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1979/01/29 第91回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第091回国会 本会議 第4号
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1979/01/29 第91回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第091回国会 本会議 第4号

#1
第091回国会 本会議 第4号
昭和五十五年一月二十九日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第四号
  昭和五十五年一月二十九日
    午後二時開議
  一 国務大臣の演説に対する質疑
                (前会の続)
    …………………………………
 第一 日本専売公社法等の一部を改正する法律
    案(第九十回国会、内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑  (前会の続)
    午後二時三分開議
#2
○副議長(岡田春夫君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑 (前会の続)
#3
○副議長(岡田春夫君) これより国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。井岡大治君。
    〔井岡大治君登壇〕
#4
○井岡大治君 私は、日本社会党を代表して、大平総理の施政方針を中心に、当面する主要問題について質問をいたします。
 私は、質問に入る前に、今回発生した防衛庁のスパイ事件について、私の意見を申し述べておきます。
 政府・自民党は、防衛庁のみにその責めを問おうといたしておりますが、総理、あなたは国防会議の議長であり、最高責任者でありますから、その責任のあることを明らかにいたしておきます。(拍手)
 さきに、わが党の飛鳥田委員長が外交、内政全般にわたって見解を明らかにいたしましたので、私は、内政問題に重点を置いて質問を行いたいと思います。
 八〇年代のわが国の課題は、激動する国際情勢、エネルギー問題に正しく対処し、平和を守り、国民生活を安定、向上させることであります。しかるに、総理の施政方針は、これにこたえるものになっていないのを残念に思っているのは私一人ではありません。
 大平総理は、厳しい内外情勢に対応していくために「政治と行政が公正かつ清廉で、国民の信頼に応えるものでなければならない」と施政方針の中で明らかにされました。私も同感です。
 自民党内では、総裁選挙をめぐる党員獲得で金権政治が始まっていると言われています。このような自民党に清廉で公正な政治ができますか。(拍手)KDDを初め一連の不正経理の汚職事件は、自民党、官僚、財界との癒着、腐敗の実態を明らかにしたものであります。施政方針は、贈収賄罪の刑の引き上げ以外、具体的方針が何一つありません。
 さらに、財界の圧力によって当初の方針であった法人税を据え置き、かわりに多額の政治献金を受けるというのでは、自民党政府に清廉、公平な政治を望むことは無理ではないでしょうか。(拍手)
 わが党は、汚職防止のため、国会の調査権の拡大強化、情報公開法の制定による行政への国民の監視、贈収賄罪の刑の引き上げ、斡旋第三者収賄罪の新設、高級官僚の天下り規制、政治家の資産の公開、会計検査院の権限の強化拡充を直ちに行うことを要求するものであります。このような対策をとる考えがあるかどうか、総理の勇気ある御答弁を求めます。(拍手)
 清廉な政治をするためには、金のかからない、公正な選挙制度に改める必要があります。施政方針では、「鋭意検討」というだけで、全く前進が見られません。そればかりでなく、自民党は小選挙区制導入の方針を決めようといたしていますが、これは議会制民主主義の破壊、否定につながるものであります。わが党は断じて容認することはできません。(拍手)
 選挙制度については、定数の不均衡の是正、選挙の公営の拡大、選挙違反の連座制の強化、大企業の政治献金の禁止、政治資金の規制と公開の強化など行うべきであります。総理の具体的な答弁を求めます。(拍手)
 今日の赤字財政の根本的原因は、大企業優先の高度成長のため、補助金行政の肥大化、歴代自民党内閣の放漫な財政運営と場当たり的な政治政策の結果であります。財政再建に名をかり、安易な増税や福祉切り捨てによって財政の赤字を埋め合わせるのでなく、まず、歳出構造の見直し、不公平税制の是正と行政改革によって財政の再建を図るべきであります。
 今回の税制改革は中途半端なもので、天の声である不公平税制は、法人税の引き上げを断念したのを初め、特に庶民の頭に浮かぶ医師優遇税制、利子配当分離課税が見送られ、土地課税に至っては、強化論の中にあって大幅な緩和が行われたことは、不公平以上の不公平であります。ある税制調査会の委員が、政府にだまされたと言われたことは、私の耳に新しいところであります。政府は、国民の声にこたえて租税特別措置法を整理したと言っていますが、本当にこたえたと思っているのか。
 わが党は、不公平税制の是正によって、大衆課税によることなく財政を確保する具体案を明らかにいたしています。法人税率の累進課税の導入、広告課税の新設、支払い配当軽課の廃止、租税特別措置の廃止など大企業への課税強化で一兆五千億円、利子配当所得の総合課税、富裕税により三兆円、このほかに、土地増価税により三兆円の増収ができるのであります。これらは当然税制改革を行うべき対象と考えますが、総理にその意思があるのかどうか、具体的に承りたいと思います。(拍手)
 さらに、財政再建について広く国民的議論を高めるために、財政再建計画の策定と中期税制改革案を国会に提案することを強く求めます。総理初め関係大臣の御所見を承りたいと思います。
 昨年のOPECの原油価格の引き上げが国内物価に二重の経路を経て影響を及ぼすことが予想されます。一つは、原油価格の上昇そのものの直接の影響であり、いま一つは、上昇に伴うドルの流出が為替レートの円安になることで輸入物価の上昇を招き、国内に波及する間接的影響の結果、物価が高騰し、不況が深刻になることも考えられます。このようなときにこそ、物価抑制、福祉の充実、雇用の確保など、国民生活のために有効適切な措置を講ずることが政治の責務ではないでしょうか。そのために、公共料金は進んで抑制し、福祉料金体系に改めるとともに、物価抑制のため公定歩合の再引き上げなど、弾力的かつ機動的に運営されることが必要であろうと思われます。大蔵大臣の御所見をお伺いいたします。
 五十五年度予算政府原案は、逆に公共料金を大幅に引き上げ、みずから率先して物価高騰の要因をつくり、国民の家計負担を重くし、福祉を切り詰め、失業の不安を増大させるものになっています。
 まず、去る二十三日、電力八社は、産業用、家庭電力料金を合わせて、平均申請幅は六四・四二%という、かつてその例を見ない大幅値上げの申請が出されました。続いて、ガス三社から二十五日、ほぼ同率の申請が出ました。もしこのまま実施されることになれば、家計に大きな重圧になります。政府はこれを許可されるかどうか。
 今回の電力料金値上げの理由に、石油値上がり分だけでなく、償却の定率法への移行、稼働率の低い原子力発電施設や高度成長のために政府が大量に投資させた設備の減価償却費を含んでいますが、これを国民に負担させることは不当と言わなければなりません。(拍手)
 原価の公開、公聴会の拡充など国民の参加による審議を行い、大口電力優遇の料金体系を改め、家庭用料金を厳しく抑えるべきであります。このような措置をとる御意思があるかどうか、通産大臣にお尋ねをいたします。(拍手)
 灯油などの石油製品の高騰が続いています。わが党の試算によっても明らかなとおり、原油の値上がりだけでなく、メジャーの不当利得、元売り会社などによる便乗値上げも行われている疑いがあります。政府は、買い占め、売り惜しみに対し緊急措置法に基づく実態調査を行い、石油業法第十五条に基づく標準価格を設定するなど、石油の大幅値上がりに対し適切有効な措置をとるべきであります。これらの措置をとる意思があるかどうか、通産大臣の御所見を承りたい。
 現在、白菜、キャベツ、レタスなど、野菜は昨年の十倍近くに価格は暴騰しています。総理も先日、青果物市場を視察され、白菜がこんなに高いのかと驚かれたと聞きます。少しの天候不順でこのようになるのでは、政府の言う農産物の価格政策、安定供給対策は全く有名無実であることを示しています。
 いま農民は、米の過剰の中で、米以外に何の作物をつくったらよいのか悩んでいます。農業経営安定と食糧の安定供給を図るため、農民の生産費と所得補償をし、消費者には安く安定的に食糧を供給するための価格政策、生産基盤の整備を進めるとともに、流通機構の改革をすべきであると考えるが、総理の具体的な御答弁をお伺いいたします。(拍手)
 高物価、不況で勤労者、低所得者の生活不安が日増しに高まっています昨今こそ、福祉を確実に充実すべきであります。しかるに、政府は福祉の切り詰めを行おうとしており、このことは断じて許されません。(拍手)来年度予算における社会保障関係費は、物価の上昇にも追いつかず、実質減になっています。
 年金財政の安定を図ると称して、厚生年金等の年金支給開始年齢を六十歳から六十五歳に引き上げることは、社会保障を大幅に後退させ、勤労者を不安に陥れる暴挙と言わなければなりません。民間の定年は五十七歳であります。やっと定年六十歳に向けて動き始めました。ここで年金支給開始年齢を六十五歳にすることは、定年から六十五歳までの間、収入がなくともよいとお考えですか。政府は、厚生年金等の支給開始年齢の引き上げを直ちに撤回すべきであると考えます。特に、この件は、社会保障審議会において議論のあったところであります。大河内会長ですら、政府に勝手取りされたと御不満の言葉を述べられておられます。
 また、進んで年金の積立金の活用、企業負担の引き上げなど、年金制度の抜本的な改革を行うべきと考えます。総理の政治姿勢を含めて、御答弁をお伺いいたします。(拍手)
 老齢福祉年金は、最低の年金保障という点からも重視しなければなりません。政府は、月額二万円から二万一千五百円に、七・五%引き上げしか考えていません。これでは実質的な引き上げになっていません。わが党は、これを計画的に早急に四万円に引き上げ、生活のできる年金にすべきだと強く主張いたします。
 したがって、政府は、老齢福祉年金を来年度は月額二万四千円に引き上げ、これに準じて、母子福祉年金、障害福祉年金、児童扶養手当、特別児童扶養手当を増額すべきであります。また、国民年金の保険料を来年、再来年と二年続けて大幅に値上げすることは、低所得者の加入者が多いことを考慮すれば行うべきではありません。厚生大臣の具体的な答弁をお伺いいたします。(拍手)
 薬代、初診料、入院費など、医療費の支出増が家計不安となることは申すまでもありません。政府は、政管保険の赤字解消、医療保険制度の見直しをして、患者負担を高めようとしています。これは本末転倒であり、医療費の急増は、薬づけ医療と言われる、薬代でもうける仕組みになっている保険診療報酬制度にあります。医師の技術料を適正化し、薬価基準を現状に合わせて下げるなど、これによって、国民負担をふやすことなく、健康保険制度を健全化することができます。老人医療の有料化、児童手当の所得制限の強化など、五十六年度以降における福祉切り詰めについて、予算編成の際、厚生大臣、大蔵大臣の間で内閣官房長官と自民党三役立ち会いのもとでなされた合意は、直ちに廃棄すべきだと思うが、厚生大臣の明確なお答えをください。(拍手)
 高齢者の雇用問題は、今後大きな社会問題になることは必至でありましょう。そのためには、政府は、中高年齢者の地域産業に見合った職業訓練所を増設し、中高年齢者雇用の確保をするなど、年齢による雇用差別禁止法の法制化をするとともに、週労働時間の短縮に関するILO百十六号勧告を実施し、地域産業化の促進の観点から、従来のような政府の画一的な計画でなく、地域の多様性を前提とした、自治体がイニシアチブを発揮できる地方雇用開発委員会の拡大強化を早急に図るべきであります。特に身体障害者の法定雇用率を厳守させるよう具体的措置を講ずべきであります。総理の御答弁をお伺いいたしたいと思います。(拍手)
 私は、政府のエネルギー政策が原子力を中核にしていますが、原子力発電は安全性、信頼性、ことに廃棄物処理については安全な処理体制が確立されていません、実用化を促進するにはまだきわめて危険性の多い段階にあると言っても過言ではありません。政府は石炭、地熱、太陽熱、波力、揚水発電など自然エネルギーの利用開発を積極的に進め、その実用化に一段の努力と創意工夫をしなければなりません。また、自治体において、資源のリサイクルを考えたエネルギー開発を促進していくことが、エネルギー危機を打開する最も近道であると考えます。総理並びに通産大臣の明確な御答弁をお伺いいたしたいと思います。(拍手)
 なお、その際、環境アセスメント法の制定を強く要望しておきます。
 中小企業分野法が成立しましたが、大企業の横暴な進出規制は、期待されたほど効果が上がっていません。特に最近大企業がダミー規定に抵触しない方法で進出しています。これらの欠陥をそのままにしておくならば分野法はざる法となるおそれがあります。したがって、都道府県知事への権限の委任、大企業の定義の見直しを行うとともに、法改正を行うべきときが来たと強く要求いたします。通産大臣の御所見を承りたいと思います。(拍手)
 次に、政府は、新幹線や高速道路の建設には手厚い保護政策をとっています。他方、過疎地の住民にはなくてはならない鉄道やバスの公共交通を次から次に撤去させることは、きわめて問題があります。国民生活から遊離した交通政策を抜本的に改め、真の交通体系を整備するには、各交通機関の持つ特性を生かした総合交通政策の確立が必要であり、そのためには、陸海空の特別会計を一本化して、総合交通特別会計制度を創設すべきであると考えます。総理の御所見をお伺いいたします。(拍手)
 また、地域交通の整備は、国と自治体が、住民の意思を基礎に責任を持って行うよう新たな制度を確立すべきであり、第八十五国会の衆議院運輸委員会では、地方陸上公共交通の維持整備に関する特別決議を全会一致で行い、政府にその実行を求めているのであります。この実行を強く要求いたします。総理の御答弁をお願いいたします。(拍手)
 次に、具体的問題であります今日危機的な状態にある都市部の路面交通についてであります。いま、国を挙げて省エネルギー時代に移行しようとしています。そのためには、できるところからやる姿勢が必要であると考えます。政府は、公共交通を確立する立場から、都市内における自動車の総量規制を含めた、都市における交通環境の整備に関する新たな制度を確立すべき時期に来ていると思うが、総理の御所見を承りたいと思います。
 最近、相次ぐ再審で多くの無罪判決がかち取られています。いまこそ、裁判や司法の民主化を図ることがきわめて重要な時期であり、無実の罪に苦しむ人々の人権を守るため、再審法の改正や監獄法の民主的改正などに取り組まれる必要があると思います。総理の御所見を承りたいと思います。(拍手)最後に、世界の平和と日本外交の課題についてお伺いいたします。
