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1979/11/30 第90回国会 参議院 参議院会議録情報 第090回国会 本会議 第3号
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1979/11/30 第90回国会 参議院

参議院会議録情報 第090回国会 本会議 第3号

#1
第090回国会 本会議 第3号
昭和五十四年十一月三十日(金曜日)
   午前十時三分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第三号
  昭和五十四年十一月三十日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 以下 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(安井謙君) これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 菅野儀作君から病気のため十二日間請暇の申し出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(安井謙君) 御異議ないと認めます。よって、許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#5
○議長(安井謙君) 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る二十七日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。阿具根登君。
  〔阿具根登君登壇、拍手〕
#6
○阿具根登君 私は、日本社会党を代表いたしまして、大平総理の所信表明演説に関連し、わが国が直面している諸問題について質問をいたします。
 初めに、私は、さきの解散、総選挙から第二次大平内閣成立までの四十日間にも及ぶ自民党内の権力抗争によって政治の空白をつくり出した大平総理の責任を問わなければなりません。
 大平総理は、自民党の安定多数をねらい、大義名分のない党利党略の解散、総選挙を行ったのでありますが、その結果、保守系無所属を含めてようやく過半数を維持するにとどまったのであり、これはすなわち自民党が国民の支持を失ったものと断定せざるを得ないのであります。しかも、首班指名において二名の首相候補を立てた自民党内の権力抗争は、もはや一つの政党ではなく、当然に政権担当の資格を失っておると断定せざるを得ません。このことは、政党政治として許されざることであり、憲政の常道に反する議院内閣制の否定にも通ずるものであります。さらに、その間、非主流派と言われる半数近くの人からは、選挙の責任と金権政治の打破ということが叫ばれておりましたが、総理はどうお考えになっておられるか。
 さらに私どもが容認できないことは、首班指名をめぐり他党の協力を取り入れるために文部大臣のいすを用意したことであります。文部行政は、本来、政治の中立性、政党からの不当支配を排除することを旨とすべきであり、それゆえに、文部大臣は、天野貞祐氏を初め、近くは永井道雄氏などの教育者が起用されたことは御存じのとおりであります。このきわめて責任の重い文部大臣の席を派閥政治、政争の具に利用した大平総理は、歴代総理中最も教育の本旨をわきまえないものと言わざるを得ません。これについて総理の答弁を求めたいのであります。
 第二に、綱紀の粛正についてお伺いしたい。
 第二次大平内閣は、所得の申告漏れが発覚し東京国税局から追徴を受けた大蔵大臣、金権選挙を行い大量の逮捕者を出した自治大臣・国家公安委員長、疑惑の国際電電株式会社に多額のパーティー券の買い入れを押しつけた総務長官など、これで一体国民が望む政界浄化が期待できるのでしょうか。法務大臣は、就任早々の記者会見で、ロッキード事件の被告人について青天白日になられることを念願していると発言したことは、まさに司法権を左右する法務大臣の適格性を疑わざるを得ません。これで大平総理に真の清潔な政治が実施できるでしょうか、疑わざるを得ません。
 特に、わが党の委員長が第二次大平内閣の閣僚に不適格者がいると指摘したのに対して、総理は、それぞれ人格を信頼し、政治倫理を踏まえて職責を果たしてくれると確信するという答弁で罷免を拒否されたのでありますが、それは総理個人の見解であって、一般国民にはとうてい受け入れられない答弁だと思います。あわせて的確なる御答弁を願います。
 次に、鉄建公団を初めとした公団のカラ出張や不正経理が国民の前に明らかにされたが、官公庁においても同様なことが行われ、しかもこれが慣行とさえなっていると聞くに及び、こうした税金のむだ遣い、綱紀の紊乱に国民は強い怒りを感じているのであります。ことに、カラ出張や不正経理で捻出した資金が政治資金や大蔵省に対する供応に使われていることは言語道断と言わなければなりません。
 問題になっておる国際電電株式会社は、法律に基づいて郵政大臣の監督下にあり、電電公社から多額の出資を受けている特殊法人であるにもかかわらず、常識では考えられないような不正乱脈経理が行われたのであります。伝えられるところによると、百億円の利潤を超えないようにという配慮が行われたと聞きますが、横領、背任とも言えるKDD関係者の責任はもちろんのこと、円高にもかかわらず料金の値下げもせず不当な利得を得たところに原因があり、それを放置してきた政府に責任があると言わざるを得ません。そもそも、KDDは、電電公社から分離をしたが、その事業内容は独占であり、私企業形態をとる必要は全くなく、電電公社と一元化すべきであります。大平総理はどのように考え、どう改善されるのか、具体的にお答えをいただきたい。
 わが党は、政治腐敗を防止し、政治倫理を確立するため、国政調査権の強化、政治家の資産公開、高級官僚の天下り規制、企業経理監査のための証券取引委員会の設置、情報公開法等の法律案を準備しているが、政府はどのような施策を用意しておるか、お伺いいたします。
 第三は、財政問題についてであります。
 八〇年代の経済を展望するとき、自民党の経済政策では行き詰まることが明らかであります。七〇年代後半の低成長は巨額の借金財政で支えられましたが、今日、国の一般会計予算の国債依存率が四〇%に及び、現状のままでは、今年度末の国債残高は五十八兆円の巨額に達し、特別国債の償還が始まる昭和六十年度には百四十兆円にも上るという深刻な事態を迎えており、わが国の財政は破綻しているとさえ言われています。これに対応するため、大平総理は、さきの解散総選挙に際して、財政再建のためには一般消費税の導入が必要である、一般消費税の導入ができなければ年収二百万円から四百万円の低所得者層への増税が必要であると主張された。これは総理の公約であったことは間違いのないところでございます。総選挙で自民党が過半数取れなかったことは、国民がこぞってこれに反対し、大衆増税路線に厳しい転換を求めたと言えるのであります。
 総理は、財政再建と一般消費税の導入は密接不可分の関係にあると考えておられるのか。また、来年度は一般消費税を導入しないと言われたが、その後は導入するのかしないのか、明らかにしていただきたい。これはきのうの衆議院の答弁でも明らかになっておりませんが、この場で明らかに示していただきたい。
 社会党は、さきの総選挙において、一般消費税を創設せず、不公平税制の是正による財政再建策を明らかにしましたが、その考え方は、所得税関係では高額所得者への一〇%付加税、利子・配当所得の特例の廃止と総合課税、法人税関係では大企業優遇の租税特別措置法の改廃、富裕税の新設によって五兆六千億円、さらに土地増価税の新設によって五年間で三兆円、合計八兆六千億円の増収を図ることができるのであります。
 大平総理は、このわが党案を評価され、法人税の引き上げや租税特別措置法の洗い直しをしていると伝えられるのでありますが、単なる増税の言いわけにすぎないと思われますが、この不公平税制の是正を徹底して行うべきだと考えるのでありますが、あわせて見解を示されたい。
 財政危機は、放漫な財政運営に根本的原因があったことは、だれしも否定できません。不要不急の経費の削減を来年度予算編成に当たって取り組むべきであります。今日、経費の削減を必要としているのは公共事業費であります。ことに、道路建設は新経済社会七カ年計画においても一九・一一%を占めており、今日の石油事情から考えるならば、道路投資中心の公共投資は転換しなければならないと思います。明年度予算も、ガソリン税収入のすべてを道路予算に充てるのではなく、ガソリン税が道路目的財源とされておる現状を改める必要があると思いますが、総理の見解を承ります。
 また、防衛関係費をめぐってはGNP比〇・九%の攻防があると聞くが、〇・九%を確保するとなると、今年度予算二兆円にさらに二千億円が上積みされることになる。防衛費は大幅に削減すべきであると思います。
 さらに、財政再建問題を広く国民的論議に高めるために、財政計画の策定、中期税制改革案の提案を求めるとともに、憲法第九十一条にのっとり政府は財政白書を策定、公表すべきでありますが、大平総理の見解を伺います。
 第四は、福祉など国民生活に関する問題であります。
 政府は、財政難を理由に、老人医療費の一部有料化、児童手当の廃止、義務教育教科書の有料化など、福祉切り捨てで国民負担増を図ろうとしておるのであります。
 昭和四十八年度から実施されている老人医療制度は、七十歳以上の老人と、六十五歳から六十九歳までの寝たきり老人を対象としておりますが、無料といっても現実には付添人の費用や差額ベッド料が取られており、入院した場合は実庭の大きな負担になっております。また、老人の受療率は高くなったとはいっても、その有病率の二分の一程度になったにすぎず、疾病が多い割りに医療機関の利用はまだ低いと言わねばなりません。したがって、老人医療の一部有料化は絶対に行うべきでなく、また、老人病、成人病と呼ばれる長期慢性疾患を日常生活の中でコントロールできるよう、老人保健医療制度と各医療保険とは別建てで創設しなければなりません。
