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1979/04/18 第91回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第091回国会 本会議 第19号
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1979/04/18 第91回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第091回国会 本会議 第19号

#1
第091回国会 本会議 第19号
昭和五十五年四月十八日(金曜日)
    ―――――――――――――
議事日程 第十六号
 昭和五十五年四月十八日
    午後一時開議
第一 郵政省設置法の一部を改正する法律案
   (内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 郵政省設置法の一部を改正する法律
  案(内閣提出)
 農林水産省設置法の一部を改正する法律案(内
  閣提出)
 明日香村における歴史的風土の保存及び生活環
  境の整備等に関する特別措置法案(内閣提出)
 日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案(内閣
  提出)の趣旨説明及び質疑
    午後一時四分開議
#2
○議長(灘尾弘吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○玉沢徳一郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、日程第一とともに、内閣提出、農林水産省設置法の一部を改正する法律案を追加して、両案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#4
○議長(灘尾弘吉君) 玉沢徳一郎君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
    ―――――――――――――
 日程第一 郵政省設置法の一部を改正する法
  律案(内閣提出)
 農林水産省設置法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
#6
○議長(灘尾弘吉君) 日程第一、郵政省設置法の一部を改正する法律案、農林水産省設置法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。内閣委員長木野晴夫君。
    ―――――――――――――
    〔木野晴夫君登壇〕
#7
○木野晴夫君 ただいま議題となりました二法案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、郵政省設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、電気通信行政の充実を図るため、大臣官房の電気通信監理官を廃止して、電気通信政策局及び同局次長を設置するとともに、経理局を大臣官房経理部に改組しようとするものであります。
 本案は、一月二十九日本委員会に付託され、二月十四日提案理由の説明を聴取、審査を行い、四月十七日質疑を終了、討論の後、採決の結果、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案に対し、附帯決議が付されました。
 次に、農林水産省設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、最近における生糸検査の業務量の減少にかんがみ、生糸検査所を農林規格検査所に吸収統合するとともに、同規格検査所の所掌事務に関する規定の整備等を行おうとするものであります。
 本案は、二月十九日本委員会に付託され、三月二十五日提案理由の説明を聴取、審査を行い、本日質疑を終了、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(灘尾弘吉君) これより採決に入ります。
 まず、日程第一につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#9
○議長(灘尾弘吉君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
 次に、農林水産省設置法の一部を改正する法律案につき採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
#11
○玉沢徳一郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、内閣提出、明日香村における歴史的風土の保存及び生活環境の整備等に関する特別措置法案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#12
○議長(灘尾弘吉君) 玉沢徳一郎君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
    ―――――――――――――
 明日香村における歴史的風土の保存及び生活
  環境の整備等に関する特別措置法案(内閣
  提出)
#14
○議長(灘尾弘吉君) 明日香村における歴史的風土の保存及び生活環境の整備等に関する特別措置法案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。建設委員長北側義一君。
    ―――――――――――――
    〔北側義一君登壇〕
#15
○北側義一君 ただいま議題となりました明日香村における歴史的風土の保存及び生活環境の整備等に関する特別措置法案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、明日香村の全域にわたって、わが国の律令国家体制が初めて形成された時代における政治及び文化の中心的な地域であったことをしのばせる歴史的風土が良好に維持されていることにかんがみ、住民の理解と協力のもとにこれを保存するため、古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法の特例及び国等において講ずべき特別の措置を定めようとするものでありますが、その主な内容は、内閣総理大臣が定める明日香村歴史的風土保存計画に基づいて、奈良県知事は村の区域を区分して、都市計画に第一種歴史的風土保存地区及び第二種歴史的風土保存地区を定め、それぞれの地区に応じて、歴史的風土の保存を図り、また、奈良県知事は、明日香村における生活環境及び産業基盤の整備等に関する計画を作成し、内閣総理大臣に承認の申請をすることができることとし、本計画に基づき、明日香村が昭和五十五年度から昭和六十四年度までの各年度に国から負担金等の交付を受けて行う事業については、国は財政上特別の助成を行い、地方債についても特別の配慮を行うほか、明日香村が明日香村整備基金を設ける場合には、国は二十四億円を限度として、必要な資金の一部を補助するものとしております。
 本案は、去る二月七日本委員会に付託され、同二十二日総理府総務長官より提案理由の説明を聴取、以来、明日香村に委員派遣を行い実情を視察したほか、参考人より意見聴取を行う等、慎重に審査し、四月九日質疑を終了いたしました。
 なお、本法案と憲法第九十五条の特別法と住民投票との関係について、四月九日には内閣法制局長官より、また、本十八日には衆議院法制局長より、それぞれ意見を聴取しました。
 本日、本案に対し、委員長より第一条に関する修正案を提出し、採決の結果、全会一致をもつて、修正案のとおり修正議決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対し、七項目より成る附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#16
○議長(灘尾弘吉君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
     ――――◇―――――
 日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案(内閣提出)の趣旨説明
#18
○議長(灘尾弘吉君) この際、内閣提出、日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案について、趣旨の説明を求めます。運輸大臣地崎宇三郎君。
    〔国務大臣地崎宇三郎君登壇〕
#19
○国務大臣(地崎宇三郎君) 日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 国鉄は、これまでわが国の基幹的交通機関としての機能を果たしてまいりましたが、その累積赤字は昭和五十四年度末において六兆円を超えるものと見込まれ、このままに推移すれば将来巨額な国民負担となることは明らかであり、わが国の交通体系における国鉄の枢要な機能を今後とも維持させるためにも、国鉄の経営の再建が緊急の国民的課題となっております。
