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1979/03/18 第91回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第091回国会 地方行政委員会 第7号
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1979/03/18 第91回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第091回国会 地方行政委員会 第7号

#1
第091回国会 地方行政委員会 第7号
昭和五十五年三月十八日(火曜日)
    午前十時四十二分開議
 出席委員
   委員長 塩谷 一夫君
   理事 石川 要三君 理事 大石 千八君
   理事 中村 弘海君 理事 松野 幸泰君
   理事 小川 省吾君 理事 神沢  浄君
   理事 小濱 新次君 理事 三谷 秀治君
   理事 河村  勝君 理事 部谷 孝之君
      池田  淳君    小澤  潔君
      亀井 静香君    亀井 善之君
      岸田 文武君    工藤  巖君
      椎名 素夫君    丹羽 雄哉君
      井岡 大治君    加藤 万吉君
      細谷 治嘉君    小川新一郎君
      斎藤  実君    吉井 光照君
      安藤  巖君    田島  衞君
 出席国務大臣
        自 治 大 臣 後藤田正晴君
 出席政府委員
        自治大臣官房長 石見 隆三君
        自治大臣官房審
        議官      久世 公堯君
        自治大臣官房審
        議官      花岡 圭三君
        自治省行政局長 砂子田 隆君
        自治省財政局長 土屋 佳照君
        自治省税務局長 石原 信雄君
 委員外の出席者
        地方行政委員会
        調査室長    岡田 純夫君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月七日
 辞任         補欠選任
  加藤 万吉君     稲葉 誠一君
  小川新一郎君     草川 昭三君
  工藤  晃君     安藤  巖君
同日
 辞任         補欠選任
  稲葉 誠一君     加藤 万吉君
  草川 昭三君     小川新一郎君
同月十四日
 辞任         補欠選任
  田島  衞君     山口 敏夫君
同日
 辞任         補欠選任
  山口 敏夫君     田島  衞君
同月十七日
 辞任         補欠選任
  亀井 静香君     中川 一郎君
  田島  衞君     山口 敏夫君
同日
 辞任         補欠選任
  中川 一郎君     亀井 静香君
  山口 敏夫君     田島  衞君
同月十八日
 理事河村勝君同日理事辞任につき、その補欠と
 して部谷孝之君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
三月十七日
 地方公務員災害補償法及び消防団員等公務災害
 補償等共済基金法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第六六号)
 昭和四十二年度以後における地方公務員等共済
 組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一
 部を改正する法律案(内閣提出第六七号)
同月十八日
 地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提
 出第二八号)
同月十日
 行政書士法の一部改正に関する請願外九件(大
 石千八君紹介)(第一八五九号)
 退職地方公務員の共済年金・恩給等改善に関す
 る請願(井岡大治君紹介)(第一八六〇号)
 同外四件(小川省吾君紹介)(第一八六一号)
 同外三件(河野正君紹介)(第一八六二号)
 同外二件(神沢浄君紹介)(第一八六三号)
 同外三件(堀昌雄君紹介)(第一八六四号)
 同外一件(前川旦君紹介)(第一八六五君)
 同外三件(山口鶴男君紹介)(第一八六六号)
 同外一件(飛鳥田一雄君紹介)(第一九一二
 号)
 同外一件(松浦利尚君紹介)(第一九一三号)
 同(新井彬之君紹介)(第一九七六号)
 同外二件(谷口是巨君紹介)(第一九七七号)
 同外二件(吉井光照君紹介)(第一九七八号)
 高等学校増設のため地方税財政制度改善に関す
 る請願(竹入義勝君紹介)(第一九一四号)
同月十一日
 退職地方公務員の共済年金・恩給等改善に関す
 る請願(飛鳥田一雄君紹介)(第二一二八号)
 同(井岡大治君紹介)(第二一二九号)
 同金子みつ君紹介)(第二一三〇号)
 同(木原実君紹介)(第二一三一号)
 同(細谷治嘉君紹介)(第二一三二号)
同月十二日
 退職地方公務員の共済年金・恩給等改善に関す
 る請願(井岡大治君紹介)(第二一八六号)
 同(金子みつ君紹介)(第二一八七号)
 同(長谷川正三君紹介)(第二一八八号)
 同(村山富市君紹介)(第二一八九号)
 同外二件(石橋政嗣君紹介)(第二二九〇号)
 同(鈴切康雄君紹介)(第二二九一号)
 同外二件(高沢寅男君紹介)(第二二九二号)
同月十四日
 退職地方公務員の共済年金・恩給等改善に関す
 る請願(井岡大治君紹介)(第二四一五号)
同外三件(上原康助君紹介)(第二四一六号)
 同(斎藤実君紹介)(第二四一七号)
 同(柴田弘君紹介)(第二四一八号)
 同外二件(嶋崎譲君紹介)(第二四一九号)
 地方自治体財政の確立等に関する請願(池田克
 也君紹介)(第二四二〇号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の辞任及び補欠選任
 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出
 第一九号)
     ――――◇―――――
#2
○塩谷委員長 これより会議を開きます。
 この際、理事の辞任についてお諮りいたします。
 理事河村勝君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○塩谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 引き続き、理事の補欠選任を行うのでありまするが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕.
#4
○塩谷委員長 御異議なしと認めます。
 それでは、委員長は部谷孝之君を理事に指名いたします。
     ――――◇―――――
#5
○塩谷委員長 内閣提出に係る地方税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありまするので、順次これを許します。神沢浄君。
#6
○神沢委員 私はまず大臣にお尋ねをいたしたいと思うのですが、昨年、地方制度調査会の第十七次答申というのが行われておりまして、これについては本会議などの答弁を通じても、総理も自治大臣もみんな十二分に尊重して実行していく、こう明言をされているところでありますが、私はこの改正案というものを見まして、どうも本当に十分に尊重をして取り組んでおるのかどうなのか、まことに疑問があるわけであります。大体この改正案の内容を見ますと、事業税及び住民税の一部手直しというようなところが柱になっておるように思われますが、これはやはりいま目前のインフレ的な経済情勢というものの後追いをしておるようなことにすぎぬではないかというふうに受けとめざるを得ないわけでありまして、答申の中で言っておりますいわゆる地方の時代に対応しての地方税財政制度というものの基本的な改正ということについては、どうもこの改正案の内容というのはおよそ無縁のような内容ではないかというふうに思うわけであります。大体五十五年度の地方財政計画の中で歳入中に占めておる税の割合というのはわずかに三六・二%、これは昨年より比率的には少ない、こういう現状になっておると思います。
 さっきも大都市関係の代表の方たちの陳情なども聞いたわけなんでありますが、全国知事会の要望意見などを見てみましても、これはぜひひとつ五〇%の線だけは何とか引き上げてほしいというような非常に強い意見があるわけですけれども、この十七次答申というものにどう対応されておるのか、そして今度の改正案は自治省の考え方の中でどうこの答申に対しての位置づけがされておるのかというふうな点が何とも納得がしかねるわけでありまして、まずそれらの点について大臣の所見を承りたいと思います。
#7
○後藤田国務大臣 十七次の地方制度調査会から、地方分権の推進を図れ、それがためには地方財政の基盤の強化をする必要がある、それがためには地方税源の充実強化を図るべきである、こういう御答申をいただいておるわけでございます。私どももそういう趣旨は十分わかっておりましたので、できるだけ何とかしたいという考えは持っておりましたが、同時にまた、最近の経済情勢等を踏まえまして、一体そういった環境にあるのかないのかということもいろいろ考えたわけでございます。十七次の答申の中にも、具体化についてはさらに引き続いて検討する、こういう御答申もいただいております。そこで、ことしの改正に当たりましては、そういった十七次の御答申の趣旨と、引き続いて検討するということで十八次の地方制度調査会の会長の御意見、これらを踏まえまして、五十五年度の改正の際には、税負担の適正化ということと、当面現在の税制の中での地方税源の充実強化ということだけを改正することにして国会の御審議を仰ごう、こういう方針になったわけでございます。
 したがって、御質疑の中にございますように、十七次の基本的な地方の税源の充実強化という点から見るならば、自治省の考え方そのものがまことに理解に苦しむ、こういった御疑念も私どもとしては十分わかっておるつもりでございます。ただ、十七次の答申というのは御案内のように、中長期にわたる地方制度全般の大きな改革ということでございまするので、私どもとしてはあの趣旨に沿って、これは粘り強い中長期にわたる大きな課題だということで取り組んでいきたい、かように実は考えておるような次第でございます。
#8
○神沢委員 いまの大臣の御答弁を聞いておりますと、決意は決意だけれども、本音は間に合わなんだというように受け取らざるを得ないですけれども、そういうことでいいのかどうか、私はそんなことでもって、いませっかく地方の時代云々というようなことが言われておる折から、本当にこの情勢に対応し問題の打開が図っていけるのかどうか、まことにおぼつかない感がしてなりません。
 これは局長さんでいいですけれども、関連でお聞きをしておきたいと思うのですが、わけても、市町村の歳入の中に占める税収入の割合を見ますと、昭和三十年代の前半においては四五%台ぐらいのものを確保できておった、そのぐらいの水準は保持されておった。その後は逐年低下が続きまして、昭和五十三年決算では三〇%をやっと占めておるにすぎない、こういう状況だと思うのですが、大体本年あたりはどうなるのか、ちょっと見通しを述べていただきたいと思う。
#9
○石原政府委員 御指摘のように、三十年度のころから五十三年度のころまでの決算を見ますと、市町村の歳入中に占める税収入の割合は逐年低下をしておりまして、五十三年度決算では三〇%ぎりぎりという状況でございます。五十五年度の市町村の税収の割合がどうなるか、これは決算の動向いかんでございますが、地方財政計画上の税収入割合は五十四年度よりも若干上昇しておりますので、地方財政計画と同じような傾向で決算が進むならば若干上昇することが期待できるのではないか、このように見ております。
#10
○神沢委員 それにしてもとにかく若干程度のことでもって、なかなかこれはもう問題の打開などということに取り組んでおる姿勢とは私どもには受けとめられないわけでありまして、特にこれは言うまでもありませんけれども、大平内閣になってから地方重視というものは内閣の政策のかなり基本的な柱として据えておられる。田園都市国家構想というようなことを言っておられるのですが、口先だけでは言っておっても、少しもそれを裏打ちするような実体的なものがあらわれてこないということになりますと、これは国民をだましておると同じようなことにならざるを得ないんじゃないかという感じを私は強く持っているわけであります。したがって本案に関しましても、そういう地方を重視をするというような点について、そんな点は少しも認められないと受けとめているわけなんですが、地方財政計画の上においても、そういう内閣の考え方というものがどう具現されようとしているのか、またこの税財政制度の上においても、それがどんなように用意をされているのかというような点をもう一度大臣に承りたいと思いますし、端的に言えば、大体基本的な制度改革というようなものに本当に取り組んでいこうとしておるのか、取り組んでいく決意というものを実際に持っておるのか。持っておるとすれば、たとえばことしはこういうスタートをしたにしても、今後どういうようにやっていくかというようなお考えがあろうと思うのですが、そういうような点をお聞きをしておきたいと思います。
#11
○後藤田国務大臣 御質問のような御批判もあろうかと思いますけれども、地方の問題というのはやはり国全体の中で国と地方を通ずる大きな課題でございます。したがって、根本的にメスを入れるということになりますと、まず国と地方のそれぞれの仕事の分担、こういった点から手を入れていって、同時に、それが国と地方それぞれの組織機構に及んでくる。同時にまた、その仕事の分担の決め方によって、それを裏打ちする税制、税の配分の問題、こういった基本の大きな課題があることは御理解していただけると思います。
 そこで御案内のように、いま政府が取り組んでおるのは、国、地方を通じたいわゆる行政の改革に取り組んでいこう、こういうことで、大平内閣としては鋭意そういった作業を進めておるいま過程にあるというよりは入り口に立っているのだ、かように御理解をしていただきたいと思います。私どもとしてはそういった行政改革の機運の際に、ただいま申したような基本的な物の考え方に立って、国、地方を通じた大きな行政改革の道をひとつ見出していこう、いませっかくこういう努力をしつつある段階で、したがっていまの時点で御批判があるとするならば、一向何もやっていないではないか、こういう御意見は当然私は甘受しなければならぬと思いますけれども、私どもとしてはこのままでいいというふうには考えておりません。やはりこれは大きな時代の曲がり角に立って、国全体の統治機構そのものをどう考えていくかという大きな課題を解決しなければならぬ、かように考えておりまするので、その点ぜひ御理解を賜りたい、かように思います。
#12
○神沢委員 やることはやるというわけですね。
 そこで関連でお尋ねをしておきたいと思うのですが、自治省がさきにこれは予算委員会の審議の資料として提出をされた地方財政の収支試算というやつがありますね、この試算を拝見をいたしますと、大体五十九年度には財源不足を解消する、こういうようなことになっておると思います。そのためには、五十六年から五十九年までの四年間に二兆七千億ほどの税の増収を確保することになっていると思います。
 ところで、ついでにお聞きしておくわけですけれども、自然増収の伸び率というのがいままでのところ平均どれくらいになっておるか。私は大体一二ないし一三%ぐらいの範囲内じゃないか、こう思っておるわけですが、そうであるとすれば、現行税制のままでおればこれは自然増収の伸びだけではとても間に合わない。二兆七千億というのをちょっと計算してみますと、大体平均一六・一%くらいの伸びになっておると思います。そうすると、これはやはりどこか制度上の改革を伴っていかなければ、こういう計算は成り立ってこないというふうに私は受けとめるわけでありまして、したがってこれを出すからには、そういうこともやはり一応構想として土台に置いて、制度の上の改革というようなものも構想として含まれて、こういう試算が私は出てきておるのじゃないかというような解釈をしているわけですが、そうであるとすれば、これはこういうような改革の構想を下敷きにして出しておるのだというようなことを、やはり明らかにしていただく必要があるじゃないかというふうに思いまして、その点をこれはひとつ担当の局長さんの方から説明をしていただきたいと思います。
#13
○石原政府委員 ただいまお話しのありました地方財政収支試算でございますが、これは大蔵省の方から提出された国の方の財政収支試算と同じように、先般経済審議会の企画委員会が発表いたしました経済社会七カ年計画の暫定試算というものをベースにして昭和六十年度時点を展望して、それまでの収支の状況がどういう形になるのかという試算を行ったものでございます。
 その中で税収の見込みにつきましては、昭和六十年時点のGNPあるいはその時点における租税負担率、この七カ年計画では現在ほぼ二〇%の租税負担率を二六カ二分の一と想定しておりますが、そういう想定の上に立ちまして、五十五年度の地方財政計画の数字をベースにしてその目標に到達するようにいわば直線で歳入歳出の試算を行ったものでございます。
 税収入につきましては、ただいまお話がありましたようにこの各途中年次の伸び率は、GNPの平均伸び率が一一・四%と想定しておりますので、従来の実績でありますGNPに対する地方税の弾性値一・一を前提にいたしますと、いわゆる自然増の伸び率としては一二・五%という数字になろうかと思います。それで、今回の収支試算は自然増収分及び増税分と申しましょうか租税負担の増加分、こういった分けた試算はしておりません。いわば込みで単純な試算をしておりますが、いまのような自然増収を一二・五と想定して引き算をしてみますと、各年度のギャップというか差額分は合わせますと約二兆七千億になります。
 では、この二兆七千億の差の分について具体的にこういう方法で税負担の増加を図る、税源の強化を図るという具体案があるのかという御指摘でございますが、率直に申しましてございません。今後の税財政全体の検討の手がかりとしてこのような試算を行ったという性格のものでございまして、したがって、この目標を達成するためには今後、税制、財政全般につきまして総合的な検討が必要である、こういう問題を明らかにするという意味合いのものでございます。したがいまして、繰り返すようでありますが、この差について具体的な税制改革の案というものを準備しているわけではございません。この点につきましては、地方財政収支試算におきましても国の方の財政収支試算におきましても事情は同様でございます。
#14
○神沢委員 そんなことじゃないかと私の方も実は大きく疑問に思ってお尋ねをしたわけですけれども、そうなりますと、いまの御答弁を要約をすれば、国の方の試算に合わして一応数字の上だけでもってつじつまを合わしておるにすぎない、したがって内容的には、二兆七千億をどう制度上のものまで含めて確保していくかということについては用意はない、こういうように受け取っていいわけですか。
#15
○石原政府委員 具体的な改正案というようなものは準備しておりません。
#16
○神沢委員 何だか大変いいかげんな話になってしまって、まことに遺憾千万なことだと思うのですが、さりとて、この問題だけにかかっておりますと時間がありませんから次に進みますが、そうですか、試算なんというものはそんな程度のものですかね。
 さて、それではちょっと具体的な問題に入りたいと思いますが、これは私は本会議の質問の際にも取り上げて一応御答弁はいただいておりますが、しかしその御答弁では納得がいきかねるもので、ひとつ少し深めてお聞きをいたしたいと思いますが、個人住民税におけるところの課税最低限の問題です。
 私は何といたしましてもわれわれ国民の立場で、国民といいましてもあるいは市民、町村民といいましても生活は一つですから、したがって、生活費に課税はしないという例の本則といいますか、こういうものに基づいて考える場合には、やはり課税の最低限の額というのが所得税の場合と住民税の場合違ってしまうということ、これはごく素朴な考えからいたしましても何としても理解がつかないところなんですよ。何か制度の上においては、所得税はいわゆる標準生計費を課税最低限の決定の基準にしておる、それから住民税の場合は生活保護基準、これを最低限決定についての基準にしておる、それで食い違ってくる、こういうことでありますが、生活保護の基準との対比なんか考えてみますと、住民税そのものが前年収入に基づいておるからということでもあるわけですけれども、何か毎年毎年その年の生活保護基準の額よりか最低限として決められる額の方が後追いをしている、少ない、これは私は何としても実感として感覚的に納得できない。何でこういうふうに二様に決めなければならないかという点についてまずお尋ねをいたしたいと思う。
#17
○石原政府委員 いま御指摘のように、いわゆる課税最低限の物の考え方としては、最低生計費には課税しないという理念といいましょうか考え方があると思います。そこで、具体的に各年度においてどの程度の額を課税最低限とするかということは、そのときどきの物価情勢あるいは生計費の状態、さらに税制としては地方財政の状況、こういったものを勘案しながら決めていくことになるわけですが、所得税との関連について申しますと、御案内のように住民税は、地域社会の費用をその構成員である住民になるべく広く負担していただこうという考え方があります。これに対して所得税は、所得再分配機能を達成する最も中心的な税制であります。そういうことから所得税はいわば国全体をにらんで、どういう段階から課税しどういう税率構造で課税するかという判断が中心になると思います。そういった意味で私どもは、伝統的に所得税と住民税の課税最低限はある程度差があるのは税の性格からやむを得ない、このように考えております。
 現在の住民税の課税最低限は、まさに現時点における最低生活生計費に課税しないという水準として設定されている、このように考えておりますし、所得税はそれより若干上回る水準に現在ある、このように理解しておるわけでございます。したがって税の性格からいたしまして、今後とも所得税と住民税の課税最低限が同じであるべきだという考え方は私どもはとっておりません。
 なお、現実の問題として、生活保護基準との関係で住民税の課税最低限が追いつかれてしまったということで、五十五年度の税制改正においても税制調査会でもこれは大変議論がありました。そこで、生活保護基準と住民税の課税最低限の関係をどのように考えたらいいのかというような点については、多少税理論的にあるいは学問的に少し突っ込んだ検討が必要なんではないか、このような問題提起がなされまして、五十五年度に入りましてから税制調査会の場を中心にこの問題の検討に取り組んでいきたい、このように考えております。
#18
○神沢委員 五十四年の課税最低限の額が百四十九万、同年の保護基準が百五十万五千円。五十五年は引き上げたと言って百五十八万四千円。ところが五十五年の保護基準は百六十二万円になる。このように毎年その年においては、なるほど前年収入に基づくという違いはあるけれども、やはり国民の生活の実感、感覚から言うと、毎年毎年生活保護基準より少ない最低限の額というのはちょっと理解できないですよ。
 さっきの御説明では住民税の方は、地域におけるところのひとしく行政の利益を受ける立場でもって、言うなれば会費制みたいなもので、そういう意味合いのものが含まれる、こういう御説明だったと思うのですが、それなら均等割というものはどうなるのですか。均等割というものこそ、あれは所得のいかんにかかわらずその地域の住民たるの立場でもって、言うなれば会費制的な性格のものが制度化されておる。そうすると、所得割の住民税の方は何もそれに加えてやる必要はないじゃないですかね。その辺が私は何としても納得できない。均等割という制度がないならば、いまの御説明も受け入れられます。しかし、一方にはっきりそのための均等割という制度があるのだから、それになおさら会費制的なものが加わるという点が納得できない。だからこそ、さっきもお話がありましたが、政府税調においても、これは今後の検討課題だというふうな答申も出ているようですけれども、もう一度均等割との関連の点、それから自治省としても、税調などのそういう意見もある折からですから、今後この問題についてひとつ真剣に検討を加えていくというようなお考えを持っておられるのかどうか、あわせてお伺いをいたしたいと思います。
#19
○石原政府委員 住民税における均等割と所得割の関係でございますが、御指摘のとおり均等割は、まさに会費的な意味合いを込めて、一定の所得以上の住民の方にはいわば定額で住民税を負担していただくという制度であります。片方の所得割は、住民の所得に応じて税負担をお願いする。こういう制度が両方組み合わさっているわけでございますが、意見としては、均等割を現在のような非常に低い額でなしにかなりの収入が得られる程度に引き上げて、そのかわり所得割の方は課税最低限をかなり引き上げていったらどうだというような御意見があることは事実でございます。ただ、現状におきまして、均等割をそう一挙に大幅にということはむずかしいわけでございますし、また所得割のウエートというのが圧倒的に高いわけでありますから、御提案のようにこれをいま所得税と同じにしてしまうということになりますと、それによって生ずる減収を均等割で埋めるということはとうていできないほど金額は大きいわけでございます。したがって、やはり今後とも均等割と所得割と両方併用しながら住民税の理念というものを実現していかなければならないと思いますが、その場合に、均等割があるから所得割の方を所得税と同じ課税最低限にしていいじゃないかという議論はやはり問題ではないかと私自身は思っております。
 いずれにいたしましても先ほど申し上げましたように、住民税の課税最低限が現実に生活保護基準に追いつかれ、またほうっておけば来年になれば追い越されるわけですから、こういう事態をどう理解しどう対処するのかということは、住民税の制度の基本にもかかわる問題でありまして、私どもも今後真剣に取り組んでいかなければならない、このように考えております。
#20
○神沢委員 後半のことは何だかよくわからぬですよ。だから、所得割の方もいまのままにしておかなければならぬという理由づけが、頭が悪いからわからぬのか、恐らくどなたもきっとわからぬのじゃないかと私は思いますが、これはとにかく矛盾のあることは間違いないと思います。だから税調だってああいうことを言っているのだろうと思うのです。こんなわかりにくいことをやっておく必要はないのじゃないですかね。
 この際私は、大臣にその点だけをお尋ねしておきたいと思うのですが、これはやはりもっとわかりやすい制度に、そして納得のいくような制度に変えていくということに取り組んでいただきたい。大臣はどんなお考えか、ひとつお尋ねしておきたいと思います。
#21
○後藤田国務大臣 御質疑の点は、住民税の基本に触れる問題だと思います。昔から所得税の方は所得の再配分機能を重視してやっていく、住民税の方はお互いに金を持ち寄って村の必要経費を支弁する、その場合にも、お金のある人とない人との開きはやはり所得の差ということで考えていこう、さらに広く会費的なものを持っていただこうというのが均等割、こういうことで今日まで来ておることは事実でございます。しかしそうはいいながらも、いま神沢先生がおっしゃるようにそれは会費的なもの、つまり、昔は道路をつくるといったような場合でも、夫役現品といって自分の労力で奉仕しましょう、場合によれば物を出しましょう、こういう制度がございましたね、ああいう思想も市町村などという地域社会では、みんながともかくそれぞれ分に応じて持ち寄ってやっていこうではないかといった基本の流れが私はやはり住民税というものの底にあると思いますね。そこらで課税最低限を決める場合にも、所得再配分だけを頭の中に置いておる所得税の課税最低限と住民税の課税最低限というのは、負担分任とでもいいますか、差があってしかるべきだといったような伝統的な考え方が基礎にあるものですからね。しかしさればといって、ただいま神沢先生がおっしゃるような、まあ均等割でいいじゃないかという御議論も当然出てきます。そういうこともあって、同時にまた、生活保護基準との関連が最近出てきたわけですね。もとはあんなことは全然なかったと思いますが、最近それが出てきておるといったようなことで、御承知のように税制調査会等でも検討しようという意見が出ておると思いますので、さらにこういう点は、従来からいろいろ問題のある点でございますので、十分検討してまいりたいと考えます。
#22
○神沢委員 次に、私はこれまたちょっと理解いたしかねておる点ですが、道府県民税の所得割についての問題ですけれども、今回の改正で個人住民税の減税を、所得の六百五十三万円ですか、それより上の層に対する増税で補っておるような内容になっておると思うわけです。その際、市町村民税の適用区分は小さく刻んで引き上げまして増税のために制度を変えているわけですけれども、道府県民税については何で税率の調整というのを行わないのか、何でそのままにしておるのか。現に百五十万をラインにして、以下あるいは超えるものということでは実態にも即さないですよ。たとえば低所得層の保護という一つの考え方があるとするならば、それに基づいて百五十万という数字はまことに実態にそぐわないと思いますし、それより何より、なぜ道府県民税だけはそのままにしておくのかという点が、私は考え方の上からしてどうも理解できないわけでして、そんな点からひとつお伺いをいたしたいと思います。
#23
