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1979/04/30 第91回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第091回国会 外務委員会 第19号
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1979/04/30 第91回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第091回国会 外務委員会 第19号

#1
第091回国会 外務委員会 第19号
昭和五十五年四月三十日(水曜日)
    午前九時五十八分開議
 出席委員
   委員長 中尾 栄一君
   理事 稲垣 実男君 理事 奥田 敬和君
   理事 佐野 嘉吉君 理事 志賀  節君
   理事 高沢 寅男君 理事 土井たか子君
   理事 渡部 一郎君 理事 野間 友一君
   理事 渡辺  朗君
      越智 通雄君    亀井 静香君
      北口  博君    鯨岡 兵輔君
      栗原 祐幸君    近藤 元次君
      佐藤 一郎君    佐藤 守良君
      椎名 素夫君    保利 耕輔君
      岡田 利春君    河上 民雄君
      玉城 栄一君    山田 英介君
      榊  利夫君    林  保夫君
      山口 敏夫君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 大来佐武郎君
 出席政府委員
        外務政務次官  松本 十郎君
        外務大臣官房審
        議官      三宅 和助君
        外務大臣官房審
        議官      山田 中正君
        外務省北米局長 淺尾新一郎君
        外務省中近東ア
        フリカ局長   千葉 一夫君
        外務省条約局長 伊達 宗起君
 委員外の出席者
        環境庁自然保護
        局鳥獣保護課長 中村  廉君
        外務大臣官房審
        議官      矢田部厚彦君
        外務大臣官房審
        議官      堂ノ脇光朗君
        外務大臣官房審
        議官      関  栄次君
        外務大臣官房審
        議官      平岡 千之君
        外務大臣官房外
        務参事官    国広 道彦君
        大蔵省主税局国
        際租税課長   源氏田重義君
        文化庁文化財保
        護部記念物課長 逸見 博昌君
        水産庁振興部沖
        合課長     尾島 雄一君
        水産庁海洋漁業
        部遠洋課長   上田 大和君
        水産庁研究部資
        源課長     木村 邦雄君
        自治省税務局企
        画課長     吉住 俊彦君
        外務委員会調査
        室長      高杉 幹二君
委員の異動
四月三十日
 辞任         補欠選任
  石原慎太郎君     亀井 静香君
  木村 俊夫君     佐藤 守良君
  小坂善太郎君     保利 耕輔君
  東家 嘉幸君     北口  博君
  中川 一郎君     椎名 素夫君
  中山 正暉君     近藤 元次君
  宮澤 喜一君     越智 通雄君
  浅井 美幸君     山田 英介君
同日
 辞任         補欠選任
  越智 通雄君     宮澤 喜一君
  亀井 静香君     石原慎太郎君
  北口  博君     東家 嘉幸君
  近藤 元次君     中山 正暉君
  佐藤 守良君     木村 俊夫君
  椎名 素夫君     中川 一郎君
  保利 耕輔君     小坂善太郎君
  山田 英介君     浅井 美幸君
    ―――――――――――――
四月二十五日
 ILO未批准条約等の批准促進に関する請願外
 一件(広瀬秀吉君紹介)(第四七三六号)
 同(岩垂寿喜男君紹介)(第四八一九号)
同月二十八日
 ILO未批准条約等の批准促進に関する請願
 (山原健二郎君紹介)(第四九八九号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 日本国とポーランド人民共和国との間の通商及
 び航海に関する条約の締結について承認を求め
 るの件(条約第一六号)(参議院送付)
 日本国政府とフィンランド共和国政府との間の
 文化協定の締結について承認を求めるの件(条
 約第一七号)(参議院送付)
 所得に対する租税及びある種の他の租税に関す
 る二重課税の回避のための日本国とドイツ連邦
 共和国との間の協定を修正補足する議定書の締
 結について承認を求めるの件(条約第一八号)
 (参議院送付)
 特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に
 関する条約の締結について承認を求めるの件
 (条約第二一号)(参議院送付)
 南極のあざらしの保存に関する条約の締結につ
 いて承認を求めるの件(条約第二二号)(参議
 院送付)
     ――――◇―――――
#2
○中尾委員長 これより会議を開きます。
 日本国とポーランド人民共和国との間の通商及び航海に関する条約の締結について承認を求めるの件、日本国政府とフィンランド共和国政府との間の文化協定の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税の回避のための日本国とドイツ連邦共和国との間の協定を修正補足する議定書の締結について承認を求めるの件、特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約の締結について承認を求めるの件及び南極のあざらしの保存に関する条約の締結について承認を求めるの件の五件を議題といたします。
 本日は、特に理事会での申し合わせ時間を厳守されるようお願いいたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田利春君。
#3
○岡田(利)委員 私は、ラムサール条約と南極のあざらしの保存に関する条約関係について質問をいたしたいと思います。
 ラムサール条約については、特に水鳥の生息地として、そして国際的に重要な湿地に関する条約、水鳥は湿地帯に生息するという生態系を持っておるわけですが、本条約は「特に」というきわめて異例な表現が使われておりますし、かつまた「国際的に重要な湿地」、国際的かつ重要な、こういう条約の表現になっているわけですが、この背景について御説明願いたいと思います。
#4
○関説明員 お答え申し上げます。
 この条約の対象になります湿地には、沼沢地とか湿原とかその他もろもろのいわゆる湿った土地が対象となっておりますけれども、これらの湿地は動植物、特に水鳥の生息地として重要であるということが最近認識が深まっているわけでございます。特に湿地の中に生息する動植物の中でも水鳥がきわめて慎重な保護を必要とする、そういう保護がなければ今後絶滅するおそれもあるというようなことで国際的な協力が要求されているわけでございまして、特に湿地の中でも渡り鳥にとって重要な湿地を保護するということで、国境を越えて渡り歩く水鳥の中での渡り鳥を保護するという見地から国際的な協力をより一層必要とする、そういうような湿地につきまして国際協力を一層強化しようということがこの条約の背景になっているわけでございます。
#5
○岡田(利)委員 ラムサール条約の批准国はでに二十三カ国に及んでいると言われているわけです。したがって、条約第二条第4項の定めによって、この場合一つ以上の湿地の登録をしなければならないという定めになっております。いままでの批准国の登録湿地数、そしてその面積については一体どういう登録内容になっているのか、承っておきたいと思います。
#6
○関説明員 お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、現在二十三カ国がこの条約の締約国になっておりますが、その二十三カ国が指定をしております湿地の数は全部で百九十でございます。そのうち一カ所だけを指定している国がオーストラリア、ノルウェー、スイスを初めとしまして六カ国ございます。湿地の総面積でございますが、この二十三カ国全部合わせまして約五百六十万ヘクタールになっております。
#7
○岡田(利)委員 わが国の鳥類の保護について今日まで進めてきたその政策の柱となるべき内容について、この機会に承っておきたいと思います。
#8
○中村説明員 お答え申し上げます。
 わが国の鳥獣の基本的な保護政策でございますけれども、鳥獣は自然環境を構成する重要な一要素でございます。自然環境を豊かにすると同時に、国民の生活環境を改善する上で欠くことのできない役割りを果たすものであるというような認識に立ちまして、農林業との調整を図りながら、鳥獣の生息状況あるいは生態的特質等に即応した計画的効果的な保護施策を進めていくことが必要であるというふうに考えております。このため、鳥獣保護事業計画に基づきます保護事業を促進いたしますとともに、特に絶滅のおそれのある鳥獣、渡り鳥の重要な渡来地及び中継地、さらに重要な集団繁殖地等にかかわる施策、保護施策を強力に進めてまいりたいというふうに考えております。
#9
○岡田(利)委員 きわめて抽象的だと思うのですね。わが国の鳥類の保護の基本的な政策は、第一には、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律に示されているように、これを第一の柱とする。第二には、文化財保護法、これはもちろん地方公共団体が保護を担当して国が補助をする。第三には、国際条約の関連法、すなわち日本とアメリカ、ソ連、オーストラリア、これらの国々とはすでに渡り鳥条約が結ばれているわけです。これに基づいて特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律、これは一九七二年に制定されておるわけです。あるいはまた先般当委員会に付託をされましたワシントン条約、すなわち野生の動植物の輸出入及び運送に関するいわゆる取引規制の条約、これらがいまわが国における鳥類の保護の基本的な施策ではないか、こう思うのであります。そしてこれをさらに進めるために昭和五十二年より第四次の鳥獣保護事業計画が今日進められておる、こう理解すべきではないかと私は思うのですが、いかがですか。
#10
○中村説明員 ただいま先生の御指摘のとおり、私どもの所管いたしますこの法律に基づくことは、もちろん現在の鳥獣保護の国際的な協力の必要性の上から幅広く対応するということで考えてございます。
#11
○岡田(利)委員 わが国に生息するあるいはまた渡り鳥として飛来してくる鳥の種類は一体どの程度に及んでいるのか、そのうち特に水鳥についてはどういう状況にあるのか、説明願いたいと思います。
#12
○中村説明員 わが国に生息いたします鳥の種類でございますけれども、約五百種生息しております。その中で水鳥は百九十生息しております。
#13
○岡田(利)委員 天然記念物として指定している、そして保護している鳥類についてはどういう種類に及んでいるのか、この点について御説明願いたいと思います。
#14
○逸見説明員 御説明いたします。
 現在鳥類で国の天然記念物に指定されておりますもの、全部で八十二件ございます。このうち水鳥に関しましては三十六件でございます。
 この天然記念物に指定されました鳥類またはその生息地につきましては、その捕獲がまず禁止されておりまして、捕獲をいたしますには文化庁長官の事前の許可が必要になっております。それから生息地につきまして保護されております場合には、その生息環境が破壊される、そういったおそれがある場合には、そういった事業につきまして、現状変更につきましては、同じく文化庁長官の事前の許可が必要になっております。
 それから第二の形態でございますが、自然のままに放置しました場合に衰滅の危険のある鳥類、これにつきましては現在給餌、保護増殖、飼育、それから給餌用地の買い上げまたは借り上げ、増殖または飼育施設の建設、こういった事業を行います地方公共団体に対しまして二分の一の国庫補助金を交付して、将来にわたる安定的な生息を図っているところでございます。
#15
○岡田(利)委員 鳥獣保護区あるいは特別保護区、もちろん鳥類と獣類との併存の保護区域もあると思いますけれども、主として鳥類の場合に限って鳥獣保護区、特別保護区はどういう指定個所になっているのか、同時にまたその面積はどの程度の面積になっているか、またこの条約の第一条第1項で言ういわゆる湿地、これが適用されると思われるわが国内における湿地の面積はどの程度に及んでいるのか、説明願いたいと思います。
#16
○中村説明員 わが国におきます鳥獣保護区でございますけれども、いま先生のお話しのように、これはわが国の鳥類及び獣類の保護区を対象にしてございます。それらの保護区につきましては、これは鳥類である、あるいは獣類であるというような区分けを特にはしてございません。
 まず包括的に鳥獣保護区について申し上げますと、鳥獣保護及狩猟二関スル法律に基づきます鳥獣保護区は全体で二千八百十六カ所ございます。そのうち国設が四百八十二、県設が二千三百三十四でございますけれども、合わせまして面積が二百八十二万八千ヘクタールでございます。その中で保護繁殖上特に必要と認めるときに工作物の設置などの行為規制をしておりますけれども、それらのいわゆる特別保護地区でございますが、この保護地区は個所で五百四カ所、そのうち国設百九十五カ所、県設が三百九カ所でございますが、面積が十五万六千ヘクタールでございます。
 わが国におきます湿地の面積でございますけれども、この湿地と言いますのは、われわれが理解するのは湖沼あるいは河川、海岸、これらのことでございますが、全国各地に散在しており、一ヘタタール以上の天然湖沼が約五百カ所、二十七万ヘクタールでございます。干がたが百五十カ所、四万六千ヘクタールあるわけでございますけれども、この条約の対象になる条件の湿地面積の把握というのは困難な状態にございます。
#17
○岡田(利)委員 高度経済成長期に特に干拓あるいはまた埋め立てなどが次々と行われておるわけですね。したがって、その結果水鳥の生息適地であるこれらの生息地が失われておるという傾向が非常に顕著に出ておるわけであります。したがって、この条約批准に当たり、一つの反省として、水鳥の生息に非常に適当な湿地あるいはまた潟で干拓されたもの、あるいは埋め立てられたもの、こういう面積は一体どの程度に及んでおるか、総括したことがございますか。
#18
○中村説明員 わが国におきます湿地は非常に海岸伝いに多かったわけでございますけれども、戦後どの程度これが埋め立てられたかは不明でございます。明らかではございません。しかし、わが国の経済社会の変化に伴いまして、かなりの面積が埋め立てられたというふうには認識しております。
#19
○岡田(利)委員 特に最近問題になっております佐渡のトキあるいは豊岡のコウノトリ、前には能登のトキもございましたし、いろいろ問題が出ているわけですが、こういう鳥類資源というものがいまや全滅の危機に瀕している、またすでにそれぞれの地域では全滅をした地域もあるわけであります。あるいはまた、埼玉県の浦和市付近の野田のサギ山についても、一九六四年には三千六百五十八羽の五種類のサギが生息しておった、六七年には二分の一になり、六九年には四分の一になり、七〇年にはすでに生息せず他に移動してしまったという顕著な実績も出ておるのであります。
 したがって、これらはもちろん生息地が失われると同時に、私は農薬の被害や、あるいはまた工場排水の汚濁による被害、このことが非常に顕著に集中的にあらわれたものと判断せざるを得ないと思うわけですが、この点について一体どういう総括をされておるのか、御説明願いたいと思います。
#20
○中村説明員 湿地の環境汚染につきましては、先生の御指摘のように、社会経済の進展、変化に伴いまして、産業用水あるいは農薬等の水質汚染が各地に見られたわけでございます。しかしながら、最近、汚染防止のための規制等、各種の対策によりまして徐々には回復に向かっているというふうに理解しております。
