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1979/05/09 第91回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第091回国会 法務委員会 第22号
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1979/05/09 第91回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第091回国会 法務委員会 第22号

#1
第091回国会 法務委員会 第22号
昭和五十五年五月九日(金曜日)
   午前九時三十三分開議
 出席委員
   委員長 木村武千代君
   理事 金子 岩三君 理事 中村  靖君
   理事 保岡 興治君 理事 山崎武三郎君
   理事 稲葉 誠一君 理事 横山 利秋君
   理事 柴田 睦夫君 理事 中村 正雄君
      井出一太郎君    上村千一郎君
      亀井 静香君    熊川 次男君
      白川 勝彦君    田中伊三次君
      井上 普方君    楯 兼次郎君
      飯田 忠雄君    長谷雄幸久君
      木下 元二君    岡田 正勝君
      河野 洋平君    田島  衞君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 倉石 忠雄君
 出席政府委員
        法務大臣官房長 筧  榮一君
        法務大臣官房司
        法法制調査部長 枇杷田泰助君
        法務省民事局長 貞家 克己君
        法務省人権擁護
        局長      中島 一郎君
 委員外の出席者
        最高裁判所事務
        総局民事局長  西山 俊彦君
        法務委員会調査
        室長      清水 達雄君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月八日
 辞任         補欠選任
  亀井 静香君     粕谷  茂君
  熊川 次男君     田原  隆君
  田中伊三次君     亀井 善之君
同日
 辞任         補欠選任
  粕谷  茂君     亀井 静香君
  亀井 善之君     田中伊三次君
  田原  隆君     熊川 次男君
同月九日
 辞任         補欠選任
  河野 洋平君     田島  衞君
同日
 辞任         補欠選任
  田島  衞君     山口 敏夫君
同日
 辞任         補欠選任
  山口 敏夫君     河野 洋平君
    ―――――――――――――
五月七日
 法務局、更生保護官署及び入国管理官署職員の
 増員等に関する請願(長谷雄幸久君紹介)(第五
 五三二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する
 法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八三
 号)(参議院送付)
 民事訴訟費用等に関する法律及び刑事訴訟法施
 行法の一部を改正する法律案(内閣提出第六二
 号)(参議院送付)
     ――――◇―――――
#2
○木村委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、参議院送付、滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲葉誠一君。
#3
○稲葉(誠)委員 この法律は、民事執行法ができたということとの関連で出ているわけですか、あるいはそれとは関連なしにこの法律が出ておるということなんですか。
#4
○貞家政府委員 従来から、滞納処分と強制執行等との調整について、調整ができていない点について調整措置を講ずべきであるという意見はございましたが、そのためには民事執行法の整備を待って、その上でそれによって可能になるものもございますので、それを待って調整をいたそうということでございますので、民事執行法の制定が主たる動機になっているわけでございます。
#5
○稲葉(誠)委員 そういうことを聞いているんじゃなくて、民事執行法のどの条文とこの条文のどれが関連しているかということを聞いているわけです。
#6
○貞家政府委員 一例を挙げますれば、債権の執行に関する調整につきましては、供託に関する民事執行法百五十六条等の規定が整備されましたので、債権執行の調整が可能になったというのがその最たるものでございます。
#7
○稲葉(誠)委員 それでもいいんですけれども、そうじゃなくて、民事執行法のいまのあれでこの法律のどこがどういうふうに変わってきたのかということなんです。それはいまの第二十条の八の第一項が新設されたということですか。
#8
○貞家政府委員 民事執行法百五十六条に伴いまして調整法の二十条の六、三十六条の六というような規定の新設が可能になったわけでございます。
#9
○稲葉(誠)委員 そうすると、法律案要綱をずっと見てみますと新設がずいぶんありますけれども、これはきわめてあたりまえのことであって、何も新設しなくたってこのとおり現実に行われておるのじゃないですか。また理論上そういうふうに行われるんじゃないんですか。
#10
○貞家政府委員 御指摘のとおり、現在の取り扱いにおきましても、最高裁判所あるいは国税庁等の通知、通達によりましてある程度の調整は可能でございましたけれども、供託をさせるあるいは供託の権利を認めるということによってそれを配当するというような手続は不可能でございましたので、この点につきましては改善になっているというふうに考えるわけでございます。
#11
○稲葉(誠)委員 供託の場合は改善になっているといったって、これもまた理論的にはあたりまえのことを書いてあるだけの話であって、現実にこういうふうに行われざるを得ない。いや、供託の場合はちょっと違うかもわからぬが、ほかのところは何もこういう法律をつくらなくたっていいんじゃないか、これは新設をたくさんつくってあるけれども。だから本当に必要なところはどこなんですか。
#12
○貞家政府委員 趣旨といたしましては、これは従来の思想の延長になるかと思いますけれども、法制上は従来の民事訴訟法六百二十一条の規定によりましては当然供託義務というものが認められない、そういう判例になっておりましたので、供託の点につきましては、これは明らかに新設と申しますか新たに制度を設けて調整を可能にしたと言えると思います。
 また続行決定、続行承認決定というようなものも、債権執行につきましては、これは法の根拠がございませんと、それを当然の理論によってそれが可能であるというふうには考えられていなかったわけでございます。
#13
○稲葉(誠)委員 それでは、第二十条の五が新設されましたね。要綱によると「滞納処分がされている金銭債権に対する強制執行又は競売」「徴収職員は、滞納処分により差し押さえた金銭債権を取り立て、差押私債権者は、その残余の部分を取り立てることができるものとすること」そんなのはあたりまえじゃないですか。どうしてこんな条文が要るの。ちょっとこの条文が要る理由を説明してください。
#14
○貞家政府委員 御指摘のとおり、二十条の五につきましては従来の通達、通知の線でそういう扱いが行われておりました。ただ、それを明確に規定したというわけでございます。
#15
○稲葉(誠)委員 いや、通知があろうが通達があろうがなかろうが、これはあたりまえじゃないですか。国税徴収法からこういうことは出てくるのであって、こんなものは新設するも何もないじゃないですか。特に新設をしなければならぬ理由はどこにあるのですか。
#16
○貞家政府委員 なるほど実体上の権利として私債権と税債権という点から考えますとそういうような理屈になるかと思いますが、ただ手続的に明確にした方がベターであるということでございます。
#17
○稲葉(誠)委員 ベターであるといったって、特にこういうことは書く必要はないのではないかと思いますがね、それは理屈ですけれども。
 たとえば国税徴収法が昭和三十四年に約三年間かかってできたわけです。あれは我妻先生が責任を持ってやられましたね。あれを見ても、あの中でいろいろ議論があって、いわゆる国税徴収法による公権力というものが私権を制限してはいけない、その点については十分留意をしろということが、できたときに言われましたよ、三十四年でしかね。あれは明治何年かの法律を改正したわけでしょう。だからそれは無理もないと思うのですが。
 そうすると、この中で結局私権との調整で私の権利というものを十分尊重しているというふうな点は一体どこにあるわけですか。
#18
○貞家政府委員 今回の法律案は、この実体権につきまして特に手当てをいたしているわけではございません。それはこの法律の守備範囲外かと思うのでございますが、ただ、従来の不明確であった二重差押えが可能であるということを法文上明定いたしましたこと、あるいは続行決定が可能になったということ、金銭債権の差押えが競合いたします場合に第三債務者に差押え債権額の全額を供託させるというような道を開いた、これは第三債務者の保護に通ずるかと思うのでございますが、私債権者が当然に残余金の交付を受けるというような点につきまして法律関係を明確化して、私債権者がその持てる実体上の権利の実現において決して事実上の不都合を受けることがないようにという点に留意いたしたわけでございます。
#19
○稲葉(誠)委員 これは実体法でたとえば先取特権の規定がありますね。いわゆる給料債権は六カ月とかという古い法律がありますね、民法の中に。この先取特権というのは、滞納処分の場合に、先取特権は登記がないというと優先しないのですか。先取特権は登記できるのですか。どういうふうになっているのですか。
#20
○貞家政府委員 登記がございませんと租税債権に優先するということはないわけでございます。また、登記がありません場合には国税滞納処分において配当を受けるということもございませんので、これは裁判所において残余金の交付を受けて裁判所において配当を受ける、こういうことになるかと思います。
#21
○稲葉(誠)委員 それでは先取特権の意味がないわけです。特に給料債権の場合、登記しろといったって現実に登記なんかできっこないじゃないですか、相手が応じないんだから。給料債権の登記なんかどうやってやるのですか。給料債権の登記とか退職金の登記とかどうやってやるの、実際には。登記がなくたって先取特権という趣旨から見て、ことに社会保障的な権利ですから、それは滞納処分よりも優先するという形でなければおかしいのじゃないですか。
#22
○貞家政府委員 国税徴収法二十条一項四号という規定がございまして、御指摘のような形になっているわけでございます。今回は手続面の調整についての手当てでございまして、国税の制度、その優先権というような実体上の問題には手を触れておりません。この点は、なお別途国税徴収法の問題として議論があるかと思いますが、今回の法律ではその点までは考慮いたしておりません。
#23
○稲葉(誠)委員 その先取特権の規定はやはり雇い人給料というようなことで書いてあるの。あれは改正になったんじゃなかったですかどうでしたか。やはりそれは六カ月ですか。退職金なんかはどうなっているのですか。それからボーナスなんかはどうなっているの。それは改正しなければいけないのじゃないかな、ここのところは。
#24
○貞家政府委員 商法の二百九十五条の規定によりまして、改正はされておりませんけれども民法の例外、特則というようなことになって、範囲を拡張しているという関係になっているわけでございます。
#25
○稲葉(誠)委員 そうすると、文章自身はやはり雇い人という文章ですか。雇い人なんという言葉、いまごろ使うのか。
#26
○貞家政府委員 商法におきましては使用人という言葉になっております。
#27
○稲葉(誠)委員 使用人というのは、会社の使用人とか、商法の規定の中で最初のたしか総則にある言葉ですね。そうでしょう。だから民法ではやはり雇い人となっているの。
#28
○貞家政府委員 民法におきましては雇い人ということになっております。
#29
○稲葉(誠)委員 そこら辺もいろいろな調整をしなければならぬ。ことに先取特権の場合、給料債権者の保護がなかなか足りないのじゃないかな。
 そうすると、いまのその先取特権の登記というのは具体的にどうやってやるの。給料債権とか退職金とかなんとか、そういうのは登記できるの。
#30
○貞家政府委員 民事執行法におきましては、そういった意味での社会政策上の見地から、給料債権等について一般の先取特権を特に優遇いたしまして、無名義でも配当要求を認めるというようなことにいたしておるわけでございますけれども、その点は国税徴収法の方では、これは登記を必要としているという関係に相なっているわけでございます。
#31
○稲葉(誠)委員 だから、先取特権の登記はどうやってやるのですか。それからまた、日本でそういう先取特権の登記なんというのは現実にありますか。
#32
○貞家政府委員 現実にどの程度行われているかという点は存じませんけれども、若干はあるやに聞いております。
#33
○稲葉(誠)委員 ただ、いま言ったように、社会保障的な見地からするところのものと国税徴収法との関連が、国税が非常に優遇され過ぎているということのいろいろな問題点がそこにあるわけですね。
 そこで問題なのは、たとえば競売開始決定があると、競売開始決定の効力というのは、その競売開始決定が債務者に送達されたときにということですか、あるいは登記のときということになっておるのですか、どういうふうになっているのですか。――両方というのは国税徴収法に書いてあるんだよ。両方というのは国税徴収法で、早い方が国税徴収法なんだよ。どっちなんだ。
#34
○貞家政府委員 民事執行法で改正されまして、国税徴収法と同じシステムになっております。
#35
○稲葉(誠)委員 じゃ、こっちが悪いんだ、よく見なかったから。そうすると、それは早い方だな、国税徴収法は早い方になっている。そこでいま一番問題になっているのは、今度執行法の改正で債務名義がないと配当要求を認めませんね、まだだけれども。ところで、その債務名義を公証役場へ行ってやるわけですね。公証役場へ行って、実際に借りてないのに借りたことにしてやっているのがいま、はやっているんですよ。これは執行官にきのう会って聞いたんだけれども、執行官も弱り切っていた。公証役場も実質的な審査権がないからどうにもしようがない。どうもこれはおかしい、おかしいと思うけれども、それが非常にはやっていて困っているわけですね。だから公証役場の場合には、そういうような配当要求の場合に債務名義を認めない、配当要求ばかりでなくて執行の場合でも、公正証書に対しては債務名義を認めない、判決ならばいいというぐあいにする。判決だって仮装債権で判決を求められるが、ただ時期が非常におくれますね。そういうふうなことでいま執行官が非常に困っておるのです。そこで、執行官の方でいろいろ言うのは、徴収職員というのは現実にここに書いてありますね、だけれども、滞納処分の執行のときには徴収職員は出てこないのじゃないですか。全部執行官に任しちゃうんじゃないの。それはどういうふうになっているの、実際は。
#36
○貞家政府委員 徴収職員の行うべきことを執行官とかほかの職種の職員がやるということは、これはおよそあり得ないことではないかと思います。
#37
○稲葉(誠)委員 そうすると、徴収職員の権限と執行官の職務権限が違うところがありますか。