 また、児童手当も、フランスでは第一子から、西ドイツでは第二子から支給されており、先進国では当然の権利として位置づけられております。わが国の児童手当は第三子からであり、ようやく確立したこの制度は絶対にやめるべきではなく、単なる収支バランス論に立って福祉切り捨てを図ることは断じて許すことはできないのであります。
 大平総理は、老人医療の一部有料化、児童手当の廃止、義務教育教科書の有料化はやらないことをここで約束していただきたいと思います。
 また、政府は、二度も廃案になった健康保険法の改正案を提出しようとしているのであります。現在、健康保険の累積赤字は百億円を超えておりますが、この赤字を解消するためには、単に国民負担をふやすよりも先に医療費のむだを排除するよう制度改革を断行すべきであります。たとえば、薬づけ、検査づけを生む点数出来高払い制度の改革、野放しの重複投資が行われている高度検査機器の規制、医師、医療機関の大都市集中を排し地方分散への誘導、徹底した予防先行体制の確立などが急務であります。これらについて総理の的確な所見をお伺いいたします。
 第五は、行政改革についてであります。
 今日、悪評の高い天下り人事、常識外れの高額な給与や退職金、公社公団、さらに百十一の特殊法人の統廃合、十三兆円に及ぶ補助金の整理を大胆に進めるとともに、国民ニーズの変化による教育、医療、保健、福祉等を充実する行政改革が必要であると考えます。
 さらに、総理みずから言われたように八〇年代は地方の時代であり、中央集権から、参加、分権、自治を進めていかなければなりません。中央、地方を通じての行政改革が欠かせないのであります。
 その際、これまで内閣がかわるたびに行政改革が公約されたが、何ら実効が上がらなかったことを率直に反省し、関係労働組合及び政府による行政機構検討委員会を設けて、そこで話し合いをした上で実行することが必要であると考えます。ことに、各省庁間や特殊法人間のかきねを越えて移動し、その労働権、生活権が保障される体制を確立することが避けられません。少なくとも、行政改革は単なる三万五千人の定員削減という発想であってはならず、真に国民のための行政改革でなければなりません。以上について大平総理の見解をお聞きいたします。
 第六に、エネルギー問題について伺います。
 まず、石油製品の価格についてお尋ねいたします。
 大平総理は、家庭用の灯油等石油製品の価格は市場の実勢に任せ、値上がりを放任するという趣旨の発言をこれまでたびたび繰り返してこられました。また、江崎前通産大臣は、ことしの五月に、灯油の指導価格を解除するに当たって、灯油価格の引き上げは石油各社の判断に任せる、価格政策によって灯油の需要を抑え、需給の安定を図ると述べており、通産省当局も、こうした政府首脳の意向を受けて、価格の引き上げによる石油の節約と国民の消費抑制効果をねらう方針をしばしば表明してきております。省エネルギーに役立つから石油製品の値上がりは歓迎すると言わんばかりの大平内閣のこのような無責任きわまる姿勢を反映して、石油製品の中でも国民生活と特に関係の深い灯油の価格は、ことし五月の七百三十八円から、十月には千百五十円と、わずか五カ月の間に六割近くも値上がりしております。ぜいたく品であるならばいざ知らず、灯油のように国民生活に密着した必需物資について、価格の引き上げによって省エネルギーを進めようという考え方は本末転倒であり、反国民的発想であります。この点について大平首相の真意のほどをお伺いいたしたい。
 政府の見通しによりますと、目標の昭和七十年度には原子力発電能力を現在の約五倍に当たる七千八百万キロワットに拡大するなど、政府が石油代替エネルギーの主力を原子力に置いておることが明らかであります。原子力開発は、わが党がかねてから主張していたとおり、アメリカのスリーマイル島の事故に見られるように、安全性の点で未解決の問題がいまだ多く、実用化を推進するにはまだきわめて危険の多い段階にあると言わなければなりません。
 わが党は、原子力開発については基礎的な研究は進めなければなりませんが、実用化に当たっては慎重な姿勢で臨むべきであることを主張してきましたし、特に新規の発電所の立地等については安全対策が確保されるまで見合わせるべきであり、それとともに既設の発電所についても安全性の徹底点検を行う必要があると思いますが、この点に関する政府の所見を伺いたいのであります。
 また、わが国のエネルギーの自給率は、石油中心のエネルギー革命を通じて急速に低下し、現在ではエネルギー源の九〇%を外国に依存しております。私はもっと国産エネルギーの自給率を高めるべきであると思います。そのためには国内炭の開発と無公害、無限のエネルギーであるソフトエネルギーの利用に積極的に取り組むべきであります。
 今後、わが国のエネルギー源として石炭の活用は不可欠でありますが、国内炭の二千万トン体制さえ維持できないようでは、今後必要な海外開発などに不可欠な国内拠点を人的にも技術的にも失うことにほかなりません。
 現在、国内炭は莫大な在庫を抱えております。この際、わが国の生産体制を抜本的に再検討し、鉱区統合や計画的開発等を推進するための石炭産業の公社化を図るべきであります。
 さらに、輸入炭と国内炭との価格差を調整し、国内炭の安定的増産と輸入炭の利用拡大を実施するために、輸入の一元化と内外石炭の価格差調整制度を早急に実現すべきであります。
 以上は今後の石炭政策のかなめでありますが、総理の見解をお伺いしたいのであります。
 すでに、わが党は、今日必要なことは長期的なエネルギー政策の目標を明確に打ち立てることであるという観点から、ソフトエネルギーを中心として三十年の計画を発表し、今後の政策目標を、ソフトエネルギーや地域供給システムなどを中心としたソフトエネルギー部門で全体の三分の一の供給を図り、石炭や天然ガス等で三割、石油については現在の七割依存から三割依存に引き下げるべきだと提案いたしております。政府においては、いまだ長期的展望はみずから明らかにされておりません。わが国のエネルギー政策は著しいおくれがあり、いまだその日暮らしと言われてもいたし方のないのが現状であります。政府はどのような将来展望のもとにわが国のエネルギー問題に取り組もうとしているのか、明確にお答えを願います。
 最後に、日本とアジアの平和の課題について見解をただしたい。
 中国の経済発展はアジアの平和にとって必要でありますが、大平総理は日中の経済協力についてどのような中長期の計画をもって訪中されるのか、単なる手みやげ的円借款であってはならないと考えるのであります。
 また、訪中に当たっては、わが国がアジア地域における非核武装地帯の設置、朝鮮の自主的平和的統一の促進について中国側に提唱し話し合うべきだと考えるが、総理の率直な見解を承りたい。
 また、アメリカ、イラン間の紛争等について、総理は、人道的立場からの解決を望むというだけの消極的態度に終始しておられますが、ホメイニ師が日本に対して伝えた、抑圧者の側に立たないようにとの言葉を総理はどのように受けとめておられるのか。
 対米追随偏重の外交を改め、イランを初め中近東、アジア、アフリカ諸国との平和友好関係を発展させるべきだと考えますが、この点について総理の見解を求めます。
 以上、当面の重要かつ緊急な課題について総理から具体的答弁を求め、私の質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(大平正芳君) 阿具根さんの第一の御質問は、総選挙に次いで長い政治空白を招いたが、その責任はどう考えるかということでございました。
 私は、総選挙における国民の審判は、わが党にとって厳しいものであったと受けとめております。
 首班指名に当たりまして、わが党から二人の候補が出ましたことは大変残念なことでございました。これは総裁である私の不明のいたすところでございまして、大変申しわけないと考えております。こういうことを繰り返さないように深く反省をいたしております。
 第二の御質問は、文部大臣の選任についての問題でございました。
 私は、文部大臣に、政治の中立性、教育の大切なことを十分心得て、終始適任者を求めるよう努力をしてまいったわけでございまして、教育の本旨は瞬時も忘れていないつもりでございます。
 次に、私の内閣の閣僚の人選につきまして、御批判を踏まえて私の所見を求められました。
 閣僚の人選につきましては、きのう衆議院でもお答え申し上げましたとおり、各閣僚の人格、識見、能力を評価いたしまして御入閣をしていただいたわけでございます。私は、各閣僚が、政治倫理の厳しさを厳しく踏まえられて、りっぱにその重大な職責を果たしていただけるものと確信をいたしております。
 法務大臣の問題の発言でございますが、これは誤解を招くおそれがありますので、今後こういった発言は十分慎重であられるよう注意をしておいた次第でございます。
 次の御質問は、公団、官公庁における不正経理の問題をどう考え、どのように処置しようとしておるかという御質問でございました。
 官庁の綱紀の粛正につきましては、従来から機会あるごとに繰り返してその徹底を図ってきたところでございますが、不正経理、官庁間接待等、一連の不祥事件が出てまいりまして、国民に不信の念を招きましたことは大変残念でございます。私としても、この事態を深刻に受けとめまして、十一月九日の閣議において、官庁間の接待の自粛を含め、綱紀粛正に関しまして各大臣に具体的な指示をいたして、これを受けて各省庁は二十六日に十三項目にわたる具体的な申し合わせをいたしたところでございます。今後とも官庁の綱紀粛正につきましては新内閣の最も重要な課題として厳しい姿勢で取り組み、国民の信頼を回復するよう努めてまいるつもりであります。
 次に、国際電電の問題、これについて政府はどのように処置しようとしておるかというお尋ねでございました。
 国際公衆電気通信事業というきわめて公共性の高い事業を営む国際電電が、関税法違反の容疑等によりまして国民の嫌疑を招いておりますことはまことに遺憾であります。このような不祥事は今後二度とあってはならないと考えております。政府としては、今後、国際公衆電気通信事業の適正かつ合理的な運営が確保されますよう、法にのっとり、さらに厳正な指導と監督を行ってまいる所存でございます。
 なお、国際電信電話料金でございますけれども、かねて郵政省から国際電電に検討を求めてきたところでございますが、去る十一月の二十日、料金改定の認可申請があったところでございます。
