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1979/04/08 第91回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第091回国会 内閣委員会 第8号
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1979/04/08 第91回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第091回国会 内閣委員会 第8号

#1
第091回国会 内閣委員会 第8号
昭和五十五年四月八日(火曜日)
   午前十時三十二分開議
 出席委員
   委員長 木野 晴夫君
   理事 逢沢 英雄君 理事 有馬 元治君
   理事 唐沢俊二郎君 理事 塚原 俊平君
   理事 岩垂寿喜男君 理事 上原 康助君
   理事 新井 彬之君 理事 中路 雅弘君
   理事 吉田 之久君
      麻生 太郎君    大城 眞順君
      亀井 静香君    三枝 三郎君
      住  栄作君    田名部匡省君
      森  美秀君    山下 徳夫君
      伊賀 定盛君    石橋 政嗣君
      上田 卓三君    市川 雄一君
      鈴切 康雄君    瀬野栄次郎君
      山田 英介君    辻  第一君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (内閣官房長
        官)      伊東 正義君
        国 務 大 臣
        (総理府総務長
        官)      小渕 恵三君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 細田 吉藏君
 出席政府委員
        内閣官房内閣審
        議室長兼内閣総
        理大臣官房審議
        室長      清水  汪君
        内閣法制局長官 角田禮次郎君
        総理府総務副長
        官       愛野興一郎君
        内閣総理大臣官
        房管理室長   関  通彰君
        総理府恩給局長 小熊 鐵雄君
        防衛庁長官官房
        長       塩田  章君
        防衛庁人事教育
        局長      夏目 晴雄君
        防衛施設庁総務
        部長      菊池  久君
        外務省条約局長 伊達 宗起君
 委員外の出席者
        外務省欧亜局東
        欧第一課長   兵藤 長雄君
        大蔵省主計局共
        済課長     野尻 栄典君
        厚生省年金局年
        金課長     佐々木喜之君
        厚生省援護局庶
        務課長     水田  努君
        厚生省援護局業
        務第二課長   石井  清君
        内閣委員会調査
        室長      山口  一君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二日
 辞任         補欠選任
  麻生 太郎君     田原  隆君
  上草 義輝君     中川 一郎君
  三枝 三郎君     水平 豊彦君
  辻  第一君     中島 武敏君
同日
 辞任         補欠選任
  田原  隆君     麻生 太郎君
  中川 一郎君     上草 義輝君
  水平 豊彦君     三枝 三郎君
  中島 武敏君     辻  第一君
同月四日
 辞任         補欠選任
  上草 義輝君     中川 一郎君
  三枝 三郎君     鹿野 道彦君
  住  栄作君     谷  洋一君
  辻  第一君     井上  敦君
同日
 辞任         補欠選任
  鹿野 道彦君     三枝 三郎君
  谷  洋一君     住  栄作君
  中川 一郎君     上草 義輝君
  井上  敦君     辻  第一君
同月八日
 辞任         補欠選任
  上草 義輝君     亀井 静香君
  河本 敏夫君     山下 徳夫君
  山田 英介君     瀬野栄次郎君
同日
 辞任         補欠選任
  亀井 静香君     上草 義輝君
  山下 徳夫君     河本 敏夫君
  瀬野栄次郎君     山田 英介君
    ―――――――――――――
四月一日
 青少年健全育成のための社会環境浄化に関する
 請願(伊藤宗一郎君紹介)(第三〇九六号)
 同(小沢貞孝君紹介)(第三〇九七号)
 同(辻英雄君紹介)(第三〇九八号)
 同(中村靖君紹介)(第三〇九九号)
 同外一件(長谷川峻君紹介)(第三一〇〇号)
 同(石橋一弥君紹介)(第三一八四号)
 同(石原慎太郎君紹介)(第三一八五号)
 旧勲章叙賜者の名誉回復に関する請願(越智伊
 平君紹介)(第三一〇一号)
 同(櫻内義雄君紹介)(第三一八六号)
 同(池田行彦君紹介)(第三二〇四号)
 同(越智通雄君紹介)(第三二〇五号)
 同(工藤巖君紹介)(第三二〇六号)
 同(竹下登君紹介)(第三二〇七号)
 台湾残置私有財産補償に関する請願外九件(辻
 英雄君紹介)(第三一〇二号)
同月三日
 東京営林局存置に関する請願(赤城宗徳君紹介)
 (第三二七八号)
 旧満州航空株式会社従業員を恩給法令の外国特
 殊機関職員として指定に関する請願)(江藤隆美
 君紹介)(第三二七九号)
 台湾残置私有財産補償に関する請願外一件(江
 藤隆美君紹介)(第三二八〇号)
 青少年健全育成のための社会環境浄化に関する
 請願(江藤隆美君紹介)(第三二八一号)
 同(相沢英之君紹介)(第三二八二号)
 同(田名部匡省君紹介)(第三二八三号)
 同(津島雄二君紹介)(第三二八四号)
 旧勲章叙賜者の名誉回復に関する請願(足立篤
 郎君紹介)(第三二八五号)
 同(相沢英之君紹介)(第三二八六号)
 同(愛知和男君紹介)(第三二八七号)
 同(秋田大助君紹介)(第三二八八号)
 同(井出一太郎君紹介)(第三二八九号)
 同(伊藤宗一郎君紹介)(第三二九〇号)
 同(石橋一弥君紹介)(第三二九一号)
 同(稻葉修君紹介)(第三二九二号)
 同(稻村左近四郎君紹介)(第三二九三号)
 同(浦野烋興君紹介)(第三二九四号)
 同(小川平二君紹介)(第三二九五号)
 同(小此木彦三郎君紹介)(第三二九六号)
 同(小沢一郎君紹介)(第三二九七号)
 同(小沢辰男君紹介)(第三二九八号)
 同(大西正男君紹介)(第三二九九号)
 同(海部俊樹君紹介)(第三三〇〇号)
 同(粕谷茂君紹介)(第三三〇一号)
 同(金丸信君紹介)(第三三〇二号)
 同(亀井善之君紹介)(第三三〇三号)
 同(唐沢俊二郎君紹介)(第三三〇四号)
 同(岸田文武君紹介)(第三三〇五号)
 同(久野忠治君紹介)(第三三〇六号)
 同(久保田円次君紹介)(第三三〇七号)
 同(鯨岡兵輔君紹介)(第三三〇八号)
 同(小宮山重四郎君紹介)(第三三〇九号)
 同(後藤田正晴君紹介)(第三三一〇号)
 同(近藤元次君紹介)(第三三一一号)
 同(左藤恵君紹介)(第三三一二号)
 同(佐藤一郎君紹介)(第三三一三号)
 同(佐藤信二君紹介)(第三三一四号)
 同(佐藤隆君紹介)(第三三一五号)
 同(佐野嘉吉君紹介)(第三三一六号)
 同(斉藤滋与史君紹介)(第三三一七号)
 同外一件(齋藤邦吉君紹介)(第三三一八号)
 同(坂本三十次君紹介)(第三三一九号)
 同(始関伊平君紹介)(第三三二〇号)
 同(塩川正十郎君紹介)(第三三二一号)
 同(塩崎潤君紹介)(第三三二二号)
 同(住栄作君紹介)(第三三二三号)
 同(関谷勝嗣君紹介)(第三三二四号)
 同(園田直君紹介)(第三三二五号)
 同(染谷誠君紹介)(第三三二六号)
 同(田澤吉郎君紹介)(第三三二七号)
 同(田名部匡省君紹介)(第三三二八号)
 同(田中伊三次君紹介)(第三三二九号)
 同(田邊國男君紹介)(第三三三〇号)
 同(竹中修一君紹介)(第三三三一号)
 同(玉生孝久君紹介)(第三三三二号)
 同(玉沢徳一郎君紹介)(第三三三三号)
 同(地崎宇三郎君紹介)(第三三三四号)
 同(塚原俊平君紹介)(第三三三五号)
 同(戸沢政方君紹介)(第三三三六号)
 同(渡海元三郎君紹介)(第三三三七号)
 同(中尾栄一君紹介)(第三三三八号)
 同(中島源太郎君紹介)(第三三三九号)
 同(中島衛君紹介)(第三三四〇号)
 同(中野四郎君紹介)(第三三四一号)
 同(丹羽兵助君紹介)(第三三四二号)
 同(西田司君紹介)(第三三四三号)
 同(野中英二君紹介)(第三三四四号)
 同(羽田孜君紹介)(第三三四五号)
 同(橋本龍太郎君紹介)(第三三四六号)
 同(長谷川四郎君紹介)(第三三四七号)
 同(長谷川峻君紹介)(第三三四八号)
 同(浜田幸一君紹介)(第三三四九号)
 同(浜野剛君紹介)(第三三五〇号)
 同(早川崇君紹介)(第三三五一号)
 同(林義郎君紹介)(第三三五二号)
 同(福田赳夫君紹介)(第三三五三号)
 同(福田一君紹介)(第三三五四号)
 同(福永健司君紹介)(第三三五五号)
 同(深谷隆司君紹介)(第三三五六号)
 同(藤井勝志君紹介)(第三三五七号)
 同(藤尾正行君紹介)(第三三五八号)
 同(古井喜實君紹介)(第三三五九号)
 同(牧野隆守君紹介)(第三三六〇号)
 同(増岡博之君紹介)(第三三六一号)
 同(松永光君紹介)(第三三六二号)
 同(三ツ林弥太郎君紹介)(第三三六三号)
 同(三塚博君紹介)(第三三六四号)
 同(水平豊彦君紹介)(第三三六五号)
 同(宮澤喜一君紹介)(第三三六六号)
 同(村田敬次郎君紹介)(第三三六七号)
 同(森下元晴君紹介)(第三三六八号)
 同(森山欽司君紹介)(第三三六九号)
 同(山村新治郎君紹介)(第三三七〇号)
 同(綿貫民輔君紹介)(第三三七一号)
 同(渡辺紘三君紹介)(第三三七二号)
 同(渡辺省一君紹介)(第三三七三号)
 同(渡辺秀央君紹介)(第三三七四号)
同月七日
 旧勲章叙賜者の名誉回復に関する請願(内海英
 男君紹介)(第三四一一号)
 同(逢沢英雄君紹介)(第三五三五号)
 同(椎名素夫君紹介)(第三五三六号)
 同(和田耕作君紹介)(第三五三七号)
 旧中華航空株式会社従業員を恩給法令の外国特
 殊機関職員として指定に関する請願(小沢辰男
 君紹介)(第三四一二号)
 青少年健全育成のための社会環境浄化に関する
 請願(山本幸雄君紹介)(第三四一三号)
 同(天野光晴君紹介)(第三五三八号)
 同(小此木彦三郎君紹介)(第三五三九号)
 同(長田武士君紹介)(第三五四〇号)
 同(草野威君紹介)(第三五四一号)
 同(関晴正君紹介)(第三五四二号)
 同(中野四郎君紹介)(第三五四三号)
 同(宮田早苗君紹介)(第三五四四号)
 長野営林局存置に関する請願(井出一太郎君紹
 介)(第三四七二号)
 同(小沢貞孝君紹介)(第三四七三号)
 同(唐沢俊二郎君紹介)(第三四七四号)
 同(倉石忠雄君紹介)(第三四七五号)
 同(小坂善太郎君紹介)(第三四七六号)
 同(清水勇君紹介)(第三四七七号)
 同(下平正一君紹介)(第三四七八号)
 同(中島衛君紹介)(第三四七九号)
 同(中村茂君紹介)(第三四八〇号)
 同(羽田孜君紹介)(第三四八一号)
 同(宮下創平君紹介)(第三四八二号)
 旧満州棉花協会等を恩給法による外国特殊機関
 として指定に関する請願(藤田義光君紹介)(第
 三五四五号)
 同(山崎拓君紹介)(第三五四六号)
 は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
 本日の会議に付した案件
 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案(内閣
 提出第一三号)
 恩給法等の一部を改正する法律案(内閣提出第
 二五号)
     ――――◇―――――
#2
○木野委員長 これより会議を開きます。
 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 趣旨の説明を求めます。
 細田防衛庁長官。
    ―――――――――――――
 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#3
○細田国務大臣 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案の提案の理由及び内容の概要について、御説明いたします。
 この法律案は、防衛庁設置法のほか、自衛隊法並びに防衛庁職員給与法の一部改正を内容としております。
 まず、防衛庁設置法の一部改正について御説明いたします。
 これは、自衛官の定数を、海上自衛隊千六百十九人、航空自衛隊七百十二人、計二千三百三十一人増加するためのものであります。これらの増員は、海上自衛隊については、艦艇、航空機の就役等に伴うものであり、航空自衛隊については、航空機の就役等に伴うものであります。
 次に、自衛隊法の一部改正について御説明いたします。
 第一は、海上自衛隊の潜水艦部隊の一元的な指揮運用を図るため、司令部及び潜水隊群その他の直轄部隊から成る潜水艦隊を新編して、これを自衛艦隊の編成に加えるものであります。
 第二は、航空自衛隊の補給機能を効果的に発揮させるため、各補給処の業務の統制を行う補給統制処を廃止し、これにかわるものとして、各補給処の業務全般の指揮監督を行う補給本部を航空自衛隊の機関として新編するものであります。
 第三は、人事管理及び編成上の必要性などから自衛官の階級として曹長を新設するものであります。
 第四は、自衛隊の予備勢力を確保するため、陸上自衛隊の予備自衛官二千人を増員するためのものであります。
 最後に、防衛庁職員給与法の一部改正について御説明いたします。
 これは、自衛官の階級として曹長を新設することに伴い、曹長について俸給月額を定めるとともに営外手当を支給することができることとするものであります。
 以上、法律案の提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げましたが、何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願いいたします。
#4
○木野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
     ――――◇―――――
#5
○木野委員長 次に、恩給法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。瀬野栄次郎君。
#6
○瀬野委員 恩給法等の一部を改正する法律案並びに本法に関連し、戦後ソ連に強制抑留された者に対する処遇改善について、内閣官房長官、総務長官並びに法制局、外務省、厚生省当局に質問いたします。
 第八十八国会、昭和五十四年九月六日、当内閣委員会において、一、恩給の実施時期について、二、恩給の最低保障額について、三、扶助料について、四、加算年の事務処理について、五、戦地勤務に服した旧陸海軍看護婦救済措置について、六、恩給受給者に対する老齢福祉年金の支給制限を撤廃することについて、以上六項目の附帯決議を付しているが、本法提出に当たりどのように改善措置を講じたか、まず総務長官に答弁を求めます。
#7
○小熊政府委員 ただいま御指摘の八十八国会における当委員会の附帯決議でございますが、これにつきましては、私ども常々、附帯決議は国権の最高機関である国会の御意思であるというように認識いたしておりまして、絶えず改善の指標といたしておるわけでございます。したがいまして、今回の改善に当たりましても、いろいろ附帯決議の御疑旨を実現すべく努力したわけでございます。
 ただいま御指摘の附帯決議の中で、まず普通恩給の最低保障の引き上げでございますが、これにつきましてはいわゆる恩給の改善率、これは兵の場合が一番高うございまして、三・八%となっておるわけでございますが、この三・八%を四月から上乗せするほかに、六月からはさらに他の年金等も考慮いたしまして、六十五歳以上の長期の在職者に関しましては七十万円に引き上げる、こういう改善をいたしておるわけでございます。これに準じまして普通扶助料につきましても格段のかさ上げをいたしまして、現行の六五%、要するに普通恩給の六五%のほかに、さらに八月からは寡婦加算を、現行の四万八千円を十二万円に引き上げまして、格段の引き上げをいたしまして、約八二%に達するという改善をいたしておるわけでございます。
 それから次に、加算年の事務処理でございますが、これもいろいろむずかしい事情はありますが、厚生省あるいは都道府県と緊密な連携をとりながら事務の合理化、促進化を図っているところでございます。
 それから、戦地勤務に服した陸海軍の従軍看護婦あるいは老齢福祉年金の支給制限の撤廃、これにつきましては恩給そのものの問題ではございませんで、私からお答えするのはいかがかと思いますが、この陸海軍看護婦につきましては、すでに今年度予算で厚生省に千七百万円の調査費がついているやに伺っておりますし、また老齢福祉年金につきましても、四十一万円を四十五万円に引き上げるといったような措置が講じられているというように伺っております。
#8
○瀬野委員 これらの改善措置に要する経費並びに昭和五十五年度の恩給予算について明らかにしていただきたいと思います。
#9
○小熊政府委員 昭和五十五年度の恩給費でございますが、総額で一兆四千八百三十二億円、これは五十四年度の予算一兆三千五百八十七億円に比べまして千二百四十五億円の増、割合にいたしまして九・二%となっております。このうち新しい改善に必要な経費でございますが、これは九百九十八億円。千二百四十五億円のうち九百九十八億円が新規改善に必要な経費、その他は平年度化に必要な経費、こういうことになっております。
#10
○瀬野委員 本法改正の大きな柱の一つに恩給年額の増額がありますけれども、これは、昭和五十四年度における国家公務員の給与の改定、すなわち平均三・五%に基づいて、昭和五十五年四月から三・四%プラス三千二百円を引き上げることになったことは一応評価できますが、問題は、この恩給改定の実施時期が四月、六月、八月、十月、十二月とばらばらで、現職公務員の給与よりその時期にずれがあり、すなわちおくれがあるわけでございますけれども、この点は恐らく当委員会でもこれまでしばしば問題になったと思いますが、漸次改善はなされてきたものの、現在でも一年のおくれがあることは事実でございます。
 こういった意味で、恩給受給者にとってはこのずれが一番問題となって、われわれもかねがねこの問題を指摘しておるところでございます。よって、このおくれをなくすために特段の配慮をして、各種改善を同時期に一体化して実施できるよう努力すべきである、かように思うのですけれども、この点についてはどのように検討して法案の提出に及ばれたか、御答弁を求めます。
#11
○小熊政府委員 ただいま申し上げました附帯決議の中の第一項目に、この実施時期の繰り上げということが指摘されておるわけでございます。私ども、これを繰り上げるべくいろいろ努力してまいりまして、四十八年当時までは十月実施というのを、逐次上げてまいりまして、五十二年からは四月実施ということで定着してまいったような状況にあるわけでございます。
 ただいまの御指摘は、いろいろな改善について、その実施時期を一つにしたらどうだ、こういう御指摘であろうかと思いますが、これにつきましては、私ども、非常に厳しい財政の中でできるだけ受給者に差し上げる年金の中身を濃くしたい、こういうように考えておるわけでございまして、恩給受給者が現在約二百五十万人おられるわけでございますが、こういった方に何がしかのかっこうで年額千円、月額にして八十三円程度引き上げていくというだけでもすでに二十五億の金が必要であるということでございまして、やはり実施時期が想像以上に重い意味を持ってくるわけでございます。したがいまして、私どもも受給者ともいろいろ話し合いを持つ機会を持っておるわけでございますが、そういった席でも、やはり実施時期が若干おくれても中身を手厚くしてもらいたいという要望が非常に強うございまして、そういった受給者の立場も考えて、いまの段階ではできるだけ中身を手厚くしたい、こういうような考え方から、まあ若干四月からおくれたような実施時期で実施したい、このように考えておるわけでございます。
#12
○瀬野委員 総務長官、これは大変問題で、恩給局長から答弁がございましたが、厳しい財政の中で、年金の中身を濃くしたいということのようでございますが、私は、公務員の給与改定期に合わせるのは十分できると、かように判断をいたしております。恩給や共済年金で生活をしている人に対し、事務的に不可能とおっしゃったり、または中身を濃くするとおっしゃっておりますけれども、これだけで一蹴するのは余りにも酷じゃないか、かように思うわけです。そういう意味で、こういった問題については、もうかねがねから問題になっているわけですけれども、ぜひひとつ前向きにさらに検討をお願いしたいと思いますが、どうでしょうか。
#13
○小渕国務大臣 瀬野委員のおっしゃられることはよく理解するところでございまして、私どもも、この実施時期の問題につきましてはかねがね検討してきておるところでございますが、ただいま恩給局長が御答弁申し上げましたように、財政当局とのいろいろな折衝の過程におきまして、受給者につきまして、特に初年度の場合等につきましては、その希望を満たすということになりますと実施時期のおくれというようなことになりまして、いろいろの配慮の結果そういうことになっておるわけでございます。したがいまして、今後とも十分検討いたしたいと思いますが、他の年金その他の支給時期の問題等もこれありますので、そういうものとの横並びの点もあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、御指摘でございますので、十分検討いたしてまいりたいと存じます。
#14
○瀬野委員 さらに、旧軍人と一般文官との間の恩給格差の是正の問題ですけれども、これについてはどう対処する考えですか、この機会にあわせて御答弁いただきたい。
#15
○小熊政府委員 先生の御質問の趣旨は、旧軍人と文官との仮定俸給格差ということかと思いますが、旧軍人の仮定俸給につきましては、毎々これを引き上げるように努力いたしておりまして、少なくとも長期の軍人、兵にして実在職年が十二年以上、准士官以上が十三年以上、こういった方々に対する仮定俸給は、文官の仮定俸給とさほど違っていないのじゃないかというように認識しておりますが、これからもまたいろいろと検討を重ねまして、不公平のないように図ってまいりたいと思います。
#16
○瀬野委員 厚生省に伺いますが、旧陸海軍従軍看護婦の救済措置については、これもかねがねから強く要請をしている問題でございますけれども、来年から実施できる用意があるのか、この点お伺いします。
#17
○石井説明員 お答えいたします。
 旧陸海軍看護婦につきましては、軍人のように履歴書等がございませんものですから、まず今年度は実態の調査を行いたい、こういうことでございます。したがいまして、直ちに実施というわけにはいかないかと思います。
#18
○瀬野委員 先ほど附帯決議の点で局長から御答弁もいただきましたが、扶助料については、私は、さらに給付水準の実質的引き上げを図るべきじゃないか、かように思っております。これらについても団体からも強い要請がたびたび出ているわけでありますが、遺族年金は約二分の一という給付水準で、低い位置にあります。そういった意味から、これについても今後さらに一層引き上げに向かって検討の用意があるのか、その点もあわせてお答えをいただきたい。
#19
○小熊政府委員 扶助料の給付水準でございますが、原則的にはただいま先生御指摘のように二分の一ということになっておるわけでございますが、ただ、先ほど申し上げましたように、扶助料につきましては最低保障の制度が導入されておりまして、この最低保障の方々がどのくらいのカバレージあるかという問題もありますが、いま最低保障で給付しておる方はかなりのカバレージでございます。こういった方に関しましては、扶助料自体で現行でも六五%にいっております。さらに、先ほど申し上げましたように、寡婦加算を四万八千円から十二万円という格段の改善を図りましたところで、もしこの法案が実施に移されるとすれば八二%まで引き上げられることになるわけでございます。また、ただいま申し上げたのは長期の方についての話でございますが、短期の方、たとえば実在職年が六年未満といったような方について申し上げますと、普通恩給の九九%までいっておるという実態にございます。
 したがいまして、この扶助料だけを考えて引き上げるということについては、いろいろ検討すべき問題があるかと思いますが、ほかの公的年金等との横並び等も考えながら、今後とも扶助料の引き上げについては検討してまいりたい、このように考えております。
#20
○瀬野委員 総務長官にお尋ねします。
 恩給についての性格規定の考え方についてお伺いしたいのでありますが、恩給は従来、軍人軍属または公務員を対象としたもので、社会保障という考え方からするとその枠の外という考えがあるやに私は感ずるのであります。独自の性格を持ったものとして扱われてきたという色彩が強い、かように認識いたしております。すなわち、身分差別そのままが踏襲されてきたと言っても過言ではございません。軍人に比べて文官は後回し、公務員でも偉い方からという考え方になっております。最近ではようやく社会保障的観点に立ちつつあるとうなずけますが、政府当局としてはどういう性格づけをしておるのか、お伺いをしたいのであります。すなわち、社会保障の一環として位置づけ保障していくという考えを基本に据えるべきではないかと本員は考えるのでありますけれども、その点について政府の見解を改めてお伺いしておきたい。
#21
○小熊政府委員 恩給の性格づけでございますが、まず、恩給という制度がすでに三十四年には共済制度に移ってしまいまして、現在はもうなくなっている、三十四年までお勤めになられた方の制度であるということが一つあると思います。
 それで、恩給年金の枠といいますか対象といいますか、これにつきましては、先生がいまおっしゃったように、文官あるいは軍人といったような恩給公務員を対象とした年金制度であったわけでございます。これにつきましては、現在も公務員については共済制度があり、会社に勤めておられる方については厚生年金制度があるというような並びと同じ並びではないかと考えておるわけでございます。
 それで、この恩給につきましては、やはり相当年限忠実に国のために勤めたという方に対する年金制度でございまして、これをいまの段階で、この枠はおかしいじゃないかというのもなかなか理解しにくい面も私は持っておるわけでございますが、ただ、先生がおっしゃいましたように、この恩給年金というものはやはり忠実に国のために尽くされた方々に対する生活の一つの支えということになっておるわけでございますので、逐次、他の公的年金制度との並びも考えながら社会保障的な意味合いも十分に持たせてきておる。たとえば最低保障制度、こういったものはやはりその一つのあらわれではないかと考えておりますが、今後ともそういった生活の支えとしての考え方も検討していかなければならないのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
#22
