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1949/04/21 第7回国会 参議院 参議院会議録情報 第007回国会 法務委員会 第29号
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1949/04/21 第7回国会 参議院

参議院会議録情報 第007回国会 法務委員会 第29号

#1
第007回国会 法務委員会 第29号
昭和二十五年四月二十一日(金曜日)
   午後二時二十二分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○弁護士法第五條第三号に規定する大
 学を定める法律案(衆議院提出)
○国籍法案(内閣提出、衆議院送付)
○国籍法の施行に伴う戸籍法の一部を
 改正する等の法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
○民事訴訟法の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
○土地台帳法等の一部を改正する法律
 案(内閣送付)
○株式の名義書換に関する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(伊藤修君) それではこれより法務委員会を開きます。
 弁護士法第五條第三号に規定する大学を定める法律案を議題に供します。先ず提案者の衆議院議員北川定務君に提案理由の御説明を願います。
#3
○衆議院議員(北川定務君) 只今議題となりました弁護士法第五條第三号に規定する大学を定める法律案について提案の理由を御説明申上げます。
 御存知の通り弁護士法は第五回国会におきまして制定いたした法律でありますが、付属法令としてただ一つ如何なる大学の教授又は助教授が弁護士の資格を有するかを定める法律が制定いたされておりませんので、衆議院法務委員会におきましては、小委員会を設け、その立案起草にあたり弁護士会文部省等の意見を聴取した結果、三月二十八日一応の成案を決定いたし、四月十五日委員会に報告の上、委員会の成案として決定いたし、四月十八日の本会議で可決された次第であります。
 本案起草に当りまして大学を指定するにつき二つの方法が考えられたのであります。その一つは抽象的、原則的総括的に大学を指定して行く方法であります。これによると、この法律一つで資格のある大学が制度的に定まるわけであります。裁判所施行法ではこの考え方で大学を定めております。
 他の一つは具体的、列挙的に個別的に大学を指定して行く考え方であります。これによりますと、毎年又は毎国会資格のある大学ができるごとに法律を改正して行かねばならないのであります。弁護士連合会は当初この方法を希望していたのでありますが、小委員会におきましては二つの考え方を比較研究いたした結果、現実に弁護士の登録請求があつた場合には、この二つの考え方は結果において、ほぼ同様であることがわかつたので、立法技術として優れている第一の方法を採用いたしたのであります。従つて裁判所施行法と原則的には異るところはないのであります。
 この法律により現在いかなる大学が指定されるかと申しますと、次の通りであります。
 北海道大学  東 北 大 学
 東 京 大 学  名古屋大学
 京 都 大 学  大 阪 大 学
 九 州 大 学  東京商科大学
 神戸経済大学  大阪商科大学
 慶応義塾大学  早稲田大学
 明 治 大 学  中 央 大 学
 日 本 大 学  法 政 大 学
 專 修 大 学  関西学院大学
 関 西 大 学  同志社大学
 立命館大学  愛 知 大 学
 京城帝国大学  台北帝国大学
 建 国 大 学  東亜同文書院大学であります。
 條文について、裁判所法施行法と異つている点は、僅かに新制大学に附置される大学院は法律学に関係のあるものに限るとすることと、満洲国の建国大学を入れてある点だけであります。即ち法律学に関係のある大学院とは農学部や医学部の教授、例えば農業法担当や法医学担当の教授は弁護士にはなれないという意味であります。又建国大学については旧大学令の適用がないだけで内容及び学力は他の帝国大学と差異はないのでこれを取入れたのであります。
 以上を以て本案の提案理由及びその概要を御説明いたしましたが、何とぞ御審議の上速かに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
#4
○委員長(伊藤修君) ではこれより質疑に入ります。何か質疑がありますか……
 それでは提案者にお伺いいたしますが、旧満洲国建国大学を本案に加えた理由につきまして、只今提案理由で簡単に御説明ありましたが、これによつて実益を受ける者は何人あるのかその点を一つ……
#5
○衆議院議員(北川定務君) お答えいたします。現在この法案の適用を受けまする者は、旧建国大学教授瀧川政次郎、村教三、村井藤十郎、この三名の方だけでございます。
#6
○委員長(伊藤修君) 次に旧満洲国建国大学は終戦と同時に解散したものと思料せられますが、同大学設立後解散までの諸資料があるでしようか、どうか。若しあるとすれば、どこに如何にして保存されているか。又同大学の内容、組織、程度及びその教授又は助教の資格等はどうなつているのでしようか。尚この資料は、同大学の教授又は助教授たりし者及びその勤続年数等を認定するに十分なものがあるかどうか。又誰がこれを認定するのか。若し右資料がないならば、同大学で五年以上法律学の教授又は助教授たりし者は如何にして認定するのか。こういう点についてお答え願いたいと思います。
#7
○衆議院議員(北川定務君) 仰せの通り満洲国建国大学は終戦と同時に解体されたのであります。同大学は昭和十三年に設立せられたものでありまして、康徳十二年即ち昭和二十年、終戦と同時に解消いたしたものでありまするが、これらの学校の資料につきましては、文部省、各地の図書館、国立国会図書館等に保存されておりますところの政府の官報に詳細に記載されてあるのであります。大学の組織といたしましては、満洲国の総理大臣が大学総長でありまして、学校の科目は政治学、経済学、文教学の三科に分れておりまして、学年は六ヶ年制度であります。即ち三ヶ年が高等学校程度でありまして後の三ヶ年が我が国の旧制の大学令による大学に相当するのであります。而してこの大学の教授であつた者をどうして証明するかということでありまするが、これは外務大臣と文部大臣とが協議の上に、学生や教授の在職年数等を定めることに相成つておるのでありまして、現在外務省でこれらの氏名住所が登録されておるのであります。で、この証明に基きまして結局外務大臣が何ヶ年間教授として在職しておつたということを証明することに相成るのであります。以上を以てお答えといたします。
#8
○委員長(伊藤修君) 次に旧満洲国にはひとり建国大学のみではなくて、これと同格の、又は同種の学校と認められるところの大同学院、新京法政大学等が存在していたということでありますが、これらを本法案に加えなかつた理由はどうでありましようか。
#9
○衆議院議員(北川定務君) お説の通り大同学院というものが満洲国にあつたのでございまするが、これは満洲国の官吏を養成する学校でありまして、内地で高文を合格した者、或いは満洲国の高文を合格した者等を入学せしめまして、卒業した場合には満洲国の官吏に任用するという制度でありまして、建国大学のように主として法律学を勉強する学校でないのでありまして、これを除外いたした次第であります。更に新京法政大学というものがございましたが、これは我が国の專門学校に相当する学校でありまして、現在の新制高校よりもちよつと程度の高いというのでございますが、旧制の大学令の大学に比較しまして程度が少し低いというような理由から、この二つの大学を資格の中に入れなかつた次第でございます。
#10
○委員長(伊藤修君) 次に裁判所法第四十一條、即ち(最高裁判所の裁判官の任命資格)の第一項第六号によれば、最高裁判所の裁判官となる資格は、別に法律で定める大学の法律学の教授又は助教授を二十年以上勤めた者についてもこれを認めており、同号は、同法第四十二條(高等裁判所長官及び判事の任命資格)、第一項第六号に準用せられて、判事たる場合は、十年以上となつており、更に同法第四十四條(簡易裁判所判事の任命資格)、第一項第五号にも準用せられて、簡易裁判所の判事たる場合は、三年以上となつている。而して右の「別に法律で定める大学」は、裁判所法施行法第五條によつて、「裁判所法第四十一條第一項第六号の大学は、学校教育法による大学で大学院の附置されているもの及び大学令による大学とする。」となつている。又検察庁法第十八條、二級の検察官の任命及び敍級は、同條第一項第三号によつて、「三年以上法令で定める大学において法律学の教授又は助教授の職に在つた者」となつており、これを受ける昭和二十二年五月三日の法令第三十四号、検察庁法施行令第一條も、前記裁判所法施行法第五條と全く同じである。即ち裁判官、検察官になることができる教授、又は助教授は、いずれも学校教育法による大学で、大学院の附置されているもの又は大学令による大学の教授又は助教授に限られておる。――旧満洲国の大学には、これを認めていない。然るに弁護士たる資格にのみこれを認めるのは均衡を失することになると思うが如何。若し本法案によつてこれを認める時は、弁護士と、して三年を経過した時は、三級検察官、簡易裁判所の判事となる資格ができ、十年経過すれば、判事、二十年経過すれば最高裁の裁判官となることができて、裁判所法、検察庁法の判検事の任命資格に抜け穴ができることとなると思うが、この点どうなるか。又他面弁護士の地位確立のためにもかかることを認めるのは妥当を欠くと思うがどうであるか。この点について御意見を伺いたいと思います。
#11
○衆議院議員(北川定務君) 仰せの通り検察庁法、裁判所法にも本法案と同趣旨の規定があるようでございます。然るに本法案のみに満洲国の建国大学を入れたのは如何なる理由によるものかとのお尋ねでございますが、建国大学は、我が国の旧大学令による大学ではないのでありますが、その内容程度等からいたしまして、旧大学令に準じて設立せられたものであります。内地の帝国大学に内容も酷似しておりまして、入学の資格或いは帝国大学に編入する場合、或いは内地の高等文官試験を受けるというような場合にも、殆んどこれらの大学と同等の地位にあると認められるのであります。弁護士の資格を教授並びに助教授に与えるに当りまして、同等の程度の学校で教授若しくは助教授をなしておつた者であるのでありますから、成るべくこれらの人々にも弁護士たるの資格を与えることは、公平の点からしましても、職業を与えるという意味からしましても決して不当ではない、むしろ成るべく機会を与えてやることが必要だと考えたのであります。殊に同大学は該当者が僅かに三名でありまして、今後増加するということは、全然ないのであります。さような点からしまして建国大学の教授、助教授を特に本法案で指定いたしたのでありまするが、さようなことをしては、権衡を失するのではないか、裁判所法や検察庁法に比較して権衡を失するのではないかという嫌いは全然ないというわけではありませんが、簡易裁判所の判事になるには三年間教授若しくは助教授をしておればいいということになつております。弁護士法では五ヶ年間これらの職にあらねば資格はないことになつておるのでありまして、この期間の長い点も双方のバランスを得る一つの点ではないかと考えられます。建国大学が先程申上げましたように、内容の点からしまして旧制の我が国の大学令による大学と比較しまして、決してその程度が劣らないという点を考慮して、特に満洲国の建国大学にも資格を与えることにいたしたのでございます。
#12
○委員長(伊藤修君) 次に満洲国の法令による場合には、建国大学で五年以上教授又は助教授たりし者は満洲国の弁護士となる資格を有しておるということになつておつたであろうかどうか、この点をお伺いしたいと思います。若しあつたとするならば弁護士法第七條によつて、最高裁判所の承認を受けて弁護士事務を行うことができると解釈されますが、この法案において建国大学を加える必要はないように思われますが、この点をお伺いいたします。
  [衆議院專門員村教三君「委員長特に発言をお許し願いたいと思います。」と述ぶ]
#13
○委員長(伊藤修君) どうぞ。
#14