 国際公衆電気通信事業が現行のように民間の株式会社による経営形態とされましたのは、国際間の情勢及び経済事情を強く反映する国際通信需要に適切にこたえて、わが国の国際通信の改善と地位の向上を図るために、できるだけ経営に自主性と機動性を持たせながら民間の活力も利用したいという考えに基づいたものでありました。今後も、わが国経済の発展、国際化の進展に伴いまして国際通信需要はなお増大し、かつ高度化、多様化するものと見込まれます。この情勢に十分対処していくためには、引き続き現在の経営形態を維持してまいるのが私は適当であると考えております。
 次に、政治倫理の確立のためにとられるべき措置について、幾つかの措置をお挙げになりまして政府の決意をただされたのでございます。
 政治倫理を確立いたしますために、政府におきましても、先般、再発防止協議会を設けまして御審議をいただいたわけでございまして、その結果、個人の政治資金の明朗化を図る措置、行政の責任の明確化を図る措置、それから企業の自主的監視機能の整備を図る措置、さらには制裁法規の整備強化を図る措置等が要請されたわけでございます。われわれといたしましても、この要請にこたえまして鋭意いま検討をいたしておるわけでございまして、関係法令の改正につきましては、成案を得次第、国会の御審議をいただきたいと願っております。
 一方、阿具根さんのおっしゃる国政調査権の強化でございますとか、あるいは政治家の資産公開という問題は、事の性質上、国会の判断を仰がなければならぬことでございますが、国会の御審議に当たりましては、政府としても十分協力をしてまいるつもりでございます。
 それから高級官僚の天下り規制でございますが、これは阿具根さんも御承知のように、五十二年の暮れに閣議決定がございまして、高級官僚の天下り規制、民間人の登用、たらい回しの人事の抑制、留任期限の設定等をいたしたわけでございますが、この決定は忠実に今後も守ってまいるつもりでございます。
 情報公開法でございますとか、あるいは証券取引委員会の設置というような問題がございますが、こういった問題につきましてはいろいろな面からなお慎重な検討が必要であると政府は考えております。
 それから次には、財政再建についての御見解も交えてのお尋ねでございました。財政再建について憂いを込めて御心配をいただいていることを感謝いたします。
 一般消費税問題につきまして、しかしながら、阿具根さんの御理解は決して正確ではないと思うのでございます。わが党並びに政府といたしましては、一般消費税の導入について財政当局から検討を求められたことは事実でございますし、これを採択する場合におきましての準備をいたしておりましたことも事実でございますけれども、これを取り上げる、導入するということを決定したことはないのであります。ただ、すべての政策は国民の理解と協力にまたなければならぬことは申すまでもないことでございまして、一般消費税の導入につきましてはまだ十分の国民の理解が熟しておるとは判断できませんので、五十五年度における導入は差し控えたのが今日の状況でございます。
 しかし、五十六年度以降どうするかという問題でございますが、これはきのう衆議院でも申し上げたのでございますけれども、いま経済は本格的な低成長期に入っておりますが、高年齢化が相当なスピードで進んでおるわけでございまして、歳入、歳出の乖離、アンバランスというものは、拡大こそすれ縮小することはないというような非常に厳しい財政事情にございます。したがって、五十六年度以降どうするかという問題は、一税目の問題としてではなくて、もっと広い見地から歳出、歳入全体にわたりまして再検討を要する局面に逢着するのではないかと私はいま考えておるわけでございますので、五十六年度以降につきましてはもっと広い視野から考えさしていただきたいということをお願いいたしたいと思います。
 それから不公平税制の是正問題でございますが、これは阿具根さんも御承知のように、毎年毎年再検討をいたしてきておるわけでございますが、本年度はとりわけ企業関係の特例措置、それから利子・配当の総合化への措置等をいま鋭意進めておるわけでございます。また、特別措置ではございませんけれども、所得計算上の仕組みとしていろいろな引当金制度がございますが、そういったものにつきましてもいま見直しを行っておるところでございまして、近く予算案、税制改正案の姿で御検討をいただきたいと考えております。
 次に、公共事業に関連いたしまして道路改良費に充てましたガソリン税を、他の財源に、他の使途に充てることは考えていないかという意味の御質問でございました。
 元来、道路整備の財源を道路の利用者の負担に求めることはそれなりに合理的であり、意味があることでありますが、ガソリン税を他の財源に充てることにつきましては、道路整備の必要性、負担と受益との関係、財政事情等、種々の観点からなお検討を要するのではないかと考えておりますので、いま直ちに改めるということを申し上げるにはまだ考えは熟していないことを御了承いただきたいと思います。
 防衛費でございますが、これは他の概算要求に見られる他の費目と同様に、その必要性、財政事情を勘案いたしまして適正な規模に持っていきたいといま鋭意検討中でございます。
 それから財政再建問題に絡みまして中期財政改革案が必要ではないかということ、それからさらには財政白書を策定して国民の理解を求めるべきではないかという御提案でございました。
 中期財政計画につきましては野党からも御提案もございまするし、政府において鋭意検討をいたしておりますけれども、余りにも不確定要素が多いためにまだ熟した計画にまでなっていないことははなはだ残念でございまして、あるいは試算とか、あるいはフレームという形で御審議をいただいていることでございます。鋭意検討いたしまして、中期財政計画というようなものをもう少しまとまったものにしたいものと念願いたしておるわけでございます。
 財政白書でございますが、すでにいま財政法におきまして国会と国民に対しまして財政状況を報告する義務が義務づけられておるわけでございますが、財政は国民のものでございますので、財政の理解に資するいろいろな資料につきましては積極的に政府としても施策を進めてまいりたいと考えておりまして、御提案の財政白書という問題につきましては、そういう観点から、いまやっていることで十分かどうかという点も勘案して考えさしていただきたいと思います。
 それから老人医療の一部有料化の問題、児童手当の廃止問題、義務教育教科書の有料化等を実施しない旨ここで約束しろということでございますが、厳しい財政事情のもとで、こういった問題につきましてもいま鋭意検討をいたしておりますので、近く答えを出して御審議をいただくことになると思いますが、この予算編成の過程におきまして、社会党を初め野党の皆様の御意見も十分承る機会を持ちたいと考えております。
 それから健康保険の赤字解消につきまして御意見がございました。
 私どもといたしましても、急速に増大をいたしておりまする医療費の効率化を図ることは、今後の医療保険の運営にとって最も重大な課題の一つと考えております。そのため関係者がそれぞれ努力を積み重ねていく必要があると考えております。
 医療保険制度の基本的な改革を図るために健康保険法の改正案の審議をお願いし、早期成立を強く期待しておるのもそのためでございますけれども、この改正によりましても医療費の効率化を図ることをねらいといたしておりますことは御案内のとおりでございます。
 現行の点数出来高払い制につきましては、他の支払い方式に比べてわが国の現状に合致しておるとは考えますけれども、それによって生ずる問題に対しましてはさらに改善に努力をしていかなければいけないと考えております。
 高度検査機器の配置につきましては、公的資金の配分などを通じまして適正化に配慮をいたしております。また、医師や医療機関につきましては、僻地医療対策の推進等によりまして地域的偏差の是正に努めておりますことは御案内のとおりでございます。
 疾病の予防体制につきましては、これまでも循環器疾患の予防のための健康診断事業等を実施してきたところでございますが、今後とも充実に努めてまいるつもりでございます。
 その次の御質問は、行政改革についてでございました。
 行政改革につきましては、まず人員の削減、機構の縮小というものを進めておりますけれども、阿具根さんは、天下り人事の規制、公団の高額な給与や退職金の是正、それから公団、事業団の統廃合等々につきまして御要請がございました。政府としてもそういう方向で計画を年内に決めて、いま鋭意着実に実行に移す手配を進めておるところでございます。御協力をお願いいたしたいと思います。それは、もちろん中央ばかりでなく、地方を通じてのものでなければならぬことは、政府もよく承知いたしておるわけでございます。
 先般、地方制度調査会から御答申をちょうだいいたしておりますので、それを踏まえて検討中であることを申し添えたいと思います。
 それからこの行政改革に当たりましては、阿具根さんもおっしゃるように、国民の声に耳を傾けて、時代の要請と行政需要の動向に即したものでなければならぬことは仰せのとおりだと考えておりますし、とりわけ、働く職員の理解を縛ることに十分心がけていかなければならぬことは政府としても心得て対処してまいるつもりでございます。
 その次に、エネルギー政策についてのお尋ねでございました。
 価格政策につきまして、市場原理に依存し過ぎるじゃないかということでございますが、価格政策として私どもが踏まえておる第一の原則は供給の確保でございます。供給の確保、需給の均衡を図ってまいることが価格政策の基本だと心得ておるわけでございまして、その限りにおきましてただいままでのところ政府としては需給に支障が起こらぬようにいたしておりますことは評価していただいて差し支えないことでないかと思います。
 それからその場合、市場価格――市場で形成される価格を尊重するということをたてまえといたしておるわけでございます。たとえば灯油にいたしましても、原油はこの一年間に約八五%ほどの値上がりが見られておりますけれども、灯油につきましては五一%程度でとどまっておるわけでございまして、価格政策に公権力が介入することは必ずしも私は価格の安定に役立たぬと思うわけでございまして、便乗値上げというものを厳しく監視していく、市場価格――市場で形成される価格を軸にいたしまして便乗値上げを十分監視していくということで実効を上げてまいりましたし、また今後も上げられ縛るものと考えておるわけでございます。