○瀬野委員 今回の本法改正の中に旧国際電気通信株式会社または旧日本電信電話工事株式会社の社員期間の通算条件の緩和がなされておりますが、これは関係団体等の永年にわたる陳情、要請があって今回このような前向きの措置がとられたわけでございます。いずれにしても、こういう措置を毎年小出しにやるのではなく、戦後三十数年も経過した今日、戦後処理として諸問題をここで総ざらいし、総点検をすべきである、かように私は考えるわけです。
 そこで、戦後処理問題としてはどのようなことが残っているか、当局はその点どう検討しておられるか、改めて当委員会で明らかにしていただきたい。
#23
○小熊政府委員 戦後処理問題という大きな問題としては、私が答えるのはいかがかと思いますが、恩給に関して申し上げますと、ただいま先生御指摘のような国際電気通信とか、そういったいわゆる外国にありました特殊機関あるいは特殊法人、この期間を恩給期間に通算してもらいたいという話と、それから、公務員ではなかったけれども、外国において軍人と類似したような非常に厳しい勤務についておった、これを恩給公務員並みに考えてもらいたい、こういう二つの流れがあるかと思います。そういった特別の機関あるいは法人で私どもに陳情が参っておりましたのは百を超えておると思います。そのうち、現在、通算等の措置で処理しておりますのが二十二ございます。この二十二を決定いたしましたにつきましては、その性格であるとか、あるいは人事交流の問題であるとか、こういったことを十分検討いたしましてこの二十二を通算等の措置で処理したわけでございますので、事恩給に関しましては、私どもとしては戦後処理的な問題はもうないのじゃないかと考えておるわけでございます。
 なお、ただいま先生のおっしゃられた国際電気通信でございますが、これはすでに、この国際電気通信が日本政府に移管になったときに通算はいたしておるわけでございます。ただ、終戦からその移管になるまでの期間が抜けておったのでこれを補正したということでございまして、改めてそういった期間として認めたというケースではございません。その点ひとつ御了解いただきたいと思います。
#24
○瀬野委員 戦後ソ連に強制抑留された者に対する処遇改善について、本員は、昭和五十三年二月二十七日予算委員会第一分科会において政府の見解をただして以来、本日四回目の質問となるが、その際留保した次の疑問点についてさらに見解を求めるものであります。
 まず第一点は丁外務省にお伺いしますが、昭和十六年四月十二日に締結された日ソ中立条約の有効期限は五年間で、すなわち昭和二十一年四月十二日まで有効であったが、昭和二十年八月九日ソ連が一方的に宣戦を布告し戦端を開いたことは国際法違反と考えるがどうか、政府の見解を求めます。
#25
○伊達政府委員 お答え申し上げます。
 日ソ中立条約は、先生もおっしゃいましたように、一九四六年四月二十四日までの五年間は有効でございました。したがって、ソ連が四五年八月九日に対日宣戦布告を行いましてわが国に対して戦闘行為を開始したということは、明らかに日ソ中立条約の違反であると考えます。
#26
○瀬野委員 第二点は、ポツダム宣言第九項は、日本将兵の帰還について定めていることは言うまでもないわけであります。ソ連は昭和二十年八月八日これに参加し、昭和二十年九月二日、ポツダム宣言に基づく降伏文書に調印したのであります。ポツダム宣言によると、米、英、支、ソ間の降伏文書は、日本と対戦国間の国際協定であるが、ソ連の日本将兵抑留はこれに反すると考えるがどうか、この点についても政府の見解を求めます。
#27
○伊達政府委員 お答え申し上げます。
 ポツダム宣言第九項におきましては「日本国軍隊ハ完全ニ武装ヲ解除セラレタル後各自ノ家庭ニ復帰シ平和的且生産的ノ生活ヲ営ムノ機会ヲ得シメラルベシ」と明瞭に書いてございます。ソ連によります日本軍将兵のシベリア抑留に関しましては、当時の国際法のもとにおいて、国際法上の捕虜をとらえた場所から後送して抑留するということ自体は違法であったとは言えなかったといたしましても、ポツダム宣言第九項の規定によりまして、少なくとも戦争犯罪人の処罰などに関するような正当な理由とは全く関係なく行われた抑留というものは、このポツダム宣言の条項に反したものであるという見解でございます。
#28
○瀬野委員 第三点は、ハーグ陸戦法規は、戦時捕虜に対する最小限の人権保護規定であります。これを怠ったソ連の行為は国際慣習法に違反すると考えるがどうか、この点についても政府の見解を求めます。
#29
○伊達政府委員 お答え申し上げます。
 シベリアで抑留されました日本軍将兵に対するソ連の取り扱いというものは、ただいま先生が御指摘になりましたハーグの陸戦法規条約の付属をなします陸戦規則等に見られる当時の国際慣習法に照らしましても、種々問題があったところであるという見解でございます。
#30
○瀬野委員 第四点は、ソ連の国際法違反によって生じた損害は、戦時賠償の対象となり得ると解されるところ、日ソ共同宣言を文字どおり読めば、その六項にソ連の賠償権放棄について規定するのみになっているが、この点について明快なる政府の見解を求めます。
#31
○伊達政府委員 日ソ共同宣言第六項は第一文と第二文がございまして、その第一文におきましては、ソ連の賠償請求権の放棄を規定しているわけでございまして、日本国の賠償請求権の放棄については何も書いてございません。ここで言う賠償請求権とは、通常、戦勝国が戦敗国に対して勝者の立場から要求する賠償の支払いの請求権のことでございます。
 他方第二文におきましては、御質問によりますシベリアにおける抑留あるいは強制労働等に関する請求権について規定してございますが、この第六項の二文では、日ソ両国が戦争の結果として生じたすべての請求権を相互に放棄するということによって決着を見ておるわけでございまして、このような戦争請求権に関しては、日ソ両国相互に放棄しているわけでございます。
#32
○瀬野委員 以上の四点については、国際法違反と賠償請求についての問題について、前回の本員の質問に対する疑問点を逐条的に申し上げて政府の見解をただしたわけであります。
 以下、数点さらに政府の法解釈に対する疑問点を解明するために政府の見解を求めてまいりますが、まず第五点として外務省にお伺いしますけれども、本員の数回にわたる質問に対し、政府答弁は、日本将兵はハーグ条約に定める捕虜の処遇を受くべきであったが、不当に取り扱いされたのであります。したがって、これに基づく損害請求は当然にソ連に対しなされるべきであったが、国交回復のためこれを放棄したことは、公共のため収用したことに該当し、憲法第二十九条三項の適用があるのではないか、かように私は考えるのでありますが、政府の見解を求めます。
#33
○角田政府委員 お答え申し上げます。
 日ソ共同宣言第六項の規定による請求権の放棄につきましては、日本国との平和条約十九条(a)項の規定による請求権の放棄と同様のものであり、国家自身の請求権を除けば、いわゆる外交保護権の放棄であって、日本国民が個人として有する請求権を放棄したものではないというのが、従来からの政府の基本的見解でございます。また、それはいわゆる戦争損害の一種に属するものでございまして、法律論としては、これに対する補償は憲法第二十九条第三項の予想しないところであり、同項の適用がある問題ではないものと考えております。
#34
○瀬野委員 伊達条約局長にお伺いしますが、ただいまの問題について、外務省の立場から見解を求めます。
#35
○伊達政府委員 私といたしましても、ただいま法制局長官から御答弁がございましたように、これは憲法第二十九条の問題ではないという見解を有しております。
#36
○瀬野委員 第六点は、法制局長官にお伺いしますが、政府は、戦争では多かれ少なかれ国民が犠牲を受けている、ソ連抑留者のみ特別の処遇はできないと答弁されるのであります。しかしながら、捕虜は人道的見地から特別に人権を保障されているもので、ハーグ条約に定めるところのものは、国際、国内を問わず、万国の公理として適用しているものであります。ソ連に抑留された捕虜の特に保護された人道的請求権を放棄した政府が、国内における憲法上の補償を否定することは法の正義に反し、公序良俗にもとるものじゃないかと本員は解するが、政府の見解を求めます。
#37
○角田政府委員 御質問につきましては、先ほども申し上げましたとおり、法律論としては、憲法第二十九条第三項の規定による補償の対象となるものではないと私どもは解しておりますが、ソ連に抑留された方に対する措置をどのように講ずるかということについては、これは立法政策の問題であると心得ております。
#38
○瀬野委員 次に、第七点として内閣官房長官にお伺いします。
 小熊恩給局長は、先ほど戦後の恩給問題はすべてこれで終わったというような意味の答弁をされましたが、重要な発言であると私は受けとめております。そういった問題を含めて内閣官房長官にお伺いするわけでございますが、政府は、戦争損害をすべて国が補償するわけにはまいらないと私の質問に対してたびたび答弁をされてきたのであります。
 しかしながら、これまでの政府の施策を見るに、軍人の年功序列に対する軍人恩給、原爆被害者に対する原爆医療法また原爆特別措置法、在外資産喪失に対する引揚者給付法また引揚者特別給付法、敵産管理人に対する連合国財産の返還に伴う損失の処理に関する法律、占領軍による被害者に対する見舞金支給に関する法律、安保駐留軍による被害者に対する特別損失に関する補償法、婦人従軍者に対する従軍看護婦の給付金に関する法律など、若干の例を挙げましたが、私が承知しているところ、約十六ぐらいにわたってこのような戦後の処置がいろいろとなされております。
 このような補償救済がなされている中で、戦後ソ連に抑留された者に対する労働賃金不払いその他の犠牲を無補償のまま放置しておくことは、法のもとの平等原則に反するものと本員は考えるが、政府の見解を改めて伺いたいのであります。
#39
○伊東国務大臣 お答え申し上げます。
 いま御質問になりまして、法律論は法制局長官なり条約局長から申し上げたとおりでございます。
 先生が御指摘になりましたように、戦争の被害といいますか痛手をこうむった方に何らかの償いのことをやっておるじゃないか、ソ連の抑留者にも何か考えたらいいじゃないかという立法論といいますか、おっしゃったわけでございますが、確かにこれはいろんな戦争の被害があったわけでございまして、その中で政府は、先生御指摘になりましたように、戦没者の遺族の問題でございますとか、傷痍軍人の問題でございますとか、海外からの引き揚げ者の問題とか、原爆の被爆者の問題とか、特別に施策を必要とするものにつきまして重点的にいままで施策を講じてまいったことは先生御指摘のとおりでございます。
 そのバランスを先生おっしゃるのだと思うのでございますが、政府としましては重点的にこれは必要だと思うところから手をつけてまいったわけでございますが、まだまだ戦争からのいろんな痛手をこうむっておられる方があることは御指摘のとおりでございます。内地におりましても爆弾で家を焼かれ死亡した方もございましょうし、抑留者でも南方とかいろんなところの抑留者の問題もございますが、私どもとしましては、法律論は先ほど申し上げたとおりでございまして、国としてそれを補償する義務はないということで考えておるわけでございます。
 いま申し上げましたように、もろもろのものを全部痛手を償うということはなかなかできないことでございますし、いろいろバランス論の問題もございます。いろいろございますが、いまは先生御指摘のとおり、恩給法で抑留期間を二倍にしますとか戦没者の残った方には手当を出しますとか、そういうことでやっておるわけでございますが、ソ連抑留者だけということでこの際制度として何か措置するということは、いろんな方面とのバランス論も考えまして、国としてはいま無理でございますということで、先生に申しわけないのでございますが、何度もお答えを申し上げておるところでございます。
#40
○瀬野委員 伊東内閣官房長官の答弁がございましたが、私はもう少し前進した答弁があるかと思って期待しておりましたけれども、まことに残念であります。
 この問題だけを議論しますと、制約された時間の中の質問でございますので、いろいろな問題については今後に質問を留保して政府の見解をただしていくことにいたしますが、いまの答弁の中で特別に講ずべきものはとおっしゃいましたが、それではシベリア抑留は特別でないのかという反論が起きてまいります。五十五万というわれわれ同胞がシベリアのあの極寒の極地で重労働に服してまいったのです。しかもそれは、当時の天皇陛下のいわゆる命によって戦争を終結すると言われたので素直に終結をして、速やかに家庭に帰って平和な生活を営むということになっているにもかかわらず、無謀にもソ連が連れていった、そういったことで済まされる問題ではございません。
 また、戦争の痛手をこうむった人に対しては十分いろいろ手当てをしてきつつある、こういう答弁でございますけれども、それではシベリアに行った者は痛手を受けなかったのか。いわゆる明治憲法で、昭和二十二年五月二日までは旧憲法があったわけですが、その憲法下においてシベリアに抑留された者は一応軍籍にある者としてみなすべきだという私は解釈を持っているんですが、そういった意味でも、シベリアの方へ拉致されていって、ああいう苦しい労働に服したということを考えましたときに、これは戦争の延長である、かように私は認識をしております。その辺の違いもあります。
 それから内地で爆弾を受けたとかいろいろありますが、それはそれなりに原爆被爆の方にはいろいろ手当てもしてあるし、また、そういった者に対しては救えばいいわけです。内閣官房長官の言を聞いていますと、あたかも一億総補償みたいなことをおっしゃるけれども、そうとはまいらないのです。シベリアの場合は特別な長期にわたる抑留生活という、いわゆる国家の賠償を肩がわりする労働に服したのは事実であります。そういったことを認識していただきたい。
 また、もろもろの、全部に対して痛手を償うことについては無理である、バランスの問題等もある云々とおっしゃいましたけれども、私はこういったことをバランスや何かで処置すべきものではないと思うのです。そういう点についてもいずれまた私は政府の見解に反論してまいりますけれども、この問題については、ほっておけない問題である、重要な問題であるということで、さらに問題を指摘しながら次回に質問を留保しておきます。
 時間の関係もございますので、あとたくさんございます問題をこの機会に指摘をし、政府の見解をさらに求めておきます。
 第八点は、外務省当局にお伺いしますが、政府は平和条約、すなわちこの場合日ソ共同宣言を意味するが、この締結に際して請求権を放棄したのは、敗戦国当時の事情から拒否できなかったものであり、やむを得ないことで、そのための補償は憲法第二十九条三項の予想しないもので、適用できないと答弁されるが、しかしながら、日ソ共同宣言は日本が独立し主権が回復した時期に締結されたものであり、すべての請求権放棄を強いられたサンフランシスコ平和条約締結のときとは根本的に国家権能が異なるのであります。占領下、非独立、国家主権の制限、憲法機能停止状態における請求権の放棄と同一視し得ないものであります。ソ連抑留者の請求権放棄は、日本政府の自主的行為であり、憲法上有責であると本員は考えるが、政府の明快な見解を求めます。
#41
○兵藤説明員 お答え申し上げます。
 瀬野先生よく御存じのとおり、日ソ国交回復交渉の当時におきまして最大の問題でございましたのは、シベリアを初めといたしましてソ連に抑留されておりますわが同胞を一日も早く一人でも多くわが祖国に送還をする。言語に絶する苦労をなめておられる方々に一日も早く祖国に帰っていただくということが最大の課題であったわけでございます。当時の政府もそのためにあらゆる努力を払い、その結果が日ソ共同宣言第五項ということで、抑留者の送還ということが合意されたことは御承知のとおりでございます。しかるに第六項におきましては、たびたび御議論になっておりますように、戦争から生じました一切の請求権を相互放棄いたしたわけでございますけれども、これに至ります経緯は、この交渉自体が敗戦国たる日本と戦勝国たるソ連という当時置かれた立場からきわめて苦しい交渉であったという交渉経緯から、まことにやむを得ない事態であったというふうに考える次第でございます。
#42
○瀬野委員 外務省当局にさらにお伺いしますが、第九点は、ハーグ条約陸戦法規は、抑留国に対し捕虜労賃の支給を義務づけております。政府は、この義務に反したソ連に対する請求権は日ソ共同宣言で放棄し消滅したと答弁されるのであります。しかしながら、昭和二十八年十月二十一日、日本国が加入したジュネーブ協定は、抑留国から受くることのできなかった捕虜の補償要求は自国政府に対してなすものとし、かつ、この権利は他の国際協定では制限できないと定めております。この条規によりソ連抑留者は国内法上求償権を行使することが可能と考えるが、この点について政府の見解はどうですか。
#43
○伊達政府委員 お答え申し上げます。
 この条約は、わが国は一九五三年に加入いたしました。ソ連は一九五四年に加入いたしましたので、四九年の条約が日ソ間に効力を発生いたしましたのはソ連が五四年に入ったときからということでございますが、この日本軍将兵のシベリア抑留と申しますのは、そもそも四九年の条約の成立以前から始まっていたものでございまして、この抑留に関する諸問題をこの条約に照らしましていろいろと言うことは、実際問題としてなかなかむずかしい点がございます。
 ただ、先ほど申しましたように、五四年にソ連が入ったことによりまして、日ソ間にこの条約というものが、四九年の条約でございますが、効力が生じたではないかということでございますれば、確かに技術的にはこの条約の適用関係を論じ得るものではあると思います。しかし、ソビエト側はこの条約の明瞭な違反をしているわけでございます。捕虜と申しますか日本軍将兵の抑留その他その抑留生活における待遇というものにつきまして、国際法上の違反をしているわけでございまして、俸給ないし労賃の支払いというこの条約の範囲を超えてしまいまして、すでに国際法違反の問題として戦争請求権の問題に化体している問題になっていると考えるわけでございます。そういたしますと、これは先ほどもお話のございました日ソ共同宣言第六項第二文の規定によりまして、すでに日ソ間で解決済みの問題であると考えざるを得ない次第でございます。
#44
○瀬野委員 ただいまの答弁については大変疑義があるわけですが、この点についてもまた次回以降に質問を留保して、会議録を見た上で政府の見解をただしてまいる、かように考えます。
 第十点として、内閣官房長官にお伺いしますが、先ほど官房長官から、ソ連抑留者を無補償のまま放置することについては法のもとの平等に反しないかという問題に対しての答弁をいただいたわけですが、さらに私がお伺いしたいのは、政府は、昭和五十三年二月二十七日以来、本員の質問に対し、しばしば昭和四十二年度の引揚者特別給付法によって戦後処理が終了したと答弁されておりますが、戦後の諸法律の中で捕虜の賃金補償を講じたものが一つでもあるのかと私はまず伺いたいのであります。
 さらに、戦時に際して捕虜、文民、難民、私有財産は特別に保護されております。とりわけ捕虜の処遇についてはハーグ条約、ジュネーブ協定、赤十字条約等において交戦当時国に厳しい義務を課し、人道的権利を保障しておることは御承知のとおりであります。ドイツ国における戦時捕虜賠償法もそのあらわれであり、政府がソ連抑留者の捕虜補償を否定することは世界の公理にもとるものであると考えるが、改めて内閣官房長官の政府としての見解を求めるものであります。
#45
○角田政府委員 法律的な問題については先ほどお答え申し上げたとおりでございまして、結論的に申し上げれば、憲法二十九条三項の適用のある問題ではないというのが法律的な見解でございます。
#46
○伊東国務大臣 お答え申し上げます。
 いま法制局長官がお答えしたとおりでございまして、われわれとしましては、法のもとで平等ということを先生おっしゃいますけれども、最高裁の判決が一つの判決であり、あとは立法論としてどういうふうにそういう人たちを考えていったらいいかということでございまして、いままでの段階では、確かにソ連の抑留者という人は大いに苦労されたことは私もよくわかります。個人的なことですが、私は中国で抑留されたわけでございますが、それ以上に苦労されたということは私はよくわかりますが、先ほどから申し上げたような見解で、この問題には政府としては特別な措置をとる考えはないということだけ申し上げておきます。
#47
○瀬野委員 伊東内閣官房長官にさらにお伺いしますが、長官も時間の関係もあると思いますので、ただいまの答弁に関してもう一つお伺いしておきたいと思います。
 官房長官も御存じだと思いますけれども、阿波丸事件というのがございました。阿波丸は昭和二十年四月一日アメリカ軍によって違法に撃沈されたわけであります。時間の制約もありますので詳しい内容は省きますが、あの有名な阿波丸事件でございますから記憶を想起していただきたいと思います。日本国会は、当時、昭和二十四年四月、国際法上の賠償請求権を放棄し国内での被害者補償を決議し、政府はこれを実施したことは事実でございます。そこで、詳しくはもう申しませんが、ソ連抑留者補償もこれにならうことができると本員は理解するのですけれども、これとの関連で政府はどのように見解をお持ちであるか、この機会に伊東官房長官から改めて御答弁を求めます。
#48
○伊東国務大臣 先生の御質問になりました阿波丸の事件につきましては、事件発生当時から米国政府が撃沈についての責任を認めまして、敵対行為の終了後損害賠償の問題について考慮する用意があるというようなことをたしか言ったわけでございまして、戦後日米間で協定ができまして、本件の請求権は日本は放棄するということをうたったわけでございます。しかし、放棄はしますが、死亡者の家族に対する見舞い金を支給しますということで、たしか一人当たり昭和二十五年に当時七万円お見舞い金を出した。これはアメリカ政府も非を認めて、日本とアメリカの間で協定を結び、ただ、請求権は日本も放棄するけれども、日本政府として亡くなった方について一人七万円のお見舞い金を出すということをやったわけでございます。たしか一人生きておられる方があったはずですが、あの人には出していない。死亡した方に七万円出したということをやったわけでございます。
 ソ連のことは、本当にお気の毒なんですけれども、そういう明確な協定もございませんし、また戦没者の遺族の方々には必要な措置を講じてきたということがございまして、阿波丸のときも亡くなった方に見舞い金を一人七万円出した、それも日米間ではっきり協定があったということでございまして、このソ連の問題とは若干性質が違うことでございますので、まことに先生には申しわけないのですけれども、この問題について特別な措置をするということはきわめて困難なことだ、阿波丸の場合とは大分事情が違いますということだけ申し上げておきます。
#49
○瀬野委員 伊東内閣官房長官も中国に抑留された人であると自分でおっしゃるように、抑留生活のいかなるものか、ソ連が厳しいことはいまも答弁がありましたように十分承知のはずであります。阿波丸事件とは性格が違うというような答弁でありますが、それも十分私は承知しておりますけれども、法律もさることながら、人道的立場から言っても、皆さん方の本心は、これは何とかしてやらなければならぬ、本当に大変な問題である。日本の国民も一億一千五、六百万になって、戦後を知らない時代にどんどんなってきた。しかも明治、大正も日本人口の中の約二〇%、八〇%は昭和生まれの方であるというようなことで、実際に時代が大きく移り変わりつつあります。
 こういった中で、私は、ほっておけない問題として、後ほど公聴会あるいは参考人招致等でこういったものを十分審議する時間をとるように委員長に対してもお願いをするつもりですが、この機会に、官房長官も、一国民として、また日本国がこういう平和になってきたこのときに、戦後を何とかして早く処理をして国民ひとしく法のもとに平等な処置をするということで、せっかく要職にある官房長官でありますので、十分今後やっていただきたい。また、あなたが籍がある限り、私も籍がある限り、こういった問題について見解をただしながら、国民の一員として、こういったシベリア抑留の皆さんを救うために最大の努力を払うことをかたくお誓いする立場でございますので、今後ともひとつ鋭意検討、勉強し政府を叱咤激励し、そして戦後処理の対策を早急に講じられるようお願いをする次第であります。
 官房長官、お仕事が忙しい時間を割いていただきましたので長官に対する質問は以上で終わりますので、退席されて結構であります。
 時間が詰まってまいりましたが、法制局長官にお伺いします。次の問題は、私はこの機会に今後のことに対しても一度お尋ねしておかねばならぬ問題でありますので、あえてお伺いするわけです。
 日本国憲法で軍備を廃止した昭和二十二年五月二日までは、法律上もやはり陸海軍の将兵であったということになると私は理解しております。このことは先ほども若干触れました。すなわち新憲法が昭和二十二年五月三日から施行されておりますので、それまでの間は、いわゆる明治憲法による、旧憲法による陸海軍人としての立場は当然これは認められるべきものである、かように私は思うわけであります。ソ連のスターリンはわれわれを軍人捕虜として扱ってきたわけでありまするし、また、日本政府も捕虜だと言っているところからしますれば、この期間のわれわれの勤務というものは、当然軍人軍属として公務の延長に当たるべき期間ではなかろうかと思うのであります。それを、一般的な意味において抑留加算とせられて恩給上いろいろ処理されておりますけれども、この点は恩給局の方でいろいろ扱うわけでありますけれども、恩給と大変かかわり合いを持つ問題でありますので、お尋ねするわけです。
 すなわち、抑留加算は昭和二十二年五月三日以降とすべきである、かようにわれわれは考えておるために、こういった質問をするわけです。すなわち南方で一時、船を待つ間待機している場合の将兵と、ソ連に抑留された者のいわゆる抑留は、これはもう言語に絶する、質的に違うものであります。先般も申し上げましたように、死亡者が五万五千名、総犠牲率というものは八万人に及ぶ後遺症を含めて全体の約三〇%となっておりまして、死亡率にしても一〇%、かの日露戦争の戦死者四万六千名、その死亡率四・五%に比べて、シベリア抑留はその二倍を超えるもので、戦争に劣らぬ犠牲と厳しい重労働を強制されたものであるので、恩給法上も、当然最高の上限三倍ないしは法改正して四倍でも支給すべきである、加算すべきである、かように私はかねがねから政府に要求をしているところであります。
 そういった意味で、先ほどの問題に返りますが、国内法上は軍籍にあったかなかったかという区別をさるべきものでありまして、政府としては国際法上は捕虜である、かように申されておるのでありますから、その抑留者に対しては命令によって行ったのであり、軍務の継続ではないか、私はかように先ほどから申し上げておるわけであります。でなければ、九月二日の米艦ミズリー艦上で降伏文書に調印した後、日本政府は軍籍から外す手続をとっておくべきではなかったか、とっていないということは、先ほどからくどく申し上げておりますように、二十二年五月二日までは明治憲法による、いわゆる軍隊としての位置づけがされておる、かように私は解釈できるんじゃないかと思うのですが、その点、法制局長官の明快なる答弁を求めます。
#50
○角田政府委員 お答え申し上げます。
 旧陸海軍の軍人軍属としての公務は、基本的には組織としての陸海軍が消滅した時点において終了したと見るべきだと思います。したがいまして、瀬野委員の言われるように、いわゆる戦力を保持することを禁止した新しい憲法の施行時点というものとは直接には結びつかないように考えます。ただ、このことを法律上どのように取り扱うかということにつきましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、それぞれの法律の立法政策として考えられるべき問題であろうと思います。