○衆議院專門員(村教三君) この満洲国におきましては、弁護士法に相当いたしますのは律師法というのがありまして、その律師法には建国大学の教授その他先程お話に出ました新京法政大学の教授等は、それぞれ律師になれるという法律がございまして、年限は何年になつておつたか只今忘れましたけれども、資格があることは確かでございまして、満洲国の六法全書が残つておりますので図書館等で調べますれば、その点ははつきりするということを申上げることができると思つております。
#15
○委員長(伊藤修君) 今一つお伺いして置きたいことは、満洲国の法令によつて建国大学以外に五年以上その学校の教授又は助教授たりし者に満洲国の律師、弁護士となる資格を附与せられておるという学校はなかつたのですか。
#16
○衆議院專門員(村教三君) 建国大学と似ておりますのは新京法政大学と、大同学院だけでありまして、大同学院につきましては、先程も北川委員から申しました通り、先ず高等文官試験に合格してその後一、二年及至せいぜい二、三年ぐらいの短期の高級官吏の養成機関として設置されたものでありまして、内容は法律学だけでなしに、むしろ政治、経済に関する部門のことを教え、訓練等に非常に力を入れておつた次第であります。新京法政大学につきましては、修業年限は四年であつたと思いますが、中学校からあと四年間新京法政大学に入つて、これは專ら法律だけを勉強した次第でございます。この新京法政大学の教授には、満洲国の律師、即ち弁護士になる資格を与えておりまして、これは満洲国大学令によつてでき上つたものでありまするから、その中に、律師法におきましてもやはり律師となる資格を与えておつたわけであります。併しただ内地の旧大学令と比較いたしました場合におきまして、一応区別すべき根拠があるように思われるのでございまして、ただ新京法政大学におきましても、大学院が附置されておりましたならば、今日問題になつておりまするところの弁護士法による、大学院の附置された新制大学に相当するものと私考えるのでございまするが、一応その点は別といたしまして、満洲国の律師法におきましては建国大学も新京法政大学も二つ共に律師となる資格を持つておつたことは確かでございます。
#17
○委員長(伊藤修君) 大同学院はなかつたのでありますか。
#18
○衆議院專門員(村教三君) 私の記憶では大同学院はなかつたように記憶しております。
#19
○委員長(伊藤修君) 他に何か……
#20
○大野幸一君 この弁護士法は確か衆議院から法案が提出されたものでありましようが、その頃に満洲国建国大学ですが、これを予想したのですか、予想しなかつたのですか。少くとも私達がここで審議するときには、この五條三号によるところの大学のことについて一言もこれに触れておらなかつたのでありまして、私達はこういうことを、満洲国の建国大学を予想する考えを持たずして、あの法律を扱つたわけでございます。当時のこういうことを予想してなくて、あとから不便だと言つて思い付いて今度こうやつて呉れとそういうわけですか。
#21
○衆議院議員(北川定務君) お答えいたします。弁護士法第五條には、法律で定むる大学の教授をしておつた者と規定されておりまして、その際、衆議院の法務委員会におきまして、大体旧制の大学令によるところの大学と、それから新しくできる学校教育法によるところの新制大学、これは大学院の附置されておるものでありまして、而も法学部を有しており、大学院において法律学の研究をする施設のある新制大学というふうに考えておりました。又外地においても同等の学校において教授若しくは助教授をしておつた者もやはり考慮に入れておつたのであります。特に検察庁法、裁判所法などには規定のないところの、外国において弁護士の資格を有する者、或いは外国人を弁護士として任命する規定等がございます関係からしましても、やはりこれらの外国における大学令に準ずる大学ということも考慮に入れておつたわけでございます。
#22
○大野幸一君 この大学の総長が満洲国総理大臣であるということは、制度上そういうことになつておつたのですか。この大学の総長は必ず満洲国総理大臣でなければならない、こういう意味でなつておつた学校なんですか。
#23
○衆議院專門員(村教三君) 建国大学は建国大学令というただ一つの勅令を満洲国でも出しまして、その官制におきましては、建国大学総長には国務総理大臣を以つて充る、このように定めてございます。尚旦つ大学は当時の皇帝の勅書を貰いまして、最高にして唯一の大学であるというように、勅書に基いてできた大学でございます。
#24
○大野幸一君 そうするとこの大学はいわゆる満洲国の官吏を養成し、満洲国建設の目的を達成せんとするところの意図を持つておつた大学であつて、これは多分に政治的大学でつて、決していわゆる学問の自由を持つておつた大学とは考えられない、そこで先程からお伺いして行くと、学力は同じである、入学率も同じである、その点については私達も了承できますが、少なくとも満洲国ができたのは、この第二次戦争の端緒をなしたものであつて、満洲国の建設こそ、不幸な世界の戦争を捲き起した、こういうところの国において、その総理大臣が総長であるというようなことは、これは学問からではなくて、いわゆる民主主義の、これからの日本に対する考え方を決して養成していなかつたろうし、それと逆な方向を廻つておつた大学と見なければならない、そういう意味において、一つの軍部の軍国主義のお先棒を担いだ国である、満洲国総理大臣というのは、一つの軍国主義のロボットであるというような、こういうようなことを考えるときに、これもどうも少数の人のために、世界の人の一番憎んだ満洲国建設の基礎をなすところの大学を少数の人のためにあれするということはどうかと思う。この点に対する、世界的に及ぼす影響は考慮されなかつたのですか。
#25
○衆議院議員(北川定務君) お説のような見解もあり得ると思うのです。又朝鮮、台湾におけるところの大学なども又さような考えも起り得ると思うのであります。併し満洲国は申上げるまでもなく、我が国の官吏が沢山赴任して参つておりまして、又我が国の各種の制度が非常に取入れられておつたことも事実であると思うのであります。現に司法官などは、我が国の司法官が参りまして、司法制度を確立したりいたしておりまして、司法制度から見ましても、殆ど我が国の制度と酷似しておつたのであります。学校につきましても建国大学につきましても日本の学校と非常によく似ておりまして、この学校に働いておる教授連中もやはり日本の相当の大学を出ておる人々でありまして、これらに或る程度の資格を附与するということは、外地に働いておつた者と内地におつた者と別に差別待遇をする必要はないように思われるのであります。さような点からいたしまして、特に軍国主義のお先棒を担いだものなどとは実は我々は考えておらなかつたのであります。朝鮮や台湾の大学、台北帝国大学、朝鮮帝国大学と大体同等に見て、かような結論をしたわけでございます。
#26
○大野幸一君 この大学の綱領というのか、校則というのか、立つたときの綱領というのか、そういうものをどこか図書館などから提出されるように要求して置きます。
#27
○委員長(伊藤修君) そういう資料はありますですか。
#28
○衆議院專門員(村教三君) 割合そういう古い資料がないのでございまして難儀をしておりますが、若し手に入りましたら提出したいと思います。
#29
○委員長(伊藤修君) それでは一つあなたの方で御調査願うことにして、図書館かどこかで一つお探し下さつて、大野君の御要求の資料を御提出願います。外に御質疑がなければ……
#30
○松井道夫君 建国大学関係で、資料によりますと瀧川政次郎博士が載つておるのでございますが、瀧川政次郎博士は現在どうしておられるのですか。
#31
○衆議院專門員(村教三君) 瀧川政次郎博士は私共と一緒に海外から引揚げて来られたのでありますが、極東裁判につきまして臨時弁護の方をやつておられまして、現在は弁護士連合会の嘱託といたしまして日本弁護士界のためにいろいろとお尽しになつておられます。
#32
○松井道夫君 現在弁護士にはなつておられないのですか。
#33
○衆議院專門員(村教三君) しかとその点は私承知しておりませんが、なつておられないように思つております。
#34
○松井道夫君 何か外の大学の教授関係で、何ですか、弁護士の資格は持つておられないのですか、その点はどうですか。
#35
○衆議院專門員(村教三君) 尤も建国大学の教授になられる前に中央大学に長くおいでになられましたから、その方面で資格は持つておられるかと思いますが、詳しいことは私よく存じません。
#36
○松井道夫君 村井さんは……
#37
○衆議院專門員(村教三君) 村井藤十郎氏の方は大阪で外字新聞を経営されまして、そこの主筆をやつておられるように聞いております。
#38
○松井道夫君 次に、資料の三を拝見いたしますと、「法律学関係の学部を有する新制大学」というのが2というところに載つておりまして、イというところに「旧制大学の変形したもの」とあるのでありまするが、この「旧制大学の変形したもの」というのは、大学がこれに全部入つておるのですか。
#39
○衆議院專門員(村教三君) この資料三の中の1、2について申上げますと「法律学関係の大学院を有する新制大学」は、今年の三月末日現在におきましては一つもないのであります。そこで大学院のない、学部だけを持つておる新制大学があるわけであります。これが一応イ、ロ、ハ、ニと分れまして、イの方は、旧制大学がいずれもこの新制大学に変りつつあるわけでありまして、その大部分は先に提案理由で申上げました大学が大体これに当るわけでございます。それ以外に国立大学といたしましてこの三つの大学、公立大学といたしましては大阪市立大学が一つと、私立大学は愛知大学が一つ。このように文部省から回答があつたわけであります。いずれもこれは三月末日の調査でございまして、四月に入りましてからは多少殖えておるものだと考えられるような次第でございます。
#40
○松井道夫君 「法律学関係の学部」と申しますと、現実に何学部ということになるのですか。
#41
○衆議院專門員(村教三君) 一般には法学部があるというのが前提でございますけれども、併し名前は必ずしも法学部でなくても、例えば政治学の学部、法文学部とか法社会学部とかいうような、名称にこだわらずに法律学を主たる学問として研究しておる学部とか、或いはその学部の上にある大学院、これらを指すものでございます。
#42
○松井道夫君 そうすると、要するに專門の法律学の講座を有する大学というふうに解釈していいのですか。
#43
○衆議院專門員(村教三君) さようでございます。
#44
○松井道夫君 そうしますと、どうもこのロの国立大学のところに金沢大学岡山大学、熊本大学と三つ挙げてありますが、この外に法律学の講座のある大学はあると思うのでありますが、尤もこれには二十五年の三月末日現在ということになつておるので、この辺が又どういう関係になりますか分りませんが、例えば新潟大学にもこれは人文学部の中に法律学の講座があるのですが、ちよつとその辺分りかねるのですが、どういうことになつておりますか。
#45
○衆議院議員(北川定務君) 三月末日現在では、文部省はこれだけの新制大学が大学院を持つて、而も大学院で法律学の研究をしておるということを回答しておりまするが、新潟大学で法律学の講座を有し、且つ大学院を持つておりまして大学院で而も法律学の研究をしておるのであるなら、この法案によるところの新制大学の中に包含されるものと解して、差支ないと思います。
#46
