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1979/04/24 第91回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第091回国会 本会議 第21号
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1979/04/24 第91回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第091回国会 本会議 第21号

#1
第091回国会 本会議 第21号
昭和五十五年四月二十四日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十八号
  昭和五十五年四月二十四日
    午後一時開議
 第 一 外国人登録法の一部を改正する法律案
     (内閣提出)
 第 二 航空業務に関する日本国とニュー・ジ
     ーランドとの間の協定の締結につい
     て承認を求めるの件
 第 三 航空業務に関する日本国とバングラデ
     シュ人民共和国との間の協定の締結に
     ついて承認を求めるの件
 第 四 航空業務に関する日本国とフィジーと
     の間の協定の締結について承認を求め
     るの件
 第 五 航空業務に関する日本国とスペインと
     の間の協定の締結について承認を求め
     るの件
 第 六 千九百六十九年の船舶のトン数の測度
     に関する国際条約の締結について承認
     を求めるの件
 第 七 千九百二十八年十一月二十二日にパリ
     で署名された国際博覧会に関する条約
     を改正する議定書の締結について承認
     を求めるの件
 第 八 千九百七十九年の国際天然ゴム協定の
     締結について承認を求めるの件
 第 九 国際連合工業開発機関憲章の締結につ
     いて承認を求めるの件
 第 十 日本国とフィリピン共和国との間の小
     包郵便約定の締結について承認を求め
     るの件
 第十一 日本国とフィリピン共和国との間の友
     好通商航海条約の締結について承認を
     求めるの件
 第十二 石油代替エネルギーの開発及び導入の
     促進に関する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 オリンピック記念青少年総合センターの解散に
  関する法律案(第九十回国会、内閣提出)(
  参議院回付)
 日程第一 外国人登録法の一部を改正する法律
  案(内閣提出)
 日程第二 航空業務に関する日本国とニュー・
  ジーランドとの間の協定の締結について承認
  を求めるの件
 日程第三 航空業務に関する日本国とバングラ
  デシュ人民共和国との間の協定の締結につい
  て承認を求めるの件
 日程第四 航空業務に関する日本国とフィジー
  との間の協定の締結について承認を求めるの
  件
 日程第五 航空業務に関する日本国とスペイン
  との間の協定の締結について承認を求めるの
  件
 日程第六 千九百六十九年の船舶のトン数の測
  度に関する国際条約の締結について承認を求
  めるの件
 日程第七 千九百二十八年十一月二十二日にパ
  リで署名された国際博覧会に関する条約を改
  正する議定書の締結について承認を求めるの
  件
 日程第八 千九百七十九年の国際天然ゴム協定
  の締結について承認を求めるの件
 日程第九 国際連合工業開発機関憲章の締結に
  ついて承認を求めるの件
 日程第十 日本国とフィリピン共和国との間の
  小包郵便約定の締結について承認を求めるの
  件
 日程第十一 日本国とフィリピン共和国との間
  の友好通商航海条約の締結について承認を求
  めるの件
 日程第十二 石油代替エネルギーの開発及び導
  入の促進に関する法律案(内閣提出)
 放送法の一部を改正する法律案(内閣提出)の
  趣旨説明及び質疑
    午後一時十九分開議
#2
○議長(灘尾弘吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(灘尾弘吉君) お諮りいたします。
 参議院から、第九十回国会、内閣提出、オリンピック記念青少年総合センターの解散に関する法律案が回付されております。この際、議事日程に追加して、右回付案を議題とするに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
    ―――――――――――――
 オリンピック記念青少年総合センターの解散
  に関する法律案(第九十回国会、内閣提出)
  (参議院回付)
#5
○議長(灘尾弘吉君) オリンピック記念青少年総合センターの解散に関する法律案の参議院回付案を議題といたします。
#6
○議長(灘尾弘吉君) 採決いたします。
 本案の参議院の修正に同意の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#7
