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1979/03/13 第91回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第091回国会 本会議 第10号
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1979/03/13 第91回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第091回国会 本会議 第10号

#1
第091回国会 本会議 第10号
昭和五十五年三月十三日(木曜日)
    ―――――――――――――
  昭和五十五年三月十三日
    正午本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 議員請暇の件
 中央選挙管理会委員及び同予備委員の指名
 アフガニスタンからのソ連軍の撤退等を要求す
  る決議案(亀岡高夫君外九名提出)
 北方領土問題の解決促進に関する決議案(河村
  勝君外八名提出)
 放送大学学園法案(内閣提出)の趣旨説明及び
  質疑
    午後零時十七分開議
#2
○議長(灘尾弘吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(灘尾弘吉君) 御報告いたすことがあります。
 永年在職議員として表彰された元議員床次徳二君は、去る二月二十二日逝去せられました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
 同君に対する弔詞は、去る三月九日贈呈いたしました。これを朗読いたします。
    〔総員起立〕
 衆議院は多年憲政のために尽力し特に院議をもつてその功労を表彰されさきに外務委員長文教委員長沖繩及び北方問題に関する特別委員長の要職につきまた国務大臣の重任にあたられた正三位勲一等床次徳二君の長逝を哀悼しつつしんで弔詞をささげます
     ――――◇―――――
 議員請暇の件
#4
○議長(灘尾弘吉君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。
 草川昭三君から、海外旅行のため、三月十九日から四月五日まで十八日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。
     ――――◇―――――
 中央選挙管理会委員及び同予備委員の指名
#6
○議長(灘尾弘吉君) 中央選挙管理会委員及び同予備委員の指名を行います。
#7
○瓦力君 中央選挙管理会委員及び同予備委員の指名については、その手続を省略して、議長において指名されんことを望みます。
#8
○議長(灘尾弘吉君) 瓦力君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。
 議長は、中央選挙管理会委員に
      近藤 英明君    堀家 嘉郎君
      儀同  保君    鬼木 勝利君
   及び 大塚 一男君
を指名いたします。
 また、同予備委員に
      小島  憲君    萩原 博司君
      沖崎 利夫君    松尾 信人君
   及び 坂本 福子君
を指名いたします。
     ――――◇―――――
#10
○瓦力君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
 すなわち、亀岡高夫君外九名提出、アフガニスタンからのソ連軍の撤退等を要求する決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略して、この際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
#11
○議長(灘尾弘吉君) 瓦力君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。
    ―――――――――――――
 アフガニスタンからのソ連軍の撤退等を要求する決議案(亀岡高夫君外九名提出)
#13
○議長(灘尾弘吉君) アフガニスタンからのソ連軍の撤退等を要求する決議案を議題といたします。
 提出者の趣旨弁明を許します。亀岡高夫君。
    〔亀岡高夫君登壇〕
#14
○亀岡高夫君 ただいま議題となりましたアフガニスタンからのソ連軍の撤退等を要求する決議案につきまして、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議及び民社党・国民連合を代表し、提案の趣旨を御説明申し上げます。
 案文を朗読いたします。
    アフガニスタンからのソ連軍の撤退等を要求する決議案
  すべての国の主権、領土保全及び政治的独立を尊重することは、国連憲章の基本精神であり国際正義と秩序を維持する上で必要不可欠の大原則である。