 それから原子力発電についての御注意でございました。
 原子力は、いま、石炭と並びまして代替エネルギーとして一番信頼性の高いエネルギー源でございますが、仰せのように安全性の確保という非常にむずかしい厄介な大事な問題がございますので、これにつきましては周到な上にも周到な配慮を加えながらこの信頼性の高いエネルギー源の開発に努めてまいりたいと考えておるわけでございます。
 それから石炭政策につきましてのお尋ねでございました。
 わが国といたしましては、いまのところ二千万トン体制を維持する、いま若干二千万トンを割っておりますけれども、この体制は堅持してまいりたいと考えておりまして、近時の厳しいエネルギー情勢にかんがみまして、過度の石油依存を改めるために、石炭、原子力等の代替エネルギーの開発を促進することは申すまでもなく重要なことと思いますけれども、わが国の産炭体制は二千万トンが限度ではないかと考えております。
 なお、石炭産業のあり方につきましては、経営改善に対する労使双方の自主的な努力が望まれるところでございますけれども、現行私企業体制が政府としては適当であろうと考えております。
 また、輸入炭との調整につきましては、従来どおり国内炭優先利用の原則に立って対処してまいる所存でございます。
 それから社会党の三十年戦略についてお触れになりました。
 政府の展望を聞かれたわけでございますが、政府は、向こう十年ぐらいの間に、必要エネルギーの石油に対する依存率をヨーロッパ並みの五〇%程度に持っていくということを目標として、社会党の場合は三割という御構想のようでございますけれども、政府としてはいまのところ十年後には五〇%へということを目標といたしまして、代替エネルギーの開発に努力をいたしておるところでございます。
 次に、日中経済協力についてのお尋ねでございました。
 日中間の交流が人的にも経済的にも大変濃密になってまいりましたことは歓迎すべきことと考えておりまして、中国の現代化計画につきましては、日本の能力の及ぶ範囲におきまして、ASEANその他の国々との調整も考えながら、できる範囲におきまして、軍事協力に当たらない範囲におきまして御協力をいたしたいと考えておるわけでございまして、幾つかのプロジェクトがいま検討されておりますが、そのうちの数プロジェクトを取り上げての御協力になろうかと考えておりまして、私の訪中の場合に具体的な回答をいたしたいといま最終の調整を政府部内でいたしておるところでございます。
 それからアジアにおける非核武装地帯の設置問題等についてお尋ねがございました。
 私は、わが国が非核政策をとっておりますし、核の拡散防止につきましては率先して努力しなければならぬ国であることはよく承知いたしておるわけでございます。非核武装地帯の設置も条件が整えば有効な政策手段であろうかと評価いたしておりますけれども、現在、アジアの状況のもとにおきましてこういうことを設置する条件が熟しておるかどうかという点につきましては、やや否定的に考えております。
 それからアメリカとイランとの問題につきましてのお尋ねでございました。
 イラン情勢につきましては種々報道がされておりますけれども、アメリカ、イラン関係は人質問題をめぐって緊迫化しているところで、両国の友好国であるわが国といたしましても事態を非常に憂慮いたしております。わが国としては、人道的な見地並びに国際法遵守の観点から早急に円満な解決が図られることを強く希望して、わが方のこうした考え方をすでにイラン側にも伝達いたしております。いずれにいたしましても、イランは革命を経験し、現在なお体制整備の過渡期にあるわけで、わが国は長期的視点に立ってイランとの関係維持に努めてまいりたいと考えております。
 自由と民主主義を共有する米国との友好協力関係はわが国外交の基本であることは申すまでもありません。かかる関係を維持発展させることは、わが国みずからの安全と繁栄を確保するものでございまして、これは対米追随と言うには当たらないと考えております。
 わが国の安全と繁栄は、国際社会全体の平和と安定の中で初めて達成できると私どもは考えております。わが国といたしましては、かかる認識に基づきまして、日米友好関係の増進と並んで、アジアを初め中近東、アフリカ等世界各地域との協力と対話を一層促進してまいりたいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(安井謙君) 楠正俊君。
  〔楠正俊君登壇、拍手〕
#9
○楠正俊君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、当面する内外の重要課題について、総理ほか関係閣僚に若干の質問をいたします。
 さきの特別国会における政治の停滞については所信表明の冒頭において総理より反省の表明がありましたが、この異常事態の責任は、もとより総理一人に帰すべきものではなく、わが党全党が心して反省し、失われた政治への信頼を回復し、国民の信託にこたえることを誓うものであります。
  〔議長退席、副議長着席〕
 解散以来、政治、行政の空白はすでに二カ月有余を経過し、この間、内外の政治、経済情勢は大きく変わり、今日ほど重要問題が一挙に山積しているときはありません。
 総選挙による国民の厳しい審判は、参議院に引き続き衆議院においても保革伯仲という事態を招来いたしておりますが、しかし、野党に政権をゆだねるには至っておらず、引き続き政権を担当するわが党の責任はきわめて重いものがあります。
 総理は、国民の意見には謙虚に耳を傾け、信ずるところを率直に語ると申しておられますが、同時にまた、国民も為政者に対する先見とリーダーシップに期待をかけております。総理は、一九八〇年代に向かって進むべき日本の進路を国民の前に明確にすべきだと思いますが、改めて今後の政権担当の決意を伺いたいと存じます。
 まず、綱紀粛正について伺います。
 日本鉄建公団の不正経理の乱脈に端を発した一連の構造的とも言える不正腐敗行為は、まさに公費天国の実態を天下にさらけ出しておるものと言っても過言ではありません。よもやと思っていた今日の官僚機構において、国、地方公共団体等を通じて、カラ出張、ヤミ超勤、ヤミ賞与、ヤミ休暇、公費接待等が組織ぐるみで行われていたということは、これらの財源が国民の血税によって賄われているだけにきわめて遺憾であります。かかる不正は、あらゆる政策に先んじて速やかにその徹底的究明を図り、国民の信頼の回復のために万全の綱紀粛正措置をとらなければなりません。
 政府においては、総理府を中心に綱紀粛正の具体案を各省申し合わせという形で取りまとめておりますが、単にこのようなことだけでは通り一遍の精神訓話に終わってしまうことが必定と思われますので、むしろこれを閣議に諮り、その決定事項を直ちに内閣の方針とするくらいの効果的な対応策が必要と思いますが、いかがでしょうか。
 その際、特に、監査、監督を可能な限り厳重にし、再びこのような不正が起こることのないよう、違反に対しては行政処分を含む峻厳な責任体制を明確に規定することが必要であり、同時に、予算査定を厳正に行い、あわせて会計検査院の検査機能の強化を図るべきだと思いますが、この点に関して総理の所見を伺いたいのであります。
 今回の不祥事件の発端となった国の出資及び財政投融資資金を受けている特殊法人等においては、以前から国の給与水準を大幅に上回る給与、賞与の支給を受けていたことが今回国民一般の批判の対象となっておるところであります。国の機関に準ずる特殊法人等の現行の給与体系が一般に比較して果たして妥当なものなのかどうか。特に、公団公社のヤミ賞与の財源は、予算定員と実定員との剰余分を労使による話し合い交渉によって分配されていたという事実は覆いがたく、これは速やかに是正されてしかるべきであります。これは労働三法との関係においても十分検討されるべきであると思うのでありますが、総理の所見を求めたいと思います。
 政治に対する国民の信頼を得るに最も大事なことは、政治に対するモラルを確立することであります。
 とりわけ、選挙に金がかかり過ぎる現行の選挙制度は、健全な民主政治の発展に大きな阻害であるばかりでなく、有為な人材の政治参加の芽を奪っております。選挙制度の問題は、各党に共通する問題であるだけに、本来は国会において各党の連携のもとでその合意点を見出すべきであろうと思うのでありますが、私は、立法府みずからの手で行うより、公正な第三者機関に検討をゆだね、その結論を尊重すべきだと思います。
 この際、金のかからない選挙を実現するため、内閣に選挙制度審議会を再度設置し、検討することが、政治に対する信用の回復の上からぜひ必要だと思いますが、総理、いかがでありましょうか。
 次に、経済問題について伺います。
 四十八年の石油ショック以来、長い不況のトンネルをくぐってきた日本経済は、昨年からとみに景気の面で明るさを増してまいりました。これは何といっても、国民の忍耐とすぐれた労働能力、民間の血のにじむような減量経営、これに対応する政府の公共投資重点の積極かつ適切な財政政策が三位一体となってその効果を発揮したものであります。
 先月発表された八月の景気動向指数は五〇%ラインを割り、順調な拡大を続けてきた経済は一時景気の先行きにかげりを示しておりましたが、去る二十七日発表されました九月の指数は再び五二%へと回復し、引き続き景気が拡大傾向にあることを示しております。政府は、今後の景気動向をどのように見通しておられるか、そして当初予想の六・三%の成長率が果たして達成されると考えておられるのか、お伺いいたしたいと思います。
 本年春以来、卸売物価が続騰し、最近では消費者物価にもその影響が生じ、物価の先行きに厳しいものがあります。今回の物価上昇の原因としては、OPECによる原油値上げであることはもちろんでありますが、さらにそれを加速しているものに六月以降の急速な円安傾向があります。
 これら原油値上げと円安は、いわゆる外圧であり、海外的要因でありますから、政府の政策の失敗ではないとしてこのまま手をこまねいていては問題の解決にはなりません。政府は今後の物価動向をどう見ているのか、あわせてその対策を承りたいと思います。