#21
○岡田(利)委員 何か的外れの答弁のような感じがしてならないわけですが、時間がありませんから前に進みます。
 去る二月、七日間、第二十六回国際水禽調査局代表者会議が札幌市で開かれました。この全体会議において、二十二日、各国に対して十七項目の勧告決議が行われておるのであります。わが国に対しても当然勧告決議が行われておるわけですが、この勧告決議の内容は一体どういう内容なのか、それに対する対応策について説明願いたいと思います。
#22
○中村説明員 国際水禽調査局の二月の会議での勧告でございますけれども、この勧告は十七項目にわたって勧告がございました。その中で日本に特に関係のある項目は七項目でございます。
 それぞれにつきまして、その内容と考え方を申し上げますと、一番目には、自然保護に関します国際条約、特に今回御審議をいただいておりますラムサール条約、ワシントン条約等について早期批准を図ることということでございます。これにつきましては、この両条約とも批准のための承認を得るべく現在いろいろ御審議をいただいておるわけでございます。すでにワシントン条約につきましては御承認をいただいたところでございます。
 勧告の二番目の項目につきましては、日本は本条約の批准に当たり、釧路湿原以外にも伊豆沼、荒崎についても指定をすることということでございます。これにつきましては、現在釧路湿原を指定しようというふうに予定しておるわけでございますが、他の重要な湿地につきましても追加指定できるように地元関係者の理解を得るべく努力しているところでございます。
 三つ目には、アジア・太平洋地域におきます水鳥及び湿地の保全について、標識調査、バンディングと通称言っておりますけれども、標識調査等の実施、情報の交換、さらにトキ、コウノトリ、タンチョウ等、絶滅のおそれのある鳥類の保護に関する協力などについて、関係各国の国際協力を行うようにということでございます。このことにつきましては、水鳥の多くは渡り鳥でございます。これらの水鳥を保護いたしまして、さらに絶滅のおそれのある鳥類の保護の充実を図るためには国際協力は重要なものであるというふうに認識しておりまして、このような観点から今後一層アジア・太平洋地域の諸国と協力を進めてまいりたいというふうに考えております。
 それから四番目でございますが、トキを絶滅から救うため、野生のトキを捕獲し人工増殖を実施すること、またそのために必要な条件を整備することということでございます。環境庁といたしましては、野生のトキを捕獲いたしまして人工増殖を図る方針で、そのために必要な捕獲方法の検討を初め、その他必要な準備を現在進めておるところでございます。
 五番目でございますが、現在飼育下にありますコウノトリを一カ所に集め人工増殖の可能性を追求するようにということでございます。このことにつきましては、コウノトリの保護増殖事業は現在文化庁の所管でありますが、環境庁といたしましても勧告の趣旨を踏まえまして文化庁と十分意見交換をしてまいりたいというふうに考えております。
 六番目でございますが、タンチョウその他のツルの標識調査を実施することということでございます。このことにつきましては、今後十分検討を進めてまいりたいというふうに思っております。
 最後の七番目でございますが、荒崎のツル及び八代のツルの保護について、その充実を図られたいということでございます。このことにつきましても文化庁と協議の上、今後の方針を立ててまいりたいというふうに考えております。
#23
○岡田(利)委員 特にこの会議では、アジア・太平洋地域のIWRBの地域委員会の設置、日本に情報センターの設置等について決められておると思うわけです。いわばアジア・太平洋地域におけるこの鳥類の保護、これに関する日本に対する期待というものは非常に大きかったというのが今回の特徴ではないかと思うのですが、いかがでしょう。
#24
○中村説明員 今回の会議の一連を通じまして、先生のおっしゃるとおりでございます。
#25
○岡田(利)委員 加入要件の一つとして釧路湿原、すなわちクッチャロ太湿原が選定されたわけでありますが、この地域はすでに鳥獣保護区、特別保護区が決定されておるわけです。この面積はどのような面積に及んでいるのか。同時にまた、この湿原に生息している鳥類、水鳥、これらに関しての生息状況はどうなのか、御説明願っておきたいと思います。
#26
○関説明員 釧路湿原は北東アジア特産の種でございますタンチョウ等の重要な繁殖地でございまして、釧路湿原で繁殖しております鳥類といたしましては、そのほかにアカエリカイツブリ、オオジシギ、バン等三十八種が確認されておりまして、これらはいずれも国際的に重要な種と考えられております。その面積につきましては五千十二ヘクタールでございます。
#27
○岡田(利)委員 特に釧路湿原におけるタンチョウヅルの問題でありますが、人間とタンチョウヅルが併存している、いわばともに住んでいる、こういう地域は地球上にございますか。
#28
○中村説明員 タンチョウヅルの他の生息地といいますのは中国が主体でございます。並びにシベリアの一部でございます。
#29
○岡田(利)委員 しかし、人間とタンチョウヅルが併存、同地域に生息しておる、人間も住んでおればタンチョウヅルもすんでおるという地域は地球上にありますか。
#30
○中村説明員 世界で人間とタンチョウとが共存している、こういうような状態は日本以外には聞いておりません。
#31
○岡田(利)委員 タンチョウヅルの場合、生息状況はずいぶん変わってきておるわけであります。いわば都市開発が進んでおりますから、湿原の奥地の方にタンチョウヅルの生息地が移動している。さらに釧路湿原から根室の風蓮湖にかけて最近は生息状況が発見されておるわけであります。そうしますと、釧路湿原の保護ということは単に釧路湿原の保護だけでは目的が達成されないではないか、当然風蓮地域も指定すべきである、こう理解されるのでありますけれども、この点についてはどういう考えですか。
#32
○中村説明員 タンチョウの生息区域が次第に広がっておるということで、いま先生の御指摘のように風蓮湖にもこれは生息しております。今後このラムサール条約に指定する対象地域といたしまして適当なところを追加していくという考えのもとに、風蓮湖につきましても今後地元の理解等を得られる段階で検討していきたいというふうに思っております。
#33
○岡田(利)委員 タンチョウヅルは、クマと同じように自分の生息するテリトリーというのが決まっておるわけですね。非常に大きな面積を必要とするわけであります。そう考えますと、いま言ったように広域的に考えなければならぬではないか。したがって、風蓮湖においても当然指定の措置を積極的に進めるべきであるということを申し上げておきたいと思います。
 文化庁にお尋ねしますけれども、タンチョウヅルは大体卵を二つ産むわけですね。一個だけをかえすという習性を持っておるわけです。それからいま人工ふ化が行われておるわけです。そして人工ふ化の卵から生まれた子供が成鳥になって、さらにその成鳥が産んだ卵をまた人工ふ化してタンチョウヅルを繁殖する、こういうことが進められておるわけですが、そのいわば野性のタンチョウヅルの孫ですね、ふ化されて成鳥になって、卵を産んでまたかえったというのは、野性から完全に切り離されたものだと思うわけです。
 先ほど原則の説明がありましたけれども、タンチョウヅルの希望は非常に世界から多いわけであります。しかし、厳しく生息数をふやすということで努力をしておるわけですが、いま私が指摘をした野性から切り離されたものについては、これはいわば人工ふ化した者が所有者でありまして、国の所有でありませんから、ある程度弾力的に外国との交換等に提供でき得るものと判断するのですが、いかがですか。
#34
○逸見説明員 御説明いたします。
 昨年十二月の調査の結果でございますが、現在わが国にタンチョウが二百七十一羽おるということが確認されております。この数字でございますが、人工増殖あるいは給餌、人間がえさを与えるというふうなことによりまして辛うじて長らえておるということでございます。そういう状態でございますので、私どもといたしましては、こういった野性の生物、動物が野性のままで、自然のままですくすくと維持繁殖するということを期待しておるわけでございます。そういった状況でございますので、諸外国からたくさんの御希望があるということは承知しておるところでございますけれども、二百七十一羽というものがまだ十分な数というふうには考えておりませんので、外国から欲しいとおっしゃるその理由、根拠といったものを十分慎重に検討しながら、片や環境庁あるいは北海道、これは管理団体でございますので、そういったところと十分慎重に検討してまいりたいと考えております。
#35
○岡田(利)委員 昭和三十年の調査では七十六羽のタンチョウヅルが発見をされて、四十年には百七十二羽、そして五十年には百九十四羽、五十四年には二百七十一羽、順調にふえているわけです。ただ私がいま指摘しましたように、ツルの習性からいって、三個の卵のうちの一個を人工ふ化した、そしてまた成鳥になって卵を産んでふ化をしたというものに限っては、所有者はふ化した者の釧路市というか地方自治団体だと思うのです。ですから私が指摘しているのは、こういうものについては他の野性のものとは違って弾力的な運用ができるではないか、こう思うのですけれども、この点どうですか。
#36
○逸見説明員 お答えいたします。
 先ほど御説明いたしましたとおり、まだ二百七十一羽という数でございます。私ども一応三百羽というのを一つの大きなめどと思っておりますので、そういったところに全体の数が達するまではまだ着実にわが国におけるタンチョウヅルの増殖、こういったことに鋭意努めてまいりたいと考えておるところでございます。
#37
○岡田(利)委員 そうしますと、釧路湿原と風蓮湖にかけて、ツルの生息の特性からいって非常にテリトリーというものが問題でありますから、大体この地域は三百羽がマキシマム、こう思われておるわけですか。
#38
○逸見説明員 御説明いたします。
 現在タンチョウがすんでおりますところは大体四地域と考えております。一つが釧路湿原、それからもう一つが根釧原野、それから風蓮湖周辺、それから霧多布湿原周辺、このように考えております。このうち現在二カ所、霧多布と釧路湿原でございますが、天然記念物の指定済みでございます。現在御承知のとおり風蓮湖につきまして天然記念物の指定をしようかどうかということで調査を実施しておりますが、こういった地域を合わせまして大体三百羽というふうに私は考えておるところでございます。
#39
○岡田(利)委員 そうしますと、いまの風蓮湖の場合には、私は浜中の湿原よりも風蓮湖の生息状況というものは、その数においても状況においてもむしろ重要である、こう理解されるのが当然だと思うわけです。したがって、この指定は当然あらねばならない方向ではないか、こう理解しておりますので、そういう方向でぜひ進めていただきたい、こう思います。
 なお、この条約の四条の締結国の義務として1から5までの項目が記載をされておるわけです。今回指定するに当たって、これらの締結国の義務として一体どういう措置をなされようとしておるのか。どうも予算を見ると、監視人が、地元の人間に依頼をしてわずか六十日分の予算しか計上されていない。それ以外の予算は見るべきものがないわけであります。観察施設として佐渡と釧路が要求をされたけれども、これも指定される湿地の施設としては予算が削除されておるという内容もあるわけです。あるいはまた、研究、管理あるいは監視の能力のある者を養成する、これもこの指定に当たって行われておる気配をわれわれは感じないのであります。
 一体この締結国の義務をどう果たされようとしておるのか、承っておきたいと思います。
#40
○中村説明員 釧路湿地が指定された後におきます管理でございますけれども、これは国設鳥獣保護区の管理の一環としてでもありますけれども、従来よりも管理を十分にしたいというような考え方を持っておりまして、春の繁殖期を重点にいたしまして、年間通じた定期的な巡視を実施をしたいというふうに思っております。これは現段階では、先生の御指摘のように予算が必ずしも十分ではないというような認識もございますが、これらにつきましても今後充実をしていきたいというふうに思っております。
 それから、今後さらに管理を十分にいたしますために、管理舎の設置ですとかあるいは管理に要します諸施設の整備等も行いまして、なお一層の充実を図ろうというようなことを今後について考えてございます。
 以上でございます。
#41
○岡田(利)委員 私は、少なくともその一つとしてクッチャロ太の湿原を指定する、そしてラムサール条約を批准をするという対応の体制としては不十分ではないか、こう思うわけであります。いわばいままでは地元との調整、そういうものをにらみながら政府は前回の国会にこの条約の批准を上程をした。ちょうど一年間、予算の時期が過ぎて、これが流れて今国会にこの条約が付託をされておるわけですが、その経過からも考えてきわめて不十分だ、十分ではないということを認めているわけですから、不十分だ、こう言わざるを得たいのですが、そう思いませんか。
#42
○中村説明員 釧路湿原の管理につきましては、この登録を契機にいたしまして従来よりもかなり充実をしようというような方針で現在進めておるわけでございますが、現段階ではまだ今後とも整備する必要があるというふうに思っております。
#43
○岡田(利)委員 北海道にはクッチャロ湖というのがずいぶんあちこちにあるわけですけれども、浜頓別のクッチャロ湖については地元の住民の人々はこの指定をむしろ望んでおる、こういう意見が地元から反映されておるのであります。しかし、この指定についてはどうも進んでないように思われてならないのでありますけれども、この取り扱いについて伺っておきたいと思います。
#44
○中村説明員 北海道の浜頓別のクッチャロ湖でございますけれども、わが国におきます最北端の水鳥の生息地でございまして、特にコハクチョウの渡来地ということで有名なところでございます。わが国におきます重要な湿地の一つということで、私どもも十分認識しております。最近地元の関係者の方の間で本条約の指定地にするべきではないかというような意見があることも聞いておりますし、今後北海道庁を初め地元の関係者に十分意見を聞いて対処してまいりたいというふうに考えております。
#45
○岡田(利)委員 次に、オットセイ条約についてお伺いしておきたいと思います。
 わが国のアザラシとオットセイの猟獲の実績と利用について、いままでの経過について御説明願いたいと思います。
#46
○上田説明員 お答えいたします。
 わが国におけるアザラシの猟獲の歴史でございますけれども、これは戦後、樺太の引き揚げ者が中心となりまして、オホーツク海及び北海道東部沿岸海域で小規模に始められて今日になっております。
 現在、同海域では、小型漁船約三十隻程度が季節的にまた副業的に操業いたしまして、年間三百頭から八百頭程度のアザラシを猟獲しております。
 一方、オットセイの方でございますけれども、これは古うございまして、明治二十六年ごろから猟獲は開始されております。それで、明治四十四年に至りまして、日本、米国、ロシア、英国の四カ国間でオットセイの資源を保存するための条約が締結されまして、海上の猟獲が禁止されております。その後、第二次世界大戦により無条約状態になりましたけれども、昭和三十二年に至りまして、先ほどの条約と同じ内容の条約が再び締結されまして、この条約の結果、わが国の海上猟獲は禁止された。その見返りといたしまして、米ソの陸上の猟獲分がそれぞれ一五%ずつ日本側へ皮革として提供されるということになっております。
#47
○岡田(利)委員 今日、世界では、カナダにおいてアザラシの捕獲が商業的に行なわれている、二十五万頭とも言われておるわけです。あるいはまた、イギリスのオークニーアイランドでは、魚類の資源保護という立場からアザラシの間引きが行われておる。だがしかし、南極のこの地域においてはわが国はアザラシを猟獲いたしておりませんし、また、他の国においても猟獲の実績がないのであります。しかるに、猟獲の実績もないし猟獲する意思もない、こう私は承っているわけですが、本条約がそういう国際的な環境からなぜ一体できたのか。いわば予防措置としてこの条約ができたのか。そういう状況の中で、いま積極的にわが国が批准するという理由は一体どういう背景があるのか、この点御説明願いたいと思います。
