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1979/02/12 第91回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第091回国会 本会議 第6号
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1979/02/12 第91回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第091回国会 本会議 第6号

#1
第091回国会 本会議 第6号
昭和五十五年二月十二日(火曜日)
    ―――――――――――――
  昭和五十五年二月十二日
    午後二時 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 中央社会保険医療協議会委員任命につき同意を
  求めるの件
 航空事故調査委員会委員長及び同委員任命につ
  き同意を求めるの件
 労働保険審査会委員任命につき同意を求めるの
  件
 昭和五十四年度一般会計補正予算(第1号)
 昭和五十四年度特別会計補正予算(特第1号)
 昭和五十四年度政府関係機関補正予算(機第1
  号)
 所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 及び租税特別措置法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)の趣旨説明及び質疑
    午後二時二十六分開議
#2
○議長(灘尾弘吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 中央社会保険医療協議会委員任命につき同意を求めるの件
 航空事故調査委員会委員長及び同委員任命につき同意を求めるの件
 労働保険審査会委員任命につき同意を求めるの件
#3
○議長(灘尾弘吉君) お諮りいたします。
 内閣から、
 中央社会保険医療協議会委員に伊藤善市君及び高橋正雄君を、
 航空事故調査委員会委員長に八田桂三君を、
 同委員に榎本善臣君、小一原正君、幸尾治朗君及び諏訪勝義君を、
 労働保険審査会委員に浦田純一君及び八木高生君を
任命したいので、それぞれ本院の同意を得たいとの申し出があります。
 まず、中央社会保険医療協議会委員及び労働保険審査会委員の任命について、申し出のとおり同意を与えるに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも同意を与えるに決しました。
 次に、航空事故調査委員会委員長及び同委員の任命について、申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#5
○議長(灘尾弘吉君) 起立多数。よって、同意を与えるに決しました。
     ――――◇―――――
#6
○玉沢徳一郎君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、昭和五十四年度一般会計補正予算(第1号)、昭和五十四年度特別会計補正予算(特第1号)、昭和五十四年度政府関係機関補正予算(機第1号)、右三件を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#7
○議長(灘尾弘吉君) 玉沢徳一郎君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。
    ―――――――――――――
 昭和五十四年度一般会計補正予算(第1号)
 昭和五十四年度特別会計補正予算(特第1号)
 昭和五十四年度政府関係機関補正予算(機第1号)
#9
○議長(灘尾弘吉君) 昭和五十四年度一般会計補正予算(第1号)、昭和五十四年度特別会計補正予算(特第1号)、昭和五十四年度政府関係機関補正予算(機第1号)、右三件を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。予算委員長田村元君。
    〔田村元君登壇〕
#10
○田村元君 ただいま議題となりました昭和五十四年度一般会計補正予算(第1号)外二件につきまして、予算委員会における審議の経過及び結果を御報告申し上げます。
 この補正予算三件は、去る一月二十四日本委員会に付託され、同月三十日に提案理由の説明を聴取し、二月九日及び本十二日の両日質疑を行い、その終了後、討論、採決をいたしたものであります。
 まず、補正予算の概要について申し上げます。
 一般会計は、歳入歳出とも、それぞれ一兆六百七十五億円を追加するものでありまして、歳入におきましては、最近までの税収の実績等により租税及び印紙収入について一兆九千九十億円の増収を見込むとともに、前年度剰余金五千三百五十七億円の受け入れを行い、他方、専売納付金等の減収一千五百七十二億円を見込むとともに、公債を一兆二千二百億円減額することとしております。
 歳出におきましては、災害復旧等事業費一千百六十六億円、国家公務員の給与改善費二百二十二億円、地方交付税交付金六千三百九十二億円、国債整理基金特別会計への繰り入れ三千四百三十八億円、その他義務的経費の追加を行うとともに、既定経費の節減及び公共事業等予備費の減額により二千七百四十六億円の修正減少を行っております。
 以上の結果、昭和五十四年度の補正後の一般会計予算額は、歳入歳出とも二十九兆六千六百七十六億円となり、歳入のうち、公債金の総額は十四兆五百億円、公債依存度は三五・四%となることになります。
 特別会計予算におきましては、一般会計予算の補正に関連して、国立病院特別会計、食糧管理特別会計等九特別会計について所要の補正を行い、また、政府関係機関予算におきましては、日本専売公社について所要の補正を行うこととしております。
 次に、質疑のうち、主なものについてその概要を申し上げます。
 去る九日の委員会の冒頭に、倉石法務大臣から、自衛隊秘密漏洩事件に関する報告があり、続いて大平内閣総理大臣から、「厳正な規律と秘密の保全が強く要求される自衛隊の内部から、かかる不祥事件が発生したことはまことに遺憾であり、深くみずからの責任を痛感し、国会と国民に対し心からおわびする。さきに防衛庁における規律の振粛と秘密保全体制の総点検を指示したが、その結果を踏まえて、この種の事件を再発させないよう万全の措置をとり、自衛隊に対する国民の期待と信頼の回復に努力する決意である」旨の発言があり、これに対して、「総理大臣の言明は聞いておく。しかし、これで事件の責任問題にけりがついたとして、罰則の強化や機密保護法の制定を考えるべきでないと思うが、政府の方針を明確にしてほしい」旨の質疑があり、内閣総理大臣から、「政府としては、この事件に関連づけて、立法措置を講ずるつもりはなく、自衛隊法改正の考えもない」旨の答弁がありました。
 次に、「五十四年度補正予算には、一兆九千億円に上る租税の自然増収が計上されており、余りにも巨額であるが、これは当初の見積もりが誤っていたのか、または、年度末の財政需要に充てるため、故意に過小の見積もりをしたためではないか。増収があったこと自体は結構なこととしても、本年度の予算編成当時、景気はすでに上向きかけていたのであるから、よく注意すれば、より的確な見通しが立てられたはずではないか」との趣旨の質疑があり、これに対して政府から、「五十四年度予算の作成の時点では、五十三年度の実績見積もりを基礎として税収を算定し計上したものであるが、五十三年度の実績が見込みよりも七千七百億円増加したため土台がそれだけ高くなり、その上、本年度も引き続き景気が順調に推移して、雇用者所得、鉱工業生産などが当初見通しを上回ったため、源泉所得税、法人税等を中心に相当程度の増収が見込めることとなった。政府としては、最善の見通しを立てたものであるが、大幅な乖離を生じたことは残念であり、今後このようなことのないよう努めたい」旨の答弁がありました。
 次に、「今年度の公共事業費について、五%の執行留保を決定したのはいかなる理由によるのか。当初予算の審議の際には、公共投資はぜひとも必要と言って予算を成立させておきながら、年度末になるとかかる措置がとられるのは、公共事業の規模を過大に見積もるためではないか」との趣旨の質疑に対し、政府から、「景気振興の必要があるときには、公共事業の執行を促進し、一〇〇%近くを消化しており、また、今年度は、当初、景気の回復を定着させるため、公共事業費を大幅に増額したのであるが、その後の経済の動向にかんがみ、物価に与える影響に配慮して、経済運営を弾力的に行うため、当面五%の執行を留保したものである」旨の答弁がありました。
 次に、「五十四年度の経済見通しは、実質成長率六・三%の当初見通しが六%に修正された。これは、大体において差異がないように思われるが、個々の項目について見ると、それぞれ大きな狂いがあり、国内需要のうち、政府支出が大幅に落ち込み、反対に海外需要が伸びているのはなぜか。これでは、本年度は内需を喚起して対外的経済摩擦を防ぐという政府の方針に反しており、現に日米間の通商問題も再燃しかけているが、これにどう対処するつもりか」との趣旨の質疑があり、これに対して政府から、「本年度は、個人消費、民間設備投資が予想よりも活発であり、他方、政府支出は、公共事業の五%の留保もあって落ち込んでいるが、これは景気のなだらかな成長を期するための措置であり、来年度で支出されれば、その成長率を引き上げる要因ともなるものである。現在、円の為替レートが若干低目のこともあって、輸出が数量的に伸びており、これが過度になって国際的摩擦を惹起することのないような配慮が必要であり、特定国への集中的輸出を避け、プラント輸出など国際協力関係を強化し、あわせて情報の収集分析に努める等、問題を未然に処理するよう努力したい」旨の答弁がありました。
 以上のほか、米ソ両国間の緊張問題、在日米軍の移動問題、自衛隊のリムパック参加及び奇襲対処問題、中小企業対策、電力会社の料金値上げ申請に関する独占禁止法の運用問題、灯油価格高騰対策、電電公社の経理問題、KDD事件の捜査等について熱心な質疑応答が行われましたが、詳細は会議録により御承知願いたいと存じます。
 本日、質疑終了後、補正予算三件を一括して討論に付したところ、自由民主党・自由国民会議は賛成、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党・革新共同、民社党・国民連合は、それぞれ反対の討論を行い、引き続き採決を行った結果、昭和五十四年度補正予算三件は、賛成者少数をもっていずれも否決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#11
○議長(灘尾弘吉君) 三件につき討論の通告があります。順次これを許します。瓦力君。
    〔瓦力君登壇〕
#12
○瓦力君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、昭和五十四年度補正予算三件について、賛成の討論を行います。(拍手)
 最近のわが国の経済政策の重要課題は、物価の安定と景気の順調な回復を図ることにありました。このため、ここ両三年、公共事業の拡大を中心とする総予算並びに補正予算を通じて景気の回復に鋭意努めてまいったところでありますが、第一次石油ショック後の不況は意外に底が深く、企業収益の低迷、雇用情勢の悪化をもたらし、他方、輸出の急増が円高及び経済摩擦を招来するなど、対外不均衡の問題も表面化したのであります。しかし、五十三年度後半になると、大幅な公共投資の拡大の効果が徐々にあらわれ、まず関連産業の生産及び所得の増加をもたらし、これが経済全体の回復の起動力となって、消費支出、設備投資など、国内民間需要の盛り上がりが漸次確実となりました。厳しかった雇用情勢も、緩やかとはいえ着実に改善され、昨年十二月期の有効求人倍率は〇・八二にまで持ち直してきたのであります。
 このように景気回復が本格化したのは、かねてわが自由民主党が主張してまいった、波及効果の大きい公共投資により内需を喚起する景気刺激策が当を得ていたからであり、わが党の政策の選択が正しかったことを事実をもって証明するものであります。(拍手)
 この間、原油価格の上昇もあって物価の高騰が懸念されましたが、マネーサプライの管理公営歩合の引き上げ等々の財政金融政策が適時適切にとられたこと、各企業がいわゆる減量経営など子の体質改善を図ったこと、国民各位が堅実な消費態度を堅持されたことなどにより、インフレへの進行を未然に防止しつつ、景気の自立的拡大基調を維持することができたことは、まことに幸いであったと言えます。
 景気の拡大が租税収入等の増加をも一たらしてることは言うまでもありません。所得税や法人税を中心に、五十二年度は約七千七百億円の自然増収があったのでありますが、今五十四年度は一兆九千億円余の増収が見込まれているのであります。
 今回の補正予算は、この今年度の自然増収を歳入に追加計上し、一兆二千二百億円の公債金を減額するとともに、昨年夏及び秋に生じた災害復旧のための経費、給与改善費等の特に緊要な事項などについて追加措置を講じようとするものであります。
 この結果、五十四年度の公債依存度は、三九・六%から三五・四%へ引き下げられることになりました。また、公責金の減額は、特例公債が大幅に縮減されたことにより、特例公債の発行予定額が建設公債を下回ることになったのであります。
 他方、本補正予算では、既定経費の節減及び不用額、公共事業等予備費の減額合わせて二千七百四十六億円の修正減少を行っております。
 このように、歳入歳出の両面にわたって財政の健全化を図ろうとする政府の姿勢が示されていることは、まことに心強いものがあります。
 わが国経済は、国際石油情勢がきわめて流動的な様相を呈している中で、さらに物価の安定と景気の自立的拡大基調を維持していくことが要請されております。
 また、財政再建の必要性はいささかも減少しておりません。私どもは、政府と一体になってこれらの課題の解決に当たり、難局を乗り切って、国民の負託にこたえる決意を表明し、賛成討論といたします。(拍手)
#13
○議長(灘尾弘吉君) 阿部助哉君。
    〔阿部助哉君登壇〕
#14
○阿部助哉君 私は、日本社会党を代表して、ただいま提案されました昭和五十四年度一般会計補正予算、同特別会計補正予算並びに同政府関係機関補正予算の三案について、反対の討論を行います。(拍手)
 わが国経済は、原油価格など海外要因もあって、卸売物価の持続的上昇という事態の中で、国内景気は回復し、とりわけ大企業は好況に推移してきました。法人企業統計調査によれば、昨年九月期における法人の売上高は百四十兆三千億円で、前年同期に比べ一七・七%増と大変な好況で、昭和五十三年一−三月期以来七期連続の上昇をたどっております。すなわち、営業利益は四二・四%増、経常利益も三六・二%増と目覚ましく、まさに大企業は史上空前の利益を上げています。その一方、中小企業の収益は五十三年度でやっと五十一年度水準を回復したにとどまっています。
 このような大企業主導の経済を背景に五十四年度補正予算が編成されたのであります。そもそも、五十四年度当初予算に関しては、一般消費税を五十五年のできるだけ早い時期に実施することを含みとして編成されたものであります。このことは、当時の大蔵大臣の財政演説でも明らかであります。ところが、国民は総選挙において大平内閣の意図した大衆増税路線に明快に反対いたしました。国民が強く要求したのは、公費天国とも言われる不要不急経費の徹底的な洗い直しとその削減でありました。今回の補正予算は、残念ながら、これらの課題にこたえた内容にはなっていないのであります。
 反対の第一は、この補正予算編成の最大の理由であるとともにその特徴であります巨額の自然増収に関してであります。租税及び印紙収入の年度内自然増収額が一兆九千九十億円と計上されておりますが、これは従来から指摘されてきましたように、政府の歳入見積もりのずさんさを示すものであり、改めて正確な当初見積もりを求めざるを得ないのであります。しかも、現在の経済動向、企業収益状況を見るとき、自然増収額の過小見積もりの疑念を抱かざるを得ないのであります。