#38
○貞家政府委員 徴収職員は国税滞納処分について権限を行使するだけでございまして、およそ裁判所あるいは執行官の行う職分と申しますかその手続というものは画然と区別されておりますので、その間の交錯ということは現実にはあり得ないことであろうと思います。
#39
○稲葉(誠)委員 そういう意味じゃなくて、執行官の行う権限と徴収職員の行う権限では、全然ジャンルは別ですよ、別だけれども、徴収職員の方が権限としては強いんじゃないの。たとえば家屋の立入調査権というのは徴収職員には認められているけれども、執行官には認められていないんじゃないですか。
#40
○貞家政府委員 確かに徴収職員の方がより直接的な調査権というようなものを持っている面があるかと思いますが、民事執行法におきましては、執行裁判所なり執行官の調査権限その他の権限を相当強化いたしておりまして、国税の徴収の場合と非常に似通ったと申しますか、かなり強化されているということが言えるかと思います。
#41
○稲葉(誠)委員 国税徴収法の百四十一条と執行官の権限とどういうふうに違いますか。国税徴収法の百四十一条の方が非常に権限が強いんじゃないですか。
#42
○貞家政府委員 国税徴収法百四十一条に、御指摘の質問及び検査に関する権限、これはかなり強い権限が認められているわけでございますが、民事執行法におきましても、六条あるいは七条の規定によりまして、警察上の援助を求めるという場合もございますし、立会人の立ち会いを求めるというような規定もございまして、民事執行法上の執行官の権限も、これは決してそう弱体と申しますか弱いということではないと思います。
#43
○稲葉(誠)委員 執行官の方が弱いとか強いとか言っているんじゃなくて、国税徴収法の百四十一条に書いてある徴収職員の権限の方が強過ぎるのではないかということを言っているのです。あなたの話だとよくわからないけれども、具体的な場合にどこがどういうふうに違いますか。
#44
○貞家政府委員 確かに国税徴収職員の権限が相当強いものを認めているということは事実でございますけれども、執行官につきましても、いろい・ろ現況調査その他の、ただいま御説明申し上げました威力を用い警察上の援助を求める権利というようなものもございまして、一概にこれは強過ぎるとか弱過ぎるとかいうことは当たらないのではないかというふうに考えております。
#45
○稲葉(誠)委員 ぼくの方は逆に徴収職員の方が強過ぎるというふうに考えているのですよ。これはちょっと公権力の行使として強過ぎるのではないかということを考えているのですが、それはそれとして、まず徴収職員というのは警察権を持っているの。これは特別司法警察職員になっているのですか。
#46
○貞家政府委員 なっておりません。
#47
○稲葉(誠)委員 なってないことはわかり切っているのです。じゃ税務署で特別司法警察職員になっている人がいますか。――いいですよ、それは。間接税の場合にあるでしょう。酒や何かの場合に特別司法警察職員の権限を持っている場合があるでしょう。直接税じゃないですよ、間接税の場合ね。それはいいです。
 そこで、いま困っている問題は、一つは古い滞納処分なんかの登記、これが登記簿に残っている場合があるわけですね。これは私は余りないと思いますけれども、実際には明治時代等の抵当権なんか残っているのですよ。十円か二十円、大正時代の百円くらいのものが残っていて、しかもそれが銀行いわゆる無尽会社みたいなのが債権者になっているのがそのまま残ったりなんかしている。それからいま言った滞納処分の場合もあるというのですがね。
 だから、それは消さないと、土地の買収とかいろいろな問題で非常に困るわけですね。国が買収する場合やなんかだと、抵当権が残っている場合だと買収してくれない。高速道路とか新幹線の場合なんかもそうなんですがね。その場合に債権者がもういないわけですよ。銀行なんかつぶれてしまって、どうなっているのかわけがわからないというのが非常に多いので、具体的にどうしたらいいかわからないで困っているんですがね。そういうのが多い。
 そういう場合は、休眠会社の場合に二年間あれならばということで、会社が何というか清算会社になって、それが休眠の場合には抹消しましたけれども、それと同じような形で職権で何とか抹消できるという方法を考えられないのですかね。
#48
○貞家政府委員 まず差押え、仮差押えあるいは滞納処分の登記が残っておりますのは、これは嘱託によるわけでございますから、裁判所なり税務署長の嘱託が必要だということになるかと思います。
 いわゆる休眠抵当権、この言葉が適切であるかどうか問題でございますけれども、古い非常に金額の小さい抵当権、これは確かにあると思います。それで最もオーソドックスな方法といたしましては、これは申すまでもなく抵当権の登記の抹消請求訴訟を起こす、公示送達をやりまして勝訴判決があれば、単独の申請でこれは消えるわけでございますが、なかなかそういかないということで、不動産登記法の中に若干の手当てがございます。
 不動産登記法の百四十二条に登記義務者が行方不明の登記の抹消の場合という規定がございまして、所有権の登記名義人が公示催告の申し立てをいたしまして除権判決を得た上で、その謄本を添付して単独で抵当権の登記の抹消を申請するという手続が一つございます。それからもう一つ、これも百四十二条でございますが、抵当権者が行方不明の場合におきまして、もし債権証書とそれから債権並びに最後の二年分の定期金の受取証書がございます場合には、所有権の登記名義人がこういった書面を添付いたしまして単独で抵当権の登記の抹消を申請するというような若干の手当てはございます。
 いまお尋ねの、さらに進んで休眠会社を整理するようにやってはどうかという点、確かにそういう困った状況も容易に推測できるわけでございまして、この点も実は私ども研究はいたしております。ただ、何年ぐらい経過したものであればいいか、その債権額がどれぐらいであったらいいか、それは予告というものをどの程度やったらいいかというような点につきまして、やはり形の上ではその財産権を消滅させるという形になるわけでございますので、こういった問題につきましては、私どもの内部で関係者が集まって対策についていろいろ議論はいたしております。ただ、いまのところこれで行こうという名案がなかなか出ませんので、なお研究を続けているというような状況でございます。
#49
○稲葉(誠)委員 滞納処分がそのまま登記簿に載っかっているという場合なら簡単でしょう。それは税務署長かだれかが放棄するとかなんとかすればいいんで、それは簡単です。それから古い銀行の場合なんかが勧業銀行に、いま第一勧銀ですか、あれに引き継がれているという場合には、勧業銀行が簡単に債権放棄書を出してくれるのですよ。だからこれは簡単なんです。ところが、ほかの銀行とかが出さないのと、それから抵当権者が昔の無尽会社みたいでどこへ引き継がれたのか、どうなったのかわけがわからぬという場合があるのですね。登記簿とろうといったって、登記簿には載っているような載っていないような、はっきりしないようなのがずいぶんあるわけですね。そういうのが一番困っているわけですね。
 それから、その抵当権者が相続が昔の相続じゃなくて共同相続になっている場合なんかがあるでしょう。そういう場合なんか、どこにどう行っていいかわからないで非常に困っているのです。一つは、抵当権者が北朝鮮へ帰ってしまったという場合はどうするのか。行方不明じゃないんだ、北朝鮮にいるんだよ。こういう場合どういうふうにやるのか。
#50
○貞家政府委員 漠然と北朝鮮にいるというだけではやはり行方が知れざるというふうに解釈してよろしいのではないかと思います。
#51
○稲葉(誠)委員 いや、北朝鮮のどこどこにいることがわかっている場合どうするのですか。
#52
○貞家政府委員 明らかに北朝鮮のどこかということがわかっておりますれば、これはやはり通常の手続で連絡をとる以外にはないのではないかと思います。
#53
○稲葉(誠)委員 連絡をとるのじゃなくて、訴えを起こすときどうやるのですか。
#54
○貞家政府委員 北朝鮮に対してはどうも送達ができないようでございます。そうなりますと、やはり不在者の財産管理人を選任するなり、これは私自信がございませんけれども、相応の手段を講ずることによって解決せざるを得ないのではないか、かように考えます。
#55
○稲葉(誠)委員 それはなかなかむずかしいというか特に多いですね。一人が北朝鮮へ帰ってしまっているのがあるんですよ。そういう場合があって非常に困って遺産相続できない場合もあるし、いろいろな問題が起きている。この前法務省に研究してもらったのもあるのですが、それはそれとしていろいろ問題がありますが、どうもこの法律は特につくらなければならないほどの必要性は、前から言っているようにないのじゃないか。あたりまえのことをあたりまえに書いているだけの話で、何も法律にしなければならない必要はないのじゃないかという気がしてしようがないのですけれども、それはそれとして、せっかく出たのですから別に特に反対する理由もないし賛成はしておきます。
 そこで、よくわからないのは供託金。供託金はいま利息がつくでしょう。利息というのか利子がつきますね。いま二分四厘ですか、二分でしたか、やけに安いね高金利時代に。いま幾らですか。二分か二分四厘、どっちでしたか。
#56
○貞家政府委員 現在一分二厘でございます。
#57
○稲葉(誠)委員 おかしいな、一分二厘というのは。違わないですか。
#58
○貞家政府委員 従前二分四厘でございましたけれども、数年前一分二厘に改正をいたしました。
#59
○稲葉(誠)委員 私は二分四厘と覚えていた。おかしいな。何で一分二厘にしちゃうのだ、高金利時代でどんどん金利が上がっていくのに。国民の権利を侵害するものだ。それはだめだ。それはどこにそんなこと書いてあるのか。それは勝手に決めたの。国会の同意を得たのかな。政令でやっているのですか。
#60
○貞家政府委員 昭和五十三年に供託規則を改正いたしまして、供託規則の三十三条で「供託法第三条による供託金の利息は、一年について一・二パーセントとする。」という規定に改正いたしたわけでございまして、これは供託法の三条におきまして「供託金ニハ命令ノ定ムル所ニ依リ利息ヲ付スルコトヲ要ス」こういう規定がございますので、省令に委任されたという形になっておるわけでございます。
#61
○稲葉(誠)委員 しかしそれはおかしいな。委任しているかもわからぬけれども、供託規則によって国民の権利を侵害して、半分にしちゃったというのは問題だね。いまのはおかしいぞ、そんなこと勝手に政府だけで決めちゃって。どんどんいま高金利で上がっていくのでしょう。それを利息を半分にして年に一分二厘、しかもこれは入れた月は入らない、出す月は入らないというのでしょう。そういう計算の仕方をしておりますね。仮差押えの保証金から何から、仮処分の保証金も全部そういう一分二厘になったのか。初めて聞いたな。二分四厘だとばかり思っていたのだけれども、非常に低い。そんなこと一片の政令で決めて国民の権利を侵害するというのはけしからぬね。供託法が政令に委任していること自身がおかしい。そんなのだめだ。一分二厘なんというのはもっと三分六厘ぐらいに上げなさいよ。
#62
○貞家政府委員 これはいろいろ議論はあると思いますけれども、供託法について利息を付すべしというのが一つの妥協と申しますか、これは供託者のために預かるということで普通の預金等とは非常に趣が違うわけでございます。極端に申しますれば、この法律が余り適切ではない、利息はおよそつけるべきではないという議論もあるわけでございまして、そういった、手数料は取らない、しかし利息をつけるというような形でずっと来ているわけでございます。五十三年はちょうど低金利の時代であったようでございます。そういうような関係でこの省令の改正が行われたというふうに承知いたしております。
#63
○稲葉(誠)委員 あなたの話を聞くと、いかにも恩恵的に与えているように聞こえる。そういうことなのかな。それならそれでいいから、飯田先生がいるから憲法論争をやってもらうから。
 私は二分四厘だとばかり思っていた。二分四厘で、とにかく初めの月と出す月は入らないわけだね。その金を大蔵省へみんな持っていって利用しているのでしょう。一分二厘なんというのはだめだ。非常に低い。これはよく考えてください。世界じゅうに一分二厘なんという利息があるかな。日本でそういう利息はほかにあるのですか。
#64
○貞家政府委員 世界に例があるかどうか私は存じませんが、しかしこの問題につきましては、先ほど申し上げましたように、根本的にいろいろ議論があるところでございますので、将来十分研究いたしたいと考えております。
#65
○稲葉(誠)委員 それでは滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律の一部を改正する法律案、これで質問を終わります。
#66
○木村委員長 長谷雄幸久君。
#67
○長谷雄委員 滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律の一部を改正する法律案について若干お尋ねいたします。
 本法の立法目的からすれば、滞納処分と強制執行等との競合が起こるすべての場合について調整措置を講じておくべきだと思います。ところが現行法では、有体動産、不動産及び船舶について調整が行われており、債権、その他の財産権、航空機等に対する執行の競合の場合、それに競売法による動産の競売との競合の場合については調整規定が置かれていなかったわけでございます。それが今回の改正案では、いま指摘した現行法で除外していたものを調整規定中に取り込んでおります。
 そこで、改正案で調整法の中に取り込むに至った理由を順次お尋ねをいたします。
 まず、債権に対する執行の競合の場合についてでありますが、現行法においてこの場合を除外したのは、現行法制定の際に考えられていた理由として、金銭債権に対する差押えは差押えを公示することがない、また執行機関を別にしていることから、第三債務者、差押え債権者、租税徴収権者との間に複雑な実体法上の紛争を起こすこととなるとされていたようでございます。そういう事情から、債権について調整規定を置くことについてさらに検討する必要がある、こういうことであったように思います。
 そこで、今回この改正作業に当たりましてこれらの事情をどう検討し調整に踏み切ったのか、お尋ねをいたします。
#68
○貞家政府委員 従前の調整法において債権に関して調整を図らなかった理由は、ただいま御指摘になりましたとおりでございます。
 要するに、債権執行に関する民事訴訟法の規定が非常に不備であった。もちろん当時は国税徴収法も非常に不備であったということからそういうことになったわけでございまして、今回民事執行法が制定されますと、差押え競合の場合に供託の権利あるいは場合によって義務を認めるということをいたしました、それによりまして問題がすべての点においてかなり明快になった、取り扱いが容易になったということで調整が可能になったということができるかと思います。
#69
○長谷雄委員 次に、動産、不動産、船舶、航空機、自動車、建設機械及び債権以外の財産権、つまり改正案第二条にいう「その他の財産権」ですが、これに対する執行の競合の場合についてでございますが、現行法においてこの場合を除外したのは、民訴法六百二十五条の規定が抽象的であって公示方法とか換価命令等について再検討する必要がある、こういうことであったように思います。
 そこで、今回の改正案では改正作業に当たりこの点をどう検討したのかお尋ねします。
#70
