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1979/02/19 第91回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第091回国会 本会議 第7号
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1979/02/19 第91回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第091回国会 本会議 第7号

#1
第091回国会 本会議 第7号
昭和五十五年二月十九日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第六号
  昭和五十五年二月十九日
    午後一時開議
 第一 地方交付税法の一部を改正する法律の一
    部を改正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 地方交付税法の一部を改正する法律
  の一部を改正する法律案(内閣提出)
 昭和五十五年度の公債の発行の特例に関する法
  律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
    午後一時七分開議
#2
○議長(灘尾弘吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 地方交付税法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
#3
○議長(灘尾弘吉君) 日程第一、地方交付税法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。地方行政委員長塩谷一夫君。
    ―――――――――――――
    〔塩谷一夫君登壇〕
#4
○塩谷一夫君 ただいま議題となりました地方交付税法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過及び結果を報告申し上げます。
 本案は、昭和五十四年度の補正予算により同年度分の地方交付税の額が六千三百九十二億円増加することとなりましたが、本年度において普通交付税の調整額の復活に要する額百九十五億円を交付することとし、残余の額六千百九十七億円は昭和五十五年度分の地方交付税の総額に加算して同年度に交付することができることとするものであります。
 本案は、一月二十五日当委員会に付託され、二月十二日後藤田自治大臣から提案理由の説明を聴取した後、慎重に審査を行いました。
 去る十四日本案に対する質疑を終了し、討論を行い、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#5
○議長(灘尾弘吉君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#6
○議長(灘尾弘吉君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
 昭和五十五年度の国債の発行の特例に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#7
○議長(灘尾弘吉君) この際、内閣提出、昭和五十五年度の公債の発行の特例に関する法律案について、趣旨の説明を求めます。大蔵大臣竹下登君。
    〔国務大臣竹下登君登壇〕
#8
○国務大臣(竹下登君) 昭和五十五年度の公債の発行の特例に関する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
 昭和五十五年度の経済運営の基本は、流動的な国際経済情勢の中で、物価の安定を図りつつ、景気の自律的拡大基調方維持することにより、国民生活の安定と着実な経済発展のための基盤強化を図ることにあると考えます。
 他方、わが国財政は、巨額の公債発行に依存する異常な状況にあり、今後の経済の安定成長を期するためにも、財政の公債依存体質を改善し、財政の対応力の回復を図ることが急務となっております。
 このような状況にかんがみ、昭和五十五年度予算は、公債発行額を前年度当初予算より一兆円減額して財政再建の第一歩を踏み出すとともに、経済の着実な発展に配慮することを基本として編成いたしました。
 まず、歳出面では、各省庁の経常事務費を初めとする一般行政経費を極力抑制するとともに、政策的経費についても根底から見直しを行った上、各種施策の優先順位を十分考慮し、財源の重点的、効率的配分に努めたところであります。この結果、一般歳出の伸び率は昭和三十一年度以来の低率となっております。
 また、歳入面では、租税特別措置の整理等をさらに推進するとともに、給与所得控除の見直しと退職給与引当金の累積限度額の適正化を図ることとしております。