○松井道夫君 いや、私の伺つておるのは、この法案審議の過程において、資料の説明を求めておりますので、私の申しておるのは資料三の2の関係をお聞きしておるので、この1の方は「大学院を有する新制大学」はないと書いてあるのですから、実際一つもないのだろうと思います。金沢大学、岡山大学その他の大学もないのだろうと解釈しておつたのであります。私の根本的の疑とするところは、これは弁護士の資格を厳格にするという建前は、これは別の建前といたしまして、ただ弁護士とするに適当な資格を持つておるかどうかということの一つの基準といたしまして、或る国立の総合大学、或いは專門の法律学の講座を持つておる大学、どこに線を引くか、その線の引き方をお伺いしたい。実情を申しますと私は新潟出身でありまして、新潟総合大学のことをちよいちよい聞き又関係もいたしておるのであります。新らしい学制となりまして国立の総合大学が金沢、岡山、熊本、ここに挙げました外に新潟その他にできましたわけであります。今の新らしい学制の理想に到達いたしまするには、そういう大学が立派な法律学なら法律学の講座を持ちまして、これが日本の最高の学問の庭となるということが大切であろうと思うのでありまするが、現在立派な教授に来て頂くのは極く数が限られておるのであります。甚だ講座の充実ということにつきまして非常に遺憾な点があるのであります。それで例えば弁護士法との関係におきましても、そういう大学の講座を何年やりましても、弁護士の資格も持てないということでは、誠に有能なる教授を招くのに困難を感ずることであろうと思うのでありまして、勿論教授になりますには非常に厳格な資格が要るのであります。学校教育法その他の法律で決めてあるわけなのでありますが、非常な厳格な資格が要る、従つて教授は実際得られない。助教授でさえも得られないといつたような講座が多い。仕方がないから、新潟で言いますれば、東京でありますとか、仙台でありますとかから教授に来て頂いて、兼務して頂いてやらねばならんという形になつておるのであります。でありますから、例えばこのロに書いてありますような国立大学におきましてこれが新任の教授、立派な資格がある人に限つて任命されるのでありますが、こういう大学の教授を数年間やつたという人にも、やはりその資格を認めればよいではないかということが考えられるのであります。その点について御質問しておるわけなんであります。その点はどうお考えになりますか。
#47
○衆議院專門員(村教三君) 実は立案当時におきまして、弁護士法による大学とは、新制大学を基準に考えるべきであるか、旧制大学を基準に考えるべきであるかということが問題となりまして、むしろ立案当時におきましては、旧制大学の教授を考えておつたようでありましたが、我が国の現在の教育制度から申しまして、むしろ新制大学を基準に考うべきではないかという意見が強くなりまして、法案の建前はおつしやるように新制大学を建前にして、これに大学院の附置されたものという条件を附け、それから旧制大学の教授に及ぶという形にしたわけでありまするが、仰せの通り、段々と新制大学におきましても立派な教授が集まられまして、社会的評価が高まりまして且つ又法曹の間におきましてもよく了解が得られまするならば、おつしやいましたような方向に段々沿つて行くことと考えておる次第であります。
#48
○松井道夫君 現在の苟くも教授である以上は、相当な資格を厳選してやつておるのでありまするが、そういう教授が五年なら五年間やつておるという場合にも、やはり大学院のない新制大学ならいけないという根拠が分らないのでお尋ねしておるのですが、その点一つ伺いたい。
#49
○衆議院專門員(村教三君) この考え方の基準は、やはり弁護士法立案当時におきまして、旧制大学が一応の目標となつておりまして、大体この程度の水準にある大学の教授が弁護士になつた方がいいんじやないかという考え方が圧倒的に強かつたと思う次第でございます。それで旧制大学の方につきましては、そのままでよかろうということになつたのでありまするが、新制大学につきましては、教授の中には相当優秀な方もおられるように聞いておりまするが、設備の方面におきましてはまだまだ足りない大学もあるようでございまして、それでこの点をどういう工合に調整したらよかろうかということは、なかなか苦心された次第でございます。衆議院の法務委員会におきましても、文部省の方に来て頂きましていろいろこの間を何らか調整する方法はないかと苦慮いたしたのでございますが、どうも現在のところでは、大学院が附置されるということが一つの標準になつて、ここで一応線を引いたらどうかというような次第になつたのでございますが、何も大学院のことそれ自身は、一つの確固たる段階でなければならんことは皆さんもお考えにならなかつたようでありまして、次第にこの大学院の存置という問題からも、或いは存置しない大学であつて而も有能な教授が得られ、設備も充実し、社会的評価も段々高まり、法曹の方面におきましてもよく了解が得られますならば、近き将来におきまして、おつしやるような方向に向つて行くことと考えた次第でございます。
#50
○委員長(伊藤修君) では本案につきましては、資料の提出がありますからこの程度にいたします。
  ―――――――――――――
#51
○委員長(伊藤修君) 次は国籍法及び国籍法の施行に伴う戸籍法の一部を改正する等の法律案、両案を議題に供します。前回に引続きまして質疑を継続いたします。
#52
○松井道夫君 私は、憲法の附属の法典といたしまして、国籍法の改正が非常に遅れておつたということを非常に遺憾としておりまして、しばしば政府の方にも、注意を喚起しておつたのであります。勿論その趣旨は、憲法が新らしくなり、戦争の放棄もいたしまするし、平和国家の理想を掲げておる、そういう状態であります。又憲法に歩調を合せまして、国籍法にも密接な関係がありまする民法の身分関係の領域におきましては、全面的に改正せられるということに関連いたしておることは申すまでもないのであります。それでこの国籍法につきましては実は立案が遅れておりましたことは、単に條文上見まして、例えば軍関係のようなものが残つておる。例えば現行法の十六條の第五号に「陸海軍ノ将官ト為ルコト」といつたようなことがある。そういつたものも整理するというのみに止まりませんで、相当根本的にこの国籍法を見直して行くというために遅れておるのではないかと了解しておつたのであります。今回の立案を拝見いたしまして、相当突つ込んだ改正をしておられるのでありまして、なかなか御苦心の点も見えますので、その点敬意を表し又その労を多とするわけでありますが、私をして更に望蜀のことを申させて頂くと、更にもう少し考えを推し進めて頂きたかつたと存ずるのであります。
 その第一は、第二條の関係でありまするが、その第一号に「出生の時に父が日本国民であるとき。」とありまして、日本の新憲法の建前といたしておりまする父と母を同一視するという建前が採られておらないことが一つであります。もう一つは、これはやや派生的であるかも知れませんが、父母を同じく取扱うということとも関連いたす事項でありまするが、妻と夫をば同一に取扱つておらないということであります。第一の点の父系主義とでも申しますのですか、父母を同一に取扱うということになりますると、相当な変更を図らなければならない條文が出て来ると思うのでありますが、併しながらやつてやれないことはないと考えます。むしろその方が或いは二重国籍といつたようなことを妨げるようなことも適用として出て来るのじやないかということも考えられる。いずれにいたしましても、父母を同格に取扱つておらないということは甚だ遺憾だと思いますが、その点についての父母を同格に取扱つてすべて一貫することができないかどうかということを伺いたいのであります。又それと関連いたしまして、第二の点として申上げました夫婦を同格に取扱つて、これも一向差支ないと私は考えるのでありますが、これがどうしていけないのか、その点をお伺いいたしたいと思います。
#53
○委員長(伊藤修君) 今の御質問の要点は、この前御説明があつたのですが尚、それでは……
#54
○松井道夫君 先日御説明があつたのでありまするが、あれだけの御説明では分らないのであります。
#55
○委員長(伊藤修君) 尚詳細に一つ御説明願います。
#56
○松井道夫君 具体的に分らんのです。
#57
○政府委員(村上朝一君) 先ず現行国籍法の改正が遅れました点についてちよつと申上げますが、現行国籍法は新らしい憲法に合致しない規定を含んでおりますので、政府といたしましては、民法親族編の改正と同時に現行国籍法を改正すべきものと考えまして、一応の準備をいたしたのでありますけれども、当時は国籍法の改正は講和條約の締結まで待つのが相当であるという有力なる意見がありましたために提案を見合せて参つたのであります。然るにすでに数年を経過しました今日に至りましても、まだ講和條約の成立を見ておりませんし、今後の状況も容易に見通しの付かない状態でありますので、この際主として現行国籍法の新らしい憲法及び新民法に合致しない規定を整理するという目的でこの法案を立案いたしたのであります。
 そこで只今お尋ねの父系主義を止めるわけには行かないかという点でありますが、外国の立法例を見ますと、父系と母系とを同等に見ておる立法例もあるのであります。三、四の例があるのでありますけれども、大多数の立法例は現在のところまだ父系主義を採つております。若しこれを同等に見るということに改めますと、二重国籍を生ずる場合が非常に多くなるということは避けられないのでありまして、これは将来各国の立法の傾向とも睨み合せて、更に検討すべき問題ではないかとかように考えて、この点は現行法の主義を踏襲いたしたのであります。
 それから帰化の條件につきましても、夫の場合と妻の場合を五條及び六條において区別いたしておりますが、これは前回にも申上げました通り、夫が日本人で妻が外国人という場合に、その妻たる外国人が日本の生活に同化するという程度は、夫が外国人で妻が日本人という場合に、夫が妻たる日本国民と同様の生活に同化するという程度に比べまして、遙かに大きいのではないか、これは我々の経験上そう言えると思われますので、現行法におきましては妻たる外国人は当然日本の国籍を取得する。それから外国人の妻となつた日本人は、当然外国の国籍を取得して日本の国籍を失うという現行法の規定をこの案の程度に改めるのが現状においては相当じやないかと、かような考えで立案いたしたのであります。
#58
○松井道夫君 二重国籍を生ずる場合が多くなる関係で父系主義によつた、それも立案の方針が、どうしてもこの憲法或いは民法の原則と抵触いたすといつたようなところの調整にあつたということなのでございますから、その点は分るのでありますけれども、今の二重国籍が生ずるという点が、これは規定の仕方によつては勿論生ずる部面がありますが、又却つてそれを防ぐようなことができるような場合もあると考えます。現に出生地主義をとつておる国が相当ありますので、父系主義を採る場合には、当然二重国籍というものが出て、又出生地主義を採る国が相当有力で広汎であるものでありますから、それに妥協いたしまして日本の国籍を留保しなければ、日本の国籍を取得しないといつたような妥協をいたしておるのであります。併らば父系主義を採らなくて、この父母を同格に取扱われましても、規定のしようによりましては、それを防ぐことは勿論可能でる。殊に国籍の離脱の自由が認められておりまする新らしい法案におきましては、尚更その弊害というものを防ぐ方法があるのであります。でありますから、単にそれだけのことでは父系主義によらざるを得ないということは出て来ないと考えるのであります。先程言われました立案の態度によつて、要するに最小限度の調整に止めるといつた態度によつて、その結論が出て来るのじやないかと思うのであります。併しながら、父系主義によつたと、単にそう申されましても、この憲法の建前から言いまして、或いは日本の戸籍法などの建前もそうなつておつて、父母は同格に取扱われておつて、例えば家という意味でしたか、その世帯を戸籍に載せるときには、戸籍は父母といつたようなふうになつておるのであります。でありますから日本のそういつた憲法、民法、戸籍法等の建前というものと矛盾するのでありまして、そう簡単に多くの国が父系主義だからということで解決できない問題ではないかと思うのであります。その間苦心を払つて研究するならば、その二重国籍という問題も或る程度防げるのじやないかと思うのであります。
 それから今の帰化の條件の問題でありますが、これはやはり夫妻というものを同格に取扱う傾向が非常にあらゆる面で強くなつて来て、国籍法の面でも、それが妻の独立性、自主性というものを認めるという方向に進んで来ておることは、政府の方で資料を提出されました説明書の中にも出ておると思うのであります。現在の日本の社会或いは世界的の視野で言いまして、夫と妻ということを考えまするならば、只今政府委員の仰せられたようなことも認められないわけではございませんでしようけれども、それだからと言つて夫妻の平等というものを、国籍法の関係において別個に取扱うということになるのは、そう軽々に考えられないと思うのであります。むしろ夫妻平等の理想を通す方がよろしい、例えば新らしい法案の五條の一号というものを六條へ持つて行つて、一号と同じにして日本国民の妻、日本国民の夫というようにして一向差支ないと思うのであります。これがまあ世界の新らしい傾向に則るゆえんであると思うのであります。まあこれは私の考えを述べたのでありますけれども、更に政府委員から何か御意見がございましたら伺つて置きたいと思います。
#59
