 このほか、殉職年金等の遺族加算の額につきまして、昭和五十五年六月分からその額を引き上げることとする等所要の措置を講ずることといたしております。
 次に、公共企業体職員等共済組合法及び昭和四十二年度以後における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
 この法律案は、公共企業体の共済組合が支給しております退職年金等につきまして、別途、本国会で御審議いただいております厚生年金保険法等の一部を改正する法律案による厚生年金における年金額の引き上げに伴い、所要の措置を講じようとするものであります。
 以下、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
 第一に、退職年金等の額の算定方式のうち通算退職年金の額の算定方式に準ずる方式における定額部分の額につきまして、昭和五十五年六月分からその額を引き上げることといたしております。
 また、通算退職年金の額の算定方式における定額部分の額につきましても、同様にその額を引き上げることといたしております。
 第二に、退職年金等の最低保障額につきまして、昭和五十五年六月分からその額を引き上げることといたしております。
 以上が、これらの法律案を提出する理由であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
#8
○綿貫委員長代理 これにて提案理由の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#9
○綿貫委員長代理 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。沢田広君。
#10
○沢田委員 これは大臣に最初お伺いいたしますが、お帰りになったばかりでありますから、行かれた先におけるもろもろの問題についてもお伺いいたしたい点もありますが、きょうは年金関係でありますから、年金関係を主体にお伺いをいたします。
 前回、非常に困難な法案でありまして、非常に長期な審議を行ったわけでありますが、われわれはそれを通過することで了承したわけでありますが、そのことに伴いましてそれぞれ必要な附帯決議がつけられているわけであります。これは個々の問題は一応別といたしまして、附帯決議がどのような進捗状況、あるいはそれらに向かってどういう方法でこの附帯決議が実現に向かっているのか、あるいはどういうふうに実現に向けて措置しようとしているのか、その点に対する現在の状況について、まずどのような方向で進めようとしているのか、これは、では後でまたお伺いをいたします。ひとつ後でその点の御回答をいただきたいと思います。
 それから続いて、これはいつも――いつもというか、われわれが平素から言っておることでありますが、公共企業体の共済組合法の第一条は、職員の福利厚生を図り、公共企業体の円滑な企業運営に資する、こういう法律の目的があります。
 それから国家公務員の共済組合法では、相互救済を目的とする共済制度を設けて公務の能率的な運営に資するというのが法の第一条の精神であります。
 それから地方公務員等の共済組合法も同じであります。
 ところが、厚生年金保険法は、この法律は、労働者及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与する、厚生年金基金がその加入者に対して行う給付に関する事項を定める、こういう言い方でありまして、精神的な内容は非常に異なっているわけであります。
 さらに国民年金法に至りましては、国民年金制度は、日本国憲法第二十五条第二項に規定する理念に基づき、国民の共同連帯によって健全な国民生活の維持及び向上に寄与する。
 恩給法は「公務員及其ノ遺族ハ本法ノ定ムル所ニ依リ恩給ヲ受クルノ権利ヲ有ス」。
 こういうふうに、それぞれ恩給なり年金なりの、まず法の第一条の精神が非常に――非常にという言葉がいいかどうかわかりませんが、歴史が違うと言えばそれまででありますけれども、いずれにしても、共済年金、恩給あるいは厚生年金、国民年金合わせまして、法のたてまえに相違があるのではないか。これはもっと近づけていくべき性格のものなのではないか、あるいはこれが当然なのか、あるいは国民年金に定められているように、やはり日本国憲法第二十五条第二項というものが基本的な理念にならなければならないのではないか、こういう疑問を私たちは持ち、主張を持つわけです。
 その点ひとつ、これらの歴史的な過程については承知をいたしておりますから、これに対して今後どういう方向で統一化を図る意思があるのか、このままの形態を残していくつもりなのか、その辺だけお答えをいただきたいと思います。
#11
○竹下国務大臣 これは、いま委員も御指摘のとおり、それぞれの歴史的経過というものが存在するわけでございますので、にわかにこれを一元的な物の考え方で整理するということは種々困難な問題があろうかと思います。
 しかしながら、そのよって来る歴史的経過を踏まえながらも、それが一元的な中で国民全体に年金制度そのものとして対応できるような方向で、これからも引き続き、あるいは間断なく検討していくべき課題であるというような基本認識を持っておるところであります。
#12
○西垣政府委員 いまの大臣の御説明をちょっと補足させていただきます。
 共済年金につきましては、いま御指摘のような社会保険としての社会保障として公的年金制度として機能しているという面はもちろんございます。しかし、同時にこれは公務員制度の一環として位置づけられておりますように、二重の性格を有しておる。それからさらに現在発生しております共済年金のほとんどは、恩給等の旧制度期間を含んでいるということから恩給制度とのかかわりも深く、経過的には恩給的性格もあるということでございます。したがいまして、将来発生いたします純粋な共済年金について申しますと、社会保険的な公的年金制度という性格と同時に、職域の特殊性からくる企業年金的部分というものがございまして、二つの性格を持っている、こういうことだと思います。それを踏まえまして、先ほど大臣がお答え申し上げましたように、その他の公的年金制度との整合性をそういう性格を踏まえながらどういうふうにして推し進めていくかというのがこれからの課題だろうと思います。
#13
○沢田委員 前の質問はまだ後ですか。じゃそれは後でまた続けていただきますが、年金の場合に一番議論がされるのが積立金方式と賦課方式という議論であります。積立金の方式によると、インフレがないというか物価が安定をし、生活水準が一定の条件になっている場合においては、当然積み立てられた金の目減りというものがなくなる。この前も若干触れましたが、昭和三十年を一〇〇にいたしますと現在昭和五十年で一〇〇〇、わかりやすく言えば十倍にいわゆる給与ベースも上がっているし、物価はさらにそれ以上上がっている。だから、昭和三十年のときの積立金は現在に引き直しますと、掛金を同じに置いておいたとして当然十倍の効果を示していかなければならない。ところが、現在十四兆九千億ぐらいですから、約十五兆ですが、厚生年金に例をとりますと、十五兆円ぐらいのものを持っております。しかし、それは掛金がふえていってそして十五兆円になっているのであって、当時の掛金でいったと仮定をすれば、それは数字でいくと半分以下に減ってしまっているということになるんですね。それは当然インフレによって起きた損失、私はこれは構造的欠損、こう言っておりますが、いわゆる被保険者の責任でもなければ保険者の責任でもない。言うならば構造的な政府の政策に基づく失敗というとどうも答えにくいでしょうから、いわゆる政策の欠陥として生まれてきた積立金の欠損である。
 厚生年金の方の指標にこういうのが一つあるのでありますが、昭和五十年を一〇〇として七十五年まで、現在の掛金、組合員の掛金率でいけば四・五五、九・一です。九・一で昭和七十五年まではこのままで支払うことは可能であるという数字であります。しかし、七十六年になりますと九・一が約倍の掛金にならなければならない。これが賦課方式でいった場合の例であります。ところが、いま政府が考えておりまする方向でいきますと、九・一から五十七年には一〇・九、あるいは六十年には一二・七、六十四年ぐらいですが一四・七、さらに七十二年ぐらいには一六・七、七十五年には一八・七、こう段階的に保険料率を上げていく。そうすると、この部分は少なくとも積立金として残っていく分です。大体四兆ぐらいずつ全体として見れば毎年度上積みされていくわけですから、もっと残っていくわけでありますが、この構造的欠損に対して政府はやはり責任を持って補てんをしてやるというのがたてまえなのではないのか。これは本人の責任ではない。少なくとも積立金という制度をつくる以上は、その原資をいま六%で運転しておりますけれども、インフレよりも高率とまでいかなくとも、インフレ並みの、積立金が目減りしないような措置を講ずる政府の基本的な責任というものが存在するのではないのかと私は考えるわけでありますが、構造的な欠損、目減りというものと同時に、それをいま利回りを六%で考えておるようですが、この構造的な欠損を生じない責任というものについてはどのようにお考えになっておられるのか、その点をお答えいただきたい。
#14
○西垣政府委員 御指摘のとおり、共済年金につきましては積立方式をとっております。年金の積み立てにつきましては三つの性格がある、こういうふうに言われております。
 第一が、将来の給付支出を保障する責任準備金的な性格でございます。第二が、世代間の費用負担の格差が過大とならないようにするための緩和剤としての性格でございます。それから第三に、組合員のための福祉事業、これは貸し付け等を行っておるわけでございますが、その原資としての性格でございます。
 確かに、御指摘のように、インフレに伴う年金額の改定がございますと、積立金に不足を生ずることになりますけれども、現在この不足額につきましては保険料負担として組合員、事業主、国の三者がそれぞれ負担するということになっております。いまの御指摘はこの不足額を国だけに負担さしたらどうだ、こういうことになろうかと思うのでありますが、国の負担割合を実質上増加させるということは、結局納税者負担に帰するということになるばかりではございませんで、年金についてこういったものを認めますと、預金等についてはどうだ、こういうようなことにもなるわけでございまして、なかなかむずかしい問題でございます。国としてはインフレ対策を十分に図っていくということが一つの方向だろうと思います。
 それから給付を受ける立場からいきますと、結局そういう時期には給与水準の引き上げ等に伴いまして給付額の改定が行われる、それを通じまして掛金の引き上げ等によりまして制度間の負担の調整、こういったものが機能していきますので、私はこれでやっていけるのではないか、かように考えます。
 それから先ほどの附帯決議の問題でありますが、第一が支給開始年齢の引き上げと雇用保障についてでありますが、共済年金の支給開始年齢と公務員の雇用保障年齢との有機的連係を保つという問題につきましては、今後ともこの附帯決議の趣旨に沿いまして配慮していけるのではないか、かように考えております。
 それから重労働職種や危険職種につきまして減額退職年金の減額率を緩和した措置を講ずるという問題につきましては、昨年末の改正は普通の退職年金の支給を受ける者と減額退職年金の支給を受けることを選択した者との間の公平性を保つということを目的としたものでございます。しかし、本人の意思によらないで、勧奨等により退職するような場合には特別の緩和措置を講ずる道を用意しております。こういった整理退職以外にも、高齢者の勤続が不適当な、たとえば重労働職種や危険職種についてさらに緩和措置を講じたらどうだというのが附帯決議の御趣旨でございますけれども、今後審議会等に諮りながら、さらに検討を続けてまいりたい、かように考えております。
 それから、国庫負担の引き上げの問題でございますが、国庫負担のあり方につきましては、社会保険制度全体の均衝を考慮する必要がございますので、そういったバランスを考えながら、他方、国の財政力、現在の財政の状況ですとなかなかむずかしいわけでございますが、歳入の道を何らかの方法で講じていくというようなことも考えながら検討していくべき問題ではないかというふうに考えております。
 それから第四に、懲戒処分者に対する年金の給付制限を再検討する問題でございます。現在の共済年金は、先ほど申し上げましたように、公的年金制度として老後の所得保障機能を有すると同時に、公務員法を根拠としていることにも見られますように、公務員制度の一環でもございます。したがいまして、給付制限を全廃することには問題が多いわけでございますが、この給付制限が厳し過ぎることにつきましては、かねてから指摘されているところでございますので、政令改正によって緩和する方向で私どもいま検討中でございます。成案ができましたら、国家公務員共済組合審議会に諮りまして処理してまいりたいというふうに考えております。
 それから、共済組合制度に関する統一した審議会を設置すべしという点につきましては、確かに共済制度全般につきまして共通した審議の場をつくることは必要でございます。この点については、各方面からの御指摘もございます。ただ、既存の国共審とか地共審との関係の問題とか、新設審議会の所管官庁をどうするかといった問題がございますので、実行上の問題といたしまして、共済制度全体を通じて基本的問題を研究する研究会をつくるということで近々にその発足をさせたいというふうに考えております。
 以上でございます。
#15
○沢田委員 私は、実は言いわけを聞こうと思っていたわけではなくて、附帯決議は厳然たる事実ですから、問題は、附帯決議に沿って政府がこれからどう対処するか、事実関係を実は聞いたわけであります。言いわけがましい点はひとつ後の機会でいいですから、決議されたことに対して私たちは何か違う考えを持っているんだというような言い方を、ここで答弁されることは、委員会の決定に反する言動ということになるわけですから、普通ならば私も大きな声を上げて、こら、こう言いたいところなんでありますが、じみな年金の問題ですからそうは申し上げませんが、折があったらそういう言いわけがましい点は訂正をしておいていただくことが、身のためと言うと言葉がどうかと思いますが、委員会の尊重という立場から見て正しい姿勢ではないのか、こういうふうに思いますから、いまあなたの言われた言いわけの部分はお取り消しを願っておいた方がいいと思います。折があったらお答えいただきたいと思います。
 それから、さっき、厚生年金でいきますと二〇%、公企体でいけば一五%、一六%、これは制度の補助ですね。私がいま議論に提起をしていることは、そのときに積んでおいて、ずっと積み重なってきた積立金がインフレによって一年ごとに損をしていくということが起きる。その損をした分は、構造的な欠損じゃないですか。さっきも言ったように、昭和三十年当時はサラリーマンの年間所得は二十万でした。それがいま、五十年で二百万ちょっと超えていますね。そうすると、それは価値が十倍に変わってきているわけなんです。そうすると、昭和三十年においた積立金は、純粋には十倍になっていなければならないわけなんです。そういう運営をすることが政府の責任、任務なのではないのか。もしそれに欠損が出た場合は、それは政府の責任なんだから、政府がそれを補てんするのは当然のことなんではないだろうか。これは、インフレという政策を、好んでするのか好んでしないのか、このことは別として、やはりインフレという事態が生じた場合に起きる預金とかその他の目減りも当然対象になると思うのですよ。対象となると思うが、積立金制度をやっている。これは、預金は本人の自由意思があるのですから、本人の自由意思があって、おろして、他に換金する方法もある。金を買うという方法もある。骨とう品を買うという方法もある。土地を買うという方法もある。ところが、年金はそういう自由がきかない。預けたあなた方がその管理運営を担うわけですから、納めた人間に損害を与えない義務を負っているのではないのかということなんです。そうでしょう。その点は、そのとおりだとあなたは解釈されるでしょう。その点は預金とは違うでしょう。その点はお答えいただきたい。