 しかしながら、このような歳出歳入両面にわたる見直しにもかかわらず、昭和五十五年度においても、前年度に引き続き、財政法の規定により発行する公債のほかに、特例公債の発行によらざるを得ない状況にあります。
 このため、昭和五十五年度の特例措置として、国会の議決を経た金額の範囲内で特例公債を発行できることとする法律案を提案するものであります。
 しかし、このような措置はあくまで特例的な措置であり、特例公債に依存する財政からできるだけ速やかに脱却することが財政運営の要諦であることは申すまでもありません。政府としては、引き続き、財政の健全化を図るため全力を尽くす決意であります。以上、昭和五十五年度の公債の発行の特例に関する法律案の趣旨について御説明申し上げた次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 昭和五十五年度の国債の発行の特例に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#9
○議長(灘尾弘吉君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。伊藤茂君。
    〔伊藤茂君登壇〕
#10
○伊藤茂君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました昭和五十五年度の公債の発行の特例に関する法律案について、大平総理並びに関係大臣に質問いたします。
 巨額の国債発行のもたらす危険性について、私たちはこの数年来、厳しく指摘をしてまいりましたが、一九八〇年代の初年度を迎えた今日、財政再建の課題は一歩も先へ延ばすことを許されない重大な状況となりました。
 そして、いま自民党政府の失政によって引き起こされたこの財政破綻を、増税、福祉切り捨て、公共料金値上げなど、国民の暮らしを犠牲にすることによって切り抜けようとするのか、国民生活擁護を基本として不公平税制の徹底的な是正、行財政の民主的改革によって乗り越えるのか、そのいずれの道をとるのかが問われております。言うならば、八〇年代を財政の破綻によって国民を絶望に陥れる時代とするのか、厳しさを乗り越えて希望のある国民生活の時代とするのか、それが政府の政策に、そして大平総理、あなたに問われているのであります。
 昨年末の総選挙で、国民は、この財政危機を大衆増税を初め、国民の犠牲で切り抜けようとする計画に明確にノーという意思表示をしました。あなた方が強行しようとしてきた方向は厳しく否定をされたのであります。いま政府に求められているのは、この国民の意思表示に基づいて従来の財政政策を抜本的に転換し、国民本位の財政再建の方向に確実な一歩を踏み出すことであります。
 しかし、本法案を提出した政府の姿勢にはその決意を何ら見ることはできません。国債発行の一兆円減額という説明が詭弁にすぎないことは、五十四年度補正後と比較して約二千億円の増加となっている事実にも明らかであります。そうして、四兆六千億円に上る自然増収に安易に依存して問題を先延ばしにしながら、福祉切り捨てや公共料金値上げ、増税の計画だけは着々と進めようとしているのが現実の姿であります。財政再建元年とか、財政再建への第一歩とかという言葉は全く白々しいものと言わなければなりません。
 私は、政府に大きな転換を迫る立場から、以下、財政再建のための五つの基本的な視点を提起し、見解を伺いたいと思います。(拍手)
 その第一は、財政、税制の現在の制度を民主的に改革すること、国民に信頼され、大胆に国民の参加を認める仕組みにすることであります。
 いま国民は、財政再建の名による生活破壊の方向に大きな不安と不信の気持ちを持っております。ところが、政府のやり方は、相も変わらず、密室で自分勝手に決めたものを国民に押しつける手法以外の何物でもありません。政府税制調査会や財政制度審議会などは、その典型的なものであります。
 この二年間にわたって一般消費税導入の大キャンペーンを展開した政府税調が、総選挙で国民からその構想を否定された後、国民に十分理解を得られなかったと一言述べるだけで、みずからやってきたことと国民との断絶について何らの反省もありません。このようなシステムで今後何かをやっても、国民のだれが信用するでありましょうか。総理、あなたがやることと国民との距離は余りにも離れているのであります。
 八〇年代は参加の時代と言われております。国民各層の参加と意見を求め、国民的合意を形成しようとする積極性がなくて、どうして財政再建をなし遂げることができましょう。あなた方にその決意があるならば、たとえば一年がかりで全国各地で地方公聴会を開いて、各界の意見を聞き、国民とともに考えるなど、断絶を埋める努力をまずやってみたらいかがでしょう。
 財政、税制全般の制度を民主的に改革する意思と計画をお持ちですか、お伺いしたいのであります。
 第二は、明確な責任ある財政再建計画をつくることであります。
 政府が毎年国会に提出をしてきた財政収支試算は、機械的な数字並べにすぎず、全く無意味であります。増税を積み上げて収支均衡を図ろうとするだけの安易な試算をやめ、国民が納得できる長期計画をつくらなければ財政再建は不可能であります。
