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1979/05/13 第91回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第091回国会 本会議 第24号
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1979/05/13 第91回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第091回国会 本会議 第24号

#1
第091回国会 本会議 第24号
昭和五十五年五月十三日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第二十二号
  昭和五十五年五月十三日
    午後二時開議
 第一 昭和四十四年度以後における私立学校教
    職員共済組合からの年金の額の改定に関
    する法律の一部を改正する法律案(内閣
    提出)
 第二 国家公務員共済組合法等の一部を改正す
    る法律案(内閣提出)
 第三 公共企業体職員等共済組合法及び昭和四
    十二年度以後における公共企業体職員等
    共済組合法に規定する共済組合が支給す
    る年金の額の改定に関する法律の一部を
    改正する法律案(内閣提出)
 第四 農林漁業団体職員共済組合法等の一部を
    改正する法律案(内閣提出)
 第五 地方公務員等共済組合法等の一部を改正
    する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 会期延長の件
 科学技術会議議員任命につき同意を求めるの件
 国家公安委員会委員任命につき同意を求めるの
  件
 公害等調整委員会委員任命につき同意を求める
  の件
 社会保険審査会委員任命につき同意を求めるの
  件
 漁港審議会委員任命につき同意を求めるの件
 運輸審議会委員任命につき同意を求めるの件
 大平内閣総理大臣の帰国報告についての発言及
  び質疑
 民事訴訟費用等に関する法律及び刑事訴訟法施
  行法の一部を改正する法律案(内閣提出、参
  議院送付)
 地震防災対策強化地域における地震対策緊急整
  備事業に係る国の財政上の特別措置に関する
  法律案(災害対策特別委員長提出)
    午後二時十九分開議
#2
○議長(灘尾弘吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 会期延長の件
#3
○議長(灘尾弘吉君) 会期延長の件につきお諮りいたします。
 本国会の会期を五月二十七日まで九日間延長いたしたいと存じ、これを発議いたします。
 採決いたします。
 会期を五月二十七日まで九日間延長するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、会期は九日間延長するに決しました。
     ――――◇―――――
 科学技術会議議員任命につき同意を求めるの
  件
 国家公安委員会委員任命につき同意を求める
  の件
 公害等調整委員会委員任命につき同意を求め
  るの件
 社会保険審査会委員任命につき同意を求める
  の件
 漁港審議会委員任命につき同意を求めるの件
 運輸審議会委員任命につき同意を求めるの件
#5
○議長(灘尾弘吉君) お諮りいたします。
 内閣から、
 科学技術会議議員に岡本道雄君及び山下勇君を、
 国家公安委員会委員に橘善守君を、
 公害等調整委員会委員に大橋進君及び宮崎隆夫君を、
 社会保険審査会委員に河野共之君を、
 漁港審議会委員に青木和夫君、及川孝平君、岡部保君、喜多條瑞穂君、坂本富雄君、瀬尾五一君、高平米雄君、竹鼻三雄君及び茶谷一男君を、
 運輸審議会委員に内藤良平君を、任命したいので、それぞれ本院の同意を得たいとの申し出があります。
 まず、科学技術会議議員及び国家公安委員会委員の任命について、申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#6
○議長(灘尾弘吉君) 起立多数。よって、いずれも同意を与えるに決しました。
 次に、公害等調整委員会委員、社会保険審査会委員、漁港審議会委員及び運輸審議会委員の任命について、申し出のとおり同意を与えるに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも同意を与えるに決しました。
     ――――◇―――――
 内閣総理大臣の発言(帰国報告について)
#8
○議長(灘尾弘吉君) 内閣総理大臣から、帰国報告について発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣大平正芳君。
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#9
○内閣総理大臣(大平正芳君) 私は、四月三十日から五月七日まで大来外務大臣を伴い、米国、メキシコ及びカナダを訪問いたしました。さらに、カナダ訪問への途次チトー大統領の訃報に接したため、五月八日ユーゴスラビアに赴き、同大統領の国葬に参列し、帰路九日にはシュミット首相と会談するため西独を訪問し、十一日帰国いたしました。
 米国においては、五月一日、カーター大統領と会談したほか、米国議会指導者と懇談いたしました。申すまでもなく、日米間にはあらゆるチャンネルを通じて不断に緊密な連絡がありますが、現在の厳しい国際情勢のもとでは、さらに十分な意見交換を行い、重要な国際的問題に対処してまいることが緊要であると考えます。
 カーター大統領との会談の中心は、今日の情勢を反映してイラン、アフガニスタン問題でありました。この二つの問題は、性質を異にしておりますが、いずれも基本的な国際秩序に対する重大な脅威であります。これらの問題に対して両者は、国際社会全体が協調して対処することが肝要であるとの点で意見の一致を見ました。米国からは、わが国のこれまでとってきたこの二つの問題に対する措置を高く評価するとの発言がありました。当方からは、今後とも、米国の友邦としてのみならず、国際社会の一員として、これらの問題の早期解決のためEC諸国等とも協力しつつ、可能な限り努力を続けてまいる所存である旨明らかにいたしました。私から大統領に対し、イランの人質問題については、米国があくまでも忍耐強く自制し、その平和的解決を図るよう率直に要望したのに対し、大統領は同感の意を示しつつ、そのためにも友邦諸国の一層の協力が必要であることを指摘しました。両者は、難民問題が国際社会全体にとってなお深刻な問題であり、今後とも引き続き協力して対処する必要があるとの認識で一致しました。また、朝鮮半島情勢及び中国との関係についても有益な意見交換を行いました。
 わが国の防衛力の問題については、大統領より、これまでのわが国のこの面での努力を多とし、また日本の国内的制約を理解しつつも、今後の一層の努力がアジアの平和と安定のために有益であるとの見解の表明がありました。私からは、わが国の国内的制約に対する米側の理解を多とするとともに、わが国としても、最近の国際情勢に照らし、防衛力整備の必要性が高まっていることについてはよく認識しており、今後とも自主的に
 一層の努力を続ける決意である旨述べました。また、私は、広い意味での安全保障確保のため、わが国がこれまでも経済技術援助を通じ、アジアの政治的、経済的安定に資すべく努力してきたこと、及びこれからも一層その努力を強めてまいる考えであることを説明いたしました。
 また、ベニス・サミットとの関連では、エネルギー問題等につき、日米間はもとより、国際的な協調を強めることが重要であるとの点で一致しました。
 日米貿易経済関係については、双方が自由貿易を堅持することの重要性を再認識の上、米側より自動車及び政府調達問題について言及がありました。これらの問題につき両者は、すでに日米関係当局の間で問題の所在に対する理解と、その対応についての話し合いが相当進んでおり、なるべく早く、双方にとり納得のいく解決を図るべきであることで意見の一致を見ました。
 なお、今次訪米を機会に、私と大統領は、科学技術における研究開発のための協力に関する協定に署名いたしました。昨年署名されましたエネルギー分野での協力協定と相まって、ここに日米両国の科学技術分野全般について協力体制が整うことになりました。
 私は訪米中、上下両院議員とそれぞれ懇談の機会を持ち、当面の国際問題、日米二国間の経済問題等につき率直な意見の交換を行いましたが、これは国会レベルにおける相互理解を深めるに役立ったものと信じております。
 私は、五月一日より四日までメキシコを公式訪問し、ロペス・ポルティーリョ大統領と二度にわたって会談いたしました。
 私は、伝統的に友好的な日墨関係は、メキシコの政治的安定と経済的発展を通じて、今後一層重要になるものと確信しております。今度の大統領との会談では、かかる認識のもとに、政治、経済、文化等の幅広い分野での日墨間の協力を協議するとともに、現下の国際情勢について、率直な意見交換を行いました。そして今次訪墨の機会に両国間の相互理解をより一層促進するため、日墨友好基金に百万ドル相当の贈与を行うとの意図を表明いたしました。また、メキシコが高い優先度を置いている鉄鋼プラントに対し、わが国が誠実に協力していくため交渉をなるべく早く進めることとするとともに、その他の分野における協力方についても探究していく旨を明らかにいたしました。
 さらに私は、メキシコ原油の対日輸出決定とその開始についての大統領の英断に敬意を表しますとともに、一九八二年までに一日当たり三十万バレルにまで増量することについてのわが方の希望と期待を表明いたしました。これに対し、大統領は、政治的決意と善意を持って配慮するとの意向を示しました。
 今次訪問は、日墨関係を長期的な観点に立ち、かつ幅広い基盤の上により一層緊密化していくための重要な契機になったものと考えております。
 次いで私は、五月四日から七日までカナダを公式訪問し、トルドー首相と二度にわたり会談したほか、カナダ連邦議会において日加関係の展望につき所見を述べる機会を持つことができました。トルドー首相との会談におきましては、国際間及び二国間の主要な問題につき、広範かつ率直な話し合いを行いました。
 国際情勢については、イラン、アフガニスタン問題及びカンボジアにおける紛争等、国際不安が高まっておることを憂慮し、国際平和の確立のため、日加両国があらゆる可能な努力を払っていくととで意見の一致を見ました。