 アフガニスタンに対するソ連の軍事介入は、平和五原則、主権・領土保全、政治的独立を原則とする国連憲章に反し、ソ連の言う友好善隣条約及び国連憲章五十一条の集団自衛権をもってしても合法化することはできません。不当、違法なものであり、ソ連軍は即時無条件にアフガニスタン国内から全面撤退するよう、わが党は強く要求しています。わが国は、アメリカに追随した及び腰の対ソ経済措置などに終始するのでなく、一、ソ連に対しては軍事介入の不当性について問いただし、即時あらゆる外交ルートを通じ全面撤退を強く要求するとともに、二、国連緊急特別総会の決議を基礎にソ連軍の撤退を求める、非同盟諸国を初め世界の声を高める外交を進め、三、アフガニスタン難民の救済、ソ連の軍事介入に不安を持つ中近東、アジア諸国との友好、連帯を強化すべきであります。総理の明確な御答弁を承りたいと思います。(拍手)
 イラン、米国の紛争に関して、イランの経済制裁など、わが国は加担すべきではありません。長期にわたる米大使館の占拠は遺憾なことでありますが、米国が大使館、CIAを通じて、幾つかの国の内政に干渉し、メジャーによる原油資源の取得を行うのみで、イランの真の発展に寄与しなかった米国の政策が根本的に批判されていることを見逃してはなりません。わが国は、イランの立場を理解しつつ、イラン発展に寄与する友好関係、開発援助を進めるべきであります。総理の率直な御答弁を求めます。
 韓国において民主化が始まり、朝鮮民主主義人民共和国から対話の呼びかけがあります。韓国もまた前向きでこたえようとしております。この際、わが国は、朝鮮民主主義人民共和国との関係を改善するとともに、南北の対話と交流を実現させるために仲介の労をとるなど積極的に寄与し、アジアの平和をつくり出すべきだと考えます。総理の御所見をお伺いいたします。
 八〇年代幕あけに臨み、多難な内外情勢に対応する確固たる答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#5
○内閣総理大臣(大平正芳君) 井岡さんは、最初に政治姿勢に関連いたしまして二つの御質問がありました。
 一つは、自由民主党の総裁選挙についての御批判でございます。
 自由民主党におきまして最近多くの党員の受け付けをいたしましたことは事実でございます。その一部には、確かに党費の立てかえ等もあったと私は承っておりますが、これは党員の受け付けにすぎないのでございまして、これから厳正な審査を経てわれわれの党員になっていただく資格審査をするわけでございますので、事柄を全部終えた後で御批判をいただかなければならない性質のものと考えております。
 第二に、法人税の税率を上げなかった、据え置いたということが、あたかも自民党の清潔な政治を裏切るがごとき口吻の御質問でございました。これは、きのうも飛鳥田委員長にもお答え申し上げましたとおり、幸いに、景気の回復によりまして、五十五年度には予想以上の税の自然増収が期待されますので、経費の節減と特別措置の整理等によって財源を生み出すことにいたしまして、法人税率には触れなかったにすぎないのでございます。
 井岡さんは、政治の清潔を保持し、信頼をつなぐ上から申しまして、国政調査権の強化あるいは政治家の資産公開の問題について御質問がございました。私は、こういう問題は、その性質上、国会の審議、検討を待って考えなければならないと、政府の立場ではそう考えております。
 第三者の斡旋収賄罪につきましては、現在法務省におきまして刑法の全面改正作業の中で検討が進められております。
 情報公開法についてお触れになりましたけれども、これもきのう御答弁申し上げましたとおり、一般的な行政手続法の整備との関係、行政機関における情報管理のあり方等との関連で、真剣に検討すべき課題であると考えております。
 国家公務員の天下り規制の問題でございますけれども、これは、ここ数年来鋭意努力してまいりまして、関係特殊法人につきましても、定員の半分以上に国家公務員からの直接就任者は出してはならない、それの半分以内にとどめるという閣議の了解を誠実にいま実行いたしておるところでございまするし、その給与、退職金等についても規制を強化いたしておりますることは井岡さん御承知のとおりでございます。
 会計検査院の権限の強化問題、これはあらゆる角度から、独立機関である会計検査院の権限をどういう範囲に付与すべきかということは、立法政策上大きな問題であると考えますので、政府としては慎重に検討中でございます。
 その次の問題は、自由民主党の選挙制度調査会におきまして、小選挙区制の問題を論議しておるということにつきまして言及がございました。
 自由民主党といたしましては、金のかからない選挙、政治の浄化のための手段について国民の強い関心と要請を受けまして、これをあらゆる角度から検討を始めておるところでございます。
 金のかからない公正な選挙を実施するために、政府といたしましては、昨年、航空機疑惑問題等防止対策協議会を設けまして、その提言をいただいたところでございます。自民党にお願いいたしまして、政党本位の選挙に移行するための選挙制度の基本的なあり方、選挙運動規制のあり方等検討をお願いいたしておると同時に、政治家個人の政治資金の明朗化を図るための政治資金規正法の見直し等についても御検討をお願いしておるところでございます。
 仰せの選挙区制の問題あるいは定数配分の問題等は、重要な課題でございますが、これは選挙の基本的なルールづくりの問題でございまして、各党の間で十分話し合いが行われて、その論議の動向を踏まえて政府としては処理すべきものと考えております。
 財政再建についてのお尋ねでございました。
 昭和五十五年度の予算編成に当たりましては、たびたび申し上げておりまするように、歳出におきましては、徹底した経費の節減合理化によりまして歳出規模の抑制を図る一方、歳入面におきましては、租税特別措置の思い切った縮減、合理化により対応することにいたしまして、一兆円に上る国債の発行予定額を減額することにいたし、再建の第一歩を踏み出すことになったのでございます。
 五十五年度以降どのような財政状態になりますか、いまからにわかに逆賭することはできませんけれども、五十九年度までには少なくとも赤字公債の発行を見ないで済むような事態を招来しなければならぬと存じまして、今後、歳出歳入を通ずる財政構造の健全化を進めていくために、広く各界各層の御意見を伺いながら真剣に検討を進めてまいりたいと考えております。
 次は、生鮮食料品対策についてのお尋ねでございました。
 近来の野菜の価格の高騰でございますが、昨年秋の台風、長雨などによる短期的な需給の不均衡が最大の原因であると見ておりまするけれども、政府としては、価格の騰貴品目につきまして、特段の出荷奨励措置等を講じまして、供給の確保に努めているところでございます。
 生鮮食料品につきましては、今後とも、野菜生産の安定を図るため、価格政策の適切な運用に努めますとともに、卸売市場の計画的な整備、取引の安定化、卸、小売の近代化等各般の施策を鋭意講じてまいるつもりでございます。
 厚生年金の支給開始年齢の引き上げについてのお尋ねでございますが、厚生大臣からお答えいたすことにいたします。
 それから、中高年齢者の雇用政策についてのお尋ねでございました。
 これまでも政府は中高年齢者の厳しい雇用情勢の改善のために努力を払ってまいりまして、このところ緩やかながら改善の徴候が見えておりますが、五十五年度におきましても、経済の安定的な成長に努めますとともに、定年延長の積極的な推進、高年齢者雇用義務の達成についての行政指導の強化、それから職業訓練体制の整備、労働時間短縮のための行政指導の強化、雇用問題政策会議や雇用開発委員会の活用等を通じまして、高年齢者に対する雇用機会の造成に最善を尽くしてまいるつもりでございます。
 エネルギー政策についてのお尋ねがございましたが、後ほど通産大臣からお答えすることにいたします。
 環境アセスメント法の制定でございますが、政府としては、開発行為等の実施に当たりましては、今後とも、わが国の実情に適した環境影響評価のシステムを確立する必要を感じておりますので、その検討を進めていかなければならないと思っておりますが、環境影響評価法の制定につきましては、自民党と政府の間で目下慎重審議が続けられております。成案を得次第、国会の審議に供したいと考えております。
 総合交通対策についてのお尋ねでございました。
 政府といたしましては、各交通機関の特性を考慮しながら総合交通政策の推進に当たっております。各特別会計は、それぞれの目的に従いまして経理されて、その機能を発揮しておると思いますので、特に総合交通特別会計を創設する必要は感じておりません。
 それから、地方公共交通政策についてのお尋ねでございました。
 従来からも、政府といたしましては、所要の地方公共交通事業に対しましての助成措置を講じておるわけでございますが、仰せの衆議院の委員会の決議の趣旨を尊重いたしまして、今後とも施策の充実に努めてまいりたいと考えております。
 都市における交通環境の整備についてのお尋ねでございました。
 公共交通を含む都市交通の環境整備につきましては、交通管制センターの設置、バス優先対策等の交通規制並びに道路の整備、バスサービスの改善等必要な対策を進めているところでございますが、今後引き続きその推進を図ってまいるつもりでございます。
 冤罪に苦しむ方々のために所要の法律の民主的改正を行うべきではないかという御意見でございました。
 再審制度につきましては、一部において、現行制度よりも広く再審を認めるべきであるという改正論があることは承知いたしております。現在、法務省におきまして、運用の実情、諸外国の再審制度、改正の必要性等について研究を重ねておるところであります。
 この問題は、刑事裁判の本質、刑事訟訴制度の基本的な構造に影響するところが大きいと思われますので、慎重に検討させていただきたいと思います。
 アフガニスタンに対するソ連の軍事介入に関連してのお尋ねがございました。
 アフガニスタンに対するソ連の軍事介入は、いかなる理由にせよこれを正当化することができないものでございまして、わが国といたしましては、ソ連軍の速やかな撤退を求めますとともに、そのための国連の緊急特別総会の決議を強く指示しておりますることは、従来から重ね重ね申し上げておるとおりでございます。
 特に、今般のソ連の軍事介入は、アフガニスタン同様、非同盟かつイスラム諸国が多くを占むる南西アジア、中近東地域において憂慮の念を持って受けとめられておりますることは、井岡さん御案内のとおりでございます。わが国としても、これら諸国の深刻な認識と憂慮を十分理解するものでございまして、これら諸国への支持を表明いたしておるところでございます。
 また、わが国は、最近、アフガニスタンより多数の婦女子、老人を含む五十万に上る難民がパキスタンに流入しておることにかんがみまして、今般、UNHCRよりの呼びかけにこたえまして、十億円相当の救援物資を供与することといたしております。
 なお、わが国といたしましては、国際政治経済に占める中近東諸国の重要性、わが国とこれら諸国の間に存在するところの相互依存関係にもかんがみまして、これら諸国との友好関係の強化については、一層これを推進してまいるつもりでございます。
 イランに対する経済制裁でございますが、イランにおける米外交官の人質事件は、国連安保理でも取り上げられ、人質の早期解放が決議され、国際社会の多くの国がこれを支持しておりますることは井岡さんも御承知のとおりでございます。
 私は、人質が一日も早く解放されて、イランとわが国の経済協力を含む友好協力関係が強化されてまいることを強く念願をいたしております。その線に沿って努力してまいりたいと考えております。
 韓国の国内政治上の問題は、基本的に韓国民自身によって決定されるべきものでございますけれども、わが国といたしましては、現在、韓国において見られる国民融和のための秩序ある変革への動きを歓迎し、その成功を期待いたしておるところでございます。
 他方、南北対話につきましては、最近、その再開に向けての新たな動きが見られまするけれども、わが国といたしましては、これまで米国、中国等関係諸国との意見交換を通じ、朝鮮半島の緊張緩和と、その方途としての南北対話再開のための国際環境づくりに積極的に努力してきております。今後とも一層努力を重ねてまいる所存でございます。(拍手)
    〔国務大臣竹下登君登壇〕
#6
○国務大臣(竹下登君) 井岡さんにお答えをいたします。
 財政再建の基本につきましては、総理からお答え申し上げましたとおりであります。私から付言いたしますことは、財政再建について財政再建計画を立てるべきではないか、この御質問に対するお答えであります。
 財政の公債依存体質を改善して、財政の対応力の回復を図りますことが急務となっておりますが、今後、歳出歳入を通じて、財政構造の健全化を具体的にいかに進めていくかという点につきましては、広く各界各層の意見を伺いながら、十分に検討して結論を得たいと存じております。
 なお、いわゆる財政計画についての御意見でありますが、いろいろ複雑困難な問題もありますが、財政制度審議会における論議等を踏まえて、引き続き政府部内において検討してまいりたい、このように考えております。
 次に、財政再建についての中期税制改革案を含む御質問であります。
 今後の租税政策のあり方につきましては、税制調査会の「昭和五十五年度の税制改正に関する答申」におきまして、「これまで、財政再建の緊急性については、おおむね各方面の理解を得たところであると認められるが、今後、当調査会としては、従来の検討の方向及びその後の経緯を踏まえつつ、財政再建の進め方及びその中における税制のあり方についてさらに検討を続けることとする。」とされておるところでありますので、政府といたしましては、広く各界各層の意見を伺いながら、幅広く検討をしていきたい、このように考えております。
 三番目の私に対する質問は、公共料金の問題であります。
 直接予算に関係のある国立大学の授業料でありますとか、あるいは国鉄運賃等公共料金につきましては、厳しい財政事情にかんがみまして、事業の徹底的合理化を図るとともに、やむを得ないものに限り最小限の負担を求めるものでありまして、実施時期、上げ幅等につきましては、物価、暮らしへの影響等に十分配慮して調整をしていく考え方であります。
 以上、お答えをいたします。(拍手)
    〔国務大臣野呂恭一君登壇〕
#7
○国務大臣(野呂恭一君) お答え申し上げます。
 まず、厚生年金の支給開始年齢の引き上げの問題でございますが、五十五年度の年金制度の改正におきまして、年金水準の引き上げや遺族年金の改善など給付の改善を行う一方、将来の人口老齢化や、これからの世代の費用負担を考慮いたしまして、今後とも、老後生活の支えになる年金水準を確保しながら、年金制度の長期的な安定を図るために支給開始年齢引き上げに着手いたしたいと考えておるわけでございます。
 その際には、中高年齢の方々の老後の生活設計に十分配慮いたしまして、二十年間かけて段階的に引き上げることにいたしたいと考えておるわけでございます。