#51
○瀬野委員 以上の質問については、疑問点または本員においていろいろ検討すべき問題がたくさんございますので、次の予算委員会または内閣委員会等でさらに政府の見解をただすということで、疑問点について、また納得のいかない点については質問を留保しておきます。
 本員は内閣委員長にお願いしたいことがございます。
 本日、本法の審議とともに本法に重大なる関係を有する、戦後ソ連に強制抑留された者に対する処遇改善等について政府の見解をるるただしてきたところでございますが、御案内のとおり、当時の関係者も年を重ねるごとに生存者がますます減少し、早急な対策を講じなければならない時期に来ておりますので、関係者を代表して貴重な意見を陳述するために参考人を招致し、いずれ機会を見て当内閣委員会を開いていただき、そういった委員会で審議をしていただきますことを要求いたしたいのでありますが、委員長よろしくお取り計らいいただきたいのであります。
#52
○木野委員長 瀬野委員の御要望の点につきましては、後刻理事会に諮りまして処置いたしたいと思います。
#53
○瀬野委員 最後に、総務長官に要望を込めてお伺いいたしますが、以上一時間にわたって論議をしてまいりましたように、戦後ソ連に強制抑留された者に対する処遇改善と、戦後三十五年を経過し、早急な対策を講じなければ歴史の流れとともに消滅することを危惧するのであります。したがって、いまのうちに戦後処理に対する諸問題についての公聴会を開き、対処すべきであると本員は考えますが、総務長官の見解をお伺いいたしたい。
#54
○小渕国務大臣 先ほど来、内閣を代表いたしまして官房長官から御答弁を申し上げたことで尽きるわけでございます。現下、この問題につきましては多くの方々から問題提起をされまして、民間におきまして種々御意見が出ておることは私も承知をいたしております。したがいまして、御陳情その他につきましては誠心誠意受けとめるつもりにいたしておりますが、このことをもって政府としての正式の公聴会を催すというようなことにつきましては、現在におきましては、まことに申しわけないことでありますが、考慮いたしておらないところでございます。
#55
○瀬野委員 政府としては考慮していないとおっしゃるけれども、こういったことについては重要な問題であるので十分前向きに検討し、そうして今後その方向で努力をしていただくということでお願いをするわけでございます。
 約束の時間が参りましたので以上で質問を終わりますが、残余の問題についてはいずれかの機会に質問することとして留保し、本員の質問を以上で終わります。
#56
○木野委員長 次に、伊賀定盛君。
#57
○伊賀委員 私は、恩給法等の一部を改正する法律案に関連いたしまして数点質問をいたしたいと思います。
 ただいまもソ連抑留者に対する問題が出ておりましたが、総務長官、今回の恩給法の一部改正で旧軍人その他関係各方面の恩給もしくは措置等についてこれで終わられたとお考えでしょうか。
#58
○小渕国務大臣 私どもといたしましては、五十五年度予算編成に当たりまして、恩給関係につきましては、現下の厳しい財政状態の中ではありまするけれども、政府としての姿勢を十分その中に織り込みまして処遇の改善をいたしてきた、こういうふうに考えておる次第でございます。
#59
○伊賀委員 後ほどまた伺います。
 最初に、今回の恩給法の一部改正によりまして、増加非公死扶助料、特例扶助料というものが四月改定、六月改定の時点で九十万、そして一方、傷病年金及び第一款症以上の特例傷病恩給受給者の遺族は、同じく四月改定、六月改定の終わった時点で十八万二千九百円ということになっておるわけでありますが、重いか軽いかということによって余りにも金額の差があり過ぎると思いますが、この点についてどうお考えでしょうか。
#60
○小熊政府委員 増加非公死扶助料と傷病者遺族特別年金との差が大きいのではないかという御質問の趣旨かと思いますが、増加非公死扶助料と申しますのはもう戦前からございまして、障害の非常に大きな方、足がないとか手がないとか目が全く見えないとか、こういう方々がいわゆる増加恩給というものを受けておられまして、こういう方々には、勤務年限の長短を問わずに普通恩給がついておるわけでございます。これは、それだけの犠牲を払われたということで普通恩給がついておりまして、そういった関係で、戦前からも、その方がたとえ平病死されても増加非公死扶助料という形で扶助料、まあいまの年金で言えば遺族年金といいますか、これをつけておったわけでございます。
 傷病者遺族特別年金は、私ども款症と申しておりますが、非常に軽い方、指がないとか弾が当たって若干足が短くなったとか、こういったような非常に軽い方に対して傷病恩給をつけておるわけでございますが、こういった方々が平病死された、交通事故で亡くなられたあるいは何かほかの病気で亡くなられたという場合に、その残された遺族の方には、戦前からずっと何も年金というようなものはついてなかったわけでございます。これにつきまして、症状が軽いとはいいながら、やはり病気についての何らかの影響を生前受けておられたであろうというようなことから、また、いままで受けておった年金がある時点ですっかりなくなってしまうというのはいかがなものかといったようなことから、昭和五十一年に初めて年額十万円という額で出発したわけでございます。この改善につきましては、現在、先生がいまお読みになりましたように十八万何がしかに上げようということで、年々非常な率で改善を図ってまいっているところでございます。
 そういった傷病者遺族特別年金の性格を御了解いただきまして、今後ともこれらの改善についてはまた検討してまいりたい、ほかの年金等の関係もございますので、そういったものともあわせて検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
#61
○伊賀委員 御趣旨はよくわかるのでありますが、残った遺族というものはそう差がないわけでありまして、したがって、激変緩和といいましょうか、どの法律でも激変緩和という措置がとられておるわけでありますから、ここら辺の差が余りにも大き過ぎるということについて今後配慮すべきだと思いますが、もう一度御見解を承ります。
#62
○小熊政府委員 恩給そのものがやはり非常に長い間お勤めになられた方、国のために尽くされた方、こういった方に対する国の補償であり、また公務のために体を傷つけられた方に対する補償であるわけでございます。こういった方々に対しては戦前からずっと、普通恩給の方であれば、その方が亡くなっても普通扶助料という形で相当の額を差し上げているわけでございます。ただ、いま先生のおっしゃられた款症というような非常に軽い方に対して、その人が公務で亡くなられれば公務扶助料になるわけでございますが、普通の事故あるいは病気で亡くなられたという場合に処遇するということが、ほかの年金なり、まあ現行の年金でもようございますが、そういったものとの横並びで果たして適当なものかどうかということはいろいろ議論があると思います。しかし、私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように、この制度を五十一年に発足させた以上は、やはりこれの改善に向かっていろいろ検討してまいりたい、このように考えておるわけでございます。
#63
○伊賀委員 今後その方向で一層の御努力をお願いいたしたいと思います。
 次には、五十四年九月六日の恩給法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議の第一項で、「恩給の実施時期については、現職公務員の給与より一年の遅れがあるので、遅れをなくすよう特段の配慮をするとともに各種改善を同時に一体化して実施するよう努めること。」という附帯決議がついておることは、御承知のとおりであります。ところが、今回の改正案を見ましても、四月、六月、八月、十月、十二月という五段階に実施するということになっておるのでありますが、一体この附帯決議と今回の改正案との関連はどういう御解釈でありましょうか。
#64
○小熊政府委員 八十八国会における附帯決議につきましては、私ども国会の御意思として十分これを尊重しながら五十五年度の予算編成に当たったわけでございます。ただ、先生御存じのように、財政状況が非常に厳しいわけでございまして、これに対し先ほども申し上げましたように、いろんな中身を濃くしていきたいという希望を私ども持っておりますし、また、受給者の方々も若干おくれても中身を手厚くしてもらいたいという御希望が非常に強いわけでございまして、その中で中身も厚くし、さらに実施時期についても配慮するということでいろいろ苦心してまいったわけでございますが、何分にも恩給受給者は二百五十万人おるわけでございます。これに仮に年額一万円、月額にして八百円何がしかを支給するとすれば、二百五十億の金が要るわけでございます。したがいまして、この実施時期を一カ月上げるか下げるかということが恩給総額の中で非常に大きな意味を持ってくるわけでございますので、私ども両方の兼ね合いを十分見ながら今回の法律改正をお願いしておるわけでございます。
 ただ、実施時期につきましては、附帯決議にもあるわけでございますし、私どもの事務の簡素化といいますか、迅速化という点からいいましても、これは一本化することが望ましいわけでございまして、今後ともそういった方向に向かって努力してまいりたい、このように考えております。
#65
○伊賀委員 そうしますと、ことしはそういうことでわかりました。来年以降の見通し、そして四、六、八、十、十二実施と四月実施との所要経費の差というのはどのくらいの差がありますか。
#66
○小熊政府委員 今度の新規改善のための所要経費が九百九十八億でございますが、仮にことし六月あるいは八月、十月、十二月といったような実施時期を四月に一本化した場合、正確な数字はちょっとなかなかむずかしいのでございますが、いま申し上げましたように、一カ月千円足らずの金でも二百五十億かかるわけでございます。これをはじきまして、これは推計とお考えいただきたいと思うのですが、大体四百十億から二十億くらいかかるのじゃないかというふうに考えております。
 先ほども申し上げましたように、実施時期の一カ月というのが相当重い意味を持っておる恩給でございますので、来年どうするかということにつきましては、これまた来年の中身をどの程度、ほかの年金も上がればそれに応じていろいろ考えていかなければならないという問題もございますので、そういったものとの兼ね合いを考えながら、しかし、片や附帯決議で国会の御意思も十分承っておるわけでございますので、両方の兼ね合いを見ながらこの時期を繰り上げていくという方向で努力してまいりたい、このように考えておるわけでございます。
#67
○伊賀委員 言わんとすることはよくわかるのですが、一挙に四月実施ということができなければ、特に今度のこれでも、十二月実施なんということになりますと事実上はあと三カ月しかないのです。だから、これはちょっとごまかしという感じがするのですね、十二月実施なんというのは。少なくとも一年は十二カ月あるのですから、せめて半年分以上を支給するなら、常識的にまあ五十五年度の恩給もらいました、扶助料もらいましたという感じになりますが、わずか三カ月か四カ月支給しておいて五十五年度から上げましたということでは、局長、人間としても恥ずかしいことはないですか。
#68
○小熊政府委員 先生御指摘のいまの十二月実施という問題でございますが、これにつきましては、その中身といたしましては、いわゆる短期在職者、これは従来は九年未満としておりましたのを六年未満、それから六年から九年という区分を入れた改善が一つと、五十五歳以上の方々に対する加算恩給の減算率の撤廃という、この二つでございます。これらにつきましては全く新しい改善でございますし、また現実にこの対象となられる方々は比較的お若い方でもあり、またけがもなしに元気でお帰りになられたという方々でもございますので、とにかくこの改善を図るということから、十二月ということでやむを得ないというように考えておったわけでございます。
#69
○伊賀委員 いずれにいたしましても、附帯決議もあることでもあり、今後一層の改善を要望しておきたいと思います。
 二番目には、日赤の看護婦さんについては一定の措置が講ぜられまして、今回、陸海軍病院従軍看護婦さんの調査費が計上されたのでありますが、この陸海軍病院の従軍看護婦さんの実態調査の内容、見通し等について伺います。
#70
○石井説明員 お答えいたします。
 旧陸海軍看護婦さんの実態調査費といたしまして千七百万円計上いたしました。調査の具体的方法につきましては目下検討を行っているところでございますが、基本的には旧陸海軍看護婦として勤務した者に対しまして都道府県を通じまして調査票を配付し、これに所要事項を記入してもらう、そしてこれを回収、集計するということを考えております。調査事項の主なものは、各個人の外地勤務における勤務場所であるとか勤務期間、これらを明らかにできる履歴またこれらを裏づける資料の有無等を調査したいと考えております。
 調査の方法といたしましては、厚生省及び都道府県の資料で本籍地等が明らかな者につきましては、都道府県におきましてこれらの人々の現住所の調査を行っていただき、本人に調査票を配付する、またそのほかの者につきましては都道府県あるいは報道機関、関係団体等を通じまして調査実施の広報を行い、本人の申し出により調査票を配付する、こう考えております。
#71
○伊賀委員 そこで、この給付内容ですが、日赤の看護婦さんと同様な措置を講ぜられようとするのかどうか、見通しについて伺います。
#72
○関(通)政府委員 先生御存じのように、日赤の看護婦さんの場合は、必要な経費を総理府に計上いたしまして、日赤本社から支給するという形をとったわけでございます。旧陸海軍看護婦さんの場合、どのような手続にするか、また具体的な支給事務をどこが担当するかというような点、まだ詰めておりませんで、先ほど厚生省から御答弁ございましたように、今年度の調査の結果を待ちまして、総理府といたしましても関係省庁と御相談して給付内容等を検討したい、かように考えておるわけでございます。
#73
○伊賀委員 その場合問題になりますのが、陸海軍従軍看護婦さんの場合、外地に勤務しておるのは、これはすでに共済年金の通算になっておるんですね。ところが、他の年金にも合わせて通算すべきだ、たとえば国民年金とか厚生年金等々に通算されるべきだと思いますが、この点についてはいかがなものでしょうか。
#74
○佐々木説明員 お答えいたします。
 先生御案内のように、私どもの所管の厚生年金、国民年金は国民の連帯の精神に基づきますところの社会保険の仕組みをとっておりまして、すべての加入者に保険料を納めていただくということを前提にいたしまして組み立てられているわけでございます。したがいまして、ただいまお尋ねのございました方々の特別の身分ということに着目をいたしまして、私どもの方の一般的な社会保障制度の中で特別な扱いをするということは、一般の民間人との均衡等からいたしまして、制度上きわめて困難でございます。
#75
○伊賀委員 これと関連をしてくるわけでありますが、いま奉公袋の会というものができておりますが、これは御承知でしょうか。
#76
○小熊政府委員 そういったような会があるということは伺っております。
#77
○伊賀委員 十二年未満で軍人恩給の対象とならない人たちがいろいろと厚生省の方にも陳情等を続けておるようでありますが、これについてどうお考えでしょうか。
#78
○小熊政府委員 恩給法のたてまえから申し上げますと、恩給法というのは百年の歴史を持っておりまして、戦前から、下士官、兵が十二年、准士官以上が十三年、文官が十七年、こういう期間を忠実に勤められた方に対する年金、国として差し上げる年金ということでずっと来ておりまして、これが昭和三十四年には共済制度に移り変わったわけでございまして、もうすでになくなったといいますか、それ以前にやめられた方だけを対象とした制度でございます。いまの段階になりまして、昔仮に十二年であったとしても十一年でもいいじゃないかというようなことは、どうも制度のたてまえとしてやはり非常にむずかしい問題ではないかと考えております。
#79
○伊賀委員 総務長官に伺いますが、いま十二年から恩給が支給されているのですね。その十二年というのはどこに根拠があるのですか。
#80
○小渕国務大臣 恩給というものに対する戦前からの約束事として、先ほど恩給局長が申し上げましたような年限以上の方々に支給するものとして今日までそのたてまえをとってきておるところでございます。
#81
○伊賀委員 ですから、そのたてまえというのは、一体十二年という根拠はどこにあるのですか。
#82
○小熊政府委員 この恩給制度ができました当時、どういうことで十二年あるいは十三年という決め方をしたのか、ちょっと正確な知識はございませんが、ただ、ドイツとかイギリスとかフランス、こういったところの恩給制度の横並びを考えたのではないかと思います。
#83
○伊賀委員 諸外国の前例を参考にすることも一つの方法だと思います。ところが、恩給制度が発足したのはすでに戦前ですね。時代の変遷というものがあるわけでして、今日、戦争の態様も変わってきておりますし、十年前の十年は今日もう一年、二十年前の十年は今日もはや六カ月というふうに、すべてだんだん速度が変わってきております。そういう時代に、明治から大正にかけてできたそうした制度をそのまま今日なお踏襲していくことがいいのか悪いのか。しかも、十二年ということになっておりますが、十二年までに戦死した人もあるし、あるいは病気になった人もあるし、いわゆる昔の感覚で言うとお国のために尽くすということについて、十二年なら、お国のために尽くしたから恩給を差し上げましょう、十二年未満ですと、あなたはお国のためになりませんでしたから恩給を差し上げませんなどという感覚がそもそもおかしいので、もうこの段階で見直すべき時期に来ておると思うのですが、どうでしょうか。
#84
○小熊政府委員 十二年が適当かどうか、もっと短くしてもいいのじゃないかというお話でございますが、いま私どもが恩給の対象としております対象年というのは、大体戦前にお尽くしになられた――先ほど申し上げましたように、この制度は三十四年でもう終わっておる制度でございますので、現在までずっとそのまま恩給制度というものが継続された場合どう考えるか、これはまたいろいろ問題があるかと思いますが、そういった、すでに過去で終わっておるその当時の年数をそのままいま対象としておるわけでございます。ただ、よその制度をどうこう言うわけではございませんが、掛金を取って年金を出しておる共済年金でも勤続二十年ということが条件になっておりますし、厚生年金でも二十五年という年限をとっておるわけでございますし、いまの十二年あるいは十三年、しかも加算年というものも特段に加えて旧軍人あるいは文官を処遇しておるわけでございますので、必ずしも非常に劣悪な処遇というのじゃないのじゃないかと考えておるわけでございます。
#85
○伊賀委員 十二年未満の人たちはどれくらいいるのですか。
#86
○小熊政府委員 私どもは、恩給の請求のあった方々に対して、本属庁である厚生省からいろいろ資料をいただいて、年限を計算して恩給支給をやる、裁定をするという役所でございますから、その対象となっていない方についての資料というのは全然持ち合わせておりませんので、ちょっとお答えいたしかねるわけでございます。
#87
○伊賀委員 そこで、もう一度奉公袋の会に返ってきますが、佐藤総理は、沖繩返還のときに戦後は終わったということでありますが、いまの奉公袋の会の趣旨も、やはり十二年未満の者をどう処遇してくれるのかということを主張しております。あるいは日赤の看護婦さんに対する処遇は、厚薄は別にして一応の措置はできたが、陸海軍病院の従軍看護婦さんはどうするのかということがいま問題になりつつあります。先ほどもお話がありましたが、ソ連抑留者に対する措置もまだ終わっておりません。したがって、早急に、この奉公袋の会が主張するような十二年未満の実態調査ということも必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#88
○小熊政府委員 ただいま申し上げましたように、総理府といたしましてはそういった資料を全く持ち合わせておりませんし、処遇に関しましても、いま先生は十二年とおっしゃっておられるわけでございますが、これは加算年を加えての十二年でございますので、年金を受けておられる方は実際には最低三年の方からおられるわけでございます。それから十二年に達しない方については、二十八年以降一時金という制度でやっておるわけでございますが、そういった対象の方についての数字その他は私ども把握しておりますが、そういった対象になられない方については全くよりどころがございませんで、先生御存じのように、これは一人一人について、戦災等で焼けてしまえば別ですが、陸軍に関しては都道府県にその軍歴簿等がございます。それから海軍に関しては、厚生省の援護局で保管しておるわけでございます。そういったことで、私どもとして調査というのは非常に困難でもあり、どういう方法があるのかちょっと私も思いつきませんが、非常にむずかしい問題だと思います。
#89
○伊賀委員 そこで、同じく奉公袋の会の人たちが主張しておるのも、やはり共済年金には通算されておるけれども、厚生年金と国民年金に通算されてないので、これをひとつ通算するように措置してもらいたいということが言われておるわけで、これはいまの、陸海軍病院に勤務しておられた人たちの主張と一致するわけですが、そこら辺もう一度、共済年金には通算されながら厚生年金、国民年金に通算されないという根拠について。
#90
○佐々木説明員 先ほども申し上げましたとおり、厚生年金、国民年金は社会保険の仕組みをとっておりますので、保険料を拠出をしていただくということが前提となりまして制度が組み立てられておるわけでございます。したがいまして、そういう一般的な社会保障制度におきまして、特定の身分というようなことに着目をいたしまして特別の扱いをするということは、一般の民間人との均衡等から考えまして制度上きわめて困難でございます。
#91
○伊賀委員 一般論としては私もそれは認めたいと思います。しかし、軍人というのはいわば一たん緩急あればみずからの命を捨てるわけであります。同様に、陸海軍病院に勤務しておる看護婦さんにしてもそうでありますから、これは一般的な概念で共済年金とその他のものを区別するということは少し無理ではないかと思いますが、どうでしょうか。
#92
○佐々木説明員 共済の年金制度におきまして軍歴期間を算入しているということは承知をいたしておるわけでございます。ただこれは、この共済組合の年金というものが恩給制度の後身の制度でございまして、前の制度の期間を受け継いでいるという考え方によるものでございまして、私どもの方で申し上げますれば、厚生年金の旧法がございまして、その期間を現在の新しい厚生年金の制度で同じように期間としてみなしまして算入しているということと同じでございます。したがいまして、この共済年金と同じような扱いを私どもの方でいたすというわけにはまいらないのでございます。
#93
○伊賀委員 まいらないから、区別されておることはよく承知しておるわけでありますが、そういう区別をすることがおかしいではないか、こう言っているわけです。一般的な概念で特にこの軍人関係を処遇するということが無理ではないか、こういうわけですから、これはひとつぜひ今後の課題としてでもお考えをいただきたいと思うのですが、どうでしょう。総務長官もこれはひとつお答えいただきたいと思います。
#94
○小渕国務大臣 共済年金に加入した場合に軍歴期間を通算をするということでありますし、一方、厚生年金、国民年金の場合はそうでないというところでございまして、この点については私も一政治家として素朴な疑念を持っておったことは事実でございます。しかしながら、ただいま御答弁申し上げましたように、恩給制度のたてまえから、すでに加算年を加えまして十二年以上の方については処置をしておりますし、またそれ以下のものについては一時金として処置をしておる、こういうことでございまして、その点については十分処置済みである、こういうことになっておるわけでございまして、この問題は、ただいま厚生省あるいは総理府から御答弁申し上げた考え方が政府の基本的な考え方でございますが、一方、議員の中にも伊賀議員御指摘のような御主張をされる方も多々あると思います。したがいまして、本問題につきましては今後本委員会等を通じていろいろ御議論をする過程の中で、国民がいかに御判断をされるかというところに帰着をするのではなかろうかと考えるわけでございまして、政府としては、一応たてまえの筋にのっとりましてすべて処置済みであるという考え方に乗っておるわけでございます。が、繰り返して申し上げますが、この点につきましては国民がいかが御判断をされるかということも大きな問題点ではなかろうかと考えております。
#95
○伊賀委員 ここに奉公袋の会の印刷物があるのですけれども、これは総理府も厚生省も多分お持ちだと思います。この中にこういう表現があるのですね。公務員関係だけが通算になる、そして民間――民間と言いましても、企業とそれから企業以外の国民年金ですね、それに通算にならないということは、これは官尊民卑の象徴的なものだ、こういう表現があるのですね。私もそんな感じがしてしょうがないのです。軍隊から帰ってきて公務員関係に勤務すると、それが通算になって、そして民間のどっかの会社に勤めると通算にならない。あるいは百姓や商売をすると通算にならない。これはやはり戦前の官尊民卑、旧憲法の上下の一つの倫理観といいますか考え方。御承知の新しい憲法というのは、これは横の関係と言っても差し支えないと思うのでありますが、平等です。国民平等であるならば、戦争へ行ってきたのですから、帰ってきたら、それが百姓であろうと商売をしようと、共済年金であろうと国民年金であろうと厚生年金であろうと、私は同様に扱われてしかるべきだと思いますが、この点いかがでしょうか。
#96
○佐々木説明員 共済の年金におきまして通算をいたしております理由は、先ほど申し上げましたとおりでございます。ただいま先生の仰せになりました御要望ということは承知をいたしておりますが、その御要望は、要するに国に対する特別の身分ということに着目をいたしまして何らかの措置というようなお考えであるわけでございますが、私どもの方の厚生年金、国民年金の方といたしましては、やはり一般の戦時下におきますところの民間の方々も多数おられるわけでございますし、そういう方々をさておきまして軍人の方だけというような考え方は出てまいらないわけでございまして、その点について御理解をいただきたいと思うわけでございます。
#97
○伊賀委員 確かに民間の方はたくさんいらっしゃいますが、しかし、直接戦争に参加する軍人というのは、やはり一般の民間の人とは区別した考え方をすべきじゃないでしょうか。御説明はよくわかります。厚生年金の場合なら、使用者と被用者との両方が負担をして、一定の年金制度をこしらえようということでありまして、軍人の場合にはいわば被用者に相当するものがない、したがって掛金は掛けておらないということもよくわかります。わかりますが、いま言いますように、みずから命をささげておるわけであります。
 しかももう一つは、国民皆年金制度という声がだんだん強まりつつある今日の状況でありますから、だんだんとそういう方向が国民的にも強い世論といいましょうか、そういうものになってこようと私は思いますから、どうしてもこれは今後の課題として御配慮、御考慮いただきたい、こう思いますが、いかがでしょう。
#98
○小渕国務大臣 わが方だけで結論を得られない問題でございますので、厚生省初め関係ある省庁とも連絡をとりまして、私ども有識者の意見もひとつお聞きをして研究してみたいと存じます。