 このため、政府といたしましては、昨年十二月日本国有鉄道の再建についての閣議了解を行い、国民及び利用者の深い理解と協力のもとに、国鉄の再建を図るため、国及び国鉄が当面緊急に実施すべき対策を決定したところであります。
 この閣議了解におきましては、国鉄は、地方交通線対策を含む経営の重点化、減量化、業務運営全般の効率化、機構、組織の簡素化等の推進によって、昭和六十年度に職員三十五万人体制を実現することを中心とする徹底した経営改善を実施することとするとともに、国は、このような国鉄自身の経営改善努力を前提として、国鉄の経営努力のみでは解決しがたい、いわゆる構造的問題を中心に債務のたな上げ等所要の行財政上の措置を講ずることとしており、このような国及び国鉄の対策を総合的に実施することにより、昭和六十年度までに国鉄の健全経営の基盤を確立し、可及的速やかに収支均衡の実現を図ることといたしております。
 本法律案は、この閣議了解の考え方に基づいて、国鉄の再建を促進するためにとるべき特別の措置を定めるものであります。
 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 第一に、この法律の趣旨は、わが国における基幹的交通機関である国鉄の経営の再建を促進するためにとるべき特別の措置を定めることとするもので、国鉄の経営の再建の目標を、昭和六十年度までにその経営の健全性を確保するための基盤を確立し、引き続き、速やかにその事業の収支の均衡の回復を図ることに置くこととするとともに、その目標を達成するための国鉄及び国の責務を明らかにしております。
 第二に、国鉄の経営の再建のための措置の確実な実施を期するため、国鉄に経営改善計画を作成させ、毎事業年度その実施状況を検討させることとするとともに、その経営の再建の促進に関する監査を充実するため、国鉄の監査委員会の委員を一人増員することとしております。
 第三に、国鉄の鉄道の営業線のうち地方交通線に関しては、関係行政機関等による特定地方交通線対策協議会を組織し、特定地方交通線を廃止する場合に必要となる輸送の確保について協議させることとすること、地方交通線の貸し付け及び譲渡の道を開くこととすること等、地域における輸送の確保に配慮しつつ、バスまたは地方鉄道へ転換するための措置を講ずることとするとともに、地方交通線の運賃設定に当たり、物価安定等に配慮しつつ、収支改善のために特別の配意を払うこととするほか、日本鉄道建設公団の業務として、地方鉄道新線の建設を行うことができることとする等の措置を定めております。
 第四に、国鉄に対する援助措置の強化を図るため、昭和五十四年度末の債務のうち五兆五百九十九億円の債務についてたな上げを行うとともに、たな上げされた債権に係る償還資金の無利子貸し付け及び利子補給を行うことができることとするほか、地方交通線に係る補助の規定を設ける等、国の財政措置に関する規定を整備することとしております。
 第五に、以上の措置を実施するために必要な関係法律の規定の整備を行うこととしております。
 以上がこの法律案の趣旨でございます。
     ――――◇―――――
 日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#20
○議長(灘尾弘吉君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。新盛辰雄君。
    〔新盛辰雄君登壇〕
#21
○新盛辰雄君 長い国鉄の歴史の中で、未曽有の危機的状況に陥り、最大なる試練と転換期を迎えたわが国の基幹的輸送機関である国鉄再建の問題について、ただいま議題となりました日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案に対し、私は、日本社会党を代表し、大平総理並びに関係各大臣に対し、質問を行うものであります。(拍手)
 今回の提案は、過去幾度かの再建手段の失敗にもかかわらず、国鉄経営基盤確立のため、相変わらず財政収支の均衡を図ることを目標にしたもので、経営の減量、縮小を図り、そのために要員規模を大幅に削減し、地方交通線の廃止、輸送サービスの切り捨てを中心にしているのであります。
 地域住民の生活路線を無視し、産業、経済の動脈として必要欠くことのできない唯一の足である、国鉄地方交通線約四千キロを国鉄経営から問答無用で切り離し、あるいは国鉄離れに拍車をかける運賃値上げに加えて、地方交通線にはさらに線区別特別運賃制度を導入するなど、利用者追い出しの反国民的な国鉄再建特別法案であることを指摘し、国民の足を守る立場から、強く法案の撤回を求めるものであります。(拍手)
 すでに、地方自治団体各機関からも反対の声は高まり、提案者である与党内部ですら総論賛成、各論反対の異論が出ているではありませんか。
 まさに八〇年代は省エネルギーの時代であります。この時代に最もふさわしい交通手段は、大量輸送機関としての鉄道であることは論をまちません。政府みずから強調する地方の時代や定住圏構想でいくなら、地方交通線の果たす役割りも今後きわめて重要になってくることは明白でありますが、総理の所見をお伺いしたいと思います。
 わが党は、地方での都市集中化と過疎化現象が同時並行的に進行する中で、地方公共交通の運営がますます困難になりつつあることに注目をし、地域住民の足を確保する責任は地方自治体にあるとして、運輸交通に関する権限の一部を地方自治体に移譲すること、県知事の権限で当該地方交通の整備計画を民主的な組織で審議させ、必要な助成は政府が行うなど、効率的な地域交通体系を策定しながら、財政主導の国鉄経営から営業主導の国鉄再建を図るべきだと政府に提言し、国鉄の地方交通線だけではなく、それぞれの地域における私鉄、バス、公共公営交通等を含め、地域における交通を、地域住民の足として有機的に機能できる総合的な交通体系を確立させるため、かねてからその制度確立の提案をしてまいりましたが、昭和五十三年十月、衆議院運輸委員会において、与野党一致で地方陸上公共交通維持整備に関する件を決議し、政府はその制度法制化に取り組むことを公式に約束しながら、いまだに決議を履行せず、法制化しないことは、国会軽視もはなはだしい行為であり、怠慢であると言わざるを得ません。(拍手)
 運輸省の持つ権限の一部を地方に移譲することを拒んでいる運輸官僚の抵抗があるとするならば、地方分権への新しい地方の時代を否定する官僚独善のそしりを免れません。総理並びに関係大臣の御答弁をいただきたいのであります。
 国鉄の再建対策は、これまで形骸化した古い独立採算制の枠の中で国鉄経営を維持してきた国鉄機構にあります。今日、モータリゼーションの急速な進展など、社会的、経済的変動による輸送需要の低下で、輸送コストの上昇や競合輸送秩序の混迷もあって経営は悪化し、その維持は困難になる中で、国鉄が国民経済に寄与する機能を十分発揮できるには、国の政策責任と国鉄経営責任を明確にし、かつ、その費用区分を公正にすることであります。
 従来の経営仕組みのもとで発生した構造的欠損は、明らかに政府の責任であると言わざるを得ません。国鉄再建への基本姿勢について、総理の率直な所見をお伺いしたいと思います。(拍手)
 国の基幹的輸送機関としての機能を果たしていくためには、国鉄、航空機、自動車、船舶等の他の輸送機関との調整を図り、個々の特性に応じた輸送分野を明らかにする長期的総合交通政策が必要であります。昨年十二月二十九日決められた日本国有鉄道の再建についての閣議了解事項に言う交通運輸政策の展開と、先般運輸政策審議会に諮問した今後の総合交通政策とはいかなる関連によるものか、あわせて総理及び関係大臣の答弁を願う次第であります。
 国鉄新線建設の歴史は政治家介入の歴史でもありました。地方路線建設や新幹線建設問題は、その対応いかんによっては、将来国民に大きなツケが回ってくると同時に、国鉄経営赤字に拍車をかけることになりかねません。
 鉄道敷設法によって国鉄が経営する前提で、これまで新線建設を鉄道建設公団に建設させてきましたが、これからは地方鉄道業者や第三セクターからの要求があれば新線建設が可能となっており、特にAB線に類するものが無償譲渡を簡単に行えることになれば、容易に政治路線が政治的思惑で建設されることは、地域的交通体系が無視され、資源、資金の浪費につながるもので、われわれのとらざるところであります。
 総花的鉄道敷設法による予定線掲載別表の新線建設をやめ、改めて地域の交通体系確立と国鉄輸送改善に役立たせる新線を重点的に整備し、交通体系上必要なものに対しては集中的に予算と技術を投入すべきであります。
 この法律案では、依然として政治路線建設の道をたどるばかりか、拡大の危険すらあります。採算のとれない新線建設及び新幹線建設と地方交通線廃止の矛盾について、政府はいかなる見解を持っているのか、伺いたいのであります。(拍手)
 わが党は、国鉄が負担をしている公共割引についてその負担区分を明確にすべきだとして、政策的割引については、その費用を政策責任者において負担すべきであることを主張してまいりました。政府は、国鉄経営再建のあり方の中で、公共負担軽減対策を関係省庁間で早急に検討を進めることにしているが、これまで何らの改善も見られず、いまだに本格的取り組みをするに至っていない。いまここに具体的処置を明らかにすべきではないでしょうか。関係大臣の答弁を求めるものであります。