○貞家政府委員 いまお述べになりました趣旨の財産につきましては、まず国税徴収法が当時は非常に簡単でございまして、明治三十年の法律でございましてほとんど数カ条あるにすぎなかったというような点で不明確であったという点と、民事訴訟法の六百二十五条というものが非常に不備であったということが調整を図らなかった理由でございますけれども、その後におきまして国税徴収法は全面的に改正をされましたし、また民事訴訟法も新たに民事執行法ということになりまして、百六十一条の譲渡命令、売却命令あるいは換価命令というような制度ができまして、それによって従来の不明確な点が大幅に解消されました。したがって、従来技術的に不可能であるというふうに考えられておりましたいろいろないまお述べになりましたような財産権についての調整が可能になった、かように申すことができると思います。
#71
○長谷雄委員 次に、航空機、建設機械、自動車に対する執行の競合の場合についてであります。
 滞納処分による差押え手続が解釈上明らかでないとして現行法では調整を見送っていたようでありますが、なお航空機等につきましては、現行法制定過程において参議院法務委員会で、政府は速やかに手続の調整措置を講ずべきである旨の附帯決議がなされていたようでございますが、今回の改正案の中で調整することとなった理由についてお尋ねいたします。
#72
○貞家政府委員 ただいまお答え申し上げましたように、当時の国税徴収法が自動車等に対する手続を詳細に規定しておりません。その内容が必ずしも明確でなかったのであります。それに対しまして強制執行あるいは任意競売におきましては、航空法あるいは道路運送車両法等の規定によりまして最高裁判所にその手続を委任しておりまして、それがございます。
 そこで、国税徴収法の方が全面改正によってある程度の整備がされました。それと最高裁判所規則によりまして手続が整備されたということで、この両者をつなげることが可能になったというわけであります。ただ、この点につきましては航空法その他の法律におきまして手続を最高裁判所規則にゆだねておりますので、調整措置につきましても不動産に準じて政令と最高裁判所規則の定めるところに委任するというような形を法律案ではとっておりますが、その調整は従前に比べて比較的容易になったということが言えるかと思います。
#73
○長谷雄委員 次に、担保権実行としての競売つまり競売法による動産の競売との競合の場合についてお尋ねをします。
 これも今回の改正案では調整することとなっておりますが、現行法で除外したのは、滞納処分による差押えが担保権者の占有する動産に対して行われる例がほとんどない、こういうことが理由であったようでございます。そのことから調整する必要がなかった、こういうことのようですね。それが今回調整することになた背景事情を含めて、改正案に調整規定を置くこととなった理由及び今後の動向としてこの競合の件数をどう予測しているのか、お尋ねをいたします。
#74
○貞家政府委員 これは従来調整を行わなかった理由はいま御指摘になりましたとおりでございまして、滞納処分の差押えが担保権者が占有する動産に対して行われることは非常に少なかったということでございます。
 ところで民事執行法におきましては、百九十条の規定が設けられまして、動産競売は「債権者が執行官に対し、動産を提出したとき、又は動産の占有者が差押えを承諾することを証する文書を提出したときに限り、開始する。」ということになりまして、いわば動産の占有を要件とした形になっておりますので、調整は可能にはなったわけでございます。
 可能になりましたので、強制競売の場合と同じように調整規定を設けたわけでございますが、ただ、これは現実にたくさん事件が出るかと申しますと、これは全くの予測でございますけれども、有体動産、動産に対する担保権と滞納処分による差押えというのはそれほど事件数が多くなるということはないのではないかという予測をいたしております。
#75
○長谷雄委員 次に、航空機、自動車、建設機械に対する執行の競合の場合についてお尋ねいたします。
 今回の法案二十条の二の二項によりますと「手続の調整について必要な事項は、この節の定めるところに準じて、政令で定める。ただし、強制執行、仮差押えの執行及び競売に関する事項は、最高裁判所が定める。」と規定がございます。この規定が法案三十六条の二で準用されております。
 そこで、航空機等に対する執行の競合についての調整を法律によらないで政令や最高裁判所規則に委任することとしておりますが、これはどういうわけでございますか。
#76
○貞家政府委員 航空機、自動車、建設機械に対する強制執行、仮差押えの執行、競売につきましては、航空法八条の四、それから道路運送車両法九十七条、建設機械抵当法二十六条の規定がございまして、これがその手続に関して最高裁判所規則に委任をいたしまして最高裁判所規則、現在では民事執行規則ということになるわけでございますけれども、規則によって細部がすべて定められておるわけでございます。
 そこで、法律がそういうふうに委任をしておりますので、これは最高裁判所の規則による手続というものによって決まるわけでございますが、その手続を前提といたしまして法律で調整措置を講ずるということは技術的に困難でございます。そこで最高裁判所規則に委任する、同時に滞納処分の面につきましては政令に委任する、そこで政令と最高裁判所規則のいわばドッキングをするというようなことにしたわけでございまして、ただその基本方針は、「この節の定めるところに準じて」というのが二十条の二の二項にございますので、不動産と船舶に対する強制執行のあり方に準じて定められるということになろうかと思います。
#77
○長谷雄委員 重ねてお尋ねいたしますけれども、要するに、その調整の手続について政令と最高裁規則に委任したのは、その調整の具体的なものがきわめて技術的なものである、こういうことによるのでしょうか。
#78
○貞家政府委員 本来、航空法その他の法律で委任しているのは、確かにそういう非常に技術的な点が多い、裁判所の手続であるという点で委任をいたしておると思います。
 ただ、調整法でそれを委任しているというのは、やはりもとが委任をされておりますと、それを予想いたしまして法律で縛ってしまう、最高裁判所の規則で定められるということを当然他の法律で予定しておるわけでございますから、それを先取りをしまして調整をするということが技術的にできないということから、この調整法において委任するということになったわけでございます。
#79
○長谷雄委員 次に、改正案におきます執行の競合について、その調整のやり方、調整の基本構造といいますか、この点について確認をいたしますが、この点については、先着手優先主義がとられるなど現行法における不動産、動産、船舶の場合の調整のあり方と基本的には同じだと理解しているのですが、これについて何か御説明しておいた方がよい点があればお伺いいたしたいと思います。
#80
○貞家政府委員 骨子につきましては、いま仰せのとおりでございます。
#81
○長谷雄委員 今回の改正案を含めてこの調整法のメリットについてお尋ねをいたしますが、この調整法は税債権と私債権との調整を図るものでありますけれども、この調整によって受ける利益は国の方にあるんだ、私債権者にはメリットはないんだ、こういう見方が一部にあるようでございますけれども、この点についての懸念はないのかどうかお尋ねをいたします。
#82
○貞家政府委員 実体上の権利といたしまして租税債権が優先するという点から申しますとすれば、結果的にはそれは税債権が優先するわけでございますから、税債権の利便を図るということが言えるかと思いますけれども、むしろ私どもは逆に考えておりまして、税債権の方につきましては調整措置ということを必ずしも必要としない面もあるわけでございます。先に取っていくという優先権があるわけでございますから。むしろ優先権がないものはほったらかしにされる、つまり残金の交付を受けるとかあるいは供託金にかかっていくということもできない、そういう点につきまして、劣後する私債権者がその債権実行の可能性のあるべきところを事実上無視される結果になってしまうということを防止する、そういう弊害を防止する、行使できるはずの請求権を完全に行使させるという点で、むしろ私債権の方にメリットがあると申しますか、私債権の保護に役立つというふうに私どもは考えておるわけでございます。
#83
○長谷雄委員 もう少し具体的に御説明願えればと思うのですが、たとえば私債権と税債権とが、債権額は適当な金額でよろしいかと思いますが、百万なら百万という数字を挙げて、それが競合する場合こういうぐあいになるんだという例を、もし挙げられるのでしたら挙げて説明していただければと思います。
#84
○貞家政府委員 税金が三十万円でありましても百万円の債権を押さえるということは可能でございますけれども、三十万円を国税に充当すれば七十万円本来ならばあくはずでございますから、これは私債権者が入り込む余地があるわけでございますが、しかし現在の制度ではその手続の調整がとれておりませんために、改めて残余金の交付請求権に対して権利行使を新たにしなければならない、いつの間に滞納処分が終わったかわからないというようなケースもあるわけでございまして、そういったつながりをちゃんとつける、七十万円の分で私債権がその中へ幾らかでも入り込めるものは間違いなく入り込めるようにしよう、こういう点が私はメリットではないかというふうに考えるわけでございます。
#85
○長谷雄委員 今回の改正案による改正のほかに改正すべき点があるかどうかをお尋ねしますが、不動産の強制管理と滞納処分との競合については、強制管理が換価を目的としないという点から調整の余地がないということから、調整規定は必要としないというのは理解できます。
 しかし、仮処分の場合についてでありますけれども、この仮処分の場合について調整規定が今回の改正案でも見送られておりますけれども、国税徴収法百四十条との関係で今後これをどう進めていくのか、お尋ねをいたします。
#86
○貞家政府委員 確かに仮処分との関係というものは今回の調整の対象とはいたしておりません。
 と申しますのは、手続的にはいま御指摘の国税徴収法百四十条というものがあるわけでございまして、滞納処分の続行を妨げられないというわけでございまして、結局は仮処分の効力の解釈いかんということになるわけでございます。手続的に申しますと、金銭債権である租税債権と係争物に対する仮処分というものが、手続の調整という点ではこれは余り考慮する余地がないのではないのか。仮処分の効力をいかに見るか、いろいろな仮処分がございますけれども、その仮処分がどういう効力を持つかということは、まさに一般的な実体上の解釈の問題であろうかと思います。したがいまして、今回の改正におきましてはもっぱら手続的な調整ということを考えたわけでございますので、そういった面にまで明確な規定を、これは一概にすべての場合に通じまして明確な規定を置くということ自体が困難でございますし、手続の問題ではないということから、この点については何ら新たに手当てをするということはいたさなかった、かような次第でございます。
#87
○長谷雄委員 では仮処分の場合には本質的にその調整を必要としない、こういうことでしょうか。
#88
○貞家政府委員 手続面においては調整が必要ないのではないかというふうに考えております。
#89
○長谷雄委員 最後に大臣にお尋ねしたかったのですが、大臣まだお見えでございませんので、民事局長に御答弁願いたいと思います。
 この調整法は数ある法律の中でもきわめて専門的、技術的でございます。実務家でもそれほど頻繁に利用する法律ではない。それだけに一般の関心も決して高くはないと思います。けれども本法自体はきわめて重要な法律であることは認識をいたしております。今回この法案について、この改正作業に当たられた方々の御努力に敬意を表したいと思います。
 しかし、今回の改正によっても若干なお問題が残ると思います。この改正部分を含めた本法の適正な運用と、さらに再検討すべき点についての御所見を伺っておきたいと思います。
#90
○貞家政府委員 確かに御指摘のとおり、非常に技術的で一般国民にはなじみの薄い法律であろうかと思いますが、御指摘のとおり非常に重要性を持っているものだと私は思います。
 ただ、非常に技術的な問題が多いということはどうしてもぬぐい切れないところでございまして、これは実際の衝に当たる裁判所あるいは執行官あるいは徴収職員、税務署長、そういう関係者があるわけでございまして、実際の運用に当たる方々の意見は今後率直に受けとめまして、この法律がさらに完備されるように私ども絶えざる努力を払ってまいりたい、かように考えております。
#91
○長谷雄委員 終わります。
#92
○木村委員長 柴田睦夫君。
#93
○柴田(睦)委員 法律案についての質問ですけれども、現行法、現在施行されている法律のもとであっても、滞納処分がされております金銭債権に対して一般債権者が差押えをするということは許されていると思うのですが、この場合の債権の分配の手続はどういうふうにやっているのか。それからまた反対に、強制執行がされている金銭債権に対して、これも後で滞納処分ができると思うのですけれども、この場合の分配手続は実際はどうやっているのか、まずお伺いします。
#94
○貞家政府委員 現在の取り扱いは、最高裁判所あるいは国税庁の通知、通達というようなものに任せられていたわけでございます。さらに古くは学説、判例は債権については二重差押えを認めておりませんでした。しかし、だんだん二重差押えは許されるという解釈が有力になりまして、それでただいま申し上げましたような通知、通達というようなものが出されたわけでございます。
 その要点をかいつまんで申しますと、滞納処分による差押えがされている財産に対して強制執行等による二重差押えは可能である。しかし租税債権は優先いたしますので換価をすることは妨げられないわけであります。ただ、この場合残余金の問題が起こるわけでありますが、それは強制執行の債権者から徴収職員に対して連絡場所等を示しまして、滞納処分による差押えが解除されたり残余金があるかないかという点を連絡してくれという要請があった場合には、できる限りこれに応ずるというようなことでつなぎをしていたわけでございます。
 逆に、強制執行が先行いたします場合には二重差押えは可能である。ただし交付要求も同時にするということでございまして、二重差押えの場合には先順位の滞納処分をした方から先順位の強制執行機関に通知をする。それから先順位の強制執行による差押えがある間は、滞納処分は二重差押えに基づく換価あるいは取り立てばできない。しかしながら交付要求をいたしますので、裁判所においてその税金の分も含めて配当がされる、こういうような形になっていたわけでございます。そういたしますと、この通知、通達等によりましては、税債権のサイドから申しますと交付要求によって強制執行手続に参加し得る道は開かれておりますけれども、交付要求の機会を失って、せっかく実体上優先弁済権を受ける資格を持っているにかかわらず受け得ないという事態があるということが指摘されておりました。
 それから、最も問題でありますのは私債権の方でございまして、滞納処分の手続に参加して剰余金を確実に取得するという手段はないわけでありまして、またその残余金を当然に裁判所の方で引き取るというようなことがありませんので、剰余金請求権に対してさらに差押えをするというような方法を考えざるを得なかったという不都合があったわけでございます。
#95
○柴田(睦)委員 一つは、二重の差押えがあって、そして分配をする、配当をする、この点に関して言えば、いままで扱っていたことを立法の上で明文化した、こう見ておいていいのでしょうか。
#96