 総理、庶民が住宅ローンを借りるのにも、中小零細企業が融資を受けるのにも、収入状況や保証人、返済計画の厳しいチェックを受けて初めてお金が借りられるのであります。
 五十五年度末の国債発行残高は七十一兆三千億円、六十年度には実に百三十一兆六千億円、まさにサラ金財政そのものの状態になりつつある中で、無責任な態度をとり続けることは許されないのであります。明確な財政再建計画、中期財政計画を内閣の責任でつくる決意がありますか。その具体的見通しはいかがでしょうか。
 また、この計画の柱として、いわゆる政策税制の狭い枠だけではない、全般的な不公平是正が必要であります。政府は、今後の財源対策の具体的手段について何も説明しておりませんが、あわせてお答えいただきたいのであります。
 第三は、財政再建計画のベースとなる経済計画特に新経済社会七カ年計画を抜本的に改定することであります。
 財政危機は、単に財政収支上の問題だけでなく、自民党政府の進めてきた経済政策の構造的危機の反映であります。収支均衡を図るために増税と福祉切り捨てを強行するという貧困な発想で国民の理解や協力が得られるはずはありません。
 ところが、財政見通しのベースとしている新経済社会七カ年計画は、現実には全く不可能なものとなっております。当初から一般消費税を前提にし、公共投資二百四十兆円を予定したこの計画の前提条件は、初年度から狂ってしまっているのであります。
 総理、あなた方自民党が支援を受けている財界首脳部による産業計画懇談会の「財政再建のための第二拠点」と題する提言ですらも、このような計画を持つことの弊害は恐るべきものがあると批判しているのであります。
 日本社会党は、すでに日本経済の改造計画を発表しておりますが、この際、先般の微調整のようなことではなく、新経済社会七カ年計画を新しい発想でつくり直すべきであると思いますが、いかがでしょうか。(拍手)
 また、その作業に当たって、福祉切り捨てでたく、高齢化社会に備えた社会保障制度の改革と、安易な首切り合理化に走る行政改革でなく、国民生活部門の重視、分権自治の拡大、自衛隊、軍事費の削減など、民主的で能率的な行政の改革を行うべきであると思いますが、いかがでしょうか。
 大平総理、私たち日本社会党は、公明党、民社党と連携して、統一した予算修正案を提出することといたしております。老齢福祉年金の引き上げを初めとする国民要求を盛り込み、不公平税制是正と国債発行額の減額などを具体化し、提出しようとしているこの修正案を、国民の声を集約したものとして率直に受け入れるべきであると思いますが、予算案を提出した政府の責任者としてどう対応されますか、お答え願いたいのであります。(拍手)
 第四は、国と地方との行財政関係を改革することであります。昨年来、地方の時代という方向が各界から強調されておりますが、中央集権的な行財政制度は何ら変わっておりません。地方の自主性と責任を尊重し、国から地方に権限と税財源を大胆に移譲することによって、国の財政も余裕を取り戻し、地方財政の自主性も回復をすることになるのであります。第十七次地方制度調査会の答申にもこの点が強調されているのに、改革の努力が進んでいないのはきわめて遺憾であります。この点いかがお考えでしょうか。
 大平総理、あなたは昨年、NHKでの長洲神奈川県知事との対談の際に、国と地方との代表がまず国と地方の財政制度を改革するために直接話し合い、協議する必要性を強調し、必ずやると言われました。また、補助金制度の改善なども約束をされました。あなたが前向きに意思表示をされましたことは、早速実行されるように期待するものでありますが、いかがでございましょうか。
 最後に、第五点として私が提起したいことは、国債の管理運営政策を改め、インフレ防止に万全の措置をとることであります。
 昨年も国債の値崩れ、売れない国債ということが大きな問題となり、歳入欠陥を起こしかねない事態となったことは記憶に新しいところでありますが、その状況は今日も変わってはおりません。現在、六二国債は流通価格八十五円、大変な額面割れであります。政府の責任で発行する国債が大幅な額面割れということは、政府自身の信用が額面割れになっていることを示していると思います。(拍手)
 御用金調達的姿勢や市場メカニズムへの人為的介入で、余りにも過大な今日の国債の消化運用は不可能であります。今後の国債管理政策について竹下大蔵大臣にお伺いします。
 さらに重大なのは、インフレの危険性であります。
 卸売物価指数はまさに暴騰の様相を呈しておりますが、さらに電気料金、ガス料金などメジロ押しの公共料金値上げの計画であります。これに加えて、財政インフレの危険が表面化した場合、まさにインフレ火山の爆発という事態になるでありましょう。物価対策をどうするのか、正示経済企画庁長官に、国民に納得できる御答弁をお願いいたします。