  このたびのソ連軍のアフガニスタンに対する武力介入は、この原則にてらし許し難き行為であり世界の平和と安全を脅かす暴挙である。
  自らの政府の形態を選択することは、それぞれの国民固有の自主的権利であり、いかなる国もアフガニスタンに対し干渉介入すべきでないとした国連緊急総会の決議を支持するものである。
  よつて政府は、ソ連政府に対し、ソ連軍のアフガニスタンからの即時、無条件、全面撤退を要求するとともに、国連決議の趣旨をふまえ世界の平和維持のため引き続き最善の努力をすべきである。
  右決議する。
以上であります。(拍手)
 本決議案は、去る一月十四日の国連緊急特別総会で採択された決議を支持するものであり、政府は、ソ連政府に対して、ソ連軍の即時、無条件、全面撤退を要求するとともに、国連決議の趣旨を踏まえ、世界の平和維持のため最善の努力を払うべきであるという趣旨であります。
 本決議案の提出に当たりましては、議院運営委員会の理事各位の間で鋭意協議を重ね、各党間の意見の調整に努めてまいったのでありますが、最終的には一致を見るに至らず、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議及び民社党・国民連合の四党共同提案として提出いたすこととなったものであります。
 何とぞ、議員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#15
○議長(灘尾弘吉君) 採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
 この際、外務大臣から発言を求められております。これを許します。外務大臣大来佐武郎君。
    〔国務大臣大来佐武郎君登壇〕
#17
○国務大臣(大来佐武郎君) ただいまの御決議に対しまして、所信を申し述べます。
 政府といたしましては、ただいま採択されました御決議の趣旨を十分に体しまして、今後とも、ソ連軍のアフガニスタンよりの一日も早い撤退が実現するように、各国と協調しつつ最善の努力を払う所存であります。(拍手)
     ――――◇―――――
#18
○瓦力君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
 すなわち、河村勝君外八名提出、北方領土問題の解決促進に関する決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略して、この際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
#19
○議長(灘尾弘吉君) 瓦力君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。
    ―――――――――――――
 北方領土問題の解決促進に関する決議案(河村勝君外八名提出)
#21
○議長(灘尾弘吉君) 北方領土問題の解決促進に関する決議案を議題といたします。
 提出者の趣旨弁明を許します。河村勝君。
    ―――――――――――――
 北方領土問題の解決促進に関する決議案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔河村勝君登壇〕
#22
○河村勝君 ただいま議題となりました北方領土問題の解決促進に関する決議案につきまして、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議及び民社党・国民連合を代表し、提案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    北方領土問題の解決促進に関する決議案
  本院は、第八十七回国会において北方領土におけるソ連の軍事的措置の速やかな撤回と北方領土問題の早期解決を求める決議を行ったが、事態は一向に改善を見ないばかりでなく、ソ連は、日本国民の総意を無視して、わが国固有の領土たる国後、択捉両島における軍備強化を続け、更に色丹島にも新たな軍事力を配備した。
  ソ連のかかる行動は、日ソ両国の平和友好関係の促進にとって誠に遺憾なことである。
  よつて政府は、北方領土問題の平和的解決の精神に逆行するこのようなソ連の軍事的措置が速やかに撤回されるよう重ねてソ連政府に対し要求するとともに、北方領土問題の早期解決を図り、平和条約を締結して、日ソ間の安定的平和友好関係を確立するよう特段の努力をすべきである。
  右決議する。
以上であります。(拍手)
 わが国の固有の領土である北方領土が、長年にわたる日本国民の悲願にもかかわらず、いまなおその返還が実現せず、ソ連の不法占拠のもとに置かれていることは、きわめて遺憾なことであります。(拍手)
 しかもソ連は、一昨年、国後、択捉の両島において軍事施設の構築等を行ったばかりでなく、第八十七回国会における本院の決議を無視して、色丹島にも新たな軍事力を配備するとともに、国後、択捉両島において軍備の強化を続けております。