○議長(灘尾弘吉君) 起立多数。よって、参議院の修正に同意するに決しました。
     ――――◇―――――
 日程第一 外国人登録法の一部を改正する法
  律案(内閣提出)
#8
○議長(灘尾弘吉君) 日程第一、外国人登録法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。法務委員長木村武千代君。
    〔木村武千代君登壇〕
#9
○木村武千代君 ただいま議題となりました法律案について、法務委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、わが国に出入国する外国人の数が逐年増加し、その在留状況も多様化している実情にかんがみ、外国人登録事務の合理化、簡素化を図ろうとするものであり、その主な内容は次のとおりであります。
 第一に、新規登録の登録期間を三十日延長し、外国人が本邦に入ったときは九十日以内、本邦において外国人となったとき等は六十日以内とすること、
 第二に、旅券番号等一定の登録原票記載事項の変更登録の申請については、登録証明書の引きかえ交付申請等の際に、あわせて申請することができるものとすること、
 第三に、登録証明書の引きかえ交付等により新たな登録証明書の交付を受けたときは、その後三年間切りかえ交付申請を要しないものとすること、
 第四に、再入国許可を受けて出国する者の登録証明書の提出制度を廃止すること
等であります。
 委員会においては、三月十八日提案理由の説明を聴取した後、慎重審査を行い、昨二十三日質疑を終了、直ちに採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#10
○議長(灘尾弘吉君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 航空業務に関する日本国とニュー・ジーランドとの間の協定の締結について承認を求めるの件
 日程第三 航空業務に関する日本国とバングラデシュ人民共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件
 日程第四 航空業務に関する日本国とフィジーとの間の協定の締結について承認を求めるの件
 日程第五 航空業務に関する日本国とスペインとの間の協定の締結について承認を求めるの件
 日程第六 千九百六十九年の船舶のトン数の測度に関する国際条約の締結について承認を求めるの件
 日程第七 千九百二十八年十一月二十二日にパリで署名された国際博覧会に関する条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件
 日程第八 千九百七十九年の国際天然ゴム協定の締結について承認を求めるの件
 日程第九 国際連合工業開発機関憲章の締結について承認を求めるの件
 日程第十 日本国とフィリピン共和国との間の小包郵便約定の締結について承認を求めるの件
 日程第十一 日本国とフィリピン共和国との間の友好通商航海条約の締結について承認を求めるの件
#12
○議長(灘尾弘吉君) 日程第二、航空業務に関する日本国とニュー・ジーランドとの間の協定の締結について承認を求めるの件、日程第三、航空業務に関する日本国とバングラデシュ人民共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件、日程第四、航空業務に関する日本国とフィジーとの間の協定の締結について承認を求めるの件、日程第五、航空業務に関する日本国とスペインとの間の協定の締結について承認を求めるの件、日程第六、千九百六十九年の船舶のトン数の測度に関する国際条約の締結について承認を求めるの件、日程第七、千九百二十八年十一月二十二日にパリで署名された国際博覧会に関する条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、日程第八、千九百七十九年の国際天然ゴム協定の締結について承認を求めるの件、日程第九、国際連合工業開発機関憲章の締結について承認を求めるの件、日程第十、日本国とフィリピン共和国との間の小包郵便約定の締結について承認を求めるの件、日程第十一、日本国とフィリピン共和国との間の友好通商航海条約の締結について承認を求めるの件、右十件を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。外務委員長中尾栄一君。
    〔中尾栄一君登壇〕
#13
○中尾栄一君 ただいま議題となりました十件につきまして、外務委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、ニュージーランド、バングラデシュ、フィジー及びスペインとの航空協定四件は、いずれも定期航空業務を開設し、かつ、運営することを目的としたものでありまして、協定業務開始のための手続及び条件、相手国の空港その他の施設の使用料についての最恵国待遇及び内国民待遇の許与、燃料等に対する関税等の免除、運賃決定に関する手続、ハイジャック等の防止のための協力等について規定するとともに、付表において、両国の指定航空企業が運営する路線を定めております。