 二国間問題のうち、経済問題については、両者は、年々発展を記録しつつある日加貿易経済関係を一層拡大し、かつ多角化していくことの決意を新たにいたしました。このため、民間レベルでの接触と相まって、政府間においても、日加経済協力合同委員会等の場を活用し、十分な話し合いを続けてまいることに意見の一致を見ました。また、民間において具体化しつつある二国間の石炭その他エネルギー開発の交渉を歓迎し、これを促進することについての話し合いも有益でありました。さらに日加外務大臣間の定期協議を開始すること等により、日加関係をより広い基盤の上に緊密化を図る必要性について完全な意見の一致がありました。
 私のカナダ訪問は、近年特に貿易経済関係を中心に急速な発展を遂げてきた日加両国関係が、さらに政治、文化、科学等の面でも多様かつ立体的な発展を遂げていくための重要な契機になったものと考えております。
 メキシコからカナダに向かう機中において、私は、チトー・ユーゴスラビア大統領の訃報に接しました。よって私は、八日ベルグラードに赴き、故大統領の国葬に参列いたしました。故大統領は、ユーゴスラビアの偉大な指導者であったのみならず、九十カ国を超える非同盟運動の創始者として、世界の平和と安定の維持に大きく貢献してこられた二十世紀最後の偉人でありました。
 国葬は八日、歴史的な指導者の逝去を悼むにふさわしく、百カ国以上の諸国首脳の参列を得て、盛大かつ厳粛にとり行われました。私は、これら諸国首脳とともに故チトー大統領の御冥福を祈るとともに、ユーゴスラビアの新指導者及び国民に対し深甚な哀悼の意を表しました。
 また、私は、ジュラノビッチ・ユーゴスラビア首相と会談し、同首相から、今後とも故チトー大統領の遺志を継いで、独立・非同盟路線を堅持するとともに、日本との友好関係を引き続き深めてまいりたいとの決意を伺い、意を強くした次第であります。さらに私は、今回のベルグラード訪問の機会に、華国鋒中国総理と会談したほか、ガンジー・インド首相、ラーマン・バングラデシュ大統領等と意見を交換し、その他数多くの指導者と接触し、あいさつを交わす機会を得ました。
 最後に、私は、かねてよりのシュミット首相の招待により、八日から十日まで西独を訪問し、同首相を初め、同政府指導者と一連の会談を行いました。
 これらの会談においては、私から米国、メキシコ、カナダ三国歴訪について説明を行ったほか、イラン、アフガニスタン問題を初めとする現下の国際政治問題、ベニス・サミットを中心とする国際経済問題、その他両国が共通の関心を有する諸問題につき、忌憚のない意見の交換を行いました。私は、今次一連の会談を通じ、日独両国間のみならず、日欧間における対話と協調の関係をさらに強めることができたものと確信しております。
 最後に、私は、今回の各国訪問を通じ、いまや国際社会が容易ならぬ政治的、経済的困難に直面しており、いかなる国もその影響から免れ得ないこと、また、その困難を緩和ないし克服するための共同の努力に対し、わが国の積極的な寄与が各国から強く期待されていることを痛感いたしました。同時に、わが国は、国際社会の名誉ある、かつ有力なる一員として、友邦各国と協力しつつ、広く世界の安定と繁栄に一層建設的な貢献を行わねばならないとの決意を新たにいたした次第でございます。
 右御報告申し上げます。(拍手)
     ――――◇―――――
 内閣総理大臣の発言(帰国報告について)に対
  する質疑
#10
○議長(灘尾弘吉君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。勝間田清一君。
    〔勝間田清一君登壇〕
#11
○勝間田清一君 ただいま報告がございましたように、大平総理は、アメリカの人質救出作戦が失敗をいたしまして、世界にまた新たな緊張が加えられる重大な国際情勢の中で、カーター大統領を初め各国との首脳会談を終わって、最近、帰国せられたのであります。
 この間、日本国民は重大な関心を持って総理大臣の動向に注目をいたしていたのでありますが、いまや日本は、大平内閣によって平和憲法は全く無視されて、きわめて危険な道をたどりつつあるのではないかという深刻な不安を一様に感ぜざるを得なかったのであります。(拍手)
 また私自身も、第二次大戦、大東亜戦争の起こる当時の風潮を思い出して、日本はあるいは戦争にもう一度巻き込まれることがあるのではないかという不安をぬぐい去ることができなかったのであります。したがって、私は、日本社会党を代表し、また、日本国民がいま抱いているこうした深刻な不安を代表して、およそ三つの点について総理大臣に質問をいたしたいのであります。(拍手)
 第一の質問は、総理は、イラン並びにアフガニスタン問題の平和的解決について果たしていかなる成果と確信を持って帰られたのであろうか。
 総理は出発前は、アメリカに協力する目的は、いまや超大国でなくなったアメリカを孤立させることなく、イラン及びアフガン問題での平和的解決を達成することが目的であると強調せられていたのであります。
 しかし国民は、果たして総理がこの平和的解決についてどこまで真剣に掘り下げた討議をしたのであろうか、友人としての忠告さえその中に発見することができなかったのであります。
 カーター大統領は、あの世界戦争の引き金にもなりかねなかった人質救出作戦についてどういう反省をしているのであろうか、今後平和的解決についてどのような約束をしたのであろうか、そして、アメリカが年頭教書以来強調してきた軍事的、あるいは核兵器もあえて使用するという、そういうきわめて危険な対決姿勢に果たして何らかの修正が加えられたのであろうか、国民はこうした不安を抱かざるを得なかったのであります。そして、会談はむしろイランとソ連に対する対決方針を固め、軍事的、経済的、そしてオリンピックボイコットをも含めた制裁行動での統一行動を求めて日本がその先頭に立って旗振りをしたのではないだろうか。国民はそのように憂慮し、世界もまた、立場は違ってもそうした評価をしているのではないだろうか。
 第二の質問は、大平内閣の外交がきわめて危険なものになりつつあることについて、国民が深刻な不安を抱いていることであります。
 日ごろ言葉を選び、物事をはっきり言わない総理が、アメリカに行くと別人のように雄弁になるのには驚かざるを得ないのであります。(拍手)ソ連の挑戦に対する断固とした立場だとか、犠牲をもあえて辞さないアメリカへの協力だとか、アメリカとの共存共苦とか、そしてまた、いままで使ったことのない同盟という用語を使って、同盟国として何をなすべきかを真剣に考えるなどと最大限の用語を前面に打ち出しているのであります。日米関係が対等なパートナーから同盟関係にどうして変わったのか、総理の解明を求めたいのであります。(拍手)
 そして総理は、まだ国防会議にも、ましてや閣議にもかけていない単なる防衛庁の一資料にすぎない中期業務見積もりの繰り上げ実施について、同盟国の立場から真剣に考えることを確約してきたのではないか。そもそもこうした国防計画が国民に知らされず、外国には知らされて、外国から指示を受けるやり方は、不愉快千万と言わなければなりません。(拍手)総理はこの約束を五十六年度予算から実施するのでしょうか。もしそうなら、日本の最大の課題の一つである財政立て直しは不可能となり、増税と社会保障費の削減が国民に重くのしかかってくることは明らかではないか。(拍手)
 総理は、また、経済援助をアジアのタイやパキスタンだけでなく、トルコなどペルシャ湾一帯の紛争周辺国にまで拡大し、事実上紛争に介入しようとしているのではないか。
 そしてまた、総理は、イラン並びにアフガン問題を単なる日米間の問題としてではなく、世界秩序にかかわる問題として協力することは当然であると述べ、カーター大統領もまた、日本はいまやアジアにおけるかなめであるだけでなく、アメリカの世界戦略の核の一つであると述べたことは、明らかに、大平総理は、いままさに安保条約を、日本を守り極東の平和と安全を維持するというその限界をさらに乗り越え、アメリカの世界戦略に組み込まれた世界的規模の日米軍事同盟に事実上移行、拡大している証拠ではないだろうか。(拍手)国民はいま、こうした深刻な不安を抱いております。大平総理は、これらの国民の深刻な憂慮と不安に対して誠実に答える責任があります。
 第三の質問は、第三世界での民族革命についての総理の見解であります。
 私は、今日の国際緊張は、かつての冷戦時代とは違って、世界の人口の三分の一を占める第三世界が、多かれ少なかれ、民族の独立と資源の自主権を要求した民族革命が歴史的な潮流となってあらわれていることから、東西両陣営にも深刻な影響を及ぼしていることによって生じている新たな世界の緊張だと思うのであります。そして、この民族革命に対応する場合、基本的に重要なことは、この革命が歴史的に必然性を持った、したがって、何によっても抑えることもできない問題であると思うのであります。そして、これらの国々で利益を上げてきた旧権益と、その権益を守るための旧権力をいかに擁護しようとしても擁護し切れるものでないということであります。イランの石油でだれが利益してきたのか、そして、その利益を守る政府はイランの国民に対して何をしてきたのか、その反省なくしてイラン問題の友好的解決はあり得ないと思うのであります。(拍手)アメリカのケネディが、パーレビ国王は歴史的に見て最悪の暴君であったと言ったのは、そのことへの反省の一つではないであろうか。
 人質は確かに国際秩序を乱すものであって、許すことはできません。しかし、それ以上に、民族の正当な要求を大国の利益のために武力によっても押しつぶそうとするやり方は、間違いであります。そして、こうしたやり方がすべて失敗してきたことは、すでにキューバにおいて、そしてベトナムにおいて証明されたことではないであろうか。(拍手)
 もう一つ重要なことは、これらの第三世界の圧倒的多数の国々が、非同盟中立の立場を堅持していることであります。アフガンヘのソ連の軍事介入にも、それらの国々が、大部分が反対していることに注目をすべきであります。
 幸いにして、日本は中近東において汚れた歴史を持っておりません。そして、戦争を永久に放棄し、平和国家として国際社会に名誉ある地位を得ようと決意した平和憲法を持っているのであります。(拍手)世界九十何カ国が結集する非同盟中立の国と手を結び、その道を通じて世界平和に貢献することこそが、日本の進むべき正しい道であると確信いたすのであります。(拍手)あの偉大な指導者チトー大統領の葬儀に百十五カ国の首脳が参列したあの盛大さは、何にも増してその正当さを証明いたしているのではないでしょうか。
 われわれ社会党は、戦後三十余年、一貫して平和憲法を守り、非武装中立を主張してまいりました。そして、この道を守るために淺沼委員長を失うほどの犠牲を払ってまいったのであります。それゆえに、社会党は身をもって平和を守る伝統を持った唯一の政党としての誇りを持っております。もし、大平内閣が依然としてこの危険な道を進もうとするなら、われわれは、新たな決意を持って断固として反対するであろうことを表明して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#12
○内閣総理大臣(大平正芳君) 勝間田さんの第一の御質問は、イラン問題、アフガニスタン問題の平和的解決について、今度の私の訪米を通じての成果と確信についてお尋ねでございました。