#48
○国広説明員 御説明申し上げます。
 南半球におきますアザラシの捕獲というものは十八、十九世紀ころからフォークランド島を中心に行われ始めたと聞いておりますが、これらの水域におきまして一部のアザラシが乱獲され、絶滅の危機にさらされるという事態が生じました。他方、南極大陸の周辺の浮氷海域にすんでおりますアザラシは、お話のとおり、まだ大規模な商業的捕獲の対象とはなっておりません。そういう意味で、この条約の意味するのは、御指摘のとおり予防でございます。フォークランド島のアザラシの例にかんがみまして、商業的捕獲が開始される前に何らかの措置をとることの必要性がその南極条約の関係国の間で認識されるに至ったのであります。
 これを受けまして、南極条約協議国会議におきまして、南極アザラシ資源の保存を目的としまして、各協議国が自主的にとる措置として、南極のアザラシの猟獲に関する勧告、これが昭和三十九年に採択されました。その後、アザラシ資源の効果的な保存を図るためには国際協定を作成することが望ましいという考えが打ち出されまして、かかる考えに基づきまして昭和四十三年以降国際協定の作成が検討されることになりました。で、昭和四十五年の南極条約協議国会議におきまして国際協定の作成についての協議を経まして、四十七年二月にロンドンで南極のあざらしの保存に関する会議が開催され、この条約が採択されました。
 わが国といたしましては、いまだに商業的捕獲はやっておりませんので、いまなぜこの条約の締約国になろうとするのかという御質問に対しましては、当初からこの会議に参加してまいった国といたしまして、この条約が昭和五十三年三月十一日に効力を発生したという事態を踏まえまして、国際協力の観点からわが国も早急に締約国になることが好ましいという判断をして、お願いしておる次第でございます。
#49
○岡田(利)委員 アザラシの猟獲は自由操業になっておるわけです。今回この条約を批准するに当たって、従来どおりアザラシの猟獲は自由操業にするのか、それとも漁業法に基づく大臣の許可事業にするのか、そういう方針についてはいかがですか。
#50
○上田説明員 お答えいたします。
 この条約の適用区域であるところの南極におきましては、わが国の商業的な猟獲は行われてないわけでございます。また、近い将来行うということも予想されておりません。しかしながら、この条約を実施するためには所要の国内措置を講ずる必要があると考えておりますので、漁業法に基づく省令によりまして、農林大臣の許可を受けた者以外はこの水域でアザラシの猟獲を行ってはならないという規定を追加するというようなことを考えております。
#51
○岡田(利)委員 この地域に生息するアザラシ及びオットセイでありますが、このえさといいますか、それは大半がオキアミであると承っておるわけです。しかも六千万トンを優に超す量のオキアミをおそらくその飼料としておるであろう。あるいはまたイカについては六百四十万トン程度に及ぶのではないかという推計が行われているわけです。
 オキアミの資源は五十億とも言われておるわけでありますが、まだ調査が不十分なようであります。しかし、これらの関連において考えてみますと、オキアミの場合にはすでにわが国は国際的にも先進的な利用国という実績がございます。またイカの分布についても――推計六百四十万トンというのは大変な量であろうかと思うわけであります。したがって、オキアミの資源状況については調査が先進的に進んでおるわけでありますけれども、それ以外の魚族資源についても調査は一体進んでおるのかどうか。範囲がわかりませんが、六百四十万トンということになりますと大変な量であって、特にわが国は魚民族であって、イカについて非常に嗜好性を持っているという観点から考えますと、この地域の調査は積極的に進めておく必要があるのではないかとも判断されるのであります。この点についての見解はいかがですか。
#52
○木村説明員 お答えいたします。
 先生御指摘のオキアミ以外のイカとか魚類についての開発でございますが、これにつきましては、いまお話がございましたように、鯨とかアザラシ、鳥などの胃の内容物から見ますと確かに魚類が相当入っておるわけでございます。これにつきましては、現在言われておりますのは、タラの類の一種でございますが、ノトセニアとかヘークとかミナミダラ、そういった底魚が鯨とかアザラシに非常に入っておるということは言われておるわけでございます。これにつきましては、正直申しまして、現在の知見で申しますと、南極海の魚の生態――生態と申しましても特にその群、回遊経路及び範囲に関する実態でございますが、それと資源量についてはほとんど解明されてないのが現状でございます。
 しかし、わが国におきましても、南極海の生物資源は従来オキアミを主体に調査してまいったわけでございますが、これ以外の魚類につきましては、御指摘のように将来における漁業の上で重要な魚種となる可能性のあるものもあるのではないかと考えられますので、水産庁といたしましては、実は五十四年度に大型の調査船開洋丸を派遣いたしまして、一応オキアミとそれ以外の魚類、イカについての採取をやっておるわけでございます。五十五年におきましてもなお本格的にバイオマス計画の一環として調査いたす所存でございます。
 このような基礎調査を実施しつつありますので、この結果を待って開発について今後さらに検討してまいりたいと存じておる次第でございます。
#53
○岡田(利)委員 オキアミについては調査が進められ、すでに実用化されておると承っておるわけです。約四万トン弱の資源がすでに利用されておる。この資源の利用見通しはほぼついたのではないか、こう判断されるのでありますが、いままでの調査、そして母船式によるオキアミ資源の活用の実績と見通しについて承っておきたいと思います。
#54
○木村説明員 オキアミの資源状態につきましては、おっしゃるとおり資源の推定はたしかやられておるわけでございますが、従来の推定方法はどちらかといいますと鯨に捕食される量をもとにしておったわけでございます。最近におきましては魚探が発達いたしまして、魚探による直接推定もやられておるわけでございますが、まだ十分であるとは申し上げられないわけでございます。いずれの方法にしましても、オキアミの資源量は数億から数十億トンと非常に幅があるわけでございますが、この範囲で毎年相当量の漁獲が行われても再生産に影響ないだろうということが一般的には言われておるわけでございます。
 わが国の南極オキアミ資源の企業化調査につきましては、御承知のとおり四十七年から海洋水産資源開発センターが漁場の選定なり漁獲方法それから漁獲物の処理技術をやってまいったわけでございまして、昭和五十年ごろから民間の試験操業がやられておるわけでございます。一口に申し上げますと、漁獲方法としてはほぼ確立したと言えるのではないかと思っております。
 五十三年ごろから海洋水産資源開発センターで行われておりますのは、母船式による漁獲物の大量処理の加工ということでございまして、これにつきましても開発調査を実施してまいりましたが、現在残されておる問題は、一般消費者の嗜好に合った付加価値の高い製品を開発するという問題でございます。これにつきましては、五十五年度以降でございますが、日本共同捕鯨株式会社が事業の主体となりまして、今度は企業化調査から関発促進事業という形で、いま申し上げました一般消費者の嗜好に合った付加価値の高い製品を製造することを含めまして、製品開発と市場の開発を重点にして今後進めてまいりたいと存じておる次第でございます。
#55
○岡田(利)委員 来月オーストラリアが中心になって、場所はキャンベラでしょうか、南極生物資源の保存条約の締結が行われると承っておるわけです。この条約締結に対するわが国の立場と、生物資源の中でも特にオキアミが中心であると承っておるわけですが、これ以外、広範にわたるものであるのか、この点について承っておきたいと思うのです。
#56
○国広説明員 お答え申し上げます。
 南極生物資源の保存問題につきましては、昭和五十二年以来南極条約協議国の間で条約案の検討が続けられておりますが、この五月五日からキャンベラにおきましてその採択のための会議が開催される予定になっております。わが国といたしましては、科学的根拠に基づいた南極の海洋生物資源の保存とその合理的利用のためのフレームを設立する条約の早期作成は基本的に望ましいと考えておりまして、こういう立場からこれまでの条約草案検討会議に積極的に参加してきております。採択会議にもかかる立場で臨む方針といたしております。
 最後の御質問の点は、もちろんオキアミが一番中心でございますが、その他の生物も含めて対象といたしております。
#57
○岡田(利)委員 この機会に、わが国のイカの漁法として流し網そして釣り船がそれぞれ許可になっておるわけですが、特に太平洋岸の一定地域においては、小型イカ釣り漁船については、最近の油の価格の動向、したがってコストが非常に増大をするという状況の中で、釣り船から流し網、網漁獲にぜひ変えてほしいという要望が非常に強いのであります。もちろん、資源を維持していくという立場からすれば、いまの船が全部網で操業することは資源の枯渇につながると思うわけです。ただ、一定の量をいわば共同化、協業化させて、隻数を制限して、量を制限して、釣り船を網の漁獲方法に変えるということは、省エネルギーの立場からいっても、また今日の漁業経営の実態からいっても、妥当性を持っているのではないかと思うのでありますけれども、水産庁の方針を承っておきたいと思います。
#58
○尾島説明員 お答えいたします。
 現在わが国の周辺の漁場におきましてイカを採捕している漁業の大宗は釣り漁業でございます。小型が約三万隻、三十トンから百トンぐらいの中型が二千百三十八隻、百トン以上の大型が二百十二隻、こういうぐあいにイカ釣りがイカ漁業の大宗でございますが、いま先生がおっしゃいましたイカ流し網漁業につきましては、一昨年の秋ごろから道東並びに道南沖合いにおきまして操業が始められまして、非常に急速に各地に波及したという経緯がございます。この非常に波及したことが、漁業調整、釣りとの競合問題あるいは資源保護の見地から非常に大きな問題になりまして、昨年一月一日以降、ある一定区域、北緯二十度以北、東経百七十度以西の海域におきましては、釣り漁業を専業にさせるということで、実は流し網を禁止した措置をとったわけでございます。
 ところが、禁止したにもかかわらず、この禁止の海域内において非常に違反操業が続出いたしまして、昨年、四十二隻にも及ぶ漁船が流し網を行っておりまして、検挙されております。また、ことしに入ってもこういう事態が発生することが関係者の間にも憂慮されておりまして、水産庁といたしましても、実はイカ釣り漁業は三月、四月が禁漁期でございますので、この禁漁期には流し網の自粛を指導してきておるわけでございます。
 このように、イカの流し網漁業というのは、釣り漁業のように集魚灯を使用しないわけでございまして、先生がおっしゃるように、省エネ時代に適合している漁業であるとも言われる面も一面あるわけでございますが、われわれといたしましては、釣り漁業にかからない雌の熟卵を持ったイカを無差別に採捕するわけでございます。また、釣り漁業に比べまして数段の能率漁法であるということ等からいたしまして、資源保護と漁業調整の観点からこれはやはりきわめて重要な問題でありまして、流し網の操業の実態というものをさらに厳しく、違反のないように監視していきたい、今後ともこのような態度で対処をしていきたいと思っておるわけでございます。
 先生御指摘の、中小漁業者の中で、操業可能な海域で流し網をやらせてくれという希望も、実は根室海域の漁業者あるいは岩手県の漁業者の一部漁業者から出ておるわけでございます。これは共同操業という問題もあるとは思いますが、先ほど申しましたように、二万隻及ぶ釣り漁業者――現在流し網を実施しているのは大型船で二百隻内外でございます。そのように現在大多数の漁業者が釣り漁業でやっておるという実態から、共同操業ということにつきましても問題が多うございまして、なかなか実態的に進行していかぬという問題があるわけで、依然として釣り漁業者とのトラブルをさらに激化する問題になるわけでございますし、資源保護の観点からもこれは非常に困難な問題ではないかと思っているわけでございます。
 ただ、そういう意味合いにおきまして、できるだけイカ釣り漁業の省力化をして効率的に行っていこうということにつきましては、われわれといたしましても、集団操業をさせて、漁場におけるお互いの情報交換を行わせて、できるだけ効率的な漁法をさせていくということにいま努力をいたしておるところでございます。
#59
○岡田(利)委員 中小零細漁家の経営と生活の安定を守るという場合に、もちろん、いままでは釣りによってそれぞれの単位の漁家の経営を確保するという方針でありましたけれども、今日は油がもうすでに二倍半になるという状況でありますから、そういう意味で新しい時代に即応する漁業形態というものを模索すべきだと思うし、いま答弁がありましたように、ひとつその方向で鋭意検討して対処していただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 特にわが国の場合、捕鯨の問題や、先般もイルカの問題で大変な反響を呼んでおるわけです。しかし、先ほど申し上げましたように、カナダではアザラシの商業的捕獲、イギリスのオークニーアイランドではアザラシの間引き、こういう問題も国際的に出ておりますし、またサチの魚族資源に対する被害の問題をめぐって国際的に問題があるわけであります。したがって、魚族資源の最大持続生産量というものを確保していくという立場と海の動物資源との共存をどう進めていくかという場合に、わが国はいつでも受け身なわけですね。いままでの実績が悪いから国際的に指弾が集中するのだろうと思うのですけれども、決してわが国だけではなくして、国際的にこれらの問題は存在をいたしておるのであります。
 そうしますと、わが国としても受け身からむしろ国際的な理解を得て、国際的にいわば魚族資源の保護と動物保護というものを共存させていく、そういう意味ではわが国が積極的に国際会議で発言をすべきではないかと私は思うのでありますけれども、この点についてはいかがですか。
#60
○国広説明員 お答え申し上げます。
 確かに、食害防止の問題につきましては各国によって考え方に非常に相違がありまして、その結果あらぬ国際的な批判が行き来しておりまして、まさに御指摘のとおりに、国際的に話し合って理解を深めて、どういうことは許されるべきであり、寛容されるべきであって、どういうことは必ずやめるべきであるというような国際合意の形成について努力すべきであると思います。
 ただ、現状を申しますと、よその国の食生活の習慣とか海産物のとり方とかいうことに対する理解がまだ余りにも異なっておりまして、そういう会議をやれば、それからそういう国際的努力をすれば、非常に効果的によい結論が出るであろうというふうに楽観的に見通せるような状況にないことは先生も御理解しておられると思うのでございますけれども、私どもとしましてはやはりそういうところに持っていくべきだというふうに思っておりまして、その第一歩といたしまして、まずわが国自身のイルカ等による食害を防ぐ科学的な方法というものについて、いま水産庁でいろいろな研究を開始してくれております。まだ公式には国際的な提案はないのですが、こういう問題をめぐりまして外国から共同研究をやろうというような示唆もあります。わが方で準備を整えつつ、そういう機会を将来うまく利用して、先ほど御指摘のような国際的合意の形成というものに努力してまいりたいと思っております。
#61
○岡田(利)委員 前委員会でワシントン条約の批准が行われ、今回またこの二つの条約の批准が行われる。そういう関係で、私は、これらの条約が批准されていくという立場はきわめて評価されなければならぬと思います。
 また、動植物関係以外の文化的なそれぞれの条約の発効も最近目立っておるわけです。したがって、最後に外務大臣から、この動植物以外の広範な文化的な条約を積極的に批准をするという姿勢をとるべきだと私は思うし、そういう意味ではすでに発効しておる文化的な条約に対する姿勢についても承っておきたいと思います。
#62
○大来国務大臣 これは、国際的にも歴史的な資源、旧跡その他文化的な資産についての保全の関心は急速に高まりつつあるように存じます。日本としても、国内でもこういう点の関心及び努力が近年相当強まってきておりますので、こういう国際的な動きに対して積極的な協力をするということが日本の一つの重要な役割りになるかとも存じますので、今後こういう問題にできるだけ前向きに取り組むべきだろうと考えております。
