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1949/04/12 第7回国会 参議院 参議院会議録情報 第007回国会 法務委員会 第24号
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1949/04/12 第7回国会 参議院

参議院会議録情報 第007回国会 法務委員会 第24号

#1
第007回国会 法務委員会 第24号
昭和二十五年四月十二日(水曜日)
   午前十一時五分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○検察及び裁判の運営等に関する調査
 の件(五井産業事件)
 (右件に関し証人の証言あり)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(伊藤修君) これより法務委員会を開きます。検察及び裁判の運営等について、五井産業の事件に関する証人の証言を求めることにいたします。
 昨日は御迷惑でございました。遅くなりましたものですから……。ではもう一度、今日宣誓をお願いいたします。
   〔総員起立、証人は次のように宣誓行つた〕
   宣誓書
  良心に従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。
       証人 塩谷 隆雄
#3
○委員長(伊藤修君) あなたは警視庁にいらつしやつたのですか。
#4
○証人(塩谷隆雄君) 前におりました。
#5
○委員長(伊藤修君) 本庁にいらつしやつたのですか。
#6
○証人(塩谷隆雄君) 本庁におりました。
#7
○委員長(伊藤修君) 最後は何をおやりになつたのですか。
#8
○証人(塩谷隆雄君) 最後は保安部長です。
#9
○委員長(伊藤修君) 警視庁にはずつと長くいらつしやつたのですか。
#10
○証人(塩谷隆雄君) 警視庁は二回勤めております。
#11
○委員長(伊藤修君) 何と何をおやりになりました。
#12
○証人(塩谷隆雄君) 第一回は消防部長、それから間少し置きまして、よそへ出まして、それから二回目は保安部長。
#13
○委員長(伊藤修君) 消防部は何年から何年までですか。
#14
○証人(塩谷隆雄君) 二十年の四月から十月まで、それから保安部長は二十一年の六月から二十三年の二月まで。
#15
○委員長(伊藤修君) それから現在は消防総監としてお勤めになつているわけですね。
#16
○証人(塩谷隆雄君) そうです。
#17
○委員長(伊藤修君) それはいつ頃からお勤めですか。
#18
○証人(塩谷隆雄君) 消防総監は二十三年の三月です。
#19
○委員長(伊藤修君) あなたは佐藤昇という者とお近しいらしいですね。
#20
○証人(塩谷隆雄君) 親しくしております。
#21
○委員長(伊藤修君) いつ頃からお知り合にましたか。どういう動機で。
#22
○証人(塩谷隆雄君) 確か二十一年の何月でございましたか、今はつきり月は覚えておりませんが、新橋のマーケット問題に端を発して、澁谷警察の前で警察官と台湾人との間に衝突事件がございました。その後でございます。
#23
○委員長(伊藤修君) 最初誰かの御紹介があつたのですか。
#24
○証人(塩谷隆雄君) 紹介者ははつきり記憶しておりませんが、確か商工省の岡田秀男君でなかつたかと思うのでございますが、これははつきりした記憶はございません。
#25
○委員長(伊藤修君) 佐藤は警視庁へよく出入りしておつたのですね。
#26
○証人(塩谷隆雄君) 私の保安部長時代は、私は佐藤が警視庁にどの程度出入りしておつたか余り知らないのであります。自警会の方に何か物を入れているということは承知しておりました。
#27
○委員長(伊藤修君) 佐藤は警視庁の日野とか、吉武とか、そういうような人と心易いようなことを言つておつたのですね。
#28
○証人(塩谷隆雄君) 吉武君のことは言つておりませんでしたが、当時の日野警部、日野警部と親しいということは話しておりました。
#29
○委員長(伊藤修君) 吉武と親しいということは、あなたに言つておつたのじやないですか。
#30
○証人(塩谷隆雄君) 聞いたことがございません。
#31
○委員長(伊藤修君) そうですか。あなたのところへ、消防総監の部屋へですね、部屋へ終始来ておつたのですか。
#32
○証人(塩谷隆雄君) 終始は来ておりません。ときどき見えておりました。尤も私の部屋と申しましても、私の部屋は四つになつておりまして、受付の祕書のいる部屋、それからお茶を飮む部屋、それから応接間兼会議室のような部屋、それに私の事務所となつておりますから、或いは私の祕書室あたりへはたびたび見えておつたと思いますが、私の部屋にはそれ程来ておりません。
#33
○委員長(伊藤修君) まあ応接間とか、祕書室へ終始来ておつたのじやないですかね。
#34
○証人(塩谷隆雄君) ときどき見えておつたと思います。
#35
○委員長(伊藤修君) そこで以ていろいろな自分の商談ですね、佐藤個人の商談や何かもときどき行つておるということはあつたのですね。
#36
○証人(塩谷隆雄君) 私隣りの部屋ですからよく分りません。
#37
○委員長(伊藤修君) 世間の人はあなたの私設の祕書だとか言つておつたのじやないですか、佐藤のことを……
#38
○証人(塩谷隆雄君) そういうこと聞いたことございません。
#39
○委員長(伊藤修君) それ程親しくしておつたのじやないですか。
#40
○証人(塩谷隆雄君) 親しくはしておりましたけれども、別に祕書みたいに使つた覚えもございませんし……
#41
○委員長(伊藤修君) 余り親しいと、あなたの私設祕書のように他の人が思つたかも知れませんが……
#42
○証人(塩谷隆雄君) 或いは思つたかも知れませんが、自分ではそういうつもりは全然ございません。
#43
○委員長(伊藤修君) やつていた覚えはない……。佐藤と会合を持たれたことがおありになるのですか。
#44
○証人(塩谷隆雄君) ときたま一緒に飮んだことはございます。
#45
○委員長(伊藤修君) 何回ぐらいおありになるのです。
#46
○証人(塩谷隆雄君) はつきりとした記憶はありませんが、まあ月に一回ぐらい、役所の帰りにふらつと友達同志で飮みに行くという程度のことはあつたのであります。
#47
○委員長(伊藤修君) 主にどういうところを御利用になつたのですか。
#48
○証人(塩谷隆雄君) どこと決めておりませんが、おでん屋へ行つたこともあれば、カフエーへ行つたこともある、或いは料理屋へ行つたこともあるということで、特にどこと決めて行つたというところはございません。
#49
○委員長(伊藤修君) 佐藤も相当行ける口ですか。
#50
○証人(塩谷隆雄君) 佐藤君はあまり飮みません。
#51
○委員長(伊藤修君) 待合とか、料理屋をお使いになるのですか。
#52
○証人(塩谷隆雄君) そういうところも行つたことございます。
#53
○委員長(伊藤修君) そうすると、月に一回ぐらいというと、何時から何時頃までの間ですか。
#54
○証人(塩谷隆雄君) そうでございますね、まあ大体私が消防総監になつた後でございます。
#55
○委員長(伊藤修君) その頃から、この事件の始まる頃までですね。
#56
○証人(塩谷隆雄君) そうでございます。
#57
○委員長(伊藤修君) 佐藤の自宅へもお出でになつたことがございますね。
#58
○証人(塩谷隆雄君) ございます。
#59
○委員長(伊藤修君) 何かあなたの総監転出の送別会というものを催されたことがありますか。
#60
○証人(塩谷隆雄君) 送別会ではないのです。
#61
○委員長(伊藤修君) 歓迎会ですか何ですか。
#62
○証人(塩谷隆雄君) あれは私が開いたのです。
#63
○委員長(伊藤修君) あなたがお開になつたのですか、佐藤の家で……
#64
○証人(塩谷隆雄君) 佐藤の家を借りまして開いたのであります。
#65
○委員長(伊藤修君) 勿論あなたが費用をお出しになつたのですね。
#66
○証人(塩谷隆雄君) そうであります。
#67
○委員長(伊藤修君) 何か東京クラブでもお開きになつたのですね、何か御半とか……
#68
○証人(塩谷隆雄君) 東京クラブというのは知りませんが、御半へは行つた覚えがあります。
#69
○委員長(伊藤修君) その御半というのは葭町の御半ですか。
#70
○証人(塩谷隆雄君) そうです。
#71
○委員長(伊藤修君) その費用は佐藤が立替えておりますね。
#72
○証人(塩谷隆雄君) その費用は佐藤が拂つたと思います。
#73
○委員長(伊藤修君) その大体飮みに行くときは佐藤が拂うのでしようね。
#74
○証人(塩谷隆雄君) そうとも限らないのです。私も拂つております。
#75
○委員長(伊藤修君) あなたは佐藤に対した古屋とか……古屋という人がおりますね。
#76
○証人(塩谷隆雄君) 今の刑事部長でございますか。
#77
○委員長(伊藤修君) ええ、今の刑事部長。海原、それから後藤田とか、三枝とか、こういう人は警視庁の幹部を紹介してやつたことがあるのですか。
#78
○証人(塩谷隆雄君) ございません。海原、後藤田君は、私が保安部長の時代に下にいた課長でございます。そういう関係で、佐藤とは恐らく自然に知合いになつたのじやないかと思います。特に佐藤を紹介したということはございません。
#79
○委員長(伊藤修君) こういう人はあなたの総監室へ出入りしておつたのじやないのですかね。
#80
○証人(塩谷隆雄君) それは私の保安部長時代の問題だと思います。三枝という人は全然紹介したことはございません。古屋君も……
#81
○委員長(伊藤修君) 三枝という人はあなたの先程お催しになつた佐藤の家におけるところの会合に出席しておるのじやないのですか。
#82
○証人(塩谷隆雄君) 確か出席したと思います。
#83
○委員長(伊藤修君) そういうチヤンスに紹介されたのじやないですかね。紹介されたか、しなかつたかというか……
#84
○証人(塩谷隆雄君) そういうこともないと思います。それはその会合を開くもつと前から、恐らく佐藤君は知合いじやなかつたかと思います。
#85
○委員長(伊藤修君) 消防庁の出入商人というものがあるのですか。
#86
○証人(塩谷隆雄君) 出入商人という言葉の定義でございますけれども、消防庁と取引しておる商人を出入商人ということになれば、そういう商人は沢山ございます。
#87
○委員長(伊藤修君) そういうメンバーと言いますか、それの一員に佐藤を紹介したことがありますか。
#88
○証人(塩谷隆雄君) 佐藤も若干取引しておりましたから、それを出入商人と言えば言えるだろうと思います。
#89
○委員長(伊藤修君) 消防庁はには自動車は何台お持ちですか。
#90
○証人(塩谷隆雄君) 私の方は何しろ……
#91
○委員長(伊藤修君) いや消防自動車を除いた乗用車ですね。
#92
○証人(塩谷隆雄君) そうはつきりした数字は私ちよつと記憶いたしませんが、恐らくそうでございます七、八十台ぐらいあると思います。
#93
○委員長(伊藤修君) 二十四年の春頃ですね、何か自動車がお要りようだつたのですか、お求めになつたのですか。
#94
○証人(塩谷隆雄君) 自動車は御承知のように、東京消防庁というのは、前は警視庁の一部であつたのです。それが二十三年に独立いたしまして消防庁になりまして、それで従来は要するに一部長、消防部長の下に数課でやつておつたのです。それが消防庁になりまして、私の下に六人の部長、その下に十数名の課長、それから第一線の方の編成替えがありまして、十二人の地区隊長、それから六つの予防事務所というような大きな機構になりまして、そういう関係で二十三年の予算で相当台数の乗用自動車を求めまして……
#95
○委員長(伊藤修君) それは主にどういうところでお求めになつたのですか。勿論中古自動車でございましようか。
#96
○証人(塩谷隆雄君) そうです。それはまあ普通の自動車の売買業者から買うこともありますし、或いは縁故関係等で相当よい車を持つておる人に渡りを付けて讓つて貰うということもございます。
#97
○委員長(伊藤修君) そういうのはどこで扱つておるのですか。あなたの方の……
#98
○証人(塩谷隆雄君) それは私の方の経理課でやつております。経理課の課長ですとか、経理課の用度係でやるのですが。
#99
○委員長(伊藤修君) そういう人は何か専門家方面或いは縁故を辿つて交渉しておるわけですね。
#100
○証人(塩谷隆雄君) そうであります。
#101
○委員長(伊藤修君) 佐藤さんからこの自動車を買うに至つた経緯は……
#102
○証人(塩谷隆雄君) 私よく存じませんが、経理課長の私に対する説明によりますと、経理課長が、或る先輩の兄さんから頼まれて、小型の自動車はどつかないかと聞かれておつたのです。それで佐藤の会社に小型の自動車を売りたがつておるという話を聞いて、これは公務ではございませんが、その自動車を見せて貰つた。ところがそれが気に入らなくて話が纏まらなかつた。そのときにたまたま外の自動車を売つてもいいのだという話を聞いて、いいのがあれば、一つ消防庁でどうせ求めている際であるから買おうということになつて交渉した、こういうような経緯であるように経理課長から説明を聞いております。
#103
○委員長(伊藤修君) 交渉したのは誰が交渉したのですか。
#104
○証人(塩谷隆雄君) 経理課長と用度係長です。
#105
○委員長(伊藤修君) その交渉にはあなたは御関係がないのですか。
#106
○証人(塩谷隆雄君) 私は全然関係しておりません。
#107
○委員長(伊藤修君) 経理課長と直接佐藤と交渉の結果、九十万円というネツトが決まつたわけですね。
#108
○証人(塩谷隆雄君) そうでございます。
#109
○委員長(伊藤修君) そのネツトをお決めになるとき、御相談は受けておりませんか。
#110
○証人(塩谷隆雄君) 相談は受けておりません。
#111
○委員長(伊藤修君) 自動車を消防庁が買うということをいつ頃お聞きになつたのですか。
#112
○証人(塩谷隆雄君) その話が進んでおるときに、佐藤が今度消防庁の方でおれの車を買つて貰うようになるんだということを私に話しておりました。
#113
○委員長(伊藤修君) 契約ができた直後にお聞きになつたのですね。
#114
○証人(塩谷隆雄君) 前であります。
#115
○委員長(伊藤修君) 消防庁で僕の車を買つて呉れるように、あなたから口添して呉れというようなことはなかつたですか。
#116
○証人(塩谷隆雄君) 全然ありません。
#117
○委員長(伊藤修君) そういう話を聞いただけですか。
#118
○証人(塩谷隆雄君) そうでございます。
#119
○委員長(伊藤修君) その代金の支拂はどういうふうにしてやるのですか。
#120
○証人(塩谷隆雄君) どういうふうですか、私代金の支拂はどういうふうに行われたかよく存じませんです。
#121
○委員長(伊藤修君) 代金をいつ渡したかということも御存じないでしようか。
#122
○証人(塩谷隆雄君) それは恐らくあの自動車の売買があつたのが二十三年の年度末当りですから、三、四月頃じやなかつたかと思うのですが……。ですから買えば大体において直ぐに金を拂います。ですから金銭の支拂は大体その頃じやないかと思います。
#123
○委員長(伊藤修君) 三回に分割して支拂をしているらしいですね。
#124
○証人(塩谷隆雄君) その経緯はちよつと私にはよく分りません。
#125
○委員長(伊藤修君) どうせあなたの部屋に、若しくは応接間に出入しておるのですから、今日金を貰つて来たという話はしておりませんでしたか。
#126
○証人(塩谷隆雄君) そういう話は聞いておりません。
#127
○委員長(伊藤修君) 一番最後に貰つて来たときか何か、あなたの部屋でそういう話をなすつたのではないですか。
#128
○証人(塩谷隆雄君) 自動車の金を最後に貰つたときには、そんな話を聞いたような記憶がございます。
#129
○委員長(伊藤修君) 今日で以ていわゆる取引が済んだから、全部貰つたからという……
#130
○証人(塩谷隆雄君) そんなような話を聞いたような気がします。
#131
○委員長(伊藤修君) そういう報告という堅い意味ではなく、人情としてもそういう話はあり得べきことですね。お蔭様でというようなことはあり得ることですね。
#132
○証人(塩谷隆雄君) そういうことはあると思います。
#133
○委員長(伊藤修君) そのときにいわゆる総監の機密費か何か御入用で五万円ばかり寄附して呉れんかというお話があつたのではないですか。
#134
○証人(塩谷隆雄君) 誰からですか。
#135
○委員長(伊藤修君) あなたから……
#136
○証人(塩谷隆雄君) 全然した覚はありません。
#137
○委員長(伊藤修君) そういうふうに佐藤が申しておるときもあつたのですがね。
#138
○証人(塩谷隆雄君) それは佐藤君の何かの記憶違いじやないかと思います。
#139
○委員長(伊藤修君) あなたの部屋で、朝日の記者の川手という人に佐藤君がお金を貸したことは御存じないですか。
#140
○証人(塩谷隆雄君) 知つております。
#141
○委員長(伊藤修君) いつ頃ですか。
#142
○証人(塩谷隆雄君) それはやはりその頃だつたかと思います。
#143
○委員長(伊藤修君) それと同日ですか。
#144
○証人(塩谷隆雄君) 同日であつたかどうかはつきり記憶はございません。
#145
○委員長(伊藤修君) 要するにあなたに五万円渡したのと、川手に五万円渡したのと二口あるのではないですか。
#146
○証人(塩谷隆雄君) 私は全然受取つたことはありません。
#147
○委員長(伊藤修君) 川手という人に渡したのはいつ頃のことですか。
#148
○証人(塩谷隆雄君) 大体やはり自動車の売買の頃だつたと思います。
#149
○委員長(伊藤修君) 暑い頃ですか。
#150
○証人(塩谷隆雄君) そんな暑い頃じやありません。大体今頃の気候じやないかと思います。
#151
○委員長(伊藤修君) どうもこの二つの問題について日附のずれがあるらしいですね。
#152
○証人(塩谷隆雄君) 私ははつきり分りません。大体四、五月頃じやないかと思います。
#153
○委員長(伊藤修君) 佐藤は五万円というような金を持つておつたのですが。
#154
○証人(塩谷隆雄君) 私の部屋で手渡したのを見ておりました。
#155
○委員長(伊藤修君) その頃は千円札はありませんから、五万円というと二、三寸になりますね。
#156
○証人(塩谷隆雄君) 新聞紙か何かに包んであつたと思います。
#157
○委員長(伊藤修君) 新聞紙に包んで五万円を持つていたのですか。
#158
○証人(塩谷隆雄君) 中身が五万円であつたかどうかは存じませんが、相当の厚味のある金であつたと思います。
#159
○委員長(伊藤修君) その余に持つておりませんでしたか。
#160
○証人(塩谷隆雄君) その他は見ませんでした。
#161
○委員長(伊藤修君) 予めそういう金を用意して来たのですか。
#162
○証人(塩谷隆雄君) そうでございます。それはこういう経緯であります。川手君が確か二十三年の暮近くに新しい借家に入られた。それは広つぱに一軒造つた家で、塀も作りたい、風呂場も物置もないというようなことで、確か二十四年になつてから、そういうものを川手君が作られた。それは恐らく二、三月頃じやないかと思います。その金を一時借りたいということを佐藤君に川手君が頼んだ。それで佐藤君が、その後私の部屋に来まして、金ができたから川手君に渡したい。見えたら一つ連絡するように言つて貰いたい。こういう話を私聞いた。それで私の部屋で落合われて、そうして渡した。ですから大体時期的にいつて金を渡したのはやはり四月の終りか、五月に入つて早々ぐらいじやないかと私思つております。
#163
○委員長(伊藤修君) それはさつきのあなたのお言葉によつてもあなたが連絡をやつたのですね。
#164
○証人(塩谷隆雄君) 川手が私の部屋に来たとき、佐藤がこういうことをいつておるということを伝えました。
#165
○委員長(伊藤修君) それから後、佐藤君と川手君が打合せたのは御存じありませんか。
#166
○証人(塩谷隆雄君) そこは知りません。
#167
○委員長(伊藤修君) あなたの目の前で取引したのですね。
#168
○証人(塩谷隆雄君) 取引と申しましようか……
#169
○委員長(伊藤修君) 金銭の貸借です。
#170
○証人(塩谷隆雄君) そうでございます。
#171
○委員長(伊藤修君) そういう場合、佐藤君あたりは実業家ですから、嵩張る現金を持つて来ないでも、小切手でもよさそうに見えますが。
#172
○証人(塩谷隆雄君) それはどうも判断が付きまん。
#173
○委員長(伊藤修君) どうして佐藤君があなたに九十万円で、自動車をお世話願つて、まああなたがお世話願つたわけではないでしよう、今のお言葉ではね。まあ消防庁で以てお買いになつたというので、五万円をあなたに差上げたということを言うのでしようね。
#174
○証人(塩谷隆雄君) 私には分りませんです。
#175
○委員長(伊藤修君) けれども、その川手という人に貸したやつと、あなたにお渡ししたやつを間違えるようなぼんやりでもないでしよう。
#176
○証人(塩谷隆雄君) まあその点は、留置中の佐藤君の精神状態というものをよく見ませんと、私にはよく分りませんです。
#177
○委員長(伊藤修君) 我々お話を伺つても、別に精神異常者とは考えられませんがね。まあ別に職務に関してお受取りになつたとかならぬとかいう問題じやないでしようから、ただ機密費に寄附したというようなことがあり得るのじやないでしようかね。相当警察や何かに寄附していらつしやるのですから、あなたも相当親しい間で、失礼ですけれども、いろいろ機密費なんかもお入用になるのですから、そういうものをあなたに援助する意図を持つて提供したのじやないのですかね。
#178
○証人(塩谷隆雄君) 私は佐藤君から一度もそういうものを貰つたことはないのです。最初佐藤君と知合いになつたのも、先程御説明いたさなかつたのでありますが、澁谷事件がございまして直後だと思いますが、確か岡田君の紹介で私の部屋へ見えまして、ああいう事件があつて、警察官がいろいろ負傷する、或いは死ぬと、そういう場合に、保安部長として正規の救恤の外にいろいろ金も要るだろうから、自分は若干金があるから寄附をしたいと、こういう申出があつたのです。そのときも私は、そういうものは保安部長個人としてそういうものを頂くべきじやないというので、当時の警務課長がそういう方面のことを所管しておりましたので、警務課長に電話して、そつちへ行つて貰つた。こういうようなことが佐藤君との知合いの始まりでありまして、佐藤君も私の性格はよく知つておりますから、私に対しては、そういうことはその後ないのです。
#179
○委員長(伊藤修君) 佐藤君との間にですね、金銭の貸借関係はおありになりませんですか。
#180
○証人(塩谷隆雄君) ありません。
#181
○委員長(伊藤修君) どうも佐藤君の今までのやり口から見ますと、警察方面には殊に厚意を表して、寄附を惜しみなくなされていらつしやるのですがね。だから、殊に親しいあなたにそれがなされないということは、あの人の行動から見ると、ちよつと不合理のように見えるのですがね。
#182
○証人(塩谷隆雄君) 或いはそういう工合にお考えになるかも知れませんが、佐藤君と私の関係においては、非常に綺麗であつたのであります。特に、これは自画自讃になるかも知れませんが、佐藤君も、日頃私という者に対しては特に特別な、何と申しますか、感じで附合つておつたように思うのです。従いまして、私に対してはそういう金銭的なことをその後申出たこともございませんし、私からそういうことを佐藤君に頼んだことも一度もないのであります。
#183
○委員長(伊藤修君) まああなたと佐藤君との間が特別な関係であり、佐藤君もあなたに対しては特にそういうような態度をとつていらつしやつたというならば、尚更、そのあなたに御迷惑のかかるような発言を、要するにあなたにお金を渡したというようなことを言うべき筋じやないではないかと思うのですね、その点から言つても……
#184
○証人(塩谷隆雄君) 私もそう思うのです。
#185
○委員長(伊藤修君) あなたの言葉を聞いておると、佐藤君の言葉というものは、これは矛盾があるということになりますね。
#186
○証人(塩谷隆雄君) 私も佐藤君が本当にそういうことを警視庁の調べで言つたとすれば、余程頭が混乱しておつたか、何かの関係じやないかとしか私には思えないのです。
#187
○委員長(伊藤修君) 混乱するにしても、新聞記者の川手君と総監のあなたとを間違えて渡す先を喋べるという理窟もないと思うのですがね。
#188
○証人(塩谷隆雄君) その点が、私にもよく分らないのです。
#189
○委員長(伊藤修君) 殊に新聞記者に五万円渡したということは言うておるのですからね。その外にあなたにも渡しておると、こう言つておるのですから、だから二つを一つに混同したとも考えられないし、殊更にあなたのことを附加えて言わなくちやならんという点は、どうも納得が行かないのですよ。
#190
○証人(塩谷隆雄君) まあそれは私自身は、先程から何度も申上げるように、絶対に受取つた覚えはございません。従いまして、どうしてそういうことが佐藤君の口から出たかということは、当時の状況を総合的に判断して頂かねば、はつきりしないと思うのです。私からは、何ともそれに対する判断を申上げることはできないと思います。
#191
○委員長(伊藤修君) まあよく物の売買をいたしますれば、それに対するマージンは、証人としては拂うものと心得ておるのですね。だからそういう意味で、あなたにマージンを拂つたとか、マージンの意味で、あなたに寄附するとかいうようなことも、証人としては余り意としないのですね。余り不道徳とも考えていないのですね。
#192
○証人(塩谷隆雄君) 佐藤君は或いはそういうふうに考えるかも知れませんが、私も長年役人をしておつて、殊に七千人からの部下を持つている者として、自動車の売買の斡旋をして、五万円ぽつちの、まるでブローカー見たいなことをするような精神は持つておらぬつもりです。
#193
○委員長(伊藤修君) だから、あなたがブローカーであるとか、或いは他の御職業であればともかくとして、総監をしていらつしやるあなたに対して五万円を渡したということに対して、どうも佐藤君が正気の沙汰ではないと思うのですよ。
#194
○証人(塩谷隆雄君) それは一つ、よく佐藤君に聞いて見て頂きたいと思います。
#195
○委員長(伊藤修君) 佐藤君に対して、何か消防庁の衣料についてお頼みになつたことがありますね。
#196
○証人(塩谷隆雄君) 頼んだことはございません。
#197
○委員長(伊藤修君) ないのですか。
#198
○証人(塩谷隆雄君) はあ。
#199
○委員長(伊藤修君) これはお頼みになつたのではないですか。消防庁の衣料品特別割当の斡旋を佐藤君にお頼みになつたのではないですか。
#200
○証人(塩谷隆雄君) 私は頼んでおりません。
#201
○委員長(伊藤修君) あなたが頼まなければ、あなたの部下が頼んだのではないですか。
#202
○証人(塩谷隆雄君) 部下が頼んでおります。
#203
○委員長(伊藤修君) それをあなたは知つておるのでしよう。
#204
○証人(塩谷隆雄君) はあ。
#205
○委員長(伊藤修君) それならまああなたがやつたようなものでしよう、これは消防庁の公式のものですからね。
#206
○証人(塩谷隆雄君) 公式のものではないのです。
#207
○委員長(伊藤修君) 公式のものではないのですか。
#208
○証人(塩谷隆雄君) いわゆる厚生物資として配給をして、代金を取るという性質のもので、ありまして、それは公式の品物を頼んだわけではないのです。
#209
○委員長(伊藤修君) そうすると、衣料を何とかの名目で消防庁に取つて、厚生的に皆さんに分けるのですね。
#210
○証人(塩谷隆雄君) そうであります。
#211
○委員長(伊藤修君) それは誰が頼んだのですか。
#212
○証人(塩谷隆雄君) それは私の方の厚生課でやつておる仕事であります。
#213
○委員長(伊藤修君) それを商工省の岡田秀男氏に依頼したわけですね。
#214
○証人(塩谷隆雄君) 依頼しておりません。
#215
○委員長(伊藤修君) 依頼していないのですか。
#216
○証人(塩谷隆雄君) はあ。
#217
○委員長(伊藤修君) その今のあなたの部下の人が依頼しておるのではございませんか。
#218
○証人(塩谷隆雄君) 依頼しておりません。
#219
○委員長(伊藤修君) それから、その人達とその話について上野の「一力」で以て特に会食をして御相談になつたのではないですか。
#220
○証人(塩谷隆雄君) 相談はしておりません。
#221
○委員長(伊藤修君) 何のためにおやりになつたのですか。
#222
○証人(塩谷隆雄君) それは、当時繊維局長の近藤君が新らしく就任されまして、近藤君とは前から友人でありますから、まあその新任の祝を兼ねまして、それと只今委員長が言われました、特に消防庁に対する衣料の特配を今後一層お願いしたい、こういうまあ二つの意味で、両方の幹部同志の顔合せというような意味で招待したわけであります。
#223
○委員長(伊藤修君) してみれば、結局片方の意味も便宜上含まれるかも知れませんけれども、少くともそういう話のために宴席が設けられたのじやないですか。
#224
○証人(塩谷隆雄君) そういうためもございます。
#225
○委員長(伊藤修君) それじやそれで設けたのじやないですか。あなたも御出席になつておるのでしよう。
#226
○証人(塩谷隆雄君) 出席しております。
#227
○委員長(伊藤修君) 関係していらつしやるじやないですか、やはりいいことだと思つた、存じておりますか……別に悪いと申上げるわけではございませんよ。部下の衣料がいろいろ不足をしておるのだから、それに対する特別の割当をするということは好ましいので、あなたとしても御努力になるのは当り前ですね。
#228
○証人(塩谷隆雄君) 私は努力しておりません。
#229
○委員長(伊藤修君) 好ましいことと了承していらつしやるわけですね。それに対して顔つなぎと、それから、それが促進するようにというので、一席設けて事情をお話になつたのじやないですか。
#230
○証人(塩谷隆雄君) そのときは宴席ですから仕事の話は出ませんでした。
#231
○委員長(伊藤修君) 宴席で仕事の話をするものではないですよ。仕事の話は先に済んでしまつて、その人の心をなごやかにすることが目的であつて、宴席で以て仕事の話をするのは野暮ですよ、それは……あなたは鈴木恭二というのは御存じですね。
#232
○証人(塩谷隆雄君) 知つております。
#233
○委員長(伊藤修君) これはずつと以前からお知合いですか。
#234
○証人(塩谷隆雄君) 学生時分からの知合いです。
#235
○委員長(伊藤修君) 鈴木が味の素事件で以て連座して勾引される、逮捕されるというような情勢にあることはいつ頃御存じだつたですか。
#236
○証人(塩谷隆雄君) 鈴木君が逮捕されてから知りました。
#237
○委員長(伊藤修君) 逮捕される前に相談に来たでしよう。
#238
○証人(塩谷隆雄君) 何をです。
#239
○委員長(伊藤修君) 鈴木君が逮捕される前に、鈴木君があなたの所に来たわけではないのですね。
#240
○証人(塩谷隆雄君) いや、来ておりません。会つてはおりますけれども……
#241
○委員長(伊藤修君) おかしいじやないですか、それ程あなたが懇意な友人であれば、電話をかけて見舞をしてやるくらいのことはあると思いますがね。勿論あなたのところに御相談に来るべき筋合いではないですか。
#242
○証人(塩谷隆雄君) それ程何も本当の親友というような関係ではないのです。ただ友人関係です。
#243
○委員長(伊藤修君) 逮捕されてから誰が来たのですか。
#244
○証人(塩谷隆雄君) 誰も参りません。
#245
○委員長(伊藤修君) 鈴木君の逮捕のことについて、あなたのところに何か頼みに来たわけではないのですか。
#246
○証人(塩谷隆雄君) 頼みに来ておりません。
#247
○委員長(伊藤修君) あなたは佐藤に、鈴木君の逮捕について警視庁に話をして呉れとおつしやつたことはないですか。
#248
○証人(塩谷隆雄君) ございません。
#249
○委員長(伊藤修君) おかしいですね。
#250
○証人(塩谷隆雄君) 何がおかしいのか私にも分りません。
#251
○委員長(伊藤修君) あなたが話をしたのじやないですか、佐藤君は話したと言つておるのですがね。
#252
○証人(塩谷隆雄君) 佐藤君に頼んだことはございません。
#253
○委員長(伊藤修君) お頼みになつたことはないですか。
#254
○証人(塩谷隆雄君) ございません。
#255
○委員長(伊藤修君) 鈴木君にも会わないのですか。
#256
○証人(塩谷隆雄君) 鈴木君には会いました。
#257
○委員長(伊藤修君) いつ会つたのですか。
#258
○証人(塩谷隆雄君) 去年の夏頃です。
#259
○委員長(伊藤修君) 事件のときを標準にしておつしやつて下さい。逮捕された前かあとか。
#260
○証人(塩谷隆雄君) 逮捕される前に会つております。
#261
○委員長(伊藤修君) さつきは逮捕される前に会つていないとおつしやつておるじやないですか。
#262
○証人(塩谷隆雄君) それは委員長の御質問がはつきりしなかつたからです。
#263
○委員長(伊藤修君) その前にいつ頃お会いになつたのですか。
#264
○証人(塩谷隆雄君) 何月が知りませんが、暑い頃に会いました。暑い頃に会いました、夏だと思います。
#265
○委員長(伊藤修君) そうすると、事件から比較して、逮捕されるときから比較してどのくらいになりますか。
#266
○証人(塩谷隆雄君) 逮捕される少し前だつたと思います。
#267
○委員長(伊藤修君) どのくらい前ですか、少しというのは。
#268
○証人(塩谷隆雄君) そこははつきり……
#269
○委員長(伊藤修君) 一週間ぐらい前ですか。
#270
○証人(塩谷隆雄君) それくらい前じやないかと思います。
#271
○委員長(伊藤修君) それではそのときどういう話が出ましたか。
#272
○証人(塩谷隆雄君) そのときは別に事件については話はございません。
#273
○委員長(伊藤修君) それは常識で考えても自分の身柄に火が付いておるということは、一週間ぐらい前から鈴木は了承しておりましよう、その場合、そういう職掌に多少とも関係をお持ちになるあなたに、以前にそういうところにいらつしやつたあなたに対して、本人が少くとも相談をするとか、或いはあなたに窮状を訴えて縋ろうとする気持は被告人の心理ですよ。
#274
○証人(塩谷隆雄君) 併し実際問題として鈴木君は一言も私にはそういう話はございません。
#275
○委員長(伊藤修君) 直前に会つていらつしやるのだから、そういう話の目的のために会つたのじやないですか。
#276
○証人(塩谷隆雄君) そういう目的では会つておりません。
#277
○委員長(伊藤修君) そのときにどういう話が出たのですか。
#278
○証人(塩谷隆雄君) そのときはただ雑談だけであります。
#279
○委員長(伊藤修君) そういう雑談をすることは終始あるのですか。
#280
○証人(塩谷隆雄君) ときどき会つております。
#281
○委員長(伊藤修君) ときどきというのはいつですか。
#282
○証人(塩谷隆雄君) 年に数回くらいは一緒に会つております。
#283
○委員長(伊藤修君) 数回というのは二三回ですか。
#284
○証人(塩谷隆雄君) 三、四回くらいです。
#285
○委員長(伊藤修君) 四月目に一遍くらいですね。
#286
○証人(塩谷隆雄君) はあ、それは一緒に飮むとか、或いは一緒に麻雀をやるとかいうような特別に、特別と申しますか、改まつて会合するということが年に三、四くらい、あとは私の部屋にときに来られることもございます。
#287
○委員長(伊藤修君) 三、四ケ月目にお会いになつたのですか、そのときは。
#288
○証人(塩谷隆雄君) そういう会合を開いたのはそのときは多分四、五ケ月目くらいではなかつたかと思いますが、はつきり記憶はございません。
#289
○委員長(伊藤修君) そうすると、その前は二月頃ですね、会つたのは……
#290
○証人(塩谷隆雄君) 多分そうだろうと思いますけれども、はつきりした記憶はございません。
#291
○委員長(伊藤修君) それでは久し振りにお会いになつたのですから、相当いろいろお話があつたのではないですか。
#292
○証人(塩谷隆雄君) 別にそういう事件のことについては鈴木君は何にも喋りません。
#293
○委員長(伊藤修君) そうすると、あなたはそのときにはお二人だけですか。
#294
○証人(塩谷隆雄君) 三人です。
#295
○委員長(伊藤修君) 誰と……
#296
○証人(塩谷隆雄君) 朝日の社会部長の進藤君と三人で会いました。
#297
○委員長(伊藤修君) それはどこでお会いになつたのですか。
#298
○証人(塩谷隆雄君) それは築地の田中屋というところであります。
#299
○委員長(伊藤修君) そうすると、それは八月十七日ですか。
#300
○証人(塩谷隆雄君) 日にちははつきり記憶しておりません。
#301
○委員長(伊藤修君) 夏頃ですか。
#302
○証人(塩谷隆雄君) 夏頃です。
#303
○委員長(伊藤修君) 洋服はどういう洋服を着ていらつしやいましたか。
#304
○証人(塩谷隆雄君) どういう……、さあ、ちよつと記憶ございません。
#305
○委員長(伊藤修君) とにかく暑いさ中ですね。
#306
○証人(塩谷隆雄君) 暑かつたと思います。
#307
○委員長(伊藤修君) 日にちはその日頃ですね。八月十七日頃ですね。
#308
○証人(塩谷隆雄君) その点は私ははつきりいたしませんが、暑かつたという記憶はございます。
#309
○委員長(伊藤修君) 十七日と承知しておるのですがね。あなたは日誌はおつけにならないのですか。
#310
○証人(塩谷隆雄君) 日記はつけておりません。
#311
○委員長(伊藤修君) 八月の中頃ということは記憶にないのですが。先程は逮捕の一週間前だとおつしやつたと思うのですが。
#312
○証人(塩谷隆雄君) はつきり申上げたのではないのです。そのくらいではなかつたかと申上げただけであります。
#313
○委員長(伊藤修君) 逮捕されたのは十八日ですから……
#314
○証人(塩谷隆雄君) 逮捕された日にちもはつきり私は知りません。
#315
○委員長(伊藤修君) その前日ではなかつたのですか。
#316
○証人(塩谷隆雄君) 前日であつたか、或いは三、四日、一週間くらい前だつたか、はつきり記憶にございません。
#317
○委員長(伊藤修君) 当時逮捕状が問題になつておつた頃ですから、本人に対しても、逮捕が身辺に迫つておるということは本人もよく了承しておるのですが、その前にあなたにお目にかかつて何にも話がでなかつた、話をしないということは私はあり得ないと思うのですが。
#318
○証人(塩谷隆雄君) 鈴木君は、そういうような素振りは全然私には感ぜられませんでした。
#319
○委員長(伊藤修君) 従つて佐藤君に、鈴木君の事件のもみ消し、若しくは事件に対するところのいろいろな工作ということについてはお頼みにならないとおつしやるのですね。
#320
○証人(塩谷隆雄君) 全然頼んだことはありません。
#321
○委員長(伊藤修君) 頼んだことはないのですか。
#322
○証人(塩谷隆雄君) それは、私は警視庁にもおりましたし、当時の刑事部長の坂本君も友人ですし、捜査二課長の松本君も友人でありますから、頼もうと思えば、私は何も民間人の佐藤君等を使わなくても、私自身が坂本君なり、松本君なりに頼めば頼めるのです。そういうことも全然私はしておりません。
#323
○委員長(伊藤修君) それで一番先に私伺つたのですが、要するに佐藤君は、警視庁の特に刑事犯の方の係りの方に顔が広い、顔がきくわけですから、警視庁の事件ならば大体俺が話せばもみ消してしまうんだというようなことを、常に豪語しておるような人柄でございますから、そういうことをあなたがよく承知していらつしやるから、あなたが四角張つて顔を出すよりも、民間人の佐藤を通じて話をした方がスムーズに行くんじやないかという意味で、佐藤をお使いになつたんじやありませんか。
#324
○証人(塩谷隆雄君) 全然私は使つておりません。私としてはそういう不見識なことはできないと思います。
#325
○委員長(伊藤修君) 不見識か不見識じやないか、それは分りませんが、とにかく友人の情として、そういうことをお頼みになることはあり得ると思う。
#326
○証人(塩谷隆雄君) 先程から何回も申上げておりますように、鈴木君からもそういうことは全然私は聞きもしなければ、頼みもしておりませんし、佐藤に対しても、一度もそういうことを頼んだ事実はございません。
#327
○委員長(伊藤修君) それではあなたはそういうことを、鈴木君が今逮捕されようとしておる、あれは俺の友人だ、実に困つたという、自分のひとり言のようなことを佐藤の前でおつしやつたことはありませんか。