 また、現在進められております高齢者雇用対策の一層の推進を図りながら、年金制度と雇用政策の有機的な連携が十分保たれるように配慮いたしたいと考えておるわけでございます。
 なお、今後の年金制度のあり方につきましては、高齢化社会において年金制度が真に老後の生活の支えになるように、国民の理解と合意を得ながらその改革を進めていく考えでございまして、このことに関しまして、現在、関係審議会に答申を求めておる次第でございます。
 第二の問題につきましてでございますが、老齢福祉年金の年金額の問題でございます。
 福祉年金の額につきましては、現在のきわめて厳しい財政状況のもとで、老齢福祉年金の額を月額二万円から二万一千五百円に七・五%の引き上げを行うことにいたしております。その際、障害福祉年金、母子福祉年金などにつきましても、この老齢福祉年金に準じてそれぞれ引き上げるこしにいたしているところでございまして、他の十年年金などの引き上げ率を勘案いたしますときに、前年度対比七・五%、月額千五百円の引き上げが適当でなかろうかと考えておる次第でございます。
 次に、国民年金の保険料の改正についてでございますが、国民年金制度において受給者の数が急速にふえることによりまして、給付費が年々増加されることが見込まれておるわけでございます。今回の改正によりまして、改善された給付水準を確保しながら、しかも安定した財政運営を図っていくためには、保険料を引き上げることは欠くことのできないことであると考えております。ただし、その際、被保険者の負担が急激に増加しないように配慮しながら、毎年度段階的に保険料を引き上げていくことにいたしている次第でございます。
 次に、薬剤費の問題でございますが、わが国の医療における薬剤費の問題は、高まる医療費の負担の問題とともに、きわめて重要な問題であることは御指摘のとおりでございます。
 政府といたしましては、保険診療の適正化を図る立場から、薬価基準の適正化、指導・監査の推進など、各般にわたる施策を進めているところでございまして、現在国会に提出中の健保法の改正法案における薬剤費の患者負担の導入によっても、給付の面からこの問題の改善を図ることができるものと考えておる次第でございます。
 次に、老人医療費の見直しについての大蔵大臣との合意事項のことでございますが、昨年末の予算編成の過程におきまして、老人医療制度あるいは児童手当制度等についての見直しを、五十六年度予算編成に向けて引き続いて行って、所要の制度の改正を図ることで大蔵大臣と合意をいたしましたことは御指摘のとおりでございます。
 このことは、今日の高齢化社会の到来など、社会経済情勢の変化に対応いたしまして、社会保障を推進することに対しまして、従来にも増して長期的な観点に立ち、諸施策の見直しを行っていく必要があると考えているからでございます。したがって、老人医療制度、児童手当制度等につきましては関係審議会の御意見を承るわけでございまして、その意見を聞きながら引き続き検討を行いまして、所要の改正を図っていく考えでございます。工夫すべきものは工夫し、国民の御期待にこたえていく適正な改善を進めてまいりたいと考えている次第でございます。(拍手)
    〔国務大臣佐々木義武君登壇〕
#8
○国務大臣(佐々木義武君) 私に対するお尋ねは、まず電力料金の値上げ問題でございますけれども、電力料金の値上げ申請につきましては現在審査中でございます。政府といたしましては、経営の徹底した合理化、これを前提といたしまして、原価主義の原則に立ちまして、物価、国民生活への影響を十分配慮しつつ、厳正かつ慎重に対処したいと考えております。
 なお、その際には、御指摘のございました減価償却費を含め、個々の原価要素につきましては厳密に審査いたしたいと考えてございます。また、この過程において、電気事業法に基づく公聴会を開催するなど、広く一般の意見を聞くことといたしてございます。
 二番目は、灯油の価格問題でございますけれども、石油製品価格の安定のためには、政府といたしましては、まず需要とバランスのとれた供給の確保が基本であると考え、これに努力を傾注している次第でございます。
 たとえば、灯油について見ますと、十二月末の在庫は六百万キロリットル強と前年水準を大きく上回っておりますし、石油備蓄全体では九十日分を有し、生産も順調に行われておることを考えますと、石油製品の供給に不安はなく、需給はおおむね適正に保たれていると判断してございます。
 他方、製品価格に関しましては、原油代上昇等のコストアップについては、市場を通じて適正に反映することはやむを得ないものと考えるところであり、現状の製品価格の上昇は、輸入原油価格の上昇等を考えますと、必ずしも不当なものではないと考えております。いずれにいたしましても、今後とも、不当な便乗値上げ等の行為がないよう関係業界に対し厳しく指導、監視を行ってまいりたいと存じております。
 もう一つ、代替エネルギー問題でございますけれども、井岡先生は、原子力発電に頼らないでそれ以外のエネルギー源に頼ったらどうだというお話でございますが、私どもといたしましては、原子力発電は特に有力なものと考えておりますので、今後とも安全性、信頼性の確保に万全を期しながら、その推進に努めてまいりたいと存じます。
 と申しましても、それ以外に何もせぬのかと申しますと、そうではございませんので、やはり石炭あるいは天然ガス等をあわせて、同時にまた、これからの問題ではございますけれども、地熱、太陽エネルギー、お話のございました揚水発電等、いろいろ工夫いたしまして今後進めてまいりたいと存じ、財源も今度の予算で整え、これを開発する新機構も用意いたしまして、今後大きく前進したいという考えでございます。
 最後に、環境アセスメント法の問題でございますけれども、総理からお答えがございましたので、私は省略いたしたいと存じます。(拍手)
    ―――――――――――――
#9
○副議長(岡田春夫君) 村上弘君。
    〔村上弘君登壇〕
#10
○村上弘君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、総理に質問いたします。
 八〇年代幕明けの国会における総理の施政方針演説を注意深く聞かせていただきましたが、まず私は、総理が八〇年代を展望して所信を述べられる以上、やはり前提として、七〇年代の自民党政治についての反省が必要であるということを申し上げたいと思います。(拍手)
 総理自身は、七〇年代を首尾よく過ごしてきたように評価しておられるようでありますが、果たしてそうでしょうか。たとえば、いまわが国は、八〇年代全期間に及ぶほどの破局的な財政危機に陥っておりますが、これは、七〇年代に自民党政府が大企業本位の経済政策を推進し、無謀な赤字国債乱発政策をとり続けてきた直接の結果ではありませんか。
 総理の言われる、一歩誤れば破局に至る八〇年代の危機とは、エネルギー問題に対する対米依存、大企業本位の対応などをも含めて、七〇年代あるいはそれ以前から蓄積されてきた自民党の誤った政策の結果としてあらわれているのではありませんか。
 八〇年代が、総理が危惧されるような破局に至らないためには、このような従来の対米従属、大企業本位の道を、自主独立、国民本位、民主的で、清潔で、公正な政治の道へ根本的に転換することがどうしても必要なのではありませんか。(拍手)
 もし、総理が、八〇年代を破局から救うことに本当に真剣であるならば、やはり七〇年代の自民党政治の誤りをみずからえぐり出し、その反省と教訓から出発する以外にはありません。
 以上について、総理の見解及び反省の内容について、まず初めに明らかにされるよう望むものであります。(拍手)
 さて、国民生活と経済の問題について伺います。
 八〇年代の政治に課せられた何よりも重要な課題は、何といっても国民生活を安定させることであり、日本経済の再建もこの点に基礎を置いて進めなければなりません。
 七〇年代を振り返り、「豊かな生活を実現することができました」と総理は述べましたが、果たしてそうでしょうか。確かに大企業は昨年史上最高の利益を上げましたが、それとは対照的に、中小企業の倒産、深刻な雇用不安は依然として続いており、国民大多数の生活と経営の苦しみは何ら改善されなかったではありませんか。
 そこへ公共料金の軒並み値上げと福祉の切り下げであります。国鉄、郵便、たばこ、米、麦、大学授業料、年金と健康保険の保険料、薬代の半額自己負担等々、これら来年度予算に直接かかわるものだけでも二兆三千億円、四人家族で年八万円負担がふえるのであります。その上、電気代六四%、ガス代五二%の大幅値上げであります。合計すると十三万円もの新たな出費を国民は強いられるのであります。これでは一般消費税を導入したのと全く同じではありませんか。(拍手)「節約ももう限界です、値上げする前にわが家の家計簿を見てください」この主婦の痛切な訴えに、総理はいまこそ耳を傾けるべきであります。まさに物価の安定は急務であります。
 そのためには、第一に、石油価格の不当な値上げを抑えなければなりません。総理は、石油値上げは経済の各分野で適正に負担すべきであると述べ、大企業も国民も平等に負担させているかのように語りました。しかし、石油メーカーが過去一年間に行った家庭用灯油の値上げ幅は、大企業向けのC重油の実に二倍であります。総理、これが適正負担と言えますか。原油の値上がりを民生用にしわ寄せをする、このようなやり方を改めさせるために、石油需給適正化法、国民生活安定緊急措置法を直ちに発動するべきではありませんか。(拍手)
 さらに重大なのは、アメリカの石油メジャー各社の横暴ともいうべき価格のつり上げであります。三日前発表された決算によりますと、エクソン社一社で、昨年一年間で一兆円の利益を上げております。第二次石油危機以来、メジャーは日量百万バレル、日本の石油輸入量のほぼ二割に及ぶ大幅な供給削減を一方的にわが国に押しつけ、また、国際的投機で価格を不当につり上げてきたのであります。政府は、なぜこうした横暴に対し、メジャーにもアメリカにも一言の抗議もしないのですか。
 このような経済撹乱行為を抑えるためにも、独占禁止法を改正し、多国籍企業や巨大企業、大商社の経理及び国際契約を公開させるべきではありませんか。(拍手)
 第二に、電力、ガスの大幅値上げを抑えなければなりません。政府が値上げ幅を若干削って認可するといういままでのようなこそくなやり方は、断じて許されないことを銘記すべきであります。東京電力一社だけでも、前回値上げ以後の三年半に、円高差益もまともに返さず、四千百十七億円にも上る経常利益を上げておりますが、この際、積み増しした利益は吐き出させるのが当然ではありませんか。また、家庭用電灯料金を高くし、大企業向けの大口電力を不当に安くしている料金体系も根本的に改める必要があります。(拍手)
 第三に、公共料金の法定制を骨抜きにし、大臣の判こ一つで値上げを認可できるようにするたばこや郵便法の改悪はやめるべきであります。国鉄運賃は二年前の法定制骨抜きの結果、連続四回も値上げされ、国民を苦しめただけでなく大幅な客離れを招き、財政再建にも役立たなかったのであります。
 公共料金の値上げは当面凍結すべきであり、たばこと郵便料金の法定制骨抜き計画は直ちに撤回し、国鉄運賃も法定制に戻し、大企業の貨物への不当な運賃割引など、料金体系も全面的に洗い直すべきであります。総理の答弁を求めます。
 物価とあわせて、福祉後退に対する国民の不安は深刻であります。老人医療有料化の計画はやめるべきであります。今日の医療制度のゆがみは、製薬大企業のぼろもうけを放置し、予防と保健を軽視してきたことに大きな原因があります。見直すべきはこの点であって、来年の老人医療無料化制度などの基本的見直しを約束した関係大臣と自民党三役の覚書は直ちに破棄すべきであります。(拍手)
 老後保障に逆行する厚生年金支給開始年齢の六十五歳への引き延ばし計画や、国民医療のゆがみを一層促進する健康保険法改悪案も直ちに撤回すべきであります。老齢福祉年金は少なくとも当面月額二万五千円、年度内三万円に引き上げ、また、平均寿命が男性より五歳長い婦人の老後を保障するため、妻の遺族年金を八割に引き上げることを強く主張するものであります。(拍手)
 高齢化社会は目前に迫っております。お年寄りが安心して暮らせるように、年金、医療、住宅、仕事など総合計画の確立を急がなければなりません。わが党は、国会に老後保障問題特別委員会を設けることを繰り返し主張していますが、今国会で直ちに設置に踏み出すよう自民党総裁として決断を求めるものであります。(拍手)
 以上、それぞれについて総理の責仕ある答弁を求めるものであります。
 さて、物価を安定させ、福祉を充実し、国民生活を安定させるために根本的に必要なことは、今日の経済危機、エネルギー危機、財政危機をもたらした構造的原因に大胆に切り込み、抜本的な転換を行うことであります。少数の大企業の急速な成長を手厚く助成してきた税制、財政、金融の仕組みを根本的に改革するとともに、経済の自主性を放棄して、穀物やエネルギー資源のほとんどすべてをアメリカ中心に海外依存してきた従来の仕組みにメスを入れ、国民生活優先の自主的経済政策をいまこそ確立しなければなりません。危機の原因を原油問題に押しかぶせ、大企業本位の枠組みには手をつけず、財界の八〇年代戦略に沿って危機の打開を図ろうとする大平内閣と自民党の政策では、石油危機の影響を一層悪化させ、インフレと不況が同時に進行する最悪のスタグフレーションに再び陥るであろうことは目に見えております。
 そうならないためには、第一に、従来のエネルギー政策の根本的転換が必要であります。対米従属、メジャー任せの誤りを続けるべきではありません。政府がとろうとしている代替エネルギー開発計画では、アメリカ任せの核燃料を初め、石炭、天然ガスなど、相変わらず外国依存が続くことは避けられません。政府計画の根本的な見直しと自主的エネルギー政策への転換を求めるものであります。(拍手)
 また、エネルギーという国民の死活にかかわる大事業をいつまでも営利第一の大企業にゆだねることをやめ、国が全面的に責任を持ち、エネルギー関係大企業を国有化し、総合エネルギー公社を設立し、これに統合するべきであります。当面政府が進めている大企業主導の新エネルギー開発機構ではなく、強力な行政権限を持つ総合エネルギー管理委員会と国立の総合エネルギー研究所を設立して、原子力の安全利用の確立や石炭、水力など国内資源の復興と開発に当たるべきであります。(拍手)
 第二に、今日のゆがんだ産業構造を、国民本位のつり合いのとれたものへ転換させるために、大企業の横暴に対し民主的な規制を行うことが必要であります。
 総理の言う産業構造の改革なるものは、アメリカの市場開放の要求や一握りの大企業の利益のために、農漁業、中小企業を犠牲にすることではありませんか。これは、国民が望んでいる方向とは全く逆であります。農漁業を産業の大事な基幹部門として再建し、地場産業や軽工業を拡大発展させ、大スーパーの横暴からも中小小売業を守り、国民経済の底辺を強める産業構造政策こそ、いま必要なのであります。(拍手)
 また、大企業の一方的な合理化、人減らしを規制し、全国一律最低賃金制、週四十時間労働制、六十歳以下の定年の禁止などによって、雇用の確保と賃金の底上げを図るべきであります。
 総理は、婦人の就業条件の改善を言明いたしましたが、当面の急務は、雇用における男女平等法を制定し、不当な差別をなくして、婦人の社会的役割りを大いに発揮できるようにすることであります。(拍手)