#63
○岡田(利)委員 終わります。
#64
○中尾委員長 高沢寅男君。
#65
○高沢委員 私は、日独租税協定の修正補足議定書について若干の御質問をいたしたいと思います。
 初めに、この協定の対象になっております所得税にせよ財産税にせよ法人税にせよ、いずれもドイツとしてはドイツ連邦共和国の税目であるわけですが、そのほかにドイツには十一の州があります。また、州もそれぞれの税法、税制を持っておるはずでありますが、わが国の法人、個人のドイツにおけるいろいろな経済活動、それがこの州の税法、税制との関係においてどういうかかわりになっているか、どういう影響を受けているか、こういう面をまず最初にお尋ねをいたしたいと思います。
#66
○源氏田説明員 お答えいたします。
 ドイツ連邦共和国の税制におきましては、所得税、法人税がわが国の進出企業に対してその影響があるわけでございますし、また財産税も影響があるわけでございますが、そのうち所得税、法人税と申しますものは連邦税であると同時に州税であるといういわゆる共有税ということになっております。
 それで、所得税、法人税と申しますものは大体わが国の所得税、法人税と同様の税制となっております。ただ、少し違っておりますのは、今回の税制改正の原因ともなりましたが、ドイツにおきましては法人税と所得税との配当に対するいわゆる二重課税を排除するためのインピュテーション制度というものをとっておるということであります。つまり、配当に対する法人税を所得税の前取りと見まして、所得税課税の際にその法人税の配当に対する部分を控除するという制度をとっております。
 そのほか、州税につきましては自治省の方から説明がございます。
#67
○吉住説明員 州税でございますが、西ドイツの場合には財産税、自動車税、相続税、ビール税、そのような税目が並んでおりますが、その中で今回一般対象税目になりました財産税のウエートはかなり高いものになっております。
 ただ、若干補足して申し上げますと、西ドイツの財産税と私どもの固定資産税との基本的な相違というのがございまして、あちらの財産税はいわば属人主義的に課税する。だから、西ドイツの居住者がどこに資産を持っていってもそれを追跡して、日本へ来ておればそれに課税する。日本の固定資産税の場合は日本の中にある固定資産にしか課税しない、こういう基本的な差異がございます。つまり属人主義と属地主義という差異がございますが、その他におきましては財産の評価その他、大体似たような制度でございまして、これが一番重要なポイントかと存じます。
#68
○高沢委員 ドイツ連邦共和国で財産税法が改正されて、向こうで活動する日本の法人あるいは個人に対してそれだけ課税が強化される、この課税のふえる分をXといたしましょう。それに対して今回の修正補足議定書によって課税の免除される分をYとした場合に、このXの部分とYの部分のバランスがどういうふうになるのか、それをお尋ねしたいと思います。
#69
○源氏田説明員 今回のドイツの財産税法の改正によりまして日本の企業が新たに課税されることとなりました部分は、日本の親会社が向こうの子会社に対して持っております持ち分、つまり二五%を超える株式の持ち分に対しまして向こうで財産税が課税されることになったわけでございます。それで、これは日本の企業にとりましては大変な負担になるものでございますから、この課税を免除してもらうということが今回の改正の大きな二つの眼目のうちの一つであったわけでございます。
 それで、今回の改正によりまして、結局ドイツにおいてこの二五%以上の株式に対する財産税は免除されることになりましたので、ドイツの税制改正によって増加する負担部分と免除される負担部分、つまりXとYとはイコールになっております。したがいまして、結局毎年約百万ドル相当の課税が免除されるということになる計算でございます。
#70
○高沢委員 その点はわかりました。
 もう一つの同じようなケースですが、法人税法が改正になりましたね。これによる日本の法人、個人のドイツにおける課税の増額分X、今度の議定書による免除される分のY、このXとYのバランスはどうでしょうか。
#71
○源氏田説明員 法人税部分につきましては先ほど申し上げましたとおり、ドイツはインピュテーション制度を採用したわけでございますが、その前の段階におきましては、ドイツの子会社から日本の親会社が受け取る配当につきましては、ドイツの法人税として約二三%、それから条約に基づく配当に対する源泉徴収税として二五%課税されておりました。したがいまして、合計で約四四%の税負担であったわけでございます。それで税制改正後は、ドイツの法人税として配当部分に対して三六%課税するとともに、現行協定で源泉徴収税率が二五%となっておりましたので、税負担は合わせて五二%となっていたわけでございます。
 それで、今回の改正におきましてこの源泉徴収税率を二五%から一五%に引き下げることにいたしましたので、結局、税負担の合計は約四五%に下がっております。それでドイツの税制改正以前とほぼバランスのとれたような状態にしております。金額で申しますと、この改正によりまして毎年約五十万ドルの所得税がドイツで課税されないことになるという計算になります。
#72
○高沢委員 いまの御説明で財産税においても法人税においてもほとんどプラス・マイナス・ゼロという状況だというふうに理解いたします。
 最後の御質問ですが、この議定書に基づく交換公文で、配当の制限税率に関する交換公文、これは将来、OECD加盟国とドイツとの間においてこの一五%がさらに引き下げになる、こういう場合にはお互いにそれを適用し合う、こういうことですが、実際にそういうふうに引き下げになる見通し、可能性はどういうふうに見ていますか。
#73
○源氏田説明員 御指摘のとおり交換公文で、将来両国とも現在の配当に対する源泉徴収税率をOECD加盟国に対して引き下げることになった場合には、それぞれ引き下げるために再交渉を行おうという取り決めがしてあるわけでございますが、将来の見通しといたしましては、どうもドイツの方もその一五%とするということを現在の租税条約締結のポリシーとしておるようでございますので、これが引き下げられるという見通しは近い将来ではないのではないかと思っております。
 また日本の方も、いま一般配当に対する一五%であるとか、それから親子間配当に対する一〇%というのも租税条約締結のポリシーといたしておりまして、それぞれ経緯もあることでございますし、これを近い将来引き下げるということも考えておりませんので、当分の間これを引き下げるような改正交渉というものはないのではないかというふうに思っております。
#74
○高沢委員 以上で質問を終了いたします。
#75
○中尾委員長 玉城栄一君。
#76
○玉城委員 きょうは五つの条約、議定書並びに協定についてお伺いしたいわけですが、三十分という時間的な制約がございますので、それぞれの条約、一、二問程度ずつ伺っておきたいわけです。
 まず第一番目に、日本国とポーランド人民共和国との間の通商及び航海に関する条約について、最初に伺っておきたいことは、ポーランドは社会主義国としてワルシャワ条約機構及びコメコン体制の一員として積極的な対ソ協調を機軸としているわけであります。現在わが国とポーランドには通商航海条約があるわけでありますけれども、今回のこの新しい通商航海条約をポーランド側からわが国に対して締結要請があって締結をされたわけでありますが、その理由について簡単にお伺いしておきたいのです。
#77
○堂ノ脇説明員 お答えいたします。
 先住の御指摘のとおり、ポーランドは特にソ連それから東欧諸国と非常に良好な協力関係にございまして、さらにまた欧州諸国とも経済、文化面でも緊密な協力関係を持っております。特に最近では日本の経済力、そういったものに注目しまして、ポーランド側からも日本との関係を非常に緊密にしたいということで、通商航海条約の締結に至ったものでございます。
#78
○玉城委員 そこで、当然ポーランドはソ連、コメコン諸国と強く結びついているわけですが、西側の先進諸国との交流も自由、大胆に進めているということについては、このコメコン諸国の経済協力が十分でない、ポーランドの期待どおりにいっておらないということなのか、その辺はいかがでしょうか。
#79
○堂ノ脇説明員 ポーランドとコメコン諸国との通商関係は、一九七一年ごろまでは全体の貿易額の六五%ぐらいを占めておりましたけれども、その後数年間に次第に下がってまいりまして、現在では約五割ぐらい、五〇%前後になっているという状況でございます。他方、西側先進諸国との貿易額はその後若干ふえまして、最近では四割ぐらいということになっております。
 しかし、これは決してポーランド自身が経済活動を全体として西側に志向させようという方針からなってきているのではなくて、主として西側の資本とか技術といったものを必要としていることから次第にふえてはおりますけれども、それにもかかわらず、ポーランドとしては東ヨーロッパ諸国、コメコン経済の中での地位を占めていくという方針は基本的に貫いているものと了解いたしております。
#80
○玉城委員 そこでもう一点、ポーランドは第四次五カ年計画が成功であったと聞いておるわけでありますけれども、最近は基礎食糧品の価格引き上げ政策が十分な効果を上げ得ず、経済の停滞をもたらしている、食糧事情の悪化等のため、先行き厳しい状況にあるということが言われているわけですが、その実情を簡単に御説明いただきたいと思います。
#81
○堂ノ脇説明員 お答えいたします。
 ポーランドの経済は、一九七〇年に食糧品の値上げ問題で国内的に若干混乱しまして、それで、そのときに政権の交代、指導者の交代がございまして、その後五カ年ほどは非常な高度成長を遂げたわけでございます。
    〔委員長退席、志賀委員長代理着席〕
ところが、その高度成長のひずみがございまして、七六年以降非常に経済成長率が低下してまいりまして、昨年、七九年にはマイナス成長率になってしまったという傾向もございます。それからまた、その間一九七六年でございましたか、基礎食料品の価格値上げの試みをいたしましたが、これがまた民衆の反対に遭いまして、それも即日取り消すといったような状況がございまして、なかなか経済状態はよくないという時期が続いたわけでございます。
 そういうことを経まして、最近では新しい五カ年計画を設定しまして、現行五カ年計画よりは半分ぐらいの成長率に抑えているということをやっております。また輸入の抑制ということにも力を入れているというのが実情だと思います。
#82
○玉城委員 もう一点、いまの条約について伺っておきたいことは、ポーランド側からわが国に対して石炭鉱業開発のための資金供与を求められているということを伺っているわけですが、政府借款等実施されているのか、あるいはこれから実施される御予定があるのか、その辺はいかがでしょうか。
#83
○堂ノ脇説明員 ポーランドに対しまして政府借款は実施されておりませんけれども、民間レベルでいろいろなプラント輸出、それから石炭に関しましても、一九七七年でございますかポーランドが日本に対する石炭の輸出契約の更改に際しまして、バンクローンの供与方を依頼してまいりました。その結果、一九七八年の三月にわが国の邦銀八行とそれから在日外国銀行からポーランドの外国貿易銀行に対しまして総額七十二億円、期間三年、金利七・九%の条件でバンクローンを供与する契約が結ばれました。その後新しい申し入れはこれまでのところないというふうに聞いております。
#84
○玉城委員 次は、日本・フィンランド文化協定について一点伺っておきたいわけですが、この協定の前文には、両国間の相互理解と友好関係の増進に寄与するためにこの協定を締結する、このようにうたわれておるわけですが、これは、このフィンランドもそうなんですが、在外公館において文化事業か何か全体的に行っているのかどうか、その中でいまのフィンランドの場合はどうなっているのか、その辺伺っておきたいと思います。
#85
○平岡説明員 フィンランドにございます日本大使館は、毎年二つないし三つぐらい文化関係のプログラムを企画いたしまして実施しております。中身は、音楽の夕べ、文化講演会、映画会、映画会の中には、大使館がその場所でやるだけでなく、各地を回りますところの巡回映画会というようなものもございます。これらが、最近ずっとやっておりますところの在外公館文化事業でございます。
#86
○玉城委員 次は、日本とドイツの租税協定修正補足議定書についてお伺いします。
 結局、西ドイツ側の税制改正によって、新しく修正補足という議定書が結ばれようとしておるわけですが、この西ドイツの両税法の改正でわが国にどのような影響を及ぼすことになるのか、どういうメリットがわが国としてはこの議定書によってあるのか、その点はいかがでしょうか。
#87
○源氏田説明員 お答えいたします。
 今回の条約改正は、御指摘のとおり西ドイツの二つの税法改正、つまり財産税の改正と法人税の改正に伴う日本側の企業の税負担の増加を防ぐためのものでございます。
 まず財産税につきましては、ドイツの税法改正によりまして日本の親会社が向こうの子会社に対して持っております持ち分に対して財産税が新たにかかるようになった、それでこれを免除してもらうための改正でございます。今回の条約改正によりましてこの免除が合意されておりますので、もしこれが発効いたしますと、毎年約百万ドルの減税になるということになります。
 法人税の方につきましても、向こうの税制改正によりまして、配当に対する二重課税を排除するためのインピュテーション制度というのを採用したわけでございますけれども、それに伴って本邦企業の税負担が上がることになっておりましたので、その配当に対する源泉徴収税率を従来の二五%から一五%に引き下げるということでまた、わが国の親子間配当につきまして毎年約五十万ドル程度の減税効果があるというふうになっております。
#88
○玉城委員 次に、ラムサール条約についてお伺いしたいのです。
 渡り鳥の保護を訴えるわが国としては、まず国内での渡り鳥保護の体制に万全を期す必要があると思うわけです。鳥類の環境保全、特に保護区域の拡大、干がたの保全や行政的な保護体制については、現在わが国としてはどのような状況にあるのか、その点をお伺いします。
#89
○中村説明員 お答え申し上げます。
 国内におきます野生鳥獣の保護の体制でございますけれども、基本的には、現在、環境庁の長官が定めております基準に従いまして都道府県知事が鳥獣保護事業計画を立てるわけでございますが、この計画に基づきまして、保護区の設定を初め各種の鳥獣保護を実施しておるわけでございます。こういう中で、干がたですとか湖沼の代替地の困難な地域ですとか、豊富な鳥獣を有する広域な地域を重点にいたしまして、引き続いて鳥獣保護区の設定を行っているところでございます。
 特に鳥獣保護区設定の現状でございますけれども、国設、県設合わせまして二千八百十六カ所ございます。面積にしまして二百八十二万八千ヘクタール設定しておるという状態でございます。
#90
○玉城委員 その行政的な体制はどのようになっておるわけですか。
#91
○中村説明員 鳥獣保護の行政体制でございますけれども、先ほども申し上げましたように、基本的な事項につきましては環境庁長官がこの基準を定めておるわけでございます。わが国には鳥が五百、獣類が百種ほどございますけれども、それぞれの生息の実態に応じまして、環境庁長官と都道府県知事とがその権限を分けて保護をしておるというようなことでございます。
#92
○玉城委員 時間がございませんので……。
 この二条では、「緊急な国家的利益」の場合には指定した湿地を縮小、廃止することができるようになっている、このように書かれているわけですが、この「緊急な国家的利益」ということについて御説明いただきたいのです。
#93
○関説明員 お答え申し上げます。
 条約には「緊急な国家的利益」が何であるかにつきまして定義がございませんし、またラムサールでの採択会議におきましての議事録を見ましても必ずしもそれがはっきりしないわけでございますけれども、この「緊急な国家的利益」が何であるかということにつきましては、この条約の目的、趣旨から判断いたしましてやはりかなり制限的に解釈すべきじゃないかというふうに考えておるわけでございます。たとえば国土や住民を、予想される災害あるいは疾病、疫病等から保護するために、他に適当な方法がないというような場合に限りまして、区域の廃止であるとか制限を行うことができる、そのように解釈するのが適当でないかというふうに考えております。