 次に、総合的な交通体系の確立を具体的に進めるためには、現在、陸海空にわたり個々に進められている各特別会計による整備計画について、これを統合し、総合交通特別会計制度を創立して、これを系統的に行うべきであると考えるが、総理及び関係大臣の御所見をお伺いいたします。
 国鉄の構造的欠損と言われる赤字債務の一部たな上げは、これまでの経緯の中で当面政府の責任で処理することになっているが、総額五兆五百九十九億円のたな上げは、五年据え置き、二十年間元利均等優還の措置をとることになっています。果たして将来にわたって国鉄は償還にたえ得るだろうか。償還見通しについてどのような展望を持っているのか、明らかにされたい。
 また、大きな問題になっている国鉄共済年金は、他の公的年金との比較においても異常な成熟度を示しており、年金財源の安定化のために、成立基盤を共有する共済組合年金制度の統合、一元化など抜本的対策を講ずべきであるし、現在国鉄財政に負担をかけている追加費用について当面処置すべきであると思うが、関係大臣のお答えをお願いいたします。
 国鉄財政悪化の一因は、損益勘定の収支均衡が図れないことであります。すなわち、輸送量と収入の伸びが思うに任せない反面、工事費の調達すべてが借入金に依存していることによります。毎年一兆円を超える工事費は、新幹線など国策的観点からしてその建設費は政府が出資すべきものであります。国鉄の老朽施設構造物の取りかえを初め、在来線の輸送力増強につながる電化複線化、線増強化、安全などの諸工事に力を入れるならば、政府がその半額ぐらいは負担すべきものであると思うのであります。
 最近の国鉄施設の老朽化は、国鉄経営のネックとなり、安全性さえ疑われるまでになっていますが、要員合理化を先行させ、機械化、近代化以前の路盤強化の投資や、橋梁、隧道、軌道強化などがおくれ、計画どおり進まなかったのと、借入金と運賃値上げのみを頼りにした財政主導の国鉄経営によるものであります。
 加えて、新幹線建設などの圧迫もあって、収支の不均衡が生じ、他の輸送機関におくれをとったと言わざるを得ません。しかも、適正な業務量に対する要員需給計画とは理解されない三十五万人体制によって、輸送力増強が図れるわけはありません。
 国鉄の要員構成から見て、年々退職者数は増大をし、後補充は二分の一程度に抑えられ、五年間で七万五千人削減されることは、熟練と経験が重く見られる国鉄の職場では、労働力の質、量において、未熟練者との段差が大きなギャップとなってあらわれ、養成補充のないまま、作業遂行にも支障が出てくるし、人件費圧縮の単なる枠決めは、安全性並びに輸送力の低下を招き、むしろ、国鉄百年余の歴史の終えんに向かってむちうつ結果になることを警告をするものであります。(拍手)
 最後に、今次春闘の中で、公労委における調停作業が難航し、成功しなかった模様でありますが、今後の事態収拾は、仲裁裁定移行を含めどうなるのか、政府の見解を承り、私の質問を終わるものであります。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#22
○内閣総理大臣(大平正芳君) 新盛さんの私に対する御質問の第一は、国鉄再建の基本方針でございます。
 これにつきましては、先ほど運輸大臣からこの法案の趣旨説明で明らかにいたしてありますとおり、基幹的な交通機関として機能してまいりましたけれども、五十四年度末におきまして、六兆円に近い累積赤字を見込まなければならぬような事態に立ち至っております。われわれといたしましては、これまで何回も国鉄再建に努力をしてまいったのでございますけれども、この再建策が実らずに、今日の状況に立ち至っておりますことは、大変残念でございます。
 そこで、今回、この法律を通じまして、まず国鉄の経営の徹底的な合理化を図ることにいたしまして、それを前提といたしまして、国鉄の力だけでは解決しがたい構造的な問題を中心といたしまして、債務のたな上げ等、所要の行財政上の助成を行うことによって、何とか再建の糸口を見つけたいということで、この法案を策定いたした次第でございます。
 それから第二の御質問は、地方の交通政策に対するお尋ねでございました。
 まず、地方交通線の重要性をどう見ておるかという御質問でございますが、地方住民の生活、産業等から申しまして、地方交通線の重要性は政府もよく承知いたしておるところでございます。
 したがって、今度の法律の提案に当たりましても、ただいちずに国鉄の不採算線の整理というところに眼目を置いたのではなくて、これに代替するところの交通機関の整備状況というようなものも十分念頭に置き、かつ地方の公共団体等の意向も伺いながら、この処理に当たろうといたしておりますことは、法律案をお読みいただければ御理解いただけると思うのでございます。
 新盛さんは、さらにその場合、地方交通政策につきましては、地方公共団体あるいは知事に権限を移譲すべきでないかという御質問でございました。
 地域における適切な交通対策の必要性と、これに関連しての地方公共団体の役割りの重要性につきましては、政府もよく承知いたしておるわけでございます。したがって、総合的な観点から、御指摘の点につきましては、十分今後検討してまいりたいと考えております。
 それから第三の問題は、今次のストライキに関連いたしまして、賃金決定に政府が介入したり、あるいは第三者機関の機能がいま発揮できない状態になっておるが、これをどう処理するのかという御質問でございました。
 公共企業体等の賃金紛争、目下、公労委の調停により、その解決が目指されておるところでございますが、政府は、終始これに介入いたしておりませんし、今後も介入するつもりはございません。
 ただ、政府としては、一日も早く公労委がその機能を発揮いたしまして、今回の賃金紛争が早急に処理されることを強く期待いたしておるところでございます。(拍手)
    〔国務大臣竹下登君登壇〕
#23
○国務大臣(竹下登君) 私に対する御質問は六つございます。
 まず、一つは、国鉄の公共負担の問題であります。
 国鉄の実施しております運賃上の各種割引制度につきましては、国鉄財政の危機的状況にかんがみまして、全般的な見直しの必要がありますことから、昨年末の閣議了解におきまして、運賃上の公共負担の軽減対策について、関係省庁において検討を進め、早急に結論を得ることとしまして、これに基づいて所要の措置を講ずることといたしております。今後、この方針に沿って検討が進められることになりますが、財政当局といたしましても、国鉄再建の重要性にかんがみ、関係省庁と十分協議してまいりたい、このように考えております。
 次は、国鉄の公共性から、財政負担、なかんずく市町村納付金等も国が持つべきではないか、こういうことであります。
 市町村納付金が国鉄経営上の負担となっておることは御指摘のとおりであります。特に地方交通線などの場合、国鉄が、地域の交通のため大幅な赤字経営に耐えながら、他方で市町村納付金も納付しなくてはならない事情になっておることは、確かに検討を要する問題の一つであります。
 しかしながら、国におきましては、厳しい財政事情にもかかわらず、国鉄に対しましては、五十五年度予算においてすでに六千八百六億円という多額の助成を行っております。そこで、この上さらに市町村納付金を国が肩がわりするということは困難であるとお答えをせざるを得ない状態であります。
 次に、陸上交通輸送関係についての特別会計制度等についての御言及がありました。
 国鉄も含めた総合交通政策の推進の観点からいたしまして、五十五年度におきましては、五十四年度に引き続き、陸上公共輸送整備特別会計構想が政府部内で検討されてきたということは事実であります。
 しかし、同構想につきましては、特別会計になじむか否か等の問題がありまして、結論から申しますと、これは見送りとなりました。
 その一つは、自動車重量税の引き上げによる増収分を特定財源として、一般財源とあわせて地域公共輸送の維持整備のための歳出に充てるという構想でありますが、この税を特定財源として鉄道等の整備等に充当する理論的根拠、すなわち受益と負担との関係、これが必ずしも説得力がなかったという点が一点であります。
 いま一つは、特別会計につきましては、御案内のとおり、財政法第十三条で「特定の歳入を以て特定の歳出に充て一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合に限り」設置を認めることとする要件に該当するのかどうか、これが第二の問題点であります。
 そこで、これに対しましては、与党の税制改正大綱等におきましても、引き続き検討をすべし、こうなっておりますので、私どもも引き続き検討する課題であると考えております。
 次に、国鉄共済の財政問題についてお触れになりました。
 御指摘のとおり、国鉄共済の年金財政が困難な状況にあることは十分承知をいたしております。