 次に、船舶トン数測度条約は、船舶トン数の測度基準を国際的に統一しようとするものでありまして、締約国が自国の船舶のトン数の算定に関して用いる技術的規則を定めるとともに、条約に従ってトン数の算定が行われたことを証明する証書の発給及び証書の互認等について規定しております。
 次に、国際博覧会条約改正議定書は、新しい時代の要請に応じて、現行条約を全面的に改正し、新条約として作成されたものでありまして、国際博覧会の開催期間、開催頻度、開催者及び参加国の義務並びに組織等について規定しております。
 次に、一九七九年の国際天然ゴム協定は、第四回国連貿易開発会議で採択された一次産品総合計画に基づき、協定作成交渉が行われた結果、採択されたものであります。本協定は、天然ゴム価格の過度の変動の回避、天然ゴムの輸出による収入の安定、天然ゴム供給の確保等を目的としたものでありまして、天然ゴム機関の設立及び運営、天然ゴム理事会及び緩衝在庫の設置、天然ゴムの価格帯、共通基金との関係等について規定しております。
 次に、国際連合工業開発機関憲章は、国際連合工業開発機関を専門機関に改組し、その活動を強化することを目的としたものでありまして、機関の目的及び任務、内部機関の権限、予算の原則等、国際機関の設立のための事項について規定しております。
 次に、日比小包郵便約定は、昭和三十八年に締結された現行の小包郵便約定を、現行の万国郵便連合の小包郵便約定との間の不均衡をなくすため、全面的な改正を行うものでありまして、小包の重量、容積及び料金の決定方法、航空運送料、通関料及び保管料並びに取り調べ請求等について規定しております。
 最後に、日比友好通商航海条約は、両国間の友好及び経済関係の発展を促進することを目的としたものでありまして、入国、居住、課税、為替管理、事業の活動等に関する事項について、最恵国待遇を保障することについて規定しているほか、身体及び財産の保護、輸出入数量制限の事前通報、貿易の拡大のための協力、海運の発展のための協力、海洋汚染の規制のための協力、東南アジア諸国連合域内特恵等を適用除外すること等について規定しております。
 以上十件中、日比友好通商航海条約、ニュージーランド及びバングラデシュとの航空協定は、三月十七日外務委員会に付託され、三月二十人目政府から提案理由の説明を聴取し、他の七件は三月三十一日付託され、四月二日提案理由の説明を聴取し、十件につき質疑を行ってまいりましたが、その詳細は会議録により御承知を願い上げたいと思います。
 かくて、昨二十三日質疑を終了し、採決を行いました結果、日比友好通商航海条約は多数をもって、他の九件は全会一致をもって、いずれも承認すべきものと議決いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#14
○議長(灘尾弘吉君) これより採決に入ります。
 まず、日程第二ないし第十の九件を一括して採決いたします。
 九件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、九件とも委員長報告のとおり承認するに決しました。
 次に、日程第十一につき採決いたします。
 本件を委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#16
○議長(灘尾弘吉君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり承認するに決しました。
     ――――◇―――――
 日程第十二 石油代替エネルギーの開発及び
  導入の促進に関する法律案(内閣提出)
#17
○議長(灘尾弘吉君) 日程第十二、石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。商工委員長塩川正十郎君。
    ―――――――――――――
 石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律案及び同報告書
    〔本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔塩川正十郎君登壇〕
#18
○塩川正十郎君 ただいま議題となりました石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律案につきまして、商工委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 御承知のとおり、最近の国際石油情勢は一層流動的となり、価格の高騰に加えて供給面の不安定性も増加しつつあります。
 こうした情勢において、エネルギーの安定供給を確保するため、石油代替エネルギーの開発、導入を積極的に推進することが最大の政策課題となっているのであります。
 本案は、かかる観点から、石油代替エネルギーの開発及び導入を総合的に進めるため、必要な措置を講じようとするものでありまして、その主な内容は、