○貞家政府委員 二重差押えが可能であるという点は、従来の取り扱いをはっきりと明文で示したということになるかと思います。
#97
○柴田(睦)委員 この改正案では、金銭債権に対する滞納処分と強制執行の調整を行うということが主になるわけですけれども、この改正案によって、現在行われております差押え、取り立ての競合の場合の手続で、いま局長のお話によりますと、いままでの事例からいろいろな欠陥が指摘されていたということも言われましたけれども、そうしたいままでの手続と比べてみまして、第三債務者や債務者あるいは私債権者それぞれにとって、これを保護するという意味においてどういう点の改善が図られているのでしょうか。
#98
○貞家政府委員 今回の調整によりまして最も利益を受けると申しますか手続上スムーズにいくようになるというのは、やはり差押え私債権者であろうと思います。
 つまり、二重差押えは従来から認められていたわけでございますけれども、今回の改正によりまして、場合によっては、先の滞納処分が進行しない場合には続行決定を得ましてみずから進めるということも可能になるわけでございますし、徴収職員が換価あるいは取り立てをした金銭の残余金がある場合には、それを執行裁判所に提出いたしますから、それがある場合にはそれによって満足を受けるということが可能になる。また第三債権者につきましては、差押え競合の場合に差押え債権者の全額を供託するという権利を認めるあるいは義務的にそうすることによりまして債務を免れる道を開くということ、これが今回の改正によって改善されたあるいは明確化された一番大きな点であろうと思います。
#99
○柴田(睦)委員 滞納処分による差押えの手続、これが進行しないときとかまた強制執行の手続が進行しないときとか、こういう規定が条文にあるわけですけれども、これはどういう場合を予想しているのかということと、その場合に裁判所が後で差押えをした者の申請に基づいて続行の決定をするあるいは続行を承認するということになっているわけですけれども、裁判所の決定や承認の判断の基準、判断の手続、これはどういうふうにやるのでしょうか。
#100
○貞家政府委員 これは現在の法律の八条、九条というような規定がございまして、すべてこれを準用しているわけでございますが、要するに、法令の規定あるいはこれに基づく処分によって滞納処分の手続が進行しない、これはいろいろな規定がございまして滞納処分の進行を続行しないような場合があるわけでございます。いろいろ再調査でございますとか審査請求があるとか、諸種の場合があります。また保全差押えの場合でございますとか、いろいろ規定がございまして、これによって滞納処分が事実上進行しない、あるいは相当期間内に滞納処分による売却がされない、そこで早く売却をしてくれということを徴収職員に催告をしたにかかわらず、その効果がなかったというような場合が挙げられているわけでございます。
 ただ、そういった場合に続行決定の申請が私債権者から行われるということになりますと、裁判所は相当と認める場合に限って強制執行を続行するという決定をするわけでございます。この場合には法律によりましてあらかじめ徴収職員に意見を聞いて、その見込みその他理由等について徴収職員の意に反し、徴収職員の意見を無視いたしまして、その見通し等について何ら考えることなく続行決定をするということはないように、また債務者も必要的に審尋をする、これは最高裁判所規則で定められているわけですけれども、債務者も審尋する、こういうことによりましていろいろ事情を調査いたしまして、具体的事件について後行の換価手続を促進することによって生ずる利害得失を考慮して決定するということになっているわけでございます。
 たとえば、差押え物を換価いたしましても先行の滞納処分による差押えになっている租税、手続費用を弁済するともう残りが生じないというふうな見通しがはっきりしている場合でございますとか、滞納処分の手続がいまはとまっているけれども近いうちに進行するということはわかっている、こういう場合、そういったような強制執行を先行させましても差押え債権者に何ら実益がないというような場合がございますので、そういった場合を個々に判断いたしまして、それに税法においていろいろ社会生活上あるいは徴税技術上の配慮から滞納処分の進行を差し控えるというような規定が多々ございますけれども、こういった法律の企図するところと差押え債権者、私債権者の権利実現の要求というものの調和を図りながら相当性の判断をいたす、抽象的に申し上げますと、そういう判断をして慎重に続行決定をすべきかどうかを決めるということになろうかと思います。
#101
○柴田(睦)委員 いまの手続が進行しないときという事例として、いろいろ法律上の障害の問題を挙げられましたけれども、これは徴税官なりあるいは債権者なりが、取り立ての方は待ってやろう、一応押さえるだけにしておいて取り立ての方は待ってやろうという、事実上取り立てしないということも含まれているのでしょうか。
#102
○貞家政府委員 当然そういうような考慮も払った上で続行決定をいたす、相当性の判断をいたすということになると思います。
#103
○柴田(睦)委員 事実上債権者などの判断で進行しないでいるというような場合も、後の申し立てがあれば続行決定のあるいは承認決定の一つの要素になるのでしょうか。
#104
○貞家政府委員 そういう場合も法律の規定でやはり予想しているわけでございまして、後続の債権者の利益をいたずらに無視するということは、これは許されないことだと思います。
#105
○柴田(睦)委員 それから、相当性を判断するについて審尋などが裁判所で行われるようですが、その審尋というのは、申し立てをした者それからその差押え、滞納処分または強制執行した者、この双方が審尋の対象になって、その両者の言い分の中から相当性を判断するということになるのでしょうか。
#106
○貞家政府委員 先行の債権者つまり徴収職員等の意見を聞くということは法律で明定されておりますし、また最高裁判所規則によりまして債務者を審尋するということも必要的になっているわけでございます。双方の意見を聞くということになるわけでございます。
#107
○柴田(睦)委員 それから、民事執行法では差押えをした債権者は命令が送達された日から一週間を経過したときはこの債権の取り立てができるということになっているわけですけれども、一週間を経過して第三債務者がその命令に従って支払いをしようという場合、この一週間内に滞納処分による差押えがなされなければ一般債権者においてこれは全部取得できるということになって、調整の問題はそこでは生じないことになるようですが、そういうことになるのでしょうか。
 そしてまた、この一般債権者が差押えをしたというような場合に、税務署などに執行裁判所が差押えがあったことを知らせるというような方向に将来発展するのではないか、こういう点についてはいかがでしょうか。
#108
○貞家政府委員 債権執行もおのずから切りがあるわけでございまして、一つの区切りが済んでこれは終わってしまうということになりますと、それまでに競合状態が生じないということでございますので、これはもうそれで事件は終わってしまう、国税としてはそれはほかの財産にかかっていくということにならざるを得ないと思います。これは一定の期間で事件が終結するということになりますれば調整ということを考える余地はなくなるというふうになると思います。
#109
○柴田(睦)委員 そうしますと、一般債権者から差押えを受ける、そういう場合に税金の滞納の有無というような問題については全然問題にならない。現在は裁判所から見るとそういうことは問題にならない。そしてこの法律においても、執行裁判所や債務者あるいは第三債務者に対してそういう点で税務署の方との関連において新たな義務を課せられるということは法律は一切予想していないというふうに解釈してよろしいですね。
#110
○貞家政府委員 仰せのとおりでございます。
#111
○柴田(睦)委員 仮処分との調整はなされないわけですけれども、これは調整が困難だということかあるいは調整の必要がないということか、将来検討しなければならない課題であると考えておられるのか、お伺いします。
#112
○貞家政府委員 およそ調整を全然考える必要はないかといいますと、これは国税徴収法の百四十条で一応手続的な調整をいたしているということでいかざるを得ないと思うのでございます。
 問題は、先ほど御答弁申し上げましたように、非常に実体的と申しますか仮処分の効力をめぐる問題ではなかろうかと思うわけでございまして、こういった点には確かに議論はあるかと思います。しかし、それを一律に何らかの手続法で規定するというのは少し無理ではないか。この点はいろいろ判例も徐々に固まってきているようでございますし、やはり仮処分自体の実質的効力の解釈ということで賄う以外にはないのではないか、かように考えております。
#113
○柴田(睦)委員 仮処分がなされている物件に対する滞納処分というのは別に進行を妨げられることがないということになっているわけですけれども、仮処分をやって、それに基づく本案の裁判があって裁判の上で権利が確定する、その確定した結果というものは滞納処分とは矛盾する、結果的にそういうことになるということが考えられるわけですけれども、そういう場合はどのように扱うのでしょうか。
#114
○貞家政府委員 その点についてはいろいろ議論があるところでございますが、最高裁判所の裁判例によりますと、滞納処分前になされた所有権保全のための処分禁止の仮処分というものは公売によっても失効しないというような判断を示した裁判例がございます。
#115
○柴田(睦)委員 いずれにしろ、この仮処分の問題そのほかいろいろな問題、大蔵省との折衝というような問題が終始つきまとうわけですけれども、そういう中で、やはり調整ができるものは調整する必要が現実にある。いまのような事例などもいろいろ見解があるようですけれども、そうした問題についてやはり立法的な解決という方向に向かうべきではないかと思うのですけれども、その点の見解を伺って終わりたいと思います。
#116
○貞家政府委員 仮処分の実体的な効力それから仮処分の態様との関係というような点につきましていろいろ問題があるかと思います。それを簡単に立法によって解決できるかどうかということは非常に問題ではございますけれども、これは確かに重要な問題でございます。裁判例の集積を待つ必要もあるのではないかと実は考えている次第でございまして、なお今後十分研究を進めたい、かように考えております。
#117
○木村委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#118
○木村委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#119
○木村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#120
○木村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#121
○木村委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩をいたします。
    午前十時五十六分休憩
    ――――◇―――――
    午後二時開議
#122
○山崎(武)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 本日、最高裁判所西山民事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#123
○山崎(武)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#124
○山崎(武)委員長代理 内閣提出、参議院送付、民事訴訟費用等に関する法律及び刑事訴訟法施行法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。稲葉誠一君。
#125
○稲葉(誠)委員 この法案については、昭和四十六年に制定されたわけですかね。そのときに、いままで費用を取っていたもので、取らなかったものが相当ありますね。たとえば証拠の申し出だとか答弁書とかそれから期日の続行とか、いろいろありますね。あれはどういうふうなものがそのときにあって、どういう理由から取らないようになったのですか。
#126
○枇杷田政府委員 現行の民事訴訟費用法の制定前の民事訴訟用印紙法の時代には、各種類の申し立てにつきまして、すべて少額ながら印紙を貼用するという仕組みになっておりました。
 しかしながら、それは非常に煩瑣でもございますので大幅に整理をいたしまして、基本的な申し立ての中で通常考えられるようなものは全部包含をしてしまうことにしよう、そうでないものだけは別途残すことにしようという方針で整理をいたしました。したがいまして、ただいま御指摘ございましたような期日指定の申し立てであるとか証拠の申し出とかいうようなものは、訴訟である以上当然その中に出てくるようなそういう性質の申し立ては、これは一切やめるということにして整理をいたした次第でございます。
#127
○稲葉(誠)委員 その法律は昭和四十六年でしたかね。そうすると、それ以後は約十年間近くずっと変わってないわけですか。そうすれば、ある程度の変わり方というのはやむを得ないというふうに思うのです。
 そこで、ちょっとわかりませんのは、これは訴訟費用等に関する法律という形になっておるのですが、手数料という言葉が使ってありますね。この手数料というのは、これはどういう意味で手数料という言葉を使うわけですか。
#128
○枇杷田政府委員 裁判を行います場合には、広い意味でいろいろな費用がかかるわけでございます。その中には、一つには裁判所側で必要とする費用というものが出てまいります。これをもともと国庫で全部負担すべきものであるかどうかということは一つの問題でございますけれども、各国の法制を見ましても、またわが国の従来からの扱いにいたしましても、ある程度の負担を当事者にしてもらうという仕組みになっておるわけでございます。
 そういう面から申しますと、裁判所でいろいろな手数を要する、その手数に対して一部負担をするという意味で手数料という名前をつけたわけでございまして、そのほか、当事者が法廷に出頭いたしますとかあるいは訴状や答弁書を書く書記料とかいったようなものは手数料ではございませんで、これは普通の費用という概念で呼んでおるわけでございます。
#129
○稲葉(誠)委員 そうすると、各国の法制によって、裁判の場合は手数料というものを全然取らないという法制もあるわけですか。民事ではないでしょうね。恐らく刑事でしょうね。民事の場合は当事者間の訴訟だしするから、刑事の場合に手数料という概念は、これは入らないのが普通の状態ではないのですか。
#130
○枇杷田政府委員 刑事の場合では、ただいま申しましたような意味での手数料というものはございません。ただ、記録の謄本とか閲覧とかという場合には、それの謄写料という形で費用を徴収するということはございますけれども、それは一般的な裁判の手数料という概念には入らないものでございます。
#131
○稲葉(誠)委員 そうすると、約十年間その手数料というものを変えなかった理由というのはどこにあるわけですか。
#132
○枇杷田政府委員 民訴の費用法の中の手数料の観念と申しますのは、ほかの行政手数料と違いまして、いわば実費を徴収するという観念には基づいておらないわけでございます。