#99
○伊賀委員 官尊民卑ということはどうでしょうか。
#100
○小渕国務大臣 軍歴通算の問題でこの問題が起こっておることに対して、官民格差論から出発をしてこの問題を提起されておられる議員のおることも承知をいたしております。先ほども御答弁ありましたが、共済年金の性格からそこには通算があったという考え方をいたしておりますので、この問題について官民格差論をあえてとるものではありませんが、そのような意見のあることは承知をいたしております。
#101
○伊賀委員 官民格差ではなしに官尊民卑。格差くらいなら、それはあってはいかぬわけでありますけれども、まあまあということがある。しかし官尊民卑。官民格差と官尊民卑とは本質的に違うと思うのです。官民格差というのは、たとえば五か十かという差はある、五と七との差はある。官尊民卑です。意味が違うと思うのです。
#102
○小熊政府委員 私どもいつも恩給という枠の中で考えておるわけでございまして、先生のいまの御質問の官尊民卑、たとえば昔、軍人や公務員にだけなぜ恩給が出て、農民や町人にはそれが出なかったかというようなことに類するお考えがあるいはあるのではないかというようにも感ずるわけでございますが、これはいま先生おっしゃいましたように、国のために非常に忠実に尽くしてこられた方に対して、百年の歴史をもってずっと国が国家補償をしてまいった、こういうことでございますので、そういった軍人や何かにだけ恩給が出て、そのほかに出ないのかというのに類するような考え方については、やはりこの歴史、経緯等を踏まえまして、必ずしも官尊民卑と言い切れないものがあるのではないかというように考えるわけでございます。
#103
○伊賀委員 そこら辺がまだ考え方が一致してないようでございますが、いずれにしても、そういう方向がだんだん強まってくると思いますから、今後ひとつ十分な御配慮を要望いたしまして、私の質問を終わります。
#104
○木野委員長 午後三時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時二十五分休憩
     ――――◇―――――
    午後四時八分開議
#105
○木野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。辻第一君。
#106
○辻(第)委員 恩給法等の一部を改正する法律案に関連をして質問をいたします。
 まず、旧軍人一時恩給についてでありますけれども、旧軍人一時恩給は昭和二十八年当時の俸給月額に在職年数を乗じた額を支給をいたしております。たとえば在職年三年の場合、兵、伍長、軍曹、曹長の階級ごとにその金額をお教えいただきたいと思うわけでございます。
#107
○小熊政府委員 兵、下士官の一時恩給につきましては、ただいま先生御指摘のように、昭和二十八年の仮定俸給額の月額に在職年数を掛け合わせた計算でできておるわけでございますが、兵の場合、仮に三年でございますと俸給月額五千五十円でございますので一万五千百五十円。六年でございますと三万三百円。それから伍長、これは海軍で言いますと二曹になるわけでございますが、これが当時の月額五千七百円でございますので、三年ですと一万七千百円。それから六年ですと三万四千二百円。それから軍曹、これは海軍の一曹に当たるわけでございますが、これが俸給月額五千九百円でございまして、三年が一万七千七百円。それから六年が三万五千四百円。それから曹長、これは海軍の上曹でございますが、月額六千百円で三年で一万八千三百円、六年で三万六千六百円、こういう金額になるわけでございます。
#108
○辻(第)委員 いま三年の場合、六年の場合をお教えいただいたわけでございますが、兵は六年の場合でも三万三百円、大変わずかな金額でございます。しかもこの六年という人の中には、恩給受給資格の年限十二年に一年足りないとか、あるいはもっと極端な人になりますと一月足りないとかというために一時金で済まされるという人もあるわけでございます。
 次に、恩給受給資格者についてお尋ねいたしたいわけでございますが、これも兵、下士官、大佐、大将について、その実在職年数の平均とその支給恩給額の平均をお教えいただきたいと思います。
#109
○小熊政府委員 平均のとり方がいろいろございますのですが、いま先生のおっしゃったような実在職年で普通恩給の対象となっておる方、これについての平均値で申し上げますと、特に短期の人は、いろいろな形で年齢によって支給されたりされなかったりするようなこともありますので、長期だけをとって平均申し上げますと、兵で平均在職年十二・七年、平均恩給年額が五十万六千三百六十円、軍曹ですと平均実在職年が一三・三年、恩給年額が五十四万八千三百四十八円、それから大尉でございますと平均実在職年が十九・五年、恩給年額が八十八万二千五百二十円、それから大佐でございますと実在職年二十五・一年、それで恩給年額が百六十万三千五百七十七円、大将、これはちょっと平均と言えるかどうか、一人しかいまおられないのでちょっと平均とは言えないと思いますし名前も伏せたいと思いますけれども、三十七年で三百七万五千四百円でございます。
#110
○辻(第)委員 いまお聞きをしたのでは、兵は平均十二・七年で五十万、そして大将はお一人だそうですけれども、三十七年で三百七万、非常に格差があって、下に薄く上に厚いというのが現状であろうと思います。しかもこのいわゆる将官あたりの方々は、あの侵略残争に国民を駆り出し、本当に多数の国民を犠牲にした一半の責任がある、しかも職業軍人の方でございます。一方、兵の方々はあの戦争に有無を言わさず駆り出されて、しかも第一線で、弾の中で本当に九死に一生を得てこられた方だというふうに思うわけであります。このようなこともある中で非常に上に厚く下に薄い、一将功成って万骨枯るというようにも思えるわけでございます。
 そして資格者でもこのような状態でありますが、この年金の受給資格を得た人と先ほど来のそうでない一時恩給あるいは一時年金、そういう人との差を見てみますと余りにも大き過ぎるというのが現状であると思います。私も先日、この一時恩給を受けておる、あるいはその対象者の人とお話をして、いろいろ御意見を聞いたわけでありますけれども、余りにも不平等あるいは不公平ではないか。また、この方々は平均をいたしましてすでに六十歳を超えている、御老齢になられているわけであります。本当に自分たちのことを正しく評価してほしい、このような不平等、不公平のままでは本当に遺憾であるということを切々とお話を聞いたわけでございます。この方たちの心情や論理について私は本当にもっともだというふうに思うわけでございますが、この点について総理府の長官のお考えを聞かしていただきたいと思うわけであります。
#111
○小渕国務大臣 いま御指摘のような点について、その不公平、不平等を是正しろという運動の展開されておることは承知をいたしておりますが、恩給制度、長い歴史の中でこのような措置を講じたことでございまして、政府としては一時恩給の形でそういう方々に対する処遇は当時において処置いたしたものだという考え方でございますので、そうしたことを不公平だというお考えの存することは承知をいたしておりますが、政府としては、従来からすでにその問題につきましても当時において適切な措置がなされたものであるというふうに考えておる次第であります。
#112
○辻(第)委員 いまの長官のお答え、適切な処置がされたと思うとおっしゃったわけでございますが、これは絶対に容認することはできないということを申し上げて、次に移りたいと思います。
 この一時恩給対象者が約六十万人というふうに聞いておるわけでありますが、この法律が改正されてもう四年間経過をいたしております。このうちで恩給対象者がどの程度受給をされたのか、お聞きをいたしたいと思います。
#113
○小熊政府委員 お答えいたします。
 六十万という数字も全くこれは推定の数字でございますけれども、五十四年の十二月末現在までで私どもで裁定いたしました件数は三十一万七千件ございます。
#114
○辻(第)委員 六十万人というのは推定だそうでありますけれども、それを一応基準にして考えてみますと、三十一万七千件ということになりますと約半数でございます。半数の人が受給をされた、半数の方が受給をされてないという現状に対しまして政府はどのようにこのことを評価なさっているのか、お答えをいただきたいと思います。
#115
○小熊政府委員 三十一万七千しかないではないかという御質問ですが、先ほど申し上げましたように六十万人の方の実態を全然つかんでおりませんで、亡くなられておるのか、できるだけPRいたしまして、こういうことは知らなかったという方がないようにしたいと努力しておるわけでございますが、この制度を御存じないという方もまだおられるのかと思いますが、恩給のピーク時、たとえば五十二年には十一万六千来ておりまして、それから漸減しておるわけでございますが、かなりの方が受け取っておられるのではないかというように考えております。
#116
○辻(第)委員 私の聞いたところによりますと、この程度の、一万五千円という方もございますようですし、六年おられても三万何千何がしですね、非常に少額であるということに対して御不満であるとか、もらってしまったらこれから先何も言えないから当分遠慮しておくというお考えの方、あるいは一日棒に振って手続をするのが大変である。私もそんなことはよくわかるわけでありますけれども、そういうことで言っていらっしゃらない方がかなりたくさんいらっしゃるように私は聞きました。こういう状況でございます。そして先ほどお聞きをいたしました普通の恩給の場合は年々アップをしているという状況でございます。それにもかかわらず、一時恩給受給者が、昭和二十八年当時の金額を基礎になさっているというのはどうしても納得がいかない、私もそう思うわけであります。
 昭和二十八年と言いますといまから二十七年も前のことで、私はいま五十四歳なんですが、二十七年前と言いますと二十七歳です。二十七歳のとき月給何ぼぐらいもらっていたのかなと思って勘定してみますと、それはもう物すごく安い時代の話を基準にして、最近の恩給金額が決められて払われたということであります。これはどう考えてみても不合理であり不公平であり、納得できない、私もそう思うし、たくさんの方が本当にそのことを切々と訴えていらっしゃるという状況でございます。せめて一時恩給、一時金は、現在の金額を基礎にして支払われるべきである、このことを強く強く要望したいというふうに思うわけであります。
 そして一般的な論理で言えば、私はこの論理は通用する論理だと思うわけでありますが、実際の問題として、二十八年を基礎にしてやられているのは、どこが障害になっているのか、その辺のところをひとつお聞かせをいただきたいというふうに思うわけです。
#117
○小熊政府委員 いま先生から、二十八年というのは非常識じゃないかというお話を伺ったわけでございます。
 この一時金、一時恩給ができ上がってきた経過を若干お話し申し上げますと、一時、軍人恩給というものが停止されまして二十八年に復活したわけでございますが、その復活のとき、従来は下士官以上にしかつかなかった一時恩給を兵にも及ぼす、それで、その資格として実在職年七年以上ということで出発し始めたわけでございます。その二十八年当時、仮定俸給の月額に勤務年数を掛けるという形で出発したわけでございます。その後、四十六年以降になりまして、三年以上についても、われわれも戦争に行ったんだから何がしかの、表彰状でもいい、何でもいいからそれをやってくれ、国の微意をあらわしてくれ、こういうことがございまして、国の微意をあらわすのに何か物でお上げするあるいは表彰状をお出しするという方法もあったのではないかと思いますが、どうしても恩給でやってくれ、恩給的な手法でやってくれ、こういう話でございまして、すでに二十八年という仮定俸給で出した人もあるわけでございますし、しかも七年以上という方にはそういう形で出しておるので、この微意のあらわし方として二十八年当時の仮定俸給月額を使ってやったというような経過でございます。
 私どもとしましても、いまの時期になって一万五千円が高いかと言われれば、これはじくじたるものがあるわけでございまして、ただ、この一時恩給制度ができ上がりましたとき、そういった経過でとにかく国の微意を何かの形であらわしてくれという御要望が非常に強くございまして、いま考えればむしろ一万五千円なんて出すべきじゃなかったのじゃないかというような、私個人的な感触を持つわけでございますが、そういった経過を踏まえておりますので、御理解いただきたいと思います。
#118
○辻(第)委員 そういう経過があったにしろ、そういう経過を忘れよと言っても無理かもわかりませんけれども、しかし、物すごく格差があるという問題を考えれば、やはりもう一遍きちんと見直すべきである、私はそういうふうに思うわけでありますが、その辺はどうでしょうか。
#119
○小熊政府委員 いまの先生の御提案の、現在の仮定俸給で見直したらどうかということに対して、私どもちょっと試算してみたのですが、この五十五年の改善案で試算しますと、兵で三年の方が二十万六千円、六年で四十一万二千円、こういうような数字になるわけでございます。それで、どの程度になるかちょっと私ども数字をつかめませんが、こういった財政負担というものがいまの状態で適当かどうかという問題もございますし、それから戦争中ひとしく、特に敗戦という未曾有の経験を国民ひとしく持ったわけでございまして、まあある人の話によると、兵隊に行ったよりはおれたち焼け出されたときの方がつらかったよと言う方もございますし、そういった国民のコンセンサスが、三年兵隊に行ったという人との比較で見ましたとき、現在得られるものかどうかというようなこともございまして、非常にむずかしい問題じゃないかというように考えておるわけでございます。
#120
○辻(第)委員 戦後処理という点からいけばいろいろな問題点はあろうかと思いますけれども、十二年の資格のある人とそれを満たさない人の差はこのようにきわめて歴然なものがありますので、私はもう一度適切なものに見直されるべきであると強く要求をするわけでございます。それから、また違う角度から何らかの形で年金として生きるような方法を御検討いただきたいということも要望しておいて、次の質問に移りたいというふうに思います。
 次に、傷病者遺族特別年金の問題についてお尋ねをいたします。
 傷病者遺族特別年金は、今回の改正で、傷病年金及び第一款症以上の特例傷病恩給受給者の遺族が、現行は十五万八千七百円なのが、四月に上がって、六月には十八万二千九百円になるということでございます。また、第二款症以下の特例傷病恩給受給者の遺族については、現行が十一万九千円、四月、六月には十三万七千二百円になるということでございますが、しかし、傷病年金受給者や特例傷病恩給受給者の症状を見てみますと、程度の差はあるわけでありますが、日常の仕事にはかなり障害がある、就職でも差別をされてきたというのが実情であろうと思います。
 たとえば第一款症の人は、「一眼の視力が、視標〇・一を二・五メートル以上では弁別できないもの」また「一耳の聴力を全く失ったもの」また「一側のおや指の機能を廃したもの」また「一側のひとさし指から小指までの機能を廃したもの」などであります。さらに、特別傷病恩給受給者であった者は、程度はいま述べた程度の者と同様の者であったり、さらに重症の増加恩給受給者と同程度のひどいけがや病気の人たちであります。こうした人たちの世話をしていた奥さんなどは、御本人が亡くなって一人残されてしまった、こういう状態になられたときに、年間十八万二千九百円の傷病者遺族特別年金ではこれはまた余りにも少額に過ぎはしないかというふうに思うわけであります。
 一方、増加非公死扶助料というのは、今回の改正で六月から年間九十万円になるそうでございます。この金額と全く同じというわけにはいかないでしょうけれども、特例傷病恩給受給者、傷病年金受給者は、仮に働いておったとしても給与などで大変差別されていた、こういうことも十分考えられますし、その上にこうした人が亡くなった場合、遺族の生活は大変な状態であるというふうに思うわけでございます。私はこういう点で大幅に改善をすべきであるというふうに考えますが、政府の御見解をお聞きいたしたいと思います。
#121
○小熊政府委員 傷病者遺族特別年金の話でございますが、これが増加非公死扶助料と比べて非常に差が大きいのではないか、こういうお話でございます。
 まず増加非公死扶助料と申しますのは、増加恩給を受けておられる方、この方が公務によらないで亡くなった場合出るわけでございますが、これはずっと戦前からございまして、特に増加恩給を受けるということは不具廃疾の程度が非常に大きい、全く目が見えないとか足がないとかいう方でございまして、こういう方に対しましては普通恩給が併給されているわけでございます。これは勤務年限の長短にかかわらず普通恩給が併給されるわけでございまして、そういうような関係から、戦前からずっとこの増加恩給を受けておられる方が公務によらないで死亡された場合も扶助料が出ておったわけでございます。
 片や傷病者遺族特別年金、これは傷遺特、こう呼んでおるのでございますが、この傷遺特につきましては、いま先生おっしゃいましたようにやはりけがはされておられますが、まあそれほど重くないけが、それからこれは公務によらないで、内地その他で環境が若干悪かったから、公務によらない場合の傷病についても恩給を出しましょうということで始めた制度でございますが、そういった恩給を受けておられる方が全く公務によらないで亡くなられた場合、この場合にその遺族の方に差し上げよう、こういう制度で、これは五十一年になりまして初めて制度として設けられたものでございます。これにつきましても他の年金制度等との比較でいろいろ問題が、まあそういった方が交通事故で亡くなられた場合も金を出すのかとか、何の関係もない脳溢血で亡くなられても金を出すのかといったようないろいろな問題があったわけでございますが、いままで年金をもらっておられた方が全く金がなくなってしまうというのも余りにもお気の毒ではないかということで、ただいま申し上げた五十一年当時年額十万円ということで出発したわけでございます。
 ただ、これにつきましても、私どもやはり一度制度としてつくった以上は、先生おっしゃるようになるべく改善してまいりたいということで非常に努力してまいっておるわけでございまして、今回も兵のアップ率の三・八%のほかにさらに上乗せいたしまして、十八万二千何がしという増額をしたわけでございまして、これはアップ率にして一五・二%というようなことにいたしておるわけでございます。このアップについては非常に努力しておりますので、御理解いただきたいと思います。
#122
○辻(第)委員 いろいろと御努力をいただいているということもわかるわけでございますが、将来にわたっても十分改善、充実をしていただきますように御要望をいたしておきます。
 それから次に、旧国際電気通信株式会社等の社員期間の通算条件の緩和との関連で、旧日赤従軍看護婦で戦後公務員となった人の通算問題についてお尋ねをいたします。
 まず最初に、通算措置がどのようになっているのか、お尋ねをいたします。
#123
○小熊政府委員 日赤の従軍看護婦のその後の処遇でございますが、私どもの所管しております恩給法だけの問題としてお答え申し上げますと、恩給法上は看護婦長以上の方についてはその勤務期間を公務員期間として通算しておるわけでございます。看護婦長以上と申しますのは、これは戦時中も官吏と同じような待遇ということでございまして、恩給そのものが官吏を対象とした制度でございますので、この婦長さんを通算の対象としたわけでございます。ただ看護婦さんたちは雇用人という待遇でございますので、これは恩給としては通算いたしてございません。これは軍属その他で雇用人程度の方がたくさんおられたわけでございますが、こういった方もやっていないと同様に看護婦さんについては通算はいたしてございません。
#124
○辻(第)委員 私はまだ詳しいことはわかりませんのでなになんですが、官吏を対象にしたといいますと、昔は親任官があって奏任官があってそして何やらがあって判任官があって、あと雇員ですか、その判任官以上の人のことを言うわけですか。
#125
○小熊政府委員 そのとおりでございます。
#126
○辻(第)委員 それではお尋ねするわけでありますが、旧日赤従軍看護婦でいまおっしゃったように婦長クラスでない人は通算措置が、二十年に達するまでの通算措置しかとられていません、こういうことですね。それで旧日赤従軍看護婦に対する補償として慰労金が支給されることになった。これは一歩前進していただいたということで大変よいことだというふうに思うわけでございますけれども、しかし、戦前軍人並みに従軍看護婦さんは内容的に扱われてきたというふうに思うわけであります。そして年金についても軍人並みに扱うよう要求しておられるというのは私は当然のことと考えるわけでございます。しかし現在慰労金扱いであり、軍人としての恩給でないためにここにまたさまざまな差別が出てきた。年金の通算の場合でも当然差別があるというような状態だと思うわけであります。特に戦後公務員になった人は通算措置が不利になっています。日赤従軍看護婦にも、勤務年数が全部通算措置がとられる道を開くべきだと考えるわけでございますけれども、その御見解をお聞きしたいと思います。
#127
○野尻説明員 お答え申し上げます。
 現在の国家公務員の共済年金と申しますのは、御承知のとおり昭和三十四年に出発したわけでございまして、その昭和三十四年以前の期間は先ほど恩給局の方から御説明ございましたように、官吏に対しましては恩給という制度があったわけでございます。官吏でない雇用人等につきましての年金制度は主として旧共済年金制度と申しておりますが、やはり共済年金というものが制度的には一応あったわけでございます。三十四年に、その恩給制度の適用を受けている方々と、それから旧共済制度の適用を受けている方々との年金のいわば待遇上の差をなくするという必要もございまして、これは新しい年金制度に一本化したわけでございまして、そういうことで現在に至っております。
 そこで、一本化するに当たりましてどういう措置をとったかと申し上げますと、それぞれ過去の年金制度の適用を受けていた期間はそれぞれのいわば既得権として新しい年金制度の基礎期間に通算しましょう、これが原則でございます。ところで、恩給制度は非常に古くから確立しておりましたけれども、雇用人の共済年金制度というのはいわば現業官庁中心に戦前はつくられておりましたけれども、非現業官庁には年金制度すらなかったわけでございます。そこで、三十四年に新しい制度に切りかえるに際して、年金制度の適用がなかった期間のその職員期間でございますね、これをどう扱うかということでいろいろ検討されたわけでございますけれども、簡単に申し上げますと、年金制度の適用がなかったんですから、いわばその反対の義務である保険料の納付もなかったということから、その期間が昭和三十四年の新年金制度に引き続いている方に限りまして、いわば本人の負担すべき掛金に相当する部分を除いた期間として通算して見ます、それからそういうふうな取り扱いを受ける方々はいわば引き続いてずっと公務員としての経歴のある方、こういうことに限られていたわけでございます。
 先ほどお尋ねのございました従軍看護婦の方々につきましては、私どもで調べた結果で申し上げますと、もともと陸軍あるいは海軍の職員として従軍された方々と日赤の方々と両方あると思いますが、それぞれ、先ほど恩給局から申し上げました婦長以外の方々ですね、雇用人として扱われる方々、この方々はいわば引き続かない職員としての取り扱いということで現在行っているわけでございます。先ほど先生御指摘になりましたとおり、そういう方々のその期間は年金の受給資格期間として有効に働かせますけれども、年金額の計算の算定の基礎には入れないという扱いに現在なっております。それは従軍看護婦の方々以外にも非現業の雇用人であった方々、そういう方々のいわば掛金を納めなかったという状況での通算の仕方と全く同一に扱うということで、それなりの整合性があるのではないかというふうに私どもは考えているわけでございます。
#128
○辻(第)委員 次に、今回の軍人恩給の改正案では加算恩給の減算措置も廃止をされるということですが、軍人恩給が改善されているにもかかわらず、日赤従軍看護婦の通算措置がこのままにされているのはますます差別を拡大させるものであるというふうに考えます。政府としては、少なくとも、従軍看護婦などがその期間を入れて二十年を超える場合は年金を二十年分で計算をして支給する、そして二十年を超える分についても年金が増加するような措置をとるべきであると私どもは考えるわけでございますが、さっき御答弁をいただいたことと同じようなことになるかもわかりませんけれども、もう一度お答えをいただきたいと思います。
#129
○野尻説明員 共済年金の全体の通算の仕方は、それぞれいろいろな職種の方々がおられまして、その全体のバランスの中で考えていくより仕方がないと思います。ある特定の方々だけ特に通算するというのは非常に困難かと考えております。
#130
○辻(第)委員 次に、私は傷病恩給、戦傷病者手帳交付の申請に関して質問をいたします。
 私ども、このような申請をされることにたくさんかかわりを持つわけでありますけれども、いろいろと努力をして申請をいたしましても、結果として、公務に起因した傷病とは認められないというようなことで、言いかえれば、因果関係が不明であるというような点で認められないという結果が返ってくることがたくさんございます。最近も、そういうケースの中で、私のところへ寄せられた手紙ではこんなふうに書いてあるわけであります。そのまま読んでみますと「小生の苦しんで居る事が国家の人達は知られないのでせう、余りにもはく情ですよ」こういうふうに書いてございます。その方は、戦時中ラバウルかどこかで砲弾を受けて、土砂の下敷きになって非常に腰部を打撲した。そういう後、戦争が済んでもずっと腰痛あるいは足の痛いというのが続いておった。あちらこちら医者へ行ってももう一つよくならない。ずっと苦労してこられたが、大分年もとってきたし、いよいよ一層厳しくなってきた。生活の問題も厳しいというようなことで、また傷病恩給の申請をされる。そのためには、これまた大変な努力で現認書をいろいろ書いてもらわれた。こういうふうな苦労をその中で語っておられるわけであります。
 また別の手紙では「戦傷して三十五年腰部の疾病、五十三年よりトロトラストによる肝硬変症の二重の苦難で、労働、経済、精神的な苦痛を家族と共に受けて来ました。健康な自由な体に原状回復いたし老後に明るい幸福な生活を営みたいことを悲願いたしまして治療、療養いたしています。」こういうふうに書かれているわけでございます。
 戦争中の負傷に起因したと思われるいろいろな肉体的な苦痛、その上にかかってくる労働上あるいは経済上、精神的な苦痛というのは本当に大変だということは、私も日常お会いをしたりお聞きをしたりしている中で認識をしているわけでございます。このような方々が大変な努力の上申請をしても、公務に起因した疾病とは認められない、総理府の方がこういうふうに言われるわけですけれども、申請している人は公務に起因していると当然思っていらっしゃいますし、そうである状況が幾つもあるわけであります。しかし結果としては、公務に起因した傷病とは認められぬというふうにして却下されるような形で返ってくる、こういう例が、われわれだけでもかなり知っているわけでありますから、全国的には本当にたくさんあるというふうに思うわけでございます。
 で、このような傷病恩給の申請が最近では年間どの程度あるのか。また、因果関係が不明などの理由のために受給できない件数はどのくらいあるのか、お尋ねをしたいと思います。
#131