 以上、指摘をいたしました五つの改革案は、国民本位の財政再建のためにまさに急務になっている課題であると思います。いまのまま推移するならば、大平内閣は、八〇年代前半の歴史に重大な責任を問われることになるでありましょう。総理並びに関係大臣の明確な答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#11
○内閣総理大臣(大平正芳君) 伊藤さんの最初の御質問は、財政民主化のために税制調査会、財政審議会等の構成の見直し、あるいは地方公聴会、シンポジウムなど新たなシステムを設けて、各界各層の意見を吸い上げる必要が参加の時代に対してあるのではないかという御質問でございました。
 私どもも仰せのとおり考えております。税制調査会におきましては、消費者代表、婦人代表、それから労働組合の代表者等も含めまして、各界各層の学識経験者をお願いいたしておりまするし、財政審議会におきましても、広く学識経験者を網羅いたしておりまして、財政政策に対する各般の御意向を十分くみ上げる仕組みを堅持いたしております。
 また、公聴会等の問題でございますけれども、各界の意見、提言、世論の動向等につきましては、常に周到な配慮をいたしておるつもりでございまして、新たなシステムをこの上設ける必要はないと考えておりまするけれども、御趣旨の線に沿いまして、一段と財政民主化を進めていく上におきまして、各層、各般の意見の吸い上げには特段の工夫を今後とも加えてまいるつもりでございます。
 第二点は、財政再建計画を政府の責任でつくるべきでないかという御意見でございます。
 財政再建のため、政府は、歳出歳入全般にわたりまして、財政構造の健全化を図る意味におきまして、広く各界の御意見を伺いながら結論を得たいと存じて、いま検討を進めておるところでございます。
 いわゆる財政計画につきましても、財政制度審議会におきまする論議等を踏まえまして、現在、政府部内におきまして、後年度負担額推計を基本といたしました財政計画について検討を進めておるところでございます。
 何さま、しかしながら、この計画は、技術上の困難もございますし、膨大な作業量を伴うものでございますので、相当時間をちょうだいしなければならぬと考えておりますことをあわせて御報告させていただきたいと思います。
 第三の問題は、税制の不公平是正を一段と進めるべきではないかという御意見でございます。
 政府といたしましては、いわゆる租税特別措置につきましては、これまで鋭意見直しを進めてまいりまして、税制調査会の評価をもっていたしましても、制度自体といたしましての整理は一段落をするところまで来ておるのではないかという評価をいただいておるわけでございまして、ことしも利子配当課税の総合課税への移行を初めといたしまして、企業関係の租税特別措置の整理に努力いたしておりますことは、伊藤さんも御承知願っていることと思うのであります。
 しかしながら、税制の基本は、仰せのように不公平是正にありますことはもとよりでございますので、制度、執行両面にわたりまして公平の原則を貫くように一段と努力してまいるつもりでございます。
 その次の御質問は、新経済社会七カ年計画は抜本的に改革すべきでないかという御意見でございました。
 仰せのとおり、本計画案策定後、内外の経済情勢、原油価格の上昇等を契機といたしましてかなり変化が見られておるわけでございまして、先般来、経済審議会に計画の見直しのアプローチをお願いいたしておるところでございます。
 このフォローアップの報告では、原油、物価、財政等当面の困難の克服に全力を傾注いたしますとともに、中長期の経済運営といたしまして、計画の基本的なあり方を指針としながら、情勢の変化に即して、より一層機動的かつ弾力的な対応を図ることが必要であるという御報告をいただいておるわけでございますが、このフォローアップ報告は近く正式に政府に報告される予定でございます。政府は、その趣旨を踏まえて、現下の厳しい内外の情勢に対処していくつもりでございます。
 地方の時代に対しまして、国地方を通ずる財政制度の改革についてのお尋ねでございました。
 国地方を通ずる行財政制度のあり方につきましては、今後とも、あらゆる機会を通じまして地方団体の意見の聴取に努めまして、その改善に努めてまいるつもりでございます。
 本年におきましても、補助金につきまして、零細補助金等補助効果の乏しいものの整理に努め、地方団体の自主性の尊重、財政資金の効率的な使用を図るという見地から、補助金の統合、廃止、メニュー化等を図ってまいりましたことは御承知願っておると思うのでございますが、今後、この点につきましては、地方制度調査会の御答申もいただいておりますので、一段と積極的に推進していく必要を痛感いたしております。
 最後に、予算修正案に対する政府の態度はどうかということでございます。
 野党各党からの正式の修正要求が出されました場合は、政府といたしましても真剣に検討さしていただきたいと考えております。しかしながら、政府としては、現に提出しておる五十五年度予算を最善のものと考えておりますので、私といたしましては、政府案の成立を強く希望いたしております。(拍手)
    〔国務大臣竹下登君登壇〕
#12