 したがいまして、実費が上がったからといって当然に上がるというふうなことではございませんために、ほかの行政手数料のように頻繁に改正をするということがなかったわけでございます。そう申しましても、やはり裁判所でかかります費用の一部を負担してもらうということでございますので、余り経済情勢等が変動いたしますと放置するわけにもいかないということで、今度改正をお願いしておるという次第でございます。
#133
○稲葉(誠)委員 裁判所でかかる費用の一部という話ですね。そうすると、裁判所でかかる費用というのは具体的にはどういうものがあるわけですか。そして、この手数料というのは全体の中のどの程度の割合ということになるわけですか。
#134
○枇杷田政府委員 裁判所でかかります費用と申しますと、全部で申しますと、それは裁判所予算全体に絡む事柄だろうと思いますけれども、金額の主なものは、裁判官、書記官等の人件費なども広い意味では入ろうかと思いますが、直接的な経費といたしますと、いろいろな調書の紙代であるとか文具費であるとか、それからまた法廷の設備費なども入ろうかと思います。
 ただ、費用の一部を負担すると申しましても、それはその費用の何%というふうな観念ではございませんで、ある程度訴訟当事者の負担のことも考えながら、全部は税金で見ないで、やはり私的な紛争の解決のための制度だから一部ということでございますので、何%というふうな考え方で構成しているわけではございません。
#135
○稲葉(誠)委員 それはもちろん何%という考え方で出ているわけじゃないし、普通の場合の印紙の張る額についても、やかましく言えば、合理的な理由があるかないかということになってくると、そう合理的な理由があるというふうにもちょっと考えられないわけですね。
 そこで、今度はいろいろ上がったものの中で考えられるのは、これは初めは一万円ごとにあれしていましたね。それをこの前でしたか五万円にしたわけですね。訴訟の目的が三十万円までの部分というのは、これは簡裁の管轄になるわけですね。そうすると、その三十万円までの部分は据え置いておるわけですか。調停の場合は据え置いておるので、訴訟の場合も据え置いていますね。そうすると、三十五万円から多少上がっていっておる、こういうことになると思いますね。
 そこで、この上がり方の問題で、たとえば非訟事件の申し立ての場合に、訴額が三十五万円のときに一四・八%上がるというのですが、借地の非訟事件のときの訴額というものの――訴額等というのがあるから訴額と言えるのかどうかわかりませんが、これはいまの場合は借地非訟事件というのはほとんど利用度が少ないのじゃないですか。大変細かい書類を要求されて、とても書けるものではないです、あれだけの書類は。だから、結局調停に回したりなんかして、調停でやってしまうということになるわけですね。それから鑑定委員会を設置するといっても、鑑定委員会をやっていると費用が大変かかるからということで、借地の非訟事件というのは非常に利用が少ないというふうに考えられるのですが、現実にどういうふうになっているのか。それからまた、なぜ少ないかという理由。あの書類をつくるのは非常に繁雑ですね。細かくてとても申立書などつくれないですよ。これはどの程度ありますか。
#136
○西山最高裁判所長官代理者 最近の五年間の数字を申し上げてみますと、昭和五十年が五百五十七件、五十一年が五百件、五十二年が六百四十一件、五十三年が六百三十四件、五十四年が六百七十件でございます。数としては非常に少ないように思われますが、その利用の度合いが少ない原因がどこにあるかということは現在つまびらかにしておりません。申し立てがやかましいかどうかということも、実情を把握しておらないのでちょっとわからないわけでございます。
#137
○稲葉(誠)委員 申し立てのやかましいという意味は、ちょっと誤解を招くのですが、そういう意味じゃなくて、いろいろな書類をつくらなければならないわけですね、付属書類を。非常に細かい書類をつくらなければならないために、本来なら借地非訟事件でやるべきものを調停でやってしまうというのが非常に多いわけですね。
 そこで、借地非訟事件もいろいろなものがあるけれども、借地非訟事件の場合の訴額というのはどこから出てくるのですか。
#138
○西山最高裁判所長官代理者 費用法の別表第一の一三の項にございますように、「借地法第八条ノ二第二項の規定による裁判を求めるときは借地権の目的である土地の価額の十分の三に相当する額を、その他の裁判を求めるときは借地権の目的である土地の価額を基礎とし、その額に応じて、次に定めるところにより算出して得た額」を納めるということになっております。
#139
○稲葉(誠)委員 そこで、今度の価額が上がったものの中で、訴え提起のような場合に一番影響を受けるのは、土地や何かの価額が非常に上がっていますから、大体三百万円から前後、四、五百万円までですか、ここら辺の価額が非常に多いのじゃないか、こう思うのですね。その増率が非常に高いように考えられるのですが、これはどうしてこういうふうな二〇%以上の増率という形になっているわけですか。
#140
○枇杷田政府委員 御指摘のとおり、訴えの提起の場合の訴訟物の目的価額が三百万円のものにつきましては、今度のこの改正案によりますと、二六・三%という率になるわけでございますが、これはもともと今度の改正案の趣旨が、この法律の制定当時とは経済事情が違いまして、訴訟物の価額が自然増になっておるわけでございますけれども、それに伴いまして、三十万円までは訴訟物の一%、三十万円から百万円までは〇・七%、百万円以上は〇・五%というふうな刻みをつくっているわけでございますが、その刻みが現在の訴物訟の価額の受件数の分け方としては適当でなくなったというところから改定を考えておる次第でございますけれども、そういたしますと、従来〇・五%であったものが〇・七%になるというふうな状態になりますと、かなりの高率になるわけでございます。
 その結果、ある段階のところで急激に上昇率が上がるというふうなことがございますので、なるべくそういうことはしたくないという考えを私ども持ちましたし、また弁護士会側の方での御意見もそのようでございましたので、従来とは違いまして四段階にいたしまして、〇・八%という率のグループをこしらえたわけでございます。それにいたしましても、二六%というのは中でも一番最高に上がっておるということではございますが、金額的には四千七百円程度の金額でございますので、率は高うございますけれども、この程度ならば許容される範囲ではなかろうかということで、なるべく上がらないように工夫した結果そういうことになったということで御了承いただきたいと思う次第でございます。
#141
○稲葉(誠)委員 この三十五万円というのは、算定不能の場合は三十五万円にしていますね。これはどうして算定不能の場合が三十五万円ということになっているわけですか。これは恐らく簡裁の管轄にするわけにはいかぬというので地裁の管轄にする、地裁の管轄にするのには最低限にしよう、こういうようなことですか。
#142
○枇杷田政府委員 御指摘のとおり、裁判所法で簡易裁判所の事物管轄は三十万円以内になっているわけでございます。一方民事訴訟法の方では、そういう事物管轄をにらんだ上で民事訴訟法の二十二条でしたか価額算定不能のものについては三十万円を超えるものとみなすというふうにしているわけでございますが、それに費用法の方も合わせまして、三十万円を超えれば幾らでもいいということにはなるわけでございますけれども、しかしもともと価額の算定が不可能なものでございますので、なるべくぎりぎりのところに置くということが現行法の考え方でございます。今度の改正案でもその点については手を触れずに置いておるということでございます。
#143
○稲葉(誠)委員 そうすると、境界確定の訴えなんかはいま簡裁へ起こすのが多いわけですね。これは訴額はどういうふうにして算出しているわけですか。
#144
○枇杷田政府委員 境界確定の訴えについての訴訟物の価額の算定は、いろいろな議論があるようでございますけれども、大方とらえております考え方は、その境界について係争の部分というものがあるわけです。たとえば一メートルについて東に寄るか西に寄るかという場合にはその幅の面積というものがあるわけです。その係争物の面積の土地の価額を訴訟物の目的価額ということにして計算をしておるのが大方の扱いのようでございます。そうしますと、そう何十メートルという境界争いというものは余りございませんので、したがって、どちらかというと訴訟物の価額は安くなる。それで簡裁の管轄になるという結果になっているように承知いたしております。
#145
○稲葉(誠)委員 いまあなたの言われたのでは、それは境界確定じゃなくて、結局は所有権確認のことじゃないですか。その係争部分がどちらの所有権にあるかということだから、所有権確認ということになってくるから、だからそれで訴額が出てくるのじゃないですか。それは、境界確定の訴えというのは形成の訴えなんだから所有権確認とは違うわけですね。本来は非訟事件なわけです。だから、そこら辺どうもよくわからないので、裁判官によっては、境界確定の訴えというのは全然境界がわからない場合に認められるのであって、境界がわかってここからここまでが境界だということを主張すること自身は所有権確認の訴えなんだから、これは境界確定の訴えと認めないんだという人もいるわけですね。
 これは最高裁にお聞きした方がいいかと思いますが、一体実際の裁判の中ではこれはどのようになっているのか、また、これはどういうふうにするのが一番正しいのですかね。
#146
○西山最高裁判所長官代理者 ただいま稲葉委員がおっしゃいましたように非常にむずかしい事件でございますし、裁判官によっては、所有権がわかる範囲においては所有権でいけ、所有権が自分の方で証明できなくなった場合に初めて、それでは地番同士の境を決めてもらって、その番地が自分の所有であるという登記になっているから、それに基づいて今度は所有権に基づく妨害排除の請求を起こすという考え方をとっている学説もあるし、実務の扱いもそういうふうになっているものもあるようでございます。そういうふうなことから申しまして、所有権確認の訴えと境界確定の訴えの限界が非常にむずかしいと申しますかあいまいであることは否定できないところであろうかと思われます。
 ただ実情といたしましては、原告の方で所有権の立証が可能であると考える場合には所有権確認の訴えでいく、所有権の確認の立証ができないという見通しの場合には、まず境界を決めてもらって、その上で所有権に基づく妨害排除の請求でいくというやり方になっているのではないかと考えられるわけでございます。
#147
○稲葉(誠)委員 だから、やかましく言うと、請求の趣旨はAとBとの境界を確定してくれということでしょう。請求原因は、Aは自分の土地であると思っている、Bは被告の土地であると主張している、だから境界を裁判所で確定してくれ、こういうことだけの話であって、あとは立証も何もないので、非訟事件では裁判所が職権で全部やるということになるのじゃ、ないですか理屈言うと。そんなことされたら、裁判所は忙しくてどうにもしようがないのじゃないですか。どうなんですか。どうにも弱り切っていますね。だから、簡裁に境界確定の訴えが起きると大抵十年ぐらいかかりますよ。真ん中辺に棒を引っ張って、ここら辺だとか、ああだこうだやっているので。それは答えなくていいですけれども、これはよくわからぬですね。非常にむずかしい、また困った問題ですね。それは非訟事件ということの性質にもよるし、境界確定の訴えをどう見るかということのあれにもよるし、村松さんが書いているけれども、とにかくむずかしくてわからないですな。いろいろなのがありますね。
 それから、たとえば通行権に基づく妨害排除、このごろは非常に多いですね。通行権というのはよくわからぬですね。これの本質は一体何なのですか。その訴額はどういうふうにして算定するのですか。
#148
○西山最高裁判所長官代理者 通行権と申しますのも、その通行の根拠といたしましては、所有権もございますし賃借権もございますし地役権もございます。それぞれの本権が何であるかということによって、どの範囲に通行権を有するかということが決まってまいりまして、そのそれぞれの権利に基づく訴額の算定をしていただくということになっておるわけでございます。
#149
○稲葉(誠)委員 所有権に基づく場合は簡単ですね。賃貸借に基づく場合もわりあいに簡単というか、それで非常にむずかしい何か論文みたいなのがありましたね、ちょっとぼくも忘れましたが。相隣関係ですね。相隣関係のところの条文から言って、妨害排除の請求ができる場合ももちろんあるわけですね。それはいろいろありますけれども。
 そこで、普通の場合は占有に基づく妨害排除ということもあり得ますね。そうすると、占有の場合には訴額はどういうふうになるのですか。
#150
○西山最高裁判所長官代理者 訴額はそれ自体として受訴裁判所がいろいろな要素を考慮して決めるということになるわけでございますが、それを一々受付の段階で裁判官の意向を聞いてから決めていたのでは、事務の進行という点で非常に遅延を来すということでございますので、事務総局の民事局長の事務受付上の一応の指針といたしまして、占有権に基づく引き渡し、明け渡しの請求につきましては、目的たる土地の価格の三分の一という基準を示してございます。これは、一応そういうことで受付の段階で印紙を張ってもらったらどうかということで示してあるわけでございます。
#151
○稲葉(誠)委員 それは、所有権に基づく場合を一とした場合に、たとえば賃貸借の契約解除に基づくような場合には〇・五、こういう形に実際にはしているわけですね。それはわかりますが、いろいろな問題が出てきます。特に三十五万円で――離婚の場合に財産分与の請求をしますね。それから慰謝料も請求する。財産分与と慰謝料は違うわけですが、その場合は算定不能で、財産分与の請求が幾らであっても慰謝料の請求が幾らであっても三十五万円でいいわけですか。
#152
○西山最高裁判所長官代理者 離婚の訴えは非財産権上の訴えでございますので、その訴え自体だけでございますと三十五万円になりますが、民訴費用等に関する法律の四条三項「一の訴えにより財産権上の請求でない請求とその原因である事実から生ずる財産権上の請求とをあわせてするときは、多額である訴訟の目的の価額による。」この規定によりまして、慰謝料の場合に大体三十万円を超えるのが実情ではなかろうか、あるいは財産分与の額も数百万円という金額になるかと思われますので、そういたしますと、その多額である慰謝料の額、財産分与の額を基準にして印紙を張るということになります。
#153
○稲葉(誠)委員 そうですが、それでは質問しない方がよかったな。実際はそうやってないのではないですか。
 そうすると、いまの財産分与や慰謝料というのは請求よりも多く裁判所が判断すれば――裁判所で特に一審の判決よりも控訴の場合によけいに認定しても構わないわけですか、慰謝料なり財産分与は。どういうふうになっているのですか。いいわけですね。最高裁の判例があるように思いましたがね。
#154
○西山最高裁判所長官代理者 弁論主義でございまして、やはり当事者の申し立ての範囲に限られるというふうに考えております。
#155
○稲葉(誠)委員 弁論というのは、離婚ということが弁論の範囲であって、それに伴う付随的なものであるから、それは裁判所が判断すればいいので、当事者の申し立てとは関係なくできるのではないですか。慰謝料と財産分与のあれについてはそう聞いていますが、そうではありませんか。ちょっとおかしいな。
#156
○西山最高裁判所長官代理者 調停等で適当な範囲での分割なり分与を求めるという場合には、いま御指摘のようになろうかと思われますが、訴訟におきまして当事者が自分の欲するところを限定して申し立ててくる場合には、先ほど弁論主義と申しましたが、もっと正確に申しますれば当事者主義といいますか処分権主義のたてまえとして、その範囲に限られるということになろうかと思われます。