 第三に、いまこそ国民本位の財政再建を進める必要があります。
 昨年暮れまであれほどやかましく言っていた財政危機について、大平総理が、今回の所信表明でほんのつけ足し程度にしか触れなかったのはまことに奇妙であります。あなたにとって財政危機とは、国民に犠牲と負担を押しつけるための口実にすぎなかったのでしょうか。しかも、仮にあなたが言うように、数年のうちに赤字国債の新規発行をやめることができたとしても、昭和六十年度からはいよいよ元金の償還を始めなければならないのであります。
 昭和六十年度からの十年間に支払わなければならない国債の元金と利子、すなわち国債費の合計は百七十三兆円と予想され、それまでの五年分を合わせると実に二百兆円を超えるのであります。二百兆円という国債費は、戦前の侵略戦争の九年間、飢えと国民財産の略奪で生み出したあのときの軍事費、現在価格で約六十兆円の三倍であります。これは、今後十五年間、あの悲惨な戦争を三回繰り返すほどの犠牲を国民に押しつけることを意味するのであります。
 総理は、この莫大な国債費をどのようにして賄うつもりなのか。政府が五十六年度からの一般消費税の導入をねらっているのは、こういう背景があるからではないのか、明確な答弁を求めます。
 私は、この恐るべき事態を国民に隠したまま不公平税制を温存し、国民に対する大収奪を続け、不要不急の軍事費を拡大し続けることは、国民の暮らしと日本経済を破滅に導くものであると断ぜざるを得ません。(拍手)
 いまこそ、財政危機の根源に迫る再建策をとべきときであります。二兆円を超える大企業、大資産家優遇税制、同じく約二兆円の軍備増強と大企業向けの不要不急支出、政界、財界、官界の癒着のもとに拡大され続けた特殊法人や、国と自治体との二重行政、これらに徹底的なメスを入れることを求めるものであります。これだけでも四兆円以上の新しい財源ができるのであります。この方向こそが、値上げや増税によらないで財政再建を進めるただ一つの道であります。
 以上の諸点について、総理の納得のいく答弁を求めるものであります。(拍手)
 次に、安保、外交問題について質問いたします。
 総理は、「日米安保体制を基軸とした米国との揺るぎない相互信頼関係がわが国外交の基軸である」と強調されました。では、日本が盟主とするアメリカの八〇年代戦略とはどのようなものでありましょうか。先般のカーター米大統領の一般教書演説は、ベトナム敗北以後のアメリカの巻き返し作戦が新たな頂点に達したことを示しております。米大統領は、軍事費の増強と軍事力の強化を公言し、アフガニスタンへのソ連介入を口実として、みずからもかねてからの計画である中東地域への介入体制を強め、同盟国に対してもこの露骨な力の政策への同調を迫っているのであります。このアメリカの力の政策の重要なかなめとなっているのが日米安保条約であり、それはいまやカーター大統領自身、日米安保協力関係は歴史上かつてないほど緊密になったと述べるほど、いままでのどの時期にもなかったほど大幅に強化され、いまや新しい重大な段階を迎えているのであります。(拍手)
 現に、イラン問題が発生すると、直ちに横須賀を母港とした第七艦隊がイラン近海に派遣されております。また、中東をも重要作戦地域とする緊急投入戦略では、日本が重要な発進拠点とされようとしているのであります。最近、アメリカ海兵隊の将官が緊急投入軍の司令官に任命されましたが、この海兵隊が師団規模で駐留しているのは、世界じゅうで日本だけだという事実を総理は御存じですか。
 きのうブラウン米国防長官は、緊急投入部隊編成以前でも、ペルシャ湾有事の際には沖繩の海兵隊を投入するという重大発言を行いましたが、総理はこれを容認されるつもりかどうか。
 いまや日米安保条約の発動範囲は、太平洋全域からインド洋、中東にまで拡大されつつあるのであります。政府はこれまで、日米安保条約の発動範囲は極東に限定されると説明してきましたが、中東地域をも対象とする緊急投入部隊が日本を前進基地とすることを総理は何を根拠に正当化されるのか、責任ある答弁を求めるものであります。(拍手)
 総理は、アメリカが日本の基地をこのような軍事脅迫と干渉のために使用することを絶対に許さないと表明するべきではありませんか。あわせて明確な答弁を求めます。
 さらに重大なことは日本の自衛隊の問題であります。
 一昨年の秋に取り決められた「日米防衛協力のための指針」のもとで、自衛隊と米軍の共同作戦態勢はかってなく強化され、すでに自衛隊は沖繩での米海兵隊上陸作戦演習に参加しており、さらには、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、カナダの環太平洋合同演習にまで参加することになっております。これは、政治的、経済的ブロックづくりを目指す環太平洋構想と相呼応しつつ、日米安保条約を基軸とした環太平洋軍事ブロックづくりへの新たな一歩と言わなければなりません。(拍手)
 日本は、環太平洋合同演習に参加することによって、アメリカの力の政策、軍事ブロック強化の政策にいよいよ深く巻き込まれつつあります。わが党は、このような自衛隊の環太平洋合同演習への参加と環太平洋軍事ブロックづくりに反対し、これらの基軸になっている日米安保条約の廃棄、軍事ブロック解消、自主独立、非同盟中立、諸民族の自決権尊重の道に日本の対外政策を転換することを強く主張するものであります。総理の見解を求めます。(拍手)
 総理、今日、民族の自決権をじゅうりんするものは、一九七五年、いまから五年前、ベトナム人民によって打ち破られたアメリカのように、それがどの国によって行われるものであろうとも、世界の平和と民族自決を擁護する勢力の強い糾弾を避けることはできないのであります。これが今日の世界の大勢であり、世界史の流れであります。
 わが党は、確固として民族自決権を擁護する立場に立って、アメリカの侵略と干渉に対してはもちろん、ソ連のアフガニスタン介入をも絶対に是認するものではありません。(拍手)総理が民族自決権を尊重すると言うのであるなら、ソ連のアフガニスタン介入を口実として、力でペルシャ湾を抑え込もうとしているアメリカの干渉政策に対してはなぜ反対しないのか、明確にすべきであります。(拍手)
 政府が政治、経済、軍事のあらゆる形で干渉政策を展開しているアメリカに追随していくことは、非同盟諸国、資源産出国との関係をも悪化させ、日本の国益とも相入れないものであります。現にイランの石油大臣も、日本を名指しして、もしアメリカの対イラン経済制裁に加担するならば石油輸出を停止すると述べているのであります。アメリカの力の政策への追随から生まれる犠牲は避けてはならないと国民に説得するがごときは、主権国家の政府の言うべきことではないのであります。(拍手)総理の明確なる答弁を求めます。
 なお、ことしは被爆三十五周年に当たります。いまこそ核兵器をつくらず、持たず、持ち込ませずの非核三原則の法制化及び国家補償による被爆者援護法を八〇年代のこの最初の年に制定するべきだと考えますが、あわせて答弁を求めるものであります。
 最後に、金権腐敗の一掃と民主政治確立の問題についてであります。
 総理の演説を聞いて全く奇異に感じましたことは、田中金脈や一連の航空機疑獄、日韓癒着から鉄建公団、最近のKDDに至る金権汚職腐敗事件が、もはや過ぎ去った過去の出来事のように扱われ、ただ不正経理問題をめぐる一連の事件について綱紀の保持という言葉を繰り返しただけであります。
 しかし、KDD事件一つとってみても、単に経理の不正ということだけでは済まされない問題であることは明白であります。KDD事件が十四年間で十倍もの営業収入を上げるという不当な高料金、高収益の仕組みを維持するために、三年間で四十五億円もの交際費を使い、密輸、贈り物、パーティー券購入など、あらゆる手段で政治家や官僚を買収した事件であることは天下周知のことであります。政財官癒着による腐敗構造を典型的に示したこの事件を総理は単なる不正経理事件として処理するつもりでありますか、御説明いただきたいのであります。(拍手)
 このような姿勢では、幾ら総理が政治と行政への国民の信頼回復を強調しても、結局は空文句に終わるだけであります。総理がもし本当に信頼回復を願うなら、少なくともKDDからさまざまな工作を受けた政治家や官僚の氏名を公表し、政治的道義的責件を国民の前で明らかにするべきであります。(拍手)また、自民党は国会での究明を妨げている証人喚問拒否の態度も改めるべきであります。自民党総裁の立場をも含めて総理の態度を明らかにされるよう望みます。
 日本税理士政治連盟幹部による税理士法案に絡む買収工作事件も重大であります。
 一般消費税導入の地ならしとなるこの法案を成立させるために、二億円に上る特別資金が約百人の国会議員にばらまかれておりますが、贈収賄罪の容疑で税理士有志によって告発まで行われ、広範な世論の指弾を受けているこの悪法をしゃにむに成立させようとしている暴挙は、断じて許すことはできません。(拍手)贈収賄罪の容疑が晴れないうちに、法案成立が強行されようとしているこの事態を総理はどのように思われますか。政治に対する信頼を損なうものではありませんか。所見を伺いたいと思います。(拍手)
 このような金権汚職事件が相次いで生まれる温床が自民党の金権体質にあることは多くの国民の共通の認識であります。
 去る十六日の財界四団体と自民党代表の会合でも、財界側は電気代値上げなどを要望し、自民党側は政治献金など参議院選挙の支援を要請しております。こうした動きも、政治に対する国民の不信と疑惑を増大させるものと言わなければなりません。企業、団体の政治献金は、徐々にではなく直ちに全面的に禁止するべきであります。総理の責任ある答弁を求めます。
 いま問題となっている行政改革についても、政府案のように、その目的を行政の簡素化、効率化に限定し、腐敗の根絶などの重要課題を初めから除外するようなことでは、国民の期待にこたえる真の行政改革はできません。公社、公団など、特殊法人の抜本的な整理と改革、不要不急の政府機構の縮小などをこそ行うべきであり、さらに高級官僚の天下り禁止、情報公開法の制定、立入調査権を持った行政監視官制度の創設など、腐敗根絶のための制度的保障をつくり上げるべきであります。総理にその決意があるかどうか、明確な答弁を求めます。
 さらに重大な問題は、金権腐敗の根本にメスを入れるのではなく、またもや金のかからない選挙を口実に、ファッショ的な小選挙区制導入の企てが自民党内で進められていることであります。四割台の得票で八割の議席を占める小選挙区制を、総理は民意を正しく反映する公正な選挙制度と考えているのかどうか。また、金がかからない選挙という理由についても、あなたの党の機関紙自由新報紙上で自民党中央大学院長が、小選挙区制で金がかからなくなるというのは盲信であると述べているように、全く根拠がないのであります。(拍手)このような企てはやめるべきであります。
 総理は、国会での小選挙区制についての質問に対し、各党間の相談で公正なルールをつくってくれと答えてまいりましたが、政府の側からは提案しないという態度にはいまも変わりはないかどうか。
 議会制民主主義の根幹にかかわる以上の問題に対し、総理及び自民党総裁として明確に答えていただきたいのであります。(拍手)
 最後に、いま自衛隊幹部のスパイ問題に関連して秘密保護法の制定が急速に浮上してきておりますが、いかなる国も個人も、いわんや憲法違反の自衛隊も、違法な諜報活動そのものを絶対に行ってはなりません。公安警察などのわが党に対するスパイ工作をも含めて、すべてのスパイ行為は直ちにやめるべきであります。同時に、やたらに秘密をつくり出し、国民の目や耳や口を封じていく秘密保護法などの制定は絶対に行うべきではありません。
 私は、これから始まる八〇年代の日本が国民本位の明るい時代になることを心から願い、そのために全力を尽くすわが党の決意を明らかにしつつ、この問題に対する総理の見解を求め、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#11
○内閣総理大臣(大平正芳君) 村上さんの第一の御質問は、八〇年代を展望する場合に七〇年代への反省が前提でないかというお尋ねでございました。
 私は、わが国は七〇年代、予想以上の大きな数々の試練を経験いたしましたけれども、わが国民の技術力、経営力をもってすぐれた対応をしてきたと考えております。これはわが国ばかりでございませんで、世界が公平に評価しておるところでないかと思っておりますが、八〇年代、どういう試練が訪れるか逆賭できませんけれども、私は、日本国民のこのすぐれた対応力で八〇年代も対処していけるのではないか、またいかなければならぬのではないかと考えております。
 この七〇年代の数々の試練の克服の過程で、経済、財政、国民生活等に多くの後遺症を残したことも、また村上さん御指摘のとおりでございますが、こうした後遺症は、また、われわれの力をもってこれをいやしながら、八〇年代にたくましい対応をしていかなければならぬし、それはまたできると考えております。
 物価政策についてのお尋ねでございました。
 石油二法を発動して対処すべきでないかということでございますが、かねがね申し上げておりまするように、石油製品価格につきましては、需給のバランスをとることが価格政策の根本であるということと、そしてそれは現に確保されておるということ。それから、価格につきましては、原油代の上昇等のコストアップにつきましては、市場を通じて適正に反映されることはやむを得ないといたしましても、その過程における不当な便乗値上げは許さない、こういう物価政策でもって今日まで対応いたして大きな間違いはなかったと私は考えておるわけでございます。村上さんの言われるように、石油二法を発動しなければならないような事態であるとは判断いたしておりません。
 メジャーに対しまして注文すべきものは注文し、要請すべきは要請すべきでないかというお話でございます。
 最近における原油取り扱い量の減少に伴いまして、メジャーが非系列企業を中心に供給の削減を行ってまいりましたし、また、系列企業に対しましても大幅な削減をいたしてきておりますることは御指摘のとおりでございます。わが国としては、これに対応いたしまして、DDオイル、GGオイル等、産油国との直接取引の増大にいま努力をいたしますとともに、メジャーに対しましても急激に影響を及ぼすようなことのないように、できるだけ安定的な供給確保をするよう適時機会をとらえて要請し続けておるところでございます。
 また、多国籍企業の行動につきましては、OECDにおきまして多国籍企業行動指針が採択されておりまして、わが国といたしましては、この指針の遵守方を必要に応じて指導してまいるつもりでございます。
 第二に、電力及びガス料金の値上げについて言及されて、前回の値上げ以降の膨大な利益を還元せよというお話でございました。
 しかし、電力、ガス会社にありましては、昨年末の石油、LNG価格の大幅な上昇と最近の円安傾向とを反映いたしまして、経営内容は一様に悪化いたしております。このため、電力会社、ガス会社が保有する内部留保のうち、取り崩しができるものにつきましては、五十四年度末決算においてそのほとんどが取り崩されておるものとわれわれは見ておるのであります。