○石原政府委員 今回、課税最低限の引き上げに伴う減収に対処するために、市町村民税の税率適用区分を調整したわけでございますが、道府県民税の方をいじらずになぜ市町村民税だけに手を加えたかというお尋ねでございます。率直に申しまして、今回の減収に対処するために税率を調整する場合に、基本的に税率構造を変えるほどの大改正をこの段階で行うことはいかがなものか、最小限度の調整によって対処したい、このように考えたわけでございます。その場合に、市町村民税の方は二%から一四%までの十三段階のブラケットがございますので、いわば微調整がやりやすい税率構造になっております。ところが、道府県民税の方は百五十万円を境にした二段階の税率なものですから、いわゆる微調整になじまない、こういう事情で、市町村民税において必要な調整を加えたわけであります。しかし、両方とも手を加えたらいいじゃないかという議論ももちろんありました。ただ、百五十万円というものを三十七年度以来今日までずっと据え置いてきておりますけれども、これをどうするかということは、道府県民税の税率のあり方をどうするかという議論がいま先生御指摘のようにもともとございますので、そういったときにあわせてこの問題を検討したらいかがなものかということで、今回は道府県民税には手を触れなかったわけでございます。
 今後の問題といたしましては、確かに市町村民税の性格と道府県民税の性格、同じ住民税でありますけれども、比較的広い地域を対象とする道府県と狭い地域を対象とする市町村との税の性格からするならば、税率構造はむしろ逆じゃないかという議論ももともとあるわけであります。昭和三十七年に所得税の一部を入場税と引きかえの形で道府県民税に移譲したというときの経緯であのような構造になったわけでございますけれども、いずれにしても、今後所得課税全体をどう考えるかというときにあわせて、道府県民税の税率構造をどうするかということは検討しなければならないものである、そういう問題意識は十分持っております。
#24
○神沢委員 税の応能的負担というようなたてまえの問題としても、やはり道府県民税もいまのような二段階の税率ということではかなりもう理論的にそぐわない、私はそう思いますよ。ですから、市町村民税の状況までに至らなくても、やはりもっと多段階レートの適用というのはこれは当然のことじゃないかというふうに思います。そこまでいかなくても、あれを百五十万円で切っておくなんということは、かなりもうこれは実態にそぐわぬじゃないか。少なくとも倍の三百万円ぐらいに上げてあるということならば多少わからぬこともないですけれども、とにかくもう実態にそぐわないようないまのままでもって出してきてあるという点に私は、何としても理解がいきかねる点があるわけでありまして、これはひとつ十二分の検討をしてください。
 それから、今日までの中期税制構想、そういうふうな考え方によりますと、国の場合であればいわゆる一般消費税の創設ということに大きくかけてきたようでありますが、これはいわば国民から否決をされたというか、国会においても先般決議なども行われているところでありまして、一般消費税導入ということは一応消えておる。その当時の地方財政にかかわる考え方からすれば、言われております地方消費税構想、こういうふうなものが伴っていた、こう思いますが、国においても一般消費税の考え方というものがいまやなくなった以上は、地方においても地方消費税構想というものはあり得ない、こういうふうに私どもは受け取れますが、それでよろしいかどうか。
#25
○石原政府委員 いわゆる地方消費税の考え方というのは、このもとになりますいわゆる一般消費税を国税として導入するということが大前提になりまして論議された制度でございますから、国税の方でいわゆる一般消費税と言われるものが導入されないということになれば、そもそも成り立たない構想でございます。したがって、財政再建に関する国会の決議あるいは税調における論議等を踏まえて今後の財政再建をどういう形で行っていくのか、その場合に税制をどう改正していくのかということの中で、地方消費税において考えられたような事柄を今後はどういう形で実現していくのかということは、これからの大変大きな課題であろうと思います。いずれにいたしましても、一般消費税という国税が導入されるという前提で地方消費税構想ができたのですから、もとがなくなればこちらの方もなくなるという関係に立つことは、御指摘のとおりでございます。
#26
○神沢委員 そうであるとすれば、これまた今日までかなり論議もあった点のように見受けられますが、法人事業税の外形標準課税、これは広く要望があるところだと思いますが、一般消費税に伴う地方消費税構想というようなもののかかわり合いの上から今日まで見送られてきておる。しかし、いま御答弁のように国がそうであれば地方も当然そうだということになりますと、一般消費税構想はいまやなくなっているわけでありますから、法人事業税の外形標準課税というものについては急ぐべきであるし、少なくとも五十六年度あたりから実施されてしかるべきじゃないかというふうに思います。その点はどうですか。
#27
○石原政府委員 御指摘のとおり、いわゆる外形標準課税の議論というものは地方団体の長年の悲願でございまして、事業税の性格からするならば、外形標準課税的な考え方というものがあってしかるべきではないかという考え方を私どもも昔から持っております。この点は、地方制度調査会の答申でもたびたび取り上げられておりますし、税制調査会の答申でもまた取り上げられております。ただ、この外形標準課税の導入問題が一方においては、赤字企業にも税負担を求めるという点で非常に反対も強かったことは事実でございます。そこで、この外形標準課税の導入問題に対する賛否の結論がなかなか出ない段階で一般消費税の構想が出てまいりまして、それを一部地方に地方消費税として分けていただくという形で実質的な解決を図ろうとしたのがいわゆる地方消費税構想であります。この構想が当面実現ができないということになりますと、もとへ戻って外形標準課税の問題をどうするかということは当然、これからの大きな検討課題であろうと思います。ただこの点については、これからの財政再建を行うに当たりまして税制改正をどういう方向で行っていくのか、税制調査会などを中心に論議されていくと思いますので、その中で外形標準課税の問題も取り上げていかざるを得ない、またはいくべきものである、このように考えております。
#28
○神沢委員 余り歯切れのいい説明じゃないように思いますね。そんなことはわかり切っておることだから、もう次年度あたりからは取り組むくらいの姿勢は見せなければ、地方団体が納得しないね。要望しておきます。
 それから、事業税においての社会保険診療報酬の非課税措置の問題ですが、私はこれは当然廃止すべきだと思います。
    〔委員長退席、松野委員長代理着席〕
これは国民一般の意見というものも大体そうであることは間違いありません。当然廃止すべき問題だと考えておりますけれども、その点についての御意見を聞きたい。国税の方は変わっておるんだから、国税の方では修正がされておるわけですから、少なくとも国税にならったような修正は行われなければおかしいじゃないですか。その点はいかがですか。
#29
○石原政府委員 事業税における社会保険診療報酬の取り扱いにつきましては、長い間の議論がございます。一方また、所得税の方でも社会保険診療報酬の扱いにつきまして議論があり、こちらの方は御案内のように、昨年の税制改正で一応の方向づけがなされたわけです。
 事業税の方についてどうするのかということについて、私どもも昨年来検討してまいっているわけでございますが、ただ所得税と事業税では課税の考え方に大きな違いがございます。事業税の方は事業活動に対して課税をする、そして課税した分は経費に算入される、こういう仕組みになっております。したがいまして、社会保険診療報酬に対して事業税を課税いたしますと、その課税した分は当然またもう一遍社会保険診療事業の経費として診療報酬に反映していく、結果的にはそれは患者の負担に返っていく、こういう仕組みになっております。そういった税の性格の差というようなこともこの際考えざるを得ない、所得税と全く同列に扱うわけにいかないというやや税の理論上の問題もございます。それからまた、この社会保険診療報酬の課税の特例ができましたのは昭和二十七年ですか、このときに同時に他の幾つかの事業についても公益上の必要性ということで非課税対象にされております。こういった従来一緒に論議されていた他の事業との均衡、こういったことも考えるべきじゃないかという意見もございます。いずれにいたしましてもこの問題につきましては、五十五年度の改正では実現しなかったわけでありますけれども、引き続きこの問題は検討してまいりたい、このように考えております。
#30
○神沢委員 時間が窮屈になってきましたから急ぎますが、本案の中で、地方道路譲与税についての一部改正が行われるわけでありまして、この譲与基準の改正によって利益を受ける団体、それから、その団体の受ける利益というのは大体どの程度のものなのかという点をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
#31
○石原政府委員 今回の譲与税法の改正の内容は、いわゆる不交付団体と言われる交付税計算上の収入超過団体に対する譲与制限の一部手直しという内容でございます。現在、道府県で地方交付税の不交付団体は東京都だけでございますので、具体的にこれによって影響を受けるのは東京都でございます。
 それから、今回の改正によって具体的にどの程度の金額の変更があるかと申しますと、東京都の場合、五十三年度の実績で申しますと、約二十一億円これによって譲与額がふえることになります。
#32
○神沢委員 この改正は結構なことですけれども、ただちょっと疑問もあるわけでして、大体この改正については東京都では長年の要望が続けられてきたはずです。私の聞いておるところでは、大体四十年ごろから引き続き要望が行われてきていたと思います。それが何でいまごろにならなければ改正できなかったかという点がわからないのです。一部の新聞なんかを見ますと、やっぱり美濃部さんのときじゃだめで、今度は鈴木都政にかわったから、それでそうなったんじゃないかというようなことを書いておったのもありましたよ。何でいままで改正すべきものがこうして延引されてきたかという点もついでにお伺いをしておきたいと思います。
#33
○石原政府委員 道路譲与税の譲与制限につきましては制度創設の当初から、地方交付税のいわゆる不交付団体については譲与制限を導入するという制度が昭和三十五年度から導入されております。これは、限られた道路財源をできるだけ公平に譲与しようという発想に基づくものであります。しかし、当時から不交付団体の立場からしますと、程度の差はあれ道路需要に対する財源は足りないのだから、このような譲与制限を行うべきでないという意見があったことも事実であります。しかし客観的に申しまして、東京都を初め他のいわゆる不交付団体と言われた団体も、この譲与制限が導入された時点と最近とでは財政状況がかなり変わってきております。特に東京都の場合はここ二、三年来、逐年財政状況が悪化してきております。さらに、道路に対する目的財源の投入状況などを見ましても、やはり東京都の場合かなり窮屈になってきております。そういうことを総合勘案いたしまして、現在の譲与制限の中で、特に前年度に対する伸び率で制限している部分がありますが、この点については今回これを廃止しよう。そして財源超過額の二割あるいは譲与基準額の三分の二の額を控除するというもともとの制限方式は、現状においてはまだ継続せざるを得ないということで、こちらの方は残しておりますが、この伸び率によって制限する方は、これはいまの東京都の財政状況からいたしまして継続するのは適当でない、このように考えた次第でございます。
#34
○神沢委員 次に、今回の改正内容で不動産取得税において、新築住宅及びその土地に係る課税標準等の特例措置の適用対象をこれは一定の住宅に係るものに限定をしているわけですが、それはどういう理由によるのかという点が一つと、それから、その内容としての面積要件が百六十五平方メートル、これは坪数にすると五十坪ぐらいらしいのだけれども、これはいまの実態からいって実情に適さぬのじゃないか。五十坪なんというものはささいなものですよ。さらには、法案にうたってこれを申告制にするというわけですね。見てみますと、六十日以内に申告をしなければ適用にならないというわけです。私はこの点は非常に問題だと考えております。なかなか申告制というのは日本人にとりましては、まだまだこのことに限らず非常になれておりませんで、いわば社会生活上きわめて未成熟という点は事実だと思います。たとえば自動車の運転免許証なんかにしてもそうですが、あれは忘れちゃって困るものですから、忘れないようにということでもって、たしかその人の誕生日に更新をするというようなことに変えたと思うのですが、変えてもまだまだそれがなかなか実行されないというような向きがありますが、ここでにわかに改正をして六十日以内なんて区切ったって、そうなりますと恐らく、せっかくの法改正のための利益というものを改正はしても受けられずに終わってしまうようなことが当面、非常に大きく出てくるんじゃないかということが懸念されてなりません。六十日などということになぜしなければならぬのかというような点もありますが、こういう非常に混乱をし、懸念の大きいようなことをここでもってにわかにやるのではなくて、もっとそういう事態が避けられるようなやり方というものをとる必要があるんじゃないかということを非常に感じてなりませんが、その点についてひとつ御説明を願いたいと思います。
#35
○石原政府委員 今回の地方税法の改正案の中で、不動産取得税の課税標準の特例及び土地に係る税額の軽減措置の特例につきまして、御指摘のように新築住宅につきましては新たに面積要件、価格要件を設けました。
 なぜこのような制限を設けたのかといいますと、理由は二つございます。一つは、従来新築住宅につきましては制限なし、どんな大きな住宅でもすべて特例措置の適用対象にいたしておりました。これについていまの地方財源の状況から、ある程度以上の大きな住宅を建てる方には本来の負担をしていただく、特例措置は適用除外にしていただきたい、そして地方財源の強化を図りたい、こういった気持ちがございました。
 それからもう一つの理由は、今回新たにいわゆる中古住宅の取得につきまして、一定の要件を具備するものについては課税標準の特例あるいは土地に対する税の軽減措置を設けることにいたしましたが、そちらの方は、一定の要件を具備するものでないとこれは非常に不公平になる、また課税上も混乱が起こるということで、この中古住宅の方について一定の要件を設けることにしたわけです。一定の要件を具備するものについて特例を設けることにしたわけです。その場合に、中古住宅に対する一定の要件というものを考える場合には、住宅を建てる場合あるいは住宅の売買が行われる場合に同時に、登録免許税の方でも一定の要件を具備したものについては優遇措置がございます。そこでこの国税の登録免許税の方で設けております要件と同じ要件に合致したものについて中古住宅の課税上の特例を認めよう、このように考えたわけでございます。
 そこで、それとの関連もありまして、新築住宅について一定の線を引くとするならば、この登録免許税やあるいは中古住宅に対する扱いと同じようにするのが望ましい。完全に同じじゃありませんけれども、たとえば最高の面積を何平米にするかという場合に、百六十五平米というのがこれはほかの税でも大体そうなっております。それから、所得税などでも優遇措置を講ずる場合の面積基準が百六十五平米という基準になっておりますので、ここら辺に線を引くことが妥当ではないか、このように考えたわけであります。
 なお、百六十五平米というのは非常に小さいじゃないかという御指摘でございます。この点については、確かに都会と農村地帯ではかなり差がありまして、農村地帯では必ずしも大きくないという御指摘もありますが、しかし新築住宅の全国的な統計を見ますと、百六十五平米以上の住宅というのはきわめてわずかです。統計的にはせいぜい五%ぐらいしかございません。大部分はそれ以下でございます。したがって、所得税における基準あるいは登録免許税における基準なども考えますと、百六十五平米というのが、いま住宅の特例として線を引くとすれば妥当なところではないであろうか、このように判断したわけであります。
 次に、この特例措置を受けるに当たりまして、申告をした者だけが有資格だ、申告しなければ適用しませんというふうにした理由でございますが、先ほど申し上げましたように、今回新たに特例を導入した中古住宅の方では、これは申告してもらわないと優遇措置の対象になるかならないかがわからない、課税上非常に困難を来すという事情から、これはどうしても申告をしていただかなければならない。そこで新築住宅につきましても、従来のように全然制限がない状態のもとではともかくとして、今回線を引く以上は、資格のある人には、自分のところは資格があるから特例措置を適用してほしいという申告をしていただくということが課税関係を適正化する、それから課税事務を明確化する上で必要である、このように考えたわけであります。
 ただ一般市民の感情として、もともと自分の権利であってもなかなか申告をするというのは忘れがちである、おっくうである、いわんやこれを六十日というふうに区切るのは非常に酷ではないかというような御指摘でございますが、この点につきまして、新たにこういう制度を設けるということでございますから、当然私どもはある程度の準備期間が必要であると考えまして、三カ月間は余裕期間を置く、すなわち、この特例は七月一日以降から適用するといたしておりますし、また、関係省庁とも連携をとりながら、都道府県を中心にこういう制度になったということは十分PRいたしまして、一般の納税者の方に周知徹底を図っていきたい、このように考えております。
 なお、新たに申告義務を課するということで、全く新しい行為を要求するというふうにとられているのですけれども、現在におきましても不動産を取得した方は、各都道府県の条例の定めに従いましてこれを報告してもらうことが義務づけられております。その報告義務は、条例によっていろいろ幅があるのですけれども、多くの団体が大体十日から三十日以内に届け出を義務づけております。これはすべての不動産についてそういう義務づけがあるわけですから、その届け出と一緒に申告をしていただくということでいいわけでありまして、全く新しい義務を課したということではございません。それからまた申告に当たりましては、別途なるべく本人の負担を軽減するような便法措置、他のたとえば登録免許税等で必要とされる書類の写しをそのまま出していただくことで足りるというような扱いも考えたいと思っております。
 いずれにいたしましてもこの制度は、不動産取得税の課税関係の明確化を図るという意味でぜひ必要であると考えまして、このような制度化を行ったわけであります。その実行に当たりまして混乱を生じないように、今後とも関係団体を十分指導しながら、適正な税務執行を図っていきたい、このように考えております。
#36
○神沢委員 時間が来ましたから以上で終わりますが、私はやはり六十日ということににわかに限定をして、いままで新築の場合などはそうでなくても済んだものを、これはふなれですからかなりの――恐らく自治省が考えているようなことには絶対まいらぬと思いますよ。その点については何としても納得がいきかねることであって、再考を求めて質問を終わります。
#37
○松野委員長代理 吉井光照君。
#38
○吉井委員 私は地方税の諸問題を中心にしながら、数点にわたってお尋ねをしておきたいと思います。
 まず近年、地方の時代ということが叫ばれておるわけですが、わが国の地方自治体の現状は、行財政全般にわたってその自治体の独立性というものは依然損なわれているということは御承知のとおりであります。こうした中で、地方制度調査会の第十七次答申、これはあらゆる面の地方行財政の改革、そういったものがうたわれているわけでございますが、政府はそれに対応すべき姿勢といいますか、そういったものがなかなか見られない。こうしたことが最も端的にあらわれているのが、自治省が昨年未に発表したいわゆる五十三年末の地方債残高、これが二十一兆六千億、これが今年度末は二十五兆にまでふえるということが予想されているわけであります。
 この数字は国民一人当たり二十三万円近い借金をしておるということを意味しておるわけでございますが、こういった現況からまず大臣にお尋ねしたいことは、こうしたいわゆる地方自治体の行政運営及び赤字克服についての基本的な姿勢、これについてお伺いをしたいと思います。
#39
○後藤田国務大臣 今日の地方自治の姿については、制度としては比較的よくできておる、ただ、運営の実態が何といいましても財源が足りないという面から、本当の意味での地方自治にふさわしいような地方の行政が行われにくくなっておるということは、これは間違いのない事実であろう、かように考えます。そういったことで、地方制度調査会等からもいろんな御意見をいままで承っておりますが、十七次の御提言は、これは本当に深く立ち入った、これからの新しい時代に即しての地方自治がどうあるべきかということについての基本的な問題を含んでおるように思います。そういったことで、ちょうどいま国、地方を通じた行政の改革ということが叫ばれておるさなかでもございまするので、私自身あの答申の線を踏まえながら中長期の課題だ、こういうとらえ方で仕事を進めてまいりたい、かように考えております。
    〔松野委員長代理退席、中村(弘)委員長代
    理着席〕
 その際の基本の考え方は、住民の身近な仕事というものはこれは地方団体がすべきものであって、それには地方団体が行うことができるような財源をどのように付与するかということであろう、こう思います。その際に一つは、税源配分という問題がございますが、ただこの税源配分の問題は、今日の各地方団体間の経済の格差、それから来る税源偏ということを頭に置いておきませんとうまくいかない。したがってそれらを含めて考えた場合には、地方税源の充実強化と並んで、税源偏の現状にかんがみてどうしても共通の一般財源、つまり交付税、こういった問題とあわせて充実をしてまいりたい、かように考えておりますが、しかし御承知のとおりの今日の国の財政の実情でございます。したがって、それをいついかなる段階でどのような形で持ち出すのか、実現を図るためにはそこをよく考えないと、単に主張するにとどまって実現が困難であるということになりはしないか、かような点を私は考えるわけでございます。そういったような基本的な認識のもとに、何とか今日の地方自治を少しでも進展をさせてまいりたい、かように考えておるような次第でございます。
#40
○吉井委員 そこで、地方制度調査会の第十七次答申の中にもありますように、「地方公共団体の自主性、自律性の強化」、この項目の中に、「政治、経済、文化等諸機能の地方分散を図るとともに、国、地方を通ずる行政改革によって、行財政の両面にわたって地方公共団体の自主性、自律性を強化し」云々ということがあります。また、経済企画庁の新経済社会七カ年計画の中にも、「地方財政の健全化」の項目の中では、「国、地方を通じ行財政の合理化の徹底を図るとともに、国、地方公共団体間の事務配分」そして「国、地方を通ずる行政全体の簡素合理化を図る」、こういうふうなことが提言されているわけであります。したがって自治省としては、この地方制度調査会の答申、また経済企画庁のこういう提言、こういったものを五十五年度の自治省の重点政策、また五十五年度予算、こういった中にどのように反映をしておられるのか、お尋ねをしたいと思います。
#41
○久世政府委員 お答え申し上げます。
 ただいまの十七次の地方制度調査会の答申あるいは昨年八月に政府としてつくりました新経済七カ年計画につきましては、ただいまおっしゃいましたような趣旨が盛られておるわけでありますが、いま御指摘がございましたように、地方行財政に係る重要な問題といたしまして、国、地方を通ずる行財政の簡素化あるいは地方財政の健全化が取り上げられておるわけでございます。そこで政府といたしましては、国、地方を通ずる行財政の簡素合理化につきましては、昨年の十二月末に行政改革計画につきまして閣議決定を行ったわけでございまして、その中にもあらわれておりますように、補助金、許認可事務の合理化、あるいは地方支分部局の整理合理化ということを決めたわけでございまして、自治省といたしましても、この閣議決定の線に沿って五十五年度にはこういう政策を盛っておるわけであります。また、地方財政の健全化につきましては、五十五年度の地方財政計画におきまして、新経済社会七カ年計画の趣旨を踏まえまして、おおむね国と同一の基調によりまして、住民負担の適正化あるいは経費の節減合理化を図っているところでございます。行財政の合理化につきましては、なお今後の推進にまたなければならないものも多いわけでございます。引き続きましてこの実現に努力してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
#42
○吉井委員 先ほどの質問とちょっと重複するかもわかりませんが、地方財政が昭和五十年度以降、毎年大幅な財源不足を生じておる。これの補てんに交付税特別会計の借り入れ、また財源対策債、これらを合わせて十三兆七千三百四十二億、これだけの金額に上っているわけですが、現行の税財政制度が続く場合においては五十五年度も多額の財源不足を生ずる、これは政府の収支試算においてもはっきりしておるわけです。したがってやはりこの際、地方税財政制度の全般にわたる根本的な見直しが必要になると思うのですけれども、この点についてはどうですか。
#43
○石原政府委員 御指摘のとおり、収支試算の各年度別の収支差額を見ますと、経済社会七カ年計画に想定する国民所得に対する租税負担率のアップというものを前提にして初めて、現在の財源不足額が逐年減少するという形になっておりますので、それを達成するためには、歳入歳出両面にわたる再検討が当然必要になってまいると思います。中でも歳入面では、税制の根本についてこれからの経済社会に即応した見直しということが避け得られないのではないか、このように考えております。
#44
○吉井委員 そこで、やはり地方税財源の増強ということが今後の大きな課題でございますが、四十八年暮れの石油ショック以来、国、地方とも財政が非常に窮乏してきた。各地方自治体、特に県段階において、景気に余り左右されないところの外形標準課税の導入、これが強く要請されてきたわけです。しかし政府は、一般消費税の導入説に絡ませて、外形課税の導入というものが一応お預けの形になった。ところが御承知のとおり、一般消費税の導入ということが非常に困難になってきた今日、幸い税の自然増収に救われてどうにか地方自治体も窮地に陥らなくて済んだわけですが、最近のこうした経済情勢からして、この種の自然増収というものもやはり長期には続かないだろう、どうしても短期的と言わざるを得ないわけですが、となりますと今後、特に五十六年度以降の地方税財源の確保というものについてどのように考えておられるか、この点をひとつお尋ねしたいと思います。
#45
○石原政府委員 御指摘のとおり五十五年度の場合は、五十三年後半からの景気の回復に伴う税の自然増収というものに助けられまして、国税、地方税ともかなり大きな自然増収がございました。
    〔中村(弘)委員長代理退席、委員長着席〕
それに伴って、地方税あるいは地方交付税も前年度に比べてかなり状況がよくなったと思います。しかし、こういう情勢が五十六年度以降同じようなテンポで続くということを期待することは、かなりむずかしいという見方が一般的であります。一方歳出の方は、いろいろ節減合理化の努力をしなければなりませんけれども、しかし基本的には、いまの増加傾向が急に変わるということは期待できません。そういう意味で、五十六年度以降を展望いたしますと、自然増収が落ち込んできた分を何らかの形でカバーしなければいけない。そうした場合に、歳出の見直しと同時にまた、税制等につきましても基本的な見直しがどうしても必要になってくるのではないか、このように考えております。
#46
○吉井委員 いま外形課税の話が出たついでというのはなんですけれども、一般消費税の導入が非常に困難になった以上は、先ほどからもいろいろと議論されましたように、この事業税の外形課税を速やかに導入すべきじゃないか、こういう意見を持っておるわけでございますが、ただこの際、外形課税となりますと、やはり大都市と地方の府県のバランスの問題があるやに聞いておりますけれども、知事会においてはこのバランスの問題も了解済みである、このように聞くわけですが、この外形課税の導入の問題についてひとつ御所見を伺いたいと思います。
#47
○石原政府委員 外形標準課税の問題は、事業税の本質からするならば、そういった課税方式の方が望ましいという議論がもともとあるわけでございます。特にこの点は、ただいまもお話がありましたように、昭和五十年度のあの景気の落ち込みの際に法人事業税が激減したということも一つのきっかけになりまして都道府県が、現在の地方税法の規定上独自に条例で外形標準課税が採用できるという規定を利用して、四十七都道府県が申し合わせで同一の条例でこれを実行してはどうかというようなことで研究活動が行われたわけです。しかし、議論を詰めていきますと、やはりいろいろ問題も出てきたようであります。また、ただいまお話がありましたが、分割基準だけでなしに、業態によりまして外形標準をとった方が有利な団体と所得課税の方が有利な団体もあったりしまして、なかなか実施までには踏み切れなかったようであります。そうしているうちに、いわゆる一般消費税の構想というものが出てまいりまして、それとの関連において、この外形標準課税の問題を地方消費税という形で実質的に解決しようという方向に向いておったのが、昨年までの状況でございます。
 しかし、この地方消費税につきましては、そのもとになります一般消費税の方が、問題があるということで当面実行できない情勢になっておりますから、この地方消費税の方も当然、導入というものはむずかしくなってきたわけです。そこで、外形標準課税を本来の姿に立ち返って早急に導入を検討すべきではないか、こういう議論が出てきていることも事実であります。この問題は私どもは、五十六年度以降の税制の抜本的な改正、この内容がどういう方向になっていくか現時点では定かに申し上げられないのでございますけれども、いずれにしても抜本的な改正が論議されることは必至でありますから、その中でこの法人事業税の外形標準課税の扱いも当然取り上げられるべきものと、このように考えております。