 申すまでもなく、イラン問題は、米大使館の占拠と五十人の人質問題から起こった問題でございます。アフガニスタン問題は、ソ連のアフガニスタンに対する軍事的介入から起こった問題でございまして、いずれもが、まずこれを本当の意味で解決するものはイランであり、ソ連でなければならぬと考えております。私どもは、これが平和的に解決されることを念願いたしておる立場にあるわけでございまして、これを解決する能力を日本が持っておるわけではないのであります。また、アメリカといたしましても、これを真に解決する能力に十分恵まれておるわけではなく、今日までもソ連に対し、イランに対し、国際的な違反を続けておりますと、その行動は何らかの代償を伴わざるを得ないということを悟らしめるような、忍耐強い対処をいたしてきておるものと思うのでございます。
 今回、私はアメリカに参りまして、国際社会における責任ある一員として、また、アメリカの友好国であるわが国といたしまして、国際法違反が公然と行われておるような事態を平和的に解決するために、引き続き忍耐強く対処してもらいたい、そのためには、日本も西欧諸国も相ともにできる限り協力いたすことを大統領に申し出たわけでございます。大統領は、これに対しまして同意を示されました。同時に、大統領は、日本初め西欧諸国に対しまして、十分な協力を強く要請されたのが実態でございます。
 第二の御質問は、中期業務見積もりに関するものでございまして、勝間田さんは、これは国防会議、閣議にかかっていない防衛庁の一計画で、それがアメリカに渡って、それが外交の場で議論されること自体が不思議であり、シビリアンコントロールを無視したものではないかという御質問でございました。
 中期業務見積もりは、国防会議及び閣議において決定を見ておりまする防衛計画大綱を受けまして、昭和五十五年度以降の防衛力整備をどのように進めていくかについて、防衛庁内部において検討いたしました参考資料と心得ておりまして、この中期業務見積もりなるものが予定どおり達成されましても、防衛計画の大綱の定める防衛力の水準には、なお達しないものであると私は承知いたしておるものでございます。
 この中期業務見積もりにつきましては、昨年八月、当時の防衛庁長官が訪米した際、防衛庁の考え方としてその概要を説明した事実はございます。米側も、中期業務見積もりが防衛庁限りの参考資料であることは、よく承知いたしておるはずでございます。
 今次会談におきまして、大統領がわが国の防衛努力に関連いたしまして、政府部内ですでにある計画の早期達成に言及したことは事実でございます。けれども、具体的に中期業務見積もりに関連して、その繰り上げを要求いたしました事実はございません。これに対しまして、私は、現在の国際情勢のもとで、わが国にとっても防衛力を整備していくことが必要であることはよく理解しておるし、今後この問題は、わが国の立場で自主的に真剣に検討していく旨一般的に述べたのが今度の会談の真相でございます。
 第三の御質問は、財政再建を最大の課題としておる私の内閣は、中期業務見積もりの繰り上げ要求を五十六年度予算でどう扱うのか、増税によるのか、社会保障の切り捨てによって行うのかというような意味の御質問でございますが、私は従来から、わが国の防衛力の整備は、防衛計画の大綱に従いまして、日本政府の自主的な判断に基づきましてこれを策定していく考えであることは常々申し上げておるとおりでございます。お尋ねの五十六年度の予算につきましては、現下の厳しい国際情勢にかんがみますと、防衛力の整備について真剣に検討しなければならないと考えておりますが、一方、財政上の制約もございまするので、来年度予算編成の中で答えを出していかなければならぬと考えております。
 第四番目の問題は、わが国の経済協力は一方の陣営に偏向していないかという意味の御質問でございました。
 勝間田さんも御案内のように、わが国の経済協力政策は、受益国の希望に沿いまして、アジアを中心といたしまして、その受益国の国民の福祉向上のために使っておることは御案内のとおりでございまして、紛争地域の一方の側に偏向しておるようなことはいたしていないつもりでございます。この経済協力は、受益国の政治的、経済的安定に貢献いたしておると私は考えておりまして、わが国としては、広い意味で安全保障の見地から、経済協力にも今後力を入れていかなければならぬと考えております。
 第五の御質問は、イラン問題、アフガニスタン問題について、日本はアメリカの戦略体制に組み込まれてしまっておるのではないかという意味の御質問でございました。
 イラン問題、アフガニスタン問題は、国際秩序に対する公然たる挑戦でございまして、日本ばかりでございませんで、世界の多くの国がこの国際秩序に対する挑戦に対しまして反対をいたしておるわけでございまして、わが国は責任ある国際社会の一員といたしまして、これに対して反対しておるにすぎないのでございまして、アメリカの戦略の構想に組み入れらてしまうというお考えがどこから出てくるのか、私には理解できないのであります。(拍手)
 第六番目に、安保条約はこのところアメリカの戦略に組み込まれて、軍事同盟に移行しつつある懸念があるではないかという意味の御質問でございました。
 勝間田さんも御承知のとおり、安保条約並びにそれに基づく地位協定はいささかの改定も行われていないのでございまして、その機能は全然変化がないのであります。なるほど在日基地から米軍が紛争地域に若干移動するような事実はございますけれども、それは、軍隊の性質上当然のことでございまして、安保条約はこれを禁止していないことも、勝間田さん御承知のとおりと思います。
 それから、最後の御質問は、第三世界での民族革命への正しい対応についての御所見を交えての御質問でございました。
 人民の自決の原則は国連憲章でもうたわれておるところでございまして、わが国といたしましても、従来からこれを尊重するとの基本的立場を貫いておるつもりでございます。わが国は、従来より、平和国家としての立場から、世界各国との友好協力関係を深めることを通じまして、世界の平和に貢献することを外交の基本としております。政府といたしましては、今後とも積極的に国際協調を進めて、世界平和の達成に貢献していかなければならないと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○議長(灘尾弘吉君) 浅井美幸君。
    〔浅井美幸君登壇〕
#14
○浅井美幸君 私は、公明党・国民会議を代表し、先ほどの大平総理のアメリカ、メキシコ、カナダ、西ドイツの国々を歴訪した際の首脳会議の報告に対し、質問をいたします。
 今回、日米首脳会談を中心とする一連の首脳会談は、イラン、アフガニスタン問題などをめぐって緊迫した国際情勢のもとで開かれ、その結果、大平総理は、国民に何ら説明することなしに、これまでの日本外交の枠を超え、アメリカのいわゆる世界戦略の中に深く足を踏み入れる、重大な政治選択を行ってしまったのであります。
 わが党は、総理の訪米に先立って、総理に対し、米国のイラン人質救出作戦は遺憾であること、軍事行動は絶対に米国はとるべきではない、あくまでも平和的解決に努力するようカーター大統領に強く自制を求めるべきこと、安易な防衛力増強を約束すべきでないとの諸点を強く申し入れ、さらに、わが国として自主的な立場で、言うべきことは率直かつ明確に言うべきであると主張してまいりました。
 しかし、これらの中で最も重要なポイントである、軍事行動をとるべきでないというわが国の主張をあいまいにしたまま、米国の立場に全面同調し、加えて、カーター大統領から、防衛力の増強という過分な重荷を背負わされてきたのであります。
 総理、イランの人質救出作戦を軍事行動をもって行ったことは、大規模な国際的武力紛争につながるきわめて危険なものであることは、総理も十二分に承知しているはずであります。カーター大統領のこの判断、対応、行動に、日本やEC諸国が不安や不信を深めたのは当然であるにもかかわらず、なぜ、今回の首脳会談において、総理は、この軍事行動の問題に具体的かつ明確に言及されなかったのか。なぜ、遺憾であるとのわが国の立場を明らかにできなかったのか。まずこの点について答弁を求めたいのであります。
 それとも、この米軍の人質救出作戦は正当なものであったと総理は考えておられるのかどうか。もしそう考えているならば、その根拠を明らかにしていただきたいのであります。この米軍の行為は軍事行動とは言わないのか。アメリカ政府は、国連憲章第五十一条に基づく自衛権の行使であるとしておりますが、これは明らかに同条項の拡大解釈にほかならないと思うのであります。わが国政府はこれに対しいかなる見解を持たれるのかどうかもあわせて伺いたいのであります。
 大平総理、イラン問題の平和的解決を求めた際、カーター大統領から、軍事力の不行使に対して明確な保証、約束を取りつけられたのか、それとも近い将来軍事行動の可能性があると判断されたのか、この点についても見解を承りたいのであります。
 大平総理は、カーター大統領に対し、イラン、アフガニスタン問題に関し、米国とわが国は共存共苦であり、日本としてはそのための犠牲を辞さないとまで述べたのであります。総理の言う犠牲も辞さないとは一体何か、その具体的な中身を明らかにされたいのであります。共存共苦とは、米国のすべての行動に対して全面同調することまでを意味するのか、この点もあわせて明確にしていただきたいのであります。
 総理、カーター大統領は、依然として軍事力行使の態度をこれまで一度も否定しておりません。逆にペルシャ湾封鎖の可能性を示唆し、一方で、イラン政府は、同湾の逆封鎖もあり得るとさえしているのであります。もしこうした事態が起こり得るとするならば、中東諸国の石油に依存せざるを得ないわが国は、きわめて重大かつ深刻な事態を迎えるのであります。総理は、こうした事態を想定して対策を考えておられるのか、犠牲も辞さないとはこうした事態を指して言われたのかどうか、伺いたいのであります。
 また、ペルシャ湾の封鎖は国際法上許される行為であると考えておられるのか、あわせて総理の所見を明らかにしていただきたいのであります。
 次に、もし米国がイランに対し軍事行動に出るようなことがあれば、わが国は、日米安保条約並びに今回の共存共苦、犠牲も辞さないという大平総理の発言からして、全面無条件にこれを支持し、協力せざるを得ないことになると思うが、この点についての総理の見解を承りたいのであります。
 また、真の同盟関係とは、相手が本当に苦しんでいるときに助けるものであるとする総理の発言は、自主性を欠いた対米同調外交を正当化しようとしている姿にほかなりません。
 真の友好関係、パートナーシップとは、無原則な同調、追随では断じてありません。相手が誤りを犯そうとしているときにはこれをとどめ、冷静な判断を欠いているときにはこれを戒め、苦言を呈することにあります。大平総理、あなたはあえてこれを言わず、行わずにきたところに、最も基本的な問題があると指摘せざるを得ません。