#16
○西垣政府委員 先ほどの答弁どうもお気にさわりましたようで、その点ちょっと釈明したいと思うのですが、私はそういったつもりで申し上げたのではなくて、現時点でどういうふうになっているかということを率直に申し上げたっもりでございまして、附帯決議の御趣旨は尊重する方向で検討しているつもりでございます。できるところからやりたいと考えておりまして、先ほど申し上げましたように、受給権を失っている者の救済をどうするかという問題につきましては、これは政令で措置できる問題でございますので、いま事務的に検討を進めておりまして、できるだけ早く国家公務員共済の審議会にかけて、実現に持っていきたい、こういうふうに思っているところでございます。
 それから、いまのインフレによる目減りの問題につきましては、これは、物価が安定いたしまして目減りというような問題が起きなければ、これにこしたことはないわけでございますが、現在のそれに対する対策の仕方としましては、五年ごとに再計算をいたしまして、この間に受給権者もふえておりますし、それから組合員の数も異動がございます。それから給付の水準に対して積み立てが十分でないというふうな問題がございますと、その時点で掛ける掛金をどうするか、その掛金額を改定いたしまして、これは、通常の場合には、給付水準が上がり、ことにいまのように成熟度が高まる場合には受給権者がふえていくわけでございますから、それだけ掛金額をふやさなければいけない。そういう計算をした上で、組合員と使用者とそれから国とがそれを分担するという仕組みになっているわけでございます。いま御指摘のような方法で対処しようとすれば、結局その部分は国だけが負担をしなければならないということになるわけでございますが、社会保険という仕組みは、やはりみんなで負担する、こういう仕組みだろうと思います。そういった意味で、国だけが負担するというようなことは、現在の財政事情からいっても困難ではないか、こういうふうに考えるわけでございます。
#17
○沢田委員 いま負担の問題までは言っていないのです。インフレを起こした責任は政府にあるのではないのか。それによって目減りを生じた構造的な欠損は、政府の政策として補てんをする義務を負うのではないのか。だから、それをどうするということまで実は言っていないのです。その考え方がまず一致してこないと、次のステップに行かないわけです。だから、構造的な欠損というものについては政府が責任を負う、そういう考え方だけ――それはおれの方の責任じゃないんだと言うのですか。インフレを起こしているという現実は、政府の責任じゃないと言うのですか。その起こした現実に対して積立金というものを置いておく限りにおいて損失が生じてくるということは厳粛な事実でしょう。責任とまで言うと腹を切らなくてはならないという心配も出てくるでしょうから、責任という言葉は外しますが、いずれにしても、政府は、インフレによって目減りが生じてきたという事実は肯定されますね。
#18
○西垣政府委員 インフレの責任論を私がお答えするのは適当ではないと思うのですけれども、確かに、戦後ずっと物価上昇が続いているわけでございますし、諸外国においても、最も物価が安定している国でも少しずつは物価が上がっている。こういうような状況を踏まえて考えますと、どこまでが許容される物価の上昇であって、それ以上が政府の責任だというような議論をすることはやはりなかなかむずかしい問題ではないかという気がいたします。
#19
○沢田委員 では、ゼロではないということは否定されませんね。責任と言うといやになるのならば、政府には行政上、誤りと言うとこれもいやな言葉かもしれませんが、とにかく行政上の失敗というか、ゼロではないということは肯定されますね。何%であるかは別として、その責任の所在は否定できないだろうと思いますが、これは一般的な責任で、あなたの責任という意味じゃないですから、その点は誤解しないように。
#20
○竹下国務大臣 いまのインフレ責任論とでも申しますか、そういう問題はやはり私がお答えするべき性格のものであろうと思っております。
 戦後今日まで、わが国のみならず、とにもかくにもある種の物価上昇、経済成長に見合う物価上昇という中で世界経済全体が推移してきておると思うわけであります。特に政策インフレという場合には、それなりの目に見えた責任論というのが私はあり得ると思いますが、現実問題といたしまして、開発途上国の一部にまだいわゆる政策インフレ的な要素のある国もございますけれども、いま各国とも英知を集めて政策運営をしておるというのは、なかんずく自由な発想と自由な競争原理の中に経済というものが存在しておるという限りにおいては、そういう物価上昇のすべてがいわゆる政策によるということはあながち言えない問題ではなかろうか。しかし、戦後の歴史から見ましても、ある時期、わが国においても極言すれば政策インフレ的な要因のあった時代も私は皆無であるとは思っておりません。したがって、かかわり合いがあるということは言えると思うのですが、責任の分限がどの範疇に属するかということになりますと、これは大変むずかしい問題であろうという認識であります。
#21
○沢田委員 ゼロではないということであります。そこで、積立金の運用についてはやはり目減りをしないような運用をしていくという努力目標については、今後の問題でありますが、否定されないだろうと思うのですが、これはいかがですか。やむを得ないと思いますか、どちらですか。
#22
○西垣政府委員 積立金の運用につきましては、まず第一に考えなくてはならないのは安全な運用ということでありますが、できるだけ有利な運用をするということも一つあると思います。それから同時に、組合員の福利のために使うということもあろうかと思います。そういったこともいろいろな要請をあわせ考えましてその運用方法を決めていく、きわめて抽象的でございますが、そういうことだと思います。
#23
○沢田委員 いずれにしても、そういう目的が副次的にあるにせよ、積立金の目減りを最小限度に食いとめていくという基本的な責任管理体制、管理義務というものが存在するということは否定しないでしょうね。いかがですか。
#24
○西垣政府委員 いまの御指摘は、私がいま挙げました三つの中の、できるだけ有利に運用するという一つの要素だと思います。
#25
○沢田委員 続いて、最悪の場合何%かの構造的な欠損、また最善の積立金の運用を図る、それでもインフレによって社会構造的にいやおうなしに目減りというものが起きてくる、その場合にその欠損を補うものは何かということなんですがね。これも事によると大蔵大臣になるのかもわかりませんが、インフレによって一方でもうけているものがあるわけですね。一方にはインフレによって利益を得ているものがある。それとの平衡政策をとっていくということは、当然、正常な管理者あるいは正常な政府の運営政策として必要な措置なのではないか。構造的な欠損というものが政府の責任でどうしても何分かはあるとする。しかし、起きてきた事実は間違いない。それを埋めるためには、一方でインフレで大もうけをしている――大もうけと言うと語弊があるが、とにかく相当利益を上げているという分野から正当な租税収入なりを取って、その欠損を埋めていくという論理は当然考えられていくものではないか。それは、欠損は欠損、あくまでも労使の折半の問題だとか、二〇%だとかというものではなくて、当然翌年度なり翌々年度なりに引き続いて平衡政策というものが行われていく義務をいわゆる基本的な問題として持っているのではないか。この点はいかがですか。
#26
○竹下国務大臣 これは非常にむずかしい問題でございます。と申しますのは、いわゆる課税という問題、税制の問題というのは、できることであるならば、理想的な姿として考えられるものは、特定財源とか目的税とか、そういうような性格のものではなく、まさに普通税として入って、それが政策の優先順位の決定の中にどのようにして還元されていくかというのが一般的に描かれる一つの姿であると思うのであります。しかしながら、その中に目的税的性格を持つことによってまた国民の理解を得やすい問題も事によって多々あるわけであります。その組み合わせによって各国ともそのような税制がとられておるわけでございますが、現実問題として、税体系の中で考えてみますと、インフレによるところの利益を捕捉していくということは技術的にも問題としては非常に困難な問題である、一般的にそのように言われておるところであります。
 また、たとえば土地の問題等につきましては、人口多くして土地の狭隘なわが国としてのある種の宿命とはいえ、この問題については別の角度から土地譲渡益に対するところのいわゆる重課税、今日の土地譲渡益の重課制度というものがそれなりに設けられているわけであります。したがいまして、それらの物価上昇に伴った利益が年金財政とそのままスライドしていくような税制というものは、現実問題としては考えの中に入れるというのは非常にむずかしい問題ではなかろうか、そういうふうに私は基本的には認識をいたしておるわけであります。したがって、私どもといたしましては、政府の姿勢としては、もとより政策インフレなどということに流れてはいけませんが、インフレをいかにして防止していくかという政策目標の中で努力をすべき問題であって、現実問題として、年々設定して守られたり守られなかったりします物価上昇の目標値というものと、それにそのままスライドさせていく税制と、その支出を目的税のような形でつないでいくということは、私は年金財政の中にはくみしにくい課題ではなかろうかというふうに考えております。
#27
○沢田委員 そこまで来れば技術的なものだと思いますから、いま大蔵大臣に御答弁いただいたのですが、考え方としてはそういうことが――これは年金だけではないと思います。年金だけではないと思いますが、いま年金が主題ですから、インフレによって非常に損失を受けた者あるいはインフレによって非常に利益を受けた者との平衡政策というものは、考え方としては完全に直接に直結はしないにしても、やはり平衡政策というものが、片っ方がうんと損した場合に、片っ方の利益を得た方からある程度の、回すと言うと言葉が悪いですけれども、次にはその平均化を図っていくという政策が続けられていかなければならない、そういうものが政治だ、そういうふうに一般論としては御肯定なされますか。
#28
○竹下国務大臣 歳入、歳出両面を考えたときに、利益あるものをどのようにして政策選択の順位の中で還元していくかという場合に、インフレというものがどうした基準に置かれるべきかというのはむずかしい問題であろうと私は思います。しかし、委員のおっしゃる、いわゆる簡単に言うと一つの先生の政治哲学ですね、その政治哲学というものは、私にも理解のできない問題じゃございません。
#29
○沢田委員 これだけでやっていると全部時間がなくなりますから、そういうことで理解をしてもらうということをひとつ要望しておいて、それでこれからの年金の具体的な問題に入らしていただきたいと思うのです。
 今後の年金に、特に共済問題の成熟度というようなものもいろいろ言われておるわけでありますから、それらの点から基本的な方向、これからどういうふうに仕組みをつくっていくか、いろいろな意見があります。私は、いまここで意見は時間の関係で省略をいたしますが、研究会をつくって、研究会という名称が果たして妥当なのかどうかという気持ちはいたしますけれども、研究会を設けるということも政府は考えている、いまの答弁でも言われているようでありますが、その研究会はどんな役割り、使命あるいはそういう任務、それからまた基本問題の懇談会、いろいろ社会保障制度の審議会、そういうものもありますが、それとの関連性はどうなのか、そこまでひとつお答えをいただきたいと思います。
#30
○西垣政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、近々に発足を予定しております研究会は、共済年金制度全体の今後のあり方につきまして、基本的諸問題を専門的立場から一元的に御検討いただくという趣旨で発足させようとしているものでございます。いまお述べになりました年金制度基本構想懇談会というのがございますが、これは公的年金問題全体につきまして横断的に検討するということで厚生大臣の私的諮問機関として設けられたものでございますが、私どもが近く発足を予定させていただいております研究会というのは、そういう大きな幅のものではございませんで、共済だけの基本的な問題――共済だけと申しましても、共済には五つのグループがございますし、たとえば公企体の共済という一つのグループの中でもそれぞれ違うというようなことがございまして、共済についての共通問題を研究する必要性というのはかねてから指摘されていたところでございまして、共済年金の職域年金的性格や公務員制度との関連等にも配慮しながら、総合的視野から共済年金のあり方、たとえば給付水準でございますとか、給付要件でございますとか、年金財政でございますとか、あるいはほかの公的年金との整合性あるいは調整ということを共済の側から研究する必要もある、あるいは成熟度が高まる中で保険者の統合等の必要性あるいはその是非、そういった問題につきましても研究する必要があるということで、基本問題にしぼりまして学識経験者の方々で構成した研究会で検討していただこう、こういうことを考えているわけでございます。
 これは私どもの気持ちといたしましては、先ほど申し上げましたように、附帯決議にございます審議会にかわるものとして、とにかく実行上のものとしても早く研究をしたいということでこういったものを考えた次第でございます。
#31
○沢田委員 そうすると、附帯決議に連動いたしました公企体――国公、地公、私学、農漁林、この関係は別として、公企体の基本問題だけについて附帯決議に連動した審議会というか研究会というようなものにする考えである、これはイエスかノーかでお答えいただきたい。
#32
○西垣政府委員 先ほど申し上げましたように、国家公務員共済、それから公企体共済だけではございませんで、共済グループの五つ全部の問題を取り扱いたい、かように考えております。
#33
○沢田委員 わかりました。そうすると、国公、地公、公企体、私学、農漁林含めての問題である、こういうことですね。
 それで、研究会をつくられるとすれば、いつの時期に大体考えているのか、それからまた、その結論はいつごろ出してもらおうという期待を持って進めようとしているのか、その点をお答えをいただきたい。
#34
○西垣政府委員 いま発足の準備をいたしておりまして、できるだけ早く、できれば今月あるいは来月というような時点で発足したい。問題が非常にむずかしゅうございますので、いつまでに全部の結論が出るかということについては、いまはっきり申し上げるわけにいきませんけれども、とりあえずの気持ちといたしましては、二年ぐらいの間には結論を出すような方向で研究していただきたい、かように考えております。
#35
○沢田委員 構成はどういう構成で考えておりますか。
#36
○西垣政府委員 これは、基本問題につきましていわば学識経験者的な立場で検討していただくのが最も望ましいのではないかという感じを持っておりまして、学識経験者ということで幅広く求めまして、約十人ぐらいの構成で始めたいというふうに思っております。
#37
○沢田委員 事務局といいますか、それを管掌するのは、大蔵省が設置をするという考え方であると理解してよろしいですか。
#38
○西垣政府委員 予算も大蔵省主計局についております。それから共済グループの中で一つの典型的な形が国家公務員共済でもございますので、一応事務局を主計局共済課に置きまして、関係部局と連絡をとりながら、その緊密な御協力のもとに進めていきたいというふうに考えております。
#39