○小熊政府委員 傷病恩給の請求でございますが、大体が軍人の方が戦場あるいは軍隊でけがをされたというのが多いわけでございますが、お尋ねの件数につきましては、最近の資料をちょっといまとってないのですが、五十三年度で受け付けが一万一千七百九十八件、それから五十四年度で七千三百四十五件、もっとも処理件数はいろいろタイムラグがございますので違うのですが、昭和五十三年度で一万百二十四件、それから五十四年度で九千七百九十一件処理しております。
 そのうち、先生のいまおっしゃった棄却でございますが、棄却というのは実は二つございまして、一つはいま先生おっしゃっている因果関係のないもの、それからもう一つは因果関係はあるんだけれども症度が年金受給まで達していないものとが、これははっきりしたあれはわかりませんが大体半々じゃないかというように推定しておるわけでございます。そういった両方の意味で棄却されたものが昭和五十三年度で三千二百七十八件、三二・四%に当たるわけです。それから五十四年度で二千三百六十七件、これは二四・二%に当たるわけでございます。推定ですからこれは正確なあれは申し上げられませんが、そのうち先生のおっしゃった因果関係というのは約半分と考えていただいていいんじゃないかというように思います。
#132
○辻(第)委員 それでは、因果関係に関する判断、これはどなたがどのような形でやっていらっしゃるのか、お尋ねをしたいと思います。
#133
○小熊政府委員 この因果関係の判断でございますが、二つの問題があるわけでございます。
 一つは、そういった受傷を受けられたのか、あるいはそういう病気になられたのかという問題があるわけでございます。これは終戦後三十五年たっておりますし、恐らく受傷後ということになれば四十年あるいはそれ以上経過している場合が多いわけでございまして、なかなかその当時の資料が得にくいというようなことで、一体そういう傷を受けられたのか、どういう状況で受けられたのか、こういった問題が一つあるわけでございます。
 それから、仮にそういう傷を受けられたとしても、いま申し上げましたようにその後四十年もたっているわけでございまして、どんどん老化されておられる。私どもがよく見ますのは、大抵変形性脊椎症といったような症状が出ておるようなわけでございますが、そういったように、現在の障害、これがその傷なりそのけがなりに基づいて出てきた障害であるのかどうか、この二つの問題があるわけでございます。
 実際にそういったけがをされたのかどうかということにつきましては、確実な証拠は軍歴簿その他に大体記載があるわけでございますが、そういった記載のない方については、いろいろその軍隊の行動であるとか、あるいはその傷が弾による傷であるかどうかの判断とか、あるいは中に鉄片が入っているとか入っていないとか、そういったことでいろいろ判断するわけでございます。それから、その後の経過につきましても、これまたレントゲンその他によりまして、私どもにおります顧問医といろいろ相談しながら、これが老化に基づく障害なのか、あるいは本当にその傷による障害なのか、そういった判断をしていただいているわけでございます。
    〔委員長退席、塚原委員長代理着席〕
 いま先生おっしゃいましたように、御本人がいろいろ証拠をそろえるということは非常にむずかしいことが多いわけでございまして、私どもそういった申請を受け付けましても、資料が不備である、整備されてないという例が非常に多いわけでございます。そういった場合には、私どもの費用でいろいろ検診をしていただくとか、お医者さんを指定いたしまして、私どもが診断料あるいはそういった診断書の記載料といったものを負担しましてやっていただくというようなこともやっておりますし、また、現地に直接職員を派遣しましてお会いするというようなこともやっておるわけでございます。
 先生は何か私どもがむしろ棄却を目的にしているようなお考えがあるいはありはしないかと思うわけでございますが、むしろ私どもは何とか拾えないかということで努力しているわけでございまして、先ほど申し上げました率なんかでもその点はよくあらわれているのじゃないかというように考えるわけでございますが、御理解いただきたいと思います。
#134
○辻(第)委員 いま丁寧にお教えをいただいたわけですけれども、第一番目の受傷あるいは病気になられたかどうかという点は、いわゆる事務の方で判断されるわけですね。もう一つの、いまの障害がそういう傷だとか病気に基づくものかどうかという医学上の問題は医師が判断をする、そういうことですか。
#135
○小熊政府委員 傷病を受けたかどうかということにつきましても、先ほど申し上げましたように軍歴簿とかそういうのにはっきりしておるものは私どもで十分判断できるわけでございますが、そういうものが全くない、最近になってある記憶に基づいていろいろ証明書みたいなものを書いてこられたというようなものもあるわけでございます。それも何とか事務的にもやっておるわけでございますが、また一方、現在残っておる傷跡とかあるいは骨の異常とかいったごとが、そういった傷害を受けることによって、たとえば打撲を受けたというとき脊椎のレントゲンを見ていただきまして、これが打撲による脊椎の異常なのか、あるいは老化現象というか加齢現象による異常なのかといった判断をお医者さんに仰ぐということもございます。
#136
○辻(第)委員 先ほど仰せになったことと反対のことを言うて恐縮なんですが、われわれの側から見ますと却下するために存在していらっしゃるのではないかというふうに受け取れるわけです。戦争が済んでからもう三十五年もたっておるのに、あるいはそれ以上の古いことを証明をするということになりますと、大変むずかしいケースが多々あります。その方たちは何とかしてその証拠になるものをおそろえになるわけでありますが、私なんかが見ますと、大変御苦労なさったということがそのいろいろな証明の中でわかるのですが、申請しますとやっぱりあかぬということで返ってまいります。いまごろになってそういうことを証明するということは非常に困難だ。それはこういうこともあるわけでしょうね。公傷証明がないというような場合が当然あり得ると思いますし、それからいわゆる軍歴というものもないという場合がたくさんあると思うわけでありますが、公傷証明という問題で言えば、確実に必要な人々すべてに出された保証があるのかどうかという点にも疑問がありますし、それから軍歴なんかの問題についても欠落をしている部分もあったのではないか、そうでないかもわかりませんけれども、私はそんな気がいたすわけであります。
 そういう点は、本当にきちっとした軍歴だとか公傷証明がなくても、いろいろな、ややそれには劣る証拠というものがそこそこそろっておれば、何とか救済をしていただくようなことはないのかというふうに思うわけでございます。そういう点で、現状を私どもから見てみますと、却下のために存在をしておるような感覚を大変受けるわけでございます。
 この問題については、あの国によって引き起こされた戦争に駆り出されて、そこで受けた戦傷病による障害に対しては、国ができる限り手厚い措置を講ずるということは無論当然であります。戦傷病による障害でなければそれは話になりませんけれども、本当は戦傷病による障害であるのに、そういう的確ないわゆる証拠となるようなものがないために却下をされている、そういう方も私はかなりいらっしゃるのではないかというふうに思います。そういう点で、できるだけ救済をしていく立場でこれまで以上に御努力をいただくということと、そのためのいろいろな手だてをもっと積極的にやっていただきたい。
 さっき、国ですか、おたくの方で医者を紹介をするとか、あるいは職員をそこへ派遣してというふうなお話がありましたけれども、そんなのは本当のところめったにないのでしょう。本当にちょっとあるのをあるみたいに言っているのと違いますか。そんな気がするのですけれども。私は最近三件こういう話をなにしたのですが、大体皆いけませんね。それで、医者を世話して診てくださいとか、あるいは職員を御派遣いただいてというような話はどうもなかったような気がするのですけれども。そういう点で、いろいろと大変な条件はあろうと思いますけれども、一層の御努力をいただきたいというふうに思います。
 最後に私は、トロトラストの問題についてお聞きをしたいわけでございます。この問題はすでに社会労働委員会などでたびたび取り上げられてきた問題でありますけれども、私の一つのケースとしては、御本人はトロトラストを打ったんだ、そのための肝硬変だ、こういうふうにおっしゃっておりますし、この人をずっと診ていらっしゃる主治医がトロトラストによる肝硬変だと思うという診断書を書いていらっしゃいます。ところが、レントゲンでもって診てもらったのだと思いますが、トロトラストは使った跡がない、それだからトロトラストを使ったとは証明できないというようなことで、それは認められないというようなふうに聞いておるわけであります。こういう問題もいろいろあろう思うわけでありますが、これまで政府がとってこられた対応あるいは対策について、時間がありませんので簡明にお答えをいただきたいというふうに思います。
#137
○水田説明員 お答え申し上げます。
 先生もドクターでございますのでよく御承知だと思いますが、トロトラストは、体内に残留いたしまして体外に排除できないというのが特色でございまして、これはレントゲンを撮れば確実にわかるというものでございます。
 それで、対策でございますが、五十二年度及び五十三年度一般検診をいたしまして、その結果トロトラストの沈着あり、あるいはその疑いのある方を対象に五十四年度から年二回定期検診を全機能について精密にいたしております。一方、厚生省の中にトロトラスト沈着者健康管理委員会というものを設置いたしておりまして、判定についての誤りなきを期すと同時に、治療方法その他の開発、研究等をお願いいたしているところでございます。
#138
○辻(第)委員 五十一年の十月十四日の社会労働委員会の質疑の中だったと思うのですが、そのときのなにをちょっと読ましてもらったところでは、レントゲンを撮れば大体わかるけれども、しかし、それでわからないのもあり得るのではないか、非常にデリケートなところがあるというふうなお話が載っていたと思うわけでありますが、その辺のところは、その後いまおっしゃったようなレントゲンではっきりわかるというふうな御見解に変わったのか、もう一遍お尋ねをしたいと思います。
#139
○水田説明員 トロトラストは、御承知のとおり大体沈着いたしております場所が肝臓、脾臓、脊髄等が主になっておりまして、レントゲンでわれわれは確実に判定できるものというふうに考えております。ただ、判定に非常に高度の専門性を要しますのは、トロトラストというのは金属性の物質でございますので、明確に出るわけでございますが、専門医でない方は弾痕等と見間違う可能性があるわけでございます。その限りにおいては、判定に非常に専門性を要する、このように考えておる次第でございます。
#140
○辻(第)委員 いまお話を聞いて、トロトラストを使ったかどうかという診断といいましょうか、そういう点については非常に明確になってきたということをお聞きをいたしました。逆に大変安心をさせていただいたというふうに思うわけでございますけれども、今後このトロトラストの問題についても一層の充実をした御対策をしていただきますように要望をいたしまして、私のきょうの質問を終わります。
#141
○塚原委員長代理 吉田之久君。
#142
○吉田委員 初めにちょっと具体的なことで御質問したいのですが、現在戦死者の遺族の場合、大尉以下で福祉年金二万円が併給されておりまして、したがって月額は大体八万円以上になっていると聞いておりますけれども、大体そんなものですか。
#143
○小熊政府委員 いま公務扶助料についてのお尋ねかと思いますが、公務扶助料の最低保障制度がございまして、現在、先生おっしゃいましたように月額八万二千五百円ということになっておるわけでございます。大体大尉以下ですとこの最低保障にかかるのではないかというふうに考えております。
#144
○吉田委員 それで、普通の退職公務員の場合、こういう人たちも恩給、年金の扶助料が八万円以下のものについてはぜひこの際福祉年金の併給をお願いできないだろうか、こういう陳情のようなものがあるのですが、これに対してはどういうお考えでございますか。
#145
○小熊政府委員 併給問題につきましては、私どもの方で制限しているわけでなくて、福祉年金の方で制限しておりますので、これは厚生省の方から御答弁いただきたいと思いますが……。
#146
○吉田委員 厚生省の方、見えてないですか。これに援護局の石井業務第二課長と書いてありますよ。
#147
○石井説明員 この問題は年金の関係でございますので、年金の方はいまちょっと見えてないと思います。
#148
○吉田委員 いろいろむずかしいのでしょうけれども、大体厚生省の方の担当であろうが、総理府の方の担当であろうが、結局、整合性といいますかバランスというような問題は、これはやはり国民の側から見れば非常に重要な問題だと思うのですね。ですから、軍人の大尉以下の場合と一般の退職公務員の場合と、それがどの程度が同水準なのか、なかなか判断はむずかしいところだと思います。いろいろ理屈もあるところでございましょうけれども、最低保障として月々八万二千五百円、以下がない、こういうことであるならば、その辺バランスがとれてしかるべきだと私は思うのですが、これは総務長官どうなんでしょうね。
#149
○小渕国務大臣 御趣旨につきまして、厚生省側によく伝えておきたいと思います。
#150
○吉田委員 結構です。
 それから、先ほどからも御質問がありましたが、従軍看護婦の問題について、すでにその人たちの願いが入れられて、いろいろ調査費等がつけられ、目下その準備が進められておりますことは、私たちも非常に多とするわけなんですけれども、今度のこの調査、そしてその回収が一体いつごろになるのか、あるいはそれが来年度の概算要求に間に合うかどうか、この辺につきまして、見通しをお伺いいたしたいと思います。
#151
○石井説明員 お答えいたします。
 調査の具体的方法につきましては、現在まだ検討中でございますけれども、基本的には旧陸海軍看護婦として勤務した者に対しまして、都道府県を通じまして調査票を配付し、これに所要事項を記入していただく、そしてこれを回収し、集計するということを考えております。調査事項の主たるものといたしましては、各個人の外地における場所あるいは勤務期間等の履歴事項、また、それを裏づける資料等のあるなしというものを考えているわけでございます。
 そして私どもで配付する方法といたしましては、厚生省及び都道府県の資料で本籍地等が判明している者、これにつきましては都道府県にまず現住所調査を行っていただく、その上において御本人に調査票を配付する。また、その他の者につきましては、報道機関であるとかあるいは都道府県、関係団体を通じまして調査実施の広報を行ないまして、本人の申し出によって調査票を配付することに考えています。
 調査の対象といたしましては、私どもといたしまして約二万三千を考えておりますけれども、現在私どもで持っておりますところの資料と申しますか、昭和二十年につくりました留守名簿あるいは帰還者名簿等から一応名前の押さえられる数は五千七百四十一名でございます。したがいまして、この方々につきましても、昭和二十年当時の本籍地ということになりますから、現住所調査に相当の時間がかかるのではないか、こういうことが推測できるわけでございまして、いま直ちに、いつごろできるかと言われましても、ちょっとお答えに困るわけでございまして、私どもとしてはなるべく早くこの実施をしたい、かように考えている次第でございます。
#152
○吉田委員 二十年の一月一日現在で、いまお聞きいたしますと五千七百四十一名の名簿がある、しかし、一方で二万ないし二万三千の該当者がおられると想定できる。そうなりますと、本当に該当者全員にわたって一応の調査が終わるのには、かなりの日時を要すると思うのです。しかし、この五千七百四十一名の方々については、もちろんその後かなり住所の移動等もなさっておりますし、あるいはすでに生存されない方もあるかもしれませんが、このうちの何割かはかなり速やかに上がってくる可能性があると思うのですね。これを九月いっぱいあたりまでかけて回収時期を仮に設定されるといたしますと、せっかく上がってきた数千名の人たちに対してどう処置するかということが、五十六年度では全くできないわけでございますね。したがって、完全な調査と準備はなかなかにむずかしいと思いますが、私どもの考えとしては、上がってきた分から、確認できた分から直ちに何らかの処置を始めていく、こういうことになさっていただきたいと思います。何せ先ほどもお話がありましたように、年々かなり高齢者になられる人たちでございますからそう思うわけでございますけれども、その辺の政府の考え方はどうか。
 それから、そういう調査は厚生省の援護局業務課がやってくださっているようでございますが、上がってきた後の対応の仕方等につきましては、どこでおやりになるのか、この際承っておきたいと思います。
#153
○関(通)政府委員 前段の調査のできたものから処遇するような方法ができないかという御質問でございますが、基本的な問題といたしまして、日赤の従軍看護婦の場合と陸海軍の従軍看護婦の場合、勤務等の形態が違っている点がございます。簡単に申し上げますと、日赤看護婦は戦地で勤務するのが本務でございますが、陸海軍の看護婦さんの場合は内地の陸海軍病院で勤務するのが本務で、それが太平洋戦争の末期に、日赤看護婦と同様に戦地にも出られたということでございまして、勤務形態がかなり違っております。したがいまして、私どもとしましては、厚生省で今年度御調査になって、その結果がわかりました時点で、関係方面と基本的な方針から御相談しなければならないのではないか、かように考えておりますが、いずれにいたしましても、厚生省の調査の結果を見まして、できるだけ早急に検討に入りたい、かように考えております。
 それから後段の、どこが担当するかという御質問でございますが、先生御存じのように日赤の看護婦さんの場合は、総理府に予算を計上いたしまして、日赤本社に補助金を出して、日赤の本社が各看護婦さんに支給されたわけでございます。陸海軍の看護婦さんの場合は、日赤と同じようにいかないわけでございますが、いずれにしましても調査結果が出ました段階で、総理府としましても関係方面と御相談しまして、どこが担当するかという問題も含めまして検討いたしたい、かように考えております。
#154
○吉田委員 日赤看護婦さんの場合にはいまは日赤本社というお答えがあるわけですが、今度の従軍看護婦さんの場合にはそれがないわけですから、扱いはいろいろ微妙な複雑な点があると思いますが、その点特に余り不公平にならないように、アンバランスにならないように、速やかに処置できるように一層の御配慮をお願いしたいと思うのです。
 同時に、調査が一応終わった段階で関係方面と協議しよう、その時期はいつごろなんですか。ことしの暮れになるのか、それとも、私どもの考えでは調査というのはなかなか完了しませんから、ほぼ第一段階のものが出そろったあたりでその処置を考えていかれないと、あとはだんだんと上がった分から乗せていくということにしないと、非常に諸動作がおくれてくるのではないかと思うのですが……。
#155
○関(通)政府委員 資料の状況でございますが、日赤の場合は個々の看護婦さんごとにかなり詳細な記録があったわけでございます。陸海軍の看護婦の場合は、先ほど御答弁ございましたように、終戦前後の氏名と住所程度のリストだけが頼りでございますので、調査の結果どういうかっこうでおまとめいただけますか、厚生省とも十分御相談しながら、先生おっしゃいましたように中間段階での検討ができますものか、あるいは最終的にまとまった段階で初めて検討ができるのか、その辺もいまの時点ではちょっとわかりかねますが、いずれにしましても十分相談しながら対処してまいりたい、かように考えております。
#156
○吉田委員 日赤の看護婦さんの場合には、台湾勤務は戦地勤務になっていないそうですね。それから軍人恩給の場合にはこれは準外地扱いになっていると聞いておりますけれども、その辺も、当時の戦況のいろいろな変化あるいはそれぞれの扱いによって食い違いや微妙な点があると思うのですが、この従軍看護婦さんの場合に、台湾等の場合はどうなるのか。それから外地へ行った場合にはもう掛金もなかなか納めにくい現状もあったのでしょうか、ともかくほとんどその措置から外されたというふうなことも聞いております。
 また一方では、大体外地は死亡率が非常に多くて保険になじまないというふうなことで、当時このもろもろの、陸軍共済組合規則それから共済組合連合会と引き継いでいるようでありますけれども、何か外地へ出た人たちに対して、本来ならば特別親切にしてやらなければならないものが、かえって外されてしまっている、結果的には非常に冷遇されるような措置が資格上生じておるというふうなことも聞くのでございますが、その辺はいかがでございますか。
#157
○関(通)政府委員 陸海軍の看護婦さんの処遇の問題といたしましては、まだ基本的にこれから調査結果を見て決めようということでございますので、ちょっと御答弁いたしかねますが、日赤看護婦の例で御質問の件申し上げますと、先生おっしゃいますように、台湾等の外地で勤務した期間は対象にいたしてないわけでございます。具体的なその支給の手続は、日赤本社で規則を決めまして支給いたしておりますが、その規則の中で事変地及び戦地の区域というのを決めておりまして、それに台湾等は入っていないということでございます。これはやはり慰労金の趣旨が、戦地で野戦病院あるいは兵たん病院等の戦時衛生勤務に服した者、その労苦に対して慰労するという趣旨からきているというぐあいに考えるわけでございますが、ただ、私ども具体的に看護婦さんの方々からお話を伺っておりますと、台湾等の病院に勤務しておられた方の問題よりも、むしろ南方に向けて内地を出てその途中台湾に寄ったとかいうような方、これも少し考慮できないかという御意見が多いわけでございます。
 これにつきましては、日赤本社といたしましては、太平洋戦争が始まった以降の期間につきましては、船が内地の港を出たところから計算いたしまして、台湾等に寄港してかなり長時間いることもあったようでございますが、そういう航海時間は全部期間に含めるという扱いをしているようでございます。ただ、台湾に揚がってそこに相当期間駐在した場合は、その期間は対象にならないということに扱っているというぐあいに承知いたしております。
 これは日赤の看護婦の場合の例でございますが、御参考までに御答弁申し上げます。
#158
○吉田委員 おっしゃるとおりいろいろの例があると思うのです。またいろいろまちまちなケースもあると思うのです。すかし、今度のこの従軍看護婦さんの場合には、むしろこれから何らかの措置をしていこうとすることでございますから、そういう過去の例を十分参考にしながら、しかし、非常に苦労された女性たちのことでございますから、できるだけ親切な扱いになるように十分な工夫をいまから準備、用意していただきたいと思うのでございます。
 それから、この際ちょっとお聞きしたいのですが、シベリアで抑留された人たちですね、ずいぶん苦労なさっておりますけれども、これに対する何らかの措置がなされて当然である、こういう要請が非常に全国的に広がってきております。ドイツの場合には、西ドイツの場合でございますけれども、かなり早い時期に措置がされているようでございます。日本の場合、今後こうしたシベリア抑留者の大変広範な方々の要求、そしてまたわれわれがいろいろな機会に聞き取っておりますように、想像を絶する、生死の境を彷徨してこられた方々のことでございまして、私は、この際国として何らかの措置が必要な時期ではないかと思うわけでございますけれども、総務長官のお考え方をお伺いいたしたいと思います。
#159
○清水政府委員 私からお答えをさせていただきます。
 けさほども御質問に対しまして官房長官からお答え申し上げたことの繰り返しになりまして恐縮でございますが、ソ連抑留者につきましての問題は、再々御要請もいただいておるわけでございますが、戦後政府といたしましては、たとえば戦没者の遺族あるいは戦傷病者あるいは海外からの引き揚げによって生活の基盤を失った方というような、緊急にそのための施策を必要とするというようなところに着目をいたしまして、できる限りの施策を実施してまいったということが政府のとってきたところでございます。もちろん、シベリア抑留という問題につきましては、ただいま御指摘のように、その方々が大変な御苦労をなさったということは全くそのとおりだと思いますが、そのような問題につきましては、今次の大戦に伴いまして国民のいろいろの階層におきましていろいろの種類の痛手をこうむったわけでございます。そうした痛手につきまして、ただいま冒頭に申し上げましたような特別の施策を講じたものはそういう施策でございますけれども、それ以外につきましてはそれぞれの国民の立場で受けとめていただくと申しますか、耐えていただかざるを得ないということでまいったわけでございます。
 戦後三十年以上を経過した現時点におきまして、仮に改めてそうした問題について見直しをするということになりますと、これはまた全く新しい別の意味合いにおきまして国民の間になかなかむずかしい問題を惹起するということもあるわけでございますし、現実問題としてもそれは不可能に近いことになるのではないかというふうに考えられるわけでございます。
 したがいまして、ただいまの御質問の問題につきまして、政府としてはこれを改めて取り上げるというわけにはまいらないということを、大変恐縮でございますが、繰り返し答弁を申し上げざるを得ないということでございます。
#160
○吉田委員 そういう考え方は、それは政府のその役職の立場におられる方の発言としてはある程度やむを得ないかもしれませんけれども、国民的な考え方から見て、それで済ましおおせるものではない。と申しますのは、あなた自身もいま御答弁の中でお触れになっておりましたように、そういう戦後の処理の中で特に戦没者とかあるいは傷病者であるとか、これは何とかしなければ余りにもお気の毒だという方々に対して一応の措置がなされた。もちろんそれは大切なことでありますけれども、いろいろとさらに枝葉がついてまいりまして、さらにその中身が改善されて、そしていまこの恩給法の一部改正等もそういう問題として提起されているわけなんです。
 そうすると、あるときに何らかの措置でそういう軌道に乗った人たちだけが完全に近くだんだんと処理されていく、たまたまそれに適しない者は全然ゼロでがまんしなければならないのか。それも、日本の国がまだ戦後復興も十分でない不完全な状態の中では、国民はまずは生き残っただけでもありがたいのだ、まずは国の復興が先決なんだということでがまんしてきたと思うのです。しかし、戦後三十五年を経た今日、これほど日本がいろいろな意味で充実してまいりました、完備してまいりました。なお一方においてそういう既成の恩給あるいは年金というものがいよいよ充実していく中で、国民としておれたちはあきらめなければしょうがないのだという気持ちで終わり切るだろうか。
 私どもの判断では、国民の感情というものはあなた方のお考えとはむしろ全く逆だと思うのです。戦後の処理がなされていないじゃないか、諸外国においてなされていることがなぜ日本でできないのだ、こういう要求は、ほうっておけば国民の中に一つの大きな不満をますます醸成させ、そしてそれは国家の内部問題としても決していい傾向にはならないと私は思うのです。そういう政治的な判断がこれから必要な時期に来たと思います。したがって、総務長官から政治家として、国務大臣として、こういう問題について、いま清水さんがお答えになったような考え方と全く同じ考えでいらっしゃるのかどうか、私はちょっと承っておきたいと思います。
#161