 私は、このような輸入インフレの防止のためには、たとえば、経済外交を積極的に推進するほか、外国為替市場に介入して為替相場の安定を図る必要があると思うのでありますが、これらの点について政府の所見を伺いたいと存じます。
 さらに、今後いやしくも便乗値上げが起きぬよう厳重に監視する必要があると思いますが、具体的な物価監視対策をあわせて伺いたいと思います。
 次に、財政再建について伺います。
 わが国財政は、四〇%に近い大量の公債に依存し、きわめて不健全な状態となっております。このまま推移すれば、公債の利払いや償還に追われ、国民生活の安定という財政本来の機能を果たすことができないばかりか、財政インフレを引き起こし景気の足を引っ張るといった事態すら懸念されるに至っております。
 地方財政もまた大幅な収支不均衡の状況にあり、交付税特別会計からの借り入れで辛うじて当座をしのいでいる厳しい状況にあります。
 政府では、赤字財政から脱却し、健全財政へ移行するため、異例とも言えるサマーレビューを行い、既定施策の総点検を行ったことは評価するのでありますが、どうも検討だけで、これに基づいて今後どう対処するのか明らかではありません。まづこの成果、問題点をどう受けとめ、財政再建へ取り組むのか、総理及び大蔵大臣の所見を伺います。
 本年度は、当初予想を上回る景気の好調により相当の税収の伸びが期待されておりますが、来年度の自然増収と当然増経費の試算をどのようにとらえ、消化困難な公債の減額を行って財政再建のスタートの年とするのか、五十五年度予算の編成の基本的方向を大蔵大臣より示されたいのであります。
 五十五年度予算に関連してこの際特に触れておきたいのは、社会保障費と防衛予算についてであります。
 高齢化社会に対応した節度のある社会保障の充実は政治が志向する福祉国家への道であります。また、日本をめぐる緊迫した国際軍事情勢は後で述べますが、防衛体制の整備は日米パートナーシップによるわが国の平和と安全の根幹となるものであります。この二つの問題は、国家財政が苦しいときではありますが、特段の配慮をいたすべきものと思いますが、政府の所見を伺います。
 次に、財政再建のかなめとも言われる行政改革についてお尋ねいたします。
 高度経済成長時代に肥大化した行政機構は、低成長時代への変遷に応じてこれを見直し、効率ある行政組織に整理改編すべきは当然のことでありますが、いざこれを実施に移そうとすると、強力な官僚組織が既得権擁護の立場から反対するばかりか、与野党を通じて総論賛成、各論反対と、これまで大きな成果を上げることができなかったのであります。総理は、今回の組閣に当たり、内閣の基本姿勢としてこれを最重要課題として取り上げておりますが、財政再建の旗印のもとに国民に公約した行政改革は、ある程度の出血は覚悟すべきものであり、その実行に当たっては勇断をもってこれに当たるべきだと思います。改めて総理の決意をお示し願いたいのであります。
 私は、宇野行政管理庁長官が就任以来行政改革に積極的姿勢を示していることを評価するものであります。私がいまさら申し上げるまでもなく、行政改革の断行の第一歩としてまずやるべきことは、国民の批判の集中している特殊法人の統廃合であります。この実現に当たっては、歴代内閣が口にして果たし得なかった蛮勇をいまこそふるうべきだと考えます。
 たとえば、去る五十年十二月、当時わが党の行財政改革特別委員会の特殊法人小委員長であった同僚玉置議員がまとめられた「特殊法人の整理合理化の方針」が、その後政府の方針として閣議で了解されたのでありますが、この十八件に及ぶ特殊法人の整理合理化のうち、これまで実現を見たのは電力用炭株式会社の廃止と八郎潟新農村建設事業団の廃止の二件だけであり、オリンピック記念青少年総合センターを特殊法人から単に文部省の直轄機関として、職員の整理は行わず、身分を文部事務官に移行させるという改正法案すら、四会期、二年近くになってもいまだに審査未了に終わっているという実例は、まさにそのことの実現がいかに困難であるかを物語るものであります。
 高度成長時代に非常にふえ、現在百十一に及ぶ特殊法人のうち、存続する必要が薄れたもの、民間や地方自治体に委譲した方がより効果的なもの、特殊法人で類似の機能を持つものなどはこの際思い切って整理、統合、廃止すべきであります。内閣として、これらに対してどのような基本方針で臨むのか、行政管理庁長官よりお示し願いたいと思います。
 この際、関連して特に指摘したいのは、特殊法人の役員の任期及び退職金の問題であります。
 去る五十二年十二月、閣議決定により、特殊法人の役員の任期は特別の場合においても原則として八年を限度とする方針が決定されております。しかるに、某公社のトップは、理事、副総裁、総裁と実に二十三年の長きにも及び在職しており、これは右の閣議決定に違反することは明らかでありますほか、この間、規定に基づくものとは言いながらも、三回にわたり退職金を受け取り、この次退職すれば都合四回も退職金を受け取ることは、果たして国民感情から許されるべきことでありましょうか。これから実現困難な行政改革に立ち向かうからには、まずもって決定されていることは必ず実行するという姿勢が行政改革の要諦ではないでしょうか、このことを強く指摘しておきます。
 次に、行政改革に関連して公務員制度について伺います。
 去る八月の人事院勧告に基づき、今期国会に国家公務員の給与改善法案が提出されることになっておりますが、厳しい減量経営に耐えてきた民間企業のことを思い、苦しい国家財政にもかかわらずその実施を図るからには、公務員諸君においても綱紀を厳正に守り、国民の公僕としてその使命を全うすることを期待するものであります。
 さらに、一言触れておきたいことは、従来の人事院勧告が官民の給与比較のみに限定しており、民間を上回る高額退職金や共済年金の官民格差を含む生涯給与については何ら触れていないという勧告制度のあり方は、一考すべきものと存じますが、いかがなものでございましょうか。
 また、国家公務員の定年制についてでありますが、人事院は五年の準備期間を置いて六十歳定年制を導入する見解を示しましたが、政府はこれを受けて今後どのように各省間の調整を行い、いかなる実施準備を持ち、いつ行うのか、地方公務員及び民間企業の定年制見直しへのはずみとなるだけに可及的速やかな実施を求めたいのであります。
 次に、エネルギー対策について伺います。
 エネルギーをめぐる国際情勢については後でお尋ねすることといたしまして、国内のエネルギー問題としては、今年度上半期のわが国の原油輸入は、政府及び関係者の努力によって一億三千四百万キロリットルと石油供給計画を上回る量が確保されました。しかしながら、下半期について見ると、米国、イラン関係の緊迫化、相次ぐイスラム圏の騒乱等、情勢はますます厳しくなっております。下期の原油輸入について政府はどのような見通しを持っているのか。また、石油備蓄は上期の順調な原油輸入によって相当積み増しされてきたはずでありますが、備蓄のレベルは現在どの程度に達しているのか。もしも下期の原油輸入に支障を生じた場合は、備蓄をうまく活用してこの冬場の石油製品の安定供給の確保を図るべきであると思うのでありますが、政府の方針はどうか、お尋ねいたします。
 次に、石油代替エネルギーの開発促進体制についてお尋ねいたします。
 通産省は、昭和五十五年度の施策の柱として、エネルギー源の転換促進を目的とする特別立法の制定、政策推進母体の新設、所要資金に対する財源措置等の方向を打ち出しております。こうした前向きの対策は大いに評価されるものであり、財政事情の厳しい折からではありますが、国家百年の大計として代替エネルギー開発体制の整備促進に政府の英断を期待したいのでありますが、この点について所信のほどを示されたいのであります。
 また、わが国の場合、当面、石油にかわり得るエネルギー源としては、原子力発電の開発を抜きにしては考えられません。原子力は、わが国が国策として推進してきた先端技術であり、安全性、耐震性など日本の原子力技術水準に対する国際的評価はきわめて高いのであります。遺憾ながら今年は大飯一号機、高浜二号機などの発電所事故が相次いで起こりましたが、これらの事故は規模においても質においてもスリーマイル島原発の事故などとは比べようもない軽微なものであって、従業員の教育訓練の徹底や部品の品質管理の強化などによって十分防ぎ得るものであります。政府の原子力開発に対する基本方針と見解を通産大臣にお尋ねいたします。
 最後に、安全保障及び外交問題について伺います。
 まず、わが国の安全保障についてであります。
 本年一月、わが国固有の領土である国後、択捉両島にソ連軍が配備され、基地の構築が進められている事実が確認され、政府はいち早くこれに抗議をしたのはもちろんのこと、本院におきましてもその速やかなる撤去を求める決議がなされたのでありますが、ソ連はこれにこたえないばかりか、最近は色丹島へも軍隊を配備した事実が確認されるに至っております。これら北方領土に配備されたソ連軍の勢力は師団規模に近づきつつあると言われております。このようなソ連の動きは、北方領土問題を話し合いにより平和的に解決しようとするわが国の方針に真っ向から挑戦するものであり、きわめて遺憾であると申さなければなりません。
 これに加えて、六月末には、折から開催中の東京サミットに示威行動を加えるかのごとく空母ミンクスが日本海を北上して極東配備につき、さらに最近は最新型超音速爆撃機バックファイアの極東配備も確認されております。北方領土への軍事力配備を初めとするこれら一連のソ連の動きによって、わが国の安全保障にいささかなりともかげりの生ずることがないのでありましょうか。国民の不安を一掃するために明確な御説明を願いたいのであります。
 また、他方では、ヨーロッパで一朝有事の際に、海軍力を中心にアジア・太平洋地域のアメリカの軍事力の主力をヨーロッパに振り向けるという、いわゆるスイング戦略なるものの存在が明らかになったのであります。最近来日したブラウン国防長官は、大平総理との会見で、これは数あるうちの一つの研究にすぎないと述べたと伝えられておりますが、果たして本当にそうなのでありましょうか。日米安保体制の根幹にもかかわる問題でございますから、この点についてもはっきりした御説明を願いたいのであります。
 第二は、日韓関係についてであります。