 電灯が高く、大口電力が安い料金体系は改めるべきではないかということでございます。
 これは電気事業法に基づきまして電気料金は原価主義を原則としておるわけでございまして、電灯料金が大口料金に比べまして高いのは、配電設備等の流通設備が多く必要でありますこと、送電経路が長くて電気のロスが多いこと、また一軒当たりの検針、集金等の費用がかさまること等に起因するものでございますことは、村上さんも御承知のことと思います。
 料金、価格に法定制を取ることは非常に弊害を伴うではないかということでございますが、国鉄の場合も、たばこの場合におきましても、法律に基づきまして、厳格な要件と適正な手続で決めようとするにすぎないものでございまして、安易な料金、価格の設定を行おうとしておるものではないということを御理解いただきたいと思います。
 福祉政策についてのお尋ねでございました。
 老人医療等の見直し、その他についてのお尋ねがございました。
 御指摘の、老人医療等の見直しにつきまして、自民党と政府の閣僚との間で覚書が交換されたことは事実でございますけれども、これは、たびたび申し上げておりますように、本格的な高齢化社会の到来を控えて、健康な老後を保障して、老人医療費の負担の公平を図る等の見地から、老人保健医療制度の基本的見直しを進めることが緊要な課題であるとの認識を政府、与党間で共通に確認いたしたものでございまして、今後は、この趣旨に沿いまして、関係審議会の意見も聞きながら検討を加えて、所要の改正を図っていくということを考えておるにすぎないものでございまして、これを廃棄させるなどということは毛頭考えておりません。
 老人福祉年金につきましては、ことし七・五%の引き上げを見ましたし、遺族年金につきましても、寡婦加算額等を大幅に改善いたしましたが、これでは足らないではないかという御所見でございますが、厳しい財政事情のもとにおきましては、精いっぱいのところでございます。
 老後保障特別委員会を国会に設けるべきでないかという御提言でございます。
 老人対策は、これからの政治の最大の問題の一つになっておりますることは、私もよく認めておるところでございます。これについての国会の御審議をどういう形でやりますかにつきましては、国会の問題として各党の間で論議されることが望ましいと考えております。
 エネルギー政策についてでございますが、村上さんは、これの大転換を図らなければならぬ、そのために、エネルギー大企業の国有化と総合エネルギー公社の設立が求められておるのではないかという御質問でございました。
 政府が、エネルギーの安定供給を図るためにエネルギー政策を強力に展開する必要があることはもとよりでございますが、その際、基本的には民間が事業を実施することによりまして、その活力を十分生かしてまいることがわが国にとってはふさわしいやり方であり、これまでもそれで十分実績を上げてまいったことと確信いたしております。
 総合エネルギー管理委員会の設置、国立の総合エネルギー研究所の設立を求めるという御意見でございますが、エネルギー政策の実行に当たりましては、ただいまいろいろな機構を政府が持っておるわけでございまして、閣僚会議、それから総合エネルギー調査会等のほか、技術開発につきましては動力炉・核燃料開発事業団、日本原子力研究所を中心とするエネルギーの開発の研究、工業技術院等の研究分野における推進、努力等、いろいろの構えがなされておるわけでございまするし、新たに新エネルギー総合開発機構を設立して代替エネルギー対策を一元的に推進しようといたしておるわけでございまして、あえてそれ以上に特別な機構をつくる必要はないと考えております。
 産業政策についてのお尋ねでございました。
 まず、農業政策でございますが、これもたびたび申し上げておりますように、国民食糧の安定供給、健全な地域社会の形成、国土の保全等、重要な役割りを農業は担っておるものと認識いたしております。このような農業の健全な発展を図るために、八〇年代農業の進むべき方向といたしましては、農業の生産性と総合的な自給力の向上、活力のある農村の建設に努めてまいりたいと考えております。
 中小企業対策でございますが、地域に根差した産業の振興は、産業構造高度化の重要な柱であると承知いたしております。中小企業に対する構造政策といたしましては、地域の特性に応じまして地場産業の振興を図ることとし、軽工業など国民生活の質的充実に貢献する産業に特に重点を置いてまいりたいと考えております。
 雇用政策についてのお尋ねでございました。
 雇用情勢は、最近おかげをもって緩やかな改善が見られておるわけでございますが、企業の減量経営は、これは原則として直接国が関与すべき性質のものではございませんけれども、経営者団体等各方面に対しまして、特に雇用に配慮するよう政府としては要請いたしてきたところでございます。
 労働時間の短縮、定年延長の促進につきましては、行政指導によりこれを進めることにいたしまするし、最低賃金制につきましては、地域の実情に応じて決定する現行方式で進めることが最も効果的であると考えております。
 雇用における男女平等権を確立せよという御要求でございます。
 政府としては、同一労働における男女同一賃金の原則の徹底、男女差別的定年制の解消等を重点に男女平等の推進を図っているところでございます。今後ともさらに努力を続けてまいるつもりでございます。
 財政再建についてのお尋ねでございました。
 これは七〇年代の石油危機に対処するために財政が担った後遺症といたしまして、これをいち早く再建いたしまして八〇年代の課題にこたえなければならぬと考えて、今五十五年度を第一年度として再建の第一歩を踏み出そうといたしたわけでございます。歳出規模を抑制いたしまして、公債の一兆円発行の減額を断行いたすとともに、経費の節減合理化を厳しくやったわけでございまして、この姿勢は、ここ当分続けてまいりまして、五十九年度中には何としても赤字公債を取りやめるようにいたしたいということを目標といたしまして、鋭意この再建の努力を続けてまいるつもりでございます。
 公債政策についての御心配をいただいたわけでございます。
 私どもも、累増する公債につきまして、この償還の問題を考える前に、公債の増発を規制することから始めなければならぬと存じまして、五十五年度から減債に踏み切ったところでございまして、今後の努力を通じまして一層減債に努めてまいるつもりでございますが、累積公債の償還につきましては、あらゆる財政努力をしぼって、その円滑なる償還のために努力をいたすつもりでございます。
 税制に関連しながら財政再建の方途についてのお尋ねでございました。
 村上さんは、資産家重税、不要支出の削減、あるいはその他特別な措置を講ずることによって、四兆円に上る歳出の削減が可能であるという御意見を発表されましたけれども、私は、財政の再建に当たりまして、そんなに奇手妙案はないと思うのでございまして、幅広く歳入歳出全般にわたりまして、着実に歳出規模の削減合理化に努めて、極力国民の負担の軽減に資するように努力してまいることが、われわれの任務でなかろうかと考えておるわけでございます。
 安保条約に関連した御質問にお答えいたしたいと思います。
 中近東情勢と安保条約との関連についてのお尋ねでございますが、随時わが国の施設、区域を利用する艦船がわが国を出港後インド洋を巡回するようなことがあっても、安保条約上、これが同条約の適用の拡大を意味するというようなことではないと私は考えておりますことを申し上げておきたいと思います。
 わが国に駐留している海兵隊についてのお尋ねでございますが、唯一の師団程度の海兵隊がわが国にあるということは私も承知いたしておりますが、米国の特定部隊の司令官にだれが任命されるというような問題は、わが国の容認するとかないとかいう問題ではないと考えております。
 それから、安保条約の発動範囲の問題についてのお尋ねでございました。
 わが国に駐留している米海兵隊がわが国の安全及び極東の平和と安全に寄与していることは、何ら疑いがないところであると考えております。かかる海兵隊を含めて米軍部隊が、わが国から中東地域を含め他の地域に単に移動していくことは、何も安保条約上問題のないところであると考えております。
 また、御質問が、米軍が中東地域での事態に対処するためにわが国の施設、区域を戦闘作戦行動の基地として使用する場合を念頭に置かれているものであるとするならば、そのようなことは安保条約の予想するところではなく、現実の問題としては考えられないことであると私は考えております。
 リムパックについてのお尋ねでございますが、これはリムパック共同訓練への自衛隊の参加は、これまでも実施してきましたハワイにおける派遣訓練の一環として、米国との共同訓練を念頭に置いて戦術、技術を習得することが目的でございまして、環太平洋の政治的、経済的あるいは軍事的ブロックづくりといったようなものと何ら関連を持つものとは考えておりません。
 米国の中近東における行動をどう見るかという意味の御質問でございました。
 米国は、世界の平和と安定に大きな意味を有する湾岸地域がソ連のアフガン進攻によりまして脅威を受けておる事態に直面して、同地域を外部勢力が支配しようとする場合には、いかなる必要な手段を用いてでもこれを排除するという決意を明らかにしております。域内各国もソ連のアフガン進攻は、国家の主権と独立に反するものであるとして反発しておるようでございます。わが国にとりましても、同地域の平和と安定は重要でございます。内政不干渉、自決権尊重の原則に反するソ連の行動に反対いたしますとともに、米国のこうした態度はわが国として支持してしかるべきものと考えております。
 非核三原則の法制化についてのお尋ねでございました。
 非核三原則を堅持いたしますことは政府の一貫した政策でございまして、この政策はすでに内外に周知徹底されておると思います。また、この問題につきましては、国会におけるもろもろの決議によりまして、国会の意思も明確に表明されておると思います。したがいまして、これを改めて法制化する必要はないものと考えております。
 原爆被爆者対策の基本理念及び制度のあり方につきましては、現在、厚生大臣の諮問機関でございまする懇談会に検討をお願いいたしておりますることは御案内のとおりでございます。今後この制度のあり方につきましては、この懇談会の結論を待って対処いたしたいと考えております。
 次に、政界の腐敗の問題を避けて、不正経理問題という矮小化した問題にすべてをすりかえていこうとする魂胆が見えるじゃないかという意味の御質問でございますが、不正経理問題はもとより行政の綱紀の弛緩のあらわれでございます。政治の倫理の確立、行政の綱紀の確立が根本において重要であることを私は看過いたしておるわけでは決してないことを、この際、申し上げておきたいと思います。
 KDDに関する事件につきましては、現在捜査当局が鋭意捜査中でございます。当面、その推移を見守っておるところでございます。
 税理士法案についてのお尋ねでございますが、これは、昨年の通常国会におきまして衆議院段階での審議をほとんど終了していたものでございまして、献金問題により影響を受けるような性質のものではなく、今国会での速やかな成立を期待いたしておるところでございます。
 それから、団体及び企業献金の問題でございますが、私は団体並びに企業も法人として人格を持って政治献金をして悪いという性質のものではなかろうと思います。しかし、これを受ける側といたしましては、おのずからそこに一定の節度が必要でございまするし、漸次これを個人に移していく努力を積み重ねなければならぬと考えております。
 行政整理は、単なる事務的な整理ではなくて、政治の倫理腐敗の防止に役立つ観点から考えなければならぬということでございます。
 私は、政治の倫理並びに行政綱紀の粛正という問題は、それとして重大な行政改革以上の課題だと考えて、これに真剣に取り組まねばならぬと考えておりますけれども、行政費の節減、行政機構の簡素化という国民の要請にこたえるために、なお行政整理も不断の政治の課題といたしまして精力的に追求していかなければならないと考えております。
 小選挙区制についてのお尋ねでございました。
 先ほどたびたび申し上げますように、自由民主党内におきまして金のかからない選挙制度のあり方として検討いたしておりますることは承っておるわけでございますが、これは選挙の基本的ルールにかかわる問題でございますので、各党の間で十分論議が重ねられて、公正な結論が出されることを期待いたしておる次第でございます。
 最後に、スパイ活動をやってはいけないということでございます。
 私は、日本の国といたしましても、とりわけ自衛隊でも、違法な諜報活動は行っていないと確信をいたしております。機密保護法の制定は、現在、考えておりません。(拍手)
#12
○副議長(岡田春夫君) 春日一幸君。
    〔春日一幸君登壇〕
#13
○春日一幸君 激動の七〇年代を越えいここに新しい八〇年代の関頭に立って、わが国政の前面をながめるとき、そこには幾多の難関がいかめしく立ちはだかっております。すなわち、安全保障に、エネルギーに、財政に、それは状況ただならぬ危機に直面しております。
 この先、わが国政はいかにあるべきか、政府と国会は、いまこそ英知をこらし、勇気をもって決断し、万難を克服してこの難関を乗り越えなければなりません。
 私は、民社党・国民連合を代表し、これらわが国政の中枢的課題について、以降、政府の態度、方針について質問いたします。(拍手)
 その第一は、わが国の安全保障体制についてでありますが、まず冒頭に、去る一月十八日発覚した自衛官スパイ事件について質問いたします。
 その主犯宮永は、陸上自衛隊の元将官で、それはソ連情報の第一人者であり、しかも現役の中堅将校がその共犯者であったということに、国民はかつて見ないほどの大きな衝撃を受けております。
 年間二兆円を超える国費を投じ、国の安全をゆだねておる肝心の自衛隊がこのようなありさまでは、わが国の防衛体制は一体どうなっておるか、さらにはわが国の防衛に大きなかかわりを持つ米国初め友邦諸国は、これを見て、わが国への信頼を決定的に失うばかりでなく、今後はむしろ警戒することにはならないか、国民は驚きと憤りの中でいまや深刻な不安に包まれております。
    〔副議長退席、議長着席〕
 ここに、一九五四年の在日ソ連代表部員たりしソ連スパイ、ラストボロフ事件、またその後のコノノフ事件、マチューヒン事件などを分析して、今回の宮永事件をあわせ考察するに、ソ連の対日軍事謀略は長年にわたって継続的に、かつ計画的に行われておる疑いが濃厚であります。(拍手)
 一方、西独においてはスパイ事件の発覚が年間一千件に達しているのに、わが国においてはこれがわずか数件にとどまっておるというこのことは、すなわち、摘発されたスパイ事犯は、摘発されないスパイ行為全体のせいぜい氷山の一角にすぎないのではないかと、このことが心配されてなりません。
 およそスパイがねらう情報は、わが国の防衛、作戦計画に関する機密資料がその中心でありましょうが、実にその機密こそは、わが国が独立を保ち、国民の生命を守るための機密そのものにほかなりません。(拍手)
 しかるに、わが国の防諜体制は、各国のそれに比べて余りに開放的で、現にそれはスパイ天国、スパイ銀座と呼ばれておるほどであります。もとより、わが国は他国と異なる平和憲法のもとにあり、かつは言論の自由と行動の自由は基本的人権として保障されなければなりませんが、だからと言って、それを野方図にすることによって外敵の侵略を誘い、ために国の独立と国民の生命を危険に陥れるがごときことになってはなりません。