#48
○吉井委員 先ほどから五十六年度以降の地方税財源の確保についていろいろと御所見を伺ったわけでございますが、今後の経済推移から考えて当然、いまもちょっとおっしゃいましたけれども、やはり本格的な税制改正というものが必要になってくるということは事実でありましょう。となりますと当然、増税または新税の創設に頼らざるを得ないわけです。また一方では、行政の簡素化、効率化の推進、これも当然図っていかなければならないわけですが、いずれにしろ、増税の可否をめぐる世論の動向、また政府関係機関等に対する国民の批判、こうしたことからして、まず思い切った行政改革がなされなければならない、このように思うわけでありますが、その手始めとして、国庫補助負担金制度等の改善、これをどのように考えておられるのか、またこの場合一般財源、すなわち地方税収への振りかえについては考えられないものか、この点はどうでしょうか。
#49
○後藤田国務大臣 今日の地方財政状況を考えました場合に、しょせんは財源が足りなくなる、税制改正に踏み切らざるを得ないではないか、こういうことの御意見ですが、私はやはりその前にやることがある。それは何といいましても行政の改革だ。そしてできる限り簡素、効率的な行政制度に切りかえるということを政府みずからがやらないといけないのではなかろうか。同時にまた、経済をできるだけ安定成長といいますかそういう方向に運営することによって、現在の税制のもとでの自然増収をできるだけ確保するということがその前提であろう。そういったあらゆる努力をした上でなおかつ、税が不足であるといったような段階に至って初めて国民の皆さん方に、この段階でぜひひとつ国民の皆さん御判断をしてください、こう言うのが筋で、いきなり増税路線というものを持ち出してみたところでとうてい無理なことではなかろうかな、かように私自身は考えております。しかしいずれの日にか、国も地方も税財政全般についての改革をしなければならない時期は来るのではなかろうか、私はかように考えております。
 その前にやるだけのことをやろうと言っていまこの内閣が取りかかったのが、いわゆる行政の改革、合理化ということでございまするので、私どもとしてはその線に沿ってやっていく。その過程において、地方分権の推進という観点に立って取り組んでいきたい。そのためには、さしあたっていまおっしゃった補助金、負担金、こういったものをどう扱っていくか、あるいは許認可をどう扱っていくかという問題はございますが、補助負担金等については私は、補助金というのはやはり特定の政策推進のために必要なものだと思います。しかし、これを通じての過剰な地方団体に対する関与というものが行われていることも事実ですし、また、補助金というのはとかく既得権化するという傾向もございますし、同時にまた、零細なつまらぬ補助金で効率の上がらぬものもあるといったようなことでございますので、こういったものは整理をする。残った仕事についてはできる限り、個別の小さな補助でなくて、メニュー化するとかあるいはまた統合化するというようなことにする必要がありはしないか同時にまた、地方にその財源全体を移していったらどうだといったようないろいろな問題があろうと思いますが、そういうような意味合いから補助金制度等についても十分検討をしてやっていこう。これは政府はいまその方針でございますから、逐次実施に移してまいりたい、かように考えております。
#50
○吉井委員 次に、適正な租税負担水準の確保ということですが、現行の租税負担水準をどのように考えておられるのか、また、今回の地方税制の改正によりまして、昭和五十五年度におけるところの地方税の負担水準は国民所得に対してどのようになっておるのか、この点をお尋ねしておきたいと思います。
#51
○石原政府委員 最近の地方税の租税負担率でございますが、五十三年度の決算で申しますと七・四%であります。それから、五十四年度の実績見込みで申しますと七・六%。それから五十五年度は、現在の地方財政計画の数字をベースに推定いたしますと七・八%に上昇する、このように見ております。
#52
○吉井委員 次に、現行の国と地方の税源配分の割合ですが、これは非常にむずかしい問題でありまして、たびたびあらゆる機会を通じて論議がされているところでございます。しかし、地方公共団体がその機能というものを十分に発揮をして地域住民の多様な要請にこたえるためには、この税源配分の割合の見直し、これが当然大きな課題になってくるのではないかと思うのです。したがいましてこの問題は、地方制度調査会または全国知事会、こういったところでも大きい要請となっているわけです。
 自治大臣は昨年の十一月、全国知事会の会長といろいろ対談をされております。この対談の中で、税源配分の問題、また租税の負担水準、行政事務の再配分等について総合的な立場から全力を挙げてこれに取り組んでいくと、このように話しておられるわけでございますが、この国と地方の税源配分の問題についてはどうですか。
#53
○石原政府委員 国、地方間の税源配分の現状は、通常おおむね二対一と言われておりますが、昭和五十年度以降を見ますと、法人税の落ち込み等もありまして若干国のウエートが下がって、五十五年度で申しますと一・八対一というぐらいの割合で、若干地方のウエートが上がってきております。しかしいずれにしても、現在の国、地方の事務の分担から見ますと、地方税のウエートが非常に低いということは否定できないわけであります。ただ国税のうち、交付税や譲与税として地方に配分されるものをカウントいたしますと、税源配分は全体としてはフィフティー・フィフティーよりやや地方に多くなっているということ、これは事務の実態からして当然なことであります。
 これ以上に地方の財源のウエート、特に独立税源のウエートを高めるというのが私どもはこれからの理想であろうと思いますけれども、ただその場合には、先ほど大臣からも御答弁がありましたように、国庫補助金制度の改正、国庫補助金の一般財源振りかえということを同時に考えなければなかなか実現しにくいことではないかと考えております。いずれにしても私どもは今後の課題として、地方の独立税源のシェアをもっと高めるということに努力していかなければならない、このように考えております。
#54
○吉井委員 となりますと、せんだっての五十五年ベースの地方財政収支試算、これを見ても、税源配分の割合の変更ということはもう全然考えられないのか、そのように理解していいですか。
#55
○石原政府委員 先般お示しいたしました地方財政収支試算におきましては、一応現在の国、地方間の税源配分の割合を変えないで、全体としての租税負担率がアップした分を現行の二対一の割合で分けた場合にどうなるかという試算をしております。その限りにおいてあの試算自身は、国、地方間の税源配分割合の変更を前提にしたものではございません。国、地方を通じまして税源の総量について、やはり何らかの検討が必要であるという問題を提起しているものと私どもは理解しております。しかし、その具体化に当たりましては先ほど申し上げておりますように、総体としての税源の量をふやすというだけでなしに、国、地方の事務の配分や補助金制度の改革とも関連づけながら、税源の配分割合の変更について当然考えていかなければならないであろう、このように考えております。
#56
○吉井委員 これも先ほどちょっと質問に出たかとも思いますが、五十六年から五十九年までの税収について、各年度等率のいわゆる一六・一%、これで試算されているわけでございますが、こうしたことから考えると、やはりこれは増税というものを考えての試算ではないか、このように考えるわけです。先ほどの答弁で、具体的な改正案はない、このように答弁されたわけでございますけれども、やはり過去の歴史的な経過、そういったことから考えてみても、増税以外は考えられないのではないか、このような気もするわけでございますが、何かほかに方法を考えておられるのであるならばこの際明らかにしていただきたいし、どうしてもこうした増税ということを考えた場合、そのしわ寄せというものが福祉、社会保障、教育面、そういった面にあらわれてくるのではないかとも思うわけでございますけれども、福祉の後退ということは絶対あり得ないのか、その辺の関連性はどうでしょうか。
#57
○石原政府委員 先ほども御答弁申し上げましたが、収支試算自身は、経済社会七カ年計画が想定した六十年度時点の国民所得やあるいは租税負担率というものを前提に置き、またその時点における社会保障移転の水準等を前提にして、各途中年次の試算を行ったわけであります。この試算結果というのは当然、今後の税財政制度全体の改正の一つの手がかりになるものと私どもは考えております。そこで、その試算の各途中年次の数字、特に税収入について申しますと、いわゆる単純な自然増収とあの試算結果との間にギャップがあるということも事実でございます。その点について、現時点で具体的に税制改正の案を準備しているわけではございません。しかし、今後そのギャップをどのようにして埋めていくかということを、歳入歳出全体を通じて考えていかざるを得ないということは事実でございまして、私どもはそういう問題の理解をしております。
 その際に、先ほど来大臣からも御答弁申し上げておりますように、その収支のギャップが即増税ということではなかなか国民の御理解を得られない。どうしてもその間まず第一に行わなければならないのは、歳出の見直し、歳出の節減合理化ということでなければならない、こういうこともまた一般に指摘されているところであります。そうした中で、その歳出の見直しの過程で福祉の問題、教育の問題をどうするかということは、これは当然非常に大きな課題だと思います。といいますのが、歳出の中でやはり福祉とか教育というのは絶対値としては非常に大きい数値を示しておりますから、これらについて全く手を触れない、従来のトレンドでいって、ほかの面だけで歳出の合理化が達成できるのかどうか、これもまた非常に大きな問題であり、課題であろうと思います。また、歳出の節減合理化に最大限の努力を続けましてもなおかつ、収支のギャップがそれだけで埋まらないとするならば、最終的には税制度の改革ということも当然検討の対象にならざるを得ない、このように理解しております。
#58
○吉井委員 いまいろいろと御答弁をいただきました。しかしながらこれを逆に考えていけば、五十九年度までの二兆七千億の確保、これに必要な収入の見通しはどうかということになってくるのですね。先ほどからの答弁を聞いておりますと、歳出の見直し、これは当然でしょう。しかしながら、やはりこれだけの二兆七千億の確保というものを考えた場合に、また五十六年度からの財政需要というものも考えてみるときに、これは当然あなた方は新税の創設なりそういった二兆七千億の確保についてはいろいろな試案ぐらい持っておられると思うのですね。この収支試算というものがただ数字を並べたといった程度のものではないということは、これは私はよく承知をしておるわけでございますが、そうなりますと、その収入の根拠となってくるものが一般消費税なのか、これは非常にむずかしい問題であります。また、一般消費税というものが形を変えて新たな消費税ないしいわゆる流通税として出てくるのか、あるいは法人税に所得税も合わせた直接税というものも考えておられるのか。全然これから考えるというのではなくて、五十六年以降のことについては何か考えておられると思うのですが、その点どうですか、少しでも前向きで答弁してください。
#59
○石原政府委員 先ほど来、ただいまの時点で具体的にこれこれこういう内容の改正を考えているということを申し上げる段階でない、そういうものを準備しているわけではなということを申し上げておるわけですが、そのとおりなんですけれども、ただ、もちろん問題意識として、今後税制改正が避けられないということであれば、どういう方向でその改正が議論されるのかということについて、私どももそれなりの問題意識は持っております。
 その場合に、今日の税制というものを大きく分けますと、一つは所得課税であります。所得課税の場合に、個人所得と法人所得をどういう形で税負担を求めていくか、ウエートとしてはこれは一番大きいわけですから、そこはどうしても検討の対象として外すわけにいかないと思います。それからもう一つは、消費、流通に対する課税、この点について、いわゆる一般消費税については国民から受け入れられなかった、このように理解されているわけですけれども、では、それ以外の消費税あるいは流通税についての検討の余地はないのかどうか、これもまた当然議論の対象として取り上げられてくると思います。それから、もう一つの租税としては資産課税、特にこれは地方税としての固定資産税や都市計画税というものが大きなウエートを占めておりますが、資産課税というものをどう考えるか、こういうそれぞれについてこれから検討が加えられていくもの、このように考えております。ただ、具体的に所得税をどうする、住民税をどうする、あるいは事業税をどうするという案を現時点で腹案を持っているわけではございません。今後の検討対象としてこういったものが考えられているという意味での問題意識は持っております。
#60
○吉井委員 次に、先ほどもちょっと触れましたが、昨年の八月、新経済社会七カ年計画が閣議決定をされておりますが、その中で、租税負担はどのように推移すると考えておられるのか、財政再建のために具体的に増税が考えられているのかどうか、この点どうですか。
#61
○石原政府委員 昨年八月決定を見ました新経済社会七カ年計画におきましては、昭和六十年時点における国民所得に対する租税負担率を二六カ二分の一、このように想定しております。あの計画のスタートになりました実績年度といいましょうか、これが四十八年度から五十三年度までですか、この間の平均の租税負担率二〇%強という実績に対して、六十年度時点で二六カ二分の一という想定をしております。その限りにおいて税負担の増を予定しているということは言えると思います。
#62
○吉井委員 税制調査会の昭和五十五年度の税制改正に関する答申において、「国民生活水準との関係における課税最低限のあり方については、今後、当調査会において基本的に検討する必要がある」、このように述べているわけですが、今後どのように対処していくつもりですか。
#63
○石原政府委員 税制調査会におきましてただいま御指摘のありましたような答申がなされたわけですが、具体的に、では、どうするかという点でございますけれども、これはいまの時点で方向が決まっているわけではございません。ただ、問題となりましたのは、今後とも生活保護基準というものは一定の前提のもとに引き続き上昇をしていくであろう。一方、住民税の課税最低限につきましては、なるべく地方財源を確保するという見地から、また、なるべく広く負担をお願いするという趣旨からすると、余り毎年引き上げることについてはいかがなものかという意見もあるわけです。さりとて、課税最低限よりも生活保護基準の方が上回るという事態は税制としてやはりおかしい、避けなければいけないということで税調では、毎年度毎年度生活保護基準をにらみながら課税最低限を引き上げていくこと自身がおかしいじゃないか、そういう行き方ではなくて何か別の方法が考えられないかということでああいう答申になったわけであります。したがいまして、具体的にどうするのだということは、まさにこれからいろいろ学問的な面も含めまして検討をしていきたい。ただしいずれにしても、毎年度毎年度この生活保護基準との関係で課税最低限を改定していかなければいけない、こういう事態は避けるべきではないかという問題意識が基本にあるわけでございます。
#64
○吉井委員 次に、国から地方への税源移譲についてお尋ねするわけですが、法人所得課税並びに個人所得課税の配分率を改めて、道府県、特に市町村への配分を高めることは考えられないか、その点どうですか。
#65
○石原政府委員 国、地方間の税源配分割合の変更を議論する場合には当然、これは個人の所得と法人の所得に対する配分割合をどうするかということに帰着すると思います。御案内のように現在、法人所得についても個人所得についても、独立税の段階ではその配分はおおむね国が二、地方が一でありますけれども、交付税制度を加味いたしますと、おおむねフィフティー・フィフティーになっているというのが現状でございます。
 これを今後どうするかということでありますが、先ほど来申し上げておりますように、事務配分やあるいは補助金制度の改正というものも含めながら、私どもとしては方向としては、個人所得にしても法人所得にしてももっと地方の課税部分を増強すべきではないか、このように思っております。
#66
○吉井委員 では、法人の税負担のあり方そのものをどのように考えておられるのか、また、国と地方の配分についてどのように考えておられるのか、この点どうですか。
#67
○石原政府委員 法人所得に対する租税負担でございますが、これも税制調査会でもかねてから議論されておりまして、わが国の現在の法人所得に対する実効税率負担は、超過課税を除けばおおむね四九・四七%である、超過課税を考慮すると五一・一二%である、このように言われております。この実効税率負担水準は、先進工業国との比較でいきますとまだ若干低いのじゃないか、そういう意味で、法人所得についてはなお若干の増税の余地があるのではないかという議論が税調等ではなされております。そういった意味で、五十六年度以降の税制改正に当たりまして、法人所得に対する課税の強化ということが具体的な問題として俎上に上ってくるのではないかと私どもは見ております。
 その際に、その引き上げた分を国、地方でどう分けるかということでございます。私どもは先ほど来申し上げておりますように、気持ちとしてはいまの国、地方間の税源配分全体の中では、少しでも地方の取り分を多くしたいという願望を持っておりますから、そういった考え方で取り組んでいきたいと思いますけれども、しかしこの問題は同時に、交付税制度の問題あるいは国庫補助負担金制度の問題、さらには事務配分の問題が背後にありますので、そういったものを抜きにして単純に法人税負担の引き上げを行う場合に、地方の取り分だけを広げていくということは現実の問題としてなかなかむずかしいと思います。他の制度と一緒に議論されるべきものである、このように考えております。
#68
○吉井委員 先ほどの問題についてちょっとお尋ねをしておきたいのですが、税収の見通しについて、これは地方税のうち、法人事業税の収入見込みが前年度に比べて二八・九%増、このように見込んでいるわけですが、景気動向からして果たしてこの伸びが見込み得るかどうか、これは地方自治体においては非常に不安を持っております。地方団体の実際の収入額と見込み額に差が生じた場合、こうした場合に減収補てん的な措置が講じられるかどうか、この点はどうですか。
#69
○土屋政府委員 最近のわが国の経済の動向は御承知のように、確かに民間需要を中心に自律的な拡大基調をしておるわけでございます。そういった意味で、特にこの五十四年度の税収がかなり伸びたわけでございます。そこで、それを基礎にいたしまして五十五年度の税収を特に法人事業税等については見込んだものでございますから、五十四年の当初に見込んだものに比べると非常に大きな伸びが出てきております。それは実績が非常に伸びたということからでございますけれども、今後の経済情勢を見ました場合に、石油価格の上昇その他いろいろな問題がございます。不安定、不透明な点もございまして、すべて楽観しておるわけではございませんけれども、現在のところの経済情勢の推移を見ますと、まずこの程度の税収は確保できるだろうと思っております。ただ、おっしゃいましたような事態が起こるのか起こらないのか、今後の経済情勢の推移とか地方団体の財政の状況というものを十分見まして、少なくとも地方団体の財政に支障のないように、過去いろいろな補てん措置等もございますけれども、いろいろなことを頭に置きながら、地方財政の運営に支障のないようにその点は十分措置をしてまいりたいと思っております。
#70
○吉井委員 次に、租税特別措置等の整理についてでございますが、国税の租税特別措置による地方への影響については当然遮断すべきである。ところが、困難なものについて減収補てんの措置を講ずべきであると思うのですが、この点についてと、また、地方税の非課税特別措置についても極力整理縮小を図るべきであると思うのですが、この点についてお尋ねをしたいと思います。
#71
○石原政府委員 まず、国の租税特別措置が地方税に影響を及ぼす点を極力排除すべきであるということは、地方税の独立の原則からして当然だと思います。できるだけ国税は国税、地方税は地方税のそれぞれの立場で課税を決めていくべきものと思います。ただ、たとえば個人の所得に対する課税あるいは法人の所得に対する課税等におきまして、所得計算は多くの場合国税、地方税同じにしております。これは、別にしますと納税者に非常な負担がかかるという問題があるという課税技術上の理由もありまして、国の方の特別措置の影響を排除できないものも現実問題としてはたくさんあります。しかし考え方としては、なるべく切れるものは切っていく。現に国税で特例措置があって地方税で特例措置を講じていないものが幾つかありますけれども、そういった範囲を広げていく努力をすべきものだ、このように考えております。
 次に、租税特別措置の影響で地方に減収が生じているものについて何らかの補てん措置を講ずべきではないか、こういう御指摘でございます。この点について、たとえば利子配当所得に対する分離課税が行われた場合に住民税が課税できない、こういった面につきましては、現在は財政措置として臨時特例交付金の基礎にカウントしているというような形で措置が講じられておりますけれども、多くの場合、その租税特別措置の影響による減収部分としてこれを取り出して別途の減収補てんを行うというのは、現実問題としてなかなか困難であります。ただ今日、地方財政計画を通じて全体としての税収入と歳出とのギャップを交付税その他の措置でカバーしているわけでございますけれども、その地方財政計画上の収支計算の際の地方税収入の見込みの基礎には、租税特別措置の影響による減少分も当然落としておりますから、トータル計算で必要な補てん措置は講じられている、このように言っていいと思います。また、今後ともそういった方向は堅持されるべきものである、このように思います。
 次に、地方税独自の非課税措置でありますけれども、これにつきましても基本的な考え方として、今日の地方財政の状況からいたしましても、また税制の公平という見地からいたしましても、非課税措置というのはできるだけ見直していく、これが慢性化しないように既得権化しないように、その使命を果たしたものはできるだけこれを整理していくという考え方で臨んできております。現に五十五年度の税制改正におきましては、十二件の特例措置を廃止しておりますし、また十六件について縮減合理化を行い、トータル二十八件について廃止ないしは縮減合理化を行っております。また、電気税についても二品目の整理を行っております。これらにつきましては、決して十分だとは言えないかもしれませんけれども、私ども毎年度この方向で努力を続けてきております。
#72
○吉井委員 次に、今回の地方税制の改正に関しまして、第八十七国会における附帯決議というものがどのように措置されているか、これについてお伺いしたいと思います。
#73
○石原政府委員 第八十七国会の参議院地方行政委員会におきまして附帯決議がなされました。この決議は、項目としまして九項目ございます。内容がたくさんございますので、ごく簡単にその具体的な措置の状況を御報告させていただきます。
 まず第一は、税源配分について、地方の自主財源強化について努力するようにという決議がございます。この点につきましては、先ほど来御指摘がございますように、私どもとしては基本的な方向としてはその方向で努力しておりますけれども、五十五年度について具体的にこれこれと言いますと、都市税源の強化としての事業所税の税率の引き上げ、あるいは道路目的財源の強化としての自動車取得税の暫定税率の延長、こういったものをお願いしているところでございます。
 それから第二の個人住民税の負担の軽減を図るべきだという点については、これまた現在御審議いただいておりますように、住民税の課税最低限につきまして、一万円ないし二万円の引き上げを行うということで対処をさせていただいております。
 三番目に、事業税の外形標準課税の導入を行えという点でございますが、この点につきましては五十六年度以降の検討課題、このように考えております。
 四番目が都市税源の充実を図れということでございますが、これまた先ほど申し上げましたように、具体的な措置として事業所税の税率引き上げを予定いたしております。
 事業所税の課税団体の範囲の拡大をすべきだ、こういう決議でございますが、この点につきましては、五十五年度については範囲の拡大はできませんでしたが、税率の方の引き上げを行ったということでございます。なお、この範囲の拡大については今後の検討課題、このように考えております。
 次に、家庭用電気税の軽減についてでございます。この点につきましては現在、電気料金の引き上げが政府部内で検討されております。この料金引き上げの内容が確定次第、機を失せず免税点の引き上げにつきまして改正案を準備して御審議をお願いできればと、このように考えております。
 非課税措置等の整理についてでございますが、先ほど申し上げましたように、五十五年度におきまして二十八件の廃止ないし縮減を予定いたしております。
 次は、利子配当課税についてでございますが、利子配当課税の特例につきましては国税の方で、五十九年一月一日から総合課税に移行するということで現在関係の法律を御審議をお願いしておりますので、これに対応して住民税におきましては、昭和六十年度から総合課税に移行するということで、現在御審議願っている法案の中に準備をいたしております。
 次が、小規模住宅用地の固定資産税についての軽減の問題でございますが、これについては現在、二百平方メートル以下の住宅用地につきましてはすでに四分の一の価格の特例を定めております。これによって対処していきたい、このように考えております。
 次は、市町村道の道路目的財源の強化の問題でございますが、この点につきましては、自動車取得税の暫定税率の延長をお願いしているところであります。
 それから、有料道路に対する関係市町村の負担問題でございますが、この点については、固定資産税の課税あるいは交納付金の交付という点についての議論がありましたけれども、現時点でこれはいずれも適当でないということで、有料道路負担問題検討委員会というところで議論されたわけでございますけれども、この点につきましては別途、関係市町村の財政負担に着目いたしましてメニュー助成金制度を創設するということになり、五十五年度予算において初年度分四十五億三千万円の予算が措置されております。なお、これについては十年間、四百五十三億六千二百万円を交付するということが確認されております。このメニュー助成金制度の運用によって対処していきたい、このように考えております。
 次に、一般農地に対する固定資産税の問題についてでありますが、これにつきまして五十六年度までは現在、段階的に負担調整措置を講じております。そして五十七年度以降の問題につきましては、その評価がえの状況を考慮しながら所要の対応をしていきたい、このように考えております。
 三大都市圏の特定の都市のA農地、B農地についての課税の問題であります。この地域において農業を経営しておられる方々に対する措置についてでありますが、この点につきましては現在、現に耕作の用に供され、かつ、三年以上農地として保全することが適当であると認められた一定の要件に該当する農地につきましては、五十六年度までの特例としていわゆる減額措置が講ぜられているわけであります。この点につきましては、五十六年度までは現在の措置を継続していきたい、そして五十七年度以降の扱いにつきましては、今後妥当な結論を得るように検討してまいりたい、このように考えております。
 以上でございます。
#74
○吉井委員 次に、今回の改正によりまして、国民健康保険税の課税限度額が二万円引き上げられて二十四万円、こういうことでございますが、この引き上げは国民の中においても非常に不平不満があることは御承知かと思います。私はこれは国保自体抜本的な改正を図っていかなければならない問題ではないかと思うわけですが、これをただ国保財政の一時補完的なためと言っては語弊があるかもわかりませんが、限度額の引き上げを二年置きぐらいにやっていくというこういう行き方、これはどのように考えておられるのか。
#75
○石原政府委員 国民健康保険財政そのものについては、被保険者の所得の状態あるいは保険給付の状態からいたしまして財政的に非常に問題が多い。したがって、これに対してより抜本的な措置が講ぜられるべきであるという問題があることは御案内のとおりですが、今回提案申し上げております課税限度額の引き上げでありますけれども、これは被保険者の自己負担と国庫負担を除いた残りは結局、市町村がこれを賄っていかなければいけない、その保険者負担分を国保の被保険者にどういう形で割り振っていくかということと関連する問題であります。
 現在、均等割と所得割と一部資産割、こういった三つの要素で負担を配分しているわけですけれども、その場合に最高をどこまで負担していただくかということが問題になるわけです。現在、たとえば五十四年度の場合でありますと、最高限度額は二十二万円までになっております。その最高限度額を被保険者のうち、どのくらいの人が負担しているかというと七十万余りの人で、率で言いますと総数の五%ちょっとの人が負担しておるわけです。これをもし引き上げないということになりますと、何と言いましょうか、たくさん持っていただく人の分がふえないわけですから、全体の負担額がふえた分だけ一般の被保険者の負担がふえてしまう。そこで最高限度額は、医療費の伸びに応じてある程度負担を上げていただかないと、零細負担者の負担がふえるという問題もあります。しかしそうかといって、限度額を余り大きく引き上げるということになると、たまたま国保会計の被保険者であるということで他の保険よりも著しく高い負担を課するということも、これまた公平の見地で問題があるというようないろいろな問題がありまして、従来最高限度額につきましては、おおむね被保険者の中に占める最高限度額の該当者、該当世帯の割合を維持するように額を定めております。