#94
○玉城委員 そこで、この条約上要求されているわが国としての湿地の指定地としては、タンチョウヅル繁殖地であるところの北海道の釧路湿原が予定されているということを伺っているわけですが、この釧路湿原を指定した理由について簡単に伺っておきたいわけです。
#95
○関説明員 先生御承知のとおり、釧路湿原はタンチョウの主要な繁殖地でございまして、これは北東アジア特産の種で非常に貴重なものだということでございます。釧路湿原で繁殖しております鳥類といたしましては、このほかにもアカエリカイツブリ、オオジシギ、バン等三十八種が確認されております。そういうことで、国際的に見ましてもこれが重要な湿地であろうかということで指定することにいたしておるわけでございます。
#96
○玉城委員 そこで、地下水の動き等を考えますと、河川改修などの影響もあり、指定外地域の保全にも気を配るべきだという意見もあるわけですが、そうしたことへの配慮はとられるのであるかどうか、その辺はいかがでしょうか。
#97
○中村説明員 指定地域の周辺でございますけれども、現在の指定地域にはいろいろな保護の網がかかってございますけれども、この中で重点的に保護していくわけでございますが、それ以外の地域については、いろいろな現象が出た場合にはそれなりにまた関係機関と協議をしていくというそとになろうかと思います。
#98
○玉城委員 それでは次に、南極のあざらし保存条約について伺いたいわけでありますが、この条約に関係をしてくるわけですけれども、この南極地域に対するわが国の請求権については、従来政府は、サンフランシスコ平和条約上請求権を放棄したのは平和条約発効までに持っていた請求権であって、平和条約から未来に向かってわが国の立場を放棄したものではないという趣旨の答弁をこれまでされておるわけですけれども、そのような解釈をしておられる根拠についてお伺いをしたいわけであります。
#99
○山田(中)政府委員 お答えいたします。
 いま先生から御指摘いただきましたように、サンフランシスコ平和条約第二条(e)の解釈といたしましては、いま先生が仰せになったような解釈を、日本政府としてはずっととってまいっております。条約発効以前にわが国の活動に由来する何かの権益があったとすれば、これは条約で放棄いたしておることは確実でございますが、発効後のわが国の活動を規制する規定にはなっておりませんので、政府としては先ほど申し上げましたような解釈をずっと維持いたしておるわけでございます。
#100
○玉城委員 そのことは、そのサンフランシスコ平和条約締結交渉時において何らかのそういう裏づけになるような議論とかあるいは事実とか、そういうことがあったのかどうか、その辺いかがでしょうか。
#101
○山田(中)政府委員 お答えいたします。
 平和条約で南極の放棄の条項が入りましたのは、私どもといたしましては、まず明治四十五年の白瀬中尉の南極探険がございまして、その後昭和六年に至って、白瀬中尉からは政府に対して領有権を設定するようにという申請があるわけでございますが、政府としては何ら公式な措置はとっておりません。ただ、昭和十三年に至りまして、南極の領土問題について何か国際的な動きがあるのではないかということを新聞報道で察知いたしました政府は、当時米国政府に対しまして、日本政府としては南極問題についての発言権を留保する、南極問題についての国際的な会議がある場合には、日本政府としては協議されるべきであるという申し入れをした事実がございます。この事実につきまして特に英連邦諸国が危惧を有しておったようでございまして、それがサンフランシスコ平和条約でのわが国の南極についての請求権放棄につながったものと理解いたしております。
 したがいまして、わが国が放棄したのは、日本政府が留保したそのようなものについての放棄であったというふうに考えております。
 ただ、先生御指摘になりました点の、当時その平和条約の交渉の過程ではっきりした議論があったかという点になりますと、そのようなものはなかったように理解いたしております。
#102
○玉城委員 そうしますと、南極条約協議国各国は、わが国の政府のそうおっしゃっていることについて十分理解しているのか、その辺いかがですか。
#103
○山田(中)政府委員 お答えいたします。
 南極地域におきます平和条約発効後の問題につきましては、まず一九五七年の国際地球観測年の一環として行われました南極での科学活動にわが国も支障なく参加いたしております。それからまた、南極地域の国際協力に関します南極条約の場合にもわが国は招請されておりまして、いま先生の御指摘がございました南極条約協議国の中ではわが国は他の協議国と同等の立場で南極における活動についていろいろ発言権も有し、参加もいたしておりますので、問題はないというふうに理解いたしております。具体的に他の協議国から日本の立場を問題にされたことはございません。
#104
○玉城委員 そうしますと、わが国の主張している、南極地域に対する請求権の放棄ということは今後のものについては含まれていないということは、関係諸国においては別に問題はない、そのように理解していいということですね。いいわけですね。
#105
○山田(中)政府委員 お答えいたします。
 私どもとしては、いま先生がおっしゃいましたように理解いたしております。
 ただ、南極条約のもとにおきましては、その条約のもとに行われております諸国の活動が請求権の主張の根拠にならないという規定がございますので、これとの関連はもちろんございます。
#106
○玉城委員 最近、南極地域における鉱物資源が相当埋蔵されているというふうに言われておるわけですが、そのことに対してわが国は資源の開発についてどのような態度で臨んでおられるのか、お伺いします。
    〔志賀委員長代理退席、委員長着席〕
#107
○矢田部説明員 南極の鉱物資源開発につきましては、南極条約協議会議の場で検討が開始されておりますが、わが国といたしましては、基本的に南極条約の精神に基づいて、南極における科学研究の自由、それから自然環境、生態系の保護ということと矛盾が生じないような形で鉱物資源の開発が行われるならば行われるべきであるという立場で対処いたしております。
#108
○玉城委員 以上で、条約については終わりますが、もうちょっと時間がございますので……。
 きょうは、大臣、御訪米されるということで大変御苦労さんでございます。この間から米国の人質救出作戦の強行等、国際情勢がきわめて深刻あるいは危機的な状況にあるということで、これは御存じのとおり沖繩は在日米軍基地の五三%の基地を抱えまして非常にかかわりが深いわけでございます。地元でも大変深刻な不安が高まってきておるわけであります。そういう中で、たとえば昨日はホルムズ海峡付近、オーマン湾上空において米軍戦闘機とイラン戦闘機との銃撃の事件が起きたり、またバンス国務長官の辞任等、大変、もうこれはどういうことになるのかということで深刻な心配がされているわけです。
 そういう中で、外務大臣、総理と御訪米されるわけでありますけれども、やはり十分、こういう緊張した国際情勢の中で米側との対話を重ねられて、そして自主的な外交、決して米側の一方的な言い分のみを受けることがあってはならない、このように思うわけでありますけれども、大臣、御訪米に当たりましていま申し上げました点を踏まえられまして、外交についての所信を伺っておきたいと思います。
#109
○大来国務大臣 イランをめぐる最近数日間の動きにつきましてはいろいろ心配な面もあるわけでございまして、これは世界各国ひとしく今後の動向について強い関心を示してきておるかと思います。
 バンス長官の辞任に伴いまして、今朝マスキー上院議員が後任に任命されたという報道がございます。マスキー議員は、一九七三年の大統領選挙にニクソン大統領と候補を争ったということもございますアメリカの上院の非常な大物でございますし、日本にもいままで下田会議その他三回ぐらい来ておる人ですし、全般的に穏健な考え方を持っておられる人物というふうにも聞いておりますので、日米外交関係につきましては大きな変化は起こるまい。また平和維持ということについてもプラスの面があるのではないかと考えておりますが、いずれにしても、御指摘のように総理に私もお供してまいりますが、アメリカ側については中東、イラン、ひいては世界全体の平和についての要請を強くいたすつもりにいたしております。
#110
○玉城委員 以上です。
#111
○中尾委員長 野間友一君。
#112
○野間委員 私も最初に一言だけ訪米直前の外務大臣にお伺いしたいと思いますが、すでにわが党は、アメリカのイランに対するいろいろな制裁等に対しまして、わが国の基地を使わせるなとか、あるいは経済制裁等についてもアメリカに追随するなとか、あるいは平和的に粘り強く解決するようにアメリカに物を申せというような申し入れを政府にしておるわけであります。
 ECとかあるいは日本に経済制裁等を求めながら、先ほど同僚委員の話にもありましたけれども、イランの主権を侵害して軍事行動をとるとか、あるいは上空での発砲の問題、アメリカの中でもバンス国務長官の辞任等、大変にいま世界の国際情勢の焦点になっており、さらにこれが軍事的な行動にエスカレートするという危険性を非常にはらんだそういう事態だと思うのです。
 昨今の新聞論調を見てみましても、大来外務大臣あるいは大平総理が訪米されるわけでありますけれども、やはり言うべきことはきちっと言ってこい、わが国の立場をきちっと押さえて、言うべきことは言ってこい、こういう論調がいま大方だと私は思います。
 そういう点を踏まえまして、訪米に当たりまして、外務大臣の所信をまずひとつお伺いしたいと思うのです。
#113
○大来国務大臣 これは従来政府といたしましても、イラン問題の話し合いによる解決というものは、世界の平和のためにも絶対必要だという立場で考えてまいりましたし、またEC諸国との話し合いでも、EC諸国も同様な考えを持っておることでございまして、EC諸国とも協力、連絡をとりつつ米国側にも言うべきことを言う、世界全体の平和の維持ということについて重ねて申し入れをするという考え方で、これは大平総理も同様と思いますが、今回の機会に改めてそういう態度で臨みたいと考えておるわけでございます。
#114
○野間委員 それじゃ、条約についてお伺いをしたいと思います。
 ラムサール条約についてお伺いしたいと思いますが、本条約に加入することによる国際的義務については、昨年の参議院の外務委員会におきまして、その最も基本的なものは、登録簿に掲げられている湿地の保全を促進し、及びその領域内の湿地をできる限り適正に利用することを促進するため計画を作成し実施する、こういう点だと答弁をしております。しかし、その指定を受けても、「緊急な国家的利益のために廃止し若しくは縮小する権利を有する」というのが条約の中にもあるわけです。基本的なものについても、緊急な国家利益のためには、言ってみれば第二義的な地位しか持っていない。その他の規定を見ましても、どちらかと言えば精神的な規定の面が非常に強い。したがって、この条約に加盟したからといって、その中身を消極的な意味にしか解さない姿勢であれば、この条約の本当の精神は生かされないと私は思います。
 特にわが国におきましては、六〇年代から高度経済成長がどんどん進む、地域開発、乱開発の中で干がたがどんどんつぶされていきました。あるいは大企業の汚染あるいはばい煙で海や川が、また大気が汚染されまして、その上に山もどんどんと削られていく。こういう自然破壊とかあるいは環境破壊、これが鳥獣の生態系まで乱暴に破壊してまいりました。
 したがって、本条約に加盟して、本当にこのような自然と鳥獣との生態系というものを守っていく、自然と人間との調和を図っていくという点から考えましても、いままでとってまいりました乱開発等に対しての反省、この上に立って自然保護に努めていくということが、最も基本的な、原則的な態度ではなかろうかというふうに思いますけれども、まずその点から外務大臣にお伺いしたいと思います。
#115
○大来国務大臣 鳥獣保護等、自然環境の保全を図りますことは、近年重要な国際的な課題になっておりまして、人間環境一般の保全及び改善への一つのステップとして評価されてきているものでございます。そういう動きの一環として、水鳥の生息地としての重要な湿地を保全することを目的とする条約、これに加入することは大いに意義のあることだと思います。
 緊急の必要ということにつきましては、先ほど事務当局からもお答えしたわけでございますが、必ずしもどういう場合かということが明確ではございませんが、人間の生存について何か特別の重要なことが起こった場合ということであろうかと存じますので、そのことはこの条約の重要性について二義的に考えておるということではないだろうと解釈いたしております。
#116
○野間委員 わが国も鳥獣、とりわけ条約の観点から言いましたら鳥になりますが、これを保護する上で果たすべき役割りが大変大きいという認識に立ってこの条約に加盟していくわけですが、まず基礎的なことを幾つかお伺いしたいと思います。
 一体、全世界で鳥がどのぐらいの種類があり、数がどのぐらいあるのか、その中でわが国で確認された野鳥の種類、数、これらについてまずお伺いしたいと思います。
#117
○中村説明員 世界の野鳥の種類でございますけれども、現在約八千六百種と言われております。生息数につきましては、これは確たる数字がございませんのでまだわかっておりません。
 わが国の鳥類でございますけれども、わが国では約五百種生息しております。
#118
○野間委員 鳥の中でも、わが国を中継地としているいわゆる渡り鳥、これがずいぶんあると思いますが、その渡り鳥の種類あるいは数がわかればどの程度あるのか、そのうちでいわゆる水鳥というのはどうなのかということをお伺いしたいと思います。
#119
○中村説明員 わが国におきます約五百の鳥類の中で、これはそのうち渡っている渡り鳥でございますけれども、この条約で考えます水鳥が約百九十ございます。この中で渡っているのが約百種類でございます。
#120
○野間委員 その中できわめて数の少ない貴重なものとして約二十八種類あるというふうに私は承っておりますが、これは間違いがないのかどうか。
 ついでに聞きますと、鳥の渡りのコースから見て、日本は島国で大変重要な位置にあると思いますけれども、その点についてあわせてお答えいただきたいと思います。
#121
○中村説明員 わが国におきます貴重な鳥類でございますが、その中で特に「絶滅のおそれのある鳥類」ということで、これは特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律の施行規則に決まっておりますけれども、先生のおっしゃるように二十八種類その中で決まっております。
 それで、渡り鳥にとりましてわが国はどのような関係にあるかということでございますが、御存じのようにユーラシア大陸の東側にわが国は位置しているわけでございまして、特に四方が海に囲まれております。しかも、形態が南北に長い状態になっております。一方、渡り鳥のコースというのは多く海岸地帯を渡るということが知られておりまして、こういう意味でわが国は渡り鳥にとっても重要な地域に位置しているということで認識しております。
#122
○野間委員 たくさんお聞きしたいことがありますので、時間がありませんから、済みませんが簡潔にこれからお答えいただきたいと思います。
 いまの答弁にもありましたように、水鳥の保護の上でわが国の果たす役割りというのは非常に大事だと思うわけです。日米あるいは日ソ間における渡り鳥保護条約、日豪間に渡り鳥保護協定が結ばれておりますが、日中間でもいま検討中 さらに問題は南方からの渡りとの関係ですね、東南アジア方面とのそういう意味での保護条約なり協定が必要だと思いますけれども、そういう点についてどういうふうにお考えになるか、簡潔にひとつ御答弁いただきたいと思います。
#123
○関説明員 現在のところ、東南アジア諸国と協定を結ぶ具体的な計画はございませんけれども、できるだけ多くの国との間にこのような協定が結ばれることは必要でございますので、今後の調査研究等を踏まえまして、客観的に見まして協定締結の基盤があるということでございましたら、できるだけ前向きに取り組んでいきたいと考えております。
#124