 その上に立ってこの自然増収の中身を見ますと、税の増収一兆八千七百五十億円のうち、所得税が五千九百九十億円、法人税が七千八百四十億円を占めておるのでありまするが、この両者の増収は性格を異にするものであります。法人税収入は、冒頭に指摘したように、企業のかってない好収益を反映し、その一部を税として社会還元しているものでありまするが、所得税収の増加は、この二年間、所得税減税を実施しないことによる課税最低限度の据え置きによって、納税者の増大という大衆課税の進展によるものであります。このことは、所得税の税収弾性値が二を超えている事実が端的に表明しておるのであります。国債発行額の削減は、財政再建のためには不可欠な対策でありますが、なし崩しの大衆増税路線でもって行うことは許されないのであります。(拍手)
 反対の第二は、経費削減についてであります。
 この補正予算で、公共事業等予備費二千億円全額が削られましたが、これは当初からの過大な公共事業費の計上を是正したにすぎません。それ以外に、物価抑制対策上、公共事業費の執行を数千億円繰り延べるというのが政府の方針であります。そもそも、公共事業等予備費は、行政府権限の拡大であり、財政民主主義の立場から疑義のあるところであります。公共事業費の繰り延べ措置についても、同様な考えに立たざるを得ません。財政改革論を深めていくという緊急の課題からしても、財政民主主義はかたく守り続けていかなければならないのであります。したがって、今年度内には不要な公共事業費は明確に削除すべきであります。
 この補正予算で歳出削減は大きな焦点でありますが、既定経費の節減は七百四十六億円にすぎません。しかも、その大部分六〇%以上は、国債発行額の圧縮に伴う国債費の節約という当然なもので、何ら政府の積極的努力による節約とは言い得ないのであります。文字どおり節約した額はわずかに三百億円にも満たないものであります。これでは国民の期待する財政再建、経費節約とは言い得ないのであります。
 反対の第三には、国債圧縮のための方策が不十分なことであります。
 さきに見ましたように、所得税、法人税の増収には基本的な違いがあります。本来ならば所得税、特にサラリーマンの所得税減税は当然行うべきであります。この補正予算では一歩譲っても、五十五年度には実施すべきであります。これとは逆に、法人税については、いまからでも増収対策を講ずべきであります。財政を犠牲にしての景気浮揚策により史上かつてない利潤を上げている大企業に対して、かつて創設した会社臨時特別税を復活し、国債発行を減額し、財政再建を図るべきであります。(拍手)
 反対の第四は、財政投融資計画の問題であります。
 第二の予算とも言うべき財政投融資計画は、次年度繰越額、不用額ともに近年増加の傾向をたどっております。今年度計画でも、昨年十一月現在、七〇%近くが未消化の状態にあります。たとえば、五十三年度に住宅金融公庫は一千七百六十億円、中小企業金融公庫は九百五億円、日本開発銀行は六百億円、日本輸出入銀行は四千九百八十億円の不用額を計上しておることなどからして、計画自体の見直しと今後のあり方を根本的に再検討すべきでありますが、その姿勢が見られません。その背景には、財政投融資計画が全体として国会議決の対象となっていないという現行制度の不備にあることを強調せざるを得ないのであります。
 以上、五十四年度補正予算の問題点について、主要な点のみ指摘しましたが、一言で言えば、自然増収を受けた編成にすぎず、財政再建のため、五十五年度予算を含めた十四カ月予算という展望のある予算とはなっていないのが大きな欠陥であります。
 大企業のための景気対策予算編成には十五カ月予算といった発想があっても、財政改革に関しては一切それがないというところに、政府・自民党の財政再建についての最大の欠陥のあることを指摘して、私の討論を終わります。(拍手)
#15
○議長(灘尾弘吉君) 草川昭三君。
    〔草川昭三君登壇〕
#16
○草川昭三君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和五十四年度補正予算三案に対し、反対の討論をいたします。(拍手)
 本補正予算案は、表面的には、税収増に伴う国債発行額の減額、災害復旧等事業費、給与改善費等の所要の財源措置、地方交付税交付金、義務的経費の追加など、当然の措置がとられていることは事実であります。
 しかし、一歩踏み込んで見るならば、国債発行額の減額措置は、財政危機を誇大に宣伝するために仕組まれた当初予算における意図的な税収の過小見積もりが暴露されたと言わざるを得ません。
 また、税収増に伴う地方交付税交付金の追加額を歳出の補正として計上しながら、法律改正によって強引にその交付時期を五十五年度に繰り越そうとしているのは、単年度会計主義の原則に照らして疑問であります。
 このような本補正予算案の背後にある政府の予算審議権軽視の行為は、財政民主主義の精神に著しくもとるものであり、われわれは政府の態度を認めることはできません。
 以下、本補正予算三案に反対する具体的な理由を申し上げます。
 まず第一は、本補正予算案で明らかになった五十四年度当初予算における意図的な税収の過小見積もりについてであります。
 われわれは、当初予算の審議に当たり、適正な税収見積もりを強く要求いたしました。しかし、政府は言を左右にして、その場を取りつくろったのであります。ところが、本補正予算案において、政府は、われわれの見通しどおり、一兆九千九十億円にも上る租税及び印紙収入の追加措置をとり、当初予算における税収の過小見積もりが約二兆円にも達することを認めざるを得なくなったのであります。とりわけ当初予算では、五十三年度よりも六千八百七十億円の減収と見込んでいた法人税などは、逆に七千八百四十億円の増収と修正をしたのであります。おおむね五十四年度経済は、政府の経済見通しに近い線で推移をしておるにもかかわらず、約二兆円もの増収が見込まれることは、国債発行額の減額が可能となったなどといって済まされるものでは決してありません。私は、五十四年度当初予算におけるこのような著しい税収の過小見積もりは、国民に財政危機を宣伝し、一般消費税の導入を画策する政府の腹黒い意図が秘められていたと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 反対理由の第二は、国債発行額の減額が不十分であるとともに、行政経費の節減に徹底して取り組む姿勢を欠いていることであります。
 本補正予算案では、五十四年度当初国債発行予定額十五兆二千七百億円を一兆二千二百億円減額措置を講じております。しかし、この減額措置は、政府の前向きな努力によって実現したものではないということであります。前に述べた五十四年度当初予算における意図的な税収の過小見積もりによって生じた増収分を、国債減額に振り向けたにすぎないのではないでしょうか。政府には、行政経費の節減などを通じて積極的に国債発行額の減額に取り組もうという姿勢は皆無と言っても言い過ぎではございません。私は、この際、国債発行の減額に対する政府の消極的態度を厳しく糾弾し、行政改革、補助金の整理の徹底を求めるとともに、巨額な国債発行がインフレを促進することのないよう、国債管理政策の確立を強く要求するものであります。
 第三は、地方交付税交付金の五十五年度への繰り延べ措置についてであります。
 本年度内における法人税、所得税、酒税の増収に伴う地方交付税交付金の追加額は、無条件で地方自治体に交付をされることが単年度会計主義の原則であるはずであります。ところが政府は、地方交付税法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の成立をもくろみ、五十四年度における地方交付税交付金の追加額の大半を強引に五十五年度に繰り越す措置をとろうといたしております。政府の意図は、五十五年度における地方財政の財源不足を抑制したいということにほかならず、地方交付税制度の本質を見失った措置と言わざるを得ません。
 しかも、五十四年度の地方財政は、四兆一千億円もの財源不足を生じておるわけでありますから、このため、地方交付税特別会計の借り入れと地方債の増発を余儀なくされているところであります。本年度内の増収に伴う地方交付税交付金の追加額は、あくまでも五十四年度に交付をすべきであり、政府の方針はとうてい認めることはできないのであります。
 第四は、本補正予算案は、たばこ定価の値上げを前提に編成された物価値上げ予算であるということが言えます。
 たばこ定価の値上げは、消費者物価の上昇を加速させることは必至であり、OPECの原油価格の大幅値上げは、すでに卸売物価の著しい上昇をもたらしております。卸売物価の上昇は、やがては消費者物価の上昇に波及し、また、五十五年度に政府が予定している国鉄運賃などの公共料金の値上げは、消費者物価を大幅に押し上げると言わなければなりません。もしも消費者物価が急騰し、狂乱物価が再現されるとするならば、国民生活は窮地に立たされてしまうのであります。
 われわれは、政府の一連の公共料金値上げに断固反対をするものであります。
 以上、本補正予算案に反対する主な理由を申し上げましたが、最後に一言、大平総理に申し上げたいと思います。
 現在予算委員会で審議をしております昭和五十五年度政府予算案は、財政再建の名のもとに、福祉後退、物価値上げをもくろむ国民生活圧迫予算であると断ぜざるを得ません。大平総理は、われわれ野党の予算修正の要求に謙虚に耳を傾けるべきであることを、この際強く訴えるものであります。(拍手)
 重ねて昭和五十四年度補正予算三案に反対の態度を表明し、討論を終わるものであります。(拍手)
#17
○議長(灘尾弘吉君) 渡辺貢君。
    〔渡辺貢君登壇〕
#18
○渡辺貢君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、政府提出の補正予算三案に対し、反対の討論を行います。(拍手)
 反対理由の第一は、軍事予算の削減が全く行われていないことであります。
 日本共産党8革新共同は、昨年の予算案審議において、疑惑の渦中にあったグラマン社のE2C早期警戒機の購入予算の削除を強く主張し、また、ロッキード社のP3C対潜哨戒機やダグラス社のF15戦闘機についても重大な疑惑を指摘しました。この主張がいかに正しかったかは、その後、松野頼三元防衛庁長官が日商岩井から五億円にも上る巨額の賄賂を受領していたこと、また今国会での審議で、岸信介元総理大臣がマクダネル・ダグラス社のフォーサイス副社長と二度にわたって会談し、いわゆる海部メモに記載する請託を受け、岸事務所が多額の金を受領していた事実が明らかになったことによって、疑問の余地なぐ証明されたと言わなければなりません。(拍手)
 また、最近の米ブラウン国防長官の緊急投入軍についての発言、米海兵隊司令官の在沖繩海兵隊の中東への緊急投入発言は、日米安保条約のもとで在日米軍がいかにわが国の安全を脅かす危険か存在となっているかを明白に示すものであります。
 このような米軍に対し、不当な駐留経費の肩がわりを続け、一円の削除も行っていない本補正予算案に対し、民族の利益を擁護し、日本の真の仲立と自主性を守る日本共産党・革新共同が反対するのは当然であると言わなければなりません。(拍手)
 反対理由の第二は、本補正予算案が、福祉切り捨て、公共料金値上げ、所得税減税見送りによる実質大増税など、三重苦による国民大収奪の基本的性格を何ら変更していない点であります。政府は、最近、福祉は欧米並みの水準に達したなどと称していますが、購売力平価による比較では、わが国の年金水準はヨーロッパ諸国の五ないし六割にすぎないではありませんか。
 日本共産党・革新共同は、老齢福祉年金を三万円に引き上げるなど、年金水準の改善や、高齢化社会に備え国会に老後保障問題特別委員会を設け、年次計画を作成することを主張していますが、これらの措置を含む福祉の向上こそ急務と言わなければなりません。(拍手)
 反対理由の第三は、本補正予算案が、財政再建の基本的な課題について正面から答えていない点であります。
 政府は、昭和五十四年度の自然増収を財源として、当初予算の公債発行額を一兆二千二百億円減額しました。しかしながら、そもそも当初予算が予算総額の三九・六%にも当たる十五兆二千七百億円に上る巨額の国債発行を予定していたのであります。これではとうてい将来にわたる国債償還費増大の第二次財政危機を緩和できるものではありません。
 真の財政再建を実現するためには、国民生活の防衛を何より優先させながら、不公平税制の抜本的是正、軍事費や大企業向け支出など不要不急経費の大胆な削減、民主的行政改革の断行など、国民本位の施策を前進させ、あわせて国債発行を大幅に縮減する必要があります。
 しかるに、本補正予算案は、財政破綻を、増税、福祉切り捨て、公共料金値上げなど国民犠牲で切り抜けようとし、大企業本位の税制、財政の仕組みに何ら手をつけず、真の財政再建からほど遠いものとなっているのであります。
 反対理由の第四は、本補正予算案が、地方財政の危機を一層深刻なものにしている点であります。
 本予算案は、一兆九千九十億円の自然増収を見込んでいますが、そのうち地方交付税交付金の追加額四千四百七十三億六千万円は、当然、五十四年度分の交付税として地方自治体に配分すべきであるにもかかわらず、政府はこれを五十五年度の地方財政対策として、国の負担を軽くするための財源として措置しようとしています。これは、地方自治体の財源を国が恣意的に扱い、地方自治体を一層借金まみれにし、地方財政の危機を深めるものであって、断じて承認することはできません。
 わが党は、この措置に反対するとともに、基準財政需要額を圧縮した五十四年度の政府の財政対策から見ても、これを五十四年度の交付税として配分することを強く要求するものであります。
 日本共産党・革新共同は、以上の理由により本補正予算案に反対するとともに、アメリカと大企業の圧力を排除し、国民生活防衛を最優先とし、大企業本位の経済構造の転換を図ることこそ、国民の願いにこたえる経済危機の打開、日本経済と財政再建のただ一つの道であることを重ねて強調し、反対討論を終わります。(拍手)
#19
○議長(灘尾弘吉君) 木下敬之助君。
    〔木下敬之助君登壇〕
#20
○木下敬之助君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となっております昭和五十四年度補正予算三案に対し、反対の討論を行います。(拍手)
 私は、昨年秋の総選挙で当選させていただいた一年生議員でありますが、今回提案されました補正予算を見て本当にびっくりしたのであります。それは何かと言いますと、私たち国民の税金であります租税及び印紙収入が、当初予算に比べて実に二兆円近くも増収になっていることであります。一般庶民には二兆円という金額は想像もできませんが、昨年あれだけ国民の関心を集めた一般消費税の導入による大幅増税とそれほど大きく違わない税収であります。
 五十四年度の当初税収見込み額が二十一兆五千億円でありますから、その見込み違いは約一〇%弱に達します。国の財政を預かり、昨年の大増税キャンペーンをリードした大蔵省が、これほど大きな誤算をしていたとはとても信じられないことであります。国民は何を基礎にして国の財政を判断したらよいのか迷わざるを得ません。
 翻って、なぜこのような税の大幅見込み違いが生じたのか、どこに責任があるのかを見きわめる必要があると思います。
 すでに、この問題については、わが党の先輩議員であります高橋議員が、昨年の三月二十日に大蔵委員会で税の過小見積もりについて質問いたしております。そのとき、すなわち、五十四年度の当初税収見積もり八・三%の伸び率はいかにも少な過ぎるではないか、赤字公債の額を多く見せて、それをてこにして増税キャンペーンに使うのは小細工ではないか、できるだけ実態に近い数字を出すべきだ、こう政府に迫ったのであります。このときの政府の答弁は、昭和五十四年度の経済見通しを基礎にしたもので、経済見通しが大幅に狂わない限り決して間違った税収見込みではありませんと答えているのであります。