 このようなソ連の行動は、みずからが強調している善隣友好の精神に全く反する措置であると断ぜざるを得ません。(拍手)
 政府は、この際、かかるソ連の軍事的措置が速やかに撤回されるよう重ねてソ連政府に対し要求するとともに、北方領土の早期返還を実現し、平和条約を締結して、日ソ間の安定的平和友好関係を確立するよう特段の努力をすべきであります。
 以上をもって、本決議案の趣旨の説明といたします。
 何とぞ、議員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#23
○議長(灘尾弘吉君) 採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#24
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
 この際、外務大臣から発言を求められております。これを許します。外務大臣大来佐武郎君。
    〔国務大臣大来佐武郎君登壇〕
#25
○国務大臣(大来佐武郎君) ただいまの御決議に対しまして、所信を申し述べます。
 政府といたしましては、わが国固有の領土たる北方領土において、ソ連が不法な占拠を続け、さらに新たに軍備の増強を図っていることにつきましては、従来より重大な事態であると受けとめ、外交的措置を講じてまいっている次第でありますが、ただいま採択されました御決議の趣旨を十分に体しまして、今後とも粘り強く対ソ折衝を進めるべく、引き続き最大限の努力を払ってまいる所存であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 放送大学学園法案(内閣提出)の趣旨説明
#26
○議長(灘尾弘吉君) この際、内閣提出、放送大学学園法案について、趣旨の説明を求めます。文部大臣谷垣專一君。
    〔国務大臣谷垣專一君登壇〕
#27
○国務大臣(谷垣專一君) 放送大学学園法案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 わが国の高等教育は、近年急速な発展を遂げ、国際的に見ても高い普及率を示すに至っておりますが、科学技術の進歩や経済の発展に伴い複雑、高度化してきている今日の社会において、国民の高等教育の機会に対する要請は一段と高まり、かつ、多様化しつつあるところであります。
 このような状況において、放送を効果的に活用する新しい教育形態の大学を設置し、大学教育のための放送を行うことにより、広く一般に大学教育の機会を提供することは、生涯にわたり、多様かつ広範な学習の機会を求める国民の要請にこたえるゆえんのものであると考えます。
 さらに、この大学が既存の大学等との緊密な連携を図ることにより、大学間の協力、交流の推進、放送教材活用の普及等の面で、わが国大学教育の充実、改善にも一資することになることが期待されるものであります。
 この大学の設置形態につきましては、種々検討を重ねてきたところでありますが、新たに特殊法人を設立し、これが大学の設置主体となるとともに、放送局の開設主体ともなることが適切であると考え、特殊法人放送大学学園を設立するため、この法律案を提出いたした次第であります。
 この法律案におきましては、特殊法人放送大学学園に関し、その目的、資本金、組織、業務、大学の組織、財務、会計、監督等に関する規定を設けるとともに、学校教育法、放送法その他関係法律について所要の規定を整備することといたしておりますが、その内容の概要は、次のとおりであります。
 まず第一に、放送大学学園は、放送等により教育を行う大学を設置し、当該大学における教育に必要な放送を行うこと等により、大学教育の機会に対する広範な国民の要請にこたえるとともに、大学教育のための放送の普及発達を図ることを目的とするものであります。
 第二に、放送大学学園は、法人といたしますとともに、その設立当初の資本金は一億円とし、政府がその全額を出資することといたしております。
 第三に、放送大学学園の役員として、理事長一人、理事四人以内及び監事二人以内並びに非常勤の理事三人以内を置き、理事長及び監事は文部大臣が、理事は文部大臣の認可を受けて理事長が、それぞれ任命することとし、その任期はいずれも二年といたしております。
 なお、この学園の設置する大学の学長は職務上理事となることといたしております。
 また、この学園には、その運営の適正を期するため理事長の諮問機関として運営審議会を置くこととし、業務の運営に関する重要事項について審議することといたしております。
 第四に、放送大学学園の業務については、放送等により教育を行う大学を設置すること及びこの大学における教育に必要な放送を行うことを規定するとともに、この学園の施設、設備及び教材を他大学における教育または研究のための利用に供することもできることといたしました。
 なお、この法人は、これらの業務を行うほか、主務大臣の認可を受けて、その目的を達成するため必要なその他の業務を行うこともできることといたしております。