○沢田委員 そこで、今度は年金の官民格差あるいは官官格差あるいは給付水準、特に問題になります年金財政、それから制度の整合性、それから成熟度の高い組合の取り扱いというような問題が考えられるわけでありますが、ここで一気に統一化を求めるということは私も常識的に困難であると思うのでありますが、当面、厚生年金との調整というところに重点を置いていくという方向なのか、あるいは先ほどもいろいろ法律の目標を言いましたが、国家公務員、地公、公企体、私学、農林だけの分野、この調整ということに重点を置いていくのか、そのどちらになるのか。いま言われている問題は、また後で言いますけれども、そういう問題を控えている中でどういうところに重点を置いていくのか、基本的な問題と言われましたけれども、その内訳を言えばそういうことになると思うのでありますが、その点はどちら側に重点を置くのか、お答えいただきたいと思います。
#40
○西垣政府委員 先ほども申し上げましたように、共済年金が抱えている問題の中で、基本的な問題といたしましては、給付水準とか給付要件とか年金財政とか、これから共済がどうしていったらいいか、いままで給付の改善には努めてきたわけでございますが、財源的には将来かなり苦しくなることが予想されております。これに共済全体としてどう対応していくか、これは検討すべき大事な問題だと思います。
 それから、先ほど申し上げましたように、他の公的年金との調整の問題、これは官民格差というようなことが言われておりますが、必ずしも官民格差ではないという考え方もございますし、その辺をどう整理していくか、これがまた一つございます。
 それからもう一つが、やはり共済の中で、本当に苦しくなってしまっておりまして、何とか打開の道を近々に見出さなくてはならないというような、そういうものも出てきておりますので、そういったものの対策の一つとして統一の問題ということもやはりやらなければならない。
 私どもがさしあたって考えておりますのはいま申し上げたようなテーマでございます。
#41
○沢田委員 最初に、年金の官民格差で質問をしておきますが、去年からおととしあたりにいろいろ議論をされました当時は、九十八万と百十六万というような数字で官民の差がある、こういうことでありました。これは昭和十七年に厚生年金がスタートいたしまして、勤続加算は三十五年でありますから、昭和五十二年になりますとほぼ全額になるわけであります。モデル年金として、現状の段階において前年度で結構でありますが、モデル年金としてこの官民格差という数字はどういう数字になっているのか。百五十八万と百四十八万とかいう説もありますけれども、あなた方の方で押さえている数字、これは昭和五十二年度になりますといわゆる勤続加算がちょうど満額で三十五年になるわけです。いままでは勤続加算が三十五年未満で計算をしておったわけですから、その点違います。しかも、今度加えまして三千五十円に定額が改定されます。千六百五十円からですとほぼ三割ではありませんけれども、そのくらい増額になってくるわけですね。ですから、恐らく公務員関係でも一般の職員は通算方式を採用した方が年金額は高くなる、こういう現象が恐らく六割を超えるのではないかと私たちは推察いたします。だから、現給のいわゆる四〇%という支給あるいはそれに年功加算率を加えましても、二千五十円に勤続月数及びその勤続加算、これを加えた方が割り高といいますか、もっと高くなる率に出てくるという、私の試算ではそうなってまいりますが、あなたの方の計算ではどういうふうになるのか、お答えをいただきたいと思います。
#42
○西垣政府委員 官民格差としていろいろなことが言われておりまして、その一つが支給額に差があるのではないかということでございます。確かに、現在、現実に支給されております実績で見ますと、年金支給額の新規裁定の実績が五十二年度で、共済、これは連合会一般組合でございますが百七十三万円、厚生年金九十八万円ということで、かなり差があることは事実でございますが、これを単純に官民格差だと言うのは問題があるわけでございます。
 その問題があると申しますのは、一つは、加入期間が全然違いまして、共済の場合は三十三年、厚年は二十四年ということで、期間に差がございます。それから現在の共済年金には恩給分等が含まれている経過年金だという問題がございます。それから厚年受給者の場合には、厚年基金等による企業年金がある場合がかなりあるわけでございますが、これが別になっている。その分に対応するものが実は共済年金の中に職域年金的性格ということで入っているのじゃないか、こういう問題があるわけでございまして、御指摘のように、やはりモデル年金によって比較するということが必要でございます。
 それで、モデル年金によって比較いたしますと、これは昭和五十五年度のベースで試算したものでございますが、夫婦の場合には、共済が百六十三万四千円、それから厚生年金が、今度の改正案をベースにして計算をしたもので百六十三万三千円ということで、ほとんど差がなくなっております。したがいまして、先ほども申し上げましたように、厚生年金の中には、ほかに企業年金があるものもあるということを考えますと、共済の方がいいということは一概に言えないというような姿になっているかと思います。
#43
○沢田委員 企業年金も適格年金とか、大体五九・九%、六割、いま各企業では採用しているようであります。それをもし加えますと、これは大体月額六万から七万ぐらいというふうになっておりますし、いろいろ制度はまちまちでありますが、主に全企業のうちの六割ぐらいが適用化されている。もしこれが全企業に普及していった場合はどういう形になるとお考えになりますか。
#44
○西垣政府委員 ちょっと私どもその辺の数字をつかんでおりませんので、まことに申しわけございませんが、お答えをひとつ許していただきたいと思います。
#45
○沢田委員 逆の官民格差が今度は生じてくるということにもなりかねない。その場合は退職金という問題も連動してくるでしょうし、あるいは生命保険みたいなものまでも連動してくるということにもなるかもわかりませんけれども、いずれにしても、整合性ということが求められることには間違いないわけでありますから、企業年金の六割の実施状況ということも無視してこれを論ずるわけにはいかない、こういうことだけは理解できますね。――では、首を縦に振っているから、それはイエスという回答として、次にいきたいと思います。
 次に、官官格差であります。前からもこれも議論されておりますが、いわゆる一般の市民なりわれわれから一般的に見て、この官官格差というものは果たしてどういうものなのであろうかということであります。たとえば自衛隊にしても警察官にしても、どういうふうにして――たとえば鉄道の公安官と警察の交通とどう違うのだろうか、あるいは自衛隊にいる事務職員と防衛庁にいる事務職員と大蔵省にいる事務職員あるいは建設省にいる事務職員なり看守なり守衛なりとどう違うのであろうか。その辺やはりちょっと理解しがたい点があるわけなんでありますが、その点はどういうふうにあなたの方ではお考えになっておられるのか、いわゆる官官格差と一応言われておる問題でありますが。
 それから自衛隊もそうでありますけれども、自衛隊がなぜそう早くなるのか。鉄砲持てなくなるのか。戦争になれば自衛隊は戦時加算だとか何か考えなければならぬでしょうけれども、平常時においてなぜ差があるのか。普通の現場で働く鋳物工であろうと何工であろうと、そう変わりがないのじゃないかという気もしないでもないのでありますが、その点はどういうふうにお考えになっておられるか、いわゆる官営格差と言われている問題についてお答えいただきたいと思います。
#46
○西垣政府委員 自衛隊の場合でございますが、これはその職業といいますか勤務の性格から、はっきりした停年がございまして、そういったことから給付開始年齢が五十五歳ということでほかより低くしてある。しかし同時に、これは保険経理ということがございますので、それに見合って掛金率が高くなる、こういう関係でございます。
#47
○沢田委員 たとえば停年が決まっている自衛隊はいいです。決まってないところに対する官官格差はどうなりますか。
#48
○西垣政府委員 公務員の場合には、いずれも同じ法律を根拠として共済の制度がございますので、官官格差と言われるようなものはございません。
#49
○沢田委員 ないことはないのでありますけれども、その点は余り責めることはどうかと思いますからいいでしょう。何も人の足を引っ張ろうというのがねらいではありませんから。ただ、そういうものについてやはり考えていかなければならぬ問題があるということだけ一応申し上げておきたいと思います。
 次に、成熟度の問題なのでありますが、一般的に成熟度と言われておりますので、ここで例を挙げておきます。
 国鉄は五十三年が六四%、六十年にはこれが一一四%、造幣は五十二年で四四%が五十三年は四七%、専売は五十二年が三八%が五十三年で四一%、これが、今度数字の出し方はちょっと違いますけれども、成熟度でいきますと、西ドイツあたりは四・六人において一人、フランスは保険者二・五人について一人が年金受給者である、こういうことです。スウェーデンが四・九人について一人であります。イギリスは三・〇人について一人、アメリカが四・五人について一人、日本は厚生年金が一九・三人について一人、国家公務員が七・八人について一人、こういうふうになっております。こういう成熟度というものについて、この状況から今後どういう方向を求めていったらいいか。さらに若干ほかの数字で申し上げますが、これは数字がマルク等になっておりますけれども、西ドイツあたりは被用者が九%、使用者が九%で国庫は赤字を補てんする、こういうことです。フランスは被用者が四・七%で使用者が八・二%で一二・九%である。イギリスは六・五の一〇の一六・五に一八%、アメリカは五・〇八と五・〇八で合計一〇・一六である。今度フランスの国鉄あたりを見ますると、これはフランになっておりますが、百万フランであります。一応数字的にパーセンテージで申し上げますと、全体の総額を一〇〇にいたしますと、約四割が国鉄負担、国庫負担が六割、職員負担は一割いかない、こういう数字になっております。アメリカの国鉄年金制度でいくと、これも収入を一〇〇といたしますと、財政調整移管金というのがありますが、保険料の収入は約四〇%ぐらい、あとその他は投資収益であるとか財政調整移管金であるとか国庫負担金という形になっております。西ドイツの一般年金制度を見ますると、一〇〇に対して保険料の収入が相当多く、それから連邦補助金というのが大体二割三分ぐらいにいっている。こういう状況を見て諸外国の成熟度と比較をいたしまして、日本の成熟度がこういうふうな状況になっているとすれば、当然さっき私が申し上げたような財政調整というもの、あるいはインフレによる目減り補てんというものを考えていかなければどうにもならなくなっていくのではないかということが考えられます。
 それからもう一つは、今度厚生年金の方で六十五歳にするなどという案を出してきた根拠も、さっき言ったように、九・一%でいけば、賦課方式でいけば七十五年までもつ。それを積立金方式でやっていくために、最終的には昭和八十五年には二四・二%という世界最高の負担金になりかけていく、こういう危険性を持っているわけですね。果たしてこのままで政府の体制としていいのだろうか、やはり何らかの方向を、政府としては福祉国家ということを言う以上は福祉国家に値する方向をここで打ち出さなければいけないのではないか、こういうふうに思いますけれども、諸外国とも比較し、あるいは成熟度の高い例を挙げましてその方向性、考え方、あるいはどういうふうにこれを措置していこうとなさっているのか、その点ひとつお答えいただきたいと思います。
#50
○西垣政府委員 いまお挙げになりました成熟度の高さ、問題はいまの時点で高いだけではなくて、老齢化の進行がこれから急速に進んでまいりますので、成熟度が急速に高まっていくという問題でございます。最も高い国鉄につきましては、あと数年のうちに成熟度が一〇〇を超えてしまう、こういう状況でございます。それにどう対応していくかということは公的年金全体を通じての大問題でございます。一つの方向としては、組合員負担ということで、その負担が高くなってもがまんをしてやっていく方向でございましょうし、それからいまお挙げになりました国々の中で、国の負担が大きいところはそこは国民の合意で税金でいくということで割り切っている国だと思います。そういった、どういう方向でこれに対処していくかというのはこれからの大問題でございまして、それは私どもだけではなくて、行政の側としては厚生省等と一緒に研究しなくてはならぬ問題ではないかと考えております。
 それから共済のグループだけの問題といたしましては、先ほど申し上げました研究会におきまして、統一問題あるいは調整問題というようなものが避けて通れない問題でございまして、私どもといたしましては真剣に取り組んでいかなくてはならないと思っております。
#51
○沢田委員 真剣に取り組むだけではちっとも結果は出ないのでありますが、要するに、こういう状態になって高齢化社会にどんどん進んでいった場合における処方せんを国民に示していくことが必要で、足りなくなれば何でもかんでも年齢を引き上げるとか、そう考えるのは中学生の考え方です。そこをさっき言ったようなもろもろの要素を含めながらそれに対応していくように、これは要望だけしておきます。
 次に懲戒処分のあり方ですが、これは附帯決議にも出ているのですけれども、時間の関係で簡単にいきますと、禁錮以上の刑に処せられて執行猶予がついた場合は、恩給の場合は年金の減額はしない、その間はもとに復するのであります。たとえば禁錮になっていても出てくれば恩給の方はもとどおりに戻る。執行猶予がついた場合にはこれはされないのであります。これはお答えいただかなくても、私が調べてきた結果はそういうことなんです。ところが、国家公務員なり公企体の職員の場合の懲戒処分には、退職金も下手をやるとゼロになる。さらに加えて二〇%の年金の減額が行われる。そうしますと、いま平均千四百万くらいの退職金でありましょう。そうすると、二〇%ですと、いまさっき出てきた数字の二〇%と考えましても、大体百六十三万と仮定しますと三十二万くらい引かれていく。十年間で三百二十万、二十年間で六百四十万、三十年間で九百何万。千四百万の退職金を削った上に、三十年もらえる人は少ないと思いますけれども、それに加えてさらに年金額を減額するゆえんは過酷な処分になっていくのではないのか、その点はどう考えておられるかお答えをいただきたいと思います。
#52
○西垣政府委員 御指摘のような問題がございます。これは公務員共済が公務員制度の一環であるという性格からくるものでございますけれども、それにしても厳し過ぎるという御批判があることは私どもよく承知しております。確かに、民間と比較しますと、民間ではほとんど問題にならないようなことが国家公務員の場合には退職手当の不支給の理由になりましたり、それから共済年金につきましては一部あるいは全部の減額になりましたり、そういったことでございまして、一つ一つ見ていきますと、本当にこれでいいのかなという御指摘はそのとおりだと思います。そういった意味で、先ほど申し上げましたように、私どもといたしましては、この辺の救済は政令でできることでもございますし、国会での御論議もたびたびございましたので、その辺を踏まえましてできるだけ早く成案を得るようにいたしたいというふうに考えます。
#53
○沢田委員 これはできるだけ早く成案を得るというのでも、たとえば恩給法では三年以下の懲役または禁錮の場合はその間は中断されるけれども、執行猶予は停止しないということになっているんでしょう。当然、連動してその点だけは自動的に直されてもいいはずじゃないかという気がします。しかも、刑の執行猶予の場合は百分の五を、国家公務員の場合でもあれでも減額するのですね。しかもこれは、懲戒処分は非常に種類は多いですよ。厚生年金の方を私は言おうとは思いませんけれども、極端に言えば、贈収賄をやって、国家公務員の方は、退職金がゼロになり年金が二〇%減らされて、贈賄した方は、それで三億ものでかい仕事をもらえばまさに会社としては利益を得るから、しばらくおまえがまんしていてくれ、帰ってきたら部長にするなんということになって、昇給にもなりかねない。それで年金は通算になっていくわけですね。刑務所に行ったって通算になる。雇用関係があり保険金が納まっていれば厚生年金は継続されていくわけであります。そういう立場から考えてみると、贈収賄を例にとったのは大変申しわけないけれども、少し過酷過ぎないか。