○政府委員(村上朝一君) 只今松井委員から御指摘のありました第二條の関係で、父系、母系を同等に取扱うこともできるのではないかという点でありまするが、これを同等に取扱いますと二重国籍の防止が技術的に困難であるということから取敢ずこういうことにいたしたのでありますが、今後尚研究いたしたいと考えております。
 それから帰化の條件の点でありますが、これも少くとも現状におきましてはある程度の差別のことは現実に即するという考え方でありまして、この二條の関係及び五條、六條の関係から申しましても、夫としての権利、或いは妻としての権利、或いは父としての権利、母としての権利、つまり男と女との間にその権利に差等を設けるというものではありませんので、新憲法の精神に必ずしも反するものではないと、かように考えたわけであります。尚御疑念の点は今後十分研究いたして見たいと考えております。
#60
○委員長(伊藤修君) 他に御質疑なければこの程度にいたします。
  ―――――――――――――
#61
○委員長(伊藤修君) 次に民事訴訟法の一部を改正する法律案を議題に供します。前回に引続いて御質疑を願います。
 これは特別立法として、臨時的な措置法とかというような考えはないのですか。
#62
○説明員(關根小郷君) 只今の衆議院におきましての審議状況を申上げますと、修正案として、臨時の特別法案の形で議員の方から修正案が出まして、本日G・H・Qの方からアプルーバルがありました。そういう状況であります。
#63
○大野幸一君 今資料がありませんが、この間資料を拝見しました時に、資料の中に今まで立案された案の経過であろうと思いますが、高等裁判所に法律で上告部を設けてやる、こういう案がこの法案に入つて来なかつた経緯について御説明願います。
#64
○説明員(關根小郷君) 実はその点につきましては、法制審議会におきまして、これは政府側の問題になりますけれども、便宜私からお話申上げますと、法制審議会におきましては、やはり特別の下級の法律審を設けた方がよいという答申が出まして、その結果法制審議会の部会長をいたしておりまする最高裁判所の裁判官の偵野判事が主となつて、法制審議会の部会といたしまして、その案に基きまする、結局法案を作ればこうなるという案を関係方面と折衝いたしました。ところが関係方面におきましては、まだ特別の法律審を作るということは、現在の事態では如何なものであるかということになりました。その理由を簡単に要点だけ申上げますと、第一点といたしまして、刑事訴訟法と歩調が合わないではないか。それからもう一つは、その下級の法律審は最高裁判所の小さなもの、最高裁判所が二つできるようなことになるのではないか。それからもう一つは結局審級が四つになる虞れがあるのではないか。そういつた三つの点におきまして、もう少し考慮を要する、だから今の程度では最高裁判所の上告事件の審理を調整するといつた点だけに止めて、特別の法律審を作ることは、もう少し将来研究するのがよいのではないかといつた示唆がございまして、結局政府案といたしましては、今後の御審議頂いておりまするものに帰着したわけでございます。
#65
○大野幸一君 どうも全体から見まして、この法律でやりますると、審級を多くする、四審制度になるというのだけれども、これではやはり二審制度になつてしまう。今の最高裁判所の実際を見ますと、判事さんも余り細かい民事事件をやつておる暇がないというのか、興味がないというのか知りませんが、專らこの法律によりますると、殆んど憲法問題に限られてしまつて審査しなくてもよいことになる、こういうように考えられますが、今まで最高裁判所ができてから民事事件がどのくらい最高裁判所によつて破毀されておるというような、そういう資料が或いは届いているかも分りませんが、ありますでしようか、ないでしようか。上告事件についての破毀されたパーセンテージについて……
#66
○説明員(關根小郷君) 或いは政府委員の方からの御答弁の方が妥当かと思いまする部分もありますかも知れませんけれども、便宜私からお話申上げたいと思いますが、実は今おつしやいましたうちに、二審制度になつてしまうのではないかという御心配でありますが、これはやはり原則は三審制度が維持されるわけでありまして、やはり判断の中で、重要な法令の解釈を含んでいないものについては、重要な法令の解釈に当らないという判断をするわけでありまして、全然抜いてしまうというわけではございません。それから又結局刑事訴訟法に比較いたしますと、刑事訴訟法は大まかに申しまして、原則として事実審が一番、それから法律審も二つあるような形になつておる。今度の案におきまして事実審は二つあるのでありまして、事実審二つということは、事実審をやりながら同時に又法律の解釈、法律審の仕事をやりますので、やはり二審級のみになつてしまうという御心配はないのではないかと思います。
 それから只今お話のありました最高裁判所が破毀した事件は、どのくらいか、これは先般法務府の方から資料が出ております中にございますが、大体大まかに申しますと、二審の判決を百件といたしまして、破毀になります件数は四件でございます。これは四%ということになるわけでございまして、ただ実情を申上げますと、大審院時代は裁判官が四十五名おりましたが、現在は三分の一の十五名になつておりますので、仕事の量は大体同じでございますので、結局仕事の分量は三倍になり審理の遅延の状況も三倍になつてしまうというような結果が出ております。結局のところ最高裁判所自体は数に抑えられてしまいというようなことになつておりますので、どうしてもこの程度の調整はせざるを得ない。破毀になりますのはむずかしい事件でございますので、もう少しゆとりがありますれば、破毀される事件も殖えて来るのではないか、実際の打明け話を申上げますと、そういう実情でございます。
#67
○大野幸一君 確か戦前は二〇%の破毀率になつておつたと思います。そうすると現在は非常に破毀率が少いということになりますが、戦前の民事の破毀は御記憶ありませんか。
#68
○説明員(關根小郷君) それも確か資料に差上げてあると思いますが、戦前の平和時代の五ヶ年の平均でございますが、これは一七%で、二〇%まで行つておりません。結局戦争の終末に近付くに従つて破毀率は少くなつて来ております。
#69
○大野幸一君 裁判を受ける側の方からいいますと、近頃どうも最高裁判所の民事の判決に対して不満を持つておるということと、今破毀率が少くなつておるということとは何らか一脈合致するものがあると思うのですが、この法律が施行されれば尚そういう弊害が起るのではないか、こう思うのですがその点についてどう考えますか。
#70
○説明員(關根小郷君) 実は只今申上げましたように、大審院当時より人員が三分の一に減つておりますので、重要な事件につきましては、実は正直のところは棚上げになつておる状況で、内訳を申上げますと、その事務の負担の調整ができますならば、重要な事件の内容に入つて審査判断をすることができる。従つてこれは将来のことははつきり申上げられませんが、結局重要な事件に手を触れることができるようになりますれば、破毀する割合も殖えて来るのではないかという予想も付くわけでございます。
#71
○大野幸一君 それでは調査官を増員してやるという方法は、駄目なんですか。
#72
○説明員(關根小郷君) 実は調査官は現在二十名ばかりおりましてやつておりますが、調査官自身の、打明け話をしますと、実は上告記録が参りますと調査官は調査いたしまして、裁判官に報告書を出します。そうしてそれに基いて裁判官が自分の判断の資料にするわけでありますけれども、実は事件が溜まつております関係もありますし、調査官がその報告書を出しますと、その書類が長途の旅行に出てしまつたというくらいに戻つて来る期間が長い。殆んど戻つて来ない、そういう実情で調査官自身が嘆いておる実情であります。これは余談になりますけれども、調査官のみならず、上告された元の裁判をした下級裁判所の判事、これも首を長くして待つている。いつ戻つて来るかさつぱり分らん。私共思いますのに、調査官、下級裁判所判事のみならず、当然保護さるべき当事者の待つ気持というものはそれ以上だと思うわけであります。従つて調査官だけに問題を限局いたしましても、同じ最高裁判所の中におりまして、一体記録が自分のところへ戻つて来るのはいつか分らんという情勢でありまして、調査官が殖えれば殖える程その調査官が裁判官に出します報告書は机の上に積み重ねられてしまう状況であります。ですからお話のような、調査官が殖えるということは、一面仕事が片付くようでございまして、尚その半面裁判官机の上の書類が殖えてしまうということです。従いましてやはり裁判官の数に相応する調査官の数の限度に止めませんと、結局やはり裁判官の事務の仕事は殖えてしまう。従つて結局のところ役に立たないといつた、極論でございますけれども、そういつた工合になるのではないか。従つて調査官の数も、現在或いは少しくらいは殖えてもよいかと存じまするけれども、やはり限度があるのではないか。そういう考えでおります。
#73
○大野幸一君 それからこの訴訟法と一時法との関係ですが、どうも訴訟法は一時法には適しないように考えるので、その一定の過程を踏んで継続する状態があるので、普通実体法のように、いつからいつまでというのでなく、訴訟法というのは一時特別に適しないものじやないかと思うのですが、その点についてはどうお考えになりますか。
#74
○説明員(關根小郷君) 実は特例法の形は面白くないことは、おつしやる通りでございまして、私共同意見でございますが、ただ応急的の問題といたしまして、将来これよりもいい案があればそれに乗り移る、という意味で特例法……これは前例といたしましても、憲法が施行されましたときに、刑事訴訟法、民事訴訟法、更に実体法といたしましては、民法につきまして応急措置法がそれぞれ出ました、これは御承知の通りでございます。そういつた意味に類似した特例法ということはやはり考えられるのではないかという考えでおります。
#75
○松井道夫君 ちよつとこれは速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#76
○委員長(伊藤修君) 速記を始めて。
#77
○松井道夫君 本案に代るべき案で最高裁判所の裁判官の負担を軽減する方法が相当考えられると思うのでありますが、それらの方法について考えられたかどうか。その外の案がどうして不適当であつたか、その辺を一つ伺いたい。
#78
○政府委員(野木新一君) 只今の御質問に対してお答えいたします。民事上告事件について、最高裁判所の負担を調整する方法としては、先ず第一に、最高裁判所をして司法行政を取扱わさせないことにしてはどうか、こういうような点がまあ考えられたわけでありますが、この問題は運用の面で裁判官みずから取扱う司法行政事務を簡素化する方法を講ずる余地が尚相当あるのではないかと思われますが、併し憲法七十七條で認めた裁判所自治の根本問題にも触れますので、運用の実績を十分調査する必要があり、而も裁判所法施行後まだ三年くらいしか経たない今日においては、この問題を論議することは少し時期が早いということが考えられたわけであります。尚最高裁判所側につきまして実際どの程度の時間がこの司法行政事務に費されておるかということを確かめましたところ、裁判官会議所要時間は、一週間に平均三時間くらいのものであるということで、世間並びに私共が最初思つていたよりも遙かにこのために費される時間が少いということが分つたので、この点は将来の問題として残したわけであります。
 次にそれならば最高裁判所の調査官を殖やしたらどうかということもいろいろ考えたわけであります。これは先程もちよつと出たようでありますが、現在裁判所調査官としては二十名ありまして、裁判所調査官の増員は望ましいことでありますが、やはり限度がある。即ち裁判官自体の事件負担量を減すということを考えない限り、調査官を殖やすだけでは調査官の調査済みの事件が裁判官の手許に積み上げられる結果となるに過ぎないばかりでなく、それが延いて裁判自体が調査官によつて左右せられるというような、いわゆる調査官裁判の非難を招く心配もないとは言えない。こういう点から考えますと、今後益々増加を予想される民事上告事件について、調査官の増員ということだけでこれを解決するということは、どうも十分の対策でないという結論になりました。そういたしますとやはり或る程度上訴自体を制限するということを考えるという方向になるわけでありますが、その上訴自体を制限する方法として、各国の立法例などを調べて見ますといろいろあるわけであります。先ず金額によつて制限するものもあるわけであります。この金額によつて制限する場合には、上告申立金額を制限する、或いは訴訟物の価額が一定額以下のものについては、上告を許さないとするものもありますが、いずれもこれは階級的権利救済となるという嫌いがあるばかりでなく、価額は偶然の事柄で決まるということもありますので、この際面白くないだろうということになるわけであります。