 第五に、放送大学学園の設置する大学の組織等についてでありますが、この大学が、特殊法人によって設置される大学であること、放送を利用して教育を行う大学であること等をも考慮し、大学の運営が適切に行われるよう所要の規定を設けることといたしております。
 まず、この大学に、学校教育法に規定する学長、副学長、教授その他の職員を置くこととし、学長は理事長の申し出に基づいて文部大臣が、副学長及び教員は学長の申し出に基づいて理事長が、それぞれ任命することといたしております。
 なお、学長及び教員の任命の申し出は、評議会の議に基づいて行われなければならないことといたしております。
 次に、学長、副学長及び教員の任免の基準、任期、停年その他人事の基準に関する事項は、評議会の議に基づいて学長が定めることといたしております。
 また、この大学に、学長の諮問機関として評議会を置き、大学の運営に関する重要事項について審議するとともに、この法律の規定によりその権限に属させられておる事項を行うこととし、学長、副学長及び評議会が定めるところにより選出される教授で組織することといたしております。
 さらに、この大学においては、その教育及び研究の充実を図るため、他大学その他の教育研究機関と緊密に連携し、これらの機関の教員等の参加を積極的に求めるよう規定いたしております。
 第六に、放送大学学園の財務、会計及びこれに対する主務大臣の監督等については、この学園の業務の公共性にかんがみ、一般の特殊法人の例にならって、所要の規定を設けておりますが、この法律における主務大臣は、文部大臣及び郵政大臣といたしております。
 第七に、放送大学学園の設立と関連する関係法律の一部改正についてでありますが、まず学校教育法につきましては、この学園が大学の設置者となり得ることを規定するとともに、通信により教育を行う学部の設置に関する規定を設ける等所要の整備をいたすものであります。
 また、放送法につきましては、この学園の放送等について、放送番組の政治的公平の確保、広告放送の禁止等所要の規定の整備をいたすものであります。
 以上がこの法律案の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 放送大学学園法案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#28
○議長(灘尾弘吉君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。嶋崎譲君。
    〔嶋崎譲君登壇〕
#29
○嶋崎譲君 私は、日本社会党を代表して、ただいま趣旨説明が行われました放送大学学園法案について、質問をいたします。
 本法案は、第八十七回国会に提出され、審議未了となり、さらに第八十八回国会でも再提出されましたが、国会解散により廃案となった経過があります。
 今回再び提出された法案は、第八十七回国会に提出されたものと全く同じものであります。第八十七回国会では、文教委員会で多くの問題点が指摘され、参考人の意見聴取、逓信委員会との連合審査など、種々の角度から慎重な審議が行われてきたものであります。
 そこで、今回の法案の再提出に当たって、それらの審議の経過をどのように踏まえ、どのように検討されたのか、その結果、どうして同一の法案という形で再提出に踏み切られたのかを明らかにしていただきたいと考えます。
 放送大学は、国民に開かれた公開大学的性格を持つものでありますだけに、国会における審議の過程で明るみに出された問題点については、十分に説得力のある解明が行われ、広く国民的合意をつくり上げることが不可欠と考えるからであります。
 本法案は、第八十七回国会に提出されたものと全く同じ法案のまま再度閣議決定されましたが、その際、関係大臣は委員会審議についてどのような経過報告を行い、閣議決定に臨まれたのか、その点をまず総理に伺いたいと思います。
 以下、第八十七回国会で審議された際の法案の問題点を、次の四点にのみしぼって、それらについて総理並びに関係各大臣はどう対処され、法案提出に賛意を表明されたかについてただしたいと存じます。
 質問の第一は、放送大学の放送と現行放送法制との関係についてであります。
 現行の放送法制は、日本放送協会、以下協会と呼びます、と一般事業者、以下民放と呼びます。日本放送協会と一般事業者との二本立てであることは御承知のとおりであります。しかし、放送大学の設置に伴い、新しい大学教育のための放送が加わり、三本立てになるということを郵政大臣も認めるに至りました。
 協会及び民放は、言論表現の自由が保障された言論機関としてその独立性を保つために、その運営費を自己調達する仕組みに放送法制上なっているのであります。
 しかるに、放送大学学園の設置は、独立した法人格を持つ特殊法人とはいっても、その運営経費はすべて国の補助金で賄われ、協会や民放とは全く異質な、準国営放送的なものが加わることになるのであります。
 したがって、現行放送法制の基本を改革しなければならないほどの重要な意味を持つため、放送大学学園法案の附則などで改正すべき事柄ではなく、放送法制の抜本的改正を行うべき性質のものであるという意見が逓信委員会で多く出されたのであります。