 第一に、通商産業大臣は、総合的なエネルギーの供給確保の見地から、閣議決定を経て、石油代替エネルギーの供給目標を定め、公表すること、
 第二に、通商産業大臣は、工場等における石油代替エネルギーの導入を促進するため、事業者に対する石油代替エネルギーの導入指針を定め、公表すること、
 また、通商産業大臣及び事業所管大臣は、事業者に対し、導入指針に定める事項について指導及び助言を行うことができること、
 第三に、新エネルギー総合開発機構を設立し、同機構は、石油代替エネルギーに関する技術でその企業化の促進を図ることが特に必要なものの開発、地熱資源及び海外における石炭資源の開発に対する助成等の業務を総合的に行うこと、
 第四に、機構の設立に伴い、石炭鉱業合理化事業団を解散し、同事業団が行っている石炭鉱業の合理化及び安定のための業務は機構が承継すること、
等であります。
 本案は、三月二十八日本会議において趣旨説明及び質疑が行われ、同日当委員会に付託され、四月二日佐々木通商産業大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑を重ねるとともに、石炭対策特別委員会との連合審査会を開き、また、参考人から意見を聞くなど、慎重な審査を行い、四月二十三日、大平内閣総理大臣に対する質疑をもって質疑を終了いたしました。
 続いて、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議及び民社党・国民連合の四派共同修正案並びに日本共産党・革新共同の修正案が提出され、採決の結果、本案は多数をもって四派共同修正案のとおり修正議決すべきものと決した次第であります。
 この修正は、供給目標を定めるに当たっての原子力に関する配慮規定、ローカルエネルギーの開発、導入に当たっての財政上の措置及び機構の業務範囲について改めたものであります。
 なお、本案に対し、石油代替エネルギーの供給目標の整合性、的確性の確保、新エネルギー総合開発機構の効率的な運営等について附帯決議が付されておることを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#19
○議長(灘尾弘吉君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#20
○議長(灘尾弘吉君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
     ――――◇―――――
 放送法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#21
○議長(灘尾弘吉君) この際、内閣提出、放送法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。郵政大臣大西正男君。
    〔国務大臣大西正男君登壇〕
#22
○国務大臣(大西正男君) 放送法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 日本放送協会の受信料につきましては、現在、放送法第三十二条におきまして、協会の放送を受信できる受信設備を設置した者は、協会と契約を締結しなければならないとされておりますが、近時、契約締結の拒否等による受信料の不払いが増加の傾向にある実態にかんがみ、受信料制度の趣旨を一層明らかにするとともに、受信者の負担の公平に資するため、受信料の支払いに関する規定の整備を図ろうとするものであります。
 次に、その概要を御説明申し上げます。
 まず第一に、受信料の支払い義務及び通知義務でありますが、日本放送協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会に対し、受信料を支払わなければならないことを明らかにするとともに、その受信設備を設置した日などを協会に通知しなければならないこととしております。
 第二に、協会は、受信料の支払いを怠った者から延滞金を徴収できるとするとともに、延滞金を課されてもなお受信料を支払おうとしない者または不法に受信料の支払いを免れた者からは、その受信料の二倍に相当する割増金を徴収することができることとしております。
 第三に、受信料の支払いの時期及び方法、受信料の免除基準その他受信料の徴収に関し必要な手続的事項は、協会が受信料規程で定めることとし、この受信料規程を定めまたは変更しようとするときは、郵政大臣の認可を要することとしております。
 また、受信料規程につきましては、これを公表しなければならないこととしております。この公表につきましては、受信料の月額が国会で定められた場合も同様に取り扱うこととしております。
 その他、所要の規定の整備を行うこととしております。
 なお、この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することといたしております。