 いまや国際情勢は、われらが平和への願望にかかわりなく、インドシナ三国は戦争地獄、それにアフガンへのソ連大軍の進駐、わけてもわが国北方領土におけるソ連軍基地の構築など、生々しく緊張を加えております。
 このような現実に対処して、わが国が専守防御に完璧を期するために、防衛の機密確保に万全を図ることは、それこそ政府と国会に課せられた厳粛な責務であります。今般の宮永事件の発生もまさに政治の責任であり、なかんずく自民党長期政権の責任そのものであると言っても過言ではございません。(拍手)
 政府は、この宮永スパイ事件についてソ連政府に対しいかなる対抗措置をとったか。なお、宮永のスパイコンビたるソ連側コズロフ大佐に対して政府は法上の責任を追及しているか。しているとすればその根拠法、していないとすればその事情は何か。
 今回の宮永事件で防衛庁首脳の責任が厳しく問われておりますが、それは当然のことながら、問題の中枢は、かかる売国行為を可能にしているわが国の政治ムードとあわせ、現行法体制そのものにありと考えます。総理は、現行法体制のままで防衛上の秘密は確保され得ると考えておられますかどうか。今後のスパイ防止対策について、この際、国民はもとより、友邦諸国が安心できるよう、日本の内閣総理大臣として責任ある御答弁を願いたい。(拍手)
 次は、現行「防衛計画の大綱」について質問いたします。
 およそ国政の目的は国民福祉にあり、国民福祉の大前提は国の安全にあることは論を待ちません。したがって、安全保障政策は国政の大本と言えましょう。政府は、五十一年十月に閣議決定を行って「防衛計画の大綱」を定め、その大綱に基づいて自衛隊の配備、装備を行っております。
 ところが、この防衛計画大綱は、その冒頭に「わが国が保有すべき防衛力は、国際情勢及びわが国周辺の国際政治構造並びに国内諸情勢が、当分の間、大きく変化しないという前提に立ち」云々と述べておりますが、ここに、わが国周辺の軍事情勢は、前にも申し述べましたとおり、わが北方領土にソ連の軍基地が構築され、空母ミンスクがウラジオストクに根拠を移し、また、長距離爆撃機バックファイアやT72型戦車多数が新しく極東地域に配置されたとの報道もあり、かたがた、ソ連軍のアフガンへの大軍侵入に端を発して、米ソのデタントは消滅したとの見方もあるなど、ここ三年間にそれは大きく変化したことは厳然たる事実であります。
 このような周辺諸情勢の大規模な変化にもかかわらず、当分の間大きく変化しないとの前提に立って決定されたあの五十一年版の防衛計画が、現在もそのままに踏襲されているのは異様なことであります。政府は、この「防衛計画の大綱」を現状に即して再検討すべきであると思うが、政府の見解はいかがでありますか。総理より御答弁を願いたい。
 次は、米国との安全保障体制の確保について質問いたします。
 昨年中、雑誌文芸春秋などを舞台に、ロンドン大学教授森嶋通夫氏と早稲田大学客員教授関嘉彦氏とが、わが国の安全保障政策について深刻な論争を展開しておりました。この両氏の論争のハイライトは、森嶋氏の非武装、無抵抗降伏論と関氏の必要最小限の自衛力保持論との応酬にあったと思われます。森嶋説は、あれは防衛放棄論であるから、国の安全保障政策とは異質のものと思われるのでここでは触れないこととし、この際、関氏の所論に関連して政府の方針を伺います。
 すなわち、関氏は、一国の安全は軍事力だけでは守れぬが、しかし軍事力なしでは守れない、ゆえに必要最小限の自衛力を持つべきだ、なお、日本の安全保障の軸になるのは日米安保条約だ、もしも大規模な攻撃や核兵器による脅迫を受けた場合は、米軍の援助や米国の核の報復力でそれを抑えてもらうしか手がない、米国にそのような信頼をかけれるかどうかは、日本が自衛のためにみずから誠実な努力をしているか否かにかかる、と論じておられました。論理はまことに明快であります。
 そこで、お伺いしたいことは、このほど来日したブラウン米国防長官が、国際情勢の緊迫にかんがみ、西側諸国は多大な防衛努力を進めているので、日本もこれに合わせて防衛力を拡大してほしい旨要請したのに対し、総理は、国民の合意を固めながら努力したい旨答えられたことについてであります。もとよりこの問題は、その折、総理も付言されたとおり、日本の問題だから日本の問題として考えるべき筋合いのものではあろうが、しかし、これは関氏指摘のごとく、日米安保が日本の安全保障の軸だとすれば、あの条約が両国の相互協力を基本理念とするものであることにかんがみ、日本が自助を怠るならば、米国もまた援助の熱意を失うことになるものと理解すべきでありましよう。
 もとより、わが国の防衛力は専守防御に徹して必要最小限にとどむべきでありますが、同時に、それは日米安保の機能とあわせて総合的に考慮する必要がありましょう。
 そこで、政府の方針は、報道されたごとくに改めて国民の合意を得てこの防衛力強化の要請にこたえる方向であるのか。だとすれば、政府はこれからいかなる手段、方法をもってそれを推進される御所存か。この際、政府の真意をしかとお聞きしておきたいと存じます。(拍手)
 なおあわせて、ここに直面するイラン問題、アフガン問題に対する政府の態度、方針について伺っておきます。
 総理はその施政方針演説で、ソ連のアフガンへの軍事介入とテヘランにおける米大使館占拠事件に対して、政府は国連の決議を強く支持し、自由主義諸国と連帯協調して対処していくと述べ、それがたとえわが国に犠牲を伴うものであっても、それを避けてはならぬと、かたい決意を示されました。
 わが党も、もとよりその方針には異論ございません。しかしながら、わが国は、米国とはもとよりのこと、イランとも重厚親密な関係にあり、またソ連とは独特な関係にあります。したがって、一たびその対策を誤るならば、それはいずれもたちまちわが国に致命的な障害をもたらしましょう。諸情勢は刻々に煮詰まって、国民はかたずをのむ思いで政府の対応を見守っております。
 そこで、お伺いいたしますが、米国、イラン、ソ連が現在わが国に提起しておる要請事項は何々か、そして、それらの要請に対する政府の態度、方針はどのようなものか、この際、総理より重要項目ごとにそれを具体的に御説明願いたい。(拍手)
 次は、奇襲侵略とこれに対する自衛隊法の規定について質問いたします。
 この際、昭和五十三年七月、時の統合幕僚会議議長栗栖弘臣氏が、外敵の奇襲侵略を受けたとき、自衛隊は時に超法規的に行動することもあり得ると発言したと報道され、これが文民統制を乱す言動なりとして解任されたことを想起願いたい。
 そもそもあの栗栖発言の趣旨は、外敵の侵入を受けた場合でも、自衛隊は防衛出動の発令が行われた後でなければ武器を持って行動することはできない、ところが、総理大臣が防衛出動を発令するには、まず国防会議にその可否を諮り、その議を経た上で、原則的には事前に国会の承認を取りつけなければならない。したがって、奇襲を受けてから防衛出動が発令されるまで、自衛隊の行動はその間空白に置かれることになる、奇襲というような極限の時点で、なすところなく待機していなければならなくては、自衛隊はその任務に万全を尽くすことができない、これは法上の欠陥であると思うから、政府と国会はこの点について速やかに法体制を整備してほしいという趣意でありました。当時、防衛庁内局筋は、そんな場合はひとまず逃げろと口走ったことでありましたが、それでは何のための自衛隊かとあざけられ、そこで、個人個人の正当防衛として、出動命令がなくても武器が使えると言い直したら、制服側から、個人の行動として認めるのでは隊としての統制がとれないと横やりを入れられ、それならば刑法第三十五条に言う正当行為として武器の使用を認めることにしてはどうかと三転したら、今度は法務省筋に、刑法三十五条は個人への適用を対象にしたものだ、これを自衛隊の行動に適用することは筋違いだと真っ向から否定されました。なお、自衛隊法の罰則には、正当な権限がなくて自衛隊の部隊を指揮した者は三年以下の懲役または禁錮に処すとして、その行動を重ねて法定主義のくぎで打ちとめておるのであります。したがって、奇襲侵略を受けた場合に、自衛隊は内閣総理大臣が法上の諸手続を踏んで防衛出動を発令するまでの間は、抗戦するにしても、逃避するにしても、はたまた降伏するにしても、何人もその部隊を指揮することは許されないことになっておるのであります。
 このように、正当防衛もだめ、正当行為も否認、超法規的行動も禁止とあらば、自衛隊は現行自衛隊法のもとにおいては、外敵の奇襲侵略に対していかなる臨機の行動も許されてはおりません。わが党は、あの当時、五十三年八月、時の陸海空三自衛隊の幕僚長にその意見を聴取しましたが、三幕僚長は、奇襲即応体制整備のためには現行自衛隊法の改正が必要である旨、こぞって言明いたしました。現行自衛隊法は、このようにまさしく大いなる欠陥を内蔵しておるのであります。
 しかるに、奇襲にどう対応するかという画然と限定したこの栗栖氏の問題提起が、一部の人士によって、これを国家総動員法や徴兵制の復活につながるものだなどと歪曲、誇張されて騒ぎ立てられ、かくて政府は、当時有事立法の研究を行うとの決定だけはいたしましたが、その後、慎重に研究するとの口実のもとに、さわらぬ神にたたりなしとばかりに、本日まで何ら具体的な措置をとってはおられません。
 奇襲攻撃があるかないか、それは何人も断言できるものではございません。だがしかし、第二次世界大戦後本日までに、世界の諸地域においてすでに数十回にわたって国家間に戦闘が行われておりますが、そのことごとくは現に奇襲によって開始されていることを見誤ってはなりません。
 自衛隊が国の安全保障を確保するための機関として設置されておるものである以上、あらゆる事態に備えてその機能は完璧でなければなりません。不完全な法体制でシビリアンコントロールが全うできるわけはなく、また、法の欠陥を認めながら、それをしも補完できない憶病で怠惰なシビリアンで自衛隊が統御、統制できるものではございません。(拍手)
 このように、自衛隊法に奇襲対処の基本が欠けておることは、立法当時の一担当者であった元防衛庁次官加藤陽三氏がその著書「自衛隊史」の中で、「二十九年に自衛隊法を制定したが、当時の在日米軍は二十万人を超え、米軍が圧倒的に強大であったから、奇襲攻撃について考慮しなかった。」と述べておることに徴して明白であります。
 シビリアンコントロールの当の責任者は大平総理、あなた御自身であります。あなたは、この法の不備を認め、所要の法的措置を講ずるのか、それとも法に不備はないというのなら、どのような法解釈に基づいて、どのような措置を自衛隊に命ずるととによって国の安全を守ろうとするのか、シビリアンコントロールの最高責任者としての総理の見解と方針をお伺いいたしたい。(拍手)
 次は、 エネルギー問題について質問いたします。
 一九七三年十月のいわゆるオイルショックの発作まで、石油価格は一バレル実に三ドル未満でありました。あのとき、OPECによる戦略的操作により、それが一躍四倍以上に引き上げられ、石油消費国はひとしく仰天したことでありましたが、自来、石油の価格と供給は、いやおうなく産油国の恣意にゆだねられ、いまや価格は実質一バレル三十ドル台にはね上がり、それでも消費国はなりふり構わず分量確保にきゅうきゅうとしているありさまであります。
 顧みれば、わが国経済は、あの石油ショックまで、安価な石油を基盤にして一路高成長を遂げてきたものでありますが、この六年間にそれが十倍以上に値上げされて、これはあたかも二階に上げられてはしごを外されたみたいで、いまや全く途方に暮れた状態にあります。
 かくて、長年輸出ドライブでかせぎために保有外貨は、ほかに一、二の理由ありとはいえ、昨一年間に百二十七億ドルと一挙に三分の一近くも激減し、今後の貿易の成り行きが危ぶまれております。加えて、中近東の雲行きはますます不安であります。何はともあれ、石油から脱却する政策が強力に推進されなければなりません。そのためには、DD取引、GG取引の増大を図るとともに、省エネルギー政策を推し進め、まずは安全性を確保して原子力発電を推進することであります。(拍手)
 あわせて、石炭液化技術の開発、石油からLNGへの転換、それに核融合や太陽熱、風力、地熱などによる新エネルギーの開発など、国はエネルギー投資を計画的に推進せなければならないが、これらのプロジェクトに対する政府の施策はどのように進行しておりますか。
 なかんずく、この非常事態を前にして直ちに実効を期待できるものは、当面原子力発電にしぼらざるを得ないと思うが、現状はなお遅々としてはかどらず、これでは政府目標たる昭和六十年度三千万キロワットの発電計画はほとんど達成不可能であります。この際、政府は、従来の成り行き任せの姿勢をかなぐり捨て、安全性確保に国の科学技術を結集して万全の手だてを尽くし、もって唐子力発電の画期的推進を図るべきであります。
 なお、原子力発電機器の定期検査は年に百二十日を要し、ためにその稼働率は五五%にとどまっておりますが、西独ではこの検査を六十日間で作業していることに注目し、政府はその検査能力の改善充実を急速に達成すべきであると思うが、その可能性はどうか。
 さらには、あの日韓大陸棚開発協定はさきに所要の法的措置を完了しているにもかかわらず、いまなおその工事に着手していないのはどうしたことか。
 以上の質問諸点に対し、総理と通産大臣より政府施策の現状をそれぞれ具体的に御説明願いたい。
 次は、行財政改革について質問いたします。
 ここに五十四年度末の国債発行残高は約五十九兆円、これに地方債の発行残高約四十兆円を加えれば、公的債務はここに百兆円に達しました。かくて国債費は歳出予算の主座を占め、国の財政はすでに破綻直前の状態にあります。したがって、財政の再建はいまやわが国政に課せられた至上命令と言うべきであります。そこで、財政再建の手段はたれが何と言おうとも、それは行政改革と不公平税制の是正を断行し、歳出の縮減と歳入の増加を図ること以外にはあり得ません。(拍手)
 政府の五十五年度以降の行政改革計画によると、五十五年度に実施するのは、中小企業共済事業団と中小企業振興事業団との統合、日本学校給食会と日本学校安全会の統合、オリンピック記念青少年総合センターを国への直轄化、こどもの国協会の民間移行など、それは見るからに当たりさわりのない枝葉末節にすぎません。(拍手)
 問題の地方出先機関の整理については、五十五年度の整理対象は、支所、出張所合わせて五、六カ所にすぎず、その他の計画を加えても、こんな程度で財政の立て直しなど望むべくもありません。前国会において、わが党の佐々木委員長も強調いたしましたが、まず隗より始めよとの教えのとおり、大蔵省、行政管理庁はみずからその出先機関を廃止して、各省庁にその範を示すべきであります。このような児戯にも似た機構いじりを、行政改革などと口幅ったいことが言えましょうか。
 わが党は、真に財政支出抑制の実効を上げるためには、地方出先機関にあっては、現業機関は別として、その他の行政機関は原則としてこれを全面的に廃止し、国家公務員、地方公務員は定年制導入と配置転換により現在定数を二割削減し、あわせて特殊法人を大幅整理し、行政事務の地方移管と地方事務官制度を廃止するなど、それは行政機構全般にわたって徹底的に斧鉞を加えるのでなければ、この財政の危機を克服することはとうてい不可能であると考えます。(拍手)