#328
○証人(塩谷隆雄君) それは鈴木君が逮捕されましたことは、私の部屋へ記者クラブの人がしよつ中遊びに来れらますから、その人から聞いて初めて知つたのであります。それで数日前に一緒に飮んだのにというので、実は私びつくりしたのであります。それで私の部屋でその後、逮捕されてからどれくらい後だつたか記憶ございませんが、クラブの人と私がいろいろ雑談をしているときに、佐藤君が同席しまして、そのときにいろいろ警察の最近のやり方、そんなようなことがいろいろ確か話題になつておつたと思いますけれども、そのときに、俺の友人の鈴木君というのが今引張られている、非常に将来性のある中堅的な実業家なんだが、早く調べて出してやつて呉ればいいけれども、まあ最近の警察の行き方というものが、どうも一般的に言つて一度引張られるというと、決められた期間だけは必ず釘付けて置くのがどうも最近のやり方だというようなことを、はつきり私記憶しておりませんが、そうなようなことを雑談したように思います。
#329
○委員長(伊藤修君) 佐藤におつしやつたのですか。
#330
○証人(塩谷隆雄君) 佐藤に言つたわけではございませんが。
#331
○委員長(伊藤修君) すると、みんながいる席でそういうことをお話になつたんですか。
#332
○証人(塩谷隆雄君) そうです。
#333
○委員長(伊藤修君) そのとき佐藤は、じや私が一遍話してやろう、要するにあなたが頼まれたという意味じやなくして、あなたがそういう苦衷を皆さんの前でおつしやつた。それを受けて、私が一遍話してやるというようなことを言つたんじやないですか。
#334
○証人(塩谷隆雄君) いやそんなこと言つておりません全然……
#335
○委員長(伊藤修君) 佐藤があなたの意を体して、あなたがお困りになつているだろう、或いは友人だから、あなたのために一つ一肌脱いでやろうというので動いておるというふうなことは御承知じやないですか。
#336
○証人(塩谷隆雄君) それはその後佐藤が私のところへ来まして、吉武係長に聞いて見たら、なかなか大きな事件で容易なことではないようなことを言つておつた。こういうことを私に話しております。
#337
○委員長(伊藤修君) あなたに話したのですか。
#338
○証人(塩谷隆雄君) はあ、それで私は頼みもしないのに、これは又気を廻してやる男だなあというような感じを私はそのときに持つた程度でございます。
#339
○委員長(伊藤修君) 佐藤氏はいろいろお節介ですな。佐藤君と鈴木君とは余り親しくないでしよう。
#340
○証人(塩谷隆雄君) 佐藤と鈴木君とは面識がないのじやないかと思いますが。
#341
○委員長(伊藤修君) ないでしよう、ない面識の人の身柄について、特に警視庁へ行つて吉武君と会つて話をしてやるということはちよつと考えられないですね。あなたが先程ひとり言をおつしやつたことが、要するに頼んだ趣旨になるんじやないですか。
#342
○証人(塩谷隆雄君) 私は頼む意思はなかつたのですが、或いは佐藤がそういうふうにとつたのかも知れませんが、それは……
#343
○委員長(伊藤修君) そういうふうに勝手にお述べになつたわけですね。鈴木が出て来て、先ずどこも行かずにあなたのところへ佐藤と一緒にお伺いしたそうですね。
#344
○証人(塩谷隆雄君) 佐藤と一緒には参りません。
#345
○委員長(伊藤修君) 一緒に挨拶に行つたんでしよう。
#346
○証人(塩谷隆雄君) 参りません。
#347
○委員長(伊藤修君) いろいろお世話になりましたと言つて……
#348
○証人(塩谷隆雄君) いいえ、鈴木君が見えましたのは、身柄が釈放になりまして、すぐにその足で私の部屋に見えまして、今釈放になつたということを家族の者にすぐ電話で知らして貰いたい、こういう依頼に見えたのです。
#349
○委員長(伊藤修君) それは釈放になつたときの本人の心持というものは非常に嬉しいもので、先ず第一に世話になつたところへ第一に駆付けるというのが心理です。これはあなたは御存じないか知らぬけれども、そういう心理です。だからあなたに世話になつたから第一に、どこを放つて置いてもあなたのところへ駆付けたわけです。それであなたにお礼を申上げたわけです。
#350
○証人(塩谷隆雄君) それは委員長の解釈でありまして、どういうものか存じませんけれども、鈴木君が私のところに見えましたのは、家へ電話して呉れということでありまして……
#351
○委員長(伊藤修君) 家へ電話するくらいなら家へ走つて行つた方が早いです。どうせ釈放になつたときには自動車が待つておるのです。家族の人も連絡が付いておるのですから……
#352
○証人(塩谷隆雄君) それは委員長はよく事情を御存じないのでありまして、鈴木君の家は二つあるのです。一つは本家、それから自分の家族の住んでいる家、それで私はその両方へかけて貰いたいということを頼まれたのです。
#353
○委員長(伊藤修君) そのとき佐藤君は来なかつたのですか。
#354
○証人(塩谷隆雄君) 佐藤君は参りません。
#355
○委員長(伊藤修君) 一緒じやないのですか。
#356
○証人(塩谷隆雄君) 一緒じやありません。
#357
○委員長(伊藤修君) 一緒に仮に来なくとも、そのときに三人が偶然又落ち合つたのじやないですか。佐藤が又ひよこつと来たんじやないですか。
#358
○証人(塩谷隆雄君) 大体佐藤君と鈴木君とは知りませんですから。
#359
○委員長(伊藤修君) いやあなたの部屋へ偶然、一緒に来たんじやないけれども、佐藤君もどこかから来てそこへ落ち合つたのじやないですか。
#360
○証人(塩谷隆雄君) そういう記憶ははつきりいたしておりません。
#361
○委員長(伊藤修君) 三人鼎座されたんじやないですか。
#362
○証人(塩谷隆雄君) そういうことはございません。
#363
○委員長(伊藤修君) いつ保釈になるということは、あなたは佐藤から報告を受けておつたのですね。
#364
○証人(塩谷隆雄君) 受けておりません。
#365
○委員長(伊藤修君) 御存じの筈じやないですか。
#366
○証人(塩谷隆雄君) 知りません。
#367
○委員長(伊藤修君) 大体尋問は終りました。
#368
○大野幸一君 先ず大切なことから聞きたいと思うのですが、あなたはよく、それは人の解釈の上だと、こうおつしやる、解釈ではないので、世の中には社会実験法則というものがあつて、その社会実験法則に反するような事柄は起り得ないという考えの下にお聞きするわけです。だからあなたが、それは勝手な解釈だというように考えられて答えられては困るのだが、築地の田中屋で八月の中頃お会いしたというときに、すでに味の素事件の齋藤、田代というものは留置されていたのではありませんか。
#369
○証人(塩谷隆雄君) それは事件はもうすでに起きておりました。
#370
○大野幸一君 それをあなたは御存じですか。
#371
○証人(塩谷隆雄君) 知つております。
#372
○大野幸一君 それでは味の素の課長ですか、佐藤というのは……田代は何ですか、知りませんが、その人達が……味の素というのは会社でしよう、それは御存じですか。御存じだつたのですか、どうですか、味の素は会社だつたかどうかというのは……
#373
○証人(塩谷隆雄君) それは当然知つております。
#374
○大野幸一君 そこでこの社長というのは鈴木恭二ですか……鈴木恭二はどういう立場ですか。
#375
○証人(塩谷隆雄君) 鈴木は支配人か何かだつたと思います。
#376
○大野幸一君 そうすると、会社がすでに被疑事件で挙つているということは御存じですね。
#377
○証人(塩谷隆雄君) 知つております。
#378
○大野幸一君 そういう場合に、あなた達は友達だといつて御馳走になるのですか。これはどういうことですか、御馳走になつていいのですか。
#379
○証人(塩谷隆雄君) 味の素の御馳走になつたわけではありません。
#380
○大野幸一君 支配人としての鈴木から御馳走になつているのですか。警視庁はそういうことをやつておるのですか。
#381
○証人(塩谷隆雄君) 鈴木君が被疑者として挙げられておるのではありませんから、そういうことは構いませんでしようね。
#382
○大野幸一君 構いませんですか。併し役人として、挙げられているのに会食しようというのは……
#383
○証人(塩谷隆雄君) 構いません。
#384
○大野幸一君 いや君のところは被疑事件の継続中だから用心しよう、誤解を受けるから遠慮しようと、そのくらいの心の用意はないのですか。
#385
○証人(塩谷隆雄君) 併し友人関係ですから……
#386
○大野幸一君 いけません、いけませんと私は思います。(笑声)あなたはそれでいいと思いますか。
#387
○証人(塩谷隆雄君) いいと思います。
#388
○大野幸一君 これからでもやりますか。
#389
○証人(塩谷隆雄君) それはときと場合によると思います。
#390
○大野幸一君 これはどうも、国民は失望しますよ。私は何も個人的に言うわけではないが、国民を通じて言うと、それは失望しますね。
#391
○証人(塩谷隆雄君) それは味の素の会社の中の一部門として何かがあつたとしても、その会社の人と誰とも一緒に飮んではいけないという社会常識はないと思います。
#392
○大野幸一君 いやいけません。社会常識です。それは黙つておつても会食すること自体が、黙つていても了解運動になるということくらいの常識はあるのです。役人としての心がけは……
#393
○証人(塩谷隆雄君) 私は消防が本務でありまして、警察としての捜査をやつているわけではありませんから、何も私が鈴木君と飮んだからといつて、それが警視庁の了解運動になるということは、これはちよつと筋がおかしいと思います。
#394
○大野幸一君 いや、あなたは警視庁の中にいて……
#395
○証人(塩谷隆雄君) 建物が同じだというだけでございまして、警察と消防というものは全然……
#396
○大野幸一君 それ程綺麗ではありませんよ、警視庁の内部は、今までの調べによつて……
#397
○証人(塩谷隆雄君) 消防庁は警視庁ではございません。
#398
○大野幸一君 それはあなた達の関係はそれ程綺麗ではないですよ。併しあなた達はそういうふうに考えないのですね。我々国民はそういう場合に誤解を招く虞れがあるから、遠慮すべきだと思う。して貰いたいのです。国民としては……
#399
○証人(塩谷隆雄君) まあそれは先程から申上げました通り、見解の相違と思います。
#400
○大野幸一君 それから佐藤があなたに対して金を送つた、こういうことはどういつたか知らんけれども、あなたは当時の状況を総合的に判断して貰いたいと言つたのは、どういうわけですか。総合的に判断する材料を與えて下さい。
#401
○証人(塩谷隆雄君) それは佐藤の留置されている間における身心の状態というようなものです。
#402
○大野幸一君 そうすると、警視庁の調べなんというものはちつとも信用できなくなる、或る意味において……。これは或る意味においてはそういう場合があつたのでしよう、今までは……私達は警視庁の取調べは旧刑法時代ではなく相当明朗にやつていると思つている。警視庁自体から、事自分のことに関すると、これは警視庁の取調べが信用できないというような否定的態度をとられると国民は迷惑をする。場合によつては、警視庁の陳述というものは正しいものだといつて主張せられる。検察庁でもそうです。或る場合においては、被告というものは最初逮捕されて供述した場合が正しい場合がある。それから段々自分の利益に考えを及ぼして供述を変更する場合もあることは事実なのです。そこで警視自体が……あなたは警視庁ではないでしようけれども、警視庁にいらしやつたでしよう。消防部の当時、保安部長の当時……それで警視庁の取調べが、調書が信用できないと、こういうことを言うのは余り勝手じやないかと思うな……どうですか。
#403
○証人(塩谷隆雄君) いや、私が信用しないというのではなくて、それは佐藤の取調べの過程、或いは更に検察庁に行つてからの取調べ、そういうものが総合されて最後の結論というものが私は出ると思います。警察の調べが絶対のものであれば、警察で調べられた者はすべてこれは有罪であるということになるのでありますが、そういうことは私は一概に言えないと思います。
#404
○大野幸一君 消防部保安部長時代は、これは警視庁の管内ですね、
#405
○証人(塩谷隆雄君) そうです。
#406
○大野幸一君 そうすると、消防庁だから警視庁と関係はないというけれども、その当時警視庁の中には知合いが多かつたのですね。知合いが多かつたから、何か渡りが付くぐらいに鈴木は考えて、逮捕される前日にあなたを呼んだ、呼んだか、一緒に会食したか知らぬが、そのところで社員が勾留されているというときに、それを知つて行かれるということは、どうも私はあなたの人格を疑う。それが正しいと、差支えないと、こう言うことはあなたの人格を疑つて腑に落ちないのだがね。いいと思うのか、惡いと思うのかね。
#407
○証人(塩谷隆雄君) どうも人格を疑われては困りますけれども、私は何て警察の仕事を現在やつているわけではございません。要するに火を消す仕事をやつているわけです。そうして味の素という会社は大きな会社で、その会社の中の一人の人が引張られているからと言つて、その会社の人と一緒に会食するということが社会の道義上からいつて惡いという判断は、少し私は行き過ぎな考えじやないかと、こう思います。
#408
○大野幸一君 いや、行き過ぎでないので、むしろそういう場合に、役人はふだんは交際しておつても、いやそういう事件が係属しているから、この際は遠慮さして貰おうというのが公務員のあり方だと私は思う。見解の相違でまあよろしいですが。
#409
○証人(塩谷隆雄君) その点は重ねて申上げますが、その役人の職務が、そういう捜査というようなことに関連した役人であるならば、それは当然遠慮すべきだと思いますが、それ以外の職務を持つている役人であつたならば、それ程までに嚴格に行動を制限せられる必要はないと、私はこう思います。
#410
○大野幸一君 そうすると、次にその消防庁の予算というものは実はどのくらいの予算ですか。
#411
○証人(塩谷隆雄君) 二十四年度で大体十二億ぐらいと思います。
#412
○大野幸一君 それだけのあなたは責任者ですね。一応は……
#413
○証人(塩谷隆雄君) そうであります。
#414
○大野幸一君 そうすると、そのうち消耗品費というのはどのくらいですか。
#415
○証人(塩谷隆雄君) はつきり記憶をしておりません。
#416
○大野幸一君 何パーセントぐらいですか。
#417
○証人(塩谷隆雄君) そうでございますね。ちよつと手許に数字がございませんから、ちよつとはつきり……
#418
○大野幸一君 それで消防庁の総監が勤まりますか。概略ですね。国の予算はどのくらい、これはどのくらいという、このくらいのことは分つておらぬと……それで消防総監が……
#419
○証人(塩谷隆雄君) それは大体人件費が六割、あとの四割が物件費とか、事業費という恰好になつております。
#420
○大野幸一君 それではどうしてさつきから答えないのですか。知つているのに……
#421
○証人(塩谷隆雄君) それは消耗品を買うということでありましたから、そう細かい数字は私は存じません。
#422
○大野幸一君 厚生課で特別衣料を配給して、厚生のためにみんなにお配りになつたということは特別配給でしよう。
#423
○証人(塩谷隆雄君) 特別切符でやつております。
#424
○大野幸一君 特別切符で……これはどのくらいの数量ですか。
#425
○証人(塩谷隆雄君) 確かワイシャツの生地として、三千人か、四千人分ぐらいではなかつたかと思います。
#426
○大野幸一君 金額にしてどのくらい……
#427
○証人(塩谷隆雄君) 金額にして二百万円ぐらいになるのじやないかと思います。はつきりいたしておりません。
#428
○大野幸一君 そういう場合消防庁との取引をやつた。とにかくここにおいてあるのですね、佐藤というのは……そういう人間と一つは二百万円、これだけか、他にあるか知りませんけれども、それだけの取引をする人間と全然あなたの友人でなかつたならば、会食することでも、会食をして起訴、不起訴は別として、饗応でもよくないことになりますがね。あなたの友人じやなかつた場合は……
#429
○証人(塩谷隆雄君) 併し私は直接その事務にタッチしておりませんから……
#430
○大野幸一君 その消防総監としてそれだけの職務の権限はある。職務に関連はありますよ。そんなことを言えば、局部課長よりあなたに相談するとか何とかで、それは知つている。
#431
○証人(塩谷隆雄君) 最後の責任は私にあると思います。
#432
○大野幸一君 法律上の職務関係はあるでしよう。
#433
○証人(塩谷隆雄君) 法律上の職務関係は疑問があると思います。その点につきましては……
#434
○大野幸一君 疑問があると思う、なかなか勝手に解釈をしておるようですね、私から言わせれば……。そこで友人関係とどこで区別するのですか。皆飯を食つて友人になつておつて、それで出入商人に仕事をさせるという、どこで区別できるのですか。
#435
○証人(塩谷隆雄君) それには最後はやはり法律問題として、そういう判断を下される所で判断をして頂かなければならんと思います。
#436
○大野幸一君 いや、それはあなたばかりでなくて、一般に消防庁なんかでそうやつておるのですか、そういう程度に……それであなたが今後もこういうことをやる。こういう趣旨でやつても差支えないと言われるのですか。
#437
○証人(塩谷隆雄君) どういうことですか。
#438
○大野幸一君 どういうことつて、さつきから私が聞いておるのですが、そういうことはあなたはよからぬことで、愼しむべきことであるとおつしやらない。
#439
○証人(塩谷隆雄君) さつきの鈴木君との交際ですか。
#440
○大野幸一君 そうです。
#441
○証人(塩谷隆雄君) 私は差支えないと思つております。
#442
○大野幸一君 どうも腑に落ちないのですがね。あなたは余り自分の部屋に来ないと言うのですがね。或る人に金を貸す場合に、あなたの部屋で会うというような親密さがあれば、それはあなたとの間に余程交際関係が深いのだと、第三者は見ても止むを得ないのじやないですか。
#443
○証人(塩谷隆雄君) それは止むを得ないと思います。
#444
○大野幸一君 あなたの私設祕書だと言われても止むを得ない。
#445
○証人(塩谷隆雄君) そこまでは実際問題として佐藤をそういう工合に使つておりませんし、私設祕書という批判は誰がしておられるか知りませんけれども、それは極めて行過ぎな判断だと思います。
#446
○大野幸一君 今から考えまして、振返つて考えまして、佐藤があなたに接近したのも、又警視庁関係に接近したのも、やはり佐藤に何か考えがあつてやつたのではないかと考えられませんか。今から振返つて考えるのですよ。
#447
○証人(塩谷隆雄君) 他の人に対してはどうか分りませんが、少なくとも私に対しましては、この関係におきましては、佐藤君にそういう意図があつたとは思いません。と申しますことは、相当長く附合つておりましたけれども、私の保安部長時代、これは経済警察をやつておりました。御本人は繊維の業者であります。であるにも拘わらず、当時ああいう闇が横行しておりましたのに、自分自身のことはもとより、関係の業者その他のことで私の所に一度も依頼に来たこともございません。或いは又えてそういう人は人事等についてもいろいろ頼みに来るものでありますけれども、そういうことは本当に一回もなかつた。それから消防総監になりましてからも、私の方の厚生課との取引にいたしましても、佐藤は私に頼んだことは一度もないのであります。そういう点で、私は他の人に対する関係においては私は断定はよう下しませんが、少なくとも私に対しての佐藤という者は非常に綺麗に、スポーツマン・ライクに私と附合つて来た。その点で私は或る意味で感心もしておるくらいであります。
#448
○大野幸一君 スポーツというと何をやる方ですか。
#449
○証人(塩谷隆雄君) 陸上競技です。
#450
○大野幸一君 陸上競技は何ですか。
#451
○証人(塩谷隆雄君) 走り競争です。
#452
○大野幸一君 マラソンですか。
#453
○証人(塩谷隆雄君) 中距離、長距離全部であつたように聞いております。
#454
○大野幸一君 最後に問題になりましたというか、最初に問題になつたと言いますか、何か日比谷、芝あたりの人の最初の被疑事実というのは、消防庁を利用するという詐欺じやなかつたのですか。
#455
○証人(塩谷隆雄君) 新聞ではそういう工合になつております。
#456
○大野幸一君 そうすると、やはり消防庁へ物を入れるという詐欺じやなかつたのですか。
#457
○証人(塩谷隆雄君) その内容はよく存じません。
#458
○大野幸一君 そうでしたね。そうすると、やはり消防庁であなたとの懇意を利用して詐欺をやつた、こういうようであるのですがね。そうしてあなたの部屋から取引先へ電話をかけるというようなこともあるのであります。それはあなたの留守中かどうか知らぬが……
#459
○証人(塩谷隆雄君) 私の部屋からはかけないと思います。それは先程委員長に御説明しましたように、私の祕書のいる受付の部屋と会議室兼応接間、それから私の事務所とがございますから、電話のあるのは私の部屋だけでなく、殊にああいう役所の通有性として、受付の祕書室の電話なんというものは、ちよつと人が入つて来て借りるとか、しよつちゆう人が出入りしておりますから、そういうことは或いはあつたかと思います。
#460
○大野幸一君 それはそうですけれど、取引のために使う。又向うから電話がかかつて来たときに、そこは消防総監の部屋ですか。
#461
○証人(塩谷隆雄君) 或いは私の祕書の部屋でおやりになつたことがあるかも知らんと思いますが、私の部屋ではそういうことは私の知る範囲ではございません。
#462
○大野幸一君 あなたは佐藤との交際において、自分の消防総監としての交際は正しかつたと思うか。これはやはり一つの失敗だと思います。
#463
○証人(塩谷隆雄君) 失敗というのはどういう意味でございますか。
#464
○大野幸一君 ああいう世間に疑惑をかけたことに対して……
#465
○証人(塩谷隆雄君) そういう意味では失敗という言葉は当りませんけれども、一つの自分の災難であつた、こういうふうに考えております。
#466
○委員長(伊藤修君) 佐藤は繊維をやつていたことを御存じですか。
#467
○証人(塩谷隆雄君) 知つております。
#468
○委員長(伊藤修君) あなたは保安部長に、二十一年六月から二十三年の二月ですか、おやりになつた。そうして経済の方をおやりになつたのですね。
#469
○証人(塩谷隆雄君) そうであります。
#470
○委員長(伊藤修君) 経済の方にはリストがあるのでしようね。いわゆる経済事犯をやるもののリストがあるのじやないか。
#471
○証人(塩谷隆雄君) そういうものはございません。
#472
○委員長(伊藤修君) 大体どいつが闇商人だということで目を付けてやるのではいか。
#473
○証人(塩谷隆雄君) そういうリストはありません。そのときに起きて来た事象に応じて捜査をやるような恰好でございます。
#474
○委員長(伊藤修君) 捜査をなさる場合に、大体睨みを利かしておるのじやないか。
#475
○証人(塩谷隆雄君) 利かしておりません。
#476
○委員長(伊藤修君) 佐藤はその直前に経済事犯で以て処罰を受けていますね。御存じですか。
#477
○証人(塩谷隆雄君) 知りません。
#478
○委員長(伊藤修君) 経済違反で処罰を受けたような人で、自分の商売を拡張するためには、又繁栄ならしめるためには闇を押えることの元締をやつていらつしやる、そういう人に近付きになるということは、非常に商売上便利なんですが、そう意味じやないか、あなたに近付きになつたことは……
#479
○証人(塩谷隆雄君) 佐藤君の意図は私は分りませんが、只今おつしやいました佐藤君が前に経済事犯をやつたことがあるということは、今初めて、私委員長から聞いたのが初耳であります。併し先程委員の方からの御質問にお答えいたしましたように、私の見ているところでは、佐藤君は全然そういう気配というものを私に見せたことはございません。ただ私を知つておるということが、或る意味で佐藤君の商売上に有利になるということは、或いは考えられないこともないと思います。
#480
○大野幸一君 ああいう闇商人というものは、えてして検察庁を知つているということで公々然と闇をしておる。俺のところは治外法権だということを言つてやつているのがあるのですが、そういう意味合いにおいて暗に利用しているわけですね。
#481
○証人(塩谷隆雄君) 私にお聞きになつても……。佐藤君に一つ聞いて頂きたいと思います。
#482
○大畠農夫雄君 お尋ねしますが、役所の帰りに佐藤君と月一回ぐらい飮んでおつたというのですが、そういつた特別の関係に、その飮む時代にはなつて来たんですか。どういうわけで月一回ぐらい飮んでおつたか……
#483
○証人(塩谷隆雄君) 特別の何も理由も目的もございません。ただ友人同志がぷらつと飮みに行くと、そういうことに社会一般に何ら目的もないのと同じような状況でございます。
#484
○大畠農夫雄君 その当時は友人であつたかも知れませんが、最初は官吏として、或いは一方は佐藤商人としての人であつて、友人になるというまでには相当附合わなければ友人ということにならないので、それに月一回ぐらい飮んでおつたということになると、その間非常に密接な関係がある。何のために役人と商人がそんな密接な関係になつたかということが疑問なんです。何となしに友人という関係でぷらつと行つたと、こう言われるのですか。
#485
○証人(塩谷隆雄君) そういうわけでございます。
#486
○大畠農夫雄君 それから佐藤の方に消防庁から、佐藤の方から消防庁へ……、何か買つたという、外に物を買つたことはありませんですか。
#487
○証人(塩谷隆雄君) 私の方の役所で佐藤から買つたものですか。
#488
○大畠農夫雄君 ええ。
#489
○証人(塩谷隆雄君) それは先程来問題になつておりました車で、それとあと佐藤から買つた、或いは佐藤の斡旋で買つたものが、衣料品で三種類ぐらいだと記憶しております。
#490
○大畠農夫雄君 それ、何でございますか、どんなものでございますか。
#491
○証人(塩谷隆雄君) その一つはいわゆる問題になりました、何と申しましたか、絹のノイルと申しましたか、はつきり覚えておりませんが、あれと、それから人絹と、純綿のワイシヤツ、そんなもんだろうと思います。はつきりした記憶はございません、それ以上……
#492
○大畠農夫雄君 そうしてその金額はどのくらいになりますか、全部で……
#493
○証人(塩谷隆雄君) 全部で、自動車の方を除きまして三百万円ちよつとぐらいのものじやないかと思います。
#494
○大畠農夫雄君 三百万円。それから佐藤に何か消防庁関係で売拂つたものはございませんですか。
#495
○証人(塩谷隆雄君) 多分ないと想います。
#496
○大畠農夫雄君 ない……。それから先程の川手さんの関係ですが、これもよく証人はこまかく事情を知つているようでありますけれども、この川手さんと証人との関係は、どうしてそういうふうにこまかく知るようになつたか、それをちよつとお聞かせ願いたいと思います。
#497
○証人(塩谷隆雄君) 川手君は警視庁詰めの記者として非常に古い方です。従いまして私は二度警視庁におりましたので、最初から知合いになりました。非常に気持がお互いに合いまして、新聞記者諸君の中でも特別親しく私はしておる。そういう関係です。
#498
○大畠農夫雄君 それから佐藤と、それじや川手とが、そういうふうに金を貸す程度まで親密になつたということは、どういう関係になつたと思われますか。
#499
○証人(塩谷隆雄君) それは私よく存じません。
#500
○大畠農夫雄君 川手さんを佐藤さんにあなたが紹介したのじやないですか。
#501
○証人(塩谷隆雄君) 紹介しておりませんのです。
#502
○大畠農夫雄君 おらない。
#503
○証人(塩谷隆雄君) はあ。相当前から知合のような状況だと思います。
#504
○大畠農夫雄君 佐藤さんと川手さんとは……
#505
○証人(塩谷隆雄君) はあ。
#506
○大畠農夫雄君 それからあなたはこの江花という代議士を御存じですね。
#507
○証人(塩谷隆雄君) 知つております。
#508
○大畠農夫雄君 その人を佐藤に紹介したことがございますね。紹介したことが……
#509
○証人(塩谷隆雄君) 紹介しております。
#510
○大畠農夫雄君 それは江花代議士を何とか応援して呉れないかというような意味で紹介したんですか。
#511
○証人(塩谷隆雄君) 最初紹介しましたのは、そういう意味ではございません。確かそれは二十二年頃じやなかつたかと思うのですが、当時江花君は会津の市長を確か辞められて、会津若松の市長を辞められて、浪人をしていた頃だと思います。時折上京しました際、上京して来ると、私の部屋にもやつて来る。そういうときに確か私の部屋で佐藤君とたまたま一緒になつて、そのとき私が、これは佐藤君だ、これは江花君だというふうに紹介したんだつたろうと思います。
#512
○大畠農夫雄君 その後この佐藤君は江花君にですね、金を少し出しているのですが、そういうことは御存じですか。
#513
○証人(塩谷隆雄君) 江花君が佐藤君から金を借りておるということは知つております。
#514
○大畠農夫雄君 知つておる。それは何か立会つたことはございませんですか、金を貸すときに……
#515
○証人(塩谷隆雄君) 私は立会つたことはございません。
#516
○大畠農夫雄君 それから今お聞きしていますと、私達は、外の方はどうか分りませんが、私委員として、どうも証人の言われることが、突込まれて行かなければ、関係事項を親切に喋らないと、こういうふうな心証を受けたんですが、これは尤も証人の勝手な御意見ですけれども、余りどうも私といたしましては、今までの証人にお聞きした、証人の方にお聞きした点から見ると、心証上余り好感は持てない、というふうに私は思うのです。それで証人のお考えとして、先程大野委員からも言われたのですが、お互いにやつぱり社会常識というものがあつて、それでやるのですから、あなたの主観的なものであつて、考えは御自由だという御意見なんですが、そういう考えではなくして、佐藤を見たときに、佐藤という者はあなたに対して何かを要求しているのだというお考えは持たなかつたですか。
#517
○証人(塩谷隆雄君) 全然そういう感じは私は持ちませんでした。
#518
○大畠農夫雄君 ただ單なる友人として附合つて行つたと、こういう意味なんですか。
#519
○証人(塩谷隆雄君) そうです。
#520
○大畠農夫雄君 何か自分を利用して、庁内において何かうまい、漁夫の利でなくても、何か自分が利用されるかも知れん。併し僕は敢てそれにタッチするのではないから構わない、佐藤が勝手にやるのだというような考えは持たなかつたのですか。
#521
○証人(塩谷隆雄君) 実は私は、今度佐藤君が検挙されまして、そうしてああいうように警視庁の内部の相当広範囲に顔が利いておる、上から下までということは、今度の佐藤君の供述内容として新聞に出ましたことを新聞で見て、実は私びつくりしたくらいでありまして、私の保安部長時代、或いは保安部長から消防総監になりまして後会つておりますときでも、自警会の方に行つた帰りに寄つたとかいうふうなことは私に申しておりましたけれども、何課長を知つておるとか、何係長を知つておるとかいうようなことは、佐藤君が私に余り喋つたことはない。あれ程広く警視庁の中に佐藤君が食い込んでいたと申しますか、或いは顔が利いておつたということは私は意外に思つたくらいです。
#522
○大畠農夫雄君 そうするとあなたは、警視庁幹部の連中を佐藤に紹介したことはございませんか。
#523
○証人(塩谷隆雄君) 幹部で紹介いたしましたのは、先程御説明いたしましたように、間狩警務課長に佐藤が申出た寄附金問題で電話をして紹介したと申しますか、取次をしたというだけでございます。
#524
○大畠農夫雄君 それ以外にはございませんか。
#525
○証人(塩谷隆雄君) ございません。
#526
○大畠農夫雄君 結構でございます。
#527
○羽仁五郎君 今の間狩警務課長に電話で佐藤昇という方からの寄附の件を連絡されて、その寄附の結果はどうなつたのですか。
#528
○証人(塩谷隆雄君) 結果は聞いておりません。
#529
○羽仁五郎君 受取つたのか、受取らなかつたのか……
#530
○証人(塩谷隆雄君) 多分寄附があつたのじやないかと思つております。
#531
○羽仁五郎君 受取つたらしい……
#532
○証人(塩谷隆雄君) はあ。
#533
○羽仁五郎君 証人は電話クラブという所に行かれたことがありますか。
#534
○証人(塩谷隆雄君) 行つたことはございません。
#535
○羽仁五郎君 それからセノオビルという所に行かれたことはございませんか。
#536
○証人(塩谷隆雄君) 名前を聞いたこともございません。
#537
○羽仁五郎君 今委員長並びに他の委員からのお問いに対してお答えになつておるところを伺つておりますと、こういう感じを受けるのですか、まああなたは非常に法律をよく知つておいでになるらしい。それで法律に触れないような形でなされることに対しては、自分としても責任を感じないというようなお考えのようですが、どうでしようか。
#538
○証人(塩谷隆雄君) そういう考えは持つておりません。やはり役人として道義というものはあると思つております。
#539
○羽仁五郎君 それでは第一に伺いたいのは、さつきのような場合、保安課長個人として寄附を受けることはよろしくないということは立派なお考えだと思うのです。今まで警視庁関係でここで証言を願つた方には、必ずしもその程度のお考えもない。個人として受取つてもいいというお考えの方もあるようです。それに対してあなたは、それはいけないというお考えを持つておられるのですね。
#540
○証人(塩谷隆雄君) そうであります。
#541
○羽仁五郎君 個人として受取らないで、警務課長或いは警務課で正式に受取るということも、間接にはやはりあなたの世話で、あなたを通じて佐藤という人の寄附金があるという影響力がそこにあるということはお考えになりませんか。
#542
○証人(塩谷隆雄君) 当時は、佐藤とはそのときが初めてで、初対面でございまして、そういう寄附問題の私は、保安部長はそういうものを所管しておりませんから、一応所管の課長に話して呉れということで、そちらの方に紹介というよりも、行つて貰つた。行つて貰うについてはこういう人が来たからということをただ当時の課長に電話で知らせただけでございまして……
#543
○羽仁五郎君 分りました。それで寄附問題の所管である警務課乃至警務課長はそういう話を受けたときに十分調査をして、それが怪しいものであるかないかということを明らかにして処置されるというように御承知になつておりますか。
#544
○証人(塩谷隆雄君) それは当然されるのが当り前だと思います。誰の寄附でも受けるというものではないと思います。
#545
○羽仁五郎君 ないと思うじやない、実際そうやつておるということを御存じですか。
#546
○証人(塩谷隆雄君) 知らないのです。
#547
○羽仁五郎君 やつておるかやつていないか知らないのですね。
#548
○証人(塩谷隆雄君) 多分やつているだろうと思います。大体寄附をする人の社会的の地位とか職業とか、そういうものは十分にそれは質した上で受けるならば受けるということは、これは当然警察としてやつておられることと私は思います。
#549
○羽仁五郎君 併しあなたが紹介されたというよりも、取次いだという場合には、相手方としてはあなたを信ずる、あなたは警務課を信ずる。そうすると第三の関係で、信ずべからざる人がそこへ寄附者として入つて来るという場合がありますね。
#550
○証人(塩谷隆雄君) まあそれは佐藤を私に紹介した人の信用の問題になつて来ると思います。その紹介者の如何によつては、てんで問題にしない場合もあり得ると思います。確かその場合は先程、これははつきりした記憶ではございませんが、商工省の岡田秀男君の紹介であつたと思いますので、私は或る程度間違いのない人だと、こういうふうに思つたのであります。
#551
○羽仁五郎君 或る程度間違いない人ということは、確実な証拠に基きますか、あなたの判定は。
#552
○証人(塩谷隆雄君) それはまあ紹介者の……
#553
○羽仁五郎君 いや岡田秀男という人について……
#554
○証人(塩谷隆雄君) 岡田君は私の古くからの友人でございますから、岡田君を信用しておりますから、岡田君が推薦して来た人だから間違いのない人だと、こういうふうに一応考えたのであります。
#555
○羽仁五郎君 それから第二に伺いたいのは、依頼を受けたこともない、又その話も聞かない。だから直接関係は全然つかない。併しそういう状況の下で一遍行動をとれば、それは依頼を受け、又それに応じたことになる場合があるとお考えになりませんか。
#556
○証人(塩谷隆雄君) ちよつと少し質問が抽象過ぎて……
#557
○羽仁五郎君 先程から委員長も他の委員もしばしばお伺いになつておることだし、余り愉快なことでないから申上げないのですが、先程からのあなたのお話だと、友人であるとか、直接の関連がない、つまりあなたは消防総監であつて、直接関連がない。併し間接には非常な関連がありますね。警視庁と消防庁というものは同じ建物の中にあるし、お知合の方も多いし、あなたは前職は保安部長をしておられるし、これは関連なしとは言えないでしよう。
#558
○証人(塩谷隆雄君) 無関連だとは申上げられないと思いますが、まあ直接的な仕事の上の関連性はない、まあこう思います。
#559
○羽仁五郎君 併し関連はいつでもつけ得ますね。
#560
○証人(塩谷隆雄君) それは私を利用しようと思えば、私の利用価値は若干あるだろうと思います。
#561
○羽仁五郎君 それで先程大野委員から非常にひどい言葉で言われた点は、私共としても多くの方が同感ではないかと思うのです。つまり関連性なしとは言えない。最も好意的に見ても関連性なしとは言えない。それから又その方が、あなたは確か味の素の会社の、大きな会社の一部分に起つた小さな事件であるというように聞えるように言われましたが、そうではないでしようからね。可なり大きな事件だつたんでしよう。中に社長なり支配人なり、或いはそれについて心痛をしておるであろう。場合によつては官庁方面に波及しないとも限らないというようなものである。決してあなたは不注意に看過していいという程度のものではない、そういう人とまあ友人でもあり、ときどき会食していたんだが、その方が検挙される。まあ前日か或いは一週間ぐらい前に食事を共にされるということは、さつきあなたの話では全然差支ないし、今後も時々場合によつてはやるというように言われたということはどうも我々に納得ができない。非常に危險であるような気がするのです。消防総監というような重大な任務を持つて、責任を持つて、あなた七千人かの部下を持つていると言われたが、七千人の部下が全部そういうことをやつてもいいでしようか。
#562
○証人(塩谷隆雄君) それはお言葉でありますけれども、当時私は味の素の何かの事件が起きているということは、人から聞いて知つておりました。併しそれが鈴木君の身辺まで行くということは、実は私うつかりしてそこまでは考えなかつたんです。而もそのときの会合というのは鈴木君から飮もうということを言つて来られたのではないのでありまして、朝日の社会部長の進藤君。これは私も非常に親しくしておりますし、進藤君、鈴木君とも親しい仲でありまして、前にも一緒に飮んだことがあるし、暫く飮まなかつたから一遍やろうじやないかということを進藤君からお話がありました。それでその席上に参りました。まあ結果論的に言えば、もう少し謹愼すべきではなかつたかというような御議論も或いは出るかと思いますけれども、当時の私としては何ら鈴木君が疑いを受けていることも知りませんし、殊に進藤君の主催でやろうというのでございますから、まあ喜んで出席したと、こういう状況であります。
#563
○羽仁五郎君 すると、第三に伺いたいのは、あなたは大体災難だというふうに言われたのですが、普通の人の場合の災難と違うのです。我々国民は重大な責任を託しているのだから、ですからあなた御自身としてはあなたが直接にそのことを知つているか、或いは依頼したか、聞いたかでなくても、あなたの公けの地位を利用して不正が行われるということに対しては十分愼重にお考えになつていると思いますがね。
#564
○証人(塩谷隆雄君) 考えております。
#565
○羽仁五郎君 そうすると、最後の質問なんですが、あなたさつき佐藤君という人がスポーツマンらしい人格者である、紳士であるというように判断しておられる。まあ現在は別ですが、最近まで。それはいつ頃までそういう判断を持つておられましたか。
#566
○証人(塩谷隆雄君) 今度の事件の大体の全貌が分る頃までなんです。
#567