#157
○稲葉(誠)委員 そうすると、申し立てるときに甲と乙と離婚する、それから子供のあれを決める、そのほかに財産分与なら財産分与、慰謝料の額を特定して請求の趣旨を出さなければいけませんか。そうではなくて、本訴の場合は相当額でもいいのではないのですか。いけませんか。それはどういうふうになっているのですか。
#158
○西山最高裁判所長官代理者 やはり裁判の申し立てでございますので金額を明示することが要求されるのではなかろうかというふうに思われます。
#159
○稲葉(誠)委員 調停の場合はそうじゃないですね。調停のときは家庭裁判だから、印紙は同じだから構わないのかな。調停のときはいいわけでしょう。金額は五百円と三百円と両方ありますけれども、張っておけばいいわけですね。私のいままで聞いているのとちょっと違うような気もするな。裁判所の裁量行為みたいなもので直せるのじゃないですか。そういう判例が出ているような気がしたがな。
#160
○西山最高裁判所長官代理者 調停の場合には、いま委員が御指摘になりましたように、相当額の分与というふうな申し立てでも適法であるということでございますので、特に印紙としては余分に張ることはないということになるわけでございます。
 それから、先ほどの御説明でちょっと一部誤りがございましたので訂正させていただきますが、離婚の訴えと慰謝料を併合いたしました場合には、その慰謝料の金額によって訴額を算定するということになりますが、財産分与の関係におきましては、最高裁の判例としては、この別表の一五の項の手数料の額を加えるということになっておるわけでございます。
#161
○稲葉(誠)委員 後で研究しますからいいです。
 そこで、この全体を見まして率直にいうと、私どもの感じでちょっと安いのでないかというと語弊があるのですが、そう考えられますが、いま仮処分でも仮差押えでも五百円ですね。今度は千五百円ですか。これは率直にいうと安いという感じを受けるのですが、これはもっと高くしてもいいのだと思います。ということは、仮差押えの場合は別ですが、仮処分の場合には訴額に関係するわけでもないし、そのことで本訴を提起しないで解決をしてしまうというのが現実には非常に多いわけです。そういう関係からいって、五百円のものを今度は千五百円にするというのでなくて、これは無理に上げなくてもいいのですよ、一つの意見としてお聞き願いたいのですが、これは少しくほかとの間、実際の実務との間では均衡を失しているのではないか。これはもっと上げても常識的に考えられるんじゃないのですか。
#162
○枇杷田政府委員 御指摘の点は私どもも問題意識を持っておるわけでございます。
 ただ、単純に三倍にいたしましたのは、従来からの懸案についてうまい解決策が見出せなかったというところが理由であるわけでございますが、保全処分につきましても、簡単な仮差押えから仮の地位を定める仮処分のようないろいろなものがございまして、それによって難易軽重いろいろあるわけでございます。それをある程度分類いたしますと、それなりの合理的な金額を定めることができようかとも思うのでありますけれども、しかし、なかなかその形態としてつかまえるのがつかまえにくいということが一つでございます。
 それからもう一つ、いわば訴訟物の目的価額というようなものに準じまして、債権額とかその他によって累進的にやるというのはどうだろうかということも、四十六年のこの法律制定当時にも内部的には議論したわけでございます。その場合でも、ただいま申しましたように、いろいろな形態があるものを一律にそうやっていいだろうかということが一つの問題点であったと同時に、もう一つは、保全処分の場合に、その訴訟物の価額みたいなものの算定がどうだということが受付段階でいろいろ問題になりやすいだろう。そうなりますと、緊急を要するものの申し立てについて、そこで時間がとられてしまうということは困るというふうな御意見もございました。
 そういうことから四十六年当時にも、従来の印紙法当時の形のものを踏襲いたしまして定額にしたわけでございます。しかし問題は残っておるわけでございますので、将来の研究課題としてはもちろん研究しなければならぬことだろうと思いますけれども、ただ、なかなかかうまい類型化ができないという技術的なところが一番の隘路になるような気がしておる次第でございます。
#163
○稲葉(誠)委員 確かにその点はありますね。ただ、簡単な仮差押えというのは余りないのではないか。五百円のときから安いと思っていたのですよ。五百円は安いのじゃないかとみんなでよく話していたことがある。今度千五百円というのも、率直にいうと安いのじゃないかという感じを受けますね。まあしかし、せっかくですからこれでいいのですけれどもね。無理に上げろということを言うわけではありません。
 そこで、もう一つの問題はこれがありますね。和解の申し立て、これが五百円ですね。これはもとは小作の調停はただかな。百円、五百円でしたね。これも率直にいうと安いのじゃないですか。しかもこれは非常に悪用されておりますね。やり方が変わってきましたけれどもね。やり方は変わってきたが、行ってその日にすぐやるということはしないで、後から呼び出しをして十分確かめるということをしていますけれども、これもまず第一の問題としては即決和解で、これが高利貸しや何かに非常に悪用されておるという事実ですね。それから紛争があって初めて和解なのに、紛争もないのに和解を申し立てるわけですね。これは公正証書をつくるよりこっちの方が安いからというのでよくやるのです。このごろ裁判所もそれがだんだんわかってきたというか受け付けなくなってきましたけれどもね。そういう点の問題点があるのです。
 ですから、乱用というか危険の防止策と、それから一律五百円というのは金額的に少しく問題ではなかろうかと思うのですね。そこら辺はどうですか。
    〔山崎(武)委員長代理退席、中村(靖)委員
     長代理着席〕
#164
○枇杷田政府委員 御指摘のとおり、和解の関係につきましては実態はいろいろな要素が含まれておると思いますけれども、ただ、たてまえといたしますと、当事者が簡易に裁判所に申し立てて、そこで即時和解の勧告を受けて和解するというたてまえでございますので、そのような簡易な紛争解決手段というものはなるべく低額に抑えるべきではないかというたてまえ論があるわけでございます。
 そういう線に沿ってやっておるわけでございまして、実質的におかしいというものは、運用の問題としてその実質について配慮されるべきであるかとは思いますけれども、手数料の方ではそういう本来の姿に準拠して定額で考えておる次第でございます。
#165
○稲葉(誠)委員 これは紛争があるということが前提でしょう。しかし、紛争は実際にはないんだけれども、建物、住居、土地、家屋の明け渡しなんかのときにこれをいまでも盛んにやっているんじゃないですか。家を貸すときに、初めから即決和解の申し立てをしてやっていくという行き方をとっておるんじゃないですか。これに対して裁判所は、これは紛争がないんだ、裁判所を利用しているんだということで受付でこれを拒むことができるんですか、できないんですか。
#166
○西山最高裁判所長官代理者 ただいま仰せになりましたように、紛争性のない即決和解が乱用されては困るというふうなことは私どもの方でも重々承知いたしておりまして、簡易裁判所の判事の会同等におきましては、常々そういうことがないようにということで協議問題として検討していただいておるわけでございます。
 したがいまして、最近ではそういう非難を受けるようなことが非常に少なくなってきているのではなかろうかと考えておりますけれども、何分確認の方法として結局は当事者に尋ねてみることしか方法がないという場合もございますので、債務者の方でなれ合いでやってくるような場合には、そういう点が抜けてしまうというのも否定できない点でございます。
#167
○稲葉(誠)委員 そうすると、公証役場の手数料というのか報酬は現在はどういうふうになっているんですか。
 これは法務省の民事局で管轄しているんですけれども、場合によると非常に高いという話もずいぶん聞くんですね。それだからこの和解をやろうというふうに考えられてくるんだと思うのですが、それはいまの問題じゃないからいいですけれども、大分違うんですか。たとえば百万円なら百万円ということで即決和解がある場合と公正証書で執行文を付与してもらうという場合を比べると、ずいぶん違いますか。
#168
○枇杷田政府委員 即決和解にしないで公証役場で公正証書ということになりますと、現在の公証人手数料規則によりますと、法律行為について二百万円までが三千円ということになっております。五百円と三千円を比べますと六倍になるわけでございます。
#169
○稲葉(誠)委員 いまはやっているのは、今度執行法が十月一日から施行になると、配当要求が普通の債権ではできないわけですね。そこで公正証書ならば債務名義になるというので、公証役場へ行って内容は虚偽の債権をどんどんつくる、これを持っていって配当要求するというのがだんだん出てきているようです。
 執行官に話を聞いてみたら、明らかにどうもおかしい、内容的に公正証書の金銭の貸し付けは虚偽ではないかと思うものが入っているというふうなことを言っていましたけれども、公正証書になぜ金銭の場合だけ債務名義を付するのか。これはあなたの管轄じゃなくて民事局の管轄ですけれども、この辺もああいうふうに安易に債務名義というのか執行文をつけていいのかどうか。家の明け渡しの場合にはつけませんね。だから、これもどうも現実に悪用されているような感じがしてしようがないのです。これはまあ、あなたの方の管轄でありませんから聞きませんけれども。
 そこでこの問題で、たとえば反訴の場合はいまでも無料ですね、印紙を張らないわけでしょう。これは張るんでしたか、どうでしたか、ぼくは張ってないけど。
#170
○枇杷田政府委員 反訴の場合には別表第一の第六項に規定がございまして、これは原則としてはその反訴の訴訟の目的の価額に応じて手数料を納めることになります。
 しかし、ただし書きがございまして、本訴と全くうらはらになるような同じものの場合には、その本訴の方で払っている分は差し引く、そういうふうな規定になっておるわけでございまして、実際上はこのただし書きの規定が適用される場合が多かろうと思いますので、張らないで済むということも多かろうと思いますけれども、原則としては反訴は反訴として取るんだというたてまえになっておる次第でございます。
#171
○稲葉(誠)委員 反訴であっても請求金額が原告の請求よりよけいになればこれは別ですけれども、普通同じようなことでやるから、そういうような場合には張らないんだ、こういうふうに思うのです。
 そこで、民事の場合の記録ですね。記録の謄写の請求を代理人がやることはできるのでしょう。そうすると、それは書記官がたとえば証人調書なら証人調書というものを謄写してというかリコピーをつくって謄本として交付する、こういうことになるわけですね。これは今度は一件につき百五十円になるというのですか、ページ数によるのですか。
#172
○枇杷田政府委員 記録の閲覧、謄写の関係につきましては、事件が係属中に当事者が請求するものは無料でございます。
 確定後の場合には、今度は一件について百五十円ということになるわけでございますが、そのほかに、自分が謄写するのではなくて記録を保管する裁判所の方から正本、謄本、抄本の交付を受ける場合には、用紙一枚について現行法では五十円、改正案では百五十円ということになっておるわけでございます。
#173
○稲葉(誠)委員 ただ、現実に係属中の記録、証人調書なら証人調書の謄本を請求するということになると、その謄本を書記官がつくらなければなりません。だから非常にいやがるわけですよ。いやがって、代理人の方の評判が悪くなるもので、実際にはこれはやられてないんじゃないですか。書記官がめんどうくさい、そんなことはしないでくださいよというんで、実際はやってないわけですよ。だけど法律的にはできるわけで、これをもっと活用すれば裁判所は物すごく忙しくなってかなわないんじゃないか、こういうふうに思いますが、これは実際には余り行われていないということだと思います。
 そうすると、民事の確定記録の謄写というのは一件につき百五十円ですか。ちょっと意味がはっきりしないのですが、これは別表第二(第七条関係)になるのですか。片一方の「記録の正本、謄本又は抄本の交付」については「一枚につき百五十円」、この「一件につき百五十円」というのは何ですか。
#174
○枇杷田政府委員 この一件というのは、記録が二冊、三冊になっている場合もあろうかと思いますが、事件単位で考えまして一件でございまして、そしてそれは書いてございませんけれども解釈上一回ということでございます。したがいまして、閲覧と同じようなことで記録を借り出しましてそこで自分が書く、あるいは実際上は謄写屋さんというようなことがあるかもしれませんが、それが一機会に一つの事件についてという意味であると思っております。
#175
○稲葉(誠)委員 意味であると思っているんだといったって、これははっきりさせておかないとごたごたが起きるのじゃないかな。
 そうすると、よく記録閲覧室へ行って記録を見ますね。東京高裁なら三階にありますね。あそこへ行って記録を借りて見るのですね。一回借りるのに百五十円取られるのですか。おかしいな。刑事の場合はただじゃないですか。
#176
○枇杷田政府委員 刑事はただでございます。民事だけは現行では五十円ということになりますが、民事のは刑事ほどはそういうことが余りない、刑事よりは少ないだろうと思います。
#177
○稲葉(誠)委員 いやいや、代理人が記録を閲覧し記録を謄写するのについて、謄写という意味がはっきりしないけれども、それで一件に今度は百五十円取るのですか、民事の場合に。
#178
○枇杷田政府委員 係属中の事件の記録については無料でございます。
#179
○稲葉(誠)委員 だから係属中の事件については本人または代理人の場合にはただである。それから七条は確定した場合の記録のことですか、その場合には一件につき百五十円取る。じゃ、裁判所の方へ謄写を全部してくれという請求はできないのですか、確定記録の場合には。
#180
○枇杷田政府委員 確定記録につきましても閲覧、謄写もできますし、それから記録の謄本、抄本の請求もできるということになっておるわけでございます。
#181
○稲葉(誠)委員 わかりました。
 それで、この提案の理由を見ますと「最近における経済情勢の変化等にかんがみ、」ということですね。「等」というのが入っておるわけですね。それから「民事事件、刑事事件等」と、これもここに「等」が入っているし、「手数料の額を改定する等の必要がある。」こういうふうに入っているのですが、この「等」というのが三つありますが、これはどういうふうなことを言っているわけですか。
#182
○枇杷田政府委員 まず最初の「経済情勢の変化等」という「等」の中には、民事執行法の制定に伴うという要素がございますので、この「等」にはそういう意味が含まれております。それからその次に「民事事件、刑事事件等」と申しますのは、行政事件とか家事事件とかに関する手数料についても改定をいたしておりますので、それを合わせて「等」ということで表現しておるわけでございます。それからその次に「手数料の額を改定する等」というのは、一つには還付、手数料の額ではなくて、手数料の還付の場合の規定の改正もいたしておりますので、これは第九条関係でございますが、そのようなものも含めまして「等」という表現をいたしておる次第でございます。