 さて、今回、総理は、日米関係を同盟関係という新しい表現をなさったことであります。一体、同盟とはいかなる定義のものなのか、わが国とアメリカとはどのような同盟なのか、いつから同盟関係に入ったのか、この際国民の前に明らかにすべきであります。
 また、従来政府の言ってきた日本外交のあり方としての全方位外交は、今回の訪米の結果変更されたと思われるのでありますが、この点についての総理の御所見を承りたいのであります。
 今回の総理の訪米は、わが国外交の大きな転換となり、対米同調を一段と世界に印象づけたと私は思うのであります。イラン問題の推移いかんによっては、アラブ・イスラム諸国から厳しい措置をわが国が受けることになりかねないと懸念するものであります。
 総理は、イラン問題に対するアラブ・イスラム諸国の動向をどうとらえておられるのか、また、これら諸国とのわが国の外交を今後どう展開されようとしているのか、ぜひ明らかにしていただきたいのであります。総理または外務大臣の訪問を具体的に考えておられるのか、この点もあわせて伺っておきたいのであります。
 さて、日米首脳会談の中でわれわれが見過ごしにできない問題は、防衛問題についてであります。
 カーター大統領は総理に対し、日本の防衛努力を強めることを望む、新たな状況に対応するため、すでに政府部内にある計画を早めに達成することを検討してほしいと、防衛力の増強を求めたのであります。これに対し総理は、同盟国として真剣に検討し、努力すると確約されたそうであります。カーター大統領の言った新たな状況に対応するためという新たな状況とは、具体的にどのような変化を指しているのか、大統領の説明に対し、総理はどのように理解したのか、詳しく説明を求めるものであります。
 さらに、カーター大統領の言う、すでに政府部内にある計画とは、大来外務大臣もすでに認めているように、これが防衛庁の中期業務見積もりであることは言うまでもありません。総理、この中業見積もりは防衛庁の内部資料であり、先ほどの御答弁の中でも参考資料であると述べられておりました。国会にも国防会議にもかけられていないものが突如日米首脳会談の重要課題として取り上げられ、それについての約束事が行われるということは一体どういうことなのか、理解に苦しむのであり、これはきわめて重大な問題であります。総理、このようなことであっていいのか、明確にお答えいただきたいのであります。
 また、カーター大統領のこの要請に対し総理は、要請はわかったと述べたが、そのとおりにするとは約束していないと強弁しておられるが、すでに米国側は、日本が防衛費を着実かつ顕著に増額することに合意したものと受けとめています。この日米両国の間で、総理の発言の内容には食い違いが問題化しておりますが、いずれが真実なのか、明快な答弁を求めるものであります。(拍手)
 外務省の中で、外交上の選択の幅を広げ、対米依存をより薄めて、自主外交を進めるためにも、防衛力増強が必要だとの見解を示していることは、アメリカ側の要求に大平総理が確約をしたことを物語るのではないか、この点もあわせてお答えを願いたいのであります。
 この際、政府は、速やかに防衛庁の中期業務見積もりを国会に提出し、徹底的に論議することを強く要求するものであります。(拍手)
 そこで、仮に中期業務見積もりなるものを繰り上げ、一年早く達成するとするならば、そのためには毎年の防衛費は幾らふえるのか、また二年早めるのにはどうなるのか、それぞれ明らかにしていただきたいのであります。
 去る五日、大平総理は、カーター大統領の要請に対し、日本としては五十六年度予算案で答えを出さざるを得ない、このように述べておられます。これは五十六年度予算案で防衛費を大幅に増額することを意味するのか、もし増額するならばその財源は一体どこから捻出するのか、増税か、福祉予算の削減か、または特別な扱いを考えているのか、総理及び大蔵大臣からこの点を明らかにしていただきたいのであります。
 さらに大蔵大臣に伺いたい。今日のわが国の厳しい財政事情のもとで、防衛費の最大許容額は一体どの程度と考えておられるのか、具体的なめどをこの際明らかにしていただきたいのであります。
 この問題で最も基本的部分が、総理並びに自民党政府に欠落していることを指摘したいと思います。それは、なぜわが国がいま防衛費を大幅にふやさなければならないのか、具体的説得力のある理由が全く国民の前に示されておらないのであります。防衛力増強の必要性は一体どこにあるのか、その背景、根拠をこの際明らかにすべきであります。
 また、中期業務見積もりを正式な計画として国防会議にかけることは考えているのか、防衛費のGNP一%を最大限にするという閣議了解は、今後も一切変更するつもりはないと確約できるのか、総理の決意のほどを伺いたいのであります。
 ここで、具体的に、今後懸案になると思われる問題について二、三ただすものであります。
 第一に、米軍の労務費、施設費等の大幅負担を考えているのか。また、現行の地位協定では限界があるが、この再検討もあり得るのか。第二に、米空母の新たな日本母港化要請があった場合、これを原則的に受け入れるのか。第三に、米軍が求めてきた宗谷、対馬、津軽の三海峡の封鎖能力を自衛隊が保持するようにするのか。それぞれについて伺いたいのであります。
 政府は、再三再四、経済大国になっても軍事大国にはならないと明言してまいりました。現状のわが国は、すでに世界でも有数な防衛予算を持つに至っております。これをさらに大幅に増加させようというのが自民党政府の考えであり、世界やアジア諸国がわが国の防衛力の強化に警戒的な注目をしているのであります。
 そこで、軍事大国とは一体何か、その定義を総理はここに示すべきであります。また、防衛力はわが国の憲法上いかなる制約、限界があるのか、この際明らかにしていただきたいのであります。
 さて、次に、メキシコのロペス大統領との会談において、大平総理は、八二年までに日量三十万バレルの原油供給を求めたのに対し、明確な約束を取りつけることができなかったのであります。この点について、総理はいかなる見解と評価をしているのか。情勢の判断を誤ったのではないかと言われております。また、メキシコは原油供給に見合う協力を求めていると言われているのでありますが、その用意はあるのかどうかもあわせて明らかにしていただきたいのであります。
 最後に、ベネチア・サミットに対する大平総理の基本的な方針、西ドイツ首脳との会談でどのような話し合いがなされたのか、あわせて答弁を求めるものであります。
 わが国は、言うまでもなく、平和憲法の精神にのっとり、あくまでも世界の平和と安定に寄与するため、武力によらず平和的手段を総動員してこの難局に処さなければなりません。その立場から見ると、今日ほどわが国の外交に重い責任がかかっていることはありません。政府の賢明なる対応を求め、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#15
○内閣総理大臣(大平正芳君) 浅井さんの最初の御質問は、米国の人質救出行動に関してのお尋ねが最初にございました。
 まず第一に、今度の訪米を通じてこの問題に私が一言も言及しなかったのはなぜかという意味の御質問でございました。
 いま、アメリカ国内におきましては、同胞五十人が半年間にわたりまして人質になっておるということ、そして先般の救出行動によりまして数名の犠牲者が出ておるということでございますので、私は、同胞の人質になられたアメリカ人の安全と、それから今回の救出行動による犠牲者に対する弔慰の意を表明いたしたわけでございますけれども、これに批判がましい言及は一言もいたさなかったのであります。アメリカ国内におきましては、悲しみに満ちておるわけでございまするので、私といたしましては、この問題にこれ以上言及することは慎むべきであると考えたのであります。
 それから第二に、この人質救出行動は軍事行動かどうかという御質問でございますが、これはかねてから政府が申し上げておりまするように、今回のアメリカによる行動は、人質の救出に限定された自衛行動でございまして、イラン国とイラン国民に対する敵対行動ではないので、いわゆる軍事行動であるとは政府は見ておりません。
 それから第三の問題は、大統領に今後軍事力不行使の約束を取りつけたかどうかということについての御質問でございました。
 私は、先ほども勝間田さんにお答え申し上げましたとおり、人質問題は交渉を通じて平和的に解決するよう要請し、大統領もその要請に同感を示され、と同時に、友好国の一層の協力を求められたことは、お答えしたとおりでございます。
 第二の御質問は、ペルシャ湾の封鎖についてのお尋ねでございましたが、いわゆるペルシャ湾の封鎖というような問題につきましては、憶測、仮定に基づくものでございますので、私の立場でコメントをすることはお許しをいただきたいと思います。
 私は日米関係を同盟関係と言っておるが、一体その意味はどういう意味かというお尋ねでございました。
 日米関係は、わが国外交の基軸であり、また、米国にとってもアジア外交の重要な柱であることは、浅井さんも御承知のとおりでございます。
 同盟とは、そのような意味で、米国と特別に緊密な関係を持ち、種々困難な問題を抱えておる国際社会において、相互に協力して世界の平和、国際経済の発展のために貢献していく責任を有するわが国の立場をあらわす言葉として用いたつもりでございます。
 その次の御質問は、イラン問題で対米同調を強めたことは、今後のアラブ・イスラム外交に大きな影響を及ぼすと考えられるが、今後のこれらの諸国の動向はどうか、今後の政府の外交方針はどうかということ、さらに、私または外務大臣のこの地域に対する訪問予定があるのかどうかという意味の御質問でございました。
 イラン政府が人質の拘束を容認しておることは、国際社会の基本的な秩序を脅かすものであり、人質が早急に解放されねばならない点につきましては、アラブ・イスラム諸国も含めまして、広く国際社会の認識が一致しておることは、御案内のとおりでございます。また、これらの諸国は、米、イランが平和的手段によって両国間の問題を解決すべきであるという立場をとっておると承知いたしております。
 また、去る十月のイスラム臨時外相会議の開催にも明らかに示されておるとおり、アラブ諸国を含むイスラム諸国は連帯の動きを強めておりまして、国際場裏におきましては、もとよりその影響力は増大しつつあると私どもも見ております。
 わが国は、このようなイスラム諸国の連帯の動きを踏まえまして、宗教を初め、これら諸国固有の歴史、文化に対する理解を一層深め、中近東を中心とするイスラム諸国との友好協力関係の緊密化を図っていきたいと考えております。
 かかる観点から、私は、かねてから、できるだけ早く中近東諸国を訪問したいと念願いたしておりますが、今後、内外の状況を勘案いたしまして、この訪問計画は検討させていただきたいと思っております。