 国鉄共済に限らず、いずれの年金制度におきましても、人口の高齢化に伴って、今後、年金財政事情が苦しくなっていくことが避けられないという考えは一致するところであります。このためには、給付費の節約に工夫をこらしますとともに、年金財政基盤の安定化を図るための各種共済年金の統合を行うというのも一つの方法であるとは考えられます。しかし、三公社の共済組合と国家公務員等の共済組合を統合することにつきましては、公企体共済と国家公務員共済の給付内容の相違などをどのように調整していくか、あるいは統合による年金財政はどうなるか等、幅広い検討が必要であります。
 そこで、このため、国鉄共済年金問題も含めまして、今後の共済年金制度のあり方の基本的諸問題につきまして御審議を願うための研究会、これを設けることとしております。この御意見等を十分に参考にしながら、真剣にこれに取り組んでまいりたいと考えておるところであります。
 次に、国鉄経営再建への財政当局の対応についての御質問であります。
 国鉄自身のまず徹底した経営合理化が肝要であります。昨年末の閣議了解においては、要員の削減、地方交通線の合理化等の経営改善措置を前提として、国鉄の経営努力のみでは解決しがたいいわゆる構造的問題等を中心に、過去債務のたな上げ等の行財政上の措置を講ずることといたしております。
 五十五年度予算では、上記閣議了解に基づきまして、総額六千八百六億円の国鉄助成費を計上いたしました。一般歳出の伸び率をはるかに上回るものであります。
 いずれにしても、国鉄の経営再建のためには、何よりも国鉄自身の徹底した合理化が肝要であります。国鉄労使の自己努力と協調によって再建が軌道に乗ることを期待しております。財政当局としても、厳しい財政事情ではございますが、閣議了解の線に沿った助成を行うことにより国鉄の合理化を支援してまいる、このような考え方であります。
 最後に、人員削減等についての、御意見を交えての御質問でありました。
 先ほども申しましたように、国鉄自身の徹底した経営合理化が肝要でありますが、特に、国鉄の要員につきましては、昨年末の閣議了解において、経営の重点化、減量化によって、昭和六十年度に職員三十五万人体制を実現する、このようになっております。
 この三十五万人体制につきましては、経営の重点化、減量化の見地から、国鉄自身が再建の基本構想における前提として打ち出されたものでありまして、財政当局といたしましても、とのことを尊重してまいる考えであります。
 このような要員削減措置を講じた後の国鉄の人員配置のあり方、当然、国鉄の経営ないし営業を最も効率的に遂行し得るよう適切に配慮される必要がある、このように考えております。
 以上、六点をお答え申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣地崎宇三郎君登壇〕
#24
○国務大臣(地崎宇三郎君) 国鉄の経営は財政主導型で行われているが、営業本位に改めるべきではないかという点でございますが、国鉄経営のあり方につきましては、国鉄をして今後とも国の基幹的輸送機関としての機能を果たさせるため、その経営の健全性を速やかに回復することが求められております。
 この観点から国鉄は、都市間旅客輸送等、鉄道特性が発揮でき得る分野に経営を重点化し、その他の鉄道特性が発揮しがたい分野については、効率的な輸送体系を形成する観点から減量化対策を講ずることとし――とも実現をしていかなければならないものと考えているのであります。
 五十三年十月、運輸委員会において決議された地方陸上公共交通の維持整備に関する件は、どのように進めておられるかという御質問でございますが、決議の趣旨は、モータリゼーションの進展等により経営が困難になっている地方のバス、鉄道等の維持整備を図ることといたしておるのであります。
 この点については、従来から地方のバス、鉄道に対し、所要の助成を行って、その維持整備を図ってきておるところであります。五十五年度予算においても所要の金額を計上しており、今後とも引き続きその充実に努めていく考えであります。
 また、地域の交通計画についても、陸運局が中心となり、関係地方公共団体等の協力を得ながら策定するよう準備を進めてまいりたいと存じます。
 省エネルギーや定住圏構想の推進の観点から、大量輸送機関としての鉄道の役割りをもっと重視すべきではないかという御質問でございますが、鉄道は一般的には大量輸送機関としてエネルギー効率等の面ですぐれている点が多いわけでありますが、輸送量が著しく少ない場合においては、必ずしもすぐれているとは言えないのであります。
 運輸省としましては、この点を考慮し、鉄道特性の発揮し得る都市間旅客輸送、大都市圏旅客輸送及び大量定型貨物輸送の分野を中心に、鉄道がその役割りを果たしていくように、所要の施策を講じてまいりたいと考えておるわけでございます。
 国鉄の公共負担については、各政策責任官庁が負担すべきと思うがどうか、また、この問題について関係省庁間における検討はどうなっているかという御質問でございますが、ただいま大蔵大臣からもお答え申し上げましたように、国鉄の公共負担問題については、昭和五十一年衆参運輸委員会において、政策実施部門が負担するように努力すべきであるとの御決議がございます。五十三年六月には、国鉄運賃の各種割引制度に関する関係閣僚会議を開催し、また、五十三年八月及び五十四年八月には、予算の概算――負担の軽減対策について関係省庁において検討を進め、早急に結論を得ることとし、これに基づき所要の措置を講ずることといたしております。
 今後は、この方針にのっとり早急に結論を得るように努力する所存であり、近々関係省庁の担当者による検討会議を設ける予定であり、そこでの検討結果を踏まえて適切に対処してまいりたいと考えております。
 今回たな上げされる国鉄の債務は償還できる見通しがあるかとのことでありますが、五十五年度予算では、五十一年度にたな上げされました特定債務に、新たに五十四年度における累積債務の一部に相当する債務を加え、五兆五百九十九億円の過去債務について、いわゆるたな上げを行うこととしておりますが、その償還については、関連事業収入等の今後の増加の見通しから見て、十分可能であると考えております。
 三十五万人体制は人件費を減らす単なる帳じり合わせのために行おうとしていると考えるが、輸送力の増強等による業務量に応じた適正な要員需給計画に基づいて行うべきではないかという御質問でございますが、三十五万人体制については、国鉄は、本法に基づいて新たな経営改善計画を策定するとしております。その前提として、輸送需要に適合した輸送力のあり方を総合的に勘案し、適正な定員規模として六十年度三十五万人体制を決めたところであり、単なる帳じり合わせのために行おうとしているものではないことを御理解いただきたいと存じます。
 赤字ローカル線の廃止と赤字要因につながる新線建設の関係はどう考えているか云々という御質問でございますが、新線の建設に当たりましても、既設の路線の扱いと同様の方針で臨むこととしております。輸送需要が少ない等、バス輸送への転換が望ましい路線については、第三セクター等国鉄以外の者が鉄道の運営を引き受けることが確認できた場合に限って工事を継続することといたしたいと考えております。
 なお、第三セクター等のための鉄道建設に当たっては、御指摘のような批判を受けることのないように建設の必要性について慎重に判断をしてまいりたいと存じます。
 輸送需要を増加させるためには、国鉄在来線の電化、複線化等の施設の整備を進めるべきではないかという御質問でございますが、国鉄の設備投資については、投資に伴う資本費の増加が経営圧迫要因となっている現状からすれば、極力これを圧縮する必要があり、電化、複線化等の施設整備に当たっては、輸送需要の動向、地域の開発状況等十分勘案をし、投資の効率性を慎重に行ってまいりたいと存じます。
 国鉄経営の悪化は、借入金依存と運賃値上げによる客離れによるものであるから、経営再建のためには、輸送力増強のために必要な投資についてはどうかという御質問でございますが、もっと政府が助成すべきではないかということでありますが、国鉄経営悪化の主たる原因は、経費増に対応して適時適切な運賃改定を実施できなかったこと、経済、社会構造の変化に伴う輸送構造の変革に対して、国鉄自体が適切に対応し得なかったこと等であります。
 そのような観点から、国鉄の設備投資については、必要なものは今後行っていかなければならないわけですが、投資に伴う資本費の増加を減少させるために、設備投資は極力圧縮し、当面、現状程度の規模に抑制してまいる所存でございます。ただし、大都市における通勤、通学輸送の増強等社会的要請に基づき、企業採算を超えてなお実施しなければならない投資等については、今後とも負担軽減のための助成を行っていく方針であります。
    〔国務大臣正示啓次郎君登壇〕
#25
○国務大臣(正示啓次郎君) 総合交通体系につきましての御質問にお答えいたします。
 昭和四十六年十二月に臨時総合交通問題閣僚協議会を設置いたしまして、この協議会におきまして、政府の基本的な総合交通体系に関する方針を取りまとめまして、今日までこの基本方針に従って交通政策を推進してきたことは御承知のとおりでございます。
 この方針につきましては、現在も基本的にはこれはそのまま適用していって差し支えないと考えておりますが、最近における資源エネルギー情勢等経済、社会情勢にかなりの変化が見られますので、右の方針に関して修正を要する点があるかどうか、現在、関係省庁に御検討を願っているところであります。