○野間委員 この条約で、加入するときに、少なくとも一の湿地指定というような規定があります。先ほどのお話にもありましたが、外務省では釧路湿原、これを当面指定されるようですが、その後も追加指定――これも参議院の外務委員会での答弁の中にありますが、北海道の風蓮湖あるいは宮城県の伊豆沼、ちょうど一年前に、地元との接触を数回やっているというふうな答弁もありましたが、一年以上たっておりますが、現在どうなっておるのかということ。
 そして、先ほど申し上げたように、これは訓示的な規定が非常に多いということとの関係で、一つを指定すればあとはいいのだというような安易な態度ではだめだというふうに思うのですね。いま申し上げたように、本条約の効果を全うするために、真剣に、さらに追加指定という問題についても取り組む必要があるというように思いますが、その点についての見解を聞かしていただきたいと思います。
#125
○中村説明員 おっしゃるように、現在釧路湿原を予定しておりますけれども、昨年も風蓮湖、伊豆沼等につきましても予定を考えておったわけでございますが、これらにつきましても、地元の方と了解がつきますと、これは追加指定をしていきたいと考えております。昨年以降も進展が若干あったというふうに私どもも承知しておりますが、今後とも精力的に検討を進めてまいりたいと思っております。
#126
○野間委員 ぜひひとつ精力的にお願いしたいと思います。
 次に、鳥獣保護行政についてお聞きしますけれども、国際水禽調査局代表者会議、これも同僚委員の質問にもありましたが、新聞報道等を見ましても、日本に対する評価と申しますか評判の問題ですが、保護行政についてかなり批判的な、国際的におくれた立場にあるのじゃないかと私は考えておるのですけれども、鳥獣保護のための国家予算、これは欧米では非常に多額のものを組んでおりますが、わが国では年間約二億円、非常に貧弱ですね。しかも鳥獣行政に携わる職員の数もたった十四名というような状況のようですが、これでいいのかどうか、これをどう考えておるのか、ひとつお答えいただきたい。
#127
○中村説明員 鳥獣行政の体制につきましては、現在先生のおっしゃるような予算あるいは人員の規模になっております。
 それで、鳥獣行政のもともとの仕組みでございますけれども、御存じのように国の予算は二億足らずでございますけれども、これは目的税等の地方税の関連で各県の予算は約三十億になっております。それらにつきましては鳥獣保護事業計画に基づいて実施するわけでございます。今後鳥獣保護行政が非常に行政需要が多くなってくるといいますか、今後しなければならない行政が多いわけでございますけれども、昨年来国際協力関係の体制も、内部的に検討を進めながら、拡充に今後とも努めていきたいと思っております。
#128
○野間委員 何かお聞きしますと、アメリカでは民間の職員ですか、そういうのを入れますと、鳥獣行政に携わる人の数が約四千名、全くけたが違うわけですね。十四名と四千名、これは本当に話にならぬ状態だと思うのですね。しかも聞きますと、鳥獣保護を直接担当しておるのは、わが国では環境庁自然保護局の鳥獣保護課ですね。欧米諸国では局とかあるいは庁、そういう非常に大きなところで直接担当しておると聞いております。国際比較の中でも非常に貧弱だ、これを認めるのか、どうかということ。
 同時に、国立のいわば自然保護研究所、そういうものがわが国にはないわけですね。これも欧米でいろいろ調べてみますと、たとえばアメリカの場合にはフィッシュ・アンド・ワイルドライフ・リサーチ・センター、スミソニアン研究所、オーストラリア、フランス、ソ連、中国、いろいろなところでそのようなものがあるようですけれども、この点についても非常におくれておると言わざるを得ないと思うのです。
 それらの点について外務大臣、これは条約締結の責任者ですけれども、どういうようにお考えでしょうか、非常に貧弱なわが国の鳥獣保護の行政上の問題。
#129
○大来国務大臣 その面につきましては、国際的に見まして確かにいろいろ立ちおくれの面があるように存じます。私も七三年のストックホルムの人間環境会議にも出席しておりましたけれども、こういう面について国際的におくれている面があるという感じを持っておったわけでございます。最近こういうことに対する関心が日本の国内でも急速に高まってまいっておりますので、今後そういう状態が改善されることを期待いたすわけでございます。
#130
○野間委員 先ほどの国際水禽調査局の代表者会議で、日本委員会の阿部さんという方が、主催国を一言も批判しない、それが欧米流の辛らつな日本批判なんです、欧米には自然保護に力を入れてきた自負がある、日本を厳しい目で見ているとひしひしと感じます、このコメントに尽きると私は思うのです。先ほど外務大臣も、そういう貧弱なことについてはお認めのようですけれども、これは所管庁の環境庁、これらの保護行政について、お金の面でも人の面でもあるいは研究の面でも、ぜひ精力的に取り組んでいただきたい、こう思います。
 鳥獣保護と被害の問題が、また必ず出てくる一つの大きな問題ですね。宮城の伊豆沼、ここでもガン、カモ等が秋になって周辺の稲を食べに来る、あるいは風蓮湖についても漁業開発との問題、さらに私の地元和歌山でも、漁業との問題とか、あるいは池の周辺の豆が食われる、こういうこともいろいろ出ております。したがって、保護と被害、言ってみれば二律背反の問題だと思いますけれども、これらを住民の納得のいく形でどう解決をしていくのかということが、保護行政を進める上においても一つの大きな問題ではなかろうかと思うのです。
 聞いてみますと、環境庁の中に被害問題検討会というものをつくって研究中ということでありますが、これはいまどうなっておるのか、端的にお答えいただきたいと思います。時間がありませんので簡単にお答えください。
#131
○中村説明員 保護と被害問題というのは、先生のおっしゃるように私どもの行政の中でも非常に重要な問題でございまして、法律制度あるいは生態との関連等につきまして、専門家の方の研究会に検討をお願いしたわけでございます。
 検討の結果につきましては、鳥獣保護の理念、あるいは被害の実態と原因、さらに被害防止対策、またその救済の対策、こういうことについていろいろと討論をしまして、その現状、問題点、今後のあり方、それぞれについて一応まとめたわけでございます。被害問題は各国とも非常に大きな問題なんですけれども、これをいかに防ぐかということは防除の問題であり、あるいは場合によっては生息数との関連で、生息数をどのようにコントロールするかという問題にもなろうかと思いますが、そういう意味で今後の課題であろうということで、その検討結果でも言われております。
 そういう意味で、今後、こういう検討結果をもとにしまして、鳥獣保護行政に十分生かしていきたいというふうに思っております。
#132
○野間委員 これは二律背反としてとらえるとぐあいが悪いわけで、被害が出ないようにという未然の予防の問題と、同時に、被害が出た場合の補償の問題、こういうことになってくると思いますが、補償の問題についていまどうなっておるのですか。国あるいは各自治体でいろいろなケースがあると思いますが、二、三例があれば教えていただきたいと思います。そして、根本的に補償を解決するためにどういう方針を持っておるのか、あわせてお聞きしたいと思います。
#133
○中村説明員 補償問題につきましては、現在、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律に基づきます補償と申しますのは、鳥獣保護区の中に、一定の行為を制限して保護をする特別保護地区というのがございます。その特別保護地区の中で一定の行為を申請してそれが認められなかった場合、これに対する補償ができることになっております。
 それ以外に、一般の鳥獣の生息とそれに伴う被害、たとえば農林業被害、あるいは航空機の被害というのが最近ございますが、それらの被害の問題につきましては、先ほども申し上げ議したけれども、第一義的にはいかに被害を出さないかというのが共通的な理念でございます。この被害を出さないための施策、それが県の鳥獣保護事業計画の予算の中で、被害防除という助成事項もございます。……(野間委員「簡単にお願いします」と呼ぶ)それで、実際的な補償というものについては行われておりません。これはそれ以前の問題で処理をしようという考えでございます。
#134
○野間委員 やはり条約にも加盟することだし、国が積極的に被害に対する補償というものを考える必要があると思うのです。都道府県の入猟税、三十億の話がありましたが、これでは恐らく間に合わぬと思いますし、別にこれがずばり補償に使われておると聞いておりませんので、それらの点についてひとつ抜本的に検討されたいということ。
 最後に、和歌山市のお隣に貴志川町という町がありまして、そこに平池という有名な池がある。これはすでに調査資料で渡してあります。この調査資料は、私も会員ですが、野鳥の会の森脇悦夫さんという方がずっと丹念に調べ上げた結果ですが、面積が約十七ヘクタールで非常に小さいものだと思いますが、この中に約六十種類くらいの鳥類の生息あるいは飛来が確認されております。特に重要なのは、一つ、水鳥が生息し繁殖し得る生態系を備えた湿地であるということ、二つ目は、平池古墳という文化財が存在すること、三つ目は、去年の十一月十三日にわが国で六番目の飛来として確認されましたレンカクを初め、貴重な野鳥が飛来するということであります。調査の資料を送りましたが、この平池のこれらの点についてどういう感想をお持ちなのか。
 同時に、時間の関係で質問を進めますが、森脇さんや野鳥の会の方々は、本条約に基づく湿地として指定してほしいという要求を持っておられますが、それは後日に譲るとしても、とりあえず鳥獣保護区に指定してほしい、平池について、非常に珍しいというか貴重なものだというふうに皆さん言われておるわけですが、これらの点についての検討をしていただけるかどうか、これも含めてひとつ答弁していただきたいと思います。
#135
○中村説明員 平池につきましては、いま先生のおっしゃるように特に水鳥の生息地ということで、和歌山県でも非常に重要な大切なところであるというふうに認識しております。漁業権との関連もあるようでございまして、それらのこととの調整も含めまして、今後この地域の鳥の保護をどうしていくか、これは県とも十分協議しながら進めていきたいと思っております。
#136
○野間委員 確かにこの池は、所有は町のようですが、二つの漁業協同組合、神戸水利組合と上野山水利組合、こういう二つの組合が管理しておる。周辺の豆が食われるとか、あるいはコイとかモロコとかいう魚が養魚されておるということで、この点の調和も必要になってぐると思いますが、せっかく条約の批准の時期でもありますから、ぜひ県と十分連絡と申しますか協力しながら、この平池が鳥獣保護区に指定されるようにさらに検討を進めていただきたい、こう重ねてお願いするわけですが、いかがでしょう。
#137
○中村説明員 ただいまの先生の御趣旨も体しながら、今後十分に検討していきたいと思っております。
#138
○野間委員 重ねて、補償の問題ですが、これは決してゆるがせにできない問題で、これもたとえば共済制度とかあるいは基金制度、こういうことで全部その周辺の当事者とかあるいはその自治体、町とかあるいは市、県、こういうものだけに任しておれば、被害の救済と申しますか、補償は非常に困難だと思うのですね。したがって、先ほど申し上げたのですけれども、国が根本的にこういう点の解決方策をきちっと示さなければ、鳥獣保護というのは、口ではたやすいわけですけれども、実際にはなかなか実効が上がらない、こういうふうに私は考えるわけですね。
 そこで最後に、これらの点についても環境庁ひとつ十分検討していただきたい、この要求ですが、これについての答弁を求めまして、私の質問を終わりたいと思います。
#139
○中村説明員 被害問題につきましては、これは非常に大きな問題というふうに思っております。今後鳥獣保護を進める上で、より多く国民の皆さん方に理解を求めながら進めていく中で、この点につきましても今後十分検討していきたいというふうに思っております。
#140
○野間委員 終わります。
#141
○中尾委員長 林保夫君。
#142
○林(保)委員 せっかくの機会でございますので、外務大臣、御訪米御苦労でございますが、基本的な点を一言だけ承っておきたいと思うのでございます。
 先般のイランの人質作戦の失敗やら、あるいはアメリカ国務長官の更送、さらにはけさの新聞で、アメリカ、イラン機がオーマン上空で遭遇して、大変情勢が悪くなっておりますが、どのような御判断をとっておられるのかという点と、昨日のECの首脳会議では、現在試練の時期にある米国の政府及び国民に対する連帯を再確認するという声明が実は出ております。情勢は悪いのでございますが、五月十七日を待つということでなくて、アメリカの今日の政策をEC同様に全面支持していかれるのか、何か条件をつけられるのか。
 三点といたしまして、国連の役割りが非常に大きくなってきておると思います。ワルトハイム事務総長にどういう接触をなされるのか。
 この三点を、簡潔で結構でございますが、承っておきたいと思います。
#143
○大来国務大臣 情勢は、この数日相次いでいろいろな問題が起こったわけでございますが、オーマンの付近の遭遇、これはニミッツにイラン側の飛行機が接近した、それとの関連で、アメリカ側は発砲したということは否定しておるようでございます。
 バンス長官の辞任、ただこれは先ほど申し上げましたようにマスキーという人が後任に選ばれまして、この点は方向としては緊張緩和の一つの大きな要素になり得る面ではないかと考えます。
 ECの首脳会議におきます立場、これはやはり世界全体の平和の維持ということについてEC諸国が重大な関心を持っているということと、それから西側の連帯ということが、同時に長期的な世界の政策として重要だというような認識に基づいておると思います、日本の立場は必ずしも全く同じとは言えないと思いますが、大局的な見地からすればこのECの考え方にほぼ近い面がある。世界平和の維持、それからいわゆる民主主義諸国の連帯の維持という基本的な点では共通する面があると考えるわけでございます。
 ワルトハイム国連事務総長とただいま外交チャネルを通して具体的な面会の日取りを調整中でございます。この点につきましては国連当局の考え方をただすということと同時に、国連がさらに一層積極的にイラン問題の平和的解決に努力をしてほしいということを、私どもの方からも強く要請いたしたいと考えておるわけでございます。
#144
○林(保)委員 御健闘をお祈りいたしまして、条約の方に移らせていただきます。
 まず、ポーランドとの通商航海条約でございますが、先方はすでに国内手続を終えているようでございますが、いつ終えたのか、その時期、それからまた日本がこれまた一年半承認がおくれておるのはどういう事情によるのか、御説明いただきたいと思います。
#145
○堂ノ脇説明員 お答えいたします。
 ポーランド側は、すでに昨年の十一月十五日に国家評議会で承認の手続を終えております。日本側は、先生も御存じのとおり前回及び前々回の国会にお諮りしましたが、審議未了でございました。
#146
○林(保)委員 この条約の中にあります「合同委員会」というものでございますが、その任務及び構成について御説明いただきたいと思います。
#147
○堂ノ脇説明員 お答えいたします。
 ポーランドとわが国の間には、既存の通商航海条約に基づきまして経済混合委員会がございまして、これはすでにことしの三月、第七回目を開くということも行われまして、継続して行われてきたものでございますが、今後、ただいま御審議いただいております新しい通商航海条約の締結を待ちまして、これを合同委員会に改めるということを考えております。この合同委員会も従来の混合委員会と同様に、日本とポーランド間の貿易通商関係、経済交流の拡大というために寄与するものだと考えております。
#148
○林(保)委員 先ほどもお答えがありましたが、ポーランドの経済事情が大変悪いと聞いております。と同時にまた、先方は産業協力協定の締結を希望しておるやに聞いておるのでございますが、どういう形で日本・ポーランド間の貿易を拡大していくか、またその協定締結によりまして日本側の受けるメリット、この辺の御説明をお願いいたします。
#149
○堂ノ脇説明員 お答えいたします。
 先方は若干の西欧諸国との間で、先生御指摘のとおり産業協力協定を締結しておりまして、わが国に対しても同様の趣旨の協定を締結することを申し入れてきたのでございますが、何分社会制度も違いますし、日本側としましてはこれにいきなり応じかねるということから、回答を若干渋っていたわけでございます。その結果、先方から、それでは通商航海条約を改定してその中により具体的な規定を入れようと言ってきたわけでございます。