 次に事件の種類によつて制限したらどうかという考えもあるわけであります。事件の種類を選択するについて理論上困難を来たすばかりでなく、戦時中の経験によりましても、運用上いろいろ疑義が生ずるということになりますので、これもこの際面白くないだろう。次に第一審、第二審の事件が同一の判決があつた場合は上告を許さないということにしたらどうかという、こういうことはオーストリー法などにあるそうですが、この案を採用いたしますと、高等裁判所ごとに特別の判例ができて来る虞れがある。結局法律解釈の統一を害することになるだろう、これも面白くない。次に上告許可制を採用したらどうかということも有力な意見があつたわけでありますが、そうしてこの案はノルウエー等において実施されておるところでありますが、これは許可すべきかどうかを決定する手続の段階が一つ加わるわけになりますし、当事者及び裁判所いずれの側から見ても訴訟経済上どうかと思われる点があるわけであります。そうして尚この案につきましては、新刑事訴訟法の上告制度及び簡易裁判所事件の上告制度等との均衡から考えても、この案は将来の問題として研究を持つべきもので、今直ぐにこれを取るのはどうかということが考えられるわけであります。次にそれならば最高裁判所の上訴の範囲を憲法違反のみに限つたらどうかという、こういう考え方も一部にあつたわけでありますが、これも最高裁判所を一般の審級制度から切離して特別のいわゆる憲法裁判所とするものであります。これは下級裁判所との連繋が薄くなるばかりでなく、上訴範囲が狭きに失して法令解釈統一の機能を最高裁判所から奪うことになりますのでこれも余り賛成者も少く、憲法上から言つても疑義がありますので、取ることはできないと思うわけであります。次に最高裁判所の上訴範囲を、判決理由中における法律適用の違反に制限することにしたらどうか、これも有力な人によつて唱えられましたが、この案につきましては手続上の過ちが上訴の対象になり得ないという弱点があるわけであります。それで結局最高裁判所の上訴の範囲を憲法違反、判例抵触、それから法律の解釈に関する重大な事項に限つて、一と二についてはいわゆる義務管轄、三については裁量管轄としたらどうかという、結局この案は新刑事訴訟法において採用して、すべに実施されておる考え方と同じでありますが、こうしたらどうかという意見も非常に強かつたわけでありますが、この考え方につきましては、少くとも民事訴訟にこれを当嵌めて考えて見ますと、この案で、刑訴式の考え方で行きますと、上告理由が上告範囲に属するかどうかという点を上告人において判断しなければならないという建前になつておるわけでありますが、上告理由自体は制限を加えないで、裁判所側で上告の範囲に属するかどうかということを判断する建前をとつた方が、国民の責任と負担が軽くなるわけである。それから次に上告範囲に属しない上告は受理しないということになるわけでありますが、そうしますと上告状に貼る印紙のことなども考えますと、この刑訴式の案を採用するくらいならば、むしろ上告許可制に、民事においては進んだ方がよいのではないかというような意見もあり、又簡易裁判所事件については、上告制限を差当つて行わないということを、併せて考えて見ますと、地方裁判所事件についても、上告制限はできるだけ最小限にこの際止めるべきであるということになりまして、これらの点をいろいろ考えて見ますと、結局新刑訴式の案よりも、この際民事訴訟法につきましては、政府が提案したような形の方が一層適当であろうということで、只今提案しておるような案に落着いたわけでございます。
#79
○委員長(伊藤修君) 外に御質疑がなければ、この程度にいたしまして後日に譲ります。
  ―――――――――――――
#80
○委員長(伊藤修君) 次に土地台帳法等の一部を改正する法律案を議題に供します。本案につきましては先に質疑に入つておりますが、尚逐條説明をお願いすることにいたします。これについて便宜上文書で以て資料として御提出願つておるのでございますが、御承知の通り地方税法との関係もありますから、これを速記に載せまして、他の議員諸君にも見て頂くようにいたしたいと思います。従つて政府よりこれに対するところの御説明をお願いすることにいたします。ちよつと速記を止めて。
   〔速記中止〕
#81
○委員長(伊藤修君) 速記を始めて下さい。
#82
○政府委員(村上朝一君) 土地台帳法の一部を改正する法律案の逐條につきまして御説明申上げます。
第一條 (土地台帳法の改正)
 本條により、土地台帳法の諸規定を改正する理由は、次の通りである。
 「政府」を「登記所」に改める――土地台帳法は、土地台帳事務の所管庁を単に「政府」と規定し(第五條、第十條、第十八條等)、同法施行規則においてこれを「税務署」又は「税務署長」と具体的に定めているが、今回土地台帳事務を税務署から登記所に移管することとしたので、これに伴つて、土地台帳法中「政府」とあるのを「登記所」と改め、法自体において所管庁を明かにすることとした。第一條 現在の土地台帳は、課税台帳である点に主たる意義を有していたため、土地台帳の登録も、土地の状況を明確に把握して地租の課税標準たる土地の賃貸価格の均衡適正を図ることをその目的としていたのであるが、台帳事務が登記所に移管されると、土地台帳は土地の状況を明確にするための、地籍簿たる性格を有することとなるので、その趣旨に従つて本條を改めることとした。
 なお、台帳事務の管轄と不動産登記事務の管轄とを一致させ、同一土地については、いずれの事務も同一登記所が掌ることとするために、本條に第二項を新設した。第三條 委任規定の趣旨を明確にするため「命令」を「政令」に改め、地方税法の改正により「鉄道用地、軌道用地」が課税物件とされるのに対応して、これを第二種地から除くこととした。第四條 地方税法の改正により土地台帳に賃貸価格を登録する必要が消滅したので、これを廃止することとしたが、本條の改正は、これに伴う規定の整理である。第五條 同右。なお、第二項を削つたのは、これに代る第四十三條の四を新設したからである。第九條 地方税の改正により、従来の「賃貸価格」に代えて、今後は課税物件たる土地についてその「価格」を市町村長が決定することとなるので、その通知(地方税法改正案第四百三十六條)に基いてその価格を台帳に記載し、これを登記の登録税の課税標準価格の認定の参考に供しうることとした。第十條 「賃貸価格」の廃止及び第十九條の改正に伴う整理である。第十一條から第十七條まで賃貸価格の廃止に伴う整理である。第十九條 現行法には土地の滅失の場合の申告の規定がないが、(一)家屋台帳法には、家屋の滅失の場合の申告の規定があるので(現行法第十八條、改正案第十五條)、これとの均衡を考慮し、又(二)不動産登記法においては、土地の滅失の登記が、土地台帳の登録を前提としているので(同法第七十九條、第八十條)、これとの関係をも考慮して、現行法の不備を補うために、土地の滅失の場合にも申告を要するものとしたのである。
 なお、現在では、本條の但書により、予め政府の許可を受け(例えば墓地の新設、公立学校地の選定)、政府に申告し、(位置の変更以外の学校用地の変更)、又は官公署において公示した(例えば保安林の編入、道路の認定)ものについては、申告を要しないこととなつているが、登録の正確を期する意味で、これらの場合にも一応申告を受けるのが相当と考えられるので、この但書を削ることとした。第二十二條 現在は、第二種地が第一種地になつた場合にのみその地積を改測し、第一種地が第二種地になつた場合には改測をしないことになつているが、これは現在の土地台帳が課税台帳である関係上、非課税物件たる第二種地になつた場合には、特に改測をする必要も存しなかつたことによるものである。今後は土地台帳が地籍簿として一切の土地の状況を明確にする目的を有することになるのであるから、いずれの場合にも、原則として地積の改測を行うべきものとした。第二十三條及び第二十四條「賃貸価格」の廃止に伴う整理である。第二十七條 現行法の本條第三号によると、一筆の土地の一部が所有者を異にするときは、政府(税務署)は職権でその土地を分筆することとなつている。然し、土地所有権の移転は、まずその登記をした後、不動産登記法第十一條の規定により、登記所から台帳所管庁(税務署)にこれを通知し、その通知に基いてはじめて台帳にその登録がなされることとなつており、土地の一部の所有権移転登記をするには、その前提として土地台帳法第二十六條による分筆を必要とするので、通常は、本條第三号により分筆をする余地は生じないわけである。ただ例外として、未登記の土地が収用された場合には、起業者はその旨を台帳所管庁に申告する取扱いとなつており、この場合には、土地台帳法施行規則第四條第三号(改正後の法第四十三條の二)の規定により、登記所からの通知を俟たないで所有権の移転(所有者の変更)を登録しうることとなつている。従つて一筆の土地の一部の収用によつて所有者を異にするに至つた場合には、本條第三号の適用があることとなるが、この場合以外には本條第三号の適用の余地がないので、この意味を明らかにし、規定の趣旨を分り易くするために、本條第三号を改めることとした。第三十條 「賃借価格」の廃止に伴う條文の整理である。第三十一條 土地台帳を地籍簿として考える場合には、地目変換は、第二種地についても第一種地と同様に認めるべきであるから、その趣旨で本條を改めることとした。第三十二條 前條の改正を承けて、第二種地の地目変換についての申告の規定を設けた。これを第二項としたのは、第十八條、第十九條との振合上第二種地に関する申告については、第一種地と区別して罰則を設けないこととするためである。(改正後の第四十七條参照)第三十三條 「賃貸価格」の廃止に伴う整理である。第三十四條 同右。(旧第三十五條から旧第三十七條まで)「賃貸価格」の廃止に伴う整理である。新第三十五條 (旧第三十七條の二)第三十七條の五及び第三十七條の七から第三十七條の十二までを削除したのに伴う整理である。(旧第三十七條の三)「賃貸価格」の廃止に伴う整理である。新第三十六條 (旧第三十七條の四)第二十三條、第二十四條及び第三十條を削除したための條文の整理である。(旧第三十七條の五)「賃貸価格」の廃止に伴う整理である。新第三十七條 (旧第三十七條の六)「賃貸価格」の廃止に伴う整理である。(旧第三十七條の七から旧第三十七條の十二まで)第三十七條の五と同趣旨である。新第三十七條の二 現行土地台帳法施行規則第五條と同趣旨の申告義務に関する規定である。新第三十七條の三 現在土地台帳の謄本の交付については、土地台帳法施行規則第六條に規定されているが、その閲覧は許されないこととなつている。
 然し、台帳事務と登記事務とが今後同一登記所において取扱はれることとなれば、登記手続上必要とされていた台帳謄本の添附は不要となるが、登記の申請は台帳と符合していなければならないから登記申請人に対して台帳の閲覧を許す必要を生ずるので、従来の施行規則第六條をその趣旨に従つて整備した上本條にこれを定めることとした。
 なお、台帳の閲覧、謄本の交付についての手数料の額は、登記の場合と同様に政令で定めることとした。新第三十七條の四 現行の土地台帳法施行規則第十條と同趣旨である。第三十八條 土地台帳に登録した事項に変更を生じた場合、例えば第一種地と第二種地との間の転換、地目変換のあつた場合には、申告に基いて地目の修正、地積の改測が行はれ、登録事項の修正がなされることは第二十一條、第二十二條、第三十三條及び第三十四條に特に明記されているが、台帳の登録及び修正は、本来所管庁が職権をもつて行うべきものであるから、特に各本條ににおいて登録を修正すべき旨を規定していない場合でも、登記事項に変更を生じた場合には、その登録を修正すべきものである。本條第一項は、このことを明かにした。例えば、第三十七條の二は、登録された者の住所氏名に変更を生じた場合の申告に関する規定であるが、その申告のあつた場合の登録の修正は勿論、行政区画の変更に伴う字の名称、地番の変更の場合の登録の修正も本條第一項の規定によつてなされることになる。