○羽仁五郎君 昨日我々は田中警視総監から証言を伺つたんですが、田中総監の証言では、昨年の八月或いは九月頃から警視庁及び消防庁その他官庁に出入しておる好ましからざる人物であつて、官庁ボスであるというような判断を持つておられた。田中警視総監は昨年の八、九月頃。であなたはそういうような判断が警視総監においてなされておつたにも拘わらず、スポーツマンである、紳士である、人格者であるというような判断をその後もずつと持つておられて……
#568
○証人(塩谷隆雄君) その後暫く持つておつた。それは恐らく田中さんと私の時期的なズレというものは、田中さんは警察におられて、いろいろ佐藤君の行動に対する情報もいろいろ各方面から入ると思います。私はまあ消防におりまして、田中さん程に佐藤君の行動については私に入りません。まあそういうことで田中さんの判断と私の判断とに時間的のズレは当然起り得ると思うのです。
#569
○羽仁五郎君 あなた大体警視庁、消防庁、その他官庁方面に出入する好ましからざる人物、即ちいわゆる官庁ボスというものを今後も看破される自信が余りおありにならないですね。
#570
○証人(塩谷隆雄君) 自信がないと言いますか、あると言いますか、それは或る程度私分ると思います。
#571
○羽仁五郎君 それでどうしてこの佐藤という人はスポーツマンで、紳士で人格者であるということと官庁ボスであるということは、程度の差ぐらいではないですね。
#572
○証人(塩谷隆雄君) ですから、まあそれは段々人間が人を見て、人と附合つて経験を積んで行けば段々とそういうものが磨かれて来るのではないかと思う。
#573
○羽仁五郎君 そうするとあなたは最近まで未経験であり、余り磨かれていなかつたということを自認されるわけですか。
#574
○証人(塩谷隆雄君) これも又お叱りを受けるかも知れませんが、私はそれ程自信がないとは思つておらなかつたのであります。ただ佐藤君につきましては、こういう事件が起きてから佐藤君の半面というものを、僕の知らなかつた半面というものを知らされて、私一つ又勉強したと、こういうふうに考えております。
#575
○羽仁五郎君 びつくりしたんですね。
#576
○証人(塩谷隆雄君) まあびつくりしたと申しますか……
#577
○羽仁五郎君 あなた大変たびたびびつくりしておられる。鈴木常務が逮捕された時にびつくりしたということを言つておる。それから又佐藤昇という人があなたがお知合いになる直前に、経済事犯を犯しておつたということを今この席で委員長から聞いてびつくりしたと言つておるのですが、我々のような素人なら実際そういうことを聞いてびつくりするが、あなたのようにこのことに可なり密接に関連のある地位におられたことがある、そして現在はさつきからちよつと申上げたように消防は火を消すことであるけれども、併し警視庁と密接な関係があつて、田中総監の部屋ともその遠い所ではない、そういう所におられる方がこういうような問題を、佐藤君という人は官庁ボスであるということを時期を失して知つて、そうして驚いておるということは、どうも余り十分な認識をお持ちになつておられないのではないかという感じがしますが……
#578
○証人(塩谷隆雄君) 今お話がありました佐藤君の経済事犯があるかどうかという問題でありますが、経済事犯だけではなくて、それ以外の犯罪でも、前科というものはなかなか余程仔細に調べなければ分らんものであります。まして経済事犯というものは当時の社会情勢として、一つの社会常識としましてこの人が経済事犯を犯した人かどうかということは、経済事件を主管しておる部なり課なりでも余程身元を調査しなければ分らないものでありまして、又そういう者のブラックリストもございませんし、従いまして委員長からお聞きして私はびつくりした、本当にびつくりした。
#579
○羽仁五郎君 それはただ附合うような程度なら、そんなことを調べなくてもいいのですが、寄附を受けたりしばしば会食をするという場合には、その人の過去が非常に立派な人であるかどうかということは、殊に我々の場合と違つてそういう犯罪なり何なりの関係、又世間の人から信頼を受けて重要な地位におられる方ですから、まあ岡田さんという方を信じてそれで佐藤という人を信じていたという程度で、その程度の附合いをされるという場合と少し違うように思う。非常に密接に附合われる……
#580
○証人(塩谷隆雄君) それは段々に密接になつたのでありまして……
#581
○羽仁五郎君 それじや最後に伺つて置きたいのですが、あなたさつき鈴木常務がいつ保釈になるか知れないと言つておられましたが、本当に御存じなかつたのですか。
#582
○証人(塩谷隆雄君) 本当に知りませんでした。
#583
○羽仁五郎君 併しその前にあなたは記者クラブの記者諸君の前で、最近の警察は法律に定められた範囲内において調べるということは面白くないようなことを言つておられましたですね。昔の警察はそういうような勾留とか何とかいう期間を守つていたのですか、守られなかつたのですか。
#584
○証人(塩谷隆雄君) 昔は相当自由にやれたわけであります。
#585
○羽仁五郎君 それを自由というのですか。
#586
○証人(塩谷隆雄君) これは御承知のように或いは検束の形で検挙したり、或いは勾留の形で留置しておいて調べるというようなことが或る程度便宜的に行われておつたわけであります。それで新らしい憲法下においては、新らしい刑事訴訟法においてそういうことが嚴密に制限をされるようになつた。従つて勾留期間というものも法的な制限ができたわけであります。
#587
○羽仁五郎君 それは悲しむべきことじやないのですね。
#588
○証人(塩谷隆雄君) それは私も結構だと思います。ただ私の申上げますことは法で仮に二十日間なら二十日間、十日間なら十日間と決められておるために、それを一杯までは置く傾向がある。それより早く出すことが余りない、こういうことを申上げたのです。
#589
○羽仁五郎君 そういうようなことを記者クラブの記者諸君の前で言われる時に、この鈴木常務という方が逮捕されてから大体幾日目が釈放される時であろうという見当をおつけになつていらつしやつたのですか。
#590
○証人(塩谷隆雄君) それははつきり見当はつけておりませんでした。
#591
○羽仁五郎君 そうしてそういう議論をなされる。苟くも議論をされる上においては……
#592
○証人(塩谷隆雄君) それは只今申上げますように鈴木君の問題について話をしておつたのじやないのであります。まあ一般的に警察の最近の取調の状況というものについての話を新聞記者達と話をしておつた。そのときに私がふつとその鈴木君のことを言つたまでであります。
#593
○羽仁五郎君 その田中総監は昨年の八、九月頃から佐藤という方について惡質の人であるということを大体知つておられたのに、而もその際佐藤という人は消防総監のところにしばしば出入しておるということを昨日証言されたのですが、どうしてあなたに向つて注意されなかつたのですか。
#594
○証人(塩谷隆雄君) どういうわけですか、御注意はございませんでした。
#595
○羽仁五郎君 見込はないと思つたのですな。
#596
○証人(塩谷隆雄君) 私には分りません。
#597
○羽仁五郎君 当然注意すべきでしようが、警視総監が怪しい人物が消防総監の室に出入しておるとあなたに向つて注意して欲しいということを言われるのは当然だろうと思うのだが、何故しないのだろうか。
#598
○証人(塩谷隆雄君) 特別私に対してそういう注意をされたことはないのであります。
#599
○羽仁五郎君 それでその官庁ボスだと警視庁の上から下まであらゆるところに顔が利いて食込んでおるということを、新聞発表を見て、聞いてやはりびつくりなさつたのですか。
#600
○証人(塩谷隆雄君) そうです。
#601
○大畠農夫雄君 佐藤があなたを知るようになつたのは、警視庁内の日野という者から紹介された、こう言つておるのですが、あなたは岡田から紹介されたのだこういうのですが、そこに食違いがあるのですけれども、これは間違いありませんですか。
#602
○証人(塩谷隆雄君) 少くとも私がはつきりしておりますことは、日野君から紹介されたことはありません。日野君でないことは確実であります。
#603
○大畠農夫雄君 岡田さんであることは確実ですか。
#604
○証人(塩谷隆雄君) 岡田君であることは、ほぼ私そう断定しております。それも本当に断定はできませんが、多分そうであつたろうと考えております。
#605
○大畠農夫雄君 それから佐藤はあなたから自動車を買つて貰つたのだ、こういつておるのですがね。塩谷氏から買つて貰つたというのですが、何か自動車について交渉があつた際、買えるならば買つてやつて欲しい、買つてやつて呉れといつたことはないですか。
#606
○証人(塩谷隆雄君) 全然申しておりません。
#607
○大畠農夫雄君 佐藤はそういつております。塩谷氏から買つて貰つた、こういつておるのですがね。塩谷氏ということは要するに消防庁だといえばよいのですが、我々はそういうふうに取れないのです。消防庁なら消防庁というべき筈です。殊にあなたの名前を出して迷惑だということを知つておるのに、塩谷氏から買つて貰つたということをいつておる。何か口添えをしたか、何かしたことはございませんですか。
#608
○証人(塩谷隆雄君) 全然ありません。
#609
○大畠農夫雄君 それから先程委員長からもお尋ねがあつたのですが、五万円の問題について、何か監察官或いはその他の方面からあなたについて取調がなくても何か聞いて見られたことはございますか。聞かれたことはありますか。
#610
○証人(塩谷隆雄君) 誰からも聞かれたことはございません。
#611
○羽仁五郎君 先の残りを二、三伺いたいと思います。朝日新聞の進藤という方はどういうお知合いですか。
#612
○証人(塩谷隆雄君) それは向うは、進藤君は社会部長であります。私は警視庁にもおり、消防庁にもおりましたから、自然職務上の関係がございますから知合いになつたのであります。
#613
○羽仁五郎君 進藤さんと会食されるというのは始終なんですか。
#614
○証人(塩谷隆雄君) 始終ではございません。やはり年三、四回か五、六回程度だろうと思います。
#615
○羽仁五郎君 進藤さんと会食される時に、いつも鈴木さんが一緒ですか。
#616
○証人(塩谷隆雄君) 鈴木君と一緒になつたことは、前の二、三度くらいであつたと思います。後はやはり警視庁詰めの、例えば川手君というような朝日の社の方、そういう方と一緒に会食する……
#617
○羽仁五郎君 進藤さんを初めて知られたのはどういうわけで……今の職務関係ですか。
#618
○証人(塩谷隆雄君) そうです。
#619
○羽仁五郎君 それで先の証言をもう一遍繰返して頂くようで恐縮ですが、八月の中頃鈴木さんとあなたと会食されたのは、進藤という方が申出てなさつたのですか。
#620
○証人(塩谷隆雄君) そうであります。
#621
○羽仁五郎君 間違いありませんか。
#622
○証人(塩谷隆雄君) 間違いありません。
#623
○羽仁五郎君 それからもう一つ伺つておきたいのは、最後にこれだけでありますが、佐藤昇という人は最も惡質だというようにお考えになりませんか。直接あなたに聽くとか、いわゆる法律的の証拠は一つも残していない。併し客観的に飽くまでもあなたを利用しておる。例えば僕なんかにしても、僕はあなたと不幸にして今までお知合いがなかつたのですが、やはり消防総監と親しい、始終その部室が四つあるということはいいません。大抵あなたの部室へ行つてやつておるというようなことで、そうして私がまあそういう商売をやつておる。殊に経済事犯などに関係したこともあるというような、人にそういうふうに利用されるという……、飽くまで利用されたということですね。而も実際上何も口に出して依頼したり、或いは依頼される先にあなたのお言葉にあつたように気を廻してすべてやる。こういうことになつておる人が惡質だとはお考えになりませんか。
#624
○証人(塩谷隆雄君) 私は佐藤君がそれ程惡意があつたとは、それ程深謀遠慮と申しますか、謀略的なものがあつたとは、そこまで強くは考えていない。或いはそういう民間の人でありますから、お話のように私と知合いである。非常に親しくしておるということは、或いは何かのことで利用されたこともあるかも知りませんけれども、実際に佐藤君が私を利用したという例証は、私は寡聞にして聞いていない。ただ強いていえば詐欺事件で問題になりましたノイル生地購入問題、そういう意味で或いは利用されたのではないかと思いますけれども、それ以外において佐藤君が蔭で私を利用しておるという具体的の例は実は知らないのであります。ただ何と申しますか、概念的に申しますと、そういう工合に私を利用しておつたのではなかろうかとはまあ一応考えれば考えられないことはないと思います。具体的に私は承知いたしておりません。
#625
○羽仁五郎君 今あなたの言葉ですが、民間の人だと言われたが、それは民間の人だという意味ではない。惡質の犯罪を犯すような人の場合です。……どうも有難うございました。
#626
○大野幸一君 警視総監は昨日あなたについて五万円事件で自分から聞いたとか、或いは又誰か調べさしたとかということが証言されておるようですが、確かにあなたは警視総監からも誰からも五万円事件について事情を聞かれたことはありませんか。
#627
○証人(塩谷隆雄君) 具体的には聞かれておりません。
#628
○大野幸一君 具体的とか抽象的とか言わないで、正直に答えたらどうですか。
#629
○証人(塩谷隆雄君) さつきの御質問は、聞かれておるというのは取調というような意味にこちらとして解釈してお答えしたのです。
#630
○大野幸一君 総監からそんな問はしなかつたかということです。
#631
○証人(塩谷隆雄君) 警視総監から君は何か佐藤から金を貰つたことはあるかということを聞かれたことがございます。
#632
○大野幸一君 その他の人からはない。
#633
○証人(塩谷隆雄君) ございません。
#634
○大畠農夫雄君 伊藤鑛壽という人を御存じですか。
#635
○証人(塩谷隆雄君) 全然存じません。
#636
○大畠農夫雄君 伊藤鑛壽は知らない。
#637
○証人(塩谷隆雄君) はあ。
#638
○委員長(伊藤修君) ちよつとお伺いしますが、進藤さんから電話でもあつたのですか。十七日の会合は……
#639
○証人(塩谷隆雄君) 電話があつた。
#640
○委員長(伊藤修君) は……
#641
○証人(塩谷隆雄君) 電話がございました。
#642
○委員長(伊藤修君) 何時頃あつたのですか。
#643
○証人(塩谷隆雄君) お晝過ぎじやないかと思いますが……
#644
○委員長(伊藤修君) 何時頃お出掛けになつたんです。
#645
○証人(塩谷隆雄君) 夕方でございます。役所をしまいましてからでございますから……
#646
○委員長(伊藤修君) 暗くなつていたのですか。明るかつたのですか。サンマー・タイムの時分ですがなあ。
#647
○証人(塩谷隆雄君) まだ明るかつたと思います。
#648
○委員長(伊藤修君) 日のあるうちですね。
#649
○証人(塩谷隆雄君) 日のあるうちだと思います。
#650
○委員長(伊藤修君) 何時頃でしようね、行かれたのは。
#651
○証人(塩谷隆雄君) 役所が終つてから参りましたから、五時半から六時ぐらいの間でなかつたかと思いますが……
#652
○委員長(伊藤修君) サンマー・タイムの五時半頃……
#653
○証人(塩谷隆雄君) そうです。
#654
○委員長(伊藤修君) そして何時頃までいたのですか。
#655
○証人(塩谷隆雄君) 当時私その日少し腹工合が惡かつたものですから、一時間か、一時間半ぐらいおりまして、先に私が帰りました。
#656
○委員長(伊藤修君) お帰りになるときは明るかつたですか、暗かつたですか。
#657
○証人(塩谷隆雄君) 帰つたときははつきりした記憶はございませんが、暗くなりかかつていたか、暗くなつて直ぐぐらいじやないかと思いますが。
#658
○委員長(伊藤修君) そうすると一時間半じやないですね。もつと時間があつたのですね。サンマー・タイムの時間だから、八時半頃まで明るいですね。
#659
○証人(塩谷隆雄君) その点ちよつとはつきりした記憶はないのですが。
#660
○委員長(伊藤修君) 日の暮れるまで、薄暗くなる頃までいらつしやつたのですね。
#661
○証人(塩谷隆雄君) そういう漠然とした記憶でございますが、私の記憶では一時間か一時間半ぐらいいたと、こう思つております。
#662
○委員長(伊藤修君) 芸者は勿論いなかつたのでしようね。
#663
○証人(塩谷隆雄君) 芸者は途中で一人確か来たのじやないかと思います。
#664
○委員長(伊藤修君) それは始終おつたのですか、その席に。
#665
○証人(塩谷隆雄君) 大体おりました。
#666
○委員長(伊藤修君) 一人きりですか。
#667
○証人(塩谷隆雄君) 一人だつたと思います。
#668
○委員長(伊藤修君) 女中は。
#669
○証人(塩谷隆雄君) 女中は料理を持つて……
#670
○委員長(伊藤修君) 運ぶだけ……
#671
○証人(塩谷隆雄君) 運ぶだけで。
#672
○委員長(伊藤修君) 次の間にいなかつたのですね。
#673
○証人(塩谷隆雄君) 次の間には恐らくいなかつたと思いますが。
#674
○委員長(伊藤修君) お話の内容はただ雑談だけですか。
#675
○証人(塩谷隆雄君) そうでございます。
#676
○委員長(伊藤修君) 主としてどんな雑談でしたか。
#677
○証人(塩谷隆雄君) 去年のことで、ちよつとはつきりしたあれがございませんが。
#678
○委員長(伊藤修君) 政治の話とか……
#679
○証人(塩谷隆雄君) 政治とかそんなような話は……、あの当時下山事件がうるさかつた頃でしたから、そんな話も確か出たのじやなかつたかと思うのでございます。
#680
○委員長(伊藤修君) 下山事件の話が出るとすれば、刑事関係の話が出て来る。そうすると段々お前の方の事件はどうだと、こう出て来るのじやないですか。
#681
○証人(塩谷隆雄君) 私は味の素の事件という問題は、それ程大した大きな事件だとも思つていません。
#682
○委員長(伊藤修君) 思つていなくても、友人のところで事件が起つているから君のところの事件はどうだい、どうなつたかぐらいのことは出るのじやないですか。
#683
○証人(塩谷隆雄君) 実際問題としてそういう話は私出なかつたと思います。
#684
○委員長(伊藤修君) 拂いは誰がなさつたのですか。
#685
○証人(塩谷隆雄君) それは進藤君が主催でやつたのですから進藤君。
#686
○委員長(伊藤修君) 鈴木さんが拂つておるのじやないか。
#687
○証人(塩谷隆雄君) それは私は支拂つた人は知りませんが、恐らく進藤君が私のところに電話を掛け、進藤君の主催のような形でございましたから、恐らく進藤君が拂われたのじやないかと思います。
#688
○委員長(伊藤修君) 鈴木君が拂つているらしいですね。
#689
○証人(塩谷隆雄君) それは、私ははつきりいたしておりません。
#690
○委員長(伊藤修君) 金を受取つた田中家の女将が、はつきりそういつているんですから間違いでしよう。
#691
○証人(塩谷隆雄君) ……
#692
○委員長(伊藤修君) 今日あなたの御証言が佐藤君の警察の調書とは勿論違いますが、佐藤君がここで述べられたこととも違うのですが、お間違いないでしような。
#693
○証人(塩谷隆雄君) 間違いございません。
#694
○委員長(伊藤修君) お間違いがあるというと又問題になりますから。
#695
○証人(塩谷隆雄君) 間違いございません。
#696
○委員長(伊藤修君) よく一つ御反省を願つて、お間違いがあつたならば二十日頃までに述べて頂きたいと思います。
#697
○証人(塩谷隆雄君) 承知いたしました。
#698
○委員長(伊藤修君) それではお忙しいところをどうも有難うございました。
 ではこれで休憩いたしまして、正二時から開くことにいたします。
   午後一時七分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時十九分開会
#699
○委員長(伊藤修君) それでは午前に引続きまして開会いたします。……岡崎英城さんですか。
#700
○証人(岡崎英城君) そうです。
#701
○委員長(伊藤修君) お住まいはどちらですか。
#702
○証人(岡崎英城君) 住まいですか……品川区大井南浜川町千七百九番地。
#703
○委員長(伊藤修君) お年は幾つですか。
#704
○証人(岡崎英城君) 昔の年で五十です。
#705
○委員長(伊藤修君) 丹羽喬四郎さんはお住まいはどちらですか。
#706
○証人(丹羽喬四郎君) 品川区南品川一丁目七番地。
#707
○委員長(伊藤修君) お年は幾つですか。
#708
○証人(丹羽喬四郎君) 満四十六でございます。
#709
○委員長(伊藤修君) これから五井産業事件に関連いたしましてお尋ねいたしたいと存じます。御証言をいたす前に宣誓をお願いいたします。宣誓の上若し間違いがありますと、僞証の制裁がありますから御注意申上げて置きます。では各自朗読をお願いいたしまして宣誓をお願いいたします。
   〔総員起立、証人は次のように宣誓を行なつた〕
   宣誓書
  良心に従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。
        証人 岡崎 英城
   宣誓書
  良心に従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。
        証人 丹羽喬四郎
#710
○委員長(伊藤修君) では丹羽さん、少し控室でお待ちを願います。
   〔証人丹羽喬四郎君退席〕
#711
○大畠農夫雄君 私は先ずこの証人の証言に入る前に議事進行について発言したいと思います。
 それは今まで松本第二課長の言つたこと、その他の証人の証言を総合して見まするときに、余りに大きな食違いがあるのであります。更に又岡崎検事の経歴関係を見ましては、我々の知つている範囲において相当大きな開きがあつて、而も相当隠蔽されているようなこと、経歴の内容が隠蔽されている、或いは隠蔽されなくても言わなかつたという点が多々あるように思われるのでありまして、こういうふうになりますると、今までの証言そのものが真実を置くことができないというふうに我我は解する以外に方法はない。従つてこの岡崎検事に対する身元の調査、これは特別に再調査を委員会の方にお願いしたい。調査專門員室の方にお願いしたいと思います。
 それから尚この犯罪につきましては他にも相当の物的証拠があるように私達は想像できるのであります。併しながら未だ以て証人の証言だけでありまして、そういうものは現実に我々はつきり委員として見ることができません。然るに事件を掴んで事件の審理をする、そこまで行かなくては完全な審理というわけには行かないと思います。従つてそういう点につきましてもう一層專門員室の方から嚴重な調査を行うことを要求いたします。
#712
○委員長(伊藤修君) 目下その手配をいたしまして、物的証拠及び訴訟物等の蒐集を図つておりますから、いずれこれが取まとめられましたらば、委員各位に印刷いたしますし、又そのもの自体をお見せいたしまして御判断の資料に供したいと存じますが、鋭意努力いたしておる次第であります。尚御指摘の岡崎検事に対するところの御指摘の点は、十分專門調査員室において取調べることにいたします。
#713
○委員外議員(岡田宗司君) ちよつと委員外で発言をいたしたいのですが……
#714
○委員長(伊藤修君) 如何ですか、委員外の発言ですが……
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#715
○委員長(伊藤修君) それでは許可いたします。
#716
○委員外議員(岡田宗司君) 私共新聞紙上で岡崎検事のことを見ておりました。岡崎検事は特高検事はやつておらんのだ、こういうことを言つておられました。岡崎検事は確か例の企画院事件、或いは京浜グループ事件、その他いろいろな特高警察関係の検挙に携つておられた。これはもう事実でありまして、その事件には私共の方に所属しております和田博雄氏、或いは勝間田清一氏、そういう人々がこの岡崎検事の指揮の下に検挙されておるのであります。こういうような事実がある。而もこの当時。この検事は本日ここにおいでになつておりますところの証人岡崎氏、或いは又丹羽氏とやはり同じグループに属しておつたのであります。そういたしますと、この事件において岡崎検事が担当されて、而も当時同じグループにおいて同じように動かれた人が調べられた。これではここに現われましたることについて我々はこれを真なりと断定するわけにはいかんのであります。而も若し岡崎検事がそういうことをされておつたとすれば、これはポツダム政令にも違反することになる。いわゆる追放関係が、今日そのまま職に留まつておる、こういうことになるのでありまして、これは検察庁の非常に重大なる問題にもなりまするし、我が国の今後の民主化の上にも非常に差支えることになつて参るのであります。この点につきまして、今までの岡崎検事の身元につきまして、只今大畠君から御要求がありましたこの点につきましては、是非共委員長のお手許におきまして、岡崎検事の身元につきましての再調査をお願いして、そうしてこのことをはつきりとさして頂くようにお願いしたいのであります。
#717
○委員長(伊藤修君) 只今岡田君の御指摘の件、本日伺うのが初めてでありまして、十分その点を再調査して、いずれその点を御報告することにいたします。
 あなたの略歴をお伺いいたします。
#718
○証人(岡崎英城君) 昭和三年に東大の経済学部を出まして、それから和歌山県の属になりまして、昭和五年に警視庁の警部になりまして、それから交通係長、寺島の署長、特別警備隊長、監密官、捜査二課長になりまして、それから愛知県の特高課長、それから警視庁の特高二課長、山形県の警察部長、警保局の外事課長、警視庁の特高部長、警視庁の保安部長、昭和二十年の十月十日依願免官となりました。その後は昭和二十一年の三月に菱華産業の重役をやりまして、それから昭和二十年の暮に旭梱包という会社を興しまして私が社長になりました。その外二十三年に龍建設という小さな土建会社をやつております。そして今日に至つております。
#719
○委員長(伊藤修君) 恐入りますが、もう一遍おやりになつて……、あとのことをもう一遍おつしやつて下さい
#720
○証人(岡崎英城君) やめてから翌年の三月に菱華産業という商事会社の重役をやりました。それから二十年の十二月に旭梱包という会社を私が社長で作りました。それで今日に及んでおりますが、二十三年の春に龍建設工業という会社の社長になりました。その二つをやつております。菱華産業の重役は二十三年の夏頃やめました。
#721
○委員長(伊藤修君) 警視庁の捜査の二課長時代から大変あなたの腕というものは信頼されまして、警視庁では非常な衆望を担つてお立ちになつていらつしやつて、将来警視庁を背負つて立つ人はあなただというふうに言われていたんですね。
#722
○証人(岡崎英城君) そんなことはないと思います。ただ職務のためにやつておつたわけでして、そんなようなことはないと思います。
#723
○委員長(伊藤修君) それで当時あなたの手許においては、いわゆる警視庁におけるところの保安部というものは粒揃いを揃えられておつて、そういう人達の中に藤田とか、辻田とかいうような人が加えられておつたわけですね。
#724
○証人(岡崎英城君) 藤田君は一度も私の部下であつたことはございません。辻田君は私が捜査二課長のときの係長でございます。
#725
○委員長(伊藤修君) あなたの捜査二課長の時代の部員はどういうようなメンバーですか。
#726
○証人(岡崎英城君) 初め清水君というのが係長、それから岡明朗君、辻君、辻田君、大迫君、年森君、それから重原というような、それからお仕舞いに吉武、それから今おります飯塚係長、それから土居警部、まあそんなような人達とあと大沢という名高い捜査課の人がおりました警部で……、そういうような人が警部、警部補であつたように記憶しております。
#727
○委員長(伊藤修君) あなたの上司の人にどういう人がおりますか。
#728
○証人(岡崎英城君) 刑事部のときでございますか。
#729
○委員長(伊藤修君) はあ。
#730
○証人(岡崎英城君) 初めは、服部直彰であります。その次が大坪安雄、その次が長野若松。
#731
○委員長(伊藤修君) 当時の総監は。
#732
○証人(岡崎英城君) 総監は、捜査二課長のときの総監は齋藤眞さんじやなかつたかと思います。齋藤さんのような気がいたしますが……
#733
○委員長(伊藤修君) あなたのお仕えになつた総監は誰と誰ですか。
#734
○証人(岡崎英城君) 総監は非常に数が多いので、丸山鶴吉さんのときから最後、その間終戰まで歴代の総監に皆お仕えしました。一遍お仕えしなかつたのは、名前はちよつと度忘れしましたが、朝鮮総督府におられておやめになつた池田総監だけはお仕えしないで、殆んど前後警視庁におりましたものですから大部分の総監にお仕えしました。又お仕えしたと言つても、係長とか何とかで下の方におりますから、直接御折衝申上げたのは特高部長でお仕えした坂さんにお近くお仕えしただけでございます。あとは皆間接でございます。
#735
○委員長(伊藤修君) 当時の同僚と称せられる人はどういう人ですか。
#736
○証人(岡崎英城君) 同僚は沢山おられるので、一一申上げると切りがないくらい沢山おられますが……
#737
○委員長(伊藤修君) 警視庁内部における主だつた人は、或いは有名な人は……
#738
○証人(岡崎英城君) 今残つている人ですか。
#739
○委員長(伊藤修君) はあ。
#740
○証人(岡崎英城君) 今残つている人は田中総監が課長で、あと大園警務部長、あと皆部長はどつかで一緒になつております。警視庁乃至警保局で、時に一緒になつております。
#741
○委員長(伊藤修君) 警視庁関係で追放された方の中では……
#742
○証人(岡崎英城君) 追放された者で警視庁で一緒だつた人ですか。
#743
○委員長(伊藤修君) はあ。
#744
○証人(岡崎英城君) 追放になつた人は沢山おります。
#745
○委員長(伊藤修君) けれども警視庁の関係で……
#746
○証人(岡崎英城君) 警視庁の関係でも沢山おります。
#747
○委員長(伊藤修君) まあ極く親しかつた人でもいいのですが……
#748
○証人(岡崎英城君) どうも極く親しいというとあれですが、非常に数多いもんですから、大体皆お親しくはして参りました。
#749
○委員長(伊藤修君) 上村さんという人は……
#750
○証人(岡崎英城君) 上村君は私の特高部長のときに……
#751
○委員長(伊藤修君) 中村さんは……
#752
○証人(岡崎英城君) 刑事部長のときに……
#753
○委員長(伊藤修君) 門叶さんは……
#754
○証人(岡崎英城君) 門叶さんは警視庁では一緒ではございません。警保局の課長のとき一緒です。
#755
○委員長(伊藤修君) 田中楢一さんは……
#756
○証人(岡崎英城君) 田中楢一氏も警保局の課長の時代に一緒になりました。
#757
○委員長(伊藤修君) 中西さんは……
#758
○証人(岡崎英城君) 中西君は警視庁では一緒にやつておりません。
#759
○委員長(伊藤修君) 松尾英敏……
#760
○証人(岡崎英城君) 松尾英敏氏は署長のときだつたと思います。
#761
○委員長(伊藤修君) こういう人と特に御親交深いわけですね。
#762
○証人(岡崎英城君) みんな特別深いということもございませんが、又非常に長い間一緒にずつと……まあ採用が同じだとか、一年先だとか、一年後だとか、こういうような同じくらいの年にずつと一緒にやつて来た連中です。
#763
○委員長(伊藤修君) 増田さんとはいつ頃から御交際ですか。
#764
○証人(岡崎英城君) 増田さんは私が見習で警視庁におりました頃、交通係長というものを私がやりました。そのとき増田さんは警保局の警務課の事務官でおられて、それで丁度自動車取締令の改正がございました。自動車事業法の制定、それに伴う地方庁の法令が出ましたものですから、それで増田さんがその主任の事務官をやつておりました。それで交通係長をしておりましたものですから、交通係長でお供をしていろいろ御援助申上げて、それでお親しくなりました。それ以来……
#765
○委員長(伊藤修君) それはいつ頃のことですか。
#766
○証人(岡崎英城君) ですから昭和八年ぐらいじやないかと思います。
#767
○委員長(伊藤修君) あなたは交通係長を七年の七月十五日から九年の四月までやつていらつしやつたのですね。
#768
○証人(岡崎英城君) ええ、そうです。なつて一年経つてからですね、何と言いますか御指導を受けるようになりましたのは八年の……
#769
○委員長(伊藤修君) それからの御関係は……
#770
○証人(岡崎英城君) それから特別お仕えをしたことはないのですが、私は寺島の署長になりましたときに、増田さんが丁度内務省の文書課長をしておられました。そこでその頃満州国ができ上りました直後で、内務省からもいろいろ人をやらなければならんというので、私に行けという人事課長からの御折衝がございました。私そのときお断りをいたしましたのですが、そのときに増田さんに行かないかと言われましたが、私はお断りした。それから又特にお近付きになりました。その後皆そのときに行つた連中の中で、私の知つている人が多かつたのですが、向うで意見が合わないでみんな帰つて来られました、そのとき丁度増田さんに非常に皆帰つて来てお世話になりました。それで私も又その点で友人が多かつたものですから、それでいろいろ御折衝申上げたので、その後間もなく病気になられて寢られました。そんな関係で、いろいろそんなようなことで、又二・二六事件のときに私は特別警備隊長で、それでいろいろ折衝いたしまして、その後二・二六事件のときに増田さんが御活躍になりまして、特に御指導を受けました。そんなようなことで非常に御指導を受けました。それ以来病床におりましたから時々お見舞に行つておりました。まあいろいろ御意見、御指導を受けておつたというだけの関係でございます。
#771
○委員長(伊藤修君) 北海道長官をしていらつしやいました時分は……
#772
○証人(岡崎英城君) 北海道長官をなさつておる頃は、私一遍ぐらいお目にかかつただけでございます。
#773
○委員長(伊藤修君) その後はどうですか。
#774
○証人(岡崎英城君) その後は鉄道大臣におなりになられましたときに御祝辞をお宅に述べに参りました。その後一切増田さんのところへはお近付きにならない方がよいという皆さんの御意見でお近付きしませんで、今日に至つたわけであります。
#775
○委員長(伊藤修君) どうしてお近付きしない方がよいのですか。
#776
○証人(岡崎英城君) 私の追放が確定になりましたのは余程後のことでございまして、丁度終戰直後に特高の関係者の一斉罷免がございましたときに、私は内務省の保安課長でございましたので、内務省の課長は追放令の一斉罷免にかからないでおりましたので、辞表を出してやめさして頂きましたが、その後G項該当が出まして特高関係の者が皆追放になつたという事実がございました。私は割合に特高が長かつたものでございますから、私が追放になつたとみんな世間で思つておりますし、私自身も沢山の特高の人がやめたので、自分が追放じやない、一斉罷免にかかつておらないということを言いうことは、皆さんに対してお気の毒だと思いまして、私は追放者と同じような生活をずつと続けて行くべきじやないかという気持でございましたし、又自分は一体いつ追放になつたかはつきり分らなかつたものですから、それで追放者が大臣などを余り訪問するということはいけないだろうというので、それから御訪問その他は差控えております。
#777
○委員長(伊藤修君) 伊藤鑛壽との御関係は……
#778
○証人(岡崎英城君) 伊藤鑛壽君は、私の知合いに……一遍会つたのは、丹羽喬四郎君が官舎が燒けまして、品川の伊藤君の家を借りておりましたときに、病気で寢ておつたと思いますが、私病気を見舞に行きまして、その帰りにこの辺は馬鹿に家が燒け残つてよかつたなあ、私も一つこの辺に住んでたら……丁度夏だつたものですから、品川の海岸辺で涼しいものですから、そんなことを申しまして、そのときに伊藤という人から家を借りているということを聞いて、初めて名前を知りました。その後私がやめましてから山形に疎開をしておりましたものですから、山形にやめてから直ぐ帰りましたけれども、そのうち又東京へ出て来なければならんというので、どこか家を貸すところはないだろうかというので、丁度品川辺りに丹羽君もいるものですからいいだろうというので、品川の署長の土田君にお願いして、家はないだろうか、伊藤君の工場の二階が空いているようだから、それをお借りになつてはどうですかということで、伊藤鑛壽君には土田君の紹介で会いました。工場の二階の八疊と十疊をそのとき借りまして、それ以来伊藤氏とは知合いになりました。
#779
○委員長(伊藤修君) 今のお住いはそこですか。
#780
○証人(岡崎英城君) それは丁度印刷工場の二階ですから、なかなか商売が盛んで、夜遅くまで印刷をやつておりますから、参りまして伊藤君に頼んで二十三年だつたか、病気して帰つたものですから、病気しましたから困りまして、今の南浜川町のを貸して呉れました。
#781
○委員長(伊藤修君) それは伊藤君の……
#782
○証人(岡崎英城君) それは伊藤君の家でございます。私が困つているものですから、それならこつちの家はどうかというので貸して呉れました。
#783
○委員長(伊藤修君) それは伊藤鑛壽氏は舟遊びを催して、そのときにそういう話があつたのですか。
#784
○証人(岡崎英城君) そんなことはなかつたと思います。
#785
○委員長(伊藤修君) 舟遊びは後ですか。
#786
○証人(岡崎英城君) 舟遊びというのはどういうことですか。釣りか何かに行つたのですか。
#787
○委員長(伊藤修君) そうですね。
#788
○証人(岡崎英城君) それは私が越して来てから間もなくだつたのじやないかと思います。伊藤氏と一緒に釣りに行つたということは、私が越してから後でございます。
#789
○委員長(伊藤修君) あなたが伊藤氏と面識を得て後のことですね。
#790
○証人(岡崎英城君) 後のことだと私は思つております。
#791
○委員長(伊藤修君) 昭和二十年の十一月頃ですね、終戰の年の十一月頃ですね。
#792
○証人(岡崎英城君) 十一月……
#793
○委員長(伊藤修君) そのときにはまだ増田さんの事務所においでになつたのですか。
#794
○証人(岡崎英城君) 二十年ですね。
#795
○委員長(伊藤修君) ええ、終戰の年ですね。
#796
○証人(岡崎英城君) その頃は増田さんは福島の知事じやなかつたのですか。
#797
○委員長(伊藤修君) 何ですか……
#798
○証人(岡崎英城君) 二十年ですね。その頃は増田さんは福島の知事になつておつた。増田さんが福島の知事をなさつておるときに私は二、三度お伺いいたしました。山形に疎開しておりましたから……。私が東京に本当に出て参りましたのは二十一年の春から出て参りました。それまで一月置きぐらいは行つたり来たりしておりました。その途中お寄りいたして、二、三回程伺いました。
#799
○委員長(伊藤修君) それは福島の知事をしている頃ですか。
#800
○証人(岡崎英城君) そうです。山形に参りますと、福島で必ず乗り換える、汽車が不便でございましたので……。それから私の同僚あたりが戰犯で收容になつておりましたから、それの見舞かたがたお伺いいたしました。
#801
○委員長(伊藤修君) 知事をやめられてから、こつちへ事務所を持たれたのですか。
#802
○証人(岡崎英城君) 増田さんの事務所は余程後じやないですか。
#803
○委員長(伊藤修君) いつ頃お持ちになつたのですか。
#804
○証人(岡崎英城君) その点よく知りません。
#805
○委員長(伊藤修君) 東京の事務所はどちらにあるのですか。
#806
○証人(岡崎英城君) 東京の事務所は、増田さんの事務所というのはよく知らないのですが……
#807
○委員長(伊藤修君) 霞ケ関茶房の中にあつたのですか。
#808
○証人(岡崎英城君) そこにあるということを聞きましたけれども、増田さんの事務所に参つたことはありません。
#809
○委員長(伊藤修君) そこへあなた、おいでになつたことがあるのじやないですか。
#810
○証人(岡崎英城君) それは霞ケ関茶房が事務所になる前に私は行つたことがありますが……
#811
○委員長(伊藤修君) 増田さんの事務所になつてからはおいでにならなかつたわけですね。
#812
○証人(岡崎英城君) 事務所になつてから一度も行つたことはございません。
#813
○委員長(伊藤修君) おいでになつたように承知しているのですが……
#814
○証人(岡崎英城君) 私は参らないように思います。
#815
○委員長(伊藤修君) そこへ、増田さんの霞ケ関茶房の事務所に伊藤鑛壽氏を紹介したのじやないですか。
#816
○証人(岡崎英城君) 私は紹介いたしません。
#817
○委員長(伊藤修君) 丹羽さんが紹介したのですか。
#818
○証人(岡崎英城君) それは丹羽君にお聽きになつて頂きたい。私は紹介いたしません。
#819