○国務大臣(竹下登君) 私に対する御質問は、国債管理政策についてであります。
 確かに、国債市況というものは、円相場が十二月以降若干回復いたしますと比較的底がたい状沖に推移してまいりますが、また、一方、公定歩合の引き上げ等を意識した買い控えというようなことで、絶えず変化をいたすものであります。したがって、国債管理政策の基本というのは、これは何としても、国債の大量発行によって市場の需給バランスが崩れているところに存在するわけであります。国債発行額をまず圧縮していくということが基本であるということは、言うまでもないところであります。
 したがいまして、そういう観点に立って、五十四年度の消化の現状を見ますと、五十四年度の国債発行につきましては、今回の補正予算によって発行予定額を一兆二千二百億円減額することといたしました。この措置によりまして、すでに一月末までに十兆七千三百九十八億円を消化したところでございますので、減額後の未発行額は三兆三千百二億円、このうち一兆円を資金運用部が引き受ける予定でございますので、消化は十分可能であります。
 五十五年度の消化見込みでありますが、その環境は今年度に引き続きかなり厳しいものがあると考えられます。しかし、五十五年度の発行予定額は、五十四年度当初に比べ総額一兆円圧縮されておりますし、また、民間消化分についても、二兆五千億円に上る資金運用部引き受けを行うことによりまして、本年度当初に比べ二兆円の圧縮が行われるところでありまして、その消化は可能であると考えております。
 以上、お答えを終わります。(拍手)
    〔国務大臣正示啓次郎君登壇〕
#13
○国務大臣(正示啓次郎君) 伊藤議員にお答えいたします。
 まず第一は、財政についてでありますが、ただいま総理、大蔵大臣からお答えのように、国債の発行を本年度も来年度もできる限り圧縮する、こういう方針を貫いたことが第一でございますし、公共事業の執行につきましては、御承知のように五%保留いたしまして、これを物価対策に寄与するように運営しておることも御案内のとおりであります。
 次に、金融問題でございますが、本日から公定歩合を引き上げまして、いわゆるインフレムードの発生を未然に防止する上に大変な効果を発揮することと私どもは期待いたしております。
 また、国際収支の面におきましても、これはやはり円に対する対外的な信用にも私は大いに寄与するもの、こういうふうに考えております。
 公共料金につきましては、予算の上で若干引き上げを予定しておりますが、これはやはり財政再建という要請からいっての最小限度でございます。この点は、公共料金はこれからも電気、ガスの問題、いろいろ重要な問題がございますけれども、経営の徹底した合理化、そして企業の非常な努力、労使関係等考え合わせながら、最小限度に抑制していくということを基本として考えておるわけでございます。
 なお、個別物価といたしましては、野菜が大変自然的条件で高騰いたしておりますが、先般も緊急対策を実施いたしまして、春野菜の早期出荷あるいは契約栽培のキャベツの出荷とかあるいは緊急輸入、そういうふうな方法を講じております。
 また、通産関係の物資につきましても、国際関係から大変高騰の様子がございますので、個別にこれらについては需給の動向を厳しく監視し、必要な行政指導を行う、こういうことをやっております。
 しかし、何と申しましても、物価政策の根幹は、われわれ賃上げのなだらかな上げ方ということが非常に大事だと思っております。これは国際的に見ましても、また既往の経験からいいましても、大変大事な問題でございますから、われわれは、物価政策に全力を挙げて、またこの賃上げの問題等にも一層の努力を払っていき、また皆様方の御協力をお願いしたいと思うわけでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#14
○議長(灘尾弘吉君) 古川雅司君。
    〔古川雅司君登壇〕
#15
○古川雅司君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま提案されました昭和五十五年度の公債発行の特例に関する法律案に関し、総理並びに大蔵大臣に対し質問をいたします。
 端的に言って、昭和五十五年度予算は特例公債に依存せざるを得ず、その意味では、本法律案を頭から否定するものではありません。しかし、わが国財政が危機的状況にあることもまた、覆いがたい事実であります。したがって、赤字公債を発行する前提として、厳しい現状を直視するとともに、一つには、政府の財政再建の方針が明確になっているのかどうか、そして二つには、歳出削減のために行政改革、補助金の整理などに勇断がふるわれたのかどうか、そしてさらに三つとして、歳入の確保のため、不公平税制の是正に十分な努力が講じられているのかどうかなどについて、慎重に吟味が加えられなければなりません。
 しかるに、昭和五十五年度予算案は、こうした疑問に真正面からこたえたとは言いがたく、本法律案を単に五十五年度予算案の財源措置として安易に認めることはできないのであります。こうした観点から、以下、政府に対し、三項目にわたり具体的に質問を行うものであります。