#183
○稲葉(誠)委員 その手数料の還付というのは実際にあるのですか。私もそういうのは初めて知ったのだけれども、そういうのを請求したこともないし、実際に行われていますか。
#184
○西山最高裁判所長官代理者 実際にもあると思われますけれども、件数としては私どもの方で把握いたしてはおりません。
#185
○稲葉(誠)委員 それはどういう趣旨からそういうふうな手数料の還付というのが行われることになっているのですか。これは訴状が送達されて第一回の口頭弁論が開かれるまでに取り下げた場合が主ですか、ちょっとよくわかりませんが。何もそんなので手数料を返す必要はないのじゃないですか。
#186
○枇杷田政府委員 これは訴えの訴状に張った印紙で申しますと、第一回の口頭弁論期日が終了する前に取り下げになりました場合には返すということでございまして、それはおっしゃるとおり、その辺までしなくてはならぬことはあるまいという御意見もあろうかと思います。ただ、これは一応この手数料の額の定めが審級ごとに判決がなされるというまでの手数を考えて手数料を定めたものであるから、その入り口のところで終わってしまうような場合には、これはやはり返さないと少しもらい過ぎになるのじゃないかという、少し芸が細かいのかもしれませんけれども、そういう考え方でできておるわけでございます。
 私、ドイツ法のことをよく知りませんけれども、判決をもらうための手数料なんだという観念がドイツ法なんかにはあるようでございますので、だから、そこにいく前の裁判所としてはほとんど手間がかからない段階で終わったときにはやはり返すべきだという観念があるのじゃないかと思います。
#187
○稲葉(誠)委員 ただ、いまの場合でも、訴状が送達されてから取り下げるという場合には恐らく、送達されたから相手が払うなら払ったりして目的を達した、だから取り下げるという場合が多いので、送達されない前に取り下げるのはどういう理由かよくわかりませんが、これも恐らく、訴えを起こしたことがどこかからわかって話がついたということで原告としてはその利益を達した、こういうことの場合が多いのじゃないですか。だから、こういう制度をわざわざ設ける必要もないのじゃないか、こういうふうに私は思いますけれどもね。ほとんど知らないのじゃないですか、これは。調停の場合は知っています、調停の場合は、その調停費用、二週間以内に証明書をもらえばそれは利用できるというのは知っているけれども、いまの制度はどうも初めて聞いたのですが。
 いまあなたからドイツ法の話がありましたね。ドイツ法は弁護士費用は訴訟費用に入るわけですね、負担するわけですね。そうすると、日本の場合でも、このごろ交通事故の場合その他の場合に、弁護士費用を負担させられるということがありますね。その理論的根拠がどうもよくわからぬですね。はっきりしないですね。不当抗争説だとかなんとか、いろいろな説がありますけれども。そして、それが今度は和解になるときだと弁護士費用というのは入らなくなっちゃうのですね。それなら和解しない方が得だということになって、判決をもらった方が得だということになるんだけれども、裁判所はもうとにかく判決しないでくれ、和解してくれ和解してくれと盛んに粘る。和解の好きな判事がいて、ぼくらの自宅まで電話をかけてきて、和解してくれ和解してくれとしつこく言いますよ。トイレにいるのまで追っかけてきて、和解してくれ和解してくれと言うのがいるんだよ、本当に。これは判決すると高裁で判決を見られるからね、控訴するから。高裁で判決見られるとすぐわかっちゃうから、事実摘示なんかめちゃくちゃに直されている判事がいてあれでしたけれども。
 だから、いまの弁護士費用の問題については、現在ではそれは訴訟費用に入らないわけですね。入らないんだけれども、実際には部分的に入っているというような形でしょう。そこら辺のところが理由的にもはっきりしないのと、それから何だか統一してないですね。日本の場合は入らないのが原則なんでしょう。交通事故とかその他の場合に特別な場合に入る。交通事故だけでなくて、このごろはほかの損害賠償その他の場合にも、裁判所によっては入れていますね。スモンの場合なんかも入れていますね。まあ入れてもいいのですけれどもね。そこら辺のところはどういう理由づけなんですか。
#188
○枇杷田政府委員 現在、おっしゃるとおり、弁護士費用が訴訟費用の中にははっきり入っておらないわけでございます。不法行為等の場合に弁護士費用が要するに損害賠償額の中に織り込まれて支払いが命ぜられるということはあるようでございますけれども、それは、あくまでも訴訟費用というたてまえではなくて不法行為なら不法行為による相当因果関係の中に属する損害額ということで考えられているように思います。
 これが判例上これからどういうふうに広がっていくのかあるいは固まっていくのかということは私どもよくわかりませんけれども、規定の上では、御承知のとおり商法の二百六十八条ノ二でしたか、株主が会社の利益のために訴えを起こした場合には特に請求できるというふうな規定が設けられておりますので、あるいは実定法的に必要な場合にはある一つの類型をつかまえながら弁護士費用を請求できるような制度もこれから考えられていくのかもしれませんが、ただ、わが国の場合にそれを真正面から訴訟費用の中に入れて、そして当然に取れるんだということにするためにはいろいろな条件が具備いたしませんと実行ができないのではないかと思います。
 もちろん、これは何も弁護士強制主義と伴うものではございませんけれども、ドイツなどでは弁護士強制主義と伴って訴訟費用化いたしておるわけでございます。それでもし弁護士強制と伴わない場合には、弁護士をつけた方が得なのかつけない方が得なのかというふうな、いわば当事者の選択によって相手方が大分違うということになってしまうのも不合理な面もございます。一方、強制主義を伴いますと、今度は弁護士の報酬のいわば規格化といいますかそういうものがどうしても伴ってくることになりますので、それが現在の日本の弁護士の報酬の取り方の実態にかなり影響を及ぼすことになりますので、一挙にはいかないというふうなこともございます。
 したがいまして一方では、少し逸脱した答弁かもしれませんけれども、そういう弁護士費用について何か保険制度というものが考えられないかというようなことも弁護士会の方では研究をいたしておるようでございますので、いろいろな角度から煮詰めていかないと、日本の現在の状況からしてにわかにどの制度がいいということの結論はなかなか導き出せないのではないかと思っております。
#189
○稲葉(誠)委員 私もそういうふうに思います。ドイツの場合は強制主義だしあれですから違いますけれども、一般の人は常識的には弁護士に払った費用も相手方から取れるんだという考え方を持っている人も相当おりますね。
 それから、訴状が来たときに訴訟費用は被告の負担とすと書いてありますね。訴訟費用は何であるかということは一般の人はわかりませんから、自分の方でかかるいろいろな費用が全部取られるのじゃないかというふうに考えるわけですね。原告側の弁護士の費用まで取られるのじゃないかというふうに考えられるわけなんです。ただその場合、和解の場合は弁護士費用というのは入らないのですね。裁判所は省くのですね。あれはどういう理論的なあれからきているのですか。これはどうもよくわからぬのですがどうなんですか。
#190
○西山最高裁判所長官代理者 どういう事件について弁護士費用が和解条項の中に入っていて、あるいはどういう事件で落ちているかというふうな細かいことはちょっと明確にし得ないのが残念でございますけれども、やはりそこが和解というもののあらわれではないかというふうにも考えるわけでございます。
#191
○稲葉(誠)委員 だけど、薬害訴訟の場合なんかははっきり入っているでしょう。スモンの場合でも弁護士費用というものはちゃんと和解の中に入っているわけですね。東京地裁の可部さんのあれでも全部入っているわけですね。
 ところが交通事故になってくると入らないのですよ。どういうわけか入らなくなっちゃうのですね。だから額が減っちゃうでしょう。そこからまた弁護士が報酬を取るから、本人のもらう分が減っちゃうわけですね。そうすると、判決をやった方が得になるわけですよ。ことに任意保険なんかある場合は得なわけです、ずっと取れますからね。
 だけど裁判所はとにかく判決しないでくれ、和解してくれ和解してくれと言う。裁判所というのはあんなに判決書くのはいやなのですかな。こんなことを聞いては悪いけれども、どういうわけか書くのをいやがる。そして結審してから大体一年、二年、書かない人がありますね。ぼくらが聞いた例では、結審したんだけれども、何か外国へ留学を命ぜられて帰ってきてから判決を書いたなんという人もいるくらいで、非常に判決を書くのをいやがる。それは忙しい点もあるのですね。非常に忙し過ぎるのと、民事の判決が非常にむずかしいというか、いまのような事実の摘示なり何なりが非常にむずかしい複雑な書き方だから、簡素化すればもっと書きいいのかもわからぬけれども。
 一番簡単なのは、原告の訴状と被告の答弁書と準備書面と証拠の申し出書、みんなリコピーをくっつけて、そして理由のところに以上のあれをよって判断すると原告の主張は認めがたい。それで三行か四行で判決した人がいるわけです、原告の請求を棄却するのが一番簡単だから。いまはそういう人はいなくなったかな。それで何か最高裁から大分怒られたとかという話もある。訴状から答弁書から準備書面から全部リコピーをつけて、以下添付の訴状、答弁書、準備書面のとおりという事実摘示をした豪傑の人がいたのですが、いまそれはやっていないでしょう。それはいいですけれども。
 そこで、いま言ったいわゆる訴訟費用の確定決定があるでしょう。これはとにかく大変めんどうくさいんで、訴訟費用は被告の負担とすといったところで、訴訟費用の確定決定をやって訴訟費用まで取るというのはよほど熱心な人か、よほど執念深い人か、よほど暇な人かどっちか知らぬけれども、これはほとんどないのじゃないでしょうか、どうですか。
#192
○西山最高裁判所長官代理者 ただいま仰せられましたとおり、訴訟費用額確定決定というのは非常に手間もかかりますし計算も繁雑であるというのが実情でございまして、付随する手続の割りには非常に手間のかかる事件であるということは偽らないところだろうと思います。
 しかしながら、またその申し立ての件数がどのくらいあるかと申しますと、これも年間の既済件数に比べますと非常に少ないというのが実情でございまして、たとえば昭和五十三年でございますと、額の確定を求める申し立てと負担及び額の確定を求める申し立て、この二種類ございますが、それを合わせましても全国の地方裁判所、簡易裁判所で四百七十件というのが実情でございます。
#193
○稲葉(誠)委員 私はもっと少ないと思っていたのですが、そんなにありますかね。
 そうすると、その計算をするのは紙一枚一枚計算しなければならないのでしょう、一枚幾らというんだから。とてもそんなことはできるものじゃないから、適当に書いて訴訟費用額の確定決定を申請していけば、後は裁判所で一枚一枚計算してやってくれるのですか。それが合っているか合ってないか裁判所で調べなければならないでしょう。だから、いいかげんに書くというとおかしいけれども適当に書いて出して、後は裁判所で細かくやってもらう、実際はこういうことでもいいんですか、どうなんですか。
#194
○西山最高裁判所長官代理者 実情といたしましては、申立人の方から自分のかかったものはこれこれであるということの明細を出してまいります。それを相手方の方に送りまして異議がある点ない点を確定して、その異議のない点については恐らくそのままに認めることになるかと思いますが、異議ある点については裁判所の方で一々記録に当たって計算をすることになるわけです。しかし、異議がない場合でも裁判所の方でおかしいという場合には、その点についてもチェックはできるものと考えておるわけでございます。
#195
○稲葉(誠)委員 これは四百何件あると言われましたけれども、私は実際にはそんなにないように思っておったのですが、それは弁護士さんによってやる人がいるのですよ。それは権利に忠実だからやる人がいますけれども、ほとんどやらない場合が多いように思いますね。非常にめんどうくさいからというふうに考えるわけです。
 そこで、今度の場合のこの民事訴訟費用それから刑事訴訟の施行法の一部を改正する法律案で、これが成立する場合と成立しない場合というか、現在の段階でこれは全体を合わせて幾らぐらいの金が入ってきているわけですか。それから、この法律が成立することによって幾らぐらいふえるということになるのですか。
#196
○西山最高裁判所長官代理者 五十三年度の事件をもとにして考えました場合には、五十三年度の印紙収入の総額は四十五億六千九百六十六万円でございますが、この改正を織り込んだ場合の増収見込み額は約八億九千万ということに予想しております。
#197
○稲葉(誠)委員 その内訳も恐らくあるのでしょうけれども、それはいいです。
 そこでお聞きしたいのは、家事調停の場合は「家事審判法第九条第一項乙類に掲げる事項についての審判又は同法第十七条に規定する事件についての調停の申立て」これが三百円が九百円になっているだけですね。ほかは変わらないわけですね。そうすると、家事審判法の場合に甲と乙とあるわけですけれども、まず三百円と五百円とに分けた理由ですね。いま五百円の場合と三百円の場合と両方ありますね。この理由と、それから、なぜ三百円が九百円になっているわけですか。
#198
○枇杷田政府委員 現在は、乙類と調停が三百円で甲類は二百円になっているかと思いますが、これは、やはり事件の手間と申しますか、そういうものに差があるということからそのように分けてあるわけでございます。
 そのいずれも改正案では三倍でございまして、乙類については九百円、甲類については六百円ということに考えておるわけでございますが、その三倍と申しますのは、定額で決められておりますものにつきましては、今度の改正案では原則として三倍という線をとった結果でございます。三倍にいたしましたのは、この現行法が制定されました四十五、六年当時の経済事情とそれから現時点での経済事情、これは賃金だとかあるいは消費者物価とかその他の関係が約三倍に上がっておるというところから三倍にいたした次第でございます。
#199
○稲葉(誠)委員 そうすると、甲類、乙類、ちょっとあれですが、三百円のものが全部九百円になり、五百円のものが全部千五百円になったわけですか。ちょっとよくわからないのだけれども、そうすると一五は何ですか、九百円というのは。
#200
○枇杷田政府委員 乙類の関係は別表一の一五の項に規定がございまして、それから甲類の方は一六の項に規定があるわけでございます。一六の項は公示催告の申し立て等いろんなものが一緒に考えられておるわけでございまして、裁判所の手間としては同じような形で同じような手間がかかるというものをここにまとめておるということで分けてあるわけでございまして、家事の関係での五百円というのはないと思います。
#201
○稲葉(誠)委員 いや、いま家事審判法で甲と乙の中で五百円の印紙を張るのと三百円の印紙を張るのとあるわけでしょう。そうじゃないですか。そういうはずですよ。五百円張るのと三百円張るのとあるのじゃないですか。全部三百円ですか。
#202
○枇杷田政府委員 三百円と二百円でございます。甲類が二百円で乙類が三百円ということでございます。
#203
○稲葉(誠)委員 私勘違いしていました。これは家事調停の場合などは特に上げなくてもいいのじゃないのですか。昔小作調停法というのがありましたね。あれはただでしたね。印紙を張らなかったですね。だから家事調停の場合なんか、わずかなものだといえばわずかですけれども、これはむしろ無料にしたってどうということないのじゃないか、こう思うのです。