 直したいと言ってみても、恩給法の関係だけでも、執行猶予中でも少なくとも百分の五の減額をしている。あるいは一年未満は百分の二十五ですね。三年以下になると百分の三十五です。三年以上の刑がくると百分の四十五です。半分に減るのですね。そういうことになると退職金はもちろんゼロです。それは幾ら考えても――幾ら公務員法を見たってこんなことは書いてないですよ。書いてあるとすれば恩給法の問題だけですよ。今日これを残しておくことだけは、どう考えても私は不当だと思う。退職金がゼロになるのなら年金の方は生かすとか、両方とも二重刑罰を加えるというのは法制上もおかしいのじゃないか。これは大蔵大臣、ひとつお答えをいただきたいと思うのです。二重刑罰というのはわれわれはどうしても許しがたいものだと思うのです。いかがでしょうか。
#54
○竹下国務大臣 私もいま委員の御意見を聞きながらなるほどそんなものかなと思って、本当は、大変のんびりしたような答弁でございますが、お聞きしておったところでございます。原則的に、いわゆる公務員というものに対する制度そのものの非常に基本的な考え方からくる厳しさというようなものが存在することはあり得ることであろうと思いますけれども、確かに附帯決議にもございますだけに、この政令等の改正については急ぎ検討をしなければならない課題であるという認識だけは私なりに深めさせていただいた、そういう感じを持っております。
#55
○沢田委員 続いて、厚生年金の方には、女子が五歳年齢引き下げで年金の受給資格が生じるようになっております。掛金も少なくなっております。なぜ公務員なり公企体なりは、男女平等という原則でもあるのでありましょうけれども、女子が同じでなければならないのか。なぜ厚生年金の方は五歳の引き下げが認められておって、国家公務員なりそういうものについては認められないのか、その点ひとつ簡単にお答えいただきたいと思うのです。
#56
○西垣政府委員 昨年十二月の改正で男女ともに六十歳になりました結果、厚生年金よりも五歳女子が高くなっているわけでございますが、これは、共済年金は国家公務員制度の一環であるという性格がございますので、男女の差は設けないということで従来からきているわけでございます。したがいまして、十二月の改正法の前は男女ともに五十五歳、今度は男女ともに六十歳ということで、これは公務員制度の一環としてずっときているということでございます。
 それから、保険数理の問題がございますので、女子が五十五歳ということになりますと、女子の掛金率の方が高くなるというふうな付随的な問題がございます。それだけちょっと申し上げておきます。
#57
○沢田委員 矛盾があることだけは承知しておりますか。厚生年金の方は女子の掛金も低い、しかも五歳若くもらえる。国家公務員の方は掛金も同じである、そして年齢も五歳高い。矛盾を感じるか感じないか、それだけお答えいただきたいと思うのです。
#58
○西垣政府委員 私は、公務員制度の一環として男女平等ということでやっておりますので、そこのところは割り切るより仕方がないのではないかというように考えております。
#59
○沢田委員 時間が少なくなってきましたが、次に、いま折衝をしておる厚生年金の手なし妻の遺族年金の問題であります。
 結果的には、四十歳未満で十八歳以上の子供がいる場合には年金を支給しないということになる。いま子供の出生率というのは一人ないし二人ということになります。そうすると、二つ問題があるのですが、四十歳でどういうふうに生活を維持していったらいいんだろうか。あるいはまた、二十三前に子供を生んだら、一人生む人の考え方だったら二十三前に生んだらば、これはもう四十歳のときには年金はゼロになっちまう。だから、たとえば中断をするとかあるいは減額率を少しするとか、これは話が若干わかると思うのですよ。それでも若干問題があるけれども、これを全然ゼロにするということは、これは与野党でいろいろ話し合っていると思うのでありますけれども、大蔵大臣かだれかわからぬが、こんなむちゃくちゃな話は、論理も一貫しないし、将来の家族構成あるいはこれからの若い人たちの結婚をどう考えているか。二十なんかに子供を生んだらばとんでもないことになつちまう。それでおやじに早く死なれたら路頭に迷う。そういう政策をやっていくことは少なくともおやめになった方がいいのじゃないのか、こういうふうに思いますけれども、お答えをいただきたいと思います。
#60
○西垣政府委員 寡婦加算額の大幅引き上げに伴いまして、四十歳未満の子供がない妻につきまして受給権を与えないようにするという改正を厚生年金法の中ではしているわけでございますが、いま御指摘のような問題もございまして、私ども国家公務員共済組合審議会あるいは社会保障制度審議会でどうすべきかということを御検討いただきましたときに、これは従来からの共済のやり方にはなじまない問題もあるので慎重に検討すべきであるという結論が得られまして、今回の改正案にはそれを入れておりません。共済としては、従来からの共済の考え方の中でこれをどう処理していくのかということにつきましてさらに検討したいと思っているところでございます。
 厚生年金の方でどういうお考えに基づいてそういう案を立てられたかにつきましては、私がお答えするよりは、厚生省からお聞き取りをいただいた方がよろしいかと思います。
#61
○佐々木説明員 厚生年金の今回の改正におきまして遺族年金の改善をどうするかということにつきましては、関係の社会保険審議会、これは労働者側、使用者側の代表もお入りになっておられますが、そこでもいろいろ御議論いただいたわけでございますが、遺族年金の改善はやはり緊急にやらなければならないことである、その際には、子供さんがおられる遺族あるいは高齢で働けないというような遺族の方には手厚い処遇をすべきであるということで、これについては従来の寡婦加算を二倍ないし二・五倍という大幅な引き上げをいたしましたわけでございますが、それに見合ってと申しますか、その反面におきまして、若くて子供さんのおられない遺族の方は御自分で働いておられる方も多いわけでございますし、そういう方に生涯にわたって年金を支給するということの問題点もかねがね指摘されていたわけでございます。そういうようなことも考えまして、この際支給要件の見直しをすべきであるというような御意見をいただいたわけでございまして、そういう御意見を受けまして、私どもとしては遺族年金については手厚くすべきところは手厚い処遇改善をする、反面におきまして御遠慮いただけるところはこの際御遠慮いただくというような改正を御提案申し上げているわけでございます。
#62
○沢田委員 あなたが死んでしまったときに、あなたの奥さんが、十八歳以上の子供でもいて大学へ行っている場合を考えてつくってくださいよ。あなた、自分がそうなった場合に、あなたの奥さんはどうしたら生活が維持できるか。キャバレーへでも行って働かなければなかなか生活できやしない。そういう状態をみずから招くような法案を提出したことをみずから恥じてください。事実上結婚もおくれてくるであろうし、出生もおくらせなければ損だということになるだろうし、そういう自動的な連動が起きてくることは間違いない。また同時に、そのことによって多くの四十歳ぐらいになった人が再婚すると言ったって、うば桜になってしまってなかなかちょっとやそっとそう行くわけにはいかないでしょう。いろいろな社会問題もあるわけでありますから、これは反省を求めて速やかに撤回されることを心から期待して、時間がありませんので、次の問題に入ります。次は二つだけ申します。
 厚生年金の場合に軍歴加算、軍隊に行っていた期間の加算、まあ軍人恩給のついた人はいいのでありますが、厚生年金、奉公袋というふうに言われておりますけれども、なぜこの軍歴加算はないのか。これは厚生省関係でお答えをいただきたいと思うのです。
 それからもう一つは、昭和三十六年四月一日、これは国民皆年金制度が出発したときでありますが、それ以前の共済期間の厚生年金あるいは国民年金の通算。いずれにしても、昭和三十六年四月一日で国民皆年金制度が生まれたわけですが、それ以前の共済期間、勤務していた期間は通算されない、空期間にもならないということは若干不当ではないか、こういうふうに思います。その点についてお答えをいただいて、あと若干問題が残っておりますけれども、時間の関係で、以上二つのお答えをいただいて終わりたいと思います。
#63
○佐々木説明員 前段の軍歴通算の問題でございます。この点につきましては、先生すでに御案内のように、厚生年金は社会連帯に基づくところの社会保障制度でございまして、掛金を納めていただいた期間について給付をするというのが大原則でございます。したがいまして、過去の軍歴のある方だけにつきましてこの制度の上で処遇をするということは、ただいま申しましたような制度の趣旨にそぐわないというようなことにおきまして、制度の上で取り入れることは大変むずかしいということでございます。
 それから後段の問題でございますが、昭和三十六年に国民年金が発足いたしまして以後、国民皆年金の体制が整ったわけでございます。したがいまして、昭和三十六年四月一日以降におきましては、どなたも制度に加入して保険料を納めていただきますと年金が出るという制度になったわけでございまして、それ以前の期間につきましては、その後の期間だけで年金が出るというようなこともございますので、年金の通算措置の中には入れていない、こういうような割り切りをいたしたわけでございます。
#64
○沢田委員 とにかく三十六年四月一日以前だって共済期間のときには掛金を納めていた。それからもう一つの問題の軍歴も、公務員の共済その他は軍歴加算をしているのです。だから、厚生年金だって国家のために行ったということになっているわけだから、この点国がめんどうが見られないということは少し頭がかた過ぎるし、少し解釈も甘いというか、解釈もとにかく十分になってない。もう時間の関係で省略しますが、大蔵大臣、よく厚生省頭を洗い直すように十分注意してもらって、私の質問を終わりたいと思います。
#65
○綿貫委員長代理 坂口力君。
#66
○坂口委員 大蔵大臣、どうもIMFの会議の方大変御苦労さまでございました。きょうは年金の法案でございますが、きょう大臣の方から帰国報告をしていただきましたので、一言だけお聞きをして年金の問題に入らせていただきたいと思います。
 このIMFの持つ役割りというものにつきまして、世界経済が非常に大きく揺れ動いております中で新しい役割りというものを考え直すべきときが来ているのではないか、こういった議論も起こっているやに聞いているわけでございます。そうした中で大臣御出席になりまして、新しい日本の今後の役割りとしてどのようにお考えになってこられたか、もし御意見がございましたら一言だけお聞きをさせていただきたいと思います。
#67
○竹下国務大臣 このIMFというものができましたのもそれなりの歴史的経過があるわけでございますが、今回特に感じましたことは、IMFの暫定委員会の中におきまして、先進国と開発途上国、それからいわゆる石油産出国と非産出国、そういう間におけるなかんずく通貨のリサイクリングの問題というのがいままでになく大きな課題になってきた、こういう印象を大変強くいたしたわけであります。したがって、今度の大きな一つの問題でございました代替勘定構想というようなことについて、それぞれの国の利害はあるものの、小異を捨てて大同につくべきであるという種の発言をしたわけでございますけれども、しかし、その問題につきましてもやはり開発途上国と先進国との意見の相違、また先進国の中においてもヨーロッパとアメリカの意見の相違というようなことからいたしまして、結局日本の国会流に言いますと、継続審議というような形になったわけでございます。そういう継続審議の中でも新しい方向が模索され、理事会等はしょっちゅう開かれておるわけでございますので、何らかの合意に達することを心から期待しておるという率直な感じが一つであります。
 それからいま一つは、IMFの委員会がありました場合に、今度は二国間の、たとえば日本とドイツでございますとかあるいは日本とサウジでございますとか、そういうロビー外交という表現が適当かどうかは別といたしまして、そういう役割りというのは大変ふえてきた役割りの一つではなかろうか。おかげさまで西独との間におきましても中央銀行同士によりますスワップ協定の交渉に入って、恐らく間もなく妥結するだろうと思われます。そういう問題は、たまたまIMFの委員会等に参りますとお互いが接触する機会が多くて、それが実を結んだというのが現実的な効果ではなかったか。
 あるいはいま一つはサウジアラビアの、これは日本人のいまの総理大臣臨時代理であります倉石という、これは日本人じゃございませんがクライシという人なんでございますけれども、その方とお会いいたしました際に、結局、いわゆるオイルマネーを日本に投資するということに対する意欲が非常に強烈な印象づけとなって、現実、私どもの方から言いますならばまさにリサイクリングで大変結構なことでございますが、相手さんから見れば余裕資金の運用先として日本を選んだ、こういうことでございますので、内容について詳しく申し述べることは差し控えなければならないわけでございますけれども、わが国の経常収支の問題等については非常にプラスになる約束事ができた、そういうところにむしろ私は意義があったような感じがいたしますので、より一層このIMFそのものが機能を強化されることは好ましいことだという漠然とした印象とそういう個別な案件というものの両面に対して私なりの印象を強くして帰ってきたところでございます。
#68
○坂口委員 ありがとうございました。
 また詳しくは一般質問のときにでも引き続きお聞かせをいただくといたしまして、きょうは年金の問題でございますので、法案の方に入らせていただきたいと思います。
 国家公務員共済組合並びに公企体共済組合、それぞれ幾つかの問題を持っているわけでございますが、とりわけ公企体の共済組合、なかんずく特に国鉄等の共済は財政的に非常に厳しい状態に置かれていることはいまさら申し上げるまでもないわけでございます。このような状態でございますので、これを今後どうしていくかということは非常に大きな問題ではなかろうかと思います。この国鉄共済は、昭和五十一年度には九十億円の赤字であったわけでありますが、五十二年度は三百六十億円の赤字、五十三年度は例の負担率を千分の二十アップをいたしまして八十三億円の黒字となったわけであります。五十四年度ではそれが四十五億円の黒字見通しということになっております。このように、一遍アップをいたしましたけれども、また黒字幅がだんだん減ってきているということでございます。非常に破産寸前の状態にあるわけでございますが、大きな目で見て、国鉄の共済が今日を迎えるということは、これは初めから予測し得たことなのか、それともこれは予測し得なかったことなのか、この辺はどのようにお考えになっておりますか、まず一つお聞きをしたいと思います。
#69