 第一は、財政再建に関する政府の基本姿勢についてであります。
 率直に言って、私には、政府が財政再建をどのような基本方針で進めていこうとしているのか、また財政再建を確実なものとする見通しがありとするのか、全く理解することができません。
 総理は、一般消費税の導入を否定する趣旨を盛り込んだ、いわゆる財政再建に関する国会決議を尊重すると明言しておられます。しかし、その一方で、昭和五十五年度財政収支試算では、これまでと同じように巨額な増税意図を表明しているのであります。
 まず、総理並びに大蔵大臣は、財政再建に関する国会決議をあくまでも尊重する決意があるというのであれば、当然五十六年度以降も一般消費税は導入しないと明言すべきであると思うが、この点明確に示していただきたいのであります。(拍手)
 さらに、この国会決議を尊重するというのであれば、財政収支試算に見られる政府の増税の意図はどのように説明するのか、具体的にお答えいただきたいのであります。
 財政再建の見通しについても、同様に全く不明確としか言いようがありません。政府は、五十下年度予算案をもって「財政再建の一歩を踏み出し」と宣伝しているのでありますが、その論拠はきわめてあいまいであるとしか言いようがありません。五十五年度予算案における特例公債の発行子定額は、五十四年度補正予算と比較すると、逆に六千億円近くもの増発措置がとられようとしているのであります。政府は何をもって財政再建の一歩を踏み出したと言うのか、お答え願いたい。
 さらに、財政収支試算によれば、五十九年度において特例公債発行をゼロにするとしているが、その自信はあるのか、お示しいただきたいのであります。
 また、たとえ五十九年度に赤字国債の発行をゼロに抑えることができたとしても、赤字国債の償還は容易なことではありません。この際、政府に対し、財政再建の基本方向を明確にし、財政再建の見通しをつけるためにも、中期財政計画の策定を強く要求をいたします。総理並びに大蔵大臣から、いつ策定するのか、明確な方針を答弁願いたいのであります。
 項目の第二として、財政再建には欠くことのできない歳出の削減、不公平税制の是正に関しお尋ねをいたします。
 総選挙において一般消費税導入を国民からはっきりと拒絶された大平総理は、財政再建のために、歳出の削減をねらいとして行政改革に取り組む姿勢を明らかにいたしました。ところが、政府の示した行政改革案は、中央省庁などの統廃合には一切手を触れず、昭和五十二年十二月の福田行革にタイムリミットを示したにすぎないのであります。結局、五十五年度予算案において、政府の歳出削減の成果は全く見るべきものがないと言っても言い過ぎではありません。事実、補助金などは一兆円近くもふくれ上がってしまったのであります。
 行政改革は、本来、高度成長時代に築き上げられた行財政の制度、仕組み、慣行、すべてにわたって見直しが行われなければならないものであります。私は、こうした観点から、政府の行政改革計画は根本的に再検討すべきであると思うが、どうか。また、そのために国会に行政改革特別委員会を設置すべきであると考えるものでありますが、自民党総裁である総理の所信をお伺いしたいのであります。
 また、私は、政府が財政再建の名のもとに福祉予算を後退させ、各種公共料金の値上げを画策していることは、絶対に認めるととができません。政府の方針を明確にしていただきたいのであります。
 五十五年度税制改正における不公平税制の是正も、納得できるものではありません。なぜ法人税の引き上げを見送ったのか、明確にしていただきたい。
 五十五年度において法人税の引き上げを実施するとともに、有価証券取引税の引き上げ、金融機関の貸し倒れ引当金の縮小、給与所得控除を八百五十万円で頭打ちとする措置を講ずることは、財政再建を進める上で欠くことのできない条件であるはずであります。この分、特例公債の縮小につながることは言うまでもありません。私は、これらの不公平税制の是正を五十五年度税制改正において実施するよう要求するものでありますが、大蔵大臣から明確にお答えをいただきたいのであります。
 また、利子配当所得に対する総合課税を速やかに実施し、いわゆるグリーンカードの導入は遅くとも五十七年一月から実施すべきであると考えますが、あわせて御答弁をいただきたいのであります。
 第三は、公債管理政策の確立についてであります。
 毎年巨額の公債が発行され、また、五十五年度末にはその累積残高が七十一兆円にも達する今日、公債管理政策の確立がなければ、財政インフレはとうてい回避することはできません。物価情勢がきわめて厳しい局面にあることは御存じのとおりであります。巨額な公債がインフレを加速しないために、政府、公社債市場の育成、国債種類の多様化、公開入札発行の徹底にどのように取り組むのか、方針をお示しいただきたい。
 また、政府の金利自由化に対する見解を明確にしていただきたいのであります。