 この審議の過程で明らかになったことは、本法案が放送法制の抜本的改正を含んでいるほどの内容のものであるにもかかわらず、逓信委員会における十分な審議のないまま、しかも郵政省と文部省との間にそれらについて十分なる意思統一がなされないまま法案の作成が急がれたということであります。放送大学は、放送手段を通してのみ成立する大学でありますから、放送法制上の問題点の解決なしには設置することは不可能となるのであります。
 しかも、本国会には放送法改正案が提出され、NHKの受信料徴収の義務化を決めようとしていることと放送大学学園法案とは無関係ではありません。放送大学の放送は学生を特定してはいますが、同時に、すべての国民が自由に無料で放送を聴取できるため、NHKの受信料徴収に深く影響すると考えられるからであります。その意味で、郵政大臣は、逓信委員会での審議に耳を傾け、どのように対処されたのか、さらには、本国会に提出された放送法改正に当たって、放送大学学園法案との関連をどのように理解されたのか、また、現行の放送法制の抜本的改正についての意見に対し、どのように判断されたかなどの点について、それぞれ所見を述べていただきたいと思います。質問の第二は、特殊法人であるわが国初めての大学の自治に関する問題であります。法案は、特殊法人なるがゆえに理事会や運営審議会を置くことを規定していますが、他の特殊法人は、理事会や運営審議会で決める方針によって行われる業務がそのすべてであります。しかし、大学の目的は教学にあるのであって、そのための管理運営が、学問の自由と大学自治を保障するものでなければならないのであります。この点の配慮から、法案は、放送大学学園の理事長、監事及び運営審議会委員は、いずれも文部大臣が任命権者であり、また、理事も文部大臣の承認を得て理事長が任命するというように、学園の管理運営組織が文部大臣の権限のもとに置かれています。しかし、このことが逆に、放送、財務担当の理事の承認について所管の郵政大臣が関与しないことと相まって、第三系列の電波による準国営放送として、政府の国民への思想統制を容易にするという危惧が生ずるのであります。
 また、放送大学の管理運営について、学校教育法で言う教授会と評議会の関係のあいまいさ、都道府県に設けられるスクーリングのための学習センターの教官と教授会の関係など、大学自治のあり方についても多くの疑義が出されています。また、いかに審議を重ねても、依然としてこの大学が学校教育法と電波法・放送法という二つの法体系を基礎にして設立されるために、学問、思想の自由の問題と、放送法四十四条三項の規定、すなわち、政治的に公平であることとか、意見が対立している問題についてはできるだけ多くの角度から論点を明らかにすること、この規定との間に相互に抵触し、対立することが予想され、果たして調和することができるかどうかについても多くの疑義が出されております。学校教育法上の大学の法理と放送法上の法理とは、それぞれ基本的価値を前提としているものだけに、技術的に解決しようとする安易な妥協は許さるべきではないのであります。
 これらの審議過程での諸問題にどう対処なされ、どのような説得力のある論理をもって法案提出に再度踏み切られたのか、文部大臣の所見を伺いたいのであります。
 質問の第三は、有給教育休暇制度についてであります。
 放送大学が成人教育、生涯学習の機関として機能するためには、三分の一のスクーリングに出席する条件として、職場における勤労者の休暇及びその身分、そして賃金の保障が放送大学を成功させるかぎであるという観点から、政府が、最小限、ILO条約百四十号の有給教育休暇に関する条約の批准をするよう、わが党はたびたび提案をしてまいりました。予算委員会における労働大臣の答弁で、批准に踏み切れない理由として、労働組合教育がわが国の労働組合法に言う不当労働行為の問題に抵触する旨を強調されております。しかし、条約の第二条は「次の目的」、「あらゆる段階での職業訓練」、二番目に「一般教育、社会教育及び市民教育」、三番目に「労働組合教育」、この三つの「目的のための有給教育休暇の付与を国内事情及び国内慣行に適合する方法によって、かつ、必要な場合には段階的に促進するための政策を策定し及び適用する。」と述べています。まさに、わが国の「国内事情及び国内慣行に適合する方法」や「段階的に促進するための政策」の策定という慎重な態度で勧告していることの趣旨にかんがみ、この条約批准は国内法の整備の仕方にかかっていると言うべきであります。その意味で、この条約の趣旨にかんがみ、さらには自民党文教部会長として長らく本法案の提出に努力された経験に照らして、いま一度ILO条約百四十号批准の可能性なきや否や、労働大臣に伺いたいと存じます。
 最後に、この大学の完成年次とその計画に関連し、総理にお尋ねし、質問を終わりたいと思います。