 先般、朴大統領が不慮の死を遂げられたことに対し心から哀悼の意を表するとともに、同大統領が過去十八年間にわたり日韓国交正常化を初めとして韓国の経済発展等にすぐれた指導力を発揮されたことを改めて想起するものであります。今回の事件が、韓国の当局及び国民の冷静な判断と、アメリカの間髪を入れない外交上、軍事上の措置によって平静のうちに収拾が図られたことによりまして、近く新大統領が選出され、そのもとで維新憲法の改正が議せられることになると思いますが、政府は新しい体制のもとにおける韓国との関係を今後どのように発展させていこうとされるのか、日韓関係の基本には何ら変更はないと確信いたしますが、総理の所見を伺います。
 第三は、中東情勢についてであります。
 テヘランのアメリカ大使館占拠事件は、いまだ解決の兆しが見られず、最悪の場合には米国による軍事行動も予想されるという重大なる局面を迎えております。もし米国による軍事行動が実現に移されるとすれば、イランのみならず中東全域に重大な影響を及ぼすことは必至であり、石油輸入の七八%を中東に依存しているわが国としても深刻な影響を免れないでありましょう。私どもといたしましては、一日も早く人質が無事解放され、事態が平和的に解決されることを願わずにはいられませんが、この際総理にこの問題に対する認識及び対処方針をお伺いしたいのであります。
 大使館を一方的に占拠し、外交官を人質にするという行為は、国際法違反であり、もとより許さるべきことではありませんが、他方、今日の中東情勢を考えるに当たっては、宗教の役割りを無視するわけにはいかないのであります。もともと、イラン革命の発端は、余りに性急な近代化、工業化がもたらした矛盾と人間性の喪失に対する人々の怒りが宗教的価値への回帰となってあらわれたところにあります。さらに、最近のサウジアラビアの事件にもあらわされたごとく、宗教は、この地域の政治、経済社会においてきわめて重要な意義を有しておるのであります。したがって、わが国が中東諸国と真に友好的関係を培うためには、単に資金を提供して近代化、工業化に協力するというだけではなく、これら諸国の人々の考え方の基盤にある宗教的価値観を理解し尊重することが不可欠だと考えますが、これに対する宗教に理解を持っておられる総理の所見を伺いたいと存じます。
 さらには、このアメリカとイランの関係の悪化が誘因となって、イランがドルによる石油代金の決済を拒否して、マルク、フラン等の通貨で支払うことを要求するなど、国際金融問題にまで発展していると報じられております。これが事実であるとした場合、他の産油国が追随することによってドル離れ現象が拡大し、国際金融市場が混乱するおそれがあると思いますが、政府の見通しと対策を外務大臣にお伺いいたします。
 また、十月中旬、当時の江崎通産大臣がイランを訪問した際、対日原油三〇%増産の約束がイラン政府との間でできたそうでありますが、この約束は今回の対米紛争とかかわりなく実行されると判断されておられるかどうか、通産大臣より答弁を願います。
 第四は、インドシナ情勢についてであります。
 一九七三年のパリ協定によって南北両ベトナム間に和平がもたらされたのもっかの間、協定は無残にも踏みにじられ、二年後にサイゴンは武力によって制圧されたのであります。次いでベトナムは隣国カンボジアに二十万の軍隊を投入し、ポル・ポト政権を駆逐して親ベトナムのヘン・サムリン政権を樹立いたしました。かくしてベトナムとカンボジアから流出した難民は合わせて八十万にも達し、これが世界的な問題となっていることは周知のとおりであります。すでに言い古されたことではありますが、社会主義は平和勢力であるという神話はみごとに打ち破られました。かつてベトナム戦争当時、「ベトナムに平和を」というスローガンを掲げて勇ましく活躍した一部勢力が、いまは黙して語らないのはどういうわけでありましょうか。
 最近、国連総会では、インドシナにおけるベトナムの武力攻勢を憂慮するASEAN諸国が中心となって提出されたカンボジアにおける即時停戦と外国軍隊の撤退を要請する決議案が大差で可決されたのであります。ベトナムはこれを拒否する態度をとっておりますが、わが国はこの決議の共同提案国となったのでありますから、決議が有効に実施されるよう他国と共同して外交努力を重ねるべきではないでしょうか。外務大臣の所見を承りたいと思います。
 外交問題の最後に、総理の中国訪問についてお尋ねいたします。
 七年前の日中国交正常化当時、外務大臣として重責を果たされた大平総理が、今回総理大臣として中国を訪問されることになりました。また、その際に、中国の近代化に協力するための借款供与を約束されるそうであります。しかし、来年度分として約束する額は五百億円という一国向けの援助額としては最高の部類に属する額となるやに報ぜられております。また、このような額を各年にわたって供与した場合の総額は二千億円から三千五百億円にも達すると言われております。三千五百億円をドルに換算いたしますと十五億ドルとなり、一昨年福田総理がASEAN諸国に約束された十億ドルを上回る額を中国一カ国に与えることになるのであります。したがって、そのような巨額の援助を中国一カ国に与えることについてASEAN諸国を十分説得する必要はもとより、特にソ連に対する理解に努めるべきではないかと思います。
 こうした対外的説得もさることながら、わが国内では、財政再建のために国民の協力を求めようとしているこの時期に、巨額の対外約束をすることに対して国民の間に疑問が抱かれていることもまた否定できないのであります。政府は、国民の間にいささかなりとも疑問が残らないよう十分説明をすべきであると考えますが、総理の所見を承りたいと存じます。
 以上をもって私の質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(大平正芳君) 楠さんの最初の御質問は、八〇年代に対応する政治姿勢についてのお尋ねでございました。
 八〇年代は、大変不安定な要因、また多くの制約要因を抱えたむずかしい時代であることが予想されますけれども、恐らく国際化は一層進み、国内におきましては高年齢化が進んでまいる時代であうろと思うのであります。政府といたしましては、その展望を明らかにしながら政治の対応力を強めていかなければならぬと考えております。また、政治姿勢といたしましては、清潔で公正かつ謙虚な態度に終始して国民の期待にこたえていかなければならぬと考えております。
 第二の御質問は、綱紀粛正措置についてのお尋ねでございました。
 官庁綱紀の粛正を実効あらしめるためには、今回の事件を契機といたしまして全省庁が厳しく自己を点検して、身をもって粛正の実を上げる決意が大事であると考えております。今回の申し合わせば、閣議における私の指示を具体化したものでございます。申し合わせの形式はとりましてもそれは政府の方針でございまして、閣議決定と全く同様の効果を持つものであると受けとめていただきたいと思います。したがって、政府の全機関が挙げてこれを遵守いたしまして綱紀粛正の実現を図るよう万全を期してまいるつもりであります。
 今回の一連の事件についての責任体制、その処分を明確にせよということでございます。
 今回の不祥事につきましては、事実の解明を急ぎまして、速やかに厳正な処分を行う考えであります。
 また、その再発を防止するために、内部監査の徹底を図りますとともに、不正な事実につきましては監督者及び当事者に対しまして厳しくその責任を問い、厳正な処分を行い、責任体制を一層明確化してまいるつもりでございます。
 また、予算の計上、その執行を厳正に再点検いたしまして、国民の納得のいくような措置を講じなければならぬと考えております。
 それから会計検査院の検査機能の強化でございますけれども、従来とも政府は会計検査院がその機能を十分発揮できるようできる限り協力を行ってきたところでございますが、今後ともこの方針で対処してまいるつもりでございます。
 特殊法人などの給与は、労使のなれ合い交渉を改めて、労働三法との関係を含め検討すべきであるという御意見でございます。
 公団等の特殊法人につきましては労働三法の適用があり、その職員給与につきましては労使間の交渉で決められることになっております。しかしながら、その公共性等にかんがみまして、政府としては国民の納得が得られるような給与決定が行われるよう労使双方に要請しておるところでございます。なお、特殊法人職員の給与の適正なあり方につきましては、今後慎重に検討をしてまいりたいと考えております。
 金のかからない選挙を実現するために、内閣に選挙制度審議会を再度設置して検討をゆだねてはどうかという御意見でございます。
 選挙制度審議会の発足に関するお尋ねでありますけれども、さきに航空機疑惑問題等防止対策に関する協議会からいただきました提言等の検討をいたします段階にありますので、その推移によりましては、あるいは選挙制度審議会を設けて御議論をいただく必要があるかもしれませんが、その時点でこの問題は検討をいたしたいと思います。総じて、選挙制度の問題は各政党の共通の土俵でございますので、基本は国会の審議に、各党の話し合いにまたなければならぬものと思いますが、この審議会を設けるにいたしましても、各党の了解と支持が要件になることは申すまでもないことと考えております。
 その次に、景気の動向をどう見ておるか、ことしの成長率は達成されるかという御質問でございました。
 去年の暮れ以来、個人消費や設備投資などに支えられまして国内需要を中心とした景気の拡大が続いておりますことは、御指摘のとおりでございます。今後につきましては、物価動向等懸念すべき材料はございますものの、経済は総じて着実に拡大を続けるものと考えられ、昭和五十四年度のわが国経済はおおむね当初見通し程度の成長は実現できるのではないかと予想いたしております。
 それから物価動向をどう見ておるかということでございます。
 消費者物価は、どの国に比べましても一番落ちついた推移を示しておることはありがたいことと思っておりますけれども、卸売物価に至りましては大幅な狂いが生じておりますことは正直に申して大変残念でございます。問題は、消費者物価につきましてこの卸売物価の影響がどのように出てまいりますか、十分慎重に対処しなければならぬ課題だと思っております。