 運輸省におきましては、本年四月一日に運輸政策審議会に対しまして、長期展望に基づく総合的な交通政策の基本方向について諮問がなされたと承知しております。したがって、これらの結果をいただきました段階で、新しい事態を踏まえまして新しい基本政策を確立したい、かように考えておることをお答え申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#26
○議長(灘尾弘吉君) 長田武士君。
    〔長田武士君登壇〕
#27
○長田武士君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま運輸大臣より趣旨説明がありました日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案について、総理並びに関係大臣に対し質問をいたします。
 質問の第一は、今回の国鉄再建計画によって、国鉄の経営の立て直しが本当に可能であるかどうか、その点であります。
 国鉄が赤字に転落し、その再建が叫ばれてからすでに十七年を経過いたしております。その間、国鉄再建計画は実に四次にわたって作成され、そのことごとくが目的を達成せず、瓦解していることは周知のとおりであります。
    〔議長退席、副議長着席〕
第五次に相当する今回の再建計画も、これまでの計画と同様、目的を達せず破綻に終わるおそれがきわめて大きいのであります。
 計画が瓦解した後、そこに残されたものは何であったか。それは莫大な赤字と運賃値上げによる国民の負担増であり、利用者の国鉄離れ、交通サービスの低下でありました。まさに「汽車は出ていく、赤字が残る」というのがこれまでの国鉄再建計画であったと申せましょう。
 今回、政府は、本法案に基づく再建計画によって、六十年度までに国鉄の収支均衡を図るとしておりますが、果たしてそれは可能でありましょうか、総理の確信のほどをお尋ねをいたします。
 過去四回にわたる再建計画は、そのことごとくが計画の初期の段階で挫折し、破綻してしまったわけでありますが、この計画破綻に対し、政府の責任が明確になっておりません。今回もその轍を繰り返すおそれを抱かざるを得ませんが、過去のこのような破綻に対し、政府はいかなる責任を感じておられるのか、総理の答弁を求めるものであります。
 次に、これまでの再建計画が破綻した原因と総合交通政策の関連についてお尋ねをいたします。
 計画破綻の原因の一つには、政府及び行政当局の、国鉄の役割りあるいはその性格、位置づけについての明確な政策、また、他の交通機関との輸送分野の調整や交通資本の投資に対する整合性をどうすべきかという総合的な交通政策の欠如にあると指摘せざるを得ません。
 それというのも、国鉄がモータリゼーションの急激な発展に対応できず輸送力を急激に低下させたのも、また、国鉄の近代化に必要な投資と適正な助成を怠ったのも、もとはといえば、政府並びに行政当局が総合的な交通政策、また、そうした視点からの対策が欠けていたからであります。そのため、従来の再建計画はいずれも対症療法的な域を出ず、その結果として、国鉄財政の改善はおろか、かえって今日の莫大な赤字が生まれているのであります。その意味から、国鉄財政を今日に至らしめた歴代政府と行政当局の責任はきわめて重大であります。
 そこで、総理並びに運輸大臣及び経企庁長官にお尋ねをいたします。
 今回の再建案も総合交通政策的な視野に立った再建案とは申せません。幸い、私どもが長い間提案してまいりました総合交通政策の見通しも出てきているようでありますので、総合交通政策をいつごろまでに作成されるのか、また、今回の国鉄再建計画を、その策定をまって改めて総合交通政策的視野から見直す考えはないのか、明確な御答弁を賜りたいのであります。
 次に、政府の助成措置について、総理並びに大蔵大臣にお尋ねをいたします。
 過去十数年間、国鉄に対する国の助成措置は、再建計画が作成されるそのたびにネコの目のように変わり、一貫した施策がとられておりません。それは、あるときは利子補給の拡大、あるときは個別の助成金の拡大、またあるときは政府出資というぐあいで、この間には全く整合性がなく、とうてい国民が納得できるものではありません。わが党は、国の助成のあり方について、出資、助成、利子補給の三つの柱を立て、その整合性を図りながら、しかも国鉄再建に対する政府の責任範囲を明確にすべきだと考えますが、総理の所見を伺いたいのであります。(拍手)
 なかんずく、東北、上越両新幹線、青函トンネル等については、国鉄の経営責任とは分離した、より明確な政府の財政上の責任を明らかにすべきであると思いますが、あわせて答弁を求めるものであります。
 続いて、大蔵、運輸両大臣に伺います。
 国鉄財政の悪化の要因の一つに、投資財源のほとんどを借入金に依存している点が挙げられます。国鉄が交通機関の中で独占的シェアを占めていた時代はともかく、今日では国鉄の人的、物的輸送シェアは、他の交通機関の充実によって極端に減少いたしております。しかし、省エネルギーの立場から再度国鉄の立場を見直す必要が出ていることも事実であり、特に人的輸送機関としての必要性は今日でも無視できません。そこには将来ともにかなり大規模な投資が必要とされております。
 ところが、この設備投資ははとんど借入金によって賄われているため、五十四年度の長期債務残は十兆一千六百四十一億円に達し、その支払い利息は五十五年度で八千三百六十六億円の巨額に達しております。なお、このままでは、さらに昭和六十年度における長期債務は二十兆円を超えることが予想され、その支払い利息だけでも一兆数千億円もしくは二兆円に近いものが予測されるわけであります。したがって、現在の方法の延長線では、国鉄の財政悪化が緩和されるとはとても考えられないのであります。
 投資に対する基本的方向は、利子補給とともに国鉄に対する政府の直接投資が必要なはずであります。道路には特定財源を充てて投資の拡大を図り、一方国鉄は借り入れを基本とするようなことでは、輸送機関としてのシェアはますます自動車に偏り、国鉄への経営悪化要因にはね返ってくることは火を見るよりも明らかではありませんか。この問題に関し両大臣の所信を求めます。
 同時に、施設整備のための工事費は借入金に依存すべき部分が大きいために、国鉄は全体の財政規模に制約され、安全性確保のための先行投資を減額せざるを得ず、将来の安全性が危険にさらされていることは政府の重大な責任であると言わざるを得ません。
 たとえば、国鉄の橋梁、トンネルなどの土木施設は、明治、大正、昭和の初期につくられたものであり、その老朽化は絶対に看過できない問題であります。すなわち、四十年から五十年の耐用年数を経過した橋梁は五一%、三十年から六十年を経過したトンネルは四三%となっており、最近この比率は急激にふえ、数理的に安全性の悪化を物語っております。そのため、国鉄は、全国二百五十カ所で徐行運転を行っておるとさえ指摘されておるわけであります。安全性を第一の使命とすべき交通機関が、その責任を財政上の理由によって放置しているこの事実は、厳しく糾弾されなくてはなりません。
 この改修工事にかかる費用は、年間総工費約一兆円のうち五千億円程度が必要とされていますが、現在は三千億円程度にとどまっていることから、安全性は財政上の問題から後回しとされ、財政支出のあり方が適切でないことを証明しており、政府の猛省を促すものであります。この点についても明確なる答弁を求めます。
 次に、国鉄運賃の法定制緩和以降、毎年恒例化しておる運賃値上げについて伺います。
 国鉄運賃は、昭和四十九年からことしまで実に七年連続して値上げされ、特にわが党などの反対を押し切って運賃法定制緩和法案を成立させてからは、値上げは恒例化してしまったのであります。そのため、家族旅行を計画しても、余りにも旅費が高いので計画を断念したという話や、値上がりする通学定期代が教育費負担の二重のおもしになっているという声を多くの利用者から聞きます。こうした利用者の声は、運賃水準がもはや限界に近いことを示していると言わざるを得ません。
 また、法定制緩和以降、国鉄は毎年のコスト上昇をそのまま自動的に運賃にはね返すというきわめて安易な姿勢をとっております。このような経営姿勢は、絶対に改めなければならないのであります。
 いずれにせよ、わが党が法定制緩和法案に反対した際、その反対理由として掲げた利用者負担の増大、安易な国鉄の経営姿勢という弊害がすでにここに顕在化しつつあります。国鉄は、運賃水準の抑制によって利用者負担の軽減を図り、もって利用者の増加を図るべきであります。また、経営の合理化、近代化を促進する厳しい努力を国鉄に求めるためにも、運賃法定制のあり方を改めて見直す必要があると思うのであります。この点について運輸大臣の明確な答弁を求めるものであります。
 次に、本法案の柱の一つである地方交通線対策について伺います。
 地方交通線の赤字解消のために何らかの対策が必要であると思います。しかし、その場合、地域の国土的、風土的な特色、地域の産業振興、そして周辺の住民生活などを十分に考慮し、さらに、対策推進に当たっては、住民の合意を得るよう努めなければならないのは当然であり、第三セクター方式、バス転換等だけではなく、国は責任を持ってその地域の総合的サービスのあり方を明示すべきであります。