○小渕国務大臣 政府としては、一貫して戦後の未処理の問題は存在しないという立場で貫いてきたわけでありますが、お話にありましたように、それぞれ幾つかの問題については、その時点において十分財政的負担にも耐え、また国民世論もそのことに理解を示した形で処理してきたという事実もあったかと思います。
 今次、このソ連抑留者に対する各般の措置につきましては、かなり大きな声となっていま国民の中に存在する実態は私も承知をいたしております。したがって、この問題の取り扱いにつきましては、まさに国民を代表する国会のお立場の方々のもろもろの主張に、国民のすべてがそのことを納得して、御要請があり、それが財政的負担にも十分耐え得るというようなことが判断された暁においては議論をなされることはあり得るかと思いますが、現在政府といたしましては、けさほども官房長官から申されましたように、いまの時点におきましてはすべての問題については解決をいたしておるということでございますので、この点については国民的コンセンサスが得られるかどうかという判断が一つの材料であるかとも存じますが、きわめてむずかしい判断を要求せられる問題だろうというふうに私は考えざるを得ないということでございます。未処理の問題はすべて解決済みでございますので、政府としてはこの問題を取り上げるということはあり得ないというふうに考えておりますが、なお現時点に立って、いろいろと御主張される方々がありますれば、私といたしましては、それぞれの御陳情については十分耳を傾ける用意はあるつもりでございます。
#162
○吉田委員 もう戦後の処理は全部終わっておる、政府は一応そう言わなければならないとは思いますけれども、本当に終わっているのでしたら、この従軍看護婦の問題は終わっていなければいけないのです。やはり問題にならないんだ、そんなものはすべて関係ないんだと言い切れないでしょう。どの程度まで保護するかは、これはわれわれお互いの判断と国家の財政能力あるいは世論の問題に最後は帰結すると思いますけれども、しかし、確かに問題がある。そこに問題があると同時にこちらにも問題がある。
 ですから、この既存の恩給というものが、あるいは年金というものが、きょうも本会議でいろいろ論議されましたけれども、だんだんに改善充実されていくことは大いに結構なことでございます。しかし、それだけが改善充実されていきますと、国民の中に、いままではそうでなかったけれども、だんだん格差が大きくなって、いわゆるひがみの心というものがだんだん醸し出されてまいりますと、私はやはり国家的に一つの問題であると思うのです。しかもこのままでいきますと、かなり後の時代が負担すべき恩給や年金の負担額というものもずいぶん大きくなることは想像できるわけなんですね。何よりもやはり国民の中に、完全にこれで平等だ、そんなことはなかなかむずかしいことで答えは出ませんけれども、まああの人たちも守られておる、おれたちも何らかの意味で報われた、あるいは国家から国民として労がねぎらわれた、やはりこういう本当の気持ちが出てこないと、私たち国民が心を合わせて先の時代を切り開いていく、そういうことにはならないと思うのですね。
 その証拠に、たとえば海軍特務士官、准士官等の恩給格差是正に関する陳情書、恩給年限に該当する元上海工部局警察官の救済に関する請願書、あるいは旧中華航空株式会社従業員を恩給法令に言う外国特殊機関職員として指定方に関する請願、あるいは旧満州航空株式会社従業員の場合も同様でありますけれども、続々とこういう問題が出てきておるということ、それはやはり国民の心の中にみんなが貧しいときは貧しいでがまんしよう、お互いに満たされてきて、お互いに助け合うならば、おれたちも応分の処置をしてもらおうではないかと出てくるのは、私は当然だと思うのです。したがって、総務長官はせめてそういう国民的な気持ちの動きというものを絶えずよく把握されまして、また私たちも機会を見つけてこの種の問題についていろいろ意見を申し上げたいと思いますけれども、せっかくそういうお気持ちをお忘れになりませんようにこの機会に申し添えまして、時間が参りましたので、私の質問を終わります。
#163
○塚原委員長代理 上田卓三君。
#164
○上田(卓)委員 まず、旧日赤従軍看護婦への慰労給付金制度が発足することになったわけでございますが、わが党は、もともと従軍看護婦は最前線で軍人以上に苦労してきたのだから当然恩給法を適用するのがあたりまえである、このように主張してきたところでございます。しかし、一時金でいいのではないかという考え方が政府部内に強くありまして、そういうことから、今回の慰労給付金という性格のあいまいな、あるいは一時金的なそういう性格とも言えるようなものになってきたのではないか、こういうように思っておりまして、そういう意味では、この制度については本当に多くの問題がある、われわれまた関係者は非常に不満であるわけでございます。しかしまた同時に、この制度をもっともっと改善していく、いいものにしていくということは当然必要でありまして、そういう立場から質問してまいりたいわけでございます。
 特に、ことしは普通恩給が七十万円に引き上げられることになったわけでございまして、そういう意味では、慰労金はこの額の三分の一程度になってしまう、あるいは十八年以上勤務した看護婦の場合ですら三十万円ということでありますから、全く話にならない、このように思うわけでございます。そういう点で、給付年額の増額については制度化をするべきではないか、こういうように思うわけでございまして、その点についてお伺いしたい。特にそのときに、三%そこそこの上昇しかないところの恩給にスライドするのじゃなしに、物価の上昇に見合うような、また実質価値を損なわないようなそういうものにする必要がある、このように思いますが、その点についてどのようにお考えでしょうか。
#165
○関(通)政府委員 日本赤十字社の従軍看護婦につきまして、五十四年度から措置を始めたわけでございますが、先生御存じのように、この問題につきましては本委員会でも繰り返し御審議がございまして、その御審議の中で、なかなか恩給法とかあるいは援護法等の現行の制度には乗りにくい。したがいまして、政府といたしましては、気持ちはわかってもなかなか処遇の道を見つけることがむずかしかったわけでございますが、それにいたしましても、女性の方々が第一線まで赤紙召集で召集されまして、しかも戦後かなり長期間にわたって海外に抑留された、こういう御苦労に何とか報いる道はないのかということで措置が始められたわけでございます。
 したがいまして、いわゆる生活保障的な年金の性格ではなくて、過去のそういう御苦労に対する慰労金として給付されているわけでございます。このような基本的な性格から、実は五十五年度予算にも計上いたしておりますが、そのベースは五十四年度と同じベースで予算を計上いたしております。
 先生の御質問は、これをスライドするという制度にできないかという御質問でございますが、私どもといたしましては、これが基本的に過去の御苦労に対する慰労金であるという性格から、生活保障的な年金制度で採用しておりますスライド制度を採用するということはむずかしい、かように考えておるわけでございます。しかしながら、先ほどちょっと先生もおっしゃいましたように、一時金という考え方もあったわけでございますが、一時金でございますと将来の変動に対処ができないわけでございますが、現在実施いたしておりますのは、予算計上ではございますが、毎年予算を計上して支給するという形でございます。スライド制は採用できませんが、将来の著しい経済変動にはまたその時点での検討、対処が可能かと存じますので、その点もお含みいただきたいと存じます。
#166
○上田(卓)委員 従軍看護婦さんについては、先ほども申し上げましたように、軍人と実際何がどう違うのかと言わざるを得ない。同じ戦火をくぐってきた仲でございますから、そういう点で当然恩給法を適用すべきである。それを適用しないから、慰労金という形にするからなかなかスライドの問題もむずかしい。しかしながら、著しい物価の変動に対してある程度考えていかなければいかぬ、こういうことのようでございますが、これはいずれ近いうちがいいわけでございますが、恩給法を適用しなければならない状況になってくるだろうし、またそれに準じたような制度化が確立されることは火を見るよりも明らかではないか、こういうように思っておるわけでございます。
 すでに五十四年度からさかのぼってこれが制度化されたわけでございますので、関係者にとりましては物価高に対して対応できるような、そういう実質的な価値が下がらないような措置をとってもらいたいという願いがあるのは私は当然のことではないか、こういうように思いますので、そういう点で増額について、毎年そういう物価上昇率に見合ったスライドをしてもらいたい、このように思うわけでございます。
 この慰労金制度の発足自身が戦後三十五年もたった今日になって初めてできた、こういうところに、特に高齢者の受給年数を限りあるものにしておるわけでございまして、しかもこれは本人限りであるということでありますから、当然高齢者は次々亡くなっていくという現状があるわけでございます。そういう立場から、この給付金は受給資格を恩給と同じく加算年を加えた在職年数が十二年以上の者としておるようでございますが、しかし、金額の算定については実在職年数のみを基準としておられるわけでございます。恩給制度では、高齢者の場合加算年を全部在職年に数えるようになってきておるわけでございますが、この慰労給付金はそういう意味ではこれと逆行しておるのではないか、そういう意味で非常にわれわれは納得できないものであるわけでございます。
 そういう観点から、特に七十歳以上の老齢者について、恩給に準じて加算年も在職年に加えた計算をすべきではないか、そういう特例を設けてはどうか、このように思うのですが、その点いかがでしょうか。
#167
○関(通)政府委員 現在日赤の看護婦さんに支給いたしております慰労金でございますが、基本的には恩給制度に準じた加算年あるいは基本的な恩給額の計算等を採用しているわけでございますが、金額的に一番違います点は、先生もちょっとお触れになりました高齢者の高齢加算とそれから最低保障、むしろこの最低保障が一番大きく影響しているのではないかと思います。この最低保障と高齢加算を除きますと、基本的なベースの計算は恩給法に準じた計算をいたしておりますので、勤続年数ベースに大体見合う金額、看護婦さんの場合十万円から三十万円が大体見合う金額になっているわけでございます。
 しかし、最低保障と高齢加算をいたしておりません趣旨は、先ほどちょっと触れましたように、何分にもこの慰労金が過去の御苦労に対する慰労である、生活保障的な年金ではないということろからきておりまして、かような基本的な性格から最低保障、老齢加算をいたしていないもの、かように御理解を賜りたいわけでございます。
#168
○上田(卓)委員 これも先ほどの問題と同じように、慰労金という性格からすべて規定づけられてきているのだろう、こういうように思います。しかし、先ほど申し上げましたように、やはり高齢者に対して特にそういう配慮をこれから加えていくということは必要だ、私はこのように思いますので、その点について今後御努力をいただきたい、このように申し上げておきます。
 次に、旧陸海軍の従軍看護婦の問題でございますが、この方々に対しては実態が明らかでない、そういう理由からこの給付金の制度から除外されておるわけでございます。そのかわりというわけではございませんけれども、ことしから千七百万円の調査費がついておるようでございますが、そういう意味で非常に関係者の不満が強いわけでございまして、これは差別ではないか、こういう考え方が広まっておるようでございます。
 旧陸海軍の従軍看護婦は日赤の従軍看護婦とは異なって、いわゆる召集されたのではなく志願されたのだ、こういうこととか、あるいは先ほども御説明されておりましたように、戦地の救護員ではなく後方の衛生担当というのですか、本務が違うというような言い回しをされておるようでありますが、しかし、あなたも先ほど認めておられたように、戦争の末期というんですか、そういう状況のもとでは全く日赤の看護婦さんと同様で、また同じ状況のもとで戦火をくぐってきた、こういうこともお認めになっておる、こういうように思うわけでございます。
 そういう意味で、そういう過酷な勤務を強要されてきた実態というものは明らかになっておる、このように思いますので、この勤務の中身がやはり日赤の看護婦さんと実際は同じであったということをお認めになるのかどうか、その点お聞かせをいただきたいと思います。
#169
○関(通)政府委員 日赤の看護婦さんの場合と陸海軍の看護婦さんの場合、看護婦としての職務は、私ちょっと先ほど御答弁でも申し上げたのでございますけれども、基本的に違うという面はあるわけでございます。しかし戦争末期、実態的には日赤の看護婦と同じように外地で勤務したというお話でございますし、現に国会で参考人の方のお話もあるようでございます。しかし、私ども断片的ではございますが聞いてみますと、日赤の救護看護婦であった方が陸軍病院に行かれて、陸軍病院から戦地に行かれたというようなこと、あるいはそうは言ってもやはり陸海軍の看護婦さんが勤務されたのは主に外地の陸海軍病院で、兵たん病院とかあるいは野戦病院は日赤の看護婦さん方が主体であったというようなことも伺っております。
 ただ、いずれにいたしましても断片的なお話でございまして、何らかの措置をいたします場合決定的に政府の方で手が出しかねておりますのは、陸海軍の看護婦さんの場合の資料が、本当に終戦前後のわずかな名簿だけが頼りであるということでございます。日赤の看護婦さんの場合は、個人個人にいつからいつまでどこで勤務したという記録が全部残っておりまして、それによりましていろいろな加算なりあるいは給付の計算が可能になったわけでございますが、そういう資料が一切ございませんものですから、本年度厚生省が御調査になりましてそれが明らかになりますと、私先ほど申し上げました外地での勤務の実態も、制度上だけではなくてつかめるのではないかというぐあいに考えておるわけでございます。
#170
○上田(卓)委員 一千七百万円の調査費で一体何ができるのかということになるわけでございます。しかしまた、この調査費はぜひとも有効に使ってもらいたい、このようにわれわれは考えるわけでございます。
 ただ、たとえば旧日赤の従軍看護婦さんからして陸海軍の看護婦さんがどうであったとか、あるいは逆の場合どうであったとかいうよりも、そういう該当者から直接聞かれるということが私は一番大事ではないか、こういうふうに思うわけです。日赤の看護婦さんの場合は組織が大きいしちゃんとした伝統ある団体というんですか、それで資料もあるという、だから信用できる、片っ方は小さいしという形だけでは私は納得できない。あるいは政治力というんですか、そういう運動が弱いからほったらかしにされるということがあるならばなおさら問題ではないか、こういうように思うわけでございます。
 そういう点で、調査につきましては、勤務地やあるいは年限を調べるということも大事でございますが、やはり同時に現在の生活の実態についても十分お調べいただくことが大事ではないか、こういうように思っておるわけでございまして、そういう意味で、この調査の内容について一体どのように考えておられるのか。
 それからもう一つは、これらの看護婦さんがたくさんおられるわけでございまして、やはり掘り起こしというのですか、そういう該当者にどのような形でこの調査に協力してもらうのか、そういう意味で、新聞とかあるいはラジオとかテレビを通じて宣伝するというのですか、呼びかけるというようなことがぜひとも必要である、このように思うのですが、そういうことも考えておられるのかどうか、その点についてお聞かせいただきたいと思います。
#171
○石井説明員 お答えいたします。
 日赤の従軍看護婦の方と違いまして、先ほど来申し上げましたとおり、旧陸海軍看護婦につきましては全く資料がございません。ただ、先ほど申し上げましたとおり、昭和二十年の一月一日に外地にありましたところの各部隊でつくりました名簿、これと、もう一つは海軍関係につきましては、帰還時に上陸地でもって自分が書いた住所といいますか、それが頼りでございまして、その名簿を見ますと約五千七百四十一名という方が一応名前だけはわかるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、まずその名簿を抽出いたしまして、これを本籍県別の都道府県に配付いたしまして、そして現住所を調査していただき、調査票を配付する、こういう形をとっております。
 また、先生いまお話しのございましたように、そういう名簿に載ってない方というのも多分にあるわけでございまして、この方々につきましては報道機関、あるいは都道府県の公報とかあらゆるものを使いまして、その広報に努めまして、申告をしていただくというように考えております。
#172
○上田(卓)委員 実態が十分把握されてない、こういうことでございますが、もう御存じかもわかりませんが、二年前にこれらの旧陸海軍従軍看護婦さんの会というのができておりまして、現在の会員数は一千三十五人、これだけの方が登録されて活発に、それなりに掘り起こしも含めて活動されておるわけでございまして、こういう会の役員さんだけでもお会いされて聞かれれば、十分この実態というのが明らかになっていくのではないか。そういう意味で、今度の調査については、五千何人の中でもすでに千何人がそういう形で会をつくられておるわけでございますから、こういう方々の協力をいただいて、こういう方々が、どういう形ですれば調査がスムーズであるか、可能であるかということも十分理解されておられるのじゃないか、こういうように思いますので、ひとつこういう方々の意見を十分聞いて調査を進めていただきたい、こういうように思います。
 それから、そういう会員さんの中で八十六歳の方が二人、ことしになって入会をされておるようでございます。また、全体の会員さんの年齢も平均六十歳を超えておるわけでございまして、そのうち四分の一が旧姓のままである、こういう実態までがわかっておるわけでございます。その多くは戦争の犠牲で結婚の機会を奪われておる結果ということが明らかになっておるわけで、身寄りもなく生活保護だけの人もおられるわけでありまして、慰労金の支給は一日もおくらすことのできない焦眉の急ではないか、このように思っておるわけでございます。日赤の慰労金給付制度が発足してからもすでに五名の方が、そういう不平等といいますか不公平な制度を是正してもらいたいと叫びながら亡くなっていったというようなこともあるわけでございまして、ぜひとも来年度予算では何とか給付金を計上し、制度に乗せる必要がある、そのためにも実態調査を一日も早く進めてもらいたい、先ほどの五名の方に報いるというためにもそのことが必要ではないか、このように思いますので、そういう点についてお考えをお聞かせいただきたい、このように思います。
#173
○関(通)政府委員 厚生省の方で鋭意調査を進められるというお話を伺っておりますので、結果がまとまり次第、総理府といたしましても、関係方面と十分御相談いたしまして対処したい、かように考えております。
#174
○上田(卓)委員 そういうことでございますので、鋭意努力していただきたいと思います。
 次に、共済年金に通算してもらいたいという問題が出ておりますので、その点について触れてみたい、このように思います。
 旧陸海軍従軍看護婦の場合、戦後、病院などに公務員として再就職されたケースが二〇%から三〇%あるようでございますが、この場合に、共済年金の資格は、外地に赴いた際に半ば強制的に全員脱会させられておるのですね。だから、生きて帰るな、帰ってきたらいかぬということになっていたのかもわかりませんが、要するに半強制的に共済年金から脱会させられておるという実態があるわけでございまして、その結果空白ができているという問題なんです。戦後間もなく再就職の機会もなく、何年か後に就職したケースも多いわけでございますが、その結果、戦地勤務期間が共済年金加入期間に算入されずに空白だという状況、特に帰還後三カ月以内に就職の結果公務員になったという方については通算されておるようでございますが、三カ月後の方については通算されないということのようでございます。
 何といいましても、戦前において共済年金から脱会させられているという状況、また、戦後帰ってきた後も三カ月以内というのは、自分がどうするのかということをまだはっきり決めていない、本当に漠然としたというのですか、荘然としているような状況、そういう状況があるわけですし、外地から帰ってこられたわけでありますから、三カ月以内に公務員になった人については通算するが、そうでない人には通算しないというのは、私は大きな過ちではないか。そういう特殊な状況というものを考えて、やはりそれなりの措置をとるべきだというように思いますが、その点についていかがでしょうか。
#175
○野尻説明員 お答え申し上げます。
 現在の共済年金制度ができました後、その以前の期間をどういうふうに通算するかという問題にかかわるわけでございますけれども、現在の共済年金制度も、それからその以前の年金制度も、通じて言えることは、勤続をしている職員を最優先すると申しますか、そういう形で過去の期間を全部見ているということになっているわけでございます。したがって、いまお話がございました方々につきましては、確かに当時の陸軍共済組合規則あるいは海軍の場合も、戦地ということとちょっと違うかもしれませんが、外国で勤務するに至った人は、これは男子の職員も女子の職員も同じでございますけれども、いわば年金制度の適用を受けない形になるという規則がございまして、そのために、外国に出かけた方々の年金制度は確かにございませんでした。したがって、そういう方々のその期間についてどういう通算を現在講じているかと申しますと、その方々といえども、いまでいう公務員であった期間には違いございませんので、その期間は年金受給の資格期間として扱っております。ただし、先ほど申しましたように、年金制度の適用を受けていなかったということで、本人の保険料も納付されていないわけでございますので、その期間はあくまで年金の資格のための期間としては通算いたしますが、いわゆる実のある期間としては見ておらないというのが現状でございます。
#176
○上田(卓)委員 この点についてもそういう事情にあるということを十分頭に入れて努力をしてもらいたい、このように思います。
 次に、恩給法の改正につきましてお尋ねをしたい。
 まず、今回の改正案の実施時期について聞きたいわけでありますが、再三再四われわれ要望を繰り返してまいったわけでございますが、ことしも実施時期は四月、六月、八月、十月、十二月と五段階に分かれておるわけで、果たしてこれで昨年よりも改善されたのかどうか、非常に疑問を持つわけでございます。本当に一段階でも減らす必要は感じなかったのかどうか、その点についてお聞かせいただきたい。
 実施時期の一本化を求める附帯決議が七七年から毎年なされてきておるわけでございまして、そのことは恩給局が一番よく御存じでなかろうか、このように思います。確かに、公務員の給与の改善に伴う恩給の改善分については、七六年の四月一日から実施されることになったわけでありますが、その後この四月一日実施は定着したかに見えるわけでございます。しかし、これは完全に定着したというのではなく、またおくらされる可能性も十分あるのではないか、このように思います。その証拠に、七六年以降の実施時期の一本化は全然はかどっていないという実態があるわけでございまして、この附帯決議に書かれているところの実施時期の一本化の必要を実際認め、尊重する気持ちがあるのかないのか、改善のめどについてはどうかということについてお聞かせいただきたい、このように思います。
#177
○小熊政府委員 今回の恩給改善の実施時期でございますが、先生おっしゃるように四月、六月、八月、十月、十二月、こう分かれておるわけでございます。一本化どころかどんどん分化しているじゃないか、後退しているのじゃないかという御趣旨かと思いますが、まず、いま先生おっしゃいましたように、ベースアップといいますか、恩給年額の改善あるいは加給分、要するに公務員の改善を指標としたような改善についてはずっと四月ということでやっておるわけでございますが、その他の改善につきましては、最低保障であるとかあるいは扶助料であるとかいったものについては、もう少し手厚い中身をつけたいということで努力しておるわけでございます。
 こういった中身をよくする、さらにまた実施時期も繰り上げるということになりますと、やはり御承知のような非常に厳しい財政の中で、よく私もたとえて申し上げるのですが、現在恩給受給者が約二百五十万いるわけでございまして、この方に年額千円、月額にして八十三円三十銭上げるということによって、二十五億の金が必要になるわけでございます。そうなりますと、やはり限られた財源といいますか、非常に厳しい財政事情の中で受給者のためにどちらをわれわれとるべきかということを考えますと、やはり若干おくれても中身を手厚くしておくということの方が、もちろん、そういたしますことによって来年さらに苦しくなる、次の年にさらに苦しくなるというのは、平年度化して一年分どうしても計上せざるを得ないということでそのことはわかっておるのでございますが、どうしても私どもは中身を手厚くいたしたいということで、今回のような区々の実施時期を定めておるわけでございます。
 なお、この実施時期につきましては、いま申し上げましたように、公務員給与を指標とした改善について四月、それから最低保障であるとかあるいは傷病恩給であるとか非常に社会的に弱い立場にあるような方、こういった方の改善は六月、それから八月は寡婦加算の改定でございますが、これは厚生年金との見合いでございまして、厚生年金の改善に伴う改善ということで八月にいたしたわけでございます。それから十月、これは国際電気通信の通算の問題でございます。それから十二月が旧軍人に対する加算年の減算の緩和ということでございまして、それぞれにできるだけ社会的に弱い立場にある方についてはなるべく早く、一カ月でも早くしたいという気持ちでやっておるわけでございます。
#178
○上田(卓)委員 改善の実施時期を遅くするということで何か国民に手厚い保護をしているんだというような、私はこれは見せかけだ、あるいはマジックというのですか手品というのですか、あるいは悪い言葉で言うたらペテンじゃないかと言わざるを得ない、こういうように思うわけでございます。やはりこれは国民を惑わすものであって、一本化するということが附帯決議になっているわけですから、これをあくまでも尊重してもらいたい、こういうように思います。
 今年度は恩給の受給者が二百六十二万人から二百五十七万人にと約丁九%減少しておるわけで、それに応じて一般会計に対する恩給費総額の比率も三・五二%から三・四八%へと減少している。そういうことから微々たる改善がなされた、こういうことになるのかもわかりませんが、しかし、われわれは実施時期が一本化されることによって国民に理解が得られるということがやはり大事ではなかろうか、こういうように思います。それと、一本化とともに総額の拡大の姿勢というものがぜひとも必要だ、私はこのように考えるわけでございますが、そういう意味で、一本化の問題と総額について基本的な考え方をお聞かせいただきたい、このように思います。
#179
○小熊政府委員 一本化の問題につきましては、ただいま申し上げましたように国会でいろいろ御審議もいただき、附帯決議もいただいておるわけでございまして、私どももこれに向かって進んでいくべきであるというように考えておりますし、また事務的に申し上げましても、私ども自身としても一本化を望んでおるわけでございますが、いま申し上げましたように、内容をとにかく充実したいという要求が私ども自身にもありますし、また、受給者の方々にもそういう御要望が見受けられるわけでございまして、これらを踏まえて私ども進めておるわけでございます。もちろん、内容もよくする、さらに実施時期も一本化するということになりますと、これは先生おっしゃるように規模を大きくするということにならざるを得ませんが、こういったことも、ほかの年金制度等との絡みもあるかと思いますが、こういった横をにらみながら規模の拡大ということもあわせて努力してまいりたい、このように考えておるわけでございます。