 先進諸国の状況を見ましても、ドイツと日本だけが消費者物価は前年対比四、五%のところにとどまっておるわけでございまして、その他の先進諸国全部一〇%を超え、一五%を超えておるような状況であります。したがって、私は、日本の国民がいま物価に対処いたしまするに非常に自重的であることに対して大変ありがたく思っておるわけでございまして、政府も、この状況に冷静に対処いたしまして、先般も八項目にわたる物価対策を決めて、これを着実に実行してまいり物価の安定に努めてまいりたいと考えておるわけでございます。
 それから外国為替市場への介入の必要はないかということでございました。
 為替市場は、このところ円安傾向に推移いたしておりますけれども、これは基本的にはわが国の国際収支の赤字を反映したものと思われますけれども、同時に、最近の石油価格の値上げ等もその一因ではないかと考えます。政府としては、物価の安定に配慮しながら、今後とも相場の乱高下に対しましてはこれを調整するよう適切に介入してまいるつもりでございます。
 輸入インフレ防止のために経済外交を強力に推進すべきでないかという御意見でございます。
 ごもっともでございます。石油及び他の一次産品の価格上昇並びに最近の円安傾向によりまして輸入価格が上昇して卸売物価の騰貴を招き、これがさらに消費者物価へ波及することが懸念されておることは御指摘のとおりでございます。
 原油価格の問題につきましては、わが国は、東京サミット、IEAを通ずる国際協調のもとで、当面、石油消費の節約、高値買いの自粛に努め、今後はさらに代替エネルギー、新エネルギーの開発を進めてまいる所存でございます。これによってわが国の石油依存度を低めますとともに、世界の石油の需給バランスが維持されることに寄与したいと考えております。同時に、OPEC総会を控えまして、産油国に対しても穏健な生産・価格政策を期待した外交努力を続けてまいりたいと考えております。
 節度ある社会保障の充実と防衛体制の整備には特段の配慮が必要でないかという御指摘でございます。
 財政再建は緊急な課題でありまして、昭和五十五年度予算におきましてはすべての財政支出について厳しい見直しを行い、財政再建の第一歩としてまいる必要があると考えております。
 ところで、わが国の社会保障は、制度的には国際的に見ても遜色のない水準にすでに達しておると思います。今後、高齢化の進展に伴いまして、現行の水準を維持するだけでもその費用負担は大幅に増大していくことが予想されます。したがって、社会保障等を推進していくに当たりましては、従来にも増して制度の合理化、給付と負担の公平化等を着実に図ってまいる必要があると考えております。五十五年度の予算編成に当たりましても、そういう考え方に立ちまして、国民の福祉に配慮しながら、制度、施策の適正化の検討を進めてまいりたいと考えております。
 防衛費でございますけれども、わが国の防衛政策につきましては、昭和五十一年十月二十九日の国防会議、閣議決定いたしました防衛計画の大綱がございまして、これに基づきまして装備の更新、近代化を中心といたしました防衛力の整備に努めておりますことは御案内のとおりであります。五十五年度におきましても、現下の経済財政事情を勘案しながら、国の他の諸施策との調和を図りながら、適正な防衛費の規模を確保したいと考えております。
 行政整理、それから財政再建、エネルギー問題、外交案件等につきましては、所管大臣から御答弁を煩わすことにいたします。
 最後に、一点、近く行われる私の訪中についての御要請を込めての御意見が開陳されました。
 私といたしましては、日中両国国交正常化以来、各領域にわたりまして交流が進んでおりますることを評価いたしております。両国の問の信頼と友好が深まりと広まりを持っていくことは大事だと考えておりまして、今回の訪中は、そういう意味におきまして、それをそういうことに役立てたいと念願をいたして、先方の首脳と隔意なく国際情勢、二国間問題等を話し合って共通の理解をつくり上げたいと念願いたしておるところでございます。
 問題の対中国借款問題でございますが、この問題につきましては、日本の能力を考えなきゃいけませんし、経済協力政策の展開に当たりまして他の方面とのバランスも考えなけりゃならぬことは御案内のとおりでございます。私どもといたしましては、仰せのような問題もいろいろ念頭に置きながら、わが国としては中国の現代化計画の中の幾つかのプロジェクトにつきまして日本の能力の範囲内において協力をするという姿勢のもとで慎重に進めてまいるつもりでありますことを御了解いただきたいと思います。(拍手)
  〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(竹下登君) 楠議員の私に対する御質問は、財政再建問題の中で、まずサマーレビューの成果について、そして二番目には、自然増収と、当然増経費の試算とこれに基づく五十五年度予算編成に当たる基本的方向、さらにイラン問題、この三つであったと思うのであります。
 議員仰せのとおり、歳入の約四割を公債に依存しておるというまさに異常な赤字財政でございますので、これを克服する、そして財政再建を図るということは緊急の課題であることは御指摘のとおりであります。したがって、歳入、歳出ともに見直しが必要であることは言うをまちません。そこで、このためサマーレビューというものを行って、日本語に訳しますと夏期事前点検作業と、こうなっておりますが、制度、慣行の見直しにかかり、節減合理化の検討に取り組んで今日に至っておるわけであります。事の性格上、これは現段階で具体的にどのような結論に達しましたというものではなく、その夏期事前点検作業が継続して秋期点検作業となり、冬期点検作業として継続して煮詰められていくものでございます。したがって、これが答案は何かと言えば、最終的結果は五十五年度の政府案が答案と言えるのではないか、このように考えております。
 さて、次の、来年度の自然増収と当然増経費の試算、五十五年度予算編成の基本的方向であります。
 税収の見積もりにつきましては、過去の課税実績等を基礎といたしまして政府経済見通しの諸指標を用いて推計をいたすわけでありますが、まだ五十五年度経済見通しというものが固まっていない現在でございますので、確たることを申し上げる背景はございません。しかし、およその指標等を推計しつつ、今日、五十五年度の自然増収は四兆ないし四兆五千億というふうに試算をいたしておるところであります。これは、昭和五十四年度の自然増収が一兆八千から九千億、それを基礎に置いてはじき出したものであることは言うまでもありません。そうして経済の見通しが固まりましたら最終的な見積もりを行うことになるわけでありますけれども、それが大きなぶれはないと、このように理解していただいて結構であろうと思います。
 さて、当然増の問題でございますが、これは国債の発行額が多くなり、そして金利というものが上がってまいりますと、国債費の占める割合というものは大変なものになります。それから一兆九千億なりあるいは四兆五千億なりといたしましても、国税三税の三二%は地方交付税ということになりますので、これが占める割合というものをプラスいたしますと、大体二兆数千億に達するのではないかというふうに思われます。さらに、一般歳出の中の当然増ということになりますと、たとえば生徒数の増加に伴っての先生方の増でありますとか、あるいは年金等の平年度化でありますとか、受給資格者の増加でありますとか、そうしたものを入れますと、これが一兆四千億というふうに上るのではなかろうかと言われておるわけであります。さらに、当然増的経費というものもございますが、これについてはいま正確には申し上げられませんが、三千億程度を推計してみたらいかがなものかというふうに思っておるわけであります。
 さて、そういうことになりますと、それらを踏まえて五十五年度予算の編成の基本的方向やいかんと、こういうことでありますが、まず第一には赤字財政から脱却する。いま総理からも申されましたように、財政再建の第一歩を印するという意味におきまして、公債発行額の減額、これを行う考え方であります。これは、本日の閣議におきまして一兆円以上ということが閣議了解された次第であります。二番目は、いわゆる節減合理化を行って歳出に対応するのは当然のことであります。三番目は、租税特別措置等を見直すことによっての公平感の確保であります。そうして最終的になおかつそれをもっても最小限の歳入を必要とする場合は、国民の理解と納得を得た上で考えなければならないということも含めて検討しておる、このように御理解をいただきたいと思うわけであります。
 さて、三番目の問題でございますが、イランのいわゆるドルによる石油代金の決済を拒否というような問題はもとより報道等で承知いたしておりますが、両国の政府関係からいたしましてこれを確認したという状態にはございません。それがゆえに、それらの影響をも含めて、国際金融市場のことでありますから、推移を慎重に見守って対応したい。
 以上でお答えを終わります。(拍手)
  〔国務大臣宇野宗佑君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(宇野宗佑君) 楠議員より行政改革に対しまして格別の御理解が示されまして、ありがたく存じております。
 仰せのとおり、いまや行革は国民の最大の関心事であり、その断行は私は大きな国論であると存じております。その線に従いまして私も取り組んでいきたいと存じますが、今次内閣におきましてはしばしば総理大臣からも強い決意が披瀝されました。したがいまして、まず特殊法人の整理、続いて地方出先機関の整理、及び許認可の整理、そして補助金の整理、以上四項目に関しましては年内に具体的なプランを策定する予定でございます。これに関しましてはすでに各閣僚にも協力を強く要請いたしましたので、政府一丸となりましてただいまその作業を推し進めているところでございます。(拍手)
  〔国務大臣佐々木義武君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(佐々木義武君) 私に対する質問は四点かと思いますが、第一点は、下期の原油輸入の見通しはどうか、備蓄はどうなっておるか、下期でもし原油輸入に支障を来した場合に国内の石油製品の需給関係はどうなるのかと、こういう御質問でございました。