 ところが、本法案に示された地方交通線対策は、この点がきわめて不十分であります。かつまた、国鉄が転換もしくは廃止しようとする路線の選定基準は余りにも画一的で、地域の実情を考慮しているとは言えないのであります。また、転換後に生ずるであろう運行経費の赤字をどのようにするかという点についても非常にあいまいであります。
 さらに、看過できない点は、地方交通線に線区別運賃を導入しようとしていることであります。転換後、現在より地域の交通サービスが向上するならともかく、路線によっては、交通サービスが著しく低下するところも多分にあると予測されます。したがって、現在より割り高な運賃を導入すれば、低質のサービスに割り高な運賃という経済原則に反した運賃制度が現出することになるのであります。
 また、割り増し運賃は、利用者の負担を重くし、特に、負担能力の低い通学者、老人等に対する打撃は大きく、福祉の拡大が叫ばれている世論に逆行してまいります。さらに、都市周辺に比較して、現在よりも地域格差を一層拡大することになり、これを容認することはできません。
 運輸大臣、線区別運賃の導入は絶対に避けるべきであり、法案の中からこの点を削除すべきだと思いますが、この点どのようにお考えか、しかと伺いたいのであります。
 最後に、今回の政府の国鉄再建計画は、私が数点にわたって指摘したとおり、きわめて問題点の多い再建計画であります。また、その計画の裏づけとなる本法も同様であります。
 私どもは、国鉄再建のため、今日まで多くの提言と努力を重ねてきたつもりでございます。私たちから見ますと、本法案が成立しても国鉄再建は全く不可能であると考えます。政府の財政措置の方針、国鉄の企業努力の明文化等、国民に納得のできる再建案を改めて作成すべきであることをこの際強く要求いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#28
○内閣総理大臣(大平正芳君) 長田さんの第一の御質問は、今回の国鉄再建計画で、昭和六十年度までに国鉄の収支均衡が図れるかという意味の御質問でございました。
 国鉄は、今回の再建案にのっとりまして、経営の重点化、減量化、効率化、それから適時適切な運賃の改定等、経営の徹底した合理化をいたすことになっております。また、国鉄の力の及ばない構造的な問題につきましては、国家が助成することによってこれを埋めることにいたしておりまして、六十年度までには健全経営の基盤は確立できるものと考えております。
 第二番目の御質問は、過去の国鉄再建計画の破綻に対して、政府はどのように責任を感じておるかという御質問でございました。
 御指摘のように、数次にわたりまして国鉄の再建計画を立て、これを実施に移してまいりましたけれども、残念ながら、経済、社会状況の変化、輸送構造の急激な変化等によりまして、実りある結果を生むに至っていないことははなはだ残念でございます。
 国鉄にとりましては、今回の再建の計画は、その再建にとりまして、いわば最終の機会でもあると存じますので、政府といたしましては全力を挙げて国鉄再建に取り組みまして、その健全な体質を回復しなければならぬと考えております。
 第三の問題でございますが、総合的な交通対策に対する国鉄の位置づけというものをどう考えておるかという御質問でございました。
 この点につきましてはすでに運輸大臣からもお答えがございましたように、国鉄の特性を生かしていかなければなりません。すなわち、その国鉄の特性は大量の輸送、定時の運行、それから安全性というようなものが生かされる交通領域、すなわち、都市間の旅客輸送、大都市圏の旅客輸送、それから大量定型貨物の輸送、そういう分野を中心にいたしまして、国鉄の役割りを総合交通体系の中で見直してまいる必要があろうかと考えております。
 第四の御質問は、国鉄に対する国の助成措置を明確にすべきでないかということでございます。
 今度の再建計画におきまして、たびたび申し上げておりまするように、経営の徹底した改善を前提といたしまして、国鉄の力の及ばないところ、構造的な問題に対する対応策を政府の助成によってやろうといたしておるわけでございます。そういう点につきましては、助成措置の限界というものを明らかにしてあるつもりでございまして、私ども政府といたしましては、精いっぱいの助成をこの再建措置において示したつもりでございまして、これを通じまして再建が緒につくことを期待いたしておるところでございます。(拍手)
    〔国務大臣正示啓次郎君登壇〕
#29
○国務大臣(正示啓次郎君) 長田議員の私に対する御質問で、総合交通政策をいつごろまでにつくれるのか、端的な御質問でございますが、さっき新盛議員にもお答え申し上げましたように、四十六年十二月の関係閣僚会議で取りまとめました方針は、基本的には私どもは、いまも政府全体の方針として、これによって交通政策を進めることができると思っておりますが、問題は、資源エネルギー関係の非常な事情の変化がございますので、先ほども申し上げましたように、関係省庁に対しまして右の方針について再検討の要ありや否や、こういうことをいまお尋ねをしておるところでございます。その線から、運輸省では本年四月一日に運輸政策審議会にお諮りになりまして、ただいまいろいろと運輸省自体のお考えをまとめておられるように承知をいたしております。
 こういうふうにいたしまして政府部内の御意見が出尽くしたところで、私どもとしてもできるだけ昨今の事態に即応した交通政策を確立したい、こういうことでございますので、はっきりといま時日を申し上げることができないのは大変残念だと思っております。(拍手)
    〔国務大臣地崎宇三郎君登壇〕
#30
○国務大臣(地崎宇三郎君) お答え申し上げます。
 総合交通体系の点の御質問でございますが、国鉄再建対策と総合交通政策との関係については、今回の再建対策の中において、今後国鉄が経営の重点を置くべき分野は、都市間旅客輸送、大都市圏旅客輸送及び大量定型貨物輸送の分野であることを明らかにしており、この考え方は総合交通政策が策定される場合にも十分反映されていくものと考えておりますので、整合性は十分確保されるものと考えられるものでございます。
 公共交通機関の優先的整備が社会的に要求されていることを考慮すれば、国鉄の資本勘定への助成、すなわち投資財源への助成を一層強化すべきではないかという御質問でありますが、国鉄の設備投資については、投資に伴う資本費の増加を減少させるためこれを極力圧縮し、当面現状程度の規模に抑制する必要がありますが、このうち大都市における通勤、通学輸送の増強等、社会的要請に基づき、企業採算を超えてなお実施しなければならない投資については、今後とも負担軽減のための助成を行っていく方針であります。
 安全性の問題の御質問でございますが、国鉄の設備投資については、安全対策の強化、老朽施設の取りかえ等の工事に重点を置いて、効率的な投資を行っていく必要があると考えております。
 国の助成についても、現に踏切保安施設整備費補助金あるいは防災事業費補助等、安全対策に係る投資には特に留意をして行っているところであります。
 運賃法定制の御質問でございますが、この点につきましては、国鉄の経営状況は、本年度政府助成前で約一兆五千億円の赤字、六千八百億円を超える巨額の助成を受け入れた後でも、九千億円に迫る欠損が見込まれるのであります。
 このような国鉄の経営状態はきわめて深刻なる事態にありますので、今後とも、国鉄自身の徹底した合理化、それを前提とする国の行財政上の支援に加え、利用者にも運賃改定などの形で負担を求めざるを得ないと考えております。
 国鉄の置かれている厳しい競争市場にあって、適時適切な運賃改定を実施するためには、運賃改定に関する弾力化条項をぜひとも存続させる必要があると考えております。
 地方交通線対策の特別運賃についての御質問でございますが、地方交通線特別運賃の導入については、地方交通線は駅の無人化等合理化に努めておるにもかかわりませず、収支係数が四四五と、幹線に比べましてきわめて高いのであります。その損失は国鉄全体の約三〇%を占め、経営悪化の重大な一因となっており、加えて、最近の幹線の収益力は低下し、地方交通線の欠損を内部補助するだけの余力を持ってないのが現状でございます。
 さらに、全国一律運賃制であることから、大都市部においては私鉄運賃と比べて相当高くなってきていることもある反面、地方の私鉄運賃と比較いたしますと二分の一程度となっているので、運輸省としても、地方交通線について特別運賃を設定し、収支の改善を図るために必要な収入の確保を図っていかなければならないところと考えております。
 法案において廃止の対象となる特定地方交通線の選定基準については政令で定めることとしておりますが、この政令においては、単に輸送密度が少ないというごとのみ基準にするのではなくて、たとえば混雑時の輸送量が一定量以上である路線とか、豪雪のために相当期間交通不能となるような路線等、バス輸送に転換するということが困難である路線については除外をすることを考えております。
 また、特定地方交通線を廃止する場合に必要とするバス事業の運営につきましても、この欠損には、転換後相当一定期間政府が所要の助成を行うこととして、転換後のバス業者の経営の安定を図ることにいたしたいと存ずる次第であります。