 そういう意味で五十五年度について申しますと、二十四万円という水準でほぼ五%程度の人がその最高限度額に該当するのではないか、従来のパーセンテージをほぼ維持できるのではないか、このように考えまして二十二万円から二十四万円に引き上げることにしたわけであります。ですからこの問題は、国保財政が持つ基本の問題、そもそもの問題とは別に、被保険者の中でどういう形で負担を分かち合うのが最も公平かという見地で検討すべき問題でありまして、私どもはこの最高限度額も、医療費全体のアップ率、あるいは被保険者全体に占める割合が大きく変わらない限度でこれを見直していくことが妥当ではないか、このような考えで引き上げをお願いしているわけでございます。
#76
○吉井委員 時間が来ましたので、最後に一点だけお伺いしておきます。ひとつ簡単に御答弁願いたいと思います。
 住民税において所得税と同様に、土地等の長期譲渡所得について課税の緩和措置が講ぜられておる。ところが、宅地供給にこれがどの程度寄与すると考えておられるのか。また、高額所得者に対するところの優遇措置ではないか、このような一面的な見方もあるわけですが、これによって新たな不公平が生ずるのではないか、こういうことに対しての考え。
 また、市街化区域農地に対する課税の適正化について、今後どのように措置されようとするのか、これを最後にお尋ねしておきたいのであります。
#77
○石原政府委員 長期譲渡所得の課税の特例につきましては今回、所得税におきまして一部改正が行われたことに対応して、住民税でも同じ内容の改正を行おうとするものでありまして、私どもはこれによってかなり宅地供給の促進に効果がある、このように期待しております。
 また、この措置が金持ち優遇ではないかという御議論があることも承知しておりますが、しかし、特別控除後の長期譲渡所得八千万円を超える分については四分の三の総合課税が行われておるわけでありまして、やはり高い所得については従来と同様、かなり重い税が課せられるという意味で、必ずしもこれが金持ち優遇だという断定はできないと思います。
 それから、市街化区域農地の課税の適正化の措置につきましては、いずれにしても五十六年度までは現行の制度でいきたいと考えております。五十七年度から適正化に踏み切っていきたい。それまでの間、市街化区域農地のその後の状況なども踏まえて適正化の方向、具体的な内容を検討してまいりたい、このように考えております。
#78
○吉井委員 以上で終わります。
#79
○塩谷委員長 小川省吾君。
#80
○小川(省)委員 時間が大分ずれてきておりますので、本会議の開会があるから協力をする意味ではしょって御質問を申し上げたいというふうに思っています。
 まず、大臣にお伺いをいたしたいと思うのでございます。
 自治省発表の地方財政の収支試算を見ても、また今後増加していく行政の需要にこたえていくためにも、地方税の収入は伸ばしていかなければなりません。そこで、今後地方税を伸ばしていく場合に、その伸びをどの税目に求めていくのかという問題であります。ほとんどの税目について伸ばそうと思っておるのでございましょうけれども、特に重点を置かれる税目はどこになるのか。また地方消費税は、一般消費税がああいう形ですから、新たに増徴できないと思いますが、新税を創設するつもりはあるのかどうか、この点をお伺いいたします。
#81
○後藤田国務大臣 五十五年度は御承知のように、地方税の自然増収額も相当伸びると私ども見込んでおりますが、これは五十六年度も引き続いてこのような自然増収を見込むことができるかというと、なかなか見通し困難な問題でございます。そこで地方団体の財政の健全性を維持するというためには、何と言いましても、一つは安定的であるということ、もう一つは伸長性が期待できるというもの、こういったことで地方税の増徴を図っていくということが基本的にはあるわけでございますけれども、それじゃ何の税がいいのだということになりますと、いままでいろいろな調査会等からいろいろな御意見がございますので、それらを踏まえながら検討していかなければならぬ、かように考えておりますが、いま具体的にどの税だということはお答えがしにくい、こういうことでございます。
 ただ、先ほど来の御議論を承っておりましても、例の地方財政の収支試算を前提にして増税をしなければならぬのじゃないか、こういった御議論なんですが、しょせんはそうなるかもしれない。しかし、当面私どもがやらなければならないことは、先般の国会の御決議もあり、また同時に、国にしろ地方にしろ高度成長時代の水ぶくれがあるわけなんですから、そういうものを徹底的にやれるだけの整理をした上で、同時にまた、経済政策による自然増収等を図った上で、さてその上で決算をしてみて、帳じりを見た上で初めて増税というものを考えるべきであろう。
 ただ、財政収支試算の見方なんですが、これが必ずしもできがいいものとも私も考えません。あの計画というのは御承知のように、経済の暫定試算を基礎に置いて、幾多の前提を置きながら、それを数字の上で具体化すればこうなりますという六十年を想定して、そして五十五年度の財政の計画というものと結びつけて各年度がどうなる。したがって、二六・五%の税負担というものが国と地方で二対一に分けて、国は弾性値が一・二、地方は一・一ということになれば、各年度の計算はこのようになりますといったことをお示ししたにすぎないと私は考えておるのです。したがって、あれが即増税の計画であるとは私ども考えておりません。ただああいうものを頭に置きながら、毎年の予算編成の際に具体的な財政の計画あるいは税制の改正、そういうことを考えていくということであって、あれそのものが増税計画でないということだけはもう十分おわかりになっていただけていると思いますけれども、私からも改めてその点は申し上げておかなければならない、かように考えております。
#82
○小川(省)委員 次に、大臣に続けて聞きたいのですが、税調との関係でございます。
 地方税に関する限り税調の事務局というのは、自治省の税務局であるという理解でよろしいわけですね。
#83
○石原政府委員 そのとおりでございます。
#84
○小川(省)委員 すると、税調では独自の議論が行われるのでしょうけれども、自治省税務局が発議をしたりあるいは原案を出していかない限り、税が新設をされたり増収になるようなことはないという理解でよろしいわけですか。
#85
○石原政府委員 税調の審議でございますが、もちろんそれぞれ事務局を務めております大蔵省や自治省から、所管の税についてどういう問題があるか、どういう議論が行われたかというものを出しますから、そういったものが議論のスタートになることは事実でありますが、しかし、税務局から出さなければ問題を取り上げられないということではございません。税調独自に学識経験委員の方などからもいろいろな提案がなされ、それが議論になっていくということは常にあることでございます。
#86
○小川(省)委員 そういう点で私は税務局の役割りというものは大変重要だと思うのです。私どもが国会の中で地方税を通じていろいろ論議をするわけでありますけれども、税務局のそんたくでまるっきり税調には反映されないということもかなりあるのではないかと思っておるわけであります。
 そこで、大臣に聞きたいのは、地方税は、国税でも同様なんでしょうけれども、税調の議を経ない限り変えることはできないのかどうか。もし地方行政委員会の中で与野党一致で法律の一部修正をする、こういう場合には税調との関係はどうなるのですか。
#87
○後藤田国務大臣 御承知のように税制調査会は、総理大臣の税制に関する諮問機関にすぎません。私どもは、国会で諸先生方の御議論を踏まえたことを税調にも報告もし十分反映をするようにいたしておるつもりでございます。申し上げるまでもなく、税をどうするというのは国会の権限に属することでございますので、税調がいかなることを言おうとどうしようと、国会でお決めになればそのとおり決まっていく、こういうことでございます。
#88
○小川(省)委員 わかりました。
 税務局長に伺っていきたいと思いますが、若干さっきの質問と重複する点もあろうかと思いますけれども、御了解をいただきたいと思っております。
 この数年来、地方行政委員会の論議では、外形標準課税の問題がかなり活発に行われてきたわけであります。これが実を結んでいないわけです。このことは、税務局が税調の論議にのせることを怠ってきたのではないかと思っているわけですが、怠ってきたという表現が仮に適切でないとするならば、なぜ税調の論議にのせるところまでこぎつけることができなかったのか、内部論議がどう行われてきたのかという点についてお尋ねしたいと思います。
#89
○石原政府委員 事業税の外形標準課税の問題につきましては、たとえば昭和四十九年だと思いますが、税調の答申の中でもかなり詳しく議論が取り上げられております。その後も私どもは、事業税の一番大きな検討課題として外形標準課税の問題があるということで、税調の場でも問題を提起しまた議論もお願いしております。こちらの方でこれを引っ込めているということはございません。ただ、五十二年のころから、先ほど来申し上げておりますように、一般消費税の導入問題というのが税調で大きな検討課題となりまして、そのころから一般消費税と事業税の外形標準課税とが課税の関係で非常に類似した面があるということで、両者の調整をどうするかという論議に変わってまいりました。その結果、それぞれいろいろ議論がありましたけれども、最終的に地方消費税という形で現実的な解決を図ろうということになったわけでございます。したがいまして私どもは、法人事業税の外形標準課税の問題をこちらの方から税調の場に出さないということは、これまでもありませんでしたし、今後もそういうことはございません。最も重要な検討課題だ、このように考えております。
#90
○小川(省)委員 次に、課税最低限についてちょっとお伺いしたいと思うのです。今回ちょっぴり引き上げられたわけですが、住民税は御承知のように前年度課税でありますから、少なくとも前年度の国税の課税最低限と同じであっていいと思うのです。しかしこの数年は国税との乖離が余りにも大き過ぎると思うのです。地方税は身近な問題を処理する応益応能の原則ということを自治省は言われるわけでありますけれども、こういう論理は通用しないのではないかというふうに思いますが、余り乖離が国税との間にひどいものですから、なぜこんなに乖離が大きくなっているのを引き上げるのをちょっぴり上げてそのままにしているのか、この点についてお伺いをいたします。
#91
○石原政府委員 御案内のように所得税の課税最低限は、夫婦子二人の給与所得者の場合は現在二百一万五千円であります。この金額は五十二年からずっと同じ金額になっております。その所得税が二百一万五千円になった五十二年ですか、そのときの五十二年度のときの住民税の課税最低限は百四十一万八千円で、かなり開いていたということで御指摘もあったのですけれども、その後所得税の方は依然として五十五年度の場合も二百二力五千円であります。それに対して住民税は百五十八万四千円ということで、むしろその差はかなり縮まってきたということが言えます。しかし基本的には私ども先ほど来申し上げておりますように、住民税と所得税の税の性格の違いから、課税最低限が同一でなければならない、そのようには考えておりません。その間に何がしかの差があるということは税の性格からやむを得ないのではないか、このように考えております。
#92
○小川(省)委員 次に、問題となっております不動産取得税の申告制度の問題であります。説明を聞いておって、自治省の意図するところは一応わかるのですが、個人にしてみれば一生に一度かせいぜい二度程度の買い物であります。これが無申告で税の控除が受けられないというようなことがあっては困るわけであります。PRがそんなに徹底するとはどうしても考えられません。登録免許税にしても東京都全部で一年間の申告がわずかに三十件程度だというふうに聞いておるわけであります。この六十日間の申告期間というものを、昭和五十五年度は初年度でありますから、トライアルの期間として見送るか、あるいはまた、当分の間届け出の日までというように読みかえるわけにはいかないのかどうか、お伺いいたします。
#93
○石原政府委員 先ほど申し上げましたように不動産取得税につきまして、特に新築分について特例措置の対象に一定の要件を定めたものですから、それとの関連で申告を前提にするように制度を改正したわけであります。この申告を条件にしたことは、課税関係を明確にするという意味でどうしても必要だと考えているわけであります。
 なお、この種の制度を初めて設けたということで納税者にいろいろ混乱があるのじゃないかという御心配、御指摘もあることは事実であります。そこで五十五年度につきましては、三カ月間準備期間を置くという意味で施行期日をずらしておりますし一それから、それまでの間私どもは、私どもの役所だけでなしにほかの関係する建設省その他の役所ともよく連絡をとり、何よりも課税団体である都道府県とも十分連絡をとりながら、こういった制度改正の周知徹底に努めたいと思っております。そして、先ほども申し上げたことでありますが、もともと不動産を取得した場合には、現行制度のもとにおきましても届け出をしていただくことになっております。各都道府県の条例で、建築後十日ないし三十日の間に届け出をしていただくという制度になっておりますので、それとあわせてこの申告をお願いするということで対処できるのではないか、また、そのための努力を今後も十分してまいりたい、私どもはこのように考えております。
#94
○小川(省)委員 現行法でも届け出がされている、これはよくわかるのです。また、自治省がPRをあらゆる手段を通じてやるということはよくわかるのですが、私は徹底をするとは思っておりません。七月からやるからそれまで三カ月あって、それから六十日間だから五カ月間あるんだという御答弁なんでしょうけれども、初年度ですから、トライアルの期間としてその状態を見る、こういうような考え方でいかないと無申告者がかなりふえてくるのじゃないか。そういうことによって増収を図るなどというこそくな手段を考えているわけではないだろうと思うのですが、これについては再検討していただけないでしょうか。
#95
○石原政府委員 もちろん私どもは、この申告にかかわらしめることにしたのは、そのことによって増収を図るというような考え方では全くございません。ほかの制度とのバランス等を考慮し、また、課税の事務の適確を期するという趣旨でこの制度を設けたわけであります。
 先ほど来申し上げておりますように、この制度の導入によって課税の段階で混乱が起こらないように、今後この制度の周知徹底に全力を傾けてまいりたい、そうした上でこの制度を実行したい、このように考えております。
#96
○小川(省)委員 自治省が全力を挙げて徹底をしてやろうという善意はよくわかります。二十一日まであるわけですから、ぜひこの点については再検討を強く要望をいたしておきます。五十五年度は初年度でございますから、トライアルの期間として状況を見るということが何としても必要だ、こういう点を申し上げておきたいと思っています。
 それから、先ほども出たのですが、県民税の所得割でございますけれども、今回手を加えていないようですけれども、これは市町村民税のように十三段階といかないまでも、少なくとも五段階ぐらいに変えてもよろしいのではないかというふうに思っています。百五十万で分けているわけですが、これは現実とは、中学卒業でも百五十万ぐらい取る時代になってしまったわけでありますから、三十七年度から据え置かれているということですが、手を加える必要があるのではないかと思いますが、いかがですか。
#97
○石原政府委員 確かに制度論といいましょうか、本来の税制のあり方という議論からいたしますと、市町村民税の方の税率適用区分を変えて道府県民税の方を全然変えないのはいかがなものかという議論は、当然あり得るかと思うのであります。ただ、先ほども申し上げたわけでありますけれども、道府県民税は刻みが一つしかない。ですから、これを変えるとなるとかなり大きな改正になります。そういった意味で、道府県民税、市町村民税あるいは所得税を通ずる所得に対する課税の見直しというような機会が、そう遠くない機会に来るのではないかと私は予想しているのですが、そういったときに、いまの道府県民税の性格にマッチした税率適用区分のあり方というものを考える過程でこの問題を検討していくべきではないか、このように考えております。したがいまして、いまの段階で百五十万を直ちに変えるということは、余りにも改正の内容が大き過ぎるというふうに考えたわけであります。
 なお、いま百五十万といいますと高校卒業者ぐらいではないかということでございますが、確かに収入金で見ますと、五十四年度の新卒者の高卒の場合、百五十万五千円ぐらいの水準になっておりますが、ただし、道府県民税の区分は収入ではなしに課税所得でありますので、百五十万を課税所得に直すと、夫婦子二人の給与所得者の場合ですと三百六十五万ぐらいになります。念のために申し上げたいと思います。
#98
○小川(省)委員 これは税の問題ではないのですが、いわゆる公営ギャンブルの問題であります。これは公営ギャンブル実施団体と実施をしていない団体との間には財政の間に非常に大きな差異があって、実施をしていない市町村は非常にうらやましい目をもって実施団体を見ている、こういうような状態がありますが、この均てん化といいますかそういう方向について、かなり進んできておるのだというようなお話を承っておりますけれども、この点について現状ではどうなっておるのか、若干御説明を承りたいと思います。
#99
○花岡(圭)政府委員 公営競技の均てん化の問題につきましては、昨年六月に公営競技問題懇談会というのが設置されまして、総理府総務長官に対しまして意見書を提出したことは御承知のとおりでございます。この意見書につきましては内容としましては、均てん化のほかに、振興団体に対する交付金のあり方の問題とか、あるいは場外売り場をどうするとか、開催回数の問題をどうするとか、いろいろ多岐にわたった内容を含んでいるわけでございます。政府といたしましても、この意見書を受けまして、公営競技問題関係省庁連絡会議というのを設置いたして、いろいろ議論をいたしております。自治省といたしましてはこの中で、御指摘の収益の均てん化に関する部分を受け持っておるわけでございますけれども、その前提となります問題として交付金率の改定という問題がございます。いわゆる振興団体に対する交付金でございますが、これをどうするかということにつきまして、なかなか関係省庁の意見が一致いたしていないのが現状でございます。
 自治省といたしましては、とりあえず自分の方でできる措置といたしまして、五十四年度の特別交付税の減額率を引き上げるとか、五十五年度の指定団体につきまして一部事務組合化を進めていく、あるいは地域における均てん化を促進するというふうな措置を講じてきたわけでございます。ただ、基本的にわれわれ考えておりますのは、この収益の均てん化を進めていくためには、公営企業金融公庫に対する納付金の率を引き上げることが一番現実的であり、また効果的であるというふうに考えておりますので、こういった点も含めまして、交付金の改定とあわせましてこれを進めてまいりたい、このように考えております。
#100
○小川(省)委員 この点については、市町村間に非常に大きな、反目と言わないまでもいろいろなあれがありますから、ぜひひとつ検討をしていただきたい、このように思っております。
 電気税の関係でありますけれども、電気料金の値上げ決定によって追加提案をされるようでありますけれども、現時点で免税点をどのぐらいにしていこうとしているのか、お尋ねをいたします。
#101
○石原政府委員 電気料金の引き上げにつきましては、私ども聞いているところでは今明日中には通産省の原案が決まるようでございます。その引き上げ案を基礎として免税点の改定を行い、御審議をお願いしたいと思っておりますが、基本的な考え方といたしまして、現在二千四百円の免税点によって免税となっている世帯が、料金の引き上げによって課税対象にならないように調整をする、こういう考え方で作業したいと思っております。
#102
○小川(省)委員 ガス税の一万円のように、ぜひひとつこの電気税の免税点についても大きく引き上げるように、特に要請をいたしておきたいと思います。
 また、電気税に関連をして、専修学校を非課税にするようであります。大変結構なことだと思うのでありますけれども、専修学校だけではなくして各種学校全体に広げるようにしていったらどうかというふうに思っていますけれども、この点についていかがですか。
#103
○石原政府委員 専修学校につきましては、学校教育法上の位置づけからいたしまして、修業年限とかあるいは授業時間数あるいは教職員組織、こういった点についてかなり厳しい基準が決められております。そういった意味で、学校教育法の第一条の学校と内容的にかなり類似した面がある、そういうことから今回電気税及びガス税につきまして用途非課税にしたわけでありますが、各種学校につきましては、学校教育法上の位置づけも専修学校とかなり違っております。したがって、これを直ちに同じ扱いをするということについてはいかがなものかと考えておりまして、今後の検討課題とさしていただきたいと思います。
#104
○小川(省)委員 まあいいでしょう。
 次に、事業所税の改正でありますが、結構だと思うのですが、しかし、私が委員会で常々主張してきたのは、県庁の所在市にぜひひとつ適用をしてもらいたい、こういう主張を私としてはいたしてきたわけでありますが、何としても県庁所在市にこれを適用していく必要があると思うのですが、ひとつことしの税調の論議にはのせていただくように税務局内部で御検討をいただけるでしょうか。
#105
○石原政府委員 事業所税の課税団体の範囲の拡大問題につきましては、先般も御答弁申し上げましたように、税制調査会の中で率直に申し上げまして、あの税の性格からしてこれ以上広げることについては消極的な意見がかなり強いわけでございます。しかしまた同時に、全国市長会を初め地方団体の側には、課税対象範囲を広げるべきだ、見直すべきだという意見もございますので、私どもはこういった地方団体側の意見も率直に税調の場で御検討いただきたい、このように考えております。
#106
○小川(省)委員 大臣、いまお聞きになったと思うのですが、この事業所税は、県庁の所在市に適用することによって、県庁所在市としては大変助かるわけですね。大臣もいながらにして、徳島を初めとして全国の三十万以下の県庁所在市への善政を施すことになるわけですね。思い切って考えてほしいと思いますし、十分に検討をしてほしいと思いますが、いかがですか。
#107
○後藤田国務大臣 検討いたしたいと思います。いま県庁所在地で三十万以下の市が二十一あるのです。よく検討いたしたいと考えております。
#108
○小川(省)委員 次に、地方を回ってみますと、グループ店というのかチェーン店というのか知りませんけれども、ロンドンであるとかハワイであるとかというような店がいろいろあります。地方の税務関係者が大変困っておりますのは、これらの店に対する税金の課税徴収の問題であります。これらの店が一たび倒産をいたしますと、店長以下従業員はすぐ四散をしてしまいますし、差し押さえるにしても適切な物件もない、備品も什器もほとんどないというのが現状なんですね。この種の店に対する適切なる課税徴収の方法を検討をする必要があると思うのですが、検討をしてみていただきたいというふうに思っていますが、検討してくれますか。
#109
○石原政府委員 最近そういった御指摘のようなケースが多発していることは事実でございます。この点につきまして、もともと地方税法上の扱いとしては、名義上の経営者に対して実質上の経営者が背後にいるという関係については、その事実上の関係を掌握してこれを特別徴収義務者に指定するというような扱いを指導しております。また、名義上の経営者に対して、実際上経営者ではないけれども土地とか家屋とかその他資産を提供している者、これらにつきましては、いわゆる第二次納税義務を設定しまして、徴収の確保に努めるというような扱いにもなっているわけですけれども、いずれにしても非常に巧妙な手段で逃れるというものも事実あります。これらの点につきましては、さらに実態を見ながら、運用上の問題を含め、また必要に応じて法令上の検討も含めて、今後検討していきたいと思っております。
#110
○小川(省)委員 これらの点についてはぜひ検討をしていただきたいと思います。
 次に、料理飲食等消費税、いわゆる料飲税の問題であります。特にこの料飲税の中で、温泉等の所在市町村では、たくさんの人が集まって飲食をして、ごみと屎尿がたれ流されて残るわけでありますけれども、地元の市町村は大変これらの処理に追われているのが実情であります。娯楽施設利用税のゴルフ場税のように、この料飲税の二分の一を地元の市町村に還元をする方法はないのかという問題でありますが、かねて大変問題になってきた点でもありますし、入湯税だけでは何ともならぬ問題であろうというふうに思っておりますが、検討をしてみる必要がある税目であろうというふうに思いますが、いかがですか。
#111
○石原政府委員 確かに娯楽施設利用税につきましては、特にゴルフ場について市町村交付金制度がありますので、これとのバランスといいましょうかそういった制度を見て、温泉所在市町村で料飲税の地元還元を強く要望していることはよく承知しております。ただ、いまの税制度は基本的には、課税する団体が収入もするという原則に立っておりますので、料飲税につきましても道府県が課税し、これを一部市町村に移行するというのは、いまの税制のたてまえからするとやや邪道といいましょうか本来の姿ではない、こういう考え方もあるわけです。必ずしも十分でないというお話がありましたけれども、現在入湯税制度によりまして関係市町村にはかなりの財源が入っております。しかもこの入湯税は、交付税計算上は基準財政収入額に入れておりません。差し引き計算しておりませんから、まるまるその団体の財源として残るわけであります。それから、これは財政局の所管でありますけれども、温泉所在市町村につきましては、清掃行政費の計算などにおきまして、入湯客数を基準にして経費の割り増し計算を行うというようなことも行われております。いろいろな意味で、温泉所在地の市町村に対する特殊財政事情については財源措置がなされておりますので、料飲税を分けるという点については、税制の基本のあり方とも関連して、今後慎重に検討すべき事柄ではないかと、このように思います。
#112
○小川(省)委員 大臣、この点についてはいかがですか。
#113
○後藤田国務大臣 ただいま税務局長がお答えをいたしたとおりでございます。
#114
○小川(省)委員 これは大臣、ひとつ検討してみてほしいと思うのです。ゴルフ場税のように二分の一還元をしておる税もあるわけですからね、ぜひひとつ検討してもらいたいと思います。
 次に、東京都の課税の問題であります。御承知のように、東京の財政事情は大変苦しいわけですね。しかし、税の課税面で東京都はかなり他の都道府県におくれをとっている面があるのではないかと私は思うわけであります。先年、児玉譽士夫の家が新しくつくられているのに、問題になって航空写真を撮って初めてわかったというような例もあるわけなんですね。このように不動産取得税にしても料飲税等にしても、課税対象の捕捉がきわめて悪いんじゃないかというふうに実は心配をしておるわけであります。適切な課税によってかなりの財源がまだまだ確保できるのではないかと思うのですが、税務職員の数が足りないのかどうかわかりませんけれども、これらについての指導はどうなっておるわけですか。
#115
○石原政府委員 確かに東京都の場合は、巨大都市という事情もありましょうし、課税物件が非常に多いということもあるのでしょうが、いずれにしても、料飲税とか不動産取得税とか幾つかの税について、他の都道府県や市町村と比べて捕捉が必ずしも十分でないという指摘がなされております。先般、東京都の財政再建委員会でも、再建の方策の一つとして、課税の税源の捕捉徴収の強化ということが取り上げられ、特にその中で、料飲税などがその対象として具体的に指摘されております。この点につきましては、私どもも税務行政の遂行に携わる者として、東京都にも協力申し上げ、捕捉徴収の一層の徹底を図っていただくように御指導も申し上げておるところでございます。
#116
○小川(省)委員 次に、有料道路の課税の問題についてお尋ねをしようと思ったのですが、先ほどの吉井さんの御質問にお答えをいただいたわけでありますが、何らかの措置がとられたようでありますけれども、実際に固定資産税を課税していくのと同額ぐらいの金が渡るわけなんでしょうか、あるいは二分の一ぐらいなんですか、どのような形で行われるわけですか。
#117
○石原政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、今回創設されましたいわゆるメニュー補助金は、十年間で四百五十億という数字でございます。これが固定資産税として課税した場合に額との関係はどうかということですが、そもそも固定資産税としてなじまないということで、課税した場合に幾らという計算をしておりませんから、その額がどういう関係になるのか御答弁できないのですけれども、ただ、四百五十億円という数字につきましては、関係省庁で市町村の協力を得ながら、有料道路が通過することに伴って生ずる各般の財政需要というものを調査して、これをほとんど網羅しているように聞いております。したがって、あの金額で当面必要な対応はできるもの、このように考えております。
#118
○小川(省)委員 本会議が開かれるわけですから、協力を申し上げたいと思っていますが、医師の事業税の課税の問題、不動産取得税の申告期間の六十日間の問題、これらの点についてはぜひひとつ検討をお願いいたしたいと思っています。
 以上で、私の質問を終わります。
#119
○塩谷委員長 午後四時より再開することとし、休憩いたします。