 それから、いまの一五の「家事審判法第九条第一項乙類に掲げる事項についての審判」というのは何を言っているわけですか。それから「同法第十七条に規定する事件についての調停の申立て」というのは大体主に何ですか。
#204
○枇杷田政府委員 九条の乙類の関係は一号から十号まで分かれておりますけれども、夫婦間の協力扶助に関する処分だとか、共有財産の分割の関係であるとか、婚姻費用の分担の関係であるとかというようなことで十項目ほど規定されておるところでございます。
#205
○稲葉(誠)委員 わかりました。
 そうすると、二百円と三百円で、二百円の方は調停に親しむものというわけですか。三百円の方は審判に親しむもの、こういう形になっているわけでしたか。ちょっと私忘れましたが、どういう分け方でしたか。
#206
○枇杷田政府委員 甲類の方は調停ではなくて、むしろ裁判所の後見的な役割りを果たすようなものが甲類でございます。乙類の方が調停になじむというようなものであろうかと思います。
#207
○稲葉(誠)委員 そうすると、甲の方がいまは安いのですか。
#208
○枇杷田政府委員 甲の方が二百円で安いわけでございます。
#209
○稲葉(誠)委員 わかりました。私は五百円というような感じがしていた、家事審判で。私もちょっと研究してみます。何かこの前五百円したような気がしたな。ぼくが行ったのじゃないけれども、事務員に行ってもらったときに。わかりました。私の勘違いかもわかりません。
 そこで、刑事訴訟法施行法では改正案の第十一条で「新法第五十三条第四項の規定による訴訟記録閲覧の手数料は、当分の間、一件につき一回百五十円とする。」と書いてありますね。「一件につき一回」。「当分の間」が入っているのだけれども。これは民事の方はさっき言ったようにただ「一件につき百五十円」だけ。書き方はどうなっているのですか。
#210
○枇杷田政府委員 御指摘のとおり民事の方では「一件につき」という規定でございますが、先ほど申しましたように解釈としては一件について一回という、結果が同じように解釈いたしております。
#211
○稲葉(誠)委員 へ理屈言うわけじゃないけれども、結果は同じかどうかかわからないけれども、刑事訴訟法の施行法でこういうふうに書いてあるならば、これははっきり民事訴訟の費用法の中にも書かないと、後で議論が出てくるんじゃないですか。これは解釈だといったって、これは勝手な解釈だということになってくるんじゃないの。立法技術上これと両方合わせないとおかしいんじゃないですか。
#212
○枇杷田政府委員 厳密な意味では表現は同じ方が適当かと思いますけれども、従来から民事の関係につきましてはそれで問題なく来ておるものですから、このままになっておるわけでございますので、また次の改正の機会などには両方合わせるように検討する余地もあろうかと思います。
#213
○稲葉(誠)委員 いずれにしても、この法律については四十六年からそのままの状態で変わってないということですから、実際はこれは値上げなものですから反対はしたいのですけれども、質問はこの程度で終わりにしたいと思いますが、施行は今度は十月一日からですね。
 これは全部民事執行法と合わせたわけですか。多少のあれは必要かもわからぬけれども、何も民事執行法と施行期日まで合わせなければならぬ理由はないんじゃないですか。条文上どうしても十月一日にしなければいけないあれがあるわけですか。十月一日というとちょうど半年の切れ目であれだからそこになるのかな。これはどういうことですか。
#214
○枇杷田政府委員 技術的には工夫をこらしますれば別の期日ということも不可能ではないかと思いますが、ただ、いろいろな申し立てが新しい民事執行法の規定にのっとった申し立てに改めているわけでございます。その点で、やはり十月一日に合わせませんと、何段階かの法律が必要になるということが一つございます。
 それからもう一つは、強制執行の関係まあ強制競売の関係でございますけれども、新しい民事執行法が施行されますと、これが内容的に大分違ってまいりまして、いわば競売が合理化されるということが民事執行法の中で盛られておるわけであります。そのために裁判所側の方の手間もかなり違ってまいります。その機会に、そういう内容を織り込んで、従来からほかのものと比べて不均衡であるというふうに指摘されておりましたところを、一挙にほかのものとは違った率で上げたいという案が盛り込まれておりますために、十月一日からの施行にするのが適当であるということで、この原案のような施行期日にした次第でございます。
#215
○稲葉(誠)委員 そこで、訴訟救助と法律扶助、この二つの制度がありますね。法律扶助の方は日弁連が中心でやっている、訴訟救助は裁判所でやるわけですが、このごろはどうなんですか、法律扶助の方はふえて実際の訴訟救助というのは減っているのですか、どういう状況にありますか。
#216
○西山最高裁判所長官代理者 法律扶助の関係はちょっと存じませんが、訴訟救助の関係でございますと、大体年間にして千二百件程度が申し立てられているという実情でございます。
#217
○稲葉(誠)委員 そうすると、千二百件ぐらい申し立てられている、それはどうやって判断しているわけですか。判断するときに、受付だけでなくて主任裁判官か何かのところへ行って判断するのですか。これはどういうふうにしてやっていますか。現実には千二百件ぐらい申し立てられたものがほとんど勝訴になっておるわけですか。勝訴になって、これは後から回収されているわけですか。どういうふうになっていますか。
#218
○西山最高裁判所長官代理者 訴訟救助の申し立てももちろん裁判の申し立てでございますので、受付だけでは処理できませんで裁判官の方に回すことになっております。
 裁判官の方で救助の要件があるかどうかということでございますが、救助の要件といたしましては、自分の生活を害することなくして訴訟費用を出すことができないもの、要するに、訴訟費用を出せば自分とその家族の生活に困窮を来すものであるかどうかという点と、それから本案の訴訟について勝訴の見込みがないわけではないというもの、その二つの点の審査をいたすわけでございますので、当然裁判官の方で審査をするということになります。
 そういたしまして、これは先ほど申しました千二百件程度の中のどの程度のものが認容されるかということは、直接の統計はございませんが、私どもの方でとっております既済事件の統計表の中から、その年に既済になった事件の中で訴訟救助を受けている事件がどのくらいあるかという件数を見てみますと、大体平均して五百数十件のものがその中に含まれておるということになっております。そういたしますと、申し立てが仮に千二百件ぐらいあるところで既済事件の中に毎年五百件程度の救助事件があるということになりますと、件数におきまして半分弱が訴訟救助を付与されているということになっているのではなかろうかというふうに思われます。
 ただ訴訟救助の関係は、ただいま申し上げました五百数十件というのが何人で申し立ててきましても一件は一件として勘定しているという実情にございますので、たとえば交通事故などでは被害者と家族というふうになりますと、三名なり四名なりという数になります。それから公害事件等でございますと、一件の申し立てがありますと、一番大きいものでは四千人からの者がその一件の中に含まれているということがございます。そういたしますと、救助を受けている人数の点では、先ほど申しました数の数倍あるいは数十倍になるという結果になろうかというふうに考えております。
#219
○稲葉(誠)委員 私が聞きたいのは、訴訟救助を申請して訴訟救助が認容されるのは、認容は決定でするのですか、決定でするんでしょうね。そうすると、それがどの程度の割合になるのか。七割か八割ぐらいが認容されるのかと思うのですが、これはいいですけれどもね。
 それは同時に、その決定した裁判官は本訴にはタッチできないわけですか。前審関与か何かになるのですか。それはどうなんですか。ならないのですか。
#220
○西山最高裁判所長官代理者 前審関与にはならないわけでございます。
#221
○稲葉(誠)委員 そこで訴訟救助で、判決で勝って取れた場合に、後からその部分については救助を受けた人から取り返すわけですか。取り返すという言葉は悪いけれども、あれするわけですね、訴訟救助の場合でも勝訴の判決があった場合ね。だから、そういうのは現実にはどういうふうに行われているんですかね。別にわからなければいいですよ。
#222
○西山最高裁判所長官代理者 二つの面があるかと思いますが、まず、救助を受けました者が負けた場合とかそれから資力があることがわかってきたというふうな点がございます。そういう場合には扶助の許与決定を取り消しまして、その扶助を救助を受けた者から取り立てるということになります。今度逆に、救助を受けた者が勝った場合で、訴訟費用は相手方の負担とするということになりました場合には、その負担になった分だけを今度相手方の方から取り立てるということになるわけでございます。
#223
○稲葉(誠)委員 そうすると、日弁連がやっている法律扶助の場合は相手方から取り立てるのじゃなくて本人から取り立てますね。そうじゃないですか。離婚の場合なんか、離婚を申し立てして勝ったその人から扶助協会が払った費用を後で取り立てるんじゃないですか。それは救助のやり方と違うのかな、その点が一つですね。
 それから、実際には法律扶助の方は全体として毎年どのくらいの金額になっているわけですか。
#224
○中島政府委員 まず第一点、費用の償還の関係でございますが、扶助協会の事業は費用の立てかえというのが原則になっておりますので、終結後におきまして立てかえた方から費用の償還を受ける。もっとも猶予とか免除とかという制度がございますけれども、そういうことを別とすれば、原則は立てかえを受けた方から償還を受けるということになっております。
 それから第二点でございますが、補助金の関係でございます。扶助協会に対する補助金は、昭和五十五年度におきまして七千四百万ということになっております。内訳を申しますと、扶助費、これは扶助そのものに使う扶助費でございますが、これが六千四百万、それから扶助するかどうかの調査に使います調査費というのが一千万、合計七千四百万ということになっております。扶助協会に対しましては昭和三十三年度から補助金の交付を始めまして、その後毎年現在までこれを継続しております。その交付総額は、五十四年度までにおきまして何もかも合わせまして十一億一千八百万ということになっております。ほかに、昭和四十二年から五十年度まで、これは主として交通事故の事件に使うということで交付されました運輸省関係の補助金が約一億二千五百万出ております。
#225
○稲葉(誠)委員 いまの七千四百万というのは補助金ですけれども、大体ここ二、三年額が変わらないんですか。それから、いまの運輸省関係の補助金というのは何かちょっとよくわからないのですが、どこへ出すあれですか。
#226
○中島政府委員 まず第一点の七千四百万という金額でございますが、これは五十四年度の予算とそれから五十五年度の予算が七千四百万ということになっておりまして、五十三年以前におきましては七千二百万という年度が三、四年あったというふうに記憶いたしております。
 それから運輸省関係の補助金でございますが、これもやはり扶助協会に対して交付される国の補助金でございます。これは現在はないわけです。昭和四十二年から昭和五十年度まで交通事故の事件がかなり数が多うございまして、扶助の必要があるという時代があったものですから、その時代に運輸省を窓口として交付された補助金ということになります。
 補助金といたしましては、法務省関係の補助金、それから地方公共団体から出ております助成金その他の金、それから弁護士会からの援助のお金、それから弁護士個人の寄付その他いろいろな収入源があるわけでありますが、そのうちの一つに運輸省を窓口として国の補助金が出ておった、こういうことでございます。
#227
○稲葉(誠)委員 そうすると、扶助協会の場合は特定のこういう弁護士さんを頼みたいということはできないわけですね。自分の方から希望してもそれが入れられないで、順番か何かでいくわけでしょう。訴訟救助の場合は、担当の弁護士に頼んで弁護士から訴訟救助の申請をするという形になってきて、自分の頼みたいという弁護士を選べるという一つの利点があるわけですね。その点は違いますね。だから、この二つの制度を一緒にするというわけにはいかないのかな。これはどこの国でもこういうふうに二つの制度があってやられているのでしょうかね。どうでしょうか。
#228
○中島政府委員 現在のわが国の制度で申しますと、救助の対象になるのは非常に狭い意味の訴訟費用ということであろうかと思います。扶助の対象になりますのは弁護士手数料を含む広い意味の訴訟費用ということであろうかと思いますので、現在の制度を前提にいたしますと、二つながらに存在の理由がある、こういうふうに理解いたしております。
#229
○稲葉(誠)委員 ただ法律扶助の場合は、扶助協会から弁護士に払った費用まで扶助を受けた人から取り立てるのじゃないですか。そうじゃないのですか。それはちょっとおかしいのじゃないですか。
#230
○中島政府委員 扶助協会の事業の実態といたしましては、非常に狭い意味の訴訟費用、それから弁護士の手数料、場合によりましては弁護士の報酬、それから保証金――保証金というのは裁判所に納付する仮処分あるいは仮執行の場合なんかの保証金でございますが、こういうものを資力の乏しい者にかわって立てかえるというのが制度の本来の趣旨であろうかと思っております。
#231
○稲葉(誠)委員 だから立てかえるのはわかりますが、立てかえるから、その金をまた取らないと次の人に立てかえられないからというので相当取り立てるわけですね。だけれども、法律扶助を受ける人だから、弁護士に扶助協会が払った費用までは、その人に立てかえておるのかどうか知らぬけれども、その人から取り立てなくてもいいような気がするのですがね。どうも扶助を受けた人は、その点なんかはもらったつもりというと悪いけれども、ただでやってもらっているというようなつもりの人が多いですね。後から請求されて驚いている人もいるし、ちょっとそこら辺、いろいろ問題点がありますね、全体の資金の枠が少ないからということもあるのでしょうけれども。これは特定の弁護士に依頼できないですね。審査委員会みたいなのがあって、順番か何かで回すわけでしょう。だからなかなかむずかしいところがありますね。実際は、これは補助金だけでなくて、日弁連なら日弁連自身、単位弁護士会なら単位弁護士会その他で金を集めて全体の枠をもっと広げてやっていくという形にすればいいんじゃないかと思うのですけれども、どうも訴訟救助のあり方と法律扶助のあり方と、両方の関係というか、どちらがどういうふうに本当に困った人のためになるかというようなことはちょっと考えなければいけない点があるように私は思うのですけれども、ちょっといまの段階ではよくわからないですね。
 いずれにいたしましても、ほかの国の制度などいろいろ、よく日弁連なんかでも研究しておりますから、研究させてもらって実態というものを究明していきたい、こういうふうに考えておりまして、質問を終わります。
#232
○中村(靖)委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時四十分散会
ソース: 国立国会図書館
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