 なお、先ほど、新盛議員の御質問に対して、スト凍結解除の御質問がなかったことにつきまして私が触れましたので、この際、削除をさせていただきます。(拍手)
    〔国務大臣竹下登君登壇〕
#31
○国務大臣(竹下登君) お答えをいたします。
 まず、東北、上越新幹線の赤字対策等についてが一点であります。
 東北、上越新幹線につきましては、開業当初は赤字が発生いたしますものの、いずれ運賃収入の増加によりまして中長期的には収支相償うものである、このように聞いております。
 青函トンネルにつきましては、完成後の活用方法等につきまして、現在運輸省、国鉄等で検討が行われておると聞いております。したがって、財政当局といたしましては、今後関係当事者と協議してまいる、このような基本的姿勢であります。
 次が、投資財源の助成のことにお触れになりました。これは運輸大臣から、現状程度の規模でございますとか、そうした点についてのお答えがすでにございました。
 私、財政当局といたしましては、ことしも千八百四十五億円、損益勘定、資本勘定を通じて助成金を計上しておるところでありますが、今後の助成のあり方一こういうことになりますと、財政事情、国鉄の収支状況等を見ますならば、限られた財源による助成を損益の改善を中心として振り向けることもやむを得ないではなかろうか、このように考えておるところであります。最後が、安全性の問題について御指摘がございました。これも運輸大臣からお答えがすでにございました。
 国鉄の設備投資につきまして、安全対策の強化、老朽施設の取りかえ等の工事に重点を置いて、効率的な投資を行っていくべきであるというお考え方に私どもも沿って、対処いたしたいと存じております。(拍手)
    ―――――――――――――
#32
○副議長(岡田春夫君) 四ツ谷光子君。
    〔四ツ谷光子君登壇〕
#33
○四ツ谷光子君 私は、日本共産党・革新共同を代表し、日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案について、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 最初に、私は、いま国民生活が公共料金主導の物価値上げによって重大な事態に追い込まれているときに、政府がとるべき対策についてただしたいと思います。
 大平内閣は、電力八社五一%、大手ガス三社四五%というとんでもない大幅な値上げを認めてしまいました。続いて、国鉄運賃、郵便料金消費者米価などの公共料金を一斉に、大幅に引き上げようとしております。公共料金の値上げが引き金になって、狂乱物価の再来が始まっています。しかも、今回の公共料金の値上げによって、勤労者世帯の第一・五分位、すなわち最も低い所得者層は、消費支出に占める公共料金の割合が七八年の二〇%から八〇年の二三%へとふえ、高所得者層に比較してもずっと重くなっており、まさに弱い者いじめの値上げであることがはっきりと示されています。(拍手)
 今回の国鉄運賃値上げも、通学定期の上げ幅をひときわ高くしていることに見られるように、家計を直撃する値上げそのものではありませんか。すでに狂乱物価の再来が始まっています。いまからでも決して遅くはありません。国鉄運賃の値上げ計画の凍結を考えるべきであります。総理の御見解を求めます。(拍手)
 さて、七七年末、わが党を除く自民、社会、公明、民社、新自由クの五党が五法案の議了を合意することで急遽開会された第八十三臨時国会で、国鉄運賃法定制の自由化法が――成立させられました。(発言する者あり)この財政法第三条を踏みにじる国鉄運賃法の改悪は、国会の権限を著しく狭め、頻繁な値上げが安易に繰り返されることに道を開いたではありませんか。(発言する者あり)その上、国民の国鉄離れに拍車がかけられ、国鉄の財政再建にも何ら役立たなかったことが明らかになっています。国鉄運賃の自由化をやめ、直ちに法定制を復活すべきであります。総理の責任ある答弁を求めます。
 次に、本法案の内容についてただしたいと思います。
 政府は、本法案によって、国鉄労働者七万四千人を削減する三十五万人体制の実現などを目的とした経営改善計画の実施を国鉄に義務づけるとともに、地方交通線の撤去、バス転換や民営移管、さらに特別割り増し運賃制の導入などを進めようとしています。このような国民と労働者にのみ犠牲を押しつける国鉄再建で、真の国民本位の再建ができるかどうか、大きな疑問であります。
 まず、私は、政府の再建対策が国鉄赤字の真の原因に目をふさぎ、その根本的打開策を回避していることについてただしたいと思います。
 第一に、国鉄財政の破綻と自民党政治の責任についてお尋ねいたします。
 国鉄経費の中での利子負担額は七八年度で四千七百七十七億円、さらに特定債務の利子が千七百五十九億円にも上り、同年度の国鉄赤字額の七五%に相当いたします。これは、国鉄の設備投資資金を毎年莫大な借金で賄わせてきた結果であります。特に、七三年の石油ショックで高度成長政策の破綻が明確になって以降も、借金に次ぐ借金で設備投資を拡大し、大企業のための不況対策に国鉄を利用してきたことは重大です。また、国鉄の貨物赤字は、六六年以降の七七年までの十二年間に限って見ても三兆四千億円にも及び、赤字全体の七割を占めています。国鉄は、大企業には非常に安く、旅客には非常に高い仕組みになっている大企業本位の運賃体系をとり続け、自民党政府も、自動車に偏った輸送体系には手をつけず、陸上貨物輸送分野での国鉄の役割りを高める対策を放置してきたことが、莫大な貨物赤字を生み出している原因であります。
 国鉄財政の破局的状態をつくり出した自民党政治の責任は明白です。総理は、この重大な責任をどう受けとめているのでしょうか。真剣な反省がなされて当然だと私は思います。(拍手)
 いま必要なことは、国鉄赤字を生み出す根源にメスを入れ、これまでの政府の基本方針そのものを根本的に転換することではないでしょうか。総理の明確な答弁を求めます。
 第二に、政府の国鉄再建対策は、国民と国鉄労働者に対しては一方的に犠牲を強要しておきながら、国鉄経営に群がり、莫大な利益を得てきた真の受益者とも言うべき大銀行、大企業には一片の負担も求めようとしていません。国鉄からの工事発注や資材購入で大もうけをしてきた建設会社や車両会社などの大企業と大銀行が保有している国鉄の鉄道債券は約三兆円にも達し、その利払い額も年間約二千億円にも上ります。
 国鉄の再建のためということで運賃値上げや人減らし、合理化を進める一方で、大企業、大銀行には莫大な利子を確実に支払うということでは筋が通らないではありませんか。適正な負担を求めて当然であります。総理並びに運輸大臣の明確な答弁を求めます。(拍手)
 第三は、国鉄経営にはびこる浪費の体質についてただしたいと思います。
 国鉄のむだ遣いに対しては、わが党は、再三にわたり事実を挙げて指摘し、その改善を厳しく要求してまいりました。ところが、つい最近も、貨物基地への投資千百億円がむだ遣いされている事実がわが党の調査によって明らかにされるなど、一向に改められることもなく繰り返されていることはきわめて重大です。
 この際、国鉄みずからが、国鉄経営にむだ遣いや見込み違いなどということでの安易な出費がないかどうか徹底的に調査し、その結果を国民に公表し、浪費の根絶を図る措置を直ちに実施するよう要求いたします。これは運輸省自身もその監督責任を問われている問題であります。運輸大臣の責任ある答弁を求めます。(拍手)
 次に、本法案の最大のねらいの一つである地方交通線対策についてお尋ねいたします。
 第一に、国鉄地方交通線は、過疎やモータリゼーションの進行、さらに国鉄みずからが進めたローカル線切り捨て政策のもとでも、鉄道の使命を終えたどころか、地域住民の足として、全国津々浦々で毎日二百万人もの人が利用している重要な公共交通機関であります。新幹線の一日平均利用人員三十三万九千人と比べてみても、その公共性の高さは歴然としております。
 貨物輸送で見ても、地方交通線は、年間二百五十万トンもの物資を運んでおります。これを自動車輸送に転換したならば、五トントラックが延べ五十万台も必要となります。エネルギー節約の上でも重要な役割りを果たしていることは明白であります。
 ところが政府は、地方交通線の大部分を廃止しようと言うのです。これは、地方交通線が国民生活と地域経済に果たしている重要な役割りを正しく見据えていない何よりの証拠ではないでしょうか。総理の明快な答弁を求めます。(拍手)
 第二に、地方交通線は、そもそも赤字が出ることを前提にして自民党政府みずからがその建設や営業を決定してきたものであります。
 ところが自民党政府は、地方交通線を維持するために当然必要な国の助成をはとんどやってきませんでした。最近十年間だけを見ても、地方交通線で生じた赤字額に対しわずか十数%しか補償していないのであります。過疎やモータリゼーションの進行のために生じたローカル線の赤字は、国による必要な補償を行うとともに、かつてはローカル線赤字の相当部分が国鉄全体の収支で償われていたように、国鉄の経営、財政そのものを立て直すことによって、地方交通線は財政的にも維持していくことが十分に可能であります。
 これまでわが国の交通投資は、大企業の世界一の高度成長を支える重要な手段にされた太平洋ベルト地帯の大都市圏を拠点とする都市間輸送の整備に集中されてきました。