○石月政府委員 国鉄の共済のいわゆる成熟度が高いということにつきましては、先生御存じのように、五十五年度でいたしますと七二%、五十四年度でいきまして六八%でございますので、一人半で一人の年金受給者を養っているというような形でございまして、先ほどもお話がございましたように、これがだんだん高くなっていく。その原因は何かと申しますと、御承知のように、国鉄は戦争中の国策遂行のためにたくさんの職員を採用したわけでございます。それで戦時輸送を完遂した。戦後はまた、満鉄その他に出ておりました職員を引き受けるというような形で、一時には国鉄職員の数が六十万人にもなったというような特殊な要件がございます。その方々が現在退職される年齢に達しているということでございまして、ただいま現在で、五十四年で見ました場合に、五十歳以上の方が約十四万人もいらっしゃるというような形でございまして、今後こういう要員構成のゆがみから大量の年金受給者が出ていくという形になっているわけでございます。そのほかに、一般論といたしまして、国鉄輸送というものがモータリゼーションの中で押されまして、だんだん職員数を縮減をして合理化をしていかなければならぬ、鉄道の特性を発揮できるところに特化していかなければならぬというような問題もございまして、職員数が縮減している。そのほか、国鉄の場合には女子職員が少なくて、年金の受給資格を得る方が非常に多い、その他もろもろの原因があるわけでございますけれども、こういう制度的な要因に加えまして、昨今毎年のように年金改定による給付額というものを改定していかなければならぬ。この場合に、これは非常に大事なことでございますけれども、それは国鉄の負担として非常にはね返ってくる、それからまた、新法の部分につきましては組合員の負担としてはね返ってくるというようなことでございまして、そういう意味である程度宿命的なものではないかというような、国鉄のそういう特殊要因というものを考えますとこういう形にならざるを得ないというぐあいに考えております。
#70
○坂口委員 答えていただくのは非常にむずかしいということは承知をして実はお聞きをしておるわけでありまして、予測し得たと言えば、何をぼやっとしておったかということになるわけでありますし、予測し得なかったと言えば、それはまたそれで問題があるわけであります。いまもお答えになりましたが、運命的なものであったと言われましたが、その前に幾つか内容を言われまして、たとえば戦後満鉄あたりから引き揚げられた方を吸収したというような問題があった、こういうお話をなすったわけでありますが、その人たちの年齢その他はわかっているわけでありますし、年齢構成がそれによってどうなったかということは明快なわけでありますから、それは予測し得たことでございます。しかし、戦後モータリゼーションその他の変化によって国鉄というものに対する評価が変わり、そして若い人たちをさらに多く雇い入れることができなくなったということはあるいは予測しがたいことであったかもしれません。しかしながら、総体的に見ますと、これはしかしかなり予測され得たことも含まれているわけでございまして、その面で年金という息の長い制度を運営するに当たっての当局としての責任というものもまた私は重大であったと思う一人であります。
 このことにつきましてはさらに先で議論を進めていきますが、それからもう一つ、成熟度が高いということをおっしゃいました。確かに成熟度は国鉄の場合には非常に高くなっているわけでありますが、成熟度が高いというと非常に聞こえがいいわけでございまして、皆さんもややもいたしますと成熟度が高いということをもって財政上の不健全化の隠れみのにされるきらいがあると私は思うわけでございます。この成熟度が高いということと財政上の健全化がどうかということとはこれは別次元の問題でありまして、成熟度が高くなったから財政上ぐあいが悪くなったというのは、これはちょっと当たらないと思うのですね。いままでにはいろいろのそうした問題があったと思いますが、では今後解決していくのにはどうしたらいいと皆さん方はお考えになっているでしょうか。簡単で結構でございます。
#71
○石月政府委員 非常にむずかしい問題でございまして、先生御指摘のように、私どもある意味では予見できたという点は肯定せざるを得ない面もあろうかと思います。したがいまして、おくればせながらでございますけれども、五十三年の秋ごろから国鉄共済年金問題懇談会というのを運輸大臣の私的な諮問機関としてつくりまして、そこで学識経験者の皆様方のお知恵をかりながら国鉄共済の諸問題につきましていろいろ検討を進めているところでございます。
 また一方、先ほどから西垣主計局次長の御答弁にありますように、国鉄の年金問題というのは、共済年金制度全般の中の一環として考えていかなければならない面もございますので、過去の既得権とか、そういうような問題の調整もございますので、そういう点で、これから発足いたします共済年金の研究会におきましても、国鉄共済のあり方というものを各共済年金との関連の中でどう考えていったらいいかということもあわせて、もう少し大所高所の広い次元の中でもお考えいただくということで、その辺の御結論をいただきまして方向を早急に決めたいというぐあいに考えておる次第でございます。
#72
○坂口委員 もう一つだけお聞きしておきたいと思いますが、これは通過するかどうかわかりませんけれども、国鉄再建促進特別措置法案がございますね、この中で年金部門の関係はどのように位置づけられているでしょうか。これも簡単で結構でございますが、一言だけ。
#73
○石月政府委員 御承知のように、国鉄の財政状況が非常に危機的な状況になっておりまして、今年度を初年度といたしまして六十年までの再建計画をただいままとめまして、その内容を特別措置法案として盛り込んでおるわけでございますが、この再建計画の基礎になりました昨年の十二月の閣議了解におきましては、年金問題につきましては当面関係省庁等ともよく検討いたしまして結論を得るという形で決めております。それが、ただいまお話し申し上げました大蔵省での研究会でやっていただくということに連動するものだと考えておる次第でございます。
#74
○坂口委員 大臣、国鉄さんだけをやり玉に上げたような形で議論をいたしましたけれども、私もこれは決して国鉄だけの問題ではないと思う一人なんです。国鉄という狭い一つの枠の中で年金というものを維持しようとすること自体に問題があるわけでありまして、したがって、その経営上の問題、あるいは国鉄の置かれている立場によりまして、ときには多くの職員を採用し、ときにはそれがほとんど採用できないということが起これば、その年齢構成からいたしまして、当然、年金を受ける人がその大きな波を受けることは火を見るよりも明らかなわけであります。したがって、そうした職場、職場で、たとえば国鉄のほかに三現業、それぞれございますが、そうしたところの部門、部門で年金を運営していくということは、その性格上非常に無理な問題だと私は思うわけであります。
 したがいまして、ここに共済の統合問題というのが当然のことながら主張されるわけでありまして、私どもは、共済とか厚生年金とか言わず、とにかく総合的にこれは統合をしていくべきだという考え方を持っておりますが、そこまで一足飛びにはなかなかいきませんので、当面の問題として、共済年金の統合ということを早急に考えなければ、国鉄は国鉄の中だけでその共済をどうするかということをどれほど知恵をしぼりましても、出てきっこないと私は考える一人でございます。これはぜひその方向に向かって早急に歩み出すべきだと思いますが、大臣のお考え方をひとつお聞きをしておきたいと思います。
#75
○竹下国務大臣 御説のとおり、共済年金制度懇談会等におかれましても当面する諸問題について御検討をいただいて、その検討項目整理メモでございますかの中で、今後さらに検討を重ねるべきものとして財政調整と保険者の統合の問題が掲げられておるというのは事実でございます。
 しかし、これは委員も百も御承知のように、これができましたところの歴史的沿革とでも申しましょうか、そういうものが異なっておりますし、仕組みにも若干の相違もございますし、この問題を一挙に解決するということは、確かにいろいろな問題があって直ちにということは困難なことであろうというふうに私も考えております。
 先ほど来国鉄の部長からもお答えがあっておりますように、私は国鉄自身の共済がけしからぬとかいう考え方は持っておりません。これこそまた歴史的沿革の中で、戦後満鉄等からお引き揚げになった方々の雇用の場として、私はそれなりの果たされた役割りもあろうかと思います。したがって、やはり共済年金制度全体の問題にして、まず基本的に共通した土俵の中で検討していただける課題もあります。そういう問題について、まさに学識経験者十名程度より成る研究会においていろいろ御議論をいただいて、そして政府部内においてもやはり議論をしていってこれが解決に向かって精力的な検討を続けてまいらなければならぬ、その中に御指摘のような構想というものは一つの重大なポイントとして検討課題になるべきものであるというふうに認識をいたしております。
#76
○坂口委員 いま御指摘になりましたように、それぞれの制度がそれぞれの沿革、歴史を持っていることは私もよく承知をいたしております。しかし、そういう歴史と沿革を持っているからそれが妨げになるというのであれば、将来もまた同じでありまして、決して歴史はとれないわけであります。いまならばまだできやすいものを、先に延ばせば延ばすほどそれがまたできなくなってくる、よりむずかしくなるということも事実であります。その歴史を延長させる、積み重ねるわけでありますから、先へ行けば行くほどむずかしくなる。これは早くやればやるほど楽なわけであります。もちろん、検討はいろいろと加えなければなりませんが、そういったいままでの歴史上の違いがあるから、そのことをいつまで議論をしておりましても、先に行ってもとれることではございません。だんだんとその歴史は深まるばかりでございます。したがって、この共済の統合問題というのは早急に着手しなければ、先へ行けば行くほどむずかしくなることは当然のことだと思うわけであります。
 また財政上からいきましても、まだ破産寸前になるというところが少ない間はよろしゅうございますけれども、そんなところがあちこちにたくさん出てまいりましてから一緒にしようということになりますと、そういう破産寸前のところと一緒になるのはいやだということでよけいむずかしくなるわけでありまして、いまは幸か不幸か国鉄さんぐらいで、ほかはそれほどでございませんので、いまのうちにやればまだできますけれども、先へ行ったらもう一つむずかしくなるだろうと思うのです。ですから、これは小異を捨てて大同につくという言葉がございますが、これは勇断をしなければならないときではないかというふうに思います。竹下大蔵大臣は勇断をもって事に当たる大臣だというふうに思っておりますので、ぜひこれはひとつ竹下大蔵大臣の任期中に決着をつけるという気構えでお取り組みをいただきたいと思います。後でお返事を承りたいと思います。
 それから、もう一つ年金の問題で大きな問題がございますが、それは、年金というのは家族単位がいいのか個人単位がいいのかという問題がございます。これは基本的に非常にむずかしい問題でございますが、率直な御意見で結構でございますけれども、大臣、もしもお考えがございましたらお聞かせをいただきたいと思いますが、お考えがなければ事務当局からでも結構でございます。これはそちらへ連絡してございませんので、ひとつ即答で結構でございます。
#77
○西垣政府委員 ただいまの御質問でございますが、わが国の公的年金制度の中で世帯単位のものと個人単位のものと両方ございます。厚生年金や共済年金がそうでございますが、いわゆる被用者年金制度につきましては、被用者の在職中の給与を基礎に保険料の徴収を行う、また年金額も算定する、こういう仕組みをとっていることからも、被用者年金制度の場合には今後も世帯年金たる給付水準を設定していくのが自然でもあるし、妥当ではないかというふうに考えております。それから、他方、国民年金制度、この制度のもとでは、自営業者等を中心とした年金制度でございまして、個々の加入者の均一的保険料というたてまえになっておりまして、こういったたてまえからも見られますように個人年金とせざるを得ない状況でございます。しかし、いずれの制度に属するにしましても、世帯の構成類型に応じまして世帯として受ける年金額につきましてはバランスがとれている必要があるということは十分考えながら施策を進めていかなくちゃならないのではないか、こんな考え方でございます。
#78
○坂口委員 なぜ私このことを申し上げたかと申しますと、妻の年金権の問題がいつも非常に大きな問題になるからでございます。今回も遺族年金の引き上げ等がございまして、これは非常に結構なことでございますけれども、こうした問題が起こりますのも現在の年金というものが個人単位ではなくて家族単位として考えられているところに一つの原因があると思うわけであります。いままでは主人が働き、奥さんは家庭を守るという形になっておりましたために、しかもまたその形態が生涯続くということが非常に多かったために、家族単位の年金というものが生まれて、そして被扶養者とそれから扶養者との分け隔てというものができたのだろうというふうに思いますが、しかし、時代は変わって、奥さん方が非常にたくさん職場に出られるようになった、あるいはまた離婚も不幸にして非常にふえつつある、あるいはまた一時おやめになってもまたお勤めになる時期がある、こういったことで、非常にいままでと違いまして家庭の形態というものが多様化してまいりましたので、いままでの家族単位の年金制度というものが現状から見ますと非常に合いにくくなってきている。したがって、個人単位の年金にこれが改められるならば、そういった問題は解消されるわけでございます。最近の書物を読んでおりますと、アメリカあたりでもそのことを気づき始めて、そして改正案が出されているというふうに聞いております。これはやはり個人単位で考えようという物の考え方の上に立っておるように思われます。日本におきましても、そうした婦人の職場に対する進出というものが今後さらに進むであろうと思われますし、いわゆる扶養されているという立場ではなくて夫婦がパートナーとしての立場にある、こういう形になってきておるわけでありますから、それにふさわしい年金制度というものをつくっていかなければならないだろう。したがって、年金の統合化とあわせてそうした新しい動きに対する配慮というものがなされてしかるべきではないかという意見を私は持っておりますので、意見としてお聞きいただいても結構でございますし、御意見としてお答えをいただいても結構でございますが、時間がなくなってまいりましたので、お答えだったら簡単にひとつお願いいたします。
#79
○西垣政府委員 御指摘のように、婦人の社会的進出に伴っていまの御指摘のような問題が起きているわけでございます。ただ、どちらに割り切ってしまうのかというのはなかなかむずかしい問題でございますが、先ほど御指摘がありましたように、これから人口の高齢化に伴いましてますます年金財政は苦しくなってくるということで給付の節約も図っていかなくちゃならない、そういったことを考えますと、先ほど私一番最後にちょっと家族類型ごとの給付の額のバランスということを申し上げましたのはその意味でございまして、妻が個人としても年金をもらい、遺族としても年金をもらう、そのいずれにも国庫負担が入っている、相当多額になる、これはもらう側から言えば結構なことでございますけれども、年金財政が全体として苦しくなっているときにそういったことでいいのかどうかという問題がございます。そういった問題としては、われわれとしてもよく考えていかなくちゃいけない。個人年金であるか世帯年金であるかという問題について、これは長期的に考えなくちゃならない問題でございますが、差し迫った問題として年金の調整という問題を真剣に考えなくちゃならない、かように考えております。
#80
○坂口委員 非常にむずかしい問題、制度間の問題もあるわけであります。御主人が共済年金でその奥さんが国民年金に入っておみえになって、不幸にして御主人が亡くなられた場合には国民年金も出るし共済年金も出る、ところが、御主人も国民年金、奥さんも国民年金の場合には国民年金だけしか出ないということで、制度間のばらつきも非常にあって、今回それを補うために若干の改正がなされようとしているわけでありますが、そうした制度間の問題もございまして、非常に多くの問題を含んでいるところでございますけれども、その基本的な物の考え方が整理をされませんとなかなか進んでいかないというふうに考えておりますので、一言申し上げたわけでございます。