    午後一時三十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後四時二十四分開議
#120
○塩谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 地方税法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。安藤巖君。
#121
○安藤委員 私は今度の地方税法の改正問題について、いろいろたくさん問題があるわけですが、きょう先ほどいただいた第九十一回国会衆議院地方行政委員会への陳情が指定都市から出されておりますけれども、ここにもたくさんあるわけですが、「地方税における固定資産税、電気税の非課税、課税標準の特例措置については、抜本的に是正する措置を講じられますようお願いいたします。」と、「とくに、」というふうに書いてあるのですね。だから、この中の電気税の非課税の問題について、この陳情にこたえるという意味からお尋ねをしたいというふうに思っております。
 電気税の非課税措置については、非課税対象品目が今度二品目減らされて、八十四から八十二になるというふうに伺っておりますけれども、最近五年間、昭和五十年度から五十四年度までの各年度ごとの電気税の非課税による全体の減収額ですね、そして五年間の総額、それはどういうふうになっておりますか、お伺いをいたします。
#122
○石原政府委員 電気税の非課税規定に伴う減収額でございますが、五十年度が百五品目で七百六十八億円であります。五十一年度が九十七品目で七百五十億円、五十二年度が九十一品目で八百二十億円、五十三年度が八十七品目で八百四十一億円、五十四年度が八十四品目で八百九十三億円、このような数字になっております。
#123
○安藤委員 徐々に対象品目が減らされてきておりますけれども、なかなか大きな金額だというふうに思っております。
 そこで、この電気税、非課税品目じゃなくて実際に徴収をしておる電気税の市町村税収入に占める割合、これはどのようになっておりますか。これは五十四年度と、五十五年度は見込みでございますけれども、その二つで結構です。
#124
○石原政府委員 市町村税総額に占める電気税の収入額の割合でございますが、五十四年度の場合、市町村税総額六兆八千九百二十六億円中電気税が二千四百三十七億円でございまして、三・五%でございます。それから五十五年度は、総額が七兆八千九百八十三億円に対して電気税が二千五百九十五億円の見込みでありまして、その比率は三・三%と若干減少することになります。
#125
○安藤委員 そこで、この非課税措置を全部なくしてしまうといたしますと、昭和五十四年度と五十五年度でどういうふうになる見込みか、先ほど言いましたすべての市町村の収入に対する割合。それから、電気税の非課税は、大体生産コスト中電気料金がおおよそ五%というふうになっていると思うのですが、これが一〇%ということになった場合はどんな割合になるのか、やはりこれは五十四年度、五十五年度でお答えいただきたいと思います。
#126
○石原政府委員 この非課税品目の制度を廃止したとした場合の増収額でございますが、先ほど申し上げましたように、五十四年度の場合で申しますと八百九十三億円、それから五十五年度は、現時点での推計では九百六億円の増収になるものと見込まれます。
 それから非課税品目の中で、その生産コストに占める電気料金の割合が五%以上一〇%未満のものについてどの程度の金額になるかということでございますが、五十四年度では、この範囲に入るものは、品目で申しますと三十六品目でございます。そして、その関係の減収額は三百五十億円でございます。これは非課税による減収額の中で占める割合が三九%になっております。それから、同じく五十五年度についてこの範囲の品目を拾いますと三十四品目でございまして、その金額は三百七十億円、これは非課税に伴う減収額の中に占める比率は約四一%になります。
#127
○安藤委員 いまお伺いをしてみると、相当大きな金額になって、これは地方自治体にとっては大きな自主財源の一つになろうかというふうに思われるわけでございます。
 そこで、昭和五十五年度の減収額をお伺いしたいのですが、これは先ほどから話はあるわけですけれども、いま電気代の値上げの問題があります。現在のところは未確定でございますが、五一%という話もあるしあるいは五〇%という話もあるのですが、計算のしいいように五〇%と見込んで、そして非課税措置による減収額、これはだから八十二品目ということになりますか、それはどういうふうに計算をしておられるのでしょうか。
    〔委員長退席、石川委員長代理着席〕
#128
○石原政府委員 現在電気料金の値上げの案が検討されているわけでありますが、その率がどうなりますか、全体の平均の率あるいはその中における電力料金と電灯料金のアップ率がどうなるのか、これらによってただいま御指摘の産業用電気の非課税に伴う減収額が変わってまいります。一応の計算として五〇%としたらどうなるかというお尋ねでございますが、単純に五〇%として現在の非課税品目について計算いたしますと、五十五年度の場合は初年度計算になりますから若干平年度と数字が変わってまいりますけれども、五十五年度のベースで申し上げますと約四百億円減収額がふえる、特例による金額がふえるという計算になります。
#129
○安藤委員 そこで、いまお聞きのような数字になっておるわけですけれども、この電気税の地方自治体の財源としての位置づけですね、これは別に大したことはない――減税措置をなくするあるいは一〇%にするということによって相当大きな財源を獲得することができるということはもうわかっているわけなんですが、別に減税品目を減らす必要はないというようなことはお考えになってはおられないと思いますけれども、そういう電気税の自治体財源としての位置づけということについて、これは大臣にお尋ねしたいと思うのです。どういう方向でこれをやっていくということを考えておられるのか、あるいは希望を持っておられるのか、それをお伺いしたいと思います。
#130
○後藤田国務大臣 電気税につきましては、一つは、家庭用の電気については従来から大衆負担ではないかといったような意見が一方にございます。もう一つは、産業用の電気については原料課税じゃないか、この両面の御批判があるわけです。しかし地方の税の中では、大衆負担、これはよく話はわかるのですが、その点については何といいますか、この税は収入と家庭での電気の使用量というのは非常にパラレルになっているものなんですね。そういうようなことで、私はやはり支出に課税するという観点に立って見た場合に、この税というのは支出税として見た場合になかなか味のある税だな、こういうように考えます。しかしながら、やはり零細負担は排除しなければいけませんので、それについては毎年のように免税点の制度を設けて、そういった批判をかわしておる、これが実態でございます。
 それから産業用の面につきましては、これはまさに原料課税は税の理屈上やはりどうしても避けなければならぬ、これはよくわかるのです。そういうようなことで、たしかいま原材料費のうち占める割合が電気が五%じゃなかったかなと思います。それ以上のものについては非課税にするといったようなことで原料課税であるということについての非難を避けていこう、こういうことでやっておりますが、何といいましてもこれは普遍的しかも安定的な税制でございますから、市町村税制の中では私どもとしては何とかこれは維持、確保をしていきたい、かように考えているわけでございます。
#131
○安藤委員 維持、確保はもちろんいいんですが、余り力を入れてお答えにならなかったのでもう一つお答えを願いたいのですが、非課税対象品目、これをさらに減らしていくという方向で御努力をされる御意向があるのかどうか。もちろんこれは対通産省との関係でいろいろあるということはわかっておりますけれども、先ほどからおっしゃったようなことでこれは普遍的、安定的な財源の一つなんですから、非課税品目を減らしていくということになればそういう非常に貴重な財源がさらにふえるということになっていく。先ほど私がいろいろお尋ねしたことによって出てきた数字、金額からもこれははっきりしておると思うのですね。だから、そういう方向でこれまでも自治省の方は努力はしてこられたということは伺っておりますけれども、大臣もそういう方向で一層努力をされるかどうかということをお伺いしたいのです。
#132
○後藤田国務大臣 これは当然のことながら、事務当局でずっと従来から主張しておるその線に沿って私としても確保をしてまいりたい、かように考えております。
#133
○安藤委員 そこで先ほどからも話をしておるのですが、生産コストのおおむね五%を超えるものが非課税の対象品目になっておるわけですが、今度その対象品目から外すということになっております産業の硫化鉱それから二硫化炭素ですね、このコスト中に占める電力料金の割合は何%になるのか、そしてこれを外すことによってどれだけ増収になるのかをお伺いしたいと思います。
#134
○石原政府委員 今回非課税品目から落とそうとしております二品目のうち、硫化鉱につきましては、五十二年度の統計でありますけれども、この製品コスト中に占める電気料金の割合は一五・五%であります。それから二硫化炭素の電気料金比率は一四・四%であります。この二品目を廃止することに伴う電気税の増収額は、五十五年度ベースで三千万円になります。内訳は、硫化鉱で千四百万、二硫化炭素で千六百万円、このように見込んでおります。
#135
○安藤委員 金額的には大したことはないですね。コスト中に占める割合が相当高いということは一応の評価をいたしますけれども、通産省当局の方との折衝が余りむずかしくなさそうなのをねらってきたような印象を受けぬでもない。
 そこで、なおかつ非課税の対象品目になっておるのが八十二品目あるわけでございますけれども、この中に電気料の占めるコスト割合が五%を割っているものはあるのかないのか、いかがでしょう。
#136
○石原政府委員 現在は五%未満はない、このように承知しております。
#137
○安藤委員 先ほども硫化鉱の方での説明は、五十三年度の説明というふうにお聞きしましたが、現在残りの八十二品目については五%を割っているものはないとおっしゃるのですが、これは一体いつ調査をなさったものでしょうか、そして調査をされたとすれば、これは全部の品目、八十二品目全部について調査をされたのかどうかをお伺いしたいと思います。
#138
○石原政府委員 ただいま申し上げた点も五十三年度の実績値でございます。ただいま入手し得るデータとしては五十三年度実績値まででございます。いずれも通産省の方からいただいたデータで調べますと、現在の八十二品目の中には五%を切るものはない、このようなことでございます。
#139
○安藤委員 産業構造の変化というのはそう急激にはないのかもしれません。しかし、これはそんなに間を置かずに調査をされる必要があるのではないかと思うわけです。そしていまお聞きしますと、それからこれまでいろいろお聞きしたところによると、実情はわからぬでもないのですが、すべてこれは通産省に依頼をして、通産省が調べた結果をはい、そうですかというふうに受け取って、そのままそれが素通りしていくという仕組みにどうもなっておるようなんですね。この点非常に私は疑問に思うのです。実際問題としてできるのかどうかということは、技術的に相当困難ではないかということもわかるのですけれども、やはりこれは地方税の関係なんですから、自主的に自治省の方が通産省に働きかけて、一緒に行くなり技術を覚えるなりをして調査をするというようなことはお考えにならないのかどうか、お伺いしたいと思います。
#140
○石原政府委員 私ども地方税の所管の官庁といたしまして、この電気税につきましても、課税の実態がどうなっているか、機会をとらえての勉強に努めているつもりでございます。ただ、この非課税品目の中で生産コスト中に占める電気料金の比率がどのくらいになっているかという点になりますと、技術的な面あるいは帳簿などの原材料のコスト計算などの面、両面からチェックしなければならないものでありまして、どうしても全体としては通産省の方のデータに依存せざるを得ないわけでございますけれども、しかし、私どもとしても機会あるごとに、また問題があるごとに実態を調べたり、また通産省だけでなしに別の、直接企業から話を聞いたりあるいは自治体の方から話を聞いたりして、実態の把握には努めておるつもりでございます。今後ともそういった努力は続けてまいりたいと思っております。
#141
○安藤委員 やはりいまお答えいただいたように、自治省としても直接調査をしに行く、あるいは通産省の方から届いたデータをうのみにしないという方向でやっていただきたいと思うのです。
 それで、いまちょっとお話があったのですが、それぞれの自治体が直接管轄内の企業の電気料について調査をしに行くというようなこともやっておられるのですか。
#142
○石原政府委員 私の承知するところでは、幾つかの自治体でこの非課税品目の問題、あるいはそれに限らず電気税全体の問題について直接企業に赴いて調査をしているという事例は聞いております。
#143
○安藤委員 そういうようなことをどしどしやっていただいて、厳正なチェックをしていただきたいということを要望いたしておきます。
 その関係で、これまでもずっとお尋ねをしてお答えをいただいてきたのですが、この電気税の非課税について一、二の都市の実態をお話をして、いま申し上げましたような御努力、それから先ほど大臣からお答えいただいたような方向での御努力をお願いする資料にしたいと思うわけです。
 名古屋の場合、昭和五十四年度、非課税による減収額は約九億円になっています。非課税品目に該当する産業が幾つかあるわけですけれども、たとえば鉄鋼、金属関係でいきますと、電気料金のうちの九〇%が非課税になって、わずか一〇%にだけ税金をかけているというのが実態なんですね。それから、これは化学の硫安、硫酸あるいはアクリル関係、これも同じような状況で、結局一〇%にしか税金をかけてない、こういうような調子になっているわけです。それで非課税の品目の産業の上位三十社の業種別の内訳も調査をしてまいっておるわけなんですけれども、これが一番大きいのが鉄鋼、金属で二億五千六百万円、それから化学の方が一億六千九百万円、こういうような金額が出てきて、上位三十社で五億七千六百万円というのが数字として上がってきているわけです。だから最初に申し上げましたように、もう例年のように指定都市の方からこの非課税措置の整理合理化、これが非常に強く要望されているというのは御承知のとおりであります。
 そこで、これはきのうもNHKのテレビでもやっておりましたし、きょうも新聞に大きく出ておりますけれども、四日市の場合、あれは石原産業が硫酸を含む廃液をたれ流しておったのが刑事事件として公害罪ということで有罪の判決を受けたわけです。そこの中でも言われておったのですが、ずっと前から石油コンビナートの公害の町というふうに四日市市は残念ながら言われておったのです。そこで昭和四十六年の暮れの市議会で、公害のおそれのある石油関連企業は誘致しないという、いわゆる石油関連企業締め出しの決議をしたわけなんです。ところが、公害裁判が終わってから七年たっておるわけですが、現在もなお公害病の認定患者が千人近くおります。それから毎月新しい患者が二人以上ずつ出ているという状況で、依然として公害都市だというふうに言われておるのですが、御承知のように昨年度から地方交付税の交付団体に四日市はなったわけなんです。公害企業締め出しの決議をしたけれども、そういうような状態になってしまったので、その公害企業締め出しの決議の趣旨を緩めて、そういうような企業ももう一度誘致しなければ成り立っていかないというような動きが出てきている。これはNHKの解説にも出ておった事実なんです。
 こういうことになりますと、これは私の個人的な問題なんですけれども、私も公害裁判の原告側、住民側の代理人として裁判をやった一人ですから、これは非常に残念なことでもあり、許せないと思っているのです。その四日市で、電気税非課税対象品目に該当して幾つかの大きな会社が電気税非課税という措置を受けておるわけなんです。この四日市での非課税の額、これは私の方から調べてきましたので、間違っておれば訂正をしてもらわなくてはいけませんが、上位十社で約八億六千三百万円。これは昭和五十三年度なので、いまはもう少しそれよりもふえているのかもしれませんが、大体そんなものだと思うのです。この非課税になっている大きな会社というのは、どういうような会社がその対象になっているのか、質問をいたします。
#144
○石原政府委員 企業ごとの非課税による減収額というのはつまびらかにしておりませんけれども、四日市市の方に問い合わせたところ、比較的大きな減収額を生じている企業名としては、三菱油化、中部電力、東洋曹達、協和油化、三菱化成、新大協和石油化学というふうな企業だ、このように聞いております。
#145
○安藤委員 五十三年度の非課税の額は私が申し上げておるとおりで間違いがなかったようですね、訂正をされませんでしたから。
 一番大きな会社がどこの会社か、私も実はわかりませんが、先ほどおっしゃった三菱油化あるいは新大協和石油化学というのが一番中心的になって石油コンビナートが結成されておると伺っておりますから、恐らくそこらあたりが一番大手じゃないかと思いますが、一番大きいところは、一社で一年間で三億九十万八千円という非課税措置、これは完全に免税なんです。そういうような措置を受けているのですね。私が先ほど申し上げましたように四日市は、せっかく公害都市から脱却をして健康な町づくりということで市議会の決議までやったにもかかわらず、また公害都市に転落するおそれのある公害企業を誘致しなければならぬという状態に落ち込んでいる。ところが一方で、先ほど名前が出たようなところはまさに大企業で、すばらしく利益を上げておる大企業なんですが、そういうところに対してこういう非課税措置をとっている。だから財政が苦しくなって、先ほど申し上げたような方向にまた逆戻りしそうな気配になってきている。私は非常に大きな疑問を感ずるわけです。たとえば非課税措置を全部やめるあるいはおおむね五%というのを一〇%までということにしたならば、それによる増収によってそういう交付団体に転落をすることもなかっただろうし、またまた危険な公害企業を誘致する方向に逆戻りをすることを考えなくてもよかったのじゃないかと思うのです。だからそういう点からも、非課税措置をなくするあるいは五%内外というのを一〇%というようなところまで緩めるというような方向でお考えいただきたいということを要望しておきます。
 もう一つつけ加えますと、これは四日市で調べてきたのですけれども、四日市の公害健康被害補償法の関係は別に出ておりますからいいのですが、それ以外に、四日市が一般財源から公害対策関係費として出しているのは、五十四年度で一億五千七百万円ですね。五十五年度の予算でも一億六千五百万円。これは、先ほど言いましたように八億六千何ぼですから、公害対策費用なんか軽く出てしまうという状況にあるということを認識をしていただきたいと思います。
 そこで、先ほどからいろいろ議論をしておりますが、コストの中に占める割合がおよそ五%というのは、絶対的なもので動かすことができないものかどうかということですね。先ほどお伺いしたところによると、今度外すことになった二品目、硫化鉱と二硫化炭素については、五十三年度の調査でも一五・五%あるいは一四・四%ということですね。となると、この五%というのは実質的にもう外れてしまっているのじゃないかと思えるわけですね。だから、この五%というのは実質的に外してしまって、通産省に対しても強く要求をしていくというようなことをお考えになっておられるのかどうか、そのことをまずお伺いします。
#146
○石原政府委員 先ほど申し上げましたように、今回非課税品目から落とすことにしております二品目、いずれも電気料金のコスト中に占める比率は一〇%を超えております。それで、現在の非課税品目の一つの選定基準といいますか、そこに挙がっておりますものの基準としては、五%を超えるものということにしております。したがって五%を超えるものはすべて非課税品目であるということではなしに、五%を超えるもので、かつ、非常に重要な基礎産業物資についてそこにリストアップしているわけでございます。したがいまして、最近の経済の実態あるいは製品の産出量その他経済に及ぼす影響などから、五%以上であってもあるいは一〇%以上であっても非課税品目としてとどめおく必要のないものについては常に見直してこれを外していく、このような努力をしております。このような考え方で関係省庁にも協力をお願いしているところであります。そのことと、現在の五%という基準をやめてしまうということとはまた別だと思います。五%以上の非課税品目の中でも、たとえば鉄鋼のように非常に影響の大きいものもありますので結局、基礎資材の現在の産業経済に及ぼす影響などによってこれを考えていかざるを得ないのじゃないか、このように思います。
 いずれにしても私どもは、地方財政の立場から非課税の特例はなるべくない方が望ましいわけですから、そういった方向で努力をしていくつもりでありますけれども、五%の基準そのものを変えてしまうというのは現在ではまだむずかしいのではないだろうか、このように思います。
#147
○安藤委員 いまおっしゃったのとちょっと違う話を聞いてきたのです。というのは、ここに掲げてある対象品目、現在八十四品目ですが、この産業においてはいわゆる電気料のコストに占める割合はおおむね五%を超えている、こういう理解をしているのです。非課税品目の連絡がありますね、事務所の関係とかについてだけ電気代を納めますよという連絡が来る。だから、そういう品目をつくっている企業だからおおむね五%を超えている品目なんだという理解で、別にチェックも何もしないという話を聞いてきたのです。しかし、いまのお話だとちょっと違いますね。五%ということばかりではなくて、もう一つ産業に与える影響だとかどうとかというお話もあったのですが、ちょっと違うものですから、その辺は一遍趣旨を徹底してください。
#148
○石原政府委員 私が申し上げましたのは現在、地方税法でリストアップしております八十二品目はすべて五%以上でございますけれども、ここには載っていない製品でコスト中に占める比率が五%を超えているものがほかにもありますということを申し上げただけです。
#149
○安藤委員 そこで、五%のほかにもう一つ、産業の基盤の問題をおっしゃったのですが、私どもはこれはあくまでも大企業優遇の特別措置だと申し上げておるのですよ。だから五%を一〇%にしようがあるいは全然非課税措置をなくしてしまおうが、別にそういうようなことによっておたおたするような会社は、いまの特別な経済状況で一時的に構造不況になっているようなところは別にして、対象になっているところは少ないのじゃないか。たとえば鉄鋼関係は特にしっかりと非課税措置を受けているのですけれども、最近私どもの方で日本の大企業五十社の内部留保、ため込み利益十二兆六千七百億円というのを調査したのですが、そのうちで、大手の新日本製鉄は鉄鋼関係ですから完全に非課税措置を受けている。あるいは、川崎製鉄、住友金属、日本鋼管、神戸製鋼、これは大手の五社だけを私が拾い出したのですけれども、この五社だけでも昨年九月期の決算が一兆二千四百二十六億円の内部留保をちゃんとため込んで大もうけしているのですよ。ところがこういう企業に対してしっかりと非課税措置をとっている。これは通産省に言うた方がいいのかもしれませんが、自治大臣、その辺のところもしっかり踏まえていただいて、最初におっしゃった方向でがんばっていただきたいということを要望いたしまして、ほかの問題に移りたいと思います。
 もう一つのほかの問題といいますのは、午前中も議論がなされましたが、今度の不動産取得税の六十日の問題です。
 伺っておりますと、税制の整合性というようなことで登録免許税のことをおっしゃって、今度それが中古住宅にも適用されるようになった。中古に六十日で新築の場合六十日でないということになっては非常に不都合だからというお話をしておられたように伺っておるのですが、しかし、登録免許税の方は国税ですね。だから、国税と地方税というのはそう強いて整合性を持たせなければいかぬものでもないんじゃないかと思うのですけれども、それを無理やりにというか持ってこられたのは、それだけのことなんでしょうか。
#150
○石原政府委員 住宅に関連する税制として、登録免許税でありますとか、あるいは所得税における住宅控除でありますとか、あるいは不動産取得税でありますとか、こういったものはいずれも、住宅を取得されあるいは新築された場合に関係する税制でございます。したがって、こういった税制につきましては、なるべくいろいろな基準等は合わせることの方が納税者側の立場からも望ましいのではないかということで、今回中古住宅について課税の特例を導入するに当たってその要件は、登録免許税あるいは所得税などの要件を勘案しながらこれを合わせたという経緯でございます。
#151
○安藤委員 ところで、午前中もちょっと話が出たのですが、家を買うあるいはつくるというのは、一般国民にとって一生に一度あるかないかというようなことだと思うのですね。PRをするからいいというお話があったのですけれども、月に一回とか年に二、三回というようなこと、あるいは毎年毎年やるということだったら、それはPRも気をつけておる、間違わないように、損をしないようにということは一応考えるのですが、一生の間に一度あるかないかというようなことだとすれば、そうPRをされても徹底するのかどうかということが疑問に思われるのです。それは得をするのだからそのことを忘れるはずがないんだというのも、一つの論として成り立たぬこともないと思うのですが、これもちょっと議論があったようですけれども、たとえば先ほどお話しした登録免許税の問題でも、千分の五十から千分の三十にこれは申告すればなるんだという制度になっておるわけですね。
 ところが、昨年これがそういうような制度に改正をされて、やればそれだけいわゆる減額措置の対象になるということになっておったにもかかわらず、それでこれは新しい制度ですからPRをされたんじゃないかと思うのですけれども、やはりこの一年間東京でたくさんの家がつくられたりあるいは売買が行われたと思うのですけれども、わずか三十件足らずだったということになると、これはPRをしたということだけではとてもじゃないが追っつかない話じゃないかという気がするんですよ。だからその辺、これはそういうような減額措置をとってもらえる、軽減措置をとってもらえるということは、宅建業者あるいは不動産取引業の人たちは当然周知徹底されていたと思うのです。にもかかわらず、実態はこうだということになると、やはりPRする、するというふうにおっしゃってみえるけれども、この六十日間というのが徒過されてしまう、せっかくのそういう軽減あるいは減額の権利を行使することができなくなるというおそれが非常に強いんじゃないかと思うのですが、その点心配ないのでしょうか。
#152
○石原政府委員 確かにわれわれ自身のことを考えましても、税制上のいろいろな知識、特典というものをすべて知っているということではございません。ですから、家を建てるときに関連する役所の窓口あるいは関連の業界などが、こういった恩典について十分建築主に知らしていただくようにするということがポイントではないかと思うのであります。
 私ども今回、新築住宅について一定の適用要件を定めたことに関連して申告していただくようにしたわけですけれども、午前中も申し上げましたが、全く新たに申告行為をお願いするというよりも、現在でも地方税法の第七十三条の十八という規定によりまして、およそ不動産を取得した場合には、各自治体の条例の定めによりまして、おおむね三十日以内ぐらいの間に申告をしていただく、こういう不動産を取得した、こういう家を建てたという申告をしていただくという義務づけがなされております。この規定には、もし怠りますと一定のペナルティーが科せられるという規定までついておりまして、とにかく家を建てられたならば申告していただくということを現行法で義務づけておるものですから、このときにあわせていまの不動産取得税の課税の特例、恩典について申告していただくということは、全く何もなかったところに新たにお願いするというのではなしに、こういうすでに現行制度にあるものに加えで申告をしていただくということでありますから、関係の官公庁において十分PRすることによってこれは周知徹底できるのではないだろうか、このように考えている次第でございます。
#153
○安藤委員 PRの方は、私は先ほども申し上げましたような事実に基づいて信用しないのですがね。そういう事実からすると、とてもじゃないが、これは六十日を徒過する人がたくさん出てくるのではないか。せっかくつくっても魂入れずで、何の効果もないのじゃないかということを強く心配をしておるのです。
 そこで建物、新築の場合に限って話を進めれば、新築をしたときにおっしゃるように、三十日あるいはそれぞれの都道府県によって十日以内というところもあります。これは条例準則によって三十日以内というふうに決められて、それに基づいて条例で決めておられるわけですね。そういうことになっておるのですが、これはそういうことがもともといかぬのだと言われればおしまいなんですけれども、実際の実務上のこれまでの取り扱いは、条例でたとえば十日なら十日というふうに新築した場合は届け出るようにとなっております。ところが、新築をされたということを現地へ見に行かれたりあるいは法務局で保存登記がなされたのを調べられたり何やかにやでキャッチをして、そして納税通知書というのを発行する。そうすると、納税通知書が来たから納税者の方は驚いて飛んでいって、いろいろ説明を窓口で聞くわけですね。実はこういうふうに申告をすれば不動産取得税について減額あるいは軽減の措置がありますから申告をしたらどうですか。それはだれでも申告すると思うのですけれども、そういうようなことでもって実質的には措置をされて、そして納めるべきものは納めてちゃんと義務を果たし、権利を行使してきているのが実態じゃないのですかね。だから、そういう実態からすれば、いままでどおりに条例準則でちゃんと三十日以内なら三十日以内というふうに決めて、そしていままでどおりにやっていかれても、決して不動産取得税が脱税されるとかいうことにはならないし、そして新築をした国民はちゃんと権利を行使することもできるということでいけるんじゃないですか。そういうことはお考えにならないのですか。