 なお、この際、特に強調しておかねばならぬことは、官公庁、公団、公社等の綱紀紊乱についてであります。
 このほどの会計検査院による五十三年度検査報告を見るに、その検査対象は全体の八%未満であるにもかかわらず、不正、不当の支出が二百七十億円も指摘されました。これを全体に類推すれば、官公庁における国費のむだ遣いは実に三千四百億円に達します。まことに国、地方を通ずるやみ給与、空出張、それに鉄建公団、KDD等で暴露された乱脈経理に見るとおり、国民の血税は、現在親方日の丸とばかりに、権力の座にあぐらをかく冗長な役人組織によってこのように大きくむしばまれているのであります。(拍手)
 不況とインフレ、重税と金詰まりの中で、労使ともども苦労に苦労を重ねている国民に対し、まことその良心のありどころを疑わざるを得ません。総理は、行政の最高責任者として、ここに国民に対し深く陳謝するとともに、この際、綱紀粛正のために、それらの行為者には厳然たる処分を行うべきであります。(拍手)
 なお、不公平税制の是正についてでありますが、政府は来年度において若干の改正を行おうとしておりますが、これまた行政機構の改革におけると同様に、ほとんど問題の核心に触れたものではありません。わが党は、給与所得控除の青天井の撤廃、租税特別措置の根本的な見直し、法人税制の基本的仕組みの再検討、その他税制全般にメスを加えて、税の公平化を断行すべきであると考えます。
 特に、この際、念のため明確にしておきたいことは、あの一般消費税の問題であります。
 政府は、財政再建に名をかりて、なおもこの消費税導入を他日にもくろんでおられる様子に見受けますが、これは本末転倒、緩急前後を誤るもはなはだしきものであり、断じて許容されるものではありません。政府はこのことを確と銘記しておいていただきたい。(拍手)
 続いて、財政再建と福祉予算との関連についてであります。
 端的に申しまするならば、福祉の充実は、景気維持の観点から見てもきわめて重要であります。なぜなら、設備投資を原動力とした経済成長は、今後はとうてい期待できません。また、輸出の増大もすでにピークに達しておりますし、わけても公債の増発による景気刺激政策はもはや許されるところではありません。この上は、歳出の重点を、生活関連社会資本の拡充と社会保障の充実に置いて、すなわち、福祉向上によって景気の維持を図ることこそが残された唯一の道であります。したがって、今後の予算は、景気維持、福祉向上予算として編成すべきであると考えます。
 しかるに、五十五年度予算案はこの方向に逆行し、さらには、公共料金の軒並み値上げを行うなど、それは現状に対する機能を欠いた場違い予算と断ぜざるを得ません。特に厚生年金の支給開始年齢を、ただ単に年金財政だけに拘泥して六十五歳に引き上げようとしていることは、老後の生活設計を破壊するものであり、わが党は断じて容認できません。
 なお、この際付言しておきたいことは、生活関連社会資本の拡充に当たって、地価対策なしに政府投資を進めれば、投資額の多くの部分が地代に吸収されて、一般需要の創出効果がそこで減少してしまうことについてであります。かたがた、ここ数年来地価の騰貴は著しく、それはインフレドライブの凶悪なアクセルであります。政府は、速やかに根本的な地価抑制対策を断行すべきであると考えるが、以上の諸点に対して総理の御決意を、あわせて、行政管理庁長官、大蔵大臣より、それぞれその所管について態度、方針をお述べ願いたい。(拍手)
 以上、私は、わが国政の前面にそびえ立つ三つの難問題、すなわち、安全保障の危機、エネルギーの危機、財政の危機について、いささかわが党の所見を添えて政府の対策、方針をお尋ねいたしました。事の緊急性、重大性、そしてその困難性に思いをいたしますとき、この大平内閣で、そしてこの自民党政権で、果たしてこの歴史的難関を乗り越えることができるかどうか、まこと不安にたえません。
 すなわち、あなたは総選挙で敗北し、続いて、一カ月にわたる党内奪権闘争をそのまま衆議院本会議に持ち込んで、辛うじて第二次大平内閣首班の地位につかれましたが、それは何と、衆議院五百十一票のうち、わずか百三十八票の信任しか固めておりません。まさに孤影憤然として見るからに弱体であります。しかも、自民党に対する国民の支持は、衆議院選の段階では四〇%、参議院選の段階では三〇%、大都市にあってはおおむね二〇%にすぎません。このことは、もはや国民の心が自民党を離れつつある証拠であります。しかるに、自民党にはいまだ何らの反省なく、現に今年末の総裁選挙に向かって、各派閥の党員獲得競争が激烈に展開されております。このことは、選挙粛正こそ政治倫理の根源と指摘されている現状にかんがみ、この種の奪権闘争は金権腐敗の病巣をいよいよ深めるものであり、すなわち、自民党は政治モラルに照らしても、もはや政権党たるの資格を失ったものと断ぜざるを得ません。
 あなたはこの先幾多の難問題を抱え、このような体制で困難きわまる政局にどのように対処していかれる御所存か。この上は第一党の総裁として大局的見地に立たれて、議会制民主政治確立のためにもはや腹を固められるべき、ここがあなたの正念場ではないでしょうか。すなわちそれは、連合政権時代に向かって自民党も大悟一番、そこへ道をあけていただくことであります。(拍手)
 かつて英国の保守党は、一九二四年、当時院内第一党でありながら進んで野に下り、時の労働党党首マクドナルドを首班に指名して第一次労働党内閣を成立せしめ、かくて議会制民主政治の基盤を確立いたしました。およそ民主政治とは、主権平等の本義に即し、与党と野党とがほどよく交代し合う政治体制であります。しかるに、わが国においては、自民党一党支配の政治がすでに三十年を超えました。権力は腐敗する、絶対的権力は絶対的に腐敗する、この戒めのとおり、自民党政治の腐臭はいまや全日本を覆い、かくて政治の刷新、改革を求める国民の声はほうはいとして日々に高まっております。このような国民世論を体し、私ども野党の側においても、国民が安心して運命を託し得る政権の樹立を目指し、そのために、まず自由と民主主義に立つ健全なる革新政治勢力の結集に向かって現に誠実な努力を傾注しております。言うならば、これは自民党政治にかわる革新連合国民政権へのたくましき胎動であり、これはとうとうたる歴史の流れと見るべきでありましょう。自民党もこの歴史の流れに逆らわずして、すなわち、この夏の参議院選挙を天の時と見定め、そのあたりで政党間に政権の授受が行われるようにいさぎよくそこへ道を開かれるべきであると考えるが、総理の御所見はいかがでありますか。御心境を伺って私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#14
○内閣総理大臣(大平正芳君) 春日さんの最初の御質問は、宮永スパイ事件につきまして、ソ連政府に対し、いかなる措置をとったかというお尋ねでございました。
 政府は十九日、外交ルートを通じましてコズロフ武官の事情聴取を行いたい旨、ソ連側に要請いたしましたが、ソ連側よりは、これに応じられないとのとりあえずの回答がありました。政府としては、今後の調査の進みぐあいも見ながら、何らかの申し入れをソ連政府に行うということにつき検討してまいる考えであります。
 コズロフ大佐に法的責任を追及しているか、しているとすればその根拠法は何か、していないとすればその事情は何かというお尋ねでございました。
 一般に、武官を含めまして外交官につきましては、外交関係に関するウィーン条約によりまして、身体の不可侵、接受国の刑事裁判権からの免除等が規定されておりますので、当該外交官自体に対しましては、一般の外国人に対すると同じような法的責任の追及は行い得ないたてまえになっております。
 第三の御質問は、現行法体制のままで防衛上の秘密は確保され得るかどうかという御質問でございました。
 私としては、まず防衛庁内における規律の振粛に努めますとともに、秘密保全に万全を期するため、その総点検を行うことによりまして、二度とかかる事件が起こらないようにすることが緊急の課題であると考えて、現行体制の上で秘密の保持ができるような執務体制の総点検をいまいたしておるところでございます。いずれにいたしましても、機密保護法の制定というようなことを念頭に置いているわけではございません。
 それから、「防衛計画の大綱」は、北方領土にソ連の軍事基地が設置されて、空母ミンスクがウラジオに配置される、バックファイア等が配置されるというような現状にかんがみて、再検討する必要はないかというお尋ねでございました。
 わが国周辺の国際軍事情勢は、極東ソ連軍の顕著な増強等によりまして厳しさを増しつつあるものと考えております。わが国は、現在、昭和五十一年に策定いたしました「防衛計画の大綱」に従いまして防衛力整備を進めておりまするけれども、現在の防衛力は、同大綱が定めました水準にはまだ達しておりません。この大綱が定める防衛力の水準を可及的速やかに達することがまず第一に必要であると考えて、いま直ちに「防衛計画の大綱」を改めるという考えは持っておりません。
 米国からわが国の防衛努力の要請があるが、これにどうこたえるかということでございます。
 先般、ブラウン国防長官が来日されまして、西側先進国の努力も考慮して日本の防衛努力の強化を望む旨の発言がございましたことは事実でございます。私より、防衛費の問題につきましては、日本の経済、財政の状況、国民のコンセンサス等を念頭に置きながら、わが国自身の問題として対処してまいりますと答えたことも、また事実でございます。わが国は、みずからの適切な規模の防衛力と米国との安保協力体制を基礎として、従来より質の高い防衛力の整備に努めてまいり、誠実な安保体制の維持に努めておるわけでございますが、今後とも、引き続きそういう考え方に従ってまいることが、わが国の安全を守る基礎であることと確信をいたしておるわけでございます。
 わが国の対ソ、対イにどういう措置を講ずるかということにつきましては、外務大臣からお答え申し上げることにいたします。
 それから、奇襲即応体制の整備についてのお尋ねでございました。
 自衛隊法第七十六条は、武力の攻撃のおそれある場合にも防衛出動を命ずることを認めております。また、特に緊急の必要ある場合には、国会の事前の承認を得ないで防衛出動を命ずることを認めておりまするので、いわゆる奇襲攻撃に対しましても、現行法で基本的には対応し得るものと考えております。
 したがって、自衛隊が奇襲攻撃に対してとるべき方策は、防衛の態勢を整備して、実際上奇襲を受けることのないよう努めることがまず基本でございますが、なお、仮に奇襲があり得るとした場合に、自衛隊がこれに応じていかに対処するかは、文民統制の原則と組織行動を本旨とする自衛隊の特性等を踏まえまして、法的側面を含めまして政府部内において慎重に検討いたしておるところであります。その結果を待って判断いたしたいと考えております。
 エネルギー政策についてでございます。
 エネルギー政策につきましては、まず石油の安定供給を確保することは当面必要でございますが、春日さんのおっしゃるように、石油にかわるエネルギー資源の開発利用が次にわれわれの緊急な課題になってまいるわけでございます。
 特に、御指摘の原子力は、わが国におきまして最も信頼性がおける代替エネルギーであると考えておりまして、その安全性を確保しながら、その開発に努力を重ねていかなければならぬと存じております。
 これとともに、LNG、石炭、地熱、風力等の開発、導入、さらに太陽エネルギー、核融合等の新エネルギー技術の研究開発を、環境保全に配慮しながら、計画的、効率的に鋭意推進してまいるつもりでございます。
 このために、政府といたしましては、昭和五十五年度においてこれに必要な財源を確保いたし、これを遂行する機構を整備しつつあるわけでございます。
 それから、原子力発電機器の定期検査に日数を要し過ぎるじゃないか、西独の倍もかかっておるじゃないか、検査能力の改善充実を急速に達成すべきではないかという御質問でございました。
 現在、わが国の原子力発電所の定期検査の期間は、標準的には九十日程度でございますが、定期検査期間中にもろもろのトラブルの修理、改造工事をあわせ行っておりますので、実際にはそれより長期化する傾きがあります。
 定期検査の内容は、各国によりその国情、経験などから相違すると考えますが、わが国としては、安全確保に万全を図りながら、電気工作物検査官の増員、検査機器の開発など検査体制を充実いたしますとともに、軽水炉改良標準化の推進等による検査の合理化を推進いたしまして、定期検査の効率的な実施について配慮していきたいと考えております。
 日韓大陸棚の開発協定がどのように実行されておるかということでございます。
 日韓大陸棚共同開発につきましては、所要の手総を経まして、昨年秋から具体的な探鉱作業に着手したところでございます。
 すなわち、第五小区域及び第七小区域におきまして、日韓両国の開発権者により、十月末から十二月初旬までの間、物理探査が実施されました。本年は、この物理探査の結果を踏まえまして、第五小区域、第七小区域における試掘及び第八小区域における物理探査が予定されております。
 政府としては、今後とも開発作業が円滑に進むよう、必要な指導助言を行ってまいるつもりでございます。
 財政危機に関連いたしまして、行政改革に対して大変きついおしかりをいただいたわけでございますが、私は、行政改革、行政整理について大変関心を持ち、われわれを鞭撻していただく春日さんに感謝いたします。
 行政整理というのは、言うはやすくなかなか行うはむずかしいものでございまして、これまでも歴代の政府が心がけてなかなか成果を上げ得なかった難物であるわけでございます。
 われわれは、しかし勇気を鼓舞して、国民の期待にこたえて、五十五年まずこれだけのことをやろうと決意いたしておるわけでございますので、これでは足らないというお気持ちは十分わかりますけれども、われわれを進んで御鞭撻、支持していただきますようにお願いする次第でございます。
 内容につきましては、行管長官から御答弁申し上げることにいたします。
 官公庁、公社、公団等の綱紀紊乱につきまして国民に対し陳謝するとともに、その行為者は厳重に処分しなければいけないという御趣旨の御質問でございます。
 官庁綱紀の保持につきましては、機会あるごとにその徹底を図ってきたところでございますが、今回の一連の不祥事によりまして国民に不信の念を抱かせるような事態を招いたことは、まことに遺憾にたえないところでございます。
 政府といたしましては、まず、事件の徹底的な解明を行うことが第一と心得ますとともに、関係者に対しまして厳しくその責任を追及いたしておりまして、綱紀粛正に一層厳しく対処いたしまして、その再発の防止に全力を挙げてまいるつもりでございます。
 年金の支給開始年齢を六十五歳に引き上げるに
 つきましては、先ほど厚生大臣から井岡さんにお答えしたことに尽きておると思いますけれども、念のために申し上げますと、来年度の年金改正におきまして、年金水準の引き上げや各方面から要望の強い遺族年金の改善など給付の改善を一方において行ったわけでございます。将来の人口老齢化に伴う後世代の費用の負担を考慮いたしまして、今後とも、老後生活の支えとなる年金水準は維持しながら、年金制度の長期的な安定を図るために支給開始年齢の引き上げに着手したいと考えておるわけでございます。