 日本・ポーランド間の貿易、経済関係につきましては、先ほど申し上げましたとおり、ことしの三月に混合委員会が開かれまして、その際にも、いかにしてこれをふやすかということがかなり討議されまして、一つの方法としては、ポーランド側の対日輸出努力の一層の拡充、それからまた第三国におきます日本とポーランドの企業の協力といったことを通じて、もう少し貿易関係をふやしたいということを考えております。
#150
○林(保)委員 このポーランドとの通商航海条約を入れますと、戦後二十七カ国と通商航海条約が締結されているやに聞いておりますが、その事実、並びに東欧六カ国と通商航海条約を締結し、貿易の拡大、経済関係の強化を図っておりますが、東独が残っておると思います。この東独に対してどういう対応をしておられるのか、締結のための交渉申し入れなどなさっているのかどうか。
#151
○堂ノ脇説明員 お答えいたします。
 東独との間には、まだ通商航海条約は締結されておりませんで、現在は貿易協定が存在するだけでございます。ただ、従来から東独は、特に東欧諸国の中でもわが国との貿易関係が最も大きい方でございますので、通商航海条約の締結をしたいという希望の表明がございまして、東独政府が条約案というものを提案してきております。日本側といたしましても、このような東独側の希望を踏まえて、近く日本、東独双方の都合のよい時期に交渉しようではないかというふうに考えております。
 それからまた、最初の質問でございますが、日本が結んでおります通商航海条約は、現在三十六本ございます。このうち東欧諸国では七つ、チェコスロバキア、ポーランド、ソ連、ユーゴスラビア、ルーマニア、ブルガリア、ハンガリーと締結しております。
#152
○林(保)委員 続きまして、水鳥の湿地に関する条約に入りたいと思います。
 これもまた四十六年二月二日にラムサールで調印され、五十年十二月二十一日にはもうすでに発効してしまっておる。これのおくれた理由と、締結国二十三カ国とこの説明の中になっておりますが、あとどの国が参加するのか、その見通しを御説明願いたいと思います。
#153
○関説明員 これはいま先生御指摘のとおり、昭和五十年にラムサールで採択されまして、現在二十三カ国がその締約国になっております。締約されましてから、日本が今回国会で御承認を得るまでに数年を要しておりますけれども、これは国内保護措置との関連で、関係省庁間でいろいろ討議に時間を要したためでございます。
#154
○林(保)委員 ただいまのは五十年採択でなくて、四十六年採択と思いますが……。
#155
○関説明員 訂正させていただきます。
 先生御指摘のとおり、四十六年採択で五十年に発効でございます。それで締約国は、二十三カ国ということになっております。
#156
○林(保)委員 あとどのような国が参加すべきなのか、その見通しはどうか。
#157
○関説明員 お答え申し上げます。
 ベルギーとオランダが現在締約国になることを検討中であるというふうに聞いております。
#158
○林(保)委員 政府は釧路湿原地帯の一カ所のみを今回指定すると聞いておりますが、この条約の趣旨を生かすためには、さらに指定すべきところがあるよう存じます。と同時に、三カ所程度検討したとも聞いておりますが、どことどこであるか、地元との関係でむずかしいという御説明も聞いておりますが、その実情を御説明いただきたいと思います。
#159
○中村説明員 指定する予定の湿地といたしまして、釧路湿原を含めまして三カ所を検討いたしました。北海道の風蓮湖、それから宮城県の伊豆沼もあわせて検討したわけでございます。それらにつきましては、他の産業との調整等で、それから地域の被害関係、こういう関係で地元との意見を調整中でございます。
 それ以外につきましても、この釧路湿原に準ずるような重要な湿原につきましては、地元の協力が得られる個所について、今後追加指定をしていきたいというふうに考えております。
#160
○林(保)委員 この指定に伴いまして、どういうような国の負担があるのでしょうか。補助金のほか、いろいろあるのだと思いますが、御説明いただきたいと思います。
#161
○中村説明員 指定いたしました湿地の保護につきましては、これは国内法に基づきまして管理、保護をするということで、この条約に基づきまして特に予算を要するというふうには理解しておりません。
#162
○林(保)委員 他の二カ所につきましては、いつごろ、どういう条件で地元と解決して、追加指定の通告を事務局に出せる見通しなのか、見通しがついてないのか。
#163
○中村説明員 これらの個所につきましては、従来よりもこの話が前進しているというふうに聞いておりますけれども、これがいつになるか、時期的なものは見通しは立っておりません。
#164
○林(保)委員 この条約と関連いたしまして、移動性動物の国際的保護に関する条約がボンの国際会議で採択されておりますが、わが国は、この条約を締結する用意があるのかどうか。
#165
○関説明員 自然保護の分野で国際的にわが国は消極的であるというように受け取られがちでございますので、この条約につきましても、署名の可能性につきまして現在検討を進めているところでございます。
#166
○林(保)委員 南極のあざらしの保存に関する条約に移りますが、これまた発効後二年経過しておるように思います。こういうおくれが出ていいのかどうか、そのおくれた経緯を御説明いただきたいと思います。
#167
○国広説明員 わが国は、昭和四十七年十二月二十八日にこの条約に署名いたしましたが、実はわが国はこの地域で商業的猟獲を行っておりません。それにまた、近い将来これを行う予定もございませんので、直ちに条約の締結というところまでは至りませんでしたけれども、一昨年三月に、先ほど先生御指摘のとおりにこの条約が発効しまして、わが国はもともとこの条約の母体になっております南極条約協議国の一員でございますので、早く締結に至りたいと思いまして、御審議をお願いしておる次第でございます。
#168
○林(保)委員 日本は商業的な捕獲をやっておらないということでございますが、よその国はどういうことになっておりましょうか。商業的捕獲をこれまでにやった国、どのぐらいやっておるのか、御説明願います。
#169
○国広説明員 他の国につきましても、目立った商業的猟獲はいまのところ行っておりません。
#170
○林(保)委員 三番目に、条約締結に伴う法令その他の国内措置が必要というように説明を受けておりますが、具体的にはどういう点でございましょうか。
#171
○尾島説明員 お答えいたします。
 条約の実施に関して必要な国内の手続につきましては、漁業法に基づきますところの省令で、農林水産大臣の許可を受けた者以外は当該地域においてアザラシを採捕してはならないといったような規定を設けたい、このように考えております。
#172
○林(保)委員 せっかく農水産省から来ておられますので、そういうような捕獲を希望するような者というのがこれから出てくる見通しがあるのでございましょうか。どうでございましょうか。
#173
○尾島説明員 現在のところ猟獲は行っておりませんし、また近い将来におきましても、商業的な猟獲を行うといった希望は出てこないのではないかというふうに考えております。
#174
○林(保)委員 これに関連いたしまして、一九六四年ベルギーで開かれました第三回南極条約協議国会議において、一南極地域における動物群および植物群の保存のための合意措置」という勧告が採択されておりますが、その内容、そしてまた、日本はまだ受諾していないように聞いておりますが、どのような理由によるものでしょうか、御説明願いたいと思います。
#175
○矢田部説明員 この勧告は、「南極地域における動物群および植物群の保存のための合意措置」の内容を協議国が実施することを勧告したものでございます。この措置は、許可を得た場合を除くほか、南極地域における原産哺乳類及び鳥類を殺生、捕獲すること等、及び南極地域へ同地域に固有でない動植物を搬入することを禁止し、各締約国政府がこれらの規定を実施するために必要な措置をとることを義務づけておる勧告でございます。
 わが国の場合、この勧告の内容に全く異議はございませんが、現在までのところこの勧告を受諾いたしておりません理由は、次のとおりでございます。
 すなわち、わが国の場合、条約の義務の遵守を確保するためには、南極地域観測関係者につきましては、国家公務員法等により必要な措置をとることができると考えておりますが、一般私人につきましては、行政指導以外に規制の方法がございません。したがいまして、新規に立法措置を講ずる必要があるのではないかと考えておる次第でございます。
 そのような次第でございますので、国内的な措置を整備するために、政府部内で目下立法措置の可能性も含めまして、本件打開策につき鋭意検討を進めておる次第でございます。
#176
○林(保)委員 アメリカは、最近この勧告を受諾したと聞いておりますが、現在受諾していないのは、日本のほかどういうところが主な国としてあるのでございましょうか。
#177
○矢田部説明員 日本のほか、豪州でございます。
#178
○林(保)委員 先ほど受諾していない理由が述べられておりましたけれども、一口で言いまして、主務官庁の問題が絡んでいるように思いますが、どこのお役所がこれを担当いたすのでございましょうか。
#179
○矢田部説明員 南極条約につきましては外務省が主管でございます。それから南極観測につきましては文部省が主管いたしておりまして、その他南極をめぐるいろいろな問題につきましては、問題ごとに関係省庁が協議しておるという体制をとっております。
#180
○林(保)委員 現在それではこの推進を中心になってやっておるのは外務省と理解してよろしいのでございましょうか。
#181
○矢田部説明員 そのように御理解いただいて結構でございます。
#182
○林(保)委員 先ほど来御説明にもございましたように、私も指摘いたしましたように、やはりしっかりした対応をやるためには、日本側のそれぞれの担当をしっかりさせまして、なろうことなら、どこか一本にまとめてやるということがなければならぬと思います。こういった点の御努力をひとつこの上とも速急にやっていただきたいと思います。
 まだほかにもありますけれども、時間の制限が参りましたので、条約、協定の批准の促進、こういうことで本日も皆さんがんばっておられますが、これからのこういう政治的なあるいは行政上の問題について、大臣の御調整もひとつしっかりやっていただかなければならぬと思います。
 最後に、一言大臣のお言葉を承りまして、質問を終わりたいと思います。
#183
○大来国務大臣 この条約の批准につきましては、大変当委員会にもいろいろ御迷惑をかけておるわけでございます。政府側としてもできるだけ勉強いたしまして、国際的な要請にこたえてまいりたいと思います。
#184
○林(保)委員 終わります。
#185
○中尾委員長 土井たか子君。
#186
○土井委員 私は、日本国政府とフィンランド共和国政府との間の文化協定と、さらに日本国とポーランド人民共和国との間の通商及び航海に関する条約について質問を進めたいと思います。
 まず、日本とフィンランドとの文化協定についてお尋ねをいたしますが、フィンランドと言えば、ケッコネン大統領が戦後の東西の冷戦時代に、中部ヨーロッパ非武装地帯構想というのを提唱されまして、当時の世界の指導者の注目を集めたわけでございます。多くの人々の共感を得たことは私どもも記憶に新しいところでございます。最近では、全欧安保・協力会議の場としてヘルシンキが選ばれましたことはだれもがよく知っているところでありますけれども、すでに六九年には、米ソ戦略兵器制限交渉の場としてもヘルシンキが会場となるなどして、一貫して中立政策というのをただいままで堅持されてきているわけですが、このようなフィンランドの平和中立政策について、まず外務大臣はどのような評価をしていらっしゃるかということを一言お伺いしたいと思います。
#187
○大来国務大臣 フィンランドは、ただいま土井委員から御指摘のように、従来から大国間の紛争の局外に立って、中立の立場から平和の促進に努力しておるということを私どもも高く評価しておるわけでございまして、東西緊張緩和に果たすフィンランドの今後の役割りにも期待を置いているわけでございます。
#188
○土井委員 フィンランドとの間に最近航空協定を締結する予定であるということを承っているわけですが、交渉の進捗状況というのはどういうことになっているのですか。また、付表で定められる航空路線というのがございますが、双方でどのようなルートというのが予定をされているわけでございますか。
#189
○堂ノ脇説明員 お答えいたします。
 フィンランド側は、日本との間の航空路線の設立に非常に熱心でございまして、これまで数回にわたりまして交渉を重ねてまいりまして、最近では、今月にも、四月二十一日から三日間でございましたか交渉が行われました。フィンランド側で希望しております路線は、ヘルシンキ−アラスカ―東京という路線を希望しているようでございます。
#190
○土井委員 見通しはいかがなんですか。交渉の妥結というのは一体どういうかっこうになりますか。
#191
○堂ノ脇説明員 交渉は、昨年の十二月にヘルシンキで行われました航空当局者間の協議でかなり実質的な歩み寄りがございまして、そしてこのほど四月二十一日から三、四日開かれました交渉におきましては、大体条文について、二、三点を除き実質的に合意している。したがいまして、もう一度交渉といいますか、あるいは外交チャネルを通じてやりとりをすれば、恐らく近くまとまるであろうという見通しを持っております。
#192
○土井委員 文化協定の目的でございます両国間の相互理解と友好関係を促進するということのためには、相互の国の言葉を習得するということは非常に大切な問題だと私は存じます。先般、フィンランドのソルサ外交委員長が日本を訪問された節、衆参両院の外務委員長それから理事と懇談会の席がございましたけれども、日本側にフィンランド語のできる人がいなかったために、たまたま英語が外交委員長はお話しになれるということで、英語による通訳で会話が重ねられたことを私どもは承知しております。日本語の普及、それからさらにはフィンランド語習得のために、この協定を締結いたしましたことを機会に、政府としてはやはり今後一層特段の努力をお願いしなければならないと思うのですが、今後このことに対しての計画が何らかあれば、お伺いをしたいと思います。
 今日まで調べてみますと、東京外語、大阪外語、いずれの大学におきましてもフィンランド語科というのがございません。ただ、フィンランド語を習得する特別のコースがあるのは東海大学のみということを承知いたしております。この外語大学の課程において、特にこういうことについての配慮があってしかるべきではないかということも考えますから、この点もあわせて、お答えの中でひとつ聞かせてださい。
#193
○平岡説明員 お答えいたします。
 最初に、フィンランドにおきまするところの日本語教育でございますが、フィンランド大学の中にアジア・アフリカ研究所というのがございまして、これが本年九月から日本語講座をスタートさせる予定を持っております。これに呼応いたしまして、私どもの方は、国際交流基金の費用によりまして、日本語の先生を一人派遣するわけでございます。これによりまして、このヘルシンキ大学では、現在まで非公式には日本語を教えている日本人が一人おるそうでございますけれども、本格的な日本語の普及事業といたしましては、ことしの九月からのこの講座がございまして、大いに成果を上げることを期待している次第でございます。
 他方、日本におけるフィンランド語につきましては、まさに御指摘のとおり、現在東海大学でフィンランド語講座がございまして、専任講師の方が一人、非常勤講師の方が二人おられます。あと、外語大学等におきましてフィンランド語講座を開くべきかどうかにつきましては、フィンランド語そのものに対する需要と申しますか、関心の程度、それから大学の方針等もございまして、また、これらにつきましては文部省の主管するところでございますので、私どもといたしましては、希望といたしましてはフィンランド語の普及がもっと広くなることを希望しておりますけれども、今後の方針につきましては、ちょっとお答え申しかねる次第でございます。