 さきに示された国債償還試算は、赤字公債の償還が至難であることを物語るものでありました。もし、赤字公債にも借りかえ措置をとるようなことがあれば、財政インフレの歯どめがなくなってしまうと言っても過言ではありません。赤字公債の償還に関する政府の基本的な方針をお答え願いたいのであります。
 最後に、私は、総理がわれわれ野党の予算修正要求に対しどのように対応するのかを伺い、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#16
○内閣総理大臣(大平正芳君) 古川さんの最初の御質問は、財政再建に関する国会の決議を尊重すべきであるかどうかということでございます。
 もとより、財政再建に当たりましては、先般の十二月、本院で決議されました国会の決議を尊重してこれに当たってまいるつもりでございます。
 五十六年度以降、いわゆる一般消費税の取り扱いにつきましても、この決議に示されておりまするように、今後、歳入歳出を通ずる財政構造の健全化を具体的にいかに進めていくかについて、広く各界各層の御意見を伺いながら、十分検討して結論を得たいと考えております。
 第二の御質問は、財政収支試算に見られる政府の増税の意味についてのお尋ねでございました。
 財政収支試算は、古川さんも御承知のように、ある前提を置いた試算でございまして、ここに盛られておりまする数字は、各年度の税収の予定を示すものでもございませんし、もちろん、具体的な増税の計画を示したものでもございません。ただここに示された数字を参考にいたしまして、財政再建の進め方並びにその中における税制のあり方等について、政府が検討を進める材料にいたしておるにすぎないものでございまして、繰り返して申しますけれども、あそこに示された数字が、いわゆる政府の具体的な増税計画を示すものでないというように御理解をいただきたいと思います。
 第三の問題は、財政再建の第一歩を五十五年度の予算で果たして踏み出したと言えるかどうか、言えるとすればその根拠はどうかということでございました。
 先ほど大蔵大臣からもお話がありましたように、まず、公債の発行予定額を減らしたことが第一でございます。第二は、歳出規模を過去二十年間におきまして最低に抑えてまいりましたことが第二でございます。第三は、行政改革計画をここに盛り込ましていただいたことでございまして、必ずしも財政再建の第一歩として誇るに足る事績だとは思いませんけれども、われわれといたしましては、これを第一歩といたしまして、今後鋭意進めまして、財政再建の実を上げたいと考えておりますので、御協力を願いたいと思います。
 五十九年度、それでは果たして特例公債をなくする自信があるかというお尋ねでございます。
 もちろんただいまから確たる自信があるわけではございませんけれども、六十年度からは、五十年度発行の特例公債を現金償還しなければならぬ時期が迫っておりますので、その償還財源を考慮に入れますと、五十九年度には少なくとも特例公債依存の状況から脱却しておく必要があるのではないかとわれわれは考えておるわけでございます。
 中期財政計画をつくるべきでないかということでございますが、先ほど伊藤さんにもお答え申し上げましたとおり、財政審議会を中心といたしまして、後年度負担額推計をベースにいま検討を進めておるところでございます。相当の時間がかかりまするけれども、鋭意検討を進めておりますことをここに御報告申し上げておきたいと思います。
 国会に行政改革特別委員会を設けるべきでないかということでございますが、国会におきまして行政改革について種々御論議をいただくことは政府としてもありがたいことと考えておりまして、今後も各界、各方面において行革に対する論議が深まることを私は切に期待いたしております。
 ただ、御提案のような特別委員会を設置するかどうか、これは国会の各党間の問題として御協議をお願いいたしたいと思います。
 福祉予算の後退、公共料金の値上げというものが財政再建の名において許されるものではないと思うがどうかという御意見でございました。
 われわれは、財政再建は実のある福祉を実現中るために、インフレなき経済を実現するためにやっておるわけでございまして、財政再建の名において福祉予算や公共料金政策が危うくなるというようなことはすべきでないことは当然だと心得ております。
 最後に、予算修正案に対する政府の態度でございますが、先ほど伊藤さんにもお答えいたしましたとおり、各党から修正案がもし出てまいりますならば、これは、われわれといたしましては検討さしていただきたいと考えておりますけれども、しかし、政府としては、五十五年度予算、いま御提案申し上げておる案が最善と考えておることだけはここに申し添えさせていただきます。(拍手)
    〔国務大臣竹下登君登壇〕
#17
○国務大臣(竹下登君) 私に対するまず一つは、法人税の引き上げを五十五年度途中でもやるベきだと思うがどうか、こういうことでございます。
 五十五年度におきましては、多額の自然増収を背景に、歳出規模の抑制と租税特別措置の大幅な整理合理化によりまして、予算編成に必要な財源は確保できたというところから、法人税率の引き上げ等の一般的な増収措置は講じないこととしたということであります。