 いまこそ国鉄本来の使命に立ち返り、地方交通こそ今後積極的に整備すべき分野として位置づけ、国土の均衡ある発展に国鉄を役立たせるようにする必要があると思いますが、総理のお考えはいかがでしょうか。(拍手)
 最後に、全国各地で沸き上がっている国鉄ローカル線廃止反対の声が総理には聞こえますか。関係地方自治体もこぞって反対しているではありませんか。見切り発車条項まで設けて廃止を強行するようなことは絶対に許されません。本法案は、速やかに撤回することを要求いたします。
 国鉄を真に国民本位に再建する方向は、わが党が繰り返し提案してきましたように、基礎施設の建設、改良費などは国が出資し、過去債務の計画的縮減を国の責任で保障するなど、国の財政責任を明確にするとともに、過剰な減価償却を適正化し、大企業本位の運賃体系の是正や浪費の根絶など、国鉄の財政制度を抜本的に民主化することであります。あわせて、陸上貨物輸送での国鉄の役割りを高めるなど、国民本位の輸送力増強政策への転換を図ることであります。
 こうした方向こそが、国鉄を真に国民に奉仕する公共交通機関の根幹として発展させる道であることを改めて強調し、私の質問を終わります。(拍手)
#34
○副議長(岡田春夫君) ただいまの四ツ谷光子君の発言中、誤解を与える部分があったとの申し出がありますが、議長は、速記録を取り調べの上、適当な処置をとることといたします。
 内閣総理大臣大平正芳君。
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#35
○内閣総理大臣(大平正芳君) 四ツ谷さんの第一の御質問は、いま予定されておる国鉄運賃の値上げを撤回する考えはないかということでございます。
 かねがね申し上げておりますように、政府としては、公共料金の改定に当たりましては、国民生活への影響を考えまして、その幅、時期等につきまして慎重に配慮してまいったつもりでございます。
 今回の国鉄運賃の改定も、そういう考え方のもとに慎重検討を加えたところでございまして、平均五・一%という値上げでございますが、物価及び国民生活に大きな影響をもたらすものではないと判断いたしておりますので、国鉄の財政が今日のような状況にあることをも御考慮いただきまして、この程度の値上げは御理解をいただきたいものと考えております。
 第二は、国鉄赤字の原因についてのお尋ねでございました。
 国鉄の赤字を多額に招来した原因につきましては、いろいろな原因が考えられるわけでございますけれども、国鉄のみの責任に帰することができない大きな原因があったと私どもは考えておりまして、経済社会の構造変化、それに伴う輸送構造の大きな変革に対しまして、国鉄経営自体が対応できなかったところに大きな原因があろうと考えておるわけでございまして、そういう認識の上に立ちまして、今回の再建法案を作案いたしたわけでございまして、国鉄の徹底した経営合理化、刷新を前提といたす政府の助成も加えまして、今回の再建案によりまして、国鉄の健全な体質の回復に努めたいと考えておるわけでございます。
 第三の問題は、国鉄の債務の利払いの減免についてのお尋ねでございました。そのために、鉄道債券の利払いの減免を行うべきではないかという御質問でございましたが、政府としては、御案内のように、いろいろな手だてを講じておるわけでございます。
 国鉄の利子負担の軽減につきましては、工事費補助金等の借入金利子に対する助成も行っておりまするし、企業の採算を超えて実施しなければならないような投資についての助成も考えておるわけでございまするし、累積赤字に相当する部分につきましては、五十一年度以来たな上げ措置を講じておることも御承知のとおりでございまして、それぞれ債務につきまして、いろんな措置を講じて、これを埋めておるのでございますので、鉄道債券の利払いという形においてこれを処理するという考えは持っておりません。
 地方交通政策についてのお尋ねでございました。
 交通体系のあり方につきましては、それぞれ交通機関の特性に応じて効率的なものを考えていかなければならぬことは御指摘のとおりでございます。
 国鉄の地方交通線は、先ほどもお答え申し上げましたように、鉄道としての特性を発揮することが困難となっておる路線でありますので、法案におきましては、地方交通線のうち、鉄道による輸送にかえてバスによる輸送を行うことが適当であるという路線については、バス輸送、または第三セクターによる鉄道輸送に転換を図ることが適当と思われるものについては、そういう方法をとるというようなことを考えながら、この対応策を講じておるところでございます。もとより地方公共団体等の御意見も十分承りながら、この処理に当たるつもりでございます。
 このようにいたしまして、国民経済的に見まして、地域における効率的な輸送の確保が行われるような配慮も根底に置きまして考えておりますることに御理解をお願いいたしたいと思うのでございます。
 ほかのことは運輸大臣からお答えいたします。(拍手)
    〔国務大臣地崎宇三郎君登壇〕
#36
○国務大臣(地崎宇三郎君) お答えいたします。
 運賃法定制の緩和のお話でございましたが、国鉄の経営状況は、先ほども長田議員に申し上げましたが、政府の助成前で約一兆五千億の赤字、そして六千億からの巨額の助成をいたしましても、さらに九千億円の赤字になるわけであります。累積赤字は六兆四千億を考えられるわけであります。
 このように、国鉄の経営状態がきわめて深刻な事態でありますので、今後とも国鉄自身の徹底した合理化、これを前提として国の行財政上の支援に加えて、利用者にもある程度運賃を負担をしていただきたい、こういう考え方でございます。
 現在の国鉄は、独占的な交通機関ではもうなくなりまして、現在、厳しい競争市場の中で動かされておるわけでございますので、運賃改定を実施するためにも、運賃の改定に関する弾力条項はぜひ存続をさせていただきたいと存ずるのであります。
 なお、これまでの運賃改定の結果について見ますと、若干の利用減はございましたけれども、大体所期の効果は上がっておるのが実績でございます。
 次に、国鉄は大量の鉄道債券を発行してという問題は、いま総理からお答えがございましたので、省略をさせていただます。
 国鉄の赤字の原因について、多額のむだ遣いがあるという御指摘でございますが、国鉄の設備投資の効率化については、毎年九千億円もの赤字を出しておる現状から考えまして、その経営状況のもとで設備投資は極力抑制をしなければなりません。必要な投資については、資金の効率的な使用を図っていくことが必要であると考えられますが、今後とも厳しく国鉄を指導、監督してまいりたいと考えております。
 なお、国鉄の監査体制については、国鉄はみずから監察局を設け、内部監査を行うこととしているとともに、運輸大臣がその委員を任命して、任命した監査委員会によって国鉄の業務の監査を行わせておるところでありまして、監査委員会は毎年事業年度の結果を監査報告として広く国民に公開しているものであります。
 さらに、この法案に基づく新たな経営改善措置の確実な実施を期するために、この法案により監査委員を一名増員し、監査体制の充実強化を図ってまいりたいと存ずる次第であります。
 国鉄の地方交通線対策の内容で御質問でございましたが、国鉄の営業路線は二万二千キロございます。その中の幹線は一万三千キロ、地方線が九千キロでございますが、幹線の収支係数は一三五、地方線の収支係数は四四五でございます。
 この地方線を、駅の無人化あるいはいろいろな対策を講じておるのでありますが、過疎化、モータリゼーションの変化、このようなことで、いかに鉄道の特性を発揮しようとしても、収支相伴わないのが現状でございます。
 したがって、この廃止予定路線については、政令において決められるべきものでありますが、これを決める際に、地方の自治体あるいは国鉄、国等の参加いたしました協議会をつくりまして、十分地元の御意見を反映して、そして将来話し合いがつきましたら転換をしたい。しかしながら、絶対に足を奪うというととは考えておりません。必ず代替の輸送機関を確保するという方針でございますので、ぜひ御理解を賜りたいと思うのであります。(拍手)
#37
○副議長(岡田春夫君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#38
○副議長(岡田春夫君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時五十六分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  大平 正芳君
        大 蔵 大 臣 竹下  登君
        農林水産大臣  武藤 嘉文君
        運 輸 大 臣 地崎宇三郎君
        郵 政 大 臣 大西 正男君
        国 務 大 臣 小渕 恵三君
        国 務 大 臣 正示啓次郎君
 出席政府委員
        運輸省鉄道監督
        局長      山地  進君
ソース: 国立国会図書館
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