○委員長(伊藤修君) 増田さんの事務所で以て、あなたや丹羽さんらが時々お集まりになつたのじやないですか。
#820
○証人(岡崎英城君) 私はさつきから申上げているように、増田さんの事務所には参りません。
#821
○委員長(伊藤修君) それじや昭和二十二年の八月頃、あなた御存じなければ、分らんかも分りませんが、要するに増田さんの事務所では余り人の目につき易いから、こういうので、同じく伊藤鑛壽氏の所有の……所有ですか権利を持つているのですか、電気クラブの伊藤鑛壽氏の事務所、三階の事務所をお借りするようになつたのじやないですか。
#822
○証人(岡崎英城君) あれは丹羽君が借りたのじやないのですか。丹羽君が余程前からあの事務所に行つておつたのです。
#823
○委員長(伊藤修君) その頃じやないのですか。
#824
○証人(岡崎英城君) もつと前から丹羽君が借りておつたのでございます。
#825
○委員長(伊藤修君) それはいつ頃ですか。
#826
○証人(岡崎英城君) それはよく知らないのですが、丹羽君は三洋工業の嘱託といいますか、顧問になつておりましたから、あの事務所を借りる頃から丹羽君は知つていたのじやないかと思います。
#827
○委員長(伊藤修君) そこへ毎週木曜日、土曜日に先程申したような人々がお集まりになつたのじやないのですか。
#828
○証人(岡崎英城君) 定期的に集まるということはなかつたと思います。ただ丹羽君があそこにときどきいるということですから、私も訪ねて行つたことはございますし、麻雀か何かして遊んだことがあるのでございますけれども、私は麻雀はやらんものですからやりませんでしたが、そんなようなことでは集まつたことはあるかも知れません。特に定期的に集まつてどうのこうのということはございませんでした。
#829
○委員長(伊藤修君) 二十二年の八月頃殆んど毎日集まつたのじやないのですか。
#830
○証人(岡崎英城君) 丁度八月頃私と丹羽君と川口正二郎君は毎日ということではございませんけれども、非常によく集まりました。
#831
○委員長(伊藤修君) 殊に翌年の八月頃ですね。
#832
○証人(岡崎英城君) 二十二年の八月頃ですか。
#833
○委員長(伊藤修君) そうです。
#834
○証人(岡崎英城君) その頃は集まりません。二十二年の八月頃は私も行つたことはないです。余程後になつてから参りました。二十三年の八月頃です。
#835
○委員長(伊藤修君) 二十三年の八月頃は殆んど毎日見えられたのですね。
#836
○証人(岡崎英城君) 毎日という程ではございませんけれども、十日ぐらい続いたこともございます。川口君と丹羽君と三人が集まりました。
#837
○委員長(伊藤修君) やはり秋山さんとか、門叶さんとか、中西さんという人が集つたのじやないのですか。
#838
○証人(岡崎英城君) そういう人とは毎日集まりません。
#839
○委員長(伊藤修君) ときどき来るのじやないのですか。
#840
○証人(岡崎英城君) ときどき来たかも知れませんけれども、私はたまには会つたことがあるように記憶しますけれども、特にはつきりした記憶は持つておりません。
#841
○委員長(伊藤修君) 藤田さんも土田さんも……
#842
○証人(岡崎英城君) 藤田君も土田君も私は会つたことはございません。
#843
○委員長(伊藤修君) 藤田君、土田君なんかは廊下でもつて立話をしておつたということもあるのじやないのですか。
#844
○証人(岡崎英城君) そんなことはないと思います。私は土田君とはそこで会つたこともございません。藤田君ともそこで会つたことはございません。
#845
○委員長(伊藤修君) それは何でそういう会合を催しましたか。
#846
○証人(岡崎英城君) それは会合といいますか、丹羽君と私と川口君は御経歴を調べて頂くと分るように、警保局の外事課長を私の後丹羽君がやりまして、その後を川口君がやりました。丁度二十三年の七月頃から外国人の処遇の問題につきまして関係方面のお調べを三人とも受けました。それでこれは非常な大きな問題でございまして、二、三回お調べの後に、いろいろな状況を巨細にお示しになりまして、それについて詳細な調べをする。又ときどき喚んで調べるし、又文書で出していいということもございました。七月の中頃からだと思います。それにつきまして丹羽君と私と川口君が非常な苦心をしまして、資料を集めたり話合いをする、それでよく集りました。私は八月の中旬頃になりましてそのレポートを提出いたしました。それは三日ぐらい徹夜して書きまして、訳して提出いたしました。又その後秋ぐちになりましてから私の課長時代に出ましたパンフレットが問題になりまして、そのことでお調べを受けて、そのパンフレットの問題について、記憶を喚び起して報告するのだということで集りました。その間大阪方面の昔の役人が相当多く收監されたりなんかしておりまして、十一月でしたか、私と丹羽君が証人に出ました。そういうことがありまして、私と丹羽君、川口君という人は責任の多い真劍な調査をやつたのであります。資料もないので非常に苦心をしまして、それでよく三人で会いました。
#847
○委員長(伊藤修君) そうじやなくて、そういう御用もあつたかも知れませんが、昭電事件についてそこで祕密会合をもたらされて、いろいろ警視庁との間の連絡をおとりになつて、協議を進められておつたのじやないですか。
#848
○証人(岡崎英城君) そういうことはありません。
#849
○委員長(伊藤修君) あなたは日野原さんか藤井さんから十五万円受取つていらつしやるでしよう。
#850
○証人(岡崎英城君) 日野原君から二回程で、合計十五万円程届けて貰つたことがあります。
#851
○委員長(伊藤修君) それを受取つていらつしやるのですから……
#852
○証人(岡崎英城君) 受取つております。
#853
○委員長(伊藤修君) 何かためにしなければ、そういう金をお渡しになるわけではないでしよう。
#854
○証人(岡崎英城君) それは私に昭電事件のことで日野原君がいろいろ何といいますか、衷情を訴えに来られたことが二三回ございます。ですから、それは何も私だけの関係のことでございまして、皆と相談してどうのこうのという筋合のものではございません。そういう相談をする筈はないと思います。
#855
○委員長(伊藤修君) けれども、日野原氏はあなたにただ衷情を訴えるために十五万円出すということは考えられませんね。何かあなたに、失礼ですけれども、仕事をして頂きたい、あなたから口添えして頂きたいという意味合において、御費用も要るだろうという意味で渡したのじやないですか。
#856
○証人(岡崎英城君) そのときの……私は丁度一昨年の秋に検事さんのお調べを頂いておりますので、その際に詳しく事情を申上げてありますが、日野原氏とは初めそういうような交際でつき合つたのでございませんで、全然別の意味で二、三回一緒につき合つて、私の事業を応援して呉れるというので、建築の方の仕事を出して貰う、力を貸して貰う、そういうようなものを頼むというようなことの全然ないときに、我々が浪人で困つておるだろうというので五万円程届けて呉れました。その後いろいろ警視庁側から昭電事件その他のことがございまして、それで日野原君が藤井君を連れて私の所にその事情を訴えに参つたことがございます。
#857
○委員長(伊藤修君) その当時あなたは土田さんともいろいろ交渉していらつしやるのじやないですか。検事にも述べておられますね。
#858
○証人(岡崎英城君) それは述べております。それは土田君に交渉したというよりも、詳しく申上げますと、事件が起つて、起つたということは警視庁が手を付けたので日野原氏と藤井君が非常に驚いて私の家に尋ねて来られて、そうして自分らは決してその今世間であれだけ問題になりましたような事件、政治献金その他の事件は絶対にない。自分らはまじめにやつておるのだ。併し世間で非常に疑いを以て我々を見ておる。警視庁の取調べその他は非常に過酷だ、そのことで私のところに見えまして、どうも我々惡いことをしたというのは、何か土地や建物をどこかに売つたものを、実際の価格よりも高く見積つて、その差額を何といいますか、社員のボーナスなんかにやつた、こういうことしか惡いことをしたという心当りはないということを私に言われました。私も何も自分はそう何といいますか、責任のある地位におるわけではありませんし、一介の浪人に過ぎないのだから、あなたが私にそう言つても何もどうすることもできないということを二人に言いました。ただ背任横領ということだけでやられることがあるだろうかというような話でありまして、そんな背任横領ということだけでやられるかどうかということは分らない。一つそういうような事件になるものかどうかついでがあつたら誰かに聞いて上げましようかというようなことで別れましたら、その二日目かに土田君が、私の家が丁度越した後ですから、大家さんの家賃を決めますので、それで伊藤君のところへ行つて家賃を決めて来て貰いまして、そのことを夕方、何といいますか、このぐらいにしましたというようなことで、どうだろうか、それでいいだろうというような話をいたしました。そのときに丁度日野原君と藤井君が見えました。二日目だつたと思いますが、実はこんな話があるわけだけれども、これは事件になるだろうかと言つたら、それは重役会が承認しておれば事件にはならないだろうということでして、一体どうしてあなたはそういうことを聞くのですか、実は日野原君と藤井君が来て、これが事件に、これでやられるのだと言つておるからと言つたら、昭和電工事件はこれはきつと拡大いたします。こういう事件には岡崎さんは携わらない方がいいですというような注意を受けました。土田君との昭和電工に対する話合はそれだけでございます。
#859
○委員長(伊藤修君) そうすると、この土田が来たというのはお宅へ来たという意味ですか。
#860
○証人(岡崎英城君) はあ、家に来ました。その用で参つたのじやないのです。丁度家賃を決めて貰いますので、土田君に頼んでおりました。丁度伊藤さんと折衝をした結果を持つて来たのです。
#861
○委員長(伊藤修君) 藤田のお家にもいらつしやつたのですね。
#862
○証人(岡崎英城君) それからそういう話をいたしましたが、その翌々日でしたか、日野原君と藤井君が又やつて参りまして、そうしてこの前お話した用だけれども、それで背任横領で事件になるだろうかと言うので、それは事件にならないかも知れんということを言いましたら、その後警視庁の調べが非常にえらくて、私共は増産のために非常に国家にために盡している。又そういう政治献金というものは絶対しないように鋭意努力しているのだ。それにも拘わらずやられるので、どうも警視庁の調べ方がひどいというので何とか……、ひどいというわけじやないけれども、自分らは肥料増産で大いに努力しておる。国家的な見地から盡しているのだというような点を大いに警視庁の方に認めて貰うような話をして呉れないかということでございました。そんなことは私の行つて話すべき筋のものじやないので、そういうことならあなた自身が総監なり刑事部長なりに会つて話をしたらいいだろう、こう申しましたのですがね、そうしたらそれは行つて話をするけれども、何とか一つ私に行つて呉れまいかということでございました。それじや私が行つてそういうことを話をするということもどうかと思いまして、それならまあ大体大きな気持、昭和電工の幹部の気持を伝える、こういう意味なら一つ成るべく上の方の人に会つて話したらいいでしよう。それなら総監というのもあれだから、刑事部長の所へ行つて話したらいいということを言いましたら、是非紹介して呉れという。そこで藤田君の所に電話をそのとき朝かけまして、こんなことを言つているけれども、話を聞くだけということで、事情を訴えたいというだけのことだから会つて呉れるかというと、お会いしましようということだつたので、私が同道して藤田君の官舎に参りました。それで藤田君は勿論ただ話を聞き置くというだけで別れましたが、その後どうも藤田君は誤解は絶対にしないだろうと思いましたが、あれ程の人物ですから、私が行つたときどうのこうのということはないと思いましたが、誤解を受けちやいかんと思いまして、あとで藤田君に電話を掛けまして、僕が連れて行つたからどうのこうのということは絶対にないようにして貰いたいということを言いました。藤田君はその後数日経つて、或いはもう少し経つてですか、日野原君を検挙いたしました。そういうような経緯で、その日も藤井君と日野原君と一緒であつたか、二人だつたか知りません、もう最初はあなた方の何にも事件がないとこういう話なんで、私は藤田君に事情を訴えるというので、そういう意味でお連れしたが、もう我々に話したのとは内容が違うから、これはもう私が出るとか何とかいう幕じやないから、これはもうお断りする、こう言つてお断りいたしました。そういうような経緯で、自然昭和電工の問題について皆とそこで話合うというような筋合のものが残つているわけはないのであります。
#863
○委員長(伊藤修君) そうすると、その当時昭和電工事件に関して検事に調べられましたところの、あなたの口述というものは間違いないわけでありますね。
#864
○証人(岡崎英城君) 大体間違いないと思います。ただ記憶が、二年程経つていますから、少し前後もございましようけれども、趣旨は大体……
#865
○委員長(伊藤修君) 当時述べましたことは間違いないわけですね。
#866
○証人(岡崎英城君) はあ。
#867
○委員長(伊藤修君) 当時述べました記録は間違いないわけですね。
#868
○証人(岡崎英城君) 大体間違いないと思います。
#869
○委員長(伊藤修君) あなたが藤田の所へ行かれた頃、上村健太郎が行つてるわけですね。
#870
○証人(岡崎英城君) そのとき丁度上村健太郎があとから来たのですね。
#871
○委員長(伊藤修君) ああ、来ていたのですね。
#872
○証人(岡崎英城君) それで上村健太郎が、私がいるというものですから、ちよつと会いたいというので女中から言つて参りました。何しに来たんだと言いますと、実は昭和電工のことで日野原君なんかの気持を伝えに連絡に行けというから話しに来たのだ。そうか、今来ているよということで、直ぐ別れたのでございます。実はそれでその後、そのときちよつと五分程話しまして、そのまま帰りました。会談に十分ぐらいあつたと思います。
#873
○委員長(伊藤修君) それからそういうようなまあ昭電関係のことで日野原氏から十五万円も出ているし、その外に出ておるか分りませんが、分つているものは十五万円だが、上村とか、秋山とか、吉武、藤田、土田という人がとにかくそこの電気クラブにお集まりになつたのじやないのですか。
#874
○証人(岡崎英城君) そんなことはないでしよう。今委員長がおつしやいましたけれども、十五万円以外には私には出ておりません。絶対受取つておりません。外の今おつしやつたような人には全然ない。そんなことは絶対ないと思います。
#875
○委員長(伊藤修君) まあ金額はそれといたしまして、そういう人が集まつて昭電事件について日野原氏からも頼まれているし、いろいろな協議をなさつたのじやないのですか。
#876
○証人(岡崎英城君) いやそういう協議を、今さつき申上げましたような工合で私は断わつておりますし、協議をする必要がないのでございます。
#877
○委員長(伊藤修君) あなたとしてもない……それともう一つ、一面におきましては、まあ日野原氏の問題については、あなたはそういう関心がないとおつしやるが、要するに増田さんとの繋りについて、当時増田さんが在野時代であつて、この昭電事件の内容が、藤田氏、土田氏、吉武氏、こういう人々から情報が入手できるという立場にあつて、これらを蒐集して増田さんの方に提供しておつたのじやないのですか。
#878
○証人(岡崎英城君) そんなことは絶対ありません。
#879
○委員長(伊藤修君) 増田さんにあなたは出入しておつたのじやないのですか。
#880
○証人(岡崎英城君) 出入りしておりません。
#881
○委員長(伊藤修君) しているということを言つているのじやないのですか、人が……或る人が。
#882
○証人(岡崎英城君) 人は言うかも知れませんが、私は行つていません。
#883
○委員長(伊藤修君) あなたのお立場としては、増田さんに御迷惑がかかつてもお気の毒だという感じがあるかも知れませんが……
#884
○証人(岡崎英城君) いや、そんなことより本当に私は増田さんの所には鉄道大臣以来お会いしていないのです。敢て今委員長がおつしやるような意味において世間で言つておりましても、私としては絶対にお目にかかつておりません。それから今申上げましたように、さつき委員長のおつしやつたように、そういうような情報を集めて、どうのこうのということを増田さんがやつておられるとも思えませんし、警視庁の藤田君とか、土田君がその情報を増田さんに提供するということは絶対ないと思います。
#885
○委員長(伊藤修君) 当時警視庁の昭電事件に関する情報というものは非常に漏れるということは、我々も知つておつたんですけれども、関係方面でも非常にそれを遺憾に思つておつたんです。関係方面から我々に対してもいろいろ注意も受けたこともあるのです。漏れることは事実だつたのです。それだからこういう方面から漏れて来ておるんじやないのですか。
#886
○証人(岡崎英城君) 藤田君の性格なり、土田君の性格なり、よく御研究になると分ると思いますけれども、絶対にそういうことは事前に漏らすとか何とかする人じやないです。私も藤田君から情報を取ろうというようなことは一つも、毫も考えたことはございません。
#887
○委員長(伊藤修君) 土田君は現職の警官ですね、警察官が廊下で立話しておられるということは物々しいですね。非公式のことですけれども、その中において行われるところの会合というものは、相当機密を要する会合であるということが窺われますですね。
#888
○証人(岡崎英城君) 電気クラブの会合を言うのですか。
#889
○委員長(伊藤修君) ええ。
#890
○証人(岡崎英城君) 私、土田君とは電気クラブでは会つておりません。
#891
○委員長(伊藤修君) 伊藤鑛壽あたりは、とにかく昭電事件に関するところの会合であるというふうに察知したと言つておりますけれどもね。
#892
○証人(岡崎英城君) それは伊藤君の何か勘違いじやないですか。
#893
○委員長(伊藤修君) 伊藤鑛壽君あたりは、土田氏が立話しておつたということは言うておりましたですがね。
#894
○証人(岡崎英城君) 土田君が立話しておつたということは、私は全然知りませんものですから……
#895
○委員長(伊藤修君) あなたは中におりましたから……
#896
○証人(岡崎英城君) いや、私土田君の立話というか、電気クラブに来たときには会つておりませんです。
#897
○委員長(伊藤修君) あなたは増田さんと御関係ないとおつしやるが、増田さんの第一回、第二回の選挙のときに、あなたはその選挙の手伝いに行つていらつしやるんでしよう。
#898
○証人(岡崎英城君) 行つておりません。
#899
○委員長(伊藤修君) 行つていらつしやらないのですか。
#900
○証人(岡崎英城君) 行つておりません。
#901
○委員長(伊藤修君) 事務所のお手伝いに行つていらつしやるんじやないですか。現に見たという人がおります。
#902
○証人(岡崎英城君) 行つておりません。
#903
○委員長(伊藤修君) 勿論演説なんかなさらないでしようが……
#904
○証人(岡崎英城君) 松本というのですか、何か信州ですね、そんな旅行したことはありません。
#905
○委員長(伊藤修君) 人違いですか、誰が行つたのですか。
#906
○証人(岡崎英城君) 丹羽君じやないんですか。
#907
○委員長(伊藤修君) あなたは行かないのですね。
#908
○証人(岡崎英城君) 私は行きません。
#909
○委員長(伊藤修君) 上村君も行つたのですか。
#910
○証人(岡崎英城君) 上村君も行つたかも知れません。
#911
○委員長(伊藤修君) あなたはいらつしやらなかつた……
#912
○証人(岡崎英城君) 私、参りません。
#913
○委員長(伊藤修君) 丹羽君は、あなたの何というのですか、指揮命令に服する人ですか。
#914
○証人(岡崎英城君) いや、もうそんな人じやございませんです。私より一年後輩でございますけれども、お互いに……私は敬事しておるくらいです。
#915
○委員長(伊藤修君) あなたの部下ですね。
#916
○証人(岡崎英城君) 部下じやございません。一遍も部下になつたことはございません。
#917
○委員長(伊藤修君) あなたは渡邊良夫さんというのを御存じですね。
#918
○証人(岡崎英城君) よく知つております。
#919
○委員長(伊藤修君) どういう御関係です。
#920
○証人(岡崎英城君) 私が警視庁の見習のときに、渡辺代議士が丁度新聞記者になられて、初めて警視庁に見えられたのじやないかと思いますが、「国民」だつたと思いますが、それでその当時からの知合いでございます。非常に懇意にしております。
#921
○委員長(伊藤修君) それで、以来どういうお知合です。
#922
○証人(岡崎英城君) 以来、殆んどまあ月に一遍くらいずつと会つております。現職中でございますね。よく訪ねて来たり何かして、よく会つておりました。終戰になつてから一年か二年くらいまで附合いしました。最近は自由党の幹部になられましたので、お附合いしておりません。
#923
○委員長(伊藤修君) いつまでお附合いしました。
#924
○証人(岡崎英城君) 二十三年の初め頃まで附合つておりました。
#925
○委員長(伊藤修君) 二十何年……
#926
○証人(岡崎英城君) 二十三年の五月ぐらい……。二十三年の四月ごろ一遍会つたきりです。それから会いません。
#927
○委員長(伊藤修君) それまでは毎月会つたのですか。
#928
○証人(岡崎英城君) 終戰の前には毎月会つておりましたが、終戰後はそんなに会つておりません。ただ二十三年の春頃は、四、五回くらい会いました。
#929
○委員長(伊藤修君) どういう御関係でお会いになりました。
#930
○証人(岡崎英城君) それは私の先輩のお宅のことで、渡辺君と何といいますか、その先輩にお世話になつたもんですから、その先輩の家のことで四、五回続けて会いました。
#931
○委員長(伊藤修君) あなたは佐藤昇という人を御存じですか。
#932
○証人(岡崎英城君) 今申上げた渡邊良夫の紹介で会いました。紹介で佐藤氏を知りました。
#933
○委員長(伊藤修君) どこで。
#934
○証人(岡崎英城君) さつき申上げた先輩の家のことで数回お訪ねしておるときに、水明館ホテルの渡辺君の事務所を訪ねて丁度夕方になりましたので、飯でも食おうということで御馳走になつた。そこに丁度佐藤君が来まして三人で飯を食つた。それで知合になりました。
#935
○委員長(伊藤修君) それはいつ頃のことですか。
#936
○証人(岡崎英城君) それは二十二年の七月頃、暑い頃だつたと思います。
#937
○委員長(伊藤修君) その先輩の方というのはどなたですか。
#938
○証人(岡崎英城君) 阿倍源基さんです。
#939
○委員長(伊藤修君) その当時ですね、何か佐藤氏からお金をお貰いになつたことはありますか。
#940
○証人(岡崎英城君) そのときに、佐藤君と会つたときに青年実業家としてなかなか今大いにやつておるんだということの紹介を受けまして、渡辺君が、岡崎君あたりは商売が下手であるから将来大いに佐藤君の後援その他を受けたらどうかということで、よろしく頼むということでもつて別かれました。
#941
○委員長(伊藤修君) そのときは……
#942
○証人(岡崎英城君) そこでその後秋ぐちになりましてから、私のところでは旭梱包という会社を初め十五万円で設立しました。
#943
○委員長(伊藤修君) 渡辺……
#944
○証人(岡崎英城君) 初めてのものですから、どうしても設備その他を整えるのに金が要りますので、五十万円に増資いたしまして、増資に二十万円程はいろいろな方々から少しずつの寄附で、寄附と申しますか投資で集めましたが、どうしても後十五万円か二十万円程足りないものですから、渡辺氏に俺は仕事をやつて困つておるんだから、一つ又佐藤君にこれも頼んで呉れないかと言うて佐藤氏に頼みました。それで日を忘れましたけれども、いつですか大体指定して呉れました。それで佐藤君の事務所へ参りまして金を融通して貰いました。
#945
○委員長(伊藤修君) それは渡辺さんにお頼みになつたのはどこでお頼みになつたのですか。
#946
○証人(岡崎英城君) 渡辺氏にはこの前会つたときにそういうことを言われておるものですから、電話か何かで頼んだと記憶しております。
#947
○委員長(伊藤修君) 融資を頼んだのですか。
#948
○証人(岡崎英城君) はい。
#949
○委員長(伊藤修君) 渡辺氏はそのときに佐藤君に頼んでやると言つて……
#950
○証人(岡崎英城君) やると言いまして、日を一週間ぐらい経つてから返事を貰いまして、佐藤君の事務所を知らなかつたものですから、よく詳しく電話で教えて呉れまして、参りました。
#951
○委員長(伊藤修君) 佐藤君のどこの事務所にいらしたのですか。
#952
○証人(岡崎英城君) 神田の事務所です。
#953
○委員長(伊藤修君) 神田の事務所のどこでお会いになつたのですか。
#954
○証人(岡崎英城君) 神田の二階の事務所に佐藤君の部屋がございました。区切りした部屋が……。そこで会いました。
#955
○委員長(伊藤修君) 何とおつしやいましたか。
#956
○証人(岡崎英城君) そのときに渡辺君から話があつたというので出して呉れました。どうも有難うと貰つたきりであります。それから雑談を三、四十分して帰りました。
#957
○委員長(伊藤修君) 佐藤氏は、用途は何か聞かなかつたのですか。
#958
○証人(岡崎英城君) この前会つたときに、大いに応援するということを言つておつたと思いますし、私も渡辺君からよく話して呉れたと思つておりました。用途その他はすつかり呑み込んで呉れておると思いました。それで何も敢て申しませんでした。
#959
○委員長(伊藤修君) 渡辺さんに用途や何かは事情をお話になつたのですか。
#960
○証人(岡崎英城君) よく事情を話したのです。困つておるから……
#961
○委員長(伊藤修君) 電話で……
#962
○証人(岡崎英城君) はい。
#963
○委員長(伊藤修君) 電話でそういう話ができるのですか。細かい話ができるのですか。
#964
○証人(岡崎英城君) 細かいといつても増資するのに困るから……
#965
○委員長(伊藤修君) 増資するのに金が困るから……、簡單な話なんですね。細かい事業上の内容は、おつしやつたわけでもないのですね。
#966
○証人(岡崎英城君) そうです。そんなことは言いません。
#967
○委員長(伊藤修君) どういう事業をやつておるか、製品はどれだけできるか、工員はどれだけおるか……
#968
○証人(岡崎英城君) 梱包事業でこういうことをやつておることは渡辺氏はよく知つております。
#969
○委員長(伊藤修君) 知つておるけれども、あなたのところの生産過程が、どれだけということは御存じないでしよう。
#970
○証人(岡崎英城君) そういうことは渡辺君も聞かなかつたし、佐藤君も聞きませんでした。
#971
○委員長(伊藤修君) そうすると、実業家が金を出すのに事業の性質内容を知らずしてどんどん出すのですか。
#972
○証人(岡崎英城君) 佐藤という人は非常に何というか、さばつとした男でございましたから、呉れましたのですがね。
#973
○委員長(伊藤修君) 政治献金か何かならば、そういう出し方もするけれども、少くとも事業の金を出す場合には事業の性質、事業の内容、そうして形体、生産状況等をお聞きしなければ、出資しないものですがね。援助しないものですがね。これは事業家の通例ですよ。
#974
○証人(岡崎英城君) それは委員長がそうおつしやいますけれども、私と渡辺君、渡辺君と佐藤君の話は以上申上げましたような簡單なことで……
#975
○委員長(伊藤修君) 渡辺さんはどうか知りませんが、少くとも佐藤さんとは面識が浅い、二回目でしよう。それが黙つて出されるということは、ちよつと腑に落ちませんね。
#976
○証人(岡崎英城君) 実際はそういう状態であつたのです。
#977
○委員長(伊藤修君) それは現金ですか。
#978
○証人(岡崎英城君) 現金でございます。
#979
○委員長(伊藤修君) 百円札で……
#980
○証人(岡崎英城君) 百円札です。
#981
○委員長(伊藤修君) 二十万円現金ですか。
#982
○証人(岡崎英城君) 二十万円現金です。
#983
○委員長(伊藤修君) 新聞紙にお包みになつたのですね。
#984
○証人(岡崎英城君) そうです。包んで……
#985
○委員長(伊藤修君) 百円札で一くくりになつておりましたか。
#986
○証人(岡崎英城君) 一つが十万円ずつ包んで、一つは何かきつちりとした封筒に入つておつたような気がいたします。
#987
○委員長(伊藤修君) 十万円は包裝が解いていなかつたのですね。
#988
○証人(岡崎英城君) はい。
#989
○委員長(伊藤修君) 束ですね一万円の束が十あつたのですね。
#990
○証人(岡崎英城君) そういうふうな気がいたします。
#991
○委員長(伊藤修君) どこの銀行の金ですか。
#992
○証人(岡崎英城君) それはよく……忘れました。
#993
○委員長(伊藤修君) 新聞紙に包んでよこしましたか。
#994
○証人(岡崎英城君) 新聞紙に包んでよこしました。
#995
○委員長(伊藤修君) お受け取りになつてどうなさいましたか。
#996
○証人(岡崎英城君) そのときに、申し遅れましたけれども、丹羽君も一緒に参りました。それで丹羽君と一緒に帰つて私の会社に帰りました。それでびちつとした十万円の包裝のしてあるのと、それと二、三万円とよく記憶していないのですが、三万円くらいを附加えて会社の方に渡しまして、金庫の方へ入れさせました。後その中の二万円だつたか三万円だつたか忘れましたが、それを私、自分の私用で使いました。後五万円を丹羽君に翌日届けました。
#997
○委員長(伊藤修君) そうすると、金庫へ入れた金はどうですか、会社の方へ渡した金はどうなんですか。
#998
○証人(岡崎英城君) 会社の方へ渡した金で株の拂込みをさせました。
#999
○委員長(伊藤修君) いつ頃拂込みをさせましたか。
#1000
○証人(岡崎英城君) それは十二、三日か十五日頃、その辺だつたと思います。十月の中旬頃のような気がいたします。
#1001
○委員長(伊藤修君) 九月の十日に貰つていらつしやいましたのですね。
#1002
○証人(岡崎英城君) 九月の十日じやないでしようか。
#1003
○委員長(伊藤修君) 十月になつてからですね、その金を貰つたのは……
#1004
○証人(岡崎英城君) 十月だと思うのです。それで九月の初めに会つて十月の初めに行きました気がいたします。増資は十月の十五日完了だと思います。
#1005
○委員長(伊藤修君) 十月十五日に増資のための拂込みに使つたのですね。
#1006
○証人(岡崎英城君) そうです。それと小遣いに私が二、三万円使いました。丹羽君が二万五千円五十株、翌日か翌々日本人が持つて来て呉れて拂込みをいたしました。
#1007
○委員長(伊藤修君) 増資をお使いになつたのは幾らでしたか。
#1008
○証人(岡崎英城君) 丹羽君の方は二、三万、私が十万円、それから後二、三万円は子供の名前や社員の名前で増資をいたしました。
#1009
○委員長(伊藤修君) 株に充てたのは幾らくらいですか全部で……
#1010
○証人(岡崎英城君) 全部で十五万円か十六万円くらいだと思います。
#1011
○委員長(伊藤修君) 十七万円……
#1012
○証人(岡崎英城君) 十七万円までは行きませんでした。十五、六万円だと思います。
#1013
○委員長(伊藤修君) 丹羽君に現金で五万円くらい渡したのですか。
#1014
○証人(岡崎英城君) 渡しました。
#1015
○委員長(伊藤修君) そうして改めて拂込みを持つて来ましたか。
#1016
○証人(岡崎英城君) 持つて来ました。
#1017
○委員長(伊藤修君) 二万五千円……
#1018
○証人(岡崎英城君) はい、丹羽君は重役だつたのですから。
#1019
○委員長(伊藤修君) そのときは幾ら増資をいたしましたか。
#1020
○証人(岡崎英城君) そのときは十五万を五十万にしました。
#1021
○委員長(伊藤修君) そうすると三十五万円増資したのですね。
#1022
○証人(岡崎英城君) そうです。
#1023
○委員長(伊藤修君) それは全部現金でお拂込みになつたのですか。
#1024
○証人(岡崎英城君) 現金です。大体方々の人がよこして下さつたのですから、一々細かいことはよく覚えておりませんけれども……
#1025
○委員長(伊藤修君) それはどこの銀行ですか。
#1026
○証人(岡崎英城君) 千代田銀行品川駅前支店。
#1027
○委員長(伊藤修君) そのあとで又三十万円お借りになりましたね。
#1028
○証人(岡崎英城君) 三十万円じやないですが、借りました。その後、年の暮に十万円融通して貰いました。
#1029
○委員長(伊藤修君) それは何月ですか。十二月ですか。
#1030
○証人(岡崎英城君) 十二月です。
#1031
○委員長(伊藤修君) 直接ですか。
#1032
○証人(岡崎英城君) これはやはり私と丹羽君が年越しができないから一つ心配をやつて呉れと渡辺君に頼みまして、それで十二月二十日過ぎだと思います。それで丁度融通して貰つたのが私が山形に帰える直前融通して貰いましたから、非常にはつきり覚えております。十二月三十日だと思います。そのときは十万円でした。
#1033
○委員長(伊藤修君) それはどういう形式になつておりますか。
#1034
○証人(岡崎英城君) それは丹羽君と二人で参りまして、永代橋の方の佐藤君の事務所に参りました。そこで貰いました。
#1035
○委員長(伊藤修君) 理由は……
#1036
○証人(岡崎英城君) それはもう私と丹羽君が困つておるから、年越しに一つ心配して呉れと頼んで二人で貰いました。
#1037
○委員長(伊藤修君) 直接いたしましたか。
#1038
○証人(岡崎英城君) 渡辺君に頼みました。
#1039
○委員長(伊藤修君) 渡辺君を通じて……
#1040
○証人(岡崎英城君) 通じて……
#1041
○委員長(伊藤修君) 渡辺さんから先に電話がかかつたのですか。
#1042
○証人(岡崎英城君) はい。それで日にちは三十日と決めまして……
#1043
○委員長(伊藤修君) そのときは現金ですか。
#1044
○証人(岡崎英城君) 現金です。
#1045
○委員長(伊藤修君) どういうお金ですか。
#1046
○証人(岡崎英城君) それはやはり百円札の束だと思つております。
#1047
○委員長(伊藤修君) それは包裝していなかつたのですか。
#1048
○証人(岡崎英城君) 包裝していなかつたような気がいたします。
#1049
○委員長(伊藤修君) 束ですか。一万円の束ですね。
#1050
○証人(岡崎英城君) そうだと思います。
#1051
○委員長(伊藤修君) 新聞紙に包んでよこしたのですか。
#1052
○証人(岡崎英城君) 新聞紙に包んでよこしました。
#1053
○委員長(伊藤修君) これは何にお使いになりましたか。
#1054
○証人(岡崎英城君) これは丹羽君と私と五万円ずつ使いました。
#1055
○委員長(伊藤修君) 年の暮ですから、手許に持つていらつしたのですね。
#1056
○証人(岡崎英城君) はい。それでは私は三十日の晩七時何分かの汽車で山形へ帰りますから、お晝過ぎに行つたと思つております。非常に急ぎまして、私は家へ持ち帰つて、その頃は南品川におりましたから、丹羽君の所へ夕方届けてやりました。そのとき私は五万円持つて帰りました。若干年の暮の支拂いをしたと記憶しておりますが、詳しくは覚えておりませんが、後残つたのは山形に持つて行つて、山形の年越しにしたわけであります。
#1057
○委員長(伊藤修君) それから三十万円というのは何ですか。
#1058
○証人(岡崎英城君) 三十万円ということはありません。その後は私が山形へ帰りましてから、七月の五日頃から発病いたしまして、三月の始め頃まで山形でチフスだと言われて入院しておりました。それで退院してから三月の末に東京に帰つて来たのであります。その間大した会社でないものですから、十分私のところに入院費用なんかも出ませんので、それで友人達に頼みまして、丹羽君が非常に心配して呉れまして、二、三万ずつ二回か三回送つて呉れました。それでやつと退院して帰つて参りました。そうしたら丹羽君も非常に困つているようだから、どうしたんだいと言つて、金を送つて貰つて返さなければならないと思つておる、佐藤君はなかなか心配して呉れるから、佐藤君の所に行こうか、俺が病気で困つているからと言つて話して……私も退院して間もなくで金に困つているので、それで丹羽君が行つて呉れました。それは三月の末か四月の初めだつたと思います。それで丹羽君が持つて来て呉れました。私は五万円受取りました。佐藤君との関係はそれだけでございます。
#1059
○委員長(伊藤修君) 佐藤君から結局幾ら受取りましたか。
#1060
○証人(岡崎英城君) 合計私と丹羽君と二人で四十万円貰つたと思います。
#1061
○委員長(伊藤修君) 実際はそうじやなくて、いわゆる渡辺氏から増田甲子七氏に政治献金にするんだから金をちよつと都合してやつて呉れというその使いにあなたと丹羽氏が行くんだから渡してやつて呉れというので、あなた達がお使いに行つて、そうして佐藤からお金を受取つて見えたんじやないですか。
#1062
○証人(岡崎英城君) そんなことはございませんです。
#1063
○委員長(伊藤修君) それが新聞に出てからあなた達の供述の打合せが済んで今日のような供述になつているわけではないですか。
#1064
○証人(岡崎英城君) そういうことは絶対にありません。ただ以上申上げましたような事情で十分お分り頂けると思います。
#1065
○委員長(伊藤修君) いろいろの新聞に出て来る情報を見ると、あなた達の供述のあれが二転、三転して来るが、新聞で私らが拜見して来ると、あなた方はお調べになつていないけれども、外の情報から来ると……
#1066
○証人(岡崎英城君) そうでございましようか。これが本当の今申上げたような……
#1067
○委員長(伊藤修君) 最初はあなた達御両氏がかぶるということになつておつた。ところがそうすると横領になるし、追放違反の共犯とかいう関係も出て来る、そうするとその次は岡田何とかいう人とか、何か群馬県知事の話になつて来て、そうして今日のような話に段々変つて来たんじやないですか打合せが……
#1068
○証人(岡崎英城君) 私が実際貰いに行つて、私が会社のために使つたり、小遣いに使い、私が病院でいろいろ支拂つたということ、これが本当のことでございます。
#1069
○委員長(伊藤修君) 本当かも知れませんが……
#1070
○証人(岡崎英城君) それから今おつしやつたようなことは絶対にございません。
#1071
○委員長(伊藤修君) どうも金について出す形式が、あなたが本当に一面識の方ですから、佐藤君から言えば一面識の人に佐藤君がぽつぽつと金を出すということはちよつと考えられませんですね。
#1072
○証人(岡崎英城君) 私は佐藤君から貰つたんですけれども、実際は渡辺君から大いに応援して貰つたという気持でおります。
#1073
○委員長(伊藤修君) 渡辺氏に対してそれだけの金を応援しなければならん佐藤氏に義理合いがあるんですか。
#1074
○証人(岡崎英城君) その点は私は知りません。
#1075
○委員長(伊藤修君) あなた達にそれだけの金を出さなければならん義理があるのですか。何かあなたにお仕事をして頂いたのですか。
#1076
○証人(岡崎英城君) そんな義理合いはありません。渡辺君と私との間は長い本当の附合いでありますから、私の仕事を助け、私を助けてやろう、こういう気持で渡辺君がやつて呉れておつたと思つております。
#1077
○委員長(伊藤修君) どうも利に敏い商人の人が漫然金を放り出すということは考えられませんが、何かあなたにお仕事でも頼んで、そのために出すというならこれは又考えられますけれども、何もあなたに仕事を頼んでいないんですからね。そうではなくて、やはり増田さんのお使いで取りにいらつしやつたんじやないですか。
#1078
○証人(岡崎英城君) そんなことはございませんです。
#1079
○委員長(伊藤修君) 最初の二十万円お受取りになつたのは九月じやないですか。
#1080
○証人(岡崎英城君) いや十月だと思います。十月十五日にやつたんですから、十月初めでございます。
#1081
○委員長(伊藤修君) 要するに日にちをずらかして来たわけじやないですか。
#1082
○証人(岡崎英城君) そんなことはございません。
#1083
○委員長(伊藤修君) 御経験がおありになるんですから……
#1084
○証人(岡崎英城君) そんなことは……経験はございません。
#1085
○委員長(伊藤修君) 佐藤氏からそういう金を受取られて何か証書でもお入れになりましたか。
#1086
○証人(岡崎英城君) 何も入れません。