#180
○上田(卓)委員 本来四月一日の実施分ですらも昨年の物価上昇よりも低い、昨年の公務員賃金の上昇の後追いにすぎない、こういう状況になっておるわけでございまして、ことしの公務員賃金の上昇には一年間のおくれがある。その結果ことしの物価上昇率との間には大きなギャップが生まれておることは御承知のことでありますが、国民の生活を守る、こういうためには物価上昇をカバーする生活費といいますか、そういうものをどう保障していくかということが非常に必要であろう、こういうように思うわけであります。そういう意味で、一年おくれの解消はこういう観点で行うことが必要ではないか。
    〔塚原委員長代理退席、委員長着席〕恩給年額の抜本的増額を行うことによってということでありますから、そういう意味で、一年おくれの解消をするということが実質的にそういうカバーをするということにもつながってくる、このように思うわけでありますが、この点についてはどのようにお考えでしょう。
#181
○小熊政府委員 私ども恩給年額全般を改善しますのに、前の年の公務員の改善率、これを指標として使っておるわけでございます。これはずっと従来ともやっておったわけでございますが、これを指標として使うことによって実質的にも公務員より果たして一年おくれているのかどうかということについては、これはいろいろ問題があるのじゃないかと思います。ほかの年金制度もございますので、いろいろその辺との兼ね合いも考えながら検討はしてまいりたいと思いますが、しかし、いずれにしましても先生いまおっしゃったような恩給受給者という非常に弱い立場にある方々、特に戦争未亡人であるとかあるいは傷病者、こういった方には公務員ベースなんというものじゃない、十何%というアップを絶えず続けてきておるわけでございまして、実質的に恩給年額そのものが一年おくれであると必ずしも言えないのじゃないかという自負は持っておるつもりでございます。ただ、何にしましても一年おくれという附帯決議もございますので、これについてはまたいろいろ今後とも検討してまいりたいと思います。
#182
○上田(卓)委員 一年おくれの附帯決議ということがあるということを知りながら、またそれを否定するような、そういうニュアンスの発言があるということは非常に遺憾だ、こういうように私は思うわけであります。そういう点で、何を言いましてもこういう一年おくれというものを解消することが一にも二にも大事なことでありますから、鋭意そういう立場でひとつ御努力いただきたい、このように思います。
 時間の関係もありますので次に移りたいと思います。
 普通恩給等の最低保障額については、今回は六十四万七千円から七十万円に引き上げることになったわけであります。これに対して、遺族に対して支給をされる普通扶助料の最低保障額は四十五万五千円に引き上げられることになっているわけでございますが、ようやくのことで普通恩給の六五%相当額にこれでなったわけでありますが、遺族に対する補償としては十分ではない、私はこのように思うわけであります。この水準をさらに八〇%近くにまで改善していく必要があると思いますが、その点についての考え方を明らかにしていただきたい、このように思います。
#183
○小熊政府委員 確かに、先生御指摘のように、扶助料は六五%という水準でお願いしたわけでございますが、ただ、先ほどもちょっと申し上げましたように、老齢寡婦については寡婦加算をつけておりまして、これが五十四年度の四万八千円をさらに大きく上回りまして年額十二万という寡婦加算をつけておるわけでございます。これによりまして、水準といたしましては八二%まで上がっておるわけでございます。
 また、いま申し上げた数字はすべて長期在職者の数字でございますが、これを短期在職者について見ますと、六年未満の実在職年を持つ方については九九%という数字になっておるわけでございます。ただ、六五%でとまっていいということを考えておるわけではございませんが、これも、他の年金制度等もございますので、それらも見ながら今後ともまた改善に努力してまいりたい、このように考えるわけでございます。
#184
○上田(卓)委員 次に進みます。
 傷病者遺族特別年金といわゆる増加非公死扶助料は、ともに公務による傷病者が別の理由で亡くなったときの遺族への補償であるわけでございますが、前者は今回の改正案で十八万二千九百円と著しく低いわけで、後者の九十万円と比較しても、遺族への補償としてはきわめて手薄いのではないか、こういうように思うわけであります。そういう意味ではもっと大幅な増額をすべきだ。そういう意味で、たとえば片手の指をほとんど失い、そして働けなくなった人が亡くなっても遺族は十分生活ができるというような形にすべきだ、このように思うわけでございますが、その増額についてどのようにお考えですか。
#185
○小熊政府委員 増加非公死扶助料と申しますのは、増加恩給を受けておられた方が亡くなった場合で、増加恩給を受けるという方は全盲の方であるとかあるいは腕を全くなくしてしまった方とか非常に重い方でございまして、こういう方々には増加恩給のほかに、勤務年限の長短を問わずに普通恩給をつけておるわけでございまして、こういった意味で、戦前から、こういった方々が亡くなった場合、仮に平病死でも増加非公死扶助料を給しておったわけでございます。
 傷病者遺族特別年金と申しますのは、いわゆる款症という、非常に軽いと申しますか、項症に比べればもうずっと軽い方々、この方々が他の原因で、たとえば交通事故であるとかほかの病気であるとか、こういうことで亡くなられた場合に、従来は扶助料はついていなかったわけでございます。これを昭和五十一年から特別に年金をつけるということで、当初十万円という額から発足したわけでございまして、ここ数年で今回十八万何がしという非常に大幅な増額をいたしておるわけでございます。
 ただ、私どもとしましても、そういった経過はございますが、一たんそういう制度をつくった以上は、これをますます改善していきたい、こう考えておりますので、今後とも改善に努力してまいりたい、このように考えております。
#186
○上田(卓)委員 昨年の法改正によって、六十歳以上の者については加算年を年額計算の際の基礎在職年に算入し、減算制を廃止することになったわけでありますが、この加算年の事務処理については、加算年を把握するための資料不足などからかなりの日数を要しているのが現状ではないか、このように思うわけであります。この事務処理がおくれ、請求者のもとに改定されたところの恩給証書が届かないようなことのないように特段の配慮が必要だというように思うのですが、この改善についてどのようにお考えでしょうか。
#187
○小熊政府委員 加算年につきましては個々の請求者の履歴というものが必要になるわけでございますが、こういったものが、陸軍については各県庁、海軍については厚生省の援護局にありまして、これに基づいていろいろな資料が作成されて私どものところに届いてくるわけでございます。それで、資料が完全にそろっている場合わりあい簡単なんでございますが、戦災等で亡失してしまったといったような場合には、これをいろいろな方法、たとえばその軍隊がどういう動きをしたかといったようなことを後追いしながらそういった履歴をつくっていくという手間もございますし、さらに、世代もだんだん若くなってまいりまして、昔の軍隊の制度そのものについても理解するのが非常にむずかしくなっておるという面もございまして、そういう意味で、確かにおっしゃるとおり、若干おくれている面もあるかと思いますが、私どもできるだけそういった事務を合理化すべく、たとえば戦前に裁定されたような方については、私どもの方の資料は全部なくさずにとってありますので、それを府県の方にお回しするといったようなことをやりまして、本属庁である厚生省あるいは都道府県、こういったところと十分な連絡をとりながら迅速化に努めてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
#188
○上田(卓)委員 最後にもう一点御質問申し上げます。
 恩給というのは、今日では退職後あるいは老後の生活保障という意味を強く持ってきておるわけでございまして、老齢者に対する福祉向上という観点から制度の改善をしていく、そういうことが時の流れではないか、趨勢であろう、こういうふうに思うわけであります。
 ところが、現行法では、国民年金法に老齢福祉年金の支給停止の項があるわけであります。恩給法の今回の改正では、普通恩給の四十五万円以上の受給者が老齢年金を打ち切られることになるわけでありまして、これでは高齢者のための恩給増額とは言えない。本当に摩詞不思議というのですか、納得できないような状況が起こっておるわけでございますが、このような支給制限をなくする努力がぜひとも必要だ、このように思うのですが、その点についてどのようにお考えですか。
#189
○小熊政府委員 老齢福祉年金との併給問題でございますが、これについて、老齢福祉年金をもらっているから恩給をどうするということは一切やっておりませんで、老齢福祉年金の方がどうするかという話でございまして、私どもの方からも十分厚生省の方にその点伝えておきたいと思います。
#190
○佐々木説明員 福祉年金と公的年金の併給の問題のお尋ねでございますが、御承知のように、併給の限度額を設けまして、一定の範囲内で併給という形になっておるわけでございます。五十五年度におきましてはこの限度額を四十五万円に引き上げるというふうに改善を考えております。
#191
○上田(卓)委員 いわゆる支給制限をなくするわけですか、ちょっとわかりにくかったのですが。
#192
○佐々木説明員 福祉年金は、先生御承知のように、制度ができましたときに、国の方から国の制度として他の年金を受けてない者に支給するという趣旨で設けられたわけでございます。したがいまして、趣旨といたしましては、ほかの年金に併給するという趣旨のものではないわけでございます。ただ、現実に当時年金額が低額のものがございましたというような経緯から、一部限度額を設けまして、その限度額に達するまでは福祉年金も併給するということで運用をしてまいったわけでございまして、ただいま申し上げました四十五万円というのは、その限度額の五十五年度の引き上げ後の水準でございます。
#193
○上田(卓)委員 せっかく普通恩給が引き上げられても、引き上げられたためにかえって老齢福祉年金の方が打ち切られるという制限を受けるということは高齢者対策になっていない、だからそういうものを撤廃すべきだ、こういうことでありますので、その点十分踏んまえていただきまして、厚生省と恩給局との兼ね合いというものもまたあろうかと思いますけれども、われわれとしてはこの点については納得できないということを申し上げて、私の質問を終わりたい、このように思います。
#194
○木野委員長 次に、山田英介君。
#195
○山田(英)委員 最初に、旧陸海軍従軍看護婦についての問題で、厚生省の援護局に何点かお尋ねをしたいと思っております。
 まず一点は、昭和五十五年度予算で千七百万円の調査費がつけられておりますけれども、この調査作業が終了するのは大体いつごろになりますか、見通しについてお尋ねをいたします。
#196
○石井説明員 お答えいたします。
 陸海軍看護婦の実態調査につきましては、先ほどお話をいたしましたとおり、実態が非常にはっきりしていないということでございまして、私どもの資料といたしましては、二十年一月一日現在外地にあった人の名簿と、それから帰還時に上陸地でもって御本人がお書きになった落ちつき先、それしかございません。この者が五千七百四十一名に一応なるわけでございまして、この名簿の抽出をいま私どもはやっておるわけでございます。
 したがいまして、何分古い年次の本籍であり現住所等でございますので、私どもは、都道府県を通じましてまずこの陸海軍看護婦さんの現住所を当たらなければならない。こういうことからいたしまして、いつごろ終わるかという見通しはちょっとむずかしいわけでございます。ただ、私どもとしては、なるべく早期に実態調査に取り組みまして、早く結果を取りまとめたいということを考えておる次第でございます。
#197
○山田(英)委員 ぜひひとつ鋭意御努力をお願いしたいと要望しておきます。
 それで、八月の概算要求に間に合うようにこの作業を進めていただきたいという要望が非常に多く来ているわけでございますが、具体的に八月というこの概算要求と絡めた場合、もう一度御答弁
 いただきたいと思います。
#198
○石井説明員 ただいまのところ、いま申し上げましたような状況でございますので、できるだけ努力したいというふうにお答えしておきます。
#199
○山田(英)委員 旧陸海軍従軍看護婦の会の組織でも、全力を挙げてこの会員の掘り起こしに努力をされておるわけでございます。ここに会員の状況等、一生懸命やっておるような資料もございますけれども、すでに相当数の人が掘り起こされておるというのが現状でございます。現在判明している分からでも五十六年度予算に組み入れられるような措置をぜひ講じていただきたい、このように強く要望申し上げる次第でございますが、いかがでございましょうか。
#200
○関(通)政府委員 ただいま陸海軍の従軍看護婦さんの御質問でございますが、日赤の従軍看護婦の場合、総理府に予算を計上いたしまして日赤本社から支給しているという経緯もございます。陸海軍の看護婦さんの場合につきましても、厚生省の調査が明らかになりました時点で、総理府といたしましても関係方面と御相談いたしまして、できるだけ早急な対処ができるように努力したいと考えております。
#201
○山田(英)委員 総理府総務長官もお見えでございますが、総理府にお伺いをいたします。
 現在この調査を厚生省でやられているわけでございますけれども、その調査が終わられて、それ以降のもろもろの事務等を所管する母体の官庁となるところはどこになるのか、この辺ちょっとお伺いをしておきたいと思います。
#202
○関(通)政府委員 厚生省の調査が明らかになりました段階で、関係機関と相談したい、かように考えております。
#203
○山田(英)委員 次に、総理府の管理室に、元日赤の従軍看護婦の慰労給付金制度の改善について何点かお尋ねをいたします。
 まず、昨年末に第一回の慰労給付金が支給されたところでございますが、私はまだ十分だとは言えないと思っております。受給者に対して恩給制度に準ずる慰労給付金の増額を私はこの際ぜひ図るべきであると思いますけれども、その見通しについてお伺いをいたします。
#204
○関(通)政府委員 日本赤十字社の従軍看護婦につきましては、ただいま先生御説明ございましたように、昨年の十二月に第一回の慰労金を交付したわけでございます。五十四年度に交付しました人数の総数が千四十四人、約八千七百万円の予算で交付金を交付したわけでございます。五十五年度は総額一億三千万円の予算を計上いたしておりまして、五十四年度と同様に慰労金を交付するわけでございますが、総額がふえておりますのは、五十四年度は初年度でございますので金額がやや少のうございましたが、五十五年度はそれが平年度化されてふえているということでございまして、基本的なベースは五十五年も五十四年と同じでございます。
 増額という御質問の御趣旨は、その給付のベースをふやしていけないかということだと存じます。これも先ほど来の御質問にお答えいたしてまいったわけでございますが、この慰労金の給付を決めますまでには国会を初め関係方面でのいろいろな御議論がございまして、当初は何とか恩給法あるいは援護法のような年金制度の形でできないかというような御議論でございましたが、なかなかそのような形にするのはむずかしい、しかし、何とか御苦労に報いたいということで慰労金という形でスタートしたわけでございます。このような基本的な性格から、スライド式に増額させるということはいたしかねるわけでございますが、毎年予算を計上いたしておりますので、将来大きな経済的な変動その他ございますれば、やはりそれなりに検討して対処しなければいけないだろう、かように考えております。
#205
○山田(英)委員 受給資格の要件から除外されている者、すなわち、現在は在勤年数が三年以上にわたり、かつ旧軍人と同様の加算年を加えて十二年以上に達する者となっているために、昭和十二年の七月以前に召集をされました従軍看護婦につきましては対象外となっているわけでございます。これらの人たちにつきましても、私はこの際対象となるように措置を講ずるべきである、このように思いますけれども、見解はいかがでございますか。
 また、あわせまして、外地の台湾、朝鮮勤務者についても対象に入れるべきだというふうに考えるわけでございますが、いかがでございましょうか。
#206
○関(通)政府委員 前段の昭和十二年以前の問題でございますが、慰労金を給付いたしておりますのは、先生御指摘のように、昭和十二年の七月七日以降戦地で戦時衛生勤務に服した期間及び引き続き海外で抑留された期間、これを対象に慰労金を交付しているわけでございます。この趣旨は、この慰労金が、やはり第一線の野戦病院あるいは兵たん病院等で大変御苦労をされまして、しかも敗戦後引き続き海外でかなり長期間抑留された方々もおられて、そういう御苦労に報いようという趣旨でございまして、昭和十二年以前と申しますと、昭和六、七年の満州事変、上海事変に日赤の看護婦が派遣されたことがあるそうでございますが、ただいま申しましたような趣旨からいたしますと、やはり昭和十二年以降の今次大戦を対象に考えるのが適切ではないか。
 それからもう一点、戦後措置されました戦傷病者戦没者遺族等の援護法でございますが、これも今次大戦の戦傷病者、戦没者を対象にするということでやはり昭和十二年以降に適用いたしております。かようなことも勘案いたしまして、適用が昭和十二年以降になっているということでございます。御理解いただきたいと存じます。
 第二点の、台湾等も対象にすべきではないかというお話でございますが、これも日本赤十字社で具体的な支給手続を定めておりまして、これに基づいて支給しでいるわけでございますが、その規則の中で戦地の範囲を定めているわけでございます。ここに台湾、朝鮮等が入ってないわけでございますが、これはやはり今回の慰労金を支給いたします対象が、戦争の行われました戦地の第一線の病院で勤務された方々に対して慰労申し上げようという趣旨でございまして、実際に戦闘の行われておりません台湾、朝鮮等はその対象から除外しているわけでございます。しかし、今次大戦が始まりました昭和十六年以降につきましては、内地から病院船等で南方に向かわれて途中で台湾に寄ったというようなケースもあるようでございますが、船に乗っている期間は日本を出ましてから期間に計算いたしておりますので、さような考慮はされているというぐあいに申し上げたいと存じます。
#207
○山田(英)委員 元日赤従軍看護婦に対する慰労給付金制度が兵に準ずる扱いを趣旨としております点を考えるならば、給付内容及びその対象を恩給制度に可能な限り近づけるべきであると思います。その意味からも、すでに死亡された方の遺族に対する処遇についてもこの際考慮をされるべきだと考えるものでございますが、いかがでございましょうか。
#208
○関(通)政府委員 日赤の看護婦に対します慰労金は、基本的に戦地で御苦労された御苦労に対して慰労申し上げるという趣旨でございまして、この制度が発足します前にいろいろ検討はされたのでございますが、いわゆる生活保障的な年金制度としてこれを運用するという方法がとられてないわけでございます。
 したがいまして、兵の恩給と比較いたしました場合、基本的な恩給額あるいは加算の方法等は恩給に準じて計算いたしておりますので、実在年数別に見ました金額は一応見合っているわけでございます。日赤看護婦の場合十万円から三十万円というぐあいになっておりますが、この金額は兵の恩給年額の基礎計算と見合っているわけでございます。しかし、兵の恩給の場合は最低保障額というのがございまして、最低保障額で引き上げられる、それから特に高齢者につきましては高齢加算があるという、この二つがありますために、現実に支給されます金額を比較しますと、日赤看護婦さんの場合かなり低いということがあるわけでございます。しかし、この最低保障額というようなことは、やはり生活保障であるという年金制度の特質でございまして、慰労金の性格を持っております日赤看護婦さんの場合これが適用できない、かように御理解いただきたいと存じます。
#209
○山田(英)委員 それでは、慰労給付金の物価スライド制の導入についてはどのような見通しをお持ちでございますか。
#210
○関(通)政府委員 物価スライドの問題につきましても、ただいま御答弁申し上げました、この慰労金の基本的な性格が生活保障的な年金ではなくて、過去の御苦労に対する慰労であるというようなことからスライド制を考えておりませんし、また、これに取り入れることは困難である、かように考えております。
#211
○山田(英)委員 最後に一問。在職期間と加算年を加えまして十二年未満の方々については現在何らの措置も講じられていないわけでございますが、これらの人々についても何らかの処遇を講ずべきではないかと考えるわけでございますが、いかがでございましょうか。
#212
○関(通)政府委員 慰労金は、加算年を加えまして十二年以上の方を資格年限として支給いたしているわけでございます。ただ、十二年と申しましても、実際は加算の結果の十二年でございますので、三年未満の方は該当いたしませんが、三年以上の方でございますと、加算して十二年以上になれば有資格者として慰労金の交付の対象になっているわけでございます。この慰労金の趣旨が、何分にも長年にわたる御苦労に報いるという趣旨でございますので、かような年限の制限は設けておりますが、長年が何年が適切かという御議論はあろうかと存じますが、慰労金の趣旨から、かような措置をとっているというぐあいに御理解いただきたいと存じます。
#213
○山田(英)委員 いろいろ隘路もあるようでございますけれども、特に旧陸海軍従軍看護婦、それから元日赤従軍看護婦のこれらの諸点につきましては、引き続きぜひとも温かい御配慮をもって、こういう観点からお取り組みいただきたい、要望いたしまして、質疑を終わります。
#214
○木野委員長 次に、中路雅弘君。
#215
○中路委員 本会議が延びて、大分時間も過ぎていますし、同僚議員から大体同様の質問が続いていますから簡潔にして、予定の時間よりも早くできるだけ終わりたいと思うのですけれども、三、四十分で終わらしていただきたいと思います。
 恩給法の改正そのものについては辻議員が御質問をいたしましたので、私は幾つかの戦後処理の問題について御質問したいと思いますが、最初に、いまも御質問がありました看護婦さんの問題ですが、昭和五十年、七五年の十月に、九月から皆さんが運動を始められたわけですが、この委員会で私が長時間この問題を取り上げまして、後、恩給の小委員会等でも審議をしていただいたわけですが、当時、陸軍大臣通達やあるいは赤紙等もこの委員会の場に持ってまいりまして、恩給法の適用ということについて御質問したわけですが、その後運動も発展しまして、また、私たちの党だけでもその後九人の議員が十四回にわたってこの問題で委員会で質疑も続けてまいりました。関係者の皆さんあるいは国会での各党の皆さんの努力の中で、五十四年度から慰労金という形で支給されるようになったわけです。
 最初にお尋ねしたいのですが、五十四年度の慰労給付金の形で支給されましたこの給付の状況といいますか支給対象、それから、五十五年度成立しました予算の中で組まれています、今度六月、十二月の二回に分けて支給されます対象、そういった点について、簡潔に御報告いただきたいと思います。
#216
○関(通)政府委員 五十四年度、旧日赤看護婦の慰労金の経費といたしまして総理府に予算を計上し、その予算を日赤本社に補助金で交付したわけでございます。日赤本社におきましては、昨年の十二月の初めに第一回の慰労金を各看護婦に支給いたしております。十二月初めの段階では書類の整理されました千三十九人に支給いたしまして、その後五十四年度末までに総数千四十四人に慰労金の支給をいたしております。
 五十五年度の予算におきましては、慰労金のための経費として一億三千万円を計上いたしております。支給対象人員は千九十八人と推定いたしております。支給対象が五十五歳という年齢制限がございますので、今年度新たに支給対象に入る方もおられるわけでございます。年二回、六月と十二月に日赤本社が支給することにいたしておりますので、六月と十二月に支給されることになる予定でございます。
#217
○中路委員 平均金額で年間幾らぐらいになりますか。
#218
○関(通)政府委員 五十五年度予算で申しまして平均年額十三万円でございます。
#219
○中路委員 当初は軍人恩給並みの支給ということが要求でありましたし、こうした関係者や私たちが要求した内容から見ますと、まだ大変不十分なところがあるわけですし、できるだけ支給の差をなくしていく、縮小したいと思います。
 先ほども御質問があったのですが、一、二点、重ねて私はお尋ねします。
 一つは、加算年数を含めて十二年未満の人たちは全部除外になっていますが、十二年未満の人たちに一時金でも支給することが必要ではないか。後で御質問します旧陸海軍の人たちもいま運動されておりますが、運動されている方の会の千三十六名の会員の中でも、聞いてみますと、運動はしているのだけれども、日赤の看護婦さんと同じということになりますと、半分は対象に入らないというのです。自分が直接もらう慰労金じゃない、しかし、みんなのために運動しておられるということなんです。旧陸海軍の場合でも二万人ぐらい対象がおられるというのですが、調査されても恐らく千名超えないだろうという話もあります。そういう点で、十二年未満の人たちに対する何らかの救済あるいは一時金といったことも必要ではないかと私は思います。制度が発足してすぐの問題ですけれども、今後検討していただきたいと思いますが、お考えをお聞きしたいと思います。
#220
○関(通)政府委員 日赤看護婦の慰労金は加算年を加えて十二年以上を資格年限としておるわけでございます。十二年未満の方には一時金等の支給もいたしてないわけでございますが、十二年と申しましても、実際に、実在職年数三年で、加算すると十二年以上になる方もおられるわけでございます。この慰労金の趣旨は、本委員会等の御議論におきましても、長年の御苦労に報いるために何らかの措置をすべきであるという御趣旨でございまして、ある程度の年数以上の方という資格制限を設けさせていただいているわけでございます。ただいまは日赤看護婦の問題でございますが、今年度、陸海軍の看護婦さんにつきましても厚生省で御調査になるわけでございます。かような問題もまだ抱えておりますので、これについて一時金支給等は非常にむずかしいというぐあいに申し上げたいと存じます。
#221
○中路委員 この問題は改めてまた検討していただきたいということを重ねて要望しておきたいのです。
 もう一つは、これも各議員の皆さんからも要請がありましたが、先ほどお話しのように年間平均十三万ですから、今日、狂乱物価が再来するのじゃないかという生活状況、経済にも大きな変化が起きてきているという中ですから、物価スライドということもあるでしょうし、増額ということも考えられるわけですが、この問題について今後何らかの方法で増額を考える。お話を聞いたのですが、四月に居住の調査というのですね、証明書をもう一度持ってこいということで連絡が来ているそうですが、お勤めの人も、役場から遠い場合はこういう手続だけでもまる一日かかるというのですね。そういう中で年間わずか十万余りの支給ですから、やはり大きな経済変動もあるという場合には、改めてこの金額についてどういう方法があるかいろいろ検討――年金等の支給でも、厚生年金あるいは恩給それぞれのやり方があるわけですけれども、増額についてその際は検討していただくということについてひとつお考えをお聞きしたいと思うのです。