 ところが、現在すでに五十四年度の経済の実績見込みが発表されておりますが、名目成長率、実質成長率、消費者物価上昇率、一人当たり雇用者所得、このいずれを見ても当初見込みとほとんど違いがなく、むしろ税収減になる要因があらわれているのであります。わずかに鉱工業生産指数が予想より若干上回った程度にしかすぎません。にもかかわらず、税収が二兆円も狂い、その責任が一切問われないというのは一体どういうことでありましょうか。(拍手)最近の若者は無責任であるとよく言われますが、国家財政の根本である税収の見込み違いを二兆円も行っていながら、その責任を全く感じないという政府こそ無責任と断ぜざるを得ません。(拍手)
 確かに税収がふえたのだから結構なことかもしれません。国民に大幅増税をキャンペーンするのであれば、その基礎数字はできるだけ正確な実態に近い数字をはじく努力をすべきであります。過小な見積もりを意図的に行って、結果として増収が出ればもうけものだという態度がもし政府に少しでもあるとすれば、これほど国民を愚弄するものはほかにありません。国民の政治に対する不信感はますます助長されるのであります。政治は、真実をそのまま国民に公開して参加を求め、同時に、国民各自に責任を自覚していただく努力を不断に積み重ねなければならないと思います。
 このことは、国、地方を通じる行政改革にも当てはまることであります。昨年からことしにかけて数多くの不正経理事件が発覚して、国民の注目を集めました。にもかかわらず、補正予算では行政経費の節約はまことに微々たるものであります。わが党が主張する行政改革の断行は、決して役人いじめをしているのではありません。戦後三十五年、いまもう一度、国、地方の行政機関は何をなすべきなのか、何を行ってはならないか、国民の税金は本当に有効に使われているか等の見直しを国民全体に訴えているのであります。
 現在のあるがままの行政の実態を国民に公開して見直しを行って、国民参加のもとで新たな行政のあるべき姿を真剣に考えなければなりません。一時しのぎの行政改革は、国民の決して納得を得るものではありません。政府は、さらにさらに勇断をもって行政改革を断行されんことを強く要望し、私の反対討論とさせていただきます。(拍手)
#21
○議長(灘尾弘吉君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#22
○議長(灘尾弘吉君) 昭和五十四年度一般会計補正予算(第1号)外二件を一括して採決いたします。
 三件の委員長の報告はいずれも否決でありますが、この際、原案について採決いたします。
 この採決は記名投票をもって行います。
 三件を原案のとおり可決するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。
    〔議場閉鎖〕
#23
○議長(灘尾弘吉君) 氏名点呼を命じます。
    〔参事氏名を点呼〕
    〔各員投票〕
#24
○議長(灘尾弘吉君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。――開鎖。
    〔議場開鎖〕
#25
○議長(灘尾弘吉君) 投票を計算いたさせます。
    〔参事投票を計算〕
#26
○議長(灘尾弘吉君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
    〔事務総長報告〕
 投票総数 四百四十八
  可とする者(白票)      二百四十三
  否とする者(青票)        二百五
    〔拍手〕
#27
○議長(灘尾弘吉君) 右の結果、昭和五十四年度一般会計補正予算(第1号)外二件は原案のとおり可決いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
 昭和五十四年度一般会計補正予算(第1号)外二件を可とする議員の氏名
      安倍晋太郎君    足立 篤郎君
      阿部 文男君    相沢 英之君
      逢沢 英雄君    愛知 和男君
      愛野興一郎君    赤城 宗徳君
      秋田 大助君    麻生 太郎君
      天野 公義君    天野 光晴君
      荒舩清十郎君    有馬 元治君
      井出一太郎君    伊東 正義君
      伊藤宗一郎君    池田  淳君
      池田 行彦君    石井  一君
      石田 博英君    石橋 一弥君
      石原慎太郎君    稻葉  修君
      稻村佐近四郎君    稲村 利幸君
      今井  勇君    宇野 宗佑君
      上草 義輝君    内海 英男君
      浦野 烋興君    江崎 真澄君
      江藤 隆美君    小此木彦三郎君
      小里 貞利君    小沢 一郎君
      小澤  潔君    小沢 辰男君
      小渕 恵三君    越智 伊平君
      越智 通雄君    大石 千八君
      大城 眞順君    大塚 雄司君
      大坪健一郎君    大西 正男君
      大野  明君    大平 正芳君
      大村 襄治君    奥田 敬和君
      奥野 誠亮君    加藤 紘一君
      加藤常太郎君    加藤 六月君
      狩野 明男君    鹿野 道彦君
      海部 俊樹君    梶山 静六君
      粕谷  茂君    片岡 清一君
      金子 一平君    金子 岩三君
      金丸  信君    亀井 静香君
      亀井 善之君    亀岡 高夫君
      鴨田利太郎君    唐沢俊二郎君
      瓦   力君    木野 晴夫君
      木村武千代君    木村 俊夫君
      菊池福治郎君    岸田 文武君
      北川 石松君    北口  博君
      久野 忠治君    久保田円次君
      工藤  巖君    鯨岡 兵輔君
      熊川 次男君    倉石 忠雄君
      栗原 祐幸君    小泉純一郎君
      小坂徳三郎君    小宮山重四郎君
      小山 長規君    後藤田正晴君
      河本 敏夫君    國場 幸昌君
      近藤 鉄雄君    近藤 元次君
      左藤  恵君    佐々木義武君
      佐藤 一郎君    佐藤 信二君
      佐藤  隆君    佐藤 文生君
      佐藤 守良君    佐野 嘉吉君
      斉藤滋与史君    三枝 三郎君
      坂田 道太君    坂本三十次君
      櫻内 義雄君    始関 伊平君
      椎名 素夫君    塩川正十郎君
      塩崎  潤君    塩谷 一夫君
      澁谷 直藏君    正示啓次郎君
      白川 勝彦君    白浜 仁吉君
      菅波  茂君    鈴木 善幸君
      住  栄作君    関谷 勝嗣君
      園田  直君    染谷  誠君
      田澤 吉郎君    田名部匡省君
      田中伊三次君    田中 龍夫君
      田中 六助君    田邉 國男君
      田原  隆君    田村  元君
      田村 良平君    高鳥  修君
      高橋 辰夫君    竹内 黎一君
      竹下  登君    竹中 修一君
      谷  洋一君    谷垣 專一君
      谷川 和穗君    玉沢徳一郎君
      地崎宇三郎君    津島 雄二君
      塚原 俊平君    辻  英雄君
      戸沢 政方君    渡海元三郎君
      東家 嘉幸君    中川 一郎君
      中島  衛君    中曽根康弘君
      中野 四郎君    中村喜四郎君
      中村 弘海君    中村正三郎君
      中村  靖君    中山 正暉君
      楢橋  進君    二階堂 進君
      丹羽 兵助君    丹羽 雄哉君
      西田  司君    西村 英一君
      根本龍太郎君    野中 英二君
      野呂 恭一君    羽田  孜君
      葉梨 信行君    橋口  隆君
      橋本龍太郎君    長谷川四郎君
      長谷川 峻君    畑 英次郎君
      八田 貞義君    服部 安司君
      浜田 幸一君    浜野  剛君
      早川  崇君    林  義郎君
      原 健三郎君    原田昇左右君
      福家 俊一君    福島 譲二君
      福田 赳夫君    福永 健司君
      深谷 隆司君    吹田  ナ君
      藤井 勝志君    藤尾 正行君
      藤波 孝生君    船田  元君
      古井 喜實君    古屋  亨君
      保利 耕輔君    坊  秀男君
      細田 吉藏君    堀内 光雄君
      堀之内久男君    牧野 隆守君
      増岡 博之君    松澤 雄藏君
      松永  光君    松野 幸泰君
      松本 十郎君    三ツ林弥太郎君
      三原 朝雄君    三塚  博君
      箕輪  登君    水野  清君
      水平 豊彦君    宮崎 茂一君
      宮澤 喜一君    宮下 創平君
      武藤 嘉文君    村岡 兼造君
      村上 茂利君    村田敬次郎君
      村山 達雄君    毛利 松平君
      粟山  明君    森  喜朗君
      森下 元晴君    森山 欽司君
      安田 貴六君    保岡 興治君
      山口シヅエ君    山崎  拓君
      山崎武三郎君    山崎平八郎君
      山下 元利君    山下 徳夫君
      山中 貞則君    山村新治郎君
      山本 幸雄君    湯川  宏君
      綿貫 民輔君    渡部 恒三君
      渡辺 栄一君    渡辺 紘三君
      渡辺 省一君    渡辺 秀央君
      渡辺美智雄君    田川 誠一君
      田島  衞君    西岡 武夫君
      渡部 正郎君
 否とする議員の氏名
      阿部 助哉君    飛鳥田一雄君
      伊賀 定盛君    伊藤  茂君
      石野 久男君    石橋 政嗣君
      稲葉 誠一君    岩垂寿喜男君
      上田 卓三君    枝村 要作君
      小川 国彦君    小川 省吾君
      小野 信一君    大出  俊君
      大原  亨君    岡田 利春君
      加藤 万吉君    角屋堅次郎君
      金子 みつ君    川口 大助君
      川崎 寛治君    川俣健二郎君
      河野  正君    神沢  浄君
      木島喜兵衞君    木原  実君
      木間  章君    北山 愛郎君
      久保  等君    兒玉 末男君
      上坂  昇君    佐藤 観樹君
      佐藤  誼君    斉藤 正男君
      沢田  広君    柴田 健治君
      渋沢 利久君    島田 琢郎君
      清水  勇君    下平 正一君
      新村 勝雄君    新村 源雄君
      新盛 辰雄君    田口 一男君
      田邊  誠君    田畑政一郎君
      多賀谷真稔君    高沢 寅男君
      高田 富之君    武部  文君
      塚田 庄平君    土井たか子君
      中村  茂君    中村 重光君
      野口 幸一君    野坂 浩賢君
      芳賀  貢君    馬場  昇君
      長谷川正三君    日野 市朗君
      広瀬 秀吉君    前川  旦君
      松浦 利尚君    武藤 山治君
      村山 喜一君    村山 富市君
      森井 忠良君    森中 守義君
      安井 吉典君    安田 修三君
      山口 鶴男君    山田 耻目君
      山田 芳治君    山花 貞夫君
      山本 幸一君    山本 政弘君
      湯山  勇君    横路 孝弘君
      横山 利秋君    吉原 米治君
      米田 東吾君    渡部 行雄君
      渡辺 三郎君    浅井 美幸君
      新井 彬之君    有島 重武君
      飯田 忠雄君    池田 克也君
      石田幸四郎君    市川 雄一君
      小川新一郎君    大久保直彦君
      大野  潔君    近江巳記夫君
      岡本 富夫君    沖本 泰幸君
      長田 武士君    貝沼 次郎君
      木内 良明君    北側 義一君
      草川 昭三君    小濱 新次君
      権藤 恒夫君    斎藤  実君
      坂井 弘一君    坂口  力君
      柴田  弘君    鈴切 康雄君
      瀬野栄次郎君    田中 昭二君
      高橋  繁君    竹入 義勝君
      竹内 勝彦君    武田 一夫君
      谷口 是巨君    玉城 栄一君
      鳥居 一雄君    中川 嘉美君
      西中  清君    長谷雄幸久君
      林  孝矩君    春田 重昭君
      平石磨作太郎君    伏木 和雄君
      伏屋 修治君    二見 伸明君
      古川 雅司君    松本 忠助君
      森田 景一君    薮仲 義彦君
      山田 英介君    山田 太郎君
      吉井 光照君    和田 一郎君
      渡部 一郎君    安藤  巖君
      井上  敦君    岩佐 恵美君
      梅田  勝君    浦井  洋君
      金子 満広君    木下 元二君
      工藤  晃君    栗田  翠君
      小林 政子君    榊  利夫君
      柴田 睦夫君    庄司 幸助君
      瀬崎 博義君    瀬長亀次郎君
      田中美智子君    多田 光雄君
      津川 武一君    辻  第一君
      寺前  巖君    中川利三郎君
      中路 雅弘君    中島 武敏君
      中林 佳子君    野間 友一君
      則武 真一君    林  百郎君
      東中 光雄君    不破 哲三君
      藤田 スミ君    藤原ひろ子君
      正森 成二君    松本 善明君
      三浦  久君    三谷 秀治君
      四ツ谷光子君    渡辺  貢君
      青山  丘君    稲富 稜人君
      小沢 貞孝君    大内 啓伍君
      岡田 正勝君    春日 一幸君
      神田  厚君    木下敬之助君
      小平  忠君    小渕 正義君
      近藤  豊君    塩田  晋君
      高橋 高望君    竹本 孫一君
      中井  洽君    中野 寛成君
      永江 一仁君    永末 英一君
      西田 八郎君    西村 章三君
      林  保夫君    部谷 孝之君
      三浦  隆君    宮田 早苗君
      横手 文雄君    吉田 之久君
      米沢  隆君    和田 一仁君
      和田 耕作君    渡辺 武三君
      阿部 昭吾君    楢崎弥之助君
      岡田 春夫君
     ――――◇―――――
 所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#28
○議長(灘尾弘吉君) この際、内閣提出、所得税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。大蔵大臣竹下登君。
    〔国務大臣竹下登君登壇〕
#29
○国務大臣(竹下登君) 所得税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 初めに、所得税法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。