 以上がこの法律案の趣旨であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 放送法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#23
○議長(灘尾弘吉君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。野口幸一君。
    〔野口幸一君登壇〕
#24
○野口幸一君 私は、日本社会党を代表して、ただいま趣旨説明のありました放送法の一部を改正する法律案について、総理並びに郵政大臣に若干の質疑を行うものであります。
 まず、NHKに対する基本姿勢について、総理の所信をお伺いいたします。
 そもそも、この改正案は、NHKが二四%の受信料値上げを含む五十五年度予算に関連し、受信料不払いによる負担の不公平をこれ以上放置すべきではないという、自民党の強い要請により提案されることになったと言われておりますが、この法律改正のねらいが、果たして純粋に未払い対策にあったかどうかははなはだ疑わしいのでありまして、自民党がこれを足がかりにして、NHKに対する影響力を強めようとしているのではないかと考えざるを得ないのであります。
 この改正案が、郵政省によって成案が作成されてから自民党内の手続を終了するまで、異例とも言うべき一カ月間をも要し、しかもその間、党内で論議されたのは、改正案の内容ではなく、NHKの報道は偏向しているという強いNHK批判がほとんどであり、支払いを義務化するかわりに、NHKに対する郵政省の監督権限を強化すべきであるという意見さえあったと言われておるのであります。
 さらに、この間に、たまたま千葉地裁が、成田空港管制塔侵入事件の公判に、NHKニュースのビデオを証拠として採用し、NHKがこれに抗議するということがありましたが、このNHKが抗議を行ったということについて、自民党内に激しい反発が起こり、「受信料を払って受信したものをビデオに撮り、それを何に使おうと文句を言われる筋合いはない」とか、あるいは「抗議すること自体NHKの公共性に問題がある」というような意見、さらには「税金のような受信料を取っている以上、国家管理に逆らうようでは困る」といったような全く筋違いの意見が続出し、あげくの果てに「NHKの公共性を監視する機関」を党内に設けることになったと伝えられているのであります。
 この間、NHK予算の国会提出も見合わせとなり、NHKは暫定予算の作成を余儀なくされるに至ったのでありまして、これは全くNHKに対するいやがらせとしか言いようがありません。「NHK監視委員会」というのは現在のところまだ設置されてはいないようでありまするが、このような動きは、NHKの国家管理あるいは国営化につながるものでありまして、私は、政府・与党のNHKに対する基本姿勢に大きな危惧の念を抱かざるを得ないのであります。(拍手)
 放送法第一条には、「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保する」という放送政策の基本原則が掲げられており、また第三条には、「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」と明記されております。
 そして、NHKは、公共の福祉のため、放送の全国普及を目的とする公共放送機関として、国家権力からの干渉はもちろん、スポンサーなど経済界からの干渉等あらゆる干渉を排除して、自主独立の立場で業務を遂行できるよう、視聴者の負担する受信料を唯一の財源としていることは、いまさら申し上げるまでもないところであります。
 そして、NHKの公共性というものは、NHK自身がその見識と不断の努力によって守っていくべきものであって、一政党が監視機関などを設けようなどという考えは、全く筋違いもはなはだしいものであるということを言わなければなりません。(拍手)
 NHKは、決して国営放送ではありませんし、また国営放送であってはならないのであります。ましてや、特定の政党の影響下に置こうとするがごときことは断じて許されないのであります。
 総理は、NHKについてどのような基本的考えを持っておられるのか、公共放送というものに対していかなる姿勢で臨もうとしておられるのか、政府の最高責任者であり、かつ、自民党の総裁でもある大平内閣総理大臣の所信を明確にお伺いいたします。(拍手)
 次に、改正案の目的及び実際の効果という点について、郵政大臣にお伺いをいたします。
 大臣の御説明によれば、NHKの受信料の未払いが増加している現状にかんがみ、受信料収納の円滑化に資するため、現行の受信料について契約義務制を支払い義務制に改めるとともに、テレビ受像機の設置日を届け出させるほか、NHKが滞納者から延滞金または割増金を徴収できることを法文に明定しようとするものでありますが、このような改正は視聴者側の義務のみを強化するものでありまして、受信料の支払い義務を視聴者に強く印象づけ、NHKの強権的な姿勢を浮き彫りにするだけであって、不払い対策としてはほとんどメリットがないと考えられるのであります。
 私は、なぜ郵政大臣がいまの時期にこのような改正をあえて行おうとするのか、はなはだ疑問に思うものであります。