 また、同様の観点から、外務大臣ができるだけ早くこの諸国を訪問することが望ましいと考えておりますが、具体的な訪問国、また訪問の時期等につきましては、今後のスケジュールも勘案の上、現在検討中でございます。
 次の御質問は、カーター大統領が私との会談で、新たな状況に対応して云々と言っておられるが、新たな状況をどのように受けとめたかということでございますが、私は、世界各地における不安な情勢の増大を指しておるものと理解いたしたつもりでございます。
 次に、防衛力の問題について、中期業務見積もりの繰り上げ実施は日米間の公約となったのではないか、もしそれがそのようにいかない場合には、日米間に悪い影響を及ぼすことになるのではないかという御質問でございました。
 私は、わが国にとって防衛力を整備してまいることが必要であると考えており、かかる認識を踏まえて、大統領に対しまして、日本の防衛努力について真剣に検討してまいる旨を述べたつもりでございます。中期業務見積もりの繰り上げ実施というようなことについては、公約をいたしておりません。
 それから、次の浅井さんの御質問は、五十六年度政府案で防衛費を大幅に増額することになるのか、防衛費を特別扱いする考えなのかどうか、これを明らかにしろという意味の御質問でございました。
 かねて申し上げておりますように、政府は、防衛計画の大綱に従いまして、質の高い防衛力を整備することにいたしておりますが、今日の厳しい国際情勢にかんがみまして、防衛計画の大綱に定める防衛力の水準をできるだけ速やかに達成するように努力してまいりたいと考えております。
 五十六年度の防衛庁予算につきましては、現在防衛庁で検討を始めたばかりの段階でございまして、具体的なことを申し上げる段階にはございませんが、私としては、防衛力整備に引き続き努力していく必要があると考えております。
 次に、中期業務見積もりを国防会議にかけて正式な計画にするかどうか、防衛費のGNP一%以内の閣議了解は、今後これを変更しないかというお尋ねでございました。
 中期業務見積もりは、防衛庁が防衛計画の大綱に基づきまして、先ほど申しましたように、毎年度の予算要求案等を作成するに当たり、その参考とすることを目的とした資料でございまして、これをそのまま政府の計画とするという考えは持っておりません。また、お尋ねの当分一%以内という閣議了解は変更する考えを持っておりません。
 それから、日米間の地位協定は変更する考えはあるかどうかということでございますが、これまた日米双方いずれもこれを変更する考えは持っておりません。
 それから、米空母の新たな日本母港化の要請があれば、これをどう受け入れるつもりかという御質問でございますが、空母の母港化の拡張については、米政府内部で種々のオプションにつき検討されておる模様でございますが、新たな空母が日本を母港化するという話は承知しておりません。かかる段階において、わが方の対応ぶりを論ずることは適当でないと思います。
 わが国が軍事大国にならないとは、どういうことなのかという意味の御質問でございました。
 わが国が軍事大国にならないということは、わが国の保有する防衛力は、憲法の範囲内のものに限られるということから明らかであると私は考えております。
 すなわち、憲法第九条は、わが国が主権国家として有する固有の自衛権を否定しておりませんが、この自衛権の行使を裏づける自衛のための必要最小限度の実力を保持することが認められておりますが、この自衛のための必要最小限度という限界を越えて防衛力を増強することは許されないと考えております。
 最後に、メキシコ大統領との会談で、石油三十万バレル・パー・デーの供給を明確に取りつけられなかったが、その理由は何か、今後の見通しはどうか、それに見合う経済協力の用意があるのかというお尋ねでございました。
 わが国としては、従来より、メキシコからの石油供給を増量したいと考えておりまして、その希望を表明いたしたことは事実でございます。大統領は、今日増産計画を立てて供給先を決めたばかりでございますので、ただいま日本の要請に応ずることはできませんけれども、わが国の希望に対しましては、政治的決意と善意をもって将来配慮する旨表明されましてことは、コミュニケにも明らかにしておるとおりでございます。メキシコといたしましては最大限の配慮を示してくれたものと私は受けとめております。メキシコの要求いたしておりまする鉄鋼プラントその他に対するわが方の経済協力案件につきましては、誠意をもってこれから交渉に入るということを約束をいたしておるわけでございまして、この交渉を通じまして、経済協力の実態は漸次明らかにしてまいるつもりでございます。
 最後に、ベネチア・サミットに対するお尋ねでございました。
 サミットは、過去五回行われまして、確立された国際協調の精神に基づきまして、今日まで世界経済の安定と発展に役割りを果たしてきたと考えております。目下、準備会議が各国の首脳のパーソナル・レプレゼンタティブの間におきまして進められておるわけでございますが、インフレとエネルギー問題、南北問題、それに今日緊張が増してきておる政治問題等が、今度、今回のサミットの話題に取り上げられるべきではないかという考えが有力になってきておるわけでございまして、先般のドイツの首相との会談におきましても、同様の考えで同様の意見で一致を見たわけでございました。われわれといたしましては、世界経済の安定と発展のためには、その基盤となる世界の平和と政情の安定が不可欠であるという認識を持って次回のサミットには臨まなければならないのではないかと考えております。(拍手)
    〔国務大臣竹下登君登壇〕
#16
○国務大臣(竹下登君) 私に対する御質問は、防衛費の最大許容額についてであります。
 毎年度の防衛費は、他の予算費目と同じように各年度の財政事情及び他の経費とのバランス等を勘案いたしまして、適切な規模が決定されることになるものでありまして、あらかじめ特定した費目だけを取り上げて、その最大許容額がどの程度かを定めるということはできがたい問題でありますので、御理解をいただきたいと思います。
 次に、したがって、わが国の防衛力整備の基本的な考え方は、昭和五十一年十月二十九日、国防会議、閣議決定の防衛計画の大綱に従いまして、質的な充実、向上を基本とし、その具体的な実施に際しては、そのときどきにおける経済財政事情等を勘案し、国の他の諸施策との調和を図りつつ行うものとされておりますことも申し添えておきます。(拍手)
    〔国務大臣細田吉藏君登壇〕
#17
○国務大臣(細田吉藏君) お答え申し上げます。
 御質問の諸点につきましては、総理からほとんどお触れになりましたので、私は、補足的に追加をして申し上げたいと存じます。
 第一に、中期業務見積もりについて、国会にかけて審議をするという考えがあるかどうかというお話でございますが、すでに予算委員会、内閣委員会その他の委員会におきまして、中期業務見積もりについてはいろいろ御審議を願っておるところでございます。なお、これにつきましては、資料はすでに昨年提出しておりますが、内閣委員会並びに安全保障特別委員会からさらに詳細な資料要求があり、これについてさらに審議を深めていきたい、どういう御意向を承っておりますので、資料をただいま準備をして提出をいたすことにいたしておる次第でございます。
 それから次は、どうして防衛費の増額が必要かということでございましたが、私どもの見解は、最近のわが国周辺の国際情勢、特に極東ソ連軍の著しい増強や北方領土における地上軍配備等を含めまして、国際的な情勢は非常に厳しさを増しておると考えておりまして、私どもとしましては、このような情勢にかんがみまして、防衛計画の大綱が定める防衛力の水準をできるだけ速やかに達成したいというふうに考えておるということでございます。
 次に、地位協定変更の意思云々につきましては、総理からお答えがございましたが、現行地位協定の範囲内で施設の増強についてはまだ考えなければならぬ点があると存じておりますが、労務費の増額につきましては、ただいまのもので精いっぱいであると考えておる次第でございます。
 次に、海峡封鎖についての質問がございましたが、三海峡封鎖につきましては、アメリカの国防報告には出ておるわけでございますが、もちろんこれについて、これは大変重大な問題でございまして、どこかから要求があったからやるというような問題ではございません。このこと自体がそれこそ戦争を誘発するような重大な問題でございます。私どもといたしましては、あくまでも専守防衛でございまするので、わが国を防衛するために真にやむを得ないという事情があるときに、必要最小限度の範囲内で、わが国に対して武力攻撃を加えている相手国に属する船舶の通峡に対して、これをできるだけ阻止するということは、これは考えなければならぬことでありまして、これに対する能力を、現在のところ至って貧弱なものでございまして、逐次整備してまいらなければならないと、かように考えておる次第でございます。
 以上でございます。
    ―――――――――――――
#18
○議長(灘尾弘吉君) 榊利夫君。
    〔榊利夫君登壇〕
#19
○榊利夫君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、大平総理に質問をいたします。
 アフガン問題イラン問題など最近の世界情勢は、大国の覇権主義に反対し、軍事ブロックと緊張激化の悪循環をいまこそ断ち切ることが重要であることを示しています。わが国にとっても対米従属外交と日米安保条約をやめて、非同盟・中立に転換することこそ平和と安全の道であることがいよいよ明らかであります。(拍手)
 わが党の宮本委員長は、大平総理の出発前、イラン問題について自主性を持って平和解決を図ること、米側の同調要求に応じないこと、軍事行動に日本を使わせないこと、この三点を要望いたしました。しかし残念ながら、要望は裏切られたというほかありません。以下、十項目にわたって質問いたします。
 第一は、イラン問題の見方についてであります。
 もちろん、イランの人質事件は国際法違反であります。同時に、問題をそこにとどめるわけにいきません。二十七年前、アメリカの介在したモサデク政権打倒のクーデターでパーレビ王制が生まれ、数万人を投獄した虐政を支えるなど、アメリカの明白な国際法違反の数々が今回の事件の背後にあるのであります。
 イランに対してだけでなく、これまでアメリカは各地で世界の憲兵として振る舞い、あのベトナム戦争やキューバ侵攻、レバノン出兵など、国際法違反を繰り返してきたのであります。
 大平総理、あなたはイラン問題のそうした歴史的背景をどう考えておられるのか。また、今後アメリカが各地で国際法違反を犯しても同調するおつもりなのか。しかとお尋ねいたします。