 所得税につきましては、税負担の公平確保の見地から、利子配当所得等について総合課税へ移行するための所要の措置を講ずるとともに、現下の財政事情、所得税負担の実情等にかんがみ、高額な収入部分に適用される給与所得控除の控除率を引き下げるほか、所要の改正を行うことといたしております。
 まず第一に、利子配当所得等につきましては、昭和五十九年から総合課税へ移行することとし、そのための措置として少額貯蓄等利用者カード制度を設けることといたしております。
 すなわち、郵便貯金、少額預金の利子所得等の非課税制度の公正な運営と利子所得、配当所得等の適正な課税の確保等に資するため、少額貯蓄等利用者カードによる少額預金の利子所得等の非課税限度額の確認制度を設ける等所要の措置を講じております。少額貯蓄等利用者カードは、郵便貯金、少額預金の利子所得等の非課税制度を利用しようとする者の申請に基づいて交付することといたしております。
 なお、少額貯蓄等利用者カード制度については、国民の理解と慣熟を得る必要があること、また、国税当局、金融機関等の対応体制を整えるための準備期間を要すること等にかんがみ、本法律案において所要の措置を講ずることといたしております。
 第二に、給与所得控除について、給与収入一千万円超の部分に適用される控除率を現行の一〇%から五%に引き下げることとするほか、所要の改正を行うことといたしております。
 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。
 租税特別措置につきましては、最近における社会経済情勢と現下の厳しい財政事情に顧み、税負担の公平確保の見地から、企業関係租税特別措置等について大幅な整理合理化を行うほか、土地税制について、主として大都市における住宅地の供給等の実情に顧み、その基本的枠組みを維持しつつ所要の改正を行うことといたしております。
 すなわち、第一に、企業関係の租税特別措置につきましては、適用期限にかかわらず全面的な見直しを行うこととし、まず政策目的の意義の薄れたものや政策効果の期待できなくなったもの等を重点として、十項目を廃止することといたしております。
 また、存続する項目につきましては、中小企業対策、農林漁業対策、資源・エネルギー対策及び科学技術の振興等に配慮しつつ、一律に縮減することを基本とし、技術等海外取引に係る所得の特別控除制度については、収入金額に係る控除率及び所得金額に係る控除限度額を二割引き下げ、特定設備等の特別償却制度については償却割合を二割から五割引き下げるとともに、証券取引責任準備金等については積立率を五割引き下げるなど、所得控除制度、特別償却制度及び準備金制度の大半にわたり、その大幅な縮減合理化を行うことといたしております。
 さらに、登録免許税の税率軽減措置等について、企業関係の租税特別措置の場合と同様大幅な縮減合理化を行うことといたしております。
 第二に、土地、住宅対策に資するための措置であります。
 まず、短期譲渡所得の課税の特例について、その適用期限の定めを廃止することといたしております。次に、長期譲渡所得の課税の特例について、円滑な宅地の供給と土地の有効利用を推進する等のため、昭和五十五年一月一日から、譲渡益のうち現行二千万円まで二〇%となっている比例税率部分を四千万円まで引き上げるとともに、四千万円を超え八千万円までの部分については二分の一総合課税とすることとし、八千万円を超える部分については現行の四分の三総合課税方式を維持することとした上、その適用期限の定めを廃止することといたしております。
 また、優良宅地等のための長期譲渡所得の課税の特例について、実情に即しその適用対象の要件を緩和するほか、既成市街地等内に中高層耐火共同住宅を建設するための買いかえ等の場合の譲渡の課税の特例を創設する等の措置を講ずることといたしております。
 さらに、住宅取得控除について、良質な住宅への住みかえによる居住水準の向上に資するために、その適用対象に一定の既存住宅を取得した場合を加える等、所要の措置を講ずることといたしております。
 第三に、少額公債の利子の非課税制度、試験研究費の額が増加した場合の特別税額控除等期限の到来する特別措置について、実情に応じ適用期限を延長する等所要の改正を行うことといたしております。
 以上、所得税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#30
○議長(灘尾弘吉君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。山田芳治君。
    〔山田芳治君登壇〕
#31
○山田芳治君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま提案をされました所得税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案について、総理及び大蔵、郵政、厚生の各大臣に質問をいたします。
 そもそも政治の基本は、正義の実現であり、公正の確保であります。いわゆる「乏しきを憂えず、等しからざるを憂う」という言葉は、まさに政治の要諦を示す言葉として人口に膾炙されているところでありますが、なかんずく、税財政制度の根本理念として欠くことのできない考え方であります。
 わが国経済のここ数年の実情を見ますと、長期不況の回復過程の中で、大企業は巨額の利益を享受するために、厳しい減量経営、人減らし合理化と下請企業に対する締めつけを強め、中小企業の倒産は、昨年十二月においては前年同月比二一・二%増と、史上最高を記録したのであります。
 また、国民生活においては、所得と富の格差は拡大し、雇用問題は深刻となり、電気ガス料金を初めとする公共料金の軒並み値上げや原油価格の高騰で、卸売物価は、この一月で前年比年率二八%を超えるような状態であり、消費者物価もまた、二けた台の上昇は必至とされる情勢にあります。
 まさに今日こそ、国民生活防衛のため、インフレ対策、エネルギー政策、交通運輸政策、食糧政策、高齢化社会への対応などの社会保障政策が焦眉の課題となっております。税財政政策の重点も、また、このような社会経済的課題への対応に大きく切りかえていかなければならないのであります。
 一方、当面の財政運営の最大課題は、財政の再建であることまた論をまちません。政府の財政再建は減量財政、すなわち福祉の切り捨て、生活関連支出の削減に主眼を置いていることは、五十五年度予算の政府原案において如実に示されているところであります。インフレ、不況、物価高で国民生活が厳しい状況の中で、こうした福祉の後退、切り捨てを絶対に許してはなりません。むしろ反対に財政再建の第一は、大衆収奪路線の一般消費税の導入ではなく、不公平税制の是正と過去において租税特別措置等によって蓄積をされた資産に対する課税や、担税能力のある大企業に対する課税による収入の確保により、税制に対する国民の信頼を確保することであります。
 第二に、歳出については、不要不急の経費の思い切った削減と歳出の計画化を図ることであります。従来の長期支出計画と言えるものは、公共事業計画にとどまり、社会保障関係の長期計画は皆無であります。今日必要な行財政の効率化とは、国民生活の安定と福祉の充実が出発点でなければなりません。特に老後の生活の安定を確保するためにも、年金を初めとする社会保障関係の計画化を図ることがきわめて重要な財政再建の柱の一つであるとういことは疑いもないところであります。
 こうした立場に立って、私は、わが党の主張を申し述べながら質問をいたしたいと存ずるところであります。
 第一の質問は、昨年十月の総選挙において示された国民の意思は、一般消費税導入の明らかなる否定でありました。
 従来から、総理は、国民の理解を得てという言葉をしばしばお使いになられます。国民の理解とは、総選挙による民意の表明が最も尊重されるべき意思表明であると思います。その総選挙で、国民は明白に一般消費税の導入を拒否したのであります。一般消費税あるいは表現を変えても同一内容の取引高税的な間接税を、少なくともこの衆議院議員の任期中は導入すべきでない、そういうふうに明言すべきであると存ずるわけであります。とりわけ、さきの当院における財政再建に関する決議の趣旨に照らしても当然のことであると考えますが、この際、国会を通じて、国民に対して、一般消費税を導入しないという点について、総理の明白な考え方をお示し願いたいと存ずるのであります。(拍手)
 第二に、不公平税制の是正について、大蔵大臣にお尋ねをいたします。
 私たちの言う不公平税制是正というのは、単に政策税制、すなわち、租税特別措置の減免措置といった狭い範囲ではなくて、応能原則、担税能力に即した公正な税制を実現することを意味するものであります。
 この観点から、わが党は、さきに発表した中期改革案において、一般消費税を導入しないで五兆円を超える増収のための税制改革案を提示しておりますけれども、当面措置すべき改正案を提言いたしますので、それに対する明確なお考えをお示し願いたいと存じます。
 その一つは、所得税に関するものであります。
 給与所得控除の限度額を給与収入八百五十万円で頭打ち、すなわち、百九十万円で頭打ちとするならば、約三百億円程度の税収が得られるのでありますが、その意思があるかどうか、まずお伺いをいたします。
 また、高額所得者に対して付加税制度を設けてはどうか。すなわち、課税所得一千万円以上の高額所得者に対して、その超える部分に対して一〇%の付加税を課せば、約千三百五十億円の増収が図られるわけであります。政府案の給与所得控除について、一千万円を超える控除率の五%の引き下げでは、わずか二百六十億程度の収入しか得られないのではないかと思います。この点について、大蔵大臣のお考えをお示しいただきたいと存じます。(拍手)
 次に、利子配当所得の分離課税の特別措置の廃止と総合課税に移行する政府提案は、わが党の年来の主張であり、遅きに失したとはいえ、昭和五十九年一月一日より施行されることになり、一歩前進として評価するにやぶさかではありませんけれども、なお疑問とする点がありますのでお尋ねをいたしたいと存じます。
 その第一点は、昭和五十八年度までは源泉分離選択における分離税率を五〇%程度に引き上げて総合課税に移行する措置をとられてはどうか、そういう点についてお尋ねをいたします。
 これに関連をいたしまして、少額貯蓄等利用者カード、いわゆるグリーンカードの導入ではなくて、課税所得限度の引き上げで対処するということは考えられなかったであろうかということであります。すなわち、現在、給与所得者の場合、夫婦子供二人の標準家族で課税最低限は二百一万五千円でありますけれども、この限度を引き上げて、利子所得の非課税分、たとえば六百万円とするならば、利子六%として三十六万円を上積みして二百三十七万五千円とすれば、カード制度を導入しなくてもその目的は達せられると思うのでありますが、こういったことを検討されたかどうか、お伺いをいたします。
 第二に、カード導入に当たって、このカードが、程度の差で国民管理の強化につながるのではないかとの国民の不安は、ぬぐい切れないものがあります。この点について、国民総背番号制の導入や他目的に使われない保証と預金の秘密等を他に漏らさない保証、特に金融機関における守秘義務には罰則もないわけでありますが、これを一体どのように指導されるか、この国会を通じて国民に明確にお答えを願いたいと存ずるところであります。(拍手)
 また、郵便貯金において、この制度について新聞やその他の雑誌で、金融機関からは、郵便貯金についてはしり抜けである、大蔵省は郵政省に対して財投資金の郵便貯金の関係もあり、手を触れないというような批判もあるわけでありますが、この点について国民に対して明確な説明を、この国会を通じて郵政大臣から御説明をお願いいたしたいと存ずるところであります。
 次に、法人税関係について質問をいたします。
 五十五年度予算編成当初、大蔵当局は法人税率の引き上げを意図していたにもかかわらず、財界筋からの強い反対に遭い、一夜にして撤回をしたと言われていることは、まことに遺憾千万であります。(拍手)外国に比べても法人税の実効税率の低さは、このことの問題を避けて通れないという問題であります。異例ではあるけれども、来月にも税制調査会を開いて法人税の洗い直しを行うという新聞報道もありますが、その際には、これから述べる点についても十分議論をされるということが必要であると存じます。
 すなわち、法人課税に当たっては、まず基本的な考え方として、従来から主張されてきている法人擬制説、つまり法人は個人の集まりであるから、その所得は個人に還元されるという考え方をとらないで、法人は独立したものとして、法人実在説的な考え方に立脚をして、法人利潤税の方向で法人税制を組み直すべきではないかと存ずるのであります。
 そういった考え方に立って、まず第一に、法人税率に累進率を導入すべきだと考えます。現行の法人税は二段階比例税率でありますけれども、これを所得を基準とした軽度の超過累進税率にすべきではないかと思いますが、大蔵大臣はいかにお考えでありますか。
 また、これに伴い配当軽課税率を廃止するとともに、法人の受取配当は益金に算入されていないという現行制度を改めて、全額益金算入を行うべきであると思いますが、この点について大蔵大臣の所見はいかがでありましょう。
 そもそも、所得すなわち利益があるから配当するのでありますから、所得がなければ配当するはずがないのでありますから、こういった措置をすべきであります。
 なお、配当軽課税の廃止で千七百三十億、受取配当益金不算入制度の廃止で千百二十億円の増加が見込まれるのであります。
 その他、租税特別措置について見ますと、今回一定の見直しをされ、これは一歩前進ではありますが、各種引当金の適正化がまだまだ必要であります。
 特に退職給与引当金は、今回政府案において五〇%を四〇%に引き下げられましたが、定年延長必至の状況から見て、まだまだ不十分であります。
 また、貸し倒れ引当金は、金融機関の引き当て率については順次引き下げられてまいりましたが、現実の貸し倒れの発生状況と引当金との差は、金融機関でも五倍程度の差があり、縮小すべきであり、当面一千億程度の増収を図るぐらいの圧縮を考慮すべきと思いますが、いかがお考えでありますか。
 その他、昭和四十九年度行われた会社臨時特別税を導入し、財政再建期間中だけでも協力を求めていってはいかがでありましょう。これによって毎年二千七百億程度の増収を図ることができると思いますが、このお考えをお示しいただきたいと存じます。
 また、現行の有価証券取引税は余りにも安過ぎます。その税率を二倍に引き上げれば九百八十億程度の増収が見込まれます。これぐらいは一日も早く実施すべきことだと存じますが、決断のほどをお伺いをいたしたいと思います。
 このほか、交際費の課税の強化、大企業の広告費課税の新設、減価償却期限の延長、富裕税の新設等も当然検討されてしかるべきであると思いますが、その意思ありや否や、お答えを賜りたいし存じます。
 以上、増税面について質問をしてまいりましたが、ここで所得税の減税についてお伺いをいたします。
 社会党は、過去二年間行われなかった所得税の物価上昇による調整減税三千七百億程度を措置山べきであると主張し、他の野党の皆様方にも同意を求めているところでありますが、この点についての所見をお聞かせいただきたいと存じます。
 所得税の人的控除の現行二十九万円をせめて三十二万円程度に引き上げ、低給与所得の控除五十万円を七十万円に引き上げ、老齢者所得控除の年齢の引き下げについても、現行六十五歳を六十歳に引き下げること等もきわめて緊急な要求であると思われますが、お考えをお伺いをいたしたいと思います。
 最後に、厚生大臣にお伺いいたします。
 先述をいたしましたように、財政再建には、単に税の増収を図るのみでは国民の理解は得られません。治水事業や下水道計画等と同様に、社会保障、福祉についても一定の計画を樹立し、老齢化社会が進む日本において、老後の生活の安定と生きがいを図ることは、財政再建に対する国民の理解を得る絶対的な条件であると存じますが、その計画を樹立する意思ありゃ否やをお伺いをいたしたいと存じます。