 昭和四十一年の第五十一回国会において、放送法の抜本的改正として提案されて廃案となりました放送法一部改正案にも、受信料について契約義務制を支払い義務制にすることが盛られていたことは事実でありますし、また、当時はこれに対してさしたる反対もなかったと聞いております。
 しかしながら、当時と現在とではNHKを見る国民の視点が大きく変化していることを考えなくてはなりません。
 当時は民間放送も今日のような発展を見ておりませんでしたし、NHKは名実ともにわが国の放送界の中心的存在として、国民の信頼も厚く、また滞納者も少ない状況下にありました。
 しかし、今日においては、民間放送の著しい発展とともに、国民のNHKを見る目はまことに厳しく、かつ、受信料支払いについても多くの課題を抱えていることは、いまさら申し上げるまでもないことであります。
 今日、受信料滞納や契約拒否が増加し、これが負担の公平という面からも見過ごすことのできないものであることは認めるところでありますが、NHKの受信料収納率は現在九七%ということであり、受信料の滞納者は現在約九十六万、そのうちNHKに対する無理解というのが約三十一万あります。このほか、意識的に契約を拒否している者が九万六千ということでありまするから、はっきりと支払いを拒否している者は約四十万であります。四十万という数字は決して少ないとは申しませんが、受信契約の二千八百万に対しては一・四%にすぎません。わずか一・四%の受信料の不払い者に対抗するために、契約義務制を支払い義務制にするばかりでなく、届け出制や延滞金、割増金まで法律に規定しようとする高圧的、強権的措置は、かえってこれらの人々の一層の反発をあおるだけであって、法律改正が意図するような不払い一掃の実効があるとはとうてい考えられないのであります。
 それどころか、NHKにこのような高姿勢をとらせることは、積極的にNHKを支持している人々も含め、現在受信料を支払っている二千八百万の視聴者に、NHKの国営放送的色彩を強く印象づけ、NHKとの連帯感を薄れさせることになり、その結果、これらの人々の受信料支払いにも大きな影響を与えかねないと考えられるのであります。
 私は、NHKに対していろいろな批判のある現在、受信料の滞納や契約拒否に対抗する方法は、このような強権的色彩の濃い法律改正ではなく、NHKが視聴者との間の信頼と協力の関係を取り戻すために、赤字体質の是正とか開かれた経営などという、視聴者との連帯を強める以外にはないと考えるものであります。
 以上のような意味において、このような法律改正は、不払い退治としても実効が期せられないばかりでなく、視聴者とNHKとの関係にも大きな亀裂を与えるものでありまして、まさに百害あって一利なしとも言うべきこのような改正案は撤回すべきであると考えるのでありまするが、郵政大臣の見解をお伺いをいたします。(拍手)
 続いて、私は、放送法改正に関する郵政大臣の姿勢についてお伺いをいたします。
 先ほど私が言及いたしました昭和四十一年の放送法改正案というのは、当時、放送関係法令の制定以来十年以上も経過し、その間における民間放送の発展等、放送界の事情の変化に対応するため、電波法及び放送法の抜本的改正の必要があるとして、臨時放送関係法令調査会の二年間にわたる検討の結果である答申に基づいて提案されたものでありまして、この改正案は、与野党間の合意が得られず廃案とはなりましたが、その審査の過程において、委員会においては、与野党間に修正案がほとんどまとまりかけたという事実もあったことは、郵政大臣も御承知のとおりであります。
 この改正案には、幾つかの重要かつ必要な改正点が含まれておりましたし、また、多重放送の実用化や放送衛星など、その後の放送界の進展に合わせて新たに改正すべき点も出てまいるなど、放送法制の抜本的改正は、その後今日まで重要懸案となっているのでありますが、ほとんど毎国会の逓信委員会における質疑に当たりまして、歴代郵政大臣は、検討中と答弁するのみで、いまもって放送法の抜本的改正を提案しようとはなさらないのであります。
 ところが、今回、NHKの受信料について支払い義務制とするための改正案を急遽提案されたのでありますが、重要かつ緊急の課題である抜本的改正を行わず、このような改正を提案する郵政大臣の意図はどこにあるのか、疑わざるを得ないのであります。
 一体、放送法の抜本的改正の課題はどうなっていますか、郵政大臣のお考えを明らかにされたいのであります。
 なお、この点に関連して伺っておきたいことがあります。
 第八十七回国会に提案されて廃案となり、第八十八回国会に続いて今国会にも再々提案されております放送大学学園法案は、その附則において、放送法を改正することとしております。
 ところが、この放送法の改正は、放送大学の設立のために、現在のNHKと民間放送との二本立て体制に新たに全額国庫出資の放送大学学園を加えて三本立てにする、わが国の放送体制に重大なる変革を加える内容を含んでいるのであります。