 さて、時間があと五、六分になってしまいましたが、もう一つ今後の検討課題としてお考えをいただきたい問題がございます。それは、共済年金の中にも途中退職者と申しますか、どこまでがしまいでどこが途中かちょっとわかりにくうございますけれども、長く勤めずにいわゆる二十年未満でおやめになった方、とりわけ五年とか十年でおやめになるような場合に、いわゆる退職手当金としていままで掛金をした分をそのままに置いておかずにもらった方があるわけですね。三十六年以降は皆保険制度になりまして年金と年金が全部続くようになりました。そして続けている人はいいわけなんですが、勤めておりまして途中で退職をしてやめるときに退職金のようなつもりで退職手当金というものを選択をした人がおります。いまほど年金の問題がやかましく言われるようになっておりますとそんなことはなかったであろうと思うのですが、以前には年金なるものの持つ意味が十分に理解ができなくて、あなたどうしますか、もらいますか、それじゃもうもらっておきましょうというようなことで、非常に安易にもらわれた方もあるわけです。その方がほかの年金と続けました場合に、続けてもなおかつ若干足りないという人があるわけですね。当然、それは国民年金に続ければいいじゃないかということになりますが、国民年金になりますと、御承知のようにもらえますのは六十五歳から、しかも非常に額は少ない、こうなってくるわけでありまするししますから、死んだ子供の年を数えるようだけれども、一遍もらったけれども、その以前に勤めた公務員なら公務員のときであったその時期が生きてこないであろうか、こういう議論があるわけです。現在国民年金には特別納付金制度がございまして、前にさかのぼって、そしてある時期掛けたということにすれば年金がもらえるという制度にいまつくっているわけなんですね。共済年金だとか厚生年金にはいまないわけでありまして、かなりな人があるはずです。厚生年金につきまして、先日お聞きしましたところ、途中で退職一時金の形でもらった人が六百万人あるそうでございます。この共済年金が全体で公企体を含めてどれだけあるか、よくわかりませんけれども、かなりな人数になるだろうと思います。しかし、その中で私はいろいろな人がおると思いますから、いろいろの私は条件はついてもやむを得ないと思っています。昭和何年からした人とか、何年掛金をした人とか、いろいろ条件はついても、これはやむを得ないと思いますけれども、しかし、そうした人の中でそれを一時金としてもらったその金を現在のお金に換算をして、しかもそれがそのまま年金として預けてあった場合に、それが運用されたであろうところも勘案して、そしてそれを出してもいいからそれが生きないだろうか、こういうことをおっしゃる方がかなりあるわけでございまして、ひとつ今後の検討課題としてお考えをいただきたい。これは年金の根幹にかかわる問題でございますので、非常にむずかしい問題であることは私も承知をして申し上げているわけでございますが、もしそれができるならば、かなりの途中の退職者の人たちがそれによって非常に恵まれることだけは事実でございます。ですから、その一時退職手当金のその額だけでと決して言ってないわけで、それは現在までに勘案していくわけでありますから、そのやめた人の分は一時金として、その人が掛けた分だけについては返っておりますが、しかしそれに見合うべき分が、国とか地方自治体とか、あるいはその他国鉄とかというところから出ていることも事実でありまして、その分はそのままその年金の中に残ってきたわけですね。半分は返されてきましたけれども、本人が掛金をした分は返されてきましたけれども、国や国鉄が出した分はそのままいまの年金のお金の中には入っているわけですね。だから、その人の分は半分はあるわけです。あるというと大変言い過ぎでございますけれども、理屈の上から言えばある程度あるわけでございます。ですから、現在の国民年金はもう全くないところを掛金をしてつないでもらおうという案でありますから、そのことを思えば若干はまだ関係は残っているといえば残っていると思うととれるわけでございまして、非常にむずかしい問題でございますけれども、そういう御要望が多いということもひとつお考えをいただいて、今後の共済の統合問題等の中で、その辺のところが勘案できないだろうか、ひとつ御検討をお願いをしたい。お願いでございますが、お答えを聞いて終わりにさしていただきます。
#81
○西垣政府委員 いま御指摘のような問題がございまして、退職一時金という制度が、もう国民皆年金の制度で通算年金が充実されているこういう時期ではいまや時代おくれだというようなことから、今後につきましては、昨年末の改正で退職一時金の制度をなくしましてつなぐようにしてあります。ただ、つないでもつながれない特殊な人たちには一時金と同じようなものを残しておりますけれども、将来にわたってはそういう問題が起きないということにすでにいたしております。
 それから過去のものにつきましては、これはなかなかむずかしい問題でありますが、私どもも努力はいたしておりまして、国家公務員をやめて退職一時金をもらってまたその後国家公務員になられた方につきましては通算する、最後の年金の算定のときに一時金の分を調整いたしまして期間は通算するというような工夫はいたしております。そのほかのもっとそれを広げたらどうかという問題につきましては、私どもだけで検討できる問題ではございませんけれども、今後、年金問題につきましては従来の制度にとらわれないで検討をしなければならないと思いますので、私どもも機会を見て検討をさせていただきたいと思います。
#82
○坂口委員 一言だけつけ加えさせていただきますが、共済から共済に行く人はまだいいけれども、共済から厚生年金へ、共済から国民年金へ、こう行っている人たちがあるわけです。特に国民年金あたりが問題になっているわけでありまして、ぜひひとつ検討していただきたい、その辺について、これはむずかしい問題でございますが、大臣に一言お聞きをして終わりにしたいと思います。
#83
○竹下国務大臣 先ほど来の叱咤御鞭撻の発言をも含めてのお答えになろうかと思います。
 歴史というものは自然、すなわち台風でありますとか、あるいは地震でありますとか、そういうものが大きく変革をしていくという性格がある一方、歴史はやはり人によってつくられ、人によって変えられていくという問題でございますだけに、私は貴重な意見を聞きながらそういうものに対応していくというのが、これは大蔵大臣竹下登ではなくして、お互い同じ立場にある政治家として絶えず心構えておくべきことであろうという認識をいたしております。
 それから、ただいまの御指摘につきましては、私は委員ほどの勉強をしておりませんが、貴重な御意見として私も勉強させていただきます。
#84
○綿貫委員長代理 渡辺貢君。
#85
○渡辺(貢)委員 年金制度の問題について何点か質問をさせていただきたいと思います。
 ずっと論議の中でも年金の制度が国民の中に定着をしてきている、成熟度が高まってきている、こういう点では共通をしていると思います。そういう意味でこの問題を考えていく場合に、つまり成熟度が高くなるということとある意味では高齢化社会を迎えていく、ほぼ比例して進んでいくのではないかというふうに考えられるわけであります。そういう点から見ますと、改めて今日の段階で年金の基本的な問題について考えなければならないというふうに思うわけです。二十年前の改正の時期には旧法、恩給の場合に四十五歳、旧共済の場合には五十歳でありました年齢が五十五歳に引き上げられるという問題ではさして抵抗がなかったというふうに聞いております。しかし、今日の段階では、昨年六十歳に引き上げられた際にもかなりの問題がございましたし、改めてこれからの制度をどういうふうに改善充実をしていくかということになると、相当深刻な問題に直面せざるを得ないと思います。
 そういう点で、私は、この年金制度を維持し、発展させていく上で、これからの展望の上に立った場合に、少なくとも三つの条件が必要であるというふうに考えております。その第一は、つまり物価の安定であります。今回の改正でも三・五%の引き上げがございますけれども、そういう点では国民生活の全体としての安定が第一には必要である。第二番目には、少なくとも経済の安定的な成長です。当然、若年労働者の雇用も拡大されなければなりません。そうしませんと、つまり原資になる組合員が減少する、こういう結果にもなろうかと思うのです。そういう意味で、安定的な経済成長が第二には必要である。第三には、高齢化社会を迎えていくわけでありますけれども、とりわけ中高年齢層の再雇用の問題、これも欠かすことはできない要件であろうかというふうに考えております。
 そういう点で、この三つの条件をやはり充足させていくという点では、いわゆる年金の前提にかかわる問題として大変大事だというふうに考えておりますので、ひとつ大臣からの御答弁をいただきたいと思います。
#86
○竹下国務大臣 年金というものの存在する意義、そしてまた、それがより健全なものとして運営されていくという前提として、三つおっしゃいました。物価の安定あるいは暮らしの安定とでも表現いたしましょうか、それから経済の安定的成長、そして三番目は中高年齢層に対する再雇用の問題、その御指摘がございましたが、なかんずく前の二つの問題につきましては、これはすべての政策運営のかなめとして意識しておくべきものであるというふうな認識をいたしております。そして、三番目の再雇用の問題は、これはまさに年金制度そのものの中の一つの重要なポイントとして存在しておる課題であると、基本認識において変わりはございません。
#87
○渡辺(貢)委員 これは厚生省の昭和五十四年度の国民生活の実態調査でありますけれども、ことしの三月二十五日に厚生省がまとめて発表しているわけであります。この実態調査によりますと、特に年金の問題に関係して触れられておりますが、高齢者世帯、男子が六十五歳以上、女子が六十歳以上の平均所得は百六十八万六千円である。全世帯の平均所得は三百五十八万五千円なんですが、いま申し上げましたように、高齢者世帯の場合には平均所得は百六十八万六千円です。この高齢者世帯の中で年金、恩給を受けている割合は八七・五%。これは前年に比べて約三%余りふえているわけですが、こういうふうに、高齢者世帯の中で大変高い比率、九〇%近くに達しているわけです。その所得全体に占める年金、恩給の比率も大体三六%というふうな数値が出ております。つまり、今日の高齢者世帯のこうした年金給付に依存する度合いが一段と高まってきているというふうに考えられるわけです。そういう点で、改めて年金問題がこれからの国民生活にとって不可欠の問題であるという点を私は強調いたしたいと思います。この点に関係いたしまして、かつて大蔵省で共済年金受給者の実態調査をされたというふうに聞いておりますが、これは昭和五十二年十二月一日現在で、五十三年三月末に集約をするということでそういう調査がやられているようでありますけれども、この実態の中身がどういうふうになっているか、御説明をいただきたいと思います。
#88
○西垣政府委員 五十三年三月に年金受給者の実態を知るために退職年金受給者、これは減額退職年金者を含んでおりますが、を対象にいたしまして、年齢、年金額、就業状況等につきましてアンケート調査を行っております。
 この調査結果でございますが、次のような特徴がございます。まず第一に年金の使い方でございますけれども、その大部分を生活費に充てている者、これは退職年金者の場合には約七割、減額退職年金者の場合には約五割の方が生活費に充てておるという状況でございます。
 それから受給者の就業状況でございますが、退職年金者の約五割、それから減額退職年金者の約八割強の人が何らかの仕事についておりまして、仕事の内容といたしましては、四割から七割が被用者、つまりお勤めに出ているという形でございます。
 その就業状況につきましてこれを年齢別に見てみますと、就業者が最も多いのは、退職年金者では六十歳代、約五割強。それから減額年金者では五十歳代で、約七割強という状況でございます。
 私どもといたしましては、こういった調査を踏まえまして、今後の共済年金のあり方等の審議に当たりまして役立てていきたいというふうに考えております。
#89
○渡辺(貢)委員 いま調査結果の一部が御説明されたわけでありますけれども、いずれにいたしましても、退職者の老後の保障の問題として、こうした年金に依存するといいましょうか、当てにする、そういう傾向は大変強いというふうに考えられます。
 そこで、当面する幾つかの問題について御質問をいたしたいと思うのですけれども、これは共済懇の答申や、あるいは昨年の附帯決議の中でも明らかにされているわけでありますけれども、年齢が六十歳に引き上げられた。しかし、十五年間の経過措置をとるわけでありますが、私はこういうふうに思うのです。十五年間の経過措置をとるからいいということではなくて、現実に答申等の中でも触れられておりますように、重労働やあるいは危険な業種に従事をしている労働者の場合、六十歳以前に退職するという事態、たとえば国鉄の場合には五十五歳までにほぼ八〇%が退職をしたというふうに聞いているわけでありますけれども、そういう重労働や危険職種の中身等について、少なくとも減額措置を緩和すべきではないか、こういうふうに考えております。国鉄などの現場については共通した見方もあろうかと思うのですが、たとえば国家公務員の場合について二、三触れてみたいと思うのです。
 たとえば運輸省の場合には、航海訓練所あるいは海上保安庁などかなり危険な業種だろうというふうに考えます。また気象庁ですね。先日も気象庁における非常に大変な観測体制の中で死亡事故なども起きております。あるいは大蔵省を考えてみましても、税関など二十四時間交代勤務でかなり過度な労働が強いられている。あるいは法務省の麻薬取締官、また農林水産省の北洋監視船の乗組船員などが考えられると思います。また、厚生省など看護婦さんの場合には、ほぼ五十歳ないし五十五歳がぎりぎりの限界ではないかというふうに言われております。さらに、危険な業種としては放射性物質の取り扱い、これは非常にふえているというふうに聞いておりますし、公的病院などの病原体の検査に従事する職員などが挙げられるというふうに思うのです。こういう点について先ほども同僚議員から御質問がございましたけれども、少なくとも年齢については、昨年六十歳に引き上げられ、七月一日からの実施という内容になっておりますので、こうした重労働、危険職種についてどういう角度から現在検討されているか、この点について御説明いただきたいと思います。
#90
○西垣政府委員 いま御指摘の点は、昨年末の附帯決議の第二項でございます。確かに重労働職種あるいは危険職種で六十歳までは勤務できないような形態の職種があり得るわけだということでございまして、その場合には通常の給付年齢よりも若く減額年金という形で支給する必要もある。しかし、そうなりますと、早く職場を去らなくてはならないというマイナスの面もございますので、そこのところは慎重に各省からの御意見を求めながら、どの範囲でそういったものを考えるかということを検討しなくてはならないということでございまして、いまの段階では、たとえばこういうものというふうに申し上げられるところまでは来ておりません。これから各省から出していただいて検討していく、その上でなるほどということになりました場合には、保険数理からいってそうなると掛金率をどうするか、そういった問題も研究して、その上でそれならばやるのかやらないのかというふうなことを詰めていく、こういうふうなことになろうかと思います。
#91
○渡辺(貢)委員 本来ならば、年齢の引き上げと同時にそういう点が十分に配慮されてなければならないというふうに考えるわけなのですが、ぜひ早急に御検討をし、具体化をしていただきたいというふうに考えます。
 なお、この問題との関連でいわゆる懲戒処分者に対する給付制限の再検討という問題、先ほども御質問がございましたけれども、とりわけ労働組合運動に従事をしている職員の場合、一般の破廉恥犯、刑法犯との性格の違いもございます。そういう意味で、これは特に労使の関係もあろうかと思うのですが、大蔵省当局だけで検討されるのではなくて、とりわけこうした問題等については、十分労働組合の意見などが反映できるように措置をとって改善策を進めていただきたいというふうに考えております。この点について一言。