 以上、今回提案されました所得税法及び租税特別措置法の一部改正についての質疑をいたしましたが、国民に対して、この国会を通じて誠意ある明快な御答弁を期待して、私の質問といたします。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#32
○内閣総理大臣(大平正芳君) 山田さんの私に対する御質問は、いわゆる一般消費税の導入につてのお尋ねでございました。
 この問題につきましては、すでに去年の十二月二十一日に本院における財政再建に関する決議がございまして、その方向が示されております。したがって、この問題につきましては、この決議を踏まえまして、政府としては、歳入歳出を通ずる財政構造の健全化をどうして達成するかという見地から、広く各界各層の意見を聞いて結論を得たいと存じております。(拍手)
    〔国務大臣竹下登君登壇〕
#33
○国務大臣(竹下登君) お答えいたします。
 私に対する質問は十七項目ございます。
 給与所得控除を給与収入八百五十万円までで頭打ちとせよということでございます。
 現行の給与所得控除は、給与収入の増加に応じて逓減的に控除額が増加する仕組みがとられておりますが、これは、勤務に伴う費用が収入の増加に応じて何がしか増加するという事実及び給与所得とその他の所得との負担の調整を図ることを考慮して設けられたものでありまして、このような仕組みは今後とも維持する考えであります。
 今回の所得税法の改正案におきましては、控除率が逓減する上記の仕組みの考え方をさらに徹底するために、給与収入一千万円超の控除率を現行一〇%から五%に引き下げることといたしたところでありますが、控除率の頭打ちを復活することは適当でないと考えております。
 次は、一千万円以上の所得のある者に対する付加税の問題でございます。
 わが国の所得税負担は、住民税を含めた実効税率で見ますと、給与収入二千万円程度までは主要諸国の中でかなり低いのに対しまして、給与収入四千万円程度を超えますと主要諸国の中で最も高いものであります。このような累進度の高い状況のもとで、さらにこれを強めるような高額所得者付加税を導入いたしますことは、所得税負担のあり方として適当ではないと考えております。
 次は、利子配当所得の総合課税問題についてであります。
 御指摘のような考え方につきましては、税制調査会も検討をされましたが、少額貯蓄非課税制度や郵便貯金の非課税制度は、国民生活の実態等から見ましてこれを存置することは必要であるとされたところでありまして、これらの非課税制度を廃止して、これにかえて課税最低限を引き上げるという考え方は適当でないと考えております。
 また、少額貯蓄非課税制度を廃止し、利子はすべて総合課税とする場合は、貯蓄者の他の所得との関係にもよりますが、利子配当に対し源泉徴収された税額について確定申告時に膨大な件数の還付をしなければならないこととなることが予想されまして、税務執行の面で対応が困難となるという問題もございますことを御理解いただきたいと思います。
 さらに、源泉分離選択税率の問題についてでございますが、源泉分離選択税率を引き上げる場合には、現行の体制のもとでは課税貯蓄が非課税貯蓄に逃避したり、また仮名取引の増加を招来する結果となるなど、かえって不公平を生ずるおそれが強くありますので、少額貯蓄等利用者カード制度による本人確認と名寄せの体制の整備が可能となる昭和五十八年十二月末までは、現行制度を据え置くのが適当であると考えております。
 次に、少額貯蓄等利用者カード制度は、利子所得、配当所得等の適正な課税の確保等に資するために設けたものでありますが、国民のプライバシー保護の万全を期する見地から、今回提案しております所得税法改正案におきまして、カード及びその記載事項については、国税に関する事務以外の目的に利用することを禁止する規定を盛り込むことといたしておりまして、金融機関の職員等につきましてもこの規定が適用されるわけでございます。したがって、一般の国家公務員の守秘義務違反よりも重い罰則を設けること等を考えております。
 次に、法人税を見送ったのはなぜかという御質問でございました。
 五十五年度におきましては、多額の自然増収を背景に、歳出規模の抑制と租税特別措置の大幅な整理合理化等によりまして予算編成に必要な財源は確保できたということからいたしまして、法人税率の引き上げ等の一般的な増収措置は講じないということにいたした次第であります。
 それから、法人実在説の立場に立っての御意見がございました。
 自然人につきましては、所得再分配や所得の効用逓減の見地から累進課税を行うことが妥当とされておるところでございますけれども、法人につきましてはこのような考えをとることはできませんので、法人税について累進税率を導入することは適当でないと思われます。また、法人税について累進税率を採用した場合には、税負担軽減のための会社分割を招くなどの問題がございます。
 次に、支払い配当軽課制度及び受取配当の益金不算入制度は廃止すべきという問題であります。
 配当軽課制度及び受取配当の益金不算入制度は二重課税調整のための仕組みでありまして、諸外国におきましても、方式や程度の相違はございますが、何らかの調整措置が講じられておるところであります。
 なお、これらの制度を含めた法人税の基本的な仕組みのあり方につきましては、企業の資金調達の形態、個人投資家の金融資産の選択、企業間の税負担のバランス等に及ぼす影響や効果、諸外国の動向等も見定めながら、今後ともこれは検討してまいりたいというふうに存じております。
 それから、租税特別措置は、一応評価するが、いろいろな問題があるという御指摘でございました。
 金融保険業以外の業種に係る貸し倒れ引当金の法定繰入率につきましては、昭和五十四年度税制改正におきましておおむね二割程度の引き下げを行ったところでありまして、また、五十五年度は経過措置適用期間中でもあることからいたしまして、これを引き下げることは適当でないと思います。
 なお、金融保険業の貸し倒れ引当金の法定繰入率につきましては、五十五年度は、前回改正時における経過措置適用期間中でございますので、五十六年九月期からその引き下げを図ることとしたい、このように考えております。
 それから、御意見の中で、会社臨時特別税を復活すべきではないか、こういうお考えでございます。
 昭和四十九年に、物価の高騰等経済の異常な重態に対する措置として、時限的、二カ年でございますが、設けられたものでありますが、現在の経済情勢は当時とは異なっておりまして、便乗値上げやこれによる異常な利益の稼得というような現象は見られないことから、復活するような状態にはないものと考えております。
 それから、有価証券取引税の税率の問題でありますが、有価証券取引税につきましては、昭和五十三年度の税制改正において、株式、株式投資信託等に係る税率を五〇%引き上げたばかりでございます。また、利益の有無にかかわらず課税をするというその性格からいたしまして、おのずから限界があろうと思っております。
 法人税等について、次の措置を講ずべきではないかというようなことから、交際費課税の問題が議論をされました。
 五十五年度においてさらに強化を図ることは、やったばかりでございますので適当でないと考えております。
 それから、交際費をさらに強化すべきであるしの御意見につきましては、今後交際費の支出状況等を見ながら、さらに課税の強化を図る必要があるかどうかを検討したいと存じております。
 それから、法人税等について、広告税の問題がございました。
 広告税につきましては、従来から交際費課税とのバランスと、そして過剰広告対策の観点から見て何らかの課税を行うべきであるとの議論があります。一方に、社用消費的要素が見られない広告費を交際費と同一視することや、過剰広告対策を税制として取り上げることが適当かどうかという問題もございますので、なお引き続き検討させていただきたいと存じます。
 法人税等について、減価償却の問題も御質問がございました。
  減価償却資産の法定耐用年数につきましては、資産の物理的寿命、経済的陳腐化を加味して客観的に定められたものでありますので、欧米諸国に比較して必ずしも短いとは言えません。
  それから、富裕税の問題がございました。
 所得税の補完税としての性格を持つものでありますが、わが国所得税の税率の累進度はかなり急で、最高税率は個人住民税を合わせた場合九三%に達しますので、富裕税を導入するとしても所得税の補完税として機能し得る範囲は非常に狭く、多く税収を期待することは困難であります。また、資産の把握、特に無記名公社債等の不表現資産の把握、土地や非上場株式等の評価等、執行面で困難が多いわけでございます。
 次に、御主張のありましたいわゆる所得税減税、物価調整減税等の御意見でございますが、今日のような財政状態に加えまして、わが国の所得税の負担水準は国際的に見て相当低くありますし、課税最低限は夫婦子二人の世帯で二百一万五千円でありまして、主要諸国の中でフランスと並んで高い水準にあります。
 また、わが国における有業人口に占める所得税納税人員の割合は、諸外国と比較してこの方はかなり低くなっております。
 以上の点から見て、物価調整減税を含め、減税を行うことは、いまのところ適当でないと考えております。
 次に、老齢者控除の適用対象年齢の御意見を交えての御質問がございました。
 国の老人福祉対策の基本となる老人福祉法の適用年齢とか、国民一般の年金、国民年金、農業者年金等々、いろいろバランスを考慮いたして、国の老人福祉の体系との整合性から見ました場合、今日、引き下げるということは適当でない、このように考えております。
 以上でお答えを終わります。(拍手)
    〔国務大臣野呂恭一君登壇〕
#34
○国務大臣(野呂恭一君) 社会保障の推進にはその計画化が必要であり、したがって、社会保障に関する長期的計画を策定すべきではないかという御質問であったと思いますが、山田先生御指摘の、社会保障の長期計画が個別の施策についての将来における数量的な目標を示すことを意味するものでありますならば、そのような計画の策定は実際問題として困難であると考えます。
 しかしながら、本格的な高齢化社会の到来を控えまして、御指摘の社会保障が長期的かつ安定的に機能していくためには、今後の社会保障のあり方について国民の合意が得られますように、その長期的展望を明らかにする必要があると考えます。このため、政府といたしまして、関係審議会の意見をお聞きしながら、社会保障の中長期の展望を明らかにできますように、今後鋭意具体的な検討を進めてまいります。
 なお、厚生省といたしましては、社会保障の中核をなす年金と医療について、その中期的、長期的展望を明らかにいたしますよう努力をいたしてまいりますが、まずその第一段階として、今国会において、健康保険法等の一部を改正する法律案及び厚生年金保険法等の一部を改正する法律案の御審議をお願いいたしたいと考えているところでございまして、何とぞこれらの法律案の成立に対しまして御協力をお願い申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣大西正男君登壇〕
#35
○国務大臣(大西正男君) 山田議員の御質問にお答えいたします。
 議員のお尋ねは、郵便貯金の限度額のチェックはしり抜けではないか、こういうお尋ねでございますが、郵便貯金につきましては、御承知のとおり、預入限度額は現在のところ三百万円と定められております。この限度額の範囲内におきまして、その利子は非課税とされておるところでございます。
 非課税である郵便貯金の架空名義または限度額を超過する預入による利子課税免脱等を防止いたしますために、郵政省といたしましては、郵便局におきまして、預入の際、必要に応じ、預金者について本人確認のための証明資料の提示を求めることといたしておりますほか、各地方貯金局におきまして、同一住所の預金者ごとにいわゆる名寄せを行いまして、架空名義による預入の防止または預入限度額管理の適正な運用に努めておるところでございます。
 なお、限度額超過の事実が判明をいたしました際は、解約をすることといたしております。
 以上、お答えをいたします。(拍手)
#36
○議長(灘尾弘吉君) 柴田弘君。
    〔柴田弘君登壇〕
#37
○柴田弘君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案並びに租税特別措置法の一部を改正する法律案について、総理大臣及び大蔵大臣に質問をいたrものであります。
    〔議長退席、副議長着席〕
 まず、総理大臣にお伺いをいたしますが、総理は五十五年度を財政再建元年と定められ、所信表明演説において、財政再建について今後数年間でなし遂げると言明をされているのであります。総理の財政再建にかける決意の文言は理解をするといたしましても、国民が真に知りたいことは、財政再建の具体的な内容であります。総理は財政再建策の具体的な内容をまず国民に示し、理解を求めるべきであると考えるのでありますが、所信のほどをお伺いしたいのであります。
 次に、財政再建を進める上で、不公平税制の是正、現行税制の見直しは不可欠な柱であり、この点について、以下お伺いをいたします。
 政府の五十五年度税制改正案は、五十四年度出初に比べ四兆六千億円にも及ぶ税の自然増収に支えられて、国債の減額、不公平税制の是正のいずれから見ても不十分なものと言わざるを得ないのであります。このことは、一般会計分における税制改正案による増収額が初年度三千五百十億円と、五十三年度の三千六百九十億円、五十四年中の四千八百四十億円に比べ、過去三年間で最も低い額であり、また具体的な項目でも法人税の引き上げの見送り、利子配当所得の分離課税の延長などからも明らかであります。私は、ここに政府の財政再建策に疑問を抱かざるを得ないのであります。
 すなわち、政府の財政再建策は赤字国債の発行をゼロとする、単なる財政の帳じり合わせに視点を置くために、五十五年度のように税の自然増収が多額に見込めるときには、どうしても税制改正、特に不公平税制の是正を後退させているのであります。
 総理、財政再建について国民の合意が必要なことは、さきの総選挙の結果から見ても明らかであります。国民の合意を得るためには、政府が取るべきところからはきちんと取るという税制改正を不断の努力で行うべきであります。
 私は、この意味からも、景気が比較的好調なこの時期における法人税の引き上げ、利子配当所相の総合課税の早期実施は実行すべきであると考えるものであります。五十五年度税制改正において実行すれば、福祉の向上と国債の減額にもつながることとなります。総理の再考を強く求めるものでありますが、所信のほどを承っておきたいのであります。(拍手)
 次にお尋ねしたいことは、政府が相変わらず一般消費税の導入など大衆増税の強行に執着していることであります。
 さきに大蔵省が国会に提出をいたしました財政収支試算は、五十六年度から五十九年度の四年間で五兆八千億円の増税を必要としております。しかも、この財政収支試算は、政府の新経済社会七カ年計画を根拠としているものの、名目経済成長率は五十六年度以降の平均が一一・四%となり、新経済社会七カ年計画が当初予定をしていた一〇・六%はもとより、五十三年度九・七%、五十四年度八・二%、五十五年度政府見通し九・四%の当面する経済情勢を大幅に上回るものであり、実現性に大きな疑問が持たれているのであります。
 また、われわれが仮に政府の当初計画であった平均名目GNP一〇・六%、租税弾性値一・二で試算すると、五十九年度までの増税必要額は七兆八千五百億円の巨額に達し、政府の財政収支試算はまさしく増税計画書としか言い得ないのであります。
 政府、特に大蔵省は、財政収支試算のほかにも「財政再建を考える」というパンフレットや、標準的な世帯の受益と負担についての試算などを公表しておりますが、それらが意図するものは明らかに大衆増税であります。
 財政当局が、総選挙で示された国民の意思を無視して、大衆増税のキャンペーンを行っていることに対し、国民は依然として増税の脅威から逃れることはできないのであります。
 財政再建については、一般消費税の導入など大衆増税によるのではなく、景気の持続的な維持を初め、行政改革、歳出の節減合理化、税負担の公平の確保、現行税制の見直しなどによって推進することは、今国会の当初において全会一致で決議したところであります。