 しかし、この場合におきましても、中高年齢の方々の老後の生活設計に十分配慮いたしますとともに、現在の高齢者を取り巻く雇用環境等を考慮いたしまして二十年かけて段階的に引き上げる措置を講じたいと考えております。
 土地政策、地価政策につきましてのお尋ねでございました。
 この点につきましては、たびたびこの本議場を通じましてお答え申し上げましたとおり、いまの地価の状況を投機的な状態にあるとは判断いたしておりません。大都市、とりわけ三大都市周辺の宅地の供給に不足があるのではないか、宅地供給を増すということがいまの地価政策の中心ではなかろうかと存じまして、それに即応いたしました政策を講じてまいるのがいまの姿勢でございます。しかし、今後、この事態を注視しておりまして、もし必要ということであれば法的手段も講じなければならぬと思いますけれども、現在は、まだそういう段階にあるとは判断いたしていないのでございます。
 最後に、自由民主党に対する批判と注文がございました。
 自由民主党は、戦後、終始国民の支持を得まして政権を担当して今日に至っております。私は、現在におきましても、政権を担う自民党の力量について、国民の評価は依然として高いものがあると確信をいたしております。私は、自由民主党の体質の改善と政策の刷新を通じまして、国民の期待にこたえて、政権政党としての重い責任を果たしてまいる決意のもとに、来るべき参議院選挙に臨みたいと考えております。(拍手)
    〔国務大臣竹下登君登壇〕
#15
○国務大臣(竹下登君) 春日先生の、行財政改革はだれが何と言おうと行革と不公平税制の是正、そして、歳出の縮減、歳入の増加をもって当たらなければならない、この考え方は、原則として私どももそのような方向でやるべきであると思っております。
 具体的に、「まず隗より始めよ」と申されたことでありますが、そのことは、前国会におきまして佐々木委員長からも御指摘をいただいたことであります。その方向で、ブロック改革案を作成いたします三月末までには引き続き検討をして結論を出したい、このように考えております。
 次に、不公平税制についての給与所得控除等の青天井の問題でありますとか、租税特別措置の抜本的見直し、法人税制の基本的仕組みの再検討等についての御提言がありました。
 現行の給与所得控除は、勤務に伴う費用が収入の増加に応じて何がしか増加していく、そういう原則でございますが、いずれにいたしましても、今度の税制改正に当たりまして、特に高額な給与所得者の控除率を逓減することということといたしております。
 次に、租税特別措置の根本的見直しの問題でありますが、五十五年度におきまして、利子配当課税について総合課税へ移行するための所要の措置を講じますとともに、企業関係の租税特別措置につきましては、廃止または大幅一律縮減など、思い切った整理合理化を行うことといたしております。この改正によりまして、五十一年度以降の五年間に、租税特別措置については、医師課税の特例を初めとするその主要な項目のほとんどについて改善措置が講ぜられ、企業関係の租税特別措置につきましては、三十二項目の廃止、五十一項目の縮減により、約八五%の整備が行われたことになるわけであります。これによって、税制調査会からは、「税負担の公平を確保する見地からの政策税制の整理合理化は、おおむね一段落したもの」と考えるとの評価もいただいておるところであります。
 法人税の基本的仕組みにつきましては、私どもは、これをいわゆる不公平税制としてとるわけではありません。が、その変更が、企業の資金調達の形態、個人投資家の金融、資産選択、企業間の税負担のバランス等に及ぼす影響や効果を慎重に見きわめ、諸外国の動向も考慮しつつ、十分に検討した上で結論を得たいと考えております。
 なお、一般消費税問題についての御意見を交えた御指摘がありました。財政再建は緊急の課題でありまして、なかんずく、私ども、昨年の国会におきまして財政再建に対する国会決議をちょうだいをいたしておるところであります。したがいすして、申すまでもなく、国会決議がございますので、それを尊重いたしまして、国民の各般の理解と協力を得ながら、財政再建に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上、お答えをいたします。(拍手)
    〔国務大臣宇野宗佑君登壇〕
#16
○国務大臣(宇野宗佑君) お答えいたします。
 数々の力強い御提言、拝聴いたしました。改めて敬意を表する次第でございます。
 そこで、五十五年行革でございますが、これは、いま申し上げましたとおりに、昭和五十五年行革と名づけました。そのゆえんは、常に政府は行革をしなければならない、だから、五十六年も五十七年もあるという意思をここに表示したものでございます。そして、今回の行革におきましては、これを第一次といたしております。近く第二次を準備をいたしております。
 まず、地方出先機関に関してでありますが、ブロック機関は、現場以外は全部廃止しろ、こういう御趣旨でございます。これに関しましても、三月三十一日までに、われわれといたしましては、極力御趣旨に沿うようなことでその第一歩を踏み締めたい、そうした計画を発表いたしたい、かように存じております。
 いまも、竹下大蔵大臣もおっしゃいましたが、去る国会におきまして、佐々木委員長から「行革はまず隗より始むべし」こういうふうな御金言がございました。私は、これは非常に大切なことだと思いますので、すでに、このことに関しましては、閣議におきまして、われわれ行政管理庁といたしましても、管区行政監察局をその整理の対象にするということを明言いたした次第でございます。
 府県単位の機関に関しましては、やはり一つ一つ着実にやっていきたいと思いますので、これは六月三十日までに成案を得たいと考えております。
 その他の地方支分部局に関しましては、今回は二十九種、そして二百三十カ所にわたりまして整理を図りました。
 ただいま春日先生は、五十五年度には五、六カ所とおっしゃいましたが、実は九十六カ所五十五年度中に整理をする予定でございます。この中には、かねて懸案でございました生糸検査所も入っておりまするし、また、常にいろいろと問題にされておりました食糧事務所の出張所は、今回の行革におきましてトータル三千カ所を整理することにいたしました。だから皆無でございます。これもあわせて御報告をいたしておきます。
 次に、定年制を導入し、配置転換を進めることにおいて二割を削減せよという御趣旨でございます。
 定年制に関しましては、これは本来総務長官の所管事項でございますが、私も関係閣僚でございますのでお答え申し上げますが、昭和六十年、六十歳を目途として、ただいまその準備を進めておる次第でございます。
 なお、配置転換は、これは初めてやる試みでございますが、従来厚かった各省庁間の壁をぶち破り、今回は二百名を超ゆると存じますが、これは将来における大きな道づけとしての意義があろうと私は考えておる次第でございます。
 なお、定員削減に関しましては、すでに御承知のとおり、今回まで第五次にわたりまして削減を進めてまいりました。ちょうど前後十七年でありまするが、十七万名の削減をいたしたわけでございます。ただし、第五次は三万七千でございますが、これは一般職におきましては一〇%以上の削減というので、非常に厳しい条件と相なっておることも事実でございますが、しかし、極力これにあわせまして、やはり新規の需要を抑制していかなければなりません。それをすることにおいて総員の縮減を図っていかなければなりません。今回の予算査定におきましては、極力この線を守りましたので、昨年まではむしろプラス・マイナス増でございましたが、今回は初めてマイナスという線を出しましたので、この点も御了解を賜りたいと存じます。
 なお、この点に関しまして、地方公務員に関しても同様の措置をとれという御質問でございましたが、これまた自治大臣の所管に属す問題ではありますけれども、国の定員削減に準じて地方においてもそのことを実行せよ、これを昨年要請をいたしております。
 最後に、特殊法人に関してでございます。
 率直に申し上げまして、特殊法人に関しましては、三十九年の臨調以来しばしばこの法人は問題にすべきであるというリストアップがなされてまいりましたが、残念なるかな、いわば手形は出されたが、その支払い期日が明示されておらなかったのであります。したがいまして、今回、その日付を私ははっきりと記しまして、一、二の例外はございますが、この三年間に十八法人の減を図った次第でございます。この数は、ちょうど百十一マイナス十八で九十三でありまして、昭和三十八年から昭和三十九年にかけての特殊法人の数と相なりますから、いわばその間におけるぜい肉を思い切って今回削除したことも御了解賜りたいと存ずる次第でございます。
 もちろん、天下りの場所であるというごうごうたる国民の非難にもこたえなくてはなりません。またやはり、民間の人材を登用せよということにもこたえなくてはなりません。この点に関しましては、百二十名以上の人たちを、常勤役員の数を減らすということに今回の行革におきましては決定をいたしましたので、御了解を賜りたいと存じます。
 いずれにいたしましても、民間の活力の培養を図りまして、そして、仰せのとおり、常在行革の精神で、今後あらゆる面に斧鉞を加えて、国民の期待におこたえ申し上げたいと存ずる次第であります。(拍手)
    〔国務大臣佐々木義武君登壇〕
#17
○国務大臣(佐々木義武君) 総理の御説明の中で、原子力発電の安全性の問題が若干手薄のように考えましたので、補足申し上げたいと存じます。
 春日先生は、原子力発電の安全性確保に国の科学技術を結集して画期的な進展を図れというおぼしめしでございまして、まことに時宜に適した御提案と感謝申し上げている次第でございます。
 私は、原子力の安全性の問題に関しましては、三つの問題を考えるべきではないか、一つは、原子炉そのものが安全だということ、安全な原子炉をつくるということ、二番目は、これが安全だという判定を下す公的機関が権威を持っておって、国民が、あれであれば、あの人がもういいと言うのであればよかろうではないかというふうな権威ある機関であってほしいということ、三番目は、やはり国民の理解を得ること、この三つが大変重要なことだと思っております。
 そのうちの第一番目でございますけれども、原子力研究所等が炉の安全性の研究開発にずいぶん長くかかりまして、ほとんど余すところないくらいただいま研究が進んでいると思っております。また、既存の原子力発電所も、御承知のようにいろいろ故障もございまして、その故障の原因がどこかという諸資料もたくさん集積してございますから、仰せのように、この際、日本の科学技術庁の総力を結集いたしまして、これを集大成して、安全性を確保するようにこの際図るべきじゃなかろうかというふうに私も考えてございます。まことにありがたいことと存じます。
 その他の二点に関しましては、この際、説明は省きます。
 定期検査あるいは日韓大陸棚の共同開発等に関しましては、総理から御説明がございましたので、私から付加はいたしません。(拍手)
#18
○議長(灘尾弘吉君) 内閣総理大臣から、答弁を補足したいとのことであります。これを許します。内閣総理大臣大平正芳君。
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#19
○内閣総理大臣(大平正芳君) 先ほどイラン情勢、アフガン情勢に対しまして、わが国の対応措置につきましては、外務大臣からお答えするとお答えいたしたのでございますけれども、外務大臣には発言の機会を与えられていないようでございますので、私から御答弁申し上げます。
 対イラン並びに対ソ措置の中で、ソ連との間の人的交流並びにココムによる輸出規制につきましては、すでにわが方として、その対応措置の実施に取りかかっておるわけでございます。けれども、対ソ信用供与、シベリア開発に伴う信用供与の問題、オリンピックに参加するかどうかの問題につきましては、まだ各国の対応等を見ておるところでございまして、決断をするに至っておりませんことを御了承いただきたいと思います。
 イランにつきましては、新たな経済協力上の契約等につきましては検討してみなければならぬのではないかと考えておりますけれども、まだ具体的な結論を出すに至っていないことを御了承いただきたいと思います。(拍手)
#20
○議長(灘尾弘吉君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#21
○議長(灘尾弘吉君) 御報告いたすことがあります。
 元本院議長星島二郎君は、去る三日逝去せられました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
 同君に対する弔詞は、先例により、議長において去る十九日贈呈いたしました。これを朗読いたします。
    〔総員起立〕
 衆議院は多年憲政のために尽力し特に院議をもつてその功労を表彰されさきに本院議長の要職につきまた再度国務大臣の重任にあたり終始政党政治の確立につとめられた従二位勲一等星島二郎君の長逝を哀悼しつつしんで弔詞をささげます
     ――――◇―――――
#22
○玉沢徳一郎君 議事日程第一は延期し、本日はこれにて散会されんことを望みます。
#23
○議長(灘尾弘吉君) 玉沢徳一郎君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#24
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後五時二十六分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  大平 正芳君
        法 務 大 臣 倉石 忠雄君
        外 務 大 臣 大来佐武郎君
        大 蔵 大 臣 竹下  登君
        文 部 大 臣 谷垣 專一君
        厚 生 大 臣 野呂 恭一君
        農林水産大臣  武藤 嘉文君
        通商産業大臣  佐々木義武君
        運 輸 大 臣 地崎宇三郎君
        郵 政 大 臣 大西 正男君
        労 働 大 臣 藤波 孝生君
        建 設 大 臣 渡辺 栄一君
        自 治 大 臣 後藤田正晴君
        国 務 大 臣 伊東 正義君
        国 務 大 臣 宇野 宗佑君
        国 務 大 臣 小渕 恵三君
        国 務 大 臣 長田 裕二君
        国 務 大 臣 久保田円次君
        国 務 大 臣 正示啓次郎君
        国 務 大 臣 園田 清充君
        国 務 大 臣 土屋 義彦君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 角田禮次郎君
        外務省条約局長 伊達 宗起君
ソース: 国立国会図書館
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