 十−十二月の現状は、大体七千万キロリッターくらいの輸入は確保できると思っております。なお、五十五年の一−三月、第四・四半期分でございますけれども、これは産油国の生産水準等が非常に動く可能性がございまして不確定要素が大変多いものですから、ただいま的確な輸入量の見通しを立てることは困難の状況でございます。ただし、今後とも原油の輸入をあとう限り確保するように最大の努力を払いまして、同時に、必要に応じましては備蓄を弾力的に活用することによって石油の需給計画のベースは生産、販売とも確保できるのじゃなかろうかと思っています。
 なお、前後になりましたが、備蓄の現状は、水準は、十月末現在におきまして、民間が九十五日程度、それから公団備蓄――国家分が七日でございますので、百日強になっております。したがいまして、先ほど申しましたように、もし第四・四半期等で輸入にある程度の支障を来した場合には、備蓄を合わせまして需給関係に支障ないようにいたしたいと存じます。したがいまして、国民の冷静な対処、あるいは石油の消費節減等が徹底いたしますれば、石油製品の需給バランスは的確に保ち得るのじゃなかろうかとただいま考えております。
 それから第二点は、石油代替エネルギーの開発体制等はどうするのかというお話でございます。
 これは、御承知のように、当面は節約とか備蓄あるいは安定供給等に極力努めているところでございますけれども、それのみではエネルギー資源のほとんど皆無の日本といたしましてはどうにもなりませんので、石油にかわる資源、すなわち、原子力とか石炭あるいは液化ガス、あるいはそういうものの補完的な意味で地熱とか太陽熱、風力等各種のものがあるのでございますけれども、そういうものをどういうふうに早く開発していくのだと、大変重要な問題ではないかというお話でございます。御説のとおりでございまして、非常に国の安危にかかわるような重要問題であると私も考えております。これを開発するにはまず資金でございますけれども、大体十年間に四兆円程度必要でございまして、この資金を調達するのにも、既存の枠組みの中ではなかなか困難だと思いますので、五十五年度の予算におきましてはその財源確保に関しましてただいま工夫をこらしているところでございます。
 また、それを展開するのに中核的な機関が必要じゃないかという御意見のようでもございましたが、まさしくそのとおりでございまして、中核的な推進母体、これをぜひとも計画的に効率的に問題を進めようとすれば必要だと存じますので、その点もあわせて五十五年度予算に伴いましてただいま折衝中でございます。
 三番目は、原子力開発に対する基本政策いかんという問題でございますが、お説のように、何と申しましても石油にかわる最大のものは原子力発電であることは間違いございません。総理からもしばしばお話しのように、これが政府といたしまして最も力を入れまして今後とも進めたい点でございます。ただ、その前提条件といたしまして、安全性の確保とか、あるいは故障等によってしばしば休みますので、信頼性を失ってはいかぬというので信頼性の向上をどうするか、あるいは国民のコンセンサスを得るのにはどうしたらよいかという点がございますので、そういう点に配慮しつつ、今後とも原子力発電を進めたいと思っております。そして長期エネルギー需給計画で示しております計画目標はぜひとも到達するように万全の努力を払いたいと思っております。
 最後に、イランの油の問題でございますけれども、先ほどお話がございましたように、江崎通産大臣が、この十月でございますか、イランを訪問いたしまして、いまの緊迫した油の状況等を勘案しつつ、来年以降のDD契約を三〇%増してもらいたいという増量の要請をしたことは事実でございます。ただ、来年のことでもございますし、本件に関しましては現在イラン側の対応を待っているところでございます。
 以上でございます。(拍手)
  〔国務大臣大来佐武郎君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(大来佐武郎君) 外交関係につきまして私から御質問にお答えいたしたいと思います。
 第一に、アメリカのスイング戦略が日米の安保体制にどういう関係があるか、影響があるかという御質問でございます。
 いわゆるスイング戦略とは、一般に、ある地域で緊急事態が発生いたしました際に、その地域に他の地域から兵力の一部を振り向けるという考え方であると理解しております。かかる米国の考え方は何ら新しいものではございませんで、また、振り向けられる方向もアジアから欧州へのみ行われるのではございません。たとえば、朝鮮戦争、ベトナム戦争の例にも示されるとおり、欧州からアジアへ振り向けられることもあり得ることにつきましては、去る十月、ブラウン米国防長官自身が直接大平総理に述べているところでございます。また、米国は、わが国に対する防衛約束を守るという決意は揺るぎないものであることを繰り返し明確に表明してまいっておりまして、近年、米国がアジア・太平洋地域において着々とってまいりました在韓米地上軍撤退の凍結、あるいは第七艦隊の質的強化等の諸処置に照らしましても、政府といたしましては、米国のいわゆるスイング戦略が御指摘のごとき日米安保体制の根幹に係る問題であるとは考えておらないわけでございます。いずれにいたしましても、わが国としては、日米安保体制の信頼性を増すためにも一層の防衛努力をしてまいりたいと存ずるわけでございます。
 次に、今後の日韓関係についてでございますが、朴大統領の死後、韓国内におきましては国内融和を目指しまして従来の体制を変革していこうとする動きが見られております。わが国といたしましても、一衣帯水の隣国であります韓国との間におきましては、これまで緊密な友好関係を築き上げてまいっておりますが、韓国内の新しい動きを踏まえつつ、今後とも引き続きその維持増進に努めてまいる所存でございます。
 次に、米、イラン関係の悪化に対する考え方でございますが、米、イラン関係は、パーレビ前皇帝の病気治療のための米国入国を契機とする在イラン米国大使館占拠・人質事件をめぐり緊迫化しておりますけれども、かかる事態の継続は、理由のいかんを問わず、人道的見地及び国際法遵守の観点からも憂慮すべきものと考えておるわけでございます。また、米国のイラン石油輸入停止措置及びイラン公的資産凍結措置等は、日本、イランの経済関係を含め世界的にも影響を及ぼすものと考えられておりますので、一刻も早く事態が収捨されることを強く希望しております。わが国といたしましては、本件解決のためになし得ることは限られておりますけれども、すでにイラン外交当局にわが方の考え方を伝達いたしております。また、今後とも引き続き解決に資するための努力を行っていく意向でございます。
 次に、中東諸国との友好関係について、資金の提供、近代化、工業化に協力するだけでなく、宗教的価値観を理解し尊重することが不可欠ではないかという御指摘がございました。わが国と中近東諸国との関係は近年特に緊密化しておりますが、わが国は現存するこれら諸国との相互依存関係を踏まえ、長期的視点から永続的な友好関係の基盤を強化していく所存でございます。このためには、近代化、工業化を達成しようとするこれら諸国の悲願にこたえ、国づくり、人づくりの基礎となる経済技術協力を強化拡充するとともに、相互理解を促進することが肝要でございます。特に、中近東地域において宗教が重要な役割りを果たしていることにかんがみ、御指摘のとおり宗教を理解することが不可欠でございまして、あわせて歴史、文化等を理解することにより、この地域の特殊な精神的風土に対する認識を深めてまいりたいと思います。
 次は、国際金融に対する影響についての御質問がございました。
 今回のイラン事件により、為替市場におきましてはドルがマルク、ポンド等の通貨に対して値下がりいたしました。また、貿易資本取引等の各種決済面におきましてもイランとの関係において支障を来しておる事情がございます。しかしながら、その後ドル相場は小康状態を保っておりまして、また、各種決済やユーロ市場への影響も、これまでのところイラン関係以外のものまでには波及いたしておりません。仮にOPECの他の国々がその保有ドルや決済通貨を他通貨に乗りかえるというような行動がございますればその影響は甚大なものとなりますが、いまのところはそのような動きはございません。国際金融あるいは国際通貨に対する影響は、短期的にはさほど大きなものにはならないと考えられます。ただ、長期的にはドルの役割りが若干後退するようなことも予想されまして、主要通貨間における緊密な協力が、将来、より必要になってまいるかと思います。
 次に、カンボジアにつきまして、国連のカンボジアにおける即時停戦と外国軍隊の撤退を要請する決議案の可決がございまして、これについての御質問がございました。
 ただいまの決議は十一月十四日の国連総会において採択されましたが、同決議に対しましては、ベトナム政府及びヘン・サムリン政権側からこれに反対するとの声明が出されております。したがいまして、その実現には種々困難が予想されますが、わが国といたしましても、ASEAN諸国等本決議を推進いたしました諸国と密接に協力しつつ、今後関係国に対する働きかけを続けてまいる所存でございます。
 最後に、中国の借款について、これは総理からもお答えがございましたが、その規模につきましては目下関係各省で最後の詰めをいたしておるわけでございますが、東南アジア諸国に対しまして、現在、年間一千億を超える借款を提供いたしておるわけでございます。インドネシア一国でも五百五十億という規模に達しておるわけでございまして、ただいま論議されております対中国借款の金額がわが国の国力あるいは対東南アジア関係とのつり合いから見て特別にけたの外れたものではないと私ども考えておるわけでございます。(拍手)
#15
○副議長(秋山長造君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○副議長(秋山長造君) 御異議ないと認めます。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後零時十七分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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