#1087
○委員長(伊藤修君) 受取は出しましたか。
#1088
○証人(岡崎英城君) 受取はありません。
#1089
○委員長(伊藤修君) 一面識もない人に金銭の出入りをする場合に、証書も何も出さないというのはおかしいじやないですか。そういうのはあるですかね。
#1090
○証人(岡崎英城君) そういうこともあると思います。私らは要するに方々に応援して貰うときに……
#1091
○委員長(伊藤修君) あなたが応援して頂くのは、あなたの人格を尊敬してあなたに私淑する余りあなたにお金を出す人はあるでしよう。併し佐藤君の場合はあなたにはちよつとも関係はないんですからね。
#1092
○証人(岡崎英城君) さつきから申上げておるように、渡辺君に出して貰つた、佐藤君に会つたときに私も佐藤君に好感を持ちました。さつぱりした人だ、向うも好感を持つたかも知れません。好感を持つて呉れたから応援して呉れたと思つております。
#1093
○委員長(伊藤修君) そんなら渡辺君が行つて、その席で渡辺君が受取つてあなたに出すとか、或いは立会で出すとかいうことがあり得るんですか、面識のないあなたに対して、又事業に何ら関係もない、又事業を応援しなければならん理由もないし、自分の子会社の下請会社というわけでもなし、どうもそれに対して金を出すのに受取りも出さん、借用証も出さんということはちよつと常識じや割切れないじやないですか。
#1094
○証人(岡崎英城君) 以上は実際私が今申上げた通りで、委員長がどういうふうにお思いになるかは別問題です。
#1095
○委員長(伊藤修君) これは私一人じやない、一般の人もそう考えられると思つて釈明して置くわけです。増田さんと最後にお会いになつたのはいつですか。
#1096
○証人(岡崎英城君) 鉄道大臣におなりになつたときです。
#1097
○委員長(伊藤修君) それから一遍もお会いになりませんか。
#1098
○証人(岡崎英城君) お目にかかつたり、お訪ねしたりしてお目にかかつたことはございません。
#1099
○委員長(伊藤修君) 一遍もお会いになりませんか。
#1100
○証人(岡崎英城君) 一遍もお会いしておりません。
#1101
○委員長(伊藤修君) どこでもお会いしませんか。
#1102
○証人(岡崎英城君) どこでも会いません。
#1103
○委員長(伊藤修君) 道でも……
#1104
○証人(岡崎英城君) 道でも会つたことはないのです。
#1105
○委員長(伊藤修君) あなたは佐藤を増田の事務所に連れて行つて紹介しておるじやないですか。
#1106
○証人(岡崎英城君) 私はしておりません。
#1107
○委員長(伊藤修君) 丹羽君はしておるというのじやないですか。
#1108
○証人(岡崎英城君) 丹羽君はしておるかも知れません。
#1109
○委員長(伊藤修君) あなたはしておりませんか。
#1110
○証人(岡崎英城君) しておりません。
#1111
○委員長(伊藤修君) 佐藤君も金を出すのだから何か代価がなくちやいかん、金の代償がなくちや、代償を得たいということは考えられるが、物を得るか、名誉を得るか、地位を得るか、或いは利権を得るか、便宜を得るか、又そういう伏線には相当の高位高官の人に繋がりを持つか、何かの代償を得なくちやならんのですからね。御紹介になつたのじやないですか。
#1112
○証人(岡崎英城君) 私は紹介しません。
#1113
○委員長(伊藤修君) 増田さんが、あなた達にいろいろ世話になるからと言つて礼を言つたそうですが。
#1114
○証人(岡崎英城君) いや、私は知りません。
#1115
○委員長(伊藤修君) 新聞に出ておりますが、どう思いますか。
#1116
○証人(岡崎英城君) 私らのことを礼を言われる筋合いはないと思います。
#1117
○委員長(伊藤修君) 増田さんはあなた達を子分と思つておるのじやないですか。
#1118
○証人(岡崎英城君) そういうことはないのです。
#1119
○委員長(伊藤修君) あなた宅へ現職警官の人や何かがときどきお寄りになりますね。
#1120
○証人(岡崎英城君) まあ、殆んど寄るというようなことはありません。たまに、何か特別のときに来て呉れることはあります。
#1121
○委員長(伊藤修君) 盆暮には行くでしよう。
#1122
○証人(岡崎英城君) 盆暮には随分いろいろと暇の人が訪ねて来ます。
#1123
○委員長(伊藤修君) 現職警官の人が……
#1124
○証人(岡崎英城君) 現職の人も来ます。大体私は余り家で会つたことはありません。
#1125
○委員長(伊藤修君) あなたの謦咳に接していろいろ御指導を受ける、或いは御注意を受けるということはあり得るのじやないか。
#1126
○証人(岡崎英城君) 特に……仕事のことで私も飛び歩いておるのでありますから、余り盆暮で訪ねて呉れても会つたということは僅少でございます。
#1127
○委員長(伊藤修君) あなたの所で飯を食つたことはあるのじやないですか。
#1128
○証人(岡崎英城君) あります。
#1129
○委員長(伊藤修君) 土田君やその他の人が一緒になつて……
#1130
○証人(岡崎英城君) 土田君が一緒に飯を食つて……
#1131
○委員長(伊藤修君) 伊藤鑛壽も……宴会みたいなのを開いたことがあるのですか。
#1132
○証人(岡崎英城君) あります。
#1133
○委員長(伊藤修君) しばしばあるのじやないですか、そういうことが……、知つておるのは一つですが……
#1134
○証人(岡崎英城君) 年に一遍かそこらです。
#1135
○委員長(伊藤修君) そういう席上で以て、今現職者の仕事がどうだとか、あれはあんな所におつてはいかんとかいう話が出るのじやないですか。
#1136
○証人(岡崎英城君) そういう話は殆んど出ません。
#1137
○委員長(伊藤修君) 当然出るように考えられるが……、あなたがいなくなつてから警視庁のたがが弛んだとか、人物がいなくなつて警視庁を背負つて立つ者がいないとかいう批評が……、あすこの署長はまずいとか、あれを警視庁に入れた方がいいとかいうのが出るのじやないですか。
#1138
○証人(岡崎英城君) この際委員長にちよつと申上げるのは、私から申上げるのはちよつとおかしいのですが、私は警視庁に非常に長かつたのでございます。見習いのときからずつとおります。私は随分長い間、十数年おりました。その間課長をしたり、お終いには部長になりましたが、監査官その他もやりましたが、私は現職にいるときでもいろいろ岡崎は長いからどうのこうのというようなことを言う人もあるが、私は現職にいるときから殆んど人事の話というのはみんなの前でしたことはございません。大体そういう主義でやつて参りました。警保局に参りまして、保安課長や外事課長をしておりましても、警視庁の人事ということについては一言も言つたことはありません。そういうように自制して参りました。終戰後こうして浪人しておりますので、そういうことを言うということは非常に間違いを起しやすいので、皆の間に話が出れば怒つて止めるというような気持でおります。又私の前ではそういう話を警視庁の人がやるということは殆んどない、やらないというのが常例でございます。ちよつと今委員長のおつしやつたのと非常に反対のことを申上げて御了解しにくいかも知れませんが、私をよくお調べ頂きますと、その点がよくお分りになつて頂けると思います。
#1139
○委員長(伊藤修君) まあ普通常識的に考えて、そういう職場にいらつしやつた方に、窮地に陷いつておれば、現在こういうようなことだという話が出るのが普通に考えられると思うのですが、あなたの主義がそうであつたとすればそういうことも出ないということも又あり得ると思いますが、何か先程申しました、お宅で会食を共にされたときに、土田氏が大里澁谷署長をいつまでもあそこに置いておつてはいかんから、本庁の方に移転されたらどうかというような話があつたのではないですか。
#1140
○証人(岡崎英城君) そんなことは聞いたこともございませんです。
#1141
○委員長(伊藤修君) あなたは上野の「うた藤」というのを御存じですか。
#1142
○証人(岡崎英城君) 「うた藤」……知りません。
#1143
○委員長(伊藤修君) 御存じないですか。
#1144
○証人(岡崎英城君) 知りません。
#1145
○委員長(伊藤修君) 「一力」というのは御存じですか。
#1146
○証人(岡崎英城君) 知りません。
#1147
○委員長(伊藤修君) おいでになつたことはありませんか。
#1148
○証人(岡崎英城君) ないです。
#1149
○委員長(伊藤修君) そこで増田さんや佐藤さんにお会いになつたことはないですか。
#1150
○証人(岡崎英城君) ございませんです。
#1151
○委員長(伊藤修君) それでは大体私の質問はこれで済みましたから、お尋ねになる方がございましたら……
#1152
○大野幸一君 ちよつとお尋ねします。甚だ中座をしておつて恐縮ですが、日野原が十五万円持つて来たというときに、いろいろ窮状を訴えて、持つて来たのではないですか。
#1153
○証人(岡崎英城君) 持つて来たのは日野原が持つて来たのではないのです。窮状も何も訴えたのではないのです。それは十五万円、話もない前に持つて参りましたのです。
#1154
○大野幸一君 どうして持つて来たか御存じないですか。
#1155
○証人(岡崎英城君) 日野原氏とは、丁度私はチフスで帰つて来てから三四回会つておりますが、その間日野原君といろいろ私の事業の話とか自分の事業の話をしたのですが、大いに私のところを応援して呉れると言つておりましたから、その応援のつもりで呉れたのではないかと思います。
#1156
○大野幸一君 日野原さんとの交渉はそれから始まつたのですか。学校友達とか……
#1157
○証人(岡崎英城君) そうではないです。
#1158
○大野幸一君 そのときに、昭電の事件は世上に伝えられていたのですか。
#1159
○証人(岡崎英城君) 私はチフスをして三月程寢ておりましたから、よく事情も私は知りませんでした。
#1160
○大野幸一君 それからあとの十万円は。
#1161
○証人(岡崎英城君) あとの十万円は、何回か私の家に、三四回くらい来たのですが、その後に持つて参りました。それも祕書が届けてよこしましたが、私は何のことなしに……
#1162
○大野幸一君 あなたが警視庁に長くいたということを日野原は知つていたようですか。
#1163
○証人(岡崎英城君) それは、日野原君は知つていたと思います。
#1164
○大野幸一君 今から想像すれば、そういう関係で、日野原の考えではよろしく頼むという意味だつたというようにも考えられますが……
#1165
○証人(岡崎英城君) そうだつたかも知れません。十万円持つて来たときの翌日、翌々日くらい、その前か前くらいの日でしたか、もう君の方のお世話はできん、お世話といつてはあれですが、一応世話することはできんと断わつております。
#1166
○大野幸一君 それでも日野原は尚持つて来たわけですか。
#1167
○証人(岡崎英城君) そうです。
#1168
○大野幸一君 それから今度は佐藤からの献金の場合ですね。渡辺代議士から紹介を受けたときに増田さんともこういう関係だというような話、増田さんをよく知つておるのだ、渡辺さんと増田さんの話が出たのですか。
#1169
○証人(岡崎英城君) 初め佐藤君と会つたときですか。
#1170
○大野幸一君 そうそう。
#1171
○証人(岡崎英城君) 増田さんの話は出なかかつたと思います。
#1172
○大野幸一君 あなたと増田さんとの関係は友人とか知り合い……今までの交際関係については佐藤は知つておりますのでしようか。
#1173
○証人(岡崎英城君) それはよく知らないのじやないかと思います。
#1174
○大野幸一君 ここの証言で、佐藤は、自分のあた方を援助する意味は、広い意味においては増田さんを助けたことになる、こういうふうな意味のことを、証言しているのですがね。
#1175
○証人(岡崎英城君) そうですか。
#1176
○大野幸一君 ところでそうすると、あなたと増田さんの関係は知つていうのじやないかと思うのですが、あなたは、私が、証人が厄介になることについて、増田さんが何らお礼を言われる筋合のものではないと、こう言うのですが、ところが何だつたかお礼を言われたことがあると、こう言うのですが、全然無関係なんなら、そんなことが出て来ないわけですね。
#1177
○証人(岡崎英城君) 私には分らないのですがね。
#1178
○大野幸一君 梱包会社というのは資本金は五十万円ですか。
#1179
○証人(岡崎英城君) 今は二百万円です。
#1180
○大野幸一君 事業はうまく行つているのですか。
#1181
○証人(岡崎英城君) いや、何といますか、中小工業ですから、一生懸命やつておるというようなところでございます。
#1182
○大野幸一君 増田さんに対して、自分達が、佐藤からこういう厄介になつているということを話したようなことはあるのですか、ないのですか。
#1183
○証人(岡崎英城君) そんなことはございません。
#1184
○大野幸一君 あなたに聞くと分りますが櫻田クラブというのがあるのですか。
#1185
○証人(岡崎英城君) 櫻田クラブというのは、終戰後できたのですがね。あれは警視庁を辞めた者全体が入つているクラブです。
#1186
○大野幸一君 それは追放者の人も追放でない人も……
#1187
○証人(岡崎英城君) 私は何か入会しろと言われて入会したが、はつきり覚えていません。入会費というものは出したことはございません。一応辞めた者の幹部連は会員だということになつているかも知れません。私は会費も納めたことはございません。
#1188
○大野幸一君 どういう仕事を……
#1189
○証人(岡崎英城君) 殆んどよく、全然知りません。
#1190
○大野幸一君 話に聞いておりませんか。
#1191
○証人(岡崎英城君) 單なる親睦の会ではないかと思います。解散したとか言つておりますが、そういうふうに聞いておりますが……
#1192
○大野幸一君 そこに警視庁の揉消しなんかを頼むと非常に効果があるというようなことを言われておるのですが。
#1193
○証人(岡崎英城君) それは知りませんですね。
#1194
○大野幸一君 それからこれは何ですか、岡崎検事……、あなた特高部長をされていたので、先程岡田議員の話でちよつと気が付いたのですが、岡崎検事とあなたが特高部長時代に特高の関係でお附合いがあつたことがあるのですか。岡崎角という人……
#1195
○証人(岡崎英城君) 岡崎さんという名前だけは知つておりましたが、特に附合つたことはありません。事件を一緒にやつたこりもありません。
#1196
○大野幸一君 あなたの追放の確定したのはいつでしたか。
#1197
○証人(岡崎英城君) 私は自分で調べたのではありませんが、去年あたり友人が調べて呉れたのですが、二十二年十二月何日かというふうに聞いております。
#1198
○大野幸一君 特高は何年やつていると追放になるのですか。
#1199
○証人(岡崎英城君) 前後通じて八年ですね。戰争中は四年……、私は両方とも欠けております。該当していない……
#1200
○大野幸一君 あなたの追放になつたのは……
#1201
○証人(岡崎英城君) 特高部長をしておつたときに、言論の取締りをやつたということで、そういう理由で通達を受けました。
#1202
○大野幸一君 最初佐藤が六十万円と調書に言つていたのを、ここでは四十万円ということになつたのですが、この九月十日頃の二十万円が抜けたのじやないのですか。九月にも十月にも……。こういうことになると、先程委員長から質問応答で、ちよつとそこが抜けているのじやないかと思いますが。
#1203
○証人(岡崎英城君) そんなことはありません。
#1204
○大野幸一君 現職でもなかなか貰えないのですが、追放者であつて、将来の政治的の運命というものはないわけなんですが、こうやつて献金のある理由はどこにあるのでしよう。
#1205
○証人(岡崎英城君) そうですね。私に分りませんですね。
#1206
○大野幸一君 もう一度聞きますが、渡辺さんと増田さんとの関係は、佐藤は知つていたようですか。
#1207
○証人(岡崎英城君) 同じ党派であるということは知つております。
#1208
○大野幸一君 その程度ですか。そうすると渡辺さんを助けても、あなた方を助けても、増田さんからお礼を言われる理由は毛頭ないのですね、あなたのお考えの通りに。
#1209
○証人(岡崎英城君) 増田さんが礼を言われたということは、私は今お聞きしたわけですが、私にはよく増田さんのお礼言われたということはどういうことか分りません。
#1210
○大野幸一君 何のことだつたか知りませんが、増田さんがいろいろ有難うということは言つた。その意味は分らなかつたと、こう言つておるのですが。今でもその点が腑に落ちないのですが、あなたにはやはり分らないのですかね。
#1211
○証人(岡崎英城君) 分りません。
#1212
○大野幸一君 あなたの言われたことは、自分達が厄介になつたために増田さんからお礼を言われる理由は毛頭ない、こういう意味ですね。
#1213
○証人(岡崎英城君) そうです。
#1214
○鬼丸義齊君 二、三伺います。あなたのこの旭梱包という会社は最初どういうメンバーによつて、幾らの資本でありましたか。
#1215
○証人(岡崎英城君) あの私が社長で……
#1216
○鬼丸義齊君 あなたが社長で、幾らの……
#1217
○証人(岡崎英城君) 十五万円の会社であります。
#1218
○鬼丸義齊君 いつ作られましたか。
#1219
○証人(岡崎英城君) 二十一年の十二月。
#1220
○委員長(伊藤修君) 本店の所在地を言つて下さい。
#1221
○証人(岡崎英城君) 港区芝高浜町六番地でございます。
#1222
○委員長(伊藤修君) 登記所はどこですか。
#1223
○証人(岡崎英城君) 登記所は日本橋の登記所じやなかつたかと思います。
#1224
○鬼丸義齊君 このときの株主は何人ぐらいでありましたか。
#1225
○証人(岡崎英城君) 株主はざつと登記名簿には二十人か、二十五人だつたと思います。
#1226
○鬼丸義齊君 丹羽さんはこのときにもやはり株主ですか。
#1227
○証人(岡崎英城君) 株主です。專務でございます。
#1228
○鬼丸義齊君 丹羽さんは幾ら株を持つておつたのですか。
#1229
○証人(岡崎英城君) 丹羽君は初めは幾らでしたか、初めは百株ぐらいだつたと思います。
#1230
○鬼丸義齊君 あなたは幾株ですか。
#1231
○証人(岡崎英城君) 私はどうもはつきり覚えていないのですが、何しろ十五万円のうち半分は私が融通して出して……
#1232
○鬼丸義齊君 過半数ですか。
#1233
○証人(岡崎英城君) 過半数を出したわけです。
#1234
○鬼丸義齊君 事業というのは、どんな事業をやるのですか。
#1235
○証人(岡崎英城君) 機械だとか、いろいろな物品を大体木材で以ていわゆる梱包いたしまして、それを又場合によつては倉庫に預り、場合によつてはそれを駅に出す、地方へ自動車で出す、ですからトラック五台を持つていました。今丁度五台になりましたが、一頃は七台になつて、今又五台になりまして、今五台持つております。倉庫と製材業と兼ねてやつておるわけです。
#1236
○鬼丸義齊君 そうすると、製材じやないのですか。
#1237
○証人(岡崎英城君) ですから、いわゆる梱包いたします材料を製材いたします。
#1238
○鬼丸義齊君 梱包材料を……
#1239
○証人(岡崎英城君) 梱包材料も若干販売いたしております。
#1240
○鬼丸義齊君 それからこの第一回の増資はいつでしたか。
#1241
○証人(岡崎英城君) 第一回の増資は先程から話がありました昭和二十二年の十月の確か十五日であつたと思います。それが第一回の増資です。
#1242
○鬼丸義齊君 幾らに増資したのですか。そのときの増資は……
#1243
○証人(岡崎英城君) 五十万円にしたのです。
#1244
○鬼丸義齊君 三十五万円の増資ですね。
#1245
○証人(岡崎英城君) そうでございます。
#1246
○鬼丸義齊君 そうすると、丹羽さんはこの旭梱包の最初から專務であり、あなたが社長であつたわけですね。
#1247
○証人(岡崎英城君) そうです。丹羽君は第一回の増資の前くらいに專務を辞したと思います。役人上りが二人してやつていて、なかなか商売がうまく行かないので、外の專門の方になつて頂きました。丹羽君は普通の重役になつて貰いました。
#1248
○鬼丸義齊君 会社に常勤しておりましたか。
#1249
○証人(岡崎英城君) 初めは常勤だつたのですが……
#1250
○鬼丸義齊君 そこで増資計画というものはあなたの方の仕事の面から無論増資の計画が起つたわけでしようね。
#1251
○証人(岡崎英城君) はあ。
#1252
○鬼丸義齊君 とても十五万円ではやれないということで、三十五万円……
#1253
○証人(岡崎英城君) 初めは自動車から車庫から倉庫から、いろいろなものを理研工業から借りてやつておりまして、段々自分のものにして行かなければならないので……
#1254
○鬼丸義齊君 増資の議が起つたのはいつ頃ですか。
#1255
○証人(岡崎英城君) これは八月頃からです。
#1256
○鬼丸義齊君 八月頃に増資の議が起つて、それで主としてどの方面の方の力によつて増資をしようということを計画したのですか。
#1257
○証人(岡崎英城君) 初めは理研工業から分れた会社から又分れたのですから、その方面から援助を得たいと思いましたが、なかなか資金関係がうまく参りませんので、大体ずつと有志に頼んであつちこつちから二万円、三万円と出して貰つて、それでお終まいにはとうとう二十万円程できませんので、それで渡辺さんに頼んだ。こういうような経過でございます。
#1258
○鬼丸義齊君 その増資計画をあなた方が立てたときには、まだ佐藤という人との関係はなかつたのですか。
#1259
○証人(岡崎英城君) その頃佐藤氏とは一遍会つて、渡辺君に紹介されて知つております。
#1260
○鬼丸義齊君 その八月頃には知つておつて……
#1261
○証人(岡崎英城君) はあ。
#1262
○鬼丸義齊君 そのときには増資に対して佐藤の力を借りるというようなことは、あなた方増資計画にはなかつたのですね。
#1263
○証人(岡崎英城君) 始めはございませんでした。
いわゆる理研工業の方から出して貰つて、増資いたしたいと思つておりましたが、なかなかその折衝がうまく参りませんので、それで九月の中頃になつて、困りまして九月の末頃に確か渡辺氏に頼んだという経過でございます。
#1264
○鬼丸義齊君 そうすると、最初増資の中で十五万円くらいはできたのですか。増資は……
#1265
○証人(岡崎英城君) 約二十万程……十五、六万程初めにできました。
#1266
○鬼丸義齊君 結局十五、六万程足らなくなつたのですか。
#1267
○証人(岡崎英城君) そうです。
#1268
○鬼丸義齊君 渡辺氏に対して申入をする時分には旭梱包の方は増資がこうこうこういうふうになつて、こういうわけでどうしても十五、六万ばかり足りなくなつた。だから何とか力を貸して呉れというので、あたから渡辺氏に頼んだのですね。
#1269
○証人(岡崎英城君) それは私と渡辺氏との関係ということがちよつと分りにならないと御了解しにくいと思いますが、非常に古い友達なものですから、私は詳しい話はしないで、仕事に困つておるから一つ応援をして呉れ。それについてはこの前会つた佐藤君は非常にさつぱりしたいい人で、応援をして呉れるということだから、一つ応援して貰いたい。こういうふうに頼んだのであります。
#1270
○鬼丸義齊君 その関係をもう少し我々の常識として理解のできるような説明をして頂きたい。というのは、ただ單に電話だけで話をしたというだけでですね。その前にやはり七月頃に渡辺氏に会つて、こうこうこういうことだということを詳しく話したのですか。
#1271
○証人(岡崎英城君) 詳細に話はいたしませんけれども、ときどき会つて、俺の会社は困つておるのだ。増資の金融で困つておるのだということは、いつも向うで聞かれましてから話をするというような仲で、その点は余り詳しく話をしなくとも、渡辺氏は分つて呉れる。こう私は思つておりました。
#1272
○鬼丸義齊君 併し十五万円も……会社が二十万円できて、残り十五万円というもので増資の難航を続けておる場合に、あなたにとつては非常に重大なわけですね。それには相当に努力を拂わなければならんことであつて、特に渡辺氏に力を借りなければならんのであつて、旭梱包はこうこうこういうわけで困つておるから何とか考えて呉れということを、如何に懇意の間柄と雖も一遍の電話だけでそういうことができるのですか。
#1273
○証人(岡崎英城君) 具体的に九月の末に頼んだときには電話でございますが、一遍水明館で佐藤君に会つて、その後さつき申上げました戰犯のことで、二、三遍会つた。まだ基礎が非常にはつきりしない。自分のものに自動車がなつていない。こうこうこういうことで苦しいんだということは一、二回話したことがございます。
#1274
○鬼丸義齊君 その話をして、そのときに、それじや一つ佐藤に話してやろうというようなことで、佐藤の返事はどうだろうということをあなたが電話で聞くならば我々は理解できるが、十五万円のあなたの場合に、電話の一遍の頼みによつて直ちにできる。どうも私共には理解ができない。あなたは電話の話よりも前に、旭梱包はこういうふうに困つておるから、だから何とか一つして呉れないか。では一つ佐藤に話してやろう……
#1275
○証人(岡崎英城君) 佐藤君に話して呉れということは話しませんが、佐藤君と一度渡辺氏と三人で会つた後に、二回かそこら会つたことがございます。そのときに会社がこういうふうになつておつて融資しなければならない。非常に困つておるというようなことは渡辺氏に話したことがございます。それで渡辺氏が頼んだらば呑込んで呉れると思つて電話で頼んだのです。
#1276
○鬼丸義齊君 その電話で頼んだ以外は増資に対する金策について渡辺氏に対する電話はしておりませんか。
#1277
○証人(岡崎英城君) 佐藤君に出して呉れというのは電話で頼んだ、はつきり頼んだのは電話でございます。渡辺氏と私とは長い交友関係で、今御質問に私の申上げたことで御了解寝返るように私としては気がいたします。
#1278
○鬼丸義齊君 それから丹羽さんが專務を辞めたのはいつ頃ですか。
#1279
○証人(岡崎英城君) 專務は二十二年の十二月から二ヶ月ぐらいから経つてから辞めて、社長、專務で同じような者が二人してやるということはどうも商売上うまくないというので、丹羽君は私にお願いするということで專務を辞めました、
#1280
○鬼丸義齊君 二、三月頃に專務を辞めて……
#1281
○証人(岡崎英城君) 辞めて取締役になつたのです。
#1282
○鬼丸義齊君 そうすると常勤ではなくなつたのですね。
#1283
○証人(岡崎英城君) 常勤ではありません。
#1284
○鬼丸義齊君 普通の取締役ですか。
#1285
○証人(岡崎英城君) そうです。丹羽としては私の所を大いに応援するということになつておりますから、ちやんと株は持たなければならんと思います。
#1286
○鬼丸義齊君 増資については丹羽さんに力を借りたわけですか。
#1287
○証人(岡崎英城君) 丹羽君の分としても佐藤君の金が……
#1288
○鬼丸義齊君 三十五万円の増資について丹羽君が……
#1289
○証人(岡崎英城君) その前に丹羽君と私の知合いの人に頼んだのです。
#1290
○鬼丸義齊君 あなたがやつたのですね。
#1291
○証人(岡崎英城君) それには丹羽君は余り丹羽君はやらなかつた。
#1292
○鬼丸義齊君 増資について丹羽君の力を借りて新らしく株主に入れたのは、何んでありますか。
#1293
○証人(岡崎英城君) そのときはないのです。
#1294
○鬼丸義齊君 増資後については丹羽さんのはないわけですね。
#1295
○証人(岡崎英城君) 第三回目のときには……
#1296
○鬼丸義齊君 第三回目には丹羽さんの力を借りたが、第二回目には借りておりませんか。
#1297
○証人(岡崎英城君) 余り借りておりません。
#1298
○鬼丸義齊君 そこで丹羽さんがすでに常勤じやなくて、平重役になつておつて、而も三十五万円の増資というような計画が立てられて、そうして丹羽さんが外の方面の株主を作るために、あなたに対してそれ程の能力を持つていない、こういうときに、なぜその丹羽さんと二人だけが特に出掛けて行つて、佐藤のところでその二十万円の金を受取つたわけですか。
#1299
○証人(岡崎英城君) それは今申上げたように、増資用なんかの金の金策で以て丹羽君にそのときは余り応援して貰いませんでしたけれども、仕事を取るとかあつちの方面に折衝するとかいうことは、随分会社のために一生懸命にやつて呉れましたので、常勤はしませんけれども、仕事を新らしく取りますとか、それから方々の折衝とか丹羽君がやつておりました。やはり私としては社長、專務というようなことではありませんけれども、仕事の面には大いに助けて貰うという……
#1300
○鬼丸義齊君 それは少し話が違うと思う。
#1301
○証人(岡崎英城君) それで丹羽君も重役として一株持つて貰わなければ工合が悪いという点もあるし、又丹羽君も実は小遣に困つておつたものですから……
#1302
○鬼丸義齊君 そうすると株を持つて貰うということを佐藤君に頼むときには、ひとり増資株で佐藤の力を借りるばかりでなく、併せてそのときにあなたにしても、丹羽君にしても、すべてあなたの小遣までもやはり貰うつもりだつたのですか。
#1303
○証人(岡崎英城君) 小遣を貰うということもございませんけれども、丹羽君も困つておるから余つたら小遣でも廻そうと思つておりました。そこで五万円……
#1304
○鬼丸義齊君 併し佐藤に対して、あなたの方で渡辺君に申入れして佐藤の力を借りようとする時分には旭梱包の増資株の拂込みばかりでない、あなたも丹羽君も両名共に小遣に困つておるから、それも併せて応援して呉れと言つたわけですか。
#1305
○証人(岡崎英城君) 我々困つておるから応援して呉れと頼んで呉れるように渡辺君に言いました。
#1306
○鬼丸義齊君 それは大変な違いじやないか。
#1307
○証人(岡崎英城君) 併し大部分は増資ということでやるという趣旨だつたのです。
#1308
○鬼丸義齊君 そういうことをはつきり渡辺さんに言つたのですか、旭梱包の増資は三十五万円でやつた。二十万円できたけれども、そのうちあとの十五万円に困つておるけれども、併せて自分等二人共小遣に困つておる。それも併せて佐藤に頼んで呉れということを渡辺に言つたのですか。
#1309
○証人(岡崎英城君) その点は言つておりません。
#1310
○鬼丸義齊君 そうすると、どういう申込をしたのですか、佐藤に対して、渡辺に対して。
#1311
○証人(岡崎英城君) 増資するし、会社全体のことで困つておるから佐藤に応援して呉れるように、あなたから一つ頼んで呉れ、こう言つて頼みました。
#1312
○鬼丸義齊君 会社全体のこと……。そこでですね。先程から委員長のあなたに対する質問を伺つておりますと、大体において普通のずつと陳述は非常に我々の理解する、極めて道理正しいあなたの陳述があるのですね。この点までに行くというと、どうも私共常識にぴつたり来ないのですね。そこはまああなたのその当時の状況がどういうふうにあつたのか私は存じませんけれども、それにしても昭和二十二年当時ならまだしも今日のようなことでなく、相当に貨幣価値は高いのであります。その時代に二十万円の金があなたの手許で行きもせずあるとするならば、もう少しやはり愼重な、鄭重な手続方法というものが私はなくちやならんと思う。あなたは渡辺さんに頼んだ趣旨は、改めて伺いますと、渡辺さんに頼んだ趣旨は、どういうような趣旨において頼んだのですか。
#1313
○証人(岡崎英城君) さつきから申上げておるように、増資問題について頼みました。
#1314
○鬼丸義齊君 増資でこういうわけで行詰つておるから、一つ佐藤君に頼んで呉れんか、あなたから佐藤に頼んで呉れんかと言つたのですか。
#1315
○証人(岡崎英城君) そうです。
#1316
○鬼丸義齊君 そうしたら電話でどういうことになつたのですか。
#1317
○証人(岡崎英城君) それなら向うの都合を聞いて見ようということで、一週間ぐらい経つております。何日でしたか忘れましたが、十月の初めでしたけれども、何月何日の何時頃でしたか……
#1318
○鬼丸義齊君 それも電話で返事があつた……
#1319
○証人(岡崎英城君) 返事があつたのです。
#1320
○鬼丸義齊君 渡辺さんの方から話してあるから行けという……
#1321
○証人(岡崎英城君) 私佐藤君の事務所を知らんものですから、渡辺君の丁寧な地図といいますか、道順を教えて貰いまして、そうして参りました。
#1322
○鬼丸義齊君 そこで特に丹羽氏をあなたが同伴したのはどういうわけです。渡辺氏の方から丹羽君と一緒に行けと言われましたか。
#1323
○証人(岡崎英城君) そうは言われません。
#1324
○鬼丸義齊君 誰が……
#1325
○証人(岡崎英城君) 私が君も株主になつているのだから、重役になつているのだから、君の株も、この中に入つて貰わなければ困る、君も一緒に行こう、こう言つて丹羽君と話合つて参りました。
#1326
○鬼丸義齊君 一体この十五万円なる金は、誰がその金を引受けるのです。この増資される場合の株式というものは誰の申込か、誰の引受株なんです。
#1327
○証人(岡崎英城君) それは私と私の家内の名前です。
#1328
○鬼丸義齊君 あなたと奥さん。
#1329
○証人(岡崎英城君) それと子供の名前ですね。それからあと丹羽君のやつは別に持つています。
#1330
○鬼丸義齊君 そうするというと、つまりあなた方が株式の申込をした金の拂込に困るから、佐藤さんの応援を得て、その拂込の金を佐藤さんに出して貰うことに、渡辺さんに頼んだのですか。
#1331
○証人(岡崎英城君) そうです。そういうように言えばそうなるのです。
#1332
○鬼丸義齊君 一体そういう増資株で以て困るような場合には、外のすべての二十万円の株主の方でも恐らくそうだろうと思います。あなたが増資する場合に、株主を募集して応募して呉れた人に対しては、その人の名前で以て株式の申込をするわけですが、金を借りてあなたが拂込の応援を受けたのじやないのですね、外の二十万円の方は。それじやもう一つ伺いますが、二十万円の方の増資を引受けた方は金を貸したのですか、或いはあなたの方の新らしい、株を引受けて呉れた人ですか。
#1333
○証人(岡崎英城君) 株を引受けた……
#1334
○鬼丸義齊君 そうして拂込を受けた……
#1335
○証人(岡崎英城君) はあ、そうして会社立替も若干ございます。
#1336
○鬼丸義齊君 会社立替……
#1337
○証人(岡崎英城君) 一万円か二万円ぐらい不足……満株にならないで、会社が立替えたのです。
#1338
○鬼丸義齊君 全部満株にならないのですね。
#1339
○証人(岡崎英城君) はあ、小さな会社ですからそういうちやんと公募してやるというやり方を初めしなかつたわけでございます。第四回目ぐらいのときですか、三回目か四回目ぐらいから私も事業に慣れて参りましたから、ちやんとした会社になつた……
#1340
○鬼丸義齊君 佐藤君に併し渡辺さんを介して頼むならば、あなたの株式の拂込の金じやなくて、佐藤君に株を引受けて貰つたらいいのじやないか、それを何故頼まなかつたのですか。
#1341
○証人(岡崎英城君) それはどうも今の御質問ですけれども、私は社長をやつている以上、社長の名前で買つて行きたい。そういうつもりもありましたですから……
#1342
○鬼丸義齊君 それじやそのつもりで以て外のところにもあなたは金策を頼んだことはあるのですか、佐藤君以外にですね。
#1343
○証人(岡崎英城君) いや、その三十五万の増資のときは……
#1344
○鬼丸義齊君 その時分に佐藤君以外の人に、あなたはそれ程沢山に持ちたかつたならば、佐藤君以外に金策を八方骨折らなくちやならん……
#1345
○証人(岡崎英城君) 折つたのですけれども、なかなかうまく参りません。
#1346
○鬼丸義齊君 じや金借りに大分手を盡して見たのですね。
#1347
○証人(岡崎英城君) 盡しました。
#1348
○鬼丸義齊君 どういう方面に盡しました。
#1349
○証人(岡崎英城君) まあ私の親類とか縁者、そういう方面ばかりでございました。
#1350
○鬼丸義齊君 佐藤君に併し金を出して貰わなくても、佐藤君に株を引受けて貰つたらどうでした。
#1351
○証人(岡崎英城君) それがまあ佐藤君に私の社長という立場……
#1352
○鬼丸義齊君 金を貰うというより、株を引受けて呉れと言つた方が大変いいように思うのだが、随分併し虫のいい話ですね。俺が株を引受ける拂込金がないから呉れ、それより新株として増資するについて金をどうしても引受け手がない。君残りの十五万円ばかり引受けて呉れんかというならばともかく、俺と家内と子供と株を引受けるから、その株の拂込金がないから、渡辺さん佐藤君にその拂込金を出さして呉れんかということは、虫がいいように思うのですが……
#1353
○証人(岡崎英城君) 虫がいいかも知れんけれども、私はそうしたんでございますな。自分が社長だから、自分の株をちやんと整えて置かなければならんと思つて、そういうことをしました。
#1354
○鬼丸義齊君 それじやあなたそのときに二十万円の金をそこで受取りましたね。
#1355
○証人(岡崎英城君) 受取りました。
#1356
○鬼丸義齊君 受取つて一旦、その中から五万円を丹羽さんに渡した。
#1357
○証人(岡崎英城君) はあ。
#1358
○鬼丸義齊君 それはどういうわけです。
#1359
○証人(岡崎英城君) 丁度丹羽君の手でちやんと拂込んで貰いたい。
#1360
○鬼丸義齊君 丹羽君の拂込は二万五千円で、あとの二万五千円は……
#1361
○証人(岡崎英城君) 二万五千円は丹羽君に使つたのです。
#1362
○鬼丸義齊君 プレミアムか。
#1363
○証人(岡崎英城君) 丹羽君が困つておるからというので、五万円渡しました。
#1364
○鬼丸義齊君 そういう余裕のある時代じやないように思われるですね。あなたが渡辺さんと会つて、まだ一回しか会わん佐藤さんに金を借りようということは、恐らくあなたとしては相当押しの強い申込み方ですね。それくらいな時代に、それくらい苦しい金策をしなければならん時代に、得た金を惜し気もなく五万円を丹羽さんに渡すという趣旨は、ちよつと理解し難い。併しそうしたんですね。
#1365
○証人(岡崎英城君) そうしたんです。丹羽君も困つておりましたからね。
#1366
○鬼丸義齊君 そこで一体あとの十五万円は金庫に入れたのですか。
#1367
○証人(岡崎英城君) 十三万円は金庫に入れたのです。
#1368
○鬼丸義齊君 どこの金庫に……
#1369
○証人(岡崎英城君) 会社の金庫です。
#1370
○鬼丸義齊君 金庫にいつまで入れてあつたのです。
#1371
○証人(岡崎英城君) それは会社の者が処置しました。
#1372
○鬼丸義齊君 会社の者に渡したのですか。
#1373
○証人(岡崎英城君) 渡しました。
#1374
○鬼丸義齊君 誰に……会社の誰に……
#1375
○証人(岡崎英城君) 津島という男に……
#1376
○鬼丸義齊君 これは金庫に入れたのでなくて、津島という男にあなたは渡したんですね。
#1377
○証人(岡崎英城君) 金庫に保管して置けと言つて……
#1378
○鬼丸義齊君 津島という人は何をやつておるのです。会計ですか。
#1379
○証人(岡崎英城君) 庶務で、増資のことをやつております。
#1380
○鬼丸義齊君 津島なんというのです。
#1381
○証人(岡崎英城君) 純三と言います。
#1382
○鬼丸義齊君 今もおられますか。
#1383
○証人(岡崎英城君) おります。
#1384
○鬼丸義齊君 それでこの津島さんがあなたの会社の金庫にこれを納めて置いた……
#1385
○証人(岡崎英城君) はあ。
#1386
○鬼丸義齊君 銀行に入れなかつたのですか。
#1387
○証人(岡崎英城君) その措置は後にどうしたか分りません。会社の者に任せました。
#1388
○鬼丸義齊君 銀行に入れたのですか。
#1389
○証人(岡崎英城君) お仕舞いには入れたと思います。
#1390
○鬼丸義齊君 拂込みするまでは金庫に入れておつた。
#1391
○証人(岡崎英城君) それは知りませんけれども、金庫に入れたと思います。
#1392
○鬼丸義齊君 九月の中旬に受取つて……
#1393
○証人(岡崎英城君) いや、十月上旬だと思います。受取つたのは……
#1394
○鬼丸義齊君 十月上旬に受取つて、そうして……
#1395
○証人(岡崎英城君) 上旬と言つても余程後だと思います。満株、完了したのは十五日頃だと思います。
#1396
○鬼丸義齊君 十三万円というはした金……。十三万円というとあなたの、それじや手許で二万円持つていたのですか。
#1397
○証人(岡崎英城君) 十二万円だつたか十三万円だつたか、はつきり覚えておりませんが、二、三万円私の手許に持つておりました。