 したがって、この際、総理の言われる財政再建とは、果たして大蔵省のキャンペーンのような大衆増税によるものなのか、国会決議に基づくものなのか、その具体的な内容を明確にしていただきたいのであります。(拍手)
 もし、それが国会決議に基づくものであれば、一般消費税などの大衆増税について白紙撤回を求めるものでありますが、総理の所信のほどを承っておきたいのであります。(拍手)
 次に、大蔵大臣に質問をいたしますが、私は、端的に申しまして、近年の大蔵省の税収見通しは誤差があり過ぎると考えるものであります。
 確かに、税収はあくまでも見通しであり、円高や円安、また石油値上げなど、経済情勢に予測をし得ない変動があったことも事実であります。それにしましても、税収見通しの狂いは、五十二年度でマイナス九千億円、五十三年度ではプラス七千七百億円、五十四年度はプラス一兆九千億円と、その幅は実に一兆円から二兆円の規模になっているのであります。この金額がいかに多額であるかは、過去、四十年度以来の税収見通しの誤差は、プラスマイナスともに約二千億から三千億であったことからも明らかであります。
 また、租税弾性値でも、五十三年度は当初の〇・六五から実績一・〇三、同じく五十四年度は〇・八から実績見込み一・五六と、見込み違いがはなはだしいのであります。
 特に五十三年度、五十四年度は、政府が一般消費税の導入を積極的に打ち出した時期でもあり、国民から政府が意図的に過小見積もりをしたと言われてもやむを得ないものであります。
 税収見通しにこれほどの大きな誤差が生じた理由は一体何なのか、具体的に示されたいのであります。また、本当に五十四年度及び五十五年度の税収見込みに自信をお持ちになっているのかどうか。
 われわれは、五十四年度の租税弾性値が一・五六にもなっていることから、さらに自然増収が見込まれるものとも推測をいたすものでありますが、大蔵大臣の御見解を伺っておきたいのであります。
 さらに、大蔵省の財政収支試算によると、五十六年度以降五十九年度まで毎年度一兆一千億円から一兆八千億円の増税が必要とされていますが、われわれは、政府の税収見通しが、先ほど述べたように誤差があり過ぎること、財政収支試算が単なる帳じり合わせであり、経済の実態との整合性に欠けることから、どうしても大衆増税の必要性を認めることができないのであります。また、大蔵省がいたずらに増税を強調することは、国民生活と経済動向にも悪影響を及ぼすものになると考えるものでありますが、大蔵大臣の所見をお聞かせ願いたいのであります。(拍手)
 次に、利子配当所得の課税の特例について質問をいたします。
 利子配当所得の総合課税化は、長年の懸案であったにもかかわらず、グリーンカード制の導入を理由に、五十九年一月一日まで延長されております。
 利子配当所得の総合課税化は、単にグリーンカード制の導入の準備期間が必要というだけでは済まされない問題が残っております。たとえば、利子配当所得に対する所得税の源泉分離選択課税や申告不要制度は、住民税が非課税となる障壁にもなっておりますので、五十四年度ベースだけで見ましても、所得税は四百九十億円の減収となり、住民税では、道府県民税二百七十三億円、市町村民税五百四十五億円となって、合計で八百十八億円の減収をもたらしています。
 政府は、五十五年度に標準世帯の住民税の課税の最低限を百五十八万四千円に引き上げ、それに要する財源は六百七十億円でありますが、この財源調達は、地方財政の逼迫から、均等割の標準税率の引き上げ及び住民税率の手直し、つまり住民間の負担調整で措置せざるを得なかったのであります。このことは、地方財政の厳しさを証明する一断面でもありましょうが、より本質的には、利子配当所得の総合課税化を早急に実施すべきことを示しているのであります。
 また、利子配当所得の分離課税制度を五十九年度まで延長することは、政府が財政収支試算で赤字国債からの脱却を五十九年度としているため、特に、その間、財政投融資や民間の金融機関に国債消化を強要する見返りによるものであると世上言われているのであります。
 不公平税制の是正が財政再建の最終年度にしか実現をしないことは、断じて許されるものではありません。われわれは少なくとも五十七年一月からの実施を求めるものでありますが、大蔵大臣の御見解を伺っておきたいのであります。
 また、同時に、あくまでも五十九年からの実姉に固執をされるならば、その必然性について具体的かつ明快な答弁を求めるものであります。
 また、グリーンカード制度の導入によって課税の制度上は一応は総合課税となっておりますが、実態面では問題が残るものであります。つまり、グリーンカード制は五十九年一月一日以後預入する少額貯蓄、少額公債、郵貯について適用されるものであり、それ以前に預入するものについては及ばないことであります。より厳密に言えば、民間の金融機関の定期預金は最長のもので二年であることから、二年間で洗い直しができますが、郵貯、特に定額貯金はその期間が十年間であり、十年経過しなければ洗い直しができないこととなり、民間の金融機関の預金と郵便貯金との競合関係に不合理が生ずるととになるのであります。この不合理性につきまして大蔵省はどう対処されるのか、大蔵大臣の御見解を伺っておきたいのであります。
 なお、あわせて、グリーンカード制導入による経費試算は幾らであるのか、伺っておきたいの下あります。
 また、民間の金融機関と郵貯の競合問題につきましては、郵便貯金に対し名寄せなどを厳密に伴い、一人一口座三百万円という枠を厳守することが重要な課題となってまいりますが、この点につきましては、特に総理大臣の御見解を伺うものであります。
 次に、有価証券譲渡所得課税についてであります。
 この有価証券譲渡所得課税は、五十四年度の税制改正で微調整が行われたものの、いわゆる原則非課税制度は堅持をされております。政府税制調査会からも、段階的な課税の強化が適当であるとの答申がなされているものであります。したがいまして、利子配当所得の総合課税化と同様に、政府税調に特別部会を設け、総合課税化を検討し、少なくとも五十六年度税制改正に反映をすべきものであると主張いたすものでありますが、総理大臣の見解を示されたいのであります。
 また、当面は、有価証券譲渡所得に対する課税強化の意味から、有価証券取引税の引き上げを提案をいたすものでありますが、この点につきましても総理の所信のほどを伺っておきたいのであります。
 最後に、われわれは、いままで私が述べました税制改正を盛り込んだ予算修正を政府に要求する準備をいたしておりますが、予算修正に対する総理大臣の所信のほどをお伺いをいたします。
 以上、何点かにわたりまして総理並びに大蔵大臣に質問をいたしましたが、簡明、率直なる御答弁を期待をいたしまして私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#38
○内閣総理大臣(大平正芳君) 柴田さんの最初の御質問は、財政再建の具体的な方針についてでございました。
 これは、申すまでもなく、最近わが国の財政が公債に過度に依存いたしておる体質になっておりますので、これを改めまして、健全なバランスのとれた状態にしようとするものでございます。
 そのためには、歳出面におきまして徹底した経費の節減合理化によりまして、歳出規模をまず抑制しなければならぬと考えております。
 歳入面におきましては、負担の公平を確保する見地から、租税特別措置の思い切った縮減合理化を行うことによりまして増収措置を図ろうということによりまして、歳入の確保を増税によらないでやろうとしておるのがことしの再建第一年度のわれわれの考え方でございます。
 しかし、仰せのように、ことしは自然増収が予想以上に確保できましたので、新たな増税措置を考えることを差し控えさせていただいたのでございますけれども、このような税収の伸びはいつでも期待できる性質のものではございませんので、昭和五十六年度以降におきましては財政事情は相当厳しくなるのではないかと考えております。
 したがいまして、今後歳入歳出全般を通じまして財政構造の健全化をどうして進めていくかということにつきましては、広く各界、各層の御意見を謙虚に伺いながら十分な検討を遂げて、実のある結論を得たいと考えております。もちろん政府といたしましては、財政再建に当たりまして国会を初め各方面の意見を十分聴取して政府が決めるものでございまして、財政当局の試算は参考にすぎないことは申すまでもございません。
 第二の御質問でございますが、法人税の引き上げ、それから所得の総合課税の早期実現についてのお尋ねでございました。
 先ほど申しましたように、ことしは予想以上の自然増収が確保できましたので、法人税の増税は見送ることにいたしたわけでございます。
 所得の総合課税につきましては、五十九年の一月から実施することを目途にいたしまして準備を急いでおるところでございます。これは、仰せのように、利子配当の正確な確認と、それから名寄せを的確にやらなければなりませんので、金融機関等の協力を十分取りつけていかなければなりませんので、若干の準備期間が必要でございますので、どう考えてみましても五十九年一月一日前にはむずかしいと判断いたしまして、そういたしたことを御理解いただきたいと思います。
 郵便貯金についての名寄せを厳格にするようにという御要請でございました。
 先ほど山田さんの御質問に対して郵政大臣からお答えいたしましたように、郵政省では、郵便貯金につきまして、同一の預金者ごとにいわゆる名寄せを行いまして、預入限度の適正な管理に努めておるわけでございまして、今後一層厳正な運用を図ってまいりたいと考えております。
 有価証券譲渡課税の強化、それから有価証券取引税の引き上げについてのお尋ねでございました。
 有価証券譲渡課税でございますが、これは五十四年度の改正によりまして相当強化いたしておりますので、目下のところこの程度でやむを得ないのではないかと考えております。
 有価証券取引税につきましては、五十三年度の税制改正におきまして株式、株式投資信託等に係る税率を五〇%引き上げたばかりでございます。利益の有無にかかわらず課税するこの税の性質上、これをさらに引き上げるということにつきましては、ただいま政府は考えておりません。
 最後に、予算修正についての所信をお尋ねいただきましたが、公明党の提案された修正要求については承知いたしておりますが、政府としては、すでに御提出申し上げてございまする五十五年度の予算案は、その編成に当たりまして広く各界各層の御意見も十分聴取いたした上、取り上げられるものは取り上げて作成いたしてありますので、政府としては最善のものであると確信をいたしております。(拍手)
    〔国務大臣竹下登君登壇〕
#39
○国務大臣(竹下登君) まず、税収見通しの狂いについて御批判を加えながらの御質問でございました。
 確かに五十二年度は経済諸指標の実績が当初見通しを下回りました。そして、五十三年度は、好調により増収が生じたわけです。五十四年度はなかんずく、五十三年度の税収の土台増と経済指標が上回ることによって増収が生じた。そういうことは御指摘のとおりでございます。従来とも二〇%程度まで一応狂いの生じたことはございますけれども、狂いが生じたことがあたりまえであるなどという考えは毛頭持っておりません。したがいまして、私どもといたしましては、今後とも一層工夫を加えながら最善を尽くしてまいりたい、ある程度の乖離が生ずるというのはこれはやむな得ないにいたしましても、御意見のあるところな十分参考にさせていただきましていろいろな工夫を加えていきたい、このように考えておるところであります。
 次に、国民生活、経済動向にいたずらに増税を強調することは悪影響を及ぼすではないかという御指摘でございました。
 まさに総理からも申しましたように、財政再建に関する本院の決議というものがございますので、広く歳出歳入両面にわたって、幅広い観点から財政再建を進めていかなければならぬという考え方に立っておりますので、これからもいろいろな機会を通じて、国民の皆さん方との問答の中外理解を深めていきたいというふうに考えておるわけであります。
 なかんずく、財政収支試算についてのきつい御批判がございました。一月二十五日に公表されました経済審議会企画委員会の暫定試算に示されておる六十年度の諸指標を手がかりとして、これを財政に投影したものでございます。したがって、これは具体的な増税を計画したものではございませんが、これらは、たびたび御指摘がございますように、将来努力をして財政計画というものが立てられるような検討を続けてまいりたい、このように思っておるところでございます。
 次に、利子配当総合課税の早期実現でございますが、受取人の確認、名寄せを効率的かつ的確に行うというのが何としても不可欠の条件でござ、ますので、その方策として、少額貯蓄等利用者カード制度を採用することといたしたわけでありますが、これこそ、まさに国税当局から金融機関等の対応体制を整えるまでの準備期間を要することにかなりの時間がかかります。国民の理解と慣熟が必要であるということから、急いでやれと、う御趣旨は全くよく理解できるところでございますけれども、そうした背景の中に、やはり五十九年一月一日から実施ということにならざるを得ないということでございます。
 それからさらに、グリーンカード導入時での郵貯とのバランス問題で、きわめて具体的な御指摘でございました。これは何といたしましても、郵便貯金を含めた各種の貯金手段の制度上の相違、それから貯蓄の契約の形態の差異等の問題を含めて、時間がございますので、長期的に検討を進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
 それから、グリーンカード制度導入にどれぐらい金がかかるかというお話でございますが、少額貯蓄等利用者カード制度の所要経費につきましては、かなりの金額になるものと予想されますけれども、今後、制度の具体的な運用の細目の詰めと並行して詰めていく必要がございます。
 いずれにいたしましても、委員会において法案の審議をいただくときには、具体的な金額のめどをお示しすることができ得るような、少し長期にわたる作業でございますので、いま鋭意検討をさしていただいておる。以上で、お答えを終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#40
○副議長(岡田春夫君) 多田光雄君。
    〔多田光雄君登壇〕
#41
○多田光雄君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、ただいま提案のありました所得税法及び租税特別措置法の一部改正案について、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 今日の深刻な財政危機の打開は、政治が緊急かつ真剣に取り組むべき重大課題であります。政府の来年度予算案における国債発行額十四兆二千七百億円、国債依存度三三・五%、そして年度末国債残高七十一兆円という破局的な異常な事態は、政府の従来型政策の破綻を端的に示しているのであります。政府みずからの経済財政運営によってこのような財政危機を招いた責任について、総理はどのように反省しているのか、まず冒頭お伺いしたいと思います。
 次に、数点にわたって具体的にお伺いします。
 第一は、財政再建の基本についてであります。
 総理、いま求められているのは、危機の原因である大企業優先、対米追随の政策を根本から見直し、国民生活の防衛を最優先させる国民本位の道へ転換するその手がかりをつくることであります。
 しかるに、今回提出の予算案及び本税制改正案は、軍事費の増大と大企業向け不要不急支出の拡大を図る一方、一連の公共料金の大幅引き上げ、福祉の切り捨て、国民向け実質増税の断行など、もっぱら国民に対する犠牲と負担の強化によって従来型の政策を続けようとしているのであります。これでは所得再配分という財政本来の重要な機能を損なうばかりか、国民消費の減退をも招いて、かえって経済の矛盾を深め、ひいては赤字国債の本格的償還が始まる昭和六十年代の第二次財政危機を一層厳しくすることはいまから明らかであります。(拍手)
 税制改正は財政再建の重要な柱であります。今日の財政危機を招いた大企業、大資産家優遇の税制を徹底的に是正するのが当然であります。ところが、本案においては余りにも不十分かつ不徹底な改正にとどまったばかりか、かえって改悪さえなされているのであります。