 第二項は、台帳の登録に誤謬がある場合の訂正に関する規定である。これによつて登記所が、登録の誤謬を発見した場合には、職権をもつてその登録を訂正することになる。なお、現在実際の取扱上誤謬訂正の申告を許しているが、登記所の職権行為の発動を促す意味において、将来もこの取扱を踏襲し、施行細則において、これを規定する予定である。第三十九條 現行の第三十八條及び第三十九條に相当する規定である。ただ、現行の第三十八條では市町村長に対する登録事項の異動通知については期間の制限が設けられていないけれども、今後は市町村においては土地台帳の副本を固定資産課税台帳の一部として、これによつて固定資産税を課することとなるので、登記所から市町村長に対する通知には特に迅速を要することとなる。そこで、現在の第二十八條に相当する本條第一項においては、特に台帳の登録、修正又は訂正の後十日以内にこれを通知するべきものとした。
 第二項は、現行法の第三十九條に相当する規定である。現行法では、土地の異動に関して台帳に登録したときは、必ず市町村長を経由して所有者(又は地上権者、質権者)に通知することとなつているが、改正案の第四十一條の三によれば、申告者は登記所に出頭して直接申告することもできるので、その際直接申告者に通知することも可能であり、又申告通りの登録修正又は訂正があつた場合には、必ずしも申告者にその結果を通知することを要しないとも考えられるので、この通知に関しては、法務府令で具体的に定めることとした。第四十條 現行の第四十條による新所有者からする申告は、異動申告が罰則によつて強制される場合に限られているが、今後土地台帳が地籍簿たる性格を具えることとなると、申告についての罰則のない場合も同様に取扱うのが相当と考えられる。この趣旨の下に本條に第二項を追加することとした。第四十一條 本條は、現行法と同趣旨であるが、現行法では、所有者の申告義務と質権者又は地上権者の申告義務との関係が明確でなく、又質権者又は地上権者にも第四十條の規定の適用があるか否か形式的には疑問を生ずる憾があるので、本條の場合には質権者又は地上権者のみが申告義務を負う旨を明かにするとともに質権者又は地上権者にも第四十條が適用されることをも明かにするために規定を改めた。第四十一條の二 不動産登記法第二十八條の二、第百三條第二項又は自作農創設特別措置登記令第七條等によれば、官公署、土地収用における起業者等は、前提登記として不動産の表示、登記名義人の表示の変更、相続による所有権移転の登記を、本人に代位して嘱託し又は申請し得ることとなつているが、これらの場合には、前提として土地台帳法による登録の修正を要するのが通常である。しかし、土地台帳法には、不動産登記法に相当する代位申告の規定が存しないため、これら不動産登記法等の規定の運用の余地が極めて少く、取扱上不便とされていたので、法令により代位登録を嘱託し又は申請し得る場合には、その前提として土地台帳法による申告をも代位してなし得るものとし、以上の不便を取り除くこととした。第四十一條の三 現行土地台帳法施行規則第七條によれば、土地台帳法による申告は、すべての市町村長を経由してすることとなつているが、台帳事務が登記所に移管された後は、直接登記所に申告するのが便宜である場合も考えられるので、今後は、直接又は市町村経由のいずれよつて申告することもさしつかえないものとした。但し本改正案による不動産登記法第三十九條の二又は第八十條の二の規定により申告と同時に登記の申請をする場合には、登記手続上、市町村経由とすることは許されないので、この場合には、直接登記所に申告すべきものとした。
 本條第二項は、現行土地台帳法施行規則第七條第二項と同趣旨である。第四十二條 現行土地台帳法施行規則第十二條と同様の趣旨の規定を第二項として追加することとした。第四十三條 現行の規定を地方税法に合はせるため整備することとした。第四十三條の二 本條第一項は、現行土地台帳法施行第四條に相当する規定である。ただ、現行法には土地の滅失の場合についての規定が存しないが、さきに第十九條の本文を改めたのと同様の趣旨により、あらたに本條に第四号を設けて、右の施行規則の規定の不備を補うこととした。
 なお、権利の変動に関する事項を台帳に登録するには、現在では不動産登記法第十一條の規定による登記所からの通知を俟つてその通知に基いて台帳所管庁が登録することとなつているが、今後はその通知が省けるので、本條第二項を設けて、台帳に登録すべき権利の変動について登記したときは、登記所は、これに基いて台帳に登録すべきものとした。第四十三條の三 前條第一項第二号の規定が存する以上、未登記の土地を収用した場合の申告に関する規定が必要なわけであるが、従来家屋については家屋台帳法施行規則第十條第一項に相当規定があるのに拘らず、土地に関しては何等規定することがなかつたので、本條を設けてその不備を補うこととした。第四十三條の四 現行土地台帳法第五條第二項附則第十二條等に相当する規定である。第四十五條 地方税法の罰則との均衡を図るために罰則を強化することとした。第四十六條 「賃貸価格」の廃止に伴う整理である。第四十七條 第四十五條と同様罰則の整備である。(附則第七條から第十三條まで)これらの規定は、今後においては存置する必要のないものであるが又は修正して本法中に取り入れることとしたので、すべて削除することとした。第二條 (家屋台帳法の改正)
 本條により、家屋台帳法の諸規定を改正する理由は次の通りである。第一條 土地台帳法第一條の改正と同様の趣旨である。第三條 「賃貸価格」の廃止に伴い條文を整理するとともに、現行の第四條第二項に相当する規定を第三項に定め、現行の第四項に相当する規定を第四條第二項に設けたので、本條第四項を削除することとした。第四條 現行の第五條の規定を整理して本條に定めることとした。第五條 土地台帳法第九條と同趣旨である。第六條 現行法には、第十三條第二項の場合の外には、本條に相当する規定は存しないが、異動の登録が結局において職権でなさるべきことは土地の場合と同様であるので、土地台帳法第十條と同趣旨の規定を設けることとした。第七條から第十三條まで「賃貸価格」の廃止に伴う整理である。第十四條 土地台帳法第十八條に相応する規定であつて、家屋の価格を記載すべき家屋として登録することを要する家屋の異動申告について本條に規定するとともに、国有の家屋が払い下げられた場合の如く台帳に登録することを要しない家屋が登録を要する家屋となつた場合の申告に関する規定をあらたに設け、従来の規定の不備を補うこととした。第十五條 土地台帳法第十九條に相応する規定であつて、家屋の価格を記載しない家屋として登録することを要する家屋の異動申告について、本條に規定した。現行の第十四條に規定する事項の一部と第十八條に規定する事項とを併せて規定したものである。第十六條 現行の家屋台帳法第十五條第二項の申告と同法施行規則第十一條の申告と併せて規定したものである。第十八條 現行の第十八條に相当する規定を第十五條に設けたのに伴う整理である。第十九條 土地台帳法第四十條と同趣旨である。従来この規定が存しなかつたので、あらたに本條を設けて、その不備を補うこととした。第二十條 土地台帳法第四十一條の三と同趣旨である。(旧第二十一條)現行の第十九條から第二十一條までは、賃貸価格の決定に対する不服申立に関する規定であるが「賃貸価格」の廃止に伴い、これらの規定は、すべて不要となるので、実質的に内容の改められる第十九條、第二十條を除き本條のみを削除することとした。(旧第二十二條及び旧第二十三條)新設の第二十二條において本條に相当する土地台帳法第三十九條の規定を準用することとしたので、本條を削除することとした。新第二十一條 (旧第二十四條)土地台帳法第四十二條第二項と同趣旨である。新第二十二條 (旧第二十五條)土地台帳法の規定の準用規定である。新第二十三條 土地台帳法第四十三條の四と同趣旨である。新第二十四條 (旧第二十六條)(現行通り)新第二十五條 (旧第二十七條)(旧第二十八條)新第二十六條 (旧第二十九條) 現行法第二十七條から第二十九條までの改正は、土地台帳法第四十五條から第四十六條までの改正と同趣旨である。(附則第五條から第九條まで) これらの規定は、今後においては存置する必要のないものであるか又は修正して本改正法律附則に取り入れるのが適当と考えられるものであるのですべてこれを削除することとした。第三條 (不動産登記法の改正)
 本條により、不動産登記法の諸規定を改正する理由は、次の通りである。第十一條 本條は土地台帳及び家屋台帳の所管庁に対する登記済の通知に関する規定であるが、台帳事務が登記所に移管された後は、本條は不要となるので、これを削除することとした。第三十九條の二 土地台帳及び家屋台帳の事務を登記所で掌ることとする場合には、可能の範囲内で土地台帳法又は家屋台帳法による申告と登記の申請とを兼ねて一個の手続でなし得るものとするのが一般民衆にとつても便宜である。この観点から、土地台帳法又は家屋台帳法による住所又は氏名、名称の変更の申告をする場合に、登記に要する登記税を別に納付するときは同時に登記名義人の表示変更の登記の申請があるものとみなして、台帳法上の申告書のみで登記の申請をもなし得るものとした。第四十九條 不動産の表示変更の登記及び所有権保存の登記の申請をする場合には、土地台帳又は家屋台帳の謄本によつて土地家屋の状況又は所有者が登記申告書の記載の通りであることを証明しなければならないこととなつているが、台帳事務が登記所に移管された後は、右の謄本を登記所に提出は不要となり、その代りに登記所において登記申請書の記載事項が土地台帳又は家屋台帳自体に符合するかどうかを調査して、不符合の場合には登記の申請を却下することができるようにしなければならないので、そのために本條に第十号を加えることとした。
 次に新設の第四十九條の二の規定によれば、登記簿上の不動産の表示又は登記名義人の表示が土地台帳又は家屋台帳と符合しない場合には、登記の申請によりこれを符合させた後でなければ他の登記の申請をすることができないこととしているので、登記簿と土地台帳又は家屋台帳とが不符合のままで登記の申請があつた場合の申請却下について本條第十一号を加えることとした。第四十九條の二 台帳事務と登記事務とか同一登記所で取り扱われる以上、台帳の記載と登記簿の記載とは、可能の限り一致せるようにすべきである、しかし、この際すべての不動産についてその不一致を是正することは事実上不可能であるからこれを最少限度に一致させる措置として、登記申請の機会に不動産の表示又は登記名義人の表示の不一致を申請によつて是正することを要するものとした。第八十條 台帳事務移管により土地台帳謄本の添付が不要となるのに伴う整理である。第八十條の二 土地台帳法による地目の変更、土地の滅失、分筆又は合筆に関する申請書が同時に土地の表示変更の登記の申請書を兼ね得るものとし手続の簡易化を図つた規定であつて、その趣旨は第三十九條ノ二と同様である。第九十條 登記簿における土地の表示の記載は、土地台帳の記載を基礎とするものであるから、第八十條ノ二の規定により台帳法による申告と登記の申請とが同時になされた場合にも、先ず台帳の登録をした後登記すべきことを明かにした。第九十一條 現在の第九十一條には建物の「種類」の変更の登記に関する規定が欠けているので、この不備を補うこととした。第九十二條 第八十條及び第九十一條の改正と同趣旨である。第九十二條ノ二 家屋台帳法による附属家屋の建築、家屋の増築、滅失又はその所在、種類若しくは構造の変更に関する申告書が同時に建物の表示変更の登記の申請書を兼ね得るものとし、手続の簡易化を図つた規定であつて、その趣旨は、第三十九條ノ二及び第八十條ノ二と同様である。第九十三條第百條第九十一條の改正と同趣旨である。第百條ノ二 登記所が土地台帳、家屋台帳の所管庁となる結果の條文の整理である。第百二條ノ二 家屋台帳の登録と建物の表示変更の登記との手続上の順序に関するものであるが、その趣旨は、第九十條と同様である。第百五條第百六條登記所に土地台帳及び家屋台帳を備える以上、所有権保存の登記の申請の場合には、申請書の記載と台帳の記載とが符合すれば足り、特に台帳の「謄本」を提出して所有権を証明する必要がなくなるのでその趣旨において條文を整理することとした。第百七條ノ二 家屋台帳法による家屋の建築の申請書が同時に建物の所有権保存の登記の申請書を兼ね得るものとし、手続の簡易化を図つた規定であつて、その趣旨は、第三十九條ノ二、第八十條ノ二及び第九十二條ノ二と同様である。第百八條ノ二 家屋台帳の登録と建物の所有権保存の登記との手続との順序に関する規定であるが、その趣旨は、第九十條と同様である。第百十條 第百五條及び第百六條の改正に伴う整理である。第四條 (昭和十七年法律第六十六号不動産登記法中改正法律の改正)