#222
○関(通)政府委員 慰労金であるという基本的な性格からいたしまして、年金等で採用されております物価スライド式の方式はとれないわけでございます。また、この措置がスタートしたばかりでございまして、まだ陸海軍の看護婦さん等の問題も抱えておりますので、増額云々ということはなかなか議論しにくいわけでございます。ただ、毎年予算計上して措置いたしておりますので、将来著しい経済変動等がございましたら、その時点では検討しなければならないだろう、かように考えております。
#223
○中路委員 将来大きな経済変動があれば検討もしなければならないだろうという御答弁ですけれども、現に公共料金初め物価の大きな上昇が起きてきているわけですから、改めて検討していただきたいということを私は重ねて要請しておきたいと思います。
 関連をした元陸海軍従軍看護婦の処遇の問題ですが、昨年も当委員会で附帯決議がつけられ、さらに請願も全会一致で採択されています。昨年九月の内閣委員会の附帯決議では、「戦地勤務に服した旧陸海軍看護婦については、旧日赤看護婦に準じ、適切な処遇措置を講ずること。」また同趣旨の、旧日赤看護婦と同様の措置を講ずるという請願の採択も委員会でしているわけですから、ぜひ速やかに処置ができるように進めていただきたいのです。
 厚生省の調査費が千七百万ついていますが、先ほど御答弁があったように、名簿でわかるのは五千から六千ぐらいじゃないかと思うのですね。約二万と言われていますから、あと一万五、六千というのは改めていろいろな形で調査をしなければならない。しかも早急にこの調査をしなければならないわけですが、予算が決まったいまの段階で、どういう形で早急に調査を進める段取りをお考えなのか。できれば次の年度から支給するのが一番いいわけですけれども、そうしますと、先ほどもお話がありましたように、概算要求の時期ということも出てくる。大変むずかしい作業だと思いますけれども、いつまでも調査でおくらせていくわけにもいかないという問題です。これは厚生省になると思いますが、この調査をどういうふうに進めていかれるのか、お聞きしたいと思います。
#224
○石井説明員 お答えいたします。
 先ほど申し上げましたとおり、私どもで現在一応把握している人員というのは五千七百四十一名でございます。この名簿を現在私どもは抽出調査をやっております。そしてこれをまず都道府県別に分けまして、調査票と同時に各都道府県に配付する。都道府県におきましては、その五千七百四十一名の名簿は何分昭和二十年のものでございますので、まず本籍県へ送りまして、その後その県で現住所調査をしていただく。そこでわかった方に調査票を配付いたしましてこれを回収するということで、私どもといたしましてもなるべく早くそれをつくりまして実施をしたい、こういうふうに考えております。
#225
○中路委員 これは二万人と言われている対象が全部調査が終わらなければ支給の問題の相談ができないことになりますか。ある一定のところで調査が終わって、そこからできるだけ早く支給するということが必要だと思うのですが、その点のお考えをもう一度お聞きしたい。
#226
○関(通)政府委員 厚生省の御調査がまとまった時点で、総理府といたしましても、厚生省を初め関係の方面とどういう処遇をするかということを基本的に御相談しなければならないだろうと思っております。
 わかった分からできないかという御質問でございますが、やはり日赤看護婦と陸海軍の看護婦と基本的に性格が違っておりまして、一口に申しますと、日赤看護婦は戦地で戦時衛生勤務につくというのが本務でございますが、陸海軍の看護婦は本来は内地の陸海軍病院で勤務するというのが本務でございます。しかしながら、実態的には、太平洋戦争の末期におきまして外地に派遣され、日赤看護婦と同じような勤務をしているのだ、制度上は違うけれども実態的には同じだという御指摘があるわけでございます。したがいまして、その辺の実態が調査で明らかになりました時点で、どういう対処をするかということを御相談しなければならないだろう、かように考えております。
#227
○中路委員 これも先ほどお話しのように、自分たちで自主的に調査を始めておられる。毎号ニュースが出ていますけれども、最近のを見ましても、二月二十日付で千三十六名という人たちの名簿が出ていますが、この人たちは郵送料を使って調査をし、あるいはニュースも出す。去年一年でどれくらい費用がかかりましたかと言って私お聞きしましたら、会計の方が持ってこられまして、去年一年だけでも三百四十二万円使っていると言われるのですね。それは仲間の会員の会費等で支出されているということです。しかもいまの千三十六名のうちの半分ぐらいは十二年ということで切りますと対象にならない。自分は対象にならないのですけれども、同じ仲間のことでみんな出し合って、年間三百万からのお金を出して運動をやっておられる。こういう実態は大臣の方もよく知っていただいて、できるだけこの人たちのあれに報いていくようにひとつ早い解決をお願いしたいと思います。
 多くの人たちがもう六十歳を超えて、平均年齢六十・五歳というのが出ていますが、八十歳もありますし、特に明治生まれの六十三名のうちの半分以上はいわゆる旧姓といいますか、ほとんどが独身者という中で高齢になって、いろいろお聞きしますと、身寄りがないとかアパート暮らしであるとか、あるいは生活保護ぎりぎりの人もおられるわけです。しかも去年一年だけで、この会に入ってから後でも四名、五名という方が亡くなっているわけですから、こうしたこともひとつ踏まえていただいて、この問題についてはできれば五十六年度の予算から支給ができるように対策を急いでいただきたいということをお願いしたいわけです。こうした実態を踏まえて、この問題は一言大臣にもお聞きしておきたいのですが、速やかにこれを支給できるように努力をしてほしいと思うのですが、いかがですか。
#228
○小渕国務大臣 旧陸海軍の看護婦の方々には私のところにも御陳情に来ていただいております。これに対応する政府の基本的考え方は先ほど政府委員から御答弁申し上げたとおりでございますが、調査費がすでに五十五年度予算に計上されておるという事実は、たてまえから言えば、これは調査の後に、実施するかしないかも含めて検討するということだろうと思います。しかし、調査費をすでに計上しておるということは、やはり何らかの処遇をしなければならないということも過去の実態例で示しておるところでございますので、御指摘にありましたように、速やかに厚生省に調査を完了していただきまして、その暁においてはできる限り早い機会に結論を得て処遇をするということは当然のことだろうと思いますので、総理府としては厚生省の調査結果を待って、鋭意前向きで対処したいと思います。
#229
○中路委員 次の問題に入りたいのですが、これは総務長官御自身にちょっとお尋ねしたいと思うのです。
 軍歴の年金通算をするということで議員連盟もできているわけですけれども、これは日赤の看護婦さん、旧陸海軍の看護婦さんの問題と同じような戦後処理の、何とかしなければならない一つの問題だと思います。この問題で総務長官も軍歴通算議員連盟の常任理事をやっておられたわけですし、三原さんが長官のときに、これは七九年の八月だったと思いますが、三原総務長官と議員連盟が話し合ったことがあります。そのときに、記録を見ますと、総務長官も議員連盟の代表で長官とお話をされていますけれども、御記憶がありますか。
#230
○小渕国務大臣 各党の代表の方々と御一緒に三原長官をお訪ねいたしまして、考え方を申し述べた席に私も列席をいたしました。
#231
○中路委員 そうしますと、要請の中身についてはもうよく御存じのことだと思いますけれども、五十五年度の予算を見ましても、調査費もまだ計上されていないという状況であるわけですが、確かに厚生年金、国民年金というのは保険料で賄っているわけですし、社会保障的なものですから、また片方は国家補償的なものですから、これをつなげていくという中で制度的にも、あるいはやるとすれば財源的にもいろいろ困難な障害、解決しなければいけない問題があると思います。総務長官は一番御理解があって、議員連盟の常任理事もやっておられたわけですから、これについて何らかの救済の方法を考えなければいけない。たとえば通算するかどうかということは別にしましても、基礎は、軍隊経験の短い、一時恩給で済まされた短期軍歴者、この人たちの要求でもあるわけですから、その点で、今度は大臣になられて総務長官という形で要請を受けられる立場にあるわけですけれども、この問題を今後どのように扱っていかれるのか、ひとつお考えをお聞きしたいと思います。
#232
○小渕国務大臣 短期の軍歴を持った方々が戦後、共済年金に移行していく場合と国民年金、厚生年金等に継続していく場合に、通算される場合、されない場合という不公平な状況が起こってきているということに関しまして、私も議員の一人として素朴な疑念を持ちまして、自民党櫻内会長のもとでその是正方の運動を展開してきたことは事実でございます。したがいまして、御指摘がありましたように、昨年、当時の三原長官にもこのことを強く要請したわけでございます。
 今度私も立場が変わりまして、総務長官ということで陳情を受ける立場になったのでございますが、しかし、いろいろ検討いたしておりますと、この問題についてはこのままの形であることがいいかどうか十分研究する必要もあるのじゃないか、こういうことで、五十五年度予算の中で調査費という形では計上いたしておりませんが、私といたしましては、ひとつ有識者の意見を十分拝聴してこの問題について研究する場も必要ではないか、こう考えまして、予算が通過いたしました暁において何らかの措置を講じたい、こういう考え方をいま持っておる次第でございますので、近々、でき得ますればこの軍歴通算の問題等に関しましては有識者の意見を拝聴する何らかの会等の設置について研究してみたい、このように考えております。
#233
○中路委員 この問題では、要請する側、議員の側と、いま政府の担当の、しかも関連の大臣ということですから立場は変わりましたけれども、運動されているころから一応の理解は持ってされていた大臣ですから、私は、ここで解決へ向かってこの問題をどう扱うかということに一歩踏み出した対策をぜひ進めていただきたい。いまのお話ですと、有識者の人たちの意見も聞いて研究もしていきたいということですけれども、ぜひ前進策でこの対策を考えていただきたいということを重ねてお願いしておきたいと思います。
 あわせて、シベリア抑留者に関する問題についても、先ほど他の委員から質問がありましたけれども、いわゆる戦後処理問題というのがまだたくさん残っているわけです。もう戦後処理の問題は解決したんだという御意見もありますけれども、しかし、当内閣委員会にもこうした関連の問題が国会ごとに請願としてたくさん寄せられてきている。だから、私はこうした問題をどこかで基準もつくり、一応統一した考え方ももう一度改めて見直して検討する必要があるのではないかというふうにも思っているのですが、こうしたいわゆる戦後処理に関連したような問題がどれくらいまだあるのか、また、処理されていま残っているものは件数としてどれぐらいあるのか、もしおわかりでしたら、件数だけでもお話を最初お聞きしたいと思います。
#234
○小熊政府委員 大きく戦後処理と先生おっしゃったわけですが、私ども恩給局としまして、恩給の枠の中ということで限定してお答え申し上げますと、いま陳情あるいは請願といったことで一番多いのは、かつて外国にございましたいろいろな特殊法人であるとかあるいは特殊機関、こういったところに勤めておられた方が帰ってこられて公務員になられた、こういった場合、そういった特殊法人、特殊機関における仕事が非常に公務に近いような、類似したような仕事をしておったのだからこれを公務員期間に通算せよというような問題が一つと、それからまた、そういった期間を公務員そのものとして見てくれ、こういうような二つの大きな類型がございます。その他、いま先生がおっしゃったようなソ連抑留とかそういうのはちょっと恩給の枠に入りませんのでそのことは除きまして、恩給の枠の中で考えますとそういった問題があるわけでございますが、私どもいろいろ聞いたり陳情を受けたりいたしますそういった外国の特殊法人、特殊機関、恐らく当時百を超えるものがあったと思います。私どもとしましては、その中で特に事業の内容であるとか、あるいはその性格の特殊性であるとか、あるいは当時の日本国の官吏との人事交流の実態であるとか、こういったことをいろいろ検討いたしまして、二十二の法人、機関については通算をしておるわけでございます。
 したがいまして、現在の段階で、当時非常に公務に近い仕事をしておったからこれを公務員と考えろとかあるいは通算しろというような話になりますと、当時、たとえば国内にありました軍需工場等におきましてもほとんど軍の仕事しかしておらなかったというような実態もございますし、いま申し上げた二十二の法人、機関については、これは十分検討したわけでございますが、その他についてはいろいろ他との比較その他で非常に困難な問題ではないか、このように考えておるわけでございます。
#235
○中路委員 あとわずかで終わりたいと思っていたものですから簡潔に何点かこの問題でお聞きしたいのですが、ことしになってからの当内閣委員会に付託されてきているこうした関係の請願案件だけとっても何件かあるわけですね。一つ一つ細かく実態をお聞きしていると時間もとりますから、論議するという意味じゃないのですが、一応いまの時点でのお考えですね、私がいま二、三例を挙げますから、それについていま政府の方はどういうお考えなのかということだけお聞きしておきたいのです。私たちも審議をしていく、検討していく一つの素材にもしていきたいと思うのですけれども、四、五点お聞きしたいのです。
 最初のは、一月二十九日に付託されている旧満州棉花協会等を恩給法による外国特殊機関として指定に関する請願というのが出ていますが、内容は皆さんの方は御存じだと思いますから、考えだけ一つずつお聞きしたいのですが。
#236
○小熊政府委員 私ども棉花協会についてはいろいろ陳情を受けておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、その業務の内容あるいは人事交流の実態といったことから考えまして、これを公務員期間に通算するというのは非常に困難ではないかというように考えております。
#237
○中路委員 少し実態に触れながら短くやってほしいのですが、もう一つは、きょうはお聞きするだけにしますけれども、同じような問題ですが、旧中華航空株式会社従業員を恩給法令の外国特殊機関職員として指定に関する請願、これは二月十九日に付託されていますが、この件についてひとつ。
#238
○小熊政府委員 当時中国あるいは満州におきまして航空機の製造あるいは修理あるいは航空による連絡、こういったことはほとんど軍の管轄のもとで行われておったという実態がございまして、これがいま先生のおっしゃった中華航空あるいは満州航空といったような形であったわけでございますが、同時に、日本国内においても大日本航空というのがございまして、これがやはりほとんど軍の仕事をしておったという実態があるわけでございます。これらの実態を考えましても、これらの職員を直接公務員並みというような考え方では非常にむずかしいのではないかというように考えております。
#239
○中路委員 いまお話がありましたけれども、同じようなのが出ているんですね。旧満州航空株式会社従業員を同じように指定をしてほしいという、これは中華航空と同じ御答弁だと思いますからあれですが、これも三月に入って請願で出されています。
 それから、その次ですが、これはちょっと実態が私たちもよくわかりませんので、実態に触れてお考えをお聞きしたいのですが、恩給年限に該当する元上海工部局警察官の救済に関する請願というのが二月一日に付託されていますけれども、これは若干実態に触れてお考えをお聞きしたいのです。
#240
○小熊政府委員 いま先生おっしゃったのは、上海共同租界の工部局の警察官の話ではないかと思いますが、これは大正五年に日本とアメリカ、英国などの領事団の共同管理のもとに設置されたわけでございますが、大東亜戦争が始まりました昭和十六年十二月八日の段階で日本側の管理下に移してしまった、こういう経過があるわけでございます。それで、昭和十八年八月一日に日華平和条約が締結されまして、これは南京政府に返還されたわけでございます。
 それで、この工部局警察官についての請願の趣旨は、この日本で接収した期間を公務員と同様に見て、これを全く公務員と同様に恩給公務員として認めてもらいたい、こういう趣旨であると理解しておるわけでございます。
#241
○中路委員 この問題についてのお考えもあわせてお聞きしたいのです。
#242
○小熊政府委員 この上海工部局の警察官につきましては、先ほど申し上げた三つの例とは違いまして、これは公務員期間に通算いたしております。ただ、公務員そのものではございませんので、恩給はあくまでも官吏あるいは軍人という身分をメルクマールといたしましてその対象に考えておるわけでございます。この上海工部局の警察官はいま申し上げた経過から申し上げても公務員そのものではないということで、これを恩給そのものという考えはしておりませんが、公務員期間として通算はいたしておるわけでございます。
#243
○中路委員 もう一点だけお聞きしておきたいのですが、これも三月に請願で出されていますが、旧支那派遣軍の湘桂作戦開始より終戦までの戦務地乙区分の甲区分への改定に関する請願というのが出されていますが、これについてのお考えをひとつ。
#244
○小熊政府委員 加算年につきましては、これは戦前、いろいろな地域区分あるいはその時期における戦闘状態の区分といったようなことから、軍がほとんどこれをランクづけしておったわけでございます。湘桂作戦というのがかなり大規模な作戦であったという理解はいたしておるわけでございますが、これをいまの時点においてそれだけ取り出して乙区分を甲区分にするということはきわめてむずかしいといいますか、実態自体も私ども余り把握できませんし、他の地域との均衡といったようなこともどうなるのか、ちょっとわかりませんので、いまの段階ではきわめて困難であるというように考えておるわけでございます。
#245
○中路委員 大体そろってこられたのでそろそろ終わりますけれども、いま幾つか例示しましたが、こうした請願あるいは要請、陳情が相次いで来ているわけですね。そういう意味では、恩給に関連した問題だけでもたくさん寄せられているわけですから、こうした問題について今日的な時点で、できれば第三者の有識者等の意見も聞きながら、政府としても一度審議をして、こうした問題についての一つの考え方、基準なり、そうしたものの検討をもう一度やってみる必要があるのではないかと私は思うわけです。広く言えば、恩給に関連した問題だけではなくて、当委員会でも先ほどから、シベリア抑留の問題もそうですが、幾つか取り上げられてきています。できたら、こうした戦後処理の問題についてもう一度今日の時点で政府としても広く検討してみることが必要ではないかと私は思うのですけれども、これはひとつ大臣にお聞きをしたいのです。
#246
○小渕国務大臣 恩給に関連をいたしました戦後処理問題については、政府としては一貫してすでに解決済みであるという立場をとっておるわけでございます。しかしながら、先刻来いろいろ御質疑がありましたような、その中でも幾つかの点について新たなる視点から、恩給そのものではありませんが、何らかの措置を講じてきたという事実も認めておるわけでございます。したがいまして、この点については、政府はあくまでも未処理の問題は在存しないという観点に立っておることはしばしば申し上げておるとおりでございますが、政府並びに国会の意思が統一された問題については、これまた国民の英知によって解決を見てきたことでございます。したがいまして、それぞれの問題については全国民的な視野に立って、政府も国民も理解されるというような形で処理されることが望ましいことであって、現時点におきましては、まことに申しわけありませんが、政府としては一貫した態度を持しておる次第でございますので、御指摘がありましたが、いま直ちに恩給問題全体をすべてこの時点に立って見直すということについては、御意見に沿いかねる次第でございます。
#247
○中路委員 これで終わりますが、いまおっしゃったのは、いままで戦後処理問題は解決しているんだということなんですが、しかし、これだけ関係者の皆さんから要請も請願も出ている問題ですし、また当委員会でも各党の皆さんから御質問をされている問題ですから、今日的な時点で、みんな戦争の犠牲者ですから、できるだけ国が救済の措置を積極的にやっていくのが当然だと私は思うのです。しかし、それには一定の国民的な合意といいますか、みんなが納得できる必要がありますから、私の言っているのは、すぐいま制度的に無理だとかだめだとか、あるいはこれはどうするという結論ではなくて、そうした問題をもう一度検討する第三者の機関といいますか、そうしたことがもう一度必要ではないかということをお話をしているわけなんです。
 ここに二日間の委員会の審議を聞いていましても、こうした問題に関連したことが各党の皆さんから本当にたくさん寄せられているわけなんで、私は改めてこのことを要請もして、できましたら委員会の中でもこうしたことが検討できるような小委員会といいますか、そういったこともできればいいのじゃないかと思うのです。大臣は先ほど御答弁になりましたけれども、これは委員長に、そうした検討もお願いしたいということもあわせて要請をしておきまして、三十分になりましたので質疑を終わりたいと思います。
#248
○木野委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#249
○木野委員長 この際、唐沢俊二郎君から、本案に対する修正案が提出されております
 提出者から趣旨の説明を求めます。唐沢俊二郎君。
    ―――――――――――――
恩給法等の一部を改正する法律案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#250
○唐沢委員 ただいま議題となりましした恩給法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 案文はお手元に配付いたしておりますので、朗読は省略させていただき、その趣旨を申し上げますと、原案のうち、公務員給与の改善に伴う恩給年額の増額等の措置は、昭和五十五年四月一日から施行することといたしておりますが、すでにその日が経過しておりますので、これを公布の日から施行し、本年四月一日から適用することに改めようとするものであります。
 よろしく御賛成くださいますようお願い申し上げます。
#251
○木野委員長 これにて修正案についての趣旨の説明は終わりました。
 修正案について別に発言の申し出もありません。
    ―――――――――――――
#252
○木野委員長 これより本案及びこれに対する修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。
 恩給法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
 まず、唐沢俊二郎君提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#253
○木野委員長 起立総員。よって、唐沢俊二郎君提出の修正案は可決されました。
 次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案について採決いたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#254
○木野委員長 起立総員。よって、本案は唐沢俊二郎君提出の修正案のごとく修正議決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#255
○木野委員長 ただいま修正議決いたしました本案に対し、唐沢俊二郎君、上原康助君、山田英介君、中路雅弘君及び吉田之久君から、附帯決議を付すべしとの動機が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。唐沢俊二郎君。
#256
○唐沢委員 ただいま議題となりました自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党・革新共同及び民社党・国民連合各派共同提案に係る恩給法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
   恩給法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について速やかに善処すべきである。
 一 恩給の実施時期については、現職公務員の給与より一年の遅れがあるので、遅れをなくすよう特段の配慮をするとともに各種改善を同時期に一体化して実施するよう努めること。
 一 恩給の最低保障額については、引き続きその引上げ等その改善を図ること。
 一 扶助料については、さらに給付水準の実質的向上を図ること。
 一 傷病者死没後の遺族に対する補償については、その改善を図ること。
 一 加算年の事務処理については、速やかに措置できるよう特段の配慮を行うこと。
 一 戦地勤務に服した旧陸海軍看護婦については、旧日赤看護婦に準じ、速やかに適切な処遇措置を講ずるとともに旧日赤看護婦に対する慰労給付金の増額を検討すること。
 一 恩給受給者に対する老齢福祉年金の支給制限を撤廃すること。
  右決議する。
 本案の趣旨につきましては、先般来の当委員会における質疑を通じて、すでに明らかになっておることと存じます。
 よろしく御賛成くださいますようお願い申し上げます。
#257
○木野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 本動議に対し、別に発言の申し出もありませんので、これより採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#258
○木野委員長 起立総員。よって、唐沢俊二郎君外四名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
 この際、総理府総務長官から発言を求められておりますので、これを許します。小渕総理府総務長官。
#259
○小渕国務大臣 ただいま恩給法等の一部を改正する法律案につきまして慎重御審議の結果御可決をいただきまして、まことにありがとうございました。
 ただいま御決議になりました事項につきましては、御趣旨を体し、十分検討いたしてまいりたいと存じます。
    ―――――――――――――
#260
○木野委員長 なお、ただいま修正議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#261
○木野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#262
○木野委員長 次回は、来る十日木曜日午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後七時三十五分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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