 なお、五十六年度はどうかということになりますと、歳出規模の抑制に引き続き努めるのは当然でありますが、五十五年度のような自然増収を見込むことはなかなか困難でございますので、法人税率の引き上げは当然検討の課題にはしなければならぬ問題であるというふうに思っております。
 次に、不公平税制の点について、有価証券取引税を引き上げよ、こういうことでありました。
 これは、五十三年度の税制改正におきまして引き上げを図ったばかりでございますし、また性格上、利益の有無にかかわらず課税するこの税というものの性格からいたしまして、おのずから限界があるわけであります。したがって、五十五年度において税率の引き上げを行うことはいたしません。
 次に、金融機関の貸し倒れ引当金の御質問でございました。
 これも、金融機関の貸し倒れ引当金の法定繰入率につきましては、五十五年度は前回改正時における経過措置の適用期間中でございますので、五十六年の九月期から引き下げを図るという考え方でございます。
 それから、給与所得控除の頭打ち等の指摘がございましたが、これは御案内のとおり、このたびは給与収入一千万円超の控除率を現行一〇%から五%に引き下げることといたしましたので、控除率の頭打ちという仕組みについてはなおいろいろな問題があるというふうに考えております。
 グリーンカードをもっと早くやれ、こういうことでございます。これは何といたしましても、内容は御理解のとおりでございますが、国税当局、金融機関等の対応体制を整える準備期間、そして国民の理解と慣熟が必要であるという立場からいたしまして、やはり五十九年一月一日とならざるを得ないということをひとつ御了承をいただきたいところであります。
 国債の管理政策についての御意見を交えての御質問でございましたが、国債の大量発行が続く状況下で円滑な消化を図るためには、御指摘のとおり、五年割引国債の創設でございますとか、公募入札方式による二年、四年の利付国債の創設でございますとか、種類及び発行方式の多様化を進めて、また公社債流通金融の拡充など、公社債流通の円滑化に努めてきたところでありますが、今後とも市場の動向及び投資家のニーズ等を勘案いたしまして、特に国債残高の累増、流通市場の拡大の実情に配慮しながら国債管理政策の適切な運営に努めてまいりたい。
 最後に、金利自由化に対する見解を求められたわけでございますが、資金の効率的配分と景気調整の有効性確保等の観点から見まして、金利機能をより一層活用していくことが適当と考えられますが、金利全般を直ちに自由化することについては種々問題がありますので、当面は、必要な規制は残しながら、できるだけ金利の弾力化、自由化を図る方向で金利政策を運用してまいりたい。
 そこで、これに対応する仕方といたしまして、最近、金利がより弾力的に動くよう、いわゆる自由金利によるCD市場の創設等、各般の措置を講じてきたところでありまして、今後とも、情勢の推移に慎重な配慮を払いながら弾力化、自由化を進めていくことが適切である、このように考えております。
 以上でお答えを終わります。(拍手)
    〔国務大臣宇野宗佑君登壇〕
#18
○国務大臣(宇野宗佑君) 行財政の改革におきましては、高度成長経済時代の制度、仕組み、慣例、これを全面的に見直すべきであるというお説でございますが、私も同感でございます。すでに閣議決定いたしました昭和五十五年行革におきましては、仰せの精神をもってその内容といたしておりますので、御了解賜りたいと存じます。もちろん、これではまだまだ満足すべき行革でないと私は存じておりますので、過般も本会議におきましてお答え申し上げましたとおり、近く第二弾を考えたいと存じておるところであります。
 また、中央省庁の統廃合を今回はなぜ考えなかったかという御質疑でございますが、今回は、とりあえず外郭から一つ一つ着実に行革を推進したい、かように考えてまいりました。もちろん中央省庁の統廃合も重大な問題で、これは国の組織の、制度の根幹でございますから、今後慎重に検討いたしたいと考えております。(拍手)
#19
○議長(灘尾弘吉君) これにて質疑は終了いたしました。
#20
○議長(灘尾弘吉君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時六分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  大平 正芳君
        大 蔵 大 臣 竹下  登君
        自 治 大 臣 後藤田正晴君
        国 務 大 臣 宇野 宗佑君
        国 務 大 臣 正示啓次郎君
 出席政府委員
        大蔵省主計局次
        長       吉野 良彦君
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ソース: 国立国会図書館
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