#1398
○鬼丸義齊君 そうすると結局こうなんですか。二十万円を佐藤氏からそうして受取つて、その受取つた二十万円の中には、拂込金と、その外にあなたと丹羽さんとの小遣銭が入つていた。
#1399
○証人(岡崎英城君) そういうことになつたわけであります。
#1400
○鬼丸義齊君 それはそうすると、最初渡辺さんに依頼した趣旨とは違つて来ますね。
#1401
○証人(岡崎英城君) 若干違うかも知れませんけれども、大体困つておるからということの中に、自分としては包括しておるつもりであつたんですが……。大体任されたということもないけれども、大体包括しておるつもりでありますんですがね。はつきり明確に言うと、今おつしやつた点と少し違うことになるかも知れません。
#1402
○鬼丸義齊君 まだそれはおとなしい言葉で言うのですがね、荒つぽい言葉で言うならば、拂込金だという名において、実はその中に小遣銭をごまかしたということになる。
#1403
○証人(岡崎英城君) まあそういう惡意はなかつたのですが。
#1404
○鬼丸義齊君 惡意ではなく実際が……
#1405
○証人(岡崎英城君) そういうふうに詮じ詰めて来られると、そういうことになるかも知れません。
#1406
○鬼丸義齊君 あなた方の小遣をその中に含んでいるということであれば、渡辺さんにはあなたとして言いにくいですわね。拂込金だけでなくてその外にも……
#1407
○証人(岡崎英城君) 雑駁な頼み方をしておりましたから、ちよつと御了解を得にくかつたかも知れません。非常に雑駁な頼み方だつたんでございますな。
#1408
○鬼丸義齊君 それは言いにくいですがね、そういうことは……。拂込金に困つているからという趣旨で、そこで渡辺さんのお力を借りて、佐藤さんの方から借りることにする場合に、拂込ばかりでなく僕も丹羽君も小遣に困つておるから、小遣いも併せて少し貰つて呉れということは、言いにくいわね。
#1409
○証人(岡崎英城君) はあ。
#1410
○鬼丸義齊君 言いにくいから言わなかつた。
#1411
○証人(岡崎英城君) まあそういうふうに意識はしませんでしたが、そこは漠然としておりましたですな、気持は……
#1412
○鬼丸義齊君 言わなくて、意識的にあなた方がそういうことをしたら、詐欺じやないですか。
#1413
○証人(岡崎英城君) 意識的にそういうふうな頼み方ではなかつたですけれども……
#1414
○鬼丸義齊君 それから今度は第三回目のときは十万円ですか、やはり。
#1415
○証人(岡崎英城君) 一等後でございますか、一等最後は十万円でございます。
#1416
○鬼丸義齊君 そのときにも丹羽さんと半分ずつ分けたのですか。
#1417
○証人(岡崎英城君) そうです。丹羽君が行つて貰つて来て呉れたのです。
#1418
○鬼丸義齊君 丹羽さんが行つて十万円貰つて来て、あなたの所へ五万円分けた。
#1419
○証人(岡崎英城君) ええ。
#1420
○鬼丸義齊君 それはどういうわけですか。
#1421
○証人(岡崎英城君) これは私が正月に山形に帰りましてから、チブスで寢ておりましたものですから、三月程ずつと続けて寢ておりまして、それで三月初めに退院して、三月末に東京に帰つて参りました。余り大した会社でないから、療養費というか送金も非常に少くて困つたから、丹羽君がときどき、丹羽君が来ずに、何回かに分けて送つて呉れました。それで帰りましたら、丹羽君も困つておる。私が病気だといつて佐藤君に頼んで十万円程貰つて来て呉れないか。そこで丹羽君が参りました。
#1422
○鬼丸義齊君 十二月三十日に貰つた十万円も五万円ずつ分けた。
#1423
○証人(岡崎英城君) そうです。
#1424
○鬼丸義齊君 佐藤君の場合に何故あなたと丹羽君とそうして分けなければならんのです。而も等分に二回とも……
#1425
○証人(岡崎英城君) 偶然にそういうふうになりました。いつとう初めはそんなわけでもないと思うのですけれども……
#1426
○鬼丸義齊君 最初の資本が十五万円、それから三十五万円の増資として五十万円になつて、それが佐藤君の力によつて少くとも会社というものは大きな力を得ましたね。
#1427
○証人(岡崎英城君) はあ。
#1428
○鬼丸義齊君 会社の成績とかそういうことについて、その後佐藤君に報告なり挨拶なりしておるのですか。
#1429
○証人(岡崎英城君) 余りしておりません。渡辺君には、一、二回行つたことがございます。
#1430
○鬼丸義齊君 渡辺さんはこの会社のは関係ない。
#1431
○証人(岡崎英城君) ないのでございます。
#1432
○鬼丸義齊君 まあそこで大変おかしな問をするようですけれども、大体先程から私が伺つておりますと、あなたの答弁はこの辺に行くとどうも、大変あなたの答に無理があるように思うのですがね。
#1433
○証人(岡崎英城君) そうでございましようかね。私はありのまま申上げて……
#1434
○鬼丸義齊君 大分事実とかけ離れておるのでありませんか。
#1435
○証人(岡崎英城君) そんなことはありません。
#1436
○鬼丸義齊君 これは宣誓の上あなたが言つておることですから、強いてかれこれ申すことでありませんけれどもね、どうも余りにも我々の社会常識に合わない。
#1437
○証人(岡崎英城君) そうでございましようかな。
#1438
○委員長(伊藤修君) 今のことに関連して……。十五万円の外の拂込二十万円あつたんですね。
#1439
○証人(岡崎英城君) はあ。
#1440
○委員長(伊藤修君) それは現金で拂込があつたんですか。
#1441
○証人(岡崎英城君) 何でございますか。
#1442
○委員長(伊藤修君) 佐藤君から十五万円の拂込を受けたわけですね。それは今の津島に渡したんですね、十三万円……
#1443
○証人(岡崎英城君) はあ。
#1444
○委員長(伊藤修君) 外の株主も拂込があつたんですか。
#1445
○証人(岡崎英城君) ございました。
#1446
○委員長(伊藤修君) それはいつあつたんですか。
#1447
○証人(岡崎英城君) それは私の方の会社は、そういう個人会社みたいな小さな会社でありますから一緒でなく九月の初め頃からぼつぼつ入つて来て、それで皆津島君にやつた。
#1448
○委員長(伊藤修君) 津島君が皆保管しておるのですか。
#1449
○証人(岡崎英城君) 保管したり会計に廻したり、任せきりでございました。
#1450
○委員長(伊藤修君) そういう現金はお宅は皆金庫に入れて置くのですね。
#1451
○証人(岡崎英城君) 金庫に入れたり預金いたしましたりしておりますから……大体私は津島君に渡して、その後いつ運んでどうしたかということは、調べれば分ります。
#1452
○委員長(伊藤修君) それは調べれば分りますね。
#1453
○証人(岡崎英城君) 分ります。
#1454
○委員長(伊藤修君) それは現金で皆貰つたのですか。
#1455
○証人(岡崎英城君) 大体現金でございます。
#1456
○委員長(伊藤修君) それは全部津島君が預つたのですね。
#1457
○証人(岡崎英城君) 預つておりました。
#1458
○委員長(伊藤修君) 銀行の方は会社の当座ですか。
#1459
○証人(岡崎英城君) 会社の当座であります。
#1460
○委員長(伊藤修君) 会社の当座になつておりますか。
#1461
○証人(岡崎英城君) 増資の方ですか……
#1462
○委員長(伊藤修君) 会社の当座があるのですか。
#1463
○証人(岡崎英城君) ございます。
#1464
○委員長(伊藤修君) 増資の分はその後当座に入れたのですか。別に増資当座を作つたのですか。
#1465
○証人(岡崎英城君) どうですか、その点は私はつきり覚えておりませんが……
#1466
○委員長(伊藤修君) そういうものはあなたは社長だから、お困りになるくらいですから、その金には相当関心を持たなくちやならないわけですね。
#1467
○証人(岡崎英城君) 普通のあれでいたのではないかと思いますが……。金に困りましても、私は扱い方に慣れないと申しますか、最近は慣れまして相当細かいことも言いますが、その当時は分つておりませんでした、どういうふうにしたか……。その辺は任せきりでございました。
#1468
○委員長(伊藤修君) 慣れなくても、分らなくても、一応銀行に持つて行つて預けて置くべきでありますね。
#1469
○証人(岡崎英城君) はあ、今伊藤委員長のおつしやるにはそうおつしやいますけれども、そういう銀行なんかは初めはよく分りませんでしたが、最近よく分りましたものでありますから、現金の出納ということなどはやかましく言いますけれども、その頃は大体任せきりでございました。どういうふうに扱いましたか……。特別口座は使わなかつたと思います。増資のための口座に皆いたしました。
#1470
○委員長(伊藤修君) 会社の口座を使つたのでございますね。
#1471
○証人(岡崎英城君) 会社の口座を使いました。
#1472
○委員長(伊藤修君) あなたの口座はございますか。
#1473
○証人(岡崎英城君) ございません。
#1474
○委員長(伊藤修君) その時は……
#1475
○証人(岡崎英城君) ございません。
#1476
○委員長(伊藤修君) その時分は銀行は三菱と言つたのじやなかつたのですか。
#1477
○証人(岡崎英城君) 三菱だつたと思います。駅前の支店でございました。
#1478
○鬼丸義齊君 もう一点、あなたは先程佐藤君を青年実業家と言われましたが、佐藤君を青年実業家と……
#1479
○証人(岡崎英城君) そういうふうに証言いたしましたか、若き実業家と……
#1480
○鬼丸義齊君 どういうふうに考えておるのですか、佐藤君を青年実業家と言うのは……
#1481
○証人(岡崎英城君) 若くして相当の産をなして、相当やつておると思つて申上げて、そういう表現をしたかも知れません。
#1482
○鬼丸義齊君 そうするとあなたは財産を散ずる人と思つて……
#1483
○証人(岡崎英城君) 散ずるかどうか分りませんが……。(笑声)
#1484
○鬼丸義齊君 若くして……
#1485
○証人(岡崎英城君) 若くして相当に金を儲けたと言うとおかしいのですが、実業家として相当な成功をした人間だ、こう思つております。
#1486
○鬼丸義齊君 結局佐藤に言えば、佐藤は金を綺麗に出して呉れるからということで、まあ佐藤君を軽く見ておつたのですね。
#1487
○証人(岡崎英城君) 軽くというより非常にさつぱりと出して呉れる人だというような気がいたしました。それで渡辺君も私にそんなことには応援する人だから大いに応援して貰おうと言つておりました。
#1488
○鬼丸義齊君 あなたのさつき言われた青年実業家というのは、ほめた言葉でございますか、どういう意味ですか。
#1489
○証人(岡崎英城君) 私はほめたつもりで……
#1490
○鬼丸義齊君 若くして金を儲けた人で、それ程汚なくないからということなんですか。
#1491
○証人(岡崎英城君) まあほめたつもりで私は申上げました。
#1492
○鬼丸義齊君 ほめたつもりで……
#1493
○証人(岡崎英城君) はあ。
#1494
○鬼丸義齊君 どうもあなた方が、十万円の金を貰つて山分けしたり、或いは増資と言いながら小遣銭に転用したりするところから見ると、あなたの青年実業家という言葉は、ほめた言葉でないのじやないかと思うのですが……
#1495
○証人(岡崎英城君) そうでございましようかな。
#1496
○鬼丸義齊君 あなたの心ではない……佐藤は金が相当切れるから一つ貰つたらいいじやないかというようなことを……。あなた方はもうあらゆる世の中の事情には隅から隅まで精通されて、人情の機微を盡く理解されているあなた方としてはね……、どうもあなたの佐藤君に関する取引関係を見るというと、尋常なる人の取扱とは私は思いかねますからね。
#1497
○証人(岡崎英城君) まあ長い間役人をしておりまして……、今そういつた御趣旨の御質問を受けたわけですが、まあ長い間役人をしておりましたために、実業とか金の出し入れということについて余り……今おつしやつたようなふうに細かいところは私には不十分な点が沢山あつた。よく隅々まで分つていたとおつしやいますけれども、そういう点については非常に無知な点があつた。この後三年間会社経理に非常な苦心をして今日までやつております。
#1498
○鬼丸義齊君 先程からあなたが細かくここで供述されておりますることは、それぞれやはり関係の人もありましようし、事情もありまするから、外の方面を事細かく調べればあなたの今言われたことは真実なりというふうに、本当に把握することができるかどうかは私共多分に疑を持つておる。併しそれ程までにして、委員長が先程言われました通りに、その金をあなた方にしてこれを貰つたのではなくして、本当は政治献金したのだと。仮にしたといたしましても、それは恐れるところはないのじやないかと思う。なぜ恐れるかと思うのです。そうじやないですか。それがためにそういう無理なことをせずして堂々と言つたらいいじやないかと思うような気がするのですが、そんなことはないですか。
#1499
○証人(岡崎英城君) 政治献金も何もそんなことをしないのです。そういうことを申上げる必要ないと思います。私は今委員のおつしやるように、非常にお分りにくいとおつしやいますけれども、私としてはありのままを申上げておるのでございます。
#1500
○鬼丸義齊君 よろしゆうございます。
#1501
○委員長(伊藤修君) ちよつと関連して……その当時あなたは外の銀行と取引はなかつたのですか。
#1502
○証人(岡崎英城君) その当時は千代田銀行……三菱だけだつたようない思います。協和銀行が……協和じやなくて、室町の三和が……
#1503
○委員長(伊藤修君) どこの……
#1504
○証人(岡崎英城君) 室町の三和です。三和と取引の始まつた頃だと思います。
#1505
○委員長(伊藤修君) その頃……
#1506
○証人(岡崎英城君) はあ。
#1507
○委員長(伊藤修君) 個人ですか、会社ですか。
#1508
○証人(岡崎英城君) ええ会社であります。
#1509
○委員長(伊藤修君) 両方とも会社ですね。
#1510
○証人(岡崎英城君) 会社でございます。
#1511
○委員長(伊藤修君) 室町三和支店ですね。
#1512
○証人(岡崎英城君) 三和支店でございます。
#1513
○委員長(伊藤修君) その二つだけですね。
#1514
○証人(岡崎英城君) 二つだけだつたと思います。
#1515
○松井道夫君 私から聞きますが、丹羽氏に代つて專務になつた人は何という方ですか。
#1516
○証人(岡崎英城君) 丹羽君の後は專務制を採りません。
#1517
○松井道夫君 どういうことですか、何か練達の人に代つて貰つたとかいう……
#1518
○証人(岡崎英城君) 代つて貰つたというより、そのときの重役だつた者に專務をやらせたわけであります。
#1519
○松井道夫君 誰ですか。
#1520
○証人(岡崎英城君) 小川誠と申します。
#1521
○松井道夫君 小川誠……
#1522
○証人(岡崎英城君) はあ。
#1523
○松井道夫君 特に專務というのはないわけですか。
#1524
○証人(岡崎英城君) ないのです。その後に勧業銀行をやめた中里という人が入りまして常務になりました。
#1525
○松井道夫君 いつ頃ですか、中里という方は。
#1526
○証人(岡崎英城君) 余程後だと思います。
#1527
○松井道夫君 大体いつ頃になりますか。
#1528
○証人(岡崎英城君) 増資の後くらいだつたかと思います。
#1529
○松井道夫君 増資の後頃……
#1530
○証人(岡崎英城君) はあ、……だと思います。勧業銀行をやめたのはその頃だと思います。
#1531
○松井道夫君 更にそれから先程ちよつと聞き漏したのですが、二回目と三回目に十万円ずつ貰つたのですね。
#1532
○証人(岡崎英城君) はあ。
#1533
○松井道夫君 それはやはり渡辺代議士を通じてやつたんですか。
#1534
○証人(岡崎英城君) はあ、二回目のときは私が渡辺さんに言いました。三回目には丹羽君が言つて呉れたのですが、その点はよく……
#1535
○松井道夫君 覚えておらない……
#1536
○証人(岡崎英城君) 覚えておりません。知りません。
#1537
○松井道夫君 二回目のときは丹羽が年も越せないでというようなことだつたのですね。
#1538
○証人(岡崎英城君) そうです。私も丹羽が年を越せないのだと話しました。
#1539
○松井道夫君 そのときはやはり事業資金という意味だつたのですか。
#1540
○証人(岡崎英城君) 事業資金という程でなく、年が越せないからということで渡辺さんに言つたように……
#1541
○松井道夫君 言葉はそういうことだつたのですね。
#1542
○証人(岡崎英城君) 言葉はそうであります。佐藤氏には私はどういうふうに言つたか知りません。
#1543
○松井道夫君 これは事業面に使つたのですか、或いはそうでない方面に使われたんですか。
#1544
○証人(岡崎英城君) 本当に二人とも年越しに使いました。
#1545
○松井道夫君 事業方面には少しも使つておりませんか。
#1546
○証人(岡崎英城君) 使いません。
#1547
○松井道夫君 三回目の金も事業面には使われておらないですね。
#1548
○証人(岡崎英城君) そうです。
#1549
○松井道夫君 これは丹羽が計らつたことで渡辺を通じてやつたかどうかも分らないというのですか。
#1550
○証人(岡崎英城君) それも分りません。
#1551
○松井道夫君 それから佐藤にどう言つたかも分らないのですか。
#1552
○証人(岡崎英城君) 分りませんです。ただ後から丹羽君に聞いたのですけれども、佐藤君が相当困つて来ていると言つたようです。それで、それは気の毒したなというわけで話をしました。
#1553
○松井道夫君 この三回目の金は四十万円ということになりますが、これは先程融資というようなことも言われたと思うのですが、一体借りたのですか、貰つたのですか、どうなんですか。
#1554
○証人(岡崎英城君) 融通して貰つたようなことで来ております。将来私の方としてはよくなりましたら佐藤君にも返さなくてはならんと、こう思つております。
#1555
○松井道夫君 そうすると返さなくてもいい金ですね。
#1556
○証人(岡崎英城君) まあそんなような漠然とした借り方をいたしました。私は将来返さなければならないだろうと、こう思つております。
#1557
○松井道夫君 あなたは返さなければならんと思つている、会社でも成功したら……
#1558
○証人(岡崎英城君) 是非返さなければならんと思つて、何とか返したいと思つております。
#1559
○松井道夫君 併し会社が余り利潤がなければ返さなくてもいい金ですか。
#1560
○証人(岡崎英城君) そういうふうに受取つて、私はそういうつもりでおります。
#1561
○大畠農夫雄君 お尋ねしますが、これは言いにくいことかも知れませんが、何か証人は事件がありまして、検事から取調を受けたというようなことがございますか、今までに。
#1562
○証人(岡崎英城君) 今までは昭和電工のとき……
#1563
○大畠農夫雄君 昭和電工事件ですか。それだけですか。
#1564
○証人(岡崎英城君) それだけでありますか。
#1565
○大畠農夫雄君 その検事はどなたです。
#1566
○証人(岡崎英城君) 渡辺さんだと思いました。
#1567
○大畠農夫雄君 渡辺誰と申しますか。
#1568
○証人(岡崎英城君) 渡辺……はつきり覚えておりません。
#1569
○大畠農夫雄君 昭和電工事件ですね。その外にはございませんですか、御自身のものでお取調を受けられたことは……
#1570
○証人(岡崎英城君) 取調というものを受けたことがありません。
#1571
○大畠農夫雄君 それから一つ増田さんとの関係ですが、これは丹羽さんとあなたとどちらが親密の度が深いと申されますか。
#1572
○証人(岡崎英城君) そうですね、丹羽君の方が私より近い、よく存じ上げているのじやないかと思います。
#1573
○大畠農夫雄君 あなたより丹羽さんの方が……
#1574
○証人(岡崎英城君) 先に存じ上げております。終戰後丹羽君の方が長く付合つております。私は早く付合をしないように心掛けておりましたから。丹羽君がパージじやないというふうに世間では思つておりました。武徳会でパージになるまでお付合していたわけです。
#1575
○大畠農夫雄君 佐藤さんを紹介されたのは渡辺さんですね。
#1576
○証人(岡崎英城君) ええ。
#1577
○大畠農夫雄君 渡辺さんと佐藤さんはどういう関係でお知り合になつたのか事情は御存じですか。
#1578
○証人(岡崎英城君) 私はよく存じません。渡辺さんは非常に私に佐藤さんのことは何回もほめておりました。私は非常に近しいと思つておりました。
#1579
○大畠農夫雄君 佐藤昇さんのところに増田さんの部下が世話になつているということですが、どういう人がいるのですか。
#1580
○証人(岡崎英城君) ただこれは私聞いたのですが、佐藤氏の子会社の社長をしている岡田さん、部下でなく、後輩かも知れませんが……。それから伊能芳雄さん、この二人が社長、重役で入つているということです。
#1581
○大畠農夫雄君 はあ、そういう関係で……。佐藤さんはここへ来まして部下を世話してやると、こういうことを言つておりましたが、この二人だけですか。
#1582
○証人(岡崎英城君) 私の知つているのは二人だけです。
#1583
○大畠農夫雄君 けれども佐藤事件が起きましてから、佐藤が逮捕されましたね、それから何か警視庁の吉武さんあたりに何かあなたからお話いたしませんでしたか。
#1584
○証人(岡崎英城君) 絶対いたしません。
#1585
○大畠農夫雄君 大変お世話になつているようですが、それでもそういう事件が起きた場合に何も心配いたしませんでしたか。
#1586
○証人(岡崎英城君) 一切そういうことはいたしません。
#1587
○大畠農夫雄君 何か薄情のように見受られますがね、全然そういうことはいたしませんか。
#1588
○証人(岡崎英城君) ちよつと今私としては申上げにくいのですが、昭電事件のとき渡辺さんからお調べを受けました。その時に非常に政治面に関係があるかとか、追放影響がないかとか調べを受けました。それから私はもう絶対に、いわゆる事件の問題等については誤解を受けることは絶対ないというふうに気を付けております。どんなに近い人がおりましても、警視庁の人と話をしないというように気を付けております。
#1589
○大畠農夫雄君 それから俗に企画院事件とか京浜グループ事件とか、中央公論、改造社事件というものを御存じですか。
#1590
○証人(岡崎英城君) 大体その事件の話は聞いております。
#1591
○大畠農夫雄君 あなたが在職中にその事件が触れたことはございませんか。
#1592
○証人(岡崎英城君) 私は特高二課長になつていわゆる右翼関係と言いますか、特高関係の取調をやつておりますものですから、余り左翼の事件の検挙の点については詳しく存じておりません。
#1593
○大畠農夫雄君 右翼の思想関係については相当お取調もやつたでしようが、そのとき大体どういう検事が、あなたと連絡なさつた検事ですか。
#1594
○証人(岡崎英城君) 私のやつておりましたのは井本検事が主です。それから中村登音夫君、この二人と折衝いたしました。
#1595
○大畠農夫雄君 この二人が主として右翼の思想関係をやつておりますか。
#1596
○証人(岡崎英城君) 中村氏は確か部長検事だつたと思います。終戰後……
#1597
○羽仁五郎君 二、三証人に伺いたいのですが、さつきから委員長及び各委員からも御質問があつたのですが、証人は人事の点については非常に曖昧なことはないように努力をせられておつたように伺いますが、金銭の点については非常にルーズにお考えになつているように伺つたのですが、これはいずれかに……、大抵人事に嚴格な方は金銭にも嚴格なように普通考えられますが。
#1598
○証人(岡崎英城君) どういうわけなんですか。
#1599
○羽仁五郎君 それは……
#1600
○証人(岡崎英城君) 金銭にルーズだということはどういうことなんですか。
#1601
○羽仁五郎君 どういう意図を持つているのか分らない金を、借りたともなく貰つたともなくお貰いになつたということ、やはり人事について十分注意しなければならないというふうにお考えであれば、金銭についてもやはり十分愼重にしなければならんとお考えになりそうに想像できるのですけれども……
#1602
○証人(岡崎英城君) 金銭に……ルーズにおとりになつて頂けばルーズかも知れませんけれども、人事に嚴格という言葉はどういうことか存じませんけれども、大体私は警視庁に長くおりましたから、人事ということは在職中から私の影響ということは……。金銭のことも、私の事業上困つているというので受けておりますので、それについて何も金銭のあれによつてよそに頼むとか何とかいうことは私自身としてはしていないと思います。
#1603
○羽仁五郎君 併し金銭を貰えば、その金銭を寄越した人は、さつきから委員長からもお尋ねがあつたように、只で金を呉れるということはないでしようから、金銭関係によつて或いは人事に影響があるというようにお考えになれば、折角人事で大変嚴格にお考えになつておることを金銭の点でも嚴格にお考えになるかどうか、これを伺つておるのは、どつちかが本当でどつちかが嘘だろうと思う。つまり人事について噂話もしないというふうにおつしやるのが嘘か、それでなければ金銭の方がルーズだということが嘘か、いずれかでないと、人事についてだけ嚴格で、金銭についてはそれだけの御注意をなさらないというのはどうも受取れないように思うのです。これは続けて伺いたいのですが、例えば日野原という方の場合にも、世話はしない、併し金はお受取りになつておるのですね。併し金を受取るということは、或る意味ではやはり向うもあなたが完全に何らの世話もできないというふうに断れば金を持つて来るということもおかしいし、あなたが断るという方が主であるのか、金を貰う方が主であるのか、金はお取りになるようになりますね。本当に断るのだつたら、人事に非常に嚴格だつたら、自分は日野原君の問題については世話はできない。そうすればその人から金を貰うということもないとお考えになりそうに思うのです。
#1604
○証人(岡崎英城君) まあ日野原君のときは私も何の気なしに取つてしまいましてね、これはどうもしまつたと思つたのです。返そうと思つたら中へ入つてしまいまして、到頭返しそこなつてしまつたというのが実情でございまして、これは土建の方で援助も出して貰いたいが、これもなかなか実際は出して呉れませんからこれは止しました。ルーズとかルーズでないとかいう意味の御質問が、どうもどういうふうに私答えしていいのか、私としてはちよつとお答えしにくいものですから、どういうふうに表現していいか分りませんが、まあ実情を申上げておるわけです。
#1605
○羽仁五郎君 それはあなたのように責任のあるお仕事を長くしていらした方が、日野原君から金を受取つた。そのうちに入つてしまつたんだ、しまつたというふうにお考えになる、しまつたというのは金を取つて……
#1606
○証人(岡崎英城君) しまつたというのは金をとつて……
#1607
○羽仁五郎君 返そうと思つたら返しそこなつたという……
#1608
○証人(岡崎英城君) 検挙されたからしまつたのじやないのです。
#1609
○羽仁五郎君 併し長年警視庁のそういう捜査第二課とか、或いは特高とかいうところにお勤めになつておれば、反対にお調べになつた当時は、そういう問題については随分嚴格にお調べになつたろうと思うのです。そうすると、人を調べたときにはそういう問題は非常に嚴格に調べた。自分の場合についても嚴格にしなければならんというお考えはあつたんでしよう。例えばこの佐藤という方から融資をお受けになつた。それは全く融資である。先程他の委員からも御質問がありましたが、あなたの会社に金を融資して貰うということであつた。併しその佐藤という人はその会社に融資すべき何らの理由がないのですね。あなたは好意とおつしやるけれども、或いは渡辺さんからの話だからと言われるが、融資すべき確実な理由がない。これはあなたが昔いろいろな関係の方をお調べになつたときであれば、こういう場合は融資すべき理由ありとお考えになるかといえば、それは当然ないと御判断になると思うのです。それでそういうような関係は、右翼の関係にせよ左翼の関係にせよ、あつた場合にはこの金を融資として貰つた、或いは個人が使うために小遣銭として貰うかというようには理解できない。これはどうしても政治的な金だろうというように、右翼なり左翼なりの場合に必ず御判断になつたろうと思います。又当時はそういうふうに絶えず御判断になつておつた、つまりその金が單に好意によつて受取られたものではないと思います。何故かといえば、金というものは経済的なものですから、経済的に十分の根拠がない場合には、それは政治的なものであろうというふうに判断されたろうと思います。ですからそういうことを全然御承知のない方であれば別ですが、そういう経験のおありになる方が、その金をそういう形で受取られるということ、それは先程委員長や委員から御質問があつたように、どうしてもこの金というものは、あなたが非常にその点がルーズであるということは考えられないから、政治的な意図を持つて受取られたものだというふうな解釈が妥当じやないでしようか。又出した方の佐藤という人もそういう意味を持つておる。あなたの会社が儲かつておるからそれに投資するとか、あなたと非常に長い付合であつて、その困窮を見るに忍びないという程の両方とも理由がない。その金を出すとすれば、それは何らか間接的な利益を期待しておるものと見るより外ないのです。それでその点をそういう理由がないということを御説明になるために、折角人事で嚴格にやつておいでになるというのに、金銭の点は非常にルーズのようになつておる。あなたの名誉に関しても、それをさつきからあちらの委員も御質問になつておるのじやないかと思います。つまり詐欺みたいなことのように、それが政治上のものであれば決して詐欺という意味のものじやないということになるので……
#1610
○証人(岡崎英城君) まあ詐欺というふうにおとりになるのはし方がないのでありまして、実際はさつきから申上げておるようなのが実情でございますから、どういうふうにおとりになるかは……
#1611
○羽仁五郎君 併しあなたとしても御経歴からいつて……
#1612
○証人(岡崎英城君) どういうふうにおとりになつても私はいたし方がないと思う。実際は今申上げたような事実であります。
#1613
○羽仁五郎君 それを、佐藤という方から二十万円をお受取りになつたときに、現金でお受取りになつたということですが、それが現金であることはあなたが御指定になつたのですか。
#1614
○証人(岡崎英城君) そういうことはないのです。
#1615
○羽仁五郎君 偶然に現金だつたのですか。
#1616
○証人(岡崎英城君) 偶然です。
#1617
○羽仁五郎君 さつきそれをお返しになるようなお考えも伺つたのですが、佐藤という方がそれを返して呉れというふうに言う場合、そういう場合があるかないかは分りませんが、併し当然あるものと考えます。その場合にはあなた個人に対して返して呉れというのですか。会社に対して返して呉れというのですか。
#1618
○証人(岡崎英城君) 私個人に返して呉れというかも知れませんね。いずれにしても私に返して呉れといわれたら、何とかして返さなければならないと私は思つております。
#1619
○羽仁五郎君 併しその場合には預り証も出してない、受取証も出してない。証拠がないことになりますね。幾ら貸して幾ら利息を付けたらいいか、若しそれが、会社に対して佐藤という方が五十万円貸した、それで幾らの利息で返して貰うつもりだというふうに言われて来て、あなたが若しおられなかつたら、会社は非常に困るわけですね。そういう場合も決してあり得ないという……、会社に迷惑をかけては相成らん、あなたの会社であるけれども、他の株主というものもあるから、どうもそのところは全然どうしてそんなことをなさるのか分らない。だからこれは経済的な意味を持たず、又人間的な意味を持たず、又返すという意味を持たない。そうすればどうして、その他に如何なる意味があつたかといえば、政治的な意味があつたというより外……これにはあなたとしては、或いは佐藤がそういうふうな意味で寄越したのかしらと想像されますか。
#1620
○証人(岡崎英城君) 政治的にどうかというのですか。
#1621
○羽仁五郎君 増田さんという……
#1622
○証人(岡崎英城君) そういうことは私には想像できないのですね。
#1623
○羽仁五郎君 それでは第二に伺いたいのは、そのときにあなたはそういうことを、あなたも、丹羽さんは佐藤さんにその増田さんのために出して呉れというふうに、あなたとは別にそういうお話があつたのじやないですか。
#1624
○証人(岡崎英城君) そんなことはないと思います。
#1625
○羽仁五郎君 はあ、そうすると佐藤さんからの金銭の授受は、丹羽さんを通じてでなく、絶えずあなたがなさつたのですか。
#1626
○証人(岡崎英城君) 最後のときは私がしました。入院費のときは……
#1627
○羽仁五郎君 その以前は常にあなたが……
#1628
○証人(岡崎英城君) 私がやりました。
#1629
○羽仁五郎君 第二に伺いたいのは、先程あなたの御証言の中に、あなたが佐藤という方を増田さんに御紹介になつたことはないと、併し丹羽さんから御紹介になつたことはあつたようですね。
#1630
○証人(岡崎英城君) その点もはつきり知りませんがね。
#1631
○羽仁五郎君 それは速記録を見ると分ると思うのですが、可なりはつきり自分は紹介したことはないが、丹羽さんが紹介したからということがありましたね。
#1632
○証人(岡崎英城君) 紹介したのか、まあそういうことはさつき言つておりましたら御訂正願わなければならないのですが、丹羽君と増田さんと佐藤君との間の会合とか何とかいうことがあれば、これは私には分らないということでございます。
#1633
○羽仁五郎君 はあ。
#1634
○証人(岡崎英城君) そういうことがあるかも知れませんがね。
#1635
○羽仁五郎君 同じような関係で、増田さんの第一回、第二回の選挙のときに、あなたはお手伝いにはならなかつたのですか。併し丹羽さんと上村さんとは応援に行つたということを御承知ありましたね。
#1636
○証人(岡崎英城君) 応援というか何というか、見舞に行つたと思います。
#1637
○羽仁五郎君 これはいつ頃ですか。
#1638
○証人(岡崎英城君) 第一回の選挙……第二回になりましようか、だと思いました。
#1639
○羽仁五郎君 それはどうして御承知なんでしようか。
#1640
○証人(岡崎英城君) それは行つたと言つておりましたから、丹羽さんが行つて帰つて来てから行つたと申しておりました。
#1641
○羽仁五郎君 それはいつ頃、もつとはつきり覚えてないでしようか。
#1642
○証人(岡崎英城君) あれはいつでございましたでしようかね、二回目の選挙はいつでしたか。二十二年ではないかと思いますね。
#1643
○羽仁五郎君 それからさつきの御証言の中に、あなたの方が伊藤鑛壽さんからお借りになつている家の家賃のことで土田という方が交渉に行かれたというのですが、そのとき土田さんという方は警視庁の何をしておられましたか。
#1644
○証人(岡崎英城君) 警衛課長をしておりました。
#1645
○羽仁五郎君 警衛課長がその時のあなたの家賃の交渉に大家さんの所に行かれるということは、余り不思議じやないでしようか。
#1646
○証人(岡崎英城君) 伊藤さんと私との話ですと決まらないのですね。いつでもいいですとか何とか言つて、値段もいいと言つて決まらないのですな。一等初めの家も七十円か八十円でありましたが、なかなか決まらないので困りました。土田君とは割合に長く知つておつて割合にすぱつと決まるものですから、それで土田課長に頼みました。それで殊に新らしく移りましたのも土田さんから話して貰つて借りて貰いました。
#1647
○羽仁五郎君 それからその次に、さつきもこちらの委員から御質問があつたのですが、これは直接あなたと関係があるのじやないのですが、岡崎格という検事の方の履歴についてはどんなことを御証言になつておりますか。
#1648
○証人(岡崎英城君) 地検におられたことは知つております。それから司法省の事務官もやられたのじやないかと思います。そのくらいの知識です。何部におられたかははつきり……
#1649
○羽仁五郎君 どういう事件を扱つたかは。
#1650
○証人(岡崎英城君) はつきり……
#1651
○羽仁五郎君 その頃新聞にありました企画院事件とか、横浜事件とか、そういうものを調べたということは御記憶はありませんか。
#1652
○証人(岡崎英城君) はつきり記憶にはありません。
#1653
○羽仁五郎君 はつきりではないでも、漠然とは……
#1654
○証人(岡崎英城君) 漠然とも……私はよく知りません。
#1655
○羽仁五郎君 それから電気ビルというところにあなたがいらしたのはいつ頃からいつ頃まで……。さつき一応御証言はありましたけれども……
#1656
○証人(岡崎英城君) やつぱり昭和……割によく行きましたのは昭和二十三年の七月から八月、それから十月、十一月、証人に立つたのは十一月です。
#1657
○羽仁五郎君 その最初いらしつたのはいつ頃ですか。
#1658
○証人(岡崎英城君) 一等初め訪ねたのは余程前でございますね。二月も……二十二年の初め頃です。いつか分りませんけれども……
#1659
○羽仁五郎君 それから最後はいつですか。
#1660
○証人(岡崎英城君) 最後はその十一月頃と思いますが……、行つたのが終りで、それから殆んどありません。
#1661
○羽仁五郎君 今年はないのですか。
#1662
○証人(岡崎英城君) 今年はありません。
#1663
○羽仁五郎君 そのときに電気ビルで同じ部屋でお会いになつた方は、さつき三人のお名前が……
#1664
○証人(岡崎英城君) 三人に会いました。
#1665
○羽仁五郎君 それ以外ではどういう方が。
#1666
○証人(岡崎英城君) その以外は上村君にも一遍か二度ぐらい会いました。上村健太郎君が……
#1667
○羽仁五郎君 三回ですか。
#1668
○証人(岡崎英城君) 三回。
#1669
○羽仁五郎君 他の方の御証言もこれはあるわけですが……
#1670
○証人(岡崎英城君) それから秋山君とは一遍か二度会つたことがあります。みんな別々でございますね。一緒に余り集まつたことはないです。
#1671
○羽仁五郎君 その他はどんな方です。
#1672
○証人(岡崎英城君) ともかく後は門叶君や田中君とも一遍ぐらい会つた記憶があります。
#1673
○羽仁五郎君 そこで姿を見かけなかつたというのは、藤田さんと……
#1674
○証人(岡崎英城君) 藤田君と土田君と……
#1675
○羽仁五郎君 それは見かけなかつた。
#1676
○証人(岡崎英城君) それから松尾さんは……さつき仰つしやつた吉田弁護士は会つております。これは丹羽五郎君が昭電事件で検挙されました。そのときに吉田弁護士が奥さんを連れて来ておりました。丹羽五郎君の弁護士だつたのです。それは二十三年の十一月頃でしたかね、吉田君に会いました。
#1677
○羽仁五郎君 それからその次に伺いたいのは、あなたのお宅で何かお集まりがあつて、そこに伊藤さんとか、吉武さんとか伊藤鑛壽さんがお祝いのお酒か何か持つて来て……
#1678
○証人(岡崎英城君) 私は南品川から、南浜川町に変つて余程経つてからですね。
#1679
○羽仁五郎君 そのときにお集まりになつた方は。
#1680
○証人(岡崎英城君) そのときに集まつたのは大体家を世話して呉れた土田君と丹羽君も来て呉れたと思います。それから大家さんですから伊藤氏は来ておりました。それから私の高等学校の同窓で、後輩で倉井君というのと後藤田君というのは、丁度後藤田君はなんでしたかね……、倉井君はどこか三多摩の方の国家警察に行つておりました。その二人と、それから後で今警備部長をしておる原君が二三度くらい一緒になりました。課長時代に二三度私と一緒になつた。それでどんな家か見に行くと言つて後から来ました。そんなものだと思います。
#1681
○羽仁五郎君 さつきお話しがありましたあなたの会社において、丹羽さんが專務をおやめになつてから、後で小川さんという方が……
#1682
○証人(岡崎英城君) それは、初めは重役でなかつた。小川というのが大体專務です。
#1683
○羽仁五郎君 その方の前歴は、大体どういうお方です。
#1684
○証人(岡崎英城君) それは学校を出てから直ぐ理研工業に入りまして、理研の商事部の庶務課長をしておりました。理研から付けて呉れた人です。その後中里というのが勧銀をやめて来られ、その人が一切受持つていた。
#1685
○羽仁五郎君 有難うございます。
#1686
○委員長(伊藤修君) じやどうぞお帰り下さい。
   〔証人岡崎英城君退席〕
  ―――――――――――――
   〔証人丹羽喬四郎君着席〕
#1687