 第二に、イラン紛争の直接の当事国は、あくまでアメリカとイランであります。それをカーター政権は、人質の安全のためにも必要な平和解決に努めるのではなく一人道的協力義務などと称して、他国まで力の政策に巻き込もうとしております。そして、カーター政権はこの四月二十二日、日本政府とEC諸国政府が対米同調を表明するや否や、直ちにあの無謀な人質奪還軍事作戦さえ強行しました。ところが大平総理は、日米首脳会談でもイラン制裁行動に進んで協力、加担する態度をとりました。あなたは、平和的解決を一言述べられただけで、協力に犠牲を払うことも辞さないとか、共存共苦でいくとまで約束したのであります。
 アメリカの軍事行動に対する日本政府の態度について、去る八日の外務委員会で大来外相は、安保条約の趣旨に沿って考えていくと答弁いたしました。それに従うならば、まさに安保こそ犠牲の根源ということになるではありませんか。総理も外相と同じように考えておられるのでしょうか。お尋ねいたします。
 第三に、さきの人質奪還作戦は、中途で失敗したとはいえ、テヘラン爆撃を含む大規模な軍事行動をねらったものでした。アメリカ側は第二次人質奪還作戦を初め、日本を重要な基地の一つとする最高五万人の緊急投入軍作戦も準備中と言われます。
 こうした軍事行動は、国連憲章が他国の領土と独立に対する武力交渉を慎むべきだとしていることに違反するだけでなく、一触即発で大戦争にも発展しかねません。総理は、そういうアメリカの力の政策と軍事行動のため在日基地が使用されることに対して、今後ともそれを野放しにしておくおつもりでしょうか。明確な答弁を求めます。(拍手)
 第四に、人質奪還作戦では、沖繩基地所属のMC130型機など、米軍が参加した疑いが強く持たれております。にもかかわらず、政府は、作戦はC130、米本土から出動、こういう米政府の一片の説明で引き下がっています。政府はみずから事実関係を調査したことはあるのですか。また調査するつもりはあるのですか、ないのですか。しかと答弁をお願いいたします。(拍手)
 第五、大平総理はカーター大統領に対し、イラン側の挑戦に勇気と英知をもって対処しているという賛辞をささげられたそうであります。
 ところで、その勇気なるものによってアメリカの大軍事行動が実際に強行され、イランが戦火にさらされたとき、イラン在住の日本人九百名の安全や、数千億円に上る在イラン資産はどうなるでしょうか。
 他方、イラン石油化学の日本人従業員の解雇も起こっております。
 いずれにせよ、アメリカの軍事作戦の危険は、刻々と在イラン邦人の引き揚げ検討を追っているのではないでしょうか。
 総理、あなたは在イラン日本人の安全をどう考え、どう対応措置を講じているのですか。率直にお伺いいたします。
 第六、イラン制裁への同調によって石油問題もきわめて深刻になっています。
 日本の石油輸入の一一%を占めるイラン石油がすでに四月二十一日からとまっております。石油交渉の決裂について、大平総理が幾ら不当な価格を拒否したものだと言いわけしても、アメリカ側がそれをイラン制裁措置だとしていることは周知の事実です。
 政府が望みをかけたメキシコ石油の輸入三倍化交渉は思惑が外れました。OPECも石油の埋め合わせ輸出をしないと決めています。自主性のない資源外交の失敗は明らかであります。
 政府が国際エネルギー機関の緊急融通とか米政府の努力とか言っても、しょせん願望にすぎません。現に政府は、裏で石油配給切符制などを準備しているではありませんか。総理、あなたは、あくまでイラン制裁同調による経済的犠牲を日本国民に求めるおつもりなのですか。明確にお答え願います。
 第七、総理は、米大統領が防衛庁の中期業務見積もり計画の繰り上げ達成を要請したのに対し、同盟国としての真剣な努力を約しました。先ほど公約ではないと言われましたけれども、約束は明白であります。
 総理のこの約束は、アメリカの戦略を補完するための軍拡要求に従い、憲法にも違反して、日本を軍事大国化する道であります。また、これほど日米安保条約、軍事同盟の危険性を示すものもありません。まして、中業見積もりは国会の承認を得たものでもなければ閣議決定でもなく、防衛庁の内部計画にすぎません。日本の軍備増強を中国の指導者が求めたのが内政干渉なら、米大統領が日本政府内の計画の早期達成を求めるのも明白な内政干渉であります。その内政干渉の要求を総理が認知し、国会を無視して早期達成の努力を約束するとは一体どういうことでしょうか。お答え願います。(拍手)
 第八、現在でもわが国の軍事費増大のテンポは世界一であります。その上、カーター政権の要請どおり、あと三年でGNP一%の軍事費に持っていくとすれば、五十八年度には軍事費は実に三兆四千二百億円となります。その結果は、膨大な軍拡増税、一層の福祉切り捨て以外にありません。
 大平総理、あなたは本年度の予算でも福祉を削って軍事費をふやしました。これからますますあなたは福祉を切り捨てて、軍事費の急増を選ぶことになるのではないでしょうか。率直な答弁を求めます。
 第九、日米首脳会談で、終わりの約五分間は二人だけの談合であったそうであります。ところがその後、首脳会談の公式発表以外のことがあれこれ明らかになっております。カーター大統領が韓国問題に触れたこと、ブラウン国防長官が日米合同演習の強化を主張したこともその事例です。
 総理、こうしたことのほかにまだ隠されていることがあるのかないのか、洗いざらい国会に報告されるよう求めます。
 第十として、総理は今回ユーゴスラビアを訪問し、チトー大統領の葬儀に参列しました。あなたは、チトー大統領を二十世紀最後の偉人と先ほど称賛されました。この葬儀に百二十六カ国の首脳が参列したのは、何よりもチトー大統領が軍事ブロックの束縛に反対し、非同盟運動の先頭に立ったからであります。いまや非同盟会議参加国は、百五十余の国連加盟国の四分の三にも迫ろうとしております。これこそ世界の大勢であります。チトー大統領を二十世紀の偉人とたたえた大平総理とその政府が、日米安保条約という軍事同盟、軍事ブロックの側に立っているのは、まさに大きな自己矛盾ではないでしょうか。お尋ねいたします。
 最後に、私は、ソ連にアフガン撤兵を要求するわが党の態度を重ねて表明するとともに、アメリカにはイラン問題の当事者として平和的解決を求め、さらに、日本政府には対米追随外交の転換を改めて要求して、以上の質問に対する総理の答弁を求めるものであります。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#20
○内閣総理大臣(大平正芳君) 榊さんの第一の御質問は、イランの人質事件は国際法違反だが、モサデグ政権打倒クーデターなどアメリカの国際法違反などの歴史的背景をどう見るかという御質問でございました。
 過去の米国の行動につきましては、その内容は明らかになっておりませんので、ここでコメントはいたしかねます。
 第二は、安保条約の趣旨についての御質問でございました。
 わが国が国際社会においてやってまいる努力は、国際社会の一員として、現下の国際情勢に照らして、なすべきことは何かということについてわが国自身が自主的に考えて、真剣に取り組んでいくべきものと私は考えております。
 その場合、友邦諸国が苦しい立場にある場合、友邦としてこれを助けるという心構えを持つべきは当然でございまして、この一般的な心構えを、犠牲も辞さない、あるいは共存共苦という言葉で表現をいたしたつもりでございます。
 安保条約は、その持つ抑止力とそれによる日米間の協力を通して、戦後わが国の安全と繁栄を支えてきたものでございまして、安保条約が国民犠牲の根源であるというような発想にはくみすることができません。
 その次の御質問は、わが国の基地が米軍の人質救出行動に使用された疑いがあるが、アメリカの説明はどうか、調査するつもりはあるかということでございますが、本件に関して米側にも照会いたしましたが、救出行動に参加したC130はすべて米国本土から出動したものとの答えを得ております。
 その次に、政府はイランの邦人の安全措置をどう考えておるかということでございます。
 一般的に、政府といたしましては、人質の問題の平和的解決を急がなければならぬと考えております。
 一方、政府としては、イラン在留邦人の生命、財産の安全の確保の観点から、従来より在留邦人の把握、連絡網の確保を初め、不測の事態に備えまして各種の措置を講じておりまして、今後とも事態の進展を慎重に見守りながら、対応に遺漏のないようにいたしてまいるつもりでございます。
 次に、対米協調をこのまま進めることによって、エネルギー不安を通じて国民に犠牲を求めるようなことにはならないかという懸念でございました。
 わが国といたしましては、国内経済及び国際的な原油価格の動向に及ぼす影響が大きいこと等を考慮いたしまして、経済的観点から、イラン側に対しまして値上げの再考を求めて、粘り強く交渉していくことが肝要であると考えております。イラン側との交渉が決着を見るまでの間、原油供給停止がしばらくの間続きましても、わが国は本年三月末現在、九十五日分程度の石油備蓄がありますので、対応は当面可能であると考えております。
 さらに、現下の国際石油情勢は比較的需給の緩和が見られますので、交渉が新展開を見せるまでの間において、イラン原油の代替原油を他の場所に見出すことも不可能ではないと考えております。
 その次は、日米軍事同盟下の軍事大国化の道で、軍備の拡張により、増税とか福祉の切り捨てとか財政の破綻をもたらすようなことになるのではないかという懸念の表明がございました。
 私どもといたしましては、従来から、防衛力の整備は、防衛計画の大綱に従いまして、日本政府の自主的な判断に基づいてやってまいる考えを貫いておるわけでございまして、今日もこの考えを変えていないのでございまして、防衛計画の大綱の範囲内における防衛力の整備を考えておるわけでございまして、無制限に防衛力の増大を計画しているわけでも何でもないことは御理解をいただきたいと思うのであります。
 日米首脳会談で、二人だけの五分間を含めて会談のすべてを国会に明らかにせよということでございますが、首脳会談の内容は先ほど報告したとおりでございまして、また、国会の審議の場で可能な範囲で説明していく所存でございます。本会談では、私とカーター大統領との二人だけの会談はありませんでした。
 チトー大統領の葬儀に参列しての感想を求められたわけでございますが、この国葬は故大統領の偉大な業績に対する高い評価を象徴するものであると私は考えております。わが国といたしましては、わが国の立場がございまして、節度ある自衛力と日米安保条約とから成る安全保障体制を堅持しながら、同時に平和外交を積極的に展開することによって、わが国の安全を確保するというわが国の方針は、チトー大統領の業績を高く評価することと少しも矛盾するものはないと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#21
○議長(灘尾弘吉君) 中村正雄君。
    〔中村正雄君登壇〕
#22
○中村正雄君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま総理より報告がなされました日米首脳会談に関し、お尋ねいたしたいと存じます。