 法案審議の過程で明らかになったことは、放送大学の全体計画が完了するのは昭和七十一年度だということであります。とすれば、その間、憲法二十六条に言う教育の機会均等の原則に反し、準国営放送として唯一の大学でありながら、電波の届かないがゆえに就学の機会が保障されないという事態をどのように見るのでしょうか。憲法の趣旨に照らし、教育の機会均等の原則がはなはだしく侵されないかと思われるのでございますが、総理はいかに考えておられますか。
 また、いままでの計画でも、第一次計画だけで、昭和六十一年度までに約九十億円を要すると予想されますが、大蔵省としては検討していないことが審議の過程で明らかになっています。
 さらに、昭和七十一年度全体計画が完了するまでには莫大な経費が必要とされることが予測され、しかも、放送衛星の打ち上げ成功によって計画変更の可能性もあると考えられます。
 このように展望するとき、今日の財政再建上の制約もこれあり、今日のような計画では、その計画性においてきわめてずさんと言わざるを得ないが、このまま放送大学を発足させることに対し、総理は今後責任を持って対処できると考えておられるのかどうか、これらの点をただしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#30
○内閣総理大臣(大平正芳君) お答えいたします。
 第一の御質問は、この法案は、前国会の審議の過程でいろいろ問題点が指摘されておるが、今度再提出に当たりまして政府部内でどのように検討が行われたかということでございます。
 御指摘の点につきましては、関係省庁の間におきまして慎重に検討いたしましたのでございますが、学園とのかかわり等から見まして、従来どおりの案で提出すべきであるとの結論に達したのでございます。
 第二の点につきましては、放送大学の全体計画の遂行は長期間を要する、対象地域とならないところとなったところとの間におきまして、教育上の機会均等の原則に問題があるのではないかという点、さらには莫大な経費を要するが、一体責任を持ってこれに対処する自信があるのかどうかという御質問でございました。
 確かに、御指摘のように相当長期間を要しますので、教育の機会均等から申しまして問題ないとは申しませんけれども、とりあえず関東地域を対象地域として発足いたしまして、関東地域における実施の状況等を十分踏まえた上で、将来どのように運営してまいるか、財政状況等を勘案しながら、改めて慎重に検討を重ねることによってこの問題に対する責任ある対処をいたしたいと考えております。(拍手)
    〔国務大臣谷垣專一君登壇〕
#31
○国務大臣(谷垣專一君) お答えをいたします。
 私に対します御質問の第一点、特殊法人で大学を設置するために文部大臣の権限が強くて問題がある、国民の思想統制につながらないか、こういう点に関しましてお答えをいたします。
 放送大学につきましては、大学と放送局とを一体のものとして設置するという観点から、特殊法人を放送大学の設置者とすることとしました。役員の任命等につきましても、一般の特殊法人の例にならいまして必要な規定を設けておるわけでありますが、放送大学の教員の人事につきましては、国立大学の例を参考として、大学の自治を制度的に保障するよう所要の規定を設けておるところであります。放送大学につきましては、大学の自治、学問の自由の保障の点において十分に配慮しているところであります。
 また、放送大学学園に対しまする国の監督につきましては、財務会計に限定をいたしておるところでございます。このような放送大学の教育課程に基づいて行われる放送が国民の思想統制につながるということはあり得ないことであります。
 なお、学園の理事等の任命に当たりましては、郵政大臣とも十分協議を行うこととしてまいりたいと考えております。
 それから第二点の問題は、放送大学の管理運営において教授会と評議会との関係はどうなるのかという御質問がございました。
 放送大学におきましては、その教員組織の複雑性等にかんがみまして、放送大学の運営に関する重要事項を審議し、また学長及び教員の人事に関する事項を所掌する機関として評議会を置くことといたしております。もとより、放送大学におきましても、学校教育法五十九条の規定に基づきまして教授会が置かれます。そして大学の運営に関する重要事項について審議することといたしておりますが、その具体的な運営につきましては大学の自主的判断にゆだねることとしておりまして、両機関の適切な運用によりまして大学の円滑な運営が確保されるものと考えております。
 それから第三点の御質問は、学問の自由の保障と放送法第四十四条三項の規定との調和についてどう考えるかという点でございますが、放送大学学園の放送は放送大学の授業としての実質を持つものではありますが、放送である以上は放送の中立公平が守られるべきものと考えております。放送大学学園法案におきましては、放送大学学園の放送番組の編集について、放送法四十四条三項の規定を準用するところといたしております。
 この点につきましては、同一法人が大学と放送局とをあわせて設置することとした放送大学学園の構成にかんがみまして、大学と放送局が密接な連携を維持することといたしまして、放送番組の制作に際して、放送大学の側において、放送の中立公平の趣旨に十分留意して、適正な自制をすることにより、学問の自由、教授の自由の本質を損なうことなく対処できるものと考えております。