○委員長(伊藤修君) 遅くなりましたから簡單にお尋ねいたします。あなたが伊藤鑛壽の権利にかかるところの電気クラブをお借りになつたところの事情をおつしやつて下さい。電気クラブをあなたがお使いになるに至つた経緯をおつしやつて頂きましよう。
#1688
○証人(丹羽喬四郎君) 電気クラブは、あれは伊藤さんが昭和二十一年でございましたか、あそこがまだ燒ビルで、あそこを借りるから見に来て呉れというときに見に行きまして、将来一緒に使わしてやろうというような話がございまして、二十二年の六、七月からときどき使わして貰いまして、それから二十三年の暮か二十四年の二、三月頃使わして貰つたと思つております。
#1689
○委員長(伊藤修君) その前に、霞ケ関茶房の中にあつた増田さんの事務所をお使いになつていたんですか。
#1690
○証人(丹羽喬四郎君) いや、使つたというわけじやございませんが、増田さんの事務所にはときどき遊びに行きました程度です。
#1691
○委員長(伊藤修君) そこであなた達の同僚の方がいろいろ寄集まつてお話になつたことはあるのですか。
#1692
○証人(丹羽喬四郎君) ございませんです。
#1693
○委員長(伊藤修君) あるんじやないですか。
#1694
○証人(丹羽喬四郎君) ございません。
#1695
○委員長(伊藤修君) そこに集まつたのだけれども、人の目につき易いから、それでどつか事務所が欲しいというので、この電気クラブを借りることになつたんじやないですか。
#1696
○証人(丹羽喬四郎君) いや、そういうことはございません。
#1697
○委員長(伊藤修君) 電気クラブをときどき使うことになつたのはどういう目的のためですか。
#1698
○証人(丹羽喬四郎君) それはまあ私品川におりましたし、その当時二、三の会社の顧問なんかしておりました。やはり自分でもときどき人に会う場所が欲しかつたもんですから、それで先生の事務所を使わして呉れということで入つただけです。
#1699
○委員長(伊藤修君) 二、三の会社というのはどこの会社の顧問をなさつてたんですか。
#1700
○証人(丹羽喬四郎君) 一つは伊藤……
#1701
○委員長(伊藤修君) それは分つております。
#1702
○証人(丹羽喬四郎君) 一つは菱華産業、そこの監査役をしておりました。
#1703
○委員長(伊藤修君) それから……
#1704
○証人(丹羽喬四郎君) それからもう一つは弟の会社の監査役をしておりました。
#1705
○委員長(伊藤修君) その前の監査役は幾らの会社ですか。
#1706
○証人(丹羽喬四郎君) どこのですか。
#1707
○委員長(伊藤修君) 前におつしやられた監査役というのは……
#1708
○証人(丹羽喬四郎君) 菱華産業ですか。
#1709
○委員長(伊藤修君) ええ。
#1710
○証人(丹羽喬四郎君) 資本金でございますか。
#1711
○委員長(伊藤修君) ええ。
#1712
○証人(丹羽喬四郎君) 資本金は確かその当時で百万円ぐらいだつたと思います。
#1713
○委員長(伊藤修君) 後の方の、弟さんの方は……
#1714
○証人(丹羽喬四郎君) 弟の方は十九万五千円。
#1715
○委員長(伊藤修君) そんな小さい会社の顧問をやつていて、二十六坪の事務所を借りなければならん程の仕事があるわけじやないでしよう。
#1716
○証人(丹羽喬四郎君) それは伊藤さんの事務所なんです。
#1717
○委員長(伊藤修君) 伊藤さんの事務所は分つておりますが、大体伊藤さんは使つてない。あなたに鍵を渡していらつしやるんじやないですか。
#1718
○証人(丹羽喬四郎君) 伊藤さんも使いましたし、あそこは留守番がおりませんから、私が使うときに鍵を貸して呉れた、こういうことです。
#1719
○委員長(伊藤修君) 事業のために二十六坪の事務所を借りなくちやならん程のあれじやないでしよう。
#1720
○証人(丹羽喬四郎君) たまたま伊藤さんが事務所を持つていて余り使わなかつたもんですから……
#1721
○委員長(伊藤修君) 他に目的があるんじやないですか。それだけの大きな……。御承知の通り今の常識から考えても坪五万、七万とかかるのですから、それだけかかる……
#1722
○証人(丹羽喬四郎君) いや私は金がかかるのならそんなもの借りやしません。
#1723
○委員長(伊藤修君) それだけの価値のあるものをただ貸して呉れるもんですか。借りて何かの用に供しなければ借りる筈がないじやないですか。
#1724
○証人(丹羽喬四郎君) いや、それは伊藤さんは今でも空けておるのじやないかと思うのです。そういうふうに折角作つて空けておるもんですから使つておるんですよ。
#1725
○委員長(伊藤修君) ただあなたがその事業の監査の仕事のためにそんな事務所を借りてまでおやりにならなければならん程忙しい筈がないですよ。監査役みたいなものはそう大して仕事があるもんじやないでしよう。
#1726
○証人(丹羽喬四郎君) 仕事はそんなにございません。
#1727
○委員長(伊藤修君) 伊藤君の顧問だつて用事がないと言つていますよ。
#1728
○証人(丹羽喬四郎君) 用事はありません。
#1729
○委員長(伊藤修君) そんなことで借りるのは……
#1730
○証人(丹羽喬四郎君) いや、その外に、あそこは友達が訪ねて来るのに足場がいいですから、それで使わして呉れと……
#1731
○委員長(伊藤修君) 外にその事務所を借りなくちやならん何か理由があつたんじやないと聞いているのです。
#1732
○証人(丹羽喬四郎君) 初めに借りましたときは足溜りに借りておりました。
#1733
○委員長(伊藤修君) 要するにあなたと、端的に言えば警視庁の幹部の人がそこで始終寄集まつていろいろな会合をしておるんじやないですか。土曜と木曜日をそれに当てておるのじやないですか。
#1734
○証人(丹羽喬四郎君) いやそれは、そういうふうに日を決めて集まつたということはございません。
#1735
○委員長(伊藤修君) 日は決めておるか決めていないか知りませんが、少くともそういうグループの人の集合場所に供したのじやないですかと聞いているのです。
#1736
○証人(丹羽喬四郎君) まあ私の友達が来たことはございます。
#1737
○委員長(伊藤修君) 来たことじやない。そういう目的のためにその事務所というものは設けたのじやないんですか。
#1738
○証人(丹羽喬四郎君) それは決してございません。私の事務所として……
#1739
○委員長(伊藤修君) そうして事務所を設けて、そういうグループに使用せしめたのじやないですか。
#1740
○証人(丹羽喬四郎君) グループというとおかしいが……
#1741
○委員長(伊藤修君) グループという言葉が惡ければそういう同気相求むる人が、同じ立場におる人が偶然にも、又たまたまそこへやつて来るのじやないですか。
#1742
○証人(丹羽喬四郎君) 同気相求むるというとおかしいが、私共の昔の仲間とか、私の知合です。そういう者とか、それから高等学校の一緒の者だとか、こういう者が時々私を訪ねて来まして、それがたまたま場所もいいもんですから、ここで弁当をつかわしてくれというようなことです。
#1743
○委員長(伊藤修君) それは主として警視庁関係の人ですね。
#1744
○証人(丹羽喬四郎君) いや、警視庁関係ということはございません。
#1745
○委員長(伊藤修君) 上村さんとか、秋山さんとか、門叶さんとか、中西さん、田中楢一、松尾秀敏、藤田次郎、土田精こういうような人が集まつておるんじやないですか。
#1746
○証人(丹羽喬四郎君) まあ上村君はやつて参りました。門叶君もやつて参りました。田中楢一君もやつて参りました。田中楢一君は警視庁に一遍も勤めたことはございません。それから上村氏は私の内務省時代の友達です。
#1747
○委員長(伊藤修君) それはよろしいのです。集まつたかどうかということを聞いておるのです。
#1748
○証人(丹羽喬四郎君) 集まりましたが、藤田君はずつと後輩でございますし、そういう会合に集まつたことはございません。それから……
#1749
○委員長(伊藤修君) いや集まつたかどうか聞いておるのです。
#1750
○証人(丹羽喬四郎君) ございません。
#1751
○委員長(伊藤修君) 藤田があなたのところへ行つたということを言つておりますよ。
#1752
○証人(丹羽喬四郎君) それは一遍くらい来たことはありましよう。
#1753
○委員長(伊藤修君) 何遍来たかどうかということを聞いておるのじやないんです。一遍とか二遍とかいうことを聞いておるわけじやないですよ。
#1754
○証人(丹羽喬四郎君) は、そうでございますか。
#1755
○委員長(伊藤修君) 土田君はどうですか。
#1756
○証人(丹羽喬四郎君) 土田君も一度か来たことがございます。
#1757
○委員長(伊藤修君) 松尾秀敏はどうですか。
#1758
○証人(丹羽喬四郎君) 松尾秀敏君は私は記憶ないのでございますが……
#1759
○委員長(伊藤修君) ないことはないでしよう。行つてるのじやないですか。行つてるくらいははつきりおつしやつたらどうですか。
#1760
○証人(丹羽喬四郎君) 私は知つていることは、今日は真実を申上げようと思つて来ているんです。
#1761
○委員長(伊藤修君) 松尾君に関係のあることは澁る必要はないでしよう。
#1762
○証人(丹羽喬四郎君) いいえ、それは構いません。若し来たら一遍ぐらいじやないかと思います。若し来てもですな。
#1763
○委員長(伊藤修君) そういう会合を催されまして、そこで以ていろいろ警視庁関係のことや政治関係のことをお話になつておるんではございませんか。
#1764
○証人(丹羽喬四郎君) そういうことは絶対にございません。
#1765
○委員長(伊藤修君) 二十三年の昭電事件のやかましかつた頃に、ここがいわゆる昭電事件の一つの何といいますか、策源地というようなものになつて、何か内閣倒壊のことがここで考え出されたのではないですか。
#1766
○証人(丹羽喬四郎君) そういうような話を新聞なんかでちよいちよい見て心外に堪えないのです。
#1767
○委員長(伊藤修君) 何のために土田君が表で張番をしているんですか。
#1768
○証人(丹羽喬四郎君) そんなことはありません。
#1769
○委員長(伊藤修君) 伊藤君はそう言つておりますよ。
#1770
○証人(丹羽喬四郎君) 伊藤君はどうかしているんです。
#1771
○委員長(伊藤修君) と言つても、立派な人ですから、土田君が立つているか、立つていないか、土田君は外におるんだからね、あなたは中におるか知らんが……そいつをたまたま伊藤君が外の事務所を持つて、外の部屋を持つているから、それを見掛けるということはあり得るのではないですか。むしろ伊藤君の見たという言葉の方が正しいのではないですか、あなたは部屋の中におるんだから。
#1772
○証人(丹羽喬四郎君) 土田君が、現職の警視をしている方が私共のやめた連中の所へ来て、それで以て外で見張をするなんていうことは絶対あり得ないことです。
#1773
○委員長(伊藤修君) それだから余計に不思議だと思うからお尋ねするんです。そういう人を使つて見張をさせて置かなくちやならん程重要な会議をしていたんじやないですか。
#1774
○証人(丹羽喬四郎君) いいえ、そういうことはございません。
#1775
○委員長(伊藤修君) あなたのグループに昭電の日野原君から十五万円来ているんでしよう。
#1776
○証人(丹羽喬四郎君) それは私は知りません。
#1777
○委員長(伊藤修君) あなたの親分、岡崎君の所に来ておるでしよう。
#1778
○証人(丹羽喬四郎君) 失礼ですけれども、岡崎君は私の親分ではございません。
#1779
○委員長(伊藤修君) まあ、尊敬する人か、どつちにしてもあなたの先輩ですね。
#1780
○証人(丹羽喬四郎君) 親友ですから……
#1781
○委員長(伊藤修君) 親友だけれども、あなたよりも一日の長があるんですから……
#1782
○証人(丹羽喬四郎君) それは立派なものです。
#1783
○委員長(伊藤修君) あなたの敬服している人ですから、まあ親分と言わなくても、少くとも兄弟分程度のことは差支ないです。そこへ金が来ているんですから、あなたが以心伝心そんなことぐらいは分りそうなものです。
#1784
○証人(丹羽喬四郎君) そんなことは全然知りません。
#1785
○委員長(伊藤修君) 恐らく岡崎君でも金をポケットに入れるようなことはなかろう。
#1786
○証人(丹羽喬四郎君) これははつきり申上げますが、そういうものは私は一銭も取つておりません。
#1787
○委員長(伊藤修君) それは、岡崎君は相当子分の人を可愛がるということを聞いておるし、あなたらの尊敬する人だと思うので、それだからあの人の下に優秀な人がお集りになるんでしよう。
#1788
○証人(丹羽喬四郎君) 私はその話は全然知りません。
#1789
○委員長(伊藤修君) そういう関係で昭電のことについてもいろいろお話合になつて……
#1790
○証人(丹羽喬四郎君) それではですね、私は真相を申上げます。私は非常に誤解をされているんです。昭電事件につきましては私は全然関係ございませんです。実はですね……
#1791
○委員長(伊藤修君) 関係あるとは申しませんよ。そこでそういう話がなされておつたのではないかということを聞いておる。
#1792
○証人(丹羽喬四郎君) 私は昭電事件の当時岡崎君からそういう話を一遍も聞いたことはございません。ただですね……
#1793
○委員長(伊藤修君) 丁度昭電事件がやかましい頃に、しばしばさつき岡崎君も言つておりますが、それまでは毎週一回か、二回か寄つていたが、その頃になると、丁度一ケ月半ばかりは殆んど毎日会合を設けておるのですが、何のために寄られたんですか。あなた達も裕福で以てやつていらつしやるわけじやないんですから、相当お苦しみのことを岡崎君も言うているんです。そういう人が毎日時間を費して、費用もかかることでしよう。何の目的でおやりになつたんです。
#1794
○証人(丹羽喬四郎君) そこで実はそこに集まりましたあれはですね、私と岡崎君と川口君とが、私が内務省におりました時の後任者でございまして、私共内務省の外事課長をしておりました時に問題がございまして、それで終戰後あれはたびたびございました。
#1795
○委員長(伊藤修君) パージ問題のことを調査しておつたというんですか。
#1796
○証人(丹羽喬四郎君) パージ問題ではございません。私共外事課長在任当時の……
#1797
○委員長(伊藤修君) 外国人の処遇問題ですね。
#1798
○証人(丹羽喬四郎君) はあ、そうです。
#1799
○委員長(伊藤修君) それは岡崎君もそう言つています。話は合せているんでしようから……。そんなことに一月も一月半もかかる筈はないでしよう。
#1800
○証人(丹羽喬四郎君) 私共は、その点についてはあとで盡くお調べ下されば事実は明瞭にになります。
#1801
○委員長(伊藤修君) だから明瞭にすべく我々努力しているんです。
#1802
○証人(丹羽喬四郎君) 決して私共こういう権威のある所でそういう逃がれるために違法のことは申上げません。
#1803
○委員長(伊藤修君) 別にあなたに責任があると言つているんではない。あなたによつて外の関係を知ろうと、あなたには御迷惑でしようけれども、あなたの知つていることを正直に申述べて頂きたいと思うので、殊更に隠しだてされては我々は困ります。
#1804
○証人(丹羽喬四郎君) いや、私は真実だけを述べているんです。その当時におきましては、私は非常に心痛いたしまして、大分協議をいたしまして、向うに資料も出さなくちやなりませんし、それから随分……
#1805
○委員長(伊藤修君) いや、分りました。そのお仕事をなさつたその費用はどこから出たのですか。
#1806
○証人(丹羽喬四郎君) 費用は別にそう大してかかりません。
#1807
○委員長(伊藤修君) 毎日、一月半も遊ばれて……
#1808
○証人(丹羽喬四郎君) これは申訳ありませんが、私はその当時は……
#1809
○委員長(伊藤修君) 只仕事をおやりになつたんですか。
#1810
○証人(丹羽喬四郎君) 勿論只仕事でございます。私もやはり取調を受ける立場ですから……
#1811
○委員長(伊藤修君) 毎日やられましたんですね。
#1812
○証人(丹羽喬四郎君) 毎日と言つても朝から晩までやつたわけではございません。
#1813
○委員長(伊藤修君) ですから毎日お集まりになつておるから……
#1814
○証人(丹羽喬四郎君) 弁当は持寄りでございまして、私共非常に取調も受けましたし、十月になりましてから裁判の証人にも呼ばれました事件でございますから……
#1815
○委員長(伊藤修君) そこへ増田さんがしばしばおいでになつたのではありませんか。
#1816
○証人(丹羽喬四郎君) そういうことがございません。
#1817
○委員長(伊藤修君) 祕書の方はおいでになつたんじやないですか。
#1818
○証人(丹羽喬四郎君) 祕書ではありません。松尾君ですか、松尾君は当時ゴム統制の……
#1819
○委員長(伊藤修君) 祕書をやつておるか何をしておるか知りませんが、祕書的の人ですね。増田さんに関係のある人に間違いはありませんね。
#1820
○証人(丹羽喬四郎君) 間違いありません。
#1821
○委員長(伊藤修君) そういう人も来るんですから、増田さんも来るべき筋合ではないのですか。
#1822
○証人(丹羽喬四郎君) いや、そういうことはございません。
#1823
○委員長(伊藤修君) 増田さんの所に伊藤鑛壽を紹介したことはありますか。
#1824
○証人(丹羽喬四郎君) 話したことはあるかも知れません。
#1825
○委員長(伊藤修君) 増田さんの所に一緒に行かれましたね。
#1826
○証人(丹羽喬四郎君) 行つたことがあるかも知れません。
#1827
○委員長(伊藤修君) 何と言つて伊藤鑛壽を紹介しましたか。
#1828
○証人(丹羽喬四郎君) はつきりした記憶はありませんが、ただ私の家主で御厄介になつておる人だというので……。ただ伊藤君が連れて行つて呉れと言つたから……
#1829
○委員長(伊藤修君) 増田さんとあなたは非常に近しいですね。
#1830
○証人(丹羽喬四郎君) 昔は非常に御厄介になりましたけれども……
#1831
○委員長(伊藤修君) 今でもそうでしよう。
#1832
○証人(丹羽喬四郎君) 今は全然お会いしておりません。
#1833
○委員長(伊藤修君) 伊藤鑛壽を紹介に行くくらいですから、そういたちの道切りでもありませんでしよう。相当知つておるからこそ紹介に行くだけの資格があるのでしよう。
#1834
○証人(丹羽喬四郎君) その当時は大分前の話です。
#1835
○委員長(伊藤修君) いずれにしても少くとも増田さんが東京に見えてからでしようから……
#1836
○証人(丹羽喬四郎君) さようでございます。
#1837
○委員長(伊藤修君) してみれば増田さんと始終御接近になつておるのじやないですか。
#1838
○証人(丹羽喬四郎君) 私は勿論そういうことは追放になりましてからは、そのことを増田さんに申上げまして……
#1839
○委員長(伊藤修君) それは増田さん知つておりますよ。申上げなくても……
#1840
○証人(丹羽喬四郎君) それで却つて向うさんに御迷惑をかけてはいかんと思いまして、御遠慮申上げて……
#1841
○委員長(伊藤修君) それじやなぜ選挙の手伝いに行くのですか。
#1842
○証人(丹羽喬四郎君) 選挙の手伝いに行きましたときは追放になる前です。
#1843
○委員長(伊藤修君) それでは潜在的追放者ですね、そのときは。
#1844
○証人(丹羽喬四郎君) その当時は武徳会が追放になるとは予想もいたしませんでした。これは私も本当に申訳ないと思いますが、武徳会が追放になるということは私は予想もいたしておりませんでした。
#1845
○委員長(伊藤修君) 岡崎さんと手伝いに行かれましたでしよう。
#1846
○証人(丹羽喬四郎君) 岡崎君は参りません。私が先に参りまして、それから上村君が行きました。
#1847
○委員長(伊藤修君) それから選挙の手伝いを、東京市内における手伝にしても相当親しい方ですが、他地方に、他県に手伝いに行くというのは余程親密な、又余程お世話になつた人でなければ、そういう立場にはないのですから我々も経験をいたしますが、ただあなたがその点から考えて、増田さんと相当親密な間柄であるということは、窺い知れるのではないですか。その人に会わないということはちよつと考えられません。そういう間柄でありながら増田さんと会わないということは考えられないね。
#1848
○証人(丹羽喬四郎君) ところが追放になりまして、増田さんは現在の政界に出ていらつしやる方です。御迷惑をおかけするのは私としても最も……
#1849
○委員長(伊藤修君) 御迷惑をおかけするけれどもそこは内緒でやるべきことで。
#1850
○証人(丹羽喬四郎君) いやいたしません。
#1851
○委員長(伊藤修君) 御迷惑をおかけするから、人目につき易いといけないから人目につかないところでやろうということは、これは普通闇をやる場合でも何でも公然とやるとひつかかるから闇は内緒でやろう……
#1852
○証人(丹羽喬四郎君) それはいくら申されましても絶対にございません。
#1853
○委員長(伊藤修君) あなたは佐藤からお金を貰いましたのですね。そのいきさつをおつしやつて下さい。
#1854
○証人(丹羽喬四郎君) これは多分二十二年の九月頃だと思います。岡崎君が来まして、丁度その当時私も勿論金がないのですが、岡崎君が会社の増資をしたい、初めは十七、八万円の会社でございました、私、初めちよつと一週間ばかり專務をしたことがございます。それから專務の表面の期間は二月ぐらいになつておるのでございます。事実やつたのは一週間ぐらいで私はやめたのです。後は名前だけ出しておいて呉れというので取締役になつておりました。それで参りまして、実はどうも渡邊良夫さんですね、あの方から佐藤という人にこれは非常にまあ最近の新進実業家で金持で、それで二人で行けば融通して呉れるから一緒に行つて呉れ、こういう話がございました。それはどこでも行つてやるよ、こういうので岡崎さんに付いて行つたのです。付いて参りましたら向うで知つておりまして、それでその当時特に二十万円の金を呉れました。参りましたのは神田の佐藤の事務所でございます。それでまあそこで十分か二十分話をいたしましてそれを持つて帰りました。それでその時に私が岡崎君の会社に行つておつたと思います。後で私の所に五万円届けて呉れまして、そのうち私は二万五千円だけ岡崎君の方に新株の方へ拂込んでやりました。二万五千円は私が頂戴いたしましてそれを生活費に使いました。
#1855
○委員長(伊藤修君) そうすると、行つて呉れという話はどこであつたのですか。
#1856
○証人(丹羽喬四郎君) 私の家と、岡崎君の家は筋向いです。岡崎君がその前の晩ですか、前の朝ですか参りまして、実はこういういい話がある、こういうことでございました。それで私もそれじや付き合つて行つてやろうということで参りました。
#1857
○委員長(伊藤修君) いい話というのはどういうことですか。
#1858
○証人(丹羽喬四郎君) 金の方を融通して呉れる、こういう話です。
#1859
○委員長(伊藤修君) 融通して貰うのはどういう使途に使うのですか、使途は。
#1860
○証人(丹羽喬四郎君) 使途はこれは岡崎君のあれにも使うし、それからその一部は俺も困つておるから少しは何してやるよ、その代り君も拂込んで呉れとこういう話でございますが。
#1861
○委員長(伊藤修君) 岡崎君の私生活に使うのですか。
#1862
○証人(丹羽喬四郎君) 岡崎君は増資に充てるとこう言つておりました。
#1863
○委員長(伊藤修君) 増資に充ててもまだ残るのですがね、金が。
#1864
○証人(丹羽喬四郎君) そのとき岡崎君はどういうふうに使つたか知りません。私に五万円呉れました。
#1865
○委員長(伊藤修君) 出かける前に増資に充てて残りがあればそれを山分けにするということで出かけたのですか。
#1866
○証人(丹羽喬四郎君) 山分けということは言いません。私もそのうち一部使わせて呉れとこう言いました。そうして貰つたのです。それでは五千株ですか、二万五千円の株だけ入れて呉れるようにとこういう話でございました。
#1867
○委員長(伊藤修君) それから佐藤の家へ行つてどこで会つたのですか。
#1868
○証人(丹羽喬四郎君) 神田の五井産業の事務所でございます。
#1869
○委員長(伊藤修君) 事務所のどの室で会つたのですか。
#1870
○証人(丹羽喬四郎君) 社長室です。
#1871
○委員長(伊藤修君) 社長室はどこですか。
#1872
○証人(丹羽喬四郎君) 汚い段々を上りまして二階の奥の室です。
#1873
○委員長(伊藤修君) そこでどういうふうにしてお金を呉れたのですか。
#1874
○証人(丹羽喬四郎君) 行きましたら承知しておりますと言つて現金を用意して包んで下さいました。
#1875
○委員長(伊藤修君) 何に包んで。
#1876
○証人(丹羽喬四郎君) 何でございましたか、紙じやないかと思いますが。
#1877
○委員長(伊藤修君) 紙じやないか……。現金であなたは貰うのだから包みくらいは大体分るのじやないのですか。
#1878
○証人(丹羽喬四郎君) 大分前ですからして。
#1879
○委員長(伊藤修君) 大分前だと言つてもその時分の二十万円は安くないですよ、物価に相当すれば今日の二百万円くらいに相当するかも知れない。そんな軽率なものでないでしよう。而も山分けにして貰うというならば相当の関心をもつていらつしやつたのじやないですか。突然に出されたわけじやないのですからこれが金かと思えば注意力がそれに集中しますよ。何に包んであつたのですか。
#1880
○証人(丹羽喬四郎君) 何でございましたか、はつきり覚えておりません。
#1881
○委員長(伊藤修君) そんなことは覚えがないという理屈はございませんよ。岡崎君がどう言つたかと心配して……、あなたの覚えていることをはつきり言つて下さい。
#1882
○証人(丹羽喬四郎君) その点はつきり覚えておりません。
#1883
○委員長(伊藤修君) お金はどういうお金ですか。
#1884
○証人(丹羽喬四郎君) 百円札。
#1885
○委員長(伊藤修君) それはどうなつておりましたか。
#1886
○証人(丹羽喬四郎君) 百円札がたしか十万円ずつ二つになつておりました。
#1887
○委員長(伊藤修君) 十万円ずつ縛つてあつたのですか。
#1888
○証人(丹羽喬四郎君) はい。
#1889
○委員長(伊藤修君) あなたは銀行から金を受取ることがあるでしようね。十万円はどうなつて縛つてありましたか。何で縛つてありましたか。
#1890
○証人(丹羽喬四郎君) そういうことははつきり覚えておりません。
#1891
○委員長(伊藤修君) 折角二十万円せしめるところですからそんな金を見ないということはないでしよう。そこまで打合せは済んでいなかつたのですか。
#1892
○証人(丹羽喬四郎君) 冗談言つてはいけませんよ。その時は私は金の内容を見ませんから。
#1893
○委員長(伊藤修君) いけませんよ。そんな馬鹿なことはいけませんよ。それを目当に二人で取りに来たのではないですか。
#1894
○証人(丹羽喬四郎君) 岡崎が持つて会社に帰りましたから、私は……
#1895
○委員長(伊藤修君) 会社に帰るといつてもあなたは見ておるのだから金を見ていらつしやる筈ですよ。そんなことを言つて苦しんで話を外らせるということは卑怯ですよ。
#1896
○証人(丹羽喬四郎君) そういうことは……
#1897
○委員長(伊藤修君) そんならばおつしやつて御覧なさい。
#1898
○証人(丹羽喬四郎君) その点がはつきりしないのですよ。
#1899
○委員長(伊藤修君) あなた達は金のことで委員会を言いくるめようと思つていらつしやるから窮するのですよ。事実をおつしやつて下さい。
#1900
○証人(丹羽喬四郎君) 事実でございます。
#1901
○委員長(伊藤修君) 事実ならば金のことをおつしやつたらどうですか。あなたの知つておることをおつしやつたらどうですか。そこまで聽かれると合わないからあなたは躊躇されるのでしよう。
#1902
○証人(丹羽喬四郎君) そういうことはございません。
#1903
○委員長(伊藤修君) そんならばおつしやつて御覧なさい。先つきあなたは金を見たというところまでおつしやつたのですから。十万円で以て金がどうなつたとおつしやつたのですから。包紙は分らん。それはよいです。分らんならば分らんでよいです。十万円はどうなつておつたか聽いておるのです。
#1904
○証人(丹羽喬四郎君) その点はつきり記憶いたしません。
#1905
○委員長(伊藤修君) 縛つてあつたとおつしやるじやありませんか、あなたは。
#1906
○証人(丹羽喬四郎君) と思いますがね。
#1907
○委員長(伊藤修君) 一万円ずつ紙で縛つてあつた。これは常識的に考えてあなたがどう処置されておつたかということを聞いておるのです。
#1908
○証人(丹羽喬四郎君) その点ははつきり記憶にございません。
#1909
○委員長(伊藤修君) 記憶ないとあなたはおつしやるが、折角それだけのものを、大金を掴んだのだから、お家に帰つて見ることはあるでしよう、どうなつているくらいのことは。あなたはそれがために行つたのじやないのですか、あなたは金を取りに行つたのだから、あなたは子供じやないのですから。
#1910
○証人(丹羽喬四郎君) どう言われましてもはつきり記憶はありません。
#1911
○委員長(伊藤修君) 而も会社の方の拂込に使おうというのだから、あなたは專務ですから……
#1912
○証人(丹羽喬四郎君) その時は私は專務じやありません、取締役です。
#1913
○委員長(伊藤修君) 取締役だつて会社の重要なるメンバーの一人なんですから。
#1914
○証人(丹羽喬四郎君) いや私は会社にちつとも出たことはありません。
#1915
○委員長(伊藤修君) たとえ出なくてもそういう関係があればこそ行つたのだから、分らないですか。
#1916
○証人(丹羽喬四郎君) 記憶にございません。
#1917
○委員長(伊藤修君) さつきあなたは縛つてあつたというところまでおつしやつたのじやないですか。
#1918
○証人(丹羽喬四郎君) その点はつきりしません。
#1919
○委員長(伊藤修君) はつきりしないということはないでしよう。
#1920
○証人(丹羽喬四郎君) どうもはつきりいたしません。
#1921
○委員長(伊藤修君) 持つて来てから金をどう処置されたのですか。
#1922
○証人(丹羽喬四郎君) 私の所へその晩でしたか、翌日の晩でしたか、翌日の朝でしたか、五万円岡崎君が持つて参りました。それで私がそれを持つて来たときに二万五千円渡しました。いや持つて来まして、翌日ですか、私会社へ二万五千円持つて参りました。それで二万五千円を私は自分で持つて参りまして……
#1923
○委員長(伊藤修君) あなたがお持ちになつたのですか、二万五千円は皆持つて行つたのですか。
#1924
○証人(丹羽喬四郎君) はあ。
#1925
○委員長(伊藤修君) 誰に渡したのですか。
#1926
○証人(丹羽喬四郎君) その点が岡崎君だつたか、経理の津島君だつたか分りませんが。
#1927
○委員長(伊藤修君) 失礼ですけれども、当時あなた達は生活にも困つておるから、佐藤君の援助を受けるという名目で取りに行つたと、こうおつしやつておる。いいかね、そういう立場にある人が二万五千円を出すのに誰に渡したか分らんというような曖昧なことはある筈がないじやないですか。
#1928
○証人(丹羽喬四郎君) それは実を申しますと、これは岡崎君の会社に入れるのですから、私としてはそう関心といいますか、一緒に行きまして、岡崎君の顔が半分以上で取つて来た金ですから、渡したんですから、そう私はですな……
#1929
○委員長(伊藤修君) 金に対する執着というか、価値というか、金に対する尊敬が、そういう意味において金というものに対してあなたはもう少し重要視しておる筈だ。
#1930
○証人(丹羽喬四郎君) その点は……
#1931
○委員長(伊藤修君) その時分におけるところのあなたの立場が、そう軽々しく何千万円とあなたが持つておられて、二万、三万は端金で鼻糞のように出すという人じやないのだから、相当の大金なのだからその扱い方が余りルーズじやないですか。
#1932
○証人(丹羽喬四郎君) その点は私は前からも同僚各位に聞いて貰えば分るのですが。
#1933
○委員長(伊藤修君) その時のことを聞いておるのですよ。
#1934
○証人(丹羽喬四郎君) 非常にまあそういう点はルーズでありまして。
#1935
○委員長(伊藤修君) 受取はお取りにならなかつたのですか。拂込の受取は貰つたのですか。
#1936
○証人(丹羽喬四郎君) それは後から送つて参りました。私の家にございます。
#1937
○委員長(伊藤修君) 佐藤の所へ受取りを出しましたか。
#1938
○証人(丹羽喬四郎君) いいえ。
#1939
○委員長(伊藤修君) 只貰つて来たということですね。
#1940
○証人(丹羽喬四郎君) そうでございます。
#1941
○委員長(伊藤修君) あなた達に只で金を呉れたわけですね。
#1942
○証人(丹羽喬四郎君) ですから奇特な男だと思いました、金持は違うものだなんと。
#1943
○委員長(伊藤修君) いくら金持だつて政治家ならよこすでしようが、そういう沢山の金はよこすでしようが、別にあなたの事業に惚れたわけでもないでしようし、あなた達に仕事をお願いしたわけでもないのですから、漫然そういう金を呉れるということは考えられないじやないですか。
#1944
○証人(丹羽喬四郎君) それは渡辺さんと岡崎君がですね、前にやつぱり佐藤君に会いまして確か一緒になりまして、まあ渡辺さんも岡崎君やらなんかの面倒を見てやつて呉れということを話されて、佐藤君が納得して引受けた。その時も将来ともよろしく頼むというような話をいたしましたです。
#1945
○委員長(伊藤修君) それで又十二月に取りに行つたのですね、十万円。
#1946
○証人(丹羽喬四郎君) はあ。
#1947
○委員長(伊藤修君) それから三月頃又十万円取りに行きましたね。
#1948
○証人(丹羽喬四郎君) はあ。
#1949
○委員長(伊藤修君) 厚かましい話ですね、何にも理窟のない金を貰いに行くなんて。
#1950
○証人(丹羽喬四郎君) はあ。
#1951
○委員長(伊藤修君) そうでなくて、それは増田氏の政治献金にするのだから、あなた達が使いに行つて貰つたのじやないですか。
#1952
○証人(丹羽喬四郎君) そういうことに今新聞紙上で言われまして、それで先輩の増田さんに非常に御迷惑をかけているのですけれども。
#1953
○委員長(伊藤修君) あなた達は責任を被つてしまおうとされておるが……
#1954
○証人(丹羽喬四郎君) そういうことは絶対ございません。
#1955
○委員長(伊藤修君) 又最近は変つて来たというような情報も聞いておりますが。
#1956
○証人(丹羽喬四郎君) そういうことはありません。
#1957
○委員長(伊藤修君) 案の定今日お尋ねしてみれば変つて来ておるわけです。
#1958
○証人(丹羽喬四郎君) そういうことは絶対ございません。
#1959
○委員長(伊藤修君) あなたは渡辺さんと親しいですか。
#1960
○証人(丹羽喬四郎君) 内務省以来割合に親しくしておりました。
#1961
○委員長(伊藤修君) 佐藤とは全然面識がないのでしよう。
#1962
○証人(丹羽喬四郎君) さようでございます。その時初めてでございます。
#1963
○委員長(伊藤修君) あなたは個人で三月に一人で行つたでしよう。
#1964
○証人(丹羽喬四郎君) はあ。
#1965
○委員長(伊藤修君) 一人で行つて借りて来たのですか。
#1966
○証人(丹羽喬四郎君) はあ。
#1967
○委員長(伊藤修君) よく貸して呉れましたね。
#1968
○証人(丹羽喬四郎君) その時は実は岡崎君が一月から三月まで……
#1969
○委員長(伊藤修君) いないですよ。
#1970
○証人(丹羽喬四郎君) 病気しておりまして。
#1971
○委員長(伊藤修君) その留守にあなたが一人で行つて……
#1972
○証人(丹羽喬四郎君) その時は帰つて参りました。岡崎君がちよつと治りかけて帰つて参りました。それでやはり品川の家に行つておりまして、実はざつくばらんに申上げますと、その病中のときに少し送つて呉れということを岡崎君から頼まれ……
#1973
○委員長(伊藤修君) それは言つておりますね。
#1974
○証人(丹羽喬四郎君) それで私も送つたし少し人から借りましてやつたものですから、お互いに両方で岡崎君は病後だし私らも困つたものですから、それでもう一遍行こうかと言つたら、病気だから君一人で行つて呉れるか、とにかく頼んでみようというので参りました。参りましたらその日は、今日はないから明日用意しておくから明日来い、こういう話で行つて頂戴して来たわけです。
#1975
○委員長(伊藤修君) いい金穴ですね。その後はいらつしやらなかつたですか。
#1976
○証人(丹羽喬四郎君) その後は……そのときに実は当分このくらいだよと言われましたものですから、金の話には参りませんでした。
#1977
○委員長(伊藤修君) 断わられたですか。
#1978
○証人(丹羽喬四郎君) はあ。
#1979
○委員長(伊藤修君) 釘を刺された。
#1980
○証人(丹羽喬四郎君) はあ。
#1981
○委員長(伊藤修君) だけれどもあなたは釘を刺されてももう一遍行きそうなものですな。
#1982
○証人(丹羽喬四郎君) そう図々しくもございませんから。
#1983
○委員長(伊藤修君) その時だけで打切つたのですな。
#1984
○証人(丹羽喬四郎君) はあ。
#1985
○委員長(伊藤修君) 渡辺氏から佐藤の所に電話して、近頃岡崎、丹羽両氏が我が党の代議士増田甲子七氏に対して政治資金の援助のことで君の所に伺うが、何とか便宜を図つて貰いたいという電話があつて、それに基いて、あなた達がお使いしたわけじやありませんか。
#1986
○証人(丹羽喬四郎君) そういうことは絶対にありません。
#1987
○委員長(伊藤修君) その金は増田氏の所に届いているんじやないですか。
#1988
○証人(丹羽喬四郎君) そういうことは絶対にありません。私は渡辺さんからそれを直接聞いたわけではないです。岡崎君、渡辺さんも骨を折つて呉れて事業資金のことで心配して呉れるし、向うも引受けて呉れたという電話をして呉れたから一緒に行つて呉れ、こういう話でした。
#1989
○委員長(伊藤修君) 併しね、佐藤はそういうことを述べておつたのですがね、いいですか。
#1990
○証人(丹羽喬四郎君) はあ。
#1991
○委員長(伊藤修君) 佐藤はそういうことを述べておつたのです。ところが佐藤が出て来てからあなた達や何かのみな話が打合せになつて、増田氏の所からずぼつと消えているんですが、あなた達が責任を負つて使つたように、私達は心の中では、あなた方は気の毒な立場だと思つているんです。
#1992
○証人(丹羽喬四郎君) これは私ははつきり申上げますが、増田さんは、私共殊に警視庁において昔役人をしておりました後輩にそういうものを頼む筋では絶対ございません。
#1993
○委員長(伊藤修君) それはお使いですよ、あなた達に金を作つて来いと言つたんじやない。渡辺氏に言つたのですよ。渡辺氏があなた達を使いにやるから渡して呉れ、こう言つたのでしよう。
#1994
○証人(丹羽喬四郎君) それはそう言つちやなんですが。
#1995
○委員長(伊藤修君) あなた達に金を作つて来いと言つたことはない……
#1996
○証人(丹羽喬四郎君) 増田氏が私に使いにやるということは絶対にないと思います。今お偉い方でございますが、私達に……
#1997
○委員長(伊藤修君) それ程増田氏との関係においては、あなた達は増田氏の直系の子分衆ですか何ですか、後輩のお方でお世話になつている人だという関係において、そういうお使いをすべき立場にあるのじやないですか。選挙のお手伝いに行つたり何かする顔だから。
#1998
○証人(丹羽喬四郎君) それは私はお手伝いに参りました。
#1999
○委員長(伊藤修君) そういう間柄だからこそそういう金銭関係についても外の人にお使いはさせられないから、あなた方の口の固い人を使つたわけじやありませんか。
#2000
○証人(丹羽喬四郎君) そういうことは絶対にありません。私は当時選挙で参りましたけれども、ぶらぶら遊んでおりましたものですから別に定職というものを朝から晩までやるというような仕事もありませんで、今から考えますと今みたいな時代はお菰みたいなことをしては申訳ないのでございますが、その当時は、私も本当にただいわゆる人に恵んで貰つているような生活をしておりまして遊んでおりましたので、それじや参りましようというので行つただけであります。
#2001
○委員長(伊藤修君) あなたは佐藤君を増田氏に紹介したことがございますね。
#2002
○証人(丹羽喬四郎君) ございます。
#2003