 総理が施政方針演説で述べた八〇年代への必要な改革と対応とは従来の政策をどのように改革することなのか、基本的な見解をお示し願いたいと思います。
 これに関連して、五十六年度以降の財源確保について伺います。
 先日提出のあった五十五年度財政収支試算は、五十六年度から五十九年度までの四年間で新規増税として五兆八千億円、地方税を含めると約十兆円、累積額では実に二十六兆円も予定しております。問題は、この大増税を国民の犠牲と負担でやるのか、それとも大企業、大資産家優遇の不公平税制の抜本的改正でやるのかであります。
 総理、あなたはこの大増税を一体どういう税目で、だれから取り立てを考えているのか、不公平税制の是正はどうするのか、国民の前に明言すべきであります。(拍手)
 また、一般消費税も重要であります。総選挙で国民の厳しい審判が下されたため、総理は五十五年度導入を見送りましたが、五十六年度以降においても仕組みや形を変えたものを含め、一般消費税の導入は一切行わないと言明できますか。もしできないとすれば、先般、本院において日税連一部幹部による法案買い取り工作のもとで可決された税理士法改正案が、わが党や多くの国民が反対して指摘したように、一般消費税導入に対応で費る徴税体制づくりのものであることは、ますます明瞭であると言わざるを得ないのであります。(拍手)
 第二に、本案を中心とした不公平税制の是正の問題について伺います。財政再建のための財源確保は、物価高や不況で苦しむ国民や中小企業への増税によってではなく、不況の中でも未曽有の利益を上げている大企業、大資産家優遇の不公平税制に抜本的なメスを入れ、適正な課税を行えば、十分可能であります。法人税制では、今回退職給与引当金など若干手直しされておりますが、いま着手、検討すべきは、政府が法人税制の根拠としている、法人は実在せず、個々の株主の集合体にすぎないという、いわゆる法人擬制説の根本的見直しであります。現実の企業実態を無視したこの法人擬制説によって、大企業と中小企業を通ずる単一の法人税率、受取配当益金不算入、所得税の配当控除など、現在の大企業、大資産家を優遇するさまざまな不公平が今日まで合理化されてきているのであります。
 ところが政府は、不公平税制を租税特別措置法に定めるいわゆる政策税制のみに限定し、法人税法に取り込まれているものにはほとんど手をつけないあいまいなままに、是正はおおむね一段落したと自画自賛しているのであります。総理、不公平税制の是正はもうこれで十分と考えているのですか。もしまだ努力の余地ありとすれば何か、御所見を伺いたいところです。(拍手)
 ところで今回、いわゆる政策税制について、政府は、経済協力の名のもとに、海外進出大企業の大規模合弁事業に対する海外投資損失準備金制度を新たに拡充しております。このような大企業への恩典措置の拡大は断じてやめるべきであります。
 ここで指摘しておかなければならないのは、政府が当初予定していた法人税率の引き上げを、財界、大企業の圧力によってあっさり見送ってしまったことであります。なぜ見送ったのか。総理、参議院選挙での資金援助を目当てに見送ったと考えざるを得ないが、どうなのですか。
 所得税制では、資産家優遇の現行税制を改め、全体として総合課税を目指すべきであります。
 まず、利子配当課税の総合課税の実施を三年間も延期していることは重大であります。しかも、総合課税化のため、グリーンカード制度の導入を予定していますが、これは特別な守秘義務を課するとしているものの、事実上の国民総背番号制につながるおそれがあるため、国民の不安は依然消えておりません。総合課税の早期実現のためには、さしあたり、郵便局、金融機関で本人確認と名寄せを徹底させてマル優の悪用を規制し、分離税率を五〇%に引き上げるなどの措置をこそとるべきではありませんか。また、総合課税に際しては、株の売買等によるもうけへの本格課税をどうしても実現すべきだと思いますが、どうでしょうか。
 次に、土地税制の三年連続緩和の問題であります。
 政府が持ち家政策をあおる一方、公共住宅の建設を縮小する、そして有効な地価対策を打ち出していない現在、地価は列島改造以来の高騰を示しています。
 今回の土地税制緩和については、大蔵省は当初、宅地供給増につながる確証がないとして反対していたではありませんか。だとすれば、本改正案でどの程度の供給増が可能となるのか、ここでお示しいただきたい。
 いずれにしましても、本措置は、大手不動産企業と大土地保有者を救済し、不公平税制の是正や資産課税強化の方向に逆行する以外の何物でもありません。大蔵大臣の明確な御答弁を求めます。
 また、国土庁長官には、今日の地価高騰の原因、投機的取引の現状と規制策、それに庶民のための地価安定、宅地供給策の基本について見解を示されたいのであります。
 第三に、国民の重税をどう軽減するかの問題であります。
 政府は、五十五年度も所得税減税を見送り、勤労者の課税最低限を五十二年度以降四年間も据え置こうとしております。その結果、どういう事態が起こったか。この四年間で所得税の納税人員は五百十二万人もふえましたが、これは低所得層の非課税世帯がそれだけ新たに納税者に組み込まれたことを意味しております。また、低所得者ほど小刻みにつくられた税率によって、低所得者層ほど収入の増加割合を超える負担を強制されているのが現実であります。
 このように、政府の所得税減税見送りは、最低生活費非課税の原則、所得税本来の所得再配分機能をも破壊し、大衆課税の色彩を強めているのであります。五十五年度には、一兆九千億円もの所得税の自然増収が見込まれていますが、これこそ減税見送りによる国民への実質的な大増税にほかなりません。(拍手)
 総理は、さきの予算委員会で、自然増収は個人の所得税だけでなく法人税も含んでいると述べていましたが、法人の利益増への課税と生活費にますます食い込む所得税増税とを同一視するがごときは、全く論外で誤った認識と言わねばなりません。(拍手)
 わが党は、国民生活防衛の立場から、この間の物価上昇分の調整を図って、国民への実質増税を避けるため、来年度六千億円程度の所得税減税を実施すべきであると主張してまいりましたが、総理は、この減税を実施する考えがあるかどうか。さらに、五十六年度以降においてもどのように対処されるのか、この際お答えいただきたいのであります。
 以上、国民本位の財政再建と税制改革が急務となっている今日の事態を踏まえ、総理並びに関係大臣の決意と誠意ある答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#42
○内閣総理大臣(大平正芳君) 多田さんの最初の御質問は、今日の財政危機を招いた反省についてでございました。
 わが国の財政は、五十年度以降、特例公債を含む大量の国債に依存せざるを得ない状況になっておりますこと、御指摘のとおりでございます。これは、石油ショックを契機といたしまする経済の異常な停滞が起こりまして、国民生活と景気と雇用の維持回復を図るためには、財政が出動いたしまして、これを支えなければならぬという状況になったからでございまして、財政はりっぱにその任務を果たしまして、第一次石油ショックをともかくも克服することに成功いたしたわけでございまして、私は、この選択は間違っていなかったと思いまするし、国民の多くはこれを理解し、評価していただいておるものと思います。
 それから、財政再建の基本をどこに置くかということでございました。
 わが国は数々の試練と困難に遭遇いたしました七〇年代におきまして、国民のすぐれた活力、適応力によりましてこれを克服してまいりましたことは御承知のことと思います。
 今後わが国は、エネルギーの制約への対応、財政の再建、解決を迫られている問題は少なくございませんけれども、国民の英知と努力を結集いたしまして、その克服に全力を傾注いたしますならば、わが国の経済の適正な成長を図りながら、唇的に充実した国民生活の実現と国際経済社会への貢献を目指していくことが不可能でないと考えておりまして、そういう方向に財政経済政策を指向してまいりたいと考えております。
 それから、不公平税制についてのお尋ねでございました。
 これにつきましては、竹下蔵相の御提案の理由の中にも詳しく述べておりますように、あらゆる角度から租税特別措置について見直しを行いまして、相当の成果を上げておると思うのでございます。現在残っておりますのは、中小企業対策でございますとか農林漁業対策、あるいは資源・エネルギー対策あるいは科学技術の振興、そういった面からの政策上の特別措置が若干残っておりますが、相当広範囲にわたって見直しが行われましたので、税制調査会も御指摘になっておりますように、政策税制の整理合理化はおおむね一段落したと私は見ておるわけでございます。
 それから、一般消費税の問題でございますが、これは先ほど山田さんにお答えしたところで御承知を願いたいと思います。
 それから、五十六年度以降について減税をする意図はないかということでございますが、財政再建をここ数年の間になし遂げまして、その体質を改善せなければならぬという課題を担っておるわけでございまするし、わが国の所得税制は先進諸国に比べまして決して高い方でなくて、相対的には負担の安い状況になっておりますこと、多田さんも御承知のことと思うのでございまして、財政再建中、私どもは所得減税というようなことは考えることができない状態にありますことを御了承願いたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣竹下登君登壇〕
#43
○国務大臣(竹下登君) まず、財政収支試算で示された増税は一体何で賄うつもりか、こういうことでございます。
 試算において示されております税収は、各年度の税収の予定を示すものではございませんので、もちろん具体的な増税の計画を示したものではございません。今後は、従来の検討の方向及びその後の経緯を踏まえながら、財政再建の進め方及びその中における税制のあり方につきましては、まさに幅広く検討していきたい、このように思っております。
 次が、おっしゃいました法人擬制説の見直しの問題でございます。
 配当軽課制度及び受取配当の益金不算入制度は二重課税調整のための仕組みでありまして、諸外国においても、方式や程度の相違はございますにせよ、何らかの調整措置が講ぜられておることでございます。これは、先ほどの山田議員にもお答えしたとおりであります。
 それから、海外投資等の損失準備金の対象範囲を拡大したではないか、こういうことでございますが、発展途上国等からわが国企業と合弁方式で大規模な事業を行いたい旨の要請が政府間で出されることが多くなっておることは御承知のとおりであります。わが国といたしましても、経済協力の観点のみならず、資源の安定的確保等の観点から、これらの要請に応じていく必要があります。
 このような状況を踏まえて、今回これらの国とわが国との間の政府間べースの約束に基づく経済協力の実施に当たる合弁事業に対する本邦側の出資等につきましては、海外投資等損失準備金の積立率につき配意することとして、民間資金の円滑な導入促進を図ってきたものでございます。
 それから、利子配当課税、総合課税の問題でございますが、国民のプライバシー保護については、先ほど来お答えしておりますとおり、万全を期していきたいというふうに思っております。そして、本人確認、名寄せを厳正に行う等にはやはり時間がかかります。万全を期する方策をとりつつ、これが実現に向かっていきたい。
 最後が、土地税制に対して大蔵省は反対しておったではないか、こういうことでございます。
 今回の土地税制の改正案は、現行制度の基本的な枠組みは維持をしながら、三大都市圏、特に首都圏における円滑な宅地供給を有効に利用するというものでございまして、その土地の長期譲渡所得課税について所要の見直しを行おうとしたものでございますので、大都市圏における宅地供給と有効利用に望ましい効果が出るものであろうと期待をいたしておるところでございます。以上で、お答えを終わります。(拍手)
    〔国務大臣園田清充君登壇〕
#44
○国務大臣(園田清充君) 私に対する御質疑は、地価高騰の原因、それから投機的取引に関する現状をどう把握をしておるか、なお、規制について有効な地価対策、同時に宅地供給策をどう考えているのかということが御質疑の内容だったと思いますが、大蔵大臣からも御答弁がございましたとおり、最近大都市圏において、住宅地を中心に地価が強含みの傾向が見られますことは御指摘のとおりでございますが、これは宅地の需要に対して供給が不足していることがその主因でございます。昭和四十七年ないし四十八年当時のような投機的な土地取引が行われている徴候は現在ないと考えております。
 したがって、当面の土地対策の課題は、引き続き投機的土地取引の抑制を図りつつ宅地の供給を促進することでありますが、このために、国土利用計画法の届け出制による土地取引の規制、土地税制による抑制、投機的土地取引を助長するような融資の抑制等のための諸施策を推進する反面、計画的な宅地開発事業の推進のための財政上、金融上の措置の拡充、都市再開発の推進、土地利用転換の推進、宅地供給促進の見地からの土地税制の改善等の宅地供給促進のための諸施策を総合的に講じていくことが必要と考えます。
 特に国土庁といたしましては、土地取引の動向について迅速かつ正確に現状を把握し、必要に応じ機動的な対応ができるようその監視体制を一層強化し、拡充すること等により、引き続き国土利用計画法の的確な運用を図るとともに、大都市地域において、必要に応じ農業的土地利用の継続を確保しつつ宅地化の促進を図るため、制度の検討、宅地供給促進の見地からの土地税制の改善等を図ってまいる考えでございます。
 以上、お答えいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#45
○副議長(岡田春夫君) 部谷孝之君。
    〔部谷孝之君登壇〕
#46
○部谷孝之君 私は、民社党・国民連合を代表いたしまして、ただいま提案されました所得税法の一部を改正する法律案並びに租税特別措置法の一部を改正する法律案に対して、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 まず、いまや国民的な課題となっております財政再建についてであります。
 昭和五十年度に特例公債を発行して以来、その発行額は年々増大を続けてまいりまして、国債発行残高は五十四年度末で五十七兆円にも達しております。昭和五十五年度予算の政府案におきまして、国債発行額は十四兆二千七百億円と、昭和五十四年度当初に比べまして一兆円の減額は図られておりますけれども、しかし、昭和五十五年度発行予定の特例公債は七兆四千八百五十億円でありまして、五十五年度末の特例公債残高は二十九兆円、また国債発行残高は実に七十一兆円にも達するのであります。
 今後もこのような巨額の国債発行が続くならば、財政の果たすべき本来の機能、すなわち資源配分、所得再分配、安定的経済成長達成などの面で大きく支障を来すことは必至であります。(拍手)のみならず、大量の国債の発行は、民間資金の締め出し、いわゆるクラウディングアウトを引き起こし、それがひいてはマネーサプライの増大によるインフレを招来することは申すまでもありません。私は、今後適正な経済成長を維持しながら、このような財政インフレの発生を未然に防ぐことが今後の経済運営の中できわめて大きなウエートを占めるものと考えるのであります。(拍手)
 民社党・国民連合は責任野党の立場から、かねてから財政再建問題に対しまして現実的かつ具体的な提言を行ってまいりました。
 その基本方針は、まず第一に、増税を行う前に行政機構の簡素化、効率化、むだな経費の徹底した節減などの行政改革を断行することであります。第二には、日本経済を混乱に陥れ、国民生活を圧迫する一般消費税や所得税増税などの大衆増税を行わないで、不公正税制の是正を徹底して行うことであります。
 第三は、日本経済の安定成長を維持して税の自然増収を図ることであります。
 このような立場から見てまいりますと、政府の財政再建に対する姿勢は、行政改革の点におきましても不公正税制是正の点におきましてもきわめて不十分だと言わなければなりません。ここで総理の財政再建に対する基本方針を改めて明らかにしていただきたいと思うのであります。(拍手)