#154
○石原政府委員 私ども今回、申告していただくようにした最大の理由は、従来でありますと新築住宅の場合には特に要件がない、すべての新築住宅について課税標準の特例あるいは土地について税額の減額という特例を認めておったわけでありますけれども、今回面積あるいは価格によって一定の線を引きまして、その要件を満たすものについて課税標準の特例等を適用するというふうにいたしたものですから、どうしてもその該当する資格のある納税義務者に申告をしていただくということが課税関係を明らかにする意味で必要である、このように考えたわけであります。従来どおりでいいじゃないかというお話でございますが、従来は特にそういう資格要件がなかったものですから申告を義務づけていなかったわけですけれども、今回はその線が引かれたものですから、該当者については申告をしていただくということが課税事務を円滑に進める上でどうしても必要である、このように考えた次第でございます。
#155
○安藤委員 そういう資格ができたからといっても、何も六十日ということを法律上の文言できちっと決めて、それを守らなければせっかくの権利行使ができなくなるというふうにしなくても、これはちゃんとできるというふうに私ども思っているんですよ。だから、こういうような声も聞くんです。今度こういうふうに六十日という制限をつけることによって、PRの方は私は信用しませんよ、先ほどの事実からすると。そうすると、八〇%ぐらいの人はこの六十日を徒過してしまうのじゃなかろうか。となると、こういう減額あるいは軽減の権利を行使することができることにしてあるのだけれども、六十日という制限をつけることによって約八〇%の人が結局、権利行使をすることができなくて、それだけ地方自治体は税収入を上げる、減額しなくてもいいことになるんですからね、そういうことをねらっているのじゃないかという話さえ私は聞いているのです。それは実際問題として、先ほど言いましたような登録免許税の例を一つ見ても、一年間にわずか三十件足らずしかそういう権限を行使するようなことをやらなかったという事実があるわけなんですから、恐らくそういうことになるのじゃないかと思うんですよ。
 もちろんそういうことを考えておられないと思いますよ。全部の人がそういう権利行使をするために六十日以内におやりになるだろうと期待しておられると思うのですけれども、そうだったら、そういうことにならないように、いままでどおりにやった方が一番いいじゃないですか。せめて条例準則で三十日以内と決めて、そしていままでどおりに納税通知書を出して、そして来たらそれをきちっと申告をそのときに出してもらう、こういうようなことできちっと処理ができていくというふうに思います。だから私は、新しく設けられる七十三条の十四の四項、それから七十三条の二十四の同じ四項、これは土地の方ですが、これは削除すべきだということを申し上げるわけなんです。
 そこで、もう一つ問題があるのですが、これは実際にそういう事務をこれまで取り扱ってきた都道府県の税務課の人たちの仕事がものすごくふえるということなんですよ。いままででしたら、そういう申告をしなければだめだというようなことでなくて、納税通知書を出して、人が来るというときに、こういう制度があるから申告したらどうですか、それで申告するということでスムーズにいっていたわけですよ。ところが、今度は申告しなければならぬということになれば、そのPRをまずやらなければいかぬですよ。そして申告なされたときに、たとえば新築の場合、六十日以内の申告なのかどうかということを確認しなければならぬと思うのです。どこから六十日以内たったということを確認するのか、これは民法上とかいろいろあります。あるいは登記簿に登記されたとき、あるいは検査済証、検査が済んだとかあるいは工事が全部完了したというようなときとか、いろいろな時点があるんですよ。それをどこかでチェックしないと、六十日というものは切れませんね。だから、そういうような仕事も出てくるわけです。そしてさらに、どうしてそれを教えてくれなかったんだという苦情がまた非常にたくさん殺到するだろうと思うんですよ。
 だから、調査をしに行かなくちゃいかぬ、PRはしなければいかぬ、しかも調査をして六十日という期限を切るのに、どこのところで押さえたらいいかという大問題が一つある、苦情は殺到するというようなことになったら、いま行政改革で公務員を減らすあるいは地方公務員も減らすというようなことを言っておられるのですけれども、とてもじゃないがいままでの人員どおりではいかない、下手をすると五割増しあるいは倍くらいの人をふやしてもらわぬことには処理していけませんというのが地元の声なんですよ。だから、そういう点についていろいろ都道府県に対して、こういうふうにするけれども、事務の関係はどうなるだろうかとかという点も含めて、先ほどのようにPRをやって権利をしかるべく行使してもらうというような措置をとることができるかどうかというような点について、都道府県の意向を聞かれたことがありますか。お聞きになったとすれば、それはどういうような返答であったのか、お伺いします。
#156
○石原政府委員 今回の改正のように徴収関係、課税関係の変更につきましては当然、第一線の税務担当者の御意見を聞くことが大変重要だと思います。今回の改正につきましては、この改正の案が固まりました段階で、ことしの一月でございますけれども、税務課長会議を招集し、その際に担当課長からそれぞれ各都道府県の税務担当者からの意見を求めております。それから、それだけでは十分でないということで、さらに住宅の新築の多いような府県などにつきましては、電話等で個別に意見を求めまして、その上で今回のような扱いでいいのじゃないか、こういう御意見をちょうだいしましたので、今回の改正に踏み切ったわけでございます。
#157
○安藤委員 これは昭和五十二年度の話なんですけれども、これまでの新築あるいは土地を買われた場合の件数、東京都で一年間に十八万件あるのです。そして大阪府の場合は、両方合わせると十二万件、愛知県の場合約六万件あるのです。それに対して、六十日以内に先ほどの申告を受けなければならぬ、それから調査をしに行かなくてはならぬというようなことでもって、これはとんでもない事務量がふえるのです。いままででしたら、半年あるいは一年後に法務局へ調べに行ったりあるいは現地を見に行ったり等々で処置をして実際にやってきたのです。ところが今度は、日にちを切られる、来る、それを調査しに行かなくちゃならぬとかトラブルとかなんかかんか全部仕事を引き受けて、とんでもないことになるんですよ。だから、いまの人員をもう二倍くらいにしてもらわなくちゃならぬというのが出てくるのも、これは切実な話として当然だろうと思うのですが、そういうようなこと、事務量がふえることについては何にもお考えになっておられないのでしょうか。
#158
○石原政府委員 今回のような改正がある程度軌道に乗ってまいりますと平常化すると思いますけれども、軌道に乗るまでの間、経過的に事務量がふえることは予想しております。これらにつきましては、こういった大変厳しい財政環境の中でございますから、現体制の中でそれぞれ御努力いただくしかないのでありますけれども、私どもも事務量が経過的にかなりふえるであろうという点についてはいろいろ心配もしております。
#159
○安藤委員 実際のところを言うと、そういう心配もあるわけですね。
 それからもう一つ、先ほどもちょっとお話ししたのですが、六十日の出発点。新築した家を取得した日というのをいつにするか、これは技術的に非常にむずかしいのです。だから、これまでもそれを法的に六十日なら六十日とはっきりとした日にちでもってかぶせることはしなかったというのは、そういうところに非常にむずかしい問題があるからじゃないかと思うのです。それを今度こういうことにしますと、非常にむずかしい問題が出てきますよ。だから、それはどの辺のところに置いておられるか知りませんが、もしお考えがあったらお聞かせ願いたいと思うのですが、そういうことだけでは、自治省なら自治省でお考えになっておられるこのときが取得した日なんだと言ったって、納税者の方は納得する場合と納得しない場合とありますし、訴訟問題だって多発するんじゃないかと思うのですね。だから法的にはこれはかぶせられないということでいままでのようなことが行われてきたんだと思うのです。だから、それはやはりいままでどおりにやってちっとも差し支えないと私は思うのです。だから重ねてそのことを強く要望いたしまして、その取得した日というのについて御見解があれば、時間がまだちょっとありますから伺っておきます。
#160
○石原政府委員 住宅を取得した日につきましては、地方税法にその住宅の最初の使用の日または譲渡がなされた日とみなすという規定がございます。この考え方によって現在、取得の日を決めておるのが実情でございます。
#161
○安藤委員 そこが非常に問題があるんですよ。住みついた日、しかしそれは住みついた日がいつか。それが六十日すれすれになったときに、いや、あなたはもっと前に住みついておったはずだ、そのもっと前に水道を引いたはずだ、電気を引いたはずじゃないかと言っても、電気は工事のときにもう引いてある場合もあるし、あるいは工事のために水が要るので水道も引いてあったときもあるしと、何か客観的なものでつかまえる必要があると思うのです。それでなかったら、荷物を運び込んだ日を見ていなければならぬわけですよ。どうやってそれをつかまえるかというのです。あるいは、譲り渡しを受けた日といったって、登記をした日なのか、実際に譲り渡しを受けて荷物を運んだ日なのか、住民票を持ってきたときなのか、いろいろこれは問題があると思うのです。しかも、それをどのようにしてキャッチするのかといったら、これは非常にむずかしい問題がありますよ。だから、その辺のところも十分考えておいていただきたい。先ほども申し上げましたけれども、この二つの条項については削除すべきであるということを最後に強く要求をして、私の質問を終わります。
#162
○石川委員長代理 部谷孝之君。
#163
○部谷委員 すでに質問が第五番目でございまして、およそ各質問者の方々が問題と思われるところは私も同様な問題点と考えております。そういうことで、回を重ねてまいりますと大変やりにくい面もありますが、しかし、党を代表してお尋ねをするわけでございますので、重複がございましてもひとつまたしかるべく御答弁をいただきたい、このように思うわけであります。
 まず大臣にお尋ねをしたいと思うのですが、いまさら申し上げるまでもなく、いまわが国が抱えております政治課題の中で現在の大きな懸案は、やはり国、地方を通ずる財政の再建だ、こういうふうに思うわけであります。
    〔石川委員長代理退席、委員長着席〕
 五十五年度におきまして、地方財源の不足額はなお二兆五百五十億円の巨額なものを抱えておるわけでありますが、かねてから六団体から地方財政につきまして幾つかの改善要望が出されております。一つはやはり地方交付税の増強だと思います。もう一つは地方税の充実、三番目には地方債の改善、四番目に地方超過負担の解消、大ざっぱに言ってこのような四つの改善についての要望が出されておるのでありますが、それらの方針につきましては、今朝からの質疑の中でその大宗につきましては大体御答弁があったようでございますので、私はその中で、地方税に関しまして政府はどのような対応をしておられるのか、まずその基本的な姿勢についてお尋ねしたいと思います。また、高度成長から安定成長へ転換いたしまして、エネルギー問題や高齢化社会問題も大きく浮かび上がっておる中で、何よりも財政環境が非常に悪化しておる現状を踏まえまして、地方税制はどうあるべきなのであるか、その中で、五十五年度の地方税制の改正はどのような位置づけがされておるのか、どういう点につきましてまずお尋ねをいたしたいと思います。
#164
○後藤田国務大臣 第一の問題点は、地方税について今度どういうように改正しておるのだ、こういうことでございますが、いま御提案をいたしておりますのは、一つは、税負担の適正化といいますか、それは何よりも第一重点としてやろうではないかということ。それからもう一つは、こういった状況ですから、そう根本的な税制の改正はできませんので、現行の税制の中でできるだけひとつ税収確保を図っていこう、この二本の柱で税制改正に臨んでおるつもりでございます。
 それから、先行きの地方税制のあり方の問題でございますけれども、これは何といいましても、私どもの立場は地方財源をもう少し充実しないと、本当の意味での地方分権といいましても空念仏になるわけですから、そこでもちろん事務の配分の問題もありますけれども、しかしそうは言いながらも、いまのままでももう少し地方税制というものを何とか充実強化しなければならぬ、こういう基本的な考え方は持ってはおるわけでございます。ただ、けさも申しましたように、何といいましても地方団体というのは、三千何百それぞれ経済力が違うものですから、幾ら税制だけで完全に埋めろといってみても、それをやりますと、どうしても税源が偏在しておりますので、そういうわけにもいかない。ならば、そこの点はやはり交付税で埋め合わせをしていく、これはありきたった従来から言っておることでございますけれども、この二つを何とかしかるべき時期に――これは国との間の大変な問題になります。けさほど来地方税の府県民税ですか、税率についてはもう少しやったらどうだ、聞いておってよくわかるのです。しかし、これはよく考えますと、府県民税の税率だけでは地方政治というのはできないのですね。やはり納税者は一人ですから、これは個人の所得税と市町村民税の税率、それと府県民税の税率と、この三つを兼ね合わして考えなければならぬものですから、さしあたり微調整で済むものだから市町村の住民税で調整しましたという答弁をしておったと思いますが、これは同じことが言えるのですね。
 全体の税がふえるときであればこれはやりやすいのですけれども、そういったことは否定せられておる今日の状況でございますから、いまのままで地方税だけをどれをとってやるといいましても、なかなか実際問題では苦しいということは間違いありません。しかしながら、そうはいいながらも私どもとしては、いまのままで満足しておるわけではありませんから、やはり地方制度調査会なりからいろいろな御意見も承っておりますし、六団体あるいは地方団体からの意見も聞いておりますので、そこらを踏まえながら、あらゆる機会をとらえてその都度、その都度地方の独立税源を強化をしていく、この努力の積み重ね以外にはないのじゃなかろうかなというのが私の率直な考え方でございます。
#165
○部谷委員 そこで次に、新税の関係についてお尋ねしたいと思いますが、その前に、先般同僚議員からも質疑の中で行われましたし、またけさからも、またきょうの本会議の中でも質疑が行われたのでありますが、十七次の地方制度調査会で要請がなされております。その要請の中身につきましてはもう申し上げるまでもないのですが、「答申事項のうち国庫補助金等の整理合理化、事務の再配分、国の地方出先機関の整理縮小など国と地方公共団体との関係に係る改善事項については、この際、内閣に強力な推進体制を整備し、地方公共団体との意見調整を図りつつ、その速やかな実現を図るよう強く要請する」、こういう強い要請に対応いたしまして、自治大臣を加えた関係閣僚の方でひとつこれが推進の方途を進めていきたい、総理もきょうそうした答弁をなさったわけでありますが、そうした要請に対して、閣僚でそういう機関をつくるというだけでは強力な推進体制ということにならぬと私は思うのですけれども、中身をどういうふうにしようとしておられるのか、もう少しその辺もあわせて御答弁をいただきたいと思います。
#166
○後藤田国務大臣 その問題もこの内閣になってから、政府で行政改革に着手しよう、そのときも何か一つ新たな機関をつくってやったらどうだという議論は実際あったのです。ところが、いま御案内のようにいろいろな閣僚懇談会だ、協議会だ、調査会だ、いっぱいあるわけですね。そこで、そういった形にとらわれないで、基本は行管長官と大蔵大臣と官房長官、そして地方問題が入るときには自治大臣あるいはまた学校問題が入れば文部大臣も入ってもらうとかといったような、その都度その都度必要に応じて問題ごとに実際的な解決を図ろうではないか。そのとき、いままでのやり方は大体事務当局が事務方で打ち合わせをするわけですね。すると、これは大体まとまりません。絶対まとまらない。そうすると、まとまらないものはどこかといって今度は上の方でやる、こういうやり方が普通なんです。これは実際は現実的な解決方法だと私は思うのですが、それではこういった仕事は進まぬではないか。
 そこで今度のやり方だけは、基本の大きな枠は上で決めてしまう。その決めたものを下へ下げていって、それの具体化について事務方同士で相談をさせようじゃないか。そこらがうまくいかなければ今度は、個別の閣僚折衝で一つ一つ片づけようというような体制で進もうでないか、こういうことになったものですから、地方制度調査会等からも別の機関をつくって強力にやったらどうだという御意見、よくわかっているのです。よくわかっているのですが、ひとつ今回の制度改正については、いま申したようなやり方で実際的な解決を目指してやってみようじゃないかということで、いま取り組んでおるわけでございますので、その点、御理解を賜りたいと思います。
#167
○部谷委員 地方制度調査会の要請に基づきまして政府なりそうした機関が一体どういうふうな形で進んでいくのか、われわれとしましては大変関心の深いところでありますし、もう少し私たちの心の中に突き刺さるような御答弁を期待したわけでありますけれども、そうしたいわば行政改革への姿勢がどうもいまだしの感をぬぐうことができないわけであります。
 そういう一面、行政改革の問題もありますし、また一方ではオイルショック以後、政府が財政主導型とも言うべき公共投資による景気浮揚策をとってこられたわけであります。一面ではそのことが借金体質というものを惰性化したのであります。しかし一方、その効果もなかったわけではないのでありまして、五十四年度は税の自然増収を見たところであります。このことがまた五十四年度の交付税が大幅に伸びて、その増収分を五十五年度に回すといういわば異例な措置もとったばかりであります。しかし、今後の経済の動向を見ますと、原油価格の高騰、あるいは先進諸国の景気の鈍化傾向、物価の著しい高騰、あるいは内外の厳しい経済環境などを考えますと、今後大きく自然増収を期待することは無理であろう、このような感じがするわけであります。
 さきに述べましたように、行政改革、合理化、そうしたものにもいまの段階では余り大きな期待がどうも持てない。さらにまた、景気の動向から考えましても、歳入歳出両面にわたりましていま行き詰まりを見ておると私は思うのでありまして、そういう行き詰まりの中で政府は、税源を新税に求められるのではないか、このような気がするわけでありますが、その点はどうでありましょうか。地方財源の不足につきましては当然国が責任を持つことになるのでありますから、その方針もお示しを願いたい、このように思います。
#168
○後藤田国務大臣 いまの御質問は、経費の圧縮といっても、いまのようなやり方では必ずしも効果は期待できぬじゃないか、こういう御意見が第一にあったわけです。なるほど私もいまのやり方、行政改革等のやり方、これは私自身には私自身なりの意見があるのですが、一律の削減、機構あるいは定員、こういうものは結果として生まれてくることであって、それによってやることは、本当を言えばやり方としては逆だ。行政の改革というのは、基本は事務事業の見直しから始まらなければいけないんだ。そうすることによって組織なり機構なり定員に及んでいって、最後に効率ある経費使用、こういうことにいくのがたてまえだと私は思いますけれども、これは実際は言うべくしてなかなかむずかしいというようなことで、次善の策としていま政府としてはああいったやり方をやっていると思います。しかし、それなりに効果には限界が必ず生まれてくるであろうという点は、御説のように私自身も実は感じておるのです。それではならぬとは思っておりますが、そういう点はやはり問題だなという問題意識は持っております。
 それから二番目の、いまの景気の状況だから自然増収、そう期待はできぬじゃないかということですが、この点につきましては、あるいはそうかもしれませんけれども、私は実は景気の先行きにそれほどのあれは持っておりません。いまわれわれが考えているような程度の増収は期待できるであろう、かように考えております。しかしそれでも、それじゃ一体必要な行政経費は十分賄えるのかといえば、これはなかなか賄えないんじゃないかという気がしているのです。それだけに、しょせんはおっしゃるように新税ということを考えなければならぬのじゃないか、いまこういう御説ですね。私も先行きはどうしたってそうならざるを得ぬのではないかなと思うのです。しかし私どもは、これについては国会からすでに枠をはめられておりますし、同時にまた、私自身の考え方としても、何度も言いますように、いまの水ぶくれのままでここで新税はいけない。もう少し徹底した縮減をやった上で帳じりを見て、どうしても間に合わぬ。恐らく間に合わぬという結果が出ると思います。その段階に至って初めて国民に協力を求めるべきであって、いまのままではいかぬ、これは政治家として私の考え方なんです。
 そういうことでございますので、ただいま先生のおっしゃった、経費削減といってもそう効果はうまくいかぬのではないか、あるいはまた、自然増収といってもそんなにうまく出ませんよ、税もうまくいかぬのではないですか、政府はどうなさるのですかというところの御心配は、私自身も持っておりますけれども、さらばといって、そのままほっておくわけにいきません。いきませんので、何とかここは一つ一つの項目についてできる限りの努力をしていって、経済的、財政的な急場といいますか、危機をしのいでいかなければならぬというふうに実は考えておるのが私の真意でございます。
#169
○部谷委員 これも今朝来いろいろ言われたことですが、五十四年度の税制改正に関する答申、これにおきましては、一般消費税を実施すべきであるという旨の提言が行われまして、また地方制度調査会の十七次答申では、一般消費税が導入された場合を想定した上での答申がなされておるわけです。そして、五十五年度の税制調査会の答申ではこういうふうに述べておられます。一般消費税について、「国民の十分な理解を得るに至っていないと考えられるところから、昭和五十五年度においては、同税によらない財政再建の手だてを講ずることとする。」こういうふうに述べておられます。また五十五年一月二十五日に出ざれました経済審議会の「新経済社会七カ年計画フォローアップ報告」、これにおきましても、「昭和五十五年度中に実現できるよう諸般の準備を進めることとした一般消費税については、その仕組み、構造等につき十分国民の理解が得られなかった。
 したがって、いかなる方法によって所要の財源を確保していくかについて、国民の理解と協力を得つつ、政府においてさらに検討を進める必要がある。」こういうふうに述べておるわけであります。
 つまり、五十四年度の編成方針では、五十五年度中に一般消費税、関係して地方消費税を導入するとしておりましたけれども、過般の総選挙によりまして国民から拒絶をされた。しかし、引き続いて国民の理解と協力を得たいのが本音だけれども、参議院選もあるのでこの問題はしばらくさわらないでおこう、こういうのが本音ではないかという気がするのですが、大臣いかがでしょうか。
#170
○後藤田国務大臣 税の改正の問題については、先ほどお答えしたこれが私の考え方の基本でございます。ただ御質問の点は、いわゆる一般消費税の問題ですが、これは御承知のように否定をせられて、国会決議等もあって、五十六年度実施ということはできないことは当然だと思います。それから先どうなるのだということでしょうが、いままで大蔵省等が考えておったいわゆる一般消費税というものは、まだ実現できる環境は熟していないと思います。したがって、あのままの形では無理であろうというのが私の率直な考え方です。しかしながら先ほど言いましたように、やるべき仕事をやった上で、さて最後の帳じりということになったときにどうするかということにならざるを得ないわけですが、その場合に一体どう考えるのだということですが、いわゆる一般消費税という形では無理であろう。しかしながら、現在の日本の税制の中での直間比率、そういったようなことを考えたりいろいろしますと、いわゆる一般消費税という形ではなくても、何らかの形で支出に着目した税制、これはいずれの日にか課題として上がってこざるを得ないのではないかな、かように思います。しかしそれはずっと先の話であって、いま御説のように、五十六年度どうこうとか、それは腹にあって、あるいはまた蒸し返すのではないか、それは私はちょっとあり得ないお話ではなかろうかな、かように考えます。
#171
○部谷委員 率直な御意見の中に苦悩がにじみ出ておるようでありますが、次いで外形標準課税についてお尋ねいたします。
 法人事業税の本来の姿は、やはり外形標準課税方式であるのが本然の姿であると私は考えております。それは、事業税というものが応益原則による物税であること。二番目に、欠損法人は事業税を負担しないということは応益原則に反し、税の負担が均衡を欠いておる。三番目に税収が安定を欠く、こうした理由からであります。政府も本来、法人事業税は外形標準課税によるべきであるとお考えであるのかどうか。また、今後とも外形標準課税を導入するようにむしろ政府が都道府県を指導すべきではないかと思うのでありますが、その点について御答弁をいただきたいと思います。
#172
○石原政府委員 事業税の本質が事業活動に対する応益関係に着目して税負担を求める、こういう性格の税だとするならば、赤字であるから全く負担がないというのはおかしいではないかという議論、これは昔からある議論であります。現に政府の税制調査会の答申におきましても、たとえば昭和四十六年の長期答申においては、事業活動の実態をより的確に反映するような課税標準を採用することが望ましいという意味で、いわゆる外形標準課税の導入について提言をいたしております。
 しかし、この問題につきましてはその後、いわゆる一般消費税の導入問題と関連して論議され、今日に至っております。午前中も申し上げましたようにその過程におきましては、いわゆる一般消費税の導入を前提にして外形標準課税の実質的な解決を図る手段として、地方消費税を設けるという案も具体的に答申の中にあらわれてきたわけであります。しかしこの大前提が崩れた現在、外形標準課税の問題は、いわばもとに戻って検討しなければならない課題になってきていると思います。そういった意味で私どもは、これまでの検討の経過あるいは事業税の性格論、さらに今後の地方財源の増強の具体的な内容、こういったものを総合勘案しながらこの問題について取り組んでいかなければならない、このように考えております。
#173
○部谷委員 この外形標準課税につきましては、全国知事会の中に置かれました地方行財政基本問題研究会、ここから長年にわたって毎年毎年繰り返し提言をされておるところでありますが、去年そのことが中断されたのは、いまお示しのように地方消費税と外形課税とのかかわりの中で、消費税が出てくれば当然そのことは解決する、こういうことから五十四年度は中断されたかっこうになっておると思うわけでありまして、そのこともまた政府の方から繰り返し御答弁あったところでありますので、これ以上お尋ねをすることはやめますが、もう一つ、事業税に関連をいたしまして、特定不況地域の認定中小企業者に対する事業税等の優遇措置の適用は、通産省の指定した三十地域のみでなく、自治省の指定した百三地域にも適用すべきではないか、このことにつきまして昨年、この委員会で議論があったようでありますが、このことは大変大事な問題であるので今後の検討課題として取り組んでいく、こういう御答弁がされておるわけでございますが、どのような検討がされたのか、そのことをお尋ねしたいと思います。
#174
○石原政府委員 ただいまお尋ねの件でございますが、昨年の本委員会で具体的な検討を約束したようなお話がございましたが、私は実は昨年はこの仕事を担当しておらなかったものでございますけれども、いま当時の担当者に聞いてみましたが、具体的な検討は申し上げてないというふうに聞いておりますけれども、内容をもう一遍わかりましたら……。
#175
○部谷委員 これは衆議院地方行政委員会審議概要、去年のものです。それの中に事業税のところで、「特定不況地域の認定中小企業者に対する事業税等の優遇措置の適用は、通産省の指定した三〇地域のみでなく、自治省の指定した一〇三地域にも適用すべきではないか。」という質疑に対して、御答弁の要旨は、澁谷自治大臣の答弁といたしまして、「自治省の指定した地域も、通産省の指定した地域と不況の実態は変らないので、税制上の優遇措置を講じた方が良いと思う。ただ、現在の事業税等の仕組みからすれば、通産省の指定した地域のように国税で措置されるものでもなければ事業税の地方税だけで措置することは困難である。大事な問題であるので今後の検討課題としてとり組んでいく」と答弁している。これは衆議院の機関から出された記録の中にあるものですから、これをちょっとお尋ねしてみたのですが……。
#176
○石原政府委員 事業税の課税上の特例につきましては、やはり多くの場合国税の方の扱いと大体合わしておるものですから、通産省の指定地域以外の地域について事業税独自の措置として税制上の優遇措置を講ずるということは、その後大臣の御答弁にありますように検討課題として検討したと思いますけれども、具体的にはなかなか結論が出なかったのではないかと思います。
 なお、不況地域につきましては確かに、三十三地域に対して自治省独自の基準で百二地域ですか、より広く取り上げましたが、これらの地域につきましては、私は当時財政の担当をしておりましたけれども、地方交付税の配分あるいは地方債の配分では幅広くこれを取り上げたように記憶しております。
#177