 以上三点でございましたが、総理に対します御質問の中で、放送衛星につきましての点が若干触れておられました。
 放送衛星の利用につきましては、放送大学の放送網の整備の上で強い関心を持っておるわけでありますが、具体的には、放送衛星の実用化の動向に留意しながら、関係の各省と協議して慎重に検討してまいりたい、かように考えておるところでございます。(拍手)
    〔国務大臣大西正男君登壇〕
#32
○国務大臣(大西正男君) 嶋崎議員の御質問にお答え申し上げます。
 放送大学学園の放送を認めることは、わが国放送法制の基本的変革になるのではないかという御指摘でございます。
 わが国の放送体制といたしましては、受信料にその存立の基盤を持つ全国的な放送事業者であります日本放送協会と、民間の発意により、みずからその収入を確保しつつ、自由濶達に放送文化を高揚する自由な事業としての一般放送事業者が併存をいたしておりますことは御指摘のとおりでございます。
 今回、大学教育の機会に対する広範な国民の要請にこたえますとともに、大学教育のための放送の普及を図るという放送大学学園の意義に着目をいたしまして、国から独立をした法人であります放送大学学園の放送を認めることといたすものであります。
 この学園の放送の規律のあり方、放送法上の位置づけなどにつきましては、国会審議における御意見などにつきましても十分検討をいたしますとともに、関係省庁とも十分協議をいたしました上、大学教育のための放送の特質にかんがみまして、一般放送事業者の放送とはその規律を異にすることが適当と考えまして所要の措置を講ずることとするものでございます。
 学園の放送は、大学教育のための放送に限定いたしておりますため、既存の放送秩序に及ぼす影響はほとんどない、こう申してよいものと考えております。
 また、学園の放送は、国の資金により運営されることになりますが、この法律案では、番組編集の自由を保障するなど国からの独立性につきましては、特に配意した措置を講じておるところでございます。
 したがいまして、学園の放送を認めたといたしましても放送法の根幹に触れることにはならず、これによって放送法の抜本改正を必要とするということにはならないものと考えております。
 なお、放送法を放送大学学園法案の附則で改正することにつきましては、学園は、その業務として大学を設置いたしますとともに、当該大学における教育に必要な放送を行うことといたしておりまして、この放送を行うために必要と考えられる限度において、この法案の附則により放送法の改正を行うこととした次第でございます。
 なお、NHKの受信料の支払いに関しまして放送法の一部改正を準備中でございますが、この改正はNHKの従来の性格をいささかも変更するものでないということを申し添えまして、答弁といたします。(拍手)
    〔国務大臣藤波孝生君登壇〕
#33
○国務大臣(藤波孝生君) お答えをいたします。
 国民一人一人が、生涯にわたりまして教育や訓練を受けて能力を開発してまいりますことは、崇高な人間愛に根差した非常に大切な理念であり、また事業であると考えております。
 労働省といたしましては、その考え方を生かしてまいりますために、労働者の職業生活の中で適時適切に教育訓練を受けることができるように仕組みを考えまして、有給の教育訓練休暇に対しまして奨励金を与える制度を設け、その普及に努めておるところでございます。今後とも、さらに努力をしてまいりたいと思います。
 ただ、ILO百四十号条約につきましては、御指摘がありましたように国内法制との関係にいろいろ問題がございますので、いまその検討を進めている最中でございます。したがいまして、直ちに批准をいたしますことは困難であると思いますが、なお検討を進めてまいりたいと思います。(拍手)
#34
○議長(灘尾弘吉君) これにて質疑は終了いたしました。
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#35
○議長(灘尾弘吉君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時八分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  大平 正芳君
        外 務 大 臣 大来佐武郎君
        文 部 大 臣 谷垣 專一君
        郵 政 大 臣 大西 正男君
        労 働 大 臣 藤波 孝生君
        自 治 大 臣 後藤田正晴君
 出席政府委員
        文部省大学局長 佐野文一郎君
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ソース: 国立国会図書館
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