 今回の日米首脳会談は、過去幾たびか繰り返された日米首脳会談と異なり、戦後日本の外交史上、いわば一つのエポックを画する重要な会談であったと言えましょう。それは二つの意味においてであります。
 一つは、日米関係が、よくも悪くも抜き差しならない関係にまで深まったことであります。これまでのように日本がアメリカにお願いする時代から、アメリカが日本を不可欠のパートナーとして頼りにする時代に変化したということであります。
 もう一つの意味は、この日米関係の深まりを通じて、日本が、経済面だけでなく、政治、外交面でも世界のパワーポリティクスに介入することに踏み切ったということであります。イラン、アフガン問題に対する国際的な制裁に参加したことはもとよりのこと、トルコやソマリア等への経済援助がそれであります。
 日本外交がこのような段階に踏み込まざるを得なくなったことは、日本の国力と国際情勢がなさしめたものであると言わざるを得ません。
 総理も御指摘のように、アメリカはもはや万能ではありません。日本は、その国力にふさわしい国際的な責任を負わなければならないからであります。それは、日本が世界に信頼される自由世界の重要な国家として生き抜いていく上において、避けて通れない選択であると言えましょう。それだけに、日本が今後それに伴うリスクを負うことも避けられません。
 われわれは、今回の首脳会談は、このような重要な意味を持ち、日本外交がいわばルビコン川を渡ったと考えざるを得ませんが、総理は、このような基本的認識をお持ちかどうか、それとも従来の日本外交のパターンを繰り返しただけだとお考えかどうか、率直な答弁を承りたいと思います。
 しかし、問題は、日本が国際政治の一つのパワーとして独自の行動を起こすにしては、その準備も心構えも国民的コンセンサスもないまま突入したことであります。日本としては、国際社会の中で何をなし、どう生きていくかという、平和戦略も国家戦略もありません。それを策定し、実施する組織も機関も政府にはありません。また、それをバックアップするための国民的コンセンサスもでき上がっておりません。さらに、国際社会の激動に耐え得る抵抗力、危機対応能力も、石油や食糧問題を見るまでもなく、きわめて不十分であります。これでは裸で戦場に飛び出したようなものであって、危険きわまりないと言わざるを得ません。(拍手)このままでは、日本は単なるアメリカ追随に深入りしたというだけになりかねません。
 米国と日本とは、その置かれた条件、環境が大きく異なります。日本は、日本独自の外交と国家戦略が必要であります。それなくして、場当たり的な受け身外交から日本は抜けることはできません。
 われわれ民社党は、この見地から、わが国が独自の平和戦略を確立する具体案を提唱いたしてまいりました。それは、安全、公正、自由、共存、福祉、軍縮、人権の七つの原則に立つものであります。われわれは、日本がこのような総合的な平和戦略を確立し、それを内外に向かって明らかにしかつ遂行することが、この際ぜひとも必要であると確信いたします。それなくして、日本外交に自主性、一貫性、継続性を貫くことは不可能であると考えますが、総理はこのような平和戦略を検討し確立する用意があるかどうか、この際明確な答弁を承りたいと思います。
 次に、総理は、チトー大統領の葬儀に参列された機会に西側諸国の首脳と会談され、ソ連のアフガン侵攻に端を発した国際緊張を打開するために意見を交換されております。
 西側諸国、特にEC各国が今回異常なほどの熱意を持って団結を呼びかけ、アメリカの立場を擁護しております。その基本的姿勢についてどのような感触を得られたか、承りたいと思うわけであります。
 私は、西ドイツを初めEC各国が団結を強固にし一体となって事に当たっております姿勢は、単にアメリカの政策を擁護し、これに追随するものではなくして、西側諸国が一体となってソ連を牽制し、アメリカの独走を抑えて、平和裏に国際緊張を打開しようとするものだと見ておりますが、総理の感触を伺いたいと思います。
 次に、今回の日米首脳会議の具体的内容について若干お伺いいたします。
 今回の日米首脳会議において、日米二国間の関係で最も重要な意味を持っておるものは防衛力増強問題であることは、他の同士の質問によっても明らかでございます。
 この問題に関連して、われわれが懸念いたします問題は二つあるわけでございます。
 その一つは、この問題についての意見交換において、もし相互に認識の相違があれば、それは今後の重大なる禍根になるということであります。カーター大統領が、防衛庁の中期業務見積もりの繰り上げ実施を求めたのに対し、大平総理は、真剣に検討してみてその努力を続けたいと答えたと言われておりますが、それはイエスということなのかあるいはノーということなのか、この点をはっきりすべきであると考えるわけであります。(拍手)
 米政府高官筋の報道によれば、日本の防衛支出を着実かつ顕著に増大することが適当であるとのコンセンサスを同会談で感じ取ったと述べております。カーター大統領は総理の返事をイエスという意味で受け取ったと考えられるわけでありますが、果たしてそうであるかどうかお尋ねいたしたいと思うわけであります。
 もとより、日本の防衛力のあり方は、他国の指示や要望によって決められるものではないことは言うまでもありません。しかし、アメリカからの具体的な要請について日本としてできないのかできるのか、できるとすればどこまでできるのか、同盟国であると言っておりまするアメリカに誤解を生ませないようにすることに、明確に答えるべきでありましょう。もし、この日本の回答に、アメリカ向けと日本国内向けとの使い分けがあるようなことがあれば、事は重大であると言わなければなりません。
 われわれは、この苦い経験を日米繊維交渉で味わってまいりました。一九六九年の佐藤・ニクソンの日米首脳会談でこの問題について佐藤総理が米国に善処を約束したにもかかわらず、それを実行しなかったと米国から受けとめられ、日米間に険悪なすき間風が吹いたことは周知のとおりであります。このような愚を再び犯すことがあっては断じてなりません。
 総理、総理は今回の米国よりの中期業務見積もりの繰り上げ実施要求に対し、これを実施される方針かどうか、率直な答弁をお願いいたしたいと思います。
 防衛問題で懸念されまするもう一点は、中期業務見積もりやそのバックにありまする基盤防衛力構想あるいは防衛費のGNP一%以内の閣議決定などの見直しが、単にアメリカの要請にこたえるという意味だけではなく、国際情勢の変化からして不可避と考えられますが、これらの問題を含めて、日本の防衛、総合的な安全保障政策を策定実施する場が欠如いたしておるわけでございます。
 かつて、日本の防衛費はアメリカとの交際費であると言った人もおりますが、いまやその場しのぎの対応で防衛問題を論ずる段階ではなくなったわけでございます。
 衆議院においては、先般、ようやく安全保障に関する特別委員会が設置されましたが、政府部内においては、いまだ総合的な安全保障政策確立の場が存在いたしておりません。国防会議は、いわば防衛庁の方針の追認機関にしかすぎません。そのような協議の場になっておらないことは周知のとおりであります。いまこそ国防会議を国家安全保障会議に改組すべきであると考えます。防衛庁設置法の一部として位置づけるのではなくして、単独立法で国の総合安全保障政策確立の場として位置づけ、その組織、機構を抜本的に強化充実すべきであります。それは日本が平和戦略を展開していく上で不可欠であると確信いたしますが、総理にその決意ありや否や、承りたいと思います。
 次に、イラン問題に関連して伺います。
 イラン問題について、政府が遅まきながら明快な態度をとることに踏み切ったことは、われわれは評価するにやぶさかではありません。問題は石油供給についての不安であります。カーター大統領は総理に対し、米国としても一般的に日本の石油供給に協力する用意があると述べたと伝えられておりますが、それは米国が緊急時に石油の対日融通を約束したと受けとめてよいのか、また、それは今回のイラン石油供給停止に対して直ちに実施されるということなのか、さらに日本としてはどのくらいの量をそれに期待できると考えているのか、この際、総理の所見を承りたいと思います。
 また、今後イランに対する制裁がエスカレートする可能性があります。日本としては、それに伴うデメリットにどう対処していくのか、また今後、日本とイランとの関係をどう進めていく方針か、あわせてお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#23
○内閣総理大臣(大平正芳君) 中村さんの御質問は、今回の日米首脳会談で日本が世界のパワーポリティックスに深く介入することになったのではないか、いわば日本外交はルビコン川を渡ったと考えざるを得ないではないか、認識はどうかという御質問でございます。
 今次の首脳会談におきましては、国際情勢、特にイラン問題、アフガニスタン問題につきまして意見の交換を行いましたが、これらの問題は、おのおの性質は違っておるけれども、国際秩序に対する挑戦でございまして、世界の平和と安定に対する脅威である点では共通しておると思います。
 わが国が、米国の友邦としてのみならず、国際社会の責任ある一員として、考えを同じゅうする諸国と共同して事態に毅然として対処することは当然のことであると私は考えております。
 したがいまして、今度の首脳会談におきましても、そういう基本的な態度で臨んでまいったわけでございまして、本質的にわが国の外交路線に変更を来したものとは考えておりません。
 第二に、民社党は、外交七原則に立って、わが国の独自の平和外交戦略を確立するよう提唱されておりますけれども、この戦略をどのように検討、確立してまいる用意があるかという御質問でございました。
 私も、民社党の七原則に共感を覚える一人でございます。わが国といたしましては、従来より一貫いたしまして、平和国家としての立場から、自由と民主主義を共有する米国との友好協力関係を基軸としながら、世界の各国との友好協力関係を深め、世界の平和と安定のため努力してまいりました。今後とも、国民各層の意見を参考にしながら、かかる努力を強化して、国際的期待にもこたえてまいりたいと考えております。
 第三の御質問は、西側諸国がこの事態に対しまして、どういう姿勢で対処しようとしておるかという御質問でございました。
 西側諸国の首脳者は、今日、世界の危機に直面して、これを管理する能力、仕組み等が十分でないことに非常な心配を持っておりまして、お互いの団結と協調を強めて、これに対処しなければならないというきわめて真剣な態度でおりますことを私も感得することができたわけでございまして、わが国といたしましても、同様に、そういう気概でこの事態に対処すべきものと考えております。
 日米会談におきまして、中期業務見積もりの繰り上げ実施に対してイエスと言ったかノーと言ったかという御質問でございます。