○部谷委員 事業税の点はその辺で終わりまして、次に電気税に入りたいと思います。
 五十五年度の予算につきまして、社公民三党からの修正要求に基づきまして自民党との間で、電気税の免税点の引き上げにつきまして合意をしたわけでありますが、政府はこの合意事項をどういう形で履行されるのか、具体的な案をひとつお示し願いたい、また、その根拠をお示しいただきたいと思います。
#178
○後藤田国務大臣 四党間の申し合わせでございますので、政府といたしましては誠意をもって申し合わせの実現に向かって努力をいたします。
 電気税の免税点の引き上げにつきましては、いまの免税点以下の世帯が新しく課税世帯になるといったようなことのない限度において免税点の引き上げを実施いたしたい。つきましては、まだ電気料金の値上げは決まっておりませんから、これは二十一日ぐらいになるのじゃないかなと推定をいたしておりますが、それが決まりますれば即刻また地方税法の一部改正ということで、本当に委員の皆さん方には申しわけありませんけれども、事柄がこういった事柄でございますので、何しろ低額所得者の減税ということでございますので、何とかひとつ御支援をいただいて審議をしていただくことができますようにお願い申し上げておきたいと思います。
#179
○部谷委員 けさの新聞を見ますと、通産大臣と経済企画庁長官との間で電気料金値上げの問題についてまだ合意に達しない、そういうことで官房長官預かりというふうに記事が出ておりましたが、三党と自民党との間の合意は御承知のように、大体四千円をめどに引き上げよう、こういうことでありますし、電気料金につきましては、いまいろいろと微妙な段階に来ておるようでありますが、大体業界が最低五二%を要望しておりますのに対しまして、いろいろな話の中から想像いたしますと五〇%から五一%、この辺で最終的には決まるのではないか、これは私の推測であります。電気税の関係につきましては、そうした過程がはっきりしておらないわけでありますから議論の進め方が非常にむずかしいのですが、御承知のように民社党は、電源開発の問題あるいは電気税の問題等々、こうした電気の関係につきましては非常に関心の深い、特に深めておる政党でございますので、一つの仮定の上に立ってお尋ねをしてみたいと思います。その仮定と申しますのは、電気料金が五〇%アップされて、そしていまの免税点四千円、こういうことに仮定をして質疑をしてみたいと思います。
 まず、通産省の試算によりますと、五十五年度において電気料金の値上げがされずに、また電気税の免税点の引き上げが行われないとした場合、つまり料金も電気税も現行のままであるとした場合に、世帯ごとにかかる電灯料金の電気税の合計額は九百八億八千五百万円というふうに推計しておるようであります。これは通産省の推計であります。そこで、仮に免税点が引き上げられずに電気料金が五〇%引き上げられるといたしますと、電灯料金にかかる電気税はその九百八億の半分、五〇%でありますから、約四百五十五億円の増収が見込まれることになります。また、免税点を四千円に引き上げることは、これまでの免税点以下であった世帯を値上げ後も課税対象としないという意味で当然の措置であると思うのですが、この点についてひとつ御見解をいただきたいと思います。
#180
○石原政府委員 いろいろな前提を置いてのお話でございますが、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、今回の電気料金の値上げが非常に大幅である。私どもは一般の家庭に及ぼす影響も非常に大きいという点に配意いたしまして、今回は値上げの内容が決まり次第、その率を基礎にして現在、免税世帯になっている世帯が料金値上げの結果課税世帯にならないように、必要な調整措置を講ずるという考え方で準備をしているところであります。したがいまして、その限りにおいてどういう数字が出てまいりますか、四千円というふうな話がありますけれども、これも大前提になります家庭用の電灯料金のアップ率が決まらないと何とも言えない数字であります。
 それから、一般家庭用の電灯料金に係る税収入について先ほど御指摘のあった数字、私どもそのような数字と思っております。したがって、仮にそれが五割上がれば四百何十億ですか増収があることも事実です。ただこの点につきまして、税収の増だけが論議されているんでありますけれども、私ども財政の立場からいたしますと、同時に、地方公共団体の学校とかその他各般の公共施設の電気料金も上がりますので、歳出の方も見合って増加になります。地方財政全体として見ますと、電気料金の引き上げに伴う電気税の増収額の相当部分は歳出の増になって出ていくんではないか、このような見方をいたしております。
#181
○部谷委員 いまいろいろと免税点以下の人に電灯料金がアップになってもかからないような措置、配意をしたい、こういうふうな御答弁でございましたが、免税点が二千四百円から四千円に引き上げられる、四千円というのは全く根拠のない数字ではないのです、四党間でその目標でやろうという数字なんですから。やはりその辺に焦点を合わせて議論していきませんといけないので、大体この辺におさまると私も確信をしておるのです。また、電気料金のアップ率もいま申しましたように、業界の希望とそのほかのいろいろな情勢から勘案して、五〇%あるいはそれよりちょっと上に行くかなという程度、五〇%ということで議論をすることは全く荒唐無稽というか、現実を離れた議論ではございませんので、さらにお尋ねをしたいと思うのですが、いま二千四百円のいわば分岐点にある家庭、二千四百円の免税点で分岐点が二千四百円となっておるわけですが、そのように大体四千円に引き上げ、五〇%料金がアップされる場合には一体どの辺が分岐点になるのか、その辺の試算はしておられますでしょうか。
#182
○石原政府委員 電気料金の値上げもいずれここ一両日のうちに結論が出る話でありますから、具体的な想定の場合もかなり現実味を帯びてきておると思うのですけれども、私どもが耳にしております話では、電気料金全体の平均は五一とか二とかいう話が聞こえておりますけれども、この免税点の計算をする場合は、電気料金全体の平均アップ率ではなしに 一般家庭用の電灯料金のアップ率がどのくらいになるかということに関係があるわけです、免税点の計算はそちらの方のアップ率を使うわけでありますから。そちらについては私どもの聞いておるところでは、電力料金よりもかなり低くなる、四〇%台でもかなり低いところが論議されておるやに聞いております。したがいまして、いまの二千四百円の免税点の再検討も当然、この電灯料金の方のアップ率を基礎に検討されることになるのではないか、このように私どもは理解いたしております。
 したがいましていまお話しのように、免税を五〇%で四千円とした場合に免税対象世帯のシェアがどうなるかというお尋ねが、どうも私ども予想しております姿とかなり違っておるものですから、なかなかお答え申し上げにくいのですけれども、ただ、五〇%で四千円という前提に立てば、現在四二・三%という免税点のシェアがかなり上昇するのではないだろうか、四七、八%くらいまで上がっていくのではないかと思います。
#183
○部谷委員 いま掲げました数字、もちろんその内容はいろいろな要素を持っておるわけでございますから、単純な御答弁がいただけないことは理解をいたしますが、素人的にいろいろと単純な試算をわれわれしてみるわけなんでありますが、免税点が四千円に引き上げられるということになりますと、いま料金値上げが五〇%といたしますとそれを一・五で割った数字、つまり二千六百六十六円、これがいまの二千四百円に相当する分、こういうふうに考えられるわけです。そういたしますと、今度四千円に引き上げられることによって、現在の料金制度で言うところの二千四百円から二千六百六十六円、つまり二百六十円ほどの部分が免税にさらに加わる、こういうことに単純計算からいくとなると思うわけです。現在の激しい物価高に悩まされておる低所得者層の負担軽減の立場からいたしますならば、現在の社会情勢からして不十分である、こういうふうに思うわけであります。
 そこで、標準家庭の電灯料金は、日経の調査によりますと、八つの電力会社で三千三百七十二円から三千八百五十八円、この間に大体おさまっておるという数字が示されております。また、東京電力に例をとってみますと、標準使用量は百九十キロワットアワーで三千四百四十七円でありますから、この三千四百四十七円を五〇%引き上げますと標準家庭で五千百七十円、こういう負担になるわけであります。
    〔委員長退席、大石委員長代理着席〕
標準家庭以下の電灯料金には電気税を課すべきでない、こういう観点からいたしますと、いま挙げました数字をいろいろと勘案いたしますと、免税点は少なくも五千円に引き上げるべきだ、このような数字が出てくるわけであります。民社党の予算修正案における当初案、最終的には四千円で合意したわけでありますが、当初実はわれわれは五千円の案を出しておったわけでありまして、その五千円案の根拠は実はここにあるわけであります。私はこの四千円にかかわらずさらに五千円ぐらいの引き上げをやってしかるべきではないか、こういうふうに思うのでありますが、御見解をいただきたいと思います。
#184
○石原政府委員 私どもは先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、電気税は所得課税を補完する支出課税として非常にすぐれた税だという基本の考え方に立っております。そしてこの電気税は言うなれば、標準世帯というか普通の家庭の方には負担していただくべきものだ、このように考えております。ただ、零細な消費は排除するという意味で現在御案内のように、総世帯の四二・三%が免税世帯になっておりますけれども、このような四割も免税世帯になるというのは消費税としていかがなものかという議論などもあるわけであります。いずれにしてもその当否はともかくとして、現在の免税世帯割合は何としても維持したい、維持すべきものだと考えておりますけれども、それをさらに普通の標準世帯といいましょうか標準消費といいましょうか、そういったところまで免税対象にするというのは、電気税の消費税としての性格からしていかがなものであろうか、こんなふうに考えております。
#185
○部谷委員 免税点を四千円に引き上げようとする措置は標準家庭が対象とならない、つまり標準家庭以下のところで分岐点がある。電気料金の値上がりはそのまま電気税の増収、先ほどから申し上げますように、あなたの方は今度は歳出でかなり出るんだとおっしゃるけれども、かなり大きな増収につながることは間違いないわけでありまして、むしろ何か便乗値上げをされておるのではないかというふうな気さえするわけであります。
 五〇%の値上げがされた場合に、たとえば東京電力に例をとりますと先ほど申しましたように、標準家庭では現在三千四百四十七円の電灯料金を払っておるわけでありますが、その五%の百七十三円が電気税になっておるわけであります。五〇%の値上げをしたといたしますと、電気税は二百五十九円となって八十六円の負担増、こういうふうになるわけであります。私はここで大変強い言い方になりますが、電気税の税率も当然引き下げるべきである、こういうふうに思うのでございますが、御見解をいただきたいと思います。
#186
○石原政府委員 電気税の税率につきましては御案内のように、かつては一〇%であったものがいろいろな経過を経て今日五%にまで引き下げられております。言うなれば消費税として五%の税率というのは最低のラインに到達しているのではないであろうか、このように考えます。したがいまして、今回の電気料金の値上げに関連して電気税の税率を引き下げるべきであるというような御意見もあるわけですけれども、私どもはかけがえのない地方の財源としての電気税の税率は、消費税の形を守る意味でも現在の税率を維持すべきではないだろうか、このように考えます。
 また、先ほどもお話がありましたが、何か今回の値上げに伴って電気税の増収が生ずることが、便乗値上げといいましょうか便乗増収といいましょうか、ということになるんじゃないかという御指摘もあったわけでありますが、繰り返すようでありますけれども、消費税は価格の上昇に応じて税収が伸びるということを一応これは予定している税であります。一方においてまた、諸物価が上がれば福祉、サービスの関係の財政支出もふえてまいりますから、それで対応しているというふうに考えていかなければならないのじゃないかと思うのであります。具体的に今回の電気料金の値上げに関連いたしまして地方の財政支出もかなりふえてまいりますので、そういった意味からも税率は、現在の五%を維持していただきたいというのが私どもの考えでございます。
#187
○部谷委員 時間が来たようでありますので、電気税の最後のお尋ねをしたいと思います。
 仮に電気料金が五〇%値上げされた場合に電気税の税収は三千八百九十四億円となりまして、五十五年度の電気税収入見込み額二千五百九十六億円を一千二百九十八億も上回る、こういうことになるわけです。二千五百九十六億円が電気税の五十五年度の収入見込み額でありますから、単純にこれを一・五倍いたしますとそういう数字が出てくるわけであります。電気料金が値上げされまして免税点を四千円に引き上げたといたしましても、私の試算では一千百十七億円の増収となります。つまり、免税点四千円、五%のときの電気税税収総額は、これはほかのところから出した数字でありますが、三千七百十三億という数字が出ておりますが、それからいまの収入見込み額を引きますと、千百十七億という増収が出るように実はなっております。これだけの増収というものはやはり国民に還元すべきだと思うのでありますが、五十五年度の電気料金が五〇%値上げされまた免税点を四千円とした場合、税率をいま一%下げまして四%とした場合でも、税収は二千九百七十一億円となりまして、五十五年度の見込み額をなお三百七十五億円上回る、こういう計算になります。また税率を三%とした場合でも、税収は二千二百二十八億円で、三百六十八億円の減収というふうになります。
 実はきょう労働四団体が政府に対して要請をしておりますが、その要請書の中にも、電気税の免税点を最低限四千円まで引き上げるとともに、税率を三%に引き下げること、こういう要望書を政府に対して出しておるはずであります。でありますからそうした試算をしてみたわけでありますが、三%となった場合でも税収は、いま申しましたように二千二百二十八億円で、先ほどの五十五年度の電気税収入見込み額から三百六十八億円の減、こういうことになります。これは市町村税収見込み額七兆八千九百八十三億円の実は〇・四六%、〇・五%に足りない数字であります。こうした観点から考えましても、税率を二%引き下げまして三%とすることはむしろ当然の措置である、こういうふうに思うわけでございますが、この点について御答弁をいただきたいと思います。
#188
○石原政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、電気料金の引き上げに伴いまして電気税に増収が生ずることは確かであります。その増収額がどのくらいになるかは料金の引き上げ率によるわけでありますけれども、かなり大きな額になるであろうということは事実であります。しかし一方、地方公共団体が維持管理しております各種の公共施設等の電気料金も同時に引き上げられるわけでありますから、その財政支出の増大もこれまたかなり大きな額になります。料金のアップ率を想定しないと具体的な計算はできませんけれども、新聞紙上等で伝えられているような料金のアップ率を前提にして計算いたしますと、地方の支出の増の方も九百億近い額になるのではないかという試算を私はしております。もちろんこれは普通会計だけでございまして、公営企業会計等を考えればもっと金額は大きくなる。したがって、今回の電気料金の引き上げに伴う電気税の増収は、そのかなりの部分が歳出の増によって相殺されるというふうに考えられますので、今回の料金の値上げを理由として税率の引き下げを行うということは賛成いたしかねるわけであります。
    〔大石委員長代理退席、委員長着席〕
 それからまた、初めに申し上げましたように、電気税の消費税としての性格からして、五%という税率はもはや限界に来ているのではないか、これ以上引き下げることは消費税として適当でないのじゃないか、このように考える次第であります。
#189
○部谷委員 いろいろ見解は異なりますが、時間が参りましたので、これで終わります。
#190
○塩谷委員長 田島衛君。
#191
○田島委員 地方税法等の一部を改正する法律案の内容、その趣旨等について数点お伺いをしてみたいと思います。
 まず、中身の幾つかの問題についてお伺いしてみたいと思うのですが、その一つは、個人均等割の引き上げについてであります。
 この個人均等割の引き上げについては、地方公共団体の行政サービスの向上等を考慮してという説明がされておるわけでありますが、しつこいようですけれども、向上しているからその引き上げを求めるのだということなのか、その引き上げをすることによって行政サービスの向上を期待するのだという意味なのか、どちらの意味なのか、まずひとつ教えてもらいたいと思います。
#192
○石原政府委員 住民税の個人均等割は、言うなれば住民税の性格を最も端的にあらわした税でありまして、地域社会の費用を広く負担いただくという税制の理念を実現しているものであります。そこで、この均等割につきましては、そういった一種の会費的な性格の税であるという理解がなされておりますので、地方公共団体の行政需要の推移に応じて適宜見直しを行う必要がある、このように考え、今回改定を御審議いただいておるわけであります。したがいまして率直に申しまして、この引き上げによって行政サービスの向上の財源を獲得するというよりも、最近における行政サービスのコストアップというものを反映する趣旨で税率の改定をお願いしているというふうに私どもは理解いたしております。
#193
○田島委員 そうすると、御説明にある地方公共団体の行政サービスの向上というのは本当はそう期待できないんで、その後の方の物価水準の変動等を考慮してとられた措置だ、こう受け取ってよろしいということですね。
#194
○石原政府委員 物価上昇だけでなしに、実質的な行政水準の向上に対応して均等割の方も引き上げをお願いしたいという趣旨でございます。
#195
○田島委員 試算によりますと、見込みが大体初年度で百五十三億、平年度で百七十八億。これで本当に行政サービスの向上というのが、目に見えるようにというのはもともと無理でしょうけれども、期待できますか。
#196
○石原政府委員 先ほども申し上げましたように、この百五十三億なり百六十億なりというその金額で行政水準の引き上げを期待するというのではなしに、最近における行政サービスの向上、価格の上昇だけでなしに実質的な意味のサービス水準の向上というようなものに対応して均等割の税額も引き上げていただく、いわばこれまでの行政水準のアップに見合って負担も引き上げていただくという趣旨でございます。したがって、この金額で今後引き上げを期待するということよりも、これまでの引き上げの結果をそこに反映させていただくというような考え方でございます。
#197
○田島委員 それから、それは一応御説明を理解するとして、先ほど道府県についても段階を持つべきではなかろうかという意味の御意見がありましたけれども、私は逆に、人口五十万以上の市、人口五万以上五十万未満の市、その他の市町村、この段階の持ち方は本当に妥当だと思われるか、本来この区分の生まれた根拠といいますかこれはどこにあるのか、逆にそちらの方を聞かしてもらいたいと思います。
#198
○石原政府委員 現在市町村民税の均等割につきましては御指摘のように、市町村の人口段階区分に応じまして均等割の税額に差が設けられております。この考え方は、地域社会の費用をひとしく負担していただく性格の均等割でございますけれども、その地域社会の費用、行政コスト、行政サービスの水準というものが市町村の人口段階によってかなり差がある、そういう事実に着目して、平たく言いますと、田舎よりも大都会の方が行政が割高についているという実態に着目して均等割についても、大きな都市については比較的高い額で、田舎の方は低い額で税負担をお願いするというふうに現行制度は構成されておる、このように理解いたしております。
#199
○田島委員 その場合でも、五十万という段階の置き方というのは何か特別に根拠があるのですか、そのことと、それから、人口が密集している市というのはそれなりに整備されているということも言えるわけですよね。そうでないところは、それなりに未整備であり、これからお金がかかるということも言えるわけなんだけれども、そういう点を考えても、やはりこの区分の仕方は妥当だと思われますか。
#200
○石原政府委員 現在の人口区分というのは、かなり以前につくられたままでございますから、現時点で五十万とか五万とかという刻みが、それで絶対に変える必要がないかどうか、この辺は大いに議論があると思います。五十万というのは、かつては人口五十万以上の市がいわゆる指定都市の指定要件になっておった、いわゆる大都市というふうな基準が五十万以上というような考え方もかつてあったわけでございますけれども、いまでは五十万都市というのはかなりふえてきております。それから、下の方の基準の五万という基準にいたしましても、現在の均等割制度ができたころと最近ではかなり実態が変わってきている。そういう意味で私は、この区分が絶対的なものだとは思っておりません。いずれ時代の推移に応じて見直しをしていくべきものであろうと思います。
 ただ、税額に差を設けている理由は、やはり大きな都市ほど行政水準が高い、そうしてまた、それに応じて行政コストも高くついているという考え方に立っておるわけであります。もちろん社会資本、ストックの差という面でいいますと、田舎の方が整備がおくれておりますから、そういった意味での格差解消のための投資的経費などは田舎の方がむしろ大きいじゃないかという議論もありましょうけれども、住民税の均等割の性格が各地域の行政から住民が現に受けるサービスの差というものをある程度反映させるという意味合いからいたしまして、現在は大きな都市ほどサービス水準が高いという意味で金額が高くなっているのであろう、このように理解いたしております。
#201
○田島委員 次に、不動産取得税に関連して伺ってみたいと思うのですが、農業委員会のあっせんによる一定の農地の交換分合により取得した土地に係る課税標準の特例措置の縮減及び延長についてでありますけれども、今度の改正の考えていることは大体わかりますが、本来この特例措置そのものの存在の意義といいますか、希求するところはどういうことだと考えていいのか、どういうことのためにこの特例措置を設けているのか。
#202
○石原政府委員 不動産取得税に限らず、固定資産税その他の税におきましても、課税標準の特例あるいは税額の軽減措置等いろいろな意味の特例措置は、その対象事業の公益性、公共性というものに着目して設けられているものであろうと思います。
 この農業委員会があっせんします農地の交換分合につきましても、農地の交換分合があるということは不動産の交換売買があるわけでありますから、その限りにおいて、通常であれば不動産取得税を負担していただくのが原則であります。しかし農地の交換分合というのは、農家の農業生産条件の改善という非常に高い公益性を持っておりますので、これを奨励するという国家的な政策目的に沿うということで従来、この交換分合の対象地域がいずれか片方が農業振興地域あるいは第一種生産緑地地域に該当すれば、この対象にしておったわけです。しかしこれからは、公益性があるということでこの特例は残しておりますけれども、対象は若干しぼっていいんじゃないか。具体的には、交換対象となる農地がいずれも農業振興地域あるいは第一種生産緑地地域、これは今後とも将来にわたって農業的な土地利用を考えていかなければならない地域でありますから、そういった地域において農地の交換分合を促進するということは、依然として高い公益性を持っているということでこの特例措置を残していこうと、このように考えて改正をお願いしているわけであります。従来よりも対象範囲を縮めながら、高度に農業的な利用を図っていく地域についてはなお優遇措置を残していこう、このような考え方に立つものでございます。
#203
○田島委員 おっしゃるとおり交換分合を奨励するということになる。その交換分合というのは、やはり売買にしても、売り手があって買い手が生まれる。売り手が売るのはいやだよと言ったら、買い手が幾ら交換分合を進めたいと言ったってなかなかそういうわけにはいかぬと思うのですね。いままでのようにいずれかがという場合だったらいいですけれども、今度のように買うところがということに限定されてくると、売り手の方がその特例措置を受けられなければ手放さないということになったら、結局、交換分合を奨励することの意義は失われてこないですかな。
#204
○石原政府委員 確かに要件をしぼりまして交換分合の対象農地がどちらも、売る方も買う方も農業振興地域でありあるいは第一種生産緑地地域でなければならないということになりますと、従来よりも該当件数は減ってくると思います。ただ、こういった特例措置をそもそも今後残すか残さないか、期限が来たのだからここでやめてはどうかという議論がありましたけれども、その交換対象農地いずれもが振興地域にあるものについては今後、件数は減るかもしれませんけれども、これについてはなお残す必要があるという考え方で今回の延長をお願いしているわけであります。なお、このような改正を行うに当たりましては、所管省であります農林省の御意見も十分拝聴いたしまして、こういう措置でもやはり特例措置を残すことが必要である、こういうことで今回の改正に至ったわけであります。
#205
○田島委員 次に、新築住宅とその土地に係る課税標準等の特例措置に今度新しく既存の住宅についても特例措置が設けられたことは、大変結構なことだと思うのですが、ただ、従来よりも少し対象が縮減されたといいますか制限された。床面積が百六十五平米以下、一平米当たりの価格が八万七千円以下の住宅、これは新築の場合ですね、それから既存の住宅を求める場合には、床面積は同じく百六十五平米以下ですけれども、今度は価格の方が七万七千円以下ということですが、この床面積の制限それから平米当たりの価格の出した根拠と、今後どういう変動を与えるのか、このままずっとこの価格で固定していくのか、やはりそのときの情勢に応じて動いていくのかということと、それから、既存住宅を求める場合には下限があるわけですね、床面積四十平米以上で百六十五平米以下という下限がついた、新築の方にはない、その新築と既存住宅との違い、つまり下限をつけるのとつけないのとはなぜなのか、その説明をひとつしてください。
#206
○石原政府委員 まず、新築住宅につきまして百六十五平米以下に限るという基準を設けたあるいは一平米当たりの価格が八万七千円以下というような基準を設けたその根拠でありますが、面積の方の百六十五平米以下といたしましたのは、現在の所得税における住宅取得控除あるいは住宅貯蓄控除、それから登録免許税の軽減措置、こういったものはいずれも百六十五平米以下という基準になっておりまして、これらとのバランスを考えて決めたわけであります。それから、一平米当たりの価格の上限を八万七千円といたしましたのは、現在の固定資産の評価額で耐火建築の一番上の基準が八万七千円であります。言うなれば、現在の固定資産評価基準で一番高い水準よりもさらに上回るものは特例対象を御遠慮いただいていいのじゃないか、このような考え方に基づいて八万七千円という金額にしたわけであります。したがいましてこの金額は、将来とも一定不変ではございませんで、将来また固定資産の評価基準が変わった場合にこの金額をどうするか考えなければならない、検討しなければならない性格のものであろうと思います。
 それから次に、中古住宅につきましては、百六十五平米という上限の制限のほかに下限について四十平米以下は対象にしないという制限を設けましたが、これは、ある程度以上の水準の住宅、持ち家の促進に資そうという意味で、四十平米以下の住宅というのは住宅の水準としては決して望ましくないものであるという考え方からこれを除外したわけです。しかし新築住宅の場合には、共同住宅とか寄宿舎なども新築住宅にはありますし、また、増改築の場合には当然かなり狭い面積の場合もありますので、新築住宅の場合には四十平米という下限は設けなかったわけであります。いずれも住宅の実態に着目してこのような基準を設けた次第であります。
#207
○田島委員 大体御説明の趣旨はわかるのですけれども、わざわざこむずかしいことを言うわけじゃありませんけれども、求めようとする住宅――新しく建てる場合は、これがわかっているから百六十五平米におさめてくださいということも言えます。ところが新しく求める場合、たとえばほんの一坪、三・三平米多い。本当はそれはいいんだけれども、それだけオーバーしちゃうと特例措置を受けられぬという場合なんかは、まことにもって気の毒だし、幾ら法律といえども少し動脈硬化症みたいな感じがするのですが、それと同じように平米当たりの単価にしても、新築では八万七千円以下、片一方が七万七千円以下、もうちょっと出せばもう少し、ここはこう、子供たちのためにもだれのためにもなんというのだけれども、出しちゃうとまずいというと、この特例措置に特別な一つの数字を入れたために、またその入れ方の方法のために、善意の住宅取得者に対して何か意欲をそいでしまう。だから、オーバーしてもいいからこの部分だけについてというならこれはわかるけれども、これ以上オーバーしたらもうだめですよといったら、ちょっとこの決め方そのものが何か融通がきかな過ぎると思うのですけれども、どうでしょうか。
#208
○石原政府委員 おっしゃる趣旨は、いわゆる基礎控除方式といいましょうか、そういった考え方の方がいいのじゃないかという御趣旨かと思いますが、ただ、適用要件などを決める場合には、やはりそれによって該当するかしないかの判定をせざるを得ないと思うのであります。そうした場合に、一定の線を引けば引いたで、ボーダーラインのところをどうするかということは常に問題になるわけです。したがって、その一定の線がいまの社会経済情勢の中で妥当なものであるのかどうか、説得力のあるようなものであるのかどうかが問題だと思うのです。