 昭和十七年法律第六十六号不動産登記法中改正法律の附則第二項から第五項までの規定は、家屋税法施行当時のものであつて、家屋台帳事務が登記所に移管された後は、その存置の理由が消滅するもの又は少くなくとも用語において正確を欠くものを生ずるので、この際これらの規定を削り、今後もなお必要と考えられる事項については本改正法案の附則において規定することとした。第五條 (法務府設置法の改正)
 土地台帳及び、家屋台帳に関する事務を登記所で掌ることとするために、本條により法務府設置法第八條及び第十三條の二を改正して、法務府民事局及び法務局、地方法務局の所掌事項中に、更に「土地台帳及び、家屋台帳に関する事項」を加えることとした。
   附 則第一項 施行期日に関する規定であるが、本改正法案には、地方税法改正法律案の規定を承けて設けられた規定があるので、同法の施行と同時に本改正法を施行する必要がある。当初地方税法は、四月一日から改正の見込であつたので、本項においても、同日施行する旨規定を設けた。第二項 現行家屋台帳法附則第五條により、賃貸価格を定めない家屋については、現在家屋台帳の登録を行つていない。本改正法施行後も、家屋の価格を記載しない家屋について一斉に登録することは、目下の状況上不可能と考えられるので、当分の間、従前の附則第五條と同様にこれらの家屋については家屋台帳法を適用しないこととした。第三項 現在の家屋台帳法附則第六條と同一趣旨である。第四項 台帳事務移管は、現在の賃貸価格の調査及び決定に関する部分を除き大体において現行の取扱を踏襲することとなつているので現在の土地台帳、家屋台帳及びこれ等の副本はそのまま改正法による土地台帳、家屋台帳及びその副本とみなし、新にこれらの簿冊を作成する手数と経費との節減を図つた。第五項 現行の土地台帳法第四章及び家屋台帳法第四章の規定を廃止したのに伴う経過規定である。第六項 罰則を改正することとしたのによる経過的措置である。第七項 地方税法改正法律案第三百四十八條第二項第七号及び第九号によれば、史蹟名勝天然記念物保存法によつて史跡名勝として指定又は認定された土地、重要美術品等の保存に関する法律によつて重要美術品として指定又は認定された家屋等、社会事業法、更生保護事業法、生活保護法による保護施設、児童福祉法による児童福祉施設等に対しては国定資産税を課することができないこととなつており、従つてこれらの土地家屋については地方税法による価格が定められないのである。しかし現行の土地台帳法又は家屋台帳法によれば、これらの土地、家屋は課税物件として賃貸価格を定めてあるので、今後価格を定めないものとなつた場合には、その旨を台帳上明かにしておく必要があるので、本項の規定により、土地、家屋の所有者から一定の事項を登記所に申告させることとした。第八項 昭和十七年法律第六十八号附則第二項前段の規定は、台帳事務の移管後は不要となるが、同項後段の手続は今後もなお存置する必要があるので、同項の表現を改めて本項に規定を設けることとした。第九項 昭和十七年法律第六十八号第三項の規定により、家屋税を課さない建物即ち現在の賃貸価格の定めない家屋は、家屋台帳に登録されない関係上、不動産登記法第百六條の改正規定(昭和十七年法律第六十八号による)による所有権保存登記をすることができないため、その改正前の規定によつて所有権保存の登記をすることとなつている。この点は、今後地方税法による固定資産税を課することのできない家屋即ち本法による改正後の家屋台帳法第五條の規定により家屋の価格を記載しない家屋についても同様であるから、昭和十七年法律第六十八号附則第三項の規定の表現を改めた上同様の趣旨の下に本項の規定を設けることとした。第十項 昭和十七年法律第六十八号附則第四項前段の規定も、台帳事務移管後は、不要となるけれども、同項後段の手続は将来も存置する必要があるので、同項の表現を改めて本項に規定を設けることとした。
#83
○委員長(伊藤修君) 何か本案について御質疑がございますか……
 本案に対しましてもこの程度にいたしまして後日に質疑を継続することにいたします。
  ―――――――――――――
#84
○委員長(伊藤修君) 次に矯正保護作業の運営及び利用に関する法律案につきましては、政府の係の人がおいでになりませんから後日にいたします。
 次に株式の名義書換に関する法律案を議題に供します。先般この法案に対するところの資料をお願いいたして置いたのですが、抽象的な資料は一部は来ておりますが、アメリカにおけるところの、この制度の実際の状態を知りたいのですがね、その資料はないのですか。
#85
○政府委員(吉田信邦君) 今余り的確な資料がございませんので、又各州がまちまちであるというような関係がありまして、余り正確な資料はございませんのでございますけれども、一応いろいろと翻訳したものもございますが、正確なところは向うの関係官にいろいろ聞きましても十分事情が分らないというようなところもございまして法律的な関係とそれから実務上の関係とありまして、分らない……
#86
○委員長(伊藤修君) そんなものを日本で作つて一体運用されるのですか。そんな分らんものは、それを直ちに向うの真似をしたつて……
#87
○政府委員(吉田信邦君) いや、それは向うの真似を全然しておるという意味ではございませんので、実際上の必要という点から申しまして、この点が考えられるのじやないか、又実際の商慣習というものは、この中から何かができ上つて来るのじやないかというような考え方に立脚しておるのじやないかと思います。
#88
○委員長(伊藤修君) 大体の構想は、アメリカのこの種の機関を模範にして立案になつたのでしようね。
#89
○政府委員(吉田信邦君) さようでございます。
#90
○委員長(伊藤修君) 然らばアメリカにおけるところのこの種の機関の、実際にどれだけこの種の会社があるのか、或いはその実績がどうか、利用されておるところの状態、或いはこの種の会社が日本で百万円で成立つのかどうか、あなた達の試みでこの法律を作るというのか、百万円で賄えるのかどうか、そういう点も我々実際のこの形態を知りたいのですがね。観念的にこういうものを作つて見るというのじやなくて。それからもう一つは、商法の方で各義書換代理人の制度は勿論基本的に認められておりますが、商法の登録期間というのがありますね、何故登録期間をこの法律の中に含めてなされなかつたのか。又この法律のうちを見ておつても登録期間との関連性が所々に現われているのですね。そうして見れば、この法律の中にやはり登録期間の制度もここで明確にするように立案になつた方がいいのじやないですか。又それを別に作るのですか。
#91
○政府委員(吉田信邦君) 登録期間の問題につきましては、今度の改正商法で登録期間を作ることといたしておりまするのは、株式の過剰発行を防止することを主として目的といたしまして、米国におきましても授権資本制度が発達しております関係上、名義書換の都度新らしく株券を発行しております。これらの関係から過剰発行の防止というような観点から登録期間が設けられておると思うのであります。そうして今回登録期間の……実施になりますのは、商法の施行に伴つて実施になる関係もございますので、むしろ登録期間の問題は、商法の実施の際の問題として頂こうかというふうな考えはございます。只今の名義書換と同時に登録期を作らなければならんということは、必ずしも必然的な関連はないのじやないか、そういうふうに考えたのでございます。それから先にお話がございました米国の制度につきまして、私共まだ正確な資料を持つておりませんというように申上げたのでありますが、私共の研究いたしました範囲のことは、後程資料を提出いたしましてお話申上げたいと思います。
#92
○委員長(伊藤修君) あなたの御研究になつたアメリカの実態、そういうものがおありになつたら惜しみなく資料をお出し願いたい。こればつかりの資料を出して我々に審議しろと言つても無理です。新らしい制度ですから、我々としても全く未知のものですから、果して運用できるかどうかということでは、信念的にこの法律の審議はできないですからね。
#93
○政府委員(吉田信邦君) 向うの方では名義書換期間の登録制度というふうなものを設けておらないようでございます。そういつた関係で登録期間に関する立法例も余り見当りませんが、今の名義書換代理人を法律上登録を要することといたしましたのは、全く新らしい制度で、向うにおいては自然発生的に商慣習の上にでき上つていたというものでございますから、法律的に規制を加える必要はないわけでございますが、日本の場合におきましては全然新らしいものでございますから、そういつた意味でこれを登録制度にしまして、或る程度の監督を加えながら過ちなきを期して行きたいということでございます。
#94
○委員長(伊藤修君) それは日本の経済の実情にふさわしいように、日本流に書き改められる、こういう点は結構であります。そういう点は我々異議ないのでありますが、本体をなすところの機関がどういう活用をなして一体成立つものかどうか、こういう点について詳細な内容が我々として確信を得たい、かように考えております。
#95
○松井道夫君 今の御説明によりますと、この法律は別に現在政府から提案されておりまする株式会社法の一部改正案、あれとは全然無関係に提出されて、まあこういう制度を作りたいという御意向のように伺つたのでありますが、又一方日本でも自然発生的にこう出て来たものじやなくて、上から与えてやる、それでまあ作るというような規定も必要なんだというようなお話で、その間どういう痛切な必要を感ぜられてこういう法律をお作りになつたかということに多少の疑なきにしも非ずと感ずるのであります。そういうことで新らしく今度改正によりまして株式の名義書換代理人というものを作るのでありますから、何も慌てて公布の日から施行せんでも、これを商法の改正の公布の日から施行するというようにしても差支ないという感じがいたします。まだ生れて出て参つた理由がどうもはつきりいたさない、私の頭でははつきりいたしませんので、その辺御説明願いたいと思います。
#96
○政府委員(吉田信邦君) 株式の名義書換に関するこの法律案の提案いたしました理由は、先ず何と申しましても最近株式の名義書換が十分に行われていないことは、各会社が急に増資を行なつたり、その他非常な経済界の混乱が常に反映しておりました関係もございますけれども、それにいたしましても株式の名義書換が十分に行われ難い状態にあります。且つこれは従来もそうでございますが、一々株式の名義書換のために郵送をするなり、又そのために持つて行くというようなことは、可なり費用と手数料を要します。それで株式の民主化とか、そういつた方面で株式を大衆の手に移すというような努力がなされておりますが、今のように本社だけでやつておるだけでは、これは到底株の需要に応じ切れない。そこで又商法の改正におきましても、それだけでは不十分だということで、名義書換代理人の制度をお決めになつておると思います。私共としてもそのことは何よりも結構だと考えておる次第でございます。ただ現実の問題といたしまして、商法の規定によりますと複本を備えなければならないということになつておりますが、御承知のように株式名簿を作りますためには非常な費用と経費がかかります。これを各地に持つということは現在の日本の企業の程度では殆んど不可能である、これは諸般の制度が完備して参り、又企業の事務も整備して参りますれば、或いはそれも可能であるかも知れないのですが、差当つての現状といたしましては必ずしもそれだけによつては株式の名義書換を迅速に行つて、大衆の便宜に供するということは困難であろうかと考えております。そう言つた意味で株式の名義書換代理人に複本を備えせしめるために、更に株式移転簿というような問題が、本法案に提案されておる次第であります。尚株式の名義書換に関する法案を提案いたしました一つの動機といたしましては、課税上の問題も大きくからんでおると思います。現在の株式の名義書換が殆んど僅かしか行われておりませんために、株式に関する譲渡所得の課税というものが十分に行われておりません。そのためにむしろ株式の名義書換は強制したらどうかという意見も可なり有力にあつた次第でございますが、これらの事態におきまして株式の名義書換を強制することがよいかどうかということにつきましては、経済界の実情から申しまして始終問題が多かろうということで、今回は名義書換強制の法律を提案することは差控えることにいたした次第でございますが、併しながらこれと併せまして株式の名義書換が迅速に且つ的確に行われ得るようにということにつきましては、政府といたしましてもあらゆる努力をいたしたい。