 このようなわが国の放送体制の基盤にかかわる重要な改正は、法案の附則で行うべきものではなく、放送についての所管である逓信委員会で十分な審査のできるよう、別途の法律案として提案すべきであると強く政府に申し入れておいたのでありますが、政府は、これを全く無視し、従前どおり附則で改正するという姿勢をとってまいったのであります。
 そして、他方において、実際上の効果がほとんど期待できないばかりか、国民とNHKとの連帯関係をも損なわしめる支払い義務制のための改正を放送法改正案として提案しているのでありまして、私は、このような政府の姿勢に大きな憤りを感ずるものであります。(拍手)
 この点についても、郵政大臣の明快なる御答弁をいただきたいのであります。
 以上私は、放送法の一部を改正する法律案について、数点についてお尋ねをいたしましたが、総理並びに郵政大臣の誠意ある御回答をお願いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#25
○内閣総理大臣(大平正芳君) 野口さんからの御質問は、公共放送機関であるNHKを政府はどう見ておるかという意味の御質問でございました。
 NHKは、公共の福祉のために、あまねく全国にわたって受信ができるように放送を行うことを目的として、放送法によって設立された公共放送機関であると考えております。
 そしてNHKは、言論、報道機関として、その業務の運営が自主的に行われるよう保障されておると考えております。
 政府としては、この精神を踏まえまして、NHKがその公共的な使命を達成することを期待しておるわけでございます。
 今回の放送法の改正は、受信料収納の円滑化に資するため、受信料制度の趣旨を簡明にあらわすことを目的としたものでありまして、とのことによりまして、NHKに対し政府の影響力を強めるというような考えは持っておりません。
    〔国務大臣大西正男君登壇〕
#26
○国務大臣(大西正男君) 野口議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、今回の放送法改正は、NHKが強権的なものとなり、国民の反発を招くこととなりはしないかとの御指摘についてでございます。
 受信料は、御承知のように、NHKの維持運営のため、受信者に公平に負担していただく制度でございます。しかし、現行放送法におきましては、受信料の支払いについて契約が前提となっていることから、誤解が生じ、不払い者増加の一因となっております。
 今回の法改正は、受信者に理解していただけるよう、受信料制度の趣旨を簡明にあらわし、受信料収納の円滑化と負担の公平を図ろうとするものであります。受信料の基本的性格にいささかも変更を及ぼすものではございません。改正の趣旨につきましては、十分理解していただけるものと考えております。
 したがいまして、との改正により、NHKの受信料収納が容易になりますとともに、新たな不払い者の増加を抑止することができると考えておりますが、いずれにいたしましても、NHKは受信料収入を基盤としていることにかんがみまして、国民の理解と信頼を得るべく努めることが肝要であると考えます。
 次に、放送法の抜本的改正と今回の受信料制度の改正との関係についてでありますが、今回の放送法改正は、最近における受信料徴収の実態等を考慮いたしまして、きわめて緊急性の高い問題として提案申し上げた次第でございます。
 一方、放送法の抜本的改正につきましては、問題がきわめて多岐にわたりますとともに、衛星放送など新しく発生をいたしました分野におきまして、未確定あるいは流動的な要素がございますため、今後さらに検討してまいりますとともに、世論の動向や国際的規律の動向を見きわめました上で成案を得たいと考えております。
 また、放送大学学園の放送につきましては、大学教育のための放送に限定しておりますため、既存の放送秩序に及ぼす影響はほとんどなく、学園の放送を認めることによりまして、放送体制の根本的な変革になるという、そういうことにはならないと考えておるわけでございます。
 したがいまして、学園の放送を認めることに伴う放送法の改正につきましては、学園の目的なり業務と密接不可分な関係にあることから、学園の業務の実施に必要な点に限って、放送大学学園法案の附則によりまして、改正することといたした次第でございます。(拍手)
#27
○議長(灘尾弘吉君) これにて質疑は終了いたしました。
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#28
○議長(灘尾弘吉君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  大平 正芳君
        法 務 大 臣 倉石 忠雄君
        外 務 大 臣 大来佐武郎君
        文 部 大 臣 谷垣 專一君
        通商産業大臣  佐々木義武君
        郵 政 大 臣 大西 正男君
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ソース: 国立国会図書館
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