○委員長(伊藤修君) 何で紹介したのです。
#2004
○証人(丹羽喬四郎君) 佐藤さんが私が増田さんの事務所におりました時にやつて来ましたものですから、それで私厄介になつた人ですと言つて……
#2005
○委員長(伊藤修君) 佐藤君と増田君はその前から知合いですか。
#2006
○証人(丹羽喬四郎君) いやそんなことは……
#2007
○委員長(伊藤修君) 初めてですか。
#2008
○証人(丹羽喬四郎君) 初めて。
#2009
○委員長(伊藤修君) そのとき初めて。
#2010
○証人(丹羽喬四郎君) はあそうです。
#2011
○委員長(伊藤修君) やつて来たということは打合せがしてあつたのですね。
#2012
○証人(丹羽喬四郎君) 一遍増田さんをお尋ねしましようかと言つたことがあつたのでありますが。
#2013
○委員長(伊藤修君) だから増田氏を訪ねた。あなたに紹介して貰うべく打合せが済んでいたのですね。
#2014
○証人(丹羽喬四郎君) 私が紹介するということもございませんでした。実はあの当時……
#2015
○委員長(伊藤修君) あなたが紹介するのでなければ、増田さんには……
#2016
○証人(丹羽喬四郎君) そのとき丁度たまたまいたもんですから私が紹介したわけです。
#2017
○委員長(伊藤修君) いたもんだけれども一面識もない所に佐藤氏がのこのこ出かけて行くことはない筈です。それが増田さんの所へ……
#2018
○証人(丹羽喬四郎君) ところがその点が佐藤君の面白い性格でしてそのときに……
#2019
○委員長(伊藤修君) 何にもかかりかんぱちのない所に黙つて玄関を訪れたつて、玄関拂いを喰うからそんなことはあり得ないですよ。あなたが先に行つているから後から行くとか、そこで落ち合つてそこであなたが紹介するとか何か。
#2020
○証人(丹羽喬四郎君) ところが実はやつぱり増田さんと関係のある伊能さんという方と……
#2021
○委員長(伊藤修君) それはあとから読売新聞でそういう話が出て来たですね、ずつとあとの話です。
#2022
○証人(丹羽喬四郎君) それはあとでないです。事実をお調べ下されば伊能さんという方、岡田包義さんという方が佐藤君の関係会社、佐藤君の出資の会社でございますが、社長或いは重役をしておりまして、それで向うから伊能さんなんか知つておるのだというその時話がありました。そうですか、伊能さんなんかもお宅に行くんですか。その時確か伊能さんに会つたかなあと言つたことがございましたが、その時は会わかつたですね。その時は会社の事務所ではございませんでしたが、そういう話がございまして、増田さんという人は偉い人だねと言うから、いい人ですよ、こういう話をしました。一遍御挨拶に行こうかしら、こう言つておりました。その時私は霞ケ関茶寮を教えまして、そこにおるから行つたらどうです、こう言つたら一遍挨拶に伺おう、こう言つておりました。私が丁度たまたま行つている時にお見えになりました。
#2023
○委員長(伊藤修君) 偶然会つたわけですか。
#2024
○証人(丹羽喬四郎君) さようでございます。
#2025
○委員長(伊藤修君) しよつちうあなたが、その当時は霞ケ関茶房を増田さんが事務所に使用していらつしやつたから、そこにいることが分つておつたじやないですか。
#2026
○証人(丹羽喬四郎君) しよつちうじやございません。私も別は用を頼まれるわけではございません。ただ私はその当時暇でございましたから、あすこは実は……
#2027
○委員長(伊藤修君) あなたたちの追放者関係の一つの足溜まりになつているんじやございませんか。
#2028
○証人(丹羽喬四郎君) そういうことは絶対ございません。
#2029
○委員長(伊藤修君) そういう関係上佐藤氏が訪ねていつてもあなたがおるということが分るじやないですか。
#2030
○証人(丹羽喬四郎君) そういうことはございません。
#2031
○委員長(伊藤修君) あなたが増田氏の事務所を足場にしておるということの一つの証左になるじやないですか。
#2032
○証人(丹羽喬四郎君) そういうことはございません。あの事務所はあすこの……
#2033
○委員長(伊藤修君) その点はいいですが、一体佐藤が増田氏に御挨拶に行くということはどういう理窟ですか、どういう理由から来るですか。
#2034
○証人(丹羽喬四郎君) 増田さんは政治家だから会つてみたい、あの人はいろいろな人に会つてみたいという気があつたのであろうと思います。伊藤鑛壽の場合と同じだつたのです。
#2035
○委員長(伊藤修君) そのことは、増田氏に紹介されたのは、増田氏にあなたと一緒に会つた時は金をあなたたちがせしめ来たあとでしよう。
#2036
○証人(丹羽喬四郎君) さようでございます。
#2037
○委員長(伊藤修君) そうですね。
#2038
○証人(丹羽喬四郎君) はあ。
#2039
○委員長(伊藤修君) そうすると。
#2040
○証人(丹羽喬四郎君) 確か十月の末ぐらいだつたと思います。
#2041
○委員長(伊藤修君) 六、七月頃じやないですか。暑くなりかかりの頃じやないですか。
#2042
○証人(丹羽喬四郎君) 佐藤君が来たのですか。
#2043
○委員長(伊藤修君) 訪問したのが。
#2044
○証人(丹羽喬四郎君) 佐藤君ですか。
#2045
○委員長(伊藤修君) ええ。
#2046
○証人(丹羽喬四郎君) いや、私はそのときは佐藤君を知つてからですから。九月頃佐藤君を知つた、それから丁度一月ぐらい。
#2047
○委員長(伊藤修君) 第一回の金を貰つて直ぐですな。
#2048
○証人(丹羽喬四郎君) はあ、一月ぐらい。
#2049
○委員長(伊藤修君) 第一回の金を貰つて。
#2050
○証人(丹羽喬四郎君) はあ。
#2051
○委員長(伊藤修君) 十二月の間ですね。
#2052
○証人(丹羽喬四郎君) 十月。
#2053
○委員長(伊藤修君) 第一回に二十万円貰つて、暮の三十日に十万円貰つたでしよう、その間ですか。
#2054
○証人(丹羽喬四郎君) そうでございます。
#2055
○委員長(伊藤修君) それとも三回貰つて三月頃十万円貰つたそのあとのことを言うのですか。
#2056
○証人(丹羽喬四郎君) そうじやございません。一番初めに金を頂戴しまして、その三四週間あとだつたと思います。
#2057
○委員長(伊藤修君) そうすれば先程私があなたにお尋ねしたごとく、渡辺さんからそういう話があつて、増田氏の政治資金か何かお困りのことがあつて、そういう金策を頼まれて、その用立して貰つた、だからこそ折角自分の金を出した人の所に一遍謦咳に接するということはあり得ることなんだから、又して置きたいことだから。
#2058
○証人(丹羽喬四郎君) そういうことはございません。
#2059
○委員長(伊藤修君) それでわざわざ面会を求めたじやないですか。
#2060
○証人(丹羽喬四郎君) そういうふうにとられましては。
#2061
○委員長(伊藤修君) 政治家は沢山あるんですから何もそのとき増田さんばかり……
#2062
○証人(丹羽喬四郎君) 誠に申訳ないと思つておりますが、そういうことは絶対ございません。これは若し何でございましたら他の関係者を、その当時の、渡辺さんを呼んで下すつてもはつきり分ると思います。
#2063
○委員長(伊藤修君) あなた達の関係のことは皆口が合つておりますから大体想像されますけれども。
#2064
○証人(丹羽喬四郎君) そういうことはございません、絶対に。私は今日は本当に真実を述べているのでございますから。
#2065
○委員長(伊藤修君) 佐藤という男はそんな軽率な男ですか。ありもせぬことをしやべるようなそんな軽率な男ですか。
#2066
○証人(丹羽喬四郎君) 私は心外に堪えない。
#2067
○委員長(伊藤修君) あなた達に黙つて金を、二十万、三十万、四十万という金をくれるような男だということになれば、そんな軽率なことを言う人なんですか。
#2068
○証人(丹羽喬四郎君) 私はどうして言つたか分らないのであります。
#2069
○委員長(伊藤修君) それでございますと、どうもその金を出したことは、真実は佐藤が言うがごとくであつて、周囲の事情いろいろな観点から総合して考えれば、そういう金を授受している真中において、わざわざ佐藤が訪問して、あなたがそれを紹介しているというような観点、いろいろな観点を総合して来ると、どうもそれと繋がりがあるごとく考えられる。佐藤の最初言うておつたことが本当だと考えられるのじやないか。
#2070
○証人(丹羽喬四郎君) そういうことは絶対ありません。ですから佐藤がどうしてああいうことを言つたか心外に堪えない、その点だけは。
#2071
○委員長(伊藤修君) 他に何か……
#2072
○大畠農夫雄君 旭混紡というのはできたのはいつでございますか。
#2073
○証人(丹羽喬四郎君) あれは確か記憶ははつきりしませんが、昭和二十一年頃じやないかと思いますが。
#2074
○大畠農夫雄君 昭和二十一年、昭和二十三年じやないですか。
#2075
○証人(丹羽喬四郎君) それはずつと前でございます。
#2076
○大畠農夫雄君 さつき岡崎さんは昭和二十三年十二月にできたと言つております。
#2077
○証人(丹羽喬四郎君) 旭混紡ですか、そんな馬鹿なことはありません。自分の会社ですからはつきり分つております。私もはつきり……忘れましたが確か新円になつて間もなくのことであります。
#2078
○大畠農夫雄君 それに拂込む二万五千円、あなたさんが五万円貰つてから持つて行つたのですね、そういうことを何故したのですか、五万円貰つて又二万五千円持つて行く。
#2079
○証人(丹羽喬四郎君) それは一応岡崎君としては君の取分は五万円、こういうことで持つて来てくれたのです。
#2080
○大畠農夫雄君 持つて来てくれた、くれたのじやなくして、二十万円から五万円頂いたのじやないですか。
#2081
○証人(丹羽喬四郎君) それは一遍岡崎君が会社に見えまして、おれが持つて行くからと言つて持つて行きました。それで、その晩だつたか翌朝だつたかはつきり覚えておりませんが、五万円私の家に届けてくれたのであります。
#2082
○大畠農夫雄君 届けたのですか、わざわざ。
#2083
○証人(丹羽喬四郎君) はあ。
#2084
○大畠農夫雄君 その後に又五万円、あなたさんが佐藤の所へ行つて五万円を貰つて、岡崎さんに渡したことありますね。
#2085
○証人(丹羽喬四郎君) それは一番最後の時でありますね。
#2086
○大畠農夫雄君 一番最後、そうすると結局二十万円と十万円、十万円、五万円ということになるのですか。
#2087
○証人(丹羽喬四郎君) 二十万円、十万円、十万円でございます。
#2088
○大畠農夫雄君 あとの五万円というのは、十万円を二人で分けたと、こういう意味ですか。
#2089
○証人(丹羽喬四郎君) そういうことでございます。
#2090
○大畠農夫雄君 先程増田さんの事務所へ、あなたが紹介したのじやない、あなたのいる所に佐藤が来たのだと、こう言つておられたのですが、佐藤は、あなたに紹介されて行つたのだと、こういうふうに言つておるようですがね、一緒に連れられて行つたのだと。
#2091
○証人(丹羽喬四郎君) 一緒に連れて行つたのでは、絶対ございません。
#2092
○大畠農夫雄君 そうじやないですか。
#2093
○証人(丹羽喬四郎君) はあ。
#2094
○大畠農夫雄君 その頃まで増田さんと一緒の所で事務をやつていたのですか。
#2095
○証人(丹羽喬四郎君) 事務所はさつき申す通り事務をやつていたのじやないのです、増田さんのところへときどき遊びに行つたのです。
#2096
○大畠農夫雄君 どうもそこが腑に落ちないのです。あなたさんが増田さんの所へ遊びに行つている、今日は行つているだろうと思つて、佐藤君が一面識のない所へ増田さんに会いに行くということが我々に腑に落ちない。今日は行つているぞ、後から来いということであれば分るのですが、ぽかつと今度行つてみようかなあと思つてそういう人がぽかつと行くようなことは、社会通念上考えられないです、そういうことは。
#2097
○証人(丹羽喬四郎君) 私は事務所はお教えいたしましたがね。
#2098
○大畠農夫雄君 それで事務所を教えただけでぽかつと佐藤が来たというのですか、増田さんの事務所へ。
#2099
○証人(丹羽喬四郎君) はあ、私もときどきは行つているからということは言いました。
#2100
○大畠農夫雄君 そのときに、僕は今日は先へ行つているからあとから来いと言つたのじやないのですか、それを言つたから……
#2101
○証人(丹羽喬四郎君) それを言つたから……別段何でもないのです。その当時の記憶を辿りながら言つておるのでありますから。
#2102
○大畠農夫雄君 実際連絡はなかつたのですか。
#2103
○証人(丹羽喬四郎君) はあ。
#2104
○大畠農夫雄君 紹介しようという気持はあつたのですか。来たらば紹介しようというのですか、来たから紹介しようというのじやないですか。
#2105
○証人(丹羽喬四郎君) いや来たらば紹介するという気持です。
#2106
○大畠農夫雄君 そのときは岡崎さんは行かないですな。
#2107
○証人(丹羽喬四郎君) おりませんです。
#2108
○大畠農夫雄君 岡崎さんと丸の内の事務所でよくあなたさんが会合したのですか。
#2109
○証人(丹羽喬四郎君) 丸の内の電気クラブですか。
#2110
○大畠農夫雄君 ええ電気クラブ。
#2111
○証人(丹羽喬四郎君) 私の事務所であります。
#2112
○大畠農夫雄君 あなたの事務所ですか。
#2113
○証人(丹羽喬四郎君) はあ。
#2114
○大畠農夫雄君 いや先程はそうじやなくて伊藤鑛壽の事務所であるけれども。
#2115
○証人(丹羽喬四郎君) 伊藤鑛壽の事務所を私が借りておつたのです。岡崎の事務所じやございません。
#2116
○大畠農夫雄君 いやそうじやない、あなたさんが借りておつた、それじやあなたさんが自由にその事務所を当時使つておつたのですね。
#2117
○証人(丹羽喬四郎君) さようでございます。
#2118
○大畠農夫雄君 それじや伊藤の事務所じやなくして。
#2119
○証人(丹羽喬四郎君) いや伊藤の事務所でございます。
#2120
○大畠農夫雄君 それはどういうのです。
#2121
○証人(丹羽喬四郎君) 伊藤の事務所をときどき私が事務所に使わしてくれ、間借さしてくれ、間借というとおかしいですが、だから伊藤さんのお客さんがあるときは二部屋でございまして、こつちに私がいたり、私もそんなしよつちう行つておるわけじやないのです。それからこつちを私が借りて、私の友達が来たら友達と会つたり。
#2122
○大畠農夫雄君 伊藤事務所という看板がかかつても、実際はあなたが專用しておつたのじやないですか。
#2123
○証人(丹羽喬四郎君) そうじやございません。さつき言つたように、伊藤さんもときどきお使いになつております。
#2124
○大畠農夫雄君 だけれども、その間一ケ月も毎日のようにあなたさんが会合しておつたというのじやないですか、そうじやないですか。
#2125
○証人(丹羽喬四郎君) ええ一月くらいは会合したことがあります。
#2126
○大畠農夫雄君 その点も腑に落ちないのですがね、どういうわけでその一月そんな用事があつたのです。
#2127
○証人(丹羽喬四郎君) 先程委員長に申上げた通りの用事であります。これは私共にとりまして相当重要な問題でありまして。
#2128
○大畠農夫雄君 毎日々々会合されたのですか。
#2129
○証人(丹羽喬四郎君) はあ。
#2130
○大畠農夫雄君 それは丁度昭和電工事件が起きたあの当時ですか。
#2131
○証人(丹羽喬四郎君) その点はつきりしませんですけれども、大体六月の末か七月頃か。
#2132
○大畠農夫雄君 渡辺さんの紹介があつて佐藤を知つたのですね。
#2133
○証人(丹羽喬四郎君) さようでございます。
#2134
○大畠農夫雄君 その前にあなたが知つたことがありませんか、佐藤を。
#2135
○証人(丹羽喬四郎君) ございません。
#2136
○大畠農夫雄君 その増田さんの部下が佐藤の甥の所にお世話になつておるということはあなたさん御存じでしたか。
#2137
○証人(丹羽喬四郎君) 私佐藤君の所に行きまして聞いたのです。
#2138
○大畠農夫雄君 そういうので、そういうふうに増田さんにも何かしてやるとか、或いは自分は恩になつたから何かしてやるという気持が起きたのじやないですか。
#2139
○証人(丹羽喬四郎君) 佐藤さんにですか。
#2140
○大畠農夫雄君 ええ。
#2141
○証人(丹羽喬四郎君) それは知りません。佐藤君の心境は。
#2142
○大畠農夫雄君 いや、そうじやない。あなたの心境が、増田さんに自分も世話になつておるし、増田さんの部下に佐藤も世話になつておる、いろいろの連絡があるし関係があるから、自分と増田さんの関係を考えて、増田さんを何とか援助して呉れという、こういう気持になつたのじやありませんか。
#2143
○証人(丹羽喬四郎君) 佐藤ですか。
#2144
○大畠農夫雄君 あなたが。
#2145
○証人(丹羽喬四郎君) いや、私は増田さんのために言つたのじやないのですから、それだからさつきから一生懸命謝つておるのです。増田さんにえらい迷惑で、自分自身のために、岡崎と私自身のために言つたのですから。
#2146
○大畠農夫雄君 それではお聞きしますがね。何とか援助できるものならば増田を援助してみてやつて呉れという気持はありませんでしたか。
#2147
○証人(丹羽喬四郎君) ございません。
#2148
○大畠農夫雄君 全然そういう気持は起らなかつた。
#2149
○証人(丹羽喬四郎君) ええ、それより自分らの問題が大事だつたのです。私共さつき言つたような事件もございますし、失職した者も随分ございますし、私共の方でもそう余裕があるわけでございませんから、現に出ておる政治家を援助するということはございません。
#2150
○委員長(伊藤修君) 増田さんに紹介された時に、佐藤がどういう話があつたのですか。
#2151
○証人(丹羽喬四郎君) まあ二、三分のことでございまして、何だかあの時は長野県の選挙区の方が大分ごちやごちや来ておりまして、大勢人が来ておりまして、あそこの石疊のあつた所がございますのです、そこで一二分のことです。
#2152
○委員長(伊藤修君) 増田さんがね、いろいろ世話になつて有難うと言つて、お礼を言つたのじやないですか。
#2153
○証人(丹羽喬四郎君) 私が……
#2154
○委員長(伊藤修君) その意味はどういう意味か分りませんけれども、そういうことは言われたのですか。
#2155
○証人(丹羽喬四郎君) 確かそんなようなことを言つたか分りませんな。
#2156
○委員長(伊藤修君) そうですか。
#2157
○証人(丹羽喬四郎君) はつきりいたしませんが。
#2158
○羽仁五郎君 二三伺いたいのであります。今日証言なさつたことと他の証言と違つておる点があるので、念のためにもう一遍伺いたいと思うのですが、この電気クラブに藤田という方が来られなかつたということをおつしやつておりますが、それははつきり来られなかつた。
#2159
○委員長(伊藤修君) さつき一回来たということになつたのです。
#2160
○証人(丹羽喬四郎君) 一度くらい来たことはあります。
#2161
○委員長(伊藤修君) あとで直つたのです。
#2162
○羽仁五郎君 それでは、次は土田さんという方が、制服を著てそこへ来ていたということはないですか。
#2163
○証人(丹羽喬四郎君) 制服だか何だか忘れましたけれども、藤田君と二人で一遍来たことがございました。
#2164
○羽仁五郎君 さつきは来たことを認められなかつた。
#2165
○証人(丹羽喬四郎君) いや、一度だけは来たのです。
#2166
○委員長(伊藤修君) あとで認めたのです。
#2167
○羽仁五郎君 土田さんもね。
#2168
○証人(丹羽喬四郎君) はあ、一緒に二人で。
#2169
○羽仁五郎君 その時制服であつたかどうか覚えていないですか。
#2170
○証人(丹羽喬四郎君) ええ、はつきり覚えていないですな。制服であつたかも知れないです。
#2171
○羽仁五郎君 併しあなたがさつき現職の警官が制服を著てそんな所に来たら大変だという。
#2172
○証人(丹羽喬四郎君) いや、そうじやありません。見張りをしているということだから、そんな馬鹿なことがあるものかと、こういうお話をいたしました。
#2173
○羽仁五郎君 制服を著ておつたかどうかはつきりしない。土田さんは部屋の中におつたのですか。
#2174
○証人(丹羽喬四郎君) 私と藤田君と、実は藤田君が体を惡くしまして、私の所に電話を掛けて来まして、お尋ねしたいからと、こういうことで来たのです。それから土田君が一緒にやつて来まして、それでまあ私が前に知つておる中村天風という精神療法の先生がいるのです。その先生の話を聞きに来たのでございます。
#2175
○羽仁五郎君 そうすると、その人の所に藤田さん……
#2176
○証人(丹羽喬四郎君) いいえ、参りませんのです。話を聞いただけです。
#2177
○羽仁五郎君 それからさつき内務省の外事課長の時代の問題で大分御苦心になつた、それはどういう問題……
#2178
○証人(丹羽喬四郎君) これはやはり抑留者の問題もございますし、それから外人諸君の問題でいろいろ問題が起つたものですから、それで実はまあちよつと随分取調を受けまして、いろいろなことがございましたものですから。
#2179
○羽仁五郎君 非常に有名な事件ですか。
#2180
○証人(丹羽喬四郎君) これは表には全然出ておりませんので。
#2181
○羽仁五郎君 では次に伺いたいのは、武徳会に対する処置がとられたのは、これはいつなんですか。
#2182
○証人(丹羽喬四郎君) 二十二年の十一月の十六日でございます。
#2183
○羽仁五郎君 それ以前にあなたが職をおやめになつたのはいつなんですか。
#2184
○証人(丹羽喬四郎君) 私がやめましたのは、二十年の十月でございます。
#2185
○羽仁五郎君 それはどうしておやめになつたのですか。
#2186
○証人(丹羽喬四郎君) 実はあの時、私はその前内務省におりましたし、警視庁と替りましても、その時の措置といたしましては、まあこれは私共が折衝が惡かつたのでございますが、警察部長をやつて、十六日目にやめさせた人がいるのでございます。そういうようなことがございまして、この際役人は一遍やめようと、こういう気になりまして、それで実は私やめたのでございます。
#2187
○羽仁五郎君 つまり言葉では何と申しますか、遠慮した方がいいという。
#2188
○証人(丹羽喬四郎君) はあ、まあそれは自分の責任上同僚や何かに対する、まあその後復活いたしましたのですけれどもね、その後私にもう一遍なつたらどうだということはございましたけれども、御遠慮申上げたわけなんです。
#2189
○羽仁五郎君 それから次に伺いたいのは、あなたは伊藤鑛壽という方に、増田さんの花輪をお世話なさつたということはあるのですか、伊藤鑛壽という方が何か不幸があつて。
#2190
○証人(丹羽喬四郎君) ああ、伊藤さんのお父さんが亡くなつた時にですね。
#2191
○羽仁五郎君 いつ頃のことですか。
#2192
○証人(丹羽喬四郎君) あれは二十二年頃じやなかつたかと思いますね。二十二年の五月か六月でした。
#2193
○羽仁五郎君 その時に増田さんにあなたがお話になつて、花輪を贈れと。
#2194
○証人(丹羽喬四郎君) いや名前だけ貸して下さいと、増田さんの名前をちよつと貸して下さいと言いました。
#2195
○羽仁五郎君 どういうわけなんです、それは。
#2196
○証人(丹羽喬四郎君) いや、伊藤さんが田舎で、岩手ですか、盛岡ですか、岩手で葬式する時に、偉い人の花輪を、益田さんの花輪を一つ頼んで呉れと、こういう話がございまして。
#2197
○羽仁五郎君 増田さんは、伊藤さんをよく知つているのですね。
#2198
○証人(丹羽喬四郎君) 知りませんです。一遍紹介したくらいです。
#2199
○羽仁五郎君 どこで紹介しました。
#2200
○証人(丹羽喬四郎君) 確かその時分ですから、大分前ですが、紹介いたしましたのですがね。はつきり記憶ございませんが、まあ私の家主ですからな、紹介したことはございます。
#2201
○羽仁五郎君 それからさつきの電気ビル、電気クラブですか、この集会をなさつていたというのは、まあ大体木曜と土曜と日が決つていたという証言がありましたが、それはどうなんですか。
#2202
○証人(丹羽喬四郎君) それは間違いだろうと思います。私は大体二日に一遍ずつくらいそこにひよこつと一時間か二時間晝飯を食いに寄つたものですから、それで私の友達が便利がいいものですから、弁当使いに来たりなんかしたことがございます。
#2203
○羽仁五郎君 併しいつあなたがおられるかということは大体分つていないと、友人諸君が来られるのに不便じやないですか。
#2204
○証人(丹羽喬四郎君) いやその時分皆友達連も遊んでおりまして、銀座の方へ出るとか、まあどつかの方面に行つたという途中ですね。日比谷の角の一番いい所ですから、ちよこつと覗きまして、いなければ帰つてしまう。しまいには鍵が始終かかつている、それで行つてもしようがないということになつた。
#2205
○羽仁五郎君 それから今一つあなた方が、最初の霞ケ関茶房の増田さんの事務所に集まつておられたが、何か都合が惡いので、それで今度は電気クラブの方に集まることにされたという証言がありますが、それはどうなんですか。
#2206
○証人(丹羽喬四郎君) そういうことは絶対にないということを申上げておるのですが、誰がそういうことを申すのでございますか。
#2207
○委員長(伊藤修君) 伊藤鑛壽が言うております。
#2208
○証人(丹羽喬四郎君) どうしてそういうことを言うか分りません。私はだからあの人が、あの事務所は燒ビルで、内部が綺麗でないときに一緒に見に行つているんですから、あの事務所を借りることを仲立ちした者と三人でずつと前に見に行つているんです。その時からの話なんですから。
#2209
○羽仁五郎君 併し伊藤鑛壽さんは可なり家を借りられたりなんかして、犠牲を拂つているということを言つておられたのですが。
#2210
○証人(丹羽喬四郎君) そうですか。実は私はこの間新聞で百円の家賃を拂えないであれしている、こういう話がございまして、事件が済んだら伊藤さんにも申そうと思いますが、私は初めは確か品川の署長をしております土田君が、当時私は警視庁で官舎が燒けまして、それで警視庁で寢泊りしておりました。あれは終戰直後だと思います。十日ぐらい経つてからだと思いますが、報告か何かに来たときに、ここに寢ていたら、いい家がありますよ、こういうわけです。そうしたらいい家なら貸して貰えるか、実は自分の官舎が燒けたから、ここをお使いなさいと言つて、空いておりますからどうですかということで見せに貰いに行つたが、帰りに伊藤さんの住んでいる家に参りまして、それでお願いできますか、是非使つて下さい、こういう返事でございます。そのときに七十円とか言つておりましたが、それでは七十円というなら百円にして置いて下さいというので百円ずつ拂いまして、それでやめてからも新円になるまではずつと拂つていたんです。新円になりましたときに、新円になつて私も二百円や三百円しか下ろせない。どうも困りまして、時に伊藤さんが私の家へやつて参りまして、丹羽さんなんか、自分で言うのもおかしいが、ともかく曲りなりにもやつて来た人だから、下手なところに住まない方がいいですよ、そのくらいのことは、私はあなたの小遣ぐらいのことは私世話しますということで、それではお願いしますというので、こういうことで私はお願いをしたわけなんでございます。それで一番初めは五百円ですが、段々物価が上つて参りますにつれまして、最後に一万円くらいになりまして、二万円くらい貰つたことも二、三回ございますが、やつていたわけでございます。家賃の方は、それも私は今の会社へ正式に入りまして、去年の春からは一銭も受けておりません。
#2211
○羽仁五郎君 その伊藤さんの証言では、土田さんから頼まれて、そうして相当な無理でもしなければならなかつたというように証言しておられるわけです。ですからこの伊藤さんの証言が、殊にさつきのような点に関する証言が惡意を以てなされたとは考えられないですね。
#2212
○証人(丹羽喬四郎君) どうしてそういう証言をしたか分らないんです。それは確か八月の末か九月の初めですから、実際を言いますとまだ疎開から帰つて来る人は殆んどない頃なんです。家は空いておるんです。事実あそこの家は空いておるんですから、それは近所でお調べになつても分りますが、伊藤さんの家は私の家と比較にならない家に住んでおるんですから、それでその当時伊藤さんも燈火管制のときに灯りが洩れて困るし、何とか人を置かなくちやいかんというので、こういう話でございます。そういう当時の状況でございます。私のことですから、そのときに弊害のない人かねということを念を押しておるんです。
#2213
○羽仁五郎君 それから伺いたいのは、昨年の一月頃長野県に行かれましたか。
#2214
○証人(丹羽喬四郎君) 岡谷ですか。
#2215
○羽仁五郎君 ええ。
#2216
○証人(丹羽喬四郎君) 岡谷ならちよいちよい参ります。
#2217
○羽仁五郎君 それはどういう……
#2218
○証人(丹羽喬四郎君) それは私の会社の本社です。
#2219
○羽仁五郎君 何という会社ですか。
#2220
○証人(丹羽喬四郎君) 小口会社です。それから銀行の関係でちよいちよい長野へ参ります。
#2221
○羽仁五郎君 最後に伺いたいのは、四月の四日から八日の間に、あなたは伊藤鑛壽さんに電話をお掛けになつたことがございますか。
#2222
○証人(丹羽喬四郎君) 絶対にございません。これは伊藤さんに私の人柄を聞いて貰えば直ぐに分ります。私は伊藤さんに、実はこの問題になるときに大分新聞に出て参りましたね、そのときも伊藤さんに、あんなどうも余計なことを言つても、私も実は癪にされるやら腹も立つんですけれども、どうも私らがいたためにえらいところへ、ああいう本当に商人で叩き上げられた方が引つ張られて気の毒だということを言つておるんです。私はそれ切りなんです。
#2223
○羽仁五郎君 電話をお掛けになつたことはございませんか。
#2224
○証人(丹羽喬四郎君) 絶対にございません。
#2225
○委員長(伊藤修君) あなたは参議院議員でない丹羽五郎という人がありますが、あなたとどういう関係でございますか。
#2226
○証人(丹羽喬四郎君) それは私の弟でございます。それで実は……
#2227
○委員長(伊藤修君) あのお方は昭電で四、五十万円貰つておりますね。
#2228
○証人(丹羽喬四郎君) はあ。
#2229
○委員長(伊藤修君) 貰つてあなたの方に渡りを付けようというふうに働きかけたんじやないですか。
#2230
○証人(丹羽喬四郎君) それで私は非常に疑いをかけられておるんです。一度弟を呼んで頂けば直ぐ分ると思います。
#2231
○委員長(伊藤修君) この前委員会でお目にかかつております。
#2232
○証人(丹羽喬四郎君) お呼び下さいましたか。
#2233
○委員長(伊藤修君) お目にかかつておりますが、それはなかつたですね。
#2234
○証人(丹羽喬四郎君) 絶対にございません。
#2235
○委員長(伊藤修君) お金の分配はなかつたですか。
#2236
○証人(丹羽喬四郎君) はい。
#2237
○委員長(伊藤修君) 丹羽さんは頭山さんの子分ですね。
#2238
○証人(丹羽喬四郎君) そういうような話でございます。
#2239
○委員長(伊藤修君) 右翼の方にあなたは御関係がありますか。
#2240
○証人(丹羽喬四郎君) 私は全然ございません。
#2241
○委員長(伊藤修君) 頭山さんや赤松さんや何かとあなたは一緒に会食されておることがありますか。
#2242
○証人(丹羽喬四郎君) いやそんなことはございません。私は一遍もございません。
#2243
○委員長(伊藤修君) 頭山さんと会食したようなことはありませんか。
#2244
○証人(丹羽喬四郎君) それは一遍もございません。
#2245
○松井道夫君 最後に二十万円を今の佐藤から持つて来たときに、これは予めやはり渡邊良夫さんに連絡して行つたんですか。
#2246
○証人(丹羽喬四郎君) 通じないんです。岡崎君と相談しまして、もう一遍頼むよといつて。
#2247
○松井道夫君 それは結構ですが、佐藤の所へ何と申込んだんですか。
#2248
○証人(丹羽喬四郎君) 金がなくて困つておるから何とかして下さいよと、こういつたんです。それは今まで佐藤君も今度のことで余りいろいろなことを言いましたけれども、その当時非常に気持の綺麗な奴だと思いました。
#2249
○松井道夫君 併し何に要るんだというくらいのことは聞きそうなものですね。
#2250
○証人(丹羽喬四郎君) 聞かないんです。
#2251
○松井道夫君 あなたの方から何に使うんだというようなことは言わなかつたんですか。
#2252
○証人(丹羽喬四郎君) 岡崎君も病気だし、私らは金がなくて困つているからと、こう申しました。
#2253
○松井道夫君 岡崎の病気に対して話しましたか。
#2254
○証人(丹羽喬四郎君) 病気の話もちよつとしたかも分りません、私一人で行つたんですから、岡崎君と相談して来たけれども、岡崎君は家で靜養しておりました。
#2255
○松井道夫君 今の事業の金だというようなことは言わなかつたですか。
#2256
○証人(丹羽喬四郎君) 事業の金も、その時に、私が行つた時はそういう話はありませんでした。その前に岡崎君が佐藤君と会つて事業の援助を頼んだということ知つていたそうですね。
#2257
○証人(丹羽喬四郎君) 金の話は、その時金を用意してありまして、それきりです。
#2258
○松井道夫君 何に使うとか何とかいうことは。
#2259
○証人(丹羽喬四郎君) ありません。
#2260
○松井道夫君 今最後に言われた岡崎云々というのは最初の時の二十万円の時の話しですか。
#2261
○証人(丹羽喬四郎君) 最後ですか……
#2262
○松井道夫君 その前に岡崎が事業の……
#2263
○証人(丹羽喬四郎君) それは最初の話です、後は生活費。
#2264
○松井道夫君 あなたは生活費として佐藤に話したつもりですか。
#2265
○証人(丹羽喬四郎君) 生活と言つて、金がなくて困るからと言つた、それきりです。
#2266
○松井道夫君 岡崎君から病気の話はしたかも知らん。
#2267
○証人(丹羽喬四郎君) はあ。
#2268
○松井道夫君 はつきりしない。
#2269
○証人(丹羽喬四郎君) 岡崎君が来られないから私必要だと言つたら……
#2270
○松井道夫君 生活という意味の時はこれは渡辺を通じたのですかね。
#2271
○証人(丹羽喬四郎君) 渡辺さんが電話をかけてくれたと岡崎君も言つております。
#2272
○松井道夫君 それはどういうような話だつたかあなたとしては分らない。
#2273
○証人(丹羽喬四郎君) そうです。二人を援助してくれたと思つたのです。
#2274
○羽仁五郎君 ちよつとさつき伺い洩れた二点だけ伺いたいのですが、電気クラブに藤田という方と土田という方は御一緒だつたのですね。
#2275
○証人(丹羽喬四郎君) ええ。
#2276
○羽仁五郎君 それはいつごろですか。
#2277
○証人(丹羽喬四郎君) さあ、たしか十月頃じやないかと思います。
#2278
○羽仁五郎君 二十三年十月、この電気クラブへはあなたの事務所の看板をかけておつたのですか。
#2279
○証人(丹羽喬四郎君) 看板は伊藤さんの三洋工業という大きな看板が出ております。又私が一週間ぐらい出したことがあるのです。「丹羽事務所」というやつを、それは大分前です、ずつと前ですが。
#2280
○羽仁五郎君 二十二年の末か二十三年ですね。
#2281
○証人(丹羽喬四郎君) 下手に看板を出すと税金を取られるという話ですぐ引込めてしまつた。(笑声)こつちは一銭のあれもないし、事業をしているのではないから。
#2282
○羽仁五郎君 それでクラブを事務所にしておつたのは最初の証言では二十四年の二、三月ごろですが……
#2283
○証人(丹羽喬四郎君) 二十四年のたしか、そのころだと思います。
#2284
○羽仁五郎君 それで二十四年の一二三月ごろにはどういう会合にお当てなさつたのですか。
#2285
○証人(丹羽喬四郎君) 別に会合もいたしませんがね。
#2286
○羽仁五郎君 そうすると全然あなたは行かなかつたのですか。
#2287
○証人(丹羽喬四郎君) 行かないと思いました。
#2288
○羽仁五郎君 いつごろから……誰も行かないのですか。
#2289
○証人(丹羽喬四郎君) 二十三年の暮ごろから行かないのじやないか、二十四年の一月ごろですかな、私が行かないものですから鍵が空きませんから、伊藤さんはときどき行つておつたようですけれども伊藤さんには用はないわけですから。
#2290
○羽仁五郎君 大体二十三年の暮まで比較的瀕繁に使つておられた。
#2291
○証人(丹羽喬四郎君) そういうわけですね。そうして大体さつき名前が出たような方が、さつきの三人の方は外事課長時代の知合だつた方ですが。
#2292
○羽仁五郎君 後はいろいろな方が……
#2293
○証人(丹羽喬四郎君) 後は私の友人でございます。内務省の私の同僚課長でございます。事務官のときもあれでございますし、その点がまあ皆一緒に集まつて会合を持つたというふうに新聞ではとれる。
#2294
○羽仁五郎君 警視庁の吉武とか日野という方はそこへ見えた。
#2295
○証人(丹羽喬四郎君) いや来たことはございません。
#2296
○羽仁五郎君 両方とも。
#2297
○証人(丹羽喬四郎君) ございません。
#2298
○委員長(伊藤修君) 今岡田包義さんはどこにいるか御存じありませんか。
#2299
○証人(丹羽喬四郎君) 知りません。
#2300
○委員長(伊藤修君) 知りませんか。
#2301
○証人(丹羽喬四郎君) ええ、私は岡田さんはお名前だけです。あまり知らないのです。内務省の先輩ということで。
#2302
○松井道夫君 もう一点お尋ねしておきますが、現職の警察官があなたのお宅か何かへときどき御機嫌伺いとか、或いはお話を聞きに集まるとか訪ねるとかいうようなことは。
#2303
○証人(丹羽喬四郎君) 私のところですか、私のところはございません。私は警視庁に六ケ月しかおりませんから。
#2304
○松井道夫君 岡崎のところへ今のようなことで訪ねたことはございませんか。
#2305
○証人(丹羽喬四郎君) 今はないと思いますが、今は岡崎君の家とずつと離れてしまいましたから、様子が分りませんけれども。
#2306
○松井道夫君 お近くであつたときはちよいちよいございましたか。
#2307
○証人(丹羽喬四郎君) ちよいちよいもございません。
#2308
○松井道夫君 あるにはあつた。
#2309
○証人(丹羽喬四郎君) 正月とか盆には挨拶には来た人がいると思いますが。
#2310
○松井道夫君 その程度でございますか。
#2311
○証人(丹羽喬四郎君) ええ。
#2312
○委員長(伊藤修君) 岡田包義さんとは面識あるようですね、増田さんのところでお会いになつたかね。
#2313
○証人(丹羽喬四郎君) 増田さんの所かどうかはつきり覚えておりません。
#2314
○委員長(伊藤修君) 佐藤が来た時もおつたわけですか。
#2315
○証人(丹羽喬四郎君) その時はいなかつたと思います。
#2316
○委員長(伊藤修君) おつたのではないかね、別におつたつて構わんのですけれども。
#2317
○証人(丹羽喬四郎君) 記憶ございません。
#2318
○委員長(伊藤修君) そうしよつちうお会いになりませんか。
#2319
○証人(丹羽喬四郎君) 会いません。
#2320
○委員長(伊藤修君) よく存じ上げているのですね。
#2321
○証人(丹羽喬四郎君) お名前だけです。
#2322
○委員長(伊藤修君) 顔も知つているでしよう。
#2323
○証人(丹羽喬四郎君) それは顔も知つております。内務省の先輩ですからね。
#2324
○委員長(伊藤修君) それではどうもお忙しいところ有難うございました。では本日はこれを以て散会いたします。明日は午前十時よりいたします。
   午後六時三十七分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     伊藤  修君
   理事
           鬼丸 義齊君
           岡部  常君
   委員
           大野 幸一君
           大畠農夫雄君
           遠山 丙市君
           松井 道夫君
           羽仁 五郎君
  委員外議員
           岡田 宗司君
  証人
   消 防 総 監 塩谷 隆雄君
   元警視庁特高部
   長       岡崎 英城君
   元警視庁警視総
   監官房主事   丹羽喬四郎君
ソース: 国立国会図書館
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