 民社党は、財政再建の前提となる不公正税制是正の具体策といたしまして、退職給与引当金の繰り入れ累積限度額の引き下げ、給与所得控除の適用所得限度額を八百五十万円とする頭打ちの復活、交際費課税の強化、利子配当所得の源泉分離選択課税制度の廃止並びに大企業の法人税率の二%引き上げなどの実施を強く主張してまいったところであります。政府のこのたびの税制改正におきましては、租税特別措置、退職給与引当金、給与所得控除などの点で若干の改善が図られておりますけれども、まだまだ不十分であります。特に大蔵省が当初予定しておりました法人税の引き上げが税制改正の大詰めの段階で突如として見送られたことは何とも納得のいかないものでありまして、この点についての総理の御説明と御所見を伺う次第であります。
 また、私どもがかねてより主張してまいりました利子配当所得の総合課税化につきましては 政府もその方向で対応しておられるところでありますが、しかし、今回の政府の税制改正では、その実施時期を五十九年一月一日とされておるのでありまして、今後なお四年間現行の不公正な実態が継続するわけでありますが、実施時期を繰り上げるべきであります。また、実施の時期を先に延ばすとするのであれば、その間、分離課税の税率を引き上げるべきではないかと考えるのでありますが、この点につきまして、大蔵大臣の御所見を伺いたいと思うのであります。
 今回の租税特別措置法の一部を改正する法律案におきましては、中小企業転換対策臨時措置法に基づく承認を受けて現物出資した場合の課税の特例の廃止あるいは中小企業等海外市場開拓準備金の縮減など、中小企業に大きな負担を強いる改正が図られておるのであります。
 申すまでもなく、現行の中小企業税制は、中小企業の社会的経済的不利を是正して、その健全な成長発展のために中小企業の租税負担の適正化を図る措置として設けられておるのでありまして、中小企業経営の安定的発展を期するためには、中小企業関係租税特別措置の整理合理化については特に慎重な態度が肝要であると考えるのでありますが、この点、大蔵大臣並びに通産大臣の御所見を伺いたいと思うのであります。
 次に、土地、住宅関係の税制改正について質問いたします。
 今回予定されております主な改正点は、長期譲渡所得課税の改善といわゆる優良住宅地要件の緩和、不動産買いかえの特例の拡大、そして特別控除制度の拡充などであります。
 これらの改正の最大の目的は、言うまでもなく、宅地供給の拡大を図ることであります。宅地の供給量は、昭和四十七年の一万四千五百ヘクタールをピークといたしまして、その後年々減少を続け、五十二年には九千三百ヘクタールまで減少しております。とりわけ優良宅地の減少は著しいのでありまして、そのため、いわゆるミニ開発などの増大を招いておるととろであります。政府は、第三期住宅建設五カ年計画において、五年間に六万六千ヘクタールの新規宅地が必要であるとしておりますが、現在の状態が続く限り、その達成はきわめて困難であります。
 また、一方において宅地供給量の減少は当然地価の上昇に拍車をかけることになるのでありまして、本年の公示価格の速報によりますと、地価はこの一年間に全国平均で九%、住宅地の平均では一一・五%、そして首都圏の住宅地では実に一四・四%という大幅な上昇を示しております。地価の抑制と優良宅地の供給拡大は、住宅政策や土地整備の上で不可欠の前提条件であることは申すまでもありません。これを実現するには、法令の整備、関連予算の増額などと並んで、土地税制の改善が重要な役割りを担っております。その意味におきまして、今回の土地税制の改正は、宅地供給の拡大に対して有効かつ適切に作用するものでなければなりません。
 そこで、お尋ねいたします。
 まず第一に、政府は今回の改正による宅地供給効果をどのように考えておられるのか。
 第二に、当初大蔵省と建設省との間で、改正による宅地供給効果についての見解の相違があったと聞いておるのでありますが、その理由はどのようなものなのか。
 第三に、果たしてこうした税制の緩和のみで宅地供給の拡大が可能なのかどうか。
 第四に、五十七年度から宅地並み課税を完全実施するとしておりますが、課税対象地域の拡大やC農地への課税を実施するのかどうか。
 これらの点につきまして、関係大臣の御答弁をいただきたいと思うのであります。
 なお、今回の住宅関係の税制改正におきまして、住宅取得控除を一万七千円定額とするとされておりますが、持ち家を求める勤労者の負担軽減に逆行するようなこうした改正に対しましては、強く反対せざるを得ません。(拍手)
 政府はこの際、このような改正を行うことなく、少なくとも現在の控除方法を維持すべきだと考えるのでありますが、あわせて関係大臣の御見解をお伺いする次第であります。
 最後に、大蔵大臣は、今国会審議の場で、今回の租税特別措置の整理合理化によっておおむねその整理は一段落したと言ってよい、こういうお考えを披瀝しておられるのでありますが、今回の改正によりましても、交際費課税を初めなお是正すべき点が山積しておるのであります。
 今後とも租税特別措置のみならず、現行の税制全般の見直しを行い、税負担の公正を図ることが緊要な課題でありまして、その実施を前提としてこそ財政再建も可能であります。大蔵大臣は、今回の所得税法の改正と租税特別措置の整理合理化をもって一段落したと考えておられるのかどうか、直截なる御答弁をお願いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#47
○内閣総理大臣(大平正芳君) 第一の御質問は、財政再建に対する基本方針でございました。これは、仰せのように、まず行革を含む歳出の徹底的な合理化を図りまして、歳出規模を抑制しなければなりません。第二に、既存の税制の見直しを通じまして、その公正を維持しながら増収を図るということをいたさなければならぬわけでございまして、歳出歳入両面にわたる努力を通じまして公債の発行を漸減いたしまして、ここ数年の間に特例公債を少なくともなくするということによって、財政の体質を改善し、八〇年代に向けての財政の対応力を回復しようとすることが基本的な方針でございます。
 第二の、法人税率の引き上げを見送ったのはなぜかということでございますが、たまたま本年度予想以上の自然増収が期待できましたので、法人税に税収を期待する必要を感じなかったわけでございます。しかし、こういうことは毎年期待できるはずはありませんので、五十六年度以降におきましては、歳出規模の抑制を図ることは当然でございますけれども、また、税収の確保につきましても格段の工夫をしなければならないと考えております。
 第三の問題は、土地税制で幾つかの御質問がございましたけれども、五十七年度から宅地並み課税を完全実施するとしているが、課税対象地域の拡大やC農地への課税を実施するかどうかという御質問でございました。
 市街化区域の農地に対する固定資産税の課税の適正化措置につきましては、当面、昭和五十六年度までは現行制度によって対処することといたしております。昭和五十七年度以降の取り扱いにつきましては、昨年末の税制調査会の答申等を踏まえまして、この間、引き続き検討を加えることにいたしたいと考えております。(拍手)
    〔国務大臣竹下登君登壇〕
#48
○国務大臣(竹下登君) お答えいたします。
 まず、利子配当総合課税の問題でございますが、御指摘のとおり速やかに総合課税に移行すべきである、その考え方は私どもも評価をいたします。それだけに、それを実施するための方策として、少額貯蓄等利用者カード制度を採用することといたしたわけでございますけれども、何としましても、同制度につきましては、国税当局、金融機関等の対応体制を整えるための準備、そしてまた、国民の理解と慣熟が必要であるという観点から、どうしても昭和五十九年一月一日とならざるを得ないというふうに御理解をいただきたいと思います。
 次が、源泉分離選択税率を引き上げる、そういう工夫についてでございますが、課税貯蓄が非課税貯蓄に逃避いたしましたり、また、仮名取引の増加等を招来する結果等、かえって不公平を生ずるおそれが強いという考え方から、五十八年十二月末までは現行制度を据え置くというのが適当ではないかと考えております。
 次に、中小企業関係の租税特別措置の問題について、中小企業の立場から意見を交えながらの御質問でございました。
 企業関係の租税特別措置につきましては、五十五年度におきまして全面的な見直しを行って、廃止もしくは大幅な一律縮減を行うこととしたわけでございますけれども、中小企業関係の特別措置につきましては、五〇%の一般縮減に対して縮減率二〇%にとどめるなどの特段の配慮をしたというふうに御理解をいただきたいと思います。
 宅地供給効果についての大蔵省の立場等についての御質問でございましたが、もともと土地政策において税制の果たす役割りというものは、これは補完的、誘導的なものでございます。しかし、今回は、とにかく大枠を維持しながら、なかんずく三大都市圏、首都圏の宅地の供給というものを期待をして行った改正でございますので、それなりにバランスのとれた改正案であり、そして、宅地の供給を心から期待をしておるということを率直に申し上げます。
 次に、住宅取得控除についての具体的なお話でございましたが、この問題は、一律の控除をすることによりまして控除の仕組みの合理化を図ったわけでございまして、既存住宅の取得を適用対象とすることとしたものでございます。したがって、また、一万七千円の控除という問題は、政府の第三期住宅五カ年計画の平均的住宅規模等を考慮して決めたものでございます。
 次に、租税特別措置は一段落したと唱えたが本当にそんなに思っているかと、こういうことでございます。
 これにつきましては、税制調査会の五十五年度答申におきましても明確に、これらの改正によって「税負担の公平を確保する見地からの政策税制の整理合理化は、おおむね一段落したもの」と考えると、このような指摘もいただいておるところでございますので、そうした考え方は確かに持っております。
 最後に給与所得控除の見直しの点でございますが、いろいろな御意見がございましたが、給与収入一千万円超の控除率を現行一〇%から五%に引き下げることといたしたところでございます。
 以上、お答えを終わります。(拍手)
    〔国務大臣佐々木義武君登壇〕
#49
○国務大臣(佐々木義武君) 中小企業関係税制は整理合理化の対象外とすべきではないかという御質問でございました。
 中小企業につきましては、その租税負担の適正化及び自助努力の誘導のため、まず法人税の軽減税率の適用等の一般的な優遇措置をいたしておりますが、そのほかに、特別措置といたしまして、設備の合理化、高度化あるいは中小企業の組織化の促進につきまして、政策税制を実施しております。
 厳しい財政事情のもとでの今回の租税特別措置の整理合理化についても、中小企業政策の重要性にかんがみまして、例外項目の設定、縮減率の軽減等につき特別の配慮が行われておるところでございます。(拍手)
    〔国務大臣渡辺栄一君登壇〕
#50
○国務大臣(渡辺栄一君) お答えを申し上げます。
 私に対しまする御質問は三点ございますが、第一点は宅地供給効果をどのように考えておるかということでございます。
 政府といたしましては、宅地供給に全力を挙げて努力をいたしておるところでありますが、今回の土地税制改正案のうちで、個人の土地等の譲渡所得課税につきましては、投機的土地取引の抑制をしたいという考え方から、短期譲渡所得にかかわりまする重課税制度はこれを存続いたしてまいりますが、また、円滑な宅地供給の促進を図るという見地から、長期譲渡所得課税につきまして所要の見直しを行ってまいりたいというものでございます。これによりまして土地の流動化が促進をされ、また宅地供給の増加につながるものであると考えております。
 もう一点は、今回の土地税制改正の中で、三大都市圏の既成市街地の中にございます土地等につきまして、中高層耐火共同住宅の建設のために提供されました場合の買いかえ制度の創設でございますが、これは、当面の急務でございます大都市の既成市街地の土地の有効利用促進に多大の効果があるものと期待をいたしておる次第でございます。
 もう一点は、これらの経過におきまして、大蔵省と建設省との間に見解の相違があったのではないかというお話でございますが、建設省といたしましては、宅地供給促進の見地から、昭和五十五年に期限の到来いたします個人の土地譲渡所得課税を初めとする土地税制の緩和を要望いたしてきたところでございますが、今回提案いたしておりまする改正案を得るまでの過程におきましては、政府部内におきまして多角的な検討を十分行ってまいりました結果、現在の内容となったものでございます。
 建設省としましては、今回の改正案は、適正な税負担を維持しながら、特に大都市圏における宅地供給の促進効果をねらったものでございまして、バランスのとれました適切な改正案であると考えておる次第でございます。
 第三点は、税制の緩和のみでは宅地供給の拡大は困難ではないかという御意見でございますが、もちろんでございまして、私ども、いま大蔵大臣からの御答弁もございましたように、土地税制の改善とあわせまして、宅地供給を促進する諸施策を総合的に推進いたしてまいりたいと考えております。
 先ほど国土庁長官からも一部お話がございましたが、そのために、私どもは、公的機関によりすす計画的な宅地開発を促進してまいります。さらに、民間の優良な宅地開発に対しまして政策金融等を拡充をいたしてまいります。さらに、最近いろいろ御推進をいただいておりますが、関連公共公益施設の整備、これを充実、推進をいたしてまいります。さらに、都市再開発によります土地の有効利用を推進するために、今回も法案をお願いをいたそうとしておるわけでございます。さらにいろいろ御意見が出ておりましたけれども、都市計画法の線引きにつきましてはさらに見直しを行いたいと思っておりまして、東京都内等につきましても都知事と十分な合意を得ておるところでございます。
 これらの諸施策を総合的に推進いたしましてやってまいりますが、特に市街化区域内の農地の宅地化の促進につきましては、進んで農家の協力の得られますように、既存の制度の見直しを含めまして実効ある措置を十分検討いたしてまいりまして、供給拡大に努めてまいりたいと考えておる次第であります。
 以上でございます。(拍手)
#51
○副議長(岡田春夫君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#52
○副議長(岡田春夫君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後五時三十九分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  大平 正芳君
        法 務 大 臣 倉石 忠雄君
        外 務 大 臣 大来佐武郎君
        大 蔵 大 臣 竹下  登君
        文 部 大 臣 谷垣 專一君
        厚 生 大 臣 野呂 恭一君
        農林水産大臣  武藤 嘉文君
        通商産業大臣  佐々木義武君
        運 輸 大 臣 地崎宇三郎君
        郵 政 大 臣 大西 正男君
        労 働 大 臣 藤波 孝生君
        建 設 大 臣 渡辺 栄一君
        自 治 大 臣 後藤田正晴君
        国 務 大 臣 伊東 正義君
        国 務 大 臣 宇野 宗佑君
        国 務 大 臣 小渕 恵三君
        国 務 大 臣 長田 裕二君
        国 務 大 臣 正示啓次郎君
        国 務 大 臣 園田 清充君
        国 務 大 臣 土屋 義彦君
        国 務 大 臣 細田 吉藏君
 出席政府委員
        大蔵省主税局長 高橋  元君
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ソース: 国立国会図書館
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