#92
○西垣政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、共済年金の制度は公務員制度の一環でございますが、しかし、そうは言っても給付制限の現在の規定はきつ過ぎるという指摘、私どももそういった面が確かにあるのではないかというふうに思っておりまして、現在事務的に検討中でございます。
 それで労働組合の意見等もということでございますが、これは国家公務員共済組合審議会にいずれかけなくてはならないわけでございますが、その場には組合の代表の委員も出ておられますので、十分組合の方の御意見も反映していただける、かように考えております。
 なお、私どもといたしましては、労働運動の関係だけではなくて、さっきも申し上げましたように、全体について公務員制度の一環としてどこまでやらなくちゃならないのか、それにしてもきつ過ぎるものがどの程度あるのかというもう少し一般的な検討をしたいと思っておりまして、これは政令でございますので、大蔵省だけということではなくていずれ閣議にもかかる、こういう手続を経て決められる問題でございます。
#93
○渡辺(貢)委員 その点はひとつ十分迅速な措置を要望いたしたいと思います。
 昨年の一部改正があった後で、私も国鉄の職場などでいろいろ意見を聞いてみました。成熟度が高まるにつれておれたちの負担が多くなるのじゃないか、あるいは昭和七十年になったら一人で一・五というふうな状態になる、その場合に自分たちの年金は一体どうなってしまうのだろうか、こうした疑問が多々出されているわけであります。そういう点で確かに五つある共済組合、これを一元化するという方向での検討も必要だと思うのですけれども、国鉄の場合に戦後のああいう特殊な事情もありましょうし、同時に、一方では定員の削減がかなりのテンポで強行されて、本来国鉄の業務としてやれる部分などが相当下請に切り捨てられてきている。十数万の合理化という計画もあります。つまり、年金財政の主体になる組合員が減ってしまうということも、こういう点では非常に年金の財政を危機的なものにしていく主要な要因になっているのではないか、こういうふうに考えるわけです。そういう点で、今度大蔵省が中心になって特に共済関係の研究会が持たれたわけであります。こういう研究会では一元的な方向を含めての研究を当然やられると思うのですけれども、その性格やあるいは課題等について御説明をいただきたいと思います。
#94
○西垣政府委員 先ほども御説明申し上げたのでございますが、五つの共済グループがございますけれども、共通の幾つかの問題に当面しているわけでございます。
 一つは、これから老齢化が進み、成熟度が高まっていくわけです。国家公務員共済の場合について申し上げますと、あと二十年ぐらいしますと成熟度が四〇ぐらいになるわけです。四〇ということは、組合員十人が先輩四人を養わなくてはならないという状態です。それから国鉄の場合には、数年のうちに一〇〇を超してしまう、つまり一人の組合員が一人の先輩を養わなくてはならないという状態になるわけです。それにどう対処していくのか。国鉄の成熟度は一番早いわけですけれども、あとの組合もいずれ成熟度が高まっていきまして、同じように悩まなくてはならないという状態でございますので、それにどう対応していくのか。それから財源問題、給付の切り詰めの問題、そういった問題がございます。それを研究しなくてはいけない。それから官民格差ということで言われている他の公的年金との調整の問題、これに対しても共済の側からどうアプローチするかという問題がございます。
 もう一つ、具体の問題として、国鉄の共済につきましては、同じ共済グループとして、先ほども御指摘がありましたように、統一の問題というような対応の仕方についてどういう答えを出していくかという問題がございます。
    〔綿貫委員長代理退席、高鳥委員長代理着席〕
こういった問題を研究する必要がある。これはまさに基本問題でございまして、そういった基本問題を研究していただくということで学識経験者を十人ぐらい、偏らない形で選ばせていただきまして、そういう方々を中心にして研究していきたいと思っております。
#95
○渡辺(貢)委員 これはかなり重要な課題になってくるだろうと思いますし、研究会の主要なテーマになると思うのです。たとえば国公審などの場合に、六十歳への年齢の引き上げを行う、しかし検討すべき課題というのは、前回の附帯決議の中にも盛られていたわけでありますけれども、そのまま課題が残されて年齢の引き上げだけがやられてしまう、こういう傾向が非常に強かったわけでありますが、これからつくられる研究会の場合には、そういう点を十分配慮して、現在の組合員の要望や期待にこたえられるような研究を進めていく必要があると思います。
 ちょっと国鉄の関係でお伺いしたいと思うのですけれども、きわめて重労働の職種が多いということがございますし、成熟度が高い、職場の中ではそういう不安が非常に高まっているわけですが、これからの検討だというだけではなくて、現実にそういうものに対してどういう姿勢で取り組まなければならないかという基本的な点について――たとえば職場では、定員が減らされてしまう、共済組合の組合員が少なくなってしまうのではないか、一方でそういうことを強行しながら、一方では成熟度が高くなって自分たちの負担率が無限に広がっていくのではないか、こういうふうな意見が相当強く出ているわけです。これは労働意欲を減殺するといいましょうか、そういう面にもあらわれてくるのではないかというふうに私は心配しているわけですけれども、この点について一言御見解をいただきたいと思います。
#96
○石月政府委員 この問題につきましては、昨年、国鉄再建、今後六十年までの国鉄をどう持っていくかということにつきまして閣議了解をいただいたわけでございますが、そのときの結論といたしましても、当面、国鉄の年金問題というのは国鉄だけではなかなか解決できない制度問題、共済制度全般というような問題を含んでおりますので、これにつきましては、関係省庁におきまして抜本的な共済年金対策について早急に検討を進めていただき、その結論を待って措置をしたい。先ほどから西垣主計局次長が御説明しておられます大蔵省での研究会でもこういうものを御議論いただけるというぐあいに私どもは期待しておりまして、その結論を待って早急に対策を講じたいというぐあいに考えておる次第でございます。
#97
○渡辺(貢)委員 抽象的で、それでは十分な説得力がないと思うのですけれども、ひとつ十分な御検討をいただきたいと思います。
 これは年金関係ではありませんで、共済制度の関係でありますが、医療などの短期給付の負担率の問題であります。林野の場合を見ますと千分の五十にもなっている。健康保険法の改正などによってさらに負担が高まっていくのではないかというふうに思うのです。つまり、林野の場合には、昨年も補てん的な意味で一億七千万円ほど出されているわけですけれども、一定の上限を設けて、当面としてはそういう措置を図るのか、あるいは一元的な方向で全体を統一化していく、そういう過程で起こる矛盾についてどんなふうに措置をされるのか、その点についてはいかがでしょうか。
#98
○西垣政府委員 林野庁の共済組合の短期経理でございますが、これはまことに異例の措置でございますけれども、組合員一人当たりの被扶養者の数が林野の場合非常に多い、また組合員の平均年齢が高い、そのわりに平均俸給が高くないといったような特殊な財政基盤でございます。そういう状況でございますから、ほかの組合におきます被保険者の保険料率と非常に均衡を失するというような問題もございますので、掛金率千分の五十を超える部分に対応する不足金の一部につきまして臨時特例的に補助を行っているというものでございまして、これは恒久的にということではなくて、臨時的にということで考えております。千分の五十を超える部分に対応するという考え方は、健康保険の場合には千分の四十が頭打ちになっているということも考慮に入れながら、千分の五十を超えるという異常な事態でございますので、そういった財政措置をとっているということでございます。
#99
○渡辺(貢)委員 林野の場合には千分の五十を超えているわけですが、現在、各省庁関係の組合を見ましても、四十をかなり超えて五十に近いところもあろうかと思うのですが、こういう点についても十分な御検討というか、健康保険との絡み合いで配慮が必要だろうというふうに思います。
 先ほど冒頭にも厚生省の国民生活実態調査について触れたわけですが、この調査の中でも、生活が苦しいというのが四割であります。また、日本人はよく貯蓄をするというふうに言われておりますけれども、この中で百万円未満の貯蓄世帯というのが二九・四%、一方、貯蓄のない世帯が一四・五%もあります。こういう点から見ると、確かに、一方では、先日発表されているように大変なベストテン、各界の高額所得者がありますけれども、決して国民生活は楽ではない。しかも高齢化社会を迎えていく中で年金所得に依存する率が一層高まってきている。こういう趨勢を見た場合に、改めて今日の段階で年金制度全体について、単に官民格差を下限に合わせるということではなくて、長い間働いて苦労されてきた国民の皆さんの期待にどうやってこたえるかという立場での年金制度の確立、これが必要であろうと思うわけです。そういう点で、膨大な軍事費、アメリカの要求等もありますけれども、たびたび大蔵大臣が申されていらっしゃるように、当然そういうものは国民との合意、コンセンサスが必要である、いま必要なのは国民生活の安定であるというお話もございますけれども、そういう立場から最後に大蔵大臣の御所見を伺って、質問を終えたいと思います。
#100
○竹下国務大臣 この防衛費という問題について、あらかじめ一つの対GNP比の比率を決めてそれを先取りしていくというような考え方はとるべきでないというふうに私はかねて申し上げておるところであります。教育であれ福祉であれ、あるいは公共事業であれ、それらの諸般の政策選択の順位の中で調和のとれた予算というものが、やはり財政当局を預かる者として絶えず念頭に置かなければならない課題であるというふうに考えております。
    〔高鳥委員長代理退席、綿貫委員長代理
    着席〕
#101
○渡辺(貢)委員 以上で終わります。
#102
○綿貫委員長代理 玉置一弥君。
#103
○玉置委員 四番目になりますと、いろいろ聞きたいことが先にわかってしまったような状態でございまして、時間が若干ずれておりますので、手短に要点だけを質問して終わりたいと思います。
 やはり今回もでございますけれども、従来から非常に問題になっておりますのは、現在の共済制度そのものの位置づけというものが非常にむずかしい。それと、民間で行われております厚生年金との格差、そして共済年金の中でも制度上同じでありながら若干の格差が見られているというふうに伺っております。
 そこで、まずお伺いをいたしたいのは、厚生年金と共済年金という二つの年金制度の中で、特に厚生年金につきましては基準報酬といいますか、いわゆる年金算出の基準額のとり方につきまして加入期間全体の平均をとっているということに対して、共済年金につきましては、国家公務員の場合には前年一年をとる、公企体の方についてはやめた時点の額を基準にしているということでございます。こういう例があるということ。それから退職年金でございますけれども、これが共済制度の場合には民間に再就職されても全額を支給される。ところが、厚生年金につきましては再就職でダウンした分だけを補充するという形になっていると聞いております。これに対してどうなのかということ。あるいは遺族年金でございます。先ほど坂口委員の方からもお話がございましたように、夫婦ともに共済年金の場合には遺族の方が両方から受給できるということがございますし、また夫婦の片方の方が共済年金、そしてもう一方の方が厚生年金という共働きであった場合には、これも受けられる。ところが、厚生年金で、両方とも加入をされていて片方の方が遺族となられた、そういう場合にはどちらか一方しか受給できないという状態でございます。挙げていけばまだまだいろいろな格差があると思います。年金の取得年数といたしまして厚生年金が二十五年でありながら共済年金が二十年であるという実態もございますし、その辺も含めて非常に格差があるというふうに聞いておりますが、いままで二十数年間言われておりながらほとんど是正をされてきていない、そういうふうに感じております。これについて、大蔵省は特に国家公務員共済についての主管部署でございますし、また、ほかの共済についても一応各省の連絡窓口になっている、そういうふうに思っておりますので、そういう共済制度全般と厚生年金制度というものの格差についてどのように認識をされ、また、今後どういうふうにお考えになっていくのかということについてお伺いをしたいと思います。
#104
○西垣政府委員 いま冒頭に述べられましたように、共済年金の制度というものは、社会保険的な性格とそれから公務員制度の一環ということで職域年金的性格、これをあわせ持っておるわけでございます。さらに、恩給制度を引き継いでおりますので、恩給的要素もあわせ持っておるということでございます。そういうことで、なかなか単純には比較しにくいという問題がありますほかに、やはり制度の沿革的な問題もございます。その辺のことが非常に誤解されまして官民格差というようなことが言われているのではないか。しかし、一概に官民格差があるというふうなことも言えないのではないかということを、先ほど、モデル年金で比較をいたしまして五十五年度ベースで試算をいたしますと、世帯の場合にはほぼ同額になっておる、厚生年金の場合に、年金基金を入れますとむしろ逆格差というふうな考え方もできるような状況にあるということを申し上げたわけでございますが、全体のバランスがとれておりましても、制度の沿革によりましていろいろと違いがございます。さっき言われました俸給のとり方でございますけれども、共済年金の場合には、おっしゃいましたように最終一年間の平均俸給をとっております。厚生年金は全期間の平均標準報酬となっております。それは、公務員の場合には給与体系が公開されておりますし、かつ、運用につきましても明確な基準が示されておりますので、ある一定時期の給与を算定基準に採用いたしましても問題が生じないわけでございますが、厚生年金の方は何十万という企業を対象としておりまして多数の給与体系を抱え込んでいる、そういったような状況から、厚生年金全体としての公平性を確保するという見地に立ちますと、どうしても全期間の平均標準報酬をとらざるを得ないということでございます。ただ、さっき申し上げましたように、モデル年金で比較しますともう差がないということでございますので、こういう技術的な問題でございまして、それは格差ではないというふうに考えております。
 次に、再就職の場合に、共済の場合には出るけれども、厚生年金の場合には出ない、あるいは非常に限られているという問題でございます。およそ年金の場合には、一つの年金集団を離脱したときに年金の受給権が生まれる、こういうことでございまして、共済グループから離脱するということで、民間に再就職されてもそこで受給権が発生する。厚生年金の場合には、Aの会社からBの会社に移ったのでは、厚生年金という年金集団から離脱しない、つまり同じ年金集団の中で動いているものですから、そこでは受給権は発生しない。しかし、そうは言っても、再就職をしますとだんだ雇用条件が悪くなるという傾向もございますので、一定の年齢を超えた方につきましては、厚生年金という単一の年金集団の中でありましても一部給付が発生するというような道が講じられている、こういうことでございます。
 それから夫婦の場合の調整でございますが、これは確かにいろいろな問題がございまして、併給調整の問題につきましては、今後われわれとしては年金財政ということから考えましても、これは受け取る側からいきますと改悪になるという問題はありますけれども、本当の公平を確保する見地から、いまのような併給がいいのかどうかという問題につきましては、共済だけでなくて厚生年金、国民年金も通じまして検討しなくちゃならないというふうに思っております。