それにつきましては、この名義書換を大衆が比較的容易になし得るように、現在の状況におきましては一応本社まで手紙を出す郵送料も可なり莫大な数に上つております。殊に株券の券面額が低いというような関係もございまして、非常な費用がかかる、そういうことになればつい憶劫にもなりがちでもある、税を納めるとか、そういうこととは無関係にやはり名義書換を怠りがちである。つまり理想的に申せば苟くも上場株式等につきましては、それぞれの上場します取引所の所在地においては名義書換ができるというような仕組になることが、証券取引という観点からいたしましては理想的ではなかろうかと存ずる次第であります。で先程も申上げましたように、商法の改正によつて名義書換代理人が設けられ、それに複本が置かれますならば問題が漸次解決し得るわけでございます。併しこれにつきましては、現在すでに非常に名義書換が行われないで課税上のそういつた問題を起しておる状況でもございます。できるだけ速かに名義書換代理人制度を実施して頂く必要があるのではなかろうか。それと同時に名義書換代理人制度は、商法の場合においてもそうでございましようが、まだ我が国としては全然行われておりませんので、これについては登録によりまして或る程度の監督を加えて行く必要があるのではないか、ただそういう意味でこの規定が提案されたような次第でございます。商法の関係といたしましては、商法は恒久的な立法でございまして、この法律にございまする株式名義代理人に関する規定とか、或いは又複本を備え付ける義務とか、そういう商法の規定と重複いたします部面につきましては、これは商法が施行されると同時に実質的な効力は失わるべき性質のものでございまして、まあその際に……そうして登録というような制度は場合によりましては、商法の施行法というような形で行うものかと思いますが、そういう問題がございましたので、これらを一括して一つのものにまとめ上げた次第でございます。尚私共の企図いたしますことは、今の税関係から来る様な株式の名義書換の強制というような問題も、でき得べくんば名義書換が容易に行われるということによりまして事実上そういう問題が解消し得ることが最も好ましいのじやなかろうかというふうにも考えられておる次第でございます。
#97
○委員長(伊藤修君) 他に御質疑ありませんですか。
#98
○松井道夫君 商法の改正において、は新らしく株券を登録するため登録機関を設けることができるということになつておりまして、この点の登録機関というものが実際どういうものになつているものか、聊かはつきりしない面があります。只今の御説明によりますると、この株式の名義書換に関する法律これが現在の有価証券の移転に対する税とその他の関係で、商法の改正とは別個にその必要があつて現在急速に提案いたしたのであるという趣旨の御説明であつたのでありますが、勿論商法の改正に、こういう名義書換代理人といつたようなものが認められたのは、その必要があつて丁度この第一條に書いてある、ここには税のことが書いてございませんが、ここに書いてある通りのことを目途といたしましてそういう制度を作つたのであります。而も一方において同じ條文の下にこの登録機関というものを設けたと、その登録機関の必要性というものは、これ又米国等においてその機能が非常に有力に発揮されたということで、これが商法の改正に取上げられたものであると思うのであります。それで今政府といたしましては、登録機関の方については格別実際の必要がないと、或いはそういうものについては大した関心を持つておらんという御意見なのですか、その点をお伺いいたします。
#99
○政府委員(吉田信邦君) 別に関心を持つていないとか、今必要がないという意味ではございませんで、今回のこの株式の名義書換に関する法律におきましては、名義書換代理人に関する制度を、いわば商法の一般規定の前に施行して頂きたい。そうして名義書換代理人を作るに当つて必要な規定だけがこの法律に盛られておるわけでございます。従いまして商法の施行におきまして、今の登録機関に関する制度或いは登録機関を免許制度にするとか、或いは登録制度にするとか、そういつた監督が必要があるという場合には、別途の法律を以てなされるであろうという、そういう意味でここにこの法律に提案いたしましたのは、先程お話し申し上げました名義書換の急速に行われることの必要性ということに直接に伴います問題だけに、この法案としては限定されておる次第でございます。
#100
○松井道夫君 私はよく只今の御説明の趣旨は分るのでありまするが、ただ私はこういう法案は、これやはり商法改正の一つの準備的のものであるという意味でも相当理由があると思うのであります。何ら商法の改正がなされておらない。それにこういうものを出すということでも、それは必要があれば結構なんでありますが、商法の改正が行われておつて、そこに名義書換代理人という新らしい制度が示唆されておる。商法の施行を待つてそういうものを作るのでは、実際その機能を、新商法の機能を十分発揮させるという意味で、十分な働きができない。予めこういつたものができて或る程度習熟いたせば、商法の新らしい改正の趣旨も生きて来るという意味合におきまして、これは準備的の意味合をここに認め得ると思うので、その点においても非常に意義があると思うのであります。ただ望蜀の感に堪えないのは、今の登録機関でありまするが、これが商法の改正ができて、これまで何ら登録機関のようなものができておらない。さて登録機関というものが規定されたけれども、結局新商法施行の切替のごたごたに取紛れて、結局登録機関というものは法律に規定されたけれども、さつぱり実際の用には供されないというようなことも考えられるわけです。折角名義書換代理人というものを法律で作つて、この商法改正の実施についての準備的の意味においても意義があるというならば、この登録機関についても同じく研究いたしまして、今のうちにそういつたものを作つて置くということでありますれば、商法の改正もその点に関する限り非常に意義があると、そういうふうにも考えられておるのでございます。一体提案者といたしましては、商法改正に対する準備的の機能、意義というものを少しもこの法案にお認めになつておらないのであるかどうかということをお伺いいたします。
#101
○政府委員(吉田信邦君) 勿論この規定は商法の実施というものと合わさつて考えておるのでございまして、商法において名義書換代理人制度をお設けになるということに伴いまして、先程申上げました特殊な事情から申しましても、これは何よりも結構なことである。そしてそれを可及的速かに実現が図り得るようにいたしたいという趣旨で、特にこの名義書換代理人の問題だけについて取上げまして、今大蔵省といたしましてこういう提案をいたしたような次第でございまして、株式の登録機関の問題につきましては、今の名義書換代理人の問題程時期的な切実さがございませんので、今回その分については取止めた次第でございます。
#102
○委員長(伊藤修君) 登録機関については授権利度、無額面発行という商法の基本的な大きな改正から来る一つの裏付となるのですね。登録機関は重要なものだと我々は考えるのですが、先ずその登録機関を確立して、それとこれと牽連を持つておるところのその名義書換の登録機関を持つべきではないか、こういうふうに考えるわけですが又本法においても所々にそういうことを引用しておるように見えますが、そういうお考えはないのでしようかね。
#103
○政府委員(吉田信邦君) 時期的に授権資本制が実施されるときの問題ではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。名義書換の方は商法の施行の時期よりも先に取出してやつて頂きたいというところで、この登録機関の規定も先走つて御提案申上げたというような形になつております。勿論その意味で登録機関についての……
#104
○委員長(伊藤修君) だから本法には結局改正商法と食違うところもありますね。
#105
○政府委員(吉田信邦君) 若干ございます。
#106
○委員長(伊藤修君) 一体株式名義書換を代行する場合において相当数の株式が集まると思いますね。或いは何億という株式が集まつて来ると思いますがね。そういう信託を受ける会社が百万円やそこらで一体その信託に堪えるですかね。
#107
○政府委員(吉田信邦君) その点はこの法律上の資格の制限といたしましては、最低限でございまして、場合によりましては数社の分だけしか取扱わないというような代理人もあり得べきでございまして、多数の大会社の株を扱うというものもあり得べきであります。その意味におきまして、最低限を限つた、殊に銀行、信託会社等に対する法律上の諸制限というものとの関係から見まして、この程度が適当じやなかろうかというふうに考えた次第であります。
#108
○委員長(伊藤修君) どうも我々としては、その信託に堪えないと思いますね。百万円と言つたところが昔の一万円ですから。一万円でそれだけの大きな信託に堪えないと思いますがね。一体この代理機関はどこにでも設けるという考え方ですか。それともいわゆる証券取引所がある所、八地方だけ設けるという考え方ですか。
#109
○政府委員(吉田信邦君) 法律的には無制限でございます。併し実質的には証券取引所がある所に開くのが大部分じやなかろうか、外の所では殆んど実際の用をなさないのじやなかろうかと考えております。
#110
○委員長(伊藤修君) して見ますればそういうことから考えますれば、そういう所に、大きな信用あるところの代理業を認可することがふさわしいのじやないか。そうすれば数会社をやはり一括して受ける。又株主も便利、証券会社も便利、一般大衆も便利でないかと思いますね。
#111
○政府委員(吉田信邦君) そういう意味から申しまして、銀行、或いは信託会社というようなものが中心になることが一番望ましい、差当りとしては望ましい……
#112
○委員長(伊藤修君) そうすれば一、二の会社を目標としたところが、百万円くらいの会社を認めるということは、この制度の信用、若しくは将来の発達の上から考えて余り望ましいことじやないですか。
#113
○政府委員(吉田信邦君) その点につきましては、現在銀行法では、やはり資本金百万以上の株式会社ということで……
#114
○委員長(伊藤修君) それは当然改めなくちやならん。
#115
○政府委員(吉田信邦君) そういつた関係がありますので、まあ他の銀行法に一応肩を並べたというような意味でございます。
#116
○委員長(伊藤修君) それはあなたの方の手落ちで、銀行法を改めないからそういうことになつているので、罰金でも、昔の罰金と今の罰金と変つておるから、やはり新らしくできる法律は新らしい経済観念の下に立脚して御立案になることがふさわしいのじやないかな。罰金が昔一円だからといつて、今度できる法律も一円にする必要もないのですから、商法でも、御承知の通り、刑罰の点において相当額を変更しているんですからね。
 ではこの程度にいたしまして、質疑を続行することにいたします。尚資料を一つお出しを願いたいと思います。
 では次回は月曜の午前十時開会することにいたします。本日はこれを以て散会いたします。
   午後四時四十五分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     伊藤  修君
   理事
           岡部  常君
           宮城タマヨ君
   委員
           大野 幸一君
           小林 英三君
           遠山 丙市君
           松井 道夫君
  衆議院議員    北川 定務君
  政府委員
   法務政務次官  牧野 寛索君
   検     事
   (法制意見第一
   局長)     野木 新一君
   検     事
   (民事局長)  村上 朝一君
   大蔵事務官
   (理財局長)  伊原  隆君
   大蔵事務官
   (理財局経済課
   長)      吉田 信邦君
  衆議院事務局側
   常任委員会専門
   員       村  教三君
  説明員
   最高裁判所長官
   代理者
   (事務総局民事
   局長)     關根 小郷君
ソース: 国立国会図書館
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