 なお、フィンランドには、ことにカレワラというような雄大な叙事詩がございまして、これが日本の古事記に非常に似ているというようなこともございまして、このカレワラの日本語訳等を通じまして、非常にフィンランド語に対する愛好者が多いことも事実でございます。
#194
○土井委員 続いて、日本国とポーランドとの間の通商航海条約について二、三お尋ねを進めますが、今回、新しい通商航海条約の第一条を見てまいりますと、両国間の貿易、経済関係の発展強化のために、両国の法令に従って、「発意及び措置を奨励するよう、」努力するという規定になっております。この意味することは一体どういうことなのか、これははなはだ疑問だと思うのですが、「発意」という用語を用いた理由はどういうところにあるのかというあたりがやはりちょっとひっかかる点でございます。特に条約交渉の過程において、ポーランド側は、産業、経済関係の協力、さらには資金協力についての要請が特に強かったようでございますけれども、この条約の第一条の規定で、わが国は具体的にどのような対応をそれに対してしていこうとしているのか、このあたりもひとつ聞かせてくださいませんか。
#195
○堂ノ脇説明員 お答えいたします。
 協定の第一条に、先生御指摘のとおり、「発意」という言葉が使われてございまして、これは日本とポーランド間の貿易を発展させ、経済関係を強化することを目的として相互の利益のために協力する、並びにこの目的のために発意と措置を奨励するという、いわば努力規定でございます。初めは、ポーランド側の案にはこの言葉がなくて、より詳しい産業技術協力に関する規定でございましたけれども、日本側の方から、この発意という趣旨の言葉がほかの西側諸国との間の同種の協定に前例もあるということでかんがみまして、こういう規定を設けた次第でございます。
 それからまた、産業、経済協力の協定というのは、先ほども答弁申し上げましたが、先方は、元来、通商航海条約ではなくて、そういうものを締結したいと言ってきたわけでございますが、私どもとしましては、もう少し他の諸国との間でそういう協定をポーランドが結んだ先例も見て、それで日本で何ができるか、と申しますのは、日本はポーランドと社会経済体制も違いますので、やはり主として民間主導型の経済関係が営まれているということを考慮しまして、とりあえず通商航海条約を改定し、その中でそのような発意を奨励するという規定にした次第でございます。
#196
○土井委員 現にポーランドを除く東欧五カ国とすでに通商航海条約を締結しているわけですが、これら諸国が産業協力をわが国に求めてきて、かつ、ポーランドと同様の規定を通商航海条約に盛り込みたいというふうな要請を受けた場合、これら条約の改定交渉に日本としては応じてもよいというふうにお考えになっていらっしゃるか、どうか、この点いかがでございますか。
#197
○堂ノ脇説明員 お答えいたします。
 ポーランドとの間で、ことしの三月に経済混合委員会が開かれまして、もう少し産業協力の分野で日本とポーランドが何かできないかということに関して、先方から強い要望がございました。その際、私どもからも説明申し上げたのですが、主として日本とポーランドとの経済関係は、日本の場合は民間が主導しておりまして、政府としては、直接ポーランド政府と取り決めを合意して、これを拡大、増大するということがなかなかとりにくいということがございますので、発意を奨励するという規定になっております。ほかの諸国からそのような提案はさしあたりございません。
#198
○土井委員 ポーランドは対ソ協調というのを基軸としながらも、西欧の先進諸国と積極的に経済交流を図っていっているわけですね。特に最近は、強く産業協力分野について、その積極的な交流が進められつつあるわけですが、ポーランドも含めまして、西欧諸国がイランの石油を購入するということは、単にこれは経済的な能力の存否の問題だけでは、実は最近はないと思うのです。大臣は先日、東欧諸国にそれだけの財力はないであろうというふうなことを当外務委員会の席で御答弁になりましたけれども、単にこういう経済的な能力の存否の問題ではなくて、これは新たに政治的に一つの世界地図を塗り直すような大きな段階を迎える、外交上政治的に考えられる問題であろうというふうに私は思うのです。この問題は大臣自身の先日の御答弁では余り重視されていないように私どもは受けとめているわけでありますが、イラン情勢というのが新しい段階を迎えておりますときに、このことについて大臣どのようにお考えになっていらっしゃるかということを再度この席で明らかにしていただきたいと思います。
#199
○大来国務大臣 現在のイラン政府の考え方としては、超大国の双方にできるだけ依存関係を深くしないと申しますか、そういう考え方が強くあるように存じますが、東欧諸国との関係は従来からも貿易もございますし、今回東欧諸国、私ども聞き及んでおるところではとりあえずルーマニアが一部イランの石油の買い付けを行う交渉をしておるということのようでございます。先般答弁いたしましたのは、東欧諸国一特にポーランドがそうでございますが、西側に対する非常に大きな債務を抱えておりまして、そういう外貨の点から言ってイランの石油の買い付けがある程度制約されるのではないか。イラン側は従来コンバーティブルカレンシーといいますか転換可能な通貨によって石油を得るという方針をとってきておるようでございますので、その辺の点で外貨上の制約があるかもしれないという意味で申し上げたわけでございますが、将来の大きな世界の国際的な関係にどういう影響を及ぼすか、これは今後のイラン問題の動向によるわけでございますけれども、基本的にはイランは東西どちらにも余り偏しない形でいきたいという考え方をしておるものと私どもは考えております。
#200
○土井委員 いよいよきょうは外務大臣がアメリカに向けて御出発をなさるわけでございますが、このポーランドについての経済提携、経済協力、経済援助の意味も含めてのただいまこの条約の審議に当たりまして、やはりこの節一つ確かめさせていただきたいとがございます。
 二十五日の当委員会における質問で、オーマン、ソマリアに対する経済援助というのは、大臣の御答弁の中では非常に消極的な御答弁でございました。しかし、カーター、バンスからの要請にこたえる形で今回は大変大幅な経済援助に日本としては踏み切るという報道がされております。これは事実でございますか、どうですか。
#201
○大来国務大臣 私はそういうことは承知いたしておりません。
#202
○土井委員 そうすると、新聞報道というのがうそだということになりますが、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#203
○大来国務大臣 ソマリアにつきましてはエチオピアの難民問題がございまして、先般も国連の難民ハイコミッショナー、高等弁務官ハートリング氏が来ましたときにも、日本は東南アジアだけでなくてアフリカの難民の問題にも関心を持ってもらいたいという要請がございまして、外務省としても難民問題の見地で何らかの援助ができるかどうか、これを検討しておることは事実でございますが、それ以外につきましては、具体的な検討、もちろん技術援助は多少やっておりますけれども、それ以上のことはやっておらないわけでございますし、その辺の点については十分慎重に考えたいと思っております。
#204
○土井委員 慎重に考えたいとおっしゃることは、つまりオーマン、ソマリアを含めましていま問題の紛争がございます紛争周辺国に対する経済援助に対しては、具体的な何らかの内容を日本としてはまだ決めていない、そして将来についても慎重とおっしゃる中身は、消極的に考えているというふうに私どもは理解をさせていただいてよろしゅうございますか。
#205
○大来国務大臣 周辺国の定義にもよるわけでございますが、日本としてはパキスタンとトルコ、タイ、この三カ国については今回かなり積極的な援助を決めておるわけでございます。その他のいま御指摘のような国々については、これは仮に援助するにいたしましても、それはその国自体のたとえば難民の問題とかいうような問題によって日本政府が判断することかと考えております。
#206
○土井委員 ただ、現在オーマン、ソマリアについて今後経済技術協力というものを積極化するために調査団を繰り出し、そして日本が具体的に何をするかということに対しての検討を進められるというふうなことが問題になっておりますが、これ自身も事実ではないのですか、どうなんですか。
#207
○大来国務大臣 調査団がすでに送られていることは事実でございますが、これらの国に対します援助、あくまでも日本独自の立場に基づいて判断するつもりにいたしております。オーマンに出しておる調査団もごく小規模なものでございます。
#208
○土井委員 日本独自の立場というのは、いろいろここで御答弁になるときそういう立場で御答弁が用意をされるんであろうと思います。しかし、客観的に見られた場合には、この経済援助は米国の軍事戦略の補完ということを意味しているんではないかというふうに第三者から見られるということは、十分にあり得るわけであります。その点は、そうではないということをどういうふうにはっきりさせていくかというところが、いわばいま自主独立の立場でとおっしゃっていることに対する具体的な表示にもなるわけでありまして、外務大臣としてはそうではないということをどういうふうに表示しようという工夫をお持ちになっていらっしゃいますか。
#209
○大来国務大臣 先ほどの答弁で、慎重にしたいというのがその意思表示でございます。
#210
○土井委員 アメリカの国務長官バンス氏からマスキー氏にかわったという意味をどのように外務大臣は御認識なさっていらっしゃいますか。
#211
○大来国務大臣 他の国の人事の問題でございますから余り私の立場でとやかく申すわけにはまいらないと思いますが、マスキー氏は日本にも従来三度ばかり来ておりますし、日本にも知人も多いわけでございます。それから大統領選挙の候補者でもございましたし、現在上院の予算委員長を務めておる、大物であることは確かでございますし、従来の政策、考え方等穏健ないわゆるハト派と言われておる人でもございますので、この世界的な緊張緩和に果たす役割りを私どもとしても期待いたしたいと考えております。
#212
○土井委員 この大変大事な時期にアメリカにいらっしゃるという意味は、内外から非常に注目を集めることに当然なってまいろうと思います。外務大臣はアメリカに行かれまして、いまおっしゃったとおり、マスキー氏というのは、マスキー法を通じてだけでなく、日本においても非常に知られている、上院議員としても有能な議員であったということは周知の事実でございますが、このマスキー氏に対して、大臣は具体的には何をお訴えになりたいお気持ちでいらっしゃるか、その点はいかがでございますか。
#213
○大来国務大臣 何よりも大事なことはやはり世界平和の維持だということを訴えたいと思いますし、それから米国の政策というのは、単に米国国内だけではなくて、世界全体、人間社会、人類の将来の運命にも影響をする重要な役割りを持っておる、そういう点で政策を考えてほしいということは言いたいと思います。
#214
○土井委員 懸案のイランの人質解放に向けて、やはり具体的な話し合いがされなければ、いまこの大事な時期にアメリカにいらっしゃるということについても、本当のところ、いまおっしゃった世界平和のために貢献する日本の役割りを果たすというわけにはなかなかいかないだろうと思います。イランの人質解放に向けて、具体的にどのような提言をアメリカのマスキー氏に対してなさるおつもりでいらっしゃいますか。
#215
○大来国務大臣 まだ早々のことでございますので、今回は主として総理とカーター大統領との会談でございまして、いままでのところでは個別に私が国務長官と会談するという予定ではございませんので、主として総理からの発言によると思いますが、大体の方向はいま申し上げたことのようなものになるかと思います。
 イランの問題について、具体的にどういう話が出てまいりますか、これは向こうで会談の際にならないとはっきりはつかめないわけでございますが、基本的に日本側としては平和の維持ということを強くアピールするという立場でいくことになると存じます。
#216
○土井委員 イラン問題について向こう側からどういう話が出てくるかそれはわからない、出てきたときにという消極的な姿勢では、私はとてもじゃないと思います。すでにアメリカが犯してしまっている問題もございます。そういう上に立って、今後どうなるかということは、当事国はアメリカなのですから、そのアメリカに向けて行かれる日本としては、自主的にやはりおっしゃる役割りがあると思います。向こうが何を持ち出すかわからない、持ち出された節にでは、これは困るので、やはり総理大臣がいろいろと大統領を相手に、それから国務長官に、さらに国防長官にというお話が具体的にあるのでありましょうが、やはり外務大臣の果たされる役割りはこの節非常に大きいと私は思います。
 したがって、向こうに行ってからということではなくて、やはり行くに先立って決意を日本に残して、そしてきょう御出発になることが私は当然ではないかと思います。外務大臣の責任において国民に向かって決意のほどを一言ここで表明されて、しかる後にどうかアメリカに旅立っていただきたい、このように思います。いかがですか。
#217
○大来国務大臣 具体的な内容について、イランの問題ということで先ほどお答えしたわけでございますが、基本的な考え方につきましては、あくまでもあの地域で情勢をエスカレートさせることがないように強くアメリカ側の自重を求める、世界全体の平和、中東の平和、これを踏まえて、さらに長期的な展望に基づいて当面のイラン問題を考えてほしいということを強く要望いたしたいと思っております。
#218
○土井委員 アメリカ以外の訪問される先々におきましても、再びアメリカの武力行使があってはならないと思いますが、こういうことについての呼びかけなり提言なりをなさるおつもりでいらっしゃいますか。
#219
○大来国務大臣 あとメキシコとカナダについて、そういう立場での意見交換はいたしたいと思います。
 さらに、国連の事務総長ワルトハイム氏との会見をいたすつもりで、いま外交チャネルを通じて具体的なアポイントメントをとりつつあるところでございまして、特に国連の事務総長に対しても、先方の見解を聞くと同時に、積極的な平和への努力を促すように申してまいりたいと思っております。
#220
○土井委員 時間ですから、終わります。
#221
○中尾委員長 これにて五件に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#222
○中尾委員長 これより五件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
 まず、日本国とポーランド人民共和国との間の通商及び航海に関する条約の締結について承認を求めるの件、日本国政府とフィンランド共和国政府との間の文化協定の締結について承認を求めるの件、特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約の締結について承認を求めるの件、南極のあざらしの保存に関する条約の締結について承認を求めるの件、以上四件を一括して採決いたします。
 四件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#223
○中尾委員長 起立総員。よって、四件はいずれも承認すべきものと決しました。
 次に、所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税の回避のための日本国とドイツ連邦共和国との間の協定を修正補足する議定書の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#224
○中尾委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#225
○中尾委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#226
○中尾委員長 次回は、来る五月八日に委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後一時八分散会
ソース: 国立国会図書館
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