 私は、中村さんが御指摘のとおり、日米間にはみじんも不信があってはならぬと考えております。したがいまして、アメリカの要望は要望として十分聴取いたしましたが、これに対する日本の対応は、日本が自主的に国民のコンセンサスを固めながら確立していかなければならぬと考えておるわけでございまして、明年度の予算編成を通じて確たる答えを出すべく、鋭意これから検討に入らなければならぬと考えておるわけでございまして、いまの段階におきまして、イエスともノーともまだ申しておるわけではございません。
 中村さんは、さらに、総合的な安全保障政策の確立のために、国防会議を安全保障会議に改組していく考えはないかということでございます。
 御指摘の点につきましては、国防会議のあり方について慎重に検討を行い、これを活用する方途について政府も検討を進めてまいりたいと思います。
 カーター大統領は、私に対しまして、米国としても日本の石油供給に対して協力する用意があると言ったそうだが、その実態、内容はどうかという御質問でございました。
 カーター大統領と石油情勢について話した際に、大統領より、米国といたしましても日本の原油供給に協力する用意があるとの発言がありましたが、これは一般的な協力の意向表明として私は理解しております。具体的にどのような協力が行われるかは、今後の情勢の推移いかんによるものと考えております。
 最後に、イランの制裁がエスカレートする可能性があるが、日本として、これに伴うデメリットに対してどう対処していくか、今後のイランと日本との関係をどう進めていくかというお尋ねでございました。
 人質問題につきましては、イランが国際法違反を継続して、種々の国際的努力にもかかわりませず、依然としてまだこの問題が解決に至ってないことは大変残念に思います。
 わが国としては、その平和的解決に向けて、友好各国と協力いたしまして、引き続き一段と努力を強めてまいる必要があると考えております。
 イラン政府が人質の拘束を容認しているという事態が国際社会の基本的秩序を脅かしているという基本認識に基づき、かつ、米国の忍耐を引き続き要請していくことが重要であることを踏まえて、わが国といたしましては、EC諸国とも協力して、イランに対する具体的措置は取り進めていかなければならぬと考えております。
 このようなわが国の基本姿勢につきましては、イラン側にも繰り返し説明しておるところでございますが、事態は流動的な面を多く残しておりまして、イラン側の反応につきましては、さらに今後の情勢を見きわめなければならぬと考えております。
 いずれにいたしましても、政府としては、日本とイランの友好関係の維持のためにも、イラン側が事態の重大性を認識いたしまして、人質を一日も早く解放するよう強く希望いたしておる次第でございます。(拍手)
#24
○議長(灘尾弘吉君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#25
○玉沢徳一郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、内閣提出、参議院送付、民事訴訟費用等に関する法律及び刑事訴訟法施行法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#26
○議長(灘尾弘吉君) 玉沢徳一郎君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#27
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
    ―――――――――――――
 民事訴訟費用等に関する法律及び刑事訴訟法
  施行法の一部を改正する法律案(内閣提
  出、参議院送付)
#28
○議長(灘尾弘吉君) 民事訴訟費用等に関する法律及び刑事訴訟法施行法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。法務委員長木村武千代君。
    ―――――――――――――
 民事訴訟費用等に関する法律及び刑事訴訟法施行法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔木村武千代君登壇〕
#29
○木村武千代君 ただいま議題となりました法律案について、法務委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、最近における経済情勢の変化等にかんがみ、民事事件、刑事事件等に関する手数料の額を改定しようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。
 第一に、民事事件等における訴えの提起、借地非訟事件に係る申し立て及び民事調停の申し立ての手数料の額について、その算出基準を改めるとともに、その他の民事事件等に関する申し立ての手数料の額を改定すること、
 第二に、民事事件等に関する記録の閲覧、謄写等の手数料の額を改定すること、
 第三に、刑事事件に関する裁判書の謄本等の請求の費用及び訴訟記録の閲覧の手数料の額を改定すること
等であります。
 本案は、四月二十三日参議院より送付され、本委員会においては、同月二十五日提案理由の説明を聴取し、慎重審査を行い、本日質疑を終了し、直ちに採決を行ったところ、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#30
○議長(灘尾弘吉君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#31
○議長(灘尾弘吉君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
#32
○玉沢徳一郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、災害対策特別委員長提出、地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律案は、委員会の審査を省略して、この際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
#33
○議長(灘尾弘吉君) 玉沢徳一郎君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#34
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
    ―――――――――――――
 地震防災対策強化地域における地震対策緊急
  整備事業に係る国の財政上の特別措置に関
  する法律案(災害対策特別委員長提出)
#35
○議長(灘尾弘吉君) 地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律案を議題といたします。
 委員長の趣旨弁明を許します。災害対策特別委員長藤田高敏君。
    ―――――――――――――
 地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔藤田高敏君登壇〕
#36
○藤田高敏君 ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨とその概要を御説明申し上げます。
 昨年八月、大規模地震対策特別措置法に基づき、静岡県の全域を初め神奈川県、山梨県、長野県、岐阜県及び愛知県の一部の区域合せて百七十市町村を東海地震の地震防災対策強化地域として指定してきたところであります。
 本案は、これら地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業の実施に関し、県及び市町村の財政負担の緩和を図ることにより、地震防災対策を積極的に推進しようとするものであり、その主な内容は次のとおりであります。
 その第一は、地震防災上緊急に整備すべき施設等に関する計画の作成についてであります。
 地震防災対策強化地域における関係都道府県知事は、市町村長の意見を聞いた上、地震対策緊急整備事業の計画を作成し、内閣総理大臣の承認を受けなければならないことになっております。
 なお、この場合、内閣総理大臣がこれを承認するに当たっては、関係行政機関の長と協議することといたしております。
 第二は、地震対策緊急整備事業計画の内容についてであります。
 現在、政令で指定されている避難地、避難路、消防用施設等のほかに、公的医療機関、社会福祉施設、公立の小中学校及び河川、海岸に係る津波対策施設、地すべり防止等の整備に関する事項であって、五カ年で達成できる内容のものでなければならないことといたしております。
 第三は、国の負担または補助の割合の特例についてであります。
 地震対策緊急整備事業計画に基づいて実施される事業のうち、社会福祉施設、公立の小中学校の整備事業に要する経費については、国は負担割合の特例をもって補助するものとし、また、地方公共団体が必要とする経費については、地方債の特例をもってその財源とすることができることといたしております。
 なお、地方債のうち、自治大臣が指定した元利償還に要する経費については、一定の割合で基準財政需要額に算入することといたしております。
 第四は、関係法律の一部改正として、地方交付税法、災害対策基本法及び国土庁設置法につきましても、それぞれ所要の改正を行うことといたしております。
 なお、この法律は、公布の日から施行し、昭和六十年三月三十一日限りその効力を失うこととしております。
 災害対策特別委員会におきましては、本案について、災害対策の基本問題に関する小委員会において鋭意検討を重ね、本日、小委員長からその報告を受け、内閣の意見を聴取した後、全会一致をもって委員会提出の法律案とすることに決した次第であります。
 何とぞ、議員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#37
○議長(灘尾弘吉君) 採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#38
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
#39
○玉沢徳一郎君 議事日程は延期し、本日はこれにて散会されんことを望みます。
#40
○議長(灘尾弘吉君) 玉沢徳一郎君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#41
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時四十三分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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