 そういう意味で、百六十五平米という面積基準は率直に申しましてかなり高い水準ではないか。いや、低いのだという御指摘もあったのですけれども、たとえば現在の新築住宅の例で申しますと、そのうちで百六十五平米を超えるものは五%程度しかない、統計上見ますとその程度しかないということですから、大部分は百六十五平米以下に入っておりますので、いまの線の引き方が非常に実態に合わないということはないんじゃないだろうかと思います。それからまた、先ほど申しましたように、この線は所得税の住宅取得控除その他ほかの住宅に関連する税制とのバランスをとっておりますので、そういった意味でも、不動産取得税だけ別の基準というのもこれまた別の意見が出てくると思うのであります。
 それから、平米当たりの単価の八万七千円も先ほど申しましたように、現在の固定資産の評価基準で申しますと耐火建築では一番高いランクのものであります。これは評価基準でございますから、現実の取得価格ではございません。ですから、これを取得価格に置きますとかなり高いものになりますので、通常の家で八万七千円の基準にひっかかるというのは余りないというふうに私どもは聞いております。そういった意味で私は、今回設けた基準そのものはかなり説得力があるのではないだろうか、このように思うわけであります。
#209
○田島委員 人それぞれの考え方があるでしょうけれども、確かに百六十五平米、五十坪ですから、まあまあ五十坪だったらということは私にも理解ができますけれども、単価の方は、今日の経済情勢のことですから、耐火建築としてはこれは最上だという御説明ですけれども、そのくらいの数字、たちまちぽんぽんと頭を出すくらいのことは簡単にこの社会情勢の中ではあり得ることだと思うのですよ。それで頭が出てしまったからもうだめというのじゃ、ちょっと何のための特例措置かと思うのですけれども、大臣どう思われますか。
#210
○石原政府委員 繰り返し申しますが、八万七千円というのは一つの固定資産の評価基準の数字で、不動産取得税の方もこの評価基準を使うわけです。ですから、これから三年間はこの評価基準で計算をする。したがって、実際の建築単価というのはかなりここのところ上がっておるようですけれども、不動産取得税を課税する場合は一つの評価基準で評価するわけですから、時価ではございませんので、三年間はこの評価基準で計算するということでございます。時価が上がったからすぐ上がってしまうというものではございません。
#211
○田島委員 そうすると、要するに実際にはどれだけかかっても、公表をこれで抑えればいい、こういうことになりますか。
#212
○石原政府委員 これは評価基準でございますから、たとえば実際の家屋のどういう材料を使ってどういう屋根がわらでどういう仕上げでというようないろいろな基準がございます。その基準の中で、いまの耐火建築の一番上の基準が八万七千円になっているわけです。しかしそれよりもさらに違う基準で、全部銅ぶきだとか総ヒノキだとかいうことになると、これは基準そのものが上になってしまいますから別なんですけれども、少なくとも固定資産評価基準で八万七千円のもとになっております材料で、もとになっております建築様式でつくったものについては、向こう三年間は評価をすれば八万七千円になる。実際に建築単価がそれよりも五割増しになっても、三年間は家屋の内容によって八万七千円で評価して課税が行われる。適用要件の認定もこの評価基準で行うということになるわけでございます。
#213
○田島委員 どうも私にはまだ釈然としないところがありますけれども、時間がなくなるといけませんから次に移りまして、事業所税について伺います。
 事業所税の目的といいますか趣旨というか、都市環境の整備事業にかかわる財政需要が著しく増大している、そのためにかけるんだというようなことになっておるわけですけれども、さてその中に従業者割というのがあるんですね。従業員に払う給料の総額の〇・二五%ですか、従業員が何人おろうとその給料がどうだろうと、それと都市環境の整備改善とどういう関係があるのか。もちろんこれは今度初めてそうするのではなくて、いままでもそうしておったわけですけれども、この際ちょっと検討みてもらいたいと思うのです。事業所があることと、その事業所による企業活動と行政サービスとの関係というのはある程度の受益関係があることはわかりますけれども、その事業所にいる従業員の数だとか給料の額と、その事業所のある回りの都市環境の整備改善とどんな関係があるのか。
#214
○石原政府委員 事業所税は、ただいまお話がありましたように、都市、特に比較的規模の大きな都市における都市環境整備等の財源に充てるための目的税として設けられた税でありまして、その大都市地域における事業所の事業活動に着目して、事業所が事業活動をするにつきまして、その地域社会にいろんな意味で直接間接お世話になっている、行政の恩恵を受けている、あるいは新たな行政需要を引き起こす原因になっている、こういうようなことから税負担を求めているわけです。
 したがって、事業所税の課税標準としては、各事業所がその地域社会から受ける受益のバロメーターとして何を使うか、事業活動の程度というものを何によって把握するかということだと思うのであります。その点で、いまは事業所の面積と従業員に支払われている給与、この二つを基準にとっておるわけです。これはいわば事業活動のバロメーターとして、事業所の床面積と従業員に支払う給与の額が大きいものほど事業活動も手広く行っているし、またそれだけ地域社会から受ける受益も大きい、こういう考え方であります。こういう考え方は言うなれば、事業税における外形標準課税と共通する考え方でございます。企業活動、事業活動をそういった給与の支払い額、これは別の意味で言うと、付加価値の一要素でありますけれども、そういったものに求めるという考え方ではないかと理解しております。
#215
○田島委員 事業所税の資産割の方は大体わかりますよね。それも本当に因果関係がどれだけあるかということは疑問だと思うのですけれども、理解できないことはありませんけれども、従業者割といういわゆる従業員の給与総額に一定の決められたパーセンテージを掛けて取るというのは、その因果関係はまことに不可思議だと思うのです。たとえば相当りっぱな事業所であれば従業員が多いとは必ずしも限らない。うんと合理化して、機械はがっちりあるけれども人間様はそんなにおらぬというところだってあると思うのですよ。それと、昔の町工場式で人間は大ぜいいる、だけれどもその事業所の力は大変弱い、そういうところだってあると思うのです。むしろどちらかと言うと、そこの事業所の持っている力、そこに立地条件を持ってどれだけその事業所が豊かな内容を築いておるかということの方は因果関係はわかるけれども、その事業所にいる従業員の数と給料の額というのは、どう考えても余り理解できないのですが、私の悪い頭でわかるように説明してもらえませんか。
#216
○石原政府委員 かつてシャウプ税制のもとで、事業税に付加価値基準を導入する付加価値税という制度を設けたらどうかということで、そういう税制が実行されようとしたことがありますが、この考え方なども、企業活動を最も正確に反映するものは各企業の付加価値である、その付加価値というのは何かと言うと、従業員に支払われた給与でありますとか、それから地代とか利子とかあるいは利潤とか、こういったものを合わせたものが付加価値だ、こう言われております。シャウプ税制における付加価値の一番大きなウエートを占めておりますのは支払い給与の額だったと思います。そういった意味で、企業活動をはかるバロメーターとしては付加価値が一番妥当だ、その付加価値の中で今日で一番大きなものは給与の支払い額だ、こういう考え方が昔からとられております。
 今度の事業所税につきましても事業活動のバロメーターとして何をとるかということでいろいろ議論があったわけですけれども、二つの要素、すなわち事業所の面積それから従業員に支払う給与、この二つの要素をとることが最も妥当だと考えたわけです。先ほど来、面積の方は説得力があるけれども、従業員に支払う給与の方はどうも説得力がないという御指摘もあるのですけれども、逆に非常に面積が大きくて、その割りに生産性が上がらないというか利益が上がらないような企業からは、面積ばかり基準というのはおかしい、もっとコンパクトな企業もあるんだから、面積以外の要素、すなわちいまの給与とかそういったものにもっとウエートを置くべきだという逆の議論もあります。いずれにいたしましても今日、事業所が地域社会から受ける利益のバロメーターとして事業活動の程度をはかるものとしては、事業所の面積、それから雇用している従業者に支払っている給与というのはバロメーターとしては妥当なのではないか、このように私は思うわけです。要するに、たくさんの人を抱えて、たくさんの給与を払っている企業というのは、それだけその地域社会の中で活発な事業活動を行っているんだ、その地域から受ける恩恵も大きいんだという考え方も、これはまた説得力があるのではないかと思うのであります。
#217
○田島委員 間違えないでいただきたいと思うのですけれども、私は別に資産割の方は妥当だと言っているわけではないのですよ。資産割の方にも疑問はあると言っているわけです。それ以上に従業者割の方がもっと疑問があるということを言っておるわけです。
 たとえば自治省の局長さんたちならよくわかることですけれども、行政サービスだって、人間がいなければできないサービスもあれば、人間でなくてできるサービスもあるのです。事業だって同じで、どうしても人間の数をそろえなければできない事業もあれば、人間はいなくたっていいような事業だってある。それを、ただ従業員の数、従業員の給料ということで考えることはどう考えても矛盾がある。ということは、どだい事業税というものを取っておって、その上にまた事業所税というものを取ろうとするからそこに矛盾が出るわけなんじゃないですか。そんなことを言うと、それはまずいでしょうけれども、いまの事業税の課税のあり方なら大体納得されると思うのです。だけれども、事業所税というものを新しく創設した、創設した以上、何らかの形の課税の方式を生み出さなければならない、それで考えたのが資産割と従業者割だけれども、それそのものにもうすでに無理があるのではないですか。だから、いま今日これは間違いだからどうこうとは言いませんけれども、そう思いませんか、基本的に。何かもう少し妥当な改善が必要かなと思いませんか。
#218
○石原政府委員 事業所税ができるときに、ただいま先生御指摘のような議論があったようであります。現に道府県が事業税というものを課税しながら、またもう一方で市町村の税として事業所税をつくる、名前は違うけれども実体的には事業活動に対する課税という意味では同じじゃないか、二重課税じゃないかという議論が当時もあったようであります。ただ事業税は、道府県のいわば普通税として、道府県の一般財源を賄う税として課税されておるわけですけれども、事業所税は、大都市地域における都市整備事業の目的財源としてこの税を設けた、普通税ではなしに目的税として事業活動と都市整備の財政需要との関連性に着目してこういった税を設けたという意味で、二重課税の議論とは若干違う面があるということでこの税が設けられたように承知しております。
 そこで、その事業活動がその地域社会、特に大都市地域における都市的施設の整備の必要性を引き起こしているということに着目してこの税を設けているわけでありますが、その場合の事業活動と都市的需要との関連性これを何によってつかまえるかということになりますと、現状では把握しやすい基準ということと、それからある程度企業の実力を示すものとしてこの二つの基準が選び出されたのではないか、このように理解いたしております。
#219
○田島委員 私はあくまでもこの事業所税そのもののあり方が大変間違いがあるんじゃないかと思うのですね。だけれども、そのことについての議論は少しお預けにしまして、次に地方道路譲与税法の改正。ここで従来二段階での制限があった、そのうちの一つを廃止したわけです、収入超過団体に対して。これはたとえば不交付団体、収入超過団体としては大変ありがたいことです。ありがたいことではあるけれども、本来、二段階の制限があった、そのうちの一つを廃止するんじゃなくて、二つとも廃止すべきものじゃないか、こう思うことが一つと、それから、二ついきなりはちょっといまの財政事情で無理なのでせめて一つずつ、こういうのならば、物事順序というのがあって、古い方から外すのが本当だと思うのですけれども、新しくできた方から外していくのはどう考えてもおかしいと思うのです。そこらのところはどうですか。
#220
○石原政府委員 言うなれば現在の制限方式は、もともとありました制限方式に付加する形で伸び率制限というものが導入されたものですから、外す場合には付加された方から外すのが順番ではないかということで外したわけであります。なお、今回二つとも外したらどうかという御意見、もちろんそういった御意見もあろうかと思います。ただ、私ども具体的にこれの該当になります東京都の財政状況を見ますと、二重に譲与制限をするには、いまの東京都の財政状況なりあるいは東京都の道路財源の状況からしてやや無理があるのではないかということで、この二段目の制限を廃止することにしたわけですけれども、しかし、まだ依然として道路に投入しております目的財源の比率等からいたしますと、他の府県に比べて東京都の場合は、何といいましょうか一般財源の投入割合は少ないわけでありますから、全面的にこれを廃止する時期ではない、このように考えている次第でございます。
#221
○田島委員 まことに物は言いよう理屈はつけようで、局長さんおもしろい理屈をつけているなあと思って聞いていたんですけれども、しかし、その局長さんがつくられたであろう説明の中にも、今回二段階の一つの制限を廃止した、「これは、収入超過団体の最近の財政状況が、この制限措置の創設時と比較してかなり変ってきていること等を考慮したもの」だ、こういうのですね。十一年たってかなり変わってきたというなら、二十年たったらなお変化が大きいんじゃないでしょうか。だったら古い方、その十一年たった今度廃止したものよりも、残した方の二十年たっている方が御説明の趣旨に合うんじゃないでしょうか。
#222
○石原政府委員 この制限の方式でございますが、もともとありました制限方式は、本来の普通の譲与基準で普通の団体と同じように譲与基準額を計算した額から、財源超過額の二割の額かまたは算出額の三分の二の額かいずれか小さい方の額を引くという方式がもともとありまして、その方式によって計算した譲与額が、前年度に対して全国平均の伸び率以上に伸びた場合に、その伸びた分をカットするというのが二段目の制限方式です。ですから、仕組みとしてもとの方を外すというわけにいかないと思うのです。もとがあって初めて二段目の制限方式というのが成り立っているわけですから、やめるとすればこの二段目の方からしか外しようがないじゃないかという技術的な事情もございまして、外すとすれば、二段目の方を外してからそのもとの方をどうするかを考えるべきじゃないか、もとの方を先に外しちゃうというわけにいかないんじゃないか、このように思います。
#223
○田島委員 いずれにしても、この地方税法の一部改正案については、私ども新自由クラブの立場として大変賛否の立場に迷っているところでして、それだけに慎重に聞いておるわけなので、いまの御説明は御説明として、今後の考え方としてはどういう考え方を持たれるか、ちょっとつけ加えていただきたいと思うのです。場合によったら大臣からでも結構でございます。
#224
○石原政府委員 この道路譲与税の譲与制限の規定は、設けられた当時の背景からいたしまして、関係団体の道路の財政事情と道路目的財源との関係、特に道路費に対する一般財源の投入の状況、こういったものを総合勘案いたしまして、地方交付税の不交付団体に対しては譲与制限を行うことがより公平になるゆえんである、こういう判断のもとにこの制度ができたものと思います。したがいまして、こういった制度はいずれも、その各時点時点の財政状況、特に道路整備の状況によって判断されるべきもので、一定不変のものではないと思います。したがって、将来東京都の財政がどうなるか知れませんけれども、不交付団体の財政、不交付団体の道路整備の状況というものが譲与制限になじまないような状況になれば、その時点でこの譲与制限の制度そのものを見直さなければいけませんし、また逆に、ふくらんだ財政状況が非常によくなって道路の目的財源をそれほど要する必要がないという事態になれば、また譲与制限を強化するという議論も起こり得ると思うのです。ただ一般的な傾向としては、不交付団体と言われる団体におきましても最近は非常に財政状況が苦しくなってきておりますから、今回の譲与制限の一部廃止ということは今日では大変必要なことではないか、このように思っております。
#225
○田島委員 今度の改正案の中の何点かについて具体的に聞いてきたわけですけれども、今度は、今度の地方税法改正そのものの根本的な問題に少し触れてみたいと思うのです。説明には、国、地方を通ずる財政の再建が大変急務だ、そういうことで今度の改正が考えられているようです。財政再建が急務だということはわかるけれども、その財政が今日のように悪化した原因というのは一体那辺にあると考えておられるのか、ちょっと伺ってみたいと思うのです。
#226
○石原政府委員 最近における地方財政の悪化の根本原因がどこにあるか、これはいろいろな考え方があり得ると思うのですが、私どもは現象面から見まして、歳出の面では高度成長期以降引き続き増加傾向が続いている、これに対応すべき税収入を初めとする歳入が石油ショック以後、特に昭和五十年度以降大幅に落ち込んだ、その収支のギャップが完全に解消しないままに今日に至っている。言うなれば、歳出の増加傾向あるいは歳出の増加をもたらす背景というものが高度成長期と余り変わらない状態のままで今日まで来ている反面、租税収入の方は経済状況の変化のために大幅に下がってしまった、そのことが根本の原因になっているのではないか、このように理解いたしております。
#227
○田島委員 確かに言われるような点もありますけれども、歳出の方は動きがとれないで、歳入の方は時の経済情勢に左右されて思うように歳入が入らなくなってきた、これはわかるのですけれども、大体歳出の方は動きがとれなくなって膨張の一途をたどった、それをもっと分析してみるとどういうことがあるのか。たとえば歳出の中には、公共投資もあればいわゆる義務的経費その他それに準ずるものもありますわな。公共投資のようなものに相当のウエートがかかっておれば、経済情勢が悪ければぴっとそれに対応して伸縮できるわけですね。ところが、経済情勢の変化に応じて動かせない形というのは結局、義務的経費。その義務的経費というものがふえてきた根源というのは、そういうことを言うとおしかりが出るかもしれませんが、経済の高度成長下にあった時期に本来、そのころは税収が思うようにばんばん入ってきた、その入ってきたその税金は、さなきだにおくれている社会資本の充足に相当重点を入れてぶち込むべきだったと思うのですね。ところがそうじゃなくて、そっちの方もやったけれども、それと同時にというよりはそれ以上に、税収がおもしろいように伸びている状況の中で甘えが出た、いわゆるばらまき福祉を一生懸命やった。政治の方を担当する者たちも、言うなれば人気取り、迎合的な政策に狂奔した。そのために本来、まあおもしろいようにと言っては申しわけないのですけれども、大変伸びのよかった税収が社会資本の充足に充てられずに、消費的な行政の方に充てられた。その消費的な行政というのは当然に、そこに組織機構の膨張を生み人員の増を生んだ。それがちゃんと義務的経費としてそのまま雪だるま式にたまってきた。これがまず一つの原因だと考えていいと思うのですけれども、どうでしょうか。
#228
○土屋政府委員 いろいろとお話があったわけでございますが、確かに高度成長期においてかなり行政のレベルアップというものが行われた。その中で、社会資本の充実の面にも確かに向けられたわけでございますけれども、その可否は別といたしまして、少なくとも福祉の充実という面にかなり向けられたということも事実でございます。そういったことから、税収がオイルショック以降落ち込んだ場合でも、一定のレベルは義務的に維持せざるを得ないという経費もかなりあったということは、御指摘のとおりだと思っております。そういった中にさらにまた、世界情勢のいろいろな変化の中でわが国の置かれた立場というものは、ある程度借金をいたしましても景気の浮揚のためにかなり公共投資等を伸ばさなければならない、そういった別な要素も加わった。そこにもう一つ、税収が足りない以外にある意味では積極的に借金をふやしてでも公共投資を進める、そういった面が加わって、今日のような累積赤字というようなことになったのではなかろうかというふうに考えております。
#229
○田島委員 それから、予算編成の基本的やり方といいますかね、きのうもきょうも相変わらず予算の編成というのは、国も地方も例外なしに前年度実績主義といいますか、前年度実績を一つの基準にして考える、これが非常な弊害を生んでいるのじゃないかと思うのです。具体的な細かいことは言いませんけれども、そのために本来、最小の経費を求めるべきものが最小でなくなっちゃったり、最大の効果を求めるべきものがそうでなくなっちゃったりしておるのじゃないかと思いますけれども、そういう点、予算編成のあり方についての率直な御意見、どうでしょうか。
#230
○土屋政府委員 最終的には個々の地方団体の予算編成の問題になるわけでございますが、私どもが全国的な立場で地方財政計画という形でそういった地方の予算というものを考えます場合でも、やはり基本にはいまおっしゃいましたように、従来からずっと継続してやってきたもの、これは直ちに捨て切れない、いろいろとつながりもあるということで、ともすれば従来からやってきたような仕事を頭に置いて、それをどうするかといったような形で考えがちになるということは御指摘のとおりでございます。しかし、いまのように財源も不足であり、きわめて効率的な経費の支出ということを考えなければならない時期においては、一般的によく言われますけれども、いわゆるゼロベース予算的な考えあるいはサンセット方式とかいったような意味で、もっと基本に立ち返って、経費の使い方についてもう少し工夫を講ずべきであったということは、やはり反省すべき点があるのではなかろうかといった感じも持っておるわけでございます。
#231
○田島委員 次に税と反対給付。税金というのは、必ず反対給付を約束しなければ、まともな税金だとは言わないと私は思うのです。反対給付を約束されずに取られる税金というのは、悪税だと言われてもしようがないと思うのですけれども、その点どうでしょうか。税と反対給付との関係、私の考えているような考え方に異論ありますか、どうですか。
#232
○石原政府委員 税金を取る根拠、課税の根拠といいますか課税の理由としては、国民であり住民が税金を納めるのは、国や地方自治体からいろいろな意味で恩恵を受けているから、それのいわば対価といいましょうか、それに見合って税金を負担しているのだという説明がなされております。しかし、それは税金を取る場合の一つの課税の根拠、課税の理由でありますが、具体的に一定の社会の構成員からどういう形で税を負担してもらうかという段になりますと、行政から受ける恩恵に応じて、いわゆる応益的に税金を負担していただくという考え方を中心に考えるべきだという意見と、やはり税というのは能力に応じて負担していただくべきだ、一定の地域社会の中で限られた一定の財源を税金で調達しようとする場合は、その構成員の負担能力、具体的には所得その他の負担能力に応じて税を負担していただくべきだ、これはいわば応能原則と言われております。この二つの原則が税金の原則としては昔から言われているのですけれども、やはり課税の根拠としては、確かに行政から恩恵を受けるという理由で税金を負担するんだということでありましても、具体に税負担をどのように配分するかということになりますと、負担能力というものをより中心に考えていかなければならないんじゃないだろうか。しかしいずれにしても、この二つの原則というのは税金を考える場合に常に出てくる考え方でありますし、同じ税金でも、国税の場合には応能原則が中心であるべきだと言われ、地方税の場合には応益原則を重視すべきだ、このようなことも言われておりますけれども、いずれにしても、この二つの原則は税金を考える場合の非常に重要な考え方であろうと思います。
#233
○田島委員 その次に、もう時間がだんだんなくなってきましたから、これも私が言うまでもないおよそ原則的なことですけれども、最小の経費で最大の効果を上げる、これが行財政の根幹だと思うのですけれども、果たして最小の経費でという精神が生かされているのかどうなのか。たとえばやみ給与に対する制裁措置については、自治省として最終的に五十四年度の交付税の三月分の交付については一部見合わせたようですけれども、そのことの是非についてはいろいろ議論はあるだろうとは思いますけれども、少なくともやみ給与などということがたとえどれほどの量であれ対象であれあったら、一般善良なる住民から税金を取れないんじゃないかと思うのですけれども、基本的考え方としてどうでしょうか。それについては、行政局は大変制裁に積極的だった、財政局の方がどっちかというと穏便主義だったというようなふうにも聞いておるけれども、時間がありませんからその要点だけ、どういうことでどうなのかをちょっと聞かせてください。
#234
○土屋政府委員 私どもと行政当局とが特に異なっておるわけではございませんで、結局、財政の面からこの特別交付税の配分というものをどう考えるか、その際に、いわゆるやみ給与的な問題をどう考えるか、そこへ焦点を当てていろいろ議論した結果、私どもとしては統一的に特別交付税の算定に当たっては、従来から国の支給率を上回って支給された期末、勤勉手当、いわゆるプラスアルファについては当然これは減額対象とし、かつまた、その減額率も十割に引き上げるということにしたわけでありますが、なお、条例によって国の率を上回る支給率が定められている場合だけでなくて、いろんな形で、超勤とか研究費、研修費、特殊勤務手当といった名目でいわゆるやみ給与として支給されているものについても、職員に一律に支給されているような場合は実質的にプラスアルファとして、これはもう減額対象としておるわけであります。
 やみ給与の定義そのものが不確かな点がございますし、実態もいろいろなケースがあって不明な点がありますけれども、ほとんどが実質的にプラスアルファとしてとらえられるものと考えております。今回の配分に当たっても、そういった判明したものはすべて対象にしたわけでございます。ただ幾分か若干、たとえばある出先単位でぐるになって何か空超勤をやったとかといったようなものの扱いが、余裕財源というかっこうでどうとらえていくのか、そこら非常にむずかしい点があるので、少しとらえにくい面があるところに、説明不足もあったのか、少し報道等でも書き方がまちまちになった点もございましたけれども、ただいま申し上げましたように、基本は私どもはきちんとしておるわけでございます。ただ、給与でない本当の出張旅費等をごまかしたといったようなケースを一体財政的にどう扱うか、これはもうひとつやっぱり研究課題だと思っております。
#235
○田島委員 いよいよもう時間がなくなりましたので、答えを求めていいかどうかわかりませんけれども、一つの役所にあらわれた現象というのはまず全般的に行われていると思って間違いない。私どもも地方政治はそう短くはなくやってきたのですけれども、官公労なんというのはそんなに甘いものじゃなくて、どこかの役所だけやらしておいてほかはやっていないところがあるなんということは絶対ない。それはどこかの役所でやっていたら、どこの役所も全部ちゃんと横の連絡をぴしっととってやっておるはずです。そのぐらいのことはやっぱり自治省もしっかり考えてやってもらわぬと、あっちこっちでやみだへちまだといってやっておいて、善良なる住民の皆さんよ、税金を少しよけい出してくださいなんということは言えた義理じゃないと思うのですよ。その点をぜひひとつ今後もよく考えてみていただきたいと思うのです。
 そこで最後に、今度のこの地方税法の改正の本当のねらい、理由、目的はどこにあるのか。本当のねらい。ただ一応何とはなしにこの程度やってみたのか、これによって何をしたいと思っているのか、何が効果を期待できるのか。今回の地方税法の一部改正による効果といいますか、改正をする本当の理由、ねらい、最後にそれだけ聞かしてください。それで終わります。
#236
○石原政府委員 今回の税制改正の基本的なねらいといいましょうか特色といいましょうか考え方としては、一つは、現状における住民負担の状況を考慮いたしまして、住民税の課税最低限の引き上げを行う。しかしながら、現在の地方財政の状況がいわゆる持ち出し減税ができるような状況でありませんので、それに対して必要な調整措置として税率の適用区分の調整を行う。それからまた一方において、都市税源の強化としての事業所税の税率引き上げを行う。さらに、道路目的財源としての自動車取得税の暫定税率の延長をお願いする。その他、個人の住民税の均等割の改正を予定しておりますが、これらはいずれも、現行税制によってできるだけの財源を確保しようという考え方のもとに改正をお願いしているわけであります。したがいまして、今朝来いろいろ御議論がありましたが、いわゆる税制の抜本改正というようなものは残念ながら、今回の改正の内容には含まれていないと思います。これらの問題はいずれも今後に残された大きな課題である、このように考えております。
#237
○田島委員 どうもありがとうございました。終わります。
#238
○塩谷委員長 次回は、来る二十一日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後七時二十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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