#105
○玉置委員 時間を短くするので余り突っ込みたくないんですけれども、いまの話の中で、前年一年を基準とするというのと、それから通期の平均報酬、それでやっているからということでございましたけれども、通期で、たとえば二十年前から積み上げてきてその賃金の平均になるということになりますと、賃金レベルがこの二十年間で見ると極端に大きく変わっている、そういうところから大変な差が出てくる、そういうふうに思います。また、いまの再就職の話でございますけれども、年々公務員共済といいますか共済制度の金額を引き上げるということは、一つは生活保障だ、そういうふうにわれわれ感じているわけです。そういう年々の引き上げというものをやり、またそれが生活保障的な、いわゆる一種の社会保障制度の一環として共済制度が一部を担っている、そういう考えでおりますので、そういう考えからいたしますと、現在何らかの十分な収入を得られる方がおられれば、当然遠慮してもらう部分があるんではないか、そういうふうに思うわけです。ところが、共済制度については併給があり、片方については減額分だけということで、確かに減額分ということはある程度生活保障的な要素が出ているわけですから、そういう考え方というものを公務員共済という方に生かしていくならば、当然そういうことも考えていかなければならぬと思うのです。
 それと、ついでですから財源に話をつなげていきたいと思いますけれども、たとえば国鉄の問題を取り上げたといたしまして、先ほどからいろいろな方が必ず言われておりますのは、国鉄共済はいずれ破綻を来すということでありますし、現在でもややもすると大変な負担額にならざるを得ないような状態でございます。特に三十五万人体制ということを打ち出されているということは、新規採用を抑えて、そして現在おられる方の定年を待って退職をしていただこうということでございますので、ますます極端に現在おられる若年層の方々の負担がふえてくるということが事実ございますし、また、それだけ共済として受給をされる方がふえるということになり、現在の財政からいきますと、近い将来必ずいまの積立金の額が食い込んでくるという状態になる、そういうふうに考えるわけです。
 たとえば、三十五万人にするために七万四千人を退職という形で国鉄の外へ出されるということでございますけれども、私、考えますには、国鉄圏というものがございまして、たとえば日本食堂でありますとかあるいは弘済会とか、そういう関係、あるいは車両関係の工場でありますとか、そういう国鉄圏という圏内、多分大体そういうところへ再就職なさるんではないか、そういうふうに思うわけです。そういう場合に、民間の会社でありますから、当然、厚生年金に今度移られるということです。そうなりますと、共済年金で受給をされ、さらには厚生年金の掛金を今度積まれるわけでございますけれども、そうなった場合に、財政の苦しいところから生活保障をし、片方ではまた給料をいただく、そういうことになるわけでございまして、現在財政が非常に悪化をしている中で改善をされていかない、そういうふうに思うわけです。そういう面で一つ考えていただきたいのは、現在の共済制度、要するに厚生年金との比較という面もございますけれども、現在の財政という面をとらえてこれからの対処を考えていかなければならない、そういうふうに思うわけです。
 官官格差というものもあるのですけれども、ちょっと時間がございませんので、いまの財源の話で国鉄共済についていろいろ先ほどからお話が出ておりましたけれども、まず国鉄、そして運輸省、それぞれどのようにこれから対処をしていかなければならないとお考えになっているのか。そして、これは本当に近い将来でございますから、いまからやっていかなければ労使ともにコンセンサスを得られないという感じがいたしますので、ぜひ方針というものをお聞かせをいただきたいと思います。
 それから大蔵省でございますけれども、たとえば国鉄の共済制度が財政的にさらに悪化をして財政的な破綻を来すということが目に見えたといたしまして、どういうふうな措置をとることが可能であるか、また、どういうふうにとらなければいけないと考えておられるのか、その辺についてお聞きをいたしたいと思います。
#106
○石月政府委員 国鉄共済を今後どのように運営していくかという問題でございますが、まことに抽象的な答弁になりまして申しわけないわけでございますけれども、確かに現状の要員構成のゆがみなり、先生おっしゃいますような合理化によって母集団の数が減っていくというような問題を見ました場合に、一企業一保険集団というような形で国鉄の共済制度が維持できるかどうかにつきましては、私どもも非常にむずかしい問題ではないかというぐあいに考えておるわけでございます。
 しかしながら、そういうことから将来の方向としまして、制度間の統合というようなことまで発展しないとなかなか解決できない問題ではないかと思うわけでございますけれども、これは引かれ者の小うたと申しますか、私どもの方からそういうことを申し上げる筋でもございませんし、また統合につきましては、各制度間にいろいろの差異とか歴史的な沿革とかいう問題がございますので、これにつきましてどのような形の財政調整なり統合というものがあり得るかということにつきましては、学識経験者なり専門家の御意見も十分に踏まえて検討していかなければならぬ問題だろうと思うわけでございます。そういう意味で先ほどからも申し上げておりますので、私どもの方は、国鉄共済年金問題懇談会というような形で学識経験者の御意見もいただきながらいろいろ勉強しておりますけれども、また共済年金制度全般を通じての御検討を大蔵省でもやっていただけるということでございますので、その辺の結論を踏まえて将来策を立てたいというところが実情でございます。
#107
○西垣政府委員 大変むずかしい問題でございまして、現時点で財政当局としてこうしたいということを申し上げることは困難でございます。私どもといたしましては、近々に発足を予定しております研究会で研究をしていただく、関係審議会あるいは関係省庁とも十分協議をいたしまして、それで結論を出したいというふうに思っております。
#108
○玉置委員 先ほどもお話ございましたように、終戦のときに、満鉄からの引き揚げ者とかあるいは南方からの引き揚げ者を一種の雇用対策として吸収をされたというお話を聞いておりますし、その方々がちょうどここ数年でほとんどやめていかれる、そういうふうに考えますと、非常に政策的な部分というのがあったのではないかと思います。
 現在、国鉄そのものの財政が悪化をしているという現状の中にも、政策部分が非常に大きく絡んできているわけでございますし、そういう意味で見ますと、共済組合だけで、あるいは国鉄も含めて、国鉄の中で解決する問題だけではないと感じております。そういう意味で、たとえば国が押しつけたといいますか、政策としてとった部分については、当然国がかぶるべきだと私は考えておりますし、また、それをやっていかなければ現在の国鉄の共済制度がもたないと感じるのでございます。
 そういう意味から、財政が悪化をしているというのは事実でございますし、近い将来破綻を来すというのも事実でございますから、いまから――当然、これは国鉄さんから、あるいは運輸省の側から非常に言いにくいことだというふうに先ほどもお話がございましたが、私どももそういうふうに思います。そういうことで、大蔵省として各省庁間の調整、そして財源というものも含めて、財政当局としてこれからどういうふうに対処するのかということをぜひお考えいただきたいと思います。
 それと、この間の運輸委員会でも申し上げたのですが、国鉄の合理化の中で、結局、いま四十二万四千人おられて、それを外へ出される、三十五万人になったけれども、国鉄の圏内であれば状態としては変わらないわけです。それが逆に、今度は共済制度に響いてくるということになりますので、その辺についても十分御配慮いただいて再建をやるとともに、共済制度を維持、確立していくという面で長期的な共済制度の見直しというものにもつと遠慮なく声をかけていただきたい、そういうふうに思います。
 時間が大分おくれておりますし、いろいろな方々に先に聞いていただきましたので、これで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
#109
○綿貫委員長代理 これにて各案に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#110
○綿貫委員長代理 引き続き昭和四十二年度以後における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案及び昭和四十二年度以後における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 両案に対し、自由民主党を代表して、高鳥修君外二名より、それぞれ修正案が提出されております。
 この際、提出者より両修正案の趣旨の説明を求めます。高鳥修君。
#111
○高鳥委員 ただいま議題となりました両修正案につきまして、提出者を代表して、提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。
 御承知のとおり、これら共済年金関係の二つの法律の施行期日は、両原案とも「昭和五十五年四月一日」と定められておりますが、申し上げるまでもなく、すでにその期日は経過いたしておりますので、両修正案は、それぞれ、施行期日を「公布の日」に改めるとともに、これに伴いまして所要の規定の整備を行うものであります。
 案文は、お手元に配付してございますので、朗読は省略させていただきます。
 何とぞ御賛成くださいますようお願い申し上げます。
#112
○綿貫委員長代理 これにて両修正案の趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#113
○綿貫委員長代理 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 まず、昭和四十二年度以後における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。
 まず、高鳥修君外二名提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#114
○綿貫委員長代理 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。
 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#115
○綿貫委員長代理 起立総員。よって、本案は修正議決いたしました。
 次に、昭和四十二年度以後における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案について採決いたします。まず、高鳥修君外二名提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#116
○綿貫委員長代理 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。
 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#117
○綿貫委員長代理 起立総員。よって、本案は修正議決いたしました。
    ―――――――――――――
#118
○綿貫委員長代理 ただいま議決いたしました両案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党・革新共同及び民社党・国民連合を代表して、愛知和男君外四名より、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 この際、提出者より趣旨の説明を求めます。山田耻目君。
#119
○山田(耻)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、提案の趣旨を簡単に御説明申し上げます。
 国家公務員及び公共企業体職員の共済組合制度につきましては、昨年十二月、高齢化社会の到来に備えて各般にわたる改正が行われたところであります。今回、恩給における措置にならい、退職年金等の年金額の引き上げが行われますが、なお、年金生活者の現状にかんがみ、給付水準、給付要件等を改善するとともに、年金財政の健全化を図る必要があると思われます。
 本附帯決議案は、共済組合制度の充実のため、懸案の諸項目をまとめて、その実現が図られるよう政府の一層の努力を求めるものであります。
 以下、案文の朗読により趣旨説明にかえさせていただきます。
    「昭和四十二年度以後における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定にする法律等の一部を改正する法律案」及び「昭和四十二年度以後における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案」に対する附帯決議(案)
  政府は、共済組合制度の充実を図るため、左記事項を実現するよう、なお一層努力すべきである。
 一 共済組合の長期給付に要する費用の国庫負担分については、厚生年金等の負担と異なつている現状にかんがみ、公的年金制度間の整合性に配意しつつ検討を続けること。
 二 遺族年金については、他の年金制度における給付水準との均衡等を考慮し、なるべく速やかに給付水準の引き上げを図るよう検討を行うこと。
 三 高齢者の勤続が不適当と考えられる重労働職種や危険職種に長期間従事していた者が退職した場合における減額退職年金の減額率については、将来、必要に応じて一般退職者の減額率より緩和する途を講ずるよう検討すること。
 四 懲戒処分者に対する年金の給付制限については、他の公的年金との均衡も考慮して再検討すること。
 五 共済組合制度に関する基本的事項について一元的に調査審議する機関の設置について検討を行うこと。
以上であります。
 何とぞ御賛同賜りますようお願い申し上げます。
#120
○綿貫委員長代理 これにて趣旨の説明は終わりました。
 お諮りいたします。
 本動議のごとく附帯決議を付するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#121
○綿貫委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。竹下大蔵大臣。
#122
○竹下国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。
 ありがとうございました。
#123
○綿貫委員長代理 地崎運輸大臣。
#124
○地崎国務大臣 ただいま附帯決議のありました事項につきましては、政府といたしまして、御趣旨を体し、十分検討いたしたいと思います。
 ありがとうございました。
    ―――――――――――――
#125
○綿貫委員長代理 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#126
○綿貫委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#127
○綿貫委員長代理 次回は、明八日木曜日午後三時理事会、午後